阿部「よお、レンレン」

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640影法師
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1212053280/446  ※鬱注意

期末試験が近くなってきたので、明日から部活はしばらく休みになる。
日誌当番だった俺は、締めのミーティングが終わってからせっせと今日のまとめや自分が
感じたことを書いていた。
勉強会の打ち合わせをするみんなの話にも加わりたかったが、明日でもいいやと日誌を書
くことに集中する。
ようやく終わったら着替えていないのは俺だけで、必然的に鍵を預けられてしまった。
「じゃあ阿部、後頼むなー」
声を掛けてきた花井にひらひらと手を振り日誌をぱたんと閉じると、部室のすみっこにい
た三橋が俺の様子を窺いながら近づいてきた。
「あ、三橋、待たせてごめん。すぐ着替えるからあとちょっと待ってろ」
「急がなくて、いいよ。オレ、日誌見ていい?」
「いいぞ」
着替えている間、三橋は今しがた俺が書いた日誌を熱心に読んでいた。
あれから三橋の投球をじっくり観察したが、俺にはやはり監督がいうほど不調には思えな
い。
ただ、投げる時に迷いがあるように感じるのは確かで、それはもしかしたら試合では致命
的なミスになることだってあり得る。
俺はどんな球が来たって捕るつもりでキャッチやってるのに、三橋が自信を持って投げら
れないのでは困る。
予想していなかったと言えば嘘になるが、三橋は捕手としての俺とセックスのパートナー
としての俺を分けて考えられなくなっているのかもしれない。
自分のことは棚に上げて俺はそんなことをつらつらと考えていた。
「三橋、帰ろう」
「あ…、うん」
三橋はちょっと俺の方を見たが、すぐに目を逸らした。
マウンド以外では些細な気持ちの揺れが表情や態度にあらわれてしまうこいつは、俺に何
か言いたいことがあるようだ。
そう言えばしばらく三橋に触っていない。