俺「win三橋はどうしてそんなにお口が大きいの?」

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74冷たい部屋
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1213022701/163  ※ホラー注意

うつろな目を今しがた閉じられたドアに転じる。
あの中の凍えるように寒かった部屋は…自家発電で賄っていたのか…。
じゃあ、雷でその装置が壊れるかどうかしたから部屋が暖かくなってきた…?
オレは男の言った言葉をおぼろげに思い出した。
(低温を保たないと体の組織が変化してしまうという副作用もあったんだ…)
バラバラだった一つ一つのことが嫌な感じに符合した。
考えないようにしていたナメクジみたいなものの正体は…あれは…。

「もう帰っていいってさ、どうかしたか?廉」
修ちゃんに肩を叩かれてオレはびくっと震えた。
「ひどい顔色だな、早く帰ろう」
「あの…、警察の人たちは、なんて 言ってたのかな…」
「うん、調べないとまだわからないって。何か腐っていたのは確かだけど、事件性は薄いよ
 うな言い方だったな」
「しゅ、修ちゃんはなにか、見た…?」
「うーん…、とにかく臭いがすごくてさ、鼻が曲がりそうだった。中はかなり暑かったよ。
 クーラーつけないで閉め切ってたらあんなもんだろうけど。それから、水でも零したみた
 いにあちこち水溜りがあったな。あと……」
修ちゃんはふっと言葉を切って考え込んだ。
その後少し笑ったようにも見えてオレは混乱する。
「いや、ゴメン。あのさ、すごいきれいな玄関なのに、きったないゴム草履みたいなのが落
 ちてたんだよ。なんか場違いだったなと思って。あ…それとも魚の干物だったのかも。あ
 んまりよく見なかったけどさ」
オレの記憶が正しく現実に起こったことなのか否か、確かめる手立てはない。
頭がどうにかなっているんじゃないなら、あれがすべて覚えている通りでしかもオレの推測
が間違っていないのなら、修ちゃんが見たのはあの男の最終的な姿だったのかもしれない。
人間がそんな風になるなんて信じられないけど。
オレは立ち上がりかけてフラつき、思わず修ちゃんに掴まった。
支えてくれた修ちゃんの手に少しだけ力が込められている。
さっきまで雨が降りそうだったのに、もうきつい日射しが戻っていた。