俺ら「作者ここ見てんな…」

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157冷たい部屋
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1212685234/394
※ホラー注意、いい加減設定注意

「レントゲンでは問題ないですね。湿布と痛み止めで様子を見て下さい」
診てもらったお医者さんにそう言われても今のオレには喜ぶ余裕がなかった。
ここから出たら、あそこに行かなければならないからだ。
なんだか気分が悪くなってきた。
なにも知らない修ちゃんは風邪がまだよくなっていないのだと思ったらしく、病院から出る
と客待ちをしていたタクシーにオレを押し込んだ。
行き先を告げられた運転手さんは滑らかに車を発進させる。
ああ、もうだめだ。

「廉、近くなったらどの家か教えろよ。おれわからないからな」
「…うん」
オレは仕方なしに窓の外に視線を遣る。
早朝に何度も走った道は、車の中からだとなんだか違って見えた。
「あ、あの辺…」
違う家を教えるわけにもいかず、オレは諦めて修ちゃんの言うことに従った。
タクシーを降りて、あの日と変わりなく深閑と佇む一軒家の前に立つと足が竦んだ。
すぅっと血が下がるような感覚に耐えかねてしゃがみ込むと、修ちゃんが心配して背中を擦
ってくれた。
「…ゴメン、修ちゃん…」
「こっちこそごめんな、タクシー待たせておけばよかった」
「ううん、オレがダメ、だから…」
「大丈夫か?せっかく来たからちょっと行ってくる。廉は座って待ってろ」
修ちゃんはそう言うと、ドアのところまで行ってインターホンを鳴らしたが開く気配がない。
オレは座り込んで腕に顔を埋め、そのままじっとしていた。
できたらどこかに隠れてしまいたい。
修ちゃんが戻ってきたようだ。