三橋「こ、高野菜って おいしいの?」

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192太陽の黄金の林檎
※スイーツ(笑)&スカトロ注意
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1211802086/992

振り返って人もまばらな裏道を辿る。
いくつものけばけばしい看板がせり出していて賑やかなくせに、その道はどうにも裏口めいている。
建物と建物の隙間は50センチもなく、エアコンの室外機がダンボール箱のように放り出され、天板をへしゃげている。
駐車場スペースが裏手にあると矢印が示す看板の裏側には大きな値段表。
特殊プレイOK!各種プレイルームをご用意しております。
両開きのガラスの自動ドアには金色のテープが2cm間隔で張られ、縞模様がホールと外界とを途絶している。
先ほどのホテルと違って店内はすでに明るい。赤いマットの上に乗るとドアが開き、
日々踏み続けられて弾力も失せた絨毯敷きのエントランスへとおれは踏み込んだ。
待合い用なのか黒いレザーの張られたソファが二列に並んでいる。
その正面の壁にかかったディスプレイのプラスチックにはプリントされたプレイルームの写真がずらりと並び、
裏側から蛍光灯を当てられて煌々と光っていた。
黒い木馬の部屋、セバスチャンの矢、二匹の黒猫の部屋、リスモンデ城の地下牢、杖と蛇の間、恥辱地獄。
ネーミングの仰々しさには呆れたが、写真の中に広がるには異世界には確かにそれに見合うなにかが、目を剥いてしまうだけの迫力があった。
斜め十字の架かった石造りの地下牢や、コンクリートの打ち付けにスチール机と取調室を模した部屋、
天井からジャラジャラと何本もの鎖が落ちているゴシック調のベッドルーム、
ひとつひとつ趣向は違うが、すべてに一貫した美意識だか美学のようなものがうかがえる。
イメージの溢流。パネルの中にあるのは行き先、あるいは目的、どうしようもない妄想の形ばかりが詰めこまれていた。
いかにも縛り付けるために用意されているでっぱったSM椅子とか、部屋の真ん中にぽつねんとある便器だとか、天井から垂れ下がった手錠だとか、釣り針だとか、壁に架かっている鞭だとか。
今までに何組のカップルがこれらを利用したんだろうか。
この黒いシートの上で肩を寄せ合い手を握り合って、空き部屋が出来るのを待ったんだろうか。
その待ち時間は合計してどれくらいになるんだ。観葉植物の影で何回キスしたんだ。