阿部「レン!」

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835冷たい部屋
http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1211333011/700
※ホラー注意

どぉぉぉ…ん、と遠くで地響きがした。
何度か同じような音と振動を夢うつつに感じたような気がする。
(……大変だ、こんなことしている場合じゃない!)
男はそう言った後、オレから離れてどこかへ行ったのではなかっただろうか…?
── どうやらオレはまだ生きているらしい。
オレは涙が乾いてパリパリになった目を薄く開けた。
やたら暗くて目がおかしいのかと思ったが、灯りが消えていて見えるのは小さな非常灯だけ
になっていた。
あの恐ろしい男はやはり見当たらない。
極限まで冷やされた体温が戻ってきている。
心なしか部屋の温度も上がっているようだ。
薬も抜けたのか体が動くようになっていたけど、拘束されているのは変わらなかった。
だけど、今逃げなければまたいつ男が戻ってくるかわからない。
オレは手足をいろいろな方向に曲げて、辛抱強く紐の緩みを探した。
体を動かすとお尻を中心に突き刺されるような鋭い痛みが走った。
男にされたことがまざまざと頭の中に蘇って力が抜けそうになる。
一度解かれた方の足は無理な縛り方をしてあったからか、太腿を緊張させたり弛緩させたり
するのと膝を伸ばすのを繰り返していると紐がするっと抜けた。
(やった!)
片足だけでも自由になってオレは勢いづいた。
手首を普段ならしないような向きにしたり、紐がどこかに擦れるようにしたりと思いつく方
法を試していたら、本当に少しずつだけど手を動かせる幅が大きくなってきた。
(頑張れ、頑張れ……)
もしかしたらうつぶせになれるかもしれないと思って、右肩を軸にし思い切って体を回す。
「…くっ」
左の肩に軽く脱臼したような痛みを感じたけどなんとか反転できた。
これで歯を使うことができる。
オレは頑丈な紐を犬歯で捉え無心に齧り始めた。