http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1210260769/290 オレから逃げたいだけの言い訳だ。
現にさっきまで三橋はあれこれ聞かれていたけど、どれもこれも返事は要領を得ないもんばっかだった。
警察の話が一時的にでも打ち切られてほっとしてただろうに、それを言い訳にするなんてな。
それに精神的に疲弊してるんでとでもいえば、少なくとも今日一日くらいはゆっくりさせてもらえるだろう。
「いいからこっち」
苛立ったオレの声に三橋がさらに怯える。
わかってんなら素直にしてりゃいいのに。
こいつの思考が変なとこで歪んでるのはもうわかりきってることだ。
その度にオレもああこいつ馬鹿だな、って思っちまう。
本当に馬鹿なのはどっちかなんて、考えるだけ無駄だ。
今日はいつものシフトの時間に間に合わないから遅れていきますと事務的な連絡をした時は普通だった。
だいたいそれが一時間くらい前か。
んでオレがきてすぐあれだから三橋が拘束されてた時間はそんなに長くはなかったと思う。
けどあれを見た瞬間、かっと頭に血が昇った。
『オレの三橋』を見知らぬ男が怯えさせている。
青褪めて震える体を閉じ込めて押さえつけている。
『オレだけの三橋』がそんな風に扱われるなんて我慢ならなかった。
正義感でもなければ、三橋を助けようなんて純粋な気持ちでもなかった。
ただただ、あの光景が許せなくて、ぶっ壊すしかないと思った。
今になると無茶なことをしたって思えなくもない。
それでも後悔とかはなかった。
そんかわし、気分がすっきりするのと同時に、三橋への苛立ちも増えた。
なんであんな、どこの誰ともわからない男に羽交い絞めにされて抵抗しないんだよって。
冷静に考えれば簡単なことだ。
犯人は銃を持っていたし、三橋は人質として脅されていた。
下手に動くほうがよっぽど危ない。
わかってる、けど、いやだ、いやなんだ。
三橋がオレ以外の誰かに、怯えているとこなんて見たくない。
あいつ酷いことをしていいのはオレだけ。
オレだけ、オレだけの、三橋。