阿部「三橋！おまんこ舐めさせてくれ！」

じゃあ今日はここまで。おやすみはし。
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見計らったように、家の電話が鳴り出した。
いや、見計らったんだろう。
掛けた相手は、予想通り犯人で、要求額の変更をいつもの合成音声が告げるものだった。
「３億なんて、無理です！！」
「じゃあ、また連絡します！ではではっ」
交渉の余地のない一方的な通告は、あっという間に終わった。
逆探知する装置に張り付いてた捜査員が首を横に振る。
奥さんは倒れこむようにソファに座り、両手に顔を埋める。
俺がなんて声を掛けて良いのか迷っていると、山さんが奥さんに声を掛けてくれて、ホッとした。
そして、ホッとした自分に無償に腹が立つ。
なんとしても、廉君を無事に助けないと。

＊

縛られたまま、俺は声を殺して泣く。
目隠しを外してる時は「大きな声で悲鳴出せよ」
って言うのに、目隠しをされた途端、「うっせえな！」と殴られたからだ。
怖い。チンチンが痛い。無理矢理、皮を剥かれた。
自分でも怖くてあんまり触れなかった所なのに。
血がいっぱい出た。まだ出てるかもしれない。
見えないから判らないけど。
痛い。怖い。犯人達はすごく怒ってる。ちゃんとお金を貰えなかったからだ。
俺のお父さんと、お母さんが警察に連絡を入れた、から。
でも、お父さんもお母さんも悪くない。
俺が自分の子供、誘拐されたら絶対警察に連絡を入れる。
……。うん、入れる。
でも、俺、死にたくない。
また、野球がしたい。
お母さんの作ったチキンカレーが食べたい。いや、食べる。
生きて帰って、絶対、食べてやる。