http://set.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1203087078/698 元ネタまったく知らない俺が書いています注意
「ホラ、風邪ひくぞ。ちゃんと拭けよ」
「う、おっ」
こんなやり取りが一日に十回はある。
相変わらずひとりじゃ何もできないままの三橋は世話が焼けることこの上ないが、それでもオレは、コイツとの奇妙な同居生活にそれなりに満足している。
中村にも言われたように、最近じゃ早く帰りたくて寄り道もせずまっすぐ家へ帰る。
いつもバカみたいにふわふわの頭でオレを出迎える三橋に、多少なりとも癒されている。
役立たずだけど癒してくれて、しかも床上手。
三橋はまさに理想のペットだ。
風呂上がりの一杯を堪能していると、ふいに携帯のバイブが鳴る。
こんな時間に何かと画面を見ると、懐かしい名前が表示されていた。
「よー久しぶり。何?」
「あっ阿部!よーす久しぶりぃ。あのさ、悪いんだけど、ちょっと泊めてくんない?」
携帯から聞こえる独特の高い声。コイツも相変わらずだな。
栄口とは同じ大学に進学し、高校卒業後もそれなりに親交があった。
就職を機にお互い別々の道を行き、声を聞くのはこれが一年ぶりくらいだろうか。
事情を聞くとどうやら終電を逃した上トイレに行きたくて仕方ないらしい。ほんとコイツクソばっかだよな。
ちら、と横目で三橋を見る。深夜のテレビ番組に夢中になって目を輝かせている。
まあ、別に大丈夫だよな。
「わかったよ、さっさと来い」
それだけ言って通話を切り、携帯を閉じる。
「三橋、今から栄口泊まりにくるから、あんま余計なこと喋んなよ」
「さ ささ栄口、君っ?」
目をキョトンとさせてこちらに向き直る。
コイツは高校以来西浦のメンバーとは会っていないらしかったので、それはもう目を輝かせて喜んだ。
狭いリビングをソワソワ行ったり来たりする三橋を尻目に洗面所へと向かう。
栄口が来るなら色々隠しとかなきゃいけないもんがある。
仲良く二本並んだ歯ブラシやら洗濯カゴに突っ込まれた三橋の服やらをまとめて押し入れにしまったとこで、チャイムの音が部屋に響いた。