Berryz工房のエロ小説を書こうよ!!! part3

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1fusianasan

Berryz工房のエロ小説を書こうよ!!! part2
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1148131821/
2fusianasan:2007/12/29(土) 08:03:47
wktk
3エビス:2007/12/29(土) 22:00:18
part2に、最後書いたんだけど、2はああなってしまったんで……。
皆さんの感想が聞きたかったんですが?
良ければ読んでいただいて、感想をください!
4fusianasan:2007/12/30(日) 10:17:40
>>3
なかなか良かったよ

佐紀ちゃんもああいう小説が似合う年頃になってしまったかと思うと複雑だけど
5fusianasan:2008/01/02(水) 02:12:49
あけおめ
6fusianasan:2008/01/02(水) 05:49:28
ことよろ
7fusianasan:2008/01/04(金) 17:56:43
保守
8名無し募集中。。。:2008/01/05(土) 22:04:30
Berryz工房と℃-uteのエロ小説を書こうよ 2008!!!
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1199534383/
9fusianasan:2008/01/09(水) 01:08:51
ホジェン
10fusianasan:2008/01/10(木) 02:28:22
11fusianasan:2008/01/11(金) 13:23:50
こいこい
12fusianasan:2008/01/16(水) 00:28:35
保全
13:2008/01/17(木) 15:38:55
14名無し募集中。。。:2008/01/21(月) 21:54:11
SUPERってどっかにサルベージされてるのかな
わりと豊作だったと思うんだけど
15名無し募集中。。。:2008/01/24(木) 19:53:29
てすと
16書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/01/24(木) 20:04:51
 嗣永桃子はその日、事務所の車で帰宅した。
 いつもなら彼が迎えに来てくれていた。
 今日も迎えに来ると言ってくれたけれど、最近は仕事が忙しくて、疲れている様子だったので、桃子から遠慮した。
 運転手に一礼して玄関に立ち、チャイムを押す。
 両親は出かけるという連絡があったから、彼が出迎えてくれる。
 扉を開けた無効にいる彼を想像して、意識せず笑顔が浮かぶ。
 けれど、扉は閉ざされたままだった。
 開くどころか、家の中で物音ひとつしない。
 用事が出来て出かけたのかな、と思ったけれど、それなら連絡が来るはずだ。
 彼が桃子のことよりも、別の用事を優先するとも思えない。
 疲れて眠っているんだろうか。
 出迎えてもらえないのは少し寂しいけれど、それなら仕方がない。
 鞄から鍵を取り出し、玄関を開ける。
「ただいまぁ」
 当然というか、返事はない。
 いつもは隣にいてくれるはずの彼がいないだけで、静か過ぎて不安になる。
 自分の家のはずなのに、見知らぬ場所のように思えてきて、足早に彼の部屋に向かう。
 足音が、やけに大きく聞こえて、不安を加速させる。
 彼の部屋の前に立ち、ドアノブに手を置くが、一応ノックする。
 返事は、ない。
 ますます不安になる。
「お兄ちゃん……」
 中を窺いながら言い、ドアを開けるが、明かりは点いていなかった。
 ドアを開けると、廊下からの光が室内の暗闇を切り取る。
 光の刃先がベッドを捕らえると、ようやく、桃子の求めていた姿を見つけることが出来た。
17書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/01/24(木) 20:06:05
「お兄ちゃん」
 もう一度呼んで、部屋に入る。
 返事代わりに聞こえてくるのは、規則正しい寝息だけだった。
 やはり、疲れて眠ってしまったみたいだ。
 体を丸めて眠る彼。
 1人の時はいつも、こうやって眠っている。
 まるで赤ちゃんみたい、と桃子は微笑む。
 彼の姿を見つけて、ようやく不安が消えた。自分の家に、いるべき場所に帰ってきたと思える。
 彼の姿を見つけたことで安心していたが、布団もかけず、ベッドに横たわっているのに気づいて、
明かりは点けないまま、荷物を置き、コートをその上に放って近寄る。
 彼の寝顔を覗き込むと、メガネをかけたまま眠っているのに気づいた。
 普段はかけないので、仕事中に仮眠をとろうと横になって、そのまま熟睡してしまったのかもしれない。
 よほど疲れているのだろう。このまま眠らせてあげたいけれど、
掛け布団の上に寝ているので、風邪を引いてしまうかもしれない。
「お兄ちゃん、風邪ひいちゃうよ」
 体を揺らすけれど、わずかに寝息が乱れただけで、起きる様子はない。
 自分の部屋から布団を持ってきて、一緒に寝てしまおうか。
 そっちの方が、早い気がする。
「お兄ちゃんってば」
 もう一度だけ声をかける。
 すると、ん、と小さく息を漏らして寝返りを打ち、仰向けになった。
 桃子の胸が、とくん、と小さく跳ねる。
 彼の寝顔を初めて見るわけではないけれど、今日は少し、違って見える。
 桃子は、彼の顔にそっと手を伸ばす。
 かけられたままのメガネを外して、素顔を晒す。
 美形とは言えないし、これといった特徴もない普通の顔。
 けれど、優しさや純真さが現れたような造形が、たまらなく好きだ。
「……お兄ちゃん」
18書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/01/24(木) 20:06:36
 そっと呟きながら、顔を近づける。
 寝息が頬をくすぐるほど近づいても、起きる様子はない。
 キス、しちゃうよ。
 心の中で囁いて、唇を重ねる。
 触れ合った瞬間、暖かい感触に胸が高鳴る。
 眠っている彼とキスするなんて、今のような関係になる前にしていたことだ。
 あの頃は、キスをするだけで、心臓が破裂しそうなほど緊張して、鼓動が止まりそうになるほど感動していた。
 甘酸っぱい記憶が、桃子の胸を締め付けた。
 ちゅ、と音を鳴らして唇を吸い、顔を離す。
 けれど彼は、穏やかな顔のまま、寝息を立てている。
 不満、というわけではないけれど、少し寂しい気分になる。
 もう一度、今度は少し強めに口付けるが、やはり瞼は下ろされたまま。
 眠っているお姫様を起こすのは、王子様のキスで、今の場合だと逆だけど、少しくらいは反応してほしい。
 疲れているって言うのも分かるけど。
 さっきは寂しいと思ったけれど、今度は少し不満が滲み出てきた。
 どこまでしたら起きるだろう。
 意地の悪い好奇心が、首をもたげる。
 桃子の手が、彼の体を撫でていく。頬に添えて、首から胸、腹へ下り、ズボン越しの、男性特有の膨らみに、手を置く。
 何度も触った事のある場所だけど、彼が眠っていて無抵抗だと思うと、不思議と高揚してしまう。
 当然だけど、触られることを予想していなかったそこは、まだ柔らかい。
 ズボン越しの感触を、優しく撫でると、彼がかすかに寝息を乱した。
 さすがにここは敏感らしい。
 直接さわったら、起きるだろうか。
19書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/01/24(木) 20:07:12
 腹の方から下着の中に手を差し込むと、湿り気の濃い熱が、指先にまとわりつく。
 その熱に感染したのか、桃子も体の奥が熱くなる。
 さらに奥へ指先を進めると、熱の塊に触れる。
 もっと強い刺激を与えるために、ペニスに指を絡める。
 桃子が手を動かすたびに、血が集まってきて硬度が増す。
 そして、それに合わせて、彼の呼吸が乱れる。
 ようやく、反応らしい反応が見られて、嬉しくなった。
 手のひらを密着させて、少し強く擦ると、肉欲がいっぱいに詰まって、桃子の触り慣れた形になる。
 桃子の方も我慢できなくなり、彼の下着をズボンごとずらして、ペニスを露出させた。
 怒張したペニスを擦りながら、唇を亀頭に押し当てる。
 ぴくん、と震えたペニスを、かわいいと思えてしまった。
 ベッドの脇に膝立ちになっているので、少し無理のある体勢だけど、彼の顔を窺いながらキスを続ける。
亀頭に、裏筋に、袋にまでついばむようなキスをしていると、表情がゆがんでいく。
 それが、彼が快感に身をゆだねているときに浮かべるものだと分かる桃子は、もっと見たい、と思ってしまう。
 ペニスの根元に舌を当て、唾液を塗り広げるように、先端へと舐め上げる。
 瞼はまだ開かないけれど、さっきの穏やかさが抜けて、固く閉じられている。
 自分の唾液で濡れた亀頭を、口に含む。
 亀頭を丹念に舐めていると、
「んっ」彼がはっきりと、息を漏らした。
 感じてきたんだろうか。
 桃子も、自分が高まっているのを感じ、スカートの中に手を伸ばし、下着をずらして割れ目に触れた。
 軽く触れただけなのに、快感は波紋のように、全身へ広がっていく。
 じっとりと湿る割れ目を、自分の指で愛撫しながら、頭を前後に動かす。
化学反応を起こしたように、唾液が溢れてきて、ぐちゅぐちゅと卑猥な音が、唇から漏れる。
 横からするというのも、口の中の感覚がいつもと違い、新鮮な体験だ。
 歯を立てないように注意して、舌を擦りつける。口の中のペニスが、与えられる快感に応えて、震えているのが分かる。
 彼の熱を味わっていると、スカートの中の指に、温かな液体が絡み付いてくる。
 溢れてきた愛液を指に絡め、粘膜の頂点で固くなり始めている、クリトリスに塗りつける。
 体を貫くような快感に、
20書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/01/24(木) 20:07:46
「んぅっ」思わず息が漏れる。
 ペニスに吸い付いてしまったため、彼の体が痙攣を起こしたように震え、
「うっ」と、桃子の息と重なるように、声を漏らす。
 快感にぼやけた脳が、その声で少しだけ、くっきりした。
 唇をより強く陰茎に張り付かせ、舌先を先端の穴の奥に潜らせるように、舐める。
「ぅ……ふぅっ……」
 彼の漏らす声が、少し大きくなる。
 というより、大きくなるのを堪えているような、そんな声だった。
 割れ目に指を這わせたままの桃子は、喘ぎ混じりに、ふふ、と笑い、ペニスから口を離す。
 荒い息で、激しく胸を上下させる彼を見下ろしながら、スカートとショーツを脱いだ。
 ベッドに乗り、彼の腰に跨って、自分の唾液で濡れたペニスに手を添える。
「お兄ちゃん」
 呼びかけるが、返事はない。
 けれど、瞼の下で瞳を揺らしているのが見える。
 亀頭を割れ目にあてがい、擦りつけると、今にも射精してしまいそうなほど、ペニスが張り詰めているのが伝わってくる。
 体重をかけて腰を下ろし、固くとがった肉棒を、体の中に迎え入れる。
「ふぅんっ」
「くぅ……」
 2人の声が重なり、彼のペニスが桃子の中に飲み込まれた。
 根元まで入ると、先端に、桃子の奥壁が突き上げられる。
 息が詰まるほどの快感。
 軽くだけど、イってしまった。
 大きく胸を上下させて息を整え、つながったまま、上半身を倒して体を重ねる。
 彼の鼓動が、激しく脈打っているのが聞こえる。
 キスをするには、あとちょっと、足りない距離。
 これでも大きくなったつもりだったけど。
 それでも縮まらない身長が、少し悔しい。
「お兄ちゃん、キスして」瞼を閉じたままの彼を見上げ、
21書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/01/24(木) 20:14:20
「起きてるの、分かってるんだから」

 唇を尖らせて囁くと、固く閉じられた瞼が、ゆっくりと持ち上がった。
 叱られた子犬のような瞳に見つめられ、桃子は自然と微笑んだ。
 かわいい、と心の中で言って、
「キス」唇をねだった。
 彼は潤んだ瞳を瞼で隠して、唇を重ねた。
 やっぱり、するのと、されるのは、違う。
 唇をついばまれ、強く吸われて、薄く空いた隙間に、舌がもぐりこんでくる。
 抗えず、進入を許すと、口の中を蹂躙するように激しく、舌がうねる。
「んっ、ん、んぅぅ」
 乱暴だけど、桃子好みのキス。
 そのキスにうっとりしていると、いつの間にか伸びた彼の手に、お尻をつかまれる。
「んんっ」
 舌ほど乱暴ではないけれど、強くつかまれて、お腹の奥が熱くなる。
 無意識のうちに快感を求めて、腰を動かしてしまっていた。
 柔肉に擦り付けられる、剛直が、桃子の奥をえぐる。
 溢れた愛液が絡んで、激しく音を立てる。
 ペニスが桃子の奥を突くたび、目眩を起こすほどの快感に襲われ、高まっていく。
 ふと、彼の舌の動きが鈍くなる。
 イキそうだ、と彼が目で訴えているので、唇を離して、
「ダメっ、だ、よっ……ぅ、わ、私が、ぁっ、イクまで、イっちゃ……ダメ、んっ、だからねっ」言いながらも、腰を動かすのは止めない。
 途中からだろうけど、狸寝入りをしていたオシオキだ。
 快感に堪える彼の顔が、泣き出しそうに歪む。
 もう限界みたいだ。
 だけど、止めてあげない。
 桃子は激しく、腰をくねらせて彼を快感で責める。
 腰の動きを止めようとしたのか、お尻をつかんでいた彼の手に力が入る。
「ひゃうっ」
 尻肉に食い込んだ彼の指が、アナルに触れて、体が強張った。
22書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/01/24(木) 20:14:51
 ペニスとの密着度が急激に増すと、
「……ごめんっ」悲鳴じみたと彼の声と同時に、ペニスが激しく脈打った。
 熱いほとばしりが、体の奥を打つ。
 温かいぬめりが、自分の中を満たしていく。
 射精が落ち着くのを待って、
「イっちゃだめだって、言ったのに」
 本当は気にしていないけれど、責めるふりをする。
「ごめん……」
 申し訳なさそうに謝る彼を、かわいいと思ってしまう。
 少し意地悪が過ぎただろうか。
「いつから起きてた?」
 桃子が問うと、予想外の質問だったようで、目を丸くして答えた。
「フェラしてくれたあたり」
「気持ちよかった?」
 こくり、と頷く彼。
 それだけで、熱い思いが胸に満ちていく。
 桃子は彼の瞳をまっすぐに見つめ、
「お兄ちゃん、大好きだよ」溢れる気持ちを、言葉にする。
 彼は背中に腕を回し、桃子の体を強く抱きしめた。
 痛いくらいに、彼の胸に押し付けられ、鼓動が高鳴っていく。
「大好きだよ、桃子」
 心に響く彼の声。
 彼の声で、温もりで、心は満たされる。
 だから──

「お兄ちゃん」
「ん?」
「今度は、私を気持ちよくして」

 今度は、体を満たしてほしい。
23書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/01/24(木) 20:16:26
あけまして・・・おめでとう・・・ございます・・・
・・・本年も・・・よろしく・・・

とりあえず・・・ハロが続く・・・限りは・・・書き続けたい・・・と思います・・・
24fusianasan:2008/01/24(木) 20:45:24
キタワァ.*・゚゚・*:.。..。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゚゚・*!!!!!
これはエロい♥
25fusianasan:2008/01/24(木) 21:07:14
新年第一弾乙!
書く人さんが書いてくれる限り読み続けます
26fusianasan:2008/01/30(水) 19:23:30
書く人さんキテた━\(゜∀゜)/━━!!!!
27fusianasan:2008/01/30(水) 22:58:27
気付くの遅杉
28FL1-122-135-20-108.chb.mesh.ad.jp:2008/02/02(土) 23:30:14
やっぱ書く人さんはいいわ

SUPERってどこにあったっけ?
29fusianasan:2008/02/02(土) 23:49:47
30fusianasan:2008/02/06(水) 17:02:37
俺も読み続ける
31fusianasan:2008/02/09(土) 01:43:39
ほぜん
32fusianasan:2008/02/10(日) 11:37:16
33fusianasan:2008/02/16(土) 13:19:36
hoshu
34fusianasan:2008/02/18(月) 18:57:57
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1203324896/1-100
【小説】リア消だったら誰に告ってた??章【キッズ】
35fusianasan:2008/02/18(月) 21:31:57
>>34
sagero kasu
36fusianasan:2008/02/23(土) 02:56:51
保守
37fusianasan:2008/02/28(木) 00:29:26
ho
38U041027.ppp.dion.ne.jp:2008/02/28(木) 02:52:11
前スレ474までしかログ取ってなかった_| ̄|○
そのあとって書く人氏の作品はありました?

と、保守がてら聞いてみる
39fusianasan:2008/02/28(木) 09:45:31
40fusianasan:2008/03/02(日) 09:26:15
wktk
41fus i anasan:2008/03/05(水) 13:27:41
42fus i anasan:2008/03/08(土) 00:15:32
43fus i anasan:2008/03/08(土) 01:38:46
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1204907660/1-100
   ↑

【小説】リア消だったら誰に告ってた新1【キッズ】
44fusianasan:2008/03/09(日) 03:01:59
dat
45エビス:2008/03/10(月) 13:53:32
「なに見てんの〜」
「いいだろっ!これが思春期の男の楽しみなの!」

休み時間に、男数人でエロ本を見ている時に、徳永千奈美が近づいてきた。

「ふ〜ん…」
チラチラとエロ本をのぞき見してさっていった。

…なんだあいつ……
46エビス:2008/03/10(月) 13:54:43
次の休み時間、また千奈美が俺の所にきて

「ねぇ、男の子ってさぁ〜、ああいうの見て何が楽しいの?」

バカにした感じじゃなく、本当にちょっとした興味がある感じで聞いてきた。

「何がって言われても…」
「思春期の男の楽しみって言ったじゃん!」
「言ったけど…楽しみってか、興味っていうか…千奈子だって興味ないわけじゃないだろ?」
「まぁ……ね」
「じゃあ、やらせてよ」

この一言が、こんな冗談がきっかけなるとは、本気で思ってなかった。

「えっ…うん。いいよ」
「は?」

かるい!

「今日、学校半日だし、ちぃん家誰もいないし、良い?」
「まじで言ってん……すか?」
「嫌?」
「いやっ!?」
「じゃあ、また帰りにね」
「お…おぅ」
47エビス:2008/03/10(月) 13:56:05
そのあとの授業、集中できるわけもなく、いろいろな想像?妄想?が頭にうかぶ。
このあと、俺と千奈子が…やんの?キスしたり、胸さわったり、裸で抱き合ったりすんの?
ってか、なんであんなかるいの?あいつ経験あんのかな?こんな簡単にやらせてくれるくらい?
俺、初めてだけど…大丈夫か?


帰り。
千奈美と並んで歩く。
背は俺のが少し高いが腰が同じくらい。
脚長い…スタイル良いよな。裸を想像してしまう。
……やばい…下半身に血が集まってきた。
そんな事知らずに、千奈美は何気ない話をしてる。
学校の事や、仕事の事、好きな音楽の事とか…。
今からする事、こいつわかってんのかな?
頭ん中イッパイイッパイでこっちは話す事もできないのに……。
聞く一方になってるうちに千奈美の家についた。
48エビス:2008/03/10(月) 13:57:12
千奈美が玄関の扉をあけて「ただいま〜」
俺をみて「どうぞ〜」

「おぅ」
「私の部屋、2階の1番奥だから。名前ついてるから。」
「おぅ」

さっきから「おぅ」とか「あぁ」しか言ってない気がする。

「私、先にお風呂入ってくるから」
「おぅ?」マジだ!
「あっ、一緒に入る?」
「へっ?」まじで!!?

マジで下半身ヤバイんですけど…。

笑いながら「へぇ〜今からするのに恥ずかしいのぉ?」
「んな…事ねぇよ…」
「じゃ行こっ」

スキップするように素早く脱衣所にむかっていく千奈美。

ヤバイな…俺。

千奈美が先に脱衣所に入っていった。
少しして「千奈子ぉ、入るぞ」
「プッ、どうぞ〜」
心臓が……ヤバイ。
49エビス:2008/03/10(月) 13:59:27
ドアを開けると、千奈美はブラウスのボタンをはずそうとしていた。

うわ〜……。

とまって魅入ってしまった。

「…あの、誰もいないけど、ドアは閉めてほしいんだけど?」
「あ…あぁ!」
あわててドアを閉めると、千奈美がストリップを再開する。ブラウスを脱いだ肌は、黒いと思っていても服のなかは、白く透き通ってキレイだ。
スカートにも手をかけて、サッと簡単に落とす。

俺ははずかしいし、ためらっていて、まだジャケットしか脱いでないのに…。

初めて生で見る女の子の下着姿…。
千奈美のお腹や脚はTVなんかで観たことあるけど目の前だし、下着姿だし…。

ブラジャーにも手をかけて、サッとはずす。

うわ〜……もう…ヤバイ俺。
50エビス:2008/03/10(月) 14:00:53
小ぶりだけどかたちの良い白い胸があらわになる。
胸のかたち、手足の長さ、スタイル良い!
じっくりおがみたいけど、恥ずかしい。
目のやり場に困る。そんな俺を尻目に、ショーツに手をかけ一気におろした。

「じゃ、先にシャワー浴びてるね」

千奈美の下半身に目をやる間もなく中に入っていった。
残念…というより、一人になって少しホッとした。

中からシャワーの音が……。
また緊張が……。
とりあえず服を脱いだ。
ムスコがすごい勢いでいきり立ってる。
……入りづらい…。でも…

「千奈子…入るぞぉ?」

さっきも言ったな…と思う。
シャワーの音で聞こえてないらしい。
なんとかタオルで前を隠しながらドアを開けた。
51エビス:2008/03/10(月) 14:03:18
千奈美はこっちに背を向けるかたちで身体を流していた。
キレイな背中…思わず抱きしめたくなる…。
風があたったのか、こっちに気づいて

「あっ、すぐおわるからちょっと待ってて」
「あぁ」……本当にこれしか言ってない。

すぐに身体を洗い流した千奈美が浴槽に入って

「はいっどうぞ。ちゃんと洗ってよね!」
「わ、わかってるよ!」

今からややるからって事…だよね?

俺が身体を洗い始めたら、浴槽の千奈美はやることがない。俺が洗ってるのをじろじろ見ている。
特に下半身に視線を感じる。なんとか脚で隠してるけど……。

「じろじろみんなよ!」
「え〜だってやることないし〜」

ちょっと困った表情から、ニッと笑って

「恥ずかしいんだぁ」
「あのなぁ…」はずかしくないわけがない。
52エビス:2008/03/10(月) 14:04:42
ニヤニヤした千奈美の視線を感じながら、なんとか身体を洗い流し、浴槽に入った。
お湯が溢れ出すと

「うわぁ!」千奈美が笑う。

「二人で入るとやっぱり狭いね?」

そう…狭かった。
体育座りで真正面に…脚を絡めた状態だ。
少し脚をのばせば相手のアソコに指先があたってしまう。

目の前に裸の千奈美。
相変わらず目のやり場に困っていると…「あっ」と千奈美が立ち上がって、脱衣所から歯ブラシを持ってきて、同じ体勢で座った。
歯磨きをしている千奈美を見ながらいろいろなおもいが……。

あまりに普通すぎる。
千奈美と一緒に風呂に入ってる。そんな状態にドキドキしながらも
こんな簡単にやらせたりとか……そんなになれてんのかよ…。
と、苛立ちをおぼえて、少し萎えた。
53エビス:2008/03/10(月) 14:06:17
歯磨きを終えた千奈美が、歯ブラシを洗い流し俺にわたした。

「口の中もキレイに洗ってよね」
「……」
少しイラッとしたけど、受け取って……さっき千奈美が使ってた歯ブラシだよな……。
そんな事おもいながら歯磨きを始める自分……情けない。

「じゃあ先に部屋行ってるね」
「んんっ」

サッとお尻をみせながらでていった。と思ったら、脱衣所もすぐにでていった。
服をきるスピードじゃない。多分タオル一枚だ。

一人になったら、またいろんな事を考えてしまう。
今日一日の事。なんでこうなったのか…。
でも、1番気になるのは千奈美の男関係…。俺の事…どう思ってんのか……。
頭ん中イッパイイッパイで、少しイラッてしてる。
それなのに下半身はやる気満々で、そんな自分にもイライラする。
54エビス:2008/03/10(月) 14:07:42
脱衣所にでて、服を着ようか迷ったけど、ここに置いてくわけにはいかないし、服を着て千奈美の部屋に向かう。

ノックしてドアを開けると、バスタオル一枚でベットに座ってこっちを向いている千奈美。

「ねっコッチきて」

ぽんぽんと隣を叩く。

「……なんなの、これ?」
「ん?」

1番聞きたくない事が頭にうかぶ…

「なんでこんなかるいの!?なんか……こんな簡単にやらすのって………だれにでもなの?……俺の事…どう思ってんの!?」
「そんな…だれにでもなわけないじゃない!!大切な人としかしないよ。初めてじゃないけど……大切だと思ってるからするんだよ!?」

また隣をぽんぽんとたたいて…

「ほら、きてっ。しよっ…一緒に気持ち良くなろうよっ」

明るいなかにも「なろうよっ」の所に甘えた声になってる。
とまどいながら近づくと手を引っ張られて隣に座らされた。
55エビス:2008/03/10(月) 14:09:22
明るい笑顔で顔を近づけてくる。

キスするんだ。

目をつぶって口をつける。
柔らかい…。
すぐにはなしてもう一度。
今度は舌を入れてきたので、俺もイメージだけで舌を絡めてみる。
キモチイイ…キスがこんなにキモチイイとは思わなかった。

「んっんっふぅ…ん」

吐息がもれだす。
千奈美の肩を掴んで、キスに集中する。
舌を甘噛みされたので、こっちもやり返したら…
「フッ」と軽く笑う声が聞こえる。
どんな顔してんのか気になって目を開けてみると、必死にキスに集中してる表情にドキっとした。

カワイイ……。

そのまま肩を押して後ろにたおした。

「キャ!」

目を開けて見つめ合う。
千奈美が笑顔を魅せた。
俺もつられて笑顔になる。
56エビス:2008/03/10(月) 14:10:43
またキスを再開する。
千奈美の口の中を思いっ切り味わってやろうと思っていろんな所をなめた。
唇、歯の裏、舌も全体…
あじがあるわけじゃないけど、美味い。
意外と落ち着いてる自分。キスをはなして、千奈美のバスタオルを脱がせた。
さっきも見たキレイな肌があらわになる。

胸、触ってもいいんだよな…?
触れようとすると…

「ねぇ……服、脱がないの?」
「あっ…あぁ」
「プッフフッ…クックックッ」
「………」

やっぱり緊張してるらしい……。
上半身だけ脱いで、再開。
57エビス:2008/03/10(月) 14:12:45
胸を下から持ち上げるように触ってみる。

「んっ…冷たぁい…」
「千奈子の体があったかいんだよ!風呂入ったばっかりだし」
「んっ…そっかぁ……んっ」

胸をもんでみる。

「んっ…ん……んっ」

乳首に触れると声がもれる。

「ねぇ、キモチイ?」

それ俺のせりふじゃねぇの?

「うん。柔らかくて、あったかくって、キモチイイ。……あのさぁ、痛かったりとか、しないよね?」
「んっあっ…んんっ、うん…大丈夫…もっと激しくしてもいいよっ…んっ」
「そっ?」
「んんっ〜ふぁ…んっ、あん」

吐息が……カワイイ…。
顔を近づけると、キスに応じてくれる千奈美。
カワイイ。
口を押し付けるような激しいキスをしてみる。

「はっんっ…んっんっ、はぁ…ふぁっ……うっん」

ヤバイ…キスはまるかも…。
58エビス:2008/03/10(月) 14:15:11
胸も激しくもんでみる。
かたくなった乳首をころがしたりつまんだりすると…

「あんっ……あっやぁん」

キスをはなすとあまい声が……カワイイ………。

手をはなして頭を撫でて、軽いキス。
顔や首を撫でながら、口を胸にもっていく。
さっきまで愛撫していた乳首をなめたり、吸ったりする。

「あっあん……んぅう〜はぁ……んっフフッ赤ちゃんみたぁい」
「うっさい」

軽く噛んでやる!

「あっいっ……やんっ」
「へっへっへっ」
「もぉ〜ばかぁ」

ついに下半身にも手をのばしてみる。
股の間に手を入れて、指先で確認する。
ここがお尻の穴で、ここが千奈美の………濡れてる……。
59エビス:2008/03/10(月) 14:16:58
指を入れてみる。

「いっ、やぁぁんっ!」

千奈美がビクッと体をまるめた。
少しヌルヌルする中をかきまぜると、体をくねくねさせる。
声をだしたくないのか、腕で口を隠してる。

「んっん……んぅっ、くぅ〜ぅっ」
「キモチイイの?」
「……んぅ…ばかぁ〜!」

恥ずかしそうな表情が、カワイイ!
60エビス:2008/03/10(月) 14:18:21
指を出し入れしていて入り口の辺りの突起物に気づいた。

これがクリトリスってやつか?

キュっとつまんでみる。

「いゃんっ!」

ビックリした!
千奈美がビクッっとエビゾリした。面白い……。
ギュッギュッっと何度もつまむ。

「やっいゃ…んぅ…あんやぁん……もぉ〜…いゃぁんっ」

リアクションは小さくなってきたけど、声も甘く身体も汗ばんできた。
そろそろ……

「ねぇ……いい?」
「もぅ!とっくに大丈夫だよっ!」
「やっぱり?」

すぐにしたい!
ベルトをはずして、素早く脱ぐ。
61エビス:2008/03/10(月) 14:19:50
やっぱり最初は正常位かな?

千奈美の脚をひろげてアソコの入り口に俺のモノの先をあてる。

やべえ……めっちゃドキドキする……。

そのまま数秒動けなかった……。凄く長く感じたけど、多分2・3秒。

覚悟を決めて、力を入れて、ゆっくり腰を前に押し込む。

「くぅぅ〜……ん〜…」

……あったかい…先っぽから包まれていくような感じ…。キモチイイ…千奈美の中……。
千奈美が眉間にシワをよせて、注射されてるような顔をしている。多分、息も止めてる。

痛いのかな?でも、今俺、止めらんない……。

奥まで入ったな?と思ったところで……

「ふぅ〜」
「はぁ〜」

二人で息をもらした。
見つめ合って「プッ」っと二人で笑って、そのままキスをした。
62エビス:2008/03/10(月) 14:21:14
「痛くない?」
「んっ大丈夫…。……ねっ…うごいて……」
「…おぅ」

ゆっくり腰を前後に動かす。

「うっんっ、あっ…んっ、やっあっ……ん」

奥に入れたタイミングで千奈美が声を漏らす。
腰をまわして、ゆっくり千奈美の中かきまぜてみる。

「あぁん…んっんん……やぁぁぁん、えっちぃ〜」
「フフッ」

一度抜いて、千奈美を俯せにした。
四つん這い…ちょっとあこがれてたバックで挿入。

キレイな背中……。
指で撫でてみると…

「ひゃあっ!」良いリアクション!
「くすぐったいよぅ…」

面白い!何度も背中を上下に撫でる。

「ひゃ、やっ、あんっ…やんっ、もう!」ピシッ!
「イタッ」手を叩かれた。
「ごめんなさい」
63エビス:2008/03/10(月) 14:23:02
腰に手をあてて、ピストルをはじめると、声がさらに甘く激しくなる。

「やっあっ…ん、いっ…いっ、あんっ、やん…」

パンパンと腰のあたる音……。
今スピードをあげれば、すぐにいってしまう……でも、もう少し堪能したい…。

また抜いて、ベットに座って、こっちに来るように千奈美を促す。
対面座位ってやつ。
上から挿入れてもらう。
挿入る時、千奈美の手が俺のを入り口に導く。

触られてる……俺の…。

「くぅ……あぁ、あんっ」

挿入た時点で良い声。
体位が違うと奥にあたる感じが違うみたい。

今度は千奈美が腰をまわしてきた。

「んっ…千奈子っ……エロい…」
「やんっ…だってぇ……」
「キモチイ?」
「…ばかっ……やん…あん……いぃ、キモチ…イイ、キモチイイよぅっ」

カワイイ!
64エビス:2008/03/10(月) 14:24:25
千奈美を持ち上げるように突き上げる。

「やぁ…あぁん…あん、んっ…いぃキモチ…いっ、あん」

首に腕をまわして抱き着いてきた。
すごい密着状態で、顔にほっぺや髪がくっついてる。

一つになってるんだ……俺と千奈美が……そう思うと興奮が増した。
「あったかい……千奈子ぉ」耳元で囁く。

首にキス。見つめ合って口に激しくキス。
唾液がたまって口の中でぴちゃぴちゃ音がする。
キスを離して見つめ合うと千奈美がカワイイ笑顔を魅せる。

もう我慢できない!
65エビス:2008/03/10(月) 14:26:39
密着したまんま激しく突き上げる。

「いゃん、いっやん、あん、んっ…うっんっ……キモチィッ…あぁん、いゃぁん…」
「千奈子っ…いぃ?」
「あぁん…んっ……なぁっ…にぃ〜?」
「そろそろっ…んっ、いくっ…」
「いぃ…よっ……いっしょにっ、いこ〜」

さらに激しく突き上げる。
「いゃん……いゃぁん…はんっ、あっあん、いっ、いぃっ…やあぁあぁん!」
66エビス:2008/03/10(月) 14:28:34
最後の瞬間千奈美が離れた。
千奈美の胸まで精液がとんだ。

「ふぅ〜」

俺が後ろに倒れ込むと、千奈美も俺の上に倒れてきた。
俺の体にも精液がついた。胸と精液が身体あたってる感触にドキドキした。

「気持ち良かった〜♪」
と、千奈美がティッシュをとって精液を拭いて、俺についたのと、モノについたのを拭き取ってくれた。

「気持ち良かったねっ☆」
「あ…うん」
で「これ、忘れてたね?」

コンドーム!?
俺も持ってないのに?こいつ持ってんの!?

「あのさぁ千奈子…」
「んっ?」
「俺……彼氏って事でいいの?」
「へっ?……」
「………」
「………」

こいつ……

女の子ってよくわからん……。
67エビス:2008/03/10(月) 14:29:38
こんなん書いてみました。
いかがでしょ?
68fusianasan:2008/03/10(月) 20:32:16
最高ですハァハァ
69fusianasan:2008/03/12(水) 01:37:39
(*゚∀゚)=3♥
70fus i anasan:2008/03/17(月) 14:34:10
71fusianasan:2008/03/17(月) 23:15:39
72fus i anasan:2008/03/20(木) 23:16:03
ぴょ
73fusianasan:2008/03/21(金) 22:38:09
74fusianasan:2008/03/27(木) 00:02:57
もう落ちたのか…
書き込まないでしまったけど、同窓会みたいなスレになってたね
75fus i anasan:2008/03/29(土) 21:36:42
ほしゅ
76fusianasan:2008/04/05(土) 15:35:58
書く人さん…
77fusianasan:2008/04/10(木) 03:10:38
すっかり人消えた?
78fusianasan:2008/04/10(木) 10:22:35
久しぶりに点呼でもしてみる?w
79fus i anasan:2008/04/16(水) 15:00:31
80fusianasan:2008/04/26(土) 22:23:03
(`Д´)ゝラジャー
81fusianasan:2008/04/27(日) 22:17:00
nksk
82fusianasan:2008/05/02(金) 01:52:35
(゜∀゜)アヒャ?
83fusianasan:2008/05/02(金) 13:16:42
書く人タンまだー?
84fusianasan:2008/05/13(火) 01:35:38
(´・ω・`)・・・
85書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/05/18(日) 15:04:09

 待ち合わせの場所に彼女の姿を見つけて、慌てて小走りになる。
 彼女は、いつも僕を待っている。
 5分前に来ても、10分前に来ても、30分前に来ても。
 女の子は彼氏を待っているもの、というのが、彼女の理想らしい。
 その理想を実現するために、彼女がいったいいつから僕を待っているのか。
 どれだけ早く来たら、彼女を待っていられるのか、確かめてみたいと思うことはあるけれど、怖い気もする。
 彼女はにこにこと柔らかな笑顔を、僕に向けて浮かべていた。
 僕が彼女を見つけるよりずっと前に、彼女は僕を見つけていたようだ。
「ごめんなさい、えりかさん。待たせてしまって」
 謝ると、僕よりも少し背の高い彼女、梅田えりかさんが、微笑んだままで首を振った。
「そんなに待ってないよ。まだ約束の時間より前だし」
 確かに時計は、約束した時間の5分前を指している。
 僕はこの時点で、すでに自分の犯した失敗に気づいていたが、なんとかごまかせると思って、あえて触れないようにした。
「映画の時間、何時からだっけ?」
「40分からだから、ゆっくり歩いても余裕だよ」
 微笑んだままのえりかさんは、いつもと変わらぬ口調で答えたので、気づかれなかったと思い、僕は胸を撫で下ろした。
 しかし。
「それより」変わらぬ笑顔で、「また、さん付けしたよね?」
 僕の失敗を突いてくる。
86書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/05/18(日) 15:04:45

「あ、いや、そうでしたっけ……?」
「敬語も」
 続けて指摘され、言葉に詰まる。
 さん付け禁止。
 敬語禁止。
 付き合い始めたとき、えりかさんに約束させられたことだった。
 身長だけでなく、歳も2つ上なので、つい敬語を使ってしまう。
 もしも破ったら。
「じゃあ、わかってるよね」
 瞼を下ろし、ちょん、と唇を尖らす、えりかさん。
 もしも破ったら、どこであろうと、キスをすること。
 それが僕に科せられたペナルティだった。
 人目のないところだったらいいけれど、さすがに人通りもあるし、と逡巡する。
 えりかさんはその姿勢のまま、微動だにしない。
 その様子を不審に思い、視線を向けながら通り過ぎていく人たちが現れ始める。
 このままだともっと増えてしまう。
 熱くなる頬を無視して、唇を重ねた。
 柔らかい感触に、胸が鳴る。
 これは罰ゲームではなく、約束を破られて傷ついた心を慰めるためのものだ、というようなことを、えりかさんに言われた。
 そうなんだ、と思うしかない。
 目を開けたえりかさんは嬉しそうに、本当に嬉しそうに満面の笑みを浮かべ、腕を組んでくる。
 僕の身長のせいで、少しバランスが悪い。
 キスを目撃したらしいサラリーマンが、顔をしかめて通り過ぎていったが、えりかさんの目には映っていないようだった。
 僕は、顔から火が出るほど恥ずかしかったけれど、えりかさんが嬉しそうだったから、それで良かったのだと思うことにする。

87書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/05/18(日) 15:05:06


 僕らが付き合うことになったのは、卒業式の日に、えりかさんに呼び出されたのがきっかけだった。
88書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/05/18(日) 15:05:37

 卒業式の朝、クラスメイトから手渡された手紙に、式が終わったら書庫に来てほしい、
という文面と、梅田えりか、という名前が書かれていた。 
 アイドルが同じ学校に通っていると噂になっていたので、何度か遠くから見かけたことはあったけれど、
直接の面識はなく、呼び出される理由がわからなかった。
 僕をだまして、みんなで笑おうとしているんだろうか。
 書庫に行くと、隠れていたみんなが飛び出してきて、僕を指差して笑う、というドッキリみたいなことを企んでいるんだろうか。
 そうだとしか考えられない。
 机の中に入れられていたら、気づかなかったとか、読むのを忘れていたとか、
ごまかしようはあるけれど、手渡されているので、そういった言い訳は通じないだろう。
 行ったとしても、笑い話で済むだろう。
 むしろ、行かなかった時の方が、みんなを盛り下げてしまって、後が怖い。
 しかたがない、このいたずらに付き合ってやるか。
89書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/05/18(日) 15:06:11


 あの時の僕は、そんなふうに考えていた。
 後に起こることなど、つゆほども知らずに。
90書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/05/18(日) 15:06:48

 卒業式が終わり、教室に戻ると、担任が連絡事項を伝えて、放課後になる。
 教室で雑談していたり、部活に行ったり、塾へ向かったり、早々に帰ったり、
卒業生を見送りに行ったりと、それぞれ思い思いに行動している。
 帰りにカラオケに行くという友人に誘われたけど、用事があると断った。
 そこで、おや、と首を傾げた。
 これから引っ掛けようという相手を、カラオケに誘う?
 おかしいな、と違和感を感じた。
 それも演技だとすれば、たいした手の込みようだ。
 だけど、そこまでするだろうか。
 まあいい。ともかく、書庫へ向かおう。それではっきりするはずだ。
 手紙をポケットに入れて、教室を出る。
 廊下を歩きながら、考えをめぐらせる。
 引っ掛けようとしているのが、クラスメイトではなく卒業生たちだったら。
 教師にお礼参りという話は聞いたことがあるが、生徒に対してなんて聞いたことはないし、
だいいち今時そんなことをする人がいるんだろうか。
 それに、僕は特に目立つ生徒でもないはずだ。
 身長はクラスでちょうど真ん中。
 顔立ちは女みたいだとよくからかわれて、あまり好きじゃない。
 強いて言うなら、外見と名前が女みたいだと言われるのが嫌で、小学生の頃から空手を習っているが、道場の外で使ったことはない。
 思い当たるところは、全くない。
 やっぱり手の込んだドッキリなんだろう。
 そんなことを考えながら、階段を上り、廊下をさらに進んで、書庫の前に着いた。
 図書室からも入れるけれど、まだ生徒がいるかもしれない。
 無関係の生徒に見られるのは、何となく嫌だった。
 開けようとするが、鍵がかかっていて開かなかった。
 図書委員を除けば、普段、使うことのない場所なので当然かもしれないけれど、
開けるなり驚かされると思っていた僕は、ちょっと予想外だった。
91書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/05/18(日) 15:07:16

 さて、どうしようか。
 そう思って迷っていると、中から鍵が開く音。
 静かに、様子を窺うように、ドアが開いていく。
 見つめていると、中から覗く大きな瞳と、ばっちり目が合ってしまった。
 その人は、僕を見つけると、そのままゆっくりとドアを開いて、
「良かった。来てくれたんだ」と微笑んだ。
 頭の中が真っ白になった。
 全く想定していなかった状況だ。
 僕よりも少し背が高いその人は、安心したような笑顔を浮かべていた。
 卒業生の証である、百合のような造花を、胸に挿している。
 遠くから何度か見かけたことがあるだけのアイドル、梅田えりかさんが、そこに立っていた。
「早く入って」
 手を引かれて、書庫に入る。
 呆然とした僕は、されるがままだった。
92書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/05/18(日) 15:07:45

 書庫は、本が日焼けしないように、厚いカーテンが引かれていて薄暗かった。
 我に返った僕が、まずしたことは、他に誰かいないかという確認だった。
 つまり、梅田さん本人を使って、僕を引っ掛けようとしているんじゃないか、ということを疑った。
 だとすると、たいしたどころではない、ものすごい凝りようだ。
 ここまで来ると、驚くを通り越して感心する。
「どうしたの?」
 きょろきょろと室内を見回している僕を不思議に思ったらしく、梅田さんは首を傾げて尋ねてきた。
 綺麗なお姉さん、といった容貌の梅田さんがするかわいらしい仕草は、僕を動揺させるのに充分すぎた。
「あ、な、なんでもないですっ」
 声が裏返ってしまって、恥ずかしい。
 僕はごまかすように、
「あの、それで、どういう用ですか?」呼び出された理由を問う。
 梅田さんは、うん、と頷くと、
「ちょっと、座ろうか」部屋の隅にある長椅子を指した。
 病院の待合室にあるような、背もたれつきの長椅子に、並んで座る。
 1人分くらい空けて座ろうと思ったら、すぐ隣に、梅田さんが腰を下ろした。
 人の体温を間近で感じて、緊張する。
 シャンプーとも香水とも違う、良い匂いが漂ってきて、気持ちがぐらつく。
 体の中でヘヴィメタが演奏されているように、騒がしい。
 頭でギター、胸にドラム。
 わけがわからなくなってきた。
 落ち着かなくなって、きょろきょろと周囲を見渡した。
 そのあたりで、笑いを堪えているんじゃないかと、人影を探すが、どこにもない。
 図書室への扉があるが、ぴったりと隙間なく閉まっている。
「なに、きょろきょろして」
「あ、いや、なんでもないんです」
 隣にいる梅田さんに向き直る。
 目が合うと、顔を赤くして、照れくさそうに俯いた。
 ここまで来て、全く考えてなかった可能性が、思考の片隅に浮かんでくる。
93書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/05/18(日) 15:08:11

 何にもないんじゃないか。
 これは本当に、梅田さんに呼び出されただけなんじゃないか。
 どれくらいか、そうやって俯いていた梅田さんは、ふと顔を上げて、僕を見つめる。
 真剣なまなざし。
 意識を失いそうになるくらい、緊張が高まっている。
「あの、君が、入学した頃からずっと……その、ずっと好きでした」
 目眩がするような衝撃を受けた。上段回し蹴りをまともに食らったみたいに。
「それで、あたしは、卒業しちゃうけど……つ、付き合ってほしい、です……」
 言い切ると、ふう、と大きく息を吐いた。
 頬は赤いままだったけれど、伝えきったという安心感が見られる。
 しかし、正確には伝わっていなかった。
 言葉は頭の中に入ってくるのだが、意味として理解できないというか、
混乱というか動揺というか、とにかく、どうしていいのかわからない。
「ごめんなさいっ!」混乱したあげく、無意識にそんなことを口走っていた。「僕には自信がありません!」
 梅田さんと釣りあうわけがない。
 アイドルと付き合うなんて、できるわけがない。
 そんな思いから出てきた言葉だろうが、実際のところ、自分でもよくわからなかった。
 立ち上がろうとした僕の腕を、梅田さんがつかんだ。
 振り払おうとか、止まろうとか考えるより早く、甘い香りに包まれた。
 長い腕が僕の背中に回っている。
 耳元が吐息にくすぐられる。
「断るなんて、いや。こんなに好きなのに……!」
 柔らかい女性の体が押し付けられて、頭が破裂しそうだった。
 これがドッキリなら、早くみんな出てきてくれ、と僕は願ったが、いくら見回してもクラスメイトどころか、虫の気配さえ感じられない。
「好きなの」
 囁いて、目を閉じる。
94書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/05/18(日) 15:08:55

 疑問が浮かぶ間すらなく、唇が重なる。
 柔らかくて甘い感触。
 頭が破裂してしまいそうだ。
「あたしはこんなにも、君のこと好きだから、自信持って」
 再び唇が重なる。
 僕は力が吸い取られたように、後ろに倒れてしまう。
「私のこと、好きになって」
 ファーストキスを、年上の女の子に奪われてしまった。
 キスのせいでおかしくなってしまったのか、それとも動揺していたのが正常に戻ったと言うべきなのか、
梅田さんの顔を真正面から見ることが出来た。
 優しく微笑まれて、不思議と落ち着いてきた。と言っても、さっきよりはマシ、という程度だけど。
 本来なら、こんなにも綺麗な人に告白されて、断るなんてありえないことだ。
「僕なんかで、いいんですか……?」
 気がつけば、そんな言葉が漏れていた。
「君じゃなきゃ、だめだよ」
 当然のこと、と言わんばかりの、梅田さんの返事。
 そして、3度目のキス。
 柔らかい唇を強く押し付けられると、思わず息を止めてしまった。
 2度目までは驚いて目を開いたままだったけれど、今度は瞼を下ろす余裕ができた。
 少し長めのキスが終わって、梅田さんが離れていく。
 ゆっくりと瞼を開けると、はにかんだ笑顔があった。
 笑顔を返そうとして、突然、気づいた。
 抱きしめられ、押し倒された格好になっていることに。
 目の前には、彼女の笑顔。
 体に重なる、彼女の体温。
 呼吸に混ざる彼女の香り。
 体中を全力で駆け巡っていた血液が、下半身に集まってくる。
95書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/05/18(日) 15:09:22

「あ、あの、どいてもらえますか……」
 このままだと気づかれてしまう。
 そんな僕の気持ちは伝わらなかったようで、梅田さんはその体勢のまま、
「付き合ってるんだから、敬語は禁止ね」笑顔で言う。
「わ、わかりましたから、早くどいて下さい、梅田さん……」
「敬語禁止。それに、自分の彼女を呼ぶのに、苗字にさん付けはナシでしょ。“えりか”って呼び捨てね」
 ひょっとして、僕の体の変化に気づいていて、イジワルをしているんだろうか。
 とにかくここは、大人しく従っておかないと。
「わかったから、どいて。え、えりか」
 搾り出すように、呼び捨てると、満足したように笑ってくれた。
 けれど、その時にはすでに遅かった。
 充血して硬く持ち上がったペニスが、ズボンを押し上げ、梅田さんのお腹に食い込んでいる。
 布越しとはいえ、女性の体に触れているという意識が、刺激を強くする。
 目を丸くして、重なっている体を見下ろす梅田さん。
 気づかれてしまった。
 顔から火が出る、どころか、全身が燃え上がりそうなくらい恥ずかしい。
 抱きつかれてキスされただけなのに、こんなふうになってしまうなんて。
 経験のない僕には刺激が強すぎる。
 軽蔑されただろうか。
 怖くなって目も合わせられない僕は、顔を背けようとするけれど、片手を頬に添えられて、正面を向けられる。
 梅田さんの微笑。
 少し頬が赤いけれど、優しい笑みを浮かべていた。
「男の子だもんね。ごめんね、気づいてあげられなくて」
 なぜか謝られた。
96書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/05/18(日) 15:09:47

 謝るのは、僕の方だ。
 口を開こうとするが、それを口付けで遮られる。
 4度目のキスに戸惑っていると、梅田さんの手のひらが、いきり立つペニスの上に重ねられた。
 下腹部から腰を伝って、快感が脳に流れ込む。
「うわぁっ! な、なにをッ!?」
 突然のことに驚いて、立ち上がろうとするけれど、梅田さんがどいてくれない。
 不安定な体勢で、しかも快感のせいで腰に力が入らなくて、起き上がれなかった。
「あんまり大きな声出すと、外に聞こえちゃうかもしれないよ」
 静かな声だけど、僕を固まらせるには充分な言葉だった。
「で、でも」
 小声で抗議する僕に、
「あたしは君の彼女だから。まかせて」と言って、僕の上からどいてくれた。
 長椅子の脇の腰を下ろし、ジッパーを下げる。
「あ、あのっ」
 体を起こそうとする僕の胸に手を置いて、押しとどめた。
「大丈夫だから」
 そう言って優しく微笑んでいる梅田さん。
 何が大丈夫なんだろうか。
 僕は何も大丈夫じゃない。
 血流が激しすぎて、目が回りそうだ。
 頭の中にもう一つ、心臓ができたみたいに、鼓動がうるさい。
 混乱しているうちに、梅田さんは下着の前開きから、血の漲ったペニスを取り出した。
 くう、と思わずうめいてしまう。甘い感覚に、体が震える。
「おっきい……」
 僕の顔と、露になったペニスとを交互に見比べながら、梅田さんが呆然と呟く。
 修学旅行や空手の合宿などで、顔に似合わず大きいと、からかわれたことはある。
 その時は聞き流していたけれど、女の子に言われると、とてつもなく恥ずかしい。
 梅田さんがおもむろに、ペニスを握ってくる。
97書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/05/18(日) 15:10:09

「ぅあっ……」
 女の子の柔らかい手に触れられて、気絶しそうなくらい、気持ち良かった。
 全身から力が抜け、代わりにむず痒い感覚が満ちてくる。
 梅田さんの手が、根元の方に動くと、
「痛っ」ペニスの先端に軽い痛みが走った。
「あ、ごめんっ」慌てて手を止めた梅田さん。「まだ、剥けてないんだ」
 亀頭は半分くらいまで、皮に包まれている。
 成長とともに自然と剥けてくるらしいけれど、僕はまだだった。
 肉体の欠陥を知られたような気になって、泣きそうになる。
「大丈夫だから、ね」
 穏やかな声で言い、ペニスに顔を近づけて、唇の隙間から唾液を落とした。
 生温かい唾液が亀頭の上に垂れて、奇妙な感覚が背筋を走る。
 次々にペニスに降りかかる唾液。
 ズボンにこぼれそうになると、亀頭が唾液ごと梅田さんの手に包まれた。
 電流が走ったような感覚に、体を強張らせる僕。
「ちょっと、がまんしてね」
 梅田さんは気遣うように言うと、亀頭と包皮の境目を、マッサージするように指を動かす。
 目眩を起こすほどの快感が、頭の中で暴れまわる。
 その感覚に耐えていると、亀頭が、じわり、と生ぬるい感覚に包まれる。
 違和感に戸惑っている暇もなく、梅田さんの手が再び根元に向かって動いた。
 ゆっくりと、包皮がめくられていく。
「あ、あぁ、あっ……」
 さっきみたいな痛みはなかった。
 梅田さんの手が止まり、亀頭が完全に露出した。自分でも初めて見る。
 初めて触れる外気に、違和感を覚える。
98書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/05/18(日) 15:10:33

「ちょっとだけ、大人の仲間入りだよ」
 こんなに恥ずかしくて、息苦しいのに、まだちょっとだけなのか。
 戸惑っている僕を、優しく見下ろした梅田さんの手が、上下に動く。
 亀頭にまとわりつく唾液が潤滑液となって、滑らかに擦られる。
 ほんの数回、梅田さんの柔らかい手がペニスを上下すると、下腹の奥の方から、堪えがたい感覚がこみ上げてきた。
「あ、あの、なんか……」
「イキそう?」
 僕の言葉を遮る梅田さんに、小さく頷いた。
 それを見ると、ポケットからハンカチを取り出し、亀頭を包み、その上から軽く手を当てる。
 布地に亀頭が擦れると、腹の底が熱くなり、ペニスが弾けた。
「あぁっ!」
 びくんっ、と脈打つペニス。
 熱いものがペニスの中を駆け抜けていき、先端から飛び出す。
 快感が爆発して、目の前が真っ赤になり、何も考えられなくなる。
 体中の筋肉が、鉛になったように重くて、動けない。
 潮が引いていくように、頭の中に満ちていた快感が小さくなっていく。
 梅田さんが、脈動の収まったペニスの先端を、ハンカチで拭いてくれて、手を離した。
 ハンカチの中をのぞき見て、
「すっごい、いっぱい出たよ」おかしそうに言った。
 恥ずかしくなって、目を逸らす。
 かわいい、と呟くのが聞こえた。
 まだ硬さの残るペニスをしまいながら、
「あ、あの、それ洗って、返します……」恥ずかしさを堪えて切り出した
 自分で汚してしまったので、そうするのが筋だろう。
「だめ。あたしが持って帰るぅ」
 恥ずかしいことを言いながら、中身が溢れないように、慎重に畳みながら言った。
 梅田さんが立ち上がったので、体を起こして、長椅子の隣を空けて座る。
99書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/05/18(日) 15:11:18

 そのスペースに腰を下ろして、ぴったりと寄り添う梅田さん。
「ねえ、いつも、自分でする時って、どんなもの見たりしてるの?」
 主語がないので、何のことかわからなかった。
「見たり、って?」
「だからぁ、自分でする時、なに見てるの? ビデオとか、エッチなマンガとか?」
 そこでようやく、オナニーのことだと理解して、俯いた。
「ちゃんと答えて。怒らないから」
 何を怒るのかはわからないけれど、答えるまで終わらない雰囲気は伝わってくる。
 恥ずかしさに耐えて手を握り締める。
「したこと、ない、です……」
 絞り出すように、答えた。
 知識としては知っていても、僕はまだ、自分でしたことはない。
「……え?」ぱちくり、と瞬きした梅田さん。「じゃあ、今のが、初めてだった?」
 わずかに顎を引いて、首肯する。
 呆れられただろうか。
 不安になって、横目で梅田さんを窺うと、呆然としていた表情が、湧き出すように笑顔になった。
 きらきらした瞳を向けて、抱きつかれる。
「かわいいっ」
 今度ははっきりと聞こえる声。
 これまで、かわいい、と言われるのは、からかわれているような、釈然としないものがあったが、不思議とそういう気持ちにならなかった。
 胸の奥に、じわりと温かいものが、滲み出してくる感覚。
「じゃあ、あたしがこれから、いっぱい、教えてあげるね」
 眼前の梅田さんの笑顔に、妖しい色が窺えた。
 ドキリ、と心臓が打つ。
「これからは、自分でしたくなった時は、さっきしたことを思い出してね。あたしを想像してするんだよ。
あたし以外のことを考えながらしちゃだめ。わかった?」
 さっきの“怒らないから”の意味を、ようやく理解した。
 付き合うって言うのは、そういうことなんだろうか。
100書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/05/18(日) 15:11:37

「は、はい。わかりました」
 梅田さんでオナニーする、と宣言したみたいで、恥ずかしかった。
 頷いたのに梅田さんは、ぷう、と頬を膨らませる。
「敬語はダメって言ったでしょ」
「ご、ごめんなさい、梅田さんっ」
 年上には敬語。道場で叩き込まれているので、反射的に敬語を使ってしまう。
 しまった、と思う間もなく、
「敬語禁止! 苗字禁止! さん付け禁止!」
 立て続けに注意される。
「あの、ごめん……気をつける」
 もっと砕けた言葉遣いを望んでいるのかもしれないけれど、今の僕にはこれが精一杯だった。
 梅田さんは小さく溜息をつくと、ううむ、と唸ってから、何か思いついたような表情になる。
「今度から敬語使ったり、さん付けしたら、外でも、人が見てても、どこだろうとキスすること」
 勝手にペナルティを取り決める。
 そんなの無理です、と抗議を口にしようとした瞬間、
「まずは、今の分ね」瞼を下ろして、唇を突き出した。
 石像のように固まっていて微動だにせず、僕がキスをしないと、動き出しそうにない。
 バクバクと破裂しそうな鼓動で震えながら、唇を、重ねた。
 瞼を開けて、
「これからは気をつけなきゃダメだよ」
「う、うん……」
 僕が頷くと、嬉しそうに微笑む梅田さん……えりか、さん。
 えりか、と呼び捨てるのはまだ抵抗があるので、頭の中では、えりかさんと呼ぶことにしよう。
 いつか、自信がついたら、きっと、えりか、と呼ぶことができる、と思う。
 それまでは……
101書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/05/18(日) 15:12:38


 あの日から1年とちょっと。
 僕はいまだに、えりかさん、と呼んでいる。
 呼び捨てにできるような自信は、いつになったらつくんだろうか。
 まだ、わからない。
102書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/05/18(日) 15:13:07

「ねえ、これ似合う?」
 昔のことを思い出してしまっていて、不意にかけられた声に、答えられなかった。
 ハンガーに吊るされていたミニスカートを腰に当てて、えりかさんが立っている。
 そうだ。映画を見終わった僕たちは、ショッピングに来ていたんだった。
「あ……えっと、良いと思うよ」
 慌ててしまって、そんな言葉しか出てこなかった。
「ぼーっとしてた? デート中に? 彼女の目の前で?」
 目つきが鋭くなって、にらまれる。
「あ、ご、ごめんっ。あの、昔のこと、思い出しちゃって」
「昔のこと?」
「うん……告白されたときのこと」視線をずらして、「あれ、見たら」
 視線の先には、百合の花がプリントされた、Tシャツがあった。
 卒業式の日に、えりかさんが胸に挿していた造花を思い出させた。
 えりかさんが強く抱きついたせいで、くしゃくしゃになってしまったが。
 僕が言いたいことをわかってくれたようで、すぐに笑顔を取り戻すえりかさん。
 しかし、さっきまで浮かべていたものとは違う、妖しい赤みが差していた。
 あれ? と戸惑う僕の耳元に唇を寄せ、エッチ、と囁くえりかさん。
103書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/05/18(日) 15:13:37

 そうじゃなくて、と言おうとした僕を遮って、
「で、これ、かわいくない? 似合う?」と、同じ質問をする。
 聞くことよりも、言うことを優先するところがある。
 そんなところには、もう慣れてきた。
 さっきはおざなりな返事しかできなかったが、改めて見ると、膝上というより、股下何センチというサイズだ。
 脚を魅せるような、短いものがえりかさんの好みだけど、僕は複雑だ。
 見たいけど、見せたくない。
「ちょっと、短くないですか?」
 もっと長いものか、せめて細めのジーンズを……

 えりかさんが、唇を尖らせている。

 ……しまった。
 僕の表情の変化に気づいて、わかってるよね? と瞼を下ろした。
 きょろきょろと、見ている人がいないのを確認して、唇を重ねる。

 これだけは、どうしても慣れない。
104書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/05/18(日) 15:16:53
・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・

長らく・・・お待たせ・・・しました・・・
・・・・・・もう待って・・・ないか・・・

新しいところに・・・手を・・・出してみました・・・
・・・久々の上に・・・長いし・・・
・・・とにかく・・・ごめんなさい・・・
105fusianasan:2008/05/18(日) 16:55:00
書く人さん来てるうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!
外出中なんでまだ未読だけどとりあえず嬉しいいい
106fusianasan:2008/05/18(日) 22:32:47
(*゚∀゚)=3♥
107名無し募集中。。。:2008/05/19(月) 22:06:48
あぁぁぁぁぁぁぁ
いいよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ

書く人さん最高っすぅぅぅぅぅぅx
108fusianasan:2008/05/20(火) 00:29:31
「書く人さんなんて、だいっきらいっ!」
109fusianasan:2008/05/21(水) 00:40:44
ライスッキ
110fusianasan:2008/05/21(水) 01:04:15
書く人さん待ってました!いつでも待ってますよ!!
ちょいエロなえりかお姉さん(・∀・)イイ!
111fusianasan:2008/05/21(水) 23:08:47
書く人さん来てたのね(/_;)
112fus i anasan:2008/06/02(月) 00:00:17
書く人さん、待ってるから保全してるんです
113fusianasan:2008/06/06(金) 23:23:46
書く人さん。。。
114fusianasan:2008/06/11(水) 13:36:43
マイマイがダンス中転んで前にいた舞美のズボンとパンティをつかんでしまって脱げたことはあまりにも有名
舞美はキャッ!と座りこんだ カンナ大興奮
115fusianasan:2008/06/11(水) 22:19:40
>>114
kwsk
116書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/06/15(日) 19:41:20

 雨粒が傘を叩く。
 調子はずれのリズムを刻んでいる。
 午前中は目が痛くなるほど晴れていたのに、昼を過ぎたあたりから急に雲が広がり、
日の入りを待たずに空は黒くなって、注ぎすぎた水がコップから溢れるみたいに、雨が降ってきた。
 あっと言う間に土砂降りになって、キオスクもコンビニも傘は売り切れ。
 迎えに来てもらえる当てがある人は携帯電話を持ち、当てがない人はタクシー乗り場の列を伸ばすことに貢献し、
いろいろと諦めて走る人や、雨宿りして耐え続ける人の姿もある。
 会社に折りたたみの傘を置いていた俺は、他人事と横目で見つつ、
傘を叩く雨音を聞きながら、定員超過気味のバス停の前を通り過ぎていく。
 朝は晴れていたし、ここのところの陽気のせいで、薄着の人も多く、見るからに寒そうだし、見ている方まで寒くなる。
 早く帰って風呂に入りたい。
 温かい湯船を想像しながら、家路を急ぐと、
「あ、コーチ!」
 雨音の中を縫って、よく通る声が耳に届く。
 少年サッカークラブでコーチをしていたのは、もう2年も前のことだが、反射的に振り向いてしまった。
 バス停の屋根の下、人垣の外周で、ぴょこぴょこと跳ねながら、こちらに手を振っている少女がいた。
 どうせ俺の勘違いだろうと思ったが、その少女と目が合う。
 白いシャツにプリーツスカート。どうやら制服らしい。
 彼女が跳ねると、足元の水が飛び散って、周囲の人たちは迷惑そうな顔をしている。
 その迷惑そうな目がいくつか、こちらに向けられた。
 なんとかしろ、という意思が込められた視線が、俺に集まる。
 なんとなく気まずくなって、少女に近づいた。
 黒髪の小柄な少女。健康的に焼けた小麦色の肌。三日月のように細められた目と、薄桃色の唇の隙間から白い歯を覗かせる笑み。
 凛々しい顔立ち。溌剌とした笑顔。
 すぐに思い出すことができた。
117書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/06/15(日) 19:42:00

「千聖か?」
 かつて俺が教えていたサッカークラブに所属していた、少年のような少女。
 岡井千聖だ。ちなみに、チームにはもう1人、岡井というメンバーがいたので、名前で呼び分けていた。
 少年のような面影はそのままに、少女らしい丸みを得たという印象。
「覚えててくれたんだ!」
 細めていた目をさらに薄くしながら、満面の笑みを浮かべる千聖。
 忘れるわけはなかった。
 レギュラー間違いなし、と言われていたのに、アイドルデビューして芸能活動が忙しくなり、チームを去っていった。
 もったいない、と思えるくらいの実力はあった。
「どうしたんだ、こんなところで?」
 家は近所じゃなかったと思うけど。
「友達んチに遊びに来たんだけど、ドタキャンされちゃった」
 と、笑顔のままで答えた。
 こんな雨の中、ドタキャン……けっこうひどい目に遭っているはずなのに、なぜだか楽しそうだ。
「じゃあ、これから帰るとこか」
 呟いた俺に、首を横に振って見せる千聖。
「それがさ、うち家族で出かけちゃってるから、帰っても誰もいないの」
「千聖はなんで行かなかったんだ?」
「え? まあ、いろいろあって……」
 あはは、と笑ってはぐらかされた。ケンカでもしたんだろうか。
 友達にドタキャンされる。家族に置いていかれる。
 大変だな。
118書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/06/15(日) 19:42:41

 そう声を出そうと、口を動かそうとした瞬間、千聖が遮った。
「そうだ! コーチんチで雨宿りさせてよ!」
 良いアイディア、と言いたげに、制止する隙もなく、ひさしの下から傘の中に飛び込んで来る。
 さすがに断ろうと思ったが、千聖が立っていたスペースは、一呼吸する間もなく埋まってしまった。
 目の前には無言の拒絶。
 隣には笑顔の千聖。
「いや、そこのファミレスでもいいだろ」
 妥協案を提案するが、渋い顔の千聖が腕を引き、強引に体を傾けられる。
 耳元に口を寄せて、
「誰かに気づかれたくないし。チサト、アイドルなんだけど」と、囁いた。
 そう言えばそうか。
 反論できない俺は、口をつぐんでしまった。
 黙った俺に笑顔を向けた千聖が、
「ほら、早く行こうよ!」と、腕を引っぱる。
 そのまま数歩、引きずられるように踏み出したところで、
「あ、家、逆」片言のように言った。
「そうなんだ」
 くるりとターンをして、元気よく歩き出す千聖。
 雨の日だというのに。
 足元に跳ねる雨が、ズボンの裾に染みる。
 俺の心を表すように、足取りを重くした。

119書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/06/15(日) 19:43:09


 テーブルの向かいで、ミルクティーをすする千聖。
 淹れたてで湯気を立てるコップの中に、ふーふー、と息を吹きかけて冷ましている。
 そのままでは寒いだろうと思い、パジャマ代わりにしているジャージを肩にかけてやった。
 体が温まったせいなか、単に照明で明るいところで見ているからか、頬に赤みが差しているようにも見える。
 ひょっとしたら、よく知っているとはいえ、1人暮らしの男の部屋に来ているせいかもしれない……と思ったが、
外での態度を見ていると、それはないだろう。
 よく知っていると言っても、サッカーを教えていたのも、もうずいぶんと前の話だ。
 最後に会ってから、俺はサラリーマンになったし、千聖は成長期を迎えていた。
 身長が高くなったという印象はそれほどないが、子供だった体つきは女性のものに分化しつつある。
 まだまだ踏み出した程度だが。
 しかし、男の本能の悲しいところ。つい、視線を胸の辺りに持っていってしまう。
 シャツが雨に濡れて、実りつつある乳房と、それを覆う水色のブラジャーが透けて見える。
 成長過程だろうけれど、小柄な体型からすると、かなり大きく感じる。
 かつての教え子で、うんと歳が離れているとはいえ、美少女と言って差し支えない女の子を部屋に上げているのだと、
いまさらながら意識してしまった。
 初対面の時は男子と間違えて、泣かせてしまったというのに。
「コーチぃ?」
「な、なに、どうした?」
 不意に呼ばれ、我に返る。
 短い間だったようだが、胸を凝視してしまっていた。
 しかし、千聖に気づかれるには充分で、上目遣いでこちらを睨んでいる。
 恥ずかしさのあまり、顔が熱くなってくる。
 息が詰まるような沈黙の後、千聖はにんまりと笑って、
「今おっぱい見てた?」
 死刑宣告を受けたような気持ちになって、目の前が暗くなったが、なんとか踏みとどまる。
120書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/06/15(日) 19:43:36

「なぁに言ってんだよ。雨に濡れてるから、寒そうだなって思っただけ」
 できるだけ平然を装ってみるが、赤面からは回復しきれていない。
 うまくごまかせただろうか。
 千聖の様子を窺ってみると、あからさまに落胆した顔で、肩を落としていた。
「コーチはさ……」
 暗い表情からこぼれ出る、落ち込んだ声。
 ついさっきまで、俺を嘲るように、挑発するように笑っていたのに、雰囲気が一変して暗くなる。まるで今日の天気みたいだ。
「コーチは、チサトのこと女として、見れる?」
「……なんだって?」
 予想外の言葉に、思わず聞き返してしまう。
 今度は千聖が顔を赤くしながら、
「だからぁ!」少し声を荒げる。「チサトのこと、女の子として、好きになったり、付き合ったりできるかって聞いてンの!」
 眉が感情の高まりと反比例しているように、ぐにゃり、と下がりながら、その下にある一対のつぶらな瞳で、俺を睨む。
 眉のせいで、怒っているというより、困っているように見える。
「なんだよ、急に……」
 ひょっとして、告白されたのだろうか。
 歳の離れた少女の告白を受け入れるのには、さすがに抵抗がある。
 だが、目の前の美少女に告白されたのだと思うと、浮かれてしまう部分もある。
 相反する感情が、精神の支配権を奪い合っている間に、
「チサトさ、男の子みたいってよく言われるんだ」千聖が、かすれた声で話し出す。「メンバーの中でもそういう扱いだしさ。
でも、ちゃんと女の子として扱ってほしいって言うか、女の子として見てほしいって言うか……」
 そんな感じ、と唇を尖らせた。
 心の中で争っていた2つの感情は、拳を下ろして呆然となる。
121書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/06/15(日) 19:43:58

 告白されたと思ってしまったが、なんてことはない、ただの早とちりだ。
 千聖は純然たる疑問として、自分を女性として見られるか、扱えるか、と聞いただけだった。
 安心できたような、残念なような、複雑な気分だ。
 残念に感じる部分があるということは、告白されて嬉しかったということでもある。
 まだ女性と呼ぶには足りない、子供から少女へと踏み出したばかりといった印象の千聖に告白されて、
嬉しいと思った。受け入れようと思った部分さえある。
 そういう趣味はなかったと思っていたけど……
 千聖がそれだけ、魅力的になったのだ、と自分に言い聞かせる。
「だからさ、おっぱい見てたコーチなら、女の子扱いしてくれるかなぁって」
 さっきの言い訳が、まったく役に立たなかったと告げられて、言葉に詰まる。
 顔が引きつってしまった俺を見て、千聖が可笑しそうに吹き出す。
 唇の両端を吊り上げて、彼女特有の笑顔を見せる。
 そんなに面白い顔だったんだろうか。
 なんにせよ、笑顔が戻ったのはいいことだ。
 女の子には暗い表情よりも笑顔の方が似合うが、千聖は特に、明るい顔が似合っているように思う。
 素直に、かわいい、と思う。思ってしまう。
 目の前にいるのが少年のような、あの頃の千聖ではなく、1人の女の子なんだと意識すると、自然と言葉が出てくる。
「千聖はかわいい女の子だから、自信持てよ」
 歯の浮くような台詞。
 普段の俺なら絶対に言わないのに、なぜだか抵抗もなく、照れもなく、よどみなく口にすることが出来た。
「ほんとっ!?」
「本当」
 頷いてやると、心の底から嬉しそうに、これ以上ないくらいの笑顔になった。
 しかし、無邪気な笑顔が一転して、いたずらっぽい微笑になった。
122書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/06/15(日) 19:44:26

「だからおっぱい見てたの?」
 さすがに耐性が出来て、リアクションも苦笑いを浮かべる程度で納まる。
「なんでそこにこだわるんだよ」
 尋ねると、視線を自分の胸に落とす。
「愛理に勝てる女の子っぽいところって、ここくらいかなぁって」
「愛理?」
「鈴木愛理だよ、メンバーの。知らないの?」
「知らない」
 ええっ、と驚いた顔をされる。
 そんなに変だろうか。
 音楽番組はほとんど見ないし、インターネットで番組表を調べるのでテレビ雑誌も買わない。
 アイドルを見る機会なんて、俺の生活の中には、ほぼない。
 千聖は溜息をつくと、呆れ顔で言う。
「まあ、とにかく、愛理は天然だけど女の子っぽいの。でもチサトのほうが、おっぱい大きいの」
 千聖が対抗心を燃やすくらいには、その鈴木愛理という子はかわいいのだろう。
 そこに、千聖の本音も見えてくる。
「つまり、鈴木愛理に負けたくないってことか?」
 俺の言葉に、言葉を詰まらせる千聖。表情が抜け落ちた。
 呆然としていた千聖が、視線を泳がせる。
「まあ、それもあるんだけど……」
 それが全てのように見えるけど、まだ他にもあるって言うんだろうか。
 千聖は自分の気持ちを、的確に表現する言葉が見つからないようで、
えっと、とか、あの、とか、意味にならない声を、桜色の唇からこぼす。
 その姿はとても愛らしくて、つい見とれてしまう。
 千聖のさまよっていた視線が、ふと俺と重なる。
「コーチがさぁ、チサトのことかわいいって言ったの、本気?」
 声色がさっきまでとは違う、と違和感を覚える。
「あぁ……本気で言った。かわいいって思う」
 素直に答えると、瞳がきらきらと輝いた。何度、言われても嬉しいのだろう。
123書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/06/15(日) 19:44:56

「じゃあさ、彼氏になって!」
「カレシ?」
「うん!」
「……は? 彼氏? 彼氏ってあの、恋人の彼氏?」
「そうだってば!」
 いきなり何を言い出すんだ。
 さっぱり意味がわからない。
 話の展開についていけず、目を白黒させている俺に、
「愛理にもね、年上の彼氏がいるんだ」千聖があっさりと、本音を晒した。
 千聖の告白に、俺は大きく溜息をついた。
 そんなところまで対抗したいのか。
 呆れる。と同時に、腹立たしくもある。
 俺のことが好きだから、というわけではなく、鈴木愛理への対抗心から、彼氏がほしいというのだ。
 それはつまり、俺じゃなくてもいい、ってことだろう。
「ねえ、かわいいって言ってくれたじゃん!」
 何も答えない俺に、千聖が答えを急かす。
「彼氏とか彼女とか、意味わかって言ってるか?」
「付き合うってことでしょ?」
 わかってるよ、と笑顔で答える千聖。
「付き合うってことは、なにするかわかってるか?」
 苛立ちを抑えて、さらに質問を重ねる。
 すると千聖は、頬を赤く染め、再び視線を泳がせた。
「わかってるよ……」
 手を繋いでデート、だけではないことは、わかっている反応だ。
 それをわかっていながら、付き合おうって言うのか。
「本当かぁ? キスだけじゃすまないんだぞ」
 からかうように言うと、千聖は眉を吊り上げる。
「わかってるって!」唇を尖らせ、「エッチ、でしょ……」
 顔を赤くしながら、千聖が答えた。
124書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/06/15(日) 19:45:21

 強い眼光を放つ瞳が、潤んで揺れている。
 ごまかすことなく、はっきり答えられて、逆にこちらが怯んでしまう。
 元コーチだから手を出さないだろうと、高をくくっているんだろうか。
 いや。
 そんな雰囲気は、今の千聖からは感じられない。
 本気、なんだろうか。
 様子を窺うように、確かめるように、
「……じゃあ、今できるか?」
 喉が渇いたように引きつる。
 千聖は目を見開いて驚き、そして、俯いてしまった。
 やっぱり無理か。
 それが普通なんだけど、期待してなかったと言えば嘘になる。
 いま無理をしなくても、そのうち、ふさわしい彼氏ができる。
 そんなことを言ってやろうとするが、先に千聖が口を開いた。
「ちょっとなら……いいよ……」
「……え?」
「最後までは、まだ、無理だけど……ちょっとだけ、なら」
 言い終えると、おもむろに立ち上がる。肩にかけていたジャージが、滑り落ちる。
 ぴったりと寄り添って、俺の隣に座ると、こちらを見上げて瞼を下ろした。
 待て、落ち着け、まだ早い。
 止めようとする言葉は、喉が引きつってしまって出てこない。
 心臓が破裂しそうな勢いで、脈打つ。
 いいんだろうか。
 本当に。
 千聖の体温が、鼓動を加速させる。
 社会通念やら世間体やら、年齢のことを考えて、辛うじて踏み止まっていた理性に止めを刺したのは、

 かわいい

 という単純な思いだった。
125書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/06/15(日) 19:46:08

 肩を抱き寄せると震えるが、目は閉じたままだ。
 息がかかるほど近くで見ると、思いのほか長い睫毛が、かすかに震えていた。
 緊張しているのか、それとも、本心では怖がっているのか。
 そんな考えがよぎったが、とどまることはできなかった。
 唇を重ねる。甘い感触。
 若さゆえなのか、千聖特有のものなのか、俺の唇を跳ね返しそうなほど、柔らかい弾力がある。
 より強くその感触を味わいたくて、抱き寄せて、体を密着させる。
 ついばむように吸い、弾くように弄び、唇の感触をたっぷり楽しんでから、ゆっくり離れた。
 抱き寄せたままでいると、千聖が目を開けて、うっとりした表情で俺を見上げる。
 目が合うと、恥ずかしそうに目を逸らして、照れ笑いを浮かべた。
 かわいい。
 キスをしたら、さらにかわいく思えてきた。
「千聖」
「な、なに?」
「さっき、ちょっとならいいって、言ったよな?」
「……いいよ」
 良かった。もしも断られていたら、自分にブレーキをかける自信がなかった。
 もう一度キスをして、シャツのボタンに、指先を引っ掛ける。
126書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/06/15(日) 19:46:36

 すると千聖は一瞬、驚いて目を剥くが、少しだけ考えた後、小さく頷いた。
 第一ボタンを外すとき、密着した肌から、かすかな震えが伝わってきた。
 緊張なのか、それとも恐怖なのかはわからないけれど、千聖が震えているのに気づきながら、俺は止まる事が出来そうになかった。
 第二、第三ボタンを外すと、歳に似合わない立派な膨らみが、顔を覗かせる。
 くっきりした陰影を作る谷間。それを包む水色のブラジャー。
 千聖の日焼けしたような肌のせいもあって、夏を連想させた。
 指先が緊張と興奮で震えたので、少し手間取ったけれど、腰の辺りまでのボタンは外すことができた。
 ここから下は、スカートを脱がさないと無理なので、ホックのあるあたりに手を伸ばすと、
千聖は、きゃ、とか、ひゃ、とか声を上げて、体をくねらせた。
「くすぐったいよぉ」
 顔が赤いまま笑って、立ち上がる。
 拒絶されたのかと思ったが、表情を見るとそうではないみたいだ。
 千聖は俺を見下ろすと、一瞬だけ神妙な顔つきになる。
 けれど、すぐに笑顔を浮かべ、自分の腰に手をやると、ホックを外してファスナーを下ろし、スカートを足元に落とした。
 幕が落とされたように晒されたのは、褐色の太もも。
 若い肌の張りと、柔らかそうな肉付きに見とれてしまう。
 俺の視線に気づいているはずだが、隠そうとも咎めようともせず、残っているシャツのボタンを外した。
 シャツの前が開くと、それが遮っていた水色のショーツが露になった。
 ブラジャーとお揃いらしい。
 女性特有のなだらかな部分を、つい見つめてしまう。
 さすがに気になったのか、シャツを脱ごうとしていた千聖は、俺の目から逃げるように振り向いて、背中を見せた。
 それから大きく一つ、深呼吸すると、肩を滑らせてシャツも足元に落とした。
 靴下は濡れてしまって気持ち悪いと言って、部屋に上がった時すでに脱いであるので、
千聖の体を覆っているのは、ショーツしか残されていない。
 目の前には、下着姿の千聖……のお尻。
 雨のせいか汗のせいか、ぴったりと張り付いたショーツは、千聖の小さくて引き締まったお尻に食い込んでいた。
127書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/06/15(日) 19:46:57

 頭の中で、ぱつん、と何かが弾ける音がした。
 背中を向けたままの、千聖の腰を抱きしめて、お尻に顔を埋める。
「うわぁあっ!?」
 不意打ちを受けた千聖は、バランスを崩して、胡坐をかいている俺の脚の上に、腰を落とした。
 俺の胸を背もたれにして、股間にお尻を押し付ける格好になる。
「もぉ、コーチ、いきなり……」
 文句を言おうとして、言葉を途切れさせた。
 お尻を押し上げるモノに気づいたようだ。
 そしてそれが、何なのか理解しているようでもある。
 布越しではあるが、自分の体に男性器が触れているなんて、初めてのことだろう。
 俺は興奮の高まるままに、固まっている千聖の、ブラジャーのホックを外してしまう。
「あっ」
 驚いて硬直の解けた千聖が、反射的にブラジャーを押さえて、脱がされるのを防ぐ。
 肩紐を外す手つきのまま、
「ちょっとだけだから。な?」情けない台詞を吐く。
 千聖も精一杯、羞恥心を堪えていてくれているんだろうけれど、俺の方でも、本能が突き動かすままにならないよう、抑えるので必死だ。
 これ以上は無理、と千聖が言ったとしても、それに従えそうにない。
 千聖は少し迷って様子で沈黙し、ちょっとだけだよ、と言って、手を離してくれた。
「ありがとう」
 礼を言うのも違う気がするが、腕から肩紐を抜いて、ブラジャーを外してしまう。
 お椀型で柔らかそうな、小麦色の乳房。
 やや濃い目の、ピンクの乳首。
 服の上から見ていた時よりも、さらに大きく見える。
「触るぞ?」
 一応、断るけれど、千聖が頷いたときにはすでに、手のひらは乳房に重なっていた。
「んっ」
 と、かわいく反応する千聖。
128書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/06/15(日) 19:47:20

 柔らかさよりは、弾力の方が少し上回っており、指が弾むようだ。
 若さのせいなのか、千聖の乳房だからなのかわからないけれど、
今まで味わったことのない触感に酔い、取り憑かれたように指を動かす。
 いまだ成長期だろうから、痛がらないように、できるだけ優しく、撫でるより少し強め
くらいで触る。
 円を描くように乳房の感触を味わっていると、千聖が、ぷるぷると震えだした。
 どうしたのか様子を窺っていると、
「ちょっと、くすぐったいよ」笑いを堪えた声で、千聖が言った。
 くすぐったいのを我慢していただけか。
 少し弱すぎただろうか。
 くすぐったい箇所というのは、性感帯だったり、性感帯になったりすると言うから、もう少し強くしてみよう。
 抜いていた力を込めて揉むと、膨らみに指が食い込んだ。
「あンっ」
 喘ぎ声とまでは行かないが、色っぽい響きが含まれていた。
 千聖自身、その声に驚いたようで、慌てて両手で口を覆う。
「かわいかったぞ、今の声。もっと聞かせろよ」
「そ、んなこと言っても、よく、わかんないっ」
 そう言いつつも、息が乱れてきている。
 指を食い込ませると、強い弾力で押し返してくる。
 ゴムボールを握って弄んでいるような、心地よい感触。
「んっ……ぁ、ぁっ……ぅぅ……」
 わずかにだが、千聖の乱れた息に甘く色づいてくる。
 それに伴って、乳首が尖ってきたのが見えた。
 小さくてかわいらしい果実のような乳首を、優しく摘んだ。
「ぅぁああっ!」
 突然の刺激にのけぞる千聖。
 悩ましげに歪んだ眉は、痛みではなく、快楽を感じているのだと示している。
 手のひらでつかむように乳房を、親指と人差し指で芽を摘むように乳首を愛撫する。
「あンッ! ぁあぁっ、あぁぅっ!」
 もっと聞かせてほしいと言ったからか、千聖は堪えることなく、喘ぎ声をほとばしらせる。
129書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/06/15(日) 19:47:44

 俺の方も、これ以上は堪えられそうになかった。
 痛いくらいに膨らんだペニスが、ズボンの中で窮屈そうにしている。
 俺が愛撫を中断すると、千聖はむず痒そうに、んん、と身を捩る。
「やめちゃうの……?」
 喘ぎ混じりの甘ったるい声で、尋ねてくる千聖。
 千聖のそんな声を聞くのはもちろん初めてで、どんな誘惑の言葉よりも強力に、俺を魅了した。
「やめないけど、俺も気持ちよくなりたいんだ。手伝ってくれるよな?」
 手伝わないとやめてしまうと思ったのか、千聖は間を置かずに頷いた。

 千聖をいったん立たせると、俺は手早く服を脱いで全裸になる。
 血が集まって硬くなったペニスが露になり、千聖の視線が注がれる。
「こんな、おっきくなるんだ……」
「千聖がかわいいから、こんなふうになってるんだぞ」
 かわいいという言葉が嬉しかったのか、えへへ、と照れたように笑う。
 俺は再び腰を下ろして胡坐をかく。
「今度はこっち向いて座って」
「……うん」
 戸惑いながらも頷いて、俺の膝の上に座る千聖。一応、ペニスは避けるようにしているが、視線だけは釘付けになっている。
 視線で愛撫されているみたいで、興奮する。
「これ、握ってくれるか?」
 俺の言う“これ”が何を指すのかは、いちいち説明しなくても、千聖には伝わった。
 こくり、と頷くと、右手で、2人の狭間でいきり立っているペニスを握る。
「熱い……それに硬い……ような、柔らかいような……?」
 熱に浮かされたような声で、聞いてもいない感想を言ってくれた。
 初めて触る男性器に、興味津々と言ったところだろうか。
130書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/06/15(日) 19:48:20

「そのまま、手を動してくれ」
 こんなふうに、と千聖の目の前で、筒を作った手を上下に動かしてみせる。
「わかった」
 頷いた千聖は、言われたとおりのことを実行する。
 千聖の手は小さくて、ぷにぷにしていて、自分の手とは比べ物にならないくらいの快感をくれる。
 あまりの気持ちよさに呆けていたが、されているばかりではいけないんだった。
 幸い、千聖は男性への愛撫の仕方を覚えて、それに夢中になっていて、気づいていなかった。
 片手で千聖の体を支えつつ、お尻の方からもう一方の手を伸ばし、布越しの割れ目を撫でた。
 秘裂に触れられるのは予想外だったらしく、千聖は固まってしまった。
「手、動かせって」
「う、うん」
 戸惑いながらも、手を動かす千聖。
 好奇心が輝いていた瞳は、不安と期待で、かすかに揺れている。
 その瞳を見つめ返したまま、ショーツの中に、指先を潜らせる。
「あぁんっ」
 小さく喘ぐ千聖。
 秘裂はしっとりと湿っており、俺の指に触れられたことで、さらに熱くなったようだ。
 割れ目に沿って指を動かすと、たちまち愛液がにじみ出てきた。
 乳房への愛撫で決壊寸前だったものが、直接の刺激を受けて溢れてきたらしい。
 指先に絡みつく愛液を広げ、粘膜全体を擦る。
「ぁああんっ、ァ、ああァッ! あぅっ、ふぅッ!」
 快感に震え、声を漏らしながらも、手を止めることはない千聖。
 ぐにゃりと曲がった眉と、硬く閉じられた瞼。
 充分に昂ぶった千聖は、あと少しで達してしまいそうに見える。
 俺の指が秘裂を擦るたび、千聖の手が硬く握られたり緩んだりするので、快感は予想以上に高まった。
 歳の離れた、かつての教え子。
 そんなシチュエーションも、俺を高めている要因かもしれない。
131書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/06/15(日) 19:49:05

 もう限界だった。
 ペニスの根元に、熱い情欲が迫ってきている。
 堪えられない、と悟って、千聖も気持ちよくしてやらねば、と思う。
 ぷるぷると揺れている千聖の胸に顔を埋めて、頂点で尖った乳首を口に含み、軽く歯を当てる。
「ぃああっ!」
 さらに、秘裂を擦っていた指で、クリトリスを押しつぶすように刺激する。
「ヒぁあぅっ、くぅ──」
 悲鳴を上げたかと思ったら、それを飲み込んで押し黙り、俺の肩に顔を埋める千聖。
 その手が固く握り締められ、俺も限界が来た。
 ぴったりと密着した千聖の手を、振り払うような勢いで、ペニスが脈動する。
 体の奥からこみ上げてきた精液が、先端から飛び出す。
 精液が、千聖の体に飛びつく。
 止めてはといけない、と強く刷り込んだせいか、千聖の意識とは切り離されて、
手だけがペニスを擦り続け、精液が最後の一滴まで搾り出される。
 勢いを失って、先端から溢れ出した精液が、千聖の手を汚す。
 2人分の乱れた呼吸だけが、部屋に響いていた。
132書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/06/15(日) 19:49:35

 やがて、硬直が解けた千聖がゆっくりと顔を上げ、
「雨、止んでる……」窓の外を見て呟いた。
 振り返って窓の外を見ると、嘘のように晴れ上がった空から、雨に代わって夕日の橙が降り注いでいた。
「これで、帰れるな」
 雨宿りの時間は終わり。
 本心では、帰したくないけれど、そうもいかない。
 シャワーを浴びさせて、送っていってやらないと。
 寂しさを感じながら考えていると、
「コーチ」それを遮る千聖の声。
 振り返ると、不意打ちを受けた。
 眼前に、千聖の長い睫毛。
 唇に、温かい感触。
 唇を離した千聖は、頬をほんのりと朱に染め、いたずらっ子の笑顔を浮かべる。
「また、来ていい?」
 こちらの心を見透かしたような言葉。
「今度は、このくらいじゃ済まないぞ」
 それに対して、
「……彼氏になってくれるなら、いいよ」
 そう言えば、欲望に目が眩んで、はっきりと答えてはいなかった。
 俺を見つめる千聖の瞳は、気体に満ちていた。
 断れる空気ではないし、断るつもりもなかった。
「ちょっと歳、離れすぎてるかもしれないけど……付き合おうか」
 唇の両端を吊り上げる、千聖流の笑顔。
 負けず嫌いの千聖が浮かべる、誰にも負けない笑顔で、大きく頷いた。

133書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/06/15(日) 19:53:20
以上・・・です・・・
・・・ネタ切れ・・・気味なので・・・他と差異を・・・作る・・・ために・・・・・・肉付け
そして・・・長く・・・なる・・・

待っていてくださる皆様に多謝
134名無し募集中。。。:2008/06/15(日) 23:37:41
書く人さん乙です!!!今回も良かったです!!!
135fusianasan:2008/06/16(月) 02:27:11
いや本当書く人さん神!
136fusianasan:2008/06/16(月) 12:45:24
書く人キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!!!
137fusianasan:2008/06/17(火) 23:44:57
(;´Д`)ハァハァ
138fusianasan:2008/06/18(水) 04:53:09
たまらんち
139fus i anasan:2008/06/24(火) 14:57:14
ほしゅ
140fus i anasan:2008/06/24(火) 22:26:42
書く人さんは現場とか来てるのかな?
毎回脱帽しきり(息子も)。
141fusianasan:2008/06/25(水) 21:52:32
以前コンサ行ったって書いてたな
まあ同じヲタでなければこれだけ理解できる人物設定は作れまい
142fus i anasan:2008/07/02(水) 17:59:10
143名無し:2008/07/03(木) 17:56:01
書く人さんはトリ変えたんですか?
数年前と違う気が
144fusianasan:2008/07/03(木) 23:42:08
過去スレが見たい
145fusianasan:2008/07/04(金) 09:39:57
146fusianasan:2008/07/07(月) 00:45:32
147fusianasan:2008/07/14(月) 00:01:29
待ち( ̄^ ̄)y-~~
148fusianasan:2008/07/21(月) 21:58:02
(゜Д゜)y─┛~~~~
149書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/07/28(月) 18:00:42

 清水佐紀は、付き合っている彼氏の部屋で1人、彼の帰りを待っている。
 飲み物を買いにコンビニまで行った彼が、DVDかテレビでも見ながら待っててくれ、と言ったので、棚からDVDを選んで手に取った。
 ほとんどがアクション物の洋画で、話題になっている邦画を、たまに見るくらいの佐紀には、どれが面白いのかさっぱりわからない。
 どこかで聞いたことのあるメジャーなものもあったが、せっかくなので、聞いたことのないものを見ようと、ケースを開ける。
 が。
 中身が違っていた。
 女性の名前だけが手書きされたDVD。
 聞いたことのない名前だったが、なんとなく察しがつく。
 きっとこれは、アダルトDVDだ。
 しかも、彼自身か彼の知人かはわからないけれど、コピーしたものなのだろう。
 佐紀は、自分の頬が熱くなるのを自覚し、同時に呆れてしまう。
 付き合っている彼女を、初めて自分の部屋に招待すると言うのに、こんなものを、こんなにも見つかりやすい場所に置いておくなんて。
 その上、DVDを見て待つように言ったのは、彼自身だ。
 落ち度としては最低ランクのものだろう。
 男の子なんだから、こういうDVDを持っていたとしても、
それを理由に嫌いになることはないけれど、それにしても、気をつけてほしいものだ。
 ……ひょっとして、わざと、だろうか。
 別のDVDを取り出すが、パッケージと中身は一致していた。
 念のためもう一枚、確認するけれど、やはりべつのDVDが入っているなんて事はなかった。
 アダルトDVDを隠しているケースを、たまたま、引き当ててしまったらしい。
 運が良いのか悪いのか。溜息が出る。
150書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/07/28(月) 18:01:13

 ケースを閉じようとして、手が止まる。
 世の中の大半の女性もそうだろうけれど、佐紀は、アダルトDVDを見たことがない。
 こくり、と生唾を飲み込む。
 彼が戻ってくるまで、まだ15分くらいはあるはずだ。
 ちょっとだけ、見てみようかな……
 そう考えてからの行動は、早かった。
 DVDを取り出し、プレイヤーに入れる。
 リモコンを操作して音量を小さくすると、画面に裸の女性が映った。
 コピーのせいか画像はやや荒いけれど、佐紀には、それを気に留める余裕はなかった。
 ソファに座る、小柄だが胸の大きな女性に、パンツ一枚履いただけの男性が近づいていく。
 女性が妖しい微笑を浮かべながら、男性の下着を下ろすと、男性器が露出する。
 佐紀は目を見開いて、その映像に釘付けになった。
 あるべきはずのモザイクがかかっておらず、遮られることのないペニスが、佐紀の目に晒される。
 ただのコピーというわけではなく、裏モノだったが、正確な知識のない佐紀は、ただただ画面を注視している。
 こんな形だったっけ?
 父や兄の裸を見たのは、ずいぶんと前のことだ。
 記憶の引き出しを探ろうとするが、そんなことよりも、画面で繰り広げられている行為を記憶することが優先される。
 垂れ下がったペニスに、女性が手を添えて擦り、大きく開いた口にそれを咥えた。
 女性が頭を前後させると、それまで力なくうなだれていたペニスが、膨らんでくる。
 完全に勃起したペニスを口から離して、満足げに微笑んだ女性は、根元から先端に向けて舌を這わせている。
 女性の愛撫によって、そそり立ったペニスは、いかにも凶悪な形をしている。
 しかし、それを見ていると、不思議と体の奥底で、沸き立つような熱を感じる。
 落ち着かなくなって、もじもじと、膝頭を擦るように座りなおすけれど、そんなことで解決しないことは、佐紀自身にもわかっていた。
 足の付け根が、疼いている。
151書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/07/28(月) 18:01:35

 ずっと前のことだが、ホテルで須藤茉麻と相部屋になったとき、彼女の体にイタズラしたことがある。
 それ以来、自分でする方法を覚えて、メンバーからエッチな話を聞かされたときや、
試験勉強で疲れたとき、或いは、彼とデートして帰ったときなど、自慰をして体の火照りを治めることがあった。
 初めて男女の絡みを見て、かつてないほど、いやらしい熱で体が火照っている。
 けれど、彼の部屋なのに……
 ちらりと視線を時計に向けて、時間を確認する。
 まだ5分も経っていない。
 ということは、まだ帰っては来ないだろう。
 少しだけ……なら、大丈夫だよね。
 誰にともなく確認し、膝を少し開いて、脚の付け根に手を伸ばす。
 下着越しに触れたそこは、すでに湿っていた。
「んぅっ」
 びりびりと、甘い電流が背筋を駆け上っていく。
 そこにスイッチがあったように、体はエッチモードに入ってしまう。
 布越しの感覚ではもどかしく、下着をずらして直接、秘裂をなぞる。
「ん、んんっ、あっ、ぅんっ……」
 どんどん高まっていく媚熱。
 主のいない彼氏の部屋で、という異常なシチュエーションも手伝って、佐紀の指はなかなか止まってはくれなかった。
 粘膜から溢れた愛液が指に絡み、愛撫がより激しくなる。
 淫らな熱に茹でられたような脳が、画面の男女を、自分と彼氏に置き換える。
 彼も、ああいった行為を望んでいるのだろうか。
 彼のペニスに舌を這わせる自分を想像して、興奮はますます高まった。
 だが。
 部屋の扉が突然、開いて、ぶつりと妄想が断ち切られた。
152書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/07/28(月) 18:02:08

「ちょっと忘れ、物、した……」
 予想外に早く戻ってきた彼は、扉を開けた姿勢のまま、眼を丸くした。
 佐紀は、スカートの中に手を突っ込んだままの体勢で、彼を見上げた。
 バスケ部にも入っている彼は、180センチを超える長身で、座っている佐紀からすると、ちょっとした建造物のような存在感だ。
 その屋上にある眼が、佐紀を見下ろして、
「なに、やってんだ……?」目の前に光景を現実とは認識できない様子で、呟いた。
 佐紀は頬どころか体の心から、さきほどまでとは違う熱さで、火がつきそうだった。
「ち、ちがうのっ! あの、じゃなくて、そのっ……えっと、とにかく、誤解なの!」
 なにが違うのか、なにが誤解なのか、自分でもよくわからない。
 彼はもっとわからない、と言う顔で、
「なにが?」と、画面と佐紀を交互に見ながら、尋ねる。
 そんなことを聞かれても、佐紀にもわからない。
 とにかく、DVDを止めないと。
 いまさらながらスカートから手を抜いて、リモコンを取ろうとすると、いつの間にか近づいていた彼の手に遮られる。
「え? あの、な、なに……?」
 手首をつかまれて、驚いて顔を上げると、いつになく真剣な表情の彼の顔があった。
 その視線から、痛いほど彼の気持ちが伝わってきた。
 彼はたぶん、はじめからそういうつもりがあって、佐紀を部屋に誘ったのだろう。
 佐紀も、もしかしたら、という覚悟は持っていた。
 ひょっとしたら彼は、もっとムードを盛り上げる話題とか、佐紀の気持ちを確かめてからとか、いろいろ考えていたかもしれない。
 けれど、佐紀がそれをぶち壊してしまった。
 そして彼は、佐紀を誘う前から高まっていただろう感情を、抑えることが出来なくなってしまった。
 こういうのも、自業自得と言うのだろうか。
 やや乱暴に佐紀を抱き寄せた彼は、首の後ろに手を添えて、唇を寄せてくる。
 佐紀は、近づいてくる彼の顔を見、瞼を下ろす。
 唇に、熱い感触。
 キスは何度かしたけれど、こんなにも熱いのは初めてだ。
 佐紀の体が火照っているからか、彼の気持ちが高まっているからか。その両方か。
 唇を離した彼が、佐紀のシャツの裾に手をかけた。
「脱がすぞ」
 興奮を隠そうとしているのか、感情を押し殺した、平坦な声色で、彼が告げる。
153書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/07/28(月) 18:02:29

 佐紀が頷くのを待たずに、シャツを捲り上げた。それに従って、彼が脱がしやすいように、両手を挙げた。
 バンザイをして服を脱がされる姿は、彼との体格差もあって、子供にしか見えない。
 彼は佐紀を抱きしめるような格好で背中に手を回し、ブラジャーのホックを探る。
 しかし、ホックを見つけたは良いけれど、背中で動く指は、もぞもぞと動くだけで、思ったようには外せなかったらしい。
 彼の指や息遣いから、焦りを感じ始めて、助け舟を出すことにする。
「あの、さ。自分で外すから、その間に、脱いでて。私だけって、恥ずかしいし……」
 わかった、と少し落胆した声で頷くと、佐紀の体を解放した。
 少し離れて、彼が服を脱ぎ始める。
 やはり焦っているようで、ボタンを外す手が震えているのが、横目で見えた。
 私が落ち着かないと、という奇妙な責任感にも似たものが、湧き上がってくる。
 彼に背を向けて、ブラジャーを外し、スカートと靴下も脱いで、少し躊躇してからショーツを下ろした。
 肩越しに彼を見ると、すでに脱ぎ終えていたようで、じっと佐紀の背中を見ている。
 いや、背中というより、お尻の辺りに視線を感じて、むず痒い感覚が、下腹を熱くさせる。
「ベッド、あがっていいかな……?」
 さすがに恥ずかしくなって問いかけるが、彼は、
「じゃあ、連れてってやるよ」と言って近寄ってくる。
 連れて? なんだろう。ベッドは目の前にあるのに。
 首を傾げた佐紀を、不意に、床から持ち上げる彼の腕。背後から抱き上げられる。
 お姫様抱っこというヤツだ。
 以前、冗談半分にしてもらったことはあった。
 あの時ははしゃいでいたが、こんな状況で、肌と肌が直接ふれあっているので、ただただ鼓動が速くなる。
 大事なところを隠しているとは言え、何物にも遮られていない体を見下ろされて、体が熱くなる。羞恥さえも興奮を刺激する。
 佐紀を横たえると、彼も続いて、覆いかぶさるように、ベッドに上がる。
 そこで初めて、裸の彼を見た。
 余分な脂肪のない引き待った肉体。
 へその下で大きくそそり立つ、ペニス。
 赤ん坊の腕ほどもありそうな、長大な男根。
 あんなもの、入るんだろうか……
154書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/07/28(月) 18:03:12

 不安を感じる佐紀に、彼の顔が近づく。
 見つめられて、恥ずかしかったのかもしれない。
 数瞬、見詰め合って、どちらからともなく瞼を下ろし、口付けを交わす。
 ちゅ、ちゅ、と数度、ついばむようなキスの後、胸を隠していた佐紀の手を、彼が優しくつかんだ。
「いいか?」
 興奮を隠し切れない声で、彼が聞く。
 佐紀は、大きく深呼吸をして、頷いた。
 胸や股間を覆っていた手が、彼によって取り払われる。
 肉親を数えなければ、初めて異性に裸を見られる。
 ……恥ずかしいよう。
 耳まで、燃えそうなくらい、赤くなっているのを感じる。
 ダンスで鍛えた体は、それなりに引き締まっていると、自分では思っている。
 頼りなげな胸のふくらみと、申し訳程度に生えている恥毛。
 大丈夫だろうか。
 彼の眼には、ちゃんと異性の体として映っているだろうか。
 ささやかな胸に、彼の大きな手が伸びる。
「あっ」
 彼は一瞬、手を止めるが、佐紀が拒絶する様子がないのを見て、手を動かした。
 揉むというよりは、指先でこねるような動作。
 胸ちいさくてごめん。
 心の中で謝る佐紀だったが、さすがに口に出すには恥ずかしすぎる言葉だった。
 アダルトDVDの影響もあってか、体が敏感になっている。
 自分の力が強いことを自覚している彼は、出来るだけ優しく、弱々しいくらいに指を動かすが、高まっている佐紀には充分な刺激だ。
 呼吸が乱れてくるのを、堪えることが出来ない。
 彼は、手の中で立ち上がった乳首を摘み、一方は、唇に含む。
155書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/07/28(月) 18:03:38

 舌で弄ばれ、吸われ、指で弾かれて、快感が深度を増す。
「んっ、ぅんっ……ぁ、ぅぅっ」
 乱れた呼吸に、甘い響きを感じた彼は、佐紀の体を滑り降りていき、両膝に手を置く。
 確認することもなく、両膝を開き、隠されていた佐紀の秘裂を露にする。
「あっ」
 思わず声を漏らす先立ったが、彼はそれに反応することも出来ないくらい、初めて見る女性の秘密の場所を、凝視している。
 見られてる……
 顔どころか、体全体から火が出るほど恥ずかしいけれど、見るのを止めて、とは言えなかった。
 眼に焼き付けるようにして見ていた彼の手が、膝から足の付け根に移動した。
「んんっ!」
 びくんっ、と体が震える。
 佐紀の様子を見て、驚いた彼が、指を止めてしまう。
「大丈夫か?」
「……だいじょぶ。気持ちよかったよ……」
 自分の指で、充分に蕩けていたせいもあったろうが、初めて他人に触られる違和感に、興奮を高められる。
 佐紀の言葉に頷いて、彼が再び指を動かした。
 上下にゆっくりと、様子を窺うような、傷つけまいとするような慎重さで、割れ目をなぞる。
 その愛撫は、高まっている佐紀の体には、弱いくらいで、焦らされているような気持ちになる。
 もう少し強くしても平気。そう教えるべきなんだろうか。
 そんなことを言ってしまうと、いやらしい女だなんて思われないだろうか、
と、先ほど痴態を見られたことを忘れて心配していると、彼がゆっくりと上半身を伏せる。
 あ、と思う間もなく、指で広げられた粘膜に、ぬるりと生温かい感触。
 彼の舌が、佐紀の粘膜の上で、うごめく。
 未知の感覚に、目眩がしてきそうだった。
「はぁっ、ああっ、あぅっ……くぅっ」
 秘裂の奥に潜り込もうとする舌が、激しくうねり、佐紀は快感にのぼせる。
 へその辺りが燃えているように、熱い。
156書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/07/28(月) 18:03:59

 溢れ出した愛液をすすり、彼が体を起こした。
 愛撫を中断されても、戸惑うことはしなかった。
 蕩けたような彼の顔と、潤んでいるが真剣な瞳が、佐紀に向けられる。
 同じく潤んだ瞳で、熱っぽい視線を返す佐紀。
「痛かったら、言えよ」途中で止める自信ないけど、と彼が告げる。
 佐紀は思わず吹き出して、
「優しくしてよね」と、答えた。
 頷いた彼は、片手に自身のペニスを握り、もう一方で佐紀の秘裂を左右に開く。
 ペニスの先端が佐紀に触れ、粘膜同士が触れ合う。
 指とも舌とも違う、独特の感触が、粘膜越しに佐紀の体を刺激する。
 亀頭が粘膜を押し広げ、佐紀の中に進入してくる。
 自分の指すら入ったことのない場所に、初めて踏み入るのは彼のペニス。
 先端が入ってきただけで、ものすごい異物感だ。
 けれど痛みはなく、普段閉じているものが無理やり広げられている違和感だけが、やけにくっきり感じられる。
 大丈夫そうだな、と油断した瞬間、佐紀の細い腰を押さえた彼が、腰を押し出す。
「痛ァッ!」
 引き裂かれるような痛み。経験したことのない痛みが、佐紀の体を貫いた。
 恐る恐る結合部分見ると、まだ亀頭を飲み込んだ程度だった。
「……大丈夫か?」
 さすがに彼が心配して聞いてくる。
 ぜんぜん大丈夫じゃない。
 そう思ったけれど、そんなことを言ったら彼は中断してしまうだろう。
 次にいつ、結ばれる機会があるのかわからないのだから、やめるのは、やめられるのは嫌だった。
「ちょっと、痛い……ゆっくり、して」
「わかった」
 短く答えて、進入を再開させる彼。
157書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/07/28(月) 18:04:21

 佐紀の言ったとおり、少しずつ、ゆっくりと、ペニスが潜り込んでくる。
 一気にしてもらった方が良かっただろうか。
 けれど、もう何か言葉を発する余裕はなかった。
「くぅ……」
 苦痛を堪えて、息が漏れる。
 お腹の奥で、ぶつり、と何かが千切れるような感覚が、佐紀の脳を揺さぶった。
「うあっ……!」
 痛みというよりも、鋭い熱が、体の奥で弾ける。
 その感覚で意識が支配されているうちに、彼の腰が止まっていた。
「ぜんぶ入った、みたい」
 少し苦しげに、彼は自信のなさそうな台詞をこぼした。
 佐紀は答えることが出来ず、ただ頷くだけだった。
 しばらくは何も話すことが出来ず、ただ荒い息遣いだけが、2人の間にあった。
 じっとしていたら、痛みが多少やわらいでくる。
 自分の中にある彼を、はっきりと感じる。
 女の子から、女になった瞬間。
 そう実感すると、痛みで浮かんだ涙も、嬉し涙のように思えてくる。
 彼が動かずに、じっとしていてくれておかげで、痛みは耐えられるくらいにまで治まった。
 彼と目が合うと、それを察したのか、
「動いて、いいかな」と、荒い息を混ぜながら尋ねてくる。
「ゆっくり、なら」
 痛みは、耐えられる程度に治まっただけで、完全に消えたわけではない。
 ただ、彼の切なそうな表情を見ていると、多少の痛みくらい、我慢できそうだった。
 彼がゆっくりと、腰を引く。
「く、ぅぅっ……!」
 痛みが鋭さを増して、膣内を駆け抜ける。
 我慢できなくはない、けれど、そう長くは耐えられそうにない。
 彼は、引くのと同じペースで、腰を押し出す。
 体の内側を往復する、他人の体の一部。
 異物感と圧迫感、そして痛みで、意識が吹き飛びそうになる。
158書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/07/28(月) 18:04:47

 次第に腰の動きが速くなり、奥壁を、彼の先端に突き上げられる。
 痛みも強かったが、少しずつ、別の感覚も湧き上がってくる。
 あ、ちょっと、気持ち良い、かも。
 体の奥を突かれるのが刺激になったのか、脳が痛みから逃避しようとしているのかはわからないけれど、
膣から滲み出てくるように、快感が体に広がっていく。
「……ぅっ、ぅんっ……は、ぁあ……ふぅっ」
 苦痛を漏らすだけだった息の中に、甘いものが混ざる。
 佐紀が痛みから抜け出せそうになった頃、彼は限界を迎えようとしていた。
 呼吸が切羽詰ったものになり、たぶん無意識のうちに、腰の動きが速くなっている。
「佐紀……っ! 佐紀!」
 快感の高まりに耐え、硬く目を閉じた彼に名前を呼ばれ、強く抱きしめられる。
 彼のペニスが、体の奥を突き上げ、そのまま動きを止めた。
 そして、体の奥で、熱い脈動。
 自分のものではない液体が、じわりと、お腹の中に満ちていく。
 とくん、とくん、と鼓動のように脈打っていたペニスが静かになって、彼がゆっくりと瞼を開けて、佐紀を見つけた。
 始める時、している最中は、夢中になっていて気にする余裕はなかったけれど、行為が終わって、
少し理性が帰ってくると、急に照れくさくなってしまった。
159書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/07/28(月) 19:05:01

 彼はほんの少し眼をそらして額に眼をやり、
「すごい汗だな」張り付いた髪を払ってくれる。
「汗っかきだから……」
 いかにも照れ隠しです、というやり取りがくすぐったい。
「シャワー、浴びてくるか?」
 汗だくの佐紀を気遣って、彼が尋ねる。
 けれど、見上げる彼も、額に汗が滲んでおり、それに、佐紀の愛液と破瓜の血で汚れたペニスを綺麗にしたいだろうと思って、
「先に、浴びてきていいよ」と、譲ることにする。
「いや、先に浴びてこいって。俺はまだ大丈夫だから」
 なにが大丈夫なのかはわからないけれど、どうも譲る気はないようだ。
 以前にもこんな譲り合いがあり、それがケンカにまで発展したことがあった。
 せっかくひとつになれたというのに、そんなことで揉めたくはない。
 自分が先に浴びてこようかな、と思ったとき、テレビ画面にまだ、アダルトDVDが流されていることに気づいた。
 佐紀が画面に眼を向けると、彼も同様に画面を見る。
 さきほどとは場面が変わり、ソファからバスルームに移動していた。
 男性が女性の、女性が男性の性器を、お互いに洗いあっているシーンが映っている。
 佐紀と彼が、同時に画面から目を離し、見つめあう。
 やや強張った表情の彼が、
「一緒に、入ろうか」尋ねるのではなく、そうしたいという希望。
 予想通りの言葉に微笑んだ佐紀は、小さく頷いた。
 バスルームでも、ひょっとしたら……
 想像が膨らんでいくと、それに比例して、くすぶっていた肉欲が、お腹の奥で再び熱くなるのを感じる。
 私ってこんなにえっちな子だったんだ……
 初めて来た彼氏の部屋で、主がいない隙にオナニーするような子である清水佐紀は、甘く熱い溜息をついた。
160書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/07/28(月) 19:11:19
ごぶさた・・・しておりました・・・
・・・よくよく・・・考えたら・・・キャプテンのソロ・・・書いてなかった・・・・・・

久々に・・・投稿したら・・・連投規制に引っかかった・・・
前こんなの・・・ありましたっけ・・・
・・・最後の・・・レスだけ・・・時間が空いているのは・・・そのためです


現場ですが、2年近く行ってません
久々に行こうと思ったけど、FC期限切れてました・・・

トリは一度忘れてしまったので変えました
161書く人 ◇ZBov0fGF0M :2008/07/28(月) 22:15:44
昔から連投規制ありました

FC限定でなければFC入ってなくても入れるのに
162fusianasan:2008/07/28(月) 23:15:17
最新作一番乗り!
書く人さんGJです。
163fusianasan:2008/07/29(火) 02:50:54
(*゚∀゚)=3♥
164fusianasan:2008/07/29(火) 18:36:22
ε=\_○ノヒャッホーウ!!
165fusianasan:2008/07/30(水) 15:11:42
待ってたぜ
166fusianasan:2008/07/30(水) 23:05:41
キテターヽ(´ー`)ノ
167fusianasan:2008/08/05(火) 21:04:57
できれば梨沙子編書いてほしいんですけど…
168fusianasan:2008/08/11(月) 01:54:36
>>167 前に書いて完結してるから。
169書く人 ◇ZBov0fGF0M :2008/08/11(月) 14:28:30
part2のログってたどこかで見れませんか?
170fusianasan:2008/08/11(月) 19:36:20
探してみます
171fusianasan:2008/08/11(月) 22:03:57
梨沙子編後日談書いてほしいんですけど・・・
172fusianasan:2008/08/11(月) 22:45:39
>>170
下げろ
173エビス:2008/08/12(火) 11:22:30
174fusianasan:2008/08/12(火) 12:25:09
part1を見たいんだが…
175エビス:2008/08/12(火) 14:46:20
176fusianasan:2008/08/12(火) 15:59:20
>>175
エビスさんありがとうございます!!
177書く人 ◇ZBov0fGF0M :2008/08/12(火) 18:48:30
■掲示板に戻る■
E3500

携帯固有番号を取得できませんでした。


r.so ver 2006/09/21
FOX ★ DSO(Dynamic Shared Object)
が出て見れません
178fusianasan:2008/08/12(火) 21:00:23
どした?
179fusianasan:2008/08/12(火) 21:49:09
180fusianasan:2008/08/12(火) 21:51:39
俺も175開くと177になる
179でちゃんと見れる?
181エビス:2008/08/20(水) 17:59:37
>>179をファイルシークかなんかでみれば全部みれる?はず……
182fus i anasan:2008/08/25(月) 13:15:09
ノノ|∂_∂’ル生誕記念保守
183fus i anasan:2008/09/01(月) 14:35:09
防災の日保守
184fus i anasan:2008/09/08(月) 16:26:19
北の潮理事長辞任保守
185fusianasan:2008/09/16(火) 22:44:40
リーマン倒産保守
186fusianasan:2008/09/22(月) 02:07:07
よっしゃ保守
187fusianasan:2008/09/23(火) 22:09:02
そろそろ新作の季節
188fusianasan:2008/10/02(木) 02:56:07
もう10月。
189fusianasan:2008/10/02(木) 03:19:37
書く人さんはツンデレラ
190fusianasan:2008/10/04(土) 01:22:23
また良作を上げてくれると期待しながら保全
191fusianasan:2008/10/12(日) 22:30:53
書く人さん嫌い
192fusianasan:2008/10/12(日) 22:53:33
193fusianasan:2008/10/13(月) 18:57:17
>>191
嫌いなのは勝手だが
お前の独り言をここで言うなヨソでやれ
194fusianasan:2008/10/13(月) 23:03:10
191は書く人さんの作中の名文句をオマージュしているだけなのでは?
195fusianasan:2008/10/14(火) 02:24:14
自治厨で悪いんだけどメ欄にsageでお願いします
196fusianasan:2008/10/14(火) 21:18:29
>>194
梨沙子のあれですな
197fusianasan:2008/10/16(木) 20:53:26
【小説】Buonoのエロ小説を書こうよ!!!
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/zurui/1224069933/1-100
198fusianasan:2008/10/17(金) 20:15:33
まだかなまだかなー
199書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/10/17(金) 21:08:53

 部屋に上がるなり、バッグを放り出してベッドに倒れこむ愛理。
「やっぱり、部屋が一番落ち着くねぇ」
 後を追って入った僕は、愛理の言葉に苦笑いを浮かべた。
「ここは僕の部屋だけど」
「この部屋が落ち着くのー」
 うつぶせの愛理が、最近、すっかり綺麗になった脚を、バタ足のように動かしながら応えた。
 太ももの半ばまでが隠れているけれど、愛理の脚が動くたびに、それも危うくなる。
 引き出物の紙袋を下ろした僕は、上着を脱ぎながら、
「着替えないと、しわになっちゃうよ」声をかける。
 けれど愛理は、んー、と言ったきり、枕に顔を埋めてしまった。
 眠いのかもしれないけれど、さすがにドレスのままで眠らせるわけにはいかなかった。
 幼い頃から親しかった親戚の結婚式に呼ばれた僕たち。
 朝早くから仕事の兄に、義姉と甥がついていくことになっているのだが、愛理も愛理で仕事があり、
うちに泊まることになった。事務所にはうちの方が近い。
「お姉さん、綺麗だったね」
 ピンクを基調としたセミフォーマルのワンピースドレスという姿の愛理が、ベッドにうつぶせになったままで、独り言のように呟いた。
 ウェディングドレスの花嫁に、感動し、見とれていたのを思い出しているようだった。
 しかし、その声には、ほんの少しだけ、寂しさが混じっている。
「そうだね」
 スーツを脱ぎ終えて、部屋着に着替えた僕は、ベッドの縁に腰を下ろし、短く返す。
 愛理は顔だけをこちらに向け、
「お兄ちゃん、お姉さんのこと好きだったんでしょ?」
200書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/10/17(金) 21:09:23

 胸を突かれたように、鼓動が脈打った。
 思わず振り返る僕を、愛理の瞳が見上げている。
 いたずらが成功した、喜びの色。
 僕の心が向けられていた彼女に対する、嫉妬の色。
 そして、自分以外の女性を想っていた僕に対する、怒りの色。
 さまざまな感情が交じり合って、複雑の色彩をした瞳。オンナの瞳。
 視線に射抜かれたような衝撃を受けた僕は、目を逸らして、
「憧れてたことは、あったけどね」答えをはぐらかす。
 実際に、好きだったかどうか、よくわからない。
 愛理に指摘されて、そうだったかもしれない、とは思ったけれど。
「どうして、そんなふうに思ったの?」
「……オンナのカン」
 照れて笑う愛理だったが、その瞳の奥には、ナイフのように鋭い光が潜んでいた。
「なまいき」
 視線の刃から逃げるように、わざとおどけた声で言って、愛理の頬を突付いた。
 愛理はくすぐったそうに顔を背けて、僕の指から逃れる。
 指先に触れた頬の感覚は、ほんの少し前まで、もう少しふっくらしていたように思う。
 身長もずいぶんと伸びたし、幼い線で描かれていた肢体も、女性らしい輪郭が含まれるようになっている。
 服の下に隠れた部分も、少女から女性になりつつある。
 その成長が、嬉しく思うのと同時に、胸を締め付けられるような切なさに襲われる。
「どうしたの?」
 不意に黙った僕が気になったようで、愛理がこちらを向いていた。
 見上げるその眼は、表情は、いまだ幼さが残る。
 そんなところに安心してしまう僕は、おそらく歪んでいるのだろう。
 愛理の問いには答えず、
「服、脱がないと……それとも」と、愛理の背中に手を伸ばす。「脱がせてほしい?」
 ファスナーに触れた瞬間、ぴくん、と体を震えさせる愛理。スイッチを入れられたように、瞳を潤ませて、僕を見つめる。
201書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/10/17(金) 21:10:11

 その眼を見れば、頷かなくても心は読める。
 けれど僕は、あえて気づかない振りをして、ファスナーから移動させて指で、うなじを撫でる。
「んっ……」
 ただ触れただけなのに、甘い声が、唇からこぼれる。
 自分で出した声に、照れて紅潮する頬。
 熱を帯びた瞳が、甘い刺激を求めて揺れていた。
 指先を襟足まで登らせて、ワンピースの襟首にまで戻ってくる。
 それをゆっくりと、何度も繰り返すうちに、愛理の口から漏れる吐息は、すっかり熱く濡れていた。
「愛理、どうする?」
「……して、ほしい」
 あまりにも露骨な言いように、思わず噴出してしまいそうになる。
 それをこらえて、愛理の耳元に近づき、
「服をどうするかって聞いたんだよ。何をしてもらえると思ったの?」からかうように言ってやる。
 愛理は唇を尖らせ、揺れた視線で僕を責める。
 そう取れるように聞いたのだから、愛理の答えは当然と言うか、正しいだろう。とにかく予想通りのものだった。
 つい、からかってしまいたくなる。
 愛理の拗ねた顔や、照れて赤くなるのを見るのは、とても楽しい。大好きな表情。
 肩甲骨の間に手を置き、脊椎の湾曲に沿って背中を撫で、腰のくびれを滑り降り、その勢いのまま、柔らかい丘陵を登る。
「んぁっ」
 背筋を反らす愛理を見下ろし、手のひらをさらに下へ滑らせる。
 膝の辺りにかかる裾に手をかけ、捲り上げてしまう。
 露になったピンクの下着は、脚をばたつかせていたせいか、引き締まったお尻に少し食い込んでいて、年不相応のいやらしさをかもし出している。
 性欲を刺激するお尻から、すらりと伸びた脚。いやらしさから乖離して、細くしなやかな美しさに眼を奪われる。
 女性と少女の狭間の、アンバランスな印象が、僕を、男を惹きつける、愛理の魅力。
 僕の行動に、愛理は恥ずかしそうに枕に顔を埋めたが、抵抗する様子はない。
 きっと、どこまでしたとしても、抵抗はしないだろう。
 下着越しのお尻に手のひらを添えると、枕にくぐもった声が染み込んでいくのが、漏れ聞こえる。
 滑らかな稜線に合わせて手のひらを動かすと、そのたびに愛理の体は細かく震える。
 柔らかく、優しく撫でて、布越しに愛撫する。
 愛理の呼吸が大きくなるのを見て、お尻を撫で回される感覚に酔い始めているのが見て取れる。
 僕はゆっくり動かしていただけの手のひらに力を入れ、お尻の肉を強くつかむ。
202書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/10/17(金) 21:11:11

「ひぁんっ」
 強い感覚に不意打ちを受け、おとがいを反らして、枕に埋もれていた愛理の顔が跳ね上がる。
 それを合図に、ベッドに上がった僕は、愛理の後ろから、お尻を強く揉んだ。形が変わってしまうほど強く、
しかし、肝心のところには触れないように。
「やぁぁあっ、あっ、ぁあんっ」
 痛がっているのでも、嫌がっているのでもない。
 甘く淫らな声が、大きく開かれた口から飛び出す。
 激しく揉んでいるうちに、下着がずれて、ほとんどTバックのような状態になり、お尻が露になる。直接触れ、愛撫する。
 愛理のお尻を、小さく、形良く、引き締めている筋肉は、弾力と柔軟性を兼ね備えている。
 張りのある肌が、手のひらを撫でてくれるようで、心地良い。今までこの手が触れたものの中で、一番だと断言できる。
 パン生地を捏ねるように強く揉んでいると、汗ではない湿り気が、指先に触れた。
 太ももの狭間が、じっとりと湿った空気を漂わせている。
 その発生源である、秘密の場所を、下着越しに撫で上げた。
「やあぁんっ」
 びくんっ、と背を反らして、反応する愛理。
 秘裂に沿って指を上下に動かすと、それに合わせて嬌声を上げる。まるで楽器を奏でているようだ。
「や、ぁああっ、あぁんっ、ああぁっ」
 布地で粘膜を擦るようにすると、奥から溢れてきた液体が、下着に染みこむ。
 愛液の染みは、あっという間に広がって、下着越しの僕の指を濡らした。
 愛液をたっぷり含んだ下着をずらし、秘裂を露にする。
 ピンク色の綻びから、とろとろと、いやらしい液体が垂れてきた。
 僕はそれを中指ですくい上げて、粘膜の奥へ戻してやる。
「ゃ、やあぁんっ、ヤぁっ、や……ふあぁっ!」
 自分の中に進入してきた異物に、熱い膣壁を吸い付かせながら、体を震えさせる愛理。
 根元まで飲み込まれた指で、奥を掻き回してやると、ぐちゅぐちゅと淫らな音が奏でられる。
 柔壁を指で擦ってやると、捉えようとするかのように、きつく締め付けてくる。
203書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/10/17(金) 21:12:13

 しかし、愛液のぬめりが強く、動かすのに不自由はない。むしろ、密着度が増した分、強い刺激となって愛理を快感が襲う。
 奥の方を掻き回していた指を、入り口の方に戻して、人差し指を添えて、もう一度奥へと潜り込ませる。
「や、ぁああっ! ああぁんっ! ぅうっ、ふぅっ、ぁあああぁっ!」
 愛理の口から、淫らな鳴き声が響く。
 甘く熱い、卑猥なその声は、愛理の興奮をそのまま表すかのように、高くなっていく。
 2本の指が体内でうごめいて、熱い快感を愛理に与え続ける。
 膣壁を擦りながら、激しく出し入れされる指に、愛理が悶える。
「ふぁ、ふぁあぁっ、も、もうッ、ダメ、──ッ!!」
 言葉にならない悲鳴を上げて、おとがいを反らした愛理が硬直する。
 粘膜が激しく、搾り取るようにうごめいて、指を締め付けた。
 指を捕らえていた膣壁が緩められると、同時に愛理の体が弛緩する。
「気持ち良かった?」
 わかりきったことを聞いてみると、ぼんやりと瞼を開けた愛理が、僕の目を見て、こくり、と頷いた。
「愛理ので、こんなになっちゃてるよ」
 愛液に塗れた指を目の前に持っていってやると、恥ずかしそうに眉尻を下げ、照れ笑いを浮かべる。
 そこにさきほどまでのいやらしさは微塵もなく、僕の台詞を「その髪型、似合うね」と変えても、違和感なく当てはまりそうな表情だった。
 しかし、愛理の甘い熱に酔っている僕は、さらに淫らな姿を見たいと思ってしまった。
 愛理の唇に、液体で光る指を寄せて、
「きれいにして」
 愛理は一瞬、戸惑ったように瞳を揺らすけれど、おずおずと唇を開いた。
 舐め取ってくれるのかと思ったけれど、愛理は、もっといやらしいことを考えてくれたようだ。
 ぽっかりと開いた入り口に、2本の指を挿入する。
 温かな粘膜に包まれた指に、ぬめりと取ろうと小さな舌が、懸命に絡み付いてくる。
 熱心に舌を動かし、時には首を前後に動かしさえする。
 愛液の代わりに唾液で濡れて、再び聞こえる淫らな水音。
 上下の粘膜に指を愛撫され、興奮を堪えることが出来なくなる。
204書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/10/17(金) 21:12:44

 口の中から指を引き抜くと、愛理は飴を取り上げられた子供のような表情で、僕を見上げた。
「まだ舐めてたかった?」
 愛理はそれには頷かず、ただ僕を見つめるだけ。
「それとも、もっと他のものがいい?」
 愛理の瞳が期待に揺れ、顎を小さく引いて頷いた。
「じゃあ、愛理のほしいもの、自分で出して」
 ベッドの上に尻をつけ、腰が前に出るように背後に両手を突いて体を支える。
 愛理は、だるそうに体を起こし、はにかんだ様な表情で、体の向きを変えた。
 手を伸ばして、よどみのない手つきでベルトを外し、ボタンもファスナーも下ろしてしまう。
 待ちきれない、と言った様子で下着を引き下げ、膨張したペニスを露出させる。
 愛理の痴態で興奮し、快楽への欲望が詰まったペニスを見、愛理の眼が輝いた。
 外気と愛理の瞳に晒され、むず痒い感覚が背筋を這い回る。
 片手を男性器の根元に添えて、僕を窺うように見上げる愛理。
 小さく頷いてやると、“待て”を解いてもらった仔犬のような表情を浮かべた。
 根元からウラスジを舐め上げて、亀頭に触れる直前で舌を離す。
 再び根元に戻って、少しずらした位置から、ペニスに舌を登らせていく。
 とろとろと溢れてきた唾液を塗りつけて、滑りやすくなる。
 舌先が亀頭に、触れるか触れないかと言うところで離れていくので、強い刺激が得られない、じれったい快感。
 もっとしてほしい。
 そんな感情が、顔に表れたのか、愛理は僕を見上げてくすりと笑い、固く膨らんだ肉の塊を、小さくて愛らしい唇で飲み込んでいく。
 口の中で、舌が動き回り、亀頭やウラスジに、ざらざらした表面をこすり付けられる。
 求めていた強い刺激を与えられ、快感が加速する。
 肉棒を強く締め付けながら、往復する唇。
 陰嚢を弄ぶ、しなやかな指。
 時折、根元まで飲み込まれ、柔らかい喉に亀頭が締め付けられる。
 可憐な愛理の外見には不釣合いな、淫靡な技術。
205書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/10/17(金) 21:13:17

 愛理の上の粘膜によって高められていく僕は、津波のように押し寄せる快感に、目眩を起こしそうだった。
 愛理は、自分の口技で蕩けた顔をしている僕を見て、嬉しそうに上目遣いで見つめている。
 眼を合わせたままで、頭を動かす。
 あと数回、唇が肉棒を往復したら、限界を迎えるだろう。
「愛理、もう、イキそう」
 乱れた呼吸を押さえつけて、なんとかそれだけ告げる。
 愛理はペニスを口中から解放し、
「お口で、イってくれる?」と首を傾げておねだりしてきた。
 普通は男の方から、口に出させてほしい、とお願いするのだろうけれど、僕たちの間ではそういったものが、しばしば逆転する。
「愛理の口でイかせて」
 こちらからもお願いすると、愛理は口角を吊り上げて笑い、肉棒を再び、口の中に含んでいった。
 自分の口の中で、快感に震えるペニスを、唇で強く締め付け、精液を搾り出そうとするかのように、尿道を吸い上げる。
 下腹部にこみ上げてくる快感を、抑えることが出来なくなる。
「愛理、イクよっ」
 言葉が終わるより早く、脈動が始まった。
 肉棒が快感にのたうちながら、愛理の口の中に欲望の塊を放つ。
 口中に放出する快楽は、膣内に出すのとは違う愉悦をもたらしてくれる。
 やがて射精が落ち着いてくると、尿道に残った精液を吸い上げ、こくり、と細い喉を鳴らして飲み込んだ。
「いっぱい出たね」
 無邪気で愛らしい少女の笑みを浮かべ、愛理が言う。
「愛理が気持ちよくしてくれたからだよ」
 そう言ってやると、笑顔が照れ笑いに変わり、その表情を隠そうと俯いた。
 俯いたまま愛理は、上目遣いでチラチラと僕を顔を窺う。
 言葉にしなくても、愛理の言いたいことが伝わる。
「服、自分で脱ぐ?」それとも、と続けようとした途端、
「脱がせて、ほしい」愛理がそれを遮った。
 僕を気持ちよくした、そのご褒美に、今度は気持ちよくしてほしい。
 愛理の瞳の奥に灯る光は、そんな淫らなおねだりを訴えて揺れていた。
206書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/10/17(金) 21:13:50


207書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/10/17(金) 21:14:28


 瞼を開けると、目の前に愛理の寝顔があった。
 僕の腕を枕にして、安らかな寝顔の愛理。
 お互いに何も身につけていないので、肌に直接、愛理の体温を感じる。
 胸の奥まで暖めてくれるような温もり。
 首をめぐらせて時計を確認すると、夜が長くなったこの季節では、日が昇るにはまだ遠い時間だった。
 僕は再び、あどけない表情で眠る愛理に、眼を向ける。
 愛しい人。
 最愛の女性と、揺らぐことのない気持ちで言える。
 ただ好き合うだけでは、心だけでは足りなくなって、体のつながりを求めてしまった僕たち。
 けれど。
 僕たちは、世界中にいる恋人たちのようなゴールには、決してたどり着けない。

 日本の法律では、叔父と姪は結婚できない。

 僕たちはどこに向かえばいいんだろうか。
 ただお互いに、好きという思いだけを抱えて。

 僕はこの世界で一番大切な人の頬を撫でた。
 時間が止まってしまえばいいのに。
 空しい願いが、秒針に切り刻まれる。

208fus i anasan:2008/10/17(金) 21:41:21
キタ−!!(゜▽゜)
209書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/10/17(金) 22:16:33
ごぶさた・・・という挨拶がすっかり・・・定番に・・・
・・・一度・・・書けなくなると・・・どうしても・・・長引いてしまう・・・
・・・すみません・・・嫌いと言われても・・・当然です

梨沙子の続編は考えておりません。私の中では完結してしまっているので…
ちなみに物語の展開と現実の時間を照らし合わせると、梨沙子とおにいさんは離れ離れ中。

・・・そしてまた・・・規制に引っかかる・・・
210fusianasan:2008/10/18(土) 01:08:19
書く人さん来てたあああああああああああああああああああああああああああああああああああ
数ヶ月ぶりでも書いてもらえれば満足です!
211fusianasan:2008/10/18(土) 02:15:47
この展開は一話から薄々気付いていたとはいえ…切ねぇ…
212fp2-user: 214282 p2-client-ip: 210.238.82.130:2008/10/18(土) 02:17:14
書く人さんの作品は毎回ほんと楽しみ
213fusianasan:2008/10/21(火) 22:45:17
|д゜)・・・来てたのね。乙。
214fusianasan:2008/10/27(月) 12:43:19
書く人さんありです
215fusianasan:2008/11/05(水) 03:58:03
保守
216fus i anasan:2008/11/12(水) 11:56:58
保守
217fusianasan:2008/11/17(月) 00:55:01
エロゲスレ、両方ともまた落ちてるな
もうここの板に引越したほうがいいんじゃないか?どうせ住民一緒なんだしw
218fusianasan:2008/11/25(火) 00:33:50
寒い
219fusianasan:2008/12/02(火) 01:43:55
師走突入
220fusianasan:2008/12/02(火) 01:44:55
エロゲスレってなんだ
221fusianasan:2008/12/03(水) 10:48:19
狼のベリキュー小説スレ
222fusianasan:2008/12/07(日) 19:43:47
一応保守
223fus i anasan:2008/12/11(木) 11:16:20
まだまだ保守
224書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/12/14(日) 08:38:52

 僕は逃げていた。
 見慣れた通学路をパジャマ姿で、必死になって逃げていた。
 すぐ後ろに迫っている気配を感じ、全力疾走しているはずのだけど、体は水の中にいるようになかなか進んでくれない。
 僕を追いかけてくるものは、どんどん迫ってくる。
 それが近づいてくる存在感と圧迫感は強くなる一方で、僕は足を止められない。
 重い手足を力任せに動かして走っていると、僕の名を呼ぶ声が聞こえた。
 聞き覚えのある声。
 遠くから風に運ばれた声は、優しく、甘く、大きくはないけれど、確かに僕の耳に届いた。
 救いを求めるように、声の聞こえた方向へ走る。
 いつの間にか僕は、森の中を走っている。
 うっそうと生い茂る木々は、迷宮のように行く手を阻み、惑わし、なかなか奥へと入っていけない。
 優しい声が、再び、僕の名前を呼んだ。
 瞬間、視界を遮る樹木の壁が開け、光に目が眩む。
 細めた眼に、陽光の中心に立つ人影が映る。
 きらきらと光を纏って立っているのは、制服姿の梅田えりかさんだった。
225書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/12/14(日) 08:39:25

 慈愛に満ちた微笑を浮かべ、僕に向かって腕を広げている。
 誘われるように、誘われるままに、僕は足を踏み出す。
 さっきまでは何かに邪魔されて、なかなか進まなかった足が、不思議なほどに軽く、
宙を踏むような、吸い寄せられるような足取りで、えりかさんの胸に飛び込んだ。
 くしゃり、と百合の造花がつぶれる感覚。
 そして、ようやく気づく。
 これが夢だと言うことに。
 卒業したえりかさんが、僕の通う学校の制服を着る必要がないし、それに、胸に百合の造花を飾るのは、卒業式の日だけだ。
 夢だと気づいた僕は、恥も外聞も捨て、えりかさんの胸に顔を埋める。
 えりかさんは僕の頭を優しく抱きしめてくれて、胸の膨らみに押し付けられた。
 固いはずの制服越しでも柔らかさが伝わってきて、僕はその心地よさに酔いしれる。
 頭を抱き寄せていた両腕を解放して、えりかさんが、両手で頬を包むように、僕の顔を上げさせる。
 見下ろすえりかさん。
 見上げる僕。
 視線が重なると、えりかさんが瞼を下ろし、唇を近づけてくる。
 僕もそれに応え、目を閉じた。
 押し付けられた柔らかい唇は、夢とは思えないほどリアルな感触だった。
 甘い香りが、鼻腔をくすぐる。
 半ば覚醒していた僕は、嗅覚を刺激されて、眠りの水底から、意識が浮上していくのを感じる。
 唇の感触だけは、くっきりと残したまま、僕は瞼を開いた。
226書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/12/14(日) 08:39:57

 目を覚まして、最初に視界に入ったのが何なのか、二重の意味で理解できなかった。
 寝起きの思考では、映像を理解する能力に欠けていたこと。
 その映像が意味することを、理解できなかったこと。
 一瞬、後。
 思考に膜を張っていた眠気が一気に弾け飛び、目の前のものを、梅田えりかさんだと認識する。
 瞼を下ろしたえりかさんが、僕に口付けしている。
 口を塞がれているので声をあげることが出来ず、体を硬直させて息を呑む僕。
 それに気づいて、えりかさんが瞼を開けて、微笑を浮かべてから唇を放す。
「おはよう」
 息がかかるほどの至近で、ささやく。
 女の子が持つ独特の甘い香りが、やや乱れた呼吸によって、肺へと取り込まれていく。
「お、おはよう……」ございます、と続けなかっただけ、僕は良くやったと思う。
 目を白黒させている僕を見たえりかさんが、
「眠り姫みたいだね」と、笑った。
 王子様のキスで目を覚ます、だったっけ。
 ということは、えりかさんが王子で僕がお姫様と言うことになる。
 女扱いされることには、釈然としないものはあるけれど、えりかさんに言われたのだから不快感はない。
 えりかさんが、笑顔のまま僕を見つめてくる。
 意識がはっきりしてきた僕は、だんだんと恥ずかしさが湧き出してきた。
 それをごまかす意味も込めて、疑問を口にしてみる。
「あの、ところで、なんで僕の部屋に……?」
「会いたくなって、来ちゃった」
 これから事務所に向かうけど、と微笑むえりかさん。
227書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/12/14(日) 08:40:30

 昨日の、深夜まで続いた電話で、仕事があるから会えない、と言っていたはずなので、仕事前に僕の家に寄ることにしたのだろう。
 それはわかる。理解できた。
 けれど、それより問題は、
「でも、どうやって……」動機ではなくて、手段の方だ。
「どうやってって……普通に、そこから」
 背後にある部屋の扉を示すえりかさんだったが、聞きたいのは、もう少し前のことだ。
「いや、あの、部屋にじゃなくって、うちにはどうやって? 鍵は?」
 かけ忘れていた、なんてことはなかったはずだ。
 仮に開いていたとしても、勝手に入ってきていいということにはならないけれど。
 戸惑う僕に、笑顔を返すえりかさんが、
「お母さんに開けてもらったよ?」と、こともなげに答えた。
 熱した鉄板の上に落とされた水滴のように、思考が一瞬で蒸発し、頭の中が真っ白になった。
 驚いていいのか戸惑えばいいのかわからず、目を白黒させている僕を、おかしそうに見下ろして、
「お付き合いしてますって、言ったら、驚いてたよ。あたしのこと言ってなかった?」笑顔の奥の瞳が、少し鋭くなった。
 何かを言おうとして、何を言っていいのかわからず、金魚のように口をパクパク開閉させることしか出来なかった。
 言葉が出てこない僕の代わりに、えりかさんが続けた。
「出かける前に顔を見に来ただけですって言ったら、寝てると思うけど寝顔でも見てやって、だって。面白いお母さんだね」
 息子の色恋沙汰に、異様に興味津々な母親なので、それくらいのことは言うだろう。
「お母さん綺麗だね。最初、お姉さんかと思っちゃった」
「そ、そう……かな?」
 以前にも何度か、同じようなことを言われたことはあるけれど、
生まれたときから母親だと認識していた人が綺麗とか若いとか言われても、ピンと来ない。
「お母さん似だったんだね」
 言いつつ、頬を撫でてくるえりかさん。
228書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/12/14(日) 08:41:02

 ぞわり、と、むず痒い感覚の波が、背筋を駆け下りていく。
 落ち着きつつあった呼吸が乱れ、えりかさんの頬にぶつかって弾けた。
 僕を見下ろす微笑に、妖しい色が混ざる。
 ねえ、と甘い吐息を混ぜた声で囁く。
「前に送った写メ、使ってくれた?」
 顔が熱い。真っ赤になっているのがわかるほど恥ずかしいのに、えりかさんの視線から目を逸らすことが出来ない。
 少し前に、えりかさんから送られてきた画像は、Tシャツの首を引っ張って、下着に包まれた膨らみを撮影したものだった。
 顔は写っていないものの、かすかに見切れた顎のラインや、手や爪の形は、間違いなくえりかさんだと判断できるものだった。
 えりかさん以外のものでオナニーしてはいけない、と釘を刺され、それを忠実に守っている僕は、
何度もその画像を見て、何度も性欲を吐き出した。
 えりかさんは僕の答えを待って、沈黙している。
 目が離せないまま僕は、小さく頷いた。
「嬉しいよ」
 妖しく微笑んだえりかさんに、唇を押し付けられる。
 あの画像を思い出し、えりかさんの甘い匂いと唇の柔らかさに刺激され、欲望が反応しないわけがなかった。
 布団に隠れて固くなったペニスが、詰まった捌け口を求めている。
 それを察したように、あるいは予想していたのか、えりかさんの手が布団の中に潜り込む。
 体を撫でながら滑り降りていき、肉欲で膨張したペニスに達する。
 えりかさんの手が、焦らすように、パジャマ越しのペニスを優しく摩る。唇が離れる。
「見てもいい?」
 問いかけるえりかさんに、僕は頷く以外の答えはなかった。
 布団をめくられ、押し上げられたパジャマを下ろされて、充血したペニスが晒される。
 えりかさんの蕩けた視線を向けられ、固くなっていたペニスに、さらに血が集まってくるのを感じる。
 いったん離していた手で、ペニスを包み込む。
「ふ、ぅ……」
 あまりの気持ち良さに、思わず息が漏れた。
229書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/12/14(日) 08:41:41

 そんな僕を見て、嬉しそうな表情で笑うえりかさんが、ペニスに密着した手を上下に動かし始めた。
 えりかさんの手で精通してから、何度となく自慰をしてきたけれど、自分の手とは快感の量も質も比べ物にならない。
 羞恥と興奮の熱に茹った思考で、自分のペニスと上下に動くしなやかな手と、
それを見つめるえりかさんに、ぼんやりと眼を向けていた。
 えりかさんの頭が、ゆっくりと僕の下半身に近づいていく。
 快楽物質に浸った脳では、何をしようとしているのか、何をされつつあるのか理解できなず、ただ見ていることしか出来ない。
 え、と思った瞬間、戸惑いは快感にかき消された。
 大きく膨らんだ亀頭に、えりかさんの唇が押し付けられる。
 手とは違った感触に、目が眩む。
 今までとは違う感覚に驚いていると、えりかさんは舌を出して、根元からペニスを舐め上げた。
 ぞわわ、と脊髄を駆け上る快感の信号が、脳を激しく揺さぶる。
 手よりも熱く、柔らかい舌が、僕の快感の中枢を舐め上げ、唾液が塗りつけられる。
 亀頭のくびれの溝に沿って、丹念に、綺麗に掃除でもするように舌が這い回り、ようやく言葉が出てくる。
「そんな……汚い、から……っ」
 制止するようなことを口にするが、頭の中は快楽でいっぱいになっており、
興奮に震えた声では全く、説得力が感じられないだろう。
「汚くなんかないって。綺麗だし、美味しいよ」
 上目遣いで僕を見るえりかさんの表情からは、冗談なのか本気なのか読み取れない。
230書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/12/14(日) 08:42:13

 けれど少なくとも、止める気はないらしい。そのことに安心している自分がいる。
 えりかさんは、そんな俺を見透かしたように微笑み、唾液に塗れた欲望の塊を、飲み込んでいく。
 柔らかい唇に締め付けられ、熱い粘膜に包まれ、ぬめる舌に愛撫され、息苦しくなるほどの快楽が、脳を駆け巡る。
 ペニスの根元に、熱いものがこみ上げてくるのを感じる。
 えりかさんは、それを吸い出そうとするように、激しく頭を動かす。
「もう、イキそう……っ」
 喘ぐように言うと、えりかさんは微笑をたたえたままの目元で僕を見上げた。
 優しく、妖しく、愛しいものを見つめる瞳。
 僕だけが、映っている。
 このままイっていいよ、と言っているように、さらに激しく尿道を吸い上げ、根元を握って擦る。
 少しでも長く、この快感を味わいたかったが、尿道口を舌の先端で刺激されると、こらえ切れなくなった。
 押し込めていた蓋を突き破るように、精液がペニスの中を駆け上がる。
 外に飛び出した精液は、そのままえりかさんの口の中を満たしていく。
 射精している間も、暴れまわるペニスが舌や頬の内側に擦れて、くすぐったいような快感をもたらす。
 いつもよりもずっと長い間、精液を吐き出し続けていたペニスが、ようやく動きを止めると、えりかさんが顔を上げた。
 それまで僕に、覆いかぶさるようにしていた体を起こす。
 口を噤んでいるので、精液を含んだままなのがわかる。
231書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/12/14(日) 08:42:44

 吐き出せるように、ティッシュを取ろうとした僕だが、ノックの音がそれを遮った。
 返事もしていないのにノブが回ったのが見えて、慌てて布団をかぶる。
 扉を開いて現れたのは、母親だった。
「あんた、まだそんな格好してるの?」
 失礼でしょう、と眉を寄せるが、こっちはそれどころじゃなかった。
 母親には背を向けているので、えりかさんの表情は見えないが、口の中のものを何とかしないといけない。
 ティッシュを渡そうにも、母親に見られたら不自然に思われるし、何をしていたのかもばれてしまうかもしれない。
「な、なに?」
 とになく、この場を何とかごまかそうと、時間稼ぎに問いかける。
「梅田さん、これから買い物に行くんだけど、車だから、良かったら駅まで乗ってく?」
 僕に何か用があるのだろう、と思ったが、違っていた。
 やぶへびってやつだ。
 どうしようか。
 慌てた表情が浮かびそうになるのを、必死で押さえていると、えりかさんの喉が、こくり、と動くのが見えた。
 まるで、僕の思考も飲み込まれてしまったように、真っ白になる。
 えりかさんは立ち上がって振り返り、
「ありがとうございます。じゃあ、お願いします」と、はっきりした声で答えた。
 呆然とする僕に、
「また連絡するね」と声をかけるえりかさん。
 辛うじて、というか、半ば自動的に頷くと、母親とともに部屋を出て行った。
 1人取り残された僕は、しばらく電池の切れたおもちゃのように、微動だに出来ずにいた。
232書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/12/14(日) 08:43:16

 車が発進する音が聞こえて、ようやく硬直が解ける。
 空手の稽古の後とは違う種類の疲労感が、全身に圧し掛かっている。
 体中の力が全て、外に流れ出てしまったように、気だるい。
 ベッドに倒れこんで、ぼんやりと天井を見上げた。
 えりかさんが何を考えているのか、僕にはわからない。
 性別か年齢か、それともえりかさんの個性か、何に起因しているのかはわからない。
 ただ、えりかさんが僕のことを好きでいてくれるのは、痛いほど伝わってくる。本当に痛いほど。
 それはとても大きくて、その分とても重い。
 今はまだ、それを支えきる自信がなくて、時には、書庫で告白されたときのように逃げたくなってしまうこともある。
 そういえば。
 何か夢を見ていたはずだけど、目覚めの衝撃が強すぎて、よく覚えていない。
 確か、えりかさんが出てきたような気がする。
 どんな夢だったろうか。
 えりかさんに助けられたんだっけ。
 それとも……追いかけられていたんだっけ。

233書く人 ◆ZBov0fGF0M :2008/12/14(日) 08:46:34
日曜の朝から・・・
お久しぶりです・・・なんとか書きあがった・・・
・・・と思ったら・・・またフェラか・・・・・・

おそらく年内は最後になりそうです
皆様良いお年を
234fusianasan:2008/12/14(日) 21:11:29
書く人さん来てたー!
乙です
09年も引き続き良作を書いてくれる事を期待してます
235fusianasan:2008/12/15(月) 21:50:45
= n n
=( ☆ノハヽ
= ヽっ*´∀`l|っ 新作キテタ━━━━━━━━━━!!!!!
236fusianasan:2008/12/16(火) 10:52:11
ε=\_○ノヒャッホーウ!!
237fusianasan:2008/12/23(火) 21:51:31
Buonoのエロ小説書いちゃおうよ!!!!
http://mamono.2ch.net/test/read.cgi/zurui/1224069933/
238fusianasan:2008/12/30(火) 05:50:15
自慰ショック見れなくなってる(;ω;`)
239fusianasan:2008/12/30(火) 09:00:16
自慰ショックは一部作品は元々なぜかみれないよ
過去スレのログの方も33までともしも熊井友理奈が超高級ソープの姫だったらの3のログまでしか見れないし
240fusianasan:2009/01/02(金) 12:26:42
明けまして今年も良作期待保全
241えごま ◆tjbHwn/23k :2009/01/02(金) 13:45:11
遅くなりましたが、あけましておめでとうございます


自分のこと覚えてる人って、一人でも居るのかなぁ
いないかもなぁ(;´Д`)
だいぶ久しぶりなんですが、ふと、ここの存在を思い出しまして、書き込ませてもらいました
当方、受験生につき2月過ぎからまた書き始めようと思ってますんで、どうぞその際には、お手柔らかに…



今回は、ご挨拶までとさせていただきます
本年も皆様にとって良い年になりますように…
242fusianasan:2009/01/02(金) 23:27:49
覚えてるぞ!待ってるぞ!
243fusianasan:2009/01/07(水) 00:22:14
七草粥保全
244fus i anasan:2009/01/17(土) 02:01:55
保全
245fusianasan:2009/01/19(月) 18:09:03
書く人さん…
246fus i anasan:2009/01/26(月) 13:43:16
保全
247fusianasan:2009/01/27(火) 20:48:19
帰ってきた!!Berryz工房のエロ小説を書こうよ!!48.7
http://ex19.2ch.net/test/read.cgi/morningcoffee/1166707610/
を見れる場所かdat持ってるかたいませんか?
248fusianasan:2009/01/29(木) 01:41:51
分からない
249書く奴:2009/01/29(木) 17:26:42
Buonoのエロ小説スレで一作書いてみました。今度はこちらにお邪魔します。
気に入っていただければ幸いです・・・・・・・
*****************************************

「菅谷」
学校裏の階段に隠れるように座る一人の少女の後ろ姿を見つけ、俺は声をあげた。
パッと少女が振り返る。その顔は極上の笑顔が浮かんでいる。
俺は菅谷の元へ近付き、菅谷を見下ろした。
「久しぶりだね」と彼女が笑う。この笑顔を見る為ならどんなことでもやってみせる、という気持ちになる。
「今日は仕事無いんだ?」
菅谷はクラスメイトだが芸能界で仕事をしている。Berryz工房というグループに所属していて多忙な毎日だ。
「うん。また明日からレッスンなんだけど、今日はオフ」
「じゃあ久しぶりにゆっくりできるな」
俺と菅谷は付き合って三ヶ月になるが、なかなか一緒の時間がとれず、発展しない関係を続けている。
菅谷の方はどう思ってるのだろうか。俺はいつも、(悪いと思いながらも)そういうことを期待してしまっている。
「今日はさ、ヒロくんチ行きたいな」
「え!」
「ダメ?」
「ダメじゃないけど・・・俺んチ今日誰も居ないんだよ」
菅谷はきょとんとした顔でこっちを見つめている。白い肌が寒さで赤く染まり、菅谷を少し、色っぽくさせている。
俺は故意に目を逸らした。
「行っちゃダメなの?あたしのこと嫌い・・・・?」
そんな訳ない!
「そんな訳ない!・・・けど。だって、ほら、二人きりになるからさ・・・」
菅谷は「ああ」と頷き、俺の手を握った。
「菅谷はそういうつもりなくても、俺絶対我慢できないから・・・」
小首をかしげ、菅谷は俺の顔を覗きこんだ。
「そういうつもり・・・なんだけど、な」
250書く奴:2009/01/29(木) 17:42:54



俺の部屋に、菅谷が座っている。
それだけでもう十分に緊張していた。
菅谷はそんな俺の気持ちを気付いているのかいないのか、熱心に漫画を読み続けている。
時折、菅谷が笑い声をたてるが、それにさえ大きく反応してしまう。
やっと菅谷が一冊読み終わり、漫画を床に置いた。
「これ、面白いね」
「あ、うん。だろ?」
「続き出たら貸してね」
「分かった」
とは言ったものの、本当はその漫画の続きはもう発売されていた。俺の部屋の本棚にはそれの二巻がばっちり収納されている。
しかしここで二巻を渡せば間違い無く菅谷は続きを読み出すだろう。
俺はどうしても、今日、菅谷にキスをするつもりだった。
「どうしたの?急に黙って」
「いや!なんでもないよ」
「ふーん」と菅谷が膝を立てた。体操座りのような体勢だ。
菅谷の制服のスカートは短く切られているので、その体勢になると正面に座る俺の位置からはパンツが丸見えだった。
形の良いふっくらとした太ももの奥に、ピンク色の布が見える。
俺はそこから目が離せなくなってしまった。
さすがに菅谷もその視線に気付き、足を伸ばした。
俺が残念そうな顔を見せると、「ふふふ」と小さく微笑んだ。その笑顔は、今までのあどけない笑顔とは違って見えた。
「もっと見たいの?」
菅谷の微笑が近付いてくる。息がかかるほどの距離で、俺の顔をじっと見つめている。
そんな風に迫られたら「うん」と言うしかない。
「じゃあ、キスしてくれる?」
と菅谷は囁いた。
俺はその甘い誘惑に誘われるように菅谷の唇に自分の唇を合わせた。柔らかい、蕩けるような熱を帯びていた。
「それだけでいいの?もっと、あたしのこと触りたくない?」
251書く奴:2009/01/29(木) 17:51:08

完全に菅谷のペースに乗せられている。
俺は形勢を変えたく、「菅谷は?」と聞き返した。
予想外の返答だったのか「え?」と菅谷は目を開いた。
菅谷は一瞬躊躇う表情を見せたが、軽く唇を舐めると、「しよ?」と言った。
その言葉に保っていた理性が飛んだ。
俺は菅谷の唇に吸い付いた。細い肩を抱きしめ、ぐっと体を引き寄せた。菅谷の大きな胸が俺の体に押しつぶされた。
菅谷の唇を必死に舐めた。こんなに柔らかいものがこの世にあるのかと思うほど、菅谷の唇は濃厚だった。
次第に菅谷の口が割れ始め、俺の舌の進入を許した。
熱い息が俺の口の中に広がった。
菅谷の舌も俺に絡みつこうと動いていた。
それに応えようと、俺は菅谷の舌を裏から舐めた。初めて感じる感触だった。
少しざらつきのある菅谷の舌に、自分の舌が張り付き、甘い感覚が背中を上ってきた。
それは菅谷も同じらしく、しきりに体をずらそうと俺の腕の中でもがく。
しかし俺はそれに気付かないフリをして、尚も体を強く抱きしめた。
菅谷が動くおかげで、胸が俺の体を刺激する。
252書く奴:2009/01/29(木) 18:03:27
堪えきれず、右腕を解き、菅谷の胸を掴んだ。
中学生だとは思えないほどの弾力があった。
「んあ!」と初めて菅谷が喘ぎ声らしいものをあげた。
俺は顔を離し、菅谷の制服を脱がした。Yシャツのボタンがもどかしく、外すのに手間取った。
Yシャツを脱がすと、先ほど見たピンクと同じ色のブラジャーがそこにあった。
カップからはみ出さんばかりのたわわな胸が白く輝いている。
両手で胸を掴み、ゆっくりと感触を確かめた。
跳ね返しそうなほどの弾力に惚れ惚れしながら、手の中で胸の存在を目一杯に感じた。
時折菅谷が「んん」という甘い声をあげた。
しばらくすると、カップの中に小さなしこりが出来始めた。
乳首が立ってきたのだ。
感じている。自分の愛撫に菅谷が感じているのだと思うと、俄然勇気が沸いた。
ブラジャーの上から乳首をつまんだ。
菅谷の体が激しくしなった。
「ああん!」
「ごめん。痛かった?」
「ううん・・・気持ちいよ」
と頬を染めて菅谷が応える。愛しい、と感じた。
俺は背中に手を回し、ホックを外した。何の抵抗も無く、ブラジャーは床に落ちた。
これが、菅谷のおっぱい・・・・。
他の女のものなんて見たことも無いが、きっと世界で一番美しいのだろうと思った。
俺は乳首にそっと口を近付けた。
舌を伸ばし、ピンと張った乳首を舐めた。
「あっ!」
甘い声だった。俺は更に乳首を口に含み、口の中で転がした。
その度に菅谷は「んん!あぁ!あん!」と反応を返してくれる。
253fusianasan:2009/01/29(木) 18:11:47
まず下げろ
254書く奴:2009/01/29(木) 18:15:40
可愛くてつい熱心に舐め続けてしまった。
俺はふうと息をつき、スカートに目をやった。
菅谷の方を見てみると、虚ろな目で俺を見ていた。
俺はスカートの中に手を伸ばし、目的地へと進めた。そこは、ぐっしょりと湿っていた。
「すごい・・・濡れてる」
「そんなこと言わないでよ!ばか!」
俺は一番濡れが激しい部分を指で撫でてみた。「んあ!」と菅谷が声をあげた。
「ここ、気持ちい?」
「うん・・・」
俺はパンツを一気に引き抜き、菅谷の足を広げさせた。
スカートの奥に、先ほどとは違う繁みが見える。
俺はスカートに顔を突っ込み、濡れている場所に舌をあてた。
しょっぱいような、甘いような味がした。
「やだ・・・汚いよ・・・」
「汚くないよ。おいしい」
俺は溢れくる愛液を啜り取った。菅谷の声が一段と激しさを増す。
「あん!あ!やぁ!ああん!」
割れ目の先端に蕾を見つけ、それも吸ってみた。
「ああああ!ダメ!イッちゃう!」
菅谷の声を無視し、俺は蕾を吸い続けた。
「ああ!あん!いや・・・・あああああ!イク!!」
と絶叫し、菅谷の体が痙攣した。イッたみたいだ。
255書く奴:2009/01/29(木) 18:31:43
俺はスカートから顔を抜き、菅谷を見てみた。
ぐったりと体を横にし、肩で息をしている。熱い吐息が聞こえる。
「イッた?」
菅谷はガクガクと頷いた。
俺は軽くキスをし、「挿れていい?」ときいた。菅谷小さく「うん」と答えた。
スカートを脱がし、菅谷を裸にした後、自分も裸になった。
ずっと堪えていたせいでパンツに我慢汁が染みていた。
菅谷は俺のモノを見ると、「すごい・・・」と声を出した。
「じゃあ、挿れるね」ともう一度菅谷の足を開き、割れ目に押し付けた。
菅谷は「んッ」と痛そうな表情を見せたが、それも一瞬だった。
ゆっくりと、俺のモノが菅谷の中に埋め込まれていく。
感じたことのない肉圧に、声が出た。
モノが全部入った時、菅谷が処女じゃなかったことに気付いた。
「初めてじゃないんだ」
「幻滅する?」
「しない」
する訳無い。こんな快感を感じたらそんな気は微塵も起こらない。
菅谷の肉壁がぴったりと俺のモノにくっつき、少しでも身動きしたらイキそうだった。
息を整えてから、ゆっくりと腰を振った。
「あ、あ、あ」と動きに合わせて菅谷が啼く。
腰を振りながら胸を掴んだ。「んん!」と声があがった。
俺は少しずつ腰の動きを速めた。
「ああ!あん!んん!あぁ!ああ!」
先端がぶつかる程強く腰を押し出した。
「いやぁああ!あああ!壊れちゃうよぉ!!ああん!」
俺は必死に腰を振り、気持ちをぶつけた。
「いやん!やぁ!イク!イク!イク!イク!」
最後の力を振り絞った。
「ああああああああ!イッちゃう!イッちゃう!あああん!イクーー!!」
菅谷が絶叫した。
256書く奴:2009/01/29(木) 18:33:28



ことが終わり、俺と菅谷は寄り添って寝た。
ずっと、この時が続けばいいと、思った。
俺は菅谷が起きる前に転入届けを机にしまった。



*********************************
以上です・・・・・
お目汚しですいません・・・・・・
好評ならばまた書かせていただきます・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

257fusianasan:2009/01/29(木) 19:36:51
またお願いします
258fusianasan:2009/01/30(金) 20:59:48
転入届けの意味がわからん
259fusianasan:2009/01/30(金) 21:43:42
確かにイミフだな
書いたあと読み直さなかったのかな

あとエロ小説スレはひっそりsage進行がルール
そこんとこヨロシク
260サディスト:2009/02/03(火) 19:30:06
あまり上手くも無いし、一日ずつですが、書いてもよろしいでしょうか?
261fusianasan:2009/02/03(火) 22:04:42
作品は楽しみですが、sageてください
262fusianasan:2009/02/07(土) 07:02:35
>>256
乙です
全文読んだが俺的には菅谷のイメージがちと違う感じかな
大人しいつうか謙虚な感じの子がよかったかな(個人的想像なんでしょうがないか)
挿入からの描写はもう少し書いて欲しかった
出来れば彼が終わった後のお互いの心境も書いてくれたらGood
次も楽しみにしてます
263fusianasan:2009/02/10(火) 00:17:00
書く人さんはそこらへんの書き方が丁寧だね
だから妄想しやすい
264CAROL ◆MaasaKonF. :2009/02/19(木) 14:29:20
まだ続いているスレがあった…


|ω・`) コソーリ
みなさま御無沙汰しております
お元気でいらっしゃいますでしょうか…
265fusianasan:2009/02/19(木) 23:59:31
ゲンキダヨ
266書く人 ◆ZBov0fGF0M :2009/03/01(日) 23:58:30

 足元のボールを、軽く蹴る。
 ゆっくりと転がって、正面に立つ岡井千聖が、足の裏で止めた。
 千聖はそのまま、足裏でボールをキープしつつ、距離を取る。
 俺は慎重に距離を詰めながら、千聖の一挙一動から目を離さない。
 千聖の表情は真剣そのもので、愛らしい顔の造りには似つかわしくない、鋭い気配が伝わってくる。
 肩まで届くようになった髪は、邪魔にならないように、ゴムで1つに束ねられている。
 不意に、千聖の目が左に動いた。
 それを見て、俺は右足に体重を移動させる。すると、目は左を向いたままで、右側にボールを蹴りだした。
 ボールを追いかけて千聖が走り出す。
 しかし、そんな単純なフェイントには引っかからない。
 体重の乗り切っていない右足で地面を蹴り、千聖の前に飛び出し、行く手を塞ぐ。
 慌ててボールを押さえようとする千聖だったが、もう遅い。
 千聖の足が届く前に、俺のつま先がボールをとらえ、明後日の方角に転がっていった。
「もぉーっ!」
 背後に走り去っていくボールを見、地団駄を踏む千聖。
 膨らんだ頬が、先ほどまでの鋭さを消して、本来の愛らしさをアピールしている。
 俺は勝者の笑みを浮かべ、
「はい、負けた方が取りに行く」小さくなっていくボールを指差した。
267書く人 ◆ZBov0fGF0M :2009/03/01(日) 23:59:03

 大きく溜息をついて、肩を落としながらもボールを追いかけていく千聖。
 遠ざかっていく背中を見ながら、俺も大きく息を吐き出した。溜息ではなくて、単純に息が上がってきた。
 数年前までは感じなかった、体の重さ。
 鈍っているのを実感して、情けない気持ちになった。
 肩を上下させながら息を整えていると、ボールを蹴りながら、千聖が戻ってくる。
「コーチぃ、もっかい!」
 汗ばんではいるものの、かすかも疲れた様子を見せない千聖が、人差し指を立てた。
「もういいだろ……」
 弱音とともに溜息を吐き出すと、眉を吊り上げた千聖が、
「だめ! もっかい! もう1回だけ!」と、俺の足元にボールと転がす。
「もう1回って、何回言ってんだ」足裏でボール受け止めつつ、言う。
 しかし千聖は聞く耳持たずで、ボールが俺の足元を離れるのを待っている。
 溜息をつきながらボールを蹴りだす。
 そして思う。
 きっと、千聖が勝つまで続けるのだろうな。


268書く人 ◆ZBov0fGF0M :2009/03/01(日) 23:59:42



 ゆっくりとドリブルで近づいてくる千聖。
 疲労がまとわりついた、重い体でそれを待ち構える俺。
 不意に、千聖は大きく脚をバックスイング。
 思いっきり蹴って一気に俺を抜こうとしている、のかと思いきや、
足が触れる寸前で勢いは失われ、ボールは右足のインサイドで真横に転がった。
 いかに疲れているとはいえ、その程度のフェイントにはかからない。
 ボールを追って踏み出す俺だったが、千聖の右足が地面をつかむように踏みしめられ、
同時に振り上げられた左足が、逆方向にボールを蹴りだしていた。
 急制動をかけようとしたけれど、疲労の溜まった脚では体重が支えきれず、倒れないようにバランスを取るだけで精一杯だった。
 その隙に、ボールを追いかけて俺を抜き去る千聖。
 もう追いつけない。見なくてもわかる。
 諦めて、ゆっくりと体勢を立て直して振り向いたときには、ゴール代わりの鉄棒に、千聖のシュートが決まっていた。
 鉄棒のアーチをくぐって、はるか彼方へ転がっていくボール。
 それを見送りながら、両手を突き上げる千聖。わー、だか、うおー、だか、雄叫びを上げて、汗に濡れた髪を揺らしながら駆け寄ってくる。
「チサトの勝ちー!」
 肩で息をする俺に向かって、会心の笑みを浮かべる。
 敗北感がないではないが、それに勝る疲労感のおかげで、悔しさは薄まっている。
 それよりも、
「さっきの、ちょっとすごかったな」俺を抜き去ったテクニックに感嘆する。
269書く人 ◆ZBov0fGF0M :2009/03/02(月) 00:00:14

「ちょっとすごいって、すごいの? すごくないの?」
 眉根をかわいらしく寄せた千聖が、首を傾げた。子犬のような仕草。
「すごいよ。試合でも活躍できる」
 苦笑いの俺が、頭を撫でてやると、三日月のように目を細めて、少し照れくさそうな笑顔になった。
 千聖も満足しているようなので、
「そろそろ切り上げるか」と、提案してみる。
 大きく頷いた千聖は、腕を伸ばし、
「はい、負けた方が取りに行く」俺の声色を真似て、鉄棒のはるか向こう側を指差した。
 植え込みで止まっている、豆粒のように小さいボール。
 自分で決めたルールだ。俺は大きく溜息をついて、重い足を踏み出した。
 疲労に取り付かれた体では、ゴールラインの半分ほどの距離も遠く感じられた。
「コーチ、ダッシュー!」
 背中に投げられる、千聖の声。
 ……どう考えても、呼び名と内容が、釣りあっていない。

270書く人 ◆ZBov0fGF0M :2009/03/02(月) 00:00:45



 数日前、久しぶりにフットサルの練習があったとかで、奇妙なほど高いテンションで電話をかけてきた千聖が、
今度会う時は一緒にやろう、と言って、俺が返事をする前に通話を切った。
 そして、今日。
 しかたなくジャージと昔使っていたシューズ、それに、クローゼットの奥にしまっていたサッカーボールを引っ張り出し、千聖を待った。
 待ち合わせ場所に、千聖がジャージ姿で現れ、やる気の度合いが窺えた。
 まさか2時間近くも、走り回る羽目になろうとは。
 プロから教わっている千聖に、いまさら教えられることなんて、そう多くはない。
 遊び半分で始めた1対1の練習が、千聖の負けず嫌いに火を点けてしまった。
 デスクワークで鈍ったとはいえ、物心ついた頃から身に染み込ませた動作を、体はそう簡単に忘れてはいなかった。
 攻守を入れ替えて何度も続けたが、千聖が俺を抜くこと、或いは止めることはできなかった。
 そうなると、千聖がムキになるのも当然で、結局、勝つまで付き合わされた。
 現役の頃は、この程度で音を上げてなかったはずだが、我ながら情けないくらいに鈍っている。
 体重も増えてきたし、ジョギングくらいしておいた方がいいだろうか、と本気で考えさせられる。
 ボールバッグを肩にかけ、反対の手を千聖が握る。
 握った手から伝わる温かさは、重く圧し掛かっていた疲労を、軽くしてくれた。



271書く人 ◆ZBov0fGF0M :2009/03/02(月) 00:01:17



「おじゃましまーす」
 疲労とは縁遠い声の千聖が、俺の部屋に上がっていく。
 俺はシューズを脱ぐのにも手間取り、よろよろとおぼつかない足取りでそれに続く。
 このままベッドに倒れこみたいところだが、汗を洗い流してしまいたい。
 千聖は部屋に上がるなり、バッグの中の着替えをあさっている。
 準備もしているようだし、先に入ってもらおう。
 千聖が入っている間に、少し休むことにしよう。
 そう思って口を開くが、
「千聖、シャワー……」
 先に使っていいぞ、という言葉を遮るように、バッグから着替えを出し終え、こちらを見上げた千聖の声がかぶる。
「コーチ、シャワー先に浴びる?」
 ちょっとだけ、意外だった。
 先に使わせてほしい、と言ってくるものとばかり考えていた。
 俺は先ほど言いかけて途切れた言葉を、再び口にする。
「いや、先に使っていいぞ」
「でも、コーチも汗かいたでしょ?」
「かいたけど、お前もだろ」
 んー、と唸って見せた千聖だったが、首を縦に振ることはなく、
「でも、チサト長いかもしれないし」さらに譲る。
 あまり長い時間、待ちたくないのは確かだ。
 汗を早く洗い流してしまいたい。
 けれどそれは、千聖も同じはずで、待ちたくないだろうし、俺も待たせたくはない。
 それに、一度口にしたことを、簡単に翻したくはない。つまらない意地だが。
 だからと言って、千聖が折れるような雰囲気もない。
 お互いの提案を、曲げない方法が1つある。
272書く人 ◆ZBov0fGF0M :2009/03/02(月) 00:01:48

 あるけれど……それを口にすることを躊躇していると、千聖が不意に俯き、
「……一緒に、入る?」呟いた。
 千聖の言葉に、おれは息を呑む。
 けれどそれは、予想外と言うことではなく、俺が口にしようとしてためらったことだからだ。
 驚いて言葉が出ない俺を上目遣いで見、戸惑っているのだと思ったのか、千聖は追い打ちをかけるように、ためらいがちに言った。
「だってコーチ、あの日から何にもしないじゃん」
 あの雨の日に再会して、抑えきれずに欲望を吐き出してしまった。
 千聖も拒みはしなかったけれど、そのことに罪悪感と後悔を抱き、あれ以来、俺から求めることは出来なかった。
 それが不満だ、とでも言いたげに、眉を逆立てる千聖。
「付き合うって、エッチなことするんだよね?」
 もちろん、それだけではないことは、千聖もわかっているだろうけど。
「エッチなこと、しても平気か?」
 戸惑いを含んだ語気は、やや強く聞こえ、自分で出した声に驚いてしまった。
 平気、と答えた千聖だったが、少し怯んだ様子で、
「でも、最後までは……」まだ怖い、と言いたげに目を逸らす。
「わかってる。俺も、今日は疲れてるし、たぶん無理」
 安心したような少し残念なような、そんな表情で、
「……わかった」頷いた。

273書く人 ◆ZBov0fGF0M :2009/03/02(月) 00:02:21


 水音がはねて、雨の日を思い出させる。
 小麦色の肌に水滴が滑り、落ちていく。
 大きく張り出す丸い乳房も、くびれた腰も、緩やかな曲線を描くお尻も、柔らかそうな太ももも、
小さなへその下の、申し訳程度に生えた恥毛も、さらに下の亀裂も、全てが俺の目に晒されている。
 どの部分も魅力的で、どこを見て良いのかわからない。
 千聖の体を、視線で上下に撫で回す。
 千聖はというと、その視線を恥ずかしそうに受けながら、シャワーを浴びつつ、こそこそと俺の下腹部に視線を向けていた。
 男性器はすでに血で満ちており、疲労など押しのけて起き上がっている。
 服を脱いでいるときから、お互いに一言も発していない。
 シャワーの音だけが、浴室に響いている。
 魅力的な千聖の肌を前にして、ただ見ているだけなんて、耐えられるわけもなく。
 視界を遮るような湯気を、掻き分けるように踏み出し、千聖の背後に寄り添った。
 びくり、と小さく震えて、肩越しに俺を見上げる千聖。
「エッチなことするって、言ったろ?」
「う、うん……わかってる」でもその前に、と振り向いて、「キス、して」
 熱い吐息が、千聖の唇からこぼれた。
 少女らしからぬ魅惑に濡れている。
 瞼を下ろし、顎を上げる。
 長い睫毛の先についた、透明な果実のような水滴が、かすかに震えている。
 水滴を弾く背中に手を添えて抱き寄せ、小柄な千聖に合わせて体を折り、唇を重ねた。
 はじけるような触感と、解けてしまいそうな柔らかさ、甘い熱。
 伝わる感触を、さらに深く味わいたくて、唇を押し付け、ついばみ、隙間を作る。
 千聖は戸惑いながら、それを必死に受け止めている。
 舌を伸ばして、強引に開いた千聖の口の中に進入する。
 口の内側の粘膜をそっと舐めると、千聖は弾かれたように頭を引いた。唇からぬくもりが離れた。
「い、今の……」
 かなり驚いた様子で、目を白黒させている。
 焦りすぎたか、と思ったが、努めて冷静に、
「恋人同士のキスだろ」囁いた。「嫌か?」
 俺の問いに、必死になって首を振って否定する千聖。
274書く人 ◆ZBov0fGF0M :2009/03/02(月) 00:02:55

 恋人同士という言い方は、少し卑怯だったかもしれない。
 こんな言葉を用いれば、千聖が拒絶することはないだろう。それがわかっていながら、なのだから、我ながら質が悪い。
 千聖は再び瞼を下ろし、唇を突き出した。今度は少し、隙間を作っている。
 俺を受け入れるための準備だと思うと、とても刺激的な光景だった。
 唇を重ね、舌を送ると、ためらいがちに千聖の舌が、出迎えてくれる。
 舌先で様子を窺うように突付くと、どうして良いのかわからないようで、されるがままになっている。
 さらに深く侵入させ、千聖の舌の裏表を舐めてやると、遠慮がちにではあるけれど、俺を真似て動いた。
 2人の唾液が絡まり、ぴちゃぴちゃといやらしい音を奏でる。
 背中に回していた手を、女性らしい曲線を描くお尻に滑らせる。
「ん」と、短く息を漏らした千聖だったが、拒絶するそぶりは見せない。
 張りのあるお尻の感触は、触っている俺のほうが気持ちよくなってくる。
 指を食い込ませるように強く揉むと、心地よい弾力に跳ね返される。
「んぅ……ぅぅ……」
 唇をふさがれた千聖が、甘く響く息を漏らした。
 千聖の漏らす吐息が、頬を撫でて興奮を加速させる。
 鼓動が早くなりすぎて、息苦しい。息継ぎをするように千聖の唇を解放した。
 息の上がった千聖の顔は、媚熱に蕩けて、年不相応の色気を漂わせている。
 濡れた瞳が、俺を見上げる。
275書く人 ◆ZBov0fGF0M :2009/03/02(月) 00:03:34

「めちゃくちゃ、恥ずかしいんだけど……」
 浴槽のふちに手をついて、お尻を突き出す千聖が、そんな格好をさせた俺に抗議する。
 俺は千聖に見とれてしまい、その声に応えることが出来なかった。
 シャワーを止めて、千聖の背後にしゃがむと、丸いお尻も、その谷間の、線を引いただけの秘裂も丸見えだった。
 引き締まった太ももがかすかに震え、緊張を物語っている。
 お尻に両手を乗せると、千聖が息を呑むのが聞こえた。
「コーチ……?」
 鼓動は、心臓を突き破らん勢いだ。
 両手の親指で、隠れている千聖の粘膜を左右に開く。
「あっ」
 驚く千聖の声とともに、秘膜が顔を出した。
 色の黒い千聖の粘膜なので、もう少し濃い色を想像したが、それに反して淡いピンク色をしている。
 小麦色の肌の中に綻ぶ、桃色の花弁。
 なんと官能的なコントラストだろうか。
 俺は無言で引き寄せられる。
 唇を突き出し、“下の唇”にキスをする。
「ぅわっ!? な、ちょっと! コーチぃ!」
 抗議する千聖の声が聞こえたが、かまわずに舌を伸ばし、肌とは違う感触に届く。
 運動とシャワーと、興奮で熱くなった千聖の体温が、舌を通じて俺に伝わる。
「んあっ! ぁやっ、ダメぇっ! き、きたな、あっ、ぁ、あんっ!」
 抵抗する言葉と、素直な吐息。
 唾液を塗り広げるように舐めると、俺のものではない味が、口の中に忍び込んでくる。
「うぁっ、あぁんっ! なめちゃ……やぁ、やあぁっ! ふぁあっ!」
 千聖の奥から染み出してくる液体が、俺の唾液と絡まる。
 くちゅくちゅと漏れ出す音は、とても卑猥だ。興奮をそそる。
 秘裂の奥に舌を侵入させようとするけれど、きつく絞まった入り口が、それを阻む。
 無理に押し込むこともないと重い、浅いところを舐めていると、シャワーの水滴とは違うものが、千聖の内腿を伝い、滑り降りていった。
「ぅぁああっ、ふぁっ、やっ、コーチっ、もぉ、もうっ! んあぁっ!」
 初めての感覚に、快感の高まりも早いのだろうか。
 視線を落とすと、膝が震えて、立っているのもやっとの様子だ。
276書く人 ◆ZBov0fGF0M :2009/03/02(月) 00:04:05

「気持ちいいなら、我慢しなくていいぞ」
 久しぶりに声を発した気がするが、千聖を安心させるためではなく、目標を変えるための息継ぎみたいなものだ。
 膨らみかけた千聖の性感の中枢、クリトリスに吸い付く。
「ヒぁあっ! や、つよっ、う、くぅぅっ──!」
 びくんっ、と千聖の体が大きく震え、硬直する。
 陰唇から唇を離すと、それを合図に千聖の体から力が抜けていく。
 堪えていた膝も、がくりと崩れたので、腰を抱いて支えてやり、ゆっくりと床に下ろした。
 絶頂に達した千聖は、浴槽の縁に突っ伏す格好のまま、起き上がれない。
「大丈夫か?」
 声をかけてやると、
「……コーチ、は?」と、魂の抜けた声で、返ってきた。
 俺は何もしていないから平気だ。
 質問の意図がわからずに、混乱するが、千聖が聞きたかったのは、そういうことではなかったようだ。
「コーチ、気持ちよく、なってないでしょ?」
 甘い熱に、蕩けた声。
 俺を誘うような言葉に、戸惑う。
 気だるそうに体を起こした千聖が、そのまま倒れて、俺の胸に背中を預ける。
 濡れた肌が吸い付き、千聖の体温が押し付けられる。
 肩越しに俺を見上げる千聖。


「チサト、コーチのこと、気持ちよくしてあげたい」

277書く人 ◆ZBov0fGF0M :2009/03/02(月) 00:19:37
あけましておめでとうございます

・・・・・・3月に・・・使う言葉じゃ・・・ない・・・
最近・・・℃-uteばかり・・・書いている気が・・・
・・・深く考えないように・・・しよう

>CAROL様
ご無沙汰しております。
と言っても固定でやり取りしたことはなかったかと思いますが。
CAROLさまの作品を投稿していただければ、このスレもにぎわうかと思います。
よろしくお願いします。
278fusianasan:2009/03/02(月) 01:12:28
書く人さんと千聖来たー!ハァハァ
あけましておめでとうございますw
どうかベリも忘れないで下さいねw
279fusianasan:2009/03/02(月) 01:36:14
(;゚∀゚)=3ムッハー
280fusianasan:2009/03/02(月) 04:39:06
ε=\_○ノヒャッホーウ!!
281fusianasan:2009/03/03(火) 13:18:46
ふひいいいいい早く続きよみたい
282fus i anasan:2009/03/06(金) 13:44:04
最近おいしそうなカラダになってきた
佐紀ちゃんの続きも読みたいのですが
そこは書く人さんの書きやすいところからで

ということであけおめですw
283fusianasan:2009/03/13(金) 18:12:15
ほっしゅん。
284fus i anasan:2009/03/22(日) 17:34:26
インフルエンザ保守
285fusianasan:2009/03/22(日) 23:09:47
男「りしゃこ!やらせろ!!」
梨沙子「いやぁぁぁあッ!!」
286fusianasan:2009/03/23(月) 16:04:28
ベリ工はもう興味ない。
今のベリ工は全員おばさん。
287fusianasan:2009/03/23(月) 21:44:06
じゃあ誰で書いて欲しいの?
288fusianasan:2009/03/23(月) 22:35:25
ももち
289fusianasan:2009/03/24(火) 00:03:26
シチュエーションはどんなのがいい?
レイプ?セックス?
290fusianasan:2009/03/24(火) 01:15:13
なんでもいいよ
291〔〕」:2009/03/24(火) 18:26:33
レイプがいいな
292fusianasan:2009/03/24(火) 23:18:54
痴漢もの
293〔〕」:2009/03/24(火) 23:49:00
やっぱレイプだろ
294fusianasan:2009/03/25(水) 01:17:03
早く書けよ
295fusianasan:2009/03/25(水) 23:53:08
嗣永桃子は電車に乗っていた。
周りの客は30代後半のおっさんばかりだった。
桃子はそんなおっさん達が気になっていた。
おっさん達の近くに女性客は自分ひとりだったからだ。
(ああ・・ なんか嫌・・・)
そう思いながら桃子はおっさん達を見ていた。
するとおっさんの1人が突然桃子の方を見た。
「おい、姉ちゃん、何見てるの?」
「え・・?」
桃子は驚いた。
「何ジロジロ見てんだよ」
「な、何でもないです・・・」
「なんか気になるじゃねーかよ」
「何でもないですったら・・・」
桃子は恐怖を覚えた。
「あーそんなに見られるとなんかムラムラしてくるじゃねーかよ」
「あ、オレも」
「えぇ・・っ?」
桃子はその場から急いで逃げようとした。
しかし、おっさんの1人に腕を掴まれた。
「痛ッ!」
「逃げるなよ。こっち来いよ姉ちゃん」
「オレ達といい事しようぜ」
「嫌ッ!!放してッ!!」
「威勢がいいね」
「ますます興奮するぜ」
「放してッ!放してったらッ・・!!」
おっさんのひとりが桃子のスカートをずり下ろしパンティーを脱がした。
「いやぁぁぁ・・・ッ!!」
「うほッ!かわいいおケツだなおい」
おっさんは桃子の桃尻を揉みまくった。
「あッ!い、嫌ぁ・・」
296fusianasan:2009/03/26(木) 00:01:23
別のおっさんは桃子の服を脱がし、桃子を全裸にさせた。
「かわいいおっぱいしてるね」
「嫌ぁッ!やめてぇ・・ッ!!」
おっさん達は桃子のおっぱいを順番に揉みまくり乳首に吸い付いた。
「じゃあそろそろ気持ちよくしてもらおうか」
「おらしゃぶれ」
おっさんは桃子の口に無理やり勃起チンポをねじ込ませる。
「うぅぅ・・・」
桃子は強制的にフェラをさせられた。
「あぁ〜気持ちいい・・・」
「う・・うぅ・・うッ!!」
おっさんは桃子の口内で射精した。
桃子は汚い精液を吐き出す。
「ゲホッ!ゲッホ・・ッ!! ハァ・・ハァ・・!」
おっさん達は桃子を床にうつ伏せで寝かせた。
そして桃子の両手を押さえた。
「おら、お前のマンコにぶち込んでやるぜ」
「や、嫌!嫌だァ!やめてェッ!!」
「うるせェ!!」
おっさんは桃子に覆い被さりチンポをマンコにぶち込んだ。
腰を前後に激しく動かし桃子を犯す。
「おら!気持ちいいか?」
「どうなんだよ」
「あん!あん!あぁん!あん!!」
297fusianasan:2009/03/26(木) 00:07:25
桃子は苦痛で顔を歪ませた。
「あーもうイクぜ・・!」
「中に出しちまえよ」
「出しちまえ!」
「嫌ぁ・・!やめて!やめて・・!」
「あぁぁぁあッ!!」
「ひ・・ッ!」
おっさんの動きが止まり、チンポが桃子のマンコから抜かれた。
桃子のマンコから白い精液が垂れ落ちた。
「あー気持ちよかったぜ・・・」
「い、嫌ぁ・・・嫌ぁだよぉ・・・」
おっさん達は満足して電車を下りていった。
「ヒック・・ヒッ・・ヒック・・・」
虚ろな目ですすり泣く桃子。

終わり
298fusianasan:2009/03/26(木) 13:05:10


名前を誰にしても当てはまるところがちょっとイヤ
299五号:2009/03/26(木) 18:21:42
真野ちゃんがいい
300fusianasan:2009/03/26(木) 21:18:55
オレも
301fusianasan:2009/03/26(木) 22:36:09
ミヤビチャンガイイデス
302p4a6d95.tkyoea22.ap.so-net.ne.jp:2009/03/27(金) 00:01:44
駅売りのスポーツ新聞に載ってるエロ小説みたいだな
303fusianasan:2009/03/27(金) 00:15:24
>>299
>>301
どんなシチュエーションがいい?
304fusianasan:2009/03/27(金) 00:36:35
>>303
円光
風俗
305名無し:2009/03/27(金) 00:45:17
それいいね
2人とも合ってそう
306fusianasan:2009/03/27(金) 11:41:27
14 名前:名無し募集中。。。[] 投稿日:2009/03/26(木) 23:32:43.29 0
自分が歌うと数千人のヲタがLOVEラブリーみやび!とか一斉に盛り上がるのを見て愛液が溢れちゃう雅
307fusianasan:2009/03/27(金) 23:24:17
>>301

「今日新しい子が入ったよ」
店員に案内されて一人の客の下に少女がやって来た。
夏焼雅という名の少女だ。
「よろしくお願いします」
「よろしく」
客のおっさんはニヤニヤしながら雅を見る。
「君、こうゆの初めて?」
「はい」
おっさんは雅を布団の傍に座らせ、ズボンを脱ぎ、ギンギンに勃起したチンポを雅に見せた。
「・・・・・・」
雅は珍しいものを見るかのようにそれを見つめた。
「何してるの?はやくしてよ」
「・・・はい」
雅はおっさんの傍により、下半身に顔を近づけた。
手を伸ばし、おっさんのチンポを握り、そのまま口に入れた。
手を上下に動かしチンポを擦る。
口を動かしチンポをしゃぶる。
「おおお・・・君、初めての割には上手いね・・・」
「んぅ・・ん・・・」
「おおぉ・・・!」
おっさんは射精直前で雅の口からチンポを抜いた。
「全部出しちゃったらつまんないからね」
「・・・・・・・」
口を半開きにさせたまま雅はおっさんを見つめる。
「じゃあ脱いでもらおうか」
「・・はい」
雅は自ら服を脱ぎ始めた。
ブラを外し、胸をあらわにさせ、次にパンティーに手をかけ、下ろす。
「おお・・!」
おっさんは我慢できなくなって雅を布団に押し倒した。
308fusianasan:2009/03/27(金) 23:33:51
おっさんは雅の胸を揉みながら下半身に手を伸ばす。
マンコを指2本で弄った。
「あぁん・・・」
「いい具合に濡れてきたね」
おっさんは雅の足を持ち上げ、チンポをペニスに突っ込んだ。
「んん、イクぞぉ・・・」
おっさんは腰を突き上げ、雅の膣内を味わった。
「あッ!ひッ!んッ!あ!あッ!あぁんッ!!」
「おお・・イイぞ・・もっと声出せ・・!」
「んぁッ!あん!あッ!はぁんッ!」
「うおぉ・・気持ちいいぞ・・・!」
おっさんは汗臭い体を必死に動かし、雅の体を揺さぶった。
イク直前、おっさんはチンポを抜き、雅の顔に射精した。
雅の顔が汚い精液で汚された。
「ハァ・・!ハァ・・!あぁ〜〜・・・」
おっさんは満足した様子だった。
「また来るよ」
「ありがとうございました・・・」
まだ自由が利かない体で雅はおっさんが帰るのを見送った。

終わり
309fusianasan:2009/03/27(金) 23:51:20
>>299

人通りの多い夜の街角に1人の少女が立っていた。
少女は制服姿で、鞄を両手で握り締めただじっとしていた。
「やあ、お待たせ」
そこへ一人の男がやって来た。
年齢40代のおっさんだった。
「へえ、かわいいね」
「あの、本当にお金貰えるんですよね・・?」
「もちろん、約束は守るよ。じゃあ行こうか」
男と少女はホテル街に向かい、あるホテルへ入っていった。
部屋に着いた2人はベッドに腰をおろした。
「そういえば君、名前は?」
「恵里菜。真野恵里菜です・・」
「恵里菜ちゃん、シャワー浴びてくるから待っててね」
「はい・・・」
男はシャワーを浴び、しばらくしてパンツ一枚の姿で戻ってきた。
「それじゃあ、やりますか」
男は恵里菜をベッドに寝かせ、寄り添うように隣に寝た。
恵里菜の征服に手をかけ、ゆっくりと脱がしていった。
ブラジャーを剥ぎ取ると、恵里菜の小さな白い胸が現れた。
「かわいい」
男は恵里菜のおっぱいを両手で摘むように揉み、乳首に吸い付く。
「あぁん・・・」
「んん・・チュパ、チュパ」
310fusianasan:2009/03/28(土) 00:06:21
次に男は恵里菜のスカートを脱がし、パンティーに手をかけた。
ゆっくりとずり下ろし、恵里菜のマンコを見た男はゴクッと唾を飲んだ。
恵里菜の脚を開かせ、男はマンコにしゃぶりついた。
やらしい音を立てながら男は恵里菜のマンコを舐める。
「はぁ・・チュパ、チュパ、はぁ・・」
「ん・・あ・・あぁん・・・」
舐め終わった男は、チンポを恵里菜のマンコに入れ、恵里菜の上に覆いかぶさった。
そして腰を突き上げ、体を上下に動かして恵里菜を突いた。
「あッ!あぁッ!んッ!んッ!あぁッ!」
「あぁ・・・かわい過ぎるぜ・・・!」
男は興奮しながらひたすら腰を動かし続けた。
男が腰の動きを速め、恵里菜の体は激しく揺れた。
「あッ!や・・ッ!ひッ!あッ!あッ!あぁんッ!!」
「うおおおおッ!!」
男の動きが止まり、マンコからチンポが抜かれた。
男はそのまま恵里菜のお腹に射精した。
「はあぁぁ・・・凄ェ気持ちよかったよ・・・」
「・・・・・・」
男は寝ている恵里菜の傍に5万円を置いて帰っていった。
恵里菜は横目でお金を見つめていた。

終わり
311fusianasan:2009/03/28(土) 20:28:50
ゆうかりんでお願いします
312fusianasan:2009/03/28(土) 22:00:22
痴女かカップルのいちゃいちゃでお願いします
313fusianasan:2009/03/29(日) 00:19:58
ゆうかりんって誰?
314fusianasan:2009/03/29(日) 00:22:22
前田 憂佳
315fusianasan:2009/03/29(日) 00:29:37
あの有名な美形アイドルがセーラー服を脱いでいたなんて。
http://1pg.in/~tvad/
316fusianasan:2009/03/30(月) 01:34:13
>>308
チンポをペニスに突っ込んだバカがいるな
317fusianasan:2009/03/30(月) 18:51:32
マンコの間違いだなww
318fus i anasan:2009/04/11(土) 02:03:09
ほしゅー
319fus i anasan:2009/04/23(木) 22:40:39
保守
320fusianasan:2009/04/28(火) 07:22:09
一応保全
321fus i anasan:2009/05/06(水) 16:45:28
まだまだ保全
322fusianasan:2009/05/10(日) 02:25:26
ほしゅー
323fusianasan:2009/05/14(木) 23:49:16
光井がいい!!
324fusianasan:2009/05/15(金) 20:29:19
スレタイ
325fusianasan:2009/05/16(土) 01:09:03
ジュンジュンがいい
326fusianasan:2009/05/17(日) 00:13:06
竹内結子ちゃん 菊川怜 あの有名な美形アイドルが脱いでいたなんて。
http://home.pink.sh
327fusianasan:2009/05/18(月) 01:20:11
>>323
>>325
シチュエーションを言ってくれれば書くよ?
328fusianasan:2009/05/19(火) 02:05:35
梨沙子がいい!
329fusianasan:2009/05/19(火) 13:51:17
みやびちゃんがヲタにレイプされるのがいい!
330fusianasan:2009/05/20(水) 00:15:55
梨沙子がヲタにレイプされるのがいい!
331fusianasan:2009/05/20(水) 20:25:14
それいい書いて!
332fusianasan:2009/05/23(土) 07:23:04
I AM YOUR RULER OF POTATOS MY KITTENS RAIN COCONUTS ON YOUR PITIFUL CITY...PENIS
333fusianasan:2009/05/23(土) 07:24:00
..I agree
334fusianasan:2009/05/23(土) 07:25:11
(^v^)b
335fusianasan:2009/05/23(土) 07:26:05
Omg. My body is covered in bubble wrap. What should I do?!

D':
336fusianasan:2009/05/23(土) 07:26:51
Call the doctor!!!!
337fusianasan:2009/05/23(土) 07:27:21
*spazzes*

HALPHALP!
338fusianasan:2009/05/23(土) 07:29:14
梨沙子がいい!
339fusianasan:2009/05/23(土) 14:36:21
上げんなカス
おかげで変なのが来ただろーが
340fusianasan:2009/05/23(土) 20:56:03
り・さ・こ!!
341fusianasan:2009/05/23(土) 23:15:38
池沼?
342fusianasan:2009/05/24(日) 15:52:13
桃子しか知らない
343fusianasan:2009/05/25(月) 01:26:07
りさこ
344fus i anasan:2009/06/07(日) 03:44:52
保全します
345fusianasan:2009/06/08(月) 18:21:49
七人まとめて中年オヤジの餌食になる小説書いてはいるが、
限度を超える内容でとてもじゃないがスレに公表できんわ。
346fus i anasan:2009/06/09(火) 00:29:27
桃レイプよろしく
347fusianasan:2009/06/14(日) 21:58:42
書く人さん。。。
348fusianasan:2009/06/17(水) 15:05:24
「You tube」見てよ、ちっちゃい頃の梨沙子ってカワイイよなぁ
たまんないわ この子もいつかはブットイので貫通される日が
くるのかぁ・・・と思ったら興奮してきたわ
349fusianasan:2009/06/18(木) 00:15:35
>>346
どんなシチュエーションがいい?
350fusianasan:2009/06/18(木) 00:17:33
りしゃこ中出しレイプキボンヌ
351fusianasan:2009/06/24(水) 23:16:01
吹石一恵ちゃん等 有名女優・アイドルの動画・画像を探してます。
ここにいい写真ありました。
http://host.sexy.st/~katai7/tv/
352fusianasan:2009/06/25(木) 23:08:52
早くりさこで書いてよ
353fusianasan:2009/06/26(金) 01:15:25
Sage
354fusianasan:2009/06/26(金) 01:59:58
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355fusianasan:2009/07/03(金) 22:13:19
書く人さんは今なにやってるんだろう・・・
356書く人 ◆ZBov0fGF0M :2009/07/10(金) 02:18:41

 ペットボトルを傾けて、スポーツ飲料を呷る。
 運動とシャワーと情欲とで火照った体を、心地よい冷たさが滑り降りていく。
 下着だけはいた俺の隣では同じように、俺のTシャツだけを着た千聖が、ペットボトルを傾けている。
 着替えは持ってきているが、それを着て汗をかいてしまったら、帰りに着るものがなくなってしまう、というのが理由だ。
 つまり、これから汗をかくであろうことを、わかっている、ということだ。
 ブカブカのTシャツは、ミニのワンピースのようにも見える。濡れた髪としっとりとした肌。
 運動に慣れて引き締まった太ももと、薄い布地を押し上げる胸のふくらみが、なんとも言えない官能的な雰囲気をかもし出している。
 俺が見とれていると、その視線に気づいた千聖が、こちらに顔を向け、その拍子に口の端からスポーツ飲料がこぼれた。
「んっ」
 慌てて拭おうと持ち上げた千聖の腕を制して、俺は顔を近づけた。
 顎に垂れた液体を舐め取り、そのまま唇の端を舌先でつつく。
「えっ?」
 戸惑ったように声を上げる千聖だったが、拒絶する素振りは見せない。
 口角から上唇に沿って中央へ舌を這わせて、とまどいがちに綻んだ唇の奥へと、差し込む。
 瞼を下ろして、俺の舌を迎え入れる千聖。
357書く人 ◆ZBov0fGF0M :2009/07/10(金) 02:19:23

「んっ……」
 漏れる吐息は、先ほどの情事の残り香が混じる。
 自分の口の中にある他人の舌のうごめきに、必死についてこようとする千聖。
 それはぎこちなくて、いまいち噛み合わないけれど、一所懸命さが伝わってきて、気持ち良いというよりも、嬉しい。
 千聖の熱い舌を味わっていると、柔らかい熱が、下着越しの男性器を包む。
 それが千聖の手のひらだと理解すると同時に、指先が揉むように動いて硬直を促す。
 これには俺が驚いてしまって、絡まっていた舌を解いた。
 ぷつん、と舌先からつながっていた唾液の糸が切れると、千聖が慌てて、手を引いてしまった。
「あ、ご、ごめんっ。気持ち良くしたいって、思って……」
 失敗してしまった、と申し訳なさそうに眉尻を下げる千聖。
 俺は首を振って否定し、
「いや……ちょっと、驚いただけだ」
「……こうすると気持ちいいって、この前、言ってたから」
 変だった? と俺の顔色を、上目遣いで窺う千聖。
「変じゃない……もっと、してほしい、かな」
 恥ずかしさのあまり、途切れ途切れに告白すると、俺の羞恥が伝染したように頬を染めて、眉尻を下げたまま笑顔になる。

358書く人 ◆ZBov0fGF0M :2009/07/10(金) 02:20:10

 ベッドの縁に、膝を開いて腰を下ろす。
 下着はすでに脱いでおり、あらわになったペニスが、千聖の視線にさらされている。
 真っ赤な顔をして自分にはないパーツを凝視する千聖は、まだTシャツを着たままだ。
 大きすぎてゆるいTシャツの襟首から、若々しい胸のふくらみが覗けて、裸よりもいやらしいかもしれない。
 千聖がペニスを凝視している隙に、見えそうで見えない女の子の丘陵を覗く。
 そんな光景を目にして、千聖の視線になぞられて、興奮しないわけはなく、肉棒はさらに硬度を増していた。
 目いっぱいに膨らんだ男性器を間近で見せつけられ、千聖も興奮と好奇心が抑えられないようだ。
 釘付けになっていた視線をはずして、
「触るよ?」と、俺を見上げて確認してくる。
 その声が、仕草がかわいらしくて見とれてしまった俺は、
「うん」と頷くことしか出来なかった。
 俺からの許しを得た千聖は、おずおずと手を伸ばして、指先をペニスに触れさせる。
 小さくて柔らかな手のひらに包まれ、快感のあまり熱い吐息が漏れる。
 千聖の手が、ゆっくりと上下に動き出した。むず痒いような感覚が、腰の内側でうごめきはじめた。
 ただ上下に往復するだけの運動。自分自身の手でも出来る行為なのに、なぜこうも違うのか。
 滑らかで張りがあって温かい、女の子の、千聖の手のひら。
 腰から這い上がってきた快感が脳に達して、ぼんやりしてくる。
 千聖の手のひらは気持ちいいのだけれど、技術も経験もないので、ぎこちなく、快感の高まりはゆっくりとしたものだ。
 見下ろすと、ペニスに注視している千聖。
 その手が動くたびにTシャツが揺れて、襟首から見え隠れするふくらみが、まるで俺を誘惑しているように見えてくる。
 快感に濁った思考は、誘われるがままに、襟首から手を突っ込んで、豊かな隆起に触れる。
 男根に集中していたせいか、Tシャツの中に手が入ってくるまで、千聖は気づかなかったようだ。
 突然、胸を触られて、
「えっ!? ンっ」戸惑ったように俺を見上げてきた。
「手、止めるなよ」
「う、うん……」
 驚いて止まっていた手を、慌てた様子で再開させる。
 揉むのではなく、撫でるように手を動かした。
 丸みと張り、滑らかな肌が、手のひらに心地よい感触を与えてくれる。
359書く人 ◆ZBov0fGF0M :2009/07/10(金) 02:20:52

「んっ……ぅ……ふぅ……」
 手を動かす千聖の呼吸が乱れてきた。
 ほんの少し触っているだけなのに。さっきの熱が、まだ残っているのだろうか。
 刺激を受けて硬くなった乳首が、手のひらの中心で擦れている。
 ふうふう、はあはあ、と千聖の息が色づいてきて、しだいにペニスを握る手の動きも鈍くなってきた。
 困ったように眉尻を下げ、手を動かそうとしている千聖だが、胸を愛撫される快感に邪魔されているようだ。
 少し強いくらいが、千聖にとって気持ちいいようなので、ゴムボールを握るような感覚で、指先に力を入れて、乳房に食い込ませる。
「ぅあっ……!」
 悲鳴のように嬌声を上げると、ペニスを握ったまま固まってしまった。
「んぁっ……う、ぁっ……ふぅっ……」
 自分の唇から漏れる、いやらしい声を、堪えようとして、堪えきれない。
 眉間にしわを寄せ、苦しげに、快楽を堪える表情を見せる千聖。
 その顔がかわいくて、いやらしくて、もっともっと見たくなる。
 親指と人差し指で、硬く尖ってきた乳首を摘んだ。
 潰してしまうのではないか、と思うくらい力を入れてやると、
「ふぁっ、あぁんっ! やぁあぁっ! ぁあんっ!」淫らな女の声が、迸る。
 乳首を摘んだまま引っ張ると、その腕を千聖の手が止めた。
 さすがに痛かっただろうか、と指を離すと、乱れた呼吸を整えようと、大きく深呼吸をした千聖が、
「ダメ、だよ……チサトが、コーチのこと、気持ちよくするんだから……っ」蕩けた表情で俺を見上げる。
 今くらい強くても、気持ち良かったようだ。
「一緒に気持ち良くなればいいだろ」
「だめ! 今度はチサトの番!」
 眉を吊り上げて、語気を荒くする千聖。
 少し戸惑ったが、公園でやった1対1の、続きのつもりなのかもしれない。
 俺の攻撃が終われば、次は千聖の攻撃。
 もしそうだとしたら、俺がイクまで千聖が納得しないということだろうか。
360書く人 ◆ZBov0fGF0M :2009/07/10(金) 02:21:34

「チサトが、コーチのこと気持ちよくするから」
 絶対に譲らない、という決意めいたものが、見つめる瞳の中で、光っている。
 従ってやりたいところではあるけれど、手のひらに触れる柔らかい感覚にも、未練がある。
「こうやってチサトの胸を触るのも、俺は気持ちいいんだけどな」
「でも、そんな触られると……」
 手が止まってしまう、集中できなくなる、と言いたげに、唇を尖らせた千聖。
 確かに、直接的な刺激がなければ、"千聖の番”は終わらない。
 千聖が気持ちよくなるのは嬉しいが、ここまで高められた性欲を放置されるのは、それはそれで辛い。
 千聖の願望と俺の欲望、両方を同時に解決する方法。
 そんな方法をすぐに思いつくが、口にするのは若干ためらわれた。
 そんなこと、本当にしてくれるだろうか。
 けれど、男根を膨張させる欲望は、千聖が断るはずがない、とそれを求めて口を開かせた。
「じゃあ、胸で、挟んでくれるか?」
「はさむ? おっぱいで?」
 俺の提案を聞いた千聖が、目を丸くする。
 性の知識が乏しいため、パイズリなんて性技があるなんて、知りもしないだろう。
 襟首から手を抜き、驚いて固まっている千聖の脇をつかんで中腰にさせて、Tシャツの裾に手をかける。
 胸の下あたりまで捲くってから、我に返った千聖が抵抗してみせる。
「ちょっとぉ。脱がされるのって、恥ずかしいんだけど……」
「知ってる」
「……エッチだなぁ」
「認める」
361書く人 ◆ZBov0fGF0M :2009/07/10(金) 02:22:10

 千聖は、何を言っても無駄だ、と諦めた様子で小さくため息をつき、両腕を上げて脱がせやすくしてくれた。
 あらわになる千聖の素肌。
 下には何も身に着けていなかったので、たちまち全裸になる。
 うっすらの汗の浮いた千聖の肌は、かすかに輝いて、美しかった。
「はさむって、こう……かな?」
 自分の体に見とれているとは気づかず、千聖は小麦色のふくらみを、小さな手でつかんで寄せてくる。
 豊かな乳房を両側からペニスに押し付けた。
 張りのある大きなふくらみが、膨張した肉棒を挟んで、変形する。
 肌理の細かい肌が吸い付いてきて、とても心地良い。
 柔らかさよりも弾力が強く、包み込まれると言うよりは、挟まれるという感覚。
「これで、いいの?」
「そのまま、手でやったみたいに、上下に動かして」
 わかった、とうなずいて、体を動かし始めた。
 手でされた時も、自分とは違う感触で気持ちいいのだが、女にしかない部位での愛撫というのは、格段に違う。
 熱い塊が二つ、両側から俺の肉棒を挟んで愛撫する。
 千聖は、初めての性技が、うまくいっているかわからないようで、
「コーチ、ちゃんと気持ちいい?」体を上下に動かしたまま、上目遣いに見上げる千聖。
「ああ、すごく……いい」
 正直に言って、想像以上だった。
 深く飲み込まれて、どこまでも沈みこんでいってしまいそうだ。 
 谷間の熱さと、乳房の弾力が、滑らかな肌の摩擦が、脊髄を貫くような鮮烈な快感をもたらす。
 息が荒くなっている。
 快感に囚われた、恍惚の表情をしていると言うことが、鏡を見なくても判る。
 見上げている千聖の表情が、嬉しそうに綻んでいるのが見えた。
 自分の行為が快感を与えていると知り、愛撫にますます熱がこもる。
 肉棒を挟む力に緩急をつけたり、根元の方だけ、先端だけを重点的に擦ったり、俺の様子を窺いながら、いろいろと試している。
 試行錯誤というよりは、俺の反応を見て楽しんでいると言った表情だ。
362書く人 ◆ZBov0fGF0M :2009/07/10(金) 02:22:48

「コーチの、すっごいびくびくって、してるっ」
 快感にもだえるペニスが、千聖の乳房の谷間で暴れている。
 それが嬉しくて、楽しくて仕方がない、と笑みを浮かべる千聖。
 色気も艶気も感じられない、公園での練習で俺に勝った時に浮かべたものと、なんら変わらない笑顔だった。
 純粋無垢な、少女の笑顔。
 その下では、グロテスクな欲の塊が、少女の愛撫でもたらされる快感に喘ぐ。
 純真さと淫猥さが同居するアンバランスが、俺の性欲を激しく高める。
 奔放に踊るような愛撫が、容赦なく快感を引き上げる。
 素材がいいのか、天性の感覚なのか、初めてだというのに、千聖の性技は、男を満足させるには充分すぎるものだった。
 背筋を痺れさせるような快感が駆け上がり、こらえがたい衝動が湧き上がる。
「もう、イきそう……」
「え? ど、どうしたらいい?」
 問いつつも、愛撫を中断しない千聖。
 しかし、顔を上げた拍子に亀頭が谷間から弾かれて外気に触れた。
 我慢の蓋を突き破って、快感が爆発する。
「千聖っ」
 咄嗟に、千聖の手に、俺の手のひらを重ね、谷間の奥に亀頭を挟み込む。
 深い谷底で弾けるペニスが、まるで千聖の胸を撃ち抜くような勢いで、白濁液を吐き出す。
「わ、わわっ……!」
 射精の勢いで暴れる亀頭は、弾力のある千聖の乳房に押さえつけられている。亀頭が擦られて、さらに快感が高まり、勢いが強くなる。
 貯蔵されていた精液を、すべて吐き出したような虚脱感に襲われて、
思考が一緒に流れ出て、最後には快感すらもどこかへ行ってしまい、何も考えられなくなった。
363書く人 ◆ZBov0fGF0M :2009/07/10(金) 02:23:24

 そんな状態がしばらく続いて、どれくらい経ったか。
 はあはあと耳障りな音が、乱れた自分の呼吸だと知って、ようやく意識が戻ってきた。
 はじめに目に入ったのは、千聖の、少し困ったような、どうしていいかわからないといった表情だった。
 困惑気味の瞳が、俺を見上げている。
「コーチ……?」
 射精の余韻に飲み込まれたままの俺は、千聖の呼びかけに応えることすら出来ず、ただふわふわの髪を撫でてやることしか出来なかった。
 千聖はくすぐったそうに笑って、照れたように俯いた。
 胸元に目をやると、谷間から溢れ出た精液が、褐色の肌を白く染めている。
 俯いたことで、千聖もそれに気づいて、まじまじと見つめた。
 うわぁ、と吐息を漏らして、
「すっごい、いっぱいでたね。前のときより多くない?」声色は弾んでいて、どこか楽しげだ。
 この前も、自分でする時よりも大量の精液が出たが、今日はそれ以上だった。
 疲労のせいと、溜まっていたせいもあるだろうけれど、なにより、
「それだけ気持ち良かったってことだな」これに尽きると思う。
 それを聞いた千聖は俺を上げ、笑顔を輝かせる。
「ほんと!? チサト、コーチのこと気持ちよくしてあげられた?」
「ああ。すっごく気持ち良かった」
 頷いてやると、えへへ、と眉尻を下げて笑う。
 三日月のように目を細めて、唇の両端を吊り上げ、少し照れくさそうな笑顔。
 公園の練習で褒めたときに浮かべた、あの笑顔。
 こんな眩しい笑顔に、俺はどんな顔を向ければいいのかわからず、頭に乗せたままの手で撫でてやる。
 千聖は一瞬、不思議そうな顔になるが、その表情はすぐに笑顔に戻った。
364書く人 ◆ZBov0fGF0M :2009/07/10(金) 02:24:28

「シャワー、入りなおさないとな」
 かろうじて、搾り出せた言葉は、そんなものだった。
 うんっ、と頷いた千聖が立ち上がる。
 その手は、俺の手につながっていた。
「一緒に入ろ!」
 さっきどういうことになったのか覚えていないのか、それとも期待しているのか、千聖が俺の手を引く。
 射精のせいだけではない虚脱感と疲労感のせいで、立ち上がるのも億劫だ。
「一人で入れよ。俺は後でいいから」
 断って手を放すと、千聖は唇を尖らせた。
「入ろうよっ!」
 言いつつ、抱きついてくる。
 そんなに甘えても無理なものは無理……と、やんわり体を放そうとして、気づく。
 胸の谷間で発射した精液は、体の中心の伝って垂れていた。
 千聖が抱きつけば、体が密着するわけで、そうなれば……
「あ、お前!」
 体を離した千聖は、俺の体を見るなり笑い出した。
 想像通り、千聖の体についていた精液が、べっとりと俺の体に移っていた。
 いたずらが成功してご満悦の千聖が、
「ほら、洗ったげるから」再び俺の手を握り、引っ張る。
 深いため息をついた俺は、重い腰を上げて引きずられるように、浴室へと導かれた。
 子供か。
 そんなことを心の中で呟いたが、口にすると虚しくなりそうなので、代わりにもうひとつ、ため息をついた。
365書く人 ◆ZBov0fGF0M :2009/07/10(金) 02:27:34
ご無沙汰しておりました

・・・・・・季刊・・・と・・・化している・・・
そして・・・また・・・千聖です・・・

なんていうか・・・もう・・・

・・・・・・・・・・・・いえ・・・なんでも・・・・・・ないです・・・
366fusianasan:2009/07/10(金) 14:46:55
書く人さん(・∀・)キテタ!!
岡井ちゃんヲタになっちゃったんれすねw
367fusianasan:2009/07/10(金) 17:27:53
今回も最高です…
368fusianasan:2009/07/11(土) 07:19:27
栞菜…
369fusianasan:2009/07/12(日) 04:35:41
ε=\_○ノヒャッホーウ!!
370fusianasan:2009/07/14(火) 05:58:25
清水 彼氏と初体験
嗣永 お兄ちゃん
徳永 クラスメイト
茉麻 お兄ちゃんの友達
夏焼 夢の中で知らない人と
熊井 従兄
菅谷 ゲーマー
石村 男

梅田 学校の後輩
矢島 兄(Nの日常は書く人サンじゃないのかな)
中島 
鈴木 従兄
岡井 コーチ
萩原 
村上 幼馴染

どれも名作過ぎる
あたしゃ桃子のが一番好き
371書く人 ◆ZBov0fGF0M :2009/07/15(水) 01:23:01
>>370
Nの日常は別の方の作品です。
舞美の相手は幼馴染でクラスメイトという設定。
あと愛理は叔父です。
372fusianasan:2009/07/17(金) 01:04:12
マイマイを書いて欲しいな
373fusianasan:2009/07/17(金) 09:09:38
まあさの続き希望
374fusianasan:2009/07/19(日) 01:39:58
千奈美が中途半端…続きが読みたいす
レイプが続いてるしそのまま本番がよいす

あと村上も続きが読みたいす
375fusianasan:2009/07/19(日) 08:29:22
千奈美は一番最後でいいです
376fusianasan:2009/07/20(月) 00:04:17
いつの間にかクレクレスレに
377fus i anasan:2009/07/30(木) 19:55:44
378fusianasan:2009/08/01(土) 22:56:56
えりかさん…orz
379書く人 ◆ZBov0fGF0M :2009/08/02(日) 05:27:40
えりかさん・・・orz

卒業までに完結させろフラグ?
380fusianasan:2009/08/02(日) 07:48:58
>>379
アイドルではなくなってしまうけど、事務所には残るので大丈夫かと
 
このペースでいいのでこれからも長く書き続けてもらえれば
どのメンの話でも本当に楽しみにしながら待ってます
381fusianasan:2009/08/03(月) 00:19:21
>>書く人さん                                                   いきなりで失礼ですが舞ちゃんの小説をお願いしたいんですが・・・良かったらお願いします
382fusianasan:2009/08/04(火) 12:25:59
どんどん新作期待
383fusianasan:2009/08/08(土) 00:45:57
更新待ってます
384fusianasan:2009/08/11(火) 18:47:34
まだかなぁ(^o^)
385千奈美:2009/08/17(月) 00:21:58
こんばんわー
千奈美も早く読みたい
386fusianasan:2009/08/20(木) 00:47:23
千奈美キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!!
387千奈美:2009/08/21(金) 19:08:59
私、fusianasanさんの小説みたいよー
388fusianasan:2009/08/21(金) 20:41:15
ちなこハァ━━━━━━ ;´Д` ━━━━━━ン!!!!
389fusianasan:2009/08/21(金) 20:45:48
何この流れ…
390fusianasan:2009/08/21(金) 23:26:06
>>388
シベリアにいる黒革の奴?
391fusianasan:2009/08/21(金) 23:48:44
舞ちゃんの作品期待
392fusianasan:2009/08/22(土) 03:08:02
まいみ〜
393fusianasan:2009/08/25(火) 20:55:46
書く人さん何してるんだろう
394fusianasan:2009/08/29(土) 20:38:26
書く人さぁ〜ん、宜しくお願いしますm(_ _)m
395fusianasan:2009/09/01(火) 23:44:01
書いてみるかな
396fusianasan:2009/09/02(水) 18:42:12
レイプ希望
そうだろ?
397fusianasan:2009/09/03(木) 22:09:55
いいえ
398fusianasan:2009/09/03(木) 23:59:31
だれか舞ちゃんの小説おねがいします
399fusianasan:2009/09/07(月) 00:44:56
次の登場は来月頃か
400fusianasan:2009/09/11(金) 02:05:06
400!
401fusianasan:2009/09/11(金) 19:24:51
シチュエーションを言えば書いてやるよ
402fusianasan:2009/09/13(日) 20:42:02
舞ちゃん小説ならなんでもいいです
403fusianasan:2009/09/13(日) 21:05:41
>>401の上から目線に乾杯
404fusianasan:2009/09/13(日) 23:28:20
どんな内容がいい?
405fusianasan:2009/09/14(月) 00:53:54
sage進行がルールなので従って下さい
406fusianasan:2009/09/15(火) 23:16:15
純愛かレイプ希望
407fusianasan:2009/09/16(水) 00:34:37
レイプがいい
408fusianasan:2009/09/16(水) 01:33:02
いや純愛物がいい
409fusianasan:2009/09/16(水) 01:46:11
純愛ものでありつつ陵辱するのがいい
410fusianasan:2009/09/16(水) 18:54:45
書いてあげるから誰がいいかとシチュエーションを言ってくれ
411f u s i a n a s a n:2009/09/17(木) 11:48:50
岡井ちゃん輪姦
412fusianasan:2009/09/17(木) 17:47:03
舞チャンもので純愛系がいいです
413ss:2009/09/17(木) 19:19:36
輪姦ならりしゃこかももちがいい
414fusianasan:2009/09/19(土) 11:33:28
岡井ちゃんで相手は同級生がいい!
415fusianasan:2009/09/21(月) 12:52:41
りしゃこに筆下ろしされたい
416fusianasan:2009/09/27(日) 12:08:03
舞ちゃんがいいです
417fusianasan:2009/09/29(火) 20:37:44
りしゃこが童貞どもを屈辱的に犯しまくって
泣かせまくる話
418fusianasan:2009/09/30(水) 18:27:49
ほしのあきが脱いでいたなんて。
http://home.pink.sh/
419fusianasan:2009/10/03(土) 18:59:59
10月ほ
420fusianasan:2009/10/17(土) 05:42:19
そろそろ?
421fusianasan:2009/10/20(火) 00:25:08
書く人さんまだかなぁ
422fusianasan:2009/10/21(水) 22:55:02
もしかして書く人さん逃げたんじゃね
423fusianasan:2009/10/22(木) 16:42:41
誰かかいて
424fusianasan:2009/10/24(土) 15:14:01
だれもいないのかなぁ
425fusianasan:2009/10/26(月) 22:56:38
えりかちゃん…卒業しちゃいましたね
426fusianasan:2009/10/29(木) 00:03:23
だれかぁ…書いて
427fusianasan:2009/10/31(土) 13:59:25
10月終わりか…
428fusianasan:2009/11/02(月) 13:03:59
のべんば
429fusianasan:2009/11/03(火) 08:04:53
>>417
りしゃこ無双すぐるwww
想像:誰もいない所でりしゃこを犯すも童貞ならではの女の子の扱い方で不満爆発のりしゃこは突如ドS暴君少女に変身して童貞の精液を最後の一滴まで吸いつくす
りしゃこ最高だよりしゃこ
430fusianasan:2009/11/03(火) 08:44:41
童貞「ハァハァ…りさゃこー!」
りさこを押し倒し服のボタンを引き裂き抱く
りさこ「いっ、いやーっ!」
童貞終了寸前
童貞「りっ、りしゃこちゃんイキそ…」
りさコ「はぁ…はぁ…エッ?」
童貞「もっ、もう…!」
童貞はりさこの中から短い突起物をりさこの頬に当てながら汚くけがわらしい白い液体を少量垂らした
リサコ「…。これで…おわり?」
童貞「ハァハァ…気持ち良かったよぉ」
リサコ「ちょっと待てよ!私はまだ満足してねーんだよ!」
童貞「また…またしようね、りしゃこちゃん(はあと」
リサコは起き上がって童貞を押し倒し
リサコ「お前ふざけんな!アタシを満足させずに自己満してんじゃねーよ!」
リサコは頬に付いていた白い液体を指二本付け童貞の口に突っ込んだ
童貞「んっ!んぐー!」
味がまずいせいか知らないが童貞の顔の表情もまずかった
リサコ「またしようねと言ったなあ!」
童貞「へっ…ぶぇ…」
リサコ「今からしようじゃないか!あたしが満足するまで帰さないわよ!」
そう言い放つとリサコは童貞のすっかり縮んだ物を膝蹴りした
童貞「〇×△☆&%@#★」
リサコ「大きくなるんだよ!この野郎!」
童貞「ヒーハー!!!!!!!!!!!」
431fusianasan:2009/11/03(火) 08:52:14
>>429>>430書いた者だ…
たまにここ見てるが
俺さぁ工房どころか菅谷の事全然知らないんだよね
>>430読んだらわかるがりさこかりさゅこかりしゃこかわかんなくなっちゃった
こうゆうことになったことを…
本当にすまないと思ってる(キリッ
432fusianasan:2009/11/03(火) 08:57:29
>>417を見てこんなんだろうと書いてみた
書いて後悔すらしないが
少しはスレの活性化にはなりました?
433fusianasan:2009/11/03(火) 19:21:46
梨沙子をマイマイに置き換えれば無問題
434fusianasan:2009/11/10(火) 18:39:07
かいて
435fusianasan:2009/11/10(火) 21:08:25
後藤真希 安めぐみ ほしのあき のヌード・無料で見れて最高でした。
http://399.jp/~foot/
436fusianasan:2009/11/13(金) 14:03:04
梨沙子でスゴイの書いてるが

無理 書き込めません 訴えられそう
437fusianasan:2009/11/13(金) 21:44:10
頑張れ!負けるな!期待してるぞ!
438fusianasan:2009/11/19(木) 20:08:33
がんばってください
439fusianasan:2009/11/20(金) 18:53:24
440fusianasan:2009/11/22(日) 10:43:34
小説待ってます
441fusianasan:2009/11/23(月) 10:10:53
書く人さんまってますよ
442fusianasan:2009/11/26(木) 16:34:10
新作期待
443fusianasan:2009/11/27(金) 16:27:51
期待してます
444fusianasan:2009/11/29(日) 14:41:00
(´・ω・`)
445fusianasan:2009/12/03(木) 16:52:23
書く人さんいないね
446fusianasan:2009/12/04(金) 16:38:54
書く人さんの小説読むのが楽しみだったのに
447fusianasan:2009/12/05(土) 12:59:06
448fusianasan:2009/12/05(土) 17:09:44
蒼井優 小倉優子のヌードコスプレ見つけました。
http://1pg.in/~tvad/
449fusianasan:2009/12/07(月) 18:07:02
小説まってます
450fusianasan:2009/12/07(月) 23:08:46
書く人いなくてもスレは進む…
451fusianasan:2009/12/08(火) 19:01:37
みやびぃ
452fusianasan:2009/12/10(木) 17:22:00
誰か書いて
453fusianasan:2009/12/13(日) 17:38:36
誰かぁ
454fusianasan:2009/12/18(金) 16:07:39
いないなぁ
455fusianasan:2009/12/23(水) 09:06:35
ほしゅ!
456fusianasan:2009/12/24(木) 18:44:08
457fusianasan:2009/12/29(火) 18:43:35
誰か…
458書く男:2009/12/30(水) 19:43:37
「ねぇ今日うちこない?」
「えっいきなりどうした桃子?」
桃子はてれながら
「今日親いないんだ!」 
僕と桃子は中1の時にしりあった!
中学の入学式まわりでは
「この学年にアイドルがいるんだって」 
僕はその話に興味をもった
まさか同じ学年にアイドルがいるなんて!
そして入学式は始まった


エロとはちょっとはなれてます

すいません
459書く男:2009/12/30(水) 20:23:34
僕の名前は塚永、入学ハガキでは二組だった
入学式では一人ずつ名前をいわれて、へんじをする
「二組、阿部」
「はい」
「伊沢」
「はい」
  |
  |
  |
「塚永」
「はい」
「嗣永」
「はい」

・・・嗣永?なんか聞き覚えある名字だな? え?もしかして!

「あ、あのもしかしてBerryzの嗣永桃子さんですよね?」
「そ、そうだけど、ばれちゃったなぁ、あれ塚永くんだよね?」
「うん」
「名字にてるね!」
「うん、そうだね」
「よろしくね」 
「うん」
460書く男:2009/12/30(水) 20:23:56
僕の名前は塚永、入学ハガキでは二組だった
入学式では一人ずつ名前をいわれて、へんじをする
「二組、阿部」
「はい」
「伊沢」
「はい」
  |
  |
  |
「塚永」
「はい」
「嗣永」
「はい」

・・・嗣永?なんか聞き覚えある名字だな? え?もしかして!

「あ、あのもしかしてBerryzの嗣永桃子さんですよね?」
「そ、そうだけど、ばれちゃったなぁ、あれ塚永くんだよね?」
「うん」
「名字にてるね!」
「うん、そうだね」
「よろしくね」 
「うん」
461fusianasan:2009/12/30(水) 21:31:32
書く男さんおつです!
462書く男:2009/12/30(水) 21:33:29
続きは明日かきます
エロとはかけはなれるかも
463fusianasan:2009/12/30(水) 21:39:59
>>462
エロくなるまでわくわくしてます!
464書く男:2009/12/30(水) 23:13:33
それから僕と桃子は仲良くなりつきひがながれた

中2の夏

明日からBerryzのコンサートツアーで一週間ももこがいない
「明日から学校やすむの?」「うん」
桃子は寂しそうにうなずいた
・・・僕も正直寂しかった。今まで当たり前のように桃子と話したりしてたけど
きずかないうちに僕は桃子のことが好きなのかもしれない
いや桃子のことが好きだ
桃子と離れたくない 
「もも、今日一緒に帰らない?」
「うん!」
桃子は嬉そうにうなずいた
465fusianasan:2009/12/30(水) 23:17:47
ワッフルワッフル
466書く男:2009/12/30(水) 23:49:05
そういえば桃子と二人で帰るのは初めてだ
こうして二人きりで帰ると恥ずかし  
「もも、お仕事たいへんだね」
「うん、大変だけど、Berryz好きだから」
「そっかぁ、明日からがんばれよ!」
「うん、ありがとう!」  僕は桃子に聞いてみた
「俺と桃子ってどんな関係?」
「え、ふつうに友達でしょ?」
「俺、桃子のこと好きだよ。俺、桃子の彼氏になっちゃだめかな?」        

そのあときまずくなり
二人ともだまりこんで10分ほど歩いた
467fusianasan:2010/01/01(金) 02:09:26
作者光臨だぁ
468fusianasan:2010/01/01(金) 18:48:42
小説きたい
469書く男:2010/01/01(金) 22:24:24
もうすぐ桃子の家
「じゃあ応援してるからがんばれよ」
桃子はだまったまま僕のうでをつかんだ
「やだ」
・・えっどうしたんだ
「ねぇ今日うちこない?」 「えっいきなりどうした桃子?」
桃子はてれながら
「今日親いないんだ!」 
470fusianasan:2010/01/02(土) 19:49:10
GJです
471fusianasan:2010/01/02(土) 23:07:44
>>469
書く男乙!
472fusianasan:2010/01/03(日) 19:23:36
どんどん書いてください
473書く男:2010/01/03(日) 20:47:43
「おじゃましまーす」
・・・これが桃子の家かぁ
やべっいいにおいする。
「じゃあもものへやいこ」
・・・ももの部屋!きっとかわいいだろうな
「はいっていいよ」
「うん」 

「じゃあシャワー浴びてくるからまってて」
・・・えっ?シャワー?
「まって桃、なんでシャワーあびるんだ?」
桃はすこし黙り込んで
「もっとちかくでかんじたい」
・・えっ?どういうことだ?  もしかしてエッチってこと
「もも、へんなこきくこどそれってエッチってこと?」
桃子は顔を真っ赤にして
「うん」     
474fusianasan:2010/01/04(月) 10:16:24
きてる
475fusianasan:2010/01/04(月) 17:56:04
>>473
かけはなれるどころか急展開だな
続きプリーツ
476書く男:2010/01/04(月) 18:00:35
今考え中
七時ぐらいになるかも
ところで学生?
477fusianasan:2010/01/04(月) 18:19:30
誰が?
478書く男:2010/01/04(月) 18:31:06
あなた
479fusianasan:2010/01/04(月) 18:38:31
>>478
社会人
480書く男:2010/01/04(月) 18:42:37
そうですか!
実は僕中学生で
知ってる範囲の知識で
がんばります
481fusianasan:2010/01/04(月) 18:51:16
童貞君は勘弁な
482書く男:2010/01/04(月) 19:02:29
どういう意味?
483fusianasan:2010/01/04(月) 19:11:52
>>482
がんばれよ若者
484書く男:2010/01/04(月) 19:23:31
了解しました
485書く男:2010/01/04(月) 19:48:08
「じゃあまってて」
・・・やばいがまんできない
僕は桃子をベットに押し倒した
「ちょっと、あせくさいから」
「ハァハァ」
僕は夢中になってキスをした「ンン、ハァ」      
夢中にキスして、お互い鼻息があらい
そして舌をからみあった     
486fusianasan:2010/01/04(月) 23:24:08
脱字気味だぞ少年
487fusianasan:2010/01/04(月) 23:28:20
いや誤字だったな
488書く男:2010/01/05(火) 07:06:54
やっぱりむずかしいですね
もうかけないです
小説苦手だし
489失礼します:2010/01/05(火) 16:26:50
490fusianasan:2010/01/05(火) 20:02:45
小倉優子のヌードコスプレ見つけました。
http://1pg.in/~tvad/
491fusianasan:2010/01/05(火) 21:15:42
>>488
いいとこでやめたら駄目じゃないか
492fusianasan:2010/01/09(土) 00:10:01
コナイネ
アゲトク
493fusianasan:2010/01/12(火) 07:56:03
書く男さん期待してるのに
494fusianasan:2010/01/12(火) 07:59:50
待ってるから!
ふざけんな!
お前はおれのどれいなんだよ。
愛に恋!めいれいだ!
495書く男:2010/01/13(水) 22:52:37
どれいだぁ?
ふざけんな
おまえが続き書いてみろよ
496fusianasan:2010/01/13(水) 22:53:15
>>495
チュッ
497脱脂綿:2010/01/15(金) 01:30:46
桃子はオナニーした
あまりに気持ちよくて失禁した
己の尿の匂いに酔って、
オナニーは三日三晩続いた

ものすごく良かったから、りしゃこに教えようと、
夜道を走ってりしゃこの家に向かったら、
途中でホームレスに犯されてもういやだ…
498fusianasan:2010/01/17(日) 02:21:19
まあ、ageときますか
499fusianasan:2010/01/17(日) 23:29:54
書く人さんまってます
500fusianasan:2010/01/19(火) 00:12:45
500ゲト
501fusianasan:2010/01/20(水) 17:53:36
だれか書いて
502fusianasan:2010/01/21(木) 00:03:26
書く男
受験か?
503書く男:2010/01/21(木) 19:57:43
ひさしぶりです
まあ受験でいそがしいです
504fusianasan:2010/01/21(木) 23:26:23
俺も受験ですお互いがんばりましょう
505嗣長桃子:2010/01/22(金) 00:20:28
熊井くんの策略

入りたての高校の同じクラスにアイドルの嗣永桃子がいると知っても、熊井くんはとりわけ心をときめかせたりしなかった。
ただ、いつもの淫らなゲームの最高のターゲットが勝手に飛び込んできてくれたという、幸先のよい高校生活のスタートに、内心でほくそえんだだけだ。
熊井くんの策略は、その日のうちに始まった。
『学業と芸能活動の両立について話し合いたいから、夜の七時に教室に来るように』と、担任の名を騙った手紙を靴箱に入れて、桃子がおびき寄せられて来るのを待った。
そして生徒が全員帰宅し、先生たちもあらかた帰ったのを確認して、教室に入り、これから始まる淫らなゲームを頭の中でシミュレートしながら、オナニーを始めた。

七時が近づくにつれて、熊井くんは長身の体躯にふさわしい、大きくて形の良いちんこをさする手に、さらに力と技巧を込めた。
オナニーしている姿を女の子に見せて欲情させるのが、熊井くんのいつものやり方なのだ。
一般人だろうとアイドルだろうと、美しい熊井くんのオナニーを見て興奮しない女の子はいない。
「あっ!!」
不意にあまりにもいやらしくて美しいものを見せられて、嗣永桃子は教室の入り口で固まった。
完璧な美少年である熊井くんの勃起ちんことオナニー姿が立派すぎて、身がすくんでしまい、目を塞いだり、その場から逃げ去ることとかができなかったのだ。
桃子の目がとろ〜んとしてきた。
口がだらしなく開いた。
熊井くんはもくろみどおりの展開になったことを確認すると、ちんこをしまって、腰をぴくぴく震わせながらつっ立っている桃子を残して、悠然と教室から出て行った。
今日のところはここまで。
作戦どおりだ。
506嗣長桃子:2010/01/22(金) 00:21:54
お風呂

熱いお風呂につかりながら、桃子は思い出していた。
「あぁん、熊井くんのすごいおちんちん……大きくて、いやらしい形をしてて……色もいやらしくて……あんなのを入れてもらったら、あたし、どうなっちゃうかな??」
記憶に刻まれた熊井くんのおちんちんの姿を自分の指に重ねながら、桃子は恥ずかしい割れ目に沿って指先を這わせて、割れ目の上についている小さな敏感な果実をくにゅくにゅと刺激した。
「あ、あぁぁ……」
お湯の中で、背中と首筋を仰け反らせたまま硬直した。
小さな体からひっきりなしにいやらしい蜜があふれてお湯に溶けてゆくのがわかる。
「お湯が濁っちゃう……えっちなことをしてたのが家族にばれちゃうよ……」
自分の部屋で急いで続きをするために、桃子は髪も洗わずにお風呂から出た。
507fusianasan:2010/01/22(金) 01:18:11
>>503
よう!
>>506
おつん!
508fusianasan:2010/01/24(日) 23:09:53
どんどん書いてください
509fusianasan:2010/01/31(日) 20:25:15
まってます
510書く人 ◆ZBov0fGF0M :2010/02/01(月) 17:24:43

 教えられたマンションの一室。
 片手にケーキの箱を提げた僕は、チャイムを押すのを一瞬ためらい、深呼吸をする。
 それはため息にも似ていて、心がわずかに重みを増した。
 意を決してボタンを押すと、僕の心境と反比例して、ありふれた緊張感のないチャイムが、ドアの向こうで鳴った。
 一呼吸すると、中から鍵の開く音が聞こえて、ドアが開いた。
「いらっしゃい!」
 名前にふさわしく、花のような笑顔を見せるえりかさんが、立っていた。
 何度も見ているはずの、見慣れているはずの笑顔なのに、なぜだか僕は、いつもときめいてしまう。
 見蕩れていた微笑が、ふいに思案顔になり、
「ちょっと待って」と言って、パタリ、とドアが閉まった。
 置いてけぼりの僕は、何がなんだかわからずに、えりかさんの言葉に従ったわけでもなく、立ち尽くす。
 ほんの数秒後、最初と同じ速度で開いたドアの向こうから、えりかさんのやや染まった頬の笑顔。
「おかえりなさい、あ・な・た」
 爆発音が、どこか近くで聞こえた。自分の頭の中でだ、と気づくまでには、数秒かかった。
 首から上がすっ飛ぶほどの威力が、その言葉には、表情には、仕草には、あった。
 体中の血液が沸騰、いや気化してしまうほどの衝撃。
 真っ赤になっているであろう僕の顔を見、えりかさんは急に照れた表情になり、
「は、早く入って」と、慌てて僕の手を引いた。
 玄関に入り、背中でドアが閉まる。
 当たり前のことだが、自分の家とは違う匂いがして、改めてえりかさんの家に来たのだと実感させられる。
「もうっ。なんかリアクション取ってくれないと、すっごい恥かしいでしょ」
 上気した頬を膨らませるえりかさん。少し珍しい表情だった。
 ロングTシャツの長めの袖を弛ませて着て、下はミニスカートから伸びる脚を見せている。
511書く人 ◆ZBov0fGF0M :2010/02/01(月) 17:25:26

 不意打ちからいまだに立ち直れない僕は、
「ご、ごめんなさい。あんなこと、言われるなんて思ってなくて……」慌ててそんな当たり前のことを言ってしまった。
 僕を見つめるえりかさんの目が丸くなる。
 どうしたんだろうか、と思っていると、
「よっぽど驚いちゃったんだね」えりかさんの口調こそ、驚いた響きが混じっている。
「はい」と素直にうなずいて、「……あっ」
 失敗に気づいた。そういえば、さっきもごめんなさい、と僕は言っていた。
 自分では、くだけた話し方に、もう慣れていたつもりでいたけれど、さすがにあの衝撃のあとでは調子も狂うと言うものだ。
 えりかさんが背を丸め、顔を近づけて瞼を下ろした。
 キスは何度もしている。でも、“約束を破った”ときのキスは久しぶりだった。
 いつもより、ほんの少しだけ、熱い唇。
 軽く重ねただけなのに、伝わってくる熱の高さに驚いて、唇を離そうと思ったけれど、それを察したように、えりかさんから体重を預けてくる。
 一歩、下がりながらそれを支える僕の背後で、カシャン、と鍵がかかる音。次いで、チェーンをかけられる、金属が奏でる甲高い音。
 そんなわけはないのに、閉じ込められたような気持ちになってしまう。
 ゆっくりと離れていったえりかさんが、いつもの薄い笑みを浮かべて、僕の右手に目を送る。
「それは?」
「あ、ケーキを、買ってきて……」
 本体がどれだけ驚いても、それを離さなかった、右手をほめてやりたい。
 以前、母親が買ってきたことのあるケーキで、女の子の家に遊びに行くときはこれを買っていきなさい、
と言っていたのを、家を出る前に思い出したのだ。
 あの時は、何をバカなことを言っているんだか、なんてため息をついたものだが、
初めて女の子の家に招かれて、どうすればいいのかわからなかった僕は、結局あの言葉に従ってしまった。
512書く人 ◆ZBov0fGF0M :2010/02/01(月) 17:25:48

「ひょっとして、お母さんに言われて?」
 心臓を撃ち抜くような、一言だった。
 なんでばれたんだろう。
 少しはいいところを見せたい、なんて考えていた僕は、あっさりと看破されて、混乱する。
 自分がどんな表情を浮かべているのか想像もつかないが、慌てふためく僕を見て、えりかさんが笑う。
「この前、駅まで送っていってもらったときにね、“女の子の家に遊びに行くときは、
駅前の店でケーキを買っていくように言ってある”って聞いてたの」
 そしてまんまと、僕はそのとおりの行動を取っていたわけか。
 悔しさとか恥かしさとか、情けない気分でうつむいてしまう僕に、えりかさんが、
「面白いお母さんだよね。私、あのお母さんとなら、仲良くやっていけると思うよ」笑い混じりの、弾むような声で言う。
 そうですか。
 僕はいまだに仲良くやっていく自信はありません……って。
「それって、どういう……」
 なにかとても深い意味が潜んでいるように思い、聞き返そうとする僕。
 しかし、それを笑顔で遮ったえりかさんは、
「さ、上がって」僕の手を握った。
 それだけで、言葉の続きを飲み込んでしまう僕。
 問いかけの言葉は消化されて、もう再び出てくることはなさそうだった。
「おじゃまします」
 えりかさんに導かれるように、別の言葉が現れた。
513書く人 ◆ZBov0fGF0M :2010/02/01(月) 17:26:29

 飲み物を持ってくる、と言い残して、席を立ったえりかさん。
 部屋に一人、取り残されたような気分の僕。
 つい、きょろきょろと見回してしまう。
 ぬいぐるみや化粧道具、ファッション雑誌が本棚に立ててあったり、
グループのメンバーと撮った写真が、枕もとのコルクボードに貼られていたりと、自分が持っていないものを見ると、
いかにも女の子の部屋と主張している。
 ベッドやカーテンなど、自分の部屋にも当たり前にあるものでも、デザインや色が違うだけで、まるで違うもののように見えてくる。
 そして何よりも。
 僕の鼓動を乱すのは、部屋の空気そのものだ。
 女の子の匂い、っていうんだろうか。
 妙に覚えのある匂いだな、と思ったが、考えてみれば当たり前だった。
 えりかさんとキスするとき、えりかさんに抱きしめられるとき、僕を包み込むあの香りが、何倍もの濃度で充満している。
 えりかさんに包まれているような、そんな錯覚に襲われる。
 甘い香りを求めて鼻を鳴らすと、まるで見計らったかのようなタイミングで、ドアが開いた。
 紅茶とケーキを載せた盆を、片手でバランスを取りながら持ち、
「お待た……え? なんか臭う?」笑顔が一転して、不安に曇る。
「あ、いや、そうじゃなくて。その、いい匂いがして」
 雲を払ったように、表情を綻ばせるえりかさんが、
「いい匂い?」と、首をかしげる。
「うん……あの、えりか、の、匂いがして……」
 その匂いを嗅いでいた、と告白してしまい、耳まで熱くなった。
 僕の隣に腰を下ろしたえりかさんが、くすくす笑いながら、ケーキと紅茶をテーブルの上に置いてくれた。
「今日は赤くなってばっかだね」
 言われて、ますます紅潮していくのを実感する。
 まるで、僕だけ真夏にいるようだ。
 うつむいた視界に入ってきたのは、ミニスカートからはみ出すえりかさんの白いふとももで、
僕の周囲には、とことん落ち着かなくさせる状況しかなかった。
514書く人 ◆ZBov0fGF0M :2010/02/01(月) 17:26:58
「ねえ」
 ふとももを見ていたことを、とがめられたかと思ったけれど、えりかさんの声色にそんな険は含まれていなかった。
 なんだろう、と顔を上げると、立ち上がったえりかさんが、ベッドに歩いていった。
 ベッドの縁で腰を下ろすと、何も言わず微笑み、両腕を広げてみせた。
 戸惑ったのは一瞬だけで、確かめるようにえりかさんと目を合わせると、花の香りに誘われる虫のように、
ふらふらとえりかさんに近づく。いや、吸い寄せられる。
 えりかさんの前に跪き、その胸に、顔を埋める。
 形を失ったように、ぼんやりする僕の頭に、えりかさんの両腕が絡みつく。
 まるで形を留めるように、えりかさんの腕はぴったりと僕の頭を抱きしめられ、抱き寄せられる。
「いい匂い、する?」
「……うん」
 胸を疼かせる、甘い香り。
 頬に押し付けられる、柔らかなふくらみ。
 その奥で高鳴る、脈動。
 えりかさんも、緊張しているんだろうか。
 鼓動は、大きく、激しく、何かを訴えかけているように脈打っている。
 それを聞き取りたくて、背中に手を回し、頭をえりかさんの胸に密着させる。柔らかいふくらみに沈み込んでいく。
 抱きつかれたり、腕を組んだときに、感じていた柔らかさだけど、こんなにもはっきりとした感触は初めてだった。
 肺はえりかさんに匂いに満たされ、頭は女の子独特の柔らかさに包まれて、幸福感と肉欲が、同時に湧き上がってくるのを感じる。
 えりかさんを押し倒して、情欲を吐き出す姿を妄想した。
 おそらく、その妄想を実行したとしても、えりかさんは受け入れてくれるだろう。
 けれど、それを実現させられないのが僕だった。
 欲望を押さえつけている僕の、気をそらしてくれるように、えりかさんが口を開いた。
「あの、ね……怒らないで聞いてほしいんだけど……」
 不安そうに震える声。
 えりかさんの声だとは、とても信じられなかった。
「私ね、今まで、好きになられたことはあっても、好きになったことって、なかったの。キミを好きになるまでは」
515書く人 ◆ZBov0fGF0M :2010/02/01(月) 17:27:23

 えりかさんの口から、何度も聞いた言葉が、聞きなれない響きでこぼれた。
「好きだって言われて、嬉しくなって、それが好きってことだと思ってたけど……
キミを好きになって、ぜんぜん違うものだって、わかったんだよ」
 えりかさんの腕は、おぼれている人間が、目の前に放り投げられた浮き輪にしがみつくように、僕の頭を強く抱きしめる。
 頬が、胸に押し付けられる。
 胸の柔らかさよりも、えりかさんの不安が、鼓動から伝わってくる。
 僕は、なんと答えていいのかわからず、なんと言ってあげればえりかさんの不安を取り除けるのかわからず、
背中に回していた手を、強く絡ませて、抱きしめた。
 ありがとう。
 かすれて消えそうな声で、ささやくえりかさん。
「あの、聞いてもいいかな?」
 腕の中で問いかける僕に、
「なに?」
 優しく声を返してくれるえりかさん。
 少し腕を緩ませてくれたので、顔を上げて間近のえりかさんを見上げる。
「僕の、どこを、好きになったのかなって、思って……」
 気にはなっていたけれど、えりかさんの方からも話してこないし、なんとなく、今まで聞けずにいた。
 えりかさんは、きょとんとした顔になって、一瞬、目を泳がせた。
 聞いてはいけないことだったのだろうか、と戸惑ったが、
「言ったことなかったっけ?」
 言ったと思っていた。言ったつもりになっていた。
 えりかさんらしいと言えばらしい。
 少なからず悩んでいたのが、バカらしくなる。
「キミが入学してすぐ、空手部の練習試合があったでしょ? あの時の、泣きそうな顔を見て……」
516書く人 ◆ZBov0fGF0M :2010/02/01(月) 17:27:44

 小学生のころから空手をやっていて、当然の流れで空手部に入部した。
 うちの空手部には、新年度になると、僕が生まれる前から縁があるという他校との、交流試合が伝統となっている。
 入部したばかりとはいえ、経験者である僕は、組手をやることになった。
 相手は僕よりも一回り大きな体を持ち、県大会でベスト4にまでなった上級生で、しかも美形だった。
 僕が勝てる要素なんてひとつもない。
 今から思えば、思い上がらないように、調子に乗らないように、最初にへこませてやろうという考えがあったのかもしれない。
 しかし、あの時の僕は、勝つつもりでいた。
 当然のごとく手も足も出なくて、苦し紛れに出した蹴りが、たまたま技有りになった程度だった。
 しかし、それが相手を本気にさせてしまったようで、重く鋭い正拳突きを受けて、敗北した。
 こちらは全力を尽くしてへとへとだったというのに、相手はたいして息も乱してもいなかった。
 完敗だった。
 悔しかった。
 こぼれそうになる涙を、必死にこらえていた。
517書く人 ◆ZBov0fGF0M :2010/02/01(月) 17:28:39

 あのときの相手が、えりかさんの友達の彼氏で、それにつき合わされたらしい。
「勝てるわけないじゃんって思って見てたんだけど、
終わってからあんな悔しそうな顔してて……それだけ真剣なんだなぁって、思って。そしたら、なんか、かっこいいなぁ、って」
 えりかさんは視線を宙に向け、あのときの光景を思い出しているらしい。
 その頬は、かすかに赤く染まっている。
「あの真剣な顔を思い出すとね、胸がドキドキして。あぁ、これが恋なんだなぁってわかったんだけど、
さっきも言ったけど、好きになられたことはあっても、好きになったことはなかったから、
どうしていいかわかんなくって……それで、卒業式まで、ずっと遠くから見てることしか出来なくって……」
 最後の言葉は、ため息をつくように、唇からこぼれた。
「もっと早く告白できてたら、もっと長く、付き合っていられたのにね」
 少し残念そうに、悲しそうに、えりかさんが呟いた。
 そこいたのは、えりかさんではなかった。
 年上の綺麗なお姉さん、である、えりかさんではなかった。
 当たり前にある恋愛に、当たり前に悩む女の子が、そこにはいた。
 見上げる僕を、見つめ返すえりかさん。
 胸が高鳴る。
 今までの、ドキドキさせられてきたのとは違う、もっと柔らかくて、穏やかで、温かい感情が、鼓動とともに湧き出してくる。
 湧き出す感情の赴くまま、彼女に口付けた。
 少し戸惑った様子を見せながらも、受け入れてくれる。
 とくん、とくん、とくん。
 鼓動が伝わる、温かなキス。
 どちらからともなく、す、と離れた。
 嬉しそうに、柔らかな光をたたえた瞳が、僕を見つめる。
「好きだよ、えりか」
 自然と、言葉が出てきた。
 僕の今の気持ちを素直に、率直に表す言葉。
518書く人 ◆ZBov0fGF0M :2010/02/01(月) 17:29:20

 ほんの少しの間目を丸くし、それから目元を緩ませて微笑む、えりか。

「初めて、だよ」
「え?」
「いま、初めて、好きって、言ってくれたんだよ」
「そう、だっけ……」
 言われれば、そうだったかもしれない。
 えりかからの気持ちに戸惑うばかりで、僕の気持ちを、ちゃんと伝えていなかったかもしれない。
 ごめん、と謝るのではなく、その代わりに、
「好きだ」と、気持ちを言葉にする。
 えりかは、うん、とうなずいて、瞳を潤ませた。
「私も、大好きだよ。あの頃よりも、ずっと、好き」
 甘いささやきに、心が蕩ける。
 何で僕は今まで、こんなにも可愛い彼女に気づけなかったんだろうか。
 溢れ出す気持ちをこらえきれず、今日、何度目かのキス。
 何度、経験しても、慣れることが出来なかったキスだったけれど、今はどうしてか、自然に、当たり前のように、唇を重ねることが出来た。
 僕の思いは見当はずれの場所に向かっていて、えりかからの思いに壁を作っていて。
 その誤った回線の接続を、ようやく正せたような。
 今やっと、心をつなげることが出来たような、そんな気がする。
 唇に触れる違和感が、そんな思いに酔う僕の思考を遮った。
 最初はそれが何か気づかず、ぬるりと唇を割って口の中に入り込んできたところで、えりかの舌だとわかる。
 突然のことに驚き、反射的に唇を離してしまった。
「あっ」
 不意に失った温度に、戸惑うえりかの声。
 不安そうに揺れる瞳が、僕の胸に小さな棘を刺す。
 拒んだわけじゃない。
 言葉にする代わりに、僕から口付けを再開して、声をもらした唇に舌を伸ばす。
「んっ」
 今度は驚いたように息を漏らし、舌を受け入れてくれた。
519書く人 ◆ZBov0fGF0M :2010/02/01(月) 17:30:07

 入り口を通り抜けて、えりかの舌に触れる。
 僕の舌を迎え入れて、絡みつく。
 どうしていいのわからずに、とにかく動かすことしか出来なかったが、えりかはでたらめな僕の動きに合わせて、優しくリードしてくれる。
 聞いているだけで興奮してくる、色っぽい水音が、静かな部屋に響く。
 肌よりも熱い口の中。
 えりかの、中。
 荒くなった吐息が口の中に送り込まれて、興奮が高まる。
 熱くなる体が、えりかを求めている。
 今までにないくらい、強く。
 息苦しさもあって舌を解くと、どちらからともなく、唇を離した。
 目の前には、瞳を潤ませ、上気したえりかの顔が、照れ笑いに綻んでいる。
 その、とてもかわいらしい表情に、理性を保てるはずがなかった。
 ごくり、と喉を鳴らしてから、
「えりか……」名を呼ぶ。
 そこから、どう切り出せばいいのか、それとも行動で示してしまっていいのか、頭の中は嵐のように混乱していた。
 頭の中に心臓が移動してきたみたいに、鼓動がうるさくて、考えがまとまらない。
 やがて、えりかは潤んだ瞳を、ふ、と翳らせた。
 え、と思っていると、
「私ね、あの……初めてじゃ、なくて……」ごめん、と重苦しい声を、吐き出した。
 今までのことを考えれば、容易に想像できることだった。
 まるっきり気にならない、と言えば、嘘だ。
 言葉にされると、胸にのしかかるものを感じる。
 でも、それでも。
「僕は、えりかが好きだ」
 この気持ちに偽りはない。
 少し驚いて、目元を緩ませたえりかは、うん、と嬉しそうにうなずいてくれた。
 ちょん、と触れるだけのキスをして、えりかのシャツのすそに手をかけた。
 震える手でシャツを捲り上げると、それに合わせてえりかがバンザイのように手を上げてくれる。
 みぞおちを過ぎたあたりで、薄いピンクのブラジャーが現れ、目を奪われる。手だけは半ば自動的にシャツを脱がす。
520書く人 ◆ZBov0fGF0M :2010/02/01(月) 18:00:04

 乱れた髪を手櫛で整えるえりかの頬は、先ほどよりもさらに赤く染まっていた。
 きっと僕も、負けず劣らず、真っ赤な顔をしていることだろう。
 次は下、だけど……スカートってどうやって脱がせるんだ。
 たいていのスカートは、たしか腰の横にホックがある、はず。
 と、腰の横辺りに視線を向けると、えりかが僕の手に触れた。
 驚いて、えりかの顔を見ると、微笑を浮かべて、僕を見つめていた。
 えりかは見詰め合ったまま、僕の手を引き、腰の横に指先を触れさせた。
 指先に触れる感触は、ホックではなくファスナーだった。
 知らずにいたら、戸惑ってしまうところだ。
 僕はそれを下ろして、スカートを脱がせていく。
 えりかが腰を浮かせてくれて、あっさりと脱がせることが出来た。
 ブラとおそろいの、ピンクのショーツ。
 直接、見る印象は、メールに添付されていた画像とは、文字通り次元が違う。
 ずっときれいで、ずっと、興奮する。
 あまりの存在感に、目を離せないでいると、
「ねえ……私だけじゃ、恥ずかしいから……」えりかが、伏し目がちの赤い頬で呟く。
「あ……うん」
 えりかに言われて、服を着ていることが、不思議と恥ずかしいことのように思えてしまった。
 シャツのボタンに手をかけると、そこにえりかの手が重なる。
 え? と思っていると、薄い微笑のえりかが僕の手をどけ、ボタンに指をかけた。
「あ、いや……自分で……」
「私のは脱がせたのに?」
 そう言われてしまうと、返す言葉が見つからない。
 えりかは、押し黙った僕を見て、くすり、と笑うと、ボタンを外し始めた。
 他人に服を脱がされるというのは、子供の頃を除けば初めてだ。
 恥ずかしいし、緊張するしで、居心地が悪い。
 しかも布越しに、えりかの指が触れるたび、心臓が跳ね上がる。
 ドギマギしているうち、シャツを脱がされ、ズボンと靴下が剥ぎ取られ、下着のみになっていた。
521書く人 ◆ZBov0fGF0M :2010/02/01(月) 18:00:31

 下着は、内側から大きく膨らんでいる。
 これから起こることに対する期待と、初めて目にする女体に向かう情欲。
 思考が暴走寸前の僕に、えりかが抱きつき、耳元で、
「ブラ、外してくれる?」甘く、淫靡な囁き。
 小さくかすれた声だけど、頭蓋が破裂するような衝撃を受ける。
 どうにか頷いて、背中に手を回す。
 震える指先でホックを探し当て、両手を使ってそれを外す。思った以上に、うまく外すことが出来た。
ネットやら本やらで調べておいてよかった。
「上手」
 感心したえりかの声が、吐息となって耳をくすぐる。
 かすかに背筋を震わせた僕は、ホックを外した手を背中に滑らせて、腰にまで降りていく。
 下着のゴムに指をかけると、脱がせやすいように、腰を浮かせてくれるえりか。
 おかげで、するりと、脚を抜くことが出来た。
 首に抱きつかれたままなので、見ることは出来ないけれど、おかげで多少は理性を保っていられる。
「すごく、ドキドキしてるよ、私……」
「僕も……」
 短く言葉を交わすと、小さく息を吐く、えりか。
 そして、首に絡まっていた腕が、ゆっくりと解かれた。
 えりかの体。
 遮るもののない、一糸まとわぬ姿。
 女性らしい曲線で描かれた輪郭は、芸術的ですらある。
 形よく膨らんだ乳房と、引き締まった腰のくびれ。
 小さなへその下にある、整えられた翳りと、男を魅了する美脚。
 全てが僕をひきつける。
「キミも、脱いでよ」
 見とれていた僕は、えりかの声で我に返った。
 小さく顎を引いて首肯し、下着に手をかける。
 何度か見られている場所だけど、今まではえりかの手で晒されていた。
 それが自らの意思で脱ぐとなると、種類の異なる羞恥が湧き上がってくる。
 体を覆う最後の一枚の脱ぎ捨てて、全てをさらけ出す。
522書く人 ◆ZBov0fGF0M :2010/02/01(月) 18:00:53

 暖房と興奮の熱で体は温まっているけれど、さすがにペニスが外気に触れると、肌寒い気がしてくる。
 熱情にいきり立つペニスが、えりかの目に触れ、ますます硬度を増すのがわかる。
 くすり、と笑ったえりかが手を伸ばし、ペニスを撫でる。
「うっ」
 鋭い快感が、神経を走り抜けていった。
 その甘い快感に身を委ねてしまいたくなるのを、崖っぷちでこらえた。
 えりかの手がそれ以上動かないように、両肩をつかんで瞳を覗き込んだ。
 なに? と口が動く前に、唇をふさぐ。
 んっ、と戸惑った息を漏らすえりかを、そっとベッドに横たえた。
 唇を離すと、驚いた表情のえりかを見下ろす。
「その……今日は、僕が……」するから、と唇を動かす。
 えりかは、なぜか目を泳がせて、赤い頬をさらに色濃く染めながら、こくり、と頷く。
 うまく出来る自信なんてないけれど、そうしたい、と思った。
 改めて視線を下に向ける。
 女性特有のふくらみ。
 その柔らかそうな見た目とは裏腹に、重力によって崩れることなく、綺麗な形を保っている。その頂には桃色の乳首。
 そっと重ねるように手のひらを置くと、その柔らかさに驚く。
 男にはない、女性にしかない柔らかさ。
「ふぅっ」
 小さくこぼれたえりかの吐息は、かすかに揺れて聞こえた。
 撫でるように優しく、柔らかな塊を揉む。
 滑らかな肌と押し返してくる弾力が、手のひらに心地良い。いつまでもこうしていたくらいだ。
 えりかの胸が大きく上下しているのが、触れている手から伝わってくる。
 気持ちいいのだろうか。
 それとも、ただ緊張しているからだろうか。
 少し膨らんできて見える乳首を、指の腹で擦る。
「んぅっ」
 甲高い声が短く走り、驚いて顔を上げると、えりかが恥ずかしそうに口元を隠して目を逸らした。
523書く人 ◆ZBov0fGF0M :2010/02/01(月) 18:01:14

 驚いた声、というわけではないようだ。
 さらに指で擦り、摘み、弾く。
 そのたびにえりかは、
「んっ、うぅっ、やっ……」素直に反応し、息を漏らす。
 初めて見るえりかの表情、仕草。
 そのかわいらしさに、僕の興奮が高まる。
 乳房から手を離して、えりかの体を滑り降りていく。
 閉じられているふとももに手を置き、えりかを見上げる。
 今にも、涙があふれ出しそうなほど潤んだ瞳が、こちらを見つめている。
 視線が絡み合うと、小さく息をついたえりかが、ゆるゆると、固まっていた脚が解いていく。
 整えられた薄めの茂み。
 足の付け根に隠れていた、深い亀裂。
 そっと触れて、皮膚の裂け目を左右に開くと、内側から現れる、粘膜の花びら。
 シンプルなような、複雑なような、感想がはっきりしない、バラのような形。
 僕は……僕は、まるで花の蜜に誘われる蜂のように、気がつけばそこに口を押し付けていた。
「えっ!? ちょっと、待っ……くぅっ」
 顔を背けていたえりかには、不意打ちのように感じられただろう。
 慌てて僕の頭を押さえつけるけれど、ふとももにしがみつくようにして、離されない。
 粘膜の奥に舌を送り込み、さきほどのキスを思い出し、口の中でしたように、舌を動かす。
「んぅっ、待ってって言っ、ふぅっ、ふあっ」
 まだ何か言いたそうなえりかだったけれど、かまわずに舌を動かす。
 唇とも、口の中とも違う、未知の感触。
 舌が動くたびに、びくびくと、体の内側と外側が反応して震え、
「ふぁ……くぅっ……ふっ、ぁあっ」聞いたことのないえりかの声が、鼓膜を揺らす。
 もっと聞きたい。
 やがて、自分の唾液ではない、生暖かい液体が、舌に絡み付いてくる。
 自分の愛撫で、愛しい人が気持ちよくなってくれている。
 それが嬉しくて、たまらない。
524書く人 ◆ZBov0fGF0M :2010/02/01(月) 18:01:39

 粘膜の穴から舌を抜き出して、秘裂の縁を止めているような突起を、舌先で弾く。
「んあぁぁっ」
 硬く尖ったそこが、クリトリスであり、女性の体の中でもっとも敏感な場所だということくらいは、わかる。
 ただ、腰が浮き上がりそうになるほどの反応を見せるとは、思ってはいなかった。
 腰が動いたせいで、驚いて口を離してしまう。
 荒い呼吸で、腹を上下に動かす、えりか。
 かすかに光る目元。
 濡れた瞳が僕を見、
「もうっ……がんばり、すぎっ……」
「えりかに、気持ちよくなってほしくって」
 言ってしまって、少し恥ずかしくなる。
 いまさらという気もするけれど。
 そんな僕の心を見透かしたように、えりかはくすくすと笑い、しかし、その笑顔をすぐに引っ込めて、
「そろそろ、いい、よ……」消えてしまいそうな声で、言った。
「え?」
 聞こえなかったわけではないけれど。
 その意味がわからなかったわけではないけれど。
 問い返してしまった。
 えりかは、少し困ったように、真っ赤な顔で眉をゆがめ、
「だ、だからぁ……今度は、キミが、気持ちよくなる番、なんだよ……」言い終えると、すがるように指を絡めてくる。
 僕はそれに応えて、小さく、頷いた。
 肉欲と愛欲が詰まって、はちきれそうになっているペニスを、唾液と愛液で濡れたえりかの秘裂に押し付ける。
「んっ」
 息を漏らしたのは、どちらだったか。
 粘膜同士がこすれあい、甘い刺激が、脳に駆け込む。
 片方の手をつないだまま、腰を押し出す。
 が。
 つるり、と滑って目標を外してしまった。
「あ、あれ……」
 ちゃんと、穴の上に押し当てたと思ったけど。
525書く人 ◆ZBov0fGF0M :2010/02/01(月) 18:02:00

「焦らないで」
 優しく囁く声。
 えりかの空いている手が、僕のペニスに柔らかく添えられる。
 それだけでも充分な快感だったが、その手が、亀頭の先端を、粘膜の花びらに導いてくれた。
 短く視線を交わして、再び腰を押し出した。
 えりかが押さえていてくれたので、今度は的を外すことなく、欲望の塊が、えりかの中に沈みこんでいく。
 水っぽい音を立てながら、柔らかくて熱い深みの中を、襞を押し広げながら、奥へと潜り込む。
 眉を寄せるえりかは、深い息を吐き出して、異物の進入に耐えているようにも見えた。
 僕は僕で、腰が砕けそうになる快感に堪えながら、ついに、根元までがえりかの体の中に埋まった。
「ふぅぅぁああぁっ」
 きゅ、と握った手に力を込めるえりか。
 初めて体感する、女性の内側。
 熱い肉襞が、ペニスに絡みつき、目がくらむような快感が襲い掛かってくる。
 今度は僕が、握った手に力を入れてしまう。
 お互いの乱れた呼吸が、部屋の空気を満たしていく。
 濡れた瞳同士で見つめあった。
「えりか……」
 愛しい名前を囁いて、体を重ねる。
 片方の手はつないだままで、もう一方の手を背中に回して抱きしめると、それに応えてえりかの腕が首に絡まった。
 えりかの乳房が僕の胸に密着して、つぶれる。
 どちらからともなく唇を合わせて、舌が絡み合う。
 より強い快楽を求める信号が、脳神経を駆け巡る。
 キスに夢中になってきたえりかの、不意を突くように、腰を動かす。
526書く人 ◆ZBov0fGF0M :2010/02/01(月) 18:02:22

「ンぅ、ふッ──んゥゥッ! ──ッ、ゥッ」
 舌を絡めたまま、唇の隙間から漏れる息が、熱く濡れている。
 蜜に濡れた粘膜の襞は、ペニスに張り付き、柔らかく締め付けてくる。
 腰を押し出せば、引き込むようにうねり、引けば、離すまいと絡み付いてくる。
 まるで僕に抱きつく、えりかそのもののようだ。
 先端が奥を打つたびに、口の中に甘い息を送り込んでくるえりか。
 その吐息を吸い込み、熱いいい気を返す僕。
 2人の息が混ざり合い、熱と快楽が増大する。
「くぅ、ア──ッ、──、────ッ!」
 自然と腰の動きが早くなる。
 ペニスが擦られる刺激が強くなって、奥壁を亀頭で突くたび、快感が全身を駆け巡る。
「ぅ、ァ──ッ────! ──ッ!」
 僕の激しさに、えりかも呼応する。
 高まる感覚を、抑え切れない。
 ひときわ強く、腰を打ち付けて、えりかに包まれたまま、快感の臨界を迎えた。
 えりかの体の奥底で、爆発するように飛び出してくる精液。
 精液を打ち付けられるたび、ビクビクと体を痙攣させる、えりか。
 体も心も、ひとつに溶け合っているような、不思議な感覚。
 大好きな女の子とひとつになれて、生涯最高の快感を体験して、ただ気持ちいいだけではなく、体中がとても温かな感情で満ちている。
 やがて、おびただしい量の精液を吐き出したペニスが、ようやく力尽きた頃、僕らは唇を解いた。
 目の前には、愛しい人の顔。
 僕を見つけると、ゆっくりと微笑んで、一筋の涙を流した。
 戸惑った表情を見せると、
「これで、ちゃんと彼女に、なれたんだなって……」目元を柔らかく緩ませる、えりか。
527書く人 ◆ZBov0fGF0M :2010/02/01(月) 18:03:13

 ひょっとしたら、僕が不安だったように、えりかも不安だったのかもしれない。
 僕の自信のない態度は、自分を彼女として認めているのかどうか、心配させていたのかもしれない。
 告白されたときは、驚いて、ただ戸惑うだけだった。
 そのあとも、強引とも似た積極的な態度に、引っ張られているだけだった。
 好きなのかどうか、ちゃんと考える時間も与えられず、愛情や好意を押し付けられることが、重く感じたこともあった。
 でも僕は、えりかの隣にいることを選んだ。
 いつの間にか、えりかと離れたくないと思っていた。
 これからもずっと、そばにいたいと思っている。
 僕を見上げるえりかが、そういえば、と何かに気づいたような顔をする。
「キミを見上げるのって、初めて、かな? すごく新鮮……」
 言われてみれば、確かに見上げてばかりで、視線の下にいるえりかを見るのは、初めてだったかもしれない。
「すごく……ドキドキする」
 はにかんで微笑むえりか。
 言われるまで気づかなかったことなのに、気づくまでは意識しなかったことなのに、意識してしまうと、いまさらながら、胸が高鳴る。
「ベッドの上だと、身長差が気にならなくなるんだね」
 無意識にこぼれた言葉を聞いて、えりかが頬を染め、照れ笑いとともに、
「エッチなセリフだよね」いまさらなことを言った。
 いつもと違って見えるその表情は、いつもよりも数段可愛く見える。
 こんな可愛らしい表情に、今まで気づけなかったことが悔やまれる。
 けれど、今からでも遅くはない。
 これからは、いつでも見ることが出来るだろう。
「好きだよ、えりか」
 囁いて口付ける。
528書く人 ◆ZBov0fGF0M :2010/02/01(月) 18:03:41

 柔らかい笑顔を浮かべたえりかが、
「今日は、そればっかだね」嬉しそうに言って、口付けを返してくれる。
 今まで口にしてこなかった分、溢れてきてしまうのかもしれない。
 それでも僕は、まだ言い足りないくらいだった。
 もっともっと、伝えたい言葉だった。

「えりかが、好きだ」

 頬を撫でると、僕の愛しい人は、幸せそうに微笑んだ。

529書く人 ◆ZBov0fGF0M :2010/02/01(月) 18:06:06
ご無沙汰して・・・おりました・・・
梅さん卒業・・・までに・・・書こうと思っていたら・・・このざまです
・・・DVD発売・・・記念・・・にも若干遅い・・・ですが
うちには・・・まだ届いて・・・ないので・・・

一応、梅さんは最終回かな・・・

これからもこんなペースだと思いますが、コンゴトモヨロシクお願いします。
530fusianasan:2010/02/02(火) 02:02:31
書く人さんきてたあああああああああああああああああああああああああ
次も期待して待ってます
531fusianasan:2010/02/03(水) 00:05:57
書く人さんきてたぁ。これからもよろしくおねがいします
532fusianasan:2010/02/03(水) 00:08:46
>>書く人さん                                                    マイマイかまいみぃの小説書いていただけませんか?
533fusianasan:2010/02/04(木) 17:51:22
534fusianasan:2010/02/07(日) 09:54:46
新作期待
535fusianasan:2010/02/07(日) 14:41:46
前にイベントで
536fusianasan:2010/02/07(日) 19:39:36
どうした?
537fusianasan:2010/02/08(月) 06:02:42
前にイベントでショーパンの桃子の股間凝視してたら、物凄く嫌な顔されて興奮したよ!
538fusianasan:2010/02/08(月) 23:05:42
それは良いなぁ
539fusianasan:2010/02/11(木) 22:10:12
舞美か舞の小説期待
540fusianasan:2010/02/12(金) 19:58:20
エロ小説の動画結構あった。無料無修正。
http://erofilecentral.com/wovZkFDgKfIuo.html
541fusianasan:2010/02/16(火) 17:06:53
書く人さん待ち
542fusianasan:2010/02/16(火) 19:13:44
543fusianasan:2010/02/20(土) 11:03:52
新作期待
544fusianasan:2010/02/20(土) 14:57:19
書く人来ないかな???
545fusianasan:2010/02/22(月) 17:34:14
書く人さん、まいまいかまいみぃの小説書いてください
546fusianasan:2010/02/26(金) 15:03:18
書く人保
547fusianasan:2010/02/27(土) 08:16:05
舞ちゃん読みたい
548fusianasan:2010/02/27(土) 18:01:35
まいまい期待
549fusianasan:2010/03/02(火) 22:30:25
書く人さんくるかなぁ
550fusianasan:2010/03/03(水) 15:51:58
まいまい★
551fusianasan:2010/03/05(金) 00:40:43
ここが落ちたらpart.4誰か立ててくれないかなぁ
552fusianasan:2010/03/09(火) 15:32:26
書く人さんまってます
553fusianasan:2010/03/15(月) 19:02:07
まいまいの小説きたい
554fusianasan:2010/03/20(土) 11:33:37
書く人さん待ってます
555fusianasan:2010/03/26(金) 12:20:47
まいまい
556fusianasan:2010/03/28(日) 15:44:20
りしゃこ最高
557fusianasan:2010/03/29(月) 00:01:24
まいまい小説期待
558fusianasan:2010/04/03(土) 01:23:48
友理奈…
559fusianasan:2010/04/03(土) 22:54:07
 
560fusianasan:2010/04/05(月) 16:26:28
神降臨を信じて待つ
561fusianasan:2010/04/25(日) 13:04:57
書く人さん
562fusianasan:2010/04/25(日) 14:21:22
まだ来ないの?
563fusianasan:2010/05/08(土) 16:45:37
書く人さん舞ちゃんかまいみぃの小説書いてください
564fusianasan:2010/05/10(月) 01:40:33
書く人さんまってます
565fusianasan:2010/05/10(月) 01:58:56
間隔的にはそろそろ載せてくれそうだけどね
566fusianasan:2010/05/10(月) 23:18:04
そろそろかな
567fusianasan:2010/05/12(水) 23:10:57
まだかなぁ
568fusianasan:2010/05/19(水) 18:21:23
待ってるのに
569fusianasan:2010/05/21(金) 23:18:50
まだかなぁ
570fusianasan:2010/05/26(水) 20:33:27
そろそろやろ
571fusianasan:2010/06/06(日) 16:02:33
まいまい
572fusianasan:2010/06/16(水) 15:57:11
まだかなぁ
573fusianasan:2010/06/17(木) 20:41:45
574fusianasan:2010/06/27(日) 17:05:09
書く人さん
575fusianasan:2010/07/07(水) 00:58:30
誰でも良いので書いて欲しい・・・
576fusianasan:2010/07/18(日) 01:19:19
誰か書いて・・・
577fusianasan:2010/07/21(水) 20:30:37
もうじき半年です
書く人さん・・・
578fusianasan:2010/07/25(日) 22:20:57
もうきてもいい頃だなぁ
579fusianasan:2010/07/26(月) 15:18:24
エロでは定番だけど・・・。
http://filezappa.info/woYOZe7J7yYS2.html
580fusianasan:2010/08/02(月) 13:42:29
ww
581fusianasan:2010/08/06(金) 23:01:37
書く人さんまだかぁ
582fusianasan:2010/08/18(水) 20:31:36
まだかなぁ
583fusianasan:2010/10/03(日) 00:48:26
書く人さんはこないのか
584fusianasan:2010/10/04(月) 08:11:13
いや、待っていれば必ず神降臨するはず
585ベリオタ:2010/10/06(水) 22:46:30
 あなたがかけば
586fusianasan:2010/10/11(月) 23:34:37
誰か書いてください
587fusianasan:2010/10/18(月) 16:44:32
これすごいです。。

http://www.qrbeen.com/fujiwara.html
588fusianasan:2010/11/09(火) 18:51:21
書く人さんはもういないのかな・・・・
589fusianasan:2010/12/11(土) 01:15:43
過去作の再録とかやってくんないかな。りしゃこ編まとめて読みたい。
590fusianasan:2010/12/12(日) 12:19:35


誰か小説求む
591fusianasan:2010/12/29(水) 20:58:26
もうすぐ年明ける
592fusianasan:2010/12/29(水) 21:08:03
このスレまだあったんだね
なつかしいよ
593鬼畜:2011/01/01(土) 20:18:52
雅「ほれほれいきたいんだろ」
童貞「うっういく」
どびゅどびゅ
雅「よくも私の顔にかけてくれたわね」
童貞「すっすいません」
雅「全部搾りだしてあげるんだから」
シコシコシコシコ
童貞「いっちゃうよ雅チャンもうやめてくれ」
どびゅどびゅ
雅「まだでるでしょ」
童貞「勘弁してくれよー」
594fusianasan:2011/01/15(土) 13:59:40
誰もいないのか
ちょっと書いてもいいかなと思ったけど(´・ω・)
595fusianasan:2011/01/16(日) 00:15:08
>>594さん                                                     ぜひ書いてください
596fusianasan:2011/01/16(日) 03:10:43
お願いします
597fusianasan:2011/01/16(日) 20:03:40
・エロ部分が少なめ
・それ以外が超長い
・いつ完結するか分からない



この条件でよければ(´・ω・)
598fusianasan:2011/01/17(月) 01:18:39
是非是非
599fusianasan:2011/01/18(火) 20:35:20
是非おねがいします愛理がいいです
600fusianasan:2011/01/19(水) 00:54:17
『10+1』
601fusianasan:2011/01/19(水) 00:55:28
プロローグ

思えば、生まれてこの方、女の子と付き合ったことがなかった。もちろん今までの人生の中でそれなりに恋はしたと思うし、
逆にされていたのかもしれないが、それが発展したことが一度もないのである。
『自分には色恋沙汰など縁のない話だ』と、割と本気で思っていた。

ボクは普通に小学校を卒業して、普通に中学校も卒業して、自分の家からそれほど離れていない高校の入試に合格した。
取りたてて特に見所があるわけではない、まったくもって平凡な人生。
別に顔立ちがよいわけでもなし、スポーツ万能なわけでもなし、頭脳明晰なわけでもなし、実にないない尽くしの人間である。
でも、一つだけ『誰にも負けない』ことがある。それは…

おっと、この段階ではまだボク自身、それには気が付いていないんだった。
ボクがその内容を知ることになるのは、もっともっと後になってからの話である。
しかも、それはボク自身が気づくことではなくて、周囲の人間から言われて、初めて知ったことでもある…
『それ』が自分の人生によい影響をもたらすのか、あるいは悪い影響をもたらすのか…それも謎。
602fusianasan:2011/01/19(水) 00:56:33
ボクが出会った十人の女の子。
それぞれがそれぞれに違った名前、顔、性格、そして長所と短所を持っていた。
十人十色というが、いろんな人がいた。
真面目な優等生、心に傷を抱えた美少女、一途な後輩、素直になれない少女、遠い親戚、そしてティーンエージャー
最後の一年を迎えた女の子…
ある人とは親密になり、ある人とはケンカし、ある人とは恋に落ち、ある人とは別れ…

高校に入学してからのボクの人生はその繰り返しだった。その中で、時に笑い、時に泣き、時に怒り、時に悲しんで…
そして時に幸せを味わった。

もっとも、中学卒業まで『平凡な人生』を送ってきた人間が、まさか高校に入ってからそんな人生を送ることになるとは、
この時点ではボクも、そして周囲の誰も予想していなかったに違いない。
なぜそうなったのか。未だに自分でもわからない。ただ、すべてはいろんな要素と少々の偶然の積み重ねの産物なのだろう、
とは思う。
名前も顔も性格も違う十人の女の子たちに出会ったのも、きっとそう…いろんなものが積み重なった産物なのだ。それが
いいことか悪いことなのかは知らないが、ボクは彼女たちに出会ったことをちっとも後悔していないし、起こったことすべてが…
それはそれで…素敵な思い出、なのだろう。


…話が長くなった。
時計の針を高校一年生の春に進めよう。
603fusianasan:2011/01/19(水) 00:57:28
第一編 それは、生まれて初めて知った ひと夏の恋



第一章
―流れ星 流れ星 すぐに消えちゃう君が好きで
604fusianasan:2011/01/19(水) 00:58:22
高校に入学して、最初の春。
まずはこの一年を共に過ごすクラスが決められることになる。
もっとも、すべては密室談義なので、ボクはただ決められたものを甘んじて受けるしかない。

『こいつと一緒になりたい』『こいつとは一緒になりたくない』なんて思いがあったとしてもそれが受け入れられる
わけでなし。
『未来ぐらいは自分の手で選ばせて』と思っても、それが叶うわけでなし。
まあ、仕方のないことなんだけど。

結局、ボクは1年5組になった。同じクラスに中学校時代からの悪友がいたから、ちょっと気がほぐれた。やっぱり、
誰も知らない世界に放り込まれるよりは、誰か一人でも知った人のいる世界の方が住みやすい、はずだ。

同じクラスに背の低い女の子がいた。髪はショートカットで、見た感じ中学生にしか見えない。
「あの子、どこかで見たことあるような気がする…」
が、名前が思い出せない。悪友が教えてくれた。
「え?あの子知らないの?清水さん。同じ中学校じゃないか」
「そうだったっけ?」
そう言われてみたら確かにそうかもしれない。でも会話した記憶がまったくない。
「そりゃクラスが違うからだよ。オレたちバカが行くクラスと違って、あの子は成績優秀者のクラスだったからな」
「はあ…」
なるほど、だから会話した記憶がないのか。でも、そんな子がどうしてボクらと同じクラスに?
「知らね」
…一言で返されてしまった。

この段階では、ボクも、そしておそらく彼女も、これから起こる運命のいたずらをまだ知る由はない。
605fusianasan:2011/01/19(水) 00:59:15
そんな彼女が、ある授業でボクの隣の席に座ることになった。
ボクは彼女の名前を知っている。同じ中学校だったんだから、もしかしたら彼女もボクの名前を知っているかもしれない。
でもあんまり話せそうにない。成績優秀(らしい)彼女はいつも丁寧にノートを取っては、授業が終わると大事にカバンに
しまっているのだった。ろくすっぽ勉強したがらないボクとはわけが違うようだ。

でも、先に話しかけてきたのは彼女の方だった。隣になって二回目の授業中のこと。
「あ、あの、シャーペンの芯なくなったんで、貸してもらえませんか?」
「あ?ああ、どうぞ」

たったこれだけと思うなかれ。一言だけの返事を返すのに、内心どれだけオドオドしたことか…
「はい」
シャーペンの芯の入った入れ物を丸ごと渡すと、彼女はちょっと驚いたようだった。
「え?一本でいいんですけど」
「いいよ、全部もらっときな」
思わず口走ってしまった。勢いに任せて。言った直後「しまった」と思ったがもう遅い。なあに、シャーペンの芯なんて
大した値段じゃないや、あげちゃえあげちゃえ、と自分に言い聞かせる。
「ありがと…ございマス」
彼女は照れながらボクにお礼を言った。照れてはいたが、こちらに向けた表情は、確かに笑顔だった。

「…!」

なんだ、なんだこの気持ちは。一体ボクの心に何の変化が起きたというのだ?
考えたが答えは出なかった。ただ胸だけが妙にドキドキし続けて…


そう、ボクはこの時、彼女に一目惚れしてしまったのである。
(つづく)
606fusianasan:2011/01/19(水) 01:01:29
ということで、スタートしました(´・ω・)
こんな感じで、やたらめったら長くて会話文と「…」が多くて
しかもエロ成分が少なめの話が合計10本続きます

かなりのボリュームになることが予想されますので
読まれる際はくれぐれもご注意を(´・ω・)

なお、この話と骨格は同じ話ですが
エロ描写を控えめにしたVerを
ttp://yy21.kakiko.com/test/read.cgi/morning/1295362956/

↑こちらに連載しています
上のスレではこちらでは連載していない話も連載予定なので
もしよろしければ、ご覧ください(´・ω・)
607fusianasan:2011/01/19(水) 02:15:49
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!!
10人ってことは℃-uteも出るのかな?
でもそれだと出てこないメンバーも・・・
608fusianasan:2011/01/19(水) 03:35:00
wktk!!
609fusianasan:2011/01/19(水) 21:48:31
>>605

それからは普通に彼女…清水さんと会話ができるようになった。優等生だからとっつきにくいのかと思っていたが、
話してみると結構フレンドリーな人だった。

時々、ボクが授業中に寝ていたりすると…
「ほら…○○君…寝ちゃだめデスよ、起きて起きて」
とシャーペンで脇腹を突っついてくれたりもする。
そして、授業が終わった後に、
「もう、しっかりノート取らないとだめデスよ、ほら」
と、自分が取ったノートを写させてくれるのであった。

ボクは彼女のそんな優しい部分にますます惚れ込んでしまっていた。でも、これまで女の子と付き合ったことのない
男の悲しい性…
どうやって彼女と仲良くなるか、どうやって彼女をデートに誘うかのアイディアが思い浮かばなかったのである。何とか
彼女と仲良くなって、一緒にデートに行ってみたい。でも誘い方が分からない…困った、さてどうするか。

ボクは高校生になって初めて迎える中間テストのことより、そっちの方で頭がいっぱいであった。悪友の力も借りながら、
何とか目標を達成しようとあれこれ考えていた。
ない知恵をすべてそっちに傾けた結果、中間テストの結果は散々だったのは言うまでもない。

でも、その努力は無駄ではなかった。中間テスト明けの土曜日に、ついにボクは彼女と初デートをすることになったのだ。
610fusianasan:2011/01/19(水) 21:49:28
五月の三回目の土曜日、暑い日だった。ボクは駅の前で、彼女が来るのを待っていた。
「お待たせ。遅くなってごめんなさい」
十分遅れで、彼女が現れた。
驚いた。普段の制服を着たおとなしい彼女からは想像もできないくらい、オシャレな服を着ていたからだ。
黒を大胆にあしらった、カッコいい服だった。
「…どうか、しましたか?」
ボクがあんまりキョトンとしていたせいだろう、彼女が怪訝な顔をした。

「いや、何でもないよ。ちょっとビックリしただけ」
「何で?…私の顔、何かついて…ますか?」
「そうじゃないんだ。その…私服がすごくオシャレだったから」
本音だった。だって、普段は『優等生だけど地味』な女の子がこんなに変身するとは思わなかったから。
「ホントに?…ありがと」
彼女…清水さんはそう言ってはにかんだ。よかった。ちょっとずつでも彼女との『距離』は縮まってるみたいだ。
611fusianasan:2011/01/19(水) 21:50:51
二人で電車に乗った。行き先は…電車で五つ先の水族館。この日が決まってから、ない知恵を一生懸命
絞りに絞って考えたデートコース。一応、事前にそれとなく彼女に大丈夫かどうか訊いてみたし、多分、
外すことはないだろう、って思ってはいるんだけど…でも、正直期待と不安が半々ってとこだろうか。

電車の中。本当は話したいことがたくさんある。しかし、それは阻止されてしまった。電車の中に人が多いのである。
「何か、人多いね…」
「うん」
「ごめんね、こんなに人多いと思わなかったんだ…」
「…いいよ。待つのは平気だから、気にしないで」
 またドキッとした。今まで「ですます調」でしか喋ってくれなかった彼女が無防備に、タメ口で喋ってくれたのだ。
彼女が少しずつボクの方に近づいてくれているような気がして、ボクは内心とてもうれしくなった。
612fusianasan:2011/01/19(水) 21:51:36
(´・ω・)っ(つづく)
613fusianasan:2011/01/20(木) 00:00:25
きたー
614fusianasan:2011/01/20(木) 22:14:19
>>611

電車が水族館の最寄り駅に着いた。ボクと彼女は歩道橋にある「動く歩道」に足を踏み入れようとした。
その時…

「あっ!」

よそ見でもしていたのか、彼女が足を乗せるタイミングを失った。バランスを崩した彼女の体が倒れかかる。危ない。

「!」

ボクは反射的に、手を伸ばして彼女の体を支えていた。特に何かを考えたわけではなく、本能で。
倒れかかった彼女の体を、ボクは見事に自分の腕の中に収めることに成功した。

「…ごめん。びっくりした?」

素に戻ったボクがそう尋ねると、彼女は首を小さく横に振った。

「ううん。ありがとう」

そう答える彼女の顔はしかしどこか恥ずかしそうで、頬が赤くなっていた。ボクもボクで、自分の反射的に取った行動に
驚いてしまい、その後のデートの記憶がまったくない。
確か…イルカを見て、ペンギンを見た記憶まではあるんだけど…それ以外はあいまい。
ただ、二人でソフトクリームを食べたことだけはよく覚えている。だって、そんな経験、人生初だったから。
615fusianasan:2011/01/20(木) 22:15:14
帰りの電車の中。

「楽しかったね」

彼女が自らボクにそう言ってきた。ボクは内心、今にも跳び上がりそうなくらい嬉しかった。まあ、ここで跳び上がっていたら、
多分彼女にも、周りの人にも、白い目で見られることになっただろうが…自制心のありがたみを今日ほど感じたことはなかった。

「う…うん!」

ボクは精いっぱい自制していたつもりなのだが、全く自制になっていなかったようだ。声が明らかに上ずって、興奮してるのが
誰の目にも分かってしまうレベル。たぶん顔には『うれしい』の四文字がデカデカと描かれていたことだろう。いや、まったくもって
お恥ずかしい…

でも、彼女はそんな僕を見て態度を変えなかった。

「そっか。よかった」

そう言って、ニッコリと微笑んで、それで終わり。実に簡潔、実にシンプル。

もしも恋愛経験豊富な人なら、彼女のそんな反応で、彼女が内心どう思っているのかを察するのは容易なのだろう。でも、あいにく
ボクはそうではなかった。心の中で

「これってどういう意味なのかな」
「ボク、間違ったこと言っちゃったかな」
「引かれてるんじゃないよな?」

とまあ、いろんな疑問符が浮かんでは消えて行った。
多分あの時電車に乗り合わせていた人の中で、ボクが一番疑問符だらけの人間だったことだろう。
616fusianasan:2011/01/20(木) 22:16:20
電車が駅に着いた。彼女とはここでお別れだ。

「今日は…ありがとう」

本当は、この後『また…会ってくれないか?』って言いたかった。でも言えなかった。それを言うと、自分が
"がめつい"人間に思われそうな気がしたから。

「こちらこそ…ありがと」

黒を大胆にあしらったオシャレな彼女は、頬を少し赤らめながらそう答えた…と、次の瞬間。

「ねえ…もし…よかったら…その…」

彼女が少しどぎまぎしながら、続けて話し始めた。もっとも、話し始めたその言葉は妙な空白が何度か
混在していて、しかも、電車の走行音や周囲の人々の発する声や音にかき消されそうなくらい小さなもの
だったけど。

「え?何?」

肝心なことが聞き取れない。ボクは意を決して聞こうとした…が、運悪くそこへ別の電車が到着し、キキーッと
いう大きな鉄の塊が擦れる音を残してくれたおかげで、ボクの声もまたかき消されてしまった。

鉄の塊が擦れる音が消えた時、ようやく彼女の声が聞こえた。でもそれは…

「…ううん、何でもない。また、学校で。じゃ、またね。バイバイ」

彼女はそう言うと、一度こちらに手を振って去って行った。一体、彼女は何を言おうとしていたのだろう。二回目の
デートのお誘い?それとも告白?はてまた…
ボクにはそのすべてがまだ謎のままだった。毎日のように使っているのに、この時ほど電車を恨めしいと思った
ことはない。多分これからもそうだろう。
617fusianasan:2011/01/20(木) 22:16:59
家への道を急ぎながら、ボクは彼女の言いたかったことをまだ考えていた。一刻も早く確認したかったが、そうもいかなかった。
ボクも彼女も、携帯電話など持っていなかったからだ。『電話をかける』という行為はイコール『家への電話』ということになり、
それに彼女が出るという保証は一切なかったからである。さすがにそれをやる度胸は、ボクにはなかった。


ボクが携帯電話を持つようになるのはもう少し先のことだが…それはまた別の時代の話。
618fusianasan:2011/01/20(木) 22:18:32
(´・ω・)っ(つづく)


(´・ω・)っ(ちょっとしたおねがい)

読まれた方は…少しでもいいので、何か感想やご意見ご要望などいただけると
非常にありがたいです

長ーい話になりますが、少しずつエロティックな方向に振っていきますので
もうしばらくお待ちください…(´・ω・`)
619fusianasan:2011/01/21(金) 02:31:48
乙です!
新狼の方とどう変わっていくのかちょっと楽しみ
620fusianasan:2011/01/21(金) 15:58:57
乙です
これから先が楽しみです。
621fusianasan:2011/01/21(金) 21:54:15
これからの展開に期待!
622fusianasan:2011/01/22(土) 01:05:10
>>617

その日の夜。
「ボクにしか見えない地図を 広げて一人で見てた…」
自分で言うのも何だけど、ボクはロマンチストだ。星を見るのが好きで、中学生の頃、親にねだって十何万もする天体望遠鏡を
買ってもらったこともある。小学生の頃は、電車で片道三十分もかけて、プラネタリウムへ出かけるのが好きだった。
好きなことは歳を取るにつれていろいろと変わったけれど、星を見ることは子どものころからずっと、好きだったことの一つだった。

星を眺めながら、ボクは一人いろんなことを考えていた。まあ、八割方が清水さんのことだったんだけど。
「あの子も同じ空をどこかで見ているのかなぁ…」
できれば、そうであってほしいな。
そしていつかは、二人一緒に同じ空を眺めていたいな。と思った。
623fusianasan:2011/01/22(土) 01:05:57
その夜、ボクは夢を見た。
夢の中で、ボクは清水さんと教室で喋っていた。夢の中のボクは実に積極的で、彼女にキスを求めている。

「もぅ…誰か来ちゃったらどうするの…?」

そう言って尻込みする彼女を、ボクは笑って制した。

「いいじゃない。どうせ誰も来ないさ」

そしてボクは彼女の唇を求めるのである。尻込みしていた彼女だが、観念したように目を閉じた。

「ん…」

唇と唇を合わせ、舌と舌を絡ませる。唇を離すと、彼女の顔が紅潮していた。
624fusianasan:2011/01/22(土) 01:06:47
「ねえ、『アレ』、やってくれないかい?」
ボクがねだると、彼女は素直に従ってくれた。座っているボクの前にひざまずき、ゆっくりと手を伸ばす。

「ん…おっきくなってる…ね」

「だって…これで興奮しないのは、男じゃないさ…」
彼女のひんやりとした手が、ボクのそれに触れた。

「これだと動かせないや…脱がせて、いい?」

「いいよ」
彼女自らボクの制服のズボンのベルトに手をかけた。ベルトを緩め、ボタンを外し、ズボンとその下の下着を
ゆっくりと引き下ろしていく。

「ふふ…おっきいままだよ?」
彼女のひんやりとした手が、再びボクのそこに触れる。やがてその手は、ゆっくりと上下運動を始めていく。

「あぁ…」
上下運動がだんだんとリズミカルなものになっていく。

「気持ちいい?」

「うん、すごく気持ちいい…」
ボクがそう言うと、彼女はニッコリと微笑んで、そして唇を手のところへ持っていき…


ちゅぱ…ちゅぱ…


いつの間にか、与えられる感覚がひんやりとした手の触感から、温かい舌の触感に変わっていた。
625fusianasan:2011/01/22(土) 01:07:26
目を閉じて与えられる感覚に酔っていたボクであるが、ふと目を開けて下を見た。上目づかいでゆっくりと舌を動かしている
彼女と目が合った。彼女は微笑んだまま、舌の動きを続け…それに加えてゆっくりとかぶりを振り始めた。
与えられる感覚が甘いものから痛痒いものに変わっていく。

「出ちゃいそうだよ…出していいかい?」
ボクがそう訊ねると、彼女は小さくうなずいた。もう障壁はない。フィニッシュへ昇りつめるだけ…

「あっ…出るっ!」


…ん?
あ…?
…夢、か?

ボクは目が覚めた。そこには教室などなく、いつもと同じ寝室があるだけだった。当然、彼女の姿もない。

「やっちゃった…」
そこで、自分のパジャマの前が濡れていることに気がついた。そう、ボクは夢の中で果ててしまったのである。
ああ、何て恥ずかしい…
こんなことは、絶対誰にも言えるわけがないではないか…
一人でそそくさと後始末をする自分の姿が何とも情けなく思えた。
626fusianasan:2011/01/22(土) 01:08:30
月曜日。ボクは努めて普段と変わらない素振り…をして学校へやってきた。でも、内心は『いつ、どこで彼女に思いの丈をぶつけるか』で
頭がいっぱいだった。その日の授業のことなんてどうでもいいくらいに。

「よう、何かソワソワしてんな。どうしたの?」
"努めて普段と変わらない素振り"を心がけたボクの努力は、数十分でムダになってしまった。悪友のこの一言で、ボクは自分がいかに
浮ついていたかを理解せざるを得なかったのである。

「おはよー」
級友たちとにこやかに談笑しながら、彼女がやってきた。でも、さすがに今は声をかけられない。堅いゾーンディフェンスを敷く女子ばかり
の空間に飛び込んでいけるほど、ボクはトリックスターではない。
結局彼女は授業が始まるまでずっと級友たちとしゃべっていた。動きようがなかった。

授業の間中、ボクは彼女に自分の気持ちをどう伝えようか、そればかりが気になって、授業が手につかないまま時間が過ぎていった。
…結局、そのままその日の全授業を棒に振ることになったけど。
627fusianasan:2011/01/22(土) 01:09:21
放課後、夕焼けの時刻。家に帰ろうかと一人歩いていたら、彼女が校門の前を同じように一人で歩いていた。チャンス!

「清水さーん!」
ボクがそう呼ぶと彼女は振り返って、ちょっと驚いた顔をした。

「あ、あのー…この間はどうも」
もっと気の利いたことは言えないのか…と自分でも思うが、仕方ない。恋愛下手だから。

「ああ、○○くん。こちらこそありがとう」
彼女は少し疲れているようだったが、それでも笑ってくれた。

「よかったら…一緒に帰らない?ちょっと話したいことがあるんだ」
思い切って言ってみた。さて、彼女はどう出る?と思ったら、

「いいよ。でも、私、行かなきゃいけないところがあるから、駅まででいい?」
駅というのは、この間待ち合わせた駅ではなくて、学校の最寄り駅のことだ。となると、歩いて数分の距離しかない。
だけど、とりあえず彼女と一緒に帰れることになったのだ。だから、時間制限などボクにはどうでもよかった。

「うん、わかった。じゃあ、行こうか」
ボクと彼女は、駅に向かって歩き始めた。
628fusianasan:2011/01/22(土) 01:10:02
「この間さ、最後に…電車が通って聞こえなかったんだけど、何か言おうとしてたじゃない?」
例の話を振ってみた。すると彼女は

「ああ…あれ?いいよ、大したことじゃないから…あれは忘れて」
と答えた。なんだか意味深だ。だけど、それ以上突っ込む勇気はなかった。

「そっか、じゃあ、ボクも忘れようっと」
そう言って笑うしかなかった。

ボクたちはもうすぐ駅に着こうかというところまで歩いてきていた。この踏切を渡れば、後は駅へ一直線だ。

「ねえ…お願いがあるんだけど」

「何?」
この時、彼女の心は無防備だった、ように思えた。

「もしよかったら、また、会ってくれないかな」

「学校の、外で?」

「うん」
思い切って言えた。彼女の目を見て、しっかり言えた…はずだ。これでダメなら、諦めるしかない。
…諦めたくはないけど。
629fusianasan:2011/01/22(土) 01:10:51
「うん、いいよ」
OKが出た。ボクはこの時、またしても内心飛び上がりたいくらい嬉しかった。でもあくまで冷静に…
いられないよね、やっぱり。

「ホント!?いいの?」

「どうしたの?そんなに驚いて」
彼女はそう言うと、ボクの目を冷静に見据えて言った。

「いいよ、だって、この間、楽しかったし」

「ホントに!?」
またしても声が上ずるボクを見て彼女は怪訝な顔をしていた。まあ、そりゃそうだよね。でもしょうがない。
だって、ホントに嬉しかったんだから…

その夜は興奮して眠れなかった。おかげで次の日の授業は輪をかけてボロボロだった。
(つづく)
630fusianasan:2011/01/22(土) 01:13:30
>>619-621
どうもありがとうございます(´・ω・)
ちょっとだけエロ要素が…やっとこ入ってこれました(´・ω・)

新狼に書いている話はエロ要素をある程度カットした話(これがオリジナル)で
このスレに書いている話はオリジナル版にエロ要素を加えたり、きつめのエロ描写を入れた話になってます(´・ω・)
当分先になりそうですが、このスレ用の話では出てくる登場人物も一部変更する予定です
(>>599でリクあったし愛理かな?)

いろいろとご感想をいただけて嬉しかったです
これからもどうぞよろしくお願いします(´・ω・)
631fusianasan:2011/01/22(土) 02:05:09
乙です!
夢精とか青春だなぁw
632fusianasan:2011/01/23(日) 00:11:05
>>629
その約束から二週間後。ボクたちは二度目のデートをすることになった。行き先は、前行った場所とは反対方向にある、
ショッピングモール。

「実はね、見たい映画があるんだ」
彼女がそう言ったのは、一週間前のこと。

「何の映画?」

「この間公開になって、見に行きたかったの」

「じゃあ、それを見に行こうよ」

彼女が見たいと言っていた映画を二人で見た。ハリウッドのラブストーリーだ。
清水さんは主演の女優さんがお気に入りらしく、まばたきをする時間も惜しむかのように見入っていた。
ボクはその横でポップコーン食べながら見ている。まあまあ面白い映画だった。

「楽しかった?」

「うん…とっても楽しかったよ」

「そっか、ならよかった」
その後は二人でお茶をして、ウィンドウショッピングを楽しんで…

まあ、いわゆる普通のデートってやつだ。多分、初回よりは落ち着いていられた、と思うし、彼女との会話も弾んだ、ような気がする。
633fusianasan:2011/01/23(日) 00:12:08
その帰り道。

「話があるんだ」
今日どんな展開になろうとも、これだけは言おうと決めていたこと。もう覚悟はできていた。

「何?」
彼女が足を止めた。その前にボクが立った。
ここは行くしかない。


「ボク…清水さんのことが好きなんだ。
ボクと…付き合ってくれないか」


言った。言ってしまった。とうとう言ってしまった。もう後には戻れない。でも仕方ない。いつかは絶対に言わないと
いけない言葉だったんだから。

少し間があった。ボクは相変わらず彼女の顔を見つめていた。彼女は顔を赤らめながら、少し困っているようだった。
「…ど、どうしたの?」
結局ボクが先に口を割ってしまった。黙っておいた方がいいのかなぁ…でも、沈黙が流れ続けるのも、耐え難いものが
ある。仕方ないかな。

「ごめん、今まで言えなかったんだけど、私…」
634fusianasan:2011/01/23(日) 00:12:59
??

え?何だこの展開?ひょっとして、他に彼氏がいるとか?だったら今までのボクの苦労はなんだったんだよ!!
ここまで期待させといて、そりゃないだろうよ…

とボクは勝手に心の中で思いかけていた。というか、こんな言い方をされたら、そう思うしかないではないか。
でも、あまりに酷いよなぁ…
と勝手に早合点していたら、話は全く違う方向へ展開していく。


「私、今まで男の人と付き合ったことがないから…だから、その、分からないことだらけなんだ。
だから、○○くんに迷惑ばっかりかけるかもしれないよ?


それでもいい?…
それでも、私でいいの?」
635fusianasan:2011/01/23(日) 00:13:59
そう言うと、彼女は下を向いてしまった。顔が真っ赤になっていて、すごく照れているようだ。
ここはひとつ、男気のあるところを見せなければ…


「何言ってるんだ。ボクも付き合ったことなんかないよ。初めて同士、それでいいじゃん!」


これは、今でも『うまく言えた』、と思う。


「わかった…じゃあ、付き合おっか…
 分かんないことだらけだけど、よろしくね」


「ホント!?」

「…うん」
か細い声だったが、今度ははっきりと聞き取れた。顔を赤らめながら小さくうなずいた彼女が、
たまらなく可愛かった。

「やったー!」
ボクが叫んだもんだから、ひょっとしたら周囲を歩いていた誰かが振り返ってこっちを見ていた
かもしれない。でも、この時のボクにはそんなことはどうでもよかった。多分この瞬間、世界中
探しても、ボクより幸せな人間はそうそう見当たらなかったに違いない。とにかくボクは、ついに
清水さんのハートを射止めたのである。
636fusianasan:2011/01/23(日) 00:14:37
ボクと彼女は再び歩き出した。ボクはどうしてもやってみたいことがあった。恐る恐る彼女に訊ねてみる。

「…手、つないでも…いい?」

「…いいよ」

そう言うと、彼女はそっと自分の手をこちらに差し出した。


ギュッ。


その日の帰り道、駅について彼女と別れるまで、ボクはずっと彼女の手を握っていた。『偶然』ではなく
『お互いの意思』のもとに握った彼女の手は、小さかったがとても温かかった。

できれば、ずっと握っていたいと思った。

電車が駅に着くまでがとても短く感じられた。これほど短く感じられたのは多分人生で初めてだろう。
『もっと乗っていたい』って思うことなんて、そうそうあるもんじゃない。この間は『恨めしい』なんて
思っていたのに、全くワガママな奴だと自分でも思うけれど、でも、人生ってそんなもんだ。

駅に着いて、改札を抜けて、そこで手を離す。とっても名残惜しいけど…しょうがない。

「いいんだ、これから彼女といっぱい手をつなげる日が来るんだから」

とボクは自分に言い聞かせた。
637fusianasan:2011/01/23(日) 00:15:41
「じゃあ、また学校で…今度会う時は、彼氏と彼女、だね」

「うん」
そう言って、二人で笑いあった。とても幸せな時間。

「今日はありがとう、清水さん」

「もう…付き合いだしたんだから、清水さん、って呼ばなくていいよ」

内心「そうなってほしいなぁ」とは思っていたが、さすがに先手を打つのはちょっと躊躇してしまった。
それを察してくれたのか、彼女が扉を開けてくれたようだ。


「そっか…ありがとう、佐紀」


言った。言ってしまった。とうとう言ってしまった。ついに彼女を…呼び捨てで呼んでしまった。
ああ、憧れだったことが次々叶っていく…ボクは自分の身に起こっていることがちょっと信じられなくなっていた。
でも、こっそりほっぺたをつねってみたら痛かった。どうやらこれは夢ではなく、実際に起こっていることのようだ。

「…改めて呼ばれると…恥ずかしいね。なんか…まあ、いいや。ありがと、××くん」

彼女…佐紀も下の名前でボクを呼んでくれた。もっとも、やっぱり『君付け』だったけど。

「じゃあ、またね」

「うん」

佐紀を見送って、ボクは家に帰った。そして、一人部屋に戻って窓を開けると、『ヤッター!』と叫んでしまった。
近所迷惑だったかもしれないが、この日に限っては、そんなことはどうでもよかった。

(つづく)
638fusianasan:2011/01/23(日) 11:40:33
佐紀ちゃん可愛すぎるw
639fusianasan:2011/01/23(日) 16:51:19
エロシーンじゃないんだがたまらん
640fusianasan:2011/01/23(日) 20:58:05
>>637
その夜。彼女になった佐紀から電話がかかってきた。もっともこのことはボクたち二人だけの秘密なので、一応体裁上は
『クラスメイトとしてちょっと連絡したいことがあったので』という名目でかけてきたそうだが。

母親に電話がかかってきたことを告げられたボクは自分の部屋に転送してもらい、そこで電話を受けた。内心、ちょっと
出るのが怖かった。もし『やっぱりあなたとは付き合えない』とか言われたらどうしよう、と思っていたのである。

しかし、その心配は杞憂に終わった。

「今日は…ありがとう。私…なんかでいいのかなって思ったけど、すっごく嬉しかった」

「ホント?ならよかった」

ボクがそう言うと、佐紀は興奮した口調のまま、

「さっきね、家に帰って、友達のところに電話したの。で、『彼氏ができた』って言ったら、すごく驚かれて…
でも、『おめでとう』って言ってもらえたんだぁ」

「そっか。よかった、じゃあボクも勇気を出した甲斐があったってことだね」

「あ、あれ、勇気出してたんだ」

「そりゃあそうだよぉ。心臓が止まるかと思うくらい緊張したんだから!」

会話が楽しく転がり始めた。これなら何とかやっていけそうだ。

「じゃ、また明日学校で…おやすみ」

「おやすみ」
641fusianasan:2011/01/23(日) 20:59:00
電話を切った時、ボクは自分の心に今までとは違う感覚が広がってきたことに気がついた。今までの興奮とは違う何か。

「これは一体何なんだろう」

しばらくして気がついた。そうだ、安堵感だ。彼女と付き合えたこと、うまくやっていけそうな感じがしたことへの安堵感だ。
ようやくホッとした気分になって、ボクは眠りについた。



ところで、佐紀が話していた『友達』とボクは、後に深い付き合いになるのだが…それはまた別の話。
(第一章 終)


『流れ星』 スピッツ-1999
ttp://www.youtube.com/watch?v=ES_nVKx9ZIk&ob=av2nl
642fusianasan:2011/01/23(日) 21:02:31
(´・ω・)っ(第二章 予告)

加速度的に惹かれあっていく『ボク』と佐紀
しかし、その恋は思わぬ形で横槍が入ってしまう
真相を明かす佐紀、それを知らされた時、『ボク』は
一体どうする?


(´・ω・)っ(明日以降連載予定…)
643fusianasan:2011/01/24(月) 18:24:47
乙です
佐紀ちゃん可愛いです

続きがきになるー
644fusianasan:2011/01/24(月) 22:29:47
第二章

―寂しがりの二人が あの夏の魔法の中で
同じ気持ちと同じ恋 分け与えられたのかな―

こうして、ボクと佐紀は付き合い始めたわけであるが…まあお互い、付き合うのは初めて同士だ。だから、分からないことだらけ、一歩一歩
手探りで進んでいくしかない。

それに、学校の中であんまりいちゃついてると周囲に何を言われるか分かったもんじゃない。だから、校内じゃお互い妙によそよそしかったり…
ボクとしては、本当は校内だろうが、どこだろうが思いっきりいちゃついてみたいのである。でもそうもいかない…のが、何とももどかしい。

「なかなか付き合うのも楽じゃないってことか」

と、ボクは自分で自分に言い聞かせた。
645fusianasan:2011/01/24(月) 22:31:35
そんなある日の夕方。

「ねえ、今日は一緒に帰る?」
佐紀が珍しく訊いてきた。普段そんなことを言わない子なのに、どうしたんだろう。

「うん。でもどうしたの急に?」
気になって訊いてみると、

「実はね…××くんには言ってなかったんだけど…私、高校に入った時から習い事を始めたの。それで…
今日は放課後そっちに行かなくちゃいけないから…」

「へー、そうだったんだ。で、何の習い事?」

「ダンス」
「ダンス?」
「うん」

意外だった。おとなしい、典型的な文系少女だと思っていた彼女がそんなことをやっていたとは。でも、背の低い彼女には
結構向いていそうだ…って言ったら怒られそうだから、さすがにそこまでは言わなかった。

「だから、今日と木曜日は放課後会えないの。ごめんね」

「いいよ。毎日会ってたら悪いもんな」

本当は学校が終わってからだって、毎日会いたい。会いたいに決まっている。彼女に夢中になっているのだから当たり前の話だ。
でも、それは言えなかった。ボクは『物分かりのいい男』を演じてしまったのである。それがいいのか悪いのか、この段階ではまだ
分からなかった。

どういうわけか、ボクは心の中で胸騒ぎを覚えた。なぜ?自分でもわからなかったけど。
646fusianasan:2011/01/24(月) 22:32:33
ボクの胸騒ぎを別とすれば、佐紀との恋愛はまあまあうまくいっていた。初めて同士だと、歯止めが利かない。付き合うまでに紆余曲折、
二転三転した分だけ、付き合ってからのボクたちはどんどんお互いに夢中になっていく。加減の度合いが分からないから、どんどん
加速していってしまうのだ。

最初の頃の堅さはどこへやら、ボクたちはあっという間に角が取れて丸くなっていく。丸くなって、お互いを求め合うようになっていき…

放課後。駅前のファーストフード店。

「ねえ、おいしい?」
「うん、おいしい」

寄り道して、二人してポテトを食べていた。佐紀の口にちょっと残っていた塩を見つけたボクは、

「あっ、ここに塩が残ってる」
と、指で取っちゃったりなんかしたりして…で、その指が勢い余って口に入っちゃったりして…

「チュプ…んん…これは、指だよぉ」

「あっ、勢い余っちゃった。へへ、ごめんね」

「もう…」

そう言いながら、佐紀は困った顔のまま、ボクの指をちょっとだけ舐めてくれた。何とも言えない快感があった。はて、ボクは指にも
感じるポイントがあるんだろうか。知らなかったなぁ…

『人前でいちゃつけない』とか言っていたのは昔の話、ボクたちはベッタベタな、周囲の人が見たらちょっと…いやかなり引くくらいの
関係になっていた。
恋をすると周りが見えなくなると言うが、まさにその通り。少なくともこの時間は、ボクと佐紀の二人しかこの世の中にいないような気分だった。
647fusianasan:2011/01/24(月) 22:34:57
駅の改札口。

「じゃあ、ここで。また明日ね」

「うん。おやすみ…あっ、ちょっと待って」

ここまで加速度的に惹かれあう二人だったが、実はまだ、『あの日』以来一度も休みの日にデートできていなかった。

「ん?どうしたの?」

「なぁ、今度の日曜、どこか行かないか?」

「日曜?私はいいけど…でも、どこ行くの?」

「いや…まだ決めてない」

「えぇ?ダメじゃん!」

これで話はあっさり破談になりかけ…たが。
648fusianasan:2011/01/24(月) 22:35:51
「佐紀は、どこか行きたいところある?」

「私?そうだなぁ…」

一瞬の間があった。そして、佐紀がボソッと言った。

「どこか、二人で思いっきり遠くへ行ってみたいなぁ」

意外な一言だった。佐紀は特定のどことは指定せず、ただ『遠くへ行ってみたい』、それも『思いっきり』遠くを願った。
一体どういうことだろうか。

「そっか…じゃあ、そうしようか。どこか探してみるよ」

「うん!楽しみにしてるね」

佐紀の真意がわからないで戸惑うボクと、嬉しそうな佐紀。この変なコントラスト。
649fusianasan:2011/01/24(月) 22:36:23
木曜日の放課後。今日、佐紀はダンスの教室に通っている。一人になったボクは、久々に悪友と遊ぶことにした。

川沿いの公園で、ボクと悪友はしょうもない話をしていた。悪友はボクと佐紀とのことを聞きたがっている。もっとも、
興味本位なのは言うまでもない。

ボクは彼にどこまで話すべきか迷ったが、とりあえずこの間の一件を話してみた。すると、

「深読みし過ぎなんじゃねえの」

ボクの心境を思ってか、悪友がそう言った。

「そうかなぁ…今まで誰かと付き合ったことねえから、分からないんだよね」

ボクの本音。加速度的に夢中になってはいたけれど、それが本当にいいことなのかどうかは分からないのが本音だった。

「まあ、いいんじゃねえの。清水さんに嫌われてるわけでもないんだろ。ならいいじゃん」

悪友はそう言うと視線を宙に浮かせた。その視線の先には川が流れていて、その向こうの川岸で子供が遊んでいる。

「あの右側の女の子が可愛いな」

…なんだ。結局最後はそういう話かよ。ボクは彼に相談したことを内心後悔した。
(つづく)
650fusianasan:2011/01/24(月) 23:31:44
乙です
651fusianasan:2011/01/25(火) 21:47:30
>>649

日曜日の朝。少し暑い朝だった。ボクはいつものように駅の前にいて、佐紀を待っていた。

「お待たせ。ごめんね、遅くなって」
約束の時間から今回も五分遅れで彼女がやってきた。今日は白いワンピース姿だ。背の低…もとい、小柄な彼女によく似合っている。

「で、どこ行くの?」

「秘密」
ボクは佐紀に行き先を秘密にしていた…いや、秘密にしていたといえばカッコいいが、実は直前までどこに行くか決めかねていたのだった。
行きたいところは山ほどあるが、彼女の意向もあるし、何より明日は学校だから、確実に日帰りで帰れるところにしなければいけない。

「そうだ。海まで行ってみよう…か?」

「海?」
まだ本格的な海のシーズンには少し早い。でも、人の多いところにはあまり行きたくなかった。シーズン外なら、きっと人もまばらなことだろう。

「でも、私、水着とか持ってきてないし…」

「いいんだよ。海辺とか、散歩して…嫌?」

「…まあ、それでもいいけど」
どうやら、あんまり嬉しそうではない。まあそりゃそうか。だけど、『どこか遠くへ』と漠然と指定されても、正直どうしていいかわからなかったのだ…
とは言えなかった。

「まあ、とにかく行こうよ」
佐紀の手を引っ張って、ボクは駅から電車に乗り、バスに乗り換えて目的地を目指した。その先に何が待っているかは、まだ分からなかったけど。
652fusianasan:2011/01/25(火) 21:48:55
バスの中はあんまり人がいない。ボクら以外の乗客は数人といったところか。

「ふぁぁ…何だか眠くなっちゃった」
佐紀は大あくびをすると、そう呟いた。そして、そのまま彼女はボクの横で眠り込んでしまう。
「Zzz...」
思えば、彼女の寝顔を見るのは初めてかもしれない。目を閉じたまま小さな顔をコクリ、コクリとやっている彼女の姿は可愛いとしか
言いようがない。『無防備な彼女』が、ボクの目と鼻の先にいる…
ボクはそれがたまらなく嬉しかった。


バスに揺られて一時間半。終点の駅に着いた。人影もまばらな終点は、電車も一時間に一本か二本しかないような小さな駅だった。
「誰もいないね…」
ここから電車で一駅か二駅も走れば港に着く。でも、いつ電車が来るかなんて調べてもいない。訊けばいいか、と思っても駅にも誰も
いないようだ。

「あと三十分かかるってさ」
佐紀が時刻表を見てポツリと言った。三十分くらいなら、待てないこともない。

「じゃあ、待とうか」
二人して誰もいない、そして誰も来そうにないホームのベンチに座った。

「ちょっと疲れたんじゃない?」

「ううん、さっき寝たから、大丈夫だよ」
そう言いはしたが、佐紀の目はまだ眠たそうだ。

「いいよ、もうちょっと寝てなよ」
ボクはそう言って、彼女の頭が乗れるように自分の肩を少し下げてやった。

「じゃあ、もうちょっとだけ…寝てていい?」
彼女はその肩に頭を乗せて、そして再び目を閉じた。
653fusianasan:2011/01/25(火) 21:49:36
そのまま少しの時間が流れた。電車の来ない駅はまるで時間が止まったかのように静かだ。
ボクの耳に聞こえるのは時々やって来る鳥のさえずりや羽音と、ボクの肩に載っている少女の寝息だけである。
そんな時間が続いているうちに、ボクは何だかこの世界が二人しかいないような錯覚にとらわれてしまった。何せ、
あたりを見回しても誰もいないし、誰か来る気配すらないのである。

「ふぇ…ふぁぁ…」

佐紀が目を覚ました。どうもボクの肩が無意識のうちに動いてしまい、それで目を覚ましてしまったようだ。
目を覚ました彼女は半分寝ぼけ眼のまま、『どうしたの?』という感じでボクの顔を見る。その表情が…
ボクの心に火をつけた。つけてしまった。


だって、その表情はボクが今までの人生の中で出会った…どんな人よりも可愛らしかったから。


ボクは黙って彼女を抱きしめ、そして唇を求めた。彼女は一瞬驚いたようだったが、ボクの無言の要求を受け入れた。
唇と唇が触れた。それも一瞬ではない。ゆっくりと続いていく口づけ。
いや、時間にしたらそんなに長いことではなかったのかもしれない。でもボクにはその時間がとてもとても長く感じられた。
そして、長く続ければ続けるほど、自分と彼女の心を通わせられる、と思っていたのだった。

それが正しいのかどうかは分からないけど。
654fusianasan:2011/01/25(火) 21:50:49
唇を離すと、ボクたちは我に戻ったかのように体を離した。

「ごめんね、急に…」

「ううん、気にしないで…ちょっと、びっくりしただけだから」
ボクはいきなり、今まで気にも留めなかった周囲の様子が気になってきてしまった。まあ、見渡す限り相変わらず
誰もいないことには変わりないんだけど…でも、誰かに見られてなかったかとか、誰か通ったらどうしようとか、
そんなことが気になってきてしまって…

我ながら実に小心者だと思う。でも、なかなかこういう部分は直りそうにない。

「キス、しちゃったね…ごめんね」

「…」
佐紀は何も言わなかった。何も言わず、ただ下を向くだけだった。
ボクの発作的な行動は、彼女が望んだこととはかけ離れていたのだろうか。『ボクしか見えてなかった』というのは、
ボクの勝手な思い込みだったんだろうか…

会話がないまま、いつしか電車がやってきた。ボクたちは、黙ってその電車に乗り込んだ。電車の中でもほとんど
会話がなかった記憶がある。
窓越しに見える海岸線。人気もまばらなその景色はまだどこか重たそうで、まるでボクの心の中を描き出したようだった。
655fusianasan:2011/01/25(火) 21:51:30
二駅先の駅にボクたちは降り立った。ここもやっぱり人のいない場所だった。

「行こうか」

「…うん」

佐紀が小さくそう言った。少しは愁眉を開いてくれたのだろうか。ボクたちは駅から歩いて、海岸沿いを目指した。


「ねえ…怒ってる?」

「何が?」

「さっきのこと」

ボクは恐る恐る訊いてみた。答えを聞くのが怖いような…でも答えを聞かないと先に進めないような…複雑な気持ちだ。

「怒ってないよ…別に」

佐紀はそう言うが、声はどこか元気がない。まあ、今日、ずっとなんだけど。まるで、付き合う前に戻ってしまったみたいだ。


それはなぜ?ボクが悪いのか?だとしたら、どうしたら元に戻ってもらえるんだ?
謎ばかりが増える。でも、それをいちいち彼女に訊くわけにもいかない。だから余計に気が重くなって、空気まで重くなるんだ。
ああ、なんて悪循環。
656fusianasan:2011/01/25(火) 21:52:03





でも、まだボクは知らなかった。彼女…佐紀が、もっと重大な問題を抱えているということに。



そして、その問題にボクも無関係ではいられないということに…





(つづく)
657fusianasan:2011/01/28(金) 22:59:25
>>655

二人で海岸沿いの公園にたどり着いた。佐紀をベンチに座らせて、ボクは一人で歩き、自販機で二人分のジュースを買った。

「お待たせ」
ジュースを渡して、ボクもベンチに座る。目の前には海が広がっていて、時々海からの風がボクらに涼しい空気を運んでくれる
…そんな景色。

「ねえ、少しだけ、話したいことがあるの…聞いてくれる?」
佐紀がそう言ってきた。佐紀が今日一日、ずっと冴えない様子だったのはこの話のせいなのだろうか…ボクはただならぬ雰囲気を
察して、向き直った。

「実はね…ちょっと、話が来てるんだ」

「何の話?」

佐紀が次に言った言葉を、ボクは終生忘れることはないだろう…きっと。
658fusianasan:2011/01/28(金) 22:59:55





「…引っ越さないか、って話」




659fusianasan:2011/01/28(金) 23:01:30
ボクは驚きのあまり、ベンチから転げ落ちそうになった。一体どういうことなのか。

「実はね、パパが転勤になりそうで…で、家族みんなで引っ越さなきゃいけないかもしれないの」

「…それ、いつのこと?」

「夏休みの間には決まると思う…」

「…どこへ行くの?」

「神奈川」

遠い場所だ。ボクが会いたいと思っても、おいそれと会いに行けるような場所ではない。

「…」

ボクは何も言えなかった。こんな時、一体何を言えばいいのだろう。
660fusianasan:2011/01/28(金) 23:02:24
「××くんのことは好きだよ。ホントに好き。大好き!
 だけど…」

「…だけど?」

「私一人じゃ、どうにもならないこともあるから…」
そう話す佐紀の顔は曇って、今にも泣きだしそうだ。


「ごめんね…今日は…そのことを…どうやって言えばいいのかなって、ずっと考えてた…


機嫌が悪かったとか、怒ってるとか、そういうことじゃないの…


ただ…どうやって言えばいいのか分からなくて…考えてただけなの…


ホントに…ごめんなさい」

謝られても、ボクはどうしていいかわからない。そもそも、彼女が謝る必要があるのだろうか。いや、きっとないはずだ。
そう、これはボクにも彼女にも手が出せない、どうしようもないことなんだ、きっと。


だけど…ボクは…そんなの…
661fusianasan:2011/01/28(金) 23:04:02
「ねえ」
泣きそうな顔の佐紀が、ボクに囁いた。

「もう一回、キス、して」

「…いいの?」
さっきは何かの弾み、衝動から来るものだった。だからお互い夢中だった。だけど、今は違う。二人の心の中は、さっきとは
比べ物にならないくらい重くなっているはず。なのに、佐紀はボクにまたキスを求めてきた。いいんだろうか…


ボクの問いに、佐紀は何も言わず、小さく頷いた。こうなると断る理由はない。ボクは彼女をそっと抱きしめた。
さっきよりは、上手にできた、と思う。

「…」
佐紀が唇を求めてきた。黙ってそれに応じる。佐紀から仕掛けられたキス。


優等生の彼女がこんなことを…ボクに…



さっきの一件のせいでまだ頭は混乱していたが、正直、ボクはとても興奮してしまった。


「また…キス…しちゃったね」
佐紀の顔は真っ赤になっていたが、でも、ほんのちょっとだけ涙が流れていたのを、ボクは見逃さなかった。

「佐紀…大好きだよ。世界で一番…一番、一番、好きだよ」
ボクの本心だった。嘘も偽りもお世辞も何もない。百パーセント、混じり気のない純粋な感情。それをありのまま佐紀にぶつける。
今まではどこかでセーブしていた部分があったかもしれない。でも、もうそんなのはやめてしまえ。
いいじゃないか、好きな人に『好き』と言って、何がいけないというんだ…
662fusianasan:2011/01/28(金) 23:05:42
「…ありがとう…嬉しい」
佐紀の言葉は涙にかき消されそうだった。そして、その様子を見ているうちにボクも何だか目頭が熱くなって、
二人は一緒に泣いた。

ボクも佐紀も、間違いなくお互いがお互いのことを大好きで、お互いのことを求め合っていて、
それなのにそう遠くない将来、二人は引き離されようとしている…

ボクはそれが耐えられなかった。そんなの嫌だ、佐紀と離れるなんてできるわけない!


…何とかして、それを回避できる方法はないものか。回避が無理なら、せめて少しでも幸せな結末を迎えたい…


ボクはこの時決心した。絶対に佐紀をボクだけのものにする、と。
今思えば、バカなことを、と思う。でも、その時のボクにはそれが分からなかった。


涙顔のボクたちは…三度お互いを求め合って、抱きしめあって、そしてキスをした。もうこの段階ではボクの視界に佐紀以外の
何かが入ってくることもなかったし、たぶん佐紀も同じだっただろう、と思う。



お互いを求め合う時間がしばらく続いた。
その時間は、カン、という金属音で終わりを告げた。

「あ…」
抱きしめた勢いのあまり、佐紀がジュースの缶をベンチの下の地面へ落っことしてしまったのである。
倒れた缶から、残ったジュースが漏れ出ていく…ボクはそれを見て、なぜかとても悲しくなった。まるで自分たちの未来を
暗示しているかのようで…いやいや、そうなっちゃいけないし、そうなりたくもないけれど。
(つづく)
663fusianasan:2011/01/28(金) 23:07:24
|ω・) 誰もいなくなっちゃった… 読者さん、いなくなっちゃったのかな…残念(´・ω・`)
664fusianasan:2011/01/29(土) 00:45:45
おつです。

エロシーン期待してます。
665fusianasan:2011/01/29(土) 23:39:00
>>662

「行こうか…」

「…うん」
どこに行くかも決めていない。いつまでいるかも決めていない。決めていないことだらけだけど、ボクは佐紀の手を握って海岸線を歩きだした。
時々、波がボクらの足元までやってくる。

「きゃっ!」
予想よりちょっと大きな波が来たのか、佐紀が波に足をすくわれたような形になった。体がボクの方にゆらり、と崩れてくる。

「!」
ボクは…我ながら見事に受け止めてみせた。

「ごめん…大丈夫?」

「大丈夫」
ボクの腕の中にしっかりと佐紀の体が収まっていた。

「…また、やっちゃったね」
佐紀は顔を赤らめながらボクにそう言った。さっきから自分が何かとヘマばかりしていて申し訳ない、と思っているのだろうか。ボクにとっちゃ
ヘマでも何でもないんだけど。だって、その仕草一つ一つがとっても素敵で、愛らしくて、たまらなく愛おしいのだから。

「いいよ…だって」

「だって?」

「佐紀のことが大好きだから」
666fusianasan:2011/01/29(土) 23:39:53
我ながら、歯の浮くようなことを言っている。ボクの周りの人間が見たら、きっと笑い転げながら、お前、頭がおかしくなったんじゃないか、
と言うだろう。でも、そんなことはどうでもよかった。

また…これ以上ないくらいに顔を赤らめた佐紀にそっと顔を近づけ、キスを求める。

「もう…××くんはホントに、キスするの好きなんだね…」
佐紀がちょっと呆れたように笑った。

「そうかもね。自分でもここまでだとは、気がつかなかったよ」
ボクはそう答えた。本音である。付き合い始める前までは、自分がこれだけ能動的に求める人間だとは思いもしなかった。今も多少の
羞恥心はあるが、夢中になる気持ちの前には勝てそうもない。それほどまでに、ボクは佐紀が…好きで好きでたまらないのだ。

「いいよ。私のこと好きでいてくれるのは、やっぱり嬉しいもん。私でいいんだったら…」
そう言うと、佐紀は一瞬間をおいて…つばを飲み込んで…続きを話した。

「好きなだけキスしていいよ。もう…怖くないから。大丈夫だから。××と一緒なら…大丈夫だから」


そして、佐紀はゆっくりと目を閉じ、ボクの唇を受け入れた。それだけじゃない。今度は…
お互いの舌が絡むような、熱いくちづけ。
足元に冷たい水が来たが、ボクたちはもう気にもしなかった。
667fusianasan:2011/01/29(土) 23:41:34
歩いているうちに一軒の小屋が見えた。どうも、判断するにまだ営業開始前の海の家か、その残骸のようだ。辺りには誰もいない。

「ねえ、ここ、入ってみよっか?」
ボクは佐紀にいたずらっぽく訊いてみた。

「いいのかなぁ…怒られたり、しないかな?」

「そうなったら、ボクが謝るから…ね?」
渋る佐紀を強引に丸めこんで、ボクはその小屋に入った。中には誰もいないし、カメラの類もないようだ。


誰もいないから当たり前だけど、小屋には何もない。埃をかぶった机や椅子と、これまた埃をかぶった畳の敷かれた空間が
あるだけだった。
ボクたちは埃を振り払って、畳の上に座った。

「ねえ、一つだけ…訊いてもいい?」
佐紀がボクに訊ねてきた。
668fusianasan:2011/01/29(土) 23:42:15
「何?」

「さっきの、ことなんだけど…」
佐紀が引っ越すとか、引っ越さないとかの話である。

「もし、ホントに引っ越すことが決まったら…その時は、ちゃんと報告するから…真っ先に、××に言うから…」
そう言うと、佐紀は小さな声で呟いた。


「私のこと、嫌いにならないで…くれる?」


意外な言葉だった。どうしてボクが佐紀を嫌いにならなきゃいけないのだろう。そんな…ことで。

「どうしてさ、嫌いになるわけないじゃん」

「だって、引っ越したら、学校で会ったり、デートしたり、できなくなるし…
電話だって…できなくなるかもしれないんだよ?
…それでもいいの?」

そういうことか。確かにその通りだ。お互い携帯電話を持っていないこともあり、ボクらは電話で話す機会さえ満足に得られなかった。
佐紀が引っ越せば、ボクらの恋も終わってしまうのだろうか…


理屈の上ではその可能性は高いことぐらいボクでもわかっていた。でも、今の二人には、その選択肢を選ぶことなどできない。
「大丈夫だよ…きっと」


本当は「大丈夫だ」とはっきり言い切りたかった。言い切ってしまいたかった。でも、それを言い切れないのが…
ボクの心の中のどこかに残っていた不安の表れ、だったのかもしれない。
669fusianasan:2011/01/29(土) 23:42:57
「ホント?信じて…いいの?」

「信じていいよ。信じてくれよ」
ボクがそう言うと、佐紀はボクの体に抱きついてきた。


「嬉しい…××のこと、好きになってよかった…」



ボクはそのまま畳の上に寝転がった。ボクの腰の上に佐紀が乗っている形になる。そして、佐紀がそこからボクの体の上へ倒れ込んできた。

「上に乗っかっちゃったね」

「重たくない?大丈夫?」

「大丈夫だよ」
670fusianasan:2011/01/29(土) 23:43:48
彼女の重み自体は別にさしたる問題ではなかった。むしろ問題だったのは…ボクの下半身が…
その…

疼いていることの方で…


「ねえ…これ…」

「ん?何?」
佐紀が何を言いたいか、本当はボクも分かっているのだけれど、わざと知らないふりをした。

「…あたっ…てる…」

「何が?」

「だから…その…」

佐紀は明らかに言いづらそうだ。まあ、そりゃ、そうだろう。あっけらかんと言われてしまったら、こっちもどうしていいか困る。

「何が当たってるの?」
ボクが訊き直すと、彼女は意を決したように一度小さく呼吸を整えて、そして呟いた。


「××の…おちんちんが…私の…太ももに…当たってる…よ」


そう言う彼女の顔は真っ赤になっていた。よほど恥ずかしいのだろう。
671fusianasan:2011/01/29(土) 23:44:34
「やっぱり、分かっちゃったか…」

「分かるよ、そりゃあ…」
下を向き、恥ずかしそうに呟く佐紀に、ボクはあるお願いをしてみることにした。

「ねえ、触ってみて欲しいって言ったら…怒る?」

「…え?何を?」

「佐紀の太ももに、今当たってるものさ」
ボクがそう言うと、佐紀の目がこれ以上ないくらい大きくなり、『何を言い出すんだ』と言わんばかりの表情になった。

「…本気?」

「うん…佐紀がおっきくしてくれたから、佐紀に鎮めて…もらいたいなぁ」

当たり前だが、こんなことを女の子におねだりしたことなんて今まで一度もない。にもかかわらず、ボクは心の中で、佐紀の表情が
困れば困るほど不思議な余裕が芽生えてくるのを感じていた。


「…わかった。でも、誰にも言わないでよ?」
困り果てた顔で彼女が呟く。ボクは笑いを噛み殺すのに必死だった。

「言わないよ、言う必要がないじゃんか」
ボクがそう言うと、佐紀は観念したように…そっとボクのベルトに手をかけた。
672fusianasan:2011/01/29(土) 23:45:31
ベルトを緩め、ボタンを外し、ファスナーを下ろし…


そこで佐紀がポツリと言った。

「すごく…おっきくなってる」
布越しに彼女の手が触れた。そして、その手は布を下ろし、露わになったそれに直に触れていく。


「もしかして、男の人の…見るの、初めてだったりする?」

「…うん」
彼女は小さな声でそう答えた。顔は真っ赤で、今にも火が出そうな感じだ。

「じゃあ、手で、上下に、しごいてみて…くれる?」

「…こう?」
彼女の手がゆっくりと動き、ボクのそれをしごいていく。甘美な感覚がボクを包む。


「あぁ…気持ち…いぃ…」
673fusianasan:2011/01/29(土) 23:46:32
体が甘美な感覚に包まれれば包まれるほど、だんだん意識が遠くなっていく。そして、数分経って…


「ひゃっ!」


ボクが果てるのと同時に、佐紀が悲鳴を上げた…放出されるところを見るのも当然初めてだったわけで…
彼女はかなり驚いていたようだ。


「すごい…いっぱい…出た…ね」

「ビックリさせちゃったね…ごめんね」

ボクが謝ると、彼女はティッシュでボクの放出した『それ』を拭き取りながら…笑ってかぶりを横に振った。


「ううん…大丈夫…気持ちよくなって…くれたんでしょ?なら…よかった」
そして、ボクらは再びキスを交わすのであった。
674fusianasan:2011/01/29(土) 23:52:54
そのままボクと佐紀は小屋の中で二人…『いちゃついた』時間を過ごした。

帰りのバスで、佐紀はやっぱり眠り込んでしまった。ボクは彼女の手を握ったまま、一人で窓の外を見ていた。
こんなにうまくいっている二人が…引き離される日がやってくるのだろうか。もし本当にそうなってしまったら、ボクは一体
どうすればいいのだろうか…

考えても仕方のないことを、ボクはただ考え続けた。そのうちに、だんだんと気持ちが悲しくなってきて、車内に視線を
戻すと…


佐紀が穏やかな寝顔で眠っているのが見えた。彼女のそんな姿が、また愛おしく思えた。
(第二章 終)


『夏の魔法』 PEPPERLAND ORANGE-1998
ttp://www.youtube.com/watch?v=FSf-_hz1k_M
675fusianasan:2011/01/30(日) 00:03:50
(´・ω・)っ(第三章 予告)

『ボク』と『佐紀』は、とうとう『初めての日』を迎える
残り少ない時間を惜しむかのようにお互いを求め合う二人
そして、やって来る旅立ちの日
『ボク』と『佐紀』の運命は…?


(´・ω・)っ(明日以降連載予定…)
676fusianasan:2011/01/30(日) 19:47:02
乙です
ついに・・・
677fusianasan:2011/01/30(日) 20:29:31
第三章

―あいたい 今の君は どんな場所で 暮らしてる―


本格的な夏がやってきた。学校の中じゃ野球部の県大会を応援に行く人もいるようだが、ボクは行かなかった。
別に特に行く理由もないし。

かといって、期末試験に備えて勉強しようなんて立派なことを考えるわけでもなく…
ボクはただ、考えていた。考えてもどうなるわけではないことを、ただ考えていた。


「お待たせー。ごめん、待った?」
この笑顔の主が、もうすぐボクの前からいなくなってしまうかもしれないのである。
いや、「いなくなってしまうかもしれない」って表現は的確じゃない。「いなくなってしまう」確率は残念ながら
かなり高い。
678fusianasan:2011/01/30(日) 20:30:47
「それまでに…ボクは…」

何をすべきで、何をすべきでないのか。彼女のために、一番プラスになる選択肢はなんだろう。
どんなにいろいろ考えても、決まった答えが出るわけじゃない…数学の授業のように、決まっていてなおかつ正しい答えが
出せるものならどんなに楽だろう。でもそうもいかない、のが悲しい。

「…ねえ、ねえったら!」

「…あ、ごめん、どうかした?」
どうやら、ボクが意識をほかに向けている間に、彼女はボクにずっと話しかけていたらしい。気がつかなかった。

「もう、全然聞いてないんだから…私の話」
ふくれっ面をする彼女を何とかなだめて、もう一回同じ話をしてもらった。
679fusianasan:2011/01/30(日) 20:31:31
「ああ…そういうことか。ごめんごめん、全然聞いてなかったわ」
我ながら答えがどこか空虚なのが分かる。心中穏やかでないのに平静を装えるほど、ボクは器用な人間ではない。


「…そういうことだから。だから、今度の日曜日、あけといてね」

「うん」
珍しく佐紀の方からデートを予約してきた。別に嫌じゃないけど、不思議な気分だ。

「…その、準備とか…あるし」

「え?」
準備って何だ。何のことだ。何か大がかりなことでもあったっけ…?

「何のこと?」
思わず訊き返してしまった。すると佐紀は


「…もう!知らない!」
顔を真っ赤にしてどこかに行ってしまった。一体何だったんだろう。
680fusianasan:2011/01/30(日) 20:32:42
よせばいいのに、ボクはそのことをそれとなく悪友に話してしまった。すると、悪友は大笑いしてこう言った。


「お前、そりゃ、アレだよ。初めての準備ってことだろうよ」

「はぁ?」
なんだそりゃ。


「ああ、そうかそうか。ごめんなぁ、未経験者には分からないよなぁ」
酷いことを言うもんだ。自分だって似たようなもんじゃないか…とボクは内心思いながら、それでも悪友の話を
黙って聞いていた。


「要するに、初めてはお前にもらってほしい、ってことだよ」
…はぁ。


「よかったなぁ。お前、すげー幸せもんだぞ」

「そうなのかなぁ…そうなんだろうなぁ、やっぱ」
ボクには、まだその程度の認識しかなかった。頭では理解できないこともないが、どうにも『それ』がまだ現実的なことと
して受け入れられないように思えて仕方なかったのである。
681fusianasan:2011/01/30(日) 20:34:01
そして、日曜日がやってきた。

「お待たせ」
いつものように駅前で待ち合わせをした。白い服に身を包んだ佐紀は、いつもより少し翳があるように見えた。

「じゃあ、行こうか」

二人で映画を見に行って、喫茶店でお茶して…ここまではごくごく普通のデート、のはず。
でも、この日はそれでは終わらなかった…

「ねえ、私、行ってみたいところがあるんだけど」
喫茶店で、唐突に佐紀が切り出した。

「どこ?」


「…××くんの家」


比喩ではなく、ボクはこの時、飲んでいたアイスティーを噴き出しそうになった。
「…マジ?」

「…マジ」
さっきまで笑っていた佐紀の目が真剣だった。どうやら、これは本気のようだ。ははぁ、『準備』って、このことだったのか…
と今更になって思う。

しかし、ここまで真剣に言われたらボクも断れそうにない。もとよりあまり断ろうとも思ってないけど。
「分かった…でも、いいの?あんまり綺麗な部屋じゃないよ?」

「いいよ。そんなの最初からわかってたし」
…さりげなく酷いことを言われたような気もしたが、ボクは気にしないことにして、佐紀を自分の家へ連れて行った。
682fusianasan:2011/01/30(日) 20:34:50
「おじゃましまーす…」


もとより今日はこの家、ボクたち二人以外誰もいないのだが…佐紀は恐る恐るという感じで、我が家にやってきた。

「ここが…ボクの部屋」
もっとも、大した部屋ではない。ベッドと本棚と勉強机とテレビとコンポがあって…それだけの部屋だ。

「へー、男の子の部屋って、こうなってんだね」
佐紀は興味津々といった感じであれこれ見ようとする。ボクは内心、あんまりあれこれ見てもらってもちょっと困るな、
と思いながらそれを見ている。


「…ねえ、エッチな本とか、ないの?」


「…は?」


いきなり何を言い出すんだ。そんなもの、あるわけないじゃな…
本当はあるんだけど。
683fusianasan:2011/01/30(日) 20:35:50
ボクの白々しいウソは、あっという間に佐紀に見抜かれてしまった。


「きっとここら辺にあるような気がする…あ、あった!」
見つかってしまった。こっそりと公園の陰に捨てられていたのを拾ってきたやつだ。


「ふふ…女の勘は鋭いのです」
佐紀はそう言いながら、ボクが隠していたエッチな本を取り出した。表情はニヤニヤしっ放しだ。


「へー、男の子ってこんな本を読んでるんだね…」
佐紀がニヤニヤしながらページをめくる。驚いた。意外とこういうことに耐性持ってる子だったんだなぁ…
そうは見えなかったので、ボクはちょっと意表を突かれたような感じになった。

最初はニヤニヤしながら読んでいた佐紀だったが、だんだんと表情が真剣になってきて、口数が少なくなってきた。
よほどお気に召したのか、もしくはよほど夢中になる何かがあったのか、それは定かではないけど…
少なくとも、真面目な顔をして読むような本ではないような気がする…と、佐紀を見ながらボクはそう考えていた。
684fusianasan:2011/01/30(日) 20:36:37
「ふーっ…一気に読んじゃった…」
そう言ってこちらを見る佐紀の顔は上気していて、ほんのり赤くなっている。心なしか、汗の量も多いようだ。


「…ひょっとして、興奮しちゃったとか?」

「え、まあ、それは…」
佐紀の顔がさらに赤くなった。図星のようだ。


「…なあ、一つ訊いてもいい?」


「何?」
ボクも内心こんなことを訊くのはどうかと思ったが、いまさら後には引けない気がした。


「…もし、その本に書いてあるようなことを…今から、したい、って言ったら…どうする?」
それが何を意味するかは、佐紀にも分かっているはずだ。

「…いいよ。だって…」

「だって?」

この次に来る言葉を、ボクはまだ予測できないでいた。そして、佐紀の口から発せられた言葉は、
ボクの想像を超えたものだった。
685fusianasan:2011/01/30(日) 20:37:16




「そのつもりで来たんだし…」




(つづく)
686fusianasan:2011/01/30(日) 21:19:21
ついに…
687fusianasan:2011/01/31(月) 00:38:08
(;´Д`)ハァハァ
688名無し募集中。。。:2011/01/31(月) 01:22:46
あちこちのスレで忙しいですなw
書く人さんが戻って来てくれるまでは任せました!w
689fusianasan:2011/01/31(月) 08:20:56
期待
690fusianasan:2011/01/31(月) 20:41:48
>>685

そう、佐紀は確かに『そのつもりで来た』と言ったのだ。そのつもりとは、つまり、そういうことだ…
…と、ボクは頭の中で自分で自分に言い聞かせていた。でも、正直、今日だとは予想していなかったから、
頭の中で多少の混乱を招いていた。


「××くんも…やっぱり…前からずっと…そういうこと…したいんだろうな…って思ってたし…」
まあ、したいかしたくないかって言われたら当然したい。したいに決まっている。でも、上手にできるだけの経験もないし、
自信もない。だから、ボクは内心そこはかとない不安を抱えていたのだ。


「それに…他の人にそういうことされるの…イヤだから…」
そう呟くと、それまで目線をずっと伏し目がちにしていた佐紀が、ボクの方を見た。
691fusianasan:2011/01/31(月) 20:42:26





「最初は…××がいい…な」




692fusianasan:2011/01/31(月) 20:43:08
ボクはもういてもたってもいられなくなって、佐紀を思いっきり抱きしめた。


「キス…しよう」


思いっきり唇と唇を合わせる。舌を絡ませる。もう夢中だ。二人してベッドに…もつれ合うようにして倒れた。
無邪気に、そして夢中のまま佐紀と絡み合っているうちに、佐紀がボクの上になった。ちょうど、ボクの腰の上に
佐紀の体が乗っている。

「これから、どうしたい?」

「さあ…分かんない」

ボクも佐紀もどうしていいか分からないまま顔を見合わせ、そして苦笑いを浮かべた。悪友がこの様子を見たら
多分大笑いすることだろう。でも仕方ない。ボクも佐紀も
『頭では分かるが、体が動かない』状態になっていたのだから…


「佐紀の好きなようにしたらいいよ」

「でも…わからないし…」

そう言うと佐紀は体をずらして、ボクの上に寝そべる形になった。そして、耳元に彼女の顔がやってきた。


「どうしていいかわからないから、××の好きなようにして…いいよ。××の好きな色に染めて」
至近距離で…頬を赤らめて…そんなことを言われたら…反則だよ、と思わず呟きたくなった。
693fusianasan:2011/01/31(月) 20:43:57
「じゃあ…ボクの服…脱がせてよ」
ボクがそう"おねだり"すると、佐紀はニッコリ笑って頷いた。そして、ボクのシャツを脱がして、素肌になったボクの胸板に
そっと口づけをした。


「何か…改めてこんなにジロジロ見られると…恥ずかしいね」
ボクがそう言うと、佐紀は口づけをやめて、再びボクの耳元へ顔を持ってくると、そっと囁いた。

「でも…××の体…好きだけどなぁ」

「え?」

「なんか…ふつーなところが…いいな、って」
ボクは筋肉質でもないし、スポーツマンというわけでもない。あんまり自分の体に自信なんてないけれど、でも佐紀はそんな
ボクの気持ちを察してくれたのか、あるいは知らなかったのか…とにかく褒めてくれた。恋人同士故のお惚気成分が多分に
含まれているんだろうけど、とりあえずはそんなことは放っておいて、この優しさを甘受したい、と思った。
694fusianasan:2011/01/31(月) 20:44:52
「じゃあ、次は…」

「…うん」

ボクは佐紀の目を見て、目と目…アイコンタクトで、次に何をするかを伝えた。


そして、佐紀の白い服にゆっくりと手をかける。彼女のピーン、と張り詰めた緊張感が服越しでも伝わってくる。

「緊張しないでいいよ」
ボクがそう言うと、佐紀は苦笑いを浮かべた。

「緊張したくないけど…やっぱり…恥ずかしい…」
まあ、その気持ちは分かる。ボクだって、『緊張しないで』という自分の言葉が―自分でも―
驚くほど緊張していることを理解していた。


でも、進めなきゃいけない。というか、進めたい。彼女のすべてを見たいのだ。
白い服のボタンを丁寧に外し、ゆっくりと脱がせる。別にそうしろと言われたわけでもないのに、やけに慎重に
手を動かしている自分がいた。


服と同じ、白いブラジャーだった。それも外そうとしたが、なかなか外れない。ホックの場所を間違えていたのだ。

「もう…ここだよ、ここ」
見かねた佐紀が、自分でやってくれた。それを外すと…
695fusianasan:2011/01/31(月) 20:45:36
「あんまり…見ないで。恥ずかしいから」


「見せて。見たいんだ、全部」


ボクがそう言うと、佐紀はゆっくりと腕を下ろした。決して大きくはないが、きれいな胸が現れた。
中心には二つのきれいな蕾が見える。
その周りには小ぶりな円が描かれていて、それはきれいなピンク色であった。


佐紀は恥ずかしさのあまりなのか、ボクに抱きついてきた。ボクもそれを受け入れるが、手は彼女の下半身を
"攻撃"することを忘れてはいない。

「えぇ…もう、脱がす…の?」

「早く…見たいんだもん…」

そう言いながらボクは彼女の下半身をあっという間に下着だけにした。上とお揃いの白いパンティが現れた。

「脱がすね?」

「…うん」

聞き取れないくらい小さな声を発して、彼女が頷いた。その表情は、どこか震えていた。
696fusianasan:2011/01/31(月) 20:46:33
そして、佐紀は生まれたままの姿になった。


彼女の下半身は大人のような黒々としたデルタを描いていた。しかし、だからといって無駄な肉がついていることはなく、
みずみずしくしなやかな肢体だった。


「私だけじゃ恥ずかしい…××も、早く脱いでよぉ…」


「じゃあ、脱がせてくれたら、嬉しいんだけどな」


ボクがそう『おねだり』すると、彼女は素直に従った。あまりの恥ずかしさに、判断ができなくなっていたのだろうか。
697fusianasan:2011/01/31(月) 20:47:15
お互いを求め合いながら、ボクも佐紀も、生まれたままの姿になった。


「あんまりジロジロ見ないでよぉ…恥ずかしいじゃん」
そう言って、佐紀は体を隠そうとする…もっとも、ちっとも隠せていないのだけれど。


「いいから…見せて。見たくてたまらないんだ…お願い」
ボクが哀願するようにそう言うと、佐紀は観念したかのように、腕を開いた。
そして、ボクの体をそっと自分の腕の中に収めた。


ボクはまるで…母に抱かれているような…いや、姉のような…もしかしたら全く別の誰かの仕業のような…
そんな不思議な感覚を味わっていた。なんだろう、この『心の奥底に響く』気持ちは。


「来て…」
ベッドの上に寝転がった佐紀の上に、ボクが乗っかる形になった。
698fusianasan:2011/01/31(月) 20:48:11
「また…当たってるね」

興奮しきったボクのそこが、いつの間にか、また佐紀の太ももに当たっていたらしい。

「ごめんね…もう、我慢できないや」

「ちょっと待って…」
そう言うと、佐紀は自らボクのそこに唇をつけた。

「初めてやるから…自信ないけど…もし、痛かったら、教えてね?」


そして、彼女の唇が、舌が、口がボクのそれを包んでいく。初めて味わう、温かい感覚。
ボクのそれが、彼女の口内で清められている…しかもそれをやっているのは、クラスでも真面目な美少女として通っている女の子…
おまけに彼女は、人生で初めての行為…


ボクを"燃えさせる"ための燃料は十分すぎるほど揃っていた。だから、ボクはその感覚に長くは耐えられなかった。

「やばっ!出るっ!」

「…?」
何のことか分からない、という表情をしながら続ける佐紀の喉に…ボクは思いっきり吐き出した。白いエキスをたっぷりと、吐き出した。

「ゴホッ…ゴホッ…」
直撃を受けた佐紀はたまらずむせた。まあ、当たり前のことか…

「ご、ごめん!大丈夫?」
佐紀は何も言わなかった。何も言わず、直撃した白いエキスをむせながらも飲み込んだ。
699fusianasan:2011/01/31(月) 20:48:52
「ごめんよ…苦かったろう…」
白いエキスが苦いものであることぐらいは、ボクでも知っている。飲んだことがあるわけじゃないが。


「味…分かんなかった。反射的に飲んじゃった…苦かったのかなぁ…分かんないや…」
佐紀はそう言って笑った。半分は本当で、半分は彼女の優しさ、だと推測した。



ゆっくり彼女の体を抱き寄せ、大人のような黒々としたデルタに指を這わす。彼女は恥ずかしさのあまり
紅潮させたかぶりを横に振るが、ボクは構わず指を使う。


「あっ…やっ…」
しばらく指を細やかに使ってあげると、彼女のデルタからピチャピチャという音がし始めた。
佐紀の表情がうっとりとしたものになってきた。準備は…万全のようだ。

(つづく)
700fusianasan:2011/01/31(月) 20:50:50
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
701fusianasan:2011/01/31(月) 23:45:34
キターーーーー
702fusianasan:2011/02/01(火) 22:10:50
>>699

「大丈夫?」
「うん…大丈夫。もう何も怖くないよ」

ボクはゆっくりと、佐紀の中に侵入していく。

「痛い?」
「…ん…だい…じょ…うぶ…がまん…で…きる…から…」

そうは言うが、彼女の顔は苦痛に歪んでいるように見える。中は強烈な締め付けで、ボクのそれをがっちりとホールドして離さない。
こりゃ抜け出せないや…抜くのに相当のエネルギーを要しそうなくらい、きつい。


ボクはしばらく動かず、彼女の強烈な締め付けに任せることにした。何もしていないのに彼女の中が、白いエキスの放出を誘う。
いやいや、まだ出したくないってば…


「…もう…うごいて…も…だいじょうぶ、だよ…いいよ…きて…」

佐紀がそう言ってくれた。ボクはゆっくりと腰を動かし始める。
そして、ボクと佐紀はお互い初めての快感の波に浸るのである。


…お互いの頭の中が真っ白になっていくまでに、そう長い時間はかからなかった…

「さ、さき…もう…でる!」
「…いい、よ…だ、し、て!」

そして、ボクは彼女の中に、すべてを出し尽くした。
703fusianasan:2011/02/01(火) 22:11:24
「…どうだった?」

「うーん…ちょっと…痛かった、かな」

ボクの問いに、佐紀はそう答えた。本音だろう。タオルには、彼女の『初めての証』が付着していた。


「でも…私…今とっても…幸せだよ。
途中で、下から、××の顔を見たら…すごい…気持ちよさそうで…
それ見てたら、私、すっごく嬉しくなったんだ」


そう言って、佐紀はぼくの腕の中にやってきた。

「大好きだよ…」

佐紀は僕の頬に再び口づけをした。たまらなく愛おしかった。

「そっか、それならいいんだ」

佐紀を抱きながらもボクは、自分の感覚が急に現実に引き戻されたのを感じていた。ボクはもうすぐ、佐紀と離れ離れになろうとしている。
これだけうまく行っていて、お互いとても幸せな毎日を送っているというのに、その日々の終わりは…


その事実が、とてもとても、辛かった。
704fusianasan:2011/02/01(火) 22:12:35
夏休みに入った。優等生の佐紀は期末試験で高得点を出したようだが、ボクはそれに遠く及ばない成績しか
あげることができなかった。ギリギリで夏休み中の補習を回避できたのは、佐紀の励ましと個人授業のおかげか、
それとも佐紀と過ごす時間をこれ以上短くしたくないとの思い故か…それは分からない。


夏休みに入ると、ボクたちはお互い時間を見つけては一緒に過ごした。
映画館、ショッピングモール、水族館、公園、図書館、そしてボクの家…
場所は変われど、二人の結びつきが変わることはなかった。彼女はボクを求め、ボクは彼女を求めていたのである。


ボクの家で…肌と肌を重ね合う日々が続いた。
そして…ボクたちはついに、超えてはならないかもしれない一線を踏み越えることになる。
705fusianasan:2011/02/01(火) 22:13:28
その日、ボクと佐紀はお互い別の用事があって学校に来ていた。もちろん、お互い今日学校にいることは知っていたから、
二人で『学校デート』をすることにしたのである。

夏休み中の学校は人影もまばらで、いるのはせいぜい数人の教師と、一部の部活動をしている生徒ぐらいである。二人きりに
なれる場所を探すことなど簡単なことだった。


ボクたちは誰もいない音楽室にこっそり忍び込んだ。なぜ音楽室かといえば、何をやっても音が外に漏れる心配がない、と勝手に
思っていたのである(実際はそうでもなかったらしいのだが…)。

「ねえ、もし見つかったらどうしよう?」

「どうだろう…怒られちゃうだろうね」
平静を装ってはいたが、ボクは内心ドキドキであった。でも、もし見つかったら…というドキドキ感がボクの心を妙に興奮させていたのも
確かである。

「ね、キス、しよっか…」

「…誰かに見られたら、どうする?」
我ながら実に臆病者だと思うが、仕方ない。逆に、佐紀は妙に肝が据わっているというか、度胸があった。

「いいよ。別に」

「え?」

「見つかってもいい…××のことが好きだから、バレたって別にいいよ」
706fusianasan:2011/02/01(火) 22:14:18
ボクはたまらなく嬉しかった。こんなことを言ってもらえる人間はそうそういない。ああ、ボクは何て幸せ者なんだろう…
と、一人で喜んでいた。
そして、ボクと佐紀はいつものようにキスを交わした。


調子に乗ったボクは、さらなる『おねだり』をしてみた。

「ねえ…口で…って、言ったら、怒る?」

「…ここで?」
佐紀はちょっと驚いたようだったが、怒りはしなかった。


「…分かった。でも、廊下から見えないように、していい?」

「いいよ」
そう言って、彼女は近くにあった机と椅子の陰に移動した。廊下からは何をしているか分からない位置である。
そして、ゆっくりとボクの制服のズボンに手をかける。


「見えたらマズいから、ファスナーだけ…でいい?」

「…うん」
佐紀はゆっくりとボクのファスナーを下ろし、中の布の切れ目から指を入れ、器用にボクのそれを出して…
ちゅぱっ…ちゅぱっ…と丁寧に、口に含んでいくのだった。
しばらくして、ボクは彼女の口の中に、また白いエキスをどっと放出した。佐紀はすこししかめっ面をしながらも、
一滴もこぼさずにすべてを飲み干した。

「ごめんよ…苦かった、よね」

「大丈夫だよ。もう慣れちゃった…××のせーし、いつも飲んでる気がするし」
そして、ボクらは何事もなかったかのように…お互い制服姿のまま…また濃密な時間を過ごすのであった。
707fusianasan:2011/02/01(火) 22:15:10
その日の帰り道。

「さっきさあ…ボクのこと好きだから、バレてもいいって…言ってくれたじゃない?」

「うん」

「…ボク、すげー嬉しかったんだ」
ボクが突然そんなことを言い出したのが、佐紀には可笑しかったらしい。

「どうしたの?急にそんなこと言いだして」

「何かさあ…どうしてもお礼が言いたくて」
ボクの本音だった。ボクのことをそこまで好きでいてくれる彼女に、感謝せずにはいられなかった。

多分、人生で最初に付き合った女の子がこんなによくできた子だなんて、そうそうあるもんじゃないだろう。
それも、ひょんなことから…運命って不思議なものだ、としみじみ思っていた…ら。

「そっか…じゃあ」
そう言うと、佐紀が思いもよらぬ提案をした。
(つづく)
708fusianasan:2011/02/01(火) 23:23:38
はあはあ
709fusianasan:2011/02/02(水) 19:27:32
いいですね
710fusianasan:2011/02/02(水) 22:38:05
>>707

「叫んでよ」

「えっ?」

「ここで、私のことが大好きだ、って叫んで」

叫んでと言っても、周囲は普通に街があって、人の流れがあって、時間が流れていて…とてもじゃないが、こんなところで
できることじゃない…


「ここじゃ無理!だから…」

ボクは佐紀の手を引っ張って、走り出した。別にそうしようと思ったわけではないが、発作的な衝動だったんだろうか。

「あ、ちょ、ちょっと、どこ行くの?」


佐紀の小さな手を引っ張って、ボクは走る。佐紀も何とかそれについていく。

不思議なもので、走っている間中、ボクは周りの景色がスローモーションのように見えていた。そして、心臓の鼓動が
やけに大きく聞こえた。

「もう…一体どこまで走る気!?」

「わかんない!」

本当に分からなかった。分からなかったから、できればどこまでも走っていたかった…佐紀と一緒に。
711fusianasan:2011/02/02(水) 22:39:40
結局、走って走って行き着く先はボクの家の近所だった。そこに小川が流れている。小川と言っても、うまく跳べば
跳び越えられるくらいの小川だ。


「ここでなら…叫べる」

「じゃあ、叫んで」

走っている間とは一転、ボクの心の中にまた恥ずかしさが込み上げてきたのだが…そのことを知ってか知らずか、佐紀は
ボクにミッションを貫徹するようにという。仕方ない。やるしかないんだ。


ボクは佐紀を残し、一人小川の向こうへ跳んだ。そして、おもむろに口を開いた。
712fusianasan:2011/02/02(水) 22:41:43
「さあきいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!!!




あいしてるよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!」



…我ながら、びっくりするくらいの声が出た。自分でも驚くくらいの大声。
川向うの佐紀を見ると、彼女は満面の笑みで、ボクにこう叫んだ。





「すき!すきすきすきすき!!すきすきすきすきだああああああああああああいすき!!!!!!!」




そして、おもむろにボクの方に向かって跳んだ…
713fusianasan:2011/02/02(水) 22:42:48
はいいが、着地でバランスを崩したか、彼女の片足が小川に落ちてしまった。

「ひゃあ!」
結局、彼女の片足は靴、靴下もろともずぶ濡れになってしまった。


「大丈夫?」

「大丈夫!」


しかし、佐紀は笑っている。ボクに向けて、これ以上ないくらい笑っている。

「もっと笑って」

「え?」

「笑ってて。もっともっと笑ってて」
ボクの横に上陸を果たした佐紀が、そう言った。


「××の笑ってる顔…もちろんそうじゃない時の顔も…好きなんだけど…笑ってる顔が、一番好きなの。
だから…もっと見せて。××の笑ってる顔…いっぱい、いっぱい見せて!」

…まったく、どこまで嬉しくさせてくれるんだ、この子は。
ボクはまたいてもたってもいられなくなって、佐紀を抱きしめていた。この時もやっぱり、他のことは
一切考えられなくなっていたのは、言うまでもない。
714fusianasan:2011/02/02(水) 22:44:07
そして、それから数日後、佐紀の転校が正式に決まった。


「ごめんね…本当は、もっともっと…××くんのそばにいたかったんだけど…」

電話口でそう話す佐紀の声は涙声になっていた。その声を聞いたら、ボクまで泣けてきた。


「仕方ないよ…佐紀は悪くないさ」


ボクたちは、彼女が旅立つまでの間、時間を見つけてはできるだけたくさん会う約束をした。一瞬の間も惜しかった。
会うたびにボクらは抱き合い、キスをし、そして肌を重ねた。

佐紀は肌を重ねるごとに、ボクの上で何度も何度も声をあげていたっけ…
715fusianasan:2011/02/02(水) 22:47:52
しばらく経った、夏の終わりのある日。

「じゃあ、行くね」

「…手紙書くから。電話もするし」

「うん…待ってる。ずっと待ってるからね」


いよいよ、佐紀が旅立つ日がやってきた。ボクが考えていたことがどこまでやれたかは定かではない。
でも、少なくとも、自分にできる精一杯の形で佐紀を幸せにすることは、多分できたんじゃないかなと、思った。

「また絶対遊びに来るから。そしたら、真っ先に××のところに行くね」

「うん。待ってるよ」

その約束が果たしていつ実現するかは、ボクにも佐紀にも分からなかった。



彼女を見送った時、ボクは自分が突然、夢から覚めたような感覚を感じていた…
716fusianasan:2011/02/02(水) 22:49:13
事実だけを書こう。
ボクと佐紀はこの後しばらくして別れた。


別にケンカ別れしたわけでも、嫌いになって別れたわけでもない。
でも、顔の見えない、逢えない、連絡さえなかなか取れないような日々にはお互い耐えられなかったのである。
ボクらがもう少し大人なら、そんな日々も耐えられたのかもしれない。でも、その関係を続けるには、ボクらは
まだ若すぎた。


でも、二人の関係が完全に終わったわけではなかった。
後にひょんなことで、もう少し大人になったボクと佐紀は再会することになるのだが…
それはまた、別の話。

(第一編 終)

『一瞬の夏』 渡辺美里-1989
ttp://www.youtube.com/watch?v=uARVektNdqI
717fusianasan:2011/02/02(水) 22:51:37
(´・ω・)っ(第二編 予告)

ある時出会った、『優しい同級生』
ある時出会った、『傷を負った少女』
ある時出会った、『中卒フリーター』

彼女たちに、ボクは何ができる?
ボクは彼女たちと、何がしたい?
そして、四人をつなぐ一つの共通点、それは…


(´・ω・)っ(近日連載予定…)
718fusianasan:2011/02/02(水) 22:54:17
ということで、主人公と佐紀ちゃんの一夏の恋は終わりました(´・ω・`)
やたらめったら長い割にエロ要素が少なくて、非常に申し訳ない…と今更反省しております(´・ω・)
まあ、多分次の話はもっとエロ要素が少なくなりそうな(というより、そこに辿り着くまでが長い)話なんですが…


お読みいただいて
ありがとうございました(*´・ω・)
719名無し募集中。。。:2011/02/02(水) 23:08:43
乙でした
切ないな・・・
720fusianasan:2011/02/02(水) 23:37:29
乙です
純愛の中でのエロ要素最高でした。
切ない感じもいいです。
721fusianasan:2011/02/06(日) 23:44:26
むかーしむかし、というほど昔のことでもないけれど、とあるところに『帰ってきた!!Berryz工房のエロ小説を書こうよ!!』
というスレッドがありました

そこにはいろいろな作者の方がいて、それぞれがそれぞれ、多種多様な小説を投稿されていました
『濡れ場さえ書いておけば、他はどんな設定にしようが作者の自由』というルールだったようです

その中で自分も、いくつかの話を書きました
きっちり決められたルールに沿って話を書くのが苦手な自分には、上のルールは実に心地良いものでした
他の作者さんの話を読んだり、作者同士で表現や登場人物、その他もろもろのやり取りをしたり…
恐らく、自分にとって『居心地のいい場所』だった時期は、長かったような気がします
722fusianasan:2011/02/06(日) 23:45:56
時が流れ、その場所の空気が、少しずつ変わってきたのを感じました
昔からいた人がいなくなり、新しくやってきた人たちが中心になっていきました
そして、いつしか自分が『古参』と呼ばれる部類の人間になっていたことを知ります
「少し…長く居過ぎたかもしれない」と思いました
でも、作っている話もあったことだし、せめてこれが終わるまでは、と自分に言い聞かせました

ある時。
いくつ目のスレッドか忘れましたが…
『ある作者がいれば、もう他の作者はいらない』という趣旨の書き込みを見かけました
自作自演かどうかは知りませんが、それに同調する意見も見かけました

なるほど。
既に自分が『招かれざる客』であったことにようやくここで気付きました
作品の内容がつまらないというのならそれは考え、修正し、対応できる
しかし、『いらない』というのなら、もうここにいる必要はない…

そう思って、書くのをやめました。製作途中であった話は続きを書くことがないまま、封印されました
723fusianasan:2011/02/06(日) 23:47:00
それから、時々立っては短期間でdat落ちを繰り返すスレッドの中で
『あの作品の続きはまだだろうか』という書き込みを時々見かけました
同じ人が書かれたのかもしれないし、別の人が書かれたのかもしれない…
でも、待望してもらっているのに、何もできない自分。

心の中で『いや、本当に申し訳ない』と頭を下げました。

時が流れました。書いていた頃から…自分の立場も変わり、少々体を病み、ちょっとした問題を抱えながら
毎日を送っていました。
『帰ってきた!!Berryz工房のエロ小説を書こうよ!!』というスレッドはもはや新スレが立つこともなくなり
かつて立った避難所のようなスレッドが細々と続くだけになっていました

今なら、『誰某はいらない』というようなレスを見かけずに済むかもしれない。書くことに集中できる環境に
なっているかもしれない。
そう思って、もう一度何か書いてみようと思い立ちました。
どうせなら、かつて書いていたあの話が、最後にどういう結末になる『はず』であったかを明かす話にしよう。
そう考えて、久々に登場人物の設定を練り始めました。

が…

書けない。書けないのです。
かつてあれだけ苦も無く書けていたものが、たった二行、三行書くだけで何も書けなくなる。
驚きました。自分の頭が、そして心がこれほどまでに死んでいたなんて。

結局、その話は構想だけで放棄されました…
724fusianasan:2011/02/06(日) 23:50:35
それからまた時が流れました。
もはや隆盛を誇っていた頃の住人の皆さんも三々五々、どこかへ行ってしまい
避難所の一つは消滅し、『PINKのなんでも』という板のスレだけが細々と生き残っている状況でした

しかし、今でも心のどこかで『あの時、話をしっかりとまとめられなかったこと』を悔やんでいる自分がいて、
そのことに対する申し訳なさが残っていました。

病を得た時とは状況が変わった。
今なら、もしかしたら何か書けるかもしれない。
いや、ちゃんと書けるか自信はないが、自分のリハビリのために、何か書いてみよう…

そう思って、物語を書き始めました
その最初の話が、『主人公と佐紀ちゃんのひと夏の恋』の話です

『どうせ作るのなら、今までちゃんと話を畳んでこれなかったことへの反省も兼ねて、あの時出していた人を
何かしらの形でみんな、登場させよう』と心に決めていました

その数を数えると、ちょうど10人になりました

久々にまとめサイトに行って、自分の書いたものや他の作者さんの書いた話を読み返しました
意外な発見があるもので、あの頃大して気にも留めなかった話や、表現に『おっ』と思わされることが多々ありました…
自分も、他人も。
725fusianasan:2011/02/06(日) 23:52:54
ということで、どこまでやれるかは自分でもまだ分かりません。
分かりませんが、『あの時、自分の作品を待っていてくださった人のため』に
やれるところまでやろう、と決めました…


次の物語から、主人公の周りはどんどん暗いものが漂ってきます
その『暗いもの』はもしかしたら、かつて自分が見ていた景色なのかもしれないし、
そうでないのかもしれない。
ただ、その暗い景色の中で、彼や彼女たちはどう生きるのか…

この物語の根底は、そんなテーマなのです。
726fusianasan:2011/02/06(日) 23:55:07
|ω・) 書いていいのかどうか分からなかったけれど、どうしてもこれは書いておこうと思ったので
    自分とこのスレの関わりや、何でこの話を書こうと思ったかの説明を長々と書いてしまいました…

    ちなみに、改めて読んだ中で、理系の学生さんやめようさんやヲタモドキさんの作品はすごく
    共感できて惹かれる部分があったなぁ…
    あの時、一言でもそれを言っておけばよかった、と今更後悔しています
    まあ、お三方とももうこのスレは見てないだろうから、名前を出しちゃいましたがw


|ω・) 明日から第二編がスタートします お楽しみに…
727名無し募集中。。。:2011/02/07(月) 01:51:10
あなたは多くの佐紀ヲタ住人にトラウマを与えたあの方なのでしょうか?w
違うかもしれませんが、まあ誰であれ続編期待してます
あとこれだけは言っておかないといけませんね

お帰りなさい!
728fusianasan:2011/02/07(月) 04:28:07
自分は誰が必要、誰が不要とか全く気にしないで作品を楽しませてもらってたけどな
誰かが不要とか言ったり同調したりして作者さんを傷付けてたのなら、読者の一人としてお詫びします

まあどうせそんな事言ってた人は、多分今ここにはいないと思うけどね
729fusianasan:2011/02/07(月) 21:20:19
第二編 彼と彼女と彼女と彼女と そしてfootball

第一章 
―負けることだけ恐れて 勇気を忘れてはいないか? 心の翼広げて 勝利をつかむのさ
730fusianasan:2011/02/07(月) 21:20:56
時が流れた。ボクは高校生活二年目の秋を迎えようとしていた。



その頃、ボクは理由あって生徒会の仕事の手伝いをやっていた。別にやりたくてやっていたわけではない。クラスの生徒会担当を
誰もやりたがらず、結局ボクにお鉢が回ってきたのである。

「あーあ、やりたかねえや、こんなの…」

生徒会担当と言ったって、やることは実質下働きだ。生徒会通信をクラスの人数分印刷して、持って行って、配って…
生徒会の会議の書記をやらされて…生徒会が何かやることになったら、その準備や後片付けの手伝いをやらされて…
こんなことのために週に何度かいちいち放課後に残されるなんて、すこぶるめんどくさい。道理で誰もやりたがらないわけだ。
ボクは貧乏クジを引かされることになった自分の運命を呪った。でも…
731fusianasan:2011/02/07(月) 21:22:01
「○○くん、印刷、全部終わった?」


こんなやりがいのない、めんどくさい仕事でも、一つくらいはいいことがあるものだ。ボクは隣のクラスの矢島舞美さんという女の子と
仲良くなった。

実は、彼女は佐紀の友人だったそうである。そう、ボクと佐紀が付き合うことを決めた夜に、佐紀が電話で話していた『友人』こそ、
彼女だったのだ。
でも佐紀と付き合っていたころは、せいぜい学校で挨拶したくらいで深く話した記憶がない。それだけ、ボクが佐紀に夢中だったってこと
なんだろうか…


皮肉なことに、佐紀と別れた後の方が話す機会が増えた。ボクは内心、佐紀と別れたことで、その友人である彼女とは気まずい関係に
なってしまうだろうなと思っていたが、意外とそうではなかった。
授業で一緒になれば、彼女はボクに話しかけてくれたし、逆にボクが話しかけても、彼女は特に嫌な顔もしなかった。矢島さんもボクと
佐紀の関係はよく知っていたが、だからと言って別れたことでボクを責めることもなかったし、逆に、佐紀にあれこれ言うこともなかった。


「ま、それはそれで、別にいいんじゃない?私がどうこう言うことじゃないし」


と、実にあっさりした答えが返ってきたものだった。
732fusianasan:2011/02/07(月) 21:22:45
一年生の秋のこと。矢島さんが、生徒会の一員になった。生徒会の一員と言っても、ボクのような別にやりたくもない
『下働き』ではなくて、ちゃんとした投票で選ばれる生徒会事務局のえらい人である。聞けば、彼女は担任教師に自分から
立候補したい、と言ったのだそうだ。


その理由を訊くと、彼女は笑ってこう言った。

「何かさ、おもしろそうだったから」

「…はぁ」

それが本当の理由なのかどうかは、ボクには知る由もなかった。


ボクが生徒会の『下働き』になったのは、二年生になった春のことだった。

「あれ?○○くん、生徒会担当になったの?」

彼女はボクを見つけると、気さくに声をかけてきた。

「そうだよ。誰もやりたがらなかったからさ、ジャンケンで負けて、結局ボクがやることになったわけ」

「へー、運がないんだねぇ…」

そう言って彼女は笑う。ボクも…まあ、ここは笑っておこうか。

「はは、まあ、そういうことさ。よろしく」

そして、ボクと矢島さんは生徒会のいろんな行事を通して、だんだんといい関係が築けるようになっていった。いろんなことの
手伝いをしていて、わかったことがある。
彼女が何事に対してもとても一生懸命な人だということ、彼女が誰に対してもとても優しく礼儀正しい人だということ、そして
彼女がとても汗かきだということである。
733fusianasan:2011/02/07(月) 21:24:00
六月の終わりに、ボクらの高校では毎年恒例の文化祭がある。主導は当然生徒会だが、ボクも立場上、
手伝わされることになった。
来たくもないのに朝の早くに学校に呼ばれ、残りたくもないのに遅くまで学校に残され…いろいろと雑用をやる。
あんまり楽しいもんじゃない。普通に一生徒としてあれこれ回っている方が、よっぽど楽しい。


でも、後片付けがすべて終わって解散となり、疲れたボクが一人で帰ろうとしていた時…

「○○くーん!」

誰かの声がした。振り返ると、矢島さんがボクを追っかけてきた。

「あれ?どうしたの?みんなで打ち上げに行くんじゃ…」

「いいの、あれは後で別のとこで待ち合わせになったから」


そう言うと、彼女はカバンの中から缶ジュースを取り出した。

「こんなのしかないけど…これ、いる?」

「いいよボクは。矢島さんが飲みなよ、あれだけ働いてたんだし」

ボクがどれだけ働いたといっても、実際に主導した生徒会の人間の方が数倍働いている。一番働いているのは
三年生の役員の人たちだけど、矢島さんたち二年生の役員だって、かなり忙しく動き回っていた。それはボクも
よく知っていることだ。
734fusianasan:2011/02/07(月) 21:24:47
「いいよ、私は。○○くんこそ、もらって。生徒会以外の人には…あんまりちゃんとお礼も言えなかったし…」

聞けば、彼女は自分の周りで働いていた人たち一人一人に、終わった後お礼を言って回っていたらしい。ところが生徒会の
『下働き』の人たちはあくまで生徒会以外の人間なので、片付けが終わったらそこで帰されてしまう。彼女はその人たちに
お礼を言えなかったことを悔やんでいたようだ。で、その中の一人にボクがいた、ということらしい。


「そっか…じゃあ、ありがたくいただいておくよ」

ボクはそう言って、ジュースをもらった。冷えていない常温の品だったが、そんなことは気にしなかった。

「ごめんね、でもホント助かりました…ありがとう」

そして、彼女はボクの肩を優しく叩いた。こんな時でも優しさを忘れない彼女の心に、ボクは内心感動していた。
735fusianasan:2011/02/07(月) 21:25:53
「ああ、そうだ。ボクさあ…携帯電話、買ったんだよね」

その数日前に今更ながら、ボクは人生初の携帯電話を買ってもらった。
もっとこれが早くからあれば、佐紀と別れずに済んだのかもしれないなぁ…
と思ってしまったのは、ここだけの話だ。


「そうなんだ。じゃあ、私のアドレス、教えてあげる」

「…いいの?」

「いいよ!何で?いいに決まってるじゃん」

矢島さんは『どうしてそんなこと訊くの?』という表情をしていた。そして、快く自分の連絡先を教えてくれた。

「あんまり電話かけたら、怒られるかもね」

ボクがそう言うと、彼女は笑って、

「そんなことないよ。夜なら大丈夫。部屋に一人でいることが多いから…いつでも連絡してよ」

と言ってくれた。どこまで本当か分からなかったが、ボクにそんなことを言ってくれる彼女の優しさに、
また感動してしまった。

駅に着くまで二人でいろんな話をしたが、話せば話すほど、ボクは彼女に惹かれていく、ような気がした。
(つづく)
736fusianasan:2011/02/07(月) 21:27:57
|ω・) ということで 第二編がスタートしました
    高校二年生になった主人公と、三人の女の子を中心に話が展開します
    ご期待ください…
737名無し募集中。。。:2011/02/07(月) 23:49:47
乙です!舞美が出てきたか
××がまだちょっと珍しいとか将来の伏線だったりするのかな
他に出てくる子は誰なんだろ
そして主人公の相手は誰になるのか…楽しみです!
738fusianasan:2011/02/08(火) 22:05:51
>>735
話を生徒会室に戻そう。


「いや、まだ終わってない…」

クラス全員分を印刷しなきゃいけないのである。しかも、用意された性能の悪い印刷機はいちいち紙をその都度
突っ込まなければ動いてはくれない。一度に35枚入れたらその分だけ勝手にやってくれるほど、頭はよくないのだ。

「そっか。手伝おうか?」

「…いいの?」

「いいよ。早く終わらないと私の仕事も終わらないし」

手伝い始めた彼女が、突如ボクにふと相談を持ちかけた。
739fusianasan:2011/02/08(火) 22:06:41
「ねえ、○○くんってさ、サッカー、興味ある?」

「…は?」

別に嫌いなわけではない。でも、だからといって自分から見に行こうと思ったこともない。それって興味があるのかないのか、
自分でもよく分からない…と内心思っていたら、

「実はさあ、知り合いがオレンジキッカーズのチケットくれたんだけど、一緒に行く予定だった友達が熱出しちゃってさぁ…」

「はぁ…」

「で、××くん、興味あるかな、って…よかったら一緒に行かない?」



オレンジキッカーズとは、この街にあるサッカーチームの名前だ。国内のトップリーグから数えて三部リーグのチームである。
聞いた話では来年の二部リーグ昇格に向けて、なかなかいい順位にいるらしい。

考えてみれば、別に断る理由が思い浮かばなかった。まあ、適当にサッカーを見て、あとは矢島さんとあれこれ喋っていればいいか、
と思った。

「分かった。じゃあ、行こう」

「ホント?ありがと!
じゃあ、今度の土曜日のお昼に駅の前で待ち合わせね」


話はとんとん拍子に決まった。そこからもう一盛り上がりしようとしたところに…
『ピー…ピー…ヨウシガキレテイマス』
機械音声が水を差した。やれやれ、何と空気の読めない、話のわからない機械なのだろう…機械なのだから、当たり前か…
740fusianasan:2011/02/08(火) 22:08:11
土曜日の正午。矢島さんの家の最寄り駅にボクは立っていた。
「そういや、ここで誰かと待ち合わせするのも、久々だなぁ…」
矢島さんの家の最寄り駅。それはかつて佐紀と何度も待ち合わせをした駅である。初デートの時は、すごく緊張したなぁ…
そんなことを思い出しながら、ボクはガムを噛んでいた。

「お待たせっ!」

矢島さんがやってきた。オレンジのタオルマフラー、オレンジの上着、オレンジのロングパンツ…
上から下まで全部オレンジである。


「…ど、どうしたのその格好?」

まさかこんな格好でやってくるとは思わなかったボクは、思わずそう訊いてしまった。しかし、矢島さんは逆に
怪訝な表情でボクを見る。

「え?だって、応援しに行くんだから。○○くんこそ、オレンジの服とかないの?」

「…ない」

あんまり明るい服を持っていなかったボクは、いつも通り白と紺のコントラストである。まあ、確かに応援する格好
ではない…かな。

「それじゃダメだよ!よし、じゃあ改造計画!オレンジのグッズで、身を固めてもらうからね!」

「…はぁ」

矢島さんはボクの戸惑いをすっ飛ばして、勝手にどんどん話を進めていく。どうやら彼女は『常に一生懸命』な分だけ
『一度走り始めると止まらない』性格のようだ。
741fusianasan:2011/02/08(火) 22:09:05
駅から電車で十五分。ボクと矢島さんは目的地のスタジアムにやってきた。オレンジ色の幟があちらこちらに立っていて、
売店…フードコートというそうだ…が並んでいる。

「こっちこっち!」

「…はい」

早足で歩く彼女に、ボクはついて行くのが精いっぱいだ。まったく、もう少しのんびり試合を見るつもりだったのに…
こんなはずじゃなかったんだけどなぁ…とボクは内心思っていた。


「ね、これとこれ、どっちがいい?」

彼女がオレンジ色の長そでシャツとタオルマフラーを持っている。どちらかをボクに買えというつもりのようだ。

「まっ、両方でもいいけどね!」

「…こっちで」

オレンジのシャツを着るのはどうも気乗りしなかったので、大人しくタオルマフラーを買う。二千円也。

「これでちょっとは応援する気になった?さ、行こ行こ」

ボクは買ったばかりのタオルマフラーを巻いて、スタジアムに足を踏み入れた。思えば、サッカーを生で見るなんて、
幼少時の頃以来の経験かもしれない。
742fusianasan:2011/02/08(火) 22:13:33
「わー、結構入ってるね」
てっきりがらんどうのスタジアムを想像していたボクは、予想以上のお客さんに面食らった。

「こっちこっちー!」
矢島さんのバイタリティは本当にすごい。男のボクよりもはるかに元気いっぱいで、感心してしまう。
一体彼女はどうしてあんなにいつも元気なのだろうか…謎だ。

導かれるままについていくと、ボクたちの座るべき席の隣にもう一人女の子が座っていた。
「まいみさーん!」

「ちぃ!」

ちぃ…?誰だ?

「久しぶりだね」

「うん…ちなみは毎回来てたのに…」
どうやら二人は友人のようだが、二人の会話に入れない。ボクは何だか自分だけが取り残された気分になった。

「ああ、そうだ。紹介するね」
矢島さんの言葉で、ボクはようやく会話に加えてもらえることができた。

「後輩の徳永千奈美ちゃん。オレンジのサポーターなんだよ」

「はじめまして!」
徳永さんがボクに声をかけてきた。小麦色に焼けた健康的な肌が印象的だった。

「ああ、どうも、はじめまして…」

「ちぃちゃん、彼が○○くん。ほら、この間、私が『今度連れていく』って言ってたでしょ。あの子」
どうやら、事前に矢島さんは徳永さんにボクのことを紹介していたらしい。ボクは何も聞かされてなかったんだけどなぁ…
と思わず言いかけてやめた。危ない危ない。
743fusianasan:2011/02/08(火) 22:14:58
|ω・)っ(つづく)



|ω・)っ(訂正)
>>739の舞美ちゃんのセリフ
正「で、○○くん、興味あるかな、って…よかったら一緒に行かない?」
誤「で、××くん、興味あるかな、って…よかったら一緒に行かない?」

|ω;) 校正でミスがありました お詫びして訂正いたします…

744fusianasan:2011/02/08(火) 22:18:52
>>727
|ω・) 誰かは…秘密です まあ、分かる人は分かるだろうし、分からない人は分からないだろうけど
    それでもいいかな、と…思っております


>>728
|ω-) 大多数の読者の方が…そうだったということはよく分かっております ただ、一部…特に後期…
    そうでない読者の方がいて、その声が非常に大きかったのは事実で…残念なことですけどね

|ω・) お詫びだなんてとんでもない…きちんと読んでくださる方なら、大歓迎です
745fusianasan:2011/02/09(水) 21:39:19
>>742

試合が始まった。

「ほら、ここはこうするのよ」

「あ、コーナーだから、タオル回さなきゃだよ」

「は、はぁ…」

矢島さんと徳永さんがボクに応援のイロハを手取り足取り教えてくれる。とりあえずは『ハイ、ハイ』と聞いているが、
分かったような、分からないような…

「いけー!そこで逆サイドー!」

「あー!何で打たないのもー!」

「あぶなーい!早くクリアクリア!」

ボクの隣で、矢島さんが叫んでいる。ホントに、感心するくらい活発な女の子だと思う。とてもじゃないがボクには
マネができない。

一方、初対面の徳永さんは…

「ああああああああああ!あぶなーい!」

「いやぁっ!!!!!!あぶないよー」

…どうも、二人とも大差ないようである。なるほど、同じような性格なら、そりゃ仲良くなるのも早いはずだわね、
とボクは心の中で呟いた。
746fusianasan:2011/02/09(水) 21:40:06
試合の中で、オレンジキッカーズの10番の選手が目についた。金髪で白人の選手。

「あー、うまいところ出すな」
「あー、うまく抜いたな」
「あー、トラップ上手だな」

ボクは決してサッカーに詳しい方じゃないが、それでも数十分続けて見てると素人なりに上手な人の見分けが
つくものである…
まあ、プロなんだからボクたちに比べたら、全員めちゃくちゃうまいんだろうけど。

「ねえ、あの選手は何て名前?あの10番の人」

「ああ、アンドレ?」

矢島さんが彼の名前を教えてくれた。どんな選手なんだろう、と手元に渡されたマッチデー・プログラムを見ると…
『国籍:ブラジル』と書いてある。

「へー、ブラジルの人だったんだ」

金髪で白人のブラジル人なんて珍しいなぁ…と思っていたら。
747fusianasan:2011/02/09(水) 21:40:50
「あああああああっ!」

「いやあああああっ!」

耳元で二人の悲鳴が一斉に聞こえた。ボクが顔を上げると…相手の選手が喜んでいる。

「ただいまの得点は…アルシオーネ和歌山 背番号20 森下友一選手の得点です…」

どうやらボクは一瞬目を離したすきに相手の得点シーンを見逃してしまったようだ…でもテレビ中継のように
リプレイ機能があるわけではない。
電光掲示板の機能しかないスコアボードでは、リプレイ映像を流してもらえるはずもなく…

結局、試合はそのまま0-1でオレンジキッカーズの負けになってしまった。アンドレは後半途中で他の選手と
交代してしまい、オレンジキッカーズは攻撃の柱を失って、その後はろくにシュートも打てずに完封負けである。
748fusianasan:2011/02/09(水) 21:41:34
帰り道。みんな考えることは同じなのか、駅へ絶え間なく人の波が押し寄せている。

「ねえ、毎回こんなに人が多い感じなの?」

ボクはこんな人混みのなかにずっといるのはしんどいなぁと思いながら、矢島さんに訊ねた。

「うん、ずっとそうだよ」

「え…マジ?」

月に二度三度とホームゲームがある。その度にこの人の数。正直…人混みがあんまり得意ではない
ボクからすれば、ご勘弁願いたいものだ。

「あんまりアクセス良くないからね…仕方ないよ」

矢島さんはどこか寂しげに言った。熱心なサポーター故に、いろいろ言いたいこともあるのだろうが、相手が
素人のボクということもあってか、自重したように見えた。


「ねー、お腹すいた。どっか寄ってこうよー」
矢島さんの気持ちを知ってか知らずか、徳永さんはマイペースにそんなことを言っている。
ここは…どっちに同調した方がいいのかなぁ…

考えるより先に、言葉が出ていた。

「なんかボクもお腹すいちゃったな。どっか寄ろうよ」

「そう?じゃあ、エキヨコにしよう」

そして、ボクたち三人は喫茶店へ歩き始めた…やっぱり人ごみの中をかき分けながら。
749fusianasan:2011/02/09(水) 21:42:19
『エキヨコ』だと言ったのにそれは『駅の横』ではなかった。駅から離れた場所。人ごみとは反対の方向へ歩いていく
ボクたち。

「ねー、ボクたち、どこ行くのさ?」

「だから、エキヨコだって」

「エキヨコって言ったって、駅と反対方向じゃないか」

ボクがそう言うと、突然隣の徳永さんがプッ、と噴き出した。


「何で笑うのさ」

「それ、意味が違うんですよー」

徳永さんは陽気に笑っている。矢島さんが説明してくれた。

「店の名前が『エキヨコ』って言うの。別に駅の横にあるわけじゃないんだよ」

「はぁ…」

自分の顔を鏡で見たわけではないけれど、多分この時のボクの顔はキツネにつままれたような顔になっていたことだろう。
徳永さんはそんなボクを見て笑っている。眩しい笑顔だが、その笑顔がなぜ生まれたかを考えると、ちょっと複雑な気持ちだ。

矢島さんは説明だけして、後はとにかく歩いている。しかも歩くペースが速い。ちょっと意識しないと、ついていけないくらいの
ペースだ。

「試合が終わった後、しかも負け試合の後だというのに、なんて元気なんだ…」

ボクは内心、ちょっと呆れていた。
(つづく)
750fusianasan:2011/02/10(木) 21:26:42
>>749
「到着ー」
『エキヨコ』と呼ばれるそこは、ビルの一階にある小さな喫茶店だった。おそらく十人も入れば満員になるだろう。

「いらっしゃいませー」
背の高い女の子がボクたちを迎えてくれた。どこかエキゾチックな顔立ちの女の子。

「えりぃ!」

「まいみぃ!」
なんだ、矢島さんの知り合いだったのか。つまりは彼女が『知り合いのいる喫茶店』に行きたいがために、
ボク(と徳永さん)は付き合わされたわけだ。駅の横でもないこんなところまで…まあ、しょうがないけどさ。

「紹介するね。親友の梅田えりか」

「はじめましてなんだよ!」
背の高い子だった。てっきりハーフか何かだと思ってたら、純然たる日本人らしい。人は見かけによらないものだ…
って、そういう話でもないか。

「よく一緒に試合見てる徳永のちーちゃんと、今日初めて見に来た○○くん」

「へー、また『ご新規さん』増やしたんだ」

「へへ…まあね」
話の様子から、どうもこの梅田さんという背の高い女の子もオレンジキッカーズを応援しているらしい。
でも今日は試合に行かずここで働いている…どういうことか、ちょっと訊きたかったが、聞けそうな雰囲気ではなかった。
というのも…
751fusianasan:2011/02/10(木) 21:27:48
「えへへ…久々にえりのお店来ちゃった。一人?」

「うん…さっきね、マスターがコーヒー豆買いに行っちゃったんだよ。代わりに店番しといてって」

「嬉しいなぁ…じゃあ、遊んで帰ろうっと」

この二人が思いっきりいちゃついているからである。ボクと徳永さんは完全に『おいてけぼり』状態であった。

「…ねえ、ちょっと、あっちで、話さない…かい?」

思い切ってボクは徳永さんにそう呟いた。彼女はボクの目を見て、黙ってうなずいた。その顔には明らかに
『困った』という様子が出ている…
752fusianasan:2011/02/10(木) 21:28:48
カウンターでいちゃついている二人は放っておいて、ボクと徳永さんは窓際の席に座った。

「なんか、二人だと、緊張…しますね…」
ボクと一対一で話をするのは初めてだからだろうか、彼女は敬語で喋っている…でも、その喋り方が何とも
ぎこちないというか、舌足らずというか…とにかく『一生懸命無理やり喋っている』のがありありと分かるので、

「いいよ、無理しなくて。タメ口きいてくれていいよ」
ボクは助け舟を出した。

「いいんです、大丈夫です…ごめんなさい、気を使わせて」

「いいのいいの。気にしない」
徳永さんは本当に申し訳なさそうな顔をした。その顔が、何とも可愛い。

「どうか…しました?」
その『申し訳なさそうな顔』でボクの方を見る。ヤバいヤバい、こんな表情を何分も続けられてしまったら、大抵の男は
彼女にメロメロになるだろう。

「いやいや…何でもないよ。だけど、徳永さんって、可愛いね」

「え?ちなみ…じゃなかった、私が?ホントですかぁ?」

まるでテストでいい点を取って頭をなでられた子供のように…彼女は嬉しそうな顔になった。
753fusianasan:2011/02/10(木) 21:29:40
二人でいろんな話をした。そこでボクは徳永さんが最近このチームの試合を見に来るようになったこと、初めて見た試合で
逆転勝ちを見て、それ以来すっかりハマってしまったこと、観戦に来るうちに矢島さんと出会ったこと、そしてアンドレのファンで
あることなどを聞かされた。

「へー、ボクもアンドレはすごいなぁ、って今日思ったんだよ」

「でしょでしょ!すごいんですよー」

ボクにあれこれいろんなことを話す徳永さんは本当に楽しそうだ…いや、楽しそうなんだけど…何かがおかしい。

「ん?」

ボクは彼女に対して、妙な違和感を感じていた。ただ、その違和感の正体が何であるかはまだ分からなかった。
(つづく)
754fusianasan:2011/02/10(木) 21:30:29
|ω・) 誰もいなくなっちゃった…やっぱりエロが少ないと一気にヒトイネになっちゃうね…w


|ω-) でも、まだ当分エロは出てきません…スイマセン
755fusianasan:2011/02/11(金) 03:12:03
すみません。
感想を書くのが下手なもので。
毎回楽しく読ませていただいております。

転調を感じさせる回ですね。次回が楽しみです。
756fusianasan:2011/02/11(金) 22:30:44
>>753

「戻って来たら…こら、店番してないじゃないか!」

どうやら、店主が帰って来たらしい。

「あ、ごめんなさい…つい夢中になっちゃって」

店主がボクらの方を見た。お客さんがいることに気がついたらしい。

「おや…お客さんか」

店主…マスターは初対面であるボクらを認めると、申し訳なさそうに頭を下げた。

「すいません、ノッポが店番しませんで…コーヒー、一杯サービスしときますんで」

「はぁ…どうも…」

恐縮するマスターを見たら、何だかボクも恐縮してしまった。いや、ボクだって別に来たくて来たわけじゃなくて、
矢島さんに連れてこられただけなんだけど…

とは、さすがに言えなかった。
757fusianasan:2011/02/11(金) 22:31:56
コーヒーを飲みながら店主も交えて、いろんな話をした。そこで、このマスターの過去を知ることになる。

「僕もねえ、昔は選手だったんだよ…オレンジキッカーズのね」

「えっ、そうだったんですか?」

訊けば、彼はオレンジキッカーズがまだ下部リーグ…しがない小さな町クラブだった頃、選手としてプレーしていたのだそうだ。
ポジションは、中盤を走り回ってボールを奪うミッドフィールダー、ボランチだったという。

「僕はね、足はあんまり速くないし背も高くなかったけど、体力だけはあったんだなぁ…」

選手全員がプロ契約のトップディヴィジョンとは違い、下部リーグではサッカーでの収入だけで食べられるはずもなく、練習が
終わればさまざまなアルバイトをこなし、シーズンが終われば紹介された工場で一日中臨時工として働き、生活費や用具代に
充てていたという。彼はそんな生活を、十年以上続けていた。
758fusianasan:2011/02/11(金) 22:33:36
彼が30歳を迎えた年に、チームは四部リーグで優勝し、全国の四部リーグ優勝チームが集まって行われる『決勝大会』を
勝ち抜き、見事に三部リーグ昇格を果たした。

「嬉しかったねえ。18でこのチームに入って、仕事の合間にサッカーやって、大変だったけど、ここまで来たのが嬉しくてねえ…
人目もはばからず泣いたのを覚えているよ」

しかし、三部リーグに上がった途端に彼の出番は激減した。「労を惜しまず走り回る」だけの選手では、レベルの上がった
対戦相手に太刀打ちできなくなってしまったのである。

「最初の試合は出たんだけどさあ、そこで5点取られて負けちゃってね。それっきり出番がなくなって…」

三部リーグに上がったことで、まとまったスポンサーもついて、選手の補強も進んだ。彼はそれによってスタメンから
弾き出される格好になり、試合に出られない日々が続いたという。

「辛かったけど、仕方ないなとも思った。自分の力が足りなくなったというのは、練習をしていても感じたしね」

結局、彼はその年限りで現役を引退することを決めた。指導者として残れる道はなく、引退後、何をするかの決断を
迫られることになる。

「引退してこれからの人生を考えた時に、どうせならちょっと違う仕事をしてみたくなってね」

そして、彼はこの『エキヨコ』という店を始めた。
759fusianasan:2011/02/11(金) 22:46:03
「金も知識もない…ないない尽くし。でも、体力だけはまだ負けない自信があったからさ。手当たり次第やっていけば、
何とかなると思ってたんだよ」

彼…マスターはそう言うと、隣にいた梅田さんの頭を撫でた。

「一人じゃ大変だから、誰かバイトを雇おう…と思ってさ。でも求人広告出すお金もないし、とりあえず店の前に貼り紙を
貼ったら、この子…ノッポさんが来たってわけ」

梅田さんは店の中で『ノッポ』と呼ばれているようだ。確かに背が高いから、ピッタリなネーミングかもしれない。

「もー、その呼び方はやめてって言ったじゃないですかー」

「あれ、そんなこと言ってたっけ?」

「…でも嘘なんだよ。もう慣れたんだよ」

梅田さんがそう言うと、店内が温かい笑いに包まれた。なんだ、案外優しい空間じゃないか、と思った。


「今日はありがとう。また来てくれよ」

マスターはそう言って、ボクたちを送り出してくれた。
760fusianasan:2011/02/11(金) 22:48:47
「じゃあ、ちぃ、またね」

「ばいばーい」
徳永さんは、ボクたちに手を振って反対方向の電車に乗って行った。ボクは何気なくそれを見送った…が。

「ん?」
その時、ボクは確かに見ていた。徳永さんの体に起きていた、ある変化を。



「○○くん、どうかした?」
帰りの電車の中で、矢島さんがボクに訊ねた。

「いや、何でもない…何でもないよ」

徳永さんの体に起きていた変化を、彼女に話すべきか話さざるべきか…ボクは考えていた。事は急を争うのかもしれない。
ならばできるだけ早く話した方がいい。
でも、ここは電車の中。誰かに話を聞かれてしまうかもしれないし、その中に徳永さんの知り合いがいる可能性だって、
ゼロではない。
ここで話すのはあまりにリスクが高すぎる気もする…

結局、ボクは言えなかった。言えないまま、自宅に帰った。それが後々、『ボクと彼女と彼女と彼女の関係』に影響をもたらす
ことになるのだけれど、その時は、そんなこと思いもしなかった。
(第一章 終)

VICTORY THE ALFEE-1993
ttp://www.youtube.com/watch?v=Sw_1xH1l3I4
761fusianasan:2011/02/11(金) 22:54:28
(´・ω・)っ(第二章 予告)

『ボク』が見つけた『彼女』の異変
そして、オレンジキッカーズの運命が決まる日
『ボク』は『彼女』の心の中を知る…

(´・ω・)っ(明日以降連載予定…)

762fusianasan:2011/02/11(金) 23:01:14
|ω・) まあ、このマスターも後に…登場人物と密接なかかわりを持つことになるんだけど…
    それはまた別の話と言うことで…

>>755
|ω・) いえいえ…
    作者の気持ちから言えば、どんなことでもいいから感想を書いていただきたい、と思っています
    個人的に一番辛いのは、書いても書いても何の反応もないことです
    だから、一言でもいいから、毎回何かしらのリアクションをいただきたいな…とは常に思っておりまして…

|ω・) 読んでくださった方は…何か一言でもいただければ、嬉しいです
    以上、切なる…wお願いでした
763fusianasan:2011/02/12(土) 00:08:12
エロ「が」ある、ではなくて、エロ「も」あるリア消スレみたいな感じで甘酸っぱくていい感じ

ただ
>その時は、そんなこと思いもしなかった。
>でも、まだボクは知らなかった。
といった描写がやや目立つのが個人的には気になりました
まあ過去を振り返って書いているならやむを得ないことなんでしょうけど
764fusianasan:2011/02/13(日) 19:04:07
>>760
第二章
―寒い夜だから あなたを待ちわびて どんな言葉でもいいよ 誰か伝えて―

それから二週間後。
また、矢島さんに誘われて一緒に行くはずだったのに、ボクは一人でスタジアムに行く羽目になってしまった。
矢島さんが『どうしても抜けられない用事』が入ったと言ってきたのである…当日の朝に。

「ったく、言うならもっと早く言ってくれないかねぇ」

とボヤきながら、ボクは電車に乗って行った。別に行かなくてもいいかとも思ったが、行かないで矢島さんに
後であれこれ言われるのがイヤだったのである。

電車に乗って、一人でスタジアムに行く。近頃めっきり寒くなった。慣れれば何ということもない行程なのだろうが、
ボクにはまだ『しんどい』ことに思える。

当日券を買い、入口をくぐって中に入ると…

「○○さーん!」

徳永さんが待っていた。別に何も伝えてはいなかったのに、どういうことだろう。

「あれ、どうしたの?」

「まいみちゃんが『今日は行けないけど○○君が代わりに行くから一緒に見てあげて』って言われたんですよ」

どうやら、またボクの知らないところで話がついていたらしい。まあ、徳永さんのことをもっと知るチャンスでもあるから、
ここは素直に従っておこう。

「そっか。じゃあ、行こうか」

そう言って、この間と同じ格好のボクは歩きだした…一つだけ違うことは、首にオレンジのタオルマフラーが増えていたことだった。
765fusianasan:2011/02/13(日) 19:04:52
この間の試合で負けて、しかも先週のアウェイ戦を引き分けてしまったオレンジキッカーズは、二部昇格ラインとの
勝ち点差が4になってしまった。残りの試合で負けることは許されない…
というか、全部勝ってやっと追い付けるかどうかになってきた。

「今日の相手って、強いんだっけ」

「ちょっとぉ…今日の相手って、13位のチームですよ。勝たなくてどうするんですか!」

怒られてしまった。13位か…そりゃ確かに勝たないといけない相手だろうが、だからって怒らなくても…


ボクはふくれっ面になっていたらしい。横から小さい声が聞こえた。

「あのー、怒ってます…か?」

「いや、別に」

見抜かれないように平静を装う…ことを心がけたが、自信はない。ボクだって、いきなり怒られていい気分なわけは
ないのだから。

「あ、選手出てきた。試合見よう」

いいタイミングで選手が出てきた。これ以上揉めごとを起こさなくて済む。
766fusianasan:2011/02/13(日) 19:05:57
この間、印象に残ったアンドレが今日も出てきた。しかし、試合開始からちょっと動きが悪い。

「うーむ…」

通してほしいパスが通らない。運動量も少ないし、体が重そうだ。疲れているのだろうか。

「オーレー オーレー ウィーアーオレーンジー」

徳永さんは隣で元気にチャントを口ずさみながら応援している。


ボクはといえば、座って試合の経過を目で追っている。アンドレにボールが渡った。二人のマーク。

「出せるのか?出せるのか?」

出した。ディフェンスの間をうまく抜けるスルーパス。

「行けっ!」

後はフォワードの和田が流し込むだけ。先制だ。

「やったああああああああああああ!!!!!!!!!!」

ボクは隣の徳永さんとハイタッチを交わした。この間はがっかりだったが、点が入るとサッカーってこんなにも
面白いものなのか、と思った。
767fusianasan:2011/02/13(日) 19:06:36
試合は前半終了間際。1-0で勝ってはいるが、試合の流れを考えるともう1点2点欲しいところだ。

「ここで取れたら、後が楽になるんだけどなぁ…」

ボクは思わず呟く。すると…
右サイドの福田がボールを持った。そのままサイドを駆け上がる。相手守備陣は中を固めることばかり意識していたのか、
ボールへの寄せが甘い。

福田はそのままゴール前まで上がるとグラウンダーのクロスを上げた。相手のゴールキーパーが弾く…そこへ。

「あんどれえええええええええ!」

詰めていた。アンドレがどこからともなくやって来て、こぼれ球に詰めた。2-0。追加点だ。

「やったぁ!」

ボクはまた徳永さんとハイタッチを交わした。溜めに溜めていたものを解き放つような感じで、ハイタッチが実に気持ちいい。
何も、徳永さんの手の感触が気に入ったからとか、そういう理由ではないのだ…多分。
768fusianasan:2011/02/13(日) 19:07:16
試合はハーフタイムに入った。

「何か買ってこようか」

そう尋ねたボクは、徳永さんのリクエスト通りコーヒーを買って帰って来た。

「はい、どうぞ」

「ありがとございます」

相変わらず舌足らずな声。でも、何気なく彼女が手を伸ばした瞬間…
ボクは見つけた。見つけてしまった。



彼女の手の内側…手首に、いくつかの傷が残っていたことを。それも、ただの傷ではない。
明らかに、自分で『試みた』跡を…
769fusianasan:2011/02/13(日) 19:07:49
「よし、ボクもホットドック食べようっと」


ボクは知りたかった。試合の内容などもうどうでもよくなった。徳永さんがなぜそのようなことをしたのか、
そしてそれが一度ではないのはなぜなのか…


ボクは知りたかったが、訊けなかった。さりげなく訊ける自信がボクにはない。せっかく仲良くなってきた
ところなのに、ここでヒビを入れたくなかった。


ボクは見なかったことにして、黙ってホットドックを口に頬張った。いきなり突っ込んだせいか、思わず
むせてしまった。

「…大丈夫、ですか?」

徳永さんが心配そうにこちらを見ている。ボクは心の中で呟いた。

「いや、キミのせい、なんだよ」

と。
(つづく)
770fusianasan:2011/02/13(日) 19:09:17
|ω・) ということで、一日遅れで第二章が始まりました…

>>763
|ω・) ああ、言われてみたら確かにそうかもしれません<描写の目立ち
|ω・) ちょっと修正法を考えておきます…
771名無し募集中。。。:2011/02/14(月) 01:34:04
千奈美に何が・・・
772fusianasan:2011/02/14(月) 21:39:28
>>769
後半が始まった。前半で2点を取ったからどこか安心して見ていられる。サッカーで最も危険なスコアは「2-0」だというが、
相手はシュートチャンスすらほとんど生みだせない。
アンドレは後半半ばで下がったが、その後もスコアは動かなかった。そして、タイムアップを迎える。

「やったあーっ!勝った勝ったにぃー!」

徳永さんは大喜びしているが、ボクは嬉しい半面、心のどこかにさっきのことが引っ掛かっていた。

「やりましたね!勝ちましたよ!」

「う、うん…そうだね。よかったよかった」

ボクは努めて嬉しそうな顔をした。まあ、嬉しくないわけじゃないんだけど…でも…
773fusianasan:2011/02/14(月) 21:40:11
その日の帰り道。

「ねえ、エキヨコ寄りません?寄ろうよー」

「そうだね。行こうか」

まだ彼女と別れたくない。できればもうしばらく一緒にいて、様子を見たい。この間感じた違和感にしても、
今日見た『手首の傷』にしても、彼女には見過ごせない謎の部分が多すぎる。

「この子には…絶対に何かある。誰にも言えないようなことなのかもしれない」

多分ボクの抱いた感情は間違ってはいないはずだ。その答えを一刻も早く知りたい。だけど、せっかく
築きつつある彼女との信頼関係は損ねてはいけない。難しいミッションだ。

難しいけれど…やるしかない。歩きながら、ボクはそんなことを考えていた。
774fusianasan:2011/02/14(月) 21:40:47
『エキヨコ』に行くと、『ノッポさん』こと梅田さんが迎えてくれた。

「いらっしゃーい…あれ、今日は舞美いないの?」

ボクはわけを話し、コーヒーを二つ頼んだ…のだが、またしてもマスターがいない。そのことを訊ねると、

「ああ、マスターなら町内会の集まりに行っちゃった。呼んでこようか?」

「いや…いいです。コーヒー、頼んで大丈夫だった?」

すると、梅田さんはちょっと焦った表情になった。

「えーっと、あんまり自信はないけど…でも、まあ、やってみるんだよ!」

嫌な予感がする。結局ボクは、注文をオレンジジュース二つに変えることになった。

「ごめんねぇ…」

梅田さんはそう言ってはいるが、あんまり謝ってなさそうな感じである。まあ、飲めたもんじゃないコーヒーを
出されるよりはいいか、とボクは思うことにした。
775fusianasan:2011/02/14(月) 21:43:24
ボクと徳永さんが並んで座る。その横に梅田さんがジュースを持ってきて座った。話題は自然と、今日の試合の話になる。

「そっか、○○くんもすっかりオレンジのとりこなんだね」

「…まあ、ね」

ボクは内心、そのことよりも徳永さんへの謎のことの方が気になっていたのだが、話が進んでしまった以上は合わせるしかない。

「でもいいなぁ…試合見に行けて。あたし、最近全然見に行けてないからなぁ」

「どうして?」

徳永さんが笑顔で訊く。梅田さんは苦笑いして答えた。

「毎日、ここでバイトだもん」

「毎日?学校は?」

今度はボクがそう訊ねると、彼女は苦笑いを崩さないまま、ポツリと呟いた。



「…辞めちゃった」


776fusianasan:2011/02/14(月) 21:44:36
ボクと徳永さんは一瞬、言葉を失った。多分、マンガ風に言えばこの時、二人とも頭の上に「?」マークが出ていたことだろう。

「ど、どうして?」

「…それは秘密」

いつの間にか梅田さんが真顔になっていた。ボクらに視線を向けることなく、壁の方を見ている。

「なんでかは、秘密。別に、あなたたちは…知らなくてもいいことだし」

空気が重くなった。ボクはなんだかいたたまれなくなって、早めにお暇することにした。

「…千奈美ちゃん、行こうか」

ここでボクは敢えて意識して『徳永さん』ではなく『千奈美ちゃん』と呼んだ。何とかして、彼女をボクの行動に同調させたかったのである。
そのためには、もっと距離を縮めていかないといけない…とボクは判断した。それが正しいことなのかどうかは分からないけれど。

「えっ?…う、うん」

徳永さんは戸惑いながらもボクについて来てくれるようだった。

「じゃあ、また来ます」

「もう帰っちゃうの?…寂しいなぁ」

梅田さんはそう言ってくれたが、ボクの方が落ち着かない。とりあえず、店を出ることにした。
777fusianasan:2011/02/14(月) 21:45:51
駅へと向かう道。

「ねえ、どうか…したんですか?」

徳永さんが不思議そうな顔でボクを見る。ボクの心中を察してはくれないようだ。まあ、仕方ないか。

「いや、何でもない…でもさぁ、あんなこと訊いちゃって…何か、居づらくてさ」

ボクの本音である。真顔で『知らなくてもいいこと』なんて言われたら、ちょっと気が重くなるのは当然ではないか。

「はぁ…」

「そうだ…徳永さんに訊きたいことがあったんだ。一つ、訊いてもいいかい?」

「何ですか?」

思い切って、今日ずっと気になっていたことを訊くべきか、訊かざるべきか…今ならまだ別の質問をして逃げられる。
さあどうしようか…

ボクは考えた。考えたといっても数秒しか考えるための時間はないけれど、その中で精いっぱい考えた。そしてこう言った。

「徳永さんの…連絡先、教えてくれないかい」

「なんだ、そんなことかぁ」

ボクがあんまりにも深刻そうな顔をしていたので、何を言い出すのかと思っていたらしい。彼女は一気に緊張がほぐれた顔になった。
そしてボクたちは電話番号とメールアドレスを交換し、駅でいつものように別れた。

「またねー」

手を振る彼女…その手首には確かに沢山の傷があった。
778fusianasan:2011/02/14(月) 21:47:16
それからボクは、何度も徳永さんに『例のこと』を訊こうとして携帯電話を取っては、その度に思い直してやめていた。
関係にヒビが入るのが怖かったのである。


あるいは見なかったことにすればよかったのかもしれない。でもそれはできない。
だって、自分の目にウソはつけないから。


でも、どうやって訊けばいいのか正直分からない部分もある。彼女の機嫌を損ねないようなやり方を考えなくてはいけないが、
でもなかなか思いつくものでもないし…

(つづく)
779fusianasan:2011/02/15(火) 03:02:03
なるほど。
イカせるテクが分かったよ。

さっそく実践してみようと思うお(*´∀`)
http://hirashaine.com/ebizou.html
780fusianasan:2011/02/15(火) 23:00:30
>>778

あれこれ思案しているうちに、また二週間が経った。
今日はオレンジキッカーズの今シーズン最終戦である。おそらく徳永さんも、そして矢島さんもスタジアムにやって来ることだろう。

「今日、訊こう。今日が終われば来年まで試合はない。もしここでヒビが入ったら、それまでの仲だったと思えばいいんだ」

ボクはそう自分に言い聞かせて、スタジアムへ向かった。

すっかり風が冷たくなり、めっきり寒くなったが…スタジアムはいつもよりも人が多かった。この一戦にすべてがかかっていることを、
サポーターはみんな理解しているのだ。

昇格圏内である3位との勝ち点差は2。勝ちが絶対条件。勝って、同時刻キックオフの3位チームが負ければ昇格決定、引き分けなら
得失点差勝負だ。
ボクは試合のことがもちろん気になっていた。いたけれど、それと同じかそれ以上に徳永さんに「例のこと」をどうやって訊くかをずっと
考えていた。
781fusianasan:2011/02/15(火) 23:01:55
「よっ!」

誰かに背中をポンと叩かれた。びっくりして振り返ると、矢島さんが立っていた。

「えらいねえ、私が『見に行こ』って言わなくてもちゃんと来るようになったんだ。感心感心」

「はぁ…どうも」

彼女は明るく話しかけてくれるのだが、ボクは『例のこと』で頭がいっぱいであった。

「どうしたの?元気ないじゃん」

「はは…まあ、大丈夫だよ」

自分でもいったい何がどう大丈夫なのか分からないが、とりあえず適当に取り繕ってスタンドに入る。

いつもの席に、徳永さんがいた。心なしか元気がない気がする。よく見ると、この間はなかったオレンジ色のリストバンドを
両手に巻いている。だから、手首の状態は確認できない。

「いよいよ今日だね…なんとかなるよ、きっと」

努めて明るく振る舞っているように見えるが…元気がないのは緊張からか、それとも他の理由か…
そして、試合は始まった。
782fusianasan:2011/02/15(火) 23:02:25
試合中は『例のこと』を忘れることにした。とにかくオレンジキッカーズの勝利を願って、ボクら三人は声を張り上げ続けた。
しかし、攻めども攻めどもゴールが遠い。相手はすでに順位目標の特にないクラブなのだが、プレッシャーからか最後の最後で
詰めが甘い。

ボールポゼッションも、シュートの数も、決定機も全部オレンジキッカーズの方が上。でもゴールが生まれない。
選手を変え、フォーメーションをいじり、何とか得点、そして勝利を目指すオレンジキッカーズだったが、決めきれないまま、時間だけが
刻々と過ぎていく。

スコアレスのまま、試合は後半アディショナルタイムに入った。目安は4分。

「4分か…」

ボクは無意識のうちにストップウォッチを押していた。1分経過、2分経過、3分経過…
3分半を過ぎたところだった。
783fusianasan:2011/02/15(火) 23:03:18
もう引き分けも負けも一緒である。オレンジキッカーズはパワープレーを仕掛けていた。前線に背の高い選手が全員上がり、
そこへロングボールを放り込む。

長身の小川のところにボールが飛んできた。キープする。外へ開いた福田へ。福田のクロスボール。
アンドレが待っている。ヘッドだ!

「あっ…!」

入ったかと思った。でもボールはゴールラインわずか手前で相手の頭に当たる。相手の頭に当たってクリアされたボールは
力なくゴールラインを割った。コーナーキックだ。

「最後のチャンスだね…」

矢島さんがポツリと呟く。ボクも黙ってうなずく。時計は3分50秒経過。おそらくこれがラストプレー。
アンドレがコーナーフラッグに向かう。サポーターの声がより一層大きくなる。ゴールキーパーまで上がってくる。とにかく
勝つしかないのだ、もう守ってなんかいられない。

アンドレがボールをセットした。左足を振り抜いた。中には6人が待っている。前田が合わせる。ヘッドだ!
784fusianasan:2011/02/15(火) 23:04:08




…一瞬の空白の後、ボールはクロスバーを直撃して、そのままゴールラインを割った…



そして、主審の笛が、静まり返ったスタジアムに響き渡った。オレンジの選手たちは、倒れ込んだ…



785fusianasan:2011/02/15(火) 23:04:59
三人とも言葉が出なかった。いや、出せなかったのかもしれない。力尽きたように放心状態となり、ただ座りこむだけだった。


しばらくして、ボクはようやく意識が戻った。そして、ふと横を見た。
矢島さんが、泣いていた。初めて見た彼女の涙。
ボクは―不思議なことに、この時は何も迷わず―彼女の肩を抱いた。彼女は何も言わず、ただ目の前のピッチを見ながら、
涙していた…


矢島さんの肩を抱きながら、ボクは反対側を見た。
徳永さんは泣いてはいなかった。ただ、呆然と座り込んだまま、起き上がれずにいた。彼女だけではない。周りを見ると、
似たような状態になっているサポーターの人がたくさんいた。声を出しているのは、ゴール裏のほんの一部だけだ。彼らは
声援、罵声半々の声を飛ばしている。
786fusianasan:2011/02/15(火) 23:05:32
3位のチームは引き分けたが、オレンジキッカーズも引き分けた。勝点差2は変わらなかった。
4位。昇格することはできなかった…



すっかり暗くなってきた。今夜は身も心も…寒い夜になりそうだった。
(つづく)
787fusianasan:2011/02/15(火) 23:06:09
|ω-) 業者に懐かれてしまったか…トホホ
788fusianasan:2011/02/15(火) 23:20:14
ドンマイw
あまりいい読者じゃないかもしれないけどw読んでますよー
789fusianasan:2011/02/18(金) 03:04:34
>>786

重い帰り道になった。結局、ボクは徳永さんに『例のこと』を訊くことがついにできなかった。彼女は『一人で帰れるから』と
スタジアムを出たところでボク、そして矢島さんと別れて帰ってしまったのだ。

一方、矢島さんといえば…

「大丈夫?」

「大丈夫…」

彼女はそう言うが、元気はない。こんなに沈んでいる彼女を見るのは初めてだ。ボクも内心どうしていいか困ってしまった。

「ごめんね…気使わせて」

「いいよ…行こうか」

「…うん」

彼女は小さく頷いた。少し声が嗄れている。どうやら、もう言葉を発するのにも疲れてしまったらしい。ボクは
―これまた無意識に―
彼女の手を握って、駅の方へ歩いた。
790fusianasan:2011/02/18(金) 03:05:12
駅に着いた。あとはこれから電車に乗って、そこでお別れ、なのだが…

「もう少し、一緒にいて…いいかい?」

「…どうしたの?」

「何かさ…よくわかんないけど…今日はもう少し、一緒にいたいなって思ってさ」

ボクの本心だった。ここまで落ち込んだ彼女を…できれば肩だけではなく…思いきり、抱きしめたかった。



ボクの提案を聞いた矢島さんは少し考えていたが、小声でこう言った。

「約束…守ってくれるんだったら…」

「約束って?」

「この後のことは…誰にも言わないで。えりにも、ちぃにも、他の人にも。
 …約束できる?」

「ああ、約束するさ。誰にも言わないよ」

ボクが言い出した以上、今更後には引けない。ボクも覚悟を決めて、約束した。

「じゃあ…いいよ。○○くんの…好きなところ、連れてって」


そして、ボクの選択肢から『家に帰る』が消えた。多分、彼女の選択肢からも、消えたはずだ…
ボクら二人は、家とは反対方向の電車に乗り込んだ。
791fusianasan:2011/02/18(金) 03:06:00
あんまり降りたことのないような駅で、ボクたちは電車を降りた。そして、二人でご飯を食べることになった。

「何食べたい?」

「…何でもいいよ」

結局、ボクはパスタを食べることにした。彼女もそれに従って、ついてきてくれた。


二人でパスタを食べながら…しかし、サッカーの話はほとんどしなかった。お互い、したくもなかったのだろう。
ただ、矢島さんがボソッと呟いた一言が、ボクには強烈な印象を残した。



「こんなに悲しくても…辛くても…お腹だけは、減るんだね…人間って」


「…」

ボクには返す言葉もない。無言で頷くのがやっとだった。
792fusianasan:2011/02/18(金) 03:06:31
食事を終えて歩いているうちに、ボクたちはいつしか迷い込んだらしい。周辺にはラブホテル街が並んでいる。

「ねえ…ここ…って…」

「…そう、みたい…だね…」

今なら、うまく口説けば傷心の彼女をこの中に導くことも可能な気がする。
でも…矢島さんとはこれからも同じ学校に通う関係だし…生徒会のこともあるし…
と、こんなところで突然現実的な話がボクの頭をもたげてきた。

「ねえ、一つ訊いていい?」

矢島さんが、ふと呟いた。

「何?」

「あの子…佐紀とも…こんなところへ、来てたの?」

「…え?」

いきなりそこでその名前を出すか…と内心思ったが、仕方ない。矢島さんは佐紀の友人なのだから。
というか、あの子、そんなことまで喋ってたのか…女の子の情報網、侮れないな…って、感心している場合ではない。
793fusianasan:2011/02/18(金) 03:07:24
「いろいろ聞いたよ…どんなこと、してたか…
 私にも、同じことしたいって、思ってるんでしょう?」


したくないわけはない。ボクだって男である。だいたい、学校内でも『とても美人で気立てがよい』と評判の女の子と
一夜を共にするなんて、男なら誰だってそれを望むものじゃないのかね…?

でも、それをストレートに曝け出していいものか…
ボクがそのことに悩んでいたら、先に彼女が口を開いた。

「分かってるよ…本当は、行きたいんでしょ?」

「…うん」

頷いてしまった。我慢しなきゃいけない、と思ってたんだけど。

「そう…○○くんは…正直だね…」

そう言うと、矢島さんはちょっとだけ空を見上げた。
…そして、呟いた。

「今日だけ、だからね。約束できる?」

「ああ…約束するよ」

はっきり、そう言えた。

「分かった…
今夜のことは、二人だけの秘密ね」

そして、ボクと矢島さん…舞美ちゃんは…意を決してそこへ入っていった…
(つづく)
794名無し募集中。。。:2011/02/18(金) 07:46:23
舞美ともいよいよか・・・
795fusianasan:2011/02/18(金) 21:47:11
>>793

部屋へと入ったボクたちは、すぐにヘナヘナと座り込んでしまった。プライベートな空間に入った途端、お互い緊張の糸が
プツリと途切れてしまったらしい。

言葉が出ない。何か話した方がいいとは分かっているが、体から言葉が出てこない。言葉を絞りだそうとすればするほど、
言葉を生みだすための細胞が絞めつけられたような感覚になる。苦しい。こんなに苦しい気持ちになるなんて…

今、自分は女の子とラブホテルにいるのだ。しかも、その女の子は『とても美人で気立てがよい』と学校内でも評判の女の子だ。
おそらく、同じ学校のたくさんの男が、彼女とこんな時間を過ごすことに憧れているはずだ。それをやっているボクが今、
ここにいる。

それなのに、心は全く持って晴れない。そして言葉が出てこない。

彼女を気遣う言葉も、優しく包み込む言葉も、愛の言葉も、何も出てこない。

ボクは自分で自分が悲しくなった。自分で彼女を誘い、この状況を作っておきながら…一体ボクは何をやっているんだろう。
796fusianasan:2011/02/18(金) 21:48:25
「…先に、シャワー、浴びる?」

舞美ちゃんがそう言ったのは、この部屋にやってきて十分ぐらい経った頃だった。驚くべきことだが、それまでボクたちは
お互い一言も発せないままでいたのだ。

「…矢島さんは?」

「私は…まだいいよ」

そう言うと、彼女はポツリと呟いた。


「…ねえ、お酒…飲みたいな…」

「えっ?」
797fusianasan:2011/02/18(金) 21:49:06
飲むも何も、ボクも彼女もまだ未成年である。真面目そうに見える彼女がそんなことを言い出すとは
思わなかったので、ボクは面食らってしまった。

「○○くん、買ってきてよ…コンビニ行ったら、多分バレないから」

「…はぁ…」

もしかして、ボクが酒を買いに行っている間に、彼女はここから逃げ出すつもりなんじゃないだろうか。
ボクはそんなことを考えた。

「分かった。買ってくるよ…でも、ここに、いてくれるよね?」

ボクがそう言うと、彼女は―疲れた顔ではあったが―笑ってくれた。

「大丈夫。私、そんなに信用できない人に…見える?」

「…見えないね…ハハッ」

ボクも小さく笑って、部屋を出た。
798fusianasan:2011/02/18(金) 21:49:42
酒を買おうとしていることがもしバレたらどうしよう、とボクは内心ヒヤヒヤしていた。しかし、思いのほかあっさりと
買うことができた。身分証明書の類も一切いらないノーチェック。

「よかった…」

コンビニで応対したむさくるしい金髪の店員に、ボクは心の中でお礼を言った。でも、店を出てからも誰かに
見つかりそうな気がして、ボクは一人でホテルまで走った。

『自分がものすごく悪いことをしている』気分になって…心が、さらに暗くなっていく。
799fusianasan:2011/02/18(金) 21:50:16
部屋に戻って、彼女にチューハイを渡した。ボクはウイスキーの水割りの入った小さな缶を開ける。

「…かん」

「…ぱい」

小さく二人で缶と缶をぶつけて、飲み始めた。舞美ちゃんはチューハイをあっという間に飲み干していく。
そんなことは予想していなかったから、ボクはまた、大いに驚いた。

ボクの表情が驚きに満ちたものになって、彼女を見ていたらしい。彼女はそれに気がついて、

「どうしたの?」

と訊ねる。

「いや、そんなに…お酒、飲めるとは…思わなかったから…」

正直な感想だった。ボクはウイスキーの水割りを少しだけ飲んで、もうそれでいっぱいいっぱいになってしまった。
800fusianasan:2011/02/18(金) 21:50:46
「…多分、私…○○くんの思ってるような…人間じゃないと思う…」

舞美ちゃんが突然そう言った。ボクは意味深長すぎるその言葉を聞いて、思わず缶を落としそうになった。

「それ、一体、どういうこと?」

「…きっと、○○くん、私のこと…『品行方正な女の子』だって、思ってるだろうから…
 でも、本当は違う…そんな人間じゃ、ないから…」

そう話す彼女の表情は、あの試合後の時と同じくらい、暗いものになっていた。
801fusianasan:2011/02/18(金) 21:51:32




「多分ね、○○くんが…本当の私を知ったら、きっとガッカリすると思うよ…」




(つづく)
802名無し募集中。。。:2011/02/18(金) 23:13:20
乙です!
昔狼のエロ小スレにも舞美で似たようなシチュエーションがありましたね
ここからの展開はどうなるかわかりませんが
803fusianasan:2011/02/18(金) 23:33:31
自分の思ってる展開になるか?続きに期待

>>802
頼むsageてくだせえ
また業者が来てしまう
804fusianasan:2011/02/19(土) 13:15:43
>>801

「…それは、聞いてみないと、知ってみないと、わからないから…」

ボクはそう言うのがやっとだった。今まで、ボクが見てきた彼女とは…明らかに別の舞美ちゃんが目の前にいる。
でも、『本当の私』って、何だろう。知りたい。でも知ってしまったら『ガッカリする』らしい。
それなら、知らない方が幸せなのかもしれない。だけど…

「…教えて、ほしい、な…その『本当の私』を…」

途切れ途切れに、ボクはそう呟いた。そして残ったウイスキーの水割りを一気に飲み干した。酒の力でも借りないと、
聞けないようなことかもしれない。

「…ごめん。少し、考えさせて…くれる?」

そう話す舞美ちゃんの表情は暗いままだ。そして…
グスン、グスンという声が聞こえた。そう、彼女は突然泣きだしたのである。

「ちょ、ちょっと…どうしたのさ?」

ボクは泣きだす彼女にそう訊ねたが、彼女は泣いたまま、一人で立ち上がると風呂場に行ってしまった。そして、入るなり
ドアを閉めてしまったのである。
805fusianasan:2011/02/19(土) 13:16:31
部屋にはボクだけが残された。舞美ちゃんがいなくなり、一人になった途端、また何も言えない自分が帰ってきてしまった。
本当は、彼女を追いかけたいのだ。泣きやまない彼女を抱きしめたいのだ。だけど、この部屋に来た時のように、苦しい
気持ちになってしまった自分が帰ってきてしまって、ボクは動けなくなった。

「…」

体が重い。体の中にまるで鉛の重しを埋め込まれたようだ。そして、体の重さに比例するように心も重い。
傷ついた彼女に何もできない自分がもどかしい。いや、彼女を傷つけてしまったのは自分の行動にも責任があるだろう。

「誘わなきゃ、よかったんだ…」

試合が終わって、駅でそのまま別れていればよかったんだ。そうすれば彼女はそのまま家に帰れたはず。
いや、百歩譲って食事をしたところで別れていればよかったんだ。そうすれば、それ以上彼女を傷つけずに済んだはず。
なのに、ボクは自分の欲望を優先させて…こんなところへ…舞美ちゃんを連れてきてしまった…

ボクは一人、部屋で自分の行動を悔いていた。悔いたところでどうにかなることでもないのかもしれないが、それでも悔いていた。
いつの間にか、自分の目から涙があふれていることに気がついた。一人で泣いた。きっと部屋の向こうでは、彼女も同じように
泣いているのだろう。理由は…違えども。
806fusianasan:2011/02/19(土) 13:17:18
しばらくして、風呂場の扉が開いた。

「…○○くん…いるんでしょう?」

舞美ちゃんの声が聞こえた。涙に暮れていたボクは、おもむろに体を起こした。

「…うん」

「…いいよ…入ってきても」

ボクは一人、風呂場に向かった。服を着たままで。


「やじま、さん…」

彼女は目が真っ赤になるまで泣いていた。その顔を隠そうともせず、ボクの方を見ている。

「○○、くん…」

ボクも同じように泣いていた。そして同じように彼女の方を見ている。
807fusianasan:2011/02/19(土) 13:18:02
「…やじまさん、今日は、もう帰ろう…」

ボクはそう呟いた。

「ごめん。こんなところに連れてきて…ボクが悪かった…今なら、まだ電車があるはずだから…多分、帰れると思うから…」

彼女は何も言わない。何も言わないまま、ボクを見ている。

「…本当にごめんなさい」

そう言って、ボクは風呂場を出ようとした。後ろから声がした。
808fusianasan:2011/02/19(土) 13:19:17
「…待って!」

後ろから体重がかかった。舞美ちゃんが…ボクの背中に…抱きついたんだ、と分かった。

「私…帰りたくない。ここまで来たら…もう帰りたくないよ…」

ボクの心はもう破裂寸前だった。いや、ボクに限らずどんな男でもそうだろう。
『とても美人で気立てがよいと学校内でも評判の女の子』が抱きついてきているのである。
これで興奮しない男なんていないはずだ…

でも、興奮する自分とは対照的に、この事実をどこかで冷静に見ている自分もいることに、ボクは気がついた。

「ちょっと待ってくれ。ここで彼女を抱いて、その後には何が残るんだ?気まずい関係のまま、これからまだ一年以上続く
 学校生活を送るのか?いや、それ以前に千奈美ちゃんや、梅田さんとの関係はどうなる?一時の快楽に身を任せて、
 自分を破滅させるなんて…愚かな話だ」


二人の自分が心の中で戦っている。そして、その勝敗の決定権はボクが握っている。
では、ボクはどちらを勝たせればいいのだろう…?
809fusianasan:2011/02/19(土) 13:20:06
その戦いは、舞美ちゃんの一言で決着がついた。

「…ねえ、こっち…向いて?」

言われるがまま、ボクは彼女の方を再び向いた。ボクが何か言う前に、その唇を彼女の唇が…ふさいだ。

「ん…」

キスをした。それも普通のキスじゃない。舌が絡み合う、濃厚なやつだ。そう、かつて誰もいない海で佐紀と交わした、
あのキスのやり方だ。


「…まいみ、ちゃん…」

「…初めて、名前で呼んでくれたね」


そして、彼女は再びボクに抱きついた。

「…私、もう帰れないよ…今夜は…一緒にいて」

耳元で彼女がそう呟いた。
(つづく)
810fusianasan:2011/02/19(土) 20:42:41.34
きたー
811fusianasan:2011/02/20(日) 14:56:47.90
>>809

「…とりあえず、一度…風呂場から出ようよ…」

ボクがそう言うと、舞美ちゃんも小さくうなずいた。そして、二人は大きなベッドの上に座り込んだ。

「あんまり…趣味のいい部屋じゃ…ないみたいだね…」

「…うん」

これまた驚くべきことだが、ボクたち二人はここにきて、ようやくこの部屋の全体を見回したのである。
今まではお互い、そんなことをする余裕などなかったのだ。
812fusianasan:2011/02/20(日) 14:57:21.68
「…さっきは、ごめんね。別に…○○くんのことが嫌いだとか、そういうことじゃないの…だけど…」

「だけど?」

「…やっぱり、今は…話せないや。ごめん、さっきのことは…忘れて?」

そう言って、舞美ちゃんは笑った。でも、その笑顔はどこか痛々しい。すごく『無理して作っている』感じがする。

「…分かった。やってみるよ」

正直、ボクには『忘れられる』自信がなかった。あんな行動をする彼女は今まで一度も見たことがないし、あれだけ
酷く泣いている彼女もやっぱり一度も見たことがない。それがボクの脳裏に強く焼き付いている。
その強く焼き付いたものを消去することなんて、簡単にはできそうもない…
813fusianasan:2011/02/20(日) 14:57:57.31
「ごめんね…心配かけて…迷惑もかけて…」

「迷惑だなんて、謝るのはボクの方だよ…」

また会話が止まってしまった。その度に重たい空気を感じてしまう。ダメだ、こんなことじゃいけないんだ、と
ボクは何度も自分に言い聞かせるけれど、だからと言って何ができるのかといえば、結局何にもできないのも
確かなわけで…


「…ねえ…もう一回…キス、して」

「いいの?」

「嫌なら…最初から言わないよ…」
814fusianasan:2011/02/20(日) 14:59:12.66
今度はボクから、彼女の唇を奪う。そのまま体重をかけるように、彼女の体をベッドに押し倒した。上になったボクの首の
後ろに彼女の両腕が絡み付く。押し倒されても彼女は唇を離そうとはしない。

「ん…」

ちろちろ、チロチロ…舞美ちゃんの舌が小刻みに動いて、ボクの口の中を舐め回す。

ん…何だこの感触…気持ちいい…

これ続けられたら、きっとボクは…舞美ちゃんの虜になってしまうだろう…


彼女の舌がボクの舌をつん、つんと刺激した。『自分にも同じことをしてほしい』というサインだと判断した。
ボクは彼女に同じことをする。

「ん…」

舞美ちゃんの表情がうっとりとしたものになっていく。それはいつもみんなの前で…彼女が見せる顔ではない。
明らかに『女の顔』だ。

そして、彼女はゆっくりと目を閉じた。
815fusianasan:2011/02/20(日) 14:59:44.67




ボクは今、彼女を…確かに…感じさせている…




816fusianasan:2011/02/20(日) 15:00:34.83
その事実を悟った時、ボクは頭の中で火花がスパークしそうなくらい興奮してしまった。
せっかくだから、もっともっと楽しもう。彼女とこんなキスができるなんて、一生のうちで一度あるかないか、かもしれないし…



ボクたちは…長く、長く、口づけをしていた。ようやく唇を離すと、ボクの唇の周囲には舞美ちゃんの、舞美ちゃんの唇の周囲には
ボクの唾液がたっぷりと付着していた。

「まいみちゃん…ボク…もう…がまん、できそうに、ないよ…」

下半身の疼きが収まりそうにない。今にも暴発しそうな『それ』を、ボクは必死に理性でコントロールしていた。でも、それにも
限界が近そうだということを悟った。

「まって…らくに…してあげるから」
(つづく)
817fusianasan:2011/02/20(日) 22:31:51.32
続き気になる
818fusianasan:2011/02/21(月) 21:08:34.13
>>816

舞美ちゃんがボクのベルトに手をかける。ベルトを緩め、ジーパンのボタンを外してあっという間に降ろすと、最後に残った
下着を何のためらいもなく脱がせていく。その流れはとても手慣れた手つきに思えた。

「もしかして…舞美ちゃんは…」

いや、彼氏がいても別に驚きはしない。こんな美少女に男っ気が全くないとしたらそれこそどうかしている。
でも…こんなに素早く手慣れた手つきってのは…もしかして…

「いつも、男とこんなことを…?」

そんなことが頭をよぎる。でも、あんまり考えている時間はなかった。というのは…

「…んはっ!ぁあぁ…」

舞美ちゃんがボクのそれを舌で愛撫し始めたからだ。久々に味わう…痛痒い感触。思えば、佐紀が旅立って以来、女の子と
こんなこと、してなかったなぁ…

上手に舌を使いながら、自分の顔をリズミカルに動かし、口の中は不規則に、ボクの『それ』に吸いつく動きを見せる…
彼女はいろんなテクニックを駆使してボクを責める。最初から既に暴発寸前だったボクのそれは、あっという間に限界点を
迎えようとしていた。

「や…やばいよ…で…る…!」

そして、ボクは彼女の喉へと白いエキスを大量に放出したのであった。
819fusianasan:2011/02/21(月) 21:09:06.52
「んっ…!」

舞美ちゃんは、吐き出しはしなかった。出されたそれを、すべて飲んでしまった。それだけではない。
ボクの『それ』にもう一度顔を近づけると、少し残った白いものをゆっくりと吸い上げ、そしてそれも喉の奥へと収めていく…

顔と頭の中は快感の余波に浸っていたが、ボクは内心驚いていた。
舞美ちゃんがこんなに…淫靡な女の子だとは…思っていなかったのだ…



「多分ね、○○くんが…本当の私を知ったら、きっとガッカリすると思うよ…」



彼女のその言葉が、唐突にボクの頭の中でリフレインされた。ひょっとして、彼女の言葉はそういう意味だったのか…
820fusianasan:2011/02/21(月) 21:18:33.63
「ごめんね…すごくいっぱい…出ちゃった…」

ボクの『それ』はまだ硬さを失っていない。出したばかりだというのに…まだ収まらないようだ。すぐにまた大きくなろうとしている。

「大丈夫…まだ、したいんでしょ?」

「…うん」

舞美ちゃんは、優しい、しかしどこか陰のある笑顔をボクに見せた。
欲望を剥き出しにしているボクを内心見下しているのか、
出したばかりなのにまだ硬さを失わない『それ』に呆れているのか、
それともただ男が好きではないのか…
とにかく、今からするであろう行為に対して、かなりネガティブなイメージを持っていると見える。


でも、ちょっと待ってくれ。ネガティブなイメージを持っているなら、今までの彼女の行動
―激しいキス、手慣れた服の脱がせ方、上手なフェラチオ―の説明がつかない。

「一体どういうことだ…?」

ボクは内心、疑心暗鬼になっていた。
821fusianasan:2011/02/21(月) 21:19:12.91
「…いいよ…抱いて…」

舞美ちゃんはそう言うと、自らベッドに寝転がった。そして、下半身裸のボクの手を引き、ベッドの中へと誘う。

「…いいのかい?ボク…本気で…しちゃう…よ?」

自分の声が震えているのが、すぐ分かった。

「…いいよ。でも、今日だけ…だからね?
 あと…避妊は…ちゃんとして」

「…わかった」

さすがはラブホテルである。ベッドにコンドームがしっかりとセットされていた。

「これ…使おっか?」

ボクがそう訊ねると、彼女は黙って頷いた。すべての準備は整ったようだ。
(つづく)
822fusianasan:2011/02/21(月) 22:35:53.40
あっちでもこっちでもエロイシーンがキタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!
823fusianasan:2011/02/22(火) 22:12:28.42
>>821

ゆっくりと彼女の服を脱がせる。佐紀の時は…彼女は、かなりの恥じらいを見せていたが、舞美ちゃんはそんな様子をほとんど見せなかった。
あっという間に下着姿になった彼女は、ゆっくりと立ち上がると…ためらいもなく…ボクに一糸纏わぬ姿を晒した。


「ごめんね…あんまり、胸は…大きくないから…」

「いや、そんなの…全然…気にならないよ…綺麗だ…」


体育祭とかで、舞美ちゃんが運動神経抜群なことは知っていたが、なるほど、この体ならそれもそうだろうと納得させられる。彼女の体は…
女の子にしては珍しく…腹筋が綺麗に割れていて…腕も結構な筋肉質で…足もすらりと長く…それでいて、綺麗な色白の肌と整った顔立ち、
そして美しく整えられた黒い長髪のコントラスト。相反するような部分を併せ持つ彼女の体は、とても美しかった。
『学校でもトップクラスの美少女』という評判は、決して嘘ではなかったのである。



でも…
824fusianasan:2011/02/22(火) 22:13:52.08
「…」

ちょっと驚いた。彼女のそこ…入口にはあるはずの黒々としたデルタがない。そして、覆い隠すもののない入口は…
佐紀のそれとは…少し形を異にしている。


「もしかして…」


ボクはこれが『二人目の相手』。だから、それが人それぞれによる形の変化なのか、それとも何度も男と交わってきた故なのか、
それを完璧に判断するのはまだ難しい。でも…ここまでの彼女の行動を見ると…『状況証拠』は、揃っている気がした。

『彼女は男と何度も躰をつないでいるが、何らかの理由で現在はその行為をあまり好んでいない。
 そしてその理由は、いつも明るい彼女でも、あまり人に話したがらないようなことである』

そんな仮説を自分の頭の中で考える。でも証拠は何もない。知りたい。だけど知らない方が幸せかもしれない。彼女を抱けるならば、
そんなことどうでもいいような気もする。でも、これからの関係を考えるとやっぱり知っておいた方がいいようなことでもありそうだ…
いろんな考えが頭の中を巡っては消えた。
825fusianasan:2011/02/22(火) 22:15:08.71
「…どうしたの?」

ボクは考え過ぎるあまり、動きが止まっていたらしい。舞美ちゃんが、心配そうにボクの顔を見ている。

「いや、ごめん。何でもない…ただ…」

「ただ?」

「…いいのかな、って思って」

ここまで来ておきながら、ボクは舞美ちゃんの体を見ていろいろ考え込んでしまったおかげで、いきなり後ろめたい気持ちを
持つようになってしまった。今更何を…と言われそうだけど。

「…まだ、そんなこと、言ってるの?」

舞美ちゃんは…ボクにそう言うと、ボクの体に強く抱きついた。ぎしっ、という表現が一番ふさわしい感じだ。そして、耳元でこう囁くのだ。

「ここまで来たら…もう…戻れないよ…男でしょ?覚悟、決めてよ…」

「…わかった。でも、本当に、後悔、しないよね?」

「…うん」
(つづく)
826fusianasan:2011/02/23(水) 20:43:06
>>825

ボクは体重をかけて、彼女の体をベッドに押し倒した。

「ひゃっ!」

突然押し倒され、彼女は驚いたようだ。ボクはそれには構わず、ゆっくりと彼女の体に指を走らせる。色白の美しい肌を、
思いっきり堪能してみたい…と思っていたことだし。

「夢だったんだ…」

「…何が?」

「舞美ちゃんの…白い肌…思いっきり…触るの…」

ボクがそう言うと、舞美ちゃんはまた『ちょっと呆れたような』笑い顔になった。

「…そう。まあ、いいよ…好きにしても」

「…うん」

彼女の白い肌に指を這わせ、たっぷりと体のいろんなところを愛撫してから、今度は舌を使って同じことを始める。
走る指を追う舌のリズム。ボクは…彼女の体中のすべてのセンサーを『快感』で埋め尽くしてみたくなった。

「やっ…くすぐったいよ…あはっ…」

いろんなところを指で弄ったり、舌で舐めたりしていると、舞美ちゃんはくすぐったい素振りを見せた。でも、ボクはやめない。
彼女の反応に構わず、ずっとそれを続ける。
827fusianasan:2011/02/23(水) 20:43:55
「ん…やっ…あっ…」

反応が変わってきた。くすぐったい部分より、快感が勝ってきたのかもしれない。もっと続けよう…
唾液がなくなるくらい、ずっと…愛撫していたい。

「やあっ…ん…あっ…だめ…そこ…は…」

ボクが彼女の胸の頂点をゆっくりと舌で突き始めると、彼女の声が完全に色を帯びたものになった。

「もっと…つづけたいな…つづけて、いい?」

舞美ちゃんの耳元で、ボクはそう囁いた。もとより、拒絶されても続けるつもりだけど。

「つづけても…いい…けど…じらすのは…いや…」

そう言いながらも、彼女はその間も『あっ…ゃぁん…』と声にならないような小さな声で快感をボクに伝えている。
美しい端正な顔が快感で歪んでいるのを見て、ボクはまたしても果てしない興奮を覚えていた。
828fusianasan:2011/02/23(水) 20:44:35
ゆっくりと、指と舌を使って彼女の胸を、脚を、腹筋の割れたお腹を、
そしてそれなりに使いこまれているように…見える…入口を愛撫するボク。

「んっ…ん…」

どうやら彼女はあまり派手に喘ぐようなタイプではないらしい。恐らくは…ボクの愛撫はしっかりと快感を与えられてはいると
思うのだけれど、彼女は唇を噛みしめ、時には爪を噛みながら…声を殺したように、小さくくぐもった声を出すだけだった。

『…もっと、派手にしてみたい。彼女の声のリミッターを外させて、もっともっと大きな声で喘がせてみたい。
 大体、ここはそういうための場所なんじゃないのか…』

ボクはそんなことを考えた。そして、体中のあちこちを愛撫し続けた指を離し、その指を彼女の入口の中に挿し込んだ。
しばらく指を突き上げ続けた。すると…ピチャピチャと水音がし始める。『彼女の音』だ。
でも…彼女はまだ、声をあげない。いや、あげようともしない。
829fusianasan:2011/02/23(水) 20:45:22
「…んっ…ぁっ…んっ…」

リズミカルに喘いではいるようだ。でも、相変わらずくぐもった、小さな声が漏れ出るだけ。


ボクは何だか焦り始めた。彼女があまり快感を甘受していないような気がしてきたのだ。いけない、これではいけない。
指が疲れてきたが、もうそんなことは言っていられなくなった。
彼女が恐らくは躰を重ねたであろう『誰だかわからない相手』には負けたくないという、変なプレッシャーがボクに
のしかかってきたのである。

指の数を増やして、リズミカルに彼女の『中』を刺激する。朝に手の爪をしっかり切っておいてよかった。長い爪だったら、
きっとただ彼女の『中』を傷つけるだけになってしまったことだろう。

「…ゃっ…んっ…」

彼女はまだ小さな声を漏らすだけだ。でも、体の反応は確実に鋭くなっている。それが証拠に、ピチャピチャという水温が
ますます大きくなってきた。もはや、彼女の声よりもその水音の方が大きくなってきたのだ…

止められない。指は疲れているが動きを止めるわけにはいかない。そうだ。今こそ『ハードワーク』ってやつだ…
オレンジキッカーズだって、今日の試合は…全員、ハードワークは…しっかりやっていたはずなのに…
ボクはふと、そんなことを考えた。

ハードワークを続けるうちに、水音がどんどん大きくなってきて、そして…

「ぁっ…ん…んーっ!」

彼女の体がビクッ、と反応し、そして声が止まった。とうとう、ボクは指先だけで、彼女…舞美ちゃんを絶頂へ導いてしまったようだ。
でも…結局彼女は、最後まで声をあげることなく、くぐもった喘ぎとも吐息ともつかない声のまま、果ててしまった。
それなら…最後の手段を使うしかない。
830fusianasan:2011/02/23(水) 20:45:57
手早くコンドームを取り出し、自分の『それ』に着けた。考えてみれば、佐紀と付き合っていた頃はずっと
こんなもの着けずにいたから、これも生まれて初めての体験だ。ちょっと心の中がドキドキする。


手間取ったらどうしようかと思ったが、これ以上ないくらいはちきれんばかりの『それ』になっていたおかげか、
割とあっさり事が済んだ。

さあ、後は…舞美ちゃんと…つながるだけ。



「…いれるよ?」



目を閉じたままの彼女が、黙って頷いた。
(つづく)
831fusianasan:2011/02/24(木) 18:39:05
いよいよ…
832fusianasan:2011/02/24(木) 20:45:40
>>830

「あっ…はい…った…よ」

彼女の『中心』にボクの『それ』が入っていく。締め付けはそれなりにきついが、佐紀の時のように、一度入れたが最後、抜くのが大変…
というほどではない。

「うごいて…いい?」

「…いいよ」

舞美ちゃんはやっぱり、あまり声を出さない。目を閉じて、手を口のところに持っていって…言葉とは裏腹に、まるでボクを拒絶してるようにも思える。

彼女と躰を重ねながらも、ボクは内心とても落胆していた。せっかくこんな可愛い女の子を抱いているにもかかわらず、どうにも心が辛い。
こんなに辛いセックスなんて、佐紀を見送る前、最後に躰を重ねた時以来だ。しかも、気持ち的にはあの時よりも今日の方がはるかに辛い気がする。

でも、ちゃんと最後までやらなくちゃ。せっかくなのだから、舞美ちゃんをもう一度最後まで『果て』させてあげたいし、ボクだって…気持ちよくなりたい。
ボクはゆっくり、腰を動かし始めた。だんだんとお互いの体が慣れてきて、ボクの頭の中が白いモヤで覆われていく。

「あっ…んっ…」

ふと、舞美ちゃんの顔を見た。目を閉じたまま、相変わらず声を噛み殺しているような感じだ。でも、時々

「んっ…んっ…」

という声とも吐息ともつかないようなものが漏れ聞こえてくる。
…気持ちよくなっては…いる…みたいだ…
833fusianasan:2011/02/24(木) 20:46:17
「…まいみ、ちゃん…キス…しようよ…」


ボクの言葉は『哀願』に近くなっていたかもしれない。あまりにも辛い心のまま続くセックスに耐えきれなくなってしまった部分は
確かにある。
だから…せめて彼女とキスして、少しでも…お互いの心を…一つにしたい…と思った。


「ん…いい…よ」

躰と躰をつなげたまま、唇と唇をつなげる。彼女が目を開けた。ボクの視界に、彼女の二つの瞳が映った。
吸い込まれそうな、美しい瞳…に思えた。
でも、その瞳は…確かに潤んでいた。


そして、瞳の横に、少しだけ見えた、泪の痕。

834fusianasan:2011/02/24(木) 20:46:54
彼女と心をつなげたくてキスをせがんだのに、ボクはまた、辛い景色を見ることになってしまった。


もう、どうすればいいかわからなくなって、夢中で彼女を突き上げた。


「んっ…ぁっ…やぁっ…」


舞美ちゃんの口から、ちょっとだけ声が漏れる。最後まで…ボクの望んだリアクションは出なかったけど、それはそれでしょうがない、と思うしかない。
ボクも気持ちよくなりたいし、彼女にも…そうなって欲しい。そう思いながら、体全体で彼女を貫く。


「…も、もう、でそう…」

「…いいよ…いっ…て…」


そして、ボクは…その言葉を聞いた途端に…頭全体が真っ白になって…体が一瞬、ぎゅんっ、となってから、ゴムの中に、白いエキスを射出した…
835fusianasan:2011/02/24(木) 20:48:36
事が終わって、ボクは舞美ちゃんの横に倒れ込んだ。体は快感の余韻に満たされてはいる。でも、心の中は空っぽになった気分だ。
もしかして、自分が射出したのは白いエキスだけじゃなくて、心の中の『何か』も一緒に射出してしまったのだろうか。


「ごめんね…あんまり、気持ちよく、なかった、よね…?」

ボクは申し訳ない気持ちでいっぱいになって、とりあえず舞美ちゃんに謝った。

「…そんなことないよ。○○くん…優しく…抱いてくれたから…嬉しかった


彼女はそう言う。でも…嬉しかったにしては…あまりにも…反応が鈍かったような…
ひょっとして、舞美ちゃんは俗に言う『マグロ』ってやつなのかもしれない。ボクが愛撫を始めてから、彼女は体を動かすことが
ほとんどなかったわけだし。
でも、いつもあれだけ活動的な彼女が、こういう時だけ動かなくなるってのも、ちょっと妙な話だなぁ…

「あんまり…声、出さない、方、かい?」

気になっていたことを、ボクは恐る恐る訊いてみた。

「…知りたいの?それを」

「…いや、その、まあ…」
836fusianasan:2011/02/24(木) 20:49:10
舞美ちゃんは表情を変えなかった。そして、ポツリと言った。




「私の意志で…男の子と…セックスしたのは…今日が…最初だったから」




(つづく)
837fusianasan:2011/02/26(土) 22:29:53.73
>>836

「…それ、どういうこと…?」

ボクの問いに彼女は何も答えなかった。ただ、ボクの唇の前に指を持って行き、『これ以上何も言うな』というリアクションをした。

「それ以上は、訊かないで。○○くんのことは…大切な友達だと思ってるよ。思ってるけど…言いたくないことも…あるから…さ」

そして、彼女はボクの体にもたれかかる。ボクは彼女を優しく抱いた。耳元で、彼女が呟く。


「…気持ちよかったよ…ごめんね…もっと、声、出せば…よかった?」

「いや…気持ちいいなら…いいよ…それで」

そう言ってはいるが、ボクの心の中は疑心暗鬼状態だった。一体、この子は何なのだ。今まで明るい笑顔の陰に隠されていた、
彼女の『謎の部分』を一気に見てしまった気がする。
838fusianasan:2011/02/26(土) 22:31:59.24
「多分ね、○○くんが…本当の私を知ったら、きっとガッカリすると思うよ…」


またこのセリフを思い出してしまった。ってことは…今、ボクの目の前にいる…一糸纏わぬ舞美ちゃんは…『本当の舞美ちゃん』なのだろうか。
…それさえも分からなくなりそうだった。

疲れのせいか、ボクは頭の中がずっと混乱しっぱなしである。本当は…もう一度彼女とつながりたい気持ちもあるけれど、体がそれを許してくれそうにない。

「寝ようか…少し」

ボクがそう言うと、舞美ちゃんも頷いた。そして、彼女はまた…ボクが予想もつかないような…みんなが彼女に対して抱いているイメージとは全く違うようなこと…
を口走るのである。

「どっちがいい?服着て寝るか…裸のまま寝るか」

「え?は?」

驚いた。女の子と裸のまま寝るなんて…やったことがないことだ。でも、彼女は『だからどうしたの』というような風でこちらを見ている。
839fusianasan:2011/02/26(土) 22:32:57.39
「ねえ…その…恥ずかしくとか…ないの?」

「…だって、もう…全部見せたじゃん、お互い。二人の間なら、いいけど、でも…」

そう言うと、舞美ちゃんはボクの目を見て…ゆっくりと続きを話し始めた。

「お互い『誰にも言わない』ってことは…そういうこと、なんだよ。お互い、裸になって、セックスして…それを誰かに知られたら、お互い困ること、でしょ?
 …だから、『誰にも言わないで』って念を押したの。分かる?」

「…まあ、一応は」

「…だから、朝になったら、今日のことは…忘れて」

改めて、彼女に強く念を押されてしまった。ボクの目を見据えて話す舞美ちゃんに、逆らうことなどできそうもない。

「…わかった」

ボクには、そう答えるのがやっとだった。

「…じゃあ…このままで寝よう…
 いいよ。体、触っても。それを…ちゃんと忘れてくれるなら」

彼女に手を引っ張られて、ボクもベッドの中に入った。言葉通り、彼女はボクが体に触れても、拒絶反応を示すことはなかった。
840fusianasan:2011/02/26(土) 22:35:18.33



朝になった。ボクが目覚めると、彼女はすでにシャワーを浴びて着替えを終え、いつでも帰れる準備をしていた。

「お金…どうしようか…」

「いいよ。私が払うから」

結局、お金は彼女が払ってくれた。ボクは申し訳ない気持ちでいっぱいになった。



駅。

「じゃあ、また学校で!」

「…うん」

ボクは…彼女のことが、分からなくなった。
(第二章 終)

寒い夜だから… trf-1993
ttp://www.youtube.com/watch?v=4OMa_eaTJ8o
841fusianasan:2011/02/26(土) 22:37:45.10
(´・ω・)っ(第三章 予告)

『ボク』は訊ねた、『彼女』のこと
『ボク』は知った、『彼女』のこと
『ボク』は愛した、『彼女』のこと

(´・ω・)っ(明日か来週以降連載予定…)
842fusianasan:2011/02/26(土) 22:41:23.34
|ω・)っ(作者からのお知らせ)

実は、この話は昨日で完了させようと思っていたのですが
昨日投稿しようとすると『バイバイさるさん』に引っ掛かったというメッセージが出ました
どうやら、このスレ(もしくはこの板?)で同じIP(つまり同一人物)が一定割合以上投稿してると引っ掛かるらしいです

それを知った時は『もうここで連載できなくなるのか』とショックを受けてしまいました
幸い、今日は何とか回避できて、第二章終了までこぎつけましたが…
同じことがまた起こらないかと心配しています

なので、読まれた方は…何でもいいです、本当に何でもいいので
このスレに何か書き込んでいただけると幸いです
それが連投規制回避にもつながるようなので…

|ω・) まだ正式に決まったわけではないんですが、第二編、第三編、第四編は『四章構成』になる予定です
    なので、文字数も多くなりそうです 次にまた引っ掛かったらどうしようか…と心配しております
    皆さんのご協力が必要です 重ね重ね、お願い申しあげます
843fusianasan:2011/02/26(土) 22:46:16.72
なるほど、そういう効果(?)もあるんですな…
読んでますよ、どうかラストまで続けて下さい
844fusianasan:2011/02/26(土) 23:26:47.06
自分も楽しみに読んでますよ
ガンバ
845fusianasan:2011/02/28(月) 06:43:06.76
期待sage
846fusianasan:2011/02/28(月) 19:33:32.97
テスト
847fusianasan:2011/02/28(月) 19:35:59.44
期待を込めて小説を贈ります!


エロなしの下手くそですけど.....
848fusianasan:2011/02/28(月) 19:38:09.94
「バレンタイン」
849fusianasan:2011/02/28(月) 19:41:39.28
二月十四日は非常に失礼な一日である。もてない奴に。

しかも最近は友チョコなど不必要な風流が出来始めて、男子にあげる量が明らかに減っている(ような気がする)。

そんなろくでなしの俺達にだってチョコ一個くらいくれたっていいじゃないか!


「よっす!」


突然頭を叩かれる。幼馴染の梨沙子だ。


「やあ、チョコの収穫はどうだい?」

「お前わかってて言ってるだろ」

「へへっ!」
850fusianasan:2011/02/28(月) 19:44:05.41



笑いながら袋にあるチョコを机に置く梨沙子。恐らくその袋の中は友チョコだけではなさそうだ......


「君って本当に相変わらずだね。いっつも貰えなくて机にベタ〜って貼り付いて落ち込んでる」

「うるせ〜」

「かわいそうに。誰かこの人にチョコを恵んであげてください!」


ニヤニヤしながらいいやがる。
851fusianasan:2011/02/28(月) 19:46:26.10



「あ、そうだ!梨沙子チョコ余ってないのか?」

「え?」

「幼馴染のよしみでさ、チョコくれないか?」


冗談混じりに聞いてみた。すると突然困ったような表情をしてきた。


「ん?」

「.....ざ、残念!チョコ余ってませ〜ん!!」

「ちぇっ、本当に残念だよ」


俺は席を離れた。しかしその時も何故か梨沙子は困っていた表情をしていた。
852fusianasan:2011/02/28(月) 19:48:35.56



学校の帰り道、タバコを吸いながら歩いていると突然後ろからバックで叩かれた。


「いってえな!」

「こらこら〜未成年者がタバコ吸っちゃいけないよ」

「.....なんだ梨沙子か」


いつもならそこで喧嘩が始まるのだが梨沙子なら別だ。ま、これも幼馴染のよしみってやつかな?
853fusianasan:2011/02/28(月) 19:51:34.17



早くも梨沙子の家の前に着いていた。俺の家はそのちょっと先だ。


「じゃあな」

「うん..... あ、そうだ!ちょっとここで待ってて!」


梨沙子は自分の家の中へ駆け出した。
854fusianasan:2011/02/28(月) 19:53:40.96


しばらくして梨沙子は何かを持ちながら家から出てきた。


「はい、どうぞ!」


それは綺麗にラッピングしてあったチョコレートだった。


「え!?」

「あ、勘違いしないでね!それ義理チョコだから!じゃあね!!」


梨沙子は頬を少し赤めて再び家に駆け出した。俺は思わずその後ろに見惚れてしまった。


855fusianasan:2011/02/28(月) 19:57:11.22
古参さん?の小説が読みたいが為、援護に参りました。

後、エロ小説まだ書けないので勉強したいです!


ホワイトデーでエロ小説書けたらなあ〜w

頑張ってください!
856fusianasan:2011/02/28(月) 21:32:50.01
857fusianasan:2011/02/28(月) 21:44:48.67
さげかたわからへん
858fusianasan:2011/03/01(火) 04:50:36.43
自分や (´・ω・)氏のメール欄を見なさい
基本的にエロ小説は荒らし対策でsage進行だし、(´・ω・)氏も警戒しているようなので守ってください

もしかして2ちゃん初心者か?sageなんて基本中の基本だが…
859fusianasan:2011/03/01(火) 04:55:20.16
支援支援!!
860fusianasan:2011/03/01(火) 07:59:14.52
初心者です......
861fusianasan:2011/03/01(火) 10:31:07.48
こう?
862fusianasan:2011/03/01(火) 18:02:25.77
まだかなぁ?
863fusianasan:2011/03/01(火) 19:10:27.77
sage?
864fusianasan:2011/03/01(火) 19:14:06.01
いや、(´・ω・)氏待ち
865fusianasan:2011/03/01(火) 20:29:26.56
板移転してたんだね
このスレだけ専ブラで開いてたから22日のやつまでで止まってていいところで中断してるなぁ
と思ってたw俺バカスwww
866fusianasan:2011/03/02(水) 00:15:41.07
>>840

第三章
―誰もが耳をふさいでる 痛みと囁きの世界で こわれたはずの宝物 きっとよみがえらせて―


『あの夜』から、しばらく経った。約束通り、ボクはあの時のことを誰にも言わずに、毎日を過ごしていた。
ただ、矢島さんとの距離はどこかで広がってしまった感じがする。現に学校で会った時も…彼女に、前よりもそっけない対応を
取られることが増えた、ような気がするのだ。

「今日だけ、ってのは…もしかして…」

友人関係もあの日で終わり、って意味だったのだろうか。シーズンが終わったらボクも『お払い箱』なのかな…それもまた何か
寂しいな、と思ってしまう。まあ、それを本人には言えるわけはないんだけど。
867fusianasan:2011/03/02(水) 00:16:21.90
気になるといえば、徳永さんのことも気になっていた。結局あの日彼女は一人で帰ったそうだが、その顔は憔悴しきっていた。
本当は彼女とも一緒にいてあげたかったのだが、成り行き上、ボクはどちらかを選ばざるをえなかったのである。

連絡を取ろうとしても思うように噛み合わない。電話に出てくれないことも多いし、メールを送っても返信が遅い。返ってきても
一言二言だけ。そんな調子だから、彼女の身に何かよからぬことが起こっているのではないか、と余計心配になってしまう。

「大丈夫かなぁ…」

ボクは彼女のことが心配でたまらなかった。心配し過ぎたおかげで、期末試験の結果は散々だった…って、それは人のせいにしちゃダメだけど。
868fusianasan:2011/03/02(水) 00:16:54.14
冬休みに入った。周囲の連中はやれ冬期講習だなんだといって塾に足しげく通っているらしいが、ボクはそんな気にはなれなかった。
まあ、それは表向きの理由で、本当はただ面倒だと思っただけである。
来年の今頃には…ボクも自分の進路を決めなければならない時期になっている。しかし、そのことをまだ…どこか他人事のように
捉えている自分がいた。ボクの未来の景色は、ボク自身ですら、まだ見えてはこないものだった。

「ボクは一体、何がしたいんだろう」

一人そんなことを考える。もっとも、考えたところで答えが出るものではない。矢島さんみたいに、生徒会であれこれ忙しく動き回って
いるような人なら、もしかしたら見えてくるものなのかもしれない。でも、ボクは彼女みたいに『優等生』ではない。
しがない、これといって見るべきものもない、ごくごく平凡な生徒である。

ただ…
869fusianasan:2011/03/02(水) 00:17:40.13
「ボクは…」

平凡に染められたボクの人生の中で、たった一つの例外がある。実は、その『例外』のすべてを知る者はボクしかいない。両親でさえ
、知っているのは一部始終と結果だけだ。友人も、知り合いも、そして、あんなに愛し合った佐紀にも…
ボクは一切そのことを告げていないのである。

世の中、『知らない方が幸せなこと』というのは確かに存在する、と思う。ボクの『例外』を知って、幸せな気持ちになれる人間はたぶん
この世に存在しないだろう。
それなら、この先も一切誰にも告げず、生きていた方がいいのだろう…その方が…きっとみんな…幸せになれる…
ボクはふと、そんなことを思った。


それと同時に、あの時できなかったことを今、やるべきだ、とも思った。あの時できなかったこと、それは…
870fusianasan:2011/03/02(水) 00:18:18.83
「助ける…ことだ」

そして、一人の少女の顔が思い浮かんだ。

「徳永さん…千奈美ちゃん…」

彼女をどうすれば助けられるだろうか。身も心も傷だらけの彼女に、ボクは一体何ができるのだろうか。何をすれば、彼女に喜んでもらえるのだろうか。
そして、彼女の『過去』を知るには、どうすればいいのだろうか…

もしそれを知った時に、ボクは今まで通り彼女と接することができるか。そう訊かれたら、正直『自信はない』としか言えなかった。でも、どんなことが
あったかは知らないが…やっぱり、ボクは彼女の『過去』を知りたい。受け止めて、同じように接する自信はないけれど、そうなるように頑張ることは
できるはずだ…

どんな受験勉強より、身近にいる傷ついた人を助けることの方が、よっぽど大事だろう、とボクは思った。勉強することは確かに大事。
でも、世の中には、きっと、もっと大切なことがある…はずだから。


ボクはそう誓って、徳永さんに電話をかけてみた。
…が、結局その日、彼女と話すことはできなかった。
871fusianasan:2011/03/02(水) 00:18:51.48
次の日の朝。さりげなく新聞を読んでいる時だった。


『オレンジキッカーズ アンドレ移籍へ 球団は慰留』


写真の入った大きな記事を見つけてしまった。やっぱり、去っていくのか…

ボクは矢島さんが前に言っていたことを思い出した。

「今年…上がれなかったら、多分キツいことになるだろうね」

その時のボクは大して意味もわからないまま、彼女の言葉をあっさり受け流したが、今になって、その言葉の意味に気がつく。
キツいことって、そういう意味だったのか。
まあ、オレンジキッカーズだけじゃなくて、ボクの周りの人たちも、みんないろいろとキツいことになっているんだけど…
872fusianasan:2011/03/02(水) 00:19:32.57
徳永さんから電話がかかってきたのは、その日の夕方だった。

「もしもし…」

彼女の声が暗い。『いつも明るく元気』が彼女の表のイメージだとしたら、多分この声を聞いた人はみんな驚くだろう。
でもボクは別段驚かなかった。なぜなら、あの傷を見てしまったから。

ボクは自分の話を最小限にとどめ、ひたすら彼女の話を聞き続けた。彼女はところどころ言葉に詰まりながらも、
オレンジキッカーズの話や自分の周りの話を喋り続けた。

『きっと…寂しかったんだろうな、千奈美ちゃん。誰かと話したくて、仕方なかったんだろうなぁ…』

そんなことを内心思いながら、ボクは彼女の話を聞いた。そして、ひとしきり話を聞いた後に、ボクは訊ねた。

「今度…会いに行っていいかい?千奈美ちゃんに会いたいんだ」

ボクは彼女の話をずっと聞いているうちに、彼女のことが他人に思えなくなってきたな、と感じていた。傷ついた彼女の
心の中を思うと、まるで自分が傷つけられたかのような心の痛みを覚えるのであった。
だから、『会いたい』というのは彼女のためというより、ある意味でボクのためでもあったのかもしれない。

「…いいよ…わたしもあいたい…から」

徳永さんは小さな声でそう呟いた。やっぱり、声に元気がない。
873fusianasan:2011/03/02(水) 00:20:04.27




ともあれ、ボクたちは会う約束をした。
クリスマスに。




(つづく)
874fusianasan:2011/03/02(水) 00:22:35.89
|ω・) ということで…第三章が始まりました 
    『千奈美の過去』がテーマになります…

>>847-855
|ω・) どうもありがとうございます
    梨沙子ちゃんと主人公がどうなるか、楽しみです
    またぜひぜひ書いてください…次はsageでw

|ω;) 話がどんどん膨らんでいって、まあそれはいいんですが、連投規制だけが心配です
    みなさん、ご協力をよろしくお願いします… 
875fusianasan:2011/03/02(水) 00:53:11.68
お疲れ様です
千奈美…
876fusianasan:2011/03/02(水) 07:18:04.66
千奈美〜(>_<)
877i121-117-210-227.s05.a001.ap.plala.or.jp:2011/03/02(水) 14:00:16.78
がんばってください!
文好きですよ!
878fusianasan:2011/03/02(水) 19:20:47.63
期待
879fusianasan:2011/03/02(水) 19:54:40.47
>>873

クリスマスのお昼。ボクは電車で三十分かけて、離れた駅まで出かけていた。
駅前で彼女…徳永さん…千奈美ちゃん…を待つ約束だったのだ。駅前は賑やかで、サンタに扮した人が陽気にプレゼントを配っている。
千奈美ちゃんも、あのサンタみたいな人…だと思われていたのだろう。いや、『思われていた』というか、ボク自身も最初はそう思っていた。
明るくて、元気で、素直な子だと思っていた。

だけど、それはボクの『思い込み』だったのかもしれないなぁ、と思う。
いや、それは何もボクだけの話ではなくて、彼女の周りのいろんな人がそんな『思い込み』を持っていたのだろう。
でも、彼女が…本当はそんな性格でなかったとしたら…
その『思い込み』は…危険なことになる…


そんなことを、ボクは一人、ふと考えていた。
880fusianasan:2011/03/02(水) 19:55:20.33
「お待たせー」

千奈美ちゃんがやってきた。思っていたよりは、明るい声と表情に見える。

「久しぶり。元気にしてた?」

「うん…まあ…」

彼女の表情がちょっと曇った。そしてすっきりしない返事だ。やっぱり、元気を取り戻してはいないのだろうか。

「人がいっぱいだね。今日はクリスマスだもんね」

「うん…」

会話が弾まない。ボクはこれでも一生懸命話を転がそうと努力しているんだけど、どうにもうまくいかない。
さてどうしたものか。
『千奈美ちゃん、どうしたら喜んでくれるかなぁ…』

ちょっと考えて、ボクはある提案をしてみた。

「どっか行こうか…あ、そうだ、せっかくだからプレゼントしなくちゃね」

「…何を?」

「千奈美ちゃんの好きなもの、買ってあげるよ」

「ホント!?ありがとう!」

途端に…千奈美ちゃんの顔に笑顔が戻った。多分安くはない出費を強いられるだろうが、彼女の笑顔が見られるのなら…
まあ、いいか、と思うことにした。
881fusianasan:2011/03/02(水) 19:56:42.13
サンタ…に扮した人…がプレゼントを配っている横を抜けて、ボクたちはデパートに入る。

「ねーねー、こっちこっち」

千奈美ちゃんが…自然に…ボクの手を引っ張って自分の行きたい方向へ連れていく。あれだけ沈んでいた人と同一人物とは
思えないくらい、彼女は能動的に動いていく。一体、どっちが本当の彼女なんだろうか…

「ね、これ…買ってくれる?」

千奈美ちゃんが指差した先には、オレンジの服を着たクマの人形が置かれている。サイズもそれなりにデカい。こりゃ、
安い出費じゃ済まないかもなぁ…


恐る恐る、値札を見る。税込九千八百円。


千奈美ちゃんとどこかへ出かけた時のことを想定して、ボクの財布の中には何枚かの野口英世が、そして財布の一番奥には
福沢諭吉が一枚鎮座ましている。まあ、これを使えば、払えないことはないなぁ…


…千奈美ちゃんのためだ、ここは思い切って奮発してしまおう。

「いいよ、買ってあげる」

「ホント!?やったぁ!うれしいもんにぃ!」

彼女の顔が輝いた。安くはない出費だけど、この笑顔が見られるなら、よしとしようと思った。
882fusianasan:2011/03/02(水) 19:57:27.80
その後、デパートの最上階で何か食べることになった。千奈美ちゃんが

「おーどんが食べたい」

と言うから、ボクは『おーどん』を食べることにした…でも、『おーどん』って何だ?よく知らないまま、ボクは千奈美ちゃんについていく。

「ここ」

着いた先はうどん屋だった。何だ、『おうどん』のことだったのか…
二人でうどんを食べた。

「えへへ…おいしい」

「そう?よかったよかった」

ボクが何かしてあげるたびに、千奈美ちゃんが笑顔を見せる回数が増えているのを感じる。まあ、何かする度に、それなりの出費が
必要になっているけれど…
でも、人のために何かをしてあげるのって、気持ちがいいものだ、と思った。千奈美ちゃんの笑顔を見たら、ボクまで嬉しくなってくる。

「もっと…千奈美ちゃんを喜ばせたい。もっと…彼女の心を楽にしてあげたい」

そのためには何をしてあげればいいのだろう。ボクが何をすれば、彼女は喜んでくれるのだろう。欲しいものを買ってあげることは誰でもできる。
でも、それだけじゃないはずだ、彼女の心を楽にする方法は他にもたくさんあるはず。じゃあ、それは何だろう…?

ボクはそんなことを一人考えていた。


「…ねえ、どうかした?」

「え?いや、あっ、何でもないよ、あはは…」

千奈美ちゃんがお茶を飲みながら、不思議そうな目でボクを見ていた。彼女に声をかけられて、ボクは慌てて我に返った。
883fusianasan:2011/03/02(水) 19:58:37.41
デパートを出て、ボクと千奈美ちゃんは再び歩き始めた。せっかく買ってあげたクマのぬいぐるみだが、それを持たされるのはなぜかボクである。

「…ねえ、どこ行くの?」

「え?私の家」

どうやらボクは千奈美ちゃんの家に連れて行かれるらしい。そういや、今までの人生の中で、女の子の家にお邪魔した記憶があんまりないなぁ…
佐紀の家にも結局行かずじまいだったなぁ…そんなことをふと思い出す。


千奈美ちゃんの家は十階建てマンションの三階だった。手慣れた手つきでオートロックを解除して、彼女が自動ドアの中へと入っていく。ボクは黙って
それについていった。

『ガチャッ』

ドアを開け、ただいまも言わず、彼女は家の中に入っていく。

「…おじゃましまーす…」

「…言っても無駄だよ?」

「えっ?」

「だって、いつも私以外誰もいないから」

千奈美ちゃんは吐き捨てるようにそう呟いた。なるほど…
どうやら、彼女の精神状態が乱高下し続けている理由の一つはこのあたりにありそうだ。いつも一人ぼっちでは、寂しい思いをしてしまうのも無理はない。
884fusianasan:2011/03/02(水) 19:59:04.64
ボクは彼女の部屋に通された。部屋にはオレンジキッカーズのカレンダーが飾ってある。一年最後の月、最後の一枚はアンドレの写真であった。

「この人、来年…どうするんだろうね」

写真を指差しながら、彼女に訊ねてみた。

「うーん…」

千奈美ちゃんが考え込んでしまった。それは多分、あまりいい知らせは期待できない、ということなのだろう。

「…残ってくれるといいね」

「…うん」

彼女の表情から、また笑顔が消えていた。
(つづく)
885fusianasan:2011/03/02(水) 20:00:29.80
|ω・) 先に予告しておくと…次からしばらく『とんでもなく暗い』話になりますので
    あらかじめご了承ください…

>>875-878
|ω・) どうもありがとうございます!

>>877さんに…
|ω・)っ服
886名無し募集中。。。:2011/03/02(水) 21:24:10.25
乙です
いつも笑顔の千奈美らしくない話になりそうで・・・
そんなのもアリなのかな
887fusianasan:2011/03/02(水) 22:11:03.23
こういう小説本気で大好き.....
続きが気になる〜!w
888fusianasan:2011/03/02(水) 22:49:56.74
早く続きが見たいです!
889fusianasan:2011/03/03(木) 02:05:57.94
おーどん保全
890fusianasan:2011/03/03(木) 22:31:56.17
>>884
ボクは別にサッカーの話『だけ』をしに来たわけではない。今、ボクが一番知りたいこととは何か。そう、『例のこと』
…すなわち千奈美ちゃんの過去のことである。
どうしても知りたい、しかしむやみに訊けるようなことでもなさそう、じゃあいつ、どのタイミングで探るのか…
別に誰かがそう意図したわけでもないことなのに、ボクは駆け引きに挑まされているような気分になった。


その後、ボクたちはしばらくサッカー絡みの話をしていた。会話が途切れた一瞬があった。訊くなら今だ。

「ねえ、訊いてもいい?」

「何?」

この質問は、訊くのにちょっと…いやかなりの勇気を要する。しかし、訊かなくてはならないことなのだ…とボクは内心言い聞かせて、
向き直った。

「その手首の傷跡、どうしたの?」

「えっ、これは…」

彼女が言いよどんだ。ボクは一気に心の中に溜めていた疑問を吐き出した。


「前から気になってたんだ。ただの傷じゃないよね、それ…
 何があったのか、教えてくれないか?」
891fusianasan:2011/03/03(木) 22:32:44.91
しばらくの間があった。向き直ったボクはその間、ずっと千奈美ちゃんの顔を見ていた。彼女はボクの顔を見ようとはしない。
会話が成り立たなくなった。ちょっとズバリと訊きすぎたかな、もう少しオブラートに包んだ物言いをすればよかったかな
…とボクが内心思い始めた時。


「…私のこと、嫌いになったりしない?」


千奈美ちゃんがそんなことを口走った。
892fusianasan:2011/03/03(木) 22:33:17.50
「それは聞いてみないと分からないさ…でも、ボクは千奈美ちゃんのこと、大切な人だって思ってるから…全部、話して欲しいんだ」

「その言葉…信じていいの?」

「…信じていいよ」


また少し間があった。ボクは黙って、千奈美ちゃんの手を握った。とにかく彼女に自分のことを信頼してもらいたかったし、話を聞く人間が
いるということに、安心してもらいたかったのである。

千奈美ちゃんの手は少しひんやりとしていた。そして、汗をかいていた。緊張しているのだろうか。


「…わかった。じゃあ…話す…でも、私のこと、嫌いにならないで?」

「…うん。わかった。約束する。千奈美ちゃんのこと、嫌いになったりしない。ボクは…ちゃんと、ここにいるから。そばにいるから」

「…ありがとう」

そして、千奈美ちゃんがゆっくりと『自分の過去』を話し始めた。ボクはそれを黙って聞いていた…
(つづく)
893fusianasan:2011/03/03(木) 22:38:26.68
|ω・) 一気に過去の核心に行ってもよかったんだけど、長くなりそうなので一回切りました…

>>886-889
|ω・) どうもありがとうございます!

シリアスな暗い部分とそこはかとないエロが入った話ですが
これからも御贔屓頂けると幸いです
894fusianasan:2011/03/03(木) 22:46:28.96
続きたのしみにしてます
895fusianasan:2011/03/03(木) 23:09:33.98
エロがなくてもいい(ry
896fusianasan:2011/03/04(金) 22:11:50.10
hos
897fusianasan:2011/03/05(土) 00:47:54.50
>>892


千奈美ちゃんの独白。

…彼女には歳の離れた姉がいた。姉は幼いころから進学校に通い、優秀な成績で卒業していったという。必然的に妹である彼女にも
同じような期待が向けられることになる。

それに応えようと、幼い彼女は親や周囲の人々に言われたことに素直に従い、育っていった。その生き方は…決して、彼女の本意とは
言えない部分の方が多かったのだろうが、『姉のようになってほしい』という周囲の期待には逆らえなかったのである。

明るい性格で周囲の言うことを素直に聞く彼女。しかし、それは彼女の素顔ではなかった。
本当は自分のしたいことをもっと探してみたい、自分のやりたいことを見つけてみたい、もっと遊びたかったし、楽しく生きていたいと思った。
でも、周囲の敷いたレールに一度乗せられてしまった時点で、すでにそれを言い出せる状態ではなかった…

彼女は、『周囲の期待する自分』と『本当の自分』のギャップに少しずつ疲れ始めた。しかし、その様子を他人に見せることができなかった。
家族を含めた周囲の人間が期待しているのは『元気な明るい少女』としての千奈美ちゃんの姿であって、決して『疲れた少女』の姿では
なかったのである。


そのことは千奈美ちゃん本人もよく理解していた。だから、できるだけ周囲の求める姿に合わせよう…と必死に努力した。
でも、心の中では…
898fusianasan:2011/03/05(土) 00:49:11.60
「本当の気持ちを…誰かに話したいって、いつも思ってたんだ。でもね、話したら嫌われちゃうんじゃないかって思って…言えなかったの」

「…お母さんとか、お父さんにも…言えなかったの?」

「二人とも自分の仕事が忙しくなって、私の話なんか聞いてくれなかったもん。言えるわけないじゃん」

「…」

一番近い距離にいるはずの人間でさえ、彼女には遠い存在だったようだ。両親相手でさえこれなのだから、後は推して知るべしである。



本意ではないまま、彼女は親に決められた高校…姉と同じ進学校…へと進学する。しかし、入りたくもないのに入ることになった
その高校では思うように周囲と馴染むことができないまま、彼女は失意の日々を送ることになってしまった。家でも学校でも
失意の日々を送り続けたことが、彼女の憂鬱をより深いものにしていく。
899fusianasan:2011/03/05(土) 00:50:00.09
そんなある日、

「すっごく気分が落ち込んでて、もうどうしていいか分からなくなってたのね?
 それで…お風呂入ってた時、『パッ』って見上げたら、
 目の前にカミソリがあるのが見えて…」



そして、彼女は初めて自分の手首を切った。



自分が『してはいけないこと』をしているのだということはちゃんと理解していたが、誰にも本音を話せないままストレスだけが
溜まり続けていた彼女は、『自分の体を傷つけること』をはけ口に選んでしまったのである。

「もう疲れちゃってさ、何もかもイヤになっちゃって…」

初めて手首を切ったら、やっぱり痛かった。切り口から赤い血が流れ出す光景も、高校生の女の子には結構衝撃的なものだった。
だから…怖くなって、その時は途中でやめた。

結果的に大きな傷ではなかったから、誰にも気づかれずに済んだ。
でも、一度覚えたこの行為を…彼女はやめられなくなってしまう。
900fusianasan:2011/03/05(土) 00:50:34.28
「自分のことなんてどうでもよくなってきて、何かね、止められなくなっちゃったの」

「痛くなかったの?そんなに何度もやって…」

「痛かったけど…だんだん…慣れてきた。血が出るのも、平気になっちゃった」

「…」

気がつくと、学校の成績もすっかり落ちてしまっていた。事を問いただす両親とケンカした彼女は、家を飛び出してしまう。


「もう…死んじゃいたかったんだ。私の味方なんて、もう誰もいないんだって思ってた」


901fusianasan:2011/03/05(土) 00:51:25.29
知り合いの家にこっそり泊まらせてもらったり、漫画喫茶に行ったり…いろんな場所で夜を明かしながら、彼女は一人、死に場所を探していた。
しかし同時に『せっかくなのだから、人生の最後に何か楽しい思いをしたい』と思ったそうだ。

あちこち彷徨っているうちに、彼女は街外れの公園にやってきた。公園の向こうから歓声が聞こえる。行ってみると、そこはオレンジキッカーズの
試合が行われているスタジアムであった。
彼女はそれまでサッカーの試合などほとんど見たことはなかったが、楽しそうな雰囲気なのを見て、思い切って入ってみることにした。
『人生最後の楽しみ』にするつもりで。



「そしたら、逆転勝ちしたんだ」

前半の2点ビハインドを後半で追いついて、アディショナルタイムのラストプレーで逆転勝ちする、劇的な試合だったそうだ。

「楽しかった。サッカーのルールなんて…あんまり分からなかったけど…久しぶりに『ああ、私、今、楽しいな』って思って…
 そしたら、今日は死ぬのやめよう、って思ったの。また試合見てから考えてもいいや、って思って…」

もう少しだけ生きてみよう、と思った彼女は久々に家に帰ることにした。そこで親と話をしたが、それはまだ表面的なものだった。
ぎこちない会話で、お互い本心を話したわけではなかったようだ。
902fusianasan:2011/03/05(土) 00:51:54.41
それからしばらく経って、彼女はまたオレンジキッカーズの試合を見に行った。そこで矢島さんに出会うことになる。

「席を探してたら、まいみちゃんが『ここ空いてますよ』って…たまたま、だったんだよね」

たまたま出会った人間が、今や彼女の最大の理解者になるとは、多分、お互い思っていなかったに違いない。


「帰りに話してるうちに、私が家出してたこと…知ったまいみちゃんが、自分の家に連れて行ってくれて…
 で、手首の傷のこと…訊かれて…」


千奈美ちゃんは、もう隠し事をしなかった。すべてを彼女に告白したのだという。
903fusianasan:2011/03/05(土) 00:52:32.96





「まいみちゃんね、何も言わなかったんだ。怒ったりせずに、私の話…全部聞いてくれて、最後に一言だけ…
『分かった。じゃあ、私が親友になるから、一緒に頑張ろう?』って…

 言ってくれた」




904fusianasan:2011/03/05(土) 00:53:05.44
矢島さんの力添えもあって、千奈美ちゃんは両親と和解した。両親も彼女の傷ついた心と体、追い込まれた精神状態をようやく理解し、
『敷かれたレール』の上から降ろして、彼女の心身を回復させることを決断したのである。


「で、結局…学校、辞めちゃったの。それで、病院に通うようになって…」


矢島さんは時間を見つけては、千奈美ちゃんのもとへ何度も何度も会いに来てくれたという。彼女の優しさに触れて、励まされて、
千奈美ちゃんは少しずつ『本当の自分』を取り戻しつつある…



それが、千奈美ちゃんの独白のすべてだった。
(つづく)
905fusianasan:2011/03/05(土) 08:37:53.34
なるほど〜しかし何故今も.....
906fusianasan:2011/03/05(土) 16:11:43.25
テスト
907fusianasan:2011/03/05(土) 21:10:43.42
>>904

すべてを話し終えた彼女が、ボクに呟いた。

「…暗い話ばかりで、ごめんなさい。私のこと…嫌いになった?」

「謝らなくていいよ、嫌いになんて…ならないさ」

ボクは何度も何度も首を横に振った。そうしているうちに、自然と自分の目頭が熱くなってきたのを感じた。そして、彼女を…なるだけ優しく…抱きしめた。

「嫌いになるわけないじゃないか…ちなみちゃん、頑張ったね…よく頑張ったね…本当に…よく頑張った」

自分の声が涙声になっていることには、ボクも気づいていた。この間の夜にしても…男が人前で泣くところを見せるのはちょっと恥ずかしいと思うけれど、
自然と泣けてきてしまったのである。

「ホント?」

千奈美ちゃんの声も、ボクと同じような涙声に変わっていた。

「当たり前だよ…ちなみちゃんのこと…ずっとずっと…大切にしたい…」

ボクはそう言って、一度涙を拭った。くしゃくしゃになった顔で、もう一度千奈美ちゃんを抱きしめた。
908fusianasan:2011/03/05(土) 21:11:28.99
「ボクじゃ頼りないかもしれないけど…ちなみちゃんのそばにいたい。一緒にいたいんだよ…」

前も書いたが、ボクはもう、彼女が他人には思えなかった。まるで…自分の妹のように…思えて、できる限り、愛してあげたかった。

「えへへ…何だか、ちなみのお兄ちゃんみたいだね」

まだ涙声のままな千奈美ちゃんが、そう言って笑った。それは作られた笑い顔ではない、彼女の本当の笑顔のように思えた。
そして、彼女の一人称が『私』から『ちなみ』に変わったことに、ボクは素早く気づいた。

「ふふ…そう呼んでくれて構わないよ。ボクだって…一度でいいから、妹、持ってみたかったし」

「え?きょうだい、いないの?」

「…まぁ、そんな感じ」

「へへっ…じゃあ…」

千奈美ちゃんが、上目づかいでボクの方を見た。そして、小さな声でボクにこう言った。



「ありがとう、おにい、ちゃん」



と。
909fusianasan:2011/03/05(土) 21:12:18.56
それは、ボクにとってたまらなく愛しい姿に思えた。もう一度彼女を抱きしめる。

「おにいちゃんの体…あったかいね」

「あったかいの、好きかい?」

「うん…あったかいの…好き…いっぱい…甘えたい…」

「いいよ」

しばらく抱きしめた後、ボクはそのまま…千奈美ちゃんを膝枕してあげることにした。空いた手を伸ばして、千奈美ちゃんと手をつないだ。
最初はボクの顔を見て嬉しそうにしていた千奈美ちゃんだったが、そのうちに安心したからなのか、そのまま眠りこんでしまった。
その寝顔は、安心しきった、とても安らかなものだった。

「おにいちゃん、か…」

ボクは…あることを思い出した。それは、あんまり思い出したくないことだった。だから、すぐにその記憶に鍵をかけた。
せっかく千奈美ちゃんと二人で…優しい時間を過ごしているのに…嫌なことは思い出したくない。
910fusianasan:2011/03/05(土) 21:13:06.55
結局、ボクは千奈美ちゃんを膝枕したまま夕方まで過ごすことになった。同じ態勢で居続けて、膝が痛い…

「わっ!もうこんな時間…ごめんね…」

「いや…大丈夫だよ。よく眠れた?」

「うん…ありがと」

そう答える彼女の顔は、今まで見えていた『ギスギスした感じ』が消え、とても穏やかなものになっていた。


「そっか…
 ごめんね、ボクは…そろそろ帰らなきゃいけないんだ」

「えっ…いやあっ…やだよ…もっと一緒にいたいよ…」

千奈美ちゃんが大いに寂しがった。これはマズい。何とかして、落ち着かせなきゃ。

「また会いに来るから…あっ、そうだ。千奈美ちゃんが来てもいいよ」

「…ホント?いいの?」

「いいよ。連絡してくれたら…家、空けとくから」

「じゃあ、今度行く!」

そう言って、千奈美ちゃんは笑った。よかった、何とかなったようだ。
911fusianasan:2011/03/05(土) 21:14:09.27
千奈美ちゃんはボクをマンションの入口まで、見送りに来てくれた。

「おにいちゃん…ありがとう」

「はは…何か、照れくさいね」

自分が望んだことなのに、改めてそう呼ばれると何だか照れてしまう。
でも、千奈美ちゃんの笑顔が見られるのは…ボクも嬉しい。

「ちなみ、今日のこと…絶対忘れないよ…ありがとう」

そう言って、ボクの方に歩み寄った彼女が…
912fusianasan:2011/03/05(土) 21:15:27.39

「…ん…」


ボクに、優しいキスをくれた。
あとで聞いたが、あれは千奈美ちゃんのファーストキス、だったそうだ。


(第三章 終)

『Hello,It's Me』 L⇔R 1994
ttp://www.youtube.com/watch?v=0JxDU63-kKI
913fusianasan:2011/03/05(土) 21:17:18.26
(´・ω・)っ(第四章 予告)

『ボク』にできること。
『彼女』を支えること。
『彼女』と繋がること。
『彼女』を愛すること。
そして、『彼女』は…

(´・ω・)っ(近日連載予定…)
914fusianasan:2011/03/05(土) 21:59:37.41
乙です!最高☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
915名無し募集中。。。:2011/03/05(土) 22:21:37.90
乙です!千奈美とは今回は関係を持てませんでしたね
次の展開が楽しみです

ところで"HELLO IT'S ME"と聞いてトッド・ラングレンしか頭に浮かばなかったんですがエルアールをつべで見たら聞き覚えがありましたW
結構有名な曲なのかな?
まあトッド・ラングレンを踏まえた歌詞なんでしょうが…
916fusianasan:2011/03/08(火) 00:49:27.40
更新止まりましたね
ペースが凄過ぎた、ちょっとぐらいは休憩も必要かもしれません
規制とかだったならすみません…
917fusianasan:2011/03/09(水) 21:43:18.15
さみしいよ〜
俺の小説の方が更新速いというねw
918fusianasan:2011/03/12(土) 21:13:37.15
更新・
919fusianasan:2011/03/16(水) 17:11:22.83
これワンクリ詐欺かと最初思ったけど、
全然チゲーし。疑ってスマソ。
http://nakanishi-rina.info/sounyuu.html
920fusianasan:2011/03/22(火) 20:31:52.83
リア消とかこの本家とか復活しないかね
921fusianasan:2011/03/22(火) 21:05:13.46
ライトスタッフさんも完成させるつもり、と言っていたから復活して欲しいな
欲を言えば春さんの続きも是非読みたい
922fusianasan:2011/03/22(火) 22:48:02.60
ライトスタッフ続きみたい
923fusianasan:2011/03/22(火) 22:52:20.05
っていうか、(´・ω・)氏ハロプロドラフトスレで見つけた
今俺、規制中だから誰か読んできてよ
924fusianasan:2011/03/22(火) 23:18:42.52
|ω・)  どうも、ご無沙汰しております…
     顔を出せずに申し訳ありませんでした
     PCが壊れたり、修理に出して戻ってきたらまた壊れたり、また修理に出したりで
     すっかり時間が経ってしまいました


|ω・)  例の地震とは無縁の地にいたんですが…いろいろと考え込んでしまいました
     考え込んでいるうちに…筆もすっかり止まってしまいましたが
     また始めなきゃいけないな、と思っております

|ω・)  止まったままの話は近日再開予定、ということにさせてください(具体的に何日、とは書けないんですが…)
     改めて、またよろしくお願いいたします
925fusianasan:2011/03/22(火) 23:33:54.77
期待待ち
926fusianasan:2011/03/28(月) 21:19:52.78
>>912

第四章
―太陽がオレンジをぶちまけて フィルター越し空を見上げれば ボクだけの一等星が かすかに輝いてた―


月日が流れて、年が明けた。
結局、アンドレは二部リーグからトップディヴィジョンへと昇格したチームに引き抜かれて行った。オレンジキッカーズは後釜の補強に
動いてはいたが、結局、背番号発表の日に間に合わず、彼が付けていた背番号10は空き番号となりそうな雰囲気だった。


ボクと矢島さんは相変わらず微妙な関係のまま、毎日学校で顔を合わせていた。
それなりに会話はするが、弾まない。どこかよそよそしさが付きまとう感じ。
そのことにお互い気がついてはいたのだろうが、だからと言って別に何かが変わるわけでもなく…関係に何の進展もないまま、日々が
過ぎていた。

千奈美ちゃんは少しずつ心の平穏を取り戻しつつあったが、時々不安定な状態に陥り、ボクはその度にメールや電話、時には会いに
行って彼女を励ました。
927fusianasan:2011/03/28(月) 21:20:17.90
そんな、ある日。家に帰って携帯電話を見ると、千奈美ちゃんからメールが届いていた。
『今度、おにいちゃんのところに会いに行きたいな。空いてる日、ある?』という内容だった。
そういえば、来週の火曜と水曜が入試準備で学校が休みになる、ということをボクは思い出した。その両日なら昼間はボクしか家にいない。
ボクしかいない方が、千奈美ちゃんも来やすいだろう、と思う。

その旨を返信すると、来週の水曜日がいい、という。話は決まった。
928fusianasan:2011/03/28(月) 21:21:03.31
その日。ボクは朝から部屋を片付け、部屋の中の暖房を強めにして、彼女が暖かく過ごせるような環境を作っていた。
そして、千奈美ちゃんを迎える上で、何をすべきで何をすべきでないのか、一人思案するのである。

「どうすりゃいいのかな…」

ボクだって、人並みに悩みや疑問を抱えながら生きているし、他人に言えないことだってある。ただ、それが元で体を壊したり
心を病んだり、そんなことが起こっていないだけだ。
千奈美ちゃんみたいになっていた可能性だって、多分低くはなかったんだと思う。そして、ボクのこれからの人生が今までと
同じように進んでくれる保証はどこにもない。


そう思うとボクはなおさら、千奈美ちゃんのことを大切にしてあげなくては、と思うようになった。彼女の姿は…
もしかしたら、将来のボクの姿なのかもしれないのだから。


ただし、ボクはあることで、千奈美ちゃんに対して少々の罪悪感を感じていた。


あのクリスマスの時。
ボクは…二つほど、彼女に嘘をついた。


小さかろうが大きかろうが、嘘をつくのはよくないことだ。でも、世の中、本当のことを知らない方が幸せな時だって…あるだろう。
彼女に嘘をついたことを謝るべきなのか、それともそのまま嘘をつき通す方が幸せなのか。
ボクは駅へと向かいながら、それを思案していた。
929fusianasan:2011/03/28(月) 21:21:33.91
お昼の駅。ボクは千奈美ちゃんをホームで待っていた。電車が大きな音を立てて駅に止まる。
中からオレンジ色の服を着た女の子が出てきた。千奈美ちゃんだと、すぐに分かった。

「お待たせ」

「うん、いらっしゃい」

ボクが手を差し出すと、千奈美ちゃんは笑顔でその手を握ってくれた。前はボクと話すのもどこかおどおど、不安げな感じだった彼女が、
自然に手を握ってくれている。ボクはそのことがとても嬉しかった。と同時に、

「今日は…調子、よさそうだな。このまま持ってくれたらいいな」

そんなことを思っていた。
(つづく)
930fusianasan:2011/03/28(月) 21:22:47.57
|ω・) というわけで、いろいろありましたが、ようやく連載再開です お待たせいたしました…


|ω・) これからも何卒よしなに… 連投規制の関係もありますので 感想等々 ぜひお書きいただけたら 幸いです
931fusianasan:2011/03/29(火) 10:05:59.08
ついにキタ!
乙です☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
932fusianasan:2011/03/29(火) 22:24:20.60
>>929
そして、千奈美ちゃんがボクの家にやってきた。とりあえず、彼女を『暖めた』自分の部屋へと通す。

「おじゃま、します」

「どうぞ。何もない部屋だけど」

彼女に温かい麦茶…本人の言うところの『ぬぎちゃ』を入れてあげた。ボクがそれを彼女にすすめると、彼女は嬉しそうに飲んでくれた。

ボクたちはしばらくとりとめのない話をした…というよりは、千奈美ちゃんの話をボクがずっと聞く感じになった。調子のいい時の千奈美ちゃんは
割と話好きだから、ボクが聞く分には苦にならない。

でも、彼女の心は脆くて、取扱注意な『ガラス細工の心』。壊れないように、壊さないように、慎重に扱わなくては…と思いながら、彼女の話に相槌を
打つボクであった。
933fusianasan:2011/03/29(火) 22:25:05.98
しばらく話すと、千奈美ちゃんはボクの横…ベッドの上へとやってきた。

「どうしたの?床の上、寒い?」

「ううん…そうじゃないよ。でも…」

そう言うと、千奈美ちゃんはボクの手を取って、こう呟いた。

「ねえ…おにいちゃん、ぎゅーって、して?」

「ぎゅーって?…こんな感じ?」

ボクは千奈美ちゃんをゆっくりと、しかし強く抱きしめる。


「こう?これでいい?」

「うん…えへへ、あったかいね」

「…しばらく、こうしてよっか?」

「うん」


千奈美ちゃんを抱きしめたまま、ボクはゆっくりと体をベッドへと倒す。どすーん。二人の体がベッドに倒れた。

「痛かった?」

「大丈夫」
934fusianasan:2011/03/29(火) 22:25:47.33
ボクの腕の中で、千奈美ちゃんはとても優しい顔になっていた。その表情を見るにつけ、ボクは彼女のこれまでの…心の傷を思い、
そして、自分が彼女にしてあげられることは何だろう、と自問するのだった。

「おにいちゃんの腕の中にいるとね、ちなみ、安心するのね」

「そう?何でだろう?」

「わかんない…でも…」

千奈美ちゃんが、ボクの唇にそっと指を伸ばす。

「ん…」

その指を、無意識のうちにそっと舐めるボク。ゆっくり、丁寧に彼女の細い指を舐めてゆく。

「えへ…ちょっとくすぐったいよぉ」

ちゅぱ…ちゅぱ…愛撫するように、彼女の指をゆっくりと舐めあげた後、ボクは彼女の手首を見た。至近距離で見る彼女の手首は…
ボクが予想していた以上にまだまだ傷跡が残っていて、それが十分には治りきっていない分だけ、とても痛々しく見える。
なるほど、これはリストバンドで隠した方がいいだろう…ボク以外の人が見ても、きっとそう思うはずだ。

「こんなに…傷跡…あったんだね…」

「いやぁっ…あんまり見ないで…」

千奈美ちゃんはそう言って恥じらうが、ボクはそれに構わず、傷跡を指先で撫でた。瘡蓋の独特の感触がボクの指に伝わる。

「痛い?」

「…大丈夫…でも…ちょっとくすぐったいかな?へへっ」

千奈美ちゃんの笑い声は安心した笑い声だった。彼女はボクに心を開いてくれている、そう確信した。それなら…
935fusianasan:2011/03/29(火) 22:26:38.19
「ちなみちゃん…キス、しよっか?」

ボクはそう訊ねた。千奈美ちゃんは優しい表情を崩さぬまま、小さく頷いた。そして、ゆっくりと彼女が目を閉じる。


ちゅっ。

ちゅっ。

ちゅっ。


ボクと千奈美ちゃんは、しばらくの間…何度も口づけを交わした。それは佐紀や矢島さんとボクが交わしたような激しいものではなく、
唇と唇を軽く触れさせるだけの優しいものだった。でも、今のボクと千奈美ちゃんの間なら、それで十分だと思える。いつもいつも
激しくする必要なんてどこにもない。今の千奈美ちゃんには…とにかくなるだけ優しく、そしてありったけの…愛情をこめてあげたい、
ボクはそう思っていた。

「えへへ…おにいちゃん…好き」

「うん…ボクも…ちなみちゃんのこと…本当の…妹だって、思ってる…だから…」

ボクはここしばらくの間ずっと自分が考えていたことを、敢えて千奈美ちゃんに問うてみようと思った。本人の口から希望が聞ければ、
それに越したことはない。それができることなのか、できないことなのかはともかく…

「ちなみちゃん…教えて欲しいんだ。ボク…何したらいいかな?」

「えっ?」

「何すれば、ちなみちゃんが一番喜んでくれるかなぁって…ずっと考えてたんだけどさ、いい答えが思い浮かばなくて」
936fusianasan:2011/03/29(火) 22:27:53.24
「うーん…」

千奈美ちゃんが考え込んでしまった。しまった、やっぱり訊いちゃいけなかったか。自分で察して判断するべきだったかなぁ…

ボクがそんなことを思っていたら、千奈美ちゃんが口を開いた。

「うちは…おにいちゃんと一緒なら…それでいいよ」


そう言って、彼女がまたボクに抱きついてきた。ボクは拒まず、好きにさせることにした。千奈美ちゃんの体がボクの上に完全に乗った形になる。
千奈美ちゃんがもぞもぞと体を動かして、自分の顔をボクの顔のところへ持ってきた。そして、彼女が…黙って目を閉じる。唇が近づく。

ちゅっ。

ちゅっ。

ちゅっ。

またキスをした。でも、千奈美ちゃんは…ゆっくりと目を開けると、ボクにこう言うのである。

「まだ…つづけて…ほしい…の」

それは…キスを続けて欲しい、ということなのだろうか。それとも…


「つづけたら…止められなく…なっちゃう…かもよ?…いいの?」

ボクは、千奈美ちゃんの『ガラス細工の心』を壊すのだけは嫌だった。だから、彼女にこんな質問をしたのである。千奈美ちゃんが『嫌だ』と言えば、
即座に止めるつもりだった。それが、彼女への優しさだと思っていた。

でも…
937fusianasan:2011/03/29(火) 22:28:39.10
「とめないで…おにいちゃんと…いっしょがいい…うちは…」


一瞬の間があった。千奈美ちゃんが少し呼吸を整えた、ように見えた。そして、呼吸を整え直した彼女は、ボクにこう言った。

「うちは…おにいちゃんといっしょなら…へいき…だから…」

「…後悔、しない?」

「…しないよ。おにいちゃんのこと、すきだから」

彼女は…ボクを求めている。壊してはいけない、でも、求められていることを拒むのもよくない…どうすべきか…
でも、頭の中の葛藤とは裏腹に、ボクの体は正直だった。


「おにいちゃん…あたってるよ」

「…えっ?」

ボクの『それ』が、いつの間にか…ズボン越しではあるが…千奈美ちゃんの太ももに…当たっていたらしい。千奈美ちゃんに
言われるまで、気付かなかった…


でも、千奈美ちゃんは怒らなかった。
938fusianasan:2011/03/29(火) 22:29:06.77
「おにいちゃんの…おっきいんだね…」


ボクは…負けた。完全に心を開いた…千奈美ちゃんの…無邪気な誘惑に…勝てなかった。


「ちなみっ!」

夢中で、彼女にキスをした。今までの優しいキスではない。激しく、彼女の口内に舌を侵入させ、彼女の舌を舐め回す。

「んんっ…」

千奈美ちゃんは驚いたようだった。まあ、それはそうだろう。今まで『優しい兄』だった男が、突然豹変したかのように
激しいキスを求めてくるのだから。


でも、ボクはもう止められなかった。
(つづく)
939fusianasan:2011/03/30(水) 21:06:49.81
乙です!
940fusianasan:2011/03/30(水) 22:53:42.06
>>938

キスを続けながら、彼女の胸へと手を伸ばす。それほど大きいわけではないけれど、ちょうどいい大きさの胸…だと思った。

「やっ…ちょっとぉ…」

千奈美ちゃんはそう言うが、その声はどこか…安心したものに聞こえた。ボクになら触られてもいい、と思っているのだろうか…
ボクはそんなに…信頼に値する人物じゃない…のに。

「ねえ…この中、見て、いい?」

「ええっ?いやぁっ、はずかしいよ…」

「見せて…ちなみちゃんの全部…全部知ったら、もっともっと…大事にできそうな…気がするんだ」

ボクの言葉に、千奈美ちゃんは再び、小さく頷いた。その目には怯えや不安の色は見えず、やはり、どこか安心した風に見える。




「脱がせて…いい?」

「…いいよ」
941fusianasan:2011/03/30(水) 22:54:21.58
彼女の心がガラス細工なら、彼女の体もまた同じくらい、繊細で壊れやすいものだった。そして、手首には彼女の『悲しみの歴史』の爪痕が、
まだ残っている。
これ以上、それを繰り返させてはならない。

「見せてね…丁寧に…するから…」

オレンジの上着を脱がせ、その下のシャツも脱がせると、千奈美ちゃんの上半身にはライトブルーのブラジャーだけが残された。小麦色の
健康的な肌に、さわやかなライトブルーの下着。でも騙されてはいけない。彼女はその健康的な肢体の陰に、たくさんの傷跡を背負っているのだ。

みんな、一見しただけの印象に騙されて、最初はそのことに気がつかない。ボクもそうだった。それ故に、千奈美ちゃんは誤解されて、苦しみ続けた。
本当は、誰よりも繊細で、守ってもらいたかったのに。



その苦しみから、彼女を解放するには…

『彼女と…一つになること…』

そう、その苦しみを…ボクが…同じ様に背負えたら…彼女の肩の荷も、少しは楽になることだろう。だから…一つになりたい。体と体、心と心がつながれば…
きっと、千奈美ちゃんのことを…もっと…愛せるはず…


そんなことを、ボクはふと考えた。
942fusianasan:2011/03/30(水) 22:54:57.19
ゆっくりと、フロントホックに手をかける。あっさりと外れた。

「ん…」

千奈美ちゃんにもその感覚は伝わったらしい。彼女は瞼を閉じたまま、ボクの行為を甘受している。


彼女の二つの乳房が、ボクの前に晒された。小麦色の肌に、少し白さが加わった…そのコントラストが…どこかアンバランスな感じに思えて、
それがまた、不思議な美しさを醸し出していた。


「きれいだね」

「…ホント?」

「うん…とっても…きれいだよ」

千奈美ちゃんが瞼を開いた。ボクと目が合う。彼女が優しく微笑んだ。ボクがゆっくりと口を開く。

「最後まで…したいって言ったら…怒る?」

その言葉が何を意味するかは、千奈美ちゃんにも分かっているはずだ。


「…痛く、ない?」

「ん…最初は痛いかもね。でも…」

ボクは千奈美ちゃんの手を握った。彼女の掌が、少しだけ汗ばんでいた。


「大丈夫。嫌な思い出に…ならないように…するから…」
943fusianasan:2011/03/30(水) 22:55:50.20
そして、二人の唇が、また触れた。



ちゅっ。

ちゅっ。

ちゅっ。


ボクはあることに気がついた。千奈美ちゃんは、キスをされるのがとても好きなようだ。ボクがキスをすればするほど、彼女は気持ちよさそうに、
表情をうっとりとさせるのである。

「気持ちいい?」

「うん…おにいちゃん、キス…上手だから…」

再び目が合った。千奈美ちゃんは恥ずかしそうに、へへっ、と笑った。その様子がまた、とても可愛い。
944fusianasan:2011/03/30(水) 22:56:15.80
「じゃあ、最後まで…しちゃうよ?いい?」

「…うん」

千奈美ちゃんは小さくそう答えると、自ら腰を浮かせて膝立ちの状態になった。そして、残った服を脱ぎ始めるのである。


「これは…ボクが…脱がせてあげる」

「やぁぁん…はずかしい…」

「大丈夫…嫌な思い出には…絶対させないから…ボクに…任せて?」

ボクの言葉は、彼女にはとても説得力あるものに聞こえたらしい。千奈美ちゃんは観念したかのように、

「…わかった。じゃあ、おにいちゃんに…任せる」

と呟くのであった。
945fusianasan:2011/03/30(水) 22:56:53.69
上とお揃いの、ライトブルーの下着に手をかける。そのクロッチ部分は…色が少し濃くなっていた。そう、これは…

「ちなみちゃん…ここ…すごく…」

「いやぁっ…言わないでよぉ…」

本気で恥ずかしいらしく、彼女はボクに抱きついてきた。恥ずかしがっている顔を見られるのが嫌なのだろう。



「脱がすね?」

「…うん」

耳元で、そんな声が聞こえた、気がした。ボクはライトブルーの下着をゆっくりと引き下ろしていく。そして…

「ぜんぶ…ぬいじゃった…へへっ」

千奈美ちゃんは、生まれたままの姿になった。その姿はとても細くて、強く抱きしめれば折れてしまいそうなくらい、
華奢な姿だった。

『この細い体で…千奈美ちゃんは…一人で…頑張ってきたんだなぁ…』

ボクはそんなことを、ふと思った。
(つづく)
946fusianasan:2011/03/31(木) 00:15:32.70
wkwk
947fusianasan:2011/03/31(木) 21:47:58.95
>>945
「男の人の前で…こんな格好になるの…初めて?」

「…うん。はじめて」

「そっか…嬉しいな」

ボクがそう言うと、千奈美ちゃんは

「どうして?」

と不思議そうな顔をした。ボクはゆっくりと彼女を抱きしめると、耳元で囁いた。


「ボクに…はじめてを…くれる…って、ことでしょ?
それを喜ばない男なんて…いないよ」


ボクがそう言うと、千奈美ちゃんは小声でボクにこう言った。

「おにいちゃんだからだよ…おにいちゃんじゃなかったら…こんなこと…してないもん」

ボクが相手ではなかったら、彼女はこんなこと…男の上に跨って、一糸纏わぬ姿を晒すこと…をしていなかった、と言った。それを聞いた途端、
ボクはたまらなく嬉しくなってしまい、

「ちなみ…大好きだ…」

再び彼女の唇を求めた。
948fusianasan:2011/03/31(木) 21:49:06.73
ちゅっ。

ちゅっ。

ちゅっ。

「ん…おひーひゃん…ふひ…」


唇をふさがれた千奈美ちゃんが、言葉にならない声でボクにそう呟く。もっとも、言葉になっていなくても、彼女が何を言いたいかは
ちゃんとボクに伝わっている。



唇を離したら、自分の下半身がパンパンに張っているのがわかった。解放してやらないと、暴発しかねない勢いだ。
千奈美ちゃんが見ている前で…ボクは素早く、服をすべて脱いだ。


「おにいちゃん、ここ…すごい」

千奈美ちゃんが、暴発しそうなボクの『それ』を見て、目を丸くしている。

「これ…見るの…初めて?」

「…うん」

千奈美ちゃんはそう言うと、ちょっと恥ずかしそうなしぐさを見せる。それがまた、たまらなく可愛い。
949fusianasan:2011/03/31(木) 21:54:39.46





「ちなみ…いれ…ても…いい?」

「…いいよ」

消え入りそうな小さな声だったけれど、千奈美ちゃんは確かにそう言った。
ボクは彼女をやさしく抱きしめた。



そして…




ボクと千奈美ちゃんは、一つになった。



950fusianasan:2011/03/31(木) 21:55:43.58
いきなり律動を始めたら、千奈美ちゃんが痛がるだろう。彼女に痛みを与えないように、ボクはしばらくの間、体を動かさずにじっとしていた。
彼女の中はとても温かくて、彼女の『体温』がダイレクトに伝わってくる。

「あったかい…ちなみちゃんの…なか…」

できれば、長いこと…この『体温』を味わっていたい。ボクがそんなことを思いながら…ふっ、と目線を戻すと…千奈美ちゃんと目が合った。


「大丈夫?痛くない?」

「ん…だい…じょうぶ…」

彼女は目を細め、微笑んでいる。それを見て、ボクも微笑む。二人の唇と唇が近づいて…

ボクたちは、繋がったまま、キスをした。それはボクにとって、すごく幸せな時間に思えた。きっと、千奈美ちゃんも同じことを思っていただろう。
951fusianasan:2011/03/31(木) 21:57:45.70
ボクはゆっくりと、体を動かし始めた。千奈美ちゃんの中に、その動きが伝わる。

「やっ…ぁん…」

千奈美ちゃんが甘い声を漏らした。それを見て、ボクは少しずつ動きを加速させる。

「あん…ぁん…あん…」

だんだんと、彼女の漏らす甘い声が一定のリズムで発せられるようになってきた。少しずつ、快感が体を支配し始めたのだ、と判断した。

「ちなみ、どう?きもちいい?」

「うん」

千奈美ちゃんがボクの胴へと腕を伸ばした。その腕はボクの体に絡みつき、彼女がボクに抱きつく体勢になった。
それでも…ボクは体の動きを止めない。
そして…彼女の甘い声も止まらない。


「ちなみ!ちなみ!ちなみ!」

「おにい…ちゃん…すき!すき!しゅきぃ…」


そして…二人は…お互い頭の中が真っ白になるまで…お互いを求めあって…

「で、でるっ…」

ボクは反射的に『それ』を引き抜くと、千奈美ちゃんのお腹の上へと…白いエキスをぶちまけたのであった。
952fusianasan:2011/03/31(木) 21:59:20.39
「おにい、ちゃん…」

「ちなみ…」

千奈美ちゃんの入口を見ると、『初めての証』が少しだけ出ていた。ボクはティッシュでそれを拭き取ってあげた。幸い、ボクのベッドのシーツに
付着することはなかったようだ。

「すごい、いっぱい出ちゃったね。ごめんね」
ボクがそう言うと、千奈美ちゃんは笑って首を横に振った。

「ううん…平気だよ…最後に…おにいちゃんの…あったかいのが…おなかにかかって…ちょっと嬉しかった…」

そう言って、千奈美ちゃんは小さく笑った。ボクはたまらなくなって…もう一度、彼女をやさしく抱きしめた。
そして、ボクは彼女とシャワーを浴びて、体をきれいに洗ってあげた。

着替え終わったボクらは、再び『ぬぎちゃ』を飲みながら、のんびりとした時間を過ごした。千奈美ちゃんがボクのそばを離れようとしないものだから、
ボクらは体を寄せ合い続けることになった。

「ちなみね、夢があるんだ」

「夢?何だい?」

「えへへ…」
千奈美ちゃんが笑いながら、ボクの方を見た。

「いつか、おにいちゃんと…一緒に暮らせる日が来たら、いいなぁって…」

「そっか…いつかね…ボクがちゃんとした大人になったら…」

そんなことを答えながら、ボクはあることを思い出していた。
(つづく)
953fusianasan:2011/04/01(金) 10:26:37.37
むふふ〜ん ♪
954fusianasan:2011/04/01(金) 19:30:49.53
>>952

『昔、似たようなことを…言われて…似たようなことを…答えたっけ。あの子は…元気かなぁ…』
その少女には、長いこと会っていない。というより、その少女の存在は…佐紀にも、矢島さんにも、梅田さんにも話していないことだ。
もちろん、千奈美ちゃんにも…話してはいない。


それが、ボクがついた『嘘』の一つ…
『ボクだって…一度でいいから、妹、持ってみたかったし』



一度でいい…なんて嘘だ。
本当は…千奈美ちゃんと同じように…未来への約束をした、少女がいた。



「…わたしの、おにいちゃんになって?」

「…いいよ」

彼女はボクに心を開いてくれていたし、ボクも彼女のことを愛していた。千奈美ちゃんと同じように、ずっとずっと守ってあげたい、
と思っていた。


でも、ある時、彼女はボクの前から消えた。まあ、引っ越してしまった、というのが正しいけれど。
あの子とも…ボクは『いつか、大きくなったら、一緒に暮らそう』と約束したなぁ…もう、あの子は覚えていないかもしれないな…
そんなことを、ふと思い出してしまった。
955fusianasan:2011/04/01(金) 19:31:20.97



「…ねえ!おにいちゃん!どうしたの?」



「…えっ!?あっ、いや、何でもない…あはは」



千奈美ちゃんの声で、ボクは慌てて我に返った。結局、今回もボクはそのことを、千奈美ちゃんに話せなかった。
956fusianasan:2011/04/01(金) 19:32:12.21
夕方。千奈美ちゃんが家に帰ると言うので、ボクは駅まで彼女を見送りに行った。二人で手をつないで、駅まで歩いた。

「おにいちゃん…ありがとう。ちなみ、大人になれた気がする」

「そう?それなら…よかった」

ボクがそう言うと、千奈美ちゃんは

「ちなみ…大人になれたから…頑張る。おにいちゃんに迷惑かけないように、もっと頑張るからね!」

と言った。迷惑なんて、かけられた覚えはないけれど…とりあえずは、彼女の言葉をそのまま受け取ることにした。

「わかった。じゃあ、ちなみちゃんの…『優しい兄貴』でいられるように、ボクも頑張るよ」



改札口の向こうでボクに手を振ってから、一人電車に乗っていく千奈美ちゃんの後姿が、ボクには気のせいか、今までより少しだけ大きく見えた…
957fusianasan:2011/04/01(金) 19:32:54.17
それから、しばらくの時間が過ぎた。もうすぐ春がやってくる、二月の終わり。


千奈美ちゃんが、また学校に通うことになった。通うといっても、かつて通っていた学校ではない。ここからずっと南の島にある、
フリースクールに通うことにしたのだという。二年間無事に通えば、高校卒業の資格も取れるのだそうだ。

その話を聞いた時…ボクは賛成半分、不安半分だったが、千奈美ちゃんの

「自分で決めたことだから」

という言葉を聞いて、考えを改めた。本人がそう思っているのなら、快く送り出してあげよう、と思うことにしたのである。
958fusianasan:2011/04/01(金) 19:33:34.18
「ねー、これどこ持ってくのー?」

「あー、そっちじゃない!」

「それ、トラックに積んでー!」

二月最後の日曜日。ボクと矢島さんは千奈美ちゃんの引っ越しの手伝いをして…いや、させられていた。
久々に重い物を運んで、腰が痛い。あいたたた…


ドタバタしながら引っ越しの準備が終わり、ボクと矢島さんは千奈美ちゃんを駅まで見送りに行くことになった。

「ホントに…何から何までありがとうございました」

付き添いで島まで向かう千奈美ちゃんの母親がボクたちに頭を下げた。もっとも、母親も一週間で戻るそうで、そこから先は
千奈美ちゃん一人での生活だ。

「ちなみちゃん、一人で大丈夫?」

「ハハ…多分ね!」

千奈美ちゃんは笑顔だった。その笑顔がどこまで本当のものかは分からないが、今の千奈美ちゃんなら、きっとそれは
百パーセント本当の笑顔なはずだ、ボクは自分にそう言い聞かせた。
959fusianasan:2011/04/01(金) 19:34:45.16
「じゃあ、行ってくるね」

「寂しくなったら、いつでも電話しておいで」
ボクはそう言うと、ポケットからあるものを取りだした。

「これ、ボクたちからのプレゼント」

「…お守り?」

「そう。二人で…選んだんだ」
ボクと矢島さんが選んだお守り。千奈美ちゃんがこれから、また羽ばたけるようになることを願ったお守り。

「辛くなったらさ、これ見てさ、ボクらの顔だと思ってよ」

「えっ?それが顔?ちっちゃくない?」
矢島さんが茶々を入れた。

「あれ?お守り買う時に『ちなみにはこういう風に言おうよ』って言ってたのは、どこの誰だったっけ?」

「…誰だっけ?」

「あんただよ!」
別に漫才をしようと思っていたわけではないが、結果的にそうなってしまった。暖かな笑いが起こった。結果オーライ、ってやつだ。


「じゃあ、行ってくるね。おにいちゃんも、まいみちゃんも、大好きだよ!」


そして、千奈美ちゃんは南の島へと、旅立った。
960fusianasan:2011/04/01(金) 19:35:28.56
彼女を見送った帰り道。

「○○くん…ありがとね」

矢島さんがボクにそう言ってきた。

「どうしたの?急に」

「ちぃがね、教えてくれたんだ」

「何を?」

「○○くん、あの子に、クマのぬいぐるみ買ってあげたんだって?」

去年のクリスマスのことだ。ボクが千奈美ちゃんの『真相』を知った日。

「ああ…まあね」

「ちぃ、すっごく喜んでた。『私にお兄ちゃんができた』って、すごく嬉しそうだったんだよ」

ボクは何だか照れくさくなって、下を向いて苦笑いを浮かべた。



「あの子、一人でやっていけるかなぁ…」

「…うーん」

ボクも矢島さんも千奈美ちゃんを笑顔で見送りはしたが、正直、一抹の不安が残っていた。
でも、ボクらにできることはもうないのかもしれない。あとは、千奈美ちゃんが自分で切り開く道…
961fusianasan:2011/04/01(金) 19:38:51.13
「今はまだ錆びた羽でも、飛び立てる日が、くるでしょう、ってね…」

「それ、何の言葉?」

「ふふ…好きな歌の歌詞だよ」

それは、千奈美ちゃんへの願いであると同時に、ボクが自分で自分に言い聞かせた言葉でもあった。
ボクも、千奈美ちゃんも、矢島さんも、梅田さんも、それぞれが自分の夢に向かって羽ばたけたら…
そして、それぞれがそれぞれの形で応援している『あのチーム』がいつか、最高峰の舞台に辿り着けたら…

そんなことをふと思った。

綺麗な青空が広がっていた。今はまだ少し肌寒いが、これから暖かくなるのだろう。
来週は今年のリーグ戦の開幕だ。オレンジキッカーズは去年果たせなかった夢へと挑む日々が始まる。
ボクらもそれぞれ、また新しい日々が待っている。自分たちの未来へと向かって…


「じゃ、今日はありがとね。また学校で!」

矢島さんがそう言って、ボクに手を振った。ボクと彼女は、どうやら元の関係を取り戻せたようだ…

ボクも穏やかに手を振った。

「また、明日」
(第二編 終)

『オレンジ』 ザ・ベイビースターズ-2003
ttp://www.youtube.com/watch?v=2wQqWI3k7PI&
ttp://www.nicovideo.jp/watch/sm3661758
962fusianasan:2011/04/01(金) 19:43:17.18
(´・ω・)っ(第三編 予告)

『優しい同級生』が好きですか。
『一途な後輩』が好きですか。

『死ぬこと』は怖いですか。
『辛いとき』は何をしますか。

『あの人』に逢いたいと思いますか。
『あの人』を守る自信がありますか。

『あなた』は 誰を 愛しますか?

(´・ω・)っ(来週以降連載予定…)
963fusianasan:2011/04/02(土) 11:37:16.75
乙です!

落ちが本当に楽しみです♪(´ε` )
964fusianasan:2011/04/03(日) 02:57:35.66
愛わかめと恋こんぶ
965fusianasan:2011/04/04(月) 20:11:54.89
第三篇 Jungleのような日々の中 ボクを支えてくれた 彼女のSmile

第一章
―叶わない恋だと知ってても いつも 一番近くで 君を見てた―


千奈美ちゃんを見送って、数週間後。ボクは高校生活最後の一年を迎えようとしていた。
最終年度になれば、それぞれ各自の進路を決めなければいけない時期に差し掛かる。

「お前、どうすんの?」

「オレ?オレは大学行くよ」

「ボクも大学かなぁ…落ちたら専門」

各自がそれぞれ、好き勝手に将来の目標を語る。もっとも、入ってからのことを真剣に考えているヤツなんか稀で、大抵の人間は
『大学に入る』という目標だけが一人歩きを始めて、『とりあえず入れたらいいや』程度の思考になっていることが少なくない。
まあ、ボクもそうなんだけど…

「ボクも頑張らなきゃ…」

何を頑張るのかは自分でもわからない。わからないが、周囲の様子がだんだんと変わってくるのを見て、ボクは焦り始めるのであった。
966fusianasan:2011/04/04(月) 20:12:40.40
放課後。
近頃、ボクは放課後に一人で図書室に行くようになった。放課後の図書室なんか閑散としたもので、一人で勉強するには実にいい環境だ。
…それがどこまで自分のためになっているかは知らないが。

放課後の図書室通いを始めて、しばらく経ったある日の夕方。
『ガチャッ』
静かにすることが不文律である図書室の扉を、でかい音を立てて開けるヤツがいる。
せっかくマジメに勉強してたのに…リズムが狂うじゃないか…どうしてくれるんだ!
一言言ってやろうと思って顔を上げた。どうせ男がそこに立っているのだろうと思った。でも…

「あっ…ごめんなさい!」

それが、彼女との出会いだった。
967fusianasan:2011/04/04(月) 20:13:03.62
てっきり男が立っていると思ったのに、ボクの前に立っていたのは女の子だった。色白で、大人しそうな子である。

「すいません…大きな音立てちゃって」

「い、いや…いいよ別に」

一言言ってやろうと、いきり立った挙句の果てがこれである。我ながら実に情けないと思ったが、一度言ってしまった
以上、撤回はできない。
彼女は申し訳なさそうにボクにもう一度頭を下げて、そそくさと本棚の方へ向かって行った。ボクはそれを少し目で
追ってから、また勉強を再開した。
968fusianasan:2011/04/04(月) 20:13:27.24
それからしばらく経った。時計を見ると五時半過ぎである。ボクは勉強を切り上げ、家に帰ることにした。荷物を片づけて立ち上がると、
ちょうど本を読んでいた…さっきの女の子が視線を上に向けた。

目が合った。彼女はにっこりと笑って、ボクに会釈をした。可愛い笑顔だった。

図書室を出ても、帰り道の間もなぜかさっき見た笑顔がボクの記憶から離れなかった。はてさて、これはいったいどうしてか…

「ひょっとして、また一目惚れ、かぁ?」

佐紀の時みたいな展開になるんだろうか。いや、だがちょっと待て、今ボクはどういう立場に置かれているのか…

「受験生だからなぁ…」

そう、ボクは受験生。ここから…今までやってこなかった分まで…勉強に打ち込んでいかねばならない身なのである。
それなのに…色恋沙汰に現を抜かすなど…あってはならないこと。

「…ダメだ!」

ボクは慌てて、その考えを打ち消し…いや、打ち消そうと試みた。でも、心の中では…
名前も知らない彼女のことが、少しばかり気になっていたのは言うまでもない。

(つづく)
969fusianasan:2011/04/05(火) 09:31:39.13
乙!
いい展開(o^^o)
970fusianasan:2011/04/05(火) 20:50:29.47
>>968

ボクは毎日、放課後になるとノート…自分のノートと『勉強のできる』友人に借りたもの…を持って、図書室に通っていた。
毎日来ているとだんだんと顔も覚えられたようで、

「××君、今日も来てるねえ」

「はは…どうも」

図書室の担当教師と和やかな?会話を交わすようにもなった。


「えーと…」

図書室の奥から数えて三つ目の机に、ボクはいつも座るようにしている。特に理由はない。理由はないが、何度かそこに座っているうちに、
自然とそこを『指定席』にするようになった。

さて、今日も…と思って向かっていくと。

「あれ?」

先客がいた。誰だよ…



「あっ…」
971fusianasan:2011/04/05(火) 20:51:02.38
そこに座っていたのは、この間の女の子だった。どうも何かといろいろ縁があるらしい。

「また…会いましたね」

「ああ…うん」

こういう時、優しく丁寧に応対するのが紳士の条件なのだとしたら、ボクは明らかに、紳士ではない。我ながらもうちょっと何とかならないのか、
と言いたくなるくらいぶっきらぼうな対応であった。

「あっ…もしかして、ここ…」

ボクがなぜここに立っているかを、彼女が察したらしい。彼女は申し訳なさそうに声を絞った。



「いいよ、ボクはここに…座るから。いいよね?」

「…はい」

彼女が小声でそう答えた。ボクは彼女の隣に座った。
972fusianasan:2011/04/05(火) 20:52:12.61
「今…何年生?」

「二年生です」

「そっか…じゃあ、一個下か」

道理でなじみのない子だと思った。特に部活をやるわけでもなく下級生との付き合いがほとんどないボクのような人間には、
面識がないのも…むべなるかな。

「お名前は?」

「まあさです。須藤…茉麻といいます」

ほう、『まあさ』だなんて、何だかお菓子の名前のようだ…ってあれは『すあま』か。

…さすがにこんなバカなことを彼女には言えるわけはなく、ボクは頭の中でそのくだらないシャレを打ち消した。


「本読むの、好きなんだ?」

「…はい」

緊張しているのか、彼女の表情が硬い。何とか笑おうとしているようだが、笑顔も硬い。初対面の人が苦手と見える。まあ、ボクもそうなんだけど。
973fusianasan:2011/04/05(火) 20:52:52.45
そこから、ボクと彼女はとりとめのない話をした。その中で、彼女がバレーボールと書道が得意なこと、あんこが嫌いなこと、
そして好きな色が青なことを知った。

「へー、結構多芸なんだね」

「…そんなこと、ないですよ」

彼女はそう言うが、その顔はほころんでいる。よかった。やっと硬さの取れた笑顔が見れた。これでいいんだよ。


「先輩は、どこの大学目指してるんですか?」

彼女…茉麻ちゃんが訊いてきた。
改めて訊かれると、どこなのだろうか…自分でも分からない。そもそも、自分の未来像自体、まだ確立できていないに等しい。

「…まだ決めてないんだよね」

ボクは苦笑いを浮かべながらそう答えた。本当は決めていなければいけないのだろうが、周囲の焦る姿を見て『漠然と焦り出した』ボクには、
まだ確たる目標なんてないのである。

「えー…それはもったいないですよ…あんなに一生懸命、勉強していらっしゃるのに…」

あんなに、だと?
ということは、ボクが毎日この図書室に通っていることを、彼女は知っていたのだろうか。ボクがそのことを訊ねると、彼女は微笑んだ。

「だって、私が図書室に来たら…先輩、いつも勉強してるのが見えたから…すごいなあ、って…」

「ああ、まあね…ありがとう」
974fusianasan:2011/04/05(火) 20:54:01.75
繰り返すが、ボクは自分の目標がまだ見えないでいた。毎日のように図書室に通い詰めているのも、決して自分からそうしようと思った
わけではない。焦っている周囲の様子を見て、『みんなが焦ってるなら、自分も焦らなきゃいけないのかなぁ…』と思っただけの話である。

だから、今でも果たして自分のやっていることは良いことなのか…まあ、勉強してるんだから良いことではあるんだろうけど…程度の考えしかない。
でも、幸か不幸か、彼女はボクのそんな気持ちを知らないようだった。そして、勉強するボクの姿を褒めてくれた。ボクはそれがなんだかとても嬉しく思えた。

「そろそろ閉めますよー」

ボクたちの和やかな会話は、担当教師の声によって終わった。まだ喋っていたかったが、ボクたちは従わざるを得なかった。



校門の前。空は夕暮れで、ちょっと寒い。グラウンドを見れば運動部の連中がまだ練習を続けているが、ほとんどの生徒はもう下校してしまったようだ。


「先輩、今日はありがとうございました。楽しかったです」

「ああ、こちらこそ…ありがとう」

「じゃあ、また!」

ボクに丁寧に一礼して、彼女は自転車で帰っていった。小さくなっていく彼女の後姿を、ボクはじっと眺めていた…
ただ、あてもないままに。

(つづく)
975fusianasan:2011/04/05(火) 20:56:29.32
|ω・) 人は少なくなれど…話は続く…

>>963
|ω?) 『落ち』とは 何でしょうか…? 
976fusianasan:2011/04/06(水) 09:56:04.51
オチですw
977名無し募集中。。。:2011/04/06(水) 10:33:38.46
オチでも意味わからないよ お笑いじゃねえんだから
978fusianasan:2011/04/06(水) 16:04:04.36
まいまいか愛理が見たい
979fusianasan:2011/04/06(水) 22:46:23.09
>>974
その夜。日付が変わるころにベッドに入ったボクは、夢を見た。
夢の中のボクは…駅の前で…誰かを待っていた。ん、この駅…見覚えがある。

「ここは…」
その駅は、海沿いの人気の少ない場所にあった。見覚えのある景色。
そうだ、ここは昔、佐紀と一緒に来た場所じゃないか…
なぜボクはここにいるのだろう。誰を待っているのだろう。何をするつもりなのだろう。それは一切分からない。

「ガタン、ガタン…」
リズミカルな音を立てながら、電車がホームに入る。一人だけ、客が降りてきた。麦藁帽子を被った少女だった。

「あっ…」
麦藁帽子を深く被った彼女は無人の改札を通ると、その顔を上げることないまま、ボクに手を差し伸べてきた。
白いしなやかな手がボクの手を握った。

「あなたは…?」
彼女は答えない。答えないままボクの手を引っ張り、歩き出そうとする。帽子を深く被ったままの彼女の顔は、
ボクからは下半分しか分からない。

「あなたは…」
ボクは顔を下げてその顔を覗き込もうとした…

そこで、ボクは目が覚めた。覚めてしまった。

「夢、か…」
てっきり朝になるまで眠り込んでいたかと思ったが、外はまだ真っ暗だ。時計を見ると午前二時である。
どうやら、浅い眠りだったようだ。

「…寝るか」

ボクは再び布団に入った。すぐに眠りに落ちた。しかし、夢の続きを見ることはできなかった…
980fusianasan:2011/04/06(水) 22:46:51.16
翌日。放課後、ボクはいつものように図書室に向かった。もちろん勉強するためでもあった。でも、ここに来る目的がもう一つ増えた。

「茉麻ちゃん…いるかなぁ」

この間話し込んでみて、ボクはもっと彼女と話したくなった。たぶん、ボクと彼女は波長が合っている。付き合いを深めていけば、
もっと仲良くなれるはずだ。


いつもの席に座って、ノートを広げ…ながら、キョロキョロと周囲を見回す。が…

「いないのかなぁ」

どうやら、空振りに終わったようだ。その後も勉強を進めながら時々周囲を見回してみたが、とうとう彼女は現れなかった。
981fusianasan:2011/04/06(水) 22:47:42.04
ボクの図書室通いはここで一旦途切れることになる。というのは…この日の午後…

「じゃあ、文化祭の模擬店担当は○○君でいいですね?」

「異議なーし」

そう、ボクはまた『引き受けさせられて』しまったのだ。やりたくもない、文化祭の模擬店担当者に。
担当者といっても店番をすればいいというものではない。いや、店番程度ならまだ引き受ける気にもなれたかもしれないが、ボクは
用具や材料の調達から何から、めんどくさい作業の大半を任せられるという、実に損な役回りをさせられることになったのだ。

「またかい…」

拒否してもよかったのだ。というか、内心は拒否したかったのだ。でもできなかった。拒否してまた『誰やれ、これやれ』とみんなが
揉めるのを見るのがイヤだったのだ。それならまだ、自分が引き受けた方がいいか…

我ながら、つくづく自分が損な性格だと思う。でも仕方ない。引き受けたからには、しっかりやるしかないか…と思い直した。
982fusianasan:2011/04/06(水) 22:48:29.66
翌日の放課後。教室に一人残って資料に目を通していると…

「よっ!」

ボクの肩をポン、と叩く人がいる。誰かと訊くまでもない。こんなことをするのはどうせ一人しかいないのだから。

「何しに来たの」

「何しにって、応援しに来たんじゃない」

声の主はそう言うと、ボクの前に座った。ボクの言い方が気に入らなかったのか、ちょっと不機嫌そうな顔をしている。

「応援って…いいのかよ、生徒会の仕事しなくて」

「あー、あれはね、来週、来週からやるの」

ボクら、各クラスの担当者が動き出す随分前から、生徒会の連中はあれこれと忙しくしていることは知っていた。あくまで
一クラスの代表で済むボクらに比べて、文化祭全体の仕切りに関わる生徒会の連中はその比ではないくらい忙しいことも
理解している。
去年だってあんなに忙しかったのに、三年生になった今年はその上を行く忙しさになる…そうに決まっている。
983fusianasan:2011/04/06(水) 22:49:42.57
なのにこの人は、今こうしてボクのところに茶々を入れに来ている。自分の仕事をしなくていいのだろうか。



「来週、ねぇ…」

「ね、それはともかく、○○くんのクラス…何やるの?」

何をやるって、それを今から考えようとしているんじゃないか…

「さあ…分かんない」

まあ、本音を言えば『何をやっていいのか分からない』ってのが正直なところであった。他のクラスと被らないものを選ばなきゃいけないし、
予算の都合もあるし…

ボクのそんな本音は、あっさり見透かされてしまったようだ。

「…何やっていいか分かんないと思ってるでしょ?」

「…何でわかったの」

「ふふふ、女の勘、ってやつ」

まったく、どこでそんなの身につけたんだか…まあ、別にいいんだけど。

「ねえ、明日、ヒマ?」

突然彼女…舞美ちゃん…がそう訊ねてきた。
984fusianasan:2011/04/06(水) 22:50:23.44
「…まあ、ヒマっちゃあ、ヒマだけど、どうしたの突然」

「久々にさあ、えりのとこ、遊びに行きたいんだけどさ、一緒に行かない?」

『えり』、というのは『エキヨコ』の店員、梅田さんのことである。そういや、最近会いに行ってないなぁ…

というか、親友同士なら別にボクがいなくても、一人で行けばいいのに…

とボクは内心思ったが、せっかく話をもらっているのに断るのも悪い…といつもの『損な性格』が顔を出して、

「分かった。じゃあ、行こうか」


…結局、彼女の提案を承諾することになってしまった。よくよく断れない性格だ…とボクは内心、自分に呆れていた。
985fusianasan:2011/04/06(水) 22:52:26.58
その日の帰り道。

「ねー、ちょっと待ってよー」
結局、ボクは舞美ちゃんと一緒に帰ることになった。先に出たボクを、彼女が追っかけてきたのである。

「ちょっとぉ…」
ボクを追いかけてきた彼女が校門を出ようとしたときだった。

「あっ…」

ズルッ。校門の段差に足を取られて、彼女がバランスを崩した。
ドスーン。哀れ彼女はそのまま転倒してしまった。

「だ、大丈夫?」

「いたた…」

彼女のきれいな脚、その膝のところから血が出ている。かなり擦り剥いてしまったようだ。
ボクはそれを見て、とっさにかばんから水筒を取り出し、中に入っていた水をハンカチにかけて…

「ちょっと染みるかもしれないけど、我慢してな」

片膝を立てさせ、その傷口にハンカチを当ててやる。ハンカチが変色していく…

「いた…ぁ…」
とりあえずの応急処置はした。ハンカチを一枚無駄にすることになったが。

「大丈夫?家に帰ったら、ちゃんと消毒した方がいいよ」

片膝をついたままの舞美ちゃん、彼女の膝を手当てするためにボクもしゃがんでいる。ボクの視線の先には
ハンカチが当てられた彼女の膝と、その膝の向こうのスカート。スカートの中が…見えそうで微妙に見えない。
ボクが内心…ちょっとだけ悔しいな、と思っていた時だった。
986fusianasan:2011/04/06(水) 22:53:00.06
「じゃあ、また明日ねー」

校門の向こうから声がした。ボクがとっさに視線を向けると…

「あっ…」

目が合った。自転車に乗って、今まさに帰ろうとしている茉麻ちゃんと、目が合ってしまった。ボクはといえば、相変わらず片膝を
ついたままの舞美ちゃんの隣でしゃがんでいる。しかも、ハンカチを固定させようと彼女の脚に手を伸ばしたりなんかしている。
見ようによっちゃ、二人がいちゃついているように…見えなくもないかもしれない、なぁ…

「せ、先輩…」

「や、やあ…」

舞美ちゃんは茉麻ちゃんを知らない。逆もまた然り。だから、舞美ちゃんはどうしていいか分からず、ただ困った顔をしている。

「あ、こ、これはさあ…」

「お、お邪魔しました!」

ボクが次の言葉を発する前に、彼女は去って行ってしまった。

「ねえ、今の子、誰?」

すぐそばにいるのに、舞美ちゃんの言葉が遠くに聞こえる。ボクは見せてはいけないものを茉麻ちゃんに見せてしまった気分になって、
呆然としてしまった…
987fusianasan:2011/04/06(水) 22:53:23.62
結局、その日は舞美ちゃんと一緒に帰ったのに、何をしゃべったかほとんど記憶がない。茉麻ちゃんの表情は明らかに
ショックを受けている雰囲気だった…

そのことばかり、頭に残ってしまった。別にボクは舞美ちゃんとも茉麻ちゃんとも付き合ってはいない。でも、明らかに
茉麻ちゃんはボクに対して悪い印象を持ってしまったような雰囲気だった。

「あーあ、何てことしちまったんだか」

ボクは部屋で机に向かいながら、一人悩んでしまうのだった。
(つづく)
988fusianasan:2011/04/07(木) 07:04:23.79
モテる男は辛いよw
989名無し募集中。。。:2011/04/07(木) 16:47:17.92
全然エロくねぇw
990fusianasan:2011/04/07(木) 21:39:21.81
>>987
翌日のお昼。

「やほっ!…昨日は、ごめんね」

「いいよ、気にしないでよ」
ボクは昨日のこと…昨日起こった出来事を、『今日だけは』忘れることにした。舞美ちゃんの前であれこれ言っても仕方ないし、ボクが
しょげていたのでは彼女も気を悪くするだろう。

「よし、行こうか」
ボクと舞美ちゃんは、電車に乗って『エキヨコ』に向かった。舞美ちゃんはちょっと脚の痛みが残っているようで、膝に絆創膏が貼られている。

『エキヨコ』はまたしても?ほとんどお客がいなさそうな様子である。果たして、これで儲かっているのだろうか。

「いらっしゃーいなんだよ!」
梅田さんがいつもの笑顔で迎えてくれた。

「えり〜!」

「まいみぃ〜!」
舞美ちゃんと梅田さんがいつものようにハグをする。ついでにキスまでしている。

「やれやれ…」
まったく、この二人の仲睦まじさにはついていけない…

「○○くん、コーヒーでいい?」

「ああ、うん…」
ボクはのっけから二人のいちゃつきを見せられ、何も食べていないのにちょっとお腹いっぱいな気分になってしまった。
…これだから、舞美ちゃんには『ボクに構わず、一人で行けばいいのに』と思ってしまうのである。
まあ、今更そんなこと言っても遅いけど。
991fusianasan:2011/04/07(木) 21:40:04.64
>>990
舞美ちゃんと梅田さんのいちゃつきを横目で眺めながら、ボクが一人、コーヒーをすすっている時だった。

「ちょっと、トイレ行ってくる」

舞美ちゃんがトイレに向かった。店内はボクと梅田さんの二人だけになった。そこで、梅田さんが思いもよらぬことを口にした。

「ねえ、○○くん。○○くんは…まいみのこと、好き?」

「…は?どしたの?突然?」

彼女のことが好きか嫌いかといえば、そりゃ好きだ。好きに決まっている。でも、それはあくまで『友人』としての関係であって…
いや、去年の冬、一度だけそれを踏み越えたことがあったけど、あれはあくまでもそれっきりって約束で…今に至っているはず…

「たぶんね、まいみ、○○くんに…恋してるよ」

「…えっ!?はっ!?」

梅田さんが真面目な顔をしてそんなことを言うもんだから、ボクは思わずコーヒーカップを落としそうになった。
まったく、何を言い出すんだ、この人は…

「え?そうなの?ボクにはそんな風には見えないけどなぁ…」

相変わらずボクは舞美ちゃんにいいように使われ、いつも『損な役回り』ばかりしている気がする。逆にいえば、彼女から見れば
ボクは『便利な男』ではあるだろう。
でも、そんな状況で、恋愛感情なんて生まれるんだろうか…ボクにはそれが疑問だった。
992fusianasan:2011/04/07(木) 21:42:34.06
>>991
「ま、たぶん、だけどね。でも、うちの勘って、よく当たるんだよ」

『勘』?はて、昨日も別の人が似たようなことを言っていたような…でも、そんなのがアテになるのか、ボクには甚だ疑問である。
しかし、梅田さんは

「うちとまいみの付き合いだもん、たぶん当たってるよ…」

と言うのだ。証拠がないのに、信用なんかできない、とボクは思った。

「でも、それは…」

とボクが言いかけたところで、舞美ちゃんが戻ってきた。話はこれで終わりだ。

「何?何の話?」

「いや、サッカーの話」

ボクはそう言って話題を変えることに成功したのだった。とりあえずは、舞美ちゃんに知られずに済んだようだ。
993fusianasan:2011/04/07(木) 21:43:29.77
>>992
帰り道。

「○○くん、今日は付き合ってくれてありがとね」

「いやいや…いいよ、うん」

ボクの言葉が要領を得ていないのは、きっと梅田さんにあんなことを言われたからだ。一度は否定したことだったのに、梅田さんの言葉は…
ボクの頭の中にまだ色濃く残っていた。

「どうしたの?元気ないじゃん」

元気がないのは目の前にいるあなたのせいですよ、とは言えない。ボクはただ苦笑いを浮かべるだけである。

「…もしかして、昨日のこと、まだ気にしてる?」

舞美ちゃんが心配そうにボクの顔を見る。まあ、気にしていないといえばウソだけど、でも今日はそのことを忘れようと思って…でも…違うことで…



いつまでも悩み続けるより、ここで思い切って本人に訊いてみた方がいいかもしれない。予想と違う答えが返って来ても、『友達だから』で済ませることも
できそうな気がする。ボクはそう思って、おもむろに口を開いた。
994fusianasan:2011/04/07(木) 21:44:02.78
>>993
「ねえ、訊いていい?」

「何?」

「矢島さんはさぁ…ボクのこと、どう思ってる?」

うやむやのままにするのは、精神安定上良くない。ボクはストレートに彼女に訊ねてみた。


「どしたの?いきなり、そんなこと訊いて」

舞美ちゃんが怪訝な表情でこちらを見ている。いつもストレートに答えを返すタイプの彼女にしては珍しい行動だ、と思った。

「いや…ちょっとね。訊いてみたかったのさ」

ボクがそう答えると、舞美ちゃんは

「うーん…」

と言いながら、視線を前に向けた。そして、つぶやいた。






「…好きだよ」
995fusianasan:2011/04/07(木) 21:44:36.28
>>994
「…えっ?」

もしかして、梅田さんの言っていたことは正解だったんだろうか。そうだとしたら…ボクは…

「でも、うーん…」

舞美ちゃんが慎重に、言葉を選んで話しているように見える。いつもの彼女なら、素直に、思ったことをポンポンと返すはずなのに。

「でも、何?」

ボクが突っ込んで訊こうとすると、彼女はまた視線を前に向けて、そして宙に投げた。

「…やっぱいいや。忘れて?今のは」

「…え?」

『好きだ』と言われた後に『でも、うーん…』と言われ、そして今『やっぱり忘れて』と言われてしまう。ボクの混乱度合いはさらに激しくなった。
一体何なんだ、彼女は何が言いたいんだ?

「ね、そのことはさ、また今度、ちゃんと話そ?
 …だから、今日は忘れて?」

舞美ちゃんはそう言って、自分の唇の前に指を当てた。それが『誰にも言うな』のサインであることは、混乱したボクの頭でも理解できた。
996fusianasan:2011/04/07(木) 21:46:06.58
>>995

その夜。ボクはベッドの上で一人考えていた。
梅田さんの言ったことが本当だとしたら、舞美ちゃんはボクに片思いをしていることになる。でも、ボクが今、一番気になっているのは
誰あろう茉麻ちゃんで、その上、ボクは受験生。進路指導室の教師連中に知られたら、『恋話に現を抜かしている場合ではない』と、
怒られてしまいそうだ。

「うーん…」

ボクだって、舞美ちゃんのことは好きだ。彼女は美人だし、性格も優しい。何より、何だかんだ言っても、彼女にいいように使われようが、
ボクはそのことをちっとも厭だと思えないのである。というか、そんなことを考えたことすらない。少々面倒なことを押しつけられても、
終わった後にあの笑顔で『助かったよ。ありがと』と言われたら、大抵のことは許せてしまう。

だけど、彼女とは今の関係…仲のいい友人…が一番いいような気もする。そりゃ、彼女に『付き合って』と言われたら断れないとは思う。
だけど…恋人になったら、いつかは別れなきゃいけなくなるんだろうし…
あれほど夢中だった佐紀との関係だって、お互いが離れ離れになったら、あっという間に終わってしまった。

「もうあんな思いはゴメンだよ」

ボクは一人そう思っていた。
997fusianasan:2011/04/07(木) 21:47:15.35
>>996
週明けの月曜日。ボクは放課後、一人教室に残って文化祭への資料作りに勤しんでいた。

「えーっと、これがいくらで、これがいくらで…」

結局、模擬店はクレープ屋をやることにした。クラス全体の了解も取った。必要な道具の資料を見ながら、電卓を叩いて金額を出す。
ボクのはじき出した金額がそのままクラスの請求額として処理されるから、責任重大だ。


電卓を叩いているうちに、ボクは資料が一つ足りないことに気がついた。
「あ、忘れたか…」

職員室に行けば同じものが借りられる。ボクは職員室へ行くことにした。

職員室で資料を借り、『失礼しました』と一礼してドアを閉めて戻ろうとした時だった。

「あっ…」
廊下を歩いてきた彼女…茉麻ちゃんとばったり遭遇してしまった。

「や、やあ…」

「…どうも」
対応が素気ない。この間の一件が、尾を引いてるのかなぁ…あれは誤解以外の何物でもないと、彼女に説明しなくちゃ。

「ねえ、今日、時間ある?」

「ど、どうしたんですか、急に」

「ちょっと話したくて。一緒に帰らない?」
彼女は怪訝な顔をしながらも、一緒に帰ることをOKしてくれた。よし、これで何とか誤解も解けそうだ…
998fusianasan:2011/04/07(木) 21:48:00.40
>>997
その一時間後。

「先輩、お待たせしました。自転車、取りに行きたいんですけど」

「そっか、じゃあ、校門の前で待ってるよ」

自転車置き場への最短ルートは生徒会室の前を通らなければいけない。もしそこで舞美ちゃんに遭遇したらまたいろいろ大変なことに
なりそうな気がしたので、自重することにした。


帰り道。ボクはとにかく茉麻ちゃんの誤解を解くべく、ひたすらあれこれ説明して、その上で、舞美ちゃんはあくまでも『友達』であると言った。

「なんだ、そういうことだったんですね…私、てっきり先輩が付き合ってる人なんだと思って…」

「違う違う、違うんだよぉ」


踏切の前に立った時だった。

「ねえ、じゃあ、茉麻ちゃんは彼氏とか、いるのかい?」

「え?私ですか?」
彼女の顔がちょっと赤くなった。

「…い、いませんよ」

「ホントにぃ?」

「ホントですってば!」
顔を赤らめたままの彼女が、ボクの肩をポカポカ殴り始めた。い、痛いっての。
999fusianasan:2011/04/07(木) 21:50:29.16
>>998
いろいろ話しているうちに、あっという間に駅の前まで着いた。彼女とはここでお別れだ。

「先輩、今日はありがとうございました。いろいろ話せて、楽しかったです」

「そう?ならよかった」

ボクは調子に乗って彼女の連絡先を訊いてみた。すると、彼女はすんなり教えてくれた。

「じゃ、また学校で!」

彼女がにっこり笑って手を振ってくれた。どうやら誤解は解けたようだ。ボクはホッとして、電車に乗り込んだ…
彼女の連絡先が書かれた紙を持って。


これで茉麻ちゃんともっと仲良くなれる。そして、ボクは彼女と相性がいい。きっとそうだ。
ボクはそう確信した。そして、これからのことを想像すると、自然に顔がにやけてきてしまった。


…この後ボクの身に起こることを、まだ知る由はない。

(第一章 終)

『片思い』 Jungle Smile-1997 ttp://www.youtube.com/watch?v=yZ-jUedzXtg
1000fusianasan:2011/04/07(木) 21:51:59.36
10011001
〜未だかつてこれほどまでに感動的な
             スレがあっただろうか?〜

 ★このスレッドを読んだ人達の声★
「何気なく開いたこのスレッドとの出会いから、
 新しい自分の可能性を信じようと思った。」(27歳、ニート、男)
「感動した!勇気が湧いてきた!人生観が変わった!
 自分にも何かやれそうな気がした!」(24歳、契約社員、男)
「落ち込んでる時にこのスレッドを見つけ、
 期待しないで読んだが、読んで涙が出た。」(21歳、学生、女)

これほどまでにみなさんに愛されてきたこのスレッドですが、
残念ながら、このレスで終了となってしまいました。
でも悲しまないでください。
このスレッドはいつまでも
あなたの心の中で生き続けているのですから…