阿部「もう独りにしない」

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103fusianasan
書けたので投下

※人外パラレル 欝 生三橋死亡 グロ注意
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1197131894/884

バイクを乗り捨て、おじさんに教えてもらった霊安室前にまっすぐに向かう。
部屋がある地下1階は蛍光灯で照らされていようが、なんとなく薄暗く気持ちの悪い場所だった。
しかし、そこに廉がいる。
部屋の前まで行くと、部屋の前のスツールに座り力なくおじさんによりかかるおばさんの姿があった。
「お、おばさん、おじさん…」
憔悴しきった2人の目がコチラへ向けられる。目が痛々しいほどに赤い。
「…どうして…ねぇ、阿部くん…」
「…」
おばさんの掠れた声にオレは返す言葉もなかった。
どうして?どこで?どうやって?
オレは何も知らない。まだ嘘だと思っている。きっと姿見たって信じないと思う。
おばさんもおじさんも詳しい事はまだ知らないらしいが、廉の死以外何も知らされずにいるのがじれったくてたまらなかった。
しばらくして警察らしき人が部屋の前にやってくる。
「とりあえず、遺体のご確認をお願いできますか?」
抑揚のない台詞に誘導され、両親の後に続いてオレも霊安室へ足を踏み込む。
薄暗く狭い無機質な部屋の中にポツンとあるベッド。
そして、白い布で全身を隠された廉。
この中に廉がいる。3人でそっと歩み寄り、ベッドを囲むと警察も部屋に入ってきた。
「遺体の損傷が激しいため、ご覚悟したほうがよろしいかと」
オレ達はその台詞に息を詰まらせ、一度を目を合わせた後頷いて覚悟の意思をみせる。
「廉…迎えに来たよ」
顔に掛かっていた布がずらされる。
一拍おいて、おばさんの甲高い声が部屋中に響いた。
「廉!廉!どうしたの!」
たしかに廉だった。白い肌にあの柔らかな髪、その色。だけれど…
喉もとまで得体の知らないものがこみ上げてきた。怒りか悲しみか廉と過ごした記憶か。
手で口を抑えていたが、強い嘔吐感に耐え切れずにオレはその亡骸の前で吐いた。