http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1195263564/403 ※鬱注意 暴力的な表現注意 きれぎれにこれだけ
今日もまたそのお兄ちゃんとか呼ばれていたやつが三橋を迎えに来ていた。
部活は軽いミーティングだけだったので、着替える手間もなく、三橋は素早く部室を出て校門で待つそいつのもとへ駆けて行った。
「あ、もう三橋帰っちゃったか! やべーッ」
残ったメンバーで集まり、部室で他愛もない話をしていると、水谷が自分の鞄を覗き込みながら素っ頓狂な声を上げた。
「教科書借りてたんだよなー。明日小テストだって言ってたから、今日中に返すって約束したのに」
泉や栄口にそれはひどいと責められ、情けなく眉をしかめて水谷が嘆く。
さんざん泉につつかれた後、水谷はとりあえずといって電話をかけはじめた。
「あっれーおかしいな。電源切ってるみたい。繋がらねーや」
携帯を片手に、困ったように水谷が頭をかく。
「んじゃオレ帰りに寄ってやろっかー?」
そう言う田島を制してオレは口を挟んだ。
「オレが持ってく。ついでに渡したいもんもあるし」
オレの行動を、水谷は特に気にとめることもなく、「えーマジでー? 阿部が珍しくやさしー」と眉を下げて媚びるように手揉みをしたりしていた。
「でもオレの方が家近いしー」と田島はしばらくぼやいていたが、
「小テストあんなら、お前も早く帰って予習しろ」と言うと大人しくなった。
なんで自分が田島を制してまで、三橋の家に行こうとしたのか、深く考えれば明瞭な答えは出てこない。
それは衝動のようなもの。意志では抗えない行動。
オレは田島が三橋の家に行くというのを阻止したかったのだろうか? そんな自分の思考に自分で驚いた。
しかし、三橋と少し落ち着いて話をしたいと思っていたのも事実だ。
あの日以来、三橋はオレを避けているとまではいかなくても、警戒しているというか、そんなそぶりが目につく。
そう言えば、あの日から三橋は泣いていない。
それはオレの前だけのことなのだろうか。田島の前なら泣くのだろうか。それとももっと他の奴の前で、泣いているのだろうか。
なぜか無性に三橋の泣き顔が見たいと思った。
できたら今すぐに。