田島「三橋、じいちゃんの畑にまくからうんこしろ」

このエントリーをはてなブックマークに追加
403fusianasan
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1195021760/439
※鬱注意 暴力的な表現注意 空気読まずに投下。これだけ。書けたらまた来たいけど未定だなーと

<阿部視点>

 あれから十日。三橋の体の傷は日に日によくなっていくが、手頸の痣はなかなか消えなかった。
 とりあえずいつまでも長袖を着せ続けるのは変だから、両手首にリストバンドをさせることにした。
 骨ばった三橋の両手首をぐるりと覆う黒いリストバンドは、なんだか囚人の手枷のようで、いい気持のするものではなかったが仕方がない。
 時おりけだるそうに見えることもあったが、三橋は変わらず普通にふるまっていた。
 少なくとも表面上は普通に見えた。だからその姿からは、内側がどうなっているのかは測りかねた。
 練習の後、三橋はたいがい田島と連れだって帰る。
 確かに田島の方が三橋の家に近いから、オレが送るよりも自然な形なのかもしれない。
 だけど三橋は、オレと一緒にいる時よりも田島と一緒にいる時の方が、リラックスして落ち着いているように見える。
 そのことが、なぜかオレの胸に黒い影を落とす。
 三橋と田島はもとから仲がいい。
 天然同士というか、変な所で通じていて、オレにはさっぱり要領をえない独特の三橋の喋りも、田島は一発で変換して応えてやれる。
 もしも三橋が助けを求める相手が、オレではなく田島だとしたら。
 そう考えると、オレの胸の影が広がっていく気がする。
 三橋が田島を選んだら、オレは、三橋を、田島を、応援してやることができるんだろうか。
 
 田島が三橋と連れだって帰らない日が一度あった。お兄ちゃんとか呼ばれていた男が迎えに来たのだ。
 三橋の幼馴染であるらしいそいつは、一度顔を合わせたオレのこともしっかりと覚えていたようで、
「どうも、阿部くん」と人懐っこい笑顔で挨拶をしてきた。
 そいつが来た日は、いつももたもたと最後まで残って着替えている三橋が、珍しく素早く服を身に着け、挨拶もそこそこに、慌てて男の後ろを追いかけて帰っていった。
 連れだって歩く二人の姿は、なんだか少し微笑ましく、田島に感じるものとは違うもやもやした思いが胸に煙った。
 最近オレは自分の感情が、心が、思考が、少し壊れてきているのでないないかと思うことがある。
 誰かが、オレの中に知らぬ間に種をまいたのだ。
 その種が、肉を食い破り芽吹きそうな気配にオレは慄く。
 そんなものは、芽吹く前に枯らさなければいけない。一刻も早く。
 だから絶対に水をやってはいけないのだ。