阿部「三橋!今日はキャッチボールすっぞ!」

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759fusianasan
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また、大げさにありがとうとか言い出すんだろうか。
奢ってやったわけでも無い。小銭の貸し借りなんて、誰だってすることなのに。
そこまで考えて、俺はなんとも言いがたい気持ちになった。
みんなにとって普通の事が、三橋にとっては一々驚くようなことって言うのは、なんだか寂しい気がする。
栄口も、未だに三橋は目があっただけで睨むと思うみたいだって言ってたし。
こうして黙ってるのも、三橋にとっては俺が怒ってるように感じるのかもしれない。
でも、特に三橋と話すような事って無いんだよな。
考えてみたら、三橋が野球以外に何に興味持ってるのかも俺は知らない。
そんな事を考えてたら、三橋が遠慮がちに声をかけてきた。
「あのっ」
「ん?」
「巣山くんの教室、もう過ぎちゃったよ」
「あ」
気がついたら、自分の教室の前を通り過ぎていた。
「わり、ちょっとぼーっとしてた」
「おっ お金、明日返す、から」
「うん、じゃあまた後でな」
「うっ、うん」
三橋に向かって軽く手を上げて、教室のドアに手をかけると、先生がこっちに向かって歩いてくるのが見えた。いつ予鈴鳴ったんだろう。
慌てて席に着く。当然買ってきた牛乳を飲む時間もなく、俺は次の休み時間にすっかりぬるくなった牛乳を飲むハメになった。

今まであまり気にした事は無かったけど、三橋の中学時代はきっとすごく辛かったんだと思う。
野球は、チームプレイだ。個人競技ならまだしも、野球をする上でチームで孤立しているっていうのは物凄く辛いことだと思う。
阿部の言ってた通り、三橋はチームの為にならない事をしたんだろう。
あの性格だし、周りをイライラさせる要素があったのも分かる。練習試合で、昔のチームメイトとは和解できた様子だったけど…。
なんで俺、三橋の事考えてんだろう。