阿部「三橋!今日こそ結婚すんぞ!」

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64クラブ・オレラーノ
待たせた俺ら。遅筆でどうしようもない俺を許しておくれ
※ホストクラブ捏造注意

http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1191775700/953

「俺さん、新人教育上手いから」
ありありと刻まれた俺の眉間の皺など意に介した素振りもなく、
阿部は言葉を続けてにやりと笑みを刷く。
こいつの笑い方ってマジ黒い。黒過ぎて普通はドン引きなはずなのに、こいつの客ってこの黒い笑みにメロメロメーロなんだよなあ気持ワル。
いやそうじゃなく。嫌味か。それ嫌味なのか。
「俺も、俺さんに育てられてここまできたようなモンですし」
嫌味だな…。確定だ。
確かに、この店に入ってきたばかりの阿部を教育したのは俺だ。
とはいえ、元々スカウト組なこいつは大したこと教わらずにあっという間に王座に着いちまったんだけどな。
思い返せば思い返すだけ腹が立つ。阿部、お前垂れ目まで笑わせてんじゃねえ。
「だから、俺さんに任せたんですよ、あいつの教育」
パタンと、リストを閉じながら続けられた阿部の台詞は余裕綽々そのものだ。
「それに、」
悔しいことに阿部は俺に言葉を挟ませない。ただ何かを返そうと、開きかけた唇はその後阿部によって綴られた、ある種の挑戦状にぽかんと情けなく開いたままとなってしまった。
「俺だと甘くなりそうでしょ、必要以上に」

――世の中には居るんだよな、自分の嫁だとか彼女だとかを他の男にヤらせて楽しむ特殊な趣向の方々が。
俺には解せないその世界。こんな愛憎渦巻く世界で商売してたってそれだけは解せません。
阿部、お前もそのクチか……。

俺がナンバー2の座に甘んじることとなっている要因は、きっとこれにあるに違いない。
MATOMO。俺は思う。それに起因しているに違いない、と。
意外と根がマトモな俺は阿部の吐いた何気ない台詞にうっかり意識を新世界へと飛ばしてしまい、
世話役を頼まれていたはずの新人をこれまたうっかり、忘れ去っていたのだった。