栄口「今日も世界は平和だね、三橋」

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953クラブ・オレラーノ
眠くなるまで頑張ってみるぜ。俺らついてきてくれるよな?
※ホストクラブ捏造注意

>>842

「ちょっかいかけんなよ。世話役俺なんだからよ」
俺は抑えた声音で中村に一釘刺しておいた。
「えーまた俺さんですかー。いーなあ俺さん。俺も可愛い新入り教育してー」
「………」
中村はアホだ。こいつの病気とアホはきっと死ぬまで直らない。
そんな中村でも、一応そこそこの本指名を取れるくらいまでには育て上げた俺の手腕には感動しちまうね。
じゃなくてだな。
俺だって好きで世話役引き受けてんじゃねえんだよ。これもあの阿部野郎が全て…!
びきり。俺の眉間にもう一本新たな皺が刻まれたところで、本日の朝礼はお開きとなった。

「阿部ェ」
朝礼が終わり、活気付き始めたホールから外れ、クローク付近の受付カウンターにて律儀にも、
予約客のリストを捲っている阿部に俺は恨めしさそのままの声を投げかけた。
「どういうつもりだよ」
言えば阿部はたっぷり三秒、垂れ目をこっちに向けて俺を視認した後、
「何がっすか」と至って冷静な声音で返してきた。何その余裕っぷり。
俺は戻らなくなりそうな眉間の皺を自覚しつつも、腹の虫が治まらないので言葉を続けることにする。
「新人。お前が世話すりゃいいじゃねえか」
端的に。言外の意も含ませて。
吐いてやれば阿部は殊の他気にした様子もなく、方眉を上げて「ああ」と頷く。
「適任かと思ったからですよ」
返ってきた言葉は感情の計れない至極冷静なもので、
俺はその意図の見えない音の羅列に眉間の皺を更に深くさせられてしまう。