栄口「今日も世界は平和だね、三橋」

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809fusianasan
そんじゃまあいっちょクラブ・オレラーノ
※ホストクラブ捏造注意

http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1191692992/471

扉を開いた阿部は垂れ目を微妙に眇めてなんだお前らかよ、みたいな顔をした後、
「三橋」
と、新人にまっすぐ視線を定めて、人差し指で呼んだ。
俺はいきなり無視かい。視界の中で、「三橋」と呼ばれた新人は明らかに顔を緩ませて
「あ、阿部くんっ」なんてまるで恋人にでも呼ばれたかのように、
軽やかなステップで阿部に駆け寄っていく。
そんな新人に阿部は溜息つきながら「お前なあ、店ではそう呼ぶなつったろ」って
何その不倫劇場みたいな台詞――を吐いて、
やけに慣れ親しんだ仕草で「三橋」の後頭部を叩いている。
――あ。
俺はピンときた。ピンときてしまったね。こいつらは多分。
「俺さんも。朝礼…」
「わーってるよ」
おざなりに流れてきた阿部からの視線を片手で躱し、俺はスツールから腰を上げる。
阿部は軽くこちらを一瞥した後、「三橋」へと視線を戻しそいつをホールへと促した。
肩に置かれた手。それを当たり前のように受け入れている新人の、緩んだ口元。
こいつら、そうか。
俺は気付いてしまった。奴らの周囲を取り巻く空気に。
俺はホストだ。色恋の駆け引きを商売とする世界に身を置く者にとって、
奴らの醸し出す空気はわかりやすすぎた。
――デキてんな、こいつら。