阿部「三橋、俺のデカマラ勝ってんぞ!」

このエントリーをはてなブックマークに追加
112fusianasan
桐青ターンその3 興味ない俺らはスルーよろ

http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/eromog2/1191225858/936

ふいに何かに気付いたように、河合が口を開いた。
「慎吾、その引っ掻き傷、一体何だ」
「あー…コレね」
また言われた。うんざりしたように島崎が傷をさすった。そんなに目立つのかよコレ。まいったね。
「うちにいる猫に引っ掻かれたんだよ。さっきも迅に言われた」
「何か変な遊びしてるんじゃないだろうな」
驚いて、島崎は河合の顔を見た。まさかこいつからそんな言葉が出るくるとはな。
「変な遊びって? そんなに心配してくれるなら、和己が遊んでくれよ」
「そういう軽口がたたけるくらいなら、まあ大丈夫なんだろうな」
あっさりあしらわれた。拍子抜けして横を向くと、また一人で河合が口を開く。
「だからそうやってつまんなさそうにしてるくらいなら、時々後輩に会いに来てやれ。
タケもお前に会いたそうだし。たまには話でも聞いてやれよ。その方がお前もスッキリするだろう」
駅前まで来て、そこで島崎は河合と別れた。何だか一方的に話されて、説教までされたような気がする。
…部活ねえ。ふっと息を吐いて空を見上げた。最後の試合の日、あの日はこんな抜けるような青空ではなかった。
灰色の空、今にも落ちてきそうな雲、激しく振り続ける雨、そしてぬかるんだグラウンド。
それがあの日自分が見た、最後の光景だった。どうせ最後なら、せめてこんな雲ひとつない空の下で戦いたかった。
青空の中を、一緒に戦ってきたチームメイト達の顔が、浮かんでは消えてゆく。