阿部「三橋には、やっぱナマがイイね!」

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233大奥
※俺、日本史ダメなんだ。だから違ってるとこあったらスマン
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籠に揺られながら、三橋はずっと泣いていた。
あまりにも突然のことで、頭が回らない。ただ、逆らいきれない運命に流されていることだけは分かった。
将軍の命令、これに逆らえる人間など、ほんの一握り、あるいはいないかもしれない。
自分のような、商人の家の子供にはとてもではないが抗えるわけがなかった。
それでも、頭が痛くなるまで泣くと、少しだけすっきりした。
冷静になった頭で、しばし考え込む。
(それにしても、なんでオレが・・。身分も何もないオレが・・・。)
そこでふと、考え直した。
三橋には身分が無い。
大奥には数千人の女人がいると聞く。三橋の身分から言って、
大奥に入ったとして、おそらく将軍を目にすることもできない御半下のような雑用係にされるのだろう。
将軍のお手つきにならない限り、お宿下がりも出来るし、いずれは外に出られる。結婚をすることも出来る。
現に、嫁修行をするために大奥へ入り、その後里へ帰って里の男と結婚をする、という女達もたくさんいる。
そう思うと、段々気が明るくなってきた。
(そうだ、きっと大丈夫。一生懸命働いていれば、オレはきっとすぐ大奥を出られるんだ。
だから、修ちゃん。お願い、待ってて・・。)
三橋は叶からもらった髪飾りを、髪から抜き取り、薄紙に巻いて大切に懐にしまった。
大奥は恐ろしい陰謀渦巻くところと聞く。
その中で自分はしっかりやっていけるのか不安だ。
しかし、がんばっていればいずれは叶の元に帰れるのだ。
悲しみと少しの希望を乗せて、籠は将軍の住む城へと運ばれていった。