俺は『なんでもない』と口の中で呟きながら、よりいっそう愛情を込めて亜純への愛撫を強めていく。
「ひゃぁっ! ソコっ……そんなにさわっちゃだめぇ! あたしぃおかしくなっちゃううぅぅ!」
パンツを潜り直接亜純のおま○こを指で弄ると、すぐさま亜純の身体は反応してぐちゅぐちゅといやらしい音を立ててくる。
「ああっ……んぁあっ! あああ……お父さん……あたし……プレゼント欲しいよ……お父さん」
「ん、何が欲しいんだい? 言ってごらん亜純、ちゃんとお父さんに言ってごらん」
もじもじとしながらも、亜純は我慢できないといった様子でゆっくりと呟いた。
「お、お父さんの……お、ちん○ん……」
「そうか、亜純はお父さんのチ○ポが欲しくて欲しくて堪らないんだな」
顔を真っ赤に染めたトナカイ亜純はうつむいたままこくりと頷いた。
「それじゃ今から亜純のおま○こにお父さんのチ○ポを入れるからソコのソファに足をかけて床に手をついてごらん亜純……」
「えっ? ……う、うん……こ、これでいいの? お父さん……」
せっかくのコスプレなのでソファをソリに見立ててみようという斬新な試みなのだった。
そんな俺の目論見を半信半疑ながらも素直に言うことを聞いてくれる亜純がいとおしい。
ソファに乗っかった亜純の両足を抱え、手綱に見立てて手前に引き寄せていく。
トットットッとそのままの姿勢で手を床につけた亜純が近づいてくる。 そして俺は一息にチ○ポを亜純の中に埋め込んだ。
「はぁあっ! お父さんがあたしの中に…… っくふぅっ、あああっ!」
俺のすべてを亜純の中に入れきった時にチンポの根元でリボンについていたベルのアクセサリーがチリンと鳴った。
「ああっ! 亜純の中に入ったよ! 全部入った! ほら根元のリボンぎりぎりまでしっかりと入ってるよ!」
「んはぁっ! お父さんのがあたしに、ああっ、あたしの中にぜんぶ……大きいのがぜんぶ入ってるぅうう!」
「亜純、亜純のおま○こでお父さんのチ○ポがとろけそうだよ……」
パンッ、パンッ、と最初から最後までクライマックスかのようにフルスロットルで腰を亜純のおま○こを目指して打ち付ける。
「亜純っ! 亜純のおま○こは本当に天にも昇る気持ちよさだ……亜純、お父さんは嬉しくて泣いちゃいそうだよ……」
「お、お父さんのおち○ちんが……お父さんのおち○ちんであたしが泣きそうだよぉ!」
亜純に腰を打ち付けるたびにチリンチリンとリビングにベルが鳴り響いていて亜純の喘ぎと混ざり合う。
最初は少し気になっていたが亜純の膣の締め付けに次第とどうでも良くなってくる。 ああ……クリスマス万歳。
「ほ、ほら、亜純のつけてくれたベルがチリンチリンしてるよ、亜純、ジングルベルだよ亜純」
「あっ、あんっ……ベ、ベル? あたしのベルがお父さんのおち○ちんでジングルしてる? あんんっ!」
俺のチ○ポでぐちゅぐちゅになった亜純のおま○この気持ちよさをかけらも洩らさず貪ろうと必死になって亜純に食らい付く。
より深い快楽を求め亜純のお尻を掴み左右に広げる。 お尻の穴が露になって俺の興奮を更にそそった。
そして奥深く抉るようにチ○ポを亜純のおま○こに突き立てていった。
「んぐぅっ! ふ、深いっ、深すぎるよぉ! ああん! あ、ああっ!」
「亜純っ、亜純っ気持ちいいよ、亜純っ!」
ガツンガツンと掘削機のように亜純のおま○こを掘り進めていく。チリンチリンの音色が心地いい。
「あ、あたしもっ……気持ちいいよっ! いひぃっ! お父さん気持ちいいのぉっ! おとうさんイイっ!
す、すごっ! しゅごくて……たまらないのおぉぉ!! イきそうだよっ! おぉっ……お父さんっ!」
亜純の奥限界まで打ち付けていたチ○ポももうそろそろ我慢できなくなってきているようだ。
「ああ……お父さんもイきそうだ……亜純の中でイきそうだよ」
「はああっ! 中!? あっ、あんっ、ま、またあたしの中に出すの? ……お、お父さん、中に出したいの?」
「亜純……もうお父さんは亜純の中以外はだめなんだよっ! 亜純の中っ! 娘の中にっ……なかにぃっ!!」
「うふぁっ! ふふっ……あんっ、ダメなお父さん……あっ、あたしの中じゃなきゃ……イやだなん……ってっ!!」
もう出るっ! 亜純の中に出るっ! 出すよ! 中に出すよ! 亜純の……娘の中に出すんだっ! 亜純っ!!!!
「ああああああ! お父さん、あたしイくっ! イっちゃうぅ! お父さんのおち○ちんでっ! あたしの中にっ!
おち○ちんっ! お父さんのおち○ちんがあついよぉぅ! おとうさん、おとうさん……あたしの中で、中で……
おとうさんのおち○ちんっ……あたしの中でイってぇぇええ!! 中で……中で出してぇぇええええ!!!!」
ああっ!! あ、あああーっ!!!!
俺は亜純のおま○こにこれでもかというほどチ○ポを押し付け、たっぷりと射精し続ける。
リビングにはチリーンというベルの残響だけが寄り添う二人の身体を包んでいた。
風呂に入って身支度を整えた亜純がリビングへ戻ってくる。 俺は簡単に食事の用意をしていた。
すると亜純が窓の外を指差して俺を促す。 見ればちらほらと雪が舞い降りてきていた。
亜純は嬉しそうに俺に駆け寄って、ぎゅっと手をつないでくる。
二人で暖かい部屋の中、しんと静まり返った外を眺めながら俺は呟いた。
「サイレントナイトだな、亜純」
「ホーリーナイトだよ、お父さん」
(了)
すみません、7レス超えてしまいましたが以上です。
娘姉妹 〜亜純 X'mas Edition〜
>>532-541 お目汚し失礼いたしました。
原作のアホっぷりが実によく再現されてますね(゚∀゚)
夏めろの徹ちゃんに並ぶ変態っぷりにかなり笑いました。
544 :
名無しさん@初回限定:2008/01/03(木) 22:17:01 ID:ea471Sy50
未購入なんですが、まさか本編もこんな感じのノリなんですか?
545 :
名無しさん@初回限定:2008/02/17(日) 08:07:33 ID:ugkhDaWk0
保守 あげ。
ひまわりのチャペルできみと のSSが無いッ! ので書きました。ネタバレあり。
「これからよろしくー」
鎌倉タケルのやけくそに明るい挨拶の後、俺に向けられたのは
二対のジト目の視線だった。
「「黒ちゃん……?」」
なにか凄い誤解が生まれているような気がする。
そんな様子をタケルが興味深そうに見ている。
「ほー。黒ちゃんはまずかったかな? じゃ間を取ってカバやんて呼ぶね」
「何との間だっ!?」
この女全然変わってねぇ!
「やっぱり……」
「あやしいナノです……ナノです……ナノです」
やけくそに小さい背の少女と、やたらとでかい胸の少女が俺を
ジト目で睨んでいる。エコーかけながら。
「こら、おまえら。揃って上目で睨むな、初対面だっつーの」
「あれ? 忘れちゃったのー?」
タケルはタケルで、無邪気に俺の側ににじり寄ってくるし。
新手のあたしあたし詐欺かもしれん。ここはひとつ、ガツンと言ってやる必要があるな。
萌波風で行くか。
「この海上貴宏、貴公のごとき女子は存じ申さぬ」
「貴公だといいけど、きとうだとちょっといやらしいわよね」
「いやらしいわよねネタはやめい!」
作りあげたはずの厳粛な空気が一瞬で破壊された。
「……やっぱり知り合いなんじゃん」
と、こゆ吉が相変わらず不信感に満ちた声で言った。
心当たりは本気でないぞ。……ない、はずだよな?
でも念のため思い出してみようか。←ちょっと弱気
1.思い出す
>>548 2.思い出さない
>>549 3.思いを出す
>>550
1.思い出す
「……待てよ。そういえば、昔」
「おっ」
こゆ吉が身を乗り出し目を輝かせた。
「自転車の英訳はチャップリンだと、こゆ吉は本気で信じていた」
「な!?」
「……奇怪極まる誤解だ」
萌波が顎に手を当て考え込む。誤解の理由を考えているのだろう。
俺も当時は理由が(むしろ意味が)わからなかったが、今考えるとおそらく、
チャリンコと語感が似ているせいだと思う。
などと思い出を振り返っていると、こゆ吉が真っ赤な顔で抗議してきた。
「なんでそんなことを今思い出すんだよ!?」
「いや、こゆ吉の顔が目の前にあったから」
「ユキちゃん……」
「お主……」
「わあ、馬鹿にするような目で見るな見るな見るなー!」
必死で手を振るこゆ吉。
しらばっくれられないあたりが、こゆ吉のこゆ吉たる由縁だ。
「そうは言うが、幼少の砌では仕方ないものではないか?」
「そうだよ! 子供の微笑ましい勘違いじゃんかよ!」
「いや、中学生だった。しかもbicycleを習った後だ」
「なんでそんなことだけ鮮明に覚えてるんだよっ!?」
「あ!」
と、いきなりタケルが叫んだ。
「今度はなんだ?」
「今気付いたんだけど――バイ シクルって分けたら、ちょっといやらしいわよね?」
「知るかー!」
もう何がなんだか。
>>551
2.思い出さない
「いや、過去は振り返らない主義なんだ」
「ということは、過去に何かあったのじゃな」
あれ?
と、失敗に気付く間もなく、タケルの目がきゅぴーんと光った。
「過去を振り返るならいいけど、若さゆえの過ちを振り返るだと
ちょっといやらしいわよね」
「そのネタはやめいちゅーねん」
「この場合定番の『夜の』より『若さの』の方が青臭さが増してより
いやらしいわよね。奥が深いわ」
「知らんがな」
というか『夜の』も『若さ』も脈絡がまったく無い。
>>551
3.思いを出す
「いいかげんこの季節、姫の服は暑苦しすぎだと思うんだ」
とりあえず、思いのたけを外に出してみた。
「何を突然! というか余計なお世話じゃっ!」
「ミニだし涼しいんじゃないの?」
「席からは上半身しか目に入らん」
「上半身だけならいいけど、下半身しか目に入らないとちょっといやらしいわよね」
タケルの思考の方が明らかにいやらしいと思う。
「な、なんじゃと! お主、わらわのことをそういう目で……」
「俺じゃねえ! あいつだ!」
騒ぐ俺達の前で、ナノ子が耳に手をあて聞こえないフリをしていた。
>>551
結局タケルのことは全然覚えてなかった。ままならんなあ。
休み時間。のチャイムが鳴った瞬間、どどどどと轟音がした。
「おおっ!?」
クラスメイトどもがタケルの席に押し寄せる音だ。
非常に認めたくないが、外見だけをスライスすればタケルはそれなりの美少女だ。
人気もあろうというもの。萌波に比べれば美人度は一歩譲っても、異様なまでの
親しみやすさがそれを補っている。
「彼氏は?」
「スリーサイズは?」
「どこ住んでるの?」
押し寄せた男子からは定番の質問群が飛んでいる。
「んー」
タケルは十人近い男どもをぐるりと見渡した。そして、背後の俺に振り向くと退屈そうに言った。
「ねーカビパン」
「誰だよ!?」
俺だとすれば『カ』と『ン』以外間違えている。ちがう、そもそも根本から間違えている。
しかもそこはかとない悪意が見え隠れしている。
「黒ちゃんのことに決まってんじゃん。面倒だから、代わりに答えてくれない?」
タケルはなげやりに言った。相変わらずの超絶傍若無人っぷりだ。
「なんで俺が」
つーかタケルのスリーサイズなど知らん。
「カリスマのスリーサイズでいいよ」
「……。……父さんのスリーサイズをか?」
「誰? だから黒ちゃんのでいいって」
どうやらカリスマとは俺のことらしい。
もはや『カ』しか合ってない、もとい何もかも合っていない。
タケルのコミュニケーションの姿勢は、何かが根本的に間違っている気がする。
「……まぎれもなく、ナノです」
「あの呼吸の合い方は、ねえ」
「こいつ、一体何人に手を出しとるんじゃ」
気付くと俺へのジト目の数が数倍に増えとる。俺が何をしたというのだ。
「えーい、とにかく転校初日ぐらいまともに振舞え」
とりあえず諭してみる。
初日『くらい』ってことは、俺は前からこいつを知っているということに
なる気がしたが、というか顔見知り以外の何者でもない雰囲気がまんぜんと
漂っているが、気付かなかったことにしたので問題ない。
……そうか?
「しゃーわなー」
タケルは謎の言葉を口走った(おそらく『しゃーないわなー』の意味だ)。
言い終わると同時に、椅子からがたんと立ち上がる。
そして異様に威厳のこもった声で、号令をかけた。
「全員、一列に整列ッ!」
びしぃっ!
それまでカオスだった人の群れが、一瞬で一本の列になった。
俺以外のクラスの全員がそこに加わっている。
なんて強制力だ。将軍の称号は伊達ではなさそうだ。
それはともかく。
『うわぁー! 掴むな! 足、足ー!』
『蹴るな! 落ちるだろうが!』
最後尾の奴らが窓から落ちかけてるのだが。
「尊い犠牲ね。二階級特進よ」
「学生が特進してどーすんだ?」
「学年上がるんじゃない?」
なら奴らは全員卒業か?
「もうとっとと終わらせよう。一番前の奴から順に」
「自己紹介すること」
俺の言葉をタケルが引き継いで改悪した。
そういう余計なことにかけてはタケルはプロだ。なんて嫌なプロだ。
「なんでだっ。逆だろ!?」
「飽きたんだって。アタシが何十回自己紹介したと思ってんのよ!?」
しかも唐突にキレるし。ホントに駄目だこいつ。
その後三十人以上のクラスメイトがえんえんとタケルの前で自己紹介を
繰り返すだけで、ホームルームは終わった。
つーか本当に自己紹介させやがった。ルーン先生とネコ玉も列に混じって
しまったため、誰も止める奴がいなかったからだが。
あとこゆ吉たちの誤解も結局解けていない。何やってんだ俺ら。
(了)
以上です。もうちょっとだけ続いて欲しかったよ(本編が)。
ラスト辺りのリライトです。
気を失った紅瀬さんをそっと床に寝かせて
伽耶の前に立つ
彼女は呆然と俺を見ていた
「!?」
吸血鬼?
不老不死?
だからなんだ?
それがどうした?
ぱん。と
音と同時に伽耶の顔が横を向いた。
手加減したつもりだったけど意外と大きな音がしたんで
俺のほうがびっくりした。
「支倉君…!」
瑛里華が思わず声をあげる。
俺が伽耶の頬を叩いたのだ。
「な…」
何が起こったのかわからないという表情で、
彼女はしばらく俺を見上げていた。
「きさ…」
「いい加減にしろよ、お前」
伽耶の腰をもって抱え上げる
「な…っ」
「こ、こらっ離せっ」
「離さんと…っ」
「おいたをした子には昔からこれって相場が決まってるんだ」
伽耶を小脇に抱えた俺は
背後から聞こえる声に耳を貸すこともなく腕を振り上げた。
パ――ンっ!
「きゃあああああああっ!?」
漆黒の夜空に盛大な破裂音と鳴き声がこだまする。
古来より伝わるしつけの儀式
いわゆる「お尻ぺんぺん」というやつだ。
「へ…?」
瑛里華の目が点になってる。
まあ無理もないか
ひとつわかったことがある。
こいつはただの駄々っ子だ。
伽耶が、こいつが欲しいのは
対等な友人ですらない
この子は実年齢が幾つだろうが子供のまま、だ。
だとしたら、
だとしたら欲しいのは友人だけではない。
親だ。
叱ってくれる存在
守ってくれる人
頭を撫でて甘えさせてくれるもの
ああ、そうか。と思い至る
メチャクチャやってれば父樣がきて諫めてくれるのではと
どこかで期待していたのかもしれないな、こいつ。
しょうがない。
この場にいる誰も代わりにはなれない。
だったら俺がなってやるしかない。
そろそろ腹をくくろうか。
ぱんっ
「あぅっ」
ぱんっ
「いたっ」
ぱあんっ
「は、離せっ貴様っ」
「あ、あたしにこんな事をしてタダですむと…!」
「まだそんなでかい口が叩けるのか」
「なんだと!?」
ぱああんっ
「いひっ」
さしもの吸血鬼パワーもこの体勢じゃ発揮できないらしく、
手足がじたばたと虚しく空を切っている。
そんな伽耶を地面に下ろしてやった。
「貴様…っ」
涙を浮かべながらもお尻をかばって
飛び退ろうとした伽耶の腕を取って引っ張る。
そして
力いっぱい抱きしめた。
「あ…」
「この感じ…」
「父…樣…?」
俺の中に紅珠を感じ取ったのか、
伽耶が腕の中で大人しくなった。
「…全く、さあ」
「俺の頭カチ割って、俺の見た記憶をあんたに見せてやりてーよ」
稀仁さんの気配を探すのに必死なのか、
伽耶は動かない。
「稀仁さんは…あんたの父さんはなあ、
自分が死ぬその瞬間まであんたのことばっかりだったよ!」
「え…?」
『伽耶が幸せで居ますように』
『伽耶が寂しい思いをしませんように』
『伽耶に家族ができますように』
「伽耶、伽耶、伽耶、伽耶って
あの人の日記はそればっかりでさあ…っ」
妻に先立たれ、まだ幼い娘を置いて逝くのは
どんなにか心残りだったことだろう。
でも、
死を前に恐くなかった筈がない。
友人たちに憎まれて悲しくなかった筈がない。
物言わぬかつて友人たちを見捨てることにどれほど後悔したのだろう。
それでも
それでも尚、
「あの人はあんたの心配だけしかしてなかったよ…!」
伽耶が小さく呻いた。
「う…そ…」
「…それをなんだよ、父親の願いを真逆に受け取って」
「こんな捻くれちゃってさあ…っ」
――ぱたぱた。と、
伽耶の顔に水滴が落ちる。
俺は泣いているのか、
「どんだけ寂しかったんだよ、お前…っ」
「ばっかやろう…っ」
俺の気持ちがうつればいい。
稀仁のこの想いが聞こえますようにと、
俺の胸に伽耶の顔を押し付けた。
「…ふ…ぇ」
伽耶の顔がくしゃりと歪んで
大粒の涙がこぼれ落ちた。
俺のシャツをぎゅっと握りしめて、
迷子の子供がやっと親を見つけたように
俺にしがみついて
大声で泣き始めた。
「うぅ……うあああぁぁぁ……!」
大音響だった。
ずっとこらえてきた250余年、
その悲しみが流れればいい。
そう思って
俺もまた抱く手に力を込めた。
瑛里華もびっくりしてる。
まあ、そうか
やっとのことで瑛里華が口を開いた。
「…人の親泣かさないでよね」
「悪い」
気の利いた台詞も思いつかず、
俺の胸で泣いてるこの小さな女の子の頭を撫でる事に専念した。
これは後になって聞いた話だが
俺達は瑛里華の二人の兄についての顛末を知ることになった。
一人は発狂し、一人は自らの死を選んだ。
人形もそうだ。
人によって受けられる血の限界量が違うらしいのだ。
ひどいものでは一滴でも人形になってしまう事があったのだそうだ。
無事、眷属になれても悠久に耐えられない者も少なくなかった。
特に東儀家には人の暮らしがある。
家族が老いて自分が残されることに耐られなかった者、
それ故、発狂して文字通り獣と成り下がった者、
それらを処分してきたのが他ならぬ伽耶だった。
その責任ゆえに、
それでも伽耶はそれを全部一人で背負った。
恐怖の存在として、
憎まれる対象としてあろうとしたのだ。
憎しみ以外で繋がる方法を見出せなかったとはいえ、
その立ち位置は稀仁さんのそれによく似ているな、と
俺は思わずにはいられなかった。
もう取り繕う必要がなくなったのか、
それとも娘の前での俺の羞恥プレイに
プライドを粉々にされたからなのか、
伽耶はぽつぽつと語りだした。
話の途中で何度か俺の機嫌を伺うように
ちらちら俺を見ていたのが妙に気になったけど。
白ちゃんにも謝らせた。(俺が)
「お前の親には済まないことをした、あれらは敏感すぎたのだ」
だがこうも言っていた。
「あれらは血を飲む前に自分に何かをしたのではないだろうか、
ほんの僅かの量でああなってしまった」と。
東儀先輩も言っていたことだが
「確かに、父上は吸血鬼に関して研究をされてきたが
今回の件を見てもわかるように
根本的な所で何かを間違った可能性も少なくはない」と。
今となっては真相はわからないが。
全てを聞き終えた後、
白ちゃんは「もう、そのことはいいのです」と
いつものあの笑顔で伽耶を優しく抱きしめた。
長い夜が明けようとしている
そんな予感がした――。
ぴぴぴっぴぴぴっ
遠くで時計のアラームが鳴っている。
朝だ。
「ん…」
なんだろう
頭が…重い?
いや、胸があったかい?
いやこれはなんか乗っている。俺の上に、
「父樣…」
「…えーと」
なんだろう、この小動物は、
猫?
いや、それにしてはデカい
瑛里華?
いや、それにしては小さい
「…伽耶?」
「んぅ…父樣…」
上体を起こした俺の上で
むずがるようにその身を縮こまらせたのは、
紛れもなく千堂家御当主樣だった。
「う?え?あ?」
現状を把握し切れていない俺の耳にノックの音が響いた
そして無情にも扉が開く。
「孝平君、早く起きないと遅刻しちゃう…
……ょ?」
陽奈が固まっている。
そりゃそうだろう。
俺だって同じ場面に出くわしたら固まること請け合いだ。
ていうか、やばい。
どう言い訳したらいいのか、全く思いつかない。
いや、言い訳といってる時点で負け戦確定なのか。
やっとの思いで搾り出した声は笑えるくらい裏返っていた。
「違うんだ」
反射的に口をついたのは浮気を見つかった夫のような言い訳だけだった、
俺、必死すぎる。
「こちらにおわしますのは
修智館学院創始者に…のご子孫にあらせられます
千堂伽耶さんといいまして…」
「母樣っ!?」
扉の向こうに待機していたらしい瑛里華が飛び込んできた。
目の前が真っ暗になった。
陽菜と瑛里華のダブルブッキングとは
これはまたついてない。
「なんじゃ、騒々しい」
小さな手で瞼をこすりながら元凶が目を覚ました。
それはもういい感じに着物がはだけてらっしゃる。
「はーせーくーらぁあああっ!」
これ以上、事態が悪化することはもうないだろうなと思って、
走ってくる瑛里華の気配を感じながら
俺は瞳を閉じた。
紅珠の回復力程度ではどうにもならないような、
マンガのようなアザが俺の顔にくっきり刻まれた。
かくして
当たり前のように俺の部屋に住み着いた伽耶だったが
娘と寮長と会長と理事と園長とシスターと東儀先輩と
後、ええと誰だったか、
諸々の説得を受けて渋々と、それでも最大の譲歩として
俺の隣部屋に移る事になり
男子寮に一部屋だけ女子部屋が誕生することとあいなった。
ムチャクチャすぎる、この人。
あの会長にストライクゾーン広すぎと言われたときは
本当に死にたくなった。
「なあなあ、眷属はよいぞ?
試験も学校も病気もないぞ?」
「…おばけじゃないんだから」
「ほれほれ血を飲んでみたくはならんか?」
「ならないから」
学食内、屋台風やきそばを咀嚼する頬を指でぐりぐりされながら、
会話の内容は危険極まりない。
ところでなんで俺はこの人にこんなに懐かれてんだ
みんな遠巻きにしてるので
会話自体は聞こえてないのが救いだが
このビジュアルはまずい。
俺の平穏な学園生活を破壊しかねない。
ちなみ隣の席でキムチ5倍チャーハンを食べている紅瀬さんには
眷属になったら仲良くしましょうね。と
不吉な事を言われている。
仲良くしてくれるかどうかはともかくとして、
どうやらこの件に関与するつもりはないらしい。
しかし、そうなると唯一の助け舟を期待できるのは…
「いい加減にしてちょうだい、母樣っ」
向かいの席で限界値を突破した瑛里華が食ってかかる。
「お前はこの男はいらんのじゃろ?なら、わしにくれ」
「まだ使うからだめよ!」
「まだって、使うって…」
ばん。とテーブルを平手で叩いて立ち上がり、
「ああああっ、もうっ」
「なんで母親と男、取り合わなきゃならないのよーっ!」
瑛里華の絶叫が食堂にこだまする
「頼むからこれ以上誤解を招く発言は…」
いや、もう手遅れか…
遠巻きにしている人達の冷ややかで突き刺さる視線が
俺に集中しているのがわかる。
おかしいな、
世の平均的同世代の男子と比べても俺は清い人生を送ってきたはずなのに、
「人でなし」とか「外道」とか陰口を叩かれる身になるとは思ってもみなかった。
「あーっ、もう」
部屋に戻って鞄を放り出し、
ベッドに突っ伏したまま枕に向かって叫ぶ。
「親子丼はともかく、姉妹丼は濡れ衣だっ」
大体、姉妹丼ってのは誰と誰のことなんだ!?
脳裏をよぎる仲のいい姉妹のことについてはあえて考えまい。
「…へえ、親子丼は「ともかく」なんだ?」
「…」
部屋の温度が一気に氷点下に下がった気がする。
やばい
会長、貴方の妹さんが恐くて枕から顔があげられません。
「…いつからそこに?」
「支倉君が来る前から」
闇の中から響くその声の無感情さったらない。
いやな汗がとまりません。
「そんなバカな」
「後ろから抱き付いて驚かそうと思ってたから」
「そうですか…」
さすが吸血鬼。
いやいやいや
ポキポキとい小気味いい音と共に足音が近づいてくるのを感じる。
あれは指を鳴らす音かしら?
「それすると指、太くなるっていうぞ」
「あら、ご心配ありがとう」
胸倉を捕まれて引き上げられる。
なんでかアンコウの吊るし切りを連想したのは偶然ではあるまい。
瑛里華は笑っていた。とても眩しい笑顔だった。
こめかみに青筋が立っている一点を除けば、だが。
――おわった。
その日、俺が最後に目にしたものは、
吹っ切れたような彼女の笑顔と
固く握られて振り上げられた鉄拳だった。
――中略、
それはある日の事、
俺の顎を人差し指で支えて伽耶が言う。
「冗談だ。無理やり飲ませようとか、そんな事はせんよ」
ころころと表情を変えるその瞳は猫のそれを思わせる。
「これは賭けだ。支倉孝平。
お前が大過なく、天寿を全うするのなら
あたしも大人しくそれを見送ろう。
だがな、忘れるな」
その瞳に妖しい影がゆらめかせながら
「もしお前が大病を患ったり、大怪我をしたならば
あたしは迷わず血を飲ませるぞ」
伽耶はそう言い切った。その瞳に迷いや躊躇いは――ない。
「…わかった」
現状では妥当な落しどころだろう
俺の意志が介在してないのが気がかりではあるが
いたしかたない。
というかこいつらに関わりを持つと決めた時から
俺の意志などあって無きが如しだったのだから
今更、だ。
にやりと笑って、
伽耶が付け足した。
「なに、短いとはいえ人間の寿命もそこそこ。何もなく過ごせるとはおもえんが、の」
そしてこうも付け加えた。
「精々、夜道に気をつけることじゃな」
「狙われてるっ!?」
「あのねえ…」
瑛里華が頭を抱えて机に突っ伏した。
監督生室は相変らず騒々しい。
東儀先輩に言わせると
俺が来るまではそれはそれは静かなものだったそうだが、
毎日、虎視眈々と俺を付け狙う伽耶の視線に脅えながら、
生徒会の業務をこなしつつも
隙をみては瑛里華とデートを重ね、
伽耶ともその…なんというか少々親しくなりつつ、
白ちゃんは瑛里華に自分を眷属にするように
説得しているし、瑛里華は瑛里華で逃げ回っている。
最近では瑛里華が押されつつあるのが面白いというかなんというか。
会長も戻ってきて俺のおまけでついてくる伽耶に
相変らずの憎まれ口を叩いてはケンカを楽しんでいるように見える。
少なくとも以前のようなあからさまな敵意は感じない。
多分、いいことなのだろう。
伽耶と会長の口ゲンカを見てため息を漏らす東儀先輩。
紅瀬さんは相変らずだが、
パソコンに孤軍奮闘してるのを知っている俺は
何気なく教えてあげたりもしている。
なんでか、瑛里華と伽耶の冷ややかな視線を背中に受けながらではあるが。
紅瀬さんの頬がやけに赤いのは、
きっと目茶目茶年下の俺なんかに
物を教わってるのが気恥ずかしいからに違いない。
違いないんだってばっ
白ちゃんに淹れてもらったお茶をすすりつつ、
一仕事終えた俺は息をついて、
部屋を見回す。
――みんな、笑っていた
綺麗な笑顔だと思った。
とても尊いものに見えた。
そんな
今となっては日常になってしまった
監督生室の風景に、
ふと、笑みがもれる。
この泣きたくなるような気持ちはなんだろう。
稀仁さんの記憶が俺にそう思わせるのだろうか
「どうしたの?」
横にいた瑛里華が俺の顔を覗き込んできた。
「思ったんだけど。俺達、家族みたいだよなって」
気がつくとみんなの視線が一気に集まっていた。
「あれ、俺なんか変なこと言いました?」
「いや」と、
東儀先輩が苦笑して
支倉には敵わないな。とまたモニターに視線を落とす。
いびつかもしれない。
正常じゃないかもしれない。
でも俺達はこうして、
寄り添って、
手を取り合って、
生きていく。
それはきっと、
間違いなくひとつの幸せのかたちなんじゃないかって
そう、思う。
「孝平…」
瑛里華の手が重なる。
ゆらゆらと揺れる瞳と視線が絡んで
互いの顔がゆっくり近づいていく。
僅かに開いた唇から濡れた舌が覗く。
こんな所で?と思わないでもなかったが
不思議と止めようとは思わなかった。
多分、彼女も――、
と、思ったら反対側に首だけ捻じ曲げられた。
「ふぐっ!?」
伽耶の唇が急速に接近しようとしていた。
「どうれ、手付けじゃ」
あわや触れようとした瞬間、
がっきと頭自体を後ろからホールドされた。
「え、瑛里華っ!?」
椀げるっ椀げちゃうっ
「は せ く ら くぅ〜ん?」
ああ、このこめかみに血管の浮いた笑顔は見覚えがある。
「ばっ、お前ら、マジでっ死ぬからっ、やめてっ」
「何、案ずるな。お前を死なせはせんよ。決して、な」
伽耶の牙が鈍く光って見えた。
「ホラーオチかよっ」
いつか、俺もこの輪に混ざる日が来るのかも知れない。
今はそれも悪くはないと思えている自分がいる。
何より、自分の身がどうなるかは
あまり気にならないというか。
あれ、バイト数超えた…?
いつまでも彼女達が幸せであるように、
この笑顔が絶えることがないように、
この笑い声がいつまでもやまぬように、
俺も思い出を重ねていこう。
その先に何があるのか
それはまだわからないけれど、
大丈夫。
だって、俺達はもう一人じゃない。
破滅の音を奏でつつある頚椎の痛みを無視して、
そんないい感じのモノローグを描く。
今日もまた一日が終わり
明日もまた忙しい一日になるのだろう。
そうやって一歩一歩、明るい方に歩いていこう。
今日から明日へ、明後日へ、未来へ。
手を繋いで、寄り添って、
愛しい人と親しい人と大好きな人達、
友人と恋人と、
――家族と。
或いはこれも一つのハーレムEND かな、と。
>>572 主人公が自分の正義を無理矢理押しつけて場をまとめてしまった感がある。
せっかく真ルートで伽耶を"説得"するのではだめだと気づいて東儀先輩に認めてもらったのに結局本音ではなにもわかっていなかったという結末と言うべきか。
孝平が伽耶に白の両親のことを謝らせたりとか正にそれ。
それは伽耶と東儀兄妹の問題であって孝平がしゃしゃり出ることではない。こーへい何様だよって感じがする。
モノローグ中の孝平の性格にもそれが表れていて自分が満足して良かったねという感じにも見える。
あと、私の好みの問題だけど、FAはワイワイやっているのが楽しいイメージがあるから淡々と一人称で書き連ねる文章は合わない気がする。
マイナス面ばかり上げてすまないが、伽耶様が布団の上で丸まっていたりとか最後の親娘丼状況とかはメッチャ好きだから。
とりあえず乙。
これ次スレとかどうするんやろ?
容量超えたかね
どれ、チャレンジしてみるか。
次スレ落ちた・・・
あれ……保守しそこねたか……
ごめんねごめんね
立てなおしてみるも。
582 :
出直し:2008/04/19(土) 23:17:47 ID:VLKoyJrT0
ぎゃーw間入っちまったです……
ごめんなさいごめんなさい
まだ書き込めるのか?
あと20kぐらいは