【姉しよ】きゃんでぃそふと SSAAスレ3【つよきす】

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1名無しさん@初回限定
「きゃんでぃそふと」から好評発売中の「姉、ちゃんとしようよっ!」、
先日発売の新作「つよきす」のSS&AAネタ投稿スレッドです。

★保管庫
きゃんでぃそふと SS&AA保管庫
ttp://yellow.ribbon.to/~nechan2/
★前スレ
【姉しよ】きゃんでぃそふと SSAAスレ【つよきす】(実質Part2)
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1125938586/
★本スレ
きゃんでぃそふとスレ92
http://idol.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1126958732/
★関連・過去スレ
【姉しよ】きゃんでぃそふとSSAAスレ【つよきす】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1111336364/
姉、ちゃんとしようほっ!SS&AAネタスレ part3
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1090147206/
姉、ちゃんとしようよっ!SS&なりきりネタスレ
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1079724057/
柊雛乃だがお前らに一言いいたい事がある
http://www2.bbspink.com/erog/kako/1057/10571/1057137971.html
こんな柊姉妹は嫌だ!3
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1121685205/
2名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 02:36:54 ID:Qkwd+0iJ0
乙女さん
3名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 02:45:37 ID:NSCPzigD0
乙です。
4名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 03:06:34 ID:w60Ftf/r0
>>1
乙。さて、ちょっと惚れちゃったからマナマナにでも投票してみるか。
5名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 09:24:37 ID:5xGY9DaH0
6名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 10:16:48 ID:wbdfMkqd0
>>1
乙っちゃん
7名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 10:25:35 ID:kfpxUDjF0
>>1

乙じゃない!乙じゃないもんね!
8名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 11:40:34 ID:o6D6DcLp0
>>1
ナイスブルマ
9名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 12:48:20 ID:SLkZd6lx0
(・∀・)イイヨイイヨー
10名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 12:52:44 ID:L4WzC6Kd0 BE:143251092-
>>1
>>1さんに・・・>>1さんに気安く乙するなっ!!
11名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 12:53:21 ID:L4WzC6Kd0
ちょwwwwしくったwwwwwww ま、いっか
12保管庫の中の人:2005/09/23(金) 13:23:33 ID:RH5Of0Vq0
>>1
ナイスブルマ

またも"&"がないのはもうお約束なんですかそうですかorz
131:2005/09/23(金) 15:52:08 ID:sZ6Y+Llo0
>>1
スマソ、&全角入れたらスレ番が字数制限で入りそうになかったんで…
14名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 16:41:26 ID:JuwKp+530
小蟹ちゃん
         , - ' ´ ̄ ``  、__
        ィ            ヽ○ヽ.
    ,  '⌒○ /     、ヽ    ヽ○ヽ.
  /   ○  i   /l/|_ハ li  l i   li ハ
. // 〃 /l  i|j_,.//‐'/  lTト l、l   j N i |
 {イ  l  / l  li //___    リ_lノ lル' lハ. ソ  
  i| /レ/l l  l v'´ ̄  , ´ ̄`イ  !| ll,ハ    ザリガニくいてー
  ハ| ll∧ハヽ ト、iつ r==┐iつ/l jハ| 
      レ'¨´ヽiへ. _ 、__,ノ ,.イ/|/ ノ   
      {   ⌒ヽ_/ } ー‐<.__  ′ 
      ヽ,   /、 〈   |:::::::| `ヽ 
       {.  ハ ヽ Y`‐┴、::::v  l 
       |iヽ{ ヽ_ゾノ‐一’::::ヽ. | 
       |i:::::`¨´-- :::......:...:.:.::.}| 
15名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 19:21:23 ID:WZ8h5bdA0
レオのショタ漢SS書いた人にお願いなんだけど、
あれの続きって設定でSS書きたいんだけどいいですか?
16Isolation 勝手に3番:2005/09/23(金) 19:26:46 ID:RrZs683e0
つないだ手が永遠と信じてた
別れなんて夢にさえ思わずにいたね
遠慮して互いに気遣うこと
優しさだと思いこんでた

今は誰にも譲れないこと 胸を焦がして見つけだしたから

失うことをおそれて ためらわないで
かけがいのないもの いつかその腕に
立ち向かう勇気を 与えあったら
ゴールで待つ君と また笑いあおう
17名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 19:27:40 ID:L4WzC6Kd0
>>16
マジGJ 感動した
18Seena ◆Rion/soCys :2005/09/23(金) 19:28:29 ID:RrZs683e0
勝手に詩をつけるのは結構好きだったり。
19名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 19:35:05 ID:X3N0NjCE0
>>16
脳内でIsolationnが(ry

つーか、よくこんな風にネタが思いつきますね…ウラヤマシイ
20名無し@初回限定:2005/09/23(金) 19:51:24 ID:Fl3tHIpI0
>>16
確かにウラヤマシス

でも瀬芦里口調だったらマジGJだったけどねヽ(´ー`)ノ

悪い。個人的につよきすよりも姉しよ3が出てもらいたかったOTL
21名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 20:29:18 ID:gJgZq/FN0
>>16
フカフィレプレイヤーのBGMに合わせて歌ってみた。普通に違和感がない・・・
ちょっと熱い歌詞GJ。
22○○っ子対馬レオ:2005/09/23(金) 22:00:12 ID:WZ8h5bdA0
俺がショタ漢になった(された)日から1週間。
俺はいつもと通りカニと学校に向かっていた。
「いやーあのショタ漢のレオも良かったけど、この姿のレオが一番だな」
「ショタ漢いうな!」
そこにいまだ軽く不機嫌な姫がやってきた。
「おはよ〜」
「おっ、姫おはよ〜。まだ不機嫌なのかよ?」
「だってあのカワイイ対馬君が忘れられないのよ…」
何故そんな熱い目で俺を見るんですか…
「あははっ、また赤くなってるぅ〜。対馬君をからかったら少し気分が晴れたわ。お先に〜」
「なに赤くなってるんだよオメェ〜!」

クラスに入る頃にはもう朝のHRが始まりそうな時間だった。当然祈先生は来てなかった。
「いいか、トイレの奥から三番目には花子さんがいてな…」
「略」
「皆さんおはようございます〜」
「遅刻多いぞ祈ちゃん」
「信号が青のまま変わらなかったんですわ」
もはや言い訳にもなってなかった…
「ところで対馬さーん、放課後生徒指導室にきてください。」
「えっなんで?つうかすっごい嫌な予感するんですけど…」
「こらぁ〜じゃりがぁ〜祈が鯉と言ったら鯖も秋刀魚も恋なんだよぉ」
「(←スルー)心配ありませんわ、ちょっと手伝って欲しいことがあるだけですから。」

放課後
「なんか嫌な予感するんだよな…」
「辞めといたほうがいいんじゃねえか?」
「いいじゃん、面白そうだし」
「てめぇ人事だと思って!…とりあえず行ってくるわ。」
23○○っ子対馬レオ:2005/09/23(金) 22:00:59 ID:WZ8h5bdA0
「よしつけようか。」
「俺も俺も」
「わたしも〜」
「姫も行くのかよ、止めとけって…」
「伊達君もうみんな行っちゃったよ、私も行ってくるね♪」
「よっぴーまで!?うぞーん!」

「失礼しまーす」
「対馬さん遅かったですわね。とりあえずこの荷物を運ぶのを手伝ってくれますか?」
「あっ普通の仕事なんですね。」
「勿論ですわ、お望みならこの前のクッキーもう一度…」
「すいません冗談です」
「がんばってくれれば学食でジュース奢って差し上げますわ」

「なんだ普通の用事じゃん。つまんね、俺帰るわ。」
「甘いわねフカヒレ君、わたしのおっぱいセンサーが異変を察知してるわ」
「(ボクは姫の頭が異変を起こしてると思うね)」
「あっなんか侮辱された!」
「なんも考えてない!考えてないもんね!」
「どの辺が異変なの?」
「だって今日に限って土永さんがいないじゃない。これはなんか絶対あるわ、2人共!行くわよ!」
「サーイエッサー!」

「対馬さんおつかれさまですわ。ジュースをどうぞ。」
「あっ先生、ありがとうございます!ゴクッゴクッぷはぁ〜」
「(にやっ)」
「あれ?先生その顔はまさか…」
「そのまさかですわ〜♪」
「今度はどうなるんですか!?つうかいつの間に!?ずっと一緒にいたのに…」
「あっあがっ…な、なんかくる!?え?魔邪!?しずちゃん!?うぼぁぁぁぁぁ!!」
「レオー!」
「対馬クーン!」
2415=22=23:2005/09/23(金) 22:03:47 ID:WZ8h5bdA0
とりあえず今日はここまで。
ショタ漢の作者には申し訳なさでいっぱいだが反省はしてない
しかし後悔しまくりorz
駄文でスマソ
25ごっど:2005/09/23(金) 22:08:04 ID:G9cA5q4q0
さて…話がめっちゃくちゃ変わるが、きゃんでぃそふとの新作が出るのは二年後らしぃ。
壁|ミサッ
26名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 22:15:28 ID:dIRCo4pf0
ごっどが言うんだ、間違いないな
27ごっど:2005/09/23(金) 22:16:04 ID:G9cA5q4q0
あっと、その前に
>>15=22=23
(*'A`)b GJ!
28名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 22:23:15 ID:mb4J5R6c0
>>26
バカ、ごっどの話に割り込むなよ
29名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 22:52:27 ID:DjL/isK50
そんなことよりカブト虫の話しねぇ?クワガタでもいいぜ
30前スレ28:2005/09/23(金) 23:31:47 ID:TWe/Gct80
>>24
自分の事ですよね?
返事遅れましたがぜんぜんOKですよ。
気に入っていただけて光栄です。
続きもワクテカしてます。GJ!
関係ないけど久しぶりに来たらもう次スレになってるとは…
自分もネタはあるので長くなりすぎないのが出来たらまた投下します。

31名無しさん@初回限定:2005/09/23(金) 23:35:32 ID:Wy+bFDkD0
>>16
なんか・・・これ読んでたら・・・


 み な ぎ っ て き た ぜ ! !

ok、明日ハロワ逝ってくる ノシ
32名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 01:12:20 ID:FnWRyTao0
つよきすフルコンプしたら転職する踏ん切りがついたよ
33名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 01:13:50 ID:q4kQS2BV0
賢者になる前に遊び人になるんだ
34名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 01:16:55 ID:oBF3bItZ0
待て、リアルだと遊び人のままだぞ!
35名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 01:18:52 ID:q4kQS2BV0
じゃあ盗賊
36名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 01:20:57 ID:QjMBlL4C0
スタンド名:みらくるひなのん
本体名  :柊雛乃
タイプ:本体変化形・スタンドの像は無い
能力:彷徨える霊を本体に乗り移らせ、そのパワーで本体自身の体を大人の体に成長させるなど
    本体の能力をアップさせることが出来る
補足:霊が成仏してしまうと元に戻る
射程距離:−
能力射程:本体のみ
                                                    
破壊力--  スピード--  射程距離--  持続力--  精密動作性--  成長性-ある意味A
(本体自身のパワーアップなのでスタンド自体の力はほぼないに等しい)
37名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 01:32:49 ID:o9dke4IU0
さて、流れを無視してひっそりと投下ですよ
38想いほどけて1:2005/09/24(土) 01:33:29 ID:o9dke4IU0
 静まり返った土曜の夜に甲高い叫びがこだまする。声の下には一組の男女。
「ち、ちくしょーーー!!!」
「おい吼えるな近所迷惑だ」
「もういっそ男だったら良かったぜ!」
「そうするとオレが困る」
「はぁー?なんでよ?」
「さぁて、何ででしょ」
 酔っ払い、ふらふらと歩く少女を青年は肩で支えている。そのまま会話を交えながら、十分ほど歩き、不意に足を止めた。
「おい、カニ。大丈夫か?」
 ふと気付くと、横の少女、カニ―本名を蟹沢きぬという―は顔を真っ青にして脂汗で顔が湿っていた。
「だ、大丈夫に決まってるじゃ……おおおおぅ」
 青くなり、赤くなり信号機のように顔色が変化し、口を抑えがくりと体から血柄が抜けうずくまる。
「って、全然大丈夫じゃないだろうが!ちょっと我慢しろ、すぐトイレに……オアシスは遠いな。クソッ、仕方ねぇ!」
 うずくまる蟹沢を抱え両腕で抱え上げ、俗にお姫様抱っこと言われる体勢を取る。
「…三分、いや、一分だけ我慢してくれよ」
 そう告げると、息を止め、上体を少しだけ倒し走り始めた。
「揺れ、揺れるふぅ……」
「我慢だ」
 弱々しい抗議を一言で切り捨て青年はぐんぐんと加速していく。
39想いほどけて2:2005/09/24(土) 01:35:00 ID:o9dke4IU0
 鍵を開けるのももどかしげに青年はドアを蹴り開ける。
 玄関に置かれた、ボロボロの革靴と安っぽいハイヒールを目にし、一瞬顔をしかめ、舌打ちをするが、腕の中で呻く少女の事を思い出し。トイレに駆け込んだ。
 洋式便器にすがりつくように胃の中身を吐き出している蟹沢の背を青年は優しく撫でる。
「おえええええええええええ…気持ち悪い」
「ったく、どんだけ飲んだんだ?」
「瓶…一本……ヴォヅカ?とか言うやつ」
「そりゃ多分ウォッカだな。明日は…もう今日か、確実に二日酔いだな」
「うぉぇええあああ…かはっかふっ」
「全部出すもの出しちまえ、少しは楽になる」
「すまねぇ、スバル面倒かけちまって」
「気にすんなや。水飲むか?」
「頼んだぁ」
 ぐったりとしている蟹沢の背をもう一度撫で、立ち上がるとキッチンへと向かった。
 途中、リビングを通る。そこには煙草をふかす半裸の中年男性がいた。嫌悪感も顕にその顔を見るスバル。男が何か口を開く前にさっさとキッチンへと移動し、コップに水を注ぐ。
 再びリビング、男と視線を合わさないように通過し、トイレへと急ぐ。
 その背にかけられるだみ声。
「どんな具合だったお前が連れ込んだ女」
 くるり、スバルが振り返る。
 飢えた野良犬のような凶暴な表情をし殺意にすら達しそうな憎しみを込めた瞳で射る。
「てめぇと一緒にするんじゃねぇ」
 苛立ち混じりに大声で怒鳴るが帰ってきたのは冷淡な反応だった。
「ハンッ」
 一瞬、二人の間に沈黙が降り、忌々しげに中年の男は舌打ちをする。
「…くたばりやがれ、ゴミ野郎が」
 青年は地獄の底から聞こえるような低く暗い声で呟き、去って行った。
40想いほどけて3:2005/09/24(土) 01:39:46 ID:o9dke4IU0
「ほれ、持ってきたぜ」
「あんがと」
 ぐでっと便器にすがりついたまま、軽く口をゆすぎ、半分ほどグラスに残った水を一気に飲み干し、グラスを置いた。
「まだ飲むか?」
「ううん、いらねぇ」
「少しは楽になったぽい」
 そう言うとスクッと立ち上がる。
 しかし、直立体勢を保てたのはニ、三秒の事でゆらりと体がゆれ、倒れそうになる。
 予想していたかのように、手早く、そして優しく支えるスバル。
「だから無理するんじゃねぇよ」
 そう言うと、素早く左手を蟹沢の膝に回し、再び抱き上げる。
「ちょ、スバル!」
「良いから大人しくしてろ、家まで連れてってやるから」
 そう言うと、さっさとドアを潜り屋外へと出て行った。
 夜の道を二人は歩く、お姫様抱っこをされた少女は恥ずかしげに頬を染め、スバルを見上げる。
「うー…何か恥ずかしいんだけど」
「俺は恥ずかしくないな」
 数は少ないとはいえ通行人はおり、彼等は例外なく通り過ぎる彼らに好奇の視線を向けた。
「やっぱボク歩くよ」
「ダメだ、倒れて怪我でもしたらどうする」
「それはボクの責任って事で」
「ダメだ……つうか、そこまで嫌がられると少し傷つくんだがな」
「う、スバルが傷つくなら…仕方ねぇ、我慢してやるよ」
「ハハッ、ありがとよ」
41想いほどけて4:2005/09/24(土) 01:41:13 ID:o9dke4IU0
 蟹沢家の付近に到着し、別れの時が近づく。
 いよいよ、家の前に到着し蟹沢を降ろす。ふらふらとしてはいるが立てないことは無いようだ。
 別れの言葉を口にしようとした時、スバルは、蟹沢の視線が一点に向けられているのに気がついた。
「……レオの部屋か」
 カーテンが閉められており、彼らの訪問を拒んではいるが、灯りが漏れているため眠っているわけではないのだろう。
 彼等は同じ想像をした。
「うーがーーー!」
「だから叫ぶなって」
「だって…だって…」
 泣きかけの声でぶつぶつと繰り返す少女の頭を優しく撫でていた。突如、蟹沢が凄い勢いで顔を上げる。
「覚えてろよ、ちくしょう!幸せになってやるからなーー!」
「だから五月蝿いって、しかも何かフカヒレみたいだったぞ今」
 大声を上げたが、窓は閉ざされたまま反応は無い。蟹沢は一瞬だけ悲しそうな表情を浮かべた。
「ちぇっ…」
 小さく呟くと、おぼつかない足取りで歩き始める。
「あんがとね、スバル送ってくれて」
 背を向けたままか細い声で告げる。焦燥がありありと手に取れ、青年の顔を曇らせる。
「礼なんていらねぇよ」
―バタン―
 音を立てて扉が閉まる。
 何か、とても重い物が体の中に溜まっていく様な感触を味わい、疲れた息を吐き出す。
 そして青年は歩く。
 今日の宿をどうするか、と比較的どうでもよい事を考えながら、駅前に向けて。
 段々と、その歩みが速くなる。
 気がつくと、走っていた。
「チクショウ、チクショウ、チクショウ」
 悔しげに、その一言を繰り返しながら走っていた。
「あああああああああああああああああああああああ!」
 最後には意味の無い叫びを発していた。
42想いほどけて5:2005/09/24(土) 01:42:29 ID:o9dke4IU0
 蟹沢きぬの朝は遅い。
 具体的に言うと遅刻寸前で校門をくぐるほど遅い。
 加えて寝起きも悪い。
 彼女の幼馴染である対馬レオはそれについて度々文句を言っていた。
「ほれ、起きろ。」
 ぐらぐらと揺すられる。普段ならばこの程度では蟹沢は起きない。だが、今日は事情が違った。
 脳に直接釘を打ち込まれるような痛みが、彼女を襲う。
「うおおおおおお、頭がいてぇーーーーーーーーーー!」
「叫ぶとさらにいてぇえーーーーーーーーーー!」
 飛び上がり、ごろごろとベッドの上を蟹沢が転がる。やがて、壁にぶつかり、動きが止まり、小さな呻き声がもれる。
「くっ…もっと静かに起こしてくれよレオ」
「誰がレオだ」
「……あ……そか…乙女さんに変わったんだっけ」
「それも違う。っていうかオレの声を忘れたか?」
 頭を抑えながら上体を起こしぺたりと座り、驚いたような声を出す。
「って、何でスバルがここに!」
「うおおおおおおおまたもいてぇーーーーーー!」
 阿呆のように自らの叫びで悶絶する蟹沢に対し苦笑いをしながらスバルは答える。
「ま、代理みたいなもんだ。昨日酷かったからな」
 小さめの声で優しく語るスバルに釣られるように蟹沢の声も小さくなっていく。
「そか、あんがとよ…うー、でもマジで辛いなコレ」
 頭を抑え、苦しげに顔をしかめる。
「自業自得だ。」
「休みてー」
「残念だがお前のおふくろさんは行けと言っていた」
 諦めたような溜め息を吐き、のろのろと立ち上がる。
「しゃあない、着替えるからちょっと待っててくれや」
「あいよ、首長くして待ってるぜ子蟹ちゃん」
 一つウインクを飛ばし、部屋から出て行くスバルを見送り、制服に着替え始めた。
43想いほどけて6-1:2005/09/24(土) 01:45:42 ID:o9dke4IU0
 スバルは門に背を預け、空を見詰めながら蟹沢を待っていた。
 隣に住む、対馬レオは先程青年の前を通り、登校して行った。スバルの存在をいぶかりはしたが、あっさりと誤魔化された。
―ガチャリ―
 扉が開き、顔色の悪い蟹沢が現れる。足取りはしっかりしているがしきりに頭を抑えている、二日酔いが余程辛いのであろう。
「お待たせ、あー死ぬ」
「朝から悲惨な台詞だな、ほれ、肩貸してやるよ」
 蟹沢は素直に頷き、青年の肩にもたれかかる。
 辛そうな少女を気遣ってかスバルの足取りは随分とゆっくりしたものであった。
 結果、いまだ学園の門すら見えていないというのに、鳴り響くチャイムの音が耳に届いた。
 そして当然のように蟹沢はもがき苦しんだ。
 スバルは溜め息を一つ。
「まぁ、予想通りだな」
「どうせ、遅刻だちょっと休んで行こうや」
 そう言うと、進路を変え軍艦の見える公園に向かった。
 到着すると目立たないベンチに少女を座らせ、自らもその横に腰掛ける。
「飲めよ。美味いぜ」
 鞄の中から魔法瓶を取り出し蓋に注ぐ、味噌と出汁の良い香りが周囲に漂った。
 それを受け取り、一口一口味わうようにゆっくりと飲んでいく。
「オレの愛情がたっぷりこもったしじみの味噌汁だ。ま、ゆっくり飲んでくれ。おかわりもあるぜ」
 しばらく、少女が味噌汁を飲む音だけがそこにあった。
 やがて、魔法瓶の中身は空になり、ふぅ、と安心したような溜め息を蟹沢が吐く。
44想いほどけて6-2:2005/09/24(土) 01:47:14 ID:o9dke4IU0
「美味かったか?」
「おう、サイコーだったぜ」
 弱々しいが普段の蟹沢の口調である事にスバルは小さく安堵し、彼女の首に手を回すと、ゆっくりと自らの膝の上に誘う。
「じゃあ、しばらく寝てろ。まあ、ニ、三時間も寝てれば大分マシになるはずだ」
「おうよ…でもスバル、何か手馴れてるね」
「…………まぁな」
 何気ない問いに口ごもり答えづらそうにするスバル。脳裏によぎるのは複数の蟹沢とは似ても似つかぬ女達の姿、微かに罪悪感を感じた。
「…何か悪いこと聞いたかなボク?」
 聡く、スバルの返事に含まれた躊躇を汲み取り、困ったような表情を浮かべる。
「いや、俺がしょっちゅう酔っ払ってる人間に見られたと思ったらショックだな、と思っただけだ」
「気にせず寝ろ寝ろ」
「分かったぜ…」
 蟹沢が目を閉じる。
「…スバルは嫌かもしれないけどさ」
「スバルを好きになれば幸せになれたかもね、ボク」
 その言葉を聞き、泣きそうな、寂しそうな辛そうな、様々な感情が入り混じった複雑な表情を浮かべる。
 しかし、蟹沢は目を閉じているので、それを目にする事は無い。
「馬鹿が………いくらでも幸せにしてやるさ」
 その言葉が聞こえたか否かは定かではないが目を閉じた少女の顔には、今日初めての笑顔が浮かんでいた。
45想いほどけて7:2005/09/24(土) 01:50:12 ID:o9dke4IU0
 蟹沢が目を開ける。既に頭痛は消え去り、頭は冴えていた。
 一面に広がる紅の世界。木も、空も、地面も、道行く人々も空に鳴くカラスさえも赤い。
「って、夕方じゃねぇーか!」
 勢い良く起き上がり、膝枕をしていた青年の顔を見る。
「どうして起こしてくれない…って寝てるし」
 目を閉じ、すやすやと寝息を立てているスバルを見て、蟹沢はにへらっとした笑みを浮かべる。
「全く、仕方ない奴だね」
 スバルは目を開ける。
 蟹沢の寝顔を見ているうちにいつの間にやら眠ってしまったようだと思いながら、二つの疑問を抱いた。
 まず、周囲は闇に包まれている事。そしてもう一つ、まるで寝そべっているかのように視点が横向きになっている事だ。
「あ、起きたな。気分はどうよ?」
 青年よりはるかに身長の低い少女の声が、青年よりはるか上から聞こえてくる。首を傾け、上を見た。
 何の事は無い。ただ、青年は蟹沢に膝枕をされていただけであった。ちょうど、スバルが少女に対してしたように。
「ん?どうした、ボクに見惚れてんのか?」
 蟹沢の冗談めかした台詞は一面の真実を突いていた。スバルは時間が固まったかのように、微動だにせず蟹沢の顔を見ている。
 左手で青年の頭を撫でながら優しげに微笑む蟹沢にスバルは見出していた。
 幼い頃に失ってしまった人の面影を。
 怪訝そうな顔で青年を見る。スバルは、何がおかしいのか、一人で小さくくすくすと笑っていた。
「いや…何でもない」
「変なスバル」
「カニとフカヒレにだけは言われたくねぇな」 
 笑いながらそう言うと、スバルは起き上がる。
「ボクの膝はもう良いのか?実は気に入ったんだろ、もっと寝てても良いんだぜ」
「そうだな、気に入ったからまた貸してくれ」
「次回からは一時間四百円になります」
「微妙な値段だな、ツケで頼むわ」
 二人は肩をすくめ、笑顔を浮かべた。
「さて、送ってやるよカニ」
「…何か、昨日今日と妙に優しいなスバル」
「オレはいつだってお前に優しいよ」
 少し照れくさげに少女は微笑み、青年もまた微笑を浮かべた。
46想いほどけて8:2005/09/24(土) 01:51:48 ID:o9dke4IU0
 今日もまた、少女は玄関先で立ち止まり、レオの部屋を見る。
 昨日のように泣き喚きはしないが、どことなく寂しそうな顔をしている。
「今日もカーテン締めてやがるなレオの奴」
「もう、さ、ボク達の事なんてどうでも良くなっちまったのかな?」
「んな事ねぇだろうよ」
「ただ、俺達より大切な人が出来ちまったんだよ」
 そう告げるスバルの声もまた寂しげで、どことなく、悲しい空気が漂う。
「こうやってさ、ボク達離れ離れになっていくんだね」
 切なげな溜め息と共に自嘲気味な台詞が漏れる。
「おい、カニ。お前それ本気で言ってるのか?」
「あはは、すまねぇ、ちょっとセンチメートルな気分になっちまったみたいだぜ」
「センチメンタルな」
 少女の顔に奇妙に歪んで泣き顔のようにも見える笑顔が浮かぶ。痛々しい、と律儀に突っ込みを入れながらスバルは思った。
「週末空いてるか?」
 こくり、と無言で頷くのを確認し、言葉を繋げる。
「よし。じゃあ気晴らしに遊びに行こうぜ。」
「じゃあなおやすみ、きぬ」
 少女の返事を待たずスバルは踵を返した。
 去り行くスバルを見送り、玄関から家に入ったとき、ふと気がついた。
「…スバル、ボクの事名前で呼んだ?」
 奇妙な感触だと、彼女は思った。
47想いほどけて9-1:2005/09/24(土) 01:53:02 ID:o9dke4IU0
 そして、週末がやって来た。午前十時、スバルは手製の弁当を片手にまだ起きていないであろう少女を起こすために蟹沢家のブザーを鳴らす。
 人が走る音、開く扉。
 出てきたのは意外にも蟹沢きぬ本人であった。服装も既に整えられており、少々面食らったような表情を浮かべる青年。
「珍しく早いな」
「そりゃあボクだって、たまには早起きするさ」
「そいつはびっくりだ何だ楽しみにしてたのか」
「おう、遊び倒そうぜ」
 連れだって二人は出かけていく。
 まずは軽く、という事でゲームセンターへ行く。レースゲームや、メダルゲームで適度な盛り上がりを見せたが一番二人が楽しんだのはパンチングマシーンであり。
「死ねやああああああああ!」
 と、いう蟹沢の叫びがゲームセンターにこだました。
 十二時手前になり、少し早いが二人は食事を取る。駅前の適当なベンチに陣取り、弁当を広げる。
 サンドイッチ主体の為、手の込んだ料理は無いが、素材選びから味のバランスまでしっかりと手間をかけていた。
「うめー、相変わらずスバルの料理はうめー」
 ガツガツと両手にサンドイッチを握り齧りつく蟹沢に苦笑を漏らしながら、慌てると詰まるぞ、と言い。ペットボトルの紅茶を差し出す。
「んぐ…んぐ、ぷはっ、流石にレオ相手に腕磨いてきただけの事はあるね」
 対馬レオの名前が出たとき、一瞬切なそうな表情を浮かべた事をスバルは見逃さなかったが、それを表情には現すこと無く、まぁな、と呟いた。
「でも、あいつ毎日こんなの食べられてたんだよな、何かむかついて来た」
「レオもご愁傷様だな。ま、食べたけりゃ毎日でも作ってやるよ」
「マジで!じゃあ、今度焼きソバ食いたい。スバルの作った奴」
「焼きソバ?また微妙なチョイスだな。ま、良いさカニのためなら何でも作ってやる」
48想いほどけて9-2:2005/09/24(土) 01:56:22 ID:o9dke4IU0
「なぁ、スバル」
 一瞬、言い難そうに視線を逸らし、そのまま続きを口にする。
「一週間ぐらい前かな、ボクの事さ、名前で呼んだよね。きぬ、って」
「さぁな、そんな事もあったかもしれん」
 とぼけるようにスバルが答える。
「あれ、ボクの勘違いかな、なら別に良いんだけど」
「名前で呼ばれたの初めてだったからさ…ちょっと、変な感じがてよ」
「呼んださ、確かに、な。嫌か?」
「嫌って言われると微妙に嫌だけど、何か…………うがあああああああああああ良くわかんねぇ!」
 オーバーヒートしたかのように突如頭をかき首を振る蟹沢に胸中で苦笑いをする。
「あれはオレのケジメみたいなもんだ。普段は名前じゃ呼ばないからあんまり気にするなよ」
「…分かった」
 雰囲気を変えるようにいつもの飄々とした口調でスバルが口を開く。
「食べ終わったらどこ行くよ?」
「あ、ボクカラオケ行きたい、もしくはビリヤード」
「よし、両方行こうぜ。オレとお前の時間はたっぷりあるんだ」
 二人は他愛の無い会話を続けながら、遊びまわった。
49想いほどけて10-1:2005/09/24(土) 01:58:11 ID:o9dke4IU0
 その後も少女の行きたいという場所を全て周ったため気がつけばかなりの時間が経過し、周囲は夕暮れに染まっていた。
「うーん、遊んだ遊んだ。んじゃそろそろ帰るか」
「………最後に一箇所だけ、オレに付き合ってくれないか?」
 真剣な表情で蟹沢の顔を見詰める。少女はその真剣さに驚きながらも、小さく一つ頷いた。
 言葉一つ発することなく、淡々と歩く。
 辿り着いた場所には一本の樹がある。
「ガキの頃は…大きく見えたけどさ、今見ると意外と小さいよな」
 青年と少女が始めて出会った場所を見上げ、幼い子供に語るように言う。幹を一撫でし、くるりと少女を見る。
「登るか?」
「もちろんだぜ…ってボクスカートなんだけど」
「……すまん、忘れてた。」
「いやーでも昔は結構気にせず登ってたんだぜ。ひょいひょいって感じでさ」
「今、それやったらただの馬鹿だな」
 そう言いながら、二人は木の根元に腰を下ろす。
 突然に、青年が口を開く。
「……オレはオヤジを殺したいほど憎んでいる」
 込められた憎しみの割には淡々とスバルは語る。色々なものを押さえつけて。
「アイツはクズだ…そしてそのクズの血がオレにも流れている」
 どこか遠くを見ながら語る青年の横顔を少女は見詰める。青年が全て語り終えるまで、口を挟むまいと心で思いつつ。
「本当にガキの頃から、オレはアイツを否定してきた」
「アイツの血が流れる俺自身すらも否定したかった」
「…オレは死んでしまいたかった。アイツの血から逃れるために」
「お前に会って、お前等に会って…初めてオレはオレの存在を許せた」
「今でも、アイツを憎んでいる。だけど、もうオレ自身を憎んではない」
「本当に自分を憎んでいないのかは実は分からない。ただ、お前達がいる限り生きていたいと思っている」
50想いほどけて10-2:2005/09/24(土) 01:59:14 ID:o9dke4IU0
 口を閉ざし、傍らの蟹沢を見る。二人の視線が絡み、じっと見詰め合う。
 少女の目には何の感情もなく、ただ、続けて、とだけ刻まれていた。
 視線は逸らされ、語りは続けられる。
「アイツの世話になんぞなりたくは無い、だからオレは金を稼いでいる、学費から生活費まで全部だ」
「お前には普通のバイトだって言ってたが、本当は違う」
「色んな女のところ渡り歩いてSEXして適当な愛の言葉を囁いて、金を稼いで寝床を得てた」
「クズみたいなやり口だ」
「もう、何人と寝たかなんて覚えてもいないぐらいほどの女とオレはそうしてきた」
 二人の間に流れる沈黙。
「…これで終わりだ。お前の知らない『伊達スバル』の全部だ」
 溜め息を一つ、そして二人の視線が再び合わさる。
「……全部、お前に伝えた上で言うぜ」
「きぬ、お前が好きだ。お前の笑顔が好きだ、お前の優しさが好きだ、お前の嫉妬深いが好きだ、お前のちょっと抜けてるところが好きだ、お前の全てが好きだ。」
「レオの事を引きずっているのは知っている」
「だけど、笑って欲しい、オレのために」
 懺悔にも似た心情の発露、苦しげさえ形容できる表情と錆びた鉄のような声。
 きぬがひしゃげた泣き顔のようにも見える笑顔を浮かべる。
「………ボクはさ、馬鹿だからレオへの気持ちも…今のスバルへの気持ちも…上手く言葉に出来ないけど」
「笑うから、さ。スバルも笑えよ…そんな、辛そうな顔するなよ」
「頼りないかもしれないけどさ、ボク達幼馴染だろ」
 スバルがひしゃげた泣き顔のようにも見える笑顔を浮かべる。
「…変なの」
「…お前も変だよ」
 歪んだ笑顔を浮かべたまま、どちらからとも無く彼等は抱きしめあう。
 互いの鼓動を聞き、互いの吐息に触れ、互いの暖かさを感じる。
 ゆっくり、ゆっくり
 二人は笑顔を作っていく。
51想いほどけて11:2005/09/24(土) 02:00:25 ID:o9dke4IU0
 それから、大きな変化があったわけでもない。
 ただ、少しだけ二人の距離が近くなった。
 スバルは毎朝きぬを迎えに行った。
 きぬはスバルが来る頃には起きて待っているようになった。
 スバルはきぬのために弁当を作るようになった。
 きぬはスバルのために料理の勉強を始めた。
 スバルは女達と手を切り、今はバーで働いている。
 きぬはもう、レオの部屋を眺めて溜め息をつかなくなった。
 周囲から、二人の雰囲気が少し変わった。と言われ。
 幼馴染達からは、二人とも性格が丸くなったとからかわれた。
 ある日の夕暮れ
 きぬがスバルを呼び出す。
 二人が出会った木の下へ
「どうした、カニ」
「あのな、ずっと前にさ、言葉に出来なかったけど」
「今なら言葉に出来るからさ、聞いてくれよ」
 微笑を浮かべた二人の間に、一陣の風が吹いた。
〜Fin〜
52名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 02:02:26 ID:o9dke4IU0
えー、本編ではカニが自棄酒を飲むのは土曜日のため、翌日は学校がありません。
正直、すまんかった



しかし、もう、4つか5つ書いたのに、未だにこのスレの改行と文章量の限界が分からんorz
53名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 02:04:32 ID:YKl4L86x0
レオカニ好きだが、激しく泣いた。GJ…(ノД`)

54名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 02:06:27 ID:q4kQS2BV0
う〜ん、スバルも好きだが、やはりイヤだな…俺ワガママだな…
でも上手だった。センチメートル吹いた。
55名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 02:07:01 ID:TUgww7Wb0
スバルの一途さが良く表現されてますね。
GJ!!
56名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 02:07:27 ID:6hu4hlJq0
できれば注意書きが欲しかった
57名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 02:08:50 ID:NV1yLNDL0
GJ
58名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 02:11:03 ID:o9dke4IU0
>>54>>56
配慮不足
正直すまんかった。
次回からは投下前に書いておく。
59名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 02:12:25 ID:q4kQS2BV0
>>56
かわいいなw


スバルが「俺は親父の血を残したくない、誰とも結婚できない」とか言って、
カニも「ボクももうムリ」とか言って、
ふたりで仲良く寄り添って、独身親友エンドとかならみんな幸せ。
60名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 02:13:31 ID:q4kQS2BV0
>>58
いや、俺はそこまでダメージはない。
己のワガママさを感じただけだから。
ただ、ここはそういうのみんな嫌いだと思ってたから、意外ではあった。
61前スレ340兼604兼786:2005/09/24(土) 02:20:39 ID:NV1yLNDL0
GJ!
さっきはなんか途中で送信してしまいました。
いいですねぇ。やっぱスバルは最高ですね。スバルのカニへの想いが感じられました。
俺もこんなええ話書きたいな。
でも根っからの芸人気質なのか、いざシリアスなもの書こうとするとなぜか拒絶反応が・・・orz
ええ、今書いてるのもバカSSですよ。
まあ、人にはそれぞれ役割というものがある訳で、俺のはバカ分、コメディ分の補給に役立てば、と。
62名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 02:42:54 ID:seCGYbBv0
>>52
スレ、というより板の制限で行数は32行、容量2048バイトまでですわね
63名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 02:51:02 ID:ExWkxGOL0
な、泣いてないもん、泣いてないもんね!
。・゚・(ノД`)・゚・。 ⊃GJ!
64名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 03:00:09 ID:8RKywCvA0
スバルがカニっちを口説くとしたら
きっとものすごーーーーーーーく時間かける気がする。10年ぐらいw
で、その間ずーーーーーーーっと見守ってる。
65名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 03:46:40 ID:o9dke4IU0
>>62
dクス。書き込みながら分量の調整してたんでマジ助かります。


他の感想・意見をくれた皆もdクス。
66前スレ479:2005/09/24(土) 04:01:31 ID:9/K0rhtc0
仕事に行く前に、投下していきます。
ですが、なんかもうSSですらないです。
描写は皆無に等しく、元ネタ知ってる人にしか楽しめないかもしれません。


椰子・ひなのん・高嶺・歩笑・乙女・レオ・ショウ・タカヒロ(!?)
好きな人には、あんまりお進めできない仕上がりとなってますゴメンナサイ。。。
67名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 04:06:17 ID:q4kQS2BV0
>>66
「何を」好きな人にはお勧めできないの?
どのキャラ?
このゲーム?
68名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 04:48:08 ID:tevma/tO0
GJ!やっぱスバルの思いは報われた方が嬉しいな、俺的には。
69名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 06:01:39 ID:t+hgeTCT0
上の思いほどけて・・のルートって誰ルートだっけ?
70名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 07:10:43 ID:yzryg58b0
>>31
ヒント:土曜日
71名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 07:50:41 ID:KFtt6UCS0
>>69
乙女さんが迎えに来るとかあるから、乙女さんルートじゃなかったけ

寝取られとか全然耐性ないけど、スバルだと全然平気だった
72名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 08:00:22 ID:FmhyO6LL0
乙女さんとカップルになってるんだから、そもそも寝取られではないだろ?
73前スレ479:2005/09/24(土) 08:17:44 ID:9/K0rhtc0
>>69
>椰子・ひなのん・高嶺・歩笑・乙女・レオ・ショウ・タカヒロ(!?)
を好きな方にはお薦めできない、てこと。


それでは投下します。
74スーパーシスター大戦・1:2005/09/24(土) 08:20:08 ID:9/K0rhtc0
新世紀ナッツゲリオン〜椰子なごみを、君に〜



「氏ぬのは・・・いや・・・」
(大丈夫・・・・・私が守るから・・・・)
「氏ぬのは・・・いや・・・・・・」
(私が・・・そばにいるから・・・・・)
「氏ぬのは・・・いや・・・・・」
(私の為に・・・・氏んでくれ・・・)
「氏ぬのは・・・・・イヤアァァァァァァァ!!!!!」


ズン!ゴッ!カカーーー!!!


竜鳴館。
「こ、これは!?」
「どうした蟹沢一佐,一体なにが起こった!!」
「ナッツゲリオン・・・・・機動!そ、そんなバカな!!いるかちゃん、そっちは!?」
「シンクロ率300%オーバー!現在も上昇しています!」
「馬鹿な・・・・ありえん、ありえんぞそんな数値は!!」
「シンクロ率、なお上昇!!」
「これか・・・?君が狙っていたのはこれなのか,のどか君・・・・・!!」
75スーパーシスター大戦・2:2005/09/24(土) 08:21:36 ID:9/K0rhtc0
竜鳴館地下。
「なごみが覚醒しましたねぇ〜・・・」
「くー・・・」
「ごめんなさいねぇ西崎さん。でもわたし、どうしても主人に会いたいのぉ」
「・・・・・・くー」
「それじゃぁ、最後の仕上げですぅ。・・・なごみちゃん、ゴメンネ・・・」


「わかったよパパ!私の気持ち!!
私はレオ先輩が好き!ようやく気付くことができたよ!!!」
76スーパーシスター大戦・3:2005/09/24(土) 08:29:00 ID:9/K0rhtc0
ヒュ〜・・・ドンッドンドンドン(←何かが取り囲む音)

「あっ、ケーブルが・・・・!!・・・・・・!?
こ、これはTAKANE量産機!?完成していたの・・・!!」

コノ、イカ!コノ、イカ!(×12)

「・・・ケーブルが切断されて、エネルギーエキスが全部漏れた・・・か。
残っているのは、内部エキスのみ・・・。連続可動時間は三分弱ときた。
一体当たり25秒・・・ふふふ」

コノ、イカ!コノ、イカ!(×12)

「・・・・・やってみせる、私はまだ、氏ねないのよ!!!」

ナメンジャ、ナイワヨ!ナメンジャ、ナイワヨ!(×12)

「エネルギーケーブルが無くたってぇぇぇぇぇ!!」
グワァァァッ・・・・ドンッ!!!

「こっちには、1万2千枚の椰子皮装甲と・・・
ココナッツフィールドがあるんだからぁぁぁ!!!」

ザシュッ!ドッ!グシャァアア!!!!

「負けてらんないのよぉ!アンタ達IF文にぃ!!!」

ナメンジャ、ナくぁswでfrtgyふじこlp!あぶらだ!!!

「・・・・・・・・・erst!」
77スーパーシスター大戦・4:2005/09/24(土) 08:30:54 ID:9/K0rhtc0
竜鳴館。
「強し・・・強し強し強し強し
強し強し強し強し強し強し、強し!!!」
「おいこら天王子のおっちゃん!ちょっと落ち着け!」
「す、すまん蟹沢くん!・・・だがいける。
あのこさえいれば、人類姉萌計画は阻止できる・・・!!!」


「これでぇ!ラストォォォォオオオ!!!!」

コ、コノ、イkくぁswでfrtgyふじこlp!!!

「はぁ・・・はぁ・・・これで、やっと」

フィィィ・・・ン・・・・・コウコウコウコウ・・・・・

「なっ!ば、馬鹿な!!!」


竜鳴館。
「量産機、再起動!そんな、さいせい・・・してる・・・!!」
78スーパーシスター大戦・5:2005/09/24(土) 08:32:57 ID:9/K0rhtc0
「く、もう稼動時間が・・・・・ハッ!」

コ″ノ″、イ″カ″ァ″ァ″ァ″ァ″!!!

「フィールド展開!!!っ、くぅぅぅぅぅ!!!」

キュルッ、バババババ!(←変形音)

「これは掃除機・・・カナちゃん!?・・・はっ!!」

バババ、バシュウ!!(←フィールド破壊)

「あうッ!?うあああぁぁぁぁぁ!!!???」

フッフォッフォッフォッフォッフォッフォ・・・(←高笑い×12)

「殺してやる…殺してやる…殺してやる…殺してやる…
殺してやる…殺してやる…殺してやる…殺してやる… 殺してやる…
殺してやる…殺してやる…殺してやる…殺してやる…
殺してやる…殺してやる…」

ヒュウ・・・・・ドガ!ドガドガドガドガドガドガドガ!!!(×12)


竜鳴館。
「ナッツゲリオン大破。・・・完全に沈黙しました・・・・」
「ココナッツ・・・おめーは頑張ったよ・・・・・」
「・・・・・総員撤退。現時点をもって竜鳴館を破棄、退避する」

79スーパーシスター大戦・6:2005/09/24(土) 08:37:47 ID:9/K0rhtc0
チェンジシスターロボ〜姉萌最後の日〜



「シスプリビィィィィィム!!!!」

「ぅう・・・何て怨念のこもった力。
妹の執念のパワーは怖い・・・」
「ぽえむ、無事か!?・・・たかね、
えねるぎー感知、二撃目がくるぞ!」
「分かってる!!オープンロリ!!回避成功!!
さあ、次の一撃で片づけるわよ!!!」
「我からだな!!!おーぷんろり!!!
おおぉぉぉぉぉっ!
姉、巫女、山、堕としぃぃぃぃ!!!!」

グォォォォォッッ・・・!!!

「次は私。・・・オープンロリ」

ヒュン!ズアァァァァァ!!!

「クス、もらった。チェーンアタック」

ガキィ!ガガガガガ!!!!
80スーパーシスター大戦・7:2005/09/24(土) 08:39:37 ID:9/K0rhtc0
「とどめは任せるよ高嶺さん。オープンロリ」

「OK!あたしに任せて!!
チェーェェェェェンジシスターァァァァァ1!」

ヒュンッヒュンッヒュヒュンッヒュン!!!(←高速移動)

「いくわよ!!
シスタァァァ!!サァァァンシャァァァイィン!!!」

ヒュンヒュンヒュン!ズァ、ブアァァァァァ!!!!
ガッガガガガガガガ!!!!!

「そ、そんな・・・ことが・・・・・」

ズガッズガッズガーーーァァァ・・・・ン(←大破)

「妹派め!あたし達姉の力、思い知ったか!!!」
81スーパーシスター大戦・8:2005/09/24(土) 08:41:17 ID:9/K0rhtc0
鉄乙女〜萌えオタ達の大逆襲〜



「待てぃ!!」

「だ、誰だ!?」

「姉萌えを求める愚か者よ・・・我が活躍を見るがいい・・・
幼なじみと姉属性を併せ持つキャラがいるゲーム・・・
人それをつよきす≠ニいう・・・・・!」

「な、何者だ!?」

「貴様等に食わせるおにぎりは無い!!!」



「乾坤一擲・・・!
姉よ弟よ、飴よおにぎりよ!! 我に力を与えたまえ!!!!

とあぁぁぁぁぁ!!!

地獄蝶々、乙女斬!」

「あ、あ、あばらだ!!」
ドビュヒュウゥゥゥ(←鮮血)

「姉萌えを知らぬものに、かける情け無し・・・・・成敗!!」
82スーパーシスター大戦・9:2005/09/24(土) 08:43:18 ID:9/K0rhtc0
勇者王レオガイガー〜弟、暁に氏す!!〜



「はぁぁああ!レオ!アンド!ヘブン!!
アネモエスバルモウホッ・・・はぁあぁあ!!!」

?「遅い!!」

ガンガンガンガン!!(←ラッシュ)

「う、うわ〜!!!?」

?「・・・とどめだ。
アメ!アンドヘブン!!
アマアマアネモエウホッ・・・はぁぁぁぁ!!!」

「し、しまった!?」

「危ない!レオ!!!」

「あ、あんたはショウ・ナイスガイ!!?」
83スーパーシスター大戦・10:2005/09/24(土) 08:47:17 ID:9/K0rhtc0
?「うぉぉぉぉおお!」

「なめるな、おっさん!
ショウ・ナイスガイの力、みせてくれるわ!」

ズガ、ズガガガガガガガ!!!(←ショウ敗れる)

「しょぉぉぉぉおおお!!!」

「こ、こんな名無しに・・・」

「我が名はタカヒロ、名無しではない。
ていうかお前のほうが明らかにおっさんじゃねーか」

「う、う、うわらば!」(ショウ死亡)
84スーパーシスター大戦・11:2005/09/24(土) 08:49:34 ID:9/K0rhtc0
「く、そぉぉぉおおおお!!!
レオ!アンド!!ヘブン!!!!」

「む!?アメ!アンド!!ヘブン!!!」

ズアアアア・・・ドゴ!ドゴゴゴゴゴ!!!!

レオ&タカヒロ『ウオォォ\(`Д´)ノォォオ!!』

「お前は・・・わたしに勝つことは出来ない・・・・」

「勝ってみせる!生みの親であるタカヒロ、お前に勝ってみせる!!」

「ならば・・・・これを見ろ!!」

「―――なっ、あ、あれは!!?」
85スーパーシスター大戦・12:2005/09/24(土) 08:52:05 ID:9/K0rhtc0
いつも俺達は一緒だった。どんなときも。
楽しい時、嬉しい時、笑っている時、
辛い時、悲しい時・・・・・。
だからこそ、胸を張って言える。
俺達は、仲間だと・・・・・・・・。


「・・・・・フカヒレ・・・・・」
「レオ・・・・・」

「馬鹿め,隙を見せたな!!」

「――はっ、しまっ・・・・・!!」

「もう遅い!!」

「あう、ぐ、ぐああああああ!!???」

「主人公は氏に、姉が残る・・・。
罪深き弟よ,滅びされぇぇぇ!!!」

「ぐあぁぁぁあああぁあぁぁぁ!!!!」


フカヒレ・・・・・な・・・・・・・・ぜ・・・・・・・・・・・・・。
869/K0rhtc0:2005/09/24(土) 08:59:38 ID:9/K0rhtc0
超展開ばかり続いて、描写もなんもない駄文だけど
今でも後悔していない。


次はかにの記憶〜だけど、今日の夜投下します。
しかし暇人だな俺・・・(^^;
87名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 10:00:53 ID:vXMORiP50
     r-‐ 、                
     \  l  _ =  ̄ ̄ ̄ニ- 、    
.  ┌――> レ一          ヽ  
.  |  r ̄/.  .        ト、、ヽ :. 丶 
    '´ .l /: .: .:    ト  l |_H-ト、 :.  、
 ,. ―-弋|:: .:: .:::_-升 リ /| l ヽハ |、::: l|
.〈  ⊂ ll::.::: :::: //レ^lノ リ === | l从ノ
 \    ヽ::::.::/===      ⊂⊃イノ 
    ̄ \  !ヽ|t⊂⊃  ・ _   ハ 「  
      | \ ヾゝ、  「 ̄  |  .ノノl |   
      |〔| |ヘヽ∨ 、 _ ヽ-一 イ\ リ   
      |い! l、>ヘヽ l  ̄'‐' ̄ ./ | /ヽ
     ヽ ヾY  \∧ ノ凡ヽン l/  \
        〈     / <_从_ノ  .l    \
           ー‐/   |_||_|    l     f
             /         └r┬-イヽ
             /           | l    i

88名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 10:25:11 ID:NV1yLNDL0
すまん。元ネタがほとんど分からないです。
89名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 10:34:21 ID:/PmuIsVK0
カニ×スバルいいね!
ぶっちゃけヘタれのレオにカニは勿体ないよ。
90名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 11:01:05 ID:dHjuZNgY0
俺も元ネタわからねぇ
…一部はエヴァってのだけは何とか分かるな
91名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 11:06:22 ID:KFtt6UCS0
>「強し・・・強し強し強し強し
>強し強し強し強し強し強し、強し!!!」
これはるろ剣かな
92名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 11:46:44 ID:Tp36N+3k0
>>51
(・∀・)イイ!!終わり方も最高!
93名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 12:26:38 ID:t+hgeTCT0
これだけ好評でも数々のSSサイトでつよきすSSが出てくるのは
まだなのか・・・
Fateはさすがに凄い速さでSSが提供されたが・・・
94名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 14:31:49 ID:/PmuIsVK0
話しが脱線するのだが、藻前等はレオの事好きか嫌いか教えてくれ
出来れば理由付きで
95名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 15:06:09 ID:T7qakCXD0
>>94
テンションに流されまい、とか言ってカニに冷たくしたりするレオは嫌いだ。
熱血モードに入って、村(ryを倒すために特訓したり、スバルと拳で語ったり、ドッジで乙女さんの球を受けたり、姫に熱い告白をしたり、よっぴーを雨の中抱きしめるレオが好きだ。
96名無し@初回限定:2005/09/24(土) 15:13:25 ID:MZQACIkI0
ごめ。ちょぃ気になったことなんだけどさ姉しよの着声のサイトがほすぃす。
朝とかねぇねぇに起こしてもらいたいし(^ω^ )
97名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 15:14:41 ID:Hzt35n0J0
俺はレオ×カニよりスバル×カニのほうが好きだから、>>55はマジGJだった
98名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 15:19:43 ID:Hzt35n0J0
>>97>>51へで
99名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 15:35:04 ID:dNyKfKoQ0
普段は客観的に物事を判断し、よく気のつく普通に良い奴だが一度感情的になると周りが見えなくなる
それで良い結果(武道祭とか)を生むこともあるが、悪い時(姫はこんな事しない〜とか)もある
レオは失敗したときのことばかり気にしてその場のテンションに流される事を自戒していたが
真に問題なのは流される事ではなく、流されて良いときと悪い時の見極めが出来ていない事だな
でも高校生いや学生・・・じゃないな生徒もまずいし・・・まぁとにかく若いんだからあれくらい普通だろう
愛すべき若者っていうか、将来が楽しみって言うかそんな感じ
100名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 16:22:41 ID:tb+7gy+y0
>>96

自分で作ったほうが早いと思うよ。
この手の話題は激しくスレ違いなのでその手のスレで聞くがよろしい。
101名無し@初回限定:2005/09/24(土) 16:39:13 ID:MZQACIkI0
>>100
|Д´)ノ 》ァィ
102名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 17:37:29 ID:9/K0rhtc0
>88、90
元ネタ↓
劇場版エヴァンゲリオン
ゲッターロボ
マシンロボ〜クロノスの大逆襲〜
勇者王ガオガイガー
です。

>>91
あ、分かってくれたw

>>94
俺も94と同じ意見です。
レオは熱くなんなきゃレオじゃないッス。。。
103名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 17:59:07 ID:9/K0rhtc0
>俺も94と同じ意見です。
94じゃなくて95ですorz
104名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 18:23:59 ID:ZZ3/4XIs0
「オレ」のこと好きか、と見間違えた俺は相当目が悪い
105名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 18:54:17 ID:LK0aVSHt0
俺はカニとバカップルしてるレオが一番好きだ
106名無し@初回限定:2005/09/24(土) 19:42:17 ID:MZQACIkI0
>>100
|Д´)ノ ァィ!

でも見つからNEEEEEEE
おれの探し方が甘いのかorz
107名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 21:54:31 ID:QjJ7oqpi0
私は総合的に考えると嫌いな部類に入りますね。
フカヒレ、スバル、カニと一緒にいるときは楽しい奴なんですけど、各ヒロインのルートに入るとヘタれが大爆発なもので・・・。

乙女ルート:やたら無駄にHを強要しすぎてウザー。

カニルート:カニを突き放す時がウザー。

姫ルート:姫の犬になってウザー。男以前に人間としてアレだね。

なごみルート:むやみに話しかけようとしてウザー。なごみじゃなくてもキモいと思うって。

祈ルート:やたらむやみに祈に接触しようとしてウザー。
108名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 22:16:58 ID:YKl4L86x0
>>107
乙女さんルートとカニルートのは禿同。

他ルートのは、性格がアレだって分かってるから仕方ないんじゃないかと思うんだが。
なごみんなんか自分から接触するタイプじゃないし……
109Seena ◆Rion/soCys :2005/09/24(土) 22:50:45 ID:gup3Uvls0
レオくんに限らず、つよきすに出てくる「キャラクター」はみんな好きです。
姉しよのクロウですら好き・・・なんちて。
110名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 23:21:14 ID:go+11HTLO
‖Д@)誰も見ていない‥‥投下するなら今のうち‥‥
111名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 23:21:54 ID:ZZ3/4XIs0
きゃんでぃ・・・というかタカヒロがキャラの作り方うまいんだろうなあ
112ここはひどいインターネッツですね-1:2005/09/24(土) 23:26:41 ID:go+11HTLO
対馬レオ専用スレその12(246)

1:性欲を持て余す◆QUX//58m 9/14(火) 22:14 ID:yoPpyy
新スレ立てました。前スレに続いてレオキュン情報・SS・絵を晒しましょう。
ルール、ログ、関連スレは>2-5あたり

238:名無しのSS書き◆SSe2/itd 9/14(火) 22:14 ID:H-ime/8oO
対馬くんは私の唇にそっと触れるぐらいのキスをした。
「‥‥」
ドクン、ドクン。自分の顔が赤くなっていく音が聞こえる。
(省略されました続きを読む場合はココをクリックしてください)
239:名無し生徒会 9/14(火) 22:18 ID:su/BAru84
>238 神キタ──(*´Д`*)──!
240:名無し生徒会 9/14(火) 22:24 ID:nAGO@Miny
>238 ヒロインが毎回ハーフで生徒会長でお嬢様ってのはさすがにどうかと‥‥

241:名無し生徒会 9/14(火) 22:24 ID:kani?/DDJ
>238 GJ!今回も堪能しました(*´Д`)
>240 だったらてめーが書いてみろよw
242:名無しのSS書き◆SSe2/itd 9/14(火) 22:14 ID:H-ime/8oO
>240うーん、やっぱりワンパターンだったかなw
次の話はまだ考えてないけど何かリクある?
243:名無し生徒会 9/14(火) 22:24 ID:8tOToMe-#
次は年上の生真面目なイトコをキボンヌ

244:名無し生徒会 9/14(火) 22:24 ID:nAGO@Miny
いや、ここは料理が得意な孤高の後輩がよいかと‥‥
113ここはひどいインターネッツですね2:2005/09/24(土) 23:28:24 ID:go+11HTLO
245:名無し生徒会 9/14(火) 22:24 ID:kani?/DDJ
小柄で快活な幼なじみにイピョーウ
246:名無し生徒会 9/14(火) 22:24 ID:mana94&AG
>1さんの『アナル調教師レオ・淫獄性奴会編』マダー‥‥と思ったら神キテタ―(゚∀゚)―!
(次は色黒の関西弁娘にしてほすぃ‥‥)
(´ー`)。゚

‥‥

‥‥‥‥

‥‥‥‥‥‥

「いきなり来てどうしたんだよレオ?」
「フカヒレ‥‥何も聞かずにしばらく泊めてくれ‥‥」
「別にいいけど‥‥なんでさ?」
「‥‥人間が信じられなくなったんだ‥‥」
「それって遠回しに俺のこと馬鹿にしてるよな‥‥?」
「後、掲示板の荒らし方おしえてくれ」
「はぁ?」

オチ無し
114名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 23:40:27 ID:QjJ7oqpi0
>>108
まぁ姫ルートはいいとして、やっぱなごみと祈ルートでは嫌だったなぁ。
そりゃ積極的に接触しないとストーリーが進まないのは事実ですが、相手が嫌がっている事を懲りずに繰り返すってのは萎える(´-ω-`)
嫌だって言っているんだからヤメレっつーの(´-ω-`)
115想い破れて:2005/09/24(土) 23:48:07 ID:gup3Uvls0
TVではアナウンサーがべらべらと興奮した口調で何事かまくし立てている。
・・・けっ、煩ぇ野郎だ。気に入らねえ。
そう、何もかも気に入らねえ。
女は帰っちまった。ビールが温い。つまみもねえ。腹が減った。金がねえ。
おまけにTVは相変わらず煩えと来た。
リモコンを取って・・・音声を消す。ちったぁマシになった。
何も語らない画面の中で動き回る糞ガキをぼんやりと見つめる。
馬鹿な奴だ。
お前いかに滑稽か、自分でわかってるか?
ちょっとばかし人より足が速くったってちやほやされんのは長い人生のほんの一瞬なんだぜ?
俺を見ろ。
俺だってお前ぐらいには足が速かった。
俺を見ろ。
俺だって運が良ければお前と同じ場所にいた。
俺を見ろ。
俺だって・・・俺だって、頑張ったんだ!お前と同じくらい、頑張ったはずだ!
なんでだ!?なんで俺はあそこにいねえ!?なんで俺は報われない!?
俺の・・・俺の努力は何のためだったんだよ!?
画面がコースに並んだ糞ガキの顔をアップで映す。
走り出す。
腕の振りが悪いな。インコース気にすんなバカ。
釣られんな、そこはためとけ。最後の直線が大事なんだぞ。
よし、行け!焦るなよ、転ぶなよ・・・俺みたいに・・・
俺みたいには、なるなっ・・・!
「行け・・・行けっ!・・・行けーーーーっ!!」
・・・3位。銅メダル。表彰台に糞ガキが上がる。
レポーターが近づく。慌ててリモコンを探し、音声を出す。
・・・そうか。あの糞ガキ、帰ってくるか。
別に俺のところに帰ってくるわけじゃねえだろうが・・・
部屋の掃除でもするか。買い物とかもしてねえ。
その前に・・・いい年して流した涙を拭かなきゃな・・・
116Seena ◆Rion/soCys :2005/09/24(土) 23:50:44 ID:gup3Uvls0
たぶんこのゲームで一番愛されていないこの人でしょうね。救済SS。
117名無しさん@初回限定:2005/09/24(土) 23:57:44 ID:YMMP8hPeO
>>116
GJ!
最後で泣いた
118名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 00:01:56 ID:1dFXI+600
>>116
GJっす。
なんでSeenaさんポンポンとSSが出てくるのか、なんとなくわかった。
119名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 00:10:01 ID:i8wPzOe00
スバルパパも、考えようによっちゃ哀れな存在なんだなぁ…
>>116
GJ。キャラとゲームへの深い愛情を感じたよ。
120名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 00:58:47 ID:5UwWGfKe0
すごい。GJです。マジ泣きそう。
121名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 01:06:26 ID:yhNkOQPT0
いつかスバルも親父を許せる日が来るんだろうか・・・
そんな日が来たらいいな、と思わせられたGJ
122名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 01:30:59 ID:7GBqQ5Up0
>>112
ワロタ個人的にそういう悪ノリした話大好き


>>115
GJ、欲を言えば続きが読みたいw


123守護者 1/3:2005/09/25(日) 05:30:33 ID:UK8oIJGT0
 最近になって、落ち着いていたクロウの出現がまた多発するようになった。
 しかも今までは比較的鎌倉市内が主な出没場所だったのに、
鎌倉以外の街でもクロウが出るようになったと透子さんが言っていた。

 今日は嫌な予感がしてたんだ。
 今、私は空也を後ろに乗せて、ラスカルを猛スピードで夜の街を走らせている。
 キンキンと頭に響くクロウの出現を知らせる音も、鎌倉を出たあたりでさらに強くなってきた。
 九月も後半になってやっと涼しくなったのに、
今夜はべっとりと纏わり付くような重苦しい風が吹いている。

 交差点に差し掛かり、頭に響く音にどちらに向かうべきか聞いてみる。
 「・・・左かな。」
 「俺も左だと思うよ。」
 空也も音の発信源は左だと思っているらしい。
 私が空也をこんなことに巻き込んだのに、文句一つ言わずに協力してくれる。
 お姉ちゃん、何があっても空也にもうあんな目には合わせはしないからな。
 私のお腹に空也が回している手を軽く握った。
 ハンドルを左に切り、人気のない倉庫街に向かう。

 クロウはすぐに発見できた。
 二メートルちょっとあるので、遠くから見てもすぐ分かる。
 クロウの目の前には比較的大柄な人影。
 クロウほどの怪物を目の前に、微動だにしていない。
 怖くて身動きが取れなくなったのかな?
 兎に角、急がなくちゃ。
 ラスカルをどこかに止めている時間は無い!
 「纏身!」
 紫色の光が私を包む。
 纏身すると、私の後ろに乗っていた空也も僕としての力が出たのだろう。
 猛スピードで走るラスカルから飛び降りた。
 私はそのままラスカルごと、クロウめがけて突っ込んだ。
124守護者 2/3:2005/09/25(日) 05:33:02 ID:UK8oIJGT0
 ドガシャーンッ!
 「ケェエェェェェェ!ジガァァァ!」
 クロウが吹っ飛んでいる隙に、襲われそうになった男の人の前に立つ。
 「早く逃げて!」
 私がそう言うと、その顔に傷のある髭がもっさもさの男の人は、驚いた様子もなく
 「もう一匹現れ・・・いや、お前さんはあの怪物と違うようだな。紫の人よ。」
と落ち着き払った様子で言った。
 「おっさん、早くこの場から離れたほうがいいぜ!後は俺たちに任せて!」
 追いついてきた空也が髭の人に言う、と
 「ふはっはっはっはぁ!
いやはや、助けてくれようとした事には礼を言わねばなるまい。助太刀、痛み入る。
だが、この橘平蔵、あんなカラスごとにきに負けはせん!」
 その瞬間、遠くのほうで立ち上がりかけたクロウめがけて、橘さんは一瞬で間合いをつめ
 「ハァッ!」
と気合をこめた正拳突きを放った。
 ドガアアアァァァァン・・・
 クロウは爆発し、あたりに煙が立ち込める。
 「と、ともねえ、あの人・・・。」
 「う、うん。すごいな・・・。」
 ぼーぜんと立ち尽くしてその光景を見る私と空也。
 立ち込めた煙の向こうから、のっしのっしと橘さんが歩いてくる。
 「まぁ、ワシにかかればこんなものよ。」
 「・・・あのー、今のはどうやったんですか?大爆発起きてましたけど?」
 「んー?知りたいのか青年よ。あれはなぁ・・・気合だ!」
 「気合だけで・・・あぅ、す、すごいなぁ。」
 「ふむ、最近行方不明事件が多発しておるのでな、ちょっと見回りに出たらこれだ。」
 「あっ、あの、私のこの姿見て・・・その・・・おっ、驚かないんですか?」
 「んー?確かにお前さんのその姿は人外のものだが、
その心から何か熱い、正義のものを感じることが出来る。
だからワシは、お前さんを一目見て敵ではないと判断したのだ。」
125守護者 3/3:2005/09/25(日) 05:39:35 ID:UK8oIJGT0
 「スゲェな・・・心でも読めるのか。」
 「まぁ、ワシはお前さんたちが何でそんな格好で鳥頭を退治しに来たのかは聞かん。
人それぞれ事情があるだろうしなぁ。それでは、ワシは帰るぞ。
この松笠の治安はわしに任せて置けよ。ぬぁっはっはっはっはぁ!」
 橘さんはのっしのっしと倉庫街から消えていった。

 「「・・・」」
 纏身をといた後も、ボーっと橘さんの去ったほうを見つめる私と空也。
 「あ、あのさともねえ、なんかあっけなかったね。・・・帰ろうか?
って、何で顔真っ赤にしてうつむいてるの?」
 「あぅ・・・だって私、ここに来る途中、心の中で
こっ、今夜は不吉な感じがするとか思って、自分を盛り上げてたんだ。
思ったよりあっけなく終わって、自分がはっ、はずかしい・・・。」
 「ははは、ともねえらしいや。」
 「でも、誰も怪我しなくて良かったよ。」
 「そうだね、じゃ、帰ろう。ともねえ。」
 「そうだな・・・あぅ!しまった!」
 「どうしたの!?」
 「あの人とお友達になるための握手、してない・・・。」
 夜の海から倉庫街に吹きぬける風は、ひんやりとして気持ちが良かった。
126SSD:2005/09/25(日) 06:00:58 ID:UK8oIJGT0
あっさり目に仕上げて見ました。
橘館長なら素でクロウに勝てそうですね。
127名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 10:11:37 ID:Vw/UdKwi0
さすが館長!!!
128名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 13:34:33 ID:3i6vuuBQ0
>>112
レオの人気に嫉妬したwwGJ!

>>115
目からしょっぱい汗が出てきた。
な、泣いてない! 泣いてないもんね!

>>125
さすが館長だ、クロウが相手でもなんともないぜ!

129名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 16:15:25 ID:0f9xMYF60
|ω・`) ダレモイナイ…SSウpスルナラ イマノウチ
130せいぎのみかた・1:2005/09/25(日) 16:16:51 ID:0f9xMYF60
「しょうらいのゆめ」 2ねん1くみ つしまれお
オレはしょうらい、せいぎのみかたになりたいです。
せいぎのみかたになって、わるいやつをみんなやっつけます。
そしてへいわなせかいをつくって、おとうさんとおかあさんと
いつもいっしょくらせるようになりたいです。

「せいぎは、かならず、かつ!」
今日は近所のガキ大将を喧嘩で負かしてやった。
前からムカツクやつだな、やっちゃおうかな、と思っていたけど、
『せいぎのみかた』は意味もなく喧嘩しない。
でも、今日のあいつは、砂場で遊んでいた女の子をいじめていた。
ボロボロ涙を流す女の子を見たら、いつの間にかガキ大将に殴り
かかっていた。
相手は身体が大きくて力も強かった。殴られた頬が少し痛くて
熱かったけれど、泣いていた女の子の
「あの、たすけてくれて、ありがとう」
という言葉と笑顔に、もっと熱くなっていた。
なんだかその子の顔を見ていられずにそっぽを向いたオレは
「オ、オレはせいぎのみかただから…」
とボソッと答えたのは、ちょっと格好悪かったかなぁ。
でもこれで「せいぎみかた」にまた一歩近づいたよな!

そう、思っていたのに……。
131名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 16:18:24 ID:aI8vNxxb0
132せいぎのみかた・2:2005/09/25(日) 16:19:06 ID:0f9xMYF60
その日、『せいぎのみかた』は初めて敗北した。
しかも一つ年上の女の子に、身も心も打ち負かされてしまったのだ……。

その女の子とは出逢いからして衝撃的だった。
なにしろ、物陰からいきなり竹刀で叩かれたんだから。
「いってぇーーーー!」
「あれ?……よ、よけられなかったのか。おまえはよわいなぁ」
「ムッ! オレはよわくないぞ、ヒキョーモノめっ」
「わたしがひきょうだと? おまえがよわいのがいけないんだ!」
怒った女の子が殴りかかってくる。逆ギレかよ!
でも卑怯者とはいえ、相手は女の子。女を殴るなんて
『せいぎのみかた』のやることじゃない。そう思っていたけれど、
このコはとっても強くって、いつの間にか本気になっていた。
なのに『せいぎのみかた』は『ひきょうもの』に負けてしまった……。
「いてて……オレがまけるなんて。おまえ、ほんとうはオトコか?」
「わたしのどこがオトコだ! おとめにむかってシツレイなやつだな」
いたっ! また蹴りやがった。
「おまえのどこが『おとめ』なんだよっ」
「わたしのなまえは『おとめ』という。わたしにピッタリだろう?」
「おこめ?」
「おとめだ! おとめねーさんとよべっ」
まったく、人を馬にするような奴のどこが『おとめ』だっていうんだ。
くそぅ、もっともっと強くならなくちゃな。
『せいぎのみかた』への道のりは遠い……。
133名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 16:42:21 ID:1Sw0ML470
>>132
終わったのかな?
134つよきす文化祭・1/?:2005/09/25(日) 18:37:11 ID:BQwaGUFv0
「なぁ、今年の文化祭どうするんだ?」
 いつもの幼なじみとの集まりで、フカヒレが何げなく意見した。そういえば、そろそろそんな時期だったなぁと思い出す。
「今年は生徒会に入ってるからクラスにはあんまり顔出せないんじゃないの?」
「いやだ、それは絶対にイヤだ!」
 俺の意見にフカヒレが妙に力を入れて反発する。何か、今日のフカヒレ熱いな。
「いや、生徒会でやるならやるでそれはおいしいが、やっぱりクラスでやらなきゃイヤなんだ!」
「おぃ、どうせロクでもないこと考えてるんだろぅが。ボクは今レオの机いじるのに忙しいんだから少し黙ってろよ」
「お前はとりあえず死んどけ」
 前の失敗を考慮して、二重底を改造して三重底にしてあるので、大切な『大人の絵本』はさらにバレにくくなっているが、何せカニだ。こいつの勘の良さは犬並みなのでとりあえず縛り上げて机から引き離しておく。
 目がらんらんとしている辺り、もしかしたら最早気づかれたのかもしれない。
「うぉおいレオ、このボクを縛るとは。これはアレか? ついに目覚めたか?」
「破廉恥な甲殻類は黙ってなさい」
 カニに布団かぶせて防音完了。
「で、フカヒレは何を熱くなってんだ?」
 スバルがフカヒレに先を促すように会話に加わる。
「まぁ、聞いてくれ。俺はな、常日頃からこう考えている。女子は男に尽くすべきだと」
「まあ、耳にタコだな」
「そうだな、お前達にはよく言い聞かせているからな。……しかしどうだ、最近のクラスの女子たちはあまりに俺をないがしろにしすぎている気がするんだ。左を向けば『スバル君』、右を向けば『スバル君』、もうね、アホかと、バカかと」
 フカヒレが腕を組み、何かを考えるように顔を傾ける。実際、ピンクな事を考えているのだろうが。
「お前達は、そんなにスバルがいいのかと、お前達はそんなにホモ野郎がいいのかと」
「フカヒレ、オレはホモじゃねぇ」
「分かってる、分かってるさスバル。お前が好きになったのがたまたまレオだっただけなんだよな」
「それは否定しないが」
「うぉい、そこを否定してよ」
 俺、もしかしてギャルゲじゃなくて、腐女子向けBLゲームの主人公?
135つよきす文化祭・2/?:2005/09/25(日) 18:37:52 ID:BQwaGUFv0
「じょーだん、だよ。冗談。それで、フカヒレ、結局何が言いたいんだ」
 スバルがさらに先を促す。正直、流れからいってどうでもいい方向の話っぽいんだけど、今日のフカヒレは無駄に熱いから聞いとかないと後でいじけそうなのだ。一応話を聞いておく。
「つまりな、俺は今年の文化祭にクラスでメイド喫茶をしてはどうなのかと思ったのだよ! さっき」
「さっきかよ」
 その割りには熱が入っているフカヒレ。
「まぁ、俺はどうでもいいけど、クラスの女子たちがそんなの許可すると思うか?」
「まぁ、そこはレオに頑張ってもらうとしてだな」
「うぉい、俺キタ?」
「まあまあいいじゃねえか」
「いや、ちっとも良くないが」
「まぁ、レオ。ちょっと想像してみろ。あの高慢ちきな姫がメイド服を着て奉仕するところを」
「……(想像中)……」
「……(妄想中)……」
「ナイスメイド! フカヒレ!」
「ナイスメイド! レオ! まあ、そういうことだ。協力してくれるだろう?」
「モチのロンよ。な、スバル?」
「まあ、俺もメイドはブルマの次に思う所あるしな。協力するぜ」
 三人で円陣を組む。そこには確かに熱い、男の友情がなみなみと溢れていた。
『よし、いっちょやったるぜ!』
 孤高の狼三匹の叫び声が夜の対馬家に響き渡った。
「うるさいぞ、お前達!」
 乙女さんの怒声もついでに響いていた。
136つよきす文化祭・3/?:2005/09/25(日) 18:38:42 ID:BQwaGUFv0
「とゆうわけで、文化祭の出し物はメイド喫茶がいいと思います」
 次の日のLHR、丁度文化祭の出し物を決める話が持ち上がったので、フカヒレが早速意見を述べた。
 『何がとゆうわけやねん、フカヒレ!』『やっぱりフカヒレ君ってちょっと』『またフカヒレ君アルね。やっぱり気持ち悪いネ』とか女子から色々言われてはいるが彼、フカヒレは臆することなく、堂々と胸を張って前を見据えていた。
 こうゆう時、彼はものすごく男らしい。いつもこうならもっと……気持ち悪がられるだろうな。
「反対意見は聞かん! 黙って俺に付いて来い!」
 微妙に賛成顔をしている男子連中に後押しされてフカヒレが大声を張り上げた。
 おお、フカヒレがものすごく“決まった”っぽい顔をしている。しかし――
「フカヒレ帰れ」
「帰るアルネ」
「帰ったほうがいいんちゃう?」
「フカヒレ君、もう生徒会に来ないでね。ていうか学校に来ないでね」
「ひいいぃぃぃ、生きていてごめんなさい!」
 ……よっぴぃって意外と黒いよね。そしてフカヒレ情けないよね。
 しかし、予想どうりとは言え、ここまで反対されるとは。やっぱり女子には少しきついのかな。
「いいじゃない、面白そうだから私は許可するわ」
 ああ、姫はノリノリですね。
 でも、フカヒレだけじゃあ少しキツイかな。ここは助け舟を出すべきだろう。
 俺も、手を上げて意見する。姫が賛成なら、他の意見『巨大迷路』、『とび出る巨大迷路』、『音が鳴る巨大迷路』に勝ち目が無い事もない。
 つか、巨大迷路ばっかでしかも昔の絵本みたいな追加要素で、客呼ぶ気あるのだろうか。
 “とび出る”って何が出るんだよ。
「待ってくれ、皆! ここは多数決やらクラス投票で意見を聞いてみるべきではないのか!?」
 クラスの男子は期待の目を、女子は胡散臭げな目を俺に向ける。
137つよきす文化祭・4/?:2005/09/25(日) 18:41:14 ID:BQwaGUFv0
「対馬はんも実は“隠れヲタク”やったんやろか、ヒソヒソ」
「何か、人間性疑ってしまうアルネ、ヒソヒソ」
「いや、ボクは知ってるよ。レオは昔からこうゆう趣味があったんだ、ヒ素ヒ素」
「うぉい、甲殻類。お前はアレか? 俺に今日の昼飯気をつけろと言ってるのか?」
 女子の視線の中には殺気じみたものも感じるが……ぅぅ、こんな所で挫けたら姫のメイド姿が見られない。
 俺は、絶対に姫メイド見るんだ!
「い、いいから、ほら。やってみようぜ多数決!」
「ぇえ〜」
 渋々ながらも、よっぴ〜が多数決を取る為の準備を始める。
 席について前を見ると、フカヒレ含め、クラスの男子が俺に親指を立ててにこやかな笑顔を向けていた。その笑顔は確かにこう語っていた。“ナイスメイド!”と。
「はい、じゃあ一番後ろの席の人は紙を順番に集めてください」
 よっぴぃの掛け声と共に、それぞれが希望の出し物を書いた紙が集められ教卓の上へと集められていく。
 そして、よっぴぃが一つずつ紙を開いて黒板に“正”の文字を書き連ねていった。
 今のところは、『とび出る巨大迷路』が優勢か。『メイド喫茶』に“正”の文字二つ分差を開いている。その他の『巨大迷路』、『音の出る巨大迷路』はいまいち芳しくなく、“正”の文字一つすら完成していない。
 音の出るのととび出るの、どう違いがあるのか分からないが、くそっ、行方が思わしくないな。仕方が無いここは――
「時よ止まれッ!」
 スタンド発動。今から五秒間は俺の独壇場だぜぃ。すばやく黒板まで駆けて行き、『メイド喫茶』の欄に“正”の文字十個書き足して再び席に戻る。
 ちょっと不自然な気がするが、まぁこのクラスだから無理矢理押し通せば何とかなるだろう。
 そして、時は再び動き出す。
138つよきす文化祭・5/?:2005/09/25(日) 18:42:32 ID:BQwaGUFv0
「はい、じゃあ最後の票は『メイド喫茶』に入りますが、『とび出る巨大迷路』の圧倒的な勝利になりま、す?」
 よっぴぃが黒板を見て不思議な顔をする。そりゃそうだ、いきなり『メイド喫茶』に五十票も入ってるんだもんな。
 このクラス五十人もいないんだけどね。
「いや、コレは『メイド喫茶』に決まりかなぁ!?」
 皆が騒ぎ出す前に、決めてしまわねばならない。大きな声でよっぴぃにたたみ掛ける。
「え? え?」
「いやぁ、圧・倒・的! だねぇ! HAHAHA! さぁ、『メイド喫茶』に決定だな!」
「え? えぇ?」
「さぁ、佐藤さん。その委員長ノートに2−Cの出し物は『メイド喫茶』と書き連ねておくれよ!」
「えっと、対馬君がそういうなら……」
 ふぅ何とかなったな。
 ちら、と姫の方を見ると、俺の方を見て何か含みのある笑いを向けていた。
 もしかしたら、スタンドを見られていたのかも知れない。いかん、姫の前で煙草を吸うときは鼻頭に気を付けねば。
 まぁ、とにもかくにも、2−Cの出し物はメイド喫茶に決まった訳で。
 クラスの男子はその日、始終妄想にふけっていましたとさ。


ごめん、自己満足かもorz
長いしまだ、続くし……これをSSと呼んでもいいですか?
139名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 18:55:11 ID:LyHRE+pe0
>>138
スタンドって・・・? (゚Д゚;) ポカーン
140名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 18:56:30 ID:Td4Q5Uro0
スタンドはあかんやろ。
出す必要性も今のところないし。
141名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 18:57:49 ID:BQwaGUFv0
勢いでやった。今は反省している。
142名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 19:01:24 ID:LyHRE+pe0
スタンド出すなら登場人物みんなスタンド使いにして
「レオの奇妙な冒険」とかまでやっちゃうならいけるんだけどね。
143名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 19:04:31 ID:BQwaGUFv0
ジョジョネタ使いすぎはいかんかったなw
申し訳ない
144名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 19:05:32 ID:RsZRCxCb0
>>134-140 GJ
ダメ出しまで含んで完成してるw
145名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 19:12:46 ID:RsZRCxCb0
エリカがたとえてあげる。(40スレのまとめから転載)
ジョジョ
●スバル→ジョセフ
 レオ→ポルナレフ
 なごみん→花京院
 フカヒレ→影使う奴(名前ど忘れ)
 乙女→丞太郎
 カニ→ダービー(弟)
 姫→DIO
 よっぴー→ヴァニラアイス
 ダークよっぴー→デーボ
 祈先生→エンヤ婆?
 土永さん→ペットショップ

>>143の脳内ではレオ=スタプラらしいが。
146名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 19:25:03 ID:963P9wTh0
なんか適当にクラスの人間の目を逸らしとくとかあれば良かったが、いきなりスタンドだからなぁ。
147143:2005/09/25(日) 19:29:45 ID:BQwaGUFv0
もう、そんなに苛めないで……反省してるから……じゃなきゃ……ろす…わ

まあ姫は薔薇を出すスタンドもってるんですけどね(´・ω・`)
148名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 19:35:49 ID:Td4Q5Uro0
>>147
マージ・ジマ・バランガって唱えてるところをみると、あれは「高貴なる薔薇のエレメント」だから。
たぶん名前はバラジェル。
149名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 19:35:53 ID:LDrQaLrX0
|ω・`) コソーリ…
150せいぎのみかた・3:2005/09/25(日) 19:37:08 ID:LDrQaLrX0
その頃、私は弱かった。修行を初めて数年、爺様からいつも
そう言われていたのだ。
「乙女ぇ〜、今のお前はまぁ〜だまぁだ弱い!」
「じゃからけぇっして誰かと喧嘩しようなどと思ってはいかんぞ!」
「じゃがな、毎日毎日こうして修行しておれば、数年後には
 飛騨の山奥の大猿でも、北極の大熊でも素手で倒せるほど
 つよぉ〜〜くなれる!!」
修行は本当に厳しくて辛かった。
いくら頑張っても自分が強くなっているとは思えなくて、
私の心はだんだん挫けそうになっていた。

そんな時、私は鉄家の血族だという対馬家の人間に出会った。
その人達はなんでもクローだかシローだかいう化け物と戦う
研究をして世界中を飛び回っているらしい。
そして、この人達の息子のレオくんは、将来『せいぎのみかた』に
なると聞いた。
スゴイ! 私よりも年下なのに『せいぎのみかた』だなんて!
爺様達も「せいぎのみかたとは、なんとも頼もしいのう!」と
嬉しそうに笑っていた。

対馬夫妻が持ってきた写真は、母様がアルバムにしまったけれど、
私はそこから写真を1枚こっそりぬいてきてしまった。
傷だらけなのに楽しそうに笑う『せいぎのみかた』の写真は、私の宝物になった。
151せいぎのみかた・4:2005/09/25(日) 19:37:46 ID:LDrQaLrX0
それから私の生活は変わった。
こっそり胴着にレオくんの写真をしまっていると、厳しい修行も
頑張ることができた。きっとレオくんもこんな修行を笑顔で
乗り越えているのだろうから。
夜は枕の下に写真を入れて、レオくんの夢が見れるようにお願いした
こともあった。
夢の中で、私は『せいぎのみかた』を助けるヒロインだった。
悪い奴らをやっつけたヒロインは、『せいぎのみかた』と
ちゅ、ちゅーを…………あああああああっ!
そこで目覚めた私は、顔を真っ赤にして布団の上を転げまわった。
転げまわる私を見た爺様達は「乙女は朝から元気じゃのぉっ!」
と笑っていたが、母様は何か気づいているようだった。
私は、赤い顔をもっと真っ赤にしながら、一緒に笑った。

その年の夏休みは、鉄家と対馬家で一緒に旅行に行くことになった。
細かい打ち合わせをしに、母様が対馬家に行くという。
私は母様にお願いして、一緒についていくことを許してもらった。

前の日の夜は、布団に入ってもドキドキが止まらず、最近やっと
できるようになった片手腕立てをして気を落ち着けようとしたが、
余計に目がさえてしまった。
しかし様子を見に来た母様に教わったように、用意しておいた
とっておきのお出かけ用の服を着て布団に入ったら、あっと言う間に
眠ってしまった。
さすが母様! わたしもいつか母様のような人になりたいな。
152せいぎのみかた・5:2005/09/25(日) 19:43:49 ID:LDrQaLrX0
当日。
私はレオくんとの出会いを衝撃的に演出するため、前々から計画
していた作戦を実行することにした。
この前見た七人の侍が出てくる映画でやっていたように、
レオくんに物陰から竹刀で襲い掛かるのだ。
もちろんレオくんは、映画で見たように華麗に避けてみせるはず。
そして、このイベントを乗り越えた彼にお願いして、まだ弱い私
だけれど『せいぎのみかた』の仲間にしてもらうんだ!

この作戦はタイミングが重要。
あと、私はいつも爺様に「乙女ぇっ! 気合いが足りにゃいぞぉっ」
と叱られているから、本当に殺すくらい気合いを入れないといけない。
そして私は、最高のタイミングと気合で、部屋から出てきた
レオくんの頭に竹刀の一撃を出すことに成功した!
「いってぇーーーー!」
「あれ?……よ、よけられなかったのか。おまえはよわいなぁ」
思わず私はそう言っていた。
「ムッ! オレはよわくないぞ、ヒキョーモノめっ」
なんとレオくんは、私のことをいきなり卑怯者呼ばわりしてきたのだ!
153せいぎのみかた・6:2005/09/25(日) 19:44:24 ID:LDrQaLrX0
悔しくなった私は、いつの間にかレオくんに殴りかかっていた。
爺様からは喧嘩をしないよう強く言われていたし、
レオくん相手に無謀なのは承知の上だ。

けれど『せいぎのみかた』は私の足の下でうずくまっている。
あげく、私をオトコ呼ばわりしてくる始末。
レオくん、いやレオがこんなコンジョーナシで、よわくて、
失礼なやつだったなんて、私は、私は……。
「きめた」
「おまえはだれかがめんどうをみてあげないと、だめなタイプとみた」
「だから……」

それから私は今まで以上に毎日毎日一生懸命に修行するようになった。
レオを鍛えるには、私ももっともっと強くならなくてはいけない。
弱い私の胸に、今は大きな夢ができていた。

「しょうらいのゆめ」 3ねん1くみ くろがねおとめ
わたしはしょうらい、『せいぎのみかた』のおよめさんに
なりたかったです。
でも、『せいぎのみかた』はコンジョーナシでした。
だから、わたしが『せいぎのみかた』をきたえて、いちにんまえの
『漢』にすることきめました。
そしていつか、わたしが『せいぎのみかた』をめとって、
しあわせにしてあげたいとおもいます!
154名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 19:45:37 ID:LDrQaLrX0
テンションに身を任せて続きをうpしてみた。
SSなんて初めて書いたけど、今はちょっと後悔している。あー、恥ずかしー!
えと、雨も風も止んだみたいなので、トレーニングに逝ってくる! じゃ!ノシ
155名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 19:45:57 ID:BQwaGUFv0
>>148
ww
156名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 19:46:28 ID:RsZRCxCb0
>>154 GJ うまく仕上がったじゃないか
157名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 19:54:12 ID:Td4Q5Uro0
>>154
よし、今から乙女さんルートをもう一周してくる。
158名無しさん@初回限定:2005/09/25(日) 21:09:24 ID:dMBvYvmB0
くーSSキテ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
159名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 00:51:53 ID:22TfdPZ00
>>154

お姉ちゃんにまかせておけ。ちゃんとしてやるからな。

>>158

難儀だな。
160我 愛 イ尓・1:2005/09/26(月) 01:12:29 ID:P8p+ko000
「まだかな、女子」
「おいフカヒレ、あんまり物欲しそうな顔すんなよ」
「バッカ、女子の手作りクッキーだぜ?これが欲しがらずにいられるか」
「そんなに欲しいならカニのクッキー食えよな」
「それはやめてくれ、まだ死にたくない」
今日の6時限目、女子は調理実習でクッキーを焼いているのだ。
まあ義理でくれるものでも食べたくはあるけど。
「!・・・来たっ!」
廊下からかすかなざわめきが聞こえてくる。
とたんに静まり返る教室内の男子。
・・・なんか必死っぽくてイヤだな。
それに、俺の場合誰かにクッキーをもらうことよりも
いかにカニのクッキーから逃げるかのほうが重要だ。
・・・あれは毒だからな。
静まり返った教室に女子が入ってくる。
カニが入ってきたのを確認して
反対側のドアからこっそりと廊下へ出た。
後はスバルとフカヒレが犠牲になってくれるだろう。
と、後ろから鈴を転がすような声で呼びかけられた。
「どしタネ対馬クン?具合でも悪くなたカネ?」
独特のしゃべり方で誰なのかはすぐわかる。
「あ、豆花さんか・・・いや、そういうわけじゃなくてね。
 カニのクッキーから逃げてきたってとこ」
心配してくれたのかな?だったら悪いことしたかも。
「ならよかタネ。カニちは味見しないから、食べるのコワイネ。
 ・・・対馬クン、ワタシのクキー、食べルカ?」
豆花さんのクッキーか・・・
料理部の部長をやっているぐらいだから味は期待できそうだし
なによりせっかく言ってくれているのに断るのは失礼だ。
「喜んでいただきます」
「ハイ、召し上がれ」
もらったクッキーは、上品な甘さで美味かった。
161我 愛 イ尓・2:2005/09/26(月) 01:15:41 ID:P8p+ko000
「チキショー、なぁんでレオだけカニクッキーから逃げてんだよぉ!」
夜。例によって俺の部屋に集まった幼馴染みどもが俺を糾弾する。
ちなみに、カニはいない。
自分のクッキーの残りを食べて、具合が悪くなったらしい。アホめ。
「レオはいつの間にか教室抜け出してやがったからな」
「ま、カニから逃げることで他の女子のクッキーも放棄したわけだから
 そこだけは俺の勝ちだな」
「いや、俺は豆花さんに貰ったから」
「ナニィ!?てめ、どういうことだよソレ!?」
「どういうことって・・・廊下に出たら、豆花さんが追いかけてきてくれた」
「へー・・・彼女、レオに気があるのかな?」
スバルがニヤニヤしながら俺を冷やかす。
「考えすぎだろ、彼女は割と誰にでも優しいじゃん」
「まあそうだけどさ・・・けど、豆花さんって人気あるわりに
 狙ってるヤツはいないんだよな」
フカヒレは妙にそういう情報に詳しい。けど、ちょっと意外だな。
「・・・そうなの?」
「少なくとも2ーCにはいないっぽいぜ」
「なんでかな。いい人じゃん。優しいし頭良いし家事できるし」
「んー・・・やっぱ留学生ってことで、遠慮みたいなもんがあるんじゃね?」
ああ。なんとなくわかるな、それ。
「カニと浦賀さんが仲がいいのも、その辺だな。
 遠慮しないカニと空気が読めない浦賀さんだから
 豆花さんとも普通に仲良くできる」
スバルがクールに分析。
なるほど。アホも場合によってはいいことがあるわけだ。
「けどさ、そういう遠慮ってなんか失礼じゃないかな」
「そう思うんなら、自分が仲良くなってみりゃいいだろ坊主」
「お、ついにレオもテンションを上げる相手を見つけたか?」
「バーカ、そんなんじゃねえよ。クラスメートなんだから
 変な遠慮はしないようにしようぜ、ってこと」
「ふーん・・・ま、お前の思うように動いてみな」
162我 愛 イ尓・3:2005/09/26(月) 01:20:08 ID:P8p+ko000
「さて、今日も体育武道祭の準備を応援しないとね。
 ヘルプ要請が来てるところを重点的に。
 では、各自作業開始!」
姫のテキパキとした指示が竜宮に響く。
体育武道祭もただ参加してただけだったけど、今年は生徒会だから忙しい。
さて、俺は大道具の整理だったな・・・
と、コンコンとドアがノックされる。
「誰かな?・・・どうぞー」
入ってきたのは豆花さんだった。
「あら?どうしたの?」
「チョット困たコトになテネ、手伝てほしいコトあるのネ」
「豆花さんが来るってことは、竜汁のことかしら?」
「さすが姫ネ、実はそうなノネ」
豆花さんによると、毎年振る舞い料理として出される
竜鳴館の名物、竜汁の材料が発注ミスで足りないのだそうだ。
「今から注文しても間に合わないノネ。市場まで仕入れに行くケド
 料理部は女の子しかいないカラ、重くて運べないノネ。
 だから、力仕事できる人貸して欲しいネ」
「なるほど、荷物持ちね。とはいえ、スバルくんはいないし
 フカヒレくんはさっき別の買い出しに行かせちゃったから・・・
 対馬くん、行ってきて」
・・・乙女さんの方が腕力あるんだけどな。
まあ、いいか。
「ゴメナサイネ、急に大変なコトお願いシテ」
「いや、気にしないでよ。じゃあ行ってくるよ姫」
「ヨロシクねー」
「・・・それで、買い出しで追加するのってどれくらい?」
「あのネ、里芋が15キロ、人参10キロぐらいいるノネ」
合わせて25キロか。そりゃ女の子にはツライな。
俺でもキツイかもしんないけど・・・
まあ、なんとかなるか。
「よっしゃ、任せといて!」
163我 愛 イ尓・4:2005/09/26(月) 01:24:38 ID:P8p+ko000
ぐぐぐぐ・・・見通しが甘かった。
先に買った人参10キロだけのときは楽勝だと思ったけど
15キロの里芋が追加されたらスッゲェ重い。
運びやすいようにザックを持ってきたけれど
肩に食い込むその重さに脂汗が出てくる・・・
う、イカン、豆花さんが申し訳なさそうな顔に。
「ゴメナサイネ、本当にゴメナサイ・・・」
豆花さんだって、牛蒡やネギを抱えて大変そうなのに
こんなところで弱音は吐けないぞ。
「いやぁ、これぐらいはトレーニングしてると思えばどうってことないよ」
多少無理をしてでも、平気な顔しててあげないとな。
しかし、ちょっと前の俺だったら音を上げていただろう。
乙女さんに感謝かな、うん。
「やぱり、対馬くん頼りになるネ・・・」
「いやぁ、それほどでも・・・ハハハ」
それから、学校につくまでいろいろなことを話した。
といっても、喋っているのはもっぱら豆花さんで
俺はときどき相づちを打つ程度なんだけど。
留学してきてからの苦労話とか
カニや浦賀さんと仲良くなったきっかけとか・・・
いろいろ話をしてくれた。
今までこんなに豆花さんと話したことなかったな。
それに、たいがいカニや浦賀さんが一緒だから
二人っきりになるってあんまりなかったような。
ちら、と隣を歩く豆花さんを見る。
・・・可愛いよな、普通に。
「なにカネ?」
「あ、いや・・・別に」
う、なんかドキドキしてきた。
「そうネ、学校ついたら、お礼にちょとだけ対馬クンにご馳走するネ」
「え、ホント?よっしゃ、やる気出てきた!」
意気込む俺を見てクスリと笑う豆花さんは・・・すごく可愛かった。
164我 愛 イ尓・5:2005/09/26(月) 01:28:36 ID:P8p+ko000
そうこうするうちに学校に帰り着く。
家庭科実習室では、、料理部の女の子たちが黙々と竜汁の仕込みをしていた。
「皆、追加の材料来たヨ!もう一踏ん張りネ!」
豆花さんの声に皆が一斉に顔を上げ、オーッと気合いを入れる。
・・・けっこう熱いんだな。さすが竜鳴館。
それぞれが受け持ちの材料を持ち場に運んでいく間
豆花さんがペコリと頭を下げる。
「対馬クン、ホントに、アリガトネ・・・
 約束通り、美味しい物作るカラ、ちょと待てテネ」
「え、今から作るの?」
「モチロンネ!感謝の気持ち込めるのに、手作りイチバンネ!」
てっきり、出来合いのお菓子でも貰えるんだろうぐらいに思ってたのに。
「それじゃ、手を煩わせちゃって悪いよ、忙しいのに」
「ダイジョブネ、すぐできるヨ!ちょとソコ座て待つネ」
そう言うと、豆花さんが嬉しそうな顔でエプロンをつけて調理台に向かう。
同じ2年生の子がつつつ、と豆花さんに近寄っていく。
「ね、アレが・・・の・・・人?」
何か囁いてるがよく聞こえない。
「アナタ今それどころじゃナイネ!早く牛蒡の皮剥くネ!」
周りを見れば、ちょっと皆手が止まってて・・・なぜか俺を見てる。
「皆も何してルカ!早くしないと間に合わないヨ!」
豆花さんは顔を赤くして怒っている。まじめだなぁ。
怒ってる顔も・・・可愛いかもしんない・・・
と、豆花さんがお皿とティーカップを持って俺のところに。
「お待たせネ。簡単なモノで申し訳ないケド、食べてほしいネ」
お皿の上にはホカホカと湯気を立てているホットケーキ。
蜂蜜とジャムが添えられている。これは美味しそうだ。
「重いモノ持って疲れたと思たカラネ、甘いモノ作たノヨ」
「うん、ありがとう。じゃあご馳走になります」
さっそく一口。
「ん・・・美味い!」
豆花さんの顔がパァッと輝いたような気がした。
165我 愛 イ尓・6:2005/09/26(月) 01:32:32 ID:P8p+ko000
竜宮に戻ってからも散々こき使われて
ようやっと作業が終わったらすっかり日が暮れてしまった。
とっとと帰ろうと思ってふと校舎を見ると・・・
まだ灯りのついてる教室が。
あれ、家庭科実習室か?
・・・まだ竜汁の準備してるんだろうか。
今日は体育武道祭の準備で下校時刻の制限はないらしいけど
まさかこんな時間までやってるんだろうか。
灯りの消し忘れかもしれないし、ちょっと覗いてみるか。
実習室の前まで来ると、中から
トントン・・・トントントン・・・
包丁の音?
まだ作業してるのか。大変だな。
ノックしてみる。
「もしもーし。生徒会執行部のものだけどー」
『あ、対馬クン?どぞ、入てネ』
豆花さんの声だ。
「お邪魔しまーす・・・あれ?」
さっき何人もおいた料理部の女の子たちは・・・?
「豆花さんだけなの?」
「もう遅いからネ、皆には帰てもらたネ」
豆花さんのそばには、野菜が積み上げられていて
その反対側には下拵えの終わった材料が山のように・・・
「これ・・・豆花さん一人で・・・?」
「注文の数確認しなかたノ、部長のワタシのミスネ。
 それで作業遅れたカラ、ワタシが責任とて作業するネ。
 ダイジョブ、明日までには必ず終わらせルネ!」
そう言うと、疲れた顔で、それでもニコッと笑う。
「お・・・俺に手伝えることない!?」
思わず口走った。
助けてあげたい。力になってあげたい。
心の底から、そう思った。
166我 愛 イ尓・7:2005/09/26(月) 01:36:40 ID:P8p+ko000
一瞬キョトンとしてから、豆花さんが嬉しそうな顔になる。
「ダイジョブヨ、ワタシ一人でも何とかなるネ。
 でも、そう言てくれるダケで嬉しいヨ。
 対馬クン優しいネ。デモ、ホントダイジョブヨ?」
「いや、是非手伝わせてほしい。
 それに、こんな俺でもいないよりはマシ・・・かもしんないし。
 少しでも早く終わった方がいいでしょ?」
豆花さんはちょっと手を止めて、んー、と考えている。
「それナラ・・・あちの袋に入てる野菜
 出して運んでくれると助かるネ。
 重いから沢山運べなくて、効率悪かたネ」
「了解!」
こうして、俺もわずかながら手助けをすることになった。
俺が運んだ野菜を
豆花さんはドンドン切ったり削ったり皮を剥いたりして
まとまったところでビニール袋に詰めていく。
「次、人参お願いネ」
「よし来た!」
「次は里芋ネ」
「任せて!」
山のようにあった野菜も、だんだんと減っていき・・・
「これで・・・お終いネ!」
最後の牛蒡が全部笹掻きにされて、作業は終了したらしい。
「お疲れさま!・・・って、うわ、もう8時!?」
「これでも、思てたよりずと早く終わたネ。
 対馬クンのおかげネ。ホントに、ホントにアリガトネ!」
「いや、俺はたいしたことしてないよ。
 頑張ったのは豆花さんだよ。
 それより、遅いから今日はもう帰ろう。俺、送るよ」
「あ・・・アリガトネ・・・ワタシ、とても嬉しいネ・・・」
ニコニコしていた豆花さんの顔が、きゅ、と少し歪む。
?疲れてるのかな・・・早く送ってあげよう・・・
167名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 01:38:27 ID:yS6WwdgP0
うぉーあいにー!
168我 愛 イ尓・8:2005/09/26(月) 01:40:32 ID:P8p+ko000
二人ですっかり暗くなってしまった通学路を歩く。
「対馬クン・・・?」
「なに?」
「何か・・・今日のお礼、したいネ」
「え・・・い、いいよ別に。荷物運びは生徒会の仕事でしたんだし
 今手伝ったのだって、ただのお節介なんだから
 そんな気にしないで・・・」
「そうはいかないネ。このままお礼しないでいたら
 ワタシ対馬クンと顔合わせられないネ・・・」
あー。そりゃ・・・困るっていうか・・・イヤかな。
「それじゃあ、そのうち何かしてもらう・・・かも」
「ウン!必ずネ、何でも言てネ!」
ただの義理堅さ・・・なんだろうか。
それとも・・
いやいや、見返りの好意を期待して手伝った訳じゃないだろ対馬レオ。
あのときは純粋に、頑張ってる豆花さんの力になりたいと
そう思っただけのことで・・・
だけど
俺の隣で本当に嬉しそうにしている豆花さんを見ていると
どんどん期待で胸が膨らんで、心臓がドキドキしてきて・・・
「・・・ドキドキしてるネ」
「え!?」
気づかれた!?
「ワタシ・・・こうして男の子と二人で歩くの、初めてネ。
 こういうの・・・すごく憧れてたネ・・・
 だから、今すごく、ドキドキしてるネ・・・」
「あ、ああ・・・アハハハ、は、初めてじゃ誰でもそうだよね」
「違うネ・・・たぶん、対馬クンだから・・・ドキドキする、ネ・・・」
「お・・・俺もドキドキしてる・・・きっと、豆花さん、だから・・・」
そのまま黙ってしまって歩き続ければ、やがて分かれ道。
「・・・ワタシ、こちの道ネ。ここでさよならネ・・・」
何度も振り返る豆花さんを、曲がり角でいつまでも見送っていた。
169我 愛 イ尓・9:2005/09/26(月) 01:44:31 ID:P8p+ko000
「ずいぶん遅かったな?生徒会の仕事はとっくに終わっていたはずだが」
家に帰れば乙女さんがお茶を飲みながら俺を待っていた。
「・・・乙女さんは、俺と一緒に帰ってドキドキする?」
「なんだ藪から棒に?別にお前と一緒でドキドキなどするわけがなかろう。
 ・・・お前は・・・するのか?」
「いや、全然」
「む・・・なんだか馬鹿にされたような気がする」
「いや決してそういうわけでは!」
「・・・まあいい。晩飯は食べたのか?」
「あ・・・まだだった」
なんだか・・・胸がいっぱいで食欲を忘れていた。
「そうか・・・まあ何があったか知らんがお握りでも食え」
どっちにしたってお握りだし。
「いや、あまり食欲が・・・」
「食事は体の基本だ。悩みがあるにしてもキチンと食べろ」
「・・・乙女さんは悩んだりして食欲がなくなったことないんだろうね」
「失礼なヤツだな!?私は名前の通り乙女なんだぞ?
 悩んで食欲がなくなったことなぞしょっちゅうだ」
「だったら今の俺の状態も察してよ」
「食欲がなくても食事はできる。食べ始めれば入ってしまうものだ」
そんなの乙女さんだけだい・・・
「ほら、口を開けろ。私が詰め込んでやる」
「む、おむぐぁんぐぅぁうー!」
結局、窒息させられる前に自分から食べ始めた。
そして乙女さんの言ったとおり、けっこう入ってしまった。
「そら見ろ」
くそう、俺の悩みが軽く見られたみたいでなんか悔しい。
「明日はいよいよ体育武道祭だな」
「そうだね・・・乙女さんは竜汁ってどう?」
「うん、あれも楽しみの一つだな。
 試合がなければ何杯でもお代わりしたいぐらいだ」
「だったら、今年は期待してよ。きっと今までで最高の出来だから」
170我 愛 イ尓・10:2005/09/26(月) 01:48:29 ID:P8p+ko000
そして体育武道祭、初日。
初日は割と普通の競技ばかりなので
そこら辺の学校の体育祭とあまり変わらないが
よそと大きく違うとすれば
やはり振る舞い料理の竜汁が出ることだろう。
今年は俺もちょっとだけ手伝ったから出来が気になる。
というより、あんなに豆花さんが頑張ったんだもんな。
皆が「美味い!」と言ってくれるのが待ち遠しい・・・
「対馬クン・・・対馬クン!」
「うわ!?」
考え込んでたらいつの間にか豆花さんが側に立っていた。
「どしたネ?何か考えてたカ?」
「あ、いや別に・・・あれ?」
豆花さんは手に湯気の立つお椀が乗ったお盆を持っている。
「もう竜汁できたの?」
「ん・・・配るのはこれからネ。これは・・・
 い、イチバン最初に・・・対馬クンに食べてほしかたネ」
頬を赤く染めて、豆花さんがお盆を差し出す。
「・・・いいの?」
こく、とうなずく豆花さん。
「じゃ、ありがたく・・・」
お椀に手を伸ばしかけて気づく。
なんか・・・周りの視線が痛い。
ニヤニヤしてる顔。ふくれっ面。嫉みの目。
いろいろな表情が俺と豆花さんに集中している。
「・・・いただきます」
ガッとお椀を掴むと、そのままグッと啜る。
熱い!・・・けど、美味い!
「うん・・・美味しいよ!」
「よかたネ・・・ワタシ、とても嬉しい、ネ・・・」
ヒューヒューと冷やかす声の挙がる中
俺は一気に竜汁を平らげた。
171Seena ◆Rion/soCys :2005/09/26(月) 01:52:02 ID:P8p+ko000
というわけで妄想豆花さんルートです。まだ続きます。
題名の「イ尓」とい文字は日本語にはないようなので半角カナと合成。
全部カタカナにしようかな、とも思ったのですがあえてこうしました。
172名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 01:55:20 ID:+WanZcer0
>>171
萌え!この豆花激しく萌え!もう萌え死にそう!GJ!
173名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 02:01:59 ID:QV1xgiM40
困るんですよね…こういうSS書かれると…
色んなパターンの「GJ!」を言わなくちゃあいけない…


ちょっとベッドで萌え転がるんで、静かにしててくださいよ…?
174名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 02:05:52 ID:ky6ByIwm0
GJGJGJGJGJGJ!
175名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 02:08:26 ID:GN2qZ7O90
>>171
なにこの超破壊力豆花?俺を萌え死にさせる気ですか?GJ!
176名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 04:00:37 ID:22TfdPZ00
>>171

で、アルカ。
177名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 04:01:37 ID:plTz9fH30
うっひょ〜!ふしぎ遊戯!ふしぎ遊戯!
178名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 05:14:06 ID:gEy3RR1KO
SS?を作ってみたんだけど、
Seenaさんの豆花SSが終わってからの方がいいのかな?
初SSなんですっごい下手くそだと思う
あと、無駄に長いっす
179名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 05:26:50 ID:1ZkXTRoc0
>>178
待たなくていいと思うし、長くてもいいと思う。
ワクテカしながら待ってるよ。
180名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 05:38:12 ID:6MjW+a5J0
おいおいこんな時間に投下かよ
まったく、ワクテカが止まらないぜ
181レオ争奪トーナメント1:2005/09/26(月) 05:48:03 ID:gEy3RR1KO
「全員デレ期」
収拾のつかないこの状況を打破すべくフカヒレが立ち上がった…
フカヒレ「レオ争奪トーナメント開始!」
フカヒレ「対戦相手は俺が勝手に決めたから、ルールよろしく土永さん。」
土永「内容は格闘技、個人差の戦闘力は愛で補えー。まさに愛を取り戻せってやつだー。」
乙女「これは貰ったな。レオ!お姉ちゃんに任せておけ!」
姫「危険なのは乙女先輩とDよっぴーか…本気でいかなきゃならないようね!」
カニ「ボクを忘れちゃ困るぜー!関節技の妖精とはボクの事さ!」
なごみん「センパイはそこで見ててください。必ず私が優勝しますから。」
先生「めんどくさいですわー」
よっぴー「うぅぅ…こんな勝負卑怯だよ…レオ君…」
182レオ争奪トーナメント2:2005/09/26(月) 05:49:45 ID:gEy3RR1KO
[トーナメント表]
一回戦:先生VS姫
二回戦:カニVS乙女
三回戦:よっぴーVS一回戦勝者
四回戦:なごみんVS二回戦勝者
優勝戦:三回戦勝者VS四回戦勝者
レフェリー:土永さん
レオ「ねぇ?俺の気持ちは完全に無視なワケ?」
フカヒレ「黙れ!現代版光源氏が!俺の心を落ち着かせるにはこれしかねぇんだよ!」
スバル「激しく不毛な争いだな…」
フカヒレ「早速第一回戦!」
カーン!
先生「見たいテレビがあるんですけど…」
姫「ねぇ、祈先生。お菓子三ヶ月分でどう?」
先生「参りましたわー」
土永「勝者!姫ー!」
レオ「早っ!俺はそんなもんと同じ価値かよ先生!」
先生「なんとなくですわー」
土永「まぁ人生そんなもんだな、坊主」
183レオ争奪トーナメント3:2005/09/26(月) 05:51:43 ID:gEy3RR1KO
スバル「傷ついたか、坊主?大丈夫、お前には俺がいるぜ」
レオ「放っといてくれ!あと、誤解を招く言動はやめてくれ!」
フカヒレ「さあ盛り上がって参りました!二回先生!」
レオ「おい…もう一回言う勇気はあるか?」
カーン!
カニ「負けられねぇ!負けられねぇんだよ!」
乙女「気合が入っているのは認めるが、それだけでは私に勝てんぞ?」
カニ「てゃぁー!先生攻撃ー!」
レオ「字間違ってんぞ…」
乙女「甘い!!」
グギッ!
乙女さんはきぬの攻撃を軽々と避け、綺麗なコブラツイストを決めた
カニ「うぐぐぐ!ぐすっ!」
乙女「ほら、痛いだろ?ギブアップしろ。今ならまだ間に合う。」
184名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 06:10:50 ID:ne/jXVCO0
何かさ・・・
携帯で作っんですが
連続投稿とか言うので規制されました
本当ごめんなさい。
全部忘れてください・・・


185名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 06:23:42 ID:uheWprSX0
じゃぁ支援
186レオ争奪トーナメント4:2005/09/26(月) 06:26:06 ID:gEy3RR1KO
カニ「泣いてない!泣いてないもんね!」
乙女「誰もそんな事言ってないだろ…さぁ!もっと厳しくなるぞ!」
きぬはすでに涙をボロボロ流していた。
カニ「ぐすっ…それでも…それでも大好きなんだよ…諦めきれねぇんだよ!」
乙女「それは私も同じ事だ!早く楽になれ!」
カニ「し、死んでも…ギブアップはしねぇからな…」
きぬを見ていると、なんだか俺が悪い気がしてきた
カニ「ずっと前から好きなんだよ…!」
乙女「…」
カニ「あいつ馬鹿で優柔不断だけど…あいつの全てが好きなんだよ!」
パッ
地獄の束縛が解かれた
乙女「勝ちを譲ってやる…」
土永「おいおい、本当にいいのか?乙女?」
乙女「鉄一族に二言はない」
187レオ争奪トーナメント5:2005/09/26(月) 06:28:40 ID:gEy3RR1KO
土永「わかったぜ、勝者ヒヨッコ!」
カニ「えっ?ボク勝ったの?」
乙女「あぁ!お前の勝ちだ!弟を頼むぞ!」
カニ「えへへ…何か頼まれちったレオ…」
レオ「そんな目でこっち見るなよ…」
スバル「……やっぱ勝てねぇか」
フカヒレ「スバル?何か言った?」
スバル「何でもねーよ」
フカヒレ「?それでは第三試合の前に休憩に入りまーす。」
カニ「おい、見たか!今のボクの感動シーン!乙女さんのお墨付きだぞ!お前もう不戦敗でいいだろー?」
なごみん「何を言ってる?このガキは、お前は私が仕留める。」
カニ「あーん?やってみろや!やさぐれ単子葉類!」
なごみん「うるさいな。少し黙れ。騒がなくても潰してやるから。」
188レオ争奪トーナメント6:2005/09/26(月) 06:34:39 ID:gEy3RR1KO
姫「あの二人、もうちょっと静かにできないのかしらね?」
よっぴー「エリー、ちょっといいかな?」
姫「よっぴー?どうしたの?」
よっぴー「ここじゃ何だから、生徒会室に行こう?」
フカヒレ「ん?あの二人?……まさか!禁断の愛!?(まぜてもらえるかも♪)」
姫「何か用?よっぴー?」
よっぴー「私達…親友だよね?」
姫「はぁ?何よ、今更。当たり前じゃない!」
よっぴー「じゃあ、負けてよ…」
姫「えっ…?それとこれとは話が違…」
ドサッ…
机の上に放り投げられたのは引き裂かれた姫人形だった。
姫「!?」
よっぴー「ごめんね…私どんな手を使っても優勝したいんだ…あの娘はすぐ綺麗に直すから…ね?」
姫「うううぅぅー!」
189名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 06:47:35 ID:1ZkXTRoc0
190レオ争奪トーナメント7:2005/09/26(月) 06:51:22 ID:gEy3RR1KO
フカヒレ「(ガクガク、ブルブル)お、女って超怖い…」
よっぴー「じゃあね、エリー。先に行ってるね。」
休憩時間終了
フカヒレ「三回戦でーす…」
スバル「いきなりテンション下がってんな。どうした?フカヒレ?」
フカヒレ「(ガクガク、ブルブル)」
スバル「?」
カーン!
姫「…」
よっぴー「…」
良美が優しく姫の体を押した
姫「ひゃぁ!参った!」
土永「勝者!エロス娘!」
何?この出来レース?
よっぴー「やったぁ!(ありがとう…エリー。私達これからも親友ね?)」
姫「くっ…なかなかやるわね‥よっぴー!(う、うん…もちろんよ…)」
よっぴー「えへへ…(ふふっ…もう、エリーったら…)」
191レオ争奪トーナメント8:2005/09/26(月) 06:54:09 ID:gEy3RR1KO
レオ「怖いな、あの二人…」
フカヒレ「お前さ?死んでくれない?」
レオ「はぁ?」
フカヒレ「さーて!四回戦いってみよーか!」
カーン!
カニ「よーし、ココナッツ!ボクの名を言ってみろ!」
なごみん「チビ太?」
カニ「てんめー!お前はいつものように暗い部屋でニキビでもむしってりゃいいんだよ!」
なごみん「そんな事はしない。泣いて逃げるなら今だぞ、甲殻類」
カニ「凄んだってボクには効かないぜー、とりあえず握手しようぜー。」
なごみん「力比べか。望む所だ。」
カニ「(くくく、さすがはヤシの実、脳はドロドロさ)」
二人が握手をする。
ガシッ!…グギッ!
なごみん「!?」
カニ「はっはっはー!キマッた!ガッチリ関節に入ったぜ!」
192レオ争奪トーナメント9:2005/09/26(月) 06:56:25 ID:gEy3RR1KO
カニ「泣けよ、ほら泣け!泣いたら離してやんよ!」
乙女「…私はあんな奴に勝ちを譲ったのか?」
レオ「気付くのが遅いって、乙女さん…」
なごみん「くぅぅ!…センパイ…痛いぃ、助け…てぇ」
カニ「植物が人間様に媚び売ってんじゃねーよ!」
レオ「…ゴトリ」
カニ「はっ!?てめぇ、今の音は何だ!」
カニ「萌えたんか!?ボクの感動シーンで萌えなくて、こんな植物の苦痛顔に萌えたんか!?」
微かにきぬの力が緩んだようだ
なごみん「スキ有り」
カニ「え?」
カニ「うわ!!」
いい角度でなごみの蹴りが炸裂!
そのままきぬは場外にふっ飛ばされた
土永「ヒヨッコ場外。勝者、冷血女!」
カニ「今のは反則だろ!ボク完全に油断してたぜ!?」
193名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 07:07:48 ID:p9ObRqP60
>>147
亀レスだが、姫がメイド喫茶に興味示してるなら、男女数が同じで姫の一票でメイド喫茶が勝つでよかったんじゃ・・・
194レオ争奪トーナメント10:2005/09/26(月) 07:12:17 ID:gEy3RR1KO
土永「馬鹿野郎、勝負に油断したから負けなんだよ」
なごみん「…おいカニミソ、私の名を言ってみろ(やった♪センパイ、センパイ)」
カニ「ちっくしょーーー!!」
フカヒレ「本物の馬鹿だね、お前」
スバル「ん?どこに行くんだ?カニ」
カニ「…トイレ」
スバル「やれやれ…」
フカヒレ「残ったのはよっぴーと椰子か、意外だね」
フカヒレ「お前はどっちがいいの?」
レオ「実は西ざ…」
よっぴー「(゚ー゚)…」
レオ「良美!迷う事なく良美!」
よっぴー「(^ー^)ニコ」
西崎「くしゅん…くしゅん!」
村?「どうした西崎、風邪か?」
西崎「だ‥だれかが‥噂してるの…かも‥」
村?「はっはっは!お前の噂する奴なんかいるわけないだろ」
西崎「くーー!」
195レオ争奪トーナメント11:2005/09/26(月) 07:15:01 ID:gEy3RR1KO
フカヒレ「早速優勝戦開始でーす」
姫「あぁ、悔やまれる!でもよっぴーも大切だし…対馬君も‥」
乙女「来い!お前の腐った根性叩きのめしてやる!」
カニ「いだだだ!ちぎれるー!耳引っ張るなー!」
先生「霧夜さん、お菓子はまだですかー?」

なごみん「あなたが生き残るとは意外でしたね」
よっぴー「ふふっ、そういえば椰子さん、レオ君とはもう寝たの?」
なごみん「なっ!?そ、そういう事は人前で言う事じゃない!」
よっぴー「あはっ♪必死だね♪私は…無理矢理犯されちゃった…」
なごみん「えっ!う、嘘ですよね…センパイ?」
レオ「えっ!?あ、あれは良美が…」
よっぴー「嘘付かないでよ!あんなに愛し合ったじゃない!」
196レオ争奪トーナメント12:2005/09/26(月) 07:18:08 ID:gEy3RR1KO
カニ「ボクも愛し合ったもんねー!変態だったけど…」
乙女「わ、私は弟の頼みだから仕方なく…」
姫「対馬君たら、本当に甘えん坊なんだから」
先生「もう興味ないですわー」
フカヒレ「悲しい‥悲しい…この世は‥悲しい…」
スバル「フォローはしないぜ?坊主」
レオ「記憶にございません」
よっぴー「レオ君が他の女に手を出すのは私の責任もあるね。待ってて、勝って調教してあげるから」
レオ「なごみ勝ってくれ頼む!」
なごみん「…私が勝っても調教してあげます!」
レオ「…違う、俺は悪くないんだ…」
フカヒレ「ねぇレオ様、一人貸して下さい。乙女さん希望」
レオ「自分で頼んでみれば?」
フカヒレ「それができねーからお前に頼んでんだろ!」
197名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 07:26:30 ID:XfYyvRlO0

198レオ争奪トーナメント13:2005/09/26(月) 07:38:04 ID:gEy3RR1KO
土永「ジャリ共、もういいだろ?フカヒレ、早くゴングを鳴らせ」
フカヒレ「畜生…レオの奴、いつか俺が全員寝取ってやる‥」
カーン!
なごみん「破ッ!」
なごみのパンチがいい具合いに良美のレバーに入った
よっぴー「くふぅ!」
土永「エロス娘ダウーン!123‥78」
よっぴー「ま、まだやります…」
なごみん「立ちましたか。さっきは汚い手で勝ったようですが、もう無理ですよ?」
なごみん「汚い先輩」
レオ「おっ、おい!なごみ!」
ざわ…ざわ‥ざわ
よっぴー「‥たしきっ、きひ、汚、くな、い!私は、は、ぎ、ぎたなっ、く」
よっぴー「ひっく…ご、めんなさい‥ごめんな‥」
良美はガチガチ震えながら、トラウマに謝り続けていた…
199レオ争奪トーナメント14:2005/09/26(月) 07:41:05 ID:gEy3RR1KO
なごみん「あっ?えぇっ?す、すいません!今のは少し言い過ぎまし…」
よっぴー「えぃっ♪」
良美がなごみの後頭部を鈍器のようなもの(フランスパン)で何度も殴打!
土永「冷血女ダウン、1234…」
土永「…気を失ってるな。勝者エロス娘!」
よっぴー「やったぁ!優勝したよ!レオ君!」
よっぴー「フカヒレ君賞品持ってきて!」
フカヒレ「あぁ、わかったよ」



よっぴー「どうしてフカヒレ君がいるのかな?」
フカヒレ「えっ?だって表の下の方にすっげー小さく書いてあんじゃん?」
表の下の方を見てみた。
レオ「えーと…レオっていうのは真っ赤な嘘でシャーク新一。何だ、これ?」
フカヒレ「いやぁー、何かさ?こういうの照れるよね」
200レオ争奪トーナメント15:2005/09/26(月) 07:44:43 ID:gEy3RR1KO
フカヒレ「みんなが俺を愛してるのはわかった。」
フカヒレ「だが、漢新一!生涯女は一人を愛する!」
フカヒレ「さぁ行こう!よっぴー、いや良美!めくるめく官能の世界へ!」
よっぴー「…」
レオ「うわぁ‥マジかよあいつ‥」
よっぴー「……………」
姫「フカヒレ君!危ない!」
フカヒレ「ん?何言ってんの?って、うぎゃあぁぁ!」
フカヒレが血まみれでうずくまっていた。
バールのようなものを手にした良美がフカヒレをひたすら殴っていた。
ガッ!ガッ!
フカヒレ「ひぃぃ!?い、痛い、痛い!キャ、キャロットーー!」
フカヒレ「…………」
レオ「おい…あいつ動かないぞ?」
姫「さぁ?死にゃあしないでしょ?」


一時間後
201名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 07:53:02 ID:bXtQR1+80
しえん
202レオ争奪トーナメント16(終):2005/09/26(月) 08:02:37 ID:gEy3RR1KO
先生「フカヒレさんは緊急手術らしいですわ、死ぬかもですわー」
レオ「無茶しやがって…」
よっぴー「あれ…私?そうだ…レオ君だ…」
レオ「!?」
よっぴー「逝こう?レオ君…」
レオ「一体どこに逝くというのだ!?嫌だ、嫌だ!」
よっぴー「もうっ、駄々こねないでよぅ…レオ君!」
ずるずるずる…
よっぴー「…他の女を忘れさせて‥逃げないように‥足を…して…」
レオ「あ、足をどうする気だ!?」
よっぴー「楽しみだねぇ♪レオ君♪(そうだ‥首輪も必要だ…)」
ずるずるずる…
一同「(まぁいいか…)」
レオ「に、西崎さーーーん!」
西崎「くしゅん!くしゅん!」
俺はこのちょっぴりHな娘とやっていかなければならないようだ…
・・・カチャリ!
203名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 08:08:00 ID:gEy3RR1KO
終わりです・・・
時間かかった+すんませんでした('A`)
もう二度とでしゃばったマネしません
スレ&目汚し失礼しました
204名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 08:32:00 ID:1C8/zYcl0
激しくGJだったぜぃ!
205名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 08:36:47 ID:yK5yxMAa0
>>203
あなたパイオニアだワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
やっぱりダークよっぴ強い
206名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 08:44:46 ID:1ZkXTRoc0
>>203
(・∀・)イイヨイイヨーGJ!
気が向いたら、またSS投下してくれる事を期待しちゃいます。
207名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 08:47:41 ID:ky6ByIwm0
>>203
GJ!
よかったよ
°・:,。★\(^-^ )( ^-^)/★,。・:・°
208名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 11:09:19 ID:YSj7CpGP0
>>203
GJ!
209名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 12:18:47 ID:TrC9VlCN0
GJ!
でもよっピーは行くとこまで行っても結局相手自体には酷いこと出来ない女だって
信じてるぜ!
210名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 12:44:20 ID:P7PKKGLk0
>>171
豆花キテタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ !!!!!
超萌えGJ!続き激しく期待!

>>203
フカヒレカワイソスw GJ!
211名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 13:58:03 ID:GaI5WAIP0

       // /     /        \、
     ∠ // / / /  //  /         |、
      // / /// ///  /| |`、\      |、
     /| | | / .| | |.| | | / .| |\\\\ i l |、
      | | | | |_|メ| || | |`'' ‐|、|、_`、_\`、`、l l |
      .| | | l|´|l  l| || -‐ ___|_,,,,,,\\⌒、l .|
      l|.| | l| '!';'::i`.| |  '´|-';;;;| ´ ||\| フ.!l |    す、すみませんセンパイ
        l|\ i '''''"  |   """´  |.| .レ´l |
         . N、  ノ  ///////  //| |  l |.l
           |`、 `        / | |  |  l | !
           || \  ‐‐-    /| |  |   | |
          /|| | \ `   /  | | .|   | .|
           | | |  | ` ‐ ´   |.|  |    | |
          | | | | |   )   ||  .|     | .|

212名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 14:44:07 ID:gxKUXF+T0

 ある晴れた穏やかな昼下がり。対馬邸では新婚といっても差し支えのないイチャツキフィールド(以後ITフィールド)を
展開している2人がいた。

「ん……ちゅっ……せんぱい……はぁ……」

「なごみ……かわいいぜ………なごみ……はぁ……」

 ソファーに座った男の膝の上に女が対面で座り、男の首に手を回して抱きつくような格好である。
一応両者とも服は着ているようだが、このままではアンチITフィールドを展開……もとい、脱衣を
するのは時間の問題だろう。同居人の風紀委員長は出かけているようである。

 女の名前は椰子なごみ。長い黒髪にややきつめの顔立ちと性格、排他的な雰囲気、その他諸々の彼女の空気は
己の線の外側の他者を威圧する。しかし、一度線の内側に相手を入れたからには惜しまぬ友愛を注ぐ。
正にツンデレである。現になごみは目の前の男に対し、親しくなる前とは180度違う態度で接している。
掃除OK、料理OK、洗濯OK、床上手とOKの3連呼では済まないスキルをもつなごみは一言で言えば「尽くす女」
という事であった。

 男の方の詳しい説明は要らないだろう。平成のヘタレっ子こと対馬レオである。勉強、スポーツ共に普通。趣味はボトルシップという
やや暗めの趣味を持つ。従姉妹の鉄乙女……こう書くとアイアンメイデンと読めるが、彼女と同居しそれなりに腑抜けぶりに歯止めがかかったかと
思いきや、なごみと付き合い、彼女の尽くしぶりがそれに拍車をかける様に進展した。まあ、なごみの夢の手伝いをしたい
という前向きな夢も最近持ち始めたみたいだが。

―――ピンポ〜ン

 2人のシンクロ率が90%を超え、ITフィールドの密度をさらに強めようとした時にそれに水を差す
呼び鈴の音が響いた。
213名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 14:46:31 ID:gxKUXF+T0
「…………………………」
「…………………………」

 窓の鍵は閉めてある。カーテンも同様。これならば居留守を使っても問題はないと、二人でアイコンタクトをかわす。

―――ピンポ〜ン

「ったく……なごみは待ってろよ」

「……はい、わかりました」

 何故か顔を赤らめ、息を荒げているなごみの腰が抜けて力が入らずに立つ事が出来ないためにレオが玄関に向かった。
 そういえばなごみの上半身がはだけ、ジーンズのジッパーが下ろされているのは何かそれに関係があるのだろうか。

 さて、玄関に向かったレオは玄関のドアを開けた。しかし、

「? 誰もいないぞ? 悪戯かよ……」

 忌々しげに呟きながら念のために外に出て確かめようとする……その時。

「ぐふしゅるるる〜〜〜で〜〜た〜〜ぞ〜〜〜」

 眼前に白い物体……地方妖怪マグロが現れた。

「てめぇカニ!! なにやって………グハッ!?」

 それに掴みかかろうとした時に背後から強い一撃を受けた。気を失いつつあるレオが最後に見たものは

「すまない……レオ。これもお前の為なんだ」

 同居中の従姉妹の済まなそうな顔と彼女の得意技の制裁蹴りの軌跡だけであった。
214名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 15:26:27 ID:O2yUaA3+0
続きマダー?
215名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 15:32:05 ID:rlTc5kr50
なんか古館みたいだなw
216名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 15:33:10 ID:P7PKKGLk0
事情があっていったん切るならその旨書いてほしいな。
他の人が投下していいか悩むかもしんないし。
217ID:gxKUXF+T0 3:2005/09/26(月) 15:40:42 ID:gxKUXF+T0
インコ……いや、オウムがドアの前に見張りをしている教室がある。

「まったく……恋する女は何をしでかすか我輩にも予測がつかん。まぁ小僧も死にはしないだろう」

 何か物騒な事を呟いている。さて、見張りをつけるほどの警戒をおいている教室では一体何が行われているのか。
内部を覗いてみる事にしよう。

「じゃあ、今日の執行部の議題は対馬レオと椰子なごみの関係を如何にて引き裂くか……ってところかしら」

 音頭をとるのは霧夜エリカ。通称姫。ハーフの実力が伴うわがままお嬢様である。
 レオの隠れた熱血さを知る数少ないうちの一人である。
 そこに興味をもち、レオをからかったりして遊び、その一環で付き合うことになったのだが
そうこうしているうちに情が移ってしまう。
 しかし自分の進む道にはこの感情とレオは邪魔だと判断しレオを振ってしまうが別れてから
レオの大切さに気が付く。
 それで今、なごみと上手くやっているレオをどうにかして取り返そうと画策中なのである。


すまそ・・・長すぎて一度ではいらん
218ID:gxKUXF+T0 4:2005/09/26(月) 15:42:08 ID:gxKUXF+T0
「ふむ……まぁ他人の色恋に口を出すのは好かないが、今のレオの生活態度は目に余る。なんとかしなければな」

 と、腕組みをしつつ頷くのは鉄乙女。レオの従姉妹かつ同居人である。
 幼少時にレオと結婚の約束を交わしたものの、本人はそれを忘れている始末。
 それでも同居しているならばいつかは思い出すことがあるだろうと考えていたものの、当の本人は後輩の椰子なごみとくっついてしまい、
自分は2人の情事を覗いてしまうという粉砕振り。
なんとかせねばと思っているうちに気が付けば少しづつ、対馬邸における椰子なごみに己の対馬邸での
レーゾンテートル――レオの面倒を見る――を侵食されていたのである。
 とりあえずレオを世話するポジションは自分が相応しいと考えている。

「その通りだねっ!! あのココナッツに自分が生態ピラミッドの底辺にいるって事を教え込まなきゃ!!」

 と、小さな体を怒らしているのは蟹沢きぬ。レオの幼馴染である。
 スバル、レオ、フカヒレ、カニの4人は幼馴染である。
 まぁスバルはカニが好き、カニはレオが好き、レオは……という完全な三角関係なのだが、
本人が自分の気持ちに気が付いたのはなごみがレオの家で家事をしていたのを見た時であるから一歩……いや、
5歩ぐらい遅かったといわねばならないだろう。
 もともと椰子のことは気に食わない。レオを取られて憎しみは倍増だ。引き裂いてやる。
そしてあわよくば自分がレオを……という昼メロ的な考えに至ったとしても不思議はあるまい。

「そうだね……やっぱりどっちかを監禁して……」

 妙に危険度の高いセリフを言うのは佐藤良美。通称よっぴーである。
 この人の説明は省こう。うむ。


 一旦これで中断。夜まで待って
 
 

219ID:gxKUXF+T0 :2005/09/26(月) 15:47:07 ID:gxKUXF+T0
拙者のことは気にせずSSを投下してくれ
220名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 15:50:40 ID:RvyQS0Gt0
>>219
               ∧_∧
オツカレチャ━━━━━━(´∀` )━━━━━━ソ!!!!!
              /     ヽ
             / 人   \\   彡
           ⊂´_/  )   ヽ__`⊃
                / 人 (
               (_ノ (_)
221名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 15:55:20 ID:P7PKKGLk0
>>219
乙。なんていうか、第三者視点にしても説明がくどい気もするが。
このスレの住人である以上、キャラの細かい説明はいらんと思うが。
222透子:2005/09/26(月) 16:02:15 ID:22TfdPZ00
>>ID:gxKUXF+T0
OKOK〜。
223名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 16:11:51 ID:yS6WwdgP0
>>221
そだね。キャラの設定、詳細説明などを
バッサリ省けるのが二次創作の利点だと思うので
その辺りは改善したほうが読みやすくなるかも。
でも面白いですよ。ITフィールドとか。
224名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 19:43:19 ID:CMIsV7+p0
なごみんに嫉妬してる他ヒロインに萌へ(゜∀゜;)
特にアイアン。
ということで続き期待してます。
225ID:gxKUXF+T0 5:2005/09/26(月) 19:43:24 ID:gxKUXF+T0
 とまあもろもろのレオとなごみ抜きの執行部の会議は順調に進み、結局レオを攫ってきて
再教育をし直そうという結論に落ち着いた。もっともこれは表向き。建前とも言う。
4人の共通意識は「なごみとレオがくっついているのが気に食わない。何とかしよう」
である。いわゆる思想等の違う人間同士が集まり、共通の特定利益の為だけに動く
圧力団体のように4人の考えは一致した。共通の敵がいる限りは敵の敵は味方である。

 ちなみにこれは地方妖怪マグロが対馬邸を襲撃する2日前の事である。
なごみとレオにはには今日の執行委員会は休みという偽情報を与えた上で
という事実に4人の慎重さと本気度の高さが伺える。
 ちなみにスバルは部活、祈は姫による駄菓子での買収でオウムを貸し、目を
つぶる契約を結んでいる。フカヒレは………知らん。

 さて、襲撃を受けたレオの行方はというと………

「さ〜〜て捕虜っぽく見せるにはどうすればいいかしらね〜〜」

「ん〜〜袋をかぶして鬼畜っていう張り紙でも張っておこうか……」

「やっぱりこの地方妖怪マグロの被り物が一番だよ!!」

「あ・・・あまり手荒な真似はしないほうがいいのではないか?」

 ………生徒会室にて両手足を縛られ椅子に座らされた状態で目が覚めた。


とりあえず今日はここまで。まあ説明くどいのはご愛嬌ということで。
全部のキャラのルートを適当に通ってきてるという説明を入れたかったもので。
おそらく明日には完結します
226名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 20:12:42 ID:ky6ByIwm0
GJ!!!
マジか!!
でも俺はいつまでも待ち続けるぜ!
227名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 20:13:33 ID:kbwJtSeh0
GJ
228ID:gxKUXF+T0 6:2005/09/26(月) 20:28:53 ID:gxKUXF+T0
「あ〜ら、お目覚めね。対馬君」

 やけにご機嫌な姫の声に震えるレオ。ご機嫌なのは声だけだ。目は笑っていない。同様に他のきぬ、乙女、よっぴーの
三人もご機嫌な声を掛けてくれるのだが目は笑っていない。レオは恐怖に震えた。
ITフィールドを展開してなごみとよろしくやっていたのに気が付けば両手足を椅子に縛られている状態である。正に天国と地獄。

「ちょ……待ってこれ。ドッキリ? 何で縛られてんの?」

 口から出るのは自分でもわからぬ事ばかり。パニクってると言ってもいい。
 レオは今、この状況がどういう状況なのか、自分の記憶を探る。そうだ。確か自分は地方妖怪マグロという名のカニに掴みかかろうとした時に背後から
乙女姉さんに一撃を喰らって……

「あのね対馬君。ほら、最近私達と対馬君ってゆっくり話してなかったでしょ?
だから久々にゆっくり話したいなって思って……」 

 レオの思考を中断させたのはクラスでは執行部の良心と評判のよっぴーの言葉。待て、ゆっくり話すのに縛る必要はないだろうという突っ込みをおそらく
カニ相手ならレオは入れていただろう。だが妙に暗い目をしたよっぴーに突っ込みをする度胸をレオは持ち合わせてはいなかった。
まぁこれをレオのヘタレのせいにするのはいささか酷というものだろうが。簡単に言えばレオはそれを「そちらからの質問は許可しない」という正しい意味で受け取った。

「最近のお前の生活の乱れぶりは目に余るからな……少し灸をすえてやろうという事だ」

 日本刀をポンポンと手のひらで叩きながらの乙女。同様に「ゆっくり話すだけじゃないの!?」
という突っ込みを入れることは出来なかった。生活の乱れぶりという言葉が性活の乱れという
言葉に聞こえたという理由もある。身に覚えがありすぎた。自室を筆頭に浴室、キッチンは言うに
及ばず、果ては目の前の女性の部屋でもITフィールドを強力に展開させた事もある。
厳しい同居人の部屋という環境とスリルが情事の興奮の度合いを激しく高めたことは秘密である。

投下し忘れたのを投下。
229ID:gxKUXF+T0 :2005/09/26(月) 20:33:02 ID:gxKUXF+T0
むぅ……改行と全体のバランスがばらばらだ。どうも一気に作って貼り付けて
投下ってむずい……他の投下してる人ってここに直接書き込んでるんですかね?
230名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 20:38:16 ID:P+33g+l0O
キテタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!
一度ワードとかにどかっと書いて、分けて書き込むだと思われ
231つよきす文化祭・6/?:2005/09/26(月) 22:08:55 ID:1EXaf0PT0
 さて、文化祭当日。
 なんだかんだで、衣装を見るなり女子も態度を軟化させ、可愛い可愛い言いながら『メイド喫茶』の準備をしてきた2−C。
 いよいよその苦労が日の目を見る時がきたようだ。
 しかし――
「なんで姫がいないんだ!? ねぇ、なんでいないの?」
 メイド服装備の姫の姿を一生懸命探すが、俺のクラスの中にその姿は見当たらなかった。
「よっぴぃ、姫見なかった?」
「エリーは、乙女先輩と生徒会の見回りに行ってるから、クラスの出し物には参加しないよ? 前の生徒会で言わなかったっけ? 」
「うわあぁぁぁぁん! グレてやるううぅぅぅぅ!」
 なんて事だ。コレでは今まで頑張ってきた意味が無いじゃないか!
「まぁまぁ、レオ。ホリホリ、ボクのカワユーいメイド姿でも見てトイレに駆けこめよ」
「てめっ、メイド舐めんな!」
「おーい、それどうゆう意味だ? んん? このムッツリヘタレが。ホレ、コレでどうだ? ボクの魅力に即時昇天か?」
 メイド服装備のカニが腕を絡めて無い胸を押し付けてくるが……まったく萌えなかった。
 つかむしろ腹立たしい。
「さわんな! てゆうかお前口調からしてメイド舐めてんだよ! ご主人様には敬語と上目遣いだろうが!」
 そうだ、そうだ、という同意の声が男子から上がる。
 カニは、やはり不服そうに頬を膨らませていた。
「ほぅら、ムッツリの本性が出ましたよ。ヘタレのクセに妄想だけは激しいんだから困ったもんですよ」
232つよきす文化祭・7/?:2005/09/26(月) 22:09:30 ID:1EXaf0PT0
「だまれ、カニ」
「へめへふぁみふんだ!(テメエ、何すんだ)」
 カニの頬を力いっぱいつねる。こうなったらカニでストレス解消だぜ馬鹿ヤロウ。
「おらおら、泣くか? 泣くか? つか泣け?」
「ふぁめがふぁふふぁほめ!(誰が泣くかボケ)」
 つねる。
「ひぃふぁまへもはまへほへふぁめ!(いいから手を離せよヘタレ)」
 つねる。
「ひひふぁへんみひもろほめぇ!(いいかげんにしろよてめぇ)」
 つねる。
「ふぐっ、ひふぁくないほ? ひふぁくないれふも?(グスっ、痛くないよ? 痛くないですよ?)」
「ヤッハー! ついに泣いたなカニ」
 カニの目に小さな雫が溜まってからようやく、俺はその手を離した。
「泣いてない、泣いてないもんね! つかお前キャラちげぇんだよヘタレ!」
 いいつつ、カニはスバルの元へと駆けていった。少し、気が晴れた。
「ホラ、でっかいフーセンガムやるから泣くなよ」
「ボクは泣いてないってんだろ! はむ」
スバルの手にかぶりつくカニ。
「ハイハイ、泣いてない泣いてない」
 スバル、いい親父やってるじゃねぇか。泣かせてくれるぜ。
233つよきす文化祭・8/?:2005/09/26(月) 22:10:00 ID:1EXaf0PT0
 つかもう、姫がいない時点で俺の中のやる気メーター0ですよ。何が文化祭だ、くだらねぇっての。
「おーいレオ、いい情報が入ったぜ?」
 声のした方に顔を向けると、教室の入り口でフカヒレが得意そうに顔を綻ばせていた。
「なんだ、フカヒレ。許可してやるから話せ」
「なんかお前機嫌悪くね?」
「悪くない、悪くないもんね!?」
「いや、カニ真似はいらないんだけど。まぁ、聞け」
 フカヒレが耳を貸せ、とジェスチャーをする。聞かれてはまずい情報なのだろうか。
「コレ、マル秘情報だぜ? あまり流すと野次馬が増えて鬱陶しいからな」
「よしきた、まかせろ」
「あのな、椰子のクラス、コスプレ写真館やってるんだ。しかも、店員もコスプレ済み」
 やる気メーター、上昇。
「しかもな、椰子はナース服で店番してるらしい」
「ナース最高!」
 メーター、MAX突破。
 ナースですか、悪くないね。
「よし、行こうぜ親友」
「そうだな、親友」
 俺はフカヒレと肩を組み、椰子のクラスへと歩き出した。
234つよきす文化祭・9/?:2005/09/26(月) 22:13:36 ID:1EXaf0PT0
 そこに俺は、天国を見た。
 これは夢か幻か、それとも蜃気楼か何かなのだろうか。
「もう、何でもいいや」
 とりあえず、今、目の前に広がる光景を目に焼き付けよう。
 1−Bの教室は、まさに男にとっての桃源郷と化していた。そこらじゅうに溢れるきわどいコスプレ集団。
「うぉ、超ミニチャイナ」 
 あのチャイナ服、長さがひざ上のくせしてスリットが腰まである。犯罪級の衝撃だぜ。パンツ見えてるし。
「どうだ?来て良かったろ」
 フカヒレも興奮した声を出す。いまにも犯罪しそうな目をしているが、今は放っておこう。
「ああ、最高だぜ。特にあのブルマっ娘なんていいんじゃね?」
「ナイスブルマ」
「うぉっ! スバルいつの間に!」
 いつの間に来たのか、スバルがフカヒレと腕をがっしりと組んでいた。さすがブルマ好き、離れていてもその匂いは伝わるらしい。
「ちっ、ブルマはナイスだが、バリエーションが一般的だな。若妻スタイルとかねえのかよ」
「落ち着けスバル。ここはイメクラじゃない」
「似たようなもんだろ」
 スバルの母子相姦好きには困りものだった。
235つよきす文化祭・10/?:2005/09/26(月) 22:14:36 ID:1EXaf0PT0
「それより、椰子のナース姿なんだが……」
 と、教室の奥で騒ぐ人影を見つけた。人ごみを掻き分けて近づいてみると、ナースな椰子とカニが仲良く罵り合っているところだった。
 カニの目が少し赤い気がするが、あれはさっき俺が頬をひねった時の、後を引いているんだろう。
 しかし、椰子はまたナース服が良く似合ってるな。しかもスタイルいいから無駄にエロイ。ナースにおまかせってか。
「ぎゃはは、ココナッツよく似合ってるじゃねーか! 『はい、お注射の時間ですよ?』ってか? 患者に空気注射でも打って捕まってろよ」
「だまれ甲殻類。所詮頭の悪いお前には夢のような職業だろう。うらやむならもう少し可愛くうらやめ」
「んだと! 単子葉植物が調子乗ってんじゃねぇ!」
 隙を突いて椰子がカニの頬をつねった。
「クク……今日は何秒で泣くかな……」
「がるるるる!!」
 まあ、いつも通り。
「フフ……なごみん、ナース服よく似合ってるじゃない」
「姫……見回りは?」
 振り返れば奴がいる。姫はモチロンメイド服なんて着てはいなく、乙女さんを隣に従えてカニと椰子の不毛な争いを立ち見見物していた。
 乙女さんが微妙に目をキラキラさせてウエディングドレスなんかを見ているのは……まぁ、そういうことだろろう。
 名前が乙女だしね(←仕方なさげに発音すると吉)
「制裁!!」
「くぁwせdrftgyふじこlp!!」
 乙女さんの鋭い蹴りが左足にめり込む。ひざ……膝が変にまがってますってコレ。
「お前、今私を馬鹿にしただろ」
「相変わらず勘のイイコトで……」
 俺、サトラレなのかな?
236つよきす文化祭・11/?:2005/09/26(月) 22:15:06 ID:1EXaf0PT0
「ウーン、なごみサンはムッチリしててエロチズムデスネー」
「アンタなんでいるの」
 なぜかオアシスの店長までがやって来ていた。展開、無茶苦茶じゃね?
「私がこの世で一番許せナイのは、タマネギをバターで炒めないヤツデース!」
「いや、わけわかんないし」
「ハッハッハ、カーニさんのお友達冗談キツイネー」
「帰れ」
 不法侵入者として店長を追放しました。
「てゆうかさ、フカヒレ。お前、メイド喫茶はいいのかよ? あんなにノリノリだったじゃねぇか」 
 俺はもう、姫がメイド服着ない時点でやる気ゼロですが。
「ああ、もういいよ」
 なんか、フカヒレ顔が清清しい。
「俺、気付いたんだ。いくらメイド喫茶やったって、俺が客として行かなきゃ、誰も俺を敬ってくれないって」
「気付くの遅すぎ?」
「だから、だからな。ここで可愛い子にアタックしてコスプレの格好のままお持ち帰り? みたいな?」
「もう、変態の極みだね。少し、尊敬するよ」
「だろだろ? もう、今の俺を見たらどんな女だって一発だぜ? ほら、あのスク水の子なんて俺をあっつい視線で見つめてるよ!」
 可愛そうなので、幸せな妄想にしがみついているフカヒレをそのままにしておいた。ちなみにスク水の子は鬱陶しげにフカヒレをあしらっていましたとさ。
237名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 22:17:37 ID:1EXaf0PT0
ごめん、なんかもう無茶苦茶かきたい事書いたって感じ
許して?
238名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 22:37:04 ID:yS6WwdgP0
ノリは十分伝わりました。
テンションに身を任せろ!
239名無しさん@初回限定:2005/09/26(月) 22:39:15 ID:zp1hgyrB0
ナースなごみん・・・はぁはぁ
240我 愛 イ尓・11:2005/09/27(火) 00:27:43 ID:AnItik2O0
体育武道祭も無事終了。
生徒会の仕事はこれで一段落ついたらしいけど
もう少しすると憂鬱な期末試験、か・・・
試験が終われば楽しい夏休みだし
豆花さんと・・・もうちょっと仲良くなりたい、かな・・・
なんてことを夕食後、ぼんやり考えているうちに
夜の対馬ファミリー集会。
「ったく、オメーが豆花狙いとは知らなかったぜ」
「別に狙ったとかそんなんじゃねえよ。気がついたら・・・その・・・」
「うわ、何コイツデレデレしやがって。あームカツク!」
くそう。こういう展開になる気はしていたが。
「で、どうなんだ坊主?」
「どうって?」
「だから、進展状況だよ。デートぐらいはしたんだろ?」
「いや・・・そういうのは・・・まだ」
「ってオメーもハッキリしねえ野郎だねまったく。
 ・・・豆花はまんざらでもない感じだぜ?」
「え、そう?」
「ボクやマナといてもさ、何かってぇと『対馬クンがネ、対馬クンがネ』って
 もううるせーのなんの。さっさと引き取れヘタレ」
「・・・今のって豆花さんの物真似か?」
「他のなんだってんだよ?似てたろ?」
く・・・ちょっと似てると思ってしまった俺が悔しい。
「バカ、豆花さんはなぁ!・・・もっと、こう・・・
 なんて言うか・・・もっといいんだよ!」
「あーハイハイそうですか・・・ま、豆花はいいヤツだかんね。
 オメーみたいなヘタレにゃもったいないぐらいなんだから
 その気あんならしっかりしな?」
「とりあえず、デートぐらい誘ってみたらどうよ?
 そんな難しく考えねーでさ」
「デートかぁ・・・うーん・・・どうしようかな・・・」
「・・・ホンット、ヘタレだねオメー・・・」
241我 愛 イ尓・12:2005/09/27(火) 00:31:35 ID:AnItik2O0
来週はもう試験だし、今週誘うのは・・・迷惑かな。
なんて考えてるうちに早くも金曜日。
いかん、何もしないまま1週間が!?
マズイ、家に帰れば乙女さんに勉強させられるのは目に見えてるし
これはもう今日の放課後誘うしかない!
行き当たりばったりで何も計画してないけど・・・
ええい、迷うな俺!
HRが終わった直後、思い切って声をかける。
「豆花さん、豆花さん」
「ん?なにカネ対馬クン」
「えと・・・ちょっと廊下で・・・」
さすがに、まだ教室の中で誘えるほどじゃないし。
「あのさ、試験目前でなんなんだけど・・・
 今から遊びに行かない?
 ほら、その・・・お、お礼してくれるって言ったじゃん?」
「言たネ。でも、これはお礼にはならないネ・・・
 だて・・・ワタシも誘てほしいとずと思てたからネ!」
豆花さんの顔が嬉しそうにほころぶ。
「じゃ・・・OK?」
「モチロンネ!・・・正直、なかなか誘てくれないカラ
 ワタシちょとガカリしてたネ・・・
 でも、待ててヨカタネ!」
くう、嬉しいこと言ってくれる!
「ごめんね、待たせちゃって・・・じゃ、行こうか?」
「ウン!」
と、背後からどっと沸き上がる歓声。ヒュヒューという口笛。野次。
「!?」
振り向けば・・・クラス中が反対側のドアや窓から顔を出して
俺たちのこと・・・見てた!?
「おあっ!?お・・・お前らなぁっ!?」「アイヤー・・・」
それでも、俺は豆花さんの手を取る。彼女は、しっかりと握り返してくれる。
クラスメイトの冷やかしの声に送られて俺たちは廊下を歩き出した。
242我 愛 イ尓・13:2005/09/27(火) 00:35:32 ID:AnItik2O0
カニや浦賀さんと一緒に遊んでいるせいか
豆花さんも思っていたよりは遊びには慣れていた。
制服のままだし放課後の短い時間なんで
そんなにたくさんは遊べないけど
それでも、すごく・・・幸せだった。
あまり他の連中が来そうにない、ちょっとはずれにある喫茶店で
お茶しながらいろいろなことを話す。
「けど、来週はもう期末試験なんだよなぁ・・・ちょっと憂鬱」
「デモ、試験が終われば、夏休みネ」
「豆花さんは成績いいからなぁ・・・豆花さんの進路ってやっぱり進学」
「そうネ、ワタシ進学するヨ」
「・・・豆花さんと同じ所に入るのは俺には大変そうだなぁ」
「そんなことないネ。対馬クン、頑張ればできル人ネ」
「そうかなー・・・」
実際、クラスで5本の指に入る秀才の豆花さんレベルには
よっぽど頑張らないと・・・
と、豆花さんがそっと俺の手に手を重ねる。
「頑張てほしいネ。ワタシ、頑張てル対馬クンが・・・好きネ」
「!」
こんなに・・・こんなに勉強しようと思ったのは
生まれて初めてだ。
頑張ろう。頑張って、彼女の期待に応えて・・・
また同じ学校で勉強して・・・
重ねられた豆花さんの手を握り返す。
「俺、頑張るよ!今年すぐってわけには行かないかもしれないけど
 卒業するまでには、必ず追いついてみせる!」
「その意気ネ!
 ・・・もう、ずいぶん時間たたネ。そろそろ帰るネ。
 今日は・・・楽しかたヨ。アリガトネ、対馬クン」
喫茶店を出て、手を振りながら歩いていく豆花さんと別れてから
俺は急ぎ足で家に戻る。
目標に向かって、頑張るぜ!
243我 愛 イ尓・14:2005/09/27(火) 00:39:35 ID:AnItik2O0
「また遅かったな。蟹沢から聞いたぞ。
 試験前だというのにデートとはいい身分だな」
帰った早々、乙女さんのお小言が待っていた。
しかし今の俺はそれしきでは怯まないぞ。
「デートで遊んでいたことに関しては言い訳しないよ。
 でも、おかげで勉強する意欲が沸いてきたから
 これからの俺を見てほしい」
「うむ。相手は留学生の優等生だからな。
 相応しい男になれるよう頑張ろうということか。
 ・・・いいだろう、ビシビシしごいてやるぞ!」
「お願いします!」

土日はビシビシと乙女さんにしごかれた。
だけど、それが全く苦にならない。
乙女さんには申し訳ないけれど
今までは、心のどこかに勉強することを望まない自分がいた。
今の俺は違う。
ときどき、豆花さんに会いたいな、とかは思うけれど
彼女のことを思い出す度にさらにやる気がかき立てられる。
「乙女さん、ここの和訳なんだけど・・・乙女さん?」
「ん?・・・ああ、スマンな。ちょっと考え事をしていた」
「困るよー、俺やる気なんだから」
「そうだな・・・しかし、今のレオは実にいい目をしている。
 やはり、キチンとした目標があると違うものだな。
 今まで、そういうものを与えてこなかったのは私の手落ち、か・・・」
ああ、俺がやる気なのに乙女さんの方が黄昏てしまっている。
「でも、今まで乙女さんがいろいろ見てくれたから
 今の目標が立てられたんだと思うよ。
 だから今はこれまでの乙女さんの厳しさにも感謝してる」
元気づけたい、ってのもあるけど、これは本音だ。
「そうか・・・よし、わからないところはどこだ?うむ、ここはな・・・」
こうして、勉強漬けで土日は過ぎていった。
244我 愛 イ尓・15:2005/09/27(火) 00:43:34 ID:AnItik2O0
そして月曜日。いよいよ今日から期末試験だ。
「あーダリィ・・・試験なんてものを考えたヤツは
 とっとと地獄に落ちやがれってカンジ?」
憂鬱そうなカニと学校へ。
アホのくせに普段から勉強していないと試験のときこうなる。
「オメーは何ヨユーこいてんだよ?」
「ふっ・・・俺はやるときはやるからな」
「・・・なんかビミョーに熱血入ってね?」
「まあな。対馬レオは恋を知って生まれ変わったのさ!」
「うわ、朝っぱらからハズカシーヤツ!
 っと、オメーを生まれ変わらせた張本人が来たぜ。
 オーイ、豆花ー!」
「え、どこ?」
カニが手を振った方に目をやれば
確かに豆花さんが歩いていて、こちらをチラと見ると・・・
そのままスタスタと歩いていってしまった。
あれ?
「んだ、アイツ。気がつかなかったんかな」
いや、確かにこちらを見たと思ったけど・・・
先を急いでたのかな。
まあいいや、後で教室で会えるし。
「閉門1分前〜!」
ヤバ、乙女さんの閉門を知らせる声が聞こえる!
豆花さんもそりゃ先を急ぐわけだ。
試験初日だってのに遅刻するわけにはいかない。
「カニ、走るぞ!」
「オゥヨッ!」
「15、14、13、12、11・・・」
乙女さんの待つ校門へ必死で駆け込む・・・ぎりぎりセーフ!
目を前に向ければ・・・少し先に豆花さんがいた。
「カニ、先に行くぞ」
息をついているカニを残して、俺はさらに足を早めた。
245我 愛 イ尓・16:2005/09/27(火) 00:47:34 ID:AnItik2O0
「や、おはよう豆花さん!」
追いついたところで声をかける。
ちら、とかすかに振り向いた豆花さんが
「オハヨ、対馬クン」
軽く挨拶を返してくる。
何か素っ気ないような。
照れてるのかな?
「今日から期末試験、頑張ろうね」
「そうネ。HR始まるから、急ぐネ」
「え・・・あ、ああ・・・うん」
スタスタスタ・・・
ニコリともしない。
冷たい顔のままそう答えると
呆気にとられている俺を残して、豆花さんは歩いていってしまう。
何だろう。
何か急に・・・豆花さんがよそよそしくなってしまった。
追いついてきたカニが冷やかす。
「なんだよオメーラ、デート一回でもう破局?」
「うっ・・・うるせーよっ!」
う、つい・・・怒鳴り声をあげてしまった。
ビク、とカニが体を震わせる。
それぐらい・・・自分でもわかるほど、苛立ってしまっていた。
「・・・わ、悪ぃ・・・じょ、冗談だよ」
カニに当たったってしょうがないんだよな。
「いや・・・俺の方こそすまん、カニ・・・つい・・・」
「と、豆花もさ、試験前で苛立ってたんじゃね?
 そんな気にすんなよ、な?」
そう・・・なのかな。
そうだと思いたい。
気にはなるけど、今は試験に集中しよう。
話をするのはその後でもいい。
そう自分に言い聞かせて、俺も教室へ向かった。
246名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 00:50:59 ID:3Fc+LxPc0
支援
247我 愛 イ尓・17:2005/09/27(火) 00:51:37 ID:AnItik2O0
だけど、試験期間中は、豆花さんはずっとそんな感じだった。
大事な試験中にベタベタしていては俺のためにならない。
そんな豆花さんなりの気遣いなのだろうと思って
我慢して俺は勉強を頑張った。
その甲斐あって、多少だけど成績も上がって
少しでも胸を張ってまた豆花さんのそばにいられると思っていたのに・・・
その後も豆花さんはよそよそしいままだった。

「豆花さん、一緒に帰らない?」
「今日は国カラ荷物送てくるネ。すぐ家帰るネ」

「豆花さん、よかったら一緒に勉強・・・」
「ワタシ、マナとカニちの先約あるネ。別の人頼んでほしいネ」

「豆花さん、お昼いっしょに・・・」
「今日は料理部の集まりあるネ。また今度ネ」

いやな顔をされている訳ではない。
だけど・・・ニコリとも笑ってくれない。
ただ無表情に、淡々と。
まるで赤の他人に断りを入れるような対応。
豆花さんが、元々の距離よりも、もっと遠くに感じる。
これなら・・・こんな生殺しみたいな関係でいるなら
いっそ嫌われたほうがまだマシだ・・・
「なんかさー、オメーラがギクシャクしてっと
 ボクもなんか居心地悪いんだよね。
 オメーなんか豆花怒らせるようなこと言ったかしたんじゃねーの?」
そうなんだろうか。全然心当たりがない。
「カニ・・・豆花さんに探り入れてみてくんねーか」
「んー・・・気が進まないけど・・・ま、やってみるか」
「・・・スマン」
藁をもつかむ気持ちで、俺はカニに望みを託した。
248名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 00:51:44 ID:bcVr008T0
ハラハラ支援
249我 愛 イ尓・18:2005/09/27(火) 00:55:40 ID:AnItik2O0
その夜。
カニはいつものように窓からではなく玄関からやってきた。
見るからに・・・しょげていた。
「お前が凹んでどうする」
「うるせーよ。
 ま、今日豆花と話したこと、言うだけは言うから・・・」
緊張する。どんな理由で避けられていたのか。
それがわかれば、直していけばいい。
「ボクはそれとなく、なんて面倒なことできないからね。
 だからハッキリ聞いたよ。
 レオのどこが悪いのか、ってね」
「・・・それで?」
「・・・アイツが言ったとおりに言うぜ?」
 
『対馬クン、いい人ネ。でも、デートしてわかたネ。
 ワタシこれ以上対馬クン好きにはなれないネ。
 だから、これ以上つき合ても仕方ないネ』

「・・・だってさ」
「・・・それって・・・俺は「いい人止まり」ってことか」
「別に・・・嫌ってるわけじゃないけど・・・
 恋人にはなる気がないから、少し距離をおきたいんだと」
「そうか・・・」
「アイツさ・・・ときどき、ドライなんだよな。
 けど、悪気はないと思うんだ。
 ズルズルつきあって傷口広げるより・・・」
「かまうもんか」
「・・・へ?」
「豆花さんがつける傷なら、どんな傷でも受ける!
 いい人止まりなら、その先に進んでみせる!」
「そっか・・・マジ、なんだなオメー」
「ああ、大マジだ・・・カニ、ついでにもう一つ頼まれてくれるか?」
250名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 00:58:31 ID:zkLmrM+10
連続投稿規制の野郎め!
支援しますぞい。
251名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 00:59:16 ID:bcVr008T0
ドキドキ支援!
252我 愛 イ尓・19:2005/09/27(火) 00:59:35 ID:AnItik2O0
夜の松笠公園で一人待つ。
カニに頼んで・・・カニの名前で豆花さんを呼び出した。
騙し討ちみたいで気が引けるけど
こうでもしないと話し合いすらしてくれない。
やがて現れる、待ちこがれた姿。
「豆花さん・・・」
「対馬クン?・・・アイヤ、カニちに騙されたあるネ」
一瞬で事情を悟ったのか、くるりと来た道を引き返そうとする。
「待って!頼む、待ってくれ!」
走りより、その肩をつかむ。
「俺の・・・俺のどこが悪い?何が足りない?
 言ってくれ・・・俺、頑張るから!
 好きになってもらえるよう頑張るから・・・!」
「・・・別に、今のままの対馬クンで十分ネ」
・・・へ?
「今のままの対馬クンで、ワタシもう十分に・・・好きネ。大好きネ。
 でもネ・・・恋人には、ならないほうがイイネ・・」
「な・・・なんだよそれ!?す、好きだって言うなら
 俺と一緒に・・・!
 俺、豆花さんのそばにいたいんだよ!」
「ワタシもネ、対馬クンと一緒にいたいネ・・・
 でもダメネ、ワタシたち・・・進む道、違うネ。別れ、必ず来るネ・・・
 近すぎる人、別れツライネ。だかラ・・・」
「進む道って・・・
 豆花さんだって進学だろ!?
 俺頑張って同じ学校入れるようにするから!」
ふるふると
豆花さんが首を横に振る。
ポロポロと
そのたびに涙がこぼれ落ちる。
そして、やっとというように言葉を紡ぐ。
「ワタシ・・・の、進学先・・・中国の大学、ネ・・・」
253名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 01:01:38 ID:bcVr008T0
ええい! 押し倒せ!
254我 愛 イ尓・20:2005/09/27(火) 01:03:34 ID:AnItik2O0
ガン!と頭をハンマーで殴られたよう。
なんで・・・今までそんなこと思いつかなかったんだ。
ずっと一緒にいると。
ずっと日本にいると。
勝手にそう思いこんでいた。
「竜鳴館卒業したラ、ワタシ中国に帰るネ・・・
 あと・・・1年半ダケの恋人なんて・・・つらすぎルネ。
 対馬クンが恋人なたら・・・なおさら、ネ・・・」
そう言って豆花さんは笑う。
笑いながら、顔がきゅ、と歪む。
1年半。長いのか短いのか。
いや、問題は長さじゃない。別れの時がハッキリしすぎてる。
きっと・・・つらい別れが待っているだろう・・・
「 そ れ で も っ ! !」
そう。それでも。たとえどんな別れが待っていようとも。
変えられない。誤魔化せない。自分の、気持ちだけは。
「それでも・・・俺は、キミのそばに、いたい・・・
 1年半だけでも・・・1日半でもいい・・・
 先のことなんか知らない・・・傷ついてもいい・・・!」
俺はわがままだ・・・自分が傷つくだけじゃない。
豆花さんだって傷つくはずだ。
それをわかっていてなお、彼女に懇願する。
懇願せずにはいられない。
彼女のほっそりとした体を引き寄せ
胸の中に抱きしめる。
抱きしめずにはいられない。
「対馬クン・・・思てたより、アホネ」
胸の中・・・豆花さんはかすかに笑ったような気がした。
「ごめん・・・俺、どうしていいかわからないから・・・」
「もう、いいネ・・・
 ワタシも・・・もう、アホになてしまたネ・・・
 今の対馬クンが、この先、一生の全てより・・・大事ネ」
255名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 01:04:48 ID:zkLmrM+10
全米が今泣いてる
256名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 01:05:23 ID:j4rN/1JI0
涙を流しつつ支援
257我 愛 イ尓・21:2005/09/27(火) 01:07:31 ID:AnItik2O0
夜の公園のベンチに並んで腰掛ける。
二人とももうあまり喋らない。
「・・・対馬クン、冷たく当たて・・・ゴメナサイネ・・・」
「もう・・・いいよ」
これから、どうなるのか。
今のお互いの気持ちは通じ合った。そう思う。
「1年半・・・か・・・」
「やぱり・・・後悔してる、カ?」
「いいや、全然。1年半あったら・・・
 何かいい方法思いつくかもしれない。そんなこと考えてた」
「・・・そうネ・・・
 もう、夜遅いネ。今日は、これで帰る、ネ」
「そう、だね・・・送るよ」
「ウウン、ここで・・・ダイジョブヨ・・・」
そう言ってから・・・彼女がそっと俺の耳元で囁く。
「・・・我 愛 イ尓・・・」
「・・・え?なに?ウォ・・・?」
よく聞き取れなかった。中国語かな?
「我 愛 イ尓・・・中国の・・・・・・挨拶、ネ」
「へぇ・・・そうなんだ。えっと・・・ウォアィニー?」
「我 愛 イ尓。我 愛 イ尓、対馬クン・・・」
「どういうとき使う挨拶?」
「・・・この挨拶、使い方、難しいネ・・・
 ウカリ使うと、失礼なるネ。
 だから・・・ワタシが言たときだけ・・・返してほしいネ・・・」
「そっか・・・わかった」
「我 愛 イ尓・・・我 愛 イ尓、対馬クン・・・また明日、学校で、ネ・・・」
「うん、ウォアィニー、豆花さん。おやすみ」

青年が立ち去って、一人きりになった少女が夜の公園で泣き崩れる。
少女は泣きながら、ただ同じ言葉を繰り返す。いつまでも、いつまでも・・・
「我 愛 イ尓・・・我 愛 イ尓・・・我 愛 イ尓・・・」
258我 愛 イ尓・22:2005/09/27(火) 01:09:53 ID:AnItik2O0
「おっはよー対馬クン・・・おやぁ?」
翌朝。通学途中で姫に声をかけられる。
「おはよう姫・・・なに、俺の顔何かついてる?」
「んー、昨日までのどよーんとした感じが抜けてるから」
・・・そんなに俺どよーんとしてたんだろうか。
まあいいや。
「そうだ、姫。中国語でウォアィニーってどういう意味?」
「!ハハァン・・・それ、豆花さんに言われたのね?」
「うん、そうだけど」
「うーん、ニクイねコノォ!」
姫がつんつんと脇腹をつつく。
「な、なんだよ・・・挨拶ぐらい誰だってするだろ」
「は?挨拶?我 愛 イ尓って、中国語のI Love Youよ?」
「え・・・挨拶じゃ・・・ないの?」
「違う違う。私は貴方を愛しています。すごく真面目な愛の・・・
 あ、ちょっと!?」
校舎に走る。
馬鹿だ。俺は馬鹿だ。
あんなに・・・あんなに心を込めて言ってくれたのに
意味も知らないで。
ただの挨拶だと思って。
言ってしまった。我 愛 イ尓、と。
謝らなければ。
言い直さなければ。
今度は、心を込めて、ちゃんと言わなければ。
校門を駆け抜け、廊下をすっ飛んで
教室に飛び込む。
「豆花さんっ!」
見回しても、豆花さんはいない。
ただ、浦賀さんが豆花さんの机のそばでぼんやりたたずんでいた。
俺を見て、ぼそっとつぶやく。
「・・・豆花なら、来ぇへんで」
259名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 01:10:06 ID:zkLmrM+10
ここでIsolationきた。。。
260我 愛 イ尓・23:2005/09/27(火) 01:12:03 ID:AnItik2O0
「来ない・・・?なんで・・・?」
「ウチが知るかいな・・・夜中に急に電話がかかってきたんや。
 今頃は・・・羽田やな」
「は、羽田って・・・なんだよ・・・?」
「羽田空港に決まってるやろ。
 なんや、10時半の飛行機らしいで・・・」
嘘だ。何かの冗談だ。
だって・・・だって「また明日、学校で」って言ったじゃないか。
俺に・・・最後の1年半もくれないのか?
あれが最後だったのか?
なんで急に?
いや・・・考えてる場合じゃない!
入ってきた祈先生と入れ違いに教室を飛び出す。
「あ、対馬さん?HR・・・」
「今日は休みますっ!」
松笠駅へとただひたすらに走る。
一本でも早い電車に乗るために。
一秒でもはやく空港に着くために。
走りながら必死に思う。
待ってくれ。
まだ行かないでくれ。
あと1年半あるって言ったじゃないか。
こっちにいられないなら
俺があっちに行ったってかまわないじゃないか。
それを考えるための1年半のはずだったじゃないか。
せめて・・・
せめて、気持ちだけでも伝えさせてくれ。
心を込めた言葉を言わせてくれ。
こんな終わり方で、離れていかないでくれ。
「豆花ーーーーっ!!」
知らず知らずに彼女の名前を叫びながら
涙も拭かずに松笠駅へと走り続けていた。
261名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 01:12:52 ID:Czwefe600
すごいよ。今俺=全米になってる。
涙腺にリタ上陸中。
262Seena ◆Rion/soCys :2005/09/27(火) 01:14:07 ID:AnItik2O0
もう少しで終わりですが、エンディング2通り考えていて、どっちにするか悩み中。
というわけで続きはまた明日。
263名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 01:14:53 ID:bcVr008T0
!?
264名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 01:16:11 ID:zkLmrM+10
>>262

「24」並みのひっぱりかたですねw
楽しみにしております。
265名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 01:19:31 ID:NFuMDiF00
よし!今のうちに豆花ルートの復習やってくる!!
266名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 01:22:42 ID:ZwdJxiZM0
早くもワクテカが止まらないぜ!
267名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 01:23:09 ID:j4rN/1JI0
よーしとりあえずトイレ行ってくる
268名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 01:25:08 ID:qam1SEKT0
挨拶だと嘘を言って「我 愛 イ尓」と囁き続ける豆花さん。
後から嘘をついた訳がわかって・・・もう胸が痛いっす。
エンディング二つあるならお願いです・・・

豆花幸せにしてやってください・゚・(つД`)・゚・
269名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 01:42:09 ID:9sL6XMbm0
デレツン!?とか思ってたけどやっぱり泣かされた・・・
270名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 01:44:32 ID:hg/zhuvz0
你 ← イ尓
潰れて読めねぇorz
271名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 01:45:06 ID:hg/zhuvz0
ageちまったorz
272名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 07:35:58 ID:KBiNa7kW0
もうレオが豆花の為に中国行っちゃえば良いじゃない
273名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 08:13:33 ID:mLdvnOGU0
家族計画の春花エンドで
274名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 08:45:22 ID:ZJjY+jlP0
ここでやめるなんて…鬼畜ですね、先輩…
275名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 08:57:14 ID:ZJjY+jlP0
つうか2種類終わり方考えてるなら両方書いて下さい…
本気で読みたい
276名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 11:43:41 ID:bcVr008T0
日中併合エンドしかない!
277名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 11:51:36 ID:5Dgj81b30
中国からの留学生は九龍だかなんだかって闇組織のエージェントだったんだよ、
とらハ経験者だからわかる。
278名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 11:53:30 ID:bcVr008T0
つーこたハッピーエンドと陵辱・死亡エンドの2通り!?
279名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 12:08:30 ID:3byPTmY20
ハッピーエンドと幸せエンドです
280名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 12:22:08 ID:UmHvE3qj0
>>218
一瞬スバルがレオを奪おうとしてるふうに見えたwwwww
281名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 12:55:21 ID:mLdvnOGU0
>>277
「龍」で良かったと思うが
282名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 13:30:00 ID:YAKTF7Ue0
もっと中国語ネタを使って!
283我 愛 イ尓・24:2005/09/27(火) 16:17:17 ID:8MDzqRNM0
羽田空港に駆け込んだのは10時10分。
・・・間にあったのか?
ああ、だけど・・・この広い空港のどこに豆花さんがいるのか
皆目見当がつかない。
発着便の予定を見る。
10時30分・・・中国の方へ発つ便は・・・
くそ、わかんねえ!っていうかそんな便ないぞ!?
片っ端から走り回って豆花さんを探す。
どんどん時間は過ぎていく。
・・・10時20分・・・10時25分・・・
見つからない。
間に合わないのか・・・?
このまま・・・気持ちを伝えることすらできないで・・・
オシマイ、なのか・・・?
いや。
気持ちを伝えるだけなら、まだ間に合う。
大きく息を吸う。
胸も喉も張り裂けたっていい。
届くように。
想いが、胸の内が伝わるように。
精一杯の、大きな声で・・・!
「 豆 花 ーーーっ!!我  愛  イ尓 ーーーっ!!」
周りの人が何事かと驚いた顔で俺を見る。
知ったことか。
何度でも叫んでやる。
「我  愛  イ尓 ーーーっ!! 豆 花 ーーーっ!!」
聞こえるだろうか。聞いていてくれるだろうか。
聞いていてほしい。受け止めてほしい。
トントンと後ろから肩を叩かれる。空港職員とかだろうか。
くそ、俺の一生の問題なんだ。邪魔すんな。
「 豆 花 ーーーっ!!」
「そんな大きな声出さなくても聞こえるネ」
284我 愛 イ尓・25:2005/09/27(火) 16:21:31 ID:8MDzqRNM0
!?おそるおそる振り返る。
・・・豆花さん、だった。
「どしたノネ対馬クン?学校ドシタノ?」
「だ・・・だって!豆花さん帰っちゃうから!
 だから・・・だからっ・・・!」
胸にかき抱く。
「ひぁ!?つ、対馬クン!?
 な・・・何か、勘違いしてナイカネ?」
「だって!浦賀さんが10時半の飛行機でって!」
「そうネ。もう到着してるネ」
・・・到・・・着・・・?
「昨日ネ、あれから・・・ママに電話したのネ。
 そしたらネ・・・ママ、対馬クン会いたい言テネ。
 急に日本来ることになたノネ。ワタシ、迎えに来たノヨ」
「じゃ・・・中国に帰るわけじゃ・・・?」
「まだ1年半残てるノニそんな訳ないネ」
じゃ・・・俺の早とちり!?
よく考えたら、浦賀さん「帰国」とか全然言ってなかったじゃん!
「対馬クン、やぱりアホね・・・
 ワタシ、さきスゴク恥ずかしかたヨ・・・恥ずかしかたケド・・・」
俺の背中に、豆花さんの腕が回される。
「嬉しかタネ・・・とても、嬉しかタネ・・・
 気持ち、伝わたヨ・・・アリガトネ・・・
 我 愛 イ尓・・・我 愛 イ尓、対馬クン・・・」
「うん・・・我 愛 イ尓、豆花・・・我 愛 イ尓・・・」
堅く抱きしめあったまま、我 愛 イ尓と囁きあい
いつか二人の唇が重なる。
たくさんの人だかりが見ているけど
そんなことはもうどうでもいい。あんなデカイ声で叫んじゃったし。
周りから一人二人と拍手があがる。
それはやがて祝福の声と耳が割れんばかりの拍手になって
口づける俺たちを包んでいった・・・
285我 愛 イ尓・26:2005/09/27(火) 16:24:31 ID:8MDzqRNM0
何か気づいたようにハッとして
豆花さんが体を少し離す。
「イケナイ、忘れてたネ!
 ママ、もうすぐロビー出て来るけど・・・
 さきの対馬クンの声、聞かれたと思うと恥ずかしネ・・・」
ぐあ。
親が来ている場所で、我 愛 イ尓を連発してたのか、俺。
「・・・この際だから、ここでママに
 対馬クン紹介しても、いいカネ?」
「うん・・・まあ、いつかは・・・
 話し合わせて貰おう、とは思ってたし」
そうだ。
ずっと豆花さんが日本にいられるように。
でなければ俺が中国に行けるように。
いつかはお願いしなきゃならないんだもんな。
「でも・・・豆花さんのお母さんってどんな人なのかな。
 俺のこと、気に入ってくれればいいんだけど」
「それはダイジョブネ」
「そう?ならいいけど・・・」
「心配ないネ。ワタシとママ、よく似てる言われるのネ。
 だから・・・
 ワタシ好きになた人なら、きと気に入てくれルネ!」
満面の笑顔で、豆花さんが笑う。
そうだな。きっとうまくいく。
いや、うまくいかせなきゃ。この大好きな笑顔のために・・・
お母さんが来る前に
俺はその笑顔にもう一度キスをした・・・

TSUYO-KISS

THE ENDING OF TON-FA・・・
286名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 16:25:10 ID:bcVr008T0
ふむ。
GJだ…GJだ。
287Seena ◆Rion/soCys :2005/09/27(火) 16:31:01 ID:8MDzqRNM0
ハイ、おしまいネ(w 本来なら23からラストまで一気に書くべきなんですが
エンディングに迷った結果、変な所で切ってしまいました。
ちなみに、もう一つのエンディングは空港では何とか出会えるけれど
豆花はやっぱり中国に帰ってしまうというもの(エピローグで再会はできますけど)。
そのほうがお話の出来としてはいいと思いましたが
そうしなかったのは、>>268さんの言うように

私が、豆花を幸せにしてあげたかったから。
288265:2005/09/27(火) 16:35:26 ID:NFuMDiF00
おかしい……
俺がやってるつよきすには豆花ルートが無い。


つまりGJ!!!ってことだ。
289名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 16:39:01 ID:j4rN/1JI0
>>288
それはきっとバグだ、修正を待とうぜ!

GJ!
290名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 17:02:23 ID:qam1SEKT0
・・・やられた。もう胸がギューッと・・・
>>287 GJ。
291名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 18:20:52 ID:4K2I7K8K0
>>287
空港の人混みの中のキスシーン
周りの人の拍手とかがなんか映画の1シーンのように脳裏に…

。・゚・(ノД`)・゚・。 ⊃GJ!
292名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 18:40:10 ID:T00FDdYm0 BE:84300473-
お前ら! レオカニのSSを書け!
さもないと、オレ様がレオカニのSSを書いちまうぞ!
293名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 19:11:05 ID:cbBL2i1M0
>>285
最高だぁあああ!!!!!!
感動した!!!!あんた最高!!
294名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 20:55:13 ID:GN5ztxT20
>>287
空港で我 愛イ尓絶叫するのが熱血モードのレオらしくてGJ!

>>292
よしお前が書け。
俺はスノボ旅行SSのプロット作りで忙しいからワンパスで。
295名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 22:51:48 ID:IaGRI7GC0
>>287
GJ! やっぱ、しやわせなのが一番さ。
ところで、
我 愛イ尓〜永遠揺られ〜♪ 近未来〜旅する〜♪
こんな歌が頭をよぎるのは何故だ。

>>292
よーし頑張れ。
俺はなごみんSSのプロットが上手いこと纏まんなくて混乱してるからツーパスで。
296名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 23:08:56 ID:EWoaL3TO0
書くならスバルカニにしとけや、坊主。
297名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 23:26:48 ID:Bh6fdUTD0
>>287
GJ! しかし豆花はTONG-FAでは?
298名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 23:40:24 ID:8BB6JOuj0
>>292
レオカニ頑張れ。オレはあれだ。
幼なじみエンドこそ共通ルート後だ、
というようなのを書いてる途中で筆が止まってるからスリーパス。
299名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 23:48:15 ID:NTI8bBbz0
>>287
GJ!やっぱサブキャラにも光を!!

>>297
いや待て!
DOU−HUAが正解だろ?
300名無しさん@初回限定:2005/09/27(火) 23:56:50 ID:NFuMDiF00
中国語的にはともかく、スタッフ的にはトンファーじゃないかなと。
301名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 00:02:47 ID:gz0g9Af10
>>287
GJ!
前スレのマナといい、今回のトンファーといい、そのままつよきすに入ってても構わないクオリティですね。
つかきゃんでぃそふとさんこのままFDにいれてくれないかな。絵付き、声付きで見たい。

302名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 00:13:45 ID:+sZaF5ZP0
>>287
ううぅ…感動…
。・゚・(ノД`)・゚・。
あなたマジ!!!
GJ!!!
                          ┏┓┏┓
   ┏━━━┓       ━━┳━━      ┃┃┃┃
   ┃   ┃         ┃        ┃┃┃┃
   ┃  ━┳┓        ┃        ┃┃┃┃
   ┃   ┃┃        ┃        ┗┛┗┛
   ┗━━━┛       ━━┛        ┏┓┏┓
                          ┗┛┗┛
303302:2005/09/28(水) 00:15:00 ID:+sZaF5ZP0
GJって書いたつもりだけど………
ズレターー!
304名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 01:02:20 ID:Xvds6G/e0
つよきすSSのレベルってかなり高いな…
ギャグでも感動でもイイ作品が多い!
俺もスバルエンドを書いてみたくなった…
305名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 01:55:38 ID:gz0g9Af10
>>295
それ、135のうたですよね。タイトルもまんま我 愛イ尓でしたっけ。
俺もその曲が脳内で再生されましたよ。
306名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 02:38:21 ID:/VpFWKia0
ええ話多いなぁ
お前等の一押しって何よ?
俺はあの姉貴のサイトの掲示板が忘れられん
307名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 12:44:00 ID:Lqgi6dde0
>>306
あれは結構よかったな
カイのツイン貧乳発言で
あゆむとデスマスクのカキコが微妙に動揺してるのがワラタ
308名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 12:45:00 ID:JPHt2sJA0
どの作品もよかったが、強いて言えば前スレの「笑顔のままで」かな。
感動したし、普通にFDに入ってそうだった。
309名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 15:07:49 ID:7pIyRWyB0
ていうか、どの作品がよかったとかそういうのは荒れる元の希ガス
310名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 15:19:12 ID:mPnG9uaU0
悪かったと言わなければ大丈夫なメタン
311名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 15:45:58 ID:lapWhf/a0
とは言っても自分の書いた作品が出てこないと
(´・ω・`)な訳で…
312名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 15:58:49 ID:mPnG9uaU0
自分で言えばいいさ…
313名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 16:23:44 ID:Sz2Wanyq0
レオとカニがHしてて最後乙女さんがぶっかけられるやつ
エロあるのあれだけなんだもんw
314名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 20:59:04 ID:rIuvTu4a0
ギャグでは「ここはひどいインターネッツですね」がハゲワロス
シリアスだとSeenaさんのが安定
315名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 21:01:38 ID:E+IsrSvx0
>>287
豆花エンド! コレキタ!
316名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 21:38:56 ID:3G+tkKW+0
>311
上がったヤツは、みんな自分で言ってるんだと思って
精神の安定を計っとけ。
そうすれば、幸せに生きていける。
317名無しさん@初回限定:2005/09/28(水) 23:11:05 ID:mPnG9uaU0
>>316
今までのがそういう風に見えてくる
318311:2005/09/29(木) 01:06:33 ID:h6msTayN0
じゃあコラボネタと「フカヒレと呼ばれた日」が
良かった…と言ってみる。

あれ?目から海水が…orz
319名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 01:25:35 ID:1Zhucb2x0
>>306-307
俺の作品挙げていただき、ありがとうございます。
ちなみに俺は自演はしていませんよ。直前の305が偶然にも俺のカキコです。

今レオ以外一人称シリーズ第二弾、なごみんSSの追い込みに入っています。
ちょっと行き詰ってたので気分転換にここ覗いてみたらちょっと褒めてもらえて元気出ました。
320名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 01:31:01 ID:eLpFYAW00
まあ誰のどれが良かったとか白けるだけだからこの辺にしておけばいいんじゃない
321名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 01:32:00 ID:fdpkJELm0
>>320
お前さんのその容赦のないレスに爆笑した
322名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 01:47:04 ID:JaqQgjyL0
まぁ流れ切って急にSSとか来るといいんじゃないか?
ごめん私は書けなかった(´;ω;`)
323名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 01:53:26 ID:AjvYZRCE0
>>305
知ってる方がいらっしゃるとは……マジあなどれねースレです。
だって、確かあれ『カセットテープ』のCMに使われたやつだぞw
確かウエストサイドストーリーの合間のCMでかかってた記憶が。
324名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 02:15:17 ID:1Zhucb2x0
>>323
いや、俺も殆ど覚えて無いんですけどね。ダビングしたカセット無くしちゃったし。
サビのところと、遊星まで再々訪ねて♪ってとこくらいしか歌詞は思い出せないです。
325名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 10:25:27 ID:eLpFYAW00
遊星まで 再再 尋ねて まぼろし きみが居る

大金など 無い無い 暮らしで 果てない旅に

我 愛イ尓 永遠揺られ〜 近未来旅する〜

326Seena ◆Rion/soCys :2005/09/29(木) 12:23:51 ID:D6clkKSk0
楽しんでいただいていると思ってましたが
そうですかアレは私の自演でしたか。
ちょっともうここに何か書く気はしませんね。では。
327名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 13:11:59 ID:cc8/gnBh0
誰かくーちゃんを幸せにしてあげて。・゚・(ノД`)・゚・。
328名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 13:17:41 ID:S6tuy07S0
ちょ、ちょっとSeenaさん!少数の馬鹿の言うことですってば!

……これでSeenaさんが以後このスレに来なくなったら、自演扱いした奴マジで恨むぞ俺。
329名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 13:34:01 ID:WzrPGMbN0
誰も自演扱いなんてしてないんだが
どこをどう読めば自演扱いなんだ?
330名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 13:53:39 ID:4BZqnf230
しばらく見ないうちに酷い事になってるなココ
331名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 14:03:30 ID:fdpkJELm0
>>329

>>311に対する>>316をひねくれて読めばそうなるんじゃないかな。
>>328みたいに「Seenaさん!」とか言って欲しいのか何なのかよくわからんが。
まあ今まで楽しませてくれてありがとう、でいいんじゃないか。
332名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 14:09:05 ID:YOcmDLY50
>>329
>>316

まぁ、SS同士を比べるというは荒れる元だしやらないのがいいな
333名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 14:17:27 ID:qWDMKMpW0
しかし>>306のせいで微妙な雰囲気になった気がするぜ。
334名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 14:18:54 ID:e9uX+fpOO
じゃ…じゃあ全部>>306くんが悪いってことにして…いい?
335名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 14:22:32 ID:18+WkIaA0
このスレもうダメポ…
336名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 14:42:18 ID:f6IBjz4x0
   .  く_
     '´ ヾ ヽ
    l ノノノ))))
    ヾ(リ゚ ヮ゚ノリ
    ノ.⊂)゙-゙iつヽ
   (   〈l_l|  )
      i_/、」
あぅ……みんな、な、仲良くしなきゃ……ダメだ
337名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 14:50:11 ID:K5rQN8WX0
まあまあ、落ち着けヒヨっ子ども。
我輩はピーピー鳥みたいに騒ぐやつは嫌いなんだ。
ありがたい話でも聞かせてやろう。
いいか?フロッピーディスクには3,5インチの他にペラペラな5インチサイズってのもあるんだぜ。
338名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 14:50:46 ID:0lNN01hHO
ここは21才未満は入っちゃいけないんじゃないの?房がいるような気がする
339名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 14:52:17 ID:y/HWp4vT0
ちょっとちょっと!
どういうことこれ!?
SeenaさんのSSが読めなくなったら
日々の楽しみの一つが消えてしまう…
。・゚・(ノД`)・゚・。
340名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 15:03:35 ID:XcD7zZYt0
レオのテンションに流されまいとする姿勢の原因は転校後かー。
転校前で、しかも小学生の頃と勘違いしてた。
そんな思考で思いついた話↓

豆花、外国人とか言われていじめられる。

レオ、助ける。

レオ、熱血くんとか言われる。

豆花、助けてくれた事を感謝したいが、
レオに近づくとひやかされる。

そうこうしてるうちに豆花は中国に一時帰国。

帰国するその日にありがとうと書いた手紙を書く豆花。

しかしレオも時同じくして松傘に引っ越していた。

そんなお話。
341名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 15:14:47 ID:qWDMKMpW0
↑いいじゃない!やってしまいなさいよ!
342名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 15:19:44 ID:XcD7zZYt0
いや、さすがに捏造な設定改変は禁じ手かなっと思いまして。
343309:2005/09/29(木) 15:35:40 ID:Wr7Z4eMg0
あーあ、俺の予想を遙かに超えて、まさに最悪の状態だな。
>>331みたいなこと言うヤツがいるんじゃ帰ってきそうにもないし。
まあ過ぎたことは仕方がないがな。
344名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 15:43:24 ID:cc8+XArR0
香 ば し く な っ て 参 り ま し た !
345名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 15:44:22 ID:a7yFpcSs0
いや…
>>331は至極まっとうな意見だと思うが。
むしろ>>326がやばい。
346名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 15:51:28 ID:0lNN01hHO
>>326
347名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 16:21:08 ID:SbF4Yh/k0
>>345
だねぇ。
軽く受け流しておけば良いと思うんだが。

>>326が戻ってきて書いてくれるなら嬉しいし、
戻ってこないのならそれはそれでってことで。
348名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 16:41:40 ID:GSWZlzR40
なごみんの竜汁推薦ブチキレイベントを思い出したよ。
スバルじゃないが、その人の人NGワードが何かなんてわからんしな。
まして女はわけわからん。
349名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 17:17:05 ID:kUjuJcKDO
>>337
8inchを語らないなんて……
さてはアンタ士永さんだな!?
350名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 17:53:39 ID:fXoCHbg+0
>>344
でもクッキー焼いてんのカニだぜ?
3519/K0rhtc0:2005/09/29(木) 18:08:38 ID:6+IcW/6G0
そろそろまったりとした流れに戻ろうジャマイカ。
この雰囲気(゚Д゚)イクナイ!

さーてそろそろ姉しよ成分が足りなくなってまいりました。
んな訳で、今から姉しよSS作ります。
投下は日付変わるまでに(or変わった直後)しようかと思います。
「きぬの記憶〜」は、もうちょいスレが落ち着いてから投下しますね。
352名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 18:10:49 ID:fdpkJELm0
>>351
お待ちしています
353SSD:2005/09/29(木) 18:54:10 ID:joLYjxp+0
>>351
姉しよSSの需要ありますか!
今書いてるのが完全姉しよSSなので、ちょっと安心。
354名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 18:56:40 ID:5BkxC3ceO
よし…
壁T∀・)回想SS投下するならイマノウチ
355名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 19:03:31 ID:5BkxC3ceO
俺が柊家に迎えられた日…そして、俺の好きなお姉ちゃんと初めて会った日…
その人は花や動物が大好きで、小さいなりに家の手伝いもする頑張り屋
そして柊家に迎えられた俺に、口下手ながらも優しく声をかけてくれた…
その人の名前は「柊 巴」
思えば、ともねえには昔っから甘えっぱなしだったな…



そういえば昔、一緒に公園で遊んだ時も…

夕方の公園で遊ぶ俺とともねえ
空也「ともえお姉ちゃん、みて!犬!犬!」
巴「うん!かわいいな。首輪が付いてる…迷子かな?…」
空也「おいで、おいで〜!」
犬「ウゥゥッ…ワン!ワン!
356ともねえと遊んだ日々:2005/09/29(木) 19:05:43 ID:5BkxC3ceO
空也「……う…うっ…うぁぁぁん…こわいよぉ〜」
ともねえにしがみついて、泣きじゃくる
そんな俺を、ともねえは優しく抱きしめて頭を撫でてくれた
巴「こわくないよ空也。あの子もひとりぼっちでさびしいんだ…
あ、ほら!」
誰かが慌てて駆け寄ってくる。飼い主だろう、犬の名前を呼び抱きしめていた。
飼い主は俺の頭を撫で「怖がらせてゴメンね」と言い犬と一緒に帰っていった。
夕暮れの公園、残ってるのは俺達だけだった。

巴「…空也、私達も帰ろう。ごはんの時間だよ」
空也「ぐすっ…ぐす…」
357ともねえと遊んだ日々:2005/09/29(木) 19:07:04 ID:5BkxC3ceO
巴「く、空也…泣かないで、もう大丈夫だから。
あう…ど、どうしよう」 泣き止まない俺と、オロオロするともねえ。すると、ともねえが

巴「…そ、そうだ!空也、おんぶしてあげる。
だから一緒に帰ろう」
空也「……(こくん)」
ともねえの背中は暖かかった。細い腕で俺を一緒懸命担いでくれた。
空也「…ぐすっ……ともえお姉ちゃん…」
巴「どうしたの空也?」
空也「……何か…歌って」
巴「う、うん!空也の好きな歌、歌ってあげる」
空也「…ほんと?」
巴「うん、ほんとだよ」
空也「じゃあ、キャンディ戦隊アメレンジャーの歌がいい」
358ともねえと遊んだ日々:2005/09/29(木) 19:08:07 ID:5BkxC3ceO
巴「あ、あう…わからない…」
空也「……ぐすっ」
巴「あ、あわわ…空也な、泣かないで!
♪〜♪〜〜〜♪〜〜〜〜♪…」
なぜか「森のくまさん」を歌ってくれるともねえ。
リクエストの曲は歌ってくれなかったけど、その綺麗で優しい歌声は
俺を安心させるには充分だった。
空也「…すー……すー…」
巴「〜♪〜♪♪〜〜〜♪…」
夕日が沈む道に姉弟が重なった影が一つ…
ともねえの歌声は家に着くまで止むことは無かった…
これは、まだ俺もともねえも小さかった頃の平凡でカッコ悪いけど…だけど大切な俺の思い出の一つ……
359名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 19:10:43 ID:5BkxC3ceO
昔のヘタレ空也と、昔から優しかったともねえって感じを短く書いててみかった
まぁ、20分で考えたから糞ですなorz…
吊ってくる(´・ω・`) (´・ω:;.:... (´:;....::;.:. :::;.. .....
360名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 19:14:50 ID:cc8+XArR0
やべ、ちょっとグッと来た
361名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 19:20:03 ID:uYTCwhWs0
>>359
いやいや、激しくGJ!ですよ。ほのぼの感がたまりませんな。
362名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 19:33:59 ID:fdpkJELm0
>>359
「ともえお姉ちゃん」ってのがイイ!
GJ!
363名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 19:38:05 ID:1Zhucb2x0
グジョーブ! ともねえスキーの俺としては非常に良かったですよ。
364名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 21:07:34 ID:FSi2vHho0
>>359
GJ!!ものすごく(・∀・)イイ!!と思いましたよ
365名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 21:15:59 ID:lOTWgo300
|ω・`) コソーリ SSトウカシテモ ダイジョウブカナ…
366最高の被写体・1:2005/09/29(木) 21:16:34 ID:lOTWgo300
「まさかあの椰子とフォークダンスを踊れるとはなー」
少しも期待していなかったと言えば嘘になるが、未だに信じられない。
ドッヂボールからテンション上がっていたとはいえ、よく言ったもんだ。
そんな事を考えながら教室へと戻る途中、西崎さんを見かけた。
「あ、西崎さん、さっきは写真撮ってくれてありがとね」
「ううん。そ、それよりも……ご、ごめんね」
「どうして西崎さんが謝るの?」
「ドッヂ、ボール……」
ああ、そういえばオレは西崎さんの投げた球にノックアウトされたんだっけ。
「ご、ごめん…なさい」
深々と頭を下げられてしまった。
「あれは試合なんだから、そんなに気にしないで」
「でも……」
いかん。そんな風に謝ってほしくて声をかけた訳じゃなかったのに。
そのとき、西崎さんが首から下げたカメラを見て、ふと気づく。
「そういえばさ、西崎さんの写真は?」
「さっきの、ふたりのしゃしんなら、まだ……」
「いやオレ達のじゃなくて、キミ」
「くー?」
「皆の写真を撮るばかりで、西崎さん自身は撮ってもらっていなんじゃないの?」
「わ、わたしは……いい、から……」
慌ててパタパタと手を振る西崎さん。
普段のオレなら西崎さんのその言葉に、無理強いなんてしないけれど。
「西崎さん、ちょっとカメラ貸してもらえるかな」
そう言ってオレの指がカメラに触れた瞬間、
367最高の被写体・2:2005/09/29(木) 21:18:34 ID:lOTWgo300
「私の魂にさわるなっ!」


「…………に、西崎、さん?」
このときオレは修羅を見た。
でもこの感じ、どこか親近感を感じるのはなぜだろう?
「くぅ!? あ、あの……」
よく見たらいつもの西崎さんだ。さっきのは気のせい、だったのかな?
そ、そうだよな、あの西崎さんが修羅になるなんて、ある訳ないだろ。
「こっちの……カメラなら」
そう違って渡されたのは、カードサイズのデジカメ。
ほのかに暖かいのは、西崎さんのプリンのぬくもりか。
しかし西崎さんも胸ポケットを活用していたとは、ま、まったく、人はみかけによらないぜ!
……いかん、いかん! 落ち着けオレ!
そのときオレの視界に、ある人物の姿が目に入った。
「お、おーい、村田ーーっ!」
「ボクの名前は村田だ! 何度言えばわかるんだっ」
「だから合ってるだろ」
「な、なに!? バカな、対馬お前まさか……」
368最高の被写体・3:2005/09/29(木) 21:19:10 ID:lOTWgo300
「なんだよ」
「西崎の投げたボールが頭に当ったせいで、どうかしちまったんじゃないのか?」
「くぅ!? やっぱり……そう、なの?」
あわわわ、こいつ余計なことを!
「そ、そんなコトはどうでもいいからさ、ちょっと西崎さんの隣に並んでくれよ」
「それは構わないが……」
「はい、チーズ」(カシャ)
「こらっ、何を勝手に撮っているんだ!」
「お前構わないって言ったじゃん」
「さっきのはそういう意味じゃなくてだな」
「……よーへいは、わたしと、いっしょは、いや?」
「ぐっ」
「さっきのフォークダンスだって一緒に踊ってたじゃないか」
「そういうお前だって下級生と一緒だっただろ!」
「はいはい、じゃあいいよな」
「ああもう勝手にしろっ」
「くー♪」
369最高の被写体・4:2005/09/29(木) 21:19:45 ID:lOTWgo300
「ありゃあ、レオと西崎さんか? 二人で……写真を撮るのか?」
「ああ!? ココナッツの次はくーに手ェ出すつもりか、あのダボがぁぁぁぁ!」
「あんまんか? あのあんまんみたいな、でっけー胸がいいってか?」
「ボクの二の腕だって、あんまんなんかに負けねーくらい柔らかいっつーーの!」
「落ち着けってカニ坊主。よく見たら、洋平ちゃんも一緒だぜ」
「どうやら、あの二人を写真に撮っているみたいだな」
「な、なんだ、そっか。そういうことなら、レオーー、おりも撮っちくりー!」
どこからともなくスバルとカニが現れた。
「せっかくだから、私も被写体になってあげても良いわよ」
「エ、エリー、邪魔しちゃ悪いよぅ」
さらに姫を止めつつも、どこか期待したような目でチラチラ見る佐藤さん達が登場。
「ん、レオが写真を撮ってくれるのか? よし、お姉ちゃんを綺麗に撮るんだぞ?」
「まぁまぁ落ち着けヒヨコども。ここはまず我輩と乙女のラブラブな写真をだなー」
「私、この角度からの写真写りには、ちょっと自身ありますわよ?」
乙女さんや祈先生達まで!
「ああもう、お前らいいトコロなだから邪魔するなっての!」
「そうだぞ! せっかくボクと西崎と二人の写真をだな……」
「確かに洋平ちゃん、すっげー嬉しそうだったもんなぁ。邪魔しちゃ悪いよなぁ」
「だ、伊達!」
「そんなコトより、ボクを撮っちくりよー。被写体が良いから、それはもう誰もが感動するような傑作が撮れること間違いなしですよ」
「あら、それは私でしょう。完璧な被写体だから、対馬くんの腕でも撮るだけで完璧な写真になるわよ」
「いや、ここはお姉さんの大人の魅力をだな……」
結局、いつもの面子が集まって、いつものように大騒ぎになってしまった。
「あ、あの……対馬、くん」
「西崎さん、ごめんな。もっと写真を撮ってあげたかったんだけど……」
「ううん……もう、充分」
「でもさ」
「ありがと、ね」
そう言って微笑んだ西崎さんは、間違いなく最高の被写体だった。
370最高の被写体・5-:2005/09/29(木) 21:21:38 ID:lOTWgo300
「まったく、2−Cのやつらにも困ったもんだ!」
今日の帰り道は、よーへいと一緒。
「いつもいつも何かあるごとに騒ぎを起こしやがって」
結局あの後、皆で一緒に記念写真を撮って解散になった。
家に帰ってから、早速現像して、明日にでも皆に見てもらおうと思う。
「奴らも少しは他人への迷惑というものを」「でも、よーへい」
「なんだ、西崎?」
「つしまくんたちと、いっしょにいた、よーへい……とっても、たのしそうだった」
「なななななな!?」
「よーへいも……つしまくんたちのなかまに、はいりたい、んでしょう?」
「バ、バカなコトを言うな、そんな訳ないだろ!」
「くー?」
「ホントだぞ、ホントにそんなコトないんだからな!」
「くーー?」
「ホントにわかっているんだろうな……」
「くー♪」
うん。よーへいのきもち、よくわかってるよ。
だって、わたしも、とってもとってもたのしかったから!
371名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 21:22:16 ID:lOTWgo300
またテンションに身を任せて投下してみた。
くーとレオがくっついて最後はIsorationが、なんて流れはオレには無理ですた。
なんかこう、何のひねりもオチもないまま終わってしまいまった……。
あと、前の「せいぎのみかた」のときにGJ言ってくれた人、あんがと。じゃ!ノシ
372名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 21:30:48 ID:DSqXNB4I0
GJ!!
373名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 21:43:35 ID:YOcmDLY50
椰子にフォークダンスの写真を見せて恥ずかしがる椰子とか見たかったっす
374名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 21:49:12 ID:1Zhucb2x0
GJ! くーかぁいいよくー
375名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 22:08:58 ID:uYTCwhWs0
>>371
GJ!くーの可愛さもさることながら、村田のツンデレっぷりもいいですね。
376名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 22:10:43 ID:msNPuY2t0
GJ!
うん、くーはよーへいとで良いとおもふ。
377Seena ◆Rion/soCys :2005/09/29(木) 22:13:07 ID:iqkD0dRQ0
・・・
今日の気分は最悪。
あそこまでキレる必要はなかった。
いつものスレに行く。
・・・?
この書き込みは?
・・・!
(SSあがってる・・・)

・・・
(頑張ってる・・・な)
・・・これはこのまま
腐ってるわけにも行かないのかな。
・・・やってみるか?
そう決心した途端。
細胞が踊り出す。
血が騒ぐ
あぁ、なんだかんだ言って。
あたしはやっぱり「つよきすっ!」のSS、
書いてみたかったんだって気づいた。
378Seena ◆Rion/soCys :2005/09/29(木) 22:14:09 ID:iqkD0dRQ0
というわけで
リアルでツンデレしてみたわけですが(w

危険なネタだったのでちょっと反省している。
379名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 22:15:48 ID:ssuwFjOC0
>>378
Σ(゚Д゚) だ………騙された!?
380名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 22:18:32 ID:iqkD0dRQ0
>>379
騙したとは人聞きの悪い(w

まあ>>348さんで「バレたか?」とは思いましたけどね。
381名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 22:22:44 ID:ssuwFjOC0
またこんなっ…テンションに流されたあげくっ……騙されてっ!

    。。
   。     。 +   ヽヽ
゜ 。・ 。 +゜  。・゚ (;゚`Дフ。ウワァァァン
            ノ( /
              / >
382名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 22:31:57 ID:uYTCwhWs0
>>378
ネタばらしの後に言うのもなんですが、ちょっとおかしいな?とは思いましたが、ともかくネタでよかった。
ハラハラしましたよ?このスレでその手のネタが出るとは思わなかったもので……
383名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 22:33:56 ID:cc8+XArR0
2chは去る者を追わない傾向にあるので気をつけた方が良いかと思われ。
384名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 22:34:49 ID:lGf6DZJq0
安心した……というかっ、怖いからやめてっ(´・ω・`)
なんとかナゴませようと、ともねえのAAまで探して貼っちゃったじゃないか……orz
385名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 22:36:32 ID:2MW/Qln90
去っても追いはしないが、帰ってきてくれるのは嬉しい男心。
386名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 22:40:29 ID:9I2aruiN0
>378
これは良い手ですねw
散々荒れるようなことやらかしても
最後に一言
「リアルツンデレですたw」
で万事おk
3879/K0rhtc0:2005/09/29(木) 22:44:25 ID:6+IcW/6G0
姉しよSS完成。
あいかわらずな駄文だけど・・・

>>378
おかーりなさい!すっかり騙されちゃったジャマイカw



それじゃ、SS投下しますね
388硝子の心:2005/09/29(木) 22:46:56 ID:6+IcW/6G0
朝。
彼女はゆっくりと目覚める。
季節は夏。彼女にとっては忘れられない季節。
彼女がようやく、前へ進みだせた季節。
それは、そんな彼女のお話。


「ん・・・」
眠気が無くなり、私は目を覚ます。
だけどまだ起きたくない。二度寝するほど眠たくはないけど、
まだ横にはなっていたい
そういった時は、隣で寝ている弟の顔を見ることにしている。
それは今の私の日課と言ってもいい。
「ふふ・・・可愛い」
弟―――空也の寝顔を見て、思わず呟く。
人差し指で、プニプニと頬をつつく。
ムニャムニャと反応する空也が、とても愛らしかった。
389硝子の心:2005/09/29(木) 22:48:52 ID:6+IcW/6G0
空也のオンナになって、はや数日。
私達は、いつも一緒だった。
出かけるのも一緒、ご飯も一緒、入浴も一緒、就寝も一緒。
前の私からは想像も出来ない。
空也がただ傍に居てくれるだけで幸せだった。
今の私にとって、空也こそが全て。
空也はただそこにいるだけで、世界から他の全てを奪うくらいに愛しかった。

姉と弟がそういう関係になるのは、世間体としては悪い印象しか無いと思う。
おそらく何も知らない赤の他人は皆引いてしまうだろう。
でも、それでも私は思う。
私と空也なら乗り越えられるだろう―――と。
390名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 22:49:53 ID:Fww9uA9L0
>>378
「あ、説得道具が」

縄とガムテープとハンディカムと蝋燭。

「ちぇ、これも無駄になっちゃったな」
391硝子の心:2005/09/29(木) 22:50:01 ID:6+IcW/6G0
「ただいま」
いつもの時間通り、私は帰ってくる。
昨日までなら、いの一番に空也が出てくるのだけれど、
「お帰りなさい、要芽姉さん」
――出迎えに来たのは巴。空也ではなかった。
「巴、空也は?」
「あぅ、い、今家にいないんだ。帰ってくるの遅くなるみたいだから、
夕飯はいらないって電話がさっきあった」
「・・・・・そう。わかったわ」
心持ち気分を落として言ってしまう。
空也がいないというだけでこうも気落ちしてしまうとは・・・
まあ、夕飯が一緒に出来なかった分、今晩はたっぷり甘えさせてもらおう。
就寝の時間までには、さすがに帰ってくるだろうし・・・・・。

そう思っていたのだけれど、結局その日は空也は私の部屋に来なかった。
392硝子の心:2005/09/29(木) 22:51:39 ID:6+IcW/6G0
次の日の朝。
「あ、お姉様、おはようございます」
朝おきてすぐに着替えて居間へと向かう途中、高嶺と会った。
「おはよう高嶺。少し聞きたいのだけれど。
・・・・・空也は居間かしら」
空也の名前が出た時に、あからさまに動揺する高嶺。
「あ、え〜っと、い、イカは朝早くから出かけました!
今日も遅くまで帰らないみたいです!」
あまりにも言い訳臭い台詞に、私は思わずムッとして、
「高嶺。アナタ・・・何を隠しているの?」
「ヒィッ!かかか、隠してません!アタシは何も隠してません知りませーん!」
そう叫びながら逃げてしまった。
「まったく・・・一体どうなっているの?」
まさか追いかけるわけにもいかず、とりあえず一人愚痴る。
どうやら私に対して何か秘密があるらしい。・・・多分空也が。
何を秘密にしているのかは分からないけど・・・気に入らない。
今日空也が帰ってきたら、その辺りを問いただしてみよう。

だけど、それから数日、私と空也は会話はおろか顔すら見ることはなかった。
周りに問いただしても要領を得ない答えばかり。
しだいに私は空也に対して怒りを覚えていった。
393硝子の心:2005/09/29(木) 22:54:43 ID:6+IcW/6G0
―――そんなある日。

ジリリリリリッ!!!
バンッ!
急になった目覚しを、勢いよく止める。
時間を見る。・・・・・なんだ、まだ5時――。
「――!起きなきゃ」
布団を跳ね除け、慌ただしく着替える。
何故空也は朝早くから姿を消すのか。
家族の誰に聞いても答えは返ってこないので、私自身で調べてみることにした。
どうやって調べるか。実に簡単なこと。
空也の後を追えば良いだけだ。
こういったプライベートなことに、事務所の者を使いたくない。
探偵などはもってのほかだ。
だからあくまで私個人で。私だけでやらなきゃいけない。
そういった訳で、早朝になるよう目覚しをセットし、
今起きた訳ではあるが…
「・・・眠い」
こればかりは、やはりどうしようもない。だけど、何とか我慢しよう。

車庫に身を潜めること10分。玄関が開く音がした。
―――空也だ。外行きの服を着ている。街のほうにでも行くのだろうか。
んっ、と伸びを一つしてから歩きはじめる。向かう先は・・・駅だ。
私は気付かれないように後を追いはじめた。
394硝子の心:2005/09/29(木) 22:58:08 ID:6+IcW/6G0
何駅か乗り継いで、ようやく街に着く。私達の家からは
かなり離れた位置にある街だ。
待ち合わせでもしているのだろうか。噴水のある公園で空也は
ベンチに座り、しきりに時間を気にしている風に見える。
15分くらいたったか。一人の女が空也の座るベンチへと近づいていく。
あれは確か・・・・・みや―――
「は、はは・・・・」
自嘲気味に笑ってしまう。やはり私は愚かだった。
私なんかが幸せになれるはずがない。改めて思い知らされた。
姉と弟では、ここまでが限界だったんだ。これ以上は無理なんだ・・・

裏切られたという想いは無い。「やはり私には無理なのか」という想いだけが
私を支配する。・・・・・私のココロが、絶望に塗り替えられていく。
そして私は迷走する。出口は見えず、入り口すら忘れた迷路の中に・・・

どうやって家まで帰ったのかは覚えていない。
ただ、足がすごく痛くてしょうがなかった。
そして―――それ以上にココロが痛かった。
部屋に戻り、ベッドに倒れ込む。
そのベッドは、私の想いを包み込んでくれるかのように、
優しく、柔らかく、暖かかった。
私は、今この時だけ全てを忘れたかった。
395硝子の心:2005/09/29(木) 22:59:44 ID:6+IcW/6G0
暗い闇の中、一人の男の子が私に話し掛けてくる。
「・・・えさま・・・・・姉様・・・・・・」
聞き覚えのあるその声に、私は瞼を開ける。
「くー・・・・や?・・・・・・そっか、私、夢を見てるんだ・・・」
「夢じゃないってば。いや寝てるところ起こしちゃったのは悪いと思うけど
勢いのあるうちに言っておきたいな、って思って」
はっきりと聞こえたその声に、私の意識は一気に覚醒する。
「く、空也?どうして・・・・私の部屋に?」
しどろもどろになって言ってしまう。どうしてここに来るのだろう。
だって私はもう用済みの女なのではないのか。
空也にはもう、京という女性がいるのだから。
それとも・・・・はっきりと私に言いに来たのだろうか。
「う、うん・・・姉様に言いたいことがあって」
396硝子の心:2005/09/29(木) 23:02:44 ID:6+IcW/6G0
私は・・・・・俯いてしまった。これから聞かされる言葉を聞きたくないと思った。
私はまた一人になってしまうのか
私はまた帰る場所が無くなるのか
受け入れようとしたはずだった。認めようとしたはずだった。何を?
現実を。
怖い・・・・・怖い!その現実が怖い!受け入れたくない、認めたくない!!

いつの間にか頬が濡れていた。
・・・・・怖くて、悲しくて、泣いてしまっていた。
部屋の電気はついていない。暗いままだ。
だから、泣いていることを空也に気付かれることは無い。
それは救いなのか。それとも忌むべきことなのか。
私が涙を流していることを空也が分かれば、
その先の台詞を言うことはないかもしれない。
そんな考えまでよぎってしまう。
暗い想い、汚い気持ち。それでも・・・・・・私は、

「私は離れ『これ受け取って下さい!!』たくない!!」

重なる二人の声。思わずお互いを見てしまう。
空也は何か小箱を両手で前に差し出していた。
397硝子の心:2005/09/29(木) 23:03:45 ID:6+IcW/6G0
「・・・・あれ?姉様??」
「くうや・・・・・これ・・・・・」
「え?あ、これは・・・・・姉様、開けてみて」
空也からそれを受け取り、ゆっくりと開ける。・・・・・・・そこには
「ゆび、わ・・・・?」
「うん。えっと・・・エンゲージリング」
そういって、照れくさそうに、
「ちょっとさ、アルバイトしてたんだ。よく考えたら
姉様にプレゼントとかしたことないって思って。だからさ、
どうせなら思い切って婚約指――ちょ、姉様?」

私は泣いた。恥じも外聞も無く泣き続けた。
今の私は綺麗に泣けないくらい、嬉しかった。
398硝子の心:2005/09/29(木) 23:07:04 ID:6+IcW/6G0
「ごめん姉様、なんか誤解生むような真似して」
「・・・・いいの、もう」
散々私が泣いた後、空也は今までのことをゆっくりと話してくれた。
朝早くから夜遅くまでアルバイトをしていたこと。
指輪はどれがいいか友人に見たててもらったこと(京だけじゃなかった)
・・・・全部私が勘違いしていたかと思うと、とても恥ずかしい。
あれ?そういえば・・・・・
「空也、高嶺は何か知っているような感じだったけれど」
空也は苦笑して、
「ほら、なんか姉貴ってそういうのに結構敏感じゃない。
だから先に言っといたんだ。それと口止めもね」
「なるほどね。・・・・・それは高嶺だけ?」
「そ。もしかしたら海お姉ちゃんも気付いてるかもしれないけどね。
・・・・・できれば誰にも知られずに済ませたかったんだ。俺がバイトし
てるって分かったら、プレゼントのことも分かっちゃうかもしれないし」
姉様鋭いからね、と小さな声で空也は付け加える。・・・・なるほど。
「私、やっぱり馬鹿ね。ずっと変なことばかり考えていたわ」
「いや、俺も誤解を招くようなこと―――っと!」
最後まで言わせずに、空也の胸に飛び込む。
私の居場所。私の空間。
ただそこにいるだけで、私はなによりも幸せになれる。
―――私は強くなれる。

全ては私の誤解から始まったことだった。結局私は空也に支えられてばかりだ。
だから私は強くなりたい。
姉として。恋人として。
空也を・・・・・・・彼を支えられるオンナに、私はなりたい。
そう、私はもう、彼の妻なのだから―――

END
3999/K0rhtc0:2005/09/29(木) 23:09:18 ID:6+IcW/6G0
なんか締まりの無い、ベターな感じがします・・・。
うーん、姉様はもう一回チャレンジしたいなぁ。
400名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 23:15:25 ID:5BkxC3ceO
>>399
GJ(・∀・)イイ!



負けじと俺も、ほのぼのSS後で投下するぜ!
401名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 23:21:07 ID:1Zhucb2x0
いいですね、GJ。デレ後の要芽姉様の心情がよく表れてると思います。

俺のほうもなごみんSSが最終段階に入ったのでもうすぐ投下できそう。おバカ+ほのぼので。
402せろりたんといっしょ!:2005/09/29(木) 23:32:44 ID:6+IcW/6G0
○月×日。てんき、はれ。
きょうは くうやといっしょにそとであそんだ。
「かたきうち」っていうボールあそび。
ブンブンなげるわたしのボールに、くうやはにげまわるばかり。
それがおもしろくて、わたしはどんどんなげた♪
あ、いちおうてかげんはしたかんね!

○月×日。てんき、はれ
きょうもいいてんき!わたしはやねにあがって
きんじょのネコとだいがっしょう♪
にゃーにゃー、にゃーにゃーにゃー♪
とってもとってもたのしかったにゃー♪

○月×日。てんき、くもりのちあめ
きょうはあめ。あめあめザーザーザー。
すっごくヒマ。このままじゃカラダがなまっちゃうよー。
よし、きょうはタカとあそぼー。あのツインテールがわたしの
こころをときめかせるよ!

○月×日。てんき、せいてん!!
にゃーいいてんき!きょうはいっぱいあそべるよー!!
さっそくくーやをひっぱりだして、うみにむかってレッツゴー♪
きょうはいっぱいあそんでもらうからね、くーや!
だいじょーぶ、ちゃんとごほーびに、きょうのよるは
わたしのことすきにさせたげるから・・・・・ね♪


柊瀬芦里の日記より、一部を抜粋。
4039/K0rhtc0:2005/09/29(木) 23:34:16 ID:6+IcW/6G0
10分くらいで作ってみました。
今でも後悔してません。
404名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 23:50:21 ID:k9RWSHkr0
GJですぜ、特に姉様の方。
ねぇねぇのは…これでもきっとゲーム期間中の年齢の時の日記なんだろうなw
405名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 23:52:24 ID:kKDoooLz0
猫月猫日 

くーや    うま
406名無しさん@初回限定:2005/09/29(木) 23:54:44 ID:5BkxC3ceO
セロリーヌ日記(・∀・)イイネ!
でも瀬芦里は日記なんてめんどくさくて書かない悪寒
>>401のSS投下が終わってから俺のも投下するか
投下時間被らないように(。・ω・)
407名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 00:03:49 ID:Lo4+8mR50
>>403
反省の必要などないですよ。GJです。

>>406
あ、こっちは推敲の途中で致命的な矛盾が見つかって直してるのでもうちょっと掛かります。
遠慮なく投下してください。
408名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 00:15:52 ID:bcpPNks/O
では投下しまつ(。・ω・)ノシ
409夏に交わした約束1:2005/09/30(金) 00:16:48 ID:bcpPNks/O
その日俺は夢を見た。昔、お姉ちゃん達と遊んだ思い出…



空也「せろりねーちゃん待ってよ〜!」
瀬芦里「は〜や〜く〜!遊ぶ時間無くなっちゃう〜!トモエも走れぇ〜!」
巴「あ、あう…姉さん早すぎ…」
ある日、俺達は3人で近くの山へ遊びに行くことになった。
言い出したのはもちろん、ねぇねぇ。俺とともねえは、半ば強引に連れてこられた。
空也「はぁ、はぁ…重い〜」
瀬芦里「クーヤのノロマ〜」
空也「くそぅ!お弁当も水筒も虫取り網も全部ボクに持たせてるくせにぃ」
410夏に交わした約束2:2005/09/30(金) 00:17:39 ID:bcpPNks/O
瀬芦里「(・ε・)」
空也「うがぁぁぁ」
巴「け、ケンカしちゃダメだ!」
ギャーギャー騒ぎながら目的地に到着。…で、即お弁当タイムらしい。
空也「このお弁当、ともえ姉ちゃんが作ったの?」
巴「う、うん!おにぎりとかオカズも簡単な物しか入ってないけど…」
瀬芦里「うまい、うまい!トモエ、イイお嫁さんになれるよ〜」
巴「あ、あう…テ、テレちゃう…」
腹一杯になったら思いっきり遊んだ。川原も近くにあり、遊び場には困らなかった。
瀬芦里「よ〜く見てなよクーヤ!セミ捕まえてやる!…はっ!!」
411夏に交わした約束3:2005/09/30(金) 00:18:29 ID:bcpPNks/O
虫取り網は空を切り、逃走するセミにねぇねぇはオシッコをかけられた。
空也「あはは!せろりねーちゃんがセミにやられた!」
瀬芦里「………」
瀬芦里「…この山のセミ全部捕まえて食べたら、空飛べる様になるかな…ボソッ」
空也「ひぃっ…」
俺達が遊んでる間、ともねえは咲いている花に微笑みかけたり、
木の上のリスに手を振ったりしていた。
そして3人で川原へ。
巴「あっ…空也見て!メダカさんだよっ…」
空也「ほんとだ!いっぱいいる!」
瀬芦里「そりゃ〜!クーヤ、メダカを捕まえろ〜」
空也「おぅ!」
412夏に交わした約束4:2005/09/30(金) 00:19:23 ID:bcpPNks/O
バシャバシャと音をたてながら、メダカを手ですくった。
瀬芦里「取ったど〜!」
空也「ボクも〜!」
その姿をニコニコと眺めるともねえ。
瀬芦里「ねぇ、このメダカ持って帰って育てない?で、大きくなったら食べよ♪」
空也「わぉっ!せろりねーちゃん頭イイ〜」
顔を合わせてニヤニヤ笑う俺達。しかし、ともねえの顔が急に暗くなった。
瀬芦里「どうしたのトモエ?」
空也「お腹痛いの?」
ともねえの顔を覗きこむ。
巴「…め、メダカさん…川に戻してあげて…」
瀬芦里「え〜なんでよ〜!」
ブーブーと文句を言うねぇねぇ。
413夏に交わした約束5:2005/09/30(金) 00:20:18 ID:bcpPNks/O
巴「だ、だって…そ、そのメダカさんにもお母さんやお姉ちゃんや
弟が…いるかもしれないよ?さ、淋しい思いさせちゃ…だ、ダメだ」
空也&瀬芦里「!」
血の繋がった親と離れて暮らす俺とねぇねぇ、母親を亡くしたともねぇ。
3人とも「淋しさ」という感情を痛い程知っている。
空也「…せろりねーちゃん」
瀬芦里「うん…戻してあげよ」
静かにメダカを川に戻す。メダカは群れの中へと帰っていった。
そして日は暮れ、家路につく。
瀬芦里「今日は、楽しかったね!」
巴「うん!また…来たい」
空也「絶対来よう!」
414夏に交わした約束6:2005/09/30(金) 00:23:00 ID:bcpPNks/O
2人のお姉ちゃんに手を繋いで貰い夕焼け空の下、のんびり家に向かって歩く。
巴「この山、秋になったら紅葉で真っ赤になって…綺麗」
空也「次は紅葉見に来よう!」
瀬芦里「…お弁当は?」
巴「頑張る!」
瀬芦里「イェーイ☆」
空也&瀬芦里&巴「約束だよっ!!」
そんな約束を笑いながら交わした帰り道…

1ヶ月後…俺は沖縄へと行く事になる…
END
415名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 00:30:11 ID:zfQW+ALm0
,,,,,,,,,,,,,,
[|,,,,★,∩ 
( ゚∀゚)彡  GJ!GJ!
(|゚゚ :⊂)彡
i[]=|=;;| 
し ⌒J
416名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 00:30:44 ID:bcpPNks/O
凜が死んだ後の話しって設定にした
まぁ、瀬芦里はかなりおとなしく書きすぎたかなと反省orz…
雑草に手を合わせるともねえ見て思いつきますた
417名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 00:52:53 ID:U8vS+WON0
GGGGGGGGGGJJJJJJJJJJJ!!
しかしこのスレを見ていたら世の中のどんな奴でさえ
ツンデレの一言で片がつくような気がするぜ
418名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 01:26:08 ID:o0kLCrlh0
GJ!
ちょっくらねぇねぇルートやってくる
419名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 01:36:50 ID:7WRX2kFR0
>>371
くーSSキタワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
レオとのカップリングだと村西がかわいそうだから、これで(・∀・)イイ!!
つよきす時代劇とか戦隊物とか演劇とか見たい!
職人さんおねがいします(人)
420401:2005/09/30(金) 01:58:24 ID:Lo4+8mR50
>>408
GJ! ねぇねぇいいですね。姉の中ではともねえの次に好きなので二人の絡みは嬉しいです。

で、やっと仕上がりました。
レオ以外一人称シリーズ、土永さんに続く第二弾。なごみんSSです。
これまでと書き方を変えたら推敲の段階でボロがでるわでるわ。なんとかごまかすことができたかと。
おかしな部分があったら勘弁です。
では、ちょっと長くなりますがお付き合いください。
421センパイ至上主義! 1:2005/09/30(金) 01:59:37 ID:Lo4+8mR50
十月に入り、中間考査も目前に迫ったある日の放課後。
お姫様こと霧夜エリカから生徒会執行部に緊急招集が掛けられた。
あたしとセンパイの時間を奪うな! 叫びだしそうになるのを抑えるのに必死だった。
今日はセンパイの……。あたしは鞄にそっと手を当てた。 
あたしは抗議の意味でボイコットしてやろうと思っていた。誰ががおとなしくお姫様のいいなりになるものか、と。
でも放課後、センパイがあたしの教室まで迎えに来てくれた。あたしのためにわざわざ階段を昇って……!
センパイの顔を見た瞬間、我を忘れて抱きつきたい衝動に駆られたけれど、何とか我慢できた。
教室にはまだ何人か生徒が残っていた。あたしの本当の姿を見せる人はセンパイだけ。
センパイはあたしの顔を見るなり、
「お前反抗してボイコットするんじゃないかと思ってさ」
「あぅ」
さすがセンパイ。あたしの考えることなんかお見通しなんですね。
「なごみとの時間をとられるのは惜しいけど、取り敢えず仕事はしておこう」
センパイはあたしと違って大人だなぁ……。
改めて自分の子供っぽさを反省させられた。
センパイと並んで竜宮へ。やっぱりセンパイはすごいヒトだ。
422センパイ至上主義! 2:2005/09/30(金) 02:01:03 ID:Lo4+8mR50
「おっそーい! 遅いわよなごみん、やる気あるの?」
あたしが竜宮に入ると、お姫様から文句を言われた。相変わらず偉そうだ。
既に他の面子は全員顔を揃えていた。時間をずらして先に部屋に入ったセンパイも椅子に座っていた。
あ、センパイこっち見てる。目が合っちゃった。あうぅ……。
鼓動が速くなるのを感じたけど、それを無理矢理ごまかして、あくまでも平静を装って挨拶する。
「どうも。遅くなりました」
意外にも伊達先輩までもがソファに腰を落ち着けている。今日は部活はどうしたんだろう。
あたしも席に着く。残念だけどセンパイとはわざと離れた場所に座った。
でも本当は、センパイの隣……ううん、膝の上にでも座りたいのに……。
あたしの隣にはウザイ甲殻類がいる。気分がイラつく。
「で、全員集合したところで姫、今日は何よ。竜鳴祭準備までは比較的暇だったんじゃないの?」
フカヒレ先輩の疑問に皆が頷いた。
全くだ。あたしとセンパイとの時間を奪ったのだからそれ相応の用があるんだろうな。
「まあ、ちょっとしたイレギュラーがあってね。そういった事態に対処するのも執行部の役目よ」
「だから、用件は何さ? ボク今日バイト入ってるんだよねー」
カニが足をぶらぶらさせながら言った。ならさっさとカレー運搬しに行けよ。
視界に入るな。お前のせいでセンパイが見えないだろ、消えろ。
「今から説明するわよ、カニっち。じゃ、詳細はよっぴーから」
なんだ、結局説明はひと任せか。いい身分だなお姫様。
佐藤先輩は文句も言わず詳細を説明し始めた。
423センパイ至上主義! 3:2005/09/30(金) 02:08:58 ID:Lo4+8mR50
「はい。まず、最近この学校で幽霊の目撃談が増えてるんだけど、みんな知ってる?」
「ゆ、幽霊!?」カニが狼狽した声をだした。どうやらコイツは本格的にこういう話がダメらしい。
「あん? それって、屋上で女の子の嬌声が聞こえるとか言う奴か?」
伊達先輩がソファの上から発言した。
その話ならあたしも聞いたことがあるけど。
「ああ、それとは別件。ていうかそれはもう起こらないわよ。屋上でヤルのやめたから。ね、よっぴー」
お姫様のパチリとウインクして見せた。
そしてなぜか佐藤先輩が顔を真っ赤にしている。一体なんだというのか。
「今なんだか、不穏当な発言がありませんでしたか?」
「私には聞こえませんでしたわ」
祈先生は駄菓子を頬張りながら完全スルー。
なんだか突然フカヒレ先輩はトイレに行きたいと言い出したがセンパイたちに止められていた。
トイレくらい行ってもいいと思うけど……。どうせフカヒレ先輩なんていてもいなくても同じなんだし。
意味が分からないのであとでセンパイに聞いてみよう。
「こほんっ。えーと、主に夕方から夜に掛けて、変な声が聞こえたり人影が目撃されたりしているんだけど」
佐藤先輩がみんなを見渡しながら説明を続けた。
 私はそんな話は知らなかった。というより興味が無い。どうやらセンパイも知らないみたいだ。
その他のメンバーも同じらしく、一様に首を傾げている。
424センパイ至上主義! 4:2005/09/30(金) 02:10:52 ID:Lo4+8mR50
「ふん、下らないな。幽霊など存在するわけがないではないか。気のせいか見間違いだろう」
 鉄先輩は腕組みをしながら吐き捨てるように言った。あたしも同意見。
「でも近頃、具体的には今月始めくらいから、そうした幽霊関連の苦情が執行部に相次いで届けられています」
「佐藤、目撃情報は、どのくらいあるんだ?」鉄先輩が佐藤先輩に尋ねた。
「全部合わせると13件ですね。けっこうな数でしょ。それまではほとんど無かったことを考えれば」
「十日で13件か。漠然と考えていたよりもずっと多いね」と、センパイが感想を述べた。
「ふむ。それだけ数があるとなると、単なる枯れ尾花の類ではない可能性もありそうだな」
鉄先輩が思案顔で呟いた。
「とまあ、そんな訳で、これを放置しておくと竜鳴祭を控えて本業に差し障りが出る可能性があるのよ」
お姫様が後を継いで話す。お前、佐藤先輩に任せたんじゃないのか。結論だけ自分で言うのか。
「つまり、本格的に忙しくなる前に厄介な問題に決着をつけちまおうと、そういうワケか姫?」
 ソファの上から伊達先輩が言った。
「そういうこと。そこで、トラブルのエキスパートである我が竜鳴館生徒会執行部の諸君に
この事件を解決して貰おうと、急遽集まって貰った次第」
幽霊? そんな下らないことのために、センパイとの大切な時間を潰されたのか?
お姫様は、そんなわけの分からないことにセンパイの手を煩わせようとしているのか?
あたしは胸の中で渦巻くイラつきを抑えるのに必死だった。
425センパイ至上主義! 5:2005/09/30(金) 02:15:45 ID:Lo4+8mR50
「異議あり、姫」と、そこでセンパイが挙手。
「ハイ、対馬クン」
指名されたセンパイはキリリと表情をひきしめた。おどけてるセンパイもいいけど、シリアスなセンパイも素敵……。
「確かに姫が今言った通り我々はトラブルに関しては右に出るものがないと不本意ながら自負しているけど
それは解決能力に秀でているわけではなくあくまで起こす方のスキルに長けているのであってむしろ事態の収拾という点に於いては
執行部の通った後はぺんぺん草も生えないと言われるように極めて不向きで一足飛びに手を出さないほうがマシであるといってもいいけどとにかく
俺たちがそういった問題解決を望む民衆の期待に応えられるとは到底思えずあまつさえ余計に騒ぎを大きくする可能性が大であるといわざるを得ません!」
「ハイハイ。よくもまあ、そんな長台詞、句読点も使わずにご苦労様。
なごみんとのあまーい時間を取り戻したいがためだけに熱弁ふるってくれたわね。
要するにやりたくないというワケでしょ?」
「さすが姫。聡明でいらっしゃる」
私のため……? 私と二人の時間を作るために、舌を噛む危険を冒してまで長台詞を……? センパイ……感動です。
「でも却下。あなたたちに拒否権はナッシング」でもお姫様はにべも無く撥ねつけた。
センパイの意見を無視するなんて! お前は万死に値する。
「横暴だ姫」
「横暴結構。支配者は時として民衆の意見に耳を貸さないものよ」

426センパイ至上主義! 6:2005/09/30(金) 02:17:05 ID:Lo4+8mR50
センパイは必死に食い下がっているけどお姫様は柳に風。全く取り付く島も無い。お前の血は何色だ。
時としてって、お暇様、人の意見を聞いたことあるのか?
でも、このままではまずそうだ。
きっとこの騒ぎが自分の好奇心を満たせそうだから固執しているんだろう。
となればお姫様の意見を覆すのは難しそうだし。……よし。
「わかりました」
あたしの言葉にセンパイが意外そうな声を上げる。
「な、なごみ?」
あたしはセンパイを見ながら、考えを述べた。
「ここはさっさと終わらせたほうが早そうです。どうせお姫様はこっちの言うことなんて聞きやしませんから」
「ふふ、話が分かるわね、なごみん」
お姫様の言うことに従うなんて本当は死ぬほどイヤだけど、センパイを早く解放して貰うためだ、仕方が無い。
「わかった。なごみがそういうなら……」センパイも納得してくれた。
お姫様は満足げに頷き、
「いい返事ね。他に反対意見ある人は、いないわね?」
山ほどあるけど言わないだけだ。みんなお前よりは大人だからな。
427センパイ至上主義! 7:2005/09/30(金) 02:18:19 ID:Lo4+8mR50
「しかし、秋も終わりだっていうのに、幽霊とはね。季節感ガン無視」
伊達先輩が面白そうに言った。
今日の、というか最近の伊達先輩はなんだか以前と変わった気がする。
嫉妬丸出しのカニやフカヒレ先輩と違ってあたしとセンパイのことを祝福してくれているみたいだし。
「魑魅魍魎の類が風流を解するとも思わんが、たしかに肝試しには少々時期はずれだな」
「んで姫、俺たちは具体的になにすればいいの?」
センパイがお姫様に尋ねた。さすがセンパイ。やると決まったら前向きだ。
「とりあえず交代で学校に泊り込んで、怪異の正体を見極める」
「橘館長の許可はとってありますわ」と、祈先生がいつものように飴を食べながら補足する。
「おいおい、俺らは霊能者でも拝み屋でもないんだぜ。マジでやばいもんだったらどうすんのよ」
「ボクの霊感も危険だと告げているぜ。かなりの怨霊とみたね」カニの声が震えている。怖いなら帰れよ。
「だからフカヒレ君は毎晩参加ね」
「なにそれ!」
「えーと、生贄」とお姫様がサラリという。
「人身御供?」
「ああ、いざというときは鮫氷を人柱にというわけか」
「フカヒレさん、迷わず成仏してくださいな」
「ちょ、ま、それってひどくない?」
428センパイ至上主義! 8:2005/09/30(金) 02:20:48 ID:Lo4+8mR50
「別に?」
平然と言ってのけるお姫様。というかお前が生贄になれ。
「ちょっと可哀相だけど、仕方ないよね」佐藤先輩も追随する。
この先輩、意外とキツイ。あたしは前からなんとなく苦手だ。
「よっぴーまで、大ショック!」
「いじめはありません」
「まあ、元気出せフカヒレ。そのうちいいことあるさ」
と、センパイがフカヒレ先輩の肩を叩く。あぁ、落ち込む友人を励ますセンパイ、なんて優しい。
「けっ、いいよな霊感無い奴らはお気楽で。ボクなんかもう、寒気やら頭痛やら大変だぜ」
「なんだよ。さっきまでマンガ読みながら普通に寛いでたくせに。なにが霊感だよ」
「るせーフカヒレ! 良識ある幽霊が生贄を選ぶなら、不味そうな人間失格よりも
清楚で可憐なこのボクを狙うに決まってんだろボケ!」
「清楚で可憐な奴は、るせーとかボケとかいわねー」
カニとフカヒレ先輩がギャンギャン言い争っている。
マジうざい。センパイのご友人でなかったらとっくに潰している。
「心配すんなカニ。いざというときはオレが守ってやるさ」
「おう、頼りにしてるぜスバル!」
伊達先輩はなんだか嬉しそうだった。
429センパイ至上主義! 9:2005/09/30(金) 02:24:28 ID:Lo4+8mR50
「ところで、その幽霊って、どこら辺りで目撃されてるの?」
センパイの疑問に、佐藤先輩が手帳を見ながら答える。
「え、と、まず一階北側女子トイレ、三階南側女子トイレそのほか学校中の殆どの女子トイレだね」
突然、センパイとカニが同時に立ち上がった。
そしてフカヒレ先輩の背後に立つと、がっしりと羽交い絞めにした。
「な、なんだ?!」狼狽するフカヒレ先輩。
「被疑者確保!」カニが叫ぶ。
「姫、事件は解決だ。事件は現場じゃなくて会議室で起きていたんだ!」
二人はぴったりと呼吸が合っていた。……やっぱりこういうのは付き合いの長さか。悔しいけれどそれは仕方が無い。
「なんだよ、俺犯人かよ! 違う、断じて違う! 俺は無実だぁー!」フカヒレ先輩が喚くが誰も助けようとはしない。
「ふっ、出没ポイントが雄弁にお前が犯人だと物語っている」さすがセンパイ。一部のスキもない完璧な論理。
「論理の旋律は真実を奏でるんだぜ、フカヒレ」
「さぁ、とっととゲロっちまいな。カツ丼食うか? 料金は当然お前持ちだ」刑事ドラマよろしくカニが机を叩いて恫喝する。
そこで祈先生が割ってはいった。
「甘いですわお二人とも。そこは我々が既に通過した場所ですわ。
フカヒレさんのアリバイ調査はすでに実施済みで、結果シロと判断されております」
430センパイ至上主義! 10:2005/09/30(金) 02:26:57 ID:Lo4+8mR50
「調査って、そんなのいつの間に?」
「目撃されている場所柄、フカヒレさんは第一級の容疑者として極秘裏に先週の段階で行われましたの」
「結果、お前の寂しい生活が明るみに、でただけだったぜ。もっとホットになりなよ」
オウムが言った。おそらくこのオウムが実行部隊なのだろう。
二人はすっと、無言でフカヒレ先輩から離れ、何事も無かったようにもとの席に戻った。
「フォローは無しかよ!」
「普段が普段だからな。疑われても仕方が無い。身から出た錆だ」鉄先輩が辛辣に言い放った。
「プライバシーは? 俺の人権はどこにいったの?」
「そんなもの、私達の前では無いも同然!」
「そのお陰で容疑が晴れたのだ。今回ばかりは姫たちに感謝するんだな、鮫氷」
濡れ衣を着せられそうになったのに誰も同情も謝罪もしない。少しだけ気の毒だ。
「まぁ確かに、ほぼ毎晩オレらと遊んでりゃ校舎に出没してる暇なんて無いわな」
伊達先輩は得心がいったようだ。
「いくら女に相手にされないからって、犯罪に走るほど根性ないしね」
「そりゃそうさ。犯罪なんぞしなくても俺には二次元の世界があるからな!」
フカヒレ先輩は胸を張った。
情けない。どうしてこんなのがセンパイのお友達なのか、理解に苦しむ。
でも、そんな奴でも見捨てずにお友達でいてあげているなんて、センパイってやっぱり大人ですね。尊敬します。
431センパイ至上主義! 11:2005/09/30(金) 02:31:09 ID:Lo4+8mR50
「話戻すけどさ、学校に泊まるって、今夜からやんの?」
「そのつもりだけど。あ、カニっちは今日バイトだっていってたっけ」
「まーね」
「じゃ、カニっちは明日からってことで。とりあえず初日だし、今日は全員で残ってみるのもいいかもね」
「あは。合宿みたいだねぇ」
「私はベースキャンプとして帰宅しますわ」と、祈先生。
意味わかんない。
「何です、それ。教師としての責任とかは?」
「何もきこえませんわ」
センパイの突っ込みにも祈先生はどこ吹く風だ。相変わらずこういうところはいい加減。
「ま、乙女センパイもいるし、問題ないでしょ。祈先生は帰るということで。土永さんも夜は役に立たないしね」
「おおう、役に立てず無念なり」
「カニっちも帰るんだよね」と、佐藤先輩が確認する。
「いや、うーん、どうしようかな」カニはセンパイのほうをチラチラ伺っている。
センパイを見るな。迷うな。ソッコー帰れ甲殻類。オアシスでアレックスが待ってんぞ。
「いいや、やっぱりボクも残るよ」残るのかよ!
「いいのか、カニ」
「平気平気。あんなニセインド人の店なんてどうでもいいよ。風邪ひいたとか後で適当に電話しておくさー」
どうでもいいわけあるか。このカニが。あとで店長にチクってやる。
「いや、バイトじゃなくて幽霊の方。お前怖がりだからな」
「な、何言っちゃってくれてんのこのバカレオ! ボクが幽霊ごときに恐れをなすと思ってんのかボケ!
ボクは怖いなんて一言も言ってねーだろ。ただ霊感が強すぎるだけだっつーの。分かったか低脳!」
黙れこの腐れガニ。折角センパイが寛大にもお前如きの心配をして下さっているのに、その身の程を弁えない暴言はなんだ。
「お前に低脳呼ばわりされるなんて、嫌な世の中になっちまったもんだなぁ」
あぁ、センパイ。そんなカニの言うことなんかで肩を落とさないで下さい。いざとなったらあたしが三秒で潰しますから。
「それではみなさん、ごきげんよう。くれぐれも、死人など出さないようにお願いしますわね」
「じゃあなぁジャリども。精々頑張って、幽霊退治でもしてろ」
祈先生はオウムを伴って本当に帰ってしまった。まあいても大して役に立たないだろうけど。
「せんせぇー、いかないでぇー」フカヒレ先輩だけが床に這い蹲って名残を惜しんでいた。
432センパイ至上主義! 12:2005/09/30(金) 02:35:39 ID:Lo4+8mR50
午後六時半を過ぎた。本当なら今頃センパイと……。
窓の外も既に随分暗くなっている。部活動の連中も大体帰ったのだろう。グラウンドも静かになった。
拳法部に顔を出しに行っていた鉄先輩も再び戻ってきた。
「さってと、頃合ね。そろそろ出動しましょうか諸君」
お姫様が意気揚々と立ち上がった。なんで嬉しそうなんだこの人は。
「行くのは構わんが、全員でゾロゾロ行くのか?」
鉄先輩がお姫様に尋ねた。
「それうざいです」
「ボ、ボクはそれでも構わないぜ」
「怖いんだろ、カニ」と、フカヒレ先輩の突っ込み。
「まず死ね。話はそれからだ!」
「まぁ落ち着け子蟹ちゃん」
伊達先輩が制止するが、カニは止まらず、鮮やかにフカヒレ先輩の脚を刈った。
「ああっ、カニっち、硬い床でSTOは危険だよぅ」
「平気だよ佐藤さん。フカヒレは死なない。何度でも蘇るさ」
結局、みんなで一階のトイレを確認し、しかるのちふた手に分かれて二階三階を見ようということになった。
なるべく少人数で肝試し気分を味わいたいお姫様と多人数を主張して譲らないカニの意見を折衷した形だ。
あたしはセンパイと一緒ならどうでも良かったので全く発言しなかった。
433センパイ至上主義! 13:2005/09/30(金) 02:38:37 ID:Lo4+8mR50
はい提案」フカヒレ先輩が手を挙げた。
「なによフカヒレ君」
「出発前に、向こうでの組み分けをしておくべきだと思いまーす」
キュピーンという効果音があちこちから聞こえた気がした。
そして、あたしからも。絶対に、センパイと一緒の組に……! 密かに拳に力を込めた。
「んじゃ、グーパーじゃんけんで決めるか?」
「そうしよう。インチキは無し。真剣勝負だぞ」
センパイの提案が採用され、各々部屋の隅に散って作戦タイムになった。何としてもセンパイと同じ組になる!
そしてじゃんけん開始。センパイの号令で一斉に手を出す。
グー:センパイ、あたし、カニ、お姫様、伊達先輩
パー:鉄先輩、佐藤先輩、フカヒレ先輩
やたっ! あたしは踊りだしそうになるのを必死に堪えた。ぶい。
「ああ、よっぴーにテレパシーが通じなかった……」珍しくお姫様がうなだれている。
「ごめんね、エリー」
「やった、こっちは男は俺一人だぜ! ハーレムエンドは俺のものだ!」フカヒレ先輩は妙に張り切っている。
「無茶すんなフカヒレ。奉仕度を考えろ。奴隷エンド一直線だぜ」
「それも望むところだぜ!」
「佐藤は私が守ってやる。心配するな姫」
「けっ、てめえも一緒かよココナッツ」カニが悪態をついている。
「こっちの台詞だ甲殻類」
「……よかった」
「ん、どした、スバル?」
「いんや、なんでもない」
434センパイ至上主義! 14:2005/09/30(金) 02:41:29 ID:Lo4+8mR50
校内の調査が始まった。
まずは校舎一階。竜鳴館には各階に南北二ヶ所ずつトイレがある。
そのトイレを目指し、執行部のメンツ全員で連なって歩いていく。傍から見れば滑稽な光景だろう。
暗い。何故か照明は全て消されているので、非常口を示す緑色の光と
数本の懐中電灯だけが闇にあたしたち浮かび上がらせていた。
「な、なんでわざわざ電気消してあるんだ? 確かまだ全館消灯の時間じゃないだろ?」
カニがやや震えた声で誰にとも無く言った。かなり無理しているらしい。
「ああ、この方が雰囲気出ると思って、私が館長にお願いしてブレーカー落としておいた」
「姫、余計なことしてくれんなよな!」
「あら、怖いのカニっち?」
「こここ怖くなんかねーよ! 
ただ、こう雰囲気出すと余計悪霊が寄り付きやすくなんだよ。ボクは霊感強いからさ」
「それじゃ好都合じゃない。さっさと出てきてもらって手早く駆除してとっとと帰りましょ」
「駆除ってエリー、害虫じゃないんだから」
「おい、着いたぞ。一階北女子トイレだ」先行していた伊達先輩が言った。
伊達先輩の懐中電灯が照らす先に、問題の女子トイレの入り口が見えた。
「さすがに、電気全部消してあると不気味だねぇ」
佐藤先輩が感想を述べる。凡庸だが正鵠を射た意見だと思う。
435センパイ至上主義! 15:2005/09/30(金) 02:50:31 ID:Lo4+8mR50
「ふむ。では私と伊達で先陣を切ろう。では、行くぞ伊達」
「ラジャー、乙女さん」
二人は懐中電灯の明かりを頼りに、トイレの中に踏み込んでいった。
しかし、ものの一分もしないうちに二人とも戻ってきた。
「何も無いぜ」
「ああ。人っ子一人いなかった」
「あら残念」とお姫様。
「時間帯とかもあるのかな? また帰りに覗いてみればいいんじゃない?」
「佐藤さん、何気に非情なことをさらっと言うね」
結局元来た道を引き返し、反対側の一階南のトイレに向かうことになった。
「しっかし、夜のガッコてのは気味悪いもんだよなあ、レオ?」
「そりゃ電気全部消してあればな」
「カニ。センパイにくっつくな」
「るせーココナッツ。オメーなんかに指図される謂れはねー。
ボクたち幼馴染はどんなときも一心同体なんだよ。分かったか!」
センパイは苦笑いしている。苦笑いとはいえ、センパイの笑顔には弱い。この場は引き下がろう。
436センパイ至上主義! 16:2005/09/30(金) 02:54:24 ID:Lo4+8mR50
南側のトイレにも全く異常は無かった。
残念がるお姫様。拍子抜けしている鉄先輩。安堵するカニ。
「では、上へ参りまーす」
「どっちの組が三階に行くの?」
「私たちはどちらでも一向に構わん。そっちの組から決めればいい」
「対馬クンはどっちがいい?」
「姫に任す」
「おやおや、決断力無いわね。そんなことじゃなごみんに嫌われちゃうぞ」
黙れ。あたしがセンパイを嫌うなんて、有り得ない。お前が世界を獲る方がまだ現実的だ。
「わかったよ。俺が決めよう。二階で」
「そのココロは?」
「二階は俺たちの教室があるから良く知っているし、階段昇るのも一階分ですむからラク」
なんて合理的な考え方。さすがセンパイ、理論派ですね!
「なんていい加減な考え方。さすがレオ、面倒くさがりだな」
「うるさいなフカヒレ。折角お前のために歩く距離長くしてやったんだ。ハーレムに向けてフラグ立て頑張れよ」
「おお、そういうことか! 流石、我が親友。気が利くぜ」
「フカヒレに親友なんかいたのか?」
「初耳だな」
「オマエラだよ! てか親友だと思ってねえのかよ!」
「お前の親友って、そんな人聞きの悪いこと言うなよ」
「こっちの信用問題に関わるぜ」
「大ショック!」
この人たち本当に仲がいいのかな。ちょっと自信なくなってきた。
「ほら、ぼさっとするな鮫氷。もう行くぞ」
傷心のフカヒレ先輩は鉄先輩に引き摺られるようにして階段の上へ消えていった。
三人を見送ってから、センパイが、
「では、我々も二階へ行きますか」
「だな。さっさと済ませようぜ」伊達先輩も同意する。
「じゃ、出発!」
お姫様が明るく宣言してあたしたちは歩き始めた。
「ちょ、コラ、オメーラ先に行くな待てやレオ! ボクを置いてくな!」
437名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 02:54:38 ID:7WRX2kFR0
支援
438センパイ至上主義! 17:2005/09/30(金) 02:57:43 ID:Lo4+8mR50
『あぎゃぁ〜〜〜〜!!!!!!』
歩き始めてすぐに、マンドラゴラを引き抜いたような悲鳴が響き渡った。
「うひゃう!!!!」こちらでもカニが飛び上がっていた。
何がそんなに嬉しいんだか。ってオイ、センパイにしがみつくな!
「おー、景気のいい悲鳴ね」
「ありゃ、フカヒレだな」
「どうしたんでしょう」
「大方シチュエーションで妄想しまくって一人勝手に盛り上がってよっぴーにでも襲い掛かったんだろ」
「で、乙女さんに殲滅されたと。ま、そんなところだな」
「分かりやすいわね、フカヒレ君」
「けっ、情けねーヤロウだぜ、全く」カニが吐き捨てるように言った。
「カニ、そんなビビリまくってセンパイに縋りながら言っても虚しいだけだぞ。
というかいつまでセンパイにくっついている。さっさと離れろ。センパイのご迷惑になるだろう」
「へん、誰もビビってねーよカス! これはボクからのサービスだよサ・ー・ビ・ス。
ま、幼馴染美少女キャラの務めって奴? オメーには一生縁の無い行為だがな」
「いい加減にしろよ甲殻類。いいからセンパイから、はな……、はっ!」
視線を感じて振り返ると、お姫様がニヤニヤと楽しそうにあたしとカニのやりとりを眺めていた。
しまった! これはまた絶好の餌を与えてしまった!
439センパイ至上主義! 18:2005/09/30(金) 03:00:12 ID:Lo4+8mR50
「ふっふーん、なごみん。センパイはセンパイは〜、あたしのモノなのぉ〜!ってカンジかしら? 熱い熱い」
案の定、お姫様は意地悪い微笑みを浮かべながらあたしをつつく。
「くっ!」あたしはやむを得ず、センパイとカニから一歩離れた。む、無念ですセンパイ……。
「カニ、お前にくっつかれてもサービスになどならん。暑苦しいから離れろよな」
「あ、テメ、可愛い幼馴染の好意を無にすんのか?!」
「悪いがなごみの方が可愛いし」……え?!
「んだとゴルァ!」
「                                」
……はっ! 嬉しさのあまり、意識が飛んでしまってた。頭を振って覚醒させる。
センパイにみっともないところを見られなかったかな。
そっとセンパイの方を窺うと、センパイは一生懸命カニを引き離そうとしていた。どうやら放心してるのは見られなかったみたいだ。
「てめ、ついに悪魔に魂売り渡しやがったのか!」
「バカをいうな。なごみは悪魔どころか天使のようだぞ」
「ハイハイ、そんな真顔で惚気はもう結構。ホラとっとと行くわよ」
「行くぜ、坊主ども」
お姫様と伊達先輩は先に歩いていってしまった。
「行きましょう、センパイ」あたしはそっとセンパイの手を握った。
他のやつらがいるときはこんなことしないけど、今はしたい気分だった。真っ暗だから誰にも見られないだろうし。
「お、おう」センパイはちょっと戸惑ったようだった。
440名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 03:05:16 ID:8FecqWPk0
441センパイ至上主義! 19:2005/09/30(金) 03:06:37 ID:Lo4+8mR50
やっぱり南側のトイレにも異常はなかった。
「やれやれ。今日は収穫無しかしら?」
北トイレに向かっていると、不意に先頭を歩く伊達先輩が立ち止まった。
「何よスバル君。急に立ち止まらないでよ」
お姫様が顔を抑えながら抗議している。どうやら伊達先輩の背中に鼻でもぶつけたらしい。
「シッ。どうだ、なんか聞こえないか?」
「え?」
「なななな何言い出すんだよスバルぅ、笑えねえ冗談はやめろよな」
「黙ってろカニ」
「うぐ」
みんなで耳を澄ます。
確かに、向かう方向から何かを擦るような音が聞こえてくる。それと声も、いや歌、かな?
「なんの音だ?」
「がしゅがしゅがしゅって、なんか聞いたことある音だな」
「おおお怨霊が怒っているんだぜ! 間違いない。ボクの研ぎ澄まされた霊感がそう言っている!」
「センパイにくっつくなカニ」
「うううるせー!」
「なんならオレにしがみついてもいいぜ、カニ」
「ワンパスで」
「しょぼーん」伊達先輩がしぼんでしまった。
442名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 03:12:21 ID:nzUUpFCS0
便所ダワシ?
443センパイ至上主義! 20:2005/09/30(金) 03:14:30 ID:Lo4+8mR50
「あら、スバル君、つうこんのいちげき?」
「ぐふっ、お、オレはもう動けねえ。オレに構わず先に行ってくれ……」
「お前を見捨てられるか、スバル!」
「いいから行け! 決して振り向くな。そしてオレに出来なかったことを成し遂げろ!」
「スバル……」
「ハイハイ、三文コントはそこまで。スバル君は私が見てるから。対馬クン、行って来なさい」
「とほほ」
「あ。あたしも行きます」ここでセンパイの力にならなくちゃ。お姫様から懐中電灯を受け取る。
「ボ、ボクは責任とってここに残るよ」そういってカニがその場に座り込む。
「カニ、お前は責任とって一緒に行くんだ」
「あんだよレオ、ボクを生贄にしようってのか? 取り憑かれたらどうしてくれんだ!」
「幽霊などいない」
「ちくしょう、ちくしょおーッ! 一生呪ってやんぞ!」
「わかったわかった」
センパイはカニをずるずると引き摺って歩き出した。
そんな無理矢理カニなんて連れて行く必要ないのに……。どうせ怖がっているだけで使えないんだから。
あ、もしかしたら、こうしてショック療法でカニの苦手を克服させようとしているのかも!?
たとえダメ人間であろうとも見捨てずに導こうとするセンパイ、そんな優しい心遣いも素敵すぎます。
444センパイ至上主義! 21:2005/09/30(金) 03:19:42 ID:Lo4+8mR50
トイレに近づくに連れ、音はますます大きくなっていく。明らかにトイレに何かあるいは誰かがいる。
「歩きにくい。ちょっと離れろカニ」
「うるせーな。薄情者」
「怖いのはわかったから」
「こっ怖くない、怖くないもんね!」カニはもう半泣き状態だ。
がしゅがしゅと、相変わらずトイレからは音が聞こえてくる。
『〜こぉろ……しに……ーおー……」
さらに奇妙な節のついた声。何かの歌だろうか?
「なんか、殺しに、とかなんとか聞こえないか」
「確かに、聞こえなくも無いですね」
「ゆ、幽霊なんか、ほほ本当はいねーんだぜ。こここんなの大体見間違いとか幻覚ってそ相場が決まってるんだ。
ほら、よく言うじゃん。ゆ、『幽霊も招待したいカレーパーティー』だっけ?」
「ひょっとしてカニ、『幽霊の正体見たり枯れ尾花』のことか?」
「た、大して違わねーじゃん」
「全然違うぞ」
「お前、さっきまで霊感とか怨霊とか散々言ってただろう」
「ち、ちげーよココナッツ! あ、あれはお前ら小心者をビビらせようと思って言った冗談だよ!」
半泣きで喚くカニ。ウザイ。どっちが小心者だ。
そうこうしているうちに、トイレの前に辿り着いた。
中からはやはりがっしゅがっしゅと何かを擦っているような音。そして歌。
懐中電灯を振ってお姫様たちに合図を送る。あちらでも懐中電灯の光が揺れた。
445センパイ至上主義! 22:2005/09/30(金) 03:22:11 ID:Lo4+8mR50
「向こうから応答ありました。GOサインです」
「よし、行くぞカニ」先陣を切ろうとするセンパイ。あぁっ、勇敢です。
「ままっまてまて待てって! んないきなり飛び込むと心臓に悪いぞ。ここは入念に準備運動をしないと」
「プールじゃないんだぞカニ」
「いつまでもゴネてんな。いい加減覚悟を決めろ」
「うう、わ分かった。ちくしょう、行ってやる行ってやるぜぇっ!」
言うが早いがカニは猛烈な勢いでトイレに駆け込んでいった。懐中電灯も持たずに。やはりバカだ。
「あコラカニ、だからってそんな考えなしに突っ込んだら……」
『うっぎゃあぁ〜〜〜〜〜〜っっ!!!!!!!!!!!!』そして使い古しの玄関マットを引き裂くような無様な悲鳴が響く。
「ちっ、いくぞなごみ」
「ハイ、センパイ!」
あたしたちもトイレに突入する。無論懐中電灯で照らしながら。
そして、その光の中に見たものは……。
「どうした!? 無事かレオ!」
「大丈夫? 対馬クン!」
「何事だ!」
「もしかして誰か死んじゃった!?」
カニの悲鳴を聞きつけてみんなが駆けつけてきた。
『あ』
懐中電灯に照らし出されたのは、びしょ濡れで目を回しているまぬけなカニが一匹と、
呆然の表情でデッキブラシを抱えた日焼け娘の姿だった。
446センパイ至上主義! 23:2005/09/30(金) 03:26:06 ID:Lo4+8mR50
日焼け娘こと2−C在籍浦賀真名さんはセンパイのご学友なのだそうだ。本来なら潰すところだが、センパイに免じて断念。
彼女の事情聴取は場所を竜宮に移して行うことになった。
カニは体操服に着替え、全員で竜宮に移動する。
「で、なんでこんな時間にトイレ掃除をしていたのかしら、浦賀サン?」
お姫様がやや投げやりな口調で訊ねた。明らかにこの下らないオチに失望している。
「なんでて、そら……バツ当番?」浦賀先輩はちょっと恥ずかしそうに言った。
「バツ……」
「とう、ばん」
「ほら、ウチな、この前三回連チャンで英語の宿題忘れてきたやん?
したら祈ちゃんむっちゃ怒ってな、今月一杯放課後のトイレ掃除言いつけられてん。
しかも校内の全部のトイレやで。マジきっついわ」
「それで毎日一人でトイレ掃除を?」
「しかも学校全部の」
「せや。もう死ぬかと思うで。何度もサボろ思たけどな、祈ちゃんどこで見てるか分かれへんし。サボったのバレたら後で怖いし」
何かを擦る音はブラシで床やら便器やらを磨く音か。
「しかも今日はなんや、電気点かんようになってまうし、真っ暗んなか掃除すんのはしんどかったでぇ」
と、当事者浦賀先輩は出された紅茶を豪快に啜った。
「じゃあ、あの歌も浦賀さんが?」とセンパイが訊ねる。
「うた? ああ、せや。暗くて怖いからずっと歌ってた。関西人の魂やん、『六甲おろし』は」
あれは六甲おろしだったのか。
447センパイ至上主義! 24:2005/09/30(金) 03:30:10 ID:Lo4+8mR50
「で、今日はなんなん? 執行部みんなお揃いで。あ、まさか放課後の教室で秘密パーティー?」
みんなからため息が漏れる。なんだかどっと疲れが出てしまった。
お姫様もあくびなどしている。
「ホラ見ろ、幽霊なんかいねーんだよ。ボクが言った通りだね!」
元気になったカニが一人で笑っている。うざい。
「お前、ついさっきまでビビリまくってたじゃねーか!」
センパイがジャンピング・ニーで突っ込んだ。さすがセンパイ、ここに至っても技の切れ味は抜群です。
「……はい、はい。では、失礼します」
「どうだった、佐藤?」
佐藤先輩は祈先生に報告と確認の為に電話を掛けていた。
「祈先生曰く『すっかり忘れていましたわ〜』だそうです」
「全く、いい加減だな」
「え、ほな、ウチの努力は……?」
「言いにくいけど、無 駄 ね」無遠慮にお姫様が言い放つ。
「燃え尽きた〜」浦賀先輩はテーブルに突っ伏した。
「あ、それから『折角だから掃除はこれからも続けてくださいな』だって」
浦賀先輩が椅子から崩れ落ちた。
「死亡確認」カニが厳かに宣言した。
448センパイ至上主義! 25:2005/09/30(金) 03:33:40 ID:Lo4+8mR50
帰り道。あたしはセンパイと鉄先輩、伊達先輩そして甲殻類と家路についていた。
幽霊騒ぎは解決ということで、明日以降の活動も当然無くなった。
よかった。こんな下らないことで拘束されてセンパイとの時間を浪費したくない。
「祈ちゃんも浦賀も人騒がせなこったな」
「明日絶対真名シメてやんよ。ボクの制服ビチョビチョにしてくれやがって」
体操着姿のカニが指を鳴らしている。
「大山鳴動して鼠一匹、だったな。疲れたから早く帰って飯にするとしよう」
「今日の具は?」
「そうだな、たくあんと明太子と、冷凍のピザなどどうだ?」
「うひー」
センパイ、またおにぎりですか。よし、週末には好きなものを好きなだけ召し上がってもらおう。
「ところで」
「ん、なんだよココナッツ。実は恐怖のあまり漏らしてたか?」
「バカか。潰すぞ」
本日のマーベラス蟹沢スタート。
「いでででででででで! ふぁなひやはれふぉふぉなっふ!」
「今日も芸術的な顔だなカニ。さあ泣くがいい」
「なごみ、もうその辺にしたらどうだ。もう泣いてるし。で、ところでどうした?」
449センパイ至上主義! 26:2005/09/30(金) 03:40:56 ID:Lo4+8mR50
「あ、はい」あたしはカニから手を放して、「なんか忘れている気がするんですが」
「忘れてる? 何を」
「別にないだろ」
「けっ、ボケちまったんじゃねーのか。若いのに難儀だなココナッツ」
「うむ。特段忘れているものは無いと思うが」
みんなでしばし考え込む。
「ああ、分かりました。フカヒレ先輩です。しばらく見ていません」
「おーおー。そんなのもいたなあ」
「フカ、ヒレ? なんだっけそれ。食えるのか?」
「どっかで聞き覚えのある名前だな」
ちょっとヒドイ。
「別に忘れてないぞ。乱心して佐藤に襲い掛かったから、制裁して縛り上げて
三階の窓から吊るしてあるだけだ。意識して放置したんだから忘れているというワケではないぞ」
それもヒドイ。
やがて、商店街の入り口に着いた。ここでセンパイとはお別れしなくてはならない。すごく寂しいです。
「では、おやすみ椰子」
「じゃーなココナッツ。腹出して寝て風邪でもひいてろ」お前がな。
「また明日な、椰子」
「おやすみなごみ」
「はい、おやすみなさい」
センパイの姿が遠ざかっていく。寂寥感があたしを包む。
450名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 03:49:54 ID:HiG7iQHh0
やっぱここかw
作品別に誤爆してるぞいw
451センパイ至上主義! 27:2005/09/30(金) 03:53:39 ID:Lo4+8mR50
商店街を歩き、家が見えてきた。
さて、少し遅くなったけど、母さんに夕食の支度をしなくちゃ。
そう思ったときだった。後ろから不意に声が掛けられた。振り返る。
「なごみ!」
「せ、センパイ!?」
センパイが息を切らしてあたしのところに駆け寄ってきた。
「どうして。おうちに帰ったんじゃないんですか?」
「そのつもりだったけど、今日はなごみと二人っきりで話してないなと思って」
「鉄先輩たちは」
「ウチの前まで一緒に行ったんだけどさ、トイレにいくって言って来た」
「おうちの前でその言い訳は説得力が皆無ですよ」
「言われてみればそうだな。でも乙女さんは信じやすい性格だし、カニはバカだし、大丈夫だろ」
あたしたちは顔を見合わせて笑った。
「でもよかったです。センパイと話せないのは寂しかったので」
「電話やメールでもよかったけど、こういうのはやっぱり顔見て話さないとな」
でも本当はセンパイの顔を見ているだけでも幸せです。
「それから、今日はセンパイのお誕生日ですよね」
「おおう、忘れてた。そうだっけ」センパイはおどけて言う。
「これ、プレゼントその1です」
あたしは鞄から用意していたものを取り出した。
452センパイ至上主義! 28:2005/09/30(金) 03:58:45 ID:Lo4+8mR50
「あ、マフラー」
「ほ本当は手作りしたかったんですけど、時間も無いし手芸はからっきしダメなので、市販品で」
「ありがとうなごみ。もしかして、おそろいとか?」
あぅ、さすがセンパイ。なんでもお見通し。
あたしはもう一本マフラーを取り出す。センパイにあげたものと全く同じものだ。
「よし、もっと寒くなったらこれ巻いてどっか遊びに行こう」
「あ、ハイ!」ありがとうございます、センパイ。
「で、さ。……さっき、プレゼントその1と仰った?」
「はい」
「その1があるなら当然……」
「その2も、あります」
「教えてくれる?」
「……え、と。あの、……恥ずかしいんですけど、今度週末にセンパイのおうちに行った時に、
以前からのセンパイの要望にお応えしようかと……」
「それって、もしかして裸エ」
「そういうことです!」センパイが全部言い終わる前に遮る。だって、ものすごく恥ずかしいんですよ。
「そうかぁ。それは楽しみ」
でも、センパイの嬉しそうな顔を見るのはあたしも嬉しい。
それから少しの間、他愛の無い話をして過ごした。
やっぱりセンパイと二人の時間が大切だと再認識させられた。
453センパイ至上主義! 29:2005/09/30(金) 04:06:05 ID:Lo4+8mR50
楽しい時間を過ごし、帰ろうとするセンパイを思い切って呼び止めた。
「せ、センパイっ……!」
呼び止めてしまってから、何を言えばいいのか、考えていなかったことに気づき、慌ててしまう。
「何だ、なごみ?」センパイは笑顔でこちらに戻ってきた。ああ、ええと、何か何か言わなくちゃ。
「……あの、おお別れする前に、ぎゅーって、してもらえませんか……?」
「え?」センパイは怪訝そうな顔をする。
言ってしまってから、激しく後悔。ああ、またわがまま言ってセンパイを困らせてしまう。呆れられてしまう。……どうしよう!
「あ、あの、べ別にせセンパイがお厭ならけ結構なんですけどあの、……え!?」
しどろもどろになっているあたしを、センパイがそっと抱きしめてくれた。
「しぇ、しぇんぱひっ……!?」
自分でも分かるくらい、顔が熱い。きっとポストみたいに真っ赤になってしまっているだろう。
「これで、いいかな?」
「は、はひ」もう、何も考えられない……。
ぎゅっと。ぎゅーっと。ふにゅ、センパイ、あったかいですぅ……。
センパイの体温。
センパイの吐息。
センパイの鼓動。
センパイの、センパイの、センパイの……。あたまのなかがまっしろに。
「甘えん坊だなぁ、なごみは」
454名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 04:09:46 ID:+SAThEwF0
 
455センパイ至上主義! 30:2005/09/30(金) 04:10:48 ID:Lo4+8mR50
そういってせんぱいはにゃごみのあたまをやさしーくなでなでしてくれました。……って、思わず幼児退行してしまうくらいに心地いい。
「すごく、温かいです。センパイ……」
「バカ。温かいのはなごみの方だ」
「あぅ……」
どれくらいそうしていただろう。やがてセンパイがゆっくりと体を離した。
「これでOK?」
「だだだっ大OKです!」何を言ってるのか分からない。
「ん。名残惜しいけど、もう帰らないと。遅くなると乙女さんがうるさいから」
残念だけど、仕方が無い。週末になれば鉄先輩は実家に戻り、一日中センパイと一緒に過ごせるんだし。
「そう、ですね。どこまで用足しに行ってたんだって話になりますね」
「そういうことだ。んじゃ、また明日、学校で」
「ハイ。おやすみなさい、センパイ」
「おやすみ、なごみ」
センパイが言い終わるのと殆ど同時に、あたしは背伸びすると素早くセンパイの唇に自分の唇を重ねた。
ほんの、一瞬の、くちづけ。
センパイはちょっと戸惑ったようだけど、すぐに微笑み、
「今夜は良く眠れそうだ」
「あたしもです」
センパイはもう一度、あたしの頭を撫でてからおやすみを言うと手を振って、帰っていった。
あたしは見えなくなるまでそこでセンパイの背中を見送っていた。
おやすみなさい、センパイ。
なごみは、明日も頑張れそうです。
456瀕死のあとがき:2005/09/30(金) 04:15:08 ID:Lo4+8mR50
あぅ、終わりです。
途中でショコラ・パルフェスレとつよきす作品別スレに誤爆したのは内緒です。眠かった。orz
なんだかなごみんがおかしなひとになってる気が……。
なごみのレオに対する崇拝に近い感情が表現できればと思ったんですが。
今回、書きたい場面をまず書いてそれを適当にでっちあげた物語でつなぐという
ルチオ・フルチの映画みたいな書き方でやってみたんですが、ダメですねこれ。
次からはまた頭から順に書く形に戻します。そしてもっと短く!

ちなみに次は姫か村なんとかwで考えてます。どちらも冒頭は書いたので今後の気分で。

もう寝ます。午後出勤でよかった。
457名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 04:15:37 ID:2jJoXAHF0
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ〜っ!オメガグッジョブ!
458名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 04:16:29 ID:g78W8l2K0
>>456 GJおやすみ。
459名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 04:17:41 ID:HiG7iQHh0
>>456
2時間もやってたんだな。乙。
まあもうちょっとアレだ、ガンガレ。
460名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 04:19:34 ID:nzUUpFCS0
>>456
幽霊騒ぎはなんのためだったんかわからんが乙。
461名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 04:20:04 ID:+SAThEwF0
>>456
超GJ!!!

なごみんの内面の描写がテラ萌ヘ
462名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 04:36:47 ID:AX6h4r4x0
>>456
GJ、唯一フカヒレが頑張ってた なごみんルートなのに扱い酷くてワロスwww
463名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 08:19:43 ID:O5spkiXh0
アトミックGJ!!
おぉ!
神が降りてきなすった!!
やべぇ…
こんなの見たら姫からなごみさんに心がうつっちゃいそうだぜ…
464その頃、カニ夫婦は…:2005/09/30(金) 09:56:15 ID:OwJA0NPHO
カニ「親が親なら子も子だよ!」



[蟹沢夫婦の部屋]
ギシギシ…アンアン…
カニパパ「…母さん、出枯らしの部屋うるさくないか?」
カニママ「あぁ?対馬さん家のレオ君が来てるんだよ」
カニパパ「こ、こんな夜中にか!?」
カニママ「今頃はお楽しみかしらねぇ」
カニパパ「なっ、何だと!わ、私は許さんぞ!」
カニママ「まぁいいじゃない、あの娘ももう大人なんだから」
カニパパ「えぇぃ、とにかく許さん!追い払ってやる!」
カニママ「あんたも頑固ねぇ、もう寝なさい」
コキッ!!
カニパパ「わ、私はみ、認めんぞぉー!ガハッ………」
カニママ「まぁ、あの子達なら大丈夫でしょう…」
松笠の呂布就寝
[終わり]
465名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 09:57:46 ID:OwJA0NPHO
なんか書きたかった…
ちょっと後悔してる(´・ω・`)
466名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 10:20:39 ID:2m71qnpF0
>>464
>コキッ
なぜかここでワロス GJ!
467名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 11:12:18 ID:8H3kjJSsO
>>456
グッジョブ!面白かった!

あとフカヒレの悲鳴が結局なんだったのかが激しく気になるなぁ。襲う勇気はないよな、フカヒレだし。
468名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 12:01:42 ID:GFsJ830w0
>>456
スマソ、途中で寝たw
2時間乙。
469名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 13:24:54 ID:caesOQKa0
>>468
漏れも11で力尽きたw
ともあれ>>456 乙&GJ!
470名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 13:58:36 ID:eECpxik3O
なごみんかわいよなごみん
グランドグッジョブ!
471名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 14:42:00 ID:sgoZUCCK0
よっぴーSSまたキテ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
472名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 14:47:58 ID:KPSO9jmH0
>>456
>>464
GJ!楽しんで読ませてもらいました!!


一応報告。
「姉、ちゃんと戦ろうよ」うpしてますよ。
473名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 23:19:23 ID:8aCF01Lc0
くっそぅ・・・・
なんか、ここ見てたらオイラもSS書きたくなっちまったじゃねぇか


しかし問題はオイラにそれが書けるか?ということだ・・・_| ̄|○
まぁエロいのしか思い浮かばないけどさ(;´ー`)
474名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 23:31:00 ID:sgoZUCCK0
>>473
(`・ェ・´)期待してるぞ!
475名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 23:34:18 ID:w3xie6c90
>>473
sageは半角英数で頼む・・・
476名無しさん@初回限定:2005/09/30(金) 23:43:12 ID:8aCF01Lc0
>>475
うぉ・・・・なんつー初歩的なミスを・・・すみません


>>474
でも、ちょっと頑張ってみる・・・・いや、ごめん、
やっぱりあんまり期待しないで待っててくれ

って・・・書いてもないのに何をこんなにプレッシャー感じてるんだ、俺
ヘタレでチキンだがちょっとずつ書いてみます
477名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 00:03:48 ID:rCKi+bsFO
なごみんテラモエス

そしてエロSS期待
478名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 00:40:00 ID:kjdI8Gke0
このスレを見続けるためだけにネットオークションの終了時間を逃したがその分得たものも大きかった

おまえらGJ!
479寝不足の456:2005/10/01(土) 01:09:06 ID:C4MPFpnN0
あんな長いのに、少しは楽しんでもらえたようでひと安心。つかまだ眠いっす。
一つ言い訳を。
えーと、460さんが言ってるように、幽霊に意味はありません。
無理からギャグやるためだけにでっちあげました。
本来はラストのイチャイチャシーンだけ書きたかったんですけど、どうしてもテレが入ってしまって
ギャグやりたくなるんですよね。要するに、幽霊騒動部分はイチャイチャのための長い長い助走です。
まぁ、なごみんが思い切り甘えるために鬱憤溜めさせる必要もあったので。
じゃあ今日はこれで。昨日買った思春期やってきます。
480剣の誓い・1:2005/10/01(土) 02:27:54 ID:hHY0g71w0
ランニングから戻ったついでに、郵便受けの中を覗く。
タオルで汗を拭き、家の中に入りながら目を通す。
チラシ、DMに混じっていた、1枚の葉書が目を引いた。
宛名は私、鉄乙女。差出人は、竜鳴館拳法部一同。
内容は・・・竜鳴祭の案内。
ああ、そういえばそろそろそんな時期か。
久しく足を運んでいないが、皆息災だろうか。
懐かしい顔が思い浮かぶ。
橘館長。蟹沢。椰子。伊達。鮫氷・・・姫。佐藤・・・レオ。
もっとも、姫や佐藤はからは
キリヤコーポレーションに何度か誘われているし
レオは時折ではあるが鉄家に来たり
逆に私が対馬家にうかがったりして顔を合わせるので
それほど懐かしい、というわけでもないのだが。
レオは姫の側近として、頑張っていた。
出会う度に、磨きがかかっていく。
そして、その度に・・・私の心は乱れた。
いつからだろう。自分の心に気がついたのは。
あの校内放送で、レオが姫への思いの丈を
図らずとはいえ学校中に告げたときだろうか。
もっと前だろうか?いや、もっと後?はっきりとはわからない。
それに、今となってはもうどうでもいいことだ。
そう、どうでもいい・・・
今一度、葉書を見る。
学生の頃は、後輩の指導ということで
ちょくちょく拳法部にも顔を出していたが
このところはとんとご無沙汰だ。
・・・たまには、顔を出してみるか。
ひょっとしたら懐かしい顔にも会えるかもしれないし
気晴らしにもなるだろう。
そう考えただけで少し晴れやかになって
私は道場に向かった。
481剣の誓い・2:2005/10/01(土) 02:32:16 ID:hHY0g71w0
足を運んでみれば、竜鳴祭は相変わらずの賑わいだった。
受付でパンフレットをもらい、まずは拳法部の催しに向かう。
拳法部は毎年、道場で演武を披露している。
皆なかなか堂に入ったものだ。
知っている顔は3年生だけだったが
向こうは1年生に至るまで私の顔を知っていた。
私が全国大会を制覇したときの写真が貼ってあるからだろう。
「・・・いつまでも私の写真を貼っておかないで
 自分たちの写真を貼れるように、な」
「オッス!」
館長にお会いできなかったのは残念だったが
道場に別れを告げて校舎のほうへ戻る。
さて・・・どこを見て回ろうか。
「鉄センパーイ!」
ん?誰だ?
声のした方を見れば・・・
「おお、佐藤か!久しぶりだな!」
互いに駆け寄って向かい合う。
「はい、ご無沙汰です・・・春にキリヤにお誘いして以来、ですね」
「ん、そうだな」
佐藤は大学を卒業してから、レオと同じくキリヤコーポレーションで
それこそ姫の右腕として頑張っている。
もともと美人だったが、さらにその美しさに磨きをかけたようだ。
それに、どことなく雰囲気が変わってきているような気もする・・・
「今日はお一人なんですか?」
「ああ、見ての通り。佐藤は姫やレオと一緒ではないのか?」
「えっと、さっきまで一緒だったんですけど・・・
 たまには、二人っきりにさせてあげようかな、なんて」
「そうか・・・レオもよく見捨てられないものだな」
「いえー、エリーもあれで結構、対馬クンに依存しちゃってますから。
 もう側にいると妬けちゃって妬けちゃって」
そう言いながら、佐藤の顔は嬉しそうだった。
482剣の誓い・3:2005/10/01(土) 02:36:42 ID:hHY0g71w0
不思議な娘だ。
私が見たところ、レオに対して密かに好意を寄せているようだったが
あれは気のせいだったのだろうか。
「そんなに妬けるなら、佐藤も早く良い相手を見つけたらどうだ?
 お前なら引く手あまただろう」
「んー、私はー・・・そういう気はないですねー。
 鉄先輩こそ、どうなんですか?」
「私も同じだな。関心がない」
というより、関心を持てる対象がいないというか
いるにはいるけど、もう人のだしなぁ・・・
「私は好きな人はいるんですけどねー・・・
 はぁ・・・一生独身かも、私」
ため息をつきながらも、佐藤はどこか楽しそうだが
好きな人がいるというのは・・・
「好きな人って、ひょっとして・・・?」
キョロキョロと周りを見回してから
佐藤が小声で照れくさそうに言う。
「えっと・・・たぶん、鉄先輩の思ってるとおり、です。
 私の好きな人は、対馬クン・・・
 振られちゃったんですけどねー」
やはりそうだったのか。
しかし、振られたということは・・・
「その・・・レオに、告白はしたのか?」
「ええ・・・ほら、一度エリーが無理に対馬クンを振ったじゃないですか?」
ああ、そういえばそうだったな。
それであの全校告白放送があったわけだが。
「そのとき、私の方から対馬クンに告白したんですけど・・・
 見事に振られちゃいました。
 エリーじゃなきゃダメだ、って」
・・・なぜだ。なぜそんなに嬉しそうにできる。
なぜそれでも二人のそばにいられるんだ・・・
「それで・・・レオとは気まずくならなかったのか?」
483名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 02:39:38 ID:c5W+SRCo0
支援
484剣の誓い・4:2005/10/01(土) 02:40:42 ID:hHY0g71w0
ん、とちょっと佐藤は考える。
が、やはりすぐにニッコリと笑う。
「私はそれほどでもなかったですね。
 対馬クンやエリーの方は、ちょっと申し訳なさそうでしたけど。
 対馬クンなんて、なかなか目を合わせてくれなかったんですよ?」
そういうものなのだろうか。
恋愛経験のない私には
こういう恋愛感情のもつれはわからない。
わからないが、一つはハッキリした。
「・・・強いんだな、佐藤は」
「えー?そ、そんなことないですよぅ。
 鉄先輩に強いとか言われるなんて
 思ってなかったな・・・」
「いや・・・佐藤は強いよ・・・
 好きな男に振られて、その男が親友と結ばれて
 それでも二人を変わらずに支えていける。たいしたものだ」
私は・・・こうはなれないだろう。
今、目の前にレオがいたら
またきっと心を乱して・・・
「あっ、エリーたちだ!
 エリーッ!対馬クーン!
 鉄先輩来てるよーっ!」
な!?
佐藤がブンブンと遠くに手を振る。
そういえば、来てはいるんだった。
ああ、こんな話した後で二人に会うなんて、もう!
落ち着け乙女、こんな動揺した姿を姫やレオには見せられないぞ。
平常心、平常心・・・
「あ、ホントだ。久しぶり、乙女さん」「ご無沙汰、乙女センパイ♪」
仲良さそうに腕を組んで現れた二人に
何とか笑顔を作ってみせる。
「うん、二人とも元気そうで何よりだな」
485剣の誓い・5:2005/10/01(土) 02:44:41 ID:hHY0g71w0
笑顔を作ってはみたものの・・・
正直、つらい。
「よっぴー、二人で何話してたの?」
ドキ。ちら、と佐藤に視線を送る。
「え?ん〜・・・ナ・イ・ショ」
「あぁ〜、私のよっぴーが隠し事を〜?」
「後で二人きりのときに話すよ、エリー」
「え、それ俺が邪魔ってこと?」
「ハッキリ言っちゃうと、そうかな?」
楽しそうに。まるで昔の学生時代そのままに、笑い合う三人。
佐藤は・・・本当に二人が好きなんだな。
この二人のそばにいられるわけが、なんとなくわかった気がする。
微笑ましく、そしてちょっぴり羨ましく3人を見ていたとき。
この場にそぐわない気配を感じた。
・・・殺気!
それはほんの一瞬の、ほんのわずかな気だったが
氷の刃のように、冷たく鋭かった。
気配を感じた方向を見る。
うごめく人の波。ありふれた人々。
だがその中に一人、人の波を巧みにすり抜けるようにして
確実にこちらに向かってくる男がいた。
間違いない。この男、プロだ。
狙いはおそらく・・・姫。
その手元に鈍くきらめく光沢を確認したとき
私の中でスイッチが入る。
それとほぼ同時に・・・レオがビクンと身震いして振り返った。
気づいた!?なぜ!?
スイッチの入った私の感覚の中、ゆっくりと動く事象。
レオが両手を広げる。姫の前に立つ。男が気づく。足を早める。
私も間合いを詰める。が・・・間に合わない!
レオが刺される!
そう思った瞬間、自然と体が動いていた。
486剣の誓い・6:2005/10/01(土) 02:48:43 ID:hHY0g71w0
「ぃぃいいやああああああぁぁっっ!!」
男までの距離、ほぼ5メートル。
それをコンマ1秒もかけず一瞬で詰める。
グシャ!振り下ろした左の手刀が男の前腕部を粉砕する。
叩き落とされて地面に突き刺さるナイフ。
男は唖然としている。
無理もない。
おそらく、その感覚では私は目の前に忽然と現れたのだろう。
それほどの、自分でも二度とできそうもないほどの・・・
まさに神速の動きだった。
間髪を入れず右の掌底を男の顎に見舞う。
軽く男の体は宙に舞い、そしてドサリと地にくずおれた。
「く・・・鉄のものが護衛とは・・・聞いていなかった・・・」
男が呻く。
「護衛ではない。たまたま、友人として居合わせただけだ。
 それより・・・なぜ殺気を放った?」
あそこで殺気を感じなければ、おそらく間に合わなかっただろう。
だが、プロの暗殺者は機械のように感情を持たず
気配を感じさせないまま相手を仕留めるもの。
この男はなぜ一瞬だけ、殺気を漏らすような真似をしたのか。
「ふ・・・個人的にキリヤに・・・恨みも、あったからな・・・
 受けた理由が・・・しくじる理由に・・・」
ガクリ、と男の頭が落ちる。
なるほど、な。
相変わらず、姫も敵の多いことだ。
レオは・・・まだ両手を広げたまま
ポカンとした顔で立っていた。
姫は冷たい目で刺客を見下ろしている。
佐藤は何が起きたのかもわからないようだった。
「え?え?な、なに?なにがどうなったの?」
「・・・警察を呼ばねばならないな。
 やれやれ、とんだ竜鳴祭になってしまった」
487剣の誓い・7:2005/10/01(土) 02:52:53 ID:hHY0g71w0
「しかし・・・レオはよく刺客に気づいたな?」
「え?・・・うーん、気づいたっていうか・・・
 なんかイヤな予感がビビッと来て
 気がついたら手を広げて飛び出してた」
無意識のうちに、か。たいした献身ぶりだ。
「こういうこと、初めてじゃないんですよね。
 まあ、今まで無事でいられるのは
 やっぱり私が強い運勢に生まれたってことなのかしら?」
「だが、今回は危なかったな。
 私がいなければ・・・少なくとも、レオはやられていた」
二人が顔を見合わせる。
「それは・・・お互い覚悟の上、だから」
レオがこともなげにそう笑う。
そこまで覚悟を決めていたか・・・
レオは、立派になった。
改めて・・・惚れなおしてしまうほどに。
そして私も覚悟を決める。
「ずいぶん立派な盾を手に入れたな、姫」
「ええ、おかげさまで」
「だが、盾だけでは困るだろう。
 姫、剣は欲しくないか?」
「は?」
レオが盾になって姫を守るなら・・・
私は剣になろう。
盾で受け止めさせたりなどしない。
立ちふさがるもの全て、切り開いてやる・・・!
「いずれまた、こちらから連絡しよう。
 じゃ、ちょっと事情聴取受けて来るので失礼するぞ」
また姫と佐藤と、そしてレオと。
一緒に生きる日々がやってくる。
その時にはきっと佐藤のように
私も笑っていられるはずだ・・・
488Seena ◆Rion/soCys :2005/10/01(土) 02:54:58 ID:hHY0g71w0
姫エピローグの少し前、ってところになりますね。
イメージ的には剣は「つるぎ」と呼んでもらう方がいいかな、とか。
489名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 02:58:43 ID:ZBAtEGNl0
>>488
GJ!
> 姫、剣は欲しくないか?

なんかニヤリと笑ってる乙女さんが思い浮かぶぜ!カコイイ!!!
490名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 02:58:53 ID:MRSGZ+po0
>>488
あまり長い感想を書くのは苦手なのでこの一言を言おう


GJ!と
491名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 03:14:02 ID:y7yA+oRH0
>>488
うーむ、さすがだ・・・5とか急展開でちょっと驚いたけど
起承転結がしっかりしてるっていうか、あれだ

とにかくGJ!(w
492名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 03:53:30 ID:axJ8+n310
おいらの脳内ではすべてアニメーションになりました。
493名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 03:55:37 ID:qDAJalt00
>>488
GJ!
この男前な乙女さんはもらっていきますね
494名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 04:21:24 ID:Vg2e6b4g0
>>488
GJ!乙女さんつよいよ乙女さん

>>493
ちょっと署までこい
495名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 05:37:12 ID:P5zio8l/0
いや、俺が慰めてあげようと思う。てか乙女さんが可哀想だぞ、レオぉ!
496名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 06:04:36 ID:vWv+J1mE0
用紙、それじゃカニは俺がもらっておきますね
497名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 07:29:35 ID:R0ST2xzk0
GJじゃない、GJじゃないもんね・・・・でもGJ
498名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 08:54:44 ID:+2yOpdaf0
>>488
こんな乙女さんなんか乙女さんなんか羨ましくないもんね

GJ
499名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 10:29:13 ID:uld4zObu0
>>488
GJ!
Seenaさんも毎回すごいですね
毎回こんな面白いSSを書けるなんて
わかりやすいっていうか…
なんか光景が頭の中ですぐに浮かんでくる感じが
素晴らしいと思います
今後も期待して読ませてもらいます
頑張ってください!
500名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 10:38:22 ID:q+93a8RA0
いいか、世の中には平等なことが二つある……。
死と、GJだ!!
501名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 13:01:43 ID:v+6dtcEMO
ここはファンタジスタが住まうスレですね
502SSD:2005/10/01(土) 13:02:38 ID:LZ0+XD3m0
三連作を今日、時間を置きながら投下します。
ちなみに、久しぶりに全作リンクさせました。
二本は完全姉しよSS、一本はクロスオーバーです。
長いですが、お付き合いいただければ光栄です。
503ひとりでおるすばん 1/13:2005/10/01(土) 13:05:54 ID:LZ0+XD3m0
 「ぬぅぅ・・・。このアタシがゲームとは言え、
『柿鉄』で借金を背負うとはね・・・。」
 「何ぶつくさ言ってるの?姉貴の番だよ。」
 俺たちは今、海お姉ちゃんが昼間買って来た『柿太郎電鉄』で遊んでいる。
 海お姉ちゃんがダントツでトップ、俺は海お姉ちゃんの支援で2位、
姉貴は運が悪いのか、最下位でしかも借金を背負っている。
 夕飯を食べ終わった後に三人で始めたが熱中してしまい、
気が付くともう夜中の十二時を過ぎている。
 勿論他のみんなはもう寝てしまっている。
 「うるさいわね、分かってるわよ!黙れこのイカゲソ!」
 姉貴がコントローラーのボタンを割れんばかりの迫力で押す。
 テレビ画面の上のルーレットが回り、3で止まった。
 「3マスね・・・いち、に、さんっと!ほら、プラスのマスよ!フフン!
しかも季節は夏だから、借金が帳消しになるぐらい稼げたわ!」
 「じゃあ〜、次は私の番だね〜。私はコレを使うよ!
スキャンダルカード〜!」
 画面に姉貴に対しての死の宣告が映し出される。
 『おやおや、タカネ社長にスキャンダルが持ち上がりました!
これで評判の悪くなったタカネ社長の会社は128億円の損害!
悪いことは出来ませんね・・・。』
 「何でアタシにそんなもの使うのよ!
せっかく借金地獄から抜け出したのに、また借金背負っちゃったじゃないのよ!」
 「普段の行いが悪いんだよ〜(・ε・)」
 「ほら、姉貴もさ、もう皆寝てるんだから静かにしないと。」
 「それもそうね・・・ぬぅぅ、イカ!まずはアンタから引き摺り下ろしてやるわ。」
 姉貴の刺すような視線が怖いが、お姉ちゃんがいるので今は安心だ。
 さてと、俺の番だな。
 と、そこへ居間の障子戸がスッと開いた。
504ひとりでおるすばん 2/13:2005/10/01(土) 13:09:09 ID:LZ0+XD3m0
 「あは、まだ皆起きてたんだな。」
 「ともねえ!ごめん、起こしちゃった?」
 「ほら〜、高嶺お姉ちゃんが五月蝿くするから、巴お姉ちゃん起こしちゃったじゃない。」
 「何でアタシのせいなのよ!」
 「姉貴が大声出すから。」
 「高嶺お姉ちゃんのせいだよ〜。」
 「ぬうぅぅぅ・・・。」
 「あは、良いんだよ。私、自分でふと目が覚めただけだから。
そしたら、居間から楽しそうな声が聞こえたから・・・。」
と言いつつ、ともねえの目線は俺たちの顔と、
余ったもう一つのコントローラーとを行き来している。
 「・・・ともねえもやる?」
 「えっ、でも、と、途中参加なんかできるのか?」
 「出来ないわよ。でも巴姉さんがどぉーしても一緒にやりたいって言うなら、
一度ゲームをリセットしないとダメね。」
 「なんか姉貴、ゲームをリセットしようと必死じゃない?」
 「必死だよね〜。」
 「必死じゃないわよ!・・・で、どうするのよ?」
 「私はいいよ〜。リセットしてもすぐに同じ状態に持っていけるし〜。」
 「そうだね。じゃあ、ともねえ、一緒にやろう。」
 それを聞いたともねえの顔が、ぱあっと明るくなり
 「い、いいのか!?ありがとう。」
と、とても嬉しそうだった。
 ・・・
 
 結局そのゲームは海お姉ちゃんトップ、俺2位、姉貴3位にともねえが最下位という結果になった。
 ともねえは
 「あぅ・・・最下位。難しいんだな。」
と残念そうな顔をしながら、明日も早いからと早々に部屋に戻ってしまった。
505ひとりでおるすばん 3/13:2005/10/01(土) 13:12:29 ID:LZ0+XD3m0
 「なんとか最下位は脱出したけど、釈然としないわね。」
 「姉貴が弱いだけでしょ?」
 「しかも巴お姉ちゃんの足引っ張ってまで勝とうという姿勢が
見苦しかったよね〜。」
 「海に助けてもらってる分際で、イカにとやかく言われる筋合いはないわよ!
・・・それにしても巴姉さん、相変わらず寂しがり屋って言うか・・・。」
 「そうだね〜。居間で巴お姉ちゃん以外が騒いでると、絶対来るもんね〜。
今だって、こんな夜中なのにわざわざゲームやりに来たもんね。」
 「って言う事はさ、ともねえって、一人で留守番してる時とか、どうなっちゃうんだろう?」
 「「・・・」」
 「確かに、それは気になるわね・・・。寂しくて泣いちゃったりして。
でもこの家は人数多いし、家の中で一人になることなんてめったにないわよ。」
 「よし!お姉ちゃん、決めたよ!」
 「えっ?」
 「お姉ちゃんが空也に、巴お姉ちゃんが誰もいない時どうなるのか、見せてあげる〜。」
 突然の海お姉ちゃんの決意表明に俺も姉貴もポカンとしたが、今日はもう遅いので、
とりあえず詳しい話は後日聞くことにした。
 ・・・

 翌日の昼間、俺と姉貴は海お姉ちゃんの部屋に集まっていた。 
 「で、具体的にはどうするの?」
 「巴お姉ちゃんを一日お留守番させて、それを観察するよ〜。
私たちはお隣の犬神さんちの部屋から、メカタカネMK−Uで映像を受信するんだよ。」
 「でも、そのためには他の姉さん達にも家をあけてもらわないと。」
 「ねぇねぇは協力してくれそうだし、姉様もみんとあいすで何とか協力してくれるかもしれない。
でも、雛乃姉さんは訳を言っても簡単には協力してくれなさそうだよ。」
 「そこで高嶺お姉ちゃんの協力がいるんだよ〜。」
 「???」
 ・・・
506ひとりでおるすばん 4/13:2005/10/01(土) 13:16:22 ID:LZ0+XD3m0
 打ち合わせの後、ねぇねぇに計画を話すと
 「それ面白そうだねー。いつやるの?」
とノリノリだったので、決行日時を告げると、
 「あー、私、その日は友達と遊びに行くから、ダメだわ。
しっかり何が起こるか記録しておいてよね!」
 姉様にも協力要請する。
 勿論、仕事のある姉様には、実行日に家に帰るのを遅くしてもらうように頼むだけ。
 「嫌よ。私は帰りたい時に帰るわ。そんな下らないことの為に・・・。
あなたもヒマなのね。空也。」
と言うので、ここでミントアイスを差し出す。
 「みんとあいす・・・私がこんなものにっ、つられると思うのかしら?」
 ここでさらにもう二つ、ミントアイスを無言でお姉様に渡す。
 「・・・そういえば、たまたまその日は、遅くまで事務所に居なきゃいけないんだったわ。」
 姉様は三つのミントアイスで協力に応じてくれた。
 ・・・
 
 「イカ、首尾はどうだったの?」
 「うん、ねぇねぇはその日は朝から居ないって。
姉様もミントアイス三つ渡したら協力してくれるって言った。」
 「さすがくーや!後は雛乃お姉ちゃんだけだね!」
 「で、アタシの出番なんでしょ?」
 ・・・

 「で、なぜ我がそのような実験に協力せねばいかんのだ?」
 いぶかしげな顔で俺たちを見つめる雛乃姉さん。
 そんな姉さんの前に正座する俺たち三人。
 「それがね、雛姉さん。今度のアタシの大学でのレポートのテーマが、
『長時間の孤独状態における人間の心理と行動について』なの。
で、身近で一番良い実験対象が、巴姉さんってワケ。」
 「私もね、高嶺お姉ちゃんから聞いた時は、
高嶺お姉ちゃんの血も涙もない選択に、巴お姉ちゃんが可哀相って反対したんだ〜。
でも、高嶺お姉ちゃんの更なる飛躍の為に、私も涙を飲んで協力することにしたの。」
507ひとりでおるすばん 5/13:2005/10/01(土) 13:20:23 ID:LZ0+XD3m0
 「(海!こんのぉ〜!自分だけいい子ぶりやがって!)
と、兎に角、雛姉さんの許可が降りなかったら、この実験はしないことにしたの。
なんていったって、雛姉さんはアタシたちのまとめ役だもの。
意見を仰ぐべきだとすぐに思ったわ。」
 姉貴の最後の一押しに、雛乃姉さんの眉毛がぴくっと跳ね上がる。
 「ふむ、まぁ、アレだな。
巴はちと可哀相であるが、妹の勉学のためとあるならば、許してくれるだろう。
それにお前達、我の許可をもらいに来たのはなんとも殊勝な心がけであるぞ。
思いっきりその実験とやらをやるがいい!」
 「「やった!」」
 ・・・

 決行当日。
 朝食の時点で、皆が個々の用事で今日は遅くまで帰らないから、
夕飯はいらないとともねえに伝えた。
 「って言うことは、私、今日家に一人かな?
あぅ・・・寂しいなぁ・・・。
歩笑ちゃんのところに、遊びに行こうかな。」
 だが、ねーたんにもすでに部屋を本部として使わせてくれという協力要請はしてある。
 ちなみにねーたんには「ともねえが一人であぅあぅ言う可愛い姿が見れるよ」と言ったら、
「是非とも」と快く即答してくれた。
 「ねーたんは明日が締め切りで、にっちもさっちもいかないって。」
 「あぅ・・・そうなんだ。」
と、朝からともねえのテンションはダダ下がりだ。
 
 朝食後すぐにお姉様とねぇねぇは出かけ、昼前に雛乃姉さんがバイトへ。
午後に入ってまず海お姉ちゃんが犬神家へ機材のセッティングに出て行き、
時間を置いて姉貴、俺という順番で家を出た。
 この時点で、家に残っているのはともねえだけということになる。
508ひとりでおるすばん 6/13:2005/10/01(土) 13:23:54 ID:LZ0+XD3m0
 ねーたんから貰った犬神家の合鍵で中へ。
 ねーたんの部屋に行くと、海お姉ちゃんがすでに機材をセットし終わっていた。
 お姉ちゃんの機材を横で観察していたねーたんは、俺の姿を見るなり表情を明るくする。
 「くーくん、おかえり。」
 「ただいま、ねーたん。」
 「やっと来たわね、イカ。
それにしても本格的な機材ね。海はこう言うのに関しては器用なんだから。」
 「えへへ〜。結構高かったんだよ、これ。」
 言いながら、海お姉ちゃんがトランクから木目柄の茶筒を取り出す。
 「やだっ!何これ気持ち悪い。」
 「高嶺お姉ちゃん、自分の分身を気持ち悪いって言っちゃダメだよ〜。」
 海お姉ちゃんが茶筒をカチッとやると、手足が生えて、ツインテールも生えてきた。
 「メカタカネMK−U、木目迷彩バージョン!
前バージョンのメカタカネより、性能UP!
オイル漏れもしなくなったし、複雑な動きも出来るよ〜。」
 「確かにこれなら、純和風のウチの中でなら、見つかってもばれにくいかもね。」
 「手足は分かるけど、ツインテールはいらないでしょうがっ!」
 「本物の高嶺さんは、もっと可愛いよ。・・・くすり。」
 「ぬぅぅぅ・・・。褒められてるのか貶されてるのか、微妙だわ。」
 「ともあれ、メカタカネ、発進!」
 「ヤキソバ、ヤキソバ」
 奇妙な声を発し、トコトコと部屋を出て行くメカタカネ。
 ・・・

 間もなくすると、柊家でともねえを見つけたメカタカネから、
設置されたモニターに映像が届けられる。
 「どうやら巴お姉ちゃんは、庭に居るみたいだね〜。」
 洗濯物を取り込んでいるともねえの、後姿が映し出される。
 ピンと張ったジーンズ越しのともねえの足とお尻が、妙にセクシーだ。
 「洗濯物を取り込んでる巴さんの後姿・・・ハァハァ。」
 「・・・ねーたん?」
509ひとりでおるすばん 7/13:2005/10/01(土) 13:27:06 ID:LZ0+XD3m0
 洗濯物を取り込み終わったらしいともねえは、ガーデニングセット一式を持って
庭の隅の花壇の前にしゃがみこんだ。
 「何だか、いつもやってる様な事しかやらないわね。」
 「ツインテールは気が短いなぁ。釣りは忍耐だよ〜。」
 「しっ、ほら、ともねえが何か言ってるよ。海お姉ちゃん、ボリューム。」
 海お姉ちゃんがボリュームを上げると、スピーカーからともねえの声が響く。
 『マルシア。きょ、今日も元気かな?
いつまでも元気で、また綺麗なお花、見せてね。』
 「・・・ともねえって、ガーデニングの時は花に話しかけるの?」
 「アタシは巴姉さんが花に話しかけてるのを見たことあるけど、
巴姉さん、私が見てるのに気が付くと、急に黙っちゃって。」
 「でもまさか、花にまで名前が付いてて、
しかも話しかけてるとはね〜。重症メモメモ〆(._.)と。」
 急にともねえが肩を震わせうつむきながら、何かを始めた。
 「巴さん、泣いてる。何で泣いてるんだろう?」
 何でだろう?と思った瞬間、一つの推理が頭の中をかすめた。
 そういえばともねえ、誰もいないと思って指輪関係の証拠を出してはしまわないだろうか?
 と言うか今泣いているのも、自分のジガとしての運命を思い出し悲しんで泣いているのかも。
 ともねえが何かキーワードを言ってしまうのではないか!?
 ヤバイ、今すぐ計画を中止しなくては!
 「あ、あのさ、もうなんかともねえ一人にしておくの、可哀相だからやめない?」
 「ハァ!?何言ってんのイカ?巴姉さんは寂しくて泣いているわけじゃないわよ。
よく見なさい。」
 スピーカーから嗚咽交じりの声が聞こえる。
 『ひっく、うぐぅ・・・ご、ごめんねぇ・・・。』
 よく見ると、ともねえは泣きながら雑草を抜いている。
 「巴さん・・・優しすぎる。」
 ・・・心配して損した。
 ともねえは抜いた雑草に手を合わせ線香を上げた後、家の中に入っていった。
510ひとりでおるすばん 8/13:2005/10/01(土) 13:30:16 ID:LZ0+XD3m0
 その後ともねえは自室で人形相手に遊んでいた。
 俺達見てる側からすればともねえの声しか聞こえないのに、
人形との会話が成立してるっぽい不思議空間に改めて度肝を抜かれた。
 ともねえからすればそれは普通のことなんだろう。
 心配していた指輪関連の発言もなく、無事に計画は進行していった。

 少しすると、ともねえはおもむろに立ち上がり、バイクに乗って柊家を出て行った。
 「買い物じゃないの〜?巴お姉ちゃん、マメだからね〜。」
 「巴姉さんが帰ってくるまで、休憩しましょ。」
 姉貴の提案に、おもむろにダラダラする俺と海お姉ちゃん。
 そこにねーたんが冷たい麦茶を持ってきてくれた。
 
 一時間半後
 日はとっぷりと暮れたが、ともねえはまだ帰って来ていない。
 「なんかさ、ともねえ、遅くない?」
 クロウが出たのかもしれないと不安になったが、それなら俺にも信号が聞こえるはずだ。
 「もしかして、巴さんにばれたのかも。」
 「まさか〜。それはないよ。巴お姉ちゃん、ヌけてるもん。」
 「どこかでこの計画のことを聞きつけたともねえが、部屋に乗り込んできたりして。」
 「そんなわけないじゃない。」
 その時コンコン、とドアがノックされる。
 部屋に一瞬、緊張が走り抜ける。
 「・・・今日、姉さんは仕事で居ないはずなんだけど。」
 「まさか、本当にともねえが!?」
 「ちょっ、ぽ、歩笑、開けなさいよ!」
 ねーたんがゴクリと喉を鳴らし、ドアノブに手をかける。
 ガチャ・・・
 ドアの外には、ともねえの姿が!
 「とっ、ともねえ!」
 「みんな、ひ、ひどいよ・・・。私を笑いものにして・・・。」
 「とっ、とっ、巴姉さん、これはね、ち、違うのよ!」
 「ぐすっ、う、うぇぇぇぇん!」
511ひとりでおるすばん 9/13:2005/10/01(土) 13:33:21 ID:LZ0+XD3m0
 「・・・姉さん、くーくんや高嶺さんを騙せても、私には分かるよ。」
 ねーたんが落ち着き払った声で言うと、ともねえの頭に手をかけて、
ビッと下に引っ張った。
 仮面がはがれて、
 「あん☆ばれちゃったわね。さすが歩笑ちゃん。」
 「なんだぁ、ねぇやか。・・・あせったぁ。」
 「ちょっと、本気でびっくりしたじゃないのよ!」
 「ちょっと空也ちゃん、なんだって何よ。二人ともつれないのね。」
 「姉さん、仕事は?」
 「昨日歩笑ちゃんから聞いた話が面白そうだったから、
打ち上げ出ないで帰ってきちゃった。
 それにしても若い男女が集まって、カーテン締め切った部屋で
熱気ムンムンなんて、いやらしいわね。」
 「そういう発想をするねぇやが一番いやらしいと思う。」
 一部始終を傍観していた海お姉ちゃんが、急に声を上げた。
 「メカタカネから入電、帰ってきたみたいだよ。
メカタカネを玄関に移動させるね。」
 早速メカタカネから玄関の映像が届けられる。
 ガラガラと音を立てて玄関から入って来るともねえ。
 『ただいまー!・・・・・・・・・あぅ、まだ誰もいないのか。』
 ショボーンとうなだれるともねえ。
 「あのさ、今日ともねえ、なんか荷物多くない?」
 「そうなの?いつもあんなもんじゃない?」
 「姉貴は買い物行った事ないから分からないだろうけど、ちょっとだけいつもより多いな。」
 「なんだろね〜。あの手提げの紙袋なんか怪しいね〜。
とりあえず、このまま巴お姉ちゃんを尾行るよ。」
 部屋に荷物を置いてから台所に向かうともねえに、メカタカネが着いて行く。
 ・・・
512ひとりでおるすばん 10/13:2005/10/01(土) 13:36:37 ID:LZ0+XD3m0
 ともねえは普段通りに料理をはじめ、料理を何品か完成させた。
 お盆に出来た大量の料理の皿を乗せて、居間に持っていこうとするともねえ。
 「巴さん、あれ全部一人で食べるのかな?」
 「巴ちゃんも、結構な大食いなのね。」
 「いや、ともねえは結構量食べるけど、あんなには・・・」
 「巴お姉ちゃん、一人だって事忘れてるんじゃない?」
 『あっ!そういえば今日は私一人だったんだ・・・。』
 画面の向こうで気が付いて、またしょぼくれるともねえ。
 それでもとりあえず出来た料理を居間へ運ぶようだ。
 居間のテーブル一面に料理を並べていき、その前にちょこんと座るともねえ。
 『あぅ・・・やっぱり寂しいなぁ・・・。』
 寂しいせいか、箸の進み方が少し遅い。
 『そうだ!みんなと一緒に食べよう!』
 「・・・なんか今、ともねえ問題発言しなかった?みんなって・・・?」
 「まぁ、大体予想は付くけどね。」
 一旦居間に待機しているメカタカネの視界から消えたともねえが、
ぬいぐるみをいくつか抱えて戻ってきた。
 そのままぬいぐるみを、テーブルの脇に配置し始めた。
 『あは。みんな、今日はとっ、特別だからな。』
 そう言って、配置されたぬいぐるみを一瞥して
 『いただきます。』
とさっきより速いペースで食べ始めた。
 「やっぱり・・・。巴姉さんの考えそうなことだわ。」
 「でも、巴ちゃん以外はみんなお人形さんでしょ?食べられないじゃないの。」
 「姉さん。巴さんは心の中でみんなと食事している。
そこを突っ込んだらダメ。」
 「ふーん、私にはよく分からないわね☆」
 「分からないほうが正常なんだよ〜(・ε・)」
 ・・・
513ひとりでおるすばん 11/13:2005/10/01(土) 13:40:47 ID:LZ0+XD3m0
 食事を終え、片づけを済ませたともねえは、居間で一人頬杖を付いていた。
 「巴姉さんって、いつもこのぐらいの時間は部屋にいるわよね?」
 「巴さん、寂しくて、誰か帰ってくるのを待ってるんだと思う。可哀相。」
 すくっと立ち上がり、部屋を出て行くともねえ。
 「メカタカネを追跡にむかわせるよ〜。」
 どうやら、ともねえは部屋にこもってしまったらしい。
 メカタカネがばれないように慎重に部屋に侵入する。
 ともねえは買い物から帰ってきた時に持っていた、大きな手提げ紙袋を開けていた。
 「そういえばあの紙袋は荷物と一緒に部屋においてきてたね。
何が入ってるんだろう?」
 ガサゴソと音を立てる紙袋から出てきたのは・・・
 「えっ、ゴスロリの服?」
 「アレはゴスロリね。」
 「ゴスロリだね〜。」
 「ゴスロリね♪」
 「巴さん・・・。」
 ねーたんは顔を赤らめて嬉しそうにしている。
 「多分、これを選んでたから今日は買い物遅かったんじゃないかしら?」
 ねーたんちっくなゴスロリの服を持って、
ともねえはいそいそと部屋の大鏡の前で着替え始めた。
 ともねえの下着姿を見れるのは嬉しいが、
 「巴姉さん・・・(ハァハァ」
 「巴さん・・・(ゴクリ」
姉貴とねーたんが喉を鳴らして画面を凝視していた姿が恐ろしかった。
 着替えを追え、すっかりゴスロリファッションに身を包んだともねえが、
大鏡の前でくるっと一回転して、最後に笑顔を決める。
 回転した際に短めのスカートの裾がふわりと上がったのが、なんともいえない。
 『あは、この服、やっぱり可愛いな。』
 「確かに可愛いけどね。巴姉さんには似合わないわね。」
 「ちょっとやっちゃった感があるよね〜。」
 「私は似合ってると思う。」
 「巴ちゃんって、ああいう服が趣味なの?私の衣装から貸してあげるのに。」
514ひとりでおるすばん 12/13:2005/10/01(土) 13:44:14 ID:LZ0+XD3m0
 俺の正直な感想は、可哀相だけど似合わないと思った。
 ともねえ、かっこいい服のほうが似合うんだけどなぁ・・・
と、そこへスピーカーから
 『(ガラガラガラ)たっだいまー!』
 「ん?この声は、瀬芦里お姉ちゃんだね〜?」
 「ったくあの馬鹿!いいところで!
まだ予定より一時間早いじゃないの!」
 「おっ、俺はちゃんと十一時過ぎまで帰ってこないでって伝えたよぅ。」
 画面の中でねぇねぇをこのまま迎えに出るか、ちゃんと着替えてから迎えに出るか
おろおろと迷うともねえ。
 一瞬後に、おろおろするのを止め、そのままの格好で玄関に向かう。
 「メカタカネ、もう見つかってもいいから追跡〜!」 
 玄関で靴紐を解いているねぇねぇを、ゴスロリともねえが向かい入れる。
 『お帰り、瀬芦里姉さん。あの・・・こっ、この服、どうかな?』
 『モエ、ただい・・・って何その格好!アハハハハハ!』
 『あぅ・・・やっぱり笑われた。』
 ともねえはしょんぼりしながら部屋に戻っていった。
 『モエはかっこいいんだから、ビシッとした格好すればいいのにな〜。
・・・あれ、何でこんなところにメカタカネ?
あっ!そういえば・・・ごめんね!うみゃ、クーヤ、タカ。』
 画面越しにねぇねぇが謝ってる。
 「ったく、ドラ猫のせいでもう今日は終わりね。」
 「まぁ、でもともねえがもうそろそろ可哀相になってきたから、ちょうどいいかも。」
 「私は満足したよ〜。面白いものたくさん見れたしね〜。」 
 「うん、じゃあくーくん、巴さんに、寂しかったらいつでも遊びに来てって伝えて。」
 「じゃあ、私明日ヒマだからお世話になるわね、歩笑ちゃん。」
 「姉さんはダメ。」
 「あん、冷たいのね。」
 ・・・
515ひとりでおるすばん 13/13:2005/10/01(土) 13:48:07 ID:LZ0+XD3m0
 「「ただいまー!」」
 三人で玄関をくぐると、普段の格好に戻ったともねえが、嬉しそうに駆けて来る。
 「あは、お帰り。三人とも一緒だったのか?」
 「う、うん、たまたまそこであってね。」
 「みんな、遅くまで大変なんだな。」
 「ところでさ、ともねえ。まだ今晩は何も食べてないんだ。なんか食べるものある?」
 実は俺たち三人は、ともねえが作りすぎてあまった料理を見て
流石に可哀相に思い、ねーたんが作ってくれると言った夕飯を食べないで来たのだ。
 「う、うん!たまたま、私夕飯作りすぎちゃって。あ、あまりものでよければ。
今、瀬芦里姉さんも食べてるよ。」
 ぱあっと表情が明るくなるともねえ。
 本当に嬉しそうだ。よほど寂しかったんだろうな。

 居間ではねぇねぇが先に食べ始めていた。
 ごめんと、ともねえにばれないようにジェスチャーでねぇねぇが謝る。
 追加分のあまりものをともねえが運んでくると同時に、玄関から
 「「ただいま。」」
と雛乃姉さんと姉様の声が聞こえた。

 結局二人もたいしたものは食べてないらしく、皆で遅めの夕食。
 ねぇねぇが姉貴の分の料理を横取りして、それに抗議する姉貴。
 いつものようにお気に入りのものだけを食べる姉様に、それを怒る雛乃姉さん。
 料理を食べやすいように、俺の口元まで運んでくれる海お姉ちゃん。
 すでに食べてしまったともねえは、それをただニコニコしながら見つめている。
 「どうしたのともねえ?なんか嬉しいことでもあったの?」
 「うん、家族がそろっての食事って、や、やっぱりいいな、って思って。」
 笑顔で言ったともねえの目じりに、うっすらと涙が浮かんでいた。
 ともねえの困ってる顔も可愛いけど、やっぱり笑顔が一番だな。
 ごめんねともねえ、と心の中でつぶやく。
 「そうそう、そういえば私が帰って来た時、モエはね〜」
 「あぅ!それは言わないで!瀬芦里姉さん!」
 と慌てながらも、ともねえはどこか楽しそうだった。
516SSD:2005/10/01(土) 13:51:11 ID:LZ0+XD3m0
まずは一本目、リンクのベースとなる「ひとりでおるすばん」をドゾ。
ともねえが寂しがり屋だと言うので、妄想してみました。
実際のところ、どうなるんでしょうかね?

次の「頼りになる存在」は、(やめろと言う意見がなければ)夕方あたりに投下します。
517名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 13:53:24 ID:VEadowc+0
とりあえずゴスロリともねえの立ち絵を作るようにきゃんでぃに直談判してきますね
518名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 14:00:17 ID:hRfyLPZk0
GJ!!
ともねぇイイ!!
やばすぎるよ・・・
夕方まで期待させていただきます。
がんばってください
519名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 14:45:46 ID:uld4zObu0
>>516
GJ!
うん
やっぱりともねぇいいなぁ
後の二本も期待して待ってます
520SSD:2005/10/01(土) 18:01:50 ID:LZ0+XD3m0
それでは二本目、行きます。
こっちも完全姉しよSSです
521頼りになる存在 1/4:2005/10/01(土) 18:05:50 ID:LZ0+XD3m0
 時刻はすでに午後九時を回っている。
 仕事はすでに終わったのだけれど、
今日は空也に十一時過ぎまで家に帰らないという約束をしてしまったので、
事務所で時間つぶしにみんとあいすをほおばる。
 なんでも巴を家に一人にしてそれを観察するから帰って来るなと言うのだ。
 約束の時間まであと三時間。
 いるかは今田舎から弟が来ているらしく
 「ごめんなさいお姉様。いつもなら摩周さんが帰った後に二人っきり・・・
だったんですが、今日は健太が来ているもので、お先に失礼します。
健太ー!お姉ちゃん、今帰るからねー!」
と言って帰ってしまったし、
摩周君は裁判に必要な資料集めの為に、今朝から山梨くんだりまで出張している。
 それにしても思ったよりヒマね。
 好物とはいえ、みんとあいすに釣られた自分が憎い。
 これは空也からもっと何か搾り取らないと、気がすまないわ。
 とぅるるるるるるるるるる!
 電話が鳴る。
 液晶画面に出ているのは「公衆電話」の文字。
 「はい・・・?」
 『かなめか?我だ。雛乃だ。』
 「ああ、姉さん。どうしたんですか?姉さんも空也たちの実験に?」
 『いや、我は今ばいとが終わったのだがな、
その実験のために帰れなくて、少々時間をもてあましているのだ。
どうだ?久しぶりに二人で、どこかで時間をつぶさぬか?』
 「そうですね・・・。じゃあ私、今から姉さんのところに向かいます。
神社ですよね?」
 『うむ!待っているぞ。』
 早速事務所を閉めて、車に乗り込む。
 姉さんのバイト先の神社まで、そう時間はかからない。
 ・・・
522頼りになる存在 2/4:2005/10/01(土) 18:09:24 ID:LZ0+XD3m0
 神社に着くと、ヘッドライトの中に姉さんが見えた。
 姉さんは自分で車に乗り込み、ちょこんと私の隣に座った。
 かわいらしいと思うけど、そんなことを言っては姉さんは機嫌を悪くしてしまう。
 「我から誘っておいてなんなのだが、どこかいい場所を知らぬか?」
 「はい、近所に、みんとあいすのおいしい喫茶店が。」
 「うむ、ならそこへ行こう。」
 ・・・

 この喫茶店はいつも人があまりいない。
 みんなここのオリジナルみんとあいすのおいしさを知らないのだろう。
 席に着くと、ウェイトレスがメニューを持って来て、また奥に引っ込んでいった。
 「姉さん、何か食べますか?」
 「いや、我はここはでは食べぬ。どうせともえは、
一人なのにいつもと同じ量の食事を作って困っているだろうしな。」
 「・・・そうかもしれませんね。では、私はみんとあいすだけにしておきます。」
 「我は・・・ふふふ、このあめりかんこーひーと言うのを試してみよう。」
 ウェイトレスを呼びつけ、みんとあいすとコーヒーを頼む。
 しばらくすると、ウェイトレスが注文した二つを持ってやってきた。
 「お待たせいたしました。はい、お嬢ちゃんはアイスだよね?」
 「ぬぬぬぬ!たわけが!我はあだるとにこーひーを頼んだのだ!
あいすはこやつが頼んだのだ!」
 「えっ!あ、ああ、すみません。」
 「粛清・・・淘汰・・・弾圧・・・重税・・・。」
 フフフ、こうやって怒ってる姉さんも可愛い。
 抱きしめてしまいたくなる。
 気を取り直したのか、姉さんはコーヒーカップを手に取り、一口飲んでいる。
 「むぅ。こーひーと言うのは、お茶とは違った苦がさなのだな。」
 ・・・
523頼りになる存在 3/4:2005/10/01(土) 18:13:09 ID:LZ0+XD3m0
 「それにしても、巴が一人になったところを観察して、何をするのでしょうね?」
 「ん?お前、くうや達から聞いてはおらぬのか?」
 「はい。私はただ、そういうことをするから帰ってこないでくれと頼まれました。」
 「何でも、たかねの学校のれぽーとのために、くうやとうみも協力しているらしいぞ。」
 「へぇ・・・そうなんですか。」
 おそらく姉さんは騙されているのだろうけど、それをあえて口には出さない。
 フフフ、これで空也を脅す材料が出来た。
 「それにしてもほんにあの三人は仲がよいな。」
 「・・・そうですね。」
 「ん?なぜそんな沈んだ表情をするのだ?」
 「いえ、私は別に。」
 「たわけが!他のものはごまかせても、我をごまかすことは出来ぬぞ。
・・・お前は意地っ張りよな。辛くなったら他の妹達のように、
我に身を任せ息抜きをしてもいいのだぞ。
お前が家計を支えてくれているのには感謝しているが、
何よりかなめ、おまえ自身が一番大事なのだからな。」
 さすが姉さんだ。見抜かれている。
 私は妹たちが仲良くしているのを見たり聞いたりすると、なぜか寂しくなることがある。
 何か自分だけが姉さんや妹達と違うことをしていて、
輪には入れていないような不安に駆られる事がある。
 ・・・多分私が勝手に病弱だった姉さんを心配し、
妹達の面倒を見てきたつもりになっているせいもあるのだろう。
 何だかんだ言って、姉さんは私たちのことをよく見てくれてる。
 やはり一番大人なのは姉さんなのかも知れない。
 「・・・はい。本当に辛くなったら、考えます。」
 「うむ!よい返事だな。飴をやろう。」
 「ありがとうございます。」
 姉さんから飴をもらうと、頭を撫でられたみたいで心地が良い。
 「では、ちと早いが行くか?」
 「はい。そうですね。時間まで後三十分ほどですし。」
 「ここは我がおごってやろう。なんと言っても我はお前のお姉さんだからな。」 
 ・・・
524頼りになる存在 4/4:2005/10/01(土) 18:18:27 ID:LZ0+XD3m0
 「「ただいま。」」
 家に着き玄関を開けると、夜も更けているというのに、
居間からにぎやかな声と料理の匂いが漂ってきた。
 巴がトタトタと廊下を走ってくる。
 「お帰り。ね、姉さん達も一緒だったんだね。二人とも、何か夕飯食べた?」
 「いえ、私はみんとあいす、姉さんはコーヒーしか飲んでないわ。」
 「よかった。きょ、今日私家に一人だったんだけど、いつもの人数分作っちゃって。
いま、他の皆も食べ始めたところだよ。」
 「ほれ、かなめ。我の言う通りではないか。
我はお前達のことなら何でもお見通しなのだ。」
 えへん!と胸を張る姉さん。
 そんな姉さんがちょっとだけいつもより大きく見えた。

 食卓は、今日は少し時間が遅いが、いつものように騒がしい。
 私はこの騒がしさが好きだ。
 騒いでる妹達や空也も、私のように姉さんの元で、仲良くやっている。
 みんな、やはり姉さんに心のどこかで、悪い意味ではなく、甘えているのかもしれない。
 だから安心してこの家に帰ってこれる。
 姉さんは頼りになる、だから私も今までがんばることが出来た。
 姉さんの顔をチラッと見る。
 姉さん、私はまだまだ姉さんに及びません。
 もう少し、頼りにしてもいいですか?
 「これかなめ!刺身ばかり食べてないで野菜も食べよ!」
 「・・・姉さん、厳しいんですね。」
 ・・・やはり、姉さんにはかなわない。
525SSD:2005/10/01(土) 18:22:59 ID:LZ0+XD3m0
リンク二本目です。
要芽姉様はおいらの中では何か物悲しいイメージがあります。
だから姉しよ1の姉様エンディングは救われたような気がして好きです。

次、「似た物同士」はクロスオーバーですが、上の二本ともリンクしてます。
皆さんがおねむの時間のころにまた・・・。
526名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 18:23:31 ID:wi03vtf30
GJ!!
527名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 18:57:21 ID:l1sD0740O
萌えた。この一言に尽きる。
528名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 20:11:36 ID:q30BSOYL0
GJ!!
そろそろ次が欲しい時間ですな
529名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 20:13:58 ID:iDiBlp2H0
GJです。
なんだかんだで幸せな柊家族ですな。
530名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 23:13:34 ID:Z6Q3XNNv0
                    _ _
                  , -x'"´   `,ニ''゙''チ∧∠ ⌒ ヽ 
             , r´    ``  "  、 ゙ヽ.│   ヘ
          ,.‐.⌒∧ケ  ,      l、.、. ヽ   i\._ ,/
       .i  < /  .,i ,i   ,l l .i i゙i  ゙i、  ゙広
       ゙!、 ∠i   .i ,i ,l゙ .,ll .l  ゙l l .i ヽ i   川、
        `‐-,,Ai  ! l ,,/,,/,,.l,,! ,,.-!テ‐‐-ri    ll゙i、      
          .l レl l il.l゙,/,ノ--テ'   i',r'';'j゙''!yl l,, l゙!゙iヽ,
          / ./ |lト '|l lil゙゙;j゙゙llト   、ゝ ノ, i,,l゙゙iタ ゙i、. ゙ヽ
            / ./゙h ヽ...゙l,, ゙ゝ,,,ノ        ̄ ,,リlr'" ゙l ヽ  ゙く
        ,l゙ 《  !  ゙''ヽヽ,,_    !     ",仆  |  K  `i、
        ,l  l゙ l .゙l   `|'!こ   --‐'   ,.r"| |  :|  .i ゙i、   ヽ
       ,i │.│ i    i | ` .、,_  .,,v!'lヘi,| ト  i   l  i, r 、i、
       ,l  i  i  i   ,,i ,! .,,/_,l` ̄  f  l ヒ,,. レヽ j   レ" .゙'ヘ
      ,i  .|   レ、.j _く<'゙'"   ト、 _ ,ゝ l r" ヽ、 
      レ'∨    / ヽ、 ゙i   i  ',r ャ'″ トl.    ゙'ヽ,
            /    ヽ   l ,/     l「 _,,, e ‐'" `┐


531名無しさん@初回限定:2005/10/01(土) 23:28:25 ID:b+N7f+Ch0
>>530
豆花 キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ !!!!!
532SSD:2005/10/02(日) 00:31:58 ID:CFn5xgyc0
それでは最後の一本、「似た者同士」行きます。
さっきはタイトルの変換間違ってました。
クロスオーバーでリンクの一本です。
533似た者同士 1/9:2005/10/02(日) 00:35:19 ID:CFn5xgyc0
 「あら、瀬芦里も今家を出るのかしら?」
 「うん、今日は友達とツーリング行く約束してるから。」
 朝ご飯を食べ終わって玄関に向かうと、要芽姉と鉢合わせた。
 気の会う女友達と、久しぶりのツーリング。
 もともと夜遅くまで帰る気はないが、クーヤ達がモエでなんか実験するから、
遅くまで帰ってくるなと言われている。
 私も今日の約束がなければクーヤ達の実験に付き合ったけど、
久しぶりの友達との約束を蹴るわけには行かない。
 靴の紐を締め愛車にまたがると、要芽姉が車の窓を開けて、
 「瀬芦里、気をつけて行ってらっしゃい、ね。」
と声をかけてくれたので、笑顔で手を振って返す。
 ヘルメットをかぶりアクセルを吹かす。
 ブォオオオオン!ドッドッドッドッド・・・
 ヘヘヘ、アイツに会うの、久しぶりだな・・・。
 ・・・

 待ち合わせ場所に少し遅刻した。
 あれ?でもアイツがいない。
 時間に几帳面なアイツらしくない。
 いつもなら私が遅れてアイツを怒らせるのに。
 おかしーなー。
 携帯の着信履歴には待ち合わせ時間ちょっと前に、
アイツからの着信の記録があった。
 一応かけてみようか。
 とぅるるるるるるる・・・
 「あー!もしもし?うん。瀬芦里ちゃんでーす。
・・・・・・え?なんで?・・・・・・・えー、話が違うじゃん。
・・・・うん、そっか。じゃ、しょうがないかもね。
・・・あいよ。うん、ジャネ。」
 ピッ。
534似た者同士 2/9:2005/10/02(日) 00:39:39 ID:CFn5xgyc0
 昔の仲間たちがだんだん変わってきている。
 今日のアイツも、久しぶりに休みらしい休みが取れたって言ってたから
今日約束したのに、急な仕事が入った、だって。
 アイツ昔はは仲間内では一番控えめで、将来は普通に誰かと結婚して専業主婦、
とか言ってたのに、今じゃ土壇場の根性を買われて、バリバリのきゃりあうーまん。
 ・・・なーんかツマンナイノ。
 このまま家に帰っ・・・ってダメだった。
 私も流石に約束した事をそう簡単に破る気はない。
 だからと言ってクーヤたちに混じってモエを観察・・・っていうのも今の気分じゃない。
 もっとはしゃぎたいな。
 ・・・せっかくだから、このまま一人で流そうか。
 ・・・

 一人で流すのも嫌いじゃないけど、やはり今日はあまり乗り気がしない。
 少し走って、でっかい船のある公園にバイクを止めた。
 そのまま駅までぶらぶらする。
 なんか面白そうな、おいしそうなものないかにゃー。
 ふと目をやると、休日だからか、駅前には昼間なのにストリートミュージシャンが大勢居た。
 一番近いところでギター弾いてる眼鏡の兄ちゃん、クーヤと同い年ぐらいかな。
 下手ではないが、特別上手いってワケでもなさそうだね。
 曲が一段落付いたところで、リクエストをする。
 「あのさー、少年!」
 「うわっ!金髪美女!ゴホン・・・何か御用ですか?」
 「リクエストいいー?」
 「ハイ!それは勿論!あなたのような美女のためなら、俺、何だって弾っちゃいますよ!」
 「じゃあさー、何か激しいの弾って!洋楽のロックとか。」
 「えっ、でっ、でも俺のギター、エレキじゃないし、俺が激しいのはベットの上だけ・・・
なーんちゃって。アハハハハハ。」
 「・・・ツマンナイ。じゃね。」
 「ああ!やっぱり!ちくしょー!ギャルゲーのようには行かないかぁ!
で、でもいつかこうやって努力している俺の姿に惚れた女の子が・・・」
 ・・・
535似た者同士 3/9:2005/10/02(日) 00:43:29 ID:CFn5xgyc0
 ギター少年に見切りをつけて、辺りを見回す。
 もう駅前に面白そうなものはない・・・かな?
 と、ここからあまり離れていない、比較的陰になるベンチ。
 そこにこれまたクーヤと同じぐらいの年の女の子がすわってる。
 長い黒髪が要芽姉のようだ。
 ・・・なんか親近感覚えるな。
 話しかけてみようっと。旅の恥はかき揚げっていうしね。
 「ねーねー、こんな昼真っからこんなところでボーっとして、ヒマなの?」
 「うるさい、つぶs・・・」
 私のことをナンパだと思ったのか、その子は顔を上げながら凄んだが、
私の顔を見た途端言葉が止まった。
 「・・・あなたには関係ありません。帰ってください。」
 「なんか私さー、親近感沸くんだよねー。キミに。」
 「あたしには全く沸きません。それにあたし、そういう趣味はないですから。」
 「んー?そういうシュミ?・・・あー、私もレズじゃないよ。」
 「っ!そういうことを昼まっから大声で言わないでください!・・・キモイ。」
 「私さ、今、ヒマなんだよね。ね、なんかしてあそぼ、ね、ねー?」
 「あたしは今、忙しいんです。」
 「私はヒマなんだー。」
 「・・・」
 「にっひひひー。」
 すくっと彼女が立ち上がり、どこかへ歩いていく。
 おっ、どこに連れて行ってくれるのかな?
 「ちょ、ちょっと、ついて来ないでください。」
 「これもなんかの縁だと思ってさ、ね。」
 彼女は明らかに嫌そうな表情をしたけど、そこで負ける瀬芦里ちゃんではないですよ。
 自慢の笑顔で返す。
 「・・・もう勝手にして下さい。」
 ぷいっとむこうを向いて歩き出した。
 「にゃは♪ありがと。」
 でも本当に彼女に感じるこの妙な親近感は、なんなんだろう?
 ・・・
536似た者同士 4/9:2005/10/02(日) 00:47:09 ID:CFn5xgyc0
 彼女が向かったのは匂いからしてカレー屋さん。
 店内に一歩踏み込むと、元気のいい声が聞こえてきた。
 「いらっしゃいま・・・ってなんだ。ココナッツかよ。」
 「客としてきたんだ。ちゃんと仕事をしろよ。カニ。」
 「へーいへい、じゃこちら・・・ってココナッツが人を連れてきてる!?」
 「連れて来たんじゃない。ついて来たんだ。」
 「ドモ!」
 「おおおお・・・しかも金髪。今日の天気は鹿か鯨でも降ってんのかぁ!?」
 「五月蝿いやつ・・・。超辛スペシャルカレー、チャレンジね。」
 「テンチョー!またタダ食いされるよー!」
 「カニサワサーン!インドの男は、いちど言った約束はやぶりまセーン!
何度でもチャレンジオッケーなのは変わりまセンヨ!」
 「ちぇっ、分かったよ。インド人じゃないくせに。で、お姉さんは?」
 「そのタダって言うのも魅力だけど、私辛いのダメだから、辛くないおすすめの奴ね。」
 「それでは少々お待ちください!」
 ・・・
 カレーが来るまではお互いに無言。
 彼女は私からずっと視線をはずしたまんま、なんか考えてる。
 それにしてもなんなんだろうナァ。親近感。
 綺麗な長い黒髪が、要芽姉を連想させるのかな?
 それとも・・・んー、悩みが一緒、とかかな?
 「あのさー。」
 「・・・なんですか?」
 話しかけたらいきなり面倒くさそうな顔された。
 「キミも親で悩んでるたち?」
 私がそう言った瞬間、彼女の大きく見開かれて、すぐに戻った。
 「・・・そんなこと、あなたには関係ありませんから。」
 「んっふふ〜ん。否定しないところを見ると、あたってるね〜?」
 「!」
 さっすが私、一時期本気で探偵になろうかと思ったことがあるのは伊達じゃないね。
 しかも今日はすごく冴えてる。
537似た者同士 5/9:2005/10/02(日) 00:52:55 ID:CFn5xgyc0
 よーし、ここは年上として、年頃の乙女の悩みを聞いちゃろう!
 「お姉さんがその悩み聞いてあげるよ。
どうせお互い今日一日の付き合いなんだから、話しちゃいなよ。
旅の恥はかき揚げって言うじゃん。」
 「干渉すんじゃねえよ!!」
と彼女が声を荒げ立ち上がったけど、こんなんでびっくりしたら柊家では生きていけない。
 「・・・それに『旅の恥はかき捨て』です。合ってたとしても使い方、微妙に違います。」
 一瞬間があって、座りながら彼女はそう言った。
 「にゃは♪今日で一番長くしゃべってくれたね。」
 「うっ・・・。」
 「じゃあ、まずは私から悩み打ち明けるよ。」
 私は自分がショウの浮気相手の子であること、母親は死んでしまっているかもしれない事、
ショウが私を引き取ったものの、微妙な付き合い方されて、未だ気まずい事なんかを話した。
 「だからねー、私も出来れば仲良く・・・したいのかな?
あはは、そんなことも分からないんだけどね。いつまでもこのままはダメだと思うのよ。」
 「・・・大変なんですね。」
 「まぁ、そこまで大変ってワケじゃないんだけどね。
仲のいい姉達が居るし、妹達も弟も居るから。」
 「でも、あなたが悩みを打ち明けたからって、
あたしが打ち明けなきゃいけない訳ではないので。」
 「むー!ケチ!いーじゃん!」
 「嫌です。ほら、カレー来ましたよ。」
 「お待たせしましたー!こちら海軍カレー甘口です。
で、ほれ、こっちは辛い奴ね。」
 なぜかウェイトレスは彼女に冷たかった。
 「「いただきます。」」
 ぱくり
 「おお!うまい!程よい辛さがうまうま!」
538似た者同士 6/9:2005/10/02(日) 00:56:06 ID:CFn5xgyc0
 「・・・」
 彼女は黙々と食べている。
 ぜんぜん平気そうだけど、激辛なんちゃらカレー、本当に辛いのかな? 
 彼女は私が見ているのに気が付いたらしい。
 「一口、食べてみます?」
 「えぇ!いいの?」
と皿をこっちに寄せてくれた。
 ぱくり
 「ふぎゃーーーーーーー!くぁwせdrftgyふじこlp!」
 「くっくっくっく。」
 卑屈な笑が聞こえる。 
 「水ー!」
 ウェイトレスが水を持ってきてくれて、そのまま彼女に話しかける。
 「はーはっはっはー!ココナッツ!お前今、この人にカレー分けただろ!?」
 「分けたけど?」
 「馬鹿が!カレー少しでも他の人に分けたら、チャレンジ失敗なんだよ!」
 「くっ・・・しまった。」
 「んぐんぐんぐ・・・ぷはぁー!死ぬかと思った。
何?チャレンジ失敗?いいよいいよ。私が払うから。」
 「困ります。奢って貰う義理もないですし。」
 「いーのいーの!難しく考えずにおごってもらうがいいよ。
この私が人に物おごるなんて、宝くじに当たるより確立少ないんだから。」
 「・・・じゃあ、お言葉に甘えて。」
 ・・・

 カレー屋の外に並んで出る。
 「これからどーすんの?」
 「どうもしません。元の場所に帰ります。」
 「えー、つまんない。」
 「何なら帰ってもいいですよ。あたしはここにお昼食べに来ただけですから。」
 「でもさ、カレー臭い女が二人、駅前に居たらどうよ?」
 「・・・」
539似た者同士 7/9:2005/10/02(日) 01:00:54 ID:CFn5xgyc0
 彼女はクンクンと無言で自分の匂いを嗅いでいる。
 「そうだ!私とバイク、二人乗りしてちょっと出かけようよ!
海辺りに出てさ、そしたら臭いも吹き飛ぶかもよ。」
 「・・・」
 「ハイ!決まりね!」
 彼女の手を引っ張り、さっきの公園のほうへ向かう。
 「ちょっ、あたしはまだ行くとは・・・」
 ・・・

 「はい、メットかぶってね。」
 「あなたは被らなくていいんですか?」
 「私は車と正面衝突しても大丈夫だもん。もとより、事故らないけどね。」
 バイクにまたがると、彼女がお腹に手を回してきた。
 背中に胸が当たる。
 けっ、結構大きいじゃん・・・私だって、負けてないもんねー!
 ブオォォォォン!ドッドッドッドッドッド・・・。
 「さぁ!行くよ!しっかりつかまっててね!」
 とりあえず、南に向かってみようかな。
 バォォォーン・・・

 日も沈みかけたころ、私たちは海岸にいた。
 海辺は風が出ていて、少し寒い。
 彼女が浜辺に座っている間、私は自販機で飲み物を買う。
 彼女の隣まで戻って座ると、夕日がよく整った彼女の顔を照らしていた。
 「はい、コーヒー牛乳でよかった?」
 「・・・ありがとうございます。」
 「いいっていいって。私なんか今日一日キミを連れまわしてるんだから。」
 「ほんとう、それは迷惑でした。
おかげで待ち伏せしてた奴は、あたしの家に行ってしまったと思います。」 
 「きっついねー。言いたい事はバシバシ言うタイプでしょ?」
 「・・・・・・あたしの母さん、再婚しようとしてるんです。」
 「・・・へぇ。」
540似た者同士 8/9:2005/10/02(日) 01:04:43 ID:CFn5xgyc0
 「相手の男、人のいい母さんに付け入って騙そうと・・・。
あたしの本当の父さんは・・・・・・もういないし、
あたしがが何とか母さんを守らなきゃって思ってるんです。
・・・あたしの悩みはそれだけです。」
 「・・・難しい話だけどさ、お互い、親には心配かけないようにしようね。」
 「そうですね。」
 「やっぱり思ってたんだけどさ、私たち、似てるのかもね。」
 「・・・。」
 「うー、風が冷たい!これ飲んだら、帰ろうか。」
 「・・・はい。」
 そう言った彼女の口元が少し緩んで、微笑んでいるように見えた。
 流石の瀬芦理さんも、この笑顔には・・・いやいや!負けてないもんね!
 ・・・

 その人は私を駅前まで連れ帰ってくれた。
 もうすでに日はとっぷりと暮れている。
 「本当にココでいいの?」
 「はい。」
 「うん、そっか。じゃ、またいつか会えるかもね。」
 「嫌です。」
 「うにゃー、相変わらずきついなー。でもなんかそこがいいね。」
 「冗談ですよ。あたしも幾らなんでもそんなことは言いません。
今日一日、退屈はしませんでした。」
 「よかった。じゃ、またね。」
 その人はまぶしい笑顔を残して、猛スピードで消えていった。
 親にだけは心配をかけるな、か。
 ・・・母さんに電話しておこう。
 とぅるるるるるる・・・
 「あ、母さん?・・・・・うん、安全なところに居るよ。
あのさ、天王寺は?・・・・・・うん、そう、もう帰ったの?
・・・うん、あたしも今帰ろうと思ってた所・・・」
 ・・・
541似た者同士 9/9:2005/10/02(日) 01:08:06 ID:CFn5xgyc0
 家の玄関をガラガラと開ける。
 「たっだいまー!」
 玄関に座って靴紐を解いていると、こっちに向かって誰か走ってくる音が聞こえる。
 「お帰り、瀬芦里姉さん。あの・・・こっ、この服、どうかな?」
 この声はモエだね。
 「モエ、ただい・・・って何その格好!アハハハハハ!」
 振り向くと、なぜかモエはゴスロリファッションに身を包んでいた。
 「あぅ・・・やっぱり笑われた。」
 しょんぼりしてモエは部屋に引っ込んでいった。
 「モエはかっこいいんだから、ビシッとした格好すればいいのにな〜。
・・・あれ、何でこんなところにメカタカネ?
あっ!そういえば・・・ごめんね!うみゃ、クーヤ、タカ。」
 玄関脇に居た気持ち悪い柄のメカタカネに手を合わせて謝った。
 ・・・

 モエが何だか料理を作りすぎてあまったらしく、
夕飯まだ食べてないからちょうどいいと食べていると、
クーヤやうみゃタカ、ひなのんに要芽姉も後から加わって、結局皆で夕飯。
 タカの料理を適当に盗み食いしてからかう。
 やっぱりタカは反応が面白いにゃー。
 にぎやかな食卓を見回すと、私にはこんなに味方が居ると思わせてくれる。
 こんなに味方がいるんだから、いつかは助けを借りて、
少しずつでいいから、ショウと仲良くできるといいな。
 昼間の、結局お互いに名前聞かなかったけど、彼女にもこんな味方がいるといいな。
 ・・・そうだ!ひなのんと要芽姉はモエのあのことをまだ知らないはず!
 「そうそう、そういえば私が帰って来た時、モエはね〜」
 「あぅ!それは言わないで!瀬芦里姉さん!」
 こんな私だけど、がんばるからさ、これからも味方でいてよね。みんな。
542名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 01:09:49 ID:dLIzjE4C0
乙&GJ!
こういう同じ時間軸で起こってる別の出来事ってのイイね〜
543SSD:2005/10/02(日) 01:12:52 ID:CFn5xgyc0
ねぇねぇとなごみんSSです。

おいらはよく柊家の食卓を書きますが、食卓は柊家を象徴するようで、
しかもなんかリアリティがあって好きです・・・と池波ちっくな事をいってみるテスト。

以上三本はお互いにリンクしているので、一緒に楽しんでいただければ光栄です。
コメントくださった方、今日はお付き合いくださってありがとうございます。
544名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 01:22:10 ID:FOvbyUX60
      r ‐、
      | ○ |         r‐‐、
     _,;ト - イ、      ∧l☆│∧  
    (⌒`    ⌒・    ¨,、,,ト.-イ/,、 l  >>543
    |ヽ  ~~⌒γ⌒) r'⌒ `!´ `⌒)    来い、我々が抱っこしてやろう
   │ ヽー―'^ー-' ( ⌒γ⌒~~ /|  
   │  〉    |│  |`ー^ー― r' |
   │ /───| |  |/ |  l  ト、 |
   |  irー-、 ー ,} |    /     i
   | /   `X´ ヽ    /   入  |
545名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 02:33:46 ID:pJs888pz0
>>543
GJです! 
ねえねぇとなごみんの取り合わせはちょっと意外な気もしましたけど
しっかりマッチしていますね。素敵なお話でした。
546名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 07:44:07 ID:JvIYhaJ00
>>543
GJ!
姉しよもやってみようかな…と思わせる作品
547保管庫の中の人:2005/10/02(日) 12:34:42 ID:AZOaiZGS0
ここ何日かアクセスが急増したと思ったらいろんな日記系サイトからリンクされてた件について

瞬間最大風速はつよきす発売1週間前の25倍まで行きましたよ。

でも今国勢調査の1週間の仕事時間に75時間って書くくらい忙しいので
申し訳ないですがなかなか更新できません。ご容赦を。
今夜できなけば来週末、または再来週末までずれ込みます。
548名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 13:03:13 ID:VqNRe4Do0
>>547
乙でーす。
落ちた前スレの分までは収録されてるので、急がなくても無問題かと。
549SSD:2005/10/02(日) 13:41:48 ID:CFn5xgyc0
>中の人
毎度お疲れ様です。
無理なさらぬようがんばってくださいね。
つ{飴}
550あの日の思い出 1/10:2005/10/02(日) 18:13:24 ID:CFn5xgyc0
 「・・・って事があってさ、恋する乙女は鉄より硬いだって!笑っちゃうよねー。」
 「そう、そんなことがあったの。」
 広い家の中で、私と要芽姉の話し声だけが居間に響く。
 夜も更けて、皆が寝静まった頃に、要芽姉とのたまの酒盛り。
 取り立てて、何を話すわけではない。
 その日にあった面白いこと、日雇いのバイトで気に入らなかったこと、
要芽姉は気に入らない依頼志願者のこと、
新しく見つけたミントアイスのおいしいお店のこと、そんなことを話す。
 二人とも比較的酒に強いせいか、この酒盛りで酔いつぶれたことは無い。
 でも今日は、要芽姉の様子が少しおかしい。
 口数が少なく表情が暗いし、返事も単調で聞いているのかも曖昧だ。
 「・・・あのさ、要芽姉?なんかあったの?」
 「いえ、なんでもないわ。珍しく、少し酔ってしまったみたいだわ。」
 「へぇー、珍しいこともあるんだね。」
 とは言ってみたものの、この要芽姉の沈み具合からして、これはなんかあったね。
 クーヤにでも何か言われたのかな?
 大人ぶってても、勿論私もだけど、要芽姉は脆い所があるからなぁ。
 「私の顔に何か付いているのかしら?」
 「ん!んーん!なんでもないヨ。」
 いつの間にか要芽姉の顔を覗き込んでいたみたい。
 私は要芽姉に深く追求するなんて、野暮なことはしない。
 でも、要芽姉が話す気になったら、徹底的に聞いてあげるんだ。
 要芽姉がぱたぱたと手団扇で自分を仰ぐ。
 「今夜は、少し暑いわね。」
 「そう?私はもう秋になったし、今夜は寒いと思うんだけど。」
 「あら・・・フフフ、どうやら、本格的に酔ってしまった様ね。」
 「酔い覚ましに外でも散歩する?」
 「いいえ・・・瀬芦里、今夜は私が少し沈んでるって思っているのでしょう?」
 「えっ・・・よく分かったね。」
 「伊達にあなたの姉をやっているわけではないわ。
・・・何があったってわけではないのだけれど、・・・あの日のことを思い出してね。」
 「あの日のこと?」
551あの日の思い出 2/10:2005/10/02(日) 18:17:08 ID:CFn5xgyc0
 「お母様が亡くなった日のことよ。」
 「・・・」
 私が柊家に来る前のことだ。
 つい二、三年まで性格が荒れていた私は、
この話題に触れることを無意識に拒絶していた。
 自分だけ母親が違う、共通の思い出が無い。
 言い方を変えれば、この話題から逃げていた。
 「ごめんなさいね。酔ってしまったとは言え、こんな話題・・・」
 立ち上がりかけた要芽姉を引き止める。
 「あのさ!・・・その、要芽姉さえよかったら、聞かせてくれないかな?」
 中腰になったまま、要芽姉がこちらを見て、そのまま座りなおした。
 「そうね・・・。いつかはちゃんと話さなきゃいけないと思ってたし。
いい機会かもしれないわね。」
 「ごめんね、なんか。」
 「フフフ・・・あなたは謝る事はないのよ瀬芦里。」
 寂しそうに微笑んでから、要芽姉は語りだした。


 当時私は小学校の高学年で、雛乃姉さんはまだ病状が回復せず、
起き上がることもままならならず自宅療養。
 特殊な病気にかかっていたお母様は自宅療養では間に合わず、
その半年ぐらい前からは県内で有数の病院に入院していた。
 私は妹達や空也を連れてよく病室にお見舞いに行った。
 雛乃姉さんは必ず毎回、お母様に手紙を書いたし、お母様も返事を書いた。
 私たちは勿論、お母様に早く良くなってほしいと祈っていたけど、
周りの大人達は後幾許の命かと冷めていた。
 
 学校で授業を受けていると、教室に職員が入ってきて、担任の先生に何かを告げた。
 顔を青ざめた先生を見て、嫌な予感が体を走る。
 担任の先生は私の元まで来て
 「柊さん、今すぐ妹さん、弟さんたちと、お母さんの病院へ行きなさい。」
と言った。
552あの日の思い出 3/10:2005/10/02(日) 18:20:08 ID:CFn5xgyc0
 担任の先生はなぜ病院へ行かなくてはいけないのかは言わなかった。
 しかし、それだけで十分理解できた。
 他の学年の教室から妹達と空也が集まって、
学校の職員が車で病院まで送ってくれることになった。
 「お姉様・・・ママに、何があったの?」
 高嶺が後部座席から不安そうに聞いてくる。
 「いいのよ。今は、何も考えないで。」
 「うぅぅ・・・巴姉さん!」
 隣に座っていた巴に高嶺が抱きつくが、
ミラー越しに見えた巴の顔も不安でいっぱいだ。
 海は自分も泣きそうな顔をしながら、空也の頭をただひたすら撫でている。
 

 「個室の病室に着くとお母様のベット周りには、
見覚えの無い親戚らしい人たちがうつむいて立っていわ。
 お父様の姿はまだ無かったの。
 今思うと、あの時あそこに壬生さんも居たのかもしれない。」


 親戚らしいおばさんが、私たちを見るとベットのほうへ来るように促す。
 病室の入り口からベットに着くまで、ひどく距離があるように思える。
 私の服の裾を、巴が後ろから引っ張る。
 やめてほしい。
 私だって怖いのよ。
 一歩一歩の足取りが重い。
 ベット脇につくと、今まで柵のようにベットを囲っていた大人達がさっと
両脇にそれて、静かに目を閉じているお母様の青白い顔が見えた。
 もう一歩ベットのほうに踏み込む私、それを後ろで不安そうに見守っている妹達と空也。
 お母様の手を握ると、まだ少しだけ暖かかった。
553あの日の思い出 4/10:2005/10/02(日) 18:23:08 ID:CFn5xgyc0
 親戚のおばさんが腰をかがめてゆっくりと言う。
 「要芽ちゃん、あのね、凛さん・・・お母さんはね、たったさっきお亡くなりになったの。」
 嘘だ。
 まだこんなに暖かい。
 顔色が悪いのだって、今日は具合がよくないだけなのだ。
 心が今までに無い喪失感に覆われ、泣きそうになる。
 だが、
 「う、うわぁーーーーーーん!ママー!」
 高嶺が堰を切ったように泣き出し、お母様にすがりつく。
 巴もつられて泣き出し、私の服の裾を強く引く。
 後ろを見ると、海が空也を抱きしめ震えていた。
 空也は信じられないという顔で呆然としている。
 私は・・・泣けない、泣いてはならない!
 今私が泣いたら、妹達や空也は誰を拠り所とすればいいのか。
 そこへ、病室の扉を乱暴に開く音が聞こえた。
 「はぁはぁはぁ・・・凛!」
 お父様が、息を切らせて入ってきた。
 「翔か・・・遅かったよ。」
 ふらふらとお父様はお母様のベットサイドまでやってきて、お母様の頬を撫でると、
 「・・・家族だけ残して、悪いがみんな外してくれないか?」
 親戚達は答えることなく、ぞろぞろと外に出て行った。
 高嶺の泣き声と巴の嗚咽だけが室内に響く。
 お父様がみんなの顔を一瞥する。
 「いいか、今の内にお母さんの手を握っておきなさい。」
 ベットサイドから離れていた巴と海と空也も一歩踏み込み、
全員がお母様の手を、腕を恐る恐る握る。
 「この温もりをよく覚えておくんだぞ。」
554あの日の思い出 5/10:2005/10/02(日) 18:26:30 ID:CFn5xgyc0
 十分も経ったろうか。
 高嶺の泣き声も嗚咽に変わっている。
 お父様が私の前にしゃがみこみ、
 「要芽、空也と妹たちを連れて、先に外に出ていてくれないか?」
 お父様にも何か思うことがあるのだろう。
 「ママから離れたくない!」
 高嶺が嫌がる。
 そんなことは言わないで。
 私だって離れたくない。
 半ば無理やり高嶺を引っ張り、病室の外に出る。

 病室の外で、震える高嶺を落ち着けようと、親戚は当時の高嶺お気に入りの
ココナッツジュースを渡すが、高嶺は手をつけない。
 少しすると、お父様が出てきた。
 「お父様・・・大丈夫ですか?」
 自分が泣きそうなのを我慢しているのに、何を私は聞いているのだろうか?
 お父様は震える手でポケットからタバコを取り出し一本咥えた。
 「ワシは大丈夫だ。」
 「お父様、タバコ、逆さまです。それに院内は禁煙ですよ。」
 こんな時なのに下らない事に冷静に気が付いた自分が嫌になる。
 お父様は咥えていたタバコを握りつぶし、ポケットに戻した。
 「お前達は佐藤のおじさんに連れて行ってもらって、先に帰ってなさい。
ワシはこの後のことをいろいろ相談しなくちゃならんから。」
 帰りの車の中で、空也と妹達は泣き疲れて眠ってしまっていた。
555あの日の思い出 6/10:2005/10/02(日) 18:30:12 ID:CFn5xgyc0
 家について、皆は居間で放心しているが、私はすぐに雛乃姉さんの部屋に向かう。
 静かに障子を開けると、薄暗い室内には雛乃姉さんの寝息だけが聞こえる。
 姉さんのすぐ横に座り、何を考えるでもなくただただ姉さんの寝顔を見つめる。
 しばらくするとお父様が帰ってきたらしく、私のことを呼び出した。
 「母さんのことなんだが、雛乃には・・・どうしようか。」
 なぜお父様は私にそんなことを聞くのだろうか。
 「お前が一番雛乃をよく分かっているから。」
 それは本当にそう思って言っているのだろうか?
 自分の判断に自信がないのだろうか?
 誰も彼も、私に寄りかかるのはやめてほしい。
 「もし私が姉さんだったら、正直に話してほしいと思います。」
 「やはりそうだよな。・・・ワシもそう思っていた。なら、行こう。」
 二人で再び雛乃姉さんの部屋に入る。
 二人の気配に目が覚めたのか、顔だけをこちらに向ける姉さん。
 電気をつけると姉さんの頬には、かすかに泣いたような跡が見えた。
 もうすでに知っているの?
 「親父殿、要芽。」
 「雛乃、あのな・・・その・・・母さんが、な・・・」
 お父様はなかなか言い出せないようだ。
 それを雛乃姉さんは覚悟を決めた顔で見つめている。
 もどかしい。
 「あのね、姉さん、お母様が今日、お亡くなりになったの。」
 一瞬の沈黙。
 「ごほっ・・・やはり、な。なんとなくそんな夢を見たのだ。」
 私はまた泣きそうになる。
 ここでなら、私も泣いていいはずだ。
 今度は私がこの二人に頼る番だ。
 「・・・しかし、これで我がダメでも、向こうで寂しい思いをしなくてすむなぁ。」
556あの日の思い出 7/10:2005/10/02(日) 18:33:28 ID:CFn5xgyc0
 ダメだ、まだ泣くわけには行かない。
 なぜ姉さんはこんなに弱気なことを言うのだろう。
 いい加減に頭にきた。
 「お、おい、雛乃そんな弱k・・・」
 「姉さん!見損ないました!
私はいつもあきらめずに病魔と闘う雛乃姉さんのことを尊敬していたのに!
今そんな弱気でどうするんですか!
私たちは、私たちはっ・・・お母様の分まで生きなければいけないんですよ!」
 そこまで言うと気分が高まり、部屋を飛び出した。
 廊下に出ると巴と高嶺が怯えたような目でこっちを見ている。
 そんな目で見ないで。
 頭にくる。
 自室に戻ろうと足を速める。
 居間の前を通ったとき、空也と海がお姫様ごっこをしているのが目に入った。
 一瞬足を止める。
 何でこんな時に。
 私は泣きたくても泣けないのに、なぜ二人はあんなことをしている?
 私もあんな気楽に生きたい、誰かに頼りきって生きたい。
 正直、少しあきれた。
 と、遊んでいた海が急に空也を抱きしめ、声を上げて泣きはじめた。
 「ごっ、ごめんね。お姉ちゃん、もう我慢できないよ〜。くぅ〜やぁ〜!」
 「おねえじゃ〜ん!うぇぇぇぇん!」
 「「うぇぇぇんえぇぇぇぇぇぇん!」」
 そうだ。
 悲しんでいるのは私だけではない。
 海も空也も、巴も高嶺も、お父様も姉さんも、みんな悲しいのだ。
 一番年下の海でさえ、空也の前で泣くまいと頑張っていたのに。
 なのに、私は勝手に泣くに泣けない悲劇のヒロインに浸っていたのだ。
 私は勝手に皆に腹を立て、なんて最悪な娘で妹で姉なんだろう。
 自己嫌悪に陥った。
 部屋に閉じこもり鍵を閉め、枕に顔をつけて泣いた。
557あの日の思い出 8/10:2005/10/02(日) 18:38:02 ID:CFn5xgyc0
 しばらく経つと、ドアをノックする音で目が覚めた。
 いつの間にか眠ってしまったのだろうか。
 「要芽!家政婦の対馬さんが夕飯を作ってくれた。食べよう。」
 「・・・」
 「要芽!」
 ドアの前まで歩いていき、外に向かって言う。
 「お父様・・・私は食べる気がしません。」
 ドア越しにお父様が話を続ける。
 「要芽・・・ワシは、お前に甘えていたよ。悪かった。
でもな要芽、お前、雛乃に言っていただろう。
ワシらは母さんの分まで生きなくてはいけないんだ。
そのためにはまずは夕飯を食べなくてはいけないんだ。
 明日は朝食を食べ、お昼に晩御飯!
 これをこれからずっと、毎日は難しいが、家族みんなでやって行こう!」


 「ちょっと待って要芽姉!」
 途中で要芽姉の話をさえぎる。
 「どうかしたのかしら?」
 「ショウが・・・そんな事言ったの?」
 「そうよ。私の記憶力がいいのは瀬芦里も知ってるでしょう?」
 「へぇ・・・」
 正直言って、ここまでの話でやっぱり頼りないと思っていた分、ちょっと感心した。
 だから少しでも仕事で暇ができれば、帰ってきてご飯一緒に食べるのか。
 ・・・やるじゃん、ショウ。
 「ん!ごめんごめん、話し続けて。」
 「私はね、お父様のその台詞で気が付いたの。」


 まさか自分がさっき雛乃姉さんに言った台詞を、そのまま返されるなんてね。
 分かったような口を雛乃姉さんに利いたことが自分で恥ずかしくなった。
 後で謝りに行かなくては。
558名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 18:41:21 ID:4eU62swL0
一応支援しとこう
559あの日の思い出 9/10:2005/10/02(日) 18:42:07 ID:CFn5xgyc0
 「私は自分が卑屈になっていると気付かせてくれたお父様や海に感謝したわ。
 だから今でもあの二人には頭が上がらないし、一目置いているの。」


 夕飯は家政婦の対馬さんが気を利かせてくれたのか、
フカヒレのスープとかそんな高級そうなものだったけど、味なんて分からなかった。
 兎に角、姉さんに謝らなくては。
 
 夕飯が終わり、みんなは早々と寝床に着いた。
 私は皆が寝静まった頃を見計らって、姉さんの部屋に入る。
 寝息を立てている姉さん。
 寝ている姉さん相手に謝るのも卑怯だと思うけど、今はこれで許してください。
 姉さんの枕元に座る。
 すると姉さんの顔がこっちを向いた。
 「要芽・・・か。」
 「・・・はい。」
 「さっきは悪かったな。」
 「姉さん・・・私こそ、分かったような口を利いて。」 
 「いや、我はお前のあの言葉で目が覚めた。ありがとう。」
 「姉さん、少しだけ甘えていいですか?」
 「うむ・・・我には何も出来んがな。」
 「そばにいてくれるだけでいいです。」
 「それなら我は、これからはより頑張らないとな。
我の変わりに頑張ってくれるお前のそばに、いつまでもいてやりたい。」
 そうして私はさっきとは別の涙を流した。

 
 「と、言うことがあったのよ。」
 要芽姉が話し終わると同時に、おつまみのカニカマも無くなった。
560あの日の思い出 10/10:2005/10/02(日) 18:45:08 ID:CFn5xgyc0
 「そうなんだ・・・。」
 「今日はこの日のことを思い出してしまって、ね。」
 言いながら要芽姉は立ち上がろうとして、ふらふらとよろめいた。
 急いでキャッチして、肩を貸す。
 「悪いわね。瀬芦里。ベットまで肩を貸してくれないかしら。
だいぶ酔ってしまったみたい。」
 「うん、いいよ。気にしないで。それより、ありがとうね。」
 「何のことかしら?」
 廊下に移動しながら、私は少し照れて言う。
 「その・・・辛い思い出のこと、話してくれて。」
 「辛い・・・ね。」
 ・・・

 要芽姉の部屋について、要芽姉をベットに寝かせる。
 もうすでに寝ぼけているのか、なにやらごにょごにょ言っている。
 「お母様・・・私は・・・」
 要芽姉の頬を涙が伝う。
 私はベットに腰をかけ、何も言わずに要芽姉の頭を撫でてあげた。
 「ありがとう・・・ございます。」
 それを最後につぶやくと、要芽姉は寝息を立て始めた。
 今夜はもう少し、要芽姉の頭を撫でていてあげようと思った。
561SSD:2005/10/02(日) 18:49:00 ID:CFn5xgyc0
姉しよSSで、凛さんがなくなった日の話です。
こう言うSSってガイシュツでしたかね?もしそうだったらスミマセンツギカラハチャントシラベテキマス

ちょっとかいてて親父の口調等が微妙&美化されているような気がします。
つよきす出演者の名前がところどころにちりばめられているのは秘密。

ちょっと昨日今日と連投が過ぎましたね。
失礼しました。
562SSD:2005/10/02(日) 18:50:25 ID:CFn5xgyc0
>>558
あと、支援ドモ。
多分初めて支援された・・・。・゚・(ノД`)・゚・。ウレシイ
563名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 18:51:32 ID:4eU62swL0
GJ。
先の読みたい物に手を貸すのは必然也。
564名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 18:56:31 ID:AMw3UIh80
>>561
乙。まあ本編で焼き場送りのときの様子とか書かれてはいるけどね。

> つよきす出演者の名前がところどころにちりばめられているのは秘密。

いや、すぐわかりますってw
565名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 19:27:44 ID:UMtMAGYL0
>>561
GJ!
全世界が涙した感動作がここに…
5669/K0rhtc0:2005/10/02(日) 20:16:25 ID:iCS6/z5E0
>>561
GJ!!それとSSを投下し続ける執筆力に感動。
私も負けずに投下します。

今回はかなり短いです。では投下。
567女の意地。妻の意地。:2005/10/02(日) 20:18:21 ID:iCS6/z5E0
彼女は呆然とたたずんでいた。
キッチンにごちゃごちゃと食材が乗せられている。
いや、それが食材と判別できるかどうかが際どい。
元食材、と言ったほうが良いかもしれない。

右手に包丁、腰にエプロンをしていることから、
つまりこれは料理の結果である。
今晩の献立はシチュー。そう、シチューなのだ。
だがいざ実際調理してみると、出来上がったモノは
『前衛的なシチュー』である。
いやまて。前衛的とは何だ。自分が知っているシチュー
とは、少なくとも固形物ではない。
包丁を置き、自分の両手をまぢまぢと見る。
どこをどう調理したら倒壊したビルのようなシチューが
出来上がるのか、全くの不明であった。
いや、原因不明などと嘆いている場合では無い。夕食は
彼女が作る。それが彼と交わした約束であった。
彼は「俺も手伝うよ」と言ってくれたが、彼女は頑として
「料理は女が作るものだ」として譲らなかった。
前時代的な台詞ではあったが、彼女は純粋に料理を奮いた
かっただけだった。
時計が6時を回った。まずい、もう少しで帰ってきてしまう。
未だに何一つ料理が出来ていない。
結局いつもこうなのだ。時間ギリギリまで粘っても、最後は
オニギリになってしまう。これでは妻℃ク格ではないか。
玄関から「ただいまー」と声が聞こえた。
彼が帰ってきてしまった。もうこれではどうしようも無い。
料理の残骸くらいは片づけてしまいたかったが、それももう
無理だ。鼓動が早まり、冷や汗がダラダラと流れる。
トテトテと足音がする。こちらへと向かってきているようだ。
乙女は両手をギュッと握り締め、夫を待った。
568名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 20:20:38 ID:9ZYVwu9W0
全世界の俺が泣いた
569女の意地。妻の意地。:2005/10/02(日) 20:21:10 ID:iCS6/z5E0
「〜〜〜っ!!???」
布団を跳ね上げ、思わず身を構える。完全に戦闘態勢である。
周りの気配を探る。後ろに気配を感じ、飛びずさりながら
視界にいれる。
「・・・・・レオ」
視線の先にいたのは対馬レオ―――彼女が愛する男である。
そういえば一緒に寝ていたなと彼女は呟く。
気分がようやく落ち着いてきて、先ほど自分が慌ててしまった
原因を彼女は思い返す。
「・・・・・・こいつが原因か」
寝ているレオの頬をプニュゥと引っ張る。彼女にしては珍しく
八つ当たりである。
「まったく・・・私だって、好きで料理が下手な訳ではないのだぞ」
ため息をつく。そうしたことでどうなるという訳でもないが。
レオの頬を突つくのをやめ、再びベッドへと入る。
すやすやと寝入る愛しい人を見つめ、彼女は思わず微笑む。
「必ず、心から美味いと言わせてやる。覚悟しておくことだな」
そう呟き、彼女は自分の恋人を抱っこして眼をつぶる。
どういう関係になろうとも、乙女は乙女であった。


END
5709/K0rhtc0:2005/10/02(日) 20:24:57 ID:iCS6/z5E0
こういうショートモノが最近好きになりました。
姉しよのもつくりたいなぁ。
571名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 20:34:50 ID:qLibqEef0
>>570
GJ!

この乙女さんもらっていいっすか?(;´Д`)ハァハァ
572シンイチ:2005/10/02(日) 20:51:47 ID:j3Yh5O2I0
文化祭ネタができたんで投下してもいいですか?
確か既にだれか投下したような…
573名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 20:58:28 ID:AMw3UIh80
>>572
これだけ色々書かれれば多少は被るのもやむを得ないのでは?
574名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 21:39:29 ID:HqFaaE1R0
仮に舞台がかぶっても、要はどういうオチをつけるか、じゃないかな
575名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 22:07:58 ID:iE8Ase9R0

         , 、   , ヘ.._,,,,,,,-_.-、、,.
       /   ヽ/,- '"    \ .',ヽ、
       √ へ`.ン″      .,",,,i/,|ir" 'ヽ、
      、⌒  ,/`/   │ ./.,,l|゙゙'゙゙゙'`《,_′'゙l,
       ヽ  /l゙ ," ,、ヒ l  .,l`j i     ゙llヽ,'r゙l
       l、/ .レ | 、,!|l ,l.l, .|lリ:||     ゙l|、.|]l
       ヽ,、_,l | |、 l l|アア| l |リ l|゙~”゙"〜..|,iリ}
        l _/l,ll l ll,ilノリ宇.゙l| リ "-    .lll゙/j   く〜
          l゙,l゙ 「''il:l,|l''~゙゙゙゙'' ″   ゙゙”゚゙゙'''' ,lリ゙i'′
         ,',i´ ゙l、,,|゙lト              / ノ'
      /,i´ ./ ,ト.i     ,      ,川`
     ./ 小 ,ノ.,,i´ i l\   F=l   / リ
     ./,仆l ,|!,r|  if  ヽ , ヽン  ,.イ  リ′
     ゝll .゙ll、.||゙ヽ  `'  _,,| ` - ' |ヽ、 ノ′
     ヽ  ` i||   _,,rl,"f ゙    `,i フ~i=.、、
         ,.ヽ``"` ノ`ヾ¬―ー'''゙ノ ″`. `"‐、
576名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 22:12:42 ID:EBD+Jy5l0
>>573-574

何だと! 俺はムケているぞ!

577名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 22:35:24 ID:/JOp1ZG10
ねえ、…しようよのつよきすVer作ってみた。ムシャクシャしてやった。俺には無茶だった。今は反省している。
please tell my why
you talk to me
sweet little good time …yeah!!

〜あの日の放課後(キンコンカンコン)
あの娘と帰った(ルンルンランラン)
関係ないけど(ほんとに×2)
それでもなんか落ち着かない
怒った顔して(プンスカ×2)
ちょっぴり傷心(しょんぼり×2)
like? dislike? judgement time!!     〜

何かあるとそっぽ向いちゃうのよいつも
天邪鬼ね 強がってばっか ホントの気持ち言えないの(feel so bad)
君の想い 乗せた言葉 私の殻を壊して (hey! come on,boy!!)

いつのまにか君のいる場所は私の内側の線の中
そこはムチャでうぶで無知でまさににシャイな
私の住んでる場所    (ぷりてぃ☆×2)
一緒にずっといようよ!
君と手を繋いで歩いてく 止まらないで
もう私は君のことしか見えない (いぇぃ♪)

〜反応見ようと(もう、わくわっく〜☆)
いつものフリして(たまにはツンツン)
手玉にとられた?!(それってがっくり…)
バカップル、 もう、ベタベタです
突然のちゅ〜も(へっちゃら×2)
みんなの前でも(へっちゃら×2)
何をされたって(へっちゃら×2)
………んなわけないでしょぉ〜〜〜〜〜   〜
578名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 22:37:13 ID:Z7UF+upG0
ツンデレVerでは
579姉しよ版Isolation:2005/10/02(日) 23:35:45 ID:xuzFnIan0
いつも繋いだこの手は 離れないけど
昨日と違う意味 胸に受け止めて

年下なら 頼りなくてもいいよね
私たちがいつもそばで支えてるから
甘えられ 慕われてることが普通の
男の子でも弟だから

いつか気づくよ本当の気持ち
愛があるなら全てを乗り越えて

いつかは絆を越えるよ離しはしない
支えて支えられ二人で生きよう
これまでの気持ちも嘘じゃないけど
芽生えたこの愛は決して消せはしない


いつもそばで暮らしてる馴れ合う日々
それでもなお高まっていく胸のときめき
弟なら可愛くて当たり前だと
自分にただ言い聞かせてた

だけど気になるアイツの気持ち
誰を選ぶの?まだじらされるの?

ほかの誰かが弟と呼んでてもいい
私だけの呼び方いつか見つけるから
ただのお姉さんで終わりたくない
大好きなキミならいつかそれを越えて・・・
580Seena ◆Rion/soCys :2005/10/02(日) 23:37:09 ID:xuzFnIan0
まねっこ(w
581名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 23:48:46 ID:iE8Ase9R0
>>577
>>579
GJ!でも俺は音痴だから歌えないorz
582名無しさん@初回限定:2005/10/02(日) 23:55:07 ID:NFfAETqr0
1時間で作り上げるとは…
seena、そして577、恐ろしい漢!
ところで572マダー(AAry
583シンイチ:2005/10/02(日) 23:58:13 ID:XLI7tV7O0
それでは投下します。
透子さんは勝手な設定になっているのであしからず(出番メチャ少ないけど)
584竜鳴祭に行こう(1):2005/10/02(日) 23:59:32 ID:XLI7tV7O0
「あのね、巴お姉ちゃんって月白先生のこと知ってるよね?」
夕飯の席で海お姉ちゃんはともねえにこんな話を持ちかけてきた。
月白先生…俺やともねえは透子さんって呼んでるんだけど、この人はかなりのクセモノ。
あの人のおかげで俺は命の危機に晒されたこともあるほどなのだ。
「う、うん…知ってるけど、透子さんがどうかしたの?」
透子さんの話になると、ともねえは急に警戒するようになる。
そりゃ当然だ。普段が普段なだけに、全く油断することができない。
「実は今度、先生が新しく赴任した高校で文化祭みたいなのがあるんだって。
 よかったら来てみないかって言ってたよ〜」
「あ、なんだ。そういうことか」
「へ?」
「いや、その…な、なんでもないよ」
クロウ絡みのことじゃなくてちょっと安心。それにしても、あの透子さんが誘ってくるとは…
「ま、いいんじゃない?ともねえ。家事でいつも疲れてるだろうし、息抜きってことで」
「う、うん…みんな、いいかな?」
「ふむう、どうせならみんなで行こうではないか。
 うみがお世話になっておったのだ。一言の礼も言いたいしな」
「はいはーい!遊びに行くなら大賛成!」
「そうね。たまには遊びに行くとしようかしら」
「俺も行くよ。姉貴はどうするの?」
「もちろん行くわよ。だって1人で留守番するなんて嫌じゃない」
「ねぇやとねーたんも呼ぼうよ。きっとついてくるよ」
「うん、そうだね」
「それじゃ全員行くんだね〜。月白先生に連絡しておくよ〜」
「そういやお姉ちゃん、場所はどこなの?」
「松笠の『竜鳴館』っていう学校だよ〜」
585竜鳴祭に行こう(2):2005/10/03(月) 00:03:25 ID:+A4wkwco0
「はい、それじゃ竜鳴祭での私たちの役割を説明するわね」
生徒会長・霧夜エリカの一言から、今回のミーティングは始まった。
秋の大イベント・竜鳴祭まで日数は残りあとわずか。各クラブやクラス等も追い込みに入っている。
「既に出し物のチェックについては、あとは当日にサボっているところがないか監視するぐらいよ。
 で、期間中は生徒会一同がそれらのチェックにあたるというわけ。
 あとは、いろんなところのヘルプね」
「えー。めんどくせー」
「あのね、カニっち。何もずっとやってろって言ってるわけじゃないでしょ?少し覗く程度でいいんだから」
「はいはい、わかりましたよーだ」
カニのバカタレは早速不満を口に出した。我慢を知らんのか、こいつは。
「さっきも言ったとおり、覗く程度で結構だからね。あ、フカヒレ君。
 念のために言っとくけど、女子更衣室を覗くってのはNGだからね」
「俺の考えが読まれた…!?ニュータイプか!?」
「いや、お前なら容易に想像がつくぞ」
たのむから警察沙汰にはならないでくれよな…
なんかそのうち、本当にお世話になりそうで怖い。
「それと、当日はコスチュームに着替えてもらいまーす」
なんだかとても嬉しそうな姫。こういうときはロクなことが起こらないことは、誰もがわかっている。
「コスチューム?」
「そ。もうよっぴーに用意はしてもらってるの。よっぴー、ちょっと持ってきて」
「はいはい。」
そう言うと、よっぴーは奥の方からごそごそと色んな衣装を持ってきた。
そして、みんなの前に、それぞれの衣装を置いていく。
「ちょっと待ってください。あたしはこんなもの着ませんよ」
「ごめんねー、なごみん。NOという選択肢は無いの。当然、他のみんなもそうだけど」
「おい、姫。何なのだこれは!」
「警備と言う意味も兼ねてなんだけど?」
全員に渡された衣装は、趣味に走ってるものがほとんどだった。
これじゃ目だってしょうがないぜ。で、俺の衣装は…
「…着ぐるみ?」
586竜鳴祭に行こう(3):2005/10/03(月) 00:06:37 ID:+A4wkwco0
さて、当日…
仕事で動けないバカ親父をほっといて、俺達は目的地『竜鳴館』に到着した。
やはりねぇやとねーたんも一緒に行くことになり、かなりの大所帯となってしまった。
相変わらず要芽姉様とねぇやはソリがあわないようで…
「おおっ。開門にちょっと遅れたけど、すごい人だかりだねぇ」
「入場口でパンフレットを配ってるわね」
「よし、ならば早速入ろうではないか」
雛乃姉さんを先頭に、ゾロゾロと入場する俺達。ともねえは熊に似た妙な着ぐるみをじっと見ていた。
熊野ベアじゃないしな…なんなんだ、アレ?
そこへ要芽姉様にパンフレットを渡した、変な軍服みたいなのを着た係員がこんなことを。
「ようこそお越しくださいました!ゆっくりとお楽しみください!
 何ならその後も僕がエスコートして差し上げますが…」
(ギロリ)
「ひぃっ!すみません、すみません!」
「ふん…」
さすが要芽姉様だぜ。露骨なナンパにも一切動じないで跳ね飛ばした。
「なんかさっきのメガネの男の子さー、クーヤに雰囲気が似てない?」
「そうそう。なんだか姉に叱られ慣れてるっていうか、いじめられ慣れてるっていうか」
「ちょっと待ってくれよ!俺はあんなにヘタレじゃないぞ!」
「そうかなぁ?」
お、俺ってあんなのか?いくらなんでもひどすぎるよ。
どっちかって言うとダンチョーの方が似ている気が…
「さて、このまま固まって行動するのも何かと不便だ。
 ここはひとつ、いくつかのぐるーぷに分かれようと思うのだが」
「はーい!アタシ料理部のところに行ってきまーす!」
「私は月白先生のところに挨拶に行ってくるよ〜」
「我はのらりくらりと回ってゆっくりしていきたいな」
さてと、俺はどこへ行こうかな…
587竜鳴祭に行こう(4):2005/10/03(月) 00:10:57 ID:+A4wkwco0
「おいフカヒレ。お前なぁ、無謀なことするんじゃねぇよ」
「だってあんな美人だぞ!確かあの人って、前にテレビで見たことがある。
 『氷の弁護士』の異名を持つ『柊要芽』だよ」
「ふも、ふもっふふもふもっふ」
「『あ、やっぱりそうだったのか』だって?」
「ふもふももふもふ、ふもふもふもふもふもももふもっふ」
「『それだけじゃなくて、女優の犬神保奈美も見た』だとよ。…なぁ、フカヒレ。俺は何でぬいぐるみとしゃべってんだ?」
「俺が知るかよ。つーかコレ、一体どんな構造でできてるんだ?」
そう、今俺はよっぴーから渡されたぬいぐるみを着てパンフレット配りを手伝っている。
子供にはかなり人気があるのだが、どういうわけか俺はこれを着てから『ふもっふ』しかしゃべれなくなってるらしい。
俺自身は普通にしゃべってるつもりなんだけど、周りにはそれが全く通じないようだ。
ま、それが子供に人気な理由でもあるわけで…
さっきはスバルぐらい身長のある女の人が俺のことジロジロ見てたし。
ちなみに、これが聞き取れるのは専用の翻訳機を持っているスバルだけ。
スバルとフカヒレはお揃いの変な軍服だ。フカヒレはヘッドギア付き。
「まったく、何でまたこんなよくわからんものを渡したんだろうな…おっと、祈ちゃんからだ」
「こちら司令室。第08小隊の皆さん、そろそろ交代の人が行きますので、見回りに移ってください」
「交代の人って誰?」
「土永さんですわ」
「…あ、そう。人じゃねぇよな」
スバルは携帯を切って、俺達にこのことを報告した。
「鳥にできるのかよ?」
「さあな」
「ふもふもふもっふ」
「『まぁ無理だろうな』だってさ。お、ちょうど来たみたいだし、行こうぜ。」
588竜鳴祭に行こう(5):2005/10/03(月) 00:15:30 ID:+A4wkwco0
あーあ、せっかくバイトの経験を生かせるからってここのヘルプに来たってのに…
「なんで腐れココナッツがいるんだよ。とっととハワイにでも帰りな」
「黙れカニミソ。この世界一周バカ」
ボクとココナッツは料理部のヘルプに来ているのだ。
学校一可愛いボクはウェイトレス、人生荒んでいるココナッツは奥で料理していやがる。
そのうち食中毒騒ぎがあったら真っ先にココナッツのせいにしてやるぜ。
それにしてもまた思い切ったことしたな、料理部は。大学食をそのまま使うなんて。
「すいませーん、注文お願いしまーす」
「はいはーい」
素早くお客の前に向かって、いつものようにくるっと回転。ボクのいつものパフォーマンスさ。
お客は姫と同じ金髪ポニーテール、でかいリボンをつけたツインテール、そして最近人気が出てきた女優の『犬神保奈美』だ。
「あ、かわいー!ねぇ、ここってメイドさんが注文受けてるの?」
「いえ、この格好はウチのボスの命令なんですー」
そう、ボクとココナッツの衣装はメイド。ココナッツなんてもう似合わねーのなんの。
やっぱこういう可愛い格好はボクのためにあるようなもんだよね。
「海軍カレー甘口。大盛りね!」
「ワタシはシーフードカレー中辛!」
「アタシはヤキソバ大盛りで」
「かしこまりましたー!」
うぬぬ、カレーが売りだってのに、わざわざヤキソバを注文するなんて…
「おい、ココナッツ。海軍甘口大、シーフード、ヤキソバ大だ。さっさと作りな」
「あたしに命令するな、スベスベマンジュウガニ」
ケッ、まったく先輩に対する態度がなってないねぇ。やはりコイツはいつかスマキにして烏賊島の浜辺に放り出してやるぜ。
「ホント、高嶺ちゃんはヤキソバ好きね」
お?あのお客の声だな。
「そりゃそうですよ。今日のこの味、しっかり覚えて日記にアップしておかなくちゃ」
「そんなにヤキソバばっかり食べてると、いつかツインテールがヤキソバになっちゃうよ」
「そんなわけないでしょ!…それにしても気がかりなのは『デスマスク』とかいう荒らしよ」
ん?ひょっとしてあのバカ管理人のHPか?そーか、そうだったのか…
フフフ、ならちょうどいいぜ。あのアホそうなツインとクソッタレのココナッツを同時に陥れてやる。
589竜鳴祭に行こう(6):2005/10/03(月) 00:19:13 ID:+A4wkwco0
俺とともねえ、それに海お姉ちゃんとねーたんは透子さんを探しているわけだが…全然見つからない。
「まいったな、こりゃ。」
「う〜ん、誰かに聞いてみたほうがいいかもしれないね〜」
「あ、あの人はどうだろう?」
ともねえが見た先にはどことなく高貴な雰囲気の女生徒と、おとなしそうな女生徒の二人だった。
腕に腕章をつけているから、多分係員の人だろう。
「すみませ〜ん。ちょっと人を探してるんですけど〜」
お姉ちゃんが尋ねると、おとなしそうなほうが答えてくれた。
「誰を探してるんですか?」
「月白先生なんですけど〜」
その受け答えを見ている瞬間、もう一人の方が急に妖しい目つきになった。
何故かじっとともねえとお姉ちゃんのほうを見ている。いや、顔を見ているってわけじゃないんだけど。
しばらくすると、そっちのほうが口を開いた。
「どうせだったら、館内放送で呼び出してもいいですよ」
「よかったね、海さん」
「うん!」
「でもそのかわり…」
ゆらりとその目をともねえとお姉ちゃんに向けるとニコリと笑い、
「そちら二人の胸を揉ませてくれたら、ですけど」
「な…」
何を言ってるんだ、この人は。まさかアレか?女でありながらおっぱい星人か?
「そうすればすぐにでも…ハァハァ…」
「ちょ、ちょっとエリー!」
「あ、あの…し、失礼しましたー!」
俺達はすぐにその場を離れた。要芽姉様とは違うけど、どこか危ない雰囲気が漂っていたぜ。
「もう、逃げなくてもいいのに!」
「初対面の人にあんなこと言ったら誰でも逃げ出すよ、エリー」
「何言ってるのよ。あれほど見事な乳、揉まなければ負けかな、と思ってる」
「もう…」
590名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 00:21:10 ID:WN/TorOuO
支援
591竜鳴祭に行こう(7):2005/10/03(月) 00:23:16 ID:+A4wkwco0
やれやれ、姫の気まぐれにも困ったものだ。大体この衣装は何なのだ?
ハイヒールなんて履いたことが無いし、そもそもこの丈の短いスカートが気にいらん。
さっきから人がジロジロとこっちを見ているしな…正直、恥ずかしいぞ。
「すまぬが、そこの人」
私のことか?そちらを向き直すと、着物を着て白いぬいぐるみを持った少女がいた。
パッと見ただけでは、座敷わらしのようにも見えるが…
「どうかしたのかな?」
「うむ、実は連れの者とはぐれてしまってな。どこか待合所みたいなところはないだろうか?」
「ああ、迷子か。よしよし、今放送で呼んでやるからな。お母さんと一緒か?名前は?」
「…お主、何を勘違いしている?」
突然、私の周りが異様な空気に包まれた。この少女の発している気だとでも言うのか?
なんという堂々とした姿、見た目に惑わされてはいけないというのはこのことか…
「粛清…淘汰…」
ふとその時、こちらに黒髪の女性がやってきた。
その女性が巷で有名な弁護士の『柊要芽』だということはすぐにわかった。
「姉さん、こんなところにいたんですか」
「おお、かなめ。どこにいっておったのだ」
「いえ…手芸部にぺんぎんのぬいぐるみがあったので、ちょっと…」
「相変わらずだのう」
…姉さん?姉さん言ったのか?いや、どうみてもこれは親子ではないのか?いやいや…
「姉さんをどうもありがとうございました、ミニスカポリスのお嬢さん」
話しかけられ、私はふっと我に帰った。そうか、この衣装はミニスカポリスとかいうのか。
まったく、こんなものをどこで手に入れてきたというのだ?
「いえ、私は係りの者として当然のことをしたまで。どうやらそちらの気を悪くしてしまったようですが…」
「まぁ、そのことはよかろう。我は過去の事をずるずると引きずりたくはない。
 しかしお主、我の家臣であれば今頃切腹を命ずるところであったぞ」
「そ、それはすみませんでした」
「姉さん、瀬芦理達もいるだろうし、料理部のところへ行ってみませんか?」
「うむ、そうだな。ちょうど腹もへってきたところだ。」
「それなら道案内は私にお任せください。こちらです」
592名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 00:26:30 ID:9/XoKk7r0
593竜鳴祭に行こう(8):2005/10/03(月) 00:28:09 ID:+A4wkwco0
「別に変な意味はないわよ。勘ぐらないで。ただ単にトモちゃん達に楽しんでもらおうと思っただけなんだから。
 …何、本当かって?私って信用ないわねぇ…」
結局自力で見つけ、透子さんとの挨拶を済ませた俺達はいろんなところを見て回ることにした。
なんだかこういう風景を見ていると、高校も行きゃよかったと思う。
みんな生き生きしてるし、本当に仲が良さそうだ。
「そういえば、そろそろお昼時だね〜」
「そうだな…じゃあ料理部に行ってみる?どうせねぇねぇがいるんだから、まだ食べてると思うよ」
「じゃあぽえむちゃん、行こうか」
「うん」
そういうわけで、俺達は四人で学食の方を目指した。海が一望できる学食なんて、すごくいい所じゃないか。
しかし近づいてみると、状況は一変。なんだかものすごい言い争いが聞こえる。
紛れもない、甲高いあの声は姉貴だ。こりゃ完全にキレてるな。
「ちょっと!何なのよこのヤキソバ!アタシは皿一面にカラシを敷き詰めろなんて言ってないわよ!」
「あたしは自分の料理に誇りを持ってます。そんなことはしません」
「うっさいわね!目がしみるし、口から火がでそうになるし…どうしてくれんのよ!」
「そちらが勝手にやったことじゃないんですか?もしくはそこのバカウェイトレスがやったじゃないんですか?」
「おいおい、ボクがそんなことすると思ってんの?さっさと謝りな、ココナッツ」
「お前は黙ってろ、バカガニ。このチビが」
「んだとコラァ!?」
姉貴とウェイトレスと調理師がバトルを繰り広げていた。
「ど、どうしよう…高嶺、完全に頭に血が上っちゃってるよ…」
「ホントだ〜。ツインテールが膨らんでるよ〜」
「そんな冗談言ってる場合じゃないって!止めないと!」
俺達が止めに入ろうとしたその瞬間、その前を通り過ぎるようにしてずかずかと進む二人が。
片方はどういうわけかミニスカポリスの格好をしているが、もう片方は俺達がよく知る人物。
俺達柊家を束ねる総大将…
「蟹沢!椰子!何をしている!」
「喝!」
俺達全員のお姉さん、雛乃姉さんだ!
594竜鳴祭に行こう(9):2005/10/03(月) 00:31:47 ID:+A4wkwco0
「事情はよくわかった。蟹沢、今回は全面的にお前が悪い」
「ええ〜!なんでさ〜!?」
「料理部部員が見ていたと証言している。さぁ、これでもまだシラをきるつもりか?」
「うう〜…」
「さっさと謝りなさいよ!まったく、なんてことしてくれるのかしら!」
「ああ!?テメェがあんなクソみてぇなHP作ってっからわりーんだよ、このダボが!また荒らしてやるぜ!」
「あ、あんただったのね!?『デスマスク』って!ちょーどいいわ!ここで潰してやる!」
「上等だぜ、ボクの奥義であの世に送ってやらぁ!」
「高嶺!」「蟹沢!」
「はいっ!」「う…」
やれやれ、なんとか収まったな。流石は雛乃姉さんだ。それにあのミニスカポリスも、結構な威厳の持ち主だぜ。
この二人が来なかったら、今頃本当に殴りあいに発展してたかもしらないぞ。
「すまなかったな、椰子。あとで蟹沢にはお仕置きをしておいてやる」
「再起不能になるようにお願いします」
しかしすげぇな。まさか姉貴に匹敵する…いや、それ以上の強気な女の子がいるなんて。
そしてそれを制する女の子がいるなんて。それにあの椰子とか言われていた娘、全然動じてなかったし…
そこへ突然、着ぐるみと男一人がやってきた。入り口で要芽姉様をナンパしようとしてたやつだ。
「乙女さーん!大変だー!」
「ふもふもっふ!ふももふもふふもも!」
「…?何を言ってるんだ、お前」
「レオ、いい加減それとれよな!スバルじゃなきゃわからないんだから!」
「ふもっふ」
着ぐるみは頭を取り外すと、中の人が慌てたように話し始めた。
「また出たんだよ、下着泥棒!今、スバルと村田が追っかけてる!」
「何!?また出たのか…懲りないやつだ。よし、行くぞ!レオ、ついてこい!」
そこへ雛乃姉さんが歩み寄った。こういう捕り物って、雛乃姉さんは俄然やる気が出るんだよなぁ。
「それなら我らも手を貸そう。そのような女の敵、黙って見過ごしては我が柊家の恥というもの」
「いいのですか?危険をともなうかも…」
「この程度、柊家では危険にもならんわ。我らの力、存分に使うが良い!」
595竜鳴祭に行こう(10):2005/10/03(月) 00:35:14 ID:+A4wkwco0
「よし、追い込め伊達!」
「よっしゃぁ!逃がさねぇぞ、この変体野郎!」
「ワァーオ、毎度毎度ご苦労なヤツラだぜ!」
俺達はスバルと村田を見つけ、即座に加勢する。
「待て、今度は最早ただでは済まさんぞ!」
「乙女さん!」
「行くぞ、伊達!」
乙女さんとスバルが変態男の前に並んで走りこむ。そして…
「くらいやがれ!俺と乙女さんのツインシュート!」
「はぁぁぁぁぁぁ!」
凄まじい爆音と共に、変態男は10メートル以上吹き飛ばされた。こりゃもう病院行き確実だな。
しかし、一緒に来ていたあの柊弁護士が、瞬時に相手の表情を読み取ったようだ。
「待ちなさい。気絶しているのにこの勝ち誇ってる顔…どうやらダミーじゃないかしら?」
そう言ってると、スバルに祈先生から連絡が来た。
「土永さんが反対側から逃げる男を目撃しましたわ。敵はバイクで逃走の模様。
 すぐに向かってくださいまし。あと抜刀許可がおりましたと、鉄さんに伝えてくださいな」
スバルはこのことを俺達に話すと、乙女さんは心底悔しそうにした。
「何っ!?くそ、してやられた…いくら抜刀許可がおりたところで、これでは…」
だが、氷の弁護士はとても冷静だった。
「安心していいわ。こっちには足があるから」
そういうと、携帯で連絡を取り始めた。
「海?瀬芦理と巴に伝えてくれないかしら。敵はバイクを持ってるわ。私たちも行くわよ」
一通りの連絡を終えると、柊弁護士は乙女さんに向き直る。
「こっちにバイクを一つよこしたから、それに乗って行きなさい」
「ありがとうございます!レオ、伊達、村田!まだ他にいないか、学校内を捜索しろ!」
「鉄先輩、お気をつけて!」
596竜鳴祭に行こう(11):2005/10/03(月) 00:38:48 ID:+A4wkwco0
「ともねえ、もっと飛ばせないの!?」
「む、無理だよ…空也を乗せてるのに、そんな危ないことは…」
俺とともねえはバイクで逃走する犯人を追っていた。
性能はともねえのバイク『ラスカル』のほうが圧倒的に上だけど、しかし乗り手が優しすぎる。
距離を離されることはないけど、追いつくこともできない。何とか奴の後ろをマークしておくのが精一杯だ。
そんなとき、ついにあの爆走ライダーが現れた。こっちはともねえのように遠慮はしない。
「クーヤ!あいつ!?」
「そうだよ!」
「平和な学園を、ましてやみんなが楽しむはずの竜鳴祭を汚すとは…ただではおかん!」
ねぇねぇの『キャットスライガー』の後ろには、乙女さんと言われていた人が乗っていた。
普通に日本刀を持ってるんだけど、コレどういうこと?
「あとはアタシたちに任せときな!あんなのすぐに追いつけるって!」
「うん、頼んだよ瀬芦理姉さん。あまり無茶はしないで」
その後、ねぇねぇはさらにスピードを上げた。最早俺達の出る幕じゃなさそうだ。
「ウソだろゥ!?なんであんなにスピードがでてんだよゥ!?」
犯人もさらにスピードを上げようとしたけど、もう遅かった。
キャットスライガーの後ろで乙女さんが膝を立て姿勢を正し、居あい抜きのようにその刀を構える。
あのスピードなのに、そんなことができる人がいるなんて…
「限界まで飛ばせ!キャットスライガー!」「万物悉く切り刻め!地獄蝶々!」
「これがアタシたちの!」「乾坤一擲の一撃なり!」
すげぇ、初めてのコンビなのにピッタリ息が合ってる。
「はぁぁぁぁぁ!地獄蝶々・逸騎刀閃!」
すれ違う瞬間、空気をも切り裂くような一閃。
キャットスライガーのスピードと合わさった居合いは、いとも簡単にバイクを一刀両断した。
「見たか!アタシたちに…」「断てぬものなし!」
決め台詞の後に犯人のバイクは大爆発、犯人は思いっきり吹っ飛ばされて気絶していた。
「あぅ、やりすぎじゃないかなぁ…」
「下着ドロの時点で警察沙汰だけど、これはこれで警察沙汰だよね…」
柊家では常識は通用しないが、どうやらここでも通用しないらしい。
俺とともねえは、その様子をポカーンと見ているしかなかった。
597竜鳴祭に行こう(12):2005/10/03(月) 00:42:04 ID:+A4wkwco0
俺達は協力していくれたお礼として、タダでカレーをごちそうしてもらったのだった。
「竜鳴館館長・橘平蔵である。今回は協力していただき、誠に感謝の極みだ」
「柊家長女・柊雛乃である。我らは当然のことをしたまで。礼には及ばぬ」
犯人を警察に引き渡した俺達は、いかつそうなオッサンからお礼を受けていた。
あんなオッサン、見たことないぞ。熊とか平気で食べてそうだ。
「生徒会長の霧夜エリカです。柊弁護士、今回はありがとうございます。
 できればこれからもずっとお付き合いしたいですね」
「フッ…そうね、これからもよろしく」
そういえば要芽姉様はあのキリヤコーポレーションの顧問弁護士になるんだったな。
それにしてもなんだかあのエリカって人、只者じゃなさそうだぜ。
「私、柊海っていうんだ〜。よろしくね〜」
「佐藤良美です。今回はありがとうございました」
「良美ちゃんか〜。じゃあ、よっぴーだね〜」
「もう、いきなりよっぴーって言わないでよぅ」
おっ、あの娘可愛いなぁ…でも、なんだか俺の野性が危険を察知しているぞ。
「協力してあげたんだから、感謝しなさいよね」
「オメーは何もしてねーだろが、ダボが。えらそーにしてんじゃねーよ」
「な、なんですってぇ!」
…どうして人は争いを続けるんだろう…
「あは、君が作ってくれたカレー、とてもおいしいよ」
「私も…超辛カレー、おいしい」
「…どうも」
口数少ないトリオか?しかし椰子だっけ、性格はともねえとは正反対っぽいな。
「ホンマやホンマや!犬神保奈美や!あ、あの、サインください!」
「オラもほしいべ」
「くー♪」
「はいはい、一列に並んでねっ」
やっぱり結構な知名度なんだな、どんどんねぇやのほうにファンが集まってくるぞ。
それにしても、トラブルもあったけど、これはこれで楽しいかもな。
なんだかんだで、俺とほとんど同じ年齢の人と仲良くなれたし。
598竜鳴祭に行こう(13):2005/10/03(月) 00:46:44 ID:+A4wkwco0
みんながそれぞれと話をしている中、俺のところにねぇねぇにも負けない巨乳美女が近づいてきた。
なんとなく雰囲気が透子さんに似ている。まさかこのあと、お礼ということで夜のデートを…うふふのふ。
「じー」
「何か御用でしょうか、美しいお姉様」
「…やっぱり興味が湧いてきませんわー」
そういうと、すぐにどこかへ行ってしまった。なんじゃそりゃ。
すると今度は、なんとなく俺と同じ匂いを持った少年がやってきた。
「どうも、今回はありがとうございました。」
「いやぁ、そんなに歳も変わらないみたいだし、そんな言葉使いしなくてもいいよ。俺、柊空也」
「そう?それじゃあ…俺は対馬レオ」
「よろしく、レオ」
「こちらこそ、空也。君の家、お姉ちゃんが六人もいるんだね」
「そうなんだよ。さらに向かいに二人の姉。都合八人に囲まれてるんだ」
「そっか…実は俺も…」
「おい、レオ」
突然、さっきねぇねぇのバイクに乗って犯人を叩き潰した乙女さんなる人が現れた。
「どうやら挨拶は済ませたらしいな。不埒な輩の成敗を手伝ってくれた恩は忘れてはならないぞ」
「うん。この人があの人たちの弟、柊空也君だよ」
「そうか」
そう言うと、俺のほうを向き直り、
「竜鳴館風紀委員・鉄乙女です。今回は力を貸していただき、誠にありがとうございます」
「いやぁ、俺は特に何も…それに乙女さんって、レオのお姉さんですか?」
「まぁ、姉がわりというやつで。よくわかりましたね。まぁ、あまり根性のない弟ですが」
「はは…」
ああ、彼もお姉さんっ子なのか。俺ほどじゃなさそうだけど、なるほど親近感が湧いてきたわけだ。
乙女さんはレオの服装の乱れをチェックしたあと、きびきびとした動作でその場を後にした。
ただただカッコイイ…それが俺の乙女さんに対する印象だった。
599竜鳴祭に行こう(14):2005/10/03(月) 00:48:23 ID:+A4wkwco0
ぼんやりと空が赤くなって、俺達もいよいよ帰ることとなった。
下着ドロというくだらない事件に巻き込まれはしたものの、本当に楽しい一時を過ごすことができた。
盗むぐらいなら、むしろ下着を頭から被るぐらいの勢いを見せてもらいたいもんだぜ。
しかし何と言っても、一番良かったことは新しい友達を沢山見つけることができたことだろう。
乙女さん、蟹沢さん、椰子さん、霧夜さん、佐藤さん…そして、対馬レオ。
いずれはダンチョーやイエヤスとかにも紹介してやりたい。

「今度俺の町にも来いよ。一緒に遊ぼうぜ」
「ああ。絶対行くよ。また会おうな」
俺とレオはお互いがっちりと握手し、俺達は再会を約束したのだった。
600シンイチ:2005/10/03(月) 00:51:43 ID:+A4wkwco0
うい、終了です。
締めに大苦戦…だいぶ反省。
次もまたのびのびとやってきます。
601名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 00:53:15 ID:9/XoKk7r0
おつかれさまー
やっぱり空也視点は心地いいなぁ
バカの方がみていて気持ちいいのかもしれない……
とにかく、GJ!
602名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 00:54:46 ID:Jb8CEKuQ0
おつかれ、そしてGJ!
姉しよは名前しか知らないが、かなり楽しめました。
603名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 00:58:33 ID:bj8o6uFW0
シンイチだからってナメてんじゃねぇぞ、
叩きのめして、這いつくばらせて、俺の靴舐めさせて
最後にテメーのSSにGJ!って言ってやるぜ、メーンッ!!
604名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 01:00:21 ID:gLUgU3Ek0
GJ!
楽しく読ましていただきました!
605名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 01:02:01 ID:kRSGTk9l0
乙〜
コラボものはどうしても「このキャラとこのキャラが出会ったらこういう反応」ってのが
続いちゃうからオチをまとめるの難しいよね…
606名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 01:07:43 ID:18KKoiBh0
GJ!
これまた構成が難しそうな話を・・・ほんとおつかれ

乙女さんとねぇねぇのスパロボネタかっこよかったですよ!
バックミュージックが脳内再生されました
607名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 01:14:46 ID:EmbKodBNO
よし、コラボSS投下するなら今のうち(。・ω・)
糞だけど許してね
608決戦の地 松笠1:2005/10/03(月) 01:16:37 ID:EmbKodBNO
7月30日
柊家は、ねぇねぇの提案で、「まつかさ開国祭」に来ていた
パレードや出店を楽しんだ俺達は、松笠の街を見て回っていた。
雛乃「ふむぅ、やはり祭の雰囲気は良い。活気に満ちておる」
要芽「姉さん、あまり無理しないで下さいね」
雛乃「あぁ、わかっておる」
高嶺「ふぅ…歩き疲れた〜。その辺でお茶でも飲んで休憩しない?」
瀬芦里「タカはだらしないな〜、わたしが鍛えてあげようか?」
高嶺「体力だけの人と一緒にしないでよね!」
海「高嶺お姉ちゃんは、ツインテールだけだもんね…ボソッ」
空也「うん…ボソッ」
609名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 01:17:20 ID:qOLiTFob0
             ,,,v--‐-、_
            ,,‐ "` _,, -‐-.、  `ヽ、  , -‐ 、
          ,r″ _,r'"        ヽ,il//゙⌒゙う,、
       /  .,/            ` ヽ,    '゙l、
      ,/  .,i ,  ,r    ,i   、 ヽ、 ヽ    ゙i
     .ク,,r .,,l .,i / ,ノ ,r ,if  ,ノ ,!  ゙l   ゙i、
     ,ノ /″i"`i,lヌlyメt+y,l,,,|゙,,r / ,!  ,ト   i
    ,行l",! l, '゚゙|,ドll゙゙;j゙゙゙ラ`゙ノレjl゙,yt,ナメ, i .l  i、
   ' il i从.゚ヽ, l,l ,i_,r" .,/ ,i!';j゙゙゙ソノノ,l ,l゙  lタ
    .' 爪、 `゙|l         !__,r゙,なレ", ォ/″
      ゙`'゙lli、 ,l从       ゝ  ,/イレ !'ノ
       _゙,jlF` ゙ヽ  ゞ=ュァ  ,. ケ
     ,r'" l√    ヽ_,,,. rlリ"''ヽ,,
    /   `\    l" ゙<      ゙入
  /、      \-、  ,-ノ    ,,l″ `ヽ、
610決戦の地 松笠2:2005/10/03(月) 01:17:26 ID:EmbKodBNO
高嶺「そこ!今、アタシの悪口言ったでしょ!」
海「まさか〜(・ε・)」
高嶺「ぬぅ〜」
巴「け、ケンカしちゃダメだ…」
結局、雛乃姉さん,姉様,姉貴は喫茶店へ。
残りの4人で喫茶店の近くにあったゲーセンに行くことになった。
瀬芦里「よぉし!わたしの腕前見せてあげる」
そう言うと、格ゲーで乱入対戦を始めるねぇねぇ。そしてあっさり勝利。
瀬芦里「余裕余裕〜☆」
相手が続けて乱入してくる。しかし、またしてもねぇねぇ勝利。
瀬芦里「弱すぎて相手にならないにゃ〜」
わざと相手に聞こえる様に言っていた。
611決戦の地 松笠3:2005/10/03(月) 01:18:21 ID:EmbKodBNO
空也「ちょっ…ねぇねぇ、やめなって」
相手が再び乱入してきた。
瀬芦里「懲りない奴〜」
やれやれと言った感じで対戦開始。……ねぇねぇ敗北。
瀬芦里「ちょっと何コイツ!」
無理もない、無限コンボでハメてきたのだ。意地になり乱入するねぇねぇ。
あっという間に6連敗…
空也「ねぇねぇ、もうやめた方が…」
瀬芦里「(ギロッ)」
空也「ひぃっ!」
黙ってろとアイコンタクトされ、熱くなるねぇねぇを放置し仕方なく俺達は別コーナーへ
巴「あっ…」
空也「ともねえ、どうしたの?」
UFOキャッチャーの前で目を輝かせるともねえ。
612決戦の地 松笠4:2005/10/03(月) 01:19:14 ID:EmbKodBNO
景品のぬいぐるみが欲しいらしい。
巴「わ、わたしココで遊んでるから…空也と海も遊んできて」
空也「えっ、でも…」
海「さっ、くーやはお姉ちゃんと遊ぼうね〜
何やりたい?お姉ちゃん何にでも付き合うよ〜」
ズルズルと引っ張られて行く俺。
そして1時間後…

空也「お姉ちゃん凄いね!」
海「まかせてよ〜」
空也「さっきやったガンゲーなんて、2人でやったのにお姉ちゃん1人でクリアーしちゃうんだもん」
海「例えゲームでも、くーやを守るのはお姉ちゃんの役目だよ〜」
出てくる敵をお姉ちゃんが瞬殺。俺1匹も倒してない…
613決戦の地 松笠5:2005/10/03(月) 01:20:59 ID:EmbKodBNO
空也「そろそろ戻ろうか。ともねえは……ん?」
UFOキャッチャーの前でともねえが知らない男と喋っていた。
????「よければそのぬいぐるみ、俺が取ってあげましょうか?」
巴「え、えっと…」
????「もし取れたら、俺とお茶して下さいね」
巴「あ、あう…」
ともねえが困ってる!そう思った時には、体が動いていた。
海「あっ!くーやー」
ともねえと男の前に近づく。
空也「巴!遅くなってゴメン」
巴「く、空也…」
空也「俺の彼女に何か?」
????「い、いや…別に…」
ともねえの手を引っ張りその場を離れる。
ザマーみやがれ!
614決戦の地 松笠6:2005/10/03(月) 01:22:48 ID:EmbKodBNO
呆然と立ち尽くす男…
????「ちくしょー…押しに弱そうなタイプだったのに…」
???「まっ、そう簡単におとせたら苦労しねーよ 元気だせ、フカヒレ!」
フカヒレ「ふん!俺もスバルみたいな顔だったら、女なんて…」
スバル「バカ、男は顔じゃねぇ。」
フカヒレ「お前に言われても、納得できねーよ!」
スバル「そう拗ねんなって。レオと蟹のとこ行こうぜ」

あとはねぇねぇを連れて帰るだけ。しかし…
…ふと聞こえてきた、聞き覚えのある声。しかも怒鳴っている。嫌な予感がする…
ねぇねぇの所へ行ってみると、嫌な予感は当たっていた…
615決戦の地 松笠7:2005/10/03(月) 01:23:42 ID:EmbKodBNO
瀬芦里「アンタねぇ!無限コンボでハメるなんて外道をあっさりやるとは、卑怯者!」
??「へっ、それもテクニックのうちだろ!大体、弱すぎだって言うから
ちょっと本気出しただけだもんね!」
ねぇねぇは対戦相手の女の子と、激しく口喧嘩していた。
??「おい、蟹!やめろって」
蟹「レオは黙ってろよっ!」
連れの男が女の子を制止するが、2人は止まらない。
空也「ねぇねぇ!ゲームくらいで喧嘩しないでよ!
すいません、ウチの姉が…」
レオ「いやいや、ウチの甲殻類の方こそ…」
ペコペコと頭を下げる俺2人。
空也「さぁ、帰るよねぇねぇ!」
616名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 01:28:19 ID:bj8o6uFW0
支援
617決戦の地 松笠8:2005/10/03(月) 01:28:47 ID:EmbKodBNO
蟹「そこの頼りなさそーな女男。そいつさっさと連れて帰ってよ!」
瀬芦里「なっ!ウチのくーや、バカにすんなぁ!
あんたの連れてる男なんか、たいした特長も無い平凡な顔してるくせに!」
空也&レオ「………」
俺の後ろで何かをメモする海お姉ちゃん。
蟹「何だと〜!もうキレたもんね!表出ろや金髪ホルスタイン!」
瀬芦里「上等だ!まな板ちび助!」
俺達の制止もきかず、火花を散らす2人。
あぁ…せっかくの家族旅行が…

こうして松笠をリングに闘いの火ぶたは切っておとされた…

…続く
618名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 01:32:32 ID:EmbKodBNO
思いつきで何となく書いたんで、糞なのはスマソorz…
619名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 01:36:09 ID:1IWkJf4x0
>>618
乙。
コラボネタは途中の展開は楽しいんだよね。
まとめ方が問題か。
620名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 01:40:34 ID:qOLiTFob0
>>618
続くのかな?ガンガレ!
コラボやろうとすると、ついつい両方のキャラ総出演みたいにしたくなるけど
登場人物増えればそれだけまとめるのも一苦労になるだろうね・・・
621名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 01:43:33 ID:J+T5E/SC0
>>600&618
GJ! どちらもオモシロス。ちょっと展開似てるけどw
622名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 01:45:58 ID:AgMqW6wH0
>>567
なあ、流石にこれはやりすぎじゃなかろうか?
まぶらほ短編41話の一部を書き直ししただけじゃん・・・
623名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 01:58:46 ID:p5NS23Th0
>>618

    __(___
   '´  ヽ_ヽ
   l、lノノ八l )ぐっじょぶ、であるな。
   リl|.゚ ヮ゚ノl >(雛)< 飴をやろう
    ノ _ソ_ ]⊃
   └u|--|┘
    .ノl__」
624名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 02:08:43 ID:J+T5E/SC0
>>622
そもそも彼がこのスレで最初に投下したのもそんな感じのだったし。
それより記憶喪失モノ続きマダー(AA略
625名無しさん@初回限定。:2005/10/03(月) 02:35:04 ID:UdD3eqlBO
元ネタ分かったの俺だけじゃなかったのな。違和感ないっちゃないけどね。
とにかく記憶喪失モノに期待ですね。トウカマダー?(AAry
626SSD:2005/10/03(月) 04:02:04 ID:hyz8JKBn0
>>600
スパロボは分からないですが、ラストあたりはスカッとしました。
流石です。

>>618
どんな状況でも海メモを取るお姉ちゃんにワラタ
627名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 06:41:34 ID:Ce+jtW+M0
お? またSS投下されてるな。
職人さん乙女さん&GJっす!


これら見てるとやっぱり俺のSSって・・・・・ただの作文だよ_| ̄|○
しかもエロとか言っときながらあまりエロくないし・・・・。

せっかくの休みをSSに当てるというのもアレだが頑張ってみますです。
628名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 06:49:03 ID:hyz8JKBn0
>>627
ガンガレ。
作品にレスもらった時はうれしくて涙が出るお
629名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 07:05:58 ID:Ce+jtW+M0
>>628
うっす、頑張りまふ(`・ω・´)
でも今から寝るよ・・・・さすがに眠い・・・・。
630名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 07:14:35 ID:kShZorLn0

             ,,,v--‐-、_
            ,,‐ "` _,, -‐-.、  `ヽ、  , -‐ 、
          ,r″ _,r'"        ヽ,il//゙⌒゙う,、
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      ,/  .,i ,  ,r    ,i   、 ヽ、 ヽ    ゙i
     .ク,,r .,,l .,i / ,ノ ,r ,if  ,ノ ,!  ゙l   ゙i、
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    ,行l",! l, '゚゙|,ドll゙゙;j゙゙゙ラ`゙ノレjl゙,yt,ナメ, i .l  i、
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    .' 爪、 `゙|l         !__,r゙,なレ", ォ/″
      ゙`'゙lli、 ,l从       ゝ  ,/イレ !'ノ
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  /、      \-、  ,-ノ    ,,l″ `ヽ、
631名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 10:35:48 ID:kTWnnepJ0
どれもこれも面白い!
GJ!!
632名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 13:38:26 ID:if+CRMVD0
ふもっふ!

ぽにぽに
633名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 17:50:10 ID:IWjMXs1C0
>>584
激しくGJ!!
ボ○太くんネタやら竜○斬○刀やらハゲワロタ(w
634名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 17:57:12 ID:J79JnDbN0
ss作っているが短く出来ません。orz
文ってどうやって短くするんですか?
635名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 18:05:10 ID:9kM+ZKNs0
>>634
BS or DEL




スマン
636名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 18:24:09 ID:hyz8JKBn0
>>634
一文一文、自分の伝えたいことを伝えるのに本当に必要かそうでないか考えながら削除。
二行の文を一行でまとめられるところを見つける。
長い文を別のより効果的かつ短い言い方に変える。など。
エラソウニスマソ    吊ってくる。

>>635
ワラタ
637名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 19:47:05 ID:MAkVbOa90
>>634
いいんじゃね、長いまま出せば
原稿用紙にして40枚オーバーとか結構見かけるしな
長編小説並みの長さとか言うなら流石にかける言葉が無いが
638Seena ◆Rion/soCys :2005/10/03(月) 20:33:21 ID:pqJ567G70
>>634
ん〜、ネタの段階で長くなるか短いか見当つけて
長くなるものは無理にに短くしようとかはしないほうがいいですよー。

ネタとして短く終わらせやすいものは

・登場人物が少ない
・時間経過が短い
・舞台が狭い


後は起承転結のサイクルをシンプルにする、余分なプロットは詰め込まない。
こんな感じですねー。
639名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 20:50:57 ID:J79JnDbN0
>>635-658
ありです。
とくにSeenaさんからアドバイスいただけるとは。・゚・(ノД`)・゚・。ウレシイ
ガンガリます
640名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 22:26:22 ID:aglA4nO30
ねーたんの出番少なくないですか?
微妙に不人気?それとも書きにくいキャラ?
641姉貴と開国祭:2005/10/03(月) 23:24:23 ID:VX+340mc0
「コラ、イカ。さっさと来なさい。人混みを歩きやすくするために、私の壁になりなさい。」
姉貴が暇そうにしてたから、せっかく隣町の開国祭に一緒に来たのにこの仕打ち・・
「見なさい、イカ。あそこの屋台で焼きそば売ってるわ、アンタ買ってきなさい。」
クソ、パレードの時だけじゃなくてオヤジとねぇねぇについてきゃよかった。
買ってきた焼きそばを渡すと、ちょっとうれしそうな顔しやがる。
カワイイじゃねぇか・・イカン!!騙されるな空也!
この間も巴ねえと仲良く草むしりしてたら、後頭部に蹴りを食らって死にかけたじゃないか。
「61点、ちょっと油が多すぎてギトギトしてるわ。」
人が買ってきてあげたモノ、人が作ってくれたモノに文句言ってるし。
642姉貴と開国祭2:2005/10/03(月) 23:25:14 ID:VX+340mc0
「オイオイ開国祭の売りはカレーなのに、焼きそば食べてるなんて空気読め無いヤツですね。」
なんかちっちゃい甲殻類が絡んできた。
「なに食べようが私の勝手でしょうが、って言うかアンタ誰よ?」
よく訓練されたドーベルマン並に、素早く噛みついた。
「ボク?ボクは傷ついた現代に癒しを与えるために天から舞い落ち、
雪の結晶から生まれたカレーハウスオアシスの妖精蟹沢って言うんだ、覚えたか?エビ。」
一瞬で姉貴のキャラを看破するとは・・出来る。
「聞いてなかった、ってゆうか聞く気がなかった。」
さすが神経逆なでのプロ、自分で聞いといてそりゃ無いぜ。
「ちょっとツラ貸せやーコラァ。てめーのツインテール蝶々結びにして、
古墳の壁画って呼んでやるぜメェェェン!!パキュ!!」
643姉貴と開国祭3:2005/10/03(月) 23:27:24 ID:VX+340mc0
「スイマセン、こいつバイトでカレー作るのに忙しかったらしくてイライラしてただけなんです。」
「いい子なんです。普段はもっと優しいんです!!!」
ぶん殴られたあげく、赤い髪のイケメンとなんか団長と同じオーラをまとったメガネに
両脇を抱えられ、捕まった宇宙人みたいな感じで人混みに消えていった妖精。
「なんなのよ、アレ。せっっかく人が焼きそばを味わってるのをジャマしやがってぇ。」
「イカ、家に帰ったら今食べた焼きそばよりもおいしいの作りなさい。
出来なかったらアンタで憂さ晴らすからね。」
「ちょっと、シャツにソース付いてるわよ。帰ったら焼きそば作ってる間に、
染み抜きしてやるから持ってきなさい。」
「フフン、感謝しなさい。」
帰って焼きそば作るか、ねぇねぇはオヤジとうまく言ってるのかなぁ・・
「ちょっと!!イカ。無視すんじゃないわよ。」
「分かったよ、お願いします。」

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

「うー、メガネの姉ちゃんさぁツインテールに絡んだら報酬くれる約束だろ?早く出しなよ。」
「ハァイ、ご苦労様でしたぁ。」
「うぇぇぇ?なんだよコレ?」
「空也小学4年生!!プールでクロール!!レアモノブロマイドだよぉ。」
「いらねぇよ!!」
「えぇぇぇ、海水パンツなのにぃ。」
644姉貴と開国祭:2005/10/03(月) 23:31:58 ID:VX+340mc0
はじめてで頑張って書いたけど、これ以上書けなかった・・
ここの住人すごいと思うよ、おもしろいモノっておいそれとは出来ないね、
やっぱり。
645名無しさん@初回限定:2005/10/03(月) 23:35:36 ID:Ce+jtW+M0
>>644
乙女さん!&GJ!

結構楽しく読ませてもらいました。
てか、初リアルタイムヽ(゜∀゜)ノ
646>>645:2005/10/03(月) 23:36:53 ID:Ce+jtW+M0
sage忘れた・・・・_| ̄|○
647名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 00:42:54 ID:RU618Sj30
>>635-658
ありです。
とくにSeenaさんからアドバイスいただけるとは。・゚・(ノД`)・゚・。ウレシイ
ガンガリます
648名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 04:16:11 ID:+0t5IVOS0
>>644
ツンデレ姉貴モエス
649名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 12:19:35 ID:5TEvgTLm0
>>640
愛故に。
ねーたんはSSにするような話よりもこう何気ない優しい日々を共に送りたい人だから
とか言ってみる。
ちなみに今こんな柊姉妹は嫌だスレで絶賛いじられ中。
650名無しさん@初回限定:2005/10/04(火) 15:57:25 ID:CglewV2W0
>>640
前スレにつよきすとのコラボでねーたんメインのSSがあったはず

でも>>649のいうようなマッタリ系の話
651640:2005/10/05(水) 00:08:10 ID:nvRDmtKm0
まったりが似合うのはわかるんですが…

貝を取りに行ったときのこととか、あゆむとして空也のメル友に
なったこととか、ねーたん視点で読んでみたいな。
652名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 00:10:21 ID:CaZiM0yI0
>>651
思いついたら自分で書くw
653640:2005/10/05(水) 15:01:36 ID:nvRDmtKm0
>>652
書いてみたいという夢はあっても、現実には なかなか…
楽しませてもらってるのに贅沢言ってすみませんでした。
654Boy meets Girl・1:2005/10/05(水) 19:30:32 ID:u2Wu417w0
昼下がり。
今日は家に俺と雛乃姉さんしかいない。
二人で居間でTVを見ていると
誰かがバタバタと慌ただしく廊下をやってくる。
はて・・・今頃誰だろうと思っていると
入ってきたのは親父だった。
なんだ?珍しいな、こんな時間に?
「どうされた、親父殿?何か忘れ物でも?」
「あー、いや、ちょっとな・・・
 その、高嶺はいないのか?」
「姉貴?出かけてるけど?」
「む、そうか・・・学校・・・は休みか。
 どこに行ったかな?いつ頃帰るかわかるか?」
「さあ・・・どこに行くとも聞いてなかったし」
「むう・・・さて、どうするかな・・・」
何か・・・親父の様子がアヤシイ。
「用事があるならケータイで呼べばいいじゃん」
「ああ、いや、あれだ、本人がいないならいいんだ、うん」
雛乃姉さんも怪訝な顔で親父を見ている。
「たかねが戻ったら、我かくうやが伝えてもよいのでは?」
「いや、ホントもういいから。
 ああ、ワシもう仕事あるから会社戻る・・・」
そわそわしながら親父が居間を出ていこうとする。
「親父殿」
・・・雛乃姉さんは大声を出したわけではない。
しかし、その声には有無を言わさぬ威厳があった。
どっちが親だかわからんな。
「・・・はい」
「親父殿の留守中、この柊家を預かるのは長女たる我の努め。
 隠し事をされてお出かけになられては困ります」
「う・・・まあ、いずれは話すわけだから、な。
 いや、実は、な・・・」
655Boy meets Girl・2:2005/10/05(水) 19:34:53 ID:u2Wu417w0
「お見合い〜!?」「タカが!?」「あう、びっくり」
夕食の席、皆が揃ったところで雛乃姉さんが重大発表。
みんなびっくり。
当の姉貴なんか、あんぐりと口を開けたまま固まっていた。
「そ・・・それで、お相手の方は?」
「うむ、親父殿の取引相手のご子息ということだ。
 お互い、家族のことを話しているうちに
 なんとなく成り行きでそういうことになってしまったらしい」
「娘の将来を、そんな成り行き任せにするとは・・・」
姉様も呆れ顔だ。
・・・ちなみに、この場に親父はいない。
仕事が忙しいからと言って、雛乃姉さんに下駄を預けてしまった。
つまりは逃げやがったわけだが、選択としては正しいな。
いたら袋叩きで晩飯はドッグフードだ。
「でもさー、年齢的な順番からいったら
 ひなのんか要芽姉がお見合いするもんじゃないの?」
何気ないねぇねぇの一言に、姉さんと姉様がピクリと身じろぎ。
まあ・・・確かに二人ともいわゆる適齢期を迎えてはいるわけだが。
話を変えよう。
「なんでまた姉貴なんだろうね?」
「・・・お相手がまだ若いからであろう?
 釣り合いそうなのはうみか、たかねか、せいぜいともえまでと
 親父殿も言っておったではないか」
しまった、火に油。姉さんも姉様も顔面をピクピクさせている・・・
「まあ、もう先方に高嶺の名前を出して、写真なども渡しているそうだから
 今さらどうしようもないがな。
 ところで・・・たかね?たかね?」
「さっきから動かなくなってるよ〜?」
「ふむぅ・・・せろり、呼び戻せ」
「あいよ〜・・・そぉ、れっと!」
「ゥギャッ!?・・・きゅう」
・・・呼び戻しすぎてまた別の所に行ってしまったようだった。
656Boy meets Girl・3:2005/10/05(水) 19:38:54 ID:u2Wu417w0
ともねえの介抱でようやっと姉貴が意識を取り戻す。
「あー・・・イタタタタ・・・何すんのよもう!
 頭パカパカ殴らないでよね!
 人類の至宝とも言えるこの頭脳が壊れたらどうすんのよ!」
「ツインテールが残ってれば大丈夫だよ〜。
 何かあっても、そこから再生できるんだよね〜」
「そんなわけないでしょ!」
「ええい、ちっとは静かにせい!
 ・・・で、どうなのだ、たかね?」
「どうって・・・何が?」
「見合いのことに決まっておるだろうが。
 受ける気はあるか?」
「ん・・・まだ、学生なんだし
 お見合いとか・・・その、早すぎると思う」
「別に結婚を前提にしたお見合いということではないらしい。
 あちらもまだお若いのでな。もそっと軽く考えてもよいぞ」
「でも・・・どんな人かわかんないし・・・」
「写真その他は、親父殿から預かっておる。見てみるか?」
途端にわっと集まる姉妹たち。
こういうところは、女の子っていうか・・・
「ちょ、資料とか写真はアタシが見るために・・・!」
「普通ね」「フツーだね」「うん・・・普通」「普通だよ〜?」
「だ〜か〜ら〜、アタシに見せてくれなきゃ・・・!」
肝心の姉貴は輪に入れないでいた。
「・・・若いわね」「若い若い」「ホント・・・若いんだ」「ヤングだね〜」
「あーもう!なんでアタシが見られないのよぅ!」
「ちょっと黙りなさい高嶺。今私たちが下調べしてあげてるんだから」
・・・ただの興味本位にしか見えません、姉様。
「・・・それでは、総評」
なんですかそれは。
「70点」「65点」「あう・・・80点?」「く〜や以外は0点だよ〜」
微妙だったり主観入りまくりな点数だった。
657Boy meets Girl・4:2005/10/05(水) 19:42:56 ID:u2Wu417w0
「もう、いいからアタシに見せてってば!」
写真とかもろもろを姉貴がひったくり・・・意外に真剣に見ている。
「・・・顔はまあ、普通ね」
「だから、そう言ったでしょ」
「って、何よコイツ、若いっていうよりガキじゃない!」
「それも言ったってば」
「ん〜・・・可もなく不可もない点数ってとこね・・・」
「あ、あははは・・・もうちょっといいんじゃない、かな」
結局、同じような意見だった。
「それで、どうだ、たかね?」
「う〜ん・・・なんかコイツ、つまんなさそう」
「そうか・・・なるべくなら親父殿の顔を立ててやりたいところだが
 どうしてもとイヤ、ということであればやむを得んな」
「そっか・・・お父様の取引先の関係者なんだっけ」
「いや、そのようなことは気にせずともよいがな」
「う〜ん・・・」
考え込む姉貴。
考えながらも、なぜか俺のことをチラチラ見てる。
「空也は・・・どう思う?」
「は?いいんじゃない?一回ぐらいお見合いしてみるのも」
「い・・・一回ぐらい、ってねえ!」
「気に入らなきゃ、適当なこと言ってその後会わなきゃいいんだし。
 姉貴、そういうの得意だろ?」
まあ・・・逆に向こうが気に入らない場合もあるわけだがな。
「あーあー、そうですか!
 ・・・いいわ、お見合いする!
 ひょーっとしたら、スッゴイいい男かもしんないもんね!」 
「さっき普通でツマンナイとか言ったじゃん」
「アンタみたいなバカイカよりはマシ!」
プンプンしながら、見合い相手の資料を持って
姉貴は部屋に戻っていった。
・・・何怒ってんだ?
658Girl meets Boy・1:2005/10/05(水) 19:46:51 ID:u2Wu417w0
「ええ、はい、特に何も・・・ええ、元気です、はい。
 代わりましょうか?・・・そうですか。
 はい・・・え?はい・・・はい・・・」
生徒会の用事で姫に呼び出され
家に戻ってみると乙女さんが何事か電話で話していた。
乙女さんが電話で長話ってのも珍しいな。
相手は誰なんだろう。
「はい・・・レオのほうには・・・
 え、私が、ですか!?あ・・・はい、来てましたが・・・
 ちょ、ちょっと待ってください!」
乙女さんが何か慌てて、受話器から顔を話して俺に呼びかける。
「レオ、今朝叔父さんから郵便物が届いていたんだが
 テーブルの上の・・・そう、それだ」
「ああ、これ?まだ開けてないけど・・・」
乙女さんが受け取ったのだろう。大きめの封筒がテーブルの上にあった。
宛名が俺と乙女さんになっている。
一人で勝手に開けるのはどうかと思って開けずに待っていたらしい。
しかし、なんだ?電話の相手って・・・オヤジか?
「ちょっと貸してくれ・・・はい、お待たせしました。
 はい・・・あの・・・本当に私が・・・?
 はい・・・わかり、ました・・・」
郵便を受け取った乙女さんは
何か戸惑いながらもオヤジとの電話を続けている。
「それでは・・・でも、もしレオが嫌がったら・・・
 そうですか・・・はい・・・あの・・・
 あ、もしもし!?もしもーし!?・・・はぁ・・・」
電話は切れてしまったようだ。
乙女さんが受話器を置いてため息をつく。
「オヤジから?」
「うむ・・・レオにちょっと頼みがあったらしい」
「だったら、なんだって俺に代わらないんだろ?」
「レオに、見合いをして欲しいということだ」
659Girl meets Boy・2:2005/10/05(水) 19:50:49 ID:u2Wu417w0
・・・はい?
「叔父さんの仕事の取引先の社長さんの娘らしい。
 何か家族の話から、いつの間にかそんな流れになって
 見合いでもさせようということになったのだそうだ」
「ちょ・・・ちょっと待ってよ!
 俺まだそんな見合いするような年じゃないよ!?」
「私もそう思うのだが・・・
 まあ、結婚を前提にするようなお見合いではないので
 気楽にいけ、と叔父さんは言っていた」
「いや、普通お見合いってそういうもんじゃないのでは?」
「叔父さんの言葉を借りるなら
 ガールフレンドを紹介してもらう、程度に考えておけ。
 ということだ」
むう・・・自分の息子なのに他人事のように。
けどまあ・・・そういうことなら気は楽かな。
「とにかく、この封筒に先方の娘さんの写真とか入っているらしい。
 ・・・見て・・・みるか?」
そうだな・・・
テンションに流されないことをモットーにしている俺としては
お見合いから始まる恋愛ってのもいいんじゃなかろうか。
「とりあえず、見るだけ見てみるよ」
「む・・・そうか」
手を差し出すが・・・乙女さんが封筒を渡してくれない。
「乙女さん、封筒。部屋で見るから」
「そうか?」
部屋に戻るが・・・
「なんでついてくるの?」
「私も一緒に見てやる」
「いや、お見合いするの俺だから」
「何を言う!その・・・あれだ・・・
 姉として、私も見合い相手を吟味するに決まっているだろう!」
・・・そんなコワイ顔しなくても。
660Girl meets Boy・3:2005/10/05(水) 19:54:51 ID:u2Wu417w0
部屋に戻って封筒を開ける。
まずは写真からかな。
「あ、結構美人」
「そうか?・・・なんだか子供っぽい感じもするぞ」
言われてみれば・・・やや貧弱か、胸とか。
綺麗、というよりは可愛い、という感じだな。
「・・・ずいぶん熱心に見るんだな」
「そりゃまあ・・・」
さらに写真を見ていると・・・
「ウィース!」
ヤバ!カニが来やがった。
「蟹沢・・・窓から入ってくるのはやめろと言ってるだろう」
「ヘヘヘ、やっぱこのほうが早いしさ〜。
 んで、二人で何見てんの?」
あわわわわ・・・見合いをするなんてバレたら何言われるか。
急いで写真とか隠さねば・・・!
「ああ、レオの見合い相手の写真を、ちょっとな」
ぐあ!なんでいきなりバラしちまうんだよ乙女さん!
それもよりによってカニに!
「え・・・ミアイアイテって何だ?食い物か?」
・・・カニのバカさ加減に感謝。
しかし、親切な乙女さんの説明が続く。
「お見合いだ、お見合い。
 『本日はお日柄もよろしく』とかいうやつだな」
「ええっ!?乙女さんお見合いするの!?」
「私ではない、レオだ」
「 ぬ ぅ あ ぁ に ぃ 〜 〜 っ ! ?」
「うわ、いきなりデケェ声出すんじゃねえ!」
「こっ・・・このヘタレが・・・見合い・・・」
うつむいてブルブル震えるカニ。お前・・・?
「・・・プッ」
笑いこらえてたんかい!
661Girl meets Boy・4:2005/10/05(水) 19:58:51 ID:u2Wu417w0
「ぎゃははははははははは!」
笑い転げるカニ。なんかムカツク!
「テメ、俺が見合いするのがそんなにオカシイかよ!」
「オカ、オカシイって!ヒヒハハハハハ!
 オメーなんだ、行き遅れそうで今から焦ってんのか?
 ・・・プッ・・・ぶはははははは!」
くそう、俺がお見合いしたらそんなにおかしいか!?
・・・おかしいのかな。
「おーおー、なんだなんだ、やけに楽しそうだな」
「あれ、乙女さんも一緒?なーんかムカつくなー」
くそぅ、スバルとフカヒレまで来やがった。
「オメーラ聞いちくりー!レオのヤツ・・・おみ・・・プッ!
 ダ、ダメだははははは!は、腹痛ぇー!」
「なんだよオメー、一人で楽しんでズリーぞ!」
「なんだかな・・・で、なんなんすか乙女さん?」
ああ、言わないでいいです乙女さん!っていうか言わないでこれ以上!
しかし、必死に見つめる俺の懇願の視線に気づいていないのか
・・・または無視したのか、淡々と乙女さんがまた説明を。
「実は、レオがお見合いすることになってな。
 その相手の写真とか見ていたのだ」
「・・・は?」「レオが・・・お見合い?」
ああ、言っちゃいましたね。
「マジ・・・?」
「私は嘘は言わん。
 お前たちも見てみるか?相手の写真」
「ちょ、乙女さん!コイツらにまで見せる必要は・・・!」
「見せて見せて見せてー!」「俺も俺も!」「やれやれ・・・」
止める間もなく資料にかぶりつく幼馴染みども。
「くっ・・・俺だってまだよく見てないのに!」
「ならば一緒に見ればよかろう?」
なんでこんな皆で見なきゃなんないんだよ!
受けるかどうか決めるのは俺なのに!
662Girl meets Boy・5:2005/10/05(水) 20:02:50 ID:u2Wu417w0
「お、美人!」「オメーにゃ勿体ないかもな、坊主」
「け、たいしたことないじゃん」「何か作った笑い方だな。不自然だ」
評価まっぷたつ。
「おお、スゲー頭いいんだなこの人!」「ホントだ。レベル高ぇーな」
「ただのガリ勉クンなんじゃね?」「姫ほどでもなかろう?」
また評価まっぷたつ。
「お、年上か。いいねえ」「ああ・・・そそるな」
「私だって年上だぞ?」「ババアじゃん」「待て蟹沢。それでは私が・・・」
さらにまっぷたつ。一部仲間割れあり。
「総合評価で75点かな。胸がちょっとマイナス」
「辛いなフカヒレ。80点はいいんじゃねえか?」
「0てーん。ま、ヘタレにはお似合いかもしんねーけど?」
「0点は可哀想だろう。60点」
「・・・評価バラけすぎて参考にならないんですけど」
「・・・まあ決めるのはお前だからな。
 で、どうするんだレオ?
 断るなら、私から叔父さんに頼んでおくが」
「へっ、無駄無駄。どーせコイツのことだから
 受けたところで当日になって
 ビビって逃げ出すのがオチだね」
「ああ、それはありそうだな」
「見合いじゃレオのテンションもあがりそうにないからな」
ムカ。言いたい放題言いやがって・・・
「受けるよ乙女さん。
 だって美人だし頭いいしお姉さんだし!
 きっと素敵な人に違いないね!」
「お前・・・なんかムキになっていないか?」
「や、やめとけってレオ!オメーのほうが相手にされねーよ」
「そんなの、やってみなきゃわかんないだろ。
 あー、お見合い楽しみだなー!」
「・・・変なところでテンション上がっちまったな。
 さてさて、どうなることやら・・・」
663Seena ◆Rion/soCys :2005/10/05(水) 20:05:52 ID:u2Wu417w0
書いてはみましたが
忙しいんで続きは少し間があくかもですよ。
664名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 20:07:11 ID:X8QZNODr0
GJ!
続き楽しみにしてます!
665名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 20:12:29 ID:hcMsR5bM0
GJ!
素晴らしいです^^
時間が空いても良いので、ぜひ完結させてください!!
666名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 20:14:12 ID:r6K6RYoo0
( ゜∀゜)=3 ムッハー

大作キタキタキタ!!続きに期待ですよ
667名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 20:29:20 ID:ZDatdNtp0
>>663
GJ!
・・・くっつくのか?姉貴とレオがくっつくのか!?
668名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 21:51:27 ID:CaZiM0yI0
>>663
GJっす!このままでも十分面白い!
でも続きもモチロン期待してます。
669名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 22:23:00 ID:Eqg8zVMf0
         ,rー-r'`ヾ´ ̄ ̄``ー-、
         /   ∧ }ソ /ヽ  ヽ、ヽ\
       /  リ /ミト、i|/r'ヽjト、 }  |! }、
       /   t/`゙"`ヽ'´"゙'l| i! |  l  i|
       / i| {レ,'     _i| |、i|   } l
      { |! || {'´ ̄`  ´   リ リ|   |} |
      |l {| i | | -    -  !| ソr  lr、 i|
      || |;i ハト ! ̄`    ̄ ̄|ハ  ノ|)ノ !|
      |ん  ソ|  ,       }   |´  |
      |r´ヾ-| ヽ、 `       /  r'l|  |!     いじめはありません
         |! /``´`ヽ、/レ'゙"イ |  {
         } ( ( の) ))  |  ト、l|  |
            |ノ  `//-- '   /  | ヽ|  l|、
         リ kニ" 'ヽ     /  ィ|\r-、 |}
         { ト- /``ヽ、 k'  〉レ´   `ヽ
        _,に` /     \rリ/ノ       |
      ,イ´ `´ {       | / {、     !
     / li    L_     レ   |     |
     /   ヽ、    / `l    }|   }     /
    {   ``ー- '--ー|    |  /     /
    ヽ          }    |、/     /

670名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 22:25:16 ID:IydORDBN0
>>663
GJ!!
毎度毎度期待させてくれますな!!
次回の投下に超期待。
671名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 22:25:27 ID:Eqg8zVMf0
                 ,,,,,,,,,,,,,,,
            ,, ‐''゙;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙'''-,_
           /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
         //'゙゙゙'' ::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::''""ヽヽ
         .i:|                |:i.
         l:|                 |:i
          || .,,,,,,,,,iiiiiillllヽ  .,i'lllliiiiii,,,,,,  ||
       _l:'゙゙゙~```   .|  l″ ```~゙゙`:リ.__
      /,r‐.l   ,,,,,,,,,- i :i r,,,,,,,,,,、  l',,..,ヽ  
        i.l  ,ト  '゙゙゙゙゙゙゙゙゙   | :  ゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙`  l、 ,i i  
      i  '"i   .  .  .i    .  . .,レ' " /
       \,`:|    .   i  :    .   ,l- /
        `゙゙:i      .i  .i      .i '''"
          ゙、       ゙''"     ,i
           丶  r'"r三三ュ.`、  /
            ヽ,` ‐-----‐ ' /
            /-| `- .._,,... r' |、ヽ

672名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 22:59:16 ID:H12UyUN10
>>663
くぅう…
GJ!
続き楽しみぃ!
673名無しさん@初回限定:2005/10/05(水) 23:39:44 ID:xSeUDjip0
胸はありません
674名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 00:10:00 ID:Kyw4wL1t0
ここG.J!
>くそう、俺がお見合いしたらそんなにおかしいか!?
>・・・おかしいのかな。
675名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 00:14:32 ID:0mHUjApK0
>>663
次は姉貴視点かな?楽しみだぜ
676名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 00:52:13 ID:UmOyi40A0
いろんな意味でレオにデレ高嶺が見たい
677名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 01:30:22 ID:SH7tJ7LQ0
そこで空也が見合いに乱入ですよ
678名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 07:07:56 ID:ut+lB7HV0
女装ツインテール空也VSレオだな


やばい、ちょっと萌えそうだ
679名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 07:41:34 ID:fiO18n4I0
>>663

乙女さんときぬの不機嫌ぶりがいい!
680名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 10:43:39 ID:p/Ns9fWR0
>>671
(・∀・)イイヨイイヨー
681名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 19:51:29 ID:u2GZ09KH0
同じ国を 何度褒め殺しても 飽きもせずに 世論さえ忘れていたね
心地よくて掘っていた珊瑚 国民の目が白かった

実は昔は かなりの右傾 決めた翼なら  左だけを見つめて

独島は韓国に渡すから 離れていても くじけそうになる日は 中国見上げて
直球すぎた 新聞名 自分のほこり それぞれの国へと 省みず送金


好きな政治が似てるって楽しかった それがいつかしがらみになってくなんて
あの頃ただ ファビョる時間だけが かけがえない使命だった

だけどこのままじゃ 反日むり  きっと宗主様 わかり始めたから

休刊明けの社説欄  無理をしまくり  捏造になれた  声欄は左傾
中韓信じて 反日貫けば 再び大陸で 何度でもファビョろう

朝Pは北京に渡すから 離れていても 靖国神社でも  朝P大激怒
永遠のさよならさ さびしいけれど 朝P見つけたら 購読やめよう
682名無しさん@初回限定:2005/10/06(木) 23:40:55 ID:YH1ABubh0
>>681
個人的に笑ったが、どこに書き込んでもスレ違いの感が否めないなこの歌詞はw
683名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 00:18:41 ID:BQmn3auy0
西崎Lite版
         , 、   , ヘ.._,,,,,,,-_.-、、.
       /   ヽ/,- '"    \  ヽ、
       √ へ`.ン″        i |r" ヽ、
      、⌒  ,//    /  / /゙゙゙''ヽ    i
       ヽ  /l゙ "    l  l .i イ i    ゙i.  ゙l
       l、/ i |    ! | ,l  | lリ    ゙l、 :|]l
       ヽ, _,l | | l | i゙丁| l | l|''゙゙゙゙゙゙"〜..| ||.i
        l /l l l l,ilノリ! l- l| リ  -    .l l_リj
          l ,l゙ f ヽl,|l''゙゙゙゙゙゙''    "゙゙゙゙゙゙''' iリ. i
         ,',i  ヽ,,!゙l|           / i ノ
      //   / > i     ,      / /
     ./ 小 ,/ i' i:l\   F=l    /リ
     ./,イ l i イ  ヽ ヽ , ヽン  ,.イ リ′
     ゝl i ! i ヽ    _,,| ` - ' |、 ノ′
     ヽ `ヽi    .,rl,"f ゙    `,i フヽ、
684名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 00:21:21 ID:KKbe5yLO0
元何て歌?
685Boy meets Girl・5:2005/10/07(金) 01:11:27 ID:PnhoI9H50
「で・・・なんでゾロゾロアンタらまで付いてくるのよっ!」
お見合い当日。横浜プリンセスホテルの前まで来て
姉貴が急に怒り出す。
「いや、後学のために」
「本音を言えば、面白そうだからだよね〜」
雛乃姉さんがやれやれとため息をつく。
「お前たち、ついてくるのは勝手だが
 高嶺の邪魔はせんようにな。
 先様に失礼があってはならん」
「は〜い」
「それにしても・・瀬芦里姉さんが来てないのは意外ね」
「ああ、それなら・・・」
説明しようと思ったら遠くから呼び声が。
「お待たせーっ!いやー、近くにバイク置き場がなくってさあ」
「待ってないわよ!・・・ああ、もう・・・」
「もえも、もう少ししたら・・・ああ、来た来た、もえーこっちー!」
「と、巴姉さんまで!?何しに来たのよ!」
「妹が心配だからに決まってるにゃー」
嘘だ。絶対嘘だ。
「騒がしいわよ高嶺。
 お見合いの前なのだから少し落ち着きなさい」
「ヒッ!?か、要芽お姉様!?いつの間に!?」
「姉様。仕事はどうしたんですか?」
「切り上げたわ。こんな面白そうな・・・
 もとい、妹の大事な話、見届けるのが姉の努めでしょう?」
「そういうこと〜♪」
「なんで帆波さんと歩笑までいるのよ!っていうか、誰が教えたのよ!」
「アン、冷たい〜」
「私が、巴さんから聞いた」
「歩笑・・・巴姉さん・・・恨むわよ・・・」
結局、皆勢揃いしていた。
「それではよいか、皆の者?いざ、参るぞ!」
686Boy meets Girl・6:2005/10/07(金) 01:15:53 ID:PnhoI9H50
「あ〜・・・わかっていると思うが
 同席するのは付き添いの我だけだからな」
「は〜い」
「それでは、我らが先に待ち合わせの場所に入る。
 お前たちは少し後から入り
 目立たぬように離れているように。よいな?」
そういい残して、雛乃姉さんは姉貴を連れて
待ち合わせのラウンジに入っていった。
しかし目立つなと言われても・・・
いろいろなタイプの美女6人が固まってたら
どうしたって目立つわけで。
「あ〜・・・なんかドキドキしてきたにゃ〜♪」
「あ、あははは・・・」
「海・・・マイクはもう仕掛けたの?」
「うん、マイクだけじゃなくて
 小型カメラも仕込んでおいたから
 映像もバッチリだよ〜」
・・・技術の進歩って怖いな。
「そ、それって・・・犯罪にならないのかな」
「何言ってんの、もえ。妹を心配すればこそじゃない。
 家族の問題に法律は関係ないよっ」
そうかなー、少しはあると思うけどなー。
姉貴だけならともかく、相手は他人なんだしー。
「ま、仮に何かあっても私がいるから問題なし」
敏腕弁護士のお墨付きが出ちゃいました。
「ねー、そろそろ入ってもいいんじゃない?
 お腹も空いてきたし」
「そうね・・・時間的にはもういいでしょう。
 空也、まず姉さんたちのポジションと
 偵察向きの席を確認してきなさい」
偵察ですか・・・まあ、姉様には逆らえないしな。
「了解しました。空也、行きまーす」
687Girl meets Boy・6:2005/10/07(金) 01:19:52 ID:PnhoI9H50
「乙女さん」
「なんだ、レオ?」
「見合いをするのは俺です。乙女さんはその付き添いです」
「そうだな」
「じゃあ・・・コイツらぁ一体なんなの!?」
横浜プリンセスホテル、1Fラウンジ・かえで。
少し早めに待ち合わせ場所についたはずの俺たちを待っていたのは
幼馴染みども3人プラス生徒会執行部やら2ーCの連中やら・・・
「私が知るか。言っておくが、私は別に誰にも喋っていないぞ?」
「俺も別に言ってないぜ?」「俺もだ」
じゃあ誰だよ。
「ボクだって、マナにしか言ってないよ?」
ぐあ。よりによって・・・
「このオバカ!浦賀さんに言っちゃったら
 皆に喋っちゃうのわかりそうなもんだろが!?」
「え、喋ったらアカンかったん?
 けど、ウチかてよっぴー経由で、クラスの連絡網に流しただけやで?」
「私もネ、連絡網で情報が回てきたノネ。
 回てきたラ、次の人回さないとイケナイ思たのネ」
その調子で、もうクラス全員に知れ渡ってるのね・・・
「・・・椰子はなんで来てるんだ」
「お姫様から聞きました。
 ヒマでしたし、センパイの情けない顔が見られるというので(ニヤリ)」
「・・・祈先生まで・・・」
「担任教師として、当然の行動ですわ〜」
「真面目な佐藤さんまでが・・・佐藤さん?」
「・・・すから・・・して・・・ぬから・・・」
佐藤さんは何かうつろな目でブツブツつぶやいていて・・・怖い。
「あー、よっぴーは昨日あたりからダークよっぴーだから」
なんだそれは。
「あー・・・お前たち、そろそろ約束の時間だ。
 邪魔にならぬよう、少し離れてくれ」
688Girl meets Boy・7:2005/10/07(金) 01:23:53 ID:PnhoI9H50
係りの人に案内されて予約の席へ。
少し遅れて関係者の団体がゾロゾロ・・・
まあ、離れて座ったからいいか。
あそこなら会話までは聞こえないだろう。
「気になるのか、レオ?」
「え・・・そりゃまあ。邪魔されたら困るでしょ?」
「ああ、その心配はないらしいぞ。
 姫が高性能なマイクなどを用意したので
 近づかなくても筒抜けだと言っていたからな」
乱入でもされた方がマシだ・・・
これで下手なことは言えなくなってしまった。 
「そう固くなるな。そろそろお相手が見えるころだぞ。
 気合いを入れていけ、気合いを!」
固くなってるというよりはウンザリしているんだけど。
ああ、思えば変な意地を張って
あのときテンションに流されたのが失敗だった。
ため息をつく。
と、俺の手の上に乙女さんの手が重ねられた。
「しっかりしろ。悪いようにはならないさ。
 ありのままのお前でいい。
 それでお前は・・・その・・・十分に魅力的だ」
「・・・乙女さん・・・」
「なんだ?」
「・・・今のも、マイクを通して聞かれてると思うんですが」
「あ!い、いや、今のはレオを元気づけるために
 普段から思っていることを言ったまでで
 べ、別に深い意味はないんだぞ!?」
泥沼だった。
なんか俺と乙女さんがお見合いしてるみたいだ・・・
うわ、そう思ったら何だか急に恥ずかしくなってきた!
「乙女さん・・・」
「シッ!・・・相手の方が見えたようだ」
689Seena ◆Rion/soCys :2005/10/07(金) 01:26:55 ID:PnhoI9H50
ちょっとだけですが続きを。
ちなみにホントの横浜プリンスの1Fラウンジは「もみじ」w
690名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 01:27:12 ID:UH2mLDJx0
支援
691名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 01:29:35 ID:UH2mLDJx0
ぐあ、すんげえ恥ずかしい真似を・・・

さておき、SeenaさんGJ!!
続きも期待してまする
692名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 01:34:01 ID:SQSmCKFv0
>>689
GJ、登場人物がかなり多くなったね。どういう流れになるか楽しみにしてまっす!
693名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 01:38:12 ID:h0AIiBva0
>>689
GJっす!
姉様とかダーク化してるよっぴーとかテラワロス
694名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 02:10:47 ID:/Ms4tOms0
姉貴は巣を出したほうがレオ的には好かれそうだよな、暴虐武人だし、才女だし。
695名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 02:17:36 ID:Sp1alJyn0
>>689
乙女さん(*´Д`)ハァハァ
696名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 06:15:01 ID:ngnhNB0Q0
ちょwwwwひなのん付き添いってwwww


絶対「お嬢ちゃん」ていわれて・・・ウボァー
697名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 10:10:23 ID:vJATbP0PO
こいつは続きが楽しみだぜGJ
698名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 15:54:56 ID:ADeu9h9t0
>>696
きっと最初は姉様が付き添おうとして、ひなのんが
「たわけ!こういうことは長女である我の務めだ!」
とか言ったんだろうなぁ、と微笑ましく妄想
699名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 17:20:28 ID:3cv6e6fK0
GJ!
乙女さんヤバモエスww
700名無しさん@初回限定:2005/10/07(金) 22:13:40 ID:T3LA/r2q0
GJ!
このレオは乙女さんルートなのかな?
空也はハーレムっぽいがw
701Boy meets Girl,Girl meets Boy.1:2005/10/08(土) 01:19:49 ID:ojGP4zjE0
はあ・・・お父様の顔を立てるってのもあったし
半ば意地でお見合いなんかうけちゃったけど
なんか憂鬱・・・
大した男じゃないのはわかってるから
適当にあしらって蹴るつもりだけど
相手に気に入られちゃうのはどうしようもないわよね・・・
それでつきまとわれたりしたら、ウザイなぁ。
かと言ってわざと気に入られないような行動をとるわけにもいかないし。
だいたい、空也のヤツがもっと・・・
ヤダ、なんであんなイカのことなんか考えてるんだろ。
アタシが見合いするってのに止めもしない
いい加減で薄情な男のことなんて考えたって・・・
考えたって仕方がないのに
アタシさっきからイカのことばっか考えてる。
・・・アタシ、止めてほしかったの?
追いかけてきて欲しかったの?
そんなはずない、あんなイカに。
もう止めたって無駄。追いかけてきたって許さない。
そうだ、精一杯相手に気に入られてやろう。
相手を気に入った・・・振りをしてやろう。
アタシが他の男になびいてるところを見て
ちょっとはジリジリすればいいんだわ。
「うむ、もう先様はお待ちのようだ。
 心の準備はよいか、高嶺?」
「ええ、大丈夫よ、雛乃姉さん・・・
 覚悟はできてるから」
ええ、そうよ。覚悟しなさい空也。
せいぜいハラハラさせてあげる。
それでアタシがいかにアンタにとって
大事な存在だか改めて思い知りなさい。
「うむ、良い返事だ。
 ・・・では、参ろうか」
702Boy meets Girl,Girl meets Boy.2:2005/10/08(土) 01:23:58 ID:ojGP4zjE0
写真で見た女の子が、付き添いらしい人とこちらにやってくる。
さっきまで重ねられていた乙女さんの手がスッと離れていく。
不安よりも、寂しさを感じた。
写真を見せられて結構美人だったから
ガールフレンド候補に会うぐらいに軽く考えていたけれど
ホントに俺、ガールフレンドなんか欲しかったのか?
見合いなんてできっこないなんて皆に冷やかされて
ただムキになっていたけれど
よくよく考えれば、俺の周りってたくさん女の子いるじゃん。
カニ。生徒会執行部の皆。2ーCの仲間。
恋人ではないけれど、それなりに親しくしてるし・・・
それに、乙女さんがいる。
一緒に暮らして、姉のような間柄で・・・でも、姉じゃない。
厳しくて、ちょっと荒っぽくて、いつもお姉さん風を吹かせていて
機械類には全然弱くて、料理できなくて食事はおにぎりばかりで・・・
だけど・・・いつも俺のこと考えていてくれて。
何かと面倒を見てくれる、優しい乙女さんが
いつも、俺のそばにいてくれる。今も。
それなのに・・・
今、手は離れていった。
急に、お見合いなんてどうでもよくなってきた。
今さら帰るわけにはいかないけど
適当に話をして、それで終わりにしよう。
そしたら・・・
今離れてしまった手をつなぎ直そう。
もう少し、そばにいたい。いてほしい。
「ほら、立って。
 ちゃんと挨拶するんだぞ?」
乙女さんに促されて立ち上がり
軽く会釈をして相手をちら、と見る。
俺の視線に気づいた彼女が
ニコリと微笑みかけた。
703名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 01:26:19 ID:xBbl6tMT0
続きに期待
704Boy meets Girl,Girl meets Boy.3:2005/10/08(土) 01:27:57 ID:ojGP4zjE0
型どおりの挨拶を済ませると
「後は当の二人に任せましょう」とか言って
雛乃姉さんは相手の付き添いの人と離れていってしまった。
はあ・・・いざとなると気が重いわね。
何から話せばいいのか考えを巡らせていると
不意に相手の男の子が喋り出す。
「いや〜、写真で見たよりずっと綺麗なんで驚きましたよ」
それはどうも。
「親父の話だったんで出てきたけど
 これなら出てきた甲斐がありましたね」
あら、そちらも?
「ま、柊さんのところもウチと縁ができるのは
 決して悪い話じゃないでしょうしね」
お父様はそこまで情けないことは考えてないと思うけど。
「まあ将来的にはボクが家を継ぐわけですし
 ボクらが結ばれるようなら
 勢力拡大には大いに役立ちますよ。お互いにね」
・・・なにコイツ。アタシを道具扱い?
「ま、そんなわけで
 多少は我慢するつもりで出てきたんですけどね。
 そんな必要はなさそうだ、アハハハ」
・・・アタシはアンタに我慢ができなくなってきてるんだけど?
「それに成績も優秀だ。
 ボクをサポートしてくれるなら
 これぐらいの人でないとね」
はぁ?何言ってんのコイツ・・・
「で、どうします、これから?
 ・・・一応、ナイショでここの部屋とってあるんだけど。
 もう少し、お互いよく知り合ってみるのも悪くな・・・」
「・・・ざけんな・・・」
「・・・は?」
「ふざけんじゃないわよ、このウジ虫野郎!!」
705名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 01:28:57 ID:cBp/i6tJ0
空也を女性化して柊6姉妹を男性化……萌えるか?
706Boy meets Girl,Girl meets Boy.4:2005/10/08(土) 01:31:55 ID:ojGP4zjE0
乙女さんが相手の付き添いの人と行ってしまい
俺と彼女だけ残される。
・・・何を言えばいいんだ?
趣味は何ですかとか聞くのか、やっぱり。
すると俺も趣味を聞かれるから、ボトルシップ制作ですって言わなきゃ・・・
「あ〜あ、堅苦しかった」
そう言って目の前で大きく伸びをする。
「ね、キミもやっぱ家の誰かの言いつけできたわけ?
 この若さでさー、お見合いなんて信じらんないわよね」
そりゃまあ・・・
「ま、父さんの会社にとっては良い話しみたいだし
 私もまあ考えてもいいかなー、なんてね」
何、これっていわゆる政略結婚前提?
「私も今んとこフリーだしね。
 ・・・ね、ひょっとして・・・まだ童貞クン?」
はぁ!?いきなり何を・・・
「あー、その顔からするとまだっぽいわね・・・
 ま、その辺は仕込んであげてもいいわよ。
 下手なら下手なりに楽しむから」
まだヤってもないのに下手とか決めるなよぅ。
「それにしても・・・竜鳴館かぁ。
 いまいち、パッとしないわね」
・・・なに?
「私とつきあうんなら、それなりのレベルんとこでないとねー。
 当然進学よね?東応ぐらい狙える?
 って、無理かな、竜鳴館レベルじゃ、アハハハ」
なんだおい。俺一人で竜鳴館全体を判断すんなよ。
そりゃ今の俺には東応は無理だけど・・・
「あの・・・ちょっと?」
「あ、竜鳴館から転校しちゃえばいいんじゃない?
 もうちょっとマシな学校にさ」」
「・・・っ!ざけんなこのバカ女ぁっ!」
707Boy meets Girl,Girl meets Boy.5:2005/10/08(土) 01:34:52 ID:ojGP4zjE0
立ち上がってグラスをひっ掴むと
相手の顔に水をぶちまける。
「なっ!?」
「ずいぶん安く見てくれたものね・・・このアタシを!?」
「いや、ちょっと・・・」
「アンタそういうセリフ吐けるほどの男!?
 バカにしないでほしいわね!
 アンタごときがアタシにそんなセリフ、1億年早いわ!」
ああ、ぶち壊し。けど、言わずにはいられない。
思いっきり睨み付ける。
「ひっ!?」
「ハ!だらしのない!
 強気なのはこっちが大人しくしてるときだけね。
 とんだ腰抜け!これなら・・・」
これなら。そう、こんなヤツにくらべたら。
空也のほうが全然マシ。
「・・・これなら、アンタよりよっぽどマシなやつがもういるわよ!
 アンタはせいぜい、言いなりになるバカ女でも探しなさい!
 アタシはご免だから、これで失礼するわね!」
そのまま椅子を蹴ってテーブルを離れる。
少し離れた席で、同じように怒鳴ってる男の子がいる。
あっちもお見合いかしら?
まあいいや。それより・・・
ああ、やっぱり雛乃姉さんコッチ睨んでる!
思いっきりぶち壊しちゃったもんなぁ。
やりすぎたかしら。どこかでほとぼりを冷ますほうがいいかも。
あたりを見回すと・・・テラスに出られる窓があるみたい。
あそこなら皆や姉さんのそばを通らずに外に行けるわね。
さっさと退散した方が良さそう。
早足で出口へ向かうアタシに
ドンッ!
不意に誰かがぶつかってきた。
708名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 01:38:12 ID:ZGkGsAom0
支援。
そういう仕掛けだったんですか。
709Boy meets Girl,Girl meets Boy.6:2005/10/08(土) 01:38:56 ID:ojGP4zjE0
「黙ってりゃずいぶん好き放題言ってくれるよな!」
「な・・・何よ急に切れたりして」
これが切れずにいられるか。
「アンタに竜鳴館の何がわかるってんだ!?
 テストの成績もそりゃ大事だろうけど
 そこでしか人間の価値を判断できねーのかよ?」
相手もムッとしてるがコッチはそれ以上に頭に来てるぜ。
「学歴とか家柄とか資産とか・・・
 そんなものでしか人間を判断できないなんて
 呆れて物が言えねーよ!」
いや、言ってるか。いいけど。 
「フン・・・これだからガキは・・・」
「あー、ガキで結構だね。けど、どんなに大人になったって
 そんな打算だけで選ばれて、喜ぶようなヤツにはならないぜ?」
親父も親父だ。よりによってこんなのを紹介するなんて・・・!
「アンタはせいぜい上っ面だけのつき合いで
 満足してくれるヤツでも探すんだね。
 けど・・・俺はまっぴらご免被るぜ!」
バン!とテーブルに両手の掌をたたきつけてから席を立つ。
ああ、スッとした。
ん、なんか別の席でも女の子が怒鳴ってるな。
アッチもお見合いか?
今日はどうもお日柄が悪かったらしいね。
さて、こんなところとはさっさとおさらば・・・
う、乙女さんが・・・俺を見つめて・・・笑っている。
ヤバイ。あれは怒ったときの笑い方じゃなかろうか。
よく考えりゃお見合いぶち壊してるんだから怒って当然だし。
あたりを見回すと・・・テラスに出られる窓がある。
逃げるか、一時的にでも。
そうと決まれば急がなければ。出口に向かって走り出して・・・
ドンッ!
ヤベ、誰かにぶつかっちまった。
710Boy meets Girl,Girl meets Boy.7:2005/10/08(土) 01:43:09 ID:ojGP4zjE0
「イタタタタ・・・ちょっと、気をつけてよね!」
「あ、すいません急いでたから・・・」
「アタシだって急いでるわよ・・・あら?・・・」
「あれ・・・?あっちで怒鳴ってた人?」
「キミも・・・怒鳴ってたわね」
「ひょっとして・・・お見合い?」
「ええ・・・まったく、どうしようもないヤツで呆れちゃったわ」
「アハハ、俺と同じだ・・・って、ノンビリしてる場合じゃなかったぁ!」
「ちょ、転んだレディに手ぐらい貸しなさいよっ!」
「ああ、もう!・・・あれ、何か落ちてるよ?」
「何これ・・・マイクと小型カメラ!?・・・海の仕業ね!」
「どうでもいいから逃げるんなら早くしてよ!」
「もたついてるのはそっちが転ばせたからでしょ!」
「悪かったから!ていうか、何で俺待ってなきゃなんないんだよ!」
「一度待ったんだから最後まで待ってなさいって!」
「どういう理屈だよ!」

「はぁ・・・はぁ・・・なんとか・・・逃げ切れたかしら・・・」
「どうかな・・・はぁ・・・
 こっちの追っ手には人間離れした人がいるから・・・」
「あー・・・ウチにもいるわ、一人・・・」
「結構・・・似た境遇かもね、俺たち」
「そうねー・・・お見合い相手に恵まれなかったとことか」
「俺なんか、親父に言われて無理矢理見合いさせられたんだぜ」
「あら、アタシも似たようなもんよ」
「ふ〜ん・・・」
「何よ、人の顔ジロジロ見て」
「いや・・・お姉さんがお見合いの相手だったら
 いいお見合いができたかも、ってね」
「それは・・・どうかしら?
 そんなにキミの相手ってひどかったの?」
「えっとね・・・」
711Boy meets Girl,Girl meets Boy.8:2005/10/08(土) 01:47:00 ID:ojGP4zjE0
「そりゃヒドイわねー。
 そんなバカ女、蹴って正解よ」
「いやぁ、お姉さんの相手よりマシっすよ。
 俺だったらそんな野郎、ぶん殴ってるね」
「・・・さっき、キミが言ったとおりかもね」
「ん?さっきって?」
「キミみたいな人がお見合い相手だったら
 もうちょっとうまくやれたのに、ってこと」
「あ、ひょっとして惚れちゃった?」
「ザーンネンでした・・・もう、先約あり、だから」
「ちぇ、ガッカリ」
「全然残念そうには見えないけどなー。
 キミもいい人、いるんじゃないの?」
「んー・・・まだ、わかんないんだけど、ね」
「頑張りなさいよ、キミ結構いい線いってるんだから」
「そりゃどうも・・・さて、もう追いかけてこないみたいだし・・・
 どうしよっか?ここでお別れ?」
「ん・・・名前ぐらいは、聞いといてあげよっか?」
「そりゃ光栄だ。俺、対馬レオ」
「柊高嶺よ。じゃね、レオ君。
 縁があったら・・・また会うかも、ね」
「その時には、高嶺さんにはもう彼氏ができてるんじゃないの?」
「キミこそ、意中の人を射止めてるかもよ?」
「だったらいいねぇ。
 今日はお見合いは最低だったけど・・・」
「・・・キミとの時間は、悪くなかったわよ」
「ああ、俺が言おうと思ったのに」
「フフン、アタシの先を行くには
 もうちょっと修行しないとね。
 じゃ、お互い頑張りましょ!バイバイ♪」
「うん・・・なんか、また会えそうな気もするけど・・・
 バイバイ、高嶺さん・・・またね!」
712Seena ◆Rion/soCys :2005/10/08(土) 01:51:04 ID:ojGP4zjE0
世の中3連休だそうですが私にはその間休みがないことが今日判明しました。
1日ぐらい休めると思ったのにぃ〜。
なのでとりあえず続きを書いて無理矢理終わらせましたが・・・
やっつけ仕事だなぁ orz
713名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 01:55:32 ID:C+yihptI0
>>712 くくくのくー♪
714名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 01:55:48 ID:U7fNxY9z0
>>712
GJ!っていうか引っかかったよ!
そういや名前出てないもんなぁ。
715名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 01:58:48 ID:J0c4O/e00
>>712
GJ!
リアルタイムで初遭遇した!

716名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 01:59:30 ID:ZGkGsAom0
>>712
いやいや、GJですよ。

ちなみに俺も連休中休み無しです。販売員なので。orz
以前ちょっと触れた、姫か村田のSSなんですが姫が停滞してきたので
村田のほうが先に仕上がりそうです。早ければ明日くらい。
717名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 02:33:59 ID:vJeKBbxw0
>>712
ぬう、あの展開でてっきりレオと姉貴が見合いするもんだとばかり…
でも最後には出会ってちょっといい感じになってるのがイイネ!GJ!
718名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 03:09:31 ID:SbHnmAb70
>>712
そうきたかwGJ。でも、前フリで色々な複線散らしておいて、回収しなかったのはちょっと消化不良です。
仕事ならしょうがないか、次も期待しています。
719名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 06:01:22 ID:G4NR2eE60
これはSSにしたてた高度な釣りだったんだよ!
720名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 06:54:14 ID:VqutN0As0
>>719

な、なんだってー!(AAr
721名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 11:24:43 ID:IIO/26hA0
釣られたよ。
それも心地よくな。

GJ!
722名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 11:52:51 ID:tYsGkiON0
星フカヒレ並のどんでん返しGJ!
723名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 13:40:41 ID:puUFjugo0
GJ!俺も釣られた。
素直にレオと姉貴が見合いする展開も見たかった気がするw

空也から見るとNTRだけどw
724名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 18:09:13 ID:Oo3wWgwt0
おもいっきり釣られたよw
何はともあれGJ!
725名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 22:45:56 ID:Hz5oE7BP0
今、くーSS書いてるんだが
くーどう発言させるか、マジなやむ。。。

難儀だな。
ちなみにレオ×くーなので、村なんとか×くーがいい人は流してくれ
726名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 22:52:57 ID:wOHxgoyt0
ギュッギュルギューギュー
(訳:インターハート でいいんじゃないか?むしろデレ期に入る前触れとして、レオがくー語を解すようになるってのもアリでは?)
727名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 23:02:25 ID:8lncG2790
レオ「西崎さん、あのね……」
西崎「くー?」
レオ「君が好きだ」
西崎「くー♪」

でおけ
728名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 23:35:53 ID:M74DCrrs0
本編でも肝心なとこではたどたどしいが言葉喋ってるんだし、そういう感じで書けばいいのではないか
単語と単語の間にかなり「・・・」が入ることになって文章にするのは大変だとは思うがガンガレ
729名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 23:38:05 ID:Hz5oE7BP0
>>726
>>727
やっぱその3つのどれかしかないか・・・
しぼむー

村何とかにくー語レクチャー受けてきます
|彡サッ
730名無しさん@初回限定:2005/10/08(土) 23:46:17 ID:HyWJZuWo0
くーSSいよいよクル━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ノ?
期待して待ってます!!!!!!!!!
731Seena ◆Rion/soCys :2005/10/09(日) 00:20:45 ID:E8XZTiqj0
>>729
くーに喋らせるんじゃなくて、相手に喋らせればいいんですよー。
たとえばこんな感じですか?

「・・・くー・・・」
「うん?ああ、大丈夫・・・たいした怪我じゃないから」
「くー、くー」
「保健室かぁ・・・今混んでそうだしなぁ・・・竜宮にでも行ってようか?」
「くー♪」
732名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 00:49:27 ID:1RdXNMuSO
むしろ難関は村瀬の使い方かと
733名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 00:55:10 ID:GKTpMA1ZO
村瀬?村野だろ^^
734名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 01:02:06 ID:tl31EW3X0
>>731
そ、それはっ! 高橋○也が某魔女もどきな先輩で使用したと言うゴンタ君方式!!
735名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 01:02:28 ID:WnWEOtns0
違うだろ、村居だって
736名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 01:15:09 ID:2dtoA4lA0
「くー、くー」
「く〜…」
「く?」
「くー!」
「くー♪」
737名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 01:47:09 ID:xx10cqr70
たのむ、誰かフカヒレを幸せにしてやってくれ。
幸せの青い鳥ならぬ青いザリガニとか言って。
で、最後はカニに喰われて終わり。

………あれ?バッドエンド?
738名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 01:49:25 ID:xx10cqr70
sage忘れたorz
739名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 01:50:51 ID:CtGfAEiG0
姉しよの声優さんって画像探しても見つかりませんな
740名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 02:13:45 ID:H3yg5xeD0
Wみなみぐらいはあるとおもうが。。。。
741名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 06:03:20 ID:PEEeQSVp0
フカヒレ幸せ系END前見た気がするがな
気のせいか?
742名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 07:29:05 ID:6Wo7sEOn0
フカフィレなら

豆花のGoodBye Familyとか
真名の太陽の娘

グっときた
743名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 10:10:21 ID:z+gCOjwb0
>>742
ん? そんなフカヒレが幸せになるSSなんかあったか?
お前の目の錯覚じゃないのか?
フカヒレはヘタレだからこそフカヒレなのだ。
幸せなんぞヤツには似合わん。
744名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 11:03:56 ID:fNeY5u4Q0
出勤前に投下しますね。予告していた村田SSです。
745永遠の守護者 1:2005/10/09(日) 11:06:07 ID:fNeY5u4Q0
だまされた!
日曜日、待ち合わせの場所に現れたのは西崎だった。
く、鉄先輩は!? 慌てて僕に遊園地のチケットをくれた人の姿を探す。
遠くの自動販売機の陰から鉄先輩と対馬が顔を覗かせていた。うぬ、首謀者は対馬か。
くそ。僕は思わず拳を握り締めた。
「どー、したの。よーへー?」西崎が小首を傾げる。
「い、いやなんでもない」
「へん、なの」
「へ変とはなんだ! それよりどうしてお前がここにいる!?」
「え? だって、よーへーが、遊園地の券、くれたから……」
西崎は当然というように答えた。
なんと! そういう話になっているのか!?
対馬たちに恨みのこもった視線を向けると、申し訳なさそうな鉄先輩と愉快そうな対馬が同時に合掌した。
おのれ対馬め。この僕を罠に陥れるとは中々やるじゃないか。
そもそもあの鉄先輩にたばかられるとは思っていなかったからな。油断していた。
対馬に丸め込まれたのであろう鉄先輩はともかくとして、あのバカにはあとで報復をせねばなるまい。
と決意を固めていると、
「はやく、いこう」
西崎が僕の手を掴んで急かす。わかったわかった。僕は覚悟を決めた。
仕方ない。今日は一日西崎に付き合うとしよう。
難儀だが、こうなった以上やむをえまい。西崎には多少負い目もあるからな。
改札を駅に足を踏み入れながら、再度二人に恨みがましい視線を送っておく。
すると対馬は何を勘違いしたのか親指など立てた。バカかお前は。
鉄先輩は真剣な表情で、鼓舞するように胸元で拳を握っている。
激励するくらいなら対馬の口車になんか乗らないでくださいよ。
746名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 11:09:14 ID:R1VasfRK0
カニや君望のあゆみたいなキャラがすげえ好きなんだけど、
他のゲームでカニみたいな口が悪いんだけど憎めないキャラって
何があるか教えてほしい。休日を有意義に過ごすために
いまから秋葉行って買ってきたい。
747永遠の守護者 1:2005/10/09(日) 11:10:08 ID:fNeY5u4Q0
それにしても、と電車に揺られながら思う。
西崎と二人で出かけるなど随分と久しぶりのことだな。
昔はたまに遊びに行くこともあったが、竜鳴館に入ってからは殆ど無かった。
まして最近は色々あって、その、何となく話しづらい状態が続いていたし。
西崎は今までの気まずかったことなど全く気にかけていないように、
楽しげにファインダー越しの風景を堪能している。
随分冷たく当たったように思うが、西崎はすでに水に流してくれているのだろうか。。
確かに体育武道祭などを通じて和解するにはしたが、僕のほうは少し引き摺るものがあった。
意味も無く西崎を避けたことに対する自己嫌悪に由来するのだろう。
僕も少しはこいつを見習うべきなのかも知れないな。
西崎に視線を向けたとき、ふと思った。
そういえば私服姿の西崎を見ることもここ最近は無かったな。
よそいきらしい、明るい色使いの服を着た西崎はなかなか新鮮でかわい……いや、僕は何を考えている!?
僕はぶんぶんと頭を振って雑念を振り払った。
「くー?」
僕の行動を不審に思ったのか、西崎が不思議そうに僕を見た。
……う……。
「な、なんでもない」
そういうと僕は西崎から視線を無理矢理外した。
すると視界に入ってきたたのは見紛いようも無い、二人組みの姿だった。
こそこそと身を屈めていたが間違いない。
対馬と鉄先輩は僕の視線に気づくと、慌てて隣の車両を駆け抜け、もう一つ向こうの車両まで逃走していった。
おのれ、まさかずっと尾行して監視し続けるつもりではあるまいな。
だがそこで気づく。別に監視されたところで困ることなど何もないではないか。
僕はただ西崎の付き添いで遊園地に行くだけだ。何しろ一人で行かせるにはあまりにも不安だからな。
あくまでも僕の立場は引率者に過ぎない。しかも相手は西崎。間違いなど起こりるはずも無いのだ。
ふん。二人ともご苦労なことだ。僕はそう自分を納得させた。
「くー?」
西崎が再び僕を見つめている。
「なんでもないと言ったろう。さ、そろそろ到着だ。降りる準備をしろ」
「くー!」西崎は元気に答えた。
748永遠の守護者 3:2005/10/09(日) 11:16:22 ID:fNeY5u4Q0
僕はふらふらと覚束ない足取りで歩いていた。
「だい、じょう、ぶ?」西崎が心配そうに僕の顔を覗きこむ。
「……あまり、大丈夫、では、ない、かも」
僕は肩で息をしながらやっとの思いで答える。
散々ジェットコースターに付き合わされて、僕は激しい浮遊感に襲われていた。
絶叫系の乗り物は実は苦手だ。回ったり墜ちたり捻ったり、
なぜあんな無意味この上ない乗り物が存在するのだ。
僕には全く理解不能だ。こんな、徒に寿命を縮めるような遊具が存在している意味が分からない。
つくづく、人とは愚かだと思う。難儀なことだ。
対して西崎はああいったアクロバティックな乗り物が大好きなのだ。際限なく乗りたがる。
乗っている最中も無邪気に笑っていた。今もケロリとしている。
「……ちょっと、休ませてくれないか」
僕は手近のベンチに腰掛けた。
「ん。まってて」
西崎は僕をベンチに残すと、どこかへ走っていった。
程なく戻ってきたその手には紙コップが握られていた。
「はい」
僕そっと差し出されたコップには、オレンジジュースが満たされていた。
「む、すまん」
紙コップを受け取り、ジュースを口に含む。飲み込むと冷たい感触が心地よかった。
全て飲み干してから、ようやく僕は言った。
「少しは楽になった」
「よかった」西崎は嬉しそうに笑った。そして、
「それじゃ、つぎは、あれ♪」
指差したのは自由落下型のアトラクション。
僕は回復した血の気が再び引いていくのを感じた。
西崎、お前意外と容赦ないな。もしかして本当は今までのこと根に持っているのか!?
必死の抵抗もむなしく、僕は西崎に半ば引き摺られるようにして順番待ちの列に着かされた。
まるで処刑台へ連行される罪人のような気分だった。
749永遠の守護者 4:2005/10/09(日) 11:19:55 ID:fNeY5u4Q0
「ふうー。さて、そろそろ昼か」
絶叫地獄を突破し、ようやく人心地ついたところで時計に目をやると十二時過ぎになっていた。
「よーへー、これ、おひる」
そういって西崎はおずおずと包みを差し出した。
「弁当か?」
こくこくと頷く西崎。
「うむ。ありがたく貰うとしよう」西崎の料理は結構旨いからな。
二人で適当な席に着き、渡された包みを開けて僕は驚愕した。
なんだこのハートマークは!?
瞬間、自分の顔が真っ赤に染まるのを感じた。
手作りらしい立派なおかず。これはいい。だがこのご飯にピンクのデンブで描かれた模様は……。
「おい西崎、これはいくらなんでも食えんぞ! 嫌がらせのつもりか!?」
「くー?」
「だからこのハートマークはなんだといっている! これはやりすぎだろう。僕とお前は単なる幼馴染で、
このようなマークが介在するような関係ではないのだから……」
僕が言い終わるより早く、西崎が別の包みを取り出した。
「まち、がえた。こっちが、よーへーの」
もうひとつの包みを開けると、こちらには卵そぼろで星型が描かれていた。
顔がさらに熱くなった。
これが自意識過剰というやつなのだろうか。むぅ、な、難儀だな。
「くー?」
西崎は不思議そうな顔でこちらを見ている。
「い、いや、なんでもないんだ、わははは」
僕は気恥ずかしくなって、それを誤魔化すために一心不乱に弁当をかき込んだ。
正直、味などほとんど分からなかった。
750永遠の守護者 5:2005/10/09(日) 11:26:51 ID:fNeY5u4Q0
「くー♪」
西崎が嬉しそうに窓からの景色を撮っている。
流石に高い。観覧車の頂上付近では地上にいる人間がまるでゴミのよ……じゃない、豆粒のようだ。
実のところ、僕はバカではないので高いところが余り好きではない。
そもそも生身では飛べるように設計されていない人間が高所に上って喜ぶというのは
非常に危機意識の薄い行為であると言わざるを得ない。野生を忘れた人間の愚かさか。
む、僕はすることが無い。高所からの景色を堪能するような趣味は僕には無いしな。
沈黙に包まれた密室に時折切られるシャッターの音だけが響く。気まずいな。
そういえば、このような狭い空間に西崎と二人きりか。
どこかで観察している対馬たちが不埒な想像をしてさぞや喜んでいることだろう。
だが僕を甘く見るなよ。貴様の卑劣な姦計に嵌ってやるほどお人よしではない。
どうせ罠を張るなら姫や鉄先輩でもセッティングしてみろ。
相手が西崎では僕の理性は微動だにせんぞ。ふふっ。って……あれ?
ふと、西崎に視線をやったとき、奇妙な感覚に襲われた。
真剣な、それでも楽しそうな表情でシャッターを切る西崎の姿。
鼓動が早くなっている気がする。体温が上昇している気がする。顔に血液が集まっている気がする。
に、西崎では僕の理性はっ・びびび微動だにしない、筈、だと思う……。落ち着け村田洋平!
深呼吸深呼吸、深呼吸っ! このままではいかんな。何か話さねば。
751名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 11:29:22 ID:iB4yzXrA0
支援
752永遠の守護者 6:2005/10/09(日) 11:32:25 ID:fNeY5u4Q0
僕は気になっていたことを訊ねてみることにした。
普段ならば絶対に訊けない。自分の下らんプライドが邪魔するから。
この状況が言わせているんだと自分を納得させる。僕はあくまで平静を装い、
「西崎、
「くー?」
「楽しいか?」
「くーくー♪」西崎は屈託無く笑った。
「そうか。……なぁ、訊いてもいいか?」
「なあに?」
「お前、まだ僕のことを怒っているか? 邪険にしたことを気にしていないか?」
西崎は少し俯いて考える仕草をした。そして顔を上げると真剣な表情で言った。
「……たしかに、あのときは、かなしかったし、少しだけおこってた、けど。
……いまは、もう全然おこって、ないよ」
あの口下手な西崎にしては随分しっかりと答えた。これは本当に気にしていないのだろう。
ここで僕が意地を張っても意味が無い。ずっと言いたかったことを言おう。僕は頭を下げた。
「すまなかった。一応謝っておきたかったんだ」
「くー♪」西崎はにっこりと微笑んだ。
753永遠の守護者 7:2005/10/09(日) 11:35:12 ID:fNeY5u4Q0
それから一通り遊園地を回り、僕もそれなりに楽しい時間を過ごした。西崎は終始笑顔だった。
松笠の駅を降り、公園の方へふたりで歩いていく。これまでよりも随分会話が弾んだ。
ふむ、悔しいがこれは対馬に多少感謝せねばなるまいな。報復のレベルを一段階下げてやるとしよう。
だが、平穏な時間は粗野な声に邪魔された。
「よう、村田じゃねーか」
振り返るとガラの悪い男が立っていた。
「勅使河原……」厭なヤツに会ってしまった。
竜鳴館の宿命のライバル、虎咆館拳法部の二年生エースだ。
全国でも指折りの実力者だが、粗暴な性格で素行もよくないと聞く。
「練習もしないで女とデートか?」勅使河原は下卑た笑いを浮かべて言った。
「そ、そんなのではないぞ」僕は慌てて否定する。してから、しまった、と思った。
そっと西崎の顔を窺うが勅使河原への怯えのほうが優先しているらしく、僕の後ろに隠れるように一歩下がった。
「ふん。どうでもいいけどよ、次の大会ではちょっとは健闘してくれよ。
この辺じゃもう相手になるヤツがいないからな。退屈でしょうがないんだ」
余裕の表情で言う勅使河原。だがこいつはその余裕に見合うだけの実力を持っている。僕はこいつに勝ったことが無い。
「ところで、デートじゃないってんならそこのカノジョ借りて行ってもいいだろ」
言うが早いが勅使河原は西崎の腕を掴んだ。
「くー!!」
「や、やめろ勅使河原!」僕は思わず叫んだ。
「あん? 引っ込んでろよ村田。痛い目に遭いたくねーだろ」
「う」勅使河原の眼力に思わず怯む。
754永遠の守護者 8:2005/10/09(日) 11:39:41 ID:fNeY5u4Q0
「くーくー!」
「いいから、こんなヤツ放っておいて俺と来いよ」勅使河原は西崎の腕を強引に引っ張る。
「くぅー!」西崎の顔が不安と苦痛に歪んだ。
「なんだお前ちゃんと喋れないのかよ」
「やめろ」言いかけた途端、顔面に痛みが。鼻血だ。殴られたと気づくまでに時間が掛かる。拳が、見えなかった。
「くー、よー、へー!」
「この女、知恵遅れか?」からかうような勅使河原の声。
ぷつ。
「くー!」
「くーばっかりじゃなくて何か言えよ」
「くーっ!」西崎が助けを求めている。
ぷつ。あれ、さっきからなんだこの音。……ああ、僕の中から聞こえる。
これがうわさに聞く堪忍袋の緒が切れる、という現象か。
「くー……」
「まあいいや。とにかく来いよ!」
ぷちぷち。
おい、西崎を侮辱するな。それ以上言ったら……。
「おいこら、抵抗すんなショーガイシャ!」
ぶちんっ!
「……ころすぞ」
「あ? 村田、今お前何か言った?」勅使河原がこちらを睨む。今度は怯まない。
「殺す、と言ったんだ勅使河原!」
やれやれ。こんなところでよりにもよってこんなヤツ相手にキレるなんて。難儀だな。僕らしくも無い。
だが、ここは譲れない。許せない。……対馬。今ならお前が僕に挑んできた気持ちが、少しわかる。
755永遠の守護者 9:2005/10/09(日) 11:43:21 ID:fNeY5u4Q0
対馬の気持ちの次は、サンドバッグの気持ちがよく分かった。
もう十分近く殴られ続けている。一方的に。時折僕のパンチやキックもヒットするが焼け石に水だ。
「どうしたよ村田! オレを殺すんだろ!? 早くやって見せろ!」
勅使河原は容赦なく打撃を浴びせる。はっきり言って顔の感覚が無くなってきている。
意識が朦朧として、立っているのが不思議なくらいだ。
僕の脳裏には以前鉄先輩が言っていた言葉が鮮明に思い出された。
『いかに強い力を持っていても自分の為にだけ使っていては本当の力ではない。
他の誰かの為、誰かを守るために使ってこそ初めて力は力たりうるのだ』
「くぅー! よーへー!!」西崎の叫び。
僕は渾身の力をこめて拳を振りぬいた。そう。自分のためではない、西崎を守るための拳。
そのストレートは勅使河原は顔面に当たった。
しかし、僕のその一撃はヤツを多少怯ませただけに過ぎなかった。
次の瞬間、僕は顎に凄まじい衝撃を受けていた。アッパーだと分かった時にはすでに僕は地面に横たわっていた。
「ふん、手間掛けさせやがって」
勅使河原は西崎に歩み寄っていく。西崎は後ずさる。
やめろ西崎に手を出すな。僕は声にならない声を振り絞ったが誰の耳にも届かない。
「よー、へー!」
勅使河原の手が西崎の腕を捉えた。
と思ったとき、雄叫びとともに何かが飛んできた。「村田ぁーっ!!!!!!」
「対馬!」
飛んできた対馬は勅使河原に飛び蹴りをくれると、西崎を引き剥がした。
「つしま、くん!」勅使河原から逃れた西崎は対馬に駆け寄る。
「俺より村田のところに」
西崎は頷くと僕の傍にしゃがみ込んだ。
「誰だ、てめぇ」コイツはあの蹴りでも大したダメージは受けていない。
「誰でもいいだろ」対馬が勅使河原と対峙する。「派手にやられたな、村田」
「う、るさい、大体今まで何してた。ずっと僕たちを監視してたんだろ?」
「最初はそのつもりだったけどな。途中で飽きたんで乙女さんと水族館行って、随分前にこっちに帰ってきてた」
「それ、ただのデートじゃないか!」
「結果的にはな。でもまあ一応気になったんで出てきてみればこの状況だ。
久々にテンションに流されてでしゃばったけど、ちょーと早まったかも知れんな」
そのとおりだ。対馬では、勅使河原には勝てん。
756永遠の守護者 10:2005/10/09(日) 11:47:11 ID:fNeY5u4Q0
二個目のサンドバッグは無様に吹き飛ばされた。
「どうした、威勢よく飛び込んできた割には大したことねーな!」当然だ。対馬は武術の素人だ。
「つしまくん!」
「あー平気平気」
「本当に大丈夫か!?」
「やっぱダメかも。実はもう立てそうも無い」対馬は鼻と口からドクドクと血を流しながら言った。
「何しにきたんだお前は!」
「まぁ、そういうな。こっちには最後の手段がある」
「最後の手段だと?」
「そう、最強にして最後の大技。出来るならばこれは使いたくなかったがな」
「ほほう。面白いやってみろよ。チャカでも出すのか?」勅使河原が愉快そうに言った。
「ふ、拳銃以上だ。……乙 女 さーーーーーーん!!!!」いきなり対馬は叫んだ。
みんなあっけにとられた。
「なんだそりゃ!」僕は脱力してしまった。だが、次の瞬間僕の目の前に現れたのは!
「ほほう、コイツが敵か、レオ」
エプロン姿の鉄先輩が仁王立ちしていた。
「お前は、鉄!」勅使河原が驚愕している。
「勅使河原だったかな。相変わらずろくなことをせんな」
「……ふん。ちょうどいいぜ。大会で貴様に敗れた井上先輩のカタキを討たせてもらう」
「か、カタキって、殺しちゃったの。乙女さん!?」対馬がガクブルしている。
「バカを言うな。殺すわけ無いだろう」
「負けた腹いせに俺たちに特訓を強要するんだ。いい迷惑だぜ」
「八つ当たりだな。まあ今はそちらの事情は関係ない。
……私の可愛い弟をボコボコにしてくれた報い、受けるがいい!」
鉄先輩が構えを取った。右足を引き、重心を低く、腰に力を溜めるようにする。
「あの構えは!」
「知っているのか、村田!?」
「前に一度だけ見たことがある。あの一撃で暴走ロードローラーを止めていた」
「またムチャな技だな」
「来いや、鉄!」身の程知らずにも勅使河原は受けて立つつもりらしい。すぐに、上には上がいることを知るだろう。
僕たちは技の発動を固唾を呑んで見守った。
だが、鉄先輩の必殺拳は炸裂しなかった。その前に勅使河原が吹っ飛んでいったから。
757永遠の守護者 11:2005/10/09(日) 11:50:47 ID:fNeY5u4Q0
「だらぁーーーーーッ!!!!」
「おぶぉッ!!」勅使河原は数メートル先まで飛ばされていった。
僕も対馬も鉄先輩も、呆然としている。いきなり表れて勅使河原を蹴り一撃で吹き飛ばしたのは伊達だった。
「スバル!」
「ようレオ。フカヒレから連絡もらってな。お前がピンチだって」
「そ、そうか」
「さて。どこのどなたかは存じ上げませんが、よくもオレのダチをボコってくれたなゴルァ!!」
そのあとは伊達による一方的な人体破壊ショーだった。
ものの数分であの勅使河原が泣きながら許しを請うていた。それでも伊達は容赦せず、死なない程度に攻め続ける。
「もういいだろう伊達。その辺にしておけ。ソイツはもう起き上がれん」
「ちっ。乙女さんがそういうなら。命拾いしたな」ようやく伊達は攻撃をやめた。
血達磨、ボコボコ。辛うじて人のカタチを保っているといった風情の勅使河原は力尽きたように動かなくなった。失神したのだろう。
ちっとも命拾いしていない気もする。
対馬は鉄先輩と伊達に支えられながら立ち上がった。
「あり、がと。つしまくん、だてくん、くろがねせんぱい」
西崎の礼に対馬たちは笑顔で応える。そしてそのまま帰っていった。
皆を見送り終えた西崎がこちらに駆け寄ってくる。
「よーへー!」僕にすがりついてきた。「だい、じょうぶ?」
「あまり、大丈夫ではな……」あれ、なんかつい最近もこんなやりとりをしたような。
「くぅー」西崎は心配そうに僕を見つめている。
「いや、大丈夫だ。大丈夫だとも。それよりお前もケガはないか」
「うん。ありがと、よーへー」
「僕は何もしていないぞ。何もできなかったんだ」
西崎はふるふると首を振る。
「よーへー、わたしを守ってくれた。わたしのためにおこってくれた」
西崎は僕の首に抱きついた。
「洋平、ありがとう」
瞬間、全身を苛んでいた痛みが消えたような気がした。鉄先輩の言葉をもう一度思い出した。
……僕の力を誰かのために使うというならば、西崎、お前を守るために微力を尽くそう。
僕はお前の盾となり矛となれるように。
758あとがき:2005/10/09(日) 11:55:44 ID:fNeY5u4Q0
何が言いたかったかというと、スバル最強。
冗談はさておき、村田SSです。設定は乙女さんルート準拠で。
ちょっと上でも話題になっていましたが、西崎さんの台詞に苦労しました。
ひらがな多用でなんとからしさはでたかな、と。
ちなみに二人はこれでくっついた訳ではなく、元に戻ったのだと思っています。
その先のことは知りませんが。
最後、乙女さんが制裁を加えるバージョンもありましたがスバルが乱入したほうが
面白かったのでこうしました。
スバル最強。
759名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 11:59:05 ID:bgUDx7hG0
暴走ロードローラー藁たw
これ読むと西崎さんルート欲しくなるな、村なんとか視点で。
くーデラ萌えス。
760名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 12:00:03 ID:/i73tFBMO
>>758
GJ!
男をあげたな、村……山?
761名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 12:10:41 ID:Ywypao080
乙〜。勅使河原って誰だw
昔、村崎をイジメてたヤツとかいう設定まで盛り込んで
最後はやっぱり村崎に倒させた方が熱い展開になるぜ!
762名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 12:13:22 ID:GWSqM6To0
>>758
(・∀・)イイヨイイヨー
村雨ってツンデレなんだね
763名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 12:22:02 ID:QAhTLieh0
>>758
おつ〜。村越とレオがかぶってるような気もしたが・・

>>761
>最後はやっぱり村崎に倒させた方が熱い展開になるぜ!
熱い展開にはなるが、長くなるし、
仲直りした程度って>>758も言っているしこれでいいと思うぞ。
764名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 12:35:40 ID:7Ug+PUoz0
>>746
陵辱荘

それはさて置きナイスSS!
765名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 15:05:13 ID:LPfPmcJw0
いや、ほんと頑張った、カッコよかったよ!!村関!!
ってか結局つよきすの強さじゅんは
乙女>>超えられない壁>>スバル=姫>>村君>>レオ=椰子>>カニ>>超えられない壁>>フカヒレ
ってとこか?
766名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 15:55:58 ID:zuhiidAl0
館長忘れてますよw
767名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 16:23:05 ID:LPfPmcJw0
やべ、本当だw
館長>>超えられない壁>>乙女>超えられない壁>>スバル=姫=覚醒フカヒレ>>村君>>レオ=椰子>
>>カニ>>超えられない壁>>フカヒレ
ヨッピーはどこに入るんだろ?
768名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 16:35:13 ID:jy1GljXx0
>>758GJ  いいねー。村なんとかってもうちょっと強い気もするけど。

>もう十分近く殴られ続けている。

この一行だけ気になった。
5分以下でないとリアリティがないし、そこまでわざわざ書かなくていいし。
769名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 17:08:21 ID:bnRNrgMB0
>>758
敢えて苦言を呈すが、スバルをどうしても出したかったら最初のうちに顔見せさせておくべし。
伏線も無しに登場したら話のバランスが崩れる、後はGJだ文句なし。
770名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 17:12:05 ID:MhKhKMCo0
GJ!
でもスバルはいらなかった気がする。
なんとなくスバルに酔ってる感じがした。
771名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 17:32:31 ID:oUkHBrgxO
GJだよな!

伏線としてはスバルよかフカヒレが必要じゃね?
772名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 18:26:18 ID:6Wo7sEOn0
GJ!愛情弁当GJ!

ひとつ気になったのは村井がせっかくキレたんだから
何か見せ場が欲しかった気がする。
773名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 18:34:19 ID:V5gNWspm0
オレ的には
助けに入ろうとしたレオを乙女さんがあえてとめて
「自分の力で乗り越えてみせろ、村西!」と激励するほうがカッコヨサゲ
774名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 19:03:27 ID:7jyhDI/f0
>>771
それは言える。オマイは一体誰のストーカーをしていたのかと。
775名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 19:11:35 ID:G4EI6iox0
GJ! 村崎カコイイぜえ。

>>765
伊達と村石の強弱は、人により意見が分かれてると思われ。
得意の足技を使えなんだらかなり差が出来てたみたいだから、村川が圧倒的に伊達より上ってことは無いだろう。
776名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 19:39:30 ID:olOBb2v50
GJ!
スバルが強すぎな気がするが、勅使河原からみれば、村田・レオとの連戦後だから結構消耗してたんだろうなぁ。
777名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 20:46:40 ID:KHw1WROB0
乙女さんルート準拠の割りには乙女さんの怒りが低めな気もする。

スバルの言う「ぼこられたダチ」には村田も入ってるのかなあ。入ってるといいなあ。
778名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 21:55:49 ID:7XdTQpSB0
フカヒレ「うーん、やっぱたとえるなら、乙女さんは『セイバー』っぽいかなぁ」
乙女  「む、そうか?」
フカヒレ「んで、そういう事なら姫は『遠坂凛』でキマリかな〜」
姫   「……」
フカヒレ「カニは、最強のサーヴァントを連れたチビっ子『イリヤ』かな。はははは」
スバル 「オイオイ俺はバーサーカーかよ……」
姫   「ねえ、それじゃあよっぴーは?」
よっぴー「え、呼んだ〜?」

 ゴゴゴゴ……(背後には黒い影)

よっぴー「みんなで何の話してるの?」
フカヒレ「ひぃっ、いや、その、スイマセン」
779名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 22:16:45 ID:coe3hIVz0
よっぴーかぁ・・・
ライダーはなごみんだろうから後残ってるのは桜か藤ねえかキャスt(ry


藤ねえ!藤ねえだね、きっと!
780名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 22:57:09 ID:6sfuOEnK0
後一時間ほどでレオの誕生日か…
記念SSとかあるかな…自分で考えたけど上手くいかなかった
781名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 23:30:09 ID:jbLBJAiE0
>>758
GJ!頑張る村何とかと突然出てきて美味しいスバル最高
ところでちょろっと出てたがフカヒレに幸せになってもらいたい奴って少数派なのか?
後一歩が踏み出せない小心さとかが凄い魅力的に写るからフカヒレ幸せ応援派なんだが
782742:2005/10/09(日) 23:47:23 ID:1RdXNMuSO
オレは他人と異なる感性の持ち主なんだろうか…
783名無しさん@初回限定:2005/10/09(日) 23:54:19 ID:pdPY1GfQ0
正直フカヒレはどうでもいいんだが、このスレとか作品別で、
ことあるごとにフカヒレフカヒレ五月蝿いのがいて、うざくなってきた。
最近、スバルもそんな感じ。
784名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 00:06:05 ID:nI8CK/Mw0
>>781
俺もそうだな
と言うかフカヒレもスバルも幸せになってほしい派だ
フカヒレはやれば出来る子なんだし
まあ、やらないところにも魅力を感じるんだがな
785名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 00:16:06 ID:Vspfkar5O
レオオメ。以下略
786名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 00:21:49 ID:u3HOsk/T0
誰かレオを祝ってハーレムSS書いてくれないかな
787758:2005/10/10(月) 00:27:15 ID:g6g1pkQZ0
だって、スバルは好きなキャラですから。
>>768
すいません、ケンカとかしたこと無いので何分ぐらいがいいのか分からなかったんです。
788名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 00:28:18 ID:ucZn5B2u0
YO!YO!誕生日おめでとう言いに き た ぜ !
789名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 09:40:35 ID:e3YiHvF30
>>787
好きなキャラほど気をつけて書かなきゃダメだよ。
よくある話だけど、作者が1番好きなキャラは○ですとか言われたキャラに限って
人気が無かったりアンチがいたりとかそういうことよくあるだろ。
790名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 10:58:19 ID:gwKibbt10
キツいこと言うようだけど、
今のヤンキーはあんな事言わないと思うよ
今のガキは女に嫌われるのだけには敏感だから。
791名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 10:59:47 ID:7thI7XOW0
ときに、姉しよで、肉体と精神があべこべに入れ替わる話なんてのを書きかけてるんだが
ひょっとして、これ前にもあったっけ?
792名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 11:32:26 ID:+WsAodE+0
>>791
ないんじゃないかな?
有ったとしても、その作者には失礼になるとは思わないけど・・・
どうなんだろう?
793名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 15:31:39 ID:GFnQIyz+0
す、すげぇぜ、姉様とイタチ、ねぇねぇと近所のネコが入れ替わって共に
マルやオスネコの強引な攻めで獣姦に目覚めちゃう話なんて!
794名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 20:59:00 ID:2YjZMe510
投下。
登場人物レオとスバル。
795幼なじみエンド+:2005/10/10(月) 20:59:58 ID:2YjZMe510

 季節は冬、北へと向かう電車の中。
 四人掛けのボックス席で、レオは外の景色を眺めていた。
 窓の外は雪。
 白く染まる冬の町が、視界に現れては過ぎ去っていく。
 通路側から見る景色は遠く、窓枠が絵画の額縁の様。
 窓とレオの間には、すやすやと寝息を立てる少女が一人。

「・・・・・・れおー、むししてんじゃねー・・・・・・」

 どんな夢を見ているのか、少女の――カニの寝言に苦笑する。

「ったく、このカニは」

 夢の中でもお守り役かよ、とレオは独りごちた。

「――それだけ愛されてるって事だ」

 と、向かいの席で何個目かになるリンゴを剥いていたスバルが、独り言に応える。
 彼の隣ではいつのまにかフカヒレが、こちらもやはり寝息を立てていた。

「なんだ、フカヒレも寝たんだな」

「ああ。こいつらが寝ると、なんだか妙に静かになるな」

 穏やかに、二人で笑いあう。
 確かに、騒いでいた先ほどまでとはうって変わって、静かな空気が流れていた。
 けれどそれは決して、寂しさや、独りを感じさせるものではない。
 幼なじみという関係、いつもの四人という空気。
 寝ていても、起きていても、心地よい空間がそこにはあった。
796幼なじみエンド+:2005/10/10(月) 21:02:13 ID:2YjZMe510

 心が落ち着くのを感じるが、それと同時にくすぐったさも覚える。
 起きているのが一人だけなら、そんなに意識はしなかったかもしれない。
 けれど目の前に誰かがいると、それを見透かされたような気になった。

「――にしても、愛されてる、ねぇ」

 レオはどこか納得しかねる顔で、肩をすくめてみせる。
 照れ隠しのような話題の転換。
 スバルの視線が、レオに向く。

「どちらかというと、目の敵にされてる気がするな」

「んなこたないだろ。
 嫌いなヤツの夢なら、そんな穏やかな顔で寝てやしない」

 スバルがあごで示した先には、幸せそうなカニの寝顔があった。
 起きていれば口の悪さから生意気にうつりがちな彼女だが、寝ている分にはそんなことはない。
 とりわけ、こうして幸せそうな寝顔でいると、つい見とれてしまうほどには可愛いものだった。
 なんとなくそれを認めるのが悔しくて、レオは首を横に振る。

「嫌われてるとは思ってないけど。
 とくに好かれてるわけでもないって」

「そうか? それにしちゃあ随分幸せそうに見えるけどな」

「こいつはいつも、こんなもんだと思うけど」

 レオの言葉に、スバルは意味ありげに笑みを浮かべる。
797名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 21:02:56 ID:6QWlhurD0
壁|∀・)b GJ!!
これを幼馴染END(?)の最後に付け加えて欲しかった_| ̄|○
798名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 21:04:08 ID:6QWlhurD0
って・・・続くのかな?もしかして俺一人だけの早とちり…?
799幼なじみエンド+:2005/10/10(月) 21:05:30 ID:2YjZMe510
「いつも幸せなんだよ。“そこ”にいる時はな」

 言って、スバルはレオの隣を指した。

「ああ――だからそれは、“ここ”にいるからだろ?」
 
 頷いて、レオは四人のいる場所を指し示した。

「…………」

「…………」

 しばらくの視線の交差。
 その後、どちらともなく視線を外す。

「・・・・・・強情だね、どうも」

「特別に考えすぎだって、スバルは」

 そうして、また少しの沈黙の後。
 やおら、スバルは真剣な表情で、じっとレオを見つめた。
800幼なじみエンド+:2005/10/10(月) 21:06:22 ID:2YjZMe510

「・・・・・・」

「スバル?」

「レオ、お前、誰が本命なんだ?」

「・・・・・・・・・・・・へ?」

 唐突な問いかけに、レオは首を傾げる。

「恋人ができなかったというよりは、あえてつくらない様にしてるみたいに見えるぜ、お前」

「なんの話だよ、それ」

 本気でわからない様子のレオに、深くため息をつく。
 色んなものが込められた、感情の強いため息。
 シートに深く身体を預けると、スバルは口元に苦笑を浮かべながら言った。

「俺は、お前とカニがくっつくと思ってたんだ」

「――――はぁ!?」

 レオの表情が驚愕に歪む。
 スバルはやれやれといった顔で、言葉を続けた。
801幼なじみエンド+:2005/10/10(月) 21:07:03 ID:2YjZMe510

「今年の体育武道祭、お前とカニで二人三脚やったろ?
 あん時、微妙に良い感じになってたじゃないか」

「それは・・・・・・」

 言われて、レオは今年の夏を思い出す。
 あれはまだ6月、本格的に夏を迎える前の話。
 何の因果か、レオはカニと二人三脚にエントリーされた。
 まあ、色々あって、二人の仲は以前より良くなったわけだが――

「いや、でも特別何かあったワケじゃないぞ?」

 というよりも、むしろレオのメインイベントは別の種目だった。
 二人三脚は数ある種目の一つでしかない。
 A組の村田との勝負を思い返しつつ、スバルに言う。

「あの後だって、そんな展開はなかったし。
 むしろ疑われるなら、なごみとの事じゃ・・・・・・」

「だからだ。
 だから俺は――俺が、水を差したんじゃないかって思った」

「――――」

 言われて、気づく。
 体育武道祭が終わった後、とある事件があった。
 いや、事件と言うほどの事件ではない。
 ただ、スバルがスカウトされて、その事がいつもの面々の耳に入った、というだけのこと。
 結局、スバルはその話をけり、何事もなかったかのように日常は続いた。 
 けれどスバルにしてみればそれは、大きな出来事だったのではないだろうか。
802幼なじみエンド+:2005/10/10(月) 21:07:56 ID:2YjZMe510

「盛り上がるはずだったところに別の事が起こって、コトがうやむやに、ってのはよくある。
 そうこうしてる内に、お前の家には椰子が出入りするようになったしな。
 ・・・・・・だから何となく、カニの事を邪魔したような気になってたんだ」

「それは違うって」

 レオは首を横に振る。
 もし、スバルのことが無くても、カニとはそういう風にはならなかった。
 少なくとも、レオはそう思っていた。

「そっか。・・・・・・なら、良かった」

 スバルにそのことを告げると、彼はそう言って全身の力を抜く。
 辺りの空気がふっと和らぐのを、レオは感じた気がした。

(それだけ、スバルが真剣だった、ってことか・・・・・・)

 空気が固まるほどに真剣に悩んでいたスバル。
 その想いはどこからくるのだろう。
 レオはそんなことを考えようとして、スバルの呼びかけにそれを中断した。

「・・・・・・で、坊ず」

「ん?」

「本命は、誰なんだ?」

 振り出しに戻る。
 さっきとは言葉の重みが違っていたが、意味は同じ。
 何も変わってない質問に、レオは脱力した。
803幼なじみエンド+:2005/10/10(月) 21:08:37 ID:2YjZMe510

「いや、だからなんだよその質問」

「お前とカニがそうじゃないってなると、一つ疑問がでてくるんだ」

「疑問?」

「――椰子とのこと」

「う゛」

 思わず呻く。
 当然くるだろう質問は、けれど上手く答えられない曖昧な問題。
 固まるレオに、スバルは問う。

「気づいてないってわけじゃないだろ?」

「それは、その」

 言葉に詰まる。
 椰子なごみのレオに対する態度が一変したのは、夏休みに入ってからのことだ。
 それまでもそれなりの仲にはなっていたが、劇的な変化点はそこになる。
 色々と関わっていく内に家庭の問題に触れることになり、その際に家に招き入れたのがきっかけだった。
 甲斐甲斐しくレオの世話をやく彼女の姿はまるで別人。
 かといって恋人同士かというと、違うというのだから、スバルの疑問も当然だった。

「てっきり、カニとのことがあるから踏み切れないんだと思ってたんだけどな。
 それが違うんなら、別の何かがあるって事だろ」

「だから“本命は誰か”って?」

「そういうこと」
804幼なじみエンド+:2005/10/10(月) 21:10:01 ID:2YjZMe510

 レオは言われて考える。
 けれど、そこに特別な理由があるワケじゃない。
 本命は、と訊かれても、誰かが特にいるわけでもない。
 強いて言うなら、それは――。

「やっぱり姫か? それともよっぴーか?」

 迷うレオに、スバルが答えを促す。

「――何でそう思うんだよ?」

「夏が終わってから、三人で居ることも多かったろ?
 確か、二人のケンカの仲裁をしたんだったか」

「あれはケンカなんてレベルじゃ――いや、確かに仲良くはなったけど」

「違うのか。じゃあ、乙女さんか?」

 微妙なレオの表情を読んで、スバルは別の名前を挙げた。
 
「乙女さんは俺なんか相手にしないだろ? 最初にそう言われたし」

「なら、祈ちゃん。山に行った時、二人で消えてたろ」

「……生き方には、憧れてるよ」

「だったら――」
805名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 21:10:36 ID:aFCJJ/zZO
支援
806幼なじみエンド+:2005/10/10(月) 21:10:50 ID:2YjZMe510
 ――その後も、スバルは名前を挙げ続けた。
 クラスメイトから、果ては自分の名前まで。
 そのどれもを曖昧に否定して、レオは思う。

(結局の話、求めてなかったってことだろうな)

 恋人をつくるということ。
 そのことを真剣に考えてはいなかったということなのだろう。
 
 生徒会に入ってから今日まで、色んな出来事があった。
 生徒会に入ってから今日まで、色んな事を学んできた。
 流されるべき時と、そうではない時。
 流された時、残るのは後悔ばかりではないということ。
 痛みは時として、甘んじて受けることができるのだということ。
 自分は誰かのように、熱を持たないでいることはできないということ。

 楽しいこと、辛いこと。
 思い出と一言で済ますのは簡単だけれど、その一言では言い表せない日々。
 そんな、激しいと表現しても良いくらいの日々の中、対馬レオが求めたもの。

 ――それが、いつもと変わりない日々なのだと言ったら、コイツはどんな顔をするのだろうか――

「どうした?」

「や、何でもない」

 きっとスバルは口元で意味深げに笑うのだろう。
 そんな顔を想像して、レオは、つ、と視線を窓の外へ移した。

 心地よいスバルの声が耳に届く中、窓の外では白い景色が流れていく。
 今しばらくは、この穏やかな時間を過ごしたい。
 ……そう、いつか辿り着く、終着駅に至るまで……
807幼なじみエンド+あとがき:2005/10/10(月) 21:14:51 ID:2YjZMe510

――きっとさ、色々あったんだって、ぜったい。

ってなわけで、投下してみましたー。
レオ誕生日って聞いて、途中で止まってたものをまとめたSS。
ご都合主義満載。
ごめん、本編のイベントだけじゃ全ヒロインに可能性もたせきれなかった。
誰かこれに至るまでのイベントかいてくれー!

追伸:
支援感謝。
勘違いした人、きにすんなー
808名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 21:18:27 ID:+B+3KDa10
GJ!
俺はスバル×レオSSをずっと待っていた!
809名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 21:20:31 ID:rieXxNq80
>>804で爆笑してしまった。
全員に可能性があるのにどこにも動かないヤツって、ヘタレなんだなw
作者さんの意図とは違ったかもしれんが、こんなにも熱くなりそこねるレオはいい笑い者かも。

作品自体はGJだぜー。
810名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 21:41:43 ID:XrJ4XHaz0
>>807
(・∀・)イイヨイイヨー
ナイス」でした
811幼なじみエンド+おまけ:2005/10/10(月) 21:44:35 ID:2YjZMe510
以下、おまけ。
・カニ:
 もともとレオのことが好きだが、体育武道祭の二人三脚トレーニングにて若干自覚症状が出る。
 しかし、その後の進展が無かったため、幼なじみは幼なじみのまま。
 他の娘と仲の良いレオにヤキモチ焼いては「ちっくしょー!」と叫ぶ日々。
 でも、なにげに他の娘からはうらやましい立ち位置だ、なんて思われている。

・なごみん:
 ほぼ本編準拠。ただしエッチしてない。
 肉体関係ないのに子犬状態という不思議な不思議な素敵仕様。
 でも、レオのファーストキスは奪っちゃったというから侮れない。
 歯と歯がぶつかるキスだったけどねー。

・乙女さん:
 一応くーちゃん(空也に非ず)に問いつめられるイベントまで発生。
 でも、その場にレオは居なかった!
 好きになりかけ状態が、夏から冬にかけてどこまで進行したかがみもの。
812幼なじみエンド+おまけ:2005/10/10(月) 21:46:02 ID:2YjZMe510

・姫&よっぴー:
 つよきすの物語の後(9月後半辺り)でケンカ発生。
 ダークよっぴー降臨。
 絶対この二人はいつか一度はケンカすると思う。
 ケンカというかよっぴーの人間不信最大展開、みたいな。
 いわゆる、レオがらみでない聖域崩壊状態。
 そこでレオ君走りました。熱血モード突入。
 以後、姫のお気に入り(恋愛感情かどうかは姫の方に自覚無し)として、三人で仲良くしてます。

・祈ちゃん
 童貞狩りはうけてません。レオやん、写真は見ちゃってます。
 つよきすの物語の後(10月半ば辺り)で生徒会紅葉狩りへ行く、のイベント発生。
 行った山が偶然にも必然にも、あの山。
 過去との対峙の際に何があったのか。
 今更性格は変わらないけれど、風が止んだような気がしないでもない。
 レオと二人で何を見たのか。全ては二人だけが知っている!

>809
へたれは仕様です。だって誰かに決めちゃうと一途なんだものレオ君。
813名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 21:49:33 ID:sNTz/th80
レオ改めて誕生日おめでとう、そして>>807GJ!

よくよく考えてみれば幼馴染エンドって誰とも付き合ってない代わりに無限の可能性があるんだよなぁ。
そう考えるとある意味トゥルーエンドなんじゃないか、と思った<幼馴染
814名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 21:51:07 ID:66qtrBJl0
GJ!!

設定を書いたって事はこれから更に
掘り下げてSSを書いていくという、意思表示。
だったらいいな。
815名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 22:14:28 ID:v91yfBw00
GJ!!

この設定を使って続きを書いてもらいたいなー、と思いました。
816名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 22:25:18 ID:E+P0SBvp0
その設定だと2/14はどんなふうになるんだろ
817名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 22:49:58 ID:6QWlhurD0
σ('A`)勘違いした人
二回目ですが、GJ!!
818名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 23:31:19 ID:u3HOsk/T0
GJ!!
設定に萌えました。
確かにこれなら自然とハーレムものになるなあ。
819807 ◆/mLTvWifHs :2005/10/10(月) 23:38:26 ID:2YjZMe510
ちょっと反応怖かったけど、おおむね好評でよかったっす。

続きに関しては・・・・・・某葉のうたSSで挫折して以来、約束しない事にしとります。
長文に耐えきれないのだよ。頭が。
なんかの偶然でできあがったらまたいつか。
またねーよ、という人。代わりに書いて。お願い。

サラヴァッ!
820名無しさん@初回限定:2005/10/10(月) 23:44:00 ID:u3HOsk/T0
上記の設定を「807氏設定」と名づけよう
821名無しさん@初回限定:2005/10/11(火) 00:08:00 ID:harNOmAQ0
つか2が出たらそんな設定で進みそうだよなぁ・・
822名無しさん@初回限定:2005/10/11(火) 00:08:06 ID:gXk024Zd0
聞きたいんですが。。。
つよきすやろうとすると使用できる画面モードがないと表示されるんですけど
823名無しさん@初回限定:2005/10/11(火) 00:34:05 ID:TgIdr7w10
ディスクに一緒に入っているDirectなんとかをインストールしてみ
824名無しさん@初回限定:2005/10/11(火) 00:35:28 ID:NUdQAh810
なんてこった……
「807氏設定」よりもいい設定が浮かばない…
GJ!!>>807
825名無しさん@初回限定:2005/10/11(火) 00:50:08 ID:QdAL+HckO
ノリとしちゃ姉しよ2の設定に近いものがあるね。
もちろん絶妙で 実 に 良 い ですけど。
826保管庫の中の人:2005/10/11(火) 02:07:33 ID:e8H1+2OV0
んども。久方ぶりに更新しました。途中までだけど。
残りは今週末、カゼ引いて情報処理試験サボる予定なので時間取れそうですw

ひとつお願いなのですが。
作品別スレが相変わらず流れ早くて追い切れませんので、
もしあちらに張られてて保管し損ねてるAAなどあったら教えてもらえませんでしょうか。
827名無しさん@初回限定:2005/10/11(火) 02:20:13 ID:y61MjQB50
「807氏設定」で誰かなんか書いてちょ。
807氏さえよければこの設定をこのスレのフリー素材にしてもいいのでは?
そのへんどうです?807氏
828名無しさん@初回限定:2005/10/11(火) 02:59:40 ID:JzX0y//1O
スゲェなあ
皆がしっかり納得する設定作れるなんて…
超GJだぜ!
829名無しさん@初回限定:2005/10/11(火) 05:07:28 ID:Q32xYBcy0
ただ807誌設定だと名護民が微妙に贔屓されている気がしないでもない(というかご本人が不思議な不思議な素敵仕様と言ってらっしゃる)
兼が取れて対応が柔らかくなってるのとあの仔犬状態では一線を画している。
830807 ◆/mLTvWifHs :2005/10/11(火) 06:39:07 ID:LZlAzgR+0
どうも、本家人気投票で、毎回なごみんに入れてる807です♪

>827
うぃ、好きに弄んでやってくださいませ。
基本的にこだわりませぬー。
楽しけりゃいいや、が信条ですんで。

ただ、まあ、指摘があったとおり、なごみん好きの807ですんで、
その辺りは臨機応変によろしゅう。

ではでは。

※今日から2ヶ月くらい出張のため、当分ここにこれません。またいつかー。
831名無しさん@初回限定:2005/10/11(火) 06:43:42 ID:bCZ1BMpi0
なごみんは良くも悪くも態度の変化が極端だからねぇ・・・
832名無しさん@初回限定:2005/10/11(火) 10:14:53 ID:+kr+CDbY0
>>826
乙です。でも試験はサボらないほうが…w

>>807設定だと体育武道祭前後のレオは大忙しだなw無理ありまくり
まああら捜ししてもしょうがないんで乙
833名無しさん@初回限定:2005/10/11(火) 10:28:53 ID:OfkKp6mN0
>>826
保管乙!

>>826
合宿イベントとかどうなるんかね
乙女さんなのかなごみんなのか(カニじゃないらしいがw)
834名無しさん@初回限定:2005/10/11(火) 10:52:24 ID:neeMPs8G0
「ありそうだけどなかった話」じゃなくて

「なさそうだけど欲しかった話」だと思えばいいじゃん>>807
そんな細かく考えたら楽しめませんよっと

>>826
乙です。
作品別はスレ速度速いんでチェックしきれませんが
気がついたのがあったら貼りますよ
835名無しさん@初回限定:2005/10/11(火) 16:40:19 ID:EUgz1KsMO
・・・餓狼伝みたいなバイオレンスSSも読んでみたいなと
ふと思った。
836名無しさん@初回限定:2005/10/11(火) 22:00:26 ID:fNZeZ+2c0
ハーレムED乙。
837名無しさん@初回限定:2005/10/11(火) 22:32:17 ID:7h252b3s0
ここまで、女の子を相手にしないレオは本格的にスバルとの関係を疑われてもいいともう
838名無しさん@初回限定:2005/10/11(火) 22:40:26 ID:fNZeZ+2c0
この状態だとポールポジションはなごみんか
839名無しさん@初回限定:2005/10/11(火) 22:42:44 ID:N7wl0fCI0
>>837
ヒント;スバルもデレ
840名無しさん@初回限定:2005/10/11(火) 23:25:57 ID:v6cuR/hA0

    _,..-―-.、                    \<>ヽ、
  ,..:'´.:.:.:.:.-.、|}:`≡=、               ヽ.<>ヽ
. /.:.:.:.:.:.:.:.、:`ヽ、.:rミミ/`7ー-.、__       `、<>ヽ
イ.:.|.:.:l.:.:ヽ、ヽ,坏j:|,ルヘ. /::::::紀:/ /`i         `、<>ヽ
.|l:.l.:.:.:\:.:.`メ゚‐' l:|::l | ∨::風::::/ / ̄ `ー-- 、    `、<>ヽ
八:ヾ..:.:代! ヽ _ リ::}|へ、::::::{. {__     `丶、_`、<>ヽ-、
  ヽト、.:j`:ーr-´-任lノ    `‐┼し'′ `>、____/_ヾニツ /
   jヘヽト、ミ`ヽノL/      `ー-ァ'´::::::::::::::::::::::;::-‐'´.:`ヽ__,仆、
     ヾY ニニhヘ|::|::.  ノ  _,. -‐'ニ二二二_ <. .:.:.:.:.:.:.:.:ト、)ニ彳
       | ニニ}ノ !::|`"´  ,'´          `ヽヽ. :.:.:.:.:.:| ヽ.三ヽ
      ヽ ̄フ |:::|  、 |          ,. ‐' ´ ̄`丶、.:ノ   ヽ三ヽ
.       `、 ∨l/|ーrヘ、ヽ、_        /        `>'´ ̄`ヽ. ヽ
          !  |::::::lー′ ヽ_ム`ヽ、   /         /\    ヾ`゙丶、_
        l  !/j      \:::::\ !          /  /`ヽ.   \:::::::`丶、
         ヽ、_ノ          ト、:::::`Tー--- 、,  /  /     l     ヽ:::::::::....
                    |::|::ヽノ       `ヾ、/    /     ヽ::::::.::.:..
                   |::|:::∧        ヽ、 /       `;:::::.::....
                        |:厂.:.:`、           ヾ´            }::::::....
                       ` ̄ ̄´ヽ.         |            ,'::::::::....
                          \         !         ノ:::::::::::....
                                 >>826 試験をサボるんじゃない!
841名無しさん@初回限定:2005/10/11(火) 23:55:28 ID:sOATakVL0
姫の書いたスバル×レオのSSが読みたかった









よっぴーが書いたのは怖いからいいや
842名無しさん@初回限定:2005/10/12(水) 01:05:18 ID:893U8o820
懐かしのるろ剣みてたらOPの1/2がすごいカニっぽくてびっくり

>>807氏設定
なごみんはデレよか、
デレ一歩手前の中華街へ買い物いくあたりの設定のほうがいじりやすい気もする
あのあたりがツンデレの「ンデ」の部分が好きなおれにはたまらんのです
843名無しさん@初回限定:2005/10/12(水) 01:12:59 ID:hLlwUp9q0
なごみの設定はそれくらいのがちょうどいいかもね。
完全デレ期だと嫉妬が激しいから話が進まない。
844名無しさん@初回限定:2005/10/12(水) 01:29:40 ID:1FVWp+yn0
マジメに>>807設定のスケジュールを考えてみた

6月17日 カニと二人三脚練習開始。
6月18日 カニと二人三脚特訓。
6月19日 勉強漬けの乙女さんに反抗して飛び出す。
6月20日 カニと繋縛の儀式 カニに弁当を食われなごみに分けてもらう。
6月21日 繋縛、解かれる。 フラワーショップ椰子を発見。
6月22日 村田に殴られる。
6月23日 特訓を決意。
6月24日 合宿(特訓)…

24日に特訓して25日に皆がやってきてなごみと星空眺めて
26日にカニが転べばいいのか?
845名無しさん@初回限定:2005/10/12(水) 01:44:30 ID:DCE/2Jmv0
>>844
無理ではないな。
846名無しさん@初回限定:2005/10/12(水) 02:06:59 ID:1FVWp+yn0
自己レス

>>844の6月20日は順序逆だ…

あと6月18日も乙女さんに勉強漬けにされてるはずだがその辺は無視

特訓中皆がやってきても釣りイベントとかカニ料理投げイベントとか
なごみがらみのイベント起こせないけどそこは無視
カニが転ぶのは食料採集のハチ襲撃イベントだけどそれも無視

最大限ハーレムに向けて頑張るとこんな感じに
847名無しさん@初回限定:2005/10/12(水) 02:49:18 ID:N5JmpSjJ0
>>806
の後スキー場になごみんと乙女さんと姫とよっぴーと祈先生が後を追っかけてくる余寒がするのは俺だけだろうか?

なごみん
今回の旅行は幼馴染だけで行くからおとなしく待っててとレオに言われ大人しくレオの家で留守番してたなごみん
でも、レオのいない時にレオのベットに寝ころがってたらレオの匂いがして耐え切れず追いかける。

乙女さん
カニとレオが旅行(スバルとフカヒレはこの時点で頭から消えてる)に行っていることにもんもんとしながら待つ乙女さん
なごみんがレオを追いかけて行くの止めるが最終的になんだかんだ理由をつけてなごみんと追いかける。

姫とよっぴー
旅行の事は聞いていない二人、町でふたりで「レオがいないと面白くないわね〜」とか言いながらぶらぶらショッピング
町で偶然あったマナ(空気読めない)からカニとレオが旅行に言ったと聞いてヘリで追いかける。

祈先生
占いの結果、スキー場に吉とか出て行く。
848名無しさん@初回限定:2005/10/12(水) 02:54:43 ID:8/U0eSBj0
>>847
スキー場でのハーレムSSクルワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘∀‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!!!!
849名無しさん@初回限定:2005/10/12(水) 03:14:48 ID:G/yAMXQC0
>>844
乙w
しかしあれだ、体育武道祭で村田倒した後
フラフラになりながらドッジボールやってフォークダンスも踊らなきゃなんないし
ハーレム作るのも大変だなw
850名無しさん@初回限定:2005/10/12(水) 03:35:43 ID:5uAzU01O0
風雲空也城作成するときも、そんな感じのスケジュールだったんだろうなぁ
851名無しさん@初回限定:2005/10/12(水) 06:14:07 ID:t4bEOTbO0
空也の場合寝ればOKだから。。。
852名無しさん@初回限定:2005/10/12(水) 10:12:42 ID:60rnESkJ0
>>849
そうやって考えちゃうと色々気づいちゃうから考えるのよそうな
夢は夢のまま残しておこうよ
853名無しさん@初回限定:2005/10/12(水) 11:11:45 ID:5uAzU01O0
空也が枕ホストみたいな言われ様で吹いたw
854名無しさん@初回限定:2005/10/12(水) 15:51:59 ID:YaSp+1N/0
妄想(ゆめ)ふくらむ〜
855名無しさん@初回限定:2005/10/12(水) 20:55:29 ID:cd9rJaTr0
流れを無視してSS投下
856なんでもない毎日:2005/10/12(水) 20:56:26 ID:cd9rJaTr0
「今日の授業はここまでですわ〜」
4時限の授業終了
っということはお昼だ
「おい、坊主今日はどうするんだ」
「悪い、今日も弁当だ」
スバルからのお誘いを丁重に断る。
昼飯は一学期と同じように竜宮でなごみと一緒するのが日課だ
「っふ仕方ないな、おいフカヒレ学食行こうぜ」
「か〜、いいねいいね、俺も手作り弁当が食べたいぜ」
「俺が作ってやろうか」
「男の作った弁当なんていらねぇよ、俺が食べたいのは女の子の手作り弁当なの」
「あっそう」
「彼女にあ〜んなんて言って食べさせてもらったら最高だぜ、まぁ椰子はそいうタイプじゃないだろうけど」
フカヒレの妄言を無視して竜宮へ、なごみをあんまり待たせるのも悪いしな
しかし、フカヒレよなごみは意外と尽くすタイプなんだぜ
っとそんなことを考えている間に竜宮に到着
扉を開けると
857なんでもない毎日:2005/10/12(水) 20:57:22 ID:cd9rJaTr0
「あ、センパイ」
なごみが嬉しそうな顔でこっちに駆け寄ってきた。
なんか本当に犬の尻尾とかが見えるんですけど
とりあえず、いつものようになごみから弁当を受け取って席に着く
「今日もうまそうだ」
なごみの頭を撫でてやる。
「えへへ」
本当に犬みたいだな・・・今度首輪つけてみようかな
・・・っはいかんいかんたぶんなごみはつけてくれるだろうけどさすがにそれじゃ変態だ
でも犬耳のカチューシャとかなら・・・
いやだから駄目だろ
「センパイどうかしました?」
俺が妄想に耽っていたらなごみが心配そうな顔して覗き込んできた。
「いや、なんでもない、さぁ食べようぜ」
いただきますと手を合わせて弁当に手をつける。
あいかわらずなごみの作る料理はうまい
ふとなごみの方を見ると真剣な表情でこっちを見ていた。
えーと、あ、そうか
「今日もうまいぞ」
「・・・よかった」
そういって自分も食べだす。
俺も食事再開して玉子焼きを口に入れる
あれ?
「なぁなごみ」
「なんですかセンパイ?」
「玉子焼きの味付け変わってないか?」
858なんでもない毎日:2005/10/12(水) 20:59:31 ID:cd9rJaTr0
玉子焼きは甘かった。前は塩味だった気がするんだが
まぁうまいことにはかわりないけど
「あ、はい、センパイが玉子焼きは甘いほうが好きだと言っていたので」
確かに前そんなこといった気もする
でも
「無理して変える必要ないぞ、確かに甘いほうが好きだけど塩味でもおいしいんだし」
「いえ、センパイに喜んでいただきたいですから」
うーん、こういうところも可愛いな
やっぱりなごみは尽くすタイプだ
線の内側限定だけど
そんなことを考えているうちに弁当は空になっていた
「ご馳走様」
「いま、お茶入れますね」
なごみは奥の台所に向かった。
その後ろを俺は静かについていく
そして台所に立つなごみをおなかに手を回すようにして後ろから抱きしめる
「ひゃ・・・センパイ・・・」
「いいから、そのまま続けて」
「ど、どうしたんですか」
「うーん、午後の授業の前になごみから力を分けてもらおうかなと、なごみは嫌か」
「いえ、嫌じゃないです」
そういってなごみは目をつぶる
結局そのまま始業のチャイムギリギリまで抱き合っていた。
何も特別なことのない毎日
それがいつまでも続けばいいと思った。
859名無しさん@初回限定:2005/10/12(水) 21:01:02 ID:cd9rJaTr0
流れ無視してすまん
860名無しさん@初回限定:2005/10/12(水) 21:04:37 ID:EL3NoJKb0
いやいや、GJ!
もっと続くかと思ったけどこれで終わりなのねorz
861名無しさん@初回限定:2005/10/12(水) 21:07:26 ID:cd9rJaTr0
>>860
すまん、本当はもう少し長くなる予定だったんだが
どうにもつよきす本編の二番煎じっぽくなったから削ったんだ。
862名無しさん@初回限定:2005/10/12(水) 21:25:43 ID:hLlwUp9q0
GJ!!
まったりしてていい感じです
863名無しさん@初回限定:2005/10/12(水) 21:51:49 ID:C8o6O8ZW0
今ss半分以上書きあげているんですけれど、
cd9rJaTr0氏とネタが思いっきり被ってしまっていたorz
なごみが玉子焼きをあーんとかはそのまんま。
どうしたものだろう・・・。
メインのテーマは別にあるから、そこだけ修正した方がいいでしょうか?
864名無しさん@初回限定:2005/10/12(水) 22:01:10 ID:cd9rJaTr0
>>863
気にせずGO
865名無しさん@初回限定:2005/10/12(水) 22:06:41 ID:C8o6O8ZW0
>>864
結構量があるからもう少し時間がかかるけれど、
起きている間に何とか書き上げてしまいますので、
明日の朝までには投下出来ると思います。
866名無しさん@初回限定:2005/10/12(水) 22:21:57 ID:IpDhacoG0
>>865
ネタが少々かぶってても、書く人の味付けが違うなら別物でしょ。
期待してますよ〜w
867C8o6O8ZW0:2005/10/13(木) 02:35:03 ID:FxOZs8ds0
ようやく完成。
修正しながらですが投下します。
868タイトル未定(乙女):2005/10/13(木) 02:36:42 ID:FxOZs8ds0
01≪レオパート≫
そろそろ季節も秋が終わり冬に差し掛かろうとしている。
そして、なごみと付き合い始めてもうすぐ4ヶ月が過ぎようとしていた。
夏から付き合い始めた俺たちは、学校でのちょっとした出来事や生徒会活動、
何時ものメンバーも加えての馬鹿騒ぎなど、色々な出来事を通して仲を深めていった。
もちろんデートをしたり、秋には二人っきりで旅行に行ったりと恋人らしい事もしている。
そして、当然のように来月に控えているクリスマスも予定を立てている。
去年まではスバルやカニ達と一緒に騒いでいたけど、
今年はなごみと過ごすのかと思うとそれだけでなんだかとても新鮮な気持ちになれた。
どれだけ新鮮な気持ちかというと、まだ1ヶ月以上も先なのに
プレゼントを買ってもらう子供みたいにワクワクしているくらいだ。
別に、ホテルでディナーを食べてそれから・・・といった事をするつもりは全然ない。
確かに最後はやるかもしれないけど、家でなごみがつくった料理を食べて、
その後ケーキを食べる。プレゼントを交換して、朝までの時間を過ごす。
別に特別な事なんていらない。ふたり一緒なら俺は満足なんだ。
そんな自分が少し恥ずかしくもあるが、やっぱりうれしいものはうれしかった。
一応、別の日にみんなで毎年恒例の
『フカヒレ今年も一人身で寂しいだろう慰めてやるぞクリスマスパーティー』
もやる予定だけどな。
しかし改めて考えると、俺はすごい幸せ者だとしみじみ思う。
なごみは他人に対してきついところがあるし、人の目がある所では実にあっさりした態度だけど、
二人きりの時なんかはこっちがとろけそうになるくらい甘えてくる。
それに健気だし、色々とつくしてくれるし、美人だし、スタイルいいし、
かわいいし、料理うまいし、その他いろいろ。
やっぱり俺ってどう考えても幸せものだ。
そういう訳で、俺は前よりももっとなごみを好きになっていた。
けれど、それと同時に一緒に居たいという想いまで強くなってしまっていた。
869& ◆tkqYchZp8c :2005/10/13(木) 02:38:20 ID:FxOZs8ds0
02≪レオパート≫
平日は学校があるので一緒に過ごせる時間は限られている。
休日は二人で過ごしているけど、
なごみは実家の花屋の手伝いがあるので休みのたびにというわけにはいかない。
でもこっちは一緒に居たい。
どうしたものかと一時期は真剣に悩んだりもした。
けれど、なごみはその問題を実にあっさりと解決した。
のどかさんに頼んで、俺をバイトに雇ってくれたんだ。
後で聞いたんだけど、なごみは俺と花屋を一緒にやりたいと思ってくれていたらしい。
そういう訳で、少しでも一緒にいたいというのが動機ではあるが、
今では休みの日は俺も花屋を手伝っている。
最近ではのどかさんも気を使ってくれているのか、または俺となごみの仲に触発されたのか、
土日は泊まりがけで天王寺さんの所に出かけるようになっていた。
お客さんの相手はしないといけないけど、実質二人っきりである。
常連さんからは、新婚さんだの花屋の若夫婦だのとからかわれたりもしたけれど、
なごみがうれしそうにしているので俺的にはオッケーだった。
そうやって、俺たちは充実した時間を積み重ねていった。
そんな順調そのものの俺達の高校生活だが、最近一つだけ気になることがる。
それは、一緒に暮らしている俺の姉さん的存在の乙女さんの様子が最近おかしいことだ。
870& ◆LMRaV4nJQQ :2005/10/13(木) 02:43:03 ID:FxOZs8ds0
名前欄が文字化けするので未記入にします。
タイトルは、タイトル未定(乙女)で
871名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 02:45:15 ID:FxOZs8ds0
03≪レオパート≫
確かに普段生活している中ではいつも通りだし、
別に怪我をしたとか体調が悪いというわけでもなさそうだが、
元気がなくなる事がたびたび目に付くようになってきたのだ。
そして、そんな時は決まって眉をひそめて俺を見ている。
俺がそれに気がつくとあわてて目線を逸らす事から、
勘違いというわけではないだろう。
そして乙女さんがそうなるのは、
決まって俺となごみが一緒のときだった。
いちゃついてる時ともいう。
何か気に障ることでもしたのかと思って、
直接乙女さんに聞いてみたけれど
別になんでもないってはぐらかされるだけだった。
乙女さんにはなごみとヤッている現場を見られたりしたけど、
最近は普通に恋人同士としてふるまっているし、
見られてまずいことをしているわけではない(乙女さんの前では)。
だから特に乙女さんに見咎められるようなことはしていないつもりなんだけど、
なんとなく見張られているような気がするのはなぜだろう。
そういえば休みの時は実家に帰っていたんだけど、
ここ数週間は帰らずに残っているし・・・。
乙女さんが家にいるのになごみといろいろヤルわけにもいかず、
今ではなごみの家を二人の愛の巣にしてしまってた。
(とは言っても、のどかさんがいない土日だけなんだけど)
そうなると朝に家へと帰る事になるんだけど、
そんな俺に乙女さんは冷たかった。
それは、乙女さんの俺たちに対する無言の抗議の表れなのだろうか・・・
872名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 02:49:12 ID:FxOZs8ds0
04≪なごみパート≫
その日も4時間目の授業が終わると、
あたしは二人分の御弁当箱を持って教室を出た。
時計は既に12時を過ぎてしまっている。
きっとセンパイはお腹をすかして待っているはずだ。
あたしの4時間目の授業は英語だったのだが、
担当の先生はたびたび授業時間を長引かせる。
普通の休み時間なら別になんとも思わないのだが、
さすがに昼休みもこうだと腹が立った。
センパイとのランチタイムを邪魔するな!
センパイを待たせる事なんてできないので、
あたしは急いで竜宮へ向かう。
ようやくたどり着き、軽く深呼吸していらついた気分を落ち着ける。
そしてそっと戸を引いた。
もうセンパイはいるだろうと思っていたが、予想に反してまだだった。
どうやら授業が長引いているようだ。
あたしはテーブルにお弁当箱を置いてセンパイを待つ。
そうしてしばらくすると、戸が開く音がした。
873名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 02:52:24 ID:FxOZs8ds0
05≪なごみパート≫
センパイが来てくれたと思ってそちらに笑顔を向けると、
そこには意外な人がいた。
「鉄先輩?」
どうして鉄先輩がここに来るのだろう?
昼休みはめったに来ないのに。
生徒会か風紀委員の仕事があるのだろうか。
「椰子か、レオはまだ来ていないのか?」
あたりを見回しながら問いかけてくる。
「授業が長引いているんじゃないですか?
それよりも鉄先輩はどうしてこちらに?」
なんとなく気になったので尋ねてみた。
すると、鉄先輩は後ろにまわしていた手をこちらに向け、
「レオにおにぎりを作ってきたんだ。育ち盛りだし、
トレーニングも積んでいるから
椰子の弁当だけでは足りないと思ってな。」
そう言って、おにぎりが入っているであろう包みを掲げてみせた。
874名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 02:56:30 ID:FxOZs8ds0
06≪なごみパート≫
他の連中は何かと昼食時に何かとちょっかいを掛けてくるが、
鉄先輩にかぎってそんなことは無いだろう。
でも、前は確か朝にセンパイに渡していたはずなんだけど・・・。
疑問に思っていると、鉄先輩がどことなく気まずそうに口を開いた。
「朝渡すのを忘れてしまってな。
それにレオはそそっかしいところもあるからな。
家に忘れてしまいかねない。
それなら私が直接渡した方が確実だろう?」
鉄先輩が説明する。
何か引っかかるので、つっこんでみた。
「言って下されば、お弁当の量を増やしますけど。」
鉄先輩は、少し考えるそぶりをみせたがすぐに答える。
「あぁ・・・、でもな。私はレオのお姉ちゃんとして、
出来る事はやっておきたいんだ。」
慈愛に満ちた笑顔でそういわれると、納得するしかない。
まだ色々と引っかかる点もあったが、ここは引き下がる事にした。
「私も一緒に食べるからな。作った当人として、
やっぱり食べた人の反応は直に見たい。」
それはあたしも共感できる。
センパイに美味しいって笑ってもらえるととても幸せだからだ。
875名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 02:57:39 ID:FxOZs8ds0
07≪なごみパート≫
だから、別に朝晩の食事の時があるじゃないですかとか、
センパイとの二人きりの食事を邪魔しないで下さいとか、
そんな我侭は言わないでおいた。
どうせどこで食べようとも、
しょっちゅうカニやお姫様が来て邪魔をしていくわけだし、
それなら鉄先輩がいてくれたほうが
そんな邪魔者も少しはおとなしくなるだろう。
そうしている内に、今度こそセンパイがやってきた。
「遅れてごめんな、なごみ。祈先生につかまってさ。
教材運びやらされてたんだ。」
申し訳なさそうに頭を下げる。
あの人は・・・。少し腹が立つ。
何もセンパイにそんな事させなくても、
伊達先輩やフカヒレ先輩がいるのに。
でも、そんな気持ちはすぐに吹き飛んだ。
「気にしないで下さい、センパイ。それよりお弁当にしましょう。
今日のは結構自信作なんです。」
これから、毎日楽しみにしているセンパイとの食事の時間なのだから。
876名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 02:59:13 ID:FxOZs8ds0
08≪レオパート≫
「今日は乙女さんもいるんだ。」
めずらしいな。何時もは友達と食べているはずなのに。
「あぁ、久しぶりにお弁当を作ったんだが、
朝渡すのをわすれてな。」
そう言って、おにぎりの包みを差し出してくる。
「なごみに作ってもらっているから別によかったのに。」
そう言って俺は首をかしげた。
「でも、それだけじゃ足りないだろう?
最近トレーニングのメニューも増やしたしな。」
まあ、確かにちょっとだけ足りないかな。
せっかくだから、ありがたくいただく事にした。
テーブルに着き、なごみが用意してくれた弁当箱を開ける。
うん、いつも通りうまそうだ。
彩りのいいおかずたちが食欲を掻き立てる。
さっそく食べようとするが、でもその前に俺にはやることがあった。
「お茶入れるけど、なごみも乙女さんも飲むよね?」
そう言って席を立つ。最近姫が緑茶にはまっていて、
結構高い茶葉を買ってきたばっかりなのを思い出したからだ。
生徒会の経費で落としているので、
もちろん俺たちもいただく権利がある(断言)。
「お、気が利くな」
乙女さんからお褒めの言葉をいただいた。
「センパイ、だったらあたしが入れますよ。
センパイは座っていてください。」
すかざずなごみも席を立つ。
いつものことだが、なごみは何かと尽くしてくれる。
でも、毎回それに甘えるわけにはいかない。
たまには俺もなごみに尽くしてみたいからな。
「いいよ、俺にまかせてくれ。」
申し訳なさそうにしているなごみに手を振って、
俺はお茶を入れ始めた。
877名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 03:03:02 ID:FxOZs8ds0
09≪レオパート≫
お茶の入れ方は、
このまえ姫にはダメだしを食らってしまったが、
そのあと佐藤さんに教えてもらったので上達しているはずだ。
覚えている手順通りにお茶をいれ、
ちょうどいい温度になっていることを確認してから湯飲みに注ぐ。
それを御盆にのせてから、俺はテーブルへと向かった。
「ちょっと熱いから気をつけてくれよ。」
まず、近くに居たなごみに渡す。
「センパイ、ありがとうございます。」
続いて乙女さんにも渡した。
「すまないな、レオ。」
渡し終えてから、俺も席に着く。
「では、早速いただくぞ。」
早速乙女さんが口をつけた。味はどうだろう?
ドキドキしながら感想を待つ。
「美味しいです。」
「うん、美味しいな。」
好評のようだ。俺も飲んでみる。
茶葉が高いせいもあるが、
どうやら俺の腕も少しは上達したみたいだった。
少しほっとする。
佐藤さんに心の中で感謝した。
そして俺たちはまったりと食事を始めた。
878名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 03:09:32 ID:FxOZs8ds0
10≪レオパート≫

しばらくすると、姫と佐藤さんがやって来た。
「ハァーイ、乙女センパイ、なごみん、ついでに対馬君」
「俺はついでかよ。」
思わず突っ込んでしまう。
「あ、この前のお茶飲んでいるんだ。私達にもいれてくれる?」
同然のように姫が告げる。
「私が飲んであげるんだから、光栄に思ってね。」
どうやら決定事項のようだ。
なごみは何か言いたそうにしているが、
とりあえずお茶を入れるために席を立つ。
「ごめんね、対馬君。エリーもそう対馬君に意地悪したらだめだよぅ。」
佐藤さんがフォローしてくれた。
やっぱりいいこだよな、佐藤さんは。
「別に意地悪しているつもりはないんだけどね。
それよりよっぴー、早く食事にしましょう。」
姫が佐藤さんから女性にしては少し大きめの弁当箱を受け取る。
「あれ、めずらしいね。何時もは学食で済ませているのに。」
「エリーがたまにはお弁当が食べたいって駄々こねるから、
今日は私が作ってきたんだ。」
なんというか、姫らしい我侭だ。
姫の方を見ると、既に弁当箱を開けて食べ始めている。
中身が気になったので、お茶を渡すついでに思わず覗き込んでしまう。
野菜中心のメニューだか、なかなか美味しそうだ。
「欲しい?でもあーげない。」
姫は俺に見せびらかすようにしておかずを口に入れる。
姫も時々子供っぽいところがあるよな。
879名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 03:13:06 ID:FxOZs8ds0
11≪レオパート≫
そんな姫の行動をスルーして、佐藤さんにも茶を渡す。
「ありがとう。ごめんね、わざわざ私の分まで。」
「別にいいって。それより佐藤さんのお弁当美味しそうだね。」
素直な感想を述べた。
すると、佐藤さんは急に目を輝かせる。
「よかったら対馬君もたべてみる?
作りすぎちゃって余分に持ってきてたんだ。」
そして姫のより一回り大きい弁当箱を取り出した。
これって、明らかに男用のサイズだよな?
でも、既に二人前の弁当を食べないといけないので、
これ以上はちょっと無理かな。
「ごめん、なごみのお弁当もあるし、
今日は乙女さんも作ってきてくれたんだ。
残念だけど、辞退するよ。でもありがとう。気持ちだけでもうれしい。」
丁寧にお断りすると、佐藤さんは予想以上にがっかりした。
「そっか、どうしようかな。捨てるのは勿体無いし。」
肩を落としてつぶやいている。
なんか申し訳ないな。
「心配するな、佐藤。私でよければ頂こう。
食べ物を粗末にはできないからな。」
そう言うと、乙女さんは弁当箱を受け取った。
乙女さんはスタイルいいけど、驚くくらい食欲旺盛だからな。
残さず食べてくれるだろう。これで問題は解決した。
なぜか佐藤さんは複雑そうな顔をしていたけれど。
880名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 03:15:42 ID:FxOZs8ds0
12≪レオパート≫
弁当も半分ほど食べ終えたころ、カニが竜宮にやって来た。
「やっぱりここにいやがったか。おーい、レオ。
かわいいきぬ様が今日も来てやったぜ。」
大きな声で呼びかけてくる。うん、カニは今日も元気だ。
「お、みんな揃っているな。珍しいこともあるもんだ。」
スバルたちもやって来た。皆が適当に挨拶をかわす。
何時ものことだが、カニが来ると急に騒がしくなる。
俺はこんな雰囲気も好きなんだが、なごみは騒がしいのは苦手だったな。
それに、カニは俺がなごみと食べていると何かと絡んでくるから困ったもんだ。
そっとなごみの様子を伺う。
あ、やっぱり少し機嫌が悪くなってきたみたいだ。
なごみはカニに対して何時もこうだからな。
相性悪いのだろうか?とりあえずフォローしておく事にする。
楽しみにとっておいた、最近お気に入りの玉子焼きをほおばる。
「この玉子焼き、すごくうまいな。
前から美味しかったけどもっとうまくなったみたいだ。」
そう言って、一気に玉子焼きをたべてみせた。
実際、また一段と美味しくなっていたのだ。
「だって、もうセンパイの好みの味はもうわかりましたから。」
そう言って笑みを浮かべる。どうやら機嫌は直ったようだ。
そして、なごみは自分の弁当箱から玉子焼きを摘むとそれを差し出してくる。
「センパイ。どうぞ。」
そのまま俺の口元に持ってきた。
「え?」
思わずあっけにとられてしまう。
881名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 03:19:35 ID:sc3+9PJg0
長いな。
支援した方が良いか
882名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 03:19:54 ID:FxOZs8ds0
13≪レオパート≫
こっ、これはあれか?いわゆる、あーんってやつか?
顔が熱くなってくる。きっと俺の顔は今、真っ赤になっているに違いない。
でも皆がいるところでこんな事したことなかったのに、急にどうしたんだ?
なごみに視線で問いかける。
でも、そんな疑問はすぐに頭から消し飛んでしまった。
なごみは恥ずかしそうにしながら、それでいてキラキラとした目で俺をみつめてくる。
確かに皆に見られるのは恥ずかしい。
でも、なごみの期待を裏切るわけにはいかない。
覚悟を決めて、俺は口を開いた。そして、おとなしくなごみに食べさせてもらう。
正直とっくに味などわからなくなっていたが、ゆっくりと咀嚼してのみこんだ。
「うん、やっぱりうまいよ。」
笑顔をむける。
「よかった・・・。」
なごみは惚れ直すような笑みを浮かべた。
ああ、なんてかわいらしいんだ。しばらく見とれてしまった。
ふと我に返り、周りが静まり返っているのに気が付く。
何か嫌な予感がし、動揺しながらあたりを見回す。
姫はにやにやしてるし、佐藤さんは・・・なんか怖い。
カニは口を大きくあけてぷるぷる震えているし、フカヒレは血の涙をながしている。
スバルは・・・何時も通りだな。
そして乙女さんは・・・、乙女さんは、またあの瞳で俺をみつめていた。
「やるわね、なごみん。
ねぇ、よっぴー。私にも対馬君たちみたいにあーん、ってしてぇ。」
「え、エリー恥ずかしいよぅ。」
「ふ、レオも熱くなったもんだ。」
「う、うらやましい。あーうらやましい。」
「ち、ちきしょう・・・ココナッツのやろう・・・」
外野が何か騒いでいるが、乙女さんが気になっている俺には聞こえない。
そして、俺はしばらく固まっていた。
883名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 03:22:52 ID:FxOZs8ds0
この調子で修正すると、50を確実に超えてしまう。
どこかのロダにテキストデータで置いておくほうがいいかな?
とりあえず要望があるまではこのまま投下します。
884名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 03:28:54 ID:FxOZs8ds0
14≪レオパート≫
でも、それは長くは続かなかった。
「やいココナッツ!早くも熱々新婚さんのつもりか?
そんなベタなことやって恥ずかしくないのか?
大体なんだ!レオもデレデレしやがってぇーっ!」
固まっていた俺に、目をつりあげたカニがダッシュでつっこんできたからだ。
とっさの事だったので反応できずに、そのまま箸を奪われる。
弁当も奪われるかと思って何とか取り返そうとするが、
カニはすばしっこくてなかなか箸を取り返せない。
でも、その考えは杞憂だったようだ。
なぜかっていうと・・・さっきのなごみみたいに、
弁当のおかずを摘んでこちらに差し出してきているからだ。
「ほれ、ボクが食べさしちやるよ。
そしたらココナッツがつくったまっじぃー弁当でも、
きっと天にも上るような味に感じられるさ!」
カニは俺に笑顔を向ける。
このパターンだと・・・。俺は視線を横に向けた。
そこには予想通り、カニを睨むなごみがいる。
「カニ・・・つぶすぞ。センパイとあたしの食事の邪魔すんじゃねーよ!」
やっぱりこの状態のなごみは迫力があるな。
「なんだとココナッツ!こっちがおとなしくしていたら調子に乗りやがって。
やれるものならやってみやがれ!」
ああ、また始まってしまった。
なごみには悪いけど、俺は弁当を抱えて二人から距離をとる。
なんとかしたいのはやまやまだが、
どうせ俺が止めに入ってもエスカレートするだけだからな。
それは前に身をもって体験したし。
巻き添えを食らう前にスバルとフカヒレのところに退散した。
885名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 03:36:02 ID:FxOZs8ds0
15≪レオパート≫
状況は、今やカニがなごみに頬を引っ張られている真っ最中だ。
「カニはやっぱり学習能力ないよなー。
前にも同じような事あったのにちっともこりてないぜ。
それにしてもレオのやつうらやましいなぁ。
こんなエロゲーみたいな展開、俺も体験してみたい。
ついでに私も食べて、みたいな。」
フカヒレが気持ち悪いことを言っている。
どうやら既にひとりの世界に入っているようだった。
「やれやれ、レオも災難だな。」
スバルが俺の肩をたたきながら労わってくれた。
「そう思ってくれているなら、止めてくれよ。」
俺は思わず愚痴を言ってしまう。
「ああなったカニを、オレが止められるわけ無いだろう?」
「確かにそうなんだけど。」
フカヒレにも同意を求めようとして振り返る。
でも、フカヒレはすでにそこにはいない。
さっきの俺たちのように姫に食べさせている佐藤さんの所へ
フラフラしながら向かっていた。
886名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 03:36:59 ID:FxOZs8ds0
16≪レオパート≫
何するつもりなのかは想像できるが、俺は生暖かい目で見守ることにする。
「あ、よっぴー。俺にもあーんってしてくれないかな。」
やっぱりそうきたか。佐藤さんが困っているだろ?
「寝言は寝てから言うもんだよ?」
へ?さ、佐藤さん?なぜかすごく怖いんですけど。
「ひっ、ご、ご、ごめんなさい」
相変わらずフカヒレはへたれだった。
向こうでは、まだなごみとカニは言い争っている。
仲良くしろとはいまさら言わないけど、何でああまで喧嘩するんだ?
「ほら、カニ。もうその辺でやめておけ。」
見かねたスバルがようやく止めに入る。やっぱりスバルは頼りになる。
「ちっくしょーっ!あたしも弁当つくってきて、
レオに『美味しかったです、お願いですからまた作ってきて下さい』って
土下座でお願いさせてやるからなー!おぼえてやがれー!」
カニはじたばたともがいていた。
「ま、ほどほどにな」
スバルはなんとも言えない顔をする。
脳裏にカニの作った料理?のような物体が思い浮かぶ。
おいスバル、そこはカニを止めるところだろ!
887名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 03:40:26 ID:FxOZs8ds0
17≪レオパート≫
カニの弁当を考えて気分が沈んでいる俺に対して、
今度は乙女さんが話しかけてきた。
「レオ、私のおにぎりはどうだ?けっこう自信作だぞ?これなんか、
いんたーねっとで注文した博多の辛子明太子をシソの葉でくるんで具にしたんだ。
食べてみてくれ。」
そう言って、手元のおにぎりをを指差す。
「へぇ、おいしそう。じゃあ早速食べてみるよ。」
それを一口ほおばってみた。
「うん、うまい。これならいくらでもいけるよ。」
乙女さんに向かってVサインをおくる。
そして、一気に食べ終えてた。
「そうか、美味しいか。でもあいにくそれは一個づつしか用意してなかったんだ。
でも私はまだ食べていないから、よかったらやるぞ?」
そう言って、自分の弁当箱から一個取り出す。
「いいの?じゃあもらってもいいかな。」
素直に好意に甘えることにした。
「あぁ、それでは食べてくれ。」
乙女さんはおにぎりを俺の口元に持ってくる。
「あのー、乙女さん?」
予想外の乙女さんの行動に再び固まってしまう。
「どうした?遠慮せずに食べていいんだぞ。」
これは、やっぱりそのつもりなんだよな・・・。
で、でも・・・。
「ほら、あーん」
どうあっても、乙女さんは自分で食べさせる気なのだろう。
888名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 03:41:25 ID:FTIE8fUI0
これは酷い荒らしですね
889名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 03:42:32 ID:9ZvMuaWl0
このペースだと完結する前に500KB超えるな。
どこかのロダに上げた方がいいと思う。
890名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 03:48:16 ID:9ZvMuaWl0
つーか490KBいってる時点で次スレ立てた方がいいんだよな。
立ててみるわ。
891名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 03:48:46 ID:FxOZs8ds0
ごめん、やっぱり長すぎましたか。
荒らすつもりはまったく無いんから、
そういわれるとちょっとへこむorz
全部の修正が終わったら適当なロダみつけて置いときます。
892名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 03:50:46 ID:sc3+9PJg0
荒らしは言い過ぎだ
続きは次スレがいいか?
893名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 04:00:50 ID:9ZvMuaWl0
立ててきたので誘導。
【姉しよ】きゃんでぃそふと SSAAスレ3【つよきす】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1129143522/
894名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 04:03:32 ID:jEcTu72E0
気にスンナ、続きヨロ。
895名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 04:06:11 ID:9ZvMuaWl0
誘導でスレタイ間違えてどうするよ俺・・・

【姉しよ】きゃんでぃそふと SSAAスレ4【つよきす】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1129143522/
896名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 04:57:50 ID:FxOZs8ds0
修正がおわったのでロダにあげました。
うpろだ.org の uporg214071 です。

Pass:FxOZs8ds0
897名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 05:15:12 ID:SZe4lyIk0
>>896 土 永い な。 GJ まだ読んでないが。 
898名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 05:58:57 ID:SZe4lyIk0
読んだ。普通にGJ しかし修羅場が続くな、こりゃ。
つよき娘は独占欲も強いからなー。
899名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 06:13:42 ID:HJnBSsQNO
携帯で見てるから先が分からなくて困るじゃネーカw
読んだとこはGJだから気になるぜ
900名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 07:11:55 ID:PXjHUd8E0
>>896
(・∀・)イイヨイイヨーおもしろかったよー。
他の対決(レオ争奪戦)も見てみたいね。
対カニ(カニが不憫)
対姫(本人が自覚してない)
対よっぴー(血を見そう・・・)
なんか無理そう・・・。
901名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 07:22:06 ID:PXjHUd8E0
よっぴーSSがまた読みたいね。
レオに好きになってもらおうとがんばるよっぴー(時たまダーク化)
が大好きなので。職人さんお願いします(人)
902名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 07:52:06 ID:Zn+qh91t0
新スレ立ったし、新スレのほうに投下してもらったらよかったんでは
903名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 09:17:44 ID:Zzyj76Ni0
遅くなったが村田ssの人GJ
西崎可愛いよ西崎
村田のツンデレぶりにワロス
904名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 16:47:59 ID:DpKxV0eO0
うめ
905名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 17:09:23 ID:SZe4lyIk0
                      ,. -─- 、
                       ,ィ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::ヽ.
                 /.;.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::ヽ
                    /.://.:.:/.:/!.:.:.l.:.i.:.:.ヽ:::r-ハ
                  1::ir!:l.:il::_Ll_::i:li-i‐‐-::ヽゞi:i
                |i::::VlィN:VヽNヽ、 _ヽミri|
                   Vヽハ x==ミ ヽ '´ ̄` !j:!ハ  来い、地中深く埋めてやろう
                 ト〉∧     ,     ':l::|:lj             _
      ( ヽ          {i::i|::lヽ   r‐┐  /:/:ル′           /./
      ヽ ヽ.          Y:::::l:::l>、 ー' ィ/〃j:|               / /
     _,ノ  ヽ.      ,. -Vトハ从 ィl`¨´ .ト 从Hぅ- 、_      _/  . ヽ._
  ⊂二_     ,ト、___, <  ヽヽ ヽ_   _/ / //`ゝ_>, -‐' ´ ,  /  ノ `二⊃
  , -─ '_ . ヽ ヽ    `ぃ  iiヽ.ヽ、_ヽ ´/ / /! // /     ゝ..__    、 \
  ー ¨/,  _,..ノ、       i i リ ` -ニ.∨ =イン′! i !、     _/    \ ヽ. ヽ-’
    ー' / /    ヽー----| i リ       [r] ̄     i l | `r一 i´         ヽ_}ヽ_〉
      ‐'       ト、   〃 {     | |      }、ぃ〃  /
             ヽ.ヽ/ ィ^i       !  !     j\ヽ._/
               `´   ',    l  i      /    ̄
                     l    l   l    /
                     |     !   |     |
                       l     ト、 /|     |
                     /     |ヽ / |    ヽ.
                  /\__ \_/____>.
                /:::::::/`ー┬─┬‐┬ T´:::ハ
906名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 17:37:06 ID:SZe4lyIk0
    _,..-―-.、                    \<>ヽ、
  ,..:'´.:.:.:.:.-.、|}:`≡=、               ヽ.<>ヽ
. /.:.:.:.:.:.:.:.、:`ヽ、.:rミミ/`7ー-.、__       `、<>ヽ
イ.:.|.:.:l.:.:ヽ、ヽ,坏j:|,ルヘ. /::::::紀:/ /`i         `、<>ヽ
.|l:.l.:.:.:\:.:.`メ゚‐' l:|::l | ∨::風::::/ / ̄ `ー-- 、    `、<>ヽ
八:ヾ..:.:代! ヽ _ リ::}|へ、::::::{. {__     `丶、_`、<>ヽ-、
  ヽト、.:j`:ーr-´-任lノ    `‐┼し'′ `>、____/_ヾニツ /
   jヘヽト、ミ`ヽノL/      `ー-ァ'´::::::::::::::::::::::;::-‐'´.:`ヽ__,仆、
     ヾY ニニhヘ|::|::.  ノ  _,. -‐'ニ二二二_ <. .:.:.:.:.:.:.:.:ト、)ニ彳
       | ニニ}ノ !::|`"´  ,'´          `ヽヽ. :.:.:.:.:.:| ヽ.三ヽ
      ヽ ̄フ |:::|  、 |          ,. ‐' ´ ̄`丶、.:ノ   ヽ三ヽ
.       `、 ∨l/|ーrヘ、ヽ、_        /        `>'´ ̄`ヽ. ヽ
          !  |::::::lー′ ヽ_ム`ヽ、   /         /\    ヾ`゙丶、_
        l  !/j      \:::::\ !          /  /`ヽ.   \:::::::`丶、
         ヽ、_ノ          ト、:::::`Tー--- 、,  /  /     l     ヽ:::::::::....
                    |::|::ヽノ       `ヾ、/    /     ヽ::::::.::.:..
                   |::|:::∧        ヽ、 /       `;:::::.::....
                        |:厂.:.:`、           ヾ´            }::::::....
                       ` ̄ ̄´ヽ.         |            ,'::::::::....
                          \         !         ノ:::::::::::....
                                     >>905 お前に出来るかな?
907名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 17:39:55 ID:SZe4lyIk0
              _ュ=ニニ ̄ ̄ヾヽv彡ミ,、
             r-'゙ ̄  . . .._y        ゙ヽ、
           /゙       彳          ヽ
          /、/  __イ;ノ            ヽ
         /イ /     /          、   . ゙i
       / 7  /  / ,  /   / _   |  、 i   ; ;;i
        ll /   リ /  l l   / ハ  ノ ノl  |;:   ;:: ;;;l
        ||│  ノl/   川  / /│.イ  イl  |;:;:  ;:;:;:;:ト
        |l│:: イ:lノ、 l;l;l l / | /| / |  ァ:;: ;:;:;:;;:;:|
        |ヾ|ヽノ / / l l ノli、| レ' |人 / | ノ |:;:i :;::;;;:;:/  >>905-906
        !Vヾ/-−サΤiヽ:; / 7ノ /Τナ十--l: ;:;:/ヽイ      乙女さんが・・・
         | コvl ;l'""~v ヽ/   レ'"~`''li ゙ノ/;:;:/‐i |    乙女さんとケンカしてるよ〜ぅ
         ヽをl...ii,   ,i!i     ,il、   ,|! /ィ;:;:;/ /
          \|ゝ`゙=='"       `''=='" //丿ト/
           ||ヽi            | | | イノノ/;;/ 
            |ヾ!.、    ___ | | | / /;;ノ
            lヽ:lヽ   i,,:;;;;;;;;;;;;;!    /イ
             ヾヾ\  |/ ̄ ̄,l   イ//
                 ヽ  \  ̄ ̄ ̄._ィイ  |-┐
                r<< |ヽ-一''゙  _、--「 ̄|
              _| \l、 _r-''゙     》ヽ、
908名無しさん@初回限定:2005/10/13(木) 17:42:11 ID:SZe4lyIk0

   .,,--ヘ/                 ヽ
  /7,,r、              ____    ヽ
  / // /  .:;;''';;''''--,ii山,,,-'''~~  ~'';、   ;
 ´.// ./  //_」.i__    _      :::i `、  .i
. //  i  /ノ.__| |     |      ::::!,, .}   |
 !.i   i  /.',, ¬ ,=    |        ,,,, }   |
. |.|  _i  〕,:iiii;;, | |  ヽ.    /   ,,,,,;;..〕 rT':;,_
..|.| ./ .~| l.   '!_!.|ニ=;;_!  ./,,,;;;;ヒ二;;;''~^ }  レ\i
..||  .l .{` | |l. ^==='' .ト--ノ''~_.'‐ヾ┴'^ |  |ノ ./ノ
..||  ヽヽl |! ,, __| ヒ_ニ_/ニ二ニハ..,`;'';_ _.,,,:::' |  ヒニ/   さすがは鉄
. |   |`il .!、.-=幵-‐'ヽ. | |:: 7' ―'''-  ル  .レ'~ !      恐るべき生徒よ・・・
.    | | .ハ.ヽ |.|  _,イ. | | ヽ,,,..    /ヽi    ヽ
.    ! | i .ヽ !_,|i,,;;´,,!ヽ(__)_;;;ii,,,,,,,,,...  / ハ ハ  N
    ノ .! | ハ./////////从ミミミ彡ミュ.リ i. | i\  ヽ
    _,! | レ.!, .i 'ー------―'''~~_.i |; | | i ~''\_ヽ
. _,,-'''~/ .|   .!''‐_,,;;;;iii彡/iiミミiii;;;,,,_''~,ル"; .| | i    ~''
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909名無しさん@初回限定
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         |:::::::l::::! !:ヽ|:::::l|.   ‐-- / :|       さすがは館長ね
         |:::::::::l::! .!:::::::|::::::|ヽ.._  ./:::::::|
    __    |::::::::::|! !_..-/.|:::::|| | / lフ_ ̄`ヽ、
   ゝ_二.‐-、|:||::ノ/  ヽ||.|::|:| |ヽ ζ-      ヽ、
      ノ  i | |/_    ||:| | ヽ !.λ____.   !
    ./ 、_ ヽ、   ̄.‐--、_ ||  ‐、!// ヽ、 `:   !
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