【姉しよ】きゃんでぃそふとSSAAスレ【つよきす】

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771巴先生さようなら・13 ◆Rion/soCys :2005/09/05(月) 16:38:06 ID:O8yIReuQ0
バシン!
「ぐあ!?」「ギッ!?」「がっ!?」
体に電気が走ったような衝撃。
一喝。
ただそれだけで、俺たちは皆動きが止まってしまった。
「く・・・巴・・・先・・生・・・」
俺たちが動けなくなったのを見届けると
再び熊に向き直る。
熊がビクリ、と身を震わせ
グォウ!と一声吠えて・・・立ち上がった。
でかい。こうして見るとマジでかい。
背の高い巴先生の頭が、熊の胸のあたり。
こんなの相手に・・・どうするつもりなんだ!?
巴先生が・・・ゆっくりと広げていた手をおろすと
肩から下げたバッグの中に、手を差し入れる。
フカヒレが叫ぶ。
「そうか!何かあのバッグの中にスゲー武器が!?」
「普段からそんなもん持ち歩いてねーだろ」
取り出したのは・・・花柄のハンカチに包まれた・・・
「弁当!?」
「わかった!あの弁当に毒が仕込んであって、それを熊に食わせる気だ!」
「自分の弁当に毒仕込んでおかねーだろフツー」
「・・・お前、ツッコミ全開だな」
「他に何もできねーんだっつーの!」
巴先生は包みを広げながら、その場にしゃがみ込む。
そして・・・
「熊ちゃん、熊ちゃん」
・・・熊”ちゃん”!?
「おいでおいで〜。お弁当だよ〜」
おいでおいで!?
俺たち3人は、金縛りにあったまま呆気にとられていた。
772巴先生さようなら・14 ◆Rion/soCys :2005/09/05(月) 16:50:20 ID:O8yIReuQ0
立ち上がっていた熊が前足をおろす。
そして、フンフンと鼻をならしながら巴先生に近づいていく。
巴先生はじっと動かず、熊が近づくのを待っている。
そして、ゆっくりと・・・えーと、鳥の空揚げ?を熊に差しだし・・・
ぱく
熊がでかい口で器用にその空揚げをつまむ。
「あは、よしよし」
撫でてる。熊撫でてるよ!
熊は巴先生の弁当を食い続け
その間ずっと巴先生は熊の頭を撫でていた。
・・・ひょっとして猛獣使い?
「どうだ、お前達」
「うお!?」
いつの間にか、館長と乙女さんが俺達のすぐ横に立っていた。
「館長、いつ戻られたんですか?」
「うむ、知らせを聞いて、急いで戻ってきてみると
 すでにあの娘が熊の前に立ちはだかっておってなぁ」
「私も、ちょうどその頃に戻った。
 松笠公園の方から近づいたのだがな。
 館長が様子を見ようとおっしゃられるので、静観していた」
「そんな、何かあったら・・・」
「これぐらいの距離なら、儂は一撃で仕留められるから心配はせなんだがのぅ。
 だが、静観しておって、正解だったわい」
乙女さんは何か、納得がいかないという顔だ。
「・・・わからない・・・
 あの熊はつい先ほどまでは殺気に満ちていた。
 それが今では飼い慣らされた犬のように巴先生に懐いている・・・
 館長、巴先生はどのような技を使ったのでしょうか?」
「技などではない・・・それはな・・・」
773巴先生さようなら・15 ◆Rion/soCys :2005/09/05(月) 16:53:46 ID:O8yIReuQ0
「優しさ、よ」
「やさ・・・しさ・・・?」
「うむ。生徒達を守りたい。それと同時に、あの熊も救いたい。
 誰も傷つけぬために、己が傷つくことを厭わぬ。
 それはただひたすらに、あの娘が優しいからなのだ」
「わ・・・わかりません・・・
 そんなことが・・・あるのでしょうか?」
「鉄よ・・・あの優しさは、決して弱さではない。
 命を懸けてでも、他者に優しくあろうとするその覚悟。
 どうして弱いことがあろう。
 むしろ、あの優しさこそが、あの娘の強さなのだ」
「優しさが・・・強さ・・・」
「むろん、儂やお前が目指す強さでは、ない。
 だが、優しさから生まれる強さもある、ということは
 覚えておくがよかろう」
館長がまたくるりと俺達の方に振り返る。 
「そして、お前達だが・・・
 自らの危険を省みず、進んで恩師を救おうとしたその態度、天晴れであった!」
館長がぽんぽん、と俺達の肩を労うように叩く。
「あ、体動く」「お・・・ホントだ」「やれやれ・・・助かったみたいだな」
胸をなで下ろす俺達と、神妙な面もちの乙女さんと、どこか嬉しそうな館長の前で
巴先生は無邪気に、でかい熊とじゃれあっていた。
「あは、なで、なで♪」
乙女さんが、つぶやく。
「巴先生・・・最後に、素晴らしいことを教えていただきました!
 ありがとうございましたっ!」
774巴先生さようなら・16 ◆Rion/soCys :2005/09/05(月) 16:58:49 ID:O8yIReuQ0
こうして、溢れる優しさを振りまいて
巴先生は実習を終えて帰っていった。
そして、俺の周囲の女の子達は・・・

「センパイ、こんな計算もできないんですか?(ニヤリ)」
「う・・・ス、スマン」
「対馬さーん。今週は補習を受けていただきますわ〜」
「マジっすか!?」
「対馬クン、アンケートの集計はまだなの!?しっかり仕事してくれないと困るわ!」
「ご、ごめん、姫・・・」
「オラ何やってんだこのダボ!さっさと机運べやオルァ!」
「く・・・後で泣かす」
変わってねえ。全然変わってねえ。
あの聖母のような優しさにふれて、ちょっとは優しくなるかと思ったのに。
それどころか
「佐藤さん、ここの計算式ちょっと教えて欲しいんだけど・・・」
「うーん。そういうのは、自分で考える方が身に付くと思うよ?」
・・・あの優しかった佐藤さんまで、ビミョーにキビシクなってるし。

「くそ・・・巴先生効果は幻だったのか?」
「何をブツブツ言っている。そろそろ鍛錬の時間だぞ」
「ちょ、乙女さんも巴先生に優しさの大切さ教わったんじゃないの!?」
「教わったさ。だが、私にはあんな風に振る舞うことはできない。
 だから、私なりの優しさでお前に接しているではないか」
「全然優しくないっすよ!」
「馬鹿者・・・厳しさの裏にある優しさを知れ!」
やっぱり「つよきすっ!」世界はそう簡単に変わらないようだ。
巴先生さようなら。俺はこのまま、強気娘に囲まれて生きていきます。
「さっさとランニングにでも行って来い!」
775Seena ◆Rion/soCys :2005/09/05(月) 17:01:02 ID:O8yIReuQ0
タイトルは「チップス先生さようなら」から。
776名無しさん@初回限定:2005/09/05(月) 17:03:55 ID:bWlmvUTa0
ついに姉しよとつよきすの夢のコラボが!!
悶絶するほどGJ!!
777名無しさん@初回限定:2005/09/05(月) 17:21:04 ID:1/f9/T090
すばらしい。ともねえ最高。
最後の挨拶じゃ泣いたんだろうなぁ。

姉様は霧夜カンパニーの顧問弁護士になったんだよね。
姫と姉様が絡むとどうなるんだろう…
778SSD:2005/09/05(月) 17:35:25 ID:W1Uk2pDh0
うへぇ!
ともねえ大好きなオイラはじっくり読んでしまいましたよ。
GJ!
779名無しさん@初回限定:2005/09/05(月) 18:16:25 ID:AralzRd70
やべぇ、ともねえ超萌える。
GJ。超GJ。
780名無しさん@初回限定:2005/09/05(月) 18:48:29 ID:8KbqEqJY0
ジガが熊を殴り殺すのかとちょっとだけ思った自分を恥じたよw
GJ!
781名無しさん@初回限定:2005/09/05(月) 20:20:36 ID:cjwkg6gB0
ここで流れを全く読まない俺の投下ですよ。
萌え?何それ?食える?
782友達である為に:2005/09/05(月) 20:21:32 ID:cjwkg6gB0
七月二十日、深夜。軍艦の見える公園にて傷だらけの青年が携帯電話で誰かと会話をしている。
「はい。ええ、お願いします…」
会話を終え、電話を切ると一つため息を吐いて空を見上げる。
「後は乙女さんに連絡しておかないとな、レオはこういう時気が回らない奴だからな。」
そう独り言を呟き再び携帯に目を落とす。携帯のメモリーを呼び出す。カテゴリーは「友達」そこに並んだ名前は3つ。対馬レオ、蟹沢きぬ、鮫氷新一。
青年はじっと三人の名前を見つめ、ふっ、と笑みを漏らすとボタンを押し電話をかけた。
トゥルル、トゥルル、トゥルル…
『もしもし。』
「ああ、もしもし乙女さん?…」
783友達である為に2:2005/09/05(月) 20:22:18 ID:cjwkg6gB0
「ありがとうございましたー。」
青年はコンビニの店員の気だるげな挨拶を背に聞きながら公園に向かう。手には重そうなビニール袋が二つ。傷が痛むのか時折顔をひきつらせながら、少し急ぎ足で歩いていた。
青年が公園に辿り着くとそこには街灯に照らされた一つの影があった。
右手を挙げ、声をかける。
「よっ、フカヒレ。早いじゃないか。」
「スバル!?何でお前が!?しかも何かボロボロじゃん!?」
「俺は乙女さんに呼び出されたから、とっておきの香水を振り掛けてスキップしながら飛んできたんだぞ!!」
「飛んだのかスキップなのかはっきりしろよ。いや、違う違う、俺が乙女さんに伝言頼んだんだが…最後まで聴かなかったのかお前。」
「何て事だ!!ハンマーたんがやっとデートをOKしてくれて、彼女の手作りのお弁当を楽しみにしていたのに…そんなオチかよ。」
フカヒレががっくりと肩を落としどんよりとした表情を浮かべる。スバルは苦笑いし、ビニール袋を地面に落とし肩をすくめた。
「またギャルゲーか、お前も好きだな。」
「ああ、モニターの中こそが真実の世界だ。」
フカヒレが満面の笑顔とともにキラキラとした光を発する。一点の曇りも無い瞳がスバルの更なる苦笑を誘った。
「で、何の用よ?」
784友達である為に3:2005/09/05(月) 20:23:00 ID:cjwkg6gB0
「ああ。」
フカヒレの問いかけに対し、スバルは遠い目をし空を見上げながら答える。
「レオとカニ。上手くいったぜ。」
フカヒレもまた空を見上げる。
「おめでとうというかご愁傷様でしたと言うか…微妙なところだな。」
「バーカ、おめでとうだよ。」
「友達の恋が実ったんだ。おめでとう以外何があるっていうんだ。」
「良いのか?それで」
「カニが幸せなら俺は何でもいいさ。」
二人は視線を戻し、お互いの顔を見る。
「で、その傷は名誉の負傷って奴か?」
「ま、そんなところだ。」
「で、だフカヒレ。ちょっと付き合ってくれるか。」
スバルは足元のビニール袋の一つを顔の高さに掲げ、軽く振る。ガチッと金属のぶつかる音がする。
「失恋といえば自棄酒。って事でビールを山ほど買い込んで来た。」
ニヤリ、とスバルが笑顔を作る。フカヒレは勿論、と応えて口の端を歪めて笑った。
785友達である為に4:2005/09/05(月) 20:23:42 ID:cjwkg6gB0
二人の青年は重いビニール袋を抱えて道を歩く。やがて先導していたスバルが足を止め、フカヒレを振り返る。フカヒレは怪訝そうにスバルが足を止めた場所を見ている。
そこは私立竜鳴館、スバル達が通う学園の前である。ガチャガチャとスバルが正門を動かそうとする。
「チッ、やっぱり鍵が掛かってるな。仕方ない乗り越えるか。」
「おいスバル。いくらなんでもそりゃまずくないか?」
「気にするなって、見つかったら見つかったで俺が上手く言い訳してやるよ。」
そう言うとスバルはさっさと正門を乗り越え、内側からフカヒレを手招きする。フカヒレは首を傾げスバルを見ていたが、諦めたように正門を乗り越える。
「屋上で良いか?」
フカヒレが頷くのを確認するとすたすたと歩き始める。少し早足のフカヒレがスバルの横に並び、二人は揃って屋上へと向かう。
人気の無い夜の校舎に無言で歩く二人の足音が響く。機嫌が良さそうではあるが無口なスバル、何事か思案にふけるフカヒレ、二人は互いに言葉を交わさぬまま、屋上への扉を潜る。
786名無しさん@初回限定:2005/09/05(月) 20:24:23 ID:YzgPb/3R0
ワクテカ
787友達である為に5:2005/09/05(月) 20:26:47 ID:cjwkg6gB0
夜の冷たい空気が二人を包む、心地よさ気に目を細めるフカヒレ、スバルはさっさと屋上の真ん中に移動し無造作に腰を下ろす。
空気の冷たさに身を任せているフカヒレに向けて、スバルは小さく座れよ、と声をかける。フカヒレは差し出された缶ビールを受け取りスバルの正面で腰を下ろす。
「そんじゃま、乾杯と行こうか。」
「あいよ、レオとカニに。」
「ああ、レオとカニに。」
二人はプルタブを開けビールをぶつける。スバルが一気にビールを飲み干し、気持ちよさ気にため息を吐く。フカヒレは一口だけビールを飲みながらスバルを見ていた。
「どうした?飲めよ、40本ぐらいあるから遠慮しなくて良いぜ?」
「…何か変だぜ、今日のお前。」
「そうか?まぁ、失恋したばっかりだからな、ちょっとテンションがおかしいかもしれん。」
「やれやれ、俺は星の数ほど失恋してきたっていうのに一緒に酒飲んでくれた事なんて無いのにさ。」
「そいつは見解の相違って奴だな。俺から言わせて貰えばお前は失恋なんてしてないさ。」
「お前は誰にも恋なんてしちゃいないんだからな。」
「何でだよ、俺のこの溢れるて零れ落ちそうな熱い想い、かっこ、今は主としてよっぴにーに向けられている、かっことじ、を普段から目にしてるだろう。」
残ったビールを一気に飲み干したフカヒレに新しいビールを差し出し、自らも新しいビールのプルタブを開けるスバル。
「だってお前シスコンじゃん。」
「こ…怖い事言うなよ。色々思い出すじゃんかよ…」
夏だというのに震え始めるフカヒレを眺めつつ言葉を続ける。
「どんな女を見たとしてもまず姉ちゃんと似てるかどうかが気になるってのは『女』の基準を姉ちゃんにおいてるって事だ。これをシスコンといわずに何と言う。」
「(がくがくぷるぷる)やめてよー、お尻にビールなんて入れないでよー」
トラウマを発動させ記憶の中の姉に許しを請うフカヒレを見て、やりすぎたか、と呟き頭をかくスバル。
788友達である為に6:2005/09/05(月) 20:27:34 ID:cjwkg6gB0
缶ビールを3本飲み干す頃、フカヒレが現世に帰還した。
「はっ!?俺は何を。」
「おぅ、おかえり。」
軽く挨拶し、一口ビールを含む、少しアルコールが回り傷の痛みが麻痺し心地よくなっていくのをスバルは感じた。
「ふぅ、何だか恐ろしい夢を見ていた気分だぜ。」
疲労を滲ませた声で呟き、彼もまたビールを口に含む。悪夢を忘れ去り、身を清めるように。
「まぁ、良いさ。フカヒレ。」
真剣な声で語りかけるスバルに、ん?、とビールを啜りながら生返事を返す。
「覚えてるか。お前がドラッグ持って来て、俺が殴った時の事。」
「何だ、随分懐かしい話だな。今でも頭蓋骨がずれてるような気がするよ。」
「まぁ、あの時は俺が馬鹿だったよ。」
「ああ、お前は馬鹿だった。そして、あの時だけだよな。」
「お前が俺たちに迷惑をふっかけて来たのは。」
「何言ってるんだよスバル?しょっちゅう俺が馬鹿やってお前等に面倒かけてるじゃないか。」
スバルは俯き疲れ果てた野良犬のように首を振る。
「小さな馬鹿は山ほどやっても大きな馬鹿は決してしない。」
「馬鹿やった分のしっぺ返しは全部自分で背負って誰にも背負わせない。」
「侮られても憎まれず、蔑まれても敵視はされない。」
「誰の味方でもなく、誰の敵でもない。」
「それがお前だよ。フカヒレ。」
まだ中身の入った缶ビールを八つ当たり気味に背後に放り投げ、顔を上げてフカヒレを見る。
「それがお前だよ。フカヒレ。」
優しげとさえ形容できる程、おだやかに、静かにもう一度告げる。
789友達である為に7:2005/09/05(月) 20:28:35 ID:cjwkg6gB0
フカヒレは無表情にスバルを見ていた。スバルもまた無表情にフカヒレを見つめる。
「俺はただ中立かつ公平であろうと心がけてるだけだぜ。」
スバルはそれを無視して、問いかけを提示する。
「そんなに信用できないか?俺たちが。」
静かに、夜に溶ける様に、その声が消えていく。
フカヒレは無言でビールを飲む。スバルはそれを見ていた。フカヒレは無言でビールを飲む。スバルはそれを無言で見ていた。フカヒレは無言でビールを飲む。スバルはそれを無言で見ていた。
空になった缶を脇に置き、新しい缶を引っ張り出し、一口だけ口に含む。
「お前等がいなくなったら、さ。俺明日からどうすれば良い?」
「誰と飯食う?誰とゲーセンに行く?誰の部屋に集まってぐだぐだ喋る?」
「迷惑かけたく無いんだよ。お前等に嫌われたく無いからさ。」
「あの時、怖かったからな…色んなモノが消えていく気がして、さ。」
片唇を釣り上げ自嘲気味に呟く。ビールを置き、ため息を吐く。
「馬鹿野郎が、レオとカニみてみろ。」
「散々俺たちに迷惑かけて心配させて、くっついたと思ったら俺達放置して今頃カニとラブラブだぜ。」
「それでも、あいつらは友達だろ?」
「どんな綺麗な泉だって、水が動かなきゃ腐っちまうんだ。」
一度言葉を切り、スバルは悪戯っぽく片目を閉じる。
「お兄さんは寂しかったぜ、一番出来の悪そうなお前だけ全然俺を頼ってくれないんだからな。」
冗談めかした口調で告げ、フカヒレの置いたビールを飲み干し空き缶を背後に放り投げる。
「誰がお兄さんだよ、同い年だろ?」
呆れたように呟くと、ビールを二本取り出し片方をスバルに渡す。
「知らないのか、非童貞は童貞に対して兄貴ぶる権利が認められてるんだぜ。」
「うわ、何それ。ちょっとマジで酷く無いか?」
互いの顔を見て、彼等は声を上げて笑いあった。
790友達である為に8:2005/09/05(月) 20:33:23 ID:cjwkg6gB0
ひとしきり笑い合い。彼等は再び缶ビールを掲げる。
「で、何に乾杯するんだ?」
「そんなもん決まってるだろ。」
『友情に、だ。』
声をそろえて言い、ニヤリと互いに笑う。
「じゃあ、その前に俺から一言。」
フカヒレがビールを掲げたまま、スバルに向けて告げる。
「俺と友達になってくれ。」
「馬鹿野郎。俺はとっくにお前と友達のつもりだ。」
「分かれよ。けじめみたいなもんだよ。たまにはカッコつけさせろよ。」
「お前は充分カッコイイさ。」
「あーそれをよっぴー辺りが言ってくれたらな。」
「ま、頑張れよ。応援してやるさ。」
小さく笑い、彼等は缶ビールをぶつけ合う。
『友情に。』
791友達である為に9:2005/09/05(月) 20:34:19 ID:cjwkg6gB0
他愛ない話を交わし、着々と買い込んだアルコールを消費していく二人。
ビニール袋二つ分のビールが空になる頃、空が既に白み始めていた。
「もう朝か。」
「だな、まぁ楽しい時は過ぎるのが早いって奴だろ。」
「違いない。」
「なぁ、スバル。」
「ん?」
「レオとカニ、恋人になっちまったんだな。」
昇り来る朝日を見つめながらフカヒレが呟き、スバルもまた朝日を見る。
「昔の…子供のままじゃ、いられないんだな。俺たちも。」
スバルは応えず、朝日を見つめていた。
そんなスバルをちらり、と眺め、フカヒレは踵を返す。
「さて、友達に最初の迷惑だ。片付けよろしく〜。」
「おいおい、これ全部俺に片付けろって言うのか?」
こちらを見ようともせず歩み去るフカヒレの背に向けて楽しそうに語る。
二人が一晩の間酒宴を繰り広げた屋上はあちらこちらに空き缶が散乱し酷く汚らしく、みすぼらしくなっていた。
不意に扉の前でフカヒレが立ち止まる。
「スバル、ありがとうな。」
フカヒレが扉を開き、その中へと姿が消えていく。扉が閉まりきるその一瞬
「さよなら、スバル。」
酷く重たく悲しい挨拶がスバルの耳に届いた。立ち尽くし、空を見上げるスバル、憎たらしい程に朝日は美しかった。誰かの門出を祝うように燦々と輝いていた。
「子供のままじゃ、いられない。…か。」
そして七月二十五日、彼らの別れの時が来る。
〜FIN
792名無しさん@初回限定:2005/09/05(月) 20:37:37 ID:YzgPb/3R0
GJ
793名無しさん@初回限定:2005/09/05(月) 20:39:02 ID:cjwkg6gB0
ところでたまには流れを読んだ方が良いと思う俺なんですが
フカヒレとメインヒロインの恋愛話とか書いたらこのスレ的にはNG?
794名無しさん@初回限定:2005/09/05(月) 20:42:05 ID:KkCvPDf40
>>793
フカヒレ、とうとう酸素欠乏症に・・・

あ、いや俺的にはむしろ報われない彼に愛の手をと思うのでよろしいのではないかと。
795名無しさん@初回限定:2005/09/05(月) 20:44:40 ID:uG8HpqxQ0
俺的にはNG
796名無しさん@初回限定:2005/09/05(月) 20:49:06 ID:gCOEVcDJ0
>>793
私的にはフカヒレ×なごみんが見たい
797名無しさん@初回限定:2005/09/05(月) 20:56:04 ID:oEYPB/abO
流れを読まず、保管庫の中の人に作者別も作ってほしいとここでいってみる。
798名無しさん@初回限定:2005/09/05(月) 21:14:56 ID:sNWGtGKY0
>>793
うーん…メインヒロインってのは個人的にちょっとあれかな。
まぁ、書く方が決める事だしお好きにどぞー
799名無しさん@初回限定:2005/09/05(月) 21:35:51 ID:8KbqEqJY0
俺はどのENDでもカニとスバルが結ばれなかったのがかなり納得いかない派だから
フカフィレが誰と上手くいっても全然OK
むしろ、上手くいって欲しい。書いてくれるなら、ぜひぜひ読みたい
ただ、エロ描写がもしあるとするなら
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1118320048/
こっちとかに投稿したほうが波が立たないかもしれない
800名無しさん@初回限定:2005/09/05(月) 21:41:46 ID:FvffbYTR0
まったくのギャグならあり
ありそうな話としてはNGっていうかリアリティ出ない
801名無しさん@初回限定:2005/09/05(月) 21:56:36 ID:nzp7jVwM0
フカヒレとくっつく可能性がありそうなメインヒロインかぁ

姫・・・無理
カニ・・・無理
祈・・・無理

乙女・・・カニルートでややいい感じだったけどエピローグで武者修行出ちゃってるのをどうするか

なごみ・・・一番好印象をもたれてるのがなごみルートなのがキツイ(w
カニルートでは花屋を継いでいるのでまだ「線」が硬いままと見ると難しい

よっぴー・・・カニルートで可能性が垣間見えるが怖い話になるかもしれない

こんな感じかな
802乙女修行編1/2:2005/09/05(月) 22:14:26 ID:/NA4Y0QR0
 砂漠のど真ん中を、ふたつの影が疾走していた。砂嵐にめげることもなく。片方が口を開く。
「館長、申し訳ありません」
「いやなに、たいしたことではない。しかし、鉄君に勝てるほどの者が、霧夜君を狙っていたとはな。世界は広い、ということか」


 鉄 乙女はキリヤコーポレーション会長・霧夜エリカのボディーガードを粉骨砕身勤めていた。しかし、彼女を家まで護送しようとした際、事件は起きた。
「貴様、何者だ」
「………!」
 影は何も言わず、彼女に向かって跳び、手刀を振った。だが、乙女はそれをいなし間合いを取る。
「貴様を狼藉者と見なす」
 言うが早いか抜刀し、真一文字に影を切る。無論、峰打ちだ。しかし、影は腹に刀を喰らいながらも、脚を乙女の腹に叩き込んだ。紫の稲妻が光る。
「ぐあぁぁぁ」
 跳んだ彼女の体は、コンクリートの壁を貫き、3階から放り出された。そこで意識が途絶える。


「面目ありません。館長に救って頂かなければ、姫の命はなかったでしょう」
 彼女が吹き飛ばされた音に――十何キロも離れているはずなのだが――館長は異変に気付き、即座に駆けつけ狼藉者を撤退させ、エリカを救ったのだった。
「君はまだ若い。これからも、より強くなれるだろう。これは、そのための修行だ」
「ありがとうございます」
「さっき上空から見たが、北に湖がふたつあった。今はアラビア半島だろう。夏休み中に世界一周は、なんとかなりそうだな」
「はい。ですが……」
「ん?」
「やはり、中国から日本へは、東シナ海を渡るのですか?」
「うむ。君は儂の様にひとっ跳び、とはいかんからのう。泳ぐしかあるまい」
「でしたら、その(赤面)」
「む」
「水着を新調したいのですが。大西洋を横断した際に擦り切れてしまったものですから」
「ああ、そうであったな。いや、いかに豪気とはいえ、やはり乙女よのう」
「私は名前の通り乙女です」
「分かっておるよ」
 ツッコミがいないために異次元の会話が続いた。
 そうこうしているうちに、日が暮れた。砂漠の夜は寒い。だが、ふたりは特に気にした様子もなく、胴着姿で焚き木を囲った。
803乙女修行編2/2:2005/09/05(月) 22:15:31 ID:/NA4Y0QR0
「昼夜徹して、とはいかないものですか」
「鍛えるのが目的で、急ぐ旅ではない。休息も必要だ」
「わかってはいますが」
「む、霧夜君が心配か。彼女は私の友人に守らせている」
「武人が見かけでないのは分かっていますが、あの小柄さでは、なんとも心許ないのですが」
「逆毛が、なんとも空しい抵抗だしのう。しかし、いざとなれば猿の様に巨大化し、あるいは髪を金に染め、無類の強さを発揮するから心配はいらんよ」
「そうですか。………!」
「ほほう、ここまで来よったか」
「感づかれたか」
 オールバックの男が、ぬっと現れた。漆黒の服は見事に闇に同化していたのだ。
「儂一人にすら敗れたというに、ふたりいるところを襲うとはのう。何か急ぎのようだ」
「確かにふたり相手では勝ち目はない。故に」
 男はびっと乙女を指差した。
「武人として一対一の決闘を申し込む」
「ふ、私を不意打ちしておいて、今更『武人として』だと。笑わせる。だが、決闘を申し込まれた以上、受けて立つのが鉄流だ。館長、手出しは無用です」
804乙女修行編3/3:2005/09/05(月) 22:16:04 ID:/NA4Y0QR0
「わかっておるよ」
「やはり鉄の者だったか。では、尋常に勝負だ」
「容赦はせん」
「望むところだ、烈臭私怨談!」
 紫の稲妻が乙女を襲う。しかし、乙女は余裕を持って避けた。
「甘い」
「ち、動きが上がっている」
「3週間前の私とは違うぞ。ニ指真空把っ」
「バカな。気を掴んで投げ返すとは」
「鉄に不可能なし!」
 間合いを詰める。男は撃墜体勢をとり、右足を蹴り出した。
「宿恨解消の時だ」
 抜刀された地獄蝶々とともに、全身で乙女が突っ込む。
「阿版素虎修B!!!」
「ぐはーーーっ」
 閃光が陽光の様に周囲を照らす。男は100メートルほど吹っ飛んで事切れた。
「うむ、見事」
「館長、私、やりました」
「よくやった。君はまだまだ困難にぶつかるだろう。しかし、君ならばそれは必ず克服できる。頑張りたまえ」
「はいっ」



送信限界行数間違えた(´・ω・`)
805名無しさん@初回限定:2005/09/05(月) 22:18:20 ID:YzgPb/3R0
館長の口調が違う気がする
806名無しさん@初回限定:2005/09/05(月) 22:40:18 ID:ULDuGzso0
何もかも違うような気もするが
ガンガレ
807名無しさん@初回限定:2005/09/05(月) 22:40:56 ID:N7PZB7mS0
駅前でギターを弾いているフカヒレに声をかけてくる男が一人。
そこそこ大手のレコード会社に勤めているというその男は、天王寺と名乗った。
ギターとギャルゲーという二つの趣味が合った二人は意気投合。
その上、お互いの狙っている女性が母娘であるという共通項まで発覚する。
協力してお互いの目標を達成したそのあかつきには
花屋を継ぐ天王寺最後のプロデュースとして、フカヒレのプロデビューを行うことを確約し
居酒屋で硬く腕を組み合う二人。
手始まりとして、搬入時の男手に困っていたのどかへの天王寺からの紹介として
花屋「Yashi」でのバイトを始めるフカヒレ。
突如として線の内側の象徴とも言える場所に踏み込んできたフカヒレに戸惑うなごみ。
フカヒレと天王寺は椰子母娘を落とすことができるのか……?
きゃんでぃそふとが送るダメ男キャラ属性特化AVG「さめきすっ」乞うご期待!

……と、嘘予告っぽく書いてみたけど需要なさそうだなぁ……
808名無しさん@初回限定:2005/09/05(月) 22:43:57 ID:BMrw2Kdh0
ギャグで落ちがあるなら読んでみたい
809名無しさん@初回限定:2005/09/05(月) 22:53:56 ID:yCuYDs0q0
>>807
マジレスすると、天王寺が受け入れられるのはなごみんルート以外ではありえなさそうなので
フカヒレ入る余地なしと思う。
810名無しさん@初回限定:2005/09/05(月) 23:04:32 ID:2hF3WxOu0
長文だらけで読む気にならん
811名無しさん@初回限定:2005/09/05(月) 23:11:07 ID:N7PZB7mS0
本気で書くならきっと
フカヒレが真面目に音楽修行&活動したり、天王寺とコスい作戦組んで失敗したり
花屋での搬入の重い荷物運ぶ為や、いざと言うときの為にに乙女さんに鍛えられたりしつつ
ようやくなごみの線の内側に入りかけるが
天王寺との約束がバレて、プロデビューの為に騙していたのかと言われ横っ面をひっぱたかれる
号泣しながらギターとエロゲを破壊しているところに、スバルよろしく天王寺が……
みたいな割とマジな展開になるかと(´・ω・`)

>>809
フカヒレが天王寺の推薦でバイトを始めたということは、天王寺との約束がバレるときまで展開としてなごみ視点から伏せておくし
天王寺が受け入れられるようレオがした行為
『線の内側に他人を受け入れるという経験をさせ、かつ花屋以外の<自分の場所>を見つけさせる』
をフカヒレができればいけるかなぁ、と

……う〜ん、長くなっちゃいそうだし、ここのカラーとは違うかも
SSでもAAでもない長文でごめん
812793:2005/09/06(火) 00:24:07 ID:XvXAcGl00
>>794-801
dクス。
うっかり居眠りして日付変わっちまったからID違うけど気にしないでくれ。
813保管庫の中の人:2005/09/06(火) 01:42:34 ID:wvv4qIyA0
疲れ果てて帰ってきたらなんだこのラッシュは…
ということで497kbなので立ててくる
814保管庫の中の人:2005/09/06(火) 01:45:52 ID:wvv4qIyA0
【姉しよ】きゃんでぃそふと SSAAスレ【つよきす】
http://pie.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1125938586/

立てますた

また「&」が抜けてる…_| ̄|○
半角&って消えるの?

>>797
気長に待つといいぞ               と土永さんが言ってる
815名無しさん@初回限定:2005/09/06(火) 09:19:49 ID:/l98ICuP0
816名無しさん@初回限定:2005/09/06(火) 13:14:06 ID:w8LqAzBv0
0
817名無しさん@初回限定:2005/09/06(火) 13:38:07 ID:w8LqAzBv0
500
818名無しさん@初回限定:2005/09/06(火) 13:39:28 ID:w8LqAzBv0
               /  /     /   |      \ ヽ
               / /  /   / /    ||  |  i  ヽ i
              i /  / /  / / /    ||  ||  |│ |ノス
               |//  / /___, -一ァ|  /! |ト、|│ | | く」
                |,-‐¬  ̄---┘'7 |!  ハ! |,、-┼十|! | | |
          , -‐ ''"  し' '´_ /,ィ二l |ト、/!ヽト、\_ヽ!|!l | ハ |
       ,r/      __   ,イ|リ ヾハ! ヽ!  ,ィ⌒ヾミリノ!/リ  |
      / ||ヽ  -'     / ̄ )` __      |ヒノ:} '` ,イ/ |  |
    ,r '   ヾ、  ,-、____ , イ ̄,r==-      ==-'  レ' /|  |
  / ヽ    `ーソ  ' | |ト、,ヘ ′""          "" / / || |     乙であります!
. /    \_  /  | ハ ヽ`゙'ヘ       ' '__. ィ  / / | |  |
           /   / / |  ヽ 川\    ヾ三ニ‐'′//! |  | |  |
        /    / / 八  \川| |`ト- ..  __ , イ‐ァヘ |  | ||  |!
      /    / / /  \  \ 「`ー- 、    /  .〉  ト、|  ヽ、
     ,イ    /-─=¬ニヘ、_  \   厂\ 厂ヽ /!|   | `ー=ヘ
 -‐  ̄ /─ '  ̄     ├- ヽ\  \ノ\ \ 人 ハ!ヽ ||  |-┤ ヽ
      /          /!‐-- | |\   ト、_`ヽ oヽ  ト、!  ||  |‐┤- ヽ
  // 〉      __ /  ├‐-  ||  | 川-‐  | |  厂7! ハ!  ├:┤  ̄ヽ
  / / ー ─    ̄       ├‐- リ  || ハ!ヘ   | |  ト┤|/′ ヾ,┤   ゙i_
  ‐ '              〉‐-    | / /\ .|o | /ヽ/(′    ∨     \
‐--─ ──-r、___-、    /ー_     {(   '´>、! /ヽ/       |\       \
819名無しさん@初回限定:2005/09/06(火) 13:44:56 ID:gm9mtgzd0
>>814
F&Cスレの&がいつも全角なのはなぜか
820名無しさん@初回限定
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