葉鍵ロワイヤルに負けないモノを作ろうではないか!

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1名無しの@在庫
さぁ!
立てよ愚民
2名無しさん@初回限定:04/01/06 15:50 ID:r6EoeUit
やだよ
3名無しさん@初回限定:04/01/06 16:12 ID:nA+OWu+f
>1ロワイヤルつくれ

糸冬 了
4名無しさん@初回限定:04/01/06 21:17 ID:y/AQj/FN
俺は乗った!
まずキャラ集めだ。
>>1よ。そなたが仕切れ!
5名無しさん@初回限定:04/01/06 21:29 ID:y/AQj/FN
ちなみに「ロワイアル」だからね>>1
6名無しさん@初回限定:04/01/07 00:57 ID:AuLIJi9y
つまりは葉鍵抜きのロワイヤルをしたいの?
それやるならもっとリアル鬼ごっこみたいにするのもありじゃないかな?
7名無しさん@初回限定:04/01/07 01:06 ID:WzKzgUpC
墓ロワに負けないには
まず最初にダンディが必要。
 ∧__∧   / ̄ ̄ ̄ ̄
 ( ・∀・) < ゲッツ!
 (⊃  \⊃ \____
  \   )ρ
   く  く
8名無しさん@初回限定:04/01/07 01:21 ID:uj3Itx/R
もう立ってるよ
9名無しの@倉庫:04/01/07 09:09 ID:hREh9j76
人数はどのくらいにする?
葉鍵が100人ならこっちは150〜200人くらいでやるか?
あとキャラは広く浅く選ぶか狭く深くでいくか?
10名無しさん@初回限定:04/01/07 10:42 ID:hREh9j76
>>6
鬼ごっこより殺し会いの方が盛り上がると思われ
11名無しさん@初回限定:04/01/07 13:56 ID:AuLIJi9y
>>10
読んだらわかると思うけどあれかなり残酷だよ。
あと広く浅く取ったところで葉鍵ロワイヤルのパクリといわれるのは必至。
だから狭く深くでキャラも30〜50が妥当じゃないかな?
12名無しさん@初回限定:04/01/07 13:57 ID:AuLIJi9y
あとカイジみたいに一つの目標に進む系もありとおもわれる。
13名無しさん@初回限定:04/01/07 15:53 ID:IcVBxC8G
ロワリレー小説のスレってなかったっけ?
もう終わったとか?
14名無しの@倉庫:04/01/07 17:00 ID:hREh9j76
>>13
いいじゃないかそんなささいなこと
これから物語を作り始めるんだから
つーわけで水夏の透子か銀色のねーちんか君望のマナマナは必要と思われ
あとキャラの人数は広く浅くの100人で希望
15名無しさん@初回限定:04/01/07 17:02 ID:zeq+WUV+
ひたすら塔を上っていく。
ロマさがみたいに。で、クリアもときにわかる衝撃。
じつは神さまのひまつぶしのゲームっだった。
16名無しさん@初回限定:04/01/07 17:13 ID:6LrDcN4Y
イラネ
17名無しさん@初回限定:04/01/07 18:22 ID:9nmcgc6b
主人公 鳴海孝之

1スレ〜12スレ 参加するかどうか独りで悩む
13スレ〜25スレ 遙・水月に捨てられる
26スレ〜42スレ 参加することを決意する
43スレ マナマナに捕獲される
18名無しさん@初回限定:04/01/07 23:31 ID:TVX/lolq
乗った!
でも、主人公は明るい奴にしてくれ。鬱ゲの奴とか選ぶなよ?
>>1のID的には鍵なんだがな
19名無しさん@初回限定:04/01/08 00:18 ID:wSUB8R/s
キャラ同じ葉鍵で行くの?そりゃまずいんじゃね?
舞台設定とか考えると島系が舞台のほうがやりやすいな。
初音島とかプロミストランドとか。
20名無しさん@初回限定:04/01/08 00:32 ID:ujFtGsYa
>>1
凄腕プログラマーを集めて
新しいゲームを創造するとか
21名無しさん@初回限定:04/01/08 02:23 ID:wSUB8R/s
まず何のゲームのキャラを使うか考えないと
22名無しさん@初回限定:04/01/08 02:32 ID:MCm7Ii+e
渇枯庭園・さっちんの勝ち


23名無しさん@初回限定:04/01/08 02:59 ID:IBM7sN3w
主人公鳴海孝之つー時点でやる気激減。
もーこれ以上君望スレはいらねー。
24名無しさん@初回限定:04/01/08 03:51 ID:abdHg8vu
まあ、既に存在するロワイアルスレッドはほぼ休止状態だから仕切りなおして始めるのも
いいかもしれん。だが……エロゲ板と葉鍵板では致命的な差異が存在している。

『その板の住人の大半がその板に関わる共通のソフトをプレイし、その登場人物について知っている』

と言う点だ。
ロワイアル作品を書く上でこれは非常に重大な問題となる。
登場人物全員について把握し、知っていればSSを普通に書くことができるが……そうでない
場合、人によって『書けるキャラ』『書けないキャラ』の偏りが生まれてしまうのだ。
(例えば山本悪司(@アリスソフト)・モーラ(@ニトロプラス)・冥夜(@アージュ)の三人が
 登場するとしても、ちよれん作品しか主にプレイしていないSS職人の場合悪司のキャラが
 把握できず、結果モーラと冥夜しか出てこない作品を書く事が多くなる)

そしてロワイアル作品の性質上、当然の事ながら登場人物は進行と共に減ってゆく。
結果、あるキャラ絡みの作品しか書けないSS書きはその登場人物が死んだ時点で書けなくなる。
そして、どんどん先細りしてゆく。
ハカロワが成功したのは上記の理由に加え、
『三〜四ヶ月と言う、職人のモチベーションが下がらない短期間で完結できた』
事に尽きる。
尻切れトンボで終わらせたくないならば、その点を考えるべきだろう。長文スマソ。
25名無しさん@初回限定:04/01/08 08:49 ID:xYGqsuQB
本当にリレー小説でやるんなら参加してみたいかも
事前に打ち合せする似非はやりたくねー
26名無しの@倉庫:04/01/08 08:58 ID:cxDtLoOK
ハカロワは個別で殺し会いだったからこっちはチームで何かやらないか?
んで、最後まで残ったチームの願い叶える系でやるとか


・・・これじゃあサンデーの某漫画のパクりか
27名無しさん@バグで回収版:04/01/08 16:13 ID:eBBmzyRh
>>26それはそれでいいかもしれん。
作品単位でチーム作れば書きやすいだろうし。
いまさらパクリを気にするでない。
28名無しさん@初回限定:04/01/08 17:21 ID:wSUB8R/s
チームって言うと作品ごとになるかな?それとも会社ごとか・・・?
個人的にチーム作品のメリットを考えてみた。

メリット
・裏切り、買収など個々のためじゃなくチームそのものの裏切り行為
を表現でき、感情の表現も多彩
・仲間のために死に行くなど感動場面を作れる
まだあるが主にあげるならこの二つだろう俺はチーム系列に賛成チー
ムの数もあまり多くないほうが良いと思う
29名無しさん@初回限定:04/01/08 17:29 ID:DW4DUR7y
チーム形式を受けて勝手に試案

・エロゲキャラによる学園祭開催。
・学園に所属するキャラクターはクラスまたは部活動に所属し、文化祭で一つ、ないしは複数の活動をするために準備をする。
・鬼畜系キャラは学園祭を妨害する役目。陵辱だけに問わず、各人の好きに邪魔する。
・その他、学園祭を開くのに適さない(中年、社会人、大学生、外見ガキ、SF、人外等)人間は鬼畜系の攻撃から学校祭メンバーを守るのが役目。
・学校祭を終えた後、一番盛り上がった出し物を出したと思われるクラスまたは部活動が優勝。(判定はスレ住人にでも)願い事を一つ叶えられる後日談あり。
・学生らしく、評価は過程(つまり中間にあったSSにどんな流れがあったか)の評価を重視する。
・有名なキャラの集まるチームが人気を集める可能性は高いが、同時に鬼畜側から絡まれる可能性も高い。
・ロワイヤル系をやるよりも有利な点、不利な点。
 同じゲームや近いゲーム同士でキャラをクラス単位で固めることができるため、書けないキャラが少なくなる。
 反面、流れを追うほうは膨大で困難か。


もっと戦闘とか探検要素が入ったほうがいいのかね?
駄目そうだったら無視してくれていいや。
30名無しさん@初回限定:04/01/08 17:53 ID:ZVlDLGeb
F&Cロワイヤル
31名無しさん@初回限定:04/01/08 18:43 ID:wSUB8R/s
>>29
俺は賛成ただ文化祭をイベントにするってことはあまりハード系には
仕上げないほうが良くなるな。学園を舞台にすることで範囲は狭くな
るから追いかけるというよりは罠などを仕掛けるゲリラ戦になるかな?
あと学生ならではの心理戦。
32名無しさん@初回限定:04/01/08 18:44 ID:ofBDAYK6
エロゲがんぱれ
33名無しさん@初回限定:04/01/08 19:12 ID:AWVTxL7f
もっとがんばれ
34名無しの@倉庫:04/01/08 21:54 ID:cxDtLoOK
参加条件として女を一人くらい人質にとられて
チームが負けるとその女が犯されるってのはどうだ?
犯すのは倒したチームか管理者でも可
35名無しさん@初回限定:04/01/08 23:17 ID:ujFtGsYa
独裁国家とそれに反抗するレジスタンスはどうよ。
逆スパイ、裏切り、しくじり・・・どろどろしそうだ
36名無しさん@初回限定:04/01/08 23:23 ID:Enza0ZjS
逆にエロゲから離れてオリジナルの人物でやったらどうだ?
誰もわからないキャラだって分、一から説明しなきゃならないが、
それによって、ゲームをやってないからネタがわからない、
というハカロワの欠点の一つをつぶせるぞ?

・・・ごめん。ここエロゲネタ板だったねw
みんなエロゲキャラで書きたいよな。
37名無しさん@初回限定:04/01/08 23:45 ID:W78F6yHg
参加キャラを決めてからやると、同じゲームからの参加者が減って物語に厚みが出にくくなるので
まず多数決かなんかで、参加作品を15本程に固定。
そしてそこから参加者を選ぶのではなく、大まかな人数枠を決めて、後付けの参加確認形式にすれば、無責任にマイナーキャラが増えることも無く
書き手の構想通りに進むと思う。



38名無しさん@初回限定:04/01/09 02:06 ID:HW90mjyP
15本で足りるわけがない。
39名無しさん@初回限定:04/01/09 02:47 ID:C0zg16zK
1作品からだいたい10人ぐらいと考えても15作で150人だぞ。
妥当な人数だと思うが。
その前にまずメーカーでくくるってのもいいかも。

まあ、こんなスレは1が率先してある程度場を構築しない限りどうにもならんだろうし不毛な計画だとは思うが。
4029:04/01/09 04:21 ID:LwiFaToy
>>1は……立て方からして、もういないだろうな。このまま廃れんのも嫌なんで
正式に動き出して適任が見つかるまで勝手に仮のまとめ役とさせてもらっていいだろうか?
素人臭そうな奴に任せるよりは俺が!と言われる方がいればすぐにでも代わってもらう方向で。

取り敢えずこれから出来そうなこと。
Tどのゲームから参加させるか決定する。
(現在支持の多いチーム制を採用と仮定して、
各チームを@ゲームで括るかAメーカーで括るかB全くの混成にするか、等)
U舞台設定を先に固める。
(現在>>28のチーム間戦闘の話、>>29の学園祭ベースの話、>>35のレジスタンスの話、の三案。他案も募集中)
V取り敢えず人を集めてくる。(SSスレ等、書き手の多いスレに宣伝。ある程度人材を集めた後で話し合い)
このうちどれを先にやるべきだろうか?


あ、ネタスレにマジレスしてるようならスグ消える。
41名無しさん@初回限定:04/01/09 08:50 ID:YCqqg8pb
つーか、今この板にあるロワイアルも面白さでは決して負けてないと思う。
ただ、書く人がいないだけで。
42名無しさん@初回限定:04/01/09 14:48 ID:HW90mjyP
>39
ちげ、アリスだけでもランスシリーズ、大番長、アトラク、大悪司、エスカレイヤー入れろって意見出るだろ。
単独スレある程の人気度から見た感じでな。
15本じゃ、枠が要望に全く足りないって事。
43名無しさん@初回限定:04/01/09 15:07 ID:zFX9zH+6
アリスだけでもできそうだもんな
>>30みたいに一つのメーカーのみにしぼった方が
纏まりやすくはなりそうだけど…
44名無しの@倉庫:04/01/09 20:33 ID:d6yRExMh
大番長みたいなのはどうだ?
メーカー同士で組んだり裏切ったりして見せ場もできるが…
書くの難しいかな…
45名無しさん@初回限定:04/01/09 21:09 ID:+qBrfMyw
>>40
ネタスレも真面目に取り組めばマジスレ
29さん、まとめてくらはい

人が増えると決まりにくくなると思うんで、
3は後回しでどう?

>>42
とはいえ、15本ってだけで葉鍵の2倍近い。
主人公2人くらいと人気ヒロインで固める、
10〜20人のメーカー別チーム制を推したい。
46名無しさん@初回限定:04/01/09 21:36 ID:Nv1lU6xU
じゃあメーカーを五個ほどにしぼってからその中のゲームを15本
もしくは1メーカーにつきゲーム一個で15本
でどう?
正直色んなゲームから1〜2を広く浅く参加させるよりは、葉鍵板のように一点集中型のほうが物語は作りやすい。
数についてはこれ以上増やしても完結不可能っぽいのでこのぐらいが打倒。
あれもいれたいこれもいれたいという要望を入れすぎると切りが無くなるし、
まあ多くて15〜20の間が限界だと思う。


後俺は企画はシンプルなものにしたほうがいいと思う。
余り企画自体が複雑だと書き手の意見を纏めにくいし、最終的なゴールが不明確に陥りやすく、書き難い。
29が提案してるような企画は確かに一見楽しそうだから単純に雑談するぶんには耳障りがいいが、
、コンセプトから舞台から全て未定では、結局机上の空論になる。

単純に個人参加のバトロワにするのが無難だと思うがどうか?

47名無しさん@初回限定:04/01/09 22:35 ID:UBCHmxRR
>>46
今バトロワ書いたところで二番煎じはそれだけでそうそうたるハンデを背負うことになるぞ。
むしろこの板を分裂させ、書きたい会社ごとにストーリーを作ってみてもいいと思うのだが
いかがだろうか?
48名無しさん@初回限定:04/01/09 23:00 ID:pvqlrbS7
>47
何の二番煎じ?
バトロワなんかどの板でもやってることなんで今更二番煎じもくそもないだろ。
もしかして未だ完結せず1ヶ月に一度か二度ちょろちょろしか更新しないこの板のバトロワのことか?

どちらにせよハンデなんか背負わないだろ。
そんな妙な見栄をはって新しい事を無理にやろうとしても破綻するだけ。
49名無しさん@初回限定:04/01/09 23:02 ID:+qBrfMyw
>>46
>>47もいっているが、バトロワとは方向を変えた方がよくないか?


>>47の亜流(?)になるが
>>35のレジスタンスの話で、各チーム毎に話を展開させ、
最後に集結させる形を取れば、そんなに難しくはないと思う。
50名無しさん@初回限定:04/01/09 23:21 ID:UBCHmxRR
>>49に同じ
>>48もちろん葉鍵ロワイヤルのパクリと叩かれて先入観の入った状態で読むため
理解を得にくい
51名無しさん@初回限定:04/01/09 23:35 ID:2jp8ibiR
>50
えーとね、
だから葉鍵ロワイヤルっていうのはバトルロワイヤルを葉鍵キャラでやっただけで
同じことを三戦板でもDQ板でもやってるし、そもそも原作があるんだからパクリも糞もないだろと。
事実、この板でも元々バトルロワイヤルスレあったし、そこでハカロワのパクリだとか言う奴なんかいなかった。

>>49
>>35のレジスタンスの話で、各チーム毎に話を展開させ、
最後に集結させる形を取れば、そんなに難しくはないと思う。

強制参加では無いため、一部の特殊スキル保有者+そういう行動に出る人間以外を参加させにくい。
世界観や国歌概念が違う人間が多過ぎる。
などの理由からかなり偏った人選しかできんと思うが。

ついでに革命というスタンスなら、
各チーム毎の方針がかなり複雑になるおそれがあり、気軽に書き手が参加できない。

ま、それでもやるんならがんばんなさい。

52名無しさん@初回限定:04/01/09 23:50 ID:5luh8yZv
出演キャラのいる世界とは別の異世界に、何らかの理由でワープ(?)した
なんていう、ちょっと飛んだストーリーはダメでつか?

必死こいて元の世界に戻ろうとするグループ
その異世界を支配しようと企むグループ
それを阻止しようとするグループ
異世界に元々いた住民たち(オリキャラ)のグループ etc...

ゲームごとのグループではなく、気が合った者同士で徒党を組む
といった感じの。
53名無しさん@初回限定:04/01/09 23:58 ID:PXZ6HVA5
オリキャラは避けるが吉だと思うけどな。
書き手が思い思いのオリキャラだして、
キャラがインフレする
54名無しさん@初回限定:04/01/10 00:01 ID:zNJRVjF4
つーか安易な思いつきはいらん。
55名無しさん@初回限定:04/01/10 00:08 ID:n9K5DQmH
安易でない思いつきドゾー↓↓↓
5629:04/01/10 00:11 ID:fzLxEuDl
取り敢えず、やりたくないゲームのSS書いても仕方がないんで、扱いたいゲームを列挙し
ロワイヤル形式にするか集団戦にするかは後で決めるということでいいすか?
(ゲームの種類がそろってきたとき、例えば同じ世界に統一することが難しければ
>>52のような舞台設定に自動的に決まる、といったように)

>>49-50
ハカロワに対して独自性を出したければ、同じロワイヤル形式でも他にも手段はあると思う。
もちろん他の展開もありです。まずは参加15チーム決めちゃいましょう。

>>51
ただこの板にバトルロワイヤルものがある以上、
バトルロワイヤルと全く同じものをやっていいのかな、というところはあるんですけど。
それだったら葱ロワイヤル(仮)再興企画に移行したほうがいいかな、と思うんですよね。
葱のバトルロワイヤルにも詳しいようですけど、そこら辺どう思いますか?

ただ、葉鍵ロワイヤルを見てきて、ゲーム本編の性格を無視してBRをベースにしたキャラで展開できるのは
有利だなとは確かに思うんですよね。

後私信
>>45
ども。つか昨日の俺難すぎw
そーっすね、ネタスレが如く楽しく、マジスレが如く前向きに行きますか。
57名無しさん@初回限定:04/01/10 00:19 ID:752kulWS
じゃ列挙開始ということで

鬼畜王ランス
58名無しさん@初回限定:04/01/10 00:20 ID:n9K5DQmH
だが>>52みたいに異世界で別々の目的を持って各グループが行動する
という話になる場合は、まず舞台ありきが前提かと。
俺は異世界モノで十分いけると思うしね。
59名無しさん@初回限定:04/01/10 00:24 ID:n9K5DQmH
ごめん。いつまでも言ってると始まらないんで
まずゲーム名挙げておきましょうね。

はじめてのおいしゃさん
60名無しさん@初回限定:04/01/10 00:28 ID:Pz7ec0Jr
SNOW

っつーか、キリないし、打ち止めしたら、要望的にも無理でるし
今あるのと二の舞だろうし、意味なくないか?
6151:04/01/10 00:29 ID:TCd942ai
>56
俺がチーム形式が嫌なのは、
仲の良いもの同士が共闘して他のチームと闘い合う形式だと、戦闘集団が圧倒的に有利
そして何より、身内同士で殺し合うかも知れないという精神的葛藤の無い、薄っぺらい戦闘で終わってしまいそうだから。

たった一人しか生き残れないというルールの中に見知った人々を放り込むからこそ、
擦り切れるような精神の凌ぎ合いが巻き起こるわけで、
そういった意味では知らん人同士で殺し合いしてたこの板のバトロワとも違うものになる。

DQ板でもバトロワスレ二つ同時に稼動してるし、別に問題は無いと思うが。
まあ唯一の問題は俺以外にバトルロワイヤルをやる気になってる人がいないことだがw
62名無しさん@初回限定:04/01/10 00:35 ID:TCd942ai
>60
一応15本が区切りだろ。
唯その後である程度のふるいわけは必要だと思う。
ま、一人一本だと切りが無いので一人につき三本で、20個ほど選んでそこから
書ける、書けないの現実論でふるいにかければいいんじゃないの?

ま、とりあえず一個。
ファントムオブインフェルノ
63名無しさん@初回限定:04/01/10 00:37 ID:Pz7ec0Jr
>62
15本で足りるわけないっつの。
せめて15メーカーにしようよ。
6429:04/01/10 00:45 ID:fzLxEuDl
目標数言うの忘れてました。
20〜30作品ほどの列挙。後、そろった材料による舞台設定。の方針で。
あ、あとそのゲームから何人程度の参加が見込めるのかについてもできれば書いておいてください。

>>60
ぶっちゃけゲーム数がそろった後に舞台を決める段階で
最悪、これから列挙するゲームのうち、使われないものが出るかもしれないです。
叩き台ということで。

>>61
俺、実はバトルロワイヤルでもいいっすよw
ここが俺にとって面白そうな場所になれば、どんな形でもそれでいいわけです。
例えば、>>29ゴリ押したいなら名無しのままでいたほうが楽ですしね。
現段階では可能性を探って生きたいということで納得していただきたい。

>>62-63
メーカーつながりでこれも出したいという要望も出てくるでしょう。
取り敢えずのゲーム列挙、というわけにはいきませんか。
65名無しさん@初回限定:04/01/10 00:50 ID:Pz7ec0Jr
>64
いや、ゲームほど狭めちゃうと、バトロワみたいに後から来る人がほぼ来なくなるんでないかい?
メーカーくらいに緩和した方がいいと思うよ。
今いる面子が全員最後まで消えないで書き続ける&短期集中で終わらせられるなら
それでもいいと思うけどね。
俺は、飽きたら消える香具師の方が多いと思うぞw
6662:04/01/10 00:51 ID:FzsMwHgB
>63
実際に完結させるところまで想定して考えてるか?
15メーカーなんか無謀だっつーの。

そして29さん、俺の一人3っにしないかという提案を何故スルーする。
67名無しさん@初回限定:04/01/10 00:56 ID:Pz7ec0Jr
>66
まぁ、確かにメーカーでやると早期完結難しいのはわかってる。


ゲーム数で絞ると、今はいいが後々になってくると、まず新規が中々難しいだろう。
あのバトロワ見れば、一目瞭然だ。
今、この場で話し合った参加者なら、自分の意見も通しやすいから、やりやすいが
後から来る人が、そうそうこなくなる確率が高い。
門を狭めちゃってるわけだからな。
メーカーにしようって言った利点は、門を少しでも広げるべきだって意見だ。
ま、デメリットは、62氏の言う通りに、完結が難しくなる事だな。
68名無しさん@初回限定:04/01/10 00:56 ID:FzsMwHgB
上のほうでも提案したが、
5メーカー
20作品
後付け参加確認形式で枠は250人ってことにすれば?

ああ、勿論バトロワなら、の話だけど。

>64
メーカーの枠を広げ過ぎると、
最初らへんに何も考えずにマイナーなキャラを出した収拾を後の人がつけるのが大変になる。
終わらせる事を前提に考えるのならメーカーごとのほうが弊害が多い。
69名無しさん@初回限定:04/01/10 00:58 ID:Pz7ec0Jr
>68
賛成。
作品数の多いアリス・F&C・エルフとかは、メーカー単位に入れて
他は、作品単位でいいと思うな。
7050 PN初芽:04/01/10 01:06 ID:oUsGaE0u
ロワイヤル形式大変結構なんだが二、三行しか登場しないで死ぬキャラが
続出しまくる気がするね。ちなみに俺の言ってるパクリは実際出版したと
して「またロワイヤルか」とため息混じりに言われるのが関の山ってこと。
47にある俺の意見みんなどう思うか意見が聞きたい
7160:04/01/10 01:07 ID:Pz7ec0Jr
>70
え、出版前提にやるのか?
書籍版ハカロワみたいに出版した奴とその仲間が暴利貪って儲けるための企画なのかこれ?w
そういうのは、なしでやりたいな。
7229:04/01/10 01:18 ID:fzLxEuDl
だんだん敬語になっていく……何故なのかw

>>66
黙認による了承っすよw個人の応募数としてはそのあたりが適当でしょう。
ちょうど丸一日ありますから、取り敢えずIDの変わるそこまではその方針で募集しましょう。
メーカーは1ゲームとして換算します。

>>65,>>67-69
絞った最終目標数はその程度を目安としましょう。

メーカー枠で7〜8、作品25〜30を第一次募集上限とします。後、舞台設定段階で絞り込みます。
メーカーを挙げる場合は主な作品名を、ゲーム名を挙げる場合はキャラ数を付記してもらえると助かります。
ふるって投票のほどを。

軌道に乗るか、人がいなくなるか、疲れ果てるまで張り付いてますw
73名無しさん@初回限定:04/01/10 01:29 ID:zfCTtByq
ではアトラク=ナクアを希望
とりあえず本家に書いた身としては参加せずにはいられない
7461:04/01/10 01:31 ID:gD2b4bwF
>70
流石にやる前から出版の事なんか考えもしなかったw
中々独創的な人だ。

ま、それはともかく
メーカーニトロ+(ファントムオブインフェルノ、鬼哭街、吸血殲鬼ヴェドゴニア、etc)
メーカーアリスソフト(鬼畜王ランス、大悪司、夜が来る!etc)
ゲームモエかん(9人)
で俺の投票は終了。

さてさて、募集上限に達するまで何日かかる事やら・・・
7560 PN赤目:04/01/10 01:33 ID:Pz7ec0Jr
では、改めて。
アリスは言われたんで
エウシュリー
メビウス(リング含み)
エスクード

で、俺の投票も終了。
7660 PN赤目:04/01/10 01:36 ID:Pz7ec0Jr
すまん、メビウスは、単体で出した方がいいよな。
F&Cに変更で。
7750 PN初芽:04/01/10 01:38 ID:oUsGaE0u
うし、俺は
メーカースタジオエゴ
ゲームそれは舞い散る桜のように
ゲームD.C
78名無しさん@初回限定:04/01/10 01:39 ID:mzPRHzMG
>75
全部メーカーかよ・・・
つーか流れ的にメーカーは大手にしようって感じなのに
エスクードは無いだろ・・
7929:04/01/10 01:39 ID:fzLxEuDl
俺書くの遅いな……

>>70
ロワイヤルにそういう弱みがありそうなのは確かです。>またロワイヤルか
BRUも終わった現状、
ただ希望者が多ければ、それはロワイヤル形式が王道である、ともいえる訳で。
そこら辺は明日以降に詰めましょう。

>>71
え、これ儲かんの?ラッキ!!
……冗談はさておき、まず制作できるかが難点ですね。
個人的な興味で一つ質問。葉鍵ロワイヤルって儲かってるの?
ネットで見れるのにたくさん買った奴いたの?SS書いた奴の権利は守られたの?
あ、俺はそんな野心ないっす。現状ではw

>>74
取り敢えず丸一日募集した段階で様子を見ます。
募集が少ないなら少ないなりに、後付参加可能なシステムを作り
先に現場で作っていく、のような方式になるでしょう。
80名無しさん@初回限定:04/01/10 01:40 ID:zfCTtByq
では私も改めて
シーズウェア、カクテルソフトで行かせていただきます
F&Cやビジュアルアーツ、ウィルといった複数ブランドの集合体の場合は
ブランドごとの集計の方がいいのですはないでしょうか?

アリスの場合だとブルーとノワールを含めるかどうかとか・・・
81PN 初芽:04/01/10 01:47 ID:oUsGaE0u
そしたらスタジオエゴはブルーインパクトを含むわけか
8260 PN赤目:04/01/10 02:02 ID:Pz7ec0Jr
>78
エスクード大手だと思ったが?
メタモル・プリマ・ジュエル・ラブリーetc……
ハゲヘルムにハタヤマに学会員Bに戦闘員たちにミントもどきに将軍に・・・

>79
現状ではって……
出版前提は、俺は断固反対派ですね。
まず、第一に売れてます。
ネットで見れるけど、挿絵や改編点もあるし、2cher以外や
それまで知らなかった人が出版された事で、店での宣伝効果もあって
第一部の初版では、数十万円の利益出てます。
その後もトントン拍子で利益出続けてるって葉鍵板の同人サークルの方から聞きますた。
っつーか、同じくサークルやってる身や人からしたら、あの値段であれだけ売れてたら
出てない方がおかしいのが丸解りですね。
SS書いた奴の権利ですが、守られてないのもあります。
一発書きでそのまま消えていった方も多く、出版時に存在していた人たちは
承諾しましたが、承諾なしで、勝手に載せてる部分もありますね。
後、出版して利益出た時に、焼肉食い放題オフで還元したそうですが
そんなの利益の内のすずめの涙くらいのもんだそうです。(むしろ、そうだろ)
っつーか、あんまり詳しく書くと漏れの身が不味くなる(;´Д`)
83名無しさん@初回限定:04/01/10 02:11 ID:5yhbJRJJ
他所の掲示板で悪いが、ロワ系で頓挫寸前の企画があったり
もし余裕、興味があれば復活に協力してくれ
http://jbbs.shitaraba.com/game/bbs/read.cgi?BBS=3290&KEY=1070289957
84初芽:04/01/10 02:14 ID:oUsGaE0u
純利益をいかにも正義の味方風に使う(全利益あしなが学生募金に投入)






嘘です。そんなの募金してる人らに対する侮辱にしかなんねえもん。
8529:04/01/10 02:26 ID:fzLxEuDl
お、チョト上に来てる。

>>79
書き損じ……
>BRUも終わった現状、
BRUも終わった現状、かつてほどはこの形式には勢いがないのは事実ですから。

後、SS書きの権利、って微妙な表現……

>>80
あー、そうか。さすがに一社丸ごと来てもらってもなぁ……
多数ブランドを抱えた一社は指名なしの方向で。
その代わり、丸ごと移籍した開発チームは別の社に移っても一つで数えてもいい、ということで。
(TActics→Keyは一応向こうの所属と考えます。ピアキャロ開発スタッフは慣例上、OKですよね?)
後スイマセンがボーイズオンリーのところは勘弁願うということで>アリスブルー

>>81
ブルーインパクトは一作、男性向け出してるなあ……
もしそれが選びたければ個別で指名ということで。
8629:04/01/10 02:28 ID:fzLxEuDl
>>82
企画が決まる前から出版するかしないかの論議もどうも……
取り敢えず明言しておくと、俺はしないです、ハイ。
方針として明確にしておきますか?

>>83
俺たちゃこっちで手一杯♪……失敬。
ま、気が向いた方はどうぞ。
取り敢えず制作前にどんな話し合いで鬼ごっこになったか参考にさせてもらいますね。

>>84
そもそも金が目の前にありゃそんなことする奴はいねーです(苦笑)残念ながら。


あれだ。出版する、しないの決定は舞台設定が終わった後の話にしましょう。
引き続き投票のほう、お願いします。
8760 PN赤目:04/01/10 02:34 ID:Pz7ec0Jr
>83
鬼ごっこ面白そうですね。
でも、こっちに集中。

>89
いや、出版の事まで考えている(?)人がいたので……
後、もう一つは、出版の為に作品作るとかやりたくないんですよね。
目標を出版にしたくない・目標に入れたくないってことです。
完成後に、する気があって、作者全員の承諾が決まればいいんじゃないでしょうか?
8860 PN赤目:04/01/10 02:35 ID:Pz7ec0Jr
>86だった_| ̄|=○
89名無しさん@初回限定:04/01/10 02:49 ID:3W0jBEm/
TYPE−MOONはOKなの?
とりあえず月姫単独で投票
ところで人数はやhり100人程度にまで搾りこみたいな

できればアリスあるいはF&C単独でもいいくらい
90名無しさん@初回限定:04/01/10 02:56 ID:3W0jBEm/
出版ん云々を語る前に、まずはきちんと完結させることだね
FFDQ板とかのも頓挫したみたいだし、(三戦は例外)

9129:04/01/10 03:16 ID:fzLxEuDl
あーそろそろ起きるの限界かも

>>88
アツクナラナイデマケルワ(・∀・)ニヤニヤ

>>87
出版できるほど面白いものを書く気概があるのは分かりました。
それについては俺も同意見です。
ま、この話はいったん終わりにしましょう

>>89
う〜ん。この意見が来ちゃいましたね。
スイマセンが私預かりということで保留にさせてください。作品が出揃ってからの議題としましょう。
Fateに関しては、発売以後の参加希望なら当然お受けいたします。

>>90
ご意見ごもっともです。
しかし書き手とはそれぐらいの大望を持たねば書けぬ、因果なものでして……


以後、月姫が認められるかについて、もしくは出版に対する態度に対するご意見は
投票期間中にはお受けしないこととさせていただきます。
引き続き投票受付中です。
9260 PN赤目:04/01/10 03:33 ID:Pz7ec0Jr
>91
んー、出版できるほど面白いものを書こうって言うのとは、また方向性違いますね。
私にとって、重要なのは、この企画が面白いものであるか、楽しめるものであるか、打ち込めるかであって
出来上がった作品が、やれ大衆受けするだの、一般の出版物に勝るだのは、興味ないです。
むしろ、そんな高い目標や堅苦しくしてしまうと、参加者も減るだろうし
新規も余計入りにくくなるだろうし、汚点の方が大きいと思いますね。
大作志向ではない書き手もいるって言うのも視野に入れて頂きたい。
私なんかは、気楽にやってる方が、文書けるタイプなんで。
だからといって、やっつけ仕事にするつもりもありませんけどね。
29氏は、もうちょっと柔らかく考えるといいですよ。

月姫に関しては、企業化したとはいえ、作品は、同人ですからね。
Fateは、エロゲーとしてOKでしょうが、月姫は、NGだと思いますよ。
月姫だけ同人作品OKという特例措置は、やめた方がいいでしょう。
まぁ、他の意見がOKばかりなら、いいと思いますよ。
9327=45=48:04/01/10 09:09 ID:dz5zCqcS
うわ! 寝てたら一気に進んでるw
メーカーでD.O.とCIRCUSを出したい。

蒸し返すようで悪いんですが、
出版云々よりも、まずは板内で楽しまないと。
94名無しさん@初回限定:04/01/10 11:48 ID:jLNcTV6X
>92
あんたは他人の書き込みを少しは読め。
月姫に関する意見は投票後、出版話はもう止めようと書いてあるだろ。

ちなみに俺は
エルフを出したい。
9560 PN赤目:04/01/10 13:15 ID:Pz7ec0Jr
>94
私は、今、必要であるからと思ったからこそ書き込みました。
むしろ、出版やこの企画の方向性に対する姿勢が
29氏と私とでは、大きくかけ離れていると思ったからこそ
先に言った方が良いと判断しました。
ハカロワ級以上のものを作るんであったら、
ハカロワを超えるぞ!と意気込んで大作志向で枠を狭めるより
ハカロワと同じように参加しやすい企画で、どれだけいい職人とネタ、一発屋さんたちを
ひきつけれるかどうかじゃないでしょうかね?

月姫は、29氏が受け付けないだけであって、書くなとはありませんしね。
96名無しさん@初回限定:04/01/10 13:16 ID:vMI3gGm/
ハカロワに出た奴は出さないって方向でいいんですかね?

ゲーム うたわれるもの
97名無しさん@初回限定:04/01/10 13:20 ID:rZ/GICjg
赤目ってロワで書き手してた奴か?
9860 PN赤目:04/01/10 13:27 ID:Pz7ec0Jr
>97
あんまり詳しく書くと出版ハカロワの裏事情言っちゃったんで
身の安全の為に何者であるかについては、これ以上答えれません。
葱の書き手だったら、今ごろ堂々としてれるよ(遠い目
99名無しさん@初回限定:04/01/10 14:09 ID:rZ/GICjg
裏事情もなにもあんなのは常識だろう。
最初売れるかどうかもわからんあんな2ch書き込み集に大金突っ込んだんだろ、あいつら。
博打に勝って儲かってる奴をねたんでもしかたないぜ?
100名無しさん@初回限定:04/01/10 14:10 ID:lp9th6mZ
赤目うざっ
10129:04/01/10 14:22 ID:fzLxEuDl
投票を途中まで見て……エロゲ者ってメーカー好きだよなあ(苦笑)

>>all
メーカーを指名した方はメーカー内で三作品以上ゲームを指名してください。
メーカーの中で多数作品出演希望が無いところもありそうなので
その場合は「ゲーム」単位の指名に切り替えてください。
あと、メーカーとゲームが何箇所か重複してますが、その場合はゲームの方が指名を別作品に変えていいです。

>>92>>95
私の書き方に無駄な力が入っているゆえ、考えが伝わらなかったでしょうか?
この企画に対して、割と考えていることは同じだと考えています。
ただ、今から出版の話をしていることが大変自信過剰にとられて煽られかねないと思いましたので
ああいう物言いをしたのですが、無駄なフォローだったみたいですねスイマセン。
俺と貴方の書き込みがばかりが増えかねないので
この件に関するご意見、ご批判がある場合も明日以降に願います。

>>96
葉鍵ロワイヤルに未参加の葉鍵作品についてですか……
月姫ともども保留にさせてください。明日以降の話にしましょう。
恐らくこちらも厳しいと思います。
あ、月姫も葉鍵作品にも個人的感情でものを言っているのではないのです。
(蛇足ながら言うと、個人的には寧ろ好きです)


これから10時間は「出版」も「月姫」も完全NGワードですよ〜。あとハカロワについても。
他の人が書きにくい風味です。
そのあたりのことを話すのは意見を募り終わってからでもいいでしょう?
10260 PN赤目:04/01/10 14:32 ID:Pz7ec0Jr
>99
私もあなたの常識を疑いますねw
まぁ、それを博打と言い切れるほど事情知らないから仕方ないですね。
第三者から見たらそうみえるんでしょうね。
あれも売れるように色々こうさ(P
とか
殆ど寄稿や知り合いで製作料も大して(P
あなたの思ってるような大金はかけられていないわけですよ。
結構、その辺の愚痴を他の書き手さんからも「ふざけんな」ってのを聞くんで。


後、勘違いされてるようですが、
私が主張したいのは、最初からそれ目的でやるのは、良くないって事なんですが・・・
出版とか大作とか考えずにやって行こうと言うのが私の意見です。
既に企画の時点から、これを意識してるかしてないかで
雰囲気や質ががらりと変わりますよ。
だから、私とは考え方が逆そうな29氏には、今意見する必要があると思ったわけです。

とここまでがリロードするまでの書き込み。

>101
ああ、そうでしたか。
大望だの出版〜気概とかから、間違ってイメージを受けていました。
大変申し訳ありません。
103名無しさん@初回限定:04/01/10 14:39 ID:rZ/GICjg
げ、やべ。変なのにさわっちゃった。
>あれも売れるように色々こうさ(P
売れるように工作つか宣伝するの当たり前じゃねーか。

寄稿や知り合いでってのも、出版した奴らのコネ、人脈の賜物だろ。
大金をかけずに出版したんだったら、ますますあいつらを尊敬し、それを妬むお前を軽蔑するわ。
俺やお前はハカロワという素材を提供されたとしても、あれほど売ることはできん。
あれ同人ショップで店頭宣伝ムービーまで流されてたぞ。

お前相当キモイよ。コテはずしたほうがいい。
その人間性の奴がコテで住み着いたら、このスレの成否に関わる。
いい作品がスレ全体で大絶賛された時に粘着しそうだという印象すら受ける。

長文になっちまった。
104名無しさん@初回限定:04/01/10 14:42 ID:zb+LsUbi
どこの世界にも空気読めない奴っているんだなあ・・
自分がどれだけ浮いてるかいい加減認識してくれって感じ。
できれば消えて欲しいがこれからも粘着的に居座る気なんだろうな赤目。
10560 PN赤目:04/01/10 14:47 ID:Pz7ec0Jr
では、改めて作品列挙でメーカー指定

エウシュリー(戦女神1・2 幻燐の姫将軍1・2 めいどいんばに〜)
エスクード(プリマヴェール・ジュエルスオーシャン・メタモルファンタジー・ラブリー・ラブドール・魔女っ娘マリエルン・Hyper Broken〜魂のチカラ〜・Eye's〜あなたの瞳にうつるもの〜)
F&C(Piaシリーズ、時の森の物語、水月、同窓会シリーズ、朝の来ない夜に抱かれて、ロマンスは剣の輝き1・2)書き切れねw

>103
儲けた側の人間ですか?w
それは冗談として
>大金をかけずに出版したんだったら、ますますあいつらを尊敬し
私もあなたのその考えた方は、全く知らない平和な人か、人間性を疑いますよ。
あなたのような考え方を持ってる人も私からしたら、製作者サイド側に
百害あって一利なしのタイプだと思いますよ。
他にも突込みたいところは、多いんですが、その話題になるとスレ方向が別に向かうし
もうNGワードですから、止めておきますよ。

後、もっと根本的な問題で突っ込みたい所あるけどそれはいーや(・∀・)ニヤニヤ
106名無しさん@初回限定:04/01/10 14:48 ID:9ypW5DRG
>103
あんたもむかつく気持ちはよくわかるが、もう相手にするな。
なにせ月姫関連の意見は受けつけないっていう書き込みを、
受けつけないだけでレスしてもいいと捻じ曲げる凄まじい狂人だ。
相手にしても切りが無い。
出版に関しても最初に話題にでた後の、失笑気味の空気も理解できず、延々出版について語り続けるくらいだからな。
107名無しさん@初回限定:04/01/10 14:54 ID:rZ/GICjg
>>106
そうするよ。
あいつの言うふざけない出版っていうのは、
売れるように工作せず、知り合いなどのコネを一切使わず赤字で出版することらしい。
こんな価値観の人間がこのスレのコテなのか_| ̄|○
10860 PN赤目:04/01/10 14:54 ID:Pz7ec0Jr
>106-107
失笑気味の空気のカキコや一連、俺ですけどね。
あからさますぎるのが一匹紛れ込んでるな。
まぁ、見てて楽しいといえば楽しいけど。
109名無しさん@初回限定:04/01/10 15:02 ID:VjaC3Mmq
>107
ご愁傷様。
なんか、先行き暗いよなあ・・

とりあえずエルフ(下級生、同級生、ドラゴンナイト4、臭作など)
で、再投票っと。
110109:04/01/10 15:09 ID:VjaC3Mmq
>100>104>106
は俺ね。

なんかIDが変わってるので自演の荒らしと解釈されてるっぽいので一応。
俺は本心から思ったことを書いてるだけなんで。
111名無しさん@初回限定:04/01/10 15:11 ID:rZ/GICjg
NGワード指定のわりにレスを返してくるとことか、もうね。
こうなったら俺をロワの出版関係者と決め付けるしかないだろうな。(・∀・)ニヤニヤ
11260 PN赤目:04/01/10 15:17 ID:Pz7ec0Jr
話がどんどん膨れ上がる(・∀・)ニヤニヤ
そういう方向に持っていきたいんでしょうね。
後、一匹の解釈は109氏の思ってることじゃないよ。
113名無しさん@初回限定:04/01/10 15:23 ID:rZ/GICjg
赤目もういいよ。君。
どういう人間性の人間かよくわかったし。


ハカロワの悪口を ここで 書いてるあたりもうね。向こうのスレにでも降臨してこいよ。
コテで目立ちたい。他人が賞賛されてるとむかつく。陰口叩きまくるタイプでしょ?
集団でやるこのスレの企画には邪魔。消えてくれ。
一人で寂しければ俺も途中までつきそってあげるから。

>ALL
がんばれ。蝶がんばれ。
114109:04/01/10 15:24 ID:ZJw3r1Zp
あ、そうだ。
29氏、今更なんだが、メーカーへの投票は一人につき一度にしたほうが良くないか?
メーカーへの投票が余りにも多過ぎる。
11560 PN赤目:04/01/10 15:29 ID:Pz7ec0Jr
>113
頑張れ、正義の使者。
君のやってることは、悪化させる+俺と変わりないかそれ以上だ。
ハカロワの悪口といわれたが、結果としてそうだけど、聞かれた事に答えたのと
私の意見の主張の理由や根底として言っただけだしね。
はて、そこへ君がいなかったら、どうなってただろう?
後は、最低でも29氏の姿勢の勘違いを俺がしてただけで話題終わってたに違いない。
君は多大な功績をした、これからも各地で正義だか信念だかで頑張れ。

そんな君のためにも絶対に消えませんよ(・∀・)ニヤニヤ
企画は、ちゃんと真面目にやるからご安心下さい。

>114
期限まで出し合って、その後、ふるいにかけて、落ちたのを作品単位にしていけばいいんじゃないかな?
116名無しさん@初回限定:04/01/10 15:35 ID:rZ/GICjg
あの人間性で、この企画だけはまじめになんて誰が信じるんだか。
俺はもういいわ。これが住み着くならもういい。
117初芽:04/01/10 15:45 ID:oUsGaE0u
ぴりぴりしてるなぁ・・・。
平和に行こうとは思わないのか?
118名無しの@倉庫:04/01/10 15:54 ID:7lAIXBgq
何でこんなに荒れてんだ!?
真面目に考えてやってくれるくれるならそれでいいやん

後、俺はザウスに投票する
119初芽:04/01/10 15:56 ID:oUsGaE0u
メーカースタジオエゴはでかいから
ゲームがくパラ!にするわ
120名無しさん@初回限定:04/01/10 16:39 ID:BfWhadOy
ハカロワを意識している間は
いいものを作ろうとしても作れんと思う。
121名無しさん@初回限定:04/01/10 16:42 ID:BZpOW02J
安心しろ。
ハカロワは売り上げと反比例して書き手間の仲が寒くなってるだろうから。
122名無しさん@初回限定:04/01/10 16:45 ID:aJzvY11H
う〜ん、このスレの題がそれっぽいから誤解を招いているのかもしれんが、
ハカロワを本気で意識してる人は少ないと思うよ。

単に、葉鍵以外のエロゲキャラを使ってリレー企画を楽しみたいと思ってる人が大半じゃないかな。
123名無しさん@初回限定:04/01/10 16:47 ID:BZpOW02J
>ハカロワを本気で意識してる人は少ないと思うよ。
上のレス見たら嘘にしか思えん。
124名無しさん@初回限定:04/01/10 16:50 ID:eZHkDqtr
とりあえず、F&Cから水月&Canvasチーム希望。
あとMarron秋桜の空に。
125初芽:04/01/10 17:22 ID:oUsGaE0u
ロワイヤルをしようと言ってる人は多いしそれなりに意識してる人も
多いんじゃないかな?少なくても読み手は意識するはずだよ。
12629:04/01/10 17:53 ID:fzLxEuDl
そうだよなあ……
何も無い先から「葉鍵ロワイヤルに負けない」なんて厨っぽいこと言ってるのがヨクナイ
ただ、それにつられて集まった俺は何なのかということになるけどw

>>120>>123
スレタイがスレタイなので、掛け声みたいなもんだと思ってくれると……
12729 投票のフォーマット:04/01/10 17:54 ID:fzLxEuDl
・一人三票まで
・この企画に出したいメーカー(ブランド)、あるいはゲームに投票する。
・メーカー指定の場合、そのメーカーにどんなゲームがあるか、三作品程度書く。
・多数ブランドを抱えている会社に対する投票は無効とする。
>>114の意見を受け入れ、一人一メーカーとする。
 ただし現在まで受け付けられた投票は無効としない。
12829 投票状況:04/01/10 18:00 ID:fzLxEuDl
現在の投票状況

メーカーに対する投票が多いです。
自分の投票を見直し、ゲーム単位での投票に直しても構わないと思われる方は
そのブランドの個別のゲームへの投票に切り替えてください。
また、そのブランドの主な作品をまだ書いてない方は
このどちらも投票者の自主性に任せます。(やらなかったら無効票、などとはしません)
よろしくお願いいたします。

あとF&Cに対して多重投票があるようです。
F&Cを指名した方はどのブランドかを選んでください。
水月&Canvasを指名した方、FC01とカウントさせていただきますが構いませんでしょうか?
129名無しさん@初回限定:04/01/10 18:08 ID:JzB18X1Q
っつかまず一行ロワから始めませんか?w
130名無しさん@初回限定:04/01/10 19:05 ID:Lb9veSh+
正直ネタ師がそれほど潤沢な板じゃない所で出版云々なんて話でこじれるより前に



かける人間、居るのか?
131名無しさん@初回限定:04/01/10 19:15 ID:WrfcNGtr
これまでの経験則から言って、書き手は最低10人以上
で1日に1話はUPされなければ完結は厳しい
とにかく1週間、新規の投稿がなかった場合、企画の完結は不可能

とりあえず
アリスソフトより
(アトラク=ナクア・夜が来る!・アンビヴァレンツ)
それと思ったんだけど、異世界ファンタジー系はできる限り使わない方がいいんじないかな?
ベースとなる世界があまりにも異なってしまう上、それが複数重なれば
大混乱のもとになる。

さらに戦闘がメインの作品である以上、余りにも不可解で厨な力を持つキャラも除外しなければ
ならないだろうね
132名無しさん@初回限定:04/01/10 19:34 ID:PAE5U98n
なんつうかな。もちっと縛り入れたほうがいいんじゃ?
ウロブチの沙耶の唄じゃないが
戦闘のプロ禁止・人外禁止・超能力禁止etc.って普通の人間に限ったら?
上記にあげたようんな「特殊能力」もちは個人ごとに能力の解釈に齟齬が
出やすい気がするし。まあどこまでを「特殊能力」とするかって問題も出てくるけど。

要は俺は姉様対アリステルとかの人外戦闘は御腹いっぱいだから
鈴蘭としおりがバールと手斧で稚拙ながらにも殺し合いをするとか言うほうが
見たいだけだっていうのがあるけど。
133赤目:04/01/10 19:46 ID:Pz7ec0Jr
んじゃ、F&Cは、カクテルソフトに変更。
主な作品(Piaシリーズ1と2、時の森の物語etc)
13427:04/01/10 22:08 ID:dz5zCqcS
非戦闘員だけのほうが確かにロワイアルっぽいけど、
逆に限られすぎない?アリスが全滅しかねないし。

まず片っ端から挙げて、それを見て考えたら?
単純なバトロワじゃなくても>>29みたいな意見もあるわけだし、
どれくらい人外の連中が集まるかにもよるだろ。
135名無しさん@初回限定:04/01/10 22:19 ID:Yoywf8Fo
議論は29氏による投票集計後にしませんか?
まだ具体的なことが何も決まってないのに散的に議論してもどうにもならない。

ちなみに131氏、アリスは上で既出です。
136名無しさん@初回限定:04/01/10 22:58 ID:eZHkDqtr
>>128
あい。FC01扱いでいいです。
13729 投票結果:04/01/10 23:43 ID:fzLxEuDl
メーカー(ゲーム名が書いてない投票については、当方が勝手に代表ゲームを決めました)

・メーカーニトロ+(ファントムオブインフェルノ、鬼哭街、吸血殲鬼ヴェドゴニア、etc)
・メーカーアリスソフト(鬼畜王ランス、大悪司、夜が来る!etc)
・エウシュリー (戦女神1・2 幻燐の姫将軍1・2 めいどいんばに〜)
・エスクード (プリマヴェール・ジュエルスオーシャン・メタモルファンタジー・ラブリー・ラブドール・
魔女っ娘マリエルン・Hyper Broken〜魂のチカラ〜・Eye's〜あなたの瞳にうつるもの〜)
・シーズウェア(EVEシリーズ、蜜柑、黒と黒と黒の祭壇、地っ球の平和を〜シリーズ、み)
・カクテルソフト(PIA!キャロットシリーズ、時の森の物語)
・D.O.(家族計画、Crescendo、加奈、星空ぷらねっと)
・CIRCUS(水夏、D.C、INFANTARIA)
・エルフ(下級生、同級生、ドラゴンナイト4、臭作など)
・ザウス(フローラリア、永遠のアセリア、痴漢者トーマス、風と大地のページェント)


ゲーム

・ファントムオブインフェルノ
・モエかん
・それは舞い散る桜のように
・D.C
・はじめてのおいしゃさん
・SNOW
・秋桜の空に



スイマセン、カクテルソフトで同社重複、CIRCUSとD.C、ファントムオブインフェルノとニトロでゲーム 〜メーカー重複でした。
当方の指摘忘れです。

一般、ファンタジー、人外、SF等のざっとの分類も調べておきます。
13829:04/01/10 23:49 ID:fzLxEuDl
>>62
ファントムオブインフェルノとニトロの重複を指摘し忘れてました。
>>77
CIRCUSとD.Cの重複を指摘し忘れてました。
>>133
言い忘れてましたカクテルソフトも>>80で既出でした。

>>重複した方へ
完全にここで参加ゲームを打ち切るわけではないです。
どのタイミングになるか分かりませんが次の機会はあると思います。
投票したい場合、そのときにお願いするということで。


>>130-131
書ける人間がいるのか?という点ですが、正直厳しいと思います。

@そもそもこの板にはSS書きが少ないと言える。
これはこの企画がどれだけ盛り上がるかにかかってますね。

Aゲームの多くが分かってる書き手はさらに少ない。
これについては読み手側も同じことがいえると思います。
例えば投票されたゲームのうち、半分も知らないという人間が多いのではないでしょうか。(名前だけ知っているのは、有名なのが多いから当然ですけど)
これに関しては上手く誤魔化す必要が出てくるかと。

>>132
バトルロワイヤルにするなら、強いものは縛りをつける必要も出てきますね。
バトルロワイヤルと同様にするなら特殊な「島」の設定を作って
「人外キャラの変身、特殊能力使用禁止・超能力禁止」等をつける、といったところでしょうか。
首輪の設定でもいいですが。
139赤目 ◆RedEyeu6FA :04/01/11 00:00 ID:BI+TZ3vv
>138

>Aゲームの多くが分かってる書き手はさらに少ない。
逆のパターンで、一例を。
誰とは言いませんが、某バトロワみたいにやたらラ○スシリーズに関して、裏設定とかを
会報とかで無茶苦茶細かく、知ってる書き手がいるのも困りますね。
読み手の場合は、間違った書き手が突っ込まれますw
特にニトロとアリスのゲームには、凝る人とか出そう。
そういうのも寂れる原因になると思いますので
参考にするのは、ゲーム内のみとかの制限はどうですかね?

>バトロワ
その設定だと今あるのと全く重複になるので、やるなら
舞台を変えるなり、縛りの改変した方が面白みがでるんじゃないでしょうか?
14029:04/01/11 00:28 ID:du+H8CDc
分類無理wwwwサポシwwwwww……コホン

スイマセン席外してました。
早速、舞台設定について意見を頂きたいと思います。

これまでのところ
・純粋な個人でのバトルロワイヤル
・変則ルールをかけたバトルロワイヤル(チーム戦闘など)
・バトルロワイヤルUみたいな、でかい組織とエロゲキャラの戦
・バトルロワイヤルからは離れる(これまでのところダンジョン形式、学園祭、など)

といった意見が出ています。
今日は、これらについて、出演希望ゲームを踏まえて詰めていきたいと思います。
賛成反対のみでも構いませんからご意見をどうぞ。

>>139
分かりました。その辺りは書く寸前の確認事項とさせていただきます。
141名無しさん@初回限定:04/01/11 00:36 ID:hE1A4I7R
純粋な個人戦闘がいいな、あくまでも基本に忠実にいきたい
でも先に参加人数を決めてからのほうがいいんでないかい?
142赤目 ◆RedEyeu6FA :04/01/11 00:42 ID:BI+TZ3vv
鬼ごっこ案も面白いと思うので押したい・・・・・・

既存ので押すなら
・変則ルールをかけたバトルロワイヤル(チーム戦闘など)
私は、これですかね。
この場合、同メーカー・同ゲームの垣根を越えてチームやタッグ組ませたいです。
チーム結成の過程から書けるという醍醐味もありますし。
143名無しさん@初回限定:04/01/11 00:44 ID:i1yDYBje
>>140おいおい。
異世界ファンタジー(?)風は完全に消し去られたのか?
それとも四つ目に含まれている?
どっちにせよ俺はその設定を支援するでつ。
今までの反対意見も含め、発言は素直に聞き入れますのでお手柔らかに。
144名無しさん@初回限定:04/01/11 00:51 ID:hE1A4I7R
鬼ごっこの場合は鬼は強力な人外、もしくはそれに準ずるキャラが必要だね
姉様・ランス・ウピエルetcといった感じで
14529:04/01/11 00:54 ID:du+H8CDc
しまった。昼だけ来る人に対して先に意見聞いておいても良かったか。
もちろん明日以降きくことにはなるだろうけど。

>>141
現状、参加人数を決めるとその枠の中で動きにくいかな、と思ったのですが。
後から来る人も出てくるでしょうし……
でも規模についても意見を頂きたいですね。

あ、主人公ヒロイン格のみを参加させて多数作品を参加させるか、
もしくは一つのゲームから多数参加させ、何作品かだけの世界を作るか、ということに関しても同時並行で意見をもらいたいです。

>>142
では、鬼ごっこ案も「バトルロワイヤルからは離れる」案に入れておきますね。

>>143
消えてないですよ。ただ形式としては「でかい組織とエロゲキャラの戦」に分類されると判断してました。
少し違いましたか?

>>143さんも含め、その他に分類されるような意見を思いついた方もどんどん発言願います。
146143:04/01/11 01:03 ID:i1yDYBje
>>145消えてませんでしたか。ごめんなさい。

>形式としては「でかい組織とエロゲキャラの戦」に分類されると判断
私的には>>52みたいにいろいろなチームが別々の目的で行動するっていう展開が
別々のスレで進行することを期待します。(無理でしたらあきらめまつ)
メインが対組織編になるというのには賛成します。
147名無しさんだよもん:04/01/11 01:25 ID:aKd8dABv
葉鍵から記念カキコ
148赤目 ◆RedEyeu6FA :04/01/11 02:10 ID:BI+TZ3vv
>145
各作品から何人かに一票。
世界を幾つも作るのは、収拾つかなくなりそうなので反対。

>146
支部スレを立てようと思ったら、避難所しかないと思います。
葱に立てたら、速攻で他から「我侭言うな、1スレ内でやれ、重複だろ」と一掃+速攻削除の可能性が高いですよ。
しかし、避難所見て下さいとかも、閉鎖的になると思うので、本編は、多少間際らしくても一本のスレでやって行きたいです。
アナザー等に関しては、避難所でもいいと思います。
14929:04/01/11 02:13 ID:du+H8CDc
さて、思ったよりレスが無いのは何故でしょうか?
答えは次のうち5つ。

1.土曜の夜は意外とこんなもの。もっと早い時間にやれ。
2.もっと同時並行で意見とっていかないと流れは止まる。
3.お前(>>29)の書き方硬すぎ。&レス多すぎ自由にやらせろ。
4.企画から煮詰めなおしているので今は仕方が無い。
5.もっと根源的な問題。

さて正解は?!

>>147
葉鍵板の方ですか?「から」ということはあちらに見られてます?
いえ看板と言う事はでかいですけどノンビリやってますから……


独断でageます。
150赤目 ◆RedEyeu6FA :04/01/11 02:17 ID:BI+TZ3vv
>149
被虐的ですが、単純に、葱の人口と職人の少なさと
更にその中でSS書き等に興味を持つ方が少ない。
そして、最後にこのスレタイと企画に興味を惹かれる人が少ないからだと_| ̄|=○
後、葱の流れ自体が、緩やかだっていうのもあると思います。
151名無しさん@初回限定:04/01/11 02:41 ID:Og6GHNnO
>>29
5と答えたいんだろうけど、ご愁傷様w
15229:04/01/11 02:57 ID:du+H8CDc
>>150
そうですか……すぐに解決する問題ではなさそうですね。

>>151
ネタっぽい書き込みとか一行カキコとかwとかいらんです。
……ちゅーか頼むよ意見言ってけよー
めちゃいい設定とか持ってんだろー


スイマセン引き続きageます
153名無しさん@初回限定:04/01/11 03:11 ID:GltrZyw+
企画名考えました

エロゲロワイヤル
葱板ロワイヤル
第二次エロゲ大戦
エロゲ戦記
154名無しさん@初回限定:04/01/11 03:14 ID:6Jv3Jqs4
なんていうかね、設定に拘り過ぎると書き手は逃げていくんだよ。
特にゲームスタートもして無いうちにグダグダ決めるのは最悪。
その間に人は減り企画倒れ、例え始まっても設定厨の巣窟。
29が本当にこのスレ動かしたいのなら、
名無しにでも戻って多少強引でも参加者名簿と第1話を書くべきだ。
155名無しさん@初回限定:04/01/11 03:58 ID:NIECz/o5
漏れもまぜてYO!!
156名無しさん@初回限定:04/01/11 04:17 ID:5dSOfacW
参加するゲームとかキャラは書き手に一任するってのはどうかね?
もともと書き手がいなければ始まらない企画なんだし。
だいたい書き手が上げられたゲームを全てやっているという保障もない。
強制的にプレイさせたりするのは論外だしな。
157地獄車 ◆Xoa6WeBjxs :04/01/11 04:57 ID:WFmVxNP3
記念パピコ

ゲーム「悪夢」に一票〜
紳一様と愉快なしたぼくたちはこの企画に最適の人材と確信します。
158地獄車 ◆Xoa6WeBjxs :04/01/11 05:00 ID:WFmVxNP3
そうそう、これはまったく個人的な忠告なんだけど、
「赤目」はNGワード推奨。こんなのが葉鍵板代表だと思われちゃ困るよw
159名無しさん@初回限定:04/01/11 05:15 ID:uYikGafs
あの葉鍵板の連中ですら完結できたことを、ネギの強者ができないはずねーべ。
160名無しさん@初回限定:04/01/11 05:58 ID:Og6GHNnO
意見言え、言われたのでちょっとだけ。

公正な立ち位置を守ってスレをまとめていきたいという気概を感じられる29氏には
凄く好感が持てるけど、真理としては>>154の言ってる内容が正しいかと思う。

ある程度意見を聞いたところで強引にでも始めないと、何時までも離陸できないままだ。
ずっと設定を練ってると縛りが大きくなりすぎて、自由に参加できるという気風も失う。
意見伺いはもうしばらく続けてもいいかもしれないが、何処かで踏み切らないと。

企画内容については、悪いけど具体的な意見は出せない。
多数のゲームを上手くまとめるアイディアが漏れにはないんで。
161名無しさん@初回限定:04/01/11 06:29 ID:UoyGeoLg
>>154に同意。
始まる前に設定を作ろうとしても必ず決まらなくてそのうち立ち消えになる。
運良く始動してもグダグダ。葉鍵板でそうなったリレー小説スレを数多く見てきた。
とりあえず何も決めないで第一話書いてそこからは勢いで押して行くしかないと思う。
参加者は書き手が好きに出してって一定人数(例:参加者100人・管理者10人)に達したら締め切る
とかそう言う方法で。ハカロワだって最初はネタスレだったんだし始めからリレー意識しすぎると失敗するよ。
162名無しさん@初回限定:04/01/11 08:54 ID:B05ZgD1D
確かに最初から設定でがちがちに固めちゃうのはいけないですね。
まあ方向性だけでも最優先に決めません?
ロワイアル形式にするかそれとも別なのにするか。
それぐらいは決めておいたほうが、書きやすいっていう人も増えるんじゃないか
と思いますが、どうでしょう?
163書き手紫零:04/01/11 08:57 ID:cDUqjDI7
>>161&その周辺様方が良い事言ったと思うのでカキコ。
とりあえず書いてみません?
使用ゲーム等については自分も>>161氏の意見に賛成。
書き手としては自分が得意(好き)なゲームを書くのが、書いてる本人もノッて書けると思うので。
大まかな話の筋とルールさえあればあとは書き手が押し出すことは可能かと。
それと、何か普通に意見とか発してますが自分、参加希望です^^;書けるのはCanvasのみですが(つд`)

164名無しさん@初回限定:04/01/11 09:02 ID:B05ZgD1D
じゃあ>>29氏の決定があったら、みなさん軽い海苔で参加しましょうか。
↑数人の方々に賛同
とはいえ、せめて>>140を決めないと、書き始めることすらできんのですが^^;
16629:04/01/11 09:48 ID:du+H8CDc
父さん、2chには本当に多くの人たちがいて……
必然的に、状況に翻弄されるような僕がそこにはいるわけで……


>>154以下の意見、しっかり頂きました。そりゃやきもきするわなw
自分としてもこの休み中には動きたいと思ってたんですけど。
(しかし、このペースでは到底間に合わなかったですね……)
では、また勝手をさせていただきます。

ただ>>162さんも言っているように、一応の形式決定だけはしたいと思います。
自分も今日は遅くまで外しているので
今日は>>140,(あと>>143>>146)とあるうち、どれがいいかを言ってもらうということで。
(どれでも書けるというわけではないですが、全体の書き易さ等で修正をかけます。
 意見の多いものを書けるようにはします。特にロワイヤル共闘かその他かははっきりさせておきたい)
どの形式に来ても書き出しはなんとかやりたいと思います。
大まかのルールも俺が出した後、書きながら磨き上げるということで。

それでは明日中に動きたいと思います。
167名無しさん@初回限定:04/01/11 09:49 ID:UZPA3PzU
自分も>>161方式で始めるのに賛成。

この手のリレーで必ず設定しておくべきなのは・目的 ・状況 ・制限の
三点だと思います。
バトロワの場合は「生き残る」「殺し合いをして最後の独りになるか、管理
に逆らい脱出」「支給武器ひとつ、首輪に逃走防止用の爆弾」ですね。

多作品バトロワということならば、支給武器のガイドライン(どの辺まで強い
武器を与えるか)、殺し犯しの扱い(ランスや臭作がカナ坊やアインを犯し
まくるのも可能なのか、瞬殺や転んで死んだはどの程度まで許すか)あたり
も考えた方がいいかもしれません。
168名無しさん@初回限定:04/01/11 11:15 ID:SKSK5A1H
とりあえず、ハカロワ書き手の赤目氏だと誤解させるような発言、ふるまいをしている
ここの赤目は消えろ
騙り煽りな上、特定サークル叩き野郎
169名無しさん@初回限定:04/01/11 12:07 ID:j21HfMMY
犯しはなるべくしない方向を提案。「犯しまくる」のはナシってことで。
エロゲみたいなエチシーンの詳しい描写は極力減らして逝きましょう。
そういうシーンは文の稚拙さが目立つ場合が多い。

・・・とボクはおもいました。
170名無しさん@初回限定:04/01/11 13:07 ID:GDsc1M5j
>>169
それはハカロワの605話に対する侮辱と受け取ってよろしいか?w
171赤目 ◆RedEyeu6FA :04/01/11 13:58 ID:BI+TZ3vv
鬼ごっこで
・バトルロワイヤルからは離れる(これまでのところダンジョン形式、学園祭、など)
に一票。

わざわざ出張してきた人は、ご苦労さんナッ ( ゚Д゚)y \_ ポロッ
そんなに逆燐に触れるようなまずいネタだったんですかね?
噛み付いたあほ来るまでは
私は、ここが同じようになるのが嫌だと言う主張をしただけなんですがね。
とっとと自分の巣にお帰りください。
と煽り帰して見る。
正義厨のようにスレを荒らしたい方は、ご返答をどうぞ。
あ、地獄車さんは、とっととゲーム作ってくださいよ。
ご自分の罪を棚上げして、私に言われてもな。
172名無しさん@初回限定:04/01/11 14:10 ID:h5Rg03Va
で、何がやりたいのですか?
個々の詰り合いを延々見せられるこちらとしてはもうそれだけで
やる気が削がれているのですけど

とりあえず聞きたいのは、いかなる形での運営になったとしても、
最後まで責任をとれるかという事なんだけど
例え一人になっても書きつづけることが出来るかどうかという覚悟ね
みなさんそれはおあり?
173名無しさん@初回限定:04/01/11 14:28 ID:xiGg6GNB
・・・・犯さないランスや臭作って虚勢済みなんですかね?
いっそ女だけにしますか?

登場人数を減らさない話の場合、最初から人数を少なめに
設定しないと破綻しやすいと思います。
100人とか絶対無理。

それから編集サイトをやる気がある人がいるかどうか。
これはとても大切です。
174名無しさん@初回限定:04/01/11 14:29 ID:/111a7cS
リレー小説に責任もクソもないと思うけどな。
実際大抵のリレー小説は最後行くまえに鎮火しちゃうものだし。
もう、29でも誰でもいいからさ、それなりの1話書いてみたら?
上手くネタ振りできたら、書き手さんもそれ拾って続き書いてくれるさ。
この調子で続けてると始まるのは2週間くらい先じゃなかろうか。
175赤目 ◆RedEyeu6FA :04/01/11 14:35 ID:BI+TZ3vv
>173
魅力的な野郎キャラや男が多い悪人出せないのは、面白み半減すると思いますよ。
序盤で速攻排他が多いなら、150人とかでもいいんじゃないでしょうか?
176名無しさん@初回限定:04/01/11 15:52 ID:UKUcVTYJ
>>173の最初は>>169への返しですか?
>>169の一行目を五回読んで十回書いたら逝ってよし。
177名無しさん@初回限定:04/01/11 16:15 ID:xiGg6GNB
あの人たちは犯しまくると思いますけど?
違いますか?
178赤目 ◆RedEyeu6FA :04/01/11 16:16 ID:BI+TZ3vv
ブラックアウトするもよし、描写してもよし
書き手に任せればいいんじゃないですか?
179地獄車 ◆Xoa6WeBjxs :04/01/11 16:57 ID:irstuARi
脳内ハカロワ関係者がキモイキモイ…
つーかソースも示さずにあの連中はこんなに汚い事やってるんですよーとか言われてもねえ。
赤目ちんの性根が曲がっている事くらいしか信じられませんよ。
つーかアレだ、ここはネギだから。俺と一緒に葉鍵板に帰ろうよ。な?
180名無しさん@初回限定:04/01/11 17:32 ID:DLhAQplv
しかし何でまた蒸し返すのかね
あんただって私怨でハカロワの話を持ち込んでることに気づけよ
181名無しさん@初回限定:04/01/11 18:19 ID:SKSK5A1H
赤目という、ハカロワの書き手がいるのよ。
んで似ても似つかぬ煽りのくせに、彼を騙ってる(あきらかにそう誤解されるようふるまっている)のが気に食わない。
182名無しさん@初回限定:04/01/11 18:32 ID:lJHWhD/5
自作自演乙であります
183名無しさん@初回限定:04/01/11 18:38 ID:McJQ9HqL
必死だな。
184葉鍵信者:04/01/11 18:53 ID:FZQm7V+J
よし、ここは、一つ>154を受けて、俺が脚本書いてみよう。

舞台は、ママトト(ままにょにょ)の世界。
異世界から勇者を召還するイデヨンが暴走して
世界各地にエロゲキャラたちが召還される。
それぞれ各国家に所属したり、徒党を組んだりして
元の世界に帰るために動くものたち。
それとは別に暗躍する方々。
等など、やっていくのはどうだ!?
ファンタジーも兼ねてるぞ!
185名無しさん@初回限定:04/01/11 19:21 ID:NNBT0bTq
>>179
スタロワを作ったお前なら出来る。
企画クラッシャーの汚名を返上しろ。
186名無しさん@初回限定:04/01/11 20:13 ID:d3ORIU7X
ごめん。
>>184さん。
俺ママトトもままにょにょも未プレイなんで、この企画から降ります。
どんな世界なのかも知らない者が書けるとは思いませんので。
>>184さんの後に続けるのなら、これから先私はこのスレを暖かく
見守り続けます。
ガンガレガンガレ!
187葉鍵信者:04/01/11 20:25 ID:FZQm7V+J
あー、じゃぁ改良しよう。

物語の発端は、ママトト(ままにょにょ)の
異世界から勇者を召還するイデヨンが暴走して
舞台となる異世界なり島なりにエロゲキャラたちが召還&飛ばされる。
それぞれ徒党を組んだりして
元の世界に帰るために動くものたち。
それとは別に暗躍する方々。
その世界に何かを求めるものたち。
楽園を求めるものたち。
今回の事件の裏に潜む黒幕。
等など。
これでどうだ!?
188名無しさん@初回限定:04/01/11 20:30 ID:kRiXYGvj
一生やってろ
189名無しさん@初回限定:04/01/11 20:36 ID:Hmc6BGed
何らかの原因で舞台となる異世界なり島なりにエロゲキャラたちが召還&飛ばされる。
それぞれ徒党を組んだりして
元の世界に帰るために動くものたち。
それとは別に暗躍する方々。
その世界に何かを求めるものたち。
楽園を求めるものたち。
今回の事件の裏に潜む黒幕。


わざわざアリスネタから始めなくても、これでいいじゃん。
190葉鍵信者:04/01/11 20:38 ID:FZQm7V+J
>189
いやー、イデヨンがいい感じで使えると思ったんだ。
元の世界に帰る方法とか予め解ってる奴一人くらいいてもいいかなと思ったのだよ。

じゃぁ、ママトトの部分抜かして、俺の案でいいんですかね?
191名無しさん@初回限定:04/01/11 20:43 ID:hlzkn57s
葉鍵信者ってSS書くの?
192葉鍵信者:04/01/11 20:56 ID:FZQm7V+J
>191

           / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
         /           \
         /              ヽ 
   / ̄\ l      \,, ,,/      | 
  ,┤    ト |    (●)     (●)   |  勿論、書くよ!
 |  \_/  ヽ     \___/     |  (言ってやった、言ってやった)
 |   __( ̄ |    \/     ノ
 |    __)_ノ   
193元バトロワSS書き:04/01/11 21:02 ID:Cav7lgZI
基本は>>189でいいんじゃなかろうか。
あとは登場する面子だわな……200番をスタート地点にして、300までに書かれたキャラを
参加者にしてみるか?
194葉鍵信者:04/01/11 21:06 ID:FZQm7V+J
>193
それやるなら、最初に制限人数決めて
書き手がどんどんキャラ出していって、制限人数達したら打ち切りってどうよ?
一回に増やせるのは、何人とか規制してさ。

処でバトロワ書き手さんって葱の?
だったら、俺、あれ好きだったんだけど、できるならあの続きも書いてよ。
195書き手紫零:04/01/11 22:40 ID:cDUqjDI7
>>189氏の提案・・・いいですねw
しかしながら”何らかの原因”の提唱と不確定要素盛りだくさんの未開ルールが第1話の書き手にはプレッシャー^^;
自分では無理っぽいので書き出し者(>>29氏?)待ちw

そういえば今現在参加(予定含む)者ってどれくらいいるんでしょうね^^?
196名無しさん@初回限定:04/01/11 22:45 ID:/111a7cS
ここに居る数字含むコテハンはなんでこう厨っぽいのばっかりなんだろう…。
197葉鍵信者:04/01/11 22:46 ID:FZQm7V+J
んじゃー、俺の提案から189がママトト抜いた(だけとも言う)

何らかの原因で舞台となる
異世界なり島なりにエロゲキャラたちが召還&飛ばされる。
それぞれ徒党を組んだりして
元の世界に帰るために動くものたち。
それとは別に暗躍する方々。
その世界に何かを求めるものたち。
楽園を求めるものたち。
今回の事件の裏に潜む黒幕。


んで、FAかね?
第一話プレッシャーかかるんなら、言い出しっぺの俺やるよ。
198名無しさん@初回限定:04/01/11 22:59 ID:hlzkn57s
暇そうだからログ倉庫作ってほしいな。
19929:04/01/11 23:07 ID:du+H8CDc
>>ALL
大変すいません。今更の感がありますが自分はここで抜けさせていただきます。
2chでやるには拙いやり方だったなとは思いますが、自分にはこういうやり方しかできそうにないです。
これからは、この企画(といっても何も決められなかったようなもんですが)が成功するよう
影ながら応援させていただきたいと思います。
頑張ってください。それでは。
200葉鍵信者:04/01/11 23:27 ID:FZQm7V+J
>198
垢と作成ソフト買う金くれたら、作ってもいい。

>199
あjsk。
じゃー、攻めて書き手として残ってくらはいよ。
あなたくらい意欲ある人が消えるのは、このスレにとって非常に惜しいと思うんデスヨ。


それじゃ、29氏の意思を引き継いで、原案の責任取って、俺が軌道に乗るまで指揮と第一話やるぞ!
第一話、一時間後くらいには上げるから、どんどん書ける奴が継ぎ足して段々構築していけばいいべ。
んじゃ、人数制限は、一回十人までで一時募集は、ハカロワに習って100まで。
その後は、適当に数十話に一回一人追加OKとか制限つけて、随時追加していけばいいだろ。
ぐだぐだ文句言う前に書き殴るという根性を持とう。
201初芽:04/01/11 23:55 ID:TD0rrr5S
久しぶりに見たら進んでるっすねー一度過去に出た形式集めてそれん中で
集計してみたらどうかな?>>29さん
キャラは形式の後のほうが舞台のついた妄想でよりリアルに選べると思う
んだよ。
己の萌えやリビドー任せに書くわけじゃ無くなるだろうしさ
202名無しさん@初回限定:04/01/12 00:07 ID:uIE/74ZI
まじめな奴ほど、赤目みたいな厨がコテになってしまってるようなスレからは逃げるよ・・・
203名無しさん@初回限定:04/01/12 00:12 ID:GU+oX5IH
な?だから言ったっしょ
葉鍵が仕切るとロクな事ねえべ。

折れもパ〜ス!
204葉鍵信者:04/01/12 00:15 ID:xU0fKfgz
>201
29氏じゃねーけど、辞退しちゃったから俺が引き継ぐよ。
細々決めるより、ネタでもいいからどんどん書いて行った方がいいと思うぞ。
超先生が黒幕とわかった瞬間速攻超が死ぬとかそういうのでもいいじゃん。
そっから次に繋げてけばいいんだからさ。

ちなみに俺原案に今ん処、名無しと書き手コテと俺入れて四票。
205名無しさん@初回限定:04/01/12 00:17 ID:LT5hFer0
ロワイアルに拘るから幅が狭くなる。

メーカー毎に徒党を組んで国(領土)盗り物語。
同メーカーでも思想が合わない場合は犬猿の仲もあり。
悪司や鬼畜王のように捕虜にしてこますこともあり、殺すこともあり、
仲間になることもあり。
まーゲームであったら面白そうだなーってのを。
206名無しさん@初回限定:04/01/12 00:19 ID:pNIwkN9Z
俺でよければ俺なりに書いて見るさ、というわけで参加表明
背景も>>187の案でいいよ
で、登場メーカー・ゲームについては>>137に準ずるのね

本当はライアーソフトを出したかったところだけどね
207名無しさん@初回限定:04/01/12 00:19 ID:LT5hFer0
そうするとだ。
夢の伊頭兄弟トリオで総出演とか可能じゃないか。
208名無しさん@初回限定:04/01/12 00:20 ID:pNIwkN9Z
ただキャラが減らないとどうしても回転が悪くなる
とくに100人超えるような場合なんて・・・・
209名無しさん@初回限定:04/01/12 00:26 ID:DpcQCOpR
だめだ。設定厨ウザすぎなんで辞退します。
210葉鍵信者:04/01/12 00:37 ID:xU0fKfgz
>206
おお、更に一人ゲッツ。 thxこ。
メーカー・ゲームは、無理に>.137に準じなくてもいいと思うよ。
自分が必要と思ったキャラを出していけばいいんじゃない?
211名無しさん@初回限定:04/01/12 00:42 ID:8uQL9T60
杏里・アンリエッタみたいなレズは面白いかもしれないな。
212葉鍵信者:04/01/12 00:50 ID:xU0fKfgz
短いけど、冒頭になる第一話書き終えた。
決定って事ではなくて、試作って事で投下しますわ。
2131話:04/01/12 00:53 ID:xU0fKfgz
 見つけた。
 これこそが余の願いを叶えるべきものなのだ。
焦る事はない。 まだソレの完成には時間がかかる。
ここまで待ったのだ。 長い年月で廃れ行く中、やっと夢を実現させる事のできる代物。
この機会を逃す手はない。
 まだ時間はある……。 その間により計画を完璧なるものへとする為に。



 「う、あ…………」
 意識がふらふらとする。
目の前の風景がぼんやりとしてるのが解る。
衝撃の際に頭を強くぶつけたらしい。
 「ここは……。 私何で……」
意識を失う直前までいた場所とは、うって変わった風景に彼女は困惑した。
 「ダメ、頭が痛い……」
 (そうだ、イデヨンを起動させようとしたら暴走して……)
 ぐったりと木に持たれかかると彼女は、そのまま再び意識を失った。
彼女の名は「アービィ」と言った。



2141話其の二:04/01/12 00:55 ID:xU0fKfgz
 闇の中、揺らめく影が水晶をじっと見つめていた。
 「失敗したか……。 どうやら全く魔力のない招かざれる者達もいるようだな」
 「あらあら、口ほどにもないわね……」
 もう一つ、影が水晶の前に浮かび上がった。
 「どうするのかしら? 要らないのは、私の贄にしてもよろしくってよ?」
 「初音か……。 間引く……。 力のないもの、目覚める事の出来なかった者は淘汰し、そしてその命を力と変え新たなる者の召還を……」
 「あら、勿体無い……」
 クスっと笑いながら言う彼女の姿は、実に妖艶だった。
 「いやいや、総帥、多少の犠牲は必要というものですよ」
 更に新たなる影が二人の前に姿を現した。
 「その役目、この私、ケルヴァンが仰せ仕りましょう」
 「頼んだぞ……。 余は、魔力の回復の為にしばらく瞑想に入る。 次なる者の召還も考えねばならんしな」
 「力の提供も終わったし、私は、好きにやらせて貰うわ。 安心して、あなたたちの邪魔はしなくってよ」
 「では、早速私は、部下の魔物達に命令を……」
 会話が終わると三つの影は、順に闇の中へと姿を消していった。


登場人物
意識失ってた女 アーヴィ@ママトト@(アリスソフト)
黒幕1 闇魔法学会総帥ヴィル・ヘルム@メタモルファンタジー(エスクード)
黒幕2 比良坂初音@アトラク=ナクア(アリスソフト)
黒幕3 ケルヴァン@幻燐の姫将軍1と2(エウシュリー)
215葉鍵信者:04/01/12 00:59 ID:xU0fKfgz
投下するとなんか稚拙に思えてきて恥ずかしくなるな。
一時間足らずしか費やせなかったもんな。゚(゚´Д`゚)゚。
アーヴィなのをアービィって本文中に書いてるの投下してから気づいたよ。
216B.F.:04/01/12 01:08 ID:ol2qqd+B
ごめん、俺書いたんだが、>>213とはあまり関係のない始まりになっちまった。
駄目だったら飛ばしてくれていいです。
それと、一行空けて書くのうざかったらやめるから言って。
では。

[淡い光に包まれて]


「はい。じゃあ今日の診察は終わりましょう」

 カルテに診察内容や出す薬の種類、量などを書きながら、僕は目の前の老人に言った。

「ただの風邪ですからすぐに治りますよ。一応お薬出しておきますね」

「ありがとうございます。先生」

「いえ、お大事に〜」

 柔和な笑顔で出て行った老人を見送り、僕は大きく伸びをする。

 ただ今の時刻、P.M.5:00……。今日はもう患者さんも来ないだろうな。

 そう思うと僕は椅子から立ち上がる。

 ……僕の名は雅文(まさふみ)。一年ほど前にこの街に越してきて、開業医を営んでいる。

 この辺は、少し前に大きな総合病院ができたところで、僕の診療所に来る患者さんは少ない。

 今日も今日とてギリギリ二ケタ、ってとこかな。

 まあ、まだお客さん(普通客とは言わないが)が来るかもしれないから、のれん(そんなものはないが)は掛けたままにしておこう。
217B.F.:04/01/12 01:10 ID:ol2qqd+B
 ふと、二階の病室にいる二人の患者が頭に浮かんだ。

 一人の名は朝倉ゆうなちゃん。もう一人は朝倉まいなちゃん。……双子の姉妹だ。

 彼女たちに会ったのは、ちょうどこの街に越してすぐのことだった。

 ちょっと買い物に、と出かけたところ、ある家の前に二人の女の子がいた。それが彼女たちだった。

『どうしよう? どうしよう? ……おかあさんが!』

 おろおろしていた二人に声を掛けると、お母さんが倒れたとのこと。

 ただの軽い脳しんとうだったため、大事には至らずに済んだ。

 ……この出来事をきっかけに、朝倉さんとは仲良くさせてもらっている。

 おとなしくてのんびり屋さんのゆうなちゃん。

 ちょっと気が強くて活発なまいなちゃん。

 二人は僕のことを『おにいちゃん』といって慕ってくれている。

 ……後に二人は、僕の診療所に入院することになった。大きな病院の方が設備もいいのに、近いから、なんていう理由で入院させる場所を決める朝倉さんものん気なもんだ。

 まあ、今では大分良くなってきたから、退院の日も近いだろう。
218B.F.:04/01/12 01:10 ID:ol2qqd+B

 ……そんなことを考えていると、二人の病室の前まで来ていた。

 ノックをする。

「ゆうなちゃ〜ん。まいなちゃ〜ん」

 ……返事がない。おかしいな? 確かにいるはずだけど……。

「ゆうなちゃ〜ん! まいなちゃ〜ん! 入るよ〜!」

 そっとドアを開け、わずかな隙間から中をのぞき込む。

 ……? 明かりはついている……ってことはいるはずだ。退屈すぎて寝ちゃったんだろうか? 変な声が聞こえる。寝言だろうか?

「もう、仕方ないな〜」

 そう言ってドアを全開する。

 僕の目に飛び込んできたのは……床にはいつくばって苦しそうにうめいている、二人の姿だった。

「ゆ、ゆうなちゃん! まいなちゃん!」

 僕は慌てて二人に駆け寄り、二人に声を掛けた。

「お、おにいちゃん……」

 答えたのはまいなちゃんだった。

「ま、まいなちゃん! 一体どうしたの!?」

 まいなちゃんは苦しみながら必死に口を動かす。
219B.F.:04/01/12 01:12 ID:ol2qqd+B

「わ、わからないわ……。急にからだが痛くなって……」

 僕は思い出したように二人の脈拍を調べる。……二人とも異常に脈拍数が高かった。特にゆうなちゃんのは早すぎて脈が取れない。

「おにいちゃん……。わたしたち、どうなっちゃったの……?」

 ……わかるはずがなかった。こんなの初めてだ。

「と、とりあえず、下の診察室に!」

 僕は二人を背負い、あせりながら階段を降りていく。

「ねえ、おにいちゃん……。ゆうなちゃん、大丈夫だよね……? おにいちゃんが治してくれるよね……?」

「……もちろんさ」

 ……そうだ。僕は医者だ。……必ず二人を……助ける。
220名無しさん@初回限定:04/01/12 01:14 ID:ol2qqd+B
 ……診察台の上ではいまだ二人がうめいている。

「……はい。そうですか……。いえ、お忙しいところ失礼しました」

 ……僕は受話器を置いた。知り合いの大学病院の先生でも分からない、か……。

 苦しんでいるのをただ見ているだけなんて……何が医者だ。

 あれから僕は二人を診察したが、思い当たる原因もなく、尿も便も検査したが、無駄に終わった。

 二人のお母さんに連絡を試みたが、あいにく留守のようで、電話には誰も出なかった。

「くそっ!」

 机を力いっぱい叩きつけた。何もならないことは分かっている。分かってはいるが、自分の無力さを責めずにはいられない。

「おにい……ちゃん……」

 まいなちゃんがまた僕を呼ぶ。ゆうなちゃんはただずっと苦しみ続けている。

 そうだ……。僕があきらめちゃ駄目だ。

 何か……。何か手があるはずだ……。

 と、急に机の上のカルテが淡い赤で照らし出された。……光っているのはカルテなんかじゃない。

 振り向くと、ベッドの上のゆうなちゃんが桃色の光に包まれている姿を目にした。

「ゆうな……ちゃん……?」
221B.F.:04/01/12 01:16 ID:ol2qqd+B

 信じられないことに、今まで身じろぎすらできなかったゆうなちゃんが、よどみない動きですっくと立ち始めた。

 僕をひたと見据えて離さないその眼は、ゆうなちゃんのものではなかった。

「……共に……行かん」

「え?」

 発せられた声はゆうなちゃんの口から出てはいたが、全く別の声だった。

 刹那。

 診察室は、淡赤色の光に包まれていき……

 僕は気を失った。


【雅文・朝倉ゆうな・朝倉まいな、異世界にワープ】

 雅文は医療用具の入ったカバン所持でいいよね?
 誰かがんばって続けて。
 ちなみに220も俺ね。
222葉鍵信者:04/01/12 01:22 ID:xU0fKfgz
>>B.F.氏
うわ、レベルたかっ。
十分繋げられるし、OKだべ。
俺も精進しないと!
223B.F.:04/01/12 01:22 ID:ol2qqd+B
言い忘れたけど全員、「はじめてのおいしゃさん」(ZERO)の人物なので
念のため。
224名無しさん@初回限定:04/01/12 01:30 ID:LT5hFer0
リレー系は馴れ合いになると駄作になんぞ。
225B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/12 01:40 ID:ol2qqd+B
トリップ装着。シャキーン

何度もカキコしてすまんが、雅文の苗字知っている人いたら補完よろ。
226名無しさん@初回限定:04/01/12 01:44 ID:aZI2LQrZ
このスレもうだめぽ
227名無しさん@初回限定:04/01/12 02:03 ID:m+lAUZNP
              ☆ チン     マチクタビレタ〜
                         マチクタビレタ〜
        ☆ チン  〃 ∧_∧    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
          ヽ ___\(\・∀・) <  赤目たんまだ〜
             \_/⊂ ⊂_ )    \_________
           / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /|
        | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
        |.有田みかん. |/
228名無しさん@初回限定:04/01/12 02:14 ID:pNIwkN9Z
森の中で激しい戦いの音が聞こえる、
一方はセーラー服の妖艶な美少女…比良坂初音と、
もう一人はショートヘアの勝気な表情のこれもかなりの美少女だ。

キンキンと金属がこすれるような連続した音が聞こえる、剣のように伸びた初音の爪が執拗に
少女の服を斬り裂こうと襲いかかっていく、だが少女も自らの手に握った刀でもって必死の抵抗を試みていた。
「ねぇ…大人しくなさいな、ふふふっ」
容赦の無い攻撃を繰り出しつつ、言葉でも少女を詰る初音、その瞳は正視すれば正気を失うほどの
禍禍しい光に満ちていた、だが…
「魔眼か…だが俺には通用しないぜ」
少女はキッと眦を吊り上げて不敵に言い返す。
「まぁ!可愛い女の子がそんな乱暴な言葉遣いはいけないわよ」
自分の魔力が通じない、何故?内心に生じた焦りを押し隠すように、やんわりと少女を嗜める初音。
そこに一瞬の隙が出来る、それを見逃す少女ではなかった。
少女は初音の眉間めがけ手にした刀を投げつける。ぎらりとした刀身の光が初音の視界を遮る。
そして初音が視線を戻したときには少女の姿はどこにも無かった。

折角の獲物を逃がしたというのに初音の口元には妖艶な笑みが浮かんでいる。
面白い…狩りは獲物が抵抗すればするほど面白いものだ。
普段、無抵抗な人間を嬲り殺すことこそ、この世で最高の快楽と公言してはばからない初音といえども、
久々に心が沸き立つのを感じていた。

「ふふふ…必ず手に入れてみせるわ、それまでは今しばらく時間をあげる…くくっ、うふふふ」
229名無しさん@初回限定:04/01/12 02:16 ID:pNIwkN9Z
一方、そこからかなり離れた砂浜の岩場で、ぜいぜいと息を荒げる少女の姿があった。
「牝グモ風情が俺に手を出そうだなんて100年はえーんだよ!」
少女がイライラとした口調で悪態をつく、だがそれは自分以外の誰かに向けられたような感じがした。
すると少女の脳裏に声が響く。

『ありがと…ごめんね、いつもいつも』
「気にするな、そういう契約だ、それに俺はお前でお前は俺なんだからな、郁美…これからも」
そこまで言ったところで少女の体ががくがくと痙攣しだす。
「そんな…まだ早い…」
そううめくような言葉を吐いたかと思った瞬間、少女の先程までの勝気な表情は消えうせ
打って変わっておどおどと弱気な表情になってしまった、これはどういう事なのだろうか?

少女の名前は小野郁美、ただし彼女には秘密があった。
そう、彼女の肉体にはもう一つの精神が宿っている、その正体は魔界の鬼にして将軍
名前は良門と言う。

彼がひょんなことから人界に落ち、郁美と契約を交わしその肉体に憑依してから、
もうかなりの時間が経過していた、途中色々なことがあったが2人はそれなりに上手くやってはいた。

いきなり表に出てきた郁美は、救いを求めるように頭の中で良門に呼びかける。
荒事ならお任せの良門と違い、自分はただの女子校生に過ぎないのだ…。
最初のころは片方が表に出るともう片方は深い眠りについていたのだが、最近はある程度の意志疎通なら
出来るようになってきている。
郁美は必死で良門を呼ぶ、やがて…
230名無しさん@初回限定:04/01/12 02:17 ID:AH6YLVej
『ちくしょう…力が抜ける…しばらくは表に出てはこれないかもな』
『いいか…あの女には絶対に近づくな、あいつは俺と同じ魔界の者だ』
絶え絶えの声で良門は郁美に話しかける。
「そんな、あなたがいないと私」
郁美の目からぽろぽろと涙がこぼれる、最初は自分が2重人格になったのではないかと悩んだものだが
今では良門はかけがえのない相棒といってもいい。

『郁美…お前なら大丈夫だ、共に過ごした俺が言うんだ、自信を持て』
『もう…駄目だ…意識が…がん…ばれ』
うめくような声を最後に、それからいくら呼びかけても、
郁美の頭の中に良門の声が再び聞こえることはなかった。

「……」
どれくらいうつむいていたのだろう、彼女の脳裏では今までの日々が浮かんでは消え、浮かんでは消えていった。
「本当に私、頼ってばかりだ…」
そうだ、今度は自分が彼を助ける番だ、泣いてばかりもいられない。
自分がしくじれば、自分だけではなく良門も死ぬことになってしまうのだ。
「私頑張るから…早く起きてね」
そう強く言って立ちあがり歩き出す郁美、何時の間にか頬を流れる涙は止まっていた。

登場
【小野郁美@Re-leaf@(シーズウェア)】
231名無しさん@初回限定:04/01/12 02:18 ID:AH6YLVej
つーわけで俺も投稿
こんなマイナーキャラだして大丈夫かいなとおもいつつ・・・
232名無しさん@初回限定:04/01/12 02:33 ID:QjXXaGTT
余計なお世話かも試練が、葉鍵板のリレー小説総合スレから
リレーSSを成功させる原則を抜粋しとく。

1、ルールを単純にする。
2、一度作ったルールはよっぽどのことが無い限り例外を作らない。
3、終了条件を明確にする。
4、キャラを出しすぎない。
5、新キャラを出すより既存のキャラを活かす。
6、全く新しい展開を作るより、既存の話を活かす。
7、オリキャラを乱造、大活躍させたりしない。

こんなところっす。良かったら参考にしてくださいな。
233雪板から来ますた:04/01/12 03:05 ID:rL6NMTDD
>>225
上村。
234書き手紫零:04/01/12 09:53 ID:OnXcwFsq
ピンポーン・・・・・・

<はい?どなた様でしょう?>

いつもの様にインターホンを押すと、これまたいつもの様に決まった返事が返ってきた。
「あ、大輔ですけど・・・。」

<あら、おはよう。ちょっと待ってね、今、鍵開けるから。>

「おはよう大輔ちゃん。ごめんなさいねぇ、いつもいつも・・・天音ったら私がいくら起こしても全然起きてくれないんだから・・・」
少しの間があって玄関先に現れた天音のおばさん。
そのいつもの小言に軽い笑いを返しながら俺はその横をすり抜ける。
「じゃあ、起こしてきますね。」
さっさと2階に上がってしまわないとまた「こんなんじゃお嫁の貰い手が〜〜」などと始まりかねない。
朝早くから長々と話している暇など、おばさんには悪いがなかった。

コンコン・・・

一応ドアをノックして一言。

「天音ぇ〜朝だぞぉ〜。」

・・・当然ながら返事など皆無だ。
「入るぞ〜。」

「天音っ!?」
235書き手紫零:04/01/12 09:54 ID:OnXcwFsq
――開け放たれた窓。
――乱雑に散らばった本。
吹き込む風に、カーテンがバタバタとその身を揺らしている。

いつも見慣れた天音の部屋とは明らかに異なっていた。
「天音っ!」
「一体どうしたの・・・?えっ!?天音っ!!」
騒ぎを聞いておばさんが部屋に入ってくると、表情が凍りつく。
「ちょっと、周り見てきます!」
俺は脱兎の如く駆け出した。
階段を一気に駆け下り、表へ出る。
(まさか2階から下に?馬鹿な・・・。)
仮にも運動神経がいいとは思えない天音がそんな無茶をするわけがなかった。
(だとしたら・・・天音・・・・・・)
誘拐される理由も見当たらないが、最悪の場面が脳裏を掠める。

「大輔ちゃん、どうしたの?」

自分の家の前まで来たとき、ちょうど隣の家から悠姉さんが出てきた。
「悠姉さん!天音、見なかった!?」
「えっ?橘さん・・・?」
悠姉さんは一瞬、悩んだようにしてから口を開いた。
「えっと・・・確か御薗神社の方にフラフラと・・・・・・。」
「御薗神社?分った、ありがとう悠姉さん。」
「あっ、待って!私も行くわ!!」
「悠姉さんはいいよ・・・嫌な、胸騒ぎがするんだ。」
俺の言葉に悠姉さんは真剣な眼差しをこちらに向けた。
「教師が生徒を放っておけるわけないじゃない。それに・・・大輔ちゃんに何かあったら私・・・・・・。」
こういう時の悠姉さんはテコでも動かないことは十分に判っている。
「解ったよ・・・。」
236書き手紫零:04/01/12 09:56 ID:OnXcwFsq
「天音!!」
境内に駆け込むと、視界に撫子学園の制服が飛び込んできた。
「天音!しっかりしろっ!!」
一目で天音の様子がおかしいのが見て取れる。
ぼんやりした瞳が虚空を彷徨い、足取りも立っているのが不思議なくらい不安定だった。

「離れて下さい。」

ゆっくりとした、それでいて強い意志を持った言葉が投げかけられたのはその時だった。
「百合奈先輩・・・?」
普段からは考えられない巫女姿の百合奈先輩は続けざまに告げる。
「呼びかけにも・・・何の反応もありません・・・。それに――」
「――それに?」

「”呪い”の力を感じます。」

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・大輔ちゃん走るの速い・・・。」
悠姉さんがようやく俺に追いついて境内に入ってきた。
「”呪い”って・・・そんな事で天音が・・・。」
信じろ、というほうが難しい。
だが、百合奈先輩が言うと本当のような気がしてくるから不思議だ。
「天音、いい加減に目を覚ませよ。遅刻しちまうぞ?」
普段のように声をかけてみるが当然、反応はない。
237書き手紫零:04/01/12 09:58 ID:OnXcwFsq
いや――反応は、あった。

ゆっくりとした動作で振り向いた天音の口から、明らかに異質な声が漏れる。


「……共に……行かん」

「えっ?」
その場にいた全員が同じ言葉を発した瞬間だった。

天音が、悠姉さんが、百合奈先輩が・・・
一瞬にして視界が眩い閃光の中に投げ出された。

・・・エレベーターが動き出したときのような軽い浮遊感。

一種、美しいような光の中で、俺はそのまま意識を失った――。



登場
【麻生 大輔・橘 天音・篠宮 悠・君影 百合奈@Canvas〜セピア色のモチーフ〜@(カクテルソフト)】

B.F.氏の単語を一部引用しますた。迷惑だったら申し訳m(_ _)m
238書き手紫零:04/01/12 10:30 ID:OnXcwFsq
登場人物のみまとめ。いつまで更新追いつけるかわかりませんが^^;

ttp://www.h5.dion.ne.jp/~p_force/negi.htm

自分社会人なもんで平日は夜間以外更新できません;;誰か「んじゃあ漏れがやったるぜ!」って方いましたらよろ^^;
239名無しさん@初回限定:04/01/12 10:32 ID:AYlesqeS
いきなり召喚シーンから書かないといけないわけ?
というか何をすればいいの?
240名無しさん@初回限定:04/01/12 11:07 ID:a93ug8ht
召喚シーンなんか省略しろよ
241名無しさん@初回限定:04/01/12 11:25 ID:JgXdnNnM
流石にキャラを出すだけじゃね
島で何をすればいいのかという目的だけは提示してほしいな、でなければ動けない
これは早いもの勝ちでいいと思う、ロワならロワ、サバイバルならサバイバルで

それと登場人物の上限もね、あと召喚シーンは省略したほうが・・・・
どうしても書かないと納得が出来ないのなら仕方ないけど
242名無しさん@初回限定:04/01/12 11:28 ID:043WA7sY
召還シーン書いてたら100人出すならそれだけで単純計算で100話になるぞ
ハッ!それで話数を稼ぐ作戦か!
243名無しさん@初回限定:04/01/12 12:07 ID:a93ug8ht
とりあえず枠決めるか
244名無しさん@初回限定:04/01/12 12:08 ID:a93ug8ht
F&C 15
アリス 15
エルフ 15
VA系列 20
age 5
ねこねこ 5
TYPE-MOON 5
その他 20

とか
245名無しさん@初回限定:04/01/12 12:59 ID:GszqZ5bV
だから枠なんて決めんでええっちゅーねん。
246名無しさん@初回限定:04/01/12 13:35 ID:6M1/RXBv
最大人数と目的だけは早急に決めた方がいいな
でないと際限なくキャラが増えつづけた挙句、ただ右往左往するだけの
駄作になってしまう

それとメーカーによる枠組には不賛成
あくまでも書き手のニーズに任せるべき
247B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/12 13:59 ID:cbuGSICY
>>233補完dクス

召喚シーン省略せよとの意見がありますが、私もほとんど
省略してかまわないと思います。
ただ、登場キャラが元々どういう人たちだったのかという説明を入れるのには
元の世界での語りのなかが一番自然かなと思ったのでそうさせてもらいました。
残りの大多数の人物は、異世界に飛ばされた後からの話で全然オーケーでしょう。

>>237他者の話からの引用は当然問題ないと思います。全員が書き手なんですから。
それにあのセリフが実は重要な意味を持っているんじゃないか……なんて想像もでき、
話が続けやすくもなったかも知れません。
私は何も考えていませんがねw

……なんか私が勝手に決めているような雰囲気になって申し訳ない。
はじいしゃで始まる物語なんて_| ̄|○
これからもときたま投下するかもしれんので、適当によろしこ。
248書き手紫零:04/01/12 15:52 ID:OnXcwFsq
>>B.F.氏
Thxです。あの台詞あるとなんとなく締まる感じがしたもので。
召喚シーンについても自分はB.F.氏と同じような理由ですね・・・。
自然さが出ると思いましたし、これからの行動に対して解りやすくなるかな、と。
249名無しさん@初回限定:04/01/12 16:35 ID:hg00f+9D
>>244
型月に枠とりすぎ
250名無しさん@初回限定:04/01/12 16:38 ID:a93ug8ht
>>246
>それとメーカーによる枠組には不賛成
>あくまでも書き手のニーズに任せるべき
その意見はもっともなんだが

書き手に全面的にキャスティング等任せたとすると
どマイナーなキャラを大量投入する香具師が出かねない
それじゃ読むほうもつまらないし書くほうも書きづらいと思う
251葉鍵信者:04/01/12 16:45 ID:xU0fKfgz
(ノ゚Д゚)おはよう

>241
じゃ、俺の次は黒幕側の目的とルール込みから書き始めてしまっていいかね?
この流れだと舞台は、島ってことでいいか。

>242
>200
取り合えず、一回10人まで上限100に設定したが他に案あるならpls。

>250
読み手に任せると、読み手しか知らないキャラの投下をされるのが一番困る。
むしろ、読み手に任せた方が、漏れは、とんでもないの大量投下するネタ師が出そうで怖いわ。
書き手の場合だと、少なくともそのキャラは出した書き手が書けるという最低限の保証あり。
252B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/12 16:47 ID:vUhrkJD3
また書いたんで投下してもよろしい?
「それは舞い散る桜のように」はマイナーじゃないよね?
253B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/12 16:52 ID:vUhrkJD3
 [桜の花はまだ咲かず]

 ……いやあ。今日もすがすがしいほど晴れ渡った曇り空だ。
 これもこの、地上に降りた堕天使こと桜井舞人(さくらいまいと)くんの日頃の行いの成果にちがいない。
 ……背中には緑色に生い茂ったなんかの草。高く伸びた気になる木々が、重い空を円形に切り取っている。

 さて、と……。
 ここ……どこ……?

 いやいや迷子ではありませんよ、そこのお嬢さん。
 ある日舞人くんは、いつものように街外れの小高い丘に散歩しに行きました。
 そしたら気を失いましたとさ。めでたしめでたし。

 仰向けの状態から、上体を常態に立て直す。……周りには見慣れない森が広がっていた。
 ……はは〜ん。これは、あれだな。『壮絶! 第三回舞人くんドッキリポックリ大作戦!』
 このイベントで何度死に掛けたか……。ホントにこんないたずらはもうずっと待ってました!
「お〜い! 相楽山彦(さがらやまひこ)殿下〜! お前は完全に包囲されている! 早く出てこないと俺のマグナムが火を噴くぜ〜!」
 ……し〜ん……。
 そうか、そっちがその気ならこっちも……。
「てりゃ〜! 桜井舞人死ね〜!」
 がこ〜ん。
「あ」
 ……ぐわ、頭が……。
 ……今行きます。天国のおふくろさん……。
 ………………
254B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/12 16:54 ID:vUhrkJD3

「いや、ごめんごめん。ここはこの世界がうらやむ美少女、八重樫(やえがし)つばさちゃんに免じて許してあげて」
「ぷ、ぷじゃけるなよ!? お前、あれだ! うっかり、死んでもいないおふくろに天国でヤキいれられるとこだったぞ、コラ! 快く許しましょう」
「あははは。ま、わざとじゃないんだから当然でしょう」
 ……こ、こいつ。さっき思いっ切り俺の名を叫んで、死ねとまで言ってなかったか……。
 この八重樫つばさは、俺の通う桜坂学園の、同じ二年坊だ。八重樫とは入学以来の付き合いで、ずっと同じ屋根の下で授業を受けている。
 馬鹿話においても気が合い、ほぼコンビのような阿吽の呼吸が完成されつつある。……が、学業成績が常に学年トップなのが欠点だ。
「ま、それはこっちに置いといて」
 お決まりのジェスチャーを交え、また八重樫が口を開く。
「ここ、どこか知ってる?」
 このアマ……。何を言い出すかと思えば、面白くもない質問を……。ためしているのか、この俺を?
「それはもちろん、かの福山雅治氏がその歌声で天下に名を轟かせた、桜坂市に相違ありません!」
「ブー」
 は……? 何をこのアマガッパが……。
255B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/12 16:54 ID:vUhrkJD3
「ここはたぶん、……桜坂市じゃない。それどころか……日本でもないと思う」
 は〜ん。そうきたか……。このアマリリスが……。ところでアマリリスって何?
「は! 八重樫隊長殿! ここはもしかして、我々が捜し求めていたかの幻の大地ムー大陸では!?」
「……さあ、ね。わからない、わ」
 ……? なんだこの更年期の夫婦みたいな冷めたリアクションは?
「八重樫隊長殿! そうと決まればさっそく探索に出発であります!」
「桜井舞人」
 手を引こうとする俺の手を振り解き、八重樫が湿気た面を向ける。いつもの八重樫じゃない。
「……ここはホントに私たちの知ってるところじゃない。……知らないところに来ちゃったんだと思う」
 そう言う八重樫の顔は、今にも泣き出しそうだった。こんな八重樫、俺は今まで見たことがない。
 桜坂市じゃない、という言葉は信じられない。すぐに八重樫が『なんちゃって』なんて言うに違いない。
 ……しかし、そんな俺の期待というかなんというかは、目の前の少女の低い嗚咽によって打ち砕かれた。
「……いくぞ。……こんな八重樫は、見たくない」
 涙を拭く八重樫の手をもう一度しっかり掴む。
256B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/12 16:55 ID:vUhrkJD3
「……なんちゃって」
 ……顔を上げた八重樫の顔には涙の跡さえなかった。
 こ、このアマナットウが……!
「ぷ、ぷじゃけるなよこのバカチンが! もうお前なんて知らん!」
「あははは。じょうだんじょうだん。怒るな桜井舞人君よ」
 掴んだ腕を放し、俺は八重樫を置いて先へと進んだ。
「でも!」
 八重樫が後ろで叫んだ。立ち止まった。
「異世界に来たのは本当。これだけは……信じて」
 ……涙声だった。振り返らなくても、今度は分かる。確かにあの八重樫が泣いている。
 信じないわけにはいかなかった。
「……さあ! 八重樫隊長殿! 道は長いであります! さっさと来るであります!」
 俺にできることは、こうしてふざけることくらい……。
「……そんなことはわかっている! 舞人くんこそ遅れるでないぞ!」
 だから……。こうして返事が返ってきたとき、俺はほっとした。
 八重樫が笑顔で走ってくる。あのいつもの小生意気な笑顔で。

 違う世界に来たのなら……
 元の世界に戻ればいい

【桜井舞人・八重樫つばさ、ゲーム「それは舞い散る桜のように」(バジル)より、参加】
257B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/12 17:00 ID:vUhrkJD3
また参加者増やしちゃった。俺だけで何人も出してごめん。
「それ散る」は挙げられたゲームの中にはなかったけど、ムードメイカー兼ラフメーカー的な存在も必要と思い、
俺の独断で入れました。
気に食わないという意見が多数あれば、この二人は参加見送りという選択も考えてください。
「それ散る」内の他のキャラも出したいという考えがあれば、その方の判断でお入れください。
それと「B.F.ばっか書いててうざい!」って方はその旨お伝えくらはい。
では。
258序章?:04/01/12 17:37 ID:xU0fKfgz
 ヴィルヘルム・ミカムラ。
 絶大なる魔力と魔術に関する知識を保有し
魔法の世界「アンゴルノア」では、魔法オリンピックで5つもの金メダルを奪取した元国民的英雄であり
同時に魔女っ娘育成専門学校「私立聖泉エンゲル魔法学院」の学院長も勤める。

 だが、そんな彼の裏の姿は、世を脅かす闇魔法学会総帥。
 彼は、誰よりも魔法を愛していた。
これこそが、人類にとって必要不可欠なものであるのだと思い
長い時を生きながら、その研究に没頭した。
 やがて近年になり、科学文明の発達により魔法は弱体化していった。
年々落ちていく魔女っ娘たちのレベル、彼は嘆いた。
 そして、魔法の発達のために、彼は魔女っ娘育成専門学校を開く事にした。
しかし、科学文明の発達により、魔法を覚えなくても生活がどんどん楽になっていく最中
段々といい加減な気持ちでプロの魔女っ娘を目指す生徒も増えてきた。
259序章?其の二:04/01/12 17:38 ID:xU0fKfgz
 何が彼を駆り立てたのだろうか? 何処で道を踏み外したのだろうか?
彼は禁じられた闇魔法を用いて、世界を恐怖に脅かす闇魔法学会を設立したのだった。
 『魔法でなければ適わぬ敵がいれば、平和を守るために、敵を倒すために、人々は再び魔法を手に取らなくてはならない』
 正気とは思えない考えである。
だが、彼にとってはこれは正義であった。
魔法を忘れていく愚かな人類に生物達に、自らの手で必要性を与えてやろうと。

 魔王の復活も目論んだ。 自らが魔王となることも考えた。
だが、進みゆく科学文明の前に、魔法はどんどんと過疎していく。
 悪の総帥として、自らの教え子たちと戦いながらも
彼は、長い間、研究に没頭した。
どのようにすれば、魔法を再び繁栄させる事ができるのか。
どれも成果を上げぬまま、時だけが過ぎていく。
 次第に彼は、自分のやっている行動に疑念を持ち始めた。
 例え、魔王と復活させても、この身を闇の王と変えても
今のこの状況を打開するほどのものなのだろうか?
 そうだ、ならばいっそ望む世界を一から作ればいい。
魔法が栄え、誰もが魔法の恩恵で生きる世界を。
魔力に満ち溢れた新しい新天地を!
260序章?其の三:04/01/12 17:43 ID:xU0fKfgz
 それからの彼の行動は、異世界に関するものを片っ端から調べ始めた。
研究の成果で、小規模ながら異世界へと繋げる術も覚えた。
そして、彼の目的に必要な技術と知識、そして人材を着々と揃え始めていった。
 初音は、銀を倒すための力を蓄える贄の苗所を条件に強大な力を。
 ケルヴァンは、覇王の生きる世界を作る目的への協力を条件に魔術に関する知識と魔道兵器を。
後は、どのようにしてケルヴァンによってもたらされた術式により完成された新しい世界の島へと力あるものたちを招くか。
今はまだ小さな島のある世界にしか過ぎないが、魔力のあるものたちを揃え
その力を使い、発展させていき少しずつ世界を広げていく。
これが彼の考えた目論見であった。

 だが、重大な問題が一つたちはばかった。
それだけの力を持つ者を召還するには、しかも大勢。
とてつもない程の莫大なエネルギーが必要である。
 彼は、そのために色々な世界を覗き回った。
そして、やっと彼の望みにあう代物を発見したのだ。
ナナスが作成している異世界から勇者を召還する事のできる「イデヨン」。
 イデヨンが着々と完成へと向けられている間に
三人は必要な魔力を蓄え、この世界と招かれるように誘導する術を練り上げた。
 そして、イデヨンの試運転の日。
こっそりと進入していたケルヴァンを通して総帥が
魔力を送り込みイデヨンを暴走させた。
そうやって、次々と召還されていく者達を島へと導いていったのだ。
261序章?其の四:04/01/12 17:44 ID:xU0fKfgz
 島の中央。
結界にはばかれ、力のないものはその場所を通り抜けてしまい
行きつく事の出来ない場所に彼らの根拠地である要塞はあった。
中には、この世界を構築するための術式方陣と補佐する魔道装置。
そして、召還魔方陣等が設置されている。
 「さて、結界の維持と魔力の蓄えのために余は少し眠りにつくか……」
彼の計画は、まだ始まったばかりに過ぎない。


仮暫定ルール。
総帥倒して、術式方陣と魔道装置破壊すれば世界崩壊で全員元の世界に戻って終了。
召還された者が全員死ぬor生き残ったの初音の贄化・総帥に完全に従っちゃうでも終了。
10人狩られるとその魂の力で一人召還可能。
何か他にあったり、もっと単純化させようってのあったら言ってくらはい。
262名無しさん@初回限定:04/01/12 19:06 ID:MY+EEK4F
>261
結界の外は非人間もOKだけど、内部は非戦闘員オンリーってことかな
それとも逆?
問題点というか、鬼の数が圧倒的に少ないんで増やしたいんですが
あと、鬼の詳細なプロフィールもよろしく


ちなみに「ねがぽじ」書いてるんで、そのうち投下します。
マイナーだゴルァ 等の突っ込みはお早めに
263葉鍵信者:04/01/12 19:21 ID:xU0fKfgz
>262
誤解招いたか、スマソ。
島の鬼がいる中央拠点地が結界に包まれてて
鬼じゃない部外者がそう簡単には重要な拠点地に入れないようにしてあるって意味だったんだが
説明たらんかったわ、ごみん。
島の中央部以外は、誰でも自由に行き来できると受け取ってもらえばよろし。

プロフィも書くんで出来たら、上げとくわ。
264名無しさん@初回限定:04/01/12 19:37 ID:LT5hFer0
結局、キャラが違うだけで同じモン作るんか…
265B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/12 19:37 ID:y2bsZ+yJ
一つ付け足し。
>>253での八重樫から舞人へのアタックは、棒切れなどでの攻撃ではなく、
ドロップキックってことにしてくれw
つまり言いたいのは、二人とも武器は何も持ってないよ、ってことね。
続き書きたい人がいるかも知れんので念のため。
266名無しさん@初回限定:04/01/12 19:40 ID:aZI2LQrZ
厨コテ同士の馴れ合いウゼー。
なんつーかさ、お前ら外で相談せずに作品で語れよ。
葉鍵信者も暫定ルールとやらは話の中に織り込めばいいのに。
リレー小説なんだから、「これでいいよね?」とか確認する必要ないし。
こんな感じで一部が馴れ合ってたら新規参入し辛過ぎる。
267名無しさん@初回限定:04/01/12 19:50 ID:lnCHhZLT
ていうか、戦闘のプロ&超人、非人間の参加ってどうなったの?
書き手依存?
268葉鍵信者:04/01/12 20:09 ID:xU0fKfgz
>267
書き手依存だべ。 必要と思ったキャラを出していけばいい。
ってか、読み手も希望あるならばんばん出して欲しいキャラを列挙すればいい。
で、そのキャラを書ける書き手さんに拾ってもらえばいい。
書ける人いなかったら、乙か読み手が書き手になるしかないな。
269名無しさん@初回限定:04/01/12 21:14 ID:lnCHhZLT
>>268dクス
ネタバレになるけど、まひる(主人公)、人間じゃないんで・・・

初音の行動パターン知らんので、積みゲ崩すか(ぉ
270ねがぽじ投入:04/01/12 21:50 ID:lnCHhZLT
ねがぽじ投入。CD内テキストだとひなた死んでるハズなんだけど、一応生かしときます。
あと、羽は隠せる設定で。ひなたも隠せてたし。


 初音は沈黙していた。黙祷をささげるようにも、座禅を組んでいるようにも見える。
 私は蜘蛛。蜘蛛は巣をはり、そこを根城に人々を食らう。
 とはいえ、協力の代償として多少力を使った今、それはさほど大きいものではない。
「まあいいわ。そのうち、この先行投資が気にならないほど、強大な力が得られる。ふふ、それまでの辛抱かしら」
 彼女が愛しそうにその爪を眺めていた時、ふと温かい物がよぎった。
 ――獲物がかかった。
「ふふふ・・・ただ魔法使いを集めるだけじゃ、生娘は集まりませんもの。一般も・・・まきこまなければね」
271ねがぽじ投入:04/01/12 21:51 ID:lnCHhZLT
 いろいろあったものの、何とか普通の学生生活していたわけだけど、
「で、ここどこ?」
 うっそうと生い茂るジャングル、というか見慣れない虫もいっぱいいるし。
「ラジオ電波が受信できないとなると、人里離れた密林か、それとも・・・」
「それとも?」
「異世界か」
 にや、と遠場 透が人の悪い笑みを浮かべる。
「えええぇぇーーー!!」
「姉、うるさい、だまれ」
「は、はい(汗)」
 妹のひなたに叱咤され口篭もる。彼女・・・は広場まひる。
「で、どうするの? これから」
 香澄がラジオを片付けている透に言う。
「なんのあてもない以上、ヘタに動かないほうがいいなぁ」
「でも・・」
 ぐぅぅぅーーー。
 みんなの視線が一斉にまひるをむく。
「あの、お・・・お腹すいちった」
「はぁ、あんたは脳天気でいいわね」
「あは☆」
「誉めてない」
「そ、それよりさ、さっきの声、なんだったんだろ?」
『声?』
 香澄と透が見事にハモり、香澄がロコツに嫌な顔をする。
「姉、私たちだけみたいよ」
「え?」
272ねがぽじ投入:04/01/12 21:52 ID:lnCHhZLT
「そうね、本来、用があるのはそのふたりだけだから」
 すっ、と闇に同化していた姿が現れる。
 厳密に言えば、見えたのはまひるとひなただけだ。残り二人は突然の声に狼狽している。髪を掻き揚げながら近づく少女は、初音だった。かなり近づいたところで、やっと香澄がその存在を理解した。
「あの、ここはどこなんでしょうか? あなたは?」
「ママトト、平たく言えば異世界かしら。それと私は初音」
「異世界?」
「まひる、ひなた・・・合ってるかしら?」
「え?」
 初音は香澄の言葉を無視し、ふたりを交互に指差した。
「えと、あたしって有名?」
「来て貰えるかしら?」
 有無を言わさずまひるの手を取り、引っ張る。
「ちょ、ちょっと、なんなんですかいきなり。だいたいここはどこなんです? 貴女は一体? それに、」
 必死に抑えていた感情が露になり、パニックになりながらもなんとか言葉を紡ぐ。
「邪魔よ」
「痛っ」
 初音にすれば軽く払った程度だが、そもそもの膂力が違う。香澄は思い切り飛ばされ、幹に頭をぶつけた。
「か、香澄!」
「生娘でない人と、男に用はないの」
「やめろー!!」
 ビリッ
 まひるの制服が裂ける。中から鳥のような右翼が姿をあらわし、力強く波打った。
「きゃっ」
 不意の圧力に初音が飛ばされる。
「思ったよりやるわね」
273ねがぽじ投入:04/01/12 21:53 ID:lnCHhZLT
「まひる、逃げるぞ」
 香澄に肩を貸していた透が叫んだ。
「逃がさないわ。魔法が使えても非協力的なら殺しても可、でしたよね」
 嬉しそうに初音が笑う。魔法を使える者はここの住人にするため、基本的に手出しをしてはけないことになっている。が、もとより懐柔の意思などない。神経を逆撫で、恐怖に引きつる弱者をいたぶるつもりだ。
 走る一団、追う初音。比翼のまひるはバランスが悪いのか、いまにもこけそうだ。
「す、すけるぅ、あいつなんなの?」
「とおる、だ。俺に聞かれてもなぁ」
 至極のんびりとした口調で言う。
「透、まひるが戦った方が早いんじゃない?」
「なっ」
 ひなたの言葉に香澄が非難の視線を向ける。
「正論だ。でも、負けたら?」
「そ、それにまひるを危険な目にあわせるだなんて」
「ふぅ、もてるっていいわね」
「あはは・・・」
274ねがぽじ投入:04/01/12 21:53 ID:lnCHhZLT
 べちゃびちゃ
 足音が変わる。湿地帯に入ったらしい。透が振り返ると、かなり余裕の表情で初音がつけていた。
(遊んでやがるな)
 透はポケットから大き目のフィルムケースを取り出し、立ち止まった。
「と、透?」
「先に行ってろ」
 透はフィルムケースの蓋を開け、中身を水溜りに投げ入れた。宙を舞った塊は、水につかると発煙しながら爆発する。
 それを確認した透は、きびすを返しみんなの後を追う。
「あ、あんた何したの?」
「カリウムは水と反応し水素を発生させる。反応時の熱によって発煙、目くらましとなる。でもまぁ・・・」
 透が大きくため息を吐く。
「無意味だったらしいな」
「そんな」
 煙の中からは常が姿をあらわした。黒いセーラー服は汚れているが、無傷なのだろう。
「びっくりしたわ・・・貴方も、魔法が使えるのかしら?」
「ち、力は、強くても頭は弱いらしいな。化学実験だよ」
「そう、安心した」
275ねがぽじ投入:04/01/12 21:56 ID:lnCHhZLT
 初音は跳躍し、一気にまひるの首をつかんだ。三段跳びの要領で木々を伝い、距離をとる。
「な、なにを」
「ひなたって子もいいけど、まずはあなたから」
 初音はその爪を露にすると、まひるの服を引き裂いた。
「あ〜れ〜、お代官様〜」
「ふふ、面白い子。さて」
 と、まひるの下半身に目を落とした初音が唖然とする。どれくらい驚いたかというと、目を点にしてギャグキャラと化すほどに。
「あ、あなた男?」
「えと、一応・・・女じゃないです(汗)」
「・・・・・・」
 酸欠の金魚のように口をパクパクさせる初音に、まひるがどなった。
「ていうか、さっきはよくも香澄を殴ったな!」
「ちょ・・・」
「うりゃぁぁーーー!!」
「きゃっ」
 まひる渾身の一撃は見事に不意をつき、初音を吹き飛ばした。
276ねがぽじ投入:04/01/12 21:57 ID:lnCHhZLT
「香澄ぃ!」
「まひるーー!・・・きゃっ」
「へっ? うわっ」
 まひるが自分の姿を見て、叫ぶ。そう、彼女・・・もとい彼の服はぼろぼろで大事なところが全開だった。
「う〜ん、男の裸見て昂奮できる自分が素晴らしいと思う」
「馬鹿言ってないで、あんたの上着、貸してあげたらどう?」
「それもそうだな」
 透は学ランを脱ぐとまひるに渡した。
「ありがと、すける」
「とおるだ」
 学ランにそれを通す。ワンピみたいになってしまった。
「で、あいつは何?」
「う〜ん。まひるの存在自体が異様だけど、さっきの女――初音だっけ――もなぁ。異世界、っていうのを信じるほかないか・・・」
「そ、そんな」
「でもまぁ、来れたんなら戻れるでろ。さっきの女の言葉からして、黒幕がいる見たいだし、そいつをとっちめれば」
「と、とっちめるたって」
 香澄が狼狽する。が、それを言い終わる前に、まひるが叫んだ。
「あたし、やる」
「まひる! あんた、なに言ってるのよ」
「だって、香澄を傷付けた奴は、許さないから」
「じゃあ、俺とまひるは賛成。ひなたは?」
「わたしは・・・・・・わたしはまひるを守るから。命に代えても」
「ひなた・・・」
「で、どうする香澄さん?」
「わ、わかったわよ、私もなんとかがんばってみる」
「よし、決まりだ。んじゃま、いっちょがんばりましょうや」
277ねがぽじ投入:04/01/12 22:02 ID:lnCHhZLT
【広場まひる(♂)、広場ひなた、桜庭香澄、遠葉透、ゲーム「ねがぽじ」(Active)より、参加】

長くてすみません。つーか俺が書くとギャグ路線だし・・・アラが目立つなぁ
キャラ設定を分かりやすくしようと苦心した末です。
あと、初音お姉様はこんなんじゃない! っていうカキコお待ちしております。
278行殺投入:04/01/12 22:28 ID:6M1/RXBv
はぁはぁと森の中を走る影一つ、影の正体はまだ幼い少女のように見える
だがその手には不釣合いなほどの長槍が握られている。
もうすぐ森の出口に差し掛かる、そこまで行ければ…しかし少女の考えとは裏腹に、
出口を塞ぐように人影が立ちふさがる、その影は4つ、いずれも美しい少女たちだったが
その身に纏った羽織は血に汚れ、ボロボロになっていた。

「沙乃…もう1度考えなおせ、またやりなおせるのだぞ」
影の一つが少女の名前を呼ぶ、名前を呼ばれた少女、
かつての新撰組十番隊組長、原田沙乃は憎憎しげに自分の名前を呼んだ少女、
新撰組副長、土方歳江を睨みつける。

「やりなおして何をするっていうのよ…もう私たちは過去の存在なのよ!」
「知れたこと、我らを見捨てた新時代への復讐、そして真の武士の時代を再び築くのだ」
そう原田へと高らかに宣言する土方。
その身体には無数の弾痕が刻まれている、聞けば五稜郭で蜂の巣になったのだという。

「沙乃ちゃん…またみんなで一緒に戦おうよ」
そう微笑を浮かべる近藤勇子の首には、まるで斬首されたのを後で縫いあわせたような痕がある。
「そうよぉ〜せっかく生きかえったんだしぃ〜2度目の人生エンジョイしないと」
にやにやと笑う金髪美女、カモミール芹沢の額にも、致命傷と思われる弾痕がある。

「健康って素晴らしいです…だから今度こそ好きなことをするの…」
そう呟くのは沖田鈴音、いつも青白い顔をしていた彼女だが、復活を遂げてやけに血色がよくなっている。
そして眼鏡の奥の瞳は、健康に比例するように欲望にぎらつきまくっていた。

「みんなどうしたの…こんなの新撰組なんかじゃないわ!」
そう叫ぶ原田の身体も傷だらけだ、彼女もまた上野寛永寺で大砲に吹き飛ばされている。
そう、彼女らは全員この世の人間ではなかった、つい先程まで…。
279行殺投入:04/01/12 22:29 ID:6M1/RXBv
冥界での深い眠りから覚めた彼女らの前にいたのは、眼光鋭き魔将軍ケルヴァン、
彼は彼女らの現世への復帰と引き換えに、とある任務を与えた。
その任務とは、この島にやってくる人間を殺すこと、それも強ければ強いほど望ましいとのことだった。

「すばらしいではないか、またあの戦いの日々に戻れるのだぞ」
土方歳江の本当の願い…それはわが身が朽ち果てるまで戦いつづける事、
まさに修羅といっても過言ではない。
土方とは距離を置いていた原田にはそれがよくわかっていた。
新撰組もまた彼女の戦闘への渇望が生み出した産物に他ならない、しかも今の土方たちは
欲望と復讐心で我を失っている。

「まぁいい…我らに従わぬのならば、新撰組局中法度に乗っ取り、原田沙乃、お前を斬る!」
土方の合図と同時に、近藤、沖田、芹沢が原田を囲いこもうと円を描くように

「どうかしてるわ…目を覚ましてよ!勇子さん、そーじ、カモさん!」
原田は十文字槍を一応構えるが、その手に力は入らず、がたがたと震えている。
そして4人が同時に斬りかかろうとしたその時だった。

ズギュン!キン!
銃声と同時に渇いた金属音、そのスキに脱兎のごとく逃げ出す原田、
後を追おうとした土方たちだったが、原田の姿はすでにどこにもなかった。
280行殺投入:04/01/12 22:31 ID:fGWUrxNC
突然の銃声に土方たちがひるんだスキをみて脱出した原田だったが、その時背中を掴まれ、
茂みの中にひきずりこまれる。
「!!」
原田は槍を構えようとしたが、そのまま関節を決められてしまう、そしてその耳元で声が聞こえる。
「落ちつけ!俺は味方だ」
「だったら関節技をとっとと外してちょうだいよ」
男の声に敵意を感じることはなかった、ならば信じてみるのもいいかもしれない。
どの道、抵抗したところで今の自分では勝てない、原田は相手の力量を正確に把握していた。

男は吾妻玲二と名乗った、何でも恋人を探しているのだという。

「それにしてもあれは化け物か…それともあれがサムライってやつなのかよ」
玲二は先程のことを回想する。
玲二は1番とろそうな眼鏡っ娘めがけリボルバーの引金を引いた、
しかしその弾丸は、次の瞬間、眼鏡っ娘の手にした刀によって弾き落とされてしまっていたのだ。
凄腕の暗殺者としてその名を知られる彼だが上には上がいる…。
玲二はエレンの身を案じずにはいられなかった。

そして一方の原田だったが、ふと気になることを思い出していた。
玲二…自分と同じく地獄から召喚された誰かがその名前を口にしてなかったか?
確か金髪の異人だったような…。

そしてそのころケルヴァンの部屋では…。
「いいねぇ…生きかえることが出来る上に玲二まで手に入れられるのなら願ったり叶ったりじゃねぇか」
荒っぽい口調で豪快に笑う金髪の少女の姿があった。
「まかせとけ、100人だろうが何人いようが無敵のファントム様が皆殺しにしてやるぜ」
やや呆れ顔のケルヴァンには構わず、口笛を吹きながら部屋を出ていくドライだった。
281おまけ:04/01/12 22:32 ID:fGWUrxNC
ドライが退出してから、しばらく経過したころ、ケルヴァンの配下が耳打ちする。
「女郎蜘蛛めが勝手なことをしておるようですが」
「今は捨て置け…こちらには切り札がある…それにしても冷酷無比な蜘蛛にこんな弱点があったとは」
ケルヴァンは部屋の中央の巨大な鳥かごの覆いを開く、そこには一人の少女が怯えた瞳で部屋を見まわしている。
彼女の名前は深山奏子、比良坂初音の恋人であり、すなわちこの世界で彼女が最も愛する存在だった。
「ほう…」
余程の深い絆で結ばれているのだろう、彼女の瞳には怯えはあれど恐怖はないことにケルヴァンは気が着いていた。
事実、奏子はケルヴァンの視線に気がつくとキッと彼の顔を睨み返したのだった。

(きっと姉様が助けにきてくださる…怖いけどそれまで私、負けない!)
282登場キャラ:04/01/12 22:36 ID:fGWUrxNC
【原田沙乃・近藤勇子・土方歳江・沖田鈴音・カモミール芹沢@行殺!新撰組@(ライアーソフト)】
【吾妻玲二・ドライ@ファントム・オブ・インフェルノ@(ニトロプラス)】
【深山奏子@アトラク=ナクア@(アリスソフト)】
283書き手紫零:04/01/12 23:03 ID:OnXcwFsq
書き手用BBS作成してみますた。話の途中に設定相談とかはやっぱり萎えそうなので^^;

ttp://9012.teacup.com/shirei/bbs

併せてまとめページ更新中。

ttp://www.h5.dion.ne.jp/~p_force/negi.htm

>>書き手様
装備品についての言及がないのでBBSに書いて下さればまとめページに更新します。
284名無しさん@初回限定:04/01/12 23:17 ID:WNFIG909
言及ないのは設定なしにしといた方がいいぞ。
あとから○○の武器は××でした、って言われて
ネタが潰れる事になったら馬鹿馬鹿しい。
285書き手紫零:04/01/12 23:31 ID:OnXcwFsq
>>284
確かに。言及なしは装備品なしにしておきます。
286葉鍵信者:04/01/12 23:34 ID:xU0fKfgz
>>284
一理ある。
が、後から、君が言うように継げたすんじゃなくて
登場させた時に言及するなり、設定してしまえば、もう変更する事は不可能になるから
>>284が言う事のためにも今のうちにやっておくべきだと思うんだがなー。
287葉鍵信者:04/01/12 23:38 ID:xU0fKfgz
じゃ、言及する場合は、作中内、もしくは作品投下後に直ぐにするって事にしよう。
言及なしは>285ってことでよろろ。
288名無しさん@初回限定:04/01/12 23:39 ID:hg00f+9D
支給品は日用品だと面白いかもな。
キャラによって工夫のしかたに個性が出る。
どうやって武器にするか・・・とかね
289葉鍵信者:04/01/12 23:39 ID:xU0fKfgz
補足
>作中内、もしくは作品投下後に
どっちも初登場した作品の後って事で。
290名無しさん@初回限定:04/01/12 23:47 ID:vXbvvHPx
では改めて・・・まだ間に合うよね?

【原田沙乃 所持武器 十文字槍】
【近藤勇子 所持武器 銃剣つきライフル】
【土方歳江 所持武器 日本刀】
【沖田鈴音 所持武器 日本刀】
【カモミール芹沢 所持武器 鉄扇】

【吾妻玲二 所持武器 S&W】
【ドライ 所持武器 ハードボーラー2丁】

【深山奏子 所持武器 無し】
291書き手紫零:04/01/12 23:49 ID:OnXcwFsq
>>装備品言及
とりあえず一旦更新。>>289ルールも併せて更新しておきますた。
292書き手紫零:04/01/12 23:51 ID:OnXcwFsq
>>290
はっ!仕切りなおし(つд`)再更新しまつ。
で、出来れば装備品等はBBSで・・・^^;
293B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/12 23:53 ID:IQ+N8L5y
 [引きつけあう魔力]

 類は友を呼ぶという。
 趣味が同じ者たちは引きつけあい、境遇が同じ者たちも引きつけあう。
 それは、魔力を持つもの同士も同じことだ。
 人には、魔力を持つ者がいる。
 彼等の多くは気付きもしないだろう。
 しかし、彼等が知らなくとも、魔力は知っている。
 魔力は、その保持者達の意思とは無関係に、互いに引きつけあう。

 ヴィルヘルムはイデヨン発動に際し、その性質を大いに利用しようとした。
 召喚の対象者の周りにもまた、魔力を持つものがいるはず……。
 ならば対象者に近しい者達も、ついでに召喚してしまえば一石二鳥かそれ以上……。
 結果として、イデヨンを暴走させるという手により、魔力を持つものとともに、ほぼ無差別的に人間を召喚させたのである。
294B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/12 23:54 ID:IQ+N8L5y
 [双子の姉妹とある若者と]

 召喚される者は、自分の世界に必死に縋ろうとし、潜在的に魔力をもって留まろうとし、また、愛する者達を思い浮かべる。
 自分の世界に留まるのが不可能と判断すると、今度は無意識的に、愛する者達を一緒に連れて行こうとする。
 自分以外の者を異世界に転移させるのには、自分の魔力を使用するしかない。
 そのため、精神的にも肉体的にも消耗するのである。

 召喚の対象者の中には、小さな女の子もいた。
 彼女は双子の姉妹の姉だった。
 彼女は自分の世界が本当に好きだったのだろう。
 必死に、自分の世界に縋ろうとした。
 しかし、少しながら魔力を持つとはいえ、幼い人間の子供が慣れない魔力の使用に耐えられるはずもなかった。

 双子は、何か見えないもので、固く結ばれているという。
 それはこの姉妹に関しても同じだった。
 姉は、自分の世界に留まるため、妹の力も借りた。
 しかし二人になったところで、所詮は子供。
 二人の魔力は削られ、心身ともに疲弊していく。

 やがて二人は留まることをあきらめた。
 ……どうせどっかにいっちゃうのなら……
 二人は無意識のうちに、愛する者を連れ行こうとした。
 そして姉妹はできる限りの魔力を集め……

 双子の姉妹とある若者は、こうしてここに召喚された。
295名無しさん@初回限定:04/01/13 01:58 ID:96knUwIt
「暇だなぁ〜」バイト中の相楽山彦はそうひとりごちた。
「平日の真昼間ですからね〜暇にもなるでしょう」同じくバイト中の牧島麦兵衛もそれにつづく。
夏休みの真っ只中に勤労にいそしむ二人。最近定着しつつあるCDショップの一風景だった。

店内に客がいない上、溜まっていた雑務を片付けていたこともあって、暇なことこの上なかったのである。
仕方なく二人は雑談に興じていた。

「山彦さんって今回のバイト代なんに使うんですか?」
「さあ・・・ひさしぶりに海にサーフィンに行くのもありかな・・・海彦もつれて」
「海彦って誰です?」
「俺の弟。あいつといるとナンパの成功率も上がる」
「あはは・・・結局はナンパなんですか」

いつものように会話に興じていると、店内に一人の少年が入ってきた。
「おっ海彦だ。お〜い、海彦〜」
「へえ、かわいいこですね」

海彦と呼ばれた少年はカウンターによってくると麦兵衛のほうを見て・・・ニヤリと笑った。
「ミツケタ・・・キテモラウゾ・・・」

「え?」




296初芽:04/01/13 02:21 ID:96knUwIt
「・・・これが自分たちがここに来るに至った経緯です。ひかりさん」
「説明ありがと牧島君。これで二つ、はっきりしたわね」
「と、いいますと?」

「まず、この世界は夢じゃない。私は昼寝の最中に連れてこられたみたいだから最初てっきり夢かと思った
けど、でもそれじゃロクに会話を交わしたことも無い牧島君が出てくるのがおかしい」
「そうです」
「だからこれは現実。私たち三人は今このだだっぴろい草原にいるのよ。
自分たちの見た事も無い・・・ね」
「もうひとつは?」
「もうひとつ、それは私たち二人は少なくても何者かの意図で呼ばれたっ
てことになるわ。おまけで付いてきた相楽君はわかんないけど・・・ねぇ?」
「は、はいっ!」
「山彦さんどうしたんですか?またすごく緊張してますけど?」
「お前もあの先輩の怖さをすぐ知ることになるよ・・・」

297初芽:04/01/13 02:21 ID:96knUwIt
「んで、文芸部を一日でやめた相楽山彦!」
「ははいっ!」
「なんだよその返事は・・・。まあいいそれよりお前らをこっちに呼んだのは
本当にお前の弟だったんだな?」
「それは間違いないです」
「そうか・・・厄介だな」
「いや、呼んだやつが同じだったらそいつ半殺しにしたらいいと思ってたから
さ」
「ひかりさんは誰に呼ばれたんですか?」
「ばっばか!結城先輩だろうが」
「いいよ、ひかりで。私をここに呼んだのは誰かわからない。ロングヘアーの
奴としかわからなかった。でもこの世界でわたしが起きた原因はあんたたちの
知ってる奴だよ」

「そ、それは・・・」「まさか・・・」

「そ、桜井舞人。あいつの馬鹿な叫び声で起きた。近くにいるかもしんないか
探しにいくよ」
298初芽:04/01/13 02:24 ID:96knUwIt
四連発してごめんなさい。それは舞い散る桜のようにより

相楽山彦・牧島麦兵衛・結城ひかりの三人を召還です。

いきなりサブキャラですみません。文章が下手これは無理あるだろと
思ったら無視していただいて結構です。
299名無しさん@初回限定:04/01/13 07:15 ID:8YuUox4y
自分の作品に自信が無いなら書くな。
300名無しさん@初回限定:04/01/13 16:05 ID:wp2Xrmwh
同意しておく。
過剰な卑下は単に予防線を張ってるだけじゃん、という感じがして好きくない。

今まで面白そうだと感じたのは、行殺投入かな。
狩人が初音だけだと面白くないし…というか、
ねがぽじ投入の初音が軽すぎてマーダーとしての凄みがないし。
だからドライ&行殺隊には期待。ツヴァイが軽すぎるけどね。

全体的に言わせて貰えば、本当に今から殺し合いがはじまるのか疑いたくなるほど
殺伐感がなくて、ちょっと問題かと。
301初芽:04/01/13 16:29 ID:96knUwIt
すんません。自信が無いとかではなくサブキャラ投入が早すぎたと思っただけ
です。ネタの選択は後悔して無いので暖かく見守ってやってください
302名無しさん@初回限定:04/01/13 20:47 ID:/NZVOFcz
>>277
とりあえず初音姉様の性格は、マリ見ての祥子様そのまんまと考えていただければいいです
とにかく優雅にして気品に満ち、残虐にして非道なのです

でもアトラクをやってくれるのが1番かも、廉価版なら2000円程度で買えるし
1日で終わるから。

参考までに2次創作より一編、これぐらいはしでかすキャラです。
ttp://members.jcom.home.ne.jp/1558380002/list/hatsu-12.html
303名無しさん@初回限定:04/01/13 21:37 ID:ceV0QibZ
そういえば
PCNEWSで総括売り上げランキングあったみたいだけど
あれの上位からキャラをセレクトするってのはどう?

ちなみに
http://wow.bbspink.com/leaf/kako/1048/10487/1048710840.html
の683以下参照

ランキング表がネット上に見当たらんのが何だが
304葉鍵信者:04/01/13 22:09 ID:rwHXO1Hr
 魔将軍

 島の中央にそびえる要塞。
その要塞の一角、島を見渡せる屋上付近の部屋で魔将軍ケルヴァンは部下への指示を執っていた。

 動き出した計画とは裏腹に、島は晴天に満ちている。
 部屋の奥でワインの注がれたグラスを手に取りながら
ケルヴァンは窓から島を見渡していた。

 グラスに入ったワインを少しずつ飲み干していると
ドアを叩く音が部屋に響き渡った。

 「入れ……」
 そう一言彼が告げると、ゆっくりとドアを開けて彼の配下の魔物が部屋に入ってきた。
 「失礼します」
 「何があった?」
 「女郎ぐ……いえ、初音様がお戻りになられました」
 「そうか……。 解った、ご苦労だったな。 下がってよいぞ」
 一礼をした後、配下の魔物は、ドアを閉め部屋を後にした。
 「ふん、女郎蜘蛛が戻ってきたか……」
 ぽつりと呟いた後、彼もまた部屋を後にするのだった。
305葉鍵信者:04/01/13 22:11 ID:rwHXO1Hr
 要塞中央ホール。
 何度か戦闘を終えた後、初音は一旦要塞へと戻ってきていた。
出合った獲物の戦闘力、そしてどれを狩るか等の戦略を練るために
勿論、戦闘で消費した体力を回復するためにも。

 彼女は、恍惚としていた。
今回の狩りは、実に楽しい事になりそうだ。
 狩りがいのある獲物、力のある贄、そして独占された狩場。
どれを取っても彼女にとって、素晴らしい環境である。
 ヴィルヘルムとの約束は、力を貸す代わりに幾人かを贄にしてもいいという交換条件。
 彼女にとって、ヴィルヘルムとケルヴァンのような男は嫌悪の対象だが
わざわざ敵対するよりも手を結んだ方が得と考えたのである。
 それにもし、銀を倒し更に力をつけ続けた暁には、彼ら二人を出し抜き
この世界そのものを私の巣とすることだって夢ではない。

 (でも、そうなってしまったら、スリルも味気もないつまらない日々なのでしょうね……。
 まぁ、せいぜい銀を倒すまでは、めいっぱい利用させてもらいましょう
 それからのことは、その時に考えればいいわ……)
306葉鍵信者:04/01/13 22:12 ID:rwHXO1Hr
 中央の応接間、客用に設置されたソファーに横たわり
彼女は、疲れを癒しながら次の行動について考えていた。

 「悪趣味ね、そんな所で見下ろしてないで降りていらっしゃい……」
 「お気づきでしたか……。 流石は、齢200を超える大蜘……」
 階段の上から、ゆっくりとケルヴァンが姿を現した。
 「黙りなさい、幾ら協力者とは言えど蜘蛛呼ばわりされるいわれはなくってよ」
 「それは、失礼致しました。 ですが、誤解なさらないで下さい。 私としては尊敬して申したのですから」

 喋りながら階段から降りてくるケルヴァンを、彼女は、ずっと鋭い眼光で睨みつけた。
 やがて、彼は、彼女の座っているソファーまで近づいてきた。

 「何のようかしら……」
 「お戻りになったと部下から報告を受けたので、成果の程を聞こうかと……」
 「あら、てっきり私を侮辱しにきたのかと思ったわ」
 「いえいえ、召還された者の中には、魔法を使えないといえど、力のあるものも多数いるようで……。
 我々がてこずるのも無理はないかと……」
307葉鍵信者:04/01/13 22:14 ID:rwHXO1Hr
 「だから、資格のないもの、それも自分の都合のいいように動いてくれる駒を呼び出したのかしら……」
 「必要不可欠なものたちですよ。 このくらいでしたら総帥もお許しになられるでしょう。
 それに無理矢理魔力を付与させる事だって不可能では……」
 「あのフェンリルとかいうやつかしら。 その代わり、人格は崩壊するみたいね」
 「これは、おきつい……。 初音様の贄も同じことではないですか」
 「……何が言いたいのかしら」
 「大したことではありません。 お互い計画に支障を満たさぬようやっていきたいものですね」
 「それは、私の対する牽制かしら。 あなたこそ裏でこそこそと動き回ってるようだけど……」
 「あなたに目的があるように、私にも目的があるのです。 それは総帥もご承知のこと……」
 「まぁ、いいわ……。 でも覚えてらっしゃい。 あなたが私の前に立ちはばかった時は……」
 「容赦はしないですか……。 肝に銘じておきましょう」
 「物分りのいい人は好きよ」
 「ご光栄です。 それでは、今の所はこれで失礼させて頂きますよ。
 そうそう、余り目先の物に囚われすぎていると、大事なものを見落としますよ」
 「ありがとう、でもあなたに心配されるほど私は愚かではないわ」
 「…………だといいですね」
 一礼をした後、ケルヴァンは階段を上り再び彼の部屋へと戻っていった。
 「小ざかしい男……。 目的達成の暁には、彼の死体も添えてあげるわ……」
308葉鍵信者:04/01/13 22:14 ID:rwHXO1Hr
 部屋に戻った後、彼は考え事をしていた。
 まず、どのタイミングで初音に対する牽制として、奏子を使うか。
次に自分の望みの覇王を如何にして作り上げるか。

 (前者は、蜘蛛が牙を向いてきてからでも遅くはない。
 当面の問題は、どうやって覇王となりうる素材を見つけ出すかだな……)

 ケルヴァンの目的は、他の二人と少し異質であった。
 彼の望むものは、世界を力で制する覇王の存在。
その為に、ヴィルヘルムと取り交わした盟約は、招かれた者の中から
適任者をこの世界で育て、自らの世界の王となって頂くこと。
 だが、素直に待っている彼ではない。
 幸い、総帥は瞑想中である。
 この機を逃す手はなかった。
何なら魔法を使えなくてもいい。 力さえあれば彼にとっては好都合なのだ。
今のうちに、配下のものを使い、召還されたものを把握。
適任者をリストアップし、配下の者達に襲わせるなり、策略を巡らし
死と隣合わせの経験を与えつづけるなり、篭絡するなり、候補者を育成していく……。
 また、今は力足りなくても、狩りの中で目覚めるものもいるかもしれない。
 もし、そのまま死ぬようであるなら、新たな召還に期待すればいい。
 尤も、やりすぎた場合、今度は、総帥が目覚めた時に彼の身が危なくなる。
 そのラインを見誤るほど、彼は愚かではないが
初音の存在は、時として互いの獲物を奪い合う事になるかもしれない。
 その為の切り札も用意した。
309葉鍵信者:04/01/13 22:15 ID:rwHXO1Hr
 「ケルヴァン様……」
ドアの向こうから、配下の声が聞こえる。
 「なんだ?」
 「ゾンビが一匹離反したようです……。 いかが致しましょうか」
 「ふむ……」
 報告を受けた彼は、一考すると直ぐに口を開いた。
 「よい、すておけ」
 「よろしいので」
 「構わん。 が、そいつが結界内には戻れぬようにしておけ」
 「了解しました……」
 そのまま配下の魔物は、命を受けるとドアの前から立ち去っていった。
 「精々、蜘蛛とぶつかり合うがいい……。 クックック」
 部屋に彼の静かな笑い声がこだました。
310葉鍵信者:04/01/13 22:21 ID:rwHXO1Hr
>303
Zyx売れてるんだなぁ。
いい参考になりますた。
311B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/13 22:26 ID:vrhAviFP
 [魔獣と銃声]

「……というわけで、我が人生の導き人、アドルフ=ヒトラー様は我ら優秀なゲルマン民族の生存圏の拡大の重要性を説き――」
「いや、あんたゲルマンじゃないでしょうが」
「う、うるさい! そんな細かいこと気にしてたら蚊も殺せんわ!」
 森の中、私とこの桜井舞人は緊張感のかけらもなくのほほんと知的会話に没頭していた。
 ……正直言って、今自分がいるこの場所がどこなのかわからないという不安が消えたわけではない。
 でも、この天性の馬鹿と話をしていると、なぜか安心感も増していく。
「……と、このような理由でヒトラー様は生粋のベジタリアンだったのであります。
 また今日その名を世界に轟かせる、キム=ジョンイル将軍様同様、酒もたばこも飲まず――」
 その時だった。
 ふいに私は、背後から私達の後をゆっくりとつける何かがいることに気づいた。
 その足音が、靴で地面をする音とも違うことから、そいつが人間じゃないことにも気づいた。
「舞人くん……!」
 私は、声を荒げないよう、気をつけながらも、緊迫した雰囲気がこの馬鹿にもわかるよう声をかけた。
 追跡者に悟られないよう、顔は正面に向けたまま。
「……ベルリンが陥落する直前、彼は毒を飲んで自らの命を絶ったわけだが――」
 ……こいつは、駄目だ。
312B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/13 22:26 ID:vrhAviFP
 仕方なく、舞人の顔を横からきっとにらみつける。
 ……その額は、汗でびっしょりだった。髪の毛からも玉になった汗が滴っている。
 ……違う。こいつは、ずっと前から、とっくに気づいていたんだ。逃げ出す機会を推し量りながら。
「……八重樫……」
 突然、さっきとは打って変わり、こいつにしては真面目すぎる程の声を発した。
「気づいてると思うが、何かが俺達をつけている」
 私は正面に向き直り、黙ってうなずく。
「俺がおとりになる……って言いたいところだが、俺もまだ死にたくない」
 かっこ悪ッ!
「いいか? 俺が合図を出したら一緒に全力で駆け出すんだ。後ろは振り返るな」
 私はまたうなずく。
 しばらく黙々と歩き続ける。
 ……と、急に舞人が立ち止まる。どんよりと曇った空を仰ぎ見た。
「あ〜。今日は本当にいい天気だ。こんな日は大空に飛び出したくなるな」
 ……なんだ? これが合図なのか?
 私が走り出そうかどうしようか考えあぐねいていると、
「あ! UFO!」
 思わずいつものノリでツッコミそうになるが……これが合図だ。……たぶん。
「今だ! 八重樫! 逃げろ!」
 その声を聞き、私は慌てて逃げ出す。
313B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/13 22:27 ID:vrhAviFP
 走り出す瞬間、私は追跡者の姿かたちを、少しでも見ようと、後ろを振り向いた。
 舞人が指差すその方向を、恐らくUFOを探してきょろきょろとするその振る舞いに、またもやツッコミを入れそうになるが、
 その化け物の様態は、そんな考えを一瞬で吹き飛ばすほどのものだった。
 ……獅子そのままの頭部。山羊(やぎ)の胴体。長く伸びる蛇の尾――
 ゲームやアニメでお馴染みの、合成獣キマイラ――
 まさしくその、キマイラだった。
「な……!」
 私は逃げることも忘れ、ただただ呆然としていた。
 ……とんでもない世界に来てしまったことが、ようやく身をもって知らされた気分だった。
「馬鹿! 逃げるんだよ!」
 舞人の声が耳朶を撃ち、私は我に返った。
 改めて逃げようとしたその矢先、その化け物は視線をこちらに戻した。
 ……UFOが飛んでいる、という嘘にだまされたせいだろうか?(人語を解するかは不明だが)その目には明らかな敵意が見て取れた。
 動物園で見たライオンがそうしていたように、低いうなり声をあげる。
 ……まずい。完全にぷっつんモードだ。
「いくぞ!」
 舞人が私の腕を掴み、容赦ない力で引っ張った。
 場合が場合だけに文句をいうこともできず、私は必死に足を動かした。
 しかし、いかな俊足を誇るこの自慢の足も、震えていては使い物にならない。
 他人の足で走っているような感覚だった。
 ……ちらと後ろを振り返る。
314B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/13 22:28 ID:vrhAviFP
 私達と化け物との距離は、既に十メートル程にまで縮まっていた。
 このままじゃ、あと数秒で捕まるだろう。
 私はいつ食べられてもいいように、自分がパーフェクトな女として生まれたことを心の底から懺悔していた。
 ……頭が良くてごめんなさい。……かわいすぎてごめんなさい。……ええと、それから……。

 ドーン!

 さすがにもう冗談はよそうとしたその刹那。
 何か運動会の徒競走でも始まりそうな音がなった。
 ……銃声だった。
 振り返ると、首筋から赤い血を足らしたキマイラが、憎々しげに横手の林の中をにらんでいた。
 ……何? 正義の味方?
 考えている暇はない。
 この間に、できるだけ遠くへ――
 少しだけ震えが収まった足に鞭を入れ、私はかつてないほどの速さで舞人を追い抜いて行った。

 誰だか知らないけど、助けてくれてありがとう。
 死なない程度にがんばって。

 ……全く知らない異世界の中、正義の味方が現れた
 それだけで希望が見え始め、私は自然に笑みを浮かべていた……
315名無しさん@初回限定:04/01/13 22:40 ID:J4+JjYk4
時空間漂着

ナナスは空を眺めながら今までのことを必死で考えていた、どうしてこんなことになったのだ?

ママトト城内、ママトトの軍師にして天才発明家のナナスは広間に自軍の主だった将を集めていた、
ざわめきが収まらない部屋の中を見渡してから、ナナスはおもむろに切り出す。
「イデヨンの秘密を盗んだ何者かがいます、おそらくアーヴィを連れ去ったのもその何者かでしょう」
そこでナナスは言葉を切る、いやそれ以上言葉が続かなかったのだ。
「ごめん…僕の責任だ…僕がこんなものを作ってしまったばっかりに…」
ナナスの目から大粒の涙がポロポロとこぼれ落ちる。
「大将!自分を責めるんじゃねぇ、悪りぃのは大将の発明を悪用した奴だぜ!」
「そうよ!ナナス君は悪くなんか無いわ!」
「みんな…」
ナナスが呼び掛けに応じるかのように、顔を上げたその時だった。
ナナスの身体が白い光に包まれつつあった、これはアーヴィの時と同じ…。
緊急事態を察知したリックが、ミュラが、ヒーローがライセンがナナスの元へと駆け寄っていく
「みんな来ちゃ駄目だ、まきこまれてしま…」
316名無しさん@初回限定:04/01/13 22:41 ID:CrUdVQg4
その言葉を最後にナナスの意識は身体ごと光に包まれて途切れてしまった。
どこか遠くで自分を呼ぶ、仲間たちの声を聞きながら…。
そして気がつくと、自分はここにいた、おそらくあのとき自分の身体に触れていた、
リック、ミュラ、ライセン、ヒーロー、シェンナの5人は確実に巻きこまれているだろう、
彼らに次いで自分の近くにいた、エイベル、ラミカらといった面々も巻き込まれてしまった可能性がある。

「行かないと…」
ふらふらと立ちあがったナナスだったが激しい頭痛に見舞われ、そのまま突っ伏してしまう。
どうやら脳震盪を起こしてしまっているようだった。
「みんな…必ず助ける…から」
そしてまたナナスの意識は遠のいていく、今度もまた誰かの声が聞こえる、さっきと同じだなと思いながら。

【ナナス 所持品 なし@ママトト@(アリスソフト)】
(ママトトの武将が何人か巻き添えになっている可能性あり)
317名無しさん@初回限定:04/01/13 22:43 ID:CrUdVQg4
鬼道新撰組

そしてそのころ。
「くそっ!しつけーぞ、テメェラ!」
シェンナは目の前の相手に拳を叩きつけるが、それは鉄扇に阻まれ受け流されてしまう。
(つええ…)
さらに一息つく間もなく、彼女の背後から側面から次々と攻撃が繰り出されていく。
今、シェンナが相手をしているのは3人、いずれもぼろぼろの浅葱色の羽織を身体に纏っていた。

「ここはどこかと尋ねただけだろうが!いいかげんにしやがれ!」
シェンナが悪態をつき終わるか終わらないかの間に、自分の正面の金髪女がぶんっと鉄扇を振り下ろす。
避けきれず受けとめるしかなかったシェンナの手首に激痛が走る。
(折れちまったか、なんてバカ力だ・・・!)
痛みに顔をしかめている余裕は無かった、慌てて飛び退くとついさっきまで自分のいた場所に銃剣が突き刺さる。
(くそ…こいつら手馴れてやがる…)

新撰組は殺しを個人の手柄にしない、まさに狼のごとく徹底的に効率を重視した集団戦術で、
並み居る剣豪をことごとく屠っている。
しかも今ここにいるのは、剣客・暗殺集団新撰組の中でも最強クラスの強者たちだった。

(奥の手を出すしかねぇな)
シェンナはくわえタバコを地面に吐くと呼吸を整え、印を切り、自分の奥の手である分身の術を繰り出そうとする。
それもただの残像だの錯覚だのを利用したものとは違う、彼女の分身の術は文字通り、
自分自身を2つに分けるのだ。
318名無しさん@初回限定:04/01/13 22:44 ID:CrUdVQg4
これなら片方が斬られても、もう片方は逃れることができる、体力こそ半分になってしまうが、
生き延びることが出来ればなんとかなる。
シェンナは自分の残る全ての力を逃亡に注ぎこみ、全速力で走りながら術を発動させていく。
後ろから声が聞こえるが、それはみるみる間に遠く聞こえなくなって行く。

が、彼女の行く手に気弱そうな眼鏡娘、沖田鈴音が刀を抱えて立ちふさがる、退路を読まれていたようだ。
だが、もう遅い、術は完成している。
シェンナは鈴音の目前で大きく跳躍すると同時に術を発動、2体に分裂したシェンナはそれぞれ逆の方向へと
飛び退こうとした、が、出来なかった何故なら。
「!!」
空中にいた2人のシェンナは確かに見た、恐るべき速度で鈴音の刀身が鞘から抜き放たれ
自分の身体を2つ同時に真っ二つにするところを…
その動きはあまりにも鮮やかで、斬られたシェンナは悲鳴を上げることすら出来なかった。
ただ先に地面に落ちていく自分の下半身をぼんやりと眺めながら、
声にならない声で最後の悪態を呟いたのみだった。
「タイマンならテメェらごときに…」
返す刃で鈴音がシェンナの首を刎ねたときには、彼女はすでに息絶えていた。

「これで一人か…しかしやはり戦はいい、これぞ武士の本懐」
ようやく追いついた土方歳江は未だに死んだことを理解してなさげなシェンナの瞳を閉じさせ、
死に顔を整えてやる。
「喜べ、お前の命は我ら新撰組再興の、そしてゆくゆくは真の武士の時代の礎となるのだ…
 そして死ねばみな仏だ、せめて手厚く弔ってやろう」
そういうと歳江は、芹沢らと共に墓穴を掘り、シェンナを埋葬してやる。
墓標に彼女の着ていたジャケットを括りつけ、愛用のタバコを供えてやると
歳江たちはまた次の獲物を探し、島内の巡回を再開した。 

【シェンナ 死亡@ママトト@(アリスソフト)】
319書き手紫零:04/01/13 23:26 ID:qOARiv4/
[彷徨]

「くっ・・・。」
全身が何ともいえない脱力感に苛まれていた。
寝起きのような、ぼうっとした意識を渾身の力で集中させる。
「天音?悠姉さん?百合奈先輩?」
「大輔・・・ちゃん・・・。」
薄く立ち込めてる霧の中から悠姉さんの声がした。
「悠姉さん、大丈夫?」
「私は平気よ・・・でもあとの二人は・・・?」
姿を現した悠姉さんは、さっきの疲れはあったが怪我などはしていないようだった。
(そうだ、天音・・・。)
辺りを見回して初めて気付く。
「えっ?ここは・・・?」
鬱蒼とした木々が辺りを覆いつくし、まるで富士の樹海か何かのようだった。
「大輔ちゃん、これって、一体・・・?」
「やはり・・・これは呪いの・・・」
百合奈先輩が苔むした木の後ろからゆっくりとした動作でこちらに歩いてきた。
「どう考えても・・・俺たちの住んでる町じゃないよな・・・。」
これは一体どういうことだ?
俺たちに何が・・・。
「それより、橘さん・・・」
悠姉さんに言われて再び気付いた。
320書き手紫零:04/01/13 23:28 ID:qOARiv4/
「天音!」
今だ小さな池のそばに倒れ付していた天音を抱き起こして声をかける。
すると、大きな瞳をゆっくりと開いて一言。

「おはよぉ・・・大輔ちゃん・・・。」

ガクンと一気に力が抜けた。
いつもの天音の反応に安心を覚える。
「良かった・・・。元に戻ってる・・・。」
「えっ?どうし――!?」
言いかけて天音もこの異常事態に気付いたらしい。
「大輔ちゃん!?ここどこっ!?」
「いや、俺に訊かれても俺も解らない・・・。」
俺たちは天音にこれまでの事の顛末を話した。

「そんな・・・・・・。」
自分が信じられない、そんな風に天音は自分を抱きしめる。
「とにかく、誰か人がいないか探してみよう。」
正直、誰かがいるとは思えない。
だが、こんなジャングルでただそこにいるのは精神的に耐えられなかった。

「行こう。」

【麻生大輔・橘天音・君影百合奈・篠宮悠:状態=良】
321ねがぽじ投入:04/01/14 00:43 ID:Ux+4mVoC
>>300 うぉ・・・ギャグ人間なモノで^^;
>>302 なんというか、・・・・・・要芽お姉様だw
とりあえず、今日の夕方にでも投下しますか・・・
322名無しさん@初回限定:04/01/14 03:01 ID:Dvyi9KXY
上手い方もいらっしゃるが、馴れ合いやら顔文字やら・・・やらと
このスレだけ厨SSサイトに直結してる感じだ…。
とアンチ的発言はおいといて、長編リレー小説は
最初の勢いのあるうちにどれだけ話を進めれるかがカギなんで、
終わらせようと考えられてる方はがんばってくださいね。
他の例と比べると、すでに失速してる感はありますが。
323鋼鉄の僕:04/01/14 04:28 ID:t9PIWdql
 僕の識別名は友永和樹。ロボットだ。
 ケルヴァン様の命令に従い、任務を遂行する。それが僕だ。

 僕の記録保持は12時間前からスタートしている。
この島の中央部の一室で目覚めた僕は、その時にケルヴァン様から任務を与えられた。

 与えられた任務は二つ。
 魔力保持者の保護と魔力欠落者の駆除だ。
 その任務を遂行するべく、僕の探索行動が開始され、そして―――


 紫煙をあげるシグ・ザウエルの銃口の向こう、手傷を負った獣がほえた。
 血走った目を獣は―――キマイラ、という名だと危険生物クラスタがデータを表示する―――こちらに向ける。
 僕は、キマイラを挟んでさらに向こう、走って逃げる魔力保持者と欠落者の一組に目を走らせた。
 保護クラスタと駆除クラスタが彼らに対する追跡を推奨する。
 だが、状況認識クラスタが、キマイラが攻撃目標を僕に定めたことを警告、対応を要求してくる。

 僕は彼らの追跡を一時断念し、再度キマイラのほうへ視線を戻した。

「……!」

 その時にはすでにキマイラ僕の方へ間合いを詰めていた。
 キマイラは僕の顔面を狙い、鋭い風きり音とともに鍵爪の着いた腕が振るわれる。
 速い。
 おそらく普通の人間では対応できないだろう。
 だが、僕のボディは戦闘を前提として作られた物だ。
 軽いサイドステップによって、キマイラの攻撃を回避。
眼前を鍵爪が凪ぐ。
324鋼鉄の僕:04/01/14 04:30 ID:t9PIWdql
 シグ・ザウエルによる近距離射撃を考えるが、

 「……これは無理かな」

 連撃として振るわれた蛇の尾の一撃、さらに続く鍵爪の連続攻撃の前では回避するのが精一杯であった。

 だがまだ手はあった。
 僕が持つ能力は、この身体能力だけではない。
 電覚―――通信電波を通じてのハードウェアのリモートコントロール。
それもまた僕が持つ能力なのだ。
 グローバルネットーワークが存在しないこの世界では電覚の効力は著しく制限されるが、それでも使いようはある。

(―――この、世界だって?)

 どの世界と比較したんだ―――一瞬そんな疑問が頭を掠めるが、
キマイラとの戦闘という最優先事項の前に、そんな疑問に対する重みは余りに小さすぎた。
 僕は頭を振り、電覚を使用し指令を飛ばした。 

「エテコウ、いけ!」

 僕の指令にしたがい、すでに茂みの中へと隠しておいた小猿型のペットロボット、
エテコウが起動。背後からキマイラに襲い掛かる。

 僕へと気をとられていたキマイラは完全に不意をつかれた。
首筋へととんだエテコウは手にしたサバイバルナイフを、
先ほど僕が撃ち抜いた場所へとえぐりこむ。
 
 すさまじい声でキマイラはほえた。深手を負ったようだ。
だが、エテコウの力では致命傷を負わせるに至らなかったようだ。
大きく首を振り、エテコウを弾き飛ばすと、跳躍し、後退。
さらには翼を広げて逃走にかかった。
325鋼鉄の僕:04/01/14 04:31 ID:t9PIWdql
(攻撃意志は失ったようだけど……どうする?)

 魔力欠落者駆除クラスタは、先ほどの男女の一組を追跡することを推奨している。
が、魔力保持者保護クラスタは手傷を負ったキマイラが、他の魔力保持者に危害を与える可能性を示唆していた。

 二つのクラスタによる競合で僕は少しの間迷い……結局、僕は自律決定を放棄した。
 電覚を使用し、ケルヴァン様と通信を取る。
『和樹か……なんだ?』
 通信に応じたケルヴァン様に状況を報告。意思決定をゆだねる。
 ケルヴァン様は少し思案した後、回答した。
『そうだな……キマイラを追って始末しろ。その召還者たちはほうっておけ。
駆除の方はどうせ新撰組あたりが喜んでやっているだろう。
お前は暫くの間、魔力保持者の保護および連行を優先させろ。
初音に贄にされてはかなわんからな……』
「了解しました」
 ケルヴァン様からの指示によって、保護クラスタの価値が増大し、行動が決定された。
 
 僕はエテコウを拾い上げた。
「キー……?」
 エテコウは少し不思議なものを見るような……そしてどこか悲しげ顔をして、僕を見る。
それはまるで、僕が本当の主人なのか迷っているような顔で―――
(……馬鹿な考えだな)
 僕は頭を振った。エテコウは僕からの指示が無い限り単純なプログラムによるランダムな行動をとる。
 そこに意味を見出すのはばかげた行動だ。
 ―――それでも僕は、
「行こうか、エテコウ!!」
 そう自分のペットロボットに呼びかけて、キマイラの追跡を開始した。 
326鋼鉄の僕:04/01/14 04:33 ID:t9PIWdql
 和樹との通信を終えたケルヴァンは耳にはめた通信装置をはずし、フゥとため息をついた。
「友永和樹か……それなりに拾い物ではあるか」
 あのロボットを得たのは、ケルヴァンが異世界の探索をしているときであり、
その時和樹は傷つきとくに頭脳にひどい損傷を負っていた。
 傍にいたペットロボットごと回収し、修理を試みたものの、蓄積されていた情報―――すなわち記憶は失われてしまっていた。

「まあ、それは好都合だったのだが、な」
 結局のところ、そのおかげで自分を主人と認識させることに手間がかからなかったのだ。
 実際、新撰組やドライといった輩と違って意志を持たない和樹は、
扱いやすい手駒である。貴重であるとさえ言っていい。
 が、不安がないわけではない。
 彼の頭脳、無機知能は余りに複雑かつ異質すぎて、修理したケルヴァンでさえブラックボックスな部分が大きすぎるのだ。
 さらには、ヴィル・ヘルムがおそらく良い顔をしないだろう、という懸念もある。
 いわば和樹は、彼の嫌う科学文明の集大成ともいう存在なのだから。
 
 そういうわけで和樹の存在はヴィル・ヘルムにも伏せてはいるのだが……
「まあよかろう。いざとなれば切り捨てればよいか」
 そう呟くと、ケルヴァンは目をつぶり、己の野望を夢想した。

【友永和樹@“Hello,World” 状態良好。ケルヴァンの僕。魔力保持者保護を目的。
              装備……エテコウ、シグ・ザウエル、サバイバルナイフ】
【キマイラ 負傷、逃走中】  
327名無しさん@初回限定:04/01/14 10:37 ID:Anrnnpxe
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1073937552/

感想スレが葬式みたいになってますよ
328名無しさん@初回限定:04/01/14 16:09 ID:0GbMruLm
正直面子が固定されている上に微妙なんだよな
もっとメジャーな
臭作先生とかYU-NOとか同級生とか下級生とか
同窓会とかPiaキャロとかwith youとかみずいろとか
君望とかLOVERSとかSNOWとか家族計画とか
クロスチャンネルとかエスカレイヤーとかはにはにとかDCとか
出しまくろうよ
329名無しさん@初回限定:04/01/14 17:29 ID:xVbXgjFg
330名無しさん@初回限定:04/01/14 19:00 ID:f5GopLSy
鬼が女ばっかりなのでうそ×モテの主人公、里中を投入してみたい…


でもマンドクセ('A`)ノ
331ねがぽじ投入:04/01/14 21:01 ID:qFP1WWv5
[天使降臨](ねげぽじ2話 通算18話?)

 4人は焚火を囲っていた。
 薪を集めたいり、火を熾したりと、普段は頼りない透が先陣を切っていた。みな、焼き魚を咀嚼している。ついでにいうと、この魚も透が入手してきたものだ。
 彼らの時間ではそろそろ晩飯の時間だった。こちらの世界では時差があるかもしれないが。
 まひるは右に、ひなたは左に、大きな翼を生やしている。それも一方のみ。横に並ぶ様は、ひとつの大きな鳥にも見える。仲を良い夫婦を「比翼の鳥」というが、この兄妹もそういったところか。
 もぐもぐ言いながら、透が口を開いた。
「おぃ、なんでひなたまで羽を出している?」
「さっきので驚いてから、一応ね」
「重たくないか?」
「重いわよ。でも仕舞うのは手間なの」
「ふーむ」
 ひなたとまひる、厳密にはまひるだけは「天使」に似た特殊な存在であった。己の肉体を極限まで高め、長い時を生きる生物。その昔、同族に襲われ死にかけていたひなたを助けた。ひなたの羽は、まひるの命のかけらであり、ひなたの命そのものだ。
 だからひなたは「死人」であり、成長もしない。いまだに小四のまま、死んだ当時の風貌だった。
「はむはむ。おいちぃ(はぁと)」
「あんたら、ホント脳天気ね」
「まあそういうな。くつろげる内にしておけば……それより気になることがあるんだが」
「な、何よ」
 緊張した面持ちで香澄が問う。一方、透はえらく間延びした(でもこれがデフォルトだ)声で言う。
「さっき、黒髪の人が香澄を生娘じゃないとか、なんとか」
『うっ』
 黙っておけばよいものを、香澄とまひるが魚を喉に詰まらせる。
「えほえほっ」
「姉、水」
「あんがと」
 木の実の殻でできたコップを差し出す。やっぱり透の作だった。
「ちょ、な、何を」
「いやいや、たいしたことじゃない。ただ恋敵の状況は気になる」
「なっななな、すける、そんな」
「はははっ冗談、冗談」
 ちなみに透の言う恋敵とはまひるではない。香澄のことだ。冗談ではなく、本気で。
332ねがぽじ投入:04/01/14 21:02 ID:qFP1WWv5
 戸惑っていたまひるだったが、急に声をあげた。
「――来る」
「さっきの女か?」
「間違いない。こっちへ」
 食べかけの魚を放り出し、4人が駆け出す。
「まひる、もっと速く走れるでしょ?」
「えと、……ムリです」
「嘘」
「………ムリだもん」
「あんたが本気で走れば、追いつかれないわよ」
「でも、香澄達を置いて行きたくないし」
 ――カラン――コロン
「仕掛けた罠が今ごろ警告か……まひるがいたら無意味だな」
「透」
「何かな、ひなたちゃん」
「いざとなったらまひるだけでも」
「そのつもり。でもその『いざ』までは遠い」
「そうかしら?」
 ぐんっと最後尾だった香澄の襟元に力がかかる。
「きゃっ」
 香澄の悲鳴に全員が足を止める。
「香澄っ」
「ふふ、今度は本気を出させてもらうわ」
 その様を、ケルヴァンは使い魔を通して見物していた。ここで和樹を投入すべきか? いや、敵わないだろう。だが、殺されてはヴィルに無能のレッテルを貼られかねない。
333ねがぽじ投入:04/01/14 21:03 ID:qFP1WWv5
『待ってもらいましょうか』
「あら、ケルヴァン」
『まひる君達、私はあなた方に危害を加えるつもりはない。あなた方には、この世界の住人となっていただきたいのだ』
「な、何言ってんのよ」
 ひなたがすこしビクつきながら言い放つ。
『温かみを持たない、人をただ堕落させるだけの科学などを捨て、魔法を尊ぶ世界を創る、それが我々の総帥のお考えだ』
「馬鹿馬鹿しい、何をふざけたことを」
『こちらの勝手であることは詫びたい。だが、ここならまひる君を迫害する者はいない』
「なっ……」
(あたしって有名? ……ふざけてる場合じゃないね)
 ケルヴァンは召還する人間のデータを片手に、懐柔する手順を考えていた。彼らは元いた世界に不満をもっている。そこをにつけこめば…と。
『君達が元の世界に戻ったとしても、温かく迎えてくれるのだろうか? 人間でない君を。しかし、我々なら君たちを差別したりは―――』
「馬鹿なこと言わないで!」
 初音に襟首を捕まれたまま、香澄が叫んだ。
「まひるは人間よ。言動とか格好とか女っぽいし、頼りないけど、私の好きなまひるを、悪くは言わせない! 誰かがまひるを悪く言ったって、私たちがまひるを守る!!」
「香澄だけじゃなくて俺も、ひなたもな」
「全部言われちゃったわね」
「みんな……」
 初音は冷笑を浮かべた。輪郭がぶれる。
 まひるの頬に何かが当たる。湿り気と温かみを持った『それ』はずるりと足元に落ちた。
「な……あ、ああ…」
 まひるがその物体に視線を落とす。そこには見慣れた制服の切れ端が。
「きゃぁぁぁ!!!!」
 弾けとんだ左腕の断面を抑え、香澄はのたうつ。そして失神した。しかし、初音は手を離さない。
「か、香澄!」
「ところで、仲間になる気は、あるのかしら?」
『初音!』
 初音は、傷口に爪を侵入させる。滴る鮮血に黒い爪を染め、恍惚とした表情を浮かべた。
「香澄ぃ!!」
 まひるが拳を振りかざし、初音に叩きつけた。が、伸びた爪がその拳ごと腕を貫き、そのまま裂く。血は出ない。「天使」の本能が彼の血管を縛り、傷をふさぐ。
「うわぁぁ」
 初音は追撃をかけた。
334ねがぽじ投入:04/01/14 21:04 ID:qFP1WWv5

―――肩口を裂き、

―――腹に穴をあけ、

―――足を断つ。

 まひるの力ない反撃はいなされ、左腕が掻き消えた。
「まひる!」
 まひるが生き物とも呼べない無様な姿になった頃、ようやく透とひなたが我に返った。
 まひるは応えない。応えるべき口には亀裂が走り、空気が漏れている。
「さて、食事は後々ゆっくりするとして――」
 初音が透を見、微笑んだ。
「覚悟はいいかしら? さっきの爆発――何の薬品か知らないけど、髪が痛んでしまったわ。その復讐も、しなければならないわね」
「ヘアートリートメントでも……買ったげようか?」
「ふふっ、童貞さん、貴方が手助けしてくれたらね」
「……透、まひるを、よろしく頼むわよ」
「ひなた、まさか」
 ひなたが倒れる。途端、翼がちぎれ、疾走する獣のようにまひるにかけよった。
「何?」
 翼はまひるの左肩――と呼べるかどうか疑わしいほど傷だらけだが――に舞い降りた。
335ねがぽじ投入:04/01/14 21:06 ID:qFP1WWv5



 森の木々が光に染まる。
――ばさり……ばっさばっさ……
 光が収まる。
 そこには天使がいた。両翼を携え、怒りに拳を震わせている。怪我は、どこにもない。
「許さない。絶対に許さないんだから!!!」
 まひるが地を蹴る。初音の懐に飛び込み、思い切り殴り上げた。彼女の体が中に舞う。翼をはためかせ、それを追う。先回りすると、そのまま初音の頭を掴み、地面に叩きつけた。
「くっ」
 まひるの腕を掴み、爪を食い込ませる。まひるは左腕を伸ばし、その背中に爪を立てた。
(明らかに形勢不利ね……贄が足りなかったわ)
 初音は身を反転させ、上を向くと、みぞおちを蹴った。まひるの体が宙に浮く。思ったとおり、体重は常人並だ。裏拳でまひるの体を払い、距離を取った。
 追撃はしない。不本意かつ不服だが、敗北よりはいい。
 彼女はそのまま闇に姿を消した。
「ちっ、どこ!?」
 その目は赤外線を追うが、湿った木々が邪魔をして見つからない。
「か、香澄は?」
 思い出し、そのほうを見た。いない。
 少し離れたところで、透と一緒にいる。避難させたのだろう。こういう時、本当に頼りになる。
336ねがぽじ投入:04/01/14 21:07 ID:qFP1WWv5
 だが……彼は首を横に振った。
「そ、そんなっ」
 慌てて駆け寄る。その物体には、香澄の面影すらなかった。
「そうだ、翼を移植するっていうのは? あれでひなたも助けたんだろ?」
 今度はまひるが首を振る。
「『死にかけ』ならまだしも、『死んだ』人間には出来ない……」
「そう……か」
「というより、人格は戻らない。生きた屍になっちゃうんだ。…………香澄……ひなた」
 振り返り、苦悶の寝顔を湛える妹を見た。
「ありがとう」
『まひるにもらったものだから、ちゃんと返したわよ』
 そんな声が聞こえた気がした。

【広場ひなた、桜庭香澄 死亡】
【広場まひる 天使として覚醒、運動能力向上】
【遠場透 問題はなし】
337ねがぽじ投入:04/01/14 21:08 ID:qFP1WWv5
二回目は以上です。まぁ、人が死なないと始まらないだろう、ということで……
趣味丸出しの人選(というか作品事態そうか)です。
338B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/14 21:11 ID:2KdCCahw
 [招かれざる者たち]

 自らが捜し求める、覇王足りうる力を持つ者を育て上げる――
 ケルヴァンの主な目的はそこにある。
 人間という者は不思議なもので、己の身の危険を感じると、通常ではありえない程の力を出すことができる。
 この島で必死に生き残ろうともがくその中で、眠れる獅子が目を覚ますことを、彼は大いに期待していた。
 招かれし者――魔力を認められ、この島に召喚された者――
 招かれざる者――魔力を持たないのにも関わらず、召喚された者――
 とりわけ、魔力を持たずして召喚された者に、彼の興味は注がれる。
 この島で魔力も持たない者が生き残るのはほぼ不可能であろう。
 ……島が創られた時、この島は魔獣という副産物によって薄く広く覆われた。
 それに加え、招かれし者を保護し、招かれざる者を駆除することを命令として与えられた者たちもおり、それらの戦闘能力は魔獣をも凌ぐ。
 ……この絶望的に、圧倒的に不利な状況で、死線をさまようことを強要された者たち――
 彼らがこの島で生きる力を身につけた時――それは覇王の卵の誕生の時とも言えよう。

 と、使い魔から意識を離し思案に耽っていたケルヴァンの元に、ヴィルヘルムからの連絡が届く。
『召喚された招かれし者の中に、幼い子供がいる。早急に保護せよ』
 とのことだ。
 その子供とやらは、よほど大きな潜在的魔力を持つのだろう。
 結界内でその魔力を引き出す訓練を施すものと見られる。
 ……子供に興味などないのだがな――
 ……直々に出向くのも、たまには悪くない。
 そう思うとケルヴァンは、立ち上がった。

【ケルヴァン、朝倉ゆうなの保護へ向かう】
339B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/14 22:00 ID:2KdCCahw
 [獅子の卵 〜上村雅文〜]

 目を開けた僕は、眼前の白さを前にして、まだ気を失ってでもいるのだろうかと疑った。
 ……それが雪を降らす雲であることを理解するに至るまで、僕は少しの時間を要した。
 僕は仰向けで横たわっている。雪はぱらぱらとときたま舞い降りるばかりだ。しかも降り始めたばかりなのだろうか。
 周りにはだだっ広い草原の緑がまだ色濃く残っている。
 ……寒い。これで風邪も引かなかったら馬鹿に違いないだろうな……。

 ………………

 そうだ!
 ゆうなちゃんとまいなちゃんは!?
 僕は慌てて体を起こそうとするが、この寒さで身も凍ってしまったのだろうか? 動きそうにもなかった。
 と、ざっざっという足音が聞こえた。
 そしてその僕が見上げる白い空に、赤い色をした何かが姿を現す。
340B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/14 22:02 ID:2KdCCahw
 ……人?
 そう、それは赤い髪をした人間のように見えた。しかし、その長い耳を見るに、人間ではないようにも思える。
 エルフか悪魔のどっちかだろうか? ……っはは。地球上にそんなものがいるわけないか。
「……この娘たちは、私達が丁重に保護しよう」
 赤い髪の人は僕を見下ろし、そう言った。
 その両脇に、ゆうなちゃんとまいなちゃんの姿があることに、今更ながら僕は気づいた。
「……!」
 きっ、と相手をにらみつけ、威嚇する。
「……いい目だ。……心配は無用。この娘達は、魔力の素質がある。その力、ヴィルヘルムが必ず目覚めさせてくれるだろう」
 ……僕は寒さでイカレてしまったんだろうか? 魔力だのなんだのがこの世に存在するはずがない。
 ……それともここは、僕の知っている『この世』ではないのだろうか。
「この娘達と再び会いたければ、この島の中央にある結界内に来るがいい。……言っておくが、この島でお前の味方は一人もいない。
 目にした生き物は全て敵だと思え」
 ……結界? ……敵?
 何を言ってるんだ?
「これは夢ではない。生き残りたくば……本気で生きることだ」
 そう言うと赤い髪のそいつは身をひるがえし……
「ま、待て……」
 僕の言葉も聞かずに立ち去っていった。
 後には、草原に横たわる僕一人だけが残された。
341B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/14 22:03 ID:2KdCCahw
 ……どれだけ時が経っただろう?
 舞い降りる粉雪の中、僕はずっと何事かを考えていた。
 この場所が僕の知っている場所ではないことにも、ようやく考えが至った。
 ……僕達は異世界に来てしまったのだ。
 ……ゆうなちゃんとまいなちゃんは、必ず僕と一緒に帰る。
 あの子たちは、魔法なんか使えなくてもいいんだ。
 あの子たちは、元の世界で幸せに暮らすべきなんだ。
 なぜか涙が頬を伝う。

 ……結界とやらの中に入り、ゆうなちゃんとまいなちゃんを帰してもらえるよう頼む。
 僕が今からすべきことは、そんなことなんじゃないかな。

 だから……

 だからもし、誰かが僕を邪魔するなら……

          ……僕はそいつを、コロス……

 ……動いている者は全て敵と見なし……

          ……僕はそいつらを、コロス……


【朝倉ゆうな・まいな、ケルヴァンによりヴィルヘルムの元へ連れられる】
【上村雅文、結界を目指し、殺人鬼と化す。何本ものメスや麻酔銃、薬品等の入った医療用(?)カバン所持】
342B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/14 22:15 ID:2KdCCahw
話と関係ないレスですまんが、このスレッドを見て、
「この企画おもしろくないから、俺が一発おもしろいの書いてもりあげてやるよ!」
って人がいたら、ぜひ書いていただきたい。
レスにあるように、登場キャラがマイナーでツマンネと思う人もいるでしょう。
そんな人はどんどん好きなキャラを出してくれて構わないと思う。
始めたからには、ぜひ完結までもっていきたいので、
「しょうがねえ、ここはひとつ、俺が書いてやるか」みたいなノリで
お願いします。

恥を忍んでのお願いレスでしたw
343葉鍵信者:04/01/15 02:10 ID:AEgOUF7O
ぬいるぐみ大行進

 やぁ、ぼくの名前は、ハタヤマ・ヨシノリ。
 私立エンゲル魔法学院の使い魔科に通うぬいぐるみ科チャック族ハムスター種。
 誰が見たって可愛いと思えるキュートさがぼくのウリ。
 
 「………………ここは、何処なんだよぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおぉおおお」

 ぼくは、大声を上げて泣き叫んだ。
 だって、さっきまでいた場所と全然違う場所なんだ。
 誰が見たってここは、森の中だ。

 カーッ カーッ カーッ。

 木がいっぱい生い茂って、鴉の鳴き声も聞こえる。

 「おかしい、ぼくは、ビビアンちゃんと錬金術の授業をしていて
 ビビアンちゃんが、薬品調合に失敗してどかーんと爆発して……
 気づいたら、ここにいたわけで…………」
 
 そうだ、ぼくは夢を見ているに違いない。
 きっと爆発の衝撃で意識を失ってる間の見てる夢に違いない。
344葉鍵信者:04/01/15 02:11 ID:AEgOUF7O
 そうだ、ぼくは夢を見ているに違いない。
 きっと爆発の衝撃で意識を失ってる間の見てる夢に違いない。
 
 カーッ カーッ カーッ、ツンツンツンツン。

 この鴉の声だって……。

 ツンツンツンツンツン。

 「うわぁぁぁぁ、痛い痛い痛い、夢じゃないよ、うわぁぁぁぁああん。
 つつくな、つつくな、あっちいけ、あっちいけぇ」

 しばらくお待ち下さい……。

 「はぁはぁ……」
 
 やっとのこさで鴉との激闘を終えた。
 あの鴉めぇ、今度あったら必殺エレキバースをお見舞いしてやる。
 でも使うとぼくも電撃で痛いんだけどね……。
345葉鍵信者:04/01/15 02:13 ID:AEgOUF7O
 「おかげで余計な体力を使っちゃったよ。 ちょっと横になって休もうっと」

 そうするとぼくは、近くにあった木にもたれ掛かった。

 プニ。

 「む、何かこうぷにっとした柔らかい感触が……」

 プニプニ。

 「うーん、この感触は……」

 プニプニプニプニプニ。

 調子に乗って頭を持たれかける。

 プニプニプニプニプニプニプニプニプニプニ。
346葉鍵信者:04/01/15 02:15 ID:AEgOUF7O
 「うぅん……」

 突然、ぼくの頭の上から声が、可愛い声が聞こえてきた。
 恐る恐る上を見ると…………。 超キュートな魔法使いな女の子がいた。
 うーん、ぼくの頭は丁度、この子の胸にあたっていたんだね。

 この子もぼくと一緒に実験に巻き込まれたのかな。
 でも、学校の制服来てないし……。 
 取り合えず、起こした方がいいのかな。

 「おーい」

 余り大きい声で起こすのもアレだし、触ってみたら起きるかもしれない。
 
 さわさわさわさわさわさわさわ。

 ふとももをさすってみるけど、あんまり反応ないね。
 それじゃぁ、次は……。

 つんつんつんつんつんつん。

 胸を軽くつついてみる。

 「ん…………」

 おお、反応があった。 よしこの調子で。
347葉鍵信者:04/01/15 02:16 ID:AEgOUF7O
 つんつんつんつんつんつん、もみ。

 「あっ、ん………。 きゃぁ」

 しまった、起きてしまった。

 「あ、ここは……。 そうだ私爆発に巻き込まれて……」
 「おはよう」
 「え、あ、あなたは……」
 
 よかった、どうやらぼくが悪戯してたのは気づいてないみたいだ。

 「はじめまして、ぼくの名前は、ハタヤマ・ヨシノリ。
 私立エンゲル魔法学院の使い魔科に通う学生なんだ」

 「は、はじめまして、私の名前は、アーヴィ・アルフォリアです」

 「アーヴィちゃんって言うんだ。
 君みたいな可愛い子にあえて、ぼくはなんてついてるんだろう
 ねぇ、君は何処からきたの?」
348葉鍵信者:04/01/15 02:17 ID:AEgOUF7O
 「は、はぁ……。 ママトトっていう王国にいたんですけど、実験の爆発に巻き込まれて……
 気づいたらここにいたんです」

 「ママトト……。 聞いた事ないなぁ。
 でも奇遇だね、ぼくも学校の授業の実験の爆発に巻き込まれて、気づいたらここにいたんだ」

 「ハタヤマさんも私と同じなんですね。
 でも、ここは一体……」

 「森だね」

 「いえ、それは解るんですが…………」

 「うーん、悩んでても仕方ないし、一緒にこの辺りを散策してみようよ。
 さっきからずっと一匹だったんだけど、アーヴィちゃんがいてくれれば心強いよ」

 「クスッ、(悪いぬいぐるみ(?)ではないみたいね)
 そうですね、では、まずは森を抜けてみましょうか」

 「そうこなくっちゃ」

こうして、情けない使い魔としっかりした魔法使いのコンビが結成したのだった。


【ハタヤマ・ヨシノリ@メタモルファンタジー(エスクード):所持品なし、森から出る・アーヴィについてく】
【アーヴィ:魔力増幅の杖、まずは森から出る
349書き手紫零:04/01/15 03:06 ID:32NQoCw8
[遭遇]

みんなを気遣い、ゆっくりとしたペースで池から続く小川沿いを川下へ歩く。
地盤が緩いこともあり、それぞれ手には杖代わりの古木を持っている。
それを地面に突きながらの軽いトレッキング、といった感じだった。
「大輔ちゃん、あれ・・・何かな?」
天音が杖で指したものは行く手に張ってある白い布のようなものだった。
「糸・・・のようですね。」
「百合奈先輩。こんなジャングルで糸はないよ。」
しげしげと”それ”を眺める百合奈先輩に言った。
「でも・・・確かに糸っぽいよ?」
悠姉さんまでそんなことを言い出す。
(ジャングルで糸って・・・そんなバカな。)
木の枝でその糸らしきものに触れてみる。
すると意外なことに一瞬のベタつきを残してそれはあっさりと両断されてしまった。
「やっぱり・・・糸じゃないよなぁ・・・」
「クモ・・・の、糸のようでしたね・・・・・・」
そういった百合奈先輩の表情が強張る。
「うぅ・・・私クモ嫌いだよぉ・・・」
「おいおい。いくらなんでもあんなに幅広い糸張るクモなんて世の中に存在しないだろう。」
笑い話もいいとこだ。
とはいえ想像すると気持ちのいいものじゃない。
「あの・・・」
350書き手紫零:04/01/15 03:08 ID:32NQoCw8
「うおっ!?」
巨大グモを妄想して一人でトリップしていたところに女の子の声。思わずビクッとなってしまう。
「もしかして・・・ここに張っておいた糸、切りました?」
「えっ?君があの糸を?」
「ええ。そうです。」
(ホラ。やっぱり何か理由があったんだよ。)
心持ち安堵しながら俺は言った。
「すまない。ちょっと通り道にかかってたからさ。」
「それより大輔ちゃん、折角偶然とはいえ人に会えたんだから――」
悠姉さんが言い終えるより早く。
「偶然じゃないわ。貴方たちが糸を切ったから私は来たまでよ。」
――刹那。
「ぐっ!」
右の太ももに激痛がはしった。
「う・・・そ・・・・・・!?」
悠姉さんが絶句したのも無理はない。
俺の脚に深々と突き刺さっていたのは、目の前の彼女から生まれた、クモの足の爪だったのだから・・・。
351書き手紫零:04/01/15 03:09 ID:32NQoCw8
「安心なさい。用があるのはそこの小さい子だけ。あとは・・・」
クモ女は俺と百合奈先輩、悠姉さんを見てニヤリと笑った。
「”間引いていい”って言われてるのよ。すぐ楽にしてあげるわ。」
「何のことだかさっぱりだがな・・・っ!」
俺は自分の足に刺さっているクモの足を掴んで杖代わりの古木を振り上げる。
「この三人には指一本触れさせやしないっ!!」
俺の古木とクモの爪が同時に割れた。
静寂とせせらぎしかなかった世界に鈍い破砕音が響く。
「くうっ!生意気なっ!!」
数本の足が俺を目がけて振り下ろされた。
「うわっ!!」
慌ててとびずさったが、ガードした腕に赤い線が滲む。
「大輔ちゃんっ!!」
天音の悲鳴が俺の耳に入ってきたが、それに答える余裕はなかった。
爪をカチカチ鳴らしながらクモ女は冷たく笑う。
「今度は・・・殺るわ・・・。」
「お前は一体、何がしたい!ここはどこなんだ!?」
俺の問いかけにクモ女は苦笑する。
「またそんな問いかけなのね・・・。ここは・・・そうね、貴方たちに解りやすく言えば”異世界”。」
「異世界だって?」
「そう。召喚されてしまったのよ。何かの偶然でね。」
「召喚?何で俺たちを――」
「これから死ぬ者に話す必要はないわ。」
(時間稼ぎも限界か・・・。)
おそらく動けなくなっているであろう三人を含め、どうするか思案した。
(どうする・・・?ここで横に逃げれば後ろの三人が・・・っ!)

後ろに注意が逸れた一瞬を相手は見逃してはくれなかった。
「死になさいっ!」
(しまっ――)
352書き手紫零:04/01/15 03:09 ID:32NQoCw8
全てを覚悟した・・・その時だった。

「きゃあっ!」
「あら・・・」
よく聞き慣れた声が二人分。
「くっ!?」
いきなり頭上から落下してきた二人組をクモ女はバックステップで回避する。
その姿が一瞬にして普通の女の子に戻っていた。
「いったぁ〜・・・。」
「恋ちゃんが身を挺して庇って下さらなかったら、危ないところでしたわ・・・。」
「藍ぃ〜・・・またうまいこと私の上に落ちるのね・・・。」
「恋!藍ちゃん!!」
「あ、お兄様!」
「アンタ、こんなとこでなにやってんのよ!?」
「助かった!そんな話はいいから逃げるぞ!」
「はあっ?」
有無を言わさず俺は痛む足を押さえながら全速力で駆け出した。
今の状態を知っている三人はいつもの様に、俺の足が速いなどと文句を言うこともなくついてくる。
「ちょっ・・・ちょっと待ちなさいよ!!」
慌てて俺たちの後を追ってくる恋と藍ちゃん。


消えていく人影を初音はゆっくりと見ていた。
その視線は藍と天音に注がれている。
「”招かれし者”・・・ふふふっ。いつ覚醒するのかしら。それとも・・・?」
クモの四肢が生まれ、先ほど大輔に壊された爪がみるみるうちに再生していく。
「いい感触だったわ・・・。もっと恐怖に怯える顔を見せて頂戴・・・・・・。」

再び静寂が訪れた森の中に初音の冷たく、妖艶な笑い声がこだました・・・。
353書き手紫零:04/01/15 03:14 ID:32NQoCw8
「ちょっと!どういうことか説明してよね!」
クモ女との一戦から10数分経った。
何も知らない恋はいつもの様に俺に噛み付いてくる。
仕方なく俺は悠姉さんに処置されている足の痛みと戦いながらさっき天音にしてやったのと同じような説明をしてやった。
・・・クモ女との戦闘も含めて。
「じゃあ・・・ここって本当に”異世界”とかいう場所なワケ?」
「俺も信じたくはないが・・・あんなバケモノがいる事実がある。どうやら本当らしいな。痛っ!」
「あ、ごめんね。痛かった?」
心配そうに悠姉さんが俺の顔を覗き込んでくる。
「いや、一瞬だったから・・・」
「さっきの・・・爪が刺さったままだったから抜いたの。」
俺の血で赤く染まっているそれを見て、改めてここにいる現実を知る。
「どうすれば・・・戻れるのでしょう・・・。」
百合奈先輩の一言に周りの空気が重くなる。
「まだ分からない。でも、生きてさえいればきっと戻れるさ・・・。」
そう、きっと。
あの幸せな毎日に戻ることが出来るはずだ・・・。

【桜塚 恋・鷺ノ宮 藍@Canvas〜セピア色のモチーフ〜(カクテルソフト)状態:良 装備:学生カバン】
【麻生 大輔 状態:不調 橘 天音 装備品:クモの爪】

354理不尽、約束、惑い:04/01/15 03:20 ID:bkeQTOxX
沢村司の人生は基本的に理不尽と突然の不幸の連続であり、
司自身もまた、そのことを自覚し、それなりに覚悟を決めて日々の生活を送っていた。
 要するに彼は不幸に慣れているのであり、ある種の適応能力も持ち合わせた男であるのだが……

「にしたって程度ってもんがあるだろうが……!」
 司は見たこともない荒野を見渡し、苦々しくつぶやいた。
 
 ふざけんな、こんなことありうるのか?
 俺はつい数時間前まで寛の馬鹿と昼飯のおかずを巡って殴り合ってたんだぞ?

「おにーさん……ここどこなんですかぁ?」
 司の隣で河原末莉が泣き声をあげた。
「さぁな。俺が知るか」
「おかしいですよ、こんなの……こんなのぉ……!」
 パニックを起こしかける末莉に司は思わず歯噛みした。

 何が理不尽って、一緒にここにいるのが末莉だってことだ。
 いや、誰だったらいいってわけでもないが、よりによって末莉だ。これはあんまりじゃないか?
 何でもここにくる直前、末莉には誰かの呼び声が聞こえたらしいが……

「さっきのって銃声ですよね? なんなんですか、あれ……」
「さぁな。どこかで運動会でもやってるんだろ」
「う…ぐ……ひぐっ……!」
 司のそっけない返事に、末莉がしゃっくりをあげた。
司はそれをみてガリガリと頭をかく。 
355理不尽、約束、惑い:04/01/15 03:21 ID:bkeQTOxX
(こいつに八つ当たりしてもしかたねぇよな)
 ちょっと反省する。
 経緯はともあれ血筋はともあれ、俺はこいつの兄貴ってことになってるんだから……

「末莉、目を閉じろ」
「え?」
 末莉はいぶかりながら、それでも素直に目を閉じる。
「お前が青葉に味噌汁をぶちまけやがった時を思い浮かべろ」
 サー、と末莉の顔が青くなった。
「どうだ? あん時に比べたら、今の方が数倍ましだろ?」
「え……あはは……そうかもしれないですね」
 末莉の表情がほんの少し明るくなる。
それを見て司はワシャワシャと末莉の頭をかき混ぜた

「なんとかなるさ。今までだってそうだっただろ? ……俺が、守ってやるしな」
「あ……はい!!」
「よし! じゃあ……」
 そろそろ行こうぜ、と声をかけようとして、
末莉の顔色が急に凍りついたのを見て、
ギョッとなって足を止めて、
後ろを振り返って。

「……ハッ」
 思わず鼻で笑ってしまう。理不尽なのもいい加減にしとけよ?

 司の目に映ったのは、こちらに襲い掛かってくる手傷を負ったキマイラの姿であった。
356理不尽、約束、惑い:04/01/15 03:23 ID:bkeQTOxX
「…………!」
 ケルヴァンの指示に従ってキマイラを追跡していた友永和樹は、
目標を視認して、思わず息を呑んだ。

 先ほど取り逃がした獣が、一組の男女を襲っている―――!!

「く……!!」
 歯軋りというロボットらしかぬ行為とともに、和樹は走りながら
シグ・ザウエルを引き抜き、構える。
 遠い。
 が、それでも和樹は狙いを定め、トリガーを引き絞った。

 遅すぎた。
 
 銃声が響くよりも早く、キマイラの鍵爪がふるわて、
 少女をかばった男の腹をいともたやすく引き裂き、臓腑を撒き散らした。

 
 嘘だろう、と司は思った。
 ファンタジーぐらいにしかでてこないようなセンスのない獣が出てきたと思ったら、
俺の腹を引き裂きやがった。
 なんだよ、こりゃグロ画像か?
 不思議と痛くない。ただ、熱い。
 身体がゆれる。力が入らない。
 赤くかすむ視界の中で、銃を撃ちながらこちらに走る少年の姿が見える。 
357理不尽、約束、惑い:04/01/15 03:25 ID:bkeQTOxX
 何発かの銃弾を受けて、それでも獣は行動をとめなかった。
 完全に我を失い、手近な獲物に飛び掛ろうとする。

 手近な獲物? 
 それは、当然末莉だ。
 腰を抜かしてガクガク震えている俺の妹だ―――

 ―――ふざけんじゃねぇっっ!!

 身体に残された渾身の力を込めて、手を伸ばす。
 血に染まるその手は、いましも末莉に飛び掛ろうとしていた獣の尾を―――
蛇の形をしたふざけた尻尾だ―――つかむことに成功した。

 オォォォォンと獣はほえて、身体をよじる。
 それはそれは理不尽な力で。
 それでも司は耐えた。力をこめて尾を握り続けた。
 無限に思える数秒の間。
 走ってきた少年が、その手の拳銃を獣の耳穴にねじ込み、トリガーを引くその瞬間まで。


 (死ぬのか? 俺は)
 仰向けに寝転がり、まるっきりスプラッタな格好で、司は思った。
 力なんかもう、どこにもなくて、さっきまで異様に身体が熱かったのに、今はただ寒くて。
 ああ、死ぬんだな、ってことは分かるけど、実感が沸かない。
(なんだよ、死ぬのか、俺。ほんと理不尽なことばかりだよな、俺の人生)
 ああ、でも死ぬってことはもうそういうこともないわけで、でもまだ末莉はいきてるわけで……

(待てよ……じゃあ俺はもう、そういうことから末莉を守ることも出来ないのか!?)
 そう思った瞬間、死の恐怖がわいてきた。
358理不尽、約束、惑い:04/01/15 03:28 ID:bkeQTOxX
「死に……たくねぇ……死にたく……ないんだ……!!」
 血の泡を吹き出しながら、うめく。
 こじ開けた視界。見知らぬ少年と目が合う。
「助けてくれよ……死に……たくないんだよ……!!」
 女性のようなきれいな顔をした少年は、その鉄のような表情にわずかな戸惑いをみせて首を振った。

(やっぱ、死ぬのかよ、俺。致命傷って、やつか)
 ああそうかよ。でもな、それなら言わなくちゃいけないことがある。

 血走った目で、司は少年をにらんだ。途切れ途切れに叫ぶ。
「頼む……! 守ってくれ……! そいつを……末莉を……!!」
 少年はいまやはっきりと困惑した表情を浮かべて答えた。
「彼女は魔力保持者だ。その保護が僕の任務だ。だから……」
 司はあらん限りの力を込めて叫んだ。
「約束してくれ! 頼む! 誓ってくれよっ……!!」
「やく……そく?」
「何が……あっても! 守るって……! 俺の……妹を守るって……約束してくれ!!」
 恥も外聞もなく叫ぶ。
「た…のむ……!!」
「分かった……約束するよ」
 少年はおずおずと答えた。
「彼女を何があっても守ると……約束する」
 
 その言葉を聴いて、急に司から力が抜けた。
(ああ、あと二言三言なんだな……)
 なんとなく、それが分かる。
359理不尽、約束、惑い:04/01/15 03:30 ID:bkeQTOxX
「末……莉……」
「おにーさん!!」
 名を呼ばれ、立ち竦んでいた末莉がようやく我に返った。
「お前は……大丈夫だ……こいつ……いい奴そうだ」
 なんの根拠の無い気休めだ。だけど。
「きっと……大丈夫だ。な……? だから……」
 それから先、司の声は小さくなっていって、そして途絶えて、それきりだった。


「嫌だ、嫌だよ……おにーさん……こんなの……イヤァ……」
 涙すら流さず、うつろな目で呟き続ける末莉の傍らで、和樹もまた立ちすくんでいた。
 ぎこちない動作で銃をしまい、ケルヴァンと通信をつなぐ。
 
「ほう? 一石二鳥だな」
「はい……」
 
 任務は成功した。これ以上の無い成功だ。
 魔力保持者保護と、魔力欠落者駆除を同時に達成したのだから。
 なのに、これは間違いだと、自分の中の何かがそう叫ぶ。

「その少女の魔力は?」
 和樹が口にした数値に、ケルヴァンの声の調子が上がった。
「ほう! なかなかの逸材じゃないか。鍛えれば面白いことになるやもしれん」
「僕は、彼女の保護を……」
「当然だ。中央までつれて来い。そうだな……」
 しばしの思案のあと、ケルヴァンは告げる。
「私はしばらく中央から離れるが、お前が中央に到着したら連絡しろ。
ヴィル・ヘルム様にあわせる前に私自身がその少女を吟味したい」
「了解……しました」
「この手の危険な生物はまだこの島に生息しているようだな。気をつけろ」
「はい……」
360理不尽、約束、惑い:04/01/15 03:31 ID:bkeQTOxX
 和樹の調子に、ケルヴァンは多少の違和感を感じたのか、少し沈黙したが、
以上だ、と告げて通信を切った。

 ズキリ、と頭痛が走って和樹は思わず頭を抑えた。
 何かが間違っている。何か、とても大切なものが欠けている。
 疑問が、わきあがる。

―――もし僕が、自律的に行動したら、結果は変わっていたんじゃないか?
―――ケルヴァン様から指示を受ける前にキマイラを追跡を開始していたら、彼を救えたんじゃないか?
―――今、僕は取り返しのつかないことをしてしまったんじゃないか? 

(異常な思考だ。彼は駆除対象者だ。任務は達成されたはずだ)
  
 いくらそう思考しても、和樹の中の一部は己を責め続け、だから和樹は立ち竦むばかりだった。

【沢村司@家族計画 死亡】
【キマイラ 死亡】
【河原末莉 友永和樹の保護下】
361名無しさん@初回限定:04/01/15 20:55 ID:/pMVC8nW
なんかすでに、他人が出したキャラなんてシラネ
俺は俺が投入したキャラを書きつづける
って雰囲気がプンプンなのでふが
362名無しさん@初回限定:04/01/15 21:05 ID:AKhlxjJq
今は登場させることがメインだろ?
出揃ってからが本番だよ
363truth?:04/01/15 22:22 ID:xZq8Y3ye
ザシュッ!
黒光りするナイフの刃が男の胸を貫く、エレンは無表情のままで男の胸からナイフを引きぬく。

事の発端はこうだ、エレンは玲二を探し、島の中をさまよっていた。
と、目の前になにやら建物が見える、エレンが近づいていくと数人の男たちが建物の周囲にたむろしていた。
エレンがとりあえず声をかけようとした瞬間だった、エレンの姿を見た男たちが発砲。
かくして戦闘が始まったのであった。

男たちは数こそ多かったがエレンの敵ではなかった。
事実、地面には他にも数人の男たちがある者は喉を、ある者は胸を貫かれ息絶えていた。
「?」
とりあえず武器庫と思われる建物の中に入ろうとしたエレンだったが、
その時倒した男の1人にまだ息があることに気がつく。
男はひゅうひゅうと苦しげな息を漏らしつつも、自分の傍らの拳銃をもって尚も抵抗を試みようとする。
が、それを察知したエレンの手から放たれたナイフが男の手を貫いた。
「ぐううう」
エレンはそのまま苦しむ男の胸倉を掴み、耳元で囁くように尋問する。
「死ぬ前に教えて、ここは何処…そしてあなたたちは何者?」

「さぁ…な、知ってどうする…お前たちも全員死ぬんだからなぁ」
隊長格と思われる男は、思いのほか通る声でニヤリと笑いながら続ける。
「ケルヴァン様から聞いた話だがな…何でも究極の魔王を作り出すための実験場所らしいぜ…
お前らを殺し合わせて生贄にして世界を支配する魔王を…ぐげ」
そこまで言い終わり、男の口から血泡が溢れ出す。
「まだ話は…」
エレンは男の肩を揺するが、だがそれ以上男の口が開くことはなかった。

無論、真実はそれとは異なる、彼の言葉はケルヴァンの計画を小耳に挟んだ上での、
自分なりの解釈に過ぎないし、エレンを惑わすための置き土産的な意味もあった。
だがエレンにとっては容易ならざる事態だった、まるで現実味が無い。
だが紛れもなく現実だというのに…、一体どうすれば?
364truth?:04/01/15 22:25 ID:xZq8Y3ye
そのとき背後に気配、気がついた時には遅かった。エレンがナイフを構えたときにはもう気配の主は
すでに捕捉範囲の外にいた。
男の言葉を考えるのに夢中で、ほんの僅かな時間だが周囲への集中を欠いてしまっていたのだ。
だがすでに遅い、しかもどうやら他にも何人かが盗み聞きをしていたらしい、
その証拠に彼女が戦っている間だろうか、どうやら武器庫から武器がいくつか持ち出されている事も明らかになった。

エレンが考えるに、男の言葉にどれだけ信憑性があるのかは分からない、どちらかといえば眉唾だ。
だがこういう形で男の言葉が無責任な噂としてでも島中に広まれば、
いずれ島は男が言うとおりの殺戮の舞台と化してしまうだろう、最小限に止めなければ…。
「玲二、ここに来てるなら待ってて」
エレンは武器庫の中から幾つか適当に武器を見繕うと、それをカバンの中に入れ、
さっそく追跡を開始した。


一方、草原を走る黒い影、その正体はFM77ことななかだ。
そう、エレンの背後に潜み、まんまと出し抜いたのは彼女だったのだ。

ななかはここに来る前のことを思い出す、いつものように応接間でくつろいでいると、
いきなり誰かが自分を呼んでいると沙由香が言い出した、と同時に彼女の身体が白い光に包まれ、
気がつくとここにいた…どうやら巻き添えをくってしまったらしい。

先程の男の言葉で大体の事情は飲み込めた(悲しいかな、単純な性格なので疑うことを知らないのだ)
自分が戦うことで沙由香を、お姉さまを守れるのならば戦う、自分にはそのための力もある。
とりあえず怪しいと思った相手は、手当たり次第に倒そう。
そして沙由香を救った後は、ケルヴァンとかいう奴をぶちのめして家に帰ればいい。
「お姉さまの相手はみんな私がやっつけちゃうんだからぁ!」

エレンの心配は確実に現実の物となろうとしていた。

【エレン@ファントム オブ インフェルノ(ニトロプラス):所持品:ナイフおよび武器複数】
【FM77/ななか@超昂天使エスカレイヤー(アリスソフト):所持品なし】
365葉鍵信者:04/01/15 23:21 ID:AEgOUF7O
企画名(次スレからのタイトル)募集あげ

俺からは

葱サバイバル。
366葉鍵信者:04/01/15 23:39 ID:AEgOUF7O
後、新キャラ登場させた人は、
http://www.h5.dion.ne.jp/~p_force/negi.htm
ここの表見てほっすぃ。

んで、鬼は見て解るんで、状態に招かざれるもの「狩」なのか、招かれしもの「招」なのかも書いてくだはい。

ケルヴァン話書いてたら、エレンがどっちか解らなくて詰まった(w

あ、それとハタヤマは、「招」俺も書き忘れてた……。
367B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/15 23:44 ID:EytptM1M
 [沈黙の剣士]

 ここに来てからどのくらいの時間が経っただろう?
 そもそも、これは本当に夢ではないのだろうか?
 ……何度目かの同じ問いを、俺は自分に投げかけた。
 俺、高町恭也は見たこともない風景が後ろに流れていくのを横目にした。

 ここに来る前まで、俺は確かに妹の美由希と共に剣の鍛錬に勤しんでいた。
 急に美由希が倒れて、体が光って、そして……
 駄目だ……。よく憶えていない。
 意識を取り戻した時、俺は自分が見も知らぬ土地にいることに気がついた。

 夢であることを祈りながらも、現実に即した行動をとることを選び、俺はこうして探索を続けている。
 初め気がついたときは、砂を洗う波が穏やかな、広い浜にいた。
 砂浜はどこまでも続いていたが、波打ち際に沿って走り続けると、やがて波は岸壁に叩きつける大きな力となっていた。
 岸に沿って進むにつれ、多少なりともわかったことがある。
 海岸線のカーブの様を見る限り、ここは大して大きくもなく小さくもない、手頃な大きさ(表現はおかしいが)の島であることがうかがえる。
 また、大分時間が経ったであろうのに、人家も港も、ましてや人っ子一人も見当たらない。
 ……無人島と考えるのが妥当と言えよう。
368B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/15 23:45 ID:EytptM1M

 このままでは埒が明かない。
 そう思うと俺は、今まで気になっていながらも入るのは避けてきた、横手の森林に目をやる。
 意を決した俺は、細心の注意を全方向に向けながら、ゆっくりと木々の中に身を進ませる。
 そこは『気味が悪い』の一言でその全てを表せるような不気味な森だった。
 そこからまた、数十分程歩いたところだった。
 ……何かがいる。
 俺は自然に、腰に帯びた二本の小太刀の柄に手をやっていた。
 ……運のいいことに、俺が得意とする剣術、『小太刀二刀御神流』に必要な武器・道具は、一通り揃っている。
 ここに飛ばされたのが稽古中だったことが、不幸中の幸いとも言えよう。

 ……ふと、美由希のことが思い浮かぶ。
 仮に美由希が急に具合悪くなったことが、俺がここへ飛ばされた原因だとすると、その当人である彼女がここに来ていない、と考えるのは無理がある。
 間違いなく来ていると言っていいだろう。
 俺と同じく稽古中の出来事だったのだから、彼女もまた、その得物である刀――『龍鱗』――を持っているものと信じたい。
 『御神』の技を継ぐ者が、そうそう外敵に遅れをとることはないはずだ。
 ……目の前に姿を現した、この怪物のような生物が相手であっても。
369B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/15 23:46 ID:EytptM1M

 ゆっくりと姿を現したのは、体長二メートル半はあろうかという色黒の巨躯を誇る人間の体に、これまた黒茶けた牛の頭部を持つ生き物だった。
 俺の見ていた動物図鑑が安物でなかったならば、こんな動物が載っていただろうか?
 ――否。
 これは誰が見ても間違いなく、地球上には存在しえないと確信を持って言える物だった。
 ――ミノタウロス。
 ギリシア神話の中でのみ、その存在が保障される、牛頭の化け物そのものだった。

 ……昔痛めた膝は……大丈夫、問題ない。
 ……化け物は右手に持った鉄斧をきらめかせ、鼻息を荒げた。
 ――来る。

【高町恭也・高町美由希@とらいあんぐるハート3@JANIS、召喚】
【高町恭也、状態○狩、武器道具、小太刀二振り・飛針・小刀(小太刀とは別)・チタン製鋼糸】
【高町美由希、状態○招、武器、太刀一振り】
【魔獣ミノタウロス登場】

また魔獣かよ……、キャラ同士で戦わせろや!ゴルァ!って意見の人が多いと思います。
でも、自分の考えとしては、役者が揃う前に何十人も死んでいた、なんてのはあまりいい話だとも思えないので、
つなぎとして人外のモノを登場させています。
魔獣として選ぶのも、マイナーなのは避けているつもりなんで、理解の程よろしく。
370B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/15 23:50 ID:EytptM1M
一応文章中にはあるけど、念のため追加。
【魔獣ミノタウロス、武器、鉄の斧】
371INVISIBLE MURDER:04/01/16 01:36 ID:lMWUe2WV
 嘘でしょう? と佐倉霧は思った。こんなのは嘘でしょう? と。
 
 友達だった。
 誰よりも大切な存在だった。
 美希のためならなんでもできると思った。
 こんなわけの分からないところに飛ばされても、美希と二人ならきっとなんとかなると思っていた。
 何をしても美希を守ろう。そう誓っていた。

 それなのに……それなのに―――


―――数十分前。

「なんなのよあいつっ!!」
 佐倉霧は親友であり、フラワーズの片割れでもある山辺美希の手を引っ張り、
夜の森の中を走っていた。
「霧ちん……あいつシャレになんないよぉ〜」
「分かってる! 走って!!」
 泣き声をあげる美希に叱咤の声をあげながら、霧は必死になって走った。

 いきなりわけの分からない森の中へとテレポートした霧と美希は、
よく分からない状況に戸惑い、恐怖を覚えながら、せめて森の中からでようとさ迷い歩いていた。
 
『ふぇ〜ん……霧ちゃん、ここどこぉ?』
『ほら美希、泣かないで。あっちに光見えたし、行ってみよ?』
 
 泣き虫な美希を励ましながら、特にあてもなく歩を進めていて。
 奇妙な赤い髪の男に会ったのがつい先ほどのこと。
372INVISIBLE MURDER:04/01/16 01:37 ID:lMWUe2WV
 男が小脇に抱えている二人の少女のことをいぶかりながらも
ようやく人に出会えたと安心する霧たちに、男が口を開いた。
 言うに事欠いて、
『死ね』
 と。

 そうして抜き払われた剣にを見て、霧と美希は一目散に逃げだしたのだ。

「あいつ追いかけてくるよぉ〜」
「大丈夫だって! あんな子供を抱えていたんじゃ速く走れるわけ無いもの!!」
 
 だが、木々の間を抜け、開けた場所へ飛び出して、二人は凍りついた。

「嘘……」
「そんなぁ……」

 崖だ。
 夜の闇で底が見えない。そんな崖が二人の前にあらわれた。

「くっ……!」

 美希の手を引き、来た道を戻ろうとする。
だが、遅すぎた。
 すでに男が霧たちの目の前に立ちふさがり、その剣を突きつける。

「なんなのよあんた!」
 美希を背後にかばいながら、霧は男と対峙する。

「魔力保有者と、駆除対象者のペアか……やはり召還のシステム上、
こういうパターンが多くなるようだな」
 そう、男が呟く。
373INVISIBLE MURDER:04/01/16 01:38 ID:lMWUe2WV
「何の話をしてるのよ!」
 震えながらまっすぐ相手の目をにらむ霧に、赤毛の男は苦笑した。
「勇敢だな。性格を考えれば、後ろの女よりお前の方が覇王の資質があるのかもしれんが……」
「だから何の話よ!?」
「別に話す必要もないが……まあよいか」
 赤毛の男は肩をすくめた。
「我々は、魔力を持った人間を集めている。覇王の候補者として、あるいは同胞としてな。
そういう人間を集めてみたのはいいが……」
 男は再度苦笑した。
「なんの価値も無いゴミが混じりこんでしまってな。今それを駆除している最中だ」
374INVISIBLE MURDER:04/01/16 01:39 ID:lMWUe2WV
「な……」
 突拍子の無い話に絶句する霧。その背後で、
「あの……」
 美希がおずおずと口を開いた。
「それで……その魔力というのを持っちゃってる人は……?」
「無論、大事な存在だ。この島の中央の塔で保護される。こいつらのようにな」
 男は手元の二人の少女を軽く持ち上げた。

「あ、あんたら馬鹿じゃない!? 狂ってるわ!?」 
「ほう?」
 霧の声に男が軽く眉を上げた。
「だってそうでしょう!? 友達が、駆除だかなんだかしらないけど傷つけられて、
それでそんな魔力を持った人達が協力するはずないじゃない!
 私が魔力なんて持っていても、美希を傷つけるようなやつらに協力なんか……!」
「あの〜それでぇ……」
 美希が霧の言葉をさえぎって、男に質問した。
 いつの間にか霧の前に、すなわち霧を崖際に立たせるような位置に移動している。

「私と霧ちん、どっちがその魔力を持っているんですか?」
「お前の方だ、髪の長い女」
「あ、な〜んだ、そっか〜」

 明らかに安堵している美希の声の調子に、霧はギョッとした。
そういえば、いつの間にか美希は泣き止んでいる……

「ってことは、霧ちん殺しちゃえば、私助かっちゃうんですね〜♪」
「な……美希!?」
「そいういうわけで、霧ちんバイバイ♪」
「え……」

 ドンッ、と胸を押され、霧の身体が宙に舞った。
375INVISIBLE MURDER:04/01/16 01:42 ID:lMWUe2WV
 ごめんね〜、と崖底に向って笑顔で手を振る美希に、ケルヴァンはいささかの戸惑いを覚えた。

(この女は先ほどまで泣いていたのではなかったのか?)

 友達の背に隠れて震えるその姿に、いくら魔力があろうとこれでは覇王の候補者にもなれぬ、
とケルヴァンは失望を抱いていたのだが。
(泣きまねだったのか? しかし……)

「あの〜」
 いぶかるケルヴァンの顔を美希が覗き込んだ。
「それで、私どうなっちゃうんですか? 保護、ですよね?」
「……ああ。中央にお前を送り、そこで保護することになる。こいつらとともにな」
「あ、やった〜! お食事でますよね? もう私おなかすいちゃって」

(ふん……これはなかなかに面白い。この女、覇王の資質を持っているのかもしれん)
 ケルヴァンは思わず胸の中にほくそえんだ。

 魔力はある。逸材だといってもいい。
 だがそれ以上にこの少女の性格がケルヴァンの興味を引いた。
 友をその手で殺しておいて、ケラケラと笑うことが出来るのだから。
376INVISIBLE MURDER:04/01/16 01:44 ID:lMWUe2WV
 嘘でしょう? と闇の虚空を切り裂きながら佐倉霧は思った。
こんなのは嘘でしょう? と。

 友達だった。
 誰よりも大切な存在だった。
 美希のためならなんでもできると思った。
 こんなわけの分からないところに飛ばされても、美希と二人ならきっとなんとかなると思っていた。
 何をしても美希を守ろう。そう誓っていた。

 それなのに……それなのに美希は私を……

 心のどこかでは、美希がそうすることが不思議なことではないと分かっていた。
 どんな対象も大切に思うことが出来ない。
 それが美希の心の病、群青色なのだから。

(でも、それでも……!)

 それでも自分だけは美希にとって特別な存在なんだって、そう信じていたのに―――

 グシャリ、と地面に激突する音の変わりに、激しい水音が霧を包んだ。
水面張力によって身体が痛めつけられ、夜の水の冷たさが霧を凍らせる。

(もう……どうでもいい……)
 川の流れに流されながら、霧は思った。
(もういいよ。もう、このまま……)

 身体の力を抜いて、ただ流れに任せる。
 もう、何も考えたくなかった。
 
 死にたかった。

 だから、霧は、もう何にも抗わず、ただ目を閉じた。
377書き手紫零:04/01/16 01:45 ID:G7E/1tLw
まとめページ更新。正式タイトル候補一覧つけますた。
皆様のご協力(「これがイイ!」「○○なんてどう?」など)お願い致します。
378INVISIBLE MURDER:04/01/16 01:46 ID:lMWUe2WV
それは皮肉なのだろう。

「玲二! あれ!!」
「チッ……まだ生きてるようだな」

 生を渇望し、川の流れにあらがい、体力を消耗していたのなら。

「冷たい……!」
「服を脱がして火をおこせ。外傷はおっていないようだが……」

 玲二達が霧を発見するその前に、 
彼女が望む死の抱擁が訪れいたはずなのだから。

【山辺美希@CROSS†CHANNEL……招。ケルヴァンによって保護】
【佐倉霧@CROSS†CHANNEL……狩。川に流され衰弱】
379書き手紫零:04/01/16 02:16 ID:G7E/1tLw
>>INVISIBLE MURDER書き手氏
途中カキコ申し訳ないです。

>>書き手&新規参加書き手様
各話追記用テンプレです。何か追加ありましたらお願いします。

【名前@登場ゲーム(メーカー)状態:”○など、または現状態”種別:”狩・鬼・招・?”装備:”持ち物”】

(例)
【橘 天音@Canvas〜セピア色のモチーフ〜(カクテルソフト) 状態:○ 種別:招 装備:古木の棒、クモの爪】
380不惑(1):04/01/16 04:18 ID:vp+cg/xo
ヒュカッ

昼なお暗い寂々とした森林に響く、乾いた音一つ。
同時に木の幹に一本の矢が突き刺さる。
「あ……あにすんじゃ、ぼけぇ!」
罵声。

ヒュカッ

「っ!?」
その余韻が収まるのを待たず、罵声の主の一瞬前までいた場所に
次の矢が打ち込まれる。
「(チィッ、面倒な事になったさ!)」
罵声の主はそう思うと身を低く伏せ、草陰に隠れる。
それは、野生の森林にいるには非常に似つかわしくない格好の少女だった。
赤と白のツートンカラーを基調とした、あちこちにフリルがあしらわれたエプロンドレス。
首には白い羽のブローチが赤いリボンで飾られている。
更に目を引くのは少女の髪。
染色した不自然なものではない、キューティクルも鮮やかな金髪が上方左右で結ばれている。
しかしその外見だけで少女を可愛らしいと思った者は、彼女の厳然たる意思と
闘志を秘めた瞳を見て愕然とするだろう。
大空寺あゆ、それが彼女の名であった。
381不惑(2):04/01/16 04:19 ID:vp+cg/xo
「(この森林の中……そんなに遠くにはいないはずさ……)」
あゆはじりじりと匍匐前進しつつ、そう考える。
「(危険だけど……仕方無いさ!)堂々と出て来るさ!臆病もんが!」
叫ぶと同時に身を翻らせる。

ヒュカッ

果たしてその直後に大地に突き立つ矢。
「(方向……右っ!)」
飛来した方向を認識し、とっさにそちらに向かって身を低くして突進する。
「(……見えた!)」
数十m先、大木の枝に立つ人影が一つ。
「うがあああーっ!」
雄たけびを上げ更に加速するあゆ。
対して人影は慌てて次の矢を構え、放つ。

ヒュ……ガン!

あゆの真正面に叩き込まれる矢。
だが、同時に彼女は小脇に抱えていたスチール盆を前面に構えていた。
衝突音。
結果、鏃は盆に書かれた『すかいてんぷる』の文字を歪めるに留まる。
「すかいてんぷる特注盆の硬さ、舐めてんじゃないさ!」
瞬間、あゆは大きく腕を振り被った。
「猫のうんこ……」
弓のように体がしなり、
「踏めーっ!」
382不惑(3):04/01/16 04:22 ID:vp+cg/xo
手にした盆を投擲する。
「!?」
流石にこの攻撃は予想外だったのだろう。
丁度背中の矢を取り出そうとした所にそれは直撃し、人影は木の枝から落下した。
「くっ……!」
かすかに聞こえるうめき声。
下が落ち葉のクッションになっていたとはいえ、そのダメージは浅くはないのだろう。
すぐには動けないのか、人影は体を抑えたまま動こうとはしない。
「今さ!」
残り僅かの距離を、あゆは一気に跳躍した。
「うらあぁぁぁっ!」
着地地点の人影の顔面(もしくは背骨)を叩き折らんと、折り曲げた両足に全身の力を込める。
そして、あゆはついに人影の落下地点に到達した。
「死ねや、こんちくしょうが!」
その外見とは全く似つかわしくない怒声と共に、あゆは両足を……
「……あ!?」
叩きこもうとしたが慌ててそれを止めた。
とはいえ跳躍の勢いは止められる筈も無く、そのまま人影の上に飛び乗り、組み伏せる体勢になる。
―――それは、和服を着た少女であった。
和服と言っても女性が着るような振袖などではなく、むしろ男性が着るそれに近い。
長い黒髪は簡素に結ばれ、今は落ち葉の上に大きく広がっている。
その顔立ちは繊細に整っており少女特有の可愛らしさと女特有の色気を備えていた。
『和服の女武者』―――そんな馬鹿げたフレーズがあゆの頭の中を通過する。
だが、和服の少女の方も彼女の姿を認識し驚いたようであった。
苦しそうな呼吸で、自分の上にのしかかるあゆを見上げる。
「こ……子供!?」
「あ……あんですとー!?」
あゆの怒声が、森に響いた。
383不惑(4):04/01/16 04:23 ID:vp+cg/xo
「本当にすまなかった!」
数分後、戦闘が行われた場所から少し離れた開けた場所に二人はいた。
切り株の上に座るあゆに対し、和服の少女は地面に額を摩り付けて土下座している。
「いかに焦燥していたとは言え幼子を敵と見紛うなど万死に値する非礼!
もし許せぬと言うのであれば、今ここで腹を……!」
「幼子って言うんじゃないさ!……ま、いいから頭上げるさ」
本当に切腹しかねない勢いの少女に、あゆはあっさり言った。
「許してくれると言うのか?だが……」
「あんたが必死だったってのは分かったし、ま、あたしも別に無傷なんだし気にすんじゃないさ」
自分の命の危機を『気にすんじゃないさ』の一言で済ませると、あゆは改めて少女に向き合った。
「それより……『敵』って何さ?」
「それは……」
少女の話は極めて断片的ではあったが、それでも幾つかの事はあゆにも理解できた。
彼女も自分も、ある日突然この場所に召還されてしまった事。
ここが、今まで自分達がいた場所とは全く異なる場所であるという事。
そして―――捕獲か殺害かは分からないが、自分達を狙う『存在』があるという事。
和服の少女は、返り血を浴びた羽織を着た数名の女剣士が何かを追っているのを見たそうである。
あゆ自身、直接誰かを見た訳ではなかったがこの島全体を覆う悪意のようなものは感じ取っていた。
「……気に入らないさ」
ぼそりと呟く。
「人を勝手に呼んでおいて殺そうとするなんざ人間のする事じゃないわね。ほんと」
そう言って、ひょいと切り株から立ちあがる。
「……叩き潰すさ、そんなもん」
384不惑(5):04/01/16 04:25 ID:OEhci5Rf
今の自分には敵の正体や目的についての知識も無ければそれに抗し得る力も無い。それはあゆ自身充分理解している。
だが、発せられたその言葉には一片の迷いも混じってはいなかった。
迷いは怯えを生み、弱さを作る。
ならば迷うまい、例えそれが死道であろうとも。
「となると、まずは拠点だわね……」
形の良い顎に手を当て、思考を開始する。
「あの……すまない」
その時、まだ両膝をついていた和服少女があゆにおずおずと言った。
「その……せめてもの詫びに、しばらく行動を共にして良いだろうか?」
「別にいいさ、そんなの」
「しかしそれでは余りにも無礼!ここで何も礼を返さずに去られたとあっては、
私は山本家の墓前に立つ事叶わぬ!」
「……好きにするさ」
「かたじけない!」
再度頭を深深と下げる少女。
「……そういや、まだ名前言ってなかったわね。アタシは大空寺あゆ。
 『あゆ』か『大空寺』でいいさ。それで……アンタは?」
「あ……不覚!名も名乗らずに私は……っ!」
「だからそれはいいさ」
「すまない……山本、山本五十六。それが私の名だ」
「……………それ、本名?」


【大空寺あゆ/君が望む永遠(age) 状態:○ 種別:狩 装備:スチール製盆】
【山本五十六/鬼畜王ランス(アリスソフト)状態:○ 種別:狩 装備:弓矢(弓残量16本)】
385葉鍵信者:04/01/16 06:36 ID:YJaa2PxQ
 迷走

 和樹からの帰宅の通信も受け
 朝倉ゆうなとまいなをわきに抱きかかえ、美希を連れて帰ったケルヴァンは
まだ目覚めぬ二人の為に、部屋を用意させ、部下に寝かしておくよう命じた。

 「それと私が言うのもおかしいが敵対心を抱かれては困るからな。
 手を出すな。 怯えさせるな。 大事に扱え。 起きたら、直ぐに私に連絡するように」
 命令を受けた部下が、二人を丁重に持ち運んでいく姿を見ながら
 我ながら似合わぬ台詞だな、と彼は心の中で苦笑した。

 「あの、私はどうすれば……。 お腹が空いてるんですけど」
 「それは、失礼した。 直ぐに用意させよう」
 指をパチッと鳴らせ、部下を呼びつけた彼は、美希を部屋に連れて行くことと食事を用意させることを命じる。
 「食事が終わったら、これからの事について話したい。 部下の者をつけておくので彼に伝えてくれればいい。
 私の名は、ケルヴァンだ」
 「はーい、わかりました。 それではお言葉に甘えて〜」
 そういうと美希も部下に引きつられて、要塞の奥に消えていった。
 先ほどまでびくびくとしていたのに、打って変わった落ち着き具合。
 それにあの突然の冷酷な態度への豹変。
 「これは思わぬ拾いものかも知れんな……」
386葉鍵信者:04/01/16 06:38 ID:YJaa2PxQ
 「ケルヴァン様……」
 美希を連れて出て行った部下と入れ替わりに配下の魔物が彼の元に訪れてきた。
 「なんだ」
 「北東の駐屯小屋に配置しておいた守り用の駒が倒されたようです」
 「ふむ……。 思ったよりも速かったな……。 で、犯人は」
 「使い魔からの報告によるとエレンという暗殺者のようです。
 近代兵器の扱いにこそ長けていますが、招かれし者です。 いかがいたしましょう」
 部下の報告を聞きながら、招かれたもののプロフィールを見たケルヴァンは、顔をしかめた。
 「やれやれ、よりによって一番魔法とは無関係そうなのが、魔力資質有りか……。 少々面倒な事になりそうだな」
 「また小屋からゾンビ用などに置いてあった物資を持ち出したとの事です」
 その言葉に余計、彼は、頭を痛くさせられた。
 なんなら危険因子は、いっそ初音の贄にでも回すか。 などと考えるケルヴァン。
 そこで、彼は、ふと思い出す。
 「そういえば、この女、ドライの言っていた吾妻玲二の恋人のはず……。
 そうか、その手もあるな。 新撰組へ伝言だ」
 「はっ」
 「吾妻玲二と呼ばれる人物への狩りは中止するように。
 発見次第、私が使い魔を通して交渉する。 もし失敗した場合は、捕獲して連れてくるように伝えよ」
 「了解しました」
 颯爽と翼をはためかせて、配下の魔物は、伝令へと走った。
387葉鍵信者:04/01/16 06:39 ID:YJaa2PxQ
 「恋人を此方側に引き込めば……。 最悪人質に取れば、こちらの言う事に従わざるをえんだろう……。
 後は、従わせた後でヴィルヘルムに洗脳してもらえばいい」
 そして彼は、廊下を歩きながら、自らの部屋へと戻っていく。
 「和樹か……」
 和樹からの通信である
 「はい、丁度、河原末莉の保護を終えました」
 「ふむ、娘は、今どうしてる」
 「一度に色んな事が起こりすぎたためにか疲れ果てて寝てます」
 「そうか……。 では、和樹、お前にも命じる。
 吾妻玲二への駆除は中止だ。 発見したら私に連絡せよ。
 もし、私との交渉が決裂した場合は、捕獲して連れて来い」
 「ケルヴァン様……」
 「なんだ」
 和樹は、ゆっくりと不安げに口を開いた。
 「任務終了後、僕は、彼女の側にいてはだめでしょうか……」
 突然のロボットの申し出が、ケルヴァンには不可解だった。
 「まぁ、いいだろう。 任務の合間、終了後なら側にいることを許そう」
 「ありがとうございます」
 そう言うと和樹は、新しい命令を携えて、再び任務へと戻るのだった。
 「感情を持っているのかもしれんな……。 後で少し調べてみるか」

 途中、部下へ河原末莉に双子の時の内容と同じ事をするように伝え、
部屋に戻った彼は、椅子にもたれ、しばし休憩を取り始めるのだった。
 
【河原末莉 招 中央要塞中】
【朝倉ゆうな・まいな 中央要塞中】
388名無しさん@初回限定:04/01/16 07:12 ID:qu6ugK7z
読んでいて思ったんだけど、いわゆる招待キャラの意味がほとんどないような気がする
それと鬼と参加者の人数はそれぞれ別にカウントするんだよね、でないとおかしくなる
389名無しさん@初回限定:04/01/16 07:18 ID:JF6jLvor
つまり折角登場させても、ケルヴァンがしゃしゃり出てきて回収されるんじゃ
招待キャラとして登場させる意味がないのではないのかな?と
それに、いわばアンタッチャブル的な扱いを受けているのも気になりますね。
390名無しさん@初回限定:04/01/16 10:43 ID:lMWUe2WV
現状では招待客の使い道は、積極的に管理側につかせるか、
初音に贄にされるか、他の召還者から危害を加えられるか、
魔獣に襲われるかのいずれかだと思う。

正直、召還者が全員善良すぎて、3番目ができないのは問題かもな。
2番目も、最近なんだか初音様軽いし。
ま、保護に行くぜ→保護したぜ→つれて帰ったぜ
の合間に色々なイベントがあれば別かもしれんが…
391名無しさん@初回限定:04/01/16 13:23 ID:tbU9b3qj
392名無しさん@初回限定:04/01/16 19:32 ID:OPuj6Nsg
 ライアーソフトの腐り姫に出てくる蔵女と五樹はどうよ? 人類絶滅後の彼等を投入すれば、第三勢力となりうる存在。
393書き手紫零:04/01/16 20:27 ID:G7E/1tLw
[見えない未来(あした)]

川に沿って歩くということは、水が確保出来るという利点がある。
しかし、それは逆に考えれば敵にとってもそのルートを予知し易いということだ。
俺たちは川から少し離れた地点を歩くことにした。
足元が土から徐々に苔むしたスポンジ状に変わってきたところから察するに、どうやら湿地帯に入ってきたらしい。
正直、足の負傷はかなりのものだっただけに足元が柔らかいのは助かる。
「ああん、もうっ!何でこんなにベタベタするのようっ!」
恋が顔に張り付いてくる前髪を必死に払いのけながら愚痴る。
「仕方ないだろ、湿地帯に入ったみたいだし。それに、川沿いを歩いてまたあのクモ女に会いたいのか?」
「うっ・・・。それは・・・」
「だろ?だったら文句言うんじゃない。」
「むぅ・・・。」
状況が状況なだけにやけに素直に引き下がる。
(普段もこうなら可愛い妹なんだがなぁ・・・)
そんなことを考えて苦笑する。
「アンタ・・・よくこんな状況で笑ってられるわねぇ〜。」
半ば呆れ顔の恋。
「こういう時だからこそ、だろ?あれからみんな神経尖らせて歩いてるからさ。」
「大輔ちゃん・・・。」
天音が申し訳なさそうにこちらを見る。
「ちょっと、休もうか?ここなら何か来てもすぐに逃げられそうだし。」
394書き手紫零:04/01/16 20:28 ID:G7E/1tLw
俺たちは出来るだけ現実から離れた話に興じた。
天音の寝坊話、学園祭の出し物、悠姉さんが話す、俺の昔の話・・・
そんなくだらない話をしている時だけはいつもの日常と何ら変わりないように思えた。
ただ一つ、足の痛みを除いては。
「あら、恋ちゃん。」
藍ちゃんが恋を呼んで目の前の水溜りを指差す。
「お魚がいますわ。」
「え?・・・ホント。こんな世界でも魚なんているのねぇ〜。」
二人は話しながら水溜りの方へ足を運ぶ。
「あんまり離れすぎないようにな!」
一応、釘は刺しておく。
恋は、はいはい、分かりましたわお兄様、と軽く受け流しながら靴を脱ぐ。
「おいおい・・・深くないのか?」
「お兄様、足首くらいまでしかございませんわ。ご安心を。」
藍ちゃんがすかさずフォロー。
「橘せんぱ〜い!百合奈せんぱ〜い!一緒に魚捕まえませんか〜?」
「え?私も・・・ですか?」
「えっ?私?」
恋のいきなりな誘いに天音は自分を指差して俺に聞く。
「いってくればいいじゃないか。二人とも。大丈夫、何か来ても俺がいる。心配ないよ。」
二人にに諭すようにそう言った。
「そう・・・ですね。では行ってきます。」
百合奈先輩はそういうと二人の下へゆったりとした動きで歩いていった。
「私は・・・大輔ちゃんの傷の方が心配だよ・・・。」
天音・・・。
俺は天音に気づかれないよう、無理に笑顔を作ると大丈夫と答える。
395書き手紫零:04/01/16 20:29 ID:G7E/1tLw
「うん・・・じゃあ、行ってくるね。」
「ああ。焦って捕まえようとして転ぶなよ?」
「大丈夫だもん・・・。」
頬を膨らませて否定する辺りが何とも子供だ。
「この間だって転んでパンツ丸見えだっただろう。どこが大――」
「ダ、ダメだもん・・・っ!!」
顔を真っ赤にしてうつむく天音。
「ダメだもんも何もお前が悪いんだろう、あれは。まあ、とにかく大丈夫だから行って来い。」
天音の頭を撫でてやる。
「うん・・・。改めて、行ってきます。」
天音に笑顔が戻ってよかった。ああじゃないと俺まで気落ちしてしまう。


「・・・優しいんだね。」
「えっ?」
魚に良いように玩ばれている四人を眺めながら悠姉さんが呟く。
「さっき。・・・大輔ちゃん、無理に笑顔作ってた。」
「・・・・・・。」
悠姉さんの瞳に吸い込まれるような錯覚がした。
「そんなことないよ。」
「お姉ちゃんの目はごまかせないよ?」
声は明るいが、その表情は曇っていた。
「傷・・・かなりひどいんだね・・・。」
「・・・うん。もう、正直言って歩くのが精一杯なんだ。でも――」
俺は悠姉さんを見つめ返して言い切った。
「あいつらには・・・そう感じさせないでやってほしいんだ。」
「大輔ちゃん・・・。」
「あいつらには辛い思いをしないで、元の世界に戻って欲しい・・・。」
396書き手紫零:04/01/16 20:30 ID:G7E/1tLw
既に自分の中で覚悟は出来ていた。
「そんなこと・・・言っちゃダメだよ・・・。」
悠姉さんが悲しげな声で言う。
「みんなで、戻らなくちゃ・・・。おじさんや雪乃さん、それに、亡くなったおばさんだってみんな大輔ちゃんのこと心配してるよ。」
「・・・そうだね。アイツのおばさんも、心配してくれてるだろうな・・・。」
俺の視線に気づいた天音がこちらに微笑みかける。
その笑顔は純粋で・・・とてもここが異世界だとは思えなかった。
「橘さん・・・大切にしてあげなきゃダメだよ?」
「え?」
驚いて悠姉さんの方に向き直る。
「橘さん・・・大輔ちゃんの事、大好きなんだね。見てると分かるよ。」
「アイツは・・・小さい頃から一緒にいるから、家族みたいなもんなんだ。だから、きっと肉親に対する愛情のようなものを俺に感じてて・・・」
こんな所でする話じゃないが、やっぱり何処で話してもこの話題は嫌なものだった。
「天音は・・・それを俺に対する愛情と勘違いしてるんだと思う・・・。」
「そうかな・・・。私はそうは思えないよ?」

(・・・うらやましいな。あんなに好きって表に出せるの――。)

「えっ?何?」
「ううん。何でもない。」
何だったんだろう?悠姉さん・・・。
とにかく、そろそろ移動しないとまたあのクモ女に追いつかれでもしたら今度こそ命はない。
「そろそろ行こうか。」
「うん、そうだね。」
俺と悠姉さんは揃ってはしゃいでいる四人に声をかけようと水溜りに向かった。
397書き手紫零:04/01/16 20:32 ID:G7E/1tLw
【全員湿地帯にて休憩。】
398B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/16 21:22 ID:xMCjKm+7
 [二つの影 そして二つの影]

「はぁ……はぁ……」
 森の中に二つの影。
 道なき道を縫い、精一杯の力で駆け抜ける。
「……よし。このくらい離れればもう大丈夫だろう」
 魔獣キマイラと遭遇し、必死で逃げ惑うこと十数分。桜井舞人と八重樫つばさは、ここでようやく減速する。
「……助かったな。誰かは知らないが、あの怪物の気を引いてくれなきゃ、絶対に助からなかった」
「……同感」
 歩きながら八重樫はうなずく。
「でも……鉄砲の音がした。……ここは本当に日本じゃないんだな」
 舞人がそう呟き、二人の間に沈黙が続いた。
 息切れの収まらない舞人は、運動もせずに過ごした日々に舌打ちする。
 八重樫は運動神経の良さが幸いしたのだろう。不得意な長距離ではあったが、舞人程の疲れはなかった。
「……少し休む? 顔色悪いけど?」
「ぷ、ぷじゃけるなよ!? この世界がうらやむ美男子、舞人くんの顔の、どこが悪いだと!? この腐女子め! 名誉毀損とかで訴えてやる!」
「いや、誰もうらやまないから」
 ……これだけ冗談が言えるなら大丈夫。
 そう判断すると八重樫は、歩く速さを少し上げる。あの化け物が追ってくる可能性がないわけではない、そう八重樫は考えた。
 舞人も、ひいこら言いながらついていく。
 ――再び沈黙が訪れた。
399B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/16 21:23 ID:xMCjKm+7
 それから数分程歩いたところ、前方に人らしき影が二つ見えた。

「ぶらぁああああ!」
 大きい方の影が何か叫ぶ。

「……人!? お〜い! そこのお二人さ〜ん!」
「お……おい!」
 ここに来てから初めて目にした人間である。いつもは冷静な八重樫も、舞人の声も聞かずに、二つの影に走り寄る。
 ……しかし。

「ぶるぉおおお!」

 走り寄る八重樫を振り向き、叫び声を上げて突進してくるその姿は、人間ではなかった。
400B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/16 21:24 ID:xMCjKm+7
 [神速]

 この化け物――ミノタウロスと呼ぼう――のでかい体格から見て、力はあっても速さはないと見る。
 御神の技は速さに重きを置く。怪力であろうとは言え、のろまな牛の化け物ごときに遅れをはずもない。
 ……一気に片をつける。
 怪物の呼吸に合わせ、俺は飛針(ひばり)を投擲すると、一気に間合いを詰める。
 飛針は的確に相手の目に向かうが、化け物の太い左腕は、ぎりぎりで目をかばう。
 もちろん、今のはすきを作るためのフェイクにすぎない。
 再び体勢を整えたミノタウロス。駆け寄った俺が目の間にいるのに気付き、慌てて斧を斜め上に振りかぶろうとする、が――
 遅い。
(御神流奥義……)
「薙旋(なぎつむじ)!」
 一足刀の間合いから一気に抜刀。
 旋風を巻き起こす煌きが化け物の胴を襲う。
「……!?」
 しかし、渾身の力を込めた四連撃は、ミノタウロスの黒々とした肌にかすり傷を与える程度に留まった。
(く……!)
 化け物は両手でしっかりと握った斧を、高々と上げている。
 俺は避けるよりも受けるほうを選んだ。
401B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/16 21:24 ID:xMCjKm+7
 そこから放たれた一撃は、俺の予想以上の速さで襲い掛かる。
 咄嗟に交差させた二本の小太刀を、斧の軌道に合わせ斬撃に備える。
 ガキィイーン!
 大砲による砲撃を直接受けたような衝撃が俺を襲う。
 勢い余った斧は、小太刀もろとも俺の体を吹き飛ばした。
 肋骨が何本か折れたことが、はっきりとわかった。
 三メートル程宙を舞った俺は、受身を取ることもできずに地面を転がる。
 止まった後も衝撃の余韻が留まり続ける体を、起き上がらせることはままならなかった。
 鋭い痛みと鈍い痛みが、壮絶な協奏曲を奏でる。
 ……相手の化け物は、その様相に違わぬ膂力を持っていた。
 まともにやりあって人間が勝てる相手ではない。
(……しかたがない)
 俺は、御神流奥義『神速』を発動させる。
 大量に流れ込む知覚情報の波に後押しされ、周りの動きが止まった。――いや、止まって見えるというべきか。
 色覚こそ失うものの、モノクロの世界だからといって相手を見失うことは、ない。
 起き上がった俺は再び化け物に肉迫する。……相手は先程の位置から俺に詰め寄ろうとしたまま、動きを失していた。
 かくいう俺も、極限まで高められた知覚に動作がついていかず、まるで水中を走っているような気分になる。
 しかしスローモーションとは言え、今の俺の速さは先程までの比ではない。
 俺は間合いに入ると、渾身の力で相手の両の目を抉り取る。
 まずはこれで視覚を奪った。
 次に斧を持つ右手をこれでもかという程切りつける。
 さすがに鋼鉄のような腕を切り落とすことはできなかったが、これで自由に振り回すことはできないだろう。
 ……と、ここで身体に限界が訪れる。
 負傷した状態での『神速』は、予想以上の負荷を俺に残したままその効果に終わりを告げる。
 俺は疲れを憶え、倒れ伏した。
「ぶらぁああああ!」
 唐突に叫び声を上げるミノタウロス。
 今のうちに逃げるが得策だろう。
 倒すことはできなかったが、両目がつぶれたこいつはもはや標的を捉えられまい。
 俺は体に鞭を打ち、ゆっくりと立ち上がり、その場を離れようとする。
 しかし――
402B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/16 21:25 ID:xMCjKm+7
 [覚醒]

「……〜い! そこのお二人さ〜ん!」

 若い女性の声が聞こえた。
 ……何だ?
 見ると、苦しむ化け物の向こう側から、人影がかけてくるのが見えた。
 女性の声を聞いたミノタウロスは振り返り、そちらへと走り去る。
(まずい……!)
 俺も慌てて追いかけようとするが、折れた肋骨と『神速』による肉体疲労で、体が思うように動かない。
「おい! 逃げろ!」
 声なら届くかと大声で叫んでみる。
 しかしその声は届いたのかどうか。女はただ立ち止まったに過ぎなかった。
 本当に負傷しているのだろうか。化け物はすさまじい速さで女性へと詰め寄る。
「八重樫! 逃げろ!」
 女の背後から現れた男もまた、逃げるよう叫ぶ。
 だが……遅かった。

 ザシュッ!

 大きく振りかぶった斧は女の胴を一文字に薙ぎ――
「……えっ?」
 女は地に倒れ伏した。
「八重樫ーーーっ!」
 男の叫び声がこだまする。
 ……間に合わなかった。
 ミノタウロスは手ごたえを感じて昂揚したのか、天に向かって吠えた。
 男は化け物がすぐそばにいるにも関わらず、女の許へ駆け寄った。
403B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/16 21:26 ID:xMCjKm+7
「おい! 八重樫! 死ぬな! 八重樫っ!」
「……っ…………」
 女の声は声にならなかった。
 なおも怪物は叫ぶ。
「おい! お前も早く逃げろ!」
 男だけでもと思い叫んだが、男は動く気配も見せなかった。
「……もう、いい。喋るな、八重樫……」
 男は涙交じりで呟く。
「……ぃ……き…………」
「……ああ。俺は生きるさ……。お前の分まで生きて、帰ってやる……!」
 俺は軽く舌打ちをする。
 男からは全く闘気が感じられない。俺が助けに行かなければ、あの男もすぐに同じところへ逝ってしまうだろう。
「………………」
「やえ……つばさ……? おい! つばさ! つばさぁぁああああ!」
 ……残念ながら女は息絶えたようだ。
 ……おそらく、何も告げられずに逝ってしまったのだろう。
 俺は二人の心中を察し、胸を締め付けられる。
 ……男だけでも助けなくては。
 しかし、いかんせん距離がある。いや、十メートル足らずなのだが、今の俺では五秒は掛かりそうだ。
(頼む……。間に合ってくれ)
 血溜まりから膝を起こした男は、ゆっくりと立ち上がる。
 そして――
「うわあああぁぁぁあああああああああああ!!!!」
 とてつもない叫び声を上げた。
 こちらの耳まで痛くなる程だ。
 ……?
 ……男の気配が、変わった。

【高町恭也 状態○→△(肋骨骨折)】
【桜井舞人 状態○→◎(魔力覚醒……?)】
【八重樫つばさ 状態○→−(死亡)】
【ミノタウロス 状態○→△(両目負傷、右手軽症)
404葉鍵信者:04/01/16 21:56 ID:YJaa2PxQ
タイトル募集中。

ttp://www.h5.dion.ne.jp/~p_force/negititlepage.htm

締め切りは、次スレ立てる時までで。
405名無しさん@初回限定:04/01/16 22:12 ID:+EXs2jrH
しかしどこがロワイヤルなんだろうか、これw
406名無しさん@初回限定:04/01/16 22:18 ID:5LxIAsd6
で、結局鬼と参加者は別カウントなのか?
それとも同じとして数えるのかどっちなの、参戦させたいキャラがいるんだけど
それによって出し方が変わってしまうもんでね
407葉鍵信者:04/01/16 22:21 ID:YJaa2PxQ
>406
ん? 
鬼は、100人の中に入るのかどうかと言う事なら
鬼込みで100人だが。
408書き手紫零:04/01/16 22:23 ID:G7E/1tLw
>>405
そうなんですよね。だから早くタイトル決めたいところで・・・。
409書き手紫零:04/01/16 22:26 ID:G7E/1tLw
やっぱりとりあえずでも”葱サバ(仮)”にしておいたほうがいいんですかね・・・。
あ、ちなみに”葱サバ=葱サバイバル”ですよね?>葉鍵氏

410葉鍵信者:04/01/16 22:29 ID:YJaa2PxQ
>409 紫零氏
>葱サバ=葱サバイバル
そうです。

補足で場繋ぎようの魔獣は、100の数に入らないって事で。
411名無しさん@初回限定:04/01/16 22:39 ID:5LxIAsd6
>>407
鬼込みで100人はちとキツイのではないのだろうかと言ってみる
ところでマスターテリオン&エセルドレータとヴィルら幹部連はどちらが強いのでしょうか?
(リベル・レギスは使わないものとします)

登場を考えてはいるのですが、著しく戦力バランスを崩すようなら
再考しないといけないので
412書き手紫零:04/01/16 23:01 ID:G7E/1tLw
[冷たい雨に打たれて]

それは、一瞬の出来事だった。

「大輔ちゃん!」
こちらに気付いた天音が、明らかに悲鳴を上げる。
その視線は俺の背後を見ていた。

振り返る。
そこに何もない空間から現れるあの姿。
音もなく、先刻、俺の脚を抉ったあの爪が振り上げられる。
・・・やられた。
そう、思った。

だが――。

「いやあっ!!」
恋の叫びに我に返った俺の目の前には、悠姉さんがいた。
クモ女の爪に、その華奢な身体を貫かれながら――。
「姉さん!!」
「だい・・・すけ・・・ちゃ――」
言い終えるより早く、悠姉さんの身体が残りの足によって振り飛ばされる。
413書き手紫零:04/01/16 23:01 ID:G7E/1tLw
「私はね・・・網にかかった獲物を逃すなんて事はしないの。」
鮮血に染まった爪を満足気に眺めながら女は言った。
「そうそう、自己紹介がまだだったわね・・・。比良坂初音、まあ、好きに呼んで頂戴。」
「・・・ふざけやがって・・・っ!」
「あら、怒った顔もなかなか素敵よ?残念ね。能力保有者ならケルヴァンと行けば生きていられたのに。」
でも・・・と、初音は妖艶な笑みを浮かべ、
「貴方みたいな贄が出来るなんて私は幸せだわ・・・。」
そういって爪をカチカチと鳴らす。
「能力保有者・・・天音か。」
俺の脳裏に先刻の台詞が思い浮かんだ。

――安心なさい。用があるのはそこの小さい子だけ。

「残念。ところがあの時もう一人増えちゃったのよ。あの紫の子もそう・・・。」
「藍ちゃんまで・・・。」
なんてことだ、まさか狙われる人間が増えてしまったとは・・・。
(大輔さん。)
「百合奈先輩・・・。」
ふと隣に来ていた百合奈先輩が耳打ちする。
(今のままでは篠宮先生が・・・。)
俺は無言で頷いた。
414書き手紫零:04/01/16 23:02 ID:G7E/1tLw
(私が・・・囮になりますから、そのうちに・・・)
馬鹿な。
俺は首を振って、初音を睨み付ける。
「その役目は残念だが・・・・・・俺がやるっ!!」
目の前の敵を倒す。
その事だけに意識を集中し、足の痛みを消す。
一気に初音に詰め寄った。
「馬鹿な子ね。」
初音の横薙ぎの一撃を屈んでかわす。
「先輩!走れっ!!」
「はい!」
いつもの何倍もの速さで俊敏に駆ける先輩に俺は一瞬驚いた。
そこに隙が生まれる。
「よそ見はダメよ?」
「ぐっ!!」
今度は屈んだところに足の一撃が襲ってくる。
ギリギリのところで腕をクロスにしてガードするも、直撃は避けたがその威力は半端じゃない。
はしる激痛。おそらくヒビの数箇所は入っただろう。
「死になさい・・・。」
上からの打ち下ろしの爪を左に回避。
「お前は何がしたいんだっ!」
みぞおちの辺りを狙って蹴りこむ。
「ぐっ!?」
一旦、お互いに間合いを取って対峙する。
415名無しさん@初回限定:04/01/16 23:03 ID:4kv7l3kz
>>411
100人中鬼が20名だっけ?
それだと戦力比率が4:1になるね・・・・かなり参加者側に分が悪い戦いになるよ
それに招待者がいるので実質3:1か?

それなら合計120人にして、5:1にした方がいいと思う
416名無しさん@初回限定:04/01/16 23:03 ID:4kv7l3kz
わりこみごめん
417書き手紫零:04/01/16 23:04 ID:G7E/1tLw
「私は自分の贄が欲しいの・・・。この世界に貴方たちを呼んだのは私じゃない。私はその手伝いをしただけよ・・・。」
服についた土を払い落としながら初音は至極あっさりと言った。
「貴方たちも帰りたいなら逃げてばかりじゃ話にならないわっ!」
意外にも今度は人の足で前蹴りを出してくる。
「お前たちを倒す!帰れる方法がこれしかないのなら、そうするしか他に方法はないっ!!」
蹴りをブロックし、今度は喉元を殴りつけた。
「くううっ!」
「退けっ!お前と遊んでいられるほど時間がないんだ!!」
「そう・・・そうなの。」
俯いた状態から、初音は俺にクモの足を叩きつけてくる。
「っ!ぐあっ!!」
ガードした腕が軋み、腕の中で骨が悲鳴をあげる。
想像以上の威力に俺は、1メートル程後方に弾き飛ばされた。
「うふふふ・・・。」
笑いながら初音はバックステップで足を身体に巻きつかせ、一気に解き放つ。
(まずいっ!!)
「先輩!後ろっ!!」
不敵な笑みを浮かべて今度は悠姉さんのところに行った百合奈先輩に向けて足を振るう。
「く・・・あ・・・っ。」
その足は百合奈先輩を一撃で昏倒させるには十分過ぎるほどに強かった。
「さあ、どうするの?王子様。」
優しい口調からは想像も出来ないほど冷たい目つきだった。
俺たちと倒れた二人をちょうど二分する形で立っているだけに動きが取れない。
(くそっ!こうしてるうちに悠姉さんは・・・っ!!)
視界の隅でうっすら見える悠姉さんは、それでも判るほど流血していた。
このままでは死ぬのも時間の問題だ。
(何とか・・・退かせるだけでも・・・っ!)
バシャバシャと水飛沫の中を恋が駆けてきたのはその時だった。
418名無しさん@初回限定:04/01/16 23:04 ID:gPDQ60R1
やめとけやめとけ。漏れはヴィルヘルムは知らないが、
マスターでどうにかならないような奴らを
どうかできる奴ってのは著しく限られると思うぞ。
それこそ小十郎とか…。
419書き手紫零:04/01/16 23:05 ID:G7E/1tLw
「アンタッ!絶対に許さないっ!!」
いつも俺に向かって放っている跳び蹴りの何倍も速く、恋は動いた。
「何っ!?」
迫りくる露にギラついた足を難なく飛び越え、その勢いで初音の肩口を思い切り蹴り飛ばす。
「れぇぇぇぇぇんっ!!」
俺は同時に走り出し、地面に落ちていた石を拾い上げ、初音の右側頭部を殴りつけた。
ガツンという激しい衝撃。
「ぎゃああっ!!」
「あうっ!?」
確かな手応えは暴れまわる初音の頭部の出血を見れば一目瞭然だった。
「恋!!」
暴れている初音に弾かれて、恋は藍ちゃんの近くまで吹き飛んでいた。
「ひっ・・・!!」
藍ちゃんが恋の無残な姿に凍り付く。
恋の右腕が――なかった。
「あ・・・ああ・・・」
眼球がせわしく動き、そして、止まる。

「きゃあああああああああああっ!!」
恋が気絶した瞬間、藍ちゃんに異変が起こった。
藍ちゃんの周囲の空気が歪み、集中する。
そして――!
「いやああああああっ!!」
悲鳴と共に蓄積された空気が爆音と共に一気に解き放たれた。
「しまった!覚醒をっ!?」
右の顔半分を手で押さえながら初音が叫ぶ。
「ここまでやられて――ただで済むと思わないでっ!!」
半狂乱の初音は藍ちゃんに飛び掛る。
「藍ちゃんっ!!」
420書き手紫零:04/01/16 23:06 ID:G7E/1tLw
・・・心配をよそに。
顔面に向かって突き出された巨大な爪を、紙一重で避けると藍ちゃんは今まで見たこともないくらいの・・・文字通り”目にも留まらぬ”速さで俺が与えた傷の上に肘を振り下ろす。
「ぐっ!あああああっ!!」
渾身の一撃がかわされた事で初音は動揺を隠せないようだった。
だが・・・。
「チ、チィィィィッ!!お前ならっ!!」
「キャアアアーッ!!」

「天音――!!」

――間に合うか・・・?

――振りかぶられた、爪。
――天音の恐怖に歪んだ、顔。
そして・・・。

・・・天音の悲鳴。
421書き手紫零:04/01/16 23:08 ID:G7E/1tLw

「くっ・・・!どこまでも貴様は・・・っ!!」
「ふっ、ふふっ・・・。残念だったな・・・。」
不思議なもので明らかに死ぬと解ると人間、意外に余裕がある。
奇しくも悠姉さんと同じ、腹部を貫く一撃。
それも、人を庇って、だ。
「何故だ!何故そうまでして邪魔をするっ!?」
ああ・・・。コイツは・・・。
何故か知らないが、俺は初音が可哀相に思えた。
「・・・自分の命、張ってでも、守らなきゃならない、もんってのが・・・あるんだよ・・・」
「馬鹿な・・・。」
俺の腹から爪が抜け、おびただしい量の血が流れ出る。
「い、いや・・・・・・。」
その光景を目の前にして天音が絶句する。
「お前には・・・解る事は、ないんだろう、な・・・永遠に・・・。」
「だ、黙れええぇっ!」

「やめてぇぇぇぇぇぇぇっ!!」
平手打ちの形で俺の顔を切り飛ばそうとした初音。
だが、天音が叫んだのと同時に光が弾け、初音は派手に吹き飛ばされた。
「はあっ・・・はあっ!」
「なんという・・・あの小娘まで覚醒させてしまうなんて・・・・・・。」
狼狽した声で初音が呻く。
422書き手紫零:04/01/16 23:08 ID:G7E/1tLw
「大輔ちゃん!大輔ちゃんっ!!」
身体を引きずるようにして撤退する初音を見ながら倒れこんだ俺に、天音が駆け寄る。
「はは・・・悪い、な・・・これだけやって・・・倒せない、なんて・・・・・・。」
涙でグシャグシャのまま天音は首をブンブン振った。
「天音・・・悠・・・姉さん、は・・・?」
「・・・・・・。」
今度は力なく、首を振る。
そうか・・・・・・。
「お姉、ちゃん・・・・・・。ごめんね・・・。」
熱いモノが、頬を伝った。
「ダメだよ・・・大輔ちゃんまで・・・いなくなっちゃ、ヤだよ・・・。」
天音の膝枕で倒れている俺の顔に、天音の涙がこぼれ落ちた。
「天音・・・・・・生き、るんだ・・・」
返事はない。しかし、俺は続けた。
「生きて・・・戻るんだ・・・。みんなのところ、に・・・。おばさんも、おじさんも・・・」
天音と目が合った。
降り出した雨が、天音の心情を俺に暗に伝えているような気がした。
「みんな、待ってる・・・」
「大輔ちゃんだって、帰ってこなかったらダメだもんっ!みんなみんな待ってるもんっ!!」
それは、心に熱い感情を呼び覚ます。
「天音、親父や・・・みんなに・・・よろしく、な・・・。」
もう、俺は生きて帰れない。
その事実が今になって恐怖に変わる。
「戻り・・・たかった・・・な・・・」
「戻るんだもん!ダメ!大輔ちゃんっ!!ダメだよぉ・・・っ!」
泣き顔は、悠姉さんにしか見せたことがなかった。
大好きな、お姉ちゃん・・・。
そして、また、大好きな・・・。
「あま・・・ね・・・。」
もう、感覚のない右手を、天音の頬に添える。
「ずっと・・・すまなかった・・・。」
423書き手紫零:04/01/16 23:09 ID:G7E/1tLw
「えっ・・・?」
いきなり謝られた天音は目を見開く。
「ずっと・・・気付いてた・・・。お前の、気持ち・・・に・・・。」
「あ・・・。」
「でも、失うことが・・・怖かった・・・。大事な、ものを・・・失うことに・・・怯えてた・・・・・・。」
天音の涙が腕を伝うが、既に何も解らない。
泣いているのか、雨のせいか、天音の顔も霞んだままだった。
「俺は・・・弱くて・・・。何も、昔から、変わら・・・なくて・・・」
「もう、いいよ・・・しゃべっちゃダメ・・・」
首を振っているのだけが、なんとなく分った。
「天音・・・お前は、強い、な・・・。だか、ら・・・」
意識が徐々に遠のいていく。
今更、信じても、願っても、遅いかもしれない。
だけど、神様・・・今だけ、お願いです・・・。

最後まで――告げたい・・・。

「生きて・・・くれ・・・俺の、分まで、幸せに――。」
「違う!大輔ちゃんがいなかったら、私は幸せになんてなれないよっ!!」
こんな時にならないと、言えない自分が嫌だな・・・天音が、泣いてるじゃないか・・・。
「大輔ちゃん!目を開けてぇっ!!」
最後の力を振り絞って、泣き叫ぶ天音の頭を自分のところへ引き寄せる。
「あ・・・ま、ね・・・・・・」

「愛・・・し・・・て・・・――」

――最後に聞こえたのは、愛しい人の声。
――願わくは、泣き声でなければ・・・よかったのに・・・。
424書き手紫零:04/01/16 23:12 ID:G7E/1tLw
長文スマソ。
>>416
長文だけに覚悟してましたから構わないですよw

【麻生 大輔:死亡 篠宮 悠:死亡 桜塚 恋:状態×(右腕欠損) 君影 百合奈:状態△】
【橘 天音・鷺ノ宮 藍:魔力覚醒】
425418:04/01/16 23:13 ID:gPDQ60R1
割り込みスマソ
418は>>411へのレスね。
426書き手紫零:04/01/16 23:25 ID:G7E/1tLw
>>418
上記の通り、覚悟の上でのうpなので全然OKですよw
427名無しさん@初回限定:04/01/17 01:49 ID:Z5CbOHL3
ロワイヤルというか萌えキャラ虐殺スレ
428求めと誓い:04/01/17 01:56 ID:Yr4uoJ73
 侵略軍団ダイラストの怪人軍団と戦う正義のヒロイン高円寺沙由香!
 昂奮することによって、体内にエネルギー生成装置『ドキドキダイナモ(DDD)』
が強力なエネルギーを生み出し、超昂戦士エスカレイヤーに変身するぞ!
 変身に必要な者はエッチ! マゾサドノーマルアブノーマルなんでもOK、
ちょっぴり淫乱な素敵ヒロインだ!

 と書くとずいぶん馬鹿馬鹿しい印象を与えるが、
実際のところ彼女の戦闘力はなかなかに侮れぬものがあった。
今回召還された者達の間でも、確実に強者の部類に入る存在である。

 だが、
「えーん……ここどこぉ?」
 あいにくと、その性格の方は押しに弱く引っ込み思案。
 方法はともかくとして、いつも精神的に支えてくれた柳瀬恭平も
この世界に召還されず、当然今も傍にいない。

 そんなわけで彼女はわけの分からぬ状況に恐怖と当惑に身を震わせながら、
夜の闇の中、廃墟をさまようばかりであった。

 と、その耳に女性のうめくような声が届いた。
「……!?」
 いぶかりながら声のするほうへ移動する。
 廃墟の壁の曲がり角を曲がったその先、少し開けた場所で、
沙由香は月明かりに照らされた少女の姿を見つけた。
429求めと誓い:04/01/17 01:57 ID:Yr4uoJ73
「う……ぐぅ……い、いやぁ」
 針金のように硬い髪を短くしているその少女は、その頭をかきむしりながら
くぐもった悲鳴を上げる。
 その傍に置かれているのは抜き身のレイピア。風変わりの柄を持つ細身の剣だ。

(ど、どうしよう……)

 刃物を持った少女が、血走った目をして苦悶にあえでいる。
平常時なら絶対にお近づきになりたくないが、沙由香は今まで数時間ずっと一人でさまよい続けてきたのだ。
なにはともあれ人に逢えたという安堵の念が強い。
 それに、
(な、なんだか知らないけど苦しんでいる人をほっとくなんてできません!)
 抜きゲヒロインだってそこら辺の矜持はあるのだ。一応正義のヒロインだし。

「あ、あの大丈夫ですか?」
 そういう理由で、おずおずと話しかけた沙由香に少女がビクッと反応した。
「……! だ……だめ! 来ちゃ……だめだよ!」
 歪む顔で、途切れ途切れに沙由香に告げる。
 
 沙由香は少し逡巡したが、やはり一人にはなりたくなかった。
それに何かあってもある程度なら大丈夫、という自信も心のとこかにあった。
今は変身してないとはいえ、自分の身体はバイオボディー。常人よりはるかに強靭なつくりをしているのだから。
430求めと誓い:04/01/17 01:58 ID:Yr4uoJ73
「落ち着いてください。人にあえてよかったです」
 だから、少女の警告を無視して沙由香は無理に笑顔を作り、少女に近寄る。
「だめ……なの! ほんとだめ……だって!」
「大丈夫です。安心してください。私は正義のヒロイン、エスカレイヤーですから」
「やめて……『空虚』!」
 空虚という意味の通らぬ言葉が少女の口から漏れたとき、
沙由香の手が少女の肩に触れた。
「あの……本当に大丈夫ですか?」
 そういって少女の顔色を伺う。
  だが、少女はその問いに答えず、声をガラリとかえた。
「上質な魔力だ。貰い受けるとしよう」
「え……? ……!?」
 
 人にあらざる速度でレイピアが走り、ゾブリ、と沙由香の胸を貫いた。

(そん……な……バイオボディを……こんな簡単に!?)

 だが、本当の驚愕はこれではなかった。
 信じられないような悪寒と、薄ら寒い虚無感が沙由香を急速に襲い始めたのだ。
 沙由香は直感的に理解した。

(私……食べられてるんだ! この剣に私の魂が……!!)

 理解したところでどうにもならなかった。
 否、理解しなかった方が幸せだったかもしれない。

 さきほどと打って変わった空虚な目をした少女の前で、
沙由香はその魂を食われ、ただの機械のかたまりを残して消滅した。
431求めと誓い:04/01/17 02:00 ID:Yr4uoJ73
「くそ……!!」
 碧光陰は歯噛みしながら廃墟の中を駆け抜けた。
 ほんの数分だったのだ。
 永遠神剣『空虚』に心を呑まれまいと抵抗して衰弱した岬今日子を廃墟の一角に休めさせ、水を調達しにいったほんの数分。
 だが、己の永遠神剣『因果』を通して光陰には分かった。
そのわずか数分のあいだに、今日子が力を取り戻したということが。

 それはすなわち―――

 ああやっぱりか、とバイオボディの擬似体液を浴びた今日子とその傍の躯を見て、
光陰は思った。
 諦観が光陰を包む。
 やっぱり、お前は負けちまったのか、と。

 彼らのもつ永遠神剣は、それを行使する契約者に
強力な力を約束する代わりに、代償を求める。
 敵を切り裂けと。血をすわせろと。マナを、魔力をよこせと。
 光陰は己を保てていた。
 彼はそれなりに強靭な男だったから。
 だが、今日子は―――
432求めと誓い:04/01/17 02:00 ID:Yr4uoJ73
「光陰……あたし……」
 擬似体液で赤く染まる手をオロオロとさまよわせながら、今日子が呟いた。
「あたし……あたしぃ……」
 潤んだその目をさまよわせ、その声に嗚咽が混じる。

「いいんだ今日子、お前は悪くない」
 赤く染まる今日子の手を、光陰は優しくとった。
「仕方ねーよ、今日子。お前、別に強くないもんな」
 まだキスを交わしたこともなく、身体を重ねたことも無い恋人の身体を抱き寄せる。
「強くなれないのはさ、今日子。罪じゃない」
「あ……あ……」
「罪じゃないんだ。だからお前は悪くない」
「うっ……うううぅぅ……」
「お前が耐えられないのなら、魔力を奪えばいい。な?」
 涙が枯れ、次第に空ろになっていく今日子の瞳をみつめながら、光陰は静かに覚悟を決めた。

「お前に魔力が必要ならさ」
 ―――それがお前の求めならば。

「俺が手に入れてやる」
 ―――これが俺の誓いだ。
433求めと誓い:04/01/17 02:01 ID:Yr4uoJ73
 嘘だ。
 廃墟の中、ななかはそう思った。
 こんなことがあるはがない。
 そう思った。

 だって、お姉さまはとっても強くて、とっても素敵で、とっても優しくて―――
 だから、こんな風に姉さまが動かぬ身体になっているなんて、そんなの嘘だ。

 だが、ななかがいくらそう思おうと、月の光は煌々と沙由香の躯を照らし続ける。

「う……う……うわ……」
 きっと、卑怯の手でお姉さまは討たれたんだ。

「うわ……わぁ……」
 きっとお姉さまの優しさにつけこんで、そうしてお姉さまを動かなくしたんだ。

「わぁぁぁぁぁぁああ……」
 おぞましく、醜く、汚い汚いやつが、お姉さまを殺したんだ。

「あああぁぁぁぁぁあぁっっっ!!」
 
 雄たけびを上げながらななかは誓った。
 そいつが今、この島で呼吸をしているだけで、許せないと。
 この報いをうけさせてやると。
 どんな手を使おうと、誰を傷つけようと、必ず―――

【エスカレイヤー/高円寺沙由香@超昂天使エスカレイヤー(アリスソフト): 招 死亡】
【FM77/ななか@超昂天使エスカレイヤー(アリスソフト): 招】
【碧光陰@永遠のアセリア(ザウス): 招】
【岬今日子@永遠のアセリア(ザウス): 招】
434名無しさん@初回限定:04/01/17 02:43 ID:niSlHm0U
葱鯖
435求めと誓い:04/01/17 03:43 ID:Yr4uoJ73
ごめんなさい。
今確認しました。ななかは招ではなく、狩ですね。
436名無しさん@初回限定:04/01/17 04:02 ID:X6Mz2hqx
初音がなんか弱すぎるような・・・。
一般人が不意をつこうとしたぐらいでは到底びくともしない相手だぞ?
437名無しさん@初回限定:04/01/17 07:42 ID:Rmb9EDgS
>>436
んなこといったら、最強な奴が最強な攻撃で最強になるだけ
無粋だねお前
438名無しさん@初回限定:04/01/17 07:47 ID:/9MXv5ZX
>>436
設定上初音が出てきたキャラを次々虐殺していったら話が進まないからなぁ。
ある程度噛ませっぽくなるのは仕方ねーべ。
むしろ初音の贄の対象には清童も含まれる事を知らないんじゃないか、という作品がちらほらある方が気になる。
学生のエロゲー主人公って大抵あてはまると思うんだが。
439名無しさん@初回限定:04/01/17 10:20 ID:R5WIt7eP
で、最終人数について完全にスルーされているのはどうしてだ?
このままの戦力比率だと文字通りの虐殺になってしまうぞ。
440名無しさん@初回限定:04/01/17 11:20 ID:F+Js0hAu
魔力覚醒ってあるけど・・・それを認めた時点でそのキャラは設定から外れて
ただのオリキャラになってしまわないか?

たとえば最終的に幻魔大戦のごとくオーラをまとってテレキネシスで周囲を破壊しまくる
橘天音や鷺ノ宮藍が果たして原作に準じているのでしょうか?
ちょっと安易過ぎるんじゃないかなぁ・・・もう少し考えようよ
少なくとも、もしもアインがそんな風になったら私は絶対に嫌です。

それに狩るものと狩られるものとの戦力があまりにも違い過ぎるし
何よりキャラクターが何をすればいいのか分かっていないのは致命的
結果的にただ登場するだけで何をしていいのかわかっていない連中だらけだ。

まぁこの程度の穴はいくらでも作品で塞ぐ事はできるんだろうけど
少なくともオリキャラ化の風潮には歯止めをかけないと後で大変だよ。
441名無しさん@初回限定:04/01/17 11:22 ID:F+Js0hAu
捕足
>狩るものと狩られるものとの戦力があまりにも違い過ぎる
狩る側は何をすればいいのかわかっている、でも狩られる側はわからない
これはあまりにも不公平ってことです。

これじゃ虐殺にしかならないよ。
442名無しさん@初回限定:04/01/17 11:33 ID:9cEr41i+
どうでもいいが議論スレとSS発表スレはわけたらどうかね。
443名無しさん@初回限定:04/01/17 11:47 ID:/9MXv5ZX
444書き手紫零:04/01/17 12:46 ID:mRmr81IR
>>440
魔力覚醒について保身の言い訳を。
異世界に召喚されるには誰かしらが魔力の保有をしていなければならなかったため、天音と藍を対象にしました。
ただ、まとめページを万が一見ていなかった読み手様、そして演出も考え、あのような表現をしました。
覚醒したとはいえ、天音は(藍については一瞬のみなりとも強化したことは後に反省しております。)強くなってはいません。
覚醒時の衝撃波的なものは覚醒したよ、という演出であり偶発、そう捉えていただければ幸いです。
表現力の稚拙さが露呈した感じですね・・・。精進します。
445書き手紫零:04/01/17 12:47 ID:mRmr81IR
ageてしまった・・・スマソ。
446葉鍵信者:04/01/17 14:30 ID:z41/h9+m
>411
んー。
書き手側から足りないという要望の方が多いのであれば、設定変更しましょう。
今の内であれば、設定の修正は聞くんで。
デモンペインはやってないから解らん。
447名も無き冒険者:04/01/17 14:32 ID:rjCrhWeA
きもいゴミヲタども、よくつまんねーエロゲなんかやってられるな(プケラ
リーフだかキーだか知らねーがこれからはネトゲの時代なんだよ、馬鹿どもめ。
ネトゲも色々あるが最高なのはLineage。特にRigelスレな。おまえらのマゾゲーとは格が違う。
言いたいことあるんなら遠慮なく俺らに言い訳聞かせろやw
↓に俺らのスレのアドレス書いてやっからよ(ププ
あ、頭の不自由なあなたがたでも自分たちが糞ゲーごときに無駄に金と時間浪費するような
存在価値の無いアホだってことぐらい当然分かりきってますか。こりゃ失礼(´,_ゝ`)
それとも怖くて俺らのスレにはレスできないかな( ゜ ,_ ゝ ゜ )?
http://game3.2ch.net/test/read.cgi/mmo/1074310243/
448名無しさん@初回限定:04/01/17 15:51 ID:mktNN92f
音夢様マンセースレ その18
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1073747856/l50

【非公式新聞部】D.C.雑談スレ2【部室】
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1073492447/

★登場人物
朝倉純一 ◆kijJUNICHI=白河ことり ◆VhB1KOTORI
朝倉音夢 ◆DQnemuNZww=◆nemuT.30CM
音夢(妹) ◆Nemu.LhBhw
朝倉 音夢 ◆GJe4CptJyw
芳乃さくら ◆xJKPSAKURA
芳乃さくら ◆Sakura4X7g
白河ことり ◆kOTORiHmGs=天枷美春 ◆xBANANAnxU
白河ことり@ギャルゲー板 ◆kZDuKOTORI
水越眞子 ◆cpr7YMAKO
鷺澤 美咲 ◆0FqQMISAKI=鷺澤 頼子(WS版) ◆kEaYORIKO
頼子 ◆1RgF4CjTrU
みっくん ◆uwmikkune2
杉並 ◆2Lf8mASBhA
工藤叶 ◆CZe1kanae2

↑正体は全てキモデブオタ。
449:04/01/17 16:00 ID:65MJ8Vkv
「違う違う、斎藤はすだれ頭じゃないわよ、それにゆーこさんの口に拳が入るだなんて」
あれから玲二と沙乃は気まずい雰囲気から何とか逃れようと、他愛ない話をしながら山道を歩いていた。
「本物…なんだよな、やっぱり」
玲二は口の中で呟くとしみじみと沙乃の姿をみる、話の通り自分より年上だとはとても思えない。
まして彼女が幕末の世から甦った新撰組十番隊組長、原田沙乃であることも。

そこで玲二は沙乃の表情の変化にようやく気がつく、歩きながらではあるが、その肩は小刻みに振え、
そしてその瞳には涙が浮かんでいた。
「お…おい、何か悪いことでも言っちまったのか?」
見た目は幼女にしか思えない沙乃の涙に、たじろぐ玲二。
「違うわよ、バカ」
沙乃の涙の理由。
そう、彼女はうれしかったのだ…敗れ去った自分たちが、後世、
時代に殉じた英雄として奉られ愛されているということがわかって。
しかし…涙をぬぐって沙乃は思う、だからこそ、自分たちは滅ばなければならないのだと。
これ以上新撰組の名前を汚すわけにはいかないのだ。

「なぁ…今の話をもう1度あいつらに聞かせてやろうか?そしたら…」
だが、玲二の希望的な言葉を沙乃はあっさりと否定する。
「でも…もうゆーこさんたちには通じないと思う、それに 気持ちはありがたいんだけど」
その時、沙乃の拳が玲二のみぞ落ちに突き刺さる。
「これは新撰組隊士である沙乃が始末をつけなきゃならないの」

「沙乃たちは甦ってはならない亡霊…でないと折角アラタたち生き残りが語り継いでくれた、
 新撰組の栄光を汚す事になるの…ありがと、少しの間だったけど励みになったから」
そう言い残し立ち去ろうとする沙乃だったが、
450:04/01/17 16:08 ID:65MJ8Vkv
「沙乃たちは甦ってはならない亡霊…でないと折角アラタたち生き残りが語り継いでくれた、
 新撰組の栄光を汚す事になるの…ありがと、少しの間だったけど励みになったから」
そう言い残し立ち去ろうとする沙乃だったが、
「!!」
当身を食らわせたはずの玲二が平然と沙乃の手を握ったまま離そうとしない。
「待てよ、ここまで話しといて、そのまま消えるのはないんじゃないのか?」
「聞き分けがないわね!これは沙乃たちの問題であって」
「違うな、あんたの仲間が実際に人斬って巡っているのならこれは俺たち全体の問題だ」
駄々っ子のように叫ぶ沙乃をやんわりとたしなめる玲二、ただしその眼光は鋭い。
その目をみた沙乃は悟った、この少年も自分と同じ、いや自分以上に人を殺した経験があると。
「それにかつて俺も亡霊と呼ばれたことがあってな、亡霊退治にはふさわしいと思わないか?」
「ちょっと!アンタにも探している人がいるって」
「いいんだ、そいつらを倒す事はエレンを守る事にも繋がる」

2人は口論しながらいつしか水辺にまで移動していた、と、その時二人の目に急流に流されたのだろう
河原でぐったりとする少女の姿が映った。
「玲二! あれ!!」

【吾妻玲二@ファントムオブインフェルノ(ニトロプラス):狩 状態○ 所持品 S&W(残弾数不明)】
【原田沙乃@行殺新選組(ライアーソフト):鬼(現在は狩) 状態○ 所持品 十文字槍】

(作品時間的にはINVISIBLE MURDERの直後、つまり最後に2人が発見したのは佐倉霧です)
451名無しさん@初回限定:04/01/17 16:11 ID:65MJ8Vkv
とりあえず新作UP
>参加人数…鬼の数や招待者の扱いにもよるけど
         全部合わせて100では少ないかな

>覚醒…なにかこう…いわゆるU-1を思い出してしまってちょっと萎えた気もする
452葉鍵信者:04/01/17 18:07 ID:z41/h9+m
月姫、OKにするかしないかそういえば決めてなかったな。

ネロ・カオス話書いてて思い出したわ。

やっぱ、同人作品って事で禁止?

それにアルクとか士貫登場させるなら相当制限加えないとダメになるしな……。
453電覚:04/01/17 18:33 ID:Yr4uoJ73
 河原末莉が目を覚ましたのは、すでに真夜中になったころであった。
 暖かい布団の中、おずおずと目を開ける。
暗闇の向こうに見知らぬ天井が見える。

「う……ん……?」
 
 状況を正確に認識できないまま、起き上がろうとするが、
「起き上がらないで」
 不意に耳元で声がして、末莉は身体を硬直させた。
「……!?」
 おそるおそる顔を横に向けると、暗がりの中で枕元のかなりファンシーな子ザルのロボットが視界に入る。
「え……!?」
 この子ザルロボットがしゃべったこと気づき、驚きの声を上げようとする末莉だが、
子ザルロボットは小声ですばやく注意した。
「声も小さくね。部屋の前の見張りに気づかれたくないから」
「あ、はい! すいません……」
 慌てる末莉に、子ザルロボットは器用に首を振った。
「友永和樹だけど……分かるかな?」

 その愛嬌のある顔に似つかわしくない遠慮がちな声で、ザルロボットはそう告げた。
454電覚:04/01/17 18:36 ID:Yr4uoJ73
「うまくいったみたいだな」
 中央塔近くの森のはずれで、和樹はそうつぶやいた。
 
 電覚を使用し、中央塔の一室、末莉の部屋に忍び込ませたエテコウとアクセスを取る。     
 エテコウのカメラから取得した画像データを和樹の方へ転送。
暗い視界の中、やややつれてしまった末莉の顔を見ることが出来た。

 次は音声。己の頭脳内で作成した音声データをエテコウ側に転送。
エテコウのスピーカーをリモートコントロールして、和樹の音声を合成。発音させる。

『友永和樹だけど……分かるかな?』
『あ……はい……和樹さんですよね』

 末莉の音声をエテコウのマイクから取得。転送。再生。
彼女のかすれた声が聞こえてきた。


 和樹と名乗るロボットの声を聞きながら、末莉はどこかぼんやりと考えていた。
 和樹のことは覚えていた。そういえばこの声も聞き覚えがある。
 そう、確か半狂乱になった私を、この声で必死でなだめてくれたんだ。

 ああ、でもなんで私そんなふうになったんだっけ―――

 そこまで思考を進めたとき、末莉は今まで無意識に避けていたことを思い出した。

 おにーさんが死んじゃったからだ……

 不意に突きあがってきた叫び声が口から漏れる寸前に、
エテコウの手が柔らかく末莉の口を抑えた。
455電覚:04/01/17 18:37 ID:Yr4uoJ73
「落ち着いて……とはいえないね……でもこらえて欲しい。頼む」
 静かな、でもどこか言葉を迷いながら選んでいる、そんな声が末莉を諭す。
 末莉は、何か熱いものを無理矢理飲み込むような感覚で、こらえた。

 ややたってから口を開く。
「あの、教えて欲しいです。おにーさんは、おにーさんは……」
「……お墓、作ったよ。安らかに眠れるように」

 今度あがってきた叫び声を抑えるためには、末莉は顔を枕に押し付ける必要があった。 
泣くことをとめることは、出来なかった。 
  

(現状を認識させるのは無理だな)
 末莉のすすり泣きを聞きながら和樹はそう判断した。
多分、まだ彼女はそれに耐えられない。
 かなり時間がたってから、和樹はエテコウを介して末莉に告げた。

『末莉さん、お願いがあるんだ』
『お願い…………?』
『司さんのこと、君のお兄さんのこと、教えて欲しい。どんな人だったのか』
 忘れることができないのなら、吐き出してしまった方がいい。そう和樹は判断した。
 それに興味もあった。ただの人でありながらキマイラに立ち向かい、末莉を守った人が、
死の間際、和樹に約束を交わさせた司という人が、どんな人だったのか。
『もちろん良かったらだけど……』
 ためらうような沈黙の後、末莉がおずおずと声を発した。
『おにーさんは、本当のおにーさんじゃないです』
『そうなのか?』
『あ、でもそれでも大切な人で! かけがいの無い人だったんだけど……』
『ええと』
 沈んでいく末莉に、和樹は静かに口を挟んだ。
『それじゃあ、司さんが君のお兄さんになった経緯とか、教えて欲しいな』
456電覚:04/01/17 18:39 ID:Yr4uoJ73
 末莉の話は奇想天外で、ある種面白いものだった。
家族を持つことの出来なかった男女が寄り集まって一つの擬似家族を作る話だ。
そこで、司はみなの中心人物としての役割を果たしていたらしい。
 末莉もまた、家族に恵まれず、だから司を兄として大切に思っていた。
(苦労してるんだな)
 末莉の話に相槌をつきながら和樹は思う。

 だが、これは末莉にとって楽しい思い出なのだろう。
『おにーさん、普段はぶっきらぼうだけど、結構わがまま聞いてくれるんですよ』
 そう話す末莉の声はどこか楽しげで、自慢の兄を紹介する得意げな気持ちも含まれていて、だけど時々嗚咽も混じって、
それは確かに奇妙な声音だったかもしれないけれど、それでも泣き声だけよりもずっといいと和樹は思った。

『あ、でも最初は苦労しちゃいました』
 僕にもそんな思い出を手に入れられるときが来るんだろうか。
 不意に和樹はそう思った。
『おにーさんって呼べるようになるまで、ほんと苦労したんですよ』

―――兄さんって呼んでいいですか?

 ズキリ、と頭痛が走った。

―――その、変かもしれないけれど、兄さんって呼びたいんです。

 ……そうだ。僕にも妹がいた。
僕はロボットで、血が繋がっているはずもないけれど、それでもかけがえのない妹がいたんだ。
 だけど、僕はその顔も思い出すことができない……

「―――!」
 和樹は驚きの表情を浮かべて、目からあふれた液体をぬぐった。
457電覚:04/01/17 18:40 ID:Yr4uoJ73
『……和樹さんどうしたんですか?』
『あ……いや、なんでもないよ……』

 反射的に返答して、また和樹は驚く。
己の声音が、まるで目からあふれた液体とリンクするかのように、揺れていたからだ。

(そんな機能まで僕には備わっているのか……?)

 和樹は首を振ると、平静な声で返答した。
『なんでもないよ末莉さん。続けてくれないかな』


―――数時間後、末莉の話が終わったとき、彼女の声は、少なくとも表面的にはだいぶ落ち着いたものに変わっていた。
『あの、これどうやってお話ししてるんですか?』
『ああ……通信を使ってそのペットロボット、エテコウっていうんだけど、
こいつをリモートコントロールしてるんだ。電覚という能力なんだけど……』
 自分の能力についてかいつまんで話す。

『す、すごいじゃないですか!?』
『そう……なのかな?』
『すごいですよ! ……って、その、そういう通信って、その傍受でしたっけ。
盗み聞きとかされないんですか?』
『大丈夫だと思うよ。一応暗号化してるし』
 実際そうする必要もないだろう。
 この世界の文明技術と、和樹に使われている文明技術はあまりに異質すぎるからだ。
 通信技術を持たない文明に、通信を傍受したり、妨害したりできる道理はない。
『気をつけて欲しいのは、エテコウをなくさないで、ってことかな。
さすがにコントロールできるハードウェアがないと、どうにもならないからね』
『あ、はい。分かりました』
458電覚:04/01/17 18:41 ID:Yr4uoJ73
 それからしばらくの沈黙の後、末莉は意を決したのか、彼女にしてはしっかりとした声をだした。

『和樹さん。私、教えて欲しいです。今、なにかおこっているのか』
『……分かった』
 ケルヴァンの口から事態を説明するよりはまだましだろうと、和樹は判断した。

 事務的な口調で、ヴィル・ヘルムという男が魔法の国を作ろうとしていること、
そのために魔力を保有している者達を召還した事。
それに引っ張られるような形で、魔力を持たない者達まで召還されてしまったこと、
末莉がかなりの魔力を秘めており、保護したことを告げる。

『……あの』
 明らかに硬くなった声で、末莉が言った。
『そんなのってないですよ……おかしいですよ。こんなの!』
「…………」
『だって、そんな……だって、こんな、ひどいことって……! ……ないですよ』

 しばらくの沈黙の後、末莉がいう。
『和樹さんはおかしいって思わないんですか!? こんなの……だって!』
『君の保護が僕の任務だ』
 すこしためらってから付け加える。
『君を守ると、司さんと約束した。
そこにいる限り、君は安全だ。そこにいてケルヴァン様の指示に従っている限りね』
『ケルヴァンさん……?』
『僕の主だ。多分、明日会うことになると思う』
『……主、ですか?』
『僕はロボットだ。意思を持たず主に従う。それが僕だ』
『そんな……じゃ、じゃあ、なんでこんな風にお話ししようって思ったんですか?』
『それは……』
 また、頭痛。
『特に任務に支障の無いことだから』
 嘘だ。少なくとも和樹はエテコウという戦力を失っている。
459電覚:04/01/17 18:43 ID:Yr4uoJ73
 和樹はため息をついた。
 そろそろこの会話を打ち切るべきだ。ずいぶん時間をロスしている。任務に戻らないと。

『もう寝た方がいいと思う。体力は回復させた方がいい』
 返事はなかった。
 和樹も腰を上げ、電覚を終えようとする。
 
 だが、その直前で末莉が口を開いた。
『あの……和樹さん。これから先、和樹さんと連絡をとることってできるんですか?』
「…………」

 和樹は末莉に関する情報群を、末莉クラスタと命名。
エテコウを通して自動的に彼女に注意をはらうように設定した。

『エテコウに僕の名前を呼んでくれ。いつでも、とはいわないけれど可能な限り
応対するようにするから』
『はい。それから、なんですけど』
『うん』
『助けてくれて、それから今も話を聞いてくれて、ありがとうございます』
 礼を言われるようなことはしていない、和樹はそう思った。
『おやすみなさい。がんばってね』
 だから短くそう告げて、電覚を終了した。
 

(エテコウは一応、ケルヴァン様から隠しておいた方がいいのかな?)
 夜の森道を走りながら、和樹は思った。
 末莉の退屈を紛らわせるためとか、いくらでも理由はつけられそうだが。
「―――!」
 そこで和樹は足を止めた。驚きを持って自分を見つめなおす。
 ケルヴァンに、絶対の強制力を持つ主に
 平然と隠し事をしていることに、今気が付いたのだ。
460電覚:04/01/17 18:44 ID:Yr4uoJ73
 暗闇の中、末莉はエテコウを抱きしめた。
「キー?」
 かわいらしく首をかしげるその姿に、末莉も少し微笑んだ。

 友永和樹という人が、信じられるかどうかはまだわからない。
 でも、たぶん聞き間違え、勘違いではなかったと思う。

 おにーさんの話しをしているときに、和樹さんが涙声を出したこと。
 おにーさんのために涙を流してくれたことが。

【河原末莉@家族計画 招 状態:良 エテコウ取得】
【友永和樹@”Hello,World” 鬼 状態:良 エテコウロスト】
461B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/17 19:09 ID:23WjD70/
 [ほとばしるちから]

 痛かっただろうな……。
 辛かっただろうな……。
 ……つばさ。
 お前は本当にがんばったよ。
 こんなわけのわからない所に来ても、文句の一つも吐かなかったもんな……。
 現実から逃げ出したりしなかったもんな……。
 お前がいなかったら、俺はきっと真っ先に逃げ出しただろう……。
 ……ほんの少しの時間だったけど、お前が一緒でよかったよ。
 お前のおかげで俺は、いつものように馬鹿なことを言って、ツッコまれて、笑っていられてんだ……。
 それを……。
 ……ごめんな。
 守って……やれなかった……。
 助けて……やれなかった……。
 それなのに……お前は俺に、「生きろ」って……。
「生きろ」って言ってくれた……。
 だから……。
 俺は、生きる。
 お前の分まで生きて、帰ってみせる。
 ……絶対に。
462B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/17 19:10 ID:23WjD70/

「……ぁぁあああああああ……あああーーーー!!」

 ……俺は叫ぶのをやめる。
 思いっきり叫んだからだろうか? なぜか、今まで感じたこともないようなすっきりとした感覚だった。
 頭の中が一気に晴れ渡る。
 今なら空でも飛べそうな気がした。……いや、何でもできそうな気がした。
 ……目の前には、つばさの命を奪った、牛の化け物がいる。
 潰れた目を俺にむけ、きょとんとしたような顔をしている。
 ……こいつが殺したんだよな。
 ……こらしめてやんなきゃな、つばさ。
 俺は大きく息を吸い込み、吐き出した。
「……こいよ。牛魔王」
「ぶるぁ……」
 化け物は一瞬ためらい、
「ぶ、ぶるあぁああ!」
 大きくテイクバックした斧をフルスイングする。
 速ッ!
 当たったら間違いなく死ぬだろうな。
 鈍く光る斧はうなりをあげて綺麗な弧を描き――
 俺の胸をかき切った。
463B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/17 19:10 ID:23WjD70/
「ぶるぁああ!」
 勝利を確信した牛は咆哮を上げるが――
「……お前、牛丼にしたら食えるかな?」
 横手から聞こえた俺の声に、明らかな動揺を見せる。
「ぶ、ぶらぁ?」
 化け物が薙いだ俺の体は、煙のように掻き消えていった。
 ……まあ、目が見えないんだから、分かりはしないだろうけど。
 慌てて声のほうに向き直ろうとする化け物。
 俺はゆっくりと、化け物の横腹に右手を置く。
「……つばさの痛みを思い知れ」
「ぶ? ぶるぁあ!?」
 手が熱を帯びるのを感じた。気持ち、光ってるようにも見える。
 ……出せる。
 今ならなんか出せる!
「くたばれ!! 牛魔王っ!!!」
464B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/17 19:11 ID:23WjD70/

 ドオオーーン!!

 激しい爆破音がした。
 俺の手から出た、なんか熱い光線みたいなものが、化け物の胴を一閃する。
「ぶるううぁああああ!!?」
 化け物が一際大きな叫び声を上げると、上下に分断されたその体はゆっくり崩れ落ち――動かなくなった。
 牛丼は……無理だよな……。
「……はぁ、はぁ……」
 ……何だ? 急に体が鉛みたいに……。
 今のなんか必殺技みたいなやつのせいか……?
 立っていられなくなり、俺もその場にへたり込む。
 ……俺は今、どうしてたんだ?
 残像残すわ、なんか出すわ……。
 孫悟空か、俺は?
「つばさ……見たか……? 俺は強いだろう……?」
 俺は空を仰ぎ、一人つぶやく。
465B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/17 19:12 ID:23WjD70/
『ああ強い強い。さすが毎日かめはめ波の練習してただけのことはある』
 つばさの声が聞こえた気がした。
「……はん! 次は、元気玉だ!」
 つばさの笑い声が聞こえた気がした。
 ……俺の頬は、目から出た鼻水で濡れていた。


  元気で、ね……

          お前こそ、な……

【ミノタウロス、死亡】
【桜井舞人、状態×(能力の反動による)】

 恐れていたことが現実に……
 おもっくそ厨っぽい話になっちまった。
 叩くなら議論スレでどうぞ。
 お待ちしております。
466葉鍵信者:04/01/17 20:29 ID:z41/h9+m
 もう一つの運命

 「はぁぁぁぁぁぁぁ」
 男の掌抵が刀で切りかかってきた沖田鈴音の腹を打ち、そのまま後ろへと吹き飛ばす。
 「鈴音!!」
 土方歳江は、とっさに吹き飛ばされた彼女を身体で受け止めた。
 
 すかさず、入れ替わりにカモミール芹沢が前へ出て、鉄扇で襲い掛かる。
 「貰った!!」
 男が次の動作に移る前に、この無防備な瞬間を狙って繰り出された一撃だったが……。
 「未熟!!」
 突き出した掌抵をそのまま上に繰り上げ、彼女の顎へと叩きつける。
 「がはっ!?」
 芹沢は、そのまま鈴音に比べると上に高く後方へと吹き飛ばされた。
 地面に落ちた芹沢へ歳江が声をかける。
 「大丈夫か!? くっ……強い。 それにこの男、我等では相性が悪すぎる……」

 ケルヴァンが双子の保護へ向かっていた頃、
新撰組の三人は、一組の男女に遭遇していた。
 かたっぽは、招かれし者。 もう片方は、殺害ターゲットという典型的な二人に。
 彼女達はどちらが標的か調べ終わると、すぐさま魔力資質0であった男の方に襲い掛かった。
 だが、彼女達の攻撃が届く事はなかった。
467葉鍵信者:04/01/17 20:30 ID:z41/h9+m
 初撃、三人同時に切りかかった時、目にも見えぬ速さで避けられ、
ならばと隙をついていってもカウンターの一撃を加えられてしまう。
 男は武闘家だった。 それも類稀なる使い手の。
 それでも彼から動作を起こしての攻撃ならば、まだ三人組である彼女達に分がある。
 しかし、武闘家の男は動こうとせず、構えて彼女たちが襲い掛かってくるのを待っている。
 彼もまた自ら動いては不利なのが解っているのだ。

 「このまま争っても君達に不利なだけだが、どうする?」

 この膠着状態から先に口をあけたのは、男の方だった。

 「我らに退却は許されない……。 それが士道!!」
 歳江が答えた。

 「では、何のために私たちを襲った?」

 「貴様に答える義務はない」

 「……。 これ以上言い争っても無駄のようだな。 私たちは去らせて貰う」

 その言葉を残したまま、男は後ろを向くと少女を連れて歩き始めた。
468葉鍵信者:04/01/17 20:31 ID:z41/h9+m
 ダッ!!
 彼が後ろを歩いた瞬間、芹沢が飛び出した。
 が
 「止めろ……」
 飛び出そうとした鈴音は、歳江の手と言葉に制された。

 「怒りで我を忘れるな……。 あの男は、まだ気を解いていない……。 また吹き飛ばされるだけだ」

 「この屈辱……。 絶対にはらす」



 「大丈夫でしたか? お兄様」
もう新撰組から見えなくなった頃、少女は、兄である男へと語りかけた。
 「心配するな、怪我一つない。 大丈夫だ」
 「私の為にいつもありがとう……」
 「ふっ、気にするな雪。 それにここに飛ばされたせいでお前を失わずにすんだ」
 「でも、また私のために……」
 「いや、さっきの三人組の狙いは、おそらく私だろう……。
 彼女達の殺気は、最初から私にだけ向けられていた……
 それにやろうと思えば、お前へも攻撃していたはずだ」
 「そう……。 でも、私にはお兄様が狙われている事の方が心配です……。
  無理しないで下さいね」
 「ああ、わかってる……。 お前のためにも私はまだ死ぬわけにはいかん」
469やべ、上の改訂前のだった:04/01/17 20:32 ID:z41/h9+m
 ダッ!!
 彼が後ろを歩いた瞬間、鈴音が飛び出した。
 が
 「止めろ……」
 飛び出そうとした鈴音は、歳江の手と言葉に制された。

 「怒りで我を忘れるな……。 あの男は、まだ気を解いていない……。 また吹き飛ばされるだけだ」

 「この屈辱……。 絶対にはらす」



 「大丈夫でしたか? お兄様」
もう新撰組から見えなくなった頃、少女は、兄である男へと語りかけた。
 「心配するな、怪我一つない。 大丈夫だ」
 「私の為にいつもありがとう……」
 「ふっ、気にするな雪。 それにここに飛ばされたせいでお前を失わずにすんだ」
 「でも、また私のために……」
 「いや、さっきの三人組の狙いは、おそらく私だろう……。
 彼女達の殺気は、最初から私にだけ向けられていた……
 それにやろうと思えば、お前へも攻撃していたはずだ」
 「そう……。 でも、私にはお兄様が狙われている事の方が心配です……。
  無理しないで下さいね」
 「ああ、わかってる……。 お前のためにも私はまだ死ぬわけにはいかん」
470葉鍵信者:04/01/17 20:32 ID:z41/h9+m
 男の名は、鴉丸羅喉と言った。
 閃真流神応派の後継者で、世界で二番目に強い男。
 妹の名は、鴉丸雪といった。
 類稀なる超能力の持ち主で、それを狙って、
某国に狙われ、常に工作員達に身を狙われる日々だった。
 羅喉が雪を守り、彼ら二人は、何時も場所を転々としてきた。

 ある日、羅喉がほんの少し目を離した瞬間
雪が工作員に連れ去られ絶体絶命の時
彼女は光に包まれ、また雪の元へと駆ける羅喉もそれに反応するかのように光にまみれ
二人共にこの世界へとやってきたのだった。

 「ま、不幸中の幸いというやつだな……」
 妹を安心させようと彼は、はははと笑って見せた。
 「はい、こうしてお兄様にまた会えただけでも感謝しなければ……」
 雪もまた羅喉に応じて、笑顔で答える。

 「さて、まずは、ここが何処であるのか把握しないとな……。
 他に人がいればいいのだが……」
 

【鴉丸羅喉@Only You リ・クルス(アリスソフト)……持ち物なし 狩】
【鴉丸雪@Only You リ・クルス(アリスソフト)……持ち物なし 招】
471書き手紫零:04/01/17 22:50 ID:mRmr81IR
[傍にいるから]

その少女は、泣いていた。
新しい街に引越し、唯一の友人であった猫が死に、何も無くなっていた。
そんな時、一人の少年が現れた。
少年は、少女の大事な友人を描いた。
それは、少女にとって、かけがえのない宝物。

そして――。


「大輔ちゃん・・・大輔ちゃぁん・・・・・・」
その少女は、再び泣いていた。
しかし、今度は大事な宝物は、戻ることはない。
「橘・・・さん・・・。」
もはや動かなくなった大輔にすがりついて泣く天音の隣に百合奈がようやく歩いてくる。
「弔って、あげましょう・・・?」
「ヤだよぉ・・・大輔ちゃん・・・・・・。」
「橘さんっ。」
百合奈は天音の肩を掴んで無理矢理自分の方を向かせる。
「今は、感傷的になっている時ではありません。私だって・・・」
そこで一度、百合奈は言葉に詰まった。
「私だって、胸が張り裂けそうです。でも、ここにこのままいればまた同じことが繰り返されるだけです。」
472書き手紫零:04/01/17 22:51 ID:mRmr81IR
「・・・!」
天音がビクッと身体を震わせる。
「大輔さんや篠宮先生、それに・・・私たちだけじゃない、他にもこの世界に召喚されて、無残に殺された方々もいるはずです。」
「・・・。」
「ですから、その方達の無念の気持ち、その方達の命を、少しでも私達が生きることで無駄にしないようにしなくては・・・。」
天音の泣き声が止んだ。
「百合奈先輩・・・強いんですね・・・。」
百合奈はゆっくりと首を振る。
「いえ・・・私も、皆さんと同じです。」
「ありがとうございます・・・。そうですよね、今は、生きないと・・・。」
473書き手紫零:04/01/17 22:51 ID:mRmr81IR
天音、百合奈の二人は負傷している恋を藍に任せ、黙々と穴を掘っていた。
二人の白く、細い手は土で汚れ、ところどころ血が滲んでいたが、それでも止めようとしなかった。
しばらくして、ようやく二人程が横になれる深さと幅になった。
二人がかりで血を洗い流した大輔と悠の遺体をそこに納める。
(篠宮先生・・・。)
天音は大輔と三人で過ごした学園での昼下がりを思い出す。
大輔のことを話す時の悠の優しい瞳。
そっと、大輔と悠の手を重ねてやる。
「橘さん・・・。」
「篠宮先生、大輔ちゃんの事――好きだった。私、知ってたんです・・・。でも、もう・・・。」
悠は大輔に自分の気持ちを伝えられないうちに死んだ。
自分は想いは通じたが、もう、大輔はいない。
泣きそうになるのをぐっと堪え、天音は大輔のほつれたシャツの一部を切り取ると、前髪を止めているバンドと結び変えた。
「もう、私は大丈夫。大輔ちゃんが・・・いつも隣にいてくれるから・・・。」
「・・・はい。」
それから二人は土を被せると、手向けるものがないことに気付き、胸のリボンのクリップを墓に添えた・・・。
474書き手紫零:04/01/17 23:12 ID:mRmr81IR
そういえば【】付けてない(状況が変わっていないため)のであしからず。
475名無しさん@初回限定:04/01/18 00:02 ID:lrooQ6aA
>>474
あの・・・そういう場合でも必ず付けるようにしたほうがいいのでは?
そうしないと状況を確認するのに、いちいちログを遡って読まないといけなくなるので
476書き手紫零:04/01/18 00:14 ID:8g9M5afD
>>475
反省。そうですね。

【橘 天音 状態:○ 君影 百合奈 状態:△ 鷺ノ宮 藍 状態:○ 桜塚 恋 状態:×(右腕欠損)】
477名無しさん@初回限定:04/01/18 00:53 ID:AORDgFlq
コテより作品の題をつける方がいいと思うのは俺だけか?
478葉鍵信者:04/01/18 01:24 ID:mUjrNCZU
あっちの>30
スマンスマン、俺の勘違いだった。
流石に直ぐに修正しないとまずいな。
今から修正版上げるから許してくれ。

あのスレ、煽り目的で立てられてるっぽいし、使わん方がいいと思うんでこっちにレス。
だから、向こうに書くと俺あんまり見ないからやり取りも遅くなるよ。
まー、避難所にしろちゃんとしたの立てるにしろ、企画名決めないといけないんで

投票や新案だしてください。

後、月姫の否決もpls。
479葉鍵信者:04/01/18 01:31 ID:mUjrNCZU
もう一つの運命(修正版)

 「はぁぁぁぁぁぁぁ」
 男の掌抵が刀で切りかかってきた沖田鈴音の腹を打ち、そのまま後ろへと吹き飛ばす。
 「鈴音!!」
 土方歳江は、とっさに吹き飛ばされた彼女を身体で受け止めた。
 
 すかさず、入れ替わりにカモミール芹沢が前へ出て、鉄扇で襲い掛かる。
 「貰った!!」
 男が次の動作に移る前に、この無防備な瞬間を狙って繰り出された一撃だったが……。
 「未熟!!」
 突き出した掌抵をそのまま上に繰り上げ、彼女の顎へと叩きつける。
 「がはっ!?」
 芹沢は、そのまま鈴音に比べると上に高く後方へと吹き飛ばされた。
 地面に落ちた芹沢へ歳江が声をかける。
 「大丈夫か!? くっ……強い。 それにこの男、我等では相性が悪すぎる……」

 ケルヴァンが双子の保護へ向かっていた頃、
新撰組の四人は、一組の男女に遭遇していた。
 かたっぽは、招かれし者。 もう片方は、殺害ターゲットという典型的な二人に。
 彼女達はどちらが標的か調べ終わると、すぐさま魔力資質0であった男の方に襲い掛かった。
 だが、彼女達の攻撃が届く事はなかった。
480葉鍵信者:04/01/18 01:33 ID:mUjrNCZU
 初撃、四人同時に切りかかった時、目にも見えぬ速さで避けられ、
ならばと隙をついていってもカウンターの一撃を加えられてしまう。
 男は武闘家だった。 それも類稀なる使い手の。
 それでも彼から動作を起こしての攻撃ならば、四人組である彼女達が勝つだろう。
 しかし、武闘家の男は動こうとせず、構えて彼女たちが襲い掛かってくるのを待っている。
 彼もまた自ら動いては不利なのが解っているのだ。

 「このまま争っても君達に不利なだけだが、どうする?」

 この膠着状態から先に口をあけたのは、男の方だった。
 事実、彼は、襲い掛かる彼女達を迎え撃てばいいだけである。
 口で言うのは簡単だが、実際は遥かに難しい。 だが男の実力はそれを可能にしていた。
 それに彼女達が受けを取れば、彼は、そのまま少女と共に逃げるだろう。

 「我らに退却は許されない……。 それが士道!!」
 歳江が答える。

 「では、何のために私たちを襲った? それとここは何処だ?」

 「貴様に答える義務はない」

 「……。 これ以上言い争っても無駄のようだな。 私たちは去らせて貰う」

 その言葉を残したまま、男は後ろを向くと少女を連れて歩き始めた。
481葉鍵信者:04/01/18 01:34 ID:mUjrNCZU
 ダッ!!
 彼が後ろを歩いた瞬間、勇子が飛び出した。
 が
 「止めろ……」
 襲い掛かろうとした勇子は、歳江の手と言葉に制された。

 「怒りで我を忘れるな……。 あの男は、まだ気を解いていない……。 また吹き飛ばされるだけだ」

 彼女は、ギリギリと歯を鳴らし続けた。

 「この屈辱……。 絶対にはらす」


 「大丈夫でしたか? お兄様」
もう新撰組から見えなくなった頃、少女は、兄である男へと語りかけた。
 「心配するな、怪我一つない。 大丈夫だ」
 「私の為にいつもありがとう……」
 「ふっ、気にするな雪。 それにここに飛ばされたせいでお前を失わずにすんだ」
 「でも、また私のために……」
 「いや、さっきの四人組の狙いは、おそらく私だろう……。
 彼女達の殺気は、最初から私にだけ向けられていた……
 それにやろうと思えば、お前へも攻撃していたはずだ」
 「そう……。 でも、私にはお兄様が狙われている事の方が心配です……。
  無理しないで下さいね」
 「ああ、わかってる……。 お前のためにも私はまだ死ぬわけにはいかん」
482葉鍵信者:04/01/18 01:35 ID:mUjrNCZU
 男の名は、鴉丸羅喉と言った。
 閃真流神応派の後継者で、世界で二番目に強い男。
 妹の名は、鴉丸雪といった。
 類稀なる超能力の持ち主で、それを狙って、
某国に狙われ、常に様々な刺客に身を狙われる日々だった。
 羅喉が雪を守り、彼ら二人は、何時も場所を転々としてきた。

 ある日、羅喉がほんの少し目を離した瞬間、
雪が刺客に連れ去られ絶体絶命の時、
彼女は光に包まれ、また雪の元へと駆ける羅喉もそれに反応するかのように光にまみれ
二人共にこの世界へとやってきたのだった。

 「ま、不幸中の幸いというやつだな……」
 妹を安心させようと彼は、はははと笑って見せた。
 「はい、こうしてお兄様にまた会えただけでも感謝しなければ……」
 雪もまた羅喉に応じて、笑顔で答える。

 「さて、まずは、ここが何処であるのか把握しないとな……。
 他に人がいればいいのだが……」
 

【鴉丸羅喉@Only You リ・クルス(アリスソフト)……持ち物なし 狩】
【鴉丸雪@Only You リ・クルス(アリスソフト)……持ち物なし 招】
483葉鍵信者:04/01/18 01:37 ID:mUjrNCZU
っつーわけで訂正して台詞ちょっと追加しただけ。
展開は何も変わってません。
484名無しさん@初回限定:04/01/18 01:50 ID:HyLIk7ED
>>478
みといたほうがいいと思いますぞ?
スレッド名そのものは悪くないし、今は議論の場として機能しているし。
これでもう一つ議論スレなんて立てたら、それこそ荒らされると思う。
485葉鍵信者:04/01/18 02:10 ID:mUjrNCZU
>484
中身は、ちゃんと見てるよ。
ただやっぱり見るの遅くなってる。
スレッド名そのものは、立てた当時から既に「葱ロワはあっちだろーが」とおかしく。
煽りの印象が非常に強かった。
また誘導された後で機能してるわけで
誘導された時は、「おいおい、お前煽り目的でやってるだろ……」としか思えなかった。
だから、今の状態はいいんだけど、心の中でやっぱ従うのに拒絶反応でちゃうんだよ=そこにレスしたくない。
まー、書き手BBSでも書いたけど、書き手さんや志望希望してるだろう人以外には
今のように重大な物以外は、気が向いた時しかレス返さない。
理由は、そっち見てくれ。
繰り返すが、だからといって、読み手の意見を聞いてないわけじゃないから安心してくれ。

で、企画名の投票は?w

そっちのレスもしてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ
486名無しさん@初回限定:04/01/18 02:22 ID:s+YXsg4U

わかったから、とりあえず糞スレageんなやヴォケ
487名無しさん@初回限定:04/01/18 02:22 ID:HyLIk7ED
投票はもうしたっす。
月姫話も、議論スレでね。
投稿スレを長文で埋めたくないし。
488Sudden Inpact:04/01/18 03:54 ID:lrooQ6aA
「たすけてぇ!!」
伊藤乃絵美は助けを求めながら森の中を必死で逃げる。
彼女の後を追うのは巨大な翼を持つ怪物、ハーピーだ。

ハーピーはまるでいたぶるように一定の距離を置いて、しかし執拗に乃絵美を追い詰めていく
が、それにも飽きたようだ。
石に躓き、立ちあがることが出来ない乃絵美を空中から睨みつけると、ばさばさと威嚇するかのように
翼をはばたかせ、両足のツメを揃え、攻撃の姿勢を取る。
乃絵美はもはやそれを眺めることしかできない。
「お兄ちゃん…」
弱々しく呟いたその時だった。

乃絵美めがけ突撃するハーピーの横合いから、凄まじい勢いで飛び出してきた影がある。
不意を食らったハーピーは体勢を立て直すことも出来ずに地面に叩きつけられる。
助かった…。
ほっと一息ついた乃絵美だったが、次の瞬間起こった惨劇に思わず息を呑んでしまう。
じたばたと地面でもがくハーピー、その身体の上にはまだ幼い少女が馬乗りになっている。
まさか、あの子が私を?乃絵美がそう思った矢先だった、少女はその小さな身体とは不釣合いなまでに。
巨大なハンマーを手にしており、それを大きく振りかぶると迷うことなくハーピーの身体へと叩きつけたのだった。
くちゃりと水音がしたかと思えば、骨混じりの鮮血が周囲に飛び散る。
乃絵美の口から喘ぎのような悲鳴が漏れる、少女の顔面に返り血がべちゃりと飛び散る。
だが、少女はそれにもひるむことなく、さらにハーピーをハンマーで殴打する。
ハーピーはしゃぎゃあと凄まじい悲鳴を上げていたが、やがて原型を止めぬほどにまで打ち砕かれ
その生命活動を停止した。
489Sudden Inpact:04/01/18 03:56 ID:lrooQ6aA
ハーピーが死んだのを確認すると、ようやく少女は乃絵美の方へと向き直り、大丈夫かといわんばかりに
手を差し伸べる。
だが、返り血を全身に浴びた、少女の白い顔を見ると同時に、
「きゃ!いやああああああっ!!」
乃絵美はその手を振り払いそのまま悲鳴を上げて逃げるのであった。
乃絵美にとってはハーピーよりも、少女の方が余程恐ろしく思えたのだった。
あんな恐ろしい怪物が…あんな恐ろしい人がいるなんて…。

頬に流れる涙をぬぐう事もわすれ、また森の中を逃げ惑う乃絵美だった。

【伊藤乃絵美@With You〜見つめていたい(カクテルソフト)……持ち物なし 狩】
【モーラ@吸血殲鬼ヴェドゴニア(ニトロプラス)……持ち物 巨大ハンマー 招】
490紅の騎士 :04/01/18 05:55 ID:tj/qa2hY
「どうだ、久方ぶりの陽光は?、ギーラッハよ」
光差すテラスで、ケルヴァンは自分の傍らに立つ紅の鎧を纏った武人に話しかける。
「懐かしい…光よ」
ギーラッハはそのいかめしい表情を崩すことなく、だが確かに感傷が篭った声で応じる。
その首には、極彩色の護符が貼りつけられている。
「貴様を討てる者など滅多におるまいが、昼間にその首筋の護符を剥がされるなよ、
 護符がなければ貴様は吸血鬼の摂理に従い、陽光の中では一分も持たぬのだからな」

「心得ておこう、だが貴公に聞いて置きたいことがある」
「わかっている…貴様の主は私が責任をもって探し出してやろう…だから心置きなく戦ってこい」
ケルヴァンの言い様に、ギーラッハの眉がぴくりと動き、と同時にその手が腰の大剣に伸びる。
が、寸前で思いとどまる…今はまだその時ではない。
「己は何をすればいい?」
気を取り直し改めて目的を尋ねるギーラッハ。
「話したとおりだ、招かれざる相手、招きを拒絶した者を斬ってもらいたい、それだけだ」
「承知」

それだけを言い残すとギーラッハはまるで1分1秒でも惜しいかのように、テラスから退出する。
その背中にケルヴァンはまた声をかける。
「昼間の貴様は半分の力しか出せない、それも心得ておけ、まぁちょうどいいハンデにしか
 ならぬだろうがな」
「承知」
491紅の騎士 :04/01/18 05:58 ID:tj/qa2hY
ギーラッハの姿が見えなくなってから、ケルヴァンはふぅと安堵の息を吐く。
話の間中握り締めていたその掌は汗でじっとりと湿っていた。
「聞きしに勝る恐るべき剣士よ…私はもしかすると誤ったのかもしれぬな」
彼はギーラッハを甘く見過ぎていた、所詮腕が立つだけの男と、
ゆえに彼の主君たるリァノーンを誘かせば、簡単に言うなりになるだろうと…。

だが、自分の目論見がはずれたことをケルヴァンは自覚していた。
事実を知ればあの剣士もまた初音と同じく、いずれ自分に立ちはだかるのかもしれない、
彼は配下に指示を出す。
「地下に確保してあるロードヴァンパイアへの監視を怠るな、誰にも悟られてはならぬぞ」
ケルヴァンは苦い表情で額の汗をぬぐう。
それは自分が確実に爆弾を背負い込んでしまったことを自覚した表情だった。

【ギーラッハ@吸血殲鬼ヴェドゴニア(ニトロプラス)……持ち物ビルドルヴ・フォーク  鬼】
492名無しさん@初回限定:04/01/18 12:40 ID:InZ4Akeg
きもいゴミヲタども、よくつまんねーエロゲなんかやってられるな(プケラ
リーフだかキーだか知らねーがこれからはネトゲの時代なんだよ、馬鹿どもめ。
ネトゲも色々あるが最高なのはLineage。特にRigelスレな。おまえらのクソゲーとは格が違う。
言いたいことあるんなら遠慮なく俺らに言い訳聞かせろやw
↓に俺らのスレのアドレス書いてやっからよ(ププ
あ、頭の不自由なあなたがたでも自分たちが二次元の畸形女ごときに無駄に金と時間浪費するような
存在価値の無いアホだってことぐらい当然分かりきってますか。こりゃ失礼(´,_ゝ`)
それとも怖くて俺らのスレにはレスできないかな( ゜ ,_ ゝ ゜ )?
http://game3.2ch.net/test/read.cgi/mmo/1074310243/
493暗示:04/01/18 17:26 ID:xzsJaY94
 夜の闇も深くなった頃。
市街地の一角で、鳴海孝之、涼宮遙、早瀬水月の三人は休息をとっていた。

「遙、大丈夫よ。落ち着いて、ね?」
 涙を流し、しゃっくりをあげる遙に水月が優しく頭をなでた。
「う、うん。でも……」
 遙はイヤイヤするように首を振る。
「だって、ここ変だよ。あんなにいっぱい人が死んでるなんて!」
「でもさ」
 今度は孝之が横から口を開く。
「そのおかげで、俺らこの銃をとってこれたんだぜ?」
 
 数時間前。
銃声を聞いて、おそるおそるそちらに移動した三人が見たのは、
鉄でできた倉庫のような建物と、夥しい数の死体だった。
 死体を見て遙はほとんど昏倒しかけ、孝之もまたすぐさま逃げようといったのだが、
水月が反対した。
『今、誰もいないみたいだし、何か手に入れといた方がいいわよ。
この島なんか変だし、武器あった方がいいと思う』
 怖かったのは水月も一緒だったが、それでも彼女は死体から目をそむけながら、
一人で誰もいない武器倉庫に侵入していくつかの銃を手に入れたのだ。 
銃の種類は良く分からなかったのだが……

 だから、孝之の俺らという言葉は間違っている。
 勇気を振り絞って銃を獲得したのは、水月だ。だが、彼女はそれを訂正するつもりはなかった。
 死体を見てからずっと泣きどうしの遙を慰めてやる。それが先決だと水月は思う。
494暗示:04/01/18 17:27 ID:xzsJaY94
「こいつがあればさ、俺ら無敵だぞ。俺がなんにからでもお前を守ってやるからさ」
「そうよ遙。大丈夫だって。ほんとにね」
「う……うん。でも、でもね……!」
 遙は孝之に抱きついた。
「怖い、怖いよ……私!」
「遙……」
「孝之くん、怖いの……もう茜にも慎二君にも会えないかもしれない!」
「大丈夫だっていってるじゃない……遙」
 水月の言うことを無視して、遙は続けた。
「だって折角リハリビが終わったんだよ! やっと歩けるようになって! 孝之君とデートできるって思ったのに! それなのに……」
「馬鹿、デートなんていつでもできるだろ?」
「……ほんとに?」
「ああ、ほんとだ。ちゃんと帰れる。デートだってしてやる。約束するぞ。
俺がお前を守ってやるからな」
「孝之君っ……孝之くぅんっ……!!」

 抱き合う二人を見て、自分はここにはいない方がいいだろう、と水月は思った。
だから、
「私さ、ちょっと見回り行って来るね」
 そう小声で告げて、席を立った。返事はしてもらえなかった。
495暗示:04/01/18 17:28 ID:xzsJaY94
「怖いのは私だって同じよ!!」
 一人きりになって、水月は叫んだ。
「何よ、何なのよ! 私はどうでもいいってわけ!?」
 腹立ち紛れに、近くの壁を蹴飛ばす。
 歯を食いしばって、耐える。だけど涙がこぼれるのをとめることは出来なかった。

 孝之が好きだった。どうしようもなく好きだった。

 遙は親友だ。事故から目を覚ましたことも、リハリビが上手くいったことも、
そして、自分から孝之を奪い返して、再び付き合うようになったことも、
紆余左折はあったものの、水月は祝福する気になっていた。

「でもこんなのって、あんまりよ!!」

 一時は確かに、自分が孝之の彼女だったのに……

「水月……」
 不意に後ろから声をかけられて、水月は固まった。
(孝之……!?)
 慌てて涙をぬぐい、振り返る。
 孝之は申し訳なさそうな顔をしていた。泣いていたのはバレバレってわけらしい。
「悪かった。でもさ……今は、ほら遙を落ち着かせるのが優先だって思ってさ」
「……分かってるわ、そんなの。遙は?」
「泣き疲れて、眠っちまったらしい」
「あっそ……」
496暗示:04/01/18 17:29 ID:xzsJaY94
「あのさ、水月。俺はお前だって大事だぜ?」
「え……?」
「そりゃ、もう彼氏彼女じゃないかもしれないけどさ、それでも俺達友達だろ?」
「それは、そうだけど……」
「なら、俺は遙だけじゃなくて、お前も守ってやる。
ピンチの時にはかけつける。それが友達だからな」
「孝之……」
 潤む水月の瞳。その向こうで。

「いや、兄さん。カッコいい事言っている最中に申し訳ないけどさ」
 グラマーな金髪の女性が音も無く現れて、
「悪ぃな、死んで貰うぜ?」
 拳銃を構えた。


(まあ、ラッキーかな)
 と、ドライは思った。駆除対象者の二人組み。魔力を持っているやつはいないようだ。
(保護なんて、かったりぃことやってられねぇしな)
 とりあえず素人のようだし、サックリやっちまうか―――
そう思いハードボーラーのトリガーに指をかけるが、

「なによあんた!!」
 そう叫んで、銃を構えようとする水月に、わずかに眉をひそめた。

(デザートイーグルだぁ? どこでそんなもんを?)
 
 が、所詮は素人だった。銃声が一発鳴り響き、ドライは銃を構える前の水月の手を撃ち抜いた。
497暗示:04/01/18 17:31 ID:xzsJaY94
「あ……!? あぁ……!!」
 デザートイーグルを取り落とし、痛みに耐えきれず倒れる水月。

 ドライは、残る孝之のほうへ、銃口をむけた。
既に孝之は銃を構えているが、へっぴり腰もいいとこだ。
あの構えでこの距離じゃ何発撃たれてもあたりはしないだろうな、とドライは判断する。
 だが、気になることもあった。

(今度はコルトパイソンねぇ……どこで手に入れたのか聞き出した方がいいかも知れねぇな)

 だから、トリガーを引く前に、そのことを問おうとしてドライは口を開こうとしたが、

「み、水月……悪い! すまねぇ!!」
 孝之は倒れている水月にそう叫ぶと、きびすを返して逃げ出した。
498暗示:04/01/18 17:32 ID:xzsJaY94
「孝之、ウソでしょ! 待ってよ!!」
 水月の叫び声が、背中につきささるが、孝之はただ走っていた。
 何も考えず走って、遙の寝ているところまでたどり着く。

「た、孝之君、どうしたの!?」
 乱暴に起こされて、遙は驚きの表情を浮かべるが、孝之はその手を強引に引っ張った。
「い、いくぞ! 逃げるんだ!!」
「に、逃げるって、でも水月は……?」
「い……いいから走れよ!! 言うこと聞け!!」
「い、痛いよ孝之君……」
 状況を飲み込めぬまま抗議の声を上げる遙を、それでも強引に走らせながら孝之は思った。

(俺……今、水月を見捨てたのか?)

 恐怖感だけで満たされていた心に、徐々に罪悪感が侵食する。

(いや……違う! そうじゃない!!)
 だが、孝之はその罪悪感を必死で振り払った。
(遙がいるんだ! あそこで水月と二人で死んでどうなるっていうんだ!!)
 
「孝之君、ねぇ、水月は……?」
「うるせぇ! 黙れ! 走れよ!!」
 恋人に向かって怒鳴る。

(そうだ、俺は遙を守らなくちゃならないんだ!! 俺は正しいことをしたんだ!!)
 必死に自分に言い聞かせながら、孝之は遙の手を引っ張って走った。
499暗示:04/01/18 17:33 ID:xzsJaY94
「お前……あっさり見捨てられちまったなぁ」
 ドライは呆れてつぶやいた。あまりの裏切りっぷりについあっけにとられてしまった。
 
ガリガリと頭をかく。
無論、今からあの孝之を追って仕留めるはたやすい。
が、なんていうかやる気が萎えてしまった。
 わずかながら水月への同情が沸く。

「なぁ、お前、こいつどこで手にいれたんだ?」
回収したデザートイーグルをちらつかせ、そう問うが、
「嘘……ひとどいよ孝之……」
 水月は倒れたまま呆然とつぶやくばかりだ。
 
ドライは再度頭をかいた。
(チッ、気が滅入るぜ。あたしも男にゃ痛い目会ってるしな……) 

 だが、獲物は獲物だった。
 ハードボーラーの銃口を水月の頭に突きつける。
「悪く思うなよ。 男を見る目のないアンタが悪いんだ」
 そうつぶやき、トリガーに指をかけて。

「気が進まないのなら、止めておきなさいな」
 音も無く現れた初音の声に、その指を止めた。
500暗示:04/01/18 17:35 ID:xzsJaY94
「初音、だっけか? 何のようだ?」
「その女性、水月といいましたかしら? 私に下さらない?」
「あん?」
「少し痛い目をあってしまってね……搦め手を使ってみるのもよいかな、と」
 そう言って、初音は水月に近寄り、その顎をクイッと持ち上げて、顔をちかづけた。

「あ……ああ……」
 キスするかのような距離で瞳を覗き込まれ、水月がつぶやく。
「ねぇ、水月。この島で何が起こっているのか……この事態の原因は何か教えて差し上げましょうか?」
「げ、原因……?」
「あのね、水月さん。私たちは魔力を持つ者達を必要としていてね。呼び出したの。
それでね。魔力を持つ人たちだけが呼び出されれば何の問題も無かったのだけれど、
今度は魔力を持った人たちが、別の人たちを巻き込んでしまったの」

「魔力……巻き込んだ……」
 水月は初音の目に魅入られたまま、つぶやく。

「そう、彼らは自分の親しい人、近しい人たちを巻き添えにしたのね。
あなたの側に誰かの声を聞いたという人がいなかったかしら?」
「遙……」
 初音はほとんど優しいと言っていい声で続けた。 
「そう、その遙さんがあなたを巻き込んだのよ」
「遙が……巻き込んだ……?」
「そう、そのあなたの苦しみも、胸の痛みも、男に裏切られたことも全て……」
「遙、のせい……」
 徐々に、水月の瞳が空ろになっていく。

「悔しくないのかしら? さぞかし無念でしょうねぇ……」
「遙、遙、遙、はるか、はるか、ハルカ、haruka………」
 空ろな目で、うわ言の様に遙の名をつぶやき続ける水月に、初音は妖艶に笑い、ひとまず身をはなした。
501名無しさん@初回限定:04/01/18 17:35 ID:InZ4Akeg
122 名前: 名も無き冒険者 [sage] 投稿日: 04/01/18 17:32 ID:Q5DBNfEW
このスレの住人を「名乗る」のが1人そっちいってなんか煽りしただけで
必死にこっち荒らしにくるエロゲヲタ
必 死 だ な
よっぽど自分の趣味にコンプレックスもってるとみえる(藁
502暗示:04/01/18 17:36 ID:xzsJaY94
 ドライが顔をしかめ、問う。
「……暗示か?」
「あら、よく存じましてね?」
「サイスの糞野郎が似たようなことやってたしな……
そいつは自分の命令に従う暗殺者を作っていたが、あんたはどうするつもりだ?」
「そうねぇ……」
 微笑。
「生娘でないのは残念だけど贄にしてもよいし……
あるいは蜘蛛を宿らせて駒にしてもよいかしら。
あるいは暗示のみで人の身のままで操るというのも一興かしらね?」

「……不愉快だぜ、ババァ」
「御黙りなさいな、生娘」
 苦々しい顔で暴言をはくドライに、初音はむしろ愉快気に返答した。
「それとも、その鉄筒で私を止めてみる? それもまた一興よ?」
「…………」
 ドライはギリッと歯をきしませたが、やがて肩をすくめた。
「あたしの知った事かよ。好きにしやがれ」

 そう、言葉を吐いて、闇の中へ消えた。

【涼宮遙@君が望む永遠(age): 招 状態良 所持品:拳銃(種類不明)】
【鳴海孝之@君が望む永遠(age): 狩 状態良 所持品:コルトパイソン】
【早瀬水月@君が望む永遠(age): 狩 状態暗示 所持品:なし】 
【ドライ@ファントム: 状態良 所持品:ハードボーラー×2、デザートイーグル】
【比良坂初音@アトラクナクア:状態良 所持品:なし】
503名無しさん@初回限定:04/01/18 18:45 ID:InZ4Akeg
エロゲーのキャラになりきってる奴時々見かけるがどこが面白いんだ?
正直キモイ、きもすぎます。自分のしたことを悔い改め
回線切って首くくって死んだ方が世のため人のためですよ(藁
あいつらみたいな基地外と馴れ合ってるこの板の住人も同罪だなww
つーか産廃以下?珍走レヴェル?みたいな(ギャハハ
オマエラみたいな下等生物と同じ2ちゃんねるを利用していると思うと恥ずかしい。
http://game3.2ch.net/test/read.cgi/mmo/1074310243/
↑みたいに俺たちのほうがずっとスレの雰囲気も洗練されてるしな。
504物証・1:04/01/18 20:44 ID:l12itbMp
「あー、どこに行ったら建物はあるさ!?」
「先程樹上から見た限りでは、間も無くと思うのだが……」
不慮の出会いから戦闘に突入し、その後和解した大空寺あゆと山本五十六は
一路、拠点になりうる場所を求めて村落に向かっていた。
五十六が一つの推論を言ったのは、その途上である。
「……魔法?」
「ああ、私のいた国では一般的に存在していた。火を放ったり、全く違う場所に
瞬間的に移動したり、異世界から精霊や天使、悪魔を召還したりな」
「イソロク、あんたの生まれってどこ?」
「生まれ?生まれはJAPANだ。ここに来るまではリーザス国のランス王にお仕えしていた」
「……こーゆー状況じゃなかったら黄色い救急車呼んでる所だわね……
で、その魔法がどうしたって言うさ?」
「これはあくまで私の推測に過ぎないんだが……私達も、魔法で召還されたのかもしれない。
 少なくとも、私と大空寺殿は明らかに別の世界の住人のようであるしな」
「……って事は、その魔法ってので戻る事も?」
「あるいは……」
「推測ばっかりだけど……現状じゃ一番アテになりそうな話だわね。
 それじゃまず、拠点を見つけて、アタシ達を追ってる畜生どもを一人
 捕獲して一切合財吐かせて、そんで魔法使わせてサヨナラさ」
「そう上手く行くだろうか……?」
「上手くいかなきゃ死ぬ、それだけさ」
505物証・2:04/01/18 20:52 ID:l12itbMp
「……………」
間髪入れぬ返事。
「……そうであったな、大空寺殿」
「……その『大空寺殿』って呼び方、やめてほしいさ」
呼ばれ慣れない面映さをどことなく感じつつ、あゆは歩みを進める。
と、前方を歩いていた五十六の足が急に止まった。
「どうしたさ、イソロク?」
「血臭を感じる」
「!?」
五十六の言葉で、初めてあゆもその異臭に気がついた。
ねっとりとした鉄臭さを感じさせる、その臭い。
「敵?」
「分かりません……私が行きます、大空寺殿はここで隠れて……」
「馬鹿言ってんじゃないさ」
あゆは即座に否定し、五十六の持つ弓を見る。
「その弓、いきなり襲われてすぐ射れるモンじゃないんでしょーが。
 ここはアタシが行くさ……援護、頼むわよ」
「……わ、分かった」
「じゃ、行ってくるさ」
そう言い、あゆは腰を落しそろそろと臭いの源へ向かった。

臭いがより強くなる方に向かい音を立てないように歩く。
枝を越え、木の葉に掠れさせず、気配を完全に殺す。
「(あの動き……大空寺殿は忍びの者だったのか?)」
後から続く五十六は、その隠身の上手さに内心驚いていた。
「(屋敷抜け出す時の技がこんな時に役立つとは思わなかったさ……)」
大企業グループ・大空寺財閥令嬢である彼女は、『令嬢』である事を強要する父に対して
事あるごとに反抗し、巨大な屋敷と庭園から頻繁に脱走を試みていた。
彼女の隠身術はその実践によって身に付いたものに他ならない。
506物証・3:04/01/18 20:53 ID:l12itbMp
やがて、かすかだった臭いがその密度を増し、まるで固体のように二人の鼻にまとわりつく。
ふと、あゆの足に何かの液体が当たった。

「!?」

それは、余りに凄惨な光景だった。
彼女の前方に、赤黒い肉の塊が存在している。
おそらく人型のものであったのであろうそれは確認するまでもなく死んでおり、
周囲に血肉と異臭、そして何故か鳥の羽根を撒き散らしていた。
「こりゃひどいわね……うぷ、気持ち悪くなってきたさ」
嘔吐感を何とか抑え、後ろの五十六に手で合図を送る。
「これは……!」
彼女にとっても流石に衝撃は大きいのか、思わず言葉を失う五十六。
「……どう思う?」
「……少し、調べてみます」
あゆの問いに、五十六は呼吸を整えると死骸を調べ始めた。
「人間をここまでするなんて……確かに追っている連中、マトモじゃないさ」
思わずそんな言葉が口に出る。
だが、五十六の答えがそれを否定する。
「いや、大空寺殿……これは人間ではない」
507物証・4:04/01/18 20:54 ID:l12itbMp
「あんですと?」
「破損が酷いので正確には言えないが……これはおそらく魔物だ。
 鳥と人間が同時に潰されたにしては、羽根の量が多すぎる」
「……そんじゃ、こいつは敵だったって事?」
「おそらくは。それと、この魔獣を殺した凶器だが……ハンマーのようだ。
 この部分などは……」
そう言ってまだ比較的原型を留めている部分を指し示す。直径数十センチの
円形の
打撃痕がそこには残っていた。
「ハンマーって……この大きさのハンマー、これだけ叩き続けたっての?
 ……どんな大男さ?」
打撃痕を一瞥すると、あゆは死骸に背を向けた。
「まあ、他には何も無いみたいだし急ぐわよ、イソロク。
 夜になる前にさっさと拠点になりそうな建物見つけるさ」
「……そうですね、大空寺殿」
まだ五十六は気にかかる事があるようであったが、歩き去るあゆを見て、追いかけて行く。
跡には、ハーピーの無残な死骸だけが残された。


―――ふと、近くの草むらが揺れた。

「……『追跡者』ではなかったようね」
紫色の無地のドレスに身を包んだ小柄な少女は、そう言うと先程の撲殺に使われた
スレッジ・ハンマーを軽々と抱えると二人の向かった方向に歩き出した。
508物証・5:04/01/18 20:55 ID:e9q/kyTf
彼女、モーラにとって理想の展開はあのハーピーの死骸を『追跡者』の手の者が発見する事であった。
そうすれば芋蔓式に彼らを引きずり出す事も出来たであろうからだ。
しかし、来たのは『逃亡者』とおぼしき二人の女性。
そこで、モーラは次善の策を取る事にした。
護衛を兼ねた、彼女らを追って現れるであろう『追跡者』の破壊。
接触のタイミングは計らねばならない、いくらこちらが友好を示したとしても、
こんなスレッジ・ハンマーを持っている以上(この非常時に、どこかに隠して
必要時だけ出そうとするなんて言うのは論外だ)普通の存在でない事はごまかし
切れないだろう。
とはいえ、先程の少女には悪い事をしてしまった。
彼女を守る事を優先する余り、逆に恐怖を感じさせてしまったようだ。
「気をつけないとね」
誰にとも無くそう呟き、モーラは二人を追った。


【モーラ@吸血殲鬼ヴェドゴニア(ニトロプラス)……持ち物 巨大ハンマー 招】
【大空寺あゆ/君が望む永遠(age) 状態:○ 種別:狩 装備:スチール製盆】
【山本五十六/鬼畜王ランス(アリスソフト)状態:○ 種別:狩 装備:弓矢(弓残量16本)】
509名無しさん@初回限定:04/01/19 03:45 ID:b6ACelHx
デモベの連中を登場させる事はもう無理?
一応、最強厨にならない設定のネタを考えたんだけど…

無理なら諦めてロムにてっしまふ。
510名無しさん@初回限定:04/01/19 12:57 ID:904FWSFB
 良いんじゃね? 出したモン勝ちだし、パワーゲームにならないよう気をつければ。
511名無しさん@初回限定:04/01/19 14:46 ID:uzNQS43u
ニトロプラスですぎ。
そろそろ別メーカーからも参加きぼんぬ。
512名無しさん@初回限定:04/01/19 17:02 ID:2pkbDwd6
ハイパースペースから誰か出せ。
513名無しさん@初回限定:04/01/19 17:03 ID:Cs98f4Wv
THEがーっつ。
514名無しさん@初回限定:04/01/19 17:21 ID:/6zYV1pT
>509
普通に考えたらアルク並にまずい作家の俺様の最強厨キャラだよな。
その辺が虚淵と鋼屋のライターとしての差なんだろう。
悩むなら書き手BBSでキャラの詳細や能力の書き出しやるみたいだから
デモペキャラの詳細と戦闘力書いて、その考えた設定と一緒に意見聞いてみたら?
515名無しさん@初回限定:04/01/19 18:01 ID:b6ACelHx
>>514
上の方にあったBBS覗いて見たけど、あまり書き込み数が多くナカタ(´・ω・`)
とはいえ、書く、書きたいなら挨拶くらいしておいた方がいいんすかね…
もし、そんなんどーでもいいからさっさと書けや( ゚Д゚)ゴルァ、
という事ならさっさと書くぞ( ゚Д゚)ゴルァ、って感じなんですけどね…
516名無しさん@初回限定:04/01/19 18:20 ID:kGoLn379
さっさと書けばいいと思うけど。
強キャラでまずいと思うなら、何かしらのハンデを負わすというか、
原作設定を弄らないような調整を入れることは出きるっしょ。
というか考えてるんだね、すでに。
なら、書いた奴を落としてみよう。
あまりにダメなら、叩かれてから修正したっていいしな。

挨拶は要らんと思うが、こういう作品投下以外の書き込みは
感想・議論スレですべきだとは思う。
こっちしか見ねぇよ!って書き手さんも居ないだろうしさ。
517名無しさん@初回限定:04/01/19 18:35 ID:5fFs/E80
>509
誰をどれ(鬼、召、狩)で出すかわからないけど
ケルヴァン、初音より強いキャラだったら強さのインフレが起きやすくなるから
まだ出さないほうがいいと思う。

話はずれるけど、書かない人が言うたわ言なので適当に聞いてください。
直接介入はしないけど召狩をサポートする存在は出せないのだろうか?
デモンベインなら旧神が魔を断つ者に武器(イタクァ)とか魔術(ニトクリスの鏡)を渡して、
召が目覚めた魔力で使うとか。
今、鬼が優勢そうなので召狩に力を付けてあげたいな。

て、書いてる途中で話が終わってた。
518葉鍵信者:04/01/19 18:38 ID:mwd5PnUg
書いて投下してみれば?
バランス的には、総帥、初音をトップ陣に置けれればOKだと思うがね。
それを遥かに上回るまずいと言われるようなキャラであるなら
知らない人のためにも強さがわかる設定と物語中に絶対に外れないハンデと調整をちゃんと入れてくれ。
その点でギーラッハは上手かったと思う。
書き手BBSに挨拶はいらんけど、議論・感想スレと同じく見た方がいい。
それに作品しか投下されないスレってのも硬いイメージあるから
ちょっとした会話くらいならいいんじゃないかな。
無論、感想・議論は、そのスレへ。
書き手間の補足・質問・打ち合わせなどは、BBSへ。
519葉鍵信者:04/01/19 18:41 ID:mwd5PnUg
>517
そうか、その手もあるな。
永遠のアセリアの例もあるし、召還されたのが全て生き物とは限らんよな。
アイテム召還でもいいよな。
520504:04/01/19 19:05 ID:b6ACelHx
 ドサリという大きな音が静かな森の中に響く。それまで何も存在していなかった場所に、一人の青年の姿が現れた。
「痛ぅ……。何処だここは? また『ブラックロッジ』の奴等が何かやったのか?」
 地面に落ちてしたたかに打ち付けた腰を擦りながら、そんな事を呟く青年の名は大十字九郎。アーカムシティと呼ばれる都市の片隅に居を構える三流探偵である。
「『ページ』の世界とも違うようだし……。そういえばアルはどうした? アル!」
 辺りを見回しながら、大声でアルの名前を呼ぶ九郎。少女の姿を持つ真なる魔道書、アル・アジフ。大十字九郎のパートナーで、彼の身に人ならざる力を与えた存在でもあった。
 九郎はひとしきりアルの名を呼んでいたが、近くにはいないらしいという事が判ると、一度大きくため息をついた。そして現在の状況を確認しようと、立ち上がってあたりの様子を覗う。
「アルの力は感じる……、一応無事らしいな。だけどこのままじゃジリ貧だ、さてどうするか……」
 そう九郎が呟いた時、突然少し離れた所に生えていた草むらがガサリ、と大きな音を立てた。
「誰だ!」
 九郎は叫んでから、腰のホルスターにつけてある銃に手を掛ける。回転式拳銃『イタクァ』と自動拳銃『クトゥグア』。アルがいれば強大な力となるその二挺の拳銃も、現在ではただの銃でしかない。
「敵だったらやばいな……」
 九郎はクトゥグアを手に取り、油断無く辺りを見回した。
『フー!』
 突然妙な叫び声が聞こえてきた。草むらから現れたのは、昆虫のような甲殻で姿を覆っている漆黒の姿。
「な、なんだこいつは!」
 九郎はその姿をみて思わずうろたえる。その隙を目の前の化け物は見逃さなかった。
『フー!』
 化け物は甲羅で覆われている拳で殴りかかってくる。
「グハッ!」
 その拳は九郎の肩に当たり、そのまま彼の身体は一メートルほど吹き飛び、そして木に当たった。
521504:04/01/19 19:07 ID:b6ACelHx
 追い討ちをかけようと近づこうとする化け物を、九郎は痛みに耐えながら、離さなかったクトゥグアの弾を放つ。弾は化け物の胸に当たるが、その厚い甲羅に阻まれ致命傷にはなっていない。
「こいつ、Dr・ウエストの作った新型かっ!」
 九郎は痛みを堪えながら立ち上がると、そのような事を呟いた。
 実は目の前の化け物は、地球を狙う侵略者『ダイラスト』の尖兵、フーマンという量産型の戦闘員なのだが、九郎にそれが判るはずも無かった。
『フー、フー』
 フーマンは油断無く身構えている。その表情からは、何を考えているか窺い知る事は出来ない。
「俺は……、俺達の生活を壊そうとするお前等を許せないんだよっ!」
 九郎はもう片方のホルスターから、イクタァも取り出して構えた。
 右手にはクトゥグア、左手にはイクタァ。
 九郎はそれらを同時に放つ。
『フー!』
 しかしフーマンは身を翻し、その弾を避けた。九郎の顔が驚きに染まる。
『フー、フー!』
 その顔が面白かったのか、フーマンは笑っているような声を上げる。
「……なんてな!」
『フッ!?』
 突如、フーマンに背後から大きな衝撃が襲い掛かった。
522504:04/01/19 19:09 ID:b6ACelHx
 ブチャリ、と何かが潰れたような音が聞こえてくる。
 それと同時にフーマンの首を貫いて背後から何かが飛び出してきた。
 それは拳銃の弾、イクタァから打ち出した弾丸である。
 クトゥグアとは、連射能力に特化している拳銃だが、イクタァに連射能力は無い。
 しかしその代わりに、イクタァには目標への自動追尾能力と、術者の思考を弾丸の軌道に影響を与える力というものがある。
 アルの力を借り受けマギウスと呼ばれる形態となれば、全ての弾丸を操る事もできるのだが、
 今の九郎には、たった一つの弾丸を操るのが精一杯だった。
 今の攻撃は彼の賭けだった、そして彼はその賭けに勝った。
 フーマンの大きな身体はそのまま地面に倒れ、二、三度痙攣を起こし、そして動かなくなった。
「こんな奴がいるなんてな。……アル!」
 九郎は最後にアルの名を呟くと、己のパートナーである少女を探すため、暗き森の奥へと駆け出した。

【大十字九郎 斬魔大聖デモンベイン(ニトロプラス) 持ち物 アル・アジフ(現在失っている)、回転式拳銃(リボルバー)『イクタァ』、自動式拳銃(フルオート)『クトゥグア』 状態 ○ 招】
【フーマン 超昂天使エスカレイヤー(に準ずる)(アリスソフト) 持ち物 なし 狩 状態 死亡】
523葉鍵信者:04/01/19 19:15 ID:mwd5PnUg
そんなやばいキャラじゃないのね。
しかし、フーマンで枠を使うのはどうかと思うが……。
魔獣扱いにしといた方がいいと思う。
524504:04/01/19 19:26 ID:b6ACelHx
あ、すんまそん。
上の方のまとめページを見て、一番下にミノたんとか、キマイラとかあったから、『魔獣』ミノタウルス、っていうキャラ名かとオモテ、フーマンをキャラっぽく紹介してしまいますた。
魔獣枠なんていうのがあれば、そっちの方でカウントしてください。
525名無しさん@初回限定:04/01/19 19:37 ID:vj6SAVnr
こっちで議論するなよぉ。
長文で埋めちゃうと、後でログ漁る時に見辛いよ。
葉鍵信者さん、ついこの間も言われなかった?
526葉鍵信者:04/01/19 20:26 ID:mwd5PnUg
役目と言うもの・調整


 中央要塞ケルヴァンの部屋。
 「ふぅ……」
 部下からの報告を書類へまとめるとケルヴァンは、ため息をついて椅子に深く腰掛けた。
 書かれた内容は、問題点についてである。
 

 1:把握しきれてない召還あり
 ・イデヨンの暴走を制御しきれなかったのか原因は定かではないが招かれざる者の召還があり。
  このタイプは二つに分かれる。
  1、招かれし者の側にいたものが巻き込まれたケース。
   この場合、招かれし者と一緒のパターンが多く、また殆どがこのケースである。
  2、完全に此方の意図とは外れた招かれざる者。
   数は少ないが、魔力保有者なのか否であるのか完全に関係なく
   イデヨンの召還に巻き込まれた者。

 2:魔力保有者を食らう存在あり
 ・使い魔からの報告で、魔力を食らわれた死体の存在が明らかになった。
  おそらく項目1で述べた2のタイプであると思われる。

 3:計画の障害になる可能性の大きいもの
 ・此方側に牙を向く存在。
  1、魔力保有者が牙を向いたケース有り、また今後出る可能性もあり
  2、保有者ではないが無視できない戦闘力を有する人物有り。
527葉鍵信者:04/01/19 20:27 ID:mwd5PnUg
 (1に関しては、情報がない限りはどうしようもない。 使い魔からの報告待ちだな。
  早急な対策を必要とするのは、項目2だろうな。
 偵察用使い魔をフル稼働させて、ギーラッハ、和樹、新撰組、初音のいずれかに打たせねばなるまい。
  だが、初音は、そうそう言う事を聞くとは思えん……。
  後は、相手の戦闘タイプによっての使い分けだな。
  使い魔からの報告によると切り口から魔力を吸われた痕が発見できたそうだ。
 刃物の使い手、近接系に間違いない……。 とするとギーラッハか新撰組のどちらかだが……。
  新撰組をあてよう。 位置的に彼女達が近いのもある。 また魔力保有者ではない、そしてゾンビという利点もある。
 吸われるという危険性がないからな。 それにこれで敗北から立ち直ってくれると良いのだが……)

 一呼吸置くと、彼はカップに注がれた紅茶を一口飲んだ。

 (さて、次は3だが……。
  調略不可能な3-1は、初音の贄に回して置くのが良いだろう。
 そうしておけば、私が本当に欲しいものの時に多少は融通が聞く可能性がある。
  次に新撰組を打ち破ったと言う鴉丸羅喉か……。
  ヴィルヘルムを除けば、初音か夜のギーラッハでないと返り討ちの可能性のほうが高いな。
 しかし、彼らのプロフィールを見る限り、二人揃ってなら交渉で此方に引き込める可能性は多いにある。
  魔力保有者ではないとはいえ殺害しては、欲しいものまで手に入らなくなる。
  このくらいならヴィルヘルムも納得してくれるだろう。
  機会を伺って、再び私自ら出向いてみるのもいいかもしれん……)
528葉鍵信者:04/01/19 20:30 ID:mwd5PnUg
 (書類についての対策は、大体こんなものだろう……。
 対策とまとめて総帥へ状況報告として送っておくことにしよう)

 しかし、まだ彼の思考は、止まらない。
 今度は、彼自身の野望に関してと悩みである。

 (和樹に関しては、見張りをつける必要性があるな……。
 おそらく、元は、感情を搭載した機械の可能性が非常に高い。
  候補者については、美希という逸材を手に入れれたので計画は順調だな。
  念のためにもう2〜3人は、最低でも欲しい所だが……)
 
 考えを終了させるとやれやれと額に手をあてがいながらケルヴァンは、深いため息をつくのだった。

【特に何も変更なし】
529B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/19 20:45 ID:+cIn1aQP
[ツッコミのない生活]

 ザクッ
 ザクッ

 ……傍らに横たわっている男。
 この男の先程の力は何だったのだろうか?
 ……残像を残した瞬間移動。
 ……その手から迸った閃光。
 人間……か?
 少なくてもただの人間ではない。
 俺がこれまで戦ってきた相手にも、いろいろな者達がいた。
 しかし、それらも所詮は人間にすぎない。
 ……この男はどうだ?
 先程の戦い方は、果たして人間のものと呼べるのだろうか?

 ……俺は、とんでもない所に来てしまったようだな……。
530B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/19 20:46 ID:+cIn1aQP

 ザクッ
 ザクッ

「……ふぅ」
 ようやく、女の死体を埋める穴を掘り終えた俺は、血でべとべとに濡れた、牛の怪物の斧を投げ捨てる。
 いくら他人とはいえ、そのまま捨て置くのも……そう思っての弔いだった。
「……ぐぁ……」
 側に突っ伏していた男が声を漏らす。……どうやら気がついた模様だ。
「……動くな。……いや、動けないだろう?」
 実際男は動ける状態ではなかった。
 今の不可思議な能力の反動だろうか?
 さっき倒れた時、様子を見てみたが、体中の複数箇所に打撲傷が見受けられた。
 更に言えば、あのミノタウロスと対峙した時のような気は全く消えていた。
 ……同じ人間だったとは到底思えない。
 俺の言葉を聞きながらも、男は無理に起き上がろうとする。
「……あんたこそ……ふらふらしてるぞ? 朝飯は……ちゃんと食ったのか?」
 ……男が言うように、俺の怪我も軽いものではない。
 肋骨の損傷に、『神速』の発動による極度の肉体負荷。
 自分がふらふらしていることさえも気付いていなかったくらいだ。
「それに……つばさは俺が……見送らなくちゃ……な」
 男がそう言うと、ゆっくり立ち上がった。
531B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/19 20:47 ID:+cIn1aQP
 その後俺達は、つばさという少女を即席の墓に埋葬した。
 俺も男もふらふらだったため、作業が終わるのに多少時間が掛かってしまった。
「……ありがとうな」
 男が言う。
「……人として当然のことをしたまでだ」
 俺はそう返した。
 正直、俺の中には罪悪感が残っている。
 つばさという少女が命を落とすことになったのは、俺の油断が招いた結果だった。
 ……そう思う。
 男は膝をつくと、少女の墓前で手を合わせる。
 ……静寂が辺りを包んだ。
 俺は上から男の表情を窺おうとする。
 ……男の頬はもう、乾いていた。
532B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/19 20:52 ID:+cIn1aQP
「そういえば……」
 急に男が寝転ぶ。
「失礼ですが、どちら様でしょうか?」
 ……そういえば、自己紹介もしていなかった。
 俺はゆっくりと腰を下ろす。
「ああ……。俺は……高町恭也だ」
「……そうか。我が名は桜井舞人。鉄でできたロボットの体を求めて、機関車で宇宙をさすらう旅人だ」
「ああ……。よろしく」
 そしてまた沈黙。
 男――桜井は何か不機嫌そうな顔をしたが、俺は気にしなかった。
「……一つ、聞いていいか?」
 桜井が口を開く。
 俺はうなずき、後を促す。
「……高町は……ここの人間か?」
 ……恐らく桜井は、こう聞きたいのだろう。
 ――帰る方法はないのか、と。
「悪いが俺はこの島に住んでいるわけではない。たぶん、俺もお前も同じく、望まずしてこの島に呼ばれた者だ。
 ……帰る方法も当然わからないな」
「そう、か――」
 桜井は寝転んだまま曇り空を見ていた。
533B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/19 20:53 ID:+cIn1aQP
 きついことを言っただろうか?
 親友だったであろう少女に、自分は必ず帰ると約束した直後だ。
 俺みたいな人間に会ったところで、帰る方法が分からなければ状況は変わらない。
 ――ふと、俺は先程桜井が見せた、不可思議な能力について尋ねてみようと思った。
「……桜井。さっきのミノタウロス……というか、牛の化け物を倒した時に使った力は何だ?
 いわゆる『気』とも違ったようだが……」
「あれはだな。いわゆる『気』とも違って、なぜか知らんが俺が初めて使った得意技だ。いわゆる十八番(おはこ)だな。
 桜井家に昔から代々伝わる必殺技で、俺が一代目だ。これから俺はあの技を桜井家の伝統にしようと思う」
「……そうか」
 ……何か言ってることが矛盾だらけで、桜井と話すのは疲れる。
 言語障害でもあるのだろうか?
 体の方は極度の疲労と打撲以外に特に外傷もなく、生死に関わるほどでもなさそうだが……。
 なぜかまた、桜井は何か不機嫌そうな顔をしたが、俺は気にしなかった。
 ……結局先程のことについても、何もわからなかったが、もう一度聞くのもためらわれた。

「さて、と……」
 俺は苦痛に顔をゆがめながら、ゆっくりと立ち上がった。
 立ち上がる俺を桜井の目が追う。
「……どうするんだ?」
 桜井が俺に尋ねてきた。
「……どうもこうもない。お前はつばさとかいうあの女に、自分は絶対に帰ると約束したんじゃないのか?
 ……ならばやることは一つじゃないのか?」
 埃を払うと、俺は桜井のほうをちらりと見る。
 桜井は必死に起き上がろうとしていた。
534B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/19 20:53 ID:+cIn1aQP
「……当然、俺は帰る方法を探す。……高町。手伝ってくれて……ありがとな」
 恐らく桜井の言う『手伝い』とは、つばさという女の弔いのことだろう。
 ふいに美由希のことを思い出す。俺はあいつも探さなくてはならないのだった。
 ……あいつなら大丈夫だろう……。そう信じることにした。
 俺は軽くため息をつく。
「……つばさが死んだ原因は俺にもある。それに結果的にではあるが、お前は危ないところを助けてくれた。
 曲りなりにも剣士である俺が、二重の重荷を背負ったまま別れることはできない。……一緒に行かせてくれ」
 桜井は立ち上がろうとする姿勢のまま、俺の顔と、腰に帯びた二本の刀を交互に見た。
「よかろう……。手を抜くでないぞ」
 無駄に重々しい声を漏らし、桜井はやっとのことで立ち上がる。
 そしてゆっくり俺に近づくと、手を差し出してきた。
 俺はその手をしっかりと握ろうとした。
 ……お互いに弱々しい握手をする。
 ……やはり、桜井はこの様子ではもう先程のような力は使えないだろう。
 と、なると、もしもの時は俺がやるしかないわけだ……。
 やがて手を離すと、俺は振り向き、ゆっくりと歩き出した。
「……歩けるか?」
 そう言って俺は背後に目をやる。
 桜井は、ただ土が盛られているだけの粗末な墓を横目にしていた。
「あぁ……」
 こちらに向き直る。
「走ってだってやるさ!」
 ……そう言うと桜井は、大きな斧を杖にして、ゆっくりと歩き出した。

【高町恭也 状態△】
【桜井舞人 状態×(ほとんど回復せず) 装備:鉄の斧入手】
【二人は行動を共に 目的:帰る方法を探す】
535囚れの魔法少女:04/01/19 22:17 ID:p6BYBFZh
「あの…大丈夫ですか」
ナナスは額にあたる冷たい感触に気がつき、意識を取り戻す。
目を開けるとショートへアのシェンナを大人しくしたような感じの少女が心配そうに彼の顔を覗きこんでいた。
少女は小野郁美と名乗った、聞けば彼女も自分と同じく光に包まれ、気がつくとこの地にいたのだという。
「一体ここは…」
と、そこで背後に気配、ナナスが身体を起こし振り向くと、そこには小柄な黒髪の少女がいた。
「それについての疑問は私が答えるわ」

アイと名乗る少女はたどたどしくも懸命に2人に説明をしていく。
「えーと、つまり我々は、魔力を持った人間を集めていて、我々に協力すれば〜」
「お断わりします」
まだアイが全部せりふを言い終えていないうちにナナスは即答していた。
自分には帰るべき場所、探さねばならない仲間がいるのだ。
「もう一人の意見を聞いてからじゃないと…でも私もいや」
郁美も同意見のようだった。

それを聞いてアイの赤い瞳が不気味に輝く。
「勧誘を断った場合の招待者の扱いだけど、秘密を知った以上あなたたちは客人からただの敵に代わるの…だから」
そこまで言うとアイは手にしたロッドを2人に向けて構える。
「死んで」
「危ない!伏せて!!」
ナナスの叫びと同時に郁美は身体を伏せる、と自分のすぐ頭上を衝撃波が通過していく、
直撃すれば間違い無くミンチになっていただろう。

(ええと逃げる場所、逃げる場所…)
郁美は自分の頭をフル回転して最善の手段を考える、と、彼女の目に断崖が見える。
高さは十数メートルほど、下に広がる海面の色はかなり濃い。
536囚れの魔法少女:04/01/19 22:18 ID:p6BYBFZh
「あの?ナナスさん、泳ぎは得意ですか?」
「え…うーん、人並みかな」
決まった、それ以外に手段は無い、このまま砂浜を全力疾走しても遮蔽物がない以上
いずれミンチにされてしまう、それなら少しでも可能性のある方を選択すべきだ。
幸い、水泳は得意だ。
郁美は、付いてきてとだけ言うとそのまま目的地に向けて走り出す。
「なるべく不規則なジグザクで走るんです、狙いを定まらせないように!」
郁美の後ろからナナスが声を掛ける、だがあまり体力は無いらしく早くも息を切らせていた。

「くそっ!すばしっこい」
一方のアイはそんな2人になかなか魔法を直撃させることが出来ず、苛立ちを隠せない。
それにアイ自身も走りながらの魔法詠唱なのでさらに精度が悪くなる。
その内、彼女は戸惑いを覚えはじめていた。
今まで彼女が戦ってきた”ゆらぎ”は欲望のまま逃げることなどなくどれだけ傷ついてもなお
女肉を貫こうと死の瞬間まで淫らな触手を伸ばし、のたくっていた。
だが…目の前の2人は違う、欲望の権化などではないれっきとした知性を持った人間だ。
その差がアイを惑わせていた。

しかし、逃げる2人の行く手には絶壁が広がっている。
逃げるのに夢中でそこまで気がつかなかったのか?
アイは唇をほんの少しだけ歪める…これでチェックメイトだ。

アイが2人を再び捕捉したとき、案の上2人は崖の上で立ち往生していた。
アイはロッドを構えなおし、射程圏内へと足を進める。
537囚れの魔法少女:04/01/19 22:20 ID:bm2Q//lS
そしてそれを寄り添うようにして見ているだけの郁美とナナス、ここまでなのか?
と、そこで郁美がナナスへそっと耳打ちする。
「あの…ナナスさん、よく聞いてください、今から私が1.2.3と声を掛けるから…そしたら」
「一緒に下の海に飛びこむんですよね」
「分かってたんですね…」
「ここまで辿りつけるかは5分5分でしたけど、助かるには多分これしかなかったと思います」
アイがロッドを2人へと向ける。
「いち」
大気が魔力を受けて震え出す。
「にの」
そしてロッドから閃光が走る。
「さん」
2人は背中向けで断崖から海面へと身体を躍らせる。
そのすぐ上を霞めるように閃光が空を貫いていった。

ドボン!!…ぶくぶく。

ナナスは郁美に抱きかかえられるようにされて、海面へと浮上する。
潮流はそれほど激しくなく、これなら1人でもなんとか泳げそうだ。
そんな彼の顔を大丈夫かと言わんばかりに郁美が覗きこむ、濡れた前髪が額にくっついていて、
かなり色っぽい。
照れるように郁美から視線を逸らすと、ナナスは脈略のない話を切り出す。
「あの戦い方からみるに、多分モンスター専門の魔法使いでしょう…人間相手の戦い方じゃありませんでした」
 人間相手の魔法戦闘の場合、まずは退路を塞ぐのが〜」、
538囚れの魔法少女:04/01/19 22:24 ID:bm2Q//lS
一方、崖の上で歯噛みするのはアイだ。
仕留めたと思ったのに…気がついたときにはもう遅かった。 

アイは数十分前のことを思い出していた…あの赤毛の男め。
赤毛の男は当然ながら協力を拒絶したアイに、とある映像を見せ、そしてこう言った。
「君がいやならそれで構わない、だがそのかわり彼に協力してもらうとしよう」と、
「お前ら殺すッ!秋俊に指1本でも触れたらお前ら全員殺してやるッ!!」
言葉の意味を察し、泣き叫ぶアイへと赤毛の男は言い放った。
「そうかそれほどまでにこの男が愛しいか…ならば我が手足となりて働け、それ以外に選択肢はないぞ」
もはや彼女に他の選択をする余地はなかった、最初から…。

(余談だが、深山奏子は鳥籠の中でこう思っていた)
『あの人、さっきの赤い鎧の男の人の時は怯えていたのに…』

「秋俊…必ず帰るから待っていて」
暗い瞳のまま呟きながら、アイはロッドを弄んでいた。


【ナナス @ママトト(アリスソフト) 持ち物なし 状態 ○ 招】
【小野郁美 @Re-leaf(シーズウェア) 持ち物なし 状態 ○ 招】
【アイ @魔法少女アイ(color) 持ち物なし 状態 ○ 鬼】

539ヤミよりの使者:04/01/20 03:46 ID:3h5yccwu
「さてさて困ったわ」
ここではない何処か、今ではない何時か。
その場所は巨大な図書館だった。霞むほど
果てまで続く書架、数え切れない本の列。
 リリスは金の髪を揺らしながら、本の海の
只中で思案していた。白のブラウスに黒のマント、
幼くも妖艶にも見えるその表情は目の前の問題で
眉を寄せている。
彼女は(とてもそうは見えないが)この無限の
図書館の管理人だった。
「どうした、そなたが真剣に悩むなど珍しい」
 カラン。
 静かな空間に軽やかな下駄の音が響く。
「あら、お久しぶり〜。って言うか再会の挨拶で
いきなり失礼じゃないの?」
 振り向いた先には赤い着物の童女。およそ、
この空間にはそぐわない出で立ちだ。
「気にするな。それより前に会うたのは、どのリリスだったかな」
「さあ?私達の間じゃ時間も世界も個も意味なんて無いでしょ。
それより蔵女ちゃんココに来たって事は暇でしょ?暇よね?
暇なんだ、うん決定〜!!」
「……おい……」
 蔵女の眼がじとりとリリスをにらむ。もっとも、狂犬ですら怯える
その視線もあっさりと無視されるのだが……。
「実はね、ちょっと困っちゃってるのよ、聞いてくれる?」
「聴きたくなくても、そなたは喋るだろう?」
 ふわりと蔵女が手近な書架に腰かけた。
「さあ、話すが良い。戯れならなるべく面白い話を望むぞ」
540ヤミよりの使者:04/01/20 03:48 ID:3h5yccwu
 暗き森で一際高い樫の樹の梢。一人の少女が見渡せる島内を鋭い
視線で見据えていた。服装はセーラー服、左手には身の丈に届こう
かと言う日本刀。およそそぐわない組み合わせだった。
 耳をそばだて、流れる風を読み、微かに漂う流された血の匂いに
顔を曇らせる。
「どうだ、葉月とやら。われらが考慮すべき者は見つかったか?」
 葉月と呼ばれた少女の傍ら。足場も無い宙に蔵女が浮かび上がる。
「わからない」
 蔵女の問いに一瞥すると、葉月は一足で枝を蹴り幹を数回飛んで
地上へと降りた。
 葉月と蔵女。異色過ぎるペアをこの地へ送り込んだのは言うまでも無く
無限の図書館の管理人リリスだった。
 彼女が言うには、この世界に呼び込まれた力はいずれ崩壊を招く
恐れがあるというのだ。この世界が壊れるだけなら問題は無い、しかし
数多の世界から呼ばれた者達が、その破局を彼らの世界に拡散させる
可能性があるとしたら?
 リリスが恐れたのはそれだった。まあ、ひどく現実的に言うなら
彼女が管理するそれぞれの世界……図書館の本が崩壊したら
もう一度整頓したりするのが嫌と言う私的な理由なのである。ひどい話だ。
541ヤミよりの使者:04/01/20 03:49 ID:3h5yccwu
 葉月と蔵女が行うべき事は「引き立て役」と言っても良い。
 突出した能力者を牽制し、なおかつこの饗宴の主催を暴走させぬ様
適度にゲームを活性化させる。その為には他の参加者と共謀し、裏切り、
見捨てる事も有りだろう。
「ふふ、世界を終わらせる者に世界を守れと言うか。おもしろい、その
戯れ乗ったぞ」
 蔵女はリリスの誘いに乗った。もっとも、流石に不安に感じたのだろうか
リリスはもう一人、本の世界の旅人である葉月を同行させてきた。
 しかし、どうもこの2人あまり歯車がかみ合ってはいない。
「不安だな〜」
 リリスの懸念は晴れるのか?それとも……。

【葉月 @ヤミと帽子と本の旅人(ORBIT) 持ち物:日本刀 状態 ○ 招】
【蔵女 @腐り姫(Liarsoft) 持ち物なし 状態 ○ 招】

なお、彼女たち2人を召喚枠に含めるか否かは後の人にお任せします。
542葉鍵信者:04/01/20 04:01 ID:6PS4xG9v
面白いキャラが来たー。
仕掛け人としてどう動くか楽しみ。
543しかるべき処罰:04/01/20 04:40 ID:6PS4xG9v
「むぅ…………」
 瞑想中にあった総帥は、世界に異質な波動が流れてきたのを感知した。
 (なんだ……)
 意識を集中し、何が今この世界に起こったのを解読しようとする。
 (なるほどな……。 わざわざ異世界からちょっかいを出しにきた……。
 いや、もっと上の区分から……。 余計なおせっかいをかけにきたというわけか……)

 更に意識を世界から外へと広げ探索する。

 「ふん、どうやら管理者らしいな……。 それも管理外のか。
  しかし、駒を送り込んでくるとは……。
 気に入らんな……。 さて、どうするべきか……」
 そうすると総帥は、考えにつき始めた。
 (まず管理外なのは、わかった……。
  直接手を出して来ないという事は、この世界に対する、
 いや、もっと言えばここにいる全てのもののどれに通じるものではないな。
  ならば、できることは、精々駒を送り込んでくるくらいか)
 「…………ならば、此方としても、これ以上干渉されるのは望む所ではない!!」
544しかるべき処罰:04/01/20 04:40 ID:6PS4xG9v
 彼は、ただ瞑想していただけではない。
 イデヨンの暴走で流れ込んだ魔力を吸収、蓄えていたのだ。
 おそらくその力は、魔王化した時にすらひけを取らないだろう。

 「むぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 魔力をふんだんに使い、世界に対するロックを幾重にもかけ始める。

 「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 一瞬、ほんの少しだが、島が世界が揺れた。
 ロックをかけ終えたのだ。

 「これで、これ以上は、此方へ干渉することはできんだろう……。
  来てしまった駒に関しては致し方ないが……。
 果たして、どのような者達なのか、どんな目的なのか、これは余自らが一度出向く必要があるな……」

 一方無限の図書館内では……。
 
 「あちゃ〜、思ったよりもボスは頭がいいみたいねぇ……。
 これじゃぁ、これ以上の干渉、増援送る事も無理だし、連絡も無理ねぇ……。 覗く事くらいしかできそうにないわ。
  異次元の世界で力が半減してる二人大丈夫かしら」
545しかるべき処罰:04/01/20 04:41 ID:6PS4xG9v
 そして、蔵女と葉月の方はというと……。

 「やられたな」
 「流石にこの世界を作り上げただけあって、頭も力もいいみたいね」
 感心する葉月。
 「そんな事より、我らの方が窮地に立たされたのかもしれんぞ……。
  何しろ連絡が取れなくなってる、挙句の果てには繋がりをほぼ断たれたせいで
 ただでさえ、減少した力がもっと半減したわ……」
 「でも、それでもこの世界では、トップクラスよ」
 「たわけ、我らも殺される可能性が出たという事だ。
 しかも死んだら助けてもらえん。 この仕事何としてでも成功させんといかんぞ」


【葉月 @ヤミと帽子と本の旅人(ORBIT) 持ち物:日本刀 状態 ○(力半減) 招】
【蔵女 @腐り姫(Liarsoft) 持ち物なし 状態 ○(力半減) 招】
【ヴィルヘルム・ミカムラ@メタモルファンタジー(エスクード) 持ち物なし 状態 ○ 鬼】
546504改め「這いずる者達」:04/01/20 05:03 ID:JO+1HdsI
 大十字九郎がフーマンを撃破したその頃。彼の持ち物にしてパートナー、真なる魔道書アル・アジフは暗き森の中を一人歩いていた。
「九郎め……。妾を置いてどこへ行ったというのだ……。妾がいなければ何も出来ない役立たずだというのに」
 アルの表情に不安など欠片も無く、代わりに全身から怒りの感情を漂わせていた。幼き外見とは裏腹に、彼女は幾多の人外達と激戦を既に何千年も繰り返している。突如として別の世界に飛ばされるという事など、彼女にとって最早恐怖の対象ですらなかった。
「もしや妾がいない事を良い事に、小娘共といちゃついているのではないだろうな。あのロリコンめ……、ん? この気配は……!」
 九郎への愚痴を呟きながら森を歩いていたアルは、ふと『何か』を感じ、その足を止める。
「この魔力、どこかで……。誰だ、そこにいるのは!」
 アルは気配の感じる木陰の方を向き、鋭い眼光を向ける。
「ふふ。気配は消しておいたというのに……。よく判りましたわね? 力を感じたので来てみれば、ふふ、思わぬ拾い物かもしれませんわね」
 木陰から現れたのは、長い黒髪と黒いセーラー服が印象的な一人の少女だった。
 アルは突如現れたその人物を睨みつける。
「拾い物? 不躾な奴だな。名を名乗れ!」
 彼女は音も無く静かにアルの前へと歩み寄る。対峙する黒髪の少女と、真なる魔道書、沈黙があたりを漂う。
「私は初音。比良坂初音。よろしく、可愛らしいお嬢さん」
 初音が近くにきた事で、アルには先ほど感じた『何か』の正体に気がついた。
「貴様、アトラック・ナチャ、か? おかしい、あ奴の『ページ』はすでに回収したというのに……。何故貴様はここにいる!」
 初音は何を言っているか判らないというような表情を浮かべる。
「……あとらく? 申し訳ないのですが、私、最近の言葉と言うのに疎くて……。私は、三百年前からずっと私のままですわよ?」
「……違うのか? しかし似ている……」
 初音はその呟きを意に介さず、微笑みを浮かべながらアルの顔へと手を伸ばす。
「まあ、そのような事よりも。貴方、私と一緒に来てくださらないかしら?」
「何を!」
547這いずる者達:04/01/20 05:04 ID:JO+1HdsI
 アルは慌ててその場から離れる。
 アルは今、目の前で微笑みを浮かべている少女から、嫌な気配を感じた。
(今の感覚……。この娘、もしや『アンチクロス』か? いや、奴等とは違う……)
「あら。私の提案を拒否する、という事なのかしら? 残念ね。私たち、お友達になれると思いましたのに、本当、残念ですわね……」
 アルは初音を睨みつける。
「貴様、妾を愚弄する気か? 妾は真なる預言書ネクロノミコン、『アル・アジフ』ぞ!」
 初音は、しかしアルの怒りなど気にした様子もないように、微笑みを浮かべ続けている。
「……ねくろ? 本当に最近は難しい言葉が増えてきましたわね。まあ、いいわ。貴方がせっかくのお誘いを断ると言うのなら……」
 突如として、あたりの空気が変わる。
「貴方、私の贄におなりなさいな」
 依然として初音の様子が変わったようには見えない。しかし、アルには彼女が自分にとって害のある存在なのだという事を認識した。
「誰がそのような事を!」
 アルが伸ばした腕の先から、魔力を凝縮した光弾が初音に向かって襲い掛かる。
 着弾、そして爆発。
 もうもうと立ち上る爆発を見て、アルはニヤリと笑う。
「やったか……!」
「いえ、残念ですわね」
 背後から声が聞こえてくると同時に、アルの右肩に初音の爪が突き刺さる。
「くぅ!」
 アルは肩を抑えながらその場から遠ざかった。しかし、初音は間髪いれずに爪を振るう。
 その初音の爪はアルがとっさに展開した魔力障壁に防がた。
「貴方も魔力を扱えるようですわね。それに貴方の匂い。貴方、生娘ですわね? まだ男と情を交わしていないその身体にこれだけの魔力。ふふふ、ますます欲しくなりましたわ。貴方ならさぞいい贄になってくださるのでしょうね」
「だ、誰がそんなものにぃ!!」
 アルはそう叫ぶと同時に展開していた障壁を爆発させた。しかし、初音は素早くその場から離れダメージは無いようだ。
「……逃げたようね。まあいいわ、狩りはこうでなくては面白くありませんものね……ふふ」
 初音の身体がゆっくりと闇に同化して、やがてその場から消え去った。
548這いずる者達:04/01/20 05:05 ID:JO+1HdsI
「痛ぅ! くっ、あのような化け物など、九郎がいればどうという事は無いというのに……。九郎、お主はどこにいるのだ……」
 初音の爪を食らったアルの右肩がズキズキと痛む。
 障壁を爆発させた時の衝撃の所為で、体の全体にも細かな傷ができていた。
 アルは本の精霊ゆえ、普通の人間よりも死に至る致命傷というものを負いにくい。
 しかし、それでも今の戦闘で受けた傷は重かった。
 アルは痛む身体を引きずるように歩きながら、やがて暗闇の中へと消えていった。

【大十字九郎の持ち物 「アル・アジフ」 斬魔大聖デモンベイン 状 △(右肩損傷) 招 持ち物 ネクロノミコン(自分自身)】
【比良坂初音 アトラクナクア 状 ○ 所持品 無し】
549綻び:04/01/20 05:28 ID:lGqDDtX1
「ふぅ、ようやく着いたか」
 武器庫と、その周辺の警備兵が照らす明かりを遠めから見て、歳江はホッと息をついた。
 宵闇のなかを行くと言うのは、やはりそれなりに緊張する。まして今、彼女は一人なのだ。

 と、その肩に手がかかる。
「よっ、どうした、お仲間は?」
「!?……ドライ殿か」
 驚きの表情がでてしまったらしい、ドライが肩をすくめた。
「ああ、びびらせちまったか。悪ぃな」
「私は怯えてなど……!」 声を荒げようとして、歳江はフッと笑った。
「いるかもな……」
「ん? どうした?」
「驚くべき強敵と渡り合った。力が及ばなかった。それだけだ」
 自嘲の笑みをもらし、歳江はそういった。

「ふん……で、お仲間は?」
「任務に当たっている。私一人の刀がその戦いの時に欠けてしまってな。
その補充をするところだ。ドライ殿は何故ここに?」
 ともに武器庫へと歩を進めながら、歳江が問う。

「ん? 初音のクソババァにケチ付けられちまってさ。
気分直しに武器でもあさろうかってね。……って、あん?」
 眉をひそめる。
「警備兵、増えてねーか?」
「うむ、言われてみれば……」
 手近な兵を止めて、事情を聞く。
550綻び:04/01/20 05:29 ID:lGqDDtX1
「アインのやつが、ねぇ……」
 目を細め、獰猛な笑みを浮かべるドライに、兵は多少の戦きを感じながら答えた。
「ハッ、我々は全滅させられた守備隊の後任にと、ケルヴァン様の命で中央より派遣されました」
「ふん……だから、兵力増強ね……入らせてもらうぜ」
「どうぞ。すでに友永和樹様が来られてますが……」
「友永和樹?」
「ケルヴァン様の配下の方だとか」
 歳江とドライは少し顔を見合わせると、二人して武器庫の中に入っていった。


「あんたが和樹っての?」
 ドライに声をかけられ、書き物をしていた和樹は目を上げた。
折りよく、調べものが今終わったところだ。
「歳江さんにドライさん?」
 ケルヴァンの手によってよみがえったゾンビだ、とケルヴァンクラスタがそう告げた。
「お初にお目にかかる。新撰組副長、土方歳江と申す」
「お初、ってね」
 対照的な礼を歳江とドライは見せると、歳江は刀の棚へ、ドライは銃の棚へ移動する。

「あんたはなにやってんの? ケルヴァンの旦那の配下が、事務仕事?」
 銃を適当に物色しながら問うドライに、和樹は少し迷ってから任務の一部を明かすことにした。
「……今僕は、召還者エレンに関する任務に当たっている。直接に、ではないんだけど」
「へ……ぇ……」
 案の定、ドライはその名に反応した。獰猛な笑みを浮かべる。
だが、任務の詳細を話してもらえるとは思わなかったのだろう。
「で?」
 肩をすくめて先を促す。
「戦闘の可能性を考えると、彼女が今持っている装備を知りたくて。
だから、紛失した武器のリストを作っていたんだ」
551綻び:04/01/20 05:31 ID:lGqDDtX1
 ドライは呆れたように武器庫を見回した。それなりに広い部屋の壁にや棚に各種武器が取り揃えてある。
「そりゃすげーや。手間がかかっただろ?」
「カタログがあったけど、僕達用に集められたこの世界から言えば異世界の武器だからね。名前とか無茶苦茶で。絵図があったから何とかなったけどね」
「ったく、マメなこった」
「いや、戦いで敵を知ることは大事なこと。感心な心がけだ、和樹殿」
 歳江が口を挟んできた。すでに気に入った刀は見つけたらしい。
 和樹は、しかし首を振った。
「ありがとう……だけど、それどころではなくなったんだ」


 首をかしげる二人に、和樹は今出来たばかりのリストを手渡す。
 歳江には、銃器類に関する知識に疎い彼女には、そのリストはピンとこなかったらしい。
かわりにドライが、ピューと口笛を吹いた。
「なんだこりゃ……一人で持ち出せる武器の量じゃねーぞ? 
第一アインはどっちかというと軽装を好むはずだぜ?」
「うん。これは複数の人間が持ち出す武器の量だ。しかも一人や二人じゃ足りない」
「どういうこった?」
「多分だけど……エレンがこの武器庫を襲撃してから、
後任の警備兵が配備されるまでに、かなりの時間差があったんだ。だからその間に……」
「召還者どもが忍び込んで、武器を持ち出したってか? 間抜けすぎるぜ」

「……和樹殿、これは危険な武具なのか?」
 眉をひそめ問う歳江に、和樹は静かに答えた。
「持ち出された武器の中には、サブマシンガンやショットガンもある。
この火器を前にしては、歳江さん。例え常人が使用したとしても、状況しだいでは
あなたでも殺害される可能性があると、警告しておく」

「ハードだね、全く。ああ、なるほどな!」
 リストの中に、デザートイーグルとコルトパイソンの名を見つけて、ドライが鼻で笑った。
552綻び:04/01/20 05:32 ID:lGqDDtX1
「ここでおいたしやがった奴らに会ったぜ。そいつらは素人だったけどな」
「……その人たちはどうなった?」
「一人は初音が上前をはねやがって、もう一人は逃がしちまった。
チッ、しまったな。こんなことなら仕留めときゃよかったな」
 和樹はゆっくり首を振った。低い声で告げる。
「それは本当に仕留めるべきだったね。それを持ち出した可能性があるんだ」
「あん? ――――な!?」
 和樹に指差され、リストの最後を目にしたドライは、今度は口笛を吹く余裕すらなく絶句した。

「コンポジション4……プラスチック爆弾だと!? ご丁寧に雷管と起爆装置つきか!!」

「……なんなのだ、それは?」
 歳江の問いに、和樹は棚の一角から、紙粘土のようなものを取り出した。
煉瓦二つ分ぐらいのサイズだ。
「……これはここに残されていたものだけど」
「チーズの塊か紙粘土にしか見えぬが……」
「ところが、雷管……この金属の管をこいつにぶっさして電気信号を送ればドカン! だ。
タイマー回路までついてやがるからな。爆発させるだけなら素人に毛のはえた程度の知識で出来ちまう」
 ドライが腕を芝居がかった調子で広げた。和樹がその先を続ける。
「これ一つでこの倉庫が破壊できる。そして、盗まれた爆弾の量はこの数倍だ」
「これなら、初音のババァでも吹っ飛ばせるんじゃねーか?」
「それよりも……!」
 はじめて和樹が冷静な声を崩した。
「まさかと思いたいけど……中央を覆う結界維持装置が破壊される可能性があるんだ」
553綻び:04/01/20 05:52 ID:JJe6DkXn
 ドライと歳江が顔を見合わせた。やがて、おずおずと歳江が口を開く。
「しかし……そんな危険なものを、ヴィル・ヘルム殿達が結界の外に用意するだろうか?」
「これは可能性なんだけどね……ヴィル・ヘルム様は俗に言う科学文明を嫌ってらっしゃる。
ひょっとしたら、この手の兵器に関しては疎いかもしれない」
「初音の奴は論外だな。ケルヴァンは?」
「魔道兵器の大家だね。だけど、異世界の兵器にまで精通しているとは限らない。
それにこの倉庫にある武器全てを、精細に調べることなんてしたんだろうか?」
「じゃ、なにか? あいつら、あたし達のために異世界から適当に武器もってきやがって、
そいつがどんなもんなのかっての、分かって無かったってのか?」
「可能性、だけどね……少なくとも、歳江さんは見た目だけではこの爆弾の危険性は理解できなかった」
「……確かに。今でも信じられぬ」

 ドライが本格的に笑い始めた。
「はは! いっそ結界でもなんでも破壊しやがれ!
なぁお前ら! 中央の奴らが魔獣だの、魔力食いだのに襲えわれて
慌てふためくところ見たいとは思わない――――」
「思わないよ!! あそこには!!」
 ドライが言い終わる前に、和樹が叫んだ。それから首を振って、続ける。
「……色々、大事なものがあるから。とにかく……」
 顔を上げる。

「あくまで可能性だ。結界の方は考えすぎかもしれない。
でもとにかく、ケルヴァン様へ報告を。
人を派遣してもらってここの武具は全て中央に輸送しよう。
それから、このリストを、外の人に頼んで一刻も早くケルヴァン様のもとに――――」
554綻び:04/01/20 05:53 ID:JJe6DkXn
「――――待て!」

 ドライが鋭い声を出した。その口が引きつるように笑みの形を作る。
「おかしいぜ……警備兵達の気配が消えやがった」

「な―――!?」
 絶句する二人を尻目にドライはハードボーラーを構え、
戸口から外に首を出し、直ぐに引っ込めた。

ヒュンッ

 それでもギリギリだった。戸口の外側の上に隠れていたのだろう。
そのままドライが外にでていたら脳天を勝ち割るようなタイミングで、
ドライの眼前を戦斧が走る。

「古典的な手を!!」
 内心冷や汗を流しながらも、ドライはハードボーラーの銃口を
着地したばかりの少女――――小柄な身体に不似合いな巨大な戦斧を持った少女だ――――に向けた。

 だがトリガーをひく前に、少女は信じがたい速さで接近。その斧をドライの首筋に叩きつける。
「させぬ……!!」
 飛び散る火花、閃光。ギィンという、金属音。
 これも寸前だった。割って入った歳江の日本刀が、火花を散らし戦斧を受け流す。
555綻び:04/01/20 05:55 ID:JJe6DkXn
「ドライさん!」
「おう!」
 和樹の投げたイングラムM10サブマシンガンをバックハンドでドライが受け取る。
間髪いれず発砲。

「……ち……」
 だが、少女は舌打のようなものと共に、外に出て横に飛び、銃口の死角にはいった。

 和樹は、ドライと歳江ごしに外に、倉庫で見つけた閃光弾を撃つ。

 闇の中夥しい警備兵の死体と、三人の影が浮かんだ。
 先ほどの戦斧を持った小柄な少女、トカゲのような体躯を持つ大剣使い。
そして、長身のショートカットの女性だ。

 閃光にそれなりに驚いたのだろうか、まずは三人の襲撃者は間合いをとり、
影の中へ消えた。

「ケルヴァン様!!」
 その機に、和樹は電覚を使用。ケルヴァンと連絡を取る。
『和樹か。なんだ――――』
「武器庫が再度襲撃を。守備隊は全滅しました」
『……なに!? 倍の戦力を差し向けたのだぞ?』
「残存兵は僕、土方歳江、ドライの三人です。襲撃者も三名を確認」

 閃光弾で視認した襲撃者の様子を手早く説明すると、ケルヴァンは歯噛みした。
『ママトトの武将達……既に集結していたのか! 赤い死神がいないのがまだ救いだが……!
 和樹! お前ら三人はそこで武器庫を死守しろ。
2時間で私自らが手兵を連れておもむく。それまで持ちこたえて見せろ』
556綻び:04/01/20 05:56 ID:JJe6DkXn
「言うのは簡単だぜ!」
 ケルヴァンの指令を伝えると、ドライが毒づいた。
「和樹殿、彼我の戦力は?」
「ケルヴァン様の口調から考えて……互角、かな。楽観的に考えて」

「ハッ!」
 ドライが笑う。
「なあ、お前ら。あたしには絶対にぶっ殺してやりたい女と、絶対に手に入れたい男がいる。
お前らにはそういうの、あるか?」

「わが刀は屈辱に塗れたままだ」
 刀を構え、歳江が答えた。
「なにより、あの頼りない局長一人に新撰組を背負わせるのはあまりに不憫。
仮初の命といえど、ここで失うわけには行かぬ」

「……僕もだ。僕も果たさなきゃいけない約束がある」
 倉庫で見つけたウージーサブマシンガンを構え和樹も答える。
「守ると約束した人がいる。まだ行動を停止するわけにはいかない」

「OK! そうこなくっちゃな!!」
 ドライが犬歯を見せてニヤリと笑った。
「気合入れろよ! お前ら!!」
557綻び:04/01/20 05:58 ID:OrIB2Uwd
「不意打ち……失敗したわ」
「かなりの手練のようね。外にいた連中とは違うということね」
 ライセンの報告に、ミュラが答えた。
「関係ねぇぜ!! シェンナの仇うちだ!!」
 吼えるヒーローに、ミュラが落ち着け、と声をかける。

 だが、怒りに燃えているのはミュラも同じだった。
さきほどシェンナの変わり果てた姿を見たときの衝撃は、今も心に残っている。
「相手は守備に徹するようだね」
「……厄介ね」
「ええ。でも私達は勝つわよ」
 静かな声でそう呟き、ミュラはグッと拳を握り締めた。

 シェンナの死を知れば、きっとナナスは傷つく。
そして自分のことを責めるだろう。
自分が悪いのだと。イデヨンを利用された自分が悪いのだと。
 それがミュラには許せない。
「許せないのよ……!!」
 
襲撃者は三人。
 ――――義憤に燃え、主に忠を尽くすママトト屈強の猛将達。

迎撃者は三人。
 ――――仮初の命を与えられ、それでも己の願いを持つ屍人と機械人形達。

戦いの幕があがる――――

【土方歳江、ドライ、友永和樹: 鬼、状態良】
【ミュラ@ママトト: 狩 状態良 所持品:長剣】
【ライセン@ママトト: 狩 状態良 所持品:戦斧】
【ヒーロー@ママトト: 狩 状態良 所持品:大剣】
【流出した武器数不明。C4爆弾所持者不明】
558綻び:04/01/20 06:05 ID:OrIB2Uwd
まだ早いのかもしれませんが、少し本格的な戦闘を。
それと、常人救済の伏線を張ってみたつもりです。

奪われた武器の数は未定。
今のところ少なくとも、エレン、孝之、ななかが武器を奪っています。
プラスチック爆弾の所持者も現時点では未定です。

感想・議論スレで批判等お待ちしています。
559巨星動く:04/01/20 06:32 ID:6PS4xG9v
 「おのれぇ!!」
 和樹からの通信を聞いたケルヴァンは怒りに燃え上がった。
 「今すぐに配下の魔物たちを率いてくれる!!」
 すぐさまに出陣の準備を取っていく彼の腕前は流石というべきである。
 
 速攻で準備を整え、後は外に待ち構えている兵を引き連れていくだけという時、
中央ホールを通り過ぎようとした時に、彼は引き止められた。

 「何処へ行く!?」

 ホールに威厳のある声が響きわたった。
 それと共に姿を現したのは、長い事瞑想をしていたヴィルヘルム。

 「こ、これは……。 総帥……」

 突然現れたヴィルヘルムの姿に驚きながらも、ケルヴァンは一礼をする。

 「何があったと聞いている……」

 「は、はっ、北東の武器庫が襲撃されました……。 敵の数は三匹。
 いずれも招かれざる者ですが、戦闘能力の高いものばかりです!!」
560巨星動く:04/01/20 06:32 ID:6PS4xG9v
 ――――失態がばれた!?――――

 ケルヴァンは震えながらもヴィルヘルムへと報告を続けた。

 「よい。 丁度余も出ようとしていた所だ。 ついでに片付けてくれるわ」

 「い、いえ、総帥の手を煩わせるわけには行きません。
 ここは、この私自らが……」

 (もし和樹の存在、必要以上にヴィルヘルムにとっての不要者を引き込んだ事がばれれば、
 ただでは、済まされない。
  最悪、自らの命に関わる可能性がある)

 「……ふん、貴様がこそこそと裏で工作していること等、とうに知っておったわ」

 「あ、う……」

 圧倒的な威圧感を受け、ケルヴァンは言葉を出す事が出来なかった。

 「まぁよい、余の計画に支障をきたす範囲ではない
 それに、むしろ計画の為に扱いやすい駒を使った心意気はわかる」

 思ってもいなかった許し。
561巨星動く:04/01/20 06:34 ID:6PS4xG9v
 「……だが、これ以上は許さぬ。 今後は、不要な物の起用は控えよ」

 「寛大なお心、感謝いたします!!」

 ケルヴァンは深く頭を下げた。

 「さて、地図を見せて貰おうか……。 ふむ、余なら一時間足らずでつけるな。
  ケルヴァン、貴様には中央の護衛を任せたぞ。
 しばらく、余が戻ってくるまでは、動く事はままならん。
  如何に四つの装置が南北東西に要塞を囲い結界を作り出してるとはいえ
 その爆弾とやらで、各個撃破される可能性もあるのだからな」

 「ははー」

 言葉と共にさっそうとヴィルヘルムは、消えていった。
 彼が消えてからもしばらくケルヴァンは頭を下げ続ける。
 
 やがて、気分が落ち着いてくるとケルヴァンはやっと頭を上げた。
 「……己、今に見ておれよ」

【ヴィルヘルム・ミカムラ@メタモルファンタジー(エスクード) 持ち物なし 状態 ○ 鬼】
562名無しさん@初回限定:04/01/20 09:27 ID:ZPEFrVDT
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563トラフィックス:04/01/20 22:24 ID:MduYrDOD
速瀬水月が鳴海孝之に見捨てられていたころ、エレンは武器庫から武器を持ち出した何者かの後を追跡していた。
(そうだ、あとくされの無い様に倉庫を爆破しておけばよかったわね・・・)
エレンはもう1度戻ろうかと思ったがさすがにそれはやめて、地面に注目する。
足跡は2つありそれぞれ逆の方向に向かっている。

足跡の特徴としては、1つは青年男性らしく、もう1つはまだ幼い子供の足跡だった。
もうかなりの時間が経過している、今からでは捕捉はまず不可能だろうが、ともかく後を追いかけてみよう、
良からぬ相手ならば実力をもって制止するまでだ。
さて、どちらに行くか…エレンは少し考えると男の方の足跡を辿っていった。

足跡はとうに途絶えていたが、獣道の周囲の草木や土を観察すればある程度、相手の行動を予測することは出来る。
と、そこでエレンはかつていやというほど嗅ぎなれた匂いを察知する、これは血の匂い!
エレンはベレッタを抜くと慎重に周囲を見まわす、匂いは自分の左手から漂う。
(攻撃されたのね…)
出会い頭という感じか、状況からみて今、自分が追っている相手にやられたのだろう。
エレンは音を立てないようにそっと茂みを掻き分けると、肩から血を流した長髪の男が木にもたれている。
男は救急箱から包帯を取りだし、自分の傷の手当てをしようとしているが場所が場所だけに、
なかなか巻くことができないでいる。
(武器は無さそうだし、あってもあの状態では何も出来ないわね…)
エレンは万一に備えて自分の優位を確認し、それからゆっくりと茂みから男の前へと姿を現したのだった。

「助かった…利き腕をやられてな」
エレンが包帯を巻き終わると、天城小次郎と名乗る男は深々と頭を下げた。
聞くところによると、監視の目を盗み倉庫から物資を奪い、休憩していたところに、
いきなり出会い頭に射たれたのだという。
「で、あなたは何を持ち出したの?」
小次郎がバッグの中から取り出したのは地図と携帯食料と飲料水、それから通信機だった。
「俺たちは水も食料も持たされていないからな、それから情報も・・・」
564トラフィックス:04/01/20 22:25 ID:MduYrDOD
(この男、出来る)エレンは感心せずにはいられなかった、
この状況で何が一番大切かということを理解している。
まずは基本的な情報収集、この場合は地図と通信機がそれにあたる。
それから単独でも生存するための物資、水と食料、医薬品だ。
それらが揃ってからようやく自衛のための武器の出番となる。
今回、エレンが武器を優先したのは、島を歩いた限り内部での水や食料の自給自足が可能だと判断したからだ。
それに…。
「まぁ、不思議なことにここに来て以来、腹も減らなきゃ喉も渇かないが念のためだ」
そう、もうかなりの時間が経過しているのに未だに喉の渇きも空腹も感じることが無いのだ。

「まぁ、誰だって死にたくないはずだ、右も左もわからない状況で短絡的な手段に走るのを責めるわけにはいかないな」小次郎は妙に達観したような口調で呟く。
「それでも私は出来る事なら止めたい」
そこまで言ったところでエレンは小次郎の顔を見る。
「もしかすると心当たりがあるみたいね?あなたを襲った相手」
「ああ…最低のゲス野郎だ」
思い出すのも腹立たしいといわんばかりに小次郎は前髪を掻き上げた。

そのゲス野郎は、興奮の余り呼吸を荒くしながら落ちつき無くボウガンを振りかざしていた。
その服装は独特の色を作業服だった、いわゆる囚人服と言われるものだ。
この囚人服を纏った男こそ、日本…いや世界の犯罪史上に残るであろう、凄惨かつ残虐なバスジャック事件の首謀者。
勝沼グループ元総帥、勝沼紳一死刑囚であった。

そう、彼は多くの美少女が乗った修学旅行のバスを襲撃、そのまま数十名の生徒たちを拉致監禁し、
陵辱の限りを尽くしたのだ。
そのおぞましき所業に世の中は慄然とした、本来慎重さを旨とする日本の司法制度によってでも
わずか数ヶ月で死刑判決が下ったところがそれを物語っている。

しかし彼は未だに満足していなかった、判決を聞いた彼の胸中に去来した思いは、
死にたくないとかそういう殊勝なものではなく、まだ犯し足りないというあくなき欲望だったのだから。
どうせ帰っても死刑、ここにいても殺される、なら最期のその時まで思う存分暴れてやる。
「まだ足りないんだ…」
紳一はぺろりと渇いた唇を湿らせながら、自虐的な笑顔を浮かべた。
565トラフィックス:04/01/20 22:32 ID:MduYrDOD
ところでもう一方の足跡の方では…
「あかね、やっぱり引っ掛からなかったよ」
「うん、クレイモアで穴だらけにしてやろうと思ってたのに」
物陰に潜んでいた金髪の姉妹が枯れ葉で巧妙に偽装したクレイモア対人式地雷をせっせと回収していた。
双子なのだろう、顔だけ見るとまったく区別が付かない、ちなみに説明しておくと
赤い服を着ているのが鳳あかね、青い服がその姉の鳳なおみだ。

これでも元の世界では名うての戦闘機パイロットであり、そしてその天使の笑顔の裏側に潜むのは、
大人顔負けの狡猾さと子供特有の無邪気な悪意だった。
事実、追っ手を惑わすために、2人で足跡が重なるように歩き、わざとその足跡をこれ見よがしに
残したりと早くもその片鱗を見せている。

「ね、あかね。私たち以外がいなくなれば、きっともう誰にも襲われる事はなくなるよ」
「うんっ」
考え方が単純なのが子供である所以だが、それでも今はその単純さが逆に恐ろしい。
ともかく彼女らは自分が襲われないために、積極的に他人を襲うことに決めたのだった。

「やっぱり先制攻撃だよね」
そう万面の笑顔で笑う2人のバッグには、クレイモア地雷の他に例のプラスチック爆弾やら、
構造が単純で反動も少ない事から子供でも扱えると評判のAK47カラシニコフやら、
かなり物騒な代物が詰めこまれていた。

【エレン@ファントム オブ インフェルノ(ニトロプラス) 持ち物 ベレッタM92Fx2 ナイフ 状態 ○ 招】
【天城小次郎@EVE〜burst error(シーズウェア)  持ち物 食料 水 医薬品 状態△ 狩】
【鳳姉妹@零式(アリスソフト) 持ち物 クレイモア地雷x2 プラスチック爆弾 AK47 状態 ○ 狩】
(どちらか片方が招の可能性あり)
566トラフィックス:04/01/20 22:35 ID:MduYrDOD
一人忘れてました、鳳姉妹をちょっと変更
【勝沼紳一@悪夢(メビウスソフト) 持ち物 ボウガン(他にも所持している可能性あり) 状態 ○ 狩】
鳳姉妹@零式(アリスソフト) 持ち物 クレイモア地雷x3 プラスチック爆弾 AK47 状態 ○ 狩】
(どちらか片方が招の可能性あり)

567想い、遠くへ…:04/01/21 00:13 ID:hRmkQjKB
「恋ちゃん・・・まだ気が付かないんですか。」
「・・・・・・。」
さっきから藍ちゃんの様子がおかしい。
「藍ちゃん?」
「えっ?あ、ああ、申し訳ありません。」
「大丈夫・・・ですか?顔色があまり優れないようですが・・・。」
心配そうな百合奈先輩の問いかけに藍ちゃんは慌ててブンブン手を振る。
「大丈夫ですわ。でも・・・恋ちゃんは・・・」
視線を落とした先には恋ちゃんが・・・大輔ちゃんの妹がいた。
ブレザーで隠してあるけど、恋ちゃんの右腕は・・・。
「移動・・・出来そうにありませんね・・・。」
そんな百合奈先輩の一言に藍ちゃんは意を決したように告げた。
「先輩たちは・・・移動して下さい。私は、恋ちゃんが意識を取り戻してから参りますから・・・。」


「本当に・・・良かったのかな・・・。」
私は気がかりなことがあった。
さっき、移動前に恋ちゃんを藪の中に移動させようとした時の事――。
568想い、遠くへ…:04/01/21 00:14 ID:hRmkQjKB
「本当に、行っていいの?」
私と百合奈先輩は、ここから離れることとこの孤島らしい場所の正確な大きさなどを確認するため、島の中央へと向かうことにした。
それには今だ目を覚まさない恋ちゃんが問題になる。
仕方なく、藍ちゃんに任せようとしての一言だった。
「ええ、構いませんわ。」
事も無げに言う藍ちゃんに私は何だか疑問を感じた。
「・・・藍ちゃん、さっきから、ちょっと変・・・。」
「え?そうでしょうか・・・。変わりませんわ。」
ううん、変わった。
普通なら・・・いつもの藍ちゃんなら、恋ちゃんがこれだけひどい負傷をしていれば必ず取り乱していると思う。
なのに・・・。
「この辺りで、いいのではないでしょうか?」
百合奈先輩が私と藍ちゃんに声をかけた。
「そうですわね・・・。ここでしたら人目に付きませんし・・・。」
そう言って藍ちゃんは額の汗を拭う。
「じゃあ・・・ここで一旦、お別れですね。」
「はい。また島の中央でお逢い致しましょう。」
柔和な微笑み。
私はその奥に何故か恐怖を感じた。
「さあ、橘さん、行きましょう。」
569想い、遠くへ…:04/01/21 00:16 ID:hRmkQjKB
「橘さん・・・」
湿地帯を抜け、木々のまばらに生える林に入ってきたところで百合奈先輩が辺りを気にしながら囁く。
「鷺ノ宮さん・・・呪いがかかっています。」
「呪い?」
私の問いかけに百合奈先輩が頷く。
「ええ・・・。どういったらいいのか解りませんが・・・。それに似た雰囲気を、感じました。」
「私も・・・ちょっと、怖かったんです。」
「あのまま――」

それは、とても悲しい表情で・・・。

「あのまま、あの場所にいたら・・・鷺ノ宮さんの重圧に、耐えられなかった・・・。」
「百合奈先輩・・・。」
「私は、やはり弱い人間ですね・・・。」
そういってうつむく百合奈先輩と私に男の声。
「弱い人間など・・・死ねばいい・・・。」
「誰っ!?」
木陰から白衣の男がスッと現れた。
「動くものは・・・全て・・・コロス・・・」
ゆらり、とこちらに一歩近づくとバッグから聴診器を取り出す。
「殺すっ!!」
「きゃあっ!!」
ロープのように使うのであろう事は明白だった。
私は首に聴診器がかかる寸前で屈み込み、足を払った。
「くっ!」
そして、バランスを崩した男の背中を思い切り突き飛ばす。
570想い、遠くへ…:04/01/21 00:17 ID:hRmkQjKB
「これが・・・敵・・・動くもの、全て――敵ぃっ!!」

再び私の所へ襲い掛かろうとしてきた男を百合奈先輩が体当たりで体勢を崩す。
「橘さんっ!今のうちにっ!!」
「はい!」
私たち二人は弾かれたように駆け出した。
しかし、相手が倒れていたとはいえ背を向けたことは油断だった。
「逃がさない・・・!逃がすものかああああっ!!」
後ろから聞こえる声がまだ離れていないことを物語っている。
ガシャーーーンッ!!
「きゃあああっ!!」
「百合奈先輩っ!?」
横を走っていた百合奈先輩の後頭部に何か薬品が入っていたであろう小瓶が直撃した。
「くっ!?め、目が・・・っ!!」
もう・・・逃げられない・・・。
私は覚悟を決めて振り向いた。
霞んでいるだろう視界でそれに気付いた百合奈先輩も立ち止まる。
「橘さん・・・貴方だけでも・・・」
「そんな事、出来ません。大輔ちゃんに笑われちゃいます・・・。」
じりっ、じりっと徐々に間合いを詰められる。
(大輔ちゃん・・・大輔ちゃんならこんな時――どうするの?)
私は髪留めにそっと触れる。
大輔ちゃんのシャツの一部であるそれは、私に何も教えてはくれなかった。
(どうすれば・・・)
「・・・でだ・・・。」
「えっ?」
よたついた動きでまた一歩こちらに近づく。
「なん・・・でだ・・・」
「何の事、ですか?」
「何であの子たちがこんな目に遭うんだあああああぁぁっ!!」
571想い、遠くへ…:04/01/21 00:19 ID:hRmkQjKB
口にした言葉に反応した一瞬、百合奈先輩が男の体当たりで思い切り宙を舞った。
「ぐ・・・ぅ・・・・・・。」
背中から落下した百合奈先輩が呻く。
「どうして!どうしてっ!!」
「やめてえええぇっ!!」
私は何の策もなく、百合奈先輩と馬乗りになって先輩の首を絞める男に向かって走った。
「ただ、普通に暮らしたいだけなのにっ!それなのに何でっ!?」
「う・・・っ、う――。」
「先輩!」
「お前も敵かぁぁっ!!」
意識がフッと途切れたような気がした。
強烈な裏拳は私を藪の中まで跳ばす。
「帰るんだ・・・みんな・・・一緒に・・・・・・。」
声が私の方へと近付いてくる。
(大輔ちゃん・・・大輔ちゃんっ!!)
「邪魔な奴を殺して――二人を連れて!」
男の姿が、藪の中に現れる。
「俺は帰るんだあああああっ!!」
「いやあああああああっ!」
飛び掛ってきた、その刹那――。

静寂が、辺りを包んだ。
まるで、夢のように・・・。
でも・・・。
「く・・・ぐっ・・・・っ・・・」
静かな、男の声と、

手にしたクモの爪先から感じる、肉を貫いた感触が・・・現実に私を引き戻した。
「あ・・・あぁ・・・・・・」
爪を伝わって手の中に感じる、人の体温・・・。
自分の手が、ゆっくりと、スロー再生のように赤く染まっていく。
572想い、遠くへ…:04/01/21 00:22 ID:hRmkQjKB
・・・恐かった。

震える手を、爪から離す。
「う・・・そ、だ・・・・・・。」
自らの腹部を貫通した爪を抱え、よろめきながら後退する男。
「お、れは・・・帰るん・・・だ・・・」
「そう・・・だ・・・。まい、な・・・ちゃ、んと・・・ゆうな・・ちゃ・・・ん・・・と・・・」
何かに引っ張られるように、その首から上がカクンと後ろに曲がる。
「いつ・・・も・・・の・・・・・・――。」

いつもの・・・日々に――。

確かにそう、口が動いた。
そうだ・・・・・・。
ああ・・・。
同じなんだ・・・・・・。私たちと――。

「同じ・・・ヒト・・・なんだ・・・・・・。」
573想い、遠くへ…:04/01/21 00:23 ID:hRmkQjKB
「橘さん?大丈夫・・・です、か・・・?」
百合奈先輩が、鮮血に染まった手を放心状態で見つめる私を心配して声をかけてくる。
「私・・・ヒト・・・殺し、ちゃった・・・・・・」
百合奈先輩はゆっくり首を振り、
「違う・・・。ヒトでは・・・ありません・・・。呪いを・・・祓ってあげたのです・・・・・・。」
「せん・・・ぱい・・・。」
ぎゅっと抱きしめてくれた。
こんな、私を。
ヒトを殺した、私を。
血に染まった・・・私を・・・。
大輔ちゃん・・・私、どうしたらいい・・・?
どうすれば・・・この悪夢から――逃れられるの?

「教えて、よ・・・・・・。」

もう大丈夫だと、そう思ったはず。
でも――。
溢れ出る涙を、私は止めることが出来なかった・・・。

【上村雅文:死亡 橘 天音:所持品なし 君影 百合奈 状態:×】
5742匹の獣:04/01/21 03:05 ID:nck15OlT
 伊藤乃絵美は軽やかに森を歩いていた。
 先刻まで、木々の闇に、鳥の声に、流れる血に
おびえていたのが馬鹿らしい。
「お兄ちゃんの所へ早く帰らなくちゃ」
 くすりと笑みを浮かべる。そう、早く帰って
兄の胸に飛び込むのだ、そしてずっと抱いていた
淡い思いを言葉にしよう。
 兄妹だからと悩んでいた、自分はなんて臆病だった
のだろう。世界は誰も自分を否定なんてしては
いなかったのだ。
「菜織ちゃんにも、真奈美ちゃんにも負けない」
 そう、負けるはずが無い。兄と一番近い自分が
ずっと一緒にいるのが当然のはずだ。
 それでも邪魔をするなら、少し私が強いところを見せて
やろう。体が弱くて、いつも守られてばかりいた自分だけど
もう平気だ。
「だって私はお兄ちゃんの為にこんなに強くなれる」
 乃絵美の右手に握られたナイフから血が転々と滴っている。
いや、それどころか彼女の服装はひどい有様だった。
胸元が破れスカートには泥がついている。そして右手のナイフ
だけでなくボロボロの服にも乃絵美の物では無い血が
付いていた。
 はだけた彼女の胸元には一筋の引っかき傷のようなものが
付いていた。
 この場に誰かがいれば気が付いたかもしれない。その傷は
まるで果物が熟しきって腐り落ちたような濃厚な甘い香りを
漂わせていた事に……。
5752匹の獣:04/01/21 03:05 ID:nck15OlT
 男の荒い呼吸音が森に響く。
「くそっ、あんな小娘に!」
 わき腹を切り裂いた傷は、熱を持ち勝沼紳一を苦しめた。
幸い、ナイフの刃は内臓へは届かなかったが、鎮痛薬も
無い現状での行動は傷の痛みにより大きな制約を受けるだろう。
 特に、脇の筋肉を使う走る、飛ぶといった行動は激痛を
伴うに違いない。
 森をさまよっていたリボンの少女をナイフで脅して押し倒した
所までは紳一の計画通りだった。長い刑務所での禁欲を、少女の
肉体を蹂躙する事で解消しようとしたのだ。
 数多の少女達を犯し、壊してきた紳一にとって目の前の少女は
刃物を見せれば怯えてすくむ、玩具のように扱いやすい類の
獲物のはずだった。
 胸元をはだけさせた瞬間、少女の胸元に爪で引っかいたような傷を
見つけた。その途端、少女はバネが弾けたかのように紳一を
蹴り上げ、取り落としたナイフを奪うとためらいも無く刺したのだ。
 立ち上がり、紳一を見下ろした少女の目は最悪の犯罪者と呼ばれた
彼ですら凍りつく異様な視線だった。
「くそっ、くそっ!」
 ボウガンを杖代わりに立ち上がる。ナイフこそ少女に奪われたが
倉庫から奪ってきた武器はまだ有る。
「殺してやる、奪ってやる、犯してやる!」
 少女への得体の知れない恐怖が、紳一の冷静さを奪ってゆき、
傷の痛みが理性を磨耗させる。
 そこには、計算機の如く犯罪を遂行した勝沼紳一の姿はもう無かった。
ただの凶悪な獣が野に放たれたのだ。
5762匹の獣:04/01/21 03:07 ID:nck15OlT
「悪趣味だ」
 その様子を眺めていた葉月は傍らの蔵女に聞こえるように
言葉を吐き捨てた。
「ほう?だが、これで饗宴は面白くなるぞ?主催者もむやみに
能力者を狩人にする必要が無くなる。2人の狩人の追加。
バランスを考えれば悪くない結果だとは思うがのう」
 蔵女が着物の袖で口元を隠しながら、童の様に笑う。
「あの娘の恋心を弄び、狂わせただろう。それが気に入らないと
言ってるんだ!」
 葉月が思わず声を荒げた。乃絵美の胸の傷、それは蔵女が
森を彷徨う彼女にその爪でつけた傷だった。
 蔵女の右手の人差し指の赤き爪でつけた傷は、その人の
心を徐々に腐らせてゆく。発露されぬ想いや、心の傷が
精神を蝕んでゆき変質させていくのだ。そして最後には果たされた
想いを幻と見ながら赤い雪となり消えてゆく。
 恐らく乃絵美は兄への想いを果たすために、帰る手段を模索
するに違いない。正気のように行動し、狂気を爆弾の様に
抱いているのだ。
「あの娘は、先刻の下衆な男よりも危険かもしれないな」
 葉月は手元の刀を無意識に握り締めた。暴走を止めるのも自分達の
役目だ。火を点けては消して回る滑稽な消防士としか言いようが無い。
「行こう」
 葉月は一言告げて、きびすを返す。その後を蔵女の下駄の音が
からころと追いかけていった。

【伊藤乃絵美  状態:狂気(見た目や言動は正常)  所持品ナイフ】
【勝沼紳一 状態:怪我(腹部)、錯乱   所持品:ボウガンその他 】
【蔵女 状態:良(能力制限)  所持品(能力):赤い爪】
【葉月 状態:良(能力制限)  所持品:日本刀】
577絶望と誓い:04/01/21 15:46 ID:bc/t5F6J
 腹の傷を抑えながら、男、勝沼紳一は森の中を彷徨っていた。
「く、糞、糞糞糞っ!」
 とうとう立っていられなくなったのか、木に寄りかかるようにして座り込んでしまった。
「俺は勝沼紳一だぞ……。女は俺の所有物だというのに……。あんな小娘が、糞っ!」
 静寂が漂う森の中で、ただひたすら己の中にあるドス黒い感情を発露させている。
「あ、あの……、大丈夫ですかぁ……?」
「!?」
 勝沼は驚きながら、その声がした方に振り向く。
 そこに立っていたのは、一人の少女だった。
 髪を二箇所、黄色いリボンで留め、見様によっては猫の耳のようにも見える髪形。
 それよりも、なお勝沼の気を引いたのは、その娘の胸元にある大きな鈴だった。
「だ、誰だ……?」
 苦しみを抑えながら勝沼が呟く。
「あ、あのっ! ミキは珠瀬壬姫って言います……」
 そう言って、その娘、珠瀬壬姫は恐る恐るといった風情で勝沼に近寄りながら、精一杯の笑顔を浮かべた。
「珠瀬……、くぅ!」
 勝沼の腹に激痛が走る。
「だ、大丈夫ですかっ!」
 壬姫は慌てて勝沼の元へ駆け寄った。
「腹が……」
「ちょっと見せてください! ミキも良く怪我をするから、何とかできるかもしれません!」
 勝沼は壬姫の顔を見回してから、一度だけ大きく頷くと、腹の上から己の腕を離す。
「ああ、頼む……」
 壬姫はその傷に顔を近づけ、観察するように見つめる。
578絶望と誓い:04/01/21 15:47 ID:bc/t5F6J
「これは酷……!」
 まず、クチャ、という音が壬姫の耳に聞こえてきた。
「え……? あれ、痛っ……!?」
 次に襲ってきたのは、腹部から来る痛み。
 壬姫は痛みの元となっている部分に眼をやった。
 そこにあるのは、ボウガンの矢、それがあろう事か自分の腹からはえていたのだ。
「ふ、ふふ……」
「な、何で……!?」
 現状を理解できずにただ狼狽する壬姫を尻目に、勝沼の笑い声はだんだんと大きくなっていく。
「ふはハハははハハはぁ! 痛いか? 苦しいか? そうだろう!」
 勝沼は、壬姫の身体を突き飛ばす。
 痛みの所為で身体が動かないのか、壬姫は成す術も無く地面の上を転がった。
「貴様等のような小娘がっ! このっ、勝沼紳一に傷を負わせるなんてっ! そんな事が許される訳ないんだよ!」
 勝沼はそう叫ぶと、壬姫の身体の上に圧し掛かる。
「きゃ、きゃあっ!」
 壬姫は逃れようともがくが、男と女の力の差、それに痛みの所為で、まったく意味をなさない。
「怖いか? ふふ、泣けっ、叫べ! その方が興奮するんだよ! ほらもっと叫べよ!」
「や、やだっ! やめて! た、助けて、たけるさぁんっ!」
 逃れる事が無理だと悟った壬姫は、ただひたすら己が密かに慕っている男の名前を叫んだ。
 叶う事の無い願い、争いが嫌いな故に、ずっと隠しておこうと思った気持ち。
「たけるさん!」
 壬姫の声は、虚しく森の中に響き渡った。
579絶望と誓い:04/01/21 15:48 ID:bc/t5F6J
 森の中を疾走する大十字九郎の耳に、女性の悲鳴のようなものが聞こえてきたのは、フーマンを撃破してから、それほど時間は経っていなかった。
「悲鳴! ……こっちか!」
 アルの事も気にかけてはいるが、しかし、近くで助けを求める人間を放っておけるような人間でもない。
 大十字九郎という男はそういう人間だった。
 木々の合間を抜け、声のする方に近づいてみると、多少広がっている場所に出た。
 そして、九郎の目に飛び込んでくる、血まみれになってもがく少女の姿と、その上に圧し掛かっている男の姿。
「お前! その娘の上から退け!」
 威嚇をこめて、クトゥグアの弾丸を放つ。
「ちぃ! 貴様も俺の邪魔をするのかぁ!」
 勝沼は壬姫の身体の上から退くと、血走った目を九郎の方へと向ける。
「こんな光景、誰が見たって邪魔するに決まってるだろうが! これ以上この娘に何かしようとしてみろ! その時は容赦はしない!」
 九郎が叫ぶ。
 その叫びに推されたのか、それとも九郎が銃を持っている事を見て不利だと判断したのか。
 勝沼は大きく舌打ちをしてから、身を翻して森の奥へと消えていった。
「おい、大丈夫か!? しっかりしろ!」
 九郎は壬姫の身体を抱きかかえる。
「あ、ありがと、げふっ! ……ござ……ます」
「いい、喋るな! いいか、気をしっかり持て。大丈夫、このくらいならすぐ治るから!」
 壬姫の腹の傷は素人目に見ても、もうどうしようもないと判るほど深い傷だった。
 九郎にもそれが判る、しかし壬姫はその言葉に励まされたのか、一瞬だけその苦しそうな表情が、微笑みへと変わった。
「うぐっ! がっ、ゴホッ、ゴホ……」
 しかしすぐに壬姫の様子が変わる。
 苦しそうにその口から、大量の血を吐き出した。
580絶望と誓い:04/01/21 15:49 ID:bc/t5F6J
「たま!」
「壬姫ちゃん!」
 突然、九郎の背後から、いくつかの声が聞こえてくる。
 九郎が振り向くと、そこには数人の男女の姿が見えた。
「な、なんなんだよ、それはっ! お前……、お前がやったのかっ!」
 その中にいた一人の男、白銀武が怒声を飛ばす。
 武の視線の先には、九郎の手にある拳銃、クトゥグアに向けられている。
「ち、違う! 俺は……」
「その娘から離れろ、外道!」
 刀を持った長身の少女、御剣冥夜がその刀でもって九郎に切りかかる。
「だから違うって!」
 九郎は右手で持ったクトゥグアでその斬撃を受け止める。
「くそ、話が通じないか!」
 九郎はそう呟くと、立ち上がるとすぐに振り向いて、その場から逃げ出した。
「待て!」
「待って、御剣さん!」
 冥夜がさらに追いかけようとするが、それを引き止めたのは、眼鏡を掛けた少女、榊千鶴の声だった。
「何故止める、榊!」
「……あの男は銃を持っていたわ。私達の中で唯一武器を持っている貴方があいつを追いかけて、もし貴方が逸れてしまったら? そしてそんな時、あいつのような人間が私達の前に現れたら? 現状を考えれば、今この場に留まって、状況を理解する方が大切だわ」
 青ざめた顔をしてはいるが、自分の意見に自信を持っているのか、いきり立つ冥夜を前にして、一歩も引こうとはしていない。
「……冷血女」
 その光景を見ていた黒髪をショートカットにしている娘、綾峰慧がボソリと呟いた。
「何ですって!」
 榊は綾峰の顔を思い切り睨みつける。
「け、慧ちゃん、千鶴ちゃん……。け、喧嘩は止めてよぉ……」
「たま! 気がついたのか!?」
 武の腕の中で、たまが弱々しく呟いた。
「あ、あの人は……がふっ!」
 壬姫が言葉を言いかけるが、全てを言い終わる前に血を吐き出した。
「珠瀬さん、喋らない方がいいよ! その傷は……」
 中性的な顔立ちの美少年、鎧衣尊人がそこまで呟いて言葉を閉ざす。
 この中でもっともサバイバル経験の長い彼は、壬姫の傷が深い、深すぎるという事を一番良く理解していた。
581絶望と誓い:04/01/21 16:13 ID:bc/t5F6J
「た、たけるさん……」
「……何だ、たま? 何でも言ってみろ」
 壬姫は武の顔を見てニコリと微笑んだ。
「向こうで、たまの練習に付き合ってくれて……ありがとうございました」
「何をいまさら……! 俺達は……仲間、だろ?」
 武はそう言うと、力強く笑う。
「仲間……。そう……ですよね、タマ達は、どんな人達よりも、仲の、いい……仲……」
「壬姫ちゃん!」
 髪の毛が一本だけピンと跳ねている少女、鑑純夏が壬姫の身体に手を添える。
「たま!」
「珠瀬さん!」
 周りに集まっていた者達も壬姫の身体の近くに寄り添った。
 しかしもはや壬姫の身体が動く事は無い。
「壬姫……ちゃん……」
 純夏が壬姫の手を取りながら号泣する。
 常に無表情な、綾峰ですら、その眼から涙を流していた。
「たま……、約束だ。俺達は喧嘩なんてしない。お前、喧嘩、嫌いだったもんな?」
 武が、壬姫の首に掛かっている鈴に手を伸ばす。
 そしてその鈴をそっと取り外した。
「この鈴、返してもらうぜ」
 武はその鈴を持って立ち上がると、周りの人間を見回した。
「そういう事だから、俺は今後一切喧嘩というものをしない事にした。文句のある奴はいるか?」
 皆、静まり返っている、否、一人だけ手を上げている者がいた。
 綾峰慧。
「あの男はどうするの? この娘を殺した男。白銀が何もしないのなら、私だけで動くけど……いい?」
 それは疑問の形を取った、意思の表明。
 武は、綾峰の顔をじっと見つめる。
「俺は、いや、俺達はもう喧嘩はしない。それはさっきも言った通りだ」
 綾峰は、ふぅ、と大きくため息をついた。
「そう。……それじゃ」
582絶望と誓い:04/01/21 16:14 ID:bc/t5F6J
 そういうと、後ろを向いて立ち去ろうとする。
「待てって。最後まで話を聞けよ」
 しかしその綾峰を止めたのは、他でも無い、白銀武、その人だ。
「俺は喧嘩はしない、とだけ言ったんだ。つまり、だ」
「つまり?」
 何を言いたいのか、というような表情で綾峰が首を傾げる。
「復讐、とか、殺し合い、っていうのは、喧嘩じゃないだろ? そういう事だ」
「タケル! そなたは……」
 冥夜が声を上げる。
「幻滅したか?」
「いいや、それでこそ我が婿、白銀武ぞ! この冥夜、全ての力を持ってそなたに力を貸そう!」
 武は、地に伏す壬姫の身体をそっと抱きかかえる。
「もう少し待ってくれよな。どこか日のあたるいい場所まで連れて行ってやるから、それまで……な?」
「ふふ、その必要はありませんわ」
「誰だ!」
 突如暗闇の中から聞こえてきた声に、冥夜が刀を構えながら振り向く。
「私の名前は比良坂初音。どうぞ、初音、とおよび下さいな」
 暗闇の中から初音がその姿を表した。
「必要は無いってどういう事?」
 榊が警戒しているという事を表情にありありと浮かべながら、初音に問い掛ける。
「貴方達は、さきほどの男を追いかけるのでしょう? でしたら、急がないと逃げられてしまいますわよ」
「それと、壬姫を連れて行く事と、どういう関係があるんだ?」
 武が問い質すと、初音はうっすらと微笑を浮かべる。
「ですから、私がその娘の躯を、どこか安らげる場所に連れていって差し上げます、という事ですわ」
「何故、あんたがそんな事を?」
「ふふ、何、ただの気まぐれのようなものかしらね。それで、どうなのかしら? こうしている間にも、あの男はどんどん逃げていってしまいますわよ」
「あんたが何者かは知らないけど……、判った。どこか明るい所に連れて行ってくれよ」
「ええ」
 初音は、武の腕から、壬姫の動かぬ身体を受け取った。
「お礼といってはなんですが、一つ貴方達に良い事をお教え差し上げますわ。この道を先に行くと、大きな蔵……、武器庫、といったかしら? そのような物がございますわ。そこにいる人間に私の名前を申し上げれば、おそらく何かしらの道具を頂けると思いますわ」
「武器庫!? あ、あんたは本当に一体……」
「ではごきげんよう……」
583絶望と誓い:04/01/21 16:15 ID:bc/t5F6J
 武の言葉には答えずに、壬姫の身体を携えたまま初音の身体が掻き消えた。
「武ちゃん、どうするの?」
 純夏が不安げに武の顔を見つめている。
「……まずは武器庫に行こう。それからゆっくりとあの男を見つけ出す!」
 武は皆に向かってそういうと、ゆっくりとその足を動かし始めた。
 
「どいつもこいつも、邪魔ばかりしやがって!」
 勝沼は先ほどまでと同じように森の中を彷徨っていた。
 この世への恨み言、ただそれだけを呟きながら歩くこの男の表情には、最早狂気以外の感情は無くなっていた。
 その時、ふと、勝沼の眼に一人の少女の姿が飛び込んでくる。
 思わずむしゃぶりつきたくなりそうな身体を持つ、まるで人ではないと思える程の美少女、初音の姿が。
 その手には、先ほど受け取った、壬姫の姿もある。
 初音は勝沼を、それがまるで汚らわしいものだとようなような眼つきで見ている。
「何だ、その眼は……」
 勝沼が足を止めて呟く。
「何だぁ、その眼はぁ! 俺をそんな眼で見るなぁ! お前も犯しつくしてから、殺してやる! その手に持っている娘のようになぁ!」
 勝沼が叫ぶと同時に飛び掛る。
 初音はその姿を見据えたまま、しかし動こうとはしない。
「ひゃははははははぁ!」
 しかし勝沼が初音の身体に覆い被さる事は無かった。
「あ?」
 勝沼の腕が初音の身体に掛かろうとした瞬間、初音の姿が掻き消える。
「身の程をしりなさい、下種」
 瞬間、勝沼の首から大量の鮮血が溢れ出す。
「な、何で……、こんな事……」
「気まぐれ、ですわ。せっかくの生娘をこんな風にしてしまうなんて……。まったくもって無粋極まりない」
584絶望と誓い:04/01/21 16:15 ID:bc/t5F6J
 勝沼の眼から、狂気の意思が消える。
 暗い森の奥深く、絶望の淵で勝沼紳一は息絶えた。
「さて……。あの方達との約束通り、この娘を安らげる場所へと誘ってあげる事にしましょうか」
 初音の姿が変わっていく。
 それは、蜘蛛。
 何百もの時を過ごしている女郎蜘蛛の本性。
 蜘蛛は壬姫の身体を咥えると、味わうようにゆっくりとその口動かしていった。

【白銀 武 マブラヴ 状 ○ 持ち物 無し 招→?(分類上ただ呼び出された者から、狩る者に変化、鬼?、狩?)】
【鑑 純夏 マブラヴ 状 ○ 持ち物 無し 招→?】
【御剣 冥夜 マブラヴ 状 ○ 持ち物 刀 招→?】
【鎧衣 尊人 マブラヴ 状 ○ 持ち物 無し 招→?】
【榊 千鶴 マブラヴ 状 ○ 持ち物 無し 招→?】
【綾峰 慧 マブラヴ 状 ○ 持ち物 無し 招→?】
【珠瀬 壬姫 マブラヴ 状 死亡 持ち物 無し 招】
【勝沼 紳一 絶望 状 死亡(?) 持ち物 ボウガンその他 刈(?)】
【大十字 九郎 デモンベイン 状 ○ 持ち物 イクタァ、クトゥグア(共に銃) 招】
【比良坂 初音 アトラクナクア 状 ○ 持ち物 無し 鬼】
585中央へ:04/01/21 17:44 ID:DMuF1KXQ

「……桜井や俺達は何者かによってこの島に呼び出された。……俺はそう思う」
 高町が言う。
 俺達は、つばさを埋めた場所からかれこれ一時間程歩き続けていた。
 ……正直俺は、自分が一体どうしてたのか恐かった。
 あの必殺技みたいなモンを出してから、体が異様に重く感じられ、いろんな場所で血管がぶち切れているのもよく分かっていた。
 いまだに体中が、ありえない程の激痛を訴え続けている。
 ……とりあえず俺は、さっき牛の化けモンをやっつけたときのあの変な力は忘れることにした。
「……誰かが呼んだ、ってのはどうして分かるんだ?」
 俺は高町に聞き返す。
「……理由なんてないさ。誰かが俺達を召喚した、ってことにしておけば、目標を立てやすいだろう?
 当分の目標は、その俺達を呼び出した奴を探す、という分かりやすいものになる。……それだけだよ」
 今まで高町は冷静な奴だと思っていたが結構行き当たりばったりな性格をしているのかもしれない。
「……まあ確かにそうだな。何をすればいいか分からんままだと、動きにくいままだからな。とりあえず、
 俺達をこんな島に呼んだクソ野郎に会って、元の世界に帰してくれるよう、泣きながら懇願し奉る。
 ……それがこれからの方針というわけだ」
「……あぁ。そうだな……」
 高町は真顔で返した。
 ……正直俺は、こいつとはやりづらい。
 確かに今のはツッコミづらかったとは思うが、何も真顔で返すことはないどろ、オイ。
 いつものように鋭いツッコミがないと、生来のボケ担当であるこの舞人くんは何かこう……
 翼のない鳥とか、弾の入ってない鉄砲みたいな、そんな感覚に陥ってしまうではないか。
586中央へ:04/01/21 17:45 ID:DMuF1KXQ
「……それで、桜井なら自分がこの島で一番偉い者になったら、どこに住みたいと思う?」
 なんかまたわけの分からない質問がきた。
「そりゃあお前、アレだろ。この島の真ん中にどでかいビルでも建てて、愚民どもが汗流してんのを
 紅茶でも飲みながらゆっくり拝みたいね」
「……と、いうわけだ。行くべき場所は決まりだな」
 高町が言う。
 ……ああそうか。こいつは島の中央目指して歩いてたんだな。
 確かに、テレビやゲームなんかの悪の親玉でも、大体は舞台の真ん中にいる。
 今のこの島の場合もそういう場所にいると考えるのが妥当だろう。
 ……まあ、黒幕みたいなのがいた場合の話でしかないけどな。
 とは言え、目的地は決まった。
 後はとにかく、突き進むだけだ。

 ……また沈黙。二人分の、引きずるような足音だけが延々と続いた。

「……なあ、高町」
 沈黙に耐えかねた俺は口を開く。
「その腰にある刀って、本物なのか?」
 俺はその刀を指で差す。
「……刀に本物も偽物もない。問題は、どう使うかということだけだ」
「……そうか……」

 ………………

 ……いや、会話終わってるじゃないか!
 こんな会話が続かん奴は初めてだ。
587中央へ:04/01/21 17:46 ID:DMuF1KXQ
「いや、俺が聞きたいのはだな。つまりお前の持っているその刀は、人を斬ったりできるアレかってことであって……」
「……俺の家は剣の道場だ。流派は御神流。正式には永全不動八門一派・御神真刀流、小太刀二刀術という」
「へ、へぇ〜〜〜」
 な、なんだ? ギャグか? え、えいぜん……なに?
「……殺人術だ」
 ゴクリ。
 思わず生唾を飲んでしまった。
 ……高町の言葉には、ギャグとは思えないほど圧迫感があった。
 さすがの舞人くんもこれには黙るしかなかった……。
 しかし……。

「……動くな、桜井」
 高町は低く落とした声で俺を制した。
 いつものように冗談を言ってふざけている場合ではないことは、高町のその目が物語っている。
「……どうしたんだ?」
「何かが……いる」
 高町は目を細めている。敵の場所を探っているのだろうか?
「……さっきの化けモンみたいな奴か?」
「……人間だ」
 それを聞いて俺はほっとする。
「なんだ。じゃあだいじょ……」
「殺気を感じる」
 高町は明らかな動揺を隠せないでいた。
 俺の、杖代わりの斧を握る手も汗でぬめってきた。
 ……まずい。瀕死の男が二人揃ったところで、できることは限られている。
 戦って命を落とすか、逃げるか……
「……囲まれている」
 ……退路は、断たれた。
588中央へ:04/01/21 17:49 ID:DMuF1KXQ
【高町恭也:狩 状態△】
【桜井舞人:招 状態×】
【両者装備変わらず】

マヴラブの連中が全員招かれし者ってことはないと思うんだが……
589名無しさん@初回限定:04/01/21 18:27 ID:+9kzd2SB
基本は書いたもの勝ちなんで。
590名無しさん@初回限定:04/01/21 18:39 ID:LzPRcW8v
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591Hit and Away:04/01/21 22:12 ID:N+OSWCW5
「いいか!ドライ殿は右翼、和樹殿は…」
歳江が指示を飛ばすまでも無く、ドライと和樹はミュラたちに突っ込んでいく。
「おい!私の指示を」

2人は歳江の指示など聞いていないようだった、そしてそのまま乱戦へとなだれ込んでいく
それこそがミュラたちママトト武将の思うつぼだった。

なすすべもなく乱戦となった中で歳江は歯噛みする。
彼らは自分たちの死角になる左側から、一糸乱れぬ陣形をもって斬り込んで来た。
間違い無く戦慣れしている連中だ。
事実、ミュラたちは一対一の状況には決して持ちこませず、常に二対一になるように巧妙な連携を見せている。
和樹もドライも個人的な戦闘能力は高いのだが、こういう集団戦闘には慣れていないのが丸分かりだ。
今や歳江は2人のフォローにてんてこまいで指示を出す暇などなかった。

なんとか距離を取ろうとするドライをさせじと牽制するミュラ、そこへ歳江が割りこむ、
「和樹殿はドライ殿の援護を」
「させねえよ」
ライセンに追いまくられる和樹のフォローにドライを行かせようとした歳江だが、
ヒーローがそれに対応し、すかさずカットに走る。

ドライとヒーローが遣り合う音を聞きながらミュラと歳江が刃を交える。
その力量は互角、だが数合斬り結んだだけでミュラは悟った。
(強い!でもシェンナを斬ったのは彼女じゃないわ!)
自分と互角程度の腕ではシェンナに勝つ事は出来ても、殺すまでには至らないはずだ。
592Hit and Away:04/01/21 22:13 ID:N+OSWCW5
実際、不本意ながら墓から暴いた遺体(墓標に彼女の服が巻きつけられていたのですぐ分かった)
の損傷はほとんどがかすり傷で、致命傷以外に決定的な傷は見つからなかった。
だが、問題の彼女に致命傷を与えたのであろう刀傷だけは、凄まじいまでの切れ味を示していた。
相手はリックには及ばないまでも、ピッテンやバルバッツァ級の剣豪に間違い無い。
「ねぇ?黒いジャケットを着た女の子を殺したのは誰?」
「知らんな、地獄で本人に聞け」
すれ違いざまの斬撃の際にそれだけの言葉を交わすと、2人はまたそれぞれの仲間のフォローに向かった。

「ちくしょうめ」
ドライが銃の照準を合わせようとするが、この状況では彼女の腕を持ってしても味方に当たる可能性が高い。
別に当たっても構わないのだが、やりたい放題が出来たインフェルノの頃とは違う、
ここで味方殺しの烙印を押されるのは得策ではない。
と、焦っているドライのすぐ目の前にヒーローが大剣を振りかざして迫る、とっさに後ろにとび去ろうとした
ドライだが。
「ドライ殿!飛ぶ前にしゃがめ!」
歳江の声にしたがったドライのすぐ頭上をライセンの戦斧がかすめていった。
さらに追い討ちをかけようとするライセンだったが、それは歳江が制止する。

和樹はミュラに阻まれ、援護する事が出来ない。
と、そこで状況が一変した。
「3分!」
ミュラの掛け声と共に、ヒーローとライセンは素早く武器を収めると、
そのまま守備兵を蹴散らし、3人そろって一直線に走り去っていったのだ。
奇襲に失敗した時点で彼らは作戦を修正していた。
斬り込みは3分まで、それを過ぎた場合戦果云々に関わらず撤退するという方向に。
593Hit and Away:04/01/21 22:14 ID:N+OSWCW5
「首はゼロかぁ、まぁ仕方ねぇよな」
森の中を走りながらヒーローが残念そうに言う。
「仕方ないわ…生きていれば何度でも戦える、でも死ねばもうチャンスはないの」
「この調子でいくわよ、一撃離脱はママトト軍の最も得意なやり方だってことを思い知らせてやるのよ」

そのころ残された歳江らは、憤懣やるかた無い表情で突っ立っていた。
所詮寄せ集めなので連携うんぬんは言っても仕方が無いし、個人で出来る限りの力は尽くしたので、
仲間同士の批判は口にしたくない。
彼らは自然と指揮官への不満を口に出していた。
「何が2時間だよ、あの赤毛は!そんなに待っていられるか!」
「我々は所詮コマに過ぎないからな…ふふ、池田屋の時もそうだった」
新撰組の強さを知らしめた池田屋事件、あの時も頼みとしていた会津藩が煮えきらぬ態度を取ったため
不本位ながら、新撰組単独で斬り込むことになってしまったのだ。
「でも、それなりに焦っていましたよ」
「この程度で焦るようなら、ケルヴァン殿の将才も知れたものだな…」

その時だった!倉庫の中から大声が聞こえた。
「みなさん〜ここに爆弾がっ!爆弾がありますよぉ〜」

時間は少しさかのぼる、
カッチ、カッチ。
(何だろ?今何が起こってるの?)
早坂日和は建物の外の物音に耳を傾ける。
アインらが立ち去ったすぐ後にここに到着した彼女は、そのままこの武器庫の中に隠れていたのだ…。
和樹やドライが自ら武器の整理をしていれば容易く発見されたのだが、幸いにも2人は陣頭指揮のみで。
倉庫へは立ち入ろうとはしなかった。
それに偶然ながら彼女が寒さを凌ぐつもりで纏っていたのが光学迷彩シートだったのも幸いしていた。
(このまま隠れていれば……)
594Hit and Away:04/01/21 22:16 ID:N+OSWCW5
カッチ、カッチ
そういえば隠れたときからずっと時計の音がすぐ近くでしているんだけど、何だろう?
日和は音の出所を探す、それは壁の穴に目立たぬように突っ込まれていた。
それは粘土のような物に時計がくっついていて、そこからコードが数本伸びている、そんな代物だった。
「これって…」
兵器知識など微塵もない日和にも理解できた、これは爆弾だ…。
「に…にげなきゃ逃げないと…」
うわ言のようにそればかりを口にする日和だったが、見つからないように棚を移動させたのが裏目にでた、
ひぃひぃ言いながら再び棚をもとの位置にずらさねばならなかったのだから。

さらにようやく棚をずらし終わったと思えば、今度は爆弾のコードが足に絡みつく。
外すのももどかしいので爆弾を手に持ったまま仕方なしにそのまま外へ向かおうとすると
何も無い床で盛大に転び、迷彩シートが外れてしまう。
そんな状態で彼女は3人の目の前に飛び出したのだった。

最初に行っておくべきだろう、彼女は危険を省みず人として正しいことをした…
それは理解してやるべきだろう、だがタイミングが悪過ぎた。
「みなさ」
ドライのハードボーラーが火を吹く。
「ばくだ」
和樹のイングラムが唸りを上げる。
「ありま」
そして歳江の日本刀が日和の首を刎ねたのだった。

「こいつ何しに出てきたんだ?でも殺しちまったのは不味いかもな」
死んだことにも気がつかず、大口を空けた日和の首を蹴飛ばすドライ。
「ドライ殿、死ねばみな仏だ、もう少し丁重にっと…仏はこんな物を持っているぞ」
歳江が片手に持ったもの…それを見た一同は言葉を失う。
歳江が手に持っていたものこそ、先程話題に上がった、まごう事無きプラスチック爆薬だったのだから。
595Hit and Away:04/01/21 22:19 ID:N+OSWCW5

「バッ!バカ!早く投げ捨てろって、あああっそっちじゃーねえよ!」
目ざとい者が早くも逃げ出す中で、ドライは歳江に向かって叫ぶ、が、次の瞬間頭を抱えて絶句する。
歳江は確かに爆弾を投げ捨てた…ただし渦高く積まれた武器弾薬の山の中に。
状況がわからず?マークを浮かべている歳江を和樹が大慌てで引っ張っていく。
「死にたくねぇ奴は早く逃げろー!」
ドライが全力疾走で走る、そこへようやく状況を理解した歳江が和樹と共に追いついてくる。
その時だった、背中に閃光、それから数拍遅れて。
ドカァァァァン
武器庫は木っ端微塵に吹き飛んだのであった。

「あーあ、派手に吹っ飛んでるなぁ」
間一髪で安全圏に脱出できた3人は、盛大に煙を上げる武器庫を見て無責任な言葉を漏らす。
「まぁあたしらが責任を取る事でも無いし、こういうときにこそケルヴァン将軍閣下に役に立ってもらわねーとな」

【土方歳江、ドライ、友永和樹: 所持品 日本刀 ハードボーラx2 イングラム 鬼、状態良】

【ミュラ@ママトト: 狩 状態良 所持品:長剣】
【ライセン@ママトト: 狩 状態良 所持品:戦斧】
【ヒーロー@ママトト: 狩 状態良 所持品:大剣】

【早坂日和@みずいろ: 招 状態良 所持品:大剣】
596B.F. ◆DqN5wpJ8iU :04/01/21 22:45 ID:H8twZ8Xp
作品投下スレで言ってしかるべきだと思うのだが、
↑早坂日和は生きてるのか?
化けモンなの?
597Hit and Away:04/01/21 22:47 ID:4ERiAnfR
>>596
ゴメン・・・

【土方歳江、ドライ、友永和樹: 所持品 日本刀 ハードボーラx2 イングラム 鬼、状態良】

【ミュラ@ママトト: 狩 状態良 所持品:長剣】
【ライセン@ママトト: 狩 状態良 所持品:戦斧】
【ヒーロー@ママトト: 狩 状態良 所持品:大剣】

【早坂日和@みずいろ: 招  死亡】
598葉鍵信者:04/01/21 22:53 ID:ExcPM5+V
まー、生霊化するあゆ互換だし、ありえそうな気もするが(苦笑
599迷いと決断:04/01/22 00:24 ID:Vjd/H0L9
「私達って今、ゾンビっていうもんなのよね?」
「ケルヴァンさんの説明では幽霊みたいなものだと聞いていますが・・・どうかしました?」
後方を歩く芹沢の問いに対し振り向くことなく、鈴音は答えた。
「幽霊だとするとね?私達はご飯とかは食べれないわけよね・・・歳江ちゃんがっかりしないかなぁ」
「あー、そうですねぇ。せっかく生き返ったのにお餅食べれなかったらがっかりしそうですね」
芹沢と並んで歩く勇子が、なんだかうれしそうに話込んでいる。
「それだけならいいんだけどねー。格好いい殿方とかいても・・・そのできないってことなのかな?」
「は、はぁ・・・」
「まだまだ世の中には、たっくさんいい殿方がいるのに手を出せないとなると悲しいなーって。
化けて出てもおかしくないくらい未練たらたらだったんだから」
ふと首を傾げて
「でも身体はあってちゃんと物を触れるわけだから・・・」
「まあ、私は歳江ちゃんと・・・みんなが一緒に居れたらそれが1番ですから」
自分もそう思っていた。
勇子がほわわんと局長席に座ってて、芹沢が何かやらかして、歳江がそれを怒って・・・
そんなのが楽しかったのだ。
なのに・・・沙乃は・・・裏切った。
次会った時は・・・せめて自分の手で引導を渡そう。それが仲間の務めでもある。
「次に気にいった殿方がいたらできるか試してみようなぁ」
そんなどうでもいいことでも芹沢はすごく真剣な表情だ。
あの人は自分のやりたいことをやっている。
自分もあのように・・・しかし今はケルヴァンからの任務の遂行が第一だ。
また冥府に戻されてはたまらない。
600迷いと決断:04/01/22 00:25 ID:Vjd/H0L9
勇子が不意に立ち止まった。
「誰か・・・いるね」
「駆除対象って奴でいいのかな?」
「それは調べてみないと・・・って、あ」
すでに相手を包囲するように動き始めていた鈴音と、芹沢は勇子のあげたすっとんきょうな声に立ち止まった。
「召喚者の資料・・・歳江ちゃんが持って行っちゃった」
「ありゃ、じゃあどうする?今回は見逃し?」
「えっと・・・気配から察するに2人ですね・・・しかもかなり疲労しているみたいです。
なんなら2人とも捕らえてあとで調べたらいいのでは?」
「・・・そうしましょうか」
己の失態を恥じたのか、少し頬を赤らめながら勇子は答えた。
頷きあって新撰組は相手を包囲するように陣形を構えた。

包囲が終わったところで相手はこちらに気づいたようだ。
1人は小太刀を構え、もう1人は今にも倒れそうな顔で斧を振り上げた。
(私もあんな風に見えていたのかな・・・)
鈴音は斧を必死の形相で構える男を見て過去の自分を思い出してしまった。
絶対に・・・もう戻りたくない!
新撰組の面々は同時に飛び出し攻撃を開始した。

「来るぞ!桜井!」
「化け物以外に人斬りまでいるってのか・・・ったく!」
(桜井は戦力として期待することは不可能、あまつさえ多勢に無勢、止めに神速は使えないか・・・)
恭也は一瞬襲撃者が女性であることに驚いたが躊躇いなく左手で飛針を投げつけた。
鈴音は難なく刀で叩き落とす。その隙を逃さず恭也は狙いすました必殺の突きを繰り出す。
(御神流奥義、射抜!)
まだ鈴音の刀は飛針を叩き落とした格好のままである。
(もらった!)
次の瞬間鈴音の姿が・・・視界から消えた。
(─!まさか向こうも神速を!?)
601迷いと決断:04/01/22 00:26 ID:Vjd/H0L9
次の瞬間・・・恭也は太刀もろとも吹き飛ばされていた。
それでも恭也は立ちあがり戦おうとしたが

背後から
「少し静かにしてて下さいね」
腹部に感じる衝撃と共に意識が遠のいた。

「あっけないわねぇ・・・」
芹沢は物足りないように不平を漏らした。
ちなみに高町恭也が飛針を投げた段階で桜井舞人は芹沢の手によって気絶させられている。
「筋は悪くなかったですよ・・・ただ疲労のためか剣が全く冴えてませんでしたが」
あっさりとした口調で酷評をする鈴音。
恭也が鈴音の動きを神速と間違えたのは疲労のために鈴音の動きに反応できずにいたからに過ぎない。
「目的は達成しましたし、いいじゃないですか」
最後に恭也に蹴りをして気絶させたのは勇子である。
得物が銃剣つきライフルであるために殺害の危険性があるために待機していた。
「中央に近いのが幸いですね。この人達放り込んで歳江ちゃんと合流しましょう」
「でも2人とも結構いい感じよねー・・・魔力持ちだったら生かしてもらえるだろうから誘惑しちゃおっと♪」
「歳江ちゃ・・・副長に怒られますよー」
わざわざ副長と言い直して芹沢をたしなめる。

その様子を見ながら─鈴音は結局新撰組が、彼女達が好きなんだと改めて思うのだった。
(沙乃・・・戻ってこないかな)
先程の決心もむなしく・・・
志を違えたとはいえかつての仲間を、歳江のように割り切って斬ることは鈴音にはできそうもなかった。
(だから・・・やっぱりもう一度話しあって・・・そしたらわかってくれるよね?)
(ずっと一緒だったんだから)
602名無しさん@初回限定:04/01/22 00:27 ID:Vjd/H0L9
それぞれの状況

【高町恭也:狩 状態× 装備没収(装備なし)】
【桜井舞人:招 状態× 斧はその場に廃棄(装備なし)】
【新撰組:状態、装備共に変更なし。】

603名無しさん@初回限定:04/01/22 00:36 ID:EvO5N3gA
金色の眠りから覚めて 誰の心もミステリアスマインド
命の色は一つなのにBraek up braek up荒んだプラネット
息づく星のエナジーむさぼるように
飛び立つ空を壊されても

You can finght ○○○○
瞬く宇宙のデスティニー染めて
You can finght ○○○○
形を変えて秘密の瞳
燃え上がれWe hope in only world
604名無しさん@初回限定:04/01/22 00:37 ID:EvO5N3gA
すまん誤爆・・・
605名無しさん@初回限定:04/01/22 00:45 ID:GxprvJEr
なぜトランスフォーマー誤爆…
606葉鍵信者:04/01/22 02:45 ID:M+UtcpbA
咲く悪夢


 武器庫を強襲したママトト三人組。
 ヒーロー、ミュラ、ライセンは、そのまま南へと逃走した後、一息ついていた。

 「取りあえずよぉ、次はどうするよ?」
 焚き木を燃やしながら、巨体を幹に腰掛けヒーローは話し始めた。
 「敵の戦闘力は予想以上ね。 でもこうやって一撃離脱を繰り返せば勝機はあるわ」
 「それにリック達が合流してくれれば、遂行しやすくなる……」
 バチバチと燃える焚き木を囲い、三人は休息を取りつつあった。
 「!? 誰か来る!?」
 ライセンが声を出すや直ぐに三人はエモノを構えた。
 がさがさと草が枝が揺れる音が聞こえる。
 「さっきのヤツラの追っ手か…………それとも」
 大剣を握る手に力が入る。
 段々と音は近づいてくる……。

 来る!?

 今まさに謎の物体が三人の目の前に姿を現した。
607咲く悪夢:04/01/22 02:46 ID:M+UtcpbA
 「HAHAHAHAHAHAHAHA!!」

 明るい笑い声と共に額のはげたグラサンおっさんが姿を出すと共に
三人共、気が緩んで武器を落としてしまった。

 慌てて、武器を拾いなおして構えなおすも何だかやる気がそがれる三人。

 「Oh、ユーたちは、ここで何をしているのでぇすか?」
 オッサンは、ひたすら明るかった。
 その明るさに三人は、すっかりやる気をなくす。
 「え、あ、私たち、気づいたら訳のわからないここに飛ばされてて……」
 「元の世界に帰りたくて、方法を探してる最中なんです」
 「それは、ベリーバッドですね」
 何か言い方のおかしさに違和感を持ちながらもヒーローが続けて喋る。
 「けど、仲間が殺されちまってよ。 その仇を打つために今紛争してる所なんだ」
 「それはもしかぁして、北の武器庫を襲ったりしましたかぁ?」
 「ああ、そうだぜ……」 
 「ヒーロー、離れて!!」 
 ミュラが大声を上げると、ヒーローは「何が?」と言った顔をするが
 すぐさま、事の重大さに気づいたか、後ろへと飛びのいた。
 「あなた……。 何故それを知っているの!?」
 「HAHAHAHAHAHAHA!! 気づかなければ、余の手下として生き延びれたのかもしれんのにな」
 あやしいおっさんから感じられる雰囲気も口調もがらりと変わった。
 重苦しく、圧倒的な威圧感が三人に伝わってくる。
608咲く悪夢:04/01/22 02:47 ID:M+UtcpbA
 「あいつらの仲間ね……」
 口を切ったのは、ライセンだった。
 「仲間? 違うな、ヤツラは余の駒に過ぎん」
 「っつーことは、こいつは大物が出てきたな……。 悪いがこのまま返すわけにはいかねぇぜ!!」
 ヒーローの握る大剣に再び力が入る。
 「くっはっはっは……。 三人でまとまれば、余に勝てると思ったか。
  よかろう、持つものと持たざるものの決定的な違いを教えてやる!!
 はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! メェタァモォル!!」


 「何ぃ!?」
 三人は一斉に声を上げた。
 あやしいおっさんの姿が光、みるみると凶悪なアークデーモンの姿へと変化したのだ。
 「さぁ、来るがよい。 精々無駄な力を試すがいい」
 「うおおおおお!!」
 ヒーローがおっさんへと大剣を振り下ろした。
 「小ざかしい、吹き飛べ!! ソニックインパクト!!」
 おっさんの手から魔弾が発射され、そのままヒーローの身体へと当り後方へと吹き飛ばしていく。
 「がはっ!!」
 ヒーローは、そのまま後方の木に叩きつけられる。
 「ヒーロー大丈夫!? ならば、これはどう!?」
 今度は、スピードを重視し、虚をついた一撃をミュラが狙う。
 真っ向勝負をせずにおっさんを翻弄させようとスピードの勝負に出る。
 対しておっさんは、動かずじっとしているだけである。
 (誘っているのかしら……。 対した自信ね……。 それが命取りよ!)
 「貰った!!」
 おっさんの後ろから後頭部へかけての斬撃を繰り出す。
609咲く悪夢:04/01/22 02:48 ID:M+UtcpbA
 「え!?」
 だが、剣はそのまま頭のあった位置を通り過ぎてしまう。
 「魔法使いだからといって、動きが遅いとでも思ったか?」
 「あっ!?」
 ミュラの後ろからおっさんの声が聞こえてきた。
 「何時の間に!?」
 「さらばだ」
 ダメだ、避けられない。とミュラは思った。
 「させない!!」
 横からライセンがアックスを振り回して突撃してきた。
 「邪魔だ!!」
 おっさんは手をライセンへと向けるとそのまま衝撃波をうち放つ。
 「うあ!?」
 ライセンもヒーローと同じく、そのまま後方の木へと叩きつけられる。
 「ライセン!?」
 その隙をついて、ミュラはおっさんから逃げ飛ばされたライセンの元へと駆け寄る。
 「しっかりして、大丈夫!?」
 「だ、大丈夫だ……。 このアックスじゃなければ、危なかったな」
 ライセンは、アックスを盾代わりにする事によってなんとか衝撃波によるダメージを防いでいたのだ。
 「良かった……。 ヒーローは?」
 ライセンの無事を確認するとミュラは、ヒーローの方を見る。
 「……まだまだやれるぜ」
 此方も再び立ち上がると大剣を構えなおす。
 「HAHAHAHAHAHAHA!! 余は、まだこれっぽっちも本気になっておらんぞ?」
 三人の顔が険しくなる。
610咲く悪夢:04/01/22 02:48 ID:M+UtcpbA
 「逃げましょう」
 ミュラが口切った。
 「なっ、敵の親玉を前にして逃げれるかよ!? それにまだ始まったばかりだぜ!?」
 「ミュラの言う通りよ。 どうあがいても今の私たちの戦力ではあいつには勝てないわ」
 興奮するヒーローをライセンが説得にかかる。
 「いい、向こうから攻撃してくる気がない今がチャンスなのよ」
 「ちくしょう……」
 「1、2の3で私が焚き木を蹴りつける。 それを合図に後方へ全力疾走するぞ」
 「解ったわ……」
 「くそ……」
 「いいか、1……2の……3!!」
 ライセンが足元にあった焚き木をそのままおっさんへと蹴りつける。
 「何の真似だ」
 おっさんが目の前に来る焚き木を払うと目に見えたのは、全力で逃げる三人である。
 「もう少し楽しめると思ったのだが……。 所詮はゴミか。
  飽きたわ。 死ね、グラヴィトロン!!」

 「成功か!? ぐぁぁぁぁぁあああああ!!」
 「うあぁああああぁあああああ!!」
 「くぅうううぅうううう!!」
 「か、身体が押しつぶされる……」
 「ち、ちくしょおおおおおお!!!!!!」
 三人を……。 いや三人の周囲一体が通常の数十倍の重力場と貸していた。
 「惜しかったな。 余でなければ逃げれただろうに」
 後ろからゆっくりと迫ってくるおっさん。
 「くそおおおおおおおおおお!!」
 ヒーローが叫ぶ。
 「さぁ、もっと強くしてやろう。 これで終わりだ」
 「だ、ダメか……!?」
 三人は死を覚悟した。
611咲く悪夢:04/01/22 02:50 ID:M+UtcpbA


 「バイ・ラ・ウェイ!!」

 突然、叫び声とともにとてつもないスピードの斬撃が幾重にも後方からおっさんを襲った。

 「何!? くっ、何者だ!?」
 咄嗟に防御魔法を発動させ、避けようとするものの間に合わず肩を一度切りつけられる。
 「バカな!? 不意打ちとはいえ、このメタモル化した余の身体を切るだと!?」
 それとともにかかっていたグラヴィトロンの効果が消え、三人はなんとか立ち上がりながらおっさんの方を見た。
 「「「リック」」」
 三人の声が一致した。
 リックは、バイ・ラ・ウェイを放った後、おっさんが気づく前に速攻で三人の下へと駆け寄る。
 まさに地獄から救いに来てくれた救世主である。
 「三人とも無事か!?」
 「ふん、相当な剣の使い手のようだが、それでも余の相手ではないわぁ!!」
 おっさんが魔力を集め始める。

 「くそ、なんて化け物だ。 肩の傷ももう治ってやがる」
 「それより、でかいのが来る!?」
 「お前ら、とんでもないのを相手にしてたんだな……。 とにかく逃げるぞ」
 「でも、またあの魔法が!?」
 「つべこべ言ってる暇があったら、走れ!!」
 リックが三人を激励させ、再び四人で後方へ走り始める。
 「無駄な事を……」
 おっさんが今まさに魔法を放とうとした時。
612咲く悪夢:04/01/22 02:55 ID:M+UtcpbA
 「させるかぁ!!」
 ヒーローが一人おっさんの方へと突撃していく。
 「死にに来たか!!」
 グラヴィトロンの詠唱をキャンセルし、おっさんはヒーローを吹き飛ばす。
 だが、ヒーローは、飛ばされるも直ぐに再び立ち上がり、突撃しようと構える。
 「バカ、何やってんだ!! ヒーロー!!」
 リックが走りを止めて、ヒーローへ向かって叫ぶ。
 「みんなは、先に行っててくれ!! ここは俺が時間を稼ぐ!!」
 「無茶言うんじゃねぇ!! お前を置いていけるか!!」
 「このまま四人いっしょに逃げたら、全滅だ!!」
 「ヒーロー……お前……」
 その言葉とヒーローの顔の険しさに三人は悟った。
 「すまない……」
 「あやまんなよ……。 この役目は、一番耐えれそうな俺にしかできねぇ。
  気にすんな、後で絶対に追いつくからさ」
 「ああ……」
 精一杯の笑顔でふっと笑うヒーローへ三人はできる限りの笑顔で答えると走るのを再開した。

 三人が走り去っていくのを見送るとヒーローは、再び目の前の敵に向かって構えを取る。
 「仲間の為に死ぬつもりか……」
 「へっ、ただじゃぁ、やられないぜ……」
 大剣を握り、再びおっさんへと突撃を繰り出すヒーロー。
 「バカの一つ覚えしかできんのかぁ!!」
 ヒーローは、また前と同じく魔法で後方へと吹き飛ばされる。
 「どうだかな……。 うおおおおおおおお!!」
 再び立ち上がり突撃し、少しでも仲間の為に多く時間を稼ごうとする。
 「はぁはぁはぁ……。 どうした? 俺はまだ死んじゃいないぜ!!」
 「いい加減にあきたわぁ!!」
 「がはぁっ!?」
 四度目、それも今までの物とは違った一撃がヒーローの腹にHitした。
 だが今ので肋骨が折れ、内蔵が破裂しても彼は再び立ち上がろうとした。
 足が震える、力が入らない。 それでも大剣を支えにして何とか立ち上がる。
613咲く悪夢:04/01/22 02:55 ID:M+UtcpbA
 「藻屑と消えろぉ!! スタァァァァシュゥゥゥゥトォォォォ!!」
 ヒーローの目の前に星のように魔弾が降り注いでくる。
 「ああ、これまでか……。 一足お先に行かせてもらうぜ。
  後は、頼んだ……。 みんな」
 彼の意識は薄らいでいった。
 しかし降り注ぐ魔弾に身体を貫かれながらも、彼の顔は安らいでいた。
 
 「ふん、屑の癖に粘りおって……」
 目の前の怪獣が絶命したのを確認すると、ヴィルヘルムは死体を跡形もなく燃やし分解するのだった。
 「逃げおおせたか……」

 一方、三人はまだ走っていた。
 目に涙を浮かべながら、悔しさを糧にして、今は生き残る事しかできない
 自分達の無力さを呪いながら。
 (絶対に、ヒーローとシェンナの仇を取る!!)
 三人の思いは一つだった。

【ミュラ@ママトト: 狩 状態良 所持品:長剣】
【ライセン@ママトト: 狩 状態良 所持品:戦斧】
【リック@ママトト: 狩 状態良 所持品:パイロード】
【ヒーロー@ママトト: 狩 死亡 所持品:大剣】
【ヴィルヘルム・ミカムラ@メタモルファンタジー 状態良 鬼】
614名無しさん@初回限定:04/01/22 05:53 ID:RXXF1COf
すいません。ここに来ているリア房はここで
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1066832929/l50
とらハを書いて叩かれまくったやつなんです。どうか放置してあげてください
615名無しさん@初回限定:04/01/22 05:55 ID:RXXF1COf
そのスレの114から読んでみてください 
616名無しさん@初回限定:04/01/22 11:46 ID:QhtIqqsU
(´-`)。oO( 読んだけどよくわかんなかったよ・・・ )
617不敵・1:04/01/22 14:22 ID:GU+aL1/s
ここで時間は武器庫襲撃直後に遡る。

『あんっあんっあんッ!』
『がはははははははは!』
要塞内のある一角に、不必要なまでに豪奢な扉があった。
その左右には、門番らしい人らしき者が二人立っている。
何故「人らしき」者なのかと言うと、片方が甲冑を身に纏った骸骨で、
もう片方が体こそ人間だが首から上が馬だからである。
『んっ!ランスぅ!もっと、もっとぉ!』
『がははははは!可愛いぜカレラちゃん!』
『やんッ♥抜いちゃ駄目!駄目だってばぁ!』
『安心しな、ここを……こうやってッ!』
『ひああっ!こっ、こんなのぉ!』
『どうだ?悪魔でもこんな姿勢ですんのは初めてじゃないか?』
『あんっ!ひっ、久しぶりよぉ!』
『チッ、経験済みか……だが、俺様のハイパー兵器でこうするとな……っ!』
『あひぃっ!最高、最高よぉっ!ランスのコレ、太さも硬さも最高なのぉ!』
『くっ……そっちこそ流石は悪魔、カレラちゃんの締りも最高だぜ!』
『嬉しい……♥ねえ、イッて、アタシの中でランスのお汁出しまくってよぉ!』
既に数時間、こう言った声がその扉の中から漏れ続けている。
「……ブヒィィィィン!もう我慢できねぇ!」
扉向かって左に立つ馬男が、突然嘶きを上げた。
見れば、その股間は『馬並み』の言葉に恥じずその辺の奥様方が見れば溜息が出て
腰をくねらせそうな程に激しくいきり立っている。
「ヒヒィィン!お、俺も混ぜろぉ!」
もう一度嘶き、部屋に突撃しようと馬男は扉に手をかけた。それを後ろから羽交い締めにして
必死に抑えようとする右の骸骨。
「やめるでヤンス〜!」
「止めるなカトラ!あんな声延々聞かされて我慢できる程俺は年寄りじゃねぇ!」
618不敵・2:04/01/22 14:22 ID:GU+aL1/s
「スタリオン!さっき同じ事言って突っ込んで、ランスの兄貴に殺されかけたの
 忘れたでヤンスか!?」
「……………」
スタリオンと呼ばれた馬男の動きが止まる。
よく見れば、彼の着ている鎧には大きな亀裂が入っていた。
また、馬の顔の為に分かりにくいが眼の所に握り拳大のあざが残っている。
「……クソッ、面白くねえ!」
毒づきつつ扉の手を放す。
「大体、何であんな人間の言う事を聞かなきゃならねぇんだ!?」
「仕方無いでヤンスよ」
カトラはそう言って(骸骨なので表情は変わらないが)苦笑する。
それに激昂するスタリオン。
「何が仕方が無いだ!?ここに召還されたばっかりの俺達に『お前等、雰囲気が手下っぽい
からこれから俺様の子分』って言ってきただけじゃねえか!」
「それで『俺達に勝てたらなってやるぜ!』って言って襲いかかって、二人とも一撃で
 負けたでヤンス」
「あ、あれは召還されたてで油断してたからだ!今度やったら……!」
「本気で殺されると思うでヤンス。ランスの兄貴、ありゃ下手すると魔界の者以上の
 強さと鬼畜な魂を持っているような気がするでヤンス」
「カトラ!手前どっちの味方……!」
と、そこでスタリオンは急に言葉を止めた。

廊下の向こうから、一人の騎士が歩いて来る。
その風情、峻厳にして高潔。
2mを越す体躯と、背負われたそれ以上に巨大な剣。
真紅に彩られた板金鎧に顔以外の全身を包みながらも音一つ立てぬその姿。
1400の齢を重ねたヴァンパイアにしてロードヴァンパイアに仕える騎士、ギーラッハである。
619不敵・3:04/01/22 14:23 ID:GU+aL1/s
「ギ、ギーラッハの大将、お疲れ様ッス!」
「ギーラッハの大将、お疲れ様でヤンス!」
自分達とは比較にならないほど上級の『闇の者』であるギーラッハに対し、緊張した礼をする二人。
ギーラッハはその礼に僅かに首を頷かせて返すと、カトラに視線を向けた。
「……ランスと言うのはこの中か?」
「は、はいぃ!そうでヤンス!」
少し声を裏返らせて答えるカトラ。
その返事が終わるのを待たず、ギーラッハは扉に歩み寄った。
『フフ、また大きくなった♥』
『わはははは。当たり前だ、俺様のハイパー兵器は発射無制限だぞ』
『ランス、今度はアタシが上になるわ……思いっきり動いてあげる……♥』
聞こえてくる声。しかしギーラッハの表情には小波一つの揺らぎも見えない。
「あ、あのギーラッハの大将!アッシが呼びますから少し待って……!」
焦るカトラの声を無視し、ギーラッハは扉を開けた。

まず部屋に入ってギーラッハを出迎えたのは、匂いだった。
大量の汗と愛液、精液が入り混じったむせ返るような淫臭が鼻を突く。
ある意味、恐ろしくシンプルな部屋だった。
方形型の部屋の中央に5〜6人は入れるであろう巨大な円形ベッド。
枕の付近に手の届く位置に小さなテーブルがあり、上には果物や料理、
酒が手を付けられずに置かれている。
まさしく『飲む、食う、交わる』以外の目的が存在しない空間であった。
620不敵・4:04/01/22 14:24 ID:GU+aL1/s
そのベッドの上で絡み合う二人の男女。
不敵な笑みを浮かべ、大の字になって女のするがままに任せる若い男。
決してマッシブと言う訳では無いが引き締まった肉体は、実践でその筋肉がトレーニングではなく
実践で磨かれた物である事を物語っている。
どこか悪戯好きな子供を思わせる顔立ちは20前後と言った所だろうか?
「ほらぁ……入っちゃうわよ。ランスのおちんちん……♥」
そして、男の屹立した肉棒を潤んだ瞳で見つめつつゆっくり腰を落す肉感的な美女。
「はあぁ……!」
むっちりとした尻肉がぷるりと揺れ、口から悩ましげな吐息が漏れる。
強気そうな吊り眼とショートカットの緑髪が良く似合う女性であった。
只一つ、頭から生えた二本の角が彼女が人で無い存在―――悪魔である事を示している。
「うっ、動くね、動くわね……!」
進入してきたギーラッハに気付いていないのか、あるいはあえて無視しているのか。
彼女、悪魔カレラは腰を激しく上下させる。
サイズ90cmを遥かに超えるであろう巨乳が揺れ、室内の淫臭が更に濃さを増す。
その光景は、経験の少ない少年であれば見ただけで射精してしまうかもしれない程に淫らなものであった。
「……邪魔をする」
だが、ギーラッハはその光景を無感動に見やるとベッドに近寄った。
「んっ!んっ!ランスぅ♥おっぱい、おっぱいも揉んでぇ!」
「がははははは!こうか!?こうかぁ!?」
「違うのぉ!もっとぐにぐにって激しく!潰れちゃっていいからぁぁ!」
―――しかし、ベッドの上の二人は全く反応しない。
「……………」
対して、ギーラッハはそのまま無言でベッドの傍らに立つ。
「……シュールな光景でヤンス」
「……だな」
部屋の外から恐る恐る中を見るカトラとスタリオンはそう呟いた。
621不敵・5:04/01/22 14:25 ID:0LjSBTER
と、下からカレラの胸を揉みしだくランスの眼が初めてギーラッハを見た。
「ったく……お前、ギーラッハだったか?ン百年生きてる割には気の利かんヤツだな」
「……臨戦時に交わってしかおらぬ貴様に何故気を使わねばならん?」
重々しい声。そこには明らかな苦味が混じっている。
「分かってねぇなあ……よっ!」
「あはぁぁっ!そっ、そこグリってしちゃ駄目!全部ぅ、全部アタシがイカせるのぉ!」
腰の一突き、腹上のカレラの声が一際高く上がる。
「で?」
「ヴィルヘルム様からの勅命だ。つい先刻、武器庫の一つが襲撃を受けた。
 また『招かれざる者』達の抵抗も無視できないものになりつつある。
 ランス、及びカレラ。お前達も要塞防衛の任から離れ『狩り』に移れとの事だ」
「……まだあんだろ?」
口を閉じるギーラッハに先を促すランス。
ギーラッハはほんの僅か眉を動かすと、再度口を開く。
「……なお、その際お前達が『招かれざる者』を捕獲した場合、好きにして良いとの事だ」
「フン、だろう……な!」
「アウウッ!」
深々と突き込まれ、カレラの背が弓なりにしなる。軽く達したようだ。
「だとさカレラちゃん!聞こえるかい?」
「うんっ!聞こえる、聞こえるわっ!ランスぅ、可愛い男のコ、生かしてくれる!?」
「がはははは!カレラちゃんこそ嫉妬して女の子壊すなよ?ほらっ!」
「あんっ!だ、大丈夫だよぉ!アタシぃ、女の子も……大好きだからぁっ!
 ンンッ!ラ、ランス、イクね、イクねっ!」
「ああ、お、俺様も……出すぞ!」
「出してっ!ドクンドクンってランスのせーえき出してぇっ!」
瞬間、二人の動きが停止する。
「………ッ!」
「あああああぁぁぁっ!」
622不敵・6:04/01/22 14:26 ID:0LjSBTER
「……用件は以上だ、出立を急げ」
両者が絶頂に達する姿を、ギーラッハは相変わらずの無表情で見下ろすとベッドから背を向けた。
「待ちな」
その背中にかけられるランスの声。
「……何だ」
「俺様からも伝えて欲しい事がある。だからこっち向け」
「……………」
横柄な言葉に、ギーラッハは憮然としつつも振り返る。
「!?」
刹那、ギーラッハは自分の首の前に篭手を翳した。
そこに突き刺さされる剣の刃。
「チッ……流石は伊達に年は取ってないようだな」
交わったままのランスの右手に、一振りの剣が握られていた。
見れば、枕の下に鞘が一振り敷かれている。
「……これが、伝言か?」
「い〜や……ギーラッハ。お前が俺様を『取るに足らない奴』と思ってたみたいなんで
 何となく腹が立った。それだけだ」
「……成る程」
ギーラッハの唇がかすかに歪む。腕に刺さった剣を抜き、再度背を向ける。
「……訂正しよう」
金属同士の衝突音。
「くっ!?」
今度はランスが驚きの表情を見せる。
一瞬前に背を向けた筈のギーラッハが、ランスの方を向いていた。
その胸の位置では、ランスが突き入れた剣がギーラッハの背負っていた筈の大剣で止められている。
「……噂に違わぬな、『鬼畜戦士』殿」
「……あんたもな、『紅の騎士』」
「……そーゆーの『男の友情』ってヤツ?」
横からかかる、からかうような声。
そこには、何時の間にかランスの肉棒を抜き、身支度を終えたカレラが立っていた。
まあ、身支度と言っても局部だけを隠した全裸とさして変わらぬ姿ではあるのだが。
623不敵・7:04/01/22 14:27 ID:0LjSBTER
「ンなワケあるか……おい、俺様は着替えるからさっさと出て行け」
「承知した」
ランスがパタパタと手を振ると、今度こそギーラッハは背を向け部屋を退出した。
「おいスタリオン、俺様の着替えは用意できてるか?」
「へ、へいランスの兄貴!おいカトラ、用意できてるよな!?」
「ええっ!?スタリオン、ソレはスタリオンの仕事だったはずでヤンス!?」
歩き去る背後で騒々しい会話が続く。
ギーラッハは、その喧騒から離れつつ一つの疑問を感じていた。
(分からぬ……何故ヴィルヘルムはあのような男に拘束を与えておらんのだ?)


【ランス@ランスシリーズ:狩(但し下克上の野望あり) 状態○ 装備:リーザス聖剣】
【カレラ@VIPER-V6・GTR:招(その場の気分次第) 状態○ 装備:媚薬】
【スタリオン@ワーズ・ワース:狩 状態○ 装備:長剣】
【カトラ@ワーズ・ワース:狩 状態○ 装備:長剣】
【ギーラッハ@ヴェドゴニア:状態変化なし】
624「不敵」の書き手:04/01/22 17:00 ID:TiIoe4a5
最後のプロフィール、『狩』と『鬼』を全て間違えとりました。申し訳ない。
正しくは↓


【ランス@ランスシリーズ:鬼(但し下克上の野望あり) 状態○ 装備:リーザス聖剣】
【カレラ@VIPER-V6・GTR:招(その場の気分次第) 状態○ 装備:媚薬】
【スタリオン@ワーズ・ワース:鬼 状態○ 装備:長剣】
【カトラ@ワーズ・ワース:鬼 状態○ 装備:長剣】
【ギーラッハ@ヴェドゴニア:状態変化なし】
625Hit&Away (改正):04/01/22 19:16 ID:wdU/HGV5
「いいか!ドライ殿は右翼、和樹殿は…」
歳江が指示を飛ばすまでも無く、ドライと和樹はミュラたちに突っ込んでいく。
「おい!私の指示を」

2人は歳江の指示など聞いていないようだった、そしてそのまま乱戦へとなだれ込んでいく
それこそがミュラたちママトト武将の思うつぼだった。

なすすべもなく乱戦となった中で歳江は歯噛みする。
彼らは自分たちの死角になる左側から、一糸乱れぬ陣形をもって斬り込んで来た。
間違い無く戦慣れしている連中だ。
事実、ミュラたちは一対一の状況には決して持ちこませず、常に二対一になるように巧妙な連携を見せている。
和樹もドライも個人的な戦闘能力は高いのだが、こういう集団戦闘には慣れていないのが丸分かりだ。
数というものは使い方を間違えればただのデメリットになりかねない、特に人間同士では…
いかに強力でもコントロールできない力に意味は無いのだ。
今や歳江は2人のフォローにてんてこまいで指示を出す暇などなかった。

なんとか距離を取ろうとするドライをさせじと牽制するミュラ、そこへ歳江が割りこむ、
「ドライ殿は和樹殿の援護を」
「させねえよ」
ライセンに追いまくられる和樹のフォローにドライを行かせようとした歳江だが、
ヒーローがそれに対応し、すかさずカットに走る。

ドライとヒーローが遣り合う音を聞きながらミュラと歳江が刃を交える。
その力量は互角、だが数合斬り結んだだけでミュラは悟った。
(強い!でもシェンナを斬ったのは彼女じゃないわ!)
自分と互角程度の腕ではシェンナに勝つ事は出来ても、殺すまでには至らないはずだ。
626Hit&Away (改正):04/01/22 19:20 ID:wdU/HGV5
実際、不本意ながら墓から暴いた遺体(墓標に彼女の服が巻きつけられていたのですぐ分かった)
の損傷はほとんどがかすり傷で、致命傷以外に決定的な傷は見つからなかった。
だが、問題の彼女に致命傷を与えたのであろう刀傷だけは、凄まじいまでの切れ味を示していた。
相手はリックには及ばないまでも、ピッテンやバルバッツァ級の剣豪に間違い無い。
「ねぇ?黒いジャケットを着た女の子を殺したのは誰?」
「知らんな、地獄で本人に聞け」
すれ違いざまの斬撃の際にそれだけの言葉を交わすと、2人はまたそれぞれの仲間のフォローに向かった。

「ちくしょうめ」
ドライが銃の照準を合わせようとするが、この状況では彼女の腕を持ってしても味方に当たる可能性が高い。
別に当たっても構わないのだが、やりたい放題が出来たインフェルノの頃とは違う、
ここで味方殺しの烙印を押されるのは得策ではない。
と、焦っているドライのすぐ目の前にヒーローが大剣を振りかざして迫る、とっさに後ろにとび去ろうとした
ドライだが。
「ドライ殿!飛ぶ前にしゃがめ!」
歳江の声にしたがったドライのすぐ頭上をライセンの戦斧がかすめていった。
さらに追い討ちをかけようとするライセンだったが、それは歳江が制止する。

和樹はミュラに阻まれ、援護する事が出来ない。
と、そこで状況が一変した。
「3分!」
ミュラの掛け声と共に、ヒーローとライセンは素早く武器を収めると、
そのまま守備兵を蹴散らし、3人そろって一直線に走り去っていったのだ。
奇襲に失敗した時点で彼らは作戦を修正していた。
斬り込みは3分まで、それを過ぎた場合戦果云々に関わらず撤退するという方向に。
627Hit&Away (改正):04/01/22 19:22 ID:wdU/HGV5
「仕方ねぇよな、すまねぇシェンナ」
森の中を走りながらヒーローが残念そうに言う。
奇襲が失敗した以上、あれ以上とどまるのは自殺行為だ、援軍が来るまでそれほど時間はかからないだろうし
それに敵の中に自分たちと互角に戦える手練もいる。
何より敵を討つまで退くなだの、全滅するまで戦えなどというアナクロな精神論は彼らには無縁だった。
無論彼らにも意地があった、だがそれを貫いて討死では意味が無い、
命にはそれに相応しい捨て時があるのだ。
「仕方ないわ…生きていれば何度でも戦える、でも死ねばもうチャンスはないの」
「それにシェンナならきっと言うわ、俺の敵を討つひまがあるならナナスを探せって」
それは彼女と同じ根無し草の傭兵稼業であるライセンだからこそわかることだ。
そこでミュラが唐突に立ち止まり2人に向き直る。
「みんな聞いてちょうだい!これから先この中の誰が死んでも絶対に敵を討とうだなんて思わないで!
ナナスを見つけるまでは、その屍を踏み越えて行くのよ」

「ああ、俺たちが全滅しても大将が無事ならそれが俺たちの勝利だ!」
ヒーローが高らかに応じる。
「ナナスさえ無事ならきっと立て直せる、ママトト軍の絆の深さを見せてやるのはそれからでもいいわ」
「この調子で次々といくわよ、一撃離脱はママトト軍の最も得意なやり方だってことを思い知らせてやるのよ」

「でもその前にシェンナに謝りにいかないと…ね」
3人はシェンナの墓へとその足を向ける。
「お互い命は大事にしねぇとな、俺ァ大将の泣き顔が一番堪えるんだ」
ふとしみじみとヒーローはライセンに話かける。
「そうね、ナナスを悲しませるわけにはいかないから」
628Hit&Away (改正):04/01/22 19:26 ID:wdU/HGV5
そのころ残された歳江らは、憤懣やるかた無い表情で突っ立っていた。
所詮寄せ集めなので連携うんぬんは言っても仕方が無いし、個人で出来る限りの力は尽くしたので、
仲間同士の批判は口にしたくない。
何よりも戦った気がしないのだ、まるでパンチを待っていたら羽毛でなでられた、そんな拍子抜けした感もある。

彼らは自然と指揮官への不満を口に出していた。
「何が2時間だよ、あの赤毛は!そんなに待っていられるか!」
「我々は所詮コマに過ぎないからな…ふふ、池田屋の時もそうだった」
新撰組の強さを知らしめた池田屋事件、あの時も頼みとしていた会津藩が煮えきらぬ態度を取ったため
不本位ながら、新撰組単独で斬り込むことになってしまったのだ。
「でも、それなりに焦っていましたよ」
和樹がフォローを入れるが、ドライと歳江は堂々と指揮官批判を繰り広げる。
「日和ったんじゃねーのか?気ィ小さそうだしな」
「この程度で焦るようなら、ケルヴァン殿の将才も知れたものだな…」

【土方歳江、ドライ、友永和樹: 所持品 日本刀 ハードボーラx2 イングラム 鬼、状態良】
【ミュラ@ママトト: 狩 状態良 所持品:長剣】
【ライセン@ママトト: 狩 状態良 所持品:戦斧】
【ヒーロー@ママトト: 狩 状態良 所持品:大剣】
629デリリューム:04/01/22 19:27 ID:wdU/HGV5
「せっかくだけど…」
「そんなことより家に返してほしいよ」
目の前の2人、アーヴィとハタヤマの返事を聞いて、アイはため息をつかずにいられない、
大体からして無理があるのだ。
いきなり親兄弟・友人たちから引き離されてこんなわけのわからない場所に連れてこられた上に
我々と共にステキな世界を築きましょうと言われて、はいそうですかと納得する馬鹿がどこにいる。
あまりにも虫が良すぎる話というものだ。
んなもん関係ないからとっとと家に帰してくれと言うのが普通だろう。
おそらく考えたやつは自分の考えのすばらしさに酔って、客観性を欠いているとしか
言い様がない。

それでもこの馬鹿げた話に協力しないと今度は自分の代わりに秋俊がここに放り込まれる。
それを思うとアイの胸は張り裂けんばかりに痛む。
不本意だが仕方がない…目の前の女とぬいぐるみには死んでもらおう。
所詮行きずりの他人の命など何の価値も無い、自分には秋俊が全てだ。
アイはロッドを構え、戦闘態勢を取る。
アーヴィもそれを見て、ハタヤマをかばうように前に出るのだった。

決着は一瞬でついた
例によって一撃で決着を付けようとしていたアイの機先を制するようにアーヴィの魔法がアイにヒットする。
それはダメージ皆無の火花のようなものだったが、魔法に集中していたアイの集中を乱すには十分だった。
詠唱のスキを付かれて動きが止まったアイの懐に飛び込み、雷を纏った拳をアイの胸に押し当て、
一気に放つ、これで終わった。

決してアイの魔法使いとしての能力がアーヴィに対して劣っているわけではない、
むしろアイの力量はアーヴィの力を大きく凌ぐ。
常に全力勝負が要求される魔物相手と戦ってきたアイと、限られた力でいかに効率よく多くの敵を倒すのか、
それが求められる戦国の世で戦ってきたアーヴィ、その差が出ただけだ。
630デリリューム:04/01/22 19:28 ID:wdU/HGV5
アイの動きを封じたアーヴィは止めを刺すべくまたその手に光を宿す
彼女らの目的が目的なだけに交渉は不可能だ、後顧の憂いをなくすため、敵はすみやかに討つ。
美しい顔をしてはいるが、アーヴィはやはり戦国の将だった。
「ま!待って!」
そこへ猛然とハタヤマが割って入る。
「なんで殺すのさ、別にそこまでしなくてもいいじゃないか」
「ね、君ももうこんなことしないよね?ね?」

「お願いだよ…許してあげて」
アーヴィはアイの顔を見つめる、その瞳は未だに戦意を失ってはいない。
それにその表情は敵からの情けを屈辱と受け取っているのが明白だ。
やはりここは殺すしかない…。
「だめだよ…殺しちゃだめ、どうして、みんな仲良く出来ないのさ…」
ハタヤマはアイの体に覆い被さるようにして、必死でアーヴィを説得する。
アーヴィには理解できなかった、なぜこのぬいぐるみは見ず知らずの他人に対してここまで出来るのか。
だが、これと似たシーンがあったように思える…あれは確か。
(そうだ、兄さん)
アーヴィはナナスのことを思い出していた、ナナスもよく口にしていた。
「誰も戦で死ぬことのない平和な世界がきっと来る、と」

いつの間にかアーヴィの手から力は抜けていた。
目の前のこの少女がまた誰かに牙を向くことは確実だが、それでも兄の想いを、
誰もが戦わなくてすむ、そんな世界を作ろうと戦場よりも過酷な戦いを挑もうとしている兄の
理想を思い出してしまった以上、もうアーヴィにアイを殺すことは出来そうになかった。

アーヴィは無言でアイに背中を向けて立ち去ろうとする、その背中に冷たい声が飛ぶ。
「後悔するわよ…」
「もうっ!君もそんなこといっちゃだめ!君は笑ってればきっともっとかわいいはず…」
そこまで言って、ハタヤマの視界が赤く染まった、いや視界だけではなく体も…
アイの手から伸びたロッドがアーヴィの腹部を貫いていたのだ。
「ほらね、後悔した」
631デリリューム:04/01/22 19:31 ID:wdU/HGV5
アイはまだ余力を残していたのだ、確かに最初の一撃は不覚だったが、
やられたふりはフェイクに過ぎない。
アイはアーヴィを串刺しにしたまま、ロッドをぐいっと持ち上げそのまま彼女を谷底へと放り投げた。
まるで糸の切れた操り人形のように転落していくアーヴィ。

残されたハタヤマは自分の全身を朱に染めるものが何なのか理解できなかった。
何かのかはしっかりと眼に焼き付けられていたというのに、
なぜ?なぜ?なぜ?なぜ?
自分の責任だ自分のせいでアーヴィがアーヴィがアーヴィが、
悪いのはぼくぼくぼくぼく、ちがうちがうおまえだおまえだ。」
全身に激痛が走る、自分の体がメッタ刺しにされているのだ…だが体の痛みより
心の痛みの方が遥かに応える。
それは裏切った痛み、裏切られた痛み、自分の体が熱い、自分の中の何かが叫んでいる。
やっちまえやっちまえやっちまえ、うらぎられたうらぎられたうらぎられた。
でもちがうちがうちがう。

断っておくが、彼とアーヴィは別に恋人でも何でもなかった、出会ってまだ一日も過ぎていない
だがそれでもそれでも…。

ずくんずくんずくん、その何かがマグマのように自分の前面へと出てこようとしている。
もう抑えられない。
「ゆ…ゆるさない」
血を吐くような叫びと共にハタヤマの全身から針のような触手が飛び出した。
632デリリューム:04/01/22 19:32 ID:wdU/HGV5
闇魔法メタモル…己の姿を自由に変化できる魔法だ。
ハタヤマヨシノリ、その潜在能力の高さは誰もが認めるところだったが、
その力は最悪の形で覚醒した。
アーヴィを殺された怒りと自分の甘さへの後悔、目の前の少女への憎悪
それらが闇魔法を媒介に一気に爆発したのだ。
そしてこの瞬間、この島に集ったすべての招待者たち、いわゆる潜在的魔力保持者たちは
ハタヤマの慟哭に感応し、頭をハンマーで殴られたような衝撃を感じていた。

そしていまやハタヤマは形容し難い異形の何かへと変化してしまっていた。
その姿をあえて言うなら、そう、前衛芸術家ならこう名づけるだろう、絶望、と

「命の価値を見誤るからこうなったのよ」
アイは目の前の惨状を見ても他人事のように呟く。
「でもこれで心置きなくあなたを殺せるわ、すぐに楽にしてあげるから」
アイの眼がくわっと見開き、紅の瞳が爛々と輝く、それは戦いの喜びに満ち溢れた
まさに戦士のそれだった。


ハタヤマが己の罪にもがき苦しんでいたころ、そこから数十メートル下でなんとアーヴィは生きていたのだ
腹部を貫かれ谷底に突き落とされた彼女だったが、地面から約50センチの所で
奇跡的にも木に引っかかり即死を免れていたのだった。
だが危険な状況には変わりはなかったが…魔力を帯びた攻撃で傷口を灼かれたのが幸いした。
おかげであれほどまでの出血はすでに収まっていたが、腸が腹から飛び出してぶらんと垂れ下がっている、
このままだと腹膜炎で苦しみながら死ぬことになるだろう。
こうなると意識があるのが恨めしい、なにやら頭を殴られたような衝撃を受けた後は
何をしても気を失えなかった。

弱肉強食は戦国の世の掟、つらくとも仕方ない、その順番が回ってきたというだけの話だ
彼女もまた将として多くの者たちに理不尽な死を強いてきた。
少し早すぎる気がしないわけでもなかったが・・・
「兄さん…」
それだけを口にすると彼女は心の整理を始めた。
633デリリューム:04/01/22 19:41 ID:wdU/HGV5
狂乱する異形の怪物とそれをあしらうように翻弄する魔法少女
その様子を司令室で見ているのはケルヴァンだ。
彼の見た限りでは、もはやハタヤマは助からないように思えた。
怒りと絶望と後悔で暴走している上に、闇魔法がそれに拍車をかけている。
その原因となったアーヴィはかろうじてまだ生きているようだが、だからといって
ハタヤマの怒りが解けるはずもないだろう。
むしろいまさらのこのこと出ていけばたちの悪い喜劇にしかならない。
もっともただで済ませることが出来る者を一人だけ知ってはいたが…

その者、ヴィルヘルムがどう動くのか、ケルヴァンの興味はその一点にあった
ケルヴァンは作戦執行前夜を思い出す。

「我が理想世界を形成する愛すべき民は、これことごとく我に賛同するのが当然!
そこには疑問など存在の余地も無い!彼らはすぐに知ることとなる、自分が選ばれし民だという名誉を」
と一同を前にヴィルヘルムは高らかに宣言する。
「しかしそれでも中には納得出来ない者もいるかもしれませぬが、それについてはどのような処遇を?
ケルヴァンの言葉にヴィルヘルムは不快げに応える。
「我が高邁たる思想を即座に理解し得ぬ者は、我が理想の礎と成らざるを得ぬだろう」
「その言葉に嘘偽りはございませんな」
「無い」
アイが指摘した通り、ヴィルヘルムは自分の理想に酔いしれていた、彼の脳内世界では
彼に逆らう者など存在しないのだろう、

そして彼はヴィルヘルムがハタヤマを高く評価しているのを知ってもいた。
さて、どう出るか。
634デリリューム:04/01/22 19:45 ID:wdU/HGV5
そして彼はヴィルヘルムが内心ハタヤマを高く評価しているのを知ってもいた。
さて、どう出るか。
自分の定めたルールに従い見殺しにすればそれはそれでよし、
麗しき師弟愛とやらでハタヤマを救えば、朝礼暮改という反逆の大義名分が出来る。
どう転んでも損はない。

画像ではすでに何本もの触手をアイの魔法によって切断されながらも、未だに慟哭の叫びを上げながら
暴れまわるかつてハタヤマだった何かの姿が鮮明に映っていた。 
「記憶を消してくる可能性もある、映像はちゃんと記録しておけよ」

【ハタヤマ・ヨシノリ@メタモルファンタジー(エスクード):所持品なし、状態 異形化・暴走 招】
【アーヴィ:所持品:魔力増幅の杖、状態瀕死 招】
【アイ:所持品:ロッド 状態良好 鬼】
635科学の申し子:04/01/22 20:34 ID:fklV07Fk
彼─江ノ尾忠介は人生で最大クラスの感動を味わっていた。
「まさかこの僕をアブダプション(誘拐)するなんてね・・・どこの異星人かは知らないが科学への挑戦と受け取ろう」
自室でいつも通り遺伝子組み換え実験を行っていた彼は、突然解剖中の蛙から噴出した光によって気づいたら『ここ』にいた。
『ここ』とは全く見知らぬ森の中である。
「しかし・・・まさかあのpkjtqg@mfla(あまりにもグロいため当局の検閲削除、
補足:遺伝子実験に使われた生物らしい)異星人の仲間だったとは」
・・・
「突っ込みがないと悲しいじゃないか、靖臣」
しかしこの森の中には彼以外の人影はなかった。
「こういう理不尽な状況には絶対巻き込まれていそうな靖臣がいないとは。まるで一人で話して狂人みたいだよ」
こんなことをいうとお前の存在が理不尽だ、とか元々狂人だろうと突っ込みが入るのだがこの場でそれができるものはいない。
普段つるんでいる彼の悪友はここにはいない。

不幸中の幸い、言っていいのだろうか。
彼の周りには術式用の道具のケースが、いくつかの中身の満たされた小瓶。
そして彼の暇つぶし用に作ったコンクリートの地面に穴をあけることができる改造エアガン(当然違法だ)。
636科学の申し子:04/01/22 20:52 ID:fklV07Fk
しかし彼はそんなものには目もくれないであるものを探している。
「・・・困ったものだな。ノートが見当たらないとは」
研究者の命ともいっていい研究成果を記したノートだけが、その場にあった物で見当たらない。
「成る程・・・あれが目的だったわけか」
別にUFOがどうとか、なんでもプラズマとか言い張るような人間ではない彼はもっと現実的な可能性を考え始める。
そして・・・結論は間もなくでた。
「まさかこの江ノ尾忠介より先に物質転移装置を完成させている人間がいるとは!
ぜひ科学のあり方について話し合いたいものだ・・・」
現実・・・的な・・・可能性・・・を・・・

まあ、あながち物質転移装置というのは間違ってはいないのだが。
しかし彼はそれにいきつくまでの理論が無茶苦茶であった。
その場にあったものを全て回収し、(なぜか彼の白衣の中に物が全て納まった)エアガンを構え───撃つ。
木の幹に無数の穴があいた。
さすがに貫通まではしていないようであるが、彼の目的は銃が使えるかどうかを確かめる事だったので威力は気にしない。
こんな辺鄙な場所だ。
野犬が出るかもしれない。
自衛のための武器はあるに越したことはない。
彼はこの世界での第一歩を踏み出した。

ぐじゅ

ぐじゅ?なにか踏んだようだ。
彼は足をあげその下にあったものに視線を向ける。
ああ、そういえばもう一個あの場にあって彼が持っていないものがあった。

蛙だ。
637研究者の誇り:04/01/22 20:53 ID:fklV07Fk
忠介がこの島における第一歩を踏み出してから10分程。
忠介は歩みを止め、ある作業に没頭していた。

「ほう・・・これは興味深いね」
しかしそれでいて彼のメスの動きは止まることはない。
辺りには焦げたような臭いが充満しているが彼は忠介は一向に気にした様子はない。
この異臭の発生は・・・彼の行動の結果、すなわち、
メスで斬ることができなかったミノタウロスの頭を少し塩酸をかけて溶かしたことである。
このせいで小瓶の中身は半分になってしまったが・・・それでも見合う成果はあったようだ。
このミノタウロスは桜井舞人が魔力を覚醒させた際に倒したものであるが、それは忠介の知るところではない。
「しかし・・・見事だ。頭部は外見上牛の物であるにもかかわらず、脳の大きさは人間そのものだ」
そして恐らく・・・これは解剖していないので見解であるが、人間の物ではなく闘牛の筋肉が頭以外の部分にはあるのだろう。
忠介は、これほどまでの見事な遺伝子改造を施すことはまだできない。
「ふむ・・・発展しすぎた科学は魔法と区別できない・・・か。先人はよく言ったものだ」
このミノタウロスはまぎれもなく魔法が生み出したものではあるのだが・・・それに気づくことができない程、科学によってでも不可

能ではないと考える事ができるくらい発展した科学が悪いのであろうか。
「それでは、僕はもしかすると試されているのかもしれないね。僕をここに呼んだものは・・・僕の研究を盗むことではなく
、才能を、その成果を吟味して・・・」
(僕に託そうとしているのか?)
忠介の頭脳が、今までとは違う結論を導き出し・・・忠介は狂ったかのように笑いだした。
「はっはははっはっは・・・・」
638研究者の誇り:04/01/22 20:54 ID:fklV07Fk
一転、真顔に戻る。

専門的に研究を重ねていた遺伝子技術。それをはるかに超えるものである目の前の物体。
いずれは自分の手で。そう考えていた、物質転送装置。
「どうやら・・・この島の主は僕と科学のありかたについて議論する気はないらしい」
自分よりはるかに優れた技術を持つこの島の主にとって科学のあり方を自分と議論する必要はないのだ。
そういうことは、ある分野で1番の科学者達がやるものだ。
一般的にはどうだか知らないが彼はこのような考えを持っていた。
なぜこの島に呼ばれたのか、どうやらこの島の主は・・・彼に物質転送装置と遺伝子に関する技術を渡すつもりなのだ。
それが科学者江ノ尾忠介の誇りを傷つけた。
「この島の主は、僕には物質転送装置を発明できないものだと考えているらしい。それどころか遺伝子改造に関してもこのLvに到達

できないと?」
眼下の物体を忌まわしげに見つめると道具ケースからバッテリーを取り出し、
電動ノコギリでミノタウロスの皮膚を切り取り始めた。
数十分後作業を終えた忠介は、ミノタウロスの皮膚を小瓶から取り出した液体で貼り付ける。
これで用意はいいだろう・・・。
荒事になる可能性とて否めないのだ。
そのおかげでバッテリーが切れ電動ノコギリは使えなくなってしまったが些細な問題であろう。

江ノ尾忠介は、この島の主に交渉しに行かなくてはならない。
この島より脱し・・・この島の主の研究成果を越える物を作り出さなくては。

【江ノ尾忠介@秋桜の空に :招 状態◎ 所持品、改造エアガン、手術用道具入りケース、
液体の入った小瓶3個(うち1個は、塩酸残り半分)、
ミノタウロスの皮膚を貼り付けた服(白衣ではない)ミノタウロスの皮膚の強度は>>400などを参考に】
639葉鍵信者:04/01/22 21:43 ID:M+UtcpbA
何思う

 ハタヤマの触手は何度も引きちぎられ、段々とダメージが蓄積されていく。
 単純な魔力のぶつかり合いなら、ハタヤマに分があった。
 だが、アイはその手の相手のスペシャリストである。
 もし、人間へとハタヤマが変身できていたら、勝っているのは彼だっただろう。
 今のハタヤマは絶望に陥り、憎しみと怒りのままに暴れるだけである。
 そんな相手に冷静なハンターであるアイが不覚を取るはずもなく……

 「あうぅうううぅぅぅぅ…………」
 
 ダメージが、疲労が臨界点を超えた時。
 ハタヤマの身体がだんだんとしぼんでいく。
 元のぬいぐるみの姿へと戻っているのだ。
 
 「ちくしょう……。 よくもよく……」

 泣きながら、嘆きながら……。 やがてハタヤマの意識は消えた。

 「ここまででね……」

 アイが意識を失って倒れたハタヤマへとロッドを伸ばす。

 「やはり来たか!?」
 司令室で使い魔を通して、見ていたケルヴァンが叫んだ。
640何思う:04/01/22 21:44 ID:M+UtcpbA
 そうアイのロッドはハタヤマへと届かなかったのだ。
 地面から映えたツララが、彼女のロッドを打ち砕く。

 「なっ!?」
 
 驚愕する彼女がハタヤマの周りを見渡す。
 まるで彼を守るかのように、ハタヤマを中心に回りにツララが生えている。

 「ご苦労だったな……。 後は余がやる。 貴様は元の仕事に戻れ」

 森の方から、ヴィルヘルムがゆっくりと姿を現した。
 
 「……従わない者は糧となって貰うのでは?」
 おそるおそるアイがヴィルヘルムへと不満をぶつける。
 「貴様の……。 いやケルヴァンのおかげでこいつらを飼いならすチャンスができたという事だ」
 一瞬、ヴィルヘルムは使い魔の方へとニヤリと笑って見せた。
 「解りました……。 総帥がそう仰るなら従いましょう」
 アイは礼をすると、下がり消え去っていった。

 「くっはっはっはっはっは!!」
 司令室にケルヴァンの笑い声が響き渡る。
 「やれるものなら、やってみるがいい!!」
641何思う:04/01/22 21:46 ID:M+UtcpbA
 段々と意識が戻ってくる。
 そうだ……。 ぼくはあいつに向かっていって……。 適わなくて……。
 アーヴィちゃんは!?

 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁあぁあああぁぁぁあぁ!!!!」

 叫び声を上げながらぼくは目覚めた。

 「OH!! ミスター・ハタヤマ!!」

 目覚めたぼくの前に突如として、浮かび上がる校長の顔。

 「禿ヘルム!!」

 「ノオオオオオオオオオオオオオオ!! アイ・アム、ヴィルヘルム!!」

 夢じゃない。 ぼくの前にはハゲが立っていた。
 でもなんでこんな所にハゲが?
 ぼくやアーヴィちゃんみたいに飛ばされたのかな?

 「ミスター・ハタヤマ。 大丈夫でぇすか?」

 そうだ、アイツは!? アーヴィちゃんは!?
 意識を戻すとぼくは直ぐさまに当りを見回した。

 「アーヴィちゃん!!」

 ぼくの横にアーヴィちゃんが横たわっている。
 どうやら意識を失っているようだ。
 生きてる!? 怪我は!?
 彼女の身体をくまなく見てみる。 けど服のやぶれ以外に外傷は何もなかった。
642何思う:04/01/22 21:46 ID:M+UtcpbA
 「まさか校長先生が?」

 「HAHAHAHAHAHAHA!! イエース。 危ない所でした」

 そういえばこのハゲって魔法に関してだけは、世界一といってもいいくらい凄いんだよね。
 
 「いやー、流石校長先生。 助かりましたよ」

 助けてくれたお礼をハゲにする。

 「ミスター・ハタヤマ……」

 な、なんかハゲがまじだよ? 凄い真剣な顔で話し掛けてくる。

 「ユーの最近の魔法の上達振りは素晴らしかった。
 入学した時はただの落ちこぼれだったのが、今では禁断の闇魔法をメタモル魔法を覚えるとは……」

 げ、さっきのぼくの変身してた姿を見られた!!
 まずい、まずいよこれは……。
 けど、ぼくの心配とは裏腹にハゲは喋りだす。

 「憎しみや悲しみ、怒りに捕われて魔法を使ってはいけない」

 !? ぼくはビックリした。 さっきのぼくの心情を知っているからだ。

 「魔法とは……。 本来全ての生き物に眠っている素晴らしい力なのだ。
  人々は努力し、その力を開花させる事によって魔法を覚える。
  それぞれ自分の中に眠っている力なのだ。
  それは願いを叶える力、何かを思う心によってより強くなる」
643何思う:04/01/22 21:48 ID:M+UtcpbA
 「突然何を言い出すんですか……」

 「だが、その力を決して間違った方向へと向けてはならん。
  怒りや悲しみ……。 負の感情で使うべきものではないのだ」

 校長が何を言いたいのかがなんとなくだけど解る。
 さっきのぼくは負の感情に捕われていた。

 「欲望に捕われて使う魔法より、何かのために使った時こそ、魔法は真の力を発揮する」

 なんとなく、篠原さんに怒られているような気がした。

 「ハタヤマよ。 余の元に来ないか? 余の元でより強くならんか?」

 なんとなく校長が何者か解る。
 断れば命がないかもしれない。 けど……。

 「すみません、校長先生。 ぼくはみんなのいる世界に帰りたいんです」

 「何故だ?」

 「アーヴィちゃんがそう願うからです」

 まだ会って数時間しか経ってないけど、それでもぼくは彼女の為に何かをしたかった。

 「そうか……。 ならば、それをやってみるがいい。 そして強くなれ。
  その時、余は再び貴様の前に姿を現そう」

 その言葉を残して、校長はぼくの前から姿を消していった……。
644何思う:04/01/22 21:49 ID:M+UtcpbA
 『随分とハタヤマを高く評価してますね……』
 移動するヴィルヘルムへとケルヴァンの念話が届く。
 『これで彼らはより強くなる。 その時こそ彼らは余の計画に欠かせぬ者となろう』
 『歯向かうかもしれませんよ』
 『何のタメに恩をわざわざ売っていると思うのだ?』
 『ですが、総帥ご自身がルールを破られては部下への示しが……』
 『ケルヴァンよ……。 先に破ったのは貴様ではなかったか?』
 『まさか!?』
 ケルヴァンは驚愕した。
 あれを把握されていたからだ……。
 『上村雅文……。 こやつを殺さず暗示をかけ、殺戮者と化させたな?』
 『ぐっ…………』
 『双子の回収は良くやった。 だが何故あのような事をした?
  それにより望む者が殺される危険性は考えなかったのか?』
 『…………』
 『貴様は、そうやって殺戮者を作り出すことにより、人を極限状態へと陥りさせ、
 望みの王の誕生を待とうとしたのであろう?』
 ケルヴァンは、総帥のいわんとしている事がわかった。
 等価交換。 今回の事は互いに目を瞑れという事である。
 『解りました。 今回の件に関しての追求は止めましょう』
 『それでいい』
 『ですが、忘れないで下さい。 あまり目に余る行動をされると部下の中には不満を抱くものも現れます』
 次は此方にも考えがある。 ケルヴァンの言葉はそう意味している。
 『肝に銘じておこう』
645何思う:04/01/22 21:52 ID:M+UtcpbA
 「アーヴィちゃん、気が付いた?」

 校長が去った後、アーヴィちゃんがやっと目を覚ました。
 
 「え、ここは? グラサンの人が私の前にきた後……」

 ぼくは、何があったのかをアーヴィちゃんに説明した。

 「ごめん……。 ぼくのせいでアーヴィちゃんを……」

 ぼくはひたすら謝りつづけた。
 そうする事しか考えが浮かばなかったからだ。

 「ハタヤマさん、私は怒ってなんかいませんよ」
 「えっ!? ぼくのせいで死にかけたのに……」
 「私の兄さんも同じ事を言う人なんです……。  
  ハタヤマさんの姿が兄さんの姿に重なって……。
  それで攻撃できなくなった私にも非があります。
  だから、あんまり自分を責めないで下さい」

 アーヴィちゃんがにっこりと笑顔を向けてくれる。
 ぼくには、それが眩しかった。
 
 「それにしても、ハタヤマさんが思うには私たちを助けてくれた方が犯人であると?」
 「うん……。 そんな気がするんだ」
 「……中央に行ってみませんか? そこで全てを見極めましょう」
 「でも、また危険な目に会うかもしれないよ!?」

 できるなら、もうアーヴィちゃんを危険な目に会わせたくない。
646何思う:04/01/22 21:52 ID:M+UtcpbA
 「大丈夫です。 今度は私も不覚を取りません」
 「強いんだね、アーヴィちゃんは……」
 「私から見たら、ハタヤマさんの方が強いですよ」
 「そうかな……」
 「そうですよ、ハタヤマさんはもっと自分に自信を持ってください」

 そうだ、ぼくがこんな所でイジイジしてるわけにはいかない。
 彼女の為にも、今度こそぼくが何とかしなくちゃ!!

 「よし、任せてよ!!」
 
 絶対に彼女の笑顔を守るんだ!!

【ハタヤマ・ヨシノリ@メタモルファンタジー(エスクード):所持品なし、状態○ 招】
【アーヴィ:所持品:魔力増幅の杖、状態△(病み上がり) 招】
647誓いと別れ:04/01/22 22:30 ID:/XnaDu0K
「あの建物が武器庫なのか?」
 白銀武が眼を細め、遠くの方にある建物を見やる。
「人が見当たらないわね……。武器庫というのだから、見回りの人くらいいると思うのだけど……」
 榊がそんな呟きを漏らす。
 彼女の言う通り、建物周辺に人影は無かった。
 それがママトトの武将達の襲撃で警備兵が倒された為だと、彼等が判らぬのも無理は無いが。
「まあともかく行ってみようよ。とりあえず僕達には、それしかないんだから」
 尊人が皆に向かって笑いかける。壬姫の死から一番早く立ち直ったのが彼、鎧衣尊人だ。父親に世界中に連れ回されている、という経験から、人の死というものにはなれているのかもしれない。
 とはいえその笑みはぎこちなく、いつもの彼を知っている者から見れば、無理をしているという事がはっきりと判る。
「……そうだな。迷っていても仕方がねぇし。よし、行くぞ!」
 武は皆に向かってそういうと、また止めていた足を動かし始めた。
 
「しっかし、随分すっきりしちまったなぁ……」
 辺りを見回してポツリと呟く。
 ママトトの武将達の襲撃や、それによる戦線逃亡者によって、ほとんどいなくなってしまった警備兵の姿。
 武器庫周辺は、ひっそりと静まり帰っている。
「本当に、すっきりしちまったなぁ……」
 ドライは先ほどの台詞をもう一度繰り返す。
「ドライさん」
「おう、和樹か。どうだった?」
 和樹がドライの言葉を聞くと、ゆっくりと首を横に振る。
「武器のいくつかが使用不能に陥っていた。襲撃に備える為に武器庫から外に出していた物の幾つかは無事だったけど、倉庫内の弾丸や火薬の類は全滅していた」
「水でも撒きやがったか、あの野郎……」
 ドライは足元にあった小石を力の限り蹴り付ける。
 苛立ちを隠さぬまま、己の頭をガリガリと掻いた。
「ママトトの奴等、やってくれるよ……。さて、この基地をこれからどうするかね。二度も襲われて、ケルヴィンの旦那も大変だろう……」
「ドライ殿、和樹殿! 向こうから誰かが……」
 歳江がドライの言葉を遮るようにして二人の名前を呼ぶ。
 彼女の指し示す先には深い森がある。
「また襲撃かぁ? かんべんしてくれよな……。和樹、サムライ。油断するんじゃねぇぞ!」
 ドライの言葉に、他の二人は黙って頷いた。
648誓いと別れ:04/01/22 22:31 ID:/XnaDu0K
「お前等。両手を上げて動くんじゃねぇ」
 武達が森を抜けるとほぼ同時に、暗がりからそんな声が聞こえてきた。
「誰だ!」
 冥夜が腰の刀に手をかけようとするが、その動きは一発の銃声によって遮られる。
「動くな、って言ってんだ。とりあえずこっちの言う事にゃ従った方が得だと思うぜ? あたし以外にも、お前等を狙っている奴がいるんだからな」
 武達は、その声のいうがままに両手を上げ、視線だけを周辺へ飛ばす。
「いい子だ。そういうガキは嫌いじゃないぜ。さて、それよりも質問だ。どうしてこんな所に来ている? 襲撃者にしては、武装が貧弱だよな?」
「……俺達は初音っていう女から、ここに来れば武器を貰えると聞いて、それで……」
「初音ぇ? 聞いた事無いな。そいつ、どんな奴なんだよ?」
 武達の表情に戦慄が走る。
「長い黒髪のセーラー服を着た、俺達と同じくらいの年齢の女の事だよ! マジで知らないのか!」
 武が焦りながら言葉をまくし立てる。
「いいや、知ってるさ。サムライ、和樹。どうやらこいつらはマジでババァ関係の人間らしいな。とりあえず警戒は解いてもよさそうだ」
 声のする暗がりから一人の女性の姿が現れる。金髪の少女、ドライの姿が。
 今までまったく気配の無かった場所からも、二人の人間の姿が現れた。
「三人……!」
 冥夜が呟く。彼女が気配すら感じ取れなかった人間が二人もいた。ドライを含め、腕の立つ人間三人を相手に、武側でまともに戦えるのは冥夜一人。
「タケル。何が起ころうと、そなた達は私が守る」
「冥夜……お前」
「おまえ、おまえ、おまえ……」
 こそこそと話す武と冥夜の姿を見て、ドライが思わず大きなため息をついた。
「いちゃつくのは後でやってくれや。で、ババァに言われて武器を貰いに来た、お前らの目的はそれでいいんだな?」
 武達はそろって頷いた。
「しかし、残念だが、お前等に武器は渡さない、つか、渡せないって言った方がいいか?」
「どういう事だよ! 俺達は……!」
「待てよ。ほら、あそこに建物が見えるだろ?」
 ドライは武の言葉を遮ると、自分の後方を指差した。
649誓いと別れ:04/01/22 22:32 ID:/XnaDu0K
「あそこに山ほどあった武器は、親切な方々によって無茶苦茶にされてしまいました。よってあんた達に貸し出せるほどの武器は無い、OK?」
 そう言ってからニヤニヤと笑うドライに向かって、綾峰が一歩足を踏み出してから口を開く。
「あまりは? 本当に全部駄目になったの?」
 ドライはその言葉を聞いて大げさに肩をすくめる。
「鋭いねぇ。あんたが言う通り、確かに多少はある。だが、それはあたし達のもんだ、あたし等としても武器や火薬は必要だからね。どうしても武器が欲しかったら、他の武器庫や、或いは中央にでも行くんだな。まあ、大変な重労働だとは思うけどね」
「俺達にはどうしても武器が必要なんだ! 頼む、少しでいいから分けてくれ!」
 武が叫ぶ、すると、今まで黙っていた和樹が初めて口を開いた。
「何故君達はそんなに武器が欲しいんだ?」
「……仲間を。大切な仲間を殺した男がいる……。俺達は、俺達の手でそいつの事を……」
 ドライが、ヒュ―、と口笛を鳴らす。
「貴様! 我等を愚弄する気か!」
 冥夜が刀に手を伸ばす。
 ドライは苦笑しながら、銃を構えていない方の腕を振る。
「いやいや、違うさ。復讐か、いいねぇ、実にいいねぇ。お前等、気に入ったよ。オイ、和樹、サムライ! わたしはこいつ等に武器を分けてやる事に決めた! 文句はあるか?」
 和樹と歳江は二人揃って首を振る。
「僕は無い。大切な人を守りたいという気持ちは、なんとなくだけど判るから」
「私も同様だ。仲間の仇を取る事は、武士として当然の事。その者達に手を貸さぬ理由は無い」
 ドライは武達の方へ向き直ると、ニヤリと笑みを浮かべる。
「向こうの建物の近くに、残った武器が収められている箱がある。その中から、好きなだけ、とは言えないが、一人一つくらいなら持っていっていいぜ」
「あ、あの……! 本当に……いいの?」
「ん? 不服かい?」
 純夏の言葉に、ドライが顔を動かさずに視線だけを向けた。
「あ、違う……けど」
「どうした? くれるって言ってるんだから、ありがたく頂いておこうぜ」
「そ、そうだね……」
 武の言葉に、純夏は頷いた。しかしその動きはどこか不自然だった。
「あんた達、サンキューな。大切に使わせてもらうよ」
650誓いと別れ:04/01/22 22:33 ID:/XnaDu0K
 武がドライの方へ向かってそういうと、彼女も片手を挙げてそれに答える。
「ああ、健闘を祈る……ってな。ああ、そうそう。武器を選んだら、一応わたし達に確認だけはさせろよな。その時に使い方も教えてやるよ」
 武はドライとそんな言葉を交わしてから、武器庫の方へと歩き出した。
 他の仲間達もその後に続く。
 しかし各々の表情が明るくなる中、純夏の表情だけが暗かった。
 
「綾峰さん、貴方弓なんて扱えたの?」
 サブマシンガン、拳銃、ナイフや手榴弾等、先ほどドライが口にした箱の中には、幾つかの銃刀が収められていた。
 数が少ないといったが、それは元々あった全体の数から鑑みると、という事だったのかもしれない。
 その中で、綾峰慧が手にしたのは、一つの弓だった。
「前に珠瀬に少しだけ教わった事がある」
「そう……」
 思わず榊の口調が暗くなる。
 アガリ症で、大会ではいい成績を残せなかったが、珠瀬壬姫の弓はかなりの腕前だった。
 慧はこう言っているのだろう、珠瀬の仇は珠瀬自身が取る、と。
「それに一応これも」
 良く見ると、綾峰の腰の辺りが少し膨らんでいる。
「貴方らしいわ……」
 一つだけという約束をいとも簡単に破る、その綾峰の行動に榊は思わず苦笑する。
「榊は?」
「わたしは銃器なんて扱った事無いもの。そこにあったものから適当に選んだんだけど……」
 S&W、44マグナム。
 その銃の持つ破壊力は絶大、しかもスライド式の為扱いやすい。
 反面、その絶大なる威力の反動故に持ち手を選ぶという性質も持つ。
 無論、女子供にはまったく向いていない銃である。
651誓いと別れ:04/01/22 22:33 ID:/XnaDu0K
「ふーん」
 綾峰は気の無い返事を返す。
 二人共、銃というものの知識は持ち合わせていなかった。
 
「武。なんかこうやって、武器を選んでいたりすると、バルジャーノンを思い出さない?」
 尊人が武に向かって笑いかけながら、そんな言葉を口にした。
 バルジャーノンとは、武達の元の世界で流行っていた、対戦式のアーケードゲームの事だ。
「ああ、そうだな」
 武も思わず笑みを返す。
 しかし笑みを浮かべていた尊人の表情はすぐに暗くなった。
「……僕達、元の世界に帰れるかな?」
 武は、尊人の顔に視線を向ける、そしておもむろに手を伸ばすと尊人の髪にその手を置いた。
「……帰れる! 当たり前だろ!」
「わっ! やめてよ、武! 頭、痛いってば!」
 武は手を動かすのを止めると、選んだ武器を持って立ち上がった。
 その手に持つのは、イングラムM10サブマシンガン、サプレッサー(減音器)付き。
 その反動は大きいが、かなりの連射性能を持つ。
 サプレッサーがついているため、耳栓をしなくとも使える、良銃と言っていいだろう。
 一方尊人が選んだのは、ワルサーPPKと呼ばれるハンドガン。
 かのジェームスボンドも愛用していたといわれる銃を、何故尊人が選んだかというと、使いやすいから、という事らしい。
「さて、行くか!」
「うん!」
 二人は頷きあってから、近くにいる仲間達の元へ戻っていった。

「……御剣さんは武器を選ばなくてもいいの?」
「私にはこの皆流神威(みなるかむい)があるからな。むしろ鑑。そなたはは選ばなくてもよいのか?」
「……私は」
 純夏が何かを言いかけるが、その言葉は、集まってきた武達の声に掻き消された。
「よう。俺達は一応武器を選んだぜ。お前等は?」
 その言葉に榊と綾峰が頷いた。
「じゃあ後は、冥夜と純夏だな。……どうした、純夏」
「やっぱり……」
652誓いと別れ:04/01/22 22:36 ID:/XnaDu0K
 暗い表情のまま、俯いていた純夏が、武の顔を見つめる。
「やっぱり復讐なんて……! 壬姫ちゃんもそんな事望んで無いよ!」
 心の内に溜めていた感情が爆発したかのように、純夏は叫んだ。
 その叫びを聞いた武達に、少しの間沈黙が訪れる。
「……じゃあ、鑑はやらなくてもいい。私一人でやるだけだから。他にもやりたくない人間がいれば好きにすればいい、私も好きにする」
 その沈黙を破ったのは、綾峰だった。
 綾峰は無表情のまま、純夏を見据える。
「綾峰さん!」
 榊が綾峰に詰め寄る。
 しかし、その榊の剣幕にも綾峰の表情が変わる事は無かった。
「だが、鑑の言う事にも一理ある」
「冥夜……」
 冥夜は、一歩前に進むと皆の顔を見回した。
「私は、そなた達と出会ってから、まだ日が浅い。とはいえ、共に幾ばくかの時を過ごしてきたのだ。珠瀬が最期に何を望んでいたか、今、鑑が何を考えているか、それらの事くらいならば私にも判る。鑑は、珠瀬の願いを無駄にするな、と。そう言いたいのだろう?」
 純夏は涙を流しながら、首だけを振って肯定する。
「おんやぁ? 喧嘩かい?」
 いつの間にか近くに来ていたドライが、ニヤニヤと笑みを浮かべながら、武達の事を眺めていた。
 それに気づいた武は無言で彼女へ近づいていく。
「なんだ? 何か用か?」
 ドライの質問に首肯してから、武は口を開いた。
「この辺りで一番安全な場所っていうのはどこにあるんだ?」
『!?』
 武とドライを除く人間が息を呑む。
 ドライは、そうだねぇ、と呟いてから、ニヤリと笑って口を開いた。
「一番安全なのは、この島の中央さ。その場所にゃ、いけ好かない奴等が大勢いるが、その分防衛設備も中々のもんだ。
だけど、あたし等はまだ用事が残っているから、道を教える事ぐらいしか出来ない。もしそれでも行きたいってのなら、自分達でそこに向かいな。
何、一度あんた達に武器をやるっていったんだ。復讐に使わないからって、今更返せとは言わねぇよ」
653誓いと別れ:04/01/22 22:37 ID:/XnaDu0K
「そうか……、皆、聞いてくれ!」
 武は皆の方へ顔を向けてから言葉を続けた。
「俺達はここで二手に分かれようと思う。この人数だと二組くらいが丁度いいか? ともかく、たまを殺したあの男を追いかけるチームと、俺達が元の世界に戻る為の方法を探すチーム、その二つが今の俺達にとって、多分ベストだと思う」
「武ちゃん!」
 純夏の悲痛な叫びを、しかし武は無視するかのように話を進めた。
「まず、俺と尊人は分かれた方がいいよな。男手は分けた方がいいだろうから。俺は、あの男を追う、だから尊人は世界に戻る方法を見つけてくれよ、いいか?」
 尊人は、多少うろたえながらも、肯定の返事を返す。
「私は白銀のチーム」
 綾峰が、まだ何も言っていないというのに、白銀の傍に近づいた。
「ならば、私は鎧衣の方へ行こう。おそらく武殿は、鑑もこちらにつけるつもりなのだろうからな。戦力は分けた方がいいだろう」
「サンキューな」
「サンキュー、サンキュー、サンキュー……」
 ぽぅっとした表情で、冥夜は武の言葉を繰り返す。
「……なら、私は白銀君のチームという事ね。綾峰さんと一緒というのが心配だけど、まあ、我慢してあげるわ」
「我慢するのはこっちの台詞」
「何ですって!」
 武は、まあまあ、と二人の間を遮るようにして立つと、最後に純夏の方へ顔を向ける。
 純夏は、俯いたまま泣きじゃくっていた。
「嫌だよぅ……! 武ちゃんと離れ離れになるのは、嫌だよぅ……!」
 武はそんな事を呟く純夏の近くへと立つと、そっとその頭に手を置いた。
「馬鹿。俺は……、俺達は絶対に離れ離れになんかならない! 違うか?」
「だけどっ! ……私、いつも思うの。もしかするとこの世界は偽物で、本当の世界じゃ私と武ちゃんは、幼馴染でも何でもない、他人なのかもしれないって……」
「それでも、だ。たとえ俺達が全然知らない他人だったとしても、絶対に俺達は一緒になれる! 元の世界に帰っていける!」
654誓いと別れ:04/01/22 22:37 ID:/XnaDu0K
「武……ちゃん」
 純夏は、俯いていた顔を上げて、武の顔を見る。
 その顔は笑っていた。
「だって、俺達は……、仲間なんだからな!」
 
 中央へ向かう、純夏、冥夜、尊人。
 珠瀬の仇を追う、武、綾峰、榊。
 彼等は、また会うという約束を交わしてから、各々の目的の為、別の道を歩む事になった。
 
【白銀 武 招 状 ○ 持ち物 サブマシンガン 装填数 2000発(およそ二分間打ち続けられる)】
【鎧衣 尊人 狩 状 ○ 持ち物 ハンドガン 装填数 20発】
【御剣 冥夜 狩 状 ○ 持ち物 刀】
【榊 千鶴 狩 状 ○ 持ち物 マグナム銃 装填数 6発】
【綾峰 慧 狩 状 ○ 持ち物 弓 矢10本、ハンドガン 15発】
【鑑 純夏 狩 状 ○ 持ち物 ハンドガン(あの後貰った) 装填数 20発】
【ドライ、和樹 歳江 以前と変わらず】
 尚、装填数以外の予備弾は無し。
655負の力:04/01/23 00:26 ID:T64W14eO

「……だからー。この殿方たちとでも試してみようかなーって……」


 ……誰かの話し声が聞こえる。
 ……ああ
 ……俺達、やられたんだな……

 ………………

 ……わりぃ、つばさ。
 ……俺、もう駄目かも……


 ……真っ暗な世界。

 ………………

 はは、俺、どうかしちまったんだろうな……
 変なぬいぐるみまで夢に出てくるなんてな……
656負の力:04/01/23 00:27 ID:T64W14eO
 ………………

 ……自分の責任だ自分のせいでアーヴィがアーヴィがアーヴィが……

 ……悪いのはぼくぼくぼくぼく、ちがうちがうおまえだおまえだ……

 ……やっちまえやっちまえやっちまえ、うらぎられたうらぎられたうらぎられた……

 ……でもちがうちがうちがう……

 ………………

 ……どす黒い負の感情……

 ……怒り……

 ……後悔……

 ……憎悪……
657負の力:04/01/23 00:29 ID:T64W14eO
 ……ああ

 ……これか

 つばさが殺されたとき

 俺が化け物を倒した力は

 ………………


 ……醜い力だった


【桜井舞人・高町恭也、新撰組に運ばれる道中、舞人思う】
658笑顔の価値:04/01/23 05:22 ID:hXKtRSvn
「はあ・・・」
なんでこう自分はドジばかりなのだろう。
ケルヴァン様に起動させられてから1週間である。
その間に、失敗した仕事は両手はおろか足の指を含めても数えきることはできないであろう。
頭についているハンド型マニピュレイターの指10本も使ってみたが・・・むなしくなっただけである。
いろいろとやらされては見たものの、ケルヴァン曰く『ものすごい成果』(当然皮肉である)のためにお茶くみ要員と化していた。
給仕用アンドロイドであるリニアは効率よく仕事ができるように頭に人間の手を同じ形の機構を持っていたが、
彼女にかかればそれはいかに効率的に失敗をやらかす機構に成り下がっていた。
自分を修理し保護してくれたケルヴァンに対して恩義を感じ、役に立とうと張り切ってはいるものの全ては空回りしていた。

先ほどケルヴァンから、明日から客人が増えるだろうと聞かされている。
(ケルヴァン様達がなんかやってたのが始まるのかな・・・)
リニアはケルヴァン達が何をやっているのか知らないが、
ケルヴァンの性格から思うにリニアの道徳観では悪いことをしているのであろう。
奏子へ出したお茶のカップを回収し、キッチンに戻る間中リニアはそんな事を考えていた。

昼間にそんな事を考えていたせいなのか。

どうしても寝付く事ができずに、ふと部屋の窓から外を見上げた。
その時だった、空から流星が地上に向かって降り注いだ。
思わず「きゃっ」と悲鳴をあげてしまったがもう次の瞬間には、流星雨は降り終わっていた。
光学式視覚再生装置の故障だろうか?
(疲れてるんですね・・・私)
そう判断してリニアは、再びベッドに入り込んだ。
そもそも機械の部品が故障したのなら寝たところで直ったりはしないのだが・・・
先ほどの光景のインパクトが強くてその事に気づくことすらできなかった。

自分の視覚装置の故障だ。
そう思っていた。

翌日の朝に、キッチンで倒れた少女を見つけるまでは。
659笑顔の価値:04/01/23 05:24 ID:hXKtRSvn
「えっと・・・もしもし?」
思わず頬を突付いてみるが反応はない。
(え・・・ま、ま、ままままさか死ん・・・)
「恭ちゃん・・・」
少女から言葉が発せられると同時にリニアの思考は中断した。
ほっ・・・
思わず安堵の溜息をついたのも束の間、少女は意識を取り戻したわけではない。
何より少女がそこに寝ていると自分の仕事ができないのだ。
仕事というのはガラス拭きとお茶くみのことではあるが
少女は目覚める気配はない。
元来リニアの性格上放っておくこともできない。
リニアは自分の部屋に連れて行こうかと少女を持ち上げる。
(お、重い・・・)
これは少女─高町美由希の名誉のために言っておくが・・・リニアが非力なだけで美由希が特別重いということはない。
ついでに少女が大事そうに抱えていた刀も、持って行く。
時間はかかったが美由希を自室のベットに横たえることができた。
刀は・・・危ないのでベットの下にでも置いておこう。
(これでお仕事ができる・・・)
大労働を終えたリニアであったが彼女の仕事はこれからが本番であった。
もっともお茶くみとガラス拭きなのであるが。
660笑顔の価値:04/01/23 05:24 ID:hXKtRSvn
キッチンに行く途中でケルヴァンと会った。
「あ、おはようございます。ケルヴァン様」
「ああ・・・そうだ、リニア今日の奏子へのお茶だかな」
「はい」
「持ってこなくてもいいぞ」
「え!私・・・なんかしましたか!?」
また何かやってしまったのだろうか、しかもこのお茶酌みは、事実上最後の砦ともいえる。
(とろくて、機転が利かなくて、あげくにぽんこつだが・・・淹れる茶だけは美味いな)
4日前に言われたケルヴァンの台詞が脳裏をよぎる。
「そういうことではない。単純に今日だけいらないということだ」
「自室で大人しくしていろ。それが仕事だ」
「え?お掃除は・・・」
「今日から客も増える・・・明日のために茶を淹れる練習でもしておけ」
「・・・はい・・・わかりました」
気の毒になるくらい凹んでいるが、ケルヴァンは全く意に介さなかった。

自室に帰る途中でふと思い出した。
そういえばキッチンで発見した少女の事の報告を忘れていた。
(お掃除道具を部屋にしまってからでも、いいですよね・・・)
かなりいじけが入っている。
部屋に戻り道具を片付け、これから報告に行こうと思い立った時であった。
「あれ・・・?ここどこ?」
高町美由希は目を覚ました。
661笑顔の価値:04/01/23 05:25 ID:hXKtRSvn
えっと・・・ここはどこなのかな?」
高町美由希と名乗った少女は少々混乱気味である。
美由希は兄である恭也と剣の稽古をしていたはずだ。
「えっと、なんていったらいいんでしょうか・・・」
リニアはリニアで返答に窮している。
自己紹介は互いに先ほど済ませていた。
その時に小太刀は美由希に返した。(大事そうに受け取るのが印象的であった)
「と、とにかくですね。ここは安全な場所ですから、しばらく無理しないで寝てて下さい」
(安全・・・?安全ってどういうことだろう?ここは安全って事はここ以外に危険があるってことだよね)
「あ、リニアご主人様に美由希さんのこと伝えてきますね」
美由希が疑問を口に出そうとした瞬間リニアは、部屋の外に駈けていった。
(場所を聞くってことはこの屋敷の人じゃないから・・・もしかしたらお客さんかもしれない)
だとしたらケルヴァンに部屋を用意してもらわなくてはいけない。
リニアは足早にケルヴァンの部屋に向かった。(途中で4回も転んだが)

「ケルヴァン様!」
勢いよく部屋に飛び込んだ──つもりだったがドアに鍵がかかっていて頭からぶつかってしまった。
「っ〜〜〜〜!」
声にならない呻き声をあげるが立ち直りは早かった。
「あ・・・あれ?不在って」
扉には不在の札が、リニアを嘲笑うかのように揺れている。
普段のようにガチガチに緊張で固まっていたなら・・・扉の前で一度立ち止まっていたらこのような醜態を晒すこともなかったであろう。
起動して初めて臆せずにケルヴァンの元に行こうとしたにはあまりにも酷すぎる仕打ちだった。
(リニアには知る由もないがこの時ケルヴァンは朝倉姉妹の保護に行っていた)
リニアはケルヴァンの部屋の前で途方にくれていた。
(一度部屋に戻ろう・・・)
美由希の様子をなんだかんだと言って気にはなる。
先ほどは狼狽して思わず病人を放りだしたままケルヴァンの部屋に来てしまったが・・・。
やっぱり美由希に自分のわかる範囲でここの事を説明しよう。
それから・・・
662笑顔の価値は:04/01/23 05:37 ID:hXKtRSvn
(ケルヴァン様に・・・)
そういえば美由希が客人でなかった場合どうなるのだろう。
さっきから客人だとばかり思っていたがそんな事は考えても見なかった。
今朝キッチンに行く時に庭で女の人達が口論していたり、とてもきれいな女の人を廊下で見かけたりしたけれど
あの人達は・・・ケルヴァン様と同じ感じがする。
何か・・・不吉というか不安というか。
具体的には知らずともケルヴァンの性格からして、よくないことなのであろう。
もしかしたら、人が死ぬかもしれない。
それに比べて・・・
「私は・・・高町美由希。あなたは?」
そう言いながら微笑んだ美由希の笑顔には、自分の不安を・・・消し去ってくれるような雰囲気があったのだ。
アンドロイドである自分がこんな曖昧な感情を元に主を出し抜くような真似をしてもいいのだろうか。

「リニア」
不意に背後から声。
声の主はケルヴァンである。
「あ・・・お、おかえりなさいませ」
よからぬ事を考えていた少々言葉がどもった。
だがケルヴァンはその様子をとって見て別の結論を出したらしい。
「また何かやらしたか・・・その報告はいらん」
「そ、そうですか」
普段から失敗の報告ばかりしていたために、様子がおかしかったのが露見しなかったのはうれしいやら悲しいやら。
「それと仕事ができたぞ」
「本当ですか?」
まだスクラップにならずに済むようだ。
「客人がきたのでな。部屋で寝ている、2時間たったら見張りと交代してやれ」
「はい、わかりました」
「それと目を覚ましたらすぐに私に報告するように」
663笑顔の価値:04/01/23 05:43 ID:hXKtRSvn
リニアは表面上こそうれしそうにしていたが内心は複雑であった。
主たるケルヴァンに隠し事をしようとしている。
(でも・・・美由希さんに安全だっていっちゃったしね)
美由希の身が安全であるとわかればその上でケルヴァンに報告すればいい。
与えられた仕事に関してはまだ時間の猶予がある。
その間に美由希の安全を確認して・・・
(でも・・・もし・・・)
もし・・・ケルヴァンが美由希に危害を加えるようなら?
リニアは頭を振ってその考えを振り払った。
(それならその時で考えたらいいですよね)

リニアはまだ気づいていない。
ケルヴァンが美由希に危害を加える可能性があるように、美由希が客人である可能性だってあるのだ。
しかし無意識にリニアはケルヴァンと美由希の性格からそれはありえないという結論を出していた。

リニアはケルヴァンに美由希の存在を隠し通すことを───主の意に逆らうことを既に決心していた。


【リニア@モエかん(ケロQ) ? 状態○ 所持品 なし】
【高町美由希@とらいあんぐるハート3 招 状態○ 所持品、小太刀(龍燐)】
664名無しさん@初回限定:04/01/23 21:25 ID:MNNhUAJa
八雲辰人登場
ニャル様には誰も敵わなかった

終わり
665迷い込んだ客:04/01/24 00:02 ID:lTtKi2WI
「・・・俺はなぜ生きている」
俺は確かに美空に斬られて───
珠姫を死なせたくない。
そうなると己の内の邪神を殺すには恋人に自分を斬らせるという、ある種非情な手段をとらざるを得なかった。
自分の存在がこの世ならざる者を呼び、大切な者を危険に晒すと知った時彼は自分の死でその運命を断ち切った。
もとより一度死んだ身だ。
特に恐怖はなかったが、自分を斬った美空が傷つかないかそれだけが心残りである。
(さすがの我も危なかったぞ)
自分の内なる存在、邪神が語りかけてくる。
(守護者め・・・古の物語の結界を利用してくるとは)
(それより・・・俺はどうなった?死んだんじゃねえのか)
(たわけが!依代であるお前が死んだら我まで滅びてしまうであろうが。ここは別の時空だな・・
・思わず最も境界の結界が薄かったところに飛び込んでしまったが)
(お前のお仲間の世界・・・か?)
(そうであるならば都合がよいのだが・・・生憎そうでもないようだ)
ゴゴゴ・・・
──その時島が少し揺れた。
(どうやら気づかれたようだな、この世界の管理者が結界を強化しおった)
(前のタコの化け物の時見たいに力がろくに発揮できません・・・ってことかよ)
(まあ、生きていれば元の世界に戻ることができるかもしれぬぞ?)
(てめえさえ消えたらいつでも帰ってやるさ──)
どうせならあのまま死んでいれば美談になったのだが。
666名無しさん@初回限定:04/01/24 00:03 ID:lTtKi2WI
どうやら彼を取り巻く運命はそう甘いものではないようだ。
(もしかしたら・・・母さんがまたなんかやったのかもな)
ならば八雲辰人は生きなくてはいけない。
辰人の実の母親は、幼少の辰人、美空、珠姫の3人を救うために命を落とした。
母親の思いを無駄するわけにはいかない。
辰人は、元の世界に帰る方法を探すことに決めた。

一方・・・
「気づいたか?葉月」
「ああ、かなりの力の持ち主・・・我ら同様招かれざるものか」
「覚えがあるな・・・この気配、混沌か」
「知ってるのか」
「世界を・・・暇潰しの道具としてしか見てないいけ好かぬ輩よ」
「お主に嫌われるとは相当なものだな」
当然葉月の言葉は、さっきの伊藤乃絵美に対する蔵女の所業への皮肉なのであるが蔵女は気にしていないようだ。
「奴の力は危険だ・・・今のうちに排除しておくか」
「我らの目的のためには放っておくほうが都合がよいのではないか?」
「あやつは、非情に狡猾で己の退屈を紛らわすためだけに存在している。我の敵になれども味方にはならぬ」
それに・・・
「あやつの再生力は、どこぞの吸血鬼の比ではないぞ。お主の世界の不要物を消す刀以外に対抗できるとは思えん」
「先ほどの結界の強化で相当その力も落ちているのだがな・・・」
「奴とて条件は変わるまい。我に似た存在なのだからな」
不死にも近いその再生力。
ならば存在そのものを『消す』葉月の刀しか対抗する手段はなかろう。
「我が奴の気を逸らす。葉月・・・一撃で決めるのだぞ」
「言われるまでもない、もとよりその気だ」
667名無しさん@初回限定:04/01/24 00:04 ID:lTtKi2WI
(辰人!!敵意あるものが来るぞ)
(んだと!いきなりかよ)
身構えた瞬間、赤き爪を剥き出しに戦闘態勢に入っている蔵女が正面から突っ込んでくる。
(終焉をもたらすもの───何の真似だ!)
「久しいな混沌よ。すまんが取り込み中でな、旧交を温めあうということはできそうもない」
(我を消す気か!辰人!)
「少し黙って力を貸してろ!俺だってこんな場所でくたばる気はねぇ!」
辰人の爪と蔵女の赤い爪が幾度もぶつかりあい火花を散らす。
(忌々しい結界よ・・・亡者でも召喚し、けしかけてやろうにも力が足りぬ)
しかし辰人の爪が直接相手を切り裂くという性質に対し、蔵女の赤い爪は本来その用途に用いるものではない。
徐々に蔵女が押され始めた。
「むう・・・依代に宿る混沌がここまでの力を発揮するとは・・・」
蔵女が混沌を弱らせてその隙に葉月が止めを刺す算段だったのだが、辰人は予想以上に混沌の力を使いこなしていた。
蔵女の言動にも余裕の色が見れなくなっていた。
「俺にも死ねない理由があるんでな!あんたが何者だか知らねえが・・・悪く思うなよ!!」
辰人の爪が蔵女の爪を弾いた。
(しまった!爪を再生する暇が───)
「あんたの終焉とやらは自分に使うんだな!」
辰人の爪が蔵女の首を刎ねようと───「邪まなるものよ・・・消えよ!」

──!!
(辰人!後ろだ!)
葉月の刀が後ろから辰人に襲い掛かる。
内なる声の警告によって横に飛ぶ。
しかし葉月の剣速は避けきれるものではなく、左肩から腹部にかけて斬撃を食らってしまった。
(この力・・・リリスの眷属か!辰人、一端退くぞ!この力、真っ向から挑むには危険すぎる)
(くそっ・・・さっきから終焉だとかリリスとか訳分からんことばかり言いやがって!後で説明しろよ!)
葉月の斬撃を横っ飛びで避けたその勢いのまま辰人は全力で駆け出した。

668名無しさん@初回限定:04/01/24 00:06 ID:lTtKi2WI

「思ったより結界の影響が大きいな・・・刀の力も『削る』程度の力になってしまったか」
「まあ、捨て置いてもよかろう。既にやつに1人でこの島にいる者全員をどうこうできる程の力はあるまいて」
蔵女は爪の再生を終えて落ち着いたようだ。
「我はそう簡単には死なぬが・・・お主は刀以外は只の人を変わらぬのだ。リリスにどやされるのはごめんだからな
死んでくれるでないぞ」
「お主に身を案じられるか・・・複雑なものだ」
蔵女はそれを聞いてころころ笑った。
「お主が我のことをどう思っているかは知っているがあまり口にだすものではないぞ?」
しかし葉月はいたって真剣に
「性分なのでな、お主と反りは合わん」

(しかしこの世界・・・いや島か。何かあるな)
(何かって何だよ?)
(我も万能ではないのでな・・・しかし管理者たるリリスの使徒と終焉が行動を共にしているのだ何かある。
利用できるのかもしれんぞ)
(その前にこの傷口を治して欲しいんだがな)
(さっきの刀・・・管理者リリスの力だが。世界にとっての不要物を消す力がある。それの影響で力が更に落ちた)
(不要物を消す・・・ねぇ)
だったらあの刀に消されてしまった方がよかったのもしれない。
669名無しさん@初回限定:04/01/24 00:07 ID:lTtKi2WI
この内に眠る邪神ごと。
(しかし本来食らえば一撃で我とて消滅するはずだが・・・それができなかったということは
この世界の結界は奴らにも影響を及ぼしているということだ。奴らの力とて完全ではない。勝機はある)
そうだ───美空のところに帰らないと・・・な。
まずは・・・この傷を治すことだ。
削がれた力は戻らないだろうが、傷は一晩もあれば回復するだろう。
八雲辰人は内なる邪神と共に元の──美空のいる世界に帰ることを決意するのであった。

【八雲辰人@朝の来ない夜に抱かれて(F&C) 狩 状態 △ 所持品なし】
【蔵女 招 状態 ○ 所持品 赤い爪(能力)】
【葉月 招 状態 ○ 所持品 刀】

670名無しさん@初回限定:04/01/24 01:09 ID:cybRdFDX
状態修正

【八雲辰人 狩 状態 △(結界の強化と葉月の刀により力激減) 所持品なし】
671名無しさん@初回限定:04/01/24 01:30 ID:cybRdFDX
要望があったので更に追記

現在の八雲辰人の能力
攻撃方法は蔵女同様爪によって行う。
爪以外の攻撃方法はなし。
原作にあった亡者召喚は力の不足により不可能。


力が戻る可能性
結界の消滅。(=ヴィルヘルムの死亡)結界の解除により葉月の刀によって削がれた力も回復する。
しかし力が戻った場合邪神の力により元の世界に帰ると思われるので残す場合はそれなりの動機づけを。
672名無しさん@初回限定:04/01/24 01:33 ID:cybRdFDX
しまった。書き忘れ・・・

再生能力はモーラ、ギーラッハと同様。
673名無しさん@初回限定:04/01/24 01:43 ID:/H2UAHGI
葉月のキャラ違う
674はじめてのだっそう:04/01/24 04:49 ID:QiQiMyAU
「ねぇ…まいなちゃん?」
ゆうなは自分と同じように肩身が狭そうにしているまいなに話しかける。
「おちつかないね…」
彼女の目の前で三日月が逆立ちしていた。

彼女らがいる建物は、あのハゲ親父がいうところの幼稚園らしいが・・・
その内部を見て2人は絶句した。
そこはもうあらゆる自然の摂理や物理法則を無視したようなきらびやかとも禍禍しいとも付かない
誇大妄想の果てというべき世界だったのだから。

ここの主とか言うハゲ親父のしゃべっていたことについてはさっぱり分からなかったし、
聞いてもいない、たしか感性がだの情操教育だのと言っていたような気がするが、
幼稚園のみならず、窓から見える建設中だとかいう病院や役場も、こんな風なのだからかなり怪しい。
ただ少なくとも上機嫌でしゃべる姿を見る限り、このトンチキな世界が理想郷だと本気で信じているようだ。
「HAHAHAオジョウサーン、ノープロブレムネー、マダマダ未完成、ノットコンプリートネー」
勝手にしゃべってそう結ぶと、ハゲ親父は部屋から出ていってしまった。

そんな中でゆうなはちょっと背伸び気分で、こっそり母親の書斎で読んだ小説を思い出していた。
たしか天才がゆえに狂人となった大富豪が絶海の孤島に精神異常者たちの王国を築こうと企てる話だ。
自分たちがいる部屋、窓から見える風景、それらはその小説を読んで想像した王国のそれに近かった。
あのお話の最後って…確か…

と、さっきまで肩身の狭そうだったまいながいきなり立ちあがる、とシーソーになっていたソファが刎ねあがり
片方の端に座っていたゆうなはそのまま空中に投げ出され、巨大なバスケットゴールのネットに
すぽんと吸いこまれていく。
あたふたとネットから降りようとしているゆうなを待つことなく、まいなは大声で叫んだ。
「ゆうなちゃん良く聞いて…今からあたしたちはここから脱走するのよッ!」
「そんな大声で脱走なんて言ったらだめよ」
といいつつもゆうなも脱走には大乗り気だった。
こんな場所にいたら自分が朝倉ゆうなではなく、別の何者かになってしまいそうだ。
675はじめてのだっそう:04/01/24 04:50 ID:QiQiMyAU
と、いうわけで2人はさっそくこの物狂わしい王国からの亡命を決意したのであった。
で、2人はようやく最初に連れこまれた城の前まで辿りついていた。
道中、建物のみならず町割りまでもがとんでもなく、2人は何度も迷ったが
それでも途中誰にも見つかる事は無かった。

「ゆうなちゃん、ここをくぐっていこ」
まいなが指差した先の壁に穴が開いていた、2人がそこをくぐると目の前には花園が広がっていた、
2人は花を摘みながら先を急ぐ、と今度は目の前に白いテラスハウスが見えた。

2人はテラスハウスにそっと近づくと窓から中の様子を伺う、とそこには天井から吊り下げられた
巨大な鳥篭に閉じ込められた少女がいた。
少女は鳥篭の中で椅子に揺られながら編物をしている、その幻想的な光景にしばし2人は時間を忘れた。
まいながそのことに気がつき、ゆうなの襟を掴んで先を急ごうとした時だった。
少女は編物の手を止めて、唇にそっと人差し指を当てると、彼女らを手招きしたのだった。

少女は深山奏子と名乗った。
ゆうなとまいなは奏子から出されたお茶を飲みながら、ぽ〜っと奏子を見つめている。
「どうしたの?」
微笑む奏子にまいなが答える。
「お姫様みたいだなって思って」
「ふふっ、ありがとう」
たしかに奏子が閉じ込められている鳥籠の中は絵本の中でしか見た事が無いような豪華な調度品で
飾り立てられているし、奏子自身もなかなかの美少女なのでお姫様に見えても不思議は無い。

と、その時だった、廊下から足音が聞こえる。
「ケルヴァンさんよ!早く逃げて!」
奏子はキャンディBOXから飴玉を両手に握れるだけ握り出すと、格子の外へ手を伸ばし、
2人へと手渡す。
「奏子さんは逃げないの?」
奏子は微笑を絶やさないまま答える。
「お姫様は王子様が来てくれないと逃げられないの」
676はじめてのだっそう:04/01/24 04:56 ID:QiQiMyAU
ゆうなとまいなはキャンディをポケットに詰め込むと、そのまま外に飛び出そうとしたが
その直前、奏子に向かって頭を下げて大きく手を振る、奏子もそっと手を振ったのを見てから
2人は外へ飛び出していった。

そして2人があわただしく去っていった後、奏子は悪戯っぽく呟いたのだった。
「でも私の王子様は姉様だけどね」


一方のケルヴァンだが、彼もまた奏子について考えていた。
彼女にもしものことがあれば、怒り狂った初音が何をしでかすか分かったものではない。
人質として利用できるその時までは心身共に健康でいてもらわないと困る。
これから先は多忙になる、今までのように監視が行き渡る事もなくなるだろう。
そのスキを突かれ良からぬ輩に利用される可能性が無いわけではない。

「止むを得ん、誰か護衛をつけるか…」


【朝倉ゆうな・まいな@はじめてのおいしゃさん(ZERO) 招 状態 ○ 所持品 キャンディ】
677名無しさん@初回限定:04/01/24 05:41 ID:e52KmSNx
浩之と青児参戦
全ての技をコピーします

アストも参戦
キャラ単位に近いコピーします

魔弾ことジューダス・ストライフ参戦
その気まぐれゆえ、八雲辰人の力が戻りルネッサンス山田(ベルゼバブでニャル様)コンビ結成

小十郎&鳳凰参戦
無限の力を手に、平和主義片手に破壊の限りを尽くします
678名無しさん@初回限定:04/01/24 05:43 ID:e52KmSNx
神殺しことセリカ参戦
ただの退屈しのぎの様です
679名無しさん@初回限定:04/01/24 05:43 ID:l5l0LiuR
あ、死んだ。
680名無しさん@初回限定:04/01/24 05:52 ID:e52KmSNx
真道カスミ(ExodusGuilty)、那須宗一(Routes)、吾妻玲二(Phantom)の三人とか。
裏の世界の超一流トリオだけあって、どんな局面でも切り抜けてくれる。

普段は玲二をリーダーにしてカスミと宗一をサポートに、
ここぞというところでプロトアクチニウム原子破壊砲と天濡矛があれば、
大抵の相手は一撃で仕留められるので、かなりお奨め。
681名無しさん@初回限定:04/01/24 05:55 ID:e52KmSNx
二重影の双厳
永遠神剣&エターナル化のユートも参戦
682名無しさん@初回限定:04/01/24 06:05 ID:e52KmSNx
初音様参戦ヴィルと組んでしまいました
683名無しさん@初回限定:04/01/24 12:11 ID:b0qIlAoq
ヤミ様参戦
684名無しさん@初回限定:04/01/24 15:47 ID:I/+4IiN/
魔世中ハ我ノ物&永遠となった留守番の緒方星四郎とかでもな、好きなだけ好きなことができる
685名無しさん@初回限定:04/01/25 17:07 ID:M+k3X3Za
久我直之は、洋子とともに、ヴィル達の様子を見ていた。

「マスター」

洋子が直之に身を寄せ、直之は洋子の肩に手を回す

「ヴィルもマスターの思惑通りに動いておりますわ」
「ああ、そうだな」

闇の王の本質は、自己を中心に事象を動かす能力
そして、洋子が持つ未来視の能力は、ほぼ100%の確立で予想する
直之は、洋子が予想した未来を捻じ曲げる

「ああ、だがこのままではつまらん」
「…つまらない?」
「いつでも手に入るものは、既に手に入れているも同じだ。
こういうものは、手に入れる過程こそ楽しいんじゃないか?」
「そうですわね」
「ああ、計画は修正だ。いや、それよりもだ、面白い事を思いついた
神殺しセリカ・シルフィル、魔弾ジューダス・ストライフをこの世界に呼び出す
八雲辰人の力を元にもどすとしよう」

そういって、直之はイービルアイの力を発動させた

【久我 直之 状態 ○ 所持品 イービルアイ(能力)】
【坂下 洋子 状態 ○ 所持品 未来視(能力)】
686名無しさん@初回限定:04/01/25 21:59 ID:KesqaEXn
>>685
NGです、書き手の皆さんスルーもしくはあぼーんしてください
書いた方は反論があれば葱ロワイヤル感想・議論スレッドに来てください
687書き手紫零:04/01/25 22:16 ID:3SN/L0HE
[崩れゆく偶像]

現実を認めたくない。
そんな事は今までだってそれなりにあったと思う。
でも・・・。
(これは――あんまりじゃない・・・。)
さっきの事は夢か何かだと思いたかった。
しかし、現実に私の右腕は・・・ない。
不思議とそれほど激痛ではない。
(・・・よく切れる刃物で切ると大して手が痛くないのと同じ、なのかな。)
そんな事を考える。
「・・・料理、か。」
薄曇の空を見上げたまま私は呟いた。

出来もしない料理を始めたのは、急に出来た兄、大輔のためだった。
いつも学食ばっかりで、でも、私に手料理を作ってくれて・・・。
ママが急に結婚すると電話してきたときは驚いた。
しかも、同じ学園内に兄になる男の子がいると・・・。
でも、正直言って嬉しかった。
今まで私は独りだったから。
・・・誰も私を愛してくれない。
そんな思いばかりがいつも胸にあった。
ママが写真家のアシスタントで世界を飛び回っているからか、私の側には愛情という言葉が欠けていたように思う。

家族がいると言うこと――。
それは、私が思っていた以上に素敵なことだった・・・。
だから・・・。
688崩れゆく偶像:04/01/25 22:17 ID:3SN/L0HE
「・・・んく、・・・ひっく・・・・・・。」
堪えようのない悲しみだけが私を包む。
何も、考えたくなかった。
こんなところにいる事。
お兄ちゃんが・・・大輔が死んだ事も。
藍から聞かされたときは嘘だと思った。
質の悪い冗談だと思った。
もう、あの子供みたいな笑顔に会えない・・・。
時に優しくて、時に不安そうなあの人に会えない・・・。

・・・大好きなのに・・・愛しているのに・・・・・・。

「恋・・・ちゃん・・・。」
「あ・・・っく、・・・い・・・。」
そうだ。まだ、私はいい。
私には、まだ藍がいてくれる。
橘先輩の悲しみに比べれば・・・。
「藍・・・。」
気持ちを入れ替えると、私はゆっくり上体を起こし、長座の体勢になる。
「藍、みんなは・・・」
「皆様には・・・先に移動して頂きましたわ。」
藍がこれまでのいきさつを話してくれた。
クモ女を追い払ったこと、橘先輩と自分に何かが覚醒し、それがよく分からないこと・・・。
二人は島の中央に移動していることや、実はこの近くに小屋があるということも。
「私、見えてしまったんです。」
「見えた?」
はい、と藍が場に相応しくない笑顔で答えた。
「あの小屋の中・・・銃火器がありますわ・・・。」
木々の奥にポツンとある小屋を指差し、呟くように話す。
恍惚の表情とも取れる、藍の安心した顔。
689崩れゆく偶像:04/01/25 22:18 ID:3SN/L0HE
・・・違う。

これは・・・藍?本当に、私の知ってる藍なの?

「恋ちゃん?まだ・・・痛むんですね・・・。」
深刻な表情の私を気遣って藍が言う。
「う、うん・・・」
とりあえずうまく誤魔化しておく。
「恋ちゃん、行きましょう?・・・立てますか?」
差し出された藍の手を、私は掴むことが出来なかった。

――生まれた、猜疑心。

「大丈夫、一人でも何とか歩けるわ。」
「そう・・・ですか?」
片腕がないことは今は忘れる。
バランスがとりづらかったけど、何となく藍に掴まりたくはなかった。
そのまま、小屋に向かって歩き出す。

「恋ちゃん・・・強いんですね・・・。あれだけの事があったのに。感動してしまいますわ・・・。」

背後で藍の声がする。
・・・恐怖。
その言葉が一番近いような、そんな不快感。
(やっぱり・・・何か違う!)
「藍――」
690崩れゆく偶像:04/01/25 22:19 ID:3SN/L0HE
私が振り向いたのと、乾いた発砲音と共に”何か”が私の左胸を貫いたのは、ほぼ同時だった。
「何・・・で・・・・・・」
鼓動が一気に早くなる。
打たれた胸を中心に、焼けるような感覚が全身を覆っていく。
「私は・・・”力”を手に入れましたわ・・・。生きるための、力を・・・。」
藍は、微笑んでいた。
「恋ちゃんのお陰、ですわ。感謝しております・・・。でも――」
一旦ここで言葉を切る藍。

「私は――生きていたい・・・。そのためには、負傷者は邪魔なのですわ・・・。」

目の前が霞む。
痛みと、意識の薄れと――涙で。
「藍・・・そん、な・・・・・・。」
「だって、動くのが精一杯の人を抱えて走るわけには参りませんでしょう?」
信じられないことに、藍は笑った。
「重い荷物は捨てる。これは敵から逃げるときの常套手段ですわね・・・。」
捨てる・・・。
その台詞に何もかもが・・・壊された。

691崩れゆく偶像:04/01/25 22:20 ID:3SN/L0HE
ママのせいで入らされた一流幼稚園。
みんな大人しくて、ただ良い子だった。
私は、独りで泥遊び。
それでも毎日楽しかった。
家族のいない、独りの家にいるよりはずっと。
そんな時、私が声を掛けたのが同じように独りでいた藍だった。
私たちはすぐに仲良くなり、つられるように周りとも仲良くなった。
藍とは、それからここまで・・・親友になった。
どこか私たちは似ていたのかもしれない。
でも、それだけじゃなかった。
家族のような・・・少なくとも、私は藍が本当の家族と同じくらい好きだった。
これからも、そうだと、信じてた――。


地面に倒れこんだ私に藍は再び銃口を向ける。
「何が、こうさせるのでしょうね・・・。私にも解りませんわ。」
何故だろう。藍は泣いていた。
この世界に飛ばされたことが悲しくて?
それとも・・・私を殺すことに・・・?
ううん。それは・・・ない。
そうだったら、きっと微笑まない。
表情と声は笑いながら、ただ、泣いていた・・・。
「もう、誰も、信じない――・・・。」
692崩れゆく偶像:04/01/25 22:21 ID:3SN/L0HE
全身から力が抜ける。
暗く沈んでいく視界の中で・・・

「ち・・・がう・・・。」

私は、自分を否定した。
違う。信じられる人が、いる。
私は最後の言葉に、その人の・・・大好きな人の名前を、選んだ。
傍に・・・行きたい・・・。

「だい・・・す・・・・・・け・・・・・・――」

鬱蒼とした木立の合間を縫って、発砲音が響いた――。

【桜塚 恋:死亡 鷺ノ宮 藍 状態:○装備:武器庫から既に調達していた拳銃(種類不明)】
693春日せりなは静かには暮らせない:04/01/25 22:53 ID:Y9Za7FkT
「何なのよ…もう」
行けども行けども森、自分の見慣れた町並みはどこにも存在しない。
豪快を絵に描いたような少女として幾多の逸話を持つ春日せりなといえども、
今の状況には困惑を禁じえない。
いつもの面々と遊んでいたらいきなり声が聞こえて、気がついたらここにいた。

「はっ、もしかして私は伝説の勇者様って奴?それでもってこの森を抜けたら村があって
そこで私は救世主として…」
そこから先は言うのをやめた、いくら何でも虫が良過ぎる話だと我ながら思ったから。

だが春日せりなが考えるほど、この世界は甘くはなかった。
事実、いつまでたっても森を抜け出せる気配は無かったし、しかも出迎えは魔王の搾取に苦しむ
善良な村人などではなく、死体だったのだ。

標本や写真なんかじゃ決してありえない生の死体…しかも…。
胃の奥からすっぱい何かがこみ上げてくる…それでもせりなはその無残な、いや異常な死体から目を離せない。
何が異常かと言うと、その死体はまるで焼き魚のように、きれいに手足や胴体の肉や内臓だけが無くなっており
言わば理科室の骨格標本の上に制服を着せ、女の子の顔をくっつけたような死体だったからだ。

その女の子の顔はまるで眠るように安らかだった、ピンクの髪をしたまるで猫の耳のような癖毛が特徴的だ。
身に纏っている軍服チックな制服は、せりなにも見覚えがあった。
「白稜柊…私より頭悪そうに見えるけど勉強できたんだね」
生きている本人が聞いたら間違い無く気分を悪くするであろうセリフを、せりなは口にしていた。
我ながらこんな言葉しか出てこないのを不思議に思いながら。

「今…お墓を作ってあげるね」
それから後は、せりなもこれくらいしか口に出すことが出来なかった。
694春日せりなは静かには暮らせない:04/01/25 22:54 ID:Y9Za7FkT
せりながようやく珠姫の遺体に土をかぶせ終わった時だった、不意に自分の背後から声が聞こえた。
「春日せりなだな?」
「……」
背後からの問いかけにせりなは何も答えない。
「春日せりなだな?」
「いきなり後ろから初対面の人を呼び捨てる礼儀知らずに答える口は持ってないの」
声をかけた相手は、せりなの言葉に暫し沈黙したが、やがて苦笑すると
今度は改めてせりなの正面にから言葉をかける。

「これは失礼した、非礼平にご容赦頂きたい、己の名はギーラッハ、貴様を迎えに参った」
迎えという言葉を聞いて、やはり自分は勇者かもっと一瞬甘い期待を寄せるせりなだった。

「…というわけだ」
「で、断ったら?」
せりなの問いにギーラッハは即答する。
「その結果は、今、君の足の下にある骸が良く知っているだろう?」
「ふぅん…」
暫しの沈黙、そしてせりなの肩が小刻みに震えた瞬間だった。

「冗談じゃないわよ!逆らったら人をこんな風にするような連中と命惜しさに仲良く暮らせるほどね!
この春日せりなは腐っちゃいないのよ!!」 
せりなはまっすぐな怒りの感情を込めた視線でギーラッハを睨みつけている。
「ならばこの瞬間より、己と貴様は敵ということになるがそれでもいいのか?」
ギーラッハの手が剣に伸びる。
「望むところよ!!」
せりなも手に持った棒を構える、その様子を見てギーラッハは困惑を禁じえない。
(この娘、己が恐ろしくは無いのか?それとも何も考えていないだけか?)
695春日せりなは静かには暮らせない:04/01/25 22:55 ID:Y9Za7FkT
ギーラッハは不思議と目の前の娘に興味を覚え始めていた。
「やめろ…主がその得物をそれ以上振りかざせば、己は主を斬らねばならなくなる」
ギーラッハの瞳に気合が篭る。
だが、その眼光に威圧されながらもせりなはさらに構えた腕に力を込めたのだった。
(日中でしかも手加減しているとはいえ、己が眼力に抵抗するとは…)

どれくらいの時間が経過しただろう、やがて。
「まぶしいな…」
そう一言呟くと、ギーラッハはそのまませりなに背を向け、その場から立ち去って行く。
その背中にせりなの罵声が飛んだ。
「ちょっと!そっちから喧嘩売って逃げるの!!」
振り向くことなくギーラッハは応える。
「警告はした、おそらく己と主では戦いにもなるまい、いかに務めとは言え決まりきった勝負事など
 己には下らぬ児戯よ」
「だからって放っておいてもいいってこと!!激しくむかつくわね!」

その言葉を聞いてギーラッハが振り帰る、そしてその瞳がさらに鋭く光った。
その光を見た瞬間、せりなの身体から力が失われていく…。
(これが…実力の差って事!?)
先程のものとは比べ物にならぬほどのプレッシャー、まさに歴戦の戦士のみが持ちうる必殺の威圧だった。
「それでも主がもし抵抗する事を選ぶならば己も全力でお相手しよう、だが考え無しに命は無駄にするな」
ギーラッハの腰の剣がかちゃりと冷たく鳴る。
せりなは、ぱくぱくと金魚のように口を動かす事しか出来なかった。
「また会ったときは容赦せん、その時、いやそれまでに討たれるようであれば、それは主がそこまでの
 器だったというだけだ…己を失望させるな」
未だに金魚状態のせりなを置いて、ギーラッハは悠然と立ち去るのであった。
696春日せりなは静かには暮らせない:04/01/25 22:57 ID:Y9Za7FkT
それから、せりなは珠姫の墓の前で座りこみ、何かを考えていた、いや考えるふりをしていた。
そうだ、考えるまでも無いことではないのか。
少しでも多くの人を助ける、そして皆で生きて帰る。
誰かの死体を見るくらいなら、誰かを守って自分が死体になる方がまだマシだと思った。
例え自分が生きて帰れなくても構わない。
(みんなごめん、もう会えないかもしれない…でも、それでも他のみんなを助けたいの!)
こうしてせりなは立ちあがると、森の出口を探して力強く歩き始めるのだった。

【春日せりな@あしたの雪之丞(エルフ) 招 状態 ○ 所持品なし】
【ギーラッハ@吸血殲鬼ヴェドゴニア(ニトロプラス) 鬼 状態 ○ 所持品ビルドルヴ・フォーク(大剣)】
「何なのよ…もう」
行けども行けども森、自分の見慣れた町並みはどこにも存在しない。
豪快を絵に描いたような少女として幾多の逸話を持つ春日せりなといえども、
今の状況には困惑を禁じえない。
いつもの面々と遊んでいたらいきなり声が聞こえて、気がついたらここにいた。

「はっ、もしかして私は伝説の勇者様って奴?それでもってこの森を抜けたら村があって
そこで私は救世主として…」
そこから先は言うのをやめた、いくら何でも虫が良過ぎる話だと我ながら思ったから。

だが春日せりなが考えるほど、この世界は甘くはなかった。
事実、いつまでたっても森を抜け出せる気配は無かったし、しかも出迎えは魔王の搾取に苦しむ
善良な村人などではなく、死体だったのだ。

標本や写真なんかじゃ決してありえない生の死体…しかも…。
胃の奥からすっぱい何かがこみ上げてくる…それでもせりなはその無残な、いや異常な死体から目を離せない。
何が異常かと言うと、その死体はまるで焼き魚のように、きれいに手足や胴体の肉や内臓だけが無くなっており
言わば理科室の骨格標本の上に制服を着せ、女の子の顔をくっつけたような死体だったからだ。

その女の子の顔はまるで眠るように安らかだった、ピンクの髪をしたまるで猫の耳のような癖毛が特徴的だ。
身に纏っている軍服チックな制服は、せりなにも見覚えがあった。
「白稜柊…私より頭悪そうに見えるけど勉強できたんだね」
生きている本人が聞いたら間違い無く気分を悪くするであろうセリフを、せりなは口にしていた。
我ながらこんな言葉しか出てこないのを不思議に思いながら。

「今…お墓を作ってあげるね」
それから後は、せりなもこれくらいしか口に出すことが出来なかった。
せりながようやく珠姫の遺体に土をかぶせ終わった時だった、不意に自分の背後から声が聞こえた。
「春日せりなだな?」
「……」
背後からの問いかけにせりなは何も答えない。
「春日せりなだな?」
「いきなり後ろから初対面の人を呼び捨てる礼儀知らずに答える口は持ってないの」
声をかけた相手は、せりなの言葉に暫し沈黙したが、やがて苦笑すると
今度は改めてせりなの正面にから言葉をかける。

「これは失礼した、非礼平にご容赦頂きたい、己の名はギーラッハ、故あって迎えに参った」
迎えという言葉を聞いて、やはり自分は勇者かもっ、と一瞬甘い期待を寄せるせりなだった。

「…というわけだ」
「で、断ったら?」
せりなの問いにギーラッハは即答する。
「その結果は、貴様の足の下にある骸が良く知っているだろう?」
「ふぅん…」
暫しの沈黙、そしてせりなの肩が小刻みに震えた瞬間、彼女は文字通り爆発した。

「冗談じゃないわよ!逆らったら人をこんな風にするような連中と命惜しさに仲良く暮らせるほどね!
この春日せりなは腐っちゃいないのよ!!」 
せりなはまっすぐな怒りの感情を込めた視線でギーラッハを睨みつけている。
「ならばこの瞬間より、己と貴様は敵ということになるがそれでもいいのか?」
ギーラッハの手が剣に伸びる。
「望むところよ!!」
せりなも手に持った棒を構える、その様子を見てギーラッハは困惑を禁じえない。
(この娘、己が恐ろしくは無いのか?それとも何も考えていないだけか?)
ギーラッハは不思議と目の前の娘に興味を覚え始めていた。
「やめろ…その得物をそれ以上振りかざせば、己は貴様を斬らねばならなくなる」
ギーラッハの瞳に気合が篭る。
だが、その眼光に威圧されながらもせりなはさらに構えた腕に力を込めたのだった。
(日中でしかも手加減しているとはいえ、己が眼力に抵抗するとは…)

どれくらいの時間が経過しただろう、やがて。
「まぶしいな…」
そう一言呟くと、ギーラッハはそのまませりなに背を向け、その場から立ち去って行く。
その背中にせりなの罵声が飛んだ。
「ちょっと!そっちから喧嘩売って逃げるの!!」
振り向くことなくギーラッハは応える。
「警告はした、おそらく己と貴様では戦いにもなるまい、いかに務めとは言え決まりきった勝負事など
 己には下らぬ児戯よ」
「だからって放っておいてもいいってこと!!激しくむかつくわね!」

その言葉を聞いてギーラッハが振り帰る、そしてその瞳がさらに鋭く光った。
その光を見た瞬間、せりなの身体から力が失われていく…。
(これが…実力の差って事!?)
先程のものとは比べ物にならぬほどのプレッシャー、まさに歴戦の戦士のみが持ちうる必殺の威圧だった。
「それでも貴様がもし抵抗する事を選ぶならば己も全力でお相手しよう、だが考え無しに命は無駄にするな」
ギーラッハの腰の剣がかちゃりと冷たく鳴る。
せりなは、ぱくぱくと金魚のように口を動かす事しか出来なかった。
「また会ったときは容赦せん、その時、いやそれまでに討たれるようであれば、それは貴様がそこまでの
 器だったというだけだ…己を失望させるな」
未だに金魚状態のせりなを置いて、ギーラッハは悠然と立ち去るのであった。
それから、せりなは珠姫の墓の前で座りこみ、何かを考えていた、いや考えるふりをしていた。
そうだ、考えるまでも無いことではないのか。
少しでも多くの人を助ける、そして皆で生きて帰る。
誰かの死体を見るくらいなら、誰かを守って自分が死体になる方がまだマシだと思った。
例え自分が生きて帰れなくても構わない。
(みんなごめん、もう会えないかもしれない…でも、それでも他のみんなを助けたいの!)
こうしてせりなは立ちあがると、森の出口を探して力強く歩き始めるのだった。


【春日せりな@あしたの雪之丞(エルフ) 招 状態 ○ 所持品なし】
【ギーラッハ@吸血殲鬼ヴェドゴニア(ニトロプラス) 鬼 状態 ○ 所持品ビルドルヴ・フォーク(大剣)】
701生ける屍:04/01/26 03:30 ID:yq3DfSu3
「私は…生きていようが死んでいようが…同じなのだ・・」
低く、重い声で男は言った。
ボロボロに擦り切れた衣服、微かに血の跡がこびり付いたヘルメット。
弾を全て使いきり、銃剣と化した38式歩兵銃。
誰が見ても、ついさっきまで苛烈な戦場にいたとしか思えない格好をした男だった。

男の名は、長崎旗男。
魂を戦場に置き忘れた、生ける屍。
静かな森の中
辺りには、言葉を紡ぐ長崎自身と、そしてもう一人。

「戦友(とも)は皆死んだ―殺された・・・私だけが生き残った・・・・幾多の屍を踏み越えて帰った故郷は焼け野原になっていた―ウィミィの空襲によって・・・・家族も皆死んだ・・帰るべき家も灰になった・・」
そこで言葉を区切り、長崎は虚ろな瞳を目の前にいる青年に向けた。
「私には何も無い・・この世界に飛ばされるまで私は森の奥にいた・・静かに、朽ち果てるために・・・今もまた私は森の中に居る・・何も、変わらない・・・」
「・・・」
青年は、何も言えなかった。
男の語る内容の凄まじさに圧倒されたからではない。
長崎の語る内容が、彼にとって余りにもリアルだったからだ。

彼は、学生服の上に妙に古風な趣の上着を纏い、左手に無骨な、それだけに殺しの道具としては洗練された一振りの剣を携えていた。
名は、高嶺悠人。
異世界に突然召還され、ラキオスと呼ばれる王国において、義妹、佳織を人質に戦を強制され、今日に至るまで彼を助けるスピリットとともに戦場を乗り越えている。
そして、悠人がこの世界に飛ばされる数瞬前の過去で、彼はかつて元の世界で共に日々を過ごしてきた二人の親友と巡り合っていた。
敵同士として
702生ける屍:04/01/26 03:32 ID:yq3DfSu3
「(今日子・・光陰・・)」
彼は義妹の為に、幾人(スピリットはあの世界において人とは見なされてはいないが、彼にとっては同じ事だ)もの敵を己に与えられた、『求め』と呼ばれる神剣を振るい、屠ってきた。
そのことは、彼にとって苦痛だったが、妹の為と割り切る事ができた。
今となってはその妹も他国に奪われてしまっている。

「(もし・・あの二人を殺して・・・そして、佳織が死んでしまったら・・?)」
俺も、ああなるのだろうか?
「違う!」
我知らず悠人は叫んでいた。

「俺は絶対に今日子も光陰も殺さない!佳織だって助けて見せる!みんなで生きて元の世界に帰るんだ――!」
「ふん、まるで悲鳴だな」
不機嫌そうな声とそっくりの表情で、男が突然草むらから姿を現した。

「誰だ――!?」
反射的に身を翻し、神剣を構える悠人の姿を冷めた目で見ながら男は言った。
「慌てるな、別に危害を加えるつもりは無い」
その気があれば既に貴様は三度滅している、誰にも聞えないように微かな声で呟いた後、悠人が警戒しつつも構えを解いたのを確認してから軽やかな動作で二人の前まで移動する。
黒い高級そうなスーツに身を包んだその姿は一見一流企業に勤めるサラリーマンにも見えなくは無い。
男は悠人を値踏みするかのようにじろじろ見ている。

長崎旗男には一瞥もくれない。
先ほどの会話を聞いていたのかも知れない。
どちらにせよ旗男は変わらず生ける屍だ。
703生ける屍
「俺の名は飯島。とりあえず状況はお前達と同じだ」
そう短く言ってから、飯島と名乗る男は辺りを注意深く見渡して、わずかに舌打ちした。

「話は後だ、とにかく一度場所を変えるぞ」
「おい、いきなりなにを・・・」
「お前はまだ気が付いていないのか?」
露骨な嘲笑を隠そうともせず飯島は言った。

「ここは戦場だ。俺はここに来るまで幾度も殺し合いをの跡に遭遇した。そして今、貴様の大声を聞いた何物かがここに接近している。遭遇したくはないだろう?」
悠人は突然現われた男の言葉に顔をこわばらせる。
この世界に分けもわからず落されて、直ぐに長崎と会った。
お互いが全く別の世界にいたことを確認し合い
ならば元の世界に帰る為に協力しようと提案した所、長崎が徐に重い過去を語り始めたのだ。
未だ彼はこの世界で何が起きているかを全く知らなかった。