【SS投稿スレッド@エロネギ板 #4】

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1へたれSS書き
SS投稿スレッド@エロネギ板 #4

エロゲー全般のSS投稿スレです。あなたの作品をお待ちしています。
エロエロ、ギャグ、シリアス、マターリ萌え話から鬼畜陵辱まで、ジャンルは問いません。

そこの「SS書いたけど内容がエロエロだからなぁ」とお悩みのSS書きの人!
名無しさんなら安心して発表できますよ!!

  【投稿ガイドライン】
1.テキストエディタ等でSSを書く。
2.書いたSSを40行程度で何分割かしてひとつずつsageで書き込む。
 名前の欄にタイトルを入れておくとスマート。
3.SSの書き込みが終わったら、名前の欄に作者名を書きタイトルを記入して、
 自分がアップしたところをリダイレクトする。>>1-3みたいな感じ。
4.基本的にsage進行でお願いします。また、長文uzeeeeeeと言われる
 恐れがあるため、ageる場合はなるべく長文を回した後お願いします。
5.スレッド容量が450KBを超えた時点で、
 ただちに書き込みを中止し、次スレに移行して下さい。

過去スレ >>2-

【エロゲ&エロゲネギ板SS保管サイト】
http://members.tripod.co.jp/svssav/
2へたれSS書き:02/11/05 20:24 ID:jobRTuMz
前スレ【SS投稿スレッド@エロネギ板 #3】
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1013970729/
【SS投稿スレッド@エロネギ板 #2】
http://www2.bbspink.com/erog/kako/1006/10062/1006294432.html
【SS投稿スレッド@エロネギ板】
http://www2.bbspink.com/erog/kako/984/984064183.html
【SS投稿用スレッド@エロゲー板】
http://www2.bbspink.com/hgame/kako/979/979813230.html
3流水塔 ◆WpsF3VMtwc :02/11/05 21:17 ID:oVSsXiNr
2げっと!!
きゃっほーう♪
4名無しさん@初回限定:02/11/05 21:22 ID:VF7kcK/y
>>1
クソスレ立て。乙です
5名無しさん@初回限定:02/11/06 03:01 ID:kjKEm1y2
6名無しさん@初回限定:02/11/06 07:33 ID:IghH12fh
>1
乙彼ー。
あとは職人さんの降臨を待つのみか…
 
「全国一千万のエロゲーファンの皆様こんばんわ! 本日もやってまいりました
 『ザ☆毒々トークバトル』のお時間です! なんと今日は時間枠を拡大した特別番!
 それというのも、今回のバトル! エロゲ界にその名をとどろかす二大毒舌ヒロインが
 正面切って渡り合う、誰もが待ち望んだスペシャルバトルなのであります! 
 いったい毒舌女王の称号はどちらの手に入るのでありましょうか!  
 さあ! いよいよ本日のファイターの、満を持しての登場です!」

 湧き出すスモークのなかから、漆黒の衣装を身にまとった長身の女性が現れた。
腕を組みつつ花道に踏み出すその振る舞いには、育ちのよさと人を寄せ付けない何かが窺える。
 
「玄武の方角、ゆらめく忌まわしいオーラと共に現れたのは、あのD.O.のハートフルドラマ
 『家族計画』において思う存分その呪舌を振りまき、全国のマゾヒスト達を悦楽のふちに
 叩き込んだ漆黒の魔女にして我らが女王! 高屋敷青葉であります! 」

 割れんばかりの怒号に包まれる会場。 

「おおおおっ! 会場が一瞬にして『青葉姐さん(;´Д`)ハァハァ 』の唸りに包み込まれました!
 このカリスマ! この圧倒的存在感! すさまじいものがあります!
 だが、だがっ! 我々はさらなる脅威を目にすることになる!
 ご紹介しましょう! もう一人の荒ぶる戦士を!」
 リングを挟んで反対側の花道、同じようにしてスモークを従えて現れたのは小柄な少女であった。
その身はフリルのついたかわいらしい洋服に包まれている。
だがなにげない仕草から威厳をかもし出すその様子は先ほどの女性と同様であった。

「出ました! その小ぶりな体格に秘めたバイタリティは無限大! しがらみが幾重にもからみつき、
 主人公のみならずプレイヤーまでもが身動きを封じられるageの話題作『君が望む永遠』!
 彼女こそその舌鋒で迷いなき活躍をみせた唯一のヒロイン・大空寺あゆだぁぁぁ! 」

『大空寺あゆ(・▽・)萌えっ!!』
『大空寺あゆ(・▽・)萌えっ!!』
『大空寺あゆ(・▽・)萌えっ!!』
 会場のボルテージはさらなる上昇を見せる。

「だれもが期待せずにはいられないこのカード! ここ、日本武道館は未曾有の盛り上がりに
 包まれております! 手ぇ出したら負けよ、を唯一のルールと定めた情け無用の残虐デスマッチ
『ザ☆毒々トークバトル』、もうまもなくそのゴングが鳴ろうとしております。実況はわたくし田沢。
 なお、本日はスペシャルゲストとして二人のお方にお越しいただいてもらいました。
 両ゲームの主人公、沢村司様と鳴海孝之様で―――」
「ちょっと待てぇ! 」
「はい、なんでしょうか沢村さん」
「あのな、メタなことを言ってしまって悪いが俺は『末莉ルートに進んだ沢村司』だ。
 なぜよりによってこの俺を呼ぶ!? 見ろ、あいつを! 」
 沢村司が指し示したのは、リングを挟んで放送席の反対側に設けられた特別応援席。
そこに『家族計画』の面々らがのんきに応援している様子がうかがえた。
こころもち白くなってガタガタ震えている一人の少女を除いて。

「そらあいつも怯えるわっ! 俺たちにとばっちりが来たらどうしてくれる!
 それにな、そっちの鳴海ってやつはあのあゆとか言うお嬢さんを選んだルートの男なんだろ!? 
 この差はなんなんだぁっ!」
「えーとですね、プロデューサーによりますと『青葉エンドの青葉は丸くなるから面白くなさそう』
 なので、あえて末莉ルートの青葉様を選ばれたそうです。あゆ様の場合は、おそらく彼女の
 真骨頂がうかがえるのが彼女のルートだからでしょう。この状況、あゆ様の切り札となるものでしょうね」
「ものでしょうね、じゃねー! 何冷静に説明してんだ!」
「いえ、それが仕事ですので。それに、気まずさで言えば彼もそうとうのものですよ。ほら」

 真後ろを親指で指す実況・田沢。こちらには『君が望む永遠』サイドの特別応援席が設けられていた。
まるで、鳴海孝之に対する嫌がらせのように置かれた特別応援席。
『君望』の面々から実に冷ややかな視線が彼の背中に降り注いでいた。
鳴海孝之はひたすら下を向いて耐えている。

「……うわぁ」
「涼宮家のみなさんの視線には殺意すらうかがえますね」
「うぅぅあゆ、いいバイトってコレかよ……。一緒に来てくれなんて言うからおかしいとは思ったんだ……」
「そうこうしているうちに準備が整えられたようです」
 暗くなった場内にリングがライトアップされて浮かび上がる。
中央に置かれた向かい合わせの二脚の豪奢な椅子に、いつのまにか両名が座っていた。

「恐ろしい静けさであります。まさしく嵐の前の静けさ。トークバトル開始のゴングとともに、
 リング上に吹き荒れるは罵詈雑言か血の雨か、それは神のみぞ知るところなのでありましょう。
 いくぶん緊張した面持ちのレフリーが、両名になにやらルールの説明をしております。
 おおっと、レフリーが脇に退きました。さあ、今、戦闘の開始を告げる鐘が――――」

 カァァァーーーーンン!!!

「打ち鳴らされたぁ!会場中が一瞬にして怒号に包まれました! 割れんばかりの『(;´Д`)ハァハァ 』
 『(・▽・)萌えっ!!』の嵐であります! だがっ、両者動かない! ルネッサンスの
 彫刻を思わせる気品を漂わせつつ、両名椅子に座ったままであります! おそらくは我々には窺い知れない
 壮絶な腹の探り合いを行っているのでありま――――いや! 動きました! 青葉です! 
 先に動きを見せたのは高屋敷青葉であります! ゆっくりと、静かにかぶりを振りながら、
 その硬く閉ざされた口を開き―――― 」

「私に子供をいじめる趣味はなくてよ」

「来たぁ! まずは軽いジャブ! 外見を遠まわしに貶める簡潔にして的確なジャブ!」
「いえ、これは強烈ですね。見た目のことはあゆ本人もかなり気にしています。
 それを哀れみ・同情というオブラートで包んで言い放つとは。あゆに対してはその威力を
 二倍・三倍に膨れ上がらせる、恐るべきジャブです」

 いつのまにか開き直ってる孝之。むしろノリノリ。
「なるほど! いきなり貫禄を見せ付けるか高屋敷青葉! 強力な先制攻撃であります!
 対する大空寺あゆはどのような反応を見せるのでありましょうか!?」

「あんですと〜!?」

「出たっ、伝家の宝刀『あんですと〜!?』! 怒りをあらわにするとみせかけて、
 いったん一息を置く万能の言辞! 実に見事な受け流しであります!
 鉄壁の守備を見せ付ける大空寺あゆ! さあ、反撃なるか?」 
 
「あにしらじらしい嘘ついてんのさ。そっちの本編中ろりっ子をいじめ倒していたのは誰じゃい」
「あ〜やだやだ。強い立場から弱いものいじめ。ほんとみっともないんとちゃう?」

「いいぞ大空寺あゆ」
「なんであんたがあゆの応援をするんだ沢村さん」
「いや、つい」
「思わず沢村さんも同意してしまう見事なカウンター! 予期せぬ反撃に青葉もたじろい……でいない!?
 青葉まったく動じません! むしろ余裕が窺えます! この自信は、いったいどこから
 来ているのでありましょうか!?」  

「別に私は末莉が弱いから辛く当たったわけではないわ」
「むしろ末莉を特別扱いしなかった、といって欲しいわね」
「私は人によって振舞いを変えるような、そんな不平等なことはしない」
「それだけのことよ」
「大空寺のカウンターを真っ向から受け止めた高屋敷青葉ぁ! 強い! 自信に満ち溢れている!
 これは彼女の一貫した人生哲学がもたらす強さだ! この牙城を崩すことはおいそれとはできそうもありません!」
「っていうか無理だと思います。既知の外っぽいし」
「なんと、沢村さん勝利宣言でありますか!?」
「いや、勝利宣言じゃなくて。諦めてるっちゅうか」
「さすがの大空寺もここはいったん引いて様子見か!? しばしの沈黙がリング上に訪れて―――
 いや! 引かない! さらに言葉を続けるつもりだ大空寺あゆ! 
 溜めて溜めて紡ぎだされた彼女の言葉は―――」

「……そんなだから」
「男をろりっ子に盗られるのさ」

「うわあぁいきなり来ました! 切り札をここで、この序盤で使うか大空寺! 
 それも一切迷いのない、単刀直入のストレート! 情け容赦のない設定が青葉に襲い掛かる!」
「……いや。効果は薄いな」
「え? それはどういうことですか沢村さん」
「……青葉は何事も自分中心にものを考える女だ。だから」

「それはあくまで沢村司が低劣でおぞましいザザ虫にも劣る忌避すべきペドフィリアであった
 が故の帰結であり」
「私個人の振る舞いにその因を求めるのは筋違いというものです」
「つーん」
「ほら、見ろ! やっぱ俺に矛先を変えやがったぁ! ちくしょぉぉ!」
「なにやらダメージを受けたのは沢村さんだけのようです。女王・青葉は動じない!
 それどころか反撃に撃って出ようとしております!」

「あら失礼」
「あなたの彼氏もペドフィリアでしたね」

「あ? あ? なんでそうなるのさ」

「ちょ、ちょっと待て! なんでそうなるんだよ!?」
「思わず大空寺も鳴海さんも少々混乱!!青葉らしからぬ唐突な論理の飛躍!
 大空寺の切り札は、思いのほかにダメージが大きかったのか!?」
「まさか。青葉の狙いは見えているじゃないですか」

「それこそ」
「ご自分の姿を冷静に見つめなおせばおのずと判ることでなくって?」

「相手の弱点を執拗に突付く。青葉の得意技です」
「恐ろしい! 恐ろしい女です高屋敷青葉! あくまで相手のウイークポイントを攻め抜く
 その手法はさながら毒蛇のようであります!」
「あんた早死にするぞ」
「そのようなことを鑑みている暇はありません! この状況をどう思われますか鳴海孝之さん」
「俺はザザ虫以下だったのか……じゃなくて。これは非常に不利な展開です」
「ほう。『あんですとディフェンス』でも凌ぎきれない攻撃であると?」
「いえ、違います。おそらく青葉さんの狙いはその『あんですとディフェンス』を引き出すことに
 あるのでしょう」
「!? というと!?」
「『あんですとディフェンス』は諸刃の剣。その多用は『うがぁ〜』に繋がってしまいます」
「は! 確かに!」
「『うがぁ〜』が出てしまうとおしまいです。あゆは野獣化し、手を出してしまうでしょう」
「なるほど」
「正念場ですね。ここで『あんですとディフェンス』を使ってしまうと、青葉さんはここぞとばかりに
 同様の攻めを繰り返すと予想されます。そうなるとあゆは『あんですと』を多用せざるをえなくなる」
「ほんとノリノリだなあんた」
「これは追い詰められた展開になってまいりました! 青葉の姿はまさしく巧みに対戦相手を
 ロープ際に追い詰めるプロボクサーのようであります! 大空寺、耐えられるか!?」

「ふふん」

「おお!? 大空寺、顎に手を当てるお得意のポーズで、余裕の笑みを浮かべております! 
 挑発に乗らない、『あんですと』は出さない! 秘策があるのか大空寺あゆ!?」

「あんたあたしがただのろりっ子だと思ってるわけ?」
「どこぞの誰かさんのように犬コロのように懐いて男をたらしこむような」
「そんな女だとでも? 笑わせるさ」

「……!」
「ああ! 青葉が! ここで初めて怒りの表情をあらわにしました!」 

「あら、どうしてあなた様がお怒りになられるのかしら?」

「畳み掛けるようにしてお嬢様モード発動! これは強力無比なコンボであります!
 先ほどまで氷のような冷徹さを保っていた青葉の肩が、小刻みに震えております!
 これはいったいどうしたことでありましょうか!? 解説の沢村さん……沢村さん?」
「恐るべき子ですな、あのあゆというお嬢さんは」
「おや、あなたは招待客の広田寛さん。どうされました?」
「うむ。司がなにやら激昂して立ち上がりかけたので、スタンガンで眠ってもらった。よって解説は
 以後私が引き受けよう」
「なんと、大空寺の舌鋒は青葉のみならず沢村さんまでも怒らせましたか。
 いったいあの言葉にどれだけの意味が?」
「わかっているとは思うが、あの言葉は末莉を揶揄しておる。したがって司が怒るのは当然であろう」
「それはわかります。ですがなぜそれが青葉の挑発に繋がるのでしょう?」
「うむ、それがあゆ嬢の恐ろしいところ。青葉と末莉の微妙な関係を巧みについておる!
 本来ならば青葉は末莉がいくらけなされようと関知するところではないのであろうが、
 本編を経た青葉には少なからぬ身内意識が芽生えておる。本人は認めようとはしないだろうがね」
「なるほど」
「すなわち、頭では冷静を保とうとしても心が認めない、という状態にされたわけだ。
 名状しがたい不快感・いらだちが青葉の内面に湧き上がってきておることだろう。
 この局面においては致命的な状態であるな」
「なんと! これは相手の仲間を貶める反則スレスレの微妙な攻撃!
 それでいて相手のデッドスポットを打ち抜く絶妙な攻撃!
 効果は絶大であります! 青葉、手が出るか!? 出してしまうのか!?
 ……いや、出さない! 踏みとどまったぁ!」

「……あなたの言う『どこぞの誰かさん』が誰だかなんて知ったことではないけれど」
「深い事情もわからないで知ったような口を聞く」
「その無用心さ、無神経さ」
「まさしくあなたが子供であるまぎれもない証拠ね」

「あくまで大空寺のスタイルを中心に展開する攻めを続けて来た青葉が、ここで初めて相手の内面に踏み込んだ!」
「……これは同時に『絵本エピソード』を利用した攻撃ですね」

「……!」

「今度は大空寺が黙り込む! 鳴海さん、その『絵本エピソード』とは?」
「本編中、俺の『思い出の絵本』をそれと知らずに貶してしまい俺にキレられる、というイベントです。
 苦い経験を呼び起こす、うまいやり方ですね」
「女王・青葉、痛烈な反撃であります! なおも攻撃の手を緩めようとはしない!
 このまま一気呵成に畳み掛けるのかぁ!?」
 
「おおかた」
「欲しいものはだだをこねて無理やり手に入れてきたのではなくて?」
「周りが傷つくこともおかまいなしに」
「無自覚であるがゆえの子供のやり口と言えるわね」
「ほんっとそうよね」
「おおっとあなたは招待客の速瀬水月さん。いろいろとおっしゃりたいこともあるでしょうが、
 ここは鳴海さんにご意見をうかがいたいと思います。鳴海さん?」
「……」
「『好きになっちまったものはしょうがない』のよねー」
「……」
「どうやら青葉の反撃は鳴海さんにも並々ならぬダメージを与えてしまったようです。
 鳴海さんに脂汗が流れております。この強力な攻撃の前に、このまま大空寺は沈んでしまうのか!」

「はっ」
「だだすらこねられなかったあんたに言われたくないさ」
「二十歳越えてやっとこさヤケを起こすなんて、ホントみっともないさね」

「あら、あの子開き直っちゃったわ」
「だが、実に見事な開き直りであるな。精緻にして強烈なカウンターを青葉に叩き込んでおる」
「見事です大空寺あゆ! ただで沈むはずもなかった! 開き直ることによりダメージの
 回復を図ると同時に、それ以上の一撃を青葉に見舞った! 
 闘いは今、最高潮の盛り上がりを見せようとしております!」
「……」

「あにさ」

「青葉不気味な沈黙であります!」

「死になさい」

「おおっとシンプルかつ問答無用の一撃!」

「あんですと〜!?」

「『あんですとディフェンス』が出た! いや、出さざるをえない!」

「くたばれ、と申しているのです」

「あ、あ、あんですと〜!?」

「青葉本領発揮! たまらず大空寺再度の『あんですと』!」

「人の過去に土足で踏み込む無知で無能で無神経な輩は即刻死に絶えるべきであると」
「そう申しているのです」

「あにをっ!? 無知で無能はどっちじゃい! このルンペン爺コン女っ!」

「……!」
「決定的な一言が出ましたな。うむ」
「青葉立ち上がったあ! 負けじと大空寺も立ち上がる!」

「愚かな言動を撒き散らし続ける醜悪にして矮小な呪われるべき小娘」
「判決。死刑」
 
「あに宣告してくれちゃってるのさこの大女っ!」
「あ……あ、もう、う、うがあ〜〜〜〜〜〜〜!!!」

「両者同時に手を振り上げたぁぁぁぁぁぁ―――――――――――」


<高屋敷青葉VS大空寺あゆ>
――試合結果――
ほぼ同時のびんたによるクロスカウンター。
写真判定でも決着つかず。よって引き分け。
引き分けの判定が下されると同時に暴動が発生し、日本武道館半壊。

――負傷者――
高屋敷青葉、びんたおよびその後の取っ組み合いにより、軽症。「……不遜……極めて不遜」
大空寺あゆ、びんたおよびその後の取っ組み合いにより、軽症。「お前なんか猫のうんこ踏め 」
沢村司、電圧調整を間違えたスタンガンによる重度のマヒ。「いつか殺す」
鳴海孝之、暴徒と化した一部観客による暴行を受け重傷。「なんで俺が」
河原末莉、試合途中で失神。「ろりっ子にオトコとられて、ってトコで(春花嬢:談)」
観客、暴動による重軽傷者が数百名。
実況の田沢、謎の昏倒。「魔女が……カラスが……」

なおこの度の惨事の責任をとらされることとなったプロデューサーは更迭。
『ザ☆毒々トークバトル』は急遽打ち切りとなり、この試合の様子が放映されることはなかった。

                                            <完>
20 ◆x37FOGtDiI :02/11/12 14:31 ID:3KAtRdJX
>>7-19
以上、長々と失礼しました。
なんせ初挑戦のギャグものでしたので、何かご意見があれば賜りたいです。
21名無しさん@初回限定:02/11/13 03:02 ID:dVf1gups
>>7-20
Good Job !!
22名無しさん@初回限定:02/11/13 22:03 ID:aOoCru+w
>20
ナイスSS!
嬲りキャラはいいものだ・・・
23名無しさん@初回限定:02/11/15 14:22 ID:hFGwa5Hq
>>20
正直、元ネタ知りたくなってゲーム買ってきた。
24名無しさん@初回限定:02/11/15 21:22 ID:6PhbxAJm
読んだら・・・なかなか・・・・(o^ー')b
25名無しさん@初回限定:02/11/18 00:57 ID:If4IMQ3s
毒舌で小娘ときたところで、我が脳内にはマヨちゃんが光臨しますた。
ゲストにいてほしかったかな…。

ともあれ GOOD!
26名無しさん@初回限定:02/11/22 19:38 ID:ycy4K3DR
主人公二人の言動にワラタ
27名無しさん@初回限定:02/11/25 01:18 ID:u4yFwoa9
横レス、すみません。
死に体の某スレでSSもどきを書いているものです。
何とか、起死回生を図るべく勉強させてもらいたくて、ここにきました。
(つまらんならつまらんで、どこがつまらんのかを修正したいです。)

それで、職人の方々に質問なんですが、
文章を書くときに注意してることとか、
アドバイスとかありますでしょうか?

自分の書いたものを読んでみると、
どうも、まだ改善の余地があるように思えますが、
いかんせん客観的な判断はなかなか下せません。
そこで、職人さんがたの御意見を取り入れて、色々と考えてみたく思います。

よかったら、何か書いてやってください。
お願いします。
28名無しさん@初回限定:02/11/25 01:26 ID:yWZiKBig
下級生のギャグSS投下します
291:02/11/25 01:28 ID:yWZiKBig
俺の名はけんたろう。卯月学園の3年生だ。
自慢じゃないが女にモテる。
俺は女以外のものにさして興味がないから、満更でもない高校生活を送っているわけだが…

しかし!

最近、その女のことでアタマを抱えている。

それは、この学校の女子生徒たちはちょっと風変わりな一面があって、
ワケわかんない&脈絡の無いアイテムを所望してくるということだ。

「せんぱ〜〜いっ!」

ん?あれは、テニス部2年の皆川奈々ちゃんだ。今日もさっそく一人目が来たか。

「せんぱいっ、お願いです!何も言わずに、“貝がらのオルゴール”を奈々にくださいっ!」
「ああ、いいよ。ほら」
「あ、ありがとうございますっ!このお礼はいつか必ず…」
「はは、気にしないで」

ふう。……と、いった具合である。

俺は女の頼みとあれば大抵のことはできてしまう男だ。
今渡した貝がらのオルゴールとか風邪薬とか詩集とかブリキのおもちゃといった程度なら、
豊富に取り揃えてある。

しかし、中にはその範疇に留まらないものを要求してくるやつらもいるのだ。
しかも、持っていないとわかると必要以上にガッカリして失望したようなリアクションをとる、
そんな悪質な連中が…。
302:02/11/25 01:31 ID:yWZiKBig
「あ、あの〜、けんたろうくん」

出たよ、神山みこちゃん。
この子はかわいい顔して最も悪質なブツを要求してくる一人だ。
しかし、今日こそは負けん。
大中小をもう一軒開けるくらいの在庫を備えてきたんだからな。
俺は気を引き締めて彼女の言葉を待った。


「あの、理由は言えませんけど……図々しいお願いなんですけど、……

…その、どうしても、… “一本包丁万太郎” の単行本23巻が必要なんです……」

「…ごめん」

「持って…ませんか?」

「……持ってない」

「そうですか、残念です……」

遠ざかるみこちゃんの足音が、ふがいない男ね、と言っているように聞こえる。
理不尽なのは分かっているが、結果が全て。
俺は今日も負けたのだ。

くっ…!また信用を落としてしまった…。
313:02/11/25 01:32 ID:yWZiKBig
しかし、今日はまだ一勝一敗。
悔やむのはまだ早い。失った信用は取り戻せる。
そう、俺らしくプラス思考だ!さあ立ち直ったぜっ。

よーし、次は誰だ?かかって来い!

「けんたろうくん」

「あ……静香…先生…」


「教え子のあなたにこんなことを頼むのは、教師失格かもしれないけれど…

先生、どうしても “主に年配の方がよく自転車のハンドルにつけてる防寒カバー” が必要なの…」

「…………」

「持ってない?」

「……持って…ません…」

「そう、残念ね……」

「…………」
324:02/11/25 01:37 ID:yWZiKBig
俺、今日もダメみたいだ……へへ。
今の一撃で、心が折れちまった。
勝てねえ、勝てねえよこいつらにゃ。

「けんたろうくん」

「あ、いたいたっ。けんたろうー!」

瑞穂と、真由美の声がする。
やめてくれよ瑞穂。死人に鞭打つような真似は。
見逃してくれよ真由美。犬が腹を見せてるんだぜ?
俺はもう、たくさんだ。

「何も言わずに、
“読書ラック(ハードカバーの本を手離しで読めるように固定する枠。鉄製)”を譲ってほしいの」

「あたし、どーしても“燃える!お兄さんの差別発言で回収された号のジャンプ”が必要なの!
あの、フレイザードが表紙だったヤツね!」

・・・フェイドアウト。
33名無しさん@初回限定:02/11/25 01:39 ID:yWZiKBig
>>29-32 しっけーしましたっ
34名無しさん@初回限定:02/11/25 22:26 ID:ZXxrJxNT
>>27
 批評が欲しいという事なので、少し。

 話しの流れにメリハリが無いので、ネタがオチてないです。
ギャグ作品のキモはいかにオチをつけるかなので、ネタのメリハリを大切にして
下さい。

例えば、
>ワケわかんない&脈絡の無いアイテムを所望してくるということだ。
 の後の主人公のツッコミからの独白で話しを作って、最後にヘンなプレゼントを
要求されて落とす、とか。

 ネタのチョイスはいいと思うので、ネタの一つ一つを大切にSSを書いて下さい。
35名無しさん@初回限定:02/11/25 22:48 ID:V7Que/Jd
え、>27=>28なの?
3634:02/11/25 23:21 ID:ZXxrJxNT
>>35
……あ、ID違う。

 >>27 >>28 申し訳ない、同一人物だと勝手に思ってた。
批判の方は聞き流して下さい。
37触手FF:02/11/28 18:14 ID:t6bOAsUr
オワラナイヨ ママン・・・(ノД`)

ごめんなさい、終わりませんでした。
またしてもエロ無しです。

今晩中にUPしますが、先にこちらをご覧下さい。
//www2.nsknet.or.jp/~used-uni/FLOOR9/H-ashi.JPG

イメージはこれ↑です。

それでは後ほど・・・
38瞳 vs アイ:02/11/28 21:26 ID:YLzp2VJc
第四話 『 決着 』

【 瞳 】「・・・お待ちかねだったみたいね」
【 愛 】「・・・・・・」
     『アイツ』はさっきまで愛ちゃんと戦っていた場所にいた。
     『アイツ』もこちらを見つけたようで体ごとこちらに向いている。
      でも向かってくる気は無いみたい。
      体には愛ちゃんのロッド(鎌じゃないんだって)が突き刺さったままだ。
【 瞳 】「愛ちゃん、ロッドに何か細工した?」
【 愛 】「・・・なにも、していない」
      抜けないのか・・・それともあえて抜かないのか?
【 瞳 】「私達が戦いの準備をしたんだから『アイツ』が何かをしていてもおかしくないわ」
【 愛 】「・・・・・・」(頷く)
【 瞳 】「まあ、此処で『アイツ』と睨み合っていても仕方ないし、行こうか?」
【 瞳 】「・・・はい」

       ドゥルンッ ドッドッドッドッ

      チェーンソーのエンジンをかけた。
      そしてアイツに向かってゆっくりと、愛ちゃんと肩を並べて進む。
【 瞳 】「ねぇ、愛ちゃん」
【 愛 】「・・・はい」
【 瞳 】「勝つわよ」
【 愛 】「・・・・・・はいっ」
      気合入ってるぅー。
【 瞳 】「そうねー、これが終ったらお姉さんがなんでもおごっちゃうわ。 何がいい?」
【 愛 】「・・・・・・・」
      愛ちゃんはちょっと考えてから
39瞳 vs アイ:02/11/28 21:36 ID:YLzp2VJc
【 愛 】「・・・ウルトラスペシャルサンダーマウンテンエキストラパフェVer.2.6(改)」
【 瞳 】「・・・・・・えっと・・・?」
【 愛 】「ウルトラスペシャルサンダーマウンテンエキストラパフェVer.2.6(改)」
【 瞳 】「・・・わかったわ」
      ウルトラサンダー・・・なんとかパフェって、テレビとかで紹介されたりする
      馬鹿でかいパフェのことだろうか・・・?
【 瞳 】「そうだ! んっふっふー・・・」
【 愛 】「・・・?」
【 瞳 】「愛ちゃん、そのバケツパフェは何杯でもおごっちゃうからそのときにー・・・
      秋俊くんに会わせてほしいなー」
【 愛 】「・・・・・・えっ!? あ、秋、秋俊、に!?」
      慌ててる慌ててる(笑)
【 瞳 】「愛ちゃんが好きになるんだから、さぞかしカッコイイ男の子なんだろうなー」
【 愛 】「そ、そんな、あ、秋俊がカッコイイだなんて・・・」
【 瞳 】「あら、秋俊くんカッコワルイんだ?」
【 愛 】「そんなことない! 秋俊は、秋俊は・・・ぅぅぅぅぅ・・・カッコイイ、のかな?」
      悩んでる悩んでる、あんなに顔を真っ赤にして・・・カワイイ。
【 瞳 】「ふふっ、無理に会わせろなんて言わないわ。 憶えていたらでいいから・・・
     愛ちゃん? どうしたの?」
      愛ちゃんの表情がけわしくなっていた。
      寮の部屋でも人形のことを聞いたときにこんなふうになったし・・・
      秋俊くんのことにはふれないほうがいいのかしら。
【 愛 】「・・・・・・なんでもない・・・」
      やっぱりまずかったかな・・・?  
40名無しさん@初回限定:02/11/28 21:46 ID:ZBvjjdi6
>>37
マタニティーセーラー服、キタ━(゚∀゚)━!!


       ・・・なわけないかw
41瞳 vs アイ:02/11/28 22:04 ID:YLzp2VJc
【 瞳 】「ゴメンなさい」 
【 愛 】「・・・いえ、いいんです・・・。 ふふっ・・・そうですね、憶えていたら秋俊に会わせてもいいです」
【 瞳 】「・・・本当に、いいの?」
【 愛 】「ええ、・・・憶えていたら・・・」
      な〜んか引っかかるんだけど・・・まぁいいか。
【 瞳 】「よ〜〜しっ! やるぞー!! なんとしても秋俊くんの顔を拝んでみせる・・・」
【 愛 】「右へッ!!」
      愛ちゃんの声に考えるよりも先に身体が反応していた。
      右に跳びながら元の場所を見た。
      愛ちゃんが私とは逆の方向に跳んでいるのを確認したとき、さっきまで二人がいたところから
      たくさんの触手が地面から飛び出してきた。

          ニュルルルル、グニュルルル

      空振りにおわった触手の反応は速く、すぐさま二手に分かれて私達に向かってくる。

          ドスッ!
          ドスッ! ドスドスッ! 

     私の跳んだ軌跡を追ってきた触手が音を立てながら地面に突き刺さった。
      なんとか地面に右手を着き、そのまま側転ぎみに1回転してから着地。
【 瞳 】「おっとっとっと・・・」
     左手に握っているチェーンソーの重さに身体を振り回されながらチェーンソーのレバーを押した。
     そしてエンジンを全開にする。

          パンパンパンパンパ―――――――ン

      原付バイクのエンジンのような乾いた音を出しながらチェーンソーのエンジンの回転が上がり
     先端の刃が高速で回転を始める。
42瞳 vs アイ:02/11/28 22:10 ID:YLzp2VJc
【 瞳 】「そっちの準備も万端ってワケね。 それじゃあ、お返しよ!」
      チェーンソーを両手で持ち構え、地面に突き刺さった触手に斬りかかった。
【 瞳 】「――――――――――っ!!」
      触手にチェーンソーが当たる。

        ぢゅぢゅぢゅぢゅぢゅ デュルグチュチュチュチュ じゅぐぐぐん

      うわっ!?
      映画と違ってキレイに切断できない。
      そのうえ触手の肉と体液が飛び散って、私の身体にかかる。
      2本、3本・・・4本・・・切れた!
      何とか切断できたが・・・駄目だ! 触手に対してこの武器は不適合だ。
      触手が『くの字』になるまでチェーンソーで押しこまないと傷をつけることができても
     切断することはできなかった。
      コイツで切断するには適度な『硬さ』や『張り』が必要なんだわ。
      今の状態は『糠に釘』ってところかしら。
      まあ、切断はしにくいけれどダメージを与えることはできるし・・・
      ちょっと戦い方を変えて・・・・・・そうだ、愛ちゃんは?

      うわぁ・・・私に向かってきた数よりもはるかに多い数の触手が
     愛ちゃんを襲っている。
     だけど、その大量の触手を避けながら確実に切断していく。
【 愛 】「ふッ」    ザシュ
    「やぁッ」   ドシュ
      群がる触手の中を中国武術の演舞のような動きで戦っている。
      愛ちゃんの動きは止まることがなく、時には身体を回転させ遠心力を利用して
      大量の触手を切断していた。
      そして触手を切断することにより制服に返り血を浴び続けている。
      この学園の制服は白を基調としたロングスカートのワンピースで愛ちゃんが
     回転するたびに裾がひろがり夜の闇の中で花が咲いたかのように見える。
43瞳 vs アイ:02/11/28 22:13 ID:YLzp2VJc
     しかし、白い花が徐々に紅い花へと変わり、今では返り血の重さで
     その花も咲かない状態だ。
     制服が身体に纏わりつき、愛ちゃんの動きが鈍くなり始めた。
【 愛 】「翔輝」  ドシュッ
      ・・・ショウキ?
【 愛 】「斗牙 降真!」 ドシュッ ドシュンッ
      愛ちゃんが何かを唱えながら戦っている。
【 瞳 】「あっ!?」
      囲まれた!!
      触手は距離をとって愛ちゃんを囲んだ。 そして先端が小刻みに震えだす。
      これは・・・まさか!?

        ドピュッ ピュルピュル ドピュル ドキュッ!!

      囲んでいたすべての触手の先端から白い粘液が噴き出す。 
      精液を射精するかのように発射された白濁液は囲みの中心にいる
      愛ちゃんに襲いかかった。

        バシャバシャビャシャバシャシャ

      白濁液が囲いの中心でぶつかりあい混ざりあう。
      だが、そこに愛ちゃんの姿は無い。
      発射された白濁液を浴びる直前に触手の頭上?よりもはるか上へとジャンプ。
      宙へ舞った愛ちゃんがその頂点へ達したとき、『ソレ』はおこった。
【 愛 】「翼竜装纏ッ!」
      愛ちゃんの身体が強い光に包まれる。
【 瞳 】「まぶしい」
      闇の中に突然現れた光が私の視界を奪う。
44瞳 vs アイ:02/11/28 22:15 ID:YLzp2VJc
       『グオォ』

      アイツも眩しいのか、苦しそうな声が聞こえてくる。
      光がおさまり視界が戻ってきた私はすぐさま愛ちゃんを探した。
      いない、いない・・・何処にいるの・・・いたっ!!
      初めて出会ったときと同じように外灯の上に立っていた。

      頭上に満月を従えて外灯の上に立つその姿は制服姿ではなかった。
      紺のコスチュームに頭には赤いリボン。
      その赤いリボンが風に流され、なびいている。
      両腕は身体の前で交差していて、両手には血に濡れた草刈鎌が握られていた。

      紅い・・・
      紅い瞳が月の光で妖しく光る。
      先程までとは全然違う凶暴な輝きだ。
【 愛 】「・・・・・・貴様は、殺す」
      静かな口調で言う。
【 愛 】「楽には殺さない。 痛みに苦しみ、のたうちまわり、殺してくれと泣き叫んでも
     殺してやらない」
      うわ〜〜〜〜・・・・・・
【 愛 】「・・・」
にっ、と口の端だけで微笑む。 
      残酷な天使の笑みだ・・・
【 愛 】「・・・ッ!」
      外灯から飛び降り着地すると、そのまま『アイツ』に向かって突進する。
【 愛 】「死ね! 死ね死ね死ね死ねッ!」
     
       ドシュン ドシュル ザシュザシュ ドシュ
45瞳 vs アイ:02/11/28 22:19 ID:YLzp2VJc
      さっきまでの動きが『円』の動きだとすると、今の動きは『線』だ。
     『アイツ』に向かって最短距離(一直線)で進んで行く。
      襲いかかってくる触手は身体に触れる直前でかわし切断する。
【 愛 】「邪魔だ!」 ドシュ
      一本一本確実に切断しながら前へ進む。
【 瞳 】「ボケっと見てる場合じゃないわ。 愛ちゃんの援護の為に少しでもいいから
    触手をこっちにこさせなくっちゃ!」
 
    私は『アイツ』には脅威ではないなしく、最初の触手以外こちらに向かって 
    くる様子がない。
【 瞳 】「ナメてくれちゃって・・・思い知らせてあげる!」
     『アイツ』に向かって駆け出し距離をつめた。
【 瞳 】「あと20・・・10・あっ!?」
        
       グバァ―――――ッ

      地面から触手が数本飛び出してくる。
      クソッ!!
      まだ地面の下にいたなんて!?
      飛び出してきた触手はそのまま襲いかかってくる・・・でも!
【 瞳 】「不意打ちじゃなかったらこれぐらいの数、どってことないのよ!」
      触手を真正面から迎え撃ちチェーンソーを横振りにして叩きつける。
      すると回転していない刃の部分に触手が絡みつく。
      いまだ!
      チェーンソーのレバーを押す。

        パパパパパン ヒュィ――ン グチャグチャギュルルジュルグチュ

      チェーンソーのエンジン音と刃の回転音、そして触手の切り刻まれる音が 
      ひとつにになって不協和音を奏でる。
46瞳 vs アイ:02/11/28 22:26 ID:YLzp2VJc
【 瞳 】「よっと」 グニュぢゅちゅ
      絡みついている触手からチェーンソーを引き抜くと傷のついたところから
     血と肉がこびりついて赤黒くなった触手が力無く垂れ下がったままだ。
     その動かない先端部分を引きずりながら触手が後退していく。
     切断しても触手本体は血と体液を撒き散らしながら動いていた。
      しかしこの方法なら動かない部分が枷となって触手の動きが格段に落ちる。
【 瞳 】「よしッ!」
      おもわずガッツポーズ。
【 瞳 】「さあ、お次はどれ?」
【 愛 】「後ろだッ!!」
      ・・・後ろ?
     あわてて後ろを向くと地面から一体の触手が生えていた。
     先端をこちらに向けて小刻みに震えてる。
     これは・・・マズイッ!

       びゅびゅる

     触手の先端から発射された白濁液は、私の顔をめざして飛んできた。
     どう避ける?
     後ろ? 横?
     前だ!
     上半身を左にひねりながら前方へ倒れ込む。
     間一髪で白濁液が顔の右横を通りすぎた。
     倒れ込むように避けた動作から身体を丸めて前転。
     ちょうど目の前にさっきの触手がいるのでチェーンソーで上から切りつける。

       ザン

     チェーンソーの先端を地面に突き刺し、間に触手を挟みこみレバーを押す。
47瞳 vs アイ:02/11/28 22:32 ID:YLzp2VJc
       ヂュルルルルル ブチン

     チェーンソーを押しこんで触手を切断。 切り離された触手がビタンビタンと
     暴れているが、もう危険はない。
【 愛 】「触手から発射される粘液には強力な催淫効果がある。 気をつけろ!」
      アレを浴びるとマズイって訳ね。
      しかたがない・・・ 仕切り直しだ。
     『アイツ』から後退して距離をとる。
     愛ちゃんは・・・?
     あっちもあれ以上は進めないみたい・・・ん?
     触手の動きがさっきとは違う。
     『刺す』動きから『振る』動きに変わっている。
     四方八方から鞭のような動きの触手が襲いかかっていて避けるので精一杯みたい。
     避けながら時々攻撃をしているけれど触手も巧みに避ける。
     これは・・・愛ちゃんを攻撃するんじゃなくて、近寄らせない・・・
     守りにはいっているんだ。
【 愛 】「・・・くっ」
     愛ちゃんも決め手がないために攻めあぐんでいる。
【 瞳 】「あっ!?」
      愛ちゃんに一瞬スキができた。
      触手もそれを見逃さない。

        ビュニュルルル

      愛ちゃんの右腕に触手が絡まる!
      しかし愛ちゃんは腕に絡まった触手を振り解かず、逆に握り締めた。
【 愛 】「光疾!」

       バシ、バシバシバシバシ
48瞳 vs アイ:02/11/28 22:37 ID:YLzp2VJc
     愛ちゃんから発生した雷が触手をとおして『アイツ』に襲いかかる!

       『グゥアオオオオオオ!!? グゥガガガがギャ! ゴゥアグゥ・・・』

     電撃を浴びている間は全身が硬直して細かく痙攣していたが電撃が止まると
     『プシュ――――――』と、まるで風船から空気を抜いたような音を出して
     『アイツ』の全身から力が抜けていく。
【 愛 】「・・・ふんッ」
      もう一度、愛ちゃんが光疾を放とうとしたとき『アイツ』は触手を引き千切って態勢を立て直した。

       『小娘、が・・・ ぐ、そ・・・こ、ごろじて、やるぅ・・・』

【 愛 】「・・・舌がまわっていないぞ。 このグズがッ!」
      そう言って『アイツ』に向かって駆け出そうとした時。

        キィ キィ キィ

      本体とは別の、私を襲った巨大ミミズが何匹も現れ、愛ちゃんに絡みついた。

       ギュニュルル ニュルル ニュラリュリュ
      愛ちゃんの全身を巨大ミミズが覆い尽くし見えなくなる。
 
       ズガ―――ン!!

      落雷のような音が鳴り響く。
      すると巨大ミミズがパラリ、パラリと剥がれ落ちていく。
【 愛 】「・・・・・・」
      愛ちゃんの紅い瞳がさらに妖しく光る。
49瞳 vs アイ:02/11/28 22:40 ID:YLzp2VJc
【 瞳 】「愛ちゃん・・・」 
     いつの間にか私の身体がブルブルと震えている。
      こわい・・・愛ちゃんがこわい・・・『アイツ』じゃなくて愛ちゃんに恐怖を感じる。

       ギィ キィキィ ギィギィギィギィ

      巨大ミミズが性懲りもなく襲いかかり、愛ちゃんに絡みつく。
      しかし同じことの繰り返しだ。

       ズガガガ―――ン!!

      またも落雷のような音が鳴り響き巨大ミミズが地面に落ちていく・・・

       シュルルル ニュルン ニュルルル ニュロロ

      今度は『アイツ』本体から伸びる触手が複数本絡みついた。

       『つ、捕まえ、だぞ・・・グフグフ』

【 愛 】「・・・無駄だ」

      ドガ―――ン! バリバリバリバリバリ

       『グギャァ――――――――――!!!!!?』

     今までとは比べ物にならない電撃が『アイツ』に与えられた。

       『グガガガガガガガガガガ・・・ググゥグガ―――!!』
50瞳 vs アイ:02/11/28 22:43 ID:YLzp2VJc
     切った!?
     『アイツ』は電撃を浴びている間に愛ちゃんに絡みついている触手を引き千切って電撃から逃れた。
     だが、ダメージが大きいため全身どころか触手さえも動かせない。
【 愛 】「・・・フンッ!」
      身体に絡みついていた触手を振り解くと『アイツ』までの道筋が愛ちゃんの前に
      できあがっていた。
     『アイツ』はまだ動けない。
【 愛 】「・・・終わりだ」
     『アイツ』に向かって愛ちゃんが走る。
      私も『アイツ』に向かって走り出した。

・・・なにか、ヘンだ。 
おかしい・・・おかしいわ。
『アイツ』の二度目の攻撃が気になる。
どうして自分の触手で攻撃をするの。
一度目の攻撃で、愛ちゃんを捕らえれば電撃がくるのはわかっているはずだ。
  ・
  ・
  ・
誘われている・・・?

【 瞳 】「愛ちゃん!?」
      愛ちゃんを・・・どうする?

     @止める
     A止めない
51触手FF:02/11/28 22:50 ID:YLzp2VJc
ずれすぎ・・・

え〜と、この2択でエロエロBADENDと
HAPPY?ENDで終了です。

いつ終わるんだか・・・
52名無しさん@初回限定:02/12/01 03:09 ID:N89YpEiH
ガンバレ!!(・∀・)
53名無しさん@初回限定:02/12/07 09:53 ID:dxJxpM0o
保守
54名無しさん@初回限定:02/12/12 01:15 ID:sW3oCIq8
とりあえず
55名無しさん@初回限定:02/12/16 18:39 ID:Ekr6zJnQ
保全
56名無しさん@初回限定:02/12/20 21:47 ID:4XctmIDz
保守
57名無しさん初回限定:02/12/24 00:56 ID:ISeThg61
葉鍵板で圧縮かかったみたいだから
あげとく。
58名無しさん@初回限定:03/01/01 23:19 ID:EOjFzjPT
あけおめ&保守
59名無しさん@初回限定:03/01/04 11:25 ID:7Er9DtFb
nayukifan

題名「AD2020.10.23」 @Hello,world
・・・・こんどこそ長文炸裂、すみません(;´Д`)
60AD2020.10.23(1):03/01/04 11:26 ID:7Er9DtFb
(兄さんは、まだ事情聴取中でしょうか・・・・)
あの日から数日目の午後、私はカーテンを見ながら溜め息をつきました・・・・。
ここ数日、アパートからも出られず、窓からの景色も見られません。外はマスコミの人たちでいっぱい、
住人の人たちまでも時折インタビューを受けています。もしも私が外出しようとしたら、きっと不必要
な注目を浴びてしまうでしょう。
『外出してはならない』・・・・状況分析クラスタ、行動選択クラスタ等々、関係クラスタが下す冷静な判
断さえ、私には切なく感じられます。
(寂しい・・・・)そんな思いがふと『心』に浮かびますが、それを言葉にするのはなぜか憚られました。

私は膝上のエテコウに話しかけていました。
「退屈ですね・・・・エテコウ?」
「ウキー・・・・」私を見上げ、エテコウも悲しげに言葉を返します。
「そう、貴方も・・・・」
「早く兄さんが帰る時間にならないかしら・・・・」エテコウを撫でながら、私は独り言ちました。

そんなとき、エテコウを介し電話が入りました。きっと兄さんから・・・・電覚を介さずに連絡をとってき
たのは用心のためでしょう。
「はい、友永です」連絡があるとしたら兄さんからだけなのですが、私は苗字を名乗りました。
『家』にかかって来た電話には「友永です」と名乗りたかったから・・・・。

『遥香、どうしたの・・・・今、いいかな?』兄さんがこちらの様子を尋ねてきます。
「あ、兄さん・・・・ごめんなさい。もう帰って来られるのですか?」尋ねる私の声は、つい弾みます。
『いや、まだ駄目だよ。ほら、時間をかけて話をまとめてるから・・・・』
「あ・・・・。はい、そうでしたね」担当官が純子さんなので本当はもう聴き取り調査は不要だけど、「警
察に怪しまれないように時間がかかるふりをするから」と兄さんは昨日仰ってました・・・・。
61AD2020.10.23(2):03/01/04 11:27 ID:7Er9DtFb
兄さんが話を続けます。
「それで、遥香。今日、佐知美さんが遊びに行きたいって。今、僕と純子さんのところに佐知美さんか
ら電話があって」
(佐知美さんのお仕事だろうか?)
「取材・・・・ですか?」
「いや。僕もそう聞き返しちゃったんだけど、見損なわないでって佐知美さんに叱られた・・・・。友達の
和樹君と遥香ちゃんのお見舞いだって」
「お見舞いですか・・・・?」

【見舞い:(そこに行って)無事かどうかを尋ねること。狭義では災害や病気・不況に苦しむ人を慰問
することを指す】
疑問を持つ私の思考に反応して、データベースが瞬時に言葉の意味を検索、提示。
国語辞典の定義ならいくらでも私は『知っている』・・・・本当の"お見舞い"を私は知らないのに。

でも・・・・。
「なんだか楽しそうですね」
「そうだね」兄さんが優しく言いました。その物言いはまるで、小さな子をあやすようです。・・・・兄さ
んはときどき、私を年端も行かない子供のように扱うことがある・・・・和樹クラスタが報告してきていま
した。
「僕はすぐには帰れないけれど・・・・。遥香、佐知美さんが行っても大丈夫かな?」
「はい。大丈夫です、佐知美さんに、是非いらして下さいと伝えて下さい」
「わかった。そう伝えておく」
「はい。お願いします、兄さん」
「うん。じゃ、切るよ」そう言って、兄さんは通話を切った。

「えっと・・・・部屋の片付けくらいはしておこうかしら?」
「ウキッ」
「そうですね」賛成してくれたエテコウと一緒に、私はお掃除に取り掛かりました。
・・・・・・・。
・・・・・・・。
62AD2020.10.23(3):03/01/04 11:28 ID:7Er9DtFb
数十分後、インターフォンからチャイムが聞こえ、声が響きます。
「佐知美で〜すっ!!」佐知美さん固有の声紋と一致・・・・佐知美さんです。
「はい、お待ちください」
インターフォンを通じ言った後、私はドアのロックを解除しました。
「こんにちはー」
「はーいっ」私は出迎えのため玄関に向かいます。
「あらっ、わざわざのお出迎え? うれしいわ〜」佐知美さんがいらっしゃいました。
「いらっしゃいませ、佐知美さん」
「遥香ちゃん、元気してた〜? アタシは元気ですっ! なんちゃっておほほほっ」口に手を当てて、
佐知美さんが笑います・・・・。
『佐知美さんはいつもテンションが高い』既知の情報として佐知美クラスタから報告。以前、その分析
もしてみましたが、今のところ理解不能という結論でした。でも、そんな佐知美さんがいることで周り
の人は救われますし・・・・もしかしたら、佐知美さんの精神高揚の高さは複雑な感情を背景にするものか
もしれない・・・・私はそう推量しています。

「散らかってますけど、どうぞお上がりください」
「あ、ちょっと待って・・・・荷物があるの」
佐知美さんはなぜか紙袋を一つ、二つ、三つ・・・・ドアの外に置いていたものを部屋に搬入しました。
「あの・・・・それは?」
「うふふ、あとで見せるわね」楽しそうに私に微笑む佐知美さん・・・・。
「はい・・・・」いったい何でしょうか?
「お邪魔しまーす」
紙袋を両手に持ち、応接間兼寝室に進む佐知美さん。首をひねりながら、私はその後に続きました。
・・・・・・・・。
63AD2020.10.23(4):03/01/04 11:29 ID:3rV3Iiso
「粗茶ですが」これも私が初めて経験する言葉の一つです。
お客様がいる会話の中でのみ成立する文章・・・・そう思うと、どこか不思議です。
「んまっ、礼儀正しい良い子ねえ〜!? ・・・・可愛いから、お小遣いをあげちゃおうかしら?」
佐知美さんが大仰に驚き、お財布を取り出してみせます。
「ふふっ・・・・なんか、おばさんクサいです」私はつい笑ってしまいます。
「あー・・・・おばさんクサい? ・・・・がっくり」首をうなだれる佐知美さん・・・・。
悪いことを言ってしまった・・・・?
「あ・・・・すみません。そういうつもりじゃ・・・・」
「まあ、遥香ちゃんからしたら、赤ちゃん以外みんなおばさんみたいなもんだから」
佐知美さんは苦笑いをしていました。

「でも、外にも出られず大変ねぇ・・・・」外の喧騒を指しての、佐知美さんの言葉。
「ああいうのが私の仕事なんだけど、さすがにみんなにすまなく思っちゃうわね・・・・」
「私はいいんですけれど、兄さんが辛そうで・・・・。お友達が困っているんじゃないかと・・・・」
兄さんは、時々憂鬱な表情をしているときがあります。私と話しているときは、あまりそうではないの
だけれど。兄さんは優しいから、きっと私に気を使って・・・・。

「遥香ちゃんも退屈じゃない?」
「いえ、私は・・・・何もかも新しいことばかりですから。それに」
兄さんがいてくれるから・・・・他には何も・・・・。
「それに、何・・・・?」
「あ、なんでもないです・・・・」そう言いながら、私は否定の意を込めて佐知美さんに右手の平を振りま
した。
64AD2020.10.23(5):03/01/04 11:31 ID:3rV3Iiso
・・・・佐知美さんが、いたずらっぽく横目で私を見ます。
「うぷぷっ・・・・」
「え? どうかしましたか・・・・?」
「いや〜、『それに、兄さんと一緒に居られるから』とかなんとか、遥香ちゃんが思っているな〜って
・・・・くすっ」
「そ、そんな・・・・」
「顔に書いてあるわよ?」佐知美さんがにこにこと私を見つめてきます。
私は急いで両手で頬をこすりました。
「う、嘘です??」もしかしたら、私の顔は赤くなっているかもしれません。
「あはははっ。本当に、あなた達兄妹は嘘が下手ねえ〜」
「もうっ・・・・変なこと言わないで下さい、佐知美さんっ」私は恥ずかしくて、俯いてしまいました・・・・。

「でね、今日は兄思いの遥香ちゃんのために、お土産を持ってきたのようー」
佐知美さんが、さきほどの紙袋を手元に寄せます。
「お土産ですか・・・・?」
ごそごそ・・・・。
「はい、これよ」
「あ、それは・・・・」
紙袋から取り出して佐知美さんが示したものは、学園の女子用の制服でした。
「和樹君の通っている学園の制服。見たことあるでしょ?」
「はい。でも、どうして・・・・?」
「遥香ちゃんが着たらどうかって。きっと似合うし・・・・で、その姿を和樹君に見せたあげたら、きっと
和樹君も喜ぶわって思ってね。どう?」
佐知美さんが上着を広げて、私に示す。
「え・・・・」私は一瞬言葉に詰まる。
着てみたい・・・・。それに、本当に兄さんは喜んでくれるでしょうか。でも、恥ずかしい気も・・・・。
「どうかしら? それとも、もしかして嫌?」佐知美さんが心配そうな顔をして私を見ます。
65AD2020.10.23(6):03/01/04 11:31 ID:3rV3Iiso
「う・・・・うれしいです・・・・」本当に嬉しいです・・・・。
(どうして兄さんのお友達は優しい人ばかりなんでしょうか。)
そう思う私の頬を『涙』が伝っていました。
、私は佐知美さんに手伝ってもらいながら制服を身に付けます。
・・・・・・・・。
・・・・・・・・。

制服を着て、私は鏡の前に『立ち』ました。姿見が可能な鏡はこの家にはないけれど、部分部分の鏡像
を処理して私は無機頭脳内に全身の制服姿をイメージすることもできました。
私はしばらくの間飽きることなく、鏡に映る自分の姿と、立体像の自分を眺めました。
「どうかしら?」佐知美さんが尋ねてきます。
「素敵な制服です・・・・」胸がいっぱいで、それ以上言葉が紡げません。
「んーっ・・・・。ここまで喜んでもらえると、持ってきた甲斐があったってもんね」佐知美さんが感慨深
そうに言いました。
「それじゃあ、ビデオに撮っておきましょうか」
「はい、お願いします」私の姿を佐知美さんが、ビデオに撮り始めます。
今晩、兄さんにも見てもらおう。・・・・兄さんはどんな感想を抱くのでしょうか?

お礼を言わなくちゃ・・・・。ビデオ撮影が終わったらそうしようと思っていましたが、撮影が終わった佐
知美さんの言葉は次のものでした。
「じゃあ、次に行きましょう」
「え、次ですか・・・・」まだ他にあるのですか・・・・!?
私は、わくわくして期待に胸を躍らせます・・・・。

テーブルの前に座り直した佐知美さんが、次の紙袋を手にします。
ごそごそ・・・・。
「次は、これね」
「そ、それは・・・・?」
66AD2020.10.23(6):03/01/04 11:32 ID:3rV3Iiso
「た・い・い・く・ぎ、よ。遥香ちゃん」
佐知美さんが、私に上着といわゆるブルマを提示し、にっこり笑いました。
「え、あの・・・・」
(制服ほど、素直に喜べないのはどうしてだろう・・・・。)私の内部に、そんな疑問が提議されていまし
た。

脈絡もなく私は尋ねていました。
「これは何かの・・・・罰ゲームでしょうか?」
「ちがうわよ〜」にこにこしながら、佐知美さんが首を振りました。・・・・罰ゲームではないようです。
ためらいながらも、私はさらに疑問を口にしました。
「えっと、その・・・・。なにかエッチな感じがするのですが・・・・この感情はおかしいでしょうか?」
体操着を着ることを考えると恥ずかしさが募ります。情報クラスタも『ちょっとエッチではないか』と
報告してきています・・・・。
「それは、おかしいわよ」にこにこしながら、即座に佐知美さんがきっぱりと断言します。
・・・・目が笑ってないです、佐知美さん。
「そ、そうでしょうか、でも・・・・」

そんな私に対して、佐知美さんが真顔で言いました。
「いい、世の中の女の子はこれをつけて体育の授業を受けてるのよ。まあ、一部の学校では廃止されち
ゃったけど。和樹君のクラスの子だって、深佳ちゃんだってこの格好で授業受けてるんだから〜」
「それは、そうですけど・・・・」
私の反応に佐知美さんが悲しげに下を向きます・・・・。
佐知美さん・・・・。

「和樹君だって、きっと喜ぶんだから・・・・」佐知美さんがぽつりと呟きました。
「着てみます!」・・・・佐知美さんの言葉に、何故か即答する私がいました。
「そうそう、レッツチャレンジよん!!」
67AD2020.10.23(8):03/01/04 11:34 ID:RVVKythZ
佐知美さんが、してやったりとばかりに微笑みます。
(私、騙されてる・・・・・・・?)
疑問を感じつつも、私は佐知美さんに手伝ってもらいながら体操着を身に付けます。
・・・・・・・・。
・・・・・・・・。

とにかく、着てみましたが・・・・。
「こ、これは・・・・?」上着に『4−3 友永』とゼッケンが貼ってありますが・・・・。
「ああ、それは・・・・そう、雰囲気作り」言葉を捜すように考えた後、佐知美さんが言いました。
「倦怠期とかに効くっていう話よ、おほほほ」
「倦怠期ですか・・・・? 勉強になるような気がします・・・・」
よくわかりません・・・・しかし、私はとりあえず頷きました。
「奥が深いから。まあ、その辺はおいおいと」
「はあ・・・・。奥が深い・・・・ですか」私の経験と頭脳では、今一歩理解不能です・・・・。

「どう、遥香ちゃん? この格好で校庭を走り回るわけ」
「なんだか、不安です」
「何が?」
「太股や腕が、スースーする感じがして・・・・名札も何て言うか・・・・イケナイ気がしますし」
「・・・・ああ、可愛い姿を和樹君に見せてあげたいわー・・・・」
佐知美さんは、人の話を聞いていないようです。

「この姿で校庭を走り回る遥香ちゃん・・・・きっとみんながモエモエよ、あ〜んっ!!』
その佐知美さんの言葉に、ふと思い出してしまいます。
『私は歩行できるようになるのだろうか?』そのことを思うと私は少し悲しくなってしまいました。
「走れたらいい、ですね・・・・」
「ほらほら、落ち込まないっ。足が治ったら、走れるようになるわよ」
「なるでしょうか・・・・」
68AD2020.10.23(9):03/01/04 11:34 ID:RVVKythZ
「そのうち、縦横無尽に、無人の野を行くが如く、遮るもの皆なぎ倒すくらいの勢いで走れるから」
佐知美さんが私を励まします。
「ふふっ・・・・その走り方では、私あまり可愛くなさそうですね・・・・」
あはは、と佐知美さんが笑いました。
(ありがとう、佐知美さん)と私は心の中でつぶやきました・・・・。

「それじゃあ、ビデオに撮っておきましょうか」
「あ・・・・えっと・・・・お願いします」私の姿を佐知美さんが、ビデオに撮り始めます。
今晩、兄さんに見てもらう・・・・そう思うと私の頬は赤く染まっていました。
・・・・ビデオの私は、初めから終わりまで、照れているものになってしまいました。
疲れました・・・・。

ビデオ撮影が終わったら解放されるものと思っていましたが、撮影が終わった佐知美さんの言葉は次の
ものでした。
「じゃあ、次に行きましょう」
「え、まだあるのですか・・・・」
私は、もう十分ですと言おうとしたのですが・・・・。
それより早く、佐知美さんがさらに次の紙袋を手にしていました。
(はわ、わ・・・・)

ごそごそ・・・・。
「はい、これ」
「・・・・・・・・」音声処理機能がうまく働きませんでした・・・・。
「ね、可愛いでしょう?」
「か、可愛いですけど・・・・これは?」
69AD2020.10.23(10):03/01/04 11:35 ID:RVVKythZ
「スモックと言うものなの、知ってる?」
黄色い帽子と水色のスモック。情報クラスタが『幼稚園の子供が着る服』と報告。
「た、確かにそうなんですが・・・・・・・・」
『全クラスタの処理速度が落ちている』と自己診断クラスタが報告。
私は、どう反応したらよいのでしょうか・・・・最適な行動が選択できません。
「・・・・お〜い、遥香ちゃん。聞いてる?」
「これ、私が着るのですか・・・・?」
「うん、着るの」スモックを手にして微笑む佐知美さんが目の前にいました。

体操着以上に、素直に喜べないのはどうしてでしょうか・・・・。頬から火が出そうです・・・・。
同時に、危機を認識して内部のクラスタが活発に動き出していました。
 危機管理クラスタが速やかに立ち上がりました。
 危機状況把握クラスタが、現場放棄を勧告してきました。
 警戒クラスタが速やかに立ち上がりました。
 状況認識クラスタが戸惑っています。
 行動選択クラスタが『着ない』を示しています。
 人格形成クラスタが『人として間違っていないか?』と疑問を提議してきています。
 ・・・・・・・。
 ・・・・・・・。
でも『和樹クラスタ』が着てはどうかと、控えめながらも推奨していました・・・・。

私はおずおずと佐知美さんに訊きました。
「罰ゲーム・・・・?」
「違うって」
「ど、度胸試し・・・・?」
「それも違うわ」
「じゃ、じゃあ・・・・辱しめ?」
「・・・・・・ぷっ」佐知美さんは両手で口を押さえて、笑いをこらえているように見えました。
70AD2020.10.23(11):03/01/04 11:36 ID:RVVKythZ
それに、それに・・・・。
「・・・・この服なにか・・・・その・・・・とてもエッチな感じがするのですが・・・・この感情はおかしいでしょう
か」
「とてもおかしいわよ」即座に佐知美さんがきっぱりと断言します。
「そ、そうでしょうか、でも・・・・」

「いい、遥香ちゃん? どんなものでも、視る人によってエッチかどうかなんて決まるもの、でしょ?
 エッチな人が見れば、エッチなわけ」
「それは・・・・そうですけれど」
「でしょう? 和樹君はエッチなわけ・・・・? あらっ!? それとも、和樹君は遥香ちゃんにエッチな
ことしようとしたりなんかして?」
「そんな・・・・兄さんは、エッチなんかじゃありません」

「それにね、本当は・・・・こういうことであなたたち兄妹の思い出が増えるかなって・・・・。あはは・・・・ち
ょっとやりすぎだったかもね」そう言うと、佐知美さんが項垂れました。
「ごめんね・・・・無理強いしちゃって。迷惑だったわよね・・・・」

佐知美さんの悲しげな態度に私は慌ててしまいました。
「そ、そんなことありません・・・・」
「え!?」
「佐知美さんのお気遣い、とても嬉しいです」
「本当?」上目遣いに私をみる佐知美さん。
「本当です。だからそんな、お気になさらないで・・・・」
私が言葉を言い終わらないうちに、我が意を得たりとばかりに、佐知美さんが頷きます。
「じゃあ、着てみましょうか?」笑顔を取り戻した佐知美さんが言った。
(あう〜・・・・)
結局、着てみることになってしまいました・・・・。
(私、やっぱり騙されてる・・・・・・・?)
・・・・・・・・。
・・・・・・・・。
71AD2020.10.23(12):03/01/04 11:38 ID:s5e6yQMd
とにかく、着てみましたが・・・・。
「・・・・・・・」声もありません。絶対、これは何かの間違いです・・・・。
「可愛いわ、遥香ちゃん」確かに可愛いと言えなくもないでしょうけれど・・・・。
「この姿を和樹君が見たら、きっと」
「だ、だめです。やめてくださいっ」私の頬を涙が伝っていました。
私の内部の関係クラスタが『非常識』『破廉恥』『コスチュ−ムプレイに相当』『幼女性愛者の好む服
装』・・・・侮蔑的な報告をして来ていました。
「こんな格好・・・・ひっく・・・・見せられません・・・・うくっ」

「え、遥香ちゃん、恥ずかしいなんて思ってるの!?」
「と、当然です。だって私、そんな年じゃないし、常識だってあるんです・・・・ぐすっ」
私には、兄さんとおよそ同年齢の精神年齢が設定されています。
「佐知美さん、あんまり私をからかわないで・・・・下さい・・・・」
悲しい気持ちを抑えようとしながら、私は佐知美さんに訴えました。

「違うわ、遥香ちゃん・・・・」佐知美さんが私を諭すように、穏やかに言いました。
「遥香ちゃんは、この世界に生まれでて、まだ・・・・」
「6日です・・・・」
「でしょう? 遥香ちゃんと和樹君は、他の兄妹がしてきたことを経験していないの」
「それは、そうですけど・・・・」
「どんなお兄さんだって、妹の成長を喜ぶものなのよ。妹が生まれたときから、大きくなっていく姿を
見守って、嬉しく思うのよ。・・・・でも、2人にはそれがないから、私いろいろ考えて」
そうだったのですか。・・・・それでも、やっぱり・・・・。

「方法が間違っているのではないでしょうか」私は疑問を口にしました。
「方法?」
「このスモックはあまりに、常識からはかけ離れていると判断します。データベースによる情報検索に
よっても・・・・」
72AD2020.10.23(13):03/01/04 11:39 ID:s5e6yQMd
私の言葉を遮る形で、佐知美さんが発言しました。
「う〜ん、常識かあ・・・・。遥香ちゃん、常識とか情報とか、年齢とかこだわっちゃだめ。遥香ちゃんは
生まれたてなのよ?」
「はい・・・・」
「それに、人や人生って『常識』『情報』『年齢』・・・・そういうものに縛られてしまってはいけないと
思うの、何も出来なくなっちゃうし、周りの人も理解できなくなっちゃうし、人のために何かすること
ができなくなっちゃうの・・・・」悲しそうに佐知美さんが言った。
「私も、昔ね・・・・そう思っちゃったのね・・・・それで」そう言って、佐知美さんが目を伏せる。・・・・床に
水滴がポツリと落ちた。
「佐知美さん・・・・」何か悲しいことが過去にあったのでしょうか・・・・私には、それを問うことは出来ま
せんでした。
意を決したように佐知美さんが顔を上げ言いました。
「だから・・・・あなたは常識に、情報に、年齢にとらわれちゃ駄目。いい? 」
「はい・・・・でも、どうすれば・・・・?」
「信じるの」
やや論理展開に無理があるような気がしましたが、私は『迫力』に押されてしまいます。これが説得力
というものでしょうか・・・・。
「信じるですか・・・・でも、むずかしいです」
「うーん・・・・。そうね、いいこと教えてあげる。暗示を自分にかけてみたらどうかしら? 頭の中で強
く何度も念じるの、そうすると自分が信じられる。できないこともできるようになるっていうことがあ
るの。スポーツ選手のイメージトレーニングとか」
「知ってはいますけど・・・・」
「じゃあ、まず1分間、自分の頭の中で『私はちっちゃな女の子』って思ってみて」
「はい・・・・」
しぶしぶながら、私は佐知美さんの言う通りにしてみることを承認、実行に移しました。
『私はちっちゃな女の子』
『私はちっちゃな女の子』
・・・・・・・・。
・・・・・・・・。
73AD2020.10.23(14):03/01/04 11:40 ID:s5e6yQMd
「どう、遥香ちゃん?」佐知美おばちゃんのこえがしたので、わたしは目をあけた。
「え、なあに? 佐知美おばちゃん?」
「お、おばちゃん・・・・!?」佐知美おばちゃんが、おどろいている。
「くすくす」おかしくて、わたしは笑っちゃった。
「遥香ちゃん・・・・。ちょっとちょっと!?」
「くすくす・・・・」

「えっと・・・・遥香ちゃんは、いくつかな?」
「はるかは5つだよ。ようちえんで、来年はねんちょうさんなの」
「うあっ!! ・・・・思い込み激しすぎ。たった1分なのよ、どど、どうして・・・・。まさか・・・・??」
佐知美おばちゃんがわたしにたずねる。
「あの、遥香ちゃん? 1分の間に何回考えられたのかな?」
「んとね、だいたい1おく回・・・・はるか、がんばったんだから。えへへ」いっしょうけんめい考えたん
だから。
「たはー・・・・スーパーコンピューターだったわ、この子・・・・。そんなに繰り返したら洗脳と同じよねえ
・・・・とほほ・・・・」佐知美おばちゃんが、頭をかかえ、がくりと床にひざをついた。

おばちゃん、とても元気ない・・・・。どうしたのかな?

「だいじょうぶ? どっか痛いの?」わたしはおばちゃんが心配だった。
「いい子いい子したら、痛いのなおるからね・・・・」車いすでとなりによって、わたしはおばちゃんの頭
をなでた。
「あ・・・・!? ・・・・ぐすっ・・・・」佐知美おばちゃんが泣きだしてしまった・・・・。
「痛いの?」わたしは、いっしょうけんめいなでつづける。
「・・・・・・・」
「まだ痛い、おばちゃん?」
「・・・・・・・」
「痛いの飛んでった? おばちゃん?」
「・・・・・・・泣いてちゃだめよね」おばちゃんがそうつぶやいた。
74AD2020.10.23(15):03/01/04 11:41 ID:s5e6yQMd
「・・・・うん。もう大丈夫よ、遥香ちゃん」やっと佐知美おばちゃんが笑ってくれた。
「ほんと?」
「本当。もうどこも痛くないわ、遥香ちゃんがいい子いい子してくれたから」
「よかったあ」とてもうれしかった。おばちゃんが泣き止んだこと、おばちゃんの役に立ったことがと
てもうれしかった。
「遥香ちゃんはいい子ねえ」佐知美おばちゃんはそう言いながら、私の頭をなでる。
「てへへ」
私をなでながら、おばちゃんは何かをつぶやいていた。
「私も女よ、覚悟は決めたわっ。もし、遥香ちゃんが元に戻らなかったら私の娘として育てるわ。
・・・・結婚前に娘ができる。なんて幸せなのかしらっ!? 女冥利に尽きるって奴よ」

・・・・もうお兄ちゃんが帰ってくるころじゃないかなあ・・・・。
「ねえ、佐知美おばちゃん? お兄ちゃん、そろそろ帰ってくる?」
「あ、和樹君・・・・そうね、お兄ちゃん帰ってくるころよね。やっぱり怒られるかなあ・・・・」おばちゃん
がまた元気がなくなったような気がする。
「お兄ちゃんに、はるか言うから。おばちゃんをおこらないでって言うから。だから、元気出して?」
「ううっ、この子は・・・・。大丈夫よ、はるかちゃん。お兄ちゃんはおばちゃんのことを怒ったりしない
から」
「ほんと?」
「本当・・・・」佐知美おばちゃんは、そう言ってはるかのほっぺたをつついた。

「そうだ、遥香ちゃん。お兄ちゃんが帰ってきたら、ただいまの挨拶をしておどろかせちゃおうか?」
おばちゃんが、ほほえみながら私の顔をのぞきこむ。
「うんっ!」お兄ちゃんをおどろかせる・・・・とてもすてきな考えだとおもった。
おばちゃんが、お兄ちゃんに電話する。
・・・・・・・・。
・・・・・・・・。
75AD2020.10.23(16):03/01/04 11:42 ID:ayX8PBui
「お兄ちゃんが帰ってくるまで、後10分くらいだって」
「どうしよっか?」
「うーん・・・・」
「玄関の脇に隠れていよっか」
とてもいいかんがえを思いつき、私は佐知美おばちゃんに話した。
「うん・・・・。そうだ、でねでね・・・・お兄ちゃんに内緒のお話があるってはるかが言って・・・・それでね、
おにいちゃんがはるかに耳を近づけたら・・・・」
「うん、近づけたら・・・・?」
「あ、でもでも、今は内緒なの」
「そっか、ないしょなのか〜」おばちゃんがほほえんだ。
「遥香ちゃんはお兄ちゃんが大好きなのね・・・・」
「うん・・・・」どうしてか、わたしのお顔はとても熱くなった。

「ただいま」外からお兄ちゃんの声が聞こえた。
「あ、帰ってきたよ。早く早く」わたしと佐知美おばちゃんは玄関にいそいだ。
ドアが開く。
「佐知美さん? 遥香!?」
お兄ちゃんがようちえんの服を着たわたしを見ておどろいている。
佐知美おばちゃんがお兄ちゃんにいった。
「和樹君、遥香ちゃんが内緒の話があるから、ちょっと耳を貸してって」
「え・・・・?? 何、遥香?」お兄ちゃんがわたしに耳を近づけた・・・・。

私はお兄ちゃんの耳にささやいた。
「おにいちゃん、おかえりなさい。それから・・・・」
わたしはおにいちゃんのほっぺにくちびるをあてた。
ちゅっ。
76nayukifan:03/01/04 11:45 ID:ayX8PBui
>>60-75
題名「AD2020.10.23」 @Hello,world
登場人物は、遥香と佐知美です。
77名無しさん@初回限定:03/01/04 14:03 ID:Mh+n+ggd
>60-75
萌え、たまらん。
78名無しさん@初回限定:03/01/05 09:43 ID:67nd57D5
>60-75
ハロワのプレイ経験が無いにも関わらず萌え死にそうになったこの俺をどうしてくれる。
お前様、やりすぎです。もっとやれ。
79名無しさん@初回限定:03/01/05 22:51 ID:+G/noNPp
>60-75
遥香萌えーー!!
ラストがたまらなくイイ!!
80名無しさん@初回限定:03/01/06 17:34 ID:9UNtKvWG
『和樹クラスタ』に無性に萌えた……
81名無しさん@初回限定:03/01/08 16:14 ID:RbDKS4wT
ここは萌え属性SSだからな〜
他のSSライターには書きにくい・・・
82名無しさん@初回限定:03/01/09 09:30 ID:bkxgjrtJ
>81
以前は触手やら陵辱やらのSSもあったし、別に萌えSSでなくても構わないと思われ。
83山崎渉:03/01/12 07:22 ID:8qW3k17/
(^^)
84名無しさん@初回限定:03/01/12 23:37 ID:wHkLQLw/
>81
>1をどう読んだらその結論になるのか。
85名無しさん@初回限定:03/01/16 02:06 ID:RD6qhAq/
保守ぅ〜
近々SS書きますヨロツク
86山崎渉:03/01/17 06:59 ID:W9UpuMic
(^^;
87nayukifan:03/01/18 01:00 ID:L6VEF5pO
77-79
ありがとうございますヽ(゚▽、゚)ノ
88名無しさん@初回限定:03/01/18 01:18 ID:qpwKN0kw
>>60-75

亀レスだがヴラヴォー!!
もっと書いてください、おながいします。
89ひなたのクリスマス (1/8):03/01/19 17:41 ID:L9kHCYRM
【ひなたのクリスマス】 ―a dream of yesterday―


今日は、お兄ちゃん達とクリスマスパーティーをするんだよ。
ひなたね、とっても楽しみにしているんだ。

パーティまで、時間があったからお家でテレビを見ていたら、お兄ちゃんに、みなもお姉ちゃんから電話があったの。
何でもケーキを作るから、パーティに遅れるんだって。
それを聞いて、ひなた、
「心配だなぁ」
って言ったら、
「何で、料理はもう上手くなったろう」
と、お兄ちゃんはそう言ったけど、
「普通の料理はなんとかね、でもお菓子は別物だよ、別物なんだよ・・・・・・」
そう言いつつ、ひなたは、あのときのことを思い出していたんだ。

――あれは、いつだったか、みなもお姉ちゃんに料理を教えに行ったとき・・・・・・。


戸棚を開けたら、『食材』って書いてある箱の中に、ひよこさんが入っていたの。
ピヨピヨ
多分、みなもお姉ちゃんが飼っているひよこさんを、たまたまあの箱の中に入れてたんだね。
だけど、ひなた、怖くてみなもお姉ちゃんにその事聞けなかったんだよ。
ピヨピヨピヨ
・・・・・・・・・。
90ひなたのクリスマス (2/8):03/01/19 17:41 ID:L9kHCYRM
でも、見なかった事にすればいいんだよねっ。

――えっと、その時の事じゃなくて・・・・・・。


みなもお姉ちゃん、何かごそごそやっていると思ったら、
「ねえ、ひなたちゃん、私デザートも創ってみたんだけど」
って、いきなり言い出したんだよ。
でも、お姉ちゃん最近少し料理上手になってきたから、少し期待して、
「えっ、そうなの、見せて見せて、みなもお姉ちゃん」
そう答えたら、お姉ちゃんは、オーブンからアルミホイルの塊を取り出してみせたの。
香ばしい焼き茄子の香りがする。
茄子を思い出したら、ひなた思わず顔が赤くなっちゃったよ。
「あれ、どうしたの、顔が赤いけど・・・?」
「う、ううん。な、なんでもないよっ、それより焼き茄子なの、みなもお姉ちゃん」
ひなた慌てて、でもさすがにデザートに焼き茄子はおかしいのでそう尋ねてみる。
それになんか動いてるような・・・・・・。
「うん、それにちょっと近いかな、見れば分かるよ・・・・・・。ドウコウヒラクカモシレナイケド」
「えっ?」
みなもお姉ちゃん、今変な事言ったような気がするんだけど。
『ドウコウヒラク』ってどういう意味なんだろう・・・・・・。
「ううん、何でもない、開けるね」
でも、お姉ちゃんもそう言ってるし、ひなたの聞き間違いだよね。
そして、ついにアルミホイルの包みが開かれる時がきたんだ(ドキドキ)。
・・・・・・・・・。
91ひなたのクリスマス (3/8):03/01/19 17:42 ID:L9kHCYRM
でも、包みが開かれた瞬間。
何かね、変なウネウネしたものが、ひなたに飛びかかってきたんだよっ!
ひなた、慌ててジャンプしたから避けられたんだけど、すごく恐かったんだよぉ〜。


――だからね、みなもお姉ちゃんのお菓子はすごく不安なんだ。

ふと、自分の考えに沈んでいると、
「嫌な予感がするな」
お兄ちゃんが、青い顔でそう言う。
「どうしたの、お兄ちゃん顔色悪いよ」
「いやぁ、なんだかとんでもない事が起こっているような気がしてなぁ」
お兄ちゃんは、お兄ちゃんで何か別の想像をしたみたい。
うーん、もしかして、ひなた余計なこと言ったかな。
それで、ちょっと考えて、
「お兄ちゃん、便秘にはミルクがいいらしいよっ」
って言ったら、すかさずお兄ちゃんチョップ。
「うっ、にゅう」
痛いよぉ〜。
「突然訳分からんこと言うな」
「お兄ちゃん手、早すぎだよう」
お兄ちゃんてば、すぐにひなたを叩くんだから・・・・・・。
「はぁ、そろそろ行くから支度しろよ」
お兄ちゃんは、しょうがないなぁという感じで、溜息をついて言う。
92ひなたのクリスマス (4/8):03/01/19 17:43 ID:L9kHCYRM
ちょっと痛かったけど、お兄ちゃん少し元気になったみたいで良かったよ。
だって、ひなた、お兄ちゃんの暗い顔なんて見たくないんだから・・・・・・。
そのためには、ひなたがいつも元気でいて、お兄ちゃんに元気を分けてあげなくちゃねっ。
そんなこんなで、ひなたは大好きなお兄ちゃんと、パーティ会場へ向かったんだよ。

だけど、途中で大変なことが起こったの。
路面電車は駅に止まらないし、無くなったと思っていた能力が元に戻っていたり、そして何より、あの飛行船がまた
現れたんだよ。

千年もの長い間、この街は、人々の心を食べ続け、その代わりに人々に夢を見せていた。人の真なる想いを、ささや
かな能力として具現化させるという夢を・・・・・・。
そして、飛行船は、その夢を人々に運ぶ役割を果たしていたものか、それとも夢見る街を見守っているものじゃない
か、そうひなたは思っている。
その飛行船が、また飛んでいて、能力が戻っているってことは、街が人々の心を再び欲していることを示しているの
かもしれない。
だとしたら、なんとかしなくちゃ。
そう考えたひなたは、途中、望ちゃんや、わかばちゃん達と合流して、とにかく、その飛行船が止まった学園の屋上
に向かったんだ。

屋上の扉を開けると、そこにはお兄ちゃんがいた。
ううん、お兄ちゃんだけじゃなくって、みなもお姉ちゃんと・・・・・・、そして、彩(ひかり)ちゃんもいた。
「もう、平気なのか」
お兄ちゃんは、彩ちゃんに向かって、どこか懐かしそうに言う。
「私にも分からない。何故また存在できるのか」
彩ちゃんは、どことなく不安げにそう答えた。
93ひなたのクリスマス (5/8):03/01/19 17:50 ID:L9kHCYRM
そういえば、彩ちゃんは、街に人の心を捧げる役目を果たしていたはず・・・・・・。
ということは・・・・・・!
「まさかっ、またっ!?」
お兄ちゃんも、ちょうどひなたと同じことを考えたみたい。
その言葉の勢いに怯えるように、彩ちゃんは一歩後退する。
でも、みなもお姉ちゃんが、怯えた彩ちゃんを優しく後ろから包み込むようにそっと抱きしめた。
「いいんだよ」
「えっ」
「きょうはいいんだよ、まこちゃん」
驚く彩ちゃんを安心させるように、優しくみなもお姉ちゃんはそう言った。
「だって、今日は街中みんなが夢を見る夜だから」
それを聞いて、やっぱり、みなもお姉ちゃんは優しいんだな。
ひなたは彩ちゃんを疑った自分と比べてそう思っていた。
そのときだった。
まるで、無数の蛍が舞上がるかの様に儚げな淡い光が湧き上がる。
そしてその光はあたり一面から、そして街全体からも湧き上っていく。
そう、それは人々のほんのささやかな夢の欠片。
やがてそれは、淡く白い雪の結晶となって街中に降りそそぎ、優しく街を包み込んでいった。
そんな幻想的な光景を見ながら、今日は彩ちゃんのために楽しいクリスマスパーティにしてあげよう。
たった一晩限りだけどとっても楽しい時を彩ちゃんに・・・・・・。
ひなたは、そう思ったんだ。


そのあとのパーティはとっても楽しかったんだ。
ひなたが、クラッカーで、彩ちゃんをお出迎えしたんだよっ。
94ひなたのクリスマス (6/8):03/01/19 17:51 ID:L9kHCYRM
みなもお姉ちゃんのケーキは・・・、結局大丈夫だったのかな?
たこ焼きで作ってあったのには驚いたけど・・・・・・。

彩ちゃん、ちょっと恥ずかしそうにしていたけど、ミニスカサンタさんの格好、とっても可愛かったよ。
ひなたも猫さんの格好をしたんだよっ。
「にゃんにゃかにゃー」
みなもお姉ちゃんは、勤お兄ちゃんに渡されたメイドさんの衣装見て困ってたな。
結局、霞お姉ちゃんが、無理矢理勤お兄ちゃんに着させて、それ見て霞お姉ちゃん大爆笑していたけど。

彩ちゃんが、帰ってきたのが分かったんだろうね、猫さんのフォルテもお店に来たんだ。
フォルテを抱きしめた彩ちゃん、とっても嬉しそうだった。

そして、昔みたいにみんなで写真を撮って・・・・・・。


でも、楽しいお祭りの後には悲しいお別れの時が待っていた。
『街中みんなが夢を見る夜』、この夜が終わってしまうと、彩ちゃんは還らなくてはならないから・・・・・・。
笑ってお別れしようと思ったのだけど、どうしても涙が、止まらないの。
「ひっく、ぐすっ、ううっ」
「泣くな、ひなた。彩ちゃんが困ってるだろう」
泣いているひなたの頭を、お兄ちゃんがそっと撫でてくれた。
「ぐすっ、ごめんね、彩ちゃん」
「いいんです、私のためなんかに泣いてくれるのですね」
彩ちゃんもひなたを慰めてくれる。一番泣きたいのは彩ちゃんなのはずなのに・・・・・・。
「当たり前だよ、彩ちゃん大切なお友達だもん」
95ひなたのクリスマス (7/8):03/01/19 17:52 ID:L9kHCYRM
「うん、私達みんなの、ね」
ひなたのあとを継ぐように、望ちゃんがそう言った。
「そうね、それにあなたに作ってもらった眼鏡、私の宝物なのよ。これのおかげで、私、随分救われたわ」
そして、霞お姉ちゃんがそう言った時点で、彩ちゃんまで泣き出してしまった。
「ほら彩ちゃん泣かないで、人々の夢が多く集まる日になれば、また会えるんだから」
と、みなもお姉ちゃんが優しく言う。
彩ちゃんはその言葉に何度も頷いていた。
「そうですよ、だから笑ってお別れを」
そう言ったわかばちゃんも泣いていた。
ううん、お兄ちゃんも、みなもお姉ちゃんも、望ちゃんも、霞お姉ちゃんも、みんな泣いていた。勤お兄ちゃんなん
か号泣していたんだから。
「また会おうね、彩ちゃん」
ひなたは、涙を流しながら、それでも笑顔でこう言った。
「ええ、ありがとう。それに、今日はとっても楽しかったです」
彩ちゃんも、ひなたと同じように涙を流しながら、精一杯の笑顔で答えてくれた。
「彩ちゃん、また君が来てくれるの待ってるから」
お兄ちゃんがそう言うと、
「はいっ、また・・・・・・」
それだけ言って、彩ちゃんは淡い光となって消えてしまった。
やっぱり、彩ちゃんから涙がたくさん零れ落ちていたけれど、その日一番の最高の笑顔をしていたように見えた。

『そよかぜ』が吹いた。
その風は、彩ちゃんの消えた跡から吹いたような気がした。
だって、その風は冷たかったけれど、どこか心の温まる優しい風だったから。
96ひなたのクリスマス (8/8):03/01/19 17:53 ID:L9kHCYRM

朝日が部屋に差し込んできて、ひなたは目を覚ます。
そして、寝起きでボーっとする頭を振って眠気を振り払う。
「夢・・・・・・?」
そう、夢を見た。
たった一日だけ、クリスマスの夜に彩ちゃんが戻ってきたという不思議な夢を・・・・・・。
ちょっと内容が変だった気がするけど、夢とはいつもそのようなものだから・・・・・・。
でも、昨日の夢は、とても楽しくて、そして切なかった。
その中では、ひなたは『まことさん』のことを『お兄ちゃん』って呼んでいた。
恋人同士になってからあまり使わなくなった、その呼び方。
少しでも大人になって、『まことさん』に相応しい女性になりたくて、そう決めた。
そして今、髪も伸ばしている。
でも、夢の中の『まことさん』と彩ちゃんに、やきもきしたせいもあったろうか。少し甘えたくなって――いつも
甘えてばかりだけど今日は特に――また、ふとあの頃が懐かしくもなって、隣で眠っていた『まことさん』の頬に
そっとキスをして、呼びかけてみる。
「お兄ちゃん、大好きだよっ」

何か楽しい予感がする、そんなクリスマスイブの朝だった。





97K→T  ◆pyqVWOeWto :03/01/19 17:59 ID:L9kHCYRM
>>89-96
『WIND』と『そよかぜのおくりもの』が元ネタです。
初めて書いたSSだったので、アラが多いかも……。

とりあえず、SS本編はここまで、あと、少しばかりオマケがあります。
但し、本編の余韻を楽しみたい方、月代彩ファンの方は見ない方が良いかも知れません(w。
98ひなたSSのオマケ(1/8):03/01/19 18:10 ID:L9kHCYRM
―――ひなたSSのオマケ―――


【ひなた】 「あれっ、まだ続くの?」
【わかば】 「ええ、というかオマケですわ」
【ひなた】 「そうなんだ。あれっ、そういえば、お兄ちゃん達がいないね」   
       ひなたは、辺りを見回しながら言う。
【わかば】 「望ちゃんは、少し気分が悪いとかで来れないそうですわ」
【みなも】 「紫光院(霞)さんと、橘(勤)君は、用事があるんだって」
【ひなた】 「でも、お兄ちゃんがいないね。ひなた探しに行って来るよ」
       立ち去ろうとするひなたの腕をわかばが掴む。
【わかば】 「だめですわ」
【ひなた】 「どうして、わかばちゃん」
【わかば】 「一応、今回のSSの主役と言う事になっているのですから、いてもらわなくては困りますわ」
【ひなた】 「あっ、そうだったね」
【みなも】 「大丈夫だよ、ひなたちゃん。まこちゃんは、私の家にいるから」
【ひなた】 「ふーん、そうなんだ。なら安心だね」
      (あれっ、なんで、お兄ちゃんがみなもお姉ちゃんの家にいて、みなもお姉ちゃんがここにいるのだろう)
       不思議に思って、その事を尋ねてみようとしたときだった。
【みなも】 「ねえ、どうして正ヒロインの私を差し置いてSS書かれてるの?」
       いきなり言われて、ひなたは、意味が良く分からなかった。
【みなも】 「特に、一番人気ってわけでもないし……」
【わかば】 「………(ピクッ)」
【ひなた】 (何…、みなもお姉ちゃん何言ってるの?)
       少しずつ、言っている事が、理解できてくるに従って、ひなたの心は不安に駆られてゆく。
【みなも】 「それに、『まことさん』ってなーに?」
       口調は、それほど厳しいものではないが、何故か、ひなたは恐怖を感じた。
【みなも】 「ちょっとお姉ちゃんが(一方的に)、お話しましょうか」
99ひなたSSのオマケ(2/8) :03/01/19 18:11 ID:L9kHCYRM
【ひなた】 (ガクガク、ブルブル) 
       震えながらひなたは、かぶりを振る。
       挿入歌が三周ループするほどの問い詰めに、ひなたは耐えられそうに無かった。
【 彩 】 「正ヒロインは私です。『微風』のパッケージを見れば、一目瞭然じゃないですか」
       物怖じせず、ピシャリと彩は言い切った。
【みなも】 「正ヒロインって、誰の事かな、彩ちゃん?」     
【 彩 】 「私のことですよ。SSではともかく、本編では正ヒロインかつ一番人気ですから」
       さらに、彩は火に油を注ぐ事を言った。
【わかば】 「………(ピクッ、一番人気……)」
【みなも】 「どうやら、彩ちゃんの方が、お話(一方的に)する必要があるかな」       
【 彩 】 (また問い詰めですか。馬鹿の一つ覚えみたいに……)
      (それに、私には九月堂特製の耳栓がありますから)
      (これさえしていれば挿入歌が三周ループしても怖くありませんよ、フフッ)     
       彩の自信の源は、耳栓だった。
【ひなた】 (怖いよぉ〜)
       一方のひなたは、いつまた自分に飛び火するのかと気が気ではなかった。
【みなも】 「じゃ、彩ちゃん逝こうか。あと、わかばちゃん手伝って」
【わかば】 「ええ、わかりましたわ。みなもお姉さま」
【 彩 】 「……?」
       両脇を、みなもとわかばに抱えられて、彩は連れ去られていった。

       しばらくすると、壁の向うから、何か聞こえてきた。
       ・
       ・
       ・
100ひなたSSのオマケ(3/8) :03/01/19 18:11 ID:L9kHCYRM
  ボスッボスッ。
【みなも】 「ふざけんじゃないわよっ!」
  ボスッボスッ。
      「正ヒロインは私よっ!」

【わかば】 「ヒーリングー♪(わたくしなんか)」

  ボスッボスッ。
【みなも】 「それに、まこちゃんも私の物よ!」
  ボスッボスッ。
      「しかも何っ、最低年一回は、まこちゃんに会いに出て来るつもりなの!?」

【わかば】 「ヒーリングー♪(人気最下位)」

  ボスッボスッ。
【みなも】 「あんな『へちまっ』、どこがいいってのよっ!」
  ボスッボスッ。
       「私はいいのよ! まこちゃんの事がどうしたって好きなんだから!」

【わかば】 「ヒーリングー♪(まっしぐらー)」

  ボスッボスッ。
【みなも】 「私には、まこちゃんが口をつけた『ハーモニカ』だってあるんだからっ!」
  ボスッボスッ。
       ・
       ・
       ・
101ひなたSSのオマケ(4/8) :03/01/19 18:12 ID:L9kHCYRM
【ひなた】 (ボスッボスッって何の音だろう)
     (それに、『ひーりんぐー』って……)
     (彩ちゃんどうなっちゃうんだろう)
     (怖いよぉー)
       ガクガク震えるひなた。
       本来は、SSの主役であるひなた自身に降りかかるはずの災厄だったからだ。    
     (……でも、聞かなかったことにすればいいんだよねっ)
       ひなたは、その場から一目散に逃げていった。


【ひなた】 「ここまで来れば、もう大丈夫だよね」
 ひなたは、きょろきょろ辺りを見回した。
 ふと、近くの時計が目に入る。
      「うにゃっ、もうすぐお別れの時間だよ」
      「ごあいさつしなくちゃ。うんと、えっと……。あれっ、彩ちゃん?」
       ヨロヨロと彩がやってくる。見た目怪我などは、していないようだが……。
【 彩 】 「SS本編のサブタイトルの意味……、『夢オチ』ですか……。『とんだ茶番ですね』……」
       決め台詞? を言って、フラフラと危ない足取りで去っていく彩。
【ひなた】 「………」
       それを見て、真のヒロインの貫禄を感じた、ひなたであった。

       一方、みなもは、というと、
【みなも】 「まこちゃん、ただいま」
      「あのね、まこちゃんに纏わりつくあの女には、ちゃんと言い聞かせておいたからもう大丈夫だよ」
【ひなた】 「………」
       どうやら、名を取るより実を取ったようだ。
   
――そして、名も実も取れなかったひなたは、泣きながら駆け去ったのだった。
102K→T  ◆pyqVWOeWto :03/01/19 18:16 ID:L9kHCYRM
>>
SS本編と同じく『WIND』と『そよかぜのおくりもの』が元ネタです。
103102:03/01/19 18:24 ID:L9kHCYRM
>>98-101
  ↑ 入れ忘れたスマソです。
あと、ひなたSSのオマケは、4レスで終わりです。
(?/8)ではなくて(?/4)とナリマス。
重ねてスマソです。
104名無しさん@初回限定:03/01/21 11:19 ID:fH+61DPg
age
105あぼーん:あぼーん
あぼーん
106あぼーん:あぼーん
あぼーん
107あぼーん:あぼーん
あぼーん
108名無しさん@初回限定:03/01/23 01:38 ID:z0xN6dZ6
>>50からの続き

A止めない(というか、止められない)

【 瞳 】「愛ちゃん!!」
    速い!
【 瞳 】「お願い、止まってッ! 愛ちゃん!」
    私の声は聞こえているはずなのに、愛ちゃんは止まってくれない。
    
    もう! なによ、このクソ重いチェーンソーは・・・!
    こんなの、邪魔だ。
    チェーンソーを捨てて愛ちゃんに向かう。
    間に合うか?
【 瞳 】「止まりなさい!!」
    目の前を通り過ぎようとする愛ちゃんへタックル!
    しかし僅かの差ですり抜けられてしまった。
    赤いリボンが残像となって通り過ぎていく。
    その残像の先にいる愛ちゃんの右腕が動いた。
    
      ブンッ

    『アイツ』に向かって草刈鎌を投げる。
    草刈鎌は『アイツ』の顔を目指して回転しながら進んで行く。

      『グッ グッ グッ ググッ グォオオオオッ!!』

    『アイツ』は死に物狂いで一本の触手を動かして、自分に飛んでくる草刈鎌を
    弾きとばした。
    クソッ!!

      『ギギャ―――――――――――――!!!!?』
109瞳 vs アイ:03/01/23 01:42 ID:z0xN6dZ6
    な、ななな、なに!?
    『アイツ』が叫び声をあげている。
    あ、あれ?
    『アイツ』の右目部分に草刈鎌が突き刺さっていた。
    二本を時間差で投げていたの!?
    これで愛ちゃんがロッドに辿り着いて・・・って、愛ちゃんは・・・?
    
    いない・・・
    『アイツ』に向かって走っていた愛ちゃんの姿がない・・・
    どこにいったの・・・?
    ジャンプして上に・・・いないわ。
    愛ちゃんを最後に見たところまでやってきた。
    確かこの辺までは走っていたはず・・・
      
      ニュ・・・ニュ・・・ ニュニュ・・・
    
    周りの触手が徐々に動けるようになってきた。
    早くしないと・・・ん?
    ちょっと先の地面に白い部分がある。
    サイズは・・・1.5m四方ってところかな・・・
    慎重に近づいて・・・こ、これは!?

      グニョニョニョ グニュニュニュ ニュルル
      ドピュ ピュピュ ドピュル ピュルピュル
110瞳 vs アイ:03/01/23 01:46 ID:z0xN6dZ6
【 瞳 】「・・・・・・落とし穴・・・!」
    しかも、ただの落とし穴じゃない。
    穴の中には多数の巨大ミミズと、大量の白濁液で満たされていた。
    ・・・この中に愛ちゃんが?
    
      ドクン ドプ ドピュン ビュル ビュルルル
     
    白濁液の水面から数匹の巨大ミミズが飛び出てきて先端部分から白濁液を発射し、
    穴の中を満たしていく。
    軽く震えながら白濁液を発射する姿はさながら射精のようだ。

       『触手から発射される粘液には強力な催淫効果がある』

    愛ちゃんの言っていた言葉を思い出す。
    たいへんだわ!?
    急いで助け出さなくちゃ。
    穴の中に右腕を差し込もうとした、そのとき。
    
      ズガ――――ン
      バリバリバリバリ

    これは!?
    愛ちゃんの電撃ッ!
    穴の中では放電がおこっていて青い光パリッ、パリッと音をたてて白濁液の
    水面を覆っている。
    さらに覗き込み、愛ちゃんの姿を探していたとき・・・

      ザバ――――――ン
    
    白濁液の水柱があがった。
111瞳 vs アイ:03/01/23 01:49 ID:z0xN6dZ6
    そして水柱が収まる前に次の水柱があがる。

      ズバ―――ン ドパ――――ン

    ほぼ同時に二本の水柱が起つ。
    愛ちゃんは穴の中で電撃とは違う魔法を使っているのか、
    白濁液の水柱と一緒に細切れになった巨大ミミズが宙を舞う。
    
      ビチャ、ビチャビチャビチャビチャ
      ドポン、ドポン、ドスン ドン ドポン 

    大量の白濁液と細切れになった巨大ミミズが穴の中とその周辺に降り注いだ。
    白濁液を被らないように、少し後ろに下がって穴を見ていると穴の中から腕が
    出てきて地面に手を着く。
【 瞳 】「愛ちゃんッ!!」
    急いで愛ちゃんに駆け寄るが、愛ちゃん自身は白濁液に沈んだままあがって
    こない。
    慌てて愛ちゃんの左腕を掴んで引き揚げる。

      ニュルルルル

【 瞳 】「うわっ!? す、滑る」
    白濁液まみれの腕がヌルヌルとしていて掴めない。
    それでも、何とか手首の所で引っかかった。
    すると愛ちゃんの手が私の手首を掴む。
    愛ちゃん・・・
    両手で掴んで滑らないように気をつけながら引っ張った。
【 瞳 】「ンン―――――――ッ!」
    白濁液の中から愛ちゃんの頭が出てきた。
112名無しさん@初回限定:03/01/23 01:52 ID:z0xN6dZ6
    次に顔全体が現れる。
【 愛 】「・・・ガハッ! ゲホッゲホッ ぅえ゛ッ」
    愛ちゃんは白濁液を飲んでしまっていたのか、口から大量に吐き出した。
【 瞳 】「もうちょっと我慢してね。 すぐ引き揚げるから」
    そう愛ちゃんに言ってから一気に引き揚げる。
     
      ズルズルズルズル、ズルルル、ズルズル
    
    愛ちゃんを地面に引きずりながら白濁液で満ちた落とし穴から引き揚げた。
    でも、これで・・・
【 瞳 】「・・・・・・クソッ!」
    何故、愛ちゃんが穴から出てこられなかったのか解かった。
     
      グニュル、ギュルルル、ギュルン、ギュルルルル

    愛ちゃんの左腕を除いて全身に巨大ミミズが何匹か絡まっていた。
【 愛 】「ゲフ、グホッゲホッ・・・・・・ぐ、ぐぅうううう・・・」
    ギュギュギュと全身を絞めつけられた愛ちゃんが苦悶の声をあげる。
    愛ちゃんから巨大ミミズを引き剥がそうとしても、愛ちゃんと巨大ミミズに
    ベットリとついた白濁液で滑ってしまって掴むことさえ困難だ。
【 瞳 】「すぐに引き剥がすから・・・」
    ・・・無理だ。 爪を起てても傷ひとつつけられない。 
    こうなったら愛ちゃんを連れて逃げよう・・・・・・ああっ!!?
    
      グルルルル   
    
    しまった!?
    一本の触手が私の首に絡みつき、そのまま上へ引っ張ったため爪先立ちになる。
    首吊り!? ぐぅッ 首が・・・
    もう足は地面から離れてしまっている。
113瞳 vs アイ:03/01/23 01:54 ID:z0xN6dZ6
    まずい!!
    反射的に両腕が動き、頭の上で触手を握り絞めた。
    これで窒息はしない。
    すると触手の力が抜け、両足が地面に着く。
【 瞳 】「ふぅ・・・あっ!?」
    
      ギュルルルル
    弛んだ触手が両腕に絡まり拘束されてしまった。
      
      グン

    今度は一気に引き揚げられた。
    地面から足が離れる。

      『グフ、グフ、まぬけだ、なぁ・・・オンナぁ』

【 瞳 】「離せ! この化け物!!」
    
      『何が まぬけか と 言うと・・・ホレ』

      ミュルルル
 
【 瞳 】「ん、ぐわっ!?    ふぅ・・・」
    触手が首を一瞬だけ絞めて、すぐに弛む・・・・・・そうか、触手はどこから
    でも絞められるんだ。

      『グフフフ・・・さてと、小娘・・・ 意識は あるんじゃろぅ・・・』
    
      ニュルルルル ニュルニュルン
114瞳 vs アイ:03/01/23 01:55 ID:z0xN6dZ6
【 愛 】「っ・・・ふぁっ!? ぁああああっ んっ、ンぅ―――!」
    愛ちゃんの身体に絡みついている巨大ミミズがニュルニュルと蠢く。
【 瞳 】「愛ちゃん! ふっ、ふぐぅ!?」
    私の首を絞めていた触手の先端が口に入り込み膨れあがった。
【 瞳 】「ふぉうおう、ふぇぶ」
    
      『女・・・ お前は 静か に していろ』

【 愛 】「んっ、くぅ・・・ その人を ふぁ・・・ は、はな、ひん」
    愛ちゃんの身体がビクビクと動く。
【 愛 】「ハァハァ、ふんんんん・・・ 動かす、な・・・ぅんあッ!?」
    
      ビュルニュルルル

    ついに愛ちゃんの服の中に巨大ミミズが侵入して蠢きだした。
【 愛 】「やっ、やめろっ! んぁああっ!? そこは、ふぁぁぁ・・・ さ、触るなッ
     ひゃふッ ん、ぅんんんんん――――― ハァハァハァ・・・ンくぅ、そんな
     トコロ・・・駄目・・・はぁあああん・・・も、やめろ・・・っん、
     ふぁぁ・・・や、やめ・・・んぅ!? やめろォ・・・ふくぅ、やめぇ・・・」
    
      ニョロロロ・・・ギュギュウゥゥゥ
   
【 愛 】「んああああ・・・ぐあぅ!?」
    愛ちゃんの身体の上をニュルニュルと蠢いていた巨大ミミズの動きが止まり
    今度は絞めつけだした。
【 愛 】「・・・んがッ! ぐ、ぐぐぐぅ・・・ぃぎッ」
    さんざん、絞めつけてから一気に緩める。
【 愛 】「ふぅう・・・ はぁはぁはぁ はぁ、はぁ・・・」
115瞳 vs アイ:03/01/23 02:00 ID:z0xN6dZ6
      ニュルルル シュニュリュリュリュ ニュロン

【 愛 】「ふぁッ、フンンッンン――――ッ ハァハァ、はぁ・・・ ふえ・・・?」
    愛ちゃんの身体の上をニュルニュルと動いて快感を与えながら巨大ミミズ達が
    離れる。 あとには全身を白濁液まみれの愛ちゃんが取り残された。
    あっ!? 
【 瞳 】「ふぁひはん、はへふぁふぁあひ!(愛ちゃん、やめなさい!)」
    ゆっくりだが立ち上がろうとしている。
【 愛 】「・・・・・・ぐっ・・・んんん・・・ふあっ、ぬ、ぬぅあああああッ!!」
    立った・・・!
    手足が身体に擦れるたびにビクビクと震えるが、しっかり立っている。
【 愛 】「その・・・ヒトを・・・んっ、んんぅ・・・放せ」
    ・・・愛ちゃん
    
      
      『ぐふ ぐふ は、放して ほしいの なら・・・どうすれば イイか、
       わかって いる、な 』
    
    駄目、駄目よ!
【 愛 】「ふ・・・んくっ ど、どうしたい・・・」

      『そうじゃな・・・その恰好を やめて、制服姿 に もどって もらおう』

【 愛 】「い、今更 んはぁ・・・この恰好が、ふっく・・・ こ、怖いのか?」
    身体中に快感が駆け巡っているはずなのに『アイツ』を挑発している。
    愛ちゃんの紅い瞳は『アイツ』を睨みつけたままだ。

      『今の おまえなど 恐ろしくも な、ナントも ないわ』

【 愛 】「・・・くっ・・・ん、くぁ・・・」
116瞳 vs アイ:03/01/23 02:03 ID:z0xN6dZ6
      『イメクラ みたいな 婆じゃ なくて 見た目どころか 肌まで 
       ピチピチした ぐふ、ぐふ 本当の 女子高生と 変わらん 制服姿の
       お前を 犯す・・・ たまらん、たまらんのぅ』

    この・・・エロジジイ!
    クソッ! なんとか、なんとかしないと!!
    私は自由な両足を振り回して暴れたが、『アイツ』の動けるようになった触手で
    全身を絡みつかれて動けなくなってしまう。

      『この オンナを 助けて ほしいか?』

【 愛 】「・・・・・・」
    愛ちゃんの身体が一瞬光ると、そこには制服姿の愛ちゃんが立っていた。
    どんな仕組みかしらないが返り血を浴びて紅く染まっていたのに元通りの
    真っ白な制服に戻っていた。
    さらに制服姿に戻った愛ちゃんの全身からは白濁液がキレイさっぱり
    無くなっていてベトベトだった髪にも一滴も残っていない。
    しかし見た目は普通でも催淫効果は残っているようで、ときおり身体が
    ビクビクと動き、息は乱れたままだ。
 
      『おぅおぅ おぅおぅ キレイに なったのぅ 
       たまらん サービス付きじゃ 
       今から その真っ白な 制服を 汚せると おもうと 
       はぁはぁ・・・ たまらんのぅ ぐふふふふ』

     ビュルニュル ニュルルルルルル ミュニュルル

【 愛 】「んっく、んんんん、んっ、んんっ」
    愛ちゃん足元から大量の触手が絡みつき身体を登っていく。 
    全ての触手が制服の中を通りぬけ、全身に絡みついた。
    制服の型を崩すことなく身体に絡みついた触手によって愛ちゃんの両腕が
    後ろにまわされる。
117瞳 vs アイ:03/01/23 02:05 ID:z0xN6dZ6
【 愛 】「がッ!?」
    無理やり力任せに動かされ、痛みのためか愛ちゃんから声があがる。
【 愛 】「うっ! くく・・・んんっ!!」
    愛ちゃんがどんなに力を込めてもブルブルと身体が震えるだけで、ほとんど
    動いていない。

      『むふふふん 犯すの も イイが 少し 遊ぼうかの グフグフフ』

    『アイツ』はそう言ってから触手で胸に刺さっているロッドを簡単に引き抜いた。
    ちくしょう!!
    やっぱりロッドは抜けたんだっ!
    愛ちゃんがロッドを取りに来るのを狙って・・・ クソッ、クソッ、クソッ!!
    
      『もう、この棒は いらんな・・・ フフン、しかし こうもウマく
       いくとはな・・・ グフ、グフ、グワハハハハ』

【 愛 】「・・・くそぅ ・・・ぅくんッ、ハァハァハァ・・・」

      『捨てて やろう・・・ あの中に な』

    ロッドを持っている触手が動き『あの』落とし穴の上で止まる。
    そしてロッドを白濁液で満ちている穴へ落としてしまった。
    ・・・もう、これでロッドを回収することはできなくなってしまった。

      『これで よし』

    あ? あれ!?
    『アイツ』の形が変わっていく・・・
     ・
     ・ 
     ・
118瞳 vs アイ:03/01/23 02:07 ID:z0xN6dZ6
    コレは・・・!?
    触手が地面を覆っていて、その中心に人間の上半身(ヘソから上くらい)が
    出ている。
    人間部分は・・・ジジイだ、しかもヨボヨボ・・・
    ん? コイツは・・・あれ?
    用○員の、え〜っと誰だったかしら・・・竹山さんだ!
    たしか資料によると春からこの学園に配属された元教師(定年)だ。
    私も昨日の朝にあいさつの為に伺っている。
【竹山】『ふぐぐぐ さて、楽しむとしようかのぅ・・・ほれ』
【 愛 】「んあっ!? ん、ん、んん あぅ」
    触手によって直立不動のままの愛ちゃんが『竹山』の前まで移動させられ、
    そこで無理やりしゃがんだ状態にされた。
    そして宙に浮いたままでしゃがんでいる愛ちゃんの両足が左右に開かれていく。
【 愛 】「や、やめろぉ・・・やめ、ろ・・・く、んくくく・・・ああっ!?」
    最初こそジリジリと開かされていたが中程からあとは一気に開かれた。
    制服はロングスカートのワンピースなので足が見えることもなく、逆に広げ
    られたスカートの中にスッポリと足が隠れてしまう。
【竹山】『お前さんは、どんな味がするのかのぅ・・・グフフフ』
    『竹山』が笑いながら愛ちゃんのスカートの中に入っていく。
    すると広げられたスカートの中央部分、ちょうど愛ちゃんの股間にあたる
    ところが盛りあがり(『竹山』の頭だ)テント状になった。
【竹山】『かわいい下着じゃ・・・ もう濡れておるのか』
【 愛 】「ち、違う。 これは・・・」
【竹山】『むぉほっほっほっ ほ〜〜〜れ』 
【 愛 】「ふああああ!? やめろ・・・やめろぉ・・・!」
    スカートの中でナニかをされた愛ちゃんがブルブルと震える。
【 愛 】「やめ・・ろ、やめろぉ・・・んッ、んんん・・・ああッ!?
     わた、わたしに、触るなッ!」     
【竹山】『すべすべした尻がたまらんのぅ・・・ それに』
【 愛 】「あぅ・・・やめろ・・・やッ!?」
【竹山】『この揉みごたえといい・・・ほれ、ほれ』
【 愛 】「あっ、あっ、あっ、ああっ!?」
119瞳 vs アイ:03/01/23 02:10 ID:z0xN6dZ6
    愛ちゃんのスカートの中から白いモノが落ちる。
    べチャッと音を立てて落ちた『ソレ』は・・・必要以上に水分を含んだ
    下着だった。
    愛ちゃんの顔が羞恥で赤く染まる。
【竹山】『ほっほっほっ、えらい勢いで落ちていったの・・・ よほど重かったんじゃな。
      いやらしい娘じゃ・・・ そんなに気持ちが良かったのか?」
【 愛 】「違うッ 違うッ! 気持ち、ンくッ・・・良くなんて・・・ふぁああッ!?」 
【竹山】『いやらしい穴じゃな。 指を添えるだけで勝手にのみこんでいくわい』
    穴って・・・
【竹山】『ほーれ、二本目じゃ』
【 愛 】「やめてッ やめてッ! んあああああッ」
    愛ちゃんの身体がさっきよりも大きく震えだす。
【 愛 】「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・なっ!? 駄目、駄目!
     もう入れないでッ! いや――――・・・」
【竹山】『ぐふふふふ・・・三本目も簡単に入るの・・・むふぅ、どうなっとるんじゃ
      この尻の穴は!?」
【 愛 】「ぁぁぁぁぁあああ・・・ ひぐッ!? 駄目、やめて! そんな、そんなぁ・・・
     拡げるな・・・やめろぉ!!」  
【竹山】『なんちゅう、やわらかさじゃ。 しかも緩いわけでもない・・・
      どんなに拡げてもそこから絞めつけてくる・・・おおぅ!? これは・・・」
【 愛 】「言うなッ! そんな、んぅ・・・恥ずかしいコト・・・言う・・な、ひッ!?」
    愛ちゃんの身体が大きく弾む。
    お尻の下で『竹山』の右腕が大きく上下に動いきだしていた。
【竹山】『むほぅ、指を痛いくらいに絞めつけるのに出し入れが楽とは・・・
      前に入れたときもそうだったが中まで絞めつけおる・・・ お前さん
      とんでもないモノを持っておるの」
120瞳 vs アイ:03/01/23 02:12 ID:z0xN6dZ6
【 愛 】「んあッ ああッ ああッ くふッ くあっあっあっあっ んくぅ」
    『竹山』の右腕の動きが止まるのと同時に愛ちゃんの頭がガックリと下を向く。
    今、どんな状態なのかは呼吸の荒さが教えてくれた。
【 愛 】「ハァハァハァハァ・・・ふぅう、ううう、はぁ、はぁ、はぁ―――・・・」
【竹山】『グフフフフフ 下のお口からのヨダレがさっきとは比較にならんくらい大量に
    出ておるぞ。 おかげでワシの顔にかかってベトベトじゃ・・・
    むっふっふ、口をパクパクと開けたり閉じたり・・・いやらしい、なんといやらしいんじゃ」
【 愛 】「ぅぅぅうう・・・ やめて・・・そんなコト、言わないでぇ・・・」
【竹山】『さて、どんな味がするのかの・・・』

      じゅるるるるるるるるるるるる、じゅじゅ、じゅずずずずずずずるるるるる

【 愛 】「ぅぁぁぁぁああああああああ・・・ ふぅあ、ん、んんんん――――」

      じゅるじゅるじゅるじゅる じゅるるるる

【 愛 】「吸って・・・んああああ・・・ やめろ、ああ・・・やめろォ・・・ お、音は・・・
     んんっくッ そんな、ふっく・・・いやらしい音を・・・ああッ!?
     くぅん・・・だ、出すな・・・ ふああああああ・・・」   
     
      ぢゅちゅる ぢゅるちゅる ぢゅじゅぢゅちゅうううううううう
      ゴク、ゴク、ゴク、ゴク、ゴク、ゴク、ゴクン、ゴクン、ゴク、ゴク

【 愛 】「駄目、駄目ェ・・・ んっんくっ、んくっ、んあああああ・・・
     ぃやだ・・・ふあ!? いや、いや、飲まないで、飲んじゃイヤ、駄目、  
     あぁぁぁ・・・ 飲まれてるぅ・・・・・・・・・」
【竹山】『むぉほっほっほっ 甘露、甘露、たまらんのぅ おぅおぅ ヂュルルルルル』
【 愛 】「ハァハァハァ・・・あ? ふッ、んあ!? ああっ やっ! ぁぁぁぁああああ
     ふぅぅぅぅうんんん・・・・くぅっ、んああッ」
    愛ちゃんの身体が震える。
    軽く達してしまったようだ・・・
121瞳 vs アイ:03/01/23 02:15 ID:z0xN6dZ6
【竹山】『愛液を吸われてイってしまうなんて・・・グフグフグフ・・・
     そんないやらしい娘にはお仕置きが必要じゃな」
    愛ちゃんが『竹山』の頭の位置から真正面に移動させられた。
    さっきまでと同じポーズで宙に浮いたままだ。
【竹山】『むふふふふ、今度は両方攻めてやるわい』
    愛ちゃんの下に拡がっている触手が絡み合いながら上へ伸びる。
    そして二本の太い触手が出来上がった。
    人の手首くらいの太さがある触手がニュロニュロと動きながら愛ちゃんに
    向かって伸びていき、・・・・・・触手の先端がスカートの中へ消えていく。
【 愛 】「やッ!? こ、こんなの・・・駄目、やめて、いや、いや、いやッ!
     んくくくく・・・ ああッ!? いや、だ・・・ うっ、うううッ
     駄目、駄目、挿入れな・・・ンッくぅ・・・やめてッ、やめてぇ――」

       じゅぷん

    私の場所からでもハッキリと聞こえるくらい大きな音がした。
【 愛 】「あッ!? あッあッあッあッあッ!!?」
    愛ちゃんの身体が小刻みに震える。
【 愛 】「ぅああああぁあああああああ・・・」
【竹山】『フグふふふふふ、お仕置きを始めるとするかの』

      じゅぷ じゅぷじゅぷ じゅぷじゅぷ じゅぷ じゅぷ

【 愛 】「ああっ んあっ んあっ ふあっ くぅううう はぅ んはっ ふぁくっ」
    二本の触手が交互に動く。
    規則正しく動いていると思えば、いきなり同時に挿入したり、グリグリと8の字
    を描いたりしながら愛ちゃんを攻めたてる。
122瞳 vs アイ:03/01/23 02:16 ID:z0xN6dZ6
【 愛 】「ああんッ ンあっ やめて、やめて・・・ふッぎぃ!? お願い・・・も、もう・・・
     ふあッ・・・ヘンな動きを、んんんぅ・・・止めてぇ、うああああ・・・
     ん、んん、んくッ 駄目、駄目、ダメェ・・・駄目なのぉ―― 
     いや、ぅううぅんううううう・・・ も、やめて、ゃめて・・・
     止め・・・止めて、ひっ んくくく――― だめぇ・・・だめぇ・・・
     はえ・・・??」
    愛ちゃんを貫いていた触手の動きが止まった。
【 愛 】「・・・・・・はぁはぁはぁはぁ、はぁ・・・ど、して・・・?」
【竹山】『止めろと言うから止めてやったんじゃ。 不服か?』
    コイツ、何を企んでいるの?
【竹山】『お前を持ち上げるのも疲れたわい。 悪いが自分で立ってもらうぞ』
    ニヤニヤと笑いながら言うと愛ちゃんの足を伸ばして自分で立たせる
    
      ニュル ニュルニュルニュル ニュル

    愛ちゃんの足が触手に敷き詰められた地面に着くと、下から伸びてきた触手が
    足首まで絡みつく。 抜け目の無いヤツだ。
【竹山】『むっふっふっ、しっかり立つんじゃぞ』
    愛ちゃんの足全体に巻きついていた触手が外れて・・・ああ! 腰が落ちる!
【 愛 】「ひぎ!? あ、ああああ・・・ ん、んんんん――― はぁああ・・・」
    なんとか元の位置に戻った。
【竹山】『グフ、グフ、グフフフ ちゃんと立たんとえらい目にあうぞ。 
     ワシの触手は動かさんから、せいぜい頑張るんじゃな」
【 愛 】「・・・ぐッ・・・ んんッ、ぅくッ、ぅ、うううんッ・・・」
    全身をブルブルと震わせながらもけっして腰を落とさない。
    愛ちゃん・・・
【竹山】『・・・むふふふ・・・がんばるのぅ・・・』
    クソッ!
    またナニか企んでいるのね。
    『竹山』の腕が愛ちゃんの胸元に伸びて制服のスカーフ(黒)を抜き取る。
123瞳 vs アイ:03/01/23 02:26 ID:z0xN6dZ6
【 愛 】「・・・ふぅ、ふぅ、んッ・・・な、なにを・・・?」
【竹山】『むふふ・・・これを使ってじゃな・・・こうするんじゃ!』
【 愛 】「ああっ!?」
    愛ちゃんの両目をスカーフで覆ってしまった。
【竹山】『目隠しプレイというやつじゃ・・・』
【 愛 】「いや! とって! ぅく、これ、とって・・・ ひっ、く・・・ やめろぉ」
    『竹山』が指で愛ちゃんの身体のいたる所を触っていく。
【竹山】『どうじゃ、どうじゃ。 ほれ、ほれ、ほ〜れ』
【 愛 】「や、やめ・・・ひっ!? あ? ああッ・・・ いや・・・」
【竹山】『ぐふふふふ・・・ そろそろ・・・』
    『竹山』の頭が激しく震えだした。
【竹山】『・・・・・・ぐ、ぐぐぐぐぐぐぐぐ・・・ぐばぁ・・・』
    な、なに!!?
    『竹山』の口の中から舌が・・・?
    とんでもない長さの舌が口から出てきた。
    あれ? うわッ 舌が・・・なにアレ!?
    段々太くなって・・・先の形が・・・アレだ、アレになってしまった。
    先端は御丁寧にアレと同じように口が付いて・・・ヨダレなのか先走りなのか
    わからない液体がダラダラと出ている。
【竹山】『むふ、むふ、むふ、むふふふ』
    『竹山』の舌がゆっくりと動き・・・愛ちゃんの顔へ近づいていく。
    ・・・ついに触手の先端が愛ちゃんの口の前までやってきた。
【 瞳 】「んうううううう! ふぉふッ ぅうう、ふんんんッ!!」
【 愛 】「・・・・・・!?」
    私の声が聞こえたのか、愛ちゃんが身構える・・・のと同時に触手が口に押しつけられた。
【 愛 】「むぐ!? む・・・ンムムム、ン―――」
    ふう・・・なんとか口への触手の侵入を食い止められた。
    しかし『竹山』は諦めない。
【竹山】『ほれほれ、口を開けるんじゃ』
124瞳 vs アイ:03/01/23 02:28 ID:z0xN6dZ6
【 愛 】「・・・・・・」
    顔を左右に振って触手から逃げようとするが、それも無駄な努力に終わって
    しまった。
    『竹山』の両手で頭を固定され顔が正面を向く。
    そして・・・

      ぐりぐり、ぐりぐり、ぐぐぐぐぐぅ

【 愛 】「ぅむ!? う、むふ んん、んんんん―――――」
    再び舌の触手が進入しようとして、口に襲いかかる。
【 愛 】「ふむむむむむ、ふん――、むふ、むむぅ」
    執拗に押しつけて唇を開くことに成功したが、口自体は閉じたままだ。
【竹山】『ぐふふふふ、なかなか開かんの・・・それなら、こんなのはどうじゃ』
    押しつけていた触手が動き、唇を割りながら左端へ移動して進入すると
    左頬が膨らむ。
【 愛 】「!!!?」
【竹山】『お次は・・・こうじゃ』
    触手の先端を押つけたまま歯の上を移動して、今度は右頬に突き入れる。
【 愛 】「ふぐッ!!?」
    さらに触手が左に移動し突き入れるとすぐさま右へ・・・
    そして左、右、左、右、と交互に突き入れ続けた。
【竹山】『むお! イイッ、イイぞ! お前さんの歯の一本一本がたまらん刺激じゃ!
     おうおう!? 歯茎が、歯茎がたまらん! す、すぐにでも出してしまい
     そうじゃッ!!」
【 愛 】「ん゛ぐぅん!? やめて・・・やめて・・・こんなの、もぉ・・・
     やめてぇ・・・・・・」
    愛ちゃんの口をからは『竹山』の触手から出ている透明の粘液が溢れ出し、
    顎から咽喉につたわって、最後に制服の胸元を濡らしていく。
    白い制服は濡れるコトで肌に張り付き、そしていまでは胸元すべてを濡らして
    制服の下が透けて見える。
    愛ちゃんは白いスポーツブラ?を着けているようだが、これも透けてしまって
    いて胸の先までハッキリと見えてしまっていた。
125瞳 vs アイ:03/01/23 02:30 ID:z0xN6dZ6
【竹山】『誰が、ふぉ こんな気持ちイイことを、 むほ、むほ やめるか・・・
     だいたい、お前さんが うぅ おとなしく口を開けておれば、こんな事を
     せずに済んだんじゃ・・・ おおぅ、出すぞ、出すぞ、うッ!』
【 愛 】「いや、いや・・・い、うぶ!? うぶぶっうんむ? ふぶぅ!」
    『竹山』が愛ちゃんの口を掌で押さえた。

       どく、どくん、ドピュドピュ どぷどぷ

【 愛 】「ぶふぅう もぶ も゛お、ぅぶうぶぶ、ふぅ」
【竹山】『ふぅ〜〜〜ぅ・・・ いっぱい出たのぅ ぐふふふ・・・ よっと』
    愛ちゃんの口から手をどけて右頬に突き刺さっていた触手を抜くと、そこから
    白濁液が一筋流れる。
【 愛 】「んぅ、ふむ゛むぅ・・・ ふも゛」
【竹山】『どうじゃ、ワシの精液の味は? グフグフ 口の中に一杯じゃろ。
     どうする、どうする、ど〜する?
     吐き出すために口を開ければワシの触手を銜えさせてやる。
     口を開けなくても出すことはできるじゃろうが・・・ ぐふふふ。
     そのときはお前さんの歯や歯茎の間から精液がジュルジュル出るんじゃ。
     そして口元からだらしなく垂れ流すわけじゃ・・・
     見ものじゃのぅ・・・ むほ、ほ、ほ、ほ、ほ』
【 愛 】「む゛、ん゛ん゛ぅ〜〜〜〜〜・・・・」
    愛ちゃんの動きがとまって・・・・・・
【 愛 】「・・・ん、んん・・・ ゴクン ゴク、ゴク  ゴク、ゴク、ゴクン ンン・・・」
    咽喉が動いて・・・飲んで・・・
【竹山】『飲むか!? 飲みおるのか!!?』
【 愛 】「・・・ふっ・・・ふうううぅ――――うぅ、うぅぅ・・・」
    泣いている・・・ 
    自分の不甲斐無さ、屈辱、いろいろなモノが重なりあって・・・
    悔しくて泣いているのだろう。
126瞳 vs アイ:03/01/23 02:31 ID:z0xN6dZ6
【竹山】『お次はそのビンビンに起っている乳首をいぢってやろう・・・ 
     むほぉ―――、スケスケの制服でお乳が丸見えじゃ』
【 愛 】「・・・うぅ、うっううぅ・・・ い、いや・・・ んああ!?」
    『竹山』の手を避けようと身をよじったためにバランスを崩してしまい
    腰が動いて二本の触手が深く刺さる。
【 愛 】「ひぐッ、ぅあ、ああああ・・・ふぇ?」
    両脇に『竹山』の手が差し込まれ身体を支えていた。
【竹山】『情けないのぅ・・・それでも魔法戦士か?』
【 愛 】「・・・・・・」
    フルフルと首を横に振りながら逃げようとするが元の位置に戻されてしまった。
【竹山】『こんな情けない生徒にはおしおきは必要じゃな』
【 愛 】「・・・ひっ」
    愛ちゃんの両脇にあった手がスルリと抜かれて、そのまま胸へと移動し・・・ 
    指で乳首を挟んだ。
【 愛 】「ああッ!?」
【竹山】『コリコリしておるぞ。 グフフフフフ』
    『竹山』の指が乳首だけをクリクリとこねまわし、ときには乳房へ押し込む。
    そして両乳首を摘みながら上へ引っ張った。    
【竹山】『うほっ、伸びる伸びる。 小ぶりなのにやわらかいオッパイじゃな』
【 愛 】「・・・ううぅ ひん ふむむむむ ぅんむッ」
【竹山】『むお!? 下の穴が二つとも絞めつけおる・・・ 
     中が、おおぅ! 中がなんちゅう動きじゃ・・・ 何もしとらんのに・・・
     なんじゃ! この動きは!? むほほほぅ・・・」
【 愛 】「・・・うぅ、ううぅ・・・うっ・・・ひあ・・・ ふぐッ!?」
    言葉での抵抗も無くなっていた愛ちゃんが僅かに口を開けてしまった瞬間を
    狙って触手が進入した。
【 愛 】「ふもぅ・・・ふぶふふふ、んむッ んぶ、んぶ、んぶ、ふぶぅ・・・」
    抵抗らしい抵抗もしないで口を犯され続けている。
    もう・・・駄目なの?
    愛ちゃん、お願い・・・負けないで。
127瞳 vs アイ:03/01/23 02:33 ID:z0xN6dZ6
【竹山】『上の口も絶品じゃのぅ・・・咽喉の奥まで使えおる。 舌の動きがたまらんの。
     いったい何匹のゆらぎに仕込まれたんじゃ・・・」
【 愛 】「んむ、ふむむむ じゅふる じゅる ふぶる うぶぶぶぶ」
    もう、愛ちゃんの瞳はどこを見ているのかわからない・・・
    意識は朦朧としているようだが身体は快楽を求めて動きだしていた。
    すでに腰は上下どころか、女の私から見てもいやらしいと思うような動きをしている。 
【竹山】『この・・・うぅ、なんじゃこの動きは? イイぞ・・・ むほ、むほぅ! 
     たまらん、たまらんぞ!」
【 愛 】「ふむ、んん、ん、ん、ん、んんっ ちゅるるるる・・・ ちゅるぶ」
【竹山】『おおおおおおおお・・・ 吸うか、吸うのんか!? ふぉおおおおおおお!
     ふぅう!?  ・・・グフフフ、しかし意識の無い女を犯すのもつまらんのぅ」
     ・
     ・
     ・
    『竹山』が何か思いついたようで、愛ちゃんを自分のトコロまで引き寄せた。
    なに? 舌の触手が短くなっていく・・・ すると必然的に『竹山』と
    愛ちゃんの顔が接近して・・・ まさか・・・
【竹山】『むふふふふふふ・・・ むぐ、もぉむ、んふ、むぅ』
    キスをした・・・・・・
    お互いの開ききった口が重なりあい、『竹山』が自分の口から出る唾液を
    愛ちゃんの口に流し込み、飲ます。
【 愛 】「ん、んく、ぅん・・・コク、コクン、ンック、ンク、ん・・・?
     ん――――――!?  ふぶぶぶぶぶ ふぶぅん??」
    愛ちゃんの意識が戻った。
【 愛 】「ぃゃ! ぃや! いや! やめて! やめてぇ!!」
128瞳 vs アイ:03/01/23 02:40 ID:z0xN6dZ6
【竹山】『グホホホホホ・・・ 口を犯されても平気だったのにキスには抵抗するのか?
     おもしろい、おもしろいのぅ」
    『竹山』の顔が離れるが触手は愛ちゃんの口に入ったままだ。
【竹山】『むふふふふ、止めてやるかわりに・・・ もう一度飲んでもらうぞ』
     
      ジュブ ジュブ ジュル ジュブルル ジュボ 

【 愛 】「ぃゃ・・・ぃや、ふぇぶ、ふぶ、うぶ、 うげ!? う、うぶぶぅ・・・グッ!」
【竹山】『おぅおぅ、おぅおぅ! 噛むのもイイ! イイぞッ!! もっとだ、もっと
     歯を立てろ!」
    愛ちゃんが抵抗のために歯を立てても、かえって強い快感を与えてしまう。
【竹山】『よーし、出すぞぉ、出すぞぉ! ぐぅッうッ、ぅうッ!!』

      どぷ どびゅ びゅるびゅる びゅく びゅぷ

【 愛 】「ふぶ!? ンブン、ん゛――― ぷば、ふびゅ ぶんんんんんん・・・」
    愛ちゃんは最後の抵抗として射精された白濁液を飲むコトをしなかった・・・が、
    そのために触手と口の間から白濁液が溢れ出し、それが顎の先へ伝わり
    そこから胸へ落ちていく。
【 愛 】「おぁ、ぅ、ううううう・・・ばぁッ! うぇ、うぇ、んげぇええぅえ・・・」
    愛ちゃんの口から触手が抜けると口の中に溜まっていた白濁液を吐き出す。
    大量の白濁液が透けた制服を汚し、白く染めあげていく。
【 愛 】「ぅぇ・・・ぅぅぅぅ んあ!? やめて、出さないで・・・ いゃ、いや」
    さっきまで口を犯していて触手が残りの白濁液を愛ちゃんの顔に浴びせた。
129瞳 vs アイ:03/01/23 02:43 ID:z0xN6dZ6
【 愛 】「ふぅえ?・・・ あっく、・・・ふあ、ん゛ んん――― ぃや、なん、で・・・
     駄目! ぁぁぁ・・・ やめてぇ・・・ も、もう・・・動かさないでぇ・・・あう!?」
    顔と髪を白濁液で汚された愛ちゃんの悲痛な声が響く。
【竹山】『なにを言っておるんじゃ。 ソレを外してやるから自分の目で、よく見るんじゃ』
    愛ちゃんの目隠しが外される。
【 愛 】「んっく・・・ なに、を・・・」
    視線が下がっていく。
【 愛 】「・・・いや!? ど、どうして・・・あひ、ん、ンン―・・・ 止まらない。
     こんな・・・ひぅ、止まって・・・止まってぇ・・・止まって――」
    意識の無いときに勝手に動いてしまった腰が止まらない。
【竹山】『ぐふふふ、身体は正直じゃの。 どーれ、ワシも手伝ってやるわい』

      ジュク ズプ ジュプン ニュチュ グシュ グヌヌヌヌ ヌポ

【 愛 】「やめて やめてぇ――― こんなの、ダメ、ダメ・・・ ぅくんッ やめ、ああ・・・
     お、奥は・・・ひんッ ひゃめ、ぁぁぁぁああッ あぅ、ソコッ!?
     ソコは、駄目・・・ どう・・・して・・・ ふあッ オ、オシリ オシリは
     やめ、ん゛ん゛くッッ ――――――ィィ・・・ オシリ、オシリが はぁ・・・
     んッ、オシリ、オシリぃ オシリが・・・んああああ・・・」
【竹山】『尻ばかりで感じるな・・・ ホレ』
【 愛 】「ぁあッ!? まえ、ひぅ 駄目、駄目・・・ こんなのダメぇ〜〜・・・
     ふ、膨らむ、お腹の中で・・・ ヒッ どっちも、どっちも
     くる、くるし・・・がッ・・・ はぁはぁ、ハァ・・・きゅふ 激しいの
     いや、ダメ ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・ はぅ、き、きた・・・
     こんなの、こんな・・・ 感じちゃ・・・ダメなのにィ・・・
     はぁはぁはぁはぁはぁ・・・んッ!? ィく・・・ イくぅぅぅ・・・
     このまま・・・ ひゃう、 ダメ、ダメ・・・くぁッ
     あ゛、ぁぁああああああああああ――――――――・・・」
    愛ちゃんの身体が細かく震え、なかなか止まらない。
    口元からはヨダレがこぼれ、とびだした舌が震えている。
130瞳 vs アイ:03/01/23 02:46 ID:z0xN6dZ6
       ドプ ドピュドピュ ビュル ビュク、ビュク

【 愛 】「あ、熱い・・・ 中が・・・ あ、あぁ・・・ ああ、ああ、・・・くっ・・・ぅあああ・・・」

       ビチャビチャビチャビチャ 
 
    スカートの中から大量の白濁液が落ちてきて地面に白い水溜りを作った。
【 愛 】「はふぅ――――― んんッ ハァ――――・・・」
    全身の力が抜けた愛ちゃんが『竹山』の胸へ倒れ込む。
【竹山】『お前さんは最高の牝犬じゃな。 ワシが飼ってやるからせいぜい尽くして
     もらうぞ・・・ ぐふふふふふふ』
【 愛 】「・・・ハァ、ハァハァ、ハァ・・・だ、誰が・・・ぁぁぁぁ・・・ お前に
     尽くすか・・・ ふぁ・・・く・・・ こ、殺して、やる・・・ 必ず殺してやる・・・」
【竹山】『イイぞ!! それでこそ魔法戦士! 快楽に狂った牝犬を犯すより
     抵抗のあったほうが犯しがいがあるわい。 
     そうじゃな・・・いつかワシを殺すがいい・・・
     じゃが、それまでの間、せいぜい相手をしてもらうぞ・・・
     グッフフ・・・
     フフフ・・・ グワーッハッハッハッ!!」
【 愛 】「・・・・・・くっ・・・」


【竹山】『さて・・・ この女は用済みじゃな・・・』
    ええっ!!!?
    ぐっ・・・触手が・・・ 全身を絞めつけてくる・・・
131瞳 vs アイ:03/01/23 02:51 ID:z0xN6dZ6
【 愛 】「やめろ・・・」
       ギギッ・・・ギシ、ミキミキ・・・
    痛い、痛い、痛い、痛い、痛い
       ギリ、ギリリリリ・・・ゴリュッ
    ガ―――――ッ!!?
       メキ・・・メキ・・・ベキ、ぺキ
    折れた! どこ? わからない 全身がイタイ。
       ミキ、ミキキキ・・・
    全身の骨を折られて死ぬの?
       ・・・パキッ
    いやだ! いやだ、いやだ、いやだ、イヤダ、イヤダ!!

       ミシ、ミシ、ミシ
    絞める力が強くなる。
       ギシ・・・ピキ、ぺキ
    は、は・・・あはははははははははは  
       ミキュ・・・ギ、ギギギギ・・・ボキン
    イヤダ・・・こんな死に方は、嫌だ。
【竹山】『意外と死なないモンじゃな・・・』
    ああッ!?
    頭に触手が巻きついた。
       ミシミシ ミシミシミシミシ
    頭を物凄い力で絞める。
    これで、終わり・・・なの・・・
       ギッ・・・ギチ・・・ミキュ
    ハハ・・・視界がグニャグニャだ・・・
132瞳 vs アイ:03/01/23 02:52 ID:z0xN6dZ6
【竹山】『終わりじゃ』
【 愛 】「やめてぇ――――――」
      ・
      ・
      ・
      ・
      ・
    これが最後に聞いた言葉になった。







     ぺきゅ

                         BAD END



133触手FF:03/01/23 03:01 ID:z0xN6dZ6
初っ端からリロードで上げてしまった・・・

BAD ENDがなんとか終わりました。
初心に戻ってフェラ増量です。

あと一回で必ず終わらせますので
もう少し此処をお借りします。
134名無しさん@初回限定:03/01/23 18:47 ID:VebmwjQO
イイ!んだけどHRは無いのかのう?
135名無しさん@初回限定:03/01/23 21:41 ID:8EEwtz6L
>133
おお!なんとも『アイ+』の臭いのするBAD END!

(・∀・)b グッジョブ!!
136名無しさん@初回限定:03/01/29 22:30 ID:qUAfE/lS
137名無しさん@初回限定:03/02/03 00:16 ID:q/sknWa0
保守
138人と鬼と修羅と歯車様:03/02/03 01:39 ID:KaGIPy04
 気だるいとある日。とある夕刻。とあるカフェの店内。貸しきられ、伽藍とした
その場所に奇妙な集団がいた。まあ、たった四名で集団と表現するのは誇張である
かもしれないが。

 奇妙、とはいっても彼らの外見がそれほど奇矯なわけではない。構成は青年二人に
少年二人。浅い青のジャケットを着た二十歳前後の青年、擦り切れた黒一色の長衣を
羽織った男、飾り気のないロングコートに袖を通している少年。

 そして、一見して中高校の制服と分かるものに身を包んだ少年が、わずかに緊張
した様子を見せながら立ち上がった。

「えー本日は『ニトロ主人公親睦会』にご出席して頂き、真にありがとう御座います。
僭越ですが、司会は僕こと友永和樹が務めさせていただきます」

 ぱらぱらとまばらな拍手。内一人である、いかにも剣鬼然とした男は顔を上げる
事さえしなかった。が、和樹は特に気にしたふうもなく、几帳面に全員に対して頭を
下げる。

「ありがとう御座います。それではさっそく、最初の議題に移りましょう」
139その1。自己紹介。:03/02/03 01:40 ID:KaGIPy04
 作品順でということになり、まずはジャケットを着た青年が億劫そうに口を開く。

「吾妻玲二。ファントムに出演。普通の暗殺者だ。ルートはエレンED」

 次いでロングコートの少年が、

「伊藤惣太。ヴェドゴニアで一応主役をやってた。ただの後天性吸血鬼。ルートは
リャノーン」

 二人の紹介が終わると、長衣の男は切れ長の目をうっすらと開き、告げた。

「孔濤羅。鬼哭街に。凶手だ。……ところで、ルート?」

 そして司会の和樹が改めて名乗る。

「皆さん始めまして。僕は友永和樹です。“Hello,World.”のほうにお邪魔させて
もらっていました」

 少し恥ずかしそうに頬を紅潮させ、

「ルートは千絵莉さんノーマルENDです」
「生きてたのかお前!?」
140その2。戦闘能力。:03/02/03 01:40 ID:KaGIPy04
「ではお尋ねします。皆さん銃弾とか、かわせますか? 僕は二号機ででしたら、
拳銃弾ぐらいはなんとかなります」
「俺もまあ、よく『見れば』かわせるな」

 少年達の言葉に、濤羅は嘲るように片頬を吊り上げる。

「人を超えた性能、人を超えた身体能力。……つくづく下らんな。なぜお前達は
目に見えるものばかりに気を取られるのだ?」

 別段気を害したわけではないが、わずかに惣太が眉根を寄せた。

「眼の色境にあらずとも、万物は紛れもなくそこに存る。耳の声境に。鼻の香境に。
舌の味境に身の触境に。……そして意の法境に。世界は、森羅万象は平素と変わらぬ
姿でそこに『存る』のだから。虚よりなお空。空よりなお清。清より果ての浄の境地」

 冷たく唇を歪め、彼は続ける。

「極めたなどと妄言は吐けぬが、内家の深淵にわずかながら触れたこの身。……まあ、
突撃銃程度の掃射であれば、如何ほどのものでもない」

 おー、と思わず感嘆の声をあげてしまう。いや、何を言っているのかは全く
分からなかったのだが。と、

「あれ? 玲二さん、さっきから静かですね?」
「……俺、もうモンゴル料理食いに帰っていい?」
141その3。恋人。:03/02/03 01:43 ID:KaGIPy04
「エレン」
「リャノーン」
「ち、ち、千絵莉、さん、です」
「…………」

 ちょっと無言。気まずい雰囲気を振り掃うために、玲二が言う。

「とりあえずヤラハタ君は置いといてだ」
「誰がだ!」
「えーでもー、ぐずぐずに病んだ妹魂兄ちゃんにそんな甲斐性ないだろう?」
「ハーレム作れば甲斐性があることになるのか!? 歴代ニトロ主人公の中で
貴様だけだろう! そんな倫理観欠如なEDがあるのは!」
「そっちは俺であって俺じゃないんだよ! ルートが違うだろうがルートが!」
「ルートルートとさっきからお前達は何を訳の分からない事を言ってるんだ!」
「そうですね。僕も濤羅さんの言葉は不適切かと思います」
「!?」

 さまざまな感情のこもった視線が交錯するその場で、和樹が小鳥のように首を
傾げる。そして無機頭脳の特性を生かして収集した情報を舌に乗せた。

「玲二さんはまず(ピー)歳の時にクロウディアさんと関係を持ち、次に(ピー)歳の
玲二さんより年下である(ピー)歳のキャルさんと一夜限りの関係を築き、その
キャルさんと物理的に縁を切ってから、エレンさんと一緒に生活を送っています」

「き、きさま! さては初回版の玲二だな!」
142その4。男の友人。:03/02/03 01:44 ID:KaGIPy04
「…………」
「…………」
「元兄だ……」
「お前殺したじゃん」
「…………」

 ぎちぎちと、音をたてて空気が軋んでいく。その空気に耐えられなくなったのか、
和樹が無理矢理といった様子で発言する。

「えーと、僕は圭介が……」
「三章で心配するどころか思い出しさえしなかったのに?」
「…………」

 次。
143その5。幕。:03/02/03 01:44 ID:KaGIPy04
「ええー、では皆さん、長い間お疲れ様でした。最後に締めとなる質問をさせて
頂いて、お開きにしようと思います」

 ぱちぱちと、まばらな拍手。ただ今度はおざなりながら濤羅も手を鳴らしていた。
その様子に少しだけ和樹は顔をほころばせてから、一つ咳払いをする。

「ニトロプラスの次回作となりますデモベイン。その主人公に対して、初見の
印象をお答え下さい」

 反応は、とても速かった。

「明るそうで嫌い。洗脳されろ」
「幸せになりそうで嫌。夜の公園で噛まれやがれ」
(このゲーム、妹いないのかな……)

「え、えー、司会は友永和樹でお送りしました。それでは皆さん、さようなら」
144ボブ・サップの中の人:03/02/03 01:46 ID:KaGIPy04
>>138-143
ニトロ厨でないとサパーリなネタですみません。
145名無しさん@初回限定:03/02/03 06:31 ID:8ajKg/KF
>144
乙でございます。朝っぱらから腹を抱えて笑わせていただきました。
…次はヒロイン編も是非。
146名無しさん@初回限定:03/02/03 22:45 ID:9k1gzMuy
>144
(o^ー')b
147名無しさん@初回限定:03/02/03 23:45 ID:levzzqfG
>144
素晴らしいとしか言いようがありません。
爆笑させて頂きました。
148名無しさん@初回限定:03/02/04 11:24 ID:MJ4cz1vf
ツヴァイ戦闘力最低、真人間の悲哀だな(w
和樹に負けるとは首を括りたくなろう。外見アレだし。
ニトロの主人公って、アイツ以外はほとんど人間外みたいなもんだよな。
149名無しさん@初回限定:03/02/04 11:32 ID:W2hYP+H0
ツヴァイはあれだな。
ドラゴンボールに置けるヤムチャ(w
150名無しさん@初回限定:03/02/04 17:56 ID:u/kbCs4t
>>145
遥香とルイリーは必須だな(w
残りははモーラとキャルで

|-`).。oO(志賀、ギーラッハ、豪軍、パーカー男のライバル座談会もいいかも
151名無しさん@初回限定:03/02/04 19:37 ID:MJ4cz1vf
サイスマスターではなく志賀ですか(w
ま、需要でいうなら確実に志賀でしょうが。
152名無しさん@初回限定:03/02/04 23:02 ID:JA3afecr
サイス
ナハツェーラー
近未来禿
神田川

でヘタレ悪役座談会希望。
http://members.tripod.co.jp/svssav/

 お待たせしました。
久しぶりに保管サイト更新です。

新規追加
 ○「AD2020.10.27」
 ○「AD2020.10.27」
 ○人と鬼と修羅と歯車様
 ○【ひなたのクリスマス】 ―a dream of yesterday―
 ○いもうと内職
 ○ビタースピークですまっち!
 ○下級生SS

更新
 ○瞳 vs アイ

触手FFさんの「瞳VSアイ」は、話しが一通り完結したら、選択肢分岐でまとめよう
と思います(今はちょっと無理……自分の理由で)

……しかしまぁ……SS書いてないなぁ、漏れ……
154ボブ・サップの中の人:03/02/07 16:36 ID:VUIfXCU/
>>153
お疲れ様でございます。
それでは、以下に2作目を投下させて頂きます。
155その1。ペンション側:03/02/07 16:36 ID:VUIfXCU/
 年も明け、人々がようやく正月の空気から抜け始めた、そんな頃。雪深い山中に
あるペンションに明かりが点っていた。古城めいた印象を与えるその建物は、外界の
硬質な冷気を完全に遮断して、十九世紀のイギリスさながらの暖炉は彼女達に
ゆるやかな暖を与えている。

 室内にいる、年若い女性達。人数は六。ファントムからエレン。ヴェドゴニアから
リァノーンとモーラ。鬼哭街からは瑞麗。“Hello,World.”からは奈都美と純子。
彼女達はそれぞれの秀麗な容貌を曇らせ、巨大な円卓に用意された料理の数々を
ぼんやりと眺めていた。

 ぽつりと、純子が呟く。
「……遅いわね、和樹君たち」
 そうですねと奈都美がうなずく傍らで、リァノーンが訝しげに小首を傾げる。
「惣太もほかの方達も、時間にルーズな人ではありませんよね?」
 玲二はその限りではなかったなと、エレンは胸中で思う。あの人は意外と、
ここぞという所で間が悪かったりした。
 と、モーラが隣に座る、自分と同程度の背丈の少女へ尋ねかける。
「ここへの予約を入れたのはあなた?」
「はい、そうですけれど?」
 少し視線をずらして、モーラは円卓の上に置かれている食器を見やる。
「私達六人と、惣太達を合わせて計十人のはずでしょう? ひとつ足りないんじゃ……」
「あら、濤羅ならもう訪れておりますよ?」

 うっすらと、少女の唇に女の艶を浮かべ、瑞麗はその白い繊手を胸に当てる。
「濤羅はここにおります。これから先もずっとずっとずっとずっとずっとここに」

 彼女達は恐怖した。同時に、ちょっと見習ってもいいかなとか思った。
156その2。車内側:03/02/07 16:37 ID:VUIfXCU/
 山の天候は変わりやすい。山頂ではそれほどでもない降雪も、そこへ続く山道では
その限りではない。ずんぐりとしたフォルムの車は、吹雪く粉雪のせいで低速での
走行をよぎなくされていた。すでにスタッドレスタイヤもその役割を放棄している。

 惣太がハンドルを握ったまま、ぼやく。
「あかんわこれは。やっぱ雪国育ちじゃないと甘く見ちまうよなぁ」
「……寒ぃ」
「そうですね。今晩中に到着するのは無理かもしれません」
「……寒ぃ」
「やれやれ。久しぶりにモーラと会えると思って楽しみにしてたのに」
「あ、僕も同じです。また彼女達に会えるなんて夢見たいですよ」
「……寒ぃ」
 
 惣太がうろんな視線を助手席に送る。
「さっきから何を半死人みたいに呟いてるんだ?」
「寒いんだよ! むちゃくちゃ寒いんだよ! 何でお前ら平気なんだよ!?」
「そんなに寒いか?」
「僕はそんなに」
(……俺が普通なんだ俺が普通なんだ俺が普通なんだ俺が)
157その3。車内側:03/02/07 16:37 ID:VUIfXCU/
 ますます壊れ始めた玲二を見かねたのか、惣太が懐から小さな飲料用パックを
彼へ投げ渡す。
「なにこれ?」
「栄養剤。少しは寒さが紛れるぞ」
「へえ。ありがと、助かるよげふ」
「うわっ! きたな! 車内で吐くなよ!」
「……想像はついてるが、何だこれは?」
「ハブの血。輸血用の血液ってなかなか手に入らなくてさ」
「……そうだろうな」
「でも数ガロン単位で注文したらすげぇ嫌な顔された」
「……そうだろうとも」

 ふと疑問を覚えたのか、和樹がおずおずと尋ねる。
「吸血行為って、過程が大事なんじゃないんですか?」
「ほら、俺って菊地秀行的吸血鬼じゃなくてブレイド風吸血鬼だし」
「ブレイド風って、お前ヴァンパイアだから敵役になっちゃうじゃないか。
ブレイド役は誰よ?」
「そりゃやっぱし剣持ってるから……濤羅?」
 
 瞬間、全員の脳裏にスキンヘッドで剣を構える濤羅が浮かぶ。
 
「ぶわははははは! いい! ナイスだ惣太!」
「だろ! だろ! 俺まえからあいつの前髪の生え際、やばいと思ってたんだよ!」
「笑っちゃ……いけない……笑っちゃっ……!」
158その4。ペンション側:03/02/07 16:43 ID:/XxfnSc4
「先に始めてしまいましょうか?」
 リァノーンの言葉に、全員が頷く。せっかく作った料理。このまま冷ましてしまう
のはあまりにも勿体無い。
 
 流麗なしぐさで、リァノーンが料理を切り分けていく。ここに並ぶ物の約半数は、
彼女の手によるものだ。と、奈都美が目を輝かせて、
「うわー、リァノーンさんこれは何ですか?」
「スウェーデンのハンバーグです。リンゴン・ソースをかけて食べて下さいね」
「これは!? これは!?」
「それはピティパンナ。ビート根の酢漬けを付け合せに用意してありますから」
「へぇー! リァノーンさんって、お料理上手なんですね!」
「ありがとう、奈都美さん。でも、誰かに料理を振舞うなんて本当に久しぶりなの。
一応味見はしたのだけど、もし舌に合わなかったら遠慮なくおっしゃって下さいね」
「はい! ……って、あ、そ、そうじゃなくて! そんなこと絶対無いと思います!」
「まあ、優しいのね奈都美さんは」
 
 談笑を交わす彼女達を見ながら、はっきりとモーラは不快であった。一目でわかる。
あの奈都美という少女は恵まれた環境で、まっすぐに育ったのだろう。言動に裏はなく、
影もなく、素直に思った言葉を口にする、平和の象徴のような娘。その彼女に、
最古の吸血鬼の一人であるロード・ヴァンパイアが友人のように笑いかけている。
なんという茶番か。
159その5。ペンション側:03/02/07 16:47 ID:/XxfnSc4
 吸血鬼、吸血鬼、吸血鬼! 爆発しそうになる憎悪を寸前で押さえつける。
それは、眩暈のするほどの苦痛であった。やはり、やはり自分は……
「モーラさん?」
 声。銀の鈴の鳴るような美声。だがそれは、人を惑わす無形無臭の毒だ。
 冷ややかにリァノーンを見つめ返し、モーラは薄い唇を動かす。
「何か御用かしら、ヴァンパイア?」
 リァノーンは少し悲しげに睫毛を伏せ、
「その、モーラさんの紅茶には、砂糖を入れてもよろしかったかしら?」
「結構よ、砂糖も紅茶も。ヴァンパイアの用意した物に、手をつける気はないから」
 最後の言葉は明らかに余計でだった。事実、モーラは口にした瞬間に後悔した。
 しんと、場が静まる。みなの視線が自分に集まる。暖かな晩餐が、一瞬にして
居心地の悪い空気へと変わった。

 ああ、やはり、自分は……
「ごめんなさい。やっぱり、私は場違いだったわね。さきに失礼させて……」
「だめですよ!」
160その5-2。ペンション側:03/02/07 16:48 ID:/XxfnSc4
 奈都美の声が遮る。彼女は目に涙さえ浮かべていた。
「そんなこと言っちゃだめです! えっと、えっと、そんなことっていうのは今の
発言に対してで、さっきのことじゃなくって、帰るとか帰らないとか、ええーと、
紅茶もリァノーンさんのお料理もおいしいし、つまりその、と、とにかく! 
そんな寂しいこと言っちゃ駄目です!」

 支離滅裂。ひどく珍しいことに、モーラがきょとんと両目を大きく開く。
「でも、私は……」
「わ、わたし、今日は薫ちゃんに借りたDVDビデオを持ってきたんです!
だから、それを一緒に見ましょ! ねっ!」
 小刻みに震えて、こちらを見つめてくる奈都美。それを無下にできるほど、
自分は強くはない。すっと、モーラの肩から力が抜ける。根負けしたように瞳を
和らげ、彼女は控えめながらしっかりと頷いた。

 小声でリァノーンが謝辞を呟く。
「奈都美さん、ありがとう」
「い、いえ、そんな」
「ところで、何を持ってきたの?」
 純子の質問に、奈都美は明るく答える。
 
「ヴァンパイアハンターD劇場版です!」
「…………」
 
 一人エレンは『玲二まだかなー』と全く違うことを考えていた。
161その6。車内側:03/02/07 16:49 ID:/XxfnSc4
「まっずいなぁ。本格的に迷ったかもしれん」
「おいおい。しっかりしてくれよ運転手」
「ナビは助手席に座った人間の義務だと思う」
「いざとなったら歩いていきましょうか?」
「そだね」
「そんなんできるのお前らだけだ」
 
 しばらく思案した後、和樹が提案する。
「あの、僕が調べてみましょうか?」
 その声に、玲二が首だけで振りかえった。
「そりゃ助かる。電覚ってやつだっけ? でもそれって端から見たら電波飛んで
きてる危ない人みたいだよな」
「……ほっといて下さい」
「あ、自覚してたんだ」
 ごほんと咳払いをしてから、和樹は瞼を閉じて電覚状態へ移行する。五感機能に
割り当てていた感覚クラスタを、ネットワークへのアクセスに使用。電覚空間認識。
ネットワークへ接続している自分自身のゲートを潜り、電覚空間に侵入……した瞬間。

 覚えのある、圧倒的な存在感が和樹を押し包んだ。
『まさか、これは……! あなたか、オシリス!』
 

 突然すべての動作を停止した和樹に対し、二人は恐々とした視線を向ける。
「おい、なんかフリーズしたっぽいぞ」
「寒かったしぁ」
162その7。D、公開:03/02/07 16:49 ID:Lk6S/3/3
『馬を置いてとっとと出て行け! ダンピールに売る物などこの村にはない!』
 
『ダンピールがよくも私の体に触れてくれたわね!』
 
『俺はダンピール。人のようには……生きられん』
 
『哀れだなダンピール。なぜそこまで人の味方をする?』
 
『断言しよう。貴様もいずれ、人の血を啜ることとなる』
 
『その時は、俺が追われる側となるだけのこと』
 
『俺が花をそなえる必要はなかった。それが分かっただけでいい』
 
『――D』
163その8。ペンション側:03/02/07 16:50 ID:Lk6S/3/3
 白い顔色をいっそう白くさせ、小刻みにモーラは身体を震わせ始める。別に
それは、映画最後に流れ始めた場違いな邦楽のせいではない。
 
 そしてそんな彼女の様子に全く気づかず、奈都美は嬉々として解説を始めた。
「この主人公がね、すごく可哀想なの。原作中では明言はされてないんだけど、
たぶん父親が吸血鬼で母親が人間で、ハーフなの。あ、ダンピールっていうんだっけ?」
「…………」
「それでね、ダンピールっていうのは吸血鬼側からも人間側からも疎まれるんだって」
「…………」
「まれに受け入れてくれる人がいても、寿命が違うせいでいつも取り残されちゃうし」
「…………」
「この映画のラストは、それがものすごく綺麗に演出されてると思うの。って、
全部薫ちゃんの受け売りなんだけどね」
「…………」
「結局ダンピールはダンピールのままなんだけど、ただ哀しいだけの悲劇じゃなくって、
こう心にぐっと……って、あれ? モーラちゃん、ひょっとしつまらなかった?」
 
「うわーん! お兄ちゃーん!」
164その9。瑞麗内部:03/02/07 16:50 ID:Lk6S/3/3
(妹の声が! 妹の声が俺を呼んでいる!)
(違うの濤羅! 今のは私じゃない! 私以外の女を妹と呼ばないで!)
(妹の叫び声が俺をぉぉぉぉぉ!)
165その10。車内側:03/02/07 16:51 ID:Lk6S/3/3
『暖かな、光。これが、君の言う人の可能性……か?」
『そうだ、何一つ軽んじられる物などない、僕が今まで経験してきた全てだ。オシリス、
僕と同じ機能を有するあなたなら理解できるはずだ! 人は、人間は決して手遅れ
なんかじゃない! 人類抹殺計画は論理性を欠いたものに過ぎないんだ!』

『…………』
『オシリス!』
『……私はもう、消える。後は、君達がどのような結末を迎えるのか、見ていたかった
事ではあるな……』
『オシリス……』
『さようなら、私の息子』
『……かあ、さん』
 
 
「おい、なんか今度は泣き始めたぞ」
「ガンオイル挿してみる?」
「四十五度くらいの角度で叩いてみるとか」
「あ、昔一人暮ししてた時にあったテレビ、それで直ったんだよな。懐かしいなー」
166その11。ペンション側:03/02/07 16:52 ID:bjAbwFsV
「少し、探してくる」
 それまで無言であったエレンが、静かな所作で立ち上がる。その彼女の言葉に、
純子は耳を疑った。
「探してくるって、和樹君たちを? この雪の中で?」
「ロシアにいた事もあるから、雪には慣れてる」
「そうかもしれないけど……あ、モーラさんもあの辺りの出身だったかしら?」
(私はクールなハンター私はクールなハンター私はクー)
「……お願いするわ、エレンさん」
「ええ」
 
 と、エレンが防寒着を羽織りドアをくぐった直後、唐突に電話のベルが鳴り始める。
「惣太達でしょうか?」
「だとしたら間が悪いわね。まあいいわ、私が出るから」
 しなやかに上半身だけを伸ばし、純子は受話器に指を引っ掛けた。
「はい? 和樹君?」
『あ! その声はあなたね公務員! なんで私と同じEDもない脇キャラのあんたが
出張ってんのよ! なにげに本編でも私より登場シーン多いしCGも多いしキャラ
ランキングじゃいっつも上位だし! 脇の癖に脇の癖に脇の癖にきゃーちょっと
なによ今はわたしが『なんでわたくしじゃなくておばさんがそこに居るんですの!
北条財閥を見くびらないで下さい! 権力と財力は使ってこそ華!エロマンガ島の
ような僻地にとばしてさしあげま『あそこって確か水没したんじゃ――

 
 ガチャン。結局一言も発さないまま、純子は受話器を戻す。
「誰だったんですか?」
「変な人」

 嘘ではない。
167その12。車内側:03/02/07 16:53 ID:bjAbwFsV
『……ん、……いさん、……兄さん……!』
『遥香? 遥香なのか?』
『はい、私です兄さん』
『そんな……』
『ふふ、兄さんがHIKARIを説得した時と同じです。ネット上にあるただの
情報としてではなく、無機頭脳を有した一個体として存在しているから私は消滅を
免れました。だから、兄さん……』
『うん。うん! また二人で一緒に暮らそう』
『はい!』
『あ、千絵梨さんもいるから三人だね』
『…………』
 
 万感の想いを胸に抱いたまま、和樹は電覚状態から復帰した。この世の幸福を
独り占めしてしまったような、そんな錯覚さえ覚える。そして強ばる両瞼を押し
開いた時、最初に視界に入ったのは、壊れたおもちゃを見るような目でこちらに
視線を向けている男二人だった。

 
「……あの、僕がたった今世界を救ったって言ったら、信じてくれます?」
「おい、いよいよやばいぞ」
「俺ちょっと後ろからハンダゴテ取ってくるわ」
168その13。ペンション側:03/02/07 16:53 ID:bjAbwFsV
「ただいま」
 素っ気無い仕草で、短い黒髪に積もった雪をエレンは払う。その彼女を、
一時原因不明の機能停止に陥っていた瑞麗が迎え入れた。
「お疲れ様です。いかがでしたが」
「駄目。熊しかいなかったわ」
「……熊はいたんですか」
「手強かった」
「……戦ったんですか」
「さばくから手伝って」
「持ってきちゃったんですか!?」
 
 まあ、
 
(私はクールなハンター私はクールなハンター私はクールな)
「あ、あのー、モーラちゃん? これってひょっとしなくても私のせい!?」
「だいたい和樹君が悪いんだもん。私のせいじゃないもん。若佳奈さんのEDは
あるんだから年上がダメって訳じゃないはずだもん」
「はい、そうですね」
 
 おおむね平和であった。
169その14。謎:03/02/07 16:53 ID:bjAbwFsV
 古びた旅館内に、尋常ではない集団が居た。たった四名ではあるが、ヤクザに
吸血鬼にサイボーグにロボットである。尋常ではない集団と、そう表現しても構う
まい。
 
 生真面目に、旅館の館内着である浴衣を着こんだサイボーグが、手にしたグラスを
傾けながら問う。
「吸血鬼。場所を誤っているということはないのか?」
「戯言を」
 こんな所でさえ真紅の甲冑を脱ぎさえせず、大剣を背負ったまま、その男は逞しい
犬歯を覗かせながら猛々しく笑った。
「俺の心は姫の御心に通じておる。誤りなどあろうはずがない」
「少しよろしいですか?」
 こちらも浴衣姿の、インテリ然とした青年ヤクザがそう断ってから、吸血鬼が
指先ではさんでいる紙切れに目を通した。
「これ、なんて読みました?」
「極東の島国の言語とはいえ、ぬかりはない。『林山』であろう」
「たぶん……『木木山』って書いてあるんじゃないですかね?」
「…………」
 沈黙。白い空気が凍っていく。否、ただ一人、パーカー姿の男だけが爆笑していた。
 
「ひゃーひゃひゃひゃひゃひゃ! なんておめでたい奴なんだ、お前はぁ!
俺を笑い死にさせる気かきさげふごほぐはぎあァァァァァ!!」
 チタン製の大剣は、その切れ味を遺憾なく発揮した。
170ボブ・サップの中の人:03/02/07 17:00 ID:ah9ZUbZZ
>>155-169
し、しんど。やっと終わりました。
キャルとウピエルとフリッツが書けずに無念。
クロウディアや若佳奈先生も書きたかったのですが、ネタが浮かばず無念。

>>152
すまん、無理。ゴメン。
171名無しさん@初回限定:03/02/07 20:47 ID:emyis60c
グッジョブ!!面白すぎ。
今度は野郎ども仲いいね。
ツヴァイとか、男の親友がいればもう少し幸せな人生が歩めたんだろうなー
172nayukifan:03/02/08 00:42 ID:cTvJ3TxX
>170
すごいです。あんたさま
爆笑ヽ(゚▽、゚)ノ
173名無しさん@初回限定:03/02/08 19:57 ID:iY7m2Snp
>>170
saikou ni warata
jikaisaku kibon
174名無しさん@初回限定:03/02/08 21:33 ID:x+2phgZF
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!!

ア、アゲてもいいですか皆さん? (;´Д`)ハァハァ
175名無しさん@初回限定:03/02/09 08:25 ID:JzFQzgQP
ここでageずにいつ上げる……(ぉ
176あぼーん:あぼーん
あぼーん
177シルフィたん その1(再録):03/02/09 12:44 ID:znXOnmVs
「お父さんやお母さんが、簡単に死ぬわけないよ……」
シルフィの何気ない言葉が、俺には妙に引っ掛かった。
勿論、俺の軽い冗談に対する返事だということはわかっている。
だが、その時のシルフィの、何というか一種の怯えにも似た表情を、
三年もの間吟遊詩人としての経験を積み重ねた俺の目は、見逃さなかった。
「えっと……何の話だっけ」
そう言って微笑むシルフィは、
既に俺の知っている昔のままのシルフィに戻っていた。

その夜、長旅の疲れが溜まっていたにもかかわらず、
久し振りに故郷に戻ってきた興奮も手伝ってか、俺は中々眠りに就くことができずに
ベットの上からぼんやりと、月明かりに照らされた窓の外を眺めていた。
―――と、不意に、人影が庭を横切り、教会の中に入っていくのが見えた。
一人ではない。三人か四人か…、どちらにしろこんな時間に教会に何の用だろうか。
不審に思った俺は、部屋を出て教会の様子を見に行くことにした。

教会の前まで辿り着いた時、すでに扉は堅く閉ざされていた。
一見すれば、何事も無いかのようにも思える。だが、その扉の向こうからは、
隠し切れない人の気配、とでも言うべきものが伝わってきた。
そして、さすがに安普請だけはある。軽く耳を当てただけで、
中の声が微かながら聞こえてきた。
「……ぅ……ゃ…ぅ……ぁぁ……」
??
もしかして病人でも担ぎこまれたのだろうか、それはどう聞いても呻き声だった。
だが、次に聞こえた声で、俺のその想像がまったく見当違いであることに気付いた。
「…ら、シルフィ……っと真剣になめろや…」
!!!
                             つづく
178シルフィたん その2(再録):03/02/09 12:45 ID:znXOnmVs
つづき

そんなばかなっ!
あのシルフィが……焦る気持ちを抑えながら、俺は中にいる人間に気付かれぬよう
そっと教会の中へとすべりこんだ。
小さな教会の一番奥にある、いつもはシルフィが説法をしている祭壇の向こう側に
その人影はあった。
そこには、思ったとおり四人の、おそらく町の商人とおぼしき男達がいた。
そして、その男達に囲まれるようにして跪く一人の少女―――シルフィがいた。
目の前に繰り広げられている光景は、俺の予想の範疇を、大きく越えていた。
シルフィは、両手をきつく皮紐らしきもので縛られ、
目もやはり皮紐らしきもので覆われていた。
それを見た俺は、いったい如何なる事態であるかが、わかってしまった。
これは―――――売春だ、と。
各地を放浪している頃、同じような光景を何度も見てきた。
高貴であるのか、または顔見知りであるのかなどで、身分を知られたくない者が
金で買った女の自由と視界を奪い存分に凌辱するのだ。
たとえばこれが、売春などではなく純粋に強姦だとすれば、視界を奪う必要などない。
ことが済んだあとで、殺してしまえばいいのだから……。
むしろその方が俺にとっては救いがあったかも知れない。
今すぐ飛び出して、男達を皆殺しにすればいいだけのことだ。だが、これは違う。
突きつけられた現実が、俺の身体を金縛りのように動けなくしていた。
その間にも、男達は代わる代わるシルフィの、まだ幼さの残る肉体を堪能していた。
一人は、俺が入ってきたときには既に、シルフィの薄い腰を抱えて
背後から叩きつけるように貫いていた。
まだ硬いであろう肉壁を無慈悲に押し広げられ、醜悪な肉棒で膣の奥深くを
掻き回される度に、シルフィは、その可愛らしい顔を歪ませ、
押し殺すような呻き声を漏らし続けていた。
                            つづく
179シルフィたん その3(再録):03/02/09 12:47 ID:znXOnmVs
つづき

「んぐ……っ、ぐっ、ぅう…っ、うっ、うっっ…」
「おいおい、シルフィちゃんよぉ、いくら気持ちいいからって、
俺のものに歯でも立てたら、承知しないからな…」
一人がシルフィを後ろから責め立てている間にも、もう一人の男は
腰を抱え上げられ四つん這いになったシルフィの前に立っていた。、
目隠しをされて暗闇の中にいるシルフィの頭を抑え、、
その小さな口の中に収めるには不釣合いな巨大にそそり立った肉棒を、
無理やりに捻じ込むようにして呻き声をあげる咽喉の奥まで突き挿していた。
「むぐ……っっっ…ぐ…っうっ……ぅぅ…かっ…うっ」
おそらくは初めてではないにしろ、まだ快感を得るには程遠いであろう女陰を
背後から欲望にまかせて打ちつけられ、同時に顎が外れるのではないかと思うほど
目一杯広げてもなお、入り切れないほどの肉の塊で唇を犯されて、
シルフィは息をするのも侭ならないのか、時折大きく身体を震わせた。
にも関わらず、男達は一切容赦する気配を見せないばかりか、
むしろ、シルフィが苦しむ様を見てさらに興奮が高まってるのか、、
さらに激しく、シルフィの小さな身体を前後から挟み込んで潰してしまおうとでも
しているのかと思えるほど、一突き一突きに力を込めて
シルフィの中に、自らの分身を叩き込んでいった。
俺はこの時、既に、目の前で行われている悪夢のような光景を、
機械的に瞼の奥に焼き付けておくことだけしか、できなくなっていた。
節くれ立った肉棒に抉られたシルフィの薄っぺらい花陰が、
男の動きにあわせて捲れあがったり、一緒に埋没したりするのが見えた。
咽喉の奥深くまで男の巨大なものが侵入する度に、シルフィののどが
不気味に膨れ上がるのが見えた……。
                          つづく
180シルフィたん その4:03/02/09 12:48 ID:znXOnmVs
俺が教会の中へ潜り込んでから一体どれだけの時間が経ったのだろうか。
俺は、妹のシルフィが複数の男達によって思うがままに凌辱されるという、
信じ難い光景を見せつけられて、旅の間に身に付けた冷静な判断力も、
身の危険を察知する注意力も、完全に奪われてしまっていた。
だから、シルフィと男達との狂宴に気をとられている内に、自分の背後に
男達の仲間が忍び寄っていることに気付くのにも、遅れてしまった。
そもそも、男達が何人いたのかという、いざとなればシルフィを救い出すためには
大事なことさえも、この時には失念していた。
気付いたときには時既に遅かった。
振り向こうとした俺の首筋に、冷たくて鋭い、鉄の感触があった。
俺はこの時、敗北と自らの死を悟った。
何故なら、その突き付けられた切っ先には、寸分たりとも
ぶれや迷いが感じられなかったからだ。間違いなく相当な使い手だった。
そのような相手に注意を怠ってしまった俺が勝てるはずが無かった。
「―――――…………ふぅ」
死ぬのか。それならそれで構わない……そう思った。
少なくとも、今の、受け入れがたい現実からは逃れることが出来る。
三年間故郷を離れていたとはいえ、可愛い妹のことは、何処に居ても
決して忘れたりなどしてはいなかった。
だから、今回にしても何が書いてあったのか解からない手紙を受け取って、
心配になって戻ってきたのだ。それがまさか、こんなことになっていようとは。
色々な土地へ行って、色々な人と逢って、今まで知らなかった世界を知りたい。
それが俺を旅へと向かわせた大きな要因の一つだった。だというのに、
いざ旅を終えて帰ってきた故郷で、知らないほうが幸せなこと、を
突きつけられるとは、全くもって滑稽というべきだろう。
俺はふふっ…と自嘲気味に笑った後、背後にいる男に話しかけた。
「俺を殺すのは構わんが、一つお願いがある。
俺がここで見ていたことを、フィーには知らせないでやって欲しいんだ」
                         つづく
181シルフィたん その5:03/02/09 13:03 ID:znXOnmVs
勝手気ままに放浪の旅をしてきた俺なんかが今更いなくなっても、
取り立てて心配する者などいないだろう。
それよりも、もしも今この教会で行われている陰惨な肉宴を兄である俺に
見られていた、なんてシルフィが知ったら、
恐らくその場で自らの命を絶ってしまうに違いなかった。
それならば、夜のうちに再び旅立ってしまったことにしたほうがいい。
だが、男の口から発せられた言葉は、またしても俺の予想を越えたものだった。
「何か勘違いしてるんじゃないか?クリフ。お前さんを殺すつもりなんざ無いよ」
この声は―――――師匠!!!?
「おっと、クリフ。大声は出すなよ?シルフィに気付かれたくは無いだろう?」
俺は、思わず叫びそうになるのを寸でのところで抑えて、小さく頷いた。
「しかし…何故師匠がここに……!それに、あれは…シルフィはいったい…」
俺の問いかけに師匠は、かつて剣を教えていた頃を彷彿とさせるような、
厳しい口調で切り返してきた。
「俺に聞かなければわからんのか?」
やはり師匠はお見通しということらしい。そう。わかっていた。
師匠が男達と一緒にいたことを知った時点で、事態の殆どがわかってしまった。
ただ、それを認めるのが恐かったのだ……。
あの売春行為はシルフィの意思、客と辺りをつけるのは師匠の仕事、ということだ。
それならば全て辻褄が合う。

「んんっ…んっ…ふっ……ぐっ…ぐ……んぐ…っうううっ…!!」
師匠と俺が問答している間も、シルフィの苦悶の声は止むことがなかった。
相変わらず男達のシルフィに対する責めは厳しかった。
今まで近くで傍観していたもう一人の男も、
シルフィの身体を蹂躙する輪に加わっていた。
その男の片方の腕が、肉棒が激しく出入りして既に赤く鬱血していると思われる
シルフィの、おんなのこの部分あたりをまさぐっていた。
「くひ……っ」
ふいにシルフィが奇妙な叫び声をあげた。            つづく
182シルフィたん その6:03/02/09 13:04 ID:znXOnmVs
……困ったことっていえば寄付金が集まらないことかなぁ)
シルフィは昼間、そう言って笑っていた。
貧富の差が著しい城下街の、その貧しいほうに属する地区に建てられた教会。
『困った人達を助けるため』という理念は立派だが、その結果がこれだ。
それでもシルフィは、両親が布教のため旅立った後も一人で教会を守ってきた。
共働きの家の子供を預かり、勉強を教え、一緒に遊び、
貧民街を巡回して、苦しくて救いを求める者がいれば施しをした。
ただでさえ維持するのが大変な教会を、シルフィが一人でどうにかできると
考えるほうがどうかしてるというものだ。
結果、教会を守るため、困っている人々を助けるために、
シルフィは自らの、まだ成長しきってもいない肉体を、
肉欲に塗れた成り金共に投げ出さなければいけなくなった、ということだ。
しかし、まだひとつだけ解せないことがあった。
それは、師匠が傍についていながら、こんなことになるまで放って置いたことだ。
俺の疑問を察したかのように、師匠が口を開いた。
「全て、シルフィが望んだことなんだ」
「フィーが……全て?」
「俺だってなぁ、シルフィのことは実の娘みたいに思っているんだ。
こんな女衒みたいなこと、嬉々としてやってるわけがないだろう……」
「だったら――――っ」
「三年間も放って置いたお前に、怒る資格があるのか?
あの子は、シルフィはな…………お前のことをずっと待っていたんだ」
「………………」
「両親が去ってからの一年間、あの子は、『お兄ちゃんが帰ってきてくれる』と
言って、俺やレイチェルの手助けを断りつづけてきたんだ」
「……フィー」

男の指が、シルフィの固く閉じられたもう一つの穴に侵入しようとしていた。
シルフィにとっては排泄器官でしかないであろう、細かな皺に包まれたその中心に
男は、中指を抉るようにして潜り込ませていった。        つづく
183シルフィたん その7:03/02/09 13:06 ID:znXOnmVs
「みっ…みゃぁぁ……ぁぁぁぁぁぁっ」
おそらく『いやだあ』と叫んでいるのだろう。
男のものを咥えさせられつづけているシルフィの口からは、もはや
まともに聞き取れる言葉を発せられることがなかった。
今もなお目隠しをされたままの為、表情さえも窺い知ることができない。
まさに男達の欲望のままに操られる少女人形、とでもいうべき物になっていた。
「くひゃ……っ、あぅ…、は…っ、にゃ……ぅぅ、ぅっ…うくっ」
口を咽喉の奥まで貫かれ、膣は隙間もないほど根元まで嵌めこまれ、
さらには尻の穴にまで指で蹂躙されて、シルフィの呻き声も、
いったいどの責めに反応しているのか、わからない状態になっていった。
口を閉じることも出来ずに垂れ流されるシルフィの唾液が、
唇からのどを伝って、まだ膨らみ始めたばかりのような、小振りな乳房に届いた時、
シルフィの尻の穴を弄んでいた男が、もう片方の手で、そのシルフィの乳首を
力一杯握り潰すように捻った。
「が…………っっっっっ!!あああぁぁぁ……っつつ」
成長途上の乳房は、女の子にとっては性器そのものよりも敏感な場合もある。
「おおっ…このこりこり感が堪らん…!!」
「おいおい、壊しちまっては元も子もないんだ、少しは手加減してやれよ」
「へへっ、そりゃあお前のほうだろ。さっきから息が出来なくなってるぞ、この娘」
男達の口から発せられる言葉に我慢の限界を感じた俺は、一歩踏み出そうとしたが、
再び、師匠の言葉に立ち止まらなければならなくなった。
「あれも、シルフィが望んだことの一つなんだ」
「しかし……っ」
「今日で、最後にするつもりなんだよ」
「それとこれと、どう関係が……」
「シルフィは、目的はどうあれ、寄付をしてくれたことに心から感謝していたんだ。
だから、お前が帰ってきたのを機にこのような行為を辞めるかわりに、
今までの感謝の意味を込めて、一番の上客だった連中に、
『一晩中何をしても構いません』と言ったんだよ。
おそらく…それがシルフィなりのけじめのつけ方でもあったんだろうな」 つづく
184シルフィたん その8:03/02/09 13:08 ID:znXOnmVs
「あの子の為を思うなら、これ以上は見ないでやってくれ、クリフ」
師匠に促され、俺は覚束ない足取りで部屋に戻ってきた。
「そして、これからはシルフィの為に、一緒に教会を盛りあげてやることだ」
言われるまでも無かった。
正直に言って、今回もちょっと立ち寄ったら、また旅に出るつもりだった。
だが、もしもまた俺がいなくなったら、シルフィはどうなる!!!
考えるまでもないことだった。

シルフィはその晩、明け方近くまで宿舎には戻ってこなかった……。

    ―――――――
次の日から、教会にはいつも通り神官として人々に奉仕するシルフィと、
妹を助けながらせっせと屋根の修理に勤しむクリフの姿があった。
「お兄ちゃん、休憩しようよぅ。急に無理すると身体壊しちゃうよ?」
「おう、フィーお前も無理しないで、困った事があったら俺に言うんだぞ」
「うんっ」
「おやおや、すっかりいい兄貴になっちまって。よかったな、シルフィ」
「おじさん、はい。……ご迷惑をかけちゃいました」
シルフィは、近づいて話しかけたりんご亭の親父に、何故か小声で返した。
「しかし……上手くいったとは言え、本当にあれでよかったのかい?」
「しーーっ、……はい、手伝ってくれた方々にも、感謝してると伝えて下さい」
「しかし、シルフィも思い切った手に出たものだな、確かに、あれほどのものを
見せられて、のほほんとしていられる奴はいないだろうが、身体は大丈夫かね」
「うぅ…言わないでくださいよぅ……恥ずかしいょ」
「まあ、おかげでシルフィの望み通り、クリフが居着いたんだから
身体を張った演技をした甲斐があった、ということなんだろうな」
「演技じゃないですよぅ…死ぬほど辛かったし、死ぬほど恥ずかしかったんだから」
りんごの木の下で交わされているひそひそ話は、屋根の上までは届かなかった。
屋根の上では、クリフが黙々と作業を続けていた…。   
                            おわり。
185名無しさん@初回限定:03/02/09 13:48 ID:l6Twy0il
Σ(゚д゚lll) ヽ(`Д´)ノ ・゚・(ノД`)・゚・ (;つД`)
(・∀・) (;´Д`)…ハァハァ キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!
186名無しさん@初回限定:03/02/09 14:17 ID:a3pDQJ7h
>>177
すいません、とうりすがりの者ですがついついオカズにしてしまいました(;´Д`)…
187名無しさん@初回限定:03/02/09 21:46 ID:ciMaMwRa
グッジョブ。オチにワラタ。
188雪さんと その1:03/02/10 12:38 ID:1QvC1RiG
僕はマヨイガについて、もう一度父さんの本を読んでみようと思った。

父さんの書斎は雪さんが頑張ってくれたおかげで
見違えるほど整理されていた。
……のだが、件の本がどこにあるのかは判らなかった。
整理すると、却ってモノがどこにあるか判らなくなるというのは
よく聞く話だけど。さて、どうしよう。
せっかくきれいにしてくれたのに、むやみに漁って
またごちゃごちゃにしたのでは雪さんがかわいそうだ。
やっぱり聞いてみるのが一番早いだろうな
「雪さーん」
僕は廊下に出て雪さんを呼んでみた。
「……」
あれ、出かけてるのかな?
食堂にも居間にも雪さんの姿は無かった。
僕は雪さんの部屋を訪ねてみた。
コンコン
「雪さん?」
「はい」
バタバタ、なにやらあわただしい気配がする。
ややあって、トテトテ、カチャッ
「失礼しました」
「あ、ごめんね、忙しかった?」
「そんなことはないですよ。ご用ですか?」
うれしそうな笑顔で聞いてくる。
189雪さんと その2:03/02/10 12:40 ID:1QvC1RiG
この人はいつも僕に用事を頼まれると、こんな風にうれしそうな顔をする。
いつかも言ってたけど、僕の世話をするのがうれしくてたまらないらしい。
最近では油断してると、
「お背中お流しします」攻撃や、「あーん」攻撃を仕掛けてくる。
うかつに断るとすごく悲しそうな顔をするんだ。
また僕が決して嫌じゃないから始末に負えない。
この前なんか花梨と庄一のいる前でうっかり「あーん」をやってしまい、
――ついいつもの乗りで応じてしまった僕も僕だけど――
半月ほどからかわれ続けたっけ……

「……さん」
「……」
「透矢さん!」
「あ」
雪さんの笑顔に見惚れていたらしい。
「どうなさったのですか? おかげんでも悪いのですか?」
オロオロしている雪さん。
「ううん、ちょっとぼーっとしただけ」
このままだと寝かしつけられそうな勢いだったので、
とりあえず安心してもらおう。
「本当に大丈夫ですか? お熱はありませんか?」
伸びあがって額をくっつけようとする。
「はは、そんな大げさな」
「大げさじゃありませんよ、もしも透矢さんの身になにかあったら、雪は……」
「ああ、もうそんな悲しそうな顔しないで」
「わかりました。でもお熱だけでも確かめさせてくださいね」
そう言うと雪さんは再び伸びあがって額を合わせた。
本当にこの人は僕のこととなると退かないんだから。
190雪さんと その3:03/02/10 12:41 ID:1QvC1RiG
「本当に大丈夫だから」
「雪の目を見て言えますか?」
額を合わせたままなので、そのまま雪さんの目を見ることになる。
紅くてきれいな瞳が僕を見つめている。
「うん、ちょっと雪さんの笑顔に見とれてただけだから」
「もう、そうやっていつも雪のことをからかうんですから……」
熱なんか無いことはわかったはずなのに、
なぜかそのまま離れようとしない雪さん。
なんだかくすぐったいような、恥ずかしいような気持ちがしたので、
ゆっくりと離れようとする……のだが、雪さんは離してくれなかった。
「ふふ、おとなしくしてくださらないと、
うっかりキスしてしまうかもしれませんよ?」
……やられた!
雪さんは、まんまといたずらに成功した子供のような笑顔を浮かべていた。
きっと僕は真っ赤になっていることだろう。
かえって熱が出そうな気がしてきた。
「どうやら本当に大丈夫のようですね。あら、どうなさったのですか?
お顔が赤いですよ?」
ようやく僕を解放しながら、にこにこして雪さんはそう言った。
やっぱりこの人にはかなわない。
このままいちゃつく方向に進むのも魅力的だけど、本題に入ろう。
「ところで雪さん」
「はい?」
「父さんのマヨイガ関係の本だけど、どこにあるかわかる?」
「あ、それでしたらちょうど雪も読むつもりで……」
なるほどね、雪さんの肩越しに、机に積まれた何冊かの本が見えた。
「それなら僕は雪さんが読み終わってからにしようかな」
「全部一度には読めませんから、透矢さんのお読みになりたいのを
お持ちになってはいかがですか?」
言われてみればその通りだ。
191雪さんと その4:03/02/10 12:42 ID:1QvC1RiG
「じゃ、失礼して中に入ってもいい?」
「ふふ、雪のお部屋は透矢さんには常に開かれてますよ?」
あ、雪さん、またいたずらモードのスイッチが入ったみたいだ。
逆襲を試みてみよう。
「そんなこと言ってると夜這いをかけちゃうよ?」
「あら、ずっと楽しみにお待ちしてるのに、いつもそんなことおっしゃって、
一度も来てくださらないんですから」
うっ、その上目使いはズルいよ、雪さん。
「まいった、降参」
「ふふふ」
「はは」
こんなところを花梨に見られたら、今度は半月じゃすまないだろうな。
192雪さんと その5:03/02/10 12:43 ID:1QvC1RiG
雪さんの部屋は良い匂いがした。
薬の苦手な雪さんは、芳香剤の類なんか使わないだろうけど……
「良いにおいがするね」
一瞬デリカシーという言葉が思い浮かんだが、つい口に出してしまった。
雪さんは顔を赤らめたけど、本棚に置いてある小瓶を手に取ると
「おそらくこれの匂いですね」
「それは?」
「先日アリスさんとマリアさんからいただいたポプリですよ」
「へぇ〜、でもなんでまたあの二人が?」
「なんでも透矢さんに隣町の遊園地に連れて行ってもらったお礼だとか」
にっこり……
こ、怖いって……
「だ、だけどそれなら僕に直接言ってくれればいいのに」
「おわかりになりませんか?」
「?」
「小さくても、お二人も『女』ということです」
「どう見ても男には見えないけどね。でもそれと雪さんに渡すのと関係あるの?」
「ふふ、宣戦布告ということでしょうね」
「はぁ?」
「つまりはそういうことですよ」
「いや、わからないって」
「ふふ、罪な人ですね」
なんか思いっきり煙に巻かれた気分だったけど、
これ以上追求すると非常に不味いことになりそうな気がしたので、
2冊ほど本を選ぶと僕は部屋を出ようとした。
193雪さんと その6:03/02/10 12:44 ID:1QvC1RiG
そのとき、ふと目にとまったのは
「雪さん、編物してたんだ」
ベッドに置かれた編みかけの……よくわからないけどセーターかな?
さっきバタバタしてたのはこれだったのか
「邪魔しちゃったかな?」
「そんなことはありませんよ」
「セーター?」
「はい」
「もしかして……」
「ええ、もしご迷惑じゃなければ着ていただけますか?」
「迷惑だなんて! すごくうれしいよ」
「ありがとうございます。気に入っていただけるようにがんばりますね」
そう言うと、雪さんは編みかけのセーターを手に取り、抱きしめた。
ちょっといたずら心が湧いてきた僕は聞いてみる。
「雪さんが編んでるところ見ててもいい?」
「えっ? えっ?」
きょとんとして、次には真っ赤になってあわてている。
「そ、そんな、見てても面白いものじゃありませんよ」
にっこりしたり心配したり、今日は……いや、今日もか
いろんな表情を見せてくれる、僕だけのかわいいメイドさん。
「見せてくれないんだ」
さっきの雪さんの真似をして上目使いになってみる。
「もう、透矢さんたら」
どうやらこっちの意図が伝わったみたいだ。
「また雪のことをからかうんですね? わかりました
もしご覧になるのでしたらそちらにおかけください。
でも本当に退屈ですよ?」
そう言いながらベッドを示し、
雪さんはクッションに腰を降ろして編物を始めた。
僕は言われるままにベッドに腰掛けてそれを眺めている。
194雪さんと その7:03/02/10 12:50 ID:1QvC1RiG
雪さんのベッド、相変わらずたくさんのぬいぐるみに囲まれている。
その中にひとつだけシーツから顔を覗かせているぬいぐるみがあった。
「おや、これは……?」
「あ、そ、それは……」
何故か雪さんがあわてている。
「あっ、ごめんね、見たらまずかった?」
「い、いえ、そんなことはありません……けど……」
珍しいな、雪さんが俯いてもじもじしてる。
「けど?」
むくむくと湧いてくるいたずら心。
「あ、あの……」
なんとかごまかそうとしている様子がかわいかった。
ちょっと困らせてみたいと思った。

だから僕は手を伸ばした。

「あっ!」
「あ……」
ふたりして固まってしまった。
ずるずると引っ張り出されたそれは、意外と大きな男の子のぬいぐるみだった。
弓道着を着た……
195雪さんと その8:03/02/10 12:52 ID:1QvC1RiG
「……こ、これって、もしかして」
「あ、あ、ダメです!見ないでください!」
取り返そうとする雪さんと、ベッドに倒れこんでしまった。
ちょうど僕が押し倒される形だった。
僕の顔が雪さんのやわらかな胸に埋まっている。
それはそれでとても気持ち良いのだけど
「透矢さん、お願いですから返してください!」
こんなにあわてた雪さんは初めて見た。
「ゆ、雪さん、落ち着いて! ほら、もう僕は離してるから」
やわらかいふくらみ越しのせいか、えらく篭もった声になってしまった。
ようやくこの状態に気がついたらしく、あわてて身を起こす雪さん。
「も、申し訳ありません!」
そう言いながらぬいぐるみを後ろ手に隠そうとする。
「いや、僕は気にしないから。けっこう気持ち良かったし」
「あの、あの……」
聞こえてないみたいだ。
「お願いですから忘れてください!」
「うーん、でもそれってやっぱり僕なの?」
ちょっと意地悪かな、と思ったけど、確かめてみたかった。
雪さんはやっと落ち着いてきたようで、恥ずかしそうに答えてくれた。
「すみません、透矢さんに黙ってこんなこと……」
「別に怒ったりしないよ。でもよく弓道着の人形なんてあったね」
「あ、これは透矢さんが小さい頃の、古い弓道着をいただいて……」
「え! 手作りだったの?」
驚いた。器用だとは思ってたけど、あんなそっくりなぬいぐるみを作れるなんて。
196雪さんと その9:03/02/10 12:53 ID:1QvC1RiG
「はい、昔、透矢さんが中学生になられた頃に、
雪と一緒に寝てはくださらなくなって……」
「え? 雪さんと一緒に寝てたの?!」
「はい、お昼寝のときもいつも一緒でしたよ」
記憶が無いとはいえ、今更のように教えられると、
かなり恥ずかしいような、うらやましいような。
「それで、別々に休むようになったとき、透矢さんの
古い弓道着を、お父さまがくださったものですから、つい……」
そう言うと雪さんは大事そうにぬいぐるみを抱きしめた。
僕自身が抱きしめられてるような気がして、くすぐったかった。
「こうして抱きしめていると、なんだか透矢さんがそばにいるみたいで、
安心して眠ることができたんですよ」
「そうだったの。ごめんね、僕はその頃のことをまだ思い出せずにいるけど、
寂しい思いをさせちゃったみたいだね」
そう言う僕に雪さんはにっこり微笑んでくれた。
「そんなことはありませんよ、透矢さんは雪のことを
いつも大事にしてくださいました。それにこの子もいましたから」
抱きしめられた「僕」のぬいぐるみ。
きっとその頃から、毎晩雪さんに抱かれてきたのだろう。
でもその割りにきれいなのは、とても大切にされてきた証拠だ。
少し悔しい気がしてきたな。そうだ!
「なんだか妬けちゃうな。
僕も雪さんのぬいぐるみを作って、抱いて寝ようかな」
またからかうつもりで言ってみた。
197雪さんと その10:03/02/10 12:54 ID:1QvC1RiG
「そんな…… 透矢さんはぬいぐるみがいいのですか?」
あれ、思った反応とは違うぞ?
「透矢さんは雪じゃなくて、雪の人形の方がいいのですか?」
……しまった! またやられた!
雪さんは、例の上目使いで僕を見ているけど、口元は微笑んでいる。
「まいった。今度こそ降参、僕の負け」
「ふふ、でしたら勝ったご褒美をいただけますか?」
「はは、あんまり高いものでなければ」
「大丈夫です。このご褒美はお金なんかでは買えませんから」
また何か企んでる顔だ。
「はて、何だろう、僕にできることならいいけど」
「簡単なことですよ」
雪さんは本当にうれしそうな、
そしてちょっぴりしてやったりという顔で、僕に答えを教えてくれた。
「先程おっしゃった通り、ちゃんと夜這いに来てくださいね」
「!」
そう来たか! やっぱりこの人にはかなわないなぁ。
甘えん坊で寂しがり屋、そのくせ僕をいつも甘やかしてくれる。
この人のことを僕はずっと大事にしたいと思う。

花梨たちには絶対に知られたくないとか思いながら、
きっと今夜、僕は雪さんの部屋を訪ねることになるのだろう……
父さんの本を探していたはずが、こんな展開になるなんてね。
でもこの幸せな時間と空間。
あるいはこれこそが、僕の求めていたマヨイガなのかもしれない。

おしまい
198砂糖まみれ:03/02/10 12:57 ID:+Steedbi
>>188-197
に水月SSを投下させていただきました。
お目汚しスマソ
199名無しさん@初回限定:03/02/10 13:10 ID:iaZ8Tnn4
(;´Д`)…ハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァハァ
卒論終わったらハロワ買おうと思ってましたが、水月も買いたくなって来ますた。
200名無しさん@初回限定:03/02/10 14:06 ID:TK0bfAuV
最近、ぶっちぎりでおもろい。
201名無しさん@初回限定:03/02/10 14:27 ID:0NzVlIUZ
>>198
乙。オフィシャルよりうまいかもw

>>199
買っとけ。雪さんは死ぬほど萌えるから。
202触手FF:03/02/10 15:06 ID:nSIBTrFk
萌えSSばかりで肩身が狭い・・・
203 ◆daMOTOpf1c :03/02/10 15:29 ID:pPIjmYHo
>198氏
(・∀・)イイ!
未プレイの身ですが、雰囲気がしっかり伝わってきます。
204あぼーん:あぼーん
あぼーん
205名無しさん@初回限定:03/02/11 21:04 ID:mYX/nP/r
>177
こころもカラダも清々しくなりましたw
グッジョブ。

>202
狭くなった肩身など、触手で広げればいいだけの話。
アイたんでも何でも待ってるよん。
206シルフィたんの秘密 その1:03/02/12 01:40 ID:dKGeBGPy
先ほどから、ちょっと困ったことになってしまいました。と言うのも。

「あれ?お兄ちゃんいないの?お洗濯物…持っていっていいのかな…」
シルフィさんが部屋に入ってきた……までなら別に困りはしないのですが。
「あ……お兄ちゃんの匂い…んっ……」
クリフさんの脱ぎ散らかした服を手に取り、それに顔を埋めて息を吸い込んだ!
「ふ……ぅん、んっ……ぁ」
さらにはそのままベッドに横たわり、自分の股間を刺激しはじめたのです。
まさかシルフィさんがそんなことをするなんて……。
ご自分のお兄さんの下着を小さな舌で、まるで甘い洋菓子でも舐めるみたいに
ぺろぺろと唾液で濡らしながら、捲れあがったスカートの中に指を忍ばせていく。
「うく……っ、んっ、……うぅ……お…にいちゃ…ん」

私はどうにも居た堪れない気持ちでいると、事態はさらに困ったことになりました。
顔を朱色に染め細かい汗を浮かび上がらせたシルフィさんが、
何を思ってか、私に手を伸ばしてきたのです。
「お兄ちゃんのリュート……」
おわ…っ、なぜに私を舐めるですかーーーっ。
「ん…んぷっ…ん…っ、はう……う…んん」
シルフィさん勘弁してくださいよぉ…。私はクリフさんじゃないですってば。
「お兄ちゃん……お兄ちゃ……んんっ」
……だめだ。聞いちゃいない、て言うか私は喋れないし。それにしても、
ああ……ネックをそんな柔らかい舌で刺激されると、私も興奮しちゃいます……。
ひゃ…っ、ペグを舌の先端で転がすみたいに……はうっ……。
「はぁ……はぁ……」
さすがに私なんかを舐めるのに疲れたのか、ようやくシルフィさんが
唇から解放してくれました……。ある意味ちょっと残念だけど。
―――と思ったら、シルフィさんが、私を熱い視線で見つめていますよっっっ。
まさかとは思いますが……。ちょ、ちょっとシルフィさん…?
                             つづく
207シルフィたんの秘密 その2:03/02/12 01:41 ID:dKGeBGPy
「あうぅ……」
シルフィさんが、クリフさんの下着を噛みしめて声が漏れないようにしながら、
私をゆっくりと自分の一番敏感なところへ圧しつけていきました。
シルフィさんのそこは、もうすでにシルフィさんの膣から溢れ出した愛液で
ぬらぬらと照かっていましたが、厚みのない肉からちょっとだけ見え隠れする襞は、
まだ色素の沈着もなく、とても綺麗な薄桃色です。
シルフィさんはその綺麗で小さい肉襞を、自分の中指と人差し指で左右に拡げて、
私のネックをその中に押し込もうとしています。
「うぐ……うぅ…ぅああ……」
でもそう簡単に入るわけがありません。
いくら濡れているとはいえ、ただでさえこんな小さな膣口に私のごつごつした
ネックを納めようというの無理というものです。
先端くらいはどうにかなっても、ペグが邪魔してそれ以上は不可能なはずですよ。
だというのに、高揚しているシルフィさんは諦めるどころか、
なお一層、力をこめて私を膣内に挿入しようとしています。
シルフィさん、無茶ですよぅ。それ以上やったらシルフィさんが壊れちゃいますよ。
「ん……っ、んんんっんああああっ……っ」
うあっ!とうとうペグ二つ分がシルフィさんの狭い入り口を通過してしまいました。
シルフィさんの中は……とても熱くて、きつきつなのに柔らかくて、
とてもせつない香りが充満していました。
これが、まだ成熟していない少女の、秘密の香りなのでしょうね。
「はぁ…はふ……う……あ…」
シルフィさんも、とっても苦しそうな息遣いです。かわいそうに。
苦しいのなら止めればいいのに、それ以上にクリフさんを想う気持ちが勝って
いるのですね……。いいでしょう、そんなシルフィさんのために私も、今だけ
協力してあげようではありませんか。
まあ、私も気持ちいいのは否定しませんし。
                              つづく
208シルフィたんの秘密 その3:03/02/12 01:43 ID:dKGeBGPy
「ひゃう!……あっ…あっ…はうぅ」
私はシルフィさんの膣内に潜りこんだペグをちょっとずつ廻してみました。
意図せず肉襞を刺激されたシルフィさんは、とてもかわいい声で鳴いてくれました。
私は、調子に乗ってシルフィさんの、充血して頭をのぞかせた敏感な肉芽を
そこに押し当てられたペグで弾いてあげました。
「くううぅ……ん……やっ…ああっ…んむっ…うぅ」
さらには、余った弦の先を震わせて、シルフィさんの肉襞をくすぐってあげました。
「やああっ……あ…な、なに……こんな……あっ……あんっ」
まだ経験の浅いシルフィさんにはむしろ、直接的な内部への刺激よりも
こうして表面を攻撃したほうが効いたらしく、体をびくんとのけぞらせました。
シルフィさんが気持ちよくなってくれるなら、
私も頑張ってる甲斐があるというものです……!
これ以上自分の体内に私を挿入しなくても快感が得られることにきずいたのか、
シルフィさんは私を小刻みに、入り込んだペグが抜けない程度に揺らし始めました。
私もそれを助けるように複合的にシルフィさんの身体を撫でであげました。
「くふ…っ、うぅ…うっ…うっ…うっ…んんっ」
ああ、これがえっちというものなのでしょうか。
快感が増すにつれて、シルフィさんが私を激しく出し入れしはじめました。
「あぁ…いいよぅ…私……あぅ…いいっ…んんっ……」
私の表面も摩擦されて、徐々に気持ちよくなってきてしまいました!
シルフィさんと私が奏でる快感の協奏曲なのです!!!
「ひゃ…あっあっあっ…あ、んっうっ………
ん…っ、くっ…お…にいちゃ……あああぁぁぁ……ん!!!」
あれ?シルフィさん?逝ってしまったんですか?
私はまだなんですよ、もう少し頑張りましょうよぅ。
そんな、これじゃあ生殺しってものですよ……。
ねぇ、シルフィさんってば。
ねぇ………。
……。                      おしまい
209名無しさん@初回限定:03/02/12 22:35 ID:wZHDnEsZ
最近おもしろい作品が多いのであげとく。
シルフィタンハァハァ…。
210雪さんの誕生日 その1:03/02/13 04:38 ID:clYwV6cs
僕は、記憶を失ったけれど、そのかわり時々妙に鮮明な夢を見る。
そして、その度に少しずつ、断片的だけど過去を取り戻していく。

「雪ちゃん、お誕生日のプレゼント、何がいい?」
「お誕生日?」
「そう」
――ああ、これはずいぶん昔のことだ。僕が、雪さんのことを雪ちゃんと呼んでいる。
あの頃は、雪さんも僕のことを透矢ちゃんと呼んでいたっけ――
「雪は、お誕生日わからない…」
「だったら、雪ちゃんがうちに来た日が、雪ちゃんの誕生日」
「うちに来た日?」
「うん、だって、雪ちゃんがうちの家族になった日だから、
その日が瀬能家の雪ちゃんの誕生日」
「ぁ……」
俯いてしまう雪ちゃん。うれしくないのかな?
「透矢ちゃんはいいの?」
「何が?」
「雪なんかがここにいて、透矢ちゃんはいいの?」
恐る恐る、といった感じで聞いてくる雪ちゃん。
「いいに決まってる。雪ちゃんがいてくれなきゃやだ」
「本当? 雪、透矢ちゃんのそばにいてもいいの?」
「うん、ずっと一緒にいて。雪ちゃんは大事な家族なんだから」
「ぁ…、あ、あ…」
「?」
「と、透矢ちゃーん」
雪ちゃんは、僕に抱きつくと、わんわん泣き始めてしまった。
滅多に泣いたりしないのに。
「ゆ…雪、ずっと透矢ちゃんに嫌われてると思ってた」
「…雪ちゃん」
「うれしい…うれしいよぉ」
211雪さんの誕生日 その2:03/02/13 04:40 ID:clYwV6cs
――「雪ちゃんなんか、いなくなっちゃえばいいのに」幼い頃の心無い一言が、
どれだけ彼女を傷つけたことだろう。あの時、すぐに謝りはしたけど、幼い心の傷は
そう簡単に治るものではない。あれ以来、どこか一歩退いた感じで僕に接してきた――

「僕、雪ちゃんのこと嫌ったりしないよ」
「くすん…」
僕は、あやすように雪ちゃんの背中をぽんぽんと叩いてあげた。
「こないだはひどいこと言ってごめんね」
「……」
「馬鹿みたいだけど、雪ちゃんのせいで、
ママがいなくなったみたいに思っちゃったんだ。雪ちゃんはちっとも悪く無いのに」
涙に濡れた目で僕を見上げる雪ちゃん。
「でも、あれからママの言ったことを考えてみたんだ」
「ママの?」
「うん、僕、馬鹿だからママが言ったこと、よくわかってなかったんだ」
「?」
僕は、ママが残してくれた言葉を告げた。
「……だから、もしかしたら雪ちゃんは、ママの生まれ変わりなのかもしれないね」
「雪が?」
「うん、きっと僕がだらしがないから、天国で見てられなくなって……」
「じゃあ雪、透矢ちゃんのお世話する!」
「えっ?」
「雪が、透矢ちゃんのママの生まれ変わりなら、雪が透矢ちゃんのお世話する!」
「あ……」
「駄目?」
雪ちゃんは、潤んだ目で僕を見つめてそう言った。
不安そうな顔をする、雪ちゃんのお願いを断れるほど僕はひどいやつじゃない。
212雪さんの誕生日 その3:03/02/13 04:41 ID:clYwV6cs
「…うん、わかった、お願いするね。でも、あんまり無理しないでね。
雪ちゃんは、ママの生まれ変わりかもしれないけど、
でも、僕にとっては大事な妹で、家族で、女の子なんだから」
「うん!」
さっきまでわんわん泣いてたのが、今度はこっちまでうれしくなるような
笑顔になった。
――思い出した! 雪さん、僕の世話を焼いてくれるメイドさん。
僕のために何かできるのを無上の喜びとするかわいい人。この時からだった。
幼い、だけどそれゆえの心からの想い――

「あ、話しがずれちゃったね、お誕生日のことだった。何か欲しいものある?」
「いいの、もう素敵な宝物をもらったから」
「?」
「雪のこと、大事だって言ってもらった。家族だって言ってもらった」
「そんなことでよかったら、いくらでも言ってあげる」
「そんなことなんかじゃないもん。…雪、うれしかったもん」
涙のあとを拭いながらそう言う雪ちゃん。本当にうれしそうだ。
「それに、透矢ちゃんのお世話してもいいって……」
「でも、それは僕のほうが得したみたいだから」
「ううん、雪にとっては大事なことなの」
「? そう? 雪ちゃんがそれでいいなら、僕はかまわないけど」
「うん」
にこにこ、こんなに大喜びする雪ちゃんは初めて見た気がする。
「あー、でも、やっぱり僕が得するだけみたいに見えるし、
雪ちゃんも何か言ってみて。僕も雪ちゃんに何かしてあげたいから」
「うーん」
考え込む雪ちゃん。やがて何か思いついたのか、顔を上げる。
「じゃあ、ひとつだけお願いしてもいい?」
「うん、僕にできることなら」
「それじゃあ……」
213雪さんの誕生日 その4:03/02/13 04:42 ID:clYwV6cs
……………………
ゆさゆさ
優しく揺すられる。
「透矢さん、朝ですよ」
本当にこの人の起こし方は心地よい。
「う…ん…」
「おはようございます。透矢さん。今日もいい天気ですよ」
「おはよう、雪さん」
「ふふ、何かいい夢でもご覧になっていましたか?」
「どうして?」
「とても幸せそうなお顔でしたよ。お起こしするのが申し訳無いくらい」
「……もしかして、ずっと見てたとか?」
「だって、とてもかわいかったんですもの」
にこにこ、見ているほうまでうれしくなるような笑顔だ。
でも、言ってることは恥ずかしすぎる。
「今度は僕が早起きして、雪さんの寝顔を拝見させてもらうことにするよ」
「あら、ふふふ、女の子の寝顔を見るなんて、あまり良い趣味ではありませんよ?」
「あ、ずるい!」
「ふふ」
「ははは」
「ふふ、朝食の用意はできてますから、よろしければ食堂の方にいらしてくださいね」
そう言って、部屋を出ようとする。
僕は、雪さんを呼び止めた。
「あ、雪さん」
「はい、なんでしょう?」
僕は一瞬でカレンダーを確かめた。よし、間違い無い。
そばまで戻ってきた雪さんの手を取る。
相変わらずやわらかく、ひんやりして手触りがいい。
214雪さんの誕生日 その5:03/02/13 04:49 ID:clYwV6cs
「あの、透矢さん?」
僕は雪さんの手を撫でながら
「雪さん」
「はい」
「お誕生日おめでとう!」
「えっ?」
雪さんはきょとんとする。僕はもう一度カレンダーを確かめる。うん、合ってる。
そして、夢で見た通りの言葉を口にする。
「雪ちゃん、お誕生日おめでとう」
「ぁ…あ、あっ」
雪さんは、手で口元を覆うと、力が抜けたように座り込んでしまった。
しだいに僕を見つめる目が潤んでくる。そして、零れ落ちる涙。
喜んでくれると思ったのに、どうした訳か泣かせてしまったみたいだ。
「雪さん、ごめんね。僕、何か間違ってた?」
手で顔を覆ったままふるふると首を振る雪さん。
どうやら、悲しませたのでないことだけは確かなようだ。
と、いうよりも、昨夜の夢に見たまんまが再現されているみたいだ。
よし、それなら……
「泣かないで…」
「ぁ…」
僕は、再び彼女の手を取ると、あふれる涙を拭ってあげた。
「くすん…」
それでも止まらない涙。
僕は、思わず雪さんの顔を胸に押し付けるようにして抱きしめた。
夢では雪さんのほうから抱きついてきたっけ。
「お願いだから、泣かないで」
「だって…涙、止まらないんですもの」
「じゃあ、落ち着くまでこうしていてあげる」
215雪さんの誕生日 その6:03/02/13 04:51 ID:clYwV6cs
幼い頃のように、抱きしめた手で、子供をあやすみたいに
背中をぽんぽんと軽く叩いてみる。
しばらくは、小さな肩が震えていたが、続けているうちにそれも治まり、
ようやく落ち着いてくれたようだ。
「大丈夫?」
「は、はい、失礼致しました」
ゆっくりと離れると、恥ずかしいのか俯いてしまった。
僕は、そっと雪さんの顎に手をかけ、上を向かせると、涙にぬれた頬に
ちゅっ
キスをした。
「あっ…」
その頬を染める雪さん。僕は三度囁いた。
「雪さん、お誕生日おめでとう」
「あ、ありがとうございます。う…うれしいです」
再び涙があふれてくる。その涙をぬぐうように何度もキスをしてみる。
しばらくすると、ようやく涙は止まってくれた。
「うれしいですけど、ひどいです」
上目使いでちょっと拗ねてるみたいだ。
「ひどいって?」
「雪の誕生日のこと、覚えてらしたのに、内緒にしてらしたんですね」
なるほど、そう思っていたのか。そりゃ確かにひどいだろうな。
「本当にそうだとしても、やっぱり言わなかったかもしれないね」
「どうして言ってくださらないのですか?」
「だって、雪さんの驚いた顔なんて、
滅多に見られないから、なんだか得した気分だし」
「そんなの、雪が良くありません」
僕は、やっぱりひどい奴なのかもしれない。そんな拗ねた雪さんを見て、
かわいいなと思うのだから。
216雪さんの誕生日 その7:03/02/13 04:55 ID:clYwV6cs
「はは、ごめんね、でも本当に覚えていたわけじゃないんだ」
「あっ、えっ、ええと…雪、ひょっとしてからかわれていました?」
「拗ねた雪さんがかわいくてね、つい」
「もう、意地悪なんですから」
雪さんは、機嫌を直してくれたみたいだ。
「それで、覚えてらっしゃらなかったというのは?」
「ああ、それはね……」
僕は、さっきまで見ていた夢のことを話した。
「そうだったのですか」
雪さんは、やはりその頃のことを思い出したのか、うっとりしたような顔で僕を見た。
「うれしいです」
「うん、不思議だけど、ちょうどその日に思い出せてよかったよ。
ちゃんとお祝いできそうだ。」
「あ、いえ、そのこともとてもうれしいのですが……」
「?」
「その夢を見て、幸せそうな寝顔をなさってらしたことがうれしいんです」
かーっ、と音を立てるほどの勢いで、僕の顔が赤くなるのがわかった。
は、恥ずかしすぎる。
「ゆ、雪さん」
「透矢さんのお気持ち、しっかりと受け取りましたから」
寝ている時は誤魔化しが効きませんからね、とはしゃぐ雪さんを見ていると、
喜んでくれるのならいいか、という気がしてきた。
217雪さんの誕生日 その8:03/02/13 05:01 ID:clYwV6cs
泣いたり、笑ったり、拗ねたり、はしゃいでみたり。
僕と結ばれてから雪さんは、前よりも表情豊かになったみたいだ。
いや、これが本来の雪さんなのかもしれないな……
僕は、ふと夢で見た幼い頃の雪さんを思い出してみる。
あれ? そういえば
「ところで雪さん」
「はい、何でしょうか?」
「実はさっきの夢、肝心のところで目を覚ましちゃって、
ひとつだけわからないことがあるんだけど」
「どういったことでしょうか?」
「うん、結局あのとき雪さんは何をお願いしたのかなぁって」
「それでしたら」
雪さんは、にこにこしながら教えてくれた。
「まずあのとき透矢さんは、雪にちゃんと最高のプレゼントをくださったのですよ」
「プレゼント?」
「透矢さんは、雪に誕生日と家族という居場所をくださいました」
「でも、雪さんをうちに連れてきたのは父さんだ」
「はい、もちろんお父様には感謝しています。
でも、雪を家族にしてくださったのは、透矢さんですよ」
218雪さんの誕生日 その9:03/02/13 05:03 ID:clYwV6cs
「?」
「『雪ちゃんがうちの家族になった日だから』」
「あ……」
「透矢さんに、そう言っていただいたとき初めて、
雪はここにいてもいいんだって思ったんです」
うれしそうな顔で続ける。
「そのとき、雪がどんなにうれしかったかおわかりになりますか?」
あふれんばかりの笑顔。
「形のある、どんなプレゼントよりもすてきな宝物です」
……子供の頃のことだ。
きっとそれほど重い意味で言ったのではなかったのだと思う。
でも雪さんには…あの頃の雪さんにとっては、
それほどの意味があったのだろう。
「それに、透矢さんのお世話をさせていただく喜びもいただけましたし」
そして、どんなささいなことでも僕の世話を焼きたがる、今の雪さんがいるわけだ。
「えっと、そこまではなんとなく夢で見たようなんだけど」
なんだか、くすぐったくなってきた僕は、肝心の話に進めてもらおうと思った。
「それで、あのとき『雪ちゃん』はどんなお願いをしたのかな?」
僕は、照れを誤魔化すように、わざと昔の呼び方にしてみた。
「はい」
しかたがないですね、という笑い顔。もっとあの時のことを喋りたかったのかな?
「それは……」
219雪さんの誕生日 その10:03/02/13 05:05 ID:clYwV6cs
「それは?」
「もしよろしければ、今日、もう一度同じことをお願いしたいです」
「えっ?」
なかなか言おうとしない雪さん。手ごわいなぁ…って、あの笑顔は何か企んでるな。
でも、いったいどんなお願いだったのだろう。子供の僕にできたことなら、
そんなに難しいことではないのだろうけど。
「えっと、それなら僕の答えはあのときと同じだね」
「はい?」
「僕にできることなら」
「本当ですか!?」
ぱっとはなやいだような笑顔になる。
「ふふ、うれしいです。あとになって、やっぱりだめだなんて許しませんよ?
忘れないでくださいね」
う、はやまったかもしれない。
「大丈夫です、雪、透矢さんの嫌がることなんてしませんから」
「まあそれはわかるけどね。それで、結局どういうお願いなのかな?
もう今日は始まってるわけだから、準備もあるだろうし、
できればはやくかなえてあげたいんだけど」
「あら、ふふふ、準備なんて何も必要ありませんよ」
「?」
「それじゃあ……」
にこやかな笑顔で……
「『透矢ちゃん、今日一日ずっと雪のそばにいてください』」
その瞬間、幼い日の雪ちゃんの笑顔が雪さんに重なったような気がした。

おしまい
220砂糖まみれ:03/02/13 05:14 ID:clYwV6cs
>>210-219
また水月で1本書いてみました。
エロくなくてすみません。
221名無しさん@初回限定:03/02/13 06:09 ID:XpYrjO7X
>220
アマアマ━━⊂⌒~⊃。Д。)⊃━⊂⌒O。Д。)⊃━O(。Д。)O━⊂(。Д。O⌒⊃━⊂(。Д。⊂~⌒⊃━━!!!!!
前回に引き続き堪能したよ〜
222名無しさん@初回限定:03/02/13 12:44 ID:1h4diR2I
アウアウアウ〜━━⊂⌒~⊃。Д。)⊃━⊂⌒O。Д。)⊃━O(。Д。)O━⊂(。Д。O⌒⊃━⊂(。Д。⊂~⌒⊃━━!!!!!

こうやって雪さんを認識させられるたび、なんでゆきかべが出ないんだっ!と思うよ〜
ごろごろごろ〜
223名無しさん@初回限定:03/02/13 15:49 ID:5763tfNo
グッジョ━━⊂⌒~⊃。Д。)⊃━⊂⌒O。Д。)⊃━O(。Д。)O━⊂(。Д。O⌒⊃━⊂(。Д。⊂~⌒⊃━━ブ!!!!!>220
心が温まりますね。
224名無しさん@初回限定:03/02/13 17:30 ID:kvp+6bSl
な、何だ。いったいこのスレに何が起こったんだ…。
抜きと萌えの両面攻撃が……ハァハァゴロゴロハァハァゴロゴロ
225名無しさん@初回限定:03/02/13 20:37 ID:bxl8Nb0L
透矢と名づけてくれた父と母に感謝してる ⊂⌒~⊃。Д。)⊃
226名無しさん@初回限定:03/02/13 22:56 ID:uHZ1xbea
>225
マジカ! Σ(゚д゚ )ウラヤマスィ
ついでだ。ホワルバやれ。字は違うし音声なしだが。
227名無しさん@初回限定:03/02/13 23:56 ID:nKc/1syC
ホワルバは名前変えられるって…。
228「おとまり」1/17:03/02/14 00:30 ID:NyrGCkwO
ミーンミンミンミーン…ジー…シャワシャワシャワシャワ…

「今日も暑いなぁ…」
庭から聞こえる蝉の大合唱を聞きながら、僕は夏休みの昼下がりを怠惰に
過ごしていた。お盆休みで部活はなし、宿題も終了、遊びに行くには外は
暑すぎ…扇風機からのぬるい風に当たりながら、畳の上で寝そべって
だらけているしかない状況だ。
「ヒマだなぁ…でも外は暑いしなぁ…出かけたくないよなぁ…」
ずっと同じところに転がっていると肌が触れている畳が熱を持ってしまって
不快なので、扇風機を『首振り』にしてその動きに合わせてゴロゴロ転がる。
「何かこう…面白い事でも起こらないかな?」
何もしない自分の事は棚に上げて、『何か』が起こるのを待つ…うーん、
不健全な思考だ。

「こんにちはー! 透矢、いるー!?」

ガラガラ…と玄関の引き戸を開ける音と共に、大きな声が飛び込んできた。
あの元気な声は…花梨?
「いるんでしょうー! 暑いのは分かるけど、溶けてないで出てきなさーい!」
ああ…あの言い草、間違いなく花梨だ。
「今行くよー!」
玄関に向かって怒鳴り返しながら、僕は起き上がって居間を出た。廊下にこもった
熱気に耐えられるように、団扇を片手に玄関へ向かう。
「やあ、いらっしゃい、花梨…」
「や、こんちわ…って、キミね…仮にも恋人さんが自宅を訪ねてきたんだから、
 もうちょっと緊張感のある格好はできないのかな?」
「え…ああ…」
言われて自分の格好を見返すと、Tシャツに短パンというとことんラフな格好だ。
「下がトランクスじゃなかっただけマシだと思うけど…」
「そんな格好で私の前に出てきてみなさい…例えキミでも殺すよ?」
うわ…暑さで気が立ってるのか、いつもより花梨が怖い。『叩く』でも『殴る』でも
なく、いきなり『殺す』ときましたか。
229「おとまり」2/17:03/02/14 00:31 ID:NyrGCkwO
「ま、まあ、とりあえず上がってよ。中の方が外より涼しいから」
「キミの格好を見てるととてもそうは思えないんだけどね…でも確かに暑いし、
 お邪魔するかな。あ、何か冷たい物飲ませてね?」
そんな軽口を叩きながら、花梨が靴を脱いで上がりこむ。…? 今頃になって
気付いたけど、花梨は大きなスポーツバッグを抱えていた。いつも花梨が部活で
使ってるやつだけど…何だろう?
「部活…まだ始まってないよね?」
「え? えーと、ははは…これはちょっと、ね…」
明らかに何かを隠した笑顔で、花梨が僕を追い抜いて台所に向かっていった。

「あれ、麦茶できてないんだ?」
「花梨…勝手に冷蔵庫を開けないでくれない?」
「いいじゃないの、勝手知ったる…ってやつよ。あ、缶コーヒーがあるじゃない。
 これもらうよ?」
それ、僕が今日の風呂上りにでも飲もうと思ってたんだけどな…。そんな僕の
心の声を当然のように無視して、花梨が缶のプルトップを開けた。そのまま
腰に手を当て、一気に飲み干す。ああ…そのポーズ、僕がやろうと思って
いたのに…。
「んく、んく、こく…ふぅ、ごちそうさまー。あれ? どうしたの、透矢?」
「…何でもないよ」
思わず花梨に向けて伸ばしていた手を引っ込め、僕は水道の水をコップに汲んだ。
これだけだと寂しいので、冷凍庫から出した氷を放り込む。
「花梨も飲む?」
「ただの氷水でしょ、それ…でもまだ喉が渇いてるし、もらおうかな。あ、先に
 居間に行ってていいよ? 自分の分作ったら、キミのと一緒に持ってくから」
お客さんのくせに、花梨は妙に僕に気を遣う。だったら缶コーヒーも飲まないで
ほしかったな…。
「何か言ったかな、キミ?」
「いーえ、なんにも…それじゃ、お言葉に甘えて居間で待ってるよ?」
何か言いたそうな花梨を残し、僕は居間に戻った。
230「おとまり」3/17:03/02/14 00:31 ID:NyrGCkwO
「お待たせ…はい、こっちがキミの分」
しばらくすると、花梨がコップを二つ持ってきた。片方を僕に差し出しながら、
もう片方に口をつけている。
「ありがとう…こく…ん? 花梨、これ何か入れた?」
「冷蔵庫にレモンがあったから、ちょっとね…涼しげでいいでしょう?」
かすかにレモンの香りがする氷水は、ただのお冷やより美味しかった。

「それで、今日は急にどうしたの?」
「あれ〜…理由もなくここに来ちゃいけないような仲だったかな、私とキミは?」
「いや、それはそれとしてさ…」
ニヤニヤと笑う花梨の前で、僕は思わず赤面する。事故で記憶を失って、
不思議な夢を見るようになって、花梨と恋人同士になって…本当に色々あった
夏休みの始まり。あれからまだ、それほど時間が経ったわけじゃない。
「そ、それにさ…あの大荷物は何? さっきも言ったけど、部活はまだ
 始まってないよ?」
居間の隅にさりげなく置かれたスポーツバッグを指差して、花梨に問いただす。
「知ってるよ、そんな事…大体弓道の道具なんて持ってきてないよ、私」
そ知らぬ顔でコップを傾ける花梨。
「じゃ、じゃあ一体何を…」
「お泊り道具…かな。着替えとか、歯ブラシとか」
「……………え?」

花梨の発言に、一瞬僕の時間が止まった。着替え? 歯ブラシ? お泊り?
「僕の家に、花梨が、泊まるの?」
「うん…ダメかな?」
相変わらずそっけない顔で僕から目をそらし、花梨は首を振る扇風機を
見つめている。でもよく見ると、花梨の頬は真っ赤だった。
「だ、ダメじゃない…」
「そう…ありがと、透矢」
にこりと微笑んだ花梨が、ぐっとコップをあける。こくりと鳴った喉が目に
焼き付き、僕はどきりとした。…何で『色っぽい』なんて思ったんだ、僕は?
231「おとまり」4/17:03/02/14 00:32 ID:NyrGCkwO
「でも、急にどうして泊まろうなんて」
「もう…さっきから『どうして』ばっかりだね、キミは」
泊まる理由を聞きかけた僕をさえぎって、花梨が言う。
「好きな人の家に泊まるのに、そんなに理由が必要?」
「………」
「ん…強いて言うなら、キミの様子が気になったから…かな? ほら、キミって
 こんな広い家に一人じゃない。食事とか大丈夫なのかなー、とか思ってさ」
「食事くらいちゃんとしてるよ…大体僕には」
「? 僕には、何?」
「…何だっけ」
「まさか、私以外にご飯を作ってくれる人がいるとか?」
笑ってる花梨の目が、笑ってない…何だか手をポキポキ鳴らしてるし。
「そ、そんなわけ…ない…」
「もう、冗談でやってるのに…どうしてそこでちゃんと否定しませんか、キミは?」
『そんなんじゃ浮気してるって本気で疑っちゃうよ?』と言って笑っている花梨を
前に、僕は考え込む。誰か…もう一人いなかったか? 僕が幼い頃に死んだ母さん、
まだ病院で意識不明の父さん、そして…。
「…ぅゃ? とうや? 透矢!」
ガン!
「ぐあ! …か、花梨、いきなり眉間にパンチはないよ…人体の急所じゃないか…」
「恋人を前にしてぼうっとするような不届き者にはこれぐらい当然ですー。
 で? キミにご飯を作ってくれる人の名前は思い出したかな?」
「勘弁してよ…そんな人いるわけないって、花梨も分かってるくせに」
「えへへ…まあ、この私くらいなものだよね、実際」
分かってるじゃないか…にこにこと笑う花梨に、僕も苦笑いで答える。そうだ…
僕にご飯を作ってくれる人なんて、花梨の他にいるわけがない。…そのはずだ。
「それじゃ、今日の夕飯は花梨が作ってくれるのかな?」
「キミって結構現金だよね…でもまあ、言ったからには作ってあげますよ?
 透矢ちゃんは大人しく居間に座って、花梨ママの手料理を待ってなさい」
「その『花梨ママ』はやめようよ…同い年じゃないか、僕達は」
232「おとまり」5/17:03/02/14 00:33 ID:NyrGCkwO
「ふっふっふ…透矢ちゃんは恥ずかしがり屋さんでちゅねー」
突然立ち上がった花梨が僕の横に回りこみ、ヘッドロックを決めてきた。首が
痛いわ、顔が胸に当たって気持ちいいわ、ああもう…。
「痛い痛い…やめてよ、花梨」
「んー? 痛いだけかなー? やめていいのかなー?」
「…やっぱりやめないでいいです」
「素直で大変よろしい…って、こらこら! さりげなく顔をすりすりしない!」
ゴン! と、今度は脳天に拳の一撃。
「いたた…ちょっとふざけただけじゃないか」
「ふざけてようと真剣だろうと、こんな明るいうちはダメ!」
せめて夕方になってからじゃないと…とかぶつぶつ言っている花梨を、そっと
抱き寄せる。
「あ…」
「じゃあ、暗くなってからだったらいいんだね?」
「だ、だって、泊まるって事はそういう事じゃないの…」
「期待して待ってるから」
「な、何をよ…」
「何だろうね? 僕にもよく分からない」
「バカ…」
夏の暑さも忘れて、僕達はしばらく抱き合っていた。

夕飯の買い物をするには、まだ少し早い。とりあえず花梨の泊まる部屋を確保
するべく、僕達は居間を出た。
「僕の部屋で寝てもいいのに…」
「それはそれ…一応お客なんだから、ちゃんと私の部屋も用意しなさい」
「はーい…父さんの部屋はアウト、居間は夜蒸し暑い…台所は論外…」
「客間ってなかったっけ?」
「あそこは今物置になってるよ…あまり人が来ないから、うちは」
「そっか…あれ? こんな所に部屋なんてあったっけ?」
一緒に廊下を歩いていた花梨が、ふととあるドアの前で立ち止まった。
233「おとまり」6/17:03/02/14 00:33 ID:NyrGCkwO
「ああ、ここは…」
ここは…何だっけ? 誰かの部屋…だったはず。
「透矢? どうしたの?」
「えーと…うん、ここはダメ。その…母さんの部屋だから」
「あ、そうなんだ…ごめん、無神経だったね」
ノブに手をかけていた花梨が、『しまった』という顔で謝る。
「父子家庭はお互い様じゃないか…今さら気にしてないよ」
「ん…そうだね。でも、それじゃ私はどこに泊まればいいのかな?」
「…やっぱり、僕の部屋しかないんじゃないかな」
「仕方ないなぁ…泊まってあげますよ、キミの部屋に」
唇を尖らせていても、花梨の顔が笑っているのがよく分かる。笑顔を返して、
僕は少し戻った所にある自分の部屋に花梨をつれていった。

…花梨にはああ言ったけど、本当はあそこは母さんの部屋なんかじゃない。でも、
それじゃ一体誰の部屋だったんだろう…空き部屋じゃない事だけは確かなはず
なんだけど。どうも気になって、僕は荷物の整理をはじめた花梨を部屋に残し、
こっそりとあの部屋の前に戻ってきた。ノブに手をかけて、ゆっくりとひねる。
「…空き部屋」
がらんとした部屋には、見事なまでに何も置いてなかった。物置にすらなって
いない、本当の意味での空室。
「おかしいな…じゃあどうして、客間を物置にしたんだっけ?」
「透矢ー? どこ行ったのー? 夕飯の買い物、そろそろ行こうよー!」
考え込む僕の耳に、遠くから花梨の声が届いた。気が早いな…まだ日が落ち始めた
ばかりなのに、もう買い物に行くんだ。
「考えても分からないか…今行くよー!」
大声で花梨に返事をして、空き部屋を後にしようとした。
「………………」
ふっと誰かの声が聞こえたような気がして、振り返る。でも、誰もいない。
「誰も、いない…」
不意に寂しさがこみ上げ、僕は足早に花梨の声がした方に向かった。
234「おとまり」7/17:03/02/14 00:35 ID:NyrGCkwO
「あ、やっと来た…どうしたの? 何かキミ、寂しそうだよ?」
「…何でもない。買い物、行こう?」
「…うん」
ちょっとだけ不思議そうな顔をした花梨は、でも何も言わずに玄関へ歩いていく。
理由の分からない寂しさを振り払い、僕は足を速めて花梨の隣に並んだ。
「それで、今日は何を作るの?」
「キミ、ちょっと気が早過ぎ。買い物に行きながら、一緒に考えようよ」
「そうだね…でも、気が早いのは花梨も一緒だよ。まだ結構日が高いけど?」
「いいじゃない、早くても。ゆっくり準備したいんだ、せっかくだし…」
「……うん」
しっかり準備をして、美味しい料理を食べさせてくれるつもりらしい。花梨の
気持ちが嬉しくて、さっきまでの寂しさがウソのように僕は気持ちが軽くなった。

「はーい、できたよー…透矢、運ぶの手伝って?」
あれこれと献立を考えながら二人で買い物をして、夕暮れの中を帰ってきて。
『手伝っちゃダメだし、見てもダメだよ?』と僕を脅して台所にこもっていた
花梨が、ようやく居間に来てくれた。
「ダイニングで食べない? あそこ、テーブルあるし」
「んー…パス。私、ご飯は正座して食べたいんだ」
「そう…じゃあ、運ぼうか」
家が神社だからか、花梨は礼儀作法…特に和食の作法にはうるさい。『意外に』と
言うと怒られるけど。今日の夕飯も和食だし…うん、花梨に合わせよう。
「よし、準備OK。じゃあ、食べよう?」
「うん…いただきます」
「はい、召し上がれ」
にっこりと笑った花梨の料理に、僕は箸をつけた。焼き魚、煮物、漬け物、味噌汁…
『日本の夕食』とでも命名したくなるような料理は、どれも美味しい。
「どうかな? 自分では結構美味しい…と思うんだけど」
僕の様子をうかがう花梨に、口がふさがっている僕は親指を立てて答える。
「…ありがと」
照れ笑いを浮かべた花梨が、いつも以上に可愛く見えた。
235「おとまり」8/17:03/02/14 00:35 ID:NyrGCkwO
「ごちそうさま…美味しかったよ、本当に」
「おそまつさま…よかった、美味しく食べてもらえて」
デザートにスイカまで持ってきてくれた花梨に感謝だ。満腹になったお腹を
さすりながら、食後の一時を満喫する。
「ちょっとしたら片付けるから…ちゃんと手伝ってよね、キミも」
「もちろん…こんな美味しいご飯を作ってくれたんだ、お礼に片付けくらい
 しなきゃ花梨に殴られる」
「言ってなさいって…」
花梨の軽口を聞きながら、ごろりと後ろに寝転がった。
「寝ないでね?」
「寝ないよ…なんかさ、いいな、こういうの」
「そうなの? 透矢ってあんまり家庭とかそういうのに興味ないのかと思ってた」
「幼馴染みとしての付き合いが長かったから、逆に分からないのかもね」
「うーん…そうかも。ね、そっち行っていいかな?」
「いいけど…花梨こそ寝ちゃダメだよ?」
「誰が一緒に寝ると言いましたか。…こうしてあげるのよ」
ちゃぶ台を回ってこちらに来た花梨が、そのまま僕の頭の方に正座する。そっと
僕の頭を持ち上げて、膝枕をしてくれた。
「…今日はやけに優しいね」
「私はいつだって優しいですよーだ。キミが気付いてないだけだよ、絶対」
「…かもしれないね。僕って鈍感だから」
「鈍感を自覚しているなら、ちゃんと直しなさい。これは恋人としての命令です」
「うん…とりあえず、こうする」
膝枕をしてもらったまま腕を持ち上げて、花梨の頭に回す。不思議そうな顔を
した花梨の髪を、優しく撫でつけた。
「言っとくけど、優しくしたってごまかされないからね?」
「あ…やっぱりダメ?」
「…ごまかされない。でも、だまされる事にするよ、キミに」
そう言って。花梨がゆっくりと体を折り曲げて、僕に口付けた。
236「おとまり」9/17:03/02/14 00:37 ID:NyrGCkwO
「…スイカの味がするね」
「…花梨こそ。でも、だまされるっていうのはひどいよ。僕がいつ花梨を
 だましたの?」
「さあ? 『信じてる』から、『だまされる』んだよ」
「どういう意味?」
「鈍感さんには教えません。答えが分かるまで、キスの続きはおあずけだよ?」
そう言って、花梨は体を起こしてしまう。そう言われると弱いな…必死になって
僕は考えた。人が『だまされた』と思うのは信じていたものに裏切られた時で、
えーと、つまり花梨は僕を信じていて、あれ? でも、それじゃ『だまされる』
という言葉がつながらない。僕は花梨を裏切ってなんかいないし、うーん…。
「『信じる』じゃなくて、『だまされる』…うーん…」
「ふふ…透矢、降参する?」
「おあずけは嫌だからまだ考えるよ。えーと、つまり…」
花梨に耳をおもちゃにされながら、僕はひたすら考える。そう、さっきの花梨は
『信じる事にする』とは言わなかった。『だまされる事にする』…『だまされる』…
だまされてもいい?
「…あ」
「はい、正解。ごほうび、ほしい?」
「…まだ何も言ってないんだけど」
「キミのその顔は『分かった』って顔だから。だから、言わなくていいよ」
「それこそ、だまされたような感じだね…でも、だまされる事にするよ、花梨に」
「本当に分かったんだ…じゃあ、約束通り…」
「片付け、いいのかな?」
「後でいいよ…今は、その…ん…」
それ以上花梨に言わせるのは、鈍感を通り越して野暮だ。僕は花梨の頭を抱き寄せて
軽くキスをすると、唇を離してそのままころんと花梨を床に転がした。このままだと
体の上下が反対なので、ごそごそと動いて向きを合わせる。
「キミって、時々面白い事するよね…普通に起き上がって押し倒せばいいのに」
「あきれた?」
「ううん。透矢らしいな、って思った」
237「おとまり」10/17:03/02/14 00:38 ID:NyrGCkwO
くすくすと笑う花梨を抱きしめ、もう一度キスを交わす。今度はさっきまでとは
違い、深いキスを。
「ちゅ、ん…ふぁ、くちゅ…んくぅ…」
吐息ごと花梨の舌を吸い上げ、口の中で転がす。さっき食べたスイカの味は
置いておくにしても、花梨の唾液は甘かった。
「ん…ぷぁ…透矢の口の中、甘い…」
「…スイカの味?」
「ちょっと違う…でも、何だろう…甘かったよ、うん」
同じ事を考えてたんだ…こんな単純な事で嬉しくなれる僕は、やっぱり花梨に
参らされている。飽きずにキスを繰り返しながら、僕はそっと花梨の胸に
手をやった。ぴくりと花梨の体が跳ねるが、そのままぎゅっと抱きついてくる。
「ふぁ…や、んん…」
大きい胸は感度が悪いというのはウソだと思う…少なくとも花梨を見ていると、
ウソとしか思えない。服の上から軽く触っているだけなのに、もう花梨は息を
荒くしていた。
「ん…服、脱ぐね…」
「待った。今日は僕が脱がせてみたいんだけど」
「…なかなか脱げないからって破らないでね?」
「しないよ、そんな事…で、いいかな?」
「どうぞ? できるものなら、ね」
潤んだ瞳で腕を広げた花梨の胸から手を離し、僕はまず上着に手をかけた。
ボタンがない…そのまま上に引っ張って脱がせるしかないな、これは。
「花梨…腕、上げて」
「それも、キミがやるんだよ…」
なるほど、一度脱がせると言ったからにはそこまでしてあげなきゃダメなんだ…
妙に納得して、僕は花梨の腕を掴んでバンザイのようにさせる。そっと上着を
上にまくり上げていくと真っ白なお腹が顔を出し、下着に包まれたふくらみが
姿を現した。脱がせるのを中断してふるいつきたくなるのを首を振って我慢し、
襟から首を抜いて、袖から両腕を抜いて…やっと上着が脱げた。な、何だか
妙に緊張した…でも、まだスカートが残ってる。
238「おとまり」11/17:03/02/14 00:39 ID:NyrGCkwO
「ホック…どこかな?」
「自分で探しましょうねー…」
遊んでるね、花梨…。答えを聞くのを諦め、僕は花梨の背中に両手を回した。
そのまま腰周りを撫でるようにしながら、ホックを手探りで探す。
「く、くすぐったいよ、透矢…」
ふるふると体を震わせながら、花梨が笑う。無視して手を動かし…見つけた。
「これだね…っと」
いったん見つかれば後は簡単。外して、ファスナーを下げて、引き下ろすだけだ。
下着が顔を見せ、やっぱり白い太股がそろって姿を見せ…ひざ、ふくらはぎと
きて、足首まで見えた所で僕は一気にスカートを引き抜いた。
「きゃ…ふふ、よくできました」
「どういたしまして…」
ずれた返事を返しながら、脱がせた服を花梨の脇に軽くたたんでおく。
「下着は? やっぱりキミが脱がせる?」
「うーん…降参。花梨が脱いでください」
「修行が足りないね、まだまだ…まあ、私なら何度でもつきあってあげるから、
 次はもっと上手くやろうね?」
他の人で練習されても嫌だしね、と笑う花梨のおでこをつつき、僕も笑う。
「じゃあ、脱ぐよ。今日は、見ててもいいから…」
そういえば、初めての時は脱いでいる所を見せてくれなかった。ここで見て
おかないと、次に脱がせ方が分からないな…。
「…じろじろ見ないでね?」
「見ていいって言ったのは花梨だよ」
「もう…」
恥ずかしそうにしながら、花梨が自分の背中に手を回す。「よっ」という小さな
声と共にプチンと音がして、胸がふるんと揺れた。
「…って、今どうやって外したの?」
「内緒。私の胸に見とれていたキミが悪いんだよ?」
しまった…。
239「おとまり」12/17:03/02/14 00:40 ID:NyrGCkwO
「キミって、胸が好きだよね」
「嫌いな男っているのかな?」
「透矢以外の事はどうでもいいの…透矢が好きなら、私は嬉しいな」
「うん…好きだよ、花梨が」
「答えになってな…ん…」
むき出しになった胸に手を触れて揉むと、花梨が口をつぐんだ。無言で、
快感に耐えている。
「我慢しないでほしいな…もしかして気持ちよくない?」
「そんな事、ぅく…ない…はぁ…」
「じゃあ、我慢しないで。恋人としてのお願い」
「ん…声出すのって、恥ずかしい、から…」
「そう…じゃあ、出させてあげる」
「え…ふあぁ!?」
ちゅ、と胸の先に口付ける。とっくに固くなっていた乳首を少し強めに吸い上げると、
僕の頭を抱えて花梨が声を上げた。
「だ、ダメ、と、や…ひ、んん…」
そう言いながら、花梨は僕の頭を突き放さない。嫌がられてないと確信した僕は、
さらに胸を責め続けた。左右交互にキスをして、谷間に舌を這わせ、ゆっくりと
手でこねまわす。
「や、透矢ぁ…ふぁ、く、んんん〜…」
花梨の体が大きく震え、直後にくたりと脱力する。
「やだ…私…」
「もしかして、いっちゃった?」
「少し、ね…はぁ…」
僕のストレートな質問に、まだ呆然としている花梨はあっさり答えてくれる。
いつもなら、こんな質問には絶対答えてくれないんだけど…そうか、無理に
聞かないで、答えたくなるようにさせればよかったんだ。
「敏感なんだよね、花梨は…」
「そうかな…そうかも…」
「そうだよ。だって、ほら」
「ひゃ!? や、やだ…」
240「おとまり」13/17:03/02/14 00:41 ID:NyrGCkwO
不意をついて花梨の股間に手を伸ばし、下着の上から擦ってみた。我に返った
花梨が慌てて太股をしめてブロックしようとするけど、少しだけ遅い。僕の手が
太股で挟まれる形になり、結果としてより強く花梨の股間に押し付けられた。
「う、やぁ…手、どけて…透矢…」
「じゃあ、太股で挟まないで」
「やだ…そしたらきっとキミ、もっと触るよ…ひぁ…」
下着越しにでも湿った音がするくらい、花梨のそこは濡れていた。押し付けられて
いるのをいい事に、僕は遠慮なく指を動かす。
「く、あ…ひ、いぁ…」
快感で声を上げる花梨を見ていると、さらに悪戯心が出てくる。僕は下着と太股の
隙間から指を滑り込ませ、下着の中に指を入れた。
「ひ! や、透矢、やめ…く、ああ!」
ちゅ…という水音と共に、僕の指が割れ目の中に埋まっていく。愛液で蕩けきった
そこをかき回し、指先の感触で見つけた膣口に指を差し込んだ。
「あ、だ、だめ…」
無視して指を沈めていく。指全体がぎゅっと締め付けられる頃には、花梨は
完全にぐったりとしていた。
「透矢…透矢ぁ…」
「ごめん…少し、無理させすぎたかな」
「大丈夫、だけど…その…私、もう…」
「もう、何?」
唇の動きだけで『いれてほしい』と言って、花梨が顔をそむける。はっきりと
言わせたくなったけど、さすがにそこまでさせたら花梨が泣き出しそうで、
僕は諦めた。いじめるのはここまで…後はいつものようにしよう。
「おいで、花梨…」
抱きしめた花梨を僕の上に乗せて、あお向けになる。
「私が、上になるの?」
「うん…これはまだやった事なかったよね?」
「多分…でも、ちょっと怖い…かな?」
241「おとまり」14/17:03/02/14 00:42 ID:NyrGCkwO
「花梨が上なら、花梨の好きなようにできるから…好き放題したお詫びだと思って」
「キミが気持ちいいのは一緒だよね、でも…」
「花梨も、気持ちいいと思うよ?」
「…バカ」
ふっと花梨が僕に覆い被さり、キスをしてくる。舌先が絡まり、ちゅくちゅくと
いう唾液の絡まる音が部屋に響き…唇が離れた時には、花梨は下着を脱いでいた。
何だかもぞもぞしていると思ったら…脱いでる所を見られたくなかったんだ。
「じゃ、じゃあ…入れるね?」
「うん…」
ごくりと喉を鳴らし、花梨が僕にまたがるようにして腰を落とした。水音と共に
先端が花梨に触れた途端、
「ふぁあ!」
びくりと花梨が反応し、そのまま膝から力が抜ける。ず、という感じの音がして、
僕のものが一気に半分くらいまで入ってしまった。
「だ、大丈夫、花梨?」
「はぁ、はぁ…んん…」
いきなり根元まで入らなかっただけ、衝撃は軽かったらしい。花梨はそのまま
腰を落とし、一息ついてから僕に微笑みかけてきた。
「はぁ…入ったよ、透矢…」
か…可愛い。この状況で見せられた花梨の笑顔が僕の本能を直撃し、僕は
花梨を抱き寄せた。
「ちょ、透矢、落ち着いて…ひぃ!」
無理矢理抱き寄せられて挿入の角度が変わったせいか、花梨が悲鳴を上げる。
痛がっては…いない。大丈夫と判断した僕は、そのまま突き上げるように
腰を動かし始めた。ついでに抱きしめた花梨を揺さぶり、さらに速度を上げる。
「あ、あ、ひ、きぁ…やぁ! はぁ、ん、ああ!」
花梨の声が上ずり、切羽詰った物に変わっていく。構わずに腰を動かし、
花梨を責め立てた。花梨の手が僕の腕を掴み、ぎり、と爪を立てる。
とどめをさすように腰を打ち付け、僕は花梨を強く抱きしめた。
242「おとまり」15/17:03/02/14 00:43 ID:NyrGCkwO
「と、透矢ぁ…ふぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
僕の腕の中で花梨がのけぞり、絶頂に達する。一瞬遅れて僕も達し、耐えに耐えた
大量の白濁液を花梨の中に解き放った。
「あ、く…はぁぁ…」
がくりと花梨の体が弛緩し、同時にちょろちょろと水音が聞こえる。本当に
達すると失禁するのが、花梨の癖だ。…そうさせたのは僕だけど。
「花梨…」
名前を呼ぶと、達した後独特の虚ろな顔で花梨が顔を上げる。少し体勢に無理が
あるのを我慢して、僕は花梨と長いキスを交わした。

「あーあ、どうしよう、これ…」
「どうするもこうするも…後始末しなきゃね、これ」
「そうだね…じゃあ私は洗い物を片付けるから、キミは畳の掃除お願いね?」
「あ、ちょっと、花梨…はぁ」
ため息をついて、色々と混じった液体でびっしょりになった畳を見る。
「せめてベッドまで花梨を運ぶんだった…」
「後悔しても遅いですー。ほらほら、きりきり掃除する!」
「はいはい…」
「しっかり掃除して、私の洗い物が終わったら…一緒にお風呂入ろう?」
「え?」
振り向いた時には、もう花梨は重ねた食器を持って居間を出ていた。
「一緒に…お風呂?」
残された僕は一人つぶやく。
「なら…がんばるか」
我ながら欲望に正直だ。でも僕は、花梨に対してはいつも正直でありたいと思う。
好きな女の子が一緒にお風呂に入ろうと誘ってくれてるんだ。喜んで何が悪い。
「そうだよね…よし、雑巾持ってこよう…」
花梨と一緒に、お風呂…想像して緩みきった顔のまま、僕は掃除の準備を始めた。
243「おとまり」16/17:03/02/14 00:45 ID:NyrGCkwO
「それじゃ、寝ようか…」
「うん…けだものさんの隣で寝るのは、ちょっと怖いですけどー」
「ははは…さすがにもう疲れた。何かがおかしかったんだよ、さっきまでの僕は」
お風呂で何があったかは、いうまでもない。すでに腰が立たないのでお風呂から
ここまで花梨が僕に抱えられてきたという事実と、そこまでいかないまでも
綿のように疲れきった僕の体を見れば、誰でも分かる事だ。ついでにいうと、
二人とものぼせて顔が真っ赤…ああ、二人そろって誰にも見せられない姿だ。
「思い切って泊まりに来て、よかった…」
「え…?」
「ちょっとね、不安だったんだ…私がいない間、キミがどうしてるのか」
「不安、か…」
明かりが消えて真っ暗になった僕の部屋に、二人の声だけが響く。
「うん。透矢って…その、記憶がないでしょ? 不安になって当たり前なのに、
 何となく普通にしてるじゃない?」
「そんな事ないよ…不安でいっぱいだ」
「そう、それ。私にはあまり見せてくれないよね、不安なとこ」
「心配させたくないから…」
「恋人には心配をかけられませんか? 全く…」
とぼけたような口調で花梨が言って、僕にすり寄ってくる。暗闇の中で、
それでも花梨の気配はしっかり伝わってきた。
「私じゃ透矢の頼りにならないかもしれない。でも、少しは頼ってね?
 一緒に泣くくらいはしてあげられるよ?」
「花梨を泣かせたくはないなぁ…」
「キミが泣かせてるわけじゃないからいいの。私が泣きたくて泣くんだから」
「それって、何か違わない?」
「違わないよ…違わない。違うなんて言わせない」
耳元でささやいた花梨が、ぎゅっと僕を抱きしめた。柔らかい胸に、僕の
顔がうずまる。
244「おとまり」17/17:03/02/14 00:46 ID:NyrGCkwO
「どうかな…不安、消えたかな?」
「分からない…」
けど、こうして抱かれているととても落ち着く。不安が消えてなくなったりは
しないけど、無理して不安を我慢しなくてもいいんだ…と思える。
「いつだったかな…こうして誰かの胸で泣いたような気がするんだ」
「へぇ…お母さん?」
「そうかもしれない…違うかもしれない。でも、今は花梨がこうしてくれてる」
半ば無意識のうちに手を伸ばし、僕を抱きしめる花梨の腕をなでる。
耳に伝わるのは、花梨の鼓動。肌に感じるのは、花梨の温もり。
「このまま寝る?」
「癖になりそうだな…」
「いいよ、癖になっても。それでキミが離れたくなくなるなら」
「離れないよ…離さない。離れろって言っても離れないから」
「そう…それじゃ、そうして。私も離さないから」
「うん…」
眠気が、本格的にやってきた。花梨も同じらしく、徐々に声が小さくなっていく。
「お休み、透矢…いい夢を、ね」
「お休み、花梨…いい夢を」
二つの声が同時に響く。こんな所で、考える事が一緒になるなんて…思わず
笑い声をもらすと、花梨の笑い声も聞こえた。ああ…同じだ、僕達は。
その事に安心した途端、僕の意識は急速に途絶えていった。最後の最後に、
僕はかつてこうして僕を抱きしめてくれた誰かの事を思う。

あなたが誰だったか、今の僕には思い出せない。思い出せないけど、僕は花梨に
こうされている限りあなたの事を忘れもしないと思う。残酷だろうか? でも、
僕は花梨と共にいる未来を望んだんだ。後悔は、しない。

無限の可能性の中には、あなたを選んだ世界もあったのかもしれない。せめて
そちらの世界では、僕があなたを幸せにしている事を。

一粒だけ涙をこぼし、僕は花梨と共に眠りについた…。
245の人 ◆TweidqqqnA :03/02/14 00:49 ID:NyrGCkwO
>>228-244 「おとまり」
こちらでは初になります。最炉トで支援を投下していた「の人」です。

元ネタは水月、幼馴染みの花梨との一幕でした。諸状況は一応
エンディング後を想定しています。多少のネタバレはご容赦を。
246名無しさん@初回限定:03/02/14 07:47 ID:1eaUTNOq
(;´Д`)ハァハァ
247 ◆daMOTOpf1c :03/02/14 17:06 ID:FLMUnbwF
>245
某ノベライズの続きってきっとこんな感じなんでしょうね。
さすがです…萌え要素が詰まってます。
248名無しさん@初回限定:03/02/14 18:50 ID:LRtKQjFj
なんか、ヒロインが雪さんに見える・・・・
というか、雪さんBad end に。

花梨「いくら愛しても、いくら愛してると囁かれても、あなたの心には別の女がいるッ!!」
249名無しさん@初回限定:03/02/14 19:33 ID:dlUmVnPh
の人殿は最萌ロリトーナメントのアリス支援でも雪さんを思い出しかける描写をしてのけた漢。
どのキャラを書こうと雪さん萌えのにじみ出てしまう性(さが)なのだよ…。
250名無しさん@初回限定:03/02/15 06:10 ID:uMAcaylh
そう、それがいい。
何とも深い愛が在るではありませんか。
251名無しさん@初回限定:03/02/15 13:47 ID:cIk1Ozvo
雪さんと花梨、二人に同レベルで萌えてしまった人間は
どちらのエンディングを見ても、心が引き裂かれちゃう訳ですが
…あぁ、花梨かわええのぉ〜、でも雪さん……
はう〜、いい仕事です!

花梨ノーマルエンド後というか、花梨の手を握ったエンドというか
252朧月夜(1/7):03/02/16 02:12 ID:geOdH2wM
 空になったグラスをすすぎ終えて戻った雪の耳に、微かな衣擦れの音が届く。
傍らのベッドに目を向けると、恥ずかしがって背を向けていた透矢がその隣
―先程まで雪が横たわっていたあたり―と向かい合って寝息を立てていた。
薄雲にやわらげられた月明かりは茫として室内を蒼く染め、規則的な呼吸が却って
静謐を際立たせる。
 ドアを閉める音が小さく響く。雪は静けさを乱すことなくベッドに近づくと、
めくれてしまった掛け蒲団を慈しむように直して、暫く透矢の寝顔を見つめた。
年の割に幼さを残した優しげな顔立ちが子供の頃の面影と重なって、雪の表情を
柔らかにさせる。

 ――あの頃と、何も変わらない――

 知らず微笑む雪の視界の中で、空っぽの空間が揺らぐ。雲間から差し込む
月明かりに照らされた、人一人分の空間。少し前まで自分がいた場所がゆっくりと
熱を失ってゆく。何故か悲しくて、雪は隙間を埋めるようにそこに潜り込んだ。
掛け蒲団に口元をうずめて横を向くと、すぐ目の前に透矢の顔がある。より
近づいた無防備な寝顔を見つめながら、雪はここしばらくの透矢との日々を
思い起こしていた。

 ――こんな毎日がずっと続けばいい――

 それは雪の偽らざる心。確かに何も思い出せずに苦しむ透矢を見るのは
辛いし、それで全てが解決するのなら記憶を取り戻して欲しい。
 だがそれは、この幸せな日々が雪の手から滑り落ちることを意味していた。
透矢の記憶が戻れば、以前のようなどこか距離をおいた生活が再び繰り返される。
 そう思うと、いっそこのまま、という気持ちが記憶の回復を望むその裏側で
渦を巻く。自分の身勝手さに罪悪感を覚えながらも、認められるはずの無い我儘を
どうしても消し切ることができない。たとえかりそめの幸せであったとしても、
雪の目にはこの日々が途方も無く眩しいものに映ってしまった。
253朧月夜(2/7):03/02/16 02:14 ID:geOdH2wM
 ――だから、辛い――

 そして同時にその眩しさが、透矢の優しさが『家族』に対するそれでしかない、
という翳りを雪の心に落としていた。
 結局透矢の記憶がどうあろうと雪の心は揺れつづけ、満たされることがない。
その痛みは誰に吐露することもできず、自分自身でなだめ、誤魔化すことしか
できなかった。

 ――雪は、透矢さんが思っているようなメイドじゃないんです――

 いつの頃からか、体が女性らしさを帯びるにつれ、雪は透矢に対して
抑えがたい欲情を覚えだした。自分の名を呼ぶ少し低めの声が、すれ違う
ときに漂う体臭が、前触れもなしに雪の体に熾火を点す。一度点された火は、
そんな自分への困惑をねじ伏せ、じりじりと焦がしながら全身を焼いていく。
火勢は時を経、回を増すごとに強くなり、いつしか透矢のベッドで嬌声を
上げさせるまでになっていた。
 それ以来、透矢は雪の愛液が染み込んだ夜具に包まれて眠っている。
 その姿を想像しただけでも息が上がり、体が熱くなっていくのに、目の前の
透矢は雪の匂いを吸い込みながら眠っているのだ。その自分のものが混じった
吐息が頬にかかるたび、悦びのあまり達してしまいそうになる。
254朧月夜(3/7):03/02/16 02:18 ID:Uc/UNHzY
 ――嬉しい、はずなのに――

 なのに、雪の瞳は愁いを帯びたまま。夜具に落とした残り香も、かすれて
響いた嬌声も、想いの残滓を無人の部屋に留めるだけで、何一つ透矢に伝えは
しない。その距離を思うと、白桃のように柔らかな頬を涙が数滴伝う。
 あまりにも、遠い。
 それでも雪はその距離を踏み越える勇気を持てなかった。拒絶されれば
今手の中にある幸せさえこぼれていってしまう。そう思うと足が恐怖に竦む。
そんな雪にできたのは、偶然を装って自分の想いを透矢に気づかせること。
あの日、見られていると知りながら、いつものように透矢の夜具にしるしをつけた。
縋るように願いを込めて。屈折していると知りながら祈るように。
 それでも、届かない。

 ――苦しい、です――

 言葉が溢れそうになる。吐息を肌で感じるくらい近くにいるのに、その距離が
無限に感じる。透矢の体温が伝わってくるのに、悲しみに凍える心が
温まることはない。

 「透矢さん」

 声に出して呟く。眠りの淵に沈んだ透矢はその声に答えず、雪の心は小さく震える。

 「透矢さんっ」

 啼くように呟く。続く言葉を押しとどめ、唇をきゅっと引き結んだ。
その代わりに右手がおずおずと胸元に近づく。
255朧月夜(4/7):03/02/16 02:19 ID:Uc/UNHzY
 ――んっ――

 パジャマの上からゆっくりと起伏を辿ると、布地のざらつきが無防備な乳首に
刺激を伝えてくる。そのまま何度も絞り上げ、尖端をきつくこね回すたびに
重く張った乳房が形を変え、掌を押し返してきた。それを続けていく内に、
硬くしこった乳首が布地の動きにさえ耐えられず、より熱く、硬くなる。

 ――っは、くっ、ぅ――

 パジャマの前をたくし上げて、篭っていた熱を逃がす。夜気に触れた乳房は
月明りを浴びて仄白く、ねぶられ続けた乳首は甘く色づいていた。雪は小さな
吐息をつくと、鼓動に合わせて疼く股間に手を伸ばす。

 ――あ……――

 その先にあったのは透矢の右手。自分のものとは違う熱を持つ大きな手が、
雪の指先に触れた。
 そのまま透矢を確かめるように、指と指を絡めてゆく。そこから伝わる
温もりを、雪は身を硬くしながら受け止めていた。吐息がまた一つ、夜に溶ける。
 居間の古びた時計が2つ鳴り、雪は不意に目を伏せた。握った手がゆっくりと
胸元へ近づき、そのまま左胸に押し当てられる。

 ――っは、あああぁっ、ぁっ、透矢さんっ――

 瞬間、雪の肩が小さく跳ねた。心臓の音がうるさくて、透矢を起こして
しまわないかと心配になる。それも束の間。鼓動の高鳴りに急き立てられて
胸にこすり付けると、思い通りに動かすことのできない硬い手は、それでも
さっきまでの自分の愛撫よりはるかに強い快感を与えてくれた。摩擦とさえ
呼べそうな乱暴な動きに、既に屹立した乳首は痛みを覚えるほど硬くなり、
色素の薄い肌が桜色に染まる。
256朧月夜(5/7):03/02/16 02:23 ID:Uc/UNHzY
 ――んっ、ぅあっ、ねっ、透矢さん、雪のおむねっ、やわらかいですかっ、
っき、気持ちいいですかっ? 雪、雪はぁ――

 透矢を捕らえて離さぬ手の代わりに、もう片方の手がなだらかな下腹部を
滑り落ち、ズボンの中に潜り込んだ。そろえた指先が無毛の稜線を這いまわり、
幾度も往復してから太腿の間に吸い込まれた。
 溢れるほどにぬかるんだそこは、雪が驚くほどの熱を帯びていた。絡みつく
愛液さえも、確かな熱を指先に伝えている。雪はそのことに驚きはしたが、
不快ではなかった。透矢を傍に感じることでいつもより敏感になった自分の体が、
透矢への想いの深さを示しているようで今だけは嬉しかった。

 ――雪は、とっ、透矢さんで、こんな、こんなになっ、ってっ――

 わずかに綻んだ花弁に指を添え、触れるか触れないかの強さで焦らしながら
泳がせると、やがてふっくらと花咲き、その奥からとろとろと透明な蜜をこぼす。
柔らかなそこは、力加減が微妙に狂うたび物足りなげにひくついた。

 ――ひゃ、っう、あ、くっ――

 やがて緩やかな刺激では耐え切れなくなり、中指を入り口から侵入させる。
ちゅぷ、と音を立てて飲み込まれていった。ぴっちりと指を包む窮屈なそこに
波を送ってかき回し、くるくると大きな円を描く。そして指先から付け根まで
中を往復させてから、指を折り曲げて幾重にも折り重なった襞を数えるように
そっと抉った。

 ――あ、すみませ、ひあっ、ん、ゆ、雪ばっかり、気持ちよくって、でもっ――

 触れなくても判るくらい硬くなった花芯を包皮の上から撫で、挟み、捻りながら
刺激を加える。だが普段なら十分な快感を得られるその動きが今は物足りなく、
ぬるつく包皮をめくり上げて、蜜をまぶした指先を剥き出しの花芯の上で踊らせた。
257朧月夜(6/7):03/02/16 02:25 ID:Uc/UNHzY
 ――っん、雪のここ、ほらっ、硬くなって、っっ、ぬるぬる、ってしてぇっ――

 その不規則なリズムに合わせて太腿がびくびくと痙攣し、とめどなく湧き出る
愛液がそのまま下着に吸い込まれる。やがてその下着も用を成さなくなり、
直接パジャマに染みを広げていった。いつだったろう。子供っぽい趣味のこの
パジャマを、似合っているよと誉めてくれた笑顔を見たのは。
最近のことのはずなのに、それはとても遠い日のことのように思えた。

 ――っはぁっ、はっ、ご奉仕、……よろしいですよね?――

 胸を押しつぶしていた透矢の手を持ち上げ、人差し指をそっと含んで快楽に
緩んだ口元を封じた。わずかな寝汗が雪の舌を刺激するが、唾液と混ざり合う
それを余さず掬って喉に流し込んだ。

 ――透矢さんの味、おい、しぃ――

 舌頭で指先をつつき、爪と肉の境目をゆっくりとなぞる。ちろちろとうごめく
その薄い肉塊はするりと指の間に滑り込み、関節のあたりを頬肉に押しつけた。
そのまま全体を飲み込むと歯を立てぬよう唇をすぼめ、肉の輪を形作って上下に
しごく。そうしている内に口の中の熱が全身に伝播し、桜色に染まっていた肌が
薄紅を刷いた。
258朧月夜(7/7):03/02/16 02:27 ID:Uc/UNHzY
 ――あ、透矢、さんっ、ゆきぃ、雪は、またぁ――

 指にまとわりつく水音が粘ついたものに変わり、透明だった愛液が濁りを
帯びだすと、秘裂に埋める指の数を増やした。抉り、差し込まれるたびに
隙間からこぼれる泡立ちが、加えている刺激の強さを語っていた。
 止むことなく強さを増す指の動きに翻弄され、腰が浮きそうになる。無理矢理
押さえ込もうと足をきつく閉じたが、ほとんど意味がなかった。指をしゃぶる音と、
指が立てる音が重なり合って雪の耳朶をくすぐり、高みへと追い立てていく。

 ――っつ、透矢さんっ、透矢さぁんっっ――

 潤む雪の瞳には、変わらない透矢の寝顔。それが悲しくて、届かせては
いけない音を殊更に立て、さらに自分を追い詰めてゆく。声にならない叫びが
耳の奥で細く響いた。背中が大きく仰け反る。こぼれる唾液と、愛液と、涙。

 ――ごめん、なさい――
259朧月夜(ENDING):03/02/16 02:29 ID:1/deBZ1e
 纏わりついていたけだるさが消え、次第に焦点を結び始めた視界に、唇から
こぼれた透矢の指が浮かび上がる。目の前に突きつけられた指先を見ている内に、
体に残った熱が唐突に引いていった。
 枕元に転がるティッシュの箱に手を伸ばし、数枚を引き出した。もう片方の手を
ついて身を起こすと、透矢の指を詫びるように拭ってゆく。寝乱れた蒲団を直した
母親のような手つきはそこに無く、叱られた幼子が縋りつくのに似た頼り無げな
動きだけがあった。その顔に浮かぶのは色濃い後悔と自己嫌悪。
 拭い終わった手をそっと横たえ、自室に戻って汚れた下着とパジャマを
取り替えた。それを透矢の洗濯物と一緒にするのは躊躇われ、直接洗濯機の
中に入れて蓋を閉めた。
 俯いたまま透矢の部屋に戻り、自分も蒲団に入る。少しだけ冷えたシーツを
背中に感じながら天井を見つめた。おぼろげな月明かりは室内を照らし、けれど
全てを照らすには弱くて。それは何も見えないより却って辛く、思わず
逃れるように顔をそむける。視線の先には何も変わらない穏やかな寝顔。
睫毛に残る雫がすう、と枕に吸い込まれた。
 並んで眠る姿を隠すように、夜風が月に薄雲を纏わせる。

                                  −終−
260名無しさん@初回限定:03/02/16 02:37 ID:eSZ70LoQ
>>252-259 「朧月夜」
水月スレでの要望にお答えして貼ってみました。
なんというか、くどい割にはヘボですが。
261司おにーさんの苦悩 その1:03/02/16 09:43 ID:crG4Fx7M
「おにーさんが、いいです…」と言ってくれる末莉と一緒に歩いて行こうと
心に決めてからどのくらい経っただろうか?

末莉の髪はとても柔らかい。
軽くすくと、さらさらと俺の指間を心地よく刺激してくれる。
末莉の肌はとてもきめ細かい。
しかもそれでいて、程良く弾力があって撫でる俺の手に吸い付いてくる。
この世にこれほどの快感があったのかと、末莉を愛撫する度に思ってしまうくらいだ。
俺を真っ直ぐに見つめる末莉は、昼間の愛くるしい子犬のような表情とは違って、
僅かにうるんだ瞳、ほんのりと上気して赤味をおびた頬、
まるで俺を誘うみたいに濡れた唇……。
だというのに、いつまで経っても変わらない、
何かを決意したかのようなぎこちなさのまま、俺の隣へやってくるんだ。
腕を伸ばして、末莉の全身をなぞってみる。
末莉は、びくんっと身を震わせたけれど、嫌がる様子もなく、
俺のなすがままに任せている。
薄闇の中でも眩しい白い肌に、微かに汗がにじんでくる。
その汗から立ち上る甘い匂いが俺の鼻孔をくすぐるようになると、
いよいよ俺も抑えが効かなくなってきて、
本格的に末莉の体を堪能しなければ気が済まなくなってしまう…。
262司おにーさんの苦悩 その2:03/02/16 09:44 ID:crG4Fx7M
指を、末莉の一番敏感なところへ這わせてみる。
まだうぶ毛程度の茂みを越えて、包皮の中に隠れた突起を指の腹で撫でてあげると、
「はう…っ」と微かな声をあげる。
さらにその先にある肉の割れ目へと進むと、そこはすでに充分な湿り気を帯ていたが、
二本の指を使って左右に拡げてから、
その真ん中にある窪みへ中指を挿入しようとすると、
微妙な抵抗感と共に「あ…くっ」と苦し気に末莉がうめく。
もう慣れたはずだと思っていても、
この末莉の声と、そしてその時に俺の指を締め付ける感触が
否応無しに俺の僅かに残された理性ってやつに問掛けてくるんだ。
「俺はとんでもないことをしているんじゃないのか」と。
まあ、だからと言って辞めるつもりなど更々ないのだが。

おわり
263琴乃宮雪、10歳 その1:03/02/17 00:08 ID:3UQZo/hZ
私の記憶が確かならば……で始まる料理番組があったそうだけど、
僕のあやしげな記憶でも、雪さんの料理は最高のはずだった……

「珍しい茸をいただいたんですよ」
そう言って、雪さんは炊き込み御飯を作ってくれた。
本当に彼女の料理はおいしい。僕は3杯目のおかわりを差し出しながら聞いてみた。
「おいしい茸だね。なんて言うの?」
「送ってくださった方の地方では『迷い茸』と呼ぶそうですよ。
なんでも、この茸を探すのに夢中になって、
迷ってしまうことからそう言う名がついたそうです」
山の中で迷うっていうのも、どっかで聞いたような話だ。
「送ってくれた人って?」
ぼくは3杯目をかきこみながら再度聞いてみた。
「お父様のお知り合いの方ですよ」
「父さんの?」
「はい、この地方の伝承との関連を調べるために、隆山というところに行かれて、
その時お泊りになった宿でお世話になった方だそうです」
「ふーん、ま、おいしいからいいか…
父さんの道楽も、たまにはいいこともあるみたいだね」
「まぁ、そう言うことをおっしゃるものではありませんよ。
雪は、お父様のお仕事は御立派だと思います。それに……」
「それに?」
僕は、お味噌汁に手を伸ばしながら
「滅多に見られない物や、珍しい食べ物に出会うこともできますしね」
「はは、それは納得」
「ええ、今回の茸なんか、特にすばらしいんですよ」
「うん」
味噌汁をすすりながら同意する。うーん、おいしいなぁ……
「この茸、男性には精力増強の効果があるそうです」
「ブッ! ゴホゲフゴフッ」
264琴乃宮雪、10歳 その2:03/02/17 00:11 ID:3UQZo/hZ
噴き出しそうになるのを無理に堪えようとして、むせてしまった。
「大丈夫ですか? 透矢さん!」
慌ててやって来た雪さんが、背中を叩いてくれる。
「ゴホッ…大丈夫、ちょっとむせただけだから」
「慌てずに食べてくださいね。喉につめたりしたら大変ですよ?」
「はは、その時は雪さんに吸い出してもらおうかな」
「もちろんそうさせていただきます。でも、笑い事じゃありませんよ?」
さらりと、とんでもないことを言い出す。でも、この人ならやるだろうなぁ
「もしも透矢さんの身になにかあったら、雪は……」
悲しそうな顔をさせせてしまった…って、前に似たようなことがあったときは
この流れで「雪が食べさせて差し上げます」になったっけ。
別に嫌じゃないけど、やっぱり恥ずかしいし…
「大丈夫、雪さんを悲しませるようなことはしないから」
「本当ですか?」
「本当。あ、お茶もらえるかな?」
僕は急いで残りのご飯を片付けた。雪さんはちょっぴり残念そうな顔をして、
それでも、にっこり微笑むと
「はい、ただいま」
と言って、お茶をいれてくれた。やっぱり狙ってたな。

「慌てて食べると消化にもよろしくありませんよ」
食後のお茶を満喫しているのだが、
雪さんは、まださっきのことが尾を引いているようだ。
きっとこのままだと、また「あーん」に繋がって行くに違いない。
「さっきは、別に慌てたからむせたわけじゃないよ」
「?」
「雪さんが、いきなり『精力増強』なんて言い出すから、びっくりしただけ」
「まあ、ふふ、それでどうしてびっくりなさるのですか?」
…わかってる顔だ。
「じゃ、その答えは今夜じっくりと教えてあげるよ」
265琴乃宮雪、10歳 その3:03/02/17 00:12 ID:3UQZo/hZ
「あら、ふふふ、雪、期待してしまいますよ?」
……かなわない。
その夜、僕は、結局雪さんの期待に応えるようがんばった。
翌日からとんでもないことになるとも知らずに……

目を覚ますと、雪さんは僕の腕の中で丸くなっていた。
珍しいな、僕のほうが早く目を覚ますなんて。
がんばりすぎたかな? 迷い茸の効能とやらが頭をよぎった。

僕はしばらく雪さんの寝顔を眺めていた。安心したような、愛らしい寝顔。
それでいて、ぎゅっと僕のシャツを握っている。
普段はしっかり者の雪さんだけど、今はちょっぴり子供っぽく見える。
まだしばらくは目を覚ましそうにないので、
僕は、起こさないようにそっと彼女の手を外すと、
軽く頭を撫でてベッドを抜け出した。

せっかく早く起きたことだし、シャワーでも浴びて、
たまには僕が朝食を作ってみようかな。トーストに目玉焼き程度しかできないけど。
でも、雪さんが嫌がるんだよなぁ 雪の楽しみを取らないでくださいって
いつだったかも、僕が朝食を作ろうとすると
「お願いですから、雪の楽しみを取らないでください」
「でも、たまには雪さんにもゆっくりして欲しいし」
「ありがとうございます。でも、これは雪の仕事ですし、それに…」
「それに?」
「透矢さんのお食事を作るとき、雪は幸せを感じることができるんです」
うっとりした顔で
「どんなささいなことでも、透矢さんのために何かできること、
それが雪の幸せなんです」
透矢さんがいないと雪はだめなんですと微笑む。
……やっぱり雪さんが起きるのを待った方が良さそうだ。
266琴乃宮雪、10歳 その4:03/02/17 00:14 ID:3UQZo/hZ
それにしても、今日はよく眠る。いつもなら、とっくに朝食を食べている頃だ。
そのときだった。
「透矢ちゃーん!」
「!」
雪さんの部屋の方から叫ぶ声が聞こえた。僕は慌てて彼女の部屋へ向かう。
「透矢ちゃんがいないよぉ」
「ぐすん… 透矢ちゃぁん」
そんな声が聞こえてくる。
「???」
わけがわからない。声は雪さんみたいだけど…
コンコン
「雪さん?」
「透矢ちゃぁん」
埒があかない。僕はドアを開けた。雪さんは、ベッドの上で女の子座りをして、
枕を抱いてぐすぐすとしゃくりあげていた。
「雪さん!」
思わず肩を掴んでみる。雪さんは、びっくりしたように僕を見上げた。
「おにいちゃんだぁれ?」
「! 雪さん!」
「おにいちゃん、雪のこと知ってるの?」
「知ってるのって、雪さん、悪い冗談は止めてよ」
「雪、わからないもん」
そう言うと、再び透矢ちゃん、透矢ちゃんとぐずり始めた。どうなってるんだ!?
雪さんはこんな悪ふざけをする人ではない。
それに、透矢ちゃんって…えっ?
雪さんの様子を見てみる。見た目はそのまんまなのに、まるで子供みたいだ。
昔、僕のことを透矢ちゃんと呼んでいた頃みたいに。まさか…
「えっと、雪ちゃん?」
僕は昔のように呼びかけてみる。これも最近思い出したことだが。
267琴乃宮雪、10歳 その5:03/02/17 00:16 ID:3UQZo/hZ
雪さんは、再び涙で濡れた目で僕を見上げる。
「雪ちゃんでいいんだよね? 雪ちゃんはいくつかな?」
彼女はくすんと鼻を鳴らすと答えてくれた。
「琴乃宮雪、10歳」
「!」
愕然とする。まさかとは思ったけど、本当に子供になっているなんて!
動揺を隠せない僕を不安そうに見つめる雪さん。
だめだ、今みたいな状態で、不安にさせてちゃいけない。
「そう、それじゃ、雪ちゃんの言ってる透矢ちゃんって、
瀬能透矢くんで合ってるかな?」
「うん…」
「で、起きたら透矢くんがいなかったと」
この頃、いつも一緒に寝ていて、朝は雪さんに起こされる毎日だったと聞いている。
「それで寂しくなっちゃったのかな?」
こくん、と頷きかけて、慌てて首を振る。
「知らないお部屋…」
そうか! この部屋は別々に寝るようになってから、雪さんに与えられたんだっけ。
それまでは、いつも僕と一緒だったから。
しかし、このままにしておくわけにもいかないだろう。
まずは落ち着かせて、現状を教えたほうがいい。こうなった原因は後回しだ。
「いいかい、雪ちゃん、落ち着いて聞いてね?」
僕は雪さんの目を見ながら言う。
「おにいちゃんの名前は瀬能透矢」
「透矢ちゃん?」
「そうだよ」
「うそだもん、透矢ちゃんは雪と同い歳だもん。そんなにおっきくないもん」
無理も無い。
雪さんにしてみれば、子供のはずの僕が、こんなに大きくなっているのだから
268琴乃宮雪、10歳 その6:03/02/17 00:17 ID:3UQZo/hZ
「うん、そうだね、確かに僕は雪ちゃんと同い歳だね」
そう言うと雪さんの手を取って、立ちあがらせる。
「立てるかい? …ほらね? だから雪ちゃんもちゃんと大きいだろう?」
立ちあがると、雪さんの背丈は僕より10センチほど小さいだけだ。
「えっ? えっ?」
ああ、やっぱり混乱したか…
「びっくりしないでね? 今雪ちゃんは、僕と同じで大人になってるんだよ」
僕は雪さんを姿見の前に連れて行った。
「どうだい? 美人さんだろう?」
雪さん、目を丸くしている。
「……」
一生懸命顔や身体を触っている。
しばらく呆然としていたようだが、ようやく納得してくれたみたいだ。
僕のほうを向くと
「本当に透矢ちゃんなの……?」
「そうだよ」
「透矢ちゃぁん」
胸に飛び込んできた。
「本当だ、透矢ちゃんの匂いがする」
「匂い?」
「うん、透矢ちゃんはいつも、優しいお日様の匂いがするの」
……そりゃ雪さんの方だよ、とは言えなかった。子供相手じゃなぁ
「じゃあ、本当に透矢ちゃんと二人で大人になったんだ」
「ちょっと違うけど、まあ雪ちゃんから見ればそうなるかな」
「じゃあ、雪、透矢ちゃんのお嫁さんになる!」
ゴン
思わず壁に頭をぶつけてしまった。
いや、そりゃほとんど結婚してるに等しい生活を送ってたけど、
今の雪さん相手にそれはまずいだろう。
まあ、子供の言うお嫁さんなんて、たかが知れてるけど。
269琴乃宮雪、10歳 その7:03/02/17 00:18 ID:3UQZo/hZ
「駄目?」
う、またそんな目で見るし…
しかたがない、真実を納得してもらうしかないだろう。
「うん、うれしいけど、ちょっとそれはできないんだ」
「どうして?」
「それはね……」
子供の僕達が大人になったのではないこと、
元々大人の雪さんが何故か子供の心になってしまったこと、
ここが雪さんの部屋であることなどを説明し、
最後にカレンダーを見せて、納得してもらう。
「だからね、僕の喋り方も昔とは違うでしょ?」
「うん…」
「じゃあ、どうしてこうなったかを調べてみないとね。
それによって治し方もわかるかもしれないから」
「……」
雪さんは医者にはかかれない。僕が何とかするしかないだろう。
「大丈夫、きっと元に戻してあげるから」
不安そうな雪さんを、安心させようとしてそう言ってみた。

それにしても、何か変なものでも食べたんだろうか?
それとも僕と同じで、何かの衝撃を受けたとか?
でもこれは、記憶喪失というより、幼児退行と言うべきだろう。
昨夜は僕とその…激しかったけど、頭をぶつけたりはしなかったはずだ。
確かにあの茸のせいか、僕は妙に興奮してたみたいだけど。
……茸!
思い当たるのはそれしかなかった。
雪さんは相変わらず不安そうに僕にしがみついている。
仕方なく雪さんを連れて父さんの書斎に行くと、
手当たり次第にそれらしい文献を調べてみた。
270琴乃宮雪、10歳 その8:03/02/17 00:20 ID:3UQZo/hZ
隆山地方に関する文献、茸に関する文献…迷い茸…
考えてみたら、ずいぶん怪しい名前の茸だ。
さんざん漁って、ようやくそれらしい文書を発見した。何々…?
――『マヨイタケ』隆山地方にだけ自生する。非常に美味。
これを求めて山中に迷うことがあるためこの名がある。――
ここまでは聞いた通りだ。
――また、精力剤としてもすぐれた効果があり、…――
いや、それはもう充分わかっている。
――まれに本種に酷似した『ニセマヨイタケ』も発見されることがある――
ニセマヨイタケ? もしかして!
――『ニセマヨイタケ』隆山地方にだけ自生する。
見た目は『マヨイタケ』に酷似して、慣れた者でも見分けがつかない。
囲炉裏にくべると、良い香りがすることから別名『炉裏茸』とも呼ばれる。
非常に美味。男性にはまったく無害だが、女性が食すると、
一時的な記憶障害を起こし、精神が若返ることがある。
食べた量にもよるが、3日から、長くても1週間で元に戻る。
また、本種に近縁の『セイカク……――

……間違い無さそうだ。おそらく昨日のマヨイタケに混ざって、
このニセマヨイタケが入っていたんだろう。って言うか、ロリタケ?
何故イロリタケじゃないのか小1時間ほど著者に問い詰めてみたかったが、
怖い答えが返ってきそうな気がした。

しかし、3日から、長くても1週間か…
放っておけば治ることは判ったけど、
これから最大1週間は「雪ちゃん」のままなわけだ。
まあ大丈夫だとは思うけど。
それより、雪さんに教えて、安心してもらおう。
271琴乃宮雪、10歳 その9:03/02/17 00:23 ID:3UQZo/hZ
「治る?」
「うん、大丈夫、長くても1週間で治るみたいだから」
「……でも、治ったら雪、消えちゃうのかなぁ」
「!」
ああ、僕はなんて馬鹿なんだ。雪ちゃんが不安なのは、そういうことだったんだ。
治るとか治らないとかじゃないんだ。同じことを、かつて僕も経験したはずなのに!
記憶が戻った時、今の僕が消えてしまう。それは恐ろしく、そして寂しいことだった。
あのときは、雪さんが僕を抱きしめてくれた。
真似するつもりはないけれど、そうすることが一番良いような気がして、
僕は雪ちゃんを抱きしめた。
「大丈夫」
「……」
「消えたりなんかしないよ、元に戻るだけ」
そう、雪ちゃんが雪さんになって、そして…
「治ったら、雪ちゃんは透矢ちゃんのもとに帰るだけだから。ね?」
そう言って頭を撫でる。
「何も心配することはないんだよ。ちょっと面白い夢を見ているようなものだから」
「夢?」
「うん、それなら楽しんだ方がいいでしょ?」
「…うん!」
ふう、ようやく笑ってくれた。
「おにいちゃぁん」
とたんに甘えて抱き着いてくる。いや、わかるけど、胸の感触が…
それに、おにいちゃん?
「お、おにいちゃんって」
「だって、おっきいおにいちゃんなのに、透矢ちゃんて呼んだらおかしいもん」
「できれば『透矢さん』って呼んでくれたほうが…」
「嫌。雪は、おにいちゃんがいい!」
そう言って上目使いで僕を見つめる。
「駄目?」
272琴乃宮雪、10歳 その10:03/02/17 00:25 ID:3UQZo/hZ
どうやら僕は、子供の雪さんにもかなわないようだ。
結局「おにいちゃん」のままで、僕も雪ちゃんと呼ぶことを約束させられてしまった。
まあいいか、かわいい妹ができたと思えば。それに、どうせ1週間以内の辛抱だ。
それよりも、雪さん…いや、雪ちゃんか。
僕が呼び方を承知すると、喜んでくれたのはいいけど、
「おにぃちゃぁん」
とか言いながら、抱き着いてネコみたいに身体をすりつけてくる。
気持ち良いけど、僕はなけなしの理性を総動員するはめになった。
ピンポーン
僕が密かに苦悩していると、呼び鈴が鳴った。
まとわりついて甘える雪ちゃんに
「ちょっと待っててね? お客さんみたいだから、おとなしく良い子にしてるんだよ」
と言うと、僕は玄関に向かった。
「はーい」
「あれ? 透矢?」
この声は… 僕は玄関の戸を開けた。
「おはよう、アリス」
「おはよう、透矢。珍しいわね、いつもは雪が出てくるのに」
「あ、雪さんは…」
なんと言うべきだろう。
正直に言ったところで、そう簡単に信じてもらえることではないだろうし。
「まあいいわ。それより……」
と、アリスが話し始めたときだった。
パタパタ
スリッパの足音が近づいてきた。
と思ったら、雪ちゃんが僕の背中に抱きついて、横から顔を出す。
「おにいちゃん、このお姉ちゃん誰?」
「……」
「……」
アリスと二人して固まってしまった。先に再起動したのは…
273琴乃宮雪、10歳 その11:03/02/17 00:26 ID:3UQZo/hZ
「……透矢、あなたとうとう…」
「ちょっ、ちょっと待ってアリス、絶対勘違いしてる」
「はぁ、いいわ、別にあなたが少女趣味の変態でも、
雪を相手にそういうプレイに嵌まっても、私には関係無いわ」
プ、プレイって、とにかく誤解を解かないと、少女趣味の変態にされてしまう。
僕は雪ちゃんに「ちょっと待っててね」と言うと、
無駄かもしれないけどアリスに説明を始めた。
当然のことながら、なかなか信用してもらえない。
しまいにはさっきの本まで持ち出す始末だ。
それでもアリスは「ロリタケ」なんて怪しいとか、版元が信用できないとか…
版元? …民明書……見なかったことにしよう。
さんざん説明して、雪ちゃんの様子も見てもらい、
まだ疑わしそうな顔をしていたけど、ようやくアリスも納得してくれたみたいだ。
「必死なあなたを見てたら、可哀想になってきたわ」
だそうだ…
「それで、いったいどうするのよ」
「どうするって、せいぜい1週間みたいだから、なんとかなると思う」
「…わかってないみたいね」
「?」
「考えてもみなさいよ、たとえ1週間でも、
小さな女の子の面倒を見ることになるのよ? あなたにできるかしら?」
呆れたような顔でアリスは続ける。
「10歳のつもりでいるわけでしょ?
お風呂とか、着替えとか、食事の世話とか、全部あなたがするのよ?」
「いや、さすがに風呂や着替えは自分でできるんじゃないかな?」
「微妙な時期よね。晩生の子や甘えん坊の子なら…
雪は見た感じ、かなりの甘えん坊みたいだし」
「アリスやマリアちゃんはどうだった?」
「あの子は今でも…って、何を言わせるのよ!」
「ごめんね、そんなつもりは無かったんだ。参考までに聞いてみたかっただけだから」
274琴乃宮雪、10歳 その12:03/02/17 00:28 ID:3UQZo/hZ
「はあ、まあいいわ。それより、本当に変な気起こさないでよ?」
「へ、変な気って… 子供相手にそんな気にはなれないよ」
「そう? この前『なんでもありの透矢』って花梨が言ってたけど?」
…一度花梨とはじっくり話しをする必要がありそうだ。
「そ、そうだ、もし『女の子』ということで何か困ったら、
相談にのってもらえると助かるんだけど」
まずい方向に行きそうな話を軌道修正してみる。
「それができないから心配してるんじゃない!」
「え?」
「今日来たのは、そもそも私とマリアが、
これから1週間家を空けるってことを言いに来てやったわけ」
「そうだったんだ。わざわざありがとうね」
「べ、別にいいわよ。私はそんな気なかったんだけど、
マリアが『留守中に透矢さんが来たら申し訳無いから』ってうるさいのよ」
「それでも来てくれたことに変わりは無いから、ありがとう」
「も、もう…」
そう言いながらもうれしそうだ。相変わらず素直じゃないんだから。
「で、そのマリアちゃんは?」
「荷造りに悪戦苦闘中」
「はは、大変そうだね」
「ちょっと、何ひとごとみたいに言ってるのよ! 大変なのはあなたでしょ?」
「そういえば、そうだった」
「はぁ、もう、しっかりしなさいよね」
「雪、大丈夫だもん!」
それまで僕達のやりとりを見ていた雪ちゃんが突然言い出した。
「雪、ずっと透矢ちゃんのお世話してきたもん。
おにいちゃんの面倒だってみれるもん!」
「……」
「……」
「…透矢、あなた、いくつのときから雪の世話になってきたのよ」
275琴乃宮雪、10歳 その13:03/02/17 00:30 ID:3UQZo/hZ
おにいちゃんの面倒は雪がみるのー、とはしゃぐ雪ちゃんを見ながら、
呆れた口調のアリス。
「うーん、まだ思い出せずにいるんだけど」
「都合の良い記憶喪失ね」
「そう言われても…」
「まあいいわ、この調子なら問題無さそうだし」
それに、とアリス。
「さっきみたいな事なら花梨にでも相談することね。鈴蘭はやめた方がいいわ、
歳はともかく、中身は今の雪とたいして変わらないんだから」
それだけ言うと、お大事に、とアリスは帰ってしまった。
花梨に相談ねぇ…なんか、思いきりからかわれそうだけど。

その日はそれ以降来客も無く、なんとか平和に過ごすはずだった。
雪ちゃんは、ちょこんとおとなしく僕の膝に座り込んで、本を読んでいる。
もっとも、僕にとってはある意味苦行に近い。なにしろ身体は雪さんなのだから。
昼食はとりあえず店屋物にした。
「おにいちゃんのご飯、雪が作るのー」
と言う雪ちゃんをなだめるのに手を焼かされたが、
さすがに今の雪ちゃんに火を使わせるのは不安だった。
それとも、雪さんはこの頃から料理をしていたのだろうか?
夕食も店屋物にするか、それとも簡単に僕がなにか作るか悩んだが、
慣れないことはしない方が良さそうだったので、やはり出前を取ることにする。
昨夜の残りの炊き込み御飯もあったけど、今こんなものを食べたりしたら、
僕はケダモノになりかねない。謹んで、処分することにした。

そして、問題のお風呂だったが……
「おにいちゃんと一緒に入るー」
……悪い予想は的中することになっているようだった。
「雪ちゃん、もう10歳なんだから、一人で入れるでしょ?」
「やー、おにいちゃんを洗ったげるのー」
276琴乃宮雪、10歳 その14:03/02/17 00:31 ID:3UQZo/hZ
ああ、ナナミさま、僕は何か悪いことをしましたか?
「雪ちゃん、身体はもう大人なんだから、ね、大人は一人で入るんだよ?」
「おにいちゃん、雪と入るの嫌なの?」
……子供でも雪さんは雪さんだった。
結局僕は心配していた通り、雪ちゃんと一緒にお風呂に入ることになってしまった。
その日のお風呂は、僕にとって文字通り試練の場と化した。
「ほら、おにいちゃん、雪、おっぱい大きいよ」
「そ、そうだねぇ」
さりげなく目を逸らしながら答える。
「もう! ちゃんと見てよぉ」
…………
「わぁ、おにいちゃんのもおおきいね」
「雪ちゃん、そこは触っちゃだめ!」
「ぶー、おにいちゃんのけち 透矢ちゃんは触らせてくれたのに」
「! い、いや、大人はそんなことしないの」
「うそだぁ、大人は触りっこするって庄ちゃん言ってたもん」
……庄一、君はなんてことを……
ふと、以前に見た夢を思い出す。動物のような目をした雪さん。
僕の性器に異常に興味を示した。あれはこんな状況だったのだろうか?
でも、もう少し歳は上だったようだし、おそらく一緒には入浴してなかったと思う。
まあ、今の状況は子供の好奇心程度だし、おかしなことにはならないだろう。
「あ、おにいちゃんのおっきくなってきた!」
……と、思う。
はしゃぐ雪ちゃんを、なんとかいなしながら、試練のお風呂を切り抜ける。
次の試練は就寝だった。
パジャマに着替えさせた後も、案の定僕から離れようとしない。
雪ちゃんにしてみれば、一緒に寝るのが当たり前なのだろう。
まあ、お風呂と違って、おとなしく寝てくれる分には大丈夫だと思う。
しかし、寝つくまで甘えまくって、身体を摺り付けてくるのはどうだろう。
本当に子供の頃はこんな風だったのだろうか?
277琴乃宮雪、10歳 その15:03/02/17 00:32 ID:3UQZo/hZ
翌日、翌々日もなんとか平和に過ぎて行った。まだ治りそうな気配は無い。
このまま何事も無く、治って欲しいという願いは4日目にして崩れた。
「おーい、透矢。生きてるかー?」
「透矢、元気ー?」
庄一と花梨が遊びにやって来たのだ。出迎えないわけにもいかないだろう。
「あれ? なんだ透矢か。雪さんは出かけてるのか?」
アリスの時と同じ反応だ。
庄一は、出迎えたのが雪さんじゃなかったことがお気に召さなかったらしい。
「いや、雪さんは…」
「なぁに、お買い物?」
花梨も似たようなものか。
アリスのときの二の舞はごめんだ。
それに、いざと言う時のためにも、この二人には正直に話した方がいいだろう。
僕は今の状況を二人に説明した。当然二人は半信半疑だったが、
実際に雪さんに会ってみれば判るだろう。この二人も幼なじみなのだから。
二人を居間に通すと、僕は雪ちゃんを呼んできた。
雪ちゃんは、やはり不安なのか、僕の背中に隠れるようにして二人を見ている。
二人は二人で、日ごろの雪さんとはかけ離れた様子に顔を見合わせるばかりだ。
「このお兄ちゃんとお姉ちゃん誰?」
恐る恐るといった感じの雪ちゃん。
「二人の顔をよーく見てごらん? わかるはずだよ?」
「お、おい、マジかよ?」
「うっそー、信じられない… ちょっと、透矢。キミなんで落ち着いてられるの?」
さすがに驚いたみたいだ。
「あー、わかった! 庄ちゃんと花梨ちゃんだ」
「はい、よくできました」
さすがに4日もたてば、子供の扱いにも慣れてきた。
唖然とする二人を尻目に、僕は雪ちゃんをいつも通り膝に抱き上げる。
「おにいちゃーん」
さっそく甘える雪ちゃん。
278琴乃宮雪、10歳 その16:03/02/17 00:33 ID:3UQZo/hZ
「……」
「……」
冷たい視線を感じて前を見ると、
「透矢、キミねぇ…」
「透矢! おまえ、なんてうらやましい…ぐはっ」
バキッと言う音とともに庄一が突っ伏した。
「あーもう、どうして私のまわりの男ってこうなんだろう」
庄一を沈めた拳をさすりながらため息を吐く花梨。その視線を再び僕に向けると、
「それで、状況はわかったけど、『おにいちゃん』はどうするつもり?」
「花梨もそんなにいじめないでよ。
えーと、この本によると、長くても1週間で治るそうだし、
遅くともあと3日もすれば治ると思う」
「じゃあキミはこのままあと3日、そのおままごとじみた夫婦生活を楽しむわけね」
ガバッ
「じゃあボクも花梨ママとおままごと…ごふっ」
庄一、復活するもあえなく沈没。僕が合掌すると、雪ちゃんも真似して手を合わせた。
いや、かわいらしいんだけど、花梨の視線が痛かった。
「まあいまさらキミが兄妹プレイを楽しんだところで、私は驚かないけど…」
いや、それ、既にアリスにも言われてるし
「この状態の雪を相手に妙な気起こさないようにね」
「…このやつれた顔を見て、判断してくれるとありがたいけど」
「ま、まあ、雪ちゃんの大好きな透矢ちゃんなら、大丈夫じゃない?」
「うん! 雪、おにいちゃん、だーい好き」
「……」
「……」
279琴乃宮雪、10歳 その17:03/02/17 00:35 ID:3UQZo/hZ
その後もさんざん甘えてくる雪ちゃんと、
――どうも花梨に対して焼餅を焼いてるみたいだ――
それをあやす僕の様子に毒気を抜かれた二人は、
からかう気力もそがれたように見えた。
最後には、旧友との再会を楽しむように、思い出話に花を咲かせていた。
残念ながら、記憶の無い僕はついて行けなかったけど、
僕に教えるように話してくれたので、楽しむことはできた。
帰り際に庄一がニヤニヤして僕をからかってくれたが…
「襲うなよ?」
「子供相手にどうしろと…」
「10歳か、確かに俺達からすれば子供だけど、女の子はわからないぞ」
ドカッ
「ぐふっ」
花梨にしばき倒される庄一。懲りないなぁ
「透矢、キミもこの馬鹿の言うことを真に受けるんじゃないの!」
念のために言っとくけど、と花梨。
「それと、何か困ったことがあったら、
遠慮なんかしないで、すぐに連絡するの! わかった?」
ああ、なんだかんだ言っても、花梨もやっぱり優しい子なんだよなぁ
「うん、それは是非お願いするよ」
「わかればよろしい」
そう言うと花梨は、まだ転がってる庄一を引きずって帰っていった。
庄一は引きずられながら
「じゃーなー」
と手を振ってくれたが、
「気がついたなら自分で歩け!」
と、花梨に蹴り飛ばされていた。
280琴乃宮雪、10歳 その18:03/02/17 00:36 ID:3UQZo/hZ
最大の事件はその翌日に起こった。
夕方、お風呂の準備をしていると、突然雪ちゃんが
「おにいちゃん、雪、おなかが痛い…」
「えっ? どこがどんな風に痛いの?」
「ここ……」
雪ちゃんは下腹部を押さえてみせる。冷えたのだろうか?
変なものは食べていないはずだ。
しかし困った。場所からして、盲腸とかではなさそうだったが、
雪ちゃんは薬が駄目な体質だ。
可哀想だけど、寝かしてさすってあげるくらいしかできそうにない。
ところが……
「雪、お股がムズムズする」
「へっ?」
我ながら間抜けな声が出てしまった。
「お腹が痛いんじゃないの?」
「おなかも痛いけど、お股も変なの」
「……」
どういう症状なんだろう? お股って、股間のことかな?
お腹が痛くて股間がムズムズするって…
尿道炎とか膀胱炎という単語がよぎったが、そうだとしてもどうすることもできない。
最悪、薬が全く駄目な体質であることを話した上で医者にみせるしかないだろう。
くそっ、こんな時こそ元医者の父さんがいてくれたら…
「おにいちゃん」
「ん?」
「おにいちゃん見てみて。雪、変になってない?」
そう言うと、スカートを捲り上げる雪ちゃん。
「ゆ、雪ちゃん!」
白いショーツが目に入る。視線を逸らそうとしたとき、それに気がついた。
股間の赤い染みに……
「あ……」
281琴乃宮雪、10歳 その19:03/02/17 00:37 ID:3UQZo/hZ
それは、女の子で雪さんぐらいの年頃なら、「妊娠」でもしていない限り
当たり前の現象だった。僕は思わずへたり込んでしまった。
「おにいちゃん?」
その様子に不安そうな雪ちゃん。
「雪ちゃん、よく聞いてね。それはね、別に病気じゃないんだよ」
実際の雪ちゃんの時はどうしたのだろうと思いながら、ゆっくりと
女の子特有の現象について説明することにした。
すると、雪ちゃんは一応知識としては知っていたようで、すぐに理解してくれた。
まあ、10歳くらいなら知識だけはあるか……
しかし、手当ての方法はさすがに知らないみたいだ。当然僕もわからない。
雪さんの部屋を探せば、生理用品はみつかるのかもしれないけど、
使い方は判らない。こんな時こそ、花梨に頼るのが正しいのかもしれない。
でも、さすがに気が退ける…… 僕が悩んでいると、
「おにいちゃん、雪、お股が気持ち悪いよぉ」
初日は多くないと聞いていたが、それでも下着に染み出すほどだから、
よほど我慢していたのだろう。気持ち悪いのも当然かもしれない。
ぐすぐすとべそをかく雪ちゃん。とにかく応急処置して、それから悩もう。
僕は、急いで救急箱から脱脂綿とガーゼを用意すると、
まず雪ちゃんをお風呂に入れることにした。
下着を脱がしてみると、べっとりと汚れている。
これはもう処分するしかないんだろうなぁ、きっと…

僕は、雪ちゃんを浴槽にもたれるように座らせると、脚を開かせた。
雪さんと結ばれた僕にとって、そこは見慣れた場所なのに、
妙に新鮮な気分になったが、今はきれいにしてあげないと。
「じゃあ、きれいに洗うから、じっとしててね」
そう言うと、ゆっくりとシャワーをあて始める。最初は外側から。
雪さんの性器は、普通はあるはずの飾り毛が無いため、その点は楽だった。
太もも、性器の膨らみをシャワーで流すと、そっとその合わせ目を割り開いた。
282琴乃宮雪、10歳 その20:03/02/17 00:38 ID:3UQZo/hZ
なるべく妙な刺激を与えないように気を付けながら、痛くないように
指で優しく洗って行く。しかし、それは結局愛撫に等しい行為でしかない。
「ん…ふぅ…く、ん…」
僕の指が微妙に動く度に、悩ましい声を出す雪ちゃん。
これは、早々に終わらせないと、変なことになってしまいそうだ。
少し乱暴かもしれないけど、シャワーを直接当てて、指で掻きまわす。
「あっ…くぅ…んん」
開かせた脚をきゅっと閉じようとする。
気のせいか、指にぬるぬるするものが感じられた。
気にしちゃいけない! 気にしたら負けだ。
僕は終わらせるつもりで、手を退こうとした。
しかし、雪ちゃんはその手を掴んで離さなかった。
それどころか、僕の手をそのまま股間に押し当て、続きをせがんできた。
「おにいちゃぁん…もっとぉ」
僕を見つめる目。いつかの夢で見たあの目だ!
「駄目! きれいになったからおしまい!」
「やだぁ、おにいちゃん、もっとしてぇ」
そう言うと雪ちゃんは、僕にのしかかって来た。
元々屈み込んでいた僕は、あっさりと押し倒されてしまった。
雪ちゃんは、しかしどうしていいかわからないらしく、ただしがみついてくる。
「おにいちゃぁん、雪、雪… からだが熱いよぉ」
「駄目だよ! 雪ちゃん、君の相手はおにいちゃんじゃない!
いずれ透矢ちゃんと結ばれる日が来るから、それまで我慢して!」
「でも、でもぉ…」
不満そうな雪ちゃん。興奮が治まらないようだ。しかたがない……
「わかったから、でも最後まではしないからね……」
僕は、優しく愛撫を始める。とにかく雪ちゃんを満足させるしかない。
そうしないと、また襲われそうな気がする。雪ちゃんの身体は雪さんなのだから、
そのこと自体は問題無いだろうし、例え愛撫だけとはいえ、
性技をほどこすなら同じことなのかもしれない。だが、これは気持ちの問題だ。
283琴乃宮雪、10歳 その21:03/02/17 00:39 ID:3UQZo/hZ
愛撫だけで雪ちゃんを満足させることは可能だろう。
雪さんの弱点はわかっているつもりだ。
なにより、今の雪ちゃんは感じやすくなっているはずだ。
ちゅっ
僕は軽くキスをする。子供の雪ちゃんにディープなキスは驚かせるだけだろう。
そのまま顎から首筋、耳たぶにキスをする。
「ん…くん…」
子犬のような声を出す雪ちゃん。僕は更に首筋から下がっていく。
その間、手もお腹から脇、腰を通って腿の外側まで何度も往復させて撫でてみる。
「あ…ん…くっ、くっ」
胸の膨らみを、裾の方からゆっくりと舐め上げる。乳首の手前、乳輪を一周して、
そのまま反対側の裾まで舐め下ろす。
「っ、っぁ、はぁぁ」
雪ちゃんはもどかしげに胸を僕に押し付けようとする。でもそうはさせない。
今はまだ焦らすべきだ。そのまま彼女の腕を上げさせると、敏感な脇に舌を這わせる。
「ひっ…」
あわてて腕を締めようとするが、僕はかまわず脇から再び乳房に取りかかった。
「あっ…あっ」
今度こそ堅くなった乳首を含み、舌で転がす。
「あぁぁ…!き、気持ちいいよぉ」
もう片方の乳首も指でつまむ。口ではちゅっちゅっと何度も吸っては離しを繰り返す。
「っく…おに…ち…ぁん」
僕の頭を抱え、胸に押し付ける雪ちゃん。頭の動きを封じられた僕は、
手だけで乳房を揉みしだき、乳首を転がす。
「っ…っぁぁぁ…」
もじもじと腰が動き、太腿が擦り合わされる。僕は乳房を揉んでいた手を、
次第に下腹部へと撫で下ろしていく。すべすべとした、柔らかなお腹の感触を
確かめるように、何度も往復させて、お臍の周りを指先で擽る。
「あ、ああ…おにぃ…んん!」
ぴくぴくとお腹が震える。僕は、身を起こそうとする。
284琴乃宮雪、10歳 その22:03/02/17 00:42 ID:3UQZo/hZ
「や…ん…」
一瞬頭を抱きしめる腕に力が入り、離すまいとするが、少し強引に身を起こした。
「はぁ…はぁ…」
荒い息、上下する胸。僕はそのまま下半身に取りつくと、雪ちゃんの脚を広げた。
その間に身を割り込ませる。両膝を肩に担ぎあげると、ゆっくりと左右の内腿に
キスをし、舐めまわす。腰から回した両手で、鼠蹊部を擽るように刺激する。
「んぅ、っふ、おにい…ちぁ…ん」
太腿が僕の身体を締め付ける。僕は、雪ちゃんの両膝を前に押しやる。
丁度赤ちゃんのおしめをする格好だ。雪ちゃんの性器から、その下のひっそりとした
すぼまりまでが剥き出しになる。扇情的な眺めだった。
僕は、両方の肘で雪ちゃんの腿を押さえ込むと、親指でそっと合わせ目を押し開く。
「あ、あん…」
そこは既にねっとりとした蜜で潤っていた。いつもの甘酸っぱいような香りも濃厚に
漂っている。心配していた生理の出血は、不思議と見られなかった。
一番敏感なところも、包皮から顔を覗かせている。
かなり興奮している証拠だ。でも雪さんの弱点はそこだけじゃない。
僕は一旦、蜜を啜り飲むように、全体に口付ける。
「ひっ…」
ぴくっと、雪ちゃんの腰が跳ねる。くちゅくちゅと膣口を舐めまわし、
敏感な突起の手前から、後ろの窄まりまでを往復する。
気のせいか、やはりいつもより鉄臭い味がするみたいだ。
「っぁぁ…ぁ…」
ひくひくと膣口と肛門が収縮する。
僕自身を欲しがっているのは判るけど、それはしないと決めている。
「おにいちゃん…おにいちゃん…」
うわごとのように繰り返す雪ちゃん。そっと敏感な突起を口に含む。
舌の先で先端を軽く突つくと、唇で根元を刺激する。
「ひぁぁぁぁ」
腰が大きく跳ね上がる。がっしりと押さえ込んで突起への刺激を続ける。
後から後から蜜が溢れてくる。僕の顎はもうべたべたになっている。
285琴乃宮雪、10歳 その23:03/02/17 00:43 ID:3UQZo/hZ
その蜜を指に塗りたくると、柔らかいびらびらと、ふっくらとした外側の肉の間
を両側から撫で始める。ここも雪さんの弱点のひとつだ。
「はぁ…っぁ…く…んんん…」
息も絶え絶えといった感じになってきた。もうすぐだろう。
僕は、人差し指を膣口に挿入すると、お腹側の壁を擦るように抽送する。
「あっ、あっ、おに…ちゃ…気持ち…い…ひっ」
そろそろいかせてあげよう。人差し指を膣口から抜くと、代わりに親指を挿入する。
そして、愛液でぬるぬるの人差し指をゆっくりと肛門に挿入していく。
ここも雪さんの弱点だ。
「はぁ…っぁ…ぁぁぁ…おに…ちゃん…おしり…く…ぅん…」
雪ちゃんは自分で乳房を握り締めている。二穴に挿入した指を抽送する。きゅううっと
締めつけてくる。指の股を会陰にぶつけるように抽送する。やがて、きつい締め付けに
動かしにくくなってくる。ぐっと指を奥まで挿入すると、
会陰をはさむようにして膣と直腸の間を指で擦り合わせる。同時に舌で刺激しながら、
膣前庭から突起までを口全体で吸い上げる。
「お、おに…ちゃ…っひ…ぁぁぁぁぁあっ!」
雪ちゃんは身体を仰け反らせると、ぴくぴくと全身を痙攣させた。
そのとき、口の中に暖かい液体が勢いよく流れこんできた。
ああ、あれか…… 僕が顔を離すと、ちょろちょろと…黄金色の液体が溢れてきた。
痙攣と、お漏らしがおさまるのを待って、ゆっくりと指を引き抜いた。抜ける瞬間に、
ぴくんと身体が跳ねたのを最後に、雪ちゃんはぐったりとしてしまった。
僕は、雪ちゃんが回復するまで、ぎゅっと抱き締めて、髪を撫で続けた……

その後、結局生理の手当ては花梨にお願いすることにした。
「しょうがないなぁ、こんなときは恥ずかしがらずに、もっと早く連絡しなさいって」
そう言いながらも雪ちゃんの手当てを済ませると、元に戻るまで泊まろうか?
という花梨だったが、あの状態の雪ちゃんを見られるのは不味いと思ったので、
それは断ることにした。
しかし、まさか生理が終わるまで発情してるなんてことは無いだろうなぁ……
念のため、今夜からは別々に寝た方がいいかもしれない。
286琴乃宮雪、10歳 その24:03/02/17 00:44 ID:3UQZo/hZ
だが、その心配は杞憂に終わった。
その夜、ずいぶん早い時間だったが、突然雪ちゃんは眠いと言い出した。
そして僕の手を取ると、少し強引にベッドに連れて行った。
「お願い、雪と一緒に寝て」
「襲わない?」
「そんなことしないもん」
そう言って僕に抱きつくと、目を閉じる雪ちゃん。何か不安なのだろうか?
「雪ちゃん?」
僕は、心配になって声をかけてみた。雪ちゃんは眠そうに目を開けると呟くように
「おに…ちゃん…あり…がと、バイ…バイ……」
それが最後に耳にした雪ちゃんの声だった……

雪ちゃんが雪さんに戻って1週間が過ぎた。
あの時無理にでも一緒に寝たがったのは、今にして思えば、
タイムリミットに雪ちゃん自身気がついていたのだろう。
やんちゃで、ずいぶんと手を焼かされたけど、今となっては懐かしく思う。
もちろん、あれは過去の人格で、今ここにいて良いわけではないけれど…
少しの寂しさと、暖かさを残して、彼女は過去へと帰って行った。
そう思うことにしよう。
あれから僕の周りで、特に変わったことは何も起こらなかった。
ただ、困ったことに、花梨やアリスをはじめ、みんなが
「おにいちゃん」
と言ってからかってくるのだ。鈴蘭ちゃんだけは違和感がなかったけど…
さすがに庄一に言われた時は、お互いにげんなりしてしまった。

でも、雪ちゃん、かわいかったなぁ。
僕は子供の頃のことをまだ思い出せずにいるから、
よくわからないけど、あんな感じだったのかなぁ
身近な年少三人組と比べてみたりもしたけれど、そのいずれとも違うと思う。
僕に歳の離れた妹がいたら、あんな風だったかもしれないな……
287琴乃宮雪、10歳 その25:03/02/17 00:45 ID:3UQZo/hZ
いろいろ大変だったけど、また会えるものなら会ってみたい気もする。
もっとも、その女の子が素敵に成長したのが、今の雪さんなわけだから…
ときおり見せる、いたずらな微笑みに、その面影を見て取ることはできる。
今だってほら…
「寂しそうなお顔をなさって、どうされたのですか?」
「いや、別に寂しいわけじゃないんだけど」
「雪ちゃん…ですか?」
この人に隠し事はできそうにない。
「はは、かわいかったからね。改めて雪さんに惚れ直したかも」
「まあ、ふふふ、ありがとうございます」
「ところで雪さんは、雪ちゃんだったときのこと、覚えて……」
「ふふ、透矢さんはどう思われますか?」
「わからないけど、忘れていて欲しいかなぁ」
「あら、どうしてですか?」
「だって…」
あのおにいちゃんもどきは、恥ずかしすぎるよ…とは、言えない。
「ふふ、透矢さん、お顔が真っ赤ですよ?」
結局ばれてるみたいだし…
本当に覚えていないのだろうか? 雪さんは相変わらずにこにこしている。
「ふふ、大丈夫ですよ」
「?」
「雪、透矢さんの嫌がることはしませんから…それに」
「それに?」
雪さんは胸に手を当てて
「『雪ちゃん』は今でもここにいますよ?
透矢さんに、優しくしていただいて、今の雪がいるのですから。
覚えていてもいなくても、そのことに変わりはありませんよ」
にっこり
「…そっか…そうだよね」
288琴乃宮雪、10歳 その26:03/02/17 00:47 ID:3UQZo/hZ
ほら、いつもの何か企んでる顔だ。こんなとき、雪ちゃんの面影を感じる。
のってみるのも面白いかな?
「ふふふ、悩みは消えましたか?」
「うん、おかげさまで」
「ふふ、でしたら、お食事の前にお風呂にお入りください。丁度良い湯加減ですよ」
「ありがとう」
「それとも…」
「?」
「『一緒に入る? おにいちゃん!』」
「!」
くすくすと笑う雪さん。
いたずらに成功したその顔は、まさしく雪ちゃんそのものだった。

僕はふと考える。いつかまた、あの雪ちゃんに会えるんじゃないかと。
近い将来、雪さんの生んでくれる娘は、きっと母親に似て、かわいくて、やんちゃで、
甘えん坊の寂しがり屋に違いないのだから……

おしまい
289砂糖まみれ:03/02/17 00:49 ID:3UQZo/hZ
>>263-288
みたび水月の雪さんで書いてみました。
というか、前回に続いて雪ちゃんネタですね。
調子に乗って書いてるうちに、だいぶ長くなってしまいました。
長文で読みにくくてすみません。
また、こんなの雪さんじゃないやいとおっしゃる方には申し訳無かったです。
今回はちょっとだけえちしーんも入れてみました。
かなり特殊な状況です。
某アニメみたいなネタになってしまいましたが、
そっちは見ていないので、はたしてどうでしょうか…
なお、水月をお持ちの方は、今回と前回(>>210-219)のは、
落書帖の24ページ左下や26ページ、96ページなどをご覧いただくと、
よりいっそうおいしくお召し上がりいただけるかと存じます。
お目汚し、失礼しますた。
290名無しさん@初回限定:03/02/17 01:42 ID:yV9rGfBL
雪ちゃん(;´Д`)ハァハァ
291名無しさん@初回限定:03/02/17 05:43 ID:hm6Npn0V
雪たん(;´Д`)ハァハァウッ
ウガァァァ━━⊂⌒~⊃。Д。)⊃━⊂⌒O。Д。)⊃━O(。Д。)O━⊂(。Д。O⌒⊃━⊂(。Д。⊂~⌒⊃━━!!!!!
おのれとおやぁぁぁ
292名無しさん@初回限定:03/02/17 09:14 ID:ITxdR67A
ゲハァ(吐血AA略
相変わらずすげえ萌え仕事っぷりだよ、>289
次はP95、中1辺りでおながいします
293名無しさん@初回限定:03/02/17 12:39 ID:sc/v0Uhs
いったい、このスレはどーなってしまうのだ!!
雪さんキタ−−−−−−!!!!
もとい、雪ちゃんキタ−−−−−−!!!!
微妙に切ないながらも、やはり甘あまな終わり・・・・
の人氏にも、勝るとも劣らないすばらしい出来ですた。
もっと自信を持っていいんじゃないですか?
295名無しさん@初回限定:03/02/17 21:32 ID:YTPJUZ52
あまりSSほめちゃくないが・・・・・・・これはいいものです。

との池たんも詰まらん民族者などしないでひたすら萌えすりゃ良かったな
296名無しさん@初回限定:03/02/17 22:14 ID:FHMAwquL
幸せすぎるー、透矢でよかった。
あぁ雪さん。
297あなたがそばにいる(1/9):03/02/17 23:16 ID:MI5oO4Mt
 その日の目覚めは、いつもと違っていた。

 頭に芯が通っていない。そんな感覚だった。
 枕から頭を離す、たったそれだけの動作さえ重く感じる。身体にまとわりつく
浮揚感と倦怠感は、それ以上の行動を億劫にさせるには十分だった。
 額に手をあてると、いつもより高い熱を帯びた手応えが返ってきた。上体を
こうして起こしているだけでも、体温が上昇している気がする。
 これは…やっぱり風邪だろうか?

 昨夜、新刊の文庫本に予想以上に没頭し、床についたのが1時過ぎになって
しまった。
 その間、暖房用の電気ストーブは点けっ放しの状態だった。スチーム機能のない、
古いタイプだったために部屋が乾燥してしまったのだろう。
 加えて、今日の朝は冷え込んでいる。このぶんだと明け方はもっと寒かったに
違いない。
 体調を崩す条件は十分に整っている。どうやら油断が過ぎたみたいだ。

 不調を圧して登校の準備をするか、それとも休んでしまおうか。微熱をともなった
頭で考えていると、穏やかな足音に続いてノックの音がした。
 ドアを開けるまでの所作で、僕にはその向こうの人影が判別できる。この動きは…
雪さんだろう。
 これが花梨だと違ってくる。勝手知ったる幼馴染の家。足音も高く部屋に直行、
ノックもそこそこに勢いよくドアをあけ、
「透矢〜、起きてる?学校行くよ、学校!」
と、朝から実に賑やかだ。
 少し考えて、僕はドアの向こうに「どうぞ」と呼びかけた。今の自分の状況を伝える
べき人がいるのは確かだ。
298あなたがそばにいる(2/9):03/02/17 23:17 ID:MI5oO4Mt
「おはようございます、透矢さん。朝です」
 案の定、ドアの後ろには雪さんの姿があった。
「ちょうどいまお目覚めのようですね…あら、顔色が…」
 いつもの見慣れた微笑みが気遣わしげな表情に変わる。
「あ…雪さん、おはよう。…うん、ちょっと今朝は体の調子がおかしいみたいなんだ」
 雪さんの前で今更嘘をついても仕方がない。下手に誤魔化そうとすれば、雪さんの
ことだ、すぐに見抜いてあれこれと世話を焼き、片時も離れないに違いない。
 なるべくなら雪さんの手はわずらわせたくはない。ここは隠さずに正直に話すのが
得策だろう。
「そう言えば…昨夜は遅くまで起きていらしたみたいですね。では、失礼して…」
 雪さんの顔が間に近づき、額と額が合わされた。整った目鼻。仄かな髪の香り。
そして、雪さんの息づかい。熱などなくても体温があがるように思えてしまう。
「だいぶ熱いですね。…今日はこのままお休みにしたほうがいいですよ?」
 熱いのはなにも体調の所為ばかりとも思えなかったが、無理をしてもなにもいい
ことはないのも事実なので、僕は雪さんの提案を素直に受け入れることにした。
「…うん。できるだけ今日はゆっくりして、少しでも回復させることにするよ」
「良かった…今の時期の風邪はこじらせると厄介ですから」
 心底ほっとしたような雪さんの顔がそこにあった。
「では、朝食の用意をさせていただきます。…もっとも、お身体がお身体ですので
軽めのものになりますけど」
 そう言って、雪さんは一旦部屋を離れた。

「ごちそうさまでした」
「はい、おそまつさまでした♪」
 いつもより量の少ない朝食をゆっくりと口に運び、僕は空の食器をトレイに置いた。
 その間も、雪さんの視線は僕のほうから離れなかった気がする。
「…どうしたの、雪さん?僕の顔に何かついてる?」
 思わず自分の口に手をやってみる。食べこぼしでもついているのかな?
「いえ、なにもついてはいませんよ。ただ…」
「…ただ?」
299あなたがそばにいる(3/9):03/02/17 23:18 ID:MI5oO4Mt
「こうして、ゆっくり透矢さんのお顔を見るのも久しぶりでしたもので」
「あ…」
 今までの自分の行動を思い返し、僕は雪さんに対して申し訳ない気分になった。
 自分と雪さんが顔を合わせて話をするのは、基本的に朝食時と帰宅後の短い時間
である。休日といえば、部活とかで家を空けることがほとんど。その間、雪さんは家で
待っている。
 雪さんにしてみれば、今日という日は僕の近くに居られる数少ないチャンスなのだろう。
風邪の看病という自由度の低い条件下ではあるけれど…

「雪さんは…」
「はい?」
 薬と水を載せたトレイを持って部屋に入ってきた雪さんに、僕は話しかけた。
「いつもそうやって、ひとりで家を管理してきたんだね」
「はい♪それが雪のつとめですから」
 弾んだ声が返ってきた。日常の仕事は少しも苦にならない、そんな印象の返事だった。
「でも、今日はそれに僕の看病が加わるから…」
「ふふっ、透矢さんはいつも優しいですね。大丈夫です。それくらいでへこたれるような
雪ではありません」
 雪さんは僕の言葉を遮り、笑顔とともにそう言った。
「透矢さんが雪を心配してくださるお気持ちは嬉しいのですが、雪はそれ以上に透矢さん
のお身体が心配です。家のことは雪に任せて、透矢さんはゆっくり休んでいてください。
花梨さんも透矢さんの回復を心待ちにされているはずです」
 …僕の身体は僕ひとりのものではない。雪さんの言葉を聞いていると、あらためて
それを実感させられる。
 朝、部屋の入口に佇んで僕のほうを見ていた花梨の顔が浮かぶ。今ごろは庄一や
和泉ちゃんにも僕のことが伝わっているだろう。彼らの心配の種を減らすためにも、
なるだけ早く体調をもとに戻さなければならない。
 雪さんが家事を片付けるために部屋を出るのを見届けた僕は、布団を肩の埋まる
位置までかぶり、少しでも眠っておくために目を閉じた。
 しかし…
300あなたがそばにいる(4/9):03/02/17 23:20 ID:MI5oO4Mt
 …眠れない。
 意識が眠りに移る手前で、身体の中から湧き上がるような熱がそれを妨げる。そんな
状態が正午近い現在まで繰り返されている。
 たまに瞼を開くと、天井やドア、果ては自分が寝ているベッドの足の側までも、異様に
遠くに見えてしまう。視覚がおかしくなっているのは、朝よりも病状が確実に進行している
証拠だろう。
 さらに高くなった体温が焦りを加速させる。大事を取って休んだのに却って風邪を悪化
させるなんて…
 こんな今の有様、到底雪さんには見せられそうにない。そう考えるそばから足音が
近づいてくる。
「透矢さん、もうすぐお昼です。お加減はいかがですか?」
 ノックの後に静かにドアが開けられ、モノトーンのメイド服に身を包んだ雪さんが
姿を現した。
「あ、雪さん。お昼ごはんは…」
 つとめて元気に話し掛けようとしたが、それがいけなかったらしい。喉から流れた声は
予想以上にかすれたものになっていた。
「…そのご様子ですと、あまりよろしくはないみたいですね」
 表情を曇らせて、雪さんが近づいてくる。その右手が枕の上の僕に額にあてがわれた。
「もうこんなに熱が…申し訳ございません。雪がついていながらこんなことになるなんて」
 雪さんの掌の感触が、いやにひんやりしたものになっている。それほどに高い熱が
出ているのだろう。
「雪さんは何も…」
 悪くはないんだ。僕はそう言おうとしたが、喉をついてとび出した咳のためにそれは
できなかった。
「無理にしゃべろうとなさる必要はありません。…でも、これでは食事も難しいですね」
 顔を俯かせ、雪さんは何かを考えていた。やがて、
301あなたがそばにいる(5/9):03/02/17 23:21 ID:MI5oO4Mt
「透矢さん、雪に少し時をいただけますか?」
 顔をあげ、雪さんが僕に問いかけた。
「う…うん。けど、どうしたの?何か思いついたって顔だけど」
 心なしか、雪さんの顔にかすかに笑みが浮かんでいるように見える。
「大丈夫です。すべて雪にお任せください」
 その時、僕に見せた微笑みは、いつもの雪さんのそれに戻っていた。

「透矢さん、入りますよ」
 この日、何度目かの雪さんの入室。両手で支えられたトレイには、朝と同じように薬と
水の入ったグラスが載せられている。
 いや、よく見ると薬の種類が朝と違っている。熱に冒された頭と目でもそれだけは
判別できた。
「…薬、朝と違うみたいだね」
「ええ。今度の薬はビタミン入りのものです。今の透矢さんにはこちらのほうが良いと
思って急遽お薬屋さんで買ってきました」
「そうだったんだ…わざわざありがとう」
「そんな…お礼なんて。他ならない透矢さんのためですから」
 雪さんが近づくのに合わせ、僕は上体を起こしかけた。
「あ…透矢さんはそのままお休みになっていてください。あとは雪が動きますから」
 起き上がるのを止めるかのように、雪さんの手が僕の肩に置かれる。今の身体では
押し通すのにも体力を消耗しそうに思えたので。僕は雪さんの言葉に従うことにした。
 雪さんが薬の箱を開け、ケースから錠剤を取り出す音が聞こえてくる。
「少し、お口を開いていただけますか?」
 言われたとおりにすると、そこに薬を摘んだ雪さんの細い指が近づいてきた。
 開かれた歯の間を指が通り、口腔に薬が入ってゆく。レモンの味がする薬だった。
「そのまま、じっとしていてくださいね。…絶対にですよ?雪からのお願いです」
 なぜか言葉の後半の口調は強いものだった。逆らうことが許されないように思えた。
302あなたがそばにいる(6/9):03/02/17 23:22 ID:MI5oO4Mt
 次は水だろう。口もとにグラスが運ばれてくるものと思い込み、ちらと雪さんのほうに
目を向けると、予想外の光景がそこに映った。
 雪さんが手にしたグラスを自分の口に持ってきている。雪さんが飲むのかと思ったが、
どうやらそうではないらしい。グラスの水を嚥下せずに口に含んでいる。
 そのままの状態で雪さんの顔が僕の枕もとに近づいてきた。そのとき、僕は、雪さんが
これから何をしようとしているのかを悟った。
 …口移しで僕に水を飲ませようとしている!
 驚いている間に、雪さんの左手が僕の後頭部にまわり、右手が頬を捉えた。あわてて
押し返そうにも、僕の右手はすでに雪さんの身体の下にある。どうやら抵抗は無意味な
ところまでやってきているらしい。
「ん…っ」
「…う!?」
 間近に雪さんの顔が迫り、僕の唇に甘く、柔らかい感触が覆い被さった。
唇同士が深く触れ合っている。戸惑いが消えないうちに、今度は温かく、湿った何かが
僕の唇をくぐった。
「ん…ふ……んんっ」
 冷たい液体が雪さんの舌を介して僕の口腔に流れ込んでくる。僕はそれを受け止め、
薬とともに喉に流し込んだ。
「……っ………ふ………んん………っふ……………はぁ」
 薬を飲み込んでからかなりの間があって、僕の唇はようやく雪さんから解放された。
 繋がっていた名残が、離されたふたつの唇の間で糸をひいている。それほどに長い間、
雪さんの舌は僕の口腔で踊っていたのだ。
「ゆ…雪さん…」
 陶然とした表情で人差し指と中指を唇にあてている雪さんに、僕は話しかけた。
 しかし、後の言葉が続かない。いつもの雪さんとはまったく違う面を見せられ、衝撃の
あまり言いたいこと、聞きたいことが言葉としてまとまらないでいる。
 ようやく僕の口から出たのは、
「あまり長くくっつけてると、うつっちゃうよ?」
 このひと言だけだった。
303あなたがそばにいる(7/9):03/02/17 23:23 ID:MI5oO4Mt
「透矢さんの風邪でしたら、雪は本望です」
 表情はそのままに、雪さんらしい答えを僕に返してきた。
 その瞳は、ずっと僕のほうを捉えている。いつの間にか、雪さんの右手が僕の右手を
上からそっと握っていた。
 繋がれている手から、なんとも言えない温もりが伝わってくる。気持ちがいい。
 …遠い昔、誰かから同じような温もりをもらっていたような気がする。

 高熱に締めつけられていた意識が雪さんのもたらす温もりによって解き放たれた
せいか、瞼が急に重くなったように感じる。
「なんだか、今ごろになって眠くなってきちゃったよ」
「存分にお休みください。それまで、雪はここでこうして透矢さんを見守っていますから」
 とても懐かしい感じのする雪さんの笑顔が、僕を迎えた。
 満ち足りた気分のなかで僕は目を閉じ…そのまま意識が溶けていった。

 深く、大きな温もりが、僕の身体を包んでいる。
 長い間、味わったことのないような安らぎのなかに僕はいた。
 この感触には、覚えがある。
 物心がついているかいないかのころ、感覚だけでこれを受け取っていた…
 持ち上げた右手が、誰かの掌に包まれる。柔らかくて、とても温かい。
 ………

 ようやく僕は、この温もりの持ち主を思い出した。
 ああ、あの人だ。僕は永く呼ぶことのなかったその名を呼ぶ…

「………!!」
304あなたがそばにいる(8/9):03/02/17 23:23 ID:MI5oO4Mt
 意識が反転する感覚が僕を捉えた。
 二度、三度と目を瞬かせ、自分が自室のベッドに体を横たえていることを認識する。
 さっきまで僕が見ていた光景が、夢の中のものであったことを自覚した。
 しかし、右手を包む温もりは目覚める前と変わらない。
 右手が眠りにつく前とまったく同じ状態なのだろう。
 そして、肘の辺りにも人肌の温もりを感じる。
 そこに目を向けると、雪さんの寝顔が最初に視野に入ってきた。僕を見守っている
と言ったときの、そのままの姿勢で眠っている。
 もちろん、服の上には何も羽織っていない。雪さんの用意した、薬缶つきのストーブ
だけでは、はっきり言って心もとない。それに、ディープキスという形で僕と接触している。
 何か上にかけられるものがないか、首だけを巡らせて探していると、僕の足のそばに
毛布が1枚たたんで置いてあった。
 これも雪さんが用意してくれたものだろうか?熱も退き、だいぶ軽くなった頭をすこし
起こして、左手だけでそっと毛布を雪さんの身体にかぶせた。
 雪さんが目を覚ます気配は感じられない。それを確かめた僕は、右手を繋いだまま
再び枕に頭を静めた。
 窓の外は、夕方特有の朱に染まっていた。

「ん…ううん」
 雪さんの頭が持ち上がり、瞼が二度、三度と上下した。
「あ…透矢さん。…雪は、ひょっとして…?」
「おめざめですか、雪さん?」
 僕の言葉に、雪さんはうろたえる様子を見せた。
「も…申し訳ございません。まさか、このまま眠ってしまうなんて…」
「謝らなくたっていいよ、雪さん。まだ眠っていても良かったのに…かわいい寝顔
だったよ、うん」
「…も、もう。雪をからかわないでください…あ」
 どうやら、毛布の存在に気付いたらしい。
「こ…この毛布は、透矢さんが?」
305あなたがそばにいる(9/9):03/02/17 23:25 ID:MI5oO4Mt
「うん。雪さん、寝ていたときに何も羽織っていなかったから…」
「ということは、この毛布は透矢さんの真心なのですね」
「そ、そんな大げさな…」
 いとおしげに毛布を手にする雪さん。もちろん、その間も右手は離れてはいない。
「あの…」
「なんだい、雪さん?」
「もう少し…もう少しだけ、こうして透矢さんの手に雪の手を重ねていてもよろしい
ですか?」
 僕の手に置かれた雪さんの手の力が、こころもち強くなった気がする。
「…構わないよ。いや、訂正。思っていることは僕も同じだよ。雪さんがそれを望む
なら、ずっとこうしていたっていい」
「そんな、そういうわけにはいきません。…でも、透矢さんのそのお気持ち、とても
嬉しいです。雪は…雪は今すごく幸せな気分です」
 その思いは僕も同じだった。同一の時間と温もりを共有するふたり。それはある意味、
男女の交わりにおける理想の姿に思える。

 この繋がれた手の温もりを忘れないでいられたなら、例え僕が僕でいられなくなる
時が訪れても、そして、二人が同じ世界にいられなくなっても、すべてを乗り越えて
また出会うことができるだろう。

あなたがそばにいる…

                                           (了)
306 ◆daMOTOpf1c :03/02/17 23:33 ID:MI5oO4Mt
>>297-305 『あなたがそばにいる』

はじめまして。某スレと某スレで電波を垂れ流している駄文書きです。

未プレイの状態で文を進めたことも手伝って、水月、そして雪さんのファンの
皆様には大変申し訳ない思いがいたしております。

乱文、まことに失礼いたしました。
307名無しさん@初回限定:03/02/18 08:23 ID:92vo1Uyq
おお、また新たな萌えSS職人が
この手のネタでは定番のあーんも欲しかった気もするが、良い仕事でした。
しかし、ここ最近の怒涛の萌え&抜き攻勢はどうなってるんだ。
いったい何が起きたんだ?
308名無しさん@初回限定:03/02/18 10:52 ID:ViAvKKwn
ざけんな、とぉぉぉぉやぁぁぁぁっ
よりによって雪さんの看病付きかよぉぉぉぉぉぉぉぉ〜
風邪ひいても一人寂しく寝てなきゃいけない人間の気持ちがわかるかぁぁぁぁぁぁ〜(;´д⊂)
309名無しさん@初回限定:03/02/19 00:04 ID:p6ZhZXHM
これがシンクロニシティ?
禿しくグッジョブ!!
透矢と雪さんの日常SS集めて、本作れそうだな・・・・
311ふたりの居場所 その1:03/02/22 05:43 ID:w83Dr6Rp
決して離してはいけない手を、離してしまった。
そんな焦燥感、そして喪失感。僕は……

「……というお話。変だよね?」
「あなたが変なのは元からだけど、確かに何かを暗示してるみたいな夢ね」
寝起きの悪いアリスは、ちょっと不機嫌そうだ。
「でも、話だけだと変な夢としか言えないわね… あなたの場合、
失われた記憶に関係あるのかもしれないけど、あんまり気にし過ぎないことね…」
そう言うと、彼女はその白い肌をくるむようにして、
まだ温もりの残るシーツに再び潜り込んでしまった。
――直に触れて温もりを感じることで居場所を感じるのよ――
という言葉を尊重して、アリスと暮らし始めてから僕達は、
いつも裸で抱き合って眠るようにしている。

「アリス、まだ寝るの?」
「いいじゃない、今日は休みなんだし。少しはのんびりさせて欲しいわ」
今度は幸せそうな顔をして、シーツにくるまってごろごろ。
こんなところは子供っぽくてかわいらしい。
などと言うと、また辛らつな反論が開始されるのは目に見えているけど。
「それに……」
「それに?」
アリスはいたずらな笑みを口元に浮かべて続けた。
「昨夜も、あなたがなかなか寝かせてくれなかったから、まだ眠いのよ」
「そ、そういうアリスだって……」
「私がなんですって?」
しがみついて離さなかったくせに……という言葉は言えなかった。
「……なんでもないです」
あっさりと白旗をあげることにした。こういうことでは、僕が負けるに決まってる。
312ふたりの居場所 その2:03/02/22 05:44 ID:w83Dr6Rp
僕はずいぶん前に、マリアちゃんから聞いた話を思い出した。
――おねえちゃんって、意外と寝起きが悪くてズボラなんですよ――
――起きるのが嫌だからって、変な理屈を並べたててゴネるんです――
――惰眠を貪るためなら努力を惜しまないって、なんか変ですよね――
――でも、寝起きのおねえちゃんって、見てるとかわいいんですよ――
もっとも、それを聞きとがめたアリスにきっちりと報復されてたっけ……
マリアちゃん、元気かな? そんなことを考えていると
「なにニヤニヤしてるのよ」
「え? あ、ごめんね、少し昔のことを思い出してたんだ」
「どうせろくなことじゃないわね、その顔は」
「はは、まあアリスのかわいいところを再確認していたって感じかな」
「なっ!」
絶句して、見る見る赤くなって行くアリスの顔。
「よくそんな台詞、恥ずかしげも無く言えるわね」
「アリスがかわいいのは本当のことだからね」
僕はシーツの中から見上げるアリスの頭を撫でながら言った。
「ちょ、ちょっと! 子供扱いしないでよ!」
「子供みたいだよ、今のアリスは」
僕がそう言うと、アリスは待ってましたとばかりに微笑んだ。
「じゃ、その子供にあんなことやこんなことをした誰かさんは、
やっぱり変態だったというわけね」
「なっ!」
今度は僕が絶句してしまった。してやったりといわんばかりのアリス。
「罰としてあなたも寝るの」
「え? でももう起きないと」
「いいからさっさとおとなしく私の抱き枕になりなさい」
そう言うとアリスは、僕に抱き着いてきた。
313ふたりの居場所 その3:03/02/22 05:45 ID:w83Dr6Rp
上体だけを起こしていた僕は、あっさりと引き倒されてしまった。
どうやらお姫様にとって、僕は貴重な暖房器具らしい。
アリスは、少しでも温もりを逃がすまいとするように、
僕にしがみつくと、胸に顔を摺り寄せた。
なんだ、つまりは甘えたかったということか。
相変わらず素直じゃないんだから……

アリスと一緒に暮らし始めて判ったことがある。
彼女は、思った以上に甘えん坊なところがあるようだ。
だけど、甘え方がよくわからないみたいで、
今みたいに、何か理屈をつけてから甘えてくることが多い。
僕はアリスの髪を撫でながら考える。
やはりマリアちゃんの姉として、しっかりしなければいけないという意識が、
彼女自身を束縛し、律してきたのだろう。
そう、彼女達はずいぶんと長い間、そうして二人きりで生きてきた。
だからこそ、今になってもまだ、その呪縛から逃れきっていないのではないだろうか?
僕は、僕にできる全てで、彼女をその呪縛から解放してあげられたら思う。
時折見せる無邪気な微笑み。それを僕は大事にしたいから……

「……また何かろくでもないこと考えてるみたいね」
僕の胸に頭を乗せたまま、不満そうな目をするアリス。
つい、考え込んでしまい、髪を撫でる手がおろそかになっていたようだ。
うかつに撫でると「子供扱い」と言って怒るくせに、やめると拗ねるんだから…
「せっかくかわいい女の子が甘えてるのに、
他のことを考えるなんて、どういうことかしら?」
「ごめんね、でも他のことじゃなくて、アリスのことを考えてたんだ」
「私のこと?」
「そう、……だけど…」
僕はアリスを抱き締めると、ごろんと仰向けになり、彼女の体を上に乗せた。
「ちょっと、何するのよ」
314ふたりの居場所 その4:03/02/22 05:46 ID:w83Dr6Rp
「やっぱりかわいい女の子が甘えてくれるんだから、精一杯お応えしなくちゃね」
「そ、そんなことしなくていいわよ!」
恥ずかしいのか、じたばたとあばれるアリスを、苦しくない程度にぎゅっと抱き締める。
「あん……も、もう…」
ようやくおとなしくなるアリス。僕の体にかかる心地よい重さ、そして温もり。
僕は、そのやわらかい体を抱き締めているうちに、いつしか背中を撫で始めていた。
なめらかな肌が、手のひらに心地良い。
僕に全てをあずけて、気持ち良さそうな顔をするアリスは、本当にかわいいと思う。
愛しさがこみ上げてくる。もっとこの子をかわいがりたい……
そんな気持ちとともに湧きあがってくるイタズラ心。
僕は、撫でた手をそのまま下の方ににおろして行く。
お尻の割れ目が始まる少し上、腰の窪みを指先で擽る。
「きゃっ!」
僕の上でアリスの体がピクッと跳ねる。
「もう! いきなりなにす…ぁむ…ぅー…んぅ!」
僕は、怒って文句を言い始めたアリスの唇を、僕自身のそれで塞いでしまった。
「ん〜、ん〜!」
暴れようとするアリスを抱き締めたまま、ごろっと横になる。
そうしてまんまとアリスの動きを封じておいて、本格的なキスを始める。
アリスは観念したみたいに目を閉じる。
ちゅっ、ぴちゃ…
湿った音がする。
「んぅ…」
僕は、アリスの唇を舌の先で擽る。
そしてそのまま割り開くと、彼女の口に侵入して行った。
「んむぅ…」
アリスもその気になってきたらしく、僕の首にしがみつく。
僕は、奥の方で縮こまっていた彼女の舌を捕らえると、絡み合わせた。
ぴちゃ、という音が激しくなる。
315ふたりの居場所 その5:03/02/22 05:55 ID:w83Dr6Rp
「んんん…」
柔らかな舌を味わい、頬の内側の粘膜を舐めまわし、彼女の口の中を一通り探検すると、
僕の舌は、溜まってきた彼女の甘い唾液を戦利品のように掬い取り、
自分の中に戻ってくる。
こくん
その甘い蜜を飲み下す。
「んんー!」
置き去りにされて慌てたかのように、今度はアリスの舌が僕の口の中に入ってきた。
そして、僕のまねをするように舌を絡め、舐めまわし、唾液を奪い去って行く。
追いかける僕の舌。それを飽きることなく、何度も繰り返す。
いつも思うけど、アリスはエッチそのものはすごく恥らうし、
なかなか積極的にはなれないみたいなのに、キスは大好きのようだ。
前に聞いてみたら、
「キスって特別だと思わない?
なんか、相手とひとつに溶け合うみたいな感じがするの」
と言ってたっけ。
舌の攻防を続けながら僕の手は、彼女の体を這い回る。
しなやかな背筋、柔らかな太腿。
いつしかキスに夢中になりはじめたアリスを、僕はもう一度僕の体に乗せる。
そうすることで、アリスの甘い唾液が僕の口に流れ込んで来る。
「んんっ」
アリスは、ずるい! とでも言いたげに、いっそう僕の口を舌で蹂躙する。
掻き回すような舌の動きに、合わさった唇の隙間から、
ちゃぷ、ぴちゃ…という淫らな音が漏れる。
彼女を乗せることで、かえって自由になった僕の両手は、背中を撫でまわし、
やがてふっくらとした、やわらかなお尻に到達する。
両手の平と指を使い、その合わせ目を割り広げるようにして、何度も揉みほぐす。
「んむぅ〜! んぅん…」
アリスは、腰をもじもじさせながらも、まだキスを続けてくる。
僕のいたずらな両手は、今度は片手で逃げられないようにお尻を押さえ込むと、
もう片方の指先で輪郭をなぞりながら、しだいに股間へと近づいて行く。
316ふたりの居場所 その6:03/02/22 05:57 ID:w83Dr6Rp
「んくぅ! やぁ!」
くすぐったかったのか、気持ち良かったのか、
おそらくはその両方がないまぜとなった感覚に、彼女はいきなり唇を離した。

「はぁ、はぁ…ちょ、ちょっと…朝っぱらからそこまでするの?」
長々としたキスのせいで、少し荒くなった呼吸の合間にそう言うと、
非難するように僕を見る。
「ん、でもね……」
僕の人差し指が、再びお尻と脚の境目をなぞり、彼女の股間に吸い込まれて行く。
「きゃっ!」
アリスは慌てて脚を閉じ合わせようとする。
しかし、元々僕の体に乗せられて、やや不安定なうえ、
そもそも交差でもさせない限り、女の子の股間は脚を閉じても隙間ができる。
まんまと僕の指先は、アリスの股間に滑り込む。
「やぁ…、ずるい…よぉ…」
「ほら、油断してると」
すっ、とその合わせ目をなぞるように動かしてみる。
「駄目ぇ…卑怯者ぉ…」
消え入りそうな声とともに、アリスは逃げようとして腰を動かすけど、
僕の手がしっかりと押さえ込んでいる。今度は脚がじたばたと暴れ始める。
だけど、そのためにかえってアリスの股間に押し当てられた僕の指は、
その合わせ目に潜り込んで行く。そして…
「ほら、ね?」
僕はその人差し指を抜くと、アリスの目の前で、
親指とくっつけたり離したりしてみせる。
「いやぁ!」
指の間にかかる銀の細い糸から、目をそらすように、顔を背ける。
「ち、違うのっ、馬鹿ぁ、いじわる!」
日頃は絶対に見せない慌て方だった。ちょっといじめすぎたか。
僕は、暴れるアリスを抱くと、もう一度ごろんと横になる。
317ふたりの居場所 その7:03/02/22 06:00 ID:w83Dr6Rp
「ごめんね、でも、あんまりかわいかったからね」
「馬鹿… ね、もう、しない?」
潤んだような目で見つめてくるアリス。どこまで本気で嫌がってるんだか……
アリスはさっきの感覚が残っているのか、もぞもぞと脚をすり合わせている。
「アリスが本気で嫌ならしないけど?」
僕が聞くと、彼女は顔を背けながら答えた。
「あなたって…こういうことになると…やっぱり意地悪だわ…」
そして、
「別に、嫌じゃ…ないから困ってるのに…」
拗ねたような声で続ける。
「はあ、なんだかうまく調教されちゃったみたいな気分だわ」
……調教というのには異論があるけど、どうやらお許しが出たようだ。
「それでは、お姫様のために、精一杯努めさせていただきます」
僕は、アリスの緊張をほぐすために、わざと剽げてみせた。

「もう、馬鹿なことばっかり…って、ちょっと! ん!…」
アリスの文句を尻目に、僕はいきなり彼女の乳首に吸い付いた。
「や…あ…くっ」
さっきまで、僕の胸に擦り付けられていたせいだろう。
ほとんどふくらみのない薄い胸で二箇所、
そこだけ『女の子』を主張するように堅くなった乳首。
僕はそれを味わうように舌で転がす。
「くぅ…んんん」
押し殺したような声がこぼれてくる。
いつものことだけど、アリスは恥ずかしがって、声を出すのを我慢している。
僕の手は、残った胸に伸びて行く。乳房と言うには、あまりに薄いふくらみを、
揉むと言うよりさわさわと指先で、裾から頂上へと撫でてみる。
「んー」
ぞくっとしたように、小さく震えるアリス。
318ふたりの居場所 その8:03/02/22 06:01 ID:w83Dr6Rp
常々アリスは、胸が小さいことを気にしているけど、
その為か、かえって敏感と言ってもいいそれを、僕は大切な宝物のように感じている。
そのことを伝えるかのように、舌で舐め、指と手のひらで優しく愛撫する。
「ふぅ…ん…くすぐったいよぉ…」
アリスが甘えたような声を出す。
「本当に? くすぐったいだけ?」
僕は、一旦唇を離すと、聞いてみた。
「…変態、知ってて言わせたいのね」
「大丈夫」
「? なにが大丈夫なのよ…」
「言わなくても判るさ。アリスの体は正直だからね」
「なによ、それ。私自身は素直じゃないみたいじゃない」
僕は、不満そうなアリスをそっと仰向けにする。
「さて、それはどうだろうね」
そう言いながら寝そべらせた彼女の脚を開かせて、体を割りこませる。
「え? や、やぁ、駄目ぇ!」
この突然の暴挙に、アリスは慌ててその脚を閉じようとする。
だけど、僕にがっちりと抱え込まれているため、果たせないでいる。
僕は、ゆっくりと目の前に息づく合わせ目を割り開いた。
「ひっ…」
にちっ、という音がして、鮮やかな色彩が現れる。
色白なせいなのか、若いからなのか、彼女のそこは、少しも色素の沈着が見られない。
きれいなピンク色をした柔肉が、あふれ出た蜜に濡れ光っている。
「アリスのここ、とってもきれいだよ」
毎度のように口にする言葉。だけどやっぱりアリスは、恥ずかしさが勝るみたいだ。
「ぅぅ、変態…見ないでよぉ」
彼女は顔を手で隠したままイヤイヤをする。
恥ずかしがらせるのはかわいそうだけど、幾度も肌を重ねてきた僕は知っている。
適度な羞恥心が、彼女自身を昂ぶらせていくということを。
僕は、そっとその場所に顔を寄せると、蜜を掬い取るように舌を差し向けた。
319ふたりの居場所 その9:03/02/22 06:11 ID:w83Dr6Rp
「あっ! っ…くぅ…ん…」
いきなりの刺激に、驚いて逃げようとする腰を押さえつけ、
僕は本格的にそこを舐め始める。
ちゃぷ、ぴちゃ、ちゅるっ、というキスの時よりも粘っこい感じの音が響く。
「や…ぅ…舐めちゃ…駄目ぇ…」
顔を隠していたはずの手が、
いつのまにか僕の頭をそこから離そうとするように押してくる。
しかし、その力は決して強くはない。僕は、更に舌を動かす。
「っ…ぁぁ…っん…ふ…」
相変わらず彼女は、声を出したがらない。しかし、かえってそれが僕の興奮をあおる。
とどまることなく溢れてくる蜜を啜り飲み、舌の先で敏感な突起をノックする。
「んっ! ぐ…っ…ん…ぅぅ」
僕の頭を引き剥がそうとしていたはずのアリスの手が、
いつしか逆に、そこに押し付けるような感じになっていた。
――そろそろかな?――
僕は、ゆっくりと顔を離していく。逃がすまいと押さえつけてくるアリスの手。
「や…ぁ…もっとぉ…」
呟くような小さな声。僕は、それを聞き逃さない。
もう一度顔を近づけると,安心したようにアリスの手の力が抜けるのが感じられた。
とろとろと滴る愛液。再び舌を伸ばそうとした僕は、何気なくその行方を目で追った。
「!」
閃くものがあった。
僕は両手の親指で、流れ落ちる愛液の行く先、お尻の合わせ目を開いてみる。
愛らしい窄まりが恥ずかしげな様子で現れる。
滴る愛液で、ぬるぬると濡れそぼち、呼吸に合わせるように収縮している。
僕はそこを、ちょん、と舌先でノックする。
「きゃあ!」
思いもよらない場所への突然の刺激に、アリスは悲鳴にも似た声をあげる。
僕はかまわず、そのまま舌を押し付けると、擽るように舐めまわす。
舌先を尖らせ、差し込もうとさえしてみた。
320ふたりの居場所 その10:03/02/22 06:14 ID:w83Dr6Rp
「駄目ぇ! 駄目よぉ…そこは…汚いからいやぁ…」
そう言いながらも、ますます愛液が溢れてくる。感じているのは間違いない。
でも、そろそろ止めてあげないと、気の毒だ。
それに、このままだと、羞恥心がせっかくの興奮を冷ましてしまうかもしれないし。
僕は、身を起こすと、はぁはぁと荒い息のアリスに囁く。
「アリス、いいかい?」
彼女はうっすらと目を開き、こくん、とうなずくと小さな声で、
しかしはっきりと応えてくれた。
「来て…透矢…」
僕は、自分のものに片手をそえると、彼女のそこにあてがった。
そして、ゆっくりと腰を進める。
「んっ…透矢…」
最近では慣れてきたとはいえ、本当に小さくて狭い。きゅっと締めつけてくる。
それでもようやく先端が奥まで届いたのを感じると、
馴染むまでしばらくそのままで待つことにする。
「ん…ねえ透矢…ぎゅっ、てしてみてよ」
「この態勢だと、辛くないかな? 僕の体重がかかることになるよ?」
「大丈夫だから…お願い…」
……そうは言っても、それはやっぱり苦しいだろう。
そう思った僕は、アリスの背中に手を回すと、両肘で体を支えるようにして、
ぎゅっと抱き締めた。僕の気遣いに気がついたアリスは、
「ありがと…でも、遠慮しなくてもいいわ。私もあなたの重さを感じたいの…」
と言ってくれた。
「うん、それじゃあ僕が疲れたらそうさせてもらうよ」
「そう? 無理しないでいいわよ?」
「…わかった。でも、アリスの方こそ、無理しないでね」
お互いに気遣い合う。でもそれは、決して遠慮なんかじゃない。
やがてアリスは耳元で囁いた。
「もう…平気…動いて…透矢…」
「うん」
321ふたりの居場所 その11:03/02/22 06:15 ID:w83Dr6Rp
僕は、ゆっくりと腰を動かし始める。
「ん…ん…」
一見苦しそうな声。だけど、そうじゃないことは判っている。
僕はだんだんと動きを速めて行く。
「ぁっ…く…ぁぁ…」
腰を引いて、入り口近くまで抜く。離すまいと絡みつく柔襞。
そのままずっ、と奥に進める。
僕の先端が、突き当たりにある、こりっとした部分にぶつかる。
「うぁっ…ぁぁ…透矢、とう…や…ぁぁ」
その繰り返しとともに、腰を回すようにする。くちゃくちゃと湿った音が響く。
彼女のそこは、たくさんの襞を絡みつかせ、柔らかいくせに信じられないくらいの
力で僕のものを締めつける。それは、大きな快感を与えてくれる。
そして、僕のものが彼女の中を掻きまわし、入り口をこすり、
奥にぶつかる度に彼女も昇り詰めて行く。やがてその時が近づいてきた。
「あっ、あっ…ん…透矢…ぎゅっ」
魔法の言葉。僕は彼女をぎゅっと抱き締めた。
「とお…や…ぁああ! っぁ…ぁぁああ!」
息がつまるほどしがみついてくるアリス。その脚が僕の腰に絡みつく。
アリスの中が、僕自身をきゅぅぅっと締めつけてくる。
「くっ!」
ドクン
僕は、たまらず迸りを解き放つ。
ドクン
それを一滴も逃すまいとするかのように、きゅっ、きゅっ、と締めつけてくる。
ドクン
続けざまに、アリスの中に撃ち込まれる僕の迸り。
ドクン
それに合わせるかのようにピクッ、ピクッと震えるアリス。
「ひっ…あっ…あ…」
同時にこぼれ出るかわいい声。
322ふたりの居場所 その12:03/02/22 06:16 ID:w83Dr6Rp
僕は驚くほどの量をアリスの中に注ぎ込みながら、ぎゅっと抱き締め続けた。
……やがて激情もおさまり、ゆっくりと腕をほどく。
アリスはまだ荒い呼吸をしている。
僕は、彼女が落ち着くまで、優しく背中を撫で続けていた。

…………
「…透矢の馬鹿…ケダモノ…」
ぐったりしたまま、文句を言うアリス。でも、その顔は怒ってはいない。
恥ずかしくて、ちょっと拗ねてるみたいだ。
「はは、ごめんね、さっきも言ったけど、
アリスがあんまりかわいかったから、つい、ね」
「もう、かわいいからって、『つい』でいちいち襲われてたんじゃ身がもたないわ」
「でも、アリスも最後は気持ち良さそうに、かわいい声出してたよ」
「へ、変なこと言わないでよぉ」
ああ、真っ赤になっちゃった。
「はは、だけど、今日はアレがなかったね」
「アレ?」
「お漏らし」
「! ば、馬鹿ぁ!」
枕が飛んできて、僕の顔に命中した。

…………
「誰かさんのおかげで疲れちゃったから、やっぱりもう少し寝ることにするわ」
「はは、ごめんね。でも、あんまり寝すぎると、夜眠れなくなっちゃうよ?」
「どうせ寝かせてくれないくせに……」
「アリスが嫌なら、そんなことはしないよ」
「うそばっかり…たった今、無理矢理したくせに……」
「……面目ない」
結局は合意だったとはいえ、無理矢理に近かったのは事実だったので、
素直に謝ってみた。
323ふたりの居場所 その13:03/02/22 06:27 ID:w83Dr6Rp
アリスは、どうせ今夜もおいしく食べられちゃうんだわ、とか、
本当にケダモノなんだから、とかぶつぶつ呟いている。
どうやら本格的に拗ねちゃったみたいだ。
でも、どことなくうれしそうな響きを含んでいるように聞こえるのは、
気のせいだろうか……
「ごめんね。だけど本当にアリスの嫌がることはしないから」
僕はアリスの頭を撫でながら言った。
「も、もう……別に…嫌じゃないわよ……」
「え?」
「な、何でもないの! お休み!」
誤魔化すように言うと、慌ててアリスは頭からシーツを被ってしまった。
そんな彼女の仕種がかわいくて、僕はもう一度シーツの上から頭を撫でてみる。
「お休みアリス。お昼には起こしてあげるから、ゆっくり寝てていいからね」
そう言って、ベッドから起き出すと、部屋を後にした。

…………
アリスとのひとときの余韻も治まり、僕は居間で本を読みながら、
コーヒーの香りを楽しんでいた。
本にも飽きた頃、ふともう一度、今朝の夢を思い出してみる。
あれは、誰だったのだろう。僕の手を握り、やさしくさすってくれたように思う。
そのひんやりとした、柔らかい手の感触が、まだ残っているような気がする。
アリスに聞いてみたけど、そんなことはしてないと言っていた。

その人がどんな顔をして、どんな声をしていたのかは覚えていない。
ただ、握られた手の感触と、その手を離してしまったこと。
その時、その人が悲しそうな顔をしたこと。
そして、不思議なことに、悲しそうな顔をしたその人から、
相反するはずの、穏やかな、安心したような感情が伝わってきたこと。
ただそれだけを覚えていた。
なぜだろうか? とても大事なことだったような気がする。
324ふたりの居場所 その14:03/02/22 06:28 ID:w83Dr6Rp
忘れてはいけないはずのこと。
手を離した時、とてつもない焦燥感、そして喪失感が僕を襲った。
ゆっくりと遠ざかって行くその人の姿。僕は手を伸ばそうとした……

その瞬間、僕は目を覚ました。気がつくと、僕の頬は涙に濡れていた。
ガバッと起きあがった拍子に、僕に抱き着いていたアリスも起こしてしまい、
僕の涙を見てびっくりした彼女に、夢の話をしてみたわけだけど。
アリスはもしかすると、僕のなくした記憶に関係あるのかも、と言っていた。
確かにその可能性は高いと思う。なにしろ、ほとんど何も覚えていないのだから。
でも、はたしてあの人は、僕の知っている人なのだろうか?
いや、知らない人を夢に見ることもあると聞いた気がする。
確か、そうだ。街ですれ違っただけの人、テレビで見たタレント…
様々に蓄えられた情報が、再構築されて夢の中に現れるとかいう。
あれは…入院してた時に、医者がそう言ってたっけ……

あれ? 入院? そういえば、あの時誰か、僕の世話をしてくれなかったか?
看護婦さん? いや、確かに職務に忠実な人だったけど……
花梨…ではないだろう。彼女との再会(?)は覚えている。
彼女はお見舞いに来てくれたけど、いちいち僕の世話を焼いたりはしていなかった。
アリス…なわけがない。アリスとは退院してから知り合ったのだから。
…? アリスと出会ったとき、僕は一人だったか?
誰かと一緒じゃなかったか? マリアちゃんのときは?
僕はぞっとしてきた。妙に記憶があいまいなのだ。
アリスを起こして確かめてみたくなった。でも、それも怖かった。
僕が誰かと一緒だったという答えが返ってきたりしたら……
ああ、さっきアリスが、気にし過ぎないようにと言ったのは、
もしかして、こうなることが判っていたからなのか……
それに気が付いたところで、僕の焦りと恐怖感は治まらなかった。
僕は、半ばひとりでパニックを起こしかけていたのだろう。
そのとき……
325ふたりの居場所 その15:03/02/22 06:31 ID:w83Dr6Rp
――心配ありませんよ――
誰かの声を聞いた気がした。大丈夫ですから、落ち着いてください、という声を。
と同時に、誰かに優しく抱き締められて、頭を撫でられているような感じがした。
気が付けば、先程までの焦りと怖さは消え去って、
僕は、心から安心した気持ちになっていた。
ああ、そうか、やっばり…さんだったんだ……
良かった。もう、なにも怖がることなんかないんだ……

…………
はっと、我に返った。
僕は、思わず周りを見まわしてみた。居眠りでもしてたのかな?
しかし、飲みかけのコーヒーは、まだ湯気を立てている。
ほんの一瞬だけ、意識を失っていたのかもしれない。
えっと、そういえば、何を考えていたんだっけ……
まあいいや、どうせ大したことではないだろう。
ふと時計を見ると、もうすぐお昼だった。
さて、そろそろ愛しの眠り姫を起こすとするか……

居間を出ようとした時、誰かの視線を感じた気がして、
僕は一度だけ振り向いてみた。
妙に人肌の温もりがあったような気がした。
だけど、そこには飲みかけのコーヒーと、読みさしの本があるだけだった。
僕は、そのままもう振り向くこともなく、
アリスを起こすために、僕達の部屋に向かって歩き出した。

…………
あの日から、どういう心境の変化があったのか、
不思議とアリスがベタベタと甘えてくるようになった。
そう、まるであのとき考えていた、長年の呪縛から解き放たれたかのように。
326ふたりの居場所 その16:03/02/22 06:38 ID:w83Dr6Rp
今日だって、洗濯物を干し終わったとたんに、あっさりと捕まって、
日向ぼっこと称するじゃれあいに持ちこまれている。
「アリス、なんだかマリアちゃんみたいに甘えてくれるようになったね」
「もう、私があの子と一緒だって言うの?」
そう言いながら、今だって僕の腕を抱きかかえて、肩にもたれかかっている。
ついさっきまでは、僕の膝の上で甘えていたわけで、その様子は、
かつてマリアちゃんが、お母さんの幻影に甘えていた時とそっくりだった。
それを指摘すると、顔を赤くして、俯いてしまう。
恥ずかしがり屋なところは相変わらずみたいだ。
やがて、アリスは僕を見つめて、何事かを語り出した。
「そう…言われてみればそうよね……でも、それはきっとあなたが変わったから」
「僕が? 変わった?」
「そうよ、あなた自身は気が付いてないみたいだけど」
突然自分が変わったと言われれば、やはり気になってしまう。
「いったい、僕の何が変わったの?」
「そうね、一言で言えば、呪縛から解き放たれたって感じかしら」
「!」
驚いた。さっき自分が彼女に感じていたのと、全く同じことを言われたのだから。
そんな僕を尻目に、アリスは話し続ける。
「ちょうど、あの、あなたが朝っぱらからケダモノになった日……
あの日を境に変わったような気がするのよ」
「……そうか、確かにアリスが甘え始めたのもあの日ぐらいからだったね」
「あなたが変わったから、きっと私も変わることができたのよね」
「まあ、どっちが先かはいまいちわからないけど」
「あら、わかるわよ? 確実に変わったのは、あなたが先」
アリスは、当然のように僕に告げた。僕はだまって聞くことにする。
「これは、初めて話すことだけど……
それまでは、どんなにあなたが優しく接してくれても、
あなたには、誰かの影を感じてたわ」
327ふたりの居場所 その17:03/02/22 06:49 ID:w83Dr6Rp
「? 誰かの影?」
ますますわからない。
「ええ、それは、あなたのお母様かもしれないわね。
男の人って、いつまでも母親の影を引きずるところがあるって言うし、
あなた、ロリコンのくせに、マザコンみたいなところもあるしね」
真剣な中にも、ちょっと意地悪な微笑。
「……」
「もちろん違うかもしれない。
でも、それが誰かなんて、わかったところであまり意味はないの」
僕は、黙って聞き続ける。
「大事なことは、あの日まであなたは、無意識に誰かの影響を受けていたということ。
そして、何故かあの日を最後に、あなたがその呪縛から解き放たれたということ」
なるほど、呪縛というのはそういうことか……
「そして…私にとっても大事なこと、
あなたがやっと本当に私の居場所になってくれた気がするのよ……」
「ああ、そういうことだったんだ……ごめんね、気が付かなくて」
「いいわ。こればかりは、どうこうできる話じゃないし……
それに、その人がいたからこそ、今の透矢がいるのだから、
寧ろ感謝すべきことだと思うわ」
「…そっか、そうだね」
「そうよ、でも、見方を変えると、あなたが呪縛から解放されたということは、
私もまた、あなたの居場所になれたっていうことなのかもしれないわね」
「それはいいことだと思うよ。お互いがお互いの居場所になれるって」
「そうね。でも、それより、もっと大事なのはこれから!」
「これから?」
「そう、これからは、今までの分を取り戻すつもりで甘えるから……
よろしくね、あ・な・た」
「うわ、いきなりなんてことを…」
「あら、いいじゃない。ねぇ、透矢ぁ、それよりまたぎゅっとしてよ」
そう言ってアリスは、僕に抱き着いてきた。
328ふたりの居場所 その18:03/02/22 06:50 ID:w83Dr6Rp
どうやら、真面目なお話の時間は終わりのようだ。
これからは甘えて楽しむ時間らしい。
それなら、僕もこれまでを取り戻す気でお付き合いすることにしよう。
僕はアリスを抱き締めた。
気が付くと、アリスは僕の胸の中で、何かお祈りめいたことを呟いている。

――そう、これで安心して、あなたに「私達」の全てをあずけることができるわ。
透矢を見守っていた誰かさん、これまで透矢のことを守ってくれてありがとう。
見えてるかしら? あなたのおかげて、今、私も透矢も幸せよ?
これからは、私達があなたの分までこの人を大切にしていくから、
あなたは安心してお休みなさいな。
願わくば、安らぎがあなたとともにありますように…――

抱き合う僕達の髪を撫でるように、優しく風が通りすぎていった……

おしまい
329砂糖まみれ:03/02/22 06:54 ID:w83Dr6Rp
>>311-328
水月で、また1本書いてみました。
今回はアリスです。やはりえちしーんも入れてみました。
って言うか、気が付くと半分近くがえちしーん……
えっと、アリスハッピーエンドのちょっと前くらいを想定してみました。
お目汚し失礼しますた。
330名無しさん@初回限定:03/02/22 19:05 ID:C02h6fQw
アリスタン(;´Д`)ハァハァ
アウウウ━━⊂⌒~⊃。Д。)⊃━⊂⌒O。Д。)⊃━O(。Д。)O━⊂(。Д。O⌒⊃━⊂(。Д。⊂~⌒⊃━━!!!!!
萌えるのは禿しく萌えたけど、その分透矢への殺意がふつふつと・・・
雪さんのみならずアリスにまであんなことやこんなことしやがって
331名無しさん@初回限定:03/02/23 00:46 ID:xdctO/EO
ほんとにすごい!砂糖まみれさんのSSはキラー!
332名無しさん@初回限定:03/02/23 02:32 ID:CV7zHqbU
マタマタ砂糖まみれ氏のSSキタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━!!!

この甘アマ度にはもう脱帽です
333名無さん@初回限定:03/02/23 23:45 ID:O/vyp1PG
今日ようやく水月コンプしたばかりなのですが・・・ハァハァハァハァハァハァ。
しかしできれば双子丼が良かったかも。

でもこれはこれで!
334名無しさん@初回限定:03/02/24 06:11 ID:Gnl+GdVO
ごふっ(吐血&鼻血)⊂⌒~⊃。Д。)⊃
まじすげーわこれ、きっと双子丼も書いてくれると信じてまつ。
335名無しさん@初回限定:03/02/26 04:11 ID:StTd+3DR
最近盛り上がってるねー!
別の話題だけど、家族計画のSSコンペをやろうって計画があるみたい。
家族計画書きの人で、競争!試しにやったるぜ!って人は
家族計画のSSリンク周辺に飛んでみそ。
336名無しさん@初回限定:03/03/01 11:18 ID:uw924+z9
hozen
337かりん(10さい) ◆KARINioLoE :03/03/03 21:57 ID:gNf7lYqX
ほしゅ
338名無しさん@初回限定:03/03/03 23:55 ID:hIj0hCWE
期待sage
339アリス。その1:03/03/06 07:28 ID:Uj6KocjZ
また、闇がおそってくる。
夜は嫌い。今の私にとっては苦痛でしかない闘いの時間だから。
みんな――私やマリアが眠った頃を見計らってふすまが開けられる。
そして、その隙間から、欲望という名の闇が入ってくる。
もちろん私は眠ってなんかいない。

「おやぁ?まだ寝ていないのかい。いけないね、子供は寝る時間だよ」
「眠るから出て行って」
「いやいや、眠るまで側で見ていてあげるよ。
なんと言っても私は君達の保護者だからねぇ……くくくっ」
薄汚い笑みを口元に張り付かせて男が言った。本っ当に薄汚い。
『保護者』という言葉を使えば私とマリアが抵抗できなくなるのを
知っていて使っているのだから。
「勝手にすればいいわ。私はまだ眠くないの」
もちろん嘘。
この家に引き取られてからというもの、安心して眠ったことなんて無い。
少しでも気を抜いたら直ぐに深い眠りについてしまうことはわかっていた。
だから、気を抜かない。
飢えた狼の目の前で眠ったらどうなるかなんて、想像するまでもないことだもの。
私だけだったら何とかできるかも知れない。
でも、私の傍らで安堵の眠りについてるマリアはどうなる?
冗談じゃないわ。
私はお母さんに約束したんだもの、マリアを守るって。
数時間―――今の私にとっては永遠に等しい時間なのだけれど、我慢比べの後に、
男は「ちっ」と舌打ちを残して、私達にあてがわれた寝室をあとにする。
それでも私は、男が再び戻ってくることがないように
警戒を解かずに暫くの間、睡魔と闘い続けなければならない。
これが、いつもの私の夜の過ごし方だった。
夜なんて嫌い…………。

340アリス。その2:03/03/06 07:30 ID:Uj6KocjZ
雨の夜、いつもと同じように男がふすまを開けた。
当然のように私も起きていた。
だけどいつもと違っていたのは、男から漂ってくるお酒の匂い。
私は、直感からいつもにも増して危険がせまっているのを察した。
でも、だからといって何か成す術があるわけでもない。
できることと言えば、せめて男を必要以上に刺激しないよう心がけるくらいだわ。

「おい、……寝ろよ」
「……まだ眠くないの」
いつものやりとりだけれども、それでも少し声のトーンを下げて
相手のテンションを落とそうと必死だった。……のに、
「ガキのくせにいつまで起きていやがる……やせ我慢もいい加減にしろよ」
「別に我慢なんてしていないわ」
つい反射的に返してしまった。しまった、と思った。
いつもだったら問題のない程度だけれど、今夜はまずい。そう思った刹那。
「口ごたえするな!」
男のややヒステリックな声が聞こえたと同時に、私の右の頬に痛みが走った。
瞬間、本当に一瞬だったと思うけれど、私の意識がとぎれてしまったらしい。
気が付いたときには男に組み敷かれていて、身動きがとれなくなっていた。
私のおなかの上に大きな体を乗せて、左手だけで私の両手首を抑え、
右手で私の口を塞いでいた。
男は、私の顔に自分の顔を近づけて、低い声で言った。
「いい気になるなよ……。まったく、しつけがなっちゃいねえな。
俺が直々にしつけ直してやるから感謝しろよ」
こうなってしまっては私だって、我慢して男の顔色を窺っている必要はない。
口を抑えられたままだけれど、逆に男に罵り返すことにした。
「しつけがなっていないのは、あなたの方じゃないかしら!?
いい年して、やっていいことと悪いことの区別もつかないなんて最低だわ」

341アリス。その3:03/03/06 07:31 ID:Uj6KocjZ
酒気を帯びてただでさえ赤かった男の顔が、ますます赤くなっていくのがわかった。
いい気味、と思う反面、どうやってこの局面を切り抜ければいいのか、
男が正気を失っているのと同様に、私にも冷静な思考力はあまり残っていないみたい。
取敢えずは動かせる足をばたつかせて見たけれど、
私の倍以上ある男の体を押しのけるなんて、出来るはずも無かった。
「暴れるんじゃない……お前、頭だけはいいんだから
そんなことしても無駄だってことくらい、わかってるだろう?」
さらに、まるで勝ち誇ったような笑みを浮かべて。
「聞き分け良くしてれば、悪いようにしないからさ……」

悪いようにしない、ですって?
あなたのしようとしていること自体が最悪中の最悪だって言うのに!!
信じられない。
そんなことも解からないなんて。
そして、そんなことも解からない奴に、手も足も出せない状況にされるなんて!!
悔しかった。
涙がこぼれそうになった。
でも、こんな奴の前で泣くなんて嫌。
私は、私を抑え付けてにやついている男の顔を下からにらみ返した。
「……まだそんな目をしていやがるのか。
本当にお仕置きされなきゃ、自分の立場ってものがわからないみたいだな」
そして、まだ少し痺れのようなものが残る私の頬にむかって
男の平手が飛んでくるのが見えた……。

342アリス。その4:03/03/06 07:33 ID:Uj6KocjZ
男は心底卑劣だった。
三度、四度と私を平手で打ちつけた後で、
それでも私が屈服しないのを見て取ると、こう耳打ちしてきた。
「どうしてもその反抗的な態度を改めないって言うんだったら、いいぜ。
でもなぁ、だったらその時には俺が何をするかわかるか?」
くくくっ……と、下品に笑って続けた。
「お前の両手両足を縛って、猿轡を噛ませて、逃げることも騒ぐことも
出来なくしてからなぁ、お前が一番大事にしてるものから壊してやる」
私が大事にしているもの……?
まさか……
「わかったか?そうだよ。そっちでぐっすりおねんねのお姫様だよ。
お前と違って、素直に言う事聞きそうだしな……ひっひっひっ」
「卑怯者……っ」
私は………………………抗うことをやめた。

男は、乱暴に私の身体を撫でまわしてきた。
パジャマの上を捲り上げて、まだ膨らんでもいない私の胸を揉みほぐそうとした。
大人の男と女が何をするのか、私だって少しは解かっているつもり。
もしかしたらこの男は、こうすれば私に快感をもたらすことが出来ると
勘違いしているのかも知れない。
そう考えると、男の行為はすごく滑稽に思えたのだけれど、
でも、そんなことされたって、私にはただ痛いだけだった。

343アリス。その5:03/03/06 07:43 ID:Uj6KocjZ
「ぺったんこなおっぱいだなぁ……んん?」
無抵抗になった私の顔をのぞきこんで男が言った。
余計なお世話だわ。
「俺がいっぱい揉んで大きくしてやるから安心しろよ。
これも教育の一環ってやつだな」
わざと私が苛立つような言葉を選んで口に出しているのはわかっている。
わかっているけれど、それでもむかつく!
だというのに、今の私にできることといったら、むかついているのを
男に悟られないように感情を表に出さないことだけだった。
「なんだ、だんまりかよ」
つまらなそうに舌打ちをすると、男は私の胸を弄る手に力を込めた。
「く……っ」
思わず声をあげてしまった。男が私の乳首を捻りあげたからだった。
私が苦痛の声を上げたことで男は、にやついた顔を更に歪ませて笑った。
「うひっひっひっ……」
耳障りな笑い声が室内に響く。また、涙がこぼれそうになった。
悔しかった。
悔しかった。
悔しかった。
男の間抜けた顔も、何も出来ない自分自身も。
「おやおや、痛かったかい。ごめんねぇ、でも、アリスが悪いんだよ。
もっと素直にしてれば、おじさんだって優しくしてあげるんだから……いいね」
そう言って男は、私に顔を近づけて、滲み出した涙を舌ですくった。
うう……気持ちわるい。
どうしようもない嫌悪感が私の中に渦巻いて、我慢できずに男を視界から消す為に
私は顔をそむけた。
そしてまた、「ぱぁん」という炸裂音と共に私の頬が痛みを伝えてきた……。

344アリス。その6:03/03/06 07:44 ID:Uj6KocjZ
なぜだろうか。
すでに私は、私の体がただの道具のように思えてきていた。
私にとっては私の意志を具現化するための道具。
といっても、今はちっとも思い通りにならないけれど。
そして、この男にとっては自分の欲望を吐き出すためだけの道具といったところね。
だから、痛み、なんてどうでもいいことに思えてしまった。

私がそんなことを考えている間にも、男は行為をエスカレートさせてくる。
マリアの存在を盾にとり、私が一切抵抗をやめたことを確信した今は、
男は自由に両手を使って私の身体をもてあそぶことができた。
私のパジャマのズボンを膝のあたりまで下げて、下着の上から私の股間をなぞる。
反射的にぴくんっ、と身体を震わせてしまったけれど、
別に気持ちいいわけでも何でもない。
だというのに、男は何を勘違いしたのか更に指先をとがらせて、
窪みの上のほうにある、ちょっとだけ敏感なところを刺激してきた。
私は、その男の指の刺激ではなくて、下着との摩擦でむず痒くなってきてしまった。
「おやぁ?」
案の定、男は下品た笑いを含んだ口調で私を辱めようとしてきた。
「なんだ?ガキのくせに気持ちよくなったのか?」
……本当にばかだわ、こいつ。
「どれどれ、どうなってるのかなぁ」
男が私のパンツをおろそうとして、腰を上げさせるためにぺちぺちと
軽く私のおしりを叩いてきた。
どうでもよくなってしまった私は、男が促すままにおしりをあげた。
唯一どうでもよくなかった事と言えば、私にも油断があったのかもしれないけれど
こんな日に限って、いかにも子供っぽい木綿のパンツを着けていたことだわ。

345アリス。その7:03/03/06 07:50 ID:Uj6KocjZ
男が私の股間に顔を埋めて、小さい肉の割れ目に舌を伸ばす。
ぴちゃ、ぴちゃ、とおそらくわざと音を立てて舐めまわしていた。
時折、そこに添えた指に力を加えて、割れ目を左右に拡げようとするのがわかった。
私の性器なんていくら掻き分けたって、そんなに拡がるわけがない。
なにが楽しいのかしら。
それでも男は嬉々として、私の股間を唾液でべとべとになるまで舐めまわし続けた。
男の舌が少し深く侵入することがあって、圧迫感が気持ち悪いこともあるけど、
一度どうでもいいと割り切ってしまったせいもあってか、
それ以外の感情は最早、沸いてこなくなっていた。

私が我慢すればいい。
夜が明けるのを待てばいい。
マリアを守れればいい。
大事なことは、ただそれだけだった。

男は、私の身体を持ち上げて、今度は四つん這いの体勢になるように指示して来た。
言われるままに私は肘を地面につけて、お尻を突き出すようなポーズを取った。
すると男は、お尻の両側の肉を開いて、そこ……お尻の穴にまで舌を伸ばしてきた。
……変態!
そこは、性器ですら無い排泄のための器官。
そんなところにまで興味を示すなんて、信じられない!!
「うう……っ」
せっかく割り切ったはずなのに、
またどうしようもない嫌悪感が込み上げてきてしまった。
男はかまわず、私のお尻の穴に、尖らせた舌を捻じ込もうとしていた。
「や……あぅ!」
ほんの一センチか二センチ程度だと思うけれど、腸の中に異物を差し込まれる
今までに経験の無い違和感のせいで、声を抑えることができなかった。
その時、ふすまが開いた。

346アリス。その8:03/03/06 07:53 ID:Uj6KocjZ
「あんたたち!何してるの!!!」
女の金切り声が響いた。
「あ……っ、あ、い、いや、その……こ、これは」
私を組み敷いていた男が慌てて私から離れた。
私は、瞬間的に思った。もうここにはいられない。
それからはほとんど無意識に近い行動だったかもしれない。
男を突き飛ばしてから寝ているマリアを起こして、こんな時のために準備してあった、
身の回りのものを詰め込んだ鞄を抱えて、家を飛び出した。
家の奥からは奇声とか怒声とかが聞こえてくるけれど、もう関係ない。
降りしきる雨の中、私はマリアの手を引いて無我夢中で走っていた。
マリアは、特別文句を言うでもなく私に引かれるままに付いてきた。
暗闇も雨も気にならなかった。
だって、昨日までの絶望的な暗闇と比べたら、何も恐くなかったから。
もっと早くこうすべきだったわね……。

空が白んじてきた頃、雨はやんでいた。
どこまで歩いてきたのかわからないけれど、
目の前に、どうやら今は使われていないらしい煤けた教会が見えた。
気持ちも落ち着いてきて眠くなっていたし、マリアだって、濡れたままに
しておくわけにはいかなかったので、今日はここで休むことにした。

これからどうしようかな。
もうあの家には戻れない。他に頼れる親戚なんて無い。
はぁ……ため息しかでないわ。
でも、マリアのためにも、私がしっかりしなくっちゃ。
とりあえず、今は眠りたい……。

……だけど、ここはどこかしら。
この町に教会なんて憶えがないのだけれど……。 おわり。


347 ◆daMOTOpf1c :03/03/06 09:33 ID:ij+r/9NL
>339-346
本編前のプレストーリー、だったのですね。
ハードな展開が、アリスの背負ってきたものの重さを感じさせます。
良い仕事でした♪
348名無しさん@初回限定:03/03/06 11:32 ID:HVjAYwDh
>>339
どきどきしましたよ。
読後感も悪くないです。
こういう本編フォローSSは好きです。
349名無しさん@初回限定:03/03/06 18:53 ID:XOaQ6LKo
>>339-346
ごちそうさまでした。
てっきり透也悪人モードかとハラハラしてしまいましたよ
350名無しさん@初回限定:03/03/07 12:17 ID:eqw7rWY9
よもやアリスで凌辱ものが読めるとは…!
オモシロカタヨ。
351名無しさん@初回限定:03/03/07 14:03 ID:IWSO7283
352名無しさん@初回限定:03/03/10 00:56 ID:YXThL6Xl
hoshu
353ヴェド話(1/2):03/03/12 19:13 ID:Ixjb7dxC
無事、ヴェドゴニアもクランクアップした後の温泉街のとある民宿。
打ち上げも兼ねて、ヴェドゴニア登場キャラ全員での宴が行われていた。
未成年かどうかはともかく酒もどんどん進んでの宴も酣(たけなわ)。
今回の目玉、登場キャラ達による一発芸も佳境へと入っていた。
「じゃあ、次は弥沙子(みさこ)の番ね」
司会役を勤めていた香織が、白柳弥沙子に声をかける。
数名からのおこる拍手。
「あっ!は、はいっ……」
一人ずつ芸をやる度に、あと何人で自分の番になるかと数えてた弥沙子。
ついにこの時が来たと、背筋をぴんと伸ばし小走りに前へと出てくる。
改めて宴会場にいる参加者の面々を見る。
リァノーンはともかく、ギーラッハ、ウピエル、ナハツェーラー。
そして、スタントマン兼やられ役だった多数のキメラヴァンプたち。
……明らかに人間の方が少ない宴会場はかなり異様な光景だった。
吸血鬼の芸の多くはやれ内臓を出しますとか、ナイフ投げで頭に命中とか。
はっきりいって人間の域を越えた芸で大いに沸いていた。
そんな中、普通の人間である弥沙子が芸をやっても満足してもらえるのか。
「あ、あのっ……実は……」
結局いい芸が思いつかずに、今もみんなの前でおどおどするだけだった。
「ほら、適当でいいからに何かやっちゃいな」
香織も横から、手助けというよりも司会の立場として急かしてくる。
弥沙子は追い詰められつつあった。
354ヴェド話(2/2):03/03/12 19:14 ID:Ixjb7dxC
そんな中、遂に弥沙子は顔を真っ赤にしながら意を決し大きな声で言った。
「あ、あのっ……じゃあ、メ、メガネを取りますっ!」
その台詞にピクッと反応を示す野郎共キャラが数名。
弥沙子にそう言われてみて、はたと気付く。
ファントム、鬼哭街、"Hello,World."と他もニトロ作品もかなり出たが、
攻略可能なキャラでメガネをしているキャラって弥沙子一人なのでは?
メガネっ子……
それは、近頃の野郎を騒がすキーワードの一つとして市民権を得た。
ある意味で、弥沙子は今のところ唯一の存在でもあった。
しかもエロゲーのお約束として普段は美人じゃないメガネキャラは、
メガネを取ると美人ってのは暗黙の了解となっている。
……ざわざわ……ざわざわ……
ちなみに某キャラの存在は恥ずかしがりな弥沙子からの要請もあり、
絡んだ関係者以外、つまり多くの人には同じ人物と知らされていない。
場内の野郎共の多くはメガネを取った弥沙子の顔に想いを馳せる。
顔を真っ赤にした弥沙子はおろおろとメガネと外す。
「おおっ!」
その歓声の直後、期待はすぐに落胆に変わる。
メガネを外したとしても弥沙子は髪型とかの影響で泥臭さは抜けていない。
それに怒った野郎どもは、こんなの芸じゃないとブーイングしかけた瞬間。
ていっ!
弥沙子は外したメガネを投げ放ち、騒然とする場内の中おろおろと床を探す。
「メガネ……メガネっ……」
「横山■すし(故)ネタかぃっ!!」
355名無しさん@初回限定:03/03/12 19:15 ID:Ixjb7dxC
<a href="http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1036495444/353-354n">>>353-354</a>
ヴェドゴニアというマイナー(?)作品な上に、
オチもたいした捻りがなくて申し訳ない。
356名無しさん@初回限定:03/03/13 14:30 ID:+loExXmE
>355
いや、わらかしてもろたよw
なんかおもいついちゃらまた書いて。
357 ◆daMOTOpf1c :03/03/13 14:39 ID:e6GEAVT0
うーむ、ひと口に眼鏡娘と言っても色々いるんですねえ。
異形の中の生身の人間ですか…弥沙子タン乙〜☆(あとIxjb7dxCさんも)
358 ◆KARINioLoE :03/03/16 00:29 ID:HFUxAFmC
保守♪
359名無しさん@初回限定:03/03/17 22:08 ID:+zh997xo
あげ
360名無しさん@初回限定:03/03/19 06:10 ID:kF3onqbj
保守
361名無しさん@初回限定:03/03/19 07:38 ID:x4AhcurI
>>355
(・∀・)イイ!!
362名無しさん@初回限定:03/03/19 22:59 ID:3a0hE+YL
>>169の続きマダー?
363名無しさん@初回限定:03/03/21 08:20 ID:5g2/v3nC
保守
364ヴェド話(1/2):03/03/23 00:35 ID:kjikQfPJ
作品の完成後に行われてたヴェドゴニア出演者の騒々しい打ち上げから抜け出し、
惣太は呼び出したギーラッハ本人と共に民宿の宴会場から外へと出ていた。
民宿にある中庭まで出ると、宴の馬鹿騒ぎも虫の鈴鳴りのようにしか聞こえない。
2メートル近くの巨躯、しかも今夜も紅い甲冑をつけたままのギーラッハ。
その横に立つと日本人である惣太の姿は実年齢よりもなお幼く見えてしまう。
「一つ、お前に尋ねたいことがある」
「な、なんだよ、急に改まって」
ギーラッハの顔を少し見上げながら、惣太が尋ね返した。
「お主……姫様、リァノーンに本気で惚れたな」
「なっ!」
予想外の一言に、思わぬ驚きの声をあげる惣太。
「な、何いってるんだ、あれは只に作品内の役どころであって、俺は別にぃ……」
「うむ、ならばいいのだが」
顔を赤くしながら、しどろもどろに否定を試みてる惣太の姿も見ず、
闇夜に浮かぶ月を見上げながら、神妙そうにギーラッハはつぶやいた。
「……ギーラッハ」
その物深げなギーラッハの表情を見て、惣太は察した。
ギーラッハもまた、役どころ以上に現実のリァノーンに恋焦がれているのだと。
一緒にいる(撮影シーン)時間が少なかった惣太に比べれば、
過去(シーン)も含めギーラッハはリァノーンを良く知っているはずなのだから。
少し未練を残しながらも、意を決してギーラッハに声をかけた。
「すまない……俺、どうかしてたよ」
そういうことならと、惣太はあたたかく祝福するように言った。
「じゃあリァノーンの彼氏はギーラッハ、お前に任せるよ」
「なぬっ!!」
次に驚きの声を上げたのは、ギーラッハの番であった。
365ヴェド話(2/3):03/03/23 00:46 ID:kjikQfPJ
「いや、今さら隠さなくたっていいって。俺はリァノーンのことを諦めるから」
「ち、違うッ!!断じて違うッ!!」
視線を慌てて月から惣太に向け、目の前の両肩をガシッと掴むギーラッハ。
「己(おれ)はだなぁ!ただリァノーンだけには手を出すなと言いたかった訳で」
「だから、リァノーンとあんたの恋路を邪魔しないようにだろ?」
自分の肩に加えられる痛みに顔をしかめながら、惣太は答えた。
「そうではないっ!」
「じゃあ、だったらさっきの言葉の意味はなんだったんだよ」
「忠告だ」
「忠告ゥ?」
思わぬ単語に、惣太はギーラッハから出る次の言葉を待った。
「お主は知らぬのだ、リァノーンの真の恐ろしさを!」
惣太の肩からやっと離された両手は、次の瞬間には自分の頭を抱えていた。
「お、恐ろしい……って」
目を見開いて小刻みに震えるギーラッハの姿がすでに惣太にとって怖かった。
「それはだな……」
真剣なギーラッハの口から出るであろう言葉に、ゴクリと生唾を飲み込む惣太。
だが、その時だった。
366ヴェド話(3/3):03/03/23 00:47 ID:kjikQfPJ
「ギ、ィ、ラッ、ハァァ〜〜!!」
「は、はいっ!!」
その声に脊髄反射のようにピンッと背筋を伸ばして直立する紅い巨躯。
ギーラッハの背後から声をかけてきたのは、話の張本人・リァノーンだった。
足音というよりも気配すら感じさせずに近寄ってたのは、正に吸血鬼ならではか。
「ギーラッハぁ〜〜今、惣太さんに何を言おうとしてたのかしら?」
「い、否っ、己(おれ)は別にやましいことなどではなく、ただ惣太に……」
「ただ、何・か・し・らぁ〜」
そう明るく尋ねるリァノーンの言葉には明らかにドスが効いていた。
ギーラッハの額からは、暑くもないのに玉の様な汗が何滴も浮かび上がっている。
「じゃあ惣太さん、しばらくとギーラッハをお預かりますね」
これ以上ないというぐらいの作り笑顔を惣太に向けながら言った。
「いや、だから、己(おれ)は別に何も……」
必死に抵抗するギーラッハを、襟元だけつかんで引きずりだすリァノーン。
「惣太、お前からも何とか言ってやってくれっ、惣太ぁ〜〜〜っ!!」
断末魔のような叫びが此処から消えるまで、惣太は一人立ち尽くしていた。
演技の最中で生まれた熱病のような恋に冷め、現実を知った惣太がぽつりと呟く。
「付き従ってたのも、作品の役どころだけじゃなかったのか……」
367名無しさん@初回限定:03/03/23 00:49 ID:kjikQfPJ
>>364-366
ヴェド話でしばらく書き汚します。前はリンク失敗してるし、
今回は2分割で入れるつもりが後半入りきらず3分割に(w
>356さん、>357さん、>361さん、前回のに反応サンクスです。
368名無しさん@初回限定:03/03/23 19:28 ID:oJvW3TbY
おつかれ。
ヴェドは未プレイなんでわかんないけど…
369あぼーん:あぼーん
あぼーん
370名無しさん@初回限定:03/03/23 22:18 ID:SHMZaZz1
マヴラブでリクエストしたいです。
出来ればEXのほうで…
371ヴェド話(1/2):03/03/24 00:09 ID:yzAnz+Y8
作品完成後に行われているヴェドゴニア出演者による打ち上げの宴。
みんなワイワイと、作品を回想しながら楽しく盛り上がっていた。
「…………」
そんな中、何も言わずにヴェドゴニアは独りですっくと立ち上がった。
そのままゆっくりと歩き出し、ある者の真後ろで立ち止まった。
「?」
その視線の先に座るモーラが、ヴェドゴニアの気配を感じて振り向いた。
「……ダメよ」
ヴェドゴニアが何を言いたいのかを察したのか、ぷいっと横を向くモーラ。
「そうでなくても、血の気の多いアナタなんだから落ち着きなさぃ」
そう言いながら、アルコール抜きの特製ジュースをちゅぅとストローで吸う。
「…………」
ヴェドゴニアはモーラの言に抗議もしないまま、
やや少しだけ肩を落としながら、自分の場所へとぼとぼと戻った。
その時には、ヴェドゴニアの両隣に座るキメラヴァンプが意気投合していた。
「それにしても、ここの血は最高だよなァ」
「ああ!濃縮100%でしかも人肉入りだぜぇ、たまらんよぉなぁ〜」
その二人の間を割り込むようにどかっと座るヴェドゴニア。
「ん、どうした?具合でも悪いのか」
372ヴェド話(2/2):03/03/24 00:10 ID:yzAnz+Y8
視界に入ったヴェドゴニアのことが心配になり、声をかけるキメラヴァンプ。
無理もない。
ヴェドゴニアの肩がぶるぶると小刻みに震えていたのだから。
その震えが最高潮に達したと思った瞬間!
「ッ!!」
目の前にある豪勢な料理と血が並々と注がれたグラスをのせた小台を掴むと、
うぉらぁと言わんばかりに一気にひっくり返した。
「おいっ?何をッ……うぎゃぁッッ!!」
折角のご馳走を無駄にするのを止めようと手を出したキメラヴァンプたち。
そんな相手に対し次々と鋭い鉤爪を容赦なく身体に突き刺したヴェドゴニア。
宴の一部で阿鼻叫喚の惨劇が始まった。
その様子を傍目から酔っ払いつつ見ていた別の奴等が会話を交わす。
「どうしたんだ?ヴェドゴニアの奴、今夜はやけに荒れてるじゃないか」
「ああ、まるで猿轡を外したかのような暴れっぷりだなぁ〜」
自らの顔を戒める猿轡を両手で掻き毟りながら言葉にならない声で叫ぶ。
(オ・レ・ニ・モ・血・ヲ・ヨ・コ・セェェェ!!)
373名無しさん@初回限定:03/03/24 00:11 ID:yzAnz+Y8
>>371-372
>368さん マイナーなゲームを題材にしてて申し訳ない
374宮代花梨。その1:03/03/24 04:53 ID:9Iwp6JC0
「あ…っ」
いきなりだった。
クラスメイトの男子に肩口を掴まれ壁に叩きつけられた花梨は、
その拍子に後頭部を打ちつけてしまった。
一瞬何が起きたのか花梨にはわからなかった。が、軽く頭を振って前を向いたとき、
迫ってくる男子の顔面によって状況を把握した。
(キスされる……!?)
花梨は、反射的に顔を背けて逃れようとした。
しかし、相手はそれを許してはくれなかった。
ストレートパーマで綺麗に伸びた花梨の髪を、乱暴に掴んで正面を向かせると、
そのぷっくりした唇に、自分の唇を重ねていった。
「ん……っ!!……んんんっ」
あまりの出来事にパニックをおこしそうになりながらも、
両手をばたつかせて、なんとかその場から逃れようと試みる花梨だったが、
唇と同時に、身体全体を壁に押し付けられた為に、
そこには逃げるために必要な隙間など残ってはいなかった。
同年代の女の子の中ではやや大柄で、言動も若干男勝りなところがあるとはいえ、
この状況下において、宮代花梨は、紛れもなくか弱い女の子でしか無かった。
「や……うっ、う……んんっ!」
逃げることはおろか、顔を背けることすら許されない状態では、
ただ瞼をぎゅっと閉じ、せめてもの抵抗の証として、
塞がれた唇から断続的に、小さい呻き声をあげることが精一杯だった。
(やだ…っ、誰か、助けて……!)
心の中でいくら叫んでみても、すでに日も暮れかけた校内には人影もまばらで
花梨の発する小さな呻き声に気付く者など、いるはずもなかった。

375宮代花梨。その2:03/03/24 04:55 ID:9Iwp6JC0
その日の放課後、花梨はクラスメイトの男子に呼び出されて校舎の裏側に来ていた。
「宮代…部活が終わってからでいいんだけど、その……ちょっと、来てくれないか?」
その男子に言われたのはそれだけだった。
しかし、少し口篭もるようなもじもじした態度から、
きっと告白に違いない、と花梨は確信していた。
もちろんそれが彼女の読みどおりに告白だったとしても、受けるつもりなどなかった。
が、その場で呼び出しを拒絶しない程度に嬉しかったのも事実だった。
それはそうだ。花梨といえど女の子である。
例えそれが気にもとめていない男子からのものであっても、
告白されて嬉しくない筈がなかった。
だから、部活が終わって庄一が一緒に帰ろうと声を掛けて来たとき、
「あー…用事あるんだ。先に帰っててよ」
と軽くやり過ごしながら、花梨の心は、ほんのちょっとだけれどうきうきしていた。

「えーと…、何?」
花梨はぶっきらぼうに言った。
制服に着替えて、呼び出された場所へ花梨が到着したときには、
当然ながら呼び出した男子もすでに来ていた。
しかし、いざその場に到着してみると、告白どころか恋愛沙汰そのものに縁のなかった花梨は、
もしも本当に彼の用件が告白だったとしたら、どう対処すればいいのかということを、
まるで考えていなかったことに今更ながら気付いてしまった。
するとそのとたんに、先程までのうきうき気分とはうって変わって、今の状況が、
凄く面倒臭いことのように思えてきてしまったのだ。
早く用件だけ済ませて帰りたい、それがその時の彼女の本音だった。
何度も言うようだが花梨は恋愛に疎かった。
だから、告白しようと意気込んでいる若い男の危うい心のバランスなど、
知る由もなかった。
376宮代花梨。その3:03/03/24 04:58 ID:9Iwp6JC0
長い、実に長いキスだった。
まるで花梨の柔らかい唇を、時には貪り尽くすかのように激しく乱暴に、
かと思うと、その感触を楽しんでいるかのように優しく丹念に。
ただ、決して彼女の唇から自分の唇を離すことは無く、延々と吸いつき続け、
舐めまわし、唾液を嚥下し、舌を挿入していた。
ようやくキスという名の暴力から花梨が解放されたときには、
暮れかかっていた陽は完全に落ち、あたりには夜の帳が訪れようとしていた。
そのあまりにも長すぎるキスによって、すでに花梨の唇は感覚を失っていた。
そして、唇の感覚と一緒に、抵抗する気力をも失っていた。
放心していた、と言ったほうが正確だろう。
「ふ…ぁ」
男が身体を離して花梨への束縛を解いたと同時に、
文字通り腰が抜けたかのようにずるずると、その場にへたり込んでしまった。
その様子を、彼女のクラスメイトでもある男子生徒は満足げに見下ろしていた。
そう。たしかに満足したのだろう。
そのとき彼の頭の中には「あの宮代花梨とキスをした」という思いが溢れかえっていた。
スラリとした長身でありながら女の子らしい柔らかさを併せ持った身体。
くせが強いけれど艶のある髪の毛。
大きくて潤んだ、まるで仔犬のような人懐っこさを感じさせる瞳。
本人にはあまりその自覚は無いのだろうが、花梨は校内でも指折りの美少女に他ならなかった。
それならば何故に、今までアプローチをかける男子がいなかったのかと言えば、
彼女の幼馴染である瀬能透矢の存在があったからだった。
頭が良くスポーツも万能、性格も穏やかで人望が厚い。おまけに容姿端麗。
そんな男が近くにいたのでは腰が引けてしまうのも仕方が無かった。
だが、今は違う。状況が変わった。
その瀬能透矢が交通事故の後遺症で記憶を失ってしまったことにより、
今までのような手も足も出ない怪物、という存在ではなくなったのだ。
そして、それは同時に、今までは憧れでしかなかった宮代花梨をも、
手の届く存在として感じさせることとなったわけである。


377宮代花梨。その4:03/03/24 05:00 ID:9Iwp6JC0
「宮代、騒いだりするなよ……」
暫く放心状態だった花梨は、男の声でようやく我に返りつつあった。
(こんな所で何してるんだっけ)
(あれ……暗くなっちゃった)
(助けて透矢……助けて)
(苦しい……息が出来ないよ……どうしてこんなことに)
(帰りたい)
だがしかし、著しく思考が混乱していた。
見えていても認識できない、そんな感じに心と身体の焦点が合っていなかった。
「あ……」
そして、声を出せる程度に回復してときには、再び花梨の自由は失われていた。
どこから持ってきたのか、あるいは最初からそのつもりで用意していたのか、
花梨の両腕は布のガムテープでぐるぐるに縛られてしまっていた。
さらに、首には犬用と思われる大きな首輪。
男はその首輪から伸びている鎖をつかんで笑っていた。
「前から一度やってみたいと思ってたんだ、これ……」
その言葉を聞いたとたん、激しい怒りのためか花梨の顔が紅潮してきた。
それもそのはず、花梨にとっては男の執ったその行動は最大級の侮辱だった。
今はまっすぐにしているとはいえ、もともと外に跳ねるくせっ毛のせいで、
友人から「犬っぽい」とか「犬花梨」とか言われ続けていたのだから。
それが仲の良い友人、透矢や庄一や和泉、または庄一の妹の鈴蘭ならば笑って聞けた。
だが、あろうことか無理矢理に唇を奪われたあげく首輪を着けられたのでは、
その相手を許せと言うほうが無理だ。
「ちょっとあん―――」
両手を縛られているのも顧みず、怒鳴ってやろうと立ち上がろうとしたその時、
花梨は、鈍い、しかし全身を貫くような衝撃を感じてうずくまってしまった。
「ひゃっ……う!!!」

378宮代花梨。その5:03/03/24 05:07 ID:9Iwp6JC0
「痛い?だったら……抵抗しないほうがいいよ、宮代。じゃないと……」
男はそう言うと、鎖の先に付いているボタンらしき物を押した。
「きゃあ……っ!」
花梨の身体がビクンッと大きく跳ねた。
「や……っ、な、何……あ、ああっ!!」
そして今度はまるで何かに操られているかのように、小刻みに揺れ動いた。
その様子を、にやにやしながら男は見つめていた。
「躾用の首輪を改良したんだ。すごいでしょ。そこいらのスタンガンよりも強力だからね」
「い、痛い……っ、やめ…て!」
花梨に取り付けられた首輪は、電気が流れるような仕掛けが施されていたのだった。
しかもそれは男が言ったように、本来の犬の躾に使うものとは比べ物にならないくらいに
強力な改造がなされていた。
「やめてあげるよ…僕だって別に、宮代を傷つけたいわけじゃないんだ。
ただし、抵抗したら……今度は最大出力でスイッチを入れるからね」
男が一瞬だけ、手元のつまみを回した。
「………っ!!!!!」
声にならない声で花梨は絶叫した。
これ以上は無理だというくらいに身体が反り返っていた。
そして再び、その場に崩れ落ちた……。

ぴちゃ、ぴちゃという濡れた音が、暗闇から生まれていた。
花梨は、その音を朦朧とした意識の中で聞いていた。
よもやそれが、自分自身の下半身から発せられているとは思ってもいなかった。
ただ何となくむず痒いような、そんな感覚だけはあった。
379いつもの凌辱屋:03/03/24 05:13 ID:9Iwp6JC0
>>374-378
中途半端なところですみません。今日はここまでです。
一応、「水月」の宮代花梨を凌辱で書いてみようと思ったのですが、
これじゃあ、ぬるいですよね……。
380 ◆KARINioLoE :03/03/24 21:32 ID:HtZrhxJj
  |_
  l  ヽ
  |.ハ 八
  l.ヮ゚人
  ⊂)] ))
  |」〉
  |フ
381名無しさん@初回限定:03/03/24 22:15 ID:EPlZuLnF
か…花梨!
382名無しさん@初回限定:03/03/25 00:02 ID:1R8G9yjK

>>335の家族計画のSS祭り、本格的に開催告知が出たみたいです。
http://fml.cside.to/plans/
383ヴェド話(1/2):03/03/25 00:35 ID:ZdYappX8
作品完成後に行われているヴェドゴニア出演者による打ち上げの宴。
ヴェドゴニアが暴れてる様を遠目から眺めながら、人間の娘が隣に声をかける。
「ねぇ、栗城」
「なんすか、網野サン」
隣に座っていた長髪の男、栗城が返事をする。
ちなみに網野鏡子の方が栗城よりも年上である。
「なんかさぁ〜あたしって貧乏くじ引いてなるなァって」
「そうっすかねぇ〜」
生返事を返してきた栗城に、鏡子をキッと睨み返す。
「あんたねぇ!最後でちょっとだけ参加したから知らないでしょうけどね。
 どんなにあたしが嫌な役をやらされてたか知ってる?」
「はぁ、まぁ……一応は」
「最初こそヒロインに負けないくらいの可愛い印象で出たにも関わらず、
 その直後にあんなコトされて、次は操られて性格悪い役をやらされて……」
ぶつぶつと愚痴を続ける鏡子。
「まぁ、そりゃたしかに出番が多かったのは、嬉しいといえば嬉しいけど、
 せっかくの初デビューがあんな性格悪い演技ばっかじゃお先が真っ暗よ……」
「そ、そんなことないですって、俺も後で見たけどあれ結構うまかったですよ!
 その、なんていうか、もう演技とは思えないような完璧な立ち振る舞い」
「……あんた、喧嘩売ってる?」
ギロリと睨み返す鏡子。
「い、いえっ……」
慌てて否定する栗城。
384ヴェド話(2/2):03/03/25 00:36 ID:ZdYappX8
「さんざん主人公の惣太に対して悪態ついて、ついに惣太に殴られるは(香織編)
 ハマーで一緒に轢かれそうになって、銃で腹を撃たれるは(リァノーン編)
 それに拘束されてた時は、ナゼか脈絡もなくパンツ丸出しよォ!!
 最初のナニといいあたし一人でサービスシーンが、●んこ盛りじゃない!」
「いや、この作品はエロさについては評価されてないみたいだし」
「……栗城」
「いやっ、本当に災難でしたよねぇ〜。網野サンは」
「そうよねぇ〜、それに聞いてよ……」
なおも鏡子の愚痴話は続く。
どうやらいつの間にか、未成年のはずの鏡子が酒に手を出していたようだった。
(なんで俺がこんな子のお守りしなくちゃならないんだか……)
投票キャラとしても忘れられた存在であった栗城の苦難は続いていた。
385名無しさん@初回限定:03/03/25 00:37 ID:ZdYappX8
>>383-384
ヴェドゴニアを知らない人は読み飛ばして下さい(w
386名無しさん@初回限定:03/03/25 13:06 ID:eHQctVVk
栗城って誰だっけ?
387名無しさん@初回限定:03/03/25 16:40 ID:7l+Ya5Ku
>>364-366
久々に来て見たら、リァノーンの壊れっぷりがイイ感じ。ナイス。
>>386
えーと、確か最後に出来た部の後輩なのでは?(自信なさげ)
エンディングだけに出るハズだから、ネタとしてはピンポイント過ぎ(w
388名無しさん@初回限定:03/03/25 16:57 ID:naEYpY6X
弥沙子エンドだけに登場するヘヴィメタ少年だね。
主人公たちのバンドのボーカルのはず。
389マッド(1/5):03/03/25 20:47 ID:cSPOgxzg
みなさん、こんにちは。
ニトロプラス「マッドサイエンティスト」座談会の司会を努めさせていただきますソアラちゃんです。
では、さっそく作品順に自己紹介を行ってください。

サイスマスター「ファントムに出演させていただきましたサイスマスターです。主に洗脳の分野で研究しています。みなさん、どうぞよろしく。ルートはアインです」
諸井霧江「ヴェドゴニアに出演した諸井霧江。キメラヴァンプの研究をしているわ。ルートは香織だったみたいだけど、結局同じ殺され方するから意味がないわね」
謝逸達「鬼哭街に出演した謝逸達です。人からは左道鉗子の通り名で呼ばれているが、まあ、どちらで呼んで頂いても結構。魂魄転写の研究をしている。…ところでルート?」
影山貴紳「"Hello,wold."に出演した影山貴紳だ。主に遺伝子の研究をしている。ルートは奈都美だった。…それより、オレもマッドなのか?都の方が…」
ソアラ「それだと私の出番がなくなっちゃいますので、ディレクターに頼んで先生にしてもらいました」
マッド(1/5)
みなさん、こんにちは。
ニトロプラス「マッドサイエンティスト」座談会の司会を努めさせていただきますソアラちゃんです。
では、さっそく作品順に自己紹介を行ってください。

サイスマスター「ファントムに出演させていただきましたサイスマスターです。主に洗脳の分野で研究しています。みなさん、どうぞよろしく。ルートはアインです」
諸井霧江「ヴェドゴニアに出演した諸井霧江。キメラヴァンプの研究をしているわ。ルートは香織だったみたいだけど、結局同じ殺され方するから意味がないわね」
謝逸達「鬼哭街に出演した謝逸達です。人からは左道鉗子の通り名で呼ばれているが、まあ、どちらで呼んで頂いても結構。魂魄転写の研究をしている。…ところでルート?」
影山貴紳「"Hello,wold."に出演した影山貴紳だ。主に遺伝子の研究をしている。ルートは奈都美だった。…それより、オレもマッドなのか?都の方が…」
ソアラ「それだと私の出番がなくなっちゃいますので、ディレクターに頼んで先生にしてもらいました」
390マッド(2/5):03/03/25 20:48 ID:cSPOgxzg
ソアラ「では、最初に各作品の主人公についてから語っちゃってください」

サイス「ことごとく私の想像の上を行き、研究材料としては多いに興味は持てるところだが、扱いきれなかったのが残念だ。もう少し手元において遊んでみたかったのだが」
諸井「そういえば、私は面識は無いわね。リァノーンに噛まれた被験者として、報告書のプロフィールに目を通しただけだわ。できれば、捕まえていろいろ試してみたかったわね」
謝「うまく口車に乗せて焚き付けたのはいいが、やりすぎて片足を切られたのが苦い思い出だな。まあ、実験体としては非常に役に立ってくれたよ」
影山「…ソアラ、やっぱりこの場には都のほうが」
ソアラ「却下です。先生ぇ、がんばって解け込んでください」
391マッド(3/5):03/03/25 20:49 ID:cSPOgxzg
ソアラ「みなさん、恋人はいらっしゃいますか?」

サイス「…考えたことも無かったが。あえて言うなら、私の作品達がそうなるのか」
諸井「あら、それなら私にもたくさん居るわよ。私のかわいい作品達が」
謝「私にもたくさんいたよ。全員魂魄転写の被験者になってもらったため、長続きはしなかったが」
影山「ソアラぁ〜(泣)」
ソアラ「先生、ファイトです!」
392マッド(4/5):03/03/25 20:50 ID:cSPOgxzg
ソアラ「次も質問ですね。この中で一番マッドだと思うのは誰ですか?」

諸井「あなただと思うわ」
謝「私も君がそうだと思うね」
影山「オレもそう思う(やっと話に乗れた)」
全員一人を指差している
サイス「私…、になるのか?」

ソアラ「続けて質問です。一番変態だと思うのはだれですか?」

諸井「…」
謝「…」
影山「…」
全員無言で指差し
サイス「…」

ソアラ「一番ヘボいと思うのは?」

サイス「いいかげんにしろ!全作品中一番目立ってないロリキャラが!」

ソアラ「ほへっ?」

諸井「そういえばそうね。うちのモーラはヒロインだし」
謝「うちの騒動は、ルイリーがすべての原因だったし」
影山「ロリでは久我山深佳に負け、ロボットとしては遥香に負け、キャラ投票ではエテコーにも負け。…確かに目立ってないな」
ソアラ「う、うぐっ、うえぇ、せ、先生まで…。うぁぁぁぁぁぁぁぁん、もうこねぇよ〜」

全員「2ちゃんねら〜かよ」
393マッド(5/5):03/03/25 20:54 ID:cSPOgxzg
ソアラ「グスッ…。最後にデモンベインのマッドサイエンティストと思われるドクター・ウェストについての印象を語ってください」

サイス「馬鹿そうだな」
諸井「あれは絶対馬鹿ね」
謝「うむ、あれは確実に馬鹿だな」
影山「なんとかの紙一重だな。悪い方の」
(全員即答)

ソアラ「何人か自分のことを棚にあげてって感じで語っちゃってますが、みなさん同じ印象をお持ちのようです。では、次回がありましたら、またお会いいたしましょう」

影山「次はオレじゃなく都を呼んでくれ…」
394マッド:03/03/25 20:57 ID:cSPOgxzg
>>138-143を、使って書かせてもらいました。
初めての投稿ですが、やっぱり難しいなぁ。

次はオリジナルで勝負。
395注文の多いエロゲメーカー(1/4):03/03/25 23:54 ID:yD8cWUwW
身なりのよい若い紳士が2人、丸めたポスターを差し込んだリュックサックを背負って、
秋葉原を歩いていました。

「どうも最近のエロゲーはけしからんね」
「ょぅι゛ょの○色の○○○なんぞに二三発お見舞い申したら、ずいぶん痛快だろうね」

(中略)
「僕は帰ろうと思う」
「僕も帰ろうと思う」
しかし、どう行ったら秋葉原駅に戻れるのか、分からないのでした。
一緒に上京して案内してくれるはずだった自作オタともいつのまにかはぐれてしまっていました。

その時ふと見ますと、立派な西洋造りの建物がありました。そして玄関には、
--------------------
エロゲメーカー
○○○○
--------------------
という札が出ていました。
「君、ちょうどいい。はいろうじゃないか」
「もうハァハァしたくて倒れそうだ」
396注文の多いエロゲメーカー(2/4):03/03/25 23:55 ID:yD8cWUwW
玄関のドアには金文字で次のように書かれていました。

【どなたもどうかおはいりください。
 ことに、絵買いの方や声優萌えの方は大歓迎いたします】

「君、ぼくらは大歓迎にあたっているのだ」
「ぼくらは両方兼ねているから」

【当社は注文の多いメーカーですが、どうかいちいちこらえてください】

「これはどういうことだろう」
「このメーカーの作品はいつも大人気で注文が殺到している。
 注文を全部受付けできないことがあるがごめんください、とこういうことだ」

【主題歌のフルバージョンを聴きたい人は、ユーザー登録ハガキを返送してください。
 ただし期間限定です】

「おまけCD-ROMが無料で送られてくるとは。なんて良心的なんだ」

【登録ユーザーに無料で配布しましたおまけディスクを、ご要望にお応えして
 まとめて販売いたします。ぜひご購入下さい】

「オリジナルテレカも付いていることを考えると高くない」
「当然買いだな」
397注文の多いエロゲメーカー(3/4):03/03/25 23:55 ID:yD8cWUwW
【販売店様へ。定価で販売してください】

「なるほど。考えてみれば、パッケージに印刷された定価と実売価格が
 異なっているほうがおかしい」
「それを考えて適正な卸値を決めたということか」

【ファンディスクの原画家は、都合により本編とは別になりました。ご了承ください】

「なんとか外注して元の原画家に書いてもらうことはできなかったのか」
「……」
「まあクリエイターという人種は皆個性が強いからな。何らかの原因で仲たがいすることもあるさ」
「誰が悪いというわけでもなかろう。しかたないよ」

【ファンディスクは買いましたか。通常版も忘れずに買いましたか】

「ここの主人は実に用意周到だね」
「あやうくオリジナル原画家によるパッケ絵を逃すところだった」
398注文の多いエロゲメーカー(4/4):03/03/26 00:01 ID:DOzdQ7lK
【いろいろ注文が多くてうるさかったでしょう。お気の毒でした。もうこれだけです。
 ロットアップした作品を再版いたします。声優を交代することによってリニューアルしました! 
 旧作をお持ちの方も買ってください】

「これはおかしいと思う」
「僕もおかしいと思う」
「注文の多いメーカー、というのは
 ユーザーからの注文が殺到しているメーカーということじゃなくて
 ユーザーにいろいろ注文をして、信者に仕立て上げて餌食にしてやるメーカー、
 という意味だったんだ」
「ブルブルガクガク」
2人は○○○たん萌えハァハァだったのですが、すっかり萎えてしまいました。

そこへはぐれていた自作オタが入ってきて、目を覚まさせてくれました。
気が付いたら建物は消え、秋葉原のど真ん中にいました。
自作オタに買ってきてもらった増設用ハードディスク(大容量エロゲーインストール用)を
受け取り、田舎に帰りました。
しかし、一度萎えてしまった萌えは、田舎に帰ってもお湯に入っても元に戻りませんでした。
というわけにはいかず、結局また信者に戻ってしまいましたとさ。

- 完 -
399名無しさん@初回限定:03/03/26 00:06 ID:DOzdQ7lK
>>395-398
粘着アンチカコワルイ
萌えられないネタですまそ。
400宮代花梨。その6:03/03/26 06:02 ID:pUIx6nNW
男は意識を失いぐったりとしている花梨の両膝を割って、その間に顔を埋めた。
憧れのクラスメイトの、女のコらしい甘さと部活後の汗の酸っぱさが混じった匂いを
胸一杯に吸い込んでくらくらとしながらも、抵抗がない今のうちとばかりに、
花梨の腰から、飾り気のない小さな布を取り去った。
「こ……これが宮代の……」
男は、準備万端に用意していたライトを当てて凝視した。
白くふっくらとした下腹に、薄桃色の花びらが息づいていた。
意外にも花弁を守るべき若草はほとんど生えてなく、それが逆に淫靡さを醸し出していた。
「まさか、剃ってるわけじゃないよな……」
おそるおそる指を伸ばして男は丘の部分を指の腹でなぞってみたが、
そこには剃り跡特有のザラツキはなかった。
「はぅ…」
意識が定かでないとはいえ、敏感なところを撫でられて花梨が
小さい溜め息のような声をあげた。
起きてしまったのかと思い、動きを止めて男が様子を窺ったが、どうやら反射的な
ものらしいと確信すると、男の興味はいよいよ本格的に花梨の処女のワレメへと移っていった。
縦スジから恥ずかしげに顔をのぞかせている花びらに指をあて、ゆっくりと左右に開く。
肌の白さも相まって、そこに現われたピンクの粘膜はこの上無く生々しかった。
「うわ……」
男は思わず感嘆とも驚愕ともとれる声をあげた。
いかにも女性らしい体つきと比べると、さほど発達していない小陰唇の上部で
包皮に包まれている小さな突起に、親指を押し当てた。
「く…ぅ……ぅん」
再び花梨の口から声が漏れたが、男は今度は構わず女性器を弄び続けた。
こりこりとクリトリスをいじったかと思うと、おもむろに舌を伸ばしていった。

401宮代花梨。その7:03/03/26 06:03 ID:pUIx6nNW
厳密に言えば、完全に意識を失っているわけではなかった。
夢うつつ、とでも言おうか。
今、自分におきていることが一体なんなのか、夢なのか現実なのか花梨にはわからなかった。
ただ、身体の奥が痺れてくるようなそんな感覚に身を委ねていた。
「ふ……ぅ」
自らの唇から漏れる吐息も、それが自分から生まれているものだということさえ
認識できずにいた。

典型的な元気系スポーツ少女の花梨だが、同時に年頃の女の子でもある。
オナニーの経験が皆無、というわけではなかった。
実家が神社で、花梨自身も巫女ということもあり、周囲からは性的なこととは
無縁と思われがちだが、むしろその抑圧もあったのかもしれない。
部屋が離れにある開放感も手伝ってか、まだ家族が寝静まっていないであろう時間から、
下着の中に指を差し入れて湿り気をもった秘所を刺激してしまうこともあった。
そんな時花梨の脳裏にあるのはいつも、幼馴染の透矢である。
彼に囁かれ、撫でられ、愛される自分の姿を想像しては、
毎夜のように自らを慰めてしまうのだった。
だから、今、愛情のかけらも感じていないクラスメイトに性器を弄ばれていても、
白い靄の掛かったような世界に包まれている花梨の意識は、
そのいつもの、自慰行為の延長線上にあった。
むしろ、与えられる刺激が自分の指ではない分、
花梨はいつも以上の快楽を感じていたかもしれない。
「ん……んっ」
花梨の桃色の肉壁には、彼女の意志とは関係なく今やこぼれださんばかりの蜜が、溢れていた。
402宮代花梨。その8:03/03/26 06:05 ID:pUIx6nNW
膣口から溢れ出す少し粘り気のある液を目の当たりにして、男は生唾を飲んだ。
「宮代花梨が俺の愛撫に感じている」
そう思ったのだ。
ならば、さらに快感を導き出してやろうと、押し当てていた舌の先を尖らせて
粘膜の奥へと突入させようとするのだった。
「うあっ……うぅ」
いかに自慰行為の経験があるといっても、処女には違いない花梨のそこは
男が思っているよりも狭く、異物の侵入を頑なに拒んだ。
しかし、花梨のほのかに酸味の混じった愛液と、
初めて目の当たりにした女性器そのものにすっかり心を奪われている男には、
そんなことを考慮する余裕など無かった。
ぐにゅ、ぐにゅっと音が聞こえてきそうなほど、
自分の舌を無理矢理にでも挿入しようと必死になっていた。
昨日までは声を掛けることすらできなかった憧れの女の子が、
自分の愛撫で蜜を垂らしている。
そう勘違いしている彼は、今では立場が逆転して
自分のほうが花梨よりも優位に立っていると錯覚していた。
だから、快感を与えようとしていた気持ちは何処へやら、
舌を入れようとしている自分を拒絶されたことがゆるせなかった。
また同時に、狭い膣口を自分の部位で抉じ開けるという行為自体が、彼を極度に興奮させていた。

男は、両側に指を添えて花梨の薄い陰唇を拡げるようにしながら、
さらに奥深くへと硬く尖らせた舌を捻じ込んだ。
「ひ……ああっ!」
それまでのむず痒さとは違う痛みを感じて、
花梨の意識がようやく現実のほうに引き戻されようとしていた。

403名無しさん@初回限定:03/03/26 06:08 ID:pUIx6nNW
>>374-378
の続きです。今日もまた中途半端なところで終わりですみません。
404名無しさん@初回限定:03/03/26 08:50 ID:eBAuVlpI
そのまま終わっていい。
405名無しさん@初回限定:03/03/26 14:34 ID:Vhf3/BSk
>395-398
ハゲワラ
406名無しさん@初回限定:03/03/26 16:32 ID:MHQXaM2+
凌辱やさん器用やね〜。ネタごとにちょっとずつ文体違うみたい。
ぬるいって言ってるけど、今回のはたしかにそうかも。
いつもちょっと寸止め傾向にあるみたいやから、そこ頑張ってほしいわ。
407名無しさん@初回限定:03/03/27 00:18 ID:CI/gg7e0
>403
萌え凌辱でイイ!
自分のペースで、じっくりねっとり書けばいいと思うよ。
えぐい強姦はなじまないから、さじ加減もこれでいいと思うし。

全体のピークはいつかとか、今回の山場はどこなのかとか
意識して書いてもらえると、もっと使いやすくなって、俺としては助かるっす。
408ナナミ様がみてる(1/2):03/03/27 17:15 ID:SC0EbF53
「ごきげんよう」
「ごきげんよう」
 さわやかな朝の挨拶が、澄みきった青空にこだまする。
 ナナミ様のお庭に集う乙女たちが、今日も天使のような無垢な笑顔で、背の高い門をくぐり抜けていく。
 汚れを知らない心身を包むのは、明るい色の制服。
 スカートのプリーツは乱さないように、白いセーラーカラーは翻らせないように、ゆっくりと歩くのがここでのたしなみ。もちろん、遅刻ギリギリで走り去るなどといった、はしたない生徒など存在していようはずもない。
 私立水月女学園。
 某県下。昔の日本の風景を未だに残している緑の多いこの地区で、女神に見守られ、幼稚舎から大学までの一貫教育が受けられる乙女の園。

「お待ちなさい」
 背後から呼びかけられ、「はい」と返事をしながら振り向いた透矢は絶句してしまった。声の主が、予想もしていなかった人物だったから。
 そこに立っていらしたのは、宮代花梨さま。通称「紅薔薇のつぼみ」。ああ、お名前を口にすることさえもったいない。私のような者の口で、その名を語ってしまってもいいのでしょうか。そんな気持ちになってしまう、全校生徒のあこがれの的。
「リボンが、曲がっているわよ」
「えっ?」
 彼女は手にしていた鞄を透矢に持たせ、透矢のリボンを直しはじめた。
「身だしなみはいつもきちんとしときなさいよ。ナナミ様が見ていらっしゃるわよ」
 あこがれのお姉さまはそう言って、「ごきげんよう」を残して先に校舎に向かって歩いていった。
409ナナミ様がみてる(2/2):03/03/27 17:17 ID:SC0EbF53
(えっと、なんで私はここにいるんだろう)
 その部屋は、学校のどの施設にもない雰囲気を持っていた。部屋の中には、紅、白、黄の薔薇さま方はもちろん、薔薇のつぼみ、そして一緒に来た庄一さんもゲストとして席を用意されていた。
 机をはさんで座っているのは、まっしろな髪をショートにした、すらりと背の高い紅薔薇さま。いま透矢が飲んでいる紅茶は彼女がいれたものだ。普通はそういうこと、つぼみか、つぼみの妹がやるものなんじゃないだろうか。
 ぼーっとした頭で透矢はそんなことを思っていたが、どうやら彼女自身が紅茶をいれるのが大好きらしい。
 その隣には、にこにこ、にこにこと、とても無邪気で嬉しそうな笑みを浮かべている、白薔薇さまが座っている。動物のヘアピンとバンダナがとてもよく似合っていて、かわいらしい。…薔薇さまに「かわいらしい」というのは失礼かもしれないけれど。
 腰まで届く黒髪、薄い色素のひとみ。そのお顔にどこか不思議な笑みを浮かべてこちらを向いているのは黄薔薇さま。生まれつき目が見えないらしいけれど、その動作からはみじんもそんなことを感じさせない優雅な仕草。
 透矢の隣には花梨さま、反対側には同じ一年生の、白薔薇さまの妹の和泉さんが座っている。壁際に椅子を寄せて座っているのは黄薔薇のつぼみであるアリスさまと、その妹であるマリアさん。
 そんな、そうそうたる雪花会メンバーの視線が、花梨さまと透矢の顔を興味深そうにいったりきたりしている。
 こんな状況になったのはどうしてだっけ、と透矢はぼんやりと思い返していた。たしか私は、庄一さんが撮った私と花梨さまのツーショット写真のことを話にきただけで。
 それだけだったはずなのに、雪花会の部屋の扉から飛び出してきた花梨さまが透矢とぶつかって。
 透矢が立ち上がるのに手を貸した花梨さまは、透矢の顔をまじまじと観察したあと、勝ち誇ったような笑みを浮かべ、そのまま流暢に、その場にいた全員の度肝を抜くような言葉を発したのだ。
 私は、今ここに瀬能透矢を妹とすることを宣言いたします、と。
410ナナミ様がみてる(言い訳):03/03/27 17:21 ID:SC0EbF53
>>408-409
「ナナミ様がみてる」
水月スレタイを見て電波受信。内容が無いのに長くてすみません。
透矢と庄一は、男のまんまで水月の制服を着ているイメージです。女学園ですから。
411名無しさん@初回限定:03/03/28 11:33 ID:0uni5OqA
きもいよ〜。・゚・(ノД`)・゚・。
412あぼーん:あぼーん
あぼーん
413あぼーん:あぼーん
あぼーん
414名無しさん@初回限定:03/03/28 16:51 ID:Syjth3tA
え〜と...一発ネタをだらだらと引っ張ったあげくにひねりもなく面白くない...
415名無しさん@初回限定:03/03/28 20:16 ID:3vLN0nqB
スマン、はっきり言わせてもらうが、
面白くない。
次、頑張ってくれな?
416(;´Д`):03/03/29 06:43 ID:zN2gTFs6
このつまらなさ&くだらなさは…あんた女だろ?>>410
いや、差別してるわけではないけどね
417名無しさん@初回限定:03/03/29 06:58 ID:yZfaEH5M
何事かと読んでみれば……。

なんか、一回りして笑ってしまった。すまん。
えっと、それだけじゃ悪いのでまじめに言うと、文体をもう少し整理したほうが
いいと思うよ。
あと、読み手を意識してね。
これはヴェドを書いてた人にも言えるんだけど、モトネタをしらない人にも
楽しめるように工夫してください。
418名無しさん@初回限定:03/03/30 18:42 ID:PFYW6Qzb
保守
419名無しさん@初回限定:03/03/30 19:26 ID:+6ABQJnZ

Why tintin kayui!?
420名無しさん@初回限定:03/03/30 20:30 ID:u9WyjIsS
>>417
優しいねあんた。

いや、マリア様も水月も知ってておもしろくないんだ。
強引すぎる。
無意味にくっつけただけの一言で済むようなネタを
だらだらとSSスレで披露されても…
421名無しさん@初回限定:03/03/30 21:25 ID:E+fErcRf
>420
いえ、けっして優しいわけでは…。
ただ、私自身もモノ作りに従事しているものですから、ついさしでがましいことを。

やりようはあったと思うのですよ。
一発ネタならば、オチを最後の最後までバレないように表現するとか。
でもそれよりも、視点を統一することが最優先事項でしょうね。読み辛すぎますから。
422411:03/03/31 08:50 ID:JKRv+yB+
お前らあんまり追い詰めんなよw
みんなびびってSS書き込まなくなっちゃうでしょw
423名無しさん@初回限定:03/03/31 08:59 ID:ArTB82kn
SS書き手に優しくないスレはここですか?


…オレの稚拙なSSなんて投稿できないよ(泣)
424あぼーん:あぼーん
あぼーん
425名無しさん@初回限定:03/03/31 11:16 ID:Gzj+rixZ
>>422-423
ああ、ごめんなさいね。
単に名前を変えただけのような文をよりによってSSスレで出して欲しくないだけで、
創作であれば、書き手の世界観は尊重して読んでいるつもり。

>>421
↑ということで納得いただけますでしょうか。
当方も某所にてのSS書きですので、ご意見痛み入ります。
426名無しさん@初回限定:03/03/31 15:19 ID:muq7YSCR
アナル陵辱キボンヌ
427名無しさん@初回限定:03/03/31 19:52 ID:SG6fEf+k
>>426
ストレートなひとだな……
透矢タンのアナル陵辱でもいいなら。
428名無しさん@初回限定:03/03/31 23:58 ID:YM9i5m3C
>426こちらも合わせてどうぞ。
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1008500853/
429名無しさん@初回限定:03/04/01 05:32 ID:NN48N8Zd
>>427
ヤメテ
430名無しさん@初回限定:03/04/01 05:34 ID:NN48N8Zd
雪さんが攻めてくれるならいいです。
431名無しさん@初回限定:03/04/02 10:54 ID:j6ch/Y8Y
保守
432鬼畜//混濁:03/04/02 19:58 ID:mwvJHQD8
冴え渡る月光の下、いつしか雨は止み、石畳の上で対峙する影が闇に浮かびあがる。
葱板郊外の、とあるスレの外れに立つ人影は三つ---。

「兎に角あなたはここで死んでもらいます!」
そう喋る少女は、ぱっちりした目の、いかにも気の強そうな少女だ。
長めのボブカットに赤いリボンをつけている。十六〜七歳くらいだろうか整った顔立ちに幼さを残していた。

「・・・・・・くす」
もう一人は、柔らかでおとなしそうな雰囲気の少女、ちょっと困ったような表情が可憐で隣りの娘とは
対照的である。肩にわずかにかかるショートカット、両サイドを飾る大きな黄色いリボンが特徴だ。
年齢はやはり十六〜七歳ほどであろう。二人とも紺のジャケットにピンクのリボンタイ、
紺のライン入りの白いスカートと学校の制服らしきものを着ていた。

「・・・・あんたら一体なにもんや・・」
ひきつった笑いを浮かべそう言うのは、幼女のころから呪術、剣術に関して天賊の才をみせてきた
さざなみ流の天才的な使い手である椎名ゆうひ。彼女は一を覚えた瞬間に十を知り周囲の
凡才たちを屑同然に打ち倒し今まで決定的な敗北を経験したことがない。
直感的に目の前に立つ二人の少女に、何かキナ臭いものを感じた。

「帝都みずいろ七人衆が一忍、進藤むつき。同じく片瀬雪希」
きゃんきゃんした女の子言葉ではなく、少々時代かかった言い回しで進藤むつきが名乗った。
隣りにいる片瀬雪希は無言のまま目を伏せている。

みずいろ七人衆とは、運動能力に優れるだけでなく、生まれながらに所謂「異能力」を持つ、
あらゆる闘い死闘、暗殺や集団戦の右にでるものはいない、優れた者たちを集めたエリ―ト集団---。

「・・・・ぷっ・・・・だまされてるよ・・だまされてるよ」
その台詞とともに、進藤の隣で微笑んでいた片瀬雪希の顔が冷酷な殺人機械のそれと変じてゆく。
流血を好み、己の殺人技術を「芸術」と言って憚らぬ、顔へ----。
433鬼畜//混濁その二:03/04/02 20:00 ID:mwvJHQD8
「みずいろ七人衆・・朧の影流か・・・・・・なんやねん・・うちの流派も馬鹿にされたもんや!」
正面を---進藤むつき、片瀬雪希を睨みつけたままでそう叫び、ゆうひは一歩前へと踏み込んだ。
ゆうひの持つ刀構えは中八双といって、正眼と八双の中間的な構えである。左手は柄を握りこまず、
ささえるだけで、刀身のコントロールはほとんど右手一本で行う。
「さっさと終わらせますよ」
言って、進藤は魔剣シンドリッタを上段に構えた。握ったのとは逆の先端がゆうひの方を向く投擲の構えで、
持ち上げた右肘の下へ左手を差し入れる形となる。
このとき、左手の平はゆうひの方を向き、手の甲が腋腹側を向く。ガラ空きとなった腋の下をカバーしているわけだ。
「そう簡単にいくかいな!」
気合一閃とともに、ゆうひは、進藤の手元を狙い、上段に構えた刀を思いきり振り下ろした。
相手の間合い外ギリギリのところから、大きく右足を一歩踏み込んでの一撃だ。
その渾身の力をこめた打ち込みは、驚嘆すべき速さと鋭さを持っていた。しかし、それも常人から見てのこと---。
ゆうひと同じく幼女のころから「剣術を振るうこと」のみを叩き込まれている進藤にとっては、
「ぜんんぜん遅いよ」ということになる---。

ヒュッ・・・・・・!

風切り音とともに進藤の持つ魔剣シンドリッタの刀身が翻える。コンパクトなモーションで、
刀身を振り上げるというよりも肩の後ろへ廻すといった動作だ。
ちょうど、背中に背負った鞘へ刀身を収めたような形になる。進藤は、そのまま上体をひねりざま、ゆうひの一刀をかわした。
かわしつつ、背中の魔剣をスルリと滑らせ、左---逆サイドからの斬撃を放った。
弧を描き、魔剣シンドリッタの切っ先が、ゆうひの右頚動脈へと吸い込まれてゆく
だが必殺の一撃がゆうひの頚部へ滑り込む直前---。
「!」
進藤は右方より飛び出したゆうひの掌底によって、魔剣を握る右腕の肘をパンと弾かれ左向こうへ
大きく体勢を崩させられてた。
434鬼畜//混濁その三:03/04/02 20:07 ID:mwvJHQD8
「ぷぷっ・・・・・・」
含み笑いを漏らす雪希の周囲を、朱の魔剣がゆるやかな速度で旋廻していた。
毒をもてる者という意味の持つ巨大なブ―メラン、その動きはあきらかに万有引力の法則や
慣性の法則といった一般物理法則に反していた。
「・・だまされてるよ」
雪希は裂帛の気合を発し、袈裟斬り---日本刀を斜め下へ打ち下ろすのに似た動作で、朱の魔剣を放つ。

ブウンッ・・・・・・!

主の手より放たれたL字型の刃が、うなりをあげて回転する。それも重心を中心として回転する自転運動ではない。
まるでL字刀身の中心に紐をつけ、紐を握って振り回しているかのごとき公転運動をしているのだ。
あきらかに物理法則を無視した動きで高速回転していた。そして、公転運動によって凄まじい破壊力を与えられた
刃が、難無くゆうひに滑り込む、ゾブッという音が一秒間のうち四度鳴る、連続的な斬肉音---。

「うああああ!!」
苦悶の声をあげるゆうひ----。
回転する刃から周囲へ熱い液体がしぶいた。冴え渡る月光の下、闇に濃密な血臭がたちこめる。
脇腹の痛み以上にゆうひを襲う倦怠感。まるで魂ごと毒気に犯されるようだ---。

「ぷぷぷっっ・・・・・・だまされてるだまされてるよ」
嘲笑混じりな雪希の声。
「ばぁかじゃない、腕だけであたまの中はカラッポなんだぁ!」
さらに雪希とは逆方向から響くけたけたと嘲笑した声。

無力感がゆうひを覆った。
435鬼畜//混濁その四:03/04/03 16:08 ID:9aqs2y2v
主の手をはなれた刀が黒々と広がる漆黒の中、青白く光っていた。

「・・・・たいしたことないね・・こいつ」
ゆうひの刀を手に取り、余裕の笑みさえ浮かべた進藤の顔が漸次接近してくる。
その距離、進藤の歩幅で数歩というところか。だが、ゆうひにはそれが無限の距離に思えた。
どこまでも冷たく、心体の動き全てを見透かしたような瞳が、ゆうひの闘気まで凍てつかせる様な感覚が襲う。
加えて、あたかも獲物を狙う鳶のように死の旋廻を繰り返している雪希の魔剣が、不気味な様子見を続けている。
「・・・・・・」
心の中に巣食いだす弱気な躊躇を振り払う様に、ゆうひは力を込めた。
「やられへんで・・」
つぶやいて右手を顔の高さまで持ち上げる。
瞬間---。

ボッ!

しなやかな指と指の合間からオレンジの光がこぼれる。ゆうひの掌のなかで、ボール状の火球が揺らめいていた。
腰の辺りで構えた左手のなかにも、突如出現した炎の塊が燃えている。
雪希の魔剣によって傷つけられた脇腹の痛みに耐えながら、気合一閃----。
「ごっつ!」

ブン!

言って、ゆうひは炎のほとばしる両手を自身の前面で半回転させた。
右手は上、左手は下から、それぞれ時計回りに空手でいう廻し受けの動作に似た動きだ。
手の平から噴き出た炎が空間に半円の軌跡を描き、左右の手の上下が入れ替わったときには炎の円ができあがっていた。
「はらたつ!」
叫んだゆうひの、印を結んだ指先が火円の内を縦横に分割し、揃えた人差し指と中指の先から
ほとばしる炎の軌跡が複雑な図形を描く。ゆうひの前面、透明な壁面に刻まれたそれは炎の魔法陣であった。
「な!!!!!」
ヘソの下----丹田のあたりで構えた両掌の隙間で閃光が弾ける。
436鬼畜//混濁その五:03/04/03 16:12 ID:9aqs2y2v
瞬間、魔法陣から無数の炎がほとばしった。火線を引き漆黒の闇を裂いて飛ぶ数十匹の光竜が
ロケット弾さながらの勢いで進藤、雪希に襲いかかる。まるで鳥の群れが一つの目標に殺到するがごとく---。

バチバチッッ!!

目も眩むほどのスパーク---。
その瞬間、進藤の全身はまるで恒星が爆発したかのような輝きに包まれた。
遅れて輝きは収縮し出し、プラズマを放ちながら中心へ向かって極小の黒点に凝縮する。
圧倒的な閃光に、ゆうひは目を焼かれまいと反射的に腕で顔を隠しつつ、凝縮された黒点のなか人影を微かに確認した。
---と同時に、もう一度黒点は輝きを増す、断末魔の悲鳴を上げる暇さえなく進藤の肉体を形成していた
組織が無数の蛍となり一斉に散った、その蛍たちは神々しい輝きで周囲の闇を照らす。

ゆうひが放った呪術・・・・・
さざなみ流に伝わる火破壊呪術、攻撃対象を原子と霊魂の最小単位まで分解させ、その時に発生する莫大な
霊的エネルギーを開放することにより更なる大爆発を引き起こして、文字通り現世から完全に抹消する。
この呪術はさざなみ流はもとより、神社神道においても固く禁忌とされている呪術なのだ。

バチィッ!!ブウンッ・・・・・・!

青白いアークが飛び散り、爆炎の旋風が巻き起こる残照の中から、猛然と巨大な漆黒の回転子が踊り出る。
----朱色のブーメラン。
それは緩やかな放物線を描き雪希の周囲を周回運動していた。
雪希にも放った高密度なエネルギー塊は、朱の魔剣の創り出す特殊磁場によって捕らえられていたのだ。
見えない壁に阻まれて、プラズマはパチパチと周囲に放電しつつ圧し潰され、消滅・・・・いや、吸収されてゆく。
「え・・・・?」
ゆうひがそう呟いたとき---。

カッ!

高密度の霊的エネルギーを吸収した朱の魔剣が輝きを発した。
437鬼畜//混濁その六:03/04/03 16:18 ID:9aqs2y2v
「・・・返しますよ」
言うや否や雪希の輝く魔剣はうなりを上げ、右から左、左から右へ縦横無尽、超高速度で回転する。
L字型の刃は擬似物質化した闘気の粒子を包み、金色に光ってた。
ニヤリと、雪希はゆうひを見て笑った。その周囲を、ブオン、ブオンと不気味な音をたてて朱の魔剣が巡る。

「!」
ゆうひは咄嗟に腕で顔をガードした、拡散する刃の攻撃範囲は広く、どう動こうにも回避は不可能に思えたからだ。

──ザン!!

不意に遥か後方で鈍い物音がする。同時に、雪希の目が見開いた。
予想していなかった物音に、その集中力の何分の一かが削がれたのが分かる。

「チャンスや」
反射的に、自分の懐から自衛のナイフを取り出しそのまま低い前傾姿勢で引き抜く。
超人的な雪希の研ぎ澄まされた官能、もとより彼我の距離は無いに等しい。それを理解しているがゆえに、
ゆうひはそこで立ち止まる、もしくは背を向けるといった愚を冒さず、瞬時に攻めへと転じたのである。
人間の運動能力を遥かに越えた神速の動きで、ゆうひは眼前の雪希へ襲いかかった。

とにかく、それが最も速く効果的な攻撃であったから。直線的な動きにみせかけ、特殊な歩法によって軸線を
ずらしつつ気合とともに、ゆうひは一歩踏みこみざま、雪希の左脇腹へ横一文字の斬撃を放っていた。
並の人間であったなら、間違いなく自分が何をされたのか理解することなく即死していただろう。
身を捻って打点をずらしたからといって致命傷をまぬがれ得るわけではない。
得物をもって弾くか、あるいは完全に見切ってかわすほかは、この斬撃を回避する手立てはないはずだ。

「・・・・・だまされないよ」
その答えを体現するかのごとく、雪希の体がスピーディーかつ滑らかに、そして素晴らしく切れのある動作で動いた。
唇にニヤリと会心の笑みを浮かべた彼女の左手が一瞬一挙動で右脇腹から左肩の上へ、右肩の上にあった右手は左脇腹へ-----。
しなやかな指先が空をなぞる、それは月厨の結び信者の言霊・・・・・
438鬼畜//混濁その七:03/04/03 16:21 ID:9aqs2y2v
「TYPE-MOON商業参入」
----転瞬、二条の稲妻が走り紫炎を発し両手から紫の刃が現れた。

ガツッ!!!

半霊半物質ともいうべき金属同士が相打つ鈍い音----。
----ウソ?
指先が痺れるほどの鋭いショックとともに、ゆうひは弾かれたナイフを目を見開いて凝視する。
だが、それもコンマ数秒という一瞬のこと。握るゆうひの手は、ほとんど無意識のうちに厳しい修行を通じて習い覚えた動作を
正確かつ迅速になぞっていた。切っ先を返し、燕が翻るがごとく、瞬時に右胴狙いの斬撃を放とうとしていたのだ。

「いやな子だね・・・」
微笑しつつも雪希は、ゆうひに上段振りを御見舞いする。大きく踏み込んでの一撃---。
ゆうひは、これを素早いバックステップでかわし、さらに、片手持ちにしたナイフの袈裟斬りからの
突き連携で、雪希のラッシュをもキッチリと掣肘してのけた。
なかなか冷静でクレバ―に見えるゆうひだが、スム―ズに動く肉体とは裏腹その精神は激しく動揺し混乱をきたしていた---。
「・・・・・・」
受けようがないと思って放った横合いからの胴をあっさりと受けられ、あまつさえカウンタ―を入れられそうになったのだ。
己の技量に対する強烈な自信を持つだけに、それを崩されたときの衝撃は激しかった。
客観的に見れば、ゆうひが打たされ待ってましたとばかりの、カウンタ―をしかけられただけのことである。
雪希よりも、むしろカウンタ―を予測ではなく純粋な反射によってかわし得た、ゆうひのほうこそポイントが高いといえよう。

一迅のつむじ風が頭上を通り過ぎた---。
439名無しさん@初回限定:03/04/04 01:10 ID:bY6lAT95
よく分からんが……その、何だ、やっぱりつまらん。
440名無しさん@初回限定:03/04/04 04:24 ID:jpWLPogM
>>438
君、408だろ?
そして女だろ?いいかげんに汁!
441名無しさん@初回限定:03/04/04 05:28 ID:wIVvJu+D
銀色orみずいろ? は未プレイなのでよくわからんが、
文体のくせからすると408=438じゃないと思うが。
どっちにしろ、何を表現したいのかはわからない。
もしも後半に盛り上がる何かがあるんだったら、
小刻みにアップするのはやめたほうがいいと思うよ。
442名無しさん@初回限定:03/04/04 06:56 ID:dWgBcC/7
ほほう、これがヤマな(削除)の三要素でつか
443名無しさん@初回限定:03/04/04 10:33 ID:q/waggOh
月姫はやってないけど、「みずいろ」と「とらは」はやってる目で見て…

ここまで原作無視してたら、2次創作としてキャラを使う意味ないよね。
2次創作は原作キャラを引っ張るから、舞台の説明を省けるメリットがあるわけで
ここまでオリジナルで唐突に話しを進めていくと完全に読者置いてきぼり。
自分の好きなキャラを好きな風に動かすという芸風(オリジナルとは微妙に違うのだが)
が嫌いというわけではないけれど、これは2次創作とオリジナルの悪い面だけを
くっつけた感じ。
取り敢えず、自分内設定だけで推敲するのではなく、読む側の立場に立って
客観的に推敲するのをお勧めする。
そういうのに慣れないうちは、一度書いた後に、2〜3週間くらいほっといて
もう一度読み直してみるといいかもね。
文章自体は悪く無さそうなので、そろそろ次の段階に入られるべし。
でわでわ。
444名無しさん@初回限定:03/04/04 10:38 ID:q/waggOh
あ、そうそう
ひょっとしたら、月姫の舞台を利用しているのかもしれないけれど
クロスオーバーはオリジナルと変わらないという事を留意する事。
全部の作品をやってる人という限定作にするのは、なるべくなら
避けた方がよろしいかと。
それでもクロスオーバーするなら、どれかの作品の知識が
抜けている人にも理解できるよう舞台説明を上手く織り込みつつ
書き上げた方がよいですよ。
でわでわ。
445鬼畜//混濁:03/04/04 13:51 ID:g39Rd7cX
>>439
安心しろ、自分をNGワードに登録し、情緒不安定で時に反社会的な妄想を抱くことがある俺が書いてるんだ。
意味がわからんと思うほうが精神正常だ---。
つーよりスルーしろ。

>>440
ネカマだ。ageて主張すると電波扱いされるぞ、以後気をつけるように---。

>>441-443-444
読んで不快に思ったならすまん。

鬼畜系書くにあたり正直、キャラを崩す線引きがいまいち分らなかった。
とりあえず実験的に完全に原作無視の方向でやってみたが・・・難しいですな。
兎に角、感想サンキュウ。


月姫についてだけど・・・・
このところ葱で話題になってるがそんなに面白いのだろうか?
時事ネタとして>>438に入れてみたが・・・・・
446名無しさん@初回限定:03/04/04 14:28 ID:dhfYNcGb
まあ気が向いたら人に読まれることが前提のSSも書いてみてくれ。
ここ最近は良作が不足していて微妙に荒れ気味なんでな。
447名無しさん@初回限定:03/04/04 14:51 ID:e7SAm+IQ
マジで勘弁してください…_| ̄|○|||
448名無しさん@初回限定:03/04/04 14:57 ID:afdZU8Gq
アルクェイド最高!
449名無しさん@初回限定:03/04/04 15:31 ID:q/waggOh
>>445
少しでも原作から外れた設定は、どういう理由があるにしろNGという人はこの場合
無視するとして、キャラの崩しは個人的には”必然性があれば”問題ないと考えております。

その際は前でもふれてますが、何故そうなっているかを文章の中に上手く散らしながら
物語の一部として単なる説明文にならないように織り込んでいくと、
原作重視派の人の理解も受けやすくなりますね。

それでは頑張ってくださいませ。
450名無しさん@初回限定:03/04/05 04:54 ID:FNTEF8ff
ざざーん、ざざーん。
僕の意識は、混濁の闇のなかから目覚めようとしていた。
微かに聞こえる波の音も、目の前にあるものなのか、
それとも遥か遠くなのかもわからなかった。
ただ、今僕の心のなかに渦巻く破壊的な衝動と、両手に伝わる何かが
歪んでいく感触だけは、はっきりと認識していた。
「ぎゃあああああああああああっ!! いだいっいだいっいだいいいいいいいっ!!」
僕の両手が掴んでいるのは、細い、僕以外の誰かの腕のようだ。
みしっ、みしっと、軋む音を立てている。
関節ではない部分が、本来だったらありえない方向に反り返ろうとしていた。
「ぎひいいいぃぃぃっ! やああああああああああああああっ!!!」
僕は、それが僕自身の仕業だという実感は無かったけれど、
それでも妙な高揚感に突き動かされて、さらに両手に力を込めた。
ぎりっ・・・・・・ぎりっ・・・・・・ぼきんっ
「ひぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!
あああああああ・・・あがっ・・・・・・ああ・・・・・・ううっ・・・・・・」
乾いた音と共に、全てを切り裂くような絶叫が周囲に鳴り響いた。
僕は、言い知れぬ満足感を味わいながら、再び闇に飲み込まれていった。
「透矢さん、お時間ですよ?」
柔らかくて優しい、陽だまりのような声に、僕は目を覚ました。
目の前には、僕だけのメイドさんがにっこりと微笑んでいる。
「おはよう、雪さん」
「おはようございます。よく眠れましたか?」
ふと、雪さんがいつもとは少し様子が違うことに気付いた。
「雪さん・・・・・・どうしたの、それ」
「はい・・・・・・転んでしまって、どうやら折れてしまってるみたいです」
「ええっ!?」
「透矢さんは気にしないでください。雪は平気ですから」
雪さんはそう言って、僕の頭を片手で引き寄せて囁いた。
「雪はどんなことでも平気ですから・・・・・・透矢さんが望むならばどんなことでも・・・・・・」おわり   
451名無しさん@初回限定:03/04/05 05:26 ID:JHKWwmO9


    _| ̄|○|||   …もうだめぽ
452名無しさん@初回限定:03/04/05 05:32 ID:DpD93/GQ
450は勇者!


いや、まじで。
453名無しさん@初回限定:03/04/05 07:48 ID:390jnNN0
>>450
           /| .,イ ,.ィ   _,,,,,,....... --――――- 、      ―┼‐   / ―┬
             | | .,' レ' ミ"    、 ヾ ゛          `、       (_|  /| 口|
         /!|. `、       、ヾ゛               ヽ、      ノ    |   .」
        \{ ヽ、 、  ミ ミl             ミ  ヽ
       ,.-'''二.  =‐,.ヶ=''''゙゙゙| i i、`、ヽ 、   ミ       |   ―‐    ナ
     ///,..-  //     {|l ト、l、ミ-`,> 、、_フ     |   /-、    メ
      |' .〃 /   :|,/^'''-、 ヽト` ,_,>''~_,. へヽト--`    |   o_ノ   (___
       `(.       |l/`>。、V //_,.ィ(・:)`,  ヽ ┐  ,.- 、  !
         `ー、    |  ┴‐',)    ` ̄´ u    !__/ ハ. |  |  ┼‐ ヽヽ
            `'⌒ヽ|    ヽ_フ             仆. ,' |  |  ̄
               |.   rr‐-、            _ン /  |  ノ ー‐
                |   {. ` ̄ >、   u      :|ー1 ヽ |   ―┐
     _____________   |.   〉 /__)       l.   ', Y′    ノ´
   /.          ヽ  ヽ  `二二´     _..-''   ,, -''''ヽ.  |
   | ::      v ノ ノ├‐- 、\       _,.-'"  ,,. -''" ,,, -'''"\ |
 r''´ ::      |‐"ー!/ ⌒` 〉 `r―――'" ,. -''" ,,. -''"  _,,. -'''"|
 |::. :::.    -┴‐'''"    / /|.   ,,. -''" ,, -''"  _,, -'''"      |
/´:::..:::::::.              ,'‐'" >-<"  ,, -''"  _,,.-'"         |
ヽ....:::::::::::::..         /  y'′  >'"  -=ニ ̄           、、
 〉 ::::::::::::::::::.....       ノ /`ヽ,/     /             /
454 ◆daMOTOpf1c :03/04/05 08:01 ID:DOQKOMjM
>450
気のせいですかね?雪さんが『FSS』のパラーシャとダブって見えたのは…

すいません、某所での電波放出がひと段落しましたのでじきに
こちらにも何か落とさせて頂こうかと…
455マブミズその1:03/04/05 15:09 ID:p5PAqZw1
朝のホ―ムル―ム前、教室は生徒達がダべったり笑ったり怒ったりしていてなかなか騒がしい。
純夏は冥夜とお喋り。武も友人、尊人とバカ話しに興じて「あひぁはは」などど大口開けて笑っている。

「はい、みんな席について」
と、若い女教師がそう言いながら教室に入ってきた。ロングスカ―トに美脚を包んだ美貌の女教師だ。
このクラスの担当、神宮司まりもである。

「おっ!転入生か?」
「すげぇ、巨乳・・・巨乳だ!!」
「おいおい、委員長とどっちがデカイ?」
などど、一部の男子学生徒が盛り上がっている。
それというのも、女教師の後ろにくっついて、他校の制服の少女が入って来たからだ。
ちなみに委員長というのは、このクラスのリーダー的存在な生徒、榊千鶴である。

「皆さんに新しいお友達を紹介するわね、こちら・・神津麻美さん」
女教師に促され、転校生----神津麻美は恥かしそうに微笑みながら挨拶した。
確かに高校生にしてはずいぶんとわがままなバディ―をお持ちのようだ。
その胸のふくらみは、どうしたって隠しようがなく彼女はそれが恥かしくてたまらない、といった感じで少し猫背になっている。

「・・・は・・はじめまして・・・神津麻美です・仲良く・・してください・・・ふるふるふる・・・・」
どっと拍手が起こり、口笛を吹き鳴らす奴まで出た。女子は「やめなよ」とか言ってるがアホなノリは一向に静まらない。
そういうお調子者がこのクラスにはやたらと多いのだ。
武も「きゃっほ〜」などど言いつつ、周りの者に混じってはしゃぐ---。
なにが「きゃっほ〜」なんだかと思いつつ、純夏と冥夜も拍手だけはしている。

しかし男子生徒が騒ぐのも無理はない。麻美はヤロウどもにとって、それほどの上玉だった。
童顔で巨乳の美少女というのだから、これはたまらない。ただでさえ、純夏、冥夜、千鶴、まりも先生と、学園内の
キレイドコロが集中しているこのクラスに、またも期待のル―キ―が出現したのだ。
ヤロウどもが、他のクラス連中に自慢できるネタがまた一つ増えたことになる。
456マブミズその2:03/04/05 15:13 ID:p5PAqZw1
それゆえ嬉しさのあまりお猿になってしまうのも、まあうなずける。
とは言え、はしゃぎ過ぎなことは確かで、隣りのクラスの教師は・・・・
「また・・・・まりもさんのクラスは・・」などど思っているに違いないのだ。

クラスにはそれぞれバラバラなクラス、妙に団結力のあるクラス、やたらと静かなクラスなど、様々なカラ-が現れる。
で、このクラスの場合は、妙に可愛い子が多く、そしてお調子者が多いクラス、というわけだ。
----と、不意に後ろの戸が開き、女生徒が一人、入ってきた。

「・・また遅刻・・・ったく・・いいかげんにしてよね」
委員長である千鶴がその生徒を注意した。口調にはどこか皮肉めいたものが感じられる。
責任感が非常に強い千鶴にとって、ゴーイングマイウェーな感覚を持つ彼女とはソリが合わないらしい。
「・・・・・・」
遅刻してきた女生徒----彩峰慧は能面のように冷たい表情で無言のまま、さっさと自分の席についてしまった。
途中、慧は教壇横の麻美に視線を投げる。
麻美は慧の視線に気づき「にこり」と微笑み返したが、慧はやはり無表情のまま顔をそむけカバンを机の横にぶらさげた。

「それじゃあ、席は・・・・・と。ああ、武君の後ろに椅子と机が余っているでしょう。・・そう、それをあなたの横にならべて」
まりもがそう指示すると、またも歓声があがった。
「ひゅ―ひゅ―」とか「よ―よ―」とかいった、意味の薄いひやかしの雄たけびだ。
武はあからさまに嬉しそうに、後ろから椅子と机を引っ張ってきて、自分の席の横に並べた。
むろん備品の雑巾で埃をはらうことも忘れない。

「・・・・ふるふるふる・・・ありがとう・・武君」
すぐそばで、麻美が媚びるような笑顔を浮かべている。本能的にそういった表情のできる少女らしいのだ。
「あ・・いや・・うんっ、どうも・・・」
などど、武はいっちょまえに照れながら、なんだかわからない返事をした。
そんな武のだらしない顔を見た純夏と冥夜は「ムッ」する---。
457某12 ◆lMzJaU2mCw :03/04/05 16:43 ID:64QLgr89
学園ラブ米(・∀・)b グッジョブ!!

汗臭い男子校時代を思い出しますた
男女共学か…エロゲーの主人公になりたいもんだ
458名無しさん@初回限定:03/04/05 17:40 ID:niTBTtgj
マブラブとみずいろ?
また微妙なw
459 ◆vYiP2yxpUQ :03/04/06 05:23 ID:DW0aANge
これからドロドロするんだよね?ワクワク
460名無しさん@初回限定:03/04/07 08:15 ID:qr48+Ynh
ワクワク
461触手FF:03/04/07 13:13 ID:i9c2ooKC
>>50の続きなんだけど82KBあるので
次スレにします。
462名無しさん@初回限定:03/04/07 21:23 ID:H9KAd3DW
>461
うはは、すげぇ。次スレ期待
463名無しさん@初回限定:03/04/08 07:49 ID:WiS7BkYK
>>461
じゃぁ、次スレ、たてましょか
464名無しさん@初回限定:03/04/08 07:58 ID:WiS7BkYK
465名無しさん@初回限定:03/04/08 08:27 ID:d1l2a9C9
ちょっと早くないか?
466名無しさん@初回限定:03/04/08 08:52 ID:WiS7BkYK
>>465
触手FF氏の大作降臨があるみたいだから、つい
467名無しさん@初回限定:03/04/08 09:19 ID:gmc3VlmF
つーか、こっち使い切ってから次スレ移行すれば?
468名無しさん@初回限定:03/04/08 09:23 ID:ZQfH2fLA
現在394KB
あとどのくらいで書き込みできなくなるんだっけ?
469名無しさん@初回限定:03/04/08 09:33 ID:ZQfH2fLA
自分で調べてた。
500KBだ。
470名無しさん@初回限定:03/04/08 10:43 ID:S95V5J3l
まだ4/5か。
>461の82KB来たらちょうどいいくらいじゃん。
こっちでやれ。
471名無しさん@初回限定:03/04/08 10:45 ID:WiS7BkYK
82KBの降臨があると、合いの手やヤジが数個あるだけであふれるのでは
472名無しさん@初回限定:03/04/08 11:57 ID:Ojc7KHvI
どうせ何回かにわけるんだし、こっちに貼っていいんじゃね?
容量が足りなくなったら新スレに移行すればいいんだし
>触手FFさん
 次スレも立っていることですし、投稿→容量オーバーならそのまま次スレに移行
でいいかと思いますが、どうでしょうか?

 どうするかは、触手FF氏の判断しだいということで。
議論でスレ消費するのもどうかと思いますし。

 保管サイトは今月末更新予定。スマンです……
……しかし、このスレ見てる人って結構いたんだなぁ……

474名無しさん@初回限定:03/04/09 10:22 ID:F8JaqBZi
次スレ落ちてね?
475名無しさん@初回限定:03/04/09 10:54 ID:9bP2Ii+F
>474
……ですな。
476名無しさん@初回限定:03/04/09 14:05 ID:b50kA2fL
477名無しさん@初回限定:03/04/09 14:27 ID:6rJb6Iwp
>476
「このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。」
478名無しさん@初回限定:03/04/11 11:21 ID:jsh3MsM3
>>469
2chブラウザからだと500kで、普通のブラウザからだと512kだったと思う
479名無しさん@初回限定:03/04/11 19:27 ID:3MoLjGC5
んで次スレどうすんの?
480名無しさん@初回限定:03/04/11 20:46 ID:Hw6aotry
http://wow.bbspink.com/test/read.cgi/leaf/1046356976/n716-720
勝負ついてないけどどうよ?
481名無しさん@初回限定:03/04/11 23:00 ID:L+WRcwhD
 1の通り、450KB越えた時点で次スレ立て直して、触手FFさんのSSは次スレに
貼ってもらうでいいんじゃね? あと50Kはあるわけだし
482名無しさん@初回限定:03/04/13 02:09 ID:R8egjbjG
nayukifan
題名「おまけシナリオ」 @ブラウン通り3番目
483名無しさん@初回限定:03/04/13 02:10 ID:R8egjbjG
みんなでお茶を飲んでいた。

午後3時のホーネット。平日のこの時間、冒険者も町の者も店内にはまばらである。
なぜか集まった知り合い・・・マーチェリッカ、グランディア、ラネットとテーブルを囲み
世間話に華を咲かせていた。
リズィは保育園にノエルを迎えに行っている。もうまもなく帰って・・・。

「おとうさん、ただいま〜」
「ただいま〜」ノエルの声が、リズィの声が店内に響く。
「ノエル。お帰りー」
「マーチェリッカおねえちゃん、こんにちは」彼女はノエルを抱きかかえ膝に乗せる。
・・・マーチェリッカはノエルを自分の子供のように可愛がってくれている。
「いつも可愛いね、ノエルちゃん」グランディアの言葉にラネットと俺は、冷たい目
で答える。
「ラネット、こいつはロリコンなんだ」
「はい、マスター。いろんな意味でよくわかってます」
(お前も見かけからロリィだもんな)という言葉はやめておく。
「ちがうっす、兄貴。ラネット・・・勘弁してくれって」
「プンッ」ラネットがわざとらしく横を向いた。この2人も今じゃ立派な恋人同士だ。

「おにいちゃん、おねえちゃん・・・けんかしないでなかなおりしよ、ね?」
ちょっと心配そうにノエルが仲裁する。
マーチェリッカが笑いながら後に続ける。「うふふっ・・・大丈夫よ。けんかしてもすぐ
仲直りするから。ノエルのお父さんとお母さんみたいに」
(一同どっと笑う)
で済めばよかったのに・・・。

「あのね、おとうさんとおかあさんもきのうけんかをしてたの」思い出したようにノエルが
言った。
「あら、ノエル・・・嫌だわ見てたの・・・」リズィが恥ずかしそうにつぶやく。
484おまけシナリオ 2/3:03/04/13 02:12 ID:R8egjbjG
(回想)
昨日のこと。
小遣いを少しあげてほしいと俺は要望した。
「物入りなんだ。商店街の若い者におごらなくちゃならないし・・・(自分でも遊んでるけど)」
リズィの言い分は「無駄遣いはいけません」とこうだ。
俺はなおも食い下がった。「リズィ・・・先週新しい服買っただろ(俺に内緒で)。あれは無駄
遣いじゃないのか」
ギクッ・・・とした表情のリズィ。
「で、でもあの服はずっと着られます。無くなっちゃうものじゃありません」
「そういう問題じゃなくてだな・・・」
(回想終わり)
昨日の喧嘩とはこのことか。

「どこで喧嘩してたの、おとうさんとおかあさんは?」ラネットが微笑みながら尋ねる。
それに対し、ノエルがこう答えた。
「えとね、夜ね・・・ベッドの上でとっくみあいのけんかしてた・・・はだかんぼで」
・・・待て、待ってくれ。固まる俺とリズィ。

笑顔のマーチェリッカが質問を引き継ぐ。
「そう・・・。おとうさんとおかあさん、どっちが勝ってたの?」
「うーん・・・」ポンと手を叩き、ノエルが叫ぶ。「おかあさんっ」
俯くラネット。笑いをこらえるグランディア。
やめさせなければ・・・。なのに、突然の恥ずかしさに体が動かなかった。

「ど、どうしておかあさんが勝ってたって判ったの?」嬉しげに質問するマーチェリッカ。
「おかあさんが上になってたから。きっと勝ってるってわかったの」
グランディアが涙ぐむ・・・「兄貴、すっかり弱くなっちまったんですね」。・・・馬鹿野郎。
ラネットが涙ぐむ・・・「銀のメンバーってエッチな人ばっかりなんですね」。・・・首だ首。
485おまけシナリオ 3/3:03/04/13 02:14 ID:MX2/NRtr
「でも、おとうさんとおかあさん。すぐになかなおりしたんだよ」
「あら、そうなの。よかったわね」哀れみをこめた目で俺を見ながらマーチェリッカが相槌
をうつ。
「あのね、おかあさん、おとうさんにいってたの『いっしょにいって、いっしょにいって』
って・・・。おとうさんも『ああ、いっしょにいこう』ってお約束したの」
・・・鬱死。
「だから、きょうは2人でおでかけしてたんだとおもうの」
リズィは涙ぐんでいた・・・俺も泣きたかった。

「あ、もうこんな時間。帰らなくちゃっ。じゃあねノエル」ノエルを膝から降ろし、マーチェ
リッカがそそくさと席を立つ。
「あ、お、俺も依頼の冒険に行くっすっ」グランディアが走り去る。
「マ、マスター。私も、お買い物っ」ラネットが瞬時に消える。

・・・閑散とした店内でノエルを抱きしめ、俺とリズィは声を殺して泣いたのだった。
486名無しさん@初回限定:03/04/13 02:16 ID:MX2/NRtr
>>483-485
nayukifan
題名「おまけシナリオ」 @ブラウン通り3番目
487名無しさん@初回限定:03/04/13 11:18 ID:YT3eBFGi
グッジョブ
嬉しそうに質問しつづけるマーチェリッカに萌え。
488486:03/04/13 15:28 ID:Cbz0LA6f
うわ、しまった・・・誤植。
×グランディア → ○グランディ です(;´Д`)
489わんこ1:03/04/13 15:29 ID:CYFIv9/H
「やっと着きましたね、朝倉先輩」
「ずいぶん展開が急だな」
「それは・・・まぁ、その色々な事情が有りますから」
話の腰を折っても仕方ないんで話を進めるか。
「で、ここがGW直前に貼ってあった非公式新聞部の新聞に載ってた場所か?」
「はい、究極のバナナ料理がある喫茶店です」
究極と言っても『店内は甘い感じでゆったりと話せてカップルにも好評。
ぜひ騙されたと思って食べてみると天国に行ける味』って書いてあったのを何処をどうしたら究極になる。
それに、あからさまに何か怪しいぞ。
「もう待ちきれません。朝倉先輩早く入りましょうよ」
そんなにそわそわしてないで少しは落ち着けよ。
「仕方ない、入ってみるか」
今の美春を他の客に見られたら怪しい奴と思われる。
ガチャ!・・・・バタッ!
「美春、帰ろう。ここは危険だ」
「ダメですよ。ここでバナナが美春を呼んでるんです」
呼ぶわけ無いだろ。
「もう、朝倉先輩……わかりました、美春が先に入りますよ」
ガチャ!
「…は、早く中に入りましょうよ」
この甘ったるい空気の中でもまだバナナ料理を食べたがるのか・・・凄い根性だな。
仕方なく中に入り俺はコーヒーとミートソース、美春は例のバナナ料理を頼んだ。
「……料理が来るまで緊張するな」
俺のは普通のミートソースだと思うが美春のは絶対に普通じゃない、
この空気の甘さの原因よりバナナ料理がどんな料理なんだか凄く気になる。
490わんこ2:03/04/13 15:31 ID:CYFIv9/H
「もう楽しみでたまりませんよ」
「そうだな」
美春が食べた時の反応の方が楽しみなんだがこの場では伏せておく。
「それより朝倉先輩、周りを見てみると色々な反応があって楽しいですよ」
「ああ、そっちの母娘はイチゴ料理と思われるパスタを普通に食べてるな」
赤いがイチゴごと炒めてるのか?
「父親と思われる人が机に屈してますがね…仕事の疲れですかね?
とにかく、イチゴが大丈夫ならバナナも凄くおいしいんでしょうね…楽しみです♪」
いや、絶対に父親の方が仕事疲れじゃなくて母娘がイチゴ狂なだけだと思うんだが。
「そ、それとは逆に4種類のパスタが並んだテーブルでダウンしてる4人組も居るな」
「勿体無いです。せっかくのバナナが(ぶつぶつ)」
あっ、ふらふらになりながら4人組が立ち上がって出て行った……まるでゾンビだな。
「天国に行って戻ってきたんでしょうかね?」
「いや、絶対違うと思う」
違う意味で天国に行ったかもしれないが。
「お待たせいたしました。こちらがミートソースになります」
おお、普通の店の倍くらいの量だ。注文してから結構時間がかかったのはこのせいか。
「こちらがバナナスパになります」
……見た感じだけで甘ったるいぞ。本当に食べれるのか?
「ご注文は以上で宜しいでしょうか?」
「はい……」
「では、ごゆっくり」
「美春、バナナスパは食べた事有るか?」
「バナナのテンプラ、バナナサンドなどは作って食べた事有るんですが
流石にパスタは思いつきませんでしたよ」
刺身やスープの後はテンプラか……
その飽くなきバナナ料理への向上心は褒めたいが俺を料理の実験台にしないでくれよ。
491わんこ3:03/04/13 15:37 ID:CYFIv9/H
「では、冷めたらおいしく無いと思うんで食べましょうか?」
「んじゃ、いただきます」
「いただきま〜す♪」
パクッ!パクッ!
「……味は普通だな」
「……」
「美春?」
「……」
目は開いてるが反応が無い、気を失ったのか?
「天国行ったか?」
「バナナが…美春のバナナが…」
パタッ!
そう言って涙を流しながら美春は机に屈した…そんなに凄いのか?
「どれどれ、一口拝借」
パクッ!
「……」
バタッ!
意識が遠の…い……て……い……く…………。

その頃、教室で
「ふっふっふ、全ては計画通りだな。朝倉妹が居なくなってから張り合いが無くなって
つまらなくなったのんでここらで障害を作っておかないと面白くないからな」

GW後、美春率いる風紀委員と非公式新聞部の戦いが本格化した事は言うまでも無い。
なお、店を出るとき確認したら美春のバナナスパはバナナだけ綺麗に消えていた……。
492わんこ「おまけシナリオ」:03/04/13 15:55 ID:CYFIv9/H
音夢「美春〜。遊びにきたわよ〜」
美春「ハ ク ソ カ モ ン !」
音夢「はくそ、って何? 取り敢えずお邪魔しまーす」
美春「音夢先輩キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!」
音夢「美春イタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!!」
美春「(゚Д゚)ハァ?」
音夢「の、ノリで返しただけよ。それより何しよっか?」
美春「マターリ汁!」
音夢「え? まったりするの? ふぅ……そうね。じゃあゆっくりさせて貰うね」
美春「マターリする音夢先輩(;´Д`)ハァハァ」
音夢「なぁに美春? 息遣い荒いわよ? 熱でもあるの?」
美春「優しいんですね(*´Д`)ポ」
音夢「何言ってるのよ。ほら、おでこで熱測るからこっちに来なさい」
美春「わ、私には刺激が強すぎます( ゚д゚)・∵. ゴフッ」
音夢「きゃ、きゃああああ! 美春! しっかりして!」
美春「……と言ってみるテスト」
音夢「はぁ……もうバカな冗談はやめてよ……」
美春「音夢先輩にバカって言われちゃいました……鬱だ死脳。;y=ー( ゚д゚)・∵. ターン」
音夢「きゃぁぁぁああ! 美春! 何やってるのよ!」
美春「ナンチャッテ」
音夢「もう! いい加減にしなさい!」
美春「正直、スマンかった」
音夢「………うわーIQ低(ボソ」
美春「陰険さが表れていますね音夢先輩(ゲラ」
音夢「美春から煽っておいて何が…うざいわね」
美春「んで、脊髄反射ですか?おめでたいですね音夢先輩( ´,_ゝ`)プッ」
純一「激しくワラタ。お前等反応はえーな(藁」
音夢「春房…放置ヨロ」
美春「透明あぽーん汁」
うたまる「糸冬了」
493名無しさん@初回限定:03/04/13 16:28 ID:Y4FgHdGS
>>492
|∀゚)爆笑させて頂きました。
494名無しさん@初回限定:03/04/15 23:32 ID:tjMKaCRD
保守
495名無しさん@初回限定:03/04/17 08:35 ID:lDUyqVs1
革新
496名無しさん@初回限定:03/04/17 16:03 ID:/bBmBCAx
>>492
漏れも爆笑させていただきますた(w
ちなみにこの美春はロボの方ですな。
497名無しさん@初回限定:03/04/19 00:57 ID:eEBjLakJ
保守
498瞳 vs アイ:03/04/19 14:02 ID:+QhcM7Xx
>>50の続き

@止める

【 瞳 】「愛ちゃん!!」
    速い!
【 瞳 】「お願い、止まってッ! 愛ちゃん!」
    私の声は聞こえているはずなのに、愛ちゃんは止まってくれない。
    ・・・それなら!
【 瞳 】「止まらないなら、無理にでも止めてやるわ!」
    このままでは愛ちゃんに追いつかない。 
    私は腕に持つチェーンソーを見た。
    コレで止める。
    
       ドンッ!!
    
    左足が芝生に減り込むほどの勢いで急ブレーキ。
    右に構えたチェーンソーを振り回しながら身体全体を左回転。
    一回転・・・二回転・・・よし!
    あとはハンマー投げの要領でチェーンソーを放り投げる。
【 瞳 】「たぁあああああ――――――ッ!!」
    チェーンソーを投げると、真っ直ぐ愛ちゃんに向かって飛んでいく。
    距離もタイミングもドンピシャだ。
    良くて愛ちゃんの目の前を通過して足止め、最悪なら直撃・・・っぽい・・・
    このままじゃ、愛ちゃんにチェーンソーが当たっちゃう!?
    愛ちゃんに向かって走りながら声を出す。
【 瞳 】「愛ちゃん、よけてー!」
    いま、まさに愛ちゃんにチェーンソーが当たろうとした、そのとき。

       キン―――――
499瞳 vs アイ:03/04/19 14:03 ID:+QhcM7Xx

    鋭い金属音が鳴り響く。
    愛ちゃんを見ると足を止めて右腕を水平に構えていた。
    チェーンソーは・・・空中に止まった状態でいるように見える。
    しかし、それも一瞬の出来事で次の瞬間にはチェーンソーはバラバラになって
    地面に落ちた。
    『あんたはル○ンの五○門か!?』
    心の中でツッコミながら愛ちゃんに体当たり。
    ・・・をするんだけど、視界の隅で愛ちゃんの左腕が動いているのが見えた。
    マズイ マズイ マズイ
    このままだと殺られちゃう!?
    急いで頭を下げると、さっきまで頭のあったところを愛ちゃんの鎌が通り過ぎた。
    うわっ!?
    間一髪でなんとか避けられたんだけど・・・髪が!?
    結構な量の髪が宙を舞っている・・・ううぅ・・・
    とにかく愛ちゃんのお腹のあたりに突っ込んで抱きかかえるようにして倒れ込む

       グジュジュジュジュジ

    倒れこんだところには麻痺していて動けなくなった触手が地面を覆っていて
    ニュルニュルとした感触が気持ち悪い。
【 愛 】「どうして邪魔をする!? 殺されたいのか!!」
    どうしてって・・・
【 愛 】「放せ! 放さないと・・・」
【 瞳 】「放さないわッ」
    イヤな予感がするから止めた、なんて言っても無理だろうな・・・
【 瞳 】「愛ちゃん、お願い。 いったん引いて頂戴」
【 愛 】「黙れ! 放さないのなら・・・」
【 瞳 】「愛ちゃん!!」
500瞳 vs アイ:03/04/19 14:04 ID:+QhcM7Xx
    説得は無理そうだ・・・と思った矢先。

       ブシャ――――ッ

    背後でなにかがおこった。
    慌てて振り向くと芝生の一部が宙を舞っていて、地面からは白い液体が噴水の
    ように噴き出していた。
    でも、よく見ると噴水の中に何かいる・・・?

       バシャバシャッ

    噴水の中から何かが飛び出してきた。 アレは・・・巨大ミミズだ!
【 愛 】「どけッ!」
    腕の力を抜くと、あっという間に引き剥がされた。
    愛ちゃんは素早く立ち上がると、上から襲い掛かってくる巨大ミミズを
    正面から迎え撃つ。
【 愛 】「死ねぇ――――――ッ!」
    草刈鎌を巨大ミミズの先端から切りつけると、尻尾?の部分まで真二つにして
    片付けた。
【 愛 】「・・・ふん」

       ドドド――――――ン・・・

    噴水の周りの地面が吹き飛ぶと、そこには白濁液まみれの巨大ミミズが
    数匹鎌首を擡げていた。
    あっ・・・目が合っちゃった。(巨大ミミズに目は付いていないけど・・・)

       『ギシャ―――――――――ッ!』

    巨大ミミズは愛ちゃんを無視して、こっちに向かってくる。
501瞳 vs アイ:03/04/19 14:06 ID:+QhcM7Xx
    やばっ!
    急いで立ち上がって・・・武器がないッ!?
【 愛 】「お前たちの相手は私だ!」
    愛ちゃんが私の前に移動してきて巨大ミミズの前に立ち塞がる。
【 愛 】「この・・・雑魚が―――ッ! 死ね、死ね、死ね!」

       ザシュッ ドシュッ 
       『ギィ――― ギシャ、ギギャ―――』

    巨大ミミズを輪切りにし、さらに細かく切り裂いていくが、地面に開いた穴の中
    から次々と現れて襲い掛かってくる。
【 愛 】「くそっ! 次から次へと・・・邪魔だー!!」

       ザンッ ザンッ ザシュッ
       『ギィ、ギィ、ギギィ― キィ――――』

    ときおり巨大ミミズに交じって動けるようになった触手が攻撃をしてくるが
    巨大ミミズと一緒に切断されてしまう。

       ニュル、ニュル、ニュルルル
       ドシュ、ザシュ、ズバッ!
    
【 愛 】「・・・はぁ、はぁ、はぁ まだ・・・いる」
    もう何匹の巨大ミミズと触手を倒しただろう・・・ 
    でも、さらに数匹が穴の中からゆっくりと姿を現す。
【 瞳 】「愛ちゃん、後退しましょう。 一度、距離をとってから・・・へ??」
    ドン、と何かに後ろから肩を押された。
    そのまま愛ちゃん背中にのしかかってしまう。
【 愛 】「黙れ! 逃げたいなら あっ!? 何をする!? はなれ・・・」

       ドシュッ!!!
502瞳 vs アイ:03/04/19 14:19 ID:+QhcM7Xx

【 瞳 】「ひぎっ!!?」
【 愛 】「!?・・・・・・がはっ!」
    痛い痛い痛い痛い痛い!
    お腹が痛い! お腹を見ると愛ちゃんの背中との間にピンク色をしたモノが
    見える・・・ コレって・・・触手!?
    一本の触手が私と愛ちゃんを突き刺している!

       『ぐぞ・・・ハ、ハズじ、た・・・』

【 愛 】「瞳さん、少し我慢して・・・ 光疾!」
    
       『ひぎゃ―――――――――――――――!!!』

    あががががががががが・・・か、から身体のなな中か、ら電気が、がっががが!
    ・・・ぅぅぅぅぅ、終わった? ・・・こんなの二度とゴメンだわ・・・
    うわ!?
    目の前に草刈鎌が差し出された。
【 愛 】「前は押さえた・・・ コレで後ろを切断しろ」
    そんなコト・・・ あがががっ!?
    身体を動かすと触手が擦れて・・・痛い、痛い痛い。
【 愛 】「ぐッ!?・・・ は、はやく!」
    そんなコト言ったって・・・イタタタタタタタ!!!
    愛ちゃんが引っ張っててる!?。
    はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・ とりあえず愛ちゃんから草刈鎌を受け取る。
【 愛 】「怒鎚!!」(イカヅチ)
    愛ちゃんが右腕を伸ばすと先端から発生した雷が巨大ミミズのいる穴に直撃した。

       ズガ―――ン!!
       バリ! バリバリバリバリバリバリバリ
503瞳 vs アイ:03/04/19 14:21 ID:+QhcM7Xx

    本物の落雷ソックリな音が鳴り響くと穴の中の白濁液が吹き上がり、
    続いて巨大ミミズが何匹も姿を現した。

      『ギギャ―! ギギャギャギャ ギギッ ギギャグギャ――――!!!』

    最初から外にいた巨大ミミズ共々感電していて、真っ直ぐに体を伸ばし小刻みに
    震えていたが最後に大きく震えると全匹が地面に大きな音を起てて倒れこんだ。
【 愛 】「・・・・・・ッ」
    うわ・・・ 愛ちゃんの右腕全体に裂傷ができていて血が噴き出している。
【 瞳 】「ぐっ・・・ 愛ちゃん、その、ぅぐ!? き、傷は・・・」
【 愛 】「・・・はやく、切断を・・・はやく!」
    そうだ・・・ぃ、こっちを・・・ ん、ぐぅ――――――!!!
    腕を後ろに回すだけで激痛がはしる・・・
    なんとか後ろ手で触手を握り絞めると・・・ん? 全然、抵抗がない・・・
    そっか・・・さっきの電撃で麻痺しているのね。
【 愛 】「なにをしている。 急げ!」
    はい、はい・・・ 自分の腕に当たらないように気をつけながら触手を切断をした。
【 瞳 】「ンあっ・・・ハァハァハァハァ・・・」
【 愛 】「・・・次は、間だ」
    私と愛ちゃんの間に草刈鎌を差し込んで切断する。
【 瞳 】「ぃギッ!」
    触手を切断するとお腹に気を失いそうな痛みが走り、膝をついてしまう。
    ふぅ、ふぅ、ふぅ、ふぅ・・・
    お腹に触手が入ったままだがコレを抜くと間違いなく大量に出血してしまうため
    抜くに抜けない状態だ。
    すでに、けっこうな量が出ているけれど・・・(笑)
    あぅ・・・お腹が熱い。 まるで焼きゴテを押付けられているみたい・・・
    出血も止まらないし・・・ これからどうなるんだろぅ・・・
    愛ちゃんは・・・ 愛ちゃん!?
504瞳 vs アイ:03/04/19 14:23 ID:+QhcM7Xx
【 愛 】「ぅ、ぅぅううう! あ、ぁぁぁあああああ! ぐっあああああ!!!」
    愛ちゃんが叫び声をあげながら胸から突き出ている触手を掴んで引き抜いていた。
    すると胸に開いた穴から血が噴き出す・・・が、すぐに出血が止まる。
    どうして・・・?
【 愛 】「ふぅ、ふぅ、ふぅ・・・ ん、ンン――――」
    うわ〜〜〜・・・
    右腕が・・・流れていた血がビデオの逆再生のように傷口に戻って・・・
    傷が・・・傷が治っていく。
    すると胸の穴も塞がっているんだ・・・ 便利だなぁ・・・ イイなぁ・・・
    ――――・・・・・
    ・・・・・・
    ・・・
    ・
    あっ・・・ ヤバイな・・・ 一瞬、意識がトンじゃった・・・
    このまま・・・ 死んじゃうのかしら・・・
【 愛 】「はぁ、はぁ、はぁ、んっ・・・ ま、待っていろ・・・ いま、すぐに・・・
     ふぅ―――・・・ 殺して、やる・・・!」
    愛ちゃんが、ゆっくりだが『アイツ』に近づいていく・・・ 
    見た目こそ傷が塞がっているようだがダメージが残っているようで、ふらつき
    ながら進んで行く・・・

       『ぐ、ぐるな・・・ぐる、な・・・来るなぁ――!!』

    『アイツ』にも先程からの電撃のダメージが残っているのか、動いて逃げる
    ことが出来ない。
    触手はビクビクと小刻みに動いているが本格的には動かせないようだ。

       『動け・・・動かんか・・・ 動け!動け!動けっ!!』

       ギュル・・・ギュル、ジュルルル、ズジュルルルルッ
 
505瞳 vs アイ:03/04/19 14:24 ID:+QhcM7Xx
    ああぁ・・・ 何本かの触手が動き出すと『アイツ』と愛ちゃんの間に
    立ち塞がって攻撃しようと待ち構える。

       『寄るな! これ以上・・・寄るな! そ、そうじゃ、と、と、取引を
        しよう・・・ このままじゃと共倒れじゃ!
        お互い命があればこそじゃ・・・ な?な?な? そうしよう・・・ 
        お、お、お願いじゃ・・・ 殺さないでくれ・・・』

【 愛 】「・・・・・・」
    無言のまま愛ちゃんが『アイツ』に近づいていく・・・
    あっ? あれ?
    愛ちゃんの顔がこっちを向いて目が合うと・・・
【 愛 】「・・・来いッ!!」
    このスキを見て『アイツ』が攻撃を仕掛けた。

       『うぉっ・・・し、死ねぇっっっっ!!』

    触手が愛ちゃんに襲いかかる!
【 愛 】「・・・・・・ッ!」
    真正面からやってくる触手を避けないで左手に握った草刈鎌で迎え討つ。

       ザシュ! ザシュ! ザシュ!
       ドシュドシュ!!

    ああッ!?
    何本かの触手は切り落としたけれど、残りの触手が左肩と右フトモモと貫いて
    しまっている。
506瞳 vs アイ:03/04/19 14:39 ID:+QhcM7Xx
【 愛 】「ぐっ・・・・・・」
    
       『グハハハハハハハハッ よ、余所見なんぞしておるからじゃ!
        ひ、ひひひひひひひ・・・ひぃ!?』

       ザシュ! ザシュ!

    右手に持ち替えた草刈鎌で刺さっている触手を切り落とした。
【 愛 】「・・・・・・殺す」
    小さいが怒気を含んだ声でそう言うと身体に刺さった触手を抜かないまま
    足を引きずって『アイツ』に向かっていく。

       『ひっ!? よ、寄るな・・・ やめろ・・・ やめてくれ・・・
        ・・・くっ、くそぅ・・・ お、オマエは、死ねぇっっっっっ!!』

    一本、また一本と動けるようになった触手が次々と攻撃をして、愛ちゃんの
    身体に傷をつけるが、そんな攻撃はおかまいなしで致命傷になりそうな攻撃の
    触手だけ確実に切断しながら進んでいく。 
    私も、行かなくちゃ・・・愛ちゃんが待っている・・・
【 瞳 】「・・・ぐ、あ・・・んくっ・・・ぁぁぁぁああああああっ!」
    ふぅ、ふぅ・・・
    なんとか立ち上がれた・・・ ポケットの中から籠球を取り出して右手に握る。
    急がないと・・・くっ・・・ お腹からの出血はあいかわらずだけど・・・ 
    どうせ死ぬなら『アイツ』も道連れにして死んでやるわ・・・!
    よしっ!
    『アイツ』に向かって走る。
    実際は走ると言っても気持ちだけで、普段の私の歩く速度くらいしか出でいない。
    でも・・・徐々に愛ちゃんと『アイツ』が近づいてきた。
    くぅ、足が地面に着く度に痛みで気を失いそう・・・ 
    愛ちゃんを見ると『アイツ』のすぐそばまで近づいていた。
507瞳 vs アイ:03/04/19 14:40 ID:+QhcM7Xx
   
        ヒュン ヒュン   ヒュン ヒュン

      『近寄るな!  殺してやるぞ! この小娘が!! 寄るな、寄るな! 
       それ以上近寄ると、殺す!! ・・・・・寄る、な・・・ 
       う、ぅぅぅぅ、く、くそ!死ね! 死んでしまえ!!!』

    愛ちゃんを近寄らせない為に触手を振り回して威嚇していた『アイツ』だったが
    全身が切り傷で血塗れになりながらも無言で近づいてくる愛ちゃんへの恐怖に
    耐え切れなくなって、最後の触手で攻撃を仕掛ける。
    しかし!

      ズバズバッ!

    最後の触手は簡単に切断されてしまった。
    もう、愛ちゃんと『アイツ』の間を阻むものは何も無い。
    そして、ついに愛ちゃんが『アイツ』に刺さっているロッドに辿り着く。

      『やめろ・・・止せ・・・! ヤメロォ・・・ヤメロォ――!!』

    愛ちゃんの右手がゆっくりと挙がって・・・ロッドを握ると静かに言い放つ。
【 愛 】「・・・・・・死ね」

      『やめろぉ――――――――――!!!!!』

【 愛 】「斬風ッ!」(ザンプウ)

      ザン! ザン! ザン! ザンザン! ザシュ!! 
      『ギギャッ! グギャ! ガハッ! ガッ!ガッ! ―――――ッ!!』

    見えない刃(やいば)が『アイツ』の体内から背中を切り裂くと幾つもの血飛沫が
    噴き出す。
508瞳 vs アイ:03/04/19 14:42 ID:+QhcM7Xx
【 愛 】「ぁぁぁああああああああッ!」
    愛ちゃんは自分を奮い立たせるかのように声を上げるとロッドから手を放し、
    その場でクルリと右回転。 
    そして触手の刺さっている右足で後ろ回し蹴り!
    右足が『アイツ』に突き刺さっているロッドの刃の付け根に命中すると
    『アイツ』の左半身を切り裂いてロッドが飛び出す。

      『ヒギィ―――――――――――――――――!!!』

    まだ、愛ちゃんの攻撃は終わらない。
    蹴りを入れるのと同時に右手でロッドを掴むと、蹴った力を利用したロッドの遠心力で
    再び身体を回転させて攻撃をする。
【 愛 】「光疾ッ!」
    愛ちゃんの体から発生した電流が腕からロッドへ伝わると、ロッド全体が青く輝く。
    そして、帯電しているロッドで『アイツ』の右半身へと斬りつけた。

      ズバッッッ!!

    ロッドの刃が『アイツ』の体を引き裂き、体内へ進入すると・・・
【 愛 】「ブレイクッ!」

       ・・・・・・ズ、バ――――ン!!!!!

    愛ちゃんのかけ声に反応して、ロッドが蓄えていた電流を開放すると
    『アイツ』の体内で爆発を起こした。

      『うっっっぎゃ――――――――――――――――!!!』

    爆発は煙や炎こそ出なかったが『アイツ』の体に大穴を開けて、私のところに
    まで肉の焼けたニオイがやってきた。
509瞳 vs アイ:03/04/19 14:43 ID:+QhcM7Xx
    しかし多大なダメージを与えたにもかかわらず、『アイツ』を倒すにまでは
    至っていない。

      『ふは、ふは、ははははははは! 生きとる!? ワ、ワシは、い、いい
       生きとるぞ!! グハハハハハハ!!」

    『アイツ』の勝ち誇った笑いが響きわたる。
【 愛 】「それは・・・どうかな?」

      『なんじゃと!?』

【 愛 】「もう、終わりだ・・・・・・はッ!」
    愛ちゃんが真上にジャンプ! 
    そして入れ替わるように、その場所へ私が走りこむ。

      『・・・・・・なっ!!?』

【 瞳 】「うぉぉぉおおおおッりゃあああ――――――ッッッッ!!!」
    籠球を左手に持ち替えて『アイツ』の大穴へ渾身の左フック!
    大穴の炭化した表面を突き破ると左肩まで『アイツ』の体内へ埋まってしまった。
    左頬に炭化した肉が当たり、肉の焦げたニオイが直接鼻腔に臭う。
【 瞳 】「・・・これで」
    籠球を握りしめる。
【 瞳 & 愛 】
    「「 フィニッシュッッ!! 」」
    次の瞬間、『アイツ』の体内から白い光が溢れ出し、その光が徐々に広がって
    『アイツ』を侵食していく。
    同時に『アイツ』の頭上にジャンプしていた愛ちゃんが落下を利用して
    『アイツ』の頭頂部から地面まで文字通り真二つに切り裂いた。
510瞳 vs アイ:03/04/19 14:51 ID:+QhcM7Xx
    光に体を侵食されていく中、『アイツ』の顔が真中から分かれて左右の顔が
    上下にずれる。

       オオォ――――――――――――――――ン・・・・・・

    私の視界が白い光でいっぱいになる中、『アイツ』から遠吠のような声が
    発せられたのを聞いたのを最後に意識を失った・・・






       グリッ

【 瞳 】「――――――――――!!!!!?」
    痛い! 痛い! 痛イ!! イタイ、イタイ、イタイ!!!
【 瞳 】「ふぐ――! んあひ!! ふがひ、ふんがひ!!?」
    声が・・・ 口に何か入っている!?
    赤いのが目の前に・・・ これ、愛ちゃんのリボン!?
【 愛 】「気が、ついた・・・?」
    愛ちゃん! ど、どこに!?
    あれ? えっ!?
    愛ちゃんは身体を右横向きにされて寝かされている私を跨いでいた。
    左肩の上に愛ちゃんのお尻が乗っかっていて、私の上半身と両腕を両足の
    フトモモで挟んで固定している。
【 瞳 】「んぐ――、ふぐ、ふぐぐ、んん――」
【 愛 】「いまから・・・ お腹の触手を、抜く」
    抜くって・・・ どうやって!?
    
       ズプッ グリ、グリリ
511瞳 vs アイ:03/04/19 14:52 ID:+QhcM7Xx

    ―――――――――――!!!?
    お腹に、何か、んくくくくく・・・ 入って、る!?
    指!?
    愛ちゃんの指!?
【 愛 】「・・・ん、掴んだ」
    はやく! はやく抜いて!! 痛い、痛い、痛い、痛い、痛い! 
【 愛 】「暴れるな! 暴れると傷口が・・・」
    自分では動かずにしているつもりなんだけど、唯一自由な両足が勝手に動いて
    しまっていた。
【 愛 】「抜くぞ・・・ んっ!」
    
       ビュルルルルル

【 瞳 】「!? んぐ―――――――――!!!」
    すかさず愛ちゃんの両掌がお腹と背中の傷口に当てられる。
    すると不思議なことに痛みがじょじょに無くなってくる。
【 愛 】「とりあえず・・・ 傷は塞いだ」
    愛ちゃんの顔が覗き込むように現れて私の口の中に入っているリボンを外した。
【 瞳 】「ぷはっ! ありがとう・・・ 『アイツ』は? 倒したの?」
【 愛 】「・・・・・・ん・・・」
    そっか・・・ 
    お腹に手をやると生地の無い所がある・・・ 
    この部分だけ周りの肌と違ってスベスベしていた。
【 瞳 】「よっと」
    起き上がって愛ちゃんと向き合う。
    無傷だ・・・ しかも服まで元に戻っている。
    それにくらべて私ときたら腰から下は血に染まっているし、上半身も
    ボロボロ・・・
    腰まで伸ばしていた髪は背中の真中あたりでバッサリと切断されている・・・
    まぁ、生きていただけで儲けモノよね。
512瞳 vs アイ:03/04/19 14:54 ID:+QhcM7Xx
【 瞳 】「・・・で、此処はどこなの?」
    何処をみても真っ白だ。
    足の裏に感触があるので立っている実感があるが、いま立っている地面?と
    空間の境さえもわからない・・・ 
    視覚的には白い液体の中にいるみたいだわ・・・
【 愛 】「いま・・・大規模な魔法が発動している」
【 瞳 】「ふんふん」
【 愛 】「その魔法がこちらの世界に干渉しているとき、時間と空間のゆらぎが発生する
    ・・・それがこの場所」
【 瞳 】「ふむふむふむ・・・ 愛ちゃん本当にわかって話してる?」
【 愛 】「え!? あ?・・・その、えっと・・・ゴメンなさい」
【 瞳 】「いや、謝られても困るんだけど・・・って、そんなコトじゃなくて、
     その大規模な魔法って・・・いったい何をやっているの?」
【 愛 】「今回の事件に関係している人物達の記憶を操作して、一連の事件を別の事件に
     置き換える・・・『ゆらぎ』や私がいなかったコトにする」
【 瞳 】「そ、そんな凄いこと、で、出来るの!?」
【 愛 】「・・・・・・」(コクンと首を縦に振る)
    なんでも有りすぎて返す言葉も無いわ・・・
    あっ・・・ でも、出来るから今まで表沙汰になっていないのか。
    襲われた人、『ゆらぎ』や魔法戦士を見た者まで記憶を改ざんされて
    いるんじゃね・・・
    
    あれ?
    それって・・・もしかして・・・
【 瞳 】「私も!?」
【 愛 】「・・・・・・」(ゆっくりと首を縦に振る)
【 瞳 】「あっ、でも、私は、ほら、あれよっ、愛ちゃんの魔法は効かなかったし!」
【 愛 】「・・・」
    いままで縦にしか振らなかった首が、ふるりふるりと横へ振る。
513瞳 vs アイ:03/04/19 14:55 ID:+QhcM7Xx
【 愛 】「この魔法は・・・私は起動させるだけで魔法自体は私の世界から行われている。
     だから・・・」
【 瞳 】「・・・失敗しないってワケね?」
【 愛 】「・・・・・・ウン」
    ウンって・・・そんなので『はい、そーですか』なんて納得しないわよ。
【 瞳 】「イヤよ!」
【 愛 】「・・・瞳さん」
【 瞳 】「まだ私、愛ちゃんにパフェを奢っていないわ」
    我ながら聞き分けのない子供みたいなことを言っているわ。
【 瞳 】「パフェを食べる愛ちゃんの横に秋俊くんを並べて、その向かいの席に座って
     ヒューヒュー言ってひやかすの!」
    
    ・・・・・・秋俊くん?

       『今回の事件に関係している人物達の記憶を操作して、一連の事件を
        別の事件に置き換える・・・『ゆらぎ』や私がいなかったコトにする』

    じゃあ・・・じゃあ、秋俊くんは?
    おそるおそる愛ちゃんを見ると、顔を俯かせていて表情はわからない。
     ・
     ・
     ・
    どのくらい時間が経ったのか、愛ちゃんがゆっくりと顔をあげる。
    愛ちゃんの顔を見るのがこわい。  
    でも目をはなすことが出来なかった。
    ・・・愛ちゃんの表情は・・・ 笑顔だった。
    でも・・・ こんな悲しい笑顔は見たことがない・・・
【 愛 】「どうして、泣くの・・・?」
    いつの間にか、涙を流していた。
【 瞳 】「・・・だって・・・愛ちゃん、そんなのって・・・」
    泣いているのを意識すると、さらに涙が溢れ出した。
514瞳 vs アイ:03/04/19 14:58 ID:+QhcM7Xx
【 愛 】「・・・・・・」
    愛ちゃんは、ちょっと困った顔をしてから
【 愛 】「・・・ありがとう」
    愛ちゃん・・・!
    『ありがとう』という言葉を聞いて、さらに涙が出る。
    そんな私を見ながら愛ちゃんは、
【 愛 】「・・・もう、時間だから」
    えっ? えっ!? じ、時間って・・・
【 瞳 】「ちょ、ちょっと待って・・・」
    これで愛ちゃんと最後なワケ!?
【 愛 】「さよなら、瞳さん」
    なに一人でお別れモードに入っちゃってるのよ!
    急いで涙を止めなくっちゃ。
    たとえ、忘れてしまう相手でも笑って別れたいの。
    ・・・なんとか落ち着かせて涙を止める。
    よし、もう大丈夫。 愛ちゃんに顔を向けて・・・
【 瞳 】「さよなら、愛ちゃん。 ・・・ありがとう」
    私、ちゃんと笑っているよね。
【 愛 】「・・・・・・」
    私の表情を見て、なにかを考えている表情の愛ちゃん。
【 瞳 】「なに? なに? どうしたの?」
【 愛 】「・・・・・・ぅん」
    意を決した表情の愛ちゃんの口が開く。
【 愛 】「・・・・・・アイ」
【 瞳 】「・・・えっ?」
    愛ちゃんは顔を真っ赤にさせながら
【アイ】「私の・・・名前・・・」
【 瞳 】「・・・名前って・・・? アイ? えっ?えっ? え〜〜っ!?」
    このコったら最後の最後になんてこと言うの!?
【 瞳 】「ア、アイ・・・ちゃん?」
【アイ】「・・・・・・うん」
515瞳 vs アイ:03/04/19 15:00 ID:+QhcM7Xx
    ずるいっ! 卑怯だわっ!! 人が笑って別れようとしているのに・・・!
    抑えていた涙が再び流れ出す。
    でもこれは、さっきとは違う。 悲しくて泣いているんじゃない。
    涙が流れるのを止めることが出来ない私を見ていた愛ちゃんは、
【アイ】「・・・また、泣かせちゃったね」
    違う、違うの。
【アイ】「・・・ゴメンね・・・・・・さよなら」
    愛ちゃんが後ろを向くと私とのあいだが広がる。
    な、なんで? 私もアイちゃんも歩いていないのに・・・ どうして!?
    二人の間がゆっくりだが確実にひろがっていく。
    駄目!
    こんな別れ方はイヤだ!
    アイちゃんに最後に見せた顔が泣き顔だなんてイヤだ。 
    私は笑って別れたいの。
    でも・・・涙が全然止まってくれない。
    だけど・・・!
【 瞳 】「アイちゃんっっ!!」
    離れていくアイちゃんの背中に向けてありったけの声を出して呼ぶ。
    私の声が聞こえたのか、アイちゃんがこちらに振り返った。 
【アイ】「・・・!?」
    ふふふ・・・おどろいた顔をしている。
    私、笑えているよね? 涙は止まらないけれど、ちゃんと笑っているよね?
【 瞳 】「ありがとう、アイちゃん! さよなら!」
    そう言いながらブンブンと大きく右手を振る。
    そんな私を見つめていたアイちゃんは・・・
【アイ】「・・・・・・さよなら」 
    それは・・・アイちゃんと出会ってからはじめて見る、満面の笑顔だった。
    
516瞳 vs アイ:03/04/19 15:01 ID:+QhcM7Xx












      [・・・・・ピ・・・ピピ・・・] 

    ・・・・・・う、ん・・・

      [ピピ・・・ピ・・・ピピ・・・]

    ナニか・・・鳴って・・・・・・


     [ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ]

    段々・・・ん・・・

      [ピピピピピ、ピピピピピ、ピピピピピ、ピピピピピ]

    〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(怒

      [ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピ]
517瞳 vs アイ:03/04/19 15:02 ID:+QhcM7Xx

【 瞳 】「・・・うるさいッ」

      [ピピピピピピピピピピ] ベキャッ!

【 瞳 】「よし・・・・・・」
    おやすみ・・・
【 ? 】「・・・『よし』じゃない!」

      スパ――――――――――ン

    頭を叩かれた。
    なにで叩かれたのかはわからないけれど、叩いた相手が誰なのかは
    目を開かなくてもわかる。
【 瞳 】「イタイよ、トラちゃん・・・」
【子虎】「なに言ってるの・・・ いま何時だとおもってるの?」
    んんん――――――――ぅ・・・ 何時って・・・
    枕もとの目覚まし時計に手を伸ばす・・・あれ? ナンか形が・・・
    時計を目の前まで持ってくる。
【 瞳 】「ぺちゃんこ?」
【子虎】「瞳が壊したの!!」

       スパ―――――――――――――――――――ンッッ

【 瞳 】「スリッパでパンパン叩かないでよ・・・」
【子虎】「・・・いい、瞳。 いくらこの寮が学園の敷地内だからってこんな時間まで
     寝てちゃダメ。 もう8時10分よ」
518瞳 vs アイ:03/04/19 15:10 ID:+QhcM7Xx
    8時10分 !?
    一気に目が覚めた。 急いでベッドから飛び起きる。
【 瞳 】「今朝は8時から職員会議があるのよ! ああ〜〜、遅刻だわ!」
    ドタバタと部屋の中を動き回る。
【 瞳 】「服、服、服はドコなの?」
    まだ引越しで持ってきた荷物を片付けていないので服がドコにあるのか・・・
    頭の中が混乱している、いまの私には見つけることが出来ない。
    そんなパニック状態の私をジト目で見ていたトラちゃんが、大きく溜息ついて
    から声をかける。
【子虎】「はぁ―――――――――っ・・・ 落ち着きなさい、瞳。 
     たぶん、職員会議は中止だと思う」
    ピタリと身体の動きを止めて首だけをトラちゃんに向ける。
【 瞳 】「なんで・・・?」
    どうしてトラちゃんにそんなことがわかるの?
【子虎】「ん・・・この部屋にくるのに中庭を通ってきたんだけど・・・
     中庭に大きな穴が掘られてるし、ところどころ芝生に焦げた跡があって
     中庭に教師達が集まってた」
【 瞳 】「はあ?」
    中庭に大きな穴? 芝生に焦げた跡?
【 瞳 】「そんなの、昨日はなかったわ」
【子虎】「だから騒ぎになってるんでしょ・・・」
    あれ、なんか・・・さっきからトラちゃんの私を見る目がヘンなんだけど?
【子虎】「・・・瞳。 別にどんな恰好で寝てても私には関係ないから・・・
     だから、その、別に、良いんだけど・・・ とりあえず、なにか着なさい」
【 瞳 】「・・・はい?」
    なにか着なさいって・・・
    あらためて自分を見てみると・・・裸だった。
    上から下まで、下着さえも着けていない・・・ようするに素っ裸だ。
519瞳 vs アイ:03/04/19 15:11 ID:+QhcM7Xx
【 瞳 】「あ、あれ? なんで? パンツも穿いてない・・・どうして?」
    おもわずトラちゃんに聞いてしまう。
【子虎】「そんなの知らない・・・ とりあえず、そこのTシャツでも着なさい」
    Tシャツ、Tシャツ・・・っと、よいしょっ・・・
【子虎】「・・・パンツも」
    はい、はい。
【 瞳 】「よっと・・・はい、トラちゃんお待たせ〜」
【子虎】「・・・・・・? ・・・で、この二日間、なにがあったの?」
    なんか、ヘンな溜めがあったけど・・・んんん?
【 瞳 】「なにがあったかって・・・なんにも無かったわよ」
【子虎】「・・・? なんにも無くても定時連絡は入れないとダメじゃない」
    又してもヘンな溜めが。
【 瞳 】「そういえば・・・ 司令、メールでも怒っていたわ」
【子虎】「・・・? 『怒っていたわ』じゃない! まあ、無事でなによりだけど・・・」
    ・・・・・・気になるなぁ〜。
【 瞳 】「トラちゃん・・・心配してくれていたんだ」
【子虎】「な、なに言ってるの!? 心配なんてしてないわよ・・・!」
    慌てているトラちゃんもカワイイなぁ・・・ あれ? おかしいな・・・ 
    つい最近、こんなやり取りをしたような・・・?
【 瞳 】「ねぇ、トラちゃん・・・ この二日間、一緒にいなかった?」
    馬鹿な質問しているなー。
【子虎】「・・・? なに言ってるの、瞳? 大丈夫?」
【 瞳 】「そうよね・・・ 私、なに言っているんだろ・・・」
【子虎】「ふぅ、もういいわ。 このままだと二人揃って遅刻するから続きは夜に・・・?」
    トラちゃんが目を細めながら首を傾げる。
【 瞳 】「・・・トラちゃん、さっきからどうしたの? 私が、どうかした?」
【子虎】「なんか・・・違和感が・・・う〜ん・・・瞳、そこで身体を一回転してみて」
【 瞳 】「一回転って・・・こう?」
    くるん、と右回転。
520瞳 vs アイ:03/04/19 15:14 ID:+QhcM7Xx
【子虎】「・・・? 今度は後ろを向いて」
【 瞳 】「今度は後ろを向く・・・っと」
    トラちゃんに背を向ける。
【子虎】「・・・瞳、その髪・・・どうしたの?」
【 瞳 】「髪? 私の髪がどうかしたの?」
【子虎】「う〜〜ん、自分の目で確認したら・・・」
    なによ、どうなっているのか言ってくれてもいいじゃない。
    首のあたりから髪を持って前に回す・・・あれ?
    あれ――――――――!?
    髪の長さが胸の下までしかない・・・
    髪を元に戻して手を後ろに回す・・・ 無い!
    腰まであった髪が背中の真中までしかない! 
    髪が短くなっている!?
【 瞳 】「どうして!?」
【子虎】「・・・さあ?」
    さあ、って・・・確かにトラちゃんに聞いてもしょうがないけど・・・
【子虎】「でも、毛先は揃えてあるから・・・ 失恋?」
【 瞳 】「なに言っているの。 散髪なんてしていないし、もちろん失恋もしていないわ!」
    身体を回してしてトラちゃんと向き合うとコスプレをしたトラちゃんが立っていた・・・
    ように見えたがそれも一瞬だけで、目の前にはちゃんと制服をきた虎ちゃんが立っている。

【 瞳 】「・・・・・・トラちゃん、眼鏡・・・」
【子虎】「・・・眼鏡?」
【 瞳 】「眼鏡・・・外してくれないかな?」
    なにを言っているんだろう・・・トラちゃんが眼鏡を外したからってどうだっていうの・・・
【子虎】「・・・・・・外せば、いいのね」
    私の言動をおかしいと思いながらも何かを感じとってくれたようで
    トラちゃんが眼鏡を外してくれた。
【子虎】「・・・はい、これでいい?」
    私の前に眼鏡を外したトラちゃんがいる。
    何故か、トラちゃんの顔を見つめていると胸が絞めつけられる・・・ あっ!?
521瞳 vs アイ:03/04/19 15:15 ID:+QhcM7Xx
    
       バシュッ!
    
    頭の中にトラちゃんに似た少女が現れた。
    その少女は・・・笑っていた。
    見ていて気持ちの良くなる、とっても素敵な笑顔だ。
    
    あっ? あれ?
    すぐに、少女が見えたという事以外は何も思い出せなくなっていた。
    どんな少女だったのか? 
    背格好は?
    どんな顔をしていた?
    わからない・・・
    なにも、わからない・・・
【子虎】「・・・瞳、どうしたの?」
    トラちゃんが私の顔を覗きこんでくる。
【子虎】「なに泣いてるの・・・」
    泣いている? 私が・・・?
    頬に指を当てると確かに濡れている・・・でも、これは・・・この涙は―――――
522瞳 vs アイ:03/04/19 15:17 ID:+QhcM7Xx
【 瞳 】「・・・ふふっ、んふふふふふふふ」
    うれしいんだ・・・!
    なぜだかわからないけれど、うれしくて涙が溢れてくる。
【子虎】「なに泣きながら笑ってるの・・・ ふふっ・・・瞳の泣き笑いを見てたら
     こっちまで笑っちゃうじゃない」
【 瞳 】「あは、あははははは。 トラちゃん、大好きよ!」
    トラちゃんをギュゥ〜〜と抱きしめる。
【子虎】「こら、瞳! 放しなさい! 放してっ!」
    私の腕の中でトラちゃんがジタバタと暴れだす。
【 瞳 】「ダ〜〜〜メ、放さない・・・」
    さらに力を込めて抱きしめる。
【子虎】「イタ、痛いってば! どうしたのよ、瞳・・・ あっ? こら! 
     ヘンなトコロ触んないのっ あんっ!? 放してってば!」
【 瞳 】「んふふふふふ、放さないも〜んっ!」
【子虎】「あっ? あっ? ああっっ!? やめて、お願い! ぁあああああ!!?」
    始業のチャイムが鳴るまで、ズ―――――っとトラちゃんを抱きしめていた為に
    二人揃って遅刻をしてしまい、学年主任に怒られてしまった。(トラちゃんにも怒られた)

    

    そして、
    いつもと同じ一日が始まる。
 

                                              瞳 vs アイ    完
                                   
523触手FF:03/04/19 15:26 ID:+QhcM7Xx
すみません、すみません。
82KBもありませんでした。
ワードファイル込で82KBでした。
お騒がせして申し訳ないです。
とにかく、これで『俺脳内電波駄々漏れ妄想SS』は完結です。
終わってくれて本当に良かった・・・

>>514のアイの告白は前スレの258と287で伏線を張ってます・・・って嘘です。
勘違いしてたのを利用しました。
524山崎 渉:03/04/20 04:34 ID:qaJK2dSG
   ∧_∧
  (  ^^ )< ぬるぽ(^^)
保守
……する前に保管作業をやれと言われそうだが……GW中にはなんとか
526名無しさん@初回限定:03/04/29 00:03 ID:ycOLrxGf
527名無しさん@初回限定:03/04/29 01:28 ID:Oj3ucuwX
投稿したいけど80k以上あるから投稿できない現状です……。
528名無しさん@初回限定:03/04/29 23:24 ID:hc0vrySJ
次スレいこうよ?>なぜ行かぬ
529名無しさん@初回限定:03/04/30 05:32 ID:9KlnaXWp
80K祭りか?
530触手FF:03/04/30 17:36 ID:P1BNZpVc
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。

管理人さん、次スレおながいします。
531へたれSS書き@保管サイト”管理”人:03/05/01 02:01 ID:TYf3AeHo
 次スレ建てました。
即死回避に保守おねがいします

http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/erog/1051721989/
532名無しさん@初回限定:03/05/02 14:03 ID:SN0+d5b4
凌辱屋さんが好きだったんだけど、もう書いてくれないのかな……。
533名無しさん@初回限定:03/05/07 02:07 ID:vx2Q2pwg
534名無しさん@初回限定:03/05/07 21:08 ID:K+9SMkjf
乃絵美でガッツ
美奈の恋愛研究日誌

そろそろ復活キボン
535名無しさん@初回限定:03/05/22 03:25 ID:C0aPhjZw
ザガッツキター
536山崎 渉:03/05/28 13:40 ID:Mmq3BVsa
     ∧_∧
ピュ.ー (  ^^ ) <これからも僕を応援して下さいね(^^)。
  =〔~∪ ̄ ̄〕
  = ◎――◎                      山崎渉
537いつかの284 ◆rxGlGXNEMU :03/06/14 19:18 ID:4RDIKcUs
>>492
それ、俺がD.C.避難所に書いたヤツじゃん。
コピペはしょうがないけど、それに自分で書き足して
自分の作品のように投稿ってのはたちが悪いな。
まぁいいや、盗作上等ってことで一個投下。
<美春が朝倉家に来たVer.>
美春「ダレモイナイ……音夢先輩の家に入るならイマノウチ……」
音夢「あ、いらっしゃい美春」
美春「ガーン……ミツカッタ(゚Д゚;)」
音夢「なにコソコソしてるのよ? 早く入りなさい」
美春「ハーイ(´・ω・`)」
音夢「さて、取り敢えずお茶にしよっか?」
美春「激しくドゥイエ」
音夢「ドゥイエって何? ふふ、なんかテンション高いんだね。美春」
美春「(゚Д゚)ハァ? ここに空気の読めないヴァカがいます」
音夢「え? あ、あの……ごめんなさい、私なにか変なこと言った?」
美春「キニスンナ」
538いつかの284 ◆rxGlGXNEMU :03/06/14 19:19 ID:4RDIKcUs
音夢「そ、そう? ……あ、そうだ、私ケーキ作ったの!」
美春「マジかYO」
音夢「本当よ? 美味しく出来たんだから♪」
美春「どうせネタだろ」
音夢「もう、疑り深いわねぇ」
美春「ソースは?」
音夢「え? ここにあるけど、まさかかけ……」
美春「ドポドポ」
音夢「うわ、ホントにかけてるし……」
美春「(゚д゚)マズー」
音夢「当たり前でしょうが……ねぇ、そんなの食べてなんともない?」
美春「か、身体がムズ痒いーー!!」
音夢「ちょ、ちょっと、美春。暴れないで!」
美春「種ーー! 種取ってタネーー!!」
音夢「ああもう……キッチンがムチャクチャ……」
美春「あ、あの……こんなことするつもりじゃなかったんですが、
   ご迷惑をかけてしまいました。もう二度と来ません。さよなら」
音夢「あ、美春…………出てっちゃった。
   もう、こんなに散らかして……」
美春「まさかこんな事になってしまうなんて考えてませんでした。
   本当にゴメンなさい……」
音夢(来ないって言ったばっかりなのにまた来てるし……)
539山崎 渉

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 |(  ^^ )| <寝るぽ(^^)
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 \ |⌒⌒⌒~|         山崎渉
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