SS投稿スレッド@エロネギ板 #2

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1名無しさん@初回限定
エロゲー全般のSS投稿スレです。前スレではエロエロ、ギャグ、シリアスと
様々な力作の投稿があり、ご好評いただきました。
これからもマターリ萌え話から鬼畜陵辱まで、ノンジャンルで作品を求めます。

そこの「SS書いたけど内容がエロエロだからなぁ」とお悩みの
SS書きの人! 名無しさんなら安心して発表できますよ!!

【投稿のガイドライン】 (葉鍵板から抜粋・改変です)
1.テキストエディタ等でSSを書く。
2.書いたSSを30行程度で何分割かしてひとつずつsageで書き込む。
 名前の欄にタイトルを入れておくとスマート。
3.回ったら名前の欄に作者名を書きタイトルを記入して自分が
 アップしたところをリダイレクトする。>>1-2みたいな感じ。
4.基本的にsage進行でお願いします。また、長文uzeeeeeeと言われる
恐れがあるため、ageるのはなるべく長文を回した後お願いします

・関連リンク(11/21現在)
前スレ【SS投稿スレッド@エロネギ板】
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/erog/984064183/
【SS投稿用スレッド@エロゲー板】
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/979813230/
エロゲ&エロゲネギ板SS保管サイト(管理人不在アボーン中)
http://www.geocities.com/yar_hiro/
2名無しさん@初回限定:01/11/21 07:16 ID:qhrlJeAQ
すみません、前スレに容量超過の警告が出たため
拙速かもしれませんが引っ越させていただきました。

直前の投稿を転載させていただきます。
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/erog/984064183/628-637
3名無しさん@初回限定:01/11/21 07:17 ID:qhrlJeAQ
628 :名無しさん@初回限定 :01/11/21 02:17 ID:LroGiir8
投稿させていただきます。
君望・「茜**エンド」後の話です。
ネタばれ満載ですので、これからしようとする方はご注意下さい。
4エピローグ(水月)1:01/11/21 07:18 ID:qhrlJeAQ
エピローグ(水月)
(茜**エンド後のお話です)

 会社も今日で終わりかあ……。嫌なこともあったけど、割と楽しかった。
 送別会は昨日、金曜日にしてもらっていた。今日は最後の仕事の引継ぎと、私物の整理。
 休日なのに、同僚の子には、最後の最後に、悪いことをしてしまった。

 わりといい男もいたよね。……でも、あたしの好みじゃなかったかな。
 給湯室で、みんなでさぼるのって楽しかったな。高校のときみたいで。
 課長ったら、泣いてるんだもん。ちょっとうれしかったかな、あはは……。
 電車の中、つり革につかまって夜の街に目をやりながら、私はそんなことを思っていた。
 みんな、さようなら……か。ちょっと寂しいかな。
 どんな別れも、寂しさが伴うものなのだろう、きっと。

 しかし、これからなすべきことが山のようにある。
 別れはすべて、前に進むために決めたのだから、立ち止まっていてはいけないんだ。
『会社を辞め、この街を出る。また、私が前へ進むために』
 孝之と別れてから2箇月たったころ、私が出した結論。

 大切なもの……孝之を、私は失った。
 孝之がいない日々なんて考えられないって、私は思ってたのに。
 人って、割と強いのかもしれない。
 その中を、私は淡々と過ごしていた。なにをどうするつもりもなく。
 日々が訪れ、過ぎて行った。
5エピローグ(水月)2:01/11/21 07:18 ID:qhrlJeAQ
 ある日のこと。
 会社から最寄の駅への途中、スイミングスクールのバスが私の横を通りすぎ、前方に停まる。
 小学生の子供たちがバスから降りる。
 ふーん、スイミングスクールがあるんだ……。

 体育館に似た建物から、子供たちの嬌声と水の音が聞こえてきた。
 あ……。
 なんていうか、いてもたってもいられない気持ちが私の中に芽生える。
 いつのまにか……私は、そのスクールの受付の人にこう言っていた。
「あの、見学させていただきたいんですけど……」

 見学用の通路を隔てるガラス越しにプールを覗く。
 この時間は、学校帰りの小学生たちの、どうやら初心者から中級者のクラスらしい。
 そこそこ泳げる子もいるが、大部分の子供たちは決して泳ぎが上手とは言えない。
 ……けれど、なんて楽しそうに泳ぐのだろう。

 皆が平泳ぎでコースを泳ぐなかで、先生と1対1でクロールを教わっている男の子がいる。
 他の子より遅れて入学した子なのだろうか。
 プールの中で壁を蹴り、クロールで……数メートルで停まる。
 あらあら……。
 先生は、その子の隣りに移動し、言葉と身振り手振りでクロールの泳法を教えようとする。
 先生の言うことに熱心に耳を傾け、男の子は何度もうなずく。
 飼い主の言葉を聞く子犬のよう……なんて思ってしまう、それほど真摯で、かわいくて。

 うまくいかない。男の子は、泳ぎのコツがわからない。
 コースの端まで、先生と生徒は練習をしながら移動する。
 でも、何度やっても距離は伸びない。
 ……いえ、ちがう。少しずつ伸びている。

 何度目だろうか、彼は立ち止まった場所から、再び泳ぎ出す。
 5mを超え、10mを超え……停まらない。
 やがてコースの端に着いて男の子は止まる。
 顔を上げた男の子が、先生のほうを向いて……にこっと笑う。
6エピローグ(水月)3:01/11/21 07:19 ID:qhrlJeAQ
「うん……」かっこいいよ、キミ。
 かわいいなんて思ったのは、彼に失礼だった。
 私はわくわくしながら、結局……最後までそのクラスを見つづけてしまった。

「見学させていただいて、ありがとうございました」
 受付の女性にお礼を言い、私はスイミングスクールを後にした。
 泳げないで頑張る男の子……そんな小さな事に心を動かされるなんて。
 でも、そんな自分が嫌ではなかった。

 数日後。
 私は、とあるプールのスタート台の上に立っていた。
 頭の中で、スタートの合図を鳴らし、プールに飛び込む。
 ただ、泳いだ。何も考えず、へとへとになるまで体をいじめて。
 その夜、考えた。自分に何が残っているのか、したいことはないのかを。
「あたし、水泳が好き……」口から、言葉がついこぼれる。
 好きなんだ、水泳が……。
 明け方になるころ、私は結論を言葉にした。
「泳ぎたい。選手としてはもう無理かもしれない……。けれど、水泳に関わって生きていきたい」
 私がそう心を決めたのは、10月中ごろだった。

 私は父母を説き伏せ、体育大学入学を目指し、体進(*体育進学センター:体育大学専門の予
 備校)に通うことにした。
 でも、この街は出る。さすがに……、ココにはいられないから。
 心の痛みも、これからへの不安も、本当に正しい道を選んだのかという心配も……たくさんある。
 でも、これも勝負。勝たなくてはいけないゲーム。
「うん、負けちゃだめ。しっかり、水月……」

 ガタンゴトン……。
 電車の窓に映る自分を見ながら、ふと苦笑した。
7エピローグ(水月)4:01/11/21 07:20 ID:qhrlJeAQ
 頑張れ自分……か、ちょっと恥ずかしいかも。
 この電車に乗るのも、しばらくはないんだろうな。ばいばい……。って、あたしは乙女かっ!?
 ……ハァ。
 一人ツッコミは、ちょっと……むなしかった。

「次は柊町〜、柊町〜お降りの方はお手回り品をお確かめの上……」
 やる気のなさそうなアナウンスが入り、そこで物思いをやめた。

 電車を降り、改札を目指し歩き始める。
 ……と、前方に見知った後ろ姿のカップルがいた。
 孝之、遙……。
 見間違えるはずはない、孝之の後姿……。
 ちらっと遙に話しかけたときの横顔……ほら、やっぱり孝之だ。
 遙は、明るい色彩の服とかわいらしく、大きいスカート。見まごうはずもない。
 そして、2人は歩いていく。愛情の証として手をつなぎ……。

 なんで最後に、こんなところで会うのだろう……。
 足がすくんで、私は歩けなくなる。
 今は、まだ会いたくない……。
 私は改札へ向かう人の列から離れ、歩みを遅くする。

 私の心の中に別の声が生まれ、私に問いかける。
(本当に……それでいいの?)
 ううん、いいはずが……ない。
(あたしたちは、友達なんだよね?)
 そう、私は2人のこと好き、今でも……。
(じゃあ、どうしたらいい?)
 会って「退院おめでとう」って言わなくちゃいけない。遙のために、2人のために
「さようなら」って、別れの挨拶を言わなくちゃいけない。あたしたちのために。
8エピローグ(水月)5:01/11/21 07:20 ID:qhrlJeAQ
(何かをするのにも、理屈っぽくなったよね。歳、とったかな?)
 私は、2人に向かって走り出す。
 人の波を避けながら、私は2人のもとへ急ぐ。
 昔のように、友達に会うのにふさわしい顔で。笑顔で。

 2人の後ろに来て、私は名前を呼ぶ。
「遙っ、孝之っ」
 高校のときのように呼べただろうか?

 孝之が振り向く。
 そして、遙が……振り向くはずだったのに。
 振り向いたのは。

「茜!?」
 孝之と……茜がそこにいた。振り向いたのは、遙ではなかった。
「水月……元気だったか?」孝之が私に話しかける。
 遙じゃない……。
 私は、孝之と茜を目の前にして、次の言葉を忘れていた。

「あ……」驚き、うろたえる茜。
「水月……センパイ」
 小さく、ようやく搾り出したような声。みるみるうちに茜の表情はゆがむ。
「ごめんなさい、ごめんなさい」
「どうしたの、茜……?」
 茜、どうして謝るの、どうしておびえるように私をみるの?
「水月先輩、ごめんなさいっ……」泣きながらそう言うと、茜はその場から走り去った。
「茜っ」孝之があわてて茜を呼ぶ。
9エピローグ(水月)6:01/11/21 07:21 ID:qhrlJeAQ
 何があったのだろう、茜に。何があったのだろう、今までの間に……。

「水月っ、詳しい話はあとで。ごめん……な」
「う、うん……」
 そう言って、孝之は茜の跡を追って走り出した……。

 人のいなくなったホーム。
 勇気を出して、2人に声をかけたつもりだったのに……。
 疲れを感じ、私はホームのベンチに腰を下ろした。
 座っても、くつろげるわけもなく、私の気持ちはちぢに乱れるばかり。
 どうして、茜と孝之が2人で?
 なぜ、遙はいないの?まだ退院していないのだろうか
 なぜ、2人が寄り添うように、手をつないで歩いていたの……?
 あの場所は今は、遙のいるべき場所……のはず。
 なぜ、茜が……私に謝るの? わからない……。
 まだ、終わってなかったの?

 舞台から降りた私……。私にとっては、孝之との別れという『終わり』があった。
 そして、孝之と遙には、これからの幸せの『始まり』が来た。そう思っていた。
 でも、もしかしたら……。
「ううん、そんなことはない。だって、だって……そうだとしたら」
 言いようのない不安……ようやく忘れたはずの、暗い気持ちが私を包む。

 最終電車の乗客とともに、改札を出る。
 もう、私には関係ないって思えたらいいのに。
 でも、そんなふうに割り切れるわけもない……。孝之と、遙と、茜のことなんだから。
 ……。

 その夜、夢を見た。はっきりとは覚えていないけど、孝之と遙と茜と私でプール
 に行ったときの夢だった。
10エピローグ(水月)7:01/11/21 07:21 ID:qhrlJeAQ
 目が覚める。
 どんな内容だったか、夢が速やかに消えていく。楽しいことだけはわかっているのに……。
 消えて行く夢を送りながら、私は思った。
「みんなで、いつまでも楽しいままだったらよかったのに……」
 それは無理な相談ってことは、身をもって知っているけれど。

 今日は日曜。
 昨日のことを思い出す。わからないことばかりだった昨日の2人。
 会って話がしたい。
 母の用意した朝食を取りながら、電話をしてみようか……と考えていた。
 けれど、電話していいのだろうか。ううん、孝之に電話できる、私?
 電話をすることで、また孝之を苦しめることにならないだろうか。

 なんとなくつけているTVからは戦争のニュース。そして、CMに入る。
 ああ、あたしも世の中もぐちゃぐちゃだ……。
 いつのまにか天気予報のコーナー。天気くらいは見ておこ……。
 「……今晩、いえ正確には月曜未明なんですが、しし座流星群が日本で……」
 「……願いをかけてみてはどうでしょうか、みなさん」

 なに〜、願いをかけてみてはどうでしょうかだって〜?
 あのね……、願いをかけてかなうんだったら、誰も苦労はしないって。
 ……近ごろひねくれてきたな、あたし。
 私は野菜サラダをフォークで、つんつんとつついた。

 まだ、朝早いというのに家の電話がなり、母がでる。
「はい、速瀬です。……。はい、おはようございます。お久しぶり。……ええ、ちょっと待ってて下さ
い」
11エピローグ(水月)8:01/11/21 07:26 ID:qhrlJeAQ
 母が、電話口から私を呼んだ。
「水月、ほら……あの茜ちゃんから電話よ」
「あ……。うん」

「はい、お電話代わりました。水月です」
 まがりなりにも社会人を3年したせいだろうか、事務的な言い方が自然と出てくる。
 もっと違う、口調で話しかければいいのに。
「あ……水月、先輩」
「茜、久しぶり。……ん、昨日会ったよね。あはは……」
「はい……昨日は失礼なことをしてすみません」
「ううん、いいのよ。そんなこと」

「あの……先輩。私と……会ってくれませんか?」
「あ……」
 茜のまっすぐな物言いに言葉が詰まる。
 電話があるなら……、もし私が電話をするなら孝之だと思っていた。
 茜からとは思っていなかった。

「孝之さんといっしょでは、お話しできないことがあるんです、だから……。駄目、ですか?」
「あ、ごめん。駄目じゃないよ、私も……会いたいから」
「よかった……」
「うん。じゃあ、何時にどこにしよっか」
 ……。
 ……。

 お昼過ぎ、駅前で待ち合わせをすることになった。
 決まった間隔で駅から出てくる人の波、その中から茜が姿を現した。

「水月先輩……。わざわざ来てもらって、ありがとうございます」
12名無しさん@初回限定:01/11/21 07:27 ID:qhrlJeAQ
637 :名無しさん@初回限定 :01/11/21 02:33 ID:zkW/Buwn
とりあえず、ここまでに今日はしとうございます。
>エピローグ(水月)(1/3回終わり)

>>4-11
13某スレなりきりさん:01/11/21 07:40 ID:5wdlA5Ty
新スレおめでとうございます。

他の方が君望SSを投稿されたのでハンドル変更しますね。
ちなみに元君のぞSS書いた人です。続き遅くなっててすみません。

茜**エンド後ですか……。どっちだろ?
14君望SS「髪を切った日」:01/11/21 11:14 ID:gYllYUS2
 ピンポーン。
 聞き慣れたチャイムの音が、扉越しに聞こえてくる。もう何度目だろう、こうやって
孝之の部屋に入るのは。もう……覚えられない程の回数。それは既に日常的な出来事
だから。でも、今日は……今日だけはいつもとは違う。
「はい?」
「あっ……わたし」
「ああ、今開ける」
 そう言って玄関の扉に近づいてくる足音。私の好きな足音。孝之の足音。
 ガチャ。扉のノブがまわる。そして開かれたドア。孝之の顔がみえる。予想通り、
ビックリしたようで口が半開きのままだ。ただ黙って私の方を見ている。
「もう、何か言いなさいよ。似合ってるよとか……きれいになったよとかさぁ」
 わざと怒った振りをして孝之に言う。それに対して返される孝之の言葉をちょっと
心配しながら待つ。………似合ってないって言われたらどうしよう。そんな心配が
あったから、私はわざと語気を強めて言ったんだ。
「おい水月、そんなに髪ばっさり切っちまって風邪ひかないか?」
「……は!?」
 あまりと言えばあまりな孝之の言葉に愕然とする。本当にズッコケそうになるのを
初めて体験させてもらったわ。そして、ふつふつと怒りがこみ上げてくる。
「もう、孝之のバカ!! せっかく御飯作りに来てあげたけど、もう帰るわ!!」
 ………まったくこのバカ! 私は階段の方へと早足で歩き出す。後の方から
バタバタと騒がしい足音が近づいてくる。一応、引き留めてくれるんだ。そう思って
ると私の腕を孝之が掴んで振り向かせる。
「………水月」
 孝之は心配そうに私の名前を呼んだ。でもきっと何で怒ってるかなんて気づいて
ないんだろうな。孝之は白陵の頃からそんなやつだということを思い出す。前だって
私に言ったこと忘れてた。……ショートが似合うんじゃないかって言ったこと。
「なぁゴメンってば、水月」
 そう言って孝之は私のことをギュッと抱きしめた。……ずるい。こうされると余程の
事がない限り私は孝之を許してしまう。孝之はそれを知っている。
「もう、近所の人に見れちゃうよ。ったくしょうがないわねぇ、許してあげるから……
 部屋に入ろう」
 孝之の温もりは心地良いい。いつまでもこうしていたい………。その思いに後ろ髪を
ひかれつつ私は孝之と部屋に戻った。
15君望SS「髪を切った日」:01/11/21 11:15 ID:gYllYUS2
 今の孝之に料理を作ってあげるのは嬉しい。最初に料理を作ってあげてた頃、それは
単なる栄養補給の意味しか持たなかった。毎日遙の病院に通って、ともすれば3食抜き
なんてあたりまえで、栄養失調で倒れるかもしれない。自分から進んで御飯を食べよう
とはしなかった。だから、私の料理に美味しいと言ってくれたり、文句を言ったりして
くれる今が嬉しい。時々腹が立つこともあるけどねぇ。
 私が料理を作ってる時や一緒に御飯を食べる最中も孝之はチラチラとこちらの方を
横目で伺っている。な〜んだ、あんな事言いながら結構気になってんのね。やっぱり
この髪のこと見てるんだぁ。
「ねえ……この髪似合わないかな? 前々から仕事の時とか邪魔だったんだよねぇ」
 御飯を食べ終わり二人で並んでテレビを見ている時、私はもう一度孝之に尋ねた。
「ああ似合ってると思う。けど、前の髪型のイメージが強くてさ。ちょっと別人
 みたいだぞ」
「そんなことない! ずっと私は私のままだよ」
 ちょっと悲しくなった私は、孝之の腕にしがみつく。そんな私を孝之はちょっと驚いた
目で見ていたが、ゆっくりと今日切ったばかりの髪を撫でてくれた。孝之を見ていた
目を閉じる。それに応じるかのように孝之は優しく唇を重ねてくれた。
 キスはもう何度も済ませた。だが……それから先がなかなか進まない。でも……
今日は覚悟を決めてきた。髪も切った。昔、孝之が言ってくれたショートが似合うって
言葉を信じて。いつまでも同じままは嫌だ。左手の薬指にはあの日以来、初めて
つけた孝之に貰った指輪がある。ゴメンね……遙。私は心の中で遙に一言謝った。
「ねえ、孝之。今日泊まっていっても良い?」
 女の子の方からこんな事言って、嫌われないかな? 私はちょっと不安になる。
そして、その後で恥ずかしさに顔が赤くなるのがわかった。私の言葉に孝之は
ちょっと驚いた様子だったが、返事の替わりにギュッと抱きしめ、そしてもう一度
キスをしてくれた。ただ、単純に嬉しかった。私のことを受け入れてくれるつもりの
ある孝之の態度が。
「じゃ、ちょっとシャワー浴びてくるね。いくら私の裸が見たいからって、あせって
 覗きにきたら……殺すわよ」
 これから先の事を考えると意味の無い脅し言葉。それは恥ずかしさを紛らわせる
だけの言葉でしかない。シャワーも本当は家で浴びてきた。十分すぎるほど体を
磨いてきた。それでも……初めてだしいろいろと気になる。
16君望SS「髪を切った日」:01/11/21 11:16 ID:gYllYUS2
 その晩、私はいろいろなことを知った。素肌で感じたお互いの温もり。本当に緊張
している孝之の顔。そして、こんな私を包み込んでくれた優しさ。覚悟をしていた
破瓜の痛みはそれ程ではなかった。あの夏の引き裂かれそうになった心の痛みに
比べれば……十分我慢できた。それでもちょっと、涙がこぼれた。痛さ半分、嬉しさ
半分ってところ。それを見た孝之の心配振りは、今思い出すと笑い出しそうになるわ。
でもそんなにも心配してくれてると知って嬉しくもある。
 けれでも良いことばかりではなかった。孝之の遙への思い……未だ忘れていない
その思いも知ってしまった。夢にうなされ、孝之は何度も遙の名前を口にした。
 何もこんな日にそんな夢見なくてもいいじゃない。少し悲しい気分になって泣いて
しまう。でも、それは仕方のないことかもしれない。私は遙の事故のことで一杯だった
孝之のことを見ていられなかった。あんなにも遙のことを思っていた孝之にショックを
受けながらも……それでもなんとか元気づけたかった。もし……あの日、私が孝之に
この指輪をねだらなかったらあの事故は起きなかったのだから。
 私は多くの人を裏切ってしまった。なにより……茜と遙この二人を裏切ったという
事が辛い。でも……それでも私は孝之に立ち直って欲しかった。だから、他のこと
なんてどうでも良かったんだ。ただ、孝之が元気になってくれれば!
 だから……孝之が私と付き合ってくれた事は嬉しかった。孝之が私と付き合うことで
遙の事故の辛さを忘れてくれるなら………。でもこれは欺瞞かもしれない。そんな
ことはわかってる。それでも孝之の辛い思いを癒してあげたいんだよ。
 ………遙、貴方が目を覚まさなかったから孝之こんなに傷ついてきたんだよ。
だから……ごめんなさい……遙。例え他の人全てを裏切るかたちになっても………
例え貴方を裏切っているってわかっていても、私は孝之と付き合っていたい。もう、
私には孝之しかないから………。孝之しかないんだよ。
「ごめんなさい……遙」
 今度は言葉に出して謝る。隣には孝之が眠っている。でも、その温もりに触れる事は、
今日は躊躇われた。だから触れ合わないよう体を少し離して眠る。漸くここまで来れ
たんだ。時間は……まだこれからも進んでいく。だから今日はこれでいいよ。

 朝日がカーテンの間から射し込む。眩しそうに孝之が目を覚ます。
「おはよう、孝之」
 私は、精一杯の笑顔で孝之に言った。

(終わり)
17某スレなりきりさん:01/11/21 11:24 ID:gYllYUS2
ということで、新スレ記念に一発書いてみました。
3時間で書いたんで、誤字脱字はゴメンナサイ。

水月の髪を切った日の出来事を脳内補完。ああ、水月たん。

多分、ドラマシアター2でこの辺りのこと出てきそうだとおもいますが、
その前に書かないとね。

SS3の方はぼちぼち書いてます。SS3は前スレとまたがってしまいまして
申し訳ない。
18エピローグ(水月)9:01/11/21 14:48 ID:9BtucJt0
(同8からつづき)
 丁寧にお辞儀をする茜。
「ううん、私のほうこそ。会って話がしたかったのは、私も同じ。電話してくれて、ありがと」
「いえ……」
「どう、元気だった?」つい、そんなことを言ってしまう。
「はい……」茜、痩せた?それに、なんだか疲れた顔してる。

 あ、今日は……
「私のこと『水月先輩』って呼んでくれるんだ。うれしいよ、茜……」
 茜に会うとき、いつも胸が痛かった。あなたに嫌われてるって、そのたびに思い出させられて
つらかった。

「ちがうんです……私、お礼なんて言われちゃいけないんです」
 そう言って、茜は視線をそらした。

 話を変えよう……。
「ね、どこか静かなところに行って話をしない?」
「あ、はい……。私の家なら、今日、誰もいませんけど……」
 ごめん、茜。それは嫌……いろんなことを思ってしまうから。
「う〜ん、突然お客さんとか来るかもしれないでしょ。私の家も誰もいないんだけど……互いの家は
止めようか」
19エピローグ(水月)10:01/11/21 14:49 ID:9BtucJt0
「ええ……」
「じゃあ……」喫茶店もなあ……近場の公園も、ちょっと……。

 ひとつの場所が、私の頭に浮かぶ。
「学校の裏手の丘にしましょうか?人は来ないわ、保証する」
「え……でも……」
 私にはまだ……つらい場所。
 でも、孝之の、遙の、私たちの話にふさわしい場所じゃないだろうか。
「今日は学校も休みで、ちょうどいいよね。それに眺めも良いの、知ってる?」
「はい、知ってます……姉さんに……聞いて」
「あ、でも部活に出てる生徒がいるかな……」
 そう言えば……茜、今日練習はないの?……きっと、休んだのだろう……。

「そう……ですね。できれば、知り合いに顔は……」
「それじゃあ、裏から行きましょうか。学校から反対の道もあるの」
 私たちは、駅から歩き始めた。

「今日は、どこかによってから駅に来たの?」
「はい……、姉さんのお見舞いに行ってきました」
「遙、やっぱり……退院してなかったんだ」
「…………」
「遙はいつ、退院するの?」
「……!!」茜が言葉の代わりに、きゅっと唇をかむ。
「そう……」

 その後に続ける言葉がわからない、私と茜。
 遠い昔……茜と2人で歩くとき、黙ったままなんて考えられなかった。
「量産型のほうが、ツッコミ性能が高い」って、孝之が私に言ったことがあった。
20エピローグ(水月)11:01/11/21 14:50 ID:9BtucJt0
 量産型とは、あたしを試作機にみたてて、茜のことを指した表現。
 あたしたちを馬鹿にした、でもとてもうまい言い方。言われたとき、あたしはうれしさを感じなが
ら、孝之に怒ったふりをしてみせた。それほど私たちは、かしましくて、よく似ていて。
 茜は、私にまとわりついて、甘えて、慕って……私も茜から目が離せなかった。

 かつて通いなれた道にある、自動販売機。
「そうだ、ジュースでも買っていこう?丘に行ってもなんにもないから」
 茜の返事を待たず、私は硬貨を投入する。
「茜、何にする?私、おごるから」
「いえ……」ただ、茜は遠慮する。
「ん……。じゃあ、私と同じでいいね、はい」
 私は、スポーツドリンク系の飲み物を2本買って、1本を茜に手渡した。
 茜は、私の手から缶を取るのを、一瞬ためらって……それからジュースを受け取った。
「……すいません」
「いいの。これでも、社会人なんだがら、私」
 茜は私に怯えてる……そのことが私を悲しませる。

 学校からすると裏手になる神社、その脇を通り丘へ上る。
 このまま、何も聞かずに帰らない?……そのほうがいいよ?
 道すがら、そんな考えが頭に浮かぶ。

「着いたわ……どう、良い眺めでしょ?」
「はい……」
「ここは……サボるのが好きな、ぐうたら学生たちがお気に入りの場所だったの。
 それから、水泳マニア少女と……その友達の、夢見る乙女もここが好きになったの……」
 私から目をそらしながら、茜がうなずく。……私、何を言ってるんだろ。
「座ろっか」
 私と茜は隣りあわせに、よい具合に枯れた雑草の上に腰掛けた。
21エピローグ(水月)12:01/11/21 14:51 ID:9BtucJt0
 この質問をするときが来た……。
 私は息を吸いこんで、目をつぶる。つとめて冷静でいられるように。
 そして尋ねた。
「茜……、孝之と付き合ってるの?」
「はい……」
「……っ」息が止る。胸がつまる。
 どうして、どうして?私は、遙のために身を引いたの……孝之が遙を選んだから……。
 あなたのためじゃないのにっ。怒りと悲しみが心を満たす。

「どうして……」
「お姉ちゃんは……姉さんは8月に目覚めた後、また眠りに落ちてしまったんです……。
 姉さんが目覚めていたのは、ほんの2週間ばかりでした……」
 ほんの2週間……。それで私は……。後悔に似た気持ちが私を包む。
 どうして目覚めたの、遙……。遙が目覚めなければ……。
 だめ!!……それは、思っちゃいけないこと……。

「先輩……、水月先輩……」茜が心配そうに声をかける。
「あ、ごめん。ちょっと……驚いちゃって」
 何度か声をかけてらしいが、それに気がつかないほど考え込んでいた。
「悲しんだでしょうね……孝之も、茜も」そう言うのが、精一杯だった。

「孝之さんは、とても……とても悲しみました。でも、私は……わかりません」
「茜……」
「水月先輩……水月先輩にはお話しなくちゃならないんです。聞いて……下さい」
 茜の言葉の最後は、泣き声まじりだった。

「姉さんが妊娠したんです」
22エピローグ(水月)13:01/11/21 14:52 ID:9BtucJt0
「!」茜の言葉に、私は息を呑む。そして、まるで自分が孝之の恋人であるかのように、うろたえた。

「孝之の子……だよね?」
「はい。姉さんは……ほんのひととき目覚めていたうちに、また孝之さんを……」
 小声で、とぎれとぎれに茜が言う。
「また、孝之さんの心を一人占めして……眠ってしまいました」
 遙、起きなさいよ……。せめて、あなたが起きていれば……。
 無茶なことを、私は心の中でつぶやいた。

「……お腹の子は、どうなったの?」
 むごいことを聞く。堕胎手術を受けるより、どうしようもないのに。
 しかし、それは茜の言葉に否定された。
「もうすぐ4ヵ月です」

「生むの……生んで、どうするの?」ああ、なんて嫌な物言いなのだろう。
「はい。私、その子のお母さんになることにしたんです」
「茜……」
「孝之さんと2人で、お姉ちゃんの子を育てるころに決めたんです」
 そう言いきる茜。しかし、言葉の最後は弱々しかった。

「だから孝之と付き合ったっていうの……?なによ、そんなのって……」
 言いたいことが、いっぱい出てきて……何をどう言ったらいいのかわからない。
 茜の選択したことは、18歳の女の子には重いこと、つらいこと。
 それを私は理解してるのに……どうして否定的なことしか、私は言えないのだろう。

「あなたは……遙の代わりをするつもりなの?」
「はい」
「そんなの、おかしいよ……。遙のかわりに、孝之と付き合うなんておかしいよっ」
23エピローグ(水月)14:01/11/21 14:53 ID:9BtucJt0
 あたしは、何に怒っているのだろう。
 孝之が茜と付き合うことにだろうか。それとも、茜が自分を投げ打って未来を閉ざしてしまうことにだろうか?……自分でもわからなかった……。

「茜。遙と孝之のためなら、自分はどうなってもいいなんて考えてない?」
「……」
「でもね……茜を心配しているまわりの人だっているのよ?このこと、わかってる?」
「はい……」
「わかってないわよっ……」

「それでも、私はそうしたいんです。孝之さんといっしょにいたいんです」
「茜……」
「私、孝之さんが好きなんです。ずっと好きだったんです……」
「え……」私は、茜の言葉に途惑う。
「だから、決めたんです。そう……決めたんです」
「……」言葉が出なかった。

 茜の告白は続く。
「私、赤ちゃんのお母さんになるって……孝之さんが悩んでいるのをいいことに……
孝之さんを取っちゃったんです。姉さんを裏切って、水月先輩を裏切って」

「私、孝之さんが好きだったんです。中3のころから」
 そんな想いが茜のなかにあったなんて、私は…いや誰も、ずっと気づいていなかった。

「姉さんと一緒にいる孝之さんが好きで、姉さんが入院してからも、孝之さんがお見舞いにくると毎
日会えるのがうれしくて……でも悲しんでいる孝之さんを見るのがつらくて」
24エピローグ(水月)15:01/11/21 14:54 ID:9BtucJt0

「やがて、孝之さんがお見舞いに来なくなって……先輩と一緒になった……。お姉ちゃんのことを裏
切ったって、私は怒っていたけれど、私が怒ったのは……」
 私は、茜の期待を裏切ったから嫌われて……遙から孝之をとったから、憎まれて……とばかり思っ
てた。

「自分のことしか考えてなかったんです、私。孝之さんのことも、水月先輩のことも思うことはでき
なかった……理屈ではわかってても」

「今度だって、そうなんです……。私、孝之さんに抱かれたんです。今までの私の想いを、思い出に
して下さい。そうすれば……諦められますって……。孝之さんは、抱いてくれました。……私がそん
なずるいことを言ったから」

「もう言わないで、茜……」
 なのに、茜はかぶりを振って言葉を続ける。

「その日は、お姉ちゃんが孝之さんに抱かれた日だったんです。そんな日の夜……、私は孝之さんに
抱かれていたんです」自虐的に茜が言う。
「だから、姉さんはまた……その夜に眠ってしまった。そんな気がするんです……」
「そうだとしても……それは、別に茜のせいじゃない。偶然……」
「私が裏切ったから……」

「それに、それに……。姉さんが妊娠したことがわかったとき、孝之さんは、その事実に押しつぶさ
れそうだったんです……。まるで、事故の直後の孝之さんのようでした……。だから、私……孝之さ
んのそばにいたいからって」

「水月先輩の居た場所を取っちゃったんですっ」
 そう言って、茜は大粒の涙を流した。
「そんな自分が嫌なんですっ。それでも……孝之さんのことが好き、なんです」
25エピローグ(水月)16:01/11/21 14:56 ID:9BtucJt0

「だけど、だけど……進学は……水泳は?茜、自分のことも考えて……」
「そんなこと、どうでもいいんです……」

「それに……遙は目覚めるんだよ、いつか……」
「っ……」
しばらくの間の沈黙。やがて、悲しげに茜がつぶやいた。
「それは……わかっています」

「だから……悲しむから……」私が、そこから先を続けようとすると、茜が言った。
「先輩だって……」
「水月先輩だって……孝之さんを、お姉ちゃんを失って駄目になりそうだった孝之さんを、支えてたじゃないですか」
「……」
「自分のことを投げ打って…、自分のことはあきらめて…孝之さんのことだけを見て」

「それは……ちがうわ……」私は口先で逃れようとする。
言われたくないことを言われそうなのが怖くて。
けれど、言い返した私の口調は弱かった。

「嘘です……」
「ようやく、水月先輩の気持ちがわかったんです。お姉ちゃんがいたから、孝之さんを諦めていた気
持ちが」
「わかったんです。どうして実業団の試験のとき、先輩の記録が落ちたのか……いえ、記録を落とし
たのか」
「わかったんです……お姉ちゃんの見舞いに来られなくなった孝之さんと、先輩が付き合い出した理
由がっ……」

「茜……もうやめて……」
26エピローグ(水月)17:01/11/21 14:57 ID:9BtucJt0
 それは、あの人には知られたくないことだから。本当は、それを知るのは私だけでいいはずだから
……。

「だって、わかっちゃったんです……。ごめん……なさい……」隣りからは、茜の嗚咽が聞こえる。
「私も……水月先輩と同じなんです。だから……」
「うん……」

 私だけじゃなかった。遙の幸せを願い、孝之をあきらめようと悩んでいたのは。孝之のことを一番
に考え、支えようとしていたのは。
 茜も、そうだった……。
「ごめんなさい……、ごめんなさい……水月先輩っ」

「私をののしってください。私が水月先輩にしたように……。私が本当は……一番ずるかったんです」
茜はそう言って、ぽろぽろと涙をこぼした。

 私は、茜に何を言えばいいんだろう・・・。
 あんなにいつも笑っていた子が。
 人を好きになって、姉を裏切っているという思いに苛まれて……そして私にすまないと思って……。

「…………」
 私は……私はもう……孝之とは終わったんだ。今、孝之を好きで、苦しんで、身を焦がして
 いるのは茜。
 だって……、茜がこんなに苦しんでる。
 水泳を諦めるという大きな代償を払って得るもの。
 それが、孝之といるということ。
 傷心の孝之を支えながら。
 遙と孝之の赤ちゃんを育てながら。
 いつか遙が目覚めるときがくるという不安におびえながら。
27名無しさん@初回限定:01/11/21 14:58 ID:ZDxwUZaN
以上です〜>「エピローグ(水月)」(2/3回終わり)
28某スレなりきりさん:01/11/21 17:24 ID:a4kf6YYI
しまったいつもの忘れてた。
>>14-16 君望SS「髪を切った日」

そう言えば、まっそーさんはお元気なんだろうか……。
ブライティアSS−ダリア編の続きまってます。 
29某スレなりきりさん:01/11/21 17:24 ID:a4kf6YYI
勝手にやってゴメンナサイ。

>>4-11  エピローグ水月(1/3回)
>>18-26 エピローグ水月(2/3回)
30エピローグ(水月)18:01/11/21 21:56 ID:r2BkX2Ae
(エピローグ(水月)17からの続きです)
 そう、私はもう終わったんだ……。私は、両手を強く握り締めた。

「茜、顔をあげて……」
 今の茜に必要なのは、誰かが許してあげること。すべてを許してあげること。
 意地を張って、頑張って……誰にも助けを求めようとしなくて……。
 一人でなんでも背負おうとして……誰にも話せなくて……。
 だから、見て……この子の心は、もうつぶれそう。
 話せるのは、自分が裏切ったはずの私だけ。
 茜のことがわかってるのは、茜が許しを乞うはずの私だけ……。

「もういいの、茜。私は……孝之にもう、さよならしたんだから」
 私は、ハンカチを取り出し、茜の顔を拭く。
「先輩……」
「ほら、じっとしてて」
31エピローグ(水月)19:01/11/21 21:56 ID:r2BkX2Ae
「はい……」
「ね、茜……。人を好きになるって悪いことじゃないって……私は思う」
「あ……」
「誰かの恋人だから……その人を好きになっちゃいけない。そんな器用なこと、人はできないんだよ。
 人を好きになるのに、理由なんて……ないんだから」

(同じことを言うんですね……)
 茜が何か小声でつぶやいた。

「どうしたの?」
「水月先輩……やさしいです」
「……バカ……ほら、泣き止みなさい。拭いても無駄じゃない……」
「だって、だって……」
「んもう……じゃあ、もう少し泣いてていいよ……」
「はい」
 あの頃のような、私と茜がいた。

 茜の頬を拭いながら、私は茜に語り掛けた。母が子にやさしく諭すように。
「ね、茜……」
「ひっくっ……。はい……」
「これから……いろんなことがあると思う。でもね、あたしは『茜は間違ってない、正しい』って思
うから」
「……ごめんなさい」
「もう、謝らなくていいの」

「私は、あなたことわかるから……。大好きだから……」
 私は、茜の肩に手を置き…そして、抱き寄せた。
「あ……」茜が小さな声をあげた。
32エピローグ(水月)20:01/11/21 21:57 ID:r2BkX2Ae
「水月先輩……温かいです」
「うん……茜も……」
 お互いの体温を感じながら、私たちは丘からの風景を黙って見やる。よく知る景色を……私がもう
すぐ離れる街を。

「あの……」
「ん、なに?」
「もうちょっとだけ、こうしていて下さい……」
「うん……」

「あ、私のこと全然話してなかったね」茜の在ることを体で感じながら、私は話しかけた。
「私、今度大学に行こうと思ってるんだ。体育大学に行って、また水泳を始めるつもり」
「ほんとうですか?」
「うん」
「だから……この街を出るの」
「え……」茜が驚く。
「ううん、たいしたことはないんだ。ちょっと、一人暮しをしてみようかなって……」
 茜の表情が固くなって、それから横に顔を逸らした。私に表情が見えないように。
「…………」

 ふと思いついたことを、私は口にした。
「ね、茜も私と同じ大学に行かない?私は無理だけど……茜は推薦入試で行けるんじゃないかしら。
そしたら、私一生懸命勉強して、同じ大学に入るの。もちろん、2人で一緒に水泳部に入るんだ。
どう?」私は、素晴らしいことを閃いたって、そんな顔をして言った。

「楽しいでしょうね……」
「うん、楽しいに決まってる……。なにしろ白陵柊の水泳部のヒロイン2人が一度に入るのよ。一人
はトウが立ってるけど、うふふっ……」
33エピローグ(水月)21:01/11/21 21:58 ID:r2BkX2Ae
「そんなことないです、水月先輩はっ」茜が、本気で否定してくれた。
「あ……、茜。今、私がトウがたってるって言ったわね?」
「ちがいますよ、酷いです……」茜が苦笑する。

 何かに気づいたように、茜がうつむいた。
「今の話、とても……とても楽しかったです。でも……水泳はやめます」
「そっか……ごめん」
 わかっていたけど、私は言わずにはいられなかった。
「楽しい、素敵な話です……。水月先輩に言ってもらって、嬉しかったです」
 茜はそう言って、微笑んだ。

 まだ4時なのに、11月の陽は傾き、冷たい風が吹きはじめる。
「降りよ、そろそろ……」

 丘を降り、学校の横を通ると見知った通学路。
 横を歩く茜が言った。
「生まれて来る子のこと、私、愛せる……と思うんです。孝之さんと姉さんの子だから……」
「うん……」
 突然、母の役割をひきうけ、育児をすることになって。心無い世間からなにを言われるのか。
 そして、学校の期待選手が、唐突に水泳をやめてどうなるのだろうか……いや、本当の問題は「水
泳が好きでたまらない少女が、それをあきらめるとはどういうことか」だ……。
 それについては、私も少し知っている。

「それに、生まれてくる子が可哀想です。姉さんが眠っているからって、お母さんがいなかったら……」
「うん」
「お母さんになるって実感は、まだわかないんですけど」
 両の手のひらを見て、それから顔を上げ、茜がにこっと笑った。
34エピローグ(水月)22:01/11/21 21:59 ID:r2BkX2Ae

 分かれ道に辿り着く。茜の道と私の道が重なるのはここまで。
「さよなら……ですね、水月先輩」
「うん…。孝之にはもうお別れをしてあるから……よろしく言っといてくれる、茜から?」
「はい……」
「遙にも……。私、さよなら言いそびれちゃったから、お願いね」
「……はい」
「これから、いろんなことがあると思う……けど、茜なら大丈夫」
 ……根拠のない私の言葉。でも私の他に、茜に励ましを贈れる人はいないから……。

「でも、でも……どうしてもつらいことがあったときは連絡して。電話して不在だったら、私に繋が
るまでかけるのよ」
「はい」
「絶対に、絶対に遠慮しないでね。連絡なかったら、茜は元気なんだって思ってるからね」
「先輩は……。水月先輩は、こんなにやさしかったんですね。心配のしかたが、お母さんみたいです
……」茜が泣き笑いの表情をする。
「なによ、今ごろわかったの?でも、せめて『お姉さんみたい』とか言ってほしいわ……」
 私も、笑ってるはずなのに……頬を濡らしていた。

「さようなら、茜。また会おうね……いつか必ず」
「はいっ……」
 私は、踵を返して振り向かなかった。いつか、笑顔の茜に会えるから……そう信じて。
 さようなら孝之。さようなら、茜。
 私は奥歯をかみ締めて……なにかを堪えて、家路を辿った。

「ただいま……」まだ、家には誰もいなかった。
 部屋に戻り、普段着に着替えていると……私は、もう格好良くはいられなかった。
 茜と会っていたときには、押さえていた思いがこみ上げてくる。
35エピローグ(水月)23:01/11/21 22:00 ID:r2BkX2Ae
「どうして、どうして……」涙が止らない。

 どうして、あのとき自分から別れを切り出しちゃったんだろう。
 私は、なにがあっても、孝之から離れなければ良かったんじゃないのだろうか?
 たとえ、見苦しくても、嫌な女でいても。
 遙と孝之の赤ちゃん……?私だって、私だって愛せたよ……。
 だって、孝之のこと好きなんだから。

 私はベッドに潜りこみ、頭から布団をかぶった。
「そうしたら、そうしたら……今も孝之の側にいられたかもしれない……。馬鹿、馬鹿っ」
 思いを声にして叫ぶ。こぶしをつくり、敷き布団を叩く。
 ……けれど、孝之の隣りには茜がいる。もう孝之のことを「鳴海さん」とは呼ばない茜が……。
 もう、孝之の隣りにいるのは私じゃない……。
「うっ……ううっ……」

 ……いつの間にか寝ていた。点けたままだったはずの部屋の明かりも消えていた。
 泣きつかれて寝てしまうなんて……私、子供みたい。「ふふ……」恥ずかしくて、鼻で笑った。

 時計を見ると、午前2時半。家のものはみんな寝てるだろう。
「あ、そうだ。今夜って……」

 階下に下りると、食堂に母がいた。
「あら水月、目が覚めたのね……」
「あ……お母さん、まだ起きてたの?」
「え……。ええ、今日、流れ星がたくさん降るっていってたから、起きてたの」そう言う母はやさし
かった。
「きれいだったわよ……水月も見てきたら」
「うん……そのつもり」
36エピローグ(水月)24:01/11/21 22:00 ID:r2BkX2Ae
「わたしはもう寝ないと……。じゃあ、おやすみ水月」
「おやすみ、お母さん……」
 お母さん、心配かけた?……ごめんね。

 私は半纏を羽織って、外に出た。
 今夜は、33年に一度とかの流星の降る夜。
 なのに、新聞には「3年前にも『しし座流星群』が見られました」と書いてあった。
 ……あたしは、3年前も流星群をみようとして、こうしていたっけ……。
 東の空は、あっちかな……。
 暗闇になれるまで、東の空をじっとみる。
 この前のときの願いはなんだったろう、きっと……。
「あ……」流れ星が落ちる。
「あ、また……」おもしろいように、星が降っていく。

 見とれるうちにますます増える流れ星の数。
「わあ……凄い……」
 流れ星のバーゲンセール……。星が天球を縦横に走る。

「あ……」
 思い出した……。
 ね、流れ星に願いをかけるとかなうんだよね。
 これだけ流れ星が降っているんだから、星が落ちないうちに願い事できるよね。

 私は祈る。
「遙が幸せになりますように」
「孝之が幸せになりますように」
「茜と、赤ちゃんが幸せになりますように……」
 私は繰り返した、何度も……何度も……。
37エピローグ(水月)25:01/11/21 22:01 ID:r2BkX2Ae

 もう、いいかな。
 あ、最後に……
「私も……幸せになれますように」

 数年後。
 大学になんとか合格して、それから私は再び泳ぎ出していた。
 選手として3年のブランクは小さくは無かったけれど、私なりに努力してるし、それに伴う結果も
出せている……と思う。
 そして……あれからまだ、茜から連絡はない……。

「暑う〜」
 8月初め。夜とはいえ熱帯夜……。
 私は、自分のアパートのドアを開ける。
 ガチャ……。
「ただいま〜……うわっ」部屋の中、めちゃめちゃ暑い。
 クーラー効くかなあ……。練習からようやく帰ってきたら、この仕打ち……。

 あ、郵便……。
 郵便受けに手を入れ、それと思しきものをごそっと掴み、部屋に戻りテーブルの上に置いた。
 クーラーを入れた後、それらを手にして分別していく。
 電話代、公共料金、ピザの宣伝ビラ……。うわ、宅配****って、これ何?……もう。

 どうでもいい郵便物の下に埋もれて、1枚のハガキがあった。
 差出人は『鳴海 茜』
「!?」
 それは、書中見舞いの官製ハガキ、裏は写真というものだった。
38エピローグ(水月)26:01/11/21 22:01 ID:r2BkX2Ae
 よく似た母子が、頬をくっつけんばかりに寄せ合って
 夏の日差しの中、2人は満面の笑みを浮かべている。
 そんな、バストアップの写真。
 子供は、お母さんに似てとてもかわいい。
 けど、私には男の子か女の子かわからない。たぶん……。

「茜……」
 今、幸せなんだね……。

 孝之、遙、そして茜。3人に今までなにがあったのか、これからなにがあるのか。
 もう、私にはわからなかった。
 でも、茜と、茜の子の笑顔がここにある。

「よかったね、茜……」
 あたし、あなたの幸せを祈ってるよ。あなたの子供の幸せを祈ってるよ。
 そして遙と……写真を撮ったであろう人の幸せを……。

 私は、手に持つ写真をそっと抱きしめて……目をつぶった……。
 (終わり)
39mitukifan:01/11/21 22:09 ID:r2BkX2Ae
「エピローグ(水月)」1〜26

訂正:事実誤認がありました。
オリジナルの「茜**ルート」では、「水月は、再び遙が眠ったことは8月の時点で
知っていた」です。これに伴い、文章のほうも直さないといけないところが、だいぶ
出てきます。

よろしければ、みなさんのご感想、お待ちしてます。

 >保管サイトの管理人さん
 もしupしていただけるなら、メールで訂正版をお送りしたいです。
 OKでしたら、そのとき、その旨お知らせ下さい。
 だめでしたら、なにもコメントは要りません( ´▽`) 
ようやっとネット復帰しました。
いない間にはデリやらあったようで、申し訳ないっす。

とりあえず、アカウント取得&更新に入るんで、連休中にはなんとか。

>1
 ご苦労様です〜。#2も盛り上げていきましょう〜

>>mitukifanさん
 了解ッス。とりあえず、gooのメアドを入れておきますんで、
よろしくお願いします。


つーか、ネットから離れてる間も大してSS進まなかったしオレ……
41某スレなりきりさん:01/11/22 22:23 ID:OviPDGb9
>40
おお、お帰りなさい。

早速で申し訳ありません。君望SS1〜3書いてた者ですが、作者名を某スレ
なりきりさんに変更お願いします。
42名無しさん@初回限定:01/11/22 23:37 ID:7ZgChWMQ
おお、お帰りなさいませー。

便乗して自分も。前スレ612に加えて…。
本文をスレにコピペするとき、自分は本文に関係なく
すべてレス頭一行開けてコピペしてます。
で、その部分がちょうど本文でも行開けになっている場合は、
頭二行開けておく…という感じで貼ってます。
もしお手間でなければ行開けも保管の際、反映お願いできないでしょうか。
あと、このコピペ方式がまずかったら、
おっしゃっていただければ次回以降やめますです。
保管サイト復活&更新〜
http://www.geocities.com/holddti/

主な更新は以下の通りです

追加
○作「由希編」
たくろうの災難
比留間凛陵辱ルート(「傷モノの学園」)
エピローグ(水月)
髪を切った日

更新
乃絵美でガッツ


後は指摘のあったあたりをいくつか修正加えました。
もちろん、乃絵美でガッツの最終回も収録してありますとも(笑)

>>42
 申し訳ない、ちょっと時間と労力の都合、>>42の方はできそうに
無いです。
 他の点に関しては問題ないと思いますが、ありましたらおねがいします
4442:01/11/25 01:59 ID:0e9mnaJw
了解です〜。今後は気をつけますm(_ _)m
45名無しさん@初回限定 :01/11/29 05:52
age
4635HR:01/12/01 04:56
遅ればせながら、前スレのプリマヴェールの感想など。

どうも、超大作お疲れさまでした>作者様。
質・量ともに、文句の付けようもない素晴らしい作品で、
感謝の言葉もありません。正直、普通の市販のゲームより
遥かにオカズになりましたw
特に、場面場面での状況の描写のエッチさや、絶望に染まった
純菜の心情描写に非常に萌えました。ただひたすら、
回線の向こうの作者様に感謝の念波を送るばかりです。

ところで、作者様にお願いなのですが、
ここまでハイクオリティーなHR作品を、このままに
してしまうのは、どうしてももったいないと思うので、
HRスレッドの孕ませサイトにて作品ログを保存・公開させて
いただきたいのですが、許可の方を頂けないでしょうか?

孕ませサイトです↓
http://muvc.net/hrgame/index.htm

サイト上で公開に至る経緯とスレッドへのリンクを明記した上で、
閲覧可能とさせていただきたいのですが、いかがでしょうか?
一方的に勝手を言って申し訳ないのですが、ご検討いただければ、
幸いです。よろしければ、スレッドもしくはメールアドレスに
連絡いただければ嬉しいです。どうかよろしくお願いします。

スレ汚し陳謝sage
保存サイト管理人様
すでにご存知かとは思いますが、私の個人サイトより個々の作品に対し
直接リンクを貼っています(サイト名はもちろん明記してますが)
リンクについて特に明記していなかったので一応こちらにご報告させていただきます。
>47
名無しで「私の個人サイト」と言われても第三者には何が何やら。
興味があるので覗きに行ってみたいのだけども。名乗るのマズい?
49某スレなりきりさん:01/12/01 23:28
某ゲーム関係の人ですね。
そのリンクから知っている人を発見してビックリしました。(w
ま〜だかな。ま〜だかな。期待しているよん。
5147:01/12/02 11:13
君望SSのリンク集作ってます。ぐぐるで引っ掛かるかと。
5248:01/12/03 17:55
>47、51
「君望SS リンク」
で検索したら先頭にありました。
けっこうな量があって読みごたえありますね。
すみません。質問をひとつ・・・。

SS投稿スレって、葉鍵板とエロゲ板と葱板にありますよね。
葉鍵板についてはブランドで分けるとして、
エロゲ板と葱板での投稿スレのすみわけって、どうなっているのですか?

投稿するとの指針にしたいと思うので、答えていただけると助かります。
>>4-11
>>18-26
>>30-39
エピローグ水月(君望)

うひー、すげえ力作だー。
さわやかに終わって良かったっす。
絵的に映えるシーンを挿入するのって効果ありますなあ。

某スレなりきりさんもグーな水月補完SSだし、水月大人気?


>>53
エロゲ板のSSスレが立った時、まだネギ板(エロゲネタ業界板)は
板自体ありませんでした。どちらに投稿してもいいかと。
55某スレなりきりさん:01/12/04 10:24
>54
感想有り難うございます。これからも頑張ります♪

しかし、まだ君望以外の投稿がありませんね。
こっちはできあがりつつあるんですが、君望一色にして良いのだろうか?

他の方の投稿お待ちしております。
エロゲ板のSSスレそろそろ移行時期なんですがこっちに統合してもよろしいでしょうか
57某スレなりきりさん:01/12/06 20:20
明確にジャンル分けとかされてたわけじゃないようので、賛成です。
Pia3です。短いです。ついでに言うとさやかモノなのでエロなしです(w
59デザート:01/12/06 22:35
この夏、一度は零れ落ちたチャンス。
あたしはそれを再び手にすることができた。
偶然と呼ぶにはあまりに運命的なヘルプの要請。
都会から離れた海に近いその場所。
そこで最後の夏を過ごせることに少し心が踊る。
だけどそれはそこに彼も一緒にいるから。
また彼と楽しく過ごす日々を取り戻すことができたから。
それがすべて。
でも、あたしがこの夏に期待していたのはそれだけじゃない。

バイトのない時間や休みの日でさえ、彼は必要以上にあたしに話し掛けてはこなかった。
そしてそれは4号店のヘルプに請われた者としての当然のけじめだとも思ってた。
派閥なんて呼ぶまでは行かなくてもどこかそれっぽく感じられるような馴れ合いをあたしたちの間で行うことは、今の4号店にはマイナスにこそなれ決してプラスにはなり得ない。
それくらいの分別はある。
本店にいたときほど彼と談笑できないのは少し寂しかったけど、お互いの立場をわきまえればそれはやっぱり当然のことだとも思う。
彼だって、そんなことを考えてるからこそあたしと少し距離を置いている。
4号店であんなに頼りにされてるほどなのだからきっとそうにちがいない。
あたしはそう思い込んだ。
本当はそれ以外の理由も少し感じていたのだけれど、実際4号店で懸命に働く彼はとても輝いて見えたから。
昔の彼を見ているようであたしの胸は高鳴ったから。
60デザート:01/12/06 22:35
だから連休に彼と海で遊べたのはとても嬉しかった。
二人の距離の理由は彼の仕事に対する誠意からなんだと改めて信じられたから。
コンテストに出ると告げてたのに予選には姿を現してくれなかったことが不安だったけど、本選に気後れするあたしを気遣って彼が海に誘ってくれたから。
そして……
いつもあたしの方が彼をみつめてるだけだから、時には彼にもあたしをみつめて欲しかった。
そんな気持ちで参加したコンテスト。
だから順位なんてどうでもよかった。ただ彼さえ見に来てくれれば、それで。
彼は見に来て応援してくれたし、あたしは優勝もできた。
でもそんなこと以上にもっと嬉しかったのは……

海にいたとき、不意に風が吹いた。
そのとき彼は確かにあたしを、あたしだけをみつめていた。
照れて誤魔化したけれど彼の眼差しは間違いなく他の誰でもないあたしに向けられていた。
そのことが一番嬉しかった。
あたしだけが彼をみつめる日々がこれからは変わっていく。そう思えた。
そのことがあったからあたしは少し勇気を出せた。

“これから毎朝、あたしが朝食作ってあげる”

彼はあたしの勇気を快く受け止めてくれた。
そして、あたしは少し自分に自信が持てた。
彼もあたしを見てくれている。
本当の自分の気持ちを伝えず、彼を見つめているだけのあたしから一歩先に進むことができる。そんな気がした。
あたしは毎朝彼の部屋を訪れた。
幸せそうに朝食を頬張る彼をみつめるあたしは幸せだった。
本当に。
でも……
61デザート:01/12/06 22:36
「ああぁ・・・うぅ・・・んっ・・・はぁ」

あたしの部屋にはテレビもコンポもない。
だから布団を被り耳を塞ぐ。

「ダメぇ・・・んっ・・・ああぅ・・・んくっ」

美春さんの部屋までは聞こえるほどではないのかもしれない女性の嬌声と……

「朱美さん、俺、また・・・」

みつめるだけの恋に終わりはない。
だって始まってさえいないのだから。
あたしは想い出と見つめるだけの恋に酔い、そして今、恋に破れて感傷的になっている自分に酔っている。
ぽろぽろと涙がこぼれているのにどこか冷めている。

“やっぱり、目に見えないものはあたしにとって暗闇でしかない……”

そう心の中でつぶやく意地っ張りで素直じゃない自分をあたしは簡単に受け入れる。
そうするとまた自分に酔えるから。
62デザート:01/12/06 22:36
取り返しのつかない、そして抗いようのない事実に酔うことでしか対処できないあたしは弱虫、いくじなし……
ううん……違う。それだけじゃない。
弱虫で、そしてそれでいて自分勝手。
これほどまでにみつめつづけるあたしの想いに気づいて欲しい。
そしてそれに気づいたらあたしに好きだと言って欲しい。
言葉にしてあたしを安心させて欲しい。
いつもそう思いつづけていた。

「ああ、私も・・・もう、我慢できない」

その果てに、今、あたしは手に入れた。
恣意と臆病の代償を……

「あぅ・・・あぁ、い、いくぅ!! あぁ、ああああ!!」

それでも、あたしは思う。
いつだって、あたしは彼だけを見つめていた、と。
でも、彼は最後まであたしのことに気づきはしなかった、と。
目に見えないものは暗闇でしかないと自分に言い聞かせながら。
それは手を伸ばしても決して手の届かないものだと、頑なに意地を張りながら……

                              Fin
6358:01/12/06 22:38
>>59-62 『デザート』

Pia3をプレイされた方はご存知かと思いますが、
さやかが4号店でヘルプをしている(つまり朱美の隣の部屋にいる)にも拘らず、主人公は朱美とやっちゃうことができます(w
(ただ4場面すべてのえちしーんを見ることはできないようですが…)
そしてそれがもし隣に聞こえてるとしたら…なーんて設定で遊んでみました。

で、実はこの日、主人公はかなりの回数をこなすんですよね、朱美と。
それがさやかへの想いを断ち切りたいがための見せかけの激しい情欲に過ぎないとしたら…
そしてまた、実は朱美の方も薄々はそれを感じつつも主人公にからだを与え、その上で自らも狂おしい情欲を演じているに過ぎないとしたら…
主人公と朱美は互いを互いのからだで慰め合い、同時にさやかもお得意の自己陶酔と自己完結で精神的そして肉体的(←ここ重要)な慰めを自らに施す…

そんな感じのカナーリお約束なのが実は書きたかったのですが、なにぶん私にはそれを表現するだけの力が…
そんなの、どなたかやっていただけませんかねぇ…(タメイキ

ともかく、他の方のSSの箸休めにもならない駄文でしたが、それでもお付き合いくださった方々に感謝します。
64 ◆RieszyxY :01/12/07 04:04
>63
叩きたいわけじゃなく要望だけどさ、最新のゲームについてはネタバレ
ありかなしか、最初に明言して欲しいと思ったり。
ネタは悪くないと思うよ。
65 ◆RieszyxY :01/12/07 04:04
ごめん、ageちまった。わざとじゃないんで、許して。
一応廻しとくか
マワーシ
くるくる
まだまだ
エラーでたけど
きにしない
もういっちょ
終了
7458:01/12/07 11:39
>>64
仰る通りですね、配慮不足で申し訳ないです。
ご指摘&感想、ありがとうございました。
75某スレなりきりさん:01/12/07 12:40
「君が望む永遠SS3」の続きもうすぐアップできると思います。
タイトルを君望SS「裏切り」に変更しますが、続きです。

前スレからの続きです物です。あと連載の都合上バラバラに掲載してました。
連載していた前スレの「君が望む永遠SS3」を見ていただける方は以下のサイトで
見た方が一気に見れて便利だと思います。

へたれSS書き@保管サイト”管理”人さんの保管サイト
http://www.geocities.com/holddti/

それではもうしばらくお待ち下さい。

76君望SS「裏切り」:01/12/07 13:25
 ガチャ。
 その音は不意に一階から聞こえた。おそらく玄関のドアが開く音。それは孝之に
とっての絶望への扉が開く音でもあった。
「ただいま〜」
「……んっ!! あはへっっ!!」
 微かに聞こえたのは、紛れもない茜の声。今の孝之にとって愛すべき大切な人。
慌てて孝之は遙の方を振り向いた。
 その遙は、微笑んだままで部屋の扉の方を見ていた。
「ようやく茜ちゃん、帰ってきたみたいだな。待ちくたびれちまったよ」
 その言葉に孝之は、今度は慎二の方を見た。この男はさっき『次がある』と言った。
それはどう考えても………。最初っから………最初からこれが狙いだったのか?
孝之の心に戦慄が走る。
「まあ、涼宮との約束だ。茜ちゃんと楽しませてもらうぜ、孝之」
 下卑た笑いを見せ、慎二は孝之にそう宣言した。
 その言葉を聞き終わるまでもなく、孝之はきつく慎二の方を睨み付ける。よもやここまで
腐りきった奴だったとは!!
「おいおい、そんな顔するなよ。孝之には涼宮と速瀬がいるだろ。その二人で満足しとけよ。
 だから茜ちゃんは譲れよな」
 茜を失いたくなかったからこそ今日まで続けてきた遙との秘め事。例え水月であろうと
遙であろうと、今の孝之にとっての茜の存在とは比べることさえ出来ない。それほど
大切でかけがえのない存在。その茜が………。どうすれば………どうすれば茜を
助けることが……。必死で考える孝之であったが、その答えは出ない。
 孝之の股間に顔を埋めていた水月が口をはなし、心配そうに孝之の方を見つめた。
 遙は座っていたベッドから立ち上がるとゆっくりと部屋のドアの方へと歩いていく。
そして、再び焦りを感じている孝之の方を振り向く。その顔は………笑っていた。
 この女は………狂っている。孝之は恐怖での中でそう思った。目覚めた後の遙は
どこか大事な部分が……人として大事な部分が壊れているように感じる。
「ねえ……茜。ちょっと来て」
「なに、姉さん? でもお客さんが来てるんじゃないの?」
「うん、来てるよ。でも、孝之君もいるから……だから早く来て」
 いつもと変わらない声色で茜に呼びかける遙。
 妹思いの姉、姉思いの妹。孝之が茜と付き合い始めてから、まわりはそんな風に
感じただろう。星乃さんも感心したようにそう言った覚えが……孝之にはあった。
普通ならば好きな男を妹に取られた姉の取れる態度ではない。それならば……これは
この現状は普通と言えるのか?
 いや……どう考えても異常だ! いくら何でも………これは異常すぎるだろ!
77君望SS「裏切り」:01/12/07 13:26
 トントンと階段をあがってくる茜の足音。その足音は何の警戒も抱いてないような
軽やかさである。
 孝之は必死に叫ぶが、猿轡のせいでくぐもった音しか出すことができない。それでも
何とか危険を知らせようと自由になる足をばたつかせ、踵で床を何度も叩く。
「もう、姉さん近所迷惑だよ。何やってるのよ、一体………」
 扉が開いた。部屋の中の状況を確認した茜は呆然と立ちつくす。服をはだけさせて
後ろ手に縛られ、さらには猿轡まで噛まされている孝之。そして、その隣には全裸
の水月。茜の持っていたスポーツバッグが床へと落ちた。
「水月先輩、孝之さんに何やってるんですかっ!! ………あっ」
 我を取り戻し孝之と水月の方へ詰め寄ろうとした茜を、慎二が後から羽交い締めにした。
そして、柊学園の冬服の内側に隠された茜の胸を服越しに鷲掴みにする。
「おかえり、茜ちゃん。随分待たされたよ」
「ちょっ……やだっ、何するんですかっ! やめてくださいっ!!」
 叫び声をあげ茜は慎二を必死に振りほどこうとするが、それはかなわない。
「おいおい、そんなに暴れるなよ。まあ、多少は暴れた方が雰囲気出ていいけどな」
「やめてっ! 助けて……孝之さんっ! 助けてよ、姉さんっ!! 」
 救いを求める茜の叫び。孝之は我が身に代えても茜を救おうと何度も手錠を壊そうと
柱に打ち付けたが、しかし、頑丈な手錠は壊れそうにもなく孝之の手首からはダラダラ
と血が流れていた。
「残念だったな、茜ちゃん。これは涼宮……君の姉さんの望んだことなんだ」
「えっ! ………姉さんの!?」
 信じられないような顔をして、茜が遙の方に顔を向ける。
「茜言ってたよね、孝之君のことお兄ちゃんになって欲しいって。だから私と孝之君が
 結婚すればいいって! それなのに………茜が悪いんだよ。私と……水月から
 孝之君を奪ったからっ!! 」
 既に遙の表情からは、笑みは消えていた。孝之も今まで聞いたこのとのない、
強くて激しい遙の口調。
「そ、そんな……姉さん……」
 茜は遙からの言葉にショックを隠せない。
 それは孝之も同じだ。自分と茜が付き合うと言うことを遙には許してもらっていると
思っていた。それは違ったのか? だから……こんな妹である茜を傷付けるような
真似をするのか。でも……先程までの水月に対する遙の行為を考えれば、十分納得
できることであった。
78君望SS「裏切り」:01/12/07 13:26
「そんなわけだ。楽しませてもらうぜ、茜ちゃん」
 茜が呆然としているその隙を逃さず、慎二が茜を床へと押し倒す。 スカートが
まくれあがり健康的な太腿と白の下着がみなの前にあらわになる。その下着の
上から慎二の指が茜の秘部に触れる。
「もう、やめてくださいっ!! こんなコトして警察に電話しますよ!」
 手足をばたつかせ叫び、茜は何とか逃れようとする。
「電話したければ電話すればいい。そのかわり、涼宮も共犯だからな。茜ちゃんの
 姉さんも一緒に捕まるぞ。茜ちゃんも きっとここには住めなくなる。それでも
 良ければ電話しちまえよ。お父さんもお母さんも悲しむだろうなぁ」
「そ、そんな……。うっ……うあ…あっ…やだ!!」
 暴れる茜の両手を左手で押さえつけ、慎二が床に落ちていたローターを拾い上げる。
そして、スイッチを入れてショーツ越しに一番敏感な部分を探り当てるように肉の谷間を
這わせて行く。
 思わぬ刺激に茜の口からも僅かながら声が漏れる。
 その声は孝之を寄りいっそう焦燥に駆り立てる。なんど打ち付けても壊れそうに
ない手錠の呪縛。それでも何とかしたくて手錠を柱へと打ち付ける。
「孝之、もうやめなよ。こんなに血が……」
 床に流れ落ち溜まった血を見て水月が心配そうに孝之に言う。
 だがそんなことを聞き入れるつもりは毛頭なかった。何かをしてなければ、例え
それが自らに痛みを与える行為でもいい……焦燥が絶望へと変わらないように
何かをしていたかった。まだ……この事態から茜を救えると信じていたかった。
「ほほぉ。茜ちゃん結構濡れやすいんだな。ほら、もうこんなになってるぜ」
「そんなことありませんっ!!」
 茜は咄嗟に否定した。しかし一番感じる部分をローターで嬲られた体は、明確な
反応を見せ遠目で見ても分かるくらいに下着を濡らしていた。それでもそれを認め
たくなくて茜はいっそう激しく抵抗を見せる。
「こんなに激しく抵抗されたら楽しめねえよ。なぁ、押さえるの手伝ってくれよ」
 押さえつけることに躍起になっている慎二が遙と水月の方を見て、助けを求める。
「ねぇ、水月。慎二君を手伝ってあげてよ」
「えっ……、でも……」
 先程まで自分も同じ目に遭わされていたんだ。それを手伝う分けないだろ。孝之は
遙の言葉にそう言いたかった。水月が手伝うわけはない。それは当然に思えた。
「また……孝之君を茜に奪われちゃうよ。それでもいいの、水月?」
79君望SS「裏切り」:01/12/07 13:27
 遙のその言葉に水月は何も答えず、孝之の方をチラッと見た後、重い足取りで
慎二と茜の方へ歩いていく。
 ……水月!? 孝之にはそんな水月の行動が信じられなかった。今まで自分が
受けていた辛さを今度は茜に与えようとするのか? 誰よりもその辛さを知っている
はずの水月が。
「茜……ゴメンね」
「そ……そんな、嘘でしょ……水月先輩」
 心苦しそうな表情。涙がこぼれ頬を伝う。それでも水月は茜の両腕を押さえつける。
「ふぅ、これで楽になったし、思う存分楽しめそうだ。なにより白陵の制服ってのがもえる
 よな。速瀬にも着せれば良かった」
 そう言いつつ慎二は、茜の両の頬を指で押さえ、半開きの口を閉ざせないように
する。そしてゆっくりと顔を近づけ、茜の唇をゆっくりと味わうように舌を這わせた。
そのまま今度は舌を茜の口内へと入れ、逃げようとする茜の舌をゆっくりと楽しむ
ように絡め取る。
「あっ……いやああ!!」
 茜はこれまで感じたことのない様な嫌悪感を抱き、頭を振って逃れようとする。
しかし慎二にがっちりと両手で押さえつけられていては、頭を振って逃れることも
出来ない。ただ、自分の口内を蹂躙されることに耐えるだけであった。
「どうだい、オレのキスは。孝之より上手いか? さてと、次はこいつを舐めて
 貰おうか。やり方がわからなくてもすぐにオレが仕込んでやる。心配すんな」
 目の前に差し出されたモノをみて、茜の顔が恐怖に引きつる。孝之のモノですら
まだこんな明るい場所で……こんな間近に見たことはなかった。
 慎二は閉ざされた茜の口を強引に開かせようと、髪を掴み、先端を茜の唇へと
押し当てた。
 茜は吐き気を覚えるほど嫌悪感を感じながら、それでも死にものぐるいで口を
開かないよう耐えた。
「ちっ、そんなに嫌なのか。まあこれはまた今度でいいや」
 孝之も驚くほど、慎二はあっさりと諦めたようだ。水月の体の傷を見れば、無理
矢理に暴力をもって言うことを利かせていた事は伺える。そう考えていた孝之の目に
スカートと下着をはぎ取られた茜の姿が映った。
「いやっ!! 孝之さん……お願い……見ないでください」
 茜の言葉に孝之は慌てて目を伏せた。
80君望SS「裏切り」:01/12/07 13:27
 茜は必死に足をとじようとするが、それは既に恥丘に添えられていた慎二の手を
挟み込むだけであった。
 慎二の指が動く。そのたびにクチュクチュと既に濡れそぼった茜の大切な部分から
恥ずかしい音を立てる。手を茜の両の腿で挟まれてはいるが、それでも的確に感じる部
分を指先で探り当てていく。
「う……くぅ……」
 茜は顔を真っ赤にして、その恥辱に耐える。声を出さまいとして口は真一文字に
結ばれている。
「ねぇ孝之君……どんな気持ち?」
 いつの間にか孝之の隣に腰を下ろしていた遙が、不意に孝之に尋ねた。
「ふはへるはっ!!」
 思わず孝之は叫んでいた。どんな気持ちだと! 今の孝之には不安と怒り以外の
感情は感じていない。
「そうだよね。怒ってるよね。でも……不安で不安でしょうがないんだよね。私も
 そうだった………。事故に遭っちゃって、何も出来ない内に孝之君を水月に
 盗られて………、目が醒めてからは………今度は妹の茜に盗られた。酷いよね、
 私……孝之君に迷惑掛けるかもしれないからって何も言わなかったのに……。
 茜にうつっていく孝之君の心を知ってたのに。 ねぇ、私の気持ち……少しは
 わかってくれた?」
「…………」
 遙の言葉に孝之は思わず黙り込んでしまう。……確かに遙の気持ちは分かる。
しかし、この状況を許せるわけない。これは明らかに行き過ぎだ。
「さてと……そろそろ準備もいいみたいだし、しようか?」
 慎二はそう言って、閉じていた茜の足を強引に開き、その間に自らの腰を割り
込ませる。
「いや、そ、それだけはやめてくださいっ! お願いっ! お願いします!!」
 慎二のモノの先端が触れる。その瞬間、今まで以上に大きく茜が叫んだ。
「いやだね。茜ちゃんだってこんなに感じてるだろ。だったらいいじゃん。それとも
 孝之ともまだしてないのか? そんなわけないか、既に処女膜なかったし」
「孝之さん以外とは………。孝之さん以外は嫌なんですっ!!!」
 茜のその言葉を聞いた慎二は下劣な笑いを漏らす。 
81君望SS「裏切り」:01/12/07 13:28
「……ははっ。殊勝な心がけだね茜ちゃん。でも、そう思ってるのは君だけかもしれ
 ないなぁ。少なくとも孝之の奴は違う思うぜ」
「………!!」
 慎二の言葉に孝之は反応する。何度もやめようと思った。後悔もした。でも、やめる
ことは出来なかった。茜を失いたくなかったから………断れなかった出来事。
「……ど、どういう意味ですか!?」
 必死に抵抗しながらも、茜は慎二に返答を求めた。
「孝之の奴は君と付き合ってる間もずっと、涼宮と体を重ね愛し合ってたってことさ。
 茜ちゃんに黙って、毎日のようにね」
「………嘘っ! 嘘ですっ!!」
 茜は咄嗟にそう叫んでいた。そして、視線を孝之の方へ向ける。
 痛いぐらいに真っ直ぐな視線を受けた孝之は、ただ黙ってその視線を受けるしか
なかった。 ついに茜に知られてしまった………そのショックで呆然となる。
「孝之さん……答えてください。お願い……違うって答えて」
 今にも泣き出しそうな茜。今までの辛い行為の最中もけして涙は流さなかった。その
茜の孝之にすがるような言葉。
 これから先起こることを考えると、遙との事を認めるのは………茜にとって絶望を
意味するだろう。自分の姉によってこの様な行為を強要され、さらにはオレ自身に
よって裏切りの行為を受ける。猿轡のおかげで声は出さずに済む。ただ黙って、首を
横に振るだけで良いんだ。それだけで……一時かもしれないが、茜にこれ以上辛い
目を遭わせずに済む。茜の信じるものを奪わずに済む。
「孝之……、涼宮でもいいから答えてやれよ」
 慎二が答えを急かす。
 でも、遙……が認めたら!! 孝之は遙の方を向いて確認したかったが、茜の
真っ直ぐな視線からは目が離せない。
「孝之君、約束したじゃない。……絶対言わないから。……茜には言わないから」
 孝之だけに聞こえる小さな声で遙が言った。
 ………遙。茜に隠れて行為を重ねる間……遙が常に言っていた言葉。その約束は
まだいきているということか。首を横に振ろう。例えそれすら裏切りの行為と言われ
ても。後でなじられてもいいから……今は茜を自ら傷付ける様なこと……出来ない。
孝之は覚悟を決める。
82君望SS「裏切り」:01/12/07 13:29
「だから孝之君………言うなら自分でね」
 首を横に振ろうとしたその刹那、孝之の眼前に現れた遙の顔。そして、ただ冷酷に
言い放たれた言葉。
「………っ!!」
 遙の手が留め具に掛かかり、孝之の言葉を封じていた猿轡を外す。
 開放感よりもさらなる絶望感が孝之を襲う。自分の口で告げろというのか………。
オレに自ら……茜にとどめをさせと。孝之の顔は蒼白となった。
「それじゃ、頑張ってね……孝之君」
 遙はそう言って、また孝之の隣に座り直す。
 遙の顔が消え、孝之は再び茜のすがるような目線を受ける。ガタガタと体に震えが
走る。でもまだ……それでも茜に……違うと言いたい。茜に辛い思いをさせたくはない。
だから……言おう……違うと。孝之は自らの心を必死に取り繕おうとする。
「……………す…すまない」
 それでも孝之の口から漏れたのは謝罪の言葉。取り繕えなかった茜に対する罪悪感。
それが言葉となって溢れ出た。
「そんな……ひどいよ孝之さん。ひどいよ……ひどいよ……」
 茜の頬を涙が伝う。それでも瞬き一つせず……焦点を失ったような茜の瞳が孝之を
見つめていた。
「まぁ、そういうことだ。だから茜ちゃんも、遠慮せずにオレと楽しもうぜ」
 先端で入り口を探っていた慎二は、一気に奥まで達するよう激しく腰を打ち付けた。
そして、絡みつく茜の肉襞をまくりあげながら本格的な抽送にうつる。
 茜は何の反応も見せず、ただ孝之の方を光の消えた瞳で見つめていた。それは
まるで人形のようで……人としては壊れてしまった印象を与える。
 孝之の視界は流れる涙でぼやける。それでも茜の陵辱される姿を見るのは辛い。
いや茜の目を見るのが怖くて、辛くて目を背けた。
「茜ちゃん、流石に水泳で鍛えてるだけあって締まりがいいな。やっぱり速瀬とは
 現役とOBの差かな」
 なすがままの茜に様々な体位を取らせ、嬉しそうに慎二は言う。もう、抵抗を
押さえるための水月は必要ではなかった。
「孝之君」
「…………」
 遙の呼びかけに孝之は無言のままだった。
83君望SS「裏切り」:01/12/07 13:32
「あのね……孝之君は優しいよね。……とっても優しいよ。でもね、孝之君は優し
 すぎるんだよ。誰に対しても優しい人は……結局自分に対して一番優しいもの。
 そう、ある本に書いてあったよ」
 優しく諭すような遙の言葉。
 ………そうか。結局オレがしたことは……自分だけを考えたことだったんだな。
そして、それが全てを壊したんだ。水月を傷付け……、遙を狂わせ……、そして
この俺の手で茜を壊した。現に今だってオレは逃げている。茜の姿を見ること辛さ
から……逃げている。そうだ……逃げている!
 意を決して茜の方を見る。涙で視界がぼやけている。それでも現実から逃げない
ためにも見なくては。それはオレが犯した罪なのだから。激しく動いていた慎二の
動きがゆっくりとなり、そして茜の体から離れる。ドロドロとした白濁したものが、
茜の股の間からこぼれ落ちるのが見えた。
「くっ!」
 目を背けたくなった、茜の無惨な姿。心の痛みを感じつつも、それでも目を背ける
のを耐える。反応を見せない茜の傍により抱きしめたかった。それが茜のための
行為ではなく、自分の罪悪感をけすためのものかもしれない。それでもそうしたかった。
「孝之君。手錠外すね」
 そう言って、遙は懐から鍵を取り出し孝之を縛っていた手錠を外す。
「あかね……あかね……あか…ね」
 茜の名前を呼び続ける。しがみつく遙を振り解いて、孝之は茜の方へと近づく。
そして動かない茜を抱き起こす。辛い耐え難い罪悪感で涙がこぼれた。それでも
我慢しようと思った。けど………。
「………うらぎりもの」
 今まで何の反応も見せなかった茜の唇が微かに動き、そう孝之に告げた。
「……! うっ………うわぁぁぁ」
 もう、それ以上は孝之には耐えられなかった。そのまま孝之は部屋の外に走り出す。
この現実から……、いまの状態から逃げ出していた。

 何処をどう走ったのかわからない。ただただ孝之は靴も履かず街を走っていた。
そして曲がり角を曲がったとき、誰かとぶつかりそうになった。それは、孝之も知って
いる人の顔。
「あの……鳴海さん。その傷……どうしたんですか? それに……その格好は一体?
 ひどい傷……早く止血しないと!  病院に行きましょう。私も一緒に戻りますから」
 恐怖と絶望から逃れるため、何かにすがりたかった今の孝之とって、その姿はまさに
天使に見えた。
(おわり)
84某スレなりきりさん:01/12/07 13:46
君望SS「裏切り」
>76-83 遙の部屋3

長らくお待たせしました。とりあえず漸く終わりです。今回も寝取られテイスト
満載で臨みましたが、いかかがでしたか?

ちなみに隠し妻ENDのつづきです。一応伏線貼ったつもりでしたけど上手く機能
したかどうかはわかりません。元々今回アップした分を先に考えてました。
そこから話を膨らませて今回の話になりました。猿轡の使い方が個人的に好きです。

あと水月スキーと書きましたが、茜スキーでもあります。ドラマシアター2で逆転したような
気がします。茜は健気ないい娘です。とある事情で茜の寝取られが思いっきり書き辛く
なっちゃいましたけど。(w

それでは相変わらずの駄文ですが、次回作もお読みいただけたら幸いです。
85mitukifan:01/12/09 00:24
遅くなりましたが
>保存サイト管理人様
保管とワガママ聞いていただいてありがとうございます。
>54
感想ありがとうございますー。
>スレ移行時に手間してくれた方
thxですぅ。
>某スレなりきりさん
萌え萌えっすね( ´▽`)
86寝取られ万歳:01/12/09 21:07
>某スレなりきりさん
寝取られとして凄いと思うけど、孝之と水月好きな自分としては結構痛かった…
水月、遙、茜の順に好きなので…
しかし、この作品を見てから本編やると、慎二のせりふが素直に信じられなくなりますな
次は慎二視点で、鬼畜孝之の再寝取りSSだ!
な〜んて…
87名無しさん@初回限定:01/12/12 22:31 ID:rSncsLPM
とうとうエロゲ板のスレにも容量の警告が出ました。
とくに異論が出なければ明日あたりに、
連載中のSS一覧表でも貼らせていただいて、合流の証としたいのですが。
リンクは1にありますしね。
88名無しさん@初回限定:01/12/13 05:09 ID:WS6fsgYt
合流賛成1票
8987:01/12/14 18:15 ID:qQm3dXsb
というわけで、エロゲ板の連載中作品の一覧です。
これらの作品の続きは以後こちらに書きこむということでよろしくお願いします。
統合することでスレが活性化することを祈ります・・・。

連載中
                  作者名(敬称略)
1:乃絵美でガッツ        104
2:美奈の恋愛研究日誌    ダヴー
3:○作「由希編」        精神支配の夢魔
4:たくろうの災難        精神支配の夢魔

連載中?(半年以上更新無し)

1:獣姫・鏡花タン         名無しさん
2:気分は毎日立食パーティ  需要無視男
90ピュアメール:01/12/15 03:55 ID:cqUmPDyV
近親相姦スレから来ました。
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/hgame/1005221896/94
91ピュアメール:01/12/15 03:57 ID:cqUmPDyV
「ピュアメール2〜冬のはじまりに〜」



 1.緒方圭、高三の冬


俺の名前は緒方圭。県立大波良(おおはら)高校、三年生。

家族は三人だ。
オヤジは単身赴任で南米のどこかに行っていて、年に一度も帰って来やがらねえ。
同居しているのは母親と、妹の藍。藍は俺と同じ県立大波良の二年生だ。
ちょっとした訳ありで、同居してる家族と俺は、血が繋がっていない。
義理の関係ってやつだな。
小さい頃から俺にべったりで、何か俺にくっついて来たがっていた藍。
男の子みたいで何の色気もなかった中学校入学当時とは打って変わって、
長く伸ばした髪をお団子のように左右にふたつ結ってリボンで留め、
見た目もいくらかは女の子らしくなった。
県内トップレベルの今の学校に、成績も悪かったのに入れたのは、母曰く
「お兄ちゃんと一緒の学校に行きたくて、頑張ったのよ」とのこと。
もっとも、俺はそんな藍がとても煙たくて、学校でも
「おにいちゃん」ではなく「緒方先輩」と呼ばせている。
藍は、それでも最近はマシになった方だ。
中学時代は何をするにも引っ付いて来て、ウザいことこの上なしだった。
俺が女子と話でもしようもんなら「おにいちゃんはだまされてるんだよ!」と言って
邪魔して来る。最近は多少は口数も少なくなって、大人しくなったかな…という感じ。
学校の連中は「あんな可愛い妹がいていいよなあ」なんて言ってくるが、
はっきり言って、俺にとってはウザったく思っているだけの存在だった。
……本当だぞ。

「行ってきま〜す!」
口にパンを咥えて慌てて家を飛び出すと、玄関先で藍が待っていた。
「おにいちゃん、遅いよ。早くしないと、遅刻しちゃうよ?」
「うるさいな…。先に行っとけって言ったろ?」
遅刻しないように、冷え込む12月の通学路をふたりで走る。
そのうち、おなじみの顔が見えてきた。
「おはよう。緒方くん」
「おっす、おはよう、奈川」
中学の時から付き合いのある同級生、奈川碧だ。
成績優秀で美人。
高校に入ってから眼鏡をかけ始め、中学時代の大きなリボンも、ヘアバンドになった。
大人しい性格だが、俺とは付き合いが長いこともあって、気楽に話ができる間柄だ。
俺が県立大波良に入れたのも、奈川と一緒に勉強できたってのが非常に大きいだろうな。
「それにしても……」「何?」
「今更だけど、印象変わったよね……、緒方くん」「…そうかあ?」

確かに、中学時代を知ってる連中からは、変わったと言われることが多い。
人付き合いを避け、ネットの世界に引き篭もっていた中学時代の俺。
中学時代のある時期をきっかけに、俺は変わったような気がする。
奈川も関わっていた、ある時期、だ。
そして、奈川や、その他の女の子たちと親しくなったりするようにつれ、
次第にインドア系から外をうろつき回って遊ぶ方が好きになり、
いつの間にかひ弱なオタクからケンカとナンパ好きの、変な意味での校内の有名人に
なってしまった。一人称も「僕」から「俺」に変わったしな。
あれだけ入り浸っていたネットも、もうチャットにもほとんど行かず、
現実の知り合いとのメールに使うぐらい。
92ピュアメール:01/12/15 03:59 ID:cqUmPDyV
それ以外で今しているインドア的な行動と言えば、
これは重要なんだが、“ベッドに入る前には必ず日記を書く”ことぐらいだ。
「お前会社違うだろ……」と時々訳の分からないことを言われるな。

「おはよう。なんて幸運だ。
朝から美しい碧さんと藍さんのお顔を拝見できるとは……」
校門に入っていきなり、いけすかない奴に出会った。
「げ……結城……」
結城綾人。
大企業、結城物産の御曹司なのに物を言わせ、優男風のものごしで
女の子に手を出しまくっては泣かせている、キザでナンパな最低野郎だ。
「藍さん、当家のクリスマスパーティのご招待を受けていただいてありがとう。
ああ、碧さん。碧さんも、もちろん参加していただけますよね?」
「わ、わたしは予定があるから……」
「藍、こんな奴のパーティなんかに行くことないぞ」
「おに…緒方先輩も行こうよ。結城先輩の家のパーティって、
すごい人数が来て、お料理とかいっぱい出て豪華なんだよ」
「誰が行くかっ」
「……おにいちゃんが行かないなら、藍、つまんないな…」
結城の野郎は、入学してクラスが一緒になった時から自分の家柄を振りかざして
ブイブイ言わせていたが、俺が中学時代、同じ結城グループの結城証券のお嬢様と
知り合いだったと言ったら突然不機嫌になった。
結城グループの中でも破産なんかした身内のことを知られているのが、
自分の恥のように思えたらしい。
俺も、いまだにたまにメールしたりしている元同級生のことを悪く言われて
黙ってはいられなかった。取っ組み合いの大喧嘩になって、それ以来、
俺らの仲は最悪だというわけだ。

俺の教室に入ると、ダチのめきらが寄ってきた。
柔道部所属、教室でも街中でも24時間柔道着のおかしなヤツだ。
「どうした? 福引きで温泉旅行でも当てたのか?」
「……なんのことだ?唐突に。違うよ。藍ちゃんって相変わらず、可愛いよな」
なんてことを言ってるが、こいつは最近、
藍の親友、青葉衣里に熱をあげているのを俺は知っている。
衣里は高校に入ってから髪を腰の下まで長く伸ばし、
二輪の免許を取って、バイクに跨っているのをちょくちょく見かける。
周りからは不良みたいに言われ、実際口数少なく最近手も早いので近寄る者も少ない
が、そんな突っ張った様子に、いつの間にかこうしてファンがついていたってわけだ。
「ところで最近、碧ちゃんの様子がおかしいと思わないか…?」
「そうか……?」
そう言えば、俺の前の方に座っている奈川の様子が、どことなく暗いような気もする。
「やぁ、おっはようボンジュールなのさぁ……」
背中から、じっとり湿っぽい声が掛けられた。朝から聞きたくない声だ。
「柴………」
首からカメラをブラ下げた柴。コイツも、中学時代からの腐れ縁だ。
オタク化が進み、体重は中学時の三倍にも達している。髪も短く坊ちゃん刈りになった。
冬でも暑苦しい、イヤぁな笑顔をニヤリニヤリと纏いながら、
柴は曰くありげに奈川の方に一瞥をくれ、席についた。



2.クリスマスの風景


「予定があるから……」
奈川は、そう言って結城のクリスマス・パーティを断った。
去年は参加したパーティなのに。
ふっふっふ……。実は、奈川の約束ってのは、俺とのデートの約束なのだ。
93ピュアメール:01/12/15 03:59 ID:cqUmPDyV
「あ、緒方。今帰りなの?」
「澤永」
少々浮かれた気分で下校しようとする俺を、これも同級生の澤永美紀が呼び止めた。
高校に入って、…なぜか、熱心だったバスケをやめて、弓道部に入った澤永。
今も、部活の最中なのか、弓道着を身に付けている。
「緒方も結城のパーティ行かないんだってね。じゃ、クリスマスはどうすんの?」
「誰が行くかよ……って、ま、まあ、予定は、その、いろいろだ」
奈川は、親友の澤永にも、何も話していないらしい。
この二人がこういうところで牽制し合うのは、相変わらずだな……。
「あたしも、絶対嫌だよ。結城のパーティなんてさ」
澤永も、結城嫌いは俺と同じ。
けっこう気が合って気楽に話せるんだよな。澤永とは、昔から。

下校途中、駅前で、プレゼントと、ちょっと気張って新しいジャケットを買う。
奈川は、文句なく美人だ。
幼い頃は子役やモデルのような仕事をしていてちょっと知られた存在だった。
最近、また芸能活動を再開し、テレビ等の仕事で授業を休むこともある。
俺とは全然違った意味で学園の有名人だ。
奈川と親しく話せる俺を羨ましがる男子も多いが、本人はクラスのみんなが
遠慮して近付かないのを感じて、もっと話し掛けてくれてもいいのに…と
言っているのを俺は知っている。奈川は奈川で引っ込み思案な性格だしなあ。
そんな大人しい奈川だが、学業優秀、性格もいい。
知り合ってから五年間、親しい友達ではあったものの、
とくに仲が進展することもなくこれまで来たが、
ちょっと期待してないと言えば嘘になる。
家で着替えて、もう一度、待ち合わせ場所の駅に向かう。
少しばかり浮わついた気分で、俺は奈川を待った。

約束の時間。
まだ奈川は来ない。
携帯も繋がらない。
何かあったのかな?と思いつつ、俺は奈川を待った。

それから二時間。
……奈川は、来なかった。

何度も遊びに来たことのある奈川の自宅の前に立つと、
俺はベルを押した。
“…はい”
「あの、緒方ですけど」
“……緒方くん? ごめんなさい……”
奈川は、自宅にいた。
急に熱が出、外に出れず、連絡もできなかったと言うのだ。
“ほんとにごめんなさい。せっかく約束してたのに……”
「……いや、いいよ。じゃあ、身体に気を付けてな」

…いささか気分をダウンさせて奈川の家を離れると、なぜか柴とばったり出会った。
「やぁ緒方くん。奈川さんちに、なにか用があったのかぁい…?」
目障りな柴を親愛の情を込めていくらかしばくと少しは気が晴れたので、
俺は街をぶらついて持て余した時間を潰した。
街に一つしかないコンビニで美人の新人バイトを物色したり、
バイクに乗った衣里と出会って少し立ち話をしたり、
駅前でぶつかって来そうになったこおろぎをうまく躱したり、
病院の前を素通りしたりして時間を潰す。日が落ちた頃、家へ帰った。

「ただいま〜。……?」
リビングに入ると、キッチンのテーブルに誰かが突っ伏していた。
藍だ。
近寄ると、すうすうと寝息を立てて藍は眠っていた。
94ピュアメール:01/12/15 04:00 ID:cqUmPDyV
結城のパーティはまだまだこれからの時間だろうに、
“おにいちゃんがいないとつまんないよ”という言葉通り、
本当にもう帰って来てしまったらしい。
“おにいちゃん来ないなら、じゃあ藍、いっぱい食べ物をおみやげにもらって来るよ”
テーブルの上には、そのみやげらしい立派なクリスマスケーキが置かれていた。
ひょっとして、俺と一緒に食べようと思って待っているうちに、
眠ってしまったのかもしれない。
「……馬っ鹿なやつ。風邪ひくぞ」
そう言って俺は、買ったばかりの新しいジャケットを藍にかけてやり、
二階の自分の部屋に上がった。


3.藍 〜いもうと〜

冬休み。
その日は、ある事情で喫茶店で澤永にパフェをおごらされた後、
街で偶然奈川のロケに出くわしてしばらく見物した。
だが、その後、結城なんぞとばったり出くわしてしまう。
いつもの口論から、この日はなぜか「ぺ──っぺっぺっ!!!」と
互いに激しい唾の掛け合いとなり、汚くなった身体を洗おうと、
俺は家に急ぎ、駆け込むように風呂場に飛び込んだ。

そこに、……藍がいた。

白い裸体に熱いシャワーを掛けている真っ最中の藍。
「あ………」
お互い、完全に膠着状態。しばらく動けなくなってしまった。
藍は、隠すところもない、文字通りのすっぽんぽんだ。
「…………」
「…………」
湯気の中で沈黙とお見合いが続く緊張の空気のさ中、
俺はしっかりと藍の身体を観察してしまっていた。
中学時代、まだ互いに平気で部屋を行き来してた頃、
着替えの最中にドアを開けてしまったりしたこともある。
あの頃の小学生そのまんまな体型はもう面影もない。
二の腕も、太股も、ふっくらと肉が付き、完全に女の体になっている。
ごつごつと骨が浮き出したようなところはもうほとんど無い、
意外なほどの女性的ライン。
胸もすっかりたわわに実り、瑞々しい肌がシャワーの水滴を弾き返している。
小さくてピンク色の乳首まではっきり見てしまった。
お尻も白くて小さい。そして、股間にはしっかりと黒……
「きゃああああぁぁ──────っっ!!!!
おにいちゃんのバカ!! スケベ!! へんたいっ!!!」
風呂桶が飛んできた。
その直撃を食らい、俺はようやく我に返って風呂の戸を閉めた。
「すまんっ!! わ、わざとじゃないんだ、
お前が入ってるなんて思わなかったから……!」
しかし、数年ぶりに見る妹の身体の劇的な変化に、俺は確かに動揺していた。
いや、でも藍は単なる妹だ。それ以上でもそれ以下でもない。
そのはずだ……。

俺が結城が気に入らないもう一つの理由は、藍にまでちょっかいを出していることだ。
澤永だろうが奈川だろうが女と見れば誰にでも声をかける結城だが、
藍にはことのほか執心らしく、しつこくアプローチを繰り返している。
いくら口を酢っぱくして俺がアイツは駄目だ、ろくなもんじゃないと言っても、
女にはあの外面の良さに騙されて、ドス黒い中身までは見抜けないらしいな。
クリスマス・パーティの後、藍は結城とのデートをOKしてしまった。
藍が出掛けてる間、俺は非常にやきもきした気持ちで落ち着かなかった。
95ピュアメール:01/12/15 04:01 ID:cqUmPDyV
別に嫉妬してるわけじゃない。ふだんはうざったい存在とはいえ、
自分の妹、家族を、あんな奴が甘い言葉をかけてモノにしようとしている、
それが我慢できないのだ。……本当に、それだけだ。
もっとも、帰ってきた藍に聞いたら「結城先輩? あれは、デートのつもりはないよ」
とのことだったが……。
俺は、これまで何度繰り返したかわからない「結城だけはやめろ」という説得をし、
藍にもう結城からの電話は取らないと約束させた。当然だ。
万が一エンディングで藍とアイツのカップル成立なんて展開を見たら、
しばらくはムカツキが収まらないだろう。エンディングって何だ。

「おにいちゃん、お待たせ」
今日は、元旦。
俺は、いっしょに初詣に行こうという藍の誘いをなんとなくOKした。
しばらく待たせられた後、藍は、リビングに晴れ着姿で現れた。
「じゃぁ〜〜ん。どう?」
「……………」
俺は不覚にも、一瞬、藍に見とれてしまった。
「お母さんに着付けてもらったんだよ。どう、おにいちゃん。似合う?」
「……ああ、似合ってる……。…馬子にも衣装とはこのことだな」
「もう、いっつも一言多いんだから」
街に出ると、ひさびさの俺とふたりでの外出が嬉しいのか、
藍はニコニコしている。
そんな藍を見ていると、なぜだか俺まで気分が良くなってくる。
自宅前や境内で、やはり晴れ着姿の奈川や澤永に出会って、新年の挨拶をした。
社の前に着き、お賽銭を投げ柏手を打って、神前に祈る。
「おにいちゃん、何をお願いしたの?」
「お前こそ何をお願いしたんだよ」
藍はなぜか頬を赤くして慌てた。
「あ、藍のお願いは秘密だよっ。それより、おにいちゃんのを教えてよ」
「勝手な奴だなあ。……俺の願いは、聞かない方がいいかもしれんぞ?」
「そんなこと言われるとよけいに知りたくなるよ」
「じゃあ言うぞ」
「うん」
「“同級生3が発売されますように”ってさ」
「…………」
「…………」
「…………」                      キッドナップやロストエム モナ〜

ふたりとも変な顔((;´Д`)←こんな顔)しながら帰る途中、
またしてもアイツにばったりと出くわしてしまった。
……結城綾人。あのクソ野郎だ。
藍とふたりで歩いているところを見られただけでもなにか気まずい上に、
ヤツはここぞとばかりに藍を口説き倒し、俺を小馬鹿にしてきた。
当然、俺もさんざんに罵倒し返してやる。
男二人の罵り合いに挟まれて、藍の顔が困惑している。
「おにいちゃん、もう…、結城先輩のことそんな悪く言うのはやめてよ…」
俺は、結城との罵倒合戦で頭に血がのぼっていた。
だから、その言葉に簡単にカチンと来てしまった。
「なんでこんなヤツの味方をするんだ? 藍!」
「え……?」
「わかった。そんなに結城の方がいいならコイツといっしょにいればいい。
デートでもなんでも勝手にしろ! 俺はもう知らんからな!」
──言ってはいけない言葉を言ってしまったことに気付かされたのは、
藍の表情の変化に気付いてからだった。
藍が、目に涙を溜め、真っ赤な顔をして怒っていた。
両手で拳を握って震わせている。
本気で怒った時の、顔だ。
「……なんで、なんでそんなこと言うの? おにいちゃん……。
藍は、藍は、……おにいちゃんのことが……好きなのに!!!」
俺は、藍の剣幕にたじろいでしまった。
96ピュアメール:01/12/15 04:01 ID:cqUmPDyV
「そんな……馬鹿な。兄妹なんだぞ…」
結城の余計な横槍に、藍がキッと視線を向けた。
「藍とおにいちゃんは義理の兄妹だもん!! その気になれば結婚だってできるもん!
おにいちゃんズルいよ! 藍の気持ちはとっくにわかってるくせに!
知らないふりしてごまかして、ずっと藍に冷たくして!!」
藍は、もうぼろぼろと涙を零していた。
そのまま、晴れ着のまま、その場から走り去ってしまう。
俺は呆然と突っ立っていた。
なんだか、手のひらの汗の湿った感覚が、妙に生々しかった。
思ってもいなかったことを言われて驚いているのではなく、
ずっと互いに触れないようにしてきたことをずばりと言われてしまったことに
動揺しているんだと、自分でもはっきり自覚していた。
「この結城綾人がこのような恥辱を味あわされるとは…。
おのれ、緒方……。今日のことは忘れんぞ……」
すでに俺の視界からは消えていた結城が、そんなことをつぶやいていた。

翌日、校庭の片隅で結城が柴とヒソヒソ何やら密談しているのを、俺は見た。
胸クソ悪いからもちろん近寄りもしなかったが。


4.告白

翌日、藍の方から少し話し掛けて来てとりあえず和解はしたものの、
多少の気まずさとしこりは、やはり残った。
はっきりと気持ちを口に出されてしまった以上、
俺も、ちゃんと藍のことを考えてやらないといけないのかもしれない。
俺は、藍のことを、いったいどういう存在だと思ってるんだ……?

俺に電話が来たのは、ベッドに寝転がってそんなことを考えていた時だった。
誰かはわからなかったが、女性の声。
駅前のステーション・ホテルでお待ちしています……と言って電話は切れた。
誰だろう……?
俺はとりあえず指定された場所、時間に出向くことにした。
女がらみとなるとつい調子に乗ってしまうという、俺の悪い癖だったかもしれない…。

ホテルのロビーで待つこと一時間。
誰も現れない。
……なんだか、奈川とのクリスマスデートの時みたいだな……
などと思い出しながらも、誰かのいたずらだったか?と思い始めていた俺。
ホテルに来る途中、結城と……藍に似たような二人連れを見たような気がしたのが
ちょっとだけ気になっていたが、とりあえず、今日のところは帰ることに決めた。
その時……、
「あっ……」
俺は、思わず声をあげていた。
一階の部屋のひとつのドアが開き、出て来たのは……、
藍と、結城だったのだ。
「…………」
思わず、ごくりと唾を飲み込んでしまう俺。
藍は少し怒ったような顔でダッフルコートを着込みながら
部屋から出てロビーに歩いて来、そして、俺に気付いて……
驚きに目を見開いた。
「あ、藍………」
俺の口から出たらしい、間抜けな声が、聞こえる。
「おやおや、これはこれは藍のお兄ちゃんじゃないですか」
結城が嫌みったらしい声を掛けて来た。
……いつの間にか、藍を、呼び捨てにしてやがる。
「おにいちゃん違うんだよ、これは……!」
97ピュアメール:01/12/15 04:02 ID:cqUmPDyV
「うるさいっ!」
藍の身体がびくっと撥ねる。
「お、おにいちゃん何考えてるの? 違うよ、藍はなんにもしてないよ!」
「……本当か? 結城とたった今……」
「信じてくれないの!? 藍の気持ちはこの前言ったじゃない! それでも……」
俺が何か言葉をみつける前に、藍は、きびすを返してしまった。
「……お、おにいちゃんなんかもう嫌いだよっ! 大っ嫌い!!!」
藍は、ロビーを飛び出して行った。
「いやいや、お兄ちゃん? 藍とはふたりきり、
それはそれは楽しい時間を過ごさせてもらったよ」
「…うるさい」
結城が雑音を発している。
「藍は、バージンだったようだよ?
可憐な容姿に似合った美しい肉体……堪能させてもらったよ…」
「……黙れ」
「おや? 悔しいのかな? ふたりは兄妹だってのになあ〜」
真心こもった言葉での説得を聞いてもらえないようなので、
俺は、物理的な説得で結城に沈黙してもらうことにした。
げしっっ!!
「ぶわっ!!」
顔面にモロに拳骨を食らって、結城が吹っ飛ぶ。
「ぼ、僕の顔をぶったなあ!!」
「うん」
げしっっ!! がしっっ!! ずどっっ!!
中学時代の俺しか知らない奴が見ていたら目を疑っただろうが、
それなりに腕っ節に自信がある今の俺の暴力に、
結城はあっという間に目も当てられない惨めなありさまに変わった。
「た、助けて…。警備員さん! 誰かぁぁ!」
もちろん俺は、警備員なんかに捕まる前に、ロビーを飛び出していた……。

何十分も走り回って、藍をようやくみつけたのは、家の裏手の公園だった。
少し息をついて、ブランコに乗った藍に近付く。
「……藍」
ホテルのロビーでの出来事。あれから時間がたって、俺も少しは落ち着いていた。
「…………」
藍は俺と目線を合わせない。まだ、怒っているようだった。
「疑って悪かった……。謝る。ゴメン」
考えてみれば、あれほど嫌っていると俺が言ってた奴と、
俺に告白して二、三日で藍がそんな関係にまでなるはずがない。
冷静になった頭で、俺はそう藍を信用することに決めていた。
「……うん」
藍の話では、結城は、この前大喧嘩になってしまい申し訳なく思っていた藍の
気持ちに付け込んで、ホテルでの食事を強引に承諾させたらしい。
来てみて、レストランではなく部屋でふたりきりなのに藍は驚いた。
ほとんど口も付けずに藍は部屋を出て、そこで俺とバッタリ……
ということだったようだ。
そういえば、柴と結城が、昨日何やら密談していたのを思い出す。
俺をホテルに呼び出した女の声も、結城の依頼で柴あたりが仕組んだことなのだろう。
……アイツにも、後でちょっと面白い顔になってもらう必要があるかもな。
「じゃあ、もう暗くなってきたし、帰るぞ」
「……まだ、もうちょっと、こうしてるよ……」
誤解は解けたものの、俺に信じてもらず、結城との関係をあんなふうに
誤解をされたことに、藍はまだ傷ついているようだった。
…掛けてやる言葉が思い付かず、俺はとりあえずひとりで家に帰ることにした。

……遅い。
遅すぎる。
帰宅して晩飯を食べた後、日記を付けちょっと仮眠を取った俺は、
起きてみて藍がまだ家に帰っていないことに気付いた。
98ピュアメール:01/12/15 04:03 ID:cqUmPDyV
時計の針は、午後11時を過ぎている。
異常に気が焦り始め、俺は取るものもとりあえず、
ジャケットだけ羽織って裏の公園に向かった。

「藍!!」
公園のブランコのところでもつれ合う人影が街灯に照らされているのを見て、
俺は全速力で駆け出した。
「藍ぃっっ!!!」
「おにぃちゃああんっ!!」
藍が、酔っ払った男に羽交い締めにされている。
あれは……英郎(ヒデオ)! 衣里の兄貴の、この界隈では有名な不良、青葉英郎だ!
「ヘ〜ッ、ヘッ、ヘッ、ぴちぴちだぜぇ〜」
首筋に舌を伸ばす英郎から、藍は必死で顔を遠ざけている。
「や、やめてよおっ! 藍だよ、衣里の友達の……っ! ああっ!!」
英郎は泥酔しているようだった。
どうやら、顔見知りの藍も俺も誰だかわからないほど、へべれけらしい。
真っ赤な顔で、ふらふらとしながらも、大きな身体で藍を押さえつけている。
唯一の幸運としては、藍はまだ英郎に押し倒されもせず、
何の被害も受けていないらしいことだけだ。
「ひ、英郎っ! てめえっ! 藍を放せ!」
「だぁれだ、おめえは……? 手ぇ出しやがると、コイツは無事じゃ済まんぞ?」
「クッ……」
英郎は酔っ払いなりに藍に危害を加えるそぶりを見せ、俺を牽制している。
「おお、おお、いいねえ、このカンショク……」
「きゃあああああぁぁっっ!!!」
英郎が、藍の胸を揉みしだき始めた。
「て、てめえぇぇっ!!」
「あ、あ、嫌だ! 嫌だよ! おにいちゃぁぁんっ!!」
「ふへへ、やわらかぁい……けっこう大きいねえ、おねえちゃぁぁん」
まだ誰にもそんなことされたことのない藍の胸を、英郎が好き勝手に弄んでいる。
藍が泣き叫ぶのも構わず、コートの上からすら
形が歪むのがわかるほど、強くこねくりまわされている。
「いたい! いたいよぉっ!!」
「へへ、こっちはどうかな……?」
「………っ!」
スカートの上から、あろうことか英郎は藍の股間に手を伸ばした。
ぎゅっぎゅっと汚い指を押し付ける。
「嫌だよぅっ! 気持ち悪いよぅっっ!!」
「へへへ、ここも柔らかぁいぞぉ……イって良し! ん? げぶっ!!!」
俺の中で何かが切れ、気が付くと英郎の顔は、
勢いよく吹っ飛んで、肩の後ろの方に仰け反っていた。
最初の一発をほんの挨拶代わりに、俺は、拳を、蹴りを、
何発も何十発も英郎に浴びせ続けた。
結城の時はまだ手加減できていた俺も、コイツにはもう、なんの容赦もできなかった。
これほど切れたのはいつ以来だろう、と
怒りで真っ白になった頭のどこかで冷静に俺は考えていた。

……。
英郎は、ボロボロになって公園からよたよたと歩いて逃げ去った。
明日、今あったことを果たして覚えているだろうか…?
公園には、はぁはぁと息を切らした俺と、うずくまって泣いている藍が残された。
「おにいちゃぁん…!」
「この大馬鹿野郎! 心配かけやがって!」
藍はがばっと俺の胸に飛び込んで、抱き着いてきた。
そのまま泣き出す。よほど、恐かったんだろう。
温かい体温の塊が、俺の腕の中でぶるぶる震えていた。
そんなに、恐かったのか。……こんなに、小さかったのか。
もう、随分大きくなったと思ってたのにな……。
99ピュアメール:01/12/15 04:03 ID:cqUmPDyV
ふたりとも少し落ち着くと、藍の様子が、いささか、変わった。
小さなふたつの手でぎゅっと俺の背中を掴み、俺の目を見上げる。
体重すべてを俺に預けて。
「おにいちゃん……。藍、忘れてないよ。おにいちゃんとした約束。
ずっとずっと昔にした約束。……絶対結婚しようね、っていう、約束…」
大きな瞳が、涙で潤みながら一心に俺をみつめる。
藍の瞳から、手の指先一本一本から、胸から、全身から、
“好き”だっていう熱いエネルギーが俺に伝わってくる。
やばい。
やばい、と思った。
俺の腕の中で、必死にこちらにエネルギーを伝えようとするこの女の子の存在が。
そして、そんな彼女の様子に、
胸にどうしようもない熱を生じさせてしまっている、俺のことが。
どうする? どうするんだ、緒方圭。
藍が俺を見上げたまま、すっと目を閉じた。
……もう、他に何もできなかった。
俺は、藍の唇に、そっと俺の唇を重ねていた。

「恐かったんだ、きっと。いままでの関係が壊れるのが。
俺たちの気持ちがはっきりしちまうのが。
……だから、わざとお前を突き放して、意識しないようにしてたんだと思う」
「……おにいちゃん」
「臆病だったんだ、俺は。でも、今ならはっきり言える」
藍は、頬を染めながら俺を見つめ続けている。
「俺も、藍のことが好きだ」


5.そしてある夜、さらに、秘密のもう一夜

その日、俺は母さんから“話がある”と、なぜか深夜にリビングに呼び出された。
藍はとっくに寝ている。俺と母さんふたりきりだ。
「圭も今年で高校を卒業ね」
「……うん」
「それでね。進路が決まったら、家を出てはどうかしら?と思うの……」
「えっ」
意外な言葉だった。
まだろくすっぽ考えてはいなかったが、俺は、来年からは、
自分の食い扶持ぐらいは自分でなんとかしようと思っている。
…だが、まだ家は出たくなかった。
そう言うと、母さんは俺にその理由を尋ねる。
俺は、それに答えなけりゃならない。
一瞬言葉につまったが、でも、俺は、言わなきゃいけないと思った。
「……藍が、藍のことが……。好きなんだ。今はまだ、離れたくない」
母さんは、それを聞いてもさほど驚いた様子もなく、ただ、溜め息をひとつついた。
「やっぱりね……。そうじゃないかと思ってたのよ」
藍の気持ちは誰の目にもあからさまだ。
実の兄妹でないことも、俺、藍、両方が知っている。
そして、ふたりは共に男女を意識する思春期を迎えていた。
それを母さんは心配して、この話を持ち出したのだった。
俺は、懸命に母さんに訴えた。
ふたりともお互いの気持ちを確認したこと。そして、真剣なことを。
「じゃあ、ひとつだけ約束して。藍を、決して、傷つけないでちょうだい」
「……ああ。約束するよ」
「お父さんには私から話しておくわ。きっと驚くだろうけど、
圭と藍の真剣な気持ちは、わかってもらえると思うから……」
母さんのその言葉に、俺は心の底から感謝した。

翌日の、また夜。
100ピュアメール:01/12/15 04:04 ID:cqUmPDyV
コンコン、と俺の部屋にノックの音がした。
「おにいちゃん?」
「ああ」
「よかったら……藍の部屋で、いっしょに話さない?」

「おじゃま…します」
「ふふ。どうぞ」
藍の部屋なんか入ったのは、何年ぶりだろうな。
中学時代は、いっしょにゲームをやったり、ビデオを見たり
案外気楽に出入りしていたもんだが、いつ頃からそんなことがなくなったんだろう。
俺が藍を避けていたから。
寂しい思いさせてたんだろうな、と思う。
あの夜、公園で告白してから、藍とまともに話すのは初めてだ。
最初はぎこちなかったが、しだいに俺たちは打ち解けて話しはじめた。
話は弾んだ。
俺が避け出してから何年分かのブランクを、一晩で取り戻そうかとでもいうように。
ブランクの長さの分、話題も尽きなかった。
まるで、何年も前の、屈託ない兄妹時代に戻ったみたいだった。
その頃と違うのは、いまの俺たちが、互いに恋愛感情を認め合ってるってこと。
俺たちは話し合った。
俺の本当の気持ち、藍が思っていたこと、ふたりの思い出、これからのこと…。

そして、藍はいま、俺の腕の中にいる。
「キス……してもいいか?」
「うん……」
目を閉じた藍の口に、そっと俺の口を重ねる。
口に、熱い体温と、皮膚の接触した感覚、そしてほのかな湿り気を感じる。
藍の唇の感触だ。
熱い身体を、全身俺の腕に委ねきっている藍。
唇で繋がり合っている俺たち。
何分も、何分も、俺たちはそのまま口付けを続けた。
……口を離すと、はあぁ…、と藍は目を閉じたまま、熱っぽい息を吐いた。
キスだけで、身体全体が熱くなってしまったみたいだ。
ようやく開けた瞼の中も、潤んでいる。
ぼうっとしている藍に付け込むみたいな気もしたが、
我慢できずに、俺はもう一度その唇を奪った。
息を吐いて開いたままの唇の間に、そっと舌を差し入れる。
ほんの、2cmほど。藍は、まだ驚かない。
そのまましばらく動かして藍に舌の感触を慣れさせる。
俺も、藍の唇の感触を舌で優しく味わう。そして、一気にすべてを侵入させた。
藍が、身体をぴくっぴくっと撥ねさせた。
藍の舌を弄ぶ。俺の男の舌と、藍の女の舌の間で、唾液がひとつに交じり合う。
最初のキス以上の長い時間をかけて口の中を舌で蹂躪すると、ようやく口を離す。
ぷはぁっ、
と息を吐く藍の口と俺の口が、唾液の細い糸で繋がっているのが
すごくエロティックだ。
藍は、もう耳まで真っ赤で、目も、端から涙が滲むほどに潤んでいる。
はぁ、はぁ、と息も荒い。身体全体から、すっかり力が抜けてしまっている。
キスしかしていないのに、まるですでにたっぷり犯された後のようになってしまった
藍のしどけない姿が、さらに俺を興奮させる。
「藍……。いいのか……?」
「うン……」
セーターを胸までたくしあげ、
腕を頭の上に伸ばさせて、身体から引き抜く。
続いて、スカートのホックを探し、外す。
ジッパーを下ろすと、スカートも取り去った。
藍は下着だけになった。肌のほとんどが、丸見えの姿。
藍は、ベッドの上にうつぶせになって恥ずかしがった。
「いや……おにいちゃん、電気消して……」
101ピュアメール:01/12/15 04:05 ID:cqUmPDyV
藍には悪いと思ったが、俺はその願いを無視することにした。
俺が生まれから見たもので、一番って言えるほど奇麗なものを目の前にして、
それを暗闇に隠すなんてことは、興奮し過ぎてて、とても我慢できない。
恥ずかしがって俺に背中を向けた藍。俺は、背中のブラのホックも外す。
ブラの紐を腕に通して脱がす。まだ藍は抵抗しない。
ショーツにまで手を掛けて初めて、「ヤっ」と身を硬くした。
俺は、顔を寄せてふたたび藍に口付けを繰り返し、あらためて聞いた。
「……脱がす、ぞ」
しばらく無言の間があって、藍は、本当に小さく、こくっとうなずいた。
両手をショーツの左右に掛けて、静かに下げる。
藍の軽い腰を少し持ち上げるようにして下ろすと、
簡単に奇麗なお尻があらわになった。
これから風呂に入るわけでもない妹をベッドの上ですっぽんっぽんにして、
俺は、罪悪感と極度の興奮ではちきれそうだった。
そんな中、ふと、思い付いたことがあった。
「なあ、藍。リボンを解いたところ、見せてくれないか?」
「……いいよ……。リボン解いたところは、好きな人にしか見せないって、
ずっと決めてたんだ……」
──俺のために、ってことか。
胸が、グッと熱くなった。
俺の手で、藍の髪の毛をふたつのお団子状にまとめていたリボンを解く。
はらり、と美しい髪の毛が裸の背中にひろがった。
かつての短いくせっ毛は、ウェーブがかかったロングヘアへと成長を遂げていた。
見知らぬ長い髪の奇麗な女の子が、突然目の前に現れた、そんな感じだ。
「……奇麗だ……藍……」
「ほんと……?」
指で優しく髪をすいてやりながら、また、甘い口付けを繰り返す。
そのまま、生まれて初めて藍の裸の胸に手を触れさせた。
柔らかなふくらみ。柔らかな突起。
俺がそのすべすべとした肌触りを楽しんでいると、藍は我慢しきれないのか
小さく声をあげながら、何かに耐えるように目をぎゅっと閉じていた。
「感じるか?」
「わ、わかんない…あっ、んっ」
初めて触る藍の肌の感触を、隅々まで、味わいたい。
脇腹やおなかにも手を滑らせ、腕もさすりあげる。
どこもかしこも、男の肌なんかとは比べ物にならないきめ細やかさで、
俺はすごく感動した。
「く、くすぐったい、よ、おにいちゃん…」
腰やふとももにも手を這わせ、お尻をしばらく撫で……、
「藍……触るぞ……」
「ひゃんっ!」
藍のそこは……熱い蜜が溜まっていた。
「見てもいいか……?」
「あぅだ……駄目……」
抵抗しようとする藍の両足を広げて、俺はそこを見つめた。
「イヤ……おにいちゃん恥ずかしい……」
「……奇麗だぞ……」
「う、うそ……」
ネット上の画像でいくらでも女のその部分を見たことはあったが、
藍のそれは比べものにならないほど奇麗だった。
ほとんど肌色したその部分に、薄いピンク色のつつましやかな襞(ひだ)が見える。
だが、つつましい姿をしたそこも、
俺を、“男”を欲している証拠に、透明な蜜がいっぱいに湛えられている。
俺の目の前で、つー……、と一筋、蜜が太股を垂れ落ちた。
「いやあ……」
自分のそんな恥ずかしい状態を、藍も自覚しているってことに、興奮する。
藍は、恥ずかしさに耐え切れなくなったのか、しっかりと足を閉じた。
102ピュアメール:01/12/15 04:05 ID:cqUmPDyV
俺は、前から手を回すと、茂みの奥から
秘められたクレバスを探し出し、指を差し入れる。
「あっ……」
やさしく、擦る。
「駄目…あっ……あっ……いや怖い……」
藍が一際声を大きくする指の動きを発見し、同じリズムで擦り続ける。
「あ、あ、あっ! あ、あ…」
藍の両足から力が抜けたので、俺はもう少し藍の足を広げて、
両手の指を使って本格的に藍を責め始める。
「駄目……おにいちゃん……駄目……恐いよう……」
言葉では抵抗するものの、身体に力が入らないらしく、藍はもう無抵抗だ。
無抵抗のその部分に、思い付いたこと全部をほどこしていく。
襞をさすりあげ、クリトリスをくなくなと指先でなぶる。
襞をかき分ける。処女穴に、ゆっくりと指を挿入する。
さらに、最も激しい反応をしたクリトリスに、口を付けた。
「ああっ!!」
口で吸い、舌でもてあそぶ。
「ヤ! 駄目! やめてえおにいちゃんっ! だめだめっ!」
裸の全身を振り乱して、藍は抵抗した。
(あ……)
俺は、藍が本気で泣きはじめているのに気付いた。
「やめておにいちゃん……、そんなことしないで……。
藍は、初めてなんだよ? 感じるってこともまだよくわからないんだよ……?」
ちょっと、興奮に任せてやり過ぎてしまったみたいだ。素直に反省する。
「ご、ごめん……」
顔をあげて、髪をまた撫でてやり、おでこや頬に口付ける。
藍が落ち着くまで、そうして静かに撫でてやった。
少し、時間を置いてもう一度尋ねる。
「でも、藍とするためには、充分に…ほぐして、濡らしてやらないといけないから。
だから、もう一回触るぞ。……いいか?」
「……ウン……」
まだ少し目尻を濡らしながら、藍は、そっと、今度は、自分から足を開いた。
俺も服を脱ぎ捨て、指で、藍のそこをこするのを再開する。
「あっ…あっ…」
喘いでいる藍が、目を開き、閉じしながら、俺のものを注視しているのに気付いた。
「……気になるか?」
藍が慌てて目をそらす。
「触ってみろ」
「わっ……」
藍の細い指が、俺のものを握り締めた。
「どんな感じだ?」
「熱い……。それに、こんなに、か、硬いの……?」
「少し、握った手を上下に動かしてくれよ」
言うと同時に、そこに快感が生じた。
「うっ……」
「い、痛い?」
「違う……。つ、続けてくれ……」
藍の手に自分の肉の棒を委ねながら、
藍の股間のクレバスをこすりたてるのを再開する。
互いの手を使って、ふたりとも全裸のかっこうで
相手のオナニーを手伝ってやってるような感じだ。すごく、興奮する。
「あっあっあっ、あっ、あっ!」
「藍、い、イクのか?」
「わかんない変になる、変に……!」
103ピュアメール:01/12/15 04:06 ID:cqUmPDyV
藍の手が止まっていた。
子犬のような高い声をあげて、裸身を右、左に大きく撥ねさせ、仰け反る。
そして最後に、あ──────っっ、と大きな声をあげ、
藍は、白い肢体をぶるぶると震わせた。

「……おしっこ漏らしちゃうかと思った」
たった今、義理とはいえ兄弟に生まれて初めてイカされ、
余韻に身を痺れさせている藍。
俺の手は、まだ藍のあそこに置いてある。
イッた直後で過敏になっているようなので、
手のひらで優しくなでつけてやっている。
藍も、俺のものをいじる行為を、再び始めた。
亀頭を親指でこすったりするのは、無意識でやってるんだろうか。
「もう、慣れたか? 俺のそれ」
「あっ。……うん……おにいちゃんのなら、たぶんもう平気」
思い出したように、さっきまでしていた、
親指と人差し指で作った輪っかで竿を上下にしごく動きを再開させる。
「んんっ……」
体温の高い藍の指の輪がすごく気持ち良かったが、
なんだか妹にオナニーの代行をさせているようで申し訳ない。
「……もういいよ」
「え?」
「そろそろ、いいか」
「あ……」
藍は、俺の顔をみつめてこくんとうなずいた。

藍の身体をうつぶせから仰向けにさせて、足の間に俺の腰を入れる。
藍の裸体に腕を回すと、藍も俺の背中を抱き返す。
「おにいちゃん、あったかい……大好き……」
藍の形のいい乳房が、俺の胸板で潰れる。
そのまま、今までで一番ねっとりとディープキスをする。
「ん……」
「んん……。藍……。いいんだな?」
そそり立ったもの先端を藍の潤んだあわいに触れさせて、
胸を焼く興奮と同時に、人生最高の罪悪感もわいてきた。
妹の処女を破る。
仲の良い兄妹としてすくすく育って欲しいと願ってただろう
父さんと母さんの気持ちを裏切って、これから藍と
肉体的にも本当に男女の関係になるのだ。
妹じゃない、もう藍は恋人だ、と思っていても、
そして母さんにああ言ってもらっていても、俺の心に、まだ一点の重みは生まれる。
動物で言えば交尾を。
夫婦で言えば子供を作る行為を。
藍、妹と。今からするのだ。
俺の汚いものを妹の膣内(なか)に差し込んで。
するのも、やめるのも、どうするのももう、俺だけに委ねられている。
「公園で襲われた時、すっごい恐かった……」
藍が、言った。
「初めてを、おにいちゃんにあげられて良かった……幸せだよ……」
藍の目の端から涙が一滴零れ落ちた。
俺は、腰を送り出した。

「あぅっ! うゥん……!」
「痛いか?」
「ううん、だいじょぶだよおにいちゃん。続けて……」
性的興奮で火照った藍の身体の中でも、そこは特別に熱かった。
俺のものがその高温に包まれる。すごい圧迫感とともに。
狭い門を、腰に力を込めて押し開く……、と、
案外それは、するするとスムーズに侵入していった。
104ピュアメール:01/12/15 04:08 ID:cqUmPDyV
俺の腰の付け根の部分が、藍の肌にぴったりと触れる。
「全部、入ったぞ」
「ほんと?」
「ああ」
「嬉しい……。これが、一つになったってことなんだ」
「痛くないか? 本当に」
「うん。思ったより全然……」
少し、腰を動かしてみた。
大丈夫なようなので、少しずつ動きを大きくする。
出入りを繰り返す。
竿の部分に赤いものが付いていた。藍の、一生で一度の証しだ。
妹の、処女喪失した瞬間の膣孔という、この上ない貴重な場所を使って
こすり続けているのだ。俺は自分のものをますます硬くする。
キスも繰り返す。あまりにも何度もしたので、
藍と口と舌を付け合っている間の方が当たり前みたいな感じがしてきた。
年相応に実った胸も、右手で左、右と交互にやわやわと愛撫してやる。
乳首も指の間に挟んでこすって刺激する。
「あん、気持ちいい、気持ち、いいよ…おにいちゃぁあぁぁんん!」
もう、してしまったからには、できる限り多く快感を与えてやりたかった。
「あん、あん、あぁん、あんっ、ひゃんっっ!」
胸から股間に手を動かして、クリトリスをそっとこすった。それだけで、この反応だ。
「はぅあうっ、あ、あ……」
「藍、痛くないのか? 本当に気持ちいいのか?」
「うん…。あ、ちょっと、痛い、けど、それよりも…はんっ!」
痛みと出血ですごいことになる初体験もあるらしいから、藍は運が良かったみたいだ。
それに、俺の方も気持ちいいばっかりだった。
重ね合せた藍の肌は滑らかで、乳房も、どこも、最高の触り心地だ。
そして藍に付いている器官は、キツいけどもやわらかく俺のものを締め上げ、
自分の手でするのとは全然別種の快感で俺のものを熱く燃やす。
もう、会話は必要なかった。
愛撫と、キスと、股間の繋がった部分での抽送だけに、俺は集中する。
藍も、処女も肉体も心も、すべてを俺に明け渡して、
ただひたすら快感を与えられることだけに浸っている。
部屋に響くのは湿った音。抽送の音とキス。
そして荒い呼吸音。藍の可愛い声。
階下には母さんが寝ているのに、
この部屋では動物のように俺たち兄妹が荒々しく交わっているのだ……。
「藍っ! も、もうすぐイキそうだ……」
「うン! うン! イイよ、イイっ! あ、藍もヘンになりそうっ」
俺は腰の動きを激しくすることに集中した。藍の声も一際カン高くなりつつある。
繋がった場所が、血と、大量の恥ずかしい液で、ぐちゃぐちゃだ。
俺はもう、快感に負けて、処女だからっていう手加減もできない。
でも、藍も目を閉じてひたすら喘いでいる…。
「おにいちゃん、おにいちゃん、おにいちゃぁんっ!」
「藍、出る、出るっ!」
「あああっっっ!!!」
藍の大声と同時に、俺はそれを藍の穴から引き抜くと、
精液を発射して藍の白いお腹の上を、汚した……。
はぁ、はぁ、としばらくふたりとも声も出せずに身体を重ねていた。
唾を飲み込むと、俺はティッシュを一枚取って、
汚れた藍のお腹と股間を、丁寧に丁寧に拭いてやる。
そして、もう一度、何ひとつ隠すところもない裸体をぴったり重ね合うと、
熱く熱く兄妹でディープキスを繰り返した。



 エピローグ


新学期が始まった。
105ピュアメール:01/12/15 04:09 ID:cqUmPDyV
「おにいちゃんもたまには早起きするんだね」
「うるさい。たまに寝坊するの間違いだろ?」
「いっつも藍が起こしてあげてるのに」
会話は例によって例のごとく他愛なかったが、
藍とひさしぶりに一緒に通学路を歩くのは嬉しかった。
表面上の態度は変わらない。
でも、俺たちの気持ちは、二学期までとはもう、違う。
「お、あれは……」
通学路の途中に、二人連れの男女が立っていた。
めきらと青葉衣里だ。
「衣里ー!」
藍が手を振る。俺たちを待っていたのか?
やっぱり今日も柔道着のめきらが、俺に向かって言った。
「圭……。実は、話すことがあるんだ。お前に一番に話そうと思ってな」
「なんだ? あらたまって。お前らしくもない」
「実は、俺たち、結婚することにした」
「な、何──────っ!!!!」
衣里も照れくさそうに俺たちを見ている。
「これからは家族を養っていかなきゃいかんしな。
柔道で大学に進むのもやめた。衣里の家のバイク屋を継ぐ」
「衣里んちは別にバイク屋なんかやってないぞ」
「細かいことを気にするなよ」
「衣里、おめでとうー。びっくりしたけど……」
藍がはしゃいで衣里に抱き着いた。

澤永とも挨拶して、二学期の終業式以来の俺たちの教室に入る。
と、結城の野郎が俺の後から教室に入って来た。
まだ少し顔を腫らしているようだ。
俺のことは、チラッと見て、ギロっと睨んで行っただけだった。
こいつはずっとあのままなんだろうな。俺は苦笑した。
自分の席に付くと、ふいに目の前を人間の大きな腹がふさぐ。
「やぁ緒方くん、グッモ〜ニンなのさぁ」
「……芝か。そう言えば、お前にもちょっと用があったんだよなあ」
俺は拳を鳴らして芝を見上げた。
「そんなことより、緒方くんに紹介したい人がいるんだよ」
「はぁ? 紹介?」
「お、おはようございます……。芝様の肉奴隷の、奈川碧です」
「へ……」
柴の巨体の後ろから、信じられない言葉を口にして、奈川が現れた。
「ほら、ちゃんとご挨拶をするのさぁ」
「碧は、芝様の奴隷にしていただいて、とっても幸せです……。
これからも、ご主人様に、碧のエッチな写真をたくさん撮ってもらいたいです……」
「よくできたねえ。今日はたぁっぷりご褒美をあげるのさぁ」
「いや……。お、緒方くんの前で恥ずかしいです、ご主人様……」
奈川はぽーっと頬を赤くして答えた。
「じゃ、そういうことで。シーユーなのさぁ」
芝は奈川の肩を抱いて去って行った。
……。
ふたりの間に何があったんだ?
俺、何か奈川の為にしてやらなきゃいけなかったんじゃないだろうか。
……しかし、すべては後の祭りらしかった……。

始業式が終わって、俺は屋上に向かった。
机の中に一通の手紙が入ってたからだ。
“放課後、屋上に来てください”
女の子の字。差出人の名前は書かれていない。
屋上のドアを開けると、そこに、冬の陽(ひ)の光を浴びて、一人の女の子が立っていた。
「藍──」
「来てくれたんだね、おにいちゃん」
106ピュアメール:01/12/15 04:10 ID:cqUmPDyV
藍は、俺の前に来ると、すうっと息を吸ってから一気に言った。
「藍は、おにいちゃんのことが好き! 一生好きで居続けるって約束する!
だから、あらためて言います。藍の、恋人になってください!」
俺は、藍の顔を正面からみつめて答えた。
「ああ。俺もおんなじ気持ちだよ」
「ほんと?」
「当たり前だろ」
「嬉しい……。おにいちゃん、ありがとう」
藍が、俺の首に腕を回してきた。
「藍、おにいちゃんの妹で、ほんとに良かったよ……」
冬の太陽の下、まだ幼いカップルが誕生した。
これからいろんなことがあるだろう。
でも、俺は一生藍を守り続ける。そう、心に誓った。

 * * * * *

そして、数年が過ぎた──。

藍は看護学校へ進学する道を進んだ。
卒業後、立派に看護婦としての第一歩を踏み出し、偶然だが、
看護婦をしている奈川のお姉さんと同じ職場で、新人ナースとして頑張っている。
今日は、俺と藍の結婚式だ。
めきらと衣里や、中学、高校時代の知り合いも何人も駆けつけてくれた。
その中に囲まれて、ウェディングドレス姿の藍は、この上なく幸せそうだ。
ひとつびっくりしたのは、帰国した親爺と、おふくろが、
突然俺たちと同時に結婚を決めたことだ。
だから今日は、式も親子合同。
……親爺とおふくろはもともと夫婦じゃねえか……、何故結婚……
とも思ったが、まあ──細かいことだ。
藍を、俺の手で一生幸せにする。
そう改めて心に決めた今日、俺は高校時代の、あの冬休みのことを思い出していた。
俺たちが結ばれた、あの、思い出の日々を。
時が過ぎても決して忘れない……。
俺たちが、生涯離れないと誓ったように──。


                        ピュアメール2〜冬のはじまりに〜 終わり
107ピュアメール:01/12/15 04:13 ID:cqUmPDyV
>>90-106 「ピュアメール2〜冬のはじまりに〜」でした。べらなが。(;´Д`)
108名無しさん@初回限定:01/12/15 04:27 ID:kkMRy+D5
>>107
ご苦労様です。面白かったです。
奈川スレの方に報告してくれるとは思わなかったので
ダブったことすみませんでした。
10935HR:01/12/16 00:53 ID:HzLCNH68
やはり、プリマヴェールの作者様は、すでにここをご覧になってないか…
ちょっと困った…鬱
110まっそー:01/12/16 09:08 ID:I+LLOcBG
>>28
かなりの遅レスで申し訳ない。
SSのほうは9割くらいは完成しているのですが、
師走の忙しさと、ラスト付近のまとめに失敗してるために
まだ投稿できないっす。

脳内のイメージを文字にするのって難しい……
111名無しさん@初回限定:01/12/16 20:32 ID:crPcs9UF
>>46,>>109 35HRさん

お返事遅れてすみません、どうぞどうぞ。
こういうのはいいんですよね?>SSサイト管理人様
転載する時>>42と前スレ612を実現していただければ嬉しいです。
それともフリーアドからでよろしければこちらから素のテキストを
コピペしてお送りしましょうか。本文とかあとで少々直してます。

…没番外編サブタイトル、そういえば「Reborn's Day」ってエロゲがあるのを
最近思い出しました。文法、どっちが正しいんだろう……。
英語自信なし。敗北のヨカン(;´Д`)ドウシヨウ
112名無しさん@初回限定:01/12/16 20:32 ID:crPcs9UF
そういえば、プリヴェで二次創作のSSネタ思いついたけど、
書いてないやつがあります。書く余裕ないんすが、ふたつ。

1.松本くん

これはKSさんのちはるSS読んで思い付きました。
長年の下っ端扱いに耐えてついにちはると恋人になり、
晴れて婚約にまでに至って天国気分の、助手の松本くん。
ところが結婚式を前にして、うっかりちはるとプリンスがHしているところを
覗いてしまう。(寝取られシチュ)
ふたりはこれが最後のつもりでしてたのだが、これまでもふたりに関係があったこと、
ちはるの初体験の相手がプリンスなことを初めて知って大ショックの松本くん。
松本くんに知られたことに気付いて大弱りのふたり。
そしてプリンスの強引な解決策。
「よし、お前らに一日だけ俺の調教室を貸してやる。本当にもうちはるが
お前のものだとふたりで納得するまで、思う存分使うのだ!」
こうして、自分の作った調教道具全部を味合わされるはめになったちはる。
しかも、今は恋人とはいえ、これまで下っ端だった松本くん相手に。
それを調教室の様子をこっそりモニターから見守る
プリンス、純菜、つばさ。それぞれの思いは……。
……これなら、原作のノリでいけそう。
113名無しさん@初回限定:01/12/16 20:32 ID:crPcs9UF
2.戦闘員B子

発売当時ユーザーから要望が出てた(含む俺)戦闘員B子のH。
俺の捏造妄想ネタですが、今でこそ一人のザコ戦闘員として
日夜悪事に励んでいるB子だが、そのスーツの中身は、実は元・良家のお嬢様。
身の代金目的にマルク・ジェネに誘拐された、お嬢様時代のB子。
最初は気位が高く反抗的だったが、プリンスに無理矢理犯され、戦闘員に輪姦され、
連日の調教の末にマルク・ジェネに洗脳されていく。
初めての男プリンスに、次第にときめきも覚える。純菜と同じようなパターンですな。
そして最後にはマルク・ジェネに忠誠を誓い、美貌をあの戦闘員スーツに押し隠して
過去の一切を捨て、ザコ戦闘員の一人となったと。
で、初仕事、仲間とともに、自分ちの会社を襲って資金をふんだくる
かつてのお嬢様、いまや「戦闘員B子」なのだった…てなお話。
現在B子は、かつてのお嬢様時代を過去とし、
プリンスと直接肌を重ねた記憶を、時に思い出しては頬染めながら、
彼に忠誠を尽くして戦っているのでした……という捏造妄想。
知ってる人も多いでしょうが現実の事件が元ネタなのもちょっと気が重くもあり。


万が一これ使ってSS書きたいという方がいらっしゃったらご自由にどうぞー
もちろんただ叩き台にして自由に変えるのも全然OKだす。
当然こんなのに関係なくプリマヴェールのSS書く方も、いるといいなあ。読みたいな
114KS:01/12/17 00:13 ID:ciL1LXHO
>>112
(・∀・)イイ!
>これはKSさんのちはるSS読んで思い付きました。
うわぁ。なんかむず痒いですわ。
私も再びちはるSSを書きたいと思っていたのですが、しばらくプレイして
なかったせいで助手の名前がどーしても思い出せなくて(藁
時間に余裕も出てきたので、近いうちにまた、ちはるネタで書きます。
115某スレなりきりさん:01/12/17 01:32 ID:zYPk7ij+
>>110
おお、まっそーさんこんにちは。
忙しい中、出てきて頂いて申し訳ありません。

続きかかれていらっしゃると知り、安心いたしました。
11635HR:01/12/17 02:19 ID:gf5FVJ0u
>>111
ありがとうございますm(_ _)m
一方的に無理言ってすみませんでした。

>転載する時>>42と前スレ612を実現していただければ嬉しいです。
了解です。

今のところは、スレのログの方を編集させてもらおうと思っているのですが、
よろしければ、テキストの方も送っていただけると助かります。
メアドです→[email protected]
後、作者様のコテハン名を頂けると幸いです。

広くHR同志に、あの傑作SSを布教できるかと思うと本当に嬉しいです。
重ね重ね、お礼申し上げます。
それでは、また結果報告に参ります。
117名無しさん@初回限定:01/12/18 02:47 ID:uxnyHLrF
>113
 パトリシア=ハースト誘拐事件ですね?

 確かに面白そう。
118なちゅらるきゃろっと2:01/12/20 20:25 ID:VX7TiYql
えろげ板で失敗したので再UPです。

「さっき、お兄ちゃんが面白い事を言ってたの…」
バイトの休憩時間、またミーナがあいつの事を話している、とっても嬉しそうに。
私と最悪な初対面をしたあいつ。
そんなあいつにミーナは『お兄ちゃん』と言ってすごく懐いている。
ミーナがあいつの名前を出す度に…胸が苦しい。
自分の胸が苦しいのは、あいつへの『恋』。
私も小学生じゃないから、それぐらいは理解してる。
でも、あんな最低男に『恋』してるなんて信じたくない。
それ以前に、あいつは自分の妹ミーナの相手だ。
あんな最低男にミーナが懐くなんて面白くない。
「…お兄ちゃんになら、処女膜を破って欲しいかなぁなんて」
「ミーナ!女の子がそんなはしたない事を言っちゃ駄目!」
…ミーナにこんな破廉恥な事を言わせるなんて、なんて奴。
「あ…ごめんなさい…お姉ちゃん…」
「何度も言ってるけど、あいつは最低な奴なんだから!」
…私はその『最低な奴』に恋してる。
「ミーナを騙して食べ棄てようってしてるんだから、騙されちゃ駄目!」
そう言ってミーナをあいつから遠ざけようとする。
「だから、あいつには充分すぎるぐらい警戒しなさい」
その言葉の直後、私に胸の苦しみと自分への嫌悪感が同時に襲ってきた。

 終業時間。仕事中は忙しさのお蔭で気が紛れてたけど、仕事が終るとどうしてもあいつが視界に入る。
その度に胸が苦しい。
「なんか用か、日野森。俺の事じっと見て」
「用なんか無いわよ、あんた自意識過剰よ」
「1分も俺のことを見続けてじゃないか」
「あんたが女の子達に変な事してないか監視してたのよ」
「お姉ちゃん、お兄ちゃんと喧嘩しないで…」
「ミーナは黙ってて」
こうやって少しでもミーナとあいつとの接点を断ち切ろうとする。
「もう、二人ともいい加減にしなさい!」
涼子さんの叱咤が飛んだ。
「…あずさちゃん、寮に戻ったら私の部屋に来て」
涼子さんがそう言った。
ので、私は寮に戻って自分の部屋にも入らずに涼子さんの部屋に直行した。
そこには涼子さんだけでなく葵さんも居た、当然ビールを煽りながら。
また宴会かいなと思いながら二人に付き合う。
多少二人が酔い始めたかなっと思ったとき、涼子さんが突然、
「あずさちゃん、前田君に恋してるでしょ」と言ってきた。
119なちゅらるきゃろっと2:01/12/20 20:27 ID:VX7TiYql

「な、なにを突然んん」私が言いかけると、葵さんが私の口を手で塞いだ。
塞いだまま「前田君もあずさちゃんのことを憎からず思ってるみたいよ」と言った。
あ、あいつが!?突然とんでもない事を言われたので二人を問い質そうとした。が
「モ、モガモガ」私の口を塞ぐ為か葵さんが缶ビールを無理矢理流し込んだ。
そのまま葵さん「でも、美奈ちゃんも前田君に恋してる、そして二人の間は良い空気」と言った。
そんな事今更いわれなくたって解ってる。
「あずさちゃんと美奈ちゃんは、二人とも前田君に恋している」と涼子さん。
「最終的には、結婚して前田君の子供を産みたいのよねぇ、二人とも」と葵さんが口走った
途端、私は身体の中から炎が吹き出た、感じがした。
「な、なんてこといってるんですか!」私は葵さんを跳ね除け、涼子さんと葵さんの行動を断つために叫んだ。
「あずさちゃん、これは真面目な話、最後まで聴いて」
お酒が入ってるとは思えない真剣な表情の葵さんに圧されて、私は大人しくなった。
葵さんが続けて「あずさちゃんと美奈ちゃんが同時に前田君と結婚する事は、
現在の日本の民法上は不可能」と言う。
何を当たり前のことをと思うと、涼子さんが繋げる。
「だからあずさちゃんは、美奈ちゃんの恋を優先させようとする、基本的に」
あ、当たり前じゃない。でも、これが声に出せなかった。
「でも、あずさちゃん自身の恋も放棄できない、だから前田君の悪口を吹きこんで、
美奈ちゃんと前田君の関係を絶とうとする」と葵さん。
二人とも、何が言いたいの…?すると、涼子さんが言い放つ。

「解答だけ言うと、あずさちゃんは前田君と美奈ちゃんと3人で一生一緒に居たい。
けど絶対に不可能だからあずさちゃん自身は混乱している」
「…なんで…」自分の裸を除かれたような気分で、辛うじて声を絞り出した。
「20代は10代を何でも知っているのよ」葵さんが意地悪っぽく笑う。
「さて、本題はここからよ」お酒に酔ったような表情をしてるのに、涼子さんの口調は
仕事中のようにしっかりとしている。そして涼子さんは言う。
「最も良い状態は、あずさちゃんと前田君と美奈ちゃんが3人で一生一緒に居る事」
「でも、あずさちゃんと美奈ちゃんは、前田君に関しては対立する2つの排他的な関係、
このままでは並列できない。最良の状態は構築できない」と葵さん。
「二人とも、何を言っているの?」私は言った。
最良の状態とか、2つの排他的関係とか、確かに事実だけどそれで何を言ってるのかが解らない。
「つまり、あずさちゃんも美奈ちゃんも前田君にラブラブなまま一生一緒に居る方法があるってことよ」
…葵さんがまた変な事を言い出した。
たしかに、私はミーナとあいつを取り合って対立してる。
それは、ラブラブなまま3人一生一緒に居る事が出来ないからじゃない。
だから、大事な妹のミーナと『恋の勝負』なんてやる羽目になってるんじゃない。
「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ、よ」涼子さんが私に向かって呟いた。
120なちゅらるきゃろっと2:01/12/20 20:28 ID:VX7TiYql
以上があずさ視点。

これより前田視点。
バイトが終った俺は、寮の自室でくつろいでいた。
すると、誰かが玄関の戸を叩く。
こんな時間に誰じゃいと思って応対すると、そこには日野森がいた。
「中に入って良い?浩司君に用事があるんだけど…」
「ああ、いいけど」…コウジクン?いつもあんた呼ばわりする奴が?
どう言う風の吹き回しだ?
とにかく俺は部屋に上げた。若い女が一人で俺の部屋に上がり込んで来るのだ。
悪い話ではない。
「日野森、さっきコウジクンって言ってたよな。いつもあんた呼ばわりする奴が」
「うん。コウジクンって言ってみたかったの」
冷戦関係に有る凶暴女がこういう事をするには、何か裏が有る。
それを手探りで暴いていこう。
「それにしても、どう言う風の吹き回しだ?いつもの日野森の態度じゃないぞ」
「…わかってる」…ずいぶんしおらしい態度だな日野森。なんか違和感を感じる。
「…あのね…浩司君…」顔を赤らめて上目遣いに俺を見る日野森。
もしかして告白?いや、こう言う時こそ警戒しないと。
すると、日野森が自分のスカートのポケットから輪っかみたいな物を取り出した。
「これ…犬の首輪なんだけど…私の首につけて欲しいの」
…はぁ??「と、突然なに言うんだよ日野森」
「お願い…着けてくれたら…理由を言うから…」恭しく両手で奉げるように首輪を
持ちながら、日野森がそう言った。

とにかく日野森に首輪をつけてみよう。幸いここには俺と二人きりだし、そう
しないと話が見えてこない。
「…わかった。着けてやるよ」俺が言うと日野森が少し微笑んだ。
日野森はその表情のまま髪を掻き揚げ自分の首を前に差出す。そうやって俺が首輪を
着け安い様にする。
「…穴を1個緩めて…息が出来ない…」そう言うやり取りをしながら俺は日野森に
犬の首輪をつけてやった。
「出来たぞ」
「…はい」日野森は、ほっとした表情で目を潤ませていた。
「…これでご主人様の奴隷になることが出来ました」
…俺が何か言う前に日野森が信じがたい事を言ってきた。ゴシュジンサマ?ドレイ?
「首輪を着けて下さいましたので、話した通り理由をご説明致します」
口調まで完全に変わっている。これは日野森じゃないぞ。
「あずさはご主人様が好きです。激しく恋愛感情を持っています」
え…告白されたのか俺。急に身体が熱くなる。
「そして、ミーナもご主人様を好いています。もちろん恋愛感情をです」
み、美奈ちゃんも…?という事は二人一気に告白されたのか?
「えっと、つまり…」俺が真っ先に思ったことを言う前に
「はい、あずさとミーナはご主人様を巡って対立関係にあります。一言で言うと
三角関係です」
それって修羅場じゃね−か。しかも姉妹だから最悪だぞ。
何で日野森は、修羅場を落ち着いて話してるんだ?
121なちゅらるきゃろっと2:01/12/20 20:28 ID:VX7TiYql

「あずさはご主人様を愛しています」日野森が続ける。
「でもミーナとも一緒に居たいのです」
まぁ普段の日野森を見たら、美奈ちゃんベッタリだもんな。
「でも、最終的に結婚までいくのは一人だけ、あずさとミーナが同時にご主人様と
結ばれる事は出来ません」まあ、そりゃそうだ。
「だから、ご主人様を愛する同士のあずさとミーナがご主人様と一生一緒に結ばれる
には、ちょっとした裏技が必要なのです」
裏技ってなんだよ。
「ご主人様は一方と籍を入れて、もう一方はご主人様の私物となるのです」
…は?
「今の場合、ご主人様が望まれるならミーナと結婚していただき、あずさはご主人様
の奴隷として一生お使えさせて頂くのです」
あずさはほっと息をついて、
「これで3人一緒に居られる訳です」
そして日野森は俺の側にぴたりと引っ付き、上目遣いで口を開いた。
「どうぞあずさを御自由に使ってください、身体も心も」
「日野森…」
「あずさとお呼び下さい」
「あずさ…?」

こうなったら、ご自由って言うならどこまでご自由か試してやれ。
こいつには過去いろいろ暴行を受けたしな。
「それじゃあメイドタイプの格好でフェラチオしろ」と言うと、
「はい、畏まりました、ご主人様」
暴行を覚悟して冗談で言った科白だったが、意外にも顔を真っ赤にしながらも花が咲いた
ような笑顔を返してきた。
「少しお待ち下さい。準備をしてまいります」
自室にとって返したあずさは本当にメイドタイプで再びやってきた。
首輪を着けたまま、すぐさま俺の前に跪くと
「失礼いたします、ご主人様」
言うが否や、あずさ自身の口でジッパーを下し、口でモノを探り、見つけ出すとすぐさま
それを咥えた。
「ばちゃ、びちぃ、ぶちゅ、べちぇ、ぼちょ、ずぞぞぞぞ」
初めてのフェラがいきなりディープストローで気持ち良すぎる。
「え、えらく上手いな」
「あずさも本物にフェラするは初めてです。ご主人様を想定した訓練はしてましたが、
初めてのご奉仕で上手と言う言葉を頂けて身に余る光栄です」
本当に日野森なのかと思っているうちに気持ち良すぎて射精した。
「ぞちゅ、うぐ、うぐぐぐ、こくこくごく、ずぞぞぞぞ、べくううううう」
あずさは口内射精した精液を全部のみ干した。そして
「精液おいしゅうございました、またご奉仕させて頂けますか」
「ああ」
そういうと口から精液の垂れたあずさは、にっこりと嬉しそうに微笑んだ。
122なちゅらるきゃろっと2:01/12/20 20:29 ID:VX7TiYql

しかし萎えない俺はさらにあずさに命令する。
「あずさの股にはチ○ポを入れる穴があるだろ。俺に見せろ」
「はい、畏まりました」
あずさは、顔を真っ赤にしながら白いパンツを膝に引っ掛けてスカートを捲りながら
尻を俺にに向けて、さらにあずさ自身の指で両穴を広げた。
下の穴の方はもう汁が垂れまくっている。
「マ○コがグジュグジュ、ケツの穴もひくひくしてるぞ」
「…ご主人様に首輪を着けていただいた時から…あの、どっちの穴を使って頂けますか?」
俺は何も言わずマ○コに肉棒を突き入れた。
「が、ああああぁ」膜にあたった感覚があったが、あまりの滑りのよさに一気に突き破った。
「がひぃぃぃぃ」あずさは痛がってる様だが、俺は締め付けとぬめぬめが気持ち良すぎる。
「気持ち良いですご主人様、気持ち良いですご主人様、気持ち良いですご主人様、き…」
俺が突くたびにそう言うあずさ。そういって破瓜の激痛から気を紛らわしてるのだろう。
「あずさ、外の出さないと…」
「いいえ、中に下さい、処理はもう施してあります、ご主人様の好きなように…」
俺は気持ち良過ぎてすぐ膣内射精してしまった。
「ごごご、ごしゅじんさまあああああぁぁぁ」あずさは身体を振るわせながら叫んだ。
俺が出し尽くしたのを確認するとあずさは
「…ご主人様のを…後始末を致します…」言うが否や肉棒を咥えて精液を舐め取った。
「ちゅう、ちゅう、ぶちゅう」

朝起きると日野森、いや、あずさが首輪と三つ指をしながら俺の部屋にいた。
「おはようございますご主人様、朝食は用意してあります、ご賞味下さい」
見れば机に作ったばかりの米飯、味噌汁、漬物の3点セットがあった。
「…夢じゃないな」
「はい」
「…フェラで起こすと思ったが」俺が冗談で言うとあずさが
「し、失礼致しました、さ、早速…」慌てて俺のモノに自分の顔を近づける。
「明日からで良い」
「も、申し訳有りません…」済まなさそうな顔で俺を見上げる。
昨日までとは全く違う朝だが、それでもPiaキャロへのバイトは有る。
バイトに出ると、何とあずさが首輪をしたまま仕事をしていた。
俺は涼子さんに「あ、あず、日野森が首輪して…」
「ああ、いいのよ、私も店長も許可してるから」
「…え?」
「あずさちゃんいいなあ、ボクもわんわんしたいよぉ」
つかさちゃんがあずさを見て呟く。
「店長がウェイトレスの制服は、首輪をデフォにしようかとか言ってたわねぇ」
と葵さんが涼子さんを顔を見合わせながら微笑んだ。
そして、「…お姉ちゃん…」あずさを見ながら美奈ちゃんが呟く。
「美奈ちゃん、どうしたんだい?思いつめたような顔をして」
俺が美奈ちゃんに聞くと、
「あ…お兄ちゃん…おね、いや、何でもないです…」
そう言うと美奈ちゃんは俺の腕にしがみついてきた。
俺と美奈ちゃんがくっ付いてるのを見たあずさは軽く会釈をしながら微笑む。
かなり妙な空気が漂っていた。
123なちゅらるきゃろっと2:01/12/20 20:31 ID:VX7TiYql
以上です。
あの時は書いてる最中に突然警告が出たんで…
失礼しました。
124名無しさん@初回限定:01/12/21 09:39 ID:vAqiQimX
>>123
かなり、いいですね。あずさが特に。
これって、続きがあるの?
期待していいのかな?
125名無しさん@初回限定:01/12/21 18:32 ID:ZCImYWDY
>>118-122
なちゅらるきゃろっと2

僭越ながら代わりにリダイレクト。
作者名はないんですか?
126名無しさん@初回限定:01/12/22 14:36 ID:GDq6hVnu
たまにはあげよう
スレ統合に口すら出さず申し訳ないッス。
ちょいっといろいろたてこんでたもんで……

とりあえず、保管サイト更新です〜
http://www.geocities.com/holddti/

更新内容は
【完結作品】
君が望む永遠SS「裏切り」(更新)
ピュアメール〜冬のはじまりに〜(新規)
デザート(新規)

【連載中】
美奈の恋愛研究日誌(更新)
○作「由希編」(更新)
なちゅらるきゃろっと2(新規)

と、なっておます。

>>47
 レス遅れましたが、当サイトはリンクフリーです(w
とりあえず、SS作家さんがいやがらない限りは自由にリンクしてくれて
いいんですけど……こっちからもリンクしますか? リンクページ追加して

>>111
 転載は作者さんの裁量で行ってくださって全然問題無いッス。
てえか、基本的に著作権とかはSS作家さんにあると思ってるので。

 要望の出ましたBBSに関してはちょっと手が回らない……っていうか、
どんなのがいいのかよーわからんです(w
話に出たJBBSにするのがいいですかねぇ……。

 一応、ここでかけない内容とかがありましたら、しばらくは>>40
のフリーアドにお願いします。
128名無しさん@初回限定:01/12/24 23:53 ID:37oOyyiv
そういえば、2chだし、名無しだし……と
わりとおおらかにちんこまんこ(卑語)直書きしてたんですが、(好きだしw)
他サイトに転載されるとなればこういうのってマズいですかね?
自分でサイトやってる方のご意見とかもお聞きしたいです。

あと、104氏たちはこちらに来てくれるのかなぁ。
129名無しさん@初回限定 :01/12/27 03:19 ID:dIHycYyp
あげ
130名無しさん@初回限定:01/12/27 05:47 ID:VsHBB8KW
>>127
ピュアメSS書いた者です。アレ、某級生2のパロディネタでもあるので、
ジャンルのとこになんかそれっぽいこと書いといてくれると嬉しーですー。
13147:01/12/27 17:39 ID:8mJXtD3+
>127
ありがとうございます。
リンクは、相互リンク募集とかやってるわけではないので
ご判断におまかせします。ご要望でしたらURL貼りますけど。
132さくらの挑戦:01/12/28 03:33 ID:oTCzbqwO
「せんぱいぃ……」
 泣きそうな顔でさくらがやってきたのは金曜日の昼休みで、
だいたい予定通りだった。俺はすぐさま席を立つと廊下に出て、
人通りの少ない隅っこで話し合う。
「……あれ?」
「はい……」
 制服の裾をつかみながら、消え入りそうな声で頷くさくら。
前回の発情期からそろそろ二カ月になるから、俺も準備はしていた。
 やっぱりたしなみということで。避妊とか。
「我慢できない? 今日は金曜日だから、放課後まで待ってくれれば……」
「駄目……ですか?」
「我慢できるなら我慢したほうがいいと思うけど」
 学校でするのはやっぱりリスクが大きい。それにさくらの様子を見ると、
本当の限界までにはまだ少しだけ時間があるようにも思えた。呼吸は少し
荒いだけだし、顔色もまだあまり変わらない。
 ……パンツの中はすごいことになってるんだろうけど。
「……分かりました。でも、放課後迎えにきてくださいね」
 必死の声で言うと、さくらはふらふらと自分の教室へ戻っていった。
送っていってあげたいんだけど、俺が傍にいると我慢できなくなっちゃう
って言うし。
 そういうことを聞くと可哀想だなと思う反面、むらむらと燃えちゃうのも
男としては当然なわけで。
 とにかく期待を胸に、俺は放課後を待つことにした。

 それに対してさくらは――。
(頭おかしくなりそう……)
 自分の席に座ってじっと授業の開始を待つ。休み時間ごとにトイレに行っては
少しずつ自分で慰めていたが、そろそろ逆効果になりそうだったのでそれも
やめた。強く意識していないと、授業中にもスカートの中に手を入れたくなってしまう。
(先輩……ほしい……)
 優しく抱きしめて、そっとキスをする。そんな想像では済まない。
強引に自分を押し倒して、後ろから思いっきり突きこんでほしい。
ほとんど濡れていなくて、すごく痛くてもいい。そのまま壊れるぐらいに
抱いて欲しい。想像の中で自分はものすごくいやらしいことを叫んで、
言われるままに腰を振っている。そんな妄想で自分を慰める。
 制服の上から、そっと胸に触れる。張り詰めている乳房をぐっと押す。
少し痛い。でもその痛みが快感に変わっていく。
(まだ大丈夫……。あと少し……)
 仕方のないことだと分かっていても、この体がうらめしい。子供を産むのは
まだ当分無理だし、こんなことだとそのうち先輩にも嫌われてしまうかもしれない。
 こんないやらしい娘は嫌だと言われたら。そしたらどうなるのだろう。
自分でこの火照りを冷まさなければいけない。けれど、もしそれに耐えられなくなったら。
(先輩以外の人に……)
 それを想像すると、少しだけ頭がすっきりする。背筋を冷たいものが走って、
理性が戻ってくる。
 もう授業が始まっていた。授業に集中しながらも、体は求めている。
 時計の秒針は、妙にゆっくりと動いていた。
133さくらの挑戦2:01/12/28 03:34 ID:oTCzbqwO
放課後、俺はダッシュでさくらの教室へ向かった。帰宅なり部活なり、人の流れに
逆らってさくらの教室へ入る。彼女は何かに耐えるように、ぎゅっと拳を握り締めて
椅子に座っていた。
 何人かの女子が声をかけている。それに対してさくらは、あからさまに引きつった
顔で応答している。
「さくら」
 呼びかけて傍によると、よろけながら立ち上がる。
「大丈夫、綺堂さん?」
「……うん」
 クラスメートとうつろに話すさくらに手を貸して、俺は教室を出る。
「さくら、辛い?」
「大丈夫、です」
 声が途切れ途切れになる。なんとか校門を出たあたりで俺はさくらをおぶった。
軽いのは相変わらずだが、最近は少し体重が増えたらしい。確かにおっぱいなんか
一回り大きくなった気もするけど。
 俺が歩くのに合わせて、さくらが短く息を吐く。これだけでもけっこう快感に
なってるみたいだ。甘い息が首筋にかかって、さくらの熱が俺にも伝染する。
さくらをおぶっているのにも関わらず、俺は普段の倍の速度で家に急ぐ。
 無意識のうちにか、さくらの手が制服の上から俺の胸に触れてくる。まるですりつける
ように体を揺らす。
 最後はもう走っていた。階段を駆け上がり部屋のドアを開け、額の汗を指で
なぞる。
「先輩……」
 振り向いた瞬間、唇を奪われていた。
 歯の間を割って、普段の何倍も熱い舌が入りこんでくる。ぐにぐにと動く柔らかい
それは、俺の口の中をぐるぐると探っていく。どくどくと唾液が流れて、口の端から
たれていく。
「ぷはっ」
 ようやく解放されてさくらを見る。熱っぽいまなざしが俺を射た。
 我慢に我慢を重ねて、さくらはもう限界だったらしくて、無言のまま俺のジッパーを
下ろしていく。俺自信も引き続きの刺激に、充分に屹立していた。
「あ……」
 かすかなうめき声。倒れこむようにさくらは俺の上になる。はあはあと荒い息を
つきながらも、そこで一度止まる。
「もう……いいですか?」
 吐息に混じったつやっぽさに抵抗できず、俺は素直に頷いた。
134さくらの挑戦3:01/12/28 03:35 ID:oTCzbqwO
「はあぁぁぁっ!」
 一枚も服を脱がず、さくらは下着の脇から俺を迎え入れた。その瞬間、顎をのけぞらせ
感極まった声を上げ、がくがくと震えて、さくらはイった。
「あ……あ……」
 びくんびくんと、さくらは立て続きにイった。ほんの少しだけ腰を揺らして、その度に
体が震える。口の端からよだれがたれて、俺の制服の胸に落ちる。しっぽが左右に動いて、
少しくすぐったい。
「あ……はあ……」
 ふ、と息を吐いて、糸が切れたように俺の上に倒れこむ。荒い呼吸で肩が上下し、
俺はとりあえず髪を撫でてやる。ヘアバンを外して、耳を外に出してみる。
「さくら、あれつけるから、一度抜いてくれる?」
 連続で絶頂を迎えたさくらの中でイかないでいるのは、すごく大変だった。
「ふうぅぅん……」
 甘えるような声を出して、さくらはまた小刻みに揺れ出す。
「だーっ! 駄目だってば」
 脇の下に手をやって、むりやり引き剥がす。さくらは抵抗したが、発情期の彼女は
ほとんどこちらに抗えない。投げ出された鞄の中から避妊具を取り出し、くるくると巻いて
「あうっ」
 毛をはさんだ。一度元に戻して……準備完了。
 荒い呼吸のまま俺を待っていたさくらに覆い被さり、とりあえずパンツだけは脱がして、
薄い毛に覆われたそこに突きこむ。
「はあああぁぁっ!」
 ひときわ長くさくらがないた。太ももを俺の脇腹にすりつけてくる。首に手を回して、
全身を重ねるようにして自分自身でも動いてくれる。
「はあっはあっはあっ」
 しばらくは単純な動きをして、それからゆっくりと動いて、キスをする。ぐちゅぐちゅと
口の中から唾液がこぼれて、さくらの口からどんどんたれる。さくらはもう何も考えられないのか
うつろな瞳を空に据えて、快楽をむさぼっていた。
 小さな波を何度か重ねたあと、さくらは体を引きつらせて絶頂を迎えた。その瞬間、俺も
薄い皮膜越しにさくらの中に解き放つ。
 お互いの震えが伝わり、しばらくはそのままでいたが、先に我を取り戻したのは俺のほうだった。
(……玄関先でやってしまった……)
 軽く事故嫌悪した後、さくらを抱き上げる。俺の胸の中でさくらは丸くなり、頬をすりよせてくる。
 可愛いなあと思う。思うが、少しだけ我慢。
 さくらをベッドに運ぶと服を脱がせていく。力の抜けていたさくらも身をよじり、それを
助けてくれる。服をたたんで俺も裸になり、あれをつけなおして……。
 ふたたび俺はさくらの中に突きこんだ。
135さくらの挑戦4:01/12/28 03:36 ID:oTCzbqwO
さくらの中は熱くて柔らかくて、俺のものは溶けそうになる。思いきり突きこんで奥に
すりつける。短く速い動きで前後する。
「――――っ!」
 さくらの歯が肩に食い込み、俺は快楽と痛みの中間でどうにもならなくなる。腰がびりびりと
震えて、声をもらし俺も最後を迎えた。
 ベッドの上で重なり、汗だくになりながらも俺達はお互いの体をまさぐった。快楽の残滓が
弾けていって、俺はようやく正気に返る。
 ぐったりと寝そべったさくらの体をタオルで拭き、毛布をかぶせる。すうすうと小さな
寝息を聞きながら、穏やかな気持ちで俺は台所へ向かった。
 結局夜になるまで、俺達はHしかしなかったわけだ。手早く炒飯など作ってお皿を並べる。
「せんぱい……?」
 匂いにつられたのか、さくらが起きてくる。羽織っているガウンは、いつの間にか俺の
部屋に置かれるようになったものだ。ふらふらと左右に揺れながら、ちょこんと椅子に座る。
 ほとんど夢うつつのようなさくらに、俺は提案してみる。
「ご飯食べたら、一緒にお風呂入ろっか」
「……はい……」
 もそもそと食べ終わったさくらを、抱きかかえるようにしてお風呂につれていく。汗に濡れた
さくらの体が、いい匂いを出している。
 波と波の間のさくらは本当に無抵抗で、なんだか赤ちゃんを相手にしているような気分になる。
椅子に座らせて体を洗っていくわけだが……。
「ちょっと、さくら」
 無意識のうちにか、さくらの手が俺のものを触っていた。そのまま体を寄せてきて、泡だった
手でくちゅくちゅとこすり始める。
「……おっきくなりました」
「若いから……」
 シャワーで泡を落とすと、俺は本格的に愛撫を始めた。びんびんに立ったさくらの乳首を
つまみ、もう片方の手でさくらのアソコを掻き回す。さくらはそれに応えるように、俺のものを
口に含む。
 ぐにぐにとお互いに愛撫しあっているうちに、自然と床に転がって69の形になる。さくらの
場合はしっぽがあるので、その付け根もくすぐってやる。荒い息が俺の股間に当たって、なんだか
妙にくすぐったい。俺はさくらの髪の毛と同じ色のしっぽをたどって、お尻の穴に触れてみる。
 その瞬間、びくんと大きくさくらが震えた。
136さくらの挑戦5:01/12/28 03:37 ID:oTCzbqwO
「先輩、そんな……」
「いいから」
 ぐにぐにとお尻の穴を揉んでいく。実はお尻の穴を触られるのが好きなのは、ちゃんと分かって
いるのだ。普段はなかなか責められないけど、この時ばかりは別だ。存分に苛めてあげよう。
 手を止めない俺の顔に、しっぽがぱたぱたと当たる。しかしやがて諦めたのか、さくらは
俺のものを再び口に含む。
 どろどろに濡れたさくらのアソコから愛液をすくって、お尻の穴に塗ってみる。ぐにぐにぐにと
連続でこね回した後、人差し指を入れてみる。
「はあうっ」
 短く息をつき、さくらは震えた。軽くイってしまったみたいだ。もそもそと体の向きを変え、
濡れた瞳で俺を見つめる。
「せんぱい、私もう……」
「あ、じゃあベッドに」
 言いかけた俺の唇を奪って、さくらは俺の指を求めた。自分の中に入っている俺の手の上に
自分の手を重ね、ぐいぐいと押し込んでくる。それはつまりお尻の中にどんどん指が入るという
ことで。入口の狭いところを抜けると、膣のようにどろどろとしたところに到達する。その広い
空間で、俺はぞんぶんに指の先を動かす。
「あ、あ、あ、あ」
 短い喘ぎ声を断続的に漏らす。
「先輩、お願い、早く」
「でも、あれつけないと」
「お願い、お願い」
 本当におねだりしてくるさくらは、股間を俺の腹にすりつける。俺は指を二本に増やして
さくらのお尻の穴を責めていた。
(なんか……これって)
 人差し指と中指の両方を飲み込むさくらの後ろの穴。入口の狭さは前と比べられないが、
そこを抜けるとけっこう広い。
「あのさ、さくら。こっちでしてみない?」
「え?」
 一瞬、さくらは正気に戻ったようだった。淡い色の瞳に理性の輝きが見える。だがそれも、
俺がさくらの中で指を動かすことによって霧消する。
 俺の指の動きに従って、さくらの体は伸びたり縮んだりする。しがみついた俺の背中に
爪を立てたりもするけど、そこは愛で我慢する。
「……ぃ……です……」
「え?」
 消え入りそうなさくらの声は、本当に聞こえなかった。だがそれをさくらは俺がじらして
いると勘違いしたみたいだった。あんまり羞恥プレイとかはしてないんだけど。
「お願いです。私の汚い穴に、先輩の入れてください!」
 うあ。
 ちょっぴりの罪悪感と、ものすごい興奮に、俺のものはいつもの二割増しぐらいに膨張
した。さくらは真っ赤になって俺を見つめてくるが、俺も同じぐらい真っ赤になってる
ような気がする。
137さくらの挑戦6:01/12/28 03:37 ID:oTCzbqwO
「じゃあ……後ろで……」
 ちょっとどもりながら俺は言って、さくらは小さく頷く。タイルの上にさくらを寝かして、
俺は覆い被さっていく。いつもとは違う体勢なので、ちょっと難しい。
「あ……」
 さくらのお尻の穴に俺のものをあてる。さくらも膝を立てて、位置を調節してくれる。
「じゃあ入れるけど……ゆっくりするから」
 こくこくと頷くさくらの中に、俺は侵入していく。前の穴とは比べ物にならない抵抗が、
俺の行為を妨げる。
「さくら、もうちょっと力抜かないと……」
 言いながら俺は、さくらのおっぱいを揉んだり、クリトリスを弾いたりする。ぴくん
ぴくんと可愛く震えてくれるさくらは次第に脱力していく。
(なんだか……初めての時みたい……)
 あとから思えば、俺とさくらの初体験は、両方初めて同士の割にはかなりスムーズな
ものだった。しかしこれはちょっと……本当なら入ることのないものを入れるわけだし。
 躊躇している俺の首に、さくらは手を回してきた。
「全部……先輩のものにしてください……」
 ため息と共に漏れたさくらの声が、俺の意識にそっと入りこむ。女の子にここまで
言われて、男の俺がためらっているのは情けない。
 ぐっと力を入れて、ねじ込むように少しずつ入れていく。さくらは短くはっはと息を
して、どうにか力を抜こうとする。しかしベッドの上でないこともあってか、どうしても
体が硬い。
 腰に手を回して、さくらを俺の膝の上に乗せる。体重で自然とさくらの体が沈んでいく。
俺はそれを支えながらもさくらを愛撫して、力を抜かせていく。
「あ……」
 ぶるぶると震えたさくらの体から力が抜けた。同時にぷしゃあと暖かいものが俺の股間に
流れる。
「あ……いや……」
 羞恥の涙を流しながら、さくらのお尻は俺のものを完全に飲み込んだ。シャワーでさくらの
尿を流しながら、小刻みに動き出す。
 分かっていたことだが、後ろの穴はきつすぎて、思いきり動くことが出来ない。裂けて
しまうことがないように、揺れるように動く。
 さくらは口をぱくぱくと動かしているが、声も出せないらしい。それでも断続的に震えて
いるので、絶頂を迎えているのが分かる。
 がくんがくんと大きく揺れた後、途端に力をこめて抱き着いてくる。そのまま肩口に
噛み付いてくる。
「……!」
 最近は力の加減が分かってきたのでそんなこともなかったのだが、これは確実に血が
出たと思う。皮膚の下、骨にまで歯が当たる。
 激痛の中、震えるままにさくらの中で動く。さくらも目尻に涙をたたえながら、むちゃくちゃに
体を引きつらせる。
「はあ……っ!」
 びくんとひときわ大きく体を伸ばして、さくらはイった。快楽の残滓の中でしめつけられた
俺も、さくらの中に射精した。
138さくらの挑戦7:01/12/28 03:39 ID:oTCzbqwO
出しっぱなしのシャワーの音に混じって、俺とさくらの荒い息が浴室に響く。つながった
まま力尽きて、重なり合いながら横たわる。呼吸が元に戻るにつれて俺のものも力を失って、
さくらの中から押し出されていく。
「あ……」
 途端にがばっとさくらが起き上がる。だが力が入らないのか、またくたりと俺の上に倒れ
こむ。
「さくら……また?」
 さすがにそろそろ波は去ったと思ったが、それは俺の早合点だったのかもしれない。だが
俺の胸の上で、さくらは力なく首を振る。
「あの……」
 言いにくそうにしばらくもごもごと口篭もったあと、意を決したように言った。
「おトイレ……つれていってください……」
「おしっこならここでしちゃえば――」
「いえ、その……」
 ぴんときた俺はさすがに慌てて、さくらをトイレにかかえていった。おしっこならさせて
あげてもいいけど、さすがにあっちは、ね。
 すっぽんぽんのまま用を足したさくらは、今度は一人でまたシャワーを浴びて、結局その日は
そのまま眠った。
 その後――。もう二度と後ろではしないと泣き出しそうな顔で言ったさくらだったが、うしろで
やると発情がかなり収まると分かって、結局は発情期のたびに、俺達はうしろですることに
なったのだった。

長いSSってSSとは言わないような…。とらいあんぐるハートからさくらの
発情期に絡めてみました。お目汚し失礼。
139125:01/12/28 09:30 ID:bBkEXWzg
>>132-138
さくらの挑戦

またまた代わってリダイレクト。

SSを「ショート・ストーリー」ととるならその通りでしょうが、
「サイド・ストーリー」ととるなら長くても問題無いような。
それとも長いのはLSとでもいいますか?
いずれにしても用語上の問題にこだわる必要はないと思われ。
140名無しさん@初回限定:01/12/28 15:30 ID:QLAmdnrq
読みました。心理描写とらぶらぶが良かった。ツボに来ました。
141名無しさん@初回限定:01/12/28 22:01 ID:neihVhzw
        さくらたんワッショイ!!
     \\  エロエロワッショイ!! //
 +   + \\ 発情期ワッショイ!!!/+
                            +
.   +   /■\  /■\  /■\  +
      ( ´∀`∩(´∀`∩)( ´∀`)
 +  (( (つ   ノ(つ  丿(つ  つ ))  +
       ヽ  ( ノ ( ヽノ  ) ) )
       (_)し' し(_) (_)_)
142ダヴー ◆qjspr06A :01/12/30 18:12 ID:XM/2DWUr
今日から合流させていただきます。
コンゴトモヨロシク……。
143美奈の恋愛研究日誌:01/12/30 18:17 ID:zcToH+Fa
「…なんでもいいけど、千家くん。だいたい爆発の演出も入れるって、学校側の許可は取ったの?」
「そのへんはバッチリ。五駅ほど行った所に採石場があるから、そこで撮るつもりさ」
爆発シーンの撮影は採石場で。基本中の基本、ステップ1である。
ちなみにステップ2はそこで強制廃車確定気味の改造車やバイクを乗り回すこと。
もちろん爆炎のド真ん中を突っ切りながらである。
――危険ですから決してマネしないでください。
「爆発!? ちょっと千家、アンタそんなのまで入れるつもりだったの?」
「企画書に書いてあっただろ? 宮ヶ瀬さんにも渡したはずだけど」
「う…」
無論あんなもの、帰宅して二秒でゴミ箱行きである。
まあ、表紙に大書されイヤでも目に付くタイトルが『セイギマン』では、それも仕方あるまい。
美奈も一度目を通した後はすみやかに廃棄したが、まだ大体の内容は覚えていた。
あんないらぬ情報までしっかり忘れないでいる自分の記憶力が、この時ばかりは疎ましい。
「それにしてもよく許可がでたわね…高等部の学生だけでやるんじゃないの? 大学部の人も参加してるとか?」
「まさか。あっちはあっちでなんか撮るらしいし。爆発系の演出は高原先生に協力してもらうんだよ」
「高原先生に!?」
美奈が予想もしなかった名前が出てきた。
「ああ。けっこうその手の番組の知識があるみたいでさ、参考になったよ」
(そういえば…)
美奈は以前、実験後の茶飲み話のなかで、修司が科学の道を志した理由を聞いた覚えがある。
(死神博士とかギルモア博士みたいな、すごい科学者になりたいと思ったのが最初だったとか…)
修司は、美奈にこの両博士はどちらも歴史に残る人体改造魔だと説明していた。
なにかが間違っているような気もしたが、二人をよく知らない美奈には真偽のほどはわからない。
144美奈の恋愛研究日誌:01/12/30 18:18 ID:zcToH+Fa
「宇宙刑事ものに変更する時も先生にアドバイスもらったし。あ、これイメージ画ね」
千家は鞄からラフスケッチをいそいそと引っぱり出す。
色鉛筆で丁寧に描かれたそれは、銀色のメカメカしい着ぐるみが雄々しく立つ傍らに、ミニスカートの女の子がアレなデザインの光線銃を構えて寄り添っている、というものだった。
(うっ、これは……)
美奈は自身のおぼろげな記憶(特撮・宇宙刑事の項)をたどってみた。
正直、元ネタにしてるどころではなく『そのまんま』な気がしてならない。
「あの、ちょっと千家くん。このデザインは、色々とマズいと思うんだけど」
美奈がイロイロな事情から困惑していると、千家は黙って次のスケッチを差し出した。
手持ちの一枚目を七海に渡して、美奈はそれを受け取る。
(ヒロイン役のコスチューム設定、ね。なんだか、これもずいぶん…)
先だってのセイギイエローとピンクもそうだったが、このデザイン案の女子が着ているコスチュームもやたらとスカートが短い。
と言うか、今回のものは前よりさらに短くなっている。短すぎる。
「千家、デザインがまんまパクリなのはおいとくとしても、この短いスカートにはどーいう意図があるの?」
美奈からスケッチを回された七海も、同じところが気になったようだ。
質問する声に怒りの成分が多く含まれている。
「え」
応じた千家の顔にイヤなカンジの汗が流れた。
美奈はスケッチに目が向いていたので見えなかったが、七海の声だけでなく表情もかなり怖かったようだ。
「…高原先生に相談した時に、『これじゃまだ長い。もっと短くしろ』って言われたんだ」
「はあ? ホントに?」
「ホントだって。『いいかね? スカートの丈は戦闘員に蹴りをいれるときに、チラリとすこし見えるくらいが絶妙なのだ』とか、えらくノリノリで講釈してくれたけど」
「…………」
145美奈の恋愛研究日誌:01/12/30 18:20 ID:AxOCyozC
「だもんでオレも『さっすがセンセー、わかってるぅ!』ってその場で描きあげてこの短さに……どしたの、五十嵐さん」
美奈は右手で額を押さえて頭痛をこらえていた。反対の左手は大机について、身体を支える。
「いえ、ちょっと」
そういえば、思い当たるふしがある。
数日前、修司が美奈に夏休みの予定を聞いてきた。『よければちょっと手を借りたいんだが』と遠慮がちに言ったものである。
夏期講習とアルバイト、それに文化祭の準備で美奈の予定はすでにビッシリ埋まっていた。
しかし修司の実験助手は、美奈にとっても楽しみな、最優先事項なのだ。
だから『あ、実験ですか? それなら予定あけますから、ぜひ手伝わせてください』と即答したのである。
当然喜んでくれると思ったが、修司は『え? あ、うん。じゃあ連絡するから、頼むな』と妙に歯切れの悪い返事を残して去っていった。
今にして思えば、あの時本当は映画の話を切り出そうとしていたのではなかろうか。
だが、たとえ修司の頼みでも、かなり抵抗のある話である。美奈も七海も、ごくまっとうな羞恥心を持っていた。
(まったく、どうしてこんな恥ずかしいデザインに……せめてもう少し)
美奈はそこでハタと気付いた。
(そうじゃない。そうじゃなくて)
企画の根本に問題があるのに、細部について議論したところでそもそも無意味なのだ。
それに、いくら千家が妥協案(あくまで彼の主観)を提示しても、二人が引き受ける可能性は最初からゼロなのだから。
つまりさっきからの会話は、まったく無駄話以外のなにものでもない。
時計を見る。…あまり長引くとタイムセールに間に合わないかもしれない。
早く本題を済ませなければ。
ようやく冷静さを回復して、美奈は顔を上げる。
「千家くん。わるいけど、あまり時間がないの。映画の話はまたにして、今はこっちの問題を先に――」
大机に広げられた七海持参の写真の中から、適当な一枚をつかんで千家に突き付けようとして、美奈はそれに自分のよく知っている人物が写っているのに気付いた。
146美奈の恋愛研究日誌:01/12/30 18:21 ID:AxOCyozC
そう、毎朝毎晩、鏡の中に見る顔――自分の顔だ。学校指定のレオタード姿で、タオルを羽織り、汗を拭いている。
体育館で創作ダンスの授業を受けているところだった。
今年はこの授業はまだ受けていないので、一年生の時のものだろう。今より表情が硬いので判りやすい。
「……これ、なに?」
冷たい声で美奈が尋ねた。視線を向けられたミキは力いっぱい首を振る。
「違うよ、僕じゃない! カメラは持ってるけど、僕は取材にしか使わないよ!」
「あ、オレだソレ撮ったの」
千家が馬鹿正直に手を上げる。それを聞いた美奈と七海の眉がはね上がったところで──
「みなさん。そろそろ、話をはじめてかまいませんか?」
話がどんどん混乱しようとする中、辛抱強く出番を待っていた由希子が、よく通る声で言った。
不思議な迫力で一同を沈黙させる。
由希子はまず千家に向かって椅子を回した。
「千家君」
「なんスか」
「夏休みには、体育系文化系問わず、多くの部が大会やコンクールを控えていることはもちろん知っていますね?」
「はあ」
「当然、取材にも人手が要ります。たくさん」
「はあ」
「そんな状況で、よもや映研の不正規企画などにかまけて、学校新聞発行の妨げとするようなことはありませんね?」
「……はあ」
千家の返答が遅れる。由希子の瞳が冷たい光を放った。
「ありませんね?」
147美奈の恋愛研究日誌:01/12/30 18:22 ID:AxOCyozC
「ももももちろんです。ハイ」
「では、その話はひとまず終わりです。それと…副部長?」
由希子は続いて切れ長な目をミキに向ける。
「は、はいっ!」
「貴方には、後で写真の管理責任を追及しますから、覚悟しておくように」
「は、はい…」
ミキの怯えた視線が血染めの木刀に向けられた。いまだに信じがたいが、どうやらやはりアレは実用品らしい。
「さて、落ち着いたところで──説明を始めさせていただきますね」
一同を見渡し、由希子はせきばらいをしてから話し始めた。
「周知のように、我が星南高校は特にスポーツに力を入れています。陸上部、サッカー部、水泳部、バスケ部といった全国区クラスのものをはじめ、ほとんどの運動部が高水準の実績をあげています」
いったん言葉を切って、由希子は続ける。
「そのため、生徒会予算も大量に運動部に持って行かれ、我ら文化系クラブに分配される予算は残りカスみたいなものです」
千家が同意するように頷く。
「新聞部の今年度予算が幾らか教えてあげましょうか? 五万円ですよ。水泳部はOBや父兄から寄付金集めまくって開閉式天井の贅沢な温水プールまで建てたというのに」
ちなみに千家所属の写真部予算は四万五千円である。それにひきかえ水泳部は──あえて言うまい。
「鉛筆、消しゴム、原稿用紙、コピー用紙等々、消耗費の多くを部員の私費で賄っているというのが、私達の現状なのです」
ここでハンカチを取りだし目頭を押さえてみたりする。なんだか完全にキャラが変わっていた。
帰宅部の美奈には関係のない話だが、予算配分量トップ5に入るバスケ部所属の七海のほうは、心なしか居心地が悪そうである。
「──そこで、コレです」
と、由希子は膝の上に乗せていたものを美奈と七海に手渡した。
148ダヴー ◆qjspr06A :01/12/30 18:25 ID:kYHv56WD
>>143-147
『美奈の恋愛研究日誌』

エロゲ板から続きです。また間があいてしまいました…どうにも不甲斐ないことで。

さて、美奈は生真面目な優等生という設定なので、作中、あまり無茶はできません。
これはコレで楽しいんですが。微妙にストレスが…。
彼女のオタクネタ参加がほぼ完全に封じられているのもツラいところです。
美奈の真面目な言動、行動で笑いが起きるような段取りを考えないと。
…って、『純愛』モノでしたなコレ。すっかり忘れてました。

どうにもマイナーなゲームで恐縮ですが、その分新鮮なカンジが…してるといいなあ。
でも他に書く候補を挙げるとしても、

『怪奇! ドリル男の恐怖』[TETRATECH,1999/09/24]
『悲愛』[Euphony Production/アセンブラージュ,2000/03/31]
『学校のきゃあ 〜千日学園新聞部の低能怪奇映画的世界〜』[ブラックライト,2000/09/29]
『懲らしめ』[ブルーゲイル,2000/11/24]

ってなヤツばかりでして。いずれにせよコレが終わらないと話になりませんが。

ひねくれマイナー志向ばんざーい。
149mitukifan:02/01/06 00:13 ID:IigxDGls
投稿させていただきます。
「あの人のいる日々」
*君が望む永遠・遙エンド後の話です。まったりとネタばれです。
150mitukifan:02/01/06 00:13 ID:IigxDGls
 秋も終わりの11月。学校から帰ってきた私は、うきうきした気持ちで玄関のドアを開ける。
 カチャッ。
 玄関には、姉さんとあの人の靴が並んでいた……。
(鳴海さんが来てる!)
 落ち着いたふりをして、私は帰宅の挨拶を元気良く叫んだ。
「ただいま〜っ!」

 制服を脱いで私服に着替ることさえも、もどかしかった。
 私は姉さんの部屋へ急ぐ。
 紅茶の入ったポット、食器、そしてケーキの入った箱をお盆に載せて、私は階段を上った。
(あ、そうだ)
 階段の中ごろから、私はことさら音を立てる。
 ドンドンドンドンッ……。
 さらに念の為、姉さんの部屋の前で声を上げた。
「お・に・い・ち・ゃ・ん、お・ね・え・ち・ゃ・んっ。た・だ・い・ま〜っ!」
(だって、2人が……なにしてるかわかんないんだもん……)
 それから、私はドアを開けたのだけれど……。
 ガチャッ。

「うわっ……」
(またチューしてるよこの人たちはっ?!)
 開いた口が塞がらないとはこのこと……小さなテーブルを挟んで、受験勉強してるはずの2人。
 なのに、なのに、テーブル越しにキスしてる。
 どうしてくれよう……と思った。

「え、え、なに、茜っ?」
「うおっ、茜ちゃん!!……お、お帰り」
 姉さんと鳴海さんが慌てて顔を離す。
「ふーん……姉さん、鳴海さん……。受験勉強してる割にはずいぶん楽しそうですね?」
「あうあう……」姉さんがおろおろして、鳴海さんを見る。
「でも、保健体育は、文学部や経済学部の受験には関係ありませんよ〜?」
「か、勘弁してくれ、茜ちゃん……」
「はわ、わ……」
 鳴海さんと姉さんがうろたえる。……もう一言。
「姉さんの女体の神秘も〜、入試に出ないと思いますよ〜?」
「にょ、女体の神秘……」呆然とする鳴海さん。
「……あ、茜、いい加減にしなさい。怒るわよっ」姉さんが頬を染めて声を荒げる。
「わ、姉さん逆切れ……」
151「あの人のいる日々」2:02/01/06 00:15 ID:IigxDGls
 私は慌てて話を変えた。
「ねえねえ、少し休んでお茶にしよ?お兄ちゃん、お姉ちゃん」
 役に立っているのかどうか怪しい参考書類をどかし、私は、紅茶を入れたポットとカップをちゃぶ台の
 ような小さなテーブルの上に置いた。
「やれやれ……かなわないよ、茜ちゃんには……。休もうか、遙?」鳴海さんが苦笑いする。
「うん、そうだね……」
「えへへ……さっきのこともう言わないからね。お兄ちゃん、お姉ちゃん」

 私が、決まっていた実業団入りを変えて白陵大に進むことにしたことは、かなり周囲に迷惑をかけた。
 周りの人、お父さん、お母さんに「お姉ちゃんと一緒に大学に行きたいんだ」って言って、無理やり進路
 を変更したから。みんな、その言い分には納得してくれた……。

「ケーキを買ってきたんだ、お姉ちゃんのために……鳴海さんには、おまけでですけど」
 鳴海さん〜のところを敢えて冷淡に言いながら、私はケーキの箱を開けた。
 姉さんは鳴海さんの耳元へ寄って、小声で話しかける。
「ねえねえ、孝之君……」
 鳴海さんへの内緒話のつもりらしいけれど、本当にそう思ってるところが姉さんらしい。
「茜はね、本当は孝之君がいるからケーキを買ってきたんだよ。うふふっ……」
「ほらそこっ、何を言ってるの」
 私の顔はとたんに赤くなり、皿に載せようとしていたケーキが横に倒れた。
 笑顔のお姉ちゃんが、みんなの分の紅茶を入れた。「はい、孝之君……はい、茜」
 カチャ……カチャ……。
 そして、テーブルを囲んでのお茶会が始まった。

「茜、今日は練習早く終わったの?」
「え……う、うんっ。たまには早く帰ってきて、進学に備えないと」
 鳴海さんが紅茶を一口飲み、言った。
「近頃、帰りが割と早いよな。茜ちゃん」
「もう3年生は引退だからそんなに練習しなくてもいいんだ。しばらく、暇なんだよ」
 朝練は続けているけど……夕方の練習をさぼっていることは否めない事実。
 練習を強制される立場からは外れたが、自主的に練習を本来はすべきはずなんだ……。
 鳴海さんがつぶやく。
「そうだよなあ、進学決まってるしなあ……」
「そうだよ、孝之くん。茜はすごいんだから」姉さんが私を誉めた。
152「あの人のいる日々」3:02/01/06 00:17 ID:xGySAmpP
 鳴海さんが、ポリポリと頭をかく。
「茜ちゃんが、俺たちの先輩になるんだもんな、遙?嬉しいような、悲しいような……」
 鳴海さんと姉さんは、姉さんの健康状態と受験準備の都合上、受験は再来年。
 私より1年遅れ、つまり私の後輩になる予定。
「えへへ……。鳴海さんと姉さんよりしっかりものの妹だから、仕方ないですよね?」
 本当は、同じ年に入学できればいいのに……。

「でも、遙と2人でゆっくり行くよ。なあ、遙?」
「うん、そうだね……。頑張ろうね」
 2人の言葉に、私の心が……ちくっと痛んだ。
「はいはいっ。姉さんごちそうさまっ」威勢良く、私は姉さんをちゃかす。
「もうー、茜ー……やめてよ〜……」姉さんは何度こういうことを言われても、顔を赤くして照れる。
 妹から見ても、かわいい女の子だって思う。
 そんな2人を見ながら、心とは裏腹に、私は愛想笑いをつくる。
「私は、嫌な子かもしれない」……そんな思いが頭をよぎった。

「ね、孝之君。さっき言ってた受験参考書、見に行こう?」
 私と鳴海さんは既にケーキを食べ終わっているのに、まだ嬉しそうにケーキを食べている姉さんが言った。
「うん……行ってみるか」
「え、何?本屋さんに行くの?」
「うん、私が持ってた参考書ちょっと古いみたいなんだ。孝之君も、参考書ほとんど買いなおしてるから」
「あ……そうだね」
 過ぎた3年間に関連する話題がでると、私は未だに言葉がつまってしまう。
 もう、悲しいことも辛いこともないはずなのに……。

「じゃあ私、片付けておくから。姉さんと鳴海さんは、本屋さんに行っていいよ」
「あ。ありがとう、茜。……出かけるのにこの服でおかしくないかな、孝之君?」
「ん……?全然おかしくないぞ」
「そう……じゃこれで出かけちゃおう。行ってくるね」
「それじゃ、行って来るよ。茜ちゃん」
「あ、いってらっしゃ〜い」
 パタンとドアが閉まった。
153「あの人のいる日々」4:02/01/06 00:18 ID:XfzqlmmC
「はぁ……」
 テーブルに肘を載せ、私は頬杖をついた。

 姉さんの部屋を見回す。
 3年間とてもきれいで、ずっと家具もおもちゃも本も増えることも減ることもなかった部屋。
 火の入ってない暖炉のように、きれいで寂しい場所だった。
 今は違う……。きれい好きの部屋の主のおかげで整頓されているけれど、いろんなものが増え始めて
 いて、そしてなによりも暖かい感じがする。

 一人になった部屋で、私はお茶会の後片付けを始めた。
 お盆にお皿とカップを載せ、ちゃぶ台を布巾で拭く。
 ついでに少しだけちゃぶ台のまわりを片付ける。
 参考書やノートをきちんと積み上げて、それから、ちょっとだけ落ちてるゴミを拾いお盆に置いた。
「さてと、もういいかな」
 そして、最後に少し乱れた並びの座布団を整えようと、床から持ち上げた。

 すると、落ちていたあるものを、私は見つけた。
「あ……」座布団の下には未使用のコンドームが落ちている。
(やっぱり……してるんだ)
 2人のことを不潔なんて思わない、嫌いとも思わない。2人とも大好きだから……。
 ただ……悲しかった。
 鳴海さんにとって、私はただの「恋人の妹」なんだということを思い知らされた気がして。

 それを捨てようしてごみ箱をみると、きれいな紙袋が1つ。
 その口はきちんと折り目正しく畳んであった。
(中を見ちゃいけない。姉さんと鳴海さんに悪いから……)
 私はそう思い、袋の口を開き、中に拾ったものを捨てると、元通りにゴミ箱に戻した。
(たぶん、中には……)
 ……悔しかった、姉さんが羨ましかった。

 そうして……つい、私は姉さんのベッドにもぐりこんでしまった。
 布団の中は、お姉ちゃんのいい匂いがして……かすかに、お姉ちゃん以外の人の匂いが……した。
(鳴海さんと姉さんは、ここで……)
 そう思うと、私の手はいけないところへと伸びていた……。
「鳴海さん……」
 …………。
 …………。
154「あの人のいる日々」5:02/01/06 00:19 ID:XfzqlmmC
「……茜ちゃん、まだ寝てるな」
 いつのまにか、私は眠ってしまっていて、2人は既に帰ってきてた。
「うん、もうご飯なのに……よっぽど疲れていたんだね」
「でも、水泳の練習そんなにしなくていいんだろ、茜ちゃんは?」
「今でも、朝の練習はちゃんと出てるんだよ。それに勉強も、今まで部活でできなかったし、
 クラスのみんなも勉強してるんだからって。茜、一生懸命勉強してるんだ」

「あっ、だめだよ孝之君。女の子の寝顔、じっと見ちゃ……」
「しーっ、茜ちゃんが起きちゃうだろ……小さな声で話せって」
「そ、そっか……。でも、だめだよう……」
 鳴海さんが、私の顔を覗きこんでいるようだ。
 目を開けるタイミングを逃してしまったような気がして、私は寝たふりを続けた。
 私の胸は何故かときめく……。

「やっぱり、遙と茜ちゃんてよく似てるよな」
「そうかなあ?」
「目のあたりとか……寝顔なんかそっくりだ」
「へへ……かわいいでしょ?」姉さんの自慢そうな声。
「そうだな、美人だよ。茜ちゃんは」
「じゃあ、私も美人だね。茜と似てるんだから」
「……ふっ」
「たかゆきく〜ん……」

「茜ちゃんも好きなやつとか、いるんだろうな」
「え……どうして……?」
「だって、高3だろ。俺と遙が付き合いだしたのも、高3だぞ?」
「うん……。そうだね」
「だろう?……茜ちゃんに惚れられる男は、幸せだよな」
「なんで?」
「だって、遙と同じくらい、いい子だから」
「うん、茜はいい子だよ……」

「あの……あのね、孝之君……」
「ん?」
「茜は……孝之君のこと、好きなんだよ……」
(姉さん、何を……?!)私は、布団の中でぎゅっと両手を握り締めた。
「うん、それはわかってる……。遙が入院してたとき、よくわかってる……」
「え……?!」
(鳴海さん?!)
155「あの人のいる日々」6:02/01/06 00:19 ID:XfzqlmmC
「姉さんの恋人って認めてくれて、お兄ちゃんって呼んでくれて……。
 俺のことを心配してくれて、家族みたいに扱ってくれたんだから……」
「う、うん……」
(ちがいますっ……そんなんじゃないんです、鳴海さん)
 寝ているふりをしている私の目から、つい涙が零れ落ちていた。
「う、う〜ん……」寝返りを打つふりをして、急いで私は鳴海さんから顔をそむけた。
「あっ……。た、孝之くん、そろそろご飯だから下に行こう?」
 唐突に姉さんがそう言った。

「おい。今、茜ちゃん泣いてたぞ。悪い夢でも見てるんじゃないのか?」
「ね、早く……」
「でも……起こさなくていいのか?」
「泣き顔見てたって言ったら茜嫌がるよ、女の子なんだから……。行こう?」
「そ、そうか……」
「そうだよ、ね……。茜のご飯はとっておいてあげれば大丈夫。だから寝かせておいてあげよ?」
「うん、わかった……」
 ようやく、2人は部屋を出て行くことにしたようだった。

 部屋の電気が消えて……姉さんが、ぽつりと言った。
「ごめんね……茜……」姉さんの声は、泣き声まじりだった。
 パタン。
 そして、静かにドアが閉まった。

「うくっ……うぅっ……ひっく……」
(このままじゃベッドから出られない、泣き止まなくちゃ……)
 そう思っても……私は、流れ出る涙を止めることができなかった。
156mitukifan:02/01/06 00:23 ID:XfzqlmmC
>>150-155
題「あの人のいる日々」
感想、お待ちしてます。
157名無しさん@初回限定:02/01/08 21:15 ID:f4LvDFhv
なかなか良い
158名無しさん@初回限定:02/01/09 14:35 ID:lKHd7+VK
感想欲しいならあげるといいぞ
159名無したちの午後:02/01/12 14:15 ID:4NarIKBv
あげ
160名無しさん@初回限定:02/01/12 14:31 ID:eQhoVJlS
切ないのぉ・・・でも (・∀・) イイ!!
えー、保管サイトがまたもやデリくらったもようです。
できるだけ早い内に復帰いたしますんでちょっと待っていて下さい

……なんとかならんかねぇ、ホント……
162なちゅらるきゃろっと2の2:02/01/14 17:56 ID:lMGZr49f
「さっき、浩司さんがミーナの事褒めてたわよ…」
バイトの休憩時間、あずさお姉ちゃんがお兄ちゃんの事を話している、
とっても嬉しそうに。
ちょっと前まで、顔を合わせればいがみ合っていた
浩司お兄ちゃんとあずさお姉ちゃん。
だけど今は、お姉ちゃんは『浩司さん』の話ばかりをする。
二人の仲が良くなったのは嬉しいんだけど…胸が苦しい。
自分の胸が苦しいのは、お兄ちゃんへの『恋』。
美奈も小学生じゃないから、それぐらいは理解してる。
でもそれは、美奈とお姉ちゃんとの関係が変わるかもしれないと言う事。
それ以前に、お姉ちゃんのお兄ちゃんへの態度の急変が気に懸かる。
お兄ちゃんの取合いでお姉ちゃんとの仲が悪くなるのは厭だ。
「…浩司さんとミーナとの結婚式を見てみたいなぁなんて」
「お姉ちゃん!こんな所でそんな恥ずかしい事言っちゃ駄目!」
…お姉ちゃんがこんな事を言い出すなんて、信じられない。
「あ…ごめんね…ミーナ…」
「お姉ちゃん、最近お兄ちゃんとの仲が良くなったのは嬉しいけど」
…美奈は本当にそう思ってるの?
「一夜明けたら急にお兄ちゃんへの態度がごろっと変るんだもん」
もしかして最悪の展開が待ってるのかもしれない。
「変だよ、お兄ちゃんと何かあったの?」
大好きなお姉ちゃんと、大好きなお兄ちゃんの取合いをする展開を。
するとお姉ちゃんは「少しあった事はあったけど、疚しい事じゃないわ、
多分ミーナにとっても良い事」と言った。
言ってる意味がわからない。解らない事も解らないような返答。
やっとわからない事を気付いて意味を問い糺そうとすると、お兄ちゃんが
休憩時間が過ぎた事を知らせに来た。するとお姉ちゃんが電気で痺れたように
飛びあがって「も、申し訳有りません、ごしゅ、あっ、浩司さ…くん」
と言って深々と頭を下げると、慌てて仕事に戻っていった。
「お姉ちゃん…なんか…変」美奈が呟いたのを聴いたのかお兄ちゃんが
「ああ、変だな、あずさは」と言った。

変といえば、お姉ちゃんが変になってから、Piaキャロ自体も変になった。
お姉ちゃんが犬の首輪をつけ始めてから、店長と涼子さんが気に入った
らしく、すぐにウェイトレスの標準装備になった。
今ではお姉ちゃんだけでなく、涼子さん、葵さん、つかさちゃん、そして
美奈も犬の首輪を着けて仕事をしている。
首が少し苦しいけど、その分背筋がきちんとして立ち姿が綺麗に見える
ようになった、少なくとも葵さんはそう言っている。
そんな変なPiaキャロでも忙しさは変わり無く、やっと終業時間になった。
着替えで首輪を外すのだけど、一人では無理なのでお姉ちゃんに手伝ってもらう。
「ふぅっ」首輪を取ってもらった美奈はほっと一息をつく。
「ふふっ、お疲れ様」お姉ちゃんが優しく微笑む、そこは昔から変わってない。
でも、よく見ると、お姉ちゃんはまだ首輪をしたままだ。
というか、最初に首輪をして出勤して来てから外した事を見た事が無い。
理由を聞いても「ふふっ、すごく気に入ってるからずっと着けてたいの」
と言うだけ。
まぁ、自分で着け始めたのだから気に入っているのは確かだと思う。
しかし、美奈が産まれてこのかた、お姉ちゃんにこんな趣味があったなんて全く
知らなかった。
そんな素振りも見せなかった。
多分、ごく最近そういうのに興味を持ったんだろうけど、どのみち美奈には
理解できない代物だろう。そう思っているとお姉ちゃんが
「ミーナ、今晩はまだ仕事が残ってるから一緒に帰れないの」と言ってきた。
「それじゃあ仕方ないね、じゃあお姉ちゃん、お先に失礼しま〜す」
美奈は別段不思議にも思わず普通にお姉ちゃんと別れた。
Piaキャロから出ようとすると、お兄ちゃんがまだ制服のままなのを見た。
その時、美奈に直感が走った、…悪寒が走ったと言うのが正解かもしれない
163なちゅらるきゃろっと2の2:02/01/14 17:57 ID:lMGZr49f

美奈は一旦Piaキャロから出て、少し時間を潰してから店へまた舞い戻った。
勿論、お客が使う表玄関は鍵がかけられていた。
けれども従業員用の扉は開いていた。
少なくともお姉ちゃんはまだ中に居るようだ。
そして、もしかして、お兄ちゃんも…。
中に入ると、中には誰も居ない。
居ないはずは無い、従業員用の扉が開いている以上ドロボーさんでも居るはずだ。
しかし、店内や厨房、休憩所にも人影は無かった。
もしかしたら鍵の閉め忘れもしれない。
ならば居ないなら居ないことを確認しなければいけない。
美奈は隅々まで確認した。
そして、倉庫の手前で異変があった。女の悲鳴が聞こえたのだ。
慌てて倉庫へ入ろうとすると、
「ああっご主人様…雌豚便所のあずさをおなじり下さって、
ありがとうございます〜!」
お姉ちゃんの声だ、しかも信じがたい科白が耳に入る。
「しゃぶれ、精液便所のあずさ」
お兄ちゃんの声だ、こちらも信じられないせりふを言って。
「畏まりました、ご主人様」
お姉ちゃんの声が嬉しそうに言ったかと思うと
「じゅぼ、ちゅぺ、じゅぶ、ちゅぴ、ちゅぱちゅぱ」
何かをしゃぶる音が聞こえてきた。
そのまま扉を一気に開けてしまえば良かったのかもしれないけど、
美奈は恐る恐る倉庫の扉を開けた。

倉庫にはお姉ちゃんとお兄ちゃんがいた。予想通りだ。
いや、予想もへったくりも無かった。
お姉ちゃんが今日着てたメイドタイプの制服姿でお兄ちゃんの前で跪いていた。
そして、お兄ちゃんのお腹の下辺りに自分の顔をくっ付けて何かをしゃぶっていた。
お姉ちゃんの制服は上着をはだけておっぱいを丸出しにし、
スカートを腰の上までたくし上げてお尻を丸出しにする。
その上、お姉ちゃんのお尻からモップが生えていた。
モップの柄をお尻の穴に突き刺したのだろう。
あまりに想像を超えた光景に、美奈は固まった。
お姉ちゃんがしゃぶっている物が見えた、
それはお兄ちゃんのおちんちんだと解った。男の人のアレを初めて見た。
お兄ちゃんの右足がお姉ちゃんの足の間で蠢いていた。
何だろうと思うと、お兄ちゃんが
「マンコに足の指を突っ込まれてイき捲るとは、どうしようもなく壊れてるな」
と酷い言葉でお姉ちゃんをなじった。するとお姉ちゃんがおちんちんを咥えながら
「ご主人様に壊して頂いて…ちゅぱちゅぱ…あずさは幸せです…ちゅぽちゅぽ」
篭ってるけど嬉しそうな声、そしてとろけ切った顔。
お兄ちゃんが乱暴にお姉ちゃんの頭をつかんで腰を激しく振る。
そしてお姉ちゃんが何かうめくと「じゅるじゅるじゅる」を何か飲み込む音が
聞こえ、その後「ちゅうちゅうちゅう」と吸い上げる音。
そして、お姉ちゃんの口からお兄ちゃんのおちんちんが引き抜かれる。
「この雌豚奴隷のあずさに、ご主人様の精液をお与え下さって有難うございます」
「ふん、そう口走る自分に酔ってるんだろ。まぁ、あずさみたいにイジメテ光線を
出すメスは嫌いじゃないぜ」
「ああ…勿体無いお言葉…」
そんな会話をするお姉ちゃんとお兄ちゃんの行為を見て、美奈の身体は絶望で
打ちのめされた。
美奈の想像を超えた関係を、二人は持っているのだ。
164なちゅらるきゃろっと2の2:02/01/14 17:57 ID:lMGZr49f

「ほれ、そのユルマンを使ってやる、用意しろ」
「はい、畏まりました、ご主人様」お兄ちゃんの命令で腰を突き出し
両手であそこを押し広げるお姉ちゃん。
そして、お兄ちゃんは勃立したおちんちんを無言でお姉ちゃんに入れる。
お兄ちゃんに、そしてお姉ちゃんに絶望させられた美奈は、しかし、いつしか
二人の行為を盗み見ながら自分でスカートを捲ってパンツを下してあそこをいじっていた。
「男の握力と比べて女の膣力は弱すぎるから、ユルユルでつかえねえよ」
「も、申し訳有りません、ご主人様にご満足していただけるには、どうすれば
宜しいのでしょうか…?」
「だからケツの穴に棒を突っ込んでんだ、これで少しは使える」お兄ちゃんは
そう言ってお姉ちゃんのお尻に突っ込んだモップの棒をグリグリ回す。
「かぎぎぎぎぎぎぃいぃいぃいぃぃ・…」
お兄ちゃんの罵声が、お姉ちゃんの哀願と嬌声が、自分のあそこを弄る美奈の指が、
気持ち良い…。
お兄ちゃんがおちんちんを引き抜くと、お姉ちゃんのあそこから白い液が溢れてきた。
引き抜くとすぐにお姉ちゃんが慌てたように再びお兄ちゃんの股間に顔をつけて
「あずさの口で後始末致します」と言うとおちんちんを咥え、しゃぶり始める。
美奈は二人を盗み見したまま、その場にへたり込んで、自分のあそこを
弄り続けていた。
「あずさ、扉の向こうの奴を引っ張って来い」
「…はい、畏まりました、ご主人様」
突然、目の前の扉がいきなり開いたのに気が付くや否や、美奈は何かに
羽交い締めにされた。
そのまま扉の向こうのお兄ちゃんの前まで連れてかれる。
全身性感帯になってた美奈は全く抵抗できずに、おちんちんを出したままの
お兄ちゃんの前に引き出された。

「…どうぞ…」お姉ちゃんは何かに操られたかの様に恍惚とした表情のまま
美奈をお兄ちゃんの前に引き出した。
お兄ちゃんがお姉ちゃんに美奈を絶対放すなと命じる。そんなやり取りを見ながら
「あ…あの…」美奈が何も言えずに居ると
「美奈ちゃんか、真面目な娘だと思っていたのに盗み見ながらオナニーとは
随分いやらしい事をするなぁ」お兄ちゃんがそう言った。美奈は恥ずかしくなって
下に俯いた。
「俺達の事はもう知ってるんだろ?」お兄ちゃんが訊く。美奈は何も言えない。
「…だんまりか…よし、あずさ、美奈ちゃんに教えてやれ」
「はい、畏まりました」美奈の後からお姉ちゃんが応える。
「ミーナ、見てて解ってると思うけど…」お姉ちゃんが言う。けど、美奈はなんとなく
感じていても本当はよくわからない。
「お姉ちゃんがミーナに酷い事をしてるのは解ってる。でもご主人様のご命令だから」
また『ご主人様』、お姉ちゃんはそう言った。
「ご主人様って…?」美奈はそう言うとお姉ちゃんは、
「ご主人様…今目の前にいらっしゃる前田浩司様とあずさはご主人様と奴隷の関係なの」
「…ご主人様と…奴隷…?」…二人で居る時もそんな事言ってた。突飛過ぎて
訳解らない。
「美奈ちゃん解らないって顔してるぞ、もっと正確に言えあずさ、そうそう、
少しは美奈ちゃんを気持ち良くしてやれ」お兄ちゃんが言う、すると間髪入れず
「はい、畏まりました、ご主人様」お姉ちゃんが媚を売るような声で言うと
いきなり美奈のパンツの中に手を突っ込んであそこを弄り始めた。二人の行為を見ながら
自慰してた美奈のあそこは既にぐちょぐちょだった。お姉ちゃんに突っ込まれた途端
厭らしい音が響き渡った。
「あっ…お姉ちゃん…やめて…」
「ミーナ、ご主人様…前田…君のこと好きでしょ?」
「えっ…!」
165なちゅらるきゃろっと2の2:02/01/14 17:58 ID:lMGZr49f

「お姉ちゃんの前で『お兄ちゃんに美奈の処女を奪って欲しい』って言ってたじゃない」
「そ、そんなこと、ここで…」
「お姉ちゃんもご主人様…浩司さ…君を好きだったの」
「えっ……だって、あんなにいがみ合って……横で見てる美奈も心配して…」
「ごめんねミーナ…あれは自分を解ってなかったの」
「自分を…?」
「お姉ちゃんはね、ずっとご主人様とミーナと3人で一緒に居たかった、その事が
解らなかった」
「お姉ちゃん…」
「だけどご主人様とお姉ちゃんが一緒になれば、ミーナはご…前田君と一緒になれない、
だからミーナの悲しむ姿は見たくなかった」
「…あっ…」美奈はお姉ちゃんの指とお兄ちゃんの視線で喘ぎながら
お姉ちゃんの話を聞いているだけになった。
「しかし、お姉ちゃんがご…前田君と一緒になる夢も諦めることが出来なかったの」
「う…ふ…は…」
「最低だよね…お姉ちゃんって…ミーナの想いを全部知ってて…」
「そ…そんなことない…お姉ちゃんも…お兄ちゃんを思ってる事を知ってたら…美奈も
同じ事を考えてる…だって…今…初めて聴いたときから…もう…」
「ここからが本題よ」お姉ちゃんが話を変えてきた、美奈にあそこを弄ったまま。
「ご主人様とミーナと3人一緒に居られる方法を見つけたの」
「えっ…?」

「ご主人様とミーナと一緒になって頂き、お姉ちゃんはご主人様の奴隷となるの」
「なに…それ…?」話が最初に戻った。お姉ちゃんが…奴隷…?そのへお兄ちゃんが
「俺も美奈ちゃんは可愛くて、優しくて、健気で、良い娘だと思ってた、だから告白
された時は嬉しかった」
「え!美奈、お兄ちゃんに告白なんかしてない…」
「あずさの口からな」「…・・!」美奈は恥ずかしさで身体が熱くなった。
「美奈ちゃんさえ良ければ、俺と付き合ってよ」
「……!」お兄ちゃんの言葉で、涙が止らなくなった。嬉しさと、恥ずかしさと、あそこの
気持ち良さで…そう思ってると、お姉ちゃんが美奈の上着を捲って美奈の胸を弄り始めた。
「奴隷っていうのはね…道具と同じなの…食器、家具、テレビ、テーブル…ご主人様に
とってあずさは人間の尊厳や人権なんか無い、ただの便器…ご主人様の下半身のお世話
をさせて頂く…精液、小用、大、すべてあずさの身体全部で処理させて頂く…」
お姉ちゃんが美奈の胸を弄りながら続ける。
「そんなあずさがご主人様の食事や掃除洗濯の世話までさせて頂ける…
とにかく、ミーナと道具は一緒に居られるでしょ?だから、お姉ちゃんはご主人様の
奴隷にさせて頂いたの」
解るような、解らないような…お姉ちゃんの言うことは。
「美奈ちゃん、あそこがぐじゅぐじゅだ、もう入れても良いよな」お兄ちゃんが言う。
お兄ちゃんのが、さっきお姉ちゃんに出したばかりとは思えないほど勃立している。
「あずさ、やりやすいようにしろ」「はい、畏まりました」二人がそう言うと
お姉ちゃんはいきなり美奈の足を大きく拡げ、美奈のあそこが突き出る格好をさせた。
そして、お兄ちゃんが自分のを美奈のあそこに擦りつける。美奈の身体に電流が走る。
「お…お兄ちゃん…」美奈は自分でも考えてなかった事を口に出した。
166なちゅらるきゃろっと2の2:02/01/14 18:04 ID:lMGZr49f

「お兄ちゃん…美奈を…奴隷にしてください…」
「えっ?」「ミーナ!?」二人が驚く。
「お姉ちゃんばかりずるい…美奈も…道具になりたい…道具なら…3人一緒に居られる…」
「ミーナ、道具は捨てられるかもしれないのよ」
「捨てられないように頑張る、お姉ちゃんもそうでしょ?それに、恋人だって捨てられる
事があるから、変らないよ…」
「確かに…あずさはご主人様に捨てられて当然だけど、それでも捨てられないように
少しでも良い奴隷で居られるようにしてる…」
「美奈ちゃんのほうが大人だな」
「も、申し訳有りません…ご主人様・・・」
「美奈ってお呼び下さい、お兄ちゃんの…ご主人様の奴隷だから…」
「…美奈、今すぐあずさと同じ格好にしろ、ああ、モップは入れなくて良い」
「はい、畏まりました、ご主人様」そう言った瞬間、美奈はお兄ちゃん…ご主人様の
好みに合わせられると感じてとっても嬉しくなった。お姉ちゃんも、この嬉しさを
味わってるのだろう。
ご主人様の命令通り、美奈はお姉ちゃんと同じメイドタイプで、首輪はお姉ちゃんに
着けてもらった。
「あずさ、美奈のケツの穴を舐めてやれ」お姉ちゃんは嬉々として美奈のお尻を舐め始める。
「『美奈の処女膜を破ってください』と言え」
「…美奈の処女膜を破ってください」そう言うとご主人様のものが一気に美奈のあそこに
入ってきた。すぐにぷちっていう音を感じた。痛い、気持ち良い、痛い、気持ち良い。
ずっと夢見てた瞬間だった。

「あずさ、ケツに刺さってるモップの柄は俺のマラだ、手前で動かして失神してしまえ」
「はひ、かひこまひまひた、こひゅひんひゃま」美奈のお尻の穴を舐めながらお姉ちゃんが
言うと、自分でお尻に入ったモップの柄を思いっきり動かし始めた。
「がひぃぃぃぃぃ!!」お姉ちゃんが悲鳴を上げる、とっても嬉しそうに。
美奈も前の穴の痛みと後ろの穴の快感が混ざって訳がわからなくなる。
そして美奈の中に何か流れこんできた、同時に美奈の頭の中が弾けた、気が付くと
後ろでお姉ちゃんがモップの柄を持ちながら胸をあそこを丸出しにし、白目を剥いて
恍惚とした表情で失神していた。処女膜を破った美奈のあそこがジンジンヒリヒリする。
「おい、後始末しろ、美奈」ご主人様の命令が飛ぶ。
やり方は解っている、さっきのお姉ちゃんと同じようにすれば良い。
ご主人様のおちんちんを美奈の口に咥えた。棹の中に精液が残ってるのが解る、
「んあ、あむ、ちゅぷ、ちゅうううう、ちう」それを吸い上げて、
「ちゅううぐぐ、んぐんぐ、ごく、ちゅぷ」全部飲み干した。ご主人様が言う。
「美奈、よくやったな、えらいぞ」…美奈は偉くない、奴隷として当たり前の事をやった
のだから。美奈はご主人様に褒められた事より、ご主人様に奴隷として使って頂けた事に
満足していた。…お姉ちゃんもそうなんだね。
167なちゅらるきゃろっと2の2:02/01/14 18:07 ID:lMGZr49f
>>118-122の続きです。作者名は「なちゅきゃろ」として下さい。

Pia1のさとみVS翔子、2のあずさVS美奈のような関係が
3のさやかには無いもんなぁ、背景だからしょうがないか
168名無しさん@初回限定:02/01/15 13:58 ID:5vm5KISs
>167
細かいこと言ってアレだけど
浩司→耕治
169家族計画1:02/01/16 03:45 ID:j+N72S6z
 朝。
 目覚めたはいいがどうにも身体がだるい。
 疲れが溜まってるのかもしれない。
 今日はゆっくりするか……。
 タッタッタッ……。
 バタン!
?「起きて!」
司「……んあ?」
?「司くん起きて早く! 大変なの!」
司「真純さん……? 悪いけど今日は朝飯抜きの方向で……」
真純「それどころじゃないのよ!」
 真純の語気が荒い。
 いつもののほほんとした彼女と違うこの声は、非常事態の宣戦布告……。
真純「末莉ちゃんがいなくなっちゃったの〜」
司「…………へ?」
170家族計画2:02/01/16 03:50 ID:j+N72S6z
司「青葉!」
 バタン!
 しゅっ!
 かっ!
 扉を開けた瞬間、刃物がすさまじい量の集中線を背負って飛んでくる
 のを紙一重でかわす。
青葉「……」
 無念そうな顔。
 本気で殺す気だったのかと問い詰めたい所だが、今はそれどころ
 じゃない。
青葉「ノックしなさいとあれほど」
司「末莉をどこにやった」
青葉「……は?」
司「だから、末莉をどこにやった、と聞いてるんだ」
青葉「どういう事?」
司「とぼけんなよ。誰がどう考えてもあんたが原因だろうが」
青葉「話が見えてこないのだけれど」
司「…………」
 青葉に嘘をついている気配はない。
 だが、相手は魔女。
 何らかの術で自らの記憶を封印した可能性もないとは言いきれん。
青葉「末莉がいなくなったの?」
司「ああ。あんたがまた何かクドクドネチネチと呪詛を振り撒いた挙句
  氷で出来た刃物みたいな目で睨みつけて脅したんじゃないのか?」
青葉「知らないわよ」
司「……」
青葉「……」
 これ以上聞いても無駄か。
司「そうか。それは失礼した」
 青葉に背を向けて退室を試みる。
171家族計画3:02/01/16 03:52 ID:j+N72S6z
青葉「待ちなさい」
 予想通り、呼び止められた。
 ノックしなかった事、呼び捨てた事、その他もろもろ呪詛を吐かれる
 に違いない。
司「悪いが今は忙しい。言いたい事は後にしてくれ」
青葉「そうではなくて」
司「?」
青葉「末莉がいなくなったってどういう事? またあの子が家出したの?」
 おお、青葉が末莉……いや、他人の事に首を突っ込むような発言を。
 鬼の目にも……か?
 いや、この場合魔女の目にも、か。
青葉「何か非常に腹立たしい比喩表現で中傷されたような気がするわ」
司「き、気のせいだろ」
 相変わらずエスパーすら裸足で逃げる読心力だな。
司「で、気にするって事は何か心当たりがあるのか?」
青葉「ないわ」
司「……」
青葉「ただ、早朝にはこの家にいたわよ」
早朝?
司「何時ぐらいだ?」
青葉「五時頃かしら。何か焦った様子で廊下を走っていたわね」
 五時か……。
司「にしても、何でそんな時間に部屋を出たん……」
 ごいっ!
司「うぐおっ!?」
 何かビンのようなものが俺の人中に直撃した。
 もんどりうって倒れそうになる所をどうにか堪える。
青葉「余計な事は聞かなくていいのよ」
司「……了解」
 青葉の顔は少し赤みが差していた。
172家族計画4:02/01/16 03:55 ID:j+N72S6z
司「……と言う訳で、大本命、倍率で言うと1.000000000000001倍
  ぐらいの犯人候補だった青葉には心当たりがないそうだ」
真純「困ったわね〜」
春花「困った」
 第三十六回家族会議。
 お題は勿論、『行方不明になった四女についての考察と見解』だ。
 ちなみに青葉はいない。
 へそを曲げたのか、部屋から出てこなくなった。
準「……で? どうするの?」
司「ん……、取り敢えず家の外を中心に皆で探そうかと思うんだが……
  寛は?」
 寛がいない。
 いつもは率先してこういう事を仕切りたがるはずだが。
真純「そう言えば今日は見かけないわねぇ」
司「ま、奴がいないほうが円滑に進んでいいか。それで、だ」
 俺はホワイトボードにざっとタイムテーブルを書きこんだ。
司「皆から集めた情報によると、昨日の末莉の行動パターンは以下の
  通りだ。どこか問題や不適当な部分があったら指摘してくれ」

 昨日
 6:33 起床
 6:34 二度寝
 7:18 起床
 7:21 朝食
 7:30 登校
 7:30〜13:00 学校
 13:00〜13:30 昼食
 13:30〜16:00 掃除(一階全般)、洗濯等
 16:00〜17:30 戦場(二勝三敗)
 17:30〜18:45 夕食の準備
 18:45〜19:15 夕食
 19:15〜20:00 夕食の後片付け
 20:00〜21:54 テレビ
 21:54〜23:00 部屋
 23:00 就寝

 今日
 5:00頃 廊下……?
173家族計画5:02/01/16 03:56 ID:j+N72S6z
春花「はいは〜い、はい」
司「はいは一回」
春花「はい」
準「……司、先生みたい」
真純「本当ね〜」
司「いらん事は言わんでいい……で、春花、何だ?」
春花「戦場(二勝三敗)って何?」
司「チラシに載ってる安いブツをどれだけ手に入れられたか、って事だ」
春花「?」
司「買い物だ」
春花「なるほど」
準「これ見る限り、家出する兆候はないと思う」
真純「そうねえ。家出するにしても前までは書置きを残してたしねえ」
司「そう言えば」
 って事は、家出という線は消えるか。
真純「親戚の家にもど……る訳ないし」
司「当然だ」
春花「ツカサツカサ」
司「何だ?」
春花「おなかすいた」
司「後にしろ」
春花「う〜」
真純「もしかして……」
司「心当たりでも?」
真純「千と末莉の神隠しっ!?」
司「……」
準「……」
春花「……」
司「……#」
準「……(絶句)」
春花「おなかすいた〜」
真純「そ、そう!? じゃあ朝食の準備しましょうねっ!」
 真純は逃げた。
司「とにかく、俺たちに何の断りもなしにあいつが日曜の朝っぱらから
  どっか行くとは思えん」
準「そうかな」
司「む、違うか?」
準「何か言い難い事があって、あえて家族が起きる前に出ていったのかも」
司「言い難い事?」
準「デートとか」
司「……でえと?」
春花「誰と?」
準「だから……クラスメートとかにそういう人が出来て」
司「……な」
 なにぃぃぃぃ!?
 末莉に恋人ぉぉぉぉ!?
準「あくまで予想」
司「い、いくらなんでも飛躍し過ぎじゃないか?」
準「末莉だってそろそろ年頃だし」
春花「デートいいなー」
司「いくない」
春花「むー」
準「だから、今日一日は様子を見た方がいいと思う」
 確かに準のいう通りなら探した所で時間の無駄だが……。
真純「ゴハン出来たわよ〜」
春花「わーい」
準「……行かないの?」
司「……行く」
 釈然としない所はあるが、腹が減ってはなんとやら。
 取り敢えず、メシ食ってから考えよう。
174家族計画6:02/01/16 03:59 ID:j+N72S6z
春花「ごちそうサマンサ」
司「それはやめなさい」
春花「うい」
 いつもよりかなり平穏な朝食タイムを終え、日曜独特の緩やかな
 空気が流れる。
 普段ならこの空気に身をまかせてゆったりまったりする所だが……。
司「さてと」
 一息ついた所で立ち上がる。
真純「どこか出掛けるの?」
司「まあ、その辺をちょろっと。最近運動不足だからな」
準「……司は年少組に甘いから」
 見抜かれたか。
司「お前も似たようなもんだろ」
準「それは違う。司の方がひどい」
司「そうかー?」
真純「そうねー。司くん最近兄っぷりが様になってきたとこあるかも」
司「……」
 喜んでいい話ではないな。
司「……んじゃ、行ってくる」
春花「行ってくる」
 当然のように春花が腰を上げた。
司「ついてくるのか?」
春花「うん!」
真純「車には気をつけてねー」
春花「あい」
司「……ま、いっか」

 外は思ったより暑かった。
司「蒸し暑いな」
春花「ムシムシコロコロキン……」
司「やめいっ」
 六月の半ばは一年でもっとも湿度の高さが気になる時期。
 そして、空気のまとう不快指数がもっとも高い値をはじき出す
 時期だった。
 だが、そんな事でへこたれる俺じゃない。
司「いくぞ」
春花「おーっ」
 かくして、高屋敷末莉捜索隊(隊員二名)のつらく苦しい捜索の日々
 が幕を上げた。

春花「あ、あれおいしそー」
春花「むー、あれもおいしそー」
春花「ツカサ! あれすごいよ! メロンを丸ごと蒸してる!」
司「どんな食い物だ……」
 予想通りつらく苦しかった。
175家族計画7:02/01/16 04:01 ID:j+N72S6z
一時帰還。
司「午後からは二手に別れよう」
春花「えー」
司「えーじゃない」
春花「うー」
司「唸っても駄目」
春花「ぐるる」
司「野生化するなっ! さっき食ったばっかだろ!」
春花「冗談」
司「まったく……」
 午前中はこんなんばっかりで全く捜索にならなかったからな。
 せっかくの日曜……ま、俺にはあんま関係ないけど。
春花「じゃあ、私は自転車で探す」
司「そうしてくれ。末莉の行きそうな所とか心当たりはあるか?」
春花「何個か」
司「よし。じゃあ頼む」
春花「いえっさー」
 春花は勢いよく飛び出していった。
 ものの数秒で米粒ぐらいの大きさになる。
司「さて、俺も……」
真純「司く〜ん」
司「……何だ」
真純「私も……」
司「家にいてくれ。つーかいろ」
真純「何で〜!?」
司「いちいち説明するか?」
真純「……」
司「今までの所業を事細かに筋道を立てて鮮明に繊細且つ大胆に
  説明するか?」
真純「ひ〜ん」
 真純は逃げた。
 帰巣本能が著しく退化した生物に人の捜索を任せるほど愚かな事はない。
司「行くか」
 あらためて、高屋敷末莉捜索午後の部を開始した。

司「おらん……」
 末莉の好んで行きそうな本屋(いかがわしいコーナー)とかパソコン
 ショップ(いかがわしいコーナー)とかを一通り回ってみたが、
 影も形もなかった。
 普段それほど遊んでやってる訳でもないため、どうしてもめぼしい
 場所が偏るのは致し方ない所だ。
司「一休みするか」
176家族計画8:02/01/16 04:02 ID:j+N72S6z
公園に来た。
 どうでもいいが、一休みする場所として真っ先に公園を思いつくのは
 どうにもジジ臭い気がしないでもない。
司「吸い取られてる……?」
 心の中に、ある人物の妖艶な瞳が去来する。
 プライバシーに抵触する恐れがあるので名前は伏せておくが。
司「気のせいだと……いいなあ」
 などと考えつつ、ベンチに腰掛けた。
劉「やあ」
司「さてと」
 ベンチから立ち上がった。
 休憩終了。
劉「つれないなあ」
司「いくら神出鬼没が得意技と言ってもこんな昼間っから公園になんて
  いないでくださいよ……」
 仮にも大物だってのに。
劉「司君の香りに釣られてね」
司「……」
 自分の身体を匂う。
 無臭とまではいかないが、ほとんど匂いなどしなかった。
司「いい加減な事を」
劉「愛の為せる技だよ」
司「さようなら」
 がしっ!
劉「ここであったのも何かの縁」
司「作られた縁など縁ではない!」
劉「あそぼおよお〜。たいくつなんだよお〜」
司「幼児化するなっ!」
劉「ワタシ、アナタト、アソビタイネ」
司「特殊な外国人労働者になっても駄目なもんは駄目だ!」
劉「……最近付き合い悪くない?」
司「だから今日は用事が……あ、劉さん」
劉「おままごとがいいかい? それともゴム飛び?」
司「そんな遊びに誘ってたんかい……じゃなくて」
劉「あなたあ〜ん、この書類にサインしてえ〜ん」
司「いい加減にしろっ!」
 何かロクでもない条件を揃えた契約書を叩き落とす。
司「で、ウチの末莉見ませんでした?」
劉「末莉? あの髪の長い、君の妹やってる少女だっけ?」
司「それです」
劉「また家出したの? 随分忙しい娘だねえ」
司「今回はそうじゃないかもしれないんですけど、朝から行方不明でして」
劉「僕は見てないな。なんだったら探すの手伝おうか?」
 ありがたい申し出ではあるが、まだ事を大げさにする段階じゃないな。
司「いえ、もし今日見つからないようならお願いするかもしれませんが
  今のところは」
劉「そうかい。じゃあ遠慮しないで言ってね」
司「はい」
 劉さんは去っていた。
 これでいざという時の保険はかけられたか。
司「さて、もうひとふんばり」
 夕食までの時間、捜索を続けた。
 ……徒労に終わった。
177家族計画9:02/01/16 04:06 ID:j+N72S6z
まだ日は暮れてないものの、一般家庭が夕食を囲む時間帯。
 だが、そこに高屋敷家の末っ子の姿はない。
真純「……」
 母親は今にも泣きそうなほど心配顔だった。
 今回の場合、理由が全く不明瞭なのだから心配するのは当然と
 いえば当然なのだが、
司「そんな顔しても末莉は帰ってこないぞ」
 一応はそう言っておいた。
真純「うん……」
 返事に覇気がないのはこの際仕方ないか。
準「……もし今日の間に帰ってこないようなら」
司「そうだな。本格的に構える必要があるか」
 少し、考える。
 当然、都合のいい方向などあるはずもない仮定。
 なにしろあいつは不幸の申し子。
 上手く事が運んでいるはずはない、というネガディブ思考が
 脳裏から離れない。
 一瞬、もう名前も思い出したくないような奴等の顔が浮かぶ。
 もしバッタリ道で出会ったら、無条件に殴り倒すかもしれない連中。
司「……」
春花「ツカサ、顔怖い」
司「生まれつきだ」
春花「いつもは怖くないよ」
司「む……」
 落ち着け、俺。
 こんな所で想像の翼をいらん方向に広げた所で、周りを不安がら
 せるだけだ。
司「実はちょっと頭痛が痛くてな」
春花「頭痛が痛いか?」
司「ああ」
春花「なら私いいツボ知ってるよ。横になれ」
司「い、いやいい。そう言えば頭痛は痛くならないんだ」
春花「?」
司「大丈夫だから気にするな」
春花「そうか」
 なんとか誤魔化しきれたか。
 ふーっと息を吐いて横になる。
 視界に廊下からこっちを見ている青葉が映った。
178家族計画10:02/01/16 04:08 ID:j+N72S6z
青葉「……」
司「なんだ」
青葉「別に」
 会話はそれで終わった。
 青葉は居間には入らず再び二階へと戻っていった。
 それなりにあいつも気にかけてるんだろうか?
真純「夕食……どうしよっか?」
 困り顔の真純が聞いてくる。
司「八時まで待って、来ないようなら先に食べとこう」
真純「……そうね。そうしましょうか」
 現在、六時三十六分。
 後一時間半、か。
司「春花、腹は減ってないか?」
春花「うん」
 本当なら先に聞いとくべきだったんだが、表情を見れば食欲がない
 事は一目瞭然だった。
 本腰を入れて心配モードに突入した、ってとこか。
司「準は……」
準「ここにいる」
 先に応えられてしまったので二の句が宙を舞う。
 正直、一日中歩き回って疲れ果ててる事もあって喋るなりなんなり
 しとかないと眠気が襲ってくる。
 けど、今は待つしかなかった。

テレビ「八時だよ!」
テレビ「全員集結〜!」
 最近のゴールデンタイムのテレビ番組は時間をまたいで放送する事が多いが、この番組は八時ちょうどに始まる。
 以前として場の雰囲気は重い。
 つまりは、そういう事だった。
司「しょうがない、メシに……」
 ガラッ。
一同「……!!」
 この部屋にいる全員の視線が玄関の方向に向く。
 そして、皆して玄関へと足を運ぶ。
司「末莉……!?」
179家族計画11:02/01/16 04:11 ID:j+N72S6z
寛「今! 今まさに! 一家のMainstayことHIROSHI TAKAYASHIKIが威風堂々と我が家の敷居をまたいで! OH! またがない! まだまたがない! なんという鋭いフェイントかっ!」
司「……」
準「……」
春花「……」
真純「……」
寛「おおっ! 一家総出で私を出迎えるとなっ!? そうか、やはり今日という日を待ち侘びて……」
司「チッ、ハズレか」
寛「うおうっ!? ハズレ扱い!? しかも半角で!?」
春花「ヒロシ、紛らわしい」
寛「うおんっ! 春花までカス扱い!?」
準「……(ため息)」
寛「おおおううっ、準くんの汚物でも見るかのような蔑みの目が私を、私を狂乱のEcstasyへと導いて……!?」
寛「KA・I・KA・N」
司「Nirvanaにでも行ってろっ!」
 ゴスッ!

寛「…………ソワソワ」
司「…………」
寛「…………ウジウジ」
司「あーつ! うっとおしい!」
 居間に入った寛がさっきから何かソワソワしていてウザい事
 この上ない。
司「何か言いたい事があるんならとっとと言え! 聞くだけは聞いて
  やるから!」
寛「…………デモォ」
司「ハ ッ キ リ 喋 れ」
司「今日び女でもそんな態度は取らんぞ」
寛「そうか。では僭越ながらここいらで誰がこの家の主かハッキリ
  させようではないか」
司「何故そうなるのかこれっぽっちも理解できないが、望む所だ。
  勝負してやる」
寛「ふっ。これだから野蛮な人種はいかん。我々は考える葦なのだよ。
  何事も暴力で肩をつけるのは無能のやる事だ」
司「テメエ……#」
寛「まあ聞け愚息よ」
司「なんだ」
寛「今日は何月何日何曜日だ」
司「……なんの話だ?」
寛「今日が何月何日何曜日かも即答できんのか? これだから
  フリーターは……」
司「無駄飯食らいの放蕩道楽親父に言われる筋合いはないっ!」
準「……六月十六日、日曜日」
 準が割って入ってきた。
 と言っても、視線は虚空を漂っているので積極性は欠片もないが。
180家族計画12:02/01/16 04:13 ID:j+N72S6z
司「……だそうだが、それが何か?」
寛「むぁだ解らんのか! これだから○×△□の裏に※%¥$が
  ある奴は……」
司「テメー!? 何事実無根な事をさも当然の如く言ってやがる!」
寛「HAっHAっHA、隠さんでもよいではないか。なあ末莉……」
寛「むっ? 末莉はいないのか」
 …………忘れてた。
司「末莉がいなくなった。今朝からだ」
寛「ふんむ」
司「あまり驚かないんだな」
寛「まだ帰ってきとらんのだろ」
 ……こいつ、何か知ってる?
司「おい」
 TELLLLLLLLLLLLL!
 非常に間の悪い事に電話が鳴った。
 一番近い位置にいるのは……俺か。
 やれやれ。
 寛を詰問するのは後回しだ。
司「はい、もしもし高屋敷です」
景「久美景二十一歳独身です」
司「いつの間に歳食ったんだ」
 電話は久美からだった。
景「ひっさしぶり〜」
司「そうか? つい先月一緒に牛丼を食ったような」
景「そだっけ?」
司「で、何の用だ?」
 今は取り込んでる、と言おうとした時。
景「末莉ちゃん、ちゃんと帰った?」
司「……はっ?」
 ガラッ
末莉「ただいまでーす!」
 こうして、高屋敷末莉捜索隊は一日を持って解散の運びとなった。
181家族計画13:02/01/16 04:15 ID:j+N72S6z
景「いやー、久しぶりに園の皆と早朝ピクニックを敢行する事になって
  ねー。で、せっかくだからとゆー事で」
司「ウチの末莉をさらっていった、と」
景「だって可愛いんだもーん……って、人聞きの悪いことを言わないで
  ちょうだいな。ちゃーんと断りはいれたよ」
司「……」
 何となく話が見えてきた。
寛「おお末莉よ。ピクニックは楽しかったか?」
末莉「はい! とっても楽しかったです!」
 受話器を当てている耳とは反対側の耳に聞こえる、核心的な会話。
司「あー……久美、一つ聞きたい事がある」
景「なーにー?」
司「これからの質問に対するお前の答えは裁判等の公式な場で証拠と
  して提出する可能性があるんだが、それでもいいか?」
景「そ、そんなに凄い質問なの?」
司「いや、いたってシンプルだ」
景「ふーん、別にいいけど」
司「うむ。では聞くが、久美景。貴方が末莉を連れて行くにあたって、
  断りを入れた相手は誰ですか?」
景「寛さんだよ」
 証拠入手成功。
 よって、これより詰問に入る。
司「……ありがとう」
 受話器を置く手に自然と力がこもった。

寛「……最近息子が履歴書の趣味の欄にDV(domestic violence)と
  書くんです」
司「うるさい黙れ」
末莉「わっ、なんかおにーさんが青葉おねーさんみたいに……」
 ギロリ。
末莉「ご、ごめんなさいっ!」
司「二人とも正座」
寛「やだねっ! 何で私がそんな事を!」
司「それ以上口答えするなら貴様の大事にしてるひよこ写真集
  『PIYO・PIYO』を今すぐ焼却する」
寛「さて、話を聞こうじゃないか」
 二人とも背筋をビシッと伸ばして正座した。
真純「なんか司くんお父さんみたい」
春花「ツカサおとーさん」
司「外野うるさい」
司「さて、まずは末莉からだ……って言ってもお前に説教するのは
  ちょっと筋違いか」
 こいつにしてみりゃたまたま早朝起きてた所を久美に強奪された訳だし。
 それでも一応注意だけはしておくか。
司「えー、今後長時間出掛ける時は俺か真純さんに言付ける、もしくは
  書置きしておく事。間違ってもこの人の皮を被って人の言葉を
  操ってはいるが明らかに俺たちと異なる未確認生命体U.L.O.
  なんかに断りをいれたからといって安心しない事。
  Could you understand?」
末莉「あ、あんだすたんっ」
司「よし。ならもう正座は解いていい」
末莉「はふぅ〜」
 たかが一分程度の正座で足が痺れたのか、横にコテンと転がる末莉。
 最近の若い奴はこれだから……。
182家族計画14:02/01/16 04:18 ID:j+N72S6z
司「で、次はあんただ。何故末莉の事を黙ってた?」
真純「って言うか、一日中いなかったのよね」
司「そうなのか?」
真純「ええ」
 寛の方に目をやる。
 鼻の穴に指を突っ込んでベロベロバーをしていた。
司「ガッデム!」
末莉「うあっ、おにーさんが鬼の形相に〜」
寛「だってだってだって〜」
司「だっては一回も言わんでいい!」
司「何 で 一 日 中 家 に い な か っ た ?」
寛「だからー、今日は六月十六日日曜日」
司「それがどうしたんだってんだ!」
準「六月の第三日曜日……」
 例によって準がボソッと割り込んでくる。
司「それが何だってんだ?」
末莉「あああーっ!」
 まだ足が回復しないのか寝そべったまんまの状態で末莉が叫んだ。
末莉「きょ、今日は、今日は父の日です!」
司「……チチノヒ?」
春花「乳の日?」
司「それは違う。多分」
春花「?」
寛「そうそれ! さすが末莉! お前はやはり父親思いのいい娘だにょ!」
司「その語尾はなんだ。意味不明だぞ」
寛「父の日! それは一家の大黒柱たる父を崇め、一家の中心たる
 父に感謝を捧げ、一家の大統領たる父を誉め称え奉る日!
 一家が総力を尽くしてこの偉大なる父の偉大たる所以を祝うべく……」
司「やかましい!」
 チチノヒ……ああ、父の日か。
 ようやく理解した。
 だが……。
司「それが今回の件と何の関係があるんだ?」
寛「解らんのか? 愚考と愚行によって形成されたヌシのしょぼっくれた
  理解度ではこの父の海より深い配慮が解らんのか? そうかそうか」
司「この際貴様の暴言は無視しておいてやる。だから話せ」
 でないと話が進まん。
寛「ほんっと〜〜〜〜〜〜〜〜〜に解らんのか? 惚けてる訳でも」
司「ない」
寛「……」
 幾分かの間。
 そして、寛が吼えた。
寛「私の為に父の日記念豪華絢爛パーティーを開いてくれるという事を
  あらかじめ想定しておいてそれをひた隠しに隠すであろう健気な
  子供たちを思いやってあえて姿をくらました私のこのマリアナ海溝
  より深い深いふかーーーい思慮が解らんのかあっっっっっ!?」
司「そんなたわけた自意識過剰な思慮が理解できてたまるかあぁぁっ!」
 ドスガタバタン!
末莉「ああっ、結局こうなりますか……」
真純「さて、夕食の準備をしましょうねー」
春花「おなかすいたー」
準「……携帯、末莉に持たせた方がいいかも」
 高屋敷家は以前としてこんな感じだった。
183家族計画15:02/01/16 04:20 ID:j+N72S6z
オマケ』
司「ところで末莉よ」
末莉「はい?」
司「何故日曜の朝五時なんて時間に起きてたんだ?」
末莉「ひあっ!?」
 あからさまな動揺。
 禁忌の質問だったか?
司「いや、言いたくない事なら無理にとは言わんが」
末莉「そ、そんな事はなかとですよ。えとですね……ラジオ体操……は
   まだ始まってないし……朝シャン……は死語だし……」
 今考えてるのがバレバレだった。
末莉「そう! あのですね、学校で飼ってるウサギさんたちに餌を
   やらなきゃいけなかったんですよ!」
司「そ、そうか」
 一応納得したフリをしておいた。
 この数分後、何やら数冊の怪しげな本を胸元に抱えて小走りに
 自分の部屋に戻る末莉を発見したが、さすがに声はかけなかった。

『オマケ2』
青葉「あら」
末莉「にあっ!?」
 急いで部屋に戻る最中、青葉おねーさんと遭遇した。
 ま、まずひ。
末莉「あ、青葉おねーさまにおかれましては本日も大変麗しゅう……」
青葉「何を言ってるの?」
 あう……。
青葉「ところで、今日は黙っていなくなってたみたいだけど」
末莉「あ……」
 心配、してくれたのだろうか。
 春花おねーさんやおにーさんも一日中探し回ってくれたらしいし、
 今日はまた皆に迷惑をかけてしまった。
 何故私はこうなんだろう……。
青葉「別にいなくなるなとは言わないわよ。それはあなたの自由」
末莉「うあっ」
 やっぱり、心配なんてするはずないか。
青葉「ただ、家を出るんならせめて家の長兄ぐらいには声を掛けなさい。
   こっちにまで飛び火が来るのは迷惑」
末莉「は、はいっ!」
青葉「よろしい」
 そう言って、青葉おねーさんは背を向けた。
 長兄……兄?
 青葉おねーさんから初めて聞いた、その言葉。
 もしかして……。
青葉「それと」
末莉「きゃん!」
 突然声を掛けられたので持っている物を放り投げそうになる。
 あぶないあぶない。
青葉「トイレに妙な物を置いておかないように」
末莉「いやーーーーーーっ!?」
 青葉おねーさん少しだけは笑っていた。
 でも、それを喜ぶ余裕は、私にあるはずもなかった。

 おしまい。
184 :02/01/16 04:25 ID:j+N72S6z
>>169-183
題「睦月には祭りもパーティーもない訳だが」
こういうのを書くのは初めてなんで(10時間くらいかかった)
誤字脱字、至らない点、無闇に長い等たくさん問題があるとは思いますが
チマチマ読んでもらえると嬉しいです。
185名無しさん@初回限定:02/01/16 08:51 ID:u7wO13dG
いや、あまりにもテンポよく、面白いので一気に。
うまいっすねぇ。
186名無しさん@初回限定:02/01/16 10:48 ID:05PtcXDi
一言で言うなら、うまい!
いやー、正直真似るのは非常に難しい「家族計画」の雰囲気をそのままに再現してま
すな。(特に独特のギャグを再現してるのに脱帽)
山田一氏本人か?とか厨房的発想をしてしまった。
187名無しさん@初回限定:02/01/16 22:13 ID:IAzJH5NO
本編は現在プレイの真っ最中なんだけど、素直に面白かった。
雰囲気もよく出てるし、本編に出て来ても違和感無さそう。
188名無しさん@初回限定:02/01/16 22:19 ID:pFmwA6in
>>169-183
キャラ総出演のSS、いいですね。
寛のフェイントにけっこうウケた。
189名無しさん@初回限定:02/01/17 02:58 ID:Gz0aTYbI
なかなかイイ(´ー`)ノ !
末莉をネタにしてる点も個人的にグー!
190名無しさん@初回限定:02/01/17 14:03 ID:z5RcBzR8
この小説と台本がごっちゃになったような書式はなんと言うのですか?

いや面白いからいいんだけど。
191名無しさん@初回限定:02/01/17 14:09 ID:aaIw3RA1
192名無しさん@初回限定:02/01/17 21:08 ID:Ol2hTDaB
>>190 「ゲームテキスト風」とでも呼ぶべき。
極端に再現すると以下のような文体になる。
-----------------------------
ゲームテキスト特有のノリを
ゲーム以外の媒体で伝えよう
とするとこのような書式になります。

これは推測になりますが、
作者さんは読み手に、頭の中で
キャラの絵をを出したり、

その表情をゲーム通りに
変化させながら読むことを
期待しているはずです。

強いて既存の文章から
類似したものを探せば、
マンガの文章ネームに近い

でも、ピッタリする言葉を探せ
言われれば、「ゲームテキスト風」
としか形容のしようがないでしょう。
--------------------------------
193名無しさん@初回限定:02/01/17 21:19 ID:Ol2hTDaB
>>192続き。ゲームテキスト風文章の特徴について。

ゲームテキスト風の文章を
「台詞の前に名前が書いてあるのは小説じゃない」
と批判するのはそもそも論点が違う。

ゲームテキスト風文章は、ゲームのグラフィック及び
表情の変化等を知った上で、脳内紙芝居を
行うからこそ楽しめる文章。

小説がキャラクターの外見や行動について
工夫を凝らして伝えるところを、「元ネタのゲーム」という
公式設定によって省力化している。
従ってゲームを知っている読者には読解が楽な文章である。

その他の利点としては、一定のリズムで
文章がコマ切れに流れてくるので
定型詩を聴くような独特のノリがあることがあげられる。
これは地の文を大量に書き
かつ、>>192のようにキレイに整形した場合顕著。

エロゲADV、VNの先駆者たる高橋氏が
あるインタビューで、「できるだけ文章は
一ページ(3行)をまたがないようにする」
と語っていたのも、理由はおそらく
このリズムを崩さないようにしたいからであろう。
194名無しさん@初回限定:02/01/18 08:10 ID:E1hRncOJ
「小説」じゃなく「ゲームの二次創作」ってことでは、こういうのもアリですな。
前スレの傷モノの学園なんかもこの形式だね。
195名無しさん@初回限定:02/01/18 08:35 ID:cQmcJuaI
レスのつきが良いのは投票スレの家族計画人気を見るとうなずける。
196名無しさん@初回限定:02/01/18 13:54 ID:t+ePCpfu
投票スレの家族計画って……もにょモニョ
197再び家族計画1:02/01/19 09:02 ID:v4naNdbS
 我が名はグラシアス。
 数々の栄光と一握りの挫折を糧に、現在を行き抜き未来を目指す。
 同胞からは『真紅の流星』などと言う二つ名で呼ばれ尊敬もされたし、
 宿敵からは『Murder of Madder』と呼ばれ畏怖されていたりもした。
 生粋の狩猟者、と言えばいいだろうか。
 その私が今、一つの大いなる危機に遭遇している。
 今回の敵は思ったよりも手強かった。
 特にあの想像を超えた威力の巨大な鎌は脅威だった。
 結果、多大な疲労を残してしまった。
 この状態で襲われたら、おそらく殺されるだろう。
 気力と体力の両方が著しく低下した今では、本来の30%の力すら
 出せまい。
 だが、不安や恐怖心はない。
 これまで私は、数え切れないほどの死線を潜り抜けてきた。
 必要なら命をも削り取って、その時々を生き残る為のチップと
 してきた。
 今回も、その中の一つに過ぎない。
 ならば、起こすべき行動は一つ。
 未来を……紡ぐ。
198再び家族計画2:02/01/19 09:03 ID:v4naNdbS
春花「ツカサツカサー」
 とある秋の昼下がり。
 慎ましやかに吹く清涼な風が、額に落ちた髪を優しく撫でる。
司「どうした」
 庭で遊んでいた春花が喜び勇んだ顔で寄って来た。
春花「バッタ捕まえた」
司「お、トノサマバッタか」
 濃茶色と白色の斑模様の羽を持った、実に高尚な雰囲気を持った
 バッタ。
 なかなかの大物だ。
春花「かっこいー」
司「そうだな」
春花「♪」
 春花はご機嫌な様子で右手に持ったトノサマバッタを眺めた。
 ……何かその眼に鑑賞とは別の、本能に密接した感情の色が
 伺えたのは気のせいなのだろうか。
司「ちゅん子や」
春花「なに?」
司「そいつはイナゴとは違って食べられないぞ」
春花「そーなの?」
司「……」
司「逃がしてやれ」
春花「んー……あっ!」
 一瞬気を緩めたのか、力の抜けた春花の手からトノサマバッタは
 俊敏な動きで抜け出した。
 そして、そのまま何処かへ飛び立っていった。
 見事な飛躍。
春花「残念」
司「これでよかったんだ」
 双方の為にも。
司「遊ぶのはいいが、服を汚さないようにな」
春花「あい」
 のほほんとした返事。
 平和、なんだなと実感した。
199再び家族計画3:02/01/19 09:04 ID:v4naNdbS
グラシアス「む」
 遠方に見知った顔を発見。
 あれは……レイ?
 河原区域一帯を牛耳る『草原の王』が何故このような所に?
レイ「はぁっ……はぁっ」
 レイは何かから逃げているようだった。
 必死な様子がありありと伺える。
 前の邂逅の際に見せた憎たらしいほどの余裕は見る影もない。
 声を掛けるのを躊躇うほどに。
グラシアス「……」
 レイが逃げてきたと思われる方向を見る。
 あそこに何があるというのか。
 あの百戦錬磨が我を忘れて逃げるほどの、何かが?
 因果なものだ。
 これほど疲労し切っているというのに、戦闘を生業としてきた私の
 好奇心はこのような出来事にはどうしても背を向けることが出来ない。
 本能、と言ってもいいかもしれない。
グラシアス「これもまた、未来への路、か」
 今まで、自分の本能に従って生きてきた。
 そして、生き残ってきた。
 ならば、今回もそれに従うまで。
 私は決意を胸に、その何かへと照準を合わせた。
200再び家族計画4:02/01/19 09:06 ID:v4naNdbS
真純「買い物行ってくるから、留守番お願いねー」
司「了解」
 高屋敷家の食卓事情はそれほど潤しくはない。
 アホみたいに食べる輩が約二名ほどいる所為だろう。
 それでも、毎晩量も味もある一定のレベルをキープし続けるの
 だから、大したものだと思う。
 さて、メシまで何をして時間を潰すか……。
春花「ツカサストップ!」
司「んあ?」
春花「動かないで!」
司「な、なん……」
 春花の目は驚くほど真剣だった。
 どうしたってんだ?
 俺の身に何か重大な事でも起こっているのか?
春花「そのままそのまま……」
 依然として神妙な面持ち。
 いつもの鷹揚とした春花ではない。
春花「……」
 無言でにじり寄ってくる。
 そして……。
春花「くるくる」
 俺の頭に向けて右手の指をくるくる回し始めた。
司「おい」
春花「動くダメ」
春花「くるくる」
 ……バカにされてるのだろうか?
 新手の煽り?
 しかし、春花がそんな事をするとは思えん。
 寛にまたなにか妙な行動を仕込まれたか。
春花「くるくるー」
司「……いつまでやってるんだ?」
春花「もう少し」
司「はぁ……」
 もういいや。
 意図は解らんが気の済むまでやらせとこう。
201再び家族計画5:02/01/19 09:12 ID:Yc3VlQpN
五分後。

春花「くるく……る〜〜〜〜〜」
 ドサッ!
 春花が突然倒れた。
司「ど、どうした!?」
 慌てて駆け寄ったその時。
 頭から何かが落ちてきた。
司「……蜻蛉?」
 赤とんぼがくるくる目を回していた。
春花「くるくるぅ〜」
 春花もくるくる目を回していた。
司「蜻蛉の目を回してたら自分の目も回ったか」
 しかし、何故赤とんぼが俺の頭に止まるんだ……。
 俺の頭は竹ってか?
 中身がないってか?
春花「う〜ん……」
春花「う〜、気持ちわる〜」
春花「あれ? ツカサなんで落ち込んでるの?」
司「いや、別に……」
春花「あ、トンボは?」
 俺は黙って畳の上で目を回している赤とんぼを指差した。
春花「おー!」
 子供のようにはしゃぐ。
 しかし、トノサマバッタや赤とんぼを見てはしゃぐってのは
 男の場合がほとんどじゃないのか?
 ……ま、関係ないか。
 春花だし。
春花「ツカサ、これ」
 春花は赤とんぼを大事そうに両手で拾って、俺に見せる。
春花「食う」
司「食うのか!?」
 中華人民共和国人は、犬だけじゃ飽き足らず蜻蛉まで食すと言うのか!?
 やはり世界一の国土面積と人口、四千年の歴史を誇る国というのはあまりにも奥が深い……。
春花「あ、違った」
春花「飼う、だった」
春花「ツカサ、飼う」
司「そ、そうか。飼う、か」
司「……飼う?」
 司を食う、で飼う。
 なにか意味深なものを感じたのはどうしてだろうか。
 ……この背中に流れる冷たいものは、冷や汗?
202再び家族計画6:02/01/19 09:16 ID:Yc3VlQpN
春花「ツカサ?」
司「……」
司「春花」
春花「ほいほい」
司「念の為言っとくが、俺は煮ても焼いても茹でても蒸しても勿論
  生でも食えんぞ?」
春花「何言ってるの? そんなの当たり前だよ」
司「そ、そうだよな! 何言ってんだろうな俺! ははははは!」
春花「ははは」
司「は、ははは!」
春花「ははは」
司「……」
春花「……」
春花「残念」
司「何ですとっ!?」
春花「冗談」
 嘘だ……。
 さっきの目は明らかに残念がってた間違いなく。
 今度の家族会議の時に自室のドアに鍵をつけるよう懇願しなければ。
 ……何故男の俺がこんな事で恐怖しなきゃいけないんだろうか。
春花「ねー、飼っていい?」
司「……」
 この蜻蛉に興味がいっている内は、俺は食われないで済むだろう。
 その前に、『食う』ってのはどっちを差すのか?
 そもそも女が男を……の場合『食う』と言う表現を使うのだろうか?
司「……」
司「同居人がいいと言うなら」
 どちらにせよ、保身が優先だ。
春花「いえっさー!」
春花「マツリー!」
 春花は末莉を探しに行った。
司「疲れた……」
  非常に後を引く疲れだ。
末莉「わー! トンボさんですねー!」
 末莉が見つかったようだ。
 ま、どうせ末莉の事だ。
末莉『え、飼うのですか?』
末莉『いいですよー。あ、どうせなら観察日記などつけてみては
   どうでしょう?』
 などと言うに違いない。
203再び家族計画7:02/01/19 09:18 ID:Yc3VlQpN
末莉「え、飼うのですか?」
末莉「いいですよー。あ、折角ですから観察日記などつけてみては
   どうでしょう?」
 くあっ、惜しい。
 まだまだ修行が足らないという事か。
 ……何の修行だっつうの。
春花「ツカサ!」
司「ぎょっ!?」
 何時の間に接近してきたのか、春花の声がいきなり近くになった。
春花「トンボって、何を食べるの?」
司「んー、小さい虫とかじゃないのか? 蚊とか」
春花「カ?」
司「夕方ぐらいに河原の辺りを飛びまわってるちーっちゃな羽虫が
  いるだろ? ああいうのを食べると思うが」
春花「なるほど」
春花「マツリ、捕まえに行こ!」
末莉「え。あ。あーーーっ!?」
 末莉は春花に引きずられて行った。
春花「あ、ツカサ。その子預かっといて!」
司「へ?」
 春花の指差した方を見ると、まだ目を回した状態の赤とんぼが
 仰向けに横たわっていた。
末莉「春花おねー、ぶっ! さん、手を、きゃん! 離し、
   ひあっ!? ……」
司「……」
司「どうしろって言うんだ」
 とは言うものの、これをこのまま放置してたら……。
青葉『昆虫の死骸……?』
青葉『……不潔……極めて不潔……』
青葉『焼却』
 ボッ!
 ま、こうなるだろうな。
 青葉ならメラぐらいはデフォで使えるだろうし。
司「部屋に持ってくか」
 こいつだってそんな最期は望んではいまい。
 どのような人生を……この場合虫生か、を送っているにしろ、理不尽
 な死だけは避けたいと思うのが人情……この場合虫情か、だろうからな。
 俺は畳の上で目を回している憐れな赤とんぼをなるたけ丁寧に拾うと、
 重い足取りで自室へと向かった。
204再び家族計画8:02/01/19 09:19 ID:Yc3VlQpN
気分が悪い。
 頭がグラグラする。
 立つ事はおろか動く事すらままならぬこの状況、何たる屈辱か。
 確かに疲労はあった。
 それもありありと。
 傷もある。
 決して良好な状態ではなかった。
 しかし、このような事態は正直想像すらしなかった。
 この『真紅の流星』たる私が、よもや囚われの身となろうとは……。
グラシアス「何という愚かさよ」
 私とて捕まった時の覚悟を持っていない訳ではない。
 自分一人の判断ミスや力不足で仲間に……大事な仲間に迷惑を
 かけるなど、不本意の極みだ。
 だが、如何せんこの状態では自決すらままならぬ。
 さらに、敵は圧倒的だ。
 この者にかかれば、私などほんの数秒としないうちに蟻の餌と
 なるだろう。
 認めざるを得ない現実と己の過信に、どうしようもない絶望と
 自責の念が入り乱れて陰鬱な気分になる。
 だが、私とて戦士の端くれ。
 狩猟者としての誇りは保てそうにないが、一個の兵士としてならば、
 まだやる事がある。
 戦って、死ぬ。
 それが、残り少ないであろう私の生命が訴える最後の矜持だった。
205再び家族計画9:02/01/19 09:24 ID:3tn7U8xu
司「こんなとこか」
 部屋にあったダンボール箱にビニールを被せて、簡易虫かごの
 出来あがり。
 これなら逃げも出来ないし、暗闇で不安になる事もあるまい。
司「テレビでも見るか」
 この時間だとドラマの再放送などをやってるはずだ。
 夜にはドラマなんて見ないんだが、再放送のドラマは何故か見入って
 しまうケースが多い。
 何故なのかは未だに解らない。
 まあ、深く考えもしないしな、こんな事。
 ガラッ。
司「ん?」
 誰か帰ってきたようだ。
 春花や末莉なら大声でただいまというだろうし、真純なら普通の声で
 ただいまと言う。
 準は今日は遅くなるって言ってたし……。
 あ、寛は論外な。
 これ常識、メモるように。
 ……。
 で、となると。
 司「青葉か……」
 あれと二人っきり?
 司「やだなあ」
 ここで発表する、二人っきりになりたくない高屋敷家住民度ランキング。
 同率五位で、春花と準。
 四位は末莉。
 三位は真純。
 二位が後ろをおーーーーーーーーーーーーーーーーっきく引き離して寛。
 そして、その寛すら凌駕する、栄えある一位が……。
一位「何を一人でボーっとしているの?」
司「ぐぁっ!?」
 何時の間にやら青葉が目の前にいた。
 肩には鳥が少々疲れた様子で止まっている。
青葉「その若さで痴呆症? 出来れば近所をうろついたりはしないで
   欲しいわね。変な噂が立つから」
司「変な噂ならすでにいくらでも立ってるだろ」
青葉「つーん」
 こいつは……。
青葉「ま、いいわ。私は今非常に機嫌がよろしいので特別に近所を
   うろつく事を許可します」
司「別にうろつく用事はないけど……機嫌がいいだと?」
 珍しい事もあるもんだ。
青葉「今日はたくさん仕事をしたわ」
 そういう事か・……。
206再び家族計画10:02/01/19 09:27 ID:3tn7U8xu
 こいつにとっては気分のいい事だろうが、世の中にとっては
 迷惑極まりないな。
 被害に遭われた方の御冥福を祈らずには入られない心境だ。
青葉「その両手を合わせて目を瞑るポーズにはどういった意図が
   あるのかしら?」
司「儲かってよかったな、という意図だ」
青葉「そう。でも分け前はないわよ」
司「別に期待などしてないけどな」
 バサバサッ。
 いきなり鳥が青葉から離れて……俺の肩に止まった。
 青葉は一瞬片方の眉を吊り上げたが、
青葉「夜には戻りなさい」
カラス「クオック」
司「了解、だそうだ」
青葉「結構」
 そう言うと心持ち軽やかに見えなくもない足取りで居間へと
 入って行った。
司「……」
 取り残される一人と一匹。
司「散歩にでも行くか?」
 家の主である青葉がいるのなら留守番の必要もあるまい。
 ちょうど許可も貰った事だし。
カラス「クア」
 鳥は軽やかに肯定の意を唱えた。

少女「お母さん! おんぶして〜!」
母「だめよ。ちゃんと自分で歩きなさい」
少年「甘えんぼ〜」
少女「う〜」
少女「あ、カラスだ〜」
少年「わ! 肩に乗っけてる! すげ〜!」
母「これ! 指差さないの!」
 子供達の母親らしき人がこっちに向かって軽く会釈した。
司「……」
 こういう典型的な家族像を目の当たりにすると、ふと思う事がある。
『家族とは、なんだろう』
『兄とは、なんだろう』
 いや、意味を知らないと言う訳じゃない。
 ただ……俺はそれらを正しく経験していない。
 家族と呼ばれる人たちはいた。
 兄と呼ばれる奴も、いる事はいた。
 でもそれは、どう好意的に解釈しても、正しい在り方ではなかった
 と思う。
 特に、兄。
 あんなの、反面教師にすらなりはしない。
 奴が俺にやってきた事は、普通の兄なら思いつきもしない事
 なのだから。
 その行為を禁忌とした所で、それが兄の証明とはならない。
 ただの常識人だ。
207再び家族計画11:02/01/19 09:29 ID:3tn7U8xu
カラス「クエ?(意訳:いかがなされました?)」
司「あ、いや何でもないんだ」
司「少し昔を思い出してナイーブになっただけだ」
カラス「クエア、カカ(意訳:何か思う所があるのなら、
    一人で悩まない事です)」
カラス「カア、クカカ(意訳:よろしければ、私にでも)」
司「……いや、大丈夫だ。心遣いありがとうな」
 彼にも、家に来る以前には家族がいたのかもしれない。
 それをわざわざ思い出させるのは悪い気がする。
司「ん……」
 気がつけば家から随分離れている所にまで来ていた。
 そろそろ戻ろうか。
 そう思った時。
?「もしかして……沢村?」
 不意に声が掛かる。
 だが、それが自分に向けられたものだと理解するには
 若干の時間を要した。
 理由は二つ。
 声が最近の自分の知り合いのものではなかった事。
 そして、『沢村』が自分を指す事への、違和感。
?「おおっ、やっぱ沢村じゃん! うわ、久しぶり!」
司「……」
司「ああ、山田か」
 学生時代の友人。
 友達が多い方では決してなかった俺だが、一応そう呼べるぐらいの
 奴は数人いる。
 こいつはその一人だった。
山田「おいおい、久しぶりってのに感動がない奴だな」
司「俺は元々こんなだ」
山田「そうだったな」
 そう言って山田は何が面白いのかけたたましく笑った。
 特に腹は立たない。
 ただ、同時に旧友と再会した事への嬉々とした感情も、全くと
 言っていいほどなかった。
山田「今何してるん? 大学は行かなかったよな?」
司「ああ。フリーターだ」
山田「そっかー。お前学生の頃もバイト三昧だったもんなー」
司「ああ」
 軽い苦痛。
 いつの間にやら影の薄くなってしまった他人バリアーが、働き所と
 ばかりに燦然と輝き出す。
司「……じゃ、俺は用事あるから」
 多分この時の俺は、表情がなかったと思う。
208再び家族計画12:02/01/19 09:31 ID:3tn7U8xu
昔の友人。
 今はそれが、少し疎ましい存在になってしまったのだろうか。
 過去の自分を思い出してしまうから?
 それとも、自分では気付かない内に以前より閉鎖的な人間に
 なってしまったのか?
山田「あ、ちょっと待てって」
 呼び止められた。
 仕方なく立ち止まる。
山田「さっきから気になってたんだけどさ、そのカラス……
   何? ペット?」
司「友だ」
山田「……はぁ?」
 訝しげな声と顔。
 無理もない。
 俺だって、準が再開した日にあいつがカラスを肩に乗っけてたら
 同じようなリアクションを取っただろう。
山田「お前……もしかして変な宗教にでも」
司「バカな」
山田「だ、だよなあ! ははは! あ、じゃあ俺これから飲み会
   あるから! またなー!」
 山田はそう一気に捲くし立てると足早に俺から離れていった。
カラス「クア(意訳:司殿)」
司「……なんだ?」
カラス「クオック……(意訳:恥をかかせてしまい申し訳ない……)」
司「恥なんてかいたとは思ってない」
司「だから、気にする事もない」
 ちゃんと笑えたかどうかは解らないが、笑顔でそう答えておいた。
 無理はしてない。
 本心だ。
カラス「クエ……(意訳:しかし……)」
司「あいつは昔友達だった」
司「でも、今では……向こうがどう思ってるかは知らないが、俺に
  とっては取りたてて大事な存在じゃない」
 少なくとも、今後俺が先に向こうを発見しても話し掛ける事は
 ないだろう。
司「別に仲がよかったって訳でもなかったしな」
カラス「クアア?(意訳:友人であったのにですか?)」
司「仲がよくなくても話ぐらいはするし、友達と呼ぶ事もある」
司「心は開いてなくても一緒に住んで、血も繋がってないのに家族と
  呼ぶのと同じ事だ」
 人間関係の機微。
 一人で生きて行く為にはこれを理解する必要があった。
 もしかしたら、俺が学校で学んだ一番大きなものはこれだったのかも
 しれない。
カラス「クア……クォ(意訳:それは……寂しい事です)」
司「そうかもしれないな」
 それでも、自分に嘘はつけない。
 他人をいい気分にさせるために偽りの自分を演じるような余裕は、
 今はない。
司「帰るか」
カラス「クオ(意訳:はい)」
 空に赤みが差してきた頃合を見て、俺たちは家に帰った。
209再び家族計画13:02/01/19 09:34 ID:MkVKKxNa
司「あ……」
 高屋敷家が見えたちょうどその時、春花が玄関に入ろうとしてるの
 を見掛けた。
 何やらホクホク顔だ。
司「……」
司「イヤナヨカン」
 悪寒がした。
末莉「あ、お、おに、おにー、おにーさん」
 後ろからヨロヨロになった末莉の声がした。
司「俺は鬼か」
末莉「そ、その、ような、事は!」
司「まず息を整えろ」
末莉「はひ〜」
 深呼吸。
 ……終わり。
末莉「ふいー。疲れました〜」
司「で、首尾はどうだった」
末莉「それが……私はずっと気絶してまして」
司「そ、そうなのか?」
末莉「気がついた時にはもう捕獲完了で、春花おね―さんが走って
   帰ろうというので……」
司「そうか……」
 あいつは一つの事に夢中になると周りが見えなくなるとこあるからな。
司「ま、とにかく中に入ろう」
末莉「そうですね」
カラス「クエッ」

 そして、玄関を開けて中に入る。
 刹那。
 ブオ……………ン。
 何か妙な音。
司「なんだ?」
 ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!
司「な、なんだーーーーーー!?」
 それがおびただしい量の羽音だとわかったのは、廊下に空間をすべて
 埋め尽くすほどのヤブ蚊が姿を現したときだった。
 何千……いや、何万かもしれない。
 それほどの数のヤブ蚊が群れをなして、こっちに向かってくる。
 その様相は、まさしく地獄絵図。
末莉「ひあ〜〜〜〜〜〜!?」
司「て、撤退ーーーーーっ!!」
 さっき閉めた玄関をまた開けて、外へと逃げる。
 ヤブ蚊たちは容赦なく追って来た。
 末莉だけを。
末莉「なーーーーーぜーーーーーーにーーーーーーっ!?」
 俺とは逆方向へ逃げた末莉へ向けて、黒い大群がものすごい音
 と共に迫っていく。
 次第に羽音も末莉の悲鳴も小さくなっていった。
司「憐れな……」
 あいつ汗っかきでも酒飲みでもないのに。
 身体に乳酸が多く含まれてるのだろうか?
210再び家族計画14:02/01/19 09:35 ID:MkVKKxNa
春花「あ、ツカサ」
 玄関から春花が出てきた。
 手には例の赤とんぼを持っている。
春花「失敗したよ」
司「どうしたらこういう状況になるんだ?」
春花「餌いっぱい捕った」
春花「それをこの子に食べさせようと思って家に帰ってきたけど、
   ツカサがいなくて困ったよ。だから急いで探した」
司「それは悪い事したな」
春花「探してる途中、滑って転んだ」
司「なるほどな」
 で、餌を入れた入れ物の中身をぶちまけた、と。
春花「この子に悪い事した」
 そう言って春花は赤とんぼを俺に向けて差し出す。
 すると、肩の辺りから何か荒い息使いが聞こえてきた。
司「……」
司「鳥」
カラス「クア」
司「これは春花の友達だから、捕食禁止」
カラス「クアア……」
 とてもがっかりした。
春花「ところでツカサ、マツリ知らない?」
司「お前が投じた追尾機能内臓小型爆弾に追われて、只今避難中だ」
春花「おろ。じゃあ探さねば」
司「夕食前には探し出してきてな」
春花「はいなー!」
 春花は弾丸のようなスピードで走っていった。
 あいつ、足はえーなー。
カラス「クウウ……」
 鳥はまだ残念そうにしていた。
211再び家族計画15:02/01/19 09:37 ID:MkVKKxNa
TELLLLLLLLLLLLL!
 家に入った途端、電話が鳴った。
司「はいもしもし」
劉『やあ』
司「店長ですか。何の用ですか大体想像はつきますが」
劉『その通り』
劉『では式の日取りはこちらで決めとくから』
司「決めるな!」
劉『ふむ。ならパンフレットを送るから君が』
司「決めないっての! まだ諦めてなかったんですか?」
劉『楓はまだまだ君に夢中さっ』
司「そう洗脳したあんたの責任でしょうが」
司「俺にその気はないですからね」
劉『まーその事は保留にしとくとして』
司「電話ってのは人の話を聞かない相手に対しては即座に
  コミュニケーションを遮断できる、という利点があるのですが」
劉『ヘルプお願い』
司「最初っからそう言えばいいんですよ」
劉『じゃあ了承し』
司「ません」
劉『……』
劉『最近逞しくなったね』
司「そりゃあもう家でも職場でも変態の相手をしてますから」
劉『父上殿は御健在?』
司「健全な方向ではないですが生命力には溢れてます迷惑なのに」
劉『大変だねっ』
司「あ ん た が 言 う な」
劉『頼むよ。本当に人手不足なんだ』
 はぁ……。
 ま、いいか暇だし。
司「はいはい行けばいいんでしょ。承りました」
劉『じゃあ今すぐ来てね』

司「青葉」
青葉「……」
司「……おねーさん」
青葉「よろしい」
 そう言って毒々しいデザインのナイフをしまう。
 殺す気かとつっこむ元気も湧かなかった。
司「急なバイトが入ったから今日はメシ抜きでいいって真純さんに
  言っといてくれ」
青葉「……一つ聞いていいかしら」
司「なんだ?」
青葉「あなたはあのような醜業に赴き、語るもおぞましい醜行で
   ただれた妖怪のような醜女の醜怪な虚栄心と自尊心を
   くすぐるという醜態以外の何者でもない状況にどうして
   進んで出向くのかしら?」
司「誰が好き好んでやっとるか!」
青葉「断らないのなら同じ事よ」
司「いろいろあるの! 受けないとやたらガタイのいいオカマから
  ドスの利いた声で脅されたり言われのない暴力を受けたりバイ
  なのかホモなのか解らん奴に腰とか太ももとか撫でられたり
  するんだ! 屈辱なんだよ!」
青葉「ま、私には仰天するほど無関係なのだけれど」
司「なら聞くなよ……」
 仕事に行く前に全エネルギーを損失してしまった。
 この家は摩擦損失係数が極端に高すぎる。
司「……行ってきます」
カラス「クア」
 肩から下りた鳥は優しく見送ってくれた。
212再び家族計画16:02/01/19 09:38 ID:MkVKKxNa
ウェルカム「ツカサちゃ〜ん! 待ってたわよ〜ン!」
司「……」
司「じゃ早速着替えてきます」
ウェルカム「いやあああン! 無視しないでよオ!」
ウェルカム「でもそのクールな態度が私の心を捕えては・な・さ・な・い」
司「やかましい!」
 安住の地はないのか。
 エデンは滅びてしまったのか。
ウェルカム「じゃあ今日はお願いね」
司「……はい」
 取り敢えずは、頷くしかなかった。

 仕事終了。
ウェルカム「ツカサちゃん、ちょっといい?」
 帰り支度をしてる途中、ウェルカムに呼び止められた。
司「何ですか?」
ウェルカム「ん〜ちょっとねー、今日の勤務態度についてなんだけど」
司「……」
ウェルカム「はっきり言って、プロ失格ね」
 ウェルカムはCMで聞いた事のあるような口調でそう言った。
司「やはりそうでしたか」
 自覚はあった。
 山田某と会って他人バリアーが復活したからかもしれない。
 来る前に青葉に毒を食らったからかもしれない。
 もしくは、余計な事を考えていたからかもしれない。
 いずれにせよ、接客業を行う人間の持つべきものではなかった。
司「申し訳ありません。今日の分の給料はなしでいいです」
ウェルカム「そう言う訳にはいかないわよ。無理に来てもらったのは
      こっちなんだから」
ウェルカム「ブラザーの顔を潰す事にもなるし、ね」
劉「いやー、気にする事はないさ」
司「だから何故そう当たり前のようにいちいち俺の周りに現れるんですか
  あんたは」
劉「ウーさんの顔を見に来たんだよ。御無沙汰だったからね」
司「……」
 そう言われると、こっちは黙るしかなかった。
劉「じゃあ僕は外で待ってるから、こってりと絞られてきなよ」
司「帰れ!」
 劉さんはクルクル回りながら外に出ていった。
213再び家族計画17:02/01/19 09:41 ID:DWCbyhC5
ウェルカム「じゃあ続き、いいかしら?」
司「あ、はい」
ウェルカム「解ってると思うけど、私たちはプロよ。如何なる理由が
      あれ、仕事中に気を抜くのは厳禁。まして、お客様に
      対して不快感を露わにするのは愚の骨頂。でしょ?」
司「仰る通りです」
 やはり見る人が見れば解るか。
 態度に出したつもりはなかったんだけど。
ウェルカム「ツカサちゃんならいちいちクドクド言わなくても解る
      だろうから、これ以上は言わない。けど、同じミスはなしね」
 やめてくれ。
 俺なら、とか言われるほど、俺は何事も上手くは出来ない。
司「……正直、向いてないと思うんです」
ウェルカム「……」
司「人付き合い、苦手ですし」
司「ですから、もう……」
ウェルカム「そうね。向いてないとは思うわ」
 だったら……。
ウェルカム「でも、来てもらう。あなたの為にも、無論私たちの為にも」
司「けど、また同じミスしますよ。俺は」
 俺は、下手糞だ。
 生きる事が下手糞な人間なんだ、きっと。
ウェルカム「大丈夫よ、そんなに難しくないでしょ? この仕事」
司「しかし」
ウェルカム「この仕事はね、心を込める事が何よりも大事。誠心誠意を
      尽くして、お客様に満足してもらう。でも、それは日常で
      誰もがやってる事なの」
 そう……だろうか?
 俺は誰かに対して、そう言う態度をとっているだろうか?
 ……とっちゃいない。
ウェルカム「大事なものには誰でもそういう心で接するわ。あなたにも
      あるでしょう?」
 司「……あり、ます」
 ある。
 大事なものなら、ある。
 そんなに多くはないけど、確実に。
ウェルカム「だから、出来ないなんて事はないのよ。後は効率と
      要領の問題」
ウェルカム「おべんちゃらでもいい。まずは相手を立てる。そうすれば
      こちらの要求も通り易くなる。どう? 悪い効率じゃない
      と思うけど」
司「さっきと言ってる事が違うような気がするんですが」
ウェルカム「心を込めておべんちゃらを言うのよ」
司「……」
 ずるいような、そうでもないような。
 ただ、それぐらいは出来るかな。
 今までだって、懸命にと言えば懸命にはやってきた。
 苦手だから、無意識に集中して、言われた事を肩肘張って……。
 今度からは、それを意識してやる。
 うん、難しい事はない。
 司はLV.アップした!
 どっかでファンファーレがなったような気がした。
ウェルカム「あらあ、今日で一番いい顔」
ウェルカム「食べちゃいたあああイ!」
 台無しだった。
214再び家族計画18:02/01/19 09:43 ID:DWCbyhC5
劉「結構絞られたみたいだね」
司「そうでもないですけど」
 何故か劉さんと徒歩で帰る。
 この人なら鉄砲玉でも貫けないようなボディを持った車とか自家用
 ヘリとか持ってそうなもんだが。
劉「で、何を悩んでるんだい?」
司「ぶっ!」
司「……何故それを?」
劉「顔色とか、微妙な息使いとか、腰回りの充実度とか」
司「最後のは全くもって関係ない」
劉「で?」
 この人には一生かなわない気がする。
劉「……ふむふむ。家族の一員としての兄、ね」
司「劉さんは血の繋がった妹がいるから、正真証明の兄ですよね」
 俺の周りでは一番、精度の高い解答を知っているはずだ。
劉「楓の私に対する批評は、ただ一つ」
司「ふむ」
劉「ホモ」
司「……」
劉「モーホー」
司「言い方を変えても意味ないっ!」
 この人に期待した俺が悪いのか?
 やっぱり俺の頭は空っぽなのか?
劉「まあ私の事についてはともかく」
劉「家族にとって、血縁と言うものはさほど重要ではないんだよ」
司「でも、家族って普通は血が繋がってるものじゃないですか」
劉「その中心となる父と母は?」
司「……」
劉「人は何故家族を作るって思う?」
司「は?」
 いきなり……でもないか。
劉「私たちは絆を強化するために家族という形態を取る。一種の
  強迫観念みたいなものだ。けど、ごく普通の家庭を築く人たちは、
  絆そのものを求めて家族を作るんだ」
司「そのもの……ですか」
劉「君にとって絆というものが何を意味するのか。それが解れば、
  きっと家族とか兄とかそういうのにいちいち振り回されなくなる
  んじゃないかな」
 絆……。
司「ちょっと……解りませんね」
劉「慌てる事はないさ」
劉「いや、なんだったら本当の家族を作ろうか? 今すぐ」
司「……結構です」
劉「ほら、後は君が判を押すだけなんだよ?」
 そう言って劉さんは婚姻届(99%記名済み)を何処からかは
 解らないが取り出した。
司「……」
 ボッ!
劉「おおっ!?」
 婚姻届は瞬時にして燃え散った。
劉「い、何時の間にそんな芸当を覚えたんだい?」
司「ついさっきLV.アップした時です」
劉「うーむ……東洋の秘術恐るべし」
司「転職すれば劉さんも使えるようになりますよ」
劉「……」
 本気で迷っていた。
 この人といいウェルカムといい、決して気の合う人種ではない。
 でも、学ぶべき事は多い。
 だからかもしれない。
 本質は違えど、こうやって苦痛のない会話が出来るのは。
215再び家族計画19:02/01/19 09:45 ID:DWCbyhC5
劉さんと別れてしばし歩く。
 すっかり暗くなった外の景色に、もう幾度となく見てきた純和風の
 家が見えた。
司「……ん?」
 屋根に何か止まっている。
 鳥(←鳥類の総称。卵生・温血の脊椎動物で、羽毛におおわれ
 翼をもつ)か?
 なら、鳥(←青葉に飼われている、不幸極まりないカラス)に
 違いない。
 何しろ、最近家には鳥以外の鳥類は近付きすらしなくなった。
 原因は推して知るべし。
 鳥がこっちに気付いた。
 何か咥えてる。
司「……」
カラス「……」
 バサッ!
 鳥はものすごくバツの悪そうな顔をして夜の空に溶け込んで行った。
司「……本能には逆らえなかったか」
 仕方あるまい。
 彼にとって、食事は決して安全を約束された事じゃない。
 死活問題なんだ。
 彼は生態系に従った食物連鎖の一つの鎖を忠実に繋いだに過ぎない。
司「自然って厳しいよな」
 あるいは、世間よりも。

司「ただいま……」
春花「ツカサー!」
 予想通り春花が駆け寄ってきた。
春花「私のトンボ、どっか行っちゃったよー!」
司「逃げたんだろ」
 前進的方便。
春花「むー」
司「仕方ない事だ。諦めろ」
春花「食龍(シクロン)……」
司「そんな名前付けられたら誰だって逃げる」
 ※蜻蛉=ドラゴンフライ(英語)です。
春花「うー」
司「唸ってないでさっさと中に入るぞ」
春花「わかった」
 取り敢えず体裁は整ったか。
 本当の事を言うと、鳥が春花の犠牲になりかねんからな。
216再び家族計画20:02/01/19 09:49 ID:DWCbyhC5
で、居間。
司「何だ? この有様は」
 台所から何やら怪しげな声がブツブツと聞こえてくる。
 青葉はいない。
 準もいない。
 末莉はもはや末莉かどうかもわからなかった。
末莉「あああああ、か、かゆゆゆゆ」
末莉「うああっ、こっちもかゆゆゆゆ」
末莉「かっ、かゆあああああああああああああああっ!?」
司「落ち着け」
 ぺシッ。
 軽く頭を叩いてやる。
末莉「お゛に゛ー さ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛」
司「こりゃまた随分刺されたな」
 表面積が八倍ぐらいになっていた。
末莉「かゆいけど掻いても掻いても収まらず……」
司「あー掻くな掻くな。痒い個所が増えるぞ」
 早速兄としての仕事。
 上等だ。
 死ぬほど懸命にやってやるさ。
司「まずは冷たいタオルで冷やして……」
 冷蔵庫でタオルを冷やして、末莉の患部に当てる。
末莉「ひあっ!」
司「冷たいか?」
末莉「ひえひえですー」
司「じゃあしばらく冷やしてろ。全身な。後は……痒み止めの薬とか
  持ってるか?」
末莉「あ、はい。部屋の机の上から三番目の引出しの中に」
司「よし」
217再び家族計画21:02/01/19 09:51 ID:SlApyZg/
末莉の部屋に到着。
 つーか、よく考えたら薬持ってるんなら塗っとけって話だよな。
 ま、あまりの痒さに錯乱してたからな。
司「末莉の机、っと」
 言われた通り上から三番目の引出しを開けると、赤いキャップの
 虫刺され用軟膏があった。
 それを取る。
司「……」
 突発的好奇心。
 いや、ある意味義務か。
司「悪く思うな思えば負けよ」
 俺はよくわからん言葉を発しながら、一番上の長細い引出しを開けた。
司「……」
 テストの答案、鋏、糊、壊れたシャーペンなどがあった。
司「つまらん」
 続いて一番下のでっかい引出し。
司「うおっ!?」
 たくさんの量の本。
 あと、数枚のCDROM。
司「……」
司「見てはいけぬ物を見てしまった」
 閉める。
 解っちゃいるが、あらためて自覚する妹の悪趣味。
 もっと気の利いた隠し場所はないのか。
司「さて」
 残るは上から二番目の、小さい引出し。
 開ける。
司「……ナニコレ?」
 何やら多量の長細い布が綺麗に畳まれている。
 一枚手にとって見た。
司「七生報国……?」
 中央にそのような文字が書かれていたが意味は解らなかった。
 他にも、忠君愛国、滅私奉公、忠肝義胆、刻苦勉励、精励恪勤などと
 いった言葉が書かれている布があったが、やっぱり意味は解らなかった。

少々時間が掛かったがつっこまれはしなかった。
司「ほれ、自分で塗れ」
末莉「はい〜」
 これで末莉の方はオッケーか。
 次は台所。
218再び家族計画22:02/01/19 09:53 ID:SlApyZg/
真純「あら司くん」
 台所にいたのは真純だった。
 思ったより普通……。
真純「知ってる? ワカサギって食べてもべつに若返りはしないん
   だって。だったらそんな紛らわしい名前付けるなってのよ、ねえ?」
 でもなかった。
 どうせ買い物の途中に三十円セールのある店にでも行ってしまったん
 だろう。
末莉「帰ってきてからずっとその調子なんですよー……」
春花「私やマツリがゴハン作ろうにもマスミがそこをどかないから作れん」
司「はぁ……」
真純「そうだ。どうせならこの世から三っていう数字をなくしちゃえば
   いいのよ。そうすれば私はまだ十歳。うふ、美少女」
司「真純さん」
真純の肩をがしっと掴む。
ウェルカム『心を込めておべんちゃらを言うのよ』
 了解。
司「実は今日ホストの仕事だったんだが、最近の若い女たちの
  肌の荒れ具合は実に深刻みたいだ」
真純「え?」
司「二十代前半? バカ言っちゃいけませんよ奥さん。ウチにはあなた
  より若干早く生まれながらも、その数倍は、いやいや数十倍は
  美しい肌を持った女性がいる」
真純「まあ」
司「いやさ、肌だけじゃない。全体的に見たその造形美はあなたがたが
  何処をどういじろうと全く勝負にもなりはしない」
真純「あらあら、まあまあ」
司「真純さん、あんたの美しさは近代医学の粋を結集した最新技術をも
  遥かに凌駕している」
真純「あらやだもう司くんったらそおんな」
司「あんたは整形美人界のやっかみと妬みを一手に引き受ける、
  ナチュラリー美人だ!」
真純「さあ夕食よ!」
 真純がようやく稼動した。
 これでいい。
 心は込めた、一応。
末莉「おにーさんって、すごいんですね」
春花「すごいすごい」
司「……」
 誉められても嬉しくないのは何故だろう。
寛「ただいま帰ったぞおおおっ!」
司「来たか」
末莉「あ、おとーさんです」
司「さて、今日という今日は息の根を止めてやるか」
末莉「な、なぜにっ!?」
 まずは、出来る事をやる。
 正解かどうかとか、そう言うのは抜きにして、その時々の自分の理想を
 精一杯、懇切に主張する。
 それが、偶像を持たない俺に出来る、たった一つの手がかりなんだから。
 家族を、絆を探すための。
219再び家族計画23:02/01/19 09:56 ID:SlApyZg/
 我が名はグラシアス。
 数々の栄光と幾ばくかの挫折を糧に、現在を行き抜き未来を
 目指してきた。
 だが、どうやら私の命はここまでのようだ。
 天敵に見つかった。
 睨まれた。
 もう、逃れる事は叶うまい。
 私には、仲間がいた。
 家族、といった方がいいかもしれない。
 彼らとは、共に飛び、共に食し、共に笑った。
 出きるなら最後まで共にその時を刻みたかったが、それは仕方のない事。
 彼らには心の底から感謝したい。
 戦闘を生業とし、戦うのみが存在意義だった私に絆というものを
 教えてくれた。
 絆。
 それは暖かいもの。
 心地よいもの。
 かけがえのないもの。
 信頼し、信頼される事の喜び。
 懸想する者と繋がる事の喜び。
 愛し、愛される事の喜び。
 胸を張って言える。
 よき生だった、と。
 ただ、せめて。
 せめてもう一度、この自分の身体と同じ色をしたあの美しい空を見たい。
 茜色が広がる、自分の仲間が自由に飛びまわる、あの空を。
 例え叶わぬ願いだとしても、どうかこれだけは。
 これだけは……。
司「夕食前には探し出してきてな」
春花「はいなー!」
 私を掴む巨大な生物が動き出す。
 速度はそれほどでもないが、不安定な事この上ない。
春花「む」
 突然停止する。
 どうしたというのか。
春花「おお、仲間いっぱい」
春花「見て見てー」
 不意に私の身体が持ち上げられる。
 視界が急速に動く。
 そして、止まる。
 そこに映ったものは。
グラシアス「ああ……」
 胸が詰まる。
 茜色の空。
 そして、それに溶けこむように優雅に舞うたくさんの同士。
 仲間たち。
 家族。
 グラシアス「……」
 もう言葉はなかった。
 ただ、この風景を胸に刻み付ける事だけを考えた。
 結局、戦う事は出来なかった。
 最後の矜持も、今はもうない。
 だが。
 絆だけは、しっかりとこの目に、胸に焼き付ける事が出来た。
 幸せな、夕暮れだった。
 ありがとう。
 言葉にならないその声は茜色の絆となって夕焼けの赤い空を
 結んでいった。
220名無しさん@初回限定:02/01/19 10:01 ID:SlApyZg/
>>197-219
題「茜色の絆」
まず、前作を読んでくださった方、感想を書いてくださった方
どうもありがとうございます。嬉しかったです、マジで。
で、調子に乗ってもう一作書いてみました。
前作とはちょっと趣が違うかもしれないですし、長いと思った
前作より長くなってしまいましたが、読んでもらえると嬉しいです。
221名無しさん@初回限定:02/01/19 12:50 ID:D12uf4V0
保管サイト移転?消滅?
222/名無しさん@初回限定:02/01/19 18:17 ID:H2xit01A
>220
締めがきれいでカコイイ!
つーか、本編とほんとに違和感ないな。
(最後に『絆』を織り込むとは芸が細かい…)

時々でいいからまた書いてくれたらうれしい。
223名無しさん@初回限定:02/01/20 02:43 ID:qZNHQetb
>>220
うーん、うまくシメるなあ・・・。
個人的には、長いのも短いのもおっけーです。
また作品できたらお願いしますねー
224名無しさん@初回限定:02/01/20 02:55 ID:wgGyvcfe
またしてもイイ(´ー`)ノ!
作品への愛が感じられるね。
セリフ回しもイイ!
個人的には
>「悪く思うな思えば負けよ」
が良かったYO。

また書いてくれ!
225名無しさん@初回限定 :02/01/20 15:17 ID:kaeRY1Fr
「たくろうの災難」早く続き読みたいな
>>221
 保管サイトはデリ食らってました。
とりあえず、移転はしてありますんで、こちらへ↓
http://members.tripod.co.jp/hokaess/

更新はまだ……スマヌ……。
227名無しさん@初回限定:02/01/22 18:58 ID:TITpIUTP
いまから、「エロゲーブランド最萌トーナメント」用の支援SSを投下します。
支援対象ブランドは、ライアーソフトです。
「サフィズムの舷窓」というレズゲーソフトのSSです。では。
228タイトル「初夜」:02/01/22 19:00 ID:TITpIUTP
登場人物
杏里・アンリエット 通称「レズの王子様」。豪華船上学園の二年生。
ニコル・ジラルド  杏里に惹かれている、一年生の美少女ギャンブラー。

シチュエーション
 純愛シリアスの十八禁。女あいてに初夜を迎えるニコルが、シャワーを浴びて
抱かれる準備を整える場面。



(……ジャックのスリーカード、か)

 ニコル・ジラルドは眼前に明かされた敵札の役に、口唇をかんだ。
 かみながらそっと掌で心臓を押さえる。この期に及んでポーカーフェイスなど
お呼びではなかったのだ。
 身体が熱い。鼓動は早鐘を打っている。
 一世一代の大勝負に、負けた――それとも勝ったのだろうか?
 この女に抱かれる初体験は、じぶんにどんな新世界をもたらすのだろうか?

「ニコル?」

 いつものように気さくな軽口もとばさず、黙りこんだままカードを明かさない
『したたかギャンブラー』ニコルに、いぶかしんだ問い掛けがなげかけられる。
 テーブルをはさんだ向かい側には、賭けポーカーの相手、「レズの王子様」
杏里・アンリエットの真剣きわまりないおもざしがあった。
 いつしか見馴れはじめてきた、バカで陽気な笑顔と声ではない。
ニコルがはじめて目の当たりにする、頬がひき緊まって優美な鹿をおもわせる鋭さだ。
229タイトル「初夜」:02/01/22 19:01 ID:TITpIUTP
(そんな表情もできるんだ、あんたは……)

 バカで陽気で、いっしょに歩いていて楽しい相手――
 そんな男なら、故郷のイタリアにだっていくらでもいたけれど。

「あたしの負けだ、センパイ」

 なにか言いかけていた杏里にかぶせるように、ニコルは手荒にトランプのカードを
投げ出した。
 汗に濡れた手許がすべり、2,3枚がテーブルを舞い落ちる。
 杏里とのポーカー勝負――賭けていたのは、ニコル自身の貞操だ。

「あたしはシックスのスリーカード。666か。
 これで、あたし自身を景品にした勝負の決着は、ついたってわけだよな。
 約束どおり、センパイがいってる『仔猫ちゃん』ってののひとりになるぜ。
 あたしは今夜、センパイに抱かれる。シャワー浴びたらな」

「……とりあえず、ボクをセンパイって呼ぶのも変えてくれるかな。ニコル」

 あまりに普段とはかけはなれた雰囲気な今夜のニコル・ジラルドに、杏里は
 ――あのおしゃべりな杏里が――無駄口をたたかなかった。
 万感の想いをこめたようにそのひとことだけ、ささやく。
 ふたりきりの静かな部屋にひびくその呼びかけに、ニコルはわずかに眉根を寄せた。
230タイトル「初夜」:02/01/22 19:02 ID:TITpIUTP
「……
 抱かれ終わったらな。あと、シャワーはひとりで浴びたいから乱入はカンベン」

「わかった。けどあとひとつね。
 ニコルは、景品なんかじゃないよ。
 キミは、ただボクの持ち物になってしまうそんな景品なんかじゃない。
 キミこそが手に入れるんだよ、ボクの愛を。そのちいさな身体に杏里・アンリエットの
捧げる両腕いっぱいの熱情と愛を受けとめるんだ。
 ……受けとめてくれるかな?」

 大仰な、熱烈な告白――およそ杏里以外のだれが語っても、悪ふざけのお芝居にしか
感じられなかっただろう。

「どうだかな」

 それへ短く、冷淡そうに言い捨てて、ニコルはバスルームのドアを後ろ手に閉めた。
 そうして杏里のすがたが見えなくなり、ひとりきりになったとたん―― 
 前髪の下の表情が豹変した。
 柄でもないハードボイルドの冷淡さが、拭ったように消え失せたのだ。
 かわってやるせない恋慕の波打つわななきが、骨細の肩をふるわす。
 そして制服を脱ぎはじめた。
そなえつけの籐カゴにシルクの肌着を投げいれながら、ささやかな吐息まじりにひとりごちる。

「杏里……」
231タイトル「初夜」:02/01/22 19:08 ID:JPQ+A/Ap
「杏里……」

 激しい水音のなか、ふたたびニコルはつぶやく。
 あまり量感豊かとはいいがたい胸の谷間を、ぬるぬるするシャワーの温水がむなしく流れていく。
 この豪華学園船のバスルームでは、ノズルからほとばしる温水には、あらかじめ
ボディーソープが溶かしこんであるのだ。
 むろん、ふつうのお湯もボタン操作で簡単に出てくるし、学園標準のボディーソープの
香りをきらってお気に入りのブランドで身体を清める者も多い。
 だが、ニコルにそのたぐいのこだわりはない。
 ひかえめにいって、育ちと年齢のわりにはそれほど身だしなみに気をつかう少女では
なかった。
 すくなくとも、杏里と出逢う以前のニコルは。

(早く洗い終わってシャワー、とめなきゃな)

 ふくらみに乏しい裸身をすべりおちてゆく温水に、ふと溜息をこぼす。
 すでに髪も身体のあらかたも洗った。あと、まだなのは――

(ここと、ここだよな。やっぱし……)

 ためらいをおしころして、とりあえず左掌を後ろ腰にまわした。
 そして立ったまま、こころもち脚をひらき、
 二本の指に力を渾めてゆっくりと尻の双丘をおしひらき、明るみにさらす。
 ふだんは秘めやかにけっして外気にさらされない、双丘の谷間の処女地。
 その部分の清楚さは、ニコルのみならずこの船のお嬢様たち全員に共通する属性
だったかもしれない。
 ニコルがどれほど蓮っ葉なはねっかえり娘であろうと、また父親がイタリアン・
マフィアの首領であろうと、
 それでも、この豪華学園船の在校生である限り、れっきとした箱入り娘には違いない。
 資産も名声もありあまっている上流階級の令嬢しか入学できないのが、この秘密の花園なのだ。
 いまだ男を知らない、咲き初めの花一輪のニコル・ジラルド。
その尻の双丘の谷間がたちこめる湯気にじっとりと汗ばみはじめていて、そして、

「くふうっ……」

 指を妖しく尻の谷間にくわえこんだまま、ニコルは鼻息を洩らした。
232タイトル「初夜」:02/01/22 19:09 ID:JPQ+A/Ap
 こころもち背がそらされて腰を突き出す。
 指先に触れたむずかゆいような感覚に、わずかに戦慄が奔(はし)ったのだ。
 むずかゆさは、浴びているシャワーのもたらす異和感だった。
 温水がおしひらいた尻の谷間に沿って這い落ちてきて、ぬるぬると指先に――そしてまた、
触れているひっそりと息づくすぼまりに、執拗にまとわりついてくるのだ。
 不可解な感覚だった。まったく、我ながら緊張しきっている。
 使い慣れてきたはずのシャワーの温水が、今夜にかぎって、まるで杏里の舌であるかの
ように錯覚してしまうなんて。
 もちろん、ニコルは他人に肌を舐められた経験などない。
 ないのだが、つい生々しく想像してしまうのだ。
 杏里のあのつづけざまに愛の言葉をつむいできた舌づかいが、ベッドの上でも雄弁に
語りかけてきておのれを鳴かせる、その有様を。

(う……なにあたしってば妄想してるん)

 ニコルは首を振って、鮮明すぎるヴィジョンをかき消そうと努めた。
 すぼまりに押し当てた指に、わずかに圧力を加える。
 やらないで後悔するよりも、とにかくやってみて自爆してから後悔する――それが彼女の
長年の信条だった。

(洗っといたほうがいいんだろうな、奥まで。
 まあ、バージンのあたし相手にソコまで無茶しかけてくるとはさすがに考えられねえ
けど、やっぱいちおう。
 ……それに、こっちもだな)

 あいていた右掌を前にまわして、下腹部からまばらな柔毛(にこげ)の茂る秘所に
這わせる。
 まだ指を差しこむ気はない。
 二本の爪を唇にひっかけてドアをひらき、指先の触感で女としての微妙な体調を
おしはかる。
 そうやって立ち尽くしたままひどく無防備に、あられもなくおのれの指で二輪の初花の
蕾(つぼみ)をほころばせながら、
 湯気で曇った大鏡のまえで、生まれたままのすがたのニコルは、ぼやけたおのれ自身へ
苦笑を投げかけた。
233タイトル「初夜」:02/01/22 19:10 ID:JPQ+A/Ap
 明日から――いや、今夜から、じぶんは杏里の恋人になる。
 ずっと待ち望んでいたのだ。あの浮気性の無邪気な純粋バカに身をまかせ、おなじ
ひとつのベッドで朝を迎えるのを。

(……とりあえず、ボクをセンパイって呼ぶのも変えてくれるかな。ニコル)

 ついさきほどの、杏里の懇願が思い出される。
 他のどんな上級生にむかっても、ニコルは先輩よばわりなどしない。
 年上や教師相手でもタメ口しか叩けない、そんな性分が他人に好かれもし、また鼻持ち
ならない高慢さと嫌われる理由でもある。
 それは承知なのだが、持ったが病で治せないのだ。
 実際のところ、彼女はこれと見込んだ連中には、言葉尻でなく語調や話す内容で敬意を
伝えていた。
 その言葉遣いの乱暴さに憤るのは、真の礼儀正しさというものをはきちがえていたり、
何年か早く生まれたというだけの根拠で他人に隷従を求めたり、ひとりの少女の尊敬に
値しないおのれ自身の醜悪さに逆恨みを抱いてしまったりする、
 そんな躾のなってないお嬢さまがきわめて多い。
 だが、ニコル当人はまだ、そこまで気づくだけの眼力なり世間知なりを育ててはいない。
赤の他人に関心を覚えられる年齢ではないのだ。
 気づいているのは、杏里に惹かれている自分。
 それにもかかわらず本質はレズビアンではありえない自分。
 だからこれまで故意のセンパイよばわりによって、無言のうちに女である杏里の求愛を
かわしつづけてきた、自分。
 だがもはや、自分を偽るのは限界だった。

(あたしってば、杏里に惚れてやがる……)

234タイトル「初夜」:02/01/22 19:11 ID:JPQ+A/Ap
 しかも、本気の恋だ。
 女子校でありがちだという、魅力ある上級生へのほのかな憧れ――
 そのような甘やかな代物ではない。
 それは、杏里あいて以前にも恋の経験があるからよくわかる。かつての恋心といまの
それ、たがいのボルテージの高さを比較して判断できるのだ。
 この年齢で初恋というほど、晩稲(おくて)なニコルではなかった。
 そして、かつての恋の対象はいずれも男だったのだ。
 だからこそ断言できる、自分がレズビアンでないと。

「杏里……」

 みたび、ニコルはちいさく囁く。
 これからしでかす秘め事を、おのれにさえ認めたくないというように、ちいさく潤んだ
声音で。

(抱かれるまえに丁寧に洗い清めとくのは、礼儀ってもんだろ……)

 立ったまま右脚を白大理石のバスタブのへりにかけ、洗いやすいようおおきく膝を
立てる。
 ――煽情的なポーズだ。
 だがこれが掛け値なしにもっとも、少女の部分を洗いやすい姿勢なのだ。あまり
認めたくもないが。
 いつも想いを馳せてしまうのだが、今後なにもかもうちとけた恋人ができても、
シャワーシーンだけはのぞかれたくない。
 身体を洗うという至極真っ当な営みのために、じぶんを含めた少女たちがどれほど
あられもない姿態をとらざるをえないか知っているから。
 やけどを避けてお湯の温度を慎重に下げながら、ニコルは髪と同色の淡い亜麻色の翳り
に、シャワーを当てた。
 軽く腰をひねって、流水が奥まで届くようはからう。
235タイトル「初夜」:02/01/22 19:14 ID:D7Q+ekZ8
 右掌でシャワーのノズルを握り、左掌で若草をかきわけつつ指をくぐらせて泡立てる――
もちろん破瓜をおそれて奥深くまで荒々しく抉りはしない。
 ほとばしるぬるりとしたボディーソープ混じりの温水だけが、あますところなく未通の
胎内を浸し、溢れて内腿をつたっていく。
 そのむずかゆさをこらえて二本の指先をこねあわせ、水音を立てつつ内壁をこすり
つづける。
 細かな襞(ひだ)すべてを丁寧に洗うのは結構まどろっこしい作業だ。
 指が届きにくい辺りを清拭するには、片膝を立てたまま腰をあおり、いろいろと
シャワーの角度を変えたりしなければならない。
 それは恋人どころかおなじ女にさえ、のぞかれたくないシチュエーションの第一だった。
 そうこうしているうちに、いつものように狭くて柔らかい粘膜のすべりが次第に良く
なっていった。
 浅い胎内で泡がはじけ、とろりと流れ出るむずかゆさが勢いを増す。
 ――いや、いつもとは違うと知っている。本当は。
 昨日までと変わらぬ指づかいの清洗をくりかえしていても、今日という夜はただ一度
なのだ。恋の相手と、はじめて肌をかさねる夜なのだ。
 初夜の怖れと期待に身を震わせる花嫁さながらに、秘肉は奥から疼いて熱くせわしない
吐息を洩らしつづけていた。
 いつもより胎内の空気が火照っているのが、指にはっきりと感じとれる。
 昂奮しているのだ、心も身体も。

「くうっ……」

 にじみでてくる快楽のシロップをおしとどめようと、つよく下唇をかみしめた。
 オナニーすら初体験だと、そんな嘘っぱちの綺麗事をつこうとは思わない。
 だがシャワーなど毎日浴びているのだし、そのたびごとに指遊びに興じるほど酔狂
でもなかった。
 ありていにいって、のるかそるかの船倉賭博のほうが、このいっぱしのギャンブラーに
とってはずっと深い陶酔を味わえたのだ、きのうまでは。
 そう、杏里と結ばれる覚悟を決めた、きのうまでは。

236タイトル「初夜」:02/01/22 19:15 ID:D7Q+ekZ8
 紅く勃ちあがりかけているクリトリスに伸びようとする指を、危うく意志の力で
ひっこめる。
 これほど敏感で傷つきやすい箇所ならば、洗うときも爪など立てず慎重に、丹念に指の
腹でこすりあげていくしかないのだが、
 ……そうすれば、どうしたってニコルの幼い性感は刺激されてしまう。
 処女とはいえその手の快楽にまったく無知なわけではないとは、先にも述べた。
 つまり、しばらくそうして指の抽送をくりかえしていくうちに、
 ――ちろちろとくすぶり悶える性火が、清らかな身体の芯をとろかしはじめてしまう
のだ。
 挿しこまれた指は、弱電流の電極をおもわせた。腰の中心からくすぐったいような
快感のスパークがはじけ、じんわりと思考が麻痺してゆく。
 浴室にたちこめる湯気より濃密なもやが脳裡にただよいはじめ、指のうごめきがより
遠慮なく快楽をむさぼるものにかわろうとするのを必死でおしとどめねばならない。
 そこへシャワーのゆるやかな刺激が拍車をかける。
 へそが、下腹が不規則にへこみ、内腿がひきつって脚がバスタブから滑りそうになる。
 指をカギ型に曲げたときの骨関節の硬さが焦れったい。
 そして大粒の汗がふきだし、がくがくと膝が笑いはじめる。

(……あたしはっ、身体洗いにきたんだろココにっ)

 叫びたてる理性の主張が、次第にどうでもいいたわごとに聞こえてきてならないのだ。
 ――シャワーの水流のぬるさが気に食わない。
 コックを全解放してもっと熱く、勢いよく責められたいのだ。ノズルを直接股間に
押しつけたいのだ。いやそれだけではまだ足りない、もっと奥へ、奥へねじこんで――

(って……マジヤバすぎっ!)

 おもわず、ニコルはノズルをほうりだしてしまった。
 膨れあがって脈打つ妄想に、本能で危険を感じたのだ。
237タイトル「初夜」:02/01/22 19:16 ID:D7Q+ekZ8
 同時に腰が砕けてしりもちをつき、くわえこんだままの指がとんでもない部分を弾いて
ぐちゅん! と甘露にぬめる。
 おもわず手の甲に爪を立てた。
 さらにもうひとつ不意を突かれて、ついにこらえていた、うわずった呻きが甲走る。
 一糸まとわぬ火照った尻でぺたりと座り込んだ大理石の床の、その冷たさに電流をうち
こまれたのだ。
 うわずった、甘やかな呻き――嬌声。喘ぎ声。罪深い手淫と女どうしの快楽を求めてやま
ぬ発情期の猫のさかり声。

(この指が杏里のだったら)

 甲走った喘ぎは杏里を求めていた。とどろく耳鳴りは、たったひとり杏里の名だけを
叫んでいた。唐突な性感の激発に理性のタガがゆるみ、本心が猛り吼えた。
 杏里が欲しい。
 ただ、欲しくてたまらないのだ。
 それが掛け値なしに唯一の渇望だったのだ。
 心のひと欠片(かけら)、身体をめぐる血の一滴にいたるまでなにもかもが、そのひとの
ために存在しているように信じられたのだ。
 すべてを求め、捧げたかったのだ。
 だれともこれまで結ばれた絆のない処女にとり、初めての相手はすなわち全世界と等価
である。
 理屈ではない。こらえきれなかった呻きがすなわち、杏里を恋せずにはいられなかった
ニコル・ジラルドの懊悩と至福の象徴だったのだ――。
 そう、懊悩と至福――性嗜好きわめてノーマルなはずのニコルが同性の杏里を恋する、
そのことの真の意味。

(なんでひとりHなんだろ。なんで女どうしなんだろ……)

 壁へもたれかかって荒い吐息をつきながら、ふと底深い疑問が脳裡をよぎる。
だがそれも一瞬だった。
 ――おのれの想念に気をとめていちいち考察する習慣は、この少女にはない。
238タイトル「初夜」:02/01/22 19:17 ID:D7Q+ekZ8
(で、おつぎは、こっちかよ……)

 とろんと混濁しかかった意識で、ためらいすら忘れてそこに指をあてがう。
 それまでかろうじて堪え忍んできた快楽の喘ぎをあっけなく「おもらし」してしまい、
もともと軋(きし)んでいた理性の首枷に音立てて亀裂が入ったのだ。
 ハスキーヴォイスが昂ぶるわななきは麻薬の異様な快美感をもって、ニコルの理性を
根底から揺さぶった。
 おのれの咽喉からさえずりでた、聴き馴れない他人の声――
 それはどうしようもなく初々しくそして艶めかしく、震えおののく衝迫力をもって
日常性を破壊したのだ。
 熱したバターさながらにいつもの自分が濃厚にとろけてゆく、そんな忘我の悦楽を
もって。
 ほころんで半開きに舌の覗いた口唇から、そして独白が呟かれる。
だれにも、ニコル本人にさえ聞きとれない、熱に浮かされた淫蕩なうわごとが。

(…………)

 そうなのだ。杏里に抱かれる準備に、身体のあらゆる部位を洗い清めなくてはならない。
相思相愛の恋人に抱かれる準備として。
 壁にもたれかかったまま、素裸の両膝をひらいて立てる。
 口許をゆがめて鏡に映ったその姿態を見やり、夢うつつにまだ開脚ぐあいが足りないと
断じた。腰が引けている。

 もっとだ――

239タイトル「初夜」:02/01/22 19:20 ID:O8LAZaKF
 ひとことそう呟き、透明な蜜に濡れそぼったおのれのサーモンピンクに魅入られている
かすんだ青瞳は、すでに正気を踏み外しかけていた。
 踏み外したその先は、色道のちまただ。ニコルは恋に堕ちていたのだ、みずから望んで。
 奈落の果てまで杏里とともに堕ちてゆきたい。
 マフィアの首領の家柄もちっぽけなプライドもなにもかも放り出して、杏里の大勢の
恋人のひとり――『仔猫ちゃん』の一匹に落ちぶれたい。
 そうして報いのすくない恋に身を焦がしていたいのだ。
 それでも後悔などけっしてしない。杏里・アンリエットはそれだけの価値のある女なの
だから。
 だから、もっともっともっと内奥をさらせ。すべてを晒せ。なにもかも曝せ。
 初夜におもむく恋人の愛欲のまえに、なにひとつ隠す怯惰は赦されない。
いまからその心構えが必要なのだ。
 誰にも人目に触れさせたことのない陰微なひそまりを、どうしても目を背けてしまう
恥じらいに責め苛まれてももっとすべてを露わに。
 そう、こんなふうに――

 こんなふうに、
 へたりこんで片膝を立てたまま脚を左右に投げ出し、もたれた壁をなかばずり落ちて、
 腰に敷いたその掌の中指を、無毛の幼女をおもわせる尻のすぼまりに深々と突き立て、
抉り、
 そして泡まみれの抜き差しに時折しゃくりあげる痴態をひとり、繰りひろげながら。

240タイトル「初夜」:02/01/22 19:21 ID:O8LAZaKF
(杏里ぃ……)

 きらめく鏡は、一点の曇りもない冷徹さをたたえてあからさまに浴室のあるじの艶姿を
注視している。
 こびりついた湯気は、すでにニコル自身の手で拭われていた。
 そのなかに映る、すぼまりを清める指――柔らかに紅潮した双丘の奥処を泡だて、
揉みほぐし、マッサージして清める細く骨ばった硬い指肉。
 ぐちゅぐちゅと、あぶくまみれに容赦なく後ろの粘膜をこすりたてるその抜き差しが、
はっきりと見てとれる――視野をさまたげるわずらわしい柔毛は、そこには茂っていない
から。
 あたかも幼女の股間のごとくすべらかに肌理(きめ)こまかいちいさな尻のそのすぼま
りに、
 ぐねぐねと鎌首をもたげる小蛇の指がぬめらかに根元まで喰いこみ、清めつくすさまが
見える。
 掌に全体重をあずけて深々と喰いこんでいる、あてがった中指――

「くううっ……ん!」

 一声放って、ずるりと中指を抜き出す。
 もう充分だ。
 指で後ろを弄ったのはこれがはじめてなのに、杏里を想っていると天井知らずに性感が
沸騰しそうで怖い。
 それにうっかり処女膜を破る心配もいらないその部分への激しい抽送に、おぼれこんで
しまうためらいも覚えたのだ。

(早く、いかなくっちゃ……)

 丹念に泡を洗い流して、濡れた身体に下ろしたてのバスローブを羽織り、よろめき
ながらニコルは脱衣所のドアをあけた。
241タイトル「初夜」あとがきもどき:02/01/22 19:25 ID:O8LAZaKF
以上です。
僕はライアー信者なんで、ついはじめてのSS投稿なんてやってしまいました。
あんまりいい出来じゃないかもしれませんが。
242またまた家族計画1:02/01/24 18:29 ID:n71iif5l
 高屋敷司、自室で休養中。
 窓から見える外の景色が次第に闇を帯びてくる。
 いつもは何かと騒がしい高屋敷家だが、たまにはなにも起こらない
 平凡な日もある。
 ちょうど、今日のような日だ。
 こういう日は出来る事なら最後まで穏やかでいて欲しいのだが、
 そう上手くいくものかどうか。
 ……あ、そうそう、あらかじめ断っときます。
 俺はロリコンだ。
 俺はペドフィリアかもしれん。
 俺は変態と言われてもそれを否定する事は出来ない。
 何故なら、俺は高屋敷家の末っ子こと高屋敷末莉に、並々ならぬ
 劣情……いや、愛情を抱いているからである!
司「ぐああ」
 情けなくも認めざるを得ない現実に一人悶える。
 俺ってば、ロリータコンプレックスだったんだよ。
 世間が言う所の『真性』なんだよ。
 もう劉さんや寛を変態呼ばわりも出来ないんだよ。
 しかし。
 それでもなお、『変態』と言うレッテルを貼られてもなお、俺の
 末莉に対する欲ぼ……いやいや、想いは微塵たりとも変わらない。
 ……まあいいさ。
 一度認めちまえば楽なものよ。
 しょーがねーべさー、ええものはええんよ。
 たまらんのよ。
 あの不純物0%の白をさらに漂白したような、美しい肌。
 小動物並みの胆力で精一杯自己の存在を主張し、いらん子にならん
 よう努力するあの健気な姿。
 一時期鬱陶しいと思ってた自分にデンプシーロールでもお見舞い
 したいくらいだ。
 そして、何はなくともあの瞳。
 憂い、儚さ、尊さ、慈しみ、愛らしさ、思慕。
 様々な苦しみや悲しみを乗り越えは出来ずとも、必死で頑張ってきた
 からこそ宿る偽りなき魅力。
 何者をも惹き付ける、揺るぎ無き魔力。
 その瞳で見つめられたら、上目遣いで見つめられたら。
 ああっ、俺は、俺はあっ……!
末莉「おにーさん?」
司「うわああああああああああああああああ!?」
末莉「ひあああああああああああああああああっ!?」
 突然の、あまりに突然の末莉の声に断末魔の声かとさえ思われる声を
 上げた俺に驚いて断末魔の声かとさえ思われる声を上げる末莉の図。
青葉「やかましいわよ!」
 住民からの苦情。
 もっとも、声だけで姿はなかったが。
司「ま、末莉。部屋入る時はノック」
末莉「したのですが……」
司「え、マジ?」
 全然気付かなかった。
 やはり、自室とは言え、さらには妄想内とは言え暴走はよくないな。
 以後要注意だ。
 下手に思った事を口走ってしまい、家族の皆から既知外扱いされる
 のは勘弁願いたい所だし。
243またまた家族計画2:02/01/24 18:31 ID:n71iif5l
末莉「ところでですね」
司「あ、ああ。何だ?」
 秘めたる想いとは裏腹に、クールな態度。
 今はまだ、いろんな意味でこれが正解だと思う。
 今はまだ……な(←意味深な笑み、ただし表情には出さず)。
末莉「おにーさんは暇でいらっしゃいますか?」
司「ん、まあ暇といえば暇だが」
 妄想<実物。
末莉「でしたらその……御一緒して欲しいのですが」
司「ん? どこか行くのか?」
末莉「はっ、買い物に」
司「ふむ……」
 すでに答えは決まっているのだが、思案するかっこよさげな俺を
 見せる為にあえて悩むフリなどをしてみる。
末莉「……」
 不安と期待の入り混じった顔。
 ああっ、この不安定さがたまらん。
 父性の部分と淫靡な部分の両方をくすぐられたような気分になる。
司「ま、いいだろ」
 たっぷりとその気分を堪能した後、俺は快諾の意をクールに唱えた。

 買い物を終え、帰宅途中。
末莉「安く買えてよかったです」
司「そうだな」
 ニコニコと笑う末莉の斜め後ろ14.5°のポジション(←横顔及び
 全身が横目ではっきり見えるギリギリの角度)常にキープしつつ、
 足取りも軽やかに歩く。
末莉「あのー」
司「ん?」
 末莉が横目で俺を見る。
 その顔に少し赤みがさしているのをこの俺が見逃すはずもなかった。
末莉「公園に寄って行きませんか?」
司「え? あ、ああ」
 たまに、俺はある一つの仮定を限りなく事実に近いと実感する
 事がある。
 こういう時もそうだ。
 買い物による荷物を全部持つ俺を休ませようという心遣い。
 そして、一秒でも長く俺と二人っきりになりたいという健気な心。
 俺は、末莉に慕われている。
 つまり、俺たちは相思相愛なんだ!
 『妹よ 君の瞳に 恋してる』
 昔の月9ドラマのタイトルをを繋ぎ合わせて作った川柳を心で詠い
 つつ、俺は末莉と共に公園へと向かった。
244またまた家族計画3:02/01/24 18:34 ID:n71iif5l
 公園は夜になるとカップルの住処となるはずなのだが、
 人気は余りなかった。
末莉「今日は人が少ないですねー」
司「そうだな」
 まるで俺たちの為に席を空けてくれたかのようだ。
末莉「座りましょうか」
司「うむ」
 ベンチに腰掛ける。
司「……」
末莉「……」
 沈黙。
 しかし、気まずさは微塵もない。
 何故なら、俺は興奮しているからだ。
 意味不明?
 バカ言っちゃいけませんよ奥さん。
 夜。
 野外。
 二人っきり。
 そして、末莉。
 劣情を催すキーワードは幾らでも転がってる。
 だが、それを表面には出さない。
 最後に残った僅かな理性が必死で戦っているからだ。
 今はまだ我慢だ、司。
 いずれ然るべき時が来れば、一気に……そう、一気に爆発させるんだ。
 マグマのように煮えたぎるあの博諾駅(←倫理的圧力による矯正
 変換)を、末莉のあどけなさと端正さを兼ね備えた顔に、胸に、
 哀香便(←同上、ただし若干の卑猥さが残る)に……。
末莉「あ、さっき買ったバナナでも食べましょうか」
 バナ〜ナ!?
 食べるんですか?
 あれを、末莉があれを、まだぎこちない舌使いで舐めるんですか?
 (妄想による暴走)
司「よし食べよう今すぐにだ」
末莉「はい!」
 末莉は元気よく返事すると、俺の足元にある買い物袋に手を伸ばそう
 として、
末莉「うあっ」
 バランスを崩した。
 結果、俺の膝元に倒れこむ。
司「……おおうっ」
 鼻腔を揺さ振るフローラルな香りが、末莉の『女』を否が応でも
 意識させる。
末莉「あ、あの……」
 真っ赤な顔で俺を見つめる末莉。
 ゴクッ。
 思いがけず、いい雰囲気になった。
 末莉の目がみるみる内に潤んでくる。
 魔力に満ち溢れる。
司「な、何だイ?」
 もう思考が会話に入る余地がなくなってきた。
 本能がそのまま言葉になる。
末莉「わ、わたし、その、おにーさんが……」
司「……」
 言うのか?
 言っちゃうのか?
 俺の頭の中にある、理性の残兵どもが次々と敗走していく。
 よし!
 こうなったらもうなるようになれだ。
 俺は、お前の全てを受け止めて……。
245またまた家族計画4:02/01/24 18:36 ID:n71iif5l
景「さーわーむーらーくん!」
司「にょぴゃあっ!?」
景「うわ、なんつー珍妙な叫び声」
 声を掛けてきたのは久美だった。
 Shit!
 こんないい所で邪魔が入るとは!
 せっかく末莉が……。
末莉「おにーさんが、好きです!」
司「……」
景「……」
 なにーっ!?
 末莉は恥ずかしさのあまり目を瞑っていた。
 発する言葉に全てを集中させていたので耳も聞こえてなかった。
 結果、久美の登場に気付かなかったという訳だ。
末莉「おにーさんは……わ、わたたっ!?」
 末莉を無理やりひっ捕えて退散を試みる。
景「待ちな」
 ガシィッ!
司「うおおっ!?」
 ものすごい握力が俺の肩を掴んで離さない。
景「さ〜わ〜む〜ら〜く〜ん!?」
司「ま、待て! これは違うんだとにかく違うんだ」
景「ほほー、この恋する乙女の目を見てもまだそんな戯言を?」
 久美は末莉の目を指した。
 きらきらり〜ん。
司「おああっ」
 あまりの眩しさに目を覆う。
 まさに、恋する乙女の眼差しだった。
景「さあて、詳しい事は署で聞こうじゃないの。大人しくついて
  らっしゃい」
司「犯罪者っスか!? 俺って犯罪者なんスか!?」
景「来いやオラ#」
司「ノーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」
 俺は久美に連行された。
末莉「ああっ、何がなにやら」
末莉「おにーさーん! 何処へ〜っ!?」
 末莉にはあたふたするだけしか出来なかった。

 ちょこっとだけ月日が流れ……。
 俺は家族と少数の知人から『ペドフィリア沢村(←すでに他人扱い)』
 などと呼ばれ、あまり口を利いてもらえなくなっていた。
 それでも、
末莉「私は……幸せですよ?」
 そう言ってくれる末莉の笑顔がある限り、俺はあえてその汚名を
 称号と呼ぼう。
 俺の名はペドフィリア沢村。
 褐色の弾丸となって、21世紀の荒波を裸一貫で駆け抜ける男。
246もいっちょ家族計画1:02/01/24 18:39 ID:n71iif5l
 西暦2×××年。
 人が集い、人が戯れ、人が支配するとある世界に一つの異変が起こった。
 ――支配者の陥落。
 それは即ち、新たなる世界の幕開けを意味していた。
 このような事態は今に始まった事ではない
 人は世につれ世は人につれ、時代が変われば自ずと最高権力者も変わる。
 ただ、世界のTOPに君臨する者が『人間』以外であるというのは、実に
 数百万年ぶりの事だった。
 その支配者の名は『フォーゲル』。
 人と同じ姿格好をしているが、人ではない存在。
『魔物』と呼ばれる種族だ。
 人よりも総じて身体能力に優れ、人を狩り、人を貪る。
 彼らが人の世に蔓延るようになった事で、人は生態系ピラミッドの
 頂点から零れ落ちた。
 捕食される側に回ったのだ。
 勿論、そこで黙ってその存在に甘んじるほど、人は潔いものではない。
 徹底抗戦。
 それが、数百万年という期間この世界の王として君臨していた『人間』
 という種族の出した、愚かしくも勇敢な回答だった……。

 沢村司。
 年齢――二十歳、趣味――特になし、特技――料理・ツッコミ。
 ……職種――フリーター。
 それが、俺こと沢村司の主なパーソナルデータだ。
司「……はぁ」
 自分の事を正直に書いただけなのに、ちょっとブルーが入る。
 いい年こいてフリーターなのはこの際いいとしよう。
 趣味もまあ……なくていいとは言わんが、特に問題はない。
 そう、問題なのは、この『特技』という欄だ。
 ここは絶好のアピールチャンスだというのに!
司「嘘は泥棒の始まり、か」
 誰から教わったかなどとうの昔に忘れてしまったが、ひどくありふ
 れた諺を口にしてみる。
司「……ま、いっか」
 泥棒の始まりならまだ後でどうにでも矯正できるだろ。
 問題なのは、現在なのだから。
 よく解らないこじ付けで自分を納得させた俺は、特技の欄に
 『功夫(クンフー)』と付け加えた。
247もいっちょ家族計画2:02/01/24 18:45 ID:n71iif5l
 魔物危機対策委員会、通称『MMC』。
 日本における魔物に関した問題はすべてこの組織が受け持っている。
 もっとも、日本国の魔物に対する対応は世界のそれから大幅に遅れを
 取っており、その組織規模は決して巨大とは言い難い。
  理由は簡潔。
 現在の日本における魔物の被害・損害の数は決して大きくはない、
 と言う事だ。
 人間が起こす犯罪に比べれば、それこそ物の数ではない。
 そして、その戦力も対人間用に構えた自衛技術で十分フォロー
 出来得る範囲のものなのだ。
 何の事はない。
 MMCはその存在を必要とされていないのだ。
 では何故このような組織が存在しているのかと言うと、つまる所
 ……世界に対する体裁。
 それだけだ。
 魔物の被害件数及びその生息数は国によってまちまちだが、世界一の
 経済を誇るアメリカ、世界一の国土と人口を誇る中国をはじめとした
 強国は軒並み莫大な損失を受けている。
 特にアメリカは事実上侵略されたと言ってもよいぐらいだ。
 だが、日本にはほとんどその害が見られないのは何故なのか。
 理由は二つ。
 一つは、この国は経済や技術こそ世界有数の強国であるが、それ以外
 の、特に自然に関した部分では非常に粗である、と言う事だ。
 魔物は日本を貧弱な土地と判断したのだ。
 それ故の優先度の低さがこの国の侵略を遅らせている。
 魔物が現れて以来、始めの内こそ緊張感を保っていたが、数年、十数年
 と経つ内にすっかりそれがなくなってしまった。
 そして、もう一つの理由があるのだが……これはまた別の機会に記す
 としよう。
 MMCは日本における魔物に関した問題を全て受け持っている。
 ……額面上は。
 しかしほとんど予算の回って来ない現状では、せいぜい相談や街の
 パトロール、小規模の戦闘による標的の打破が精一杯だった。
 後一つ。
 有志の募集――。

司「すいませーん」
 仰々しい建物の中に入ると、そこはひどく寂れていた。
 閑古鳥が鳴くとはこのような場所を言うのだろう。
 横に長く伸びた窓口にはほとんど受付人はおらず、待機用のパイプ
 椅子には紙くずが乗っていたり軽くサビが見受けられたりした。
 場末の職安……。
 そんな感じだった。
 いや、行った事ないけど。
司「すいませーん!」
 さっきより強めの声で人を呼ぶ。
 そして待つ事数十秒。
?「……」
 男は返事もせずのそのそとやって来た。
 五十代ぐらいか、白髪混じりの髪を短く刈り上げている。
 太い眉はいつぞやの総理大臣を連想させた。
 こいつが受付人って事か。
司「あの、ここで受け付けているって聞いたものですから……」
 そう言ってあらかじめ記述しておいた申込書を見せる。
『魔物危機対策委員会 入会申込書』
 簡単な履歴と顔写真を載せたその紙は、とても薄っぺらかった。
248もいっちょ家族計画3:02/01/24 18:47 ID:n71iif5l
?「……」
 男は無言でそれを受け取る。
 何か言えよ。
 こっちはわざわざ今のバイトを辞めてまで来たんだぞ。
 そんな態度で、こんな場所でじゃ……後悔しちまいそうだ。
男「……動機は?」
司「……は?」
 待望の一言目は意味が不明瞭だった。
男「委員会に入りたいっていう理由だ」
 吐き捨てるようなその声でようやく理解する。
 動機。
 勿論用意してある。
司「昔、両親を亡くしました」
 これだけ言えば解るだろう。
 特に深い傷がある訳でもないが、堂々と言うのも同情を買うようで
 気が引けた。
男「……」
 男は表情を変えない。
 一貫して、つまらなそうな、覇気のない面。
男「くだらねぇ、な」
 そのままの顔でそう吐き捨てた。
司「……」
 ムカッときた。
 けど、そこで突っかかるほどガキじゃない。
 一応、それなりの覚悟で来たつもりだ。
 ギリギリではあるが予測の範囲内だ。
司「くだらない、ですか」
男「ああ、くだらん。実に不愉快な理由だ」
 男の顔が少し赤らんでいる事に、そこで気付いた。
 怒り、か?
男「敵討ちで就職活動? 馬鹿馬鹿しい。お前は一体いつの人間だ。
  情けなくないのか?」
司「なっ……」
男「いいか、はっきり言ってやる。ここを見りゃ解ると思うが、
  この組織は決して裕福な職場じゃない。無駄飯食らいの無能職員
  なんぞ雇う余裕なんて、ノミの心臓サイズもありゃしないんだよ」
 淡々と、そして嫌悪を隠しもせず、男はそう言葉を紡いだ。
 無駄飯食らいの無能職員だと?
司「まだ職員にもなってない人間にいう事じゃないと思いますが」
 言葉に明らかな不快感を乗せたのは久しぶりだ。
 だが、男はまったく同じない。
 ガキの戯言と言わんばかりに。
249もいっちょ家族計画4:02/01/24 18:49 ID:bsrA9Vrl
司「俺がそうなる、と言いたいんでしょうけど」
男「解ってるじゃないか」
司「なりませんよ。ちゃんと働きます」
男「敵討ち、と言う理由でか?」
 男は笑った。
 勿論、嘲りを込めて。
男「なら聞こうじゃないか。もしお前の両親を殺害した魔物を見つけ
  たら、お前はどうする?」
司「……」
 その問いの趣旨に若干思う所があった。
 だから、即答を避けた。
男「なるほど、少しは頭が回る」
 これは面接だ。
 この男は今、俺と言う人間を試している。
 挑発とも取れたあの笑いから、それを汲み取った。
男「質問を変えよう。お前さんは人を殺せるかい?」
司「どういう……事ですか?」
 今度は真意の全く読めない質問。
 戸惑いが言葉に出た瞬間、僅かに後悔した。
男「言葉のままの意味だ。お前さんに人を殺せるか、と聞いてるんだ」
 男の表情に揺らぎはない。
 ただ静かに、こちらの答えを待っている。
司「……場合によります」
 少しの時間で考えをまとめ、簡略に答えた。
男「ほお。ならその場合とやらはどのような?」
司「自分が殺され掛けた時、自分の大切なものが壊されかけた時です」
 端から持っている思想だった。
男「ふ、ははは!」
 男は笑う。
 今度は本当に愉快そうに。
男「なら、それ以外の時は殺せないと?」
司「ええ」
男「笑わせるな!」
 初めて見せた、解りやすい感情。
 怒。
男「人を殺せない者に魔物が殺せると思っているのか!? いいか、
  奴らは俺達と同じ格好をしているケースがままあるんだ。それを、
  人と同じ顔、同じ身体をした奴らをお前はどうやって殺すんだ!?」
司「……」
 反論の余地がないほどの正論。
 そして、真意をついた言葉にはいつだって棘がある。
 真実とは、過酷なものだから。
男「……帰れ」
 男は静かに宣告した。
250もいっちょ家族計画5:02/01/24 18:54 ID:bsrA9Vrl
司「待ってくれ」
 俺は、その宣告を拒否した。
 これから言う言葉は、おそらくひどく幼稚。
 そして、情けないほど真実の俺だ。
 己を晒す覚悟に呼吸を一つ。
 そして、真摯な目を男に向けた。
司「両親を殺された事は……恨めしい。けど、それは大した理由じゃ
  ない。体裁のいい理由を挙げただけだ」
男「理由は他にある、と?」
司「ああ」
 一度不正解を出されたから別の理由を慌てて考えた。
 そう取られているだろう。
 それがないとは言わない。
 そして、それは俺の未熟さを雄弁に語っている事も否定しない。
 けど、これが俺の本当なのだから仕方ない。
男「いいだろう、話せ」
 何かを察したのだろう。
 男は態度を多少緩めた。
 よし。
 後は、強い決意と説得力を表現する。
司「俺は世界平和とか権力奪回とか、そういうのはどうでもいいと
  思ってる。どうでもよくないのは、理不尽な事だ」
男「理不尽……?」
 MMCのコンセプトとも言えるものの放棄より、男はそっちに
 興味を示した。
 勝機は、ある。
司「奴らが何の目的で人を襲い、人を食らうのは、俺達が牛や豚に
  やってる事と同じならば納得がいく。理屈では。けど、その結果、
  『俺』が両親を失ったのは納得いかない」
男「……」
司「顔も見た事の無い奴の不幸なんてどうでもいい。けど、自分の不幸は
  腹が立つ。それが逆らう事の出来ない強い力なら尚更だ」
男「保身……だな?」
司「その言葉が一番適当かもな」
 MMCに入れば、跳ね上がるリスクを条件に魔物に対抗する力を得られる。
司「襲われる確率は低いが教われたらアウト。襲われる確率は高いが襲わ
  れても抗う事が出来る。俺は、後者を選ぶ。一人で生きて行く為に」
 一人で生きる力をつける為に。
司「人は一人で生きて行ける。けど、それには条件が必要だ。それをここ
  で手に入れたい」
 屁理屈、だ。
 日本代表に選ばれる為に強いチームに移籍するサッカー選手と似ている。
 組織が求めるものと俺が求めるものとの間に接点は一つ。
 手足となる代わりに頑丈な手袋と靴を得る。
 そんな所か。
251もいっちょ家族計画6:02/01/24 18:56 ID:bsrA9Vrl
司「だから、自分にとって必要なら、例え相手が人の形態をしていた
  としても殺す。そうじゃなければ殺さない」
男「命令でも、か?」
司「命令を無視したらクビ、と言うのなら殺す」
 子供のような応答。
男「……っ、ははははははははっ!」
 咳を切ったかのように、男は笑い出した。
 さっきまでとは明らかに違う、楽の感情がそこに見えた。
男「そう言うのを世間で何というのか教えてやろうか?」
司「身勝手。もしくは我侭、だな」
男「或いは阿呆、だ」
 その通りだと思った。
男「なるほど、ようやく解った」
司「?」
男「いや、こっちの話だ。ははははは!」
 何がそこまで愉快なのかは解らないが、男は笑い続けた。
 そしてひとしきり笑い終えた後、
男「不採用」
 そう結論を唱えた。
252もいっちょ家族計画7:02/01/24 19:00 ID:bsrA9Vrl
司「……へビィだ」
 建物を出た所で、俺は一人嘆息した。
 世間が冷たいのは知ってる。
 一大決心だったんだ。
 賃金の高い今の職場を辞めたのも。
 一時期とは言え組織に身を置こうとしたのも。
 だが、一度拒否→本心を暴露→和解&採用という俺の目論みが
 成就する事はなかった。
 これで、職なし男決定。
 もう元の職場にも戻れまい。
 どうやって生活しようか。
司「……へビィだ」
 そう呟く俺の横を長身の女が横切った。
 長い黒髪。
 スラッとした、でもメリハリのある身体。
 そして、ゾッとするほど美しい顔。
司「……」
 少し、気になった。
 その女が向かっていったのが先ほどまで俺がいた、『魔物危機対策
 委員会 ○×支部』と銘打つ場所だったからだ。
 けれど、それが後をつけるほどの好奇心に発展する事はない。
 他人事だ。
 あの女が採用されようがされまいが、どうでもいい事だ。
 興味はない。
司「コンビニに寄ってかないとな」
 別の仕事を探さなきゃいけない。
 情報誌を購入する必要があった。
 暫くの間収入がなくなるが、まあ蓄えはそこそこあるし、大丈夫だろ。
司「……はぁ」
 ため息一つ。
 暫くやりきれない気持ちを整理して、整理がつきそうにもない事を
 確認したので歩き出す。
 その一歩を踏み出した時。
男「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
司「……?」
 遥か後ろからけたたましい悲鳴。
 さっきの男の声だ。
 何かあった?
司「……」
 俺は無言で踵を返した。
 今度の事象はそれほどの好奇心に発展したからだ。
 早足で先ほどの建物へと引き返す。
 重い足取りだった所為で殆ど進んでなかった為、すぐ現場に向かう
 事が出来た。
 しかし。
 その事が、俺のこれから先……人生すらも左右しかねない大事に至る
 事など、この時の俺には知る由もなかった。

(To be continued……?)
253名無しさん@初回限定:02/01/24 19:07 ID:bsrA9Vrl
>>242-245
題「21世紀を駆け抜ける褐色の弾丸、ペドフィリア沢村の苦悩と悦楽」
>>246-252
題「FAMILY PLOJECT」

前作、前々作を読んでくださった方、感想を書いてくださった方
どうもありがとうございます。
今回は短いのを2作まとめて投稿させていただきました。前2作とは
傾向を変えてみましたが、読んでもらえると嬉しいです。
254某スレなりきりさん:02/01/24 22:35 ID:hbyO/X7c
久しぶりに投稿します。鬼畜もの?なんで嫌いな人は見ないでくださいね。
特に純愛マンセーな人は……。

ちなみにCanvasネタです。
255〜Canvas black heart〜:02/01/24 22:38 ID:hbyO/X7c
プロローグ

「大輔ちゃん、まってよ〜」
 後から追いかける天音がオレを呼び止める。
 いつもいつも、こいつを起こしに行くと遅刻ギリギリだな。
 いくら幼い頃からの腐れ縁とはいえ、そろそろきちんと起きてもらいたいものだ。
 まあ、今は単なる幼なじみの関係ではないのだが……。
「大輔ちゃん、走るの速いよ。もっとゆっくり走って……」
「お前が遅いだけだ。そんなにいうならもっと早く起きたらどうだ。そうしたらオレの
 負担も楽になる」
 オレの言葉に、天音は少し頬を膨らませて抗議の表情を浮かべた。
「だって起きられないんだもん。しょうがないよ。でもあんな起こしかたするなんて。
 うう、ヌルヌルして気持ち悪いよぉ」
「なに言ってんだ、あんなに声を出してよがってた分際で。オレは別にしてやら
 なくても良いんだぞ。相手はお前だけじゃないしな」
 そう言いながら、先程までの行為を思い出していた。

 いくら起こそうとしても起きなかった天音。
 まあ、いつものことで馴れてはいる。
 起きない天音にしびれを切らして布団の潜り込み、天音のパジャマの下だけを
脱がすとそのまま挿入してやった。
 女の体というのは寝ている間にも多少は濡れているものだ。
 日頃から何度も抱いているせいか、以外にすんなりと中に収まる。
 しかし普段とは違い愛液が少ない分、かなりの摩擦感があり気持ちよかった。
 異変に気付いた天音は、目を覚ますと多少の驚きの表情を見せたが、すぐに
いつも通りの可愛い声を上げ始める。
 その声を聴きながら、ただ自らの射精感を味わうために腰を動かし、しばらくして
天音の奥深くに放つ。
 そして、中に残ったそのままで下着を履かせ、撫子学園の制服に着替えさせた。
 男の目から見て可愛い部類には入るだろう天音の下着が、男のものによって汚れているとは誰も思いはしないだろう。
 その秘密を知る優越感にほくそ笑む。
256〜Canvas black heart〜:02/01/24 22:39 ID:hbyO/X7c
「ねえ、大輔ちゃん。さっきのお母さんに気付かれなかったかなぁ?」
 心配そうに天音が尋ねる。
 だが、そんな心配は無用だ。
 天音は知らないが、オレの初めての相手は天音の母親だ。
 ○学6年の時、天音の母親を抱いた。
 それ以来天音の父親の留守を見計らっては幾度と無く抱き、今ではオレの体無しではいられないほどに調教済み。
 自分の娘である天音に対しても対抗意識を持っているらしく、天音との行為を告げると、オレから捨てられるのを恐れてか今まで以上に従順な奴隷となった。
 天音への調教がもう少し進めば、親子揃って調教するという楽しみがあるな。
「大丈夫だろ。それより急ぐぞ」
「ああ、ま、待ってよ大輔ちゃん。ちょっと垂れてきちゃったよ」
 天音の言葉に振りかえると、確かに言葉通り天音の柔らかな腿を伝って白濁の液が流れ落ちつつある。  
 それを天音が慌ててハンカチで拭いていた。
 まわりには同じく学校へ急ぐ人共がいる。
 どうやらバレてはいないようだ。
「本当に遅刻するぞ。ほら、急げよ」
「うん。でも走ったらまた流れ出ちゃうよ」 
「ったく、しょうがないな。ほら、あの路地に入って下着を脱げ。そして、その下着で
 拭き取れよ」
「えっ……、で、でも。」
「これは命令だ。お前は自分の立場わかってるんだろ。あの誓いを忘れたのか?」
 困惑したような天音の表情。
 その天音に対して有無を言わせぬ口調で告げる。
「う、うん。大輔ちゃん命令だもん。わたし言うこときくよ」
 そう言ってそそくさと天音は路地裏に入っていく。
「ちなみに今日一日ノーパンで過ごせよ。あんパン娘がノーパンか。くくく」
 オヤヂ臭い発想に思わず声を漏らして笑ってしまう。
「うう……誰かにみられたらどうしよう」
 恨めしそうな顔をしながらも下着を下ろす。
 自らの指先で閉ざされている花弁を開くと、また新たな白濁があふれ出してくる。
257〜Canvas black heart〜:02/01/24 22:40 ID:hbyO/X7c
 ポトリと乾いた路面に白濁の液が落ちていく。
 黒いアスファルトと白い精液のコントラスト。
 さわやかな朝の一コマの中での非日常。
 オレの目の前にいるのは……そう、オレの奴隷。
「ほら、きちんと指を中に入れて掻き出せよ。残ってると困るだろ。きちんとオレから
 見えるようにしてやれよ」
「うん。大輔ちゃんの言うとおりにするから……」
 わざと意地悪く言うオレの言葉に従い、スカートの裾を腰のベルトに挟み込む。
 局部がオレの前に晒らされる。
 天音の顔は羞恥のためか、それとも興奮のためか赤らんでいる。
 そして、二本の指をゆっくりと自分の中へと入れていく。
「あ……あん」
 天音が鼻にかかった甘ったるい声を漏らす。
 既に濡れているのかクチュクチュと言う音も聞こえる。
 膣壁に付着した精液をこそぎ落とすたび、ポタポタとアスファルトに精液が流れ
落ちていく。
 その光景を見て、先程出したばかりというのにオレのモノが既に熱くなっている。
「天音、ちょっとしゃがめ。指動かすのは止めるなよ」
 ズボンの中から既にいきり立ったオレのモノをとりだし、命令通りにしゃがんだ顔の前に差し出す。
 天音は何も言わず、それを口に含んだ。
 それから口をすぼめ、ゆっくりと顔を前後に動かし始めた。
 だが興奮の最高潮にいるオレにとって、その刺激は弱すぎる。
 天音の頭を両手で押さえ、激しく喉の奥の粘膜を叩く様に激しく腰を打ち付けた。
 天音が何度かむせいで咳き込むがそんなことは気にしない。
 より強い刺激を求め、ただ夢中で腰を動かす。
 程なくして、天音の喉の奥深くに二度目とは思えぬほどの量を放出した。
「こぼさず飲めよ。………天音、結局遅刻だな」
 ぽつりとこぼす。
「うん。そうだね大輔ちゃん」
 オレのモノを飲み込んだ天音が答える。

 また、日常へと帰る。
 ただ、退屈な日常へと。 

(つづく)
258某スレなりきりさん:02/01/24 22:50 ID:hbyO/X7c
>255-257
〜Canvas black heart〜 プロローグ
ちなみに続き物です。

最近いろいろな人が投稿してくれて盛況ですね、ここのスレ。

Canvas DVD版を買いました。まだコンプはしてませんが……
とりあえず書いてみました。

NAKED BLUEの鬼畜おにいちゃんがお気に入りなんで鬼畜モードで
書いてます。

良かったら感想をお待ちしてます。
259名無しさん@初回限定:02/01/24 23:01 ID:8ldmgLQD
>>258
退屈な日常をぶち壊したいみたいな感じ?
260名無しさん@初回限定:02/01/24 23:02 ID:8ldmgLQD
 ageちまった・・・・・鬱だ・・・・・・・吊ろう・・・・・・・・
261名無しさん@初回限定:02/01/24 23:20 ID:f3AGMIEF
「初夜」エロかったです。
浴室内でのちょっと滑稽な動作を上手く取り入れているところとか。
原典は未プレイですが、このSSの後のレズ本番がゲーム中で観れるんでしょうか?
また、「初夜」の淫微な文体を「サフィズムの舷窓」本編に期待しても大丈夫でしょうか?
262227:02/01/25 08:12 ID:sIuAPE+Z
>261氏
えーと、このSSは本編で描写されなかったシーンを
妄想したものなんで、つまりニコルのロストバージンシーンは
ゲームでは観られません。
また、文体に関しては、ゲームのシナリオライター氏と
僕の文体では、結構ちがいます。
というか、一画面に三行の文しか表示できないADVで、
このように地の文が長い「小説の文体」はとれないのだと思います。
エロに関しては、僕はレズ属性があるんで充分実用になりましたが、
ほかの人にとっても使えるかというと、正直わかりません。

このゲームは、基本的にストーリーと日常会話の楽しさ、
それにキャラ萌えを楽しむものではと思っています。
それらの要素は、このゲームはかなり高いレベルだと感じました。
ですが、これも信者の言うことなので、
ご自分の目で確かめてみるのが一番だと思います。

ttp://www.liar.co.jp/saphizm.html

上のURLからOHPのソフト紹介へ飛べます。
ここのキャラ紹介をのぞいて、それで興味がもてたら買う、
というスタンスがもっとも適切なのではと。

長文すいません。
263名無しさん@初回限定:02/01/25 21:19 ID:QyVkvBzY
>某スレなりきりさん
あ、早い。続き物なんですね。いっつも楽しみにしています。
CANVAS買わないとだめかな。
264へたれSS書き@保管サイト”管理”人:02/01/25 22:56 ID:D/BhAHwx
http://members.tripod.co.jp/hokaess/
お待たせしました、保管サイト更新です。
なお、米塩のアカウントはデリ食らったので、ブックマークの変更を
お願いします。

更新内容は以下の通りです
【更新】
○美奈の恋愛研究日誌
○なちゅらるきゃろっと2

【新規追加】
○〜Canvas black heart〜
○「あの人のいる日々」
○家族計画 「FAMILY PLOJECT」

【新規追加<完結>】
○初夜
○さくらの挑戦
○「睦月には祭りもパーティーもない訳だが」
○「茜色の絆」
○「21世紀を駆け抜ける褐色の弾丸、ペドフィリア沢村の苦悩と悦楽」


更新したSSのインデックスは上の方に移動させてみたんですけど、
どーッスかね?
265名無しさん@初回限定:02/01/25 23:23 ID:nyKLWvhF
>227さんへ
凄い丁寧なレス、ありがとうございました。
OHP逝ってきます〜。
266名無しさん@初回限定:02/01/25 23:28 ID:4tIetd69
某女子高のトイレに隠しカメラを設置しました。
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267EXILE:02/01/27 00:36 ID:VzFh/cB8
「ブラッドロイヤル」ではあったらしいのに、「EXILE」ではなくなってた
レズ調教、レズEND。なわけで妄想してみました。

でも章題にした相互破瓜までも辿り着かなかったり(w
続きはいつになるやら〜。
268名無しさん@初回限定:02/01/27 00:37 ID:VzFh/cB8
EXILEレズルート妄想SS

「EXILE 導きの神」


絶海の孤島にそびえる、美しい城ひとつ。
その一画の寝室。
灯りは落とされ、すでに室内は闇の底に沈んでいる。
月光がひとすじだけ窓から差し、美姫ふたり、
女同士の許されぬ肉の絡み合いの情景を、闇の中に浮かべ上げている……。

「桜様……ああ、桜様……! 次は……、どうすれば…よろしいです…?」
「ん……次は右の方をしてくれ……あふっ……カレン……!」
豊かなプラチナの髪の姫、カレンが、その裸体を桜の身体にまとわりつかせている。
下になっている、美しく長い黒髪の姫、桜も、同じく一糸纏わぬ裸体だ。
あどけない顔で、同性の右の乳首を咥えるカレン。
上気した顔を左右に振り、同性の与えてくれる快楽に身悶える桜。
「あぁ……んぅ……あっ……あ、あ……!」
カレンが顔をあげて唇を近づけると、気付いた桜の方から、カレンの唇をついばむ。
「んんぅっ」
舌と舌を情熱的にからめあう。ディープキス。寝室に、唾液の音が響く…。
「カレン……さっきのを…今度はあなたがしてくれ……」
シーツの衣擦れの微音とともに、桜が闇の中に白い裸身を起こす。
そして、寝そべっているカレンの眼前に、おのれの足の間を、晒す。
カレンは、目を閉じながら小さな割れ目に舌を這わした──。
「はっ! はぁぁっ! ううっっ!! ……く」
同じ性、同じ肉体の持ち主であるカレンの顎に、
性器から溢れ出す恥液を伝い落とし、汚す桜。
269EXILE:02/01/27 00:39 ID:VzFh/cB8
「んは……。ふふ……想像もしませんでした。桜様と。こんなこと」
「私だって、そうだ……んんん、痺れる……」
やがてカレンの舌での奉仕に充分満足した桜は、体勢を変えた。
カレンの両腿を手で押し開くと、いままで舐めてもらっていた場所を
相手の同じ場所にぴったりとくっつける。
「こんなことしてるって、国元や…父様母様に知られたら……
わたし、どうなってしまうのかしら……」
「私など、国の民に知られたら、八つ裂きにされるかもしれんな」
桜の腰が、動き出す。
「あっあっ桜様っ…」
「カレン……きれいだ、素敵だ……」
カレンが快楽に耐え切れず、自分の親指を噛む。
「桜様……でも、こうなって、後悔してるとは、おっしゃらないで……」
「ああ……知ってしまったものは、しょうがない。
……愛してしまったものは……しょうがない……」
寝室には、優しく規則正しい粘液の音と、少女ふたりの吐息だけがしばらく響いた。
「はっ、はっ、いきそうだっ。カレン、カレン……」
「ん、あ、わたしも、わたしもっ」
「あああ──────………っっ!!」
ふたり分の絶頂の声が室内を満たす。
そして、寝室に音は絶え、しばし真の闇の底に沈んでいった──。
270EXILE:02/01/27 00:41 ID:MjBh/fvD



1.姫君たちの相互破瓜


霧に包まれた海を、一艘の豪華な帆船が走っていた。

コンコン、と船室の扉をノックする音。
部屋の主、桜は、長い黒髪をかきあげると、もの憂げに問いかけた。
「誰か?」
「わたしです。カレンです。桜様」
扉を開けると、プラチナ・ブロンドの豊かな髪をきれいにとかした少女が、
人懐こい微笑みを桜に向けていた。

グウィディオンの王女、カレン姫。
身に付けた美しいドレス、何よりその物腰の気品から
一国の姫とすぐ知れる。しかし、気さくそうで人好きのする笑顔には、
むしろ町娘にでもふさわしいような人懐こさがあらわれている。

部屋の主の少女の方は、あきらかに市井の者とは一線を画した、
貴種独特の尊大で凛とした面差しだ。
さらに、神秘的な香気と、触れ難き処女性とを、見る者に感じさせる。
ミトラスの聖なる巫女、桜姫。
その雰囲気は、男子禁制の神殿で厳格に育てられ、
若くして国家の根幹たる姫巫女の座を務め続けて身に付いたものだ。
美しい瞳の光の中に、険がある。
プライドの高さと気の強さ。
それだけではなく、未だ桜しか知らぬその心中の怒りが、その険しさの源だ。
271EXILE:02/01/27 00:41 ID:MjBh/fvD

ふたりは、船の甲板に出た。
軍事大国サマエラの船に移乗し、母国の従者たちと引き離されて以後、
身の回りには自分たちの他に、石のように黙るサマエラの者たちしかいない。
自然、ふたりは語らいと行動とを共にすることが多かった。
そして、洋上──。
ふたりの姫は、見た。
濃い霧の中、落日の残光に包まれて、
幻のように海面にほの赤く浮き上がる城の姿を……。
「…この世にあるとは、思えぬところだな」
桜が、隣あって同じく船縁(ふなべり)から眺めるカレンに言う。
「ええ、夢のように綺麗…」
カレンは、すっかりその光景に心奪われているようだ。
「だが、あそこに住むのは……」
呪われた、忌まわしき主。
『真実の愛を得られねば、いずれ必ずや魔王となるであろう』と予言され、
それがゆえ父王から各国の美姫を次々と生け贄のように手向けられる、魔王子。
そしておそらく、ふたりの姫の人生にとって、運命の男。
しかし、本当の運命の人、終生の愛を誓う相手が、
実はすでに隣にいることを、この時のふたりはまだ知らない……。


 * * * *
272EXILE:02/01/27 00:43 ID:oO5n87pT

魔王子の島に下船し、その城内に入って最初に請われたのが
『首輪を身に付ける』ことだったのに、ふたりは、目を見開いて驚いた。
「殿下の御命令です。殿下の欲することには、すべて従っていただきます」
ふたりを船から先導して来たサマエラの者どもが、ふたりの姫に近づく。
カレンは、震えながら、美しい首筋に鎖付きの首輪を受け入れた。
大国サマエラの軍事力に祖国を人質にとられているも同然の身、
抗い得ないのは知っている。
「…触るな下郎! 是非も無いと言うなら、自分でする!」
桜は、怒気を漲(みなぎ)らせつつ、首輪を男の手からひったくると、
自らの首に締め、金具を留めた。
知らぬとはいえ、このあと生涯の隷属の証しとなる、それを。

首輪を付け、ふたりだけで部屋に取り残される。
カレンは震え、桜は扉を睨み付け、態度は違えど、
男の肌も知らぬ少女ふたり、心中の心細さは同じだ。
そして……、扉を音もなく押し開け、その男は現れた。
「……お前たちが、私への貢ぎ物か」
ふたりは息を呑んだ。
世界にその名を知られた魔王子──
どのような凶相の魔人が現れるかと思えば、その男は、
長い黒髪を束ね、女よりも優しく美しい面差しをした、美丈夫だったのだ。
長身に黒尽くめの衣装、マントも手袋も、黒。
細い眉、白い肌、黒真珠のごとき不思議な色の瞳。
顔の美しさは、あるいは、世に美しさを称えられているカレン、桜、
このふたりの美姫以上かもしれない。
だが、昏(くら)い瞳と、面白そうにふたりを観察する冷たい笑みが、
魔王子の名を裏切らない恐怖感をふたりに与えていた。
「カ…、カレンとお呼びください、殿下」
「そなたが、グウィディオンのカレン姫か」
273EXILE:02/01/27 00:44 ID:oO5n87pT
震えるカレンをかばうように、桜は思わずその身体を抱き寄せていた。
「挨拶する必要なぞないっ!」
「……ほう。ずいぶんと、気の強い女だな。ミトラスの桜姫とは、そなたのことか」
「このような枷をつけて、これが、客をもてなす礼儀か?」
「声が震えているぞ。そんなに、私が恐ろしいのか?」
息を呑み込み、桜は、悔しそうに口を閉ざす。
桜の罵倒も気の強さも、魔王子は、小揺るぎもせず、快さげに受け止めていた。
「わたしたちを、どうなさるのですか?」
カレンの震え声での問いかけに、魔王子は、慈悲の一片もなく宣告した。
「この島に来た運命を呪うがいい。そなたたちは、私の贄となるのだ」

「舐め合え。犬のようにな」
「く……っ!!」
微笑む魔王子の足元に、横たわるのは──
折り重なるように押し倒され、
ドレスの中の下履きを、袴(はかま)を、力任せに下ろされてしまったふたりだった。
いま、桜の目の前に、ピンク色の秘密の唇がある。
自分の上に乗っている、カレンの秘所だ。
生まれて初めて目にする同性のそこに、
そして、自分のそこもカレンの眼前に晒されているであろうことに、
桜は、火が点いたように頬を熱くしている。
「う………くっ……」
「どうした? 女同士であろう? 遠慮はいらぬ、存分に楽しむがいい」
「できるかそんなことがっ!!」
神聖な神殿から引きずり出され、最初に強要されるのが、女陰舐め……。
桜の自尊心、羞恥心は、とてもそんなことを受容できない。
「…! ぐあっ!」
すると突然、見えない手で掴まれたように、喉が詰まった。
274EXILE:02/01/27 00:47 ID:oO5n87pT
「……! 魔術か! ごほっ、こ、この悪魔っ!」
「そななたちの意志に任せているのは、私の慈悲なのだがな」
「うあああぁぁぁっ!!」
急速に身体が硬直する。意識が暗転し始める。桜の肉体が、死の予感に震えた。
「おやめください! 殿下!」
涙を滲ませながら、首輪を付けたカレンは、犬のように必死に舌を伸ばした。
「桜様……お許しになってくださいね」
自分の秘所に生暖かく柔らかく、
そして信じられない感触が生じたのに、桜は驚愕した。
(まさかそんなっ!! 小便をする場所だぞっ!!)
「ん……ん……く……う、ううっ……」
涙声を出しながら、王女カレンは同性の性器を舐め始めていた。
「ああぅ…! うあっ…! そ、そんなっ!!」
女の最も過敏な部分を、生まれて初めて他人に触れられる……
しかも、舌で舐められるという嫌悪感に、悶え動く桜。
しかし、見えない力──王子の魔力に押さえつけられて、逃れられない。
喉を絞める力は失せたものの、カレンの舌には自由に舐められるままだ。
「やめっ! ……ああ、気持ち悪い……。やめ、て……」
「どうした桜姫。お前はしないのか。カレン姫にばかり働かせては、悪いだろう?」
また、魔術で首が締め付けられる。
「んああっ!! く……ううっ!」
ただ、今度は桜ばかりではなかった。カレンも苦悶の呻きを漏らしている。
「あ……あが……っ」
「飼い主に従わない雌犬どもなら、慈悲をかけてやる必要も、ない」
自分の拒絶によって、自分の上に乗っている他人の肉体まで
死すかもしれないという想像は恐ろしかった。桜の忍耐は、限界を超えた。
「うう……ううっ……」
舌を、生まれて初めて他人の性器に触れさせた。
そしてぴちゃ、ぴちゃという音がふたつ、室内に響く……。
275EXILE:02/01/27 00:47 ID:oO5n87pT

魔王子はおざなりの行為では許さなかった。
それが“愛撫”と呼ばれるレベルになるまで、休むことなくふたりに舐めさせ続ける。
ふたりの処女が、本気で、同性の襞(ひだ)を、クリトリスを舐める。
「ううう………っ」
ふたりとも、気色悪さを超え、絶えられない痒さがその部分に生じ始めていた。
「フッ…。からだは正直だな」
「何をっ! んんっ……!!」
「あれほど嫌がっていたのに、もう淫らに感じているとは…。
お前たちのヴ○ギナから、愛液がとろとろとこぼれているではないか」
────!
とうとう、おぞましき同性との行為で、淫らな姿を見せてしまった……。
屈辱とショックで、桜の瞳から、ぽろぽろと涙が零れた。
「……今から泣いていては、涙が枯れてしまうぞ」
「くっ…! 貴様……貴様っ!!」
ついに、桜は身を起こし、魔王子を睨み据えた。
「桜様っ! おやめになってっ!」
「これが許せるかっ! ……こ、こ、このような生き恥を
女同士に、させておいて、笑って見ているなどっ……!!」
そして、勢いよく掴みかかろうとした桜、だったが──
空中で、その動きが止まる。
「まだ、逆らっても無駄だということがわからぬか」
「あ……うう……」
重力を無視して空中で静止した桜の肢体を、後ろから羽交い締めにする。
「私が摘み取ってやろうと思っていたが、
ここまで同性の行為に動揺し、屈辱を感じるのか。面白い……。
おまえたちふたりは、同性の交わりに溺れるレスボスの虜囚に堕とすこととしよう」
276EXILE:02/01/27 00:58 ID:+4FN+4Q3
以上、ちぇりーそふと「EXILE」レズルート妄想SS
「EXILE 導きの神」その1でした。>>268-275
277名無しさん@初回限定:02/01/27 01:20 ID:ajIL3scM
しかし、連続投稿規制、以前にも増して厳しくなってますな……。
これがほんとに月姫スレを連続投稿で荒らしてた荒らしの影響なら、
無関係の俺らにはたいしたとばっちりだ……。
どなたか効率のいいSS投稿の仕方教えてください(;´Д`)
278SS−ダリア編:02/01/28 04:08 ID:Ju2venTP

「っと、まだイッちゃだめだよ」
 ヴァールはイク直前まで高まっていたダリアを後ろから抱きかかえると、
机から引き剥がし、そのままベットの縁に腰を下ろした。
「ぁ… な、なん…で…?」
 息を荒くしたダリアが、絶頂寸前の潤んだ瞳でじっと見詰めてくる。
「ほら、こうして…」
 その質問には答えずに、ダリアをひょいと持ち上げて自分の脚に乗せると、
くるりと振り向かせる。丁度、脚の上で抱き合うような形となった。
 ヴァールの両手がダリアの背に廻され、きゅっと力が込められる。
 恋人達が抱擁するように、二人の体が重なり寄りそっていく。
「んっ… はあぁ…」
 密着した下腰に熱く固い塊を感じ、ダリアが吐息のような声を洩らした。
 互いの視線が交錯し奇妙な沈黙が訪れる。
 だがそれも一瞬で、すぐにダリアは全てを委ねたように力を抜くと、
 肩口に頭を預けてきた。
 
(うわぁ、完全に俺を信頼しているよ…。それなのに……)
 そんなダリアを抱きしめながら、ヴァールの胸の内では葛藤が起きていた。
 以前に感じていた「可愛がりたいという想い」と「意地悪をして虐めたい欲望」。
 それが極限にまで高まっている。
 トクン、トクン…
 高鳴る鼓動は自分のものか、ダリアのものか。
 自分が一体どうなってしまったのか。
 幾ら考えても答えは出ないように思えた。
 だから……、それを確かめるために、ヴァールは腕に力を込めていった。

「んッ…」
 力を入れた分、二人の腰がより密着していく。
 ダリアの口から微かに声が零れ、白魚のような指がヴァールの背後で服を掴む。
「それじゃ、動くよ」
 抱きしめ合ったまま、ヴァールが腰を動かし始める。
 重なった股間が擦れ合い、互いの感触が快感へと変っていく。
 ヴァールの動きは焦れったい程ゆったりとしたものだったが、
 一度絶頂の手前まで追い込まれていた官能を目覚めさせるには十分だった。
279SS−ダリア編:02/01/28 04:09 ID:Ju2venTP
 すぐにダリアの肌が上気し始める。
 頬が触れ合うほど身を寄せていたヴァールには、その様が手に取るように分かった。
「ダリア、気持ちいいんだろ?」
 そっと息を吹きかけ、耳元で囁く。それだけでダリアの背筋がビクンと戦慄(わなな)いた。
 高まった自らの体温で、ダリアの身体が仄かに香気たつ。
 ヴァールはその香りを愉しむように深く息をつき、処女雪を思わせる真白な
首筋へと唇を這わせていった。
「ぅん… ああ、ん… んぅ」
 微かにくすぐったいような、それでいて魂が蕩けて行くような愉悦。
 ダリアは自分に与えられる快感に耐えるように、
 あるいはそれを確かめるように、きゅっと服を握りしめる。
 ヴァールの動きに合わせて、互いの身体が上下に揺り動いていた。
 その度に二人の服を通しても、はっきりと感じる硬いモノが
 秘裂を擦り、その上で自己主張する蕾を小突く。
 机の角による鋭い快感に比べればソフトな刺激は、一気に絶頂に
 導くことなく、それでいて確実にダリアを高めていった。

「…んっあッ  だ、だめっ…」
 唐突にダリアの声が跳ねあがった、
 快感に蕩け、脱力していた身体がピクンと震える。
「やぁッ、もう… う、動かないで… 」
「どうして? 気持ちよくない?」
「ちがっ… うぅンッ! でも… んぅっ、ん…」 
 秘裂が擦りたてられる刺激を堪えるように、ダリアの背が丸まり
 相手の背後に回されていた指に力が入る。
「なら、もっともっとイヤらしい声を聞かせて」
 トーンを上げた嬌声に後押しされるように、それまでゆっくりとしていた
腰の動きを激しくしていった。
「だめッ… こ、これ以上は… お願い、やっ…」
 服を掴んでいた指が解かれ、腕の中から抜け出そうとヴァールの肩を押す。
 しかし散々秘裂を責められ力の入らない状態では、抱きしめるように
 廻された腕から逃れることは出来なかった。
「もうイッちゃいそう?」
「んッ… そうッ だか…ら… やめ… 」
 抱え込まれた腕のなかで、懸命にダリアが身をくねらせる。
「いいよ、ダリアの一番かわいい瞬間を見せてよ」
「だめ… ぅんッ…、ッ…  …!!」
 もはや言葉を発する余裕もなく、唇を噛み締め、息を詰めたまま
 それでもなおダリアは首を振って抗っていた。
280SS−ダリア編:02/01/28 04:09 ID:Ju2venTP

「ダリア… そんなに俺とするのは嫌?」
 なおも続く抵抗に、ヴァールが複雑な表情のままダリアを強く抱きしめる。
 ぎゅっと押しつけるだけとなった刺激は、昇り詰める寸前だったダリアの
性感に僅かのゆとりをもたらした。
「…ちッ、ちがう、 イヤじゃ…… ない…」
「じゃあ……」
「…………って、 服 汚れる… から…」
 暫しの逡巡の後、羞恥と快楽の狭間でダリアが口を開く。
 だがヴァールの返事は予想とは違うものだった。
「……構わないよ」
「えっ…」
「知っているんだ。俺としている時のダリアが、いつもちゃんとは
イッてないこと。机での時だけなんだろ、遠慮しないでイケるのは」
「ぁ…」
 驚きのあまり声もでないダリアに、ヴァールはなおも言葉を続ける。
「俺としている時にも、思いっきりイッてみたいんじゃないの?」
「……… 」 
「ダリアの一番になりたいんだ」
 秘密を告げられ、不安になっていた心にその言葉が染み込んでいった。
 耐えられない程の羞恥と、全てを委ねたいという想いがダリアの内でせめぎ合う。
 そんなダリアを無言のまま強く抱きしると、ヴァールは葛藤し続ける少女を
 あやすように頬に、瞼にとキスの雨を降らせる。
 やがて…
(……こくん)
 ダリアが小さく頷き、ヴァールの背に廻した手がきゅっと服を握りなおす。
 それを合図にして、動きを止めていた二人が再びリズムを刻みはじめた。

(…超ドキドキする)
 ダリアが絶頂を迎える時のことを想像するとどうしても興奮が押さえられない。
 それでも何とか昂ぶる心を鎮め、ヴァールは丁寧な愛撫を繰り返した。
「ふッ…ぅん… んんっ… ああッ!」
 ダリアの喘ぎが段々と高まっていく。
 神気を受け敏感になっているクリトリスが押しつぶされると、
 熱い官能の渦が背筋を駆け昇り、秘裂から愛液を滴らせる。
「ダリア、もうちょっとコッチに来て。そう。」
 力強く腰が引き寄せられ、密着させたままユサユサと揺すられる。
 既に下着としての用を為さないほど濡れたシルクが秘裂に張りつき、
お互いが擦れ合う刺激をダリアに直接伝えていた。
「ふぅぅッ!! んッはぁぁ──! ああッ──」
「気持ちいい? それじゃ今度はこうして…」
 微妙に角度を調整して、秘裂にそって自分のモノが動くようにする。
 極限まで硬度を増したヴァールが前後する度、花弁全体が擦り立てられ、
 その上にある花芯から快感が湧き起こる。絶え間ない刺激は僅かな
 身じろぎすらアクセントにして、イレギュラーにダリアを責めていった。
 二人を中心に部屋の中に官能の香りが満ちていく。
「ああッ! ふぁッ─! ああッ──!! んッ、くぅ…っ んん…」
 時折ダリアの喘ぎ声のトーンが跳ねあがり、全身がブルブルと震える。
 だが、頂きの手前まで駆けあがった快感はそこで脚踏みし、
 狂おしいほどの快楽からまだダリアを解放してはくれない。
281SS−ダリア編:02/01/28 04:10 ID:Ju2venTP

「…イケない?」
「んっ… んんっ!!」
 こくこく、とダリアが頷く。
「えっと… 止めた方が良い?」
 通常ならとっくに絶頂を向かえているはずの快感を受けながらも、
まだイケず身悶え続けるダリアが心配になって尋ねる。
「やッ、止めない…で ッ… お、お願い… 」
 快感のあまり苦しげに、それでも懸命にダリアの首が横に振られた。
 蕩けきり、潤んだ瞳がヴァールを見詰めている。
(イキたいのに、羞恥心と罪悪感が枷になってるのか。だったら…)
「ダリア。大丈夫だから……心配しないで」
「んっ…」
 その言葉に小さく頷いたのを見て、ヴァールの手がお尻に沿って降りていく。
「あッ! そ、そこっ…」
 その指がしっぽの根元に触れられた瞬間、ダリアの身体にピクンッと力が入った。
「ダリアの一番感じるところだろ。何もかも忘れて、イッちゃおう」
 五本の指がしっぽをサワサワと弄る。
 腰を抱き寄せられていてはその刺激から逃れ様もなく、
 ダリアはクリトリス以上に敏感な器官を責めたてられ身悶えた。
「んッ…! あっ、ンッ… はぁ…」
「この状態で前も刺激したらどうなるかな」
「……!」
 大きく目を見開いたダリアを無視して、腰の動きをゆっくりと再開した。
 途端にダリアの脚がヴァールの腰に絡みつき、その動きを妨げる。
 イクことを拒絶するというよりも、あまりの快感に身体が勝手にとった動きだった。
「やッ、… ためッッ… う、動かないで… んんッ!」
「じゃあ ダリアに動いてもらおうか」
 その抵抗にむしろ楽しむような表情を浮かべ、ヴァールの指がしっぽ根元を刺激する。
 指で輪を作り、しっぽの根元から毛にそってゆっくりとしごく。その度にしっぽが
 緊張と弛緩を繰り返す。湧き上がる快感にダリアの腰が勝手に跳ねまわった。
「ふわぁっ! だ、だめ… 強すぎる… あ、ああ──!」
「動いているのはダリアだろ。ほら、机でのオナニーの時はこう動くんだっけ?」
 ヴァールは巧みにしっぽを責め立て、さらにダリアの動きを誘導していく。
 二つの敏感な性感帯を同時に刺激され、ダリアの瞳が快楽に蕩ける。
 いつしかダリアは快感を受けるためにヴァールへと抱きついていた。
282SS−ダリア編:02/01/28 04:13 ID:CmTNZz7P

「ねえダリア…、クリとしっぽ、どっちが気持ちいい?」
 自分にしがみつき、快感に悶えるダリアの耳元でヴァールが問いかける。
「ふわぁっ… ああ… わ、分からない」
「言わないとやめちゃうよ」
「あ、ぁ…ッ んぅッ!  りょ、両方っ くぅッ 両方とも!!」
 髪を振り乱しながら、ダリアが叫ぶ。
「両方ともだなんて、ダリアもエッチな娘になったね」
「やぁッ! い、言わないで!」
「ふふっ、エッチなダリアのイキ顔、見せてくれよ」
 そう言ったヴァールの手に、神気が集まっていく。
「な、何っ… んんっ!」
 魔を調服させる神気に刺激され、しっぽがピクン、ピクンと跳ねまわる。
 それの動きに合わせて、ダリアの肢体が淫らに踊った。
「ああっ! だめ… だめぇっ! はぁっ、ああ──!!」
 今まで以上の快感の奔流が途切れることなく押し寄せる。 
 その刺激から逃れようと暴れる度、押しつぶされたクリトリスから
 新たな快楽の火花が弾け、ダリアの性感を絶頂に向け加速させた。
「ふぁ──っ …ああっ!! へんになるっ!! へんになるっ──!」
 今までとは桁違いの快感が背筋を駆け上がってくる。
(あ、 だめ… もう、耐えられない…)
 抱きしめられ、完全に逃げ場の無い身体が快感と不安に震える。
 そんなダリアを少しでも安心させるよう、ヴァールは片手で抱きしめながら、
 首筋へとくちづける。
「ああッ!! だめぇッ も、もう… んんっ!!」
「いいよ。可愛いよ… ダリア」
 そして甘く囁きながらもしっぽを責める手は止まらない。
「あぁ──ッ!! や、やぁッ… お願いっ 嫌いにならないでッ!」
 ダリアの悲鳴が切羽詰まったものになる。
「大丈夫、絶対嫌いになんかならないから。さあ、イッてみせて」
 そう言って愛らしいしっぽをいっきにしごき立てた。
 今までで最大の刺激にダリアの腰が反射的に跳ねあがり、
 クリトリスがヴァールへと押しつけられる。
「ああ───!! だめっ、だめッ──っ!! 」
 ヴァールの許しの言葉と、しっぽとクリトリスからの快感の嵐。
 その何もかも忘れるような刺激に、ダリアの頭の中が真っ白になる。
 拠り所を求めてヴァールに抱き付き、応えて強く抱きしめられる。
「ふわぁっ ぁッ あ、ああッ─  ああッ───!!」
 絶頂の叫びを上げた次の瞬間、ダリアの身体がビクンッと跳ねた。
 極限まで緊張していた全身の筋肉が一気に脱力し、そのままヴァールに
 もたれ掛かかる。

『しゃぁ────』
 
 失禁しながらもダリアの全身はピクン、ピクンと緊張と弛緩を繰り返していた。
 収まらない快感のなか、ヴァールの腕の中で迎えた絶頂の幸福感に包まれ
 ダリアの意識は闇に沈んでいった。
283SS−ダリア編:02/01/28 04:15 ID:CmTNZz7P
 * * *

 意識を取り戻したダリアと二人して湯浴みをした後、ヴァールは自分の
 寝室へと案内した。
 長い廊下を夜着をまとったダリアが無言のままに付き従う。
 やがて辿り着いた寝室はヴァールの部屋とは思えないほど小奇麗だった。
(やれやれ、今日ばかりはプライマル様々だな)
 いつも整理しろと五月蝿いプライマルに胸のうちで感謝しつつ、
 ダリアを部屋へと招き入れる。
 片付けられた部屋独特の清潔な空気が、二人を包み込んでいった。

「いっしょに、寝るの?」
 部屋にあるベットは、大きいが1つだけだ。それをじっと見詰めながら
ダリアが尋ねてきた。声色は普段通りで、そこから感情を伺うことは出来ない。
「えっ、あっ… いっ、嫌だったら俺はソファーで寝ても良いよ。
 ほ、ほら結構大きなソファーだし、 へ、部屋もそんな寒くないから大丈夫さっ」
 その問いに妙に慌てながら、取り繕うように答える。
「別に、 構わない…」
「そ、そう?  …そ、それじゃ、おいでよ」
 先にベットに乗ったヴァールが毛布をめくりダリアを招く。
 ダリアは無言のままベットの端に寝そべると、背を向けたまま
毛布へと包まった。

「緊張してる?」
 その声にダリアが振り向いた。二人の視線が重なりあう。
「……。 誰かと寝るの… 初めてだから」
 暫し無言で見詰め合った後、ダリアがうなずいた。
 しっぽが緊張を表すように、パタパタと音を立てる。
「そうか。でも、もうチョイこっち来いよ。そこじゃ寒いだろう」
「あっ……」
 抱き寄せられ、ダリアの身体に反射的に緊張が走しった。
 細い腕が胸の前で組まれ、ヴァールとの間に隙間を作ろうとする。
(…えっ?)
 しかし予想とは違い、ヴァールは抱き寄せたダリアに優しく毛布を
掛けただけで、そのままゴロンと寝転んだ。
「ほら、よかったら腕枕するけど」
「……(こく)」
 小さく頷いてダリアはおずおずと寄り添い、ヴァールの腕を枕にすると
 猫のように身体を丸めた。
284SS−ダリア編:02/01/28 04:15 ID:CmTNZz7P

「あっ…………、 暖かい……」
 毛布と、互いの体温がやさしくダリアを包み込む。
 その温もりに思わず驚きの声がこぼれた。
「そんなにびっくりした顔するなよ」
「ううん。なんだか…… 信じられないだけ。
 凍てつきの地獄では、ずっと一人だったから……」
 ダリアの指がギュっと服を掴む。
「もう… あそこには還えりたくない」
 ダリアの瞳からあふれた雫が月明かりに光る。
「ダリア、ずっと側にいるから…。 安心しておやすみ」
 他に言うべき言葉がなく、ヴァールは瞼にそっとくちずけた。
「ん……」
 微かに甘えた声を上げたダリアを、そっと肩口に寄せる。
 そしてやさしく抱きしめると、頭を撫で髪をゆっくりと漉いていった。
 その動きに合わせてダリアの目が細められてゆく。

* * *

「すぅ… すぅ……」
 暫くして、ヴァールの胸の上で微かな寝息が聞えだした。
 目をやると眠っているダリアはわすかに微笑むようにも見える。
(コイツと付合う……なんて、上司のエオリアに言ったらどんな顔するだろうか)
 無防備な寝顔に目を奪われながら、不意にそんな疑問が思い浮かぶ。
(天界……、追放とかされてりして…)
 怒りの余り、顔を青ざめさせるエオリアの姿が見えたような気がした。
(まさか、ね…)
 そんな不穏な想像をかき消すように胸の内で小さく呟くと、
 薄暗い月明かりに浮かぶ天井へと視線を戻す。
 幾つかの未来像が虚空に浮かび、そして消えてゆく。
「天使と悪魔……か」
 ため息と共に小さな呟きがこぼれる。
 考えなければならない事は多い。それは分かっていた。
 そして考えても仕方がないことも…。
 だが生来、面倒事を後回しにする性格がその全てを放棄させてしまう。
(まあいいか…、今はダリアがここにいる。幸せそうな寝顔が見られる。
 それでいいじゃないか… な…ぁ……)
 少女の体温を心地良く感じながら、ヴァールは目を閉じた。

 やがて深い闇の中、二つになった寝息が聞えはじめる。
 毛布で包まれた、仮初めの楽園(エデン)に朝が来るまでの一時、
 寄添うような寝息だけが、静かに時を刻んでいた。

(終)
285SS−ダリア編:02/01/28 04:21 ID:CmTNZz7P
ブライティアSS  ダリア編
前編 (前スレッドの455-459  http://www2.bbspink.com/erog/kako/984/984064183.html
   (保管サイト:http://members.tripod.co.jp/hokaess/)

後編  >>278-284

滅茶苦茶遅くなりましたが、ブライティアSS(後編)です。
おおまかな構想&Hシーンは結構早くに完成したのに、
ラストの部分(2枚分)が上手く出来ず、書いては修正したり
色々忙しくて放置したりで、今になってしまいました。

とりあえず、今回の目標は前も書いたように「萌え」です。
といっても俺は無邪気なキャラよりは、憂いを持つキャラが
見せる健気さに萌えるタイプなので、自分の趣味丸だしです。
それでもダリアの可愛さが多少なりとも伝わったら嬉く思います。
(前編の机でのオナニー、後編のしっぽ愛撫、添い寝などはゲーム中のCG
 をイメージしながら書いてました。いずれも好きなCGばかりです)

完成が非常に遅くなってしまい、待っていてくれて皆様には
申し訳なく思います。次回は気合を入れて頑張るつもりなので
またよろしくお願いします。
(次回作は奴隷介護のレズSSか、「plus」発売決定記念で
 魔法少女アイのどちらかを予定してます)
286まっそー:02/01/28 05:02 ID:CmTNZz7P
名前を直すの忘れていた…

蛇足ですが、一つ書くべき事があります。

原案では「無垢の芽生え」の使用を拒んだ理由として
少女に戻った自分に対する嫉妬、特にヴァールが「今の自分」を
見てくれなくなるのではという不安感からという設定をしてました。

で、これに関連してダリアの内面を語らせるつもりだったのですが、
何度と無く文章を書きなおしても流れとしてダリアらしさが表現できなく、
結局構想を変えてしまいました。

完全にメインの伏線を台無しにしてしまったので、
前編から書きなおそうと思ったんですが、それだとまた後編部分の
修正も必要になるため、結局断念しました。

なお以下がダリアがヴァールに理由を告げる場面の素案です。

>「でも… あの呪いを受けると、今の自分じゃなくなって…」
> 言いながら、ダリアの目に涙が滲む。
> それはすぐに眦(まなじり)から溢れ、小さな雫となって
> ヴァールの頬へとこぼれ落ちていった。
>「一緒に過ごしているのに、私を見ていないような気がして。
>それが変に悲しくて……。 ふふっ… 馬鹿みたいでしょ。
>凍てつきの地獄ではずっと一人でも大丈夫… だったのに…」

>(中略)

>(コイツの涙、こんなに暖かいんだ…)
>普段はそっけなく、冷たく見えるダリアの内面が実は暖かいかのように…。
>降りしきる涙が自分の頬を伝うに任せながら、ヴァールの内にそんな思いが
>湧きあがる。

>「まだずっとダリアの傍にいることは出来ないけど…
>でも、もう今日はどこにも行かないから。それで許してくれよ、 な…」


この部分をどうしても表現したくて、幾度と無く書きなおしたんですが…
これの前の部分がどうしても上手く纏らなくて、結局あきらめました。

こういった形で設定を紹介するのは(本文で書けなくて)非常に残念なんですが、
何も触れないのも変な気がするので、蛇足ながら原案の紹介でした。
(いつの日か、きちんと伏線を消化した完全版を書きたいと思ってます)
287名無しさん@初回限定:02/01/29 20:46 ID:g55vml69
>286
おおっ、ダリア編の後編待ってました。ブライティア未プレイですが(w
エロエロで良かったです。
そのうちブライティア買おうかな、と思ったり。
288名無しさん@初回限定:02/01/30 17:07 ID:RmPUfgMg
保管サイト”管理”人 さんへ
家族計画のSSを書いた者ですが、「FAMILY PLOJECT」は話が
膨らみ過ぎたのでオリジナルのネタにする事にしました。
ですので、できれば抹消していただけるとありがたく思います。
>>288
了解です。次回更新時に消すようにします。
290名無しさん@初回限定:02/01/31 06:58 ID:28DrmToG
鬼畜と言うよりハーレム系の話として〜Canvas black heart〜好き〜。
続き書いてー。
291まったり家族計画1:02/01/31 12:48 ID:wl4eSjxI
 高屋敷家の朝は、意外ではあるが早い。
 一家の内、父・長男・長女・次女の四人が時間の不規則な職に就き、
 母・三女の二人が無職。もっとも、その内の三女はごく稀に仕事に
 赴く事もあるが、その時間はやはり不規則といえる。
 唯一、四女だけが朝から時間に縛られている。
 つまり、家族の実に86%が毎朝早く起きる義務はない、という
 事になる。
 それでも、父の唱える『高屋敷家家訓』によって、高屋敷家の朝は
 全員集合を余儀なくされる。
 ただ、この日はいつもとは少し違っていた。
 長男は仕事先の上司に『飲茶』と呼ばれる懇談会に呼ばれ、
 昨日から帰っていない。
司『いい加減に帰してくれ!』
劉『Zzz』
司『寝てるんなら俺の足首を掴んでるこの手を離せえっ!』
 三女は珍しく入った仕事のリハーサルの為、早朝から出勤。
春花『これ着るの?』
男『そうだYO! 色っぽいだろ?』
春花『んー、ま、いっか』
 四女はバイト先の人たちと慰安旅行。
末莉『うわーっ、健康ランドって広いんですねー』
ジョディ『デショー? マツリ、メイイッパイリフレッシュスルヨ!』
末莉『うわー! うわー!』
 父は事業拡大のため渡米。
寛『ふむ、ここがかの有名なデス・バレーか』
寛『……』
蠍『……』
蠍『フシュルルル』
寛『ぬおおおあああああああっ!?』
 母はというと、高屋敷家から200kmほど離れたデパートに向かって
 延々と歩いていた。
真純『四年に一度の五輪バーゲン……必ず勝ち残って見せるわ』
真純『……』
真純『何か忘れてるような……?』
 と言う訳で、今日の高屋敷家の朝には、住人は二人だけ。
 高屋敷青葉と高屋敷準の二人だけ。
 二人は、今だ夢の中だった。
292まったり家族計画2:02/01/31 12:51 ID:wl4eSjxI
 高屋敷青葉の朝は割と穏やかだ。
 基本的に彼女は二度寝はしないし、大抵の場合自力で起きる。
 ただし例外もある。
 それについては、いろいろと倫理的な問題が生じるのであえて
 ここでは語らない。
 ともかく彼女は穏やかな朝を好む。
 だから、たまに春花が襲撃に来た時はちょっぴり機嫌が悪くなる。
 もっとも、春花の場合は末莉ほど踏み込んでは来ないので、適当に
 相手をすればすぐにいなくなるからそれほど苦痛はない。
 高屋敷青葉が朝の食卓に付く理由は三つほど。
 一つは、生理的な欲求。
 一つは、最低限の体裁。
 そしてもう一つは……暖をとるため。
 ただ、この事を本人は頑なに否定するだろう。
 それが高屋敷青葉の高屋敷青葉たる所以なのだから。
青葉「……」
 ともあれ、彼女は今日も一人で起床した。

 高屋敷準の朝は苦渋に満ちている。
 基本的に彼女は二度寝マニアだし、大抵の場合他力で起きる。
 ただし例外もある。
 それについては、いろいろと倫理的な問題が生じるのであえて
 ここでは語らない。
 ともかく彼女は朝が苦手だ。
 だから、たまに末莉が起こしに来た時はちょっぴりうっとおしい。
 もっとも、末莉の場合は春花ほど踏み込んでは来ないので、適当に
 返事をすればすぐにいなくなるからそれほど苦痛はない。
 高屋敷準が朝の食卓に付く理由は三つほど。
 一つは、彼女なりの気遣い。
 一つは、最低限の栄養補給。
 そしてもう一つは……契約。
 その事に、本人はほんの少し思う所があるのだが、それを
 口にする事はない。
 それが高屋敷準の高屋敷準たる所以なのだから。
準「……」
 ともあれ、彼女は今だ熟睡中である。

一方、その頃。
司『は、離せぇ……#』
劉『Zzz』
司『うぬぬぬぬ……#』
 シュポン!
司『や、やっと取れた』
司『さあ帰ろ……』
ウェルカム『ヘイブラザー! 景気はいかがア!』
ウェルカム『ああっ! ツカサちゃあああン!』
司『うああっ!?』
劉『やあウーさん』
司『ぐああっ! 起きやがった!』
劉・ウェルカム『今日も朝までエンジョイプレイ』
司『ノーーーーーーーーーー!!』
293まったり家族計画3:02/01/31 12:54 ID:wl4eSjxI
 陽の光がカーテンを包み、微風がそれを優しく撫でる。
 影がワルツでも踊っているかのように優雅に揺れ、無人の部屋を
 少しだけ安らぎに彩る。
 静かな朝を歓迎するかのように。

 高屋敷青葉は静寂を苦としない。
 むしろ歓迎する事請け合いだ。
 だから、朝の食卓に誰もいないこの現状に憤りや寂寞感はない。
 だが、一つ問題が生じる。
 彼女は料理をしない。
 出来ない、ではなく、しない、だ。
 詭弁と言われるかもしれないが、彼女には一人暮らしの大学生並みの
 自炊能力ぐらいは備わっているのだ。
 仮に好きな男でも出来れば、その能力は短い期間で一般家庭の主婦
 クラスへと変化するだろう。
 しかし、現実の彼女は全くと言っていいほど料理をしない。
 必要がないからだ。
 家族計画における高屋敷家長女としての生活は、彼女から料理という
 生活概念を奪った。
 そして、彼女はその現状に不満はなかった。
青葉「……」
 ただ、今日という日に関しては、別の話だった。

 高屋敷準は静寂を苦としない。
 何故なら彼女自身が寡黙だからだ。
 不器用な彼女は自分の心情を雄弁に主張するよう巧みさも、在りの
 ままを曝け出すような大胆さも持ち合わせていない。
 仮に好きな男でも出来た所で、その性格が劇的に変化する事は
 ないだろう。
 それでも、現実の彼女はかなり無理をして弁を為す。
 家族計画における高屋敷家次女としての生活は、彼女に
 コミュニケーションという生活概念を強いた。
 そして、彼女はその現状に多少の疲労があった。
準「……」
 ただ、今日という日に関しては、別の話だった。

一方、その頃。
春花『こんな感じでいいか?』
男『OOOH! ビューリホー! サノヴァビッチ!』
春花『このスカート短すぎるよ』
男『ノンノンノン! 見えそで見えない男のロマン♪ はい、復唱!』
春花『……見えそで見えない男のロマン?』
男『見えそで見えない女のコーマン♪』
春花『……』
春花『ぐるる』
男『ひぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?』
294まったり家族計画4:02/01/31 12:56 ID:wl4eSjxI
 先ほどまで光に満ちていた空間が不意に色彩を渋めに変える。
 太陽はあっさりと出番をなくし、代わりに現れたのは重層な灰色の群れ。
 今日の天気予報は全国的に『張れのち曇り』であった。

 高屋敷青葉の職種は、似顔絵屋。
 近場の公園で人の似顔絵を描く事が主な生計維持の手段だ。
 ただし、彼女には一つ欠点がある。
 それは絵が下手糞である、というものだ。
 はっきり言ってしまえば致命傷だ。
 例えるなら、走るのが下手糞な陸上選手、といった所か。
 しかし走るのが下手糞な陸上選手でも金メダルは取れる。
 例えば、砲丸投げの選手。
 彼らが走る事を得意としているとは誰も思うまい。
 つまり、絵の下手な似顔絵屋にも生計を立てる余地はある、という事だ。
 似顔絵を描かなければいい。
 彼女は、似顔絵の代わりに呪画を描く。
 道徳的な視点から見れば決して黙認される事ではないが、彼女の場合は
 罰ですら関わり合いになるまいと自分から避けていく為特に問題はない。
青葉「……」
 彼女は気分屋だ。
 雨の日は勿論、今日のような今にも雨が降りそうな天気の日も外に
 出る事を嫌がる。
 濡れたくないし、道具を濡らしたくもない。
 つまり、今日は休日であった。

 高屋敷準の職種は、便利屋。
 ちまちまとした雑用程度のものから末端価格で0が5、6個つくような
 物の扱いまで、金銭獲得の手段は結構広い。
 ただし、彼女には一つ欠点がある。
 それは人付き合いが下手糞である、というものだ。
 ただ、それは大した傷でもない。
 例えるなら、走るのが下手糞な野球選手、といった所か。
 走るのが下手糞でもスターになった野球選手はいくらでもいる。
 つまり、人付き合いの下手な便利屋ぐらいいくらでもいる、という事だ。
 最低限の接触さえしていればいい。
 彼女は、稀に犯罪にすら手を染める。
 道徳的な視点から見れば決して黙認される事ではないが、彼女の場合は
 仕事の面では抜かりがない為特に危険はない……事もない。
準「……」
 彼女に休息の日はない。
 仕事の日は勿論、それのない日も準備やら依頼待ちやらで緊張感の
 途絶えない日はないのだ。
 ただ、この日は仕事も依頼も準備もない。
 つまり、ある意味今日は休日であった。

 一方、その頃。
末莉『あのー、“さうな”って何ですか?』
蘭霞『入ってみれば解るね』
ミーシャ『あ、じゃあ私と我慢比べしよっか』
末莉『へ? へ?』
 キー、パタン。
末莉『……』
ミーシャ『……』
末莉『……』
末莉『……りきいしっ』
 バターン!
ミーシャ『ま、末莉ー!?』
295まったり家族計画5:02/01/31 12:59 ID:Yee4wLBZ
 時計の針が正午を指した。
 普段なら昼食の時間。
 しかし、この日の高屋敷家に調理担当の人材はいない。

青葉「……」
 高屋敷青葉は空腹だった。
 朝食を抜いた事が主な原因である。
 そのスレンダーな身体から容易に想像できる通り、彼女はそれほど
 量は食べない。
 ただ、だからといって他人より腹が空き難いという訳ではない。
 とりわけここ最近の食事は消化のいい物が多かったように思える。
 母の気遣い、ここに極まれりと言った所か。
 その所為もあって、高屋敷青葉は今猛烈に空腹だ。
青葉「……」
 人は腹が減ると機嫌が悪くなる。
 だが、機嫌が悪くなった所でそれを発散する相手すらいない
 この現状ではストレスにしかならない。
 いつもは自分の感情に割と正直な彼女だが、ここはあえて
 抑えるよう努めた。
 台所へと向かう。
 そして、冷蔵庫をオープン。
 調理せずとも食べられそうな食料を鷹のような鋭い目で捜索する。
 ハム。
 ソーセージ。
 チーズ。
 漬物。
 そのくらいだった。
青葉「……」
 それでも不満はない。
 とにかく、空腹さえ満たせばいい。
 高屋敷青葉の食に対する優先度は、
1. 胃を満たす。
2. 味
3. 栄養補給
 といった感じだ。
 だから、わざわざ自分で自分だけの食事を作るくらいなら既成の物を、
 それすらなければ材料の状態でも食べる。
 もっとも、これはあくまで自分のみに当てはまるもので、
 他人に対しては質の高いものや最大限の労力を要求するのが通常だ。
 何故ならば、高屋敷青葉だからだ。
青葉「……」
 今日の彼女の昼食は五分程度で終わった。
296まったり家族計画6:02/01/31 13:01 ID:Yee4wLBZ
準「……」
 高屋敷準は寝起きだった。
 誰も起こしにこなかった事が主な原因である。
 そのボーっとした顔から容易に想像できる通り、彼女は低血圧だ。
 ただ、だからといって他人より睡眠時間が短いという訳ではない。
 とはいえ昨日の寛の奇行及び奇声によってちょっぴり睡眠不足。
 父の威厳、ここに失墜と言った所か。
 その所為もあって、高屋敷準は今猛烈に眠かった。
準「……」
 人は起きるとまたすぐ寝たくなる。
 だが、この時間に二度寝してしまうと堕落もいい所である。
 いつもは睡魔に対しては割と素直な彼女だが、ここはあえて
 起きるよう努めた。
 洗面所へ行く。
 そして、水道の蛇口をターン・オン。
 やたら勢いよく出てくる水で梟のような冴えない顔を洗う。
 むいっ。
 いー。
 わしゃわしゃ。
 ごぼーっ。
 歯磨き終了。
準「……」
 彼女の口の中が一般的な食事で汚れる事はほとんどない。
 とにかく栄養さえ満たせばいいという食品ぐらいだろう。
 高屋敷準の食に対する優先度は、
1. 栄養補給
2. 栄養補給
3. 栄養補給
 といった感じだ。
 だが、これはあくまで過去に負った心的外傷に起因する抑圧的な
 作用によるものであって、決して本意ではない。
 もっとも、これはあくまで自分の問題であって、その葛藤を表面に
 出さないように努めるのが通常だ。
 何故ならば、高屋敷準だからだ。
準「……」
 今日も彼女の昼食は五分程度で終わった。

 一方、その頃。
司会『レディ……ゴー!』
真純『えやあっ!』
主婦『ぐふぁっ!?』
主婦べス『くそだらあああああっ!』
真純『いやんっ!』
バブル主婦『おんどりゃあああっ! しばいたるぞわれえっ!』
メタル主婦『いやああああん、私もう帰るううう』
真純『負けないわよぉ!』
 ガシガシッ!
ホイミ主婦『ふほんっ!』
真純『取ったあっ!』
司会『そこまでっ! ¥980のプラダのバック、高屋敷選手獲得!』
真純『やったわっ! お母さん、私やったわよっ!』
キング主婦『高屋敷真純……中々やるわね。でも金メダルは私が頂くわよ』
司会『では次の種目、“国産松茸詰め合わせ、一袋¥880”を行いまーす』
一同『うおおおおおおおおおおおおおおっ!!』
297まったり家族計画7:02/01/31 13:03 ID:Yee4wLBZ
 高屋敷家の午後は、意外ではあるが穏やかだ。
 一家の内、父・長男・長女・次女の四人は大抵自分の部屋にいるか仕事。
 母・三女の二人が掃除、洗濯、炊事といった所謂家事全般を行っている。
 唯一時間に縛られている四女は学校から帰ってきてから
 家事の方に参戦する。
 つまり、トラブルメーカー同士が接触を起こす機会が
 ほとんどないのである。
 そもそも家事に関しては分担作業とするように決めたのだが、
 平日はほとんどをその三人がこなすのが現状だったりする。
 ただ、この日はいつもとは少し違っていた。

 高屋敷青葉はあまり家事をやらない。
 料理に関しては前述した通り、他の事に関しても決して積極的に
 行おうとはしない。
 といっても、彼女自身に生活力が全くない訳ではなく、ムードとでも
 言おうか、彼女の発するオーラみたいなものが彼女を家事から遠ざける。
 要するに、真純や末莉が彼女に気を使っているのだ。
 その事に関しては特に何の感情もない。
 やらなくていいのならやらない、というのが彼女の基本的な
 スタンスだからだ。
青葉「……」
 この日は家事担当の三人はいない。
 ただ、洗濯物は前日の内に真純がやってしまっているし、掃除は……
 一日やらなかったからといって床が腐ったり窓が致命的に
 濁ったりはしない。
 潔癖症かと思われるような態度や言動をとるが、これは過去の
 しがらみに依るもので、彼女の本質はアバウトな部分が多いのだ。
 という事で、彼女は午後を自室で静かに過ごした。

 高屋敷準はあまり家事をやらない。
 料理に関してはそもそも自身が食さないし、他の事に関しても決して
 積極的に行おうとはしない。
 といっても、彼女自身に生活力が全くない訳ではなく、仕事の関係上、
 一家で最も時間に不規則な生活環境が彼女を家事から遠ざける。
 要するに、家にいる時間という物理的な分量の問題という事だ。
 その事に関しては若干の罪悪感がある。
 やるべき事はテッテ的にこなす、というのが彼女の基本的な
 スタンスだからだ。
準「……」
 この日は家事担当の三人はいない。
 ただ、洗濯物は前日の内に真純がやってしまっているし、掃除は……
 一日やらなかったからといって床が腐ったり窓が致命的に
 濁ったりはしない。
 特に綺麗好きでもない彼女にはそこで積極的になる理由はないのだ。
 という事で、彼女は午後を自室で静かに過ごした。
298まったり家族計画8:02/01/31 13:06 ID:tw3pzU+v
 雲に隠れている太陽が西の空に沈んだ頃合、高屋敷家の一部に明かりが灯る。
 それからしばらくした後、一人の青年が覚束ない足取りでその家へと入って行った。
 沈黙は、彼を歓迎した。

司「た、ただいま……」
 どうにかこうにか劉さんとウェルカムから逃れてきた俺は、死にそう
 なほど衰弱した身体を引きずるようにして高屋敷気の敷居を跨いだ。
 玄関にある靴は二足。
 青葉と準のものだった。
 ……この二人だけ?
 珍しい取り合わせだな。
春花「BAD COMMUNICATION〜♪」
司「うおっ!?」
司「いつからそこにいた、つーか何故中国人のお前が○’zを知ってる?」
春花「うーん」
春花「何となく」
 ……ま、いいけど。
末莉「ただいま帰りましたー!」
真純「た、ただいまぁ……」
 背後から二種類の帰宅時挨拶の声が聞こえた。
春花「みんな鉢合わせ」
末莉「奇遇ですよねー」
司「だな……ん? 真純さん、顔色悪いみたいだけど」
真純「そ、そう?」
司「惨敗を喫したとか?」
 だとしたら財政面で大きな損失だが。
真純「……バーゲンは上手くいったんだけど……」
 そういって首にかけた銀色のメダルを見せる。
 ……何のこっちゃ?
真純「二位だったの」
司「二位?」
真純「頑張ったんだけどねー、最後に残った人が普通の人の
   八倍ぐらいの筋肉をまとったボディービルダー兼任の主婦で……」
司「……」
 だから、何のこっちゃ?
真純「肘は上手くガードしたんだけど、時折見せるマッチョなポーズに
   気を奪われてる隙にパパパッて商品を根こそぎ取られちゃって」
真純「一袋¥80の肉○粉、買いそびれちゃった。その差が最後に響いて二位」
司「よく解らんけど、それは買いそびれて正解だったと思うぞ」
末莉「そ、そうですね」
真純「?」
299まったり家族計画9:02/01/31 13:07 ID:tw3pzU+v
末莉「でも銀メダル、凄いです」
春花「マスミ、世界で二番目のバーゲニスト」
真純「……ありがとう」
司「やっぱり元気がないな。疲れか?」
真純「ううん、それもあるけどそれ以上の事が」
司「?」
真純「今日の分の朝ゴハンと昼ゴハン、作っておくの忘れてて……」
真純「青葉ちゃんの分だけは作っとかなきゃいけなかったのに」
司「あー……」
 いつもはそういう事には人一倍気が利く人なのだが、さすがに四年に
 一度の大勝負の前日にはそこまで気は回らなかったって事か。
真純「青葉ちゃん、怒ってるだろうなあって思うと……はぁ」
司「大丈夫だと思うけどな」
 俺だけが知っている、青葉の秘密。
 奴は真純さんの手料理がいたくお気に入りらしい。
 だから、ガッカリはしたかもしれんがその事で責める事はあるまい。
春花「おなかすいたよー」
司「末莉は楽しんできたか?」
末莉「はい! 『馬鐘温泉』とか『露鯉板温泉』とかいろんな種類の
   温泉があったんですよ!」
真純「謝らなきゃ……呪われる前に謝らなきゃ」
 姦しさが増した高屋敷家は、いつもの様相を取り戻しつつあった。

 一方、その頃。
寛『おのれ、何というしつこい奴よ』
蠍『フシュルルル』
寛『これでもくらえっ! スキャーレット・ニードゥル・アンタレス!!』
蠍『!?』
 ブシャアアッ!
蠍『シュルルル……』
寛『ふん、てこずらせおって』
寛『さて、ようやく次の視察に……』
ミ○『……』
寛『……』
 ごごごごごごごごごごごごごごご!(←空気の重みが増した音)
ミ○『降伏か死か、好きな方を選べ』
寛『ぬおおおあああああああっ!?』
300まったり家族計画10:02/01/31 13:11 ID:tw3pzU+v
 高屋敷準は屋根の上でタバコを吹かしている。
 ここは風が気持ちよい。
 だから、準は二週間に一度くらいはここで一時間ほど時を過ごす。
準「……」
 煙が宙に霧散する。
 それが目で見えなくなるくらい空気に広がった頃。
青葉「……」
 音も立てずに、高屋敷青葉が現れた。
 互いに人を拒絶するオーラをまとった者同士。
 だが、だからといってそこに奇妙な友情が芽生えたりはしない。
 共鳴する事もない。
 その代わり、お互いが微妙な距離の取り方を熟知している為
 非常に摩擦は少ない。
青葉「……」
 青葉は無言で準から1.7mぐらい離れた場所で立ち止まった。
 しばし沈黙。
 風が止まる、不意に。
 そう、ここは舞台。
 今日は曇っている為月明かりによる照明はないが、何故か素直な
 感情を表現してしまいたくなる魔力のこもった、高屋敷家でもっとも
 健全な光に満ちた舞台だ。
 だから、役者がそろえば風も止まる。
 演出だ。
青葉「……今日は、退屈だったわ」
 黒一色に染まった空をなんともなしに見ながら、青葉が呟く。
 少し棒読み気味なのは、慣れない舞台に立たされた所為
 なのかもしれない。
準「……そう、かも」
 こちらも少し緊張しているような言葉遣い。
 もっとも、準の場合は普段からこんな感じか。
準「でも……こういう日も、たまには」
青葉「そうね」
 たったこれだけの会話で、今日の舞台の幕は降りた。
 でも、役者の二人はそこから降りようとはしない。
 ただ静かに、自分と……近くにいる普段あまり接する事のない
 家族の存在を確めるかのように、静かに浸っていた。
 スポットライトもない、BGMもない、寂寞とした舞台。
 だからかもしれない。
 今日この場所に、この二人がいるのは。
 ……………………。
 終幕を見届けたかのように、一迅の風が吹いた。
 彼女等にふさわしい、沈黙の旋律と共に。
301名無しさん@初回限定:02/01/31 13:18 ID:tw3pzU+v
>>291-300
題「Melody of Silence 〜高屋敷青葉と高屋敷準の黙然たる一日〜」

こりもせず家族計画SSを書いとります。今回は本編であまり接点の
なかった二人を絡ませてみよう……と思ったのですが、こんな風に
なってしまいました。けど読んでもらえると嬉しいです。でわでわ。
302名無しさん@初回限定:02/02/01 05:09 ID:AgHUQ3EP
相変わらずステキですな、貴方のSSは。
次回(あんのか?)も頑張ってくだされ。
303名無しさん@初回限定:02/02/01 11:00 ID:jiY6VKSF
すんばらしい、
非常にまったりと楽しませてもらいました。
また是非ともお願いします。
(…でも寛は結局帰ってこれるのだろうか)
304名無しさん@初回限定:02/02/02 02:17 ID:KAuRAGLa
(≧▽≦)GOOD!

>末莉『……りきいしっ』

個人的にツボだった。
また書いておくれ。
305ぐったり家族計画1:02/02/02 21:07 ID:0Lc8ugri
 我輩は猫である。名前はまだ無い。
 どこで生れたか頓と見当がつかぬ。
 何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー鳴いていた事だけは
 記憶している。
 ……どこかで聞いた事のある話だという野暮なツッコミはさておいて。
 とにもかくにも、私は今非常に空腹であった。
 もう三日……後二時間ほど経てば四日、水しか飲んでいない。
 元々水自体普段はあまり口にする事は無いのだが、ここ最近は妙に
 喉が渇きを訴えてくる。
 もしかしたら、病気にでもかかっているのかもしれない。
 空腹、栄養失調、病気。
 衰弱するのも無理はない。
 ……視界が黒ずんできた。
 手足にも力が入らない。
 これは死の予兆なのだろうか。
 そういえば、同朋に『不吉の象徴』という不名誉な汚名を
 着せられた者達がいたような憶えがある。
 しかし、私は彼等とは違う。
 私を被う毛氈の着物は、淡雪のような、精錬とした白色なのだから……。
?「わーっ、猫だー!」
 声が聞こえる。
 おそらく、ヒトの声だ。
?「うわーっ、真っ白! きれーい」
?「あれ? なんかフラフラしてる」
?「だいじょーぶ?」
 大丈夫では……なさそうだ。
 その思考を最後に、私の意識はホワイトアウトした。
306ぐったり家族計画2:02/02/02 21:12 ID:0Lc8ugri
 我輩は猫である。名を頂いた。
『アスタルエゴ』
 ……中々個性的だと思う。
 意味は解らないが。
娘「アスタルエゴー! ゴハンだよー!」
 ゴハン。
 あの奇妙な味のドロドロした食料か。
 個人的には生きのいい蛇やモグラの弾力豊かな肉を堪能
 したい所なのだが。
 ちなみに、私はネズミはあまり好きではない。
 グルメなのだ。
 だから、『きゃっとふーど』などと呼ばれるあの珍妙な代物は
 あまり好きではなかった。
娘「どうーしたのアスタルエゴー? ゴハンだよー!」
 とはいえ、せっかくの好意。
 まして、自分は彼等から命を救ってもらった身。
 贅沢は言うまい。
アスタルエゴ「ニア」
 野性の本能が日に日に削られていくのは気がかりであったが、
 この暮らしは悪くはなかった。
 暖かさが、あった。

 そして、私は世間的に言う所の『飼いネコ』としての余生を
 送る事となった。

 ここの飼い主は中々に放任主義だ。
 私がどこをどううろつこうが、いついなくなろうがお咎めはなかった。
 私の習性を尊重してくれているのだろう。
 ただ、夜になればきちんと帰宅する。
 そして、呼ばれたら必ず足を運び、膝の上に乗る。
 命の恩人、且つ現在の主人である彼等に対する、私なりの恩義だった。
 もう一つ付け加えるなら。
 私はこの家庭が好きになっていた、という事だ。
 力が全て、弱肉強食の世界で生きてきた私には、眩しすぎるくらいの
 空間だった。
娘「アスタルエゴー!」
 娘の呼ぶ声が聞こえる。
 私は勿論、それに答えるべく四肢を稼動させた。

 それからいくつもの季節が過ぎ、『三丁目の白狼』などという
 通り名が近所に知れ渡った頃の……とある日。
 夏の、暑い日だったと記憶している。
?「ようし、では家族結成の祝杯をあげよう!」
一同「かんぱーい」
 無人だったはずの屋敷から、ヒトの賑やかな声が聞こえてきた。
 意外だった。
 この屋敷は何度か外から眺めた程度だったが、あまりそういった
 喧騒が似合う場所ではなかったと記憶していたからだ。
 ちんちりん。
 何か金属がぶつかり合ったような音。
 それが何を意味するのか、私には知る由もない。
 だが、何か牧歌的でありながら騒擾的な……そういう特殊な響きを
 含んだ音に聞こえた。
 アスタルエゴ「グァ」
 その所為だろうか、この日から私は進んでここに足を運ぶようになっていた。
307ぐったり家族計画3:02/02/02 21:15 ID:0Lc8ugri
ACT.1【青葉の場合】

 高屋敷青葉。
 高屋敷一家の長女であると同時に、高屋敷家で最も強い生物。
青葉「……#」
 この日彼女は、脊索動物門哺乳網霊長目ヒト科において生物学的に雌と
 分類される生物の内成熟期を越えた者が平均して月に一度ある個所に
 周期的に出血するという現象によって朝から不機嫌の極みだった。
 こういう日は、誰もが関わり合いになるまいと進んで彼女との
 接触を回避する。
 しかし、事情を知らない者はそうはいかない。
 例えば、その苦しさを知らない輩。
寛「はっはっはっ! 今日も実に健やかな朝であるがご機嫌は
  いかがかな青葉君!」
青葉「……」
寛「おやおや? 何やら顔色が優れぬようだが気分でも悪いのかね?
  そうかそうか、ならば私の一発芸でも見てカンラカンラと
  笑うが良いぞ! 笑顔は健康の何よりの証だからなぁっ!」
青葉「……」
 寛は縁側から庭に降りると、青葉の正面に立った。
寛「ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、一生懸命やったのに!」
 中途半端に古い上たいして浸透力もなかったギャグだった。
 夏なのに、寒風。
春花「ひゅ〜るり〜、ひゅ〜るり〜らら〜」
 春花の鼻歌が聞こえた。
青葉「……消えなさい」
寛「ぐぶぁっ」
 寛は死んだ。
アスタルエゴ「ニア」
青葉「……?」
 その死体の背後から、白いネコが歩いてきた。
 遥か昔ヨーロッパで「魔女」と称されていた、動物界脊椎動物哺乳類
 食肉目ネコ科ネコ属イエネコ類に分類される生物、ネコ。
 高屋敷家長男によく『魔女』と形容される青葉とは、何か通じる
 所があるのかもしれない。
 そう思ったのだろう、ネコは青葉の目をジーっと覗いていた。
青葉「……不快ね」
青葉「私に決闘を挑んでいるのかしら」
 青葉は特にネコ嫌いという訳でもない。
 が、今日は血の気こそ少ないもののこの上なく不機嫌だった。
青葉「消えなさい」
アスタルエゴ「グェ」
 ネコは青葉の言を無視した。
 そして、縁側のすぐ下で丸くなった。
青葉「厚顔無比な生物だこと」
青葉「……燃やしてしまおうかしら」
カラス「クアアッ!?」
 屋根から顛末を覗いていた鳥が悲鳴を上げる。
青葉「冗談よ」
青葉「あなた、中々見所あるわね」
アスタルエゴ「ギァ」
 思いの外、この日の高屋敷家は穏やかな時を送った。
308ぐったり家族計画4:02/02/02 21:17 ID:0Lc8ugri
ACT.2【準の場合】

 高屋敷準。
 高屋敷一家の次女であると同時に、高屋敷家で最も寡黙な生物。
準「……」
アスタルエゴ「ニア」
 とはいえ彼女は情が薄い訳では決してない。
 だから、ついついネコに構ってしまうのも、彼女にとっては
 珍しい事でもなかった。
準「何か食べる?」
アスタルエゴ「ナア」
準「待ってて」
 一分後、冷蔵庫の中のチーズとソーセージを持ってきた。
アスタルエゴ「グルル」
 喉を鳴らしてそれを食べるネコを、準はボーっと眺めていた。
準「……」
 ネコは一般的に情の薄い動物と言われている。
 しかし、実際の所はそうではない。
 彼等は他の愛玩動物よりも野生の誇りが色濃く残っているのだ。
 素直に甘える事は、それが許さない。
準「……似てるのかも」
 その言葉に主語はなかった。
司「準ー! ちょっといいかー?」
準「……呼んでる」
準「じゃ、ね」
アスタルエゴ「ナオ」
 この日の高屋敷家はいつも通りだった。
309ぐったり家族計画5:02/02/02 21:21 ID:yE6nmvC3
ACT.3【春花の場合】

春花「がるる……」
アスタルエゴ「グルル……」
 高屋敷春花。
 高屋敷一家の三女であると同時に、高屋敷家で最も活発な生物。
 ついでに、高屋敷家で最も野生に近い生物だった。
春花「ぎにゃにゃっ!」
アスタルエゴ「グルルァ!」
 ドスンバタン!
司「だー! 静かにしろ!」
末莉「春花おねーさん、完全に野生化してますけど……」
春花「ぐりゃりゃっ!」
アスタルエゴ「ゴルルァ!」
 ドスバタガタン!
司「空腹で死にそうな時に餌を加えたあいつが通りかかったらしい」
末莉「それは……なんと言ったらいいのやら」
 ズーン! ドスーン!
青葉「うるさいわねっ! 静かに……」
アスタルエゴ「ギァァッ!」
 バリッ!
青葉「……」
 青葉のスカートがネコの爪によって裂けてしまった。
司「……」
末莉「……」
春花「……」
アスタルエゴ「……」
 ごごごごごごごごごごごごごごご!(←空気の重みが増した音)
青葉「……焼殺死体は臭いが凄いらしいけど、大丈夫よ。
   臭いごとチリにしてあげるわ」
司「さー避難避難」
末莉「ああっ、また居間がメチャクチャに……」
青葉「†εΨΘν‡ψγζ←呪詛の言葉)……」
春花「ぎにゃー!?」
アスタルエゴ「ニアアーッ!?」
寛「おお、みんなして何を……」
青葉「地獄の三丁目まで消し飛ぶがいいわ!!!」
 青葉はイオナズンを唱えた。
 ……この日の高屋敷家の損害。
 重傷一名、軽傷一名、居間半壊……軽傷一匹。
310ぐったり家族計画6:02/02/02 21:24 ID:yE6nmvC3
ACT.4【末莉の場合】

 高屋敷末莉。
 高屋敷一家の四女であると同時に、高屋敷家で最も無放備な生物。
 今日は学校もない為居間でお昼寝中。
末利「おにーさん……うふふ」
 幸せそうなニヤけ顔だ。
 何かいい夢でも見ているのだろう。
末莉「ん……」
 寝返りを打つ。
 ガタン。
 寝る前に身体のすぐ横に置いていた、飲みかけの牛乳の入った
 コップが倒れる。
 そして、その中身が末利の身体に……。
アスタルエゴ「ニア」
 そこに現れた、一匹のネコ。
 そのネコは空腹だった。
アスタルエゴ「ギェ」
 とことこと家に上がりこんで、末利の傍にやってくる。
 そして。
 ペロッ。
末利「んあっ……」
 末利の身体に付着したミルクを舐め始めた。
 足の指をペロッ。
末利「んっ……」
 ふくらはぎをペロッ。
末利「ふっ……」
 そして、最も白く色付いた太ももを滑らかな舌使いで丹念に舐める。
 ペチャペチャッ……。
末利「う……ああっ……」
 居間に響き渡る、淫靡な音。
 末利の顔はいつしか上気していた。
 ピチャッ……ピチャッ……。
 太ももの裏側に舌が回る。
末利「はぁ……っ……」
 無意識だろうか、それとも何かしらの意図があるのか……末利の
 両足が、徐々に広がっていった。
アスタルエゴ「グァ」
 ネコがそのスペースへ身体を滑りこませる。
 その眼前に、赤い布に囲まれた白い布があった。
アスタルエゴ「ニア」
 ネコはそれに興味を持った。
 赤い布……スカートの中に首を突っ込む。
 白い布……パンツは、僅かに湿り気を帯びていた。
 ペロッ。
末利「あうん」
 末利の声が大きくなる。
 それまで伸ばしていた両足が膝から折れる。
 なんというか……エロい格好だった。
 ペチャッ……クチュッ……。
 ミルクによって口内が湿っているネコの舌なめずりの音。
 妖艶な響きだ。
末利「はっ……はっ……はっ……」
 耳まで真っ赤になった末利は息遣いが荒くなっていた。
アスタルエゴ「ンア……」
 そして、ネコの白く濁った舌が末利のまだ誰も触れた事のない
 あの場所へと……。
311ぐったり家族計画7:02/02/02 21:27 ID:yE6nmvC3
寛「昼飯はまだかあああああーーーーーっ!?」
アスタルエゴ「グァ!?」
アスタルエゴ「ニアーッ!」
 ネコは寛の奇声に驚きものの木さんしょの木。
 一目散に縁側から庭へと逃げていった。
末利「うあ……?」
 末莉起床。
寛「む、どうした末利。顔が完熟トマトのように真っ赤だそ」
末利「え、え? い、いや、ななななんでも」
寛「さてはお主……エロい夢でも見とったな?」
末利「そそそんな! めめめっそうも!」
寛「いいからいいからパパに言ってみなさい。ちゃーんと利に適った
  アドヴァイスをしてやるから」
 何故か息を荒げる寛。
末利「お、おとーさん……?」
寛「さあさあ! さああっ!!」
司「この親姦ペド親父があああっ!!」
 ゴガアアッ!!
寛「うおんっ!?」
司「これまでも変態変態しい行動をとってはいたが、ここまで堕ちる
  とはな。今日という今日は然るべき場所へと送還してやろう」
寛「ま、待て息子よ、お前はなにか勘違いしとるぞ。私は単に末莉に
  健全な性教育をだな……」
司「ちなみに今の俺はなにやらよく解らん所から発せられている
  何やらよく解らん怒りによって目覚めた超サイヤ司だそうだ」
超サイヤ司「中途半端は絶対に許さん。その原因たる貴様を殺す」
 ごごごごごごごごごごごごごごご!(←空気の重みが増した音)
寛「ちょ、ちょっと待てい! それはつまり私があのシャイな豚畜生
  達の豚息子のような行為をしたとでもいうのかあ!?」
超サイヤ司「豚息子……?」
超サイヤ司「それは良○の事か」
超サイヤ司「○太の事かあああああああああああああああっ!!!!!」
寛「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」
 ドスバキボカボクギシャビシゲスドカグシャベリグチャズチャ!!
司「胸糞わりい名前を思い出させやがって」
寛「……」
 寛は死んだ。
末莉「き、着替えなきゃ……」
末莉「……(確認)」
末莉「うああ」
 この日の高屋敷家の損害。
 重体一名……パンツ一枚。

ACT.Ex.【伊佐坂氏の場合】

 逃げてきたネコの上……垣根ごしに、にゅっと手が出現した。
 そして、
 グッ!
 親指をつき立てた。
 しかし、
 チッチッチッ。
 人差し指を左右に振って、
 グイッグイッ。
 握った人差し指と中指の間に親指の先端を突き出して、
 チッ!
 惜しい、と言わんばかりに指を鳴らした。
アスタルエゴ「ニア?」
 ネコにはそれの意味する所は解らなかった。
312ぐったり家族計画8:02/02/02 21:29 ID:yE6nmvC3
ACT.5【真純の場合】

真純「あらぁ、ネコ」
真純「かわいい〜」
真純「何か食べる?」
アスタルエゴ「ニウ」
真純「はーい、ちょっと待っててねー」
 高屋敷真純。
 高屋敷一家の母であると同時に、高屋敷家で最も平和な生物。
真純「今日は平和ねー」
 この日の高屋敷家は特に何事もなかった。

ACT.6【寛の場合】

寛「……」
 入院中。
313ぐったり家族計画9:02/02/02 21:31 ID:NVD+QK2X
ACT.7【司の場合】

司「んー、っと」
 この日の天気はいつにも増して晴れ渡っていた。
 太陽の位置がいつまで経っても真上にあるような……そんな感覚。
 まるで、いつまでもこの時間を保存しておきたいかのような……。
アスタルエゴ「ニア」
司「お、アスタルエゴ」
司「今日はどうした? 散歩か?」
アスタルエゴ「グァ」
司「そうか」
司「にしても、相変わらず変な鳴き声だな」
アスタルエゴ「ゲォ」
司「ははは、それはそうだな」
 俺は縁側から降りて庭にしゃがみこんだ。
 目線の高さを彼に近付ける為だ。
アスタルエゴ「アウ」
司「ん? 何だ?」
 アスタルエゴの様子がいつもと違っていた。
 声にも表情にも寂しそうな色が混じっている。
アスタルエゴ「……グェ」
司「え!? そ、そうなのか!?」
アスタルエゴ「……ナア」
司「そ、そうか……残念だな、せっかく……」
アスタルエゴ「ウア」
司「何言ってんだよ、それはこっちのセリフだ」
司「ちょっと待ってろよ、今皆を……」
アスタルエゴ「ゲァ」
司「む……けど………そっか、そうだな」
アスタルエゴ「……ニア」
司「了解した」
司「じゃあ、元気でな……」
アスタルエゴ「ニャオウ!」
 アスタルエゴは元気よく去っていった。
 彼には帰る場所がある。
 そして、その場所が彼にとって、かけがえのない所なんだ。
司「またな」
 その言葉は風に乗って、彼に届くだろうか。
 そんな事を考えながら、俺は友の後姿をいつまでも見送っていた。
314ぐったり家族計画10:02/02/02 21:38 ID:NVD+QK2X
娘「ええーっ、引っ越しちゃうのー!?」
娘「やだやだ、やだーっ!」
 その日、娘は一日中泣いていた。
 それは私にとって非常に遺憾な事だったので、慰めてやろうと
 彼女の頬をペロペロと舐める。
娘「アスタルエゴ……?」
娘「ありがと……慰めてくれてるんだ」
 娘は少しだけ笑顔を見せてくれた。
娘「あのね」
娘「私達、これから遠くに行かなきゃいけないの」
娘「出発、一週間後だって」
娘「だから、今のうちに仲の良かった子達とさよならしなさい、だって」
 私はヒトの言葉は解らない。
 だが、この娘の言葉は何故か解る。
娘「嫌だけど……凄く嫌だけど、しょうがないよね」
娘「寂しいけど……アスタルエゴも一緒だし」
 ああ、一緒だ。
 そう決めた、とうの昔に。
娘「だから、アスタルエゴも仲の良かった子達とお別れしなきゃ」
 仲の良かった……。
 そうだな。
 私の脳裏に真っ先に浮かんだのは、あの街のあの屋敷だった。

司「ちょっと待ってろよ、今皆を……」
アスタルエゴ「ゲァ」
 いえ。仰々しい別れは性に合わないので。
司「む……けど………そっか、そうだな」
アスタルエゴ「……ニア」
 皆さんには、楽しかった、ありがとうとお伝えください。
司「了解した」
司「じゃあ、元気でな……」
アスタルエゴ「ニャオウ!」
 私は、俗に言う“ネコらしい”声で高らかに答えてみせた。
 それが、彼に対するせめてもの礼だった。
 楽しい時間をありがとう、そう言うメッセージを込めて……。
 踵を返し、歩く。
 この街ももう歩く事はないのだな、と思うと、見る景色全てが
 いとおしく思えた。
 もう見れない。
 もう遭えない。
 寂しいけれど、それが現実と言うものなのだろう。
 仕方のない事だ……。
              ―――またな―――
 ……!
 そんな言葉が耳に触れた。
 振りかえる。
 もう、あの屋敷はほとんど見えない。
 しかし、その言葉は確かに聞こえた。
 なら、返事を。
 心をこめて、はっきりと。
アスタルエゴ「―――」
315名無しさん@初回限定:02/02/02 21:46 ID:NVD+QK2X
>>305-314
題「またあとで」

またもや家族計画SSです。ネタがあるうちに、ってな事で。
今回は今までで一番テンション上げて書きましたので、読んで
もらえると嬉しいです。では、アスタルエゴ!
316/名無しさん@初回限定:02/02/03 02:04 ID:KGF5TJTd
ネコ・・・( ・∀・ )イイ!!
317名無しさん@初回限定:02/02/03 05:07 ID:7OgmEeuG
今回も、なかなかイイNE(´ー`)ノ !
このノリを維持してくれ。
318名無しさん@初回限定:02/02/04 09:26 ID:+c+mU/Bj
やっぱり司が動物の言葉を理解してる(w
末莉を手篭めにしたアスタルエゴ(・∀・) イイ!

>この日彼女は〜
妙に細かくてワラタ
319しっとり家族計画:02/02/05 11:53 ID:0Q1RqlZy
 ――この日は、少しだけ特別な日だった

青葉「あなた、早く仕度なさいな」
司「ん、もうちょっと」

 ――本格的な夏の日差しが少しずつ色褪せ始めた、そんなとある一日

司「うし、完了」
青葉「さ、行きましょうか」
司「ああ」

 ――二人を引き合わせた、あの場所

司「あれ、持ったか?」
青葉「ええ」

 そして……時は戻る。

 路地裏の夕暮れ。
 陰鬱さと生臭さが常に付きまとうこの場所も、この時間だけは
 暖かさに満ちた茜色の光に彩られる。
 ビルの窓、ポリバケツの蓋、空のビールビン。
 全てオレンジ色の衣に包まれていた。
 そんないつもの夕暮れに、私は目を奪われていた。
 感傷に浸っていた。
 すべてはこの場所が始まりだった。
 だからかもしれない。
 終わりにもこの場所を選んだのは。
 残された時間は、あと僅か。
 いつもより緩やかに、穏やかに、視界を閉ざす。
 その分の労力が、これから脳裏に射影する景色を
 少しでも色濃くする事を祈って。
 
 ――追想
320堕落と墜落:02/02/05 11:55 ID:0Q1RqlZy
 私の名はクロード。
 数多の友と戦友、そして仇敵に囲まれながら、私は成長を続けた。
 そして、最も高い位置に昇り詰める事が出来た。
 仲間。
 例え王となった今でも、皆をそう呼ぶ事に何の躊躇いもない。
 彼等とは、喜悦も悲哀も苦辛も享楽もすべて共にしてきた。
 故に、立場は変わっても想いまで変わる事はない。
 しかし、事態は一変した。
 突然出没した中年の人間によって、傷を負わされたのだ。
 傷はこの身だけではない。
 仲間との絆にも、大きな歪を生んだ。
 そしてそれは、最後の転機でもあった。
 
 敗走を余儀なくされた私は、手負いのまま上空を彷徨っていた。

 墜落、していた。
 ここまでなのか。
 そう思った。
 そして、着陸したその場所で、私は彼等と出会った。
司「おい、手当て、いるか?」
 昔ほどではないとはいえ、人の言語を理解するのは中々難しい。
 が、その青年の言葉はすぐに理解できた。
 理由は判らない。
司「必要なら、してやれるぞ」
 人の子は我等をあまり歓迎しない。
 だから、彼の申し出は意外だった。
 そして、ありがたかった。

 その後、私は囚われの身となった。
321魔女と使い魔:02/02/05 11:59 ID:0Q1RqlZy
 私の名は鳥。
 数多の友と戦友を失い、私は堕落した。
 そして、最も低い位置に留まる事を余儀なくされた。
青葉「中々似合うわね」
 首輪をはめられた。
 人間でいう所の『奴隷』なのだろう、今の私は。
青葉「勝手に私から離れない事。了承したなら
   右の羽だけはばたかせなさい」
 了承、せざるを得なかった。
 彼女の魔眼に逆らう術は、今の所皆無だ。
 バサバサッ。
青葉「よろしい」
 それは、一種の盟約だった。
 ここにいる事の意味。
 そんなものがあるのかどうかは解らないが、私はこの場所で
 残された時間を過ごす事となった。

 私の主は、昼頃になると公園へと出向く。
 何をしているのだろうか。
 何か妖怪じみたオーラを発する紙を製造しているようだが、
 その意図とする所までは理解できなかった。
客「お、俺の顔はこんな平行四辺形じみた形はしていない!」
客「俺だって、顔の面積の五分の四が唇で埋め尽くされてねえっての!」
客×2「書き直しを要求するっ!!」
青葉「うるさい黙れ」
青葉「私の美的センスにケチをつけるのなら、まずその下劣極まりない
   現実を整形外科なり富士の樹海なりで矯正してくる事ね」
客×2「……うえ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん!!」
青葉「今日もまたつまらぬものを書いてしまったわ」
 ……少し気の毒だったが、それもまた彼等に与えられた
 試練なのだろう。
 今の、私のように。
322住人と住鳥:02/02/05 12:04 ID:0Q1RqlZy
 この家の事情はかなりややこしいようだ。
 家族という形態を取ってはいるが、本当の家族ではないらしい。
 我々にとってはそれほど珍しい事ではないのだが、人間社会の中では
 随分特殊な事のようだ。
 その所為なのか、やたらと争い事が勃発する。
 その度に東奔西走する住民たち。
 見ていて、飽きない。
司「いい加減にしやがれこの変態性低気圧!」
寛「ふっほん、まだまだ甘いわっ!」
 バタンガタン!
末利「ああっ、また晩御飯がメチャクチャに……」
真純「困ったわねぇ」
司「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!」
寛「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!」
 ……本当に、飽きない。
 少しずつだが、ここが私にとって悪くない住処になっている。

 住民は皆、私に優しく接してくれた。
 真純殿はよく食糧を供給してくれるし、準殿は周りに誰もいない時
 だけだが優しい笑みをくれた。
 春花殿と末利殿は庭でよく遊んでくれた。
春花「とってこーい」
 ギュルルルルルルルッ!
 パリーン!
末利「……あっ」
春花「失敗」
末利「鳥さんも一緒に窓ガラスに飛びこみましたが……」
春花「……んー」
春花「末莉、回収係」
末利「な、なぜに私がーっ!?」
 そして、特に親身にしてくれたのが、司殿。
 彼は実に好青年だし、なにより私を捕虜としてでなく友として
 扱ってくれた。
 心が通じ合っているような気がした。
司「今日もいろいろきつかったよ」
 彼は私に人と会話すように語りかけてくる。
 私もまた、彼には同属と触れ合うように接した。
司「じゃ、また明日な」
 屋根の上から降りていく司殿の姿は、日に日に小さくなっている
 ように見えた。
 疲労と気苦労が溜まっているのだろう。
 何とかしてやりたい。
 力になりたい。
 だが、今の私はあまりにも無力だった。
 ここにいる事の意味。
 それが、少しずつ見えてきたような気がした。
323最後の飛翔:02/02/05 12:09 ID:LsmsBRHy
 ――崩壊

 青葉殿がおかしくなった。
 これまで、たまに部屋で一人苦しんでいる事があった。
 その時の目は決まって憎悪と嫌悪感に支配されていた。
 今は、常時その目だ。
 それが引き鉄となったのかどうかは解らないが、準殿が去り、
 真純殿が去り、そして今日寛殿が去った。
 寛殿にはいろいろ思う所はあるが、やはりいなくなると一末の寂しさを
 覚えてやまない。
 なにより、最近のここの空気は……あまりにつらいものだった。
 私は、この場所が好きになっていた。
 ここの住民が、空気が、暖かさが好きだった。
 それがなくなったのは残念であるし、何の力にもなれなかった事が
 非常に無念だった。
 青葉殿はすでに私を縛り付けておく気はないようだ。
 当の私も、長時間飛翔できるほどの体力は残っていなかった。
 傷も、完全には癒えていない。
 もう残り少ない私の寿命は、この傷を全快させるほどの余力は
 なかったようだ。
 時間がない。
 せめて、何か。
 私の余生を彩り豊かにしてくれた彼等に、何か出来る事は
 ないだろうか。
司「……」
 司殿が玩具で遊んでいる。
 銀色の光を帯びたそれは、私達が『宝物』と称する光物に
 他ならなかった。
 ……あれを私が持ち出したらどうだろう?
 司殿は怒るだろう。
 そして、私を探すだろう。
 その過程で青葉殿や末莉殿に助力を願うかもしれない。
 そうすれば……何でもいい、皆で力を合わせれば……少しは
 元の空気に戻るかもしれない。
 暖かく優しかった、あの頃のように。
 私は、実行した。
 これでもう、私はここに戻ってくる事はあるまい。
 次に着陸した所が私の墓場となるだろう。
 それでも構わない。
 これで少しでも、彼等を取り巻く苦難に風穴を開けられるのなら。
 そして、最後にもう一度、この雄大な空を舞う事が出来たのだから……。
324鳥の唄:02/02/05 12:14 ID:LsmsBRHy
 路地裏の夜明け。
 陰鬱さと生臭さが常に付きまとうこの場所も、この時間だけは
 生命力に満ちた白い光に彩られる。
 ゴミ袋、窓ガラスの欠片、黒い羽。
 全て白の衣に包まれていた。
 そんな特別な日の出に、私は目を開けた。
 鑑賞は終わった。
 朝露が身体に付着していた。
 羽の重量が増してしまっているが、気にする事はない。
 もう、この羽を広げる事はないのだから。
 残された時間は、もうなかった。
 いつもより緩やかに、穏やかに、意識を閉ざす。
 幾ばくかの余生を投げ打ってやってのけた事が、これから彼等の
 行く先に射影する景色を少しでも色濃くする事を祈って。
 祈って――
325墓参り:02/02/05 12:22 ID:LsmsBRHy
 高屋敷家跡は綺麗に整備されていて、昔の面影は見受けられなかった。
 それでも、この場所が特別だという事が変わる筈もなく。
司「……」
青葉「……」
 俺と青葉は暫くの間、無言でその敷地を外から眺めていた。
司「さ、行こうか」
 俺は青葉の手を引く。
 彼女は黙ったままそれに従いついてきた。
 
 ――鳥の一周忌

 埋葬した場所には地面しかない。
 墓標も、餞の花も。
 寂しい思いをさせたのかもしれない。
 そう思うと、少しだけ胸が痛んだ。
司「随分ほったらかしにしちまったな……」
 俺は友の眠る場所にあらかじめ用意しておいた花をそっと置いた。
 そして、静かに手を合わせる。
司「青葉、あれ」
青葉「ええ」
 青葉は鞄から――これもあらかじめ用意しておいた物――を取り出す。
 銀色に塗装した、竹とんぼ。
 と言っても、むかし青葉が祖父から貰った物じゃない。
 あれは火事の時燃えてしまったから。
 俺が街に出た時、探して買ってきたやつに色をつけた、
 そういう品だった。
司「お前が最後に持ってたのとは違うけど……これで我慢してくれな」
青葉「……」
 青葉は無言のままそれを花束の隣に置いた。
 一緒になって一年近く経つが、今の青葉が何を想っているのかは、
 正直完璧には解らない。
 だから、ちょっと意地悪な事を聞いてみた。
司「一年前は泣かなかったよな? 青葉は」
青葉「……ええ」
司「今はどうだ?」
青葉「……」
 あの時は泣く事の意味すら理解していなかった。
 けど、家族の暖かさを知り、人と繋がる事の喜びを知り、
 絆の意味を二人で紡ぎ。
 そうして育んだ今の青葉の心は、あの頃より情に溢れているはずだ。
 青葉「泣きはしないわ、今も」
司「……そっか」
326墓参り:02/02/05 12:25 ID:McgFjfNO
青葉「けれど、少し思い出した事が」
司「ん?」
 青葉は腰を上げ……空を見た。
 まだ僅かに陽が残る空は、薄い青を名残惜しげに彩っている。
 もうすぐ、夕暮れだ。
青葉「あの子はね、この時間になると無償に外に出たがっていたわ」
司「……」
青葉「私は、あの子を苦しめていたのでしょうね」
 好奇心だったのかもしれない。
 或いは、閉じ込めた心の隙間を黒く塗り潰したかったのかもしれない。
 ともあれ、青葉は何らかの意図を持って鳥を飼った。
 その事は、野生のカラスであった鳥にとって、もしかしたら
 迫害だったのかもしれない。
 だけど。
司「そんな事ないよ」
司「あいつは、お前が好きだったから」
 これは紛れもない事実だった。
 鳥は俺に気を許してくれていた。
 だから、解る。
 青葉の肩に乗るあいつは、いい顔をしてた。
青葉「……」
 微笑。
 懸念した自嘲は含まれていなかった。
青葉「憧れ、だったの」
司「憧れ?」
青葉「翼を広げて自由に飛びまわる、その姿が」
司「……」
 さっきの謎は思いの外早く解けた。
 陽が、沈む。
 青から茜色へ鮮やかに彩りを変えていく空を、
 俺と青葉はじっと見つめていた。
327唄が届いた日:02/02/05 12:28 ID:McgFjfNO
司「さ、そろそろ……ん?」
 帰ろうか、と言おうとした瞬間……誰か、青葉以外の
 誰かの視線を背中に感じた。
 振り向いてみる。
準「……あ」
 そこには、懐かしい顔があった。
司「準……準か?」
青葉「え?」
 青葉も振り向く。
準「……ん」
 一度だけ俺の見舞いに来て以来……約一年ぶりの再会だった。
準「ご無沙汰」
青葉「本当に」
司「今までどこにいたんだ? 末莉が随分探したんだぞ」
準「末莉なら……」
 準は身体を少し横にずらした。
 そこに現れたのは……高屋敷家の末っ子。
末莉「あ、あはは……」
 愛想笑いの達人こと高屋敷末利だった。
司「なんだ、一緒だったのか」
末利「はっ。今日たまたまこの近くで発見したので」
準「捕虜にされた」
青葉「……」
 青葉は声を出さずに笑った。
末利「これであとは、おとーさんとおかーさんが見付……」
寛「おおっ! 子供達が全員集合しとるぞ母さんや!」
真純「あらぁ」
末利「ああーっ! おとーさんおかーさん!」
司「……マジかよ」
 これまで末利が苦心惨憺してもなお叶わなかった『真・家族計画』。
 それがこの日だけで、もういつでも発動できる段階に飛躍した。
準「……凄い偶然」
末利「本当ですねー!」
 偶然?
 いや、多分違う。
 きっと……見たかったんだろう。
寛「こうして同じ日同じ時間にここに集まったのはやはり我々
  家族の絆が確固たる何よりの証拠だなっ! 良き哉良き哉」
真純「本当すごいわねぇ」
 だから、俺達をここに集めたんだ。
 あの時崩壊してしまったものを、もう一度作り直させる為に。
 そうだろ……?
『それが、私の望みです故』
 そんな声が聞こえたような気がした。
328「お達者で」:02/02/05 12:32 ID:McgFjfNO
真純「あら……? 青葉ちゃん、ちょっとお腹……」
青葉「……ええ」
真純「あらやっぱり! 先越されちゃったわねー」
寛「なんとっ! まさか息子に遅れを取るとは……一生の不覚っ!」
準「……(何故か赤面)」
末利「?」
寛「これはじーーーーーっくり話を聞かなくてはいかんな。そうと
  決まれば真・家族計画の狼煙を上げるべく、さあ! 新たなる
  我が家へ行こうではないか!」
青葉「……これから?」
真純「迷惑……かな?」
青葉「……」
 青葉は俺の方を見やった。
 全て俺に委ねる、って事だろう。
司「どうせダメっつっても来るんだろ強引に」
寛「さすがは我が愚息! 実はすでに荷物も送ってあるのだ」
真純「……断りの電話を入れるよう言ったんだけど……」
司「いいよ。この人外魔境とまた同じ屋根の下で暮らすのは
  ちょっとアレだけどな」
末利「真・家族計画の発足ですね!」
寛「そうだ! さあではいざ行かん!」
 寛を先頭に皆歩き出した。
 それが俺たちの、家族計画第二章の幕開けの合図となった。
 俺は集団に背を向けたまま、鳥の眠るその場所を右手でそっと撫でた。
 そして、
司「……ありがと、な」
 別れでも追悼でもなく。
 感謝の言葉を置き土産にして、俺は家族の元へ向かって歩き出した。
カラス「クア」
 遠くの空からカラスの鳴き声が聞こえてきた。
 その声が何を意味するのか、俺には解らない。
 けど。
司「おう!」
 空へ向けてありったけの笑顔で……そう返事した。
329名無しさん@初回限定:02/02/05 12:44 ID:McgFjfNO
>>319-328
題「お達者で」

再び動物シリーズでお送りしました家族計画SSです。
最近青葉シナリオをリプレイした事もあって、こういうお話を
書いてみました。たまにはこういうのもいいんじゃないかなー、
と思った次第ですが、どうでしょうか。
読んでもらえると嬉しいです。でわでわ。
330名無しさん@初回限定:02/02/05 22:19 ID:Ph2z/R6F
おおおー。
ペース速いですな。
相変わらずレベル高いし。
ネタの泉が枯れないのは良いことです。
331名無しさん@初回限定:02/02/06 13:05 ID:BzOMbjeU
エロゲ板から乃絵美でガッツの104氏は移ってきてくださらんのか…。
真奈美が寸止め状態なのが心残りっす。
332名無しさん@初回限定:02/02/06 23:36 ID:VxDZCGh9
またしてもGOOD(´ー`)ノ !
マジで、貴方を<第一級家族計画SS作者>と一方的に認定させていただきます。
リビドーが尽きないうちにまた書いておくれ。
333名無しさん@初回限定:02/02/07 02:03 ID:G7bqTcDk
>329
・・・あれ、春花がいないのでは?
334名無しさん@初回限定:02/02/07 02:54 ID:s88bYvxK
>>333
フッ……………………………………………………………忘れてました。
指摘どうもです。ラスト二ページだけ速攻で描きなおします。
335唄が届いた日:02/02/07 03:01 ID:s88bYvxK
司「さ、そろそろ……ん?」
 帰ろうか、と言おうとした瞬間……誰か、青葉以外の
 誰かの視線を背中に感じた。
 振り向いてみる。
準「……あ」
 そこには、懐かしい顔があった。
司「準……準か?」
青葉「え?」
 青葉も振り向く。
準「……ん」
 一度だけ俺の見舞いに来て以来……約一年ぶりの再会だった。
準「ご無沙汰」
青葉「本当に」
司「今までどこにいたんだ? 末莉が随分探したんだぞ」
準「末莉なら……」
 準は身体を少し横にずらした。
 そこに現れたのは……高屋敷家の末っ子。
末莉「あ、あはは……」
 愛想笑いの達人こと高屋敷末利だった。
司「なんだ、一緒だったのか」
末利「はっ。今日たまたまこの近くで発見したので」
準「捕虜にされた」
青葉「……」
 青葉は声を出さずに笑った。
末莉「春花おねーさんも後から来る予定なんですよ」
司「……そっか」
 以前の崩壊の責任。
 それが春花一人にあるとは、春花自身以外は誰も思っていない筈だ。
 だけど、本人にしてみればやはり簡単に吹っ切れないとこが
 あるのだろう。
 けど、時間は人を癒してくれる。
 春花も、一年という時間の中で様々な事を思い、悩み、苦しんで、
 そして……癒された。
 きっとそうなんだ。
末利「これであとは、おとーさんとおかーさんが見付……」
寛「おおっ! 子供達が全員集合しとるぞ母さんや!」
真純「あらぁ」
末利「ああーっ! おとーさんおかーさん!」
司「……マジかよ」
 これまで末利が苦心惨憺してもなお叶わなかった『真・家族計画』。
 それがこの日だけで、もういつでも発動できる段階に飛躍した。
準「……凄い偶然」
末利「本当ですねー!」
 偶然?
 いや、多分違う。
 きっと……見たかったんだろう。
寛「こうして同じ日同じ時間にここに集まったのはやはり我々家族の絆が確固たる何よりの証拠だなっ! 良き哉良き哉」
真純「本当すごいわねぇ」
 だから、俺達をここに集めたんだ。
 あの時崩壊してしまったものを、もう一度作り直させる為に。
 そうだろ……?
春花「みんなー!」
末莉「あ、春花おね―さん!」
寛「おおっ春花まで来たかっ! これでついに全員集合だな!」
『これが、私の望みです故』
 そんな声が聞こえたような気がした。
336「お達者で」:02/02/07 03:04 ID:s88bYvxK
真純「あら……? 青葉ちゃん、ちょっとお腹……」
青葉「……ええ」
真純「あらやっぱり! 先越されちゃったわねー」
寛「なんとっ! まさか息子に遅れを取るとは……一生の不覚っ!」
準「……(何故か赤面)」」
春花「触っていいか?」
青葉「……まだ動かないわ」
末利「?」
寛「これはじーーーーーっくり話を聞かなくてはいかんな。そうと
  決まれば真・家族計画の狼煙を上げるべく、さあ! 新たなる
  我が家へ行こうではないか!」
青葉「……これから?」
真純「迷惑……かな?」
青葉「……」
 青葉は俺の方を見やった。
 全て俺に委ねる、って事だろう。
司「どうせダメっつっても来るんだろ強引に」
寛「さすがは我が愚息! 実はすでに荷物も送ってあるのだ」
真純「……断りの電話を入れるよう言ったんだけど……」
司「いいよ。この人外魔境とまた同じ屋根の下で暮らすのはちょっと
  アレだけどな」
末利「真・家族計画の発足ですね!」
寛「そうだ! さあではいざ行かん!」
春花「おーっ!」
 寛を先頭に皆歩き出した。
 それが俺たちの、家族計画第二章の幕開けの合図となった。
 俺は集団に背を向けたまま、鳥の眠るその場所を右手でそっと撫でた。
 そして、
司「……ありがと、な」
 別れでも追悼でもなく。
 感謝の言葉を置き土産にして、俺は家族の元へ向かって歩き出した。
カラス「クア」
 遠くの空からカラスの鳴き声が聞こえてきた。
 その声が何を意味するのか、俺には解らない。
 けど。
司「おう!」
 空へ向けてありったけの笑顔で……そう返事をした。
337名無しさん@初回限定:02/02/07 03:09 ID:s88bYvxK
改めて
>>319-326>>335-336
題「お達者で」
スレ汚し申し訳ない。

338触手スキー:02/02/07 05:54 ID:DFuXoe2E
あのーー何気にスワティの投稿SS書きたくなったんですけど
もう、全然エロくも無くって
自己満足のオナニーなSSで
その上、気が向いたらその場で書くみたいな
ダメダメSS書きたいんですがいいですか?
339名無しさん@初回限定:02/02/07 14:22 ID:b17KdcOg
>>338 ためらってるヒマがあれば書いてから後悔せよっ。以上っ。
340名無しさん@初回限定:02/02/07 18:54 ID:jrUzFizs
>まっそ〜氏
む、久しぶりにこのスレ覗いたら続きが!
エロくて、萌えで(・∀・)イイ!っす

完全版もマターリと期待して待っておきます

乱文、遅レススマソです
341さんざん家族計画1:02/02/07 20:19 ID:AC3Oe9cG
寛「……という訳で、我々は演劇をやらねばならなくなった」
司「そうか」
 小春日和に蝶が舞い、ミツバチがいそいそと働きだす季節。
 この時期になると電波な人々が活動を活発にすると聞く。
 ……実に遺憾な事だが、我が家も例外ではないらしい。
寛「ふっ……あえて流すツッコミは上級者の証。司よ、
  成長したものだな」
司「そうだな」
 俺は既知外に対して断固たる態度で臨む事を決意していた。
 煽りには放置が一番。
 ……ちと違うか。
寛「……」
司「……」
寛「……春花や〜。司がいぢめるよ〜」
 勝った。
 今後はこの路線で行こう。
春花「演劇?」
 春花は食いつきのいい奴だ。
 あいつに任せとけばあの危地街も満足するだろう。
春花「雑技団みたいなのか?」
寛「いや違う。ドラマのようなものだ」
春花「ドラマー? 皆で太鼓を叩くの?」
春花「おいらはドラマー♪ 893なドラマー♪」
 ……なぜそんな歌を知っている、春花よ。
寛「ノンノン! ド・ラ・マ。よく夜の九時頃テレビでやっている、
  滑稽なセリフを滑稽極まりない演技で滑稽に垂れ流している
  番組があるだろう。ああいうのだ」
春花「ああ、わかった」
 わかっちゃいかんだろ、と言いそうになって慌てて口を閉じる。
 無視、無視……。
寛「では、早速皆に働きかけようぞ!」
春花「おー!」
司「アホくさ……」
 その時は、まだ平穏だった。
342さんざん家族計画2:02/02/07 20:23 ID:AC3Oe9cG
寛「皆そろったな」
 第十八回家族会議。
 題「演劇とはやんごとなき夢の欠片」
司「……何故こんな事でいちいち会議を開く必要がある?」
寛「バカもん! これは私一人の問題じゃないのだ! 高屋敷家の
  今後の経済を占う上で非常に重要なイベントなのだぞっ!」
司「言ってる意味がわかんねーんだよ!」
真純「あのね、司くん」
司「……」
 真純さんから事情を聞いた。
司「……取引先の常務と賭けをした?」
寛「うむ。その男が実に演劇好きでな。我々家族が彼を満足させ
  られれば今の商談を懇意に進めてやる、という事になったのだ」
 何つーいい加減な……。
寛「本番は再来週。という訳で、これから皆に協力してもらおうと思い
  集まってもらった次第だ」
春花「演劇、いと楽し」
末莉「面白そうですよね」
 お人好しーズの年少組はともかく。
 意外な事にどうでもいーズの年長組も出席していた。
司「……何で?」
準「……ギャランティー」
 あっさり納得。
 問題はもう一人の方だ。
青葉「……」
 聞いてはいけなさそうな雰囲気だ。
 ま、こいつが珍しく集団の輪に入ってる訳だし、野暮な詮索は
 やめておくか。
寛「まず決めなくてはいけないのは……」
 寛の演説が始まった。
 長いので割愛。
寛「……では、この意見箱を来週一週間廊下に設置しとくので、
  そこに演りたい劇のタイトル名と主演の人名を書いた紙を
  入れておくという事でいいな?」
 そういう事になった。
343さんざん家族計画3:02/02/07 20:25 ID:AC3Oe9cG
 一週間後。

寛「では開封」
 再び家族が集結した場で、寛は一週間廊下に置いておいた意見箱から
 中身を取り出した。
 ちなみに俺は一切入れてない。
 一応考えたんだが、全く思いつかなかったからだ。
寛「えー……家○き子・主演…末利」
末利「わ、私ですかー!?」
司「……この上なく見事なキャスティングだな」
 おそらく日本でも1、2を争うハマり役だろう。
末莉「し、しかし私、主演などとても勤まりませぬし……」
司「そんな事はない。すさまじく適役だ。いくら天才子役と言われた
  ○達祐美でも、お前には遠く及ぶまい」
真純「実際家○き子だったからねぇ」
末莉「あうう」
 想像してみた。

 ポワワワワ〜ン。

末莉「同情するなら金をくれ!」
カラス「クエ!」(←犬がいない為代役)
末莉「同情するなら金をくれ!」
カラス「クアッ!」
末莉「同情するなら金をくれ!」
カラス「クワアーッ!」

司「……」
 他の場面が一向に思い出せなかった。
準「……その決めセリフ、何となく好き」
 確かに準の方が似合うセリフだな。

 ポワワワワ〜ン。

準「……同情するなら金をくれ」
カラス「クエ!」
準「……同情より、金」
カラス「クアッ!」
準「……金」
カラス「クワアーッ!」

司「せめて決め台詞ぐらい省略しないで話せ」
準「……?」
寛「今一つピンとこんな。却下」
真純「そうねぇ」
344さんざん家族計画4:02/02/07 20:27 ID:AC3Oe9cG
寛「では次……魔女の○件・主演…青葉、司」
青葉「……私?」
司「これまた異常なくらいピッタリなタイトルだな」
青葉「……」
司「冗談だよ」
 青葉は指先にメラメラと燃え盛る炎を名残惜しげに
 消し去った。(MP8消費)
寛「イメージ的にはピッタリだの」
末莉「美少年と美人教師の愛の逃避行……」
 末利はうっとりしていた。
 おそらく美人教師役を劉さんあたりに脳内変換しているんだろう。
寛「ねんれ……配役的に、司の母親は母さんで決まりだな」
 ギリギリ回避。
真純「あら、私?」
司「……」

 ポワワワワ〜ン。

真純「司を返して!」
青葉「……何故?」
真純「な、何故って……司は私の子よ!?」
青葉「だから?」
真純「だ、だからって……警察を呼びますよ!?」
青葉「うるさい黙れ」
真純「ひぃっ!?」
青葉「この▽∞※老婆〒☆皺#%&醗酵@φババア*¥妖怪
   ∀○醜女$♀老衰♂△」
青葉「十年若返ってから出直しなさいな」
真純「……」
司「ああっ! 母さんが立ったまま泡吹いて死んでる!」
青葉「これが弁慶の立ち往生……」
司「違う」

真純「青葉ちゃんひどい!」
 真純はよよよと泣き崩れた。
青葉「私は何も言ってないのだけれど」
司「言わなくても想像はつくがな」
寛「これも却下だな。次」
345さんざん家族計画5:02/02/07 20:29 ID:0VcXSakQ
寛「星の金○・主演…春花」
春花「おお」
司「なるほど。喋らない役なら春花にも出来るからな」
春花「私、喋らないのか?」
司「役ではな」

 ポワワワワ〜ン。

司「兄貴に春花は任せられねーんだよ!」
寛「なんだって!? 大体お前は自分の事もロクに出来てないくせに
  生意気なんだよ!」
司「ンだとテメエ!」
寛「ふん、そうやってすぐ暴力でカタをつけるような幼稚な思考回路で
  これから先春花を守っていけるのか?」
司「……くっ!」
寛「この際春花に決めてもらおうじゃないか。どっちが
  春花に相応しいかを」
司「望む所だヘボ兄貴!」
司・寛「春花、お前はどっちを……」
春花「……(はむはむ)」
司「焼きイカ食ってんじゃねーーーーーっ!」
春花「おなかすいたから」
司「喋っちゃいかんっちゃーーーーー!!」
春花「ツカサ、訛ってる」

司「……ダメだ」
春花「?」
寛「なかなか決まらんな……次は」
346さんざん家族計画6:02/02/07 20:32 ID:0VcXSakQ
寛「ロン○バケーション・主演…司、景」
司「……景?」
景「あ、それ私だ」
司「何故いるっ!?」
準「……私が呼んだ」
 余計な真似を……。
景「へっへっへー、姐さん女房」
司「同い年だろ、俺ら」
景「いいじゃない、実年齢よりずっと年上を演じられるのが演劇の
  醍醐味なんだから」
 『実年齢よりずっと年上』のあたりで真純が軽い痙攣を起こした
  ように見えだが無視。
司「まあ、間違っちゃいないが……」
景「まーここは一つ試しに、ね」
司「うーむ」

 ポワワワワ〜ン。

ガチャ。(ドアを開ける音)
景「はぁ……はぁ……」
司「だ、誰?」
景「……」
景「久美景二十歳独身です」
司「……嘘つけ。明らかにもっと年食ってるだろ」
景「がーん」
景「私は今かつてない程のショックを受けました」
司「いや、もう何がなんだか」
景「責任とって結婚して」
司「はい?」
景「幸い私ってば今日結婚式だってのにあなたの知り合いに逃げられて今
  こんな格好だし、後はあなたが正装して結納をやっちゃえば万事OK」
司「ンなアホな」
景「さあ! 最終回はロンドンで生放送よ!」
司「訳わからん」

景「ばっちり」
司「ダメだこりゃ」
347さんざん家族計画7:02/02/07 20:33 ID:0VcXSakQ
 つんつん。
司「ん……?」
真純「……」
 真純は何か言いたげに俺を見ている。
 確かに、年齢的には真純さんの方が適役かも……。

 ポワワワワ〜ン。

ガチャ。(ドアを開ける音)
真純「はぁ……はぁ……」
司「だ、誰?」
真純「……」
真純「どこ?」
司「……はぁ?」
真純「あの人はどこ!? 結婚しようって言って私をその気にさせて
   おいて式当日にどこかの女と逃げていった挙句私のお金を持ち逃げ
   しくさったあの腐れ外道はどこよって聞いてるのよっ!!」
司「し、知らねーよ。つーかあんた誰だよ?」
真純「……あなた」
司「質問に答えろよ……」
真純「あなた、いい男ねぇ」
司「はぁぁ?」
真純「ツ・バ・メ・ちゃ〜ん」
司「うわあっ! こっち来んな三十路女!」
司「……はっ」
真純「……」
司「ま、真純さん、違うんだ。これはどっかにあった
  セリフを間違って……」
真純「(30+20)÷2は?」
司「……は?」
真純「5年くらいす・わ・せ・て・ね」
司「うわあああああああああああああああああああ!?」
 
司「……却下」
真純「何でえぇ!?」
 吸われたくないし……。
寛「うむむ……これもダメ、か」
景「難しいですねー」
末莉「本当ですねー」
 久美はすっかり馴染んでいた。
348さんざん家族計画8:02/02/07 20:36 ID:0VcXSakQ
寛「次は……おお、1○1回目のプロポーズ・主演…寛、真純」
司「これまたピッタリだな」
司「暑苦しいあんたにはお似合いの役だ」
寛「そうだろう、そうだろうさっ! 私は主演が、名誉も
  ギャランティーもNO.1の主演男優が最も似合う男なのさっ!」
 『ギャランティーもNO.1』のあたりで準が軽く肩を動かしたように
  見えたが無視。
寛「では母さんや、私の純愛をその豊満な胸で受け止めておくれ!」
真純「え、ええっ?」

 ポワワワワ〜ン。

真純「私、お金で買えないものがあるって信じたいのっ」
真純「あなたがまたいなくなってしまうのが怖いの」
真純「怖いの……」
寛「……」
 ダッ。
真純「!?」
 ブオオオオ……!
真純「寛さん!? 危な……」
 どーーーーーーーーーーん!!
寛「ぐっはああああああああああぁっ!?」
真純「ひっ、寛さああああああん!?」
 車内。
青葉「……」
青葉「何か私の車にぶつかってきたような気がするけれど」
カラス「クアッ! クアアッ!」
青葉「きっと気のせいね」
カラス「クアアアッ!?」
カラス「クアーーーーーーーーーーッ!」
 ブオオオオ……。
真純「寛さん、しっかりっ、しっかりしてぇ!」
寛「ぼ……」
真純「ぼ?」
寛「僕は……死にま……しぇん……」
 ガク。
真純「寛さん!? ひーろーしーさーーーーーん……」

寛「感動的だ」
司「どこがだ!」
寛「僕は死にましぇんと言っておきながらコロっと死んでしまう、
  その矛盾が愛しさと切なさと心強さを大爆発」
司「意味わかんね―し」
 明らかにドライバーの配役ミスだった。
青葉「?」
 まあ口には出すまい。
寛「ではこれで決定と言う事で……」
司「却下だ却下! 名シーンを茶化したら某バス停留所ドラマみたく
  ひんしゅく買うぞ」
寛「しかしもう意見は尽きたぞ」
 寛は意見箱を逆さにして振って見せた。
 何も落ちてこない。
司「……って事は」
真純「やっぱり……アレ?」
司「アレ……なんだろうな」
寛「ふんむ。しかたないの」
349さんざん家族計画9:02/02/07 20:38 ID:l5mvPafl
 ひとつ屋○の下。
 いろんな意味で無難といえば無難な線だ。
司「問題は配役だな。男手が足りなさ過ぎだし」
劉「呼んだかい?」
司「ええ」
劉「……」
 苦笑いを浮かべる劉さん。
 驚いて欲しかったらしいが、いい加減馴れた。
司「取り敢えずいる人材で配役を決めよう。まずは長髪でウザい長男」
司「……」
劉「私かい?」
司「妥当かと。長髪だしウザいし」
劉「そこに愛はあるのかいっ!?」
司「ねーよ」
 劉さんは落ち込んだらしく、部屋の角で体育座りになって
 「の」の字を書き始めた。
司「次は次男……ま、俺だな」
寛「ちょっと待て。何故そうなる?」
司「妥当だからだ」
 他に出来そうな役ないし。
末莉「つうにいちゃんですね」
司「……何かやな響きだな」
春花「通やのー兄ちゃん、へっへっへ」
司「やめいっ!」
司「次は三男……こいつは寛で決定、だな」
真純「そうねえ」
青葉「そうね」
準「……そうかも」
末莉「そうですねえ」
寛「待て待てぃ! 父が息子より年下なのはおかしいじゃないかっ!?」
司「この場合精神年齢が優先だ」
司「しかも、俺には実生活で○麻やってパクられた挙句仲間を売るなん
  てクレイジーな猿の物真似なんてとても出来ん。あんたが適役だ」
真純「そうねえ」
青葉「そうね」
準「……そうかも」
末莉「そうですねえ」
寛「うおおおおおん! ちくしょおおおおお!」
 寛は泣きながら逃げて行った。
司「これで男は使い切っちまったな。後は四男だが……」
 車椅子で無口な四男……。
司「準でどうだろう」
準「私……?」
末莉「あ、何となくいいかもです」
準「でも……男の演技なんて……」
司「セリフ少ないぞ」
準「了解」
 楽な取引だった。
準「その代わり、ギャラ追加」
司「……寛に言え」
準「ダメ」
 楽じゃなかった。
350さんざん家族計画10:02/02/07 20:40 ID:l5mvPafl
司「つ、次は女性陣だが……先に次女を決めよう。末莉決定」
末莉「ええっ!? 私ですか!?」
景「妥当だね」
司「まーな」
末莉「ななな何ゆえっ!?」
景「だって……ねぇ」
司「なあ」
末莉「うああ」
 これ以上はやめておこう。
春花「ツカサ、私は?」
 春花か。
 そう言えば長男のマドンナ役に中国のお茶っぽい名前の女性が
 いたような。
司「お前は劉さんの恋人っぽい役だ」
春花「ラ・マンか?」
司「違う」
春花「?」
 後でちゃんと教えとけばいいか。
司「残るは長女だな」
 そして残された演者は……真純と青葉と久美か。
 年下に色目を使う○雪。
 呪詛を振り撒く○雪。
 夫婦漫才する○雪。
  ……全部ダメな気がした。
劉「何だったら楓を貸そうかい?」
司「おわっ!」
 突然の復活に不覚にも驚いてしまった。
劉「うーん、いいねえ。その反応。初々しさがなくなって
  寂しかったけどまだまだだ大女初心だねっ」
司「なんだよ大女初心って」
劉「大女が初心だから大丈夫」
司「大丈夫は差別用語でも放送禁止用語でもないから
  無理に変換しなくていい!」
司「……それはともかく、楓さんを貸してくれるって本当ですか?」
劉「うん。あいつもこういうの嫌いじゃないしねっ」
 なら話は早い。
 イメージ的には結構適任だし……少なくともこの三人よりは。
司「と、なると……」
 あとは不良債権の処理、か。
 まずは青葉。
 そもそも、こいつを現実的色合いの濃い『ドラマの登場人物』
 という枠に当てはめようというのが間違いな気がする。
 こいつにハマる役なんて……あ、あった。
司「青葉。お前の役は全国津々浦々を放浪する天才画家だ」
青葉「ま、妥当な所ね」
 おにぎりが主食で自閉症という裏設定はこの際言うまい。
351さんざん家族計画11:02/02/07 20:42 ID:e30UtMdm
 残るは二人。
司「久美は客、真純さんはナレーターな」
景「えー、客って何ー?」
真純「ナ、ナレーター……」
 真純さんは落ち込んだ。
景「もうちょっといい役がいいよー」
司「何を言う。客は大事な役だぞ。設定上ウチはクリーニング屋
  なんだから、客がいないと潰れちまう」
 適当な理由付けだった。
景「うーん……しょうがないなー」
 思いの外久美は簡単に納得してくれた。
 後は……と。
真純「そうよね。三十路女なんて舞台に立つ資格なんてないのよね。
   ヨロ(30)ですもんね。もう人生そのものが
   ヨロけちゃってるもんね」
司「真純さん」
真純「言い訳なんて聞きたくないわっ」
司「あんたの声は若々しいな」
真純「……えっ?」
司「そりゃあもう驚いたさ、最初にあんたの声を聞いた時は。
  橋に引っかかってるのは女子校生かと思っちまったくらいだ」
真純「じょしこうせい……」
真純「いやん」
司「是非俺たちのショボい演劇を若々しく躍動感に満ちた
  その美声で彩ってくれ」
真純「任せといてっ!」
 ……ってな訳で、一応配役は決まった。
352さんざん家族計画12:02/02/07 20:45 ID:e30UtMdm
 そして翌週……本番。

劉「司。最近腰のあたりが充実してるけど、何かあったのかい?」
司「尻を撫でるな変態兄貴!」
劉「よいではないかよいではないか」
司「耳に息を吹き掛けるな……ああっ」
末莉「……」
末莉「すきしょっ」
 バターン。
楓「ああっ! 末莉がっ!」
準「……」
寛「てやんでーばーろーちくしょー! やってられっかよー! 
  出てってやるよこんな家なんてよー!」
 ガラッ。
 ドン!
景「痛っ!」
寛「どこ見て歩いてんだよ! この朝○○もどきがっ!」
景「……」
景「ピッピッピ……もしもし警察ですか#」
寛「あ!? 警察ぅ! 上等じゃねーか呼んでみろよコラ!」
警察「い○だ壱○さんですね? あなたを大○取締法違反で
   現行犯(?)逮捕します」
寛「ぬおあああああああっ!?」
 ピーポーピーポー……
景「やれやれ」
景「あのー、誰かいらっしゃいませんかー?」
景「あれ? 何で青葉さんがここにいるの?」
青葉「……Zzz」
景「ありゃ、寝てる」
楓「あんちゃん! つうにいちゃん! ケンカはダメよ!」
劉「おういえーっ、バイバイマイラーーーブ」
司「バイはテメーだけだあっ!」
 ドスバタドカン!
春花「私、出番ないよ」
真純「これじゃナレーションもやりようが……」
 勿論、商談は失敗と相成った。

 後日、青葉の部屋に行くといかにもパチもん臭い『山○清』の
 サインが大事そうに立て掛けてあった。
司「そういう事だったのね……」
 ちゃんちゃん。
353名無しさん@初回限定:02/02/07 20:53 ID:e30UtMdm
>>341-352
題「家なき星の魔女、屋根の下で101回目のバケーションを演ずるの巻」

前回はシリアスもので間抜けなミスをやらかしましたので今度は
ドタバタ劇です。というか本家にあったネタを膨らましただけ
なんですが、読んでもらえると嬉しいデス。でわでわ。
354触手スキー:02/02/07 21:13 ID:DFuXoe2E
じゃぁ、マターリと書く事にして・・・・
けだし、前提条件
>私が主人公の名前を忘れたので主人公はうろ覚えの健太さん
>私が作中の健太さんの性格が嫌いなので粛清修正
>私がスワティの性格を正確に思い出せないので私likeスワティに
>御都合主義万歳(T-T)。
>妄想万歳(TーT)。
355名無しさん@初回限定:02/02/07 21:15 ID:BMvGlG39
ここにもあったYO!
http://asian.elitecities.com/books/girl.html
356触手スキー:02/02/07 21:54 ID:DFuXoe2E
アルバイトから帰ってきた健太は自分の家の扉を開けた
「あ・・・おかえりなさい健太さんっ♪」
そんな健太を
エプロン姿でかいがいしく迎えてくれるスワティ
恐らく料理でも作っていたのだろう・・・
柔らかい笑顔が、その可愛らしい顔に浮かぶ
そんな姿に、健太は、ふー、と溜息をつくと
ドアを閉めて鍵をかけ、玄関口を上がる
健太は、スワティの側に寄って一瞬、彼女を眺めた
「健太さん?」
スワティは不思議そうな顔をして健太を見上げる
ガバァッ!!
健太はおもむろにスワティを玄関先で押し倒した
「きゃっ!健太さんっ!」
毎度の事ながら、律儀に驚くスワティ
「もう辛抱たまらんわっ!!」
健太はそう叫んで、スワティのスカートの中に手を入れて
オモムロに彼女のパンティをずらした
「えーーーっ!!、健太さんっ!いきなりっ!!」
毎度の事ながら困惑するスワティ
しかしスワティは健太に押し倒されて、ぱんつを半脱ぎにさせられる
「可愛いお前が全部悪い!!運命だと思って諦めなさいっ!」
健太はそう言い放ってはスワティの秘部に指を進入させた
「っつ・・・健太さん・・・何もこんな時間にこんな所で・・・」
スワティは押し倒されたその場で、僅かにジタバタして抗議する
しかし健太の指の侵入にそれを強く抵抗する事もなかった
「もう濡れてるじゃないかスワティ・・・・」
健太は侵入させた指で按配を探ると、触ったその時から
潤沢に彼女の秘部が濡れている事に気付く・・・・
「そんな事言わないで・・健太さん・・・・・
 私だって・・・健太さんが帰って来るのが・・・・」
スワティはそう言われて、真っ赤になるしかない
健太が帰ってくるまで、部屋で一人で慰めていたなどとは
相手が分かりきっていたとしても恥ずかしい事だった・・・
健太はもはや躊躇う事も無く粛清棒をスワティの腹に捻じ込んだ
「きゃっうっ!!」
スワティの可愛い悲鳴が玄関に響く
357触手スキー:02/02/07 21:55 ID:DFuXoe2E
エプロンのと服越しからスワティの胸を愛撫しながら
健太はスワティを騎乗位にさせて下から突く
「ゴメン、俺、今、抑制力無し・・・・・スワティかわい過ぎ
 駄目・・・このまま出します・・・・」
健太は目を細めてそう宣言した
「え!?健太さんっ!膣(なか)はっ!」
スワティは健太の直滑降宣言に目を見開く
毎日の事なのだが、やっぱりいつも通りでその台詞を吐く
乱れたスカートの中から淫猥な音がヌチャヌチャと響くが
しかし健太はお構いなしにスワティの唇を塞いで
彼女を強く抱き締める
突き上げながらも、肩をうなじを髪を手で愛撫しながら
何よりいとおしそうに彼女の体を抱きかかえる健太
そして、そのまま健太はスワティのお腹の中に出した
「あっ!!」
スワティの腹が健太のものを広がる温かみで感じる
そのまま健太はスワティにもたれかかってハァハァと息を荒げた
「え・・・健太さん・・・もう終りなの?」
スワティは自分がまだ完全に達していない途上で
健太が果てた事に不満の声を上げた
それに健太は乾いた笑いで答える
「いや・・・まぁまずは俺がスワティで抜きたいの・・・
 お前関係無しにとにかくスワティにぶちまけたかったの・・・
 でも、夜はこれからだぜ?」
健太は憔悴した様な顔になりながらも、スワティの耳元に囁く
「今度はスワティをたっぷりねぶるから・・・・
 そんなに心配しなさんなって・・・・・・」
健太はそう言って乾いた笑いを零す
その言葉にスワティは恨めしそうな目になって、健太を見返した
「ホントにちゃんと愛してくれないんなら・・・
 許さないんだから・・・」
そう言ってスワティは膨れっ面のまま健太の唇に唇を重ねた
「まぁせめて晩御飯を食べた後からな・・・・」
健太はスワティの髪を撫でながら、そっと抱き締める
健太とスワティの繋がっている所がネトネトの感触がした

358触手スキー:02/02/08 07:20 ID:a33uSvS1
「今日の料理は及第点だ!」
健太は御飯を食べながら叫んだ!
「きゃる〜んっ☆! やったぁ〜っ!!」
スワティはようやく健太に努力を認めてもらえて正直喜んだ
何度、調理と言う戦いを挑んだだろうか?
2人で明るく談話しながら御飯を食べる
幸せな時間・・・・
それだけの時間・・
そして2人は御飯を食べ終える
「ふー、御飯も食べたし、デザートでも頂くか・・・」
「え?あ、ごめんなさい健太さん・・・デザート用意してなかった」
そう言って起ちあがって冷蔵庫に行こうとするスワティ
その手を取っては引っ張って健太は後ろからスワティを抱き寄せる
「きゃっ!健太さんっ!」
抱き寄せられたスワティの焦りの声が響いた
「御約束だろ?」
健太は背中越しからスワティを見てそういう
「もう・・・食べたばっかりなのに・・・・」
スワティは抱き寄せられて真っ赤になって指を口にかける
それでも、全く抵抗しようとしない所が
彼女のさっきの玄関口での欲求不満だった
健太は服を捲り上げてスワティの胸を曝け出した
ブルーのブラジャーが彼女の緑色の髪に合わされていて綺麗だったが、
健太にはその下に眠るモノに用があった
ブラジャーの下側から手をすり入れて
彼女の乳房を揉み始める
「堅くなってるよ?先っぽ?」
健太は意地悪そうに乳房と乳首イジメながらそう言った
その言葉にスワティの息が僅かに荒くなる
「意地悪・・・・・・・・」
スワティは健太の愛撫に、ただずっと指を唇に添わせたまま
前を見つめて感覚を研ぎ澄ましていた
「さっきはイカせて貰ったからな・・・・
 今度はスワティをイカせないとな・・・・」
そう言って健太はうなじに深くキスを入れた
359触手スキー:02/02/08 07:23 ID:a33uSvS1
「んんっ・・・ん・・・・・・・」
乳首への軽快な攻めと、濃厚なキスにスワティの感度が高まる
「スワティ・・・何処を他にイジって欲しいか言ってみ?」
健太は更に深くスワティを抱き締めて、彼女の耳元で囁く
そして言い終えた後に耳に舌をはわせる
「はぅ・・・ぁ・・・・あぁ・・・・・
 健太さん・・・恥ずかしいよ・・・・」
スワティはそう言って真っ赤になって目を瞑った
それに健太は笑う
「夫婦じゃないか・・・何を今更・・・」
健太はスワティの乳首を優しく弄りながら囁く
「うん・・・・・だったら・・その・・」
スワティはそんな健太の言葉に、妙にまた安心を覚えた
「・・・その?」
「体中・・・触って欲しい・・・・・
 胸とアソコだけじゃ嫌・・・・・・・・・
 全部・・・・・愛して欲しいよ・・・・・・」
スワティは体を半回転させて顔だけを健太の方に向ける
僅かに涙ぐみながら、媚びる様に見つめた
健太はスワティのその表情に絶句するしかない
「オッケー・・スワティ・・・・・
 今日は滅茶苦茶良くしてやるからな・・・・」
そう言って健太は、
その手の摩擦を乳房から体全体に拡散さようとした
その健太の手をスワティは一瞬握って、健太を正視する
「今日・・『も』・・・・ね?・・・・・」
スワティは真っ赤になりながら、ねだるような視線で健太を見る
その期待した目に健太は苦笑した
「わーった、わーった・・・」
そう言って健太はスワティの体中に手をはわして、まさぐり始めた
そしてまたスワティを騎乗位的に座らせ直して
今度は乳首を顔をうずめてしゃぶり始める
同時に健太の手がスワティの
尻や太もも、背中、腕に満遍なくはって行った
そしてその厭らしそうな・・強欲そうな・・・
そして愛しそうな手触りで・・・・
「ふぅん☆・・・・・・」
スワティは健太の愛撫に、また指を唇に当てたままで
吐息を漏らすしかなかった
360触手スキー:02/02/08 07:25 ID:a33uSvS1
健太の愛撫はひたすら続いた
1分、2分と・・・
時間が過ぎるたびに、スワティの喘ぎ声は次第に大きくなっていく
健太は少しずつ上り始めているスワティに
こんな不安定な所では上手く満足にさせてやれないかと思い立ち
彼女を抱きかかえた
「あっ・・・・・」
愛撫が突然止まって、寂しそうな声を上げるスワティ
健太はスワティを抱えながらリビングのソファに移動した
そして何も言わないまま、彼女の唇を塞ぐ
「んん・・・ん・・・・」
塞がれた口からスワティの声が篭って響いた
それから健太はまたスワティを寝かせて愛撫を続けた
何度も何度も体を弄りさすっては、スワティの肌を楽しむ
ドコを触っても、スワティが驚いた様に声を上げるのが快感に感じれた
思わず健太は我を忘れてしまい、スワティ弄りをずっと続けてしまった
ソファに寝かせてからもう3,4分は弄り続けてしまったろうか?
スワティの高まりはその間に狂おしい程になり
思わずスワティは健太の手を取って、潤んだ瞳で彼をじっと見つめた
「あの・・・健太さん・・・そろそろ・・・ココ・・・」
そう言ってスワティは自らの手で健太の手を秘部に誘導する
「やっぱりココがいいの?」
健太は意地悪そうにそう言った
それにスワティは僅かに視線をそらす
「意地悪しないで、真っ直ぐ・・愛して・・・」
そう言ってスワティは自らの手を動かして健太の手を秘部に当てて
彼の手の感覚を喜んだ
健太はそれに何も言わずに、彼女に誘われるままに秘部の愛撫を始めた
秘部の周囲をまさぐる様に・・・
そして突起物をなでる様に・・・
または中まで指を入れて奥を調べるように・・・
今度は丹念に丹念に秘部弄りを遂行する
何故なら、弄るたびにスワティの嗚咽が漏れる
「くぅぅん・・・んん・・・ぁぁ・・はぁっ・・・」
声を押し殺そうとして唇に指を当てて口を塞ごうとしているのに
声はどんどん大きくなる
それが弄るたびに連動して漏れるのだから
健太にはそれが楽しくて仕方なかった
彼女は真っ赤になって恥ずかしさの海に沈んでいるのに
自分の指を求めてこんな痴態を晒している・・・・・
こんな痴態など・・・
とても彼女のプライドからは耐えれるものではないだろうに・・
それでも羞恥心を飛び越えて彼女が自分を求める姿が
健太には感動できた
彼女らが家に来た頃を思い出すと、
随分御互いに融合してしまったものだと、呆れてしまうしかない
そう思うだけで健太のココロはイってしまった
だから、スワティがこのまま果てるまで
どんどん続けるかと意欲も沸いてくる
361触手スキー:02/02/08 07:28 ID:a33uSvS1
健太は弄った
スワティの秘部を
何分そうしていたのかなど、問題ではなかった
自分の粛清棒が、彼女を弄るたびにうめきを上げはするのだが・・・
だが、前の玄関先の様に突っ込んで先に出すくらいなら
確実に彼女を上らせてやりたいと健太は思った
愛していたから・・・・
健太は自分の事は放置して、スワティがイクまで弄ぶ事に決めた
そしてまた何分か続けた後で・・・・
「ふぁ・・はぁぁぁぁ・・・・・」
という甘い絶頂のうめきを聞いた
スワティはその場でぐったりとなり、息を荒げていた・・・・
それを見て健太は優しく微笑んだ
健太はスワティに顔を近づけ、
そして御互いの額を当てて潤んでいる瞳を見つめた
「イケた?」
健太はそっと囁く
スワティは朦朧とした意識の中で、その言葉を僅かに理解した
「馬鹿・・・・」
スワティはそっと健太の後首にまで回す様に腕を伸ばして抱き締めると
力が篭らずに難儀しているのにも関わらず、
健太を思いきり抱き締め様とした
健太はそんなスワティに僅かに胸を熱くさせてギュッと抱き締める
少しだけ呼吸を整えるための抱擁の時間が続いた
362触手スキー:02/02/08 08:14 ID:a33uSvS1
突然スワティが健太の股間をまさぐる
「健太さん・・・どうして途中で入れてくれなかったの?」
スワティは健太の股間をさすって、
そしてはちきれんばかりのそれを確認した
その愛撫に今度は健太が驚きに顔を歪める
スワティはすがるような目になって健太を見上げる
それに健太は難しい顔をした
「いや・・・なんとなく・・・
 スワティを気持ち良くさせてやりたくて・・・」
そう言って健太はハハハと笑った
その言葉にスワティが寂しそうに微笑み返した
「こんなになってるのに我慢して・・・・・
 健太さんの馬鹿・・・・・・・」
スワティは健太の股間を擦る速度を上げて健太の胸の中に顔をうずめた
顔を逸らしたかった
正面から見つめていると、思わず泣き出してしまいそうで・・・
それでも瞳は視界が十分ぼやける程に、潤んでいた
「まぁ・・・先にさっぱり出させて貰ってるかんな・・・・
 ギブアンドテイクって奴だろ?やっぱ・・・・」
そう言って健太はまたハハハと笑った
笑いながら背中に手を回してスワティをぎゅっと抱き締める
「そんな事・・・気にしなくていいのに・・・・」
スワティは健太の胸の中で虚ろに呟いた
「私は・・・健太さんが幸せだったら・・・・・
 健太さんの性処理の玩具でもいいの・・・・・・
 私の事なんか気にしなくて・・・滅茶苦茶にしてくれても・・」
スワティは甘い声でそう呟く
その言葉に健太は焦った
「ば・・馬鹿ぁ・・・・・
 俺がスワティを肉人形なんかにできるかよっ!」
そう言って健太は気持ちをありのまま叫ぶ
「さっき、玄関で私を無視して中出ししたのはダレ?」
スワティは思わずジト目になって健太を見上げた
それに健太は先の玄関先の事を思い出して僅かに悩んだ
おかしい・・・・・
ココロと体の行動方針が一致していない・・・
「まぁ・・・そのちょっと・・・・
 勢いで・・その・・なんだ・・・・
 スワティの体に御世話になる時も・・・・
 多々・・・あるかもしれないけど・・・・・」
健太はちょっとどもりながら、反省してそう言う
それにスワティはクスクスと笑った
「それでも・・・・・・・
 スワティは俺の一番大事な女の子だから・・」
健太はこの場を取り繕う為の、最強の言葉を無理矢理叩き出した
本心だったが・・・
この場で信じるにはちょっと説得力が欠けていたかもしれない
それでもスワティは、十分その言葉に酔えた
363触手スキー:02/02/08 08:18 ID:a33uSvS1
「健太さん・・・・コレ入れて・・・・・」
スワティは真っ赤になりながらも微笑みながら
手で擦っているそれを示した
「スワティ?」
彼女の情熱的なまでの愛撫に驚きを隠せない健太
「健太さんと1つになりたいの・・・・・・」
スワティはそっとそう口ずさむ
「健太さんと気持ち良くなりたいの・・・・・
 健太さんを私の中に入れていたいの・・・・
 健太さんに必要とされる私でいたいの・・・」
スワティの必死の訴えが続いた
「健太さんの側にずっと私はいたいもの・・・」
スワティは最後に健太を見上げて優しく微笑む
「だから・・・・・・」
彼女の瞳には僅かに涙が浮かんでいた
2人が一緒になった時の事は今でも思い出す・・
それを思い出せば
それが
悲しい涙だったのか嬉しい涙だったのかは
健太には分からなかった
それでも、彼女のその言葉が
第3ラウンドを開始するための鐘の音になった事は
そんなに笑ってやらなくても、
いいじゃないかというぐらいには人の情
健太はそのままスワティをソファに押し倒した
スワティは彼の圧力に何の抵抗もしない
健太はそのまま粛清棒を曝け出してスワティの秘部にあてがった
そしてそのまま挿す
「はぁん・・・・」
スワティは悦楽の声を漏らした
先の愛撫でスワティの膣は抵抗も無く健太を受け入れる
そして感情の高ぶりが、スワティの感度を倍増させていた
降りかかっていた快感が、
思わず急上昇して、そのまま果ててしまいそうなくらい
スワティは挿入だけで快感を覚えた
そして健太はあいも変わらないスワティの腹の中の暖かさに
そのまま出してしまいそうな眩暈を覚える
何度入れてもこんなに安心してしまう女は、
やっぱり彼女だけなのだろうな・・・と健太は率直に思った
364触手スキー:02/02/08 08:19 ID:a33uSvS1
健太はそのままピストン運動に移ろうとする
が、スワティが健太の唇に指を当ててきて注意を促した
「健太さん・・・・そんなに頑張らなくてもいいよ・・・」
ねっとりとした視線で、絡みつくかのようにスワティはそう言った
「今日は・・・今日も・・・いっぱいしたいの・・・
 だから、疲れないくらいゆっくりでもいいの・・・
 健太さんのコレ・・・じっと感じていたい・・・・」
そう言ってスワティは自らの体をゆっくり動かして
健太の棒を味わった
確実に1つになっていると言う喜びが
スワティの気持ちをどんどん高ぶらせた
「健太さん・・・・
 出したくなったら・・・いつでも出して・・・・」
スワティは健太の膣内射精を促した
いや・・・むしろ腹の中に出して欲しかった
それが一番わかりやすかったから・・・
「私はイカなくても・・・それだけでも満足だから・・・
 健太さんのが・・・・お腹の中にあるだけで満足だから・・・」
スワティは言いながら自らが動いて健太の棒を楽しんだ
それに健太はどうするかと一瞬、悩んだが・・・・
その後、スワティの意向を組んで
同じ様にゆっくり出し入れする事にした
長い人生、そんなに急ぐ事も無いだろう
むしろ側にいる彼女と
ゆっくり対話する事の方が貴重な時間にも思えた
だから、こんなボチボチな快楽の得かたも悪くない
しかし・・・・言ったスワティには大きな誤算があった
激しくされない方が、むしろ感度が上がっていたスワティには
一番感じてしまったのだった
僅かな時間の出し入れにスワティはまた上り詰めた
「ぁぁぁ・・・・・・・・」
ダランと体が落ちてスワティの息が荒くなる
健太はそれに入れたままの状態で困るしかない
「え?」
健太は唸った
入れたままの状態で静止するには本能がそれを許さないし
しかし無理をするのは不味いのではないか?
という健太の中で難しいものが渦を巻いた
そして体はやっぱり動き続けて
上り詰めたスワティを更に攻める形になる
「ええ??
 あぁっ・・け・・健太さん・・・・」
スワティは上った所から健太の攻めで降りれなくなった
しかし健太も快楽が加速し始めるともう辞められない
スワティは何がなんだか分からないぼんやりとした所を
疾走し続け、健太はとにかく終わる様に加速した
そしてそれが暫く続いた後に
健太は、ばっとスワティを大きく抱き締めて、
彼女の一番深いところまでしっかり入れてそのまま出した
出すしか無かった
そしてそのまま2人はぐったりと倒れ込む
365触手スキー:02/02/09 22:30 ID:F4T2WgrK
あのぉーーーー(^^;
これは、書いた後に後悔すればいいんでしょうか?
「ああん、ちくしょう(;-;」とか・・・・・
続き書いて良いのか、恐くてドキドキなんですが・・・(^^;
366名無しさん@初回限定:02/02/09 22:54 ID:GAm4OKCj
>>365
えーと……、>>1の【投稿のガイドライン】を読んだ方が
良いかと。先にテキストエディタ等で書いて、区切りの
いい所で切るなり完結させるなりしてから貼りつけないと
他の人が書きこめないですので……。
367名無しさん@初回限定:02/02/09 23:14 ID:6JoS03uy
>>365
後、投稿する時はsage進行でよろ。
終了したら>>353のように纏めをよろ。
368触手スキー:02/02/10 00:14 ID:scIB4tRM
んーーー何行ぐらいの貼り付けが
いいんでしょうか?
それと、完全に完結してないと駄目なんでしょうか?
「続く」とかで一端切るとかは不可ですか?(^^;
369名無しさん@初回限定:02/02/10 00:23 ID:gN0tH1Ma
>>368
だから>>1を見れ。
>2.書いたSSを30行程度で何分割かしてひとつずつsageで書き込む。
>名前の欄にタイトルを入れておくとスマート。
「続く」で一旦切るのはOK。
370触手スキー:02/02/10 01:04 ID:scIB4tRM
>369さん
ありがとぉ〜!
ふむ、じゃ続きを書くか・・・・・
>>356-364
題「スワティ・それから・・・」でいちお「続く」で、一端切り・・・・です・・・
30行で1ブロックか・・・・・厳しいナぁ・・・・(−−;
371名無しさん@初回限定:02/02/10 17:53 ID:ThuOaw9c
>>331
エロゲ板104氏はついさっきまでシッハーとしてエロゲ板Piaスレに降臨していた模様。
移るタイミングを逸したと書いていらしたが。
ガッツエンドまでの繋ぎをあとちょこっと補完してホスィとか思って見たり。
372こっそり家族計画1:02/02/10 23:35 ID:G1TpW/Ik
 某日某所。
 日通りの悪いこの部屋は日中でも胡散臭い薄暗さを醸し出す。
 それはそれで、使い道がある場所だったりするのだが。
 例えば――密談。
?「……という事だが、出来るかね?」
?「訳のない事です」
?「しかし、簡単な事ではないぞ?」
?「例えそれが不可能な事でも、可能性を捻じ曲げてやってのける
  のが……我々の仕事ですので」
?「頼もしい事だな。以前のミスはもう忘れたか?」
?「それを言われると辛いですな。あの時はこちらもいろいろと
  準備不足でしたから」
?「ふむ……では、今回は100%自信があると?」
?「無論」
?「……わかった。朗報を待とう」
?「感謝を」
 高い空を泳ぐ雲の流れが速くなってきた。
 それは、嵐の前触れ――
373こっそり家族計画2:02/02/10 23:38 ID:G1TpW/Ik
【19:34 高屋敷家一階 居間】 

 高屋敷家は真っ暗だった。
 空気や雰囲気が、じゃない。
 視覚的認識の指標における『暗闇』なのだ。
 外は台風による大雨洪水暴風波浪雷警報発令中。
 一歩でも外に出ようものならたちどころに生命の危険に
 晒される事請け合いだ。
 ヒュオオオオオオオ……
 風が悲鳴を上げる。
 これから起こる惨劇を予言しているかのように。

?「停電ですか……?」
?「と、とにかく、落ち着くのよ皆!」
?「……」
?「煩わしいわね」
 ぞろぞろと居間に住民が集う。
?「……」
 シュボッ。
?「ひあっ!?」
?「いやあっ!?」
?「あ……ライター」
準「……明かりがあった方がいいと思って」
真純「先に声かけてくれればいいのに……」
末利「びっくりしました……」
 ライターの小さな炎は部屋全体を照らせるほどの輝きは
 ないものの、現在この場所にいる人間の顔が確認できるくらいの
 明るさは提供できた。
真純「ここにいるのは……私と青葉ちゃん、準ちゃんに
   末莉ちゃんの四人ね」
末利「おにーさんと春花おね―さんとおとーさんがいませんね」
準「……こういう時は皆で集まってた方がいいと思う」
真純「そ、そうね。じゃあ私は寛さんを呼んでくるから、
   末莉ちゃんは春花ちゃんを。淳ちゃんは司くんをお願い」
末利「あ、はい。わかりました」
準「ん」
 準は末利へ光源を差し出す。
末利「え、でも……」
準「もう一つ持ってるから」
末利「あ、そうなんですか。ではお借りします」
 末利の手に光の束が送られる。
末利「では」
 タッタッタ……
 いかにも軽そうな足音をたて、末利は廊下へ出ていった。

【19:15 高屋敷家屋根裏部屋】

?「……そろそろ」
?「うむ」
?「……」
 強風によりもたらされるミシミシと軋んだ音が響く屋根裏部屋。
 普段は人気のないこの場所に、侵入者がいた。 
?「最初の標的は……?」
?「もう決めてある」
 唇の端が釣り上がる。
?「こいつだ」
374こっそり家族計画3:02/02/10 23:39 ID:G1TpW/Ik
【19:41 高屋敷家二階 春花・末利部屋】

末利「春花おねーさん?」
 ギィィ……。
 普段ならなんて事はないドアの開け閉めの音。
 しかし、周りが暗闇であるというだけで、その音が何か無気味さを
 加味し出しているような気になってしまう。
 まるで、森林に囲まれたいわくつきな館に迷い込んだような、
 そんな感覚。
末利「おねーさん……寝てるのですか?」
 末利の声が若干揺れる。
 いつも住んでいる家の、いつもいる部屋。
 なのに、今の末利にはそこが居心地悪くてしょうがなかった。
 理由は……薄々感じていた。
 なにかが違う。
 暗いから?
 違う。
 なにかが違う。
 この空気は、いつものこの家のものじゃない……。
末利「おねーさん……?」
 末利は春花のベッドの方にライターの炎を向けた。
 僅かに盛り上った布団がうっすらと浮かび上がる。
 寝てるのか。
 末莉はそう思った。
 なら、起こした方がいい。
 一度居間に集めるようにとおかーさんが言ってたから。
末莉「春花おねーさーん、起きてくださーい」
 多少声を張って呼び掛ける。
 が、布団は微塵たりとも動かない。
末莉「おねーさーん!」
 今度はさらに強い声で呼ぶ。
 結果は変わらない。
末莉「……」
 しょうがないな。
 そう思って末莉は春花の眠るベッドへ足を運んだ。
 そして、布団をめくる。
末莉「おねーさん、起きてく……」
 ピシャアアアアアアアアアアアアアアアアン!!
 強烈な落雷。
 光が一瞬、部屋に溢れる。
 そして、そこに映ったものは。
末莉「……えっ?」
 赤い液体。
末莉「……あ」
 ベッドからぶら下がる、白い腕。
末莉「……あああ……」
 そして……真っ赤に染まった衣服に包まれた……姉の姿。
末莉「ああああああああああああああああああああああああああ!?」
 悲鳴が風の音と重なった。
375こっそり家族計画4:02/02/10 23:42 ID:G1TpW/Ik
【19:37 高屋敷家二階 司部屋】

?「……」
 物音を立てずにそっと立ち上がる。
 確認終了。
 それは同時に、作業の終了を意味していた。
?「……っ」
 思わず漏れてしまう笑みをどうにか噛み殺す。
 我ながら上手くいった。
 芸術、と呼んでも差し支えないかもしれない。
 さて、いつまでも浸っている訳にはいかない。
 やる事はまだ残っているのだ。
?「……」
 最後に一度だけ振り向いて、部屋を出た。
 目に映ったのは……喋る事のない、動く事もない……この部屋の主。
 

【19:46 高屋敷家一階 居間】

末莉「おかーさあああああん! おね―さんが!
   春花おね―さんが……!!」
 半狂乱のまま居間へと向かった末莉。
 しかし。
末莉「……おかーさん? おかーさん!?」
 居間には、真純も青葉も準も……誰もいない。
末莉「おかーさーん!? 準さーん!? 青葉さーーーん……!!」
 …………静寂。
末莉「あっ……あうう……」
末莉「な……なんで……?」
 ヒュウウウウウウアアアアアアアアアア!
末莉「……!」
 突然の強風が嘲笑うかのように唸りを上げる。
 暗澹に呑まれていくような……そんな気がして。
 末莉は、その場にへたり込んでしまった。
?「きゃあああああああああああああああ!!」
末莉「ひっ……!」
 人の悲鳴。
 悲鳴は声の主の判断がつきにくい。
 だが、女のものだというのはわかった。
末莉「……っ」
 末莉は力の入らない身体を必死で起こす。
 行かなきゃ。
 行かなきゃいけない……。
376こっそり家族計画5:02/02/10 23:43 ID:KEyofgzx
【19:48 高屋敷家二階 青葉部屋】

カラス「クアッ!」
 闇に紛れた漆黒の鳥。
 彼は鳥目だ。
 侵入者の顔は判らない。
 だから、取り敢えず鳴く。
 もしこの部屋の主なら、『うるさいわねこのビッチ野郎!』
 だのなんだの騒ぎ出すだろう。
 しかし、侵入者は寡黙だった。
 それが、鳥を否が応でも不安にさせる。
カラス「クアアッ!」
 鳥は動けない。
 周りが暗闇だからだ。
 彼の野性が、この暗がりで動く事はなにより危険だと訴えているから。
 タッ……タッ……。
 足音が近付いてきて……止まる。
 何か、いる、目の前に。
 それから暫くして……。
カラス「……」
 鳥は沈黙した。

【19:51 高屋敷家一階 寛・真純部屋】

 悲鳴はこの部屋からだった。
末莉「……」
 畏怖。
 この部屋で、何かがあった。
 そして、末莉はそれが何かを容易に想像できた。
 だからだろう。
 そこから先へ踏み込めない。
末莉「行かなきゃ……行かなきゃ……」
 ぎゅっと唇を噛む。
 そして……。
 キィッ
 意を決してドアを開ける。
 ザ――――――――
 雨の音が剥き出しの感情に染み入る。
 窓が……開いている?
 その音で、末莉は不意に冷静さを取り戻した。
 とは言え恐怖までは拭えない。
 震える足を引きずるように、中へ入る。
末莉「……あ」
 窓のすぐ下。
 何かが、ある。
末莉「……」
 怖い。
 見るのが、たまらなく怖い。
 それでも、見なくちゃいけない。
 末莉はガタガタとせわしなく動く手を前方に掲げた。
 視界が明るみを帯びる。
 浮き彫りになる、その場所に。
末莉「――――――――――」
 首を項垂れ口から赤い糸を流した、真純の姿があった。
377こっそり家族計画6:02/02/10 23:46 ID:KEyofgzx
【19:25 高屋敷家一階 居間】

司「ふーっ」
 今日の夕食を食い終わった俺は、ごろんと転がった。
 外は台風により、すさまじい風と雨。
 かろうじて電気は使えるものの、停電も時間の問題かもしれない。
末莉「うわー凄いですねー」
春花「台風楽しい」
 お子ちゃまはこういうイベントがお好きなようで。
 かく言う自分も、昔台風が接近した時は無償にワクワクしたもので、
 その気持ちはわからないでもない。
真純「外は凄いわねぇ」
 半分呆れた様に真純が廊下から呟く。
 ちなみに既に食事を終えた青葉は部屋へ移動済み。
寛「しかし、こう嵐が凄いと気分が高揚してしまうな」
司「……そうか?」
 ガキの頃ならいざ知らず、大の大人が……。
寛「ん〜〜〜〜〜、おおおおお、おおおおおああアアア!!」
司「やっかましいわ!」
寛「グケッ! ゲコゲコグワッ! ギャニャゲリョリョグワッケ!!」
 テンションの舞い上がった寛は地球外生命体へと変態を遂げた。
司「付き合っとれんな」
 これ以上ここにいるとまた無駄な労力を消費しそうだ。
 俺は自分の部屋へと引っ込む事にした。
寛「ビャラララビュブボッベララジャ!」
春花「末莉、肩の辺りにゴミがついてるって」
末莉「言葉、わかるんですね……」
寛「ボンジョジョブルエブホホマママ!」
春花「取ってやるって」
末莉「あ、どもです」
 そんなやり取りが耳に残った。

【19:54 高屋敷家一階 廊下】

末莉「あうっ……ううっ……」
 末莉は完全に脱力していた。
 信じられない映像。
 認められない現実。
 嗚咽が漏れるたび、心の中から今まで育んできたいろいろなものが
 飛び出してしまうようだった。
末莉「おっ……おに……さん……」
 覚束ない足取りのその向こうにあるのは、誰より慕う、兄の姿。
 もう何がなんだかわからない。
 こういう時は、一番頼りになる人に……。
 その想いだけが末莉に残されたエネルギーだった。
378こっそり家族計画7:02/02/10 23:47 ID:KEyofgzx
【19:54 高屋敷家二階】

 作戦はあっさりと遂行された。
 チョロいものだった。
 これであの報酬なら、まあ文句もない。
 後は次の合図をじっと待つだけ。
 ただ、一つ気がかりがない事もない。
 ……やめた。
 懸念なんていくら完全を重ねた所で消える筈もないのだから。
?「……」
 後は、待つだけ。
 息を潜めて、待つだけ……。

【19:56 高屋敷家二階】

 ドンッ!
末莉「!?」
 二階に上ってすぐ。
 何か壁を叩くような大きな音がした。
 誰か……いる。
末莉「……」
 恐怖のあまり再び動けなくなる。
 どうなっているんだろう。
 何が、何で、何なんだろう。
 末莉はもう限界だった。
?「クアアアアアアアアアア!!」
 末莉「ひっ!?」
 声の主はすぐわかった。
末莉「鳥……さん?」
 しかし、今まで鳥のこんな鳴き声は聞いた事がない。
 どうしよう、どうすれば。
 兄の部屋はもう目の前。
 だけど、鳥の悲鳴にも似た鳴き声が気になる。
?「クアアアアアアアアアア!!」
 再び声がした。
 慟哭。
 末莉にはそう聞こえた。
末莉「……」
 結論が出た。
 末莉は青葉の部屋へ向かった。
379こっそり家族計画8:02/02/10 23:48 ID:KEyofgzx
【19:57 高屋敷家二階 青葉部屋】

 ガチャッ。
 いつもはノックしなければナイフやらビンやらが飛んでくるこの部屋。
 しかし、今日は何もない。
末莉「はっ……はっ」
 動悸が収まらない。
 イヤな空気が消えない。
 それでも、確めなければならない。
末莉「……」
 そ……っとライターを前方に向ける。
 姉がいた。
 二人。
 二人とも。
 二人とも倒れてて。
 二人とも動かなくて。
 二人とも真紅の液体に身を濡らしていて。
 二人とも……フタリトモ……。
末莉「やああああああああああああああああああああああああ!!!」
 末莉は走り出した。
 光源であるライターも捨てて。
末莉「おにいいいいいいいいさあああああああああああん!!!」
 兄の部屋。
 すぐ傍にある、兄の部屋へ。
 ダン!
 倒れ込みながら入る。
 身体が、顔が、床に投げ打たれる。
 そこに……。
末莉「……え?」
 赤く濡れた兄の顔があった。
末莉「……あ」
 高屋敷司は真っ暗な自分の部屋に一人……倒れていた。
末莉「ああ……」
 既に……やられた後だったのだ。
末莉「っ……」
 そこが、限界だった。
 張り詰めた糸の最後の依り所が、スッと音を立てて消え去った。
 同時に、末莉の意識は失われていった……。

【20:00 高屋敷家二階】

 終わった。
 結局、懸念は徒労に終わった。
 これで、全ての任務は終了した。
 容易い事だった。
 ちょうど、時間もきりがいい。
?「……ふぅ」
 特に充実感はない。
 このような事をするのは、あまり好きではない所か
 キッパリ嫌いなのだ。
 それでも、報酬がある以上はやむなし。
 さて。
 後は合流するのみ。
380こっそり家族計画9:02/02/10 23:50 ID:66TvfxzU
【20:10 高屋敷家二階 司の部屋】

 ……。
 グラグラと安定しない意識。
 それでも、もうすぐ目が覚めるという自覚はあった。
 視界に光が射し込む。
 それが引き鉄となって、次第に音が聞こえ出す。
 誰かの……声。
 起きなくちゃ。
 瞼が、開く――――――

寛「おっ、目覚めたか」
司「……んあ?」
 目覚めた目の前に、寛の顔があった。
 まだハッキリしない意識を呼び覚ますべく、頭を軽く振る。
司「痛っ……」
 後頭部がやけに痛んだ。
 俺、なんで寝てたんだ?
 何か記憶がハッキリしない。
 たしか、寛の変態を見届けた後部屋に戻って、その後……。
寛「まだまだ甘いの。やすやすと後ろを取られるとはな」
司「……」
 後頭部に痛み。
 寛、俺の後ろを取る。
 ……そしてひねり出した答えは。
司「テメー! 何のつもりで俺を殴りやがった!?」
寛「まあ聞け愚息よ」
司「人の質問に答えろ!」
準「……司」
司「ん? 準か?」
 死角にいた為見えなかったが、準もこの部屋にいたようだ。
準「取り敢えず、居間に来て。そこで説明する」
 説明?
 何で準がそんな事を?
寛「早くせんか鈍息(どんそく:鈍足息子の略)」
司「ぐ……」
381こっそり家族計画10:02/02/10 23:51 ID:66TvfxzU
【20:14 高屋敷家一階 居間】

 居間には家族が全員いた。
 ただし、末莉は眠っている。
寛「さて、末莉がまだ起きないが先に二人には説明しておくとしよう」
司・真純「二人?」
司・真純「あ……」
 どうやら真純さんも俺と同じ立場らしい。
 何が何やらチンプンカンプンだ。
真純「司くんも記憶とか飛んでる?」
司「……真純さんもか。一体どういう事なんだ?」
真純「私の場合は、何か停電になったから寛さんを呼びにいったら
   部屋に誰もいなくて、そしたらいきなり後ろから誰かに布を
   口元に当てられて……そこで気を失ったみたいなの」
司「……おいおい」
 それって誘拐犯の手口じゃんか。
青葉「……その実行犯は私」
真純「えええっ!?」
司「どういう……事なんだ?」
寛「うむ。実はな……」

【20:25 高屋敷家一階 居間】

 ん……?
 それまで真っ暗だったのがいきなり真っ白になった。
 この感覚は知ってる。
 朝、目が覚めた時と同じ。
 そっか、もう朝なんだ。
 それじゃ早く起きないと。
末莉「ん……」
寛「おっ、目覚めたか末莉」
末莉「あ、おとーさん……?」
 ボーっとした意識で父親の姿を確認。
 首を右に稼動。
青葉「……」
末莉「……」
 左に再稼動。
準「……」
末莉「……」
 後ろ。
司「……」
真純「……」
末莉「……」
 お……。
末莉「おばけえええええええええええええええええええええええ!?」
末莉「すいませんごめんなさい申し訳ありません
   かたじけのうございます!」
末莉「たーーーーたーーーーらーーーーれーーーーるーーーー!?」
 司「落ち着け」
 ペン。
末莉「あうっ」
382こっそり家族計画11:02/02/10 23:55 ID:MRjGDGIk
【20:20 高屋敷家一階 居間】

司「……つまり、寛の商談相手の常務が今度はホラーっぽいドラマを
  見たいとかぬかしやがって、それで今回の事を思い立ったと?」
寛「うむ」
 寛の説明によると……。
 あらかじめ末莉の肩に赤外線LED付CCDビデオカメラを設置し、
 その後停電を装って家中の電源を落とす。そして末莉の
 行く先行く先に家族の偽装死体を用意し、末莉を恐怖させ、
 それをビデオに収めた……という事らしい。
 つまり、末莉をパチもんホラー映画のカメラマンに仕立て上げた訳だ。
寛「いやいや、音声といい映像といい、最高のものが撮れた。
  やはりホラーのキモは臨場感だからの」
司「……で、俺や真純さんを死体役として気絶させたと?」
寛「その通り! お前たちはどうせ協力を頼んでも断りそうだったしな」
準「……末莉が死体役を丹念に調べる可能性もあったし、
  出来るだけ気を失ってる方がよかったから」
司「って事は、お前もグルか」
寛「ビデオカメラの持ち主は準君なのだから当然だ」
 どうせ金で釣られたんだろう。
 となると、騙し側は寛と青葉と準……。
春花「私もだよ!」
司「えっ!? 春花もなのか!?」
春花「面白そうだったから」
 ……納得。
司「青葉は……今度は誰のサインだ?」
青葉「……ジミ―○西」
 どっと脱力感が押し寄せてきた。
青葉「ところで、いい加減顔を拭いたら?」
司「……?」
 俺が疑問を口にする前に準が手鏡をよこす。
 そこに映った俺の顔には、
司「おわっ! 血がついてるじゃねーか!」
寛「わざわざ外注で取り寄せた良質の血糊だ。水で簡単に洗い落とせる
  所がその良質たる所以……」
司「やかましいわ!」
 真純さんが持って来てくれたタオルで顔を拭う。
司「お前等なー……いくら家族っつっても、やっていい事と悪い事が
  あるだろが。末莉が心臓発作でも起こしたら
  どうするつもりだったんだ?」
真純「本当よ……。いくらなんでもやりすぎ」
寛「ドラマのクライマックスに犠牲は付き物」
司「じゃかましゃあ!」
準「……確かに軽率だったかも」
春花「んー、やっぱマツリに悪い事したかな」
司「ちゃんと謝っとけよ」
春花「らじゃっ」
 外の嵐はいつの間にか弱まっていた。
383こっそり家族計画12:02/02/11 00:00 ID:6n+vgLS2
【20:35 高屋敷家一階 居間】

末莉「う〜あ〜」
 騙されて悲しかったのかみんなが死んでなくてホッとしたのか、
 末莉は泣いた。
 まあ間違いなく後者だと思うが。
末莉「……でも、皆さんが無事で本当によかったです」
司「お前なあ。いい加減そういうお人好し過ぎる性格をどうにかしろ」
末莉「どうにかしろ、と言われましても……」
司「こんな事されて怒らなかったら、それこそこいつらの為にならんぞ」
春花「ごめんして、マツリ」
準「……反省」
青葉「……」
司「青葉」
青葉「……悪かったわよ」
寛「末莉よ。すまなかった」
末莉「えっ、そんな、もういいですよ。過ぎた事ですし……」
寛「この埋め合わせはこのビデオを市場に出して儲けた利益で必ず……」
司「売るなっ!」

 後日、商談は正式に成立。
 その恩恵で、春花・末莉部屋にエアコンが設置された。
末莉「涼しいですねー」
春花「ひんやり」
 高屋敷家はLV.アップした!
 電気代が月5000円上がった。
真純「あ〜ん、生活費が……」

 追記。
 今回の一件でCCDカメラの魔力に犯された寛は、街に出て
 盗撮まがいの撮影をする事が趣味となった。
 そして、調子こいて女のスカートの中を盗撮しようとして失敗。
 現行犯逮捕された。
寛「いや、ギャグを……『ミニにタコが出来た』ってギャグをね……」
 釈明は聞き入れられず、何かと警察沙汰はまずい俺達は
 寛と家族の縁を切る事と相成った。
 今回の教訓。
『ミニにタコはできん』
司「……そりゃそーだ」
 そして寛はいなくなった……。
384名無しさん@初回限定:02/02/11 00:01 ID:HTSI4b8V

385名無しさん@初回限定:02/02/11 00:07 ID:6n+vgLS2
>>372-383
題「そして――いなくなった」

1日またぎで家族計画です。何気に前作と若干のつながりが
あったりします。読んでもらえると嬉しーです。でわでわ。
386名無しさん@初回限定:02/02/11 00:12 ID:HTSI4b8V
>385
初めてSSをリアルタイムで読みました。(・∀・)イイ!!

途中までまったく展開が読めませんでした。
いつものことながら、最後のオチまで笑わせてくれますなぁ。
これからも頑張ってくだちい。楽しみにしてます。
387名無しさん@初回限定:02/02/11 00:15 ID:tC7jhdV4
毎度ながらお見事です。
楽しみました〜
388スワティそれから1日目第4R:02/02/11 01:04 ID:p5Rm0UTO
スワティは風呂場で健太の背中を洗っていた
胸に石鹸の泡をたくさんにして、健太にボディーソープ
「健太さん・・・・」
スワティは真っ赤になりながらも胸で健太の背中を擦る
スワティの柔らかい胸が健太の背中を石鹸と一緒にまさぐった
「やっぱりこれは・・・・、
 あまり汚れを落とすには適してないな・・・・」
健太は背中越しのスワティの胸の感触を楽しみながら
クールに顎に手を当ててそう言う
「もぉっ!一生懸命やってるのにっ☆」
スワティは彼女の努力をあっさりけなされて眉を歪めた
ポコポコと健太の頭を軽く叩く
そして、そのまま背中からぎゅっと健太を抱き締めた
「汚れはあんまり落ちないけれど・・・・・
 コレはコレで良しという事で・・・・」
健太はそう言ってハハハと笑った
「今度は前ね?」
スワティは半立ちになって上から健太に尋ねた
「ヨロシクお願いします・・・・」
健太は、うやうやしそうにスワティを見上げる
「素直でヨロシイ・・・・」
スワティは健太の正直な言葉に機嫌を良くして
笑顔になって、そのまま、そそくさと健太の前に移った
じっと真正面から向き合って、御互いに正視する
そして思わず2人は、ぷっと微笑んだ
スワティは、もっと体中に石鹸を付けて
そして健太にさばりついた
「まぁ・・・健太さんが気持ち良かったら
 それでいいから・・・・・・・」
スワティは真っ赤に微笑みながら体を前後に動かす
スワティの前身で健太の全身は洗われて
同時にスワティも洗われた
健太は思わず、そんなスワティを抱き締めて唇を塞いだ
キスをしながらも、スワティは体を動かして洗う
389スワティそれから1日目第4R:02/02/11 01:05 ID:p5Rm0UTO
「健太さんのコレ・・・アソコで昨日みたいに洗おうか?」
スワティはモジモジしながら不意にそう言ってみた
ツンツンとしおれた健太の粛清棒をつつく
「んーーーー、今日はいいわ・・・・
 また今度な・・・・・・」
健太は昨日の事を思い出して、顔を歪めた
スワティの献身ぶりには頭が下がるが、
そういうプレイを毎日やってはメリハリもない
っていうか、もう2回も頑張っているので
疲れているのが本当の所だった・・・・
健太はスワティを離して、
くるっと彼女を回転させると背中を向けさせた
「今度は俺がスワティの背中洗うよ・・・・」
そう言って健太はタオルに石鹸をまぶしてゴシゴシとし始める
スワティのエメラルドの髪を上げて、白く美しい背中を
健太は丹念に洗い始めた
「あ・・健太さん・・・・・・」
スワティは健太に突然背中を洗われ始めて、不思議に赤面した
タオルが柔らかくスワティの白い背中を上下する
ゴシゴシ、ゴシゴシと・・・
しかしそれは早すぎもせず、遅すぎもせず
擦る力も、何か探るような・・・・・・
スワティの背中と対話するかのような洗浄だった
これぐらいなら痛くないかな?
これぐらいならどうかな?
そんな問いかけをしてるかの様にタオルは上下しており
それに健太のスワティへの体への愛がこもっていた
たったそれだけの事に
スワティは健太の思いに心を振るわせるしかない
スワティはどんどん真っ赤になった
「さてと・・背中もお尻も綺麗にしましょうねー」
あらかた背中の上部を洗い終えると
健太はそう言ってニヤニヤしながらスワティの柔らかいお尻を
愛撫する様にタオルでゴシゴシし始めた
390スワティそれから1日目第4R:02/02/11 01:08 ID:p5Rm0UTO
「あん・・・健太さん・・・なんかエッチ・・・」
健太の下半身に対するタオルにスワティは声を震わせる
「なんかエッチじゃなくって、これからエッチな事するの」
健太はそう言って、スワティを四つんばいにさせた
「きゃっ!健太さんっ!!」
スワティはやんわりと羞恥な恰好をさせられて悲鳴を上げる
健太はその4つんばいにさせた
スワティの菊と秘部を眺めてニヤニヤした
「健太さぁん・・・そこは見ないでぇ・・・・
 恥ずかしいよぉ〜〜〜〜」
スワティは涙目になって抗議する
「ここも綺麗にしないとねぇ・・・・」
健太はスワティを無視して、タオルを向けた
スワティの菊の部分を丹念にタオルでゴシゴシする
「はぁっ・・・・・・・」
スワティは健太の手に思わず甘い声を上げた
自分でするのと人にされるのでは、どうにもかってが違った
健太は丹念にスワティのそれを洗う
「さてと・・・・今日も使わせて頂いたので、
 ココも丹念に洗いますかな・・・・・・・・」
健太は菊を洗い終わると、
そう言って今度はスワティの秘部を開いて
優しくタオルで撫ではじめる
「きゃぁぁっっ・・・・」
スワティはまた悲鳴を上げた
「精液いっぱい出しちまったもんなぁ・・・・
 ちゃんと洗わないと・・・・・・・・」
軽口でそう言って。健太は丹念に秘部を洗い始めた
しかし、言いながら自分で地雷踏んだと自覚した
表情が思わず強張る
丹念に洗ったからといって、どうなるもんでもないじゃないか
健太は不意にそう思った
391スワティそれから1日目第4R:02/02/11 01:12 ID:p5Rm0UTO
「・・・・・・・・・・・・」
スワティが僅かに俯いた
それを見て健太は、はっとなって話題を急速に別の方向に
転換しなければならない事を感じた
健太は石鹸まみれの手で、アソコを弄ってゆっくり洗った
「はふぅ・・・・・・・」
スワティの吐息が漏れる
「スワティ・・・・濡れてきてるよ・・・・・」
健太はスワティの秘部を洗っているうちに、
彼女の体液が溢れ出してきている事を感じた
「そんなトコロ・・・健太さんに洗われてるんだもん・・・」
スワティは真っ赤になって溜息をつく
「なーになになに・・・俺達、夫婦だろ?」
健太はケタケタ笑ってスワティの可愛いお尻を撫でる
「散々嫁さんの使わして貰って、
 後の事知りませんじゃ・・・
 なんか冷たいじゃないか・・・・・・」
健太はそう言って今度はシャワーを取り出して温い湯を出すと、
それをスワティの秘部に押し当てて水洗いを始めた
「んんっ・・・・・・」
スワティはお腹の中に鈍く入ってくる湯の感覚に
不思議な感じを覚えた
「アソコも膣も綺麗にしないとねー、
 フンフンフン〜♪」
健太は鼻歌を唄いながらスワティの腹の中まで綺麗にしていく
「健太さぁん・・・・・」
スワティは真っ赤になって唇に指を当てて
ただ健太の名前を呼ぶだけだった
健太はついでにスワティのお腹とか胸とかもゴシゴシして
自分とスワティを一緒に水洗いした
2人とも石鹸の臭いが立ちこめる
水洗いされた後で、
スワティは、座りなおしてぼーっとなっていた
392スワティそれから1日目第4R:02/02/11 01:13 ID:p5Rm0UTO
健太はそっとスワティを後から抱き締め
スワティの頬にキスをして、そして髪を撫でる
暫く湯気の中で、そんな時間が続いた
不意に健太はある事を思いついて周囲を見まわした
健太は目的の物を見つける。それはシャンプーだった
今度は健太はシャンプーを取り出してそれを手に出した
「今度は髪洗おうかスワティ・・・・・」
そう言って健太はネチャネチャと両手にシャンプーをまぶす
「え・・・健太さん・・・・・・・・・
 そんな事まで、してくれなくても・・・・」
スワティは健太の言葉に驚いた
「まま・・・・」
健太は軽く手を出してスワティを止める
「前から、その綺麗なエメラルドグリーンの髪を
 洗ってみたかったんだ♪」
健太はそう笑いながら
スワティの髪の毛にシャンプーをまぶし始めた
「あんっ!」
スワティは無造作に襲われる健太のシャンプーの液に
難しい悲鳴を上げた
「このエメ髪に惚れたようなもんだから・・・・・・
 大事にしなくっちゃ・・・・・」
健太はそう言ってスワティの髪の毛をゴシゴシと洗い始めた
スワティはそんな健太の言葉に赤面する
「・・・・髪の色に惚れたの?」
スワティは背中の方でシャンプーを塗りつけている健太に
不意に心配になってそう問いかける
それに健太は苦笑する
「髪の色『にも』惚れたの・・・」
健太はしれっとそう言った
その返事にスワティの目がぱっと見開かれる
そして直に目が細められ、
スワティは少し視線を横にして真っ赤になっていた
393スワティそれから1日目第4R:02/02/11 01:14 ID:p5Rm0UTO
「健太さん・・・・私も一緒に・・・・洗って良い?」
スワティはそう呟いた
「ん?スワティの髪なんだから・・・・・・
 ご自由に・・・・・・・」
と言いながらも健太はその手を止めた
「っていうか・・・・・・・・」
「っていうか?」
「洗い方わからんから、教えて・・・・」
健太はいざスワティにシャンプーをまぶしたものの
それからどうして良いのか、オロオロするしかなかった
「・・・・ん・・・・」
スワティはそう言われてそっと健太の手をとった
「じゃぁ・・・・・・・・
 頭の上の髪・・・・・洗って・・・・・」
スワティは健太の手を誘導して、彼女の頭の上に誘った
「オッケー・・・・」
誘われて健太はスワティの頭の上の髪の毛を洗い始める
スワティは、自分は自分で自分の髪の端を前に出して
そしてそれを自分の手で洗い始めた
2人で髪のシャンプーが続いた
長くて綺麗なエメ髪は、その長さ故に洗うのも大変だった
2人で四苦八苦しながら髪を洗う
「何時もこれを一人で洗ってるんだ・・・・
 大変だねぇ・・・・・・・・」
洗いながら健太はその大変さに、思わず唸ってしまった
その言葉にスワティは唇を歪める
「そーよ☆ 
 毎日健太さんに良い香りを上げたいから
 苦労してるんだから☆」
スワティはそう言って、えっへんと胸を張る
「なんか・・・こんな綺麗なスワティの髪、
 洗ってるだけで勃ってきそうだな・・」
健太はスワティの髪をゴシゴシとしながら思わずそうつぶやく
394スワティそれから1日目第4R:02/02/11 01:16 ID:p5Rm0UTO
「ええっ!?・・・・・・・・・・・」
スワティはその言葉に真っ赤になって俯いた
「その・・・健太さん・・・・・・・・
 私・・・髪に出されるのは・・・ちょっとイヤかも・・・」
スワティはポツリと俯いてそう言った
その言葉に健太の目が細くなる
(何故、射精が髪に出すとストレートに想像するんだ・・・
 このエロ娘が・・・・・・(−−; )
健太はそう思って呆れた
健太は、ここ数週間のエロエロ生活で、
どんどん淫乱度が増してくる嫁さんに、ちょっと閉口するしかない
まぁ、開拓しているのは自分なのだから・・・・
自分が悪いちゃー、悪いのだが・・・・・・・・
健太は目を細めながら髪をゴシゴシしていた
そんな風にして、
スワティは髪を健太に洗われる度に、
さっきまでせっかく綺麗にしてくれた秘部に
新たに陰湿を覚えていった
「でも・・・健太さんがしたいのなら・・・・
 その髪でも・・・私は・・・・・・・」
せっかくシャンプーしてるんだから、ついでに洗えばいいか
と秘部が濡れてくるたびに考え始めてしまう
そんな彼女の想像の暴走ぶりが・・・・
今の彼女の欲求の度合いを示していた
スワティは言いながら赤面する
その言葉に健太は苦笑するしかない
「ぬぅ・・・・魅惑的な言葉です・・・スワティさん・・・」
健太はそう言って唸った
395スワティそれから1日目第4R:02/02/11 01:17 ID:p5Rm0UTO
「今日が元気なら、思わずしてしまいそうだけど・・・
 まぁ、もう2回も出したしねェ・・・・・」
そう言って健太は萎えた自分のそれを見た
息子は寂しそうにしょんぼりしている・・・・・
ここのトコロ、連日連射だったのだから・・・
是非も無い・・・
健太はそれに笑った
その言葉にスワティは下を向く
2人で一様に髪を洗い終えると、
健太はスワティの髪をまた湯を出して水洗いした
白い泡のついた彼女のエメ髪が、洗い流されてしっとりと濡れていく
水に濡れて空気の合間も無くなって
ぴったりと彼女の体に引っ付いてしまうそのエメ髪が、
逆に魅惑的だった
スワティは、シャンプーを洗い流されると
健太の方を振り返って、目を潤ませながら健太を見上げた
「健太さん・・・・私も健太さんに何かしてあげたい・・・」
スワティは半分泣きながら健太に擦り寄った
「スワティ?」
泣きながら擦り寄られるそれに健太は焦るしかない
「髪洗って貰ったの・・・嬉しかったの・・・・・
 だから何かさせて・・・・・・・」
スワティは真っ赤になって健太の胸の中にさばってくる
「何って・・・ナニヨ?(−−;」
健太は何でも無い事に感激して真っ赤になっているスワティに
むしろうろたえた
ナニカ何時にも増して、彼女は情熱的に抱き締めてきているように思える
「ナニがいいの?
 もぉ・・・健太さんのエッチ・・・」
スワティは、ボケた
多分天然系
「へ!?」
健太は全然毛頭考えても無い事にむしろ驚いた
396スワティそれから1日目第4R:02/02/11 01:18 ID:p5Rm0UTO
「それでもいいよ・・・・・
 健太さんのオチンチン舐めるのでも・・・・
 ココ、今日・・・丹念に綺麗にしてないもんね・・・・・・
 私が口で綺麗にするから・・・・・・」
そう言ってスワティは無理矢理健太の粛清棒に手をかけた
それに健太は慌てる
「ば・・・・何言ってルんだよスワティ・・・・
 もう石鹸で洗ってもらったし・・・・・・」
健太は叫ぶ
しかしスワティはもう健太のそれを握っていた
「でも・・・私・・・おさまりつかないよ・・・・・
 嬉しかったもん・・・・・・・」
そう言ってスワティはポロっと涙を零した
愛は盲目・・・・(いや恋なんだけど)
思い立ったら一直線の女の子に静止は無意味だった
そしてそれを彼女は上下に摩擦する
スワティは、いとおしそうに眺めた
彼女の綺麗な白い手が上下に健太を摩擦する
しかし・・・・・・
「あれ?」
スワティは素っ頓狂な声を上げた
「勃たない・・・・・・」
スワティは間抜けな言葉を口にする
スワティは言いながら、すこし手の摩擦速度を上げてみた
「あれれ?」
彼女はその手を動きを上げるも、健太の棒は反応しなかった
そんな彼女に健太は目を細くする
「いや・・・・そりゃ・・・・
 もう2回も出したしね・・・・・・・」
健太は横を向いて目を細めた
「それに、ここのトコロ連日ですし・・・・・・・」
健太は更に目を細めてそう言った
健太の顔に蒼い筋が何本も縦に入っている
397スワティそれから1日目第4R:02/02/11 01:22 ID:p5Rm0UTO
言った後に、健太はハハハハと乾いた笑い声を上げた
その言葉にスワティの眉が歪んだ
思わず悲しそうに健太を見上げる
彼女は、じっと恨めしそうに健太を見つめて唇をすぼめた
2人は見詰め合った
スワティは泣きそうに、健太は投げやりそうに
そんな健太の表情にスワティは恨めしさを
さらに増幅させていくしかなかった
スワティの歪んだ表情が、ある一瞬を越えた時に
ぱっと軽いものに変わった
陰鬱そうな顔が突然、笑顔に変わる
その一瞬の変化に健太はイヤな違和感を覚えた
そして次ぎの瞬間には、
スワティは、ぱっと人差し指を立てて
腕を大きく広げて円弧を描いた
くるっとスワティの腕が90度から0度に向かって回転する
「スワティ〜ララ〜〜♪」
彼女のその言葉と同時に光が舞った
「ええっーーー!?」
健太の顔が劇画調になって歪む
光は健太の体を包み、そして光は健太の体の中に入って行った
次ぎの瞬間、健太の体の奥底から不思議な活力が込みあがってくる
「そりゃ無いっすよぉ〜〜!!
 スワティさぁぁん〜〜(涙 」
健太はスワティの天女の神通力に体力を回復させられた
そして、それに思わず涙ぐむ
「神通力使うの、これで何回目っスかーーっ!?」
健太は思わず吼えた
吼えて泣いた
昨日は使わなかった・・・・・
しかし2日前は使ったような記憶がある・・・
398スワティそれから1日目第4R:02/02/11 01:23 ID:p5Rm0UTO
えっと・・・トータルで!?
健太は焦る
焦る
焦るしかない
もはや弁天の地位を失った彼女が、
しかし現世で自分の私利私欲の為に神通力使いまくりとわ!?
イイのかっ!?
健太はそれを思って焦った
「愛しているからイイモン!!!」
スワティは神通力で健太の
ガンダムの様に立ち上がる力を取り戻したナニを見て、
思わず涙ぐんだ
そしてその手を差し伸べて、健太の粛清棒を掴む
「こんなに好きなんだモン・・・・
 我慢できないよっ!!」
スワティは思わずまた涙を流して、
そして健太のチンチンに唇を当てた
「ぬぅ・・・・・」
健太は悶絶するかのような声を上げる
スワティは口をそっと開いて舌を出しそして愛しそうに
健太の棒を舐め始めた
それが、なんか凄かった
そんなに舐めさせた覚えは無い
健太は、スワティに惚れていたから
彼女がイヤがりそうな事は極力避けていた
それでも、やっぱりしてもらいたいという男のサガ
ちょびちょびっとなぐらいは、
御願いをした事もあった
399スワティそれから1日目第4R:02/02/11 01:26 ID:p5Rm0UTO
だが、経験回数は、下の口に食べさせているのに比べたら
遥かに少ないハズだった
ハズだったのだ
なのに、なんだろう?
一回舐められるごとに背筋にまで響くプレッシャーがあった
「来たなプレッシャッー!?」
健太は思わず叫んだ
しかしスワティは
健太のボケなど無視して自分の世界に没頭し始めた
彼女が口に頬張るごとに彼女の舌が
健太のそれを深く味わう様に錯綜する
スワティは健太の竿を、
まずは手と一緒に頬ずるように丹念に舐めて
健太の忍耐力の中の外堀を埋め切った所で
本腰を入れて健太の肉棒を口の中にほうばった
「ぬ・・ぬぐぅ・・・・・」
健太は低い声で唸り声を上げた
口に出し入れをされてセンズラれているのではなかった
しゃぶられていた・・・・・
本当に美味しいアイスキャンデイーを舐めているかのように
ペロペロと・・・・
いや、ジュルジュルと言うべきか・・・・
情熱的にしゃぶられていたのだった
(これはたまらん)
健太は一瞬にしてレッドゾーン付近まで接近した
健太は汗を浮かべた
400スワティそれから1日目第4R:02/02/11 01:41 ID:p5Rm0UTO
しかしスワティにそんな健太の感覚など意識できようハズも無い
それは錯覚だったのかもしれないが・・・
スワティにとっては健太のそれは美味しい味に思えていた
健太味
それにスワティはむしろ酔いしれた
舐めるだけで、下の口がまた濡れていく・・・・
スワティは、むしろ今の行為に快感を覚えていた
舐めているのは自分なのに・・・・
スワティは自分の舌に全身全霊を込めて健太のそれを攻めた
健太は健太で、腰がガクガクするほど大変なものになっていた
口を離しているときは先っぽのあたりをチロチロいくのだが、
深く口の中に入れられた時がイカン
彼女の舌が、口の中にいっぱいなっている健太のモノを
絡めて一生懸命に舐め尽くすものなのだから
スワティの下の口に入れているのと同じくらい大変な事になった
「スワティさん、ちょっとロープ!ロープ!」
健太はスワティの頭に手をかけて、彼女を止めようとする
スワティはそれに気付いて、一瞬舐めるのを辞めて健太を見上げた
スワティの目がトロンとなっており、
顔中真っ赤になってボーとしていた
「何時の間に、それ程の技を!?」
健太は混乱した
あんまりにも凄まじい快感だったので、健太は錯覚した
スワティが凄まじい絶技を使ったのだと・・・・
しかしそれは錯覚で
彼女はタダたんに好きな様に舐めていただけだった
そこにはテクニックも何も無い
あるのは愛と欲望だけだった
しかし、時に愛は技術を越える・・・・・
「技なんかないよぉ・・・・・
 もお・・・良い所なんだから・・・・
 続きぃ〜〜」
そう言ってスワティはさらにトロンとした目になって
健太の肉棒に手をかけた
401スワティそれから1日目第4R:02/02/11 01:42 ID:p5Rm0UTO
「わっ!わっ!わっ!
 スワティ!
 コレ以上されたら、もう我慢できんッスよ!!」
健太は突撃してくるようなスワティの頭を抑えて
彼女を抑えた
「我慢なんかしなくていいよぉ・・・・」
スワティはむーんと顔に力を入れて
健太のチンチンに近付こうとする
あざとく手は既に摩擦を再開させていた
「もう途中で止まれんぐらいレッドゾーン!!
 次ぎに舐められたら口の中に出しちゃうよっ!!」
健太は不思議に必死になって彼女を止めようとした
しかしチンチンを擦られて、力が抜けていく
「出すなら出してよっ!!
 口の中でも!顔でも!髪でも!
 もぉ何処でもいいよぉっ!」
スワティは半ばヤケクソになって
健太をねじ伏せ、そして健太の肉棒をまた口の中に入れた
思わず健太の玉袋まで手でマッサージし
健太の射精を促進させようとしてしまった
スワティはむしろ泣きそうになった
玉袋を持ち、
その中にあるモノが・・・・・
せめて自分の中に入ったならばと・・・・・
そう思うと・・・・・
そう思えば・・・健太の射精の為の
能動便器になる事すら、スワティには快楽に感じられた
汚される事でさえ・・・求められるなら・・・・
幾らだって汚されたい・・・・
そんな気持ちは・・・・理解してもらえないだろうか?
スワティはそう思って、
切なくなって自分の下の口をまた濡らした
スワティはそして健太のを更に愛しくしゃぶった
402スワティそれから1日目第4R:02/02/11 01:42 ID:p5Rm0UTO
健太の抵抗はここらへんで限界を迎える
「ああ・あ・・・ス・・スワティ・・・」
悲鳴のような声を聞いたのと同時に、
スワティは口の中のモノが更に大きくなるのを感じた
そして次の瞬間には口の中に熱い液が、
溢れるくらいに流れ込んでくる
スワティの口の中に熱が広がった
「んっ・・・・・」
スワティはその苦味にも似たそれを口にして
喉の奥から吐息を漏らした
健太の精液でドロドロになる口の中と健太の竿
スワティはその粘度の高い液で口を満たした瞬間
下の口からダラダラと愛液を零した
それが今までのイッタ感覚なのかと言えば微妙だが
スワティは健太に口内射精される事で
イッてしまった
思わずスワティは涙ぐむ・・・・
「ス・・・スワティ?」
健太は泣き始めたスワティに気付いて声を上げた
スワティは健太の肉棒を口から離し
口一杯に広がっている精液を飲み始めた
「スワティ!?」
健太はスワティの喉が動くのを見て焦る
スワティは泣きながら健太の精液を飲んでいた
「そ・・・そんな・・泣くぐらいなら・・・
 無理して飲まなくても・・・・・」
健太はスワティの肩に手をかけて眉をひそめる
多分、健太の買い揃えているエロネタの為の
エロ漫画をしっかり読んで、それを再現しているのだろう
スワティは健気だから、そういう所まで頑張るのだ
そう思うと健太は思わずいたたまれなくなった
403スワティそれから1日目第4R:02/02/11 01:46 ID:p5Rm0UTO
「気持ち悪いなら、吐いちゃえスワティ・・・
 もうオレは・・・・・・
 口に出せただけで大満足です・・・(−−;」
そう言って健太はうっすら涙さえ浮かべた
まさかここまで凄い事になるとは・・・・・
健太は自らの今までの行為に、背筋を凍らせた
仮結婚(?)してからというもの
スワティの献身ぶりは日に日に強さを増してくる・・・
らしいといえば、らしいのだが・・・・・
苦痛に耐えられても・・・・・・
そう思っているとき、スワティは口を開いた
「ちがうよぉ・・・・・
 無理なんかしてないよぉ・・・・」
スワティはポロポロ涙を零しながら声を出した
「すっごい健太さんの苦いよぉ・・・・
 でも・・・でも・・・・・・」
スワティは真っ赤になって瞳を潤ませて健太を見上げた
健太はそんなスワティを呆然と眺める
「苦いけど・・・すっごく美味しいの・・・・」
スワティは涙を流しながらそう言った
[続く]
404触手スキー:02/02/11 01:49 ID:p5Rm0UTO
>>388-403
題「スワティそれから 1日目第4ラウンド」
オナニーですが読んで貰えたら嬉しひです(T_T
405名無しさん@初回限定:02/02/11 03:09 ID:GBkvNn2m
>>371
>104氏
べつに何ヶ月空いても暇な時に好きに書いてくれれば嬉しいと思ったり(´ー`)
406触手スキー:02/02/12 21:13 ID:t7CbPz9Y
あのーーー
スワティもん、次の進行OKなんでしょうか?(^_^;
次でOP終ったら、本シナリオ進行でもイイカナァとか
思ったりなんですが、迷惑だったら
それはそれで考えねばナラヌ所もありまして・・・(^_^;
あんまり強姦ボロボロのエロじゃないので、
イマイチ板違いかなぁ・・とドキドキなんですが・・・(ーー;
407名無しさん@初回限定:02/02/12 23:33 ID:rluafo9P
>406
おっけ〜っすよ。
ここは進行がのんびりなので、まったり待っていてください。

後、ここはハード限定じゃないのでご安心を。
(直前にある相変わらず珠玉な家族計画のSSもエロじゃないでしょ?)
408スワティそれから1日目第6R:02/02/13 00:13 ID:qyB0cENM
それから2人とも、またやる気満万になってしまって
風呂の中で第5ラウンドが始まってしまった
狭いバスタブで、一緒に入ってしまえば完全密着
湯水の中で入れて出してを繰り広げたら、
とっさの回避など出来るわけも無く、深深と入れてそのまま発射
せっかく洗ったというのに、
またしても秘部洗浄にいそしまなければならなかったというのは
むしろ笑い話だった
結局、二人は相当の長風呂になった
そして風呂から出て、はぁ・・・と一休みする
健太は微妙に(心が)疲れてベッドにうつぶせになった
「今日も頑張りのようじゃの・・・・」
その時、呆れたような声でジジイの声が響いた
「・・・・・(−−;」
健太はその声を耳にして顔を歪めた
「あ・・おじいちゃん達・・・・・」
髪をタオルでふいて乾かしながら、スワティはベッドの前に来て
宙を漂っている6人の老人を眺めた
「スワティも最近、見境が無いのう・・・・」
老人の一人が呆れたような声でそう腐ってみる
その声にスワティは笑って返した
「だって・・・・・、幸せなんだモン・・・・」
スワティは長い髪に一生懸命タオルをかけて
ふふふと笑って返した
その言葉に6人の老人達は閉口するしかない
「私、隣の部屋でドライヤーかけてくるから・・・」
そう言ってスワティは6人+1に手を振って
ベッドルームを出て行った
そして、ニュートン物理学上では一人になったその部屋で
健太はまた、はぁ・・・と溜息をついた
「何を腐っておる?」
老人の一人が声をかけてみる
409スワティそれから1日目第6R:02/02/13 00:14 ID:qyB0cENM
それに健太は薄く笑った
「まぁ1つは、甘い新婚生活が
 常に6人の老人に見守られていることかな?」
そう言って健太は目を細めた
その言葉に老人達はくっくっくと笑い声を漏らす
「まぁ、わし等もお役御免になってしまったからの・・・
 7福神じゃなくって、ヘタレ神様6人衆じゃ・・・
 カッカッカ・・・そこそこ暇でのぉ・・・・・・」
そう言って6人はお互いに笑っていた
不意に健太は思い出す
あの時・・・・・
スワティを嫁さんにしようというエロな偉い神様から
スワティを守ろうと頑張った時・・・・
それに付き合って力を貸してくれた6人・・・
しかしその罪の罰が7福神みんなクビなのだから
それはそれで切ない・・・・
「確かに・・・感謝はしているが・・・・・」
健太はそれを思って、感謝の言葉はでるのだが・・・
「でもやっぱり気分の良いものではないな・・・・」
健太は次に率直にそう言った
それに老人達はニヤリとする
「まま、そう言いなさんな・・・・
 わしらは居ないようなもんだしの・・・・」
ふっと誰かが笑う
「変な話じゃが・・・・・・
 スワティがお前さんに愛されているのを見るのは
 わし等には悪くない・・・・・・」
そう言って他の老人達がハッハッハと笑った
「孫娘が嫁いだ先の光景を見てるに近いか?
 自堕落な生活じゃが・・・・・」
「ほっとけ!!」
「それでも終始スワティに笑顔が絶えんのは
 わし等には救いじゃよ・・・・・」
そう言って老人達はウンウンと唸る
410スワティそれから1日目第6R:02/02/13 00:15 ID:qyB0cENM
その言葉で健太は僅かに黙ってしまう
こいつらにはこいつらなりの思いがあるのだろう
何より7福神として一緒に働いていたのだから・・・
しかし・・・・・・・
「監視されている様で、
 やりにくいっていうのは考えないのか?」
健太は仏頂面で上を見た
ついつい文句の1つも言いたくなる
それに6人は逆に目を細めた
「監視されている事を承知で
 スワティを力任せに押し倒しているのは誰じゃ?」
6人はじーっと健太を細い目で見下ろした
それに健太は汗を流す
「お前もナカナカの男よのう・・・見方によると・・・」
一人がムズカシそうにそう言う
「これだけ居るのに・・・・・
 アレだけの痴態行為に及べるのは
 むしろ相当の男として尊敬に値する・・・・・」
そう言ってじーっと6人は上から健太を見下ろした
「だって!スワティが可愛い過ぎるんだもん!!」
健太はわーーと言いながらうつ伏せになった
「それはあまり理由に聞こえんな・・・」
思わず誰かが閉口する
「遠慮してスワティが不幸になったら・・・
 悲しいじゃないか・・・なんか・・・・・」
そう言って健太は、ぼうっとあの時の事を思い出した
スワティを失って呆然としていた、あの時の事を
「そりゃいい心がけじゃ・・・・」
老人は、はっはっはと笑ってクルクルと回った
それに健太はゲンナリする
411スワティそれから1日目第6R:02/02/13 00:15 ID:qyB0cENM
「たださ・・・・・」
健太は横を向いて虚ろな目になった
「ただ?」
「・・・・・・・いや・・・・」
健太はそこで言葉を止める
無理に忘れようとした
「スワティと子供が作れん事が悲しいのか?」
一人がズバリとその事を言った
それに健太の息が止まる
「最近、意識的に腹の中に出しているようじゃが・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「前にも言ったように、スワティは神の体を無理矢理
 次元変換して『人間』の様になってるだけじゃ・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「女の様に振舞うが・・・人間の女ではない・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「別の言い方をすればDNAが違うモノ同士が
 配合をしようとしているようなモンじゃ・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「卵子がお前の精子を受けつけん・・・・・
 スワティは言葉にするなら『天女』・・・
 お前は『人間』じゃ・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「わかってるよ・・・・そんな事・・・・」
健太は複数に語りかけられて枕を頭に被った
412スワティそれから1日目第6R:02/02/13 00:18 ID:qyB0cENM
彼女と再開して、電撃結婚
・・・・というか彼女には戸籍は無いので、
神界の指輪をお互いに薬指にはめて
神界のしきたりにおいての結婚をした
そして数ヶ月暮らして分かった事がある
彼女は、いくら中出しをしたって妊娠しない・・・
いくら・・・したとしても・・・・だ・・・
それを知ったのは初夜から数週間してだった・・・
あまりに愛しくて、毎日避妊活動も忘れた自分なのに
スワティは身ごもらずに生理が始まった
本当は健太は・・・若さに任せて妊娠させたいと
あの時は本気で思っていた・・・・・・
いつも側にいてくれたから・・・
もう彼女とは思えなかったし・・・
自分の為に弁財天のポジションと
神界に帰る力を失った彼女に
そして正式(?)嫁になった彼女に
他に代わりに何が与えてあげれるというだろう?
だから・・・自分の伴侶としてのポジションを
分かる形で与えたいと思ったのは・・・・
健太が彼女に本気で惚れている証拠だったのだが・・・・
413スワティそれから1日目第6R:02/02/13 00:18 ID:qyB0cENM
「神の女を寝取ったのだ・・・・・・
 それなりの問題はあるさ・・・・・」
老人の一人がそっとそう呟いた
それに健太の胸が痛む
妊娠しない事に次の瞬間には喜んで・・・・
スワティとエロ生活三昧を始めたのは良いが・・・
何度も何度も彼女の愛しさを感じるごとに・・・
自分の子供を産ませてしまいたくなってしまうのは
健太の人間としての性だった・・・・
セックスしてお互いの繋がりを確かめ合っている時は
それが実在だから、安心する時間だった・・・
それでも・・・そんな泡沫の夢のような時間が過ぎて
バイトなど、彼女と隔絶されてしまえば・・・
妙に不安が押し寄せる・・・・
彼女が・・・居なくなってしまうのではないかという
あの時の気持ちが再現される妄想が・・・・・・・
だから・・・物理的な愛の繋がりが欲しくなった
この世界に目に見える形での・・・・・・
彼女との心の繋がりが・・・・・・
その思いに健太は頭を振る
「お前さんは立派じゃよ・・・・・・
 スワティのような・・・
 問題のある娘であったと分かっていても・・・・
 それでも誠心誠意で・・愛しておる・・・」
一人が感慨深げにそう呟いた
その言葉に健太の顔が歪む
「惚れた弱みだ・・・・」
そう言って、前の自分からはらしくない言葉を
健太は吐いた
惚れた弱み・・・・・・
それは痛い言葉だった・・・・
414スワティそれから1日目第6R:02/02/13 00:19 ID:qyB0cENM
それに老人は笑って、またクルクルと回り出した
6人は笑うしかなかった
女縁を授ける前には、人に心から惚れるなど
『とても』考える事の出来ないロクでもない男だったが・・・
いざ・・・本当に大切なものを見つけてしまうと
妙に変わるものだ・・・・・
それが可笑しくて仕方ない・・・・
「絶望的だからといって・・・・諦めるな・・・・」
老人の一人が健太に声をかけた
「・・・・・・・・・・・」
「もうお前は既に・・・
 スワティと結ばれるという・・・
 絶望的な確立を引っくり返しているではないか・・・」
「・・・・・・・・・・・」
健太はじっと前を見つめる
「それが・・万が一の・・・いや・・億が一の・・・
 兆が一の確立であったとしても・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
「分かってるよ・・・・・・
 だから・・・今日も明日も毎日、
 中出しなんじゃねーか・・」
そう言って健太は目を細めた
それは快楽だったが、むしろ意固地に近かった
健太の心の奥に潜む願望は奇跡と呼ぶに相応しい・・・
でも、奇跡であっても・・・・・
彼女の為にそんな馬鹿なサイコロの目を通す事に
期待を抱いてしまう・・・・・
「おまたせーーー健太さん・・・・・」
スワティはようやく髪を乾かしてベッド前にやってきた
「おや・・・帰って来たの・・・
 それじゃわし等、お邪魔虫は消えますか・・・・」
そう言って6人の老人はその場から「姿」を消した
あくまで「姿」だけ・・・・・・
415スワティそれから1日目第6R:02/02/13 00:21 ID:qyB0cENM
それにスワティはさんきゅと言って視線を健太に向けた
「おまたせ?(−−;」
健太はスワティの言葉に僅かに顔を歪めた
スワティは健太の表情にきょとんとした
「アレ? だってこれから第6ラウンドでしょ?」
スワティはバスタオルを巻いたままで、顔を僅かに赤くして
健太に寄り添った
「マダするんですか?スワティさん・・・・」
健太は彼女の言葉に目を細めた
それにスワティは眉を歪める
「まだって・・・・
 『夜は長いんだから・・・』
 って言ってくれたのは健太さんでしょう?」
スワティはちょっと不機嫌そうな顔になってそう言った
その言葉に健太はベッドに突っ伏す
「いやもう、4回もですね・・・・・・・」
「スワティ〜ララ〜♪」
光が健太の体の活力を取り戻し、
むしろ何時もよりも元気満々にさせた
「・・・・・・・・・・・・・」
健太のそれはビンビンになった
健太はその自分の姿に絶句する
次の瞬間には『もう好きにして』という気持ちになった
「ねぇ健太さん・・・・・・・・
 その・・・今日はね・・・・・」
そう言ってスワティは、後から漫画の雑誌を取り出した
それをぺらぺらめくって、あるページを示す
「今日は、こんな風に滅茶苦茶体中に
 射精して欲しいなぁ・・・・・・」
スワティはうっとりするかのような目で健太にそう言った
開かれたページにはお腹の上に中に
あふれんばかりに精液まみれの女の子の絵がある
416スワティそれから1日目第6R:02/02/13 00:22 ID:qyB0cENM
「は?(−−;」
健太はスワティのその言葉に口をポカンとさせる
「最近・・・健太さんに汚されるのが快感なの・・・・
 健太さんのイッた時の顔が、かわいくて・・・・」
そう言ってスワティは恥ずかしそうにキャッキャと声を上げる
「私は・・・・健太さんのために
 こんな事くらいしかして上げられないから・・・・・」
そう言ってスワティは、その時だけ妙に寂しそうな目になって
健太を見つめた
その言葉に健太は、うっと息を詰まらせる
健太は思わず鼻の頭をかいた
「そりゃ・・・・スワティを滅茶苦茶にしたいのは・・・
 男の願望では御座いますが・・・・・・・」
そう言って健太は上目使いにスワティを見つめた
「そう? だったら、遠慮しないでさっさと始めましょう?
 昨日今日の仲でもないじゃない☆」
そう言ってスワティはバスタオルをはだけさせて
健太の胸の中に飛び込んできた
健太はそのスワティの胸の感触に相変わらずながら驚く
さっき風呂場で散々撫でられて揉んでしゃぶった胸だ・・・
精密には連日・・・・・
なのに何度接触しても・・・・・・
愛しさが込み上げてくるのは抑えつけれない・・・・
健太は抱きついてこられて、
そのままスワティをベッドに押し倒した
そして第6ラウンドが始まる
まぁその描写はそろそろ飽きてきたので、脳内補完でお願いします(w
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
417スワティそれから1日目第6R:02/02/13 00:23 ID:qyB0cENM
濃厚な時間が続き、健太はスワティの腹の上に、腹の中にと
たくさん出しては、またスワティの体を弄んだ
スワティも愛撫と攻めに程よくイッては休み
そして新しいラウンドを要求する
2回も神通力を使われていたので
健太の精力は中々衰えれなかった
結果、スワティは健太の精液まみれになって
そして、もう辞めようか・・・・というところまで時間が過ぎた
第13ラウンド程、進行しただろうか・・・・
ボクシングよりも多いや・・・・
健太は、淫靡な姿の彼女を眺めて
ヘロヘロになって机においてあったデジタルカメラに手を伸ばした
「あ・・・健太さん・・・・・」
真っ赤ッ化の真っ赤ッ化になってヘトヘトなスワティは
健太のその何時ものアクションに色っぽい声を上げた
健太はデジタルカメラを設定すると
ベッドの上で液まみれになっているスワティの姿を
カメラに激写する
「もぉ・・・・・こんな姿・・取らなくったって・・・」
スワティは毎日の事にやはり苦笑した
「いや・・・・・スワティの痴態写真集を
 作らないと・・・・・・」
健太はそう言って力のこもらない手を握り締めた
後のデジタル映像編集用のPCと
カラーレーザープリンターが
圧倒的な圧力感を見せる
「そんなもの作ってどうしようって言うのよ・・・」
スワティは呆れて問いかけた
「そんな事決まってるだろ?
 夜のオカズにするに決まってるジャン!!」
健太は胸を張ってそう言った
418スワティそれから1日目第6R:02/02/13 00:24 ID:qyB0cENM
「他の女のグラビアでやってると泣かれるくらいなら、
 オレはスワティのグラビアを作るね・・・・・
 っていうか、もうスワティじゃねぇと勃たねぇよ」
健太はぎゅっと拳を握り締めて力説した
「アホ〜〜〜☆
 本人がちゃんといるのに、
 私の写真をオカズに使ってどうするぅっ!!」
スワティは思わず枕でポカリと健太の頭を殴って突っ込んだ
「いや、生理中には無理はさせれない!
 その時は、この作業に意義が出るはずだ!」
健太は力説を続ける
スワティはそんな健太の転倒している言葉に
軽い眩暈を覚えた
それでも、自分しか見えていない健太の姿に
スワティは悪い気持ちはしなかった
スワティはクスリと笑う
ま、自分が元気な時は写真使わせるよりも
絶対、自分の体使わせてやると、
変な意欲が強く沸いていたのは内緒である
おおむね2人は幸せであった
2人という間柄では・・・・
2人は精液を落とすべく、また風呂場に言って体を洗い
疲れ果てたので、そのまま裸で抱き合って
ゴロンと眠りに落ちた
[続く]
419触手スキー:02/02/13 00:25 ID:qyB0cENM
>>408-418
はぁ・・・・やっと1日目かつOPが終った・・・(−−;
長かった・・・・・・=□○_
420某スレなりきりさん:02/02/13 00:39 ID:iMMscaOm
>419
面白かったよ〜。

最近は創作意欲が旺盛な人が多いね。

そろそろ続きでも書くかな……。
421触手スキー:02/02/13 05:03 ID:qyB0cENM
>420
有難う御座います―(T-T
うーむ・・・・続き書こ・・・・・・
422触手スキー:02/02/14 00:42 ID:cY2UxOeT
健太はコンビにのバイトで客の商品をいつも通り
ピッピッピとやっていた
ああ、けだるけな時間・・・・
しかし、バイトしない事には生活費が入らない
仕方ないので今日もピッピッピ
健太はだるそうに働いていた
一方、家に居られる元弁財天様
「ふぅん・・・・け・・健太さぁん・・・・」
元弁財天様は、健太の写真を前に
パンティの中に情熱的に手を入れて頑張っていた
「はぁはぁ・・・・・健太さんの馬鹿ぁ・・・・
 昨日の事が忘れられないよぉ・・・・」
弁天様はパンティをしこたま濡らして悶えていた
ちなみに、朝に家の掃除を終えた後、
ついつい昨日の事を思い出してしまい
既に1枚パンツを替えた
昼になって今度は2枚目を程よく湿らせている
最近、毎日下着を数枚洗っている自分がいる
スワティは思わず涙ぐんだ
「馬鹿ぁ・・馬鹿ぁ・・・・
 寂しいよぉ・・・・・・・・」
スワティは自らの秘部を弄びながら涙を流した
健太は、スワティがあまりにも可愛いので
自由に外出させて嫌な顔のマッチョな兄貴にとっつかまって
輪姦されるのを恐れ、スワティの外出を禁止していた
更に酒屋の兄ちゃんが、
勝手口から酒を運ぼうとした後に家に押し入って
スワティを強姦するのも恐れたので、
外部接触を徹底的に禁止した
神通力が使える天女に何を心配しているのだろうかと
他の6人は笑ったが
そんな健太の独占欲は可笑しかったので、
スワティはそれを守ろうとしてしまった
423スワティそれから(本編?):02/02/14 00:43 ID:cY2UxOeT
すると結果がこうなってしまう
「馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿ぁ〜〜
 これじゃ、恋する女子高生と
 何にもかわんないじゃない〜〜☆」
スワティは嘆きながら秘部を弄くった
それに姿を隠している6人はオロオロする
「スワティが壊れてきている・・・・・・」
「昨日は13ラウンドじゃったのに・・・」
「その前は8ラウンドだったぞえ・・・・
 なんと元気な・・・・・・・・」
「その前は、そうでもなかったじゃろ?」
「しかし最近は平均5,6じゃぞ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「愛の縁を取り持つ女神じゃったからのう・・・
 自分に振りかかってくると、こうまで狂うか・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「健太と相性ええんじゃのう・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「奇跡も・・・偶然というより必然じゃったんじゃろうか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
6人の老人達は頭を抱えながらそこでクルクルと回っている
そんなウチにスワティは上り詰めた
「はぁぁぁ〜〜☆」
424スワティそれから(本編?):02/02/14 00:44 ID:cY2UxOeT
健太はコンビニでピッピッピ
ピッピッピとしながら、不意に愛する新妻の昨日の痴態を思い出す
昨日は凄かった・・・・・・・
合計13回・・・・・最高新記録だ・・・・・
それを思って健太の顔が歪む
もしかしたら今日は、それ以上!?
それを想像して健太の顔に蒼い筋がたくさん引かれた
最近、彼女は快楽に正直になってきた・・・・
神通力を何度も使うなど・・・・いいんだろうか?
やっぱり今日も、アレなのかなぁ・・・・
流石にそれを想像すると・・・おののくところだった・・・
しかし不思議な事に、何度やっても飽きが来ない・・・・
スワティを抱き締めていると不思議に活力がみなぎって来る
それが愛なのだと言ってしまえば・・・そうかもしれないが
毎日毎日、激しく燃えているというのに
今日も帰ったら、力ずくでも押し倒してやろうかと
そんな気持ちになっている自分がいる
何より側にいてやりたいと・・・そう思う
何故だろうか?
そう思った
不意に目の前の客に可愛い女の子がいた
その娘の商品を取ってピッピとする・・・・
前ならこの娘と、
『知り合いに成りたい―ヤリタイーー!!』
だったのに・・・・・今はその活力が沸かない
何故だろうか?
健太は客が引いた後に、その場に立ってボーっとした
前の事を思い出す・・・・・
スワティに何人も女縁を作ってもらっては・・・・
可愛い女の子と関係を持ったあの頃を・・・・
425スワティそれから(本編?):02/02/14 00:48 ID:cY2UxOeT
一人一人・・・様々な事情を持っていて・・・・
そんな所に惚れ込んで・・・・・・・
そして、深い仲になった・・・・・・
彼女達を好きになった時は・・・本気だった・・・
そう、間違い無い・・・・
本気だったのだ・・・・・
なのにどうしてだろう?
何時の間にか醒めてしまう・・・・・・・・・
そしてスワティに新しい縁を探してもらうのだ・・・
それの繰り返しだった・・・・・
おかしな日々だった・・・・・・
そして・・・おかしな自分の反応だと思えた・・・・
みんな女縁でまとまった女の子は・・・
飛びきり可愛い子ばかりだったというのに・・・
どうして、その子と添い遂げられなかったのだろうか?
だが・・・健太はその答えを本当は知っていた
簡単な事だ・・・・・・・・
それは簡単な事だった・・・
一番好きな女の子に・・・・・
他の女の子の縁を取り持ってもらっても仕方ない・・・
それだった・・・・・・・・・
また、スワティの笑顔が脳裏を過った・・・
特にあの頃の・・・・女運を見つけては・・・
寂しそうに笑いながら「頑張ってねっ☆ミ」と
背中を叩いてくれた彼女の笑顔が・・・
それが忘れられない・・・・・・
健太はそれを思って唸った
426スワティそれから(本編?):02/02/14 00:49 ID:cY2UxOeT
いつも一緒に・・・暮らしていたから・・・・
何時の間にか誰よりも大切になる・・・・・
そんな単純な事
いつも何気ない・・・心遣いをくれるから
何時の間にか・・・惚れ込んでしまう・・・
そんな単純な事
きっと・・・他の女の子とも・・・・
上手くは行ったのだろうけれども・・・・・
健太はそれを考えて頭を振った
一方の元弁財天様
「わぁぁぁーーんっ!
 わぁぁぁーーーんっ!!」
スワティは濡れたパンツを脱ぎ捨てて
ベッドの上で大泣きし始めた
幾ら慰めても、全然、治まりがつかない・・・・
「ダメよぉっーーーー!!
 健太さんが側にいないと、
 もぉだめぇぇっーーー!!」
涙を手で一生懸命拭うのだが、
何故か次から次へと涙が溢れてくる
自分でも全然おかしな事を言っているのは分かっている
なのに一つも合理的に物事を考える事が出来なかった
スワティはわんわん泣いて頭を抱える
それに6人はオロオロするだけ・・・・・
そしてスワティは、もう我慢ならんとばかりに
3枚目の下着をタンスから取り出して履いては
家を鍵もかけずに飛び出したのだった
427スワティそれから(本編?):02/02/14 00:51 ID:cY2UxOeT
健太はコンビニの床にモップをかけていた
だらんとしながら・・・モップをかけていた
たくさんの人が行き交う
たくさんの人が去っていく
そんな中でモップをかけていた
こんな姿・・・以前なら溜息をついている所だろうけれど
どうにもスワティと暮らし始めると・・・・
自分に卑屈になる事も無くなってしまった
何故だろうか?
健太はそれを考えて唸った
スワティはその時走っていた
どうして、たったこれだけの時間を耐える事ができないのか
それすらも分からずに走っていた
女縁を探していた時は、何時だって笑顔でいられたのに
今は辛抱も・・我慢もできなかった・・・
ただひたすら・・・健太が欲しかった
だから走っていた
健太は黙々とモップをかけながら思う・・・・
自分はどうやら、一番大切なものを得たらしい・・・
だからなのだろう・・・・・・
健太はそう考えて溜息をついた
お金も地位も名誉も・・・・・
彼女を抱き締めると言う至福に比べれば些細なものだ
自分の腕の中で、嬉しそうに微笑んでくれる彼女を思い出せば
後は生きていく事以外に何も要らない・・・・
健太はそう思った・・・
そして黙々とまたモップをかける
428スワティそれから(本編?):02/02/14 00:52 ID:cY2UxOeT
一番、相性がいいのだ・・・・・
いや・・・ついに探し当てた最後のものなのかもしれない
でなければどうしてこんなに、胸が痛むのだろう?
早く家に帰りたいという気持ちが沸いてきた
早く休みにならないかとも・・・・・
健太はスワティの寂しそうな顔を思い出す
それでも一つだけ・・・一つだけ・・・
自分の心にわだかまるというならば・・・・
「先輩〜〜、だるいっすよねぇ〜」
バイトの後輩が同じくモップをかけながら愚痴っていた
確かにだるい
だるい
その時
「ヴー」
長いエメ髪の・・・長いスカートを履いた女の子が
おもむろにその中に入ってきた
「健太さんっ!」
開口一番、彼女は健太の名前を呼ぶ
「ス・・スワティ・・・・・」
突然の彼女の到来に慌てる健太
スワティは凄まじい勢いでその場に駆け込んで来たのに
その時、健太の前で止まって
そしてじっと健太を見つめていた
「先輩?」
後輩が突然の珍入者に驚いて声をかける
ナニブン、可愛らしい女の子だ・・
多くの人の目を引いた・・・・
いや・・・一番目を引くのは綺麗な長いエメ髪だろうか?
スワティは健太を見つめていると
不意にその場で、ポロポロと泣き始めた
「ス・・スワティ?」
あまりの突然の事に驚く健太
429スワティそれから(本編?):02/02/14 00:53 ID:cY2UxOeT
しかしスワティの涙は止まらない
「うっ・・・うっ・・うっ・・・健太さぁん・・・」
指で涙を拭いながらも後から後から涌き出る涙に
スワティは泣き尽くしているだけだった
「どうしたスワティッ!?
 まさかマッチョな兄貴集団に輪姦(まわ)されたかっ!?
 それとも変態親父に強欲プレイッ!?
 まっ!・・・・・・
 性欲まみれのガキ共に秘密を握られて淫欲地獄かっ!?」
健太は叫んだ
最近読んで、エロプレイの参考にしているエロ漫画のような情事を
その言葉に後輩の顔が歪む
「違う・・違うけど・・・・うっ・・うっ・・・・」
スワティは首を振りながらも泣き続けた
そのままスワティは健太の胸に持たれかかった
健太は呆然と立ち尽くす
「・・・・・・・・・・・」
とても恥ずかしい時間が続いた
「先輩〜・・・彼女泣かしちゃダメじゃないですかぁ〜」
後輩がニヤニヤしながら、健太の肩を叩く
「・・・・・・・・・・・」
後輩は笑って言った
「ここは俺に任せて、行ってやってくださいよ〜」
その後輩は、あまりにも可愛げな子が
ビービ―泣いているのに、いたたまれなくなったのか
そんな言葉を健太に投げた
その言葉に健太は、はぁと溜息をつく
「す・・すまんな・・・・・
 ちょっと頼むわ・・・・・・・」
健太はそう後輩に言い残すと、
スワティの手を握って外に出て行った
[続く]
430触手スキー:02/02/14 00:56 ID:cY2UxOeT
>422-429
「題 スワティそれから(本編?)」
急ピッチで描きたいトコロまで進めねば(−_−;
431名無しさん@初回限定:02/02/14 21:30 ID:v9THemWc
>430
なつかしーなー
今でもスワティ大好きだよ。
しかし…精神的にスワティ弱すぎ(w
432スワティそれから(本編?):02/02/15 04:58 ID:jt0x1/bt
夕暮れ
公園のベンチにスワティと健太は二人座っていた
健太はスワティの肩を抱き締めていた
スワティはそんな健太の胸に顔をうずめる
スワティは、ぽーっとなって沈黙していた
「落ちついた?」
健太は静かに尋ねた
「う・・うん・・・・」
スワティはそっと答えた
言ったはいいが、その後もじもじし始める
暫くカラスの鳴き声
スワティは、おもむろに健太の手を握って指を絡めた
「やっぱり・・落ちつけれないよ・・・」
スワティは上目使いに健太を見上げて
そして瞳を潤ませた
「?? !?
 スワティ!?」
スワティは突然、健太の手を自らの手で誘い
スカートの中を静かにめくって布の中に健太の手を入れた
そのまま、スワティは自らのパンツに健太の手を擦らせる
「?? !? スワティ!?」
健太は手に陰湿を覚えた
「健太さんがいないと、もう私・・駄目なの・・・・」
スワティは瞳に涙を浮かべて、そう呟いた
その言葉に健太は呆然とする
手から感じる陰湿が次第に多くなっている気がした
「自分が馬鹿な女だって思ってる・・・・・・
 でも、抑えきれないよ・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「健太さんにずっと側に居て欲しいの・・・・
 もう、健太さんが他の女の子を見ているのもイヤ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
433スワティそれから(本編?):02/02/15 04:59 ID:jt0x1/bt
「私だけを見ていて欲しいの・・・・・・
 だって・・・こんなに・・・・・・・」
そう言ってスワティはパンツ越しから秘部を
健太の手を動かして擦りあげた
「・・・・・・・スワティ・・・・・・」
健太はむしろ顔が歪んだ
健太はされるがまま出なく、
そっと指を動かしてスワティの秘部を弄った
「俺なんかの、何が良いんだ?」
健太は不意に、それを思って不安になった
「・・・・・・・・・・・・」
スワティは真っ赤になって健太の指に神経を集中させていた
「俺は・・・何の取り柄も無いし・・・・・
 これといって・・・・特技も無いし・・・」
健太は指を擦りながら、言っていて寂しくなってきた
思い出せば出すほど、何の取り柄も無い
「・・・・・・・・・・・・」
スワティは答えずに、感じ入っていた
「なんで・・・スワティがこんなになるまで・・・
 好きになってくれるのか・・・・・・・
 わからん・・・・・・・・」
健太は思わず・・・心の中の懸念を口にした
その言葉にスワティはそっともう一つの手で健太の頬に触れた
「そうよ・・・健太さんは、何の取り柄も無くって・・・
 良い所を見つけようとするのが難しい人よ・・・・・」
そう言ってスワティはストレートに健太の言葉を返す
健太はその言葉に思わず絶句した
「でも・・・・私を好きでいてくれる・・・・・・」
スワティは、そっとそう言って微笑んだ
434スワティそれから(本編?):02/02/15 05:00 ID:jt0x1/bt
「・・・・・・・・・・・・・・」
健太は沈黙した
スワティはじっとその瞳を真っ直ぐ見つめながらまた呟いた
「たくさん・・・可愛い女の子がいたのに・・・・
 それでも私を選んでくれた・・・・・・・」
言った後に健太の頬をさらに撫でる
「・・・・・・・スワティ・・・・」
健太はスワティの笑顔に絶句した
「好きでもない人と・・・
 結婚しないといけなかった私が・・・・・・・
 どれだけ健太さんが羨ましかったか・・・わかる?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
健太は思わずスワティの体を深く抱きしめた
「それでも私を・・私として選んでくれたのは・・・・
 貴方だけなの・・・・・・・・・・・・・・」
スワティは健太の胸に顔をさらに埋めた
「それだけの理由でいいのか?」
健太はスワティを抱き締め、
スワティのアソコを弄りながら尋ねた
「それだけの理由で・・・・側に居てくれるんでしょう?」
スワティは頬を赤らめながら健太を見上げ
そして唇を重ねた
「・・・・・・・・・・・・」
健太はスワティの唇を楽しむ
そしてスワティが積極的に舌を絡めようとするのに
答えてお互いに舌を交差させた
健太は気持ちが高ぶって、治まりがつかなくなった
おもむろに、スワティを抱きかかえ上げて
そして後の林の中に入ってゆく
435スワティそれから(本編?):02/02/15 05:02 ID:jt0x1/bt
「け・・・健太さんっ!」
スワティは林の奥に手を握り締められて連れられ
ある所で横に寝倒された
そのまま、唐突も無くスカートを捲り上げられるスワティ
ttp://gkn.s7.xrea.com/cgi-bin/2chup/img/044.jpg
「こうして欲しかったんだろう!?」
健太は、その扇情的なストライプのしまパンを見て
無造作にそれに手をかけた
スワティを4つんばいにさせて、パンツを半脱ぎにさせる
「こ・・こんな所で!?」
スワティは健太の無造作な手に悲鳴を上げる
「こんな所で我慢できんようにさせたのは、
 オノレじゃ!あほスワティっ!」
健太は叫んでスワティの秘部に指を入れて弄り出した
「くふぅ・・・・・こんな外でぇ・・・・」
スワティは悲鳴を上げた
「こぉの、強姦しているような感じが燃えるっ!!」
そう言って健太はズボンを半脱ぎにしてアレをそそり立たせた
そのままスワティのアソコに後から勢い良く挿し込む
「はぁんっ!!」
スワティは絶叫と艶っぽさの両面が潜む音を響かせた
「うわぁ・・・もうスワティの膣(なか)・・・
 ネチャネチャですがな・・・・・・」
健太はスカートを捲り上げられて
パンツを半ずらしにされたスワティを
4つんばいにさせて、後から入れた後
入れた途端にまとわりつくスワティの愛液に閉口した
「ああんっ・・・・健太さんのぉっ・・・・」
スワティは強引に入れられた健太の熱い棒に
拒絶と言うよりは、歓喜の雄たけびを上げていた
「でも・・・こんなのヤダよぉ・・・・・
 他の人に見られたくないよぉ・・・・・・」
スワティは突かれる度に敏感に膣で喜びを感じながらも
羞恥の心に震えていた
436スワティそれから(本編?)
「この・・ギリギリさも燃える・・・・・
 んーーーーそれも微妙・・・・・・・・」
健太はスワティの腹の中を撫でまわすように棒を操作しながら
同時に手をやって秘部のクリトリスも攻めた
「他の男に・・・スワティのこの痴態を見せるのは
 確かに嫌だな・・・・・・」
そう言って健太は深く深く、出し入れした
「しかし・・・・・・・・
 外で押し倒して陵辱する感じが捨てがたい・・・・・」
健太はやりながら唸った
「スワティーララー♪」
スワティは健太に突かれながら突然神通力を行使した
「んっ!?」
健太はスワティの声に唸る
「健太さんと私を他の人から見えない様にしたよ・・・
 他の人に見られるのなんか嫌・・・・・・・」
スワティは瞳を虚ろにさせたまま喋った
「でも健太さんに犯されてる感じがいいっ・・・
 変だよぉ・・・・こんなに強引にされてるのに・・・
 すっごく気持ち良い・・・・・・・」
スワティは地面に組み伏せられながらお尻を上に出して
深く深く突かれる
健太はスワティの顔に土がついているのが見えて
スワティの体を後から持ち上げ
スワティの上半身が正面から木に持たれかかるように 
体勢を直した
「スワティッ!
 あのなぁ・・・もっと自分を自覚しなさいっ!」
健太は棒に熱くたぎるスワティの愛液に
意識を呆然とさせながら叫んだ
「えっ!?何を?」
スワティは木に寄りかかっては獣の様に後から奪われる自分に
恍惚の表情を浮かべて吐息を吐く