ロリータ創作小説発表スレ

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1名無しさん@ピンキー
『ロリ小説を作ろう!』
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1035472946/
の後継スレです。
オリジナルのロリータ小説発表の場としてお使いください

ロリ・リレー小説は
→『ロリ小説を作ろう』
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1059751297/


ソフトロリ・ソフトレズ小説は
→『ソフトロリ&ソフトレズ小説をうpするスレ』
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1073737039/


ロリ以外の創作小説は
『小説書いてみたい奴と読みたい奴のスレ〜第5章〜』
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1074845891/

やその他該当するシチェの創作小説スレへ

エロパロは
「エロパロ板」
http://www2.bbspink.com/eroparo/
へどうぞ


2名無しさん@ピンキー:04/02/27 21:34
職人さま
『やさしく・・・を孕んで』の続きをこちらでおまちしております。
3名無しさん@ピンキー:04/02/28 00:26
即死阻止!
4名無しさん@ピンキー:04/02/28 00:41
     \                        /
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              \∧∧∧∧/
               <    何  >
               < 予 も  >
               <    無  >
──────────< 感 い >───────────
               <       >
               < !!!!    >
              /∨∨∨∨\
             /         \
            /            \
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        /                    \
5名無しさん@ピンキー:04/02/28 05:53
重複なんだけど。

ロリ小説を作ろう
http://www2.bbspink.com/test/read.cgi/erocomic/1059751297/l50

↑こっちでやるわけにはいかないの?
6:04/02/28 08:18
>>5
ん〜考えなくもなかったけど今までの経緯を見るとそっちのスレも住み分けを
望んでいる感じがあったもんだから。
それに正直あちらはなんか殺伐wとしているから「やさしく・・・」の職人さんも書きづらいかなあと。
7名無しさん@ピンキー:04/02/28 11:38
ほしゅ
8名無しさん@ピンキー:04/02/28 11:53
hosyu
9名無しさん@ピンキー:04/02/28 12:51
ホシュ
捕手
酒畝
補修
捕囚
捕集
補習
募集
暮秋
補充
墨汁
星湯
さげ
sage
サゲ
待ち
どうやら
これで
即死は
免れたかな?
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        /                    \
「うわぁ、すごい」
「すごいって……。もう、やんなっちゃうわよ」
 二階の窓をあけて真林が感嘆の声を洩らした。ぼやいたのは、その母の遼子だった。
「一階の窓の近くによったりしたらダメよ。わかったわね」
 別に雪が部屋に雪崩れ込んでくるわけではない。真林が外へ出て落ちて来た雪に
潰されない為の注意だった。母親の遼子がゴム長に履き替えると、真林に声を掛けて窓から出た。
「うん」
「うんじゃないだろ」
「はい……」
 真林の兄の真(シン)も遼子も続いて二階の屋根に下りてから、真林に声を掛けた。
上の空になるのも仕方なく、窓枠に両手を掛けて一昨日とは別世界とも思える一面雪の世界に
なってしまった近所の家並みを眺めている。しかも、それは普通の積雪ではなく、朝から
テレビでもこの状態は報道されていた。一週間前から、積雪は酷くなっていて、警報も
ここ数日から出ていて、昨日、今日と学校も休校になっていた。
「真林、ベッドで寝てろ」
「寝たくない」
「俺のところでもいいから、とにかくじっとしてろよ」
 真が時々僕から俺と言うのを気になって聞いていた。スコップで足場を固めていた遼子が
動作を止めて、二人の会話に聞き耳を立てる。
「どうした」
「えっ」
「おまえ、ちゃんと聞いていたか?」
「あっ、うん。聞いてるよ」
「ほんとか」
 真がだいじょうぶなのかと真林を見て苦笑していた。その真の顔を遼子は振り返って見てしまう。
「一階は危ないから、しばらく二階でじっとしてるんだ。わかったか?」
 真林に対して真は男をやろうとしているのではないかと勘ぐっていた。勘ぐるというのは
正確ではない。いつ真がそれを真林に仕掛けるのか、ということに遼子は不安を感じていた。
何気ない変化が、ある一点のすべてに繋がってしまっていた。真林を思ってのことではない。
セックスはイマジネーションでお互いを共鳴しあう。しかし、結果としての真林は空想などではなく、
絆など最初から用意されていなかった気が遼子はしていた。
「はい」
 小気味よい返事がした。真林は素直に育っていると遼子は思う。それが遼子のなかで
黒い澱みとなる。真林を見る目が、昨日と同じなのかを絶えず気にしていた。
「僕との子供をつくろうよ。妹がいいな、きっとママに似た美人だと思うよ」
 真がママという言葉を捨てたのはいつのことだったのか、肉欲に没頭することで、
わざと気にも留めなかった。ふつうになれるかもしれないと、一時の甘さに浸かって
安らぎもしたが……情欲にはついに勝てなかった。
「ど、どうして……そう思うの、真?」
 うつろになりそうな瞳が真の笑顔を捉えている。
「だって愛し合っているんだよ。僕たち」
 遼子はいつまで瞳で笑っていられるのだろうかと気が気でない。ついに、耐えられなくなって
真から視線を外していた。
「ええ……、そう。そうよ、真」
「だったら子供が欲しいと思うのはふつうのことじゃない?」
 今なら、戻せる。自分の気持ちを気取られないで、眼で交わせるかもと顔を上げる。
なのにその話題に悲しくなった。でも、自分の傷口を拡げない様にどうこうしようとは遼子は考えない。
真が跪いて、遼子の尻を愛撫しながら、爛れた性器を舐め廻して、あふれる体液を啜ってくれる。
真のやわらかい髪を掻いて遼子は歔いた。もう、自分の倖せはそこにしかないと知っていたから。
「こどもって?」
「ママと僕の子。ほかになにがあるのさ」
「そ、そうね……。ふつうのこと。あたりまえのことだわ」
「ママが愛してくれたように、僕も真林を愛してあげるんだ。ゆっくりと愛してあげられるからね、最初から」
「うっ」
 遼子は小さく呻いていた。
「ママと僕の子だもん。 きっと僕好みの女の子になるよ!そうだ、好みだから、木乃実でもいいね。
でもやっぱり、マリンがいいな!」
 真はその後もマノンでもいいかなとか、遼子に名前のエントリーを次々に聞かせてやっていた。
「やっぱり、真林かなぁ。僕の下に林を付けるだけ。単純だけどね、気に入ってるんだ。
ねえ、ママもそう思わない?」
 急に振られて混乱していた。胸には息をする度に長距離を走りきったような息苦しさと、
口のなかには血のような味がしていた。聞いているのに、言葉に反応するのは嫌悪のみが
支配する。真を知っているのは、今は自分の肉体では別の生き物になろうとしている
ヴァギナだけ。無邪気とは正にこのことなのだと遼子は実感し、真の繰り出す言葉
ひとつひとつに躰は痛みで反応していた。
「ママ、どうしたの。ねえ、ママ?」
 手袋を付ける時のことだった。手の表皮の皺に気づく。美しさとはなんだろうかと時々
思うようになった。倖せが滲み出ている生活を送ってさえいれば、すくなくとも若々しく
いられるらしい。老化は不倖せに如実に現れるものとよく聞く。わたしは倖せなんだろうかと、
遼子はほんとうの気持ちを探した。
『かあさん、ぼうっとしてたら危ないよ』
 手が僅かばかり、歳を取ったように見えていた。台所に遼子は普通に立つ。
 それはいたしかない事で、遼子は避けるつもりなどない。しかし、捩れた関係にふと思ってしまうこと。
考えるのはよくないことだと決めるに至ったものの、だいじょうぶと言ってほしかった。今夜、真は
ベッドで甘い囁きを言ってくれるのだろうかと、視線を遠くの白い雪に向ける。
「ま、真林って誰のことなの……?」
『今夜、してくれる……、真?』
 暗い欲望の契りの証拠(あかし)、望んだ結果と事実に遼子は自分を妖女だと嗤う。
でも、呪いは真林には現れなく安堵したが捩れは続く。何かが消えれば、また新しい何かが生れてくる。
膿が出るみたいにして。生きている以上、それはしかたないことなのかもしれない。ここまでは大丈夫。
でも、ここから先に行ってしまえば、もう後戻りはできない。張っていた涙がこぼれる。こんなボーダーを
遼子は何度も跳び越えてしまっていた。
 真の言葉に、全身に痛みを感じて吐瀉してしまう。手で押えても、吐涎沫が指の隙間からあふれ出る。
何度も下の口から流した涎みたいにして。シンクに駆け寄り、縁を両手で掴み、遼子は顔を突っ込んで
「げえぇぇぇっ!」とぶちまけた。馬鹿な質問だった、わかりきっていたことなのに……。
『真林とするから。あしたならいいよ』
 遼子は唾を呑み込んだ後、呼吸を止めていた。また、あの時の感覚が躰に蘇った。真空状態に
放り投げられてしまっていた。躰は破砕機のなかにでも堕ちて、それでも這い上がって、絞り出すように
声を出してみる。真にはなるだけ気取られないようにして。
『……今夜、わたしともして。待ってるから』
『真林と寝てあげたいんだ。終ったあとも。だから、ごめん』
 いいの。わかったわと言う科白が出てこない。母ではなく女の遼子になっていた。
『まってるから……』
 遼子は瞼を閉じた。
 大寒波襲来の年で、吹雪も治まった翌朝のこと。玄関は雪ですっぽりと覆われてしまって、
二階から出なくては玄関から外への通路は作れなかった。一階はほぼ雪で埋まってしまい、
窓から外を見ても光はある程度届いてはいるが、それでも灰色の世界だといっていい。
でも、真林は灰色というより、好んでブルーの世界とその時のことを名付け、雪に埋もれた
この日のことをそう記憶している。
 母の遼子と兄の真は朝から雪掻きにおおわらわだった。真林は最初のうちは、二人の
していることを見よう見まねで手伝ってはいたが(手伝っているというより、傍から見れば、
どう見ても遊んでいるとしか見えない)、また雪も降ってきたということで、家でおとなしく
待っているようにとやんわりと真に言われた。
「お手伝いしたい」
「家のなかでまってな。つま先、冷たくなってるんだろ」
 真が真林の白いゴム長に眼を落す。真林は足の指をぐにぐにと動かして、真に顔を
横に振って見せた。
「かあさん、真林を家に連れてくから」
 真林の拒絶を見た真は、すぐに二階で雪下ろしをしている遼子を見上げた。無視された
その感じに真林は少しだけむっとしていた。
「あっ」
 真は真林の手をすぐにぎゅっと握り締めてやった。
「ええ、わかったわ。はやく戻って来て」
 二階の屋根から雪降ろしをしていた遼子が答える。屋根には一メートル弱の雪が積もっていた。
そのまま放置していれば、屋根が落ちる可能性もある。夜になれば雪は凍るし、さらに
危険だった。それに、下ろした雪も、軒下に置いておくわけにはいかない。捨てる場所に困ることになる。
しかし、この近くには川があって、捨てる場所には困らなかった。そうなるはずだった。
 初めの頃は下ろした雪の始末を近所中で協力しあって、その川に次々と雪を捨てていった。
時期に川に捨てた雪で足場が作られていった。融けないでしっかりとした足場になって、さらには
だんだんと川幅までもが狭まっていった。
 昼になって、三人で食事をした。雪掻きの仕事はまだ残っていて、簡単に済ませて早く
終わらせるつもりで、カップヌードルを食べていた。真はガーリックをみじん切りにして
マヨネーズでローストしたものに乾燥パセリを振った、バターを載せて焼いたトーストにそれを
載せて食べている。遼子と真林のところにも真のつくったトーストが一枚ずつ皿に置かれていた。
「真林、外に出てみないか」
 遼子は湯飲みに口をつけたままで、真を見ていた。
「まだ、パンたべてない」
「帰ってきてから食べたら」
「硬くなっちゃうもん」 
「そんなこと言ってたら、時間なくなるぞ」
「どこへ行くの?」
 遼子が真に訊く。
「裏の軒下。台所のところ。掻かなくてもいいか確かめてくる。それと大きな氷柱があったんだ。
それも落としてくる」
 真は真林のたべている様子を見ていた。遼子が真に何か言いたそうにして見ていることに
気が付いて、真も遼子を見ると、彼女は真がつくったトーストを手にしてサクッと頬張った。
「わたしも、いくっ!」
「あぶないから、行かないの」
「おにいちゃんとだから、だいじょうぶ。それに、家のうらだもん」
「もう……。真、一時半までには戻ってね」
「わかった」
 遼子の顔が変わっていたことを真林は知らなかった。真は遼子から逃げるようにして
さっさとダイニングから出て行った。真林は椅子を降りると、真が片付けないで
行ってしまったものを後片付けしようとする。遼子はそれを苦々しい目で見ていた。
「はやく行きなさい。わたしが、しておいてあげるから」
 真林は真のことをするのが好きだったので、遼子の言い出したことに戸惑ってしまう。
遼子にしても、真林を意識して、わたしと言ってしまった自分に驚いていた。
「時間、なくなるわよ」
「ありがとう」
 語尾の上がったイントネーションで真林は遼子に答えた。遼子は椅子から立つと、
真林の赤いアノラックを取って着せてやる。
「きれいだからって、氷柱のそばになんかよったりしちゃだめよ。いい、わかったわね」
 ファスナーを合わせて、摘みがジィーッと上がってくるのを真林は顎を引いて見ていた。
首のところまで来て、顔をあげ遼子に笑ってみせる。遼子もそれにつられて笑う。
「はあぃ」
 玄関のドアを開けると四方は雪の壁になっている。右のほうにスコップで削り出したうえへの
階段が作られていた。真林は真の後を追った。真が雪と一階の屋根の隙間に入っていくのを
真林が見つけて駆けていく。雪は凍っていたが、ある場所ではぬかるんで脚のほとんどを
深く埋ずめてしまうところもあった。白い息を吐きながら、裏に廻って真を見つけた。透き通った、
きらめく沢山の氷柱を真林は見た。
「わあぁ、きれい!こんなにもたくさんできてるぅ!すごおい!」
「あぶないから、触ったりするなよ」
「う、うん……」
 遼子と真の三人で行った鍾乳洞のことを思い出す。せまく暗い洞穴をくぐっていったら、透明の
アクリルの床の下に緑色の川が流れている。
 どちらかといえば、バスクリンの緑に近い蛍光色だった。緑青色ともいうのか。通路に
なっている地下水の川のうえを歩いてゆくのにもドキドキしたが、やがて見えてきた
ライトアップされた乳白色の石の華を真林は初めて知ることになる。そして、今見ている
鍾乳石、それは透明で溜息が出るほど綺麗だった。いくつも屋根からぶら下がっていた。
「あぶないから下がって」
「こわしちゃうの」
「舐めたいなんて考えるなよ。お腹壊すぞ」
「どうして」
「綺麗な水じゃないから」
「透明なのに」
 舌を差し出して、氷柱を舐めて見たいと真林は思っていた。真が頬を赧くしている
真林の少女の横顔をじっと見詰めていた。真林が真に気づいて顔を向ける。
「ねぇ、おにいちゃん」
「なんだ」
「雪がとけるとなんになるぅ?」
「つららじゃなくてか?」
 もし、その真下に行って、ストックででも上を叩いたら、みんな落ちて来て躰を刺すのかしらと、
考えなくもない。スコップじゃ綺麗じゃないから。綺麗を考えて、そんな恐ろしい空想を
少女はして微かに顫えていた。
「そう。雪」
「そりゃ、水だろ」
「ちがうもん」
「水に決まってるだろ。水神さまが怒るぞ」
「なにそれ。ちゃんと答えてよ」
 真はスコップを突き立てた。
「ほんとに、わかんない?」
「ん〜、わかんないなぁ」
「考えてよ」
「考えてるってば」
 真林は真を見て諦めた。
「はる。春になるの」
 真は真林を見ながら腕組みをして笑っていた。
「ずるいっ」
「なにがさ」
「だって、知ってたんでしょう!」
「しらなかったよ」
「うそぉ!」
 また真は笑った。
「もう!」
 真林は怒って、真のほうに駆けようとして、足をとられ軒の下へと滑り落ちていく。
「きゃあぁあああっ!」
 蟻地獄に堕ちるように真林が躰を滑らせて、落としていなかったほうの氷柱にぶつかって、
屋根に積もった雪がドドッと落ちた。真が真林の躰を庇っていた。真林が落ちた瞬間に
手を掴んで一緒に落ちていた。真林が真の重みに呻いて、泣き出してしまう。
「だいじょうぶか」
「ごめんなさい。ごめんなさい……」
 真の頬に赤い痣ができていたが、それは小さなものだった。しかしが、真林にとっては
大きな傷だった。
 
 真が外の雪掻きの仕事を終えて家に入ってきた。
「真林……?どうしたんだ?なんで、エアコンを点けない」
 薄暗がりでテレビも点けないでコタツに横になり、真林は躰を丸めて寝ていた。
「だって、なんかぬくぬくして気持ち悪いもん」
 真林は夢を見ていた。その年も大雪だったが、この年ほどではなかった。ひとりでてくてくと
雪がつもった真っ白な田んぼをずうっと歩いていた。中ほどに来たときだった。片脚が付根まで
ズボッと落ちたのだった。なんとか足は抜けたが、お気に入りだった長靴が引っ掛ってどうしても
抜けなかった。急に悲しくなって、しまいには泣き出していた。どのくらい泣いていたのかもわからない。
 靴が無い足は雪で濡れて痛くなっていた。その真林を真は探して見つけてくれた。もちろん、
自分では取れなかった真林の長靴も取ってくれた。
「ぬくぬくってなぁ、こたつもいっしょじゃないのか」
「ちがうっ。むわってするもん」
「でもな、しょうがないだろう。ストーブじゃ危ないし」
「危なくないもん。ちゃんとできるのに」
 真林は口答えというより、認めてほしいという抗議のつもりだった。しかし、真林は根本的には
真には逆らったりはしたことがない。
「あら、真っ暗なのね。すぐに、なにか作るから」
 玄関前で雪を払っていた遼子が入って来て台所へと行く。
「手伝うよ」
「ありがとう」
「電気点けるからな」
「うん……」
 真林はそう言って、瞼を閉じてからゆっくりと眼を細めながらひらいて、躰を起こす。
「おにいちゃん」
「どうした」
「鍋にクリームシチューがあるから」
「かあさん、真林が鍋にクリームシチューがあるって」
「あら、ほんと。ありがとう、真林」
「ストーブに掛けてたら、もっとおいしくなったのに」
「怒ってるのか」
「怒ってなんかない」
 夜になってまた雪が降ってきた。街灯に照らされて、雪が横に吹いているのが見て取れた。
幻想などこれっぽっちもない。そして、昼に見た大きな氷柱が夜になれば、本当に稚い躰を
裂くものになる凶器になるとは、真林は想像もしていなかった。
 じょじょに埋まっていって、夕方には捨てられた雪で川は完全に埋まった。向こう岸の家に
そのまま歩いていけるまでになっていた。街中も大変なことになっていて、自衛隊が出動し、
大きな川に排除した雪を投棄させていった。さすがに、その川は埋まることはなかったが、
足場ができるまでにはなっていた。それだけ、たいへんな年だった。
その夜。真が真林の部屋に入って来た。
「おにいちゃん、どうしたの」
「いっしょにねるんだ、真林」
 真が真林のベッドに近づいて来て座る。
「真林。手をかして」
「うん」
 真は真林の指を口に持っていくと、中に含んでしまった。ぴちゃぴちゃと唾液の音を
立てて指をしゃぶられていた。なにが起こっているのか、真林にはわからなかった。
やがてその手を真林は真の股間へと持っていかされた。やわらかく硬いものにさわらされて
真林の時間が跳んだ。実際に跳んだのは、真がブリーフを脱いで、屹立を顔に突きつけられた
時だった。真の指が自分のセックスを弄ったり、唾液を塗すのは憶えていたけれど。
 真林が真の頬につけた痣のプレッシャーは、まがまがしい男根に収斂されていって、
透き通った氷が熱い艶やかな張りのある赤銅色の亀頭になる。少女の狭穴をゆっくりと
拡げ犯そうとする。破壊と略奪。押し拡げられ徐々に裂かれてゆくような鋭い痛みに真林は
叫んでいた。どうして、やさしい真が、こんな酷いことをするのか理解し難いことだから、
『どうして、どうして……』と終わってからも泣きながら真を見ていた。真林は交媾の時、
両腕を水平にして真にベッドに押さえつけられていた。真は真林の膣内でペニスを
動かさないでじっとしていた。真林には、はじまりでも終わりのような気がしていた。
「真林、繋がっているんだよ。ほら、よく見てごらん」
 蒼白の内腿に滴る一條の赫い記憶から仕掛けてくる、まだ股間に何かを咥え
込まされているみたいな違和感。その後の重い鎖のような連綿とした夜の恐怖に、
天使ははばたいては真のペニスで羽根を毟られては堕ちてゆく。
 いくら好きだからと言われても、その時は愛がなんであるかなど真林は知らなかった。
知りたいとも思わなかった。「あいしてる」と、繰り返されたたくさんの言葉が無為になる。
躰は馴染むことなく閉ざされたままに、兄の真によって時を掛けて覚え込まされていった
躰を重ねるだけのセックス。しかし変化が訪れたのは姦通の破瓜からすぐの、
次の夜からだった。ほんの小さな、それでいてむごい種を真はしっかりと植え付けていた。
最初、真は無言のままで真林の躰を突いていた。好きだとか、愛しているという花束は
真林にはやらなかった。
「うむうぅぅぅっ!あううっ!」
「まりん、まりん……」
「僕の真林!」と真は叫んで、両手で肉付きの薄い少女の脾腹を両手で包み込んで、
肌と肉の感触を確かめながら抱きかかえるようにして腰のくびれから臀部へと滑らす。
「おにいぃちゃああぁあん!」
 少女は泣き叫んで上に抱きかかえるように手を滑らせる真の動作と重なり合って、
華奢な背をシーツから浮かせ仰け反っていった。
 痛みに躰が軋んでゆく。だいすきだった兄に……犯されて……。少女のほっそりとした躰が
弓なりに……否、真林は律動に悶えて弓そのものとなっていた。
「ああ……。す、すき……。すき、すきだから……おにいちゃんんっ!」
『……』
 真は真林の切れ切れの問い掛けに、なにも答えようとしなかった。がまんのできなく
なった躰は、兄に教え込まれた言葉によって、しゃくりあげながら解放の鍵を使って
しまう。どうしてと真林は一週間言い、訊き続けていた。しかし、最後は結局真に従うだけだった。
 リビングでは、長椅子に座って蛍光灯をうつろな瞳で見詰めている遼子がいた。別に
天井を見ているわけでもない。遼子の瞳にはくらい嫉妬が巣食ってしまっていた。
 ほっそりとした頤を引いて、正面を向くと遼子は静かに瞼を閉じ合わせた。その瞼は
ぴくっ、ぴくっと時折痙攣する。ヒップの傍に付いていた右手を遼子は乳房に持っていった。
白いブラウス越しに乳房を受月から持ち上げるようにして、くぐっと押し潰すようにして鷲掴む。
遼子の柳眉がよって、眉間に縦皺が刻まれる。
「はっ、はあぁ」
 とてもちっちゃい羽根が舞い落ちたような、息継ぎのようで儚い音が薄くひらいた遼子の
唇から洩れて出た。左の手はまだ、腰の近くに置いたままで、ソファのクッションを掻いていた。
遼子は突然、肩を沈めて、ずるずると長椅子に浅く座った。腰に巻かれていた紐のフリンジベルトが
摺り上がりルーズなってベージュのシフォンスカートの裾も捲くれ上がる。左手が腰にぴったりと
付いて、しゃにむに手繰り寄せると遼子の美脚のライン――。きゅっと吊り上がったふくらはぎが
あらわになって、膝小僧から白い太腿が晒される。
「はっ、はっ、はあ、はあ……」
 いまはこの脚を舐めて、愛でてくれる真はいない。舐めて、その先のむっと牝獣の
匂いを孕んだ緋肉を愛した肉茎は、あえかなる華の真林を愛する道具になって。

         ∧∧  ∧∧
キタ━━━━ (*゚∀゚) (∀゚*)━━━━━━!!!!!!!!!!!!
     彡 ⊂   つ⊂  つ  ミ
   ((   ⊂、 /   \ 〜つ   ))
     ミ   ∪  ≡  U′  彡

しかも一気に14レスも!
喜びのコピぺ。
何だコピペか…
右乳房にぎゅっと爪を立て、ブラウスの隙間に指を突っ込んでいってボタンを弾き、
左乳房を掴んだ。浅く腰掛けた躰はのたうつみたいに腰をくねらせ、ヒップラインを
捉えると遼子は頭を蛇がのたうつようにして肘掛に載せながら、片脚からショーツを抜いた。
そして、左脚を背もたれに引っ掛け股間を天井に向ける。
「見て、真。あなたのペニスがほしいって歔いてるの」
漆黒の恥毛がそそけ、露に濡れて口をぱっくりと拡げていた。涎を垂らして歔いていた。
『お、おま×こしたい……。おま×こ……おま×こおぉぉぉ……っ。おにいちゃん、
おにいちゃん……』
 猥褻な言葉だけれども、少女には記号の意味しかもっていない。呪文を少女の儚い
くちびるというパーツで飾る。口にすると、稚いセックスに突き挿った真の強張りが
真林の膣内(なか)で烈しく跳ねあがった。真を変える鍵だということを真林は知った。
 遼子はうつ伏せになって、頤を肘掛に乗せ、「うっ、ううっ。も、もっと、もっと……して」と
啜り歔く。牝になった躰を遼子はわざと長椅子からフローリングの床に突き落として転げた。
遼子の躰は時折、びくんびくんと痙攣して、ほしいとぽつりとつぶやき涙で床を濡らす。
 床に擦り付けていた頬が小鼻になり、額になって、腕が顔近くに引き寄せられて、
肘を付いて遼子は上体を起こした。
「真を誘うかっこう……ね」
 遼子は気だるい躰を、うなだれ、四つん這いから水から引き揚げるようにして立ち
上がった。躰がやたらと重い。鎖でがんじがらめにされている気分だった。スリッパを
履かないで、ショーツを引っ掛けたままでダイニングにずるずると足を引き摺るようにして
歩いていった。リビングの照明を落さないままで、そこには牝の臭いだけが残った。
「お料理、温めなおさなくちゃ……」
『そう、好きだから――愛しているからだよ、真林』
『や、やっと、こたえてくれたぁ……。おにいちゃん。好き、好きっ』
 泣いた少女の躰は総身で喘ぎ、烈しく真の男にゆさぶられてゆく。階下のダイニングでは
遼子が灯りの落としてテーブルに貌を伏していた。指先は露に濡れていて、遼子はそれを
ぼんやりと見詰めて、唇に運んで口に含む。次第にちゅぱちゅぱとあけすけにおしゃぶりする。
湿り気をおびた音が部屋に響いた。
真林に突き入る真のペニスに仮想し、指で口腔を掻き廻し、遼子はわざと頤を濡らして、
白いリネンに涎を垂らした。
「はあ、はあぁ……」
しまいには、くちゅくちゅと口腔内で溜めた唾液を意図的にクロスに垂らして、小鼻を擦り付けて
舐め出す始末だった。白の布地にルージュが刷かれ遼子の嗚咽が洩れると、泣き貌をゆっくりと
テーブルの上で腕を組みしたそこに隠す。
 どうして、部屋に乗り込んでいって取り戻そうとしないのかと反芻してみても、真には逆らうことが
できない遼子だった。息子の性奴隷という言葉が遼子のなかの女を灼く。
 遼子の髪が組んだ腕に引っ張られ、額が擦れてリネンのクロスにふたたび落すと、腕がほとかれて
両耳をしっかりとふさいでから貌をあげた。
 うつろな瞳を前方に見やると、遼子は両腕を真直ぐに伸ばして這うように何かに縋ろうとする姿態に
なっている。拡げられていた遼子の手。クロスの上の両手は強張っていって、リネンを掻き寄せると
握り拳になっていた。遼子は言葉にならない獣のような声で叫んで、おもむろに立ち上がる。
すぐに食器たちが悲鳴を上げた。
「おにいちゃん……」
「すぐ、戻るから。そのあとでいっしょにお風呂に入ろう。いいね」
 真林の瞳に翳りが生じる。
「ごめんな」
 真は真林の手を握ってから、ベッドに全裸で仰臥している少女を残して部屋を出て いった。
 残された真林は出て行く真の後ろ姿を追わないで、ぼんやりと天井を見る。 ドアが閉まる
音を聞いて、真から背を向けるようにベッドのうえで横になり躰を縮込ませて両膝を抱きよせた。
そして階下で待っている遼子の耳には、真の足音が聞こえてくる。
「せっかくの料理、こんなにしたりして」
 遼子はテーブルに貌を伏せたまま真を見ようとはしなかった。真は遼子の背中にゆっくりと近づく。
「だったらインスタントラーメンでもたべて。ねぇ、真林は?」 
「疲れて寝ているよ」
「じゃあ、わたしの相手をしてくれるの、真」
「いいの、それでも?」 
「それでもって……?」
「かあさんとしたら、真林とお風呂に入るんだけど」
「いいわ。それでも、いいから。だから抱いて、真」
 遼子はテーブルに伏していた躰をゆっくりと起こして、貌を仰け反らせて後ろに立った 真と唇を
交わす。
「そんなに、チンポがほしいの?」
 遼子の背中に立っている真は全裸だ。
「ええ、ほしいわよ!真がほしいのっ!」
 喉を突っ張らせている遼子の顔に血が昇る。遼子の顔を挟んでいた真の両手が首を軽く締め付ける。
「んっ、ひっ……!いっ、いいっ!」
「いま、どんな顔をしてるかわかる?」
「真のチンポでみたされたい……いやらしい、女の顔でしょ」
「真林もそういう顔するよ、おかあさん」
 真の両手が遼子の釦の引き千切れたブラウス越しに、わざと乳房を揉みしだく。
「やっ、あっ、あ、さわってぇ、真……。ちゃんとやって」
「さわってるよ」
「ちっ、ちがうの。直にふれてよ!」
「真林は遼子との最高傑作だろ」
「んっ、はあっ……。う、うれしいっ。もっと、名前で呼んで」
「真林がおま×こして歔く貌。遼子とそっくりでかわいいよ」
「真林のことは、いわないでっ!」
 真の頬が遼子の頬に擦り付けられる。
「そんなこと言ったら、真林が泣いちゃうよ」
「いやあっ、いやあ!」
 遼子のほうが真にいじめられて泣いていた。真の手がショーツの引っ掛っている脚の方の
シフォンスカートを手繰り寄せる。遼子は真を手伝って自分でもスカートを捲くった。
「開脚して足をテーブルの縁に引っ掛けて」
「え、ええ、わかったわ。でも」
「言われたとおりしてよ。倖せになれるよ。ちがう?」
 仰け反らせていた顔を戻すと、あからさまに自分のみだらで物欲しそうな陰阜が目に 入った。
「す、するわ。しますから……、ごめんなさい」
 遼子は片足をテーブルの縁に付く。すでにぬるぬるになって叢はそそけている。
ヴァギナがぱっくりと開いてしまい、愛液がとろっとこぼれて座のレザーをまた汚した。
「ほら、もう片方もしてよ」
「んっ、はい……」
 遼子は唾を短く飲んで真に返事をする。
「それで、両脚をゆっくり伸ばしていって」
 遼子は椅子を不安定な二本の脚で立たせることなんだと理解した。
そのうえでのプレイなんだと。
「真、名前……」
 烈しく波打つ下腹部を眺めながら、座っている椅子を二本の脚で立たせ始める。遼子の頭は
真の責めにうな垂れている様に見えていた。
「遼子、またオナってみせて。そのあとで、チンポをおしゃぶりしてよ。そのままの格好で」
「あ、危ないわ……」
 遼子の両手はすでに真のペニスを求めて爛れるセックスに触れていた。
「そんなに掻き回したらダメだよ。あとで、前に回るんだから」
「こっ、このままで挿れちゃうの、真?」
「そうだよ、遼子。だから、クリットだけ擦ってて」
「でも……」
「でも、なに?」
「こんなんじゃ、逝けないわ」
「真林が起きて来るかもしれないし、そのほうがちょうどいいでしょ?」 
「そ、そんな……」
 遼子の瞳の色が変わっていた。怒りと哀しみの混ざった複雑な彩りを見せる。
「チンポ噛み切りたい?そしたら、この生活もおしまいだね、遼子」
「わたしが、そんなマネするわけないじゃない!」
 真は肩の顫えで、遼子の気持ちを見透かして遊んでいた。
「そうしたかったら、しても――」
「しないって、いってるじゃないのッ!ああっ!」
 椅子がぐらついて、後ろに倒れ掛る背を真は支える。
「なっ、なにがおかしいのよ!」
「だって急に怒ったりするから、チンポが萎えちゃったよ」
『245』

『……』  『どうしたの、遼子?』
 遼子は真に言われたままの姿勢を堅持していた。両足をテーブルの縁に掛けて、浅く
腰掛けていく。剥きだしの尻を真の言われるまま落としていった。
『わたしの口で、真を元にするほうがいい』
『ほら、もっと躰を伸ばさなきゃダメだよ』
『ええ……』
 されるがままが、倖せ。

『もっと。それじゃ遼子の口に入んない』
 真は椅子の背から手を離して、遼子の顔に触れる。真の支えがなくなってしまい、
仰け反った状態でペニスを咥える。遼子には正直自信がなかった。なめらかにできる
訳がないと思う。なめらかなセックス。いつまでが、そんな夢を描いていた頃なのだろう。
 ともすれば、真の肉棒に歯をあてかねない。噛み切るは大げさにしても、出血ぐらいなら
あるかもと、思っていた。
『もし、遼子が噛み切ったら、僕、出血多量で死んでしまうね』

『そんなこと、しないって言ってるじゃないの!絶対に、ぜったいに……しないわよ』
 遼子は真にしゃくりあげるように答えていた。泣くつもりではなかったのに、後から
後から涙があふれていた。(仮に噛み切ったとしても、故意に放置したりなんか)
無理に、涙を堪えようとしていたことと、顔をさかしまにしていたことで、遼子の
小鼻からは鼻水が垂れてぐちゃぐちゃになっている。

『遼子、ぜったいなんて、ないんだから。半永久的なんてもんだってないよ』
『はっ、ひっ……。わ、わたしと真の……』
『だったら、遼子。真林のいもうとをつくろうよ』
『えっ……。ほんきなの?』
『だって、ぜったいに近付きたいんだよね、遼子は』
『……』
『ほら、チンポ咥えなよ。ぜったいになろうよ』
『246』

 真はペニスを握ると遼子の瞳に尖端を近づける。遼子は真のペニスを咥えたくて、口を
パクパクし始める。興奮から息を吸い込むためにもそうしている様に見えた。そうした
からといって、真がすぐにペニスを挿入してくれるとは限らない。遼子は喘ぎをひそめて
瞼を閉じた。この状態で暗闇になるのは恐ろしい。しかし、ペニスを握り締めている真には
従わなければならなかった。
 真の鴇色の亀頭に遼子の睫毛が触れて、擦り付けられた。ぐいっと遼子の眼球が
体液で濡れる尖端で圧され、闇が白んだ。そして遼子の眼球が蠢いた。
『遼子、下がお留守だよ』
 遼子は真にそう言われて細目をあけて瞬きをして、クリットを撫でながら睫毛で真の
鴇色の亀頭をくすぐりだす。真はそのやり方を好んだが、遼子はそれを嫌った。真の
液が沁みるのはまだいい。睫毛が抜けるのはどうしても困る。

『眼、沁みないの』
『真が気持ちいいなら、どうでもいいわ』
『そうだよね。真林にはできないもん。睫毛が抜けたらかっこ悪いし』
『うっ……』
 遼子の口からしゃっくりの様な声が洩れた。真は遼子の眼球からペニスを退けて小鼻に
擦り付ける。遼子は鼻で呼吸はしていなかった。それでも、口で真の牡の匂いを吸い込んで
いることに倖せになった。

『はっ、はあ、真……。ちょうだい』
 真のペニスを握り締めていないほうの手が、遼子の火照る頬を撫で、髪を梳く。
『なに?』
『真のチンポを咥えさせて』
『いいよ、待ってね』
 小鼻を擦っていたペニスが、今度は頬を残酷に小突いた。しかし、ちゃんと突いてもらうには、
遼子はテーブルの縁に掛けた脚で調節しなければならなかった。口腔に含ませてもらえないのなら、
頬で我慢するしかない。
『247』

『あっ、ああ』
 真は手で血流を時々止めながら遼子の頬を嬲った。そのたびに、遼子はひそやかな呻きを
荒れたダイニングにこぼれさせた。真林と真の交媾の残滓が遼子のさかしまの顔に擦り付けられる。
息子と母の息づかいだけが暫らく続いて、遼子の両脚は震え始めていた。真はようやくペニスを
離して、扱き出す。すでに交渉可能なまでに真の肉棒は反り返ってはいたが、ゲームとしての
駆け引きのために、遼子に見せつけていた。

『ほら、咥えてよ。きっと真林の味もするから』
 セックスを終えて、下腹に降りる時の真のむわっとする生温かい体温が好きだった。
『し、真……、おかあさんをいじめないで……』
 遼子の乳房は哀しみで憐れなほどに揺れている。
『いじめてなんかいないよ。好きだからできるんだ。ちがう?遼子には、もっと僕を好きに
なってほしいんだ』
『俺って……言わないのね……』
 遼子の瞳は焦点を失って、赫い唇が大きくひらいた。
『まだ、甘えていたいんだ。そういう好きもあるんだよ。かあさん』

 真のペニスが遼子の口腔に押し入る。待ちに待っていたものが、ようやく収まった。しかし、
遼子の姿勢は大股びらきで、テーブルに両足を掛け、仰け反る格好で椅子の二本脚だけで
躰を支えているだけのアンバランス。
『女の人は、おもちゃにされてって言うけどね、男の子は気に入ったおもちゃは絶対に
手放さないんだ。それをよく、おぼえといて。自分から捨てたりはしないんだから』
 この姿勢では、真の欲望を煽るだけのストロークは望めない。でも、やるしかない。
『どうしたの、遼子。はやく動いてよ』
 真に言われて、遼子は瞼をはっきりとひらき、うつろな哀しみ色の瞳を見せた。涙がぶわっと
噴いてしまっていた。歓喜の言葉、取りようによっては、別れは遼子から切り出してくれと
言われたも同じだったから。今は無用な考えを頭から振り払って、このセックスに没頭したいと、
のめり込む。唇と頬を窄めて、遼子は真のペニスを吸い込んだ。
『248』

 真は遼子の仰け反ってからの変容を真林に被せながら観察していた。遼子の赫い唇が
咲いて、その暗い穴からはペニスを迎えるためにベロが差し出される。遼子の赧らんだ貌が
また変わる。真林はまだ、苦痛の色しか浮かべない。それが健気でもあり真を昂ぶらせるのだが、
遼子の女のこゆさにはまだまだ、真林は及ばない。
いつか華奢な少女の背中の下に、枕なり、剥いだ衣類を仕込んでおいて真林の顔を仰け反らせ、
ペニスを含ませたいと夢想し、情欲に濡れた貌で見つめる遼子の口の中にじゅぷっと情欲の
塊を押し込む。舌で亀頭を舐めようとした遼子の舌戯を押し切って、肉棒を滑り込ませる。
『ぐふっ』というくぐもった呻きが遼子から洩れた。

『ほら、動かして、遼子』
 真の手がペニスから離れて、遼子のさかしまになった額と頤をやさしく撫で廻す。時には
髪にも触れて、指を絡ませ嬲った。不安定な姿勢で真の証拠を含むゲームに、遼子は
否応無しに馴らされていった。真が力を過度に加えれば、遼子はバランスを崩して
ぐらついてしまうだろう。かといって、うえから自慰に耽っている自分を見下ろされながら、責めに
喘ぐ乳房を揉みしだいてほしいと遼子は願った。

 遼子は真の催促に両脚をゆっくりと伸ばしていって、ペニスを根本まで深く呑み込もうとした。
下顎とみだらなベロで真の肉棒を圧して、喉奥で先っぽを締め付けてやりたい。できることなら、
精を吐くまで扱いてやりたかった。指はぎこちないながらにも、真の命令通りに尖りを愛撫しては
いるが、だんだんと粗雑になった。どうしてもペニスに神経を集中せざるを得ない。色に狂って
哀しいくらいに躰がぐにろゃぐにゃになるような気分のセックスなのに、相反することを強制
されていることが火花を散らせていた。

 しかし、ほんとうに快楽と呼べた頃は、真林を身籠っていたときだったのかもしれない。真は夫の
血を引いてはいなかった。当時、遼子が付き合っていた恋人との間にできた子。
 そして、夫とは形ばかりで、結婚後も一度たりとも性交渉を持ってはいなかった。親の面子を立てて
見合いをし、その際に遼子からセックスレスの共同生活の条件を持ち出した(真の出産を条件にして)。
『249』

 遼子は夫と結婚後も最小限のことだけで、ほとんど口を利いたことがない。真との
交渉が持たれたのも必然だったと遼子は認識していた。
 その風向きが変わったのは、真が真林のことを口にしてからだった。吐瀉した時、
あきらかに真は遼子をからかって煽ったような節があった。むかついて、何度も嘔吐して
いるのに、ペニスで抉るみたいにして背中から言葉を掛けてきた。だいじょうぶ、という
やさしい言葉。

 いま思えば、それが真の目覚めだったのではないかと遼子は思った。しかし、自分は
悲劇のヒロインを装い、真と同化することで、二人のセックスの快美に結びつけた。
二人のにごりを続けるために、子供がほしいことを夫に遼子は打ち明けて、真との
子であることも正直に話した。夫は最初、驚きはしたものの、あっさりと認めてくれた。
夫が遼子をどう思っているかなど、もう気にしていなかった。

 その時の夫の瞳の色など遼子は憶えてもいない。物理的な障害は完全に取り
除かれたことになる。そう、なにひとつなかった。あったとすれば、幾ばくかのモラルとの
葛藤、残されたのは真林への肉体的影響のリスク、その懸念だろうか(しかし、遼子はここでも、
にごりを極めていた。むしろ真との血を濃くして完成される子は……と、深いところで
澱みを遼子は育んでもいた)。

 真とのセックスでは、身籠っていた時期が最高の快楽だった気がすると遼子は思う。
にごりという罪、子に名付けられた、海を連想させる真林という語感。聖にして濁。
真林を産んでからの、待ちに待った真との性器と性器でのほんとうの交媾。あれ以上の
快楽はなかったと遼子は信じている。
 だが真は、また絶対になろうと誘ってきていた。誘いに乗らなければ、真は、今度は
真林を孕ませるつもりなんだろうか、という闇の連鎖に遼子はがんじがらめになっていた。
伸ばしていた両脚を曲げて、小鼻にあてられた陰嚢を離し、含んでいる真のペニスが
ゆっくりと吐き出される。遼子の唾液で塗された、絖る肉棒が現われ、遊びの空間を得た
口腔で、含んでいる亀頭を、遼子は舌先で夢中になってくすぐる。
『250』

尿道口を舌先で撫で(力の加減がつかないくらいに朦朧としてしまっていて、時には
強く、入ったり)、最初のうちはできたのだが、素早く舌を蠢かすにも要領を得ず、そっと
撫でる感じになり、絡めるように亀頭を舐め廻すのがやっとになってしまう。
同じ要領で遼子は両脚を伸ばして、真を呑み込んで、計七回、遼子はその動作を
なんとか続けた。八回目をしようとした時、そのぎこちない自分の繰り出す性戯を真は
満足しているのか不安になっていた。舌と唇、内頬の締めつけだけでは、ビルドアップの
ストロークには到底勝てるわけがない。

真の手がブラウス越しに乳房を掴んで、乱暴に自分のほうに押し上げる。不意に乳房に
強い力が加わったことで、真のレイプするような腕に遼子の手は纏わり付いた。
『んんっ、んん、ん!』
 遼子のやわらかい肉をむずんと鷲掴む。にごりを快楽に変えたように、指先が食い込む
痛みで、躰はどうしょうもなく火照って涙があふれた。強く吸いながら真を呑み込み、懸命に
喉奥に誘った。遼子の手は真の腕から離れて、空を掻き、陰嚢を求めて伸ばされていく。
『遼子、もういいよ、いいから』
『んっ、んんっ!』
『裸でやってくれたほうが、きれいだから。またしようよ。ねっ』
 真は遼子が真林になったようで、愉しくなっていた。

 両腕をいっぱいに伸ばして、乳房のやわらかいふくらみが引っ張られる。真の眼には
脇の窪みと突きあげられた肘も性の快美になってしまうはずだ。だったら、足で椅子を
蹴ってわたしを床に転がして、乳房を引っ掴んだみたいにして、衣服を剥いでと喚きたい。
いまさらながら遼子は熱くなって、真の視線を強く意識した。できるだけ醜態を晒して、
真のペニスを悦ばせてやりたい、惹き付けたいと思った。
 真はそれでも腰を引くと、遼子の口腔からゆっくりとペニスを抜去した。吐き出された愛しい
ペニスに手を伸ばして遼子は握り締める。
『251』

 遼子の手が不自然な動きをした。求めていたペニスを手にしたというのに力がふっと
抜けたのだった。真はそれを交媾の意志と勘違いしていた。遼子は見たのだった。
 真林の拡げられている太腿の内側を真は撫でた。細い少女の脚を指で少し強く圧し
ながら膝まで撫でた。
『お風呂行って来てもいい?』
『ダメだよ、真林』
『おにいちゃん……』
『すぐ、戻るから。そのあとでいっしょにお風呂に入ろう。いいね』
 真林は真との会話を思い出しながら、重たい躰をゆっくりと起こした。細い両腕が躰を
支えていた。背を丸めて脚をよせる。見ようと思っていたわけではないのに、真の硬い
ペニスが挿入されていたヴァギナが眼に入ってきた。揃えた膝に唇から吐息が洩れて
沁み込んだ。擦れて捩れる唇。わざとそうしていた。とろんとした瞳がシーツのうえに
置かれているショーツを探す。ただ、なんとなくだ。躰を曲げてショーツを取ると、
ティッシュで真の吐き出した残滓を始末しないでそのまま穿いて引き揚げた。

 真林はベッドを降りて、自分の部屋を出ると、階下のダイニングからの遼子のくぐもった
呻き声が上がって来るのを耳にした。
 真林の裸足は階段を静かに降りていく。生々しい女の呻く声が聞こえた。階段の
傍の床には食材が転がっているのを見つける。さらに降りて真の全裸……、
真林は真のお尻の形を見た。その躰の向こうにシフォンスカートを撒くって足をテーブルに
引っ掛けて踏ん張って、揺すっている遼子がいる。

 真林はその場で、へなへなと腰を下ろした。なにを遼子がしているのか、すぐに分かった。
真が遼子に強要しているのではなく、遼子が望んで真にしてやっていると映っていた。
 真林にはそのような見方しかできなかった。遼子への嫉妬と言ってもいい。遼子の瞳が
光るのを真林は見てしまっていた。情欲によって、遼子の瞳が涙で潤っていただけだが、
真林を見つけた遼子は獣の目に変わっていた。すぐにペニスを離して、真の陰嚢に
触れようとする。うつろで濁っていた瞳が女猫になる。暗がりで動く影を遼子は気づいていた
からで、真林には十分すぎ、立ち上がって踵を返す。
『252』

 真林が見たのは、遼子の脹脛と反り返った足。そして真の愛撫で蠢く肉体だった。
『んんっ、ああ、あっ、いっ、いやぁ……』
『チンポで塞いだげるから、遼子。聞き分けてよ』
下腹部が波打ち早く真の物で、熱い秘孔を拡げて満たしてほしいと躰は言っていた。
『もっと、真の灼けそうなチンポで突いて!喉を突いてぇ!』
遼子は狂ったみたいに泣き叫ぶ。演技などではない、感情。息を殺して階段を降りてくる
真林に気がついたら、真は自分のものだと見せつけてやろうとした。結果的にはいじわるな
セックスを示唆する見せる行為でしかなかった。帰っていく真林の背を見たら、遼子の気が
失せていた。

 いろんな感情が重くて、なにをどうしたらいいのかさえわからない。それに遼子は
情欲に身を任せられる体位を、まだ真から赦されてはいないのもつらかった。もし床に
転がって真と肌を重ね合っていた最中なら、強く出て怒鳴り散らし、真林を二階に追いやって
いたことだろう。しかし、真は遼子にお構い無しに動く。遼子のほしいものがそこにあった。
真は遼子の太腿を開いてテーブルに両足を掛けて作った空間をくぐり、男を誇示して
爛れたヴァギナの前に立つ。

『挿れてあげるよ、遼子』
 遼子の顎は引いて、自分の股間に真のペニスが突き刺さるのを、息を呑んで見守った。
真がペニスを掴んで、遼子もヴァギナに指を添えて指でひらいた。遼子のセックスは
愛液でベトベトになって、座も濡れている。遼子の唇から濡れた吐息が洩れる。難なく
ペニスは挿入された。何度となく、繰返される行為、飽きることは無かった。いま、自分は
真に支配されている。真の肉体を支配しているとも言えた。こうしたい、ああしてやりたいと
常々遼子は創造する。あとどれくらい、こうした関係が続けられるかわからない。この頃、
先を歩くのは常に真のほうだ。だから、一瞬一瞬を刻まねばならない。
 けれども……真を咥えているのに、膣内にあっても尻を蠢かすことも振りたてることもできない。
もどかしくて、たまらなかった。遼子は嵌められているヴァギナに手を伸ばして、人差し指と
中指で真の肉を挟む。なめらかな、真とのセックスがほしいとねがいながら。
『253』

遼子の肉襞が、真の硬い質感でエモーショナルに掻き廻してと叫んでいた。
『んっ、はあ、はあ、はあ……』
真はずっぽりと入り込んだペニスを観ていた。真林のものとはちがう、女のこゆさ。
破壊という少女幻想には程遠いが、ナマの性と対峙した落差に興奮した。すべてを
許容してくれる遼子(性器)がそこにいた。遼子に突き立てたペニスをアヌスを窄め
跳ねさせて、ほしいという喘ぎ声を真は聞く。遼子の真の下腹に触れた手が、また
肉との繋がりを探って、尻を熱情にゆだねないで、真のほんとうに機能していない
ペニスを指で弄りを軽く仕掛けてから、さっと引いた。自分の下腹に、強張らせた
両手でヌードダンサーのように遼子は撫で廻していた。ゆさぶりだったのか……。

 真を挑発するつもりでしたのか、単に自分を高めるためにしたのか。その後で、遼子は
ぴぃんと張っている太腿の縫工筋を押し戻すようにして内腿に触れると、両脚を拡げて、
もっと真を奥に、子宮に誘いたくて意志表示した。涎を流しながら頬張る赫いくちびる。
真のペニスを眺めていた遼子の貌は仰け反って、意識だけを集中させると瞼を閉じ合わせた。
真の躰が少しだけ動いた。
『あっ』
 躰が波立った。このまま背中から床に倒れてもいいと遼子は思う。真は椅子をぐらぐらと
尻だけで揺すった。

『遼子、もっと締め付けて』
 たまらなくなった遼子の尻がバウンドするみたいに、ぐぐっと真の下腹に突き出された。
遼子の頭のなかは、堕ちる感覚に真っ白になっていた。遼子がバランスを崩して倒れそうに
なるのを、空を掻いた手を掴んで真は引き止めた。真が掴んだのは手首で、遼子はびっくりして
顎を引いてそれを見ていた。掴んでくれた真の腕を握り返したものの、遼子の力は
すぐに緩んでいた。
『どうしたの?』
『来てたのよ』
『えっ、何ていったの?』
『真林が泣いてるって言ったの』
『254』

『真林が?』
 真は階段のほうを見ると、真林の姿は既に無くて、実際には聞こえなかった階段を駆け
上がっていく足音が聞こえたような気がしていた。苛立つように尻を使った。
『はあ、はっ……。追いかけて……あっ、あげたら?』
 なぜ、あげてと言えなかったのか遼子は後悔して、躰が熱くなっていた。躰が熱い
というより、総身に針を突きつけられたような感じがした。実際に肌がチクチクしている。
乳房であり、頭皮、背中とピリピリする。そして真林に嫉妬していた貌だろうか。特に耳は
熱かった。

『手を離してもいいの?』
 真が訊ねる。
『はなしたら……』
『いいんだね』
『……』
 娘と男を争って嫉妬していたこと。遼子はみじめになって、泣きたい気分になった。
ダイニングの電気を落としていたことが唯一の救いだったかもしれない。それも、真と
真林のセックスが済むのをひとり待っていたとこだった。
『さっきみたいに、遼子は叫ばなかったんだね』 

『んっ……。な、何の……こと?』
『うえに戻ってなさい、真林!とかさぁ』
『そんなこと……言わなくてもいいっ……』
『真林を追えって、言うつもり?まだ、僕は遼子の膣内にいるのに。ほら』
『……追ってよ、真。いってぇ』
『遼子はそれでいいの?あんなに取り乱してくれたじゃない』
 取り乱したのは甘えたいからなのか。どうして、そんな言葉が出てしまうのか。
『遼子は拗ねてるの?』
『そっ、そんなんじゃっ』
『255』

『じゃあ、どんなんだよ』
『真は……』
 べつに格好つけているわけではなかった。真は遼子の言葉を虚勢と受け取ったのだろうか。
感覚で喋っていたから、遼子の気持ちがストレートに言葉になっていただけで、さして意味は
無い。
『ひとつなの』
 ただ流れの中に波紋をつくるために言葉を放り込んでみたのだった。三人の関係に、なにかの
変化を潜在的に求めていた欲求の表れかもしれない。
『真林は……真とやってる……わたしを見たの』
『ちゃんと、セックスしてるのを見せたほうがよかった?』
 真は尻を動かした。
『あっ、あ……。まっ、真林は混乱してるの。真はひとつよぉ……』
 変な理屈だったが、プライドを捨てきれないで甘えなかった自分をしょうがない子供だとも思えた。
そして、遼子は真に蒼い苺をたべてと言ってしまったことになる。

「真、蒼い苺をたべましょう」
「うん」
「お口をあけて、まっててね」
 遼子の指が皿に乗っている苺へと伸びていく。
 加糖練乳を掛けない、その中から蒼い苺を選んで、皿から一粒摘むと遼子は真に見せ付ける
ようにして含んだ。赫い唇がひらいて、蒼い苺が窄まった唇に挟まれて消えた。それを口腔で
舐め廻して、唇を重ねていって真に口移しに与える。真林が生まれる前のベッドのうえでの遊び。
蒼い苺は真林だったのかもしれない。

『遼子はやさしいね。それをもっと……それを真林にも分けてあげてよ!』
 露骨に振り出して、遼子は揺れた。
『えっ……?あ、あっ、いっ、いやぁ!』
『ほんとに、離しちゃうから。それで、いいんだね!遼子!』
『256』

『あっ、ああ……』
 意味など無い。ただ、なめらかなセックスが。それが――いい。
『答えないの?なら、ほら!』
 真の眼に微かな怒りが帯びたような気がした。手首が離されて、遼子は思わず『きゃっ!』と
小さく叫ぶ。背中から倒れるのは、本能としては怖い。でも、暗がりに光った真の瞳に
そこはかとなく、遼子のなかに怯えが走っていた。離された遼子の手首――真はすぐに
力を入れて手を掴むが、指が窄まってつるんと滑ってしまう。遼子の指を真の手が、これまでに
ないくらいの力で強く握り締めた。でも、じょじょに離れそうになり始める。

 汗で滑るかもしれなかった。真の手が遼子の捕まえていた指をさらにきつく握り締めて、
遼子は真のほうに引き寄せられた。椅子の前足二本が床にダン!と音を立てる。
『叫ぶくらいなら、おねがいしたらいいのに』
 遼子はうな垂れて、涙ぐんだ。真のペニスが遼子の膣内から、ぬるんと抜けてゆらゆらと
揺れる。遼子の下腹部はみだらに痙攣していて、尻が落ちてしまった分、テーブルに
載った両脚はいびつな菱形をつくっていた。遼子の頭に、現在の姿がしっかりと絵に描けた。
『はっ、はぁ……、ば、ばかだもの……』
 格好悪く、みじめに拡げられている。うな垂れている遼子の貌は、流れる髪と影が隠す。

『じゃあ、三人でいっしょに入ろうよ。いいね?』
『どうして……どうして、そうなっちゃうの?』 
(真は、わたしに蒼い苺をたべさせたいの?そうなの?)
『いやなの?ほら、立って、テーブルにお尻を載せなよ』
 だらんと下がっている遼子の腕を、真は掴んで沈む躰をサルベージしょうとした。
『いっ、いやぁ……』
『だって、解けちゃったじゃない。もう一度、繋ぐんだよ。やりなおそうよ。ほら、遼子。立ちなよ』
『ちっ、ちがうの!ま、まって』
『ほんとに、怒るよ』  『こっ、このまま、引っ張られたら、お尻から落っこっちゃうの』
『257』

 真林がいなかった、真との世界を構築していた頃の遼子とはちがっていた。真林が真と
遼子の間に入ってからの微妙な変化。遼子は精神的に甘えられない分、真に泣きごとを洩らす
ようになった。真が真林とセックスをして待つ時間。その後で真に抱かれてしまう自分に
どこか違和感を抱かずにはいられなかった。表立った思い込みこそしなかったものの、
辛いことに変わりない。真林への遠慮も、あったのかもしれない。その辛さの中で、
割り切れないまま快美に狂って遼子は揺さぶられる。気持ちがめちゃくちゃになっていった。
気に入ったおもちゃは捨てないよ、と言った真の言葉に遼子はすがり付いていくしか
なかった。バスルームで真に跪いて、ペニスにしゃぶりつくみたいにして。真がシャワーヘッドを
掴んで、赧らんでイクような貌をしている遼子に冷たい雨を降らせる。それでも遼子は
無心になって、真に奉仕するしかない。

『なら、早く脚を下ろしなったら』
 真は片手で、ぐずっている遼子の左脚の向う脛を撫でながら、ガシッと掴むと、
いきなり折り畳んだ。
『ひっ……』
 遼子は息を呑んだ。また、真によってヴァギナを、あられもなく拡げられてしまった。
濡れて蒸れているだろうヴァギナを真は見ている。真林のものと、きっと較べている。
絶対に較べていると、遼子の喘ぎが洩れる。無垢に佇む真林の女の命と、貪婪に真の
ペニスをたべたがっている遼子の女そのものとのちがいを。すべての答えは真の股間に
あった。

 自分の女だけで、真が勃起していると思いたい。そして、子宮に真の烈しい勢いの体液を
しぶかせてと。その視姦に、遼子の頬は次ぎの快楽のうねりを強烈に感じてしまい、
頬がカァッと熱くなった。
『好き、好きなの……真』
 つられるようにして、遼子の菊花もジンと熱くなる。火照りは全体に拡がっていって、
お尻が熱かった。ペニスがほしいという叫びとをいっしょにして喘ぐと、右脚を遼子は
テーブルから落としたことで、真にやっと躰を起こされた。
『258』

『遼子、いつもの言いなよ』 『おっ、おま……』
 真も荒い息を吐きながら躰をよせて、遼子の腰から脇をなめらかに撫でまわす。膝が
遼子のロングスカートを捲くるように押し入って、シフォンで性器を擦っていた。眼を
腫らしている遼子に真の顔が迫った。薄くひらいて喘ぐ唇に、真の息が掛かる。
『ほら、どうしたの?』
 遼子の顎が、く、くっと微かにぶれた。真からのを待っていた。遼子の瞼までも熱を孕んだ。
『おま……』 遼子の唇がオーの字にひらく。

 真は遼子に口吻すると見せかけ、後ろに廻り背中を獲って抱きつく。真にキスをされる
ものとばかり思っていた遼子は、不意を突かれた格好になった。真の硬いペニスが遼子の
臀部に触れる代わりに、膝で捲くられていたスカートは元通りになる。真は背後から
遼子の波打つ腹部に触れながら、腰に巻かれていた紐状のフリンジのベルトを解く。
遼子は行為を拒むつもりはなかったが、真の腕に手を絡めて、しっかりと掴んでいた。
真は遼子の挑発とも取れる、擬似レイプの行為の蠱惑に魅了される。

 真と遼子の関係において、優位に最初立っていたのは遼子だった。教えたのは遼子だ。
そのセックススタイルが遼子の好みでもあった。変わったのは真林が生まれてからのこと。
このような真とのセックスも、真が望んでいるからこそ受け入れられるものだった。
 そのくせ、遼子は臀部に付けられた硬いペニスを煽動する動きを見せて、小振りのお尻を
みだらに揺り動かしていた。真は遼子に腕を掴まれたままでシフォンスカートを擦り下ろし、
びしょびしょのセックスを剥き出しにするやいなや、性器全体を包み込んで乱暴に掴んだうえ、
遼子のものを引き揚げに掛かった。ぐっ、ぐぐっと敏感な部分に真の熱情のベクトルが伝わる。

『あっ、ああぁ……!』
 遼子は躰を捩りながら前のめりになって、顎を突き出した。その声は部屋に戻って行った
真林にさえも届くほどになってしまっていた。指を突っ込んで掻き廻したいという衝動が真に
なくもないが、遼子のものを爪で傷つけたくはなかった。真林とのセックスにも気を使っていて、
その点は平等に接している。
『259』

『いっ、痛いわ!いやぁ、いやよ!』
 もう一方の手で、顔を振る遼子の乳房を真は鷲掴む。
『風呂に入ってから、もっと、してあげるよ!』前屈みになって、そのまま上体をテーブルに
押し付けられる。
『痛い!』
真の手はテーブルと遼子の躰で挟まれたが、乳房を揉みしだいていた真の手はすぐに
抜かれて、遼子のテーブルを突っぱねようとしている腕に絡んだ。

『痛くしてるんだから、しょうがないだろ』 『テーブルにお尻をあげろって、いったわ!』
 真は折れ曲がった躰にぴったりと合わせて、シフォンスカートを下ろされて、剥きだしに
なった遼子の臀部にペニスを擦り、尻を離すと尖端で荒々しく遼子の尻肉を小突く。
『あとで、してもらうから、安心しなよ』 『ああ、ああっ!あぁああ……』
 真はいやらしく濡れそぼるヴァギナからも手を引いて、顎を遼子の背に食い込ませながら、
重なったまま両手を下に伸ばしてシフォンスカートを落とした。真は遼子の太腿の淡いに
ペニスを擦り付けた。それも、数回動いただけで、動作を止める。

『し、真!動いて!背中も舐めて!』 
 躰を捩るように動かす遼子から真はあっさりと下りて、くっ付けていた躰を横に退けた。
『だっ、だめぇ……、いかないで!真、おま×こして!したくて、どうしようもないのよ!』
『もっと、真林に聞こえるくらいに、叫ぶんだ』 遼子の尻肉を揉む。
『いゃああ……』 真の顔が遼子のすぐ傍に来た。
『いゃじゃない!叫べ、遼子!』

『し、したい……。おま×こしたい……。う、うっ……したい……』
 遼子は真の顔を見ないように、額をテーブルに擦り付けて貌を揺り動かしていた。
『ほら、もっとだよ』 『言う。言うから。もっと、やさしくして……真』
『はやく言え、遼子!』
『おま×こしてぇ!こんなに、真のチンポがほしくて、たまんないのッ!
たまらないの……。だから、背中も……舐めて……真』
『260』

 ベッドのうえで横になって、小さくなっている少女の躰は小刻みに震えている。下から
あがってくる遼子の歔く声はドアで遮蔽されてはいたが、真林の耳にははっきりと残り、
自分で穿いたショーツに手を突っ込んで、真がさっきまでいた場所をいらう。真林は
小さな顎を引いて喘ぎ声を押し殺していた。
遼子の動く躰を間近で観ていたわけではなかったが、食卓に載せられた脚が浮き沈み
しているのを……、そして真の尻の淡いからの、遼子の貌を真林は見てしまった。
ペニスに縋りつこうとする、女の生々しさ。その少ない情報量が、真林をセックスのファンタジーで
掻きたてて眩惑させる。それは、遼子の瞳を見た、負の感情を伴ったもの。頬が熱くなって、
真林の細い両脚が顫えた。ショーツに突っ込んだ手を両腿が締め付ける。


 その場にへたり込みそうになるのをなんとか堪えて、壁に手を付いても、結局は躰が
みるみる重くなって座り込んでしまっていた。階段がゆっくりとゆがんだ。ゆがむ前に
見たものは、真の腿の淡いから覗いた遼子の情欲に濡れる光る瞳。真が遼子と
繋がろうとして、前に廻った時が真林の限界だった。
 真林は二人に背を向けると、静かに音を立てないよう立ち上がり、泣き声を洩らすまいと
注意しながら、階段をあがっていった。ドアも静かに閉める。部屋に入る前に、階下からの
二人の声がしてきた。部屋に戻っても真林の視界はゆがみ、天井も回る。はやくベッドに
辿り着きたい。真林には、ずっと遼子のくぐもった呻きが、真の荒い息のなかにあっても
明瞭に響いて、それがずっと耳元で囁いている。真林の華奢な肩は上下し、足がベッドへ
行こうとする動きを阻んでいた。一歩も動けない。
 真林は薄い胸に手をあて何かを押さえつけようとする。自分が真としているセックスの
イメージ。線が一本あるだけの真林のシンプルな性器と遼子の黒々とした淡い。
 もう一方の空いた手で、真林はショーツに触れようとした。蒸れた下腹部の熱が真林の
手に伝わって、ためらったけれど、あふれ出た残滓で蒸れる感触を確かめる。真林の視線は
下腹部から足へと下りていった。遼子がしていたように、外に内に足の指を動かした。
『261』

遼子が感じていた、足の動きを真林はトレースしていたら、頬が熱くなった。風邪に
犯された様に火照っていて、頭もぼうっとしている。そして眼も潤んでいた。足の指が
内側に向かってぎゅっと縮む。真が遼子にしていたことは、自分の躰にしているのだと
思えればずっと楽だ。そう考えるようにした。遼子と事が済めば、真は風呂に入って
躰を流すと言った。真は真林を迎えに来てくれる、きっと。それまでのことだから、脚を
動かしてベッドに近づく。真の牡の残り香に引き寄せられて、這い上がる。そして、
みだらなエンブリオになって待っていた。

 真は遼子の二の腕に唇を引っ掛けるようにして舌を這わした。
『そ、そこじゃなくて……背中、して。ああっ』
 真は遼子の突きだされた尻を抓りあげるように掴む。ドアを越えて遼子の喚く声が
聞こえてきた。真林の小さくまるくなっていた背中が、びくんと動いた。真は抓っていた
手を振り上げて、遼子の尻肉をきつく叩く。真が遼子の尻をぶつのは初めてだった。
『いやぁ!真、やっ!』
 真は遼子の背を舐める前に上体をあげてしまい、尻を見据えて打擲を繰返した。
真は遼子が泣き叫んでいるのを黙って見ていた。ペニスは遼子が四、五回擦ってやれば、
射精するかしれない程の昂ぶりをみせていた。

『んああっ』
 聞こえてくる遼子の泣き声に反応して、真林は股間を擦りたてる。胸は烈しく喘いで、
肉付きの薄い躰は憐れなほど、少女の骨を浮き上がらせている。真林は仰臥して、
充血した稚いヴァギナを擦り続けた。真林は腰をつかい、言葉にならない声で叫ぶ。
しかし、真との交媾で得られるまでの快美はなかった。真林は躰を動かして、人の字に
なってうつ伏せになると、両手にシーツをぎゅっと握り締めて、続きを始める。真林の
お尻はくねくねと蠢いた。
 真にぶたれていた、遼子の腫れ上がった尻もだった。
『遼子、真林にやさしくしてよ。わかった?』 
『真、ごめんなさい……』
『262』

『じゃあ、遼子。テーブルに載って』 『真……を挿れてくれるんじゃ……』
 遼子の顔が真のほうを見た。
『お尻を、載せるんじゃ……』 『わかったの?』
 遼子はなにも言わないで、躰をのっそりと動かし片膝を載せた。真は落ちそうになった
スカートをたくしあげると、遼子の熱く膨らんで愛液でしとどに絖っている秘所を眺め、
手の甲でそっと撫で擦った。
『はあっ……、挿れてぇ……』
 遼子の性器がひらいて、手の甲に愛液が絡みついていた。

『返事はどうしたの』
 真の手が、遼子の赧い尻をピシャ!と叩く。
『あうっ、ううっ……。は、はい』
 遼子は、床に付いていた足もテーブルに上げていった。アヌスを指で揉みほぐされている
わけでもないのに、遼子はそうなってしまっていた。眼が熱くなった。セックスが熱を帯びたように。
遼子はテーブルのうえで四つん這いになる。動悸は烈しく鳴っているのが聞こえる。真が来る。
指なのか、舌なのか。椅子の足がゴトゴトと床を鳴らした。 『んあッ』

 真の手が、遼子の熱い双臀を割り開いて、息使いが近付いて来た。倫理に背いた交歓まで、
あとどれくらい割かねばならないのだろうと遼子の気持ちは嫌がうえでも昂ぶって、
右手で真に捲くられている尻に触ていった。そこに添えられていた真の手ともども撫で廻す。
真を求める行為。自分が愛した人との子。血を分けた分身。恋とも愛とも呼ぶのもはばかれる
暗い澱み。真の舌先が尖って、遼子のひくつく窄まりをそっと押す。まだ、そこには真のものを
受け入れてはいなかったが、いつか、そこも押されるようにして捧げて、泣き叫ぶ自分を遼子は
想像する。
 真を感じる行為ではなくて、自分を感じる行為かもしれない。遼子は思った。真はなにを考えて
真林を愛しているのか。性愛としての球体関節の人形をコレクションするみたいにしているのか。
おもちゃを自分から捨てることはない、と言った真。だとしたら、蒐集の興味の幻滅は来ないのだろうか。
否、それよりも前に……真は。

『263』

 遼子は何度も恐ろしさを乗り越えてきた。そうして、ボーダーを壊して立っていた。
もう、後戻りできるとしたら、道はひとつしかないのかもしれない。
新しい人形を真が欲しがるかもしれない。真林の妹を産んでと。さっき遼子は真に
そう言われたばかりだった。それが、この愛の……絶対のかたちなのだろうかと、アヌスを
愛撫され、尻をわななかせた。朦朧とした頭で遼子は感じる。自分が拒めば、真林に……
いつか及ぶかもしれない。遼子の手が真の手をきつく握り締めていた。

「ああ……」
 遼子が尻をふるのはペニスをあるべき場所に、還したいがためだと真は確信して
昂ぶっていた。
「まってて、すぐに挿れてあげるからね」
 テーブルに額を擦り付けて獣のような声で泣き喚く。真の目的は達成されつつあった。
どんな行為をしているか、真林に教えたつもりだった。がんじがらめにして、遼子を解き放つ。
恍惚の揺りかごに載せ彼方に往く。その閨声を真林に聞かせたかった。ほんとうの仕上げは
これからだ。真は遼子の臀部から顔を離して、赤くなっている尻を撫でる。

「いゃああっ」
「なにがイヤなの遼子?僕がほしくないの。僕は遼子がほしくて、ほら、こんなになってる」
 遼子は鼻水を啜った。
「ほら、こっちを向きなよ」
 遼子の躰を捻って、脚を縺れさせて真のほうを見た。真の肉棒は憎らしいほど、遼子の女を
極めさせてくれる。
「んっ、はあ、はあ……」
(真、最初の頃のようにして……)
 遼子の脚がテーブルから外されるのを待っていられなかった真は、腰を掴んでペニスに強引に
引き付けた。待っていた衝撃に、張っていた涙がまたあふれて叫ぶ。おかまいなしに。真の烈しい
律動は容赦なかった。
『264』

もっと惹き付けようとして(与えられる熱情の痛みを和らげるためだったのか)、
真の腰に両脚を絡ませる。遼子は足の指を内側に曲げて、真をぐっとよせるも、遼子の
拘束は、真の律動で揺さぶられ、終には弾け飛ばされ、だらりと垂れてしまった。
『ものすごい……う、うっ』
真林は何がはじまったのかを悟って、性器をいらう動きをやめ、横たわっていた
エンブリオの体位から羽化するみたいにして、ゆっくりと伸ばしていった。真林はベッドに
うつ伏せになると、両脚をゆっくりと拡げてた(遼子の膣内にある真のペニスを想像
しながら)。伏していた貌を横に向け、入ってきたドアを潤んだ瞳でみつめると、
顔のそばに置いていた手は、真との交媾の名残りの白いシーツのさざ波を掻き集めようとする。
少女の肩胛骨は顫えている。真の勃起をインサートされて悦んでいる遼子の声を聞きながら
腰を使い始めて、ドアを見ていた真林はそっと瞼を閉じた。階下では、遼子は肘を付いて
上体を起こして、ヴァギナから出入りする肉棒を眺め、遼子が腰を蠢かしていた。

 テーブルの脚が音を忙しく立てている。腰を掴んでテーブルから遼子の躰を引き摺り下ろして、
真は椅子に腰掛けた。だらしなく口をひらいて、唾液を滴らせ深い挿入感に遼子は歔いた。
それでも爪先をふんばって、遼子は烈しく腰を使う。二階のベッドのうえの、真林みたいにして。
『真、真……!』
 貌を前後に振る遼子の胸元を肌蹴させて、乳房にむしゃぶりついて歯をあてる。遼子は真を
潰さんばかりに躰を揺すって、快楽を求め息子の頭を掻き抱いた。肉襞が真を呑み込もうとして、
二階にいる真林のことも忘れて、真は遼子の膣内に精液を放出する。夥しい量の精液が遼子を
射抜き、満ち足りた感覚が総身を支配していった。真は仰け反って、獣のように咆え、逆に遼子は
真にしがみ付いて、首筋に噛みついて夢中になったひと時を内に閉じ込めようとした。


おにいちゃん、「きて!来てぇ……!」  
『265』

「真林……!」
 ベッドがぎしぎしと悲鳴をあげていっていた。鮎夏の求めたものに反して、生々しい
情欲で真林の肉体を塗りたくった。人形のような少女のからだ、その蠱惑に鮎夏は
酔っている。人形の躰に仕組まれた、――球体関節。やけに露骨に感じる人形のヴァギナ。
胴と腰を繋ぐ関節のみだら。少女の尖った清楚なくちびるから吐かれる熱い息。その
アンバランスさは鮎夏のものになって、真林の薄いビスクドールの肌色に隠された
骨のエロスを探る。

 喘ぐ脾腹に浮き出る肋骨であり、そして今、鮎夏が見ていたものは真林の胸板が
作ったウェーヴのかたち。臍の窪みにかけてのスロープであり、下腹部のセックスによる
筋肉の蠢き。鮎夏は真林を強く抱きしめて情欲に溺れた。
 その時、鮎夏のなかで何かが弾け、真林の頬を引っ叩いてやりたいというパッションに
憑かれながら、少女の躰を責めていった。それは鮎夏の少年とともにあった夏。愛された記憶。
出会いの日に、少年に追いかけられて、首を絞められた。あの時の少年の衝動が、時を経て
鮎夏の躰に降りてくる。少年がそばにいる気がした。――真林の躰が仰け反った。

「ああ……、あっ、あ、あゆかあぁぁぁ」
 少女のパーツが、鮎夏によって揺さぶられる。同い年の男の子との差異、今はみだらになって
熱くなり膨らんでいる女の証拠、女の――刻印(スリット)。だからといって、鮎夏の
気持ちを受け入れていた骨盤は脆弱に見えても、すでに女の円みを持っている。華奢な
少女の丸い肩も動いた。真林のうえに乗った、鮎夏の躰を撫で擦ろうと、求めて伸ばして。
真林の手は鮎夏の腕を掴んで、嵐のような揺さぶりに耐えた。それから、ふっと力が抜けて、
小さな手をいっぱいに拡げ、鮎夏の汗に濡れる脇腹から蠢く腰に。鮎夏は真林の躰を思いやっていた
当初から、たがが外れてしまって体重で圧迫していることなど忘れ、少女のセックスを
むさぼっていた。鮎夏は重なり合うセックスに、花をイメージしていた。
それは、鴇色の花。真林のくちびるもそう。愛らしく美しく、均整の取れた丸みを帯びた、
多くの花弁が重なって、鮎夏から少年の記憶がはじけた。鮎夏と真林に咲いた、おしべのいない乙女椿。
純粋なセックスがふくらんで……擦れて火照る。
『266』

鮎夏は少女の喘いでいる口に被さっていって、少女の噴き上げる喚きすらも、
吸い込もうとして、真林の舌は痺れた。遼子にも、真にもされたことのない舌戯に眩む。
すると鮎夏は、真林の肩を掴んで上位にした。  
「ごめんなさいね……、真林」
 真林の目元の朱は、ビスクドールの肌に特異なコントラストをもたらしていた。
耳から頬にかけては、さらに赧らんでいる。少女は唇を離されて、息を継ぎながら首を横に
振っていた。

真が遼子に情欲をぶつける分、真林を思いやる余地がいくらかあったろう。無理を
強いたとしても、どこかで真林の躰のことを考えている。でも、鮎夏はちがった。夏の
少年との出来事があってか、真林に対して、忘れようとしていた黒い情欲をセーブできるか、
自信がなかった。真林はそれをこじ開けようとしていた。潤子にもできなかった場所を、
おなじ匂いを感じて鮎夏に甘える。
 そして、真林の妖しい容貌とセックスへの変容。少女から唇を離した時も、鮎夏は指を
揃えて真林にしゃぶらせようと思っていたくらいだ。細い眉。一重の切れ長の瞳(黒い瞳が
大きく見える瞬間もある)――といっても、真林の顔にきつさは感じられない。

 少女の輪郭は細面で、頤もシャープでも、唇も薄かったが、冷たさは感じられない。
雪のように白い肌。一見、生の無い人形のようだが、すぐに赧らんで反応を見せ、
やさしさとの融合をみせている。真は雪掻きの日、外で赧らんでいる真林に欲情したのだった。
鮎夏の車のなかでも、ダックスフントのロゴをみて、はしゃぐ真林もそうだった。
 残念に思ったのは、ショートではなくロングにすれば、真林の美しさは際立つのではと
鮎夏は考えた。ロングでも纏めて内側に畳めばショートの趣は十分に愉しめる。
いろんな妄想が鮎夏のなかで瞬時に起こった。だから、鮎夏は真林の躰を上に載せた。
最初に誘ったのは真林、あなたでしょうと、もうとういうつもりはない。
「いやぁ、もっと。もっと、してぇ……あゆかぁぁぁ……!」
 少女の口から、とろりと透明な唾液が滴り落ちる。アクリル樹脂のような硬質な眺めと
真林の泣き顔。
『267』

 飲めば、蜜のように甘くて、生温かい少女そのもの。小さな尻を鮎夏に向けて、くいっ、
くいっと揺すって、真林は溶け合いを促す。少女の唇は、もう甘い刻をおねだりするように
窄みはしなかった。鮎夏がしたようにして、口をあけると貌をかしげて被さって来る。
真林の美貌につくられた、黒い情欲の空洞に鮎夏はすこぶる興奮した。手を真林の
後頭部に廻すと、ぷりっとした唇の感触を貪り、ぴちゃぴちゃとみだらに音を立てる。
旋律に載せて、じょじょに深く情を込めて、舌を吸い蕩ける。鮎夏の投出されるように
拡げられていた両脚があがって立て膝をつくり、重なって擦れ合う少女と女のみだらな赫い肉。
掲げられた両脚は、真林の所為で揺れた。

「あゆか、あゆかぁ、あゆかぁぁぁ!」
「ま、まりん……、きれい。とても……」
 鮎夏は少女期にセックスに触れた時、穢いという印象があった。ごっこあそびで、同い歳の
少年が手の甲に口吻した唾液の匂い。葡萄畑で少年のペニスをはじめて頬張った。
そして、潤子の性器に口をつけた時も。
『ねえ、鮎夏。どうして、セックスを穢れたものと、とらまえるの』
『わたし、そんなこと』
『うそ、思っているわ。それとも、気づいていないのかしら。気づこうとしない』
 女が可愛いと言うのは、言っている自分が、可愛いと思う裏返し。

『そんなんじゃ……。あっ、ああん』
 潤子の指が鮎夏の乳首を捏ね廻し、唇を被せる。
『はあ、はっ、あ、あっ』
 恋人のペニスもしゃぶった。吸われ、舐められて鮎夏は泣き貌になる。潤子は乳房から
口を離して、『かわいいわ。鮎夏。かわいい。そんな、あなたが好き』と囁く。潤子の顔が
モーフィングして真林に戻っていた。
『潤子。じゅんこ……』
「とても、かわいい。かわいいわ。ごめんね」 「お姉さん……」
 自分の躰のうえで腰を振っている真林の腰を挟んだままで横臥する。鮎夏の両手は
赧い真林の顔を包みこんで、くなくなと揺れ動いた。真林は鮎夏の尻朶に手を這わして行った。
保守っときませう
これってコピペじゃないんだよな?
だとしたらやたらと気合入ってるなぁ・・・
77名無しさん@ピンキー:04/04/25 14:04
『268』

潤子から逃げ出して、鮎夏は部屋の隅で蹲った。潤子は鮎夏を追ってベッドでからだを
転がして、両手を床についた。
『こないで。こないで……。わたしに、近づかないでぇ!』
猫になって、鮎夏に近づこうとしていた。潤子は顎を突き出すようにして、隅で蹲って両腕を
乳房のところであわせ、手の平で顔を覆っている鮎夏を見ていた。潤子は四つん這いのまま
鮎夏のこころに近づいた。鮎夏の顔を覆っている手の甲にそっと触れるとビクンと小さく動いた。
『鮎夏。わたしが、そんなに怖い?』 『もつれて、捩れて……』
『うん』 『ひとつに蕩けなくてもいいから、わたしを……好きにしてください』
潤子は鮎夏の頬をやさしく撫でた。指が鮎夏の耳を挟んで弄りながら。

『好きよ、鮎夏。でも』
 鮎夏が恋人に抱かれても言えなかったこと。愛し合うセックスからは遠くにいた鮎夏のなつ。
こころが寄り添うことのない、少年との交媾のはずだった。外でのたび重なる遊びが鮎夏を
つくった。そう遊びなのだ。
 あそびなのだと思っても、砂山をつくって、壊す。またつくっては―みたいな、そんな遊びだった。
気持ちいいのに、肌を重ねて一点は蕩け合っていると思いたかった。稚いヴァギナとペニスの
肉がつくった絆。鮎夏が自分の気持ちを言葉に出来るまで、なんと時間の掛かったことかと、
それを思うと、どうしても苦笑が洩れそうになる。

『ごめんね。でもどうして、そう思うのかしら?』 『そんな貌してるでしょ、ほら』
 鮎夏は自分の手を除けて、ぐしょくしょの泣き顔まま潤子に微笑んだ。
『鮎夏。からだを……わたしにちょうだい』
『せっくす……、ちがう。わたしにはおま×こ。そう、おま×こなの』
 鮎夏は潤子の言葉を遮って抱きついていった。不意の重さが潤子のからだを押し倒す。
仰臥している潤子の乳房で、少女の鮎夏が泣いていた。
『269』

『鮎夏。からだを解放して』 『そんなことできない。できない……。できやしない』
 一点の摩擦から気持ちが拡がっても、からだがもつれ合っていると。
『どうして?……ごめんなさい』
『いいの。聞いて、潤子。からだに触れられていると、突然……』
『うん』
 鮎夏の貌を隠そうとする濃やかな髪を撫でるように掻き揚げてやる。
『こわれるような』 『それから?』 『……感じが、突然に降ってくるの』
 潤子の手が鮎夏の顫えている背をやさしく撫でつけてやる。
『そう』 『……少し。いまは、むかしほどじゃないの』 『うん、それでいいのよ』
 鮎夏は頬を潤子の乳房に擦った。
『潤子が開放の仕方をおしえてくれるのなら、わたしと……おま×こして』
『いいわ、鮎夏。セックスしましょう』 『……いじわる』
 鮎夏の顔は潤子の乳房のうえで赧らんでいて、その火照りがとてもうれしかった。
『鮎夏をわたしに見せて。うんといやらしい鮎夏と、おま×こしたいから』

 鮎夏と真林は、おなじ火照りを感じて夢中になっていった。今日、はじまったばかりの関係。
まだ儚くて、泡のように無くなってしまうものかもしれない。それっきりの関係かもしれなかった。
真林の愁いが鮎夏をどしゃぶりの公園で立ち止まらせていた。自分の脚をいたわるようにして、
たぐりよせた一足のストッキング。ゆっくりと、そろりそろりと腿にまであげていく。
そして、もうかたほうも。
『そして、いまは忘れましょう』
「お姉さん、きもちいい。きもちいいよ!」
 真林は鮎夏に、いまどんな気持ちなのか訊いてみたいと思っていた。こわくなって、
よくわからなくなる。最初の夜をいまでも思い出す。真林はそれが気持ちいいことなのだと
真から教わっていた。真は全霊を掛けて愛してくれはするが、それが真実なのかは
よくわからない。よくわからないまま、気持ちよくなった。それが、少女のなかで無理に
好きと結びついていた。遼子が真林にとっては外に開かれた、ひとつの窓だったのかも
しれない。しかし今、真林は鮎夏に抱かれて精神の繋がりを求めていた。
boxにチェック入れるの忘れてました。
すみません。


それから、読んでくれてありがとうございます。
うん、十分面白いよ。
エロいというより文学っぽい香りがするけどw
とりあえず作者氏、頑張れ。超頑張れ。
81潤子ファン:04/04/25 15:52
祝!復帰
『270』

 言葉が引き金になったのか、感じる肌がそう叫ばせていたのか、灼けるような気持ちが、
生臭いまでの荒い息を真林に吐かせていた。遼子と真の交媾を見て、ひとりベッドで
火照りと哀しみという、相反する感情を鎮めようとしていた真林。顔を沈めて濡れた枕を
最初は握り締めて、快美を得ようと太腿の淡いにあてがいはしたけれど、できなかった
あの日。せつないが似ていた。
 横臥して真をベッドで待つ躰は小さな尖りをやさしく触れていたのが……磨り潰すつもりで、
シーツに擦って腰を廻しはじめる。やがては階下から響いて来る遼子の喚きに、
真のからだに真林は追いつこうと、徐々に加速していった。遼子のはばかりのない階下から
伝ってくる嬌声が真林のなかでからだの旋律になって響いている。真林はまだ嫉妬や憎悪
という感情の実態をしらなかった。顔を左右に烈しく動かし、狂ったように真林は小さな
お尻を振り立てて叫んだ。

『おま×こ!おま×こが気持ちいいッ……!』
 真林の額がシーツにぐりぐりと擦り付けられ、くぐもった声が発話される。得られるだろう
陶酔感のために、懸命に走って……。娘と母のおんなの骨盤が真のペニスを奪い合って、
妖しくみだらに蠢いている。

 背徳、それはまだ厳密には遼子だけのモノ。おんなの骨盤がひらくリズムのように、
真のペニスを受け入れたことの生涯の罪を歓びに変えようと、これまでにないほどに
必死になっている遼子。
 真の比重は、徐々に真林の性感をひらくことに掛かりつけになりつつある。真との交媾で
拡がる歓喜という、空間の果てへと今すぐ逝けるのに、真のからだに遼子は跳ばされまいと
縋っていた。
 顎を突き出して喘ごうとはしない。おんなのきれいな肉付きの背を屈めて、真の躰を
手放すまいとして、浅ましいくらいに必死になってしがみついている。
『271』

『あ、あっ、ああ……、おにいちゃん』
 真に抱かれて声を押し殺して喘ぐ娘の幻聴がした。薄い脾腹に肋骨を浮かび上がらせて
引き攣るように悶え顫える娘の躰。赫く稚い突起は肉棒を頬張らされて擦れて、無残に
拉げて擦れる快楽に淫蕩を分かち合う時間が逆転していくと考えると辛らい。
 尖端で小突かれて拡がる空間を是が非でも圧縮し、閉じ込めたいと遼子は願っていると、
真の手が遼子の両肩を掴んで、ペニスを遼子の骨盤に打ち付けるみたいに抉りたてて来た。
そんな遼子の気分を責めているみたいに。でも精液と愛液とを捏ね回して、なめらかに
ペニスは動いて――遼子のおんなは揺さぶられている。

『ん、ん、んんっ!はっ、はっ、あ、ああ……、もっ、もっと……真のチンポが……』
 自分の分身の真林。遼子が少女の性を知っていたのは、部屋から時折聞こえる真林の
閨声だけ。真は真林の流した涙を、交媾のあと唇でやさしく啜ってやるのだろうかと遼子は思う。
『チンポがどうしたの?』 
『はあっ、はっ、あ、あっ、ま、またぁぁぁ……。くうっ、狂っちゃうううっ!』
 遼子は真の首筋につけた自分の歯形に興奮していた。感じる。真の肉棒が膣内でまた
膨らみ始めている量感に引き摺られる。真の両手が遼子の汗を噴出して絖る背に廻されて、
愛撫している。しばらく、遼子と真は互いの吐息を感じあって腰を振り続けていた。

『ほしいのよ。おねがいだから。もっと、よくしてぇ……』
 遼子の手も真の背に廻されていたが、発話とうらはらにそれは情欲を刺戟するものではなくて、
儚い命を抱き締めている母の想いのようなもので……それが真のからだを強く焙っていた。
そして、その想いを真は。
『ごめん。今度は、真林にあげるんだ。そしたら、いっしょに風呂に入ろう。三人で』
『抜いて……』
 貌を真の肩に沈めて、小さく呟いた吐息で濡らす。
『真、さっさと抜いてちょうだい』
 遼子は拗ねていた。でも真の背中への愛撫はやめなかった。
『不安にならないで、遼子。言ったろ。気に入った玩具を自分から捨てることはしないって』
『そんなこと言わないで。しらけるわ』
『272』

『怒った?おもちゃって言ったこと?それとも真林のことを言いだしたから?』
『……いわないでって言ったでしょう』 『ちゃんといいなよ。あんな言い方よくないよ』
 遼子はコクッと少量の唾液を呑み込んで、真の目を見た。
『じゃあ、言うわ。……どっちもよ』
 遼子のどことなく投げやりな言葉でも、怒気はあまり感じられなかった。真と真林の
関係に煩悶することにどれだけの意味があるのか。ただ自分を苦しめるだけなことは
遼子にはわかっていた。それに、威圧的だった真が……やけにやさしい。ともすれば、
このやさしさも遼子は手放してしまう可能性も理解している。真林のところへ早く
行きたくて、波風立てたくないだけのやさしさなのか、そう思っているから真に拗てしまうのか。
遼子は真から目を逸らしてしまった。

『なんで?』 『もう、いいわ』
『よくない。僕を見なよ』 『どうして、こんな簡単なことがわからないの……よ』 
『かんたんなの?』
 顔をしかめはしたが、遼子を叱責しようとはしなかった。遼子のほうは、早々に
あきらめてしまって、テーブルに載せていた臀をもぞもぞと動かし始めていたら、
真の手が遼子の頤を掬って唇を重ねて来ようとする。ずるい子、と思いながらも
押し入ってくる温かい舌を遼子は拒まなかった。

 でも、こんな感情をいつまでも吐き出し続けていたら、いつかは自分を嫌うはずだという
思いが涙を込み上げさせるも、素直に真を受け入れ肉の繋がりの幕を愉しもうと瞼を
閉じてはみせる。
 真の舌は硬くはなかったが(さっきまでの逞しかったペニスとは較べようもなかったけれど)、
それでも肉棒を口腔に突っ込まれて掻き回される感覚に極まって、遼子の哀しくて
泣きたい気持ちが攪拌されていった。そのかわり、遼子のヴァギナが咥え込んでいた
真のペニスは、ぬるんと吐き出されてしまて、それは――仕方のないこと。二人の唇が
ずらされて、真のやわらかな頬が遼子の濡れている頬をやさしく擦った。
『273』

『ずるい……』
 真の唇が離されて、二人の混じり合った唾液が遼子の唇からこぼれた。いやらしくて、
いかがわしい行為の繰り返し。そのしめくくりは、いつもせつなくやるせない内に秘める感情。
はばかりのない、愛という感情にのせても。かつての教え子は、羞辱を先生に仕掛けるまでに
なっているというのに。遼子の吐息が真に絡みつく。哀しみと、もたらされた快美とが
妖しく蕩けあって、射精のあとの真の口吻が肉棒で膣内を蹂躙された名残りを倖せなものに
変えて、遼子の秘孔からとろりと男の欲望の証があふれて来る。受動から教えた性愛が、
能動に変化した真の躰を、遼子は真林には渡したくはなかった。

『遼子、真林を洗ってあげてよ』
真は真林の膣洗浄のことを遼子に持ち出していた。
『真が真林にしてあげたらいいじゃないの』 『怒ったの……?』
『そうじゃないわ』 『遼子、してあげて』
『……わかった』
『じゃあ、僕が遼子のおま×こを洗ってあげるから』
 遼子の瞳が僅かばかり大きくなった。そんなことを無邪気に言う真が愛しくて抱き締めたくなる。
でも、『自分でするから、いいわ』

『させて。したいんだよ』 『だから……なの、真?ねえ、そうなのね?』
 おんなの視線が真へと絡んだ。遼子は真が発話するまでの時間を心の底では面白がって
真の持ち出した取引を軽く責めて余裕が生じている。遼子は意識はしなかったけれども。
『真林にちゃんと教えてやってよ。おねがいだから……』
 遼子の濡れた陰阜に触れて、ひくひくっと動いていたペニスまでも、やわらかくなっていた。
『ボトルをみつけたのね』(好きにしたくて、しょうがないのに、真林の躰が心配……か)
『……』
 遼子の手が真の背を愛撫していたように、よしよしと後頭部の髪をくしゃっと撫でつけた。
『274』

『真、わたしの首筋にキスしてちょうだい』
 遼子の頤を舐めて首筋に。真の唇が降りていくと、ここもしてと遼子は首筋を捻って、
ゆっくりと伸ばしていった。真の指が遼子の唇を弄れば、口をいやらしく開いて舌を
出して舐める。真に悦んでもらいたいから。確かにそれもあったが、ただ自分が
そうしたいから。
 息子だからか……。恋人の面影を背負った、それも息子だからか。あられもなく。
あけすけになれるのは。真は時折顎を引いて遼子の喘ぐ乳房を眺めはしていたが、
躰をすべて委ねている。遼子の手は真の背を撫でながら、きゅっと締まった尻に
すべって、手で肉を蓄え引き揚げ、揉みしだいてから欲望の滾りのある場所へと、
陰嚢をその手に包んで、四、五回揉むと真がせつなそうな声を洩らす。
 それから遼子はペニスを裏筋から、真の肉の昂ぶり具合を確かめるように
強く――握り締める。

『ああっ……!』
 遼子の手がひらく。真が腰を引こうとするのを見定めて、ふたたび強く掴んだ。
遼子の膣内にあった証を纏っている肉棒がひくひくしている。また欲望が溜まって
真は勃起してゆく。
『舐めさせて。真のチンポをきれいにしてあげたいの』 『真林にさせたいんだ』
 遼子の気持ちは一気に突き落とされる。  『そう』

『どうしたの?』
 遼子の手が下腹部から離れ、逆手のまま胸板近くまで来ると返されて真を押した。
『なんでもないわ。じゃあ、真林のところへ行ってあげて』
 真の屈託のない顔が遼子に近づいて来て、半開きになってため息を吐くみたいな
遼子の唇の前で止まった。
『遼子、愛しているんだ』
 真林をと言いたいの、遼子はそう思った。真の手が遼子のそんな気持ちを
見透かしたように、肩を掴んで曳きつけた。
『275』

『だから、わたしを虐めるの?』
『遼子、愛しているよ。真林もだよ。それじゃ、僕はダメ……なの?』
『……駄目なんかじゃない。でも、わたしは好きなの……。真が好きなのよ』
 抗うはずの気力も萎え、突っ張ろうとしていた腕が折り畳まれて、遼子が耐えられなくなって
瞼を閉じる。真の女の子のようなマシュマロの唇が遼子に圧されて来た。歓喜の涙が流れて
鼻梁を濡らした。次の交媾までの最後のあいさつ。それまでのわかれ。真の唇が遼子から
ゆっくりと離れていった。
『愛しているわ……』
『じゃあ、遼子。してくれる』
『するわ』

『ちがうよ。遼子が言ってた、チンポのおしゃぶり』
 真林にペニスを口に含ませると真は言っていた。
『いいの……、しても?真林のところへ、はやく行ってあげなくていいの?』
『行ったほうがいい?』
『したい。させて。したいの、とっても』
『うん。してよ』
 遼子は臀部をテーブルから完全に降ろした。陰阜に真の性器が擦れた。

『真……』
『なに?』
『どうするのがいいかしら……?』
 自分で言ってみて、なんとバカなことを真に質問しているのだろうと思った。
『どういうこと?』
 そんなこと自分で考えろよと言われていたら、小娘のように遼子は、わあっ!と泣いた
かもしれない。
『うんといやらしくしたほうがいい?それとも……』
『276』

『きれいにしてくれるだけでいいよ』
 性愛にまだ慣れていない真林の膣内に押し入るのなら、このままのほうがいいのかもしれない。
けれども、自分と真の残滓が塗された肉棒を真林の口に含ませると言った真の行為。まだまだ
遼子には抵抗がある。そんな気分から出た質問だった。
 真に訊いてみて、返って来たのはあっけないほどの返事だったが、遼子には不思議と落胆は
感じなかった。うんといやらしくと言われていたら、自分の掻き立てた性欲が、そのあとで真林の
躰を穿つかと思うと耐えらそうもない。ダイニングルームの直ぐに食事にありつけない、
フローリングの床に散乱している食器とおかず。このありさまが真と真林の関係を観る、遼子の
気持ちだったから。

『わかったわ』
 でも、一応の手順は踏む。遼子の手が真の肩に添えられ、鎖骨の窪みに降りて薄い
皮膚を吸うと、上唇を素肌に掛けながら舌を這わせて小さな乳首へと辿り着く。遼子は唇に
挟んで、少しだけ吸ってから蒸れた下腹部をめざした。手も唇を追って真の腕をすべっていった。
遼子と真の指が、やがて絡み合った。直立する息子に傅く母の奇異な光景。遼子の貌に
牡の匂いと温かさにめまいを覚えた。

 真の陰毛が二人のもので濡れている。口に含んで遼子は真の根本を目指した。遼子の
口元に二人の残滓が附着する。遼子に薄絹の織物の紗が降りて来そうだ。舌を肉棒に
ねっとりと絡めてストロークをはじめる。根本から尖端までをゆっくりと舐め取って六回。
そこで遼子は真を口から吐き出して立ち上がる。
『キスしていい?』
『……して』
『うん』
 真が遼子にキスをする。
『はっ、はあぁ……。真林のところへ行って……あげて』
 遼子の手が陰嚢からペニスの裏筋をすっと羽根で刷くように撫であげた。真の手が
おんなの背に廻され、遼子は抱き締められた。
『277』

『あっ……』
『真林を連れてくる。そしたら、三人でお風呂に入ろう』
『ええ』
 きつく抱き締めていた力がふっと去っていって、真に拘束されていた遼子のからだが
開放された。遼子は手櫛で髪を整える。服装は乱れているのに髪、否……髪型を気にしていた。
真は顔を逸らして髪を整えている遼子の姿をぼんやりと見ていた。ほっそりとした指の動きや、
髪に隠された遼子の輪郭であったり。真林は遼子から分け与えられた艶を持ってもいるが、
遼子の濃やかさには及ばない。遼子が滑稽なら全裸で立ったままで逸物をおっ立てて
眺めている真は何なのだろう。その視線に気づいて、遼子は恥らう。

『なに……』
 赧らんだ遼子が真に訊く。みだらに揺さぶられる髪もおんなの貌なら、清楚な整った
貌の遼子もまたおんなだと真は知る。
『ううん。ちょっと……。見惚れてただけ』
『ありがとう』
 遼子はそう言って微笑むとしゃがみ込んで、散乱している物の後片付けに掛かる。

『なにしてるの』
『うん』
 片付けているものを器に載せて置いた手で肉棒に触れた。遼子はそれを軽く握って
真下にやり、真の下腹に(遼子のペニスを握る指の背が真の下腹部に触れる)持っていって、
もういちど下げてから上げると指をひらき、手の平で真の下腹にペニスをあてて転がし圧した。
『行きなさい。なにか、簡単なものをつくっておくから心配しないで』
 そう言うことではなかった。遼子の感情の振り子の揺れ具合に想うことがあった。
真林への嫉妬の烈しさに、真は確かに感情を昂ぶらせたが、遼子の静から動、そしてまた
静に戻る流れに愛しさを感じていた。真は遼子を置いて、真林のいる二階へと上がって行った。
『278』

 真は半分ほど上がってから、振り返った。遼子が薄暗がりのダイニングでしゃがんで、
まだ後片付けをしている。ようやく立ち上がると、姿が見えなくなって部屋に明かりが点いた。
 してもらっていたセックス。するセックス。そんなことをふと思う。どちらの歓びがより
大きいのだろうかと、遼子によって清められた肉棒を見下ろし、握り締めると数回扱いた。
遼子から真林に気持ちを切り換えようと真はした。
 ただ、どうして、あんなに憑き物が落ちたような応対が遼子にできるのだろうとも
思っていた。自分が結果的にきつく抱き締めたのがよかったのだろうかとも考えたが、
潔く切り捨てた感慨もあって、あとでそのことを遼子に問い詰めてみようかとも考える。手に
遼子の唾液と温かな口腔の未練を感じながら、真林に欲望を向けて階段を上がり切った。

 真林の部屋に立ってドアをノックする。小さな愛らしい「おにいちゃん……」という
真林の少し掠れた声がした。遼子とのセックスを見て、部屋に戻ってから声をあげて
泣きでもしたのだろうかと、愛しさが募ってドアを開けた。真林は薄暗い部屋でベッドに
裸のまま、躰をくの字に折った横臥の状態で、入ってきた真をじっと見ていた。右手は顔の
そばに置かれ、左手は伸ばされて片頬が載っていた。真は部屋の照明を点け、
しどけない姿態に下腹部は引き攣ったみたいになった。

『見ないで』
 真林は真に泣き腫らした顔を見られたくないとシーツに伏せた。
『きれいだよ、真林』
『やあぁ……』
 脚が動いて真林の羞恥に喘ぐ胸に近づこうとした。その所作の所為で、真林の
笹舟のような小さな性器が尻の淡いから覗いていた。
『真林のところに行くから、さっきみたいにしてくれないか』
『はい。おにいちゃん』
 真林は抱こうとしていた脚を、ゆっくりと伸ばし始めた。真がいつかみた……、しどけない姿態。
湯舟に相対して浸かっている母と息子がいた。
『279』

『もう、おしまい』
『もっとしたいよ。ママ……』
口吻しながら、遼子の手がペニスに触れて来る。真の指も遼子のケプルのような陰毛を
弄びながらヴァギナをくつろげていった。
『もう、おしまいよ』
 遼子の太腿が真の手を挟んでいた。
『もっと、ママ……したいよ』
 真が遼子と関係を深めたのは、夫婦喧嘩を見たからだった。部屋に閉じこもって
啜り泣く遼子の声を聞いたなら、諍いの理由に意味は無い。悪いのは父親だという
刷り込みが、男の子に無条件に起ってしまう。遼子の側からすれば、願ったり
叶ったりで、恋人の面影を追うようにして真の肉体に耽溺した。

 すでに湯舟に浸かって三十分が過ぎていた。
『のぼせるから、部屋でね』
 そう言って、ブラックのフロアに置いた、コークの瓶を持って遼子は口に近づける。
おおげさに口をあけた、遼子の黒い穴。そこから赤い生き物が差し出されてペニスを
舐めるみたいにして、瓶の口をなぞってから唇が被さる。遼子の頬が窄まった。
 真は遼子の戯れを眺めながら躰をゆったりと伸ばして、ヘットレレストに頭をあずけると、
ペニスをぎゅっと握った。腰がびくんと跳ねた。チックのようなものだった。これで、遼子の
挑発にしばらくは耐えられる。

 瓶の尖端を吐き出して、絖る唇に添えると顎を突き出して液体を口腔に流し込んだ。
ペニスが勃起していても。遼子は喉を鳴らさないまま、コークの瓶を真の頭の左側に
置いて、真の頭を捉えて両手をヘットレストに添え、覆い被さって、真がつくった穴に
窄んだ唇をあてて開く。湯舟の中ではエアブローの水流が、二人のみだらに溺れる
性器をやさしく嬲っていた。
 遼子は立ち上がった。真もヘットレストから頭を起こして、遼子を追った。
小振りではあったが、ツンとうえを向く、やわらかで弾力に飛んだ綺麗な乳房が
湯舟から現れる。真は遼子の素肌を流れ落ちる湯を飲みたいと思った。
『280』

 綺麗の語源は小さいにある。真は手を伸ばして濡れた乳房に触れようとしたが、腹部を
すべって、遼子の陰阜に触れると真は手を引いた。見たかった。黒々とした、普段は
やわらかな遼子の陰毛は濡れて纏まって彩りは極まって、躰の中心線に沿って湯を
したたらせて、湯舟に戻っていくのを。そして、このまま遼子の太腿に縋っていって、
太腿の淡いに欲望を埋めたかった。
『ママ、僕……』(舌を硬くして……、ちがう!僕のオチンチンをママの膣内にだよ!)
 遼子はタオルで女陰を隠して、片脚をあげてバスタブの縁を跨いだ。そして、
もう一方の脚も。前屈みになると、顔を捻って遼子の裸身を観ていた真の唇に軽く口吻をした。

『部屋で待っているからね』
『うん……。ママ』
 遼子がラバトリーに入ったあと、擦り硝子越しの裸身を眺めていた。真は癒されなかった
ペニスを握って扱いた。ヘットレストのコークの残りも飲み干した。遼子がバスルームから
出て行くのを待ってから、真もあがって躰を拭き、それでもまだ癒されなかった喉を
潤そうと洗面台の蛇口に口をつけて水をがぶ飲みにした。すぐにでも遼子の待っている
部屋に行きたかった。

 遼子はバスローブを羽織っただけで寝室へ行って脱ぎ捨てると、ベッドのそばの
スタンドのコンセントを引き抜いて和室へと持ち込んだ。置かれていた紫檀の座卓を済に
立て掛けると押入れから蒲団を出して敷いた。六畳の間には、橙色の温かい明かりが
灯った。そして遼子は真を待った。
 障子戸をあけて飛び込んできた遼子の姿態が、禁忌の果てに生まれた真林と繋がる。
ただ、ちがうのは、あの時……遼子はうんとみだらで満ち足りた微笑を湛えていたこと。

 フローリングの床をダン!と叩いた。真は真林の部屋で腰を落として膝立ちになっていた。
真林は真の殉教者のような姿に反応して、からだを思わず起こしてしまう。
『おにいちゃん……!』
 真がそのままベッドに来てくれると思って待っていた。真林は小さく悲鳴をあげた。
何故だか、とても哀しくて……。
済・・・もちろん隅です。
『281』

『誓約はどうしたの?』
 真は両手を付いてから顔をあげて真林を見る。
『ち・か・い?』
『入ってきた時みたいにして横たわるんだよ』
『おにいちゃん、いやぁ……。そんなの、いやぁぁぁ。立ってぇ、立ってぇ!なんでも
するからぁ!』
 真林のほうからベッドを降りて、真の腰に抱きつきたいくらいだった。待っていたのだ。
遼子から戻ってくる真を。真が這って来いと言ったなら、迷わず従った。
『真林!』
『ごめんなさい……、ごめんなさい。おにいちゃん、ごめんなさい……』
 真林は泣き出して、ぐずりながらも躰をベッドに横たえ、真は犬になって真林の寝ている
ベッドへと這っていく。真林の涙で霞む視界が一点に注視されていたのを知っていた。
真林の眼差しを受けていた、真の肉棒は烈しく痙攣する。

『来て……真。ゆっくり。ゆっくりよ』
 遼子の声を聞いた真の左太腿が、筋肉が収縮してビクンとまた動いた。湿った髪が
遼子の額に妖しく纏わりついていた。薄暗い橙色の明かりのなかで、白い蒲団に
横たわった遼子の裸身がぼうっとなって闇に溶け込みそうになっている。渇望に真は
叫びたくなった。
『ママ……、もう』
『真、犬になって』

『いぬ……。僕が犬に……なるの?』 『そう。真は犬になって、わたしのところに来るの。イヤ……?』
 真は迷わず腰を落として、膝頭を畳に付いた。そして両手も付く。あまりにも羞ずかしくて、
うな垂れてしまった。視界がゆっくりと歪んだ。でも、ペニスはいつになく硬かった。真は瞼を
ぎゅっと瞑った。 
『僕、いっ、いやなんかじゃないよ……』 『貌を見せなさい!真、いい。ちゃんと見せるの』
 恋人に躰をあずけるみたいにして左頬を蒲団によせていた遼子は、左肘を付いて上体を支え
真を見つめる。
『282』

『なんでもするから……。ママ。だからぁ……』
 気持ちには確かに抵抗があったはずなのに、犬になって倖せになる血の奔流が、股間の肉に
なだれ込む。男の証は遼子への熱情で揺さぶられる。腰の動きで肉棒が揺れたのではないことは、
遼子にはよくわかっていた。
『ゆっくりよ、真。ほら、来なさいな……』
 それを見届けた遼子は躰を蒲団に横たえる。左腕は伸びて二の腕に頬が載り、右腕は
折り畳まれて顔のそばに来る。
『うん……、ママ』
 左手は遠い。遼子のもうひとつの綺麗な右手。絖る赤い唇のそばに。貌をあげた真の唇は
カサカサに乾いていた。

『顔を左右に振ってみて』 『こう……?』
『そう。羞ずかしそうに。もっと。お尻もくねらせて』
『ママ……』
 しどけない格好で、性器を真に向けて蒲団に寝そべる遼子。
『してみて。するの』
 臀の淡いから覗く女の佇まいに、男の滾りを鎮めたい。
『わん』 『いい子。真はわたしの犬』
 烈しい昂ぶりがペニスをいきり立たせ、遼子の視線が熱くそこへ絡んで来るのがわかった。
真は畳を歩み始める。犬になって。辿り着いた敷布は遼子の風呂上りの躰の所為で
多少湿っぽくなっていた。
『真、足からするの……よ』
『くううん……。ママ、僕……、もう』 『駄目。我慢して』
 真は握り締められないペニスのもどかしさから、尻を狂ったように上下に振って咆えた。
『わん。わん……、あ、あっ、ああ……!はうっ、ママ!ママ!僕、僕……耐えられそうにないよ!』
『283』

 遼子の躰は真の情けない姿に濡れていた。真が足の拇を含めばかるく逝きそうなくらいに。
『真。やくそくしたでしょう』
 遼子の瞳の色が変わったように思えた。声音はやさしかったが、橙色の薄明かりが真を
緊張させていた。
『うん。ママ……、するよ。するから、赦して』
前足が動いて遼子の重なって揃えられている両脚を真は捉えた。上にあった右脚が後方に
ずれて落とされ、遼子は足の甲を伸ばし指を内側にきゅっと曲げて真を誘う。横たわる遼子の
瞳に真の勃起したペニスが、今はとどかないところで揺れているのが見えた。
『どうしたいの?』 『僕、熱いんだ。とっても、あついんだ』
 遼子は左頬を白い敷布に付けたままで真を見てる。
『真はもっと熱くなりたくないの?』 『熱く……』
『うんと、熱くなるの。うんと、檻の中で……』

『おにいちゃん……』
 照明による羞恥には慣れはしなかったが、真林は真の躰を見たかった。こうしてベッドに
横臥していれば真が来てくれると思って。二人の息づかいだけが真林の空間を支配していた。
真によって開かれた稚い真林の秘所は新たな潤みを生成している。小さなお尻の淡いには、
真の吐き出した精液で穢れていた。未完成な躰でも、真林は感じることはできた。  
 寒い朝に一夜にして降り積もった新雪。誰も居ない公園を赤いアノラックとゴム長靴を履いた
真林が歩く。きゆっ、きゆっ……と踏みしめる音。真の鴇色の尖端が真林の白い性を無慈悲に
喰らった。いくらやさしくしても、それは小さな孔を貫いて、真は掻き回す。感じない訳が無かった。
 好きな真の昂ぶりを受容して、快楽には程遠い場所で息を継ぎながら、真林は泣き叫び……
そして喘いでいた。
  迫り上がる薄い乳房。肉付きの極めて薄い脾腹には少女の肋骨が病的なまでの美しさを
連れて浮かんでくる。情欲を受ける骨盤も、腰骨の尖りを見せ付ける。ずっと、ずっと遠くまで
雪を踏みしめて真林は歩く。
『284』

 真が好きという気持ちと躰を繋げる行為と。真新しく皺ひとつないリネンに横臥して、
やわらかな感触に抱かれて頬を擦りながら待っている真林の夜。真に触られることを
待っている。禍々しい肉棒を挿入されることを期待しているのかがわからない。
裂かれる痛みと、以前から知っていた擦れて気持ちいいという不思議を突き詰めた
快美に、真の顔が涙で霞み口を大きく開く真林。
 ずっと、ずっと遠くまで雪を踏みしめて、てくてくと下を見ながら歩いていく。晴れ
渡った天上を真林は仰ごうとはしない。それがはじまりで、真林のセックスだったから。
真林の横たわる場所に、真が床から這い上がって来て、ベッドを軋ませた。まだ真に
顫える肌を触れられてもいないのに、真林の躰は熱く、じんじんして潤んでいた。

 白い敷布に皺をつくりながら左肩を落とし遼子に寄り添い、やや背中側に回り
込むようにして母に傅く息子。真の顔が遼子の右足に近づいて止まる時間。
下になっていた遼子の左太腿も高まる気持ちに強張り引き攣っていた。真の吐息が
遼子の足に掛かると筋肉がひくついて昂揚が心なしやわらぐ。
 次の瞬間には真の鴇色の肉塊を無性に欲する赫い花唇。真は遼子の右足の
拇を唇に挟むと、飴を口腔で転がすようにして舐め回し、唇でやさしく挟みながら
ゆっくりと吐き出す。そして指の淡いに刻印でもするみたいに舌先をそっと圧し付けた。
 真はいつものような丁寧な一本一本への愛撫はせずに、拇だけで切り上げると、
やわらかな土踏まずを経て、引き締った足首へと移動する。ヒールを履いた遼子の
シャープな腱をイメージし、舌をそそっと這わす。遼子の脚で欲しいのは、やわらかな
ところ。脹脛のまるみから膝裏の窪みで真は唇を止めて吸い立てた。硬い筋に
挟まれてある、柔らかな肉のありかを。
 真は蒲団に沈めた左側の手をあそばせてはいなかった。尻肉を拡げて差し込み、
指は遼子の潤みを捉え、赤の唇からは生々しい呻きが噴き出していた。
『ああっ、ああ……。おにいちゃん……!おにいちゃん!』
 真林の横臥して、くの字に揃えられている両脚を真は眺めた。遼子の女の脚には
まだまだ遠い、脹脛の膨らみ、太腿の肉付き、突き出る腰骨に儚げな時の流れを知る。
『285』

真林の左太腿を枕にし、右太腿の内側に真はかぶりついた。ぽてっとした肉の綴じ目を
弄っていた真の左手は、真林の右脚を掻き抱くようにしてあり、右手はぴったりと
合わされていた太腿に、捻じ込まれた顔よりも一番先に潜り込み、小さな性器を擦って
子宮のありかを通り抜け、喘いでいる両乳房の中心も越えて真林の頤を掴む。
遼子の時とは違う余裕が真にはあった。真の顔のうえに乗った真林の右太腿の内側に、
甘咬ではない無慈悲な衝撃が起こった。真林の顔に虚無の闇がぽっかりと出来上がった。
鴇色の上唇には白い雫が捲れて覗いて、真林のなかで別のなにかが拓き掛けた。
真林は胸を触ってくる真の右腕を抱きながら、ほっそりとした躰は尚もしなう。真林は痛みで
跳ばされてしまう瞬間、四つん這いになっている股間でひくつく真のペニスを荒い息を
吐きながら見ていたことを思い出した。その張った肉の絖りの光景が白閃光に融けていった。


『ママ、挿れてもいいの?背中、舐めなくても……いい?』
『すぐ、真がほしいの。とても。とてもよ。真のオチンチンが……ほしいの。おま×こして』
『僕もママがほしい!』
『来てぇ……、来て頂戴!』
 横臥している遼子の下半身に沿って、同じ様にして左肩を沈めて、脚を舐めていた真の躰は
薄っすらと汗ばんでいた。遼子は右太腿を揚げて、にじり寄ってきた真の腰にその脚を絡ませ
曳きつけた。
 遼子は両脚を閉じたままで挿入されることを望んだが(横向きに寝そべり、遼子は真に臀部を
突き出して、真はゆっくりと腰を捻じ込む。遼子の背に真はぴったりと胸を着けて鼓動を聞く。
いそがない、なめらかなセックスを真に教えたかった)、それまで待てないでいた。
 遼子は右脚を掲げて、爛れた熱い花を拡げてみせた。毒々しいまでにそこは潤みきっていた。
水をがぶ飲みした真だのに、喉が渇き動悸が烈しくなる。真は遼子の右脚を担いで、左脚に
腰を載せ、陰嚢を磨り潰しながら進めた。遼子は真の勃起したペニスに手を伸ばし絖る花芯に導く。
『んあ、はああっ……』
『286』

『ママ、動くよ!僕、動くからね!』
 真の荒々しいうねりに、遼子の堕ちる声が答える。悦びの声は言わずと知れた道に背くもの。
それを噴くことで遼子のなかに、ほどろほどろに雪がふっていた。
『はああっ!』
 真の陰嚢が遼子の左太腿のうえで潰れスライドして擦れた。遼子の掲げられた右脚が
真の肩に圧し掛かってくる。その重みが真をいつも遼子とのセックスから責めに転じ、
自分からするセックスに変えた。真が突き挿れるたびに顎をカクカクと動かし、遼子の
丸まっていた背が徐々に反っていって、白い喉を突っ張って顎をいっぱいに突き出し
『はあ、あっ、あ、ああ……』と短い嬌声を絶え間なく吐きつづけ快美を噛み締めた。

『ママ、ママ……』
 弓反りになった遼子の躰は真をたまらなく興奮させる。橙の明かりに照らされる
湿った漆黒の茂みに烈しく恥骨を打ち付けた。何度も何度も真に腰を振らせ、遼子を
突いた。遼子は両手を天上に助けを求めて伸ばすみたいにして、横臥した体位で
両腕をいっぱいに伸ばして掻いた。そして下になっている左腕は、情欲に揺さぶられる
躰を支えるためだけに、右手は空をもういちど掻いて畳を毟って溺れる牝獣になっていた。
『ママ、背中、舐めてあげるよ!してほしいんでしょ!』 『して!して!して!いっぱいしてぇぇぇ……!』

 真は遼子の脚を捌くと、遼子は汗だくの躰を捻ってうつ伏せになり、両肩を蒲団に
沈めたまま尻だけを掲げて真を受け入れ、敷布を両手に掴んで額を擦った。遼子の
汗だくの背に真の手が触れ躰が覆い被さって来た。
『ママ、しょっぱいよ。ママ!』 『ああっ、あ、いっ、いいっ!真!はっ、はっ、あ、あっ、ああ……』
 後背位での密着した体位での律動の幅は限られてはいた。真と遼子には汗まみれの
素肌の濫倫の触れ合いが全て。
『ママ、きもちいい!』  『いっ、いくうっ、いっちゃうぅううっ!真!真!』
『好きだよ、ママ!』 『……じゃなくううっ!』 『ああっ、遼子!射精るよ!』
 顔をあげ顎を蒲団に付いて喘いでいた遼子が絶頂を極めて喚き、右頬を唾液にべとべとに
濡れた敷布に付けると掲げていた臀部を沈め両脚をゆっくりと伸ばしていった。
『287』

ペニスは遼子の躰からぬるんと抜け落ち、こゆいスープが内腿に流れる。真は絶頂を
極めた遼子の膣内で射精しても律動をやめなはしなかった。すぐに硬くなって犯しはじめ、
擦れた声で遼子の背を濡らし真は尻を振った。肉棒はスリットにぴたっとあてがわれて
律動され、いつか遼子にとどくかもしれない白濁は、まろやかな遼子の尻を穢し続けていた。

  仰け反った真林の躰が痙攣した。真は真林の顫えが治まるのを待ってから、蛇になって
上体をすべらせ、真林の右太腿を腹に乗せ、右手を付いて起き上がった。遼子の時の
ように左腕には真林の右太腿を抱いて迫った。
『するの……、おにいちゃん……』(おかあさんみたいに?) 繋がったままで真に抱かれていって、
階下のダイニングテーブルのうえで犯されていた遼子みたいにして、勉強机で真林はされると
思っていた。真に懇願されれば真林は拒むことはないが、そういうことに机が使われるには
ためらいがあった。

『して欲しくないか?』 真林が少し返事に窮していた。 『おにいちゃんが好き』(好きなのでいいから……)
乱れる真林の幼い声質が真に響く。 『ああっ』 真林は右脚を真の胸に抱かれ、股を裂かれる
みたいに拡げられていった。真林は初めての夜を想って背中を丸くする。
 それでも、真のペニスによって理不尽な愛を貰って荒れ、残滓で穢れた稚い花を隠そうとはしなかった。
真は遼子との記憶を手繰りよせ、滾る肉棒を真林の腫れている陰裂へとあてがう。真林は太腿に
真の潰れる陰嚢を感じ躰を強張らせ、鴇色の尖端が触れると腰に電気が走って顎をぐんっと突いて
仰け反っていった。真の手が胸元で祈りを捧げるように折り畳まれている真林の手を握った。

『おま×こしたら、遼子といっしょにお風呂に入ろう』
 肉棒が少女の秘孔を捉え、真林を淫逸の扉に誘いだしていた。遼子との荒淫のあとを真林の口腔で
鎮めることを真は想って部屋に入ったものの、ベッドに横たわる真林の姿態にこだわりを忘れ歓喜した。
フェラはもう、どうでもいいことになっていた。真林にほんとうにさせたいことは。
『あっ、はあっ、おにいちゃん……』 繋いだ真の手を、真林の手がつよく握り返していた。
『288』

 真林は反射的にした。真は真林の右脚を右肩に乗せながら前屈みにいざって。肉棒を根本まで
埋める想いを受け止めようとした真林。真林の胸元に畳まれた祈りの手は掴まれて、後方に
仰け反りゆく、飛翔しようとしたつばさを戒めた。それでも、腰を突き動かすたびに、真林は
弓反りになって真から遠ざかろうとした。遼子との交媾の時の昂ぶりを真林に見つけはしたが、
そのままに重ねる気はなかった。
 稚い女陰を責められ続けても、跳ぶことを赦されない真林は、待っていた情欲を開放できず煩悶し、
眉根をよせ唇をいっぱいひらいて、もの狂おしい美醜をつくる。それでも、真林のほそい腕を
離しはしない。真林は背中を丸めて真の腕に縋っていった。胎児のように小さくなって交媾を
受容している真林の姿態に咆える真。キッチンに立って、簡単な料理をつくろうとしていた、
遼子の貌は歪み手が顫えて止まった。

 少女に女を強いた真は、昂揚の汗を蒼い肌に、桜を爛漫に咲かせたうえに滴らせ、
男の証を突き立て掻き回し『いやぁ、あ、んああっ、はっ、あ、あっ、ああ……!』喚かせる。
真林の生臭い声に、真は律動を緩めた。
 少女の寝くたれ髪に指を触れ、余裕を取り戻した真はやさしく耳後ろに梳いてやり、
朱を刷いて火照る右頬を愛撫すると、潤んだ瞳で真林は情動に憑かれた真を観るのだった。
 真が考えていたのは、バスルームの真林と真と遼子の環。それに腐心するが、稚い
ヴァギナがひらいて、醜悪な肉棒を頬張る交接を見て、今は真林だけに捧げようとし、
その健気さから、遼子よりも温かく感じる狭穴の秘孔に、深く昂ぶりを押し進めた果てに
引き起こされた、稚い性の蠕動をいま一度噛み締めようと熱情に火をつけた。

 真は真林の抱えた右脚をベッドにゆっくりと降ろしてやる。女を知らずに快楽だけを
教え込まれ昇降を繰返す、儚げで薄い乳房を仰向けにした。胸元と脾腹。肋がつくる
薄い肉の小波を、真林の両腿の淡いから滴った、シーツにつくった真と真林の最初の
命のスープの溜まりを観る。
『はっ、はあ、はあ……、お、おにいちゃん……』
 遼子に教えられたことを真林に伝えようと、真は背を丸めて抱きにいく。
『289』

『んんっ……』
 これからだった。もっと眩暈や閃光を感じることを真林にする。その為に、あえて呼吸を
整え休息させた。やさしかった分だけ、快楽の胎動を僅かばかり狂わせていたのかも
しれない。それでも、呼吸がままならないくらいに、もの狂おしい交媾に真林を耽溺させたいと、
真の両手が真林のからだを両側から挟んで、少女の命を抱き上げた。
『……かたい……うああっ』(机のうえ…… つ、つれてって……したい、したい、おにいちゃんと!)
 真林は華奢な両脚を無防備に、真の射精していない肉棒を両腿の淡いに咥え込まされた
ままで、投出されていた膝裏が波立つリネンから浮いた。(したいの……)真林はまだ知らない。
真とからだを繋いで、自分からどうしたいのか。      (机にのって!)

『遼子と真林とで、お風呂に入りたい』
 真の言葉に真林の瞳が大きくなった。返事を待たずに、真の躰が覆い被さるように倒れ掛かって
来て、真林の両脇に手を差し込んで起こしに掛かる。それは背に廻って、荒淫に疲れた
少女の躰をシーツから剥がそうとした。
『嫌か、真林……』 
 真の両腕が真林のからだを両側から巻きつき、少女の鼓動を抱き上げた。ほっそりとした、
拡げられて伸びていた脚が折れて、まるっこい膝頭が立ってゆく。
『あっ!や、やっ!あ、ああっ!』

 真林の両手はシーツを握り締め、抵抗を試みるが頭がぐらっと揺れる。また沈んだ。
真は真林の頭を戻し、躰を深く衝きあげて揺さぶりを掛ける。真林の苦悶の貌が律動で
ぶれる。惹かれ突き上がる頤。
「真林、両手を付いて」
 上体も軟体動物のようにぐにゃりとしていたが、覚束ない両手を動かし筋肉を強張らせ始める。
最奥を小突かれる、その躰を支えようとした。真の手は脇から脾腹、そして膝立ちになって真林の
細腰を捉え掲げさせた。真林にアーチを描かせて、腰を振れと促しはしたが、逆手にして薄い肉付きの
胸を迫り上げて、白い二の腕の裏と脇の窪みを晒すことにはこだわりはしなかった。
『290』

「あっ、あ、あっ、で、できな……あああっ」それだけの体力が真林に残っているとも
思えなかったから。しかし、ペニスでわななく少女の躰を手放すつもりはない。
「肘を付いて……肩を浮かすんだよ!」背を屈めて、腰を掴んでいた手を、肋を
浮き彫りに死の予兆で魅せる少女の脾腹に戻す。「ああっ、あ、や、やあぁ……」
性愛の極みに、「するんだ。真林、しろ!してみろ!」こゆい透明な液体にたゆたい
「んあっ、あうっ、……」顫える。
「するんだよ。そうしないと、僕はもう動かないし」「やあぁああっ」「こうして触ってもやらないからな」
 真の右手が細腰を離れ乳房を覆い、指を立てた手は下に曳かれた。引き攣る下腹部を
圧して、真林はそこをぐんっ!と凹ませ少女の尖った顎を振った。
「あ、あああっ、し、して……!」
 真のペニスがもたらすもの。澄んだ透度の高い湖水に波紋を描くように快美は拡がり、
乾いた砂に水が滲み込んでいくほどに……真林は欲しがっていた。

「もっと、もっとだ。お尻を振るんだ」
 真林は両手を付いて、真に揺さぶられる躰を支えていた。顎を引いて、
両手で背中を支えて祈りを捧げる真の姿を見る。自分の躰が真の机になっていると思って、
感情があふれ壊れて泣き出していた。それでも、ぎこちなく、健気に尻を動かす。
「いいぞ。もっと、真林」 「こう、こうっ……」真林はなめらかには遠い。あ、あっ、ああっ……」
待てなくなった真は腰を突き出して、「あ、あっ、ああっ……」深く抉ると、膝立ちから腰を沈め、
真林を抱き起した。「こわい」真林の腕が真の首に絡み、深い挿入感から叫んで、
真にしな垂れる。「真林、しがみつくんだ。しっかりと僕のからだに」

 真林の尻朶をぐぐっと曳き付けると、自分の腰後ろに華奢な両脚を組ませようとした。
「あ、あっ、あ、つ、つくえ、つく……、んっ、んあっ、あ、ああ……」
 真林の貌が真の肩にあずけられ息を継ぎ、淫液で絖る花(陰唇)を咲かせ、
少女の貌は美醜のあぎとをつくって、捲れゆく小さな唇。意味不明のことを洩らす
真林の後頭部を心情も解せず、やさしく愛撫してやりながら真は自分の右脚を後方に
ずらして腿を強張らせると、ベッドのうえで真林と繋がったまま仁王立ちになった。
104名無しさん@ピンキー:04/05/09 16:46
MOMOは山梨県出身!
『291』

『んっ、はあ』 
  真林の尖った陰核を潰し、埋め込まれたペニスに真の欲望の奔流が流れ込み、肉棒は
稚い真林の性を御してはいたものの、二人の女の肉にのめり込んでいる自分を知るほどに、
遼子の言った檻という言葉を思い出していた。真林を抱いた後に遼子の交媾に至った
煩わしさと憐憫との交錯、ふたたび戻って来てリネンのうえに横臥して待っていた真林に抱いた
情愛と暴力にも近い淫欲が真を満たし、濃密な気の流動つくる。遼子とのはじまりの時とは違って、
真林を交えることで斑が切れると思った。
 
 真は短く喉を鳴らし唾を嚥下し荒い息をつくと、フローリングの床へと飛び降りた。
『うわあぁぁぁ……』
 真林は顎を突きあげて喉を晒すと髪を鷲掴みされ、喚いた口を塞がれてしまう。眉根をよせて
煩悶する貌が、悦に呑み込まれるまで時間を有さない。鼻腔からは歔き声を洩らし、それでも
大きく口を開いて、全身で真の膨らんだペニスを受け入れる想いで、舌を差し出して真の
動きに呼応し蠢かせ、腰をおずおずと振ってみせていた。
 不安定なまでの体位。そうかと思えば、これとないくらいに――しがみ付き、汗でお互いの絖る
スキンを密着させている。破壊に近しい荒淫のうねりが、真林と真の精神(こころ)を掻き毟って
――結びつく。真に真林の痙攣が伝わって、ゆっくりとドアに歩き出す。

『んんっ、んぐっ』
 少女の重く生臭い呻きが真を昂ぶらせ、下腹部を波打たせていた。それでも、先にあると信じる
遼子と真林とでつくる淫の環を見据えると、しっかりとした足取りで稚い性と繋がりながら部屋を出た。
 真に抱かれた真林の頭のなかは、閃光のような焔で焙られるみたいになっていた。めくられ捩れる
柔肉が切ない。だのに、まだ真に唇を奪われたままで、舌を吸われ続けていた。痺れと柔肉を
抉られる感覚が真林を責めている。せつないと応えようとする真林の術を根こそぎもぎ取って。
『292』

 細腰を持ち上げられて突かれ、律動が止めば真を求めて真林は華奢な肢体でブリッジを
描き出して尻をくねらせる。やがて来る絶頂は、リネンのうえで仰向けになった真林に、
重く圧し掛かってくる、逝った真の命の鼓動、荒い息づかいのはずだった。
それが、立った真のしなやかな裸身に真林が、必死になってしがみ付いている。精神と
性に繋がった柔肉とが壊れそうなくらいに捩れて感じる。真林はセックスに引き擦られ
攪拌される。叫びをよしとしない真の口吻が、封じ込められた真林をただ歔かせるだけ。
 真の貌は歩きながらも、なめらかにくなくなと動いて、真林を揺さぶり、その少女の
骨までも灼き尽くそうとする。真は擦り落ちそうになった真林の尻を曳き上げた。
(骨まで灼けそう……)汗に絖る少女の背、脾腹、胸元……そこに浮かんだ肋、突き出した腰骨。

 真林の好きだったおばあちゃんの遺骨。焼却炉から出てきた小さくなったおばあちゃんに、
真林は目を丸くしていた。猥雑さに真林の骨が業火に焙られた。それを、喪服を着た人たちが
整然と並んで割り箸で拾う。その場にいる自分も黒の一族になり、真の手をぎゅっと握り締めた。
『おじいちゃんの時はね、真林。とっても、きれいな真っ白な色だったのよ』
 誰かが言った。誰なのか、もう思い出せない。思い出したくもなかった。やさしかった
おばあちゃんの骨に、怖いとか哀しいという感情は湧いては来なかった。

 真林はセックスで赤ちゃんが生まれることを知った。その生を感ずる真との営みで、
おばあちゃんの赤爛れた骨を想って、膣内で留まって掻き回すペニスに狂ってしまいたい。
女だから、おんなだから……赤く灼けた骨なんだ。真林はそう思うと、真にしがみ付いていた、
想いに憑かれたからだの左の二の腕の筋をひくひくと震わせていた。
 廊下に出て、ふたりの交接した裸身は白熱球の橙の明かりにやさしく包まれる。
遼子によるダイニングのアクシデントはあった。されども家のなかは極めて静かで、落ち着いた
空間をうらはらに演出する。真林に深く突き刺さった肉棒は尚も脈動を繰り返し、唇はようやく
開放され、真林は荒い息を吐きながら真の肩を唾液で濡らした。その姿を階下から、裸になった
遼子がじっと見ていた。
『293』

 そして真が動くよりも速く、遼子は階段を昇ってやって来た。
「遼子、お風呂で……待っていてなよ」
 真林の丸まった背に肋が浮かんで喘いでいる。遼子は真が踏もうとする場所を先に
取って塞いだ。  
「真林を下ろして」
 膣内にある真の強張りが微妙に変化した。橙の明かりがつくる陰翳が遼子の貌を照らす。
睨んではいない、それは嫉妬の色とも違っていた。
「何言ってるんだよ……」
 情欲に耽溺していた遼子が、素で母をやっていたことに、真は微かに驚きとまどう。
「落としてでもしたら、どうする気?」

「そんなこと」 「するわけがない?」
「真林を落としたら、取り返しがつかないのよ。わかって」
 遼子にしても、こんな痴態の場面を、娘と奪い奪われて全裸で立って、息子に
抱かれている娘の肋の浮き出た背に触れて支えている。
「そんなこと、絶対にするわけないだろ……」
 今更、何を気にしているのかと、遼子は可笑しくなる。真林と真がセックスすることを認めていて。
「おねがいだから、真」
 それでも、見過ごすことは出来ない。真には、すがるような哀しい色、涙を張っているようにも
思えた、遼子の瞳が白熱球の照明に光る。もう遼子は退けなかった。

「や、やぁ……」
 真林が淫逸に耽った甘える声を洩らすと、真林の背に添えた遼子の両手がそっと離れた。
「わかったよ」
「やあぁああ……!」
 真にひしっとしがみついていた。遼子の陰阜には、真と真林の和合のぬくい気が漂って忍び込み
絡みついてくる。真の腿に真林が吐き出した、こゆい愛液が流れていた。 
「真林、ねぇ、脚を下ろしてちょうだい」      
「いやああっ!」
293
三段目 「するわけがない?」 のあと 「……」 忘れました。
『294』

「脚を下ろしなって」
 真の手が真林のお尻から離れ、腰で巻きついている脚に触れる。真林は真の肉棒を
頬張っている腰を離したくはない。遼子は真林の橙の灯に包まれた背をやさしく撫でた。
「いいわ。このまま降りましょう」
「ほら、真林」 
 真の肩に貌を埋めたままで、真林の唇は動く。 
「このまま、ここに……いたい」
 遼子の添えられていた両手が脾腹から肩胛骨を圧して、赫い唇が真林の髪によった。
真と真林に遼子のへアスタイリングムースの薔薇の匂いがとどいていた。

「わたしが、先に行くから。ゆっくり降りてきて」
 そう言って、遼子は真林の肩胛骨をポンとかるく叩くと二人に背を向ける。真林は
遼子と真のやり取りを聞きながら貌を動かし、啜り泣いていた。
「ごめんなさい、遼子」
「殊勝なのね」
 ぐずった真林の背を撫でてやりながら、真は遼子の女の丸みを帯びた背の肉付きと
臀部の大殿筋の動きを見て、真林の膣内で勃起した。真林は望んだこととはいえ、
小さな秘孔に刺さった真の肉棒の衝撃を堪えるのに必死になった。一段下りる度にズン!と
貫く感じに躰の筋肉を強張らせて「んあっ」と小さく呻いていた。

 ダイニングに着くと、テーブルには料理が載せてあった。鮭の焼けた匂いとほんのりと
マヨネーズの匂いとが混ざって香ってきた。中央には木のボールに海藻のサラダが盛って
置いてある。シチュー鍋にはリゾットが入っている。これは、あらかじめキッチンに
置いてあったもの。
「ごめんね」
 今度は遼子が真と真林に妬心から用意していた料理を台無しにしたことを謝った。
真は遼子が何に対して詮索せずに応える。
「……うん」
時間が過去ということで、便宜上
会話に『 』をいれていたのですが、
290 293 294 に入れるのを忘れていました。

混乱させてすみませんでした。
『295』

『バスルームに行って』
 真の貌をしっかりと見て、そう言うとすっと視線を外した。ごく自然に。その集中力と次にやって
来たフェイントにおんなの遊びみたいなものを真は感じた。遼子はキッチンに歩いて
いって、冷蔵庫を開けて何かを取り出そうとしている。ダイニングの蛍光灯の場違いな
明るさのなかでの遼子のはだか。しゃんと胸を張って丸い肩を後方にやり、さっさと
歩いていったのを反芻する。
『お、おにいちゃん……。あぁぁ……』
真は擦り落ちそうになった、真林の尻を揚げ直した。
『ああっ、はあっ』
 遼子とは逆に背を丸めて、仰け反った真林の背を支える。

『たべなくてもいいの?』
『真林と……しながら、たべたいの?』
『それも、いいかも』
 遼子の赫い唇はセックスともえっちとも、ましてや、おま×ことも言えないでいた。 
『ほんきなの……真は』  『怒ったの』  
『そんなことないけど……。ううん、わからないわね』
 遼子は淋しそうな貌を隠さず真へと向けた。真林の膣内のペニスがびくんと痙攣し、
『あうぅ』 と小さく呻かせた。   『遼子も、おいでよ。来ないの?』

『あとで。必ず、行くから。やさしくして』
 やさしい貌に戻っている。真も遼子も。ペニスを挿入れられている真林だけが環の
外にいた。苛立ちからではなくて、その意志をいま一度確かめるため、真は少し声を
高くして、声を掛けた。真林の腕が締まるように真の頸に巻きつく。
『今、おいでよ、遼子』
 そんなこと、素っ裸なんだからと遼子を観ていても不安になる。このまま、
来ないんじゃないかとも思えて、真林の背を支えていた片方を離して遼子に向けて
手を伸ばしてみせる。
『296』

『行くわ(真のオチンチンがほしいもの)。でも、真林を歓ばせてあげて』
 真の耳元で荒い息を吐いている真林に引き戻されていく。
『はあ、はあ、はあ……』
 真林が躰の筋肉をまた強張らせていた。真と繋がったままで階段を降りるときにあった
ペニスの衝撃。薄い乳房を真が女として扱ってくれる温かさではなくて(真林の乳首を唇で
挟んで被せていって舌で舐める。でも、圧すようにして乳房を両手で撫で廻される感覚は
それに似ていて)、セックスのあとの鎖骨の中央の胸元に手を置かれてゆっくりと愛撫されて
温まってゆくみたいな。けれども、その愛撫は回転から前後のスライドとなり、速まって
真林の肋を圧迫して、喉が詰まったようにズン!ズン!とやって来るペニスに変容する。
何かが込み上げた、嘔吐感めいたもの……。それとも違う、何かの力。

『はあぁ、はあ、はっ……』
 苦しい感覚だけれど、手放したくない、これまでにない抱擁に真林は酔った。唐突な
真との衝撃の夜から、真以外の視線が気になりだした。家に入れば、閉ざされる空間に
煩悶しつつも、快美への執着をみた。その執着が孤独を生んだ。それとも、真が仕掛ける、
たまらない羞恥が孤独を生んで、ともだちを遠ざけて密かな性愛への執着を生んでしまったのか。
『待ってるから、遼子。早く来て』 
 真林のあそこから涙みたいにして、体液がツ―ッとこぼれた。真林の気持ちは真に
よって攪拌された。  『ええ、わかったわ』

 真は遼子の裸身から背を向けると、真林のことを想ってバスルームに歩いていく。
ビスクドールの白い素肌。冷たく硬い感触。だのに、やわらかさを持った真林。球体
少女人形の微かに膨らむ乳房。真林のぷくっと膨らんでいる乳暈に乗っている二つの
小さな勃起が、真の胸板にあたっては拉げ、擦れた。そして両太腿の淡いにある、
ややデフォルメされたような人形の女陰。そこは薄い朱を刷いてふっくらとした
肉付きの静かなる佇まい。ペニスが挿入ることのない精緻。
『297』

『真林のかわいい乳首が擦れてる』
球体関節の仕込まれた少女との――セックス。
『いっ、いやぁ……』
 人形の陰阜のかたちを犯している幻視。それを真林に重ねて汚辱する。真もまた、鮎夏みたいに、
少女の蠱惑に魅せられ狂って血流が駆け狂う。
『ふかい……、ふかく、……いいのッ』
 白い肌に幾重にも描かれて、縺れている蒼い蜘蛛の糸。躰が性愛によって桜の花弁が
乱れ咲き、真林の汗に絖る肌舞っていた。だのに、寒さにでも顫えるみたいにして、尖り往く乳首を
口に含んで、今はそのしこりを胸に感じて真林の柔肉を突く歓びに躍る。
『お腹の動きも伝ってくる』
 真林は真の肉を締めつける。 『う……うん』 好きだから赦されると遼子に教わり、
好きだから赦さなければならないと真林は辿り着いて、蒼い肉が性愛に捩れ、快美の手触りを手にして
どろどろになる。逝くも逝かないも、その刻は肉を手がかりにして精神を重ねようとした。

 真林は仰向けになって、真に貫かれていた体位から、抱き起されて肌ざわりの
心地よいリネンから、背中を剥がされ閃きを見てしまった。心もとない体位となって、
真に木の葉みたいな脆弱な躰で縋っていくことに、この上なく惹かれていった。
また、して欲しい。この格好がスキ。これがほしい。机のかたちよりも、このほうがずっと、
ずっといい。不安定のまま、しっかりと抱き締められ、揺さぶられて昇り詰めたいと
願った。数瞬の歓喜を真といっしょに手にしたくて。しかし、立位に持ち込まれたことで、
真林の願いは、弾け跳んでしまっていた。

 ただ、逝かされないだけの宙ぶらりんの状態で、遼子の登場で、自分と真の空間から
外に連れ出されて埒が明かないでいた。真林はダイニングから、遼子からも遠ざかるにつれ、
『ひっ、ひっ』と部屋から連れ出された時のように小さく悲鳴を洩らし真の肩に甘え
だしていた。そしてラバトリーに入ると、バスルームと両方の明かりが真林のペニスに
刺し貫かれた、セックスをしているという肌を照らす。  『はぁ、うっ、ううん……』
『298』

『真林、鏡に映ってるのをみてごらんよ』
 真林は荒い息を吐きながら、真の頸にしがみ付いた。
『ほら、観て』
 真林は現在、どんな貌で快美に没頭し、真と繋がっている格好を知らなければならないと
思っていた。どんな風に愛されているの……知りたい。薄暗がりのダイニングのテーブルの上で、
歓び真に突かれる遼子を見たとき明確に意識した。真と戯れる自分の躰は遼子のように、
あんなにもきれいなのだろうかという疑念が湧き起こる。でも……。    『……こわい』   
    
『どうして。きれいなのに。観てごらんよ、真林』
『ねえ、おにいちゃん……』    
『なに?』    
『おかあさん……よりも』
 肩から離れた真林は、淫に赧らんだ貌で真を覗き込む。真は訊いて来る瞳の趣を確かめる。
『そうだよ。遼子に無い魅力があるもの』
 切なそうに曇っていた真林の貌に微かな光りが射す。 
『みりょく……?』 

『いいってこと。真林が、きもちいいってことだよ』 
 おま×こが気持ちいい。
『そんなの、やだぁ……。やあぁ……』  おま×こが気持ちいい。 『どうしてなの?』  『やあっ……!』
 あけすけに性愛のことを褒め称えることに真林は拗ねた。それに遼子を好きだということもよく知っている。
だから、もっと別な言葉がほしい、――ほしかった。

『好きだ。愛してる。僕は真林を、求めているから。だからね、もっと、もっと、こうしてたいよ』
 射精しても、ちからが消失したとしても、真林を渇望するのは、真の事実。
『わ、わたし……、おかあさんと……おなじでもいい。いっしょに、愛してくれてもいい……から、
おにいちゃんといたい。いさせてぇ……!』
 それに応える真の言葉を越えた、灼かれるような抱擁に真林は涙を張る。おにいちゃん、
おにいちゃんと呼びながら歔いた。でも、真の名を遼子みたく呼べない自分にも気がついて、また泣く。
『299』

肩に乗る真林の貌を鏡に見詰め(鏡のなかの裸を拒み、イヤイヤをする姿は快美に
悶えるようでもあり、遼子みたいに噛み付くのではないかとさえ思っていた)、真は真林の
尻を洗面化粧台の冷たいカウンターに置いて、薄い乳房を愛でながら熱いペニスで
ほとこうとした。そうでなければ、繋がったままで真林の躰を鏡の前に嫌がっても立たせ、
カウンターに両手を付かせ後ろから犯してみようかとも考える。ふたつの感情がぶつかっても、
真林の洩らした言葉に躊躇いが生じ優先されてしまう真。

 愛しさから、自分のなかの昂ぶりの情欲(攻撃性)が萎えたとは思いたくはなく、素直に
甘えることとし、バスルームのなかで真林と繋がって遼子を待つことにした。中にも鏡はあった。
 ラバトリーのマカボニーのキャビネットを肩越しに見る真林。その中央に収まった白の空間に
収まる鏡に映る真林の一部、真の尻。頸と腰に絡んだ細い腕と脚が遠ざかった。結局、真林は
セックスで揺さぶられるあられもない姿態を観ることはなく、バスルームへと連れて
行かれてしまった。

 バスルームは1.25坪のゆったりとした広さがある。くつろぐはずの、やわらかい白の
空間は二人の入室により、淫虐へと早変わる。バスルームの洗い場にも大きなミラーは
据えられている。
『しっかりと掴まってなよ』  『は、はい……おにいちゃん』
 真林が瞼をぎゅっと閉じていたことを思い出し、今もそうしている。
『真林、いい子だよ』  『あ、ありがとう……、ああ……』
 洗い場のカウンターの座椅子を取らないで、窓側に立て掛けてある、お風呂マットを
小さな長方形の密集したパターンのフロアに敷くと、そのうえに四つん這いになって、
真林の部屋に残してきた肉欲を仕掛ける。真林は真が動くたびにペニスで揺さぶられる。
もう、頸にぶら下がっている力がなくなりそうだった。腕が辛い。  
『あっ、あ、あ』 
 自分の腰でなくなるような気がした。フロアに敷いたマットに真が両膝を付き、
ズウン!という重い衝撃が駆けて真林は喚きを噴き上げたのだった。それは、そのまま続いて、
真がマットに両手を付けば、稚き繋がった腰を振り出されて悶絶しそうになった真林。
『230』

『真林も……腰を振って……』
 真は、ぶら下がっている真林を揺さぶる。ふかくふかく真のものがほしいと真林は願い、
二人は性愛の快美に酔った。真に教わった、『おま×こいい』という言葉が出せない真林。
『あっ、ああっ、やっ、やあぁあ!やあぁあぁぁぁ……、あううっ!』
 スキという言葉でさえも。真林は真の動きに呼応しようとはしたが、すぐに真の律動
(といっても、四つん這いになって、ぶら下がる真林を揺さぶるだけなのだから、
それほど烈しいものが加わるわけではなく)に呑まれていった。『愛してる』と言葉にして
叫んだのは真のほうだった。

 逝った真林は真の頸に巻きつけていた両腕をだらりとして、背をマットへと落として
擦られる。完全な屈服を見せた真林に、真の精神も弾け跳んでしまった。くてっとなって、
マットに落ちた細い胴を観ながら(折れた両腕が律動でぐらぐらとゆさぶられ)、骨盤を
穿つ思いで尻を振り抉った。パキッ!と折れてしまいそうなくらいの細い腰を、くてっとなった
華奢な裸身を揺さぶり虐め続けた。

『うあっ、あ、あ、あうっ』
 遼子の女体とは違った、真林の少女の質感。うしろから犯しても、けものの交わりにはならない。
遼子が快美に猫になるようにして伸びたりはしない。背を丸めるか、くてっとなって、真の律動に
屈するのが真林。肩胛骨を尖らせて四つん這いになって、いくら堪えようとしても、すぐそうなる。
そうさせたかった。真林にはそれが似合っていると真は思ってペニスで責めた。
『あいしてる。きもちいいよ、真林。きもちいいんだ』 
『いっ、いやあぁああ、あ、ああっ、ああ……』 
 肉棒を頬張っている陰裂から、真林の紅潮した貌を観ると太腿を担ついで覆い被さって。 
『スキだからあぁぁぁ!』  呼び戻された真林は、折れて小さくなる。  『あうっ、あぁああ……!』

 遼子は冷蔵庫のドア越しに、真に抱かれながらバスルームへと向かう真林の貌をじっと
視界から消えるまで観ていた。そしてスポーツドリンクを取って、ゴクゴクと喉を鳴らし流し込んだ。
それが少しこぼれて乳房の谷間に流れてしまう。
『231』

 遼子の左手が乳房に滴ったつめたい液にふれて、胸板に手の平を擦すって、肌をほどなく
熱くし、左の乳房を物狂おしそうに搾った。今度はその手で唇にそっと触れてみる。
 真との交媾のあとのペニスを、咥えていた唇を指がなぞって、みだらを思い出す。精液を
出してくれていたなら、躊躇いなく呑み込んだことだろう。唾液に混ざり合って粘度を
一気に増す、あの感じを想うと遼子はたまらなくなった。
 だからといって、その場凌ぎでボトルの口を両太腿の熱く潤んだ淡いに押し込む気など無い。
遼子はボトルの口周りにペニスみたく舌を這わせてから、残りの液体を流し込んで口を漱ぐと、
新しいボトルをラックから掴んで冷蔵庫のドアをバタン!と閉めた。

 ラバトリーに入ると、真と真林が愛し合っている声が響いてきた。交歓に感極まって、
持て余した感情からなのか、明確でない拒絶の言葉を吐く真林。洗面化粧台のカウンターに
ボトルを置いて、キャビネットからタオルと着替えを取り出し、籠に入れた。遼子は
タオルを取ってドアの前に立った。硝子越しに見えるふたり。真の叫びと真林の声が
重なった。ドアをいま開けようか、どうしょうかと迷う遼子の手が止まってしまっていた。
真林の擦れたような、少女とは思えない生臭い声がした。

『あ、あっ、いっ、いやあぁあ……』
 真は真林に掛けた体重をすぐに外そうとした。両腕を真の頸に巻きつけ、部屋の再現が
起こった。『どうしたの』と訊く真に、『抜かないで、抜かないで』と哀訴し啜り泣く真林。
『重くないの?』
『……ううん』
『そんなわけないだろ?』
 真は真林のからだをマットに戻し両肘を付いて睦み合う。伸びていた真林の両脚が
真の脚に絡み付いて。
『重くなんかない。……重くても……いいの』 
『なんか、むちゃくちゃだな』  赧らんだ貌に遼子を見る。
『もっと……。おにいちゃん……して……ほしい』
『232』

上気した真林の貌に真の指先が触れた。みだらのあとの名残りの髪はくねりのたうって
細く尖って真へととどいて来る。
『真林の貌。とても、きれいだよ』
 ほんものの女みたいだと思ったところに、『して。して……。おま×こ』とせがむ真林の
額や頬の濡れたほつれ毛を取ってやる。絡みつく真林の脚が真のペニスを何度も
迎えようとするかたちになっていた。 
『真林がこわれちゃうだろ』 
『こわれない、こわれないからぁああ……。んっ、んん……』
 脚に絡んでくる真林の気持ちを可哀そうに思って、くちびるを軽く押し付けてから、マットに
両手を付いて真は体を起こした。真林も両肘を付いて、よだれを垂らした半開きの赫い唇が真を追った。

『ああ……』
 真林が去ろうとする真のペニスに、諦めきれない渇望の声を洩らしていると、遼子がタオルと
ペットボトルを持って入ってきた。洗い場に尻を向けて交媾をしている子の姿を見て、
息が止まりそうになる。洗い場の鏡に背を向けて真林を組み敷いて交わっている絵が遼子に
焼き付く。真林も同じで、膣内から去ってしまった肉棒と、入れ替わりに入ってきた遼子に
とまどっている。遼子は乳房も陰阜もタオルで隠さずにいたから。

 真は上体を起こした真林の細腰を挟むように両手を付いて、入ってきた遼子に目を向けた。
真林は肩に頸を沈めた格好で、遼子の股間の黒いみだれた叢を嫉妬の趣で見た。遼子にすれば、
いまさらという考えも成り立つが、真への慣れとか、真林への当て付けという意志はなかった。
自然を出せればと遼子は思っただけだ。でも、できたのは、すっと真と真林から貌を逸らすことだけ。
真と真林の交媾の場面が湧き起こる。顔色の表立った変化はなかったが、遼子の肩、胸板の
昇降に真は気が付いた(どうか遼子をみつけてください、ともとれ)。遼子の頸の胸鎖乳突筋がくっきりと
二つ浮きでて、鎖骨の窪みが深くなっている。    『遼子、おいで。待ってたよ』
 真林の貌が険しくなったと思ったら、一瞬で歪む。遼子の願いは含羞から、真を刺戟してしまうことへの
不安。真を勃起させたくなかった。
『233』

 差し出された真の手に指を絡め、真の裸身を転がし仰向けになった躰に跨っていって、
腰を沈め、おもいっきり踊りたい。遼子は真の膨らんだペニスが赫い唇に欲しかった。
しかし、欲しくないというのも、遼子のなかでは、小さな事実だった。勃起したら真は
どちらのおんなの肉を選ぶのだろう。そんな想いから、遼子の下腹部は波打っていて、
欲情よりも先に真林への同情がもたげそうでもあり、真に情欲を煽られてしまったら、
真林を置いておんなに進んで成りきってしまいそうなくらいあやうい。
『おにいちゃん……。やだぁ』
 真林の声が遼子に刺さって、小さな棘になって疼きはするが、遼子の中の事実の
かけらが、なにをどう織り成すかは真の手のなかにあった。

『やくそく、だったろ』
『ちがうの。膣内(なか)にいて。い、いかないでいてぇ。まだ、いてほしい……!』
 真林は華奢な背を丸め、肩胛骨を浮き立たせ、真の二の腕を掴んだ。遼子の
観ている前で抱きついて牽制する勇気はなくて、真林のぎりぎりのモーション
(真林は膣内から抜去された肉棒を掴みたかった)。真のペニスが脈動を始めている。
『少し、休みなさい、真林』 『いて。おねがいだから』

 遼子は腰を落として、躰を捻って洗い場のカウンターにタオルを置いてから、
真にスポーツドリンクを渡そうと差し出す。
『真林にこれを飲ませてあげて』
『してあげてよ』
『おにいちゃん……。おま×こしたい』
『ねえ、湯桶取って』  『おにいちゃん……』   『真、わたしがって……?』
 渡された湯桶で真は湯舟を掻き混ぜている。遼子には真のもくろみが刺々しく
感じ始めていた。三人の気持ちが別方向に動いているような。遼子は黙ってしまった
真林をちらっと見て、太腿に手を置いた。真林はびっくりして遼子を見る。
『234』

『さっき、遼子が想っていた事を真林にしてあげればいいんだよ。できるるよね?口移し』
『真は……いいの?』
 真林に口移しで飲ませてあげないのとは、本人を前に訊くのに遠慮があって、言葉を濁す。
『先に遼子からもらう。そのあとで、真林からも飲ませてもらうから』
 真林の太腿に真が湯桶で汲んだ湯がサァァァっと掛けられた。真林は両側から遼子と真に
挟まれるかたちになっている。
『ほら、くつろげてよ』
 真の手が遼子の手首を掴んで真林の秘所連れて行こうとする。真林の腰が、まだあそこに
触れられてもいないのにビクンとなって跳ねた。   『遼子を拒んだりしちゃダメだからね』
 真林の視線は遼子から真へと移ってはいたが、うつろだった。遼子の手は真林の交媾のあとの
唇に触れるのを躊躇って強張った。

『待って。自分でするから』   『じゃあ、それ持ってあげる』
『お、おにいちゃん……』
 非力な小動物のような声を真林が洩らす。
『でも、さっき……』  『こ、こわい……』     『はやく、貸しなって』
 遼子の拇が真林の腿の付け根に圧されて、稚い下腹部を収縮させ、遼子の指は窄まっては、
また拡がって真林の内腿へ愛撫を繰りかえした。遼子は脚を崩して真林の躰によって、自分と
くらべてあまりにも細い右脚に絡めていった。  『はっ、はあ、はあ……、おにいちゃん……』

『こわくないから。気持ちよかったら、我慢しなくいいんだから。僕との時見たく、お尻を振ればいい』
 真林の頬を愛撫しながら、遼子から渡されたドリンクを真は口に含む。
『あ、ああ……』
 あきらめのような声をあげて、寄り添って寝そべろうとしている遼子に、真林を挟んで口移しに
生温かくなった液体が真から与えられる。その雫が真林の喘いだ薄い乳房にぽたぽたっと落ちていった。
『235』

真林はこのバスルームの環に嫉妬が介在することはなんの益ももたらさないと感じ
始めていた。真と遼子の合わさった唇から、ちがう。遼子の唇からの雫なのだと真林は、
その時に思った。
  透明なソフトドリンクの液体が、遼子の赫い唇からこぼれるのを、ぼうっとして
見惚れていた。やがて、真から液体をもらった、遼子の貌が真林に迫ってくる。真林は
遼子の左腕に頭を抱かれて、咳き込まないように、口をつけて少しずつ液体を流し
込まれていった。合わさった唇から、チョロチョロとあふれてくる。

  遼子の右手は、真林の左脚に移ってから、開脚を促した。真林は小さなくぐもった
呻きを噴き上げる。遼子の脚は真林の右脚に絡んでいて、陰阜を擦ってうねっていたから。
じゃりっというあの黒い感じが、真林の腰の右側にある。自分には無いもの。驚き煽られて、
真林の手が歓迎の意志表示をし、遼子の火照っている右頬に触れ、コクッコクッと喉を
鳴らし、遼子の口腔に舌さえも挿入れておねだりした。
  真は遼子のおんなの丸みを帯びた、くねくねと蠢く尻と、彼女によってくつろげられる
真林の性器を交互に満足そうに眺めてから、真林のからだに湯を掛けてやって交媾の
残滓を洗い流してやった。

 二人の女は、そんな真の所作を感じながらも、遼子と真林の間には複雑な変化が生じた。
頭をやさしく抱かれた時に感じた、女として認めてもらったような錯覚を真林は味わった。
 破廉恥とわかっていても、精神は赤子を抱いてあやすという感じにしたものの、少女の中に
おんなを知る辛さに遼子は揺らいだ。それが、普通なのだと納得を試みようとしていたら、
今真林を抱いてやっているという事実が、少なからず閉ざしていた母性を開放させていって、
尖った気持ちをやわらげてもいる。真の手も、遼子の真林の性器を弄る手に被さって、
いっしょになって稚い核をやさしく責め始めた。         『ん、んっ、んああっ』
『遼子、こっちを見て』
 真がボトルの液体を口に含むのを見た遼子が、すぐに口吻をねだって唇を大きく開き、
舌戯を途中で中断させられた真林はあせった。
『236』

遼子と真の間に真林が組み込まれたことで、遼子はより小さな密室を手に入れた。
たぶん、外に向かっては決して開放されることのない空間に躰を開いて、うんと興奮して
倖せの拡がりを感じていく。女の証拠(あかし)の乳房が喘いだ。深い鎖骨の窪みをつくって。
真林の目の前でまた、遼子と真が唇を重ねて真林に与える液体を授かっている、
赧らんだ貌(濡れたほつれ毛が凄みを増して)を観ていた。真林を下にワンクッション
置いての遼子は、妖しいまでの艶を放っていた。そんな昂ぶった姿を間近に眺めて、
真林の稚い性はいたたまれなくなる。

『おいていかないで。もう、おいてかないでぇ……!』
 真林は唇を開くと、唾液に絖った鴇色の小さな舌をいっぱいに出していって美醜を晒し、
頬を舐めにいった。真のではなかった。それは、遼子の頬に。雪を踏む音を愉しみながら、
歩いていたら、どこだか知らない場所にいることに気が付く。振り返っても、戻る場所すら
もう見えない。遼子の赫い唇が真をたべているみたいに映った。
真林は雪を見下ろして、赤いゴム長で踏みならす。下腹から真と遼子が立てる音を
聞いて真林は走り出した。遼子に触れるだけ触れていれば戻ってくれて、自分がもっと真を
取り込めるのではないかと真林は思った。仰臥して真と繋がって腰を持ち上げられ、自分から
お尻を振ったセックスを思い出して。遼子と絡んで、捩れて、待って、待ち続ければいい。

  真が飛び込んできたその時、うんとこらえて仕掛ければきっと気持ちよくなれる。
そうすれば、もっと、もっと深く真の先っぽが挿入ってきて、扉を小突くのだ。
 しかし、それは真林が遼子のどろどろとした深みを引き出してしまう。遼子の貌が
真から真林へと降りてきた。真林の舌がそれによって遼子の頤を舐めて、真林の開いた口腔に
遼子の赫い唇が収まった。稚い蕾をいらっていた指は全体を覆って、遼子の手の平が
やさしく上下に擦られると、ぐぐっとアヌスのほうへと潜っていくと、真林の躰を下から上へと
引き揚げ、小さな尻が浮いた。
 遼子の唇が開いて生温かいとろとろが流れ込んで来る。真林の腰の両側は真と遼子の
性器によって挟まれ、擦られていて、ぐんっと跳ね上がった。
『307』

湯の掛かった性器は夥しく塗された白濁に粘度を加えはしたが(真は陰嚢に付いた真林の
愛液のぬるぬるの感触を内腿に感じ、歓びの下腹を真林の細腰に、太腿へと圧し付けた)、
ほどなく溢れる遼子の体液になめらかさは増して、ぐいぐいと真林を揺さぶる。
  遼子の手がふっと弛緩し、真林の性器を覆って合わさっていた指は広がって、真林の
ぽてっとしたお腹に這い上がってきた。指頭だけで腹部をやさしく撫でられた真林は、
性器への続きが欲しくて、小さな尻を突きあげた。    
『んんっ、んああっ……』
 遼子は波打つ真林の腹部を手の平で愛撫するのもやめて、真が下腹部を真林の腰にを
擦り付ける側へと回り込んで、いきりたったペニスに触れる。真のシャフト・レバーの
状態になった肉棒を握って遼子は扱にいった。怒りをあらわしたような、あからさまに
淫欲に従った乱暴な握りで、真におんなの声を遼子はあげさせる。

  それで真が真林の腰を突くみたいにすれば、うえにあがった遼子の手は、人差し指の先が
尿道口を裂くみたいに。真林のくちびる色をした尖端を嬲った。そのいろを赤銅色に変えるのは、
もう自分ではなくて、真林なのだと想いながら、真の呻きを聞き。
『はあぁああぁぁぁ!』
 真林のこわれものを扱うみたいな愛撫とはちがう、確固たる(強いなかにも、血流を
止めたり開いたりをあやつり)刺戟を真に送り込んでくる。あまりもの刺戟に、真が
たまらなくなって腰を引けば、シャフト・レバー状態のペニスをほんとうに、そのように扱って、
下腹部と両太腿の閉じ合わさった距離で上下させた。

 真林には、なにが起っているのかわからなかった。わからないままに、遼子の送り込んだ
液体を飲み干して、貌を紅潮させ流れ込む唾液と舌の蠢きに翻弄されていた。遼子も真林の
性愛に没頭してくる反応を間近にし、こわれてたまらなくなる。なによりも、いつにない真の
灼ける肉棒の感じが、いつもはあるべき場所にいなくて、真林の腰に太腿の側面に真の嬲りの
熱情があてがわれてしまっていて、自分を見失いそうになった。真のからだを仰向けに転がし、
跨って逝きたい衝動に遼子は駆られる。
124名無しさん@ピンキー:04/05/22 08:55
ここのサイト、画像掲示板復活したね!

http://page.freett.com/ribbon0723/
『308』

 真がフロアに置いたペットボトルに脚がぶつかって転がって、液体がだらだらとペニス
から精を吐き出しているみたに、トクトクとあふれ出ている。もう、水分を欲していても誰も
気にはしてはいなかった。気にしているのは、対象となる躰の秘所の潤いだけ。
 遼子は真林を置き去りにして、真にわたしだけを観てと、その前でからだをくねらせて
みたくなる。火照るヴァギナが官能の波動を掴みたがっている。だのに真林が両手を付いて上体を
起こし、真の肉体に跨って躍るのを、肩落として眺める姿がつい浮かんでしまう。
密室でありながらも、裸になることができず遼子は煩悶した。

『あっ、いかないでぇ……。やああっ、いかないでぇ……』
 唇から離れた真林がうるさく叫んでいる。遼子は真の硬いペニスをいま一度強く握り締めると、
精が弾け射精てしまう前に拘束を解いてやり、真の尻を掴んで真林へと乗せようと曳きつけた。
真の躰が真林に乗りかかると、遼子は真林から下りて仰臥し、バスルームのやさしく
降り注ぐ光を、汗に絖る裸身にいっぱいに浴びる。
 半開きになって荒い息を吐く遼子の赫い唇。遼子が瞼を閉じた時に、真林の貌が
覆い被さってきた。遼子は真林の最初の夜みたいに、くちびるを振り切ろうともがいた。
『おかあさん。おかあさん。好き。好きいっ……』

 真林のからだは自由になっていて、遼子の放心していた唇を狩ろうとする。そして、
ゆるく拡げていた遼子の両太腿の淡いに真の躰が押し入って、ペニスが陰阜に圧し
掛かって擦られた。
『だっ、だめよ。せっかく、真林に……。真……、インサートだけでも……』
 遼子は真林に捕まらないように左右に貌を振りながら、ペニスの追撃をかわそうと
言葉をあげ臀部をくねらせる。
『真林にしてって言ってるのに……』
 挿入はしなくとも、潤み切って赫くなった華なら、硬いペニスで陰阜を突き続けるだけで
十分だった。
『遼子があんなことするからじゃないか』   『わたし……。わたしが、いけないの……』
『309』

『そんなこと、いってないだろ』
 真はがっつくように遼子に向かって尻を振り続ける。
『したいんだ。遼子だって、したかったんだろう』
『おかあさん。おかあさん』
『よ、よして……』
 遼子の指が硬いペニスに絡み、真の下腹に押し返す。
『ほら、おま×こしたいって言いなよ』
 真の手も下腹に潜り込んで、拒む遼子の手頸を掴んで、ぐいっと引き揚げた。
『真林に。真林に……してったら!』
 やみくもに陰阜に突き立てられ、爛れる女性器への肉の渇望は押えきれなくなる。
『遼子は僕が欲しくないの!こんなに、俺が欲しいっていってるのにさぁ!』
 テーブルに載って真とセックスしていたのとは、全然勝手が違う。そばに、真林がいて、
例えセックスに溺れていたとしても客観的な思考が働くのも……。それがおんなだと
遼子にはわかっている。なにを観られるのか、見つけられるのかが怖い。子供ではない分、
少女の頃みたく単純に快楽を求められなくて、見透かされることを急に意識してしまっていた。


『おいおい、大丈夫か』
  遼子は笑いながらベッドから起き上がっていた。
『だいじょうぶ、おじさま。わたし、少しは体力には自信があるもの
 背を向けながら、笑顔で振り返る遼子。遼子は男の少女モデルでもあり、愛人だった。華奢な両脚をきれいに揃えるとベッドから外し、バスルームへ行こうとする。
『もう一度、遼子とおま×こしたいな』
『ここではダメ』
『言うことをききなさい』
 男はかるく遼子の腕を取って引っ張る。
『おねがい』
『いまここで遼子と繋がって、抱いて行ってあげるよ』
『待ってます。おじさま。だから、先に行かせて』
『何度でも、遼子のからだを先に逝かせてあげてるだろ』
『310』

『……ごめんなさい、おじさま』
 羞恥というよりも、すまなそうに遼子は小さく頭を落とした。その姿が男にはたまらなく
可愛く思えた。そのまま観ていたいという欲求はあったが、遼子を沈んだままには
させたくはなかった。
『何か、趣向でもあるのか?』
『はい、おじさま』
『おお、そうか。それは、すまなかったな』
 男は大仰に遼子に応えた。遼子はその物言いに、可笑しくなって貌を晴れやかにし、
肩肘を付いて遼子を見ている男に、可愛らしく屈んで暫しの別れのあいさつをした。
 長く濃やかな黒髪が男の顔に掛かってくる。遼子の頬に男は手をやって、髪ごと触れ
少女の感触を男は愉しんだ。

『許して、おじさま』
『ああ、わかった。そのかわり、愉しみにしてるから』
『そんな、たいそうなものじゃないの』
『遼子、期待してるからな』
 遼子の貌が困惑していると、今度は男が噴出していた。
『もう、そんなおじさまは嫌い』
 そう言って、耳を真っ赤にして、少女との愛はバスルームへと走って行ってしまい、
男はひとりアトリエに残された。バスルームでセックスをしたいということなのかと、
冷蔵庫からスポーツドリンクを取り出して、男は遼子のあとを追っていった。

 バスルームには遼子がソープのオフショルダーのドレスを着て椅子に腰掛けていた。
背中にまでは、泡は廻ってはいなかったが、遼子の前に立って見下ろすと、薄い肉付きの
乳房が白い泡で隠されていた。稚い陰裂も同様に隠れている。男のペニスは即座に
反応を見せていた。両手で泡と戯れていた遼子が男に気がついて、笑顔でゆっくりと
貌を上げた。そして両手を掲げて、男に泡の花を差し出す。
『311』

『どう、おじさま』
『きれいだ、酔芙蓉みたいだ』
 ウェディングドレスみたいだと言ったほうが、遼子は悦んだのではないかと後悔していた。
ことばを男から貰って、泡のドレスのことだと遼子は単純に思っていた。なにが、そう見えるのか、
感じさせているのかが男から知りたくて、遼子は神妙な貌になって男に訊いて見た。
『わたしが、すいふようなのですか……、おじささま?』
『ああ、そうだ。酔ったみたいに、白い花が赧らんでな。泡が透けて、遼子の素肌の色が
覗いて見える。遼子の貌も赧いしな。とても、きれいだよ』

『ありがとう、おじさま』
 男は遼子と同じ目線にまで降りて来ると、遼子は泡の花を両手で差し出して、フロアに
両膝を付いて男に跪き、その花で陰嚢を掬うように包んでから肉茎の根本に小さな指を
絡めていった。熱く硬いペニスが遼子の小さな手のなかで、ビクンと跳ねる。
『オチンチンを扱き始めてくれ、たのむ……遼子』   
『おじさま、好き』   
『これがか、遼子?』
 今度は自分の意志でペニスを動かした。遼子の纏った泡のドレスが崩れ落ちる。男は
もう我慢ができないで、両手を少女の両脇に差し込んで立たせて躰を抱き締める。

『あっ……』
 細腰に廻される男の逞しい腕に遼子は痺れた。
『遼子の愛はわたしだけのものだ』
 遼子の屈託の無い少女然とした笑顔は男を和ませ、おすまし貌になるや否や、血流が
肉棒に充填されていって、男は少女を狩る獣になった。両太腿の淡いの硬い屹立で遼子を
貪る。
『いつまでも可愛がって』
 遼子は男のやさしい眼差しから獣になる刹那、からだに電流みたいな衝撃を感じた。そして、
とても熱いペニスでからだを灼かれる痺れに遼子は酔いしれる。
『312』

『おかあさん、きれい。とっても……』
 遼子は髪を振り乱して(真林はうわごとのように言葉を吐き、遼子の唇を捉えられないと
分かるや、丸い肩にむしゃぶりついた)、喚いた。やがて真林の唇は吸血鬼さながらに、
鎖骨の窪みへとやって来ると、遼子はマットから背を剥がして、汗に絖る乳房を真に
向かって迫りあげた。真の恥丘への荒ぶる突きと、真林の顔が首筋に潜り込み、遼子の
花芯は熱く痺れた。きれい、きれいと真林が言った言葉が耳にこびりついていて。
『真林は欲しくないの!真!ねえ……、ねえったら!』
 淫欲にけぶる瞼。それとも頬か、頸筋。うねるからだなのと、ふたりから逃げるように
躰をうねらせて問うてみる。

『真林のからだを休めなくちゃだめじゃないか』
 真の動きが緩慢になった。
『だから、挿入るだけでも……いいのよ。真林を……抱いてあげて、あげなさい!』
 真林の唇が離れ、遼子の愉悦に歪んだ貌を覗きに掛かる。その歔き貌を真林に観て
もらうのは辛い。
『遼子……!』
『わたしは、かわり。ねえ、真。かわりなの……。ひいいっ……!』
『わかんない。もう、わかんないよおおッ……!』
 尖端の突きがズウン!と遼子に入った。

『あううっ、うああっ、ああ……』
『遼子がみんな教えたんじゃないか。いま、俺が欲しいのは遼子なんだよ』
 真の手が真林の頬に触れてから、遼子の乳房を口答えしたおしおきでもする
みたいにして鷲掴んだ。
『ひっ、ひいいっ。んあっ、ああっ、あうっ』
『遼子、遼子……!』
 遼子の男とおなじ心根で、真が遼子に向かって叫んでいた。遼子の骨盤はあがって
真を受け入れ始めた。遼子は頭を潜らせる真林を掻き抱いて、淫欲の赫い唇を真林に
圧し付けてやり唾液を流し込むと、真林は素直に遼子のものを啜った。
『313』

『こんなになってるじゃない……』
真の律動で遼子の核は拉げ擦られて、眦が涙に濡れる。真に抱かれて笑みを失っている
真林とでは――遼子はちがった。
『んんっ、んん……』 (よしてぇ……。いわないで)
『ほら』
どこか、びくびくしているのは真林。抱かれることに積極的になれず、それでいて真にもっと
甘えたがっているのに、遼子に擦りよろうとすることにいっぱいになる。
『んあっ』
 遼子の指が真林の髪に絡んで唇を圧す。
『んっ、んん……』
 遼子の赫い唇を圧してくる感触に真林は痺れる。実際に唇がじんじんとしていた。

『はっ、はっ、はあ……。おかあさん……、おかあさん……』
 口をひらいて遼子を呼んでみれば、上唇と下唇にその感じがはっきりと体感する。
『いやらしいよ。ほら、聞こえるだろ』
 真の突きあげに、遼子は真林を振り切って仰け反ってしまった。
『いっ、いやあぁああ……』
  自分に気兼ねしているのか、それとも女の悋気を人知れず溜め込んでしまっているのか。
真は遼子の身悶える姿を見て惚けている真林を捉え、攻撃性を増して、しなやかな獣になって
律動を繰り出す。遼子の骨盤を穿って、真林とは許容の違う膣内に向かって、ぐっ、ぐぐっと
尖端を圧した。

『真林、遼子を観てごらんよ。これが、僕たちのママだよ。きれいだろ』
 無慈悲な獣は、噴出した肉欲の汗を遼子の上気した裸身に注いだ。小さい遼子は、男に
自分から素直に躰を開いたのだった。
『はあ、はあ、はあ……、おにいちゃん』  
『真林もきれいだよ』     『おにいちゃんも……』
 真林の指がフロアに付いている真の手に絡んだ。
『314』

『どうした』
それが、自然だと遼子は疑問すら抱かなかった。よくおじさまと呼んでいる恋人の
ところに姉といっしょに遊びに行っていた。お泊りした日、その夜のことだ。姉を
待ちくたびれて、リビングの長椅子でうたたねをしていると、男が(小さくううんと
むずかる遼子のからだを)そっと横抱きにして寝室へと連れて行った。
『おかあさんも、好き。だから……、きらいにならないで』
遼子が初めて性交を具体的に、そして、もっとも強く意識した……瞬間だった。
リビングの壁に掛かっていた鏡(アルフォンス・ミュシャの描いた清楚な装いの女性の
横顔)を、遼子は薄目をあけてゆられて見ていた。あの鏡に描かれているような、
薄い衣を羽織った、きれいな女の人になりたいと抱かれて願う。遼子はこの部屋に
来るたびに想っていた。

ただしアトリエには、ある期間を置いて遠ざけられ、入れてはもらえなかったものの、
真と遼子の関係に、真林が抱いていたような疎外感は不思議となかった。
  一度だけだったが、どうしても覗いてみたくてたまらなくなり、アトリエの扉の前に
遼子は立っていたことがある。そう、一度だけの出来事。それが男の仕組んだことなのか、
その部屋から洩れてきたのは、言わずと知れた男が仕掛ける性戯にゆさぶられて
歔く姉の声だった。ショックとか、衝撃というものは遼子に……あったが、それがどういう
感情の発露であるのか、遼子は知りたがった。

 大好きなおじさまと、姉妹ともに男になついていた。その男に泣かされている姉。
いつも愉しそうに、姉妹で男の入れてくれたダージリンを飲みながらオムレットをたべるのも、
時間を掛けて和んできれいになる姉を横目で遼子は観ていた。部屋から出てきた姉はもう
泣いてなどはいなくて、遼子にはわからない不思議な雰囲気を纏っているように見えた。
意味は謎を孕んで膨らんで、自分に降りかかる時を夢見て、遼子は姉の姿を通しておじさまに
憧れ恋情を抱いていた。
『315』

 稚いヴァギナに、てらてらと絖る錆朱色の尖りで貫かれて、掻き回され、姉が歔いて
いるなどとは想像及ぶものではなかったが、アトリエに入る前の倖せそうな姉の表情と、
扉の向こう側から聞こえてくる哀しそうで、せつない声に、リビングの壁に掛けられた、
清楚な女の横顔とが遼子のなかでしっかりと結びついて、女性器を熱くして蕩けさせ――
妖しい興奮に酔ったのだった。しかし、隙間からなにが行なわれているのか、覗くことは
あえてしなかった。薄い胸の奥、その動悸の烈しさが遼子の好奇心をものがたっていても。

 遼子はたどたどしい足つきでリビングに戻って、つづきの開きかけていた美術書を
眺めることにする。透き通った浮かぶ花。そこに仰向けに沈んでいる女性。水面に、
惚けた(虚ろな瞳と薄く開いた鴇色のやわらかそうな唇のオフィーリァ)美貌のお姫様は、
しなやかな指を折り曲げて、両手を掲げている絵であったり、白い貴婦人が地下室
らしき場所で目隠しをされて、侍女たちは嘆き救いを求め、いままさに斬首されようと
している絵だったりを、姉が男の相手をしている間に、小さかった遼子はひそかに
それを愉しんだ。

 うたたねをしてソファからおじさまに遼子は抱きかかえられ、セックスをはじめて
意識したこの日。開きかけていた本に描かれていた絵は、裸の男(腰布だけを
巻いている)が、衣服を纏ったきれいな女によりかかっていた。自分もいつかは姉
みたくなる時が来るのだろうと思って、遼子は静かにおとなしく待っていた。
 自分はおじさまのそういう女になりたいと想っていたからだ。だから関係を
持ったあとでも、さわられ、なめられ気持ちよくされても、あるいは痛くされても、
遼子は男に支配されているという感覚はなかった。
 交媾に泣き腫らした遼子の稚い性ではあったが、心は閉ざさずに男に向いていて、
笑みを絶やしはしなかった。
315 訂正 二段二行目  透き通った水に浮かぶ花
『316』

だから、遼子が突然になにかに閃いて、男に好奇心でなにかを振る時、もしくは男の
精神を見透かしたみたいに背伸びするような少女期特有の所作でおすまし貌になれば……。
姉以上に男は遼子に執着してペニスを熱く硬くしたのだった。男も遼子とおなじく少女の
刻が満ちるのを待っていた。躰の準備よりも遼子の精神(こころ)が熟成されるのを
待っただけ。遼子が描いていた男への抱擁の気持ちを貪るために。

遼子は真林の貌を乳房に抱きながらあの時を想って涙していた。だから、真のペニスを
扱いて、真林に渡したつもりだったのに、真は躰を遼子へと圧し掛かけてきた。
おじさまにではない、少年に抱かれているのだから、しかたないことねと、真のペニスに
貫かれながら、真林の濡れた髪を肉欲に呑まれつつも撫でてやれば、この密室で、
真林の前でおんなになりきるための方便を遼子は曳き出していた。埋まって真林の髪に
絡まる白く蠢く細い遼子の指。
『もっ、もう、もう……』

 遼子は姉とおなじ環に加わってから、訊いた事があった。秋空の下、凪の日の湖水の
ような秩序のなかで、こころもからだもゆさぶられて、こわれるみたいな気持ちが、
たまらなく愛しいのと、姉は眉ひとつ動かさず遼子にこたえた。遼子は姉におじさまを
好きじゃないのと、つづけて訊くと、好きだからいろんな格好で、こわされるみたいに
されるのがうれしいのと姉は言った。

『遼子、逝きそうなんだね』
 姉は自分とおなじ感情を抱いているのだろうかと、確かめたかったが、それ以上は
訊かなかった。遼子はその時、姉はおじさまに抱かれている自分が好きなのよと
言いたくてたまらなくなった。男を独占したかったというよりも、姉のなかに自分とは
ちがうなにかを見つけて、おじさまは姉を観続けているのだと思ったからだ。
『あっ、あっ、ああ……』
 真林が遼子から躰をすべらせ離そうとしている。遼子の手は真林の頭を無くしてしまって、
腕はぐらぐらと揺れ、折れ曲がって肘を突き立てて、自分の頭髪を掻き毟った。
『317』

気持ちはおなじであっても、ことばの表現は(――それが差異ということなら、突き詰めれば)
ちがうということ。遼子の腰が烈しいうねりをみせ、真の恥骨に打ち付けるようにあがって迫る。
わたしは姉じゃないもの。ましてや、真林もわたしなんかじゃない。真を挟んだ遼子の腰が
烈しく揺れた。
『観てっ!真林。真林……!』
 肉欲に溺れ、貌も揺すって切れ切れに娘の名を呼んでいる遼子を、真林は両手を付いて
間近で観た。その迫力に魅せられていた。真林のくちびるからは、呑むことのできなかった、
唾液がたらっと滴り、遼子の躰に掛かる。口に手の甲をやるつもりだったのを、思いなおして
遼子の躰に触れ拭おうとしたのだが、遼子の手が空を掻い伸び、掴まれてしまう。

『おかあさん……。ごめんなさい』
 真が遼子から腰を曳いた。ペニスを抜いてしまった。
『いっ、いやぁ……』
 真林の掴んでいた手が急に緩んで、顔を起こした遼子を真林も追っていって
真のほうを見る。真は遼子の躰を這い上がってきて、天上を突くような屹立を
誇示してみせ、遼子の失望に染まりかけた貌に近づけた。
『遼子、含んでよ』

『――いいわ』
 遼子は頂上を極めそこなった気だるい躰をのろりと動かし、逞しいペニスに
顔を近づけあげて、真の陰嚢を手で掬い包んで肉棒に頬を擦り付ける。
『うんとみだらに、舐めまわしてみせてよ』
 遼子が掴んでいた真林の手をやさしく引っ張っていた。
『真林にさせてあげて』
 遼子が真林の躰をよせる。
『いいの?』
 真が遼子の顔を見下ろす。むわっとした交媾の匂いを真林と遼子で
分け合って吸い込み、すべてが肯定されていった。
『318』

『真林、してあげて』
『うん、おかあさん』
 遼子は真林を見ずに(真林は遼子にありがとうと言うつもりだったのが、機会を
なくしてしまい、遼子は真林に含羞を見せたくなくて)顔を真に埋めると、唇が陰嚢に
吸い付いて玉を舌で転がし、真林の指が絖る真の滾りに絡む。
『すっ、すき、おにいちゃん。おにいちゃん……』
 言葉で真へのポジションを真林は手探りで確かめ、牡の証拠のペニスを口腔に迎える
ことを正当化しようとした。尖端に唇をつけ、真のペニスはぐうぅんと伸びをする。
手に熱い感触と、遼子と真の混じり合ったものと、いくらか残っているだろう自分のもが
塗布されたぬるぬるの肉茎をにぎにぎした。

 真林の唇は動いて鴇色の亀頭に触れるか触れないかまで近づくと、蕾が(小さい唇は
荒い息を吐き、白い雫をときおり覗かせて、真の破壊欲を煽っていた)ひらくように
被さってゆく。
 入れ違いに遼子は真の陰嚢から赫い唇を名残惜しそうに離すと(横目でチラッと真林の
恥戯を見守り)、顔を捻って真林の躰に掛けた真の汲んだ湯が捌けているバスマットに
うつ伏せになった。フロアに残る雫を眺める。
  
 真の腰が遼子の動きに跳ねて、真林の喉を突きはしたが、遼子がなにをしようとしているのか
など気にも掛けないで、喉にぐぐっと真を迎える。真のペニスを口に含んで、舌を肉茎に
ねっとりと絡ませることに熱中していたから、口から外したくはないという願いが強く出た。
真が汗と湯気で濡らついた髪をくしゃっと撫でて、真林の紅潮した貌を拘束した。
『ん、んっ、んっ、んんっ……。ぐうっ』
 ゆっくりと浅く数回突いて真林の舌の動きを愉しんでから、ペニスを深く挿入れる。真林の眉が
吊りあがって、眉間に深く苦悶の縦皺が刻まれた。苦しいことを、愛するという見立てのなかで
行なう交媾に真林の精神は馴染み始めていた。
『319』

 おしっこの出て(真林は真に放尿を見せてもらったことはまだなかったが)、指を硬くなった
ペニスに絡めて擦れば白いねばっこい体液が跳び出るところ。そして、やわらかくなって
かわいい姿に愛しさが込み上げて、そんなペニスを愛しているんだと腿にしがみ付いて
女の愛を行使する。
 匂いは気にならない。ペニスで突かれて、ときおりやって来る、嘔吐感が蘇る。真林は
真の太腿を掻くように手を強張らせる。眦は涙で濡れていた。真林はじぶんの気持ちを
真に伝えようと懸命だった。遼子のように真にされて、恍惚とした、穏やかで満たされた
眠るような貌はしなかった。真に抱かれて眠るときぐらいだ。苦悶の表情で呻き喚いても、
それが真林のセックス。教えてもらった、おま×こ。   『ぐふっ、んぐうっ……』

 遼子は真林の美醜を、ペニスの責めで晒されている姿を想いながら、膨らんだ鼻孔から
噴きこぼれる、くぐもった呻きを背やうなじにあびて、両肘を付くと真の躰を押し揚げていった。
傅いていたラクダが起き上がったときみたく前後に真は揺れる。真林の躰も同時に
引き揚げられ、ペニスを頬張りながら立て膝をついていた。
『真林、チンポを吐き出すんだ』
 真林はその言葉にぎゆっと瞑っていた瞼をひらくと、ペニスを咥えたまま真の目を見て
顔を横に振った。
『言うこと聞かないと、環の中から外すよ。それでもいいの』
 そこまで言われて、従わない訳にはいかないことはわかったが、真林は駄々を捏ねた。

『んっ、ん、ん』
 鼻孔から噴きこぼれる息が真の下腹に掛かっていた。真は真林の二の腕を掴んで曳き
揚げた。ペニスの裏筋を舐めていた舌が行かないでと蠢いたが、ゆっくりと吐き出され、
唾液がとろっとこぼれた。
『んっあぁぁぁ、は、はあ』
 頤がじんじんして、また唾液があふれて、遼子の背に掛かった。
『真林を……、のせてあげて……やって』
 濡れた髪を頬におどろに纏わりつかせて、おま×こをしていますというおんな貌で
遼子は真に哀訴した。
『320』

『いいの、遼子。うえで真林と繋がっても』
 自分だってして欲しい。間を空けられてしまった膣は肉襞を虚しくひくつかせ、よだれを
垂らして遼子の内太腿をべとべとに濡らしていた。臀部も突き出すように、くいっ、くいっ、
と揺れる。――けものになっている。
『いっ、いいわ。してあげて……』
 真の目を見ると、貌を落として、また前を向いた。落とした頭で遼子は、けだものに
なっていると言葉にして、ペニスで得られなかった快美感に精神は酔っていた。

『はあ、はあ、はあ……。ごめんなさい』
 真林の頤は真ペニスを含んでいたことでじんじんして、また唾液があふれて
遼子の背に掛かった。遼子も下を向きながら唾液を吐き散らしていた。背に滴る
感覚に、瞑っていた瞼をひらいて、唇もひらいて喘いだ。
『あっ、あっ、あぁぁぁ』
 真が遼子の腰のうえで尻を振って、陰嚢を擦り付けている。
『真林、ボディソープを取っておいで』
 その真が、二の腕を掴んでいた手を緩ませ真林を促して放した。

『ごめんなさい……』
 泣いてぐずっている真林の気持ちを、背をぽんと真が叩いた。左手は遼子の
背に付いて躰を屈め。
『どうしたの、真林……。あんっ……!ああっ、ああ……』
 四つん這いになっていた遼子の太腿に触れていた真の足が、灼けるようだった肉棒が
今まであった場所に、その淡いに潜り込んで来てくれた。遼子の肩と頭ががくんと
崩れ落ち揺れた。
『まっ、真林、はやくううぅぅぅっ……』
 遼子は片肘だけをフロアについて、その手で動こうとしない真林の足頸を、がしっと掴んだ。
『ごめん……なさい……』
 真の手が泣いている真林の背から小さな尻に降りてくる。真の踵は遼子のまたペニスを
欲しがっているヴァギナを苛めていた。踵にはどろどろのねばっこい体液が塗布されている。
『321』

 真の股間は遼子の肌から離れ、急にセックスにためらいをみせた真林に顔を近づけ
(真林は遼子の背にあったペニスが宙に浮いて向かってくることに後じさりこそ
しなかったが、真の胸に手をあてて、わずかに拒んでいた。ほんとうは背に廻して
しがみつきたかった。真の股間に手をやってペニスを遼子みたく扱いてやりたかった)、
頤に唇をかぶせてやり、あめ玉を舐めるみたいにして、しゃぶった。ペニスを頬張って、
痺れていた真林を癒す母犬みたいにして。
『あ、あっ……』
 真の股間にしてあげたことを真林はされて、奉仕される感覚に真の肩近くの柔肉に
あてていた手をこわばらせた。ペニスを頬張るみたいに真の口は大きくひらいて頤の
尖りを含んで、頤のたるみで舌を蠢かす。柔らかい肉に爪を立てられたが、真は頤を
舐めまわしながら真林の波打っている腹部に手をあて陰阜に降りていった。

 真林の足頸を掴んでいた手は解かれ、真と真林の下で遼子はふたたび牝犬へと
戻っていった。ほかされる格好になってしまった遼子だったが、眠るように瞼を閉じると、
肩胛骨を翼のように浮き上がらせ頭をがくっと落としたまま、垂れるがままにしていた
唾液をゴクンと飲んで、大きく息を吐いた。

『んああっ、はっ、はっ、はあ』
 真の手が真林の稚い女性器を包み込んで声をあげた。湧き起こったセックスのためらいは、
遼子のつくる肉のテーブルで真に抱かれなければならないという真林の気持ちから来ていた。
真林の腰は退けたが、離れるほどではない。真の手のぬくもりが、ペニスを頬張っていた
火照りの残るセックスに疼きを呼び戻す。包み込んだやさしい上下への愛撫が真林の
肉欲を煽っていた。
 薄暗がりのダイニングテーブルの情交を再現されることの驚き。遼子を出しにして、
そのうえで交媾することへの抵抗だった。だから、遼子に足頸を突然握り締められた時、
怖くなってしまっていた。しかし、その慄きも快美とさして変わらないほどに、近しいもの
だったことを真林は知った。
『322』

 折り合いをつけようとしていたところに、ペニスを含んでいる時みたいにして真林は
頤を舐められた。
『やあっ……』
 真林の口からは、あいまいな間延びした拒絶の言葉が洩れたが、真は構わずに続け
細腰は顫える。真林は肩をつかまれ曳きよせられると、真の腰が動いて肉棒の硬さが
下腹と太腿に触れて来た。ちょうどその真下に遼子の頭があった。
 真林の女性器を包んでいた手は、ぽてっとした少女の愛らしい腹部に添えられて、
きゅっと収縮し、そっと圧されて陰核を擦りながら撫でまわされ、太腿の淡いに
滑り込んでくる。         『おにいちゃんと……したい』

 真林は真の手をもういかないでと太腿で挟み込んだが、もうはあはあと息を
吐いているだけで熱いものに包まれた。ペニスを抽送されて熱がまだ籠っている
秘所を真の手がすっぽりと覆って、アヌスの窄まりも圧されていたから。
 指で秘孔を掻きまわしてくれることを願ったら、擦られ(交媾で真林の秘孔は
ひらいていて、膣内を掻きまわそうと思えば簡単だったけれど、真はしなかった)、
心なしうえへと曳き揚げられ、『あっ、あっ、あ、あ』と躰をぶるぶると小刻みに振動させた。
擦るという所作がつづけられ『おま×こ、したい』と叫んで真林の太腿は痙攣した。

 部屋から繋がったままで尻を抱えられて、バスルームに連れて来られ、そして
はじめての遼子を交えてのセックスだった。 真林のはじまりは冬の夜。一方的な
されるだけのセックス。そして遼子と真とのセックスを見た真林。好きだから赦されることと、
自分のセックスを模索するように仕向けられて、ブリッジを描いて小さな尻をあけすけに
振りながら、真林はペニスを求めた。すがって歔きながら、してあげたいと、気持ちよく
されたいの精神とがごっちゃになって、真林の躰はとろとろになってしまった。
 遼子はフロアに付いていた手を淡いに持っていって、真の踵が去った後を自ら慰めて
背をしなわせる。そのまま尻をフロアに落としてしまいそうになったときだった。 
『323』

 交媾の刺戟と、腹部への圧迫。陰阜のあけすけな弄りはなかったものの、真の手の平で
女性器全体を覆われる感覚は躰を抱き締められているようで気持ちよかった。
『あっ、あっ、やあっ、あ』
しかも、その愛撫のぬくい感覚はひとところにいなくて、真林の没頭しようとする精神を撹乱し、
あいまいなものにさせていた。突然に強烈なインパクトは降って来る。
『んああぁあぁぁぁ……!』
 下腹を撫でまわされ、核を中指でいらわれ、擦られ叩かれていたかと思えば、滑らからに
動いていた手はぐぐっと女性器全体に潜り込んでアヌスも捉え、ぎゅっと掴んで強烈に
曳き揚げられた。やああっ、という真林の喚きは直ぐにかぶさって来た真の唇によって
塞がれてしまい、真の口腔に流し込む。真林は込み上げてきたものが何なのかを知った。

 それが……尿意だとわかってもがいた。真林は塞がれていた小さな唇を振り解こうと
瞼をひらいて貌を左右に烈しく動かしたが、後頭部を押さえつけられて身動きが取れないでいた。
それでも、まったくの制圧というわけには行かなかった。遼子が躰をフロアに横たえてしまい、
真林の変化に気がつかないままオナニーをつづけていた。
『んっ、う、ううっ』
 遼子が躰を強張らせ、真林は緩ませる。もっとも小さな真林の孔からは水流が迸った。
真林は躰をがくんがくんとさせ、意識を跳ばしてしまった。真林の足元から水流が、かりそめの
歓びに浸る遼子へと伝って来る。女性器を包んだ真の手の平には、まだ迸りをやめないで、
体重が圧し掛かってくる。

 四本の不自然な足の動きに遼子は顔を上げた。真の躰を剥がそうと肩に添えられていた
真林の手がだらりと垂れ下がった。
『なにをしたの!』
 倒れる躰を真に抱きとめられて恍惚としていた。なにも気にしなくていいというこわれた感じに、
羞恥心はあったけれど不思議と放尿してきもちいいと思った。でも、真林は歔いていた。
『きもちよくしてあげたんだよ』
 毒が底からガスとともにボコッボコッと湧いたような気がした。その毒に頤までも浸かっている遼子。
真から真林を奪うと、真林の様子を窺う。
『324』

今更だった。真林にこういうことをしてきたのだ。真も遼子も。真林の口周りは
真の体液で、てらてらと絖っている。ぐにゃっとなった真林は遼子に抱かれながら、
太腿の淡いからしていたシャ―アァァァッ!という音は消え弱々しく、ゆばりを
垂れ流すばかり。真林の手がうごいて、遼子の乳房にさわる。
『ママぁぁぁ』
 おかあさんとは発話しなかった、遼子の腕のなかで、脾腹に肋を浮かせて
昇降する薄い乳房の真林。頬に張りつく髪を取って。    『なに、真林』

 遼子はなんともないのとは訊けなかった。だいじょうぶとも。そうすれば、
瞳に張り掛けていた涙が、ぶわっと湧き起こって流れてしまいそうだった。
『真、湯を掛けてあげて』
 語気を荒げそうになる、一歩手前。小鼻が、耳のかたちが、真林の貌が、
その華奢な躰の肉つきが、真の情欲を煽っている。遼子の胸はいっぱいになる。
『ごめんなさい』
 額面通りの風呂場で粗相をしてしまったことを謝っているとは遼子には
受け取れなかった。(なにを謝りたいの……。ちゃんと教えて、真林)赫い唇が、
ひらいていた絖る小さな唇に触れ、喘いでつくる黒い闇を塞いで、おかえしに
遼子の頬に真林の手が掛かる。新たな闇をつくると知りつつも。

『シャワーでもいい』
『えっ?』
 真のことが気になっていなかったことに驚いていた。
『シャワーだよ、シ・ャ・ワー・あ、だよ』
 真は最後の単語を、語調を強めてひとつずつゆっくりと発話した。
『ええ……、たのむわ』
 ぐったりとなっている真林を抱いている遼子を置いて、真は洗い場の
カウンターへと歩いて行く。(あなた、真林のことが気にならないの)と、
目で後を追う遼子。それなりに、想ってはいるのだろう、真林を悦ばせてやりたくて。
『325』

フックからシャワーヘッドを取って、前屈みになって水栓をひらき手に水流をあて、
設定温度になるまでを観ている。
『ぬるいほうがいいんだよね』
真が躰を捻って訊く。遼子が追ったのは、結局は股間に揺れる勃起したペニスの行方。
『どうしたの』
 ヘッドからの水流の叩く音がする。
『なに……?』
『だから、ぬるいほうがいいんでしょって』

『ええ、設定温度のままでいいわ』
『先刻(さっき)からぼうっとしてるね』
 真が艶然とした笑みを送る。遼子は二回瞬きをして、唾液をコクリと飲んで、唇を
少しだけひらいて息を吐く。抱かれている真林が、乳房を揉んでくるのに頭を落とした。
遼子はそのままで、真に声を掛けた。
『ねえ』
 真林の腿を撫であげて、潤んでいる女性器を素通りして腰骨を通り乳房に触れる。
真林は遼子の手がそこを通ったときに躰をびくんと顫わせていた。

『なに?』
 真が訊く横で、真林がママと情欲に惚けた声を洩らす。
『真林を流してあげたら、もうあがりましょう』
『ダメだよ。先刻のつづきをしなくちゃ』
 真がヘッドを持ってふたりのところに腰を下ろす。真林の荒い息が遼子をせつなくさせた。
真は真林の膝から水流で洗い流して、じょじょにセックスに近づく。
『真林、きれいよ』
 失禁の羞恥をやわらげようと乳房をさわっていた手で赧らんでいる頬を撫で、真林の
躰に掛かるシャワーの水流が尿を洗い流していった。
145名無しさん@ピンキー:04/08/04 03:26
『超過激!!! ビーナスのボイン!!! 金籐珠紀 ブラ外しボイン娘 〜〜〜真珠の輝き 小柄美人・金藤珠紀ピチピチボイン ドスケベ外人 珠紀のボインにどっぴゅん!!!』

○総合評価 ☆☆☆☆☆




640 :名無しさん@ピンキー :04/07/29 03:33
○女優 金藤珠紀
美人度 ☆☆☆☆☆ 清純度 ☆☆☆☆☆ スタイル ☆☆☆☆ ボイン度
 ☆☆☆☆☆
ランジェリー ☆☆☆☆☆ 頑張り ☆☆☆☆☆


○外人男優 2人
スケベ度 ☆☆☆☆☆ キス ☆☆☆☆ ヘソ攻め ☆☆☆☆☆ 
ウエスト攻め ☆☆☆☆☆
レッグ攻め ☆☆☆☆☆ パンティーヒップ攻め ☆☆☆☆☆ 
生ヒップ攻め ☆☆☆☆☆ 
ブラボイン攻め ☆☆☆☆☆ 生ボイン揉み ☆☆☆☆☆ 生ボイン舐め
 ☆☆☆☆☆ 
ボイン発射 ☆☆☆☆☆ ザーメン飲み ☆☆☆☆ ボイン放尿 
☆☆☆☆☆

○ストーリー&評論
とにかくドスケベ!!!のひとこと。この世で一番の美人といっても過言で

はない超清純派プリンセス金藤珠紀のピチピチボディーを下品な中年外人
2人が思う存分なぶり回す。


『326』

『あっ……』
 太腿に近づいて、真は真林の小さな性器を意図的に外した。水流は真林の女の命へと
それでも触れてくる。あそこに欲しい。真の手が真林の右太腿に置かれ撫で擦る。水流は
太腿に置かれた手で変化して、新しい波が真林にやって来た。水ではない真の手による
直接的な愛撫。指を窄められては、指頭で柔らかい肉を圧されていって開き、掌で
やさしく撫でる感覚が真林の頭の中を霞み掛からせる。
『はっ、あっ』
 ピンキッシュなシフォンが包み込む。真林の胸元は、すでにそうなっていた。
『きれいよ、真林』
『ママ、ママぁぁ……』
 真の手が真林の太腿の内側に潜り込んで、付根の太い縫工筋のこわばりを捉え、
外側に向かって引っ張った。強引さは無かったが、真林の片脚は解剖されるみたいになって、
かくかくっと不自然に開いた。遼子はそれを観て生唾を呑んだ。真林は柔らかな肉の
粘膜が、外側に向かって拡がってしまう感覚に声を噴き上げた。

『あっ、あっ、ああっ。た、たすけて、ママ。ママ。パパぁ』
 しっかりと遼子の腕を握る手。
『真林』
 真は手を止め、遼子は躰を硬くした。初夜の忘れられない真の刻印。真との関係に
遼子がいて、怯えが呼び起され、真林をきれいにした。その痴態を観ていた真と遼子には
快楽に突然掛けられた冷水とまでは至らなかった。

『あっ。ああっ……。た、たすけて』
 かえって、真と遼子の躰を熱くして、真林への愛しさを募らせてしまう。
『真林、だいじょうぶ。大丈夫だからね。お兄ちゃんもママもいるから』
 真の指は窄んで開き撫で廻し、ゆっくりと窄んで離れる。水流は太腿の付根にあてられ、
真林の女性器には直接あてられず、拡散していって粗相をした秘所を撫でていった。
真の眼差しは真林の繊細な佇まいの情景を観るのに没頭していた。ペニスで真林の膣内を
乱暴に突き上げて破ってみたいという熱情を堪えていた。
『327』

『はっ、はっ、はっ……』
 遼子の唇が真林の瞼に口吻をした。
『瞼を閉じて真を感じてあげて』
『ママぁ……、あ、ああ』
『なに、真林』
 遼子に人形を愛でるように頬擦りされて、真林は悶えた。真は真林の性器を指の腹で
圧しながら、もうひとつの性器を求めて臀肉にもぐった。触れようとして、すんでに手を引く。
真林は触られそうな予感に揺さぶられて、腰をがくがくと慄かせていた。

『あっ、あっ、ああっ』
『だいじょうふ。だいじょうぶよ』
 遼子とは違う女性器。懐の深さ、色、形も違う。違うところもあれば、おなじ反応を
示しもした。真はふたりの女のものの間で、醜と美、淫欲と清楚な華に精神を揺さぶられ、
どちらの華がどうという感覚ではなく、ふたりに興奮してペニスは硬くなった。
 真林の性器にくらべれば、醜に近いのは遼子のヴァギナだ。おま×こという言葉に
いちばん相応しいと真は思った。聞きなれない言葉を遼子が口走った時、真の精神は
昂ぶった。ペニスはいつになくいきりたって、遼子を衝きあげた。言葉の力がこれほど
までに、躰に影響することを知った。しかし、真が母を感じるのは、紛れも無く懐の深い
遼子のおま×こだった。

 閉ざされた空間で、真は他の女性の躰はどうなっているのかという好奇心がもたげる。
真林に対しては、自分が母のような存在にもなれ、男として君臨して犯すこともできた。
それなのに、真林の中にも遼子と同じ母を感じもした。真は真林の膣内に自分を
開放させる度に、おんなを抱いて、抱かれて肉情を肥大化させていった。

 遼子といっしょにペットショップに行った時に見たくらげ。
『くらげは、死んじゃったら躰が融けちゃうの』
『ほんとなの』  『ええ、そうなのよ』
『……』  『どうしたの。こわいの。変なこと言って、ごめんなさいね』
『ううん。ちがうんだ』  『なにがかしら』
『328』

 ふわふわとして幻想的に泳いでいるブルーの水槽を眺めながら真は妙に納得して遼子の
話しを真面目に聞いていた。精を飛沫いて真林に躰を預ける時、水の中でなにもかもが
融けて無になるような記憶のかけらを真は手にする。遼子に還っていっても。
 真と遼子の息づかいが妖しく蕩け合い、真林の瞼を、その瞳を、耳朶を熱くする。躰は
じんじんして、喉はからからになっていた。湯舟の中で交媾をしているわけでもないのに
灼けるようだ。真林の無垢で、繊細な肉細工をシャワーの水流が、真の手によって
シャワーヘッドに強弱をつけて陰阜を撫で付ける。

 真林の何もかもをきれいに流していくわけではない。染み付いた真の欲望は、真林の
躰からは消えはしない。一部となって形成されていた。それでも稚い躰は、無垢な白から
赤味を射して、みだらに堕ちても、なにもなかったかのようにきれいになってゆく。真は
真林の肉溝を捲ってきれいなピンキッシュな膣内を見たくなった。

『ママ……』
 遼子に縋ろうとする眼差しと真林の甘い発話。遼子をママと呼ばなくなったのは、
真とは明らかに動機が違う。遼子は真林に寂しさを覚え、そのことにこだわっていた。
 真林と真との肉情を取り合うことに悩み、それはたぶんつもりだけだったのだろうと
今なら言えるけれど、遼子は破壊的なパワーを秘めた性愛の扉に立っていた。

 そんな気分になっていて、何をどう感じているのだろうと、遼子は抱き締めた真林の
貌を覗き込む。
『なに』
 なにも感じなくともいい。ただ空気のように、セックスの気持ちいいという部分だけを、
ひとつだけ取り出して、甘えて素肌に感じて馴染ませていればそれでいい。そんな諸々の
煩悶がおんなをきれいにしていって、そうなれば――。
『きもちいい……』
 そんなことを遼子は、真林と語りたいのだろうかと思った。真林の赧らんでいる貌に
近づくと、また感情が揺らいで瞳に涙が這ってしまい遼子の目頭は熱くなった。
『329』

『ママ』
 真林の掌が遼子を慰めるように触れてきた。真林を撫でていた掌は、頬から細い頸筋、
そして丸い華奢な肩、肉情の昂ぶりに白地に桜の花弁を散らして顫えている、薄い乳房にゆく。
桜の花弁が舞っているのは鎖骨中央の下。きれいに咲いていた。胸板の肋骨の波は
淡く染められ。
『真林、どうしたの』
 遼子もいっしょになっている。
『きもちいい。きもちいい……よ。ありがとう、ママ……』
『そう、よかった。これから真林を、もっとよくしてあげるわね』

『ママ。おもらしして、ごめんなさい』
 真林は微かに不安を交ぜた声を上げる。愛らしく躰を揺すった。
『……』
 愛らしいものを壊してみたくなる遼子の闇。
『ごめんなさい』
 叩いてみたい。真林の肉に歯をあてがって泣かせたい。

『いいの。いいのよ。真林は、なにも悪くはないわ。それに、お風呂だからきれいに
流せるでしょ。関係ないから』
『ママ、ママ』
『もっといってみて、真林』
 遼子の腕の中に、近親憎悪の対象である、稚い性が華開こうとしているのを観ていた。

『ママ、ママ、ママ……!』
 真の指が真林の下腹部で、繊細でシンプルな肉の縦溝を指頭でそっとなぞって、
真林の核にふれた。そして花びらを拡げられて、真林の華を咲かせる。
『あううっ』
『怖がらないで。怖がらなくてもいいからね、真林』
『330』

『あっ、あ、ごめんなさい』
『そっと撫でて、真』
『遼子も真林のところに降りて来てあげてよ』
 真の呼び掛けに、遼子の掌は真林の昇降を繰返す乳房から離れ、少女の性愛に
揺れている乳房があふれた。女のしなやかな白い指が窄まっていって、真のいる真林の
下腹部へと羽根を掃くようにやさしく這っていった。

『んああっ、ああっ』 
 真林は遼子の腕の中で跳ねた。真が女性器を弄り、遼子が肌を撫でている。遼子の
まろみのある乳房もよせられ、総身が熱くなって、真林は疼く秘孔を真の熱いペニスで
塞いでもらいたくなっていた。

 終らない。気を遣って終わったところで、次の快美への備えが、少女の中ではしたたかに
はじまっていて、またセックスの渇望が始まる。真林は痛みと羞恥からはじまった
おま×この根源を探ってみたいと思っていた。
『真林、かわいい。かわいい……わ』 
 真林の波打つ下腹で真の手は遼子と指だけでみだれて真林の上で吐息も絡ませて
セックスをしている。真は遼子に真林の秘園を空け渡した。性愛の鎖に縛られて躰を
揺さぶり、愛という言葉を借りて、肉が先走って快美感に躰を顫わせる。

『お兄ちゃん。なめて。なめて』
 真が見せた雑誌の中の美しい女性たちに嫉妬しながらも興奮を覚えた真林。雑誌を
開きながら、真に犯されていって、たまらなく昂ぶった。穢されているという感覚と、
真林は違うからという慰めに抱かれて、真の体重が真林を息苦しくさせると、少女の
唇からは歓喜の声を迸らせる。
『どこをなめてほしい』
 写真を観ながら、いろんなことをされて。
『331』

『どこでもいいから』
 おま×こして。こわれてもいいから。して、して、して。真林は真のペニスに
縋っていた。
『言わなきゃ、してあげないよ』
 真林の瞳は遼子を見てから真に向いていた。
『おっぱい。おっぱいしてほしい』
『おま×こは、いいのか』
『おっぱい。お兄ちゃん、おっぱいがいい』
 おま×こには、ママがいるもの、お兄ちゃん。だから、おっぱいがいい。真林の口腔は
唾液であふれかえり、発話してからゴクンと白い喉を鳴らして嚥下した。

『はあ、はあ、あ、あっ』
『真林、わたしもしてもいい』
 遼子は、何故わたしで、ママとは言えなかったのかと思った。
『して。ママにもしてほしいのっ』
 真林と真を奪い合って、共有するおんなになるから。でも。
『ママと真で、真林の可愛いおっぱい、ぺろぺろしてあげるからね』
『ほんとにそうなのか』
 真の手が真林の髪に伸びて引っ掴んだ。

『あうっ、うああっ!』
『真……!よして!よしてったら』
『真林、どうしてもらいたい』
『あっ、あ、いっ、いたい』
『よしなさい』
『どうなりたいんだ』
『お兄ちゃんに、おま×こなめなめしてほしい……。でも、でも……いたいっ!』
『真林、言え!』
『332』

『うああ……』
『もう、よして』
 遼子は真を睨んでいた。
『ほら』
『ママがいるから、ママにしてほしい』
『だってさ。遼子してよ』
 真林の掴んだ髪を離して頬を撫でた。真の唇が真林の痙攣する脾腹の右に降りると
顫える乳房を目指した。真林が唇を開くと、その上唇を遼子の唇はついばむように挟んで、
真林は鼻翼を拡げた。おしっこは出したのに、また尿意のような感覚がむずむずとして
真林に衝迫する。

『あっ、ああ……』
 遼子は二度三度真林の唇をついばんでから真林と吐息を絡ませて舌を差し出すと、
真林も応えて吸い合う。大きく開いた真林の口腔に、遼子はとろとろと唾液を流し込んだ。
コクリコクリと喉を鳴らす真林。下では遼子の指がくちゅくちゅと音を立て敏感な部分を擦り、
真の唇は真林の乳房の裾野を捉える。真林の瞳は涙が張って熱くなっていて、
バスルームの柔らかな光をぼんやりと眺めていた。

 真の無邪気な情によって真林は混乱しながらも、拡がる両太腿の淡いにはペニスではなく、
遼子の濡れて蒸れる女性器を少女は受け入れ躰を迫あげさせる。外側に開く絖る赫い
柔らかな肉。稚い粘膜に黒々とした陰毛も擦れ、羞恥と快美に揺さぶられて、新しい蜜を
真林と遼子は吐いて交ぜ合う。唇がどちらともなく開いて、何度も重ね合って。

 真の唇が真林の小さな乳首を吸うことはなく、遼子の尖った乳首が擦れ合った。真は
真林のセックスに貌を埋めるようにして腋窩に吸い付いていった。真はシャワーヘッドを
捨てて、夢中になって真林の薄い皮膚を吸う。
 遼子は真林に体重を掛けまいとしていることが、自分への快美を阻害していると知って、
真林を抱いて横臥した。
『333』 
 
 真林の腋窩を吸っていた真の貌は弾かれた。真林の背を向けられて真は躰を横たえると、
真林の背に密着させ、華奢な臀部のスリットに、疼いていた肉棒の腹を置く。真林の躰は
遼子のヴァギナと真のペニスでサンドイッチになっていた。
 真は真林のうなじに下唇を引っ掛けて舌先を這わせて耳朶を嬲って、遼子の蠢く臀を
曳き付けて撫で回し、中指を立てて遼子の臀肉の淡いを犯しに掛かった。遼子の
したことは結果的に真を助ける格好になった。
『ひいっ』
 遼子は真を受け入れようと、太腿を揚げて真林に掛けた。

 真林は込み上げる春情から、太腿を揚げて遼子の脚に脛を掛けようとしたのだが、
臀を犯されている遼子に先を越されて動きを殺される。動ける箇所がどこもなくなった。
下肢は性器で挟まれ、頭は遼子と真に好きなようにされていた。いろんな刺戟が
拘束された真林の躰に降り注いだ。蠢いていたのは喘ぐ胸と、もの欲しそうに蠕動する
肉襞だけ。

 さざ波かと思えば、突然の大波にもみくちゃにされる。ただされているだけで
気持ちよくなれたが、真林は自分が無くなりそうで怖くなった。ふたりのパーソナルを
一手に引き受けて笹舟は波に揺れる。華奢な躰は降り注ぐ刺戟に遂に悲鳴をあげ、
真林は遼子の唇を払って無茶苦茶に貌を振ってゆく。

『やああっ、やっ、やああ……』
 遼子の腕が下から入って暴れる真林の貌を抱き締める。
『死んじゃう。あっ、ああっ、死んじゃう……』
 母と娘は真にペニスを挿入されてはいないのに狂いそうになった。
『真林は、死んだりなんかしないわ。だから』 わたしの好きにさせて、真林。
『やっ、やっ。真林もしたい。したい、したいよ。おま×こ、おま×こ……』
『ママを受け入れて。おねがい、おねがいだから』
 遼子が真林の頬に口吻し、灼けるような男女の性器に少女は潰されて――。
『334』

『やだああぁぁぁ』
『どうして。注射しないと、もっとひどくなっちゃうかもしれないのよ』
『篠崎さん』  
『はい。いきましょう、真林』
『お注射きらい』

『ママのときよりもね、針は細くなっているの。だから、よそ事考えているうちにね、
ちょっぴりチクッとするだけなんだから。それで済んじゃうの』
『ほんと』
『ほんとよ。歯医者さんで、そうだったわ』
『腕にするの』
『えっ。お口の中よ』
『痛くないの』
『ええ、痛くないわ』  真林の小さな手が遼子と繋がって。
『いく』
 結局、病院の椅子に座ってから周囲の薬液の匂いが強烈に沁み、整然とした部屋の情景、
そして白衣の情報が、針の一瞬の痛みに負けて、ぐずっていた真林の中で弾けてしまった。

 硝子が割れるような感情の壊れた声を一気に真林は吐き出していた。それでも
足りなくて、思い出したように喉を搾っていって、擦れた声で真林は切れ切れに発話していた。
 そんな自分を、もうひとりの真林が観ていた。泣くことで恐怖は薄れ、遼子に甘えることもできた。
きもちよくなる、そして今もおなじ。真林の臀部はびくんと顫えた。

 ――真林は仰け反りながら、挿入こそないが、灼ける肉房を臀部で扱かれて白閃光に
包まれると大声を張り上げて泣いてしまっていた。
『うあああぁぁぁ……。うああっ、ああっ、あ、あ、ああ……』
 真林の臀部にあったペニスは滑っていって、陰嚢は真林の尾てい骨で潰れ、真の
ペニスはヴァギナを求めて痙攣する。真の手が真林の僅かに動く貌を掴んで、口に指を
くぐらせた。
『335』

 いきなり突っ込まれた二本の指に驚いて呻いた。瞼を開いて瞳を大きくして、真の
理不尽な行為に抗議の激情を指に伝える。真は指の抽送をやめて指の痛みを黙って
受け入れた。真林があきらめて顎の力を弛緩させると、真林の口腔では真の指が絖った
生き物のような舌をいじりだす。
 真林の歯が与える指の痛みなど関係ない。真は自分のセックス。気持ちいいをただ
無邪気に求めるだけだった。しかし、唾液をたっぷりと吸う真林の舌は掴まりにくく、
真は諦めると揃えられた人差し指と中指を鉤にして、口の端を掴んで少し乱暴にぐいっと
引き揚げたのだった。

『うああっ、あうっ、あっ、ごほっ、ごほ』
 唾液が流れ込んできて真林はむせると手を捻じ込んで抽送を繰り出す。
『んっ……!んんっ、ぐふっ、んぐっ』
『真、もっとやさしくしてあげて』
 真林の惨めそうなくぐもった声が遼子の胸に突き刺さってくる。

『どうして。僕は精神(こころ)を真林にぶつけて気持ちよくなっているんだよ』
『真林がこわれちゃうわ』
『遼子だっていっしょじゃないか。真林だって、気持ちいいんだよ』
『真林は子供よ』
 さっきまでは真林の腰に太腿を掛けて、脛を絡みつかせ腰を振っていた。真林は瞼を
ぎゅっと閉じて、眉間に縦皺をつくって重い呻きを鼻孔から噴き上げていた。

『おなじだろ』
 そう、真といっしょに堕ちて壊れたい。壊れているの。だからいっしょ。
『おなじ。おなじよ。でも、おねがい。やさしくしてあげて。おねがいだから』
『じゃあ、犬の続きやってくれる』
『ええ、なんでもするから。真林にやさしくしてあげて』
『遼子、ボディソープのボトル取ってきてよ』
『336』

 遼子の牝犬。真林にとっては、肉のテーブルとして戸惑ってしまい、取ろうと
しなかったボディソープのボトル。遼子は片肘を付きながら真林の躰から離れようと
すると真林は狂ったように四肢をばたつかせ、瞼をきつく閉じながら、獣になって、
うぅぅ、ううっ、と唸った。真の口腔を抽送する指にまた、真林は鋭く歯を立てた。
『どうしたの。早く取ってよ』
 真林の腹部に目をやって、すうっと陰阜までを遼子は撫でた。真林の腹部からは
快美感ともつかない、くすぐったさが走って収縮の応えがあった。真林の足の動きは
遼子からの贈り物とは知らず、腕を勢いよく蹴り上げて弾いてしまう。

『わかったわ』
『真林、暴れてないで遼子を見て。よく観るんだよ』
 真に羽交い締めにされ揺さぶられて、真林はようやく口を緩めた。指を抜くと、赤黒く
なった歯型がくっきりと印されていた。真はそんなことも気にも留めないで、真林の
赧らんでいる頬を二度三度と撫でてやる。小鼻を摘んでやれば楽に口を開いたのに、真は
そうしなかった。

『はあ、はあ、はあ……』
 真林の頤はあふれた唾液でてらてらに光っている。
『遼子は……、ママはどこにもいきゃしないよ』
 眼差しを遼子の動く脾腹と腰付きにやって、真は貌を落として真林にすりすり
頬擦りした。ふたりのやり取りが遼子の朱を刷いた耳朶に届いてくる。
『バススポンジを使って遼子の躰を泡立ててみせて』

 遼子は真林と真の視線を浴びながら、たまらなくなる気持ちをなんとか抑えて、
バスマットに両手を付いてのっそりと起き上がって、洗い場の黒いボードの
カウンターに行った。
『返事は、遼子』
『……はい。真、ごめんなさい』
『337』

 遼子は横貌だけをチラッと見せて発話した。風呂椅子には腰掛けずに爪先を立てて、
両膝をフロアに落として正座をしボトルを手にした。チラッと鏡に映った自分の貌と、
こちらを観ている真林と真の姿から逃げるように、透明な淡黄色の原液に眼を落とす。
『ありがとう、ママ』
『……えっ。今、なんていったの』
 遼子が躰を捻って、真に訊いてきた。

『なんでもない。なんでもないよ。ほら』
 真も躰を起して、シャワーヘッドを拾うと遼子に渡した。真のペニスは硬くなっていて、
威光を誇示するように空で揺れていた。遼子に水流を吐き続けるヘッドを手渡すと、
正座して両膝を開いて、真林の躰を股間の勃起に上げる。真林の薄い背には
欲しかった物のかたちが熱く触れてきた。

『お兄ちゃん……』
『落ち着いたか。なら、ママを見てあげて』
 両脇から真の両手が入って、真林の丸く華奢な両肩を更に引き揚げる。
『……あ。あっ』
 後ろから抱き締められる感覚に真林の中に官能と呼べるものがゆっくりと波紋を
描いてゆく。それは喪失することなく新たな波をつくっていた。

 真の怒張が真林の背に擦れて小さく歓びを上げる。真林は両脚を投げて、
あられもなく拡げ、ときおり内腿や腰をびくんびくんと痙攣させる。
 遼子は洗面器に湯を張って、リキッドソープを垂らして、軽く手で湯を掻き廻していた。
真林は遼子の女の所作を目の当たりにして羞恥にかられて、拡げていた太腿を
閉じようとした。
 その動きを真が見逃すわけもなく、真林の両乳房を覆っていた片方の手を波打つ腹部へと
下ろしに行く。
『338』

『んああっ』
 壁のフックに掛けられた、手より少し大きい黄色のスポンジを遼子は取る。洗面器に
浸して、ぎゅっと搾り石鹸水を吸わせてから引き揚げ、ボトルのノズル口にスポンジの
窪みを近づけヘッドを圧した。
 肉の予感に、遼子に向かって晒されていた真林の躰は跳ねあがる。真の五指の
頭だけが真林の腹部に置かれて、やわやわと揉み始める。強い力ではなかったのに、
ペニスで肉を抉られるみたいな慄きが真林の躰を走った。

『あっ、あっ、お兄ちゃん、ああ、あ、あ』
『遼子に見せてやりなよ』
『おっ、おま×こぉぉぉ……』
 真林は躰を揺すって、肉情にけぶる貌を捻って近づけてくる。
『遼子に、おま×こを見せるんだよ』
 真の手が真林のヴァギナを覆ってから、掌が内腿に張り付いて脚を拡げさせた。
『うああっ……』

『ひろげて』
『だめぇ……。だめ、だめっ』
 そうではなかった。羞恥に焙られながら、そうせざるを得ない状況を真林はどこかで
愉しんでいた。そして、その春情は遼子の躰にも伝播する。バスルームという小さな
世界の環の中に三人はいた。真を共有するおんな同士、真を奪い合って悶え。

『言うことを聴いて』
『いやあ、あっ、ああっ、やっ、やあぁぁぁ』
 間延びした少女の発話。拒みながらも両太腿は難なく開いていく。
『そうだよ。真林、もっと拡げてごらん。羞かしがったりしちゃだめだ』
『やっ、や、や……』
『かわいい、真林。かわいいよ』
『339』

 ぴゅっ、とノズルから吐き出されたリキッドソープをスポンジの中央の窪みに落すと、
遼子は瞼を閉じて頤を上げ、細く白い頸筋に持っていこうとした。
『遼子』  『なに、真』
 あてようとしていたスポンジを止め、務めて平静な貌を装って真を見た。
『真林にきれいな遼子のからだを見せてあげて』

 真は屈託の無い笑みを浮かべ遼子を促す。真林は惚けた貌で、窮屈そうに頤を曳いて
背を真に預け、両脚を投げ出して股間を拡げられていた。真林の躰が痙攣するのを遼子は
観てしまい、びっくりしたように瞬きをし、頤をくいっと一回曳いていた。
『しなくちゃ……いけないの』
『なにを羞かしがっているんだよ。遼子は白い牝犬になるんだよ』
『ああ……』
 真林の濡れた声と遼子のため息が重なり合った。そこに、シャワーヘッドから出る
水流の立てる音も交じる。それを裂いて――。

『いいから、さっさと立ってよ!』
 バスルームに響いた真の大声に遼子はびくんとした。真林は大きな等身大の少女
人形になって背から抱かれていて、ぶらぶらしていた手で真の膝や太腿の上を撫でていたのを
一瞬で凍えさせてしまう。
『……はい。わったわ』

 遼子は真林を抱く真の方にヌードを向けると右足を後方に引いて立ち上がった。
太腿も脛も顫えていたが、真は遼子の柔らかな脚の筋が動きでこわばるさまを食い入るように
観た。遼子は真と真林に向けて立つと、頸筋ではなく肉情に染まった桜色の胸元から
隠すみたいにして白い泡を纏っていった。
『もっとゆっくりだよ』
 真は前屈みになって、洗面器の傍に置かれたシャワーヘッドを拾った。真林の躰も
折れて小さく呻いていた。
『ううっ……』
二ヶ月の沈黙を破っての再開キタ━━━━━(゜∀゜)━━━━━━!! 


>『かわいい、真林。かわいいよ』
 すいません。ここ例のやつを思い出して笑ってしまいましたw
いつも、待っていてくれてどうもありがとうございます。
先に言うと、この後、変なことをさせます。引くかも。
それと、例のやつってなんでしょう。知りたい。
『340』

『ゆっくりだからね』
 真林の視線がいまどこにあるのか、遼子は気になっていた。もちろん遼子に
羞恥はあった。しかし、自分が洗い場の照明を背にして立っていることは
光の美の恩恵を得られやすくなり、幾ばくの勇気を遼子に与えていた。
 そう思っていたのも、真を競っての今抱かれている真林への意識からだったが。
真に怒鳴られて、無意識におんなのしたたかさが動き始めた。

 光りを背にしていれば、遼子の瞳も貌も輝かない。ましてや、バスルームの間接照明。
遼子はわざと躰を捻って真に横顔を見せながら照明を浴び、バススポンジで洗い始めた。
 裸身に纏うのは薄くはない、ふわっとした白い泡が素肌を隠し始める。遼子の股間には
おんなの黒々と濡れた草叢があった。だから向かい合って先に隠すものは乳房でもなく、
肉情に灼ける桜の胸元だったといえる。

『見て、真林。遼子、きれいだろう』
 水流をまた真林の拡げられた女性器に強弱を付けて掛け、左手では真林の乳房を
二度三度と軽く撫でつけ声を濡らした。
『あっ、ああ、ああっ』
 甲高くはない鼻掛かった甘い声。しかし、そこに泣き声が交じり、少女の声に微妙な
変化を付けていた。低くもなく、かといって高くもない。だのに、声は顫えて耳によく
届いていた。真林が自分の部屋で抱かれて、遼子がダイニングで待っていたときに
届いていた声。二階から貫かれながら降りて来たときの遼子の背後ろで噴き上げていた
真林のみだら。

 真と真林の戯れを眺め、遼子はひとり立たされて躰を擦る。ほつれ毛を頬に貼り付けた
情欲の顔を落として、桜の花弁を散らせた波を描く胸板から、指示に従ってゆっくりと
喘ぐ丸い肩へ。そして乳房に滑らせて行った。荒く波打つ腹部に及んで、遼子の瞳の中の
艶は極められる。
『341』

 真の鴇色のいきり立つペニスを受け入れる為の、おんながこゆいヴァギナを避けて。
捻りを加えたままで、左膝をやや遼子は落としながら臀部にスポンジをあててみた。
 馬のビロードのように艶ある短毛を労わるように、真林とは趣の異なる女が完成された、
まろみの美臀が揺れる。その上には、肩から腰に掛けてのなだらかで繊細な曲線が
描かれて照明に耀いている。

 光の力を借りてはいたが、遼子の素肌は真林にいささかも負けてはいない。そして、
水が撥ねて珠になって留まっていた水滴はつううっと流れ落ちた。
 真林が持つ骨と薄い皮膚の醸す儚さのあやうい春情。少女のみだらは真によって
否定されるものではなかったが、真林の皮下に滲ませる淡青色が肌に溶け込む、白くて
薄い皮膚の見映えとは異質なものとなっていた。ふたりの関係において真に女を
体現させるのは、遼子の程よい肉付きの、紛うことない耀く白雪の裸形があった。

 遼子の躰には捻りが加えられて、脾腹は肋骨をときおり浮かばせていた。おんなの
まろみの中から、ときおり浮かぶボーンが創造する遼子の裸身の表情。ほろびと
隣り合わせの美醜は、性愛に耽溺する真の精神に巧みに訴え掛ける。遼子の
手の動きは、肩胛骨でさえも濃やかに尖らせ――。
 
『ドン……』
 躰を洗いながら、いかに自分を魅せるかに没頭しだす遼子だった。すると真が、
ぼそぼそとなにやら呟いていることに遼子は気が付いた。妙な……。
『ドン、ドド……』
 ヌードダンサー紛いのことをしていた遼子は、耳障りで滑稽なリズムを、当初は
幻聴だと思った。これが済めば遼子は真を満足させる為に前で傅いて、
四つん這いになる。白い泡の毛並のみだらな牝犬になるのだから、これ以上の
まぬけなことがあるはずがないのだから。
『ドン。ドド、ドン』
『真……。ねえ……』
164160:04/08/16 22:29
>ドン。ドド、ドン

うう、これですか? 変なことって。 ことの予測がつきません。大期待!

>例のやつ

2ちゃん実況等で流行っている「○○かわいいよ○○」のことです。
○○にはアイドル等可愛い女の子の名前が入ります。
上記がデフォなのですが、変則バージョンで「かわいいよ○○かわいい」も
あるものですから、先のシーンではつい笑みがでてしまったという訳ですw
『342』

 囁く声がだんだんと大きくなる。どうやら太鼓の音を模していることがわかった。
だが、真の太鼓のリズムは遼子の躰には直接には響いては来ない。交媾の旋律とは
繋がらない。
『ドン。ドド、ドン!ドン。ドド、ドン!』

 真の現在の声質が、低音でないことがそれに起因した。しかし時間を掛ければ
離れていても、遼子は秘所を新たに潤わせる可能性は必ずしも皆無ではない。
 少しずつ囁くように、真は徐々に大きく声を上げているのだ。ただ、先に早く
感じていたとすれば、背を真に任せて耳元で囁かれ、旋律を肉体に刻まれる
真林のほうだった。

『ドン。ドド、ドン!ドン。ドド、ドン!』
『ねえ、真……』
『ドンドン!ドンドン!』
 真林も気づいて、真の声に違和感を覚えたものの、躰に何かを伝えてくる
サインであると知った。ペニスによるストロークを真林は真の震える声帯に、
ヴァギナにもしっかりと感じてしまっていた。
『うあ、う、ううっ、お兄ちゃん……。お兄……ちゃあん……』

 真林の腋窩が遼子の眼に晒され、手が後ろに廻されて真の躰を撫でようとする。
もうひとつの性器とも言えなくもない、真林の小さな唇が半開きになって、唾液を
あふれさせていた。真の手は、乳房から脾腹に移った。真林が愛撫に揺さぶられるのを
見て、遼子の中にさざ波が立つ。
『ドン。ドド、ドドドン!ドン。ドド、ドドドン!』
 遼子は太腿を開いて内腿から股間へとバススポンジを這わせた。女性器がばくばく
しているのか、動悸が烈しくなったのかわからない。内腿が痙攣し……、下腹はペニスを
焦がれて喘いでいる。
そうなんですか。知りませんでした。

語感があまりよくなくて、どうなんだろうと気になっていたものですから、
かなりドキッとしました。
どんな声音で発話していたのかを、もっと書き込むはずだったのを
忘れてしまっていたことも思い出したりで。
『343』

 もう遼子は見せるという感覚ではなく、あられもなく女性器を拡げて手早く泡を立てる。
裸踊り。遼子に浮かんだ真からのメッセージ。生唾をコクリと呑んだ。そしてキーワード。
欺かないで、せきららに開いたらいい、裸踊り。遼子の白い喉が鳴った。膝を曲げて、
爪先を立てる。太腱が張って、脛の柔らかな肉もこわばりをみせていた。

 爪先まで白い泡を立てて、真に裸体をちゃんと見せたかった。踵を下ろし前屈みになると、
腿の付根から膝小僧までを颯と擦ってから、遼子はバススポンジを湯が張っている
洗面器に向けて勢いよく投げつけた。
 バシャ、と大きな音を立てて、真林の真と戯れていた、挿入のないセックスは中断されて、
躰を緊張させ遼子を観た。真林の瞳にはアクティブな好ましい遼子がそこにいた。
『真、渡して。それをわたしに貸してちょうだい』
『ドン!ドドン!』
 真林の局所にあてがって、慰めの水を吐いていた黒い器官を遼子に差し出す。

『あっ……。いやあ』
 けれども、その快楽はまだ渡したくはなかった。小さな声をあげて真林は真の腕に
手を掛ける。もっと女性器のところで、下僕となった黒い蛇を、ずっとずっと
飼い馴らしていたい。むずかる真林は後頭部を真の胸に圧しつけると、それを支点として、
わるい獣にでも咬まれ、腫れたようになって膨らんでいる薄い乳房。その頂にある
ぷっくりとなった乳暈とを迫り出して、遼子に突き出した。

『おにいちゃん……。おにいちゃん……』
 真は真林の縋ろうとしている求めを無視した。
『お兄ちゃん』
『真林』
『ドン!ドドン!』
『ねえ、真林。もう次に』
『344』

『ドドンゴ、ドドンゴ、ドンドンドン!』   『つぎ……?』
 女性器のあいまいな刺戟。それでいて核(さね)には確実に届いてきて、両太腿を
緩慢にゆっさゆっさとしながら、真を向いて捻っていた真林の愉悦を遮られたおんなの
貌が遼子を向いた。真はふたりのやり取りを、勃起しながら乳房の縁をいらって静観する。
しかし、奇妙な太鼓の鼓動を叩くのは止めない。
『そうよ』
『ドドンゴ、ドドンゴ、ドンドンドン!』

 遼子と真林の胸には、ペニスへの期待と真が醸す声帯のセックス。おんなの花芯への
代謝を誘発しそうな気がする。遼子はいつまでも突っ立ったままで白い泡をただ
纏う気もない。高揚感も合わさって火処(ほと)となった。
『ドドンゴ、ドドンゴ、ドンドンドン!』
『次に往くの』
『ゆくの……、ママ』
 遼子は真から手渡されたシャワーヘッドをぎゅっと握り締め、真林の素肌に
掛からないように気を配りながら、水流の射出口を調節してジェットに切り換える。

『ドドン!ドドン!ドンドンドン!』
『次へ行きましょう。ママが犬になるから。真林の好きにしていいの。真林が
ママにさっきのお返しをして頂戴』
 真か真林を乗せるのなら馬といったほうがいいのかもしれなかった。それとも
子供たちは、真は真林を休ませないで、交媾に至るつもりなのかと、考えがもたげそうに
なるのを振り切って、遼子は真林の足下に頭を落としジェット水流をかぶった。

『ドドン!ドドン!ドンドンドン!』
 すぐに髪はたっぷりと芯まで水を吸って流れうなじをあらわにする。飛沫が真林の足に
掛かって指をくくっと外側に縮めた。真にとっては目の前で遼子の展開される裸身情景は、
飛び掛ってむしゃぶりつきたくなる連続だった。今はうなじの濡れる髪の生え際に欲情する。
その癒されないペニスの気持ちは、真林の薄い肉の背中がいちばんよく知っていた。
『345』

 遼子も真林も真がやりだしたことに、冷静に観れば笑いが込み上げるものだと見なす。
だが起きそうになったかというと、実際にはそうはならなかった。滑稽さの中には、
少なからず驚きがあった。目の前においしいものが出されれば、貪りたいと思うのが
常であり、先を歩こうとする真を追いかける。

 くつろげる十分な空間を持ったバスルームではあったが、寝室よりは確実に狭い密室。
湯舟からあがって、纏う殻は硝子戸を隔てたラバトリーのクローゼットにあったが、
淫欲を叶える為に此処にいる。全裸という無防備性がことさら誇張されていた。
 快楽と精神性がどこでどう繋がっているのかを探るようなゲームに、遼子と真林は
応えなければならなかった。その果肉に歯をあてるのは、ごく自然なことのように思えたなら。
遼子は髪にたっぷりと水を吸わせ終わると、前屈みだった背筋をしゃんと伸ばして、
銀色のフックにシャワーヘッドをがしっと嵌め込む。毛先は針になって、遼子の上気する頬を
スラッシュした。

 閨とおなじのがあるとしたら、ライトが間接照明になっていることだった。遼子が意図して
選んだもの。ときには手に握れるぐらいの、赤、青、緑の三原色から、どれかをひとつ
選んで、球体バスライトを湯舟に浮かべたりもして愉しむことができる。
 ある日はごちゃ混ぜにしたりして、ライトボールのカオスに任せて湯舟を波立たせもした。
ゆったりと真と肉欲に溺れることのできる空間を遼子はこさえた。――そのはずだった。

 寝室にゆくのなら、寝化粧はラバトリーの洗面化粧台ですればいい。バスルームで
するのは肉を愉しむことだけ。それが全てではないが、薄暗い橙の灯りが性愛のセンスを
研ぎ澄ませる前哨から、遼子の精神をなおいっそうにメインディッシュへと誘った。
 真を先に寝室にやり、遼子はあやかしになる準備をする。薄化粧とはいえ、真が匂いを
嫌うのは知っていた。アイライナーをややきつめに引いて、鼻梁にもすうっと刷いて
顔立ちを決める。遼子の睫毛は長く、ライナーだけで凛とした。あとは、ブラシで眉毛と
睫毛を整えた。
『346』

 その睫毛の長さは真林にも受け継がれていた。涼しい目元に、長くたくわえた睫毛は
少女に日本的な愁いを努力もせずに授かり。真林が感性を磨いて羽ばたくのは、
まだ先のことだけれど。

 ルージュは薄めのカラーを選ぶ。なぜなら、唇は粘膜が外に捲れた、血管が通った
赤だから。もうひとつの女性器。セックスの高揚感で、真に赫い唇と、きっと見せて
くれるはずだから。
 化粧直しをした遼子は、真が待つ部屋に行く。素肌にガウンではなく、モスグリーンの
透けたシフォンのカシュクールだけを羽織って牝猫になった。化粧の匂いの嫌悪は、
寝室に忍んでいって、寝そべる真の勃起を確かめれば赦される。

 そのプロセスは、真林が加わって適応されにくくなった。真林のいる異質な空間で
精神と気が歪み、此処にいることで、いつになく肉をほしくなっているのがわかる。
どうしようもないくらいに。その内なる変化は真林にも……。

 真の熱くなっているペニスを、皮膚感覚としては鈍感な背中で受けている真林。
遼子の肉は真の欲望を受容でき、快感を深めていくことができた。それは、遼子の
閨に放つ声の変化で真林に容易に驚きとため息といっしょに想像できた。
 少女は快楽を感じていても、自分を思うように表現しているというより、肉による
快美感のあまりもの強さに泣かされている感覚のほうが遥かに強い。一生懸命、
真に躰を開いてみても、こわれてしまうという印象が必ずどこかにあって、それが
拭えなく、真林は開放されない。遼子になりたいと思っていても、真林の中に
怯えのあるセックスは、遼子の持つ肉の歓びにはなれないでいた。

 真とは以前にもバスルームで交わったことのあった真林だが、能動的なのはやはり
遼子のほうだ。それに、真のはあのときとは違う、時間を掛けて逞しくなったペニス。
快感に慣らされた真。遼子に馴染む、深き肉の歓びを与える男根。遼子が真の背中を
押して、遼子と――真林のものになる。真の口から唾液があふれて、真林の肩を濡らし
鎖骨の窪みに溜まっていた。
『347』

 遼子はフックにシャワーヘッドを掛けたまま、右手を離さないでいた。薄く開いた
唇からは、透き通った白い前歯がこぼれる。両脛が絡みつくように動いて、踵をあげて
遼子はかるくステップを踏む。
 真林と真にやや背を向けていた遼子は、腕をゆっくりと腕を伸ばして、躰をくるっと
廻し二人に裸身を晒した。白い泡立ちが流れ始めていた。細い遼子の二の腕が伸びていて、
肩から滑り降りたこわばった大円筋は、遼子の乳房の縁のまろみの線ときれいに繋がった。

 真の瞳には遼子が映っているだけで血走って、臀を振り立てて遼子とセックスを
している気分になった。こわばりの先っぽからは、ぬるぬるの雫が唾液をあふれ
させたようにとろりと出てしまう瞬間を真は知覚した。
『ドドン、ドドン……』
 遼子はほっそりとした頤を突き出して真と真林を見下ろし、まばらに、髪を水で固めた
房を針にして張り付かせる、凄艶な貌をふたたび落として左右に揺さぶった。
凍えていた髪たちが躍動し、真林と真の裸に水飛沫が飛び散った。

『あ……』
 真林は小さく驚きの声をあげてしまった。
『ドドン、ドドン……。ザン!ザン!ザン!』
 真に抱かれていた真林が眼を丸くした。遼子が真のリズムに加わって発話していた。
『なに、ザンって……』
 真林は置いて行かれた焦りからか、無意識に反撥して口を開いていた。

『ドドンゴ、ドドンゴ。ドン!ドン!ドン!』
 訊いてくる真林を真は無視したつもりはない。
『おにいちゃん……』
 遼子の肢体から真林の瞳に落す。太鼓の鼓動は止めない。真と遼子の声とが合わさって
妖しさといかがわしさは一段と増し昂揚した。真林は苛立って、真の勃起を背で揺さぶり扱いた。
華奢な臀部を上擦り、強く訴えた。真の手が真林の乳房から離れ、両の掌で挟むように愛撫して。
真林の側面、腰の括れから脾腹までを上下していた。
『348』

 愛撫する真の掌は、腰骨に掛かったところで、親指の頭が両太腿の付け根のやや上の
下腹の肉を強く捉えて真林を呻かせた。真にアプローチしたはずだった真林が、次第に
コントロールされ躰を揺り動かしていた。     『んあっ、あっ、あっ、あ……』
 羽で刷くみたいに乳房にふれられていたのが、ここかしこで展開しだして身悶える。

 真の表情で、真林の背にある慣れ親しんだエレクトしたペニスを幻視する遼子の渇望。
真林はたいせつに扱われることでおんなが開花してゆくことだろう。愛する主に傅いて
捧げられるセックスがまだまだ真林には備わっている。稚く、愛らしく、儚げで……、
遼子に嫉妬の言葉があとから湧いてきて続いた――。

 感情としては、あからさまなものではなかったけれど、真林の華奢な躰を観ていた
遼子の瞳の色は心なし曇る。それを払うように遼子は左右に揺さぶっていた頭に喝を
入れ、ハッ!と大声を張って天井に振り上げた。両腕を胸元で交叉し、二の腕で乳房を
寄せ両手で頬を包む。
 頤を突きあげて天井を見ている遼子は包んでいた両手を頭上に高く掲げ、手を反転させて
握り締めた。遼子の腋窩が晒され喘ぐ乳房は縦に伸びきって、いつもとは違うかたちを
真に見せた。

 腰は妖しく、くなくなと軟体動物のようになり臍の縦の窪みが蠢く。真林の背後ろの
ペニスを誘っている。真林も負けじと、躰を烈しく揺すって、真のペニスを扱いて
挑発した。遼子の下腹の、濡れた黒々とした草叢も太鼓のリズムとともに突き出され
烈しく揺れた。真林の濡れた声に、真が口ずさむリズムが途切れて、呻く声が被った。

 さっきまでは組み敷いて、女性器を擦り合って真林をのたうたせていた。真を知ろうとする
少女のからだを確かめたことが遼子に変化をもたらしていた。遼子は真に手ほどきをする
立場にあって、真林の捧げる性からはかけ離れ、この歓びは大きく欠落している。
そのセックスはしたくとも、遼子に永遠にできるものではなかった。
 しかし、セックスは精神が支える複雑で硝子細工のようなもの。精神が多くを占めるといえば
そうならないで、快美感に躰が暴走してしまうこともある。
『349』

 嫉妬から交わっていなかった精神が、声帯の振動を介して女性器は攪拌されだしていた。
時が隔てていた異質ともいえる春情はかりそめに蕩けはじめる。おなじ場所で一時の快楽に
躰をどっぷりと浸してペニスを求めることだけに。
 ただ単純に、遼子が産み落とした肉たちが妖しく絡み合って、原型をとどめない体液の
原初のスープにでもなれたなら、次の時空に簡単に飛べるのに。
 そうと思っても、土台無理なことと遼子はおんなの経験からどこかで気づいている。
その戒めがどれほど肉への執着を生むかという事情を遼子は無意識に認識しつつ、
危うい関係に足を踏み込んでいって、甘美に三人のパーソナルがぶつかりだしていった。

 握り締めていた両手を離した遼子は円を描いて両膝に付いた。腰は落として両太腿は
拡げられていった。自分でリズムを吐きながら、膝を閉じて腕を交差して、そして開いてゆく。
 また腕の交差を直してと、それを何度も繰返して遼子は加速した。頭を狂ったように
振り立てて、真に馬乗りになって、水をたっぷりと含んだ髪を舞わせ、肉を貪る愉悦に浸る
凄艶な鬼女の貌をぐんっと曝け出す。
 真と真林の呻きが蕩けそうになったその時、真林は真に両肩を鷲掴まれていた。
真林の揺さぶりは、真の爪が薄い皮膚に食い込んできて緩まっていた。

「はっ、はっ、はあっ、いっ、いた、いたい……!」
「真林、退いてくれないか」   「いやあ。そんなの、いやあ!いやあっ!」
 真林は真に掴まれている痛みを無視して、背中のペニスを扱き始めた。真は顔を落として
真林の頸筋に吸血鬼のように歯をあてがった。遠慮の無い歯の力に、真林は「ぎゃっ!」と
大声を上げていた。恍惚状態に陥っていた遼子も、真林の悲鳴に躰を硬直させ、
踊りを止めていた。

「真……、やめて」
「いたい。いたいよう……」
 真林の先細る声に、痛みを受容しようとしているように聞こえた。遼子は落としていた腰を完全に
下ろそうという所作にでる。真から真林を剥そうとして。
「きたりしちゃダメだよ、遼子。しゃがんだりするな!」
『350』

『いたい、いたい……。おにいちゃん、ごめんなさい……』
『真林が言う通りにしないからだ』
『ごめんなさい、ごめんなさい……』
 真が咬んだ痕を舌でぺろぺろと舐めてやっている。真林はそれを受け入れる余裕も
なくて、おにいちゃん、おにいちゃんと何度も言いながら躰を捻って合わせようとする。
それを観せられていた遼子の花芯はズキンと疼いた。蜜もとろりとあふれ出して。

 真林は傷痕を真の舌で舐められるたびに鎖骨の窪みと頸の筋を張って、女体の彫りを
深くさせていた。
『もうわかったから。だから、退いてくれるか』
『……はい。お兄ちゃん』
『真林を置いていったりなんかはしないから』
 顔を捻ってくる真林の唇に真はそっと重ねた。真林は離れるのが哀しくて、顔を軽く
揺さぶって擦り続けた。二人だけなら、離れた後も僅かな距離で吐息のさざ波を感じ合って
いられるのに。でも真には逆らえない。嫌われたくない真林だった。

 真林が真の胸に手を添えて昇るようにして唇を寄せてくるのに応え、真林の後頭部を
掴んで真も擦り付けていった。真林の口腔に蕩けるような舌の熱い感触は押し入っては来ない。
来ないから、舌と舌が吸い合って、――縺れ絡むことも無かった。
『納得したか』
『ごめんなさい』

 遼子は真と真林の睦見合いを立ち竦んで観せられていた。小さく唾液を飲んで、瞼を
閉じていた。あまりにも二人は眩しすぎた。真林は真から躰をゆっくりと離して、正座を
斜め横に崩した格好で、床に両手を付きながら退いた。遼子は瞼を開いたら、
真に嫌われないように、彼が望んだ通りの牝犬になろうと決めていた。
『遼子。遼子。ねえ、遼子ったら!』
『は、はい……』
『351』

『おいで、遼子』
 たとえ真林に奪われ、どう真に扱われようとも後悔はするまいと思って、やさしい
呼び掛けに応え瞼を開いた。しかし、遼子に飛び込んできたのは、真の姿態。
『おいでって……』
『僕が犬になるよ。好きにしていいから』     『好きにって……』
『いじめてもいいから、思うようにしてよ』
『わたしは、真に気持ちよくなってもらいたくて……』

『おま×こは、自分が最初に気持ちよくなるんだって、遼子は言ったじゃないか』
『そう。そうね……』
『僕もそれが気持ちいいんだから、いっしょだろ』
 自分が気持ちいいということをパートナーに伝える。与え合って奪って。
『お兄ちゃん』
 真林は真から退いたポーズのまま不安そうにしていた。気持ちも人魚になっていた。
真がなにかをする度に、ぶつかる精神と退こうとする気持ちが遼子と真林の間で交錯し
明滅する。

 遼子は四つん這いになっている真に飛び掛って、仰向けにして跨って垂直にペニスを
濡れ濡れのヴァギナに頬張りたい。だが真林がいた手前、その衝迫を必死に堪えた。
ここは、最初そんな感情を抑圧する場所じゃないのに、なかったのに。危険なゲームを
するみたいに危うい現在に緊張する。それに、そんな衝動はゲームの主(マスター)の
望む意志ではない。

『遼子、おいで』
 真は軽い笑い声を上げた。嘲笑するものではなく、遼子を包み込むものだった。遼子は
今度こそ背を屈めていって真を跨いだ。乳房が紡錘をかたどり、脾腹に波が描かれる。
 遼子の掌が真の肩胛骨に降りていった。遼子は踵を浮かせて足頸の腱をシャープに張る。
『なにしてるの』
 一向に任せてこない遼子に、真が後ろを向いてきた。
『352』

『でも……』      『いつまでも、そうしていられないだろ』
 遼子の太腿の付根近くの内側、外側も、そして脛の肉もこわばりを見せ震えている。
真の肩胛骨に両手を付いていた遼子は臀をそっと下ろした。
『ごめんなさい、真……』
『おにいちゃん、お馬さん……みたい』
『ああ、そうだね。真林』

『いいのね、真……』
『いいよ』
『真、ちがうのよ……』
『なにが?』
『真を真林といっしょに好きにしてもってこと……なの』
 真林は遼子の喋ったことにハッとして真に跨って貌を落としている遼子の横顔を見た。
うれしかったが、その精神までは、真林は観れない。わからない。
『して。ママ。僕を好きにしていいんだよ、遼子』

『悪いからってことなのかしら……』
『悪い?なにが』
『わたしや真林にしたことの償いなの……?だったなら……』
『そんなのはいらないの?』
 真に言われて、遼子に数瞬の間ができあがった。真林も遼子の貌を窺っている。
『わからない。わからないの……よ。ほんとに、わからなくなっちゃった』
『遼子が踊っているのを観ていたら、僕がしてもらいたくなったんだ。いいだろ、それでさ』

『わたし、ほんき……。本気になるわよ。それでもいいの?』
『遼子、気持ちよくなってよ』
『なるわ。なってあげるから。……真林』
『はい、お母さん』
『ママでもいいのよ。ううん、真林の好きなように呼んで』  『……ママ。ママ』
『353』

 人魚のように両手を付いて、両脚を横に崩していた真林の躰。遼子の言葉が
電流のようになって駆け抜けていった。
『真林。少しだけ、待っていてね。ごめんなさいね』     『ママ……?』
 遼子は真林を見て洗面器に投げたバススポンジを、馬を走らせ拾い上げるみたいにして、
躰を捻って取ると真の肩胛骨に乗せた。たっぷりと石鹸水を吸っていたスポンジは
びしゃっと音を立てた。

 馬になった真に騎乗した遼子は、泡まみれの股間を真の腰に擦り付ける。くいっくいっと動かし、
発情した牝猫になり臀部を揺すっていた。貌はしっかりと真林を見て、徐々に瞼を閉じて、
眉を吊り上げ縦皺を薄く刻んで唇を開いた。遼子の股間に塗り込められた、クリーム状の
肌理の細かな泡。ぬるぬるの愛液も真の躰に遼子は情といっしょに摺り込んでゆく。

『ねっ、ねぇ、真……。重くない?重くないのね』
 感極まって、遼子は交媾の時みたいに、両太腿の内側で真の胴を締め付ける。
『あっ、ううっ、きっ、気持ちいいよ。遼子のいやらしいまん毛がジョリジョリする。
しているんだよ!』
 真は頭を落として喘ぎ始める。遼子の喘ぎも重なり出して。
『そ、そんなこと言わないで』
 真林は遼子の痴態を眺めながら、真の硬く勃起して、遼子によってゆっさゆっさと
揺れる男性器を観た。そのかたちは今にも真林に突き入って、抉られそうな角度に
反り返っている。

『遼子は、僕のチンポを食べた、いやらしい、おま×こを拡げて、僕に跨って
擦っているんじゃないか。そうだろっ!』
『そう、そうよ……真!そうなのよっ!』
『ほら、みろ』
『わたしは大きく股をおっぴろげて、息子の背中でおま×こ擦って、オナってるの!』
 頤を衝きあげて遼子は獣になって泣き声交じりで叫んだ。真の肩胛骨に当てていた
バススポンジをぎゅっと握り締め、真の躰に石鹸水がたらりと流れる。
『354』

『んっ、はあ、はあ……。どう、これで……満足なんでしょう……』
遼子は頭を落として真の逞しくなった肩を見詰めた。真の肩胛骨に付いた遼子の両の
掌に体重が圧し掛かってくる。
『もっと』
『これで……』
『もっと、みだらになってよ』

躰の奥がズキンとした。遼子は頸を縮め竦めるようにして、肩を自分の内側に寄せた。
小さな縦の窪みの下、腹部のまろみを迫り出し、臀部を振ってゆっくり下げ、また戻して。
真の腰から臀までの距離。じりじり詰めて、ぎりぎりに滑って降りてゆく。
『はあ、はあ、あっ、あっ、こう、こうなの……。ねぇ、真……、真』
両腕をやや折って背を丸めると、すううっと腰を曳き付け、真に騎乗する遼子は伸びをした。
逸らした躰に翼の骨が生え、臀裂の上には背骨の縦の翳り。臀の柔らかい肉がきゅっと
引き締って、遼子の軸骨がはっきりと浮いてくる。

『もっと、もっとして!ママ!』
『ああっ、ああっ』
 遼子の頬に、ずぶ濡れになって束になった黒髪が、太い蛇になって貼り付いていた。
遼子は真の上でも白い蛇になって、没頭し臀を前後に揺り動かしていた。遼子の躰。
乳房の柔らかな膨らみ。肩から腰に掛けてのせつなく繊細な線に、おんなの成熟した
臀の曲線へと繋がる。

 真林は薄暗がりのリビングで観ていた交媾のときよりも、目の前の展開に興奮していた。
真と遼子の痴態の間近にいるということもあったが、遼子の躰が描き出す絵と線に固唾を呑む。
真林の羨望は後からやってきて、微かな痛みとなっていた。肉情の顫えは快美であっても、
あまりにも刺戟的だった。
 溺れたい。もっと、溺れていたい。もっと。もっと……。遼子が後方に臀部を突き出すと、
太腿の上の線が――繋がって、今は下になっていて腰骨を越えていって、なだらかな
アーチを描いた。
『355』

 その腰のラインも遼子の陰阜の摩擦で、白いドレープ掛かるシフォンスカートが
やさしい風を孕んだように泡立っている。ふるふると肉情に躍る遼子にしゃぼんは
揺さぶられた。
『あっ……、あ……。重くは……ないの。……ないのねっ。そうなのね、真ッ!』
 遼子は頤を上げたとき、眉をしなわせ切れ長になった眼差しで真林の肢体を見詰める。
母と娘の下腹は共鳴しあい、痙攣するように波打っていた。遼子の中に一瞬の緊張感が
湧き起こっていた。

 人魚の格好で座っている美少女は左手を胸にやり撫で擦って、徐々に手頸を浮かせ、
脾腹に付かせていた肘を離して異形となり、尖らした肘を前にやり。波打つ腹部から
下腹に、五本の指先だけで烈しく撫で廻していた。
 そして右の乳房を、もう一方の手できつく搾った。真林は、少し折って横に崩していた
両脚をすっと曳いて、臀部を床に落とす崩した正座になり、もう一方の手で拡げた秘所にさわる。

『重くなんかないって!』
 惚けた瞳の真林から遼子は貌を逸らした。
『うそ。うそよ!』             
『うそじゃない』
『……いいのね。いいのねっ!』
『いいよ。いいから。して、して!していいよ!』  
『だったら、こうしてあげる。こうして!こうして!』

 躰をぐぐっと倒した遼子は乳房を真の背に乗せた。いびつになって、脇からあふれる
白く柔らかな肉。あの勃起した乳首を圧しつけ。
 真林のだらしなく開いていた口からは、後から後から湧き出る情欲の証しの唾液を
たらっと滴り落す。下唇はぬらっとして耀き、頤にまでそれは及んだ。真に精液を
飛沫かれたときみたくなっていた。みだらでいて、憐憫を誘う真林の貌だった。
『356』

『重いわよね』
 遼子は真の胸に手を廻して、真林になって真の胸を撫で廻し、次第に爪を立てていた。
『いいかげんに……』
『なに、真。やっぱり重いのね』
 遼子の唇は笑みで微かに歪みはじめる。バススポンジを擦りにいく。
『真、重いんでしょう』
 真の頸に、黄色の遼子の手にさえあまる大きさのバススポンジをあてがい、頭を落として
うな垂れている真の頤を遼子は無理やりに引き揚げた。

『ううっ』
 遼子の食い込んでいる爪が窄められ中心が熱く痛くなった。             
『ねぇ、どうなのかしら?』
『重くなんか』
『うそ、おっしゃい』
『おっ、重くなんか、ないっ!』
『重いって言いなさいっ!だったら、こうしてあげるわ!』

 遼子は真の胸を鷲掴んでいた手にバススポンジを持ち替えて洗いながら、真の頸筋から
頤を掌で嬲り直す。そして右脚を後方に伸ばすと踵を跳ねさせて、真の股間にぶら下る
肉棒の勃起を小突き始めた。
『あっ、ああっ、あ、あうっ』
『ほら、ほーら。後ろを向いて足の指で根本を締めてあげようかしら』

『あっ、ああっ……』
 声をあげたのは真林だった。真の声も被っていて、バスルームは以前の空気を
取り戻した。
『……うぁぁぁ』
『どうなの!返事なさい、真!』
 遼子は真のペニスを蹴った。復讐ぎりぎりの、性愛の戯れに遼子は溺れる。
『357』

『うあっ、うああっ!』        『重いでしょ、真!つぶれちゃうわよ!』
『つぶれたりなんか、つぶれたりなんかぁぁぁ……するもんかあっ!』
『えらいわ。真は男の子だものね。真林、来て!真のおしりのとこに来てぇっ!』
 人魚姫だった真林は、遼子に呼ばれるまでもなく、既に牝犬の格好になっていて、
真の臀部に擦り寄って来ようと構えていた。

『いい娘よ、真林。はやく真を楽にしてあげて』
 遼子は躰を前倒したままで、右手を伸ばして洗い場の黒いカウンターに置かれている、
コップに入った歯ブラシを取った。白い地の色にグリップにブルーのラバーがあるもの。
滑り止めとして、小さいがイボイボがあった。
『真、これをあなたのおしりに入れてあげるから。あなたのだものね』
 真は湯舟に浸かりながら、歯をみがく習慣があった。ゆっくりと時間を掛け丁寧に
やれるから、と遼子に説明する。

『お、おしりに入れるの……』    『そうよ。真に罰をあげるわね』
『罰……』    『だって、歯ブラシがここにあるってことは、今朝は磨いてないのでしょう?』
『マウスウォッシュで……漱いだよ』
 遼子はグリップのほうでなく、ブラシの毛のほうをアヌスに挿入するつもりだと真には見えた。
『磨いてないのね!そうなんでしょう!ちゃんと、答えなさい!』
 遼子の怒鳴り声に、真の臀部に近づいた真林は一瞬びくんととしたが、真のペニスが遼子の
声に反応して烈しく揺れるのにも驚いていた。

『みっ、みがいてなかった……。ごめんなさい。ごめんなさい……』
『あらあら、泣かなくてもいいのに。でも、やっぱり素直がいちばんよ、真。最初は
わたしがするわ』
『……やっ、しないで』
『そのあとで真林がするの。ぐりっ、ぐりぐりって、いっぱい、してあげるから。
どう、いい考えだと思うでしょう』
 いっぱいという発話に、遼子の気持ちの溜めがあった。真を怯えさせたる為のギミックが。
『358』

『やっ、やめてよ。おしりなんか……。僕の裂けちゃうよ』
『とても、気持ちよくなって、真のチンポは、びんびんになるの。いいじゃない』
『やっ、やだあぁぁぁ……』  『あら、なんでもしていいっていったじゃないの』
『いっ、言ったけど、それだけはやめてよ。やめて、指でして。指でしてください。
指でっ!おねがい!』

『ばかね。ブラシなんか入れたりしないから、安心なさい』
『ああ……』
 遼子のしゃぼんに塗れた手が、真の髪を無造作に掻いた。真は髪をくしゃくしゃにした
前髪の隙間から、縋りつく眼差しを遼子に向けていた。
『毛のほうなんか、入れないから。そんなことしたら、真の躰に傷がついちゃうもの』
『……ありがとう』
 遼子は真の貌に頬擦りして、ブラシのナイロンの毛ほうで、真の頤を上げさせる。
『ああっ……』

『握りのほうを入れるから、真は舐めるの。チンポをしゃぶるみたいにして。いいわね。
観ていてあげるから。わたしに真の貌を見せて頂戴ね』
『わっ、わかったよ。遼子……』
『いい子。真。まっていてね』
 遼子は歯ブラシを回転させて、グリップを真の口に持っていった。
『あっ、あ、あ……』

 真が口を開いて呻いた。それは真林が真の臀部に頬擦りをして、左手は真の躰を弄り、
空いた手で遼子の踵とペニスの取り合いをしていた。真林の手が肉棒を握ろうとすると、
遼子の踵が蹴り上げ真林の手ごと弾く。
 それによって真林は真のペニスを後方に引っ張って、呻き声を聞いてパッと手を離す。
もういちど握ろうとして真林が伸ばすと、直接踵で弾かれた。仕方なく真林は真の陰嚢を
手で包んでやわやわと揉む。少しだけ真林は、むっとした表情をして。でも、今は仕方がないと
真林は思っていた。真は遼子を選んだのだから。
『359』

『んっ、ん、ん……』
歯ブラシのグリップを真は咥えさせられ、遼子から抽送を受けていた。
『もう、それぐらいでいいわ』
 遼子がバススポンジを潰して真の躰から滑り落ちないように、注意しながら上体を
起こす。右脚を折って真の臀部のほうをくるっと跨ぎ直して真林を向いた。真林は真の
陰嚢をしゃぶってペニスを扱くのに没頭していた。真林は興奮に身を任せてしまい、
ときおり強く真を握り締めた。

 遼子の躰は、真の呻きとともに、ぐらっと揺らいだ。
『真……!』
 遼子の臀部と両脚の肉がこわばって、白く柔らかな肉に、縦の薄い翳りがすううっと入る。
真は両腕を顫わせながら、なんとか持ち堪えていた。
『真……たら』
『なっ、なんでもないよ。いいから、続けて……、遼子。続けていいよ』
『わかったわ……』
 臀部をゆっくりと背に下ろし肉の緊張を解いて真に体重を預けた。
『真林。ねえ、真林』
『なに、お母さん』

『これを真のおしりに刺すから、そのあとは真林がしてあげてね』
『わたしがするの』
『そうよ。真林が真を悦ばせてあげるの。もっと。いいわね』
『はい』
『いい返事よ。真林、だったら先にこれで真のおしりを洗って。オチンチンも』

『はい』
 遼子が手にしていたバススポンジを真林に渡してから、いい娘ねと頬を撫でた。
紅潮した真林の頬にしゃぼんが残った。真林はそのしゃぼんを真の臀部に、手にした
黄色のバススポンジで移していった。
184名無しさん@ピンキー:04/08/28 06:00
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  \::::::((━━)  <精子ビュビュビュビュビュビュ
    \::::::::::::ノ
『360』

 真林は遼子に頬を撫でられ、忘我の境にうっとりとする。もっとしてもらいたいと
祈ったが、遼子の手は離れていった。真林の視線が遼子を追う。遼子は真林の
頬を撫でた手で、真の臀にやり爪を立てた。柔らかな肉に遼子の爪が埋まる。
割り開かれて、性愛に翻弄されている肛門が曝け出された。
『ああっ』
『きれいよ、真のおしり』
『はっ、はやくしてぇ……。してよ!』
『真林みたいに、粗相なんかしたりしちゃダメだから。わかったわね』

 声を聞いて真林が紅潮した貌を上げると、艶然とした遼子がそこにあった。抗議する
つもりはなかった。遼子は真の肉にグリップの先をあてがった。少しだけ不安になって
真林は真の躰から離れようとしたのを遼子の眼に止められた。真林はあふれかえる
唾液を嚥下する。そして真の下腹におずおずと退いた。
 そこには真林の欲しがった真の場所だったはず。熱い肉棒があった。硬度を増して
ひくひくしている、かわいそうな男性器。真林は慰めてあげたいと思っていた。

 いつもは真林の粘膜を一突きで陥没させ、痛みすら覚えた。腰を引かれて外側に
捲れさせ、抜き差しで真林は精神までも引き摺り倒される。
 でも肉の凶器は、遼子に与えられる罰によって慄いているかのようだ。
でも、これは歓んでいるということが、指を絡めた手の中で飛び跳ねたことでよくわかった。
遼子に責められ、うわずった声を出している真が、なんだか憎らしくなっていた。

『うああっ』
 真林は真のペニスを根本からぎゅっと握り締めた。
『お兄ちゃん……。おしっこ出してみて』
『そうね。真林だけじゃ不公平だものね。真、シャーッてしてみる?』
 少年を嬲る女と少女の白磁の肉。硬質の白が各々の意志で動き出す。バスルームの中で
ハレーションを起したような、その白さ。色は真も同じ。真林が扱くペニスに、遼子の足先が
またぶつかって来た。          『あっ、あ、あうっ……!』
『361』

 真林の躰の白は、青を沈ませたような少女特有の無垢。両膝を付いた膝小僧は更なる
赤味を帯びて、ペニスをぎこちなく扱いていた。遼子は真林の小さな臀部にもチラリと
目配りをした。かわいらしく動いている真林の臀部。その陰阜を想像すると遼子は興奮を覚え、
真の臀を嬲る手に力がこもって、真林の小さな性器も嬲ってみたいと思った。

 ひとつの絵が頭に生まれ描かれた。性愛の世界が少しだけ拡がって開放されたような
高揚感を体感していた遼子。この少しだけという拡がりが、そのどちらにも転ぶ。
 セックスのとき、遼子が少しでも脚を動かせば、亀頭で擦れる場所が移動して擦れ、
違う快美感が得られるように。少しでも新しいセックスの絵が観られることは、大きな
快感だった。そして、小さな真林には、そのパワーは計り知れないものとなっていた。

 真林は果実のようにぶら下っている、真の陰嚢に顔を近づけ、唇を挟んで引っ張って
みたかった。仁王立ちになった真にするなら服従の姿態ではあるけれど、その真は
四つん這いになって遼子の罰を受けている。
 真は歓んでくれるだろうか。遼子は自分をどういう風に見てくれるだろうと考えた。
真林は裸になった真が四つん這いになって歩いてくるのを思い出していた。

 しかし遼子の突きたてる、歯ブラシのグリップの先が真のアヌスに埋まる。その光景が
真林の目の前で展開した。真が歔くたびに、更に真林の小さな性器は、別の生き物に
なって鴇色の愛らしい肉襞を覗かせ、よだれを垂れ流し内腿が濡れていた。
 いきなり、ずぶっと挿入され真は呻いた。真林はひくついていた真のアヌスが、
歯ブラシの細いグリップを呑み込む光景と、遼子の貌とを交互に観て、真のペニスを
握っていた。興奮して、きつく掴んで、呻く真の声に下腹を波打たせていた。

『あっ、ああっ……』
 遼子は真林の前で、歯ブラシを上に引き揚げて見せた。真の挿入される貌を、前で
観れなかったのを残念に思う真林だった。いつもは自分が泣いているのを、真がじっと
観ていたのだから。真林はペニスで波に揉まれていれば、真がセックスの最中にどんな
貌をしているのかなど、そんな余裕はない。観たいと思っていたけれども――。
187名無しさん@ピンキー:04/09/13 14:46:34
『362』

 でも、自分が遼子から、真からでも歯ブラシのグリップでアヌスを抉られ、
抽送されたなら、どんな貌をつくるのだろうと、真の臀部に顔をよせ四つん這いになった
真林は夢想していた。ひくつく窄まりをきゅっと引き締め、土踏まずに皺をつくって
なんとか堪えたものの、粘膜が外側へ捲れてしまう、どうしようもない感覚は
打ち消せない。

 遼子の貌をチラッと見て視線が絡み合った。むしろ、どんどんと外側に拡がるようだった。
真林はハッとして、おろそかになっていた手を動かし、真の下腹を泡立てる。
遼子の貌が真林に、にゅうっと近づいてきた。
『真林』
 赤味を帯びている、脆弱で可愛らしい真林の膝小僧。遼子は真林のハレーションする、
背中と揺れる小さな臀部を眺めた。だが、バスマットの下。少女の静脈の青を沈ませる、
白い肌の脚にある、朱の蠱惑を満喫することはできないでいた。

『真林』
『……』
『いいから握りなさい。ほら、スポンジを貸して』
『あっ……』
『ねえ、真林』
 遼子の手が真林の手頸を掴んだ。
『……はい』
『今度は真林が、真にしてあげるのよ。いい、わかった』

『はい、おかあさん』
 遼子が真のアヌスに埋めた歯ブラシのグリップから手を離す。遼子は真の臀部から
ゆっくりと躰を起しに掛かった。遼子の乳房を誇示するような所作に、真林はとまどった。
遼子は真林を見下ろして、代わりに朱を刷いている真林の踵を堪能し眼を細める。
 真の臀に突き刺さった歯ブラシ。白い透明なナイロンの毛の部分が出ていた。
その奇異な光景にも真林は晒され、眼を逸らしてしまっていた。
188名無しさん@ピンキー:04/09/14 20:25:04
『363』

 バススポンジを遼子に持って行かれて、真林は四つん這いの格好を取るのをやめた。
正座を崩して赤味を帯びている膝小僧を拡げ、臀部をバスマットにすとんと落すようにして座った。
 臀部を後方に突き出していたときのほうが、性器の疼きは小さいような気がした。
もどかしさは、なんら変らないのだが、腰を落とすと、よけいにむずむずするように思えた。

 なにかであそこを擦りたい。なにかではない、股間の淡いで揺れる真のペニス。改めて
向かい合った真林。遼子の眼には、臀後ろにある真林の踵と、小さな朱に染まった足の指が
甘美な情報として流れ込んできた。
 土踏まずの小さな皺の寄る場所も、乳暈と乳首の色に染まっていて愛らしい。
そう、愛らしいというよりも――。愛らしいは、いじめてみたくなる衝動に変換されることを、
遼子は性愛のひとつとして知っていた。つねったり、叩いてみたくなる。

『握ってみて、真林』
 右膝小僧を外側に跳ねて、遼子の足の親指が真の亀頭を小突いて、ペニスを
握り締めていた真林の手を揺らした。とまどっていても、真林は真のペニスは離さなかった。
 遼子の親指の爪は、亀頭の敏感な鴇色に絖った粘膜をも引っ掻いて、呻き声を迸しらせた。
真林の手の中の硬い男根は、びくんひくんと痙攣した。
『あっ』
 手の中で跳ねて、真林は膣内にいるときみたいに声を小さく洩らしていた。
『もっと硬くなるわよ。もっとね。いいでしょう』

 遼子が右足で真を嬲るたび膝小僧は外側に逸れて、無防備に躰を開き、白いしゃぼんの向うには、
ヴァギナがぱっくりと開いて、赫い肉襞を覗かせていた。
『かたくなるの……、もっと』
『そう、とっても。真林も知っているんでしょう。うんと、してあげて』
 腫れたように膨らんでいる真林の薄い乳房が喘いでいて痛々しく見えていた。憐憫、それが今の真を
四つん這いにさせ、魔女になって跨っている遼子の爛れたセックス。
 真の背に跨った遼子の姿態だけでも、真林には刺戟的過ぎた。真の臀部の上で、むぎゅっと遼子によって
押し潰されているバススポンジ。
189名無しさん@ピンキー:04/09/17 12:09:36
190名無しさん@ピンキー:04/09/17 12:10:58
191名無しさん@ピンキー:04/09/19 10:01:10
『364』

 遼子が背を丸めて、真の上で右脚を開くかたちに、人外の妖女(あやかし)を思わせる
婉然とはうらはらのセックスの絵ひとつ。遼子が繰り出した、姿態ひとつひとつが
真林の精神のどこかを少しずつこわしてゆく。
『はあ、はあ、はあ……』
 少女の頤。唾液のグロスを塗って、きれいに透明に絖っている。かつての自分の姿。
その姿を誰に捧げたのか。あのひとにと思い描いていても、その絵を彼は記憶してくれて
いるのだろうかと遼子は、破壊の中の少女みだらに、哀しく、そして、いじめてみたいと
春情を募らせた。

 遼子は女性器を真の肌に擦った。真が真林の中に感じるものは、別のかたちで
遼子だけがいま、それを堪能していた――真林の蠱惑。
 真林は真の臀部に無残に突き立てられた、歯ブラシのグリップを掴んだ。左手を真の
太腿の淡いから差し込んで、ペニスを下から支えるように握り、右手で歯ブラシの
グリップを持つ。
『ほら、もっとしてほしいって。真のオチンチンは、いっているでしょう』
『う、うん……』

 唾液があふれるのが気にならないことはなかった。遼子に見られて、真をはじめていじめ、
興奮の高波が真林に押しよせてくる。小さい少女の唇の下、そこの窪みに
掛かっていた唾液の雫が、いつしか気にならなくなっていた。気にならないのではなかった。
そのむず痒さを拭うことなく取っていて、真林は愉しもうとしていた。性器の疼きみたく。

『そうよね、真?』
 遼子は四つん這いになった真に、遠慮なく体重を掛けて臀部を揺すってみせた。
ただ、そうやって女性器のかたちを変えて、真の背中で擦っていても、
膣内を突いてくれるものはなく、遼子は満たされはしない。
 最初は耳障りに感じていた、娘の喘ぎ。歓喜を手中に出来ないでいた、遼子の苛立ち。
子供なのに、娘なのに、反応の中に嫌でも女としての艶をみつけて、その歓びに一番近いのは、
どうしても真林だった。
192名無しさん@ピンキー:04/09/21 03:10:07
『365』

 遼子のもどかしさが、爪先に収斂され、真の鴇色の亀頭から鈴口を掻いてしまっていた。
『うああっ、うっ、あ、ああっ!』
 今にも堰を切ってしまいそうな、放出感を堪える快美。蠢くアヌスを窄めようとしていても、
真林に遠慮がちに歯ブラシのグリップを捻じ込まれ抉られて、射精を堪えていたペニスでは、
遼子の足が真の敏感な粘膜を嬲った。襲ってきた一瞬の、尿道口が裂けるような烈しい痛み。
その痛覚が真の限界となった。

 真林が下支えるように、握っていた真の性器は、ぐんっと膨らんで跳ね返って、傘を開き
粘度の高い白い体液をバスマットに、びた、びたっ、びたっと勢いよく飛沫かせるに至った。
跨った遼子の女性器が、真の肌の悦楽の顫えを捉えていた。
 真の歓びの叫びに顫える臀部を突く快感が、妖しく真林を攪拌する。手を止めるどころか、
力が加わって歯ブラシは深く奥に押し入った。それよりも、膨張した肉棒を手にしていたことで、
女芯が熱く渇望と喪失感がいっしょくたになり津波のようにザザザアアァァァ――ッと迫り来て
真林は掠め取られていった。

 真林の手の中でペニスは何度も伸びを繰り返し、心なし柔らかくなった。しかし、まだまだ
交媾可能なくらいの硬度を真の肉棒は保っていた。
『あっ、あ、ああ……』
『はっ、はあ、あっ、お兄ちゃん……、おにいちゃん』
 下唇の窪みに掛かっていた雫は、新たに生れた体液により、とろりと押し流される。

『もう、出しちゃったの。堪え性の無い子』
 遼子は溜めをきかせた発話とともに頤を引き、真の弛緩してしまった臀部をぴしゃりと
平手で叩いて臀肉をぷるんと震わせた。
『お仕置きよ』   『して、ママ。してよ』
 しゃぼんを纏うため滑らないようにと大きく掴むつもりだったが。
『おねがいしますでしょ』
 細長い人差し指を折り曲げ、親指とで真の臀肉を、小さくむぎゅっと捻り上げた。
193名無しさん@ピンキー:04/09/21 15:43:07
『366』

『あうっ』
 柔らかな肉、腿と臀部の境を摘んでいたので滑りはしなかった。
『ごめんなさいは、どうしたの』
 指頭で挟まなかったのは、さほど執着はなかったから。
『ごっ、ごめんなさ……いいっ』
 肉は真林の手の中に委ねられているのに、真の意識は遼子に跳んでいる。
『いい子』

 遼子は直ぐに抓るのを止め、真の臀部を撫でた。ふらふらしている真林は唇を
半開きにして、息苦しそうに喘ぎながらも、手の中で柔らかくなっている真の再生の
脈動を感じ取っている。
 遼子はバススポンジを洗面器にまた投げ入れて、尖端を嬲る足を降ろして、白い
おんなの肉付きの画紙に、軸骨の窪みから妖しいかたちの蛇の腹を描きはじめた。

『真林、真林。ねえ、真林』
『はっ、は、あ、あっ』
『おいで』
 遼子は真林に鷲のように降りてきて、性愛に溺れた、ひ弱な兎の腕をムズンと掴んで、
『……あっ、あっ』
バスマットに沈ませていた華奢な臀を浮かせた。

『うあああっ』
 真林の二の腕の肉に、遼子の爪がしっかりと食い込んでいた。真林の頭がぐらぐらと
揺れた。ペニスを後方に引っ張られた真も、頭を落として、真林といっしょに呻いていた。
『乗りなさい、乗るのよ』
『いやああっ、いやあぁぁぁ、あっ、あ、あっ、ぁ……』
 歯ブラシを手に握ったまま、真のアヌスから抜き取り、ペニスも離してしまった。
真林は吊り糸の切れたマリオネットの格好になって、貌は眉を吊り上げ、小さな唇を
いっぱいに拡げた。鼻梁に皺をつくり。
194名無しさん@ピンキー:04/09/22 10:04:32
『367』

 真の上位に立つことに徹しきれないでいる真林は、泣いて、歯ブラシをすとんと手から落とした。
左手は真の躰を探るようにして、指は濃やかに痙攣し、下腹といっしょになり、狂った肉欲の奔流が
性愛によって、開いた唇、膨らんだ鼻孔、そして耳にも眼にも少女の精神へと入ってくる。
『どうしたの。ちゃんと、立ちなさい。真は真林を待っているのよ』

 真林の躰がびくんと反応した。腕が痛かった。でも、真のためになりたい。仕方なく力の入らない躰で
真林は支えようとした。バスマットの下で赤味を帯びていた少女の膝小僧が暴露される。薄く儚い皮膚で
おおわれている、華奢でありながら骨のかたちがあからさまに、ごつごつしたところ。そして腰まわりの
骨盤が、外側に突き出たふたつの突起の少女のかたちが痛々しい。
 羞恥が真林を嬲りに来る。おしっこを我慢するみたいに、内股で躰を支えていた真林は腕の痛みに
耐え切れず、外側に膝小僧をやって、脆弱な女芯を遼子の前に晒した。脆弱といえども、おんなをすでに
兼ね備えた真林の場所。真のペニスで犯されて愛されたというのに、まだなにも知らないと言っているその佇まい。

 遼子は真林の性器に、噛み付きたいと刹那思った。白い裸身に、仄かに赫く柔らかな場所に歯型を付けて、
いまいちど血を飛沫かせてみたくなる。自分の創った愛らしい人形。嫌がる真林に無理やり刻印を与えてやり、
もっと肉情に狂ってみたくなった。
 それは今じゃないかもしれないけれど、もっと、もっと先のことかもしれない。真林と遼子の透明でいて
硬質にも見える涎が、涙のようにこぼれ落ちる。

 遼子に抱き寄せられ、四つん這いになっている真に跨った。真林は二の腕を鷲掴まれて引き揚げられた。
その感覚は悪夢に出てきそうなくらいに鋭い感覚となった。快楽の没頭を中断させられた痛みだったから。
 ベッドに裸になって横たわり、真に性器を晒して待っていた真林に、四つん這いになって歩いてくる姿に
真林は泣いた。その獣に今、真林は跨っていた。しかし、真林は遼子に起こされて跨った時、はじめて自転車の
サドルにまたがったときのことを思い出していた。
195名無しさん@ピンキー:04/09/22 18:30:16
『368』

 内腿に真の躰が触れているのに、鋭い感覚で陰阜が圧迫される。腰に真の逞しい肉棒で
責めて征服してもらいたいという渇望があるというのに、内腿を拡げる姿態に真林は恍惚となる。
 唇の下の窪みに掛かった、雫のあやうい感覚が覚醒して、稚い真林の花びらはひくひくとなった。
真林の顔には、髪がみだれて貼り付いていた。それは顔に針金が入るようになっていた。
遼子のそれはもっと長くて凄艶でいて、烈しく貌に絡み付いていた。喘いでいる唇には、
数本の髪があって、遼子は気になどしてはいなかった。真林はそのことにも気づいて興奮し、
太腿を痙攣させ、遼子の躰に磁石にでも曳き付けられるみたいにしてもたれ掛かろうとした。

『あっ、ああ……』
『しゃんとしなさい』
『もう、できない……』
『いい娘だから』
 抱き締めたい衝動と戦いながら、遼子は縋りつく真林を振り切って立ち上がった。
『行かないでぇ……』
 二の腕の痛みが消えて、遼子の両手は薄い乳房を撫でて、指が真林の頤を支え仰がせた。
『真林がするのよ、足で。わたしがしたようにして。いい、わかったわね』

 遼子は頸を伸ばしている真林の唇をかるく奪ってから、頬を撫で真の躰から降りた。
真林は両手を真の肩胛骨に付いて、ぐらつく躰を支えながら、後方にある太腿の淡いの
勃起に踵を当てた。頭を落として喘いでいる真林を見てから、遼子は洗い場の水栓を開いた。
フックに掛かったシャワーヘッドから湯が出る。

 暫らく様子を見てから取って、遼子はヘッドで、頭を落として真林の踵にペニスを
小突かれ喘いでいる真に向ける。シャワーの水流が、真の頭を叩いて遼子を見上げた。
てっきり冷たい雨が躰を叩いているものと思った。
『なに、真』   『水じゃないの』
『水がよかったの』          『だって』
 遼子の躰に纏うしゃぼんがいくらか融けて、水流となり排水口に消えていった。
遼子は腰を屈めて膝立ちになり、黒々とした陰毛に飾られたセックスを真の目線に降ろしてきた。
196名無しさん@ピンキー:04/09/23 10:25:51
『369』

『水じゃあ、真林がかわいそうよ。そうでしょう、真』
 真はずぶぬれの髪が垂れる顔を上げて、差し出された遼子の下腹を舐めようとした。
それ見透かしたように、遼子は腰をもうすこし落として下腹部を迫り出し、真林と
差異がある、むちむちっとした腹部をこましゃくれる紅顔に迫る。
 遼子の縦の窪みの直ぐ下には真の唇があった。唇は上から降ってくるシャワーの湯を
受けながら圧されて上唇が捲れ、舌をそっと這わせて、石鹸の苦味を遼子の腹部に
真は感じていた。

 頭を落としていた真林は、ふたりの交わされる言葉を聞きながら、喘ぎを殺して
下唇をきゅっと噛んでいて、肉情の波動をペニスにしっかりと集中させる。かといって、
真を握り締めていたときの、遼子のような余裕の嬲りは与えてやれないでいた。
 真は遼子の腹部の柔らかさを堪能しながら瞼を閉じないで、おんなの命を味わうことを
快楽に身を委ねながら、遼子がさせてくれるのを静かに待った。舌先が男性器に変容して
遼子を嬲る時までは、ペニスは真林のおすおずとした足の動きを満喫して歓びに跳ね返っていた。

 絖る尖端に腱がふれてしまい、真林は膣内にほしいものを避けてしまった。真の太腿に
外側のくるぶしを擦った。爪先はバスマットに降りてから、やっとのことで、ふだんの白地に
朱を刷いている踵は、行為に敏感な真の鴇色に逢いに行った。
 踵から内側の足頸の突起に熱く逞しいペニスは貼り付いた。真林は頤を突き出して、
叫びに近い声で呻いた。真林の踵は真の下腹に当てられ、ペニスを揺り動かす。すかさず、
遼子は真林の淫蕩な貌にサッとシャワーの湯を掛けて、直ぐに躰に移してやり、少女の命の
再生を愉しんで、膨らんだヴァギナを真の唇に逢わせにいった。
 

 真がバスルームから出て行った後で、精製水での交媾あとの膣洗浄のやり方を
遼子は真林に教授した。あの後で真林にヘッドを持たせ、遼子はバスマットに仰向けになり、
出産のときみたいに開脚して、肩胛骨で這いながら真の怒張に辿り着き、真林と真の脚が
みだらにもつれるのを眺め、真を咥えて熱い精液を喉奥へと果てさせようとした。
真の貌が股間に埋まるのを感じながら。
197名無しさん@ピンキー:04/09/23 10:52:04
『370』

 口腔性交をしている、真の肉棒を窄めている頬を真林の足が撫でると、真林はふたりに
また置いていかれないようにと、真の躰の上で、愛らしいヴァギナを懸命に擦り出していた、
絶頂に向けての白い淫蕩な肉のバスルーム三重奏。
 真は果てると遼子の躰に全体重を遠慮なく預け、性器を荒々しく突くみたいにして、
少女のような細い腰を揺さぶって穿ち、最後まで精液を搾り出そうとした。真林もわずかに
遅れてから果てて、乳房を真の背にくっ付けながら、真の躰を抱き締めて歓びとも
嫉妬心ともつかない精神で歔いた。

 遼子はふたりの子供の下で貌を真紅に、腰を何度も跳ねさせ、窒息しそうな苦しみのなかで
果てた。そして子供たちの罪を背負う心持ちになった。
 意識を引き揚げてくれたのは、やさしい湯の温かさの愛撫だった。真はヘッドを掴みながら、
遼子の躰の汗を流していた。湯が躰を包んで、汗に滑ったのをあっさりと落としていく
その感じがよく判る。真の横で真林は泣きながら、遼子にごめんなさいと何度も謝っていた。
 遼子はうんざりすることなく起き上がって、泣いている真林の躰を肉情の延長ではなくて、
幾ばくのそれはあったかもしれないが、たまらなく真林を愛しくなって力いっぱいに抱き締めてやった。

 真と真林の関係から嫉妬でおざなりにしてきたこと。それを真から指摘されたことに、
遼子は少なからず動揺したことを思い出した。娘にしなければならないことを、
放棄するつもりなどなかったが、嫌がる真林に丁寧に根気強く遼子は教えていった。
避けていた理由。真林の破瓜の夜が蘇るからだった。
 教えている間も嫉妬から別な感情がもたげそうだった。娼館の女主人にでもなった、
そんな気分になってしまう。みじめ。ほんとうにそうだろうか。娼館に棲む女ではないといいつつも、
遼子と真林は真に縋ったのではないのか。

 そんな境遇でさえも自分の預かり知らないところで、深く愉しんでいたことを遼子は
自覚してはいなかった。
 ラバトリーでは真が真林の濡れた躰を丁寧に拭いてやっていた。暫らくして真林に
膣洗浄を教えていた遼子も上がってくる。真が遼子に貌を向けると、その眼差しに
射抜かれて小娘のような気分に一瞬でなった。
198名無しさん@ピンキー:04/09/23 11:18:31
『371』

『遼子もおいでよ。僕が拭いてあげるからさ』
 裸のままで待っていてくれた、真の発話に遼子の貌にパッと歓びが浮きそうになった。
『いいわ。自分でするから』
 真にそうしてもらいたいはずなのに、遼子は努めて無表情に拒絶を口にして、真と真林から
躰を逸らして、スポーツドリンクのボトルをカウンターに置いてから、膣洗浄の容器を棚に
しまおうとする。

『遼子、させてよ。ねっ、いいだろう。それとも僕にもう飽きたの』
 甘い誘いの発話に、濡れて乱れたままの髪の貌で真を見た。遼子の胸元はセックスの
火照りがまだ残って朱を刷いていて、そこだけ熾火のようになっていた。
『そんなことないわ。好きよ、好き』
 真が好き。こんなにもあなたがを好きな、そんな自分が好きなの。子育てにおいて、
子供に執着していても飽きがあると言われている。それ以前に、子供のほうが外に眼が向くものだ。

 いくら対象が美しくとも、近親者で惹かれあう肉情を生む思考の異常さはそんなところにある。
遼子にとって男は夫ではなく、はじめから息子の真だった。過去の男の遺伝子が蕩ける、
その真の貌に遼子は痺れた。今また肉情に、タオルの下に隠された乳房が喘ぎはじめた。
遼子のみだらは底なしだった。真林もそうなのだろうかと、ふっと思った。

『ほんとに、いいの』
 遼子の棚に伸ばした手が微かに震えていた。飽きないわ。飽きたりなんかするわけないじゃないの。
どうして、そんなことをいうのよ。わたしを観ているんじゃないの、真。
『来てよ』
 真の声に遼子はじんとした。飽きたりなんかしないから。
『真林は、いいの……』
『うん。お母さん、来て』
199名無しさん@ピンキー:04/09/23 22:02:24
『372』

 真林が心底そう思ってくれているのかは遼子には判らない。判っていたのは、真が
遼子と真林をはべらして、環のなかで愉しみたいという、息子の貌をした情人の
悪意なきその意志だった。
『ごめんなさいね。真林』
 真林は遼子にそう声を掛けられて、顔を左右に振っていた。真林が甘えたいのは遼子だ。
ぎくしゃくしていた遼子との関係を修復したいと願っている。その祈りに近い感情が
肉情に昇華してしまい、真林のみだらとなっていた。

 ふたりに近づくと、真は真林の躰から離れ膝で這っていって、遼子のおんなのまろみを見せる
肉付きの背を獲っていって、真林とは違う成熟した臀部に頬擦りをした。
『拭いて……。拭いてくれるんじゃなかったの……。真……、ねえ』
 はあ、はああぁぁぁ……という溜め息交じりの真の声が遼子の臀肉に沁みる。
『いい匂い』
『やめて……』
『遼子、タオルを貸して』

『いやあ』
 真林のような発話で応え。真の左の掌が、胸を隠したタオルで遼子の臍を覆っていたところを、
湿った布といっしょに圧され腹部がこわばった。真は鷲掴みをしたわけではない。置くような感覚で
遼子の腹部に乗せてきて、僅かばかり、きゅっと柔らかな肉を搾りこんだだけ。
『取っちゃうから』
 それでも遼子の躰は肉情の衝撃に打たれてか、がくんがくんと躰は揺れた。

『あっ……。また、濡れちゃうわ』  『舐めてあげるから』
 下腹は痙攣をみせて、ぐっ、ぐぐっと窪んだ。滑稽な肉体の反応。それを遼子は美しいとは
正直思わなかった。だからこそ、性愛という秘め事においては、秀でて感じるのだと思う。
『おかあさん、きれい』   ――どうしようもなくなる。    『ああ……、ダメになっちゃうわ』
 
200名無しさん@ピンキー:04/09/24 14:38:35
『373』

 スリー・パーソナル・ソファに横たわり、うたたねをして寝起きに気づいた音。
『音がぜんぜんしないね』 真林の愛らしい発話に遼子の笑みがこぼれ 『そうね』と
遼子は真林に貌を向けた。壁掛け時計を変えた、ちょっと前の出来事。
音がきこえないことを真林はさみしいと感じたらしい。
 テレビをつけない無音状態のリビングでは、微かに近くの山の木々が風に揺れ、
潮騒がきこえていた。壁掛け時計、今は音がしていない。家具の電話台の傍に置かれた、
小さな時計の秒針の音が耳障りになる。

 給油所でもらった景品。助手席に座る真林は、白い小さなダンボールの箱を開けて、
『わあっ』と素直に喜ぶ。 『見て、ほら!』 ビニールのクッションに包まれた時計を出して
遼子に見せる。 『時計、家にいっぱいあるわよ』 『……うん、そうだね』 
『どれ、見せて』 『はい』 眺めている遼子に、真林は可愛いから捨てないでと
遼子に頼んだローズピンクのクロック。 『百円ショップで売ってそうな時計ね』 『……』 
『でも、色はきれだし、コレとっておこうね』 遼子は真林の沈黙に応える。真林はそれを
自分だとでも思ったのだろうか。 『ありがとう、おかあさん』と、華やぐ真林の貌だった。 
『そんなに歓ばなくても』  『うれしいもん』   『そうなの』     『うん!』

 そしてもうひとつ、本棚の硝子戸の向こうにある時計の秒針が心なしずれて精神に
響いていた。普段なら気づこうとはしない音だった。時を刻んで、遼子と真林の胸に
迫ってくる、まぼろしのような記憶。その場所で母と娘は繋がっていた。
 熱にうなされたような荒い息遣いが、いつしか二つの秒針の音も上回っていて、
お互いの聴覚を刺戟してか、動悸が烈しくなって躰が火照る。

 それでも、きれいとは不釣合いだと遼子は思った。適当な言葉がないから、男なら
ヴァギナに包まれるペニスの刺戟が勝るから、取って付けたように美しいと思うだけで。
 真はペニスで衝かれて、歔いている遼子の貌をきれいと言ってくれた。羞恥で瞼に
朱を刷いて、歓喜の声を遼子は喉を搾って迸る……。
201名無しさん@ピンキー:04/09/25 13:09:24
『374』

 真林、もっと見て。真、観てちょうだい……!と、貌を涙と鼻水でぐちゃぐちゃにして真を欲した。
うつらうつらしている遼子に、真がシャワーを掛けてくれていた時も、蜜と汗の混じり合った
湿潤の場所に、太腿に、感じるベビーオイルを垂らした、保湿成分を含んだ湯舟の滑りを感じていた。
 美などどこにも存在してはいないではないか。微かな太腿の隙間に真の手が入り込んで、
拡げてよと撫で擦り遼子を促している。
 ちょっと前に真林といっしょに湯舟から上がった時、両太腿を擦り合わせて、もじもじしていた。
遼子はおかしくなって、真林に訊いたことがある。

『だって、きもちわるいんだもの』 『保湿分といってね、躰をぽかぽかさせるものなのよ。
だからたいせつなものなの』、と説明しても真林の口からこぼれるのは、 『きもちわるい』 だった。
『しょうがない娘ね』、とシャワーヘッドを取って真林の躰を流す遼子。たいせつなものが、
簡単に真林の躰から流れてゆく。垢かなにかみたいにして。 『おかあさん、きもちわるくないの』
『もう、なれちゃったかな』 ほんとうに慣れたのだろうか。 『へえ、ほんと』 遼子の手が真林の
セックスに近づいて、ためらい、太腿の内側に廻った。 『うーん、やっぱりきもちわるいかな』
『でしょう』 真林は遼子に応えて、にこにこして保湿分を湯で流されるのに身を委ねている。
膝を少し折って脚を拡げて。

 そんな娘に遼子は気まずくなって、真林の白い頸筋にシャワーと手を持っていった。
真林はなんの疑問も感じないで、頤を突き出してそっと瞼を閉じていた。遼子は真林の貌に、
真と交媾をしている自分の春情を重ねて観ていた。頸に掛かる湯は、真林の素直な
小さな縦筋へと流れていってタイルに落ちる。真が真林のここを開こうとしていることを
感じないわけではない。感じながらも遼子は、おま×こにズキンとした疼きを覚えて。
 その夜、遼子の求めに応じて早急に臀を振り立ててくる真に、腰に脛を掛けないで御することなく、
無茶苦茶に突き立てられ脳みそがとろとろに蕩けてしまい、真に躰を開く自分が好きなだけだと
遼子は思った。そして、今も。

『だっ、ダメに……。あっ、あっ』
202名無しさん@ピンキー:04/09/25 15:42:47
『375』

 遼子の腹部の肉に食い込む真の指先の感覚が鷲掴むものでなかっただけに、ことさら
肉情が意識され、真の精神が鋭く遼子に突き刺さってくる。遼子は真林に届くように
はっきり 『ああっ』 と濡れた喘ぎ声を高く洩らしていた。
 真が望むのなら、今またラバトリーで肉体を捧げてもいい。でも、そんな肉になりきるのを
真林はどう観るのだろう。言い訳じみてはいたが、真林と真を今日はこれ以上、躰では
繋がらせたくない。遼子が自ら肉情の贄となって真を曳きつけていたいと考えた。

 真林を少しでも休ませてやりたいと思うが、真のやさしい無頼の愛撫により、遼子の
意図は簡単に狂ってしまい、どろどろな春情へ引きずり込まれていった。頭の中が
ピンキッシュになるとはよく言ったものだと考えながら遼子はこわれた。何度も真といっしょに
壊れてしまった自分が、真林の観ている前でほんとうにこわれてしまう。
  
 臍横下、腿の付根よりやや上の左右の場所の感触が遼子には急所。ここをさわられると、
街中で突然衣服を剥がされたみたいな、特に遼子の下半身は無防備な感覚に陥った。
 やっと真の手は下腹に下がったと思ったら、躰にあてていたタオルを奪われて、
遼子の蒸れた陰阜を手の感触がやさしく包み込む。
『おねがいっ、おねがいよ。おねがいだからぁぁぁ』
 遼子の手は、後ろにしゃがんで、臀部に頬擦りをしている真の頭の髪を無造作に掻く。
真の右手が、へっぴり腰になって前に折れそうになった、遼子の右膝を掴んで、
すううっと上がって太腿の外側を這い上がった。遼子はぞくぞくっとして内腿を顫えさせ、
臀部を脛の肉もこわばらせて、肉体の快美をなんとか堪えようとした。

 真林の観ている前で、ラバトリーの床には転がりたくはない。それなのに、腰骨のところで
真の右手は跳ね上がっていって、天使のなごりの肩胛骨に右の掌を置かれ、
――愛撫された。そして指先の感覚が背骨へと移動してくる。
『ああっ』
 レイプというには、程遠いものだけれども、もういいでしょうとは言えないでいた遼子。
レイプされる甘いまぼろしに、遼子の躰は痺れて逝って、高い声を上げた。その情景を
真林も瞼を朱で染めながら、息を詰めてじっと窺っていた。
203名無しさん@ピンキー:04/09/25 22:53:09
『376』

 遼子の動く両太腿。曝け出される陰阜の真下に、跪く真の硬いペニスが見える。
肩と乳房を喘がせながら、真林はふたりの生殖器の様子に魅せられていた。
 真林も真にペニスを挿入され、突き動かされれば声を上げる。技巧に走らない、
そのダイレクトな営み。おんなの悦びには、まだまだ遠くて、痛みが快美感に
変容するなどとは信じられなかった。真には、遼子に無い宝だが。

 でも、真に躰をさわられるのは好きだった。真が好きだったから、この痛みも
いつかはと、自分からセックスにふれた、あの甘い疼きになれと祈り続けた。
 しかし、逞しくなったペニスの挿入で粘膜が傷つくような痛みは、真林には
確かにべつものだった。小さな鴇色の真珠は、与えられ続けられる荒淫に顫え泣いた。

 そんな状況を変えようと、真は真林に躰を好きにさせたことがあった。ためらう真林に
誘うだけ誘ってから、部屋に連れ込むと、抱擁もせずに真林をおいて、さっさと自分だけが裸になり、
ベッドに大の字に寝転がった。 『おにいちゃん』 『……』  『ごめんなさい』 
『あやまらなくていいよ。だから、ここに早くおいで』  
 シーツを押えるように置かれた真の手が、ぽんぽんと叩く。もたもたしていたおかげで、
ワンピースを脱ぎ損なった。慣れてしまったと思われたくなく、実際に慣れてなどいなくて、
とまどっていた真林。ほかされるのも嫌なので、だから急いで後ろに手を廻す。 
『そのままでいいっていったろ』 『でも』 『いいから』 真が裸なのに、自分だけが
衣服を纏い、こんな仲間はずれも嫌だった。

 真林は紫苑の小さな葡萄の房が散りばめられた白いワンピースを着ていた。
ガーゼのような質感で、いくつもの流れるひだにそよ風を孕んだようにやさしく膨らんでいる、
ドレープのスカートをたくしあげると、両側に指を掛け急いでショーツを脱いでいた。
真はそのおもいきりに、はっとした。
 右膝を突き出して、ソックスを履いた白い右足を抜き取る。真は微かな花の芳香を
吸い込んだような気がした。真林はショーツを脱いでから、真の服を片付けようと腰を屈めて
拾い出す。 『そんなこといいから』  『ほんとに?』 
204名無しさん@ピンキー:04/09/26 09:15:27
『377』

『いいって』 『うん、わかった』 真林は食い下がるのをやめ折れると、手にしたのを
寄せてから、脱ぎ散らかした衣服を踏まないように白いソックスを履いた足で、忍ぶように
ベッドまで躰を運ぶと、真が裸で寝ている場所へと上がっていった。
 荒い息を吐いている真林の呼吸は忙しない浅いものだったが、真は瞼を閉じて
寝ているみたいに穏やかだった。でも、ペニスは太くなっている。 『真林』 『……はっ、はい、
なに、おにいちゃん』 真のペニスを観ていた真林は驚いてしまい、上擦った声を上げていた。
 
『好きにしていいから、僕の躰をさわってごらん』 ためらいと歓びが真林のなかで交わる。 
『う、うん』 しかし、声は奴隷の従順さであって、真林の精神を越えたりはしない。
 ただ、あんな痛みを与えたペニスを、自分の手で、痛みを与えたかたちにしろというのかと、
迷いながらも灼の肉棒に心行くまでふれてみたいと思った。 『好きにしていいって、ほんと』 
『ああ、いいよ、真林。噛んでもいい』 真林の気持ちは昂ぶった。 
『そっ、そんなこと、しないもん』 真林の膝が、真の開脚した場所に沈んで、シーツに新たな
皺が生れて四つん這いになった真林は、真の右脚をひょいっと跨いだ。

 消えない縦筋が真林の前と後ろにある。真の薄眼には、真林のぷっくりとした無垢なる
玉門が一瞬入ってきた。太腿と胴の付根にある、二つの股間の皺は腰を落とす所作によって、
深く切れ込み、やがて無毛のセックスを真にそっとあてがってきた。後ろにも小さな二本の皺が
太腿と脆弱な臀肉の境のところにあったが、臀が後ろに突き出される格好に真林がなると、
どんどん薄くなって消えてしまっていた。
『きもちいいよ』 真が声を掛けてくれた。 『ほんとなの』 真林の女性器が真の
スキンの上で熱くなった。

 嘘ではなかった。真林のセックスから滲んだ体液のぬるぬると、躰から発せられる
気の温もりが真の右脚に伝わって、ペニスに血流が溜まる。 『……真林もきもちいい』
真林には真の褒め言葉がなによりも嬉しい。真林は真の脚を二度、三度撫でてから、
性器を真からゆっくりと離し、蜜が細い糸を引いていた。
205名無しさん@ピンキー:04/09/26 09:40:43
『378』

 真林はそのまま這って上がり、真の膝小僧を越えると、リネンの手触りを感じ付いていた
右手を、陰嚢の下からペニスの腹を撫で上げて、鈴口から洩れている体液を掌に塗りつけて
真の腹部に置いた。真林が手を置いてじっとしているものだから、真の下腹部は
いびつに痙攣しはじめる。くっ、くくっと腹部は陥没し、真林はその痙攣を宥めるみたいにして、
白い妖精が傷ついて苦しんでいる獣を看るみたいに撫でてやると胸板へと上がっていく。
肉棒はまだ行かないでくれと跳ねのたうっていた。

 真林の頬は熱く、眼球には薄っすらと涙を張っていた。ペニスをヴァギナに挿入された
痛みに出る眼の涙が張るあの感覚は忘れていなかった。真の胸板の中央で真林はまたじっとする。
荒い息を吐きながら。 『おにいちゃんの、お胸、とくとくしてる』 真は聴覚からの
性的な真林の息遣いと声の刺戟に、ペニスがびくんびくんと痙攣するのに堪えきれなくなって、
つい寝かせていた左手を動かして、真林のスカートの中に手を差し伸べた。 『あっ、あ、あ……』
 
 利き手ではなかったから、手にこもる欲望は制御されるが、真が描いていた情景は、
このまま真林の白いワンピースの背中をとって、ガーゼのように柔らかなスカートを
たくしあげ、荒ぶる春情に身を委ねて怒張で真林の躰を突き刺して揺さぶることだった。 
『んあっ』 真林の下腹部も波打っていた。 『すっ、好きにしていいってぇ、おにいちゃんがぁぁぁ』 
『ごめん。我慢できなくなった』 肉を掻き分けられ硝子細工のようなヴァギナを弄ばれて、
真林は声も頤も上げて、悔しそうに頭を落とした。 『うっ、うそつきいいっ』 破瓜の夜に
突かれ、揺さぶられて、泣いて叫んだバロックは、もうおかあさんとは叫ばない。  雨
濡れてぬれて、耀く紫陽花の紫苑のように、おんなに近づいて。

『おかあさん……』
 遼子は八月の連日の真夏日に晒されて焼け爛れた花弁。せつない真林の声が、遼子の
耳朶を赧く染める。
『おいで……』
『ほんとにいいの、お母さん』
『いいわ。だから、来て頂戴、真林。真もいいでしょう。……真』
206名無しさん@ピンキー:04/09/26 18:23:37
『379』

 真は遼子の臀を弄んでいて、その声には応えないでいた。遼子の陰毛にふれながら。
『しっ、真、応えて………あげて。ねえったら……』


 好きにしていいのよ、といった遼子に、真は生唾を呑み込んで、やさしく囁く声が真の
ペニスを撫でた日。衣服の釦に手をかける遼子の手つきに真はどぎまぎしながらも見惚れた。
その向こう側には、遼子のなによりも柔らかいと思えた、白い乳房があるから。
 遼子は純白のスリップ姿になってベッドに行くと仰向けになり真を誘った。両手を真横に拡げて、
キャットウォークをするみたいにして、両太腿をきれいに揃え、下の足頸を重ねると、
磔になったようにしなやかな遼子の肢体はなった。真の立ち位置からは、淡いブルーのショーツが
見えて取れた。

 真は慌てて服を脱いで、釦を弾き飛ばした。新しい遼子の艶めかしい絵が真の脳を刺戟した。
過度に艶を意識するものでなくても、なにげなく壁に背を預けている遼子の姿にも真は勃起した。
 くるっと背を向けられ壁に頬擦りしながら手をふれて、濃やかに指を折り曲げ、そんな姿態で涙
の張るきらきらする眼差しに誘われて、後ろから臀を抱えながら突いたこともある。
 秘所を覆う僅かばかりのチュールレース。サイドには細いスパンテープがあしらわれて、
遼子の股間の様子が窺えた。でも真は、遼子のショーツの奥に隠された秘園よりも、もっと
ほしいものがあった。いま両腕をぴんと伸ばして拡げている、無駄毛を処理した腋窩に関心がゆく。
いつしかセックス(女性器)はペニスを突っ込んで、気持ちよくなるものと理解していたが、
いっしょにバスルームに入るたびに、遼子の黒々とした飾り毛に馴染めなくなる真だった。

 嫌悪というほどではなかったにせよ、きれいというよりは、遼子にすまないと思いつつも、
穢れていると感じてしまう真だった。卑猥さ、おんなが濃いとは真の年齢では、まだまだ
無縁に等しいもの。それに遼子が処理を怠っていたというわけではなかったから。
 だから、遼子の腋窩のすべすべの感触に、より真の精神は執着し収斂されていった。
遼子は真の気持ちの変わりようが判らなくて、飽きられたのかという気持ちと闘いながら、
つい探りを入れはじめていた。安定したい。安定など望めないけれども。
207名無しさん@ピンキー:04/09/26 19:19:11
『380』

 無毛のセックスに関心を持ちはじめた真は、遼子の試みを真林へと流すことを
思いついていた。真は遼子の躰に近づいて、上からスリップのシルクの手触りを
確かめながら、掌を乳房に乗せてゆっくりと廻すと、遼子の低く甘い囁きが真の肉棒を
歓ばせる。
 遼子は両手を頭上に掲げて、もっともっとしてと真にせがんでいた。真は思う、
全裸だったなら腋窩が晒されて、そこの筋肉がとても扇情的で、遼子のまろやかな
おんなの膨らみのある陰阜でさえも縦に伸びていって。
もっときれいなのにと思いながら、真は裸を摺り寄せていって、遼子の腋窩に鼻を
擦りつけ舌を這わせる。 『くっ、くすぐったいわ』

『ねえ、遼子』 スリップをたくしあげて、縦に伸びている乳房も観たいと、遼子の
みだら絵を頭に描いてペニスを勃起させた。全裸になっている夢想の黒いシーツに
仰向けに寝そべる遼子の姿態。ゆったりと黒に預けている遼子の白を、自分の手で
黒の波から開放してやり、嫌というほど跳ねさせてやって歓ばせようと精神が遊ぶ。 
『なに、真』

 でも、遼子は自分の躰を好きにしていいといってくれた。だったら、自分の快楽を
今日はとことん求めようと思い直す。まだふれてはいない、そう、真林のセックスを
想って。 『ここで、チンポを擦ってほしい。ダメ、遼子』 『ここって、脇のことなの』
『うん』 『ダメってわけじゃないわ』 遼子は真の吐露に窮して、そんなにも真の
肉情は遠くに行ってしまったのかと驚いていた。 『おま×こはいいの』 『したい。
したいよ。させてくれるんでしょう』 真の貌が急に子供らしくなった。 

『……いいわ。いっぱいして』 そこに遼子のふしぎな間が生じて、さむけがした。
『それに射精してしまっても、遼子がすぐに元気にしてくれるんでしょ』
『ええ、そう。そうよ。真が好きだから、なんどでもして。擦り切れちゃうくらいに、
おま×こして頂戴』
 不安を打ち消すように応えた遼子は、いらない作為的な言葉を発話してしまい、ぱっと
真っ赤になった。そして、腋窩を舐められているほうの腕で、真の頭を抱き締めていた。
208名無しさん@ピンキー:04/09/26 19:40:50
『381』

 そんなにきつくはなかったはず。でも気持ちがこもっていたから。 『くるしいいっ』 
『ごっ、ごめんなさい』 遼子は腕の力を緩めて真を開放してやり 『裸になったほうが
いいの』 と甘え真に訊き直す。 『遼子がいいなら、このままがいい』 真のすまないと
思う気持ちが、遼子に脱いでと面と向かって言えなかった。 『そう、わかったわ』 
 遼子はシルクのスリップ姿を真にゆっくりと背を向けて、舐められいなかった腋窩に
僅かな隙間をつくって捧げた。ショーツはぐっしょりとなって、遼子の内太腿は
あふれでる春水で絖っていた。

 真は遼子に、おま×この毛を剃ってとは頼めなかった。そんなことをしたら、遼子が
かわいそうだと思ったから。真は微かに開いている無毛の腋窩の横筋に、膝立ちになって
ペニスをそっとあてがった。 『ごめんね、遼子』 『なにか、いったの』 『うん。さきっぽが
締め付けられてきもちいいんだ』 しかし、すぐに欲望に勝てなくなって、『よかったわ。あ、あっ』
遼子の右肩を掴んで撫でていた手で紐をずらして、喘いでいる乳房にふれていった。
遼子はセックスを締め付けるように、両足先の指をきゅっと窄めて尖らせていた。


『してもいいの』
『して、いいから真林。おま×こを……。わたしのおま×こを舐めて頂戴』
 遼子の卑語の発話に真林は顫える。両肩は先刻よりも烈しく喘いで、少女のぽてっとした
腹部が緊張する。遼子の裸身を僅かばかり包んでいたタオルで臀裂を割り開いて、
肉の合わせ目のもっと奥。濡れる場所に押し込まれて拭いに掛かった。タオルの布地が
遼子の女性器を擦って刺戟した。臀肉を割り開かれているのが気持ちいいのか、もうわからない。
『あううっ、ああ……、いっ、いいわ。して、して、真林……していいから』
 アヌスもヴァギナもいっしょに引っ張られてしまうような感じに、前屈みになる遼子は乳房を
紡錘形に垂らして揺蕩う。遼子の手は真の髪を掻き毟って、躰を捩って唇の薔薇を咲かせた。
遼子の喚きは、舌までも出しそうな勢いになって、いっぱいに咲いていた。
バスルームの遼子とは違う絵が、真林を昂ぶらせて全身を責めてくる。たまらない。それは
母と娘の言葉だった。
209名無しさん@ピンキー:04/09/28 03:31:00
『382』

『お母さん、きっ……きれい』
 真林が囁く吐息のリフレインが耳に届いて、快美に衝かれ抱かれた母の精神はまどう。
久しぶりにバスルームで言ってくれたママという言葉に、すでに真林のくちびるからは
掻き消えてしまっても、遼子にはうれしいことだけれども。
 遼子のオブラートのような、やわらかな美声は乱れ上擦って、狭穴を真の肉棒で拡げられ、
情を産んだのではない。日々の生活の裏づけがそうさせていた。おま×こが、性愛の爛れが
そうさせると思いたいが、それは交媾のまぼろしに過ぎず。きもちいいは簡単に手にすることができても、
感情はたえず変容してしまうもの。

 遼子の打ち捨てられた過去は、真のほんとうの父親の面影。その遺伝子を真といっしょに
もっとこゆくしたのが、真林というかたちになって生きた。
『きれいって、あううっ……』
 遼子はそれに気づきながらも、どんどん破壊的な方向の深みにはまった。見て見ぬ振りを通して。
まだ、引き返せるだろう境でさえも、とうに踏み越え捩れてしまっていた。

 真の舌が遼子の臀の割れ目に押し入って、肉を圧し上げ指が柔肉を搾った。
『ひっ、ひ……!』
 小さな悲鳴が洩れたくちびるからは、だらしなく唾液が滴り。けれども、セックスに
情が絡むことほど悩ましく妖しいものはない。遼子にとって、それが背徳であり禁忌の姿。
 致死率の高いテタナス(破傷風)がタナトス(死神)の語感に変わるようにして、
インセスト(近親相姦)はイノセント(穢れなき)にすり返られて、遼子の坩堝で
どろどろになって蕩けてゆく。

『まっ、真林んんっ……!』
 真林が観ている股間の前門も口を開いて、ひくひくと浅ましく涎を垂れ流していた。
真の手がセックスを掴んで、花びらを掻き分けた。躰を捻りながら胸を突き出して
のたうつ遼子は、もうひとつの語感の似たテスタメント(遺言)を思い出して、
焔のような蛇の舌をちろっと出して口の闇を美貌へと刻んでいた。
210名無しさん@ピンキー:04/09/28 03:35:58
掏り替え
211名無しさん@ピンキー:04/09/28 23:59:03
『383』

尾てい骨に吸いついていた、真の唇は遼子のアヌスに向かって、牝の色めく眼差しはぶれて
髪が舞ってしまい、遼子の美貌を腐す。
『ま、真林っ……!』
『はっ、はっ、はああっ、はあ』
『あっ、あうっ、も、もう……、やめっ。う、うっ、うああっ』
 遼子のえずくみたいな喘ぎがこびりつき、真林の躰に容赦なく滲みて皮膚感覚でセックスをする
幻視が襲ってくる。真林は浅くついていた息をより深く 『はあ、はあ』 となんどもなんども吸い込んで、
加速する烈しくなる一方の動悸をなんとか抑えようとしていた。

 遼子のみだらに対する憧憬は真とおなじでも、真林のきれいは多少の違いをもつ。
真によって揺さぶられる遼子の姿に呑まれていたのは、乳房と肩口の春情が見せるその動き。
おんなの肉のありようと、おんなの筋肉の生きた流れ。
 無垢な遼子の肌の白に生れる翳りに、真林の精神は揺蕩うと、少女の排卵が覚醒されそうな
ほどの、そこはかとない力の爆発に熱くなっている。

 それに勝るものがあるとしたら、遼子のみだらな股間の下。逞しくなった真の肉棒であって、
窮屈な秘孔を圧し拡げ、衝きあげられて掻き回されること。真林は薄い乳房の前に、
含羞いから隠すように畳んで押し付けていた腕。
 手頸を片方の手でぎゅっと掴んで自由な手を口にやり、指を含んで噛み締めていた。
痛みはある意味、快楽を阻害するもの。曲げた人差し指の骨をコリッとして鼻孔を膨らませ、
真林の鼻水を啜る音がした。

『んっ、んん、ん、んああっ』
 自分と較べて全くと言っていいほどの差異を感じる乳房の膨らみの喘ぎに、少女の
眼差しは遼子のおんなを食い入るようにじっとみつめた。生物の基本本能でみれば、
年齢において真林が遼子に勝利しているはずなのに。
『おかあさん、だいじょうぶ……なの』
 遼子の成熟の度合いは、真林と異質なる濃やかさを放ってアプローチする。遼子の
肉体は、憧れを超越したものまでも真林に垣間見せはじめていた。
212名無しさん@ピンキー:04/09/29 15:12:12
『384』

 少女の季節には奥底に儚い淡い青を沈ませた、清楚な白を保っている肌。真林の季節は
遼子のかつての弥生の存在証明。確かに遼子の血を受け継いで、真の男を受け入れていた
真林の肉。 
 今は抱かれないでほかされていても、遼子の痴態を観ながら痙攣している真のペニスに
心の扉を乱暴に抉じ開ける。

 おんなを極めた躰と稚い少女の開きはどうしようもなくて、埋めようがないものということは
真林でもわかる。黒々とした遼子の飾り毛でも、そこには嫌悪感はなくて。
むしろ羨ましいとさえ思う肉の祈りだった。ふしぎと悔しいとか、嫉妬心というものは
湧いてはこないもので、真の感情の多くが、自分の躰のなかに流れ込んで来ていることを、
ある種の余裕として、セックスを与えられる皮膚感覚で真林は体現できていたから。

 だが薄い皮膚を破って突出する瞬間があるとするなら、セックスのバロックに。真と遼子がおま×こで
繋がったときの絆に。生殖器の交接にだけは、どうしようもない感情が真林のなかで込み上げた。
 薄暗がりのリビングのテーブルの上の営みを、階段に腰掛けて眺めた眼差しは、
遼子の網膜にもしっかりと焼きついていた。
 真林は感情の真名をなんと呼べばいいのかさえ知らないで。遼子には欲望尽しの
日々にあって、内でありながら外因子の真林のとまどいに、湿潤の甘い蜜の末枯れを、
真の心を探り知りながらも、どこぞへとかりそめでもいいからと放逐したくもなる。

 それも、たいせつな縫いぐるみを奪われたような感覚に近いものであって、バスルームの
営みは、真を中心に躰を共有し共有されるという環を母と娘との間で繰返し、貌におま×こを
していましたという、あけすけな痣を美貌にしっかりと刻印した遼子と認め合って生きてゆこうとする
真林の選択は、否応なしに少女が生み落とした精神は憐憫と悋気で飾られた硝子細工をよそおい
遼子の中にも存在していた。
 真林は遼子の醸す驚嘆の春情に顫えて、真とは禁忌を踏めても母は娘に煩悶する情の錯綜。
それに母と娘には、硝子の耀きは無味乾燥な硬質を示しはしない。硬くあるなら、それは真のチンポ。
猛れば痙攣し飛沫いて、一瞬にして無垢な小さなケモノにもなる儚い肉にもつれた、
遼子と真林のみだらの交叉。
213名無しさん@ピンキー:04/09/29 22:55:55
『385』

 ただ後ろから腰を抱きしめられているだけで倖せだった。挿入されていないのだから、
遼子はめいっぱいの品で応えて真林をも幻惑した。太腿の外側から内腿を愛撫され、
真の熱い息遣いを臀肉に感じていれば、真林の存在も霞んだ。
 遼子の性器全体を覆った真の手は上下に揺れ動いて、指は繊細にやがて振舞い、
滲み出る体液を絡めだして、爛熟の過剰なまでのローズレッドのおんなの命を堪能する。

 花弁からの背徳を更に彩っている、鞘からどうしようもなく張る血の色に絖る尖りに
指頭がやさしくふれた。真に促されて、遼子も真林を取り込んだ禁忌を選んでしまって
バスルームの交媾が肉体のありとあらゆる穴から洩れて、ラバトリーの扉すら破って
家そのものを侵食し増殖するだろうと遼子は思う。

『いやあっ、あ、あううっ、も、もううっ……』
 家そのものを変えてしまうのは、遼子の本意ではなかったが。遼子と真林は交互に
刺戟し合いながら、自分のなかの真への恋情を募らせはじめた。遼子はたえず傍にいる
真林という存在の戒めにあっても、あふれるバスルームからの爛れる肉情に感化して
三人で耽溺してもいいと染まり出す。
(転げて楽になってのたうてればいいのに。もう、殺して。チンポで殺してくださいっ!)

『もっ、もうかんにん。おねがい、堪忍……っ』
『おにいちゃん……』
 きれいにしたとはいえ、アヌスの匂いを吸っている真に、遼子は肉棒を挿入されて
衝き動かされたみたいに、さかんに貌を振った。
『たっ、立っていられない。もううっ、たっていられないのよぉぉぉ……』
 逞しくなった真の性器で躰を突かれて揺さぶられる心の痛みと、やっと芽生えはじめた
稚い躰の交媾の疼きを遊びからの歓びと見なしても、それが一瞬にして変容すること。
『がまんして、遼子。がまんしろッ!』
 肉体を少し動かしただけで、真の亀頭が擦れる肉壁の場所が変わるようにして。
真の声がラバトリーに凛と響いて、遼子と真林は。
214名無しさん@ピンキー:04/10/01 01:22:26
『386』

『我慢がまんするから。します』
 その叫びに遼子の鎖骨が異様に浮き出して深い窪みをつくり、頸には胸鎖乳突筋が
ぴんと張っていた。躰に捻りが加えられて、曝け出される遼子の腋窩。腕と胴を繋いだ
脇の大円筋の描く力強くも女体のその繊細さの流れは、脾腹の肋の翳りと相まって、
遼子の喘いで揺蕩う乳房の裾野の曲線とみごとに繋がった絵をみせつけ、バスルームで
躰を重ね合って身悶えながら真林が欲したもの。

(もういちど、観たい。もっと、もっと見ていたい。観たい……の。みせて、おかあさん)
 いつか遼子のような躰に、自分もなれると信じたい真林の貌。咥え噛んでいた指を
吐き出して、唇にふれているようになった少女の指。唾液に濡れている唇。
『真林、おいで。べっとりした――』  『そんな、言い方……よして、真』
『やだっていっても』            『やっ、いやよぉぉぉ……』

 男女の肉の絡む姿は万華鏡になって、収束することの無く真林の精神に
たえず波紋を投げかけていた。そこには、母親でもあり女でもある姿を認めて、
性交という事実が刻印される。
『なっているのに。見てよ。こんなにもなってさ』
 真の指がまた、遼子のあふれる愛液を掬い取るまでもなく、太腿を抱かれて濡れた
内側を愛撫され、フロアのマットにも雫をこぼす。タオルも落ちて、遼子の躰を拭いた
生地の色は濃くなっていた。

『真林、――ぬれぬれの遼子のところに跪いて』
『はい、おにいちゃん……』
 月のはらはらと流す涙は海にこぼれ落ちて、底にいる貝のなかで真珠になるという。
遼子と真林の交媾の歪んだ姿は、女芯の顫えを尖りに変えて熱情の光りを湛え、
その先に精神の安らぎに辿り着けるのかに彷徨いだす。やさしくかわいがってほしいという
言葉を遼子自らで掻き消していった。
『いやあぁぁぁ……、あっ、あっ、ああっ』
215名無しさん@ピンキー:04/10/02 17:43:51
『387』

 命令……だった、穏やかな口調での声は澱んだ空気をそっと震わせて、少女の陰阜を
撫でるようにして届けられていた。
『来な、真林』
『いやあ、あっ、ああ……』
 遼子の身悶えに真林の羞恥は極まっても、鈍く光る好奇の白銀をも宿していた。そんな真林を
もうひとりの遼子が、上からじっと冷静に観ていた。

『来なよ』
『うん』
『ああぁぁぁ……』
 真林の瞳の色に竦んで、どんどん堪え性がなくてゆく。惹きつけるだの、真林の躰を
休ませたいのと思っていても、二人だった頃のシンプルな歓喜がほしい。贄の資格は無いのだと
お臀は揺れる。歓喜がほしいだけといって。
『遼子』
『赦して』

 していい、してほしいと真林にも言ったはずなのに、みだらに耽溺する、あふれる春水を
娘の真林の唇が吸い付いて、蠢く女性器に蓋され啜られると思うとたまらなく、太腿が
絶望のような痙攣と、えも言わずの甘美の前哨をともなって顫えた。
『よくないの』
『もう、ゆるしてください』

 真は遼子の臀肉をぐっと持ち上げては離して、という簡単な所作を繰返しながら、
揺れる遼子のお臀の柔らかい肉の震えでペニスを維持させながら、とうとう遼子の
女性器を愛撫することから離れ、臀部の玩弄すらやめてしまった。遼子の心が哀しんだ。
突然、細い鎖が千切れてしまった。息子はなにも応えてくれない。叱責もなくて。
 そして真林が、少女の脆弱な、それでいてごつごつした膝頭を薄皮に守られた、
肌を冷たいフロアに押し付けて、代わりにやって来る。
216名無しさん@ピンキー:04/10/04 02:15:59
『388』

『ひっ、んっ、んん……』
 痛みを堪えたくぐもった悲鳴が聞こえ、真林は目の前の遼子の躰が跳ねたことに
驚いて固まってしまった。ふんばっている遼子の両太腿の淡いから真がみつめている。
真林の白い肌に朱華が咲いているのを観て。
 遼子は真に内腿の薄い肉を抓られて、下唇をきゅっと噛みしめていた。痛みは快美の
遮断を生んでいても、女性器に跪いている真林の唇に遼子の神経は昂ぶった。
『ん、んっ、んあっ……!』      『遼子、痛いっていいなよ。遼子!』

 遼子の前に跪いている真林は、緊張している両太腿に手を恐る恐る添えた。
バスルームでは、お互いの抱擁が遼子と真林の心に安らぎのフェイクを
醸していたのだと知った。
『ごめんなさい、真ッ……』      『おにいちゃん、おかあさんを……痛くしないであげて……』
 遼子の内側の太腿の薄い皮膚はみるみる赧くなっていった。なのに無慈悲に
抓る真の手にふれ、さわりたいと思う真林だった。
『もっと痛くするよ。いいの』

 真林の手はそれでも、かわいそうといって遼子の太腿を擦った。本質を知ったところで
ほんとうは何かだなんて判りたくもなくて、単純な肉の営みで十分だと納得したい。
でも人肌で抱き締められると、どうしようもない情がこぼれてくるのがわかる。
『痛いっていわないの』
 だきしめていて、真林……。その声が真林へと実際に聞こえたわけではなかったが、
真林の手は遼子の太腿にやさしさを込めて撫で続けていた。

『痛いわ。いたい……。とても、痛いんです……!』
 遼子の告解でやっと真から開放され、ふっと緊張していた肉が弛緩したら、
真の手は遼子の太腿に添えられている真林の両手を取りにいって、真と真林が
指を絡めだした。真林の指も真に積極的に応えて絡み付くのを皮膚感覚は伝えた。
 そして遼子の肉を挟んで真と真林は唇で責めながら、妖しい精神の逢引きが
とうとうはじまってしまった。
217名無しさん@ピンキー:04/10/04 12:47:12
『389』

 のっぴきならない指を絡めるだけの逢引きの真林。遼子の太腿にひしひしと伝播した。
真と交媾するヴァギナになってしまいたい。男女間のエモーショナルを尊重し印象付けて、肉襞が
ペニスをやさしく包み込みこんで蕩けて自分を掻き消したい。真の指よりも速く、真林の指が
強く握り返した。母親に甘えたいという気持ちはあっても、真林には遼子をどうこうしたいという
嗜好は希薄だったのに、ざわめいて追いつめられていた。
 セックスそのものが精神に愛情を産むわけではないからと、遼子は瞼を閉じながら、
それでもつい眉間に深い縦皺を刻んで、頤を溺れる性愛の波間に突き出す。ときには遊戯。
過激な体位がいつも優先されたわけではなくて、多くは愛情の確認でもあった。
情緒を育みこそすれ、はじまるもつれは、あくまで副次的な……。

 セックスはただのセックスであって、それ以上でも以下でもなくて、――遼子。
 まだその多くを知らなくて、そんな真とのセックスに精神を掻き毟られて、――真林。

 でも、そのパワーは計り知れなくてと――遼子に跳ね返ってくる。真林はセックスと
遼子の秋波で、ただただ流されてしまって。真と遼子との間に入って、繋がっているという
事実こそが真林には切実だった。
 セックスが主体となって、家の中でところかまわず奪い奪われ交わるのではなく、
日常の裏づけの延長にこそセックスが存在して、バスルームから出てからの遼子と真林は、
環のなかでは触媒であり続けたいと願っても、急激な変容はどうしようもない気分に
肉体を塗られる。
 触媒であり続けたいと願うならば、精神の変容は赦されないのだから。触媒が真であることを、
遼子も真林も認めようとはしなかった。

 しかし、真の指と指とを絡めていて、手を繋いで遼子を責めていると、真林の内面に
変化が湧き起こっていた。バスルームの時より、もっと突き抜けた感覚が少女に舞い降りる。
 遼子の肉越しの口吻は遼子の肉を切望したものに取って代わるという、感情の
整合性がつかない。
 それでも、みだらなヴァギナに貌を埋め、ひとつひとつの遼子の淫絵は、真に抱かれる
真林自身の姿態を示唆してかたちづくり、一気に小さな器にみだらの奔流となって雪崩れ込んで疼く。
218名無しさん@ピンキー:04/10/04 12:53:16
『390』

 真を中心に据えて母と娘は変わることを悦んで、美醜でおんなを極めようとする。
遼子。そして――娘。その答えが見つからない。真林。そして――母。
 だれも真林には応えてはくれないままに、躰だけはなにかを真林に訴えて、遼子を
真と真林とで挟んでいる。肉情に躰を折ってフロアに崩れそうなほどの遼子の太腿で、
母ではなく女おんなとしての遼子に焦がれ、兄ではなくて男を感じていたい真に縋って、
無性に惹かれた少女の精神は砕けた。

『んああっ、あ、あっ、ああっ』
 真林が遼子の股間で小さく悶え、セックスの疼きを移植するために貌を振り立てているようで、
ヴァギナを擦られアヌスを舌先で突かれてサンドイッチに進退極まり、遼子も獣になって咆え
唾液を撒き散らす。
『気持ちいいっ、あっ、あ、ああっ……!』
 はばかりのない声を噴きながら、遼子の真の躰を求めていた手は、真林に向かって
流れていった。

(股間に真林の貌をちからいっぱいに圧し潰したい……。してみたい。したい、したい……、させて真林)
 肩を掴まれて、遼子に撫でられている。真林の耳朶に指を絡めて挟んで撫でていた掌は、
真林の火照った頬から、仄かに膨らんでいて喘いでいる少女の乳房へ。
『あっ、あっ、あ』
 真林は可愛らしく小さな声を上げて躰を揺り動かしていた。小鼻は遼子の愛液で濡れて
きらめいて、半開きの少女の唇からは、みだらに白い歯が覗いていた。

 蒲団で横たわっている上気した女体を、太腿を掻き抱き担いで、遼子に誘われるまま
烈しく腰を打ちつけて動かし衝きあげ、こわれていく自分を知ったのが真のはじまり。
 テーブルでは自分からこわれてゆくことの快美の愉しみを貪りたくて、遼子の肉襞の
蠕動に勃起するペニスを叩きつけた。その肉の蠢きを真林は見ていたのだった。
 遼子はぐらっと揺れ、暗いダイニングのテーブルで椅子の足を浮かせ、真を両脚で挟みつつ
犯され歔きながら、背中からフロアに倒れて堕ちていってもいいと思った。怖くなどなかった。
219名無しさん@ピンキー:04/10/05 03:02:07
『391』

 怖かったのは、抽送され続けた真の力と、仰け反ったときに見た真林の瞳なのに、
今はそのどちらにも寄り掛かっているみいになりながらも倒れることができないで、
どっちつかずの宙ぶらりんになっていることを、苦しいけれども愉しんでいた。
遼子は、真と真林に捧げる肉になりたいと願い歔いた。
 あの時の、遼子の蒲団での誘いは、真を男にした。鴇色の少年の尖端は、一瞬、
錆朱の張りに遼子が変えた。見てくれは子供のままでも、逸物の貌は恋人のペニスそのものに。
今はどうであろうと、遼子の動悸は烈しく鳴った。

 真の遼子を後ろから貪っていた唇は、臀部の丘陵を越えていって、女体がつくりだす繊細な
背の軒反りを軸骨の窪みに沿って、つうう―っと舐めながら立ち上がると、勃起したペニスを遼子の
お臀にぐいぐいと押し付け、乳房を後ろから揉みしだいた。喘ぐ遼子の肩。鎖骨の下の赤みを帯びた
肉が昇降して、その震えは柔らかな白いまろみと伝い、葡萄の粒のような尖りへと辿り着く。
陽光を浴びて、透通ったデラウェアのワインレッドの瑞々しさを真の指と指の淡いが搾りたてる。

 でも、欲望に任せた乱暴な愛撫などではなかった。遼子の臀部の軒反りから肩胛骨に掛けての
しなうその曲線は、真のペニスを欲して歔くように顫えていた。いきり立った男根を遼子のお臀に圧し付けては、
そのバネのような弾力を遼子に伝えていたから。
 短かったのか、長かったのか、どれだけそうされていたのかは遼子にはどうでもいいことだった。
坩堝となっている濡れそぼったヴァギナに挿入されてしまってからの時間は……とてもとてもいいものだった。

 あれから、気になっていたのは、真の裸身に寄り添って、少女の脾腹に肋の翳りを描きながら、
繊細で薄い肉を汗で濡らし静かに動かしている真林の姿。
 愉悦の遠のいた遼子は、ふたりの躰から気だるさという快美を纏い、ゆっくりと起きて、
真林の尖った臀部をそっと二三度撫でながら、残滓に塗れて下腹にぐったりとして
小さくなって寝ているペニスを赫い舌で掬うと、口に含んで丁寧に清めて、よろめきながら立って、
ひとりラバトリーから静かに出て行った。
220名無しさん@ピンキー:04/10/05 16:18:45
『392』

 足は引き摺らない。両肩を後方に逸らして胸を張って、しっかりと。爪先が蹴って
きれいに後ろに流れる。歩幅は大きくなって、よろめいていた躰は堂々となっていった。
薄暗いキッチンに料理の香りが漂う。遼子はラバトリーの棚から持ってきたタオルを
ステンレスのカウンターに置くと、暫らくシンクの縁に両手を掛けてうな垂れていた。
 このまま腰を落として崩れてしまって、冷たいフロアに横になりたかった。しかし、
そうゆっくりもしていられない。

 右手にタオルを握って、水栓を開いた。ふんわりとしていたタオルは、水を吸って
みるみるくたれていった。真横に設置されているオレンジの蓄光素材の、引き出しの
取っ手を掴んだ遼子は白い背中に軸骨を迫りだし。薄暗いなかでも、全裸でキッチン
ワークをする遼子の白さは際立っていた。
 ほっそりとした骨は艶やかな薄い皮膚に包まれた動き。手はストッカーに束ねられ
吊るされていたビニール袋を一枚引き千切って、濡らして搾ったタオルを放り込む。
それを持って電子レンジの方に歩いてゆく遼子。目盛りを一分に捻った時、水栓が
開きっぱなしだったのに気づいた。
 右手を顔にやって、中指の先でそっと目の下を拭く。口元を縛られた袋は、膨張して
膨らみチンと小気味よい音で一気に萎んだ。袋から熱いタオルを取り出し、両手に乗せて拡げ、
ぱたぱたと適温に下げる所作をしてキッチンを後にした。垂れ流しだった水もちゃんと閉めてから。

 ラバトリーに戻ってみると、真林は真の胸に顔を預けたまま眠ったままだった。
少女の背が見えて、華奢な肩口はドールの球体関節にも見え、横になったお臀の淡いからは
舟のかたちをした小さくてシンプルな女性器が覗いていた。脈が速くなった。真のペニスに
真林のヴァギナが寄り添いながらあるように思えていたから。
 しかし、ふたりは眠りに落ちていて、遼子が出て行ったことも、戻って来たことも
知らないで寝息を立てている。手に蒸しタオルを携えて、真林にはすまないと思いつつ、
先に感謝を込めて、遼子のおんなを満足させてくれた真の股間にそっとあてがう。
躰の汗もタオルを裏返して、丁寧に拭き取っていった。
221名無しさん@ピンキー:04/10/05 23:36:41
『393』

 遼子は真林に縋って強く抱き締めながら崩れ落ちて、後ろから真の挿入を感じて闇に
吸い込まれる、ブラックアウトを体感して叫んでいた。歓喜の白閃光に包まれるのに、
たいした時間は要しなかった。
 ぎりっぎりっと押しよせた悦楽の波の不安で、縋った真林の肉体を勃起した真の
ペニスと思ってしまい、感情を堪えきれずしがみ付いてしまった。

『ああ……』
 瓦解した声を遼子はあげて、遼子は真林の躰の上で真に貫かれた。のたうつ遼子の
重みは苦しくとも、真林には息苦しさの甘美を与えた。遼子の手が真林の額に掛かった
前髪を掻き上げて両手で包んでいって、むむっと圧し付けていって真林の喘ぐ唇を奪う。
 ペニスで貫かれている遼子の吐息と唾液が流れ込んで、組し敷かれた真林はがくん
がくんと跳ねた。その澱んだラバトリーに遼子は蒸しタオルを持って戻ってきた。
真を拭いて、真林を拭いた。冷めたタオルを置いて、ふたりの肉体を眺めていた。

 懸命に律動を繰り出して満たしてくれて、果てた真は静かな眠りに落ちていた。真林の赧らんで
寝ている貌を眺めて、横たわったお臀をそっと撫でた。少女の双臀の淡い、硝子細工な、
遼子と真林の和合の愛液で何度も絖ったヴァギナは何事もなかったようにきれいになっている。
少しためらいながら、少女の命の花びらの綴じ目をそっとなぞってから、真のペニスにふれにいった。
 萎えて小さくなったペニスに、涙を拭った中指を曲げて左側面にペニスにあて親指で挟んで、
ゴムまりを弄ぶみたいにゆっくりと戯れる。人差し指は、亀頭の頭を押えるみたいに撫でていた。
心なし、ペニスが膨らんだように思え、遼子は動きを止めたが、ペニスをもういちど交媾のために
復活としない遼子は尚も指による戯れを続けた。

 自分の気持ちはなんだったのかと、そんなことをしながら整理しようとする。おんなを
前面に出して、真と交媾した遼子だった。満足して眠っている真もそうなのかしらと、
訊きたい気持ちを隠してペニスを撫でていた。
 蒲団の誘惑のことを想いながら、リビングのテーブルに両足を乗せ、つま先をきっと
せつなくなって窄めた。膣内が肉棒を、両太腿で真の腰をきりきりと締め上げて、
椅子に座ったままで犯された。そのことを想って、遼子は興奮する。
222名無しさん@ピンキー:04/10/05 23:52:42
『394』

 遼子は、指の動きを変えてペニスにのめりこんだ。親指と中指でつくった
リングを落として根本を閉め、人差し指を伸して真の陰嚢に、――睾丸へ。指先は玉を
転がすというタッチに、指のリングでペニスの血流を止めたり開いたりして。
 遼子はそれをしてから、また亀頭に昇って、今度は人差し指と中指で挟むと、おもに
親指で円を描いてという単純な動きを繰り返し、真の鴇色の粘膜に施す。脈動がはじまり、
とうとう鈴口からは露があふれだした。

『ママ……』
 むずかった真林が、真の胸に頬擦りをして、遼子はどきっとし、顔をペニスから真林に
羞恥を隠して移すと、真林ではなく真が瞼を開いて見ていた。ずっと見られていた、たぶん……。
なんてバカだったんだと思いながら。
『ごめんなさい、疲れているのに起したりなんかして』
 とりつくろっていても、しどろもどろになっている小娘だった。

『べつにいいよ』
『……いいって?』
 なにを言っているのだろう。躰は火照っていたが、いくらなんでも没頭しすぎている。
それに、風邪だってひいてしまう。食事だってと遼子は女から、真と真林の母親に
なんとか戻っていこうとした。真林の寝言のママが呼んだのか。
『ごめんなさい』
『いいよ。続けていても』
『……えっ』
『それより、遼子のおま×こ。僕が拭いてあげようか』
『またするの』
『もう、したくない?』
『してもいいわ。して』   『今度は真面目に拭いてあげるから』
『うそ。もう拭いたからいいの』  『だったら』       『だったら、なに?』
223名無しさん@ピンキー:04/10/06 00:00:24
393 訂正 下から三行目 つま先をきゅっと
224名無しさん@ピンキー:04/10/06 22:00:32
『395』

『して。チンポのつづきを』
『いいの……ね。しても』
『してもらいたいんだ』
『ありがとう、真』
『だから、僕がしてもらいたいんだよ』
『ええ、してあげるわ』
 真林が動いて真の胸に頬擦りをした。遼子の唇がやさしく真横に伸び、小さな笑い皺をつくっていた。

『でもどうだったの、真……』
『……』
 真はどうってなにとは、すぐに訊いてはこなかった。それが遼子を気まずくした。
『さっきのこと……なの』
 それでも遼子は、ペニスへの愛撫を棄てたわけではなかった。亀頭の次は肉茎。皮下の
軟骨の存在を確かめようと指は動いていて、そしてまたマシュマロのような肉感の亀頭に、
おさわりをしてと絶えない。そこでも奥にある軟骨の尖端を指頭で追った。その頃には
真のペニスは交媾可能なほどの硬度になっていた。
『きもちいい』
 真はやっと応えたが、言葉はかみ合っていない。……だから。
『好き。真も、チンポも……なの』


『いつも、きれいなママなのに、こわかったよ』 『ごめんなさいね。もうしないわ』
『どうして』 『どうしてって、あんなママは真、嫌いなんでしょう』
『自分の気持ちを隠すことなんかないよ。僕、おま×こしていてうれしかった』
『ほんとなの』 『きっときれいって、思うようにするから』 『引っ掛る言い方』
 溜めの媚態のある発話で、遼子はうれしそうに微笑む。瞳にはうっすらと涙をためて。
『きれいじゃないってことじゃないんだよ、ママ』   それは蒲団で真が男になって、
遼子の肉体を責めた、――たいせつな思い出。 ママ、どうしたの。   『遼子?ねえ』
225名無しさん@ピンキー:04/10/07 20:24:47
『396』

『愛しているわ』              『ママ……』
 下腹部の腹筋をこわばらせ、真はいたずらをしてペニスを揺り動かした。遼子が
無垢を意識していたのは、いつだったのか。自分をどれだけ真にぶつけて。かたちのなかった

 かたちのない頃に真林をもって、真に捧げたいなどとは思いもしなかったが、
不安がなかったわけではない。 
『遼子って呼んで、真。ママじゃなくって、りょうこよ』   そう考えたことによるひとつひとつの
パズルのピースがきれいに嵌っていってしまって、禁忌の垣根を取り払って前に。前へ。
『……ママじゃだめなの』   考えたことが、ちょっとだけ遼子のなかの時計を進めた。
破滅や破壊をほんのちょっとイメージすることが。考えてしまえば、それだって時間を
押し進めてしまう要素になりうるもの。
『りょぅこって、真には呼んでもらいたいの』  『……りょうこ』  『ええ、りょうこ。
そう呼んでくれるとうれしいわ。して。いつも、そうしていてくれる』  ママを棄てて。

『遼子、愛してるよ』
 もしきこえたのなら、真林は涙を流していて、真の胸板を濡らすかもしれない。
いつまで無垢でいられるのだろうと、真の向う側にいる恋人に捧げた、少女の頃を遼子は
思ってみる。愛を穢したのではなくて、信じていただけだった。
『ありがとう、真。真林、起きなさい。ねえ、風邪をひくわよ』
 肩を掴んでかるく揺する。
『遼子、寝かしといてあげようよ』

『でも』
 真が起き上がって、真林の頭をそっと置くと立ち上がって、棚から新しいタオルを
取り出してラバトリーを出て行こうとした。
『するわ』
『いいよ。僕がするから』     『したいのね』
 小さくため息のように呟いた遼子は、真林の裸身に視線を落とした。真を見送ってから
遼子は正座し直して臀部を浮かせる。真林の裸身の左側から跨いでいった。
226名無しさん@ピンキー:04/10/08 00:33:22
『397』

 爪先で支えながら両腕が真林の躰を挟んで裸身とあどけない貌を観た。遼子の乳房が
揺れる。頭を落として、少女の乳房にそっとくちづけをする。
『ありがとう、真林』
 遼子の顫えが伝わるように真林の乳房にも。それとも真林の乳首の顫えが先だったのか。
『おかあさん』
 真林の前髪を梳いてやろうとした、遼子よりも速く、真林のほうが先に遼子の前髪にさわる。
ふられたくなかった場所に届いた――真林の手。


『いやぁ』 『どうしてだい?』 男は遼子をくの字にシーツに横たわらせながら、少女の遼子を
背中から抱いていた。律動をするのに、丸い肩を掴んで突くのは玩具を思わせ男は嫌った。
遼子の髪を愛撫しながら匂いを吸っているうちに、髪を掻き揚げて額も撫でていた。
遼子は急に顔を振って拒み出した。拘束したような体位に、 『やだあ、やあっ、やなの。髪はいやあ。
さわらないでぇ……』  遼子の髪はおかっぱになっていて、眉毛の隠れるラインで、
きれいに切り揃えられていた。 

 夏によく遊びに行って、遼子はおじさまと男に懐いていた。いっしょに寝たのは、その時だった。
躰を赦したのではなく、ただ情愛を確かめるように添い寝しただけの、その程度の仲だった。
ほんとうに、躰を開いたのは、その年の冬。
 遼子はひとり、おじさまという男の元に赴いていって絵のモデルになった。
遼子は夏のときのように男と三日過してから、モデルのことを聞かされた。おじさまが、わたしの
絵を描いてくださるの、とはしゃいだ遼子だったが、ぜったいに弱音を吐かないかと
厳しく諭された。遼子はアトリエで男の描いた大作のキャンバスが立てかけてある、
その中の少女と会っていたから、いくつかの少女の絵を見て、その空気はなんとはなしに
理解していたつもりだった。そのこともあって、きっぱりと『はい』と男を見据えて応えていた。
 遼子はおとなしい女の子だった。その性格は日本人形のような容姿からも窺えた。
とくに濃やかな黒髪に、眉を隠す前髪は遼子の内気を示唆した。 『ほんとうに、いいんだね』
『はい。わたし、おじさまのモデルになりたいの』  遼子が衣服の釦に手をやるのを男が止めた。
227名無しさん@ピンキー:04/10/08 13:36:17
『398』

『ここじゃない』 『お家じゃないの』 『ああ、そうだ』 ストーブの小さな窓から
見える赤々とした焔から、アトリエの窓の向こう側に目を向け、灰色の冬景色を眺めた。
遼子の瞳が不安に染まる。 『やめておくか』  『……やるもん』 
 男の屋敷は遼子の家から、車でスカイラインを越えて、三時間の距離の場所にあった。
廻りには人気はない。街に出るのに、車で三十分ほど行かねばならないそんな場所。
また、雪がちらつきはじめていた。

 遼子は着てきた白いアノラック姿で助手席に座ると、ドアをばたんと閉めた。
暖房が車内の冷気を消すまで、ふたりは沈黙で時間を過した。苦痛と歓喜が遼子に訪れる。
男は空から降りてくる雪を、身を乗り出して眺めていた。遼子は助手席で、前に組んで
膝の上に置いた手をじっと見つめていた。
 遼子は男のほうをちょっと見た。 『妖精が舞い降りた』 『えっ』 男は遼子に雪が降ってくる
視界の遠近感に、躰が吸い込まれるみたいで好きだというような説明を受けていたが、
聞いてはいなかった。妖精という男の言葉で、遼子のなにかが衝き動かされていた。

『さて、出発するか』
 手袋を持ってきていたが、今はつけてはいなかった。どうせ、着いてしまえば、
裸になるのだから。ワイパーが掛かって、屋敷からチェーンのチャリチャリチャリという
金属音を立てながら車はゆっくりと雪を踏み出した。遼子が男に連れて行かれたのは、
廃線になった木造の寂れた駅。
『やめてもいいんだぞ』 『やめないから』 『よし、いい娘だ』 男は遼子の頭を
撫でながら、額にもふれようとした時だった。

『髪にはさわらないで』 ラジオの付けていない車内に、遼子の凛とした声が響き渡って、
男はびくっとして手を思わず引いていた。それに、どう応えていいのか困惑もしてしまう。
『さわらないで、おじさま』 遼子があわてて、取って付けたような発話をした。 
『わかった』 『髪にはふれないでいて』 『ああ』      
『ちゃんと、お仕事のお手伝いはします。だから……』             『だから?』 
228名無しさん@ピンキー:04/10/08 19:56:50
『399』

『ごめんなさい』 
 遼子の殊勝さに男は言葉を失くしていた。むしろ微笑ましいものだったのに、
少女の姿に見惚れていた。シートベルトを外して、薄い胸を突き出すようにして、
白いアノラックを脱ぐ。胸元の釦に手を掛けても、男は止めようとはしなかった。
そして遼子は車の中で裸になっていった。男のペニスは勃起をしていなかったが、
遼子に微かな興奮は覚えていた。

 車内の異様な空間。ありえない日常の絵。白い肌の少女と、外の重苦しい灰色の空と雪。
廃線の木造の駅という寂れた絵。少女のセックスを更に時間的に切り離したような、
配剤に悦びがあふれて、だが勃起を阻害させていたのは、遼子が前髪に触れるのを
拒んだことだった。夏の夜に添い寝した際には、そんなそぶりは見せなかったのにと、
取るに足らないことではあったが、それが男には棘となってチクチクとした疼きを覚えて。

 男は遼子が衣服を次々に脱いでいくのを見ないで、シートベルトを外し、躰を
後ろにやり、後部座席の毛布の上に置いたスケッチブックと画材を取り出す。 
『おじさま、長靴も脱げばいいの……』 遼子は作業を続ける男に訊いた。
 母親といっしょに買いに行った赤い長靴。靴の口の廻りには、ふわっとした白いボアの
飾りが付いていた。 『裸足になれ。いいな』 あえて、ぶっきら棒に男は遼子に応え。 
『はい、おじさま』 遼子も感情を廃した発話で応えるが、裸になっていたからか
少し顫えていた……。車内はむっとする温かさに既になっていたというのに。

 男は遼子の脱いだものを受け取って、後部シートに置いた。遼子は裸身を
揺り動かして衣類を手渡し、男の動作を眺めていたが、すぐにシートに正面を向くと躰を沈めていた。
 男がやっと戻って来る。暖房のせいなのだろうか。遼子の貌は赧らんでいて、
その色はきれいに頸筋にまで及んでいた。瞳も潤んで、しかし遼子の女性器は
潤んでなどいなかった。快楽にはまだまだ遠かった少女の場所。
229名無しさん@ピンキー:04/10/08 23:00:46
『400』

 助手席にいる遼子の裸体に、いきなり男は覆い被さって来た。遼子はそう思った。
たべられる。声を上げるが、それも控えめなくらいの小さな悲鳴。なにをされるのか、
知らないわけではなかったが、すべてを知っていたわけではなかった。少女の歓喜も
追いつかないで。
 男は遼子を襲ったのではなかった。男の手が遼子のうなじをさわって、シートから
頭をそっと浮かせ、赤いリボンが細い頸に廻される。遼子の前髪に男の顔が近づく。
『……あっ』 小粒のガーネットを埋め込んだ、ハート型の銅のロケットを首に
掛けられて、チョーカーの飾りになる。灰色の空でも、銅の放つ鈍い光りが、遼子の
細い頸に掛かって映える。

 歓喜がやっと少女に追いついて、遼子は突然喘ぎ始めていた。男の手が火照った
頬をやさしくさわる。頸に掛けられたアンティークジュエリーは、少女の裸身への
拘束具にも見え、妖しい艶も生じる。 『銀か、金のほうを探したが、これしかなかった』 
『ありがとう、おじさま』 『やっと笑ってくれたな』 
 頬骨に触れていた男の親指が、遼子のぽてっとした下唇をそっと撫でていた。
耳も熱くなった。逃げ道のない躰の熱さは爆発しそうなくらいの力で襲ってきていて、
遼子は喘いでいた。おしっこを洩らしてしまいそうな、そんな切羽詰った感じが、
やたらと噴き上がってしまい、どうしようもなくなった。 『キスして、おじさま』

 男の顔を見上げて遼子はおねだりしていた。貰ったものは、かるいキスだったが、
遼子はぼうっとなっていた。 『遼子、出よう。始めようというまで、この毛布を
巻いていなさい』 『はい、おじさま』 男がスケッチブックを抱えてドアを開けた時、
一気に冷気が車内に流れ込んできた。遼子もドアを開けて、素足を雪の上にそっと
下ろしていった。
 最初の冷たさは衝撃でもなんでもなかった。裸足で雪を踏みしめて、男の後ろを
付いて行く。遼子のなかに密かな感情が、心臓に温かさをトクントクンと送り込んでいた。
オレンジの毛布を巻いた遼子は男と一緒に改札口を潜る。ホームの石が冷たくなって、
足の指を動かしていた。
230名無しさん@ピンキー:04/10/09 11:06:17
『401』

『はじめようか』 『はい、おじさま』 遼子は爪先の指を窄めてきゅっと曲げた。 
『最初はホームの椅子の下に腰を降ろして、膝小僧を手で抱えてくれ』 
『わかりました』 遼子は木を張り合わせた箱椅子に毛布を置いて、臀部を冷たい
床に下ろして膝頭を手で抱える。
 男に女性器を拡げて見せている少女。あられもない姿は遼子のなかに羞恥を意識させて、
唇を内側に呑み込んで睫毛を伏せる。それは、遼子の困ったときに取る……。
『遼子、その癖はやめなさい。頤を上げて。楽しいことを想像するんだ。いいね』

 だがヴァギナを拡げていることよりも、寒さがことさら堪えてはじめていた。足の指は
15分経つと痛くなってじんじんして来た。懸命に表情に出さないよう我慢していた。
代わりに想う、おじさまとの添い寝した夏。道行きで男は吸わなかったが、
たばこの匂いがなつかしい。遼子が男をぬいぐるみでも抱き締めるようにして、記憶を
抱き締めていた。

 椅子の素描が終るとホームから降りて、雪の降り積もった線路に下り、仰向けになったり、
横になって脚をくずして寝たりと、双臀から小さなヴァギナが見える羞かしい体位を取らされ、
いくつかのバリェーションポーズを男に提示した少女だった。
足だけだった痛みは、躰の芯にまで及んでいた。
 いまは雪に寝そべって、素描している男に遼子は顔を向けている。次は、顔の前に
伸ばした手先を追って頤を突き出して這うような格好で。視線が雪にさわっている手に集まって、
指がまっすぐにならないことに気がついた。その頃には、ようやく一時間半が過ぎようとしていた。
雪にふれている乳首も、擦り切れそうな寒さと痛みに勃起していた。真直ぐに伸ばせないくらいに、
かじかんでしまっている指に遼子は……。

 遼子には、その体験はある――夜遅くまで男の子といっしょに雪降るなかで遊んだ。
スキーに夢中になって手が凍えているのも忘れて。ふっと見上げた街灯に照らされ
雪が斜めに降っているのを見て、母に怒られるとやっと家に帰って、手袋を取ると……。
231名無しさん@ピンキー:04/10/09 11:34:36
『402』 

 耐えられないものになる。永久になにかが欠落してしまう感慨に遼子は烈しく動揺した。
『おかあさん、手が、指が変。変。指が、おかしいよ』 『あなたが、約束を破ったから、
神様が罰を与えたの』 『やだあ、やだよう。やだぁ……』 みじめたらしく縋った。 
『うそ、ストーブで温まっていたら、すぐに治るから』 子供だから赦される、
 そんな計算なんか無かった。ほんとうにたすけと遼子は母に向かって叫んでいた。
『やだあ、やだあぁぁぁ、たすけて。たすけて。おかあさん、おかあさん……!』 
『だから、だいじょうぶだから』 
『やあ、やあ、やああっ!』  『温まれば、治るのよ、遼子』 抱き締められた遼子。
だが、そう簡単には事はすまなかった。

『よし、終わりだ』 男が駆け寄ってきて、遼子にスケッチブックを渡した。
いままでの時間の存在証明を遼子は肌に委ねられたことで、かじかんだ記憶は
薄らいでいた。 『見てもいいの』 『いいが、それは帰ってからだ。わかったね。
遼子、躰で挟んでそれを持っていてくれ』 手が動かないのを知っていた。なぜだか、
みじめな気分になった。それでも、わっと泣きたいのを堪えた。甘えたいのではなく、
プライドが少し傷ついていた。
『はい。……あっ』 穢れのなき白雪がこんもりと二本のレールで盛り上がった
淡いにいた遼子は、いきなり男に抱きかかえられ、ホームに跳んだ。とんという衝撃が、
遼子の両足を動かす。男は最初に遼子を描いた場所へ行って、オレンジ毛布を
颯と取って裸に掛ける。

 それでも、寒さは肌を突き破ってやってくる。歯の根が合わなくて、頤はがくがくと
なってしまう。暖気が遼子の頬を撫でる。車内はキーを付けたままで出てきたので、
暖房は生きていた。遼子は助手席ではなく後部シートに乗せられた。
助かったという実感は湧かない。 『遼子、スケッチブックをよこしなさい』 
男から渡された、ふたりだけの時間。手に持てなくて胸に腕で抱えるように挟んでいる
スケッチブックが遼子の温もりだった。 『持っていちゃ、ダメ……ですか』 
男は遼子の媚態ともつかない縋る瞳を見た。
232名無しさん@ピンキー:04/10/09 14:38:29
『403』

 むらさき色の唇にいくらか血色が戻りはじめた。男はタオルを取って、遼子の雪に
濡れていた肌を、ごしごしと擦り出す。 『あっ、あ、あ、あっ、だっ、ダメ……おじさ』
線路から抱き上げられた時、遼子はぐらつく頭を居た場所に向ける。二本のレールの淡いにある
遼子の躰のかたちが降り積もる雪で消えてゆく。そして、永遠になくなって。
遼子はペニスで突かれて歔くみたいな閨声を上げながら、男に訊いてくる。
『もっ、もっていたい。あっ、あ、おっ、おじさま』 スケッチブックを取り上げられる。
『べつにかまわないが……少しの間だけ手放しているんだ』 『あっ、あ、あっ、いっ、痛い』 
『我慢しろ』

 遼子は乳房から腹、おんなでありながら、硬質な肉体。その僅かなまろみは、
ぽてっとした腹部から陰阜の佇まいにあって。そして裏返されて背中のマッサージも
受けていた。少女の硬い背が丸くなって背骨が浮き出て、タオルの摩擦はお臀に向かう。
『はあ、はあ、はあ』
 荒い息継ぎをしている遼子に、男は水筒を取り出して、キャップに琥珀の液体を注いだ。 
『これを飲みなさい』 『ごめんなさい』 『飲んでくれないかな』 
 遼子は素直に起き上がって、掌で挟んで男に差し出されたカップを唇にもっていった。  
『おいしい』

 二杯目の紅茶を飲み干して、遼子はスケッチブックを男から渡され、ひしっと
薄い乳房に押し付け抱き締めて、後部シートで眠りに落ちた。最初は男に悪いと思って、
瞼を開いていた遼子だった。男がルームミラーで遼子の様子を窺っていた。 『寝ておきなさい。
少しでも疲れを取っておくのが、次の負担にならないからな』 次、次があるんだと
遼子は思ったが、いまはただの事実としか受け止められなかった。

 屋敷に着く頃には、目が醒めていて指をゆっくり伸ばそうとしてもままならなく、
当然の如くぴたっと指は合わさってくれなくて、遼子はパニックになって泣きじゃくる。 
『指が。指が……』 『さあ、風呂に入ろう』 『スケッチブック!スケッチブック……!』 
 シートから引き剥がされるように男に抱えられ、手を伸ばして取ろうと空を掻く。
233名無しさん@ピンキー:04/10/09 18:00:13
『404』

『やだあ、やだあぁぁぁ……!』 遼子は暴れて、毛布が滑り落ちる。男はそのまま
担いで中に連れて行く。バスルームで遼子はタオルを口に押し込まれ、目をいっぱいに
開いた。 『んっ、ん、ん、んんっ!』 男は遼子の頸に巻かれた、アンティーク
ジュエリーを解いて、棚に上げる。真林は躰をビクンとさせた。最後に纏っていた
ショーツを剥ぎ取られたような感覚に遼子は跳ねた。
 
『よく聞け、遼子。これから、湯に入る。ものすごく躰が痛くなるから覚悟しろ。いいな!』 
『んっ、んんっ!』 『遼子!』 少女は男からもらったガーネットを散りばめた
ハート型のロケットを気にしていた。男は諦めて、丸めて咥え込ませたタオルを遼子が
吐き出さないように、もう一度押し込んで風呂場に行った。
 埋め込め式の旅館のような大きな浴槽。その縁には長方形の小さなタイル模様の
古風なものだったが、遼子の好きな風呂だった。抱きかかえられたまま、浴槽の中の階段を
男は降りて、立った状態で腰まで浸かりながら、湯舟に遼子の裸体を浸けた。遼子はその瞬間に
躰を跳ねて、ばしゃばしゃと湯舟を蹴り烈しく波立たせた。遼子の全身には信じられないほどの
激痛が走っていた。

 夜遅くまでスキーで男の子と遊んでいたときの、針を刺すような痛みとは違って、
いきなりプレスにでも放り込まれたような痛みに包まれて、粒状のドットにでも躰が
圧縮されてしまったような圧迫感を味わっていた。目を剥いて遼子は叫んだが、その声は
タオルによって殺されくぐもっていた。  『んっ!んっ!んんっ!』 
 何本もの剣で裸身を突かれているようなものだった。男は湯舟の階段に腰を下ろして、
少女の躰を抱き締めていたが、遼子の力は烈しくて、油断をすれば弾け跳んで湯舟の底に
沈んでしまいそうな勢いがあった。薄い乳房をいっぱいに前に張って 
『んんっ!んぐう!んぐううぅぅぅッ!』  剥いた遼子の瞳から涙が溢れていた。

『まだ、痛い……。躰がじんじんする。痛い、いたいよう。痛い……』 男に抱かれながら、
やっと落ち着いたと思い、遼子の口から詰め込んだタオルを取り除いてやって発話され、
また遼子は男に抱き締められていた。
234名無しさん@ピンキー:04/10/09 18:25:57
『405』

『じんじんする。痛い』 遼子の臀部が男のペニスにあたっていた。全身の痺れは男の
ペニスの硬度を感じることはなかった。暴れる遼子の躰を抱き締め、このまま肉棒を
閉じた両太腿の肉の淡いに挿入して犯したいという欲望が込み上げた。
『遼子、セックスしよう』
『いたい。いたい……』 『遼子』 痛みに顫える遼子は女性器に男の指を感じた。
『あっ……あ、ああ……。ここで、ここでするの』   『寝室に行こう』

 遼子は寝室で男に躰を開いた。後ろから挿入されて、上になっていた片脚を男の太腿に
掛けて繋がっていた。小さなヴァギナは男の怒張をいっぱいに拡げられて頬張っていた。
総身の痛みは痺れに変わっていたが、臓腑を抉られる新たな痛みが遼子を揉みくちゃに
していた。遼子は躰を折ってシーツを掻き集めようとする。それを男が脇から腕を廻して
胸板に遼子の背をぐいっと引き寄せた。そのまま遼子の肩を掴んで律動をはじめようとしたが、
髪にふれた。髪から遼子の額にふれて。
『さわっちゃいやあぁぁぁ……』 『どうした』 『さわらないでぇ』 『だから、どうしてなんだ』 
『おでこ。おでこが嫌いなの。おでこが。だから、ふれないで。ふれないでッ!』 

『そんなことか』
『いやああぁぁぁッ』  男は遼子を抱き締めて、自分の欲望を優先させる。男の何気ない言葉と
ペニスの抽送される痛みとで翻弄された。さらに肌の痺れも加わってしまい。
『遼子のおでこはチャーミングだ。かっこわるいことなんかじゃない』
『あ、あ、あっ』  遼子は揺さぶられながら、女性器が攪拌されるだけの純然たる反応を口走っていた。
男にもそれが、少女の快楽の喘ぎなどではないことを熟知している。 

『遼子、おまえはきれいだ。だから、モデルにしたんだ。わたしのペニスが遼子の膣内で、
どうなっているか、見てみるんだ。観ろ』  ぽてっとした少女の腹を男の大きなそれでいて繊細な
手が撫でていた。
『見る。観るからあぁぁぁ。遼子の膣内にいる、おじさまの……ああッ』
『だから、観るんだ。ペニスが膨らんで動いているところを』 『あっ、ああ、あうっ、ううっ』 
『おま×こしているところを』   『おっ、おま×こ……』        『そうだ、遼子』
235名無しさん@ピンキー:04/10/09 18:43:37
『406』

『おかあさん』     『なに』
『キスして』                『いいわ。してあげる』
 遼子が唇を尖らせ、真林が頭を上げた。遼子は真林の額に擦り合わせてから口吻をした。
『おま×こ、舐めてあげようか』
『……うん、それもしてほしい』
 遼子は少女のぽてっとした唇から、躰をずらしていって臀部を突き出すようにして、
額を真林の素肌に擦りながら、額ではなく遼子のみだれた前髪が撫でる。膝頭を立て
両太腿の開いた、真林の股間に貌を埋めていった。
『して、してっ、おかあさん……』
 真林は立てていた両脚を揺らした。
『きれいにするだけだから』
『うん。それでいい。それでもいいからしてえッ』
『真が戻ってきたら羞かしいわね』
『そんなこと、いわないで』
『ほんとにいいのね。しても』
『いいの。だから……してください』


 箸を置き真が立ち上がって、ガタンとダイニングフロアを椅子の脚が叩いた。
その音に遼子はびくんとする。
『どうしたの……』
 真林はその席にはいなかった。
『遼子とセックスがしたい』
『えっ。なにを言っているのよ』
『おま×こだよ。僕は今すぐに遼子としたいんだ。遼子が口に食べ物を運んでいるのを
観ていたら、むらむらしてオチンチンが硬くなっちゃったよ』
『あんなにも、お風呂で、いっぱいしたじゃないの。それにまだ、食事中よ。お行儀が悪いわ、真』
『遼子の口にチンポを突っ込みたくなった。僕を咥えてよ』
236名無しさん@ピンキー:04/10/10 12:04:54
『407』

『そういうことじゃなくて』
 食事をしている最中にセックスだなんて、もう歯止めが効かない。きもちいいを感じた時点で
過去になって、新たな刺戟を求めてしまっている……だけ。それが雪のように降り積もって
一瞬にしてすべてが過去になるときが来てしまうような胸騒ぎ。それでも、真の前に傅いて、
ペニスをおしゃぶりしている自分の姿に昂ぶる遼子。

『じゃあ、なに』
 後ろを振り返って、白雪に裸形の痕を付けていたのを見る。前に進むということは、
どういうことなのだろうと探している。
『真はセックスを遊びか玩具みたいに思っているでしょう』
『遼子、真林とのことを怒っているの』
『怒っているわけじゃ……。そういうことじゃなくて。ねえ、ほんとに、わからないの。ほんとに』
『なんで、そんなことを今更訊くのさ』

『そこに座って、真』
 真はふてくされていたが、遼子の言葉に素直に従った。
『たしかに、セックスはきもちいいことよ。とてもなつかしくて……』
 最後の言葉は真に聞こえるようには発話していない遼子だった。遼子には男との
少女の季節があったから。
『気持ちいいと思うのなら、愉しいって思うのがあたりまえだろう。そうやって
遼子といっしょに来たんだから』  それが、真の過去なのだ。それしかない。
『いっしょに、真と……。そうよね。なら……条件があるわ』

『条件?』
『今夜は、もうこれっきりにして。そうしてくれるなら、わたしを抱いてもいい』
『いいよ。わかった』    『あっさりしているのね』
『僕は遼子を蔑ろにしているわけじゃないよ』
『うれしいわ。それに、もうひとつあるの』   『……もうひとつって、何』
237名無しさん@ピンキー:04/10/10 12:19:21
『408』

『今日は、真林と寝かせて。ふたりっきりになりたいの』
 真は遼子の申し出に複雑な顔をしていた。バスルームでは、真林とは交わらない。
真林の躰を休ませると約束はしたが、裸で抱き合って添い寝をするつもりでいた。
しかし、かりにしていたとして、少女の人肌を感じてしまえば、どれだけ辛抱できたか
保証は無かった。
 真林は失神してしまって、二階で寝かしつけられていた。遼子はガウンを羽織って、
帯びを閉めると裸の真林を抱えてラバトリーを出た。真が遼子の躰に纏わりつき――

『ねえ、裸のままでいよう、遼子』 と絡んできた。   『なにを言ってるの』 
『裸のままで食事をしよう』 『それだけはダメ』 『どうしてさ』   真の手が遼子の
肩にふれてガウンをはだけさせようとした。
『よしなさい、真!』
『なんだよ』
 真林を抱きかかえていたことと、真に抱いていた不安が一気に爆発した。
『いい、ちゃんと服を着るの』 『……』  『いいわね』   『わかったよ』

 まだ交媾の匂いが残っていたけれど、真林の部屋に踏み込む。そこにいると――
遼子は真林の部屋に入ったとき、むわっとした性臭に眩暈がした。――遼子は男との
冬の出来事の思い出を抱き締めていた。
 塩素材のような匂いが部屋に充満していた。遼子は真林をベッドに寝かせ毛布を
そっと掛けてから、窓際に行って、少しだけ……。

 窓を全開にしてやりたかったが、真林のことを思って――やめる。ふっと人の気配を
感じてドアを見ると真が立っていた。裸だった。遼子はドアのところで立っている真に
足早に歩いていくと、平手打ちを喰らわせた。パシーン!という肉の乾いた音が響く。
遼子は感情をぶつけたことに、ハッとしたが真を睨みつけることを止めたりはしない。
 部屋は間接照明のやわらかなオレンジが灯っていたが、遼子の凄みは、真にひしひしと
伝わっていた。
238名無しさん@ピンキー:04/10/11 00:00:53
『409』

『わからないの、真』 真林の部屋の空気は、頬を打った肉の音が裂いた。それと
静かなものではあったが、ありありと怒気がこもった遼子の声。真は反撥する気も
失せてしまっていた。 『これ、持って来たんだ』 胸に持っていたものを真から
ぐいっと遼子は乳房に押し付けられると、真は背を向けて出て行った。 『……真』
リビングから持ってきた、天然成分が配合された消臭剤の容器が遼子の胸にあった。

 洋梨……、ラ・フランスの匂いがする。梨のように水っぽくなく、熟期を見極めて食す
美味な果実。その匂いと蕩けそうな果肉は、セックスをイメージさせるもの。遼子が
明確に意識したものではなかったが、執着はあった。――淫蕩になってしまった
少女のなれ。
 白い格子状のキャップを引き上げて机に置くと、ベッドで寝息を立てている真林の
おでこにさわる。前髪を跳ねてかるく擦ってみる。 
『真林、あなたは嫌がったりしないのね』  部屋の性臭は効率よく相殺されていて
無臭に近づいてゆく。
 ため息のように遼子は呟くと、開けていた窓を。そしてドアを静かに閉めて遼子は
部屋から出て行った。それとも、本来持っていた、ありのままのかたちなのかも。

 ダイニングに下りて食事についたが、気まずかった。セックスのことが話題に
上ったこともそうさせて増幅させてしまう。
『真林とおま×こがしたいんだね。遼子は』
 真林を居ないことをいいことに、取引材料として遼子は扱っている。玩具だの
遊びだのと言っていた自分がだ。

『そう、取ってくれていてもいいわ、真』
『わかった。じゃあ、おま×こしようよ』
『真、ほんとは、わたしの躰をどう見ているの』
 わたしの肉体をどんな風に観ているのと、とことん遼子は訊きたかった。おもちゃなら、
いつかは飽きちゃうものじゃないのとも。慰めに真から言われた言葉を確かめたかった。
縋りたかった。それが遼子の瞳の色だった。
239名無しさん@ピンキー:04/10/11 01:50:49
『410』

『さっきも言っただろう。好きなおもちゃは取っておきたい物なんだ。捨てるのは
いつも遼子だろ』
 遼子はスリッパを脱いで、ガウンの裾がはだけ、足を上げて真の股間にあてがう。
遼子の感覚からすれば、自分で自分を貶めるような行為。
『わたし、わたしなの……。わかったようなことをいわないの』
『ずるい?』
『ずるいわ、子供のくせに』    『遼子も子供だよ』
 喘いで口から舌を見せ、唇を大きく開いて息を吸い込む。真もガウンを羽織っていたが
薄い肉厚の胸板が見え、遼子といっしょで下着は穿いていなかった。脚をあげて、真のペニスを
挑発しに行く。遼子の赫い唇も真のペニスを挑発して与え奪い合って、ペニスの先っぽに
遼子の足の親指がふれて、肉棒を真の下腹に押し付けた。遼子は椅子に浅く座り、
頤を引いて上目使いに見る。
『言ったわね。ねえ、真。知ってた?』
『なにを』
『足の指は、結構汚い場所なんだってこと』
 足先で真のペニスをぐにぐに弄びながら、ショーツを付けておけばよかったと
遼子は後悔していた。戯れるなら、裸よりもそのほうがいいに決まっている。だってさっきまでは
バスルームで散々絡み合っていたのだから。
『遼子は汚くなんか無いよ。ほんとだから。いつもそう思ってるよ。おもちゃといったこと、
気にしているなら謝るから』
『もう一度聞きたかったの。あなたの声』


 数日前だった。真林が学校から帰っていないときに、遼子は真に両手をテーブルにつかされ、
シフォンスカートを尻捲りに、両太腿にショーツを留めながら潤いを啜われていた。
 わたしの躰をどんな眼でみているの、と遼子は真に訊いていた。おもちゃなら、
いつかは飽きちゃうでしょうと歔きながら髪を振り乱して。答えないままに遼子の躰が
先走っていって真を求める戯れがはじまった。   『頂戴。真、お願いよぉ……、チンポ、チンポ……』
240名無しさん@ピンキー:04/10/11 02:11:12
『411』

 熱いペニスに掻き回されて、いい、いいっと喘ぎを洩らした遼子。真はテーブルに
へばりついている遼子の躰に覆いかぶさって、恍惚から歔き貌に変容し、その傍で
握り締められている手を開き、きつく絡み合う。ふたりの烈しい交媾はテーブルから
ずり落ちてしまい、フロアに転げる。転げても絡みはほとけずに、遼子は両腕を畳んで
貌に曳き寄せ、尻を突き出す格好で真に何度も突かれた。
 あとで、膝と肘を確かめると赧らんでいることに気がついた。真もそれに気が付いて、
遼子の赧らんでいる膝頭の部分を舌で舐め始めた。起き上がろうとしていた遼子は、
また真に押し倒されて脚と脚を絡ませ、肌の感触を愉しみながらのたうった。
 タートルネックの黒いセーターをたくし上げられ腋窩を晒し、ボルドーのブラををも
押し上げられて、白い乳房の柔らかな膨らみを揉まれた。真の唇は乳房にではなく、
遼子の床に這ってセックスした赧らんだ肘を舐めて。舐めさせている遼子は真の視線が
テーブルにも行っている事に気が付いてしまった。   『真、なにを見てるの……?ねえ』
 遼子が四つん這いになり、真林を乗せて繋がることは、真が描いていたセックスのリアル。
遼子が肉のテーブルになって躰をひらくなら、そこに真林を乗せて絡んで、遼子とも、
もっともっとそんな時間がほしいと思う。セックスでこわれゆく空間が、真に快美感を
呼んで爆発する。それが、真林を交えたバスルームの交媾の戯れに繋がっていた。

 おなじ鍵でまた遼子は女性器を開く。開かれる。

『チンポを頂戴……。真のをちょうだい』
 今また、おなじ鍵で遼子は真のペニスを求めている。
『遼子がおいでよ』
 満足に食事をしていない。お腹が空いていても、性欲は底知れない。むしろそのほうが、
埒が無いことを知る男と女の契り。
『わたしが行けばいいのね』
 遼子は臀を座部から滑らせた。
『はやくテーブルをくぐっておいで』
『いくわ。いきます』
241名無しさん@ピンキー:04/10/11 13:09:46
『412』

 這って……。遼子は腰を椅子の座部から落として、膝の皿を床に打った。遼子の顔が
テーブルの下に沈みかけた時、恍惚となって頤を突き出す。眠っているように、
唇を薄く開いていて。椅子から落ちて、バスルームのつづきみたく、背を大きく後ろに逸らした
膝立ちになる。リンボーダンスかストレッチみたいになって、遼子の白い太腿の柔らかい肉が
こわばっていた。手は帯びに掛かって。――帯をほといて、球体の華奢な肩を出そうとしたが、
遼子はやめる。

 自分から好きだと言って、テーブルの下を這い、息子のガウンの裾がはだけて、
遼子の爪先で昂ぶらせたペニスににじりよる。喘ぐ遼子の唇から雫が洩れて床を濡らした。
双臀の淡いは、もうぐっしょに……。
 でも、このガウンを落とすのは真の手だと決めていた。遼子は両肩を落として、
真の足の指に舌を這わせ口に含んだ。どうして、真林を抱えて出る前にショーツを
穿かなかったんだろうと、また遼子のおんなが思っていた。自分を安売りした
つもりなんかはなかった。男の時も。でも、男には他にも……少女がいた。

『んあっ』
 真の声が届けられる。それだけで報われる。臀部を突き出す格好で、紅潮した貌を
フロアに擦り付けるようにして、真の足の指を舐めている遼子の喘ぎでもあった。
真の足の甲に遼子の涙がこぼれた。
 遼子はトカゲの脚のかたちにしていた手をやめて、真の脛を弄り出した。左手は膝頭に
すべって、真の脚をもっと開くような感じで太腿の内側を撫でる。涙に濡れて伏していた
睫毛を上げていって、真の今のかたちを観た。遼子は我慢できなくなって、右手も真の
脚に絡ませ、遼子は躰を起して、陰嚢に唇を擦りつけた。男に教えてもらった恥戯。

 顔を左右に振りながら唇を圧して、今度は吸って珠を転がし、皮を引っ張った。
右手の小指と薬指と中指とで逞しくなった肉茎を抱き締めて、人差し指と親指で
亀頭をさわって上下に振りながら臍へと引き上げる。そして、陰嚢の珠を突いてから
中心に舌先を据えて裏筋を舐め上げて、遼子は真の鴇色の肉粘膜に唇をかぶせた。
242名無しさん@ピンキー:04/10/11 15:01:33
『413』

 恋人のものとは違う男性器の新鮮な肉に痺れる。雪で凍えた躰を男に湯舟に浸けられた
激痛からの鮮やかな変容の記憶。肉情可逆の叛乱。恋人から息子へ、少女の想いは
うつろいながら、鴇色から錆朱、錆朱から鴇色になって眩惑されて、逞しくなった真の
ペニスを深く呑み込む。
『りょ、遼子。うっ、もういいから。上においで。うえに……きてよ……』

 少女は男によって頭を押さえつけられて、ノイズのように瞬きして白眼を剥いていた。

『んっ、ん、んんっ』
 真の口腔に含まれて跳ねる肉棒は、遼子の所為で左右に揺さぶられ。真によって髪を
掻き毟られる。
『遼子……きいてよ。きいてったら……』
『んっ、んっ、んっ……』
 遼子は真の両太腿に抱きついて、顔を股間から離そうとはしなかった。
『ねえ、遼子。ふたりだったときみたく笑って……。笑っていてよ』
 引き剥がそうとしていた両手は緊張が解けて、撫でるようになっていた。
『ん、んぐっ』
 鼻梁が蒸れた少年の下腹に押し付けられ、くぐもった声は途絶えない。
『遼子。真林といっしょに倖せに……。しあわせになろう』

 少女はテーブルの下から男に上に引き摺られる。水中から引き揚げられたように、
髪はみだれて、涙でぐしょぐしょになっている。荒い息を吐いて、口からこぼれた
とろとろの唾液がそびえる男にしたたり落ちる。肉棒はぬらぬらになって、そうさせた
少女は脇を抱えられ、男を跨いで男の後ろに立っていた少女が跪いて、ペニスを
握り締めて固定すると、遼子は浮かしていた腰を落とされていった。
『んああっ、ああっ、あ、ああ……』
 残る痛みによる素直な肉の反応が、遼子の躰を駆けた。
『ふてくされていないで、悠美もここにおいで』  『ふてくされてなんかいないもん』
 食事をしていたもうひとりの少女も席を立って、ペニスに貫かれている遼子によってくる。
243名無しさん@ピンキー:04/10/11 20:05:48
『414』

グラスが倒れて、ワインがリネンのテーブルクロスにサアアッと拡がった。
『ごめんなさい、おじさま』 リネンの上をすべらせていた人差し指はガーネットの
たまりに指を付けて掬いあげ、悠美はペニスを舐めるみたいにして口にゆっくりと
ふくんでいった。赤ワインにシロップを垂らした甘いものだった。白地に滲むは、
シーツの少女たちの破瓜の痕のようになっている――血の色。

『酔っているのか』  『おじさま、悠美、酔ってなんかいないもん。わざとなの』
『お仕置きしなくちゃいけないな』  『して、おじさま。今すぐ悠美にしてください』
『あっ、あっ、あっ』
 遼子が男の僅かな律動に応えて、臀部を揺すっていた。そうすることが、一番だと
遼子の肉が囁く。太いものが小さな孔をいっぱいに拡げて、少女は快美感ではなくて、
肉の攪拌される様子だけを伝えていた。それに、まだ痛みも残っている。
『もう』

『好き。好きっ、おじさま……、あっ、あっ』
 男の背後ろに立っていた少女が躰を屈め、悪怯れている遼子に微笑んで見せる。
『遼子ちゃんは、悠美が怖いみたいね』
『なに、その言い方は』
 ふたりの少女が笑い合うなかで、縋っていることができる唯一は、交媾をしている
男の躰だけだった。だから、ふたりを前にして、椅子に座ったままフレアのスカートを
たくしあげてショーツを抜き取って、テーブルの下を潜っていった。でも、菜緒子も
悠美も、遼子は好きなのだ。

 雪の出来事から二日置いて、ひとりの少女がやってきた。遼子には、それが誰かは
すぐにわかった。キャンバスのなかの美少女だと不安にもなった。負けたくない。
『おじさま、おじさま……!』
 その日はなにもなくても、じきに遼子は人当たりがいい菜緒子と打ち解けた。
それに遼子は菜緒子の眼元に特に惹かれた。
244名無しさん@ピンキー:04/10/12 00:53:30
『415』

 男の肩に預けていた遼子の貌は、ペニスの衝きあげによって、最奥を小突かれて
上下にバウンドする。きれい、きれいと切れ切れに何度も遼子は泣きながら。
『遼子ちゃん、わかったから、もう、おじさまを感じてもいいの』
 舌を噛んでしまう恐れもあった。菜緒子は遼子の頭を撫で額にふれていた。おでこに
キスをしてやりたかったが、遼子の泣きじゃくっていた貌は律動でぐらくらとしていて、
そんな余裕は無い。菜緒子と悠美は、遼子のフィニッシュを、もうなにもしないで見守った。
『あっ、あっ、あ……。みないで、みないで、おねがい』
『遼子ばっかりずるいよ』 『遼子ちゃん、きれい。とっても。うらやましい』

『みっ、みないでぇ……。おねがい、お姉さまぁぁぁ……』
 その細面の貌で微笑まれると、遼子はたまらなくなってどきどきした。悠美の
悪戯っぽい感じにも。
 やがて烈しかった男の律動も、だんだんと弱まっていった。遼子は男の精を受けて、
臀部を一生懸命に振り立てはじめる。もっと、もっとと、牝の本能を剥き出しにして、
精液を搾り取ろうとするみたいにしていた。一番おんなに遠い遼子でありながら。
『もっと、お貌を見せて、遼子ちゃん』

 セックスをしている貌を菜緒子や悠美に観られるのは辛かったが、新参者である
遼子にはなにもなかった。ただ、自分の想いを男にぶつけるしかないと悟った。だったら、
交媾の時にどんな貌をしているかなんて、恥じていても仕方無いと思ってみる。
『ん、んあっ、あ、あ、あっ!』 『この娘、自分でしているの、菜緒子ちゃん……?』

『お姉さん……、おじさまあぁぁぁ』
 遼子の烈しさに悠美はあてられていた。雪降る駅の素描は見ていて、初めてだったことは、
その表情からなんとはなしに気づいていた。
『遼子、悠美も可愛いぞ……』 『うあああぁぁぁ……!』
 菜緒子と悠美は、射精後の情けない歓びの声をはっきりと耳にした。射精瞬間の咆える
野生の呻きではなくて、そのことがふたりに動揺を与えた。
245名無しさん@ピンキー:04/10/12 17:47:10
『416』

 遼子にすれば、昂ぶった気持ちが加速した一瞬に駆けた出来事でしかなく、三人の
少女のなかで勝者になれたとは思ってなどいなかった。それに、なんの恥戯も介してなく。
その驚きが菜緒子と悠美に間を与えて、そして遼子との声が重なり合う小さな奇跡を起した。
『おじさま、好き……。だっ、だいすき、はっ、はあ、はあ』
 遼子の背を撫でていた手が(男の喘ぐ肩に近づいて来た、揺蕩う遼子の様子を観ていた
美少女ふたりの頬に)菜緒子と悠美の上気していた貌を愛撫してから、ぐったりとなってしまった
遼子にやさしく声を掛けた。

『遼子、ありがとう。とてもよかった』
『はあ、はぁ、はっ、あっ、ありがとう、おじさま……。遼子、うれしい……』
 涙をいっぱいに溜めている少女は、精いっぱいに瞳を開いて男を見つめていた。
男の律動が収まって、荒い息継ぎ(男には少女を御しているという感覚はなく、
素直に自分を出していたいと、少女に果てることに喘ぎもしていた。その反応は
遼子にも伝わり悦んだ)をしていても、射精から一段と烈しくなった遼子の律動も消え、
男と少女の交媾は果てた。
『遼子のお臀、とっても厭らしかった』
『悠美ちゃんだって』  『そういうことじゃなくて』  『なんなの』  『もういい』
『そういうの、よくないんだよ』  『もう、いいのっ』

 射精から一段と烈しくなった、遼子の律動もようやく消えたものの、勃起の減退……。
その寂寥からなのか。      
『もっ、もっと、いっしょにいて……。いかないで』
 遼子はペニスにはまだまだ馴染んではいないのに、セックスの海にどっぷりと浸かった、
引き摺られそうな躰を引き揚げる。男は遼子の額に汗で絡んでいる前髪を分けて貌を
観ていた。頸には男が与えた、アンティークジュエリーのハート型のロケットが新しい
臙脂色のリボンに結ばれていた。あのときのわたしを観てと遼子ま躰が語っている。
『ああ、わかった。遼子』  『いっ、いっぱいして、おじさま……。おま×こ……して……』
246名無しさん@ピンキー:04/10/12 21:13:39
『417』

『もちろんだとも』
 白いブラウスの奥に隠された、セックス。その袖はふわっと膨らんでいて、遼子の手は
男の衣服をしっかりと掴んで、崩れそうな躰を支える。悠美は遼子の手の甲をじっと眺めていた。
『だめぇ、こんどはわたし』  『悠美ちゃん』
 菜緒子は悠美のほうを見て、立てた人差し指を小さな唇にあてた。悠美は頬をぷうっと
風船のように膨らませて拗ねてみせる。菜緒子と悠美の装いは、性格とは反対の格好を
意図的にさせられていた。

 菜緒子はショートのシャギーで、髪が頬に掛かるように。ボーイッシュな性格の悠美は
ロングストレートで肩胛骨まで垂れて、雰囲気はどことなく遼子に近い。 
ふたりはチュールレースのキャミソールを纏い、オバーニーソックスを穿き、踵の太い
ハイヒールを履いて――  色は菜緒子が赤で、悠美は黒でコーディネイトしていた。
――踵の細いハイヒールを担っていたのは遼子だった。

『はっ、はあ、はあ……遼子。ちっ、小さいから……お姉さまみたいに……なれない……』
『おま×こをしなくとも、いっぱい遼子を抱き締めてやるから。だから、いっぱい
絵を描かせてくれないかな』         『ん……んっ……』
『遼子、どうした……?』
『んあっ、はっ、はあ、はぁ、はあっ……。はっ、はい、おじさま……おねがい』
 潤んだ瞳をいっぱいに開き男に向かい合って、遼子の息遣いと声がダイニングに響く。

『遼子も、菜緒子も、悠美も、みんな愛している』
『ああっ、悠美がどんけつ!』
 三人の笑い声を聞きながら、遼子はがくっと崩れて逞しい男の肩に頤を乗せて、
まだ膣内にある男の脈動に悶え、菜緒子と悠美にに観られていることに羞かしくなって、
急に額を擦り付けるように貌を埋める。椅に座っている男にあられもない姿態で
しがみ付いていたのだから……。遼子のヴァギナからはどろりとしたフローバックが
稚い女性器から滲み出て椅子の座部へ垂れたる。
247名無しさん@ピンキー:04/10/13 01:39:09
『418』

 果てた感じは浮遊しているようで、それ以前は闇にひとり。圧迫されるようで、
ドキドキしていた。そして今は、指が鍵盤を叩いて、同じ旋律を奏でながら、
フェィドアウトしていく……満ち足りたもの。
『あらあら、甘えん坊さん』
『悠美ならもっと、お臀を振るものね』
『菜緒子もでしょ』
 ふたりの声に、遼子の沈んでいた腰がビクンと跳ねた。
『おじさまぁ……』
 遼子の腕が男の頸に絡まる。

 悠美の手が遼子の背を愛撫している男の手に触れてから、腰にすべり下りると、
遼子のベージュのフレアスカートを勢いよく捲った。
『ああっ』 
 驚いて振り返っても、男に抱き締められていて、どうすることもできないでいた。
露わになったのは、椅子に浅く腰掛けた男に跨って、後方に突き出す格好を取っていても、
呆気ないほどの少女の曲線。

 ふたりにくらべて、少年でも少女でも無い遼子のかたち。直立でないことが、
僅かばかりの双臀の膨らみさえも奪ってしまっていた。太腿と呼ばれたにしても、
脛とくらべて大差なく繊細で。いまの性交の体位がそう見せている部分もなくはないが。

 悠美にとっては、遼子の少女未満の肢体はとても魅力的なものと映った。少し先に
行ってしまった自分を哀しむかのように、男に愛された過去の躰に触れてみる。
遼子の素描を見た時にねがっていたことでもある。
 その淡いの奥にゆく、もっと比翼なる密なところ。淫らでいて、なによりも
神聖だと思える場所に指をそっと忍ばせて、交媾の残滓をそっと掠めた。
今度は遼子にもわかるようにしっかりと肌に摩り込み臀裂をなぞり上げ遼子の貌に廻る。
248名無しさん@ピンキー:04/10/13 18:09:30
『419』

『んあっ』
 アヌスをさわられて、背骨から飛び立つ悠美の左手。指先には菜緒子と悠美がこしらえた
ラウンド・ビーズアクセサリーが薬指に、手頸に伝って巻かれてレースグローブを留めていた。
遼子の背骨に顫えを与えていたのは、菜緒子が作ってやったラズベリーレッドの
ロードライトガーネット。黒を纏う悠美に赤のインパクト。
『遼子ちゃん。わたしたちに、お貌を見せて。ねえ、いいでしょう』
 遼子の頬を撫でている菜緒子の手には、悠美のつくった艶黒にエメラルドグリーンの
繊維質らしきものが絡むモーシツィット。赤を纏った菜緒子には緑の眩惑。ふたりの利き手でない
左にあって愛撫の性具としての役を務める。 

『はっ、はい、菜緒子姉さん……』
 悠美の黒いチュールレースのフローバックに湿った指先が遼子の頤をくいっと上げる。
『舐めてみて、遼子ちゃん』
 遼子は体力を消耗し鼻翼が拡がって、息をいっぱい吸い込んでも苦しくて、ほんとうに
死にそうな気がした。もうどうにでもなれと、悠美の誘いに少女の唇を咲かせる。

 遼子の少女らしさというものが、肉情をぶつけられて相が変容しているというのに、
悠美はたまらなくきれいだと認めた。菜緒子といっしょに男に姦されたときにも
感じたことではあったが、男の素描のなかの遼子を越えしまっていた。
 遼子の発情した証を、悠美の指が無垢な唇に持っていく。男を頬張っていたというのに、
かたちは楚々として好きという想いとともに、烈しくペニスで突かれ(悠美も菜緒子も
遼子が突かれることで……セックスを体現していた)少女のなかの本能がめざめだす。

『ほらぁ、ああんっ。どう、遼子。おいしい?』
 準備が整っていない遼子でも、排卵が促進さされてもおかしくはなかった。
遼子は充血した瞳を開いて悠美に頷いてみせた。菜緒子も貌をよせて、
遼子の汗ばんだ額にさわる。
『遼子ちゃんのおでこ。とっても可愛い。だから、うんと舐めてあげるね』
 悠美は指をゆっくりと抽送させた。
249名無しさん@ピンキー:04/10/13 21:30:08
『420』

『んっ、んっ、んっ』
 黒のレースに包まれた指で掬った残滓を、涙を溜めながら、おしゃぶりしている姿に、
膣内(なか)にあるペニスが三人の少女遊戯にあてられ、痙攣で繊細で未成熟なる内蔵を
掻き廻した。
 無毛のふっくらとした恥丘の膨らみ。両太腿を大きく開いて。遼子のなかでは肩、乳房、
お臀……。どんなパーツよりも、おんなのまろみをみせていた。無慈悲にザックリと
ペニスを突き立てられ、美醜を極めていた。遼子は素描では繋がっているところを見てはいたが。

『はっ、はっ、はあ、はあ』
 男の肉体ですら少女にすれば大きくて、どんなに慕ったところで、畏怖されるものだった。
股間に生える逞しい肉棒の色は、肌より濃くて恐ろしい錆朱とより映る。好き、愛されたいの感情と、
セックスのありように戸惑いつつも遼子は開いていって受け入れた。
 肉棒は少女の無垢の縦溝を裂いて奥にある肉襞に、いつかはおんなのみだらを咲かせるだろう
場所にズンと肉棒は居座って存在を誇示し、勃起が減退しそうなところで遼子を突いて歔かせて、
少女の躰を堪能し、それでも気丈にも、きゅっきゅっと締め付けるヴァギナに執着した。菜緒子と悠美の
肉体を味わっているというのに、おんなの生命力に今さらながらに驚嘆する。

『はああっ』
 悠美が遼子の口腔から指を引いて、舌を黒いレースにねっとりと這わせて舐め上げる。
『はあ、はあ、はあ……』
『悠美もいまから舐めてあげる』
『はあっ、あっ、あ、ありがとう、悠美姉さま……』

 赤と黒の手で交互に愛撫され、ときおり男に腰を跳ねあげられ呻く。秘孔を肉茎の
膨らみで拡げられ、熱が躰にこもりはじめていた。小さな場所を責められて、純粋な
肉体のフィードバックと見えていたものは、とうに牝を帯びてしまってという
発情しっぱなしの貌で、姉さまと慕うふたりの美少女にぺろぺろと舐め廻され、みるみる唾液で
絖ってゆく。
250名無しさん@ピンキー:04/10/14 12:02:26
『421』

 男の体液でぬらついたようになった少女から飽きたみたいに貌をあげた悠美が、
『遼子のお貌、しょっぱい』
と笑った。
 生け贄にされ、ついに壊れてしまったのかと思うような大声を突然出して泣いた。
揉みくちゃにされて上げる声は、医師の診察を受ける、エタノールの匂いと
看護婦と医師の白衣にいたたまれなくなった少女みたいで、菜緒子も口元を微笑ませる。
『遼子、悠美はお前をいじめているわけじゃないんだぞ。おまえたち、ちゃんと説明してやれ』

『だって、いちいち説明するのやなんだもん』
『こら』
 苦笑しながら、泣いて縋ろうとするのを受け止めてやり一旦は強く抱き締めていたが、
胸から少女の両肩を掴んで引き剥がす。
『菜緒子と悠美が待ってるだろ』
 頬からの一条が、揺れる頤で頸も濡らして。
『あっ、ああっ……』
 飾られたハートのロケットを下から人差し指でふれ、つううっと頤のたるみを腹が撫でる。
『ほら、泣くな』

『おじさまは、泣いたほうが勃起するんでしょ?』

『悠美ちゃん』
『だって、もう遼子みたいに泣くことないもん……』

『あたらしい血なのね』
『血か……』
 胸元の釦に指が掛かる。
251名無しさん@ピンキー:04/10/14 14:57:35
『422』

『じぶんで……するからぁ……』
 悠美に惑わされて動きが鈍り、ぐずる遼子はブラウスに包まれた脾腹を掴まれる。
伸びてきた手に明け渡され、赤と黒のレースの指が絡んで釦を外されていった。
『自分で……しますから。……させて……おねがいだから……。お姉さまぁ……』
『悠美はね、感じたことを口にするのが好きなの。気持ちいいってことをわかっているの。
ちょっといじわるなところがあるかもしれないけれど』
『なによ、それ』

『……するからぁ……。自分で……』
『任せて、遼子ちゃん』
 いちばん小さな女の子は上着をはだけられると、下に隠していた紫苑色のキャミソール
姿にさせられた。
『はやくいっしょになりましょう』
『任せておけばいい』
 喘いでいる背中を撫でられ、椅子が引かれて男の腰が前に突き出る。

『ひぃいっ……!』
 か細い悲鳴とともにリネンテーブルクロスの上の食器がざわめき、紫苑の背が白に
圧しつけられると、引き攣るみたいに畳まれて掲げられていた両脚の糸が切れた。
硬いものが、口から出てきそうで、頤を男に差し出すように突きあげて鼻梁に皺が生れる。
 拡げられた唇も、絶叫のかたちで、まわりに皺をつくって、菜緒子の赤と悠美の黒よりも
ずっと高くあやうい白雪のハイヒールの足は、テーブルから落ちて空で揺蕩っている。

 躰はリネンの上をずらされて律動で進む。行きたくないとばかりに、しがみつく両手を下ろして、
交わっている腰の近くのリネンを掻き集めても、秘孔をいっぱいに拡げられて、ぐいぐいっと
圧してくる力には勝てなかった。
 苦しみの悦楽に両手を頭上に掲げ、肘を突き出して挟んでぐらついて、交媾に泣く貌は歪み、
烈しさで視界はぶれてぼやけ、テーブルの上で喘ぐ。
252名無しさん@ピンキー:04/10/14 15:02:06
『423』

『悠美ちゃん、行きましょう』
 突き入っては開放されるように、弛緩される大臀筋の動きの浅黒さの後ろで、赤が黒の
手を握るものの、いつものように握り締めてはこないでいた。
『菜緒子……だって、逝ってるじゃない』
 孔に吸い込まれそうな気持ちをぶつけられて、喘いで応える。
『あっ、あっ、あっ、おっ、おじさま、好き……。だいすき』
『わたしが逝ってるって?』

 一瞬、背を丸め、白いリネンから浮かそうとする。
『わかんないの』
 頭上に掲げられてリネンを握っている手頸を鷲掴み、少女の陰阜の膨らみを
潰すみたいに打ち付ける。紫苑のレースキャミから透ける乳房が喘いでいた。伸ばされて、
秘肉は捩れ、剛直に翻弄される。ズンと圧されて掻き廻され。

『あっ、ああっ、あっ、あっ』
 紫苑は肉情にふれて、姦されて、また跳ねた。
『なら、いったげる。吸血鬼』
『お話が好きなだけだもの』
『なにをしている。お前たちも、来い』
『あっ、あ、あうっ……菜緒子姉さま……。悠美姉さま……きて……。いらして』

『遼子に聞かせてあげたら』
『いらして……』
『好きだな。菜緒子のお話は』
 菜緒子と悠美を振り向く。
『……お姉さま……お姉さま……』
『悠美だって気に入っているんだ、菜緒子。話が心に引っ掛ってな。まあ、赦してやれ』
『姉さま……あううっ、あっ、うあぁぁぁ!』
253名無しさん@ピンキー:04/10/15 00:40:50
『424』

『遼子に聞かせてやるといい』
 後ろにいる菜緒子と悠美を振り向く。
『いらして……!』
『おじさま、赦すだなんて……』
『菜緒子の空想が好きなんだ。ちがうか、悠美。だから気になる』
『……お姉さま……お姉さまぁぁぁ……』

 抱きつくことを赦されず、華奢な躰を軋ませる重い衝撃がじりじり追いつめて、
儚く薄い乳房が交媾の攪拌に迫り上がり、どうしようもなく菜緒子と悠美に助けを求める。
『姉さま……あううっ、あっ、うあぁぁぁ……、あ、あっ!』
 衝きあげの、臓腑を抉りだされそうな幻視に脅され、萎縮を生むことなく水の開放に喘いだ。
『そんなことないもん。そんなこと……』
『ごめんなさい、悠美ちゃん』
『なんで。どうして。どうして、菜緒子が謝るのよ』

『みじめか、悠美?今のその貌も遼子には負けてはいない。勃起するぞ。たまらないな。
ほら、はやく来い。しないと、このまま膣内(なか)に射精してしまうぞ』
 菜緒子の赤のチュールレースグローブを握り返していた。
『行こう、悠美ちゃん』
『……うん。ごめん』

『いいの』
 結んだ黒と赤は離れていって、組み敷かれる遼子を挟んで、菜緒子と悠美は白いリネンに
膝を乗せるとテーブルに赤と黒のキャミソールの背を下ろそうとした。裾からはおなじ色の
レースガーターベルト。両太腿の淡いには、まばらに繁る繊毛があけすけに覗いて
内腿を絖らせていた。
『あ、あっ、ああぁ……』
『菜緒子はうつ伏せになれ。いいな』
『はい、おじさま』
254名無しさん@ピンキー:04/10/15 01:43:29
『425』

 抽送が徐々に弱まり遼子の手がテーブルで、左右から上って来る菜緒子と悠美を
必死で探していた。手を握ったのは、赤のチュールレースグローブ。
 男に言われすぐに膝を下ろして、乳房をテーブルに押し付ける。両肘を付いていた腕は、
右手で遼子を握った手をぎゅっとしてから、菜緒子の後方へと流される。遼子の手を離すのに
多少の時間は掛かったが、キャミソールの裾を引き揚げ、お臀を捲って男を受け入れやすいように、
赤いハイヒールのスタンスを大きく取っていった。 
 オーバー・ニーソックスを留めるガーターの金具には、バラをあしらったレースで
飾られていたのが露骨になった。バラだけは悠美の色の黒になっていたから。 

 黒の悠美は。
『悠美。お前は、お仕置きをしてと言ったな』
 黒のチュールレースグローブは……。
『はい、おじさま。悠美は言いました』
『今からしてやる。いいな』
『おねがいします、おじさま』
『乗ったら、さかしまになって頭をテーブルから落とせ。髪もだ』

『はい、おじさま』
 言われたとおり、躰を動かして、その時に遼子の手を悠美は握り締めてやっていた。
遼子の右側で寄り添うようにして、テーブルから頭を落とした。両手は腰に付けられ
キャミソールを捲って、両手をうなじに廻し頭を浮かせて髪を下に絹の滑らすように流す。
 黒のキャミとオーバーニーソックス(もちろん黒のレースのガーターで留められ、
金具には赤バラが)に挟まれた、悠美の股間が露わになったが、挿入される場所とは
見なされてはいない。
 顫えていた。恥辱からなのか……、ある期待からだったのか、少女の下腹部は波打っていた。
眺めている男の口元が、肢体を眺め嗜虐の微みで歪んでいた。
『二コルだな、悠美』
255名無しさん@ピンキー:04/10/15 12:45:20
『426』

『えっ……』
 遼子から躰を起して左手で口元の汗を払う。
『やっ、やっ、やあぁぁぁ――ッ』
 クリーム色の花弁の二コル。ひとつひとつの縁が濃いローズカラーに侵食され、
花はおしべとめしべの性のかたちを作る。ぽっかりと開かれた稚いヴァギナは、
菜緒子の赤いメッシュの指先をぬぷっと呑み込む。
『なんですか、おじさま……?おしえてください』
『やああっ……あっ、あ』

 テーブルにうつ伏せになった躰は遼子に這って行って、背骨は右へとしなった。
『遼子ちゃん、いい娘だから、泣かないの。ねっ、いい娘だから』
 躰を摺り寄せビーズアクセサリで飾られた左手が、腰の括れから潜り込んで
フレアスカートを脱がしに掛かる。
『やああっ、やっ、あ、あっ、あ、あっ』
 ばたつく脚で引っ掛っていたスカートも、菜緒子に引き摺り下ろされ、遼子の頬を
やさしくなで、火照る頬にランド・ロードライトガーネットがふれた。黒石に妖しい
焔が揺らいで、朱を胸元にまで染め上げる遼子をなだめている。

『バラだ、悠美』
 鮮烈な色と複雑に、それでいてしっとりと咲く妖しき美しさは、成熟のヴァギナを
重ね見るのだろう。見下ろす瞳は、せつなそうにしている少女の草叢から、ぴったりと
合わさった肉の縦筋に上る。振幅を狭め速まった腹部にある、少女のヴァギナみたいな
きれいな臍。

 男が天上を摩するみたいになっている偉容に、さかしまの瞳は潤んでいても、
あたえられた春情に、もっと向こう側を。もっと見たいとねがっていた悠美。
『裸になった悠美が、開脚しておま×こに生けなさい』
『描いて、おじさま。悠美を描いて!描いてください!』
『ああ、描いてやるとも』
256名無しさん@ピンキー:04/10/15 20:26:10
『427』

 昼下がりのアトリエで白いガウンを脱いで、壁に歩いてゆく。踵がふんばって、少女の
足の指が蹴って後方にきれいにまわる。遼子のよりは膨らんでいて、かといって
菜緒子ほどではない胸が昇降している。辿り着いた立ち位置で呼吸を整え、薄い肉から
突き出ている肩胛骨を壁に任せ、頭を淡い飾り毛のある股間に落す。唇には濃い艶やかな
緑を取り除いた二コルの茎を咥えていた。

『悠美、だいじなところが、傷ついてしまうぞ。いいのか』

 傷つきはしないかと怯えながら、それでも絖り出した花弁を人差し指と中指で拡げ、
唇に挟んだ茎を右手にとって、剥き出しの股間へと下ろしてゆく。茎の切り口を
つぶらな秘孔に立ててあてがい、そろりそろりと柔肉に埋めた。

 んっ……

と、時々喘ぎを堪えた風で、小さく唾液を飲み下しながら、おんなを刺していった。
両内腿を拡げてあえかな少女の臀は落ちて、淫ら幻視へ完全に取り込まれる。

『悠美の絵を描いてくれるなら、構いません。おじさま。おじさま』

 カーテンは引かれてなく、窓からのやわらかな陽光も射すれど、白い少女の裸身は
ストレートの黒髪に浮き彫りに、期待と怯えでいっぱいに壊れそうに、どこもかしこも
ヒクヒクと肉は顫えている。白い裸身は筋肉のこわばりで、肉体を抱き締めてやりたく
なるほどの浅い窪みによる翳りを生じさせていた。
 左右からふれるかふれないかの距離で二コルを挟んで、環を指でつくってオーを
模っていた両手を離し、落とした膝頭に両手を添える。
 裸足の甲には、紫苑の遼子と臙脂の菜緒子がキャミソールだけを纏い、漆黒の悠美に
傅いて舌先を這わしていた。
257名無しさん@ピンキー:04/10/15 20:36:39
『428』

 すべり落ちはしないかと心配になって観るのだけれど、下から蛇が這い上がって
来るような快美感に、肉情はここぞと掻きたてられ、二コルを活けただいじな場所は、
とろとろに熱くなって、最初の茎の挿入時の痛みでさえも甘い痺れの囁きになっていた。
 とうとう耐え切れなくなって、歓喜に涙しながらも拒みつつ、頤をあげ上唇も下唇も
みんな呑み込んで、一旦は落とした頭をくいっと上げていって口を薄くして堪えている。
 乳首は遼子よりは主張する小いさな蕾で、さざ波に揺蕩う。乳暈は先を行くおんなの
膨らみの趣をやさしく讃えていた。

『お漏らししても知らんからな。悠美、いいのか?』

 コンテが画紙上を走る、微かな小気味良い旋律に濡れながら、素描が終るのを待った。
堪えたあとの褒美をもらう時が来る。ひくひくしていた尿道口を、遼子と菜緒子が
這い上がって来るのを待ってから……ひらいてしまっ……て。

『……おじさまが、飲んで』

 天井が緩やかに廻り、男の微笑んでいる貌も躰も右斜めに徐々に延びて歪んでいった。
テーブルに躰を仰向けにして寝そべって、さかしまに頭を落し、血が昇るほどの甘美な
夢に酔いしれる。

『ああ、飲んでやる。だが、安心しろ。棘は取ってやるからな』
 大きな左手が裕美のうなじにふれ、後頭部にすべらせ頭を少し上げる。
『ずるい』
『ああ、ずるいな。たしかに。さあ、お仕置きをしてやる』
『おじさま』
『我慢できるか』
『はい。してください』
258名無しさん@ピンキー:04/10/16 01:24:12
『429』

 後頭部から頸を撫で廻して裕美の赧らんだ貌を落として、ペニスを握り亀頭で
鼻翼近くの頬肉をぐりぐりと圧し擦り付け、鼻孔が膨らむのを待った。交媾の残滓が
附着して漂白剤のような性臭を肺に吸い込んだ。
 浮かせていた両膝を揺らし昇降もさせ、腰をもじもじとうねらせる。男の腰に縋って
力いっぱい掴んで曳き付けたかったが、左手は遼子の腕を掴み、右手では白いリネンを
掻き集めていた。これは、お仕置きだったから。

 シャフトを下ろすみたいにして操り、錆朱の肉頭は悠美の鼻梁を嬲りはじめ、
閉じられていた瞼に滑った。腰を突き出て、瞼を圧迫し白閃光を見せる。
交媾のフローバックで塗された、ペニスの粘膜感覚は鈍化され、貌の震え程度では
刺戟もされず、くすぐったい感覚ですら喚起されなく、快美には遠かった。
『瞬きをしろ』
『はっ、はい、おじさま……』
 開いた口にペニスを捻じ込んで来て欲しいと願い、舌を少し見せて動かしたものの、
欲しいものは来てはくれなかった。代わりに来たのは、目頭が精液で沁みはじめて。
『どうした、もっとはやくしろ。速くだ』

 白目を剥くみたいにして、瞬きを速めて行った。(もっと、もっと。もっと、して
――歓んで、おじさま。おじさま、悠美のお顔、愉しんで) 隣からは、遼子と菜緒子の
くぐもった声と湿った肉の旋律が聞こえてくる。
 スカートを落とされ、本格的に菜緒子に女性器を掻き廻され、鼠蹊部を親指と小指で
妖しく揉み解されていって、唇では舌で押し割られて痺れていった。

『んっ、んっ、んんっ』
 脚を乗せたくて膝を上げようとするが、股間から拡がる愛撫の波紋とで躰が無防備の
状態に竦んでしまうのだった。拡げられている両太腿を窄めたかった。テーブルに上げて
踵で踏ん張ったとしたら、ヒールの尖りで悠美の貌と菜緒子の太腿を傷つけそうで、
決心のつかないまま揺さぶられてしまう。 (して、して、でも、壊れちゃいそうで怖い。こわいの。
おま×こで、突っ伏してしまうのが、遼子たまんないのッ……!)
259名無しさん@ピンキー:04/10/16 13:06:28
『430』

 顫えて屈服させられて、しにそうになっても死なない。突きあげられ、死と生の狭間で
光りと闇の明滅に漂うことが好きになりかけていた。ヴァギナから赤いメッシュの指が
抜き取られ、白いハイヒールが跳ね、もっとほしいと叫ぶ。
 うねる腹部になめくじの這ったキラキラとした痕跡を描き、紫苑の裾を掴んでぐっ
と引っ張り、捻りを加えると掌を頤に向けて押し上げる。乳房を露わにされ、
遼子の細い頸は伸び切って躰がバウンドした。

『はあっ、はあ、はあっ、はあ……』
 沈んで喘ぐ唇を、菜緒子の舌先が羽根で刷くように舐める。返されて、今度は上唇を
圧して左から右に。歯茎を覗かせ、穏やかな色とは裏腹のごつごつした骨の感触に
菜緒子は挑んでいった。少女が少女のパーツというパーツの醸す情景を満喫する。
 閉じることも拒むこともできず、口を大きく開いて応えるだけ。裾を掴んでいた
メッシュは下りていって、掌が胸を撫で廻して遼子を灼いた。チュールレース・グローブは
ペニスに頼らない肉情に肌を染めあげ、少女の唇とおなじ趣の儚い乳暈から、
小さな乳首擦りに手練される。

 喘ぎを極め、少女の声で甲高い叫びになりそうになった時、颯と人差し指と中指が
揃えられ、遼子の口腔に滑り込んだ。頬に痛みらしきものが、ビーンッ!と走った。
耳朶から頤に掛けての筋の衝撃。眉間に縦筋を刻み、鼻翼が膨らんだ。ありとあらゆる筋が
なっていたようにも思えた。
『ぐふっ、んぐっ、んんっ』
『舐めて。負けないで、ついてくるの。指に舌を絡ませて』

 すぐに忘れてしまう。ペニスを頬張った時もそうだった。偉容に嚇されていても、本能で
おんなが拝跪していて、ぱつんぱつんに張り、錆朱に絖る禍々しい肉頭でさえも、
やさしいかたちに惹かれ、肉茎を寄せて頬擦りして、唇を被せたのだから……すぐにだ。
 貌をさかしまにして、男に捧げている悠美に掛かっていることで、諦めざるを得なく、
チュールレース・グローブの菜緒子のフェイクに没頭してゆく。もうすぐ。もっと、もっと。
260名無しさん@ピンキー:04/10/16 16:19:09
『431』

両膝を掴んで、抱き締めたい衝動に駆られた。膝裏に手をもぐらせ乳房に引き付けて
(おま×こを上げるから舐めて欲しい。舐めるだけじゃなくて、舐めるだけじゃなく
ペニスで奥を突いて。おじさま) ――臀部をリネンから浮せたい。
『んあっ、あ……』
 閉じている瞼を亀頭で圧されているのに、胸をズン!ズン!と突かれていた。

『んっ、んんっ、ん』
 乱暴に深く入ったかと思うと、遼子の舌の動きを待って引き付けてから、ぐぐっ
と押し込まれ、見下ろして口腔に突っ込んでいる菜緒子はビルドアップして
ヒップが妖しく揺れてゆく。
 揃えられた二本の指が口蓋垂を弾いて深く入った。遼子とさして変わらぬ貌で、
真っ赤にしている後輩を責め続ける。

 遼子と悠美の遊戯に感化され、男は睫毛の微かな顫えよりも、衝撃を躰が欲するようになり、
悠美も肉頭で小突かれての白閃光だけでは満足できなくなる。ほんとうの愉悦の白閃光が
どうしても欲しくなって瞼を開いてみた。そうすれば、喘いでいる唇に怒張を咥えさせてくれると
踏んだのだが、錆朱の張り切る尖端が眼球を突いて、悠美も遼子に負けないくらいの声を
上げて黒目が反転し、黒のメッシュの手がリネンをぎゅっと掴んで胸がぐんっと浮いていた。
これはお仕置きだった……。それが、はじまり。

『くそっ!』
 結膜炎にはしたくないという思いの発話、吐かせた身勝手。――自己欺瞞。
『眼を閉じていろ。しろといっただろ』
 美少への……衝動。
『ごめんなさい、おじさ……んんっ!んっ、んぐっ……』
 後頭部を両手で掴まれていた。硬いペニスはずりゅっと押し入って来て、
口蓋垂を弾いて最奥に当たった。菜緒子にされている、遼子のくぐもった喚きが
催淫になってしまい――破壊衝動が毛穴という毛穴から噴出して揺らいだ。
261名無しさん@ピンキー:04/10/17 02:38:20
『432』

『ぐっ、ぐふっ』
 男の陰毛が口元をくすぐり、呻吟で喉を膨らませ、硬いペニスをもてなすことも出来ず、
のたうつだけだった。後頭部を拘束していた手を離し、腰を押し込んだままで前屈みに
悠美の肉体に崩れ、黒の裾を掴んで別の生き物のように波打つ乳房を見る。さらに背を
ヨガするみたく曲げ乳房の谷間に舌先を舞い降りさせ、少女の中心線を辿り腹部に。
きれいにぴっちりと合わさっている縦筋の臍の窪みへと赫い蛇をもぐりこませた。

 深く入った腰の為に、頸をぐうんっと後方に伸ばされてしまい、盆の窪に深い
横皺をつくって、それでも痛みにも耐えて、律動され血が頭に昇って朦朧としていても。
 だのに舌先が窪みに差し込まれると、底にふれられるあやうさが凪の水面に石が投げられ
拡がる波紋にたまらなくなった。挟み込んで絞り込まれるように添えられている、両手の指頭も。
 悠美の柔らかな腹部にもぐり、上皮も腹膜もずぷっと破っていって埋まっていってしまいそうで。
内臓に届けとばかりに、悠美は果てへ跳ばされそうな気がした。

 たまらなさは膝頭を上げていって足の爪先を窄め、両太腿を揺らし男を小さな坩堝に誘う。
白いさざ波から離れて、掴んでいた遼子のほっそりとした腕も離し、成就を祈って
男の背に縋った。苦しみを快楽に、快楽は男のペニスでと。
『見て、遼子。見るの』
『はあぁぁぁ、ああ……』
 悠美が口を離して、とろりとした唾液が波の上に落ちた。気だるさのままに、
男の荒い息と悠美の呻吟する絡みに貌を向けた。

『はっ、は、はあっ』     『見てる?見てるわね』
 悠美の細い躰に、巨躯の男が覆い被さっているのに驚いていた。男がするときは、
体重をなるだけ掛けまいとして、仰向けになっても躰の傍に両手を付いて、
抽送されていた。悠美みたいにこんなにも烈しくされたことは、一度もなかった。
 いたたまれなくなって貌を菜緒子に。きっとそうされているんだと、わかっても
戻って抱きつこうとした。ふたりを見ていても辛いだけだから。
『ほら、遼子。見てあげて。おねがいだから』
262名無しさん@ピンキー:04/10/17 13:53:51
『433』

 性愛の微睡から醒めた――からだ。遼子の丸い右肩を掴み、背を剥がして重なり
絡み合った男女(おめ)の契りに向けさせせれた。奪い与え合っている獣。
 男に組み敷かれてのたうっていても、ペニスを含んで男を勃起させたことを思い浮かべ、
白雪の寂れた駅の記憶が蘇った。
 破瓜の痛みよりも、湯舟で凍えた裸身を浸けられて感じた忘れられない痛み。
号泣しながらも徐々にではあったが、針千本が甘い痺れに変容していったのが……忘れられない。
 浅黒く引き締った臀部がテーブルの下で蠢いている淫ら絵にもしっかりと眼を向けた。
烈しさといっても、ストーロークを大きく取らない、喉奥を抉る一突き一突きが凄まじく、
壊れそうで、遼子との交媾で蒸れた陰嚢が小鼻にぴたぴたとあたって涙が噴いていた。

(ペニスがいっぱいに膨らんで、お口で……おじさまは悦んでいる……)

 立てられ揺らいでいた両膝を鷲掴み、躰を白波の上に引き摺り上げ渦になって、
白いリネンの下からマカボニーの地が見えた。盆の窪あたりに縁がふれ、いくぶんかは楽になった。
ペニスが抜けるとき、頬をこれまでにないくらいに窄めたが、引き止められはしなかった。
汗が眼に入って沁みた。
 反転した(つ)のかたちで、テーブルにしがみついていた男が起き上がり、口腔から
唾液にてらてらと絖る肉棒を抜去させた。口からむせた声がこぼれ、涙目の焦点が
一瞬だけ合った。食器のざわめきがペニスに執着した悠美の悲鳴だった。眉根の肉が
ぷくっと浮き上がって瞼が閉じられ、喉奥に唾液が流れて咳き込み、縦筋の臍が小刻みに震えた。

『菜緒子、悠美の上に乗れ』
『でも』
『いいから、乗らないか』
 声が聞こえて潤んだ瞼が開く。瞳は苦しさと破壊的なみだらに揺蕩い、もう遠くを見ている。
『悠美ちゃんに……してあげて、おじさま!』
263名無しさん@ピンキー:04/10/17 17:50:50
『434』

『菜緒子逆らうな。これはお仕置きだ!』
 男の手が悠美の垂れていた黒髪を掴む。
『んっ、いっ、いいの、菜緒子……。こっ、ここに……来て……なおこぉ……』
『うん、いくからね』
 臍とおなじ、肉の合わさった切れ込みに指でふれていって、唇と舌で愛でて情を
落したい気持ちを振り切り、腕を伸ばすと、のっそりと起き上がる。遼子と絡んでいた
赤い脚がすうっと伸びてヒールが床にカッと音を立てた。

 菜緒子と悠美よりも稚い肉体。華奢でも、遼子の季節は四肢が太く見えてしまう。
手と足も胴の比率からすれば大きく感じ、それでいて小さく愛らしい。
 まるまるっとしていておんなの表情に著しく欠け、菜緒子と悠美と二、三歳足らずの
開きなのに別の次元を生きていた。それは貌にも現れていた。おすましをしてみせる、
一瞬のおんなの艶。明らかに情景の突出する頻度は菜緒子と悠美のが多く、交媾で
ことさら浮き彫りにされた。

 赤に統一されたオーバーニーソックスとガーターに挟まれている、菜緒子の両太腿と
股間の膨らみの肌が映える。まだ生え揃わない、絹草のような濃やかさの恥毛が覗いて、
菜緒子が躰から去ったことに乱れた。
『菜緒子姉さん……』
 紫苑のキャミソールの下からチラッとだけ覗いている、縦筋だけのシンプルなスリットの捩れ。
起き上がった遼子の頤のたるみに伸ばしていって、指先で撫でて一時の別れを告げる。

『髪を借りるぞ』
『はっ、はい、してッ……。おじさまッ……!』
 鼻に持っていって、悠美の芳香を肺に送り込むと、おもむろに勃起に黒髪を絡ませた。
手に乗せたままで、肉茎を握り締めて扱く。髪がペニスと擦れ合う音が荒い息で相殺され、
菜緒子が男の側面に向かい合うように、黒に染められた悠美の貌の前に立っていた。
『上でうつ伏せになれ』
264名無しさん@ピンキー:04/10/18 01:43:05
『435』

 仰向けよりはいいと思った。うつ伏せならいくらか加重をされても踏ん張れて、悠美への
負担を軽減できるかもしれないと思った。どれだけ持つか、わからなかったが……。
『はい、おじさま』
 赤いハイヒールをぴったりと合わせ、両手を逆手に掌底を悠美の躰に向け、テーブルの
縁を掴んだ。上体をゆっくりと倒していって、腕は徐々に折り畳まれて、両肘が後方に
突き出され、前に手を滑らせていこうとしたら、左手頸を掴まれた。

『このままでいい。上になれ。わかったな』
『はっ、はい……』
 男の手が菜緒子の赤い裾を掴んで臀を捲った。貌は左にいる遼子に向けられて、
火照る頬を波打つ悠美の腹部にそっと乗せていった。
『遼子に話しを聞かせてやれ』
『えっ……』
 腰を落として膝で割り開こうとしたことを踏みとどまって――。
『えっ、じゃない』

 悠美の髪を握ったまま、菜緒子の突き出された双臀の淡いに、両太腿を閉じ合わさったままで、
ペニスをぐぐっと秘孔へ捻じ込んだ。根本まで圧し進め、顫える肩の傍に両手を付く。
若々しい黒髪がこぼれて男と菜緒子の躰を撫でた。合わさった肌と肌の間に挟まれたもの、
何本かは性器の交合に巻き込まれ呑まれていた。
『んっ、はっ、はっ、んっ、んんっ……』

 覆い被さってきた、菜緒子と男の躰に黒いメッシュのグローブが這い上って来る。
男は遠慮なく体重を掛けてきた。
『おっ、おじさまあぁぁぁ……いっ……あっ、ああっ……』
 突き入れられたヴァギナの下では、悠美が息苦しさと闘いながらも、肉情の奴隷になって
舌先を這わしていた。むわっとした性臭と男女の交媾から放たれる体温で貌を焙られて。
頭に登った血流と頬の火照りも加わって支配されていた。
265名無しさん@ピンキー:04/10/18 21:22:21
『436』

『お姉さまぁぁぁ……』
 左手を付いて、右手で左肩を掴んで心細くなる躰を抱き締めていた。
『ものがたりのことだ』
 遼子を一瞥して、菜緒子の左肩と髪を掴んで揺さぶった。
『あっ、はっ、あっ……あっ、あっ、なっ、泣かない……で……』
 頸を撫で上げられ頤を親指と人差し指で下支えられ。ふたりの美少女を貪りながら、
ふっとみせた遼子の所作にもペニスは痙攣していた。
『菜緒子のこさえた、吸血鬼の話しだ。してやりなさい』
 喉が伸ばされた。白い、今は朱を素肌に落として染まり。
『んっ、はっ、はい……おじさまあっ。しっ、しますから……』
 しますから、動かないでとは死んでも言えない。

『しますから?なんなんだ、菜緒子っ!』
 衝撃で衝きあげられていた。

 野山に入る手前の隠れた空間に、少女はひとり遊んでいた。自分だけの世界に、
小さな紫の華が咲き乱れていた。陽が翳っても忘れて、気が付けば黒い巨躯の男が
立っていた。

『なっ、なんでも、んっ、んああっ、あうっ、あっ、あっ』

 空が血に染まり出す。陽は揺らいで陰が魂を取り込む。少女は男が背負った情景に
知らないうちに見せられていた。ここで自分がなにをしていたのかも忘れ、摘んだ花束は
手から滑って足元に落ちた。摘まれたのは、原っぱにいた、あえかな花。目の前に立っている男に
摘んだ花を差し出すこともなく、ひるがえるマントに包まれる。裏地の血の色で躰を
颯と呑み込まれ、深い血だまりから飛び出してきた紅蓮の鉤爪で裂れたと精神には映った。
266名無しさん@ピンキー:04/10/19 01:14:52
『437』

『んっ、んっ、んん』
 下から聞こえる悠美のくぐもった呻き声に躰を起こし、お臀をリネンに付けて、
腕を交差させ自分を抱き締めていた。肩を窄めて猫背になりそうだった。遅れて
両膝も窄め、スリットを隠す。


 緑の木々の隙間から、縫って射してくるひかり。馬車の硝子窓が少女の吐く息で
白く曇った。膝に乗せられて、頬が押し付けられ、指が硝子を掻いていた。窓に付く
手の甲を大きな手が包んで握り締める。あがく小動物に止めを刺すように。
 馬車の振動と剛直で子宮を突かれる虜囚には、なす術もなくて、躰を開かれて
泣き叫んでいた。膣内を肉棒で掻き廻され、馬車のドアに押し付けられながら、
涙できらきらひかるうつろな瞳は、日没の森を駆ける。馬車の窓から、木々を縫って
届いていた幾つもの光りは、もう微笑んではいなかった。

『おっ、お城に連れて……来られたぁ……。むっ、むはっ。娘はっ、あっ、ああっ』
 大鎌を担いでいれば、タナトス。でも、最初はやさしい人間に見えた男。死神ではないと
少女は信じたかった。
『よく話しが見えないな。遼子、そうだろう』
 容貌になつかしさがあった。
『……そんなことは』
『部屋にいいッ、とっ、閉じ込め……られてぇっ……まっ、毎夜、毎夜……んあっ』
『いっしょになりたいか』       『……はい、行きたい。おじさま』
『おっ、おま×こして……』
 遼子は重なり合って悶えている肉塊に身を乗り出す。黒のキャミと白のシャツに
サンドイッチになって、うねる菜緒子の赤。
『悠美の開いているおま×この前に跪いて、菜緒子にキスしてあげなさい。それからは、もうわかるな?』
『はっ、はい、おじさま』  両手を付いて悠美の股間へと這っていく。
『娘はっ、娘はあぁぁぁ、あうっ、うああっ、こっ、子を孕みましたあぁぁぁッ。んあっ、あっ、ああっ……』
267名無しさん@ピンキー:04/10/19 13:18:09
『438』

 剥き出しの膝頭が裾から現れる。白い肌に僅かばかりの朱を落とす清楚な艶。
少女の粘膜はわたしの滾る血流が収斂する肉棒によって痛みを連れて埋没し、ふたたび
外側に捲られようと攣られてゆく。どれほどの快美を少女は感じているのだろう。
 初交から数日を経ても、もしかしたら、ただ痛みだけなのかもしれない。器もまだまだ
小さいのだから。口をいっぱいに拡げて、許容量を遥かに越えた肉棒をぎちぎちに
頬張って蹂躙に揺蕩う妖精。ただ、自分の悦楽を手にしようと少女の躰に抜き差しを繰り出した。
 少女の細い手がわたしの腕を掴もうとしている。それも抉る腰の衝きあげに、
白いリネンに憐れに転げ落ちた。翼を毟り取って、愛しいものを嬲る感覚に
ひたすら酔った。幾ばくかの快楽を少女に感じて欲しいとは思うが、怒張は少女の
きつい器の妙味を貪ろうとしていた。
 これが仮面を被らないわたしのありのままの浅ましい人格。終ることの無い煉獄に
放り込まれた少女の貌は真っ赤になり泣いている。でも、少女はたすけてとは、
とうとう発話しなかった。憐憫と悦びに蕩け、堪らずに、わたしは少女の媚肉の描く
薔薇のなかに突き入りながら、頬に涙がこぼれることはついになかったが、
熱を感じる眼球にはうっすらと涙を張り、少女の躰をさんざんに姦し、
頸筋に牙を刺して抱擁す。

『うっ、うれしかったのッ……!』
 僥倖の悦楽は少女と男の交媾のなかでみごとなまでに融合し、果たされて、今度は
ペニスが少女のヴァギナに深く沈んで、血と肉になって取り込まれればそれでいい。
囚われの少女は、そう思うしかないセックスを無慈悲に与え続けてられる。
『なっ、何度も、何度でもッ!おっ、姦されてもおぉぉぉ……』

 子を孕んだあとも、少女は男の贄とされた。まばゆいばかりの白磁の肌は浅黒い
逞しい裸身と絡み合って、毎夜、精神は蝕まれていった。病的なまでに白い肌は極まって。
 硬質な稚い肉体は、いつしか別の生き物になり、望んで蠢いていた。リネンに擦れる
少女の膝頭は赤味を落としていた。
268名無しさん@ピンキー:04/10/19 19:42:31
『439』

 正座をして後ろに腕を伸ばし、指を付いて指を立てている男。膝上に乗り、男の微睡を
醒ますかのように腰を烈しく振っていた。少女の内臓を肉頭で噛みしめていた男の瞼が
ゆっくりと開いた。
 赫い唇を開いて肉を咥え込んだ小さな獣になり、よだれを滴らしている少女に向かって。
わたしにそれをくれ、男の擦れた声に頷いて、少女は喘ぐ胸に頭を抱き寄せ見下ろした。
姦されていても、はじめて男を見下ろした歓びに少女の心は躍る。

 唇を重ねていって、流れ込む唾液が男の喉を鳴らし、見つけた肉棒の昂ぶりに歓んだ。
膣内を掻き廻す、躰の素直な応えの蠢きよりも、ヴァギナでペニスを硬くしている事実が、
たいせつで少女の躰を駆け抜ける。交媾の前に、椅子に腰掛けた男を含んだことが、
少女の口腔でペニスを膨張させていた事実が繋がる。男の後ろに付いていた手が
細腰を撫でて、背骨を蛇になって這い上がり右手でぐらつく少女の頭を、
――うなじを押えていた。男に左腕で強く躰を縛られて、もう逃げられなくなっていた。
 男には三人の花嫁がいた。どれも、遠い城から連れ去られた城主のきれいな娘。
それぞれ女であり少女であることを義務付けられた夜を過していた。

 菜緒子は抱き上げられると、悠美の腹部から離れ、遼子と口吻をさせられた。
『だっ、抱き締め……られるのがあぁぁぁッ』
 男の躰がテーブルから擦り落ち、悠美の躰からも離された。仰向けになり、
繋がったままで後ろから抱き締められる。菜緒子は男の躰の上で叫んでいた。
『すっ、好きいぃぃぃ……、はっ、はあ、はあ、あっ』
 拘束されるように、汗を噴く裸身に男の手が絡み付いて撫で廻される。菜緒子の
歔き声をききながら、二コルを思い浮かべて遼子は女性器に唇をつけた。頸を捻って、
床に滑り落ちていった菜緒子への肉情を、股間の遼子に両太腿でぎゅっと挟んでいた。
『はっ……はあ、はぁ……好きに……なっていたの……』
 赧らんで、性的ないろとかたちを極めた遼子の耳朶は、悠美の内腿で潰され
水の中に潜ったようになるけれども――。男と菜緒子の喘ぎ声。悠美の呻きに、自分の
荒々しいほんとうの息遣いを聞いていた。
269名無しさん@ピンキー:04/10/20 12:58:10
『440』

 拉致監禁に凌辱のかさね……、少女には僥倖の快楽。ペニスを小さな秘孔に
咥え込まされることに馴染んでいなくとも、人肌に包まれるのは無条件で受け入れられた。
 少女は男に引き摺られるように惹かれていって、子を産んでしまう。
男には三人の花嫁がいた。ひとりの少女には満足できない、赫い血を好む魔物。
男にこの身を捧げようと、ドレスを引き千切っていって自ら素肌を晒し、自分の側に
取り込もうとあがいた。甘美な処女の赫い血を白い肌に夜毎滴らせ啜られて、男を
少女に耽溺させた。男の夢が醒めるのも早かった。他にも少女がいたから……。
 少女の歓びが増してしまうと、男が離れていくそぶりをみせた。新たな生け贄を求めることに、
わたしをたべてと応えて縋った。闇である怪物を少女のなかの闇だけに堕すため。

 頸の肉をたべて……ください。
 こんな……おっぱいでもいいなら……ここも。
 ドレスを掴んだ両手を翼を拡げるみたいに下ろした。
 でも、わたしには無いから。頬でもいい。わたしの好きなところを……
 牙で食い千切ってたべてほしいの……!
 頼る者のいない少女にとっては三人の花嫁と新たな生け贄を出し抜くことは
 切実な願いだった。
 そうしてくれるなら、わたしの元を去っていってもいいから、バーニー。
 去っていってもいい……だから。だから……おねがいだから……。
 あとは嗚咽に埋もれて声にならなかった。
 男は贄に過ぎない少女の申し出に怒りを覚えてはいたが、激怒には至らなかった。
 (あなたが印してくれた疵を愛でて、これからを生きていきます)
 女は血だらけになり男に白磁の素肌を穢されながら、意識を失っていった。


 男の後ろに付いて菜緒子と遼子は、オレンジの柔らかな光りが灯る廊下を歩いていた。
横で手を繋がれていたのは悠美。膣内に男は来てはくれなかったが、縋るべき対象が
気持ちの届く距離にいてくれて、含羞んで少し俯いて歩いていた。
270名無しさん@ピンキー:04/10/21 01:20:03
『441』

 廊下の奥から人影が現われた。男の後ろにいたから、遼子が気づいたのはもっと距離が
狭まってからだった。人影を悠美の向うに認め、あっ、と声をあげそうになった。
 裸身にボディペインティングを施された、女性が初老の男の後ろを付いて歩いているのに擦れちがう。
『だめ、振り返ったりしちゃ』
『すごい』

『遼子ちゃん!』
 男と女は声のするほうを見向きもしない。此処に居るのは自分たちだけだと言っているみたいに。
廊下に灯る橙色の照明を更に濃くした色調だった。黄色の華が咲き乱れ、鎖骨の中央に
一頭の小さな白い蝶々が羽根を休ませていた。ボディペインティングと思われたものは、
総レースのボディストッキング。
 ほっそりとした頸まで覆われ、手頸から細り中指に掛けられている。腰まで伸びる黒髪は、
きれいに畳まれアップにされていた。遼子は興奮して観ていた。

『みちゃダメッ』
 菜緒子と悠美よりも完成された肢体。肩から降りるスロープに、お臀の軒反り。腰で歩く
しなやかさにも見惚れた。おんなの柔らかさにみだらが、静かに伝わってくる。
『かまわない。見せてやれ』
 面影は菜緒子に似ていた。少女の季節から洗練されていった、すっとした顔立ち、
それでいて少女の名残りも存在する。ふたり並んで立てば、きっと姉妹なのだ――と思った。
『どうした』
『みないでッ』
『菜緒子姉さん……』
271名無しさん@ピンキー:04/10/22 00:25:16
『442』

『ここは、わたしたちだけが来ているわけではない』
 部屋の前で男が鍵を使っている後ろで待っている女。貌は能面のようになっているのに、
乳房が呼吸で揺れている。見てはいけないものをみてしまっているという気持ちで
いっぱいになっていた。
『遼子』
『いやっ、よして』
 逸らすことができない。悩ましい腰つきから。脚のしなやかさ、左足頸に眼がいった。
掛けられた銀の鎖の輪に細かい房が光りを放っていたから。

『遼子』
『なに、悠美姉さん……?』
『悠美ちゃん、いわないで……』
『菜緒子のお姉さんなの』
『いわないでったらぁぁぁ……!』
『菜緒子さんの、お姉さん……なの……?』
『そして、おじさまのたいせつなひと』
 遼子の下腹は痙攣していた。清楚な顔だちの菜緒子の姉からの、緻密なるおんなの
芳香が漂い、取り巻いて緊縛されてしまう。

『いわないでって……』
『ひとつなの菜緒子。いじめたつもりはないから、わたし』
 男が歩き出して、悠美が引っ張られた。倣って、菜緒子もしぶしぶ歩き出す。遼子の
視界からふたりの姿が消えていた。消えてしまってから昂ぶっているのに気づいた。
 街中でおんなの人の横顔を見ていたのだった。アップではなく、ストレートヘアでいた。
男といっしょに花を眺め、人差し指で指し示し、顔を花に近づけているのを見た。
腰に掛かる黒髪がきれいで見惚れていた。こういう情景のなかに、おじさまといっしょにいたいと、
繋いでいた手を強く握り締めていた。
272名無しさん@ピンキー:04/10/22 20:11:25
『443』

『ロイヤルブルーのほうがよかったかな』
『えっ?』
 ドアが開けられ男に引かれて、女の躰がゆっくりと動いた。足頸に掛けられた銀の
アンクレット。いくつもの房が濃やかに揺れる、見えなくなった景色を遼子は想っていた。
 ボディペイントとも刺青ともつかない、廊下の照明よりも色濃いボディストッキング姿が
精神に滲み込んでくる。オレンジの躰に緑の草が妖しく絡まっていて、シルクの波に
おんなが横たわれば、黄金色に周りを染めていくのだろうかと、乳房にさわる。

『青だよ、遼子』
『なに、おじさま?』
 部屋の四隅に置かれた、燭台に飾られた十本の蝋燭に照らされる裸身。遼子は胸に
置いていた手で、細いリボンで頸に巻かれた、ハート型のロケットを神経質そうに
いじっていた。
 ボディストッキングを着たままで、躰中を撫で廻されて悦ぶのだろうか。おんなの人は、
おじさまのたいせつな人で、菜緒子のお姉さんだと悠美に言われていたはず。男に顔を向けた。

『遼子が着ているものさ。淡い紫より青が鮮やかで似あうかもしれないな』
『うすむらさきが……』
 対象物が掻き消えていた遼子のなかに、悠美と菜緒子の黒と赤が幻夢を越えたリアルとなって
降って来る。赤と黒に、うすむらさきが交じっていって、遼子が対等なら、鮮やかな
青なのかもしれない。
『この色、やさしくて好きなの……』
『ん、そうか。さあ、行こう』
 悠美は男といっしょに歩き出すが、後ろを振り返って菜緒子を見ていた。
『菜緒子。ねえ、菜緒子』     『菜緒子姉さん?』
 遼子にも促がされ、菜緒子の骨盤が揺れた。窄まった爪先が床を蹴って、一本の道を
見据えてきれいに足を運ぶ。
273名無しさん@ピンキー:04/10/23 00:36:27
『444』

 寝室に入って悠美が抱き締められ、黒のキャミソールのストラップをずらされる。
少女らしい、ドレープ掛かった物ではなく、ラグジュアリなもので、脱がされる趣は
薄皮を剥がされていくような艶があった。少女だから、よけいデフォルメされて未来を感じた。
 悠美にならって、菜緒子が赤のキャミソールを脱ぐと、遼子もそれに従った。
背を抱き締め、男の膝頭が悠美のセックスを擦って下腹が痙攣していた。
細い脚が折れて、悠美の両太腿が開かれる。悠美と男の間で、ぬるっとした感じが
共有された。

 脚は黒に包まれ、金具のところに薔薇を模した飾りがあったが、ストッキングの地にも
透かしのように図案が入ってタトゥーに見えた。菜緒子は赤。遼子は紫苑。
 菜緒子は片手でガーターベルトを容易く外す。遼子がとまどっているのを見て、寄っていくと
甲斐甲斐しく手伝ってやっていた。
『だめ……。ごめんなさい、おじさま……』
 男が悠美に口吻をしようとしたら、顔を逸らして拒んだ。

『厭なのか』
『厭とかじゃ……』
『なら、どうした』
『菜緒子にしてあげて、おじさま』
『悠美ちゃん……』
『悠美は遼子とで、おしゃぶりしますから』

 遼子の肩に手を添えてベッドに誘おうとしていた菜緒子の躰が固まっていた。
『ほんとに、それでいいのか』
 捻った先に菜緒子と遼子がいた。
『それが、いいと思うの。遼子、ここにおいで』
『はい、今行きます』
『……遼子ちゃん』
『ごめんなさい、菜緒子姉さん』
274名無しさん@ピンキー:04/10/23 11:42:49
『445』

 遼子を招いて男のほうに向くと、シャツを脱いだ胸に唇を付け、下唇を掛け上に、
今度は上唇を圧しつけて下へと繰返しベルトのバックルを鳴らす。遼子が男と
悠美のほうに歩いていってしまい、菜緒子だけがぽつねんと取り残された。
 仕方なく背を向けると赤いヒールを脱いで、四つん這いになってひとりベッドにのって、
両腕を折り畳みうつ伏せになったて貌を横にする。

 悠美と遼子が裸になった男に跪いて、股間に貌を寄せ合っているのをぼんやりと観た。
悠美が肉茎を扱いてから、黒々とした茂みへ埋めたり、天井に向かって伸ばして、
淫蕩な血を掻き立てていた。
 陰嚢を唇で吸っているのを見て、遼子も貌を付けた。皺の皮が二つの小さな唇に
引伸ばされ、悠美の手は肉茎から離れ、雫を垂らし、てらてらと絖る亀頭を掌で包んだ。
遼子に皺袋の口唇戯を任せると悠美の貌は裏筋をチロッと出した鴇色の舌で這っていった。

 菜緒子に教えられたといっていい恥戯。逞しくなった男のものを掴んで袋のなかの珠を
舐め廻すのに唖然とした。無知だった。知識が無いだけに、みだらをどう処理したら
いいのかがわからなかった。男に抱き締められると、感覚はうれしくて、温かいペニスが
陰阜に押し付けられるのは好きだったが、まだ痛みが消えなかった頃。
 男が菜緒子と悠美にルージュを引いた時、唇は粘膜が外側に捲れたものだ、
と男に教えられた。

 血管がいっぱい通った、ぷくっとした柔肉。だから赫い。おま×こみたいだ。
ここが膨らむ。わかるだろう?
 菜緒子が男のものにサックのように唇を落として、頭を沈めるのを見ていた。
えづくみたいなくぐもった喘ぎが、小鼻を膨らませ洩れてくる。長い睫毛を濡らして、
それでも男をみつめ、頬を窄めている。
 菜緒子、きもちいいの?瞼を閉じて応える菜緒子。おじさまも……なの?
 汗が噴き出て、額に髪を纏わり着かせている菜緒子が眼を流してきて、
悠美の頬を撫でた。
275名無しさん@ピンキー:04/10/24 14:56:19
『446』

 菜緒子、きもちいいの? 瞼を閉じて応える菜緒子。
 貌には汗が噴き出て、額に髪を纏わり着かせている菜緒子が眼を流して、悠美の頬に
ふれている。でも美少女のグロテスクな絵。
 黒フェルトペンを拳で握って走らせ、真っ白な画紙に書き殴る。針金が毛玉になって、
白はみるみる塗りつぶされ、突然ペニスをおしゃぶりしている菜緒子の貌になってアニメする。

 雨が赤い傘を叩く。秋の終わりに雨があられに変わって、悠美は口から白い息を吐きながら、
大きな橋の舗道の真ん中で、暗い緑色の川を観ている。少し、こわい。官能の入り口の扉。
頤をゆっくりとあげて、堤防の向こう側に拡がる海を瞳に映す。
 こわい。世界が拡がっているのに、気持ちよさそうなのに、川よりもっと風で波立ち、
続く海が悠美をこわす。
 男に後頭部を掴まれて、菜緒子の貌が烈しく震え出して悠美の頬にあった手は白波に振り落とされ、
脛毛の生えた男の脚に昇って縋って愛撫は終った。菜緒子の鼻翼が膨らんで、
チャームポイントでもあった瞼の下の膨らみも、歔いて腫れていた。

『おじさま』
『ん?』
『遼子、だめ』
 悠美が遼子の好奇心を止めようとした。
『べつに構わない。どうした』
『どんな感じなの?』
『遼子!』
『悠美もおなじことを訊いていたな』
 ベッドの菜緒子がくすっと笑っていた。気が付いて安堵した悠美はペニスのおしゃぶりに没頭する。
『むずむずとかゆいような、すぐられる感じかな』
『むずむず?』
276名無しさん@ピンキー:04/10/25 12:38:11
『447』

『遼子はどうなんだ』
 好奇心を向けていながら手で陰嚢を包んで玉を転がし、脈動は悠美の舌に伝わっていた。
『痛かった』
『そうか』
 雪が降る中に裸でいて、素描をしたあとに遼子は風呂に入れられた。湯は冷えた肌に
激痛しかもたらさなかった。唯一、遼子の顔だけが無事なだけだった。

『ぎゅってされるのは好き……』
 湯舟で喚く遼子は抱きしめられて、男の顫えを感じていた。手を握られたような感じに
落ち着いたが、痛みはなかなか消えない。
 指が合わさらない。痛い。痛い。と遼子は男の腕の中で暴れた。痛みが痺れに変わり、
風呂から遼子は寝室に連れて行かれて姦された。ペニスが膜を裂く痛みが、気持ちいいに
変わるということを刷り込まれた。

 雪に肌を晒していた痛みが、風呂から出てベッドに横たわらされた頃にはじんじんしていた。
躰を駆け抜けた痛みは、皮膚感覚として残っていた。数日してから、遼子は男に訊いていた。
『気持ちよくしてやれなかったな』
 悠美にペニスをしゃぶられている男が遼子の髪を撫でる。少し距離を置いて、陰嚢を包んだ
指をゼンマイ仕掛のように指を動かしていた。左肩がだるくなっていた。

 おじさま。駅にはもういかないの……? 
 痛くなりたいのか。
 痛くしないで。
 冬の遼子は済んだよ。
 ……そうなの。
 遼子の秋を先に描いておきたかったな。
 夜のお仕事も痛いのに、とは言わない。それに、秋は遠くなってしまった。
277名無しさん@ピンキー:04/10/25 12:47:34
『448』

 春に、またここに来ていい、おじさま……。
 行きたくなったか、駅に?

『……うん』
 男の太腿にしがみ付いていた、悠美の手が伸びて、紅潮している頬にふれた悠美の
手の甲を遼子は包む込むように撫でた。遼子の頬よりも、悠美のほうが真っ赤になっていた。

 セックスの驚き。男を慕っている遼子の気持ちを傍で感じながら悠美はもっともっと
燃えていった。
 ごめんなさい
と遼子にふれ、頭を掴まれて男によって口蓋垂を押し上げら奥を突かれていた。
菜緒子もそうだったのだろうと思いながら烈しさを増して行く男の律動に身を委ねた。
 遼子は陰嚢から手を離してシーツに降ろすと、うつ伏せになっている菜緒子に這って
赤に紫苑の脚が寄り添う。両脚を拡げて男を待っている肢体に濡れた眼でみつめた。

『菜緒子姉さん……』
 嬲られている悠美を見ていた菜緒子が、遼子に貌をずらして来る。
『なに、遼子ちゃん』
『おじさまには、痛いって言ったけど……』
『うん』
『真っ暗な中で……』
 畳んでいた手を遼子に向けて合わせ、乳暈を人差し指でいたわりながら。
『真っ暗……?』
 小さな粒のような乳頭を擦って、胸板を擦ってやる。遼子の声は顫えていた。
『いっぱいの白い手がにゅううって伸びてきて、さわられてた気がしたの。
いっぱい、いっぱいの……手で……』
『それでいいの。感じてたのよ』
『廊下で、菜緒子姉さんの……お姉さんを……見たときも……』
278名無しさん@ピンキー:04/10/27 01:58:46
『449』

『こわかったのね』
『白い手が、いっぱいうねって、やって来るの』
 遼子は啜り泣きをはじめた。男を待っている為に、力いっぱいに抱きついていってやれない。
慰めてやりたい衝動を抑え、胸板から頸筋、うなじを撫でてやった。
『わからないの。なにが、きもちいいのかなんて……。でも、でもね……』
 男を膣内に迎えるための準備も怠らない。アヌスをきゅっと締めては、緊張させた
大臀筋を開放するのを繰返し、悠美の恥戯で硬くなったペニスを菜緒子は待っている。

 悠美の荒い息遣いが聞こえた。菜緒子は貌を後ろに向け、悠美が左側に横たわり
手を握る。遼子の側から捻っていた貌を正面に戻して悠美を観る。鼻孔を膨らませ、
相を変えた、いままで男とおま×こをしていましたという美少女の貌がそこにあった。
悠美も薄く眼をひらいて、菜緒子を見返している。
 腰の括れを掴まれて男に曳き付けられていた。アヌスをめいっぱい窄めてから、
羞ずかしいくらい外側に捲れてしまうみたくひらいていった。

 男が膣内に入って来て菜緒子は叫ぶ。どこかに跳ばされそうなくらいに苦しくなって、
腕で下から抱えて、ぎゅっと躰を軋ませてほしいと思うようになる。裏返しになんかしないで
いっぱい抱いてと、男が去っていくと、ペニスを全霊で引き締めた。
 男の厚い胸板が、菜緒子の天使の翼の名残に降りる。繋がっている下肢だけがベッドに深く沈む。
菜緒子の遼子と悠美に握られていた手を男が掴んで腰を振る。

 喘ぎを振り撒くように、貌を悠美から遼子のほうに持っていって、ぐいっと捻って
くちびるを男におねだりした。      
『ん、んっんっ、んはっ、はあ、はあ』
『苦しいか』    
『くっ、くるしい』 
 男の肉棒で貫かれ悶える菜緒子に、遼子と悠美は見えない縄で縛られて、ペニスを
挿入されていないのに捻じ込まれていた。アヌスの開閉をトレスダウンして少女の
ぽてっとした下腹を妖しく烈しく波打たせる。
279名無しさん@ピンキー:04/10/28 20:31:58
訂正

>>248
(一段二行目)
遼子はアヌスをさわられて、尾てい骨から背骨をなぞり上げ飛び立つ悠美のゆびさき。
手には菜緒子と悠美がこさえ贈りあった、ラウンド・ビーズアクセサリーが薬指に
リングになって留められ――

>>255
(二段六行目)
火照る頬に黒石のなかにエメラルドグリーンの藻が揺蕩うモーシツィットが、
朱で胸元にまでも染め上げている遼子をなだめていた。
280名無しさん@ピンキー:04/10/28 20:40:54
『450』

 少女たちの臀は蒼くまだまだ硬い。ガーターベルトのサスペンダーでつくられた
枠だけが、辛うじて臀を円に見せるだまし絵。
 遼子と悠美はペニスを受け入れている菜緒子を挟んで横臥し、おなじく臀を男に
向けていた。菜緒子は突っ伏している分、前に突き出た二つの腰骨の突起を見られる
ことはなかった。

 遼子と悠美はそれを晒さねばならなかった。菜緒子がうつ伏せになって男と交わって
いることに、おなじ姿態を取ることを遠慮していた。悠美は菜緒子と手を繋いだまま
天井を見て仰向けに、突かれている菜緒子を感じようともしたが、肉情に負け。
 拡げられた赤いレースのストッキングの両脚の淡い。男は執拗に衝きあげ、両太腿に
描かれた薔薇を揺さぶって散らそうとしていた。烈しさに、黒と紫の薔薇も菜緒子と
いっしょになって揺れていった。

『はっ、はっ、はあっ、おじさまあぁぁぁ……』
 右脚を畳んで乳房に持って来ようと、菜緒子は猫のように背をしなわせ両肘を付き、
肩甲骨を白い背から尖らせ臀部を突き出す。躰にはバイブレーションを加えながら、
顔を落としてぐらぐらと揺らしていた。
『あっ、あっ、ああっ……』
 遼子と悠美の熱情が菜緒子の手に伝わって、後ろからのペニスの力にも支えられて、
強引に捻じ伏せられた少女は男に屈服する。

 男と躰がひとつになるように、挟んで観ている二人とも精神を蕩けさせて交媾していた。
別の部屋で男に抱かれているだろう姉のことを想いながら、貌を歪めていって。
 男の手が菜緒子と遼子の繋いでいる手に絡み、――ほときに掛かっていた。なにごとが
起こっているのか、わからないまま従い菜緒子から手を離すと、男に手を取られ
応えることも出来ず、きつく指の骨を軋まさせられていた。
281名無しさん@ピンキー:04/10/29 01:37:48
『451』

『んっ……いっ……』
 遼子の手は力に反射して仰け反るように拡がっていた。男の手を握り返そうとすると、
指の骨に鋭く痛みが返って突き刺さってくる。粘膜を裂いた――ペニスの時みたいに。
『はあ、はあ、はっ、痛いっ、おじさまぁ……』
 悠美はとまどっている遼子を見ながら躰を起こして、姦され春情を醸している、
みだら貌の菜緒子にのっそりと這っていこうとする。男を欲しているくちびるが、
揺れる双臀の淡いから絖りを覗かせていた。

 遼子の指が痙攣するように動き、哀訴を受け入れた男の手は離れていって、菜緒子の
細腰の括れから下腹の若草を弄って抱え込んだ。
『うああっ、んあっ、おじさまっ、すっ、すごい、あっ、あっ、あっ』
 悠美は肉情に耽溺した菜緒子の貌を黒いレースの両手で包んで、頤を突き出すように
仕向け掲げた。菜緒子の柔らかい頬肉は捩れ、眦は吊り上がっていた。
『あうっ、んっ、んあっ、んんっ』

 菜緒子の閨声は気道が詰まって、くぐもった呻きに変わる。唇を痙攣させ口から
少量の空気を吸いはしたが、眉を吊り上げ鼻孔を膨らませて呼吸をしていた。
 普段の取り澄ました、菜緒子の美貌は壊変される。複雑なかたちをした耳も、
中は女性器のように染め上げられ、悠美は菜緒子の唇に圧しつけ、赧らんだ頬から伝い
落ちた仄かな潮が舌に拡がっていった。
『ああ……』  唇がずれて、少女らしくない生臭い喘ぎがどちらともなく洩れる。

 傍にいた遼子は眼を大きくしていた。おじさまが好きだからという感覚で交媾を
受け入れていた、遊戯の先にあるものが遼子に明滅して近づいてくる。躰が顫える。
 吸血鬼に魅入られたみたいに。橋から暗い川を見て、繋がる遠くの海を眺めていた。
悠美は正座して閉じていた膝頭を拡げ、波打つ下腹に菜緒子の貌を降ろす。菜緒子のため、
悠美自身のためにひらく。
 男の律動で菜緒子の頭が悠美の腹部を突いていた。女性器のような腹部の縦筋の窪みは、
挿入されたみたいにいびつになって開いていた。少女の性器でなくなる。
282名無しさん@ピンキー:04/10/29 20:32:15
『449』

 菜緒子の声は、囁くような柔らかなもの。悠美のものは、すこし高くしたもの。
遼子はふたりよりも稚くて、片鱗は見せてはいたが、言葉尻に近づくにつれ滑舌良く
聞こえ、耳障りでない心地よいものとして男の耳に残っていた。
 最初にペニスを咥えた遼子。今、男は菜緒子の膣内に居て、悠美の股間で菜緒子は
歔いている。男の精を受けた三人三様の少女遊戯の喘ぎが男の肉棒を烈しく煽っていた。
 遼子は待って喘ぐだけの傍観者ではなく、環の体現者となっていた。

 悠美は躰を小さく折って、股間の菜緒子の頭をぎゅっと抱きしめ、横を向いて遼子を見ていた。
 霰は雪花に。防波堤の向こう側の暗い海を見ていた少女は、足元の川の流れに不意に落す。
小さな白い綿がいくつも川に吸い込まれていった。六メートル以上はある橋の上からの眺めは、
少女を闇の世界に引き摺る。
 浮遊感とは違っていた。けれど、そうでないとも言い切れない何かに躰が竦んでいた。
感覚は怖いものではなく、もっと昔に感じた懐かしい記憶。気持ちいいのもっと
奥底にあるものにふれたいと少女は思う。

 明滅するなにかを手にしようと、泣いて悦びながら遼子は抱いていた両肩を放ち、
菜緒子の頭を抱いている悠美の唇へ十字にそっと重ねた。遼子のほうから舌が
差し出され、悠美に絡んでいった。
 男は僅かな空間で行なわれる遼子と悠美の交媾を眺める。

 振動は退いて、悠美と遼子は口吻を愉しんだ。悠美が左手を菜緒子の頭から離して、
遼子に伸ばそうとした時、悠美の太腿の付根に親指を引っ掛け腰を掴んでいた赤い
メッシュのグローブが臀部に廻された。
 這わせていった蛭のような唇は、悠美の性器に吸い付いてくる。赫は妖しく咲いて小さな
先が尖った生き物も生れる。律動の再開は少女たちの肉情を焙りださずにはおけなくなった。
283名無しさん@ピンキー:04/10/30 02:03:38
『450』

 背を顫わせていた律動は柔和であっても、菜緒子から悠美の口唇戯はバイオレントに
伝わってバイブする。
『うっ、うあっ』
 あふれる淫水の音を奏でて、甘美なものとして菜緒子と悠美は受容していた。
『悠美姉さぁん……。お姉さん……』

『ごっ、ごめんねっ、遼子……っ。はっ、はあ、あっ、ああ、なっ、菜緒子ぉぉぉ……っ』
 悠美は遼子の後頭部を擦ってから離れていって、背を後ろに逸らせて両手を付くと、
腰を突き出して振っていた。
 両膝を閉じ合わせて、もじもじしながら遼子は、両腕を胸でクロスハンドして肩を
抱きしめた。じゅわっと性器を潤ませて、赫い舌のみだらに夢幻を揺蕩う。
 
 悠美の股間に貌を埋めていた、菜緒子の躰が反転させられた。
『ひっ』
 浅黒く逞しい背と、悠美から離れた赤いレースの手が、男の頸に巻きつきたいと叫んで、
空でおんなの覚悟の情念が舞い、火の粉がひゅんと天上に昇って揺らいだ。
 菜緒子のモーションに見惚れた遼子は、退くのが一瞬遅れて躰がドンとぶつかって
体勢を崩し、なよっとなった――。
 みみずみたく青筋をのたうたせ、更に色素の濃い男性器。だのに水面に白い腹を浮かせて、
死に掛けているさかなにも。肉茎の腹が異形にしなっていて、肉頭が菜緒子の躰にもののみごとに
突き立てられている様があけすけになる。むしろ菜緒子がペニスを食べているようにも……。

 悠美はぼうっとしている遼子を一瞥し、くるっと反転した菜緒子の頬を黒いメッシュの両手で撫で、
おもむろに唇を落すと、衝きあげられた菜緒子の肉情の歓びを啜り上げた。
 実際律動は殺されて、愛撫だけが菜緒子を侵食して色を深めていっていた。
時折、男の躰が跳ねては菜緒子を嬲り、結び目がほとけそうなくらい菜緒子も
跳ねてしまっていた。
 薔薇の花弁の二コルのように、菜緒子のおんなが染め上げられた。
284名無しさん@ピンキー:04/10/31 00:44:45
『451』

 しがみつきたくてしかたなくなった。菜緒子の手は男の腕をしっかりと握り締める。
腕に埋まる指頭と左手に巻かれていたラウンド・モーシツィットの感触が男を責めた。
 少女の薄い性器の締め付けに蕩け、ペニスの勃起に貢献する。
もんどりを打つみたいに、悠美の股間にあった頭が跳んで回転したのに悠美は驚いた。
菜緒子の欲情を追って再度包み汗ばむ額に唇を圧していった。喘いでいる口周りが、
グロスを塗りたくったみたいに絖っていた。
『おいしそう、菜緒子……』  『いやあぁぁぁ』    『きれいよ』

『はああっ、あっ、ああ……おじさまぁぁぁ……。うっ、うあっ』
 男の手は菜緒子の烈しく波打つ下腹と、赧くなった胸元を擦ってやっていた。
乳房ではなく、皮下に隠されている骨を弄る。下腹ではなく、子宮を探っていた。
『ゆっ、悠美いいぃぃぃッ……!』
 躰から流れるように拡げてあった、チュールレースの赤いつま先がシーツの上で跳ねた。
 黒いレースストッキングの両太腿を開いて男と菜緒子の貌を挟み、にじり寄って
悠美は淫ら貌を舐め廻す。

『はっ、はあ、はあ、悠美……ゆるして……』
 男の裸身の上でわななく菜緒子の躰。
『菜緒子。ゆるすって、なにを……なの』
『なっ、舐めて……悠美……ちゃん』
『舐めてあげる、菜緒子。いっぱい、いっぱい』

 チロッと出た舌先が貌を刷く。菜緒子に沈んでいた悠美は貌をゆっくりと上げて、
どうしようも出来ずに居た少女にやさしく声を掛ける。
『遼子も舐めるの。菜緒子のものを舐めて』
 悠美が到着する前に、男と菜緒子の交媾する肉の絆に口吻したことはあったが、
なにも考えず泣きじゃくって、言葉に従い舌を這わすだけだった……。
285名無しさん@ピンキー:04/10/31 01:58:09
『452』

 遼子は男性器の肉頭のかたちには愛着はあっても、逞しくなった肉茎の偉容には
少なからず戸惑い、恐怖は感じていても。
 顫える舌を差し出して、陰嚢に下ろす。柔らかい皮膚の感触が舌先を伝い、
瞼をそっと閉じて、剛毛で小鼻をくすぐられる。


 遼子の乳首は菜緒子や悠美に比べれば、遥かに小粒だった。乳暈の膨らみが
僅かに女を主張する。
 唇のくすぐりが遼子の乳暈を含んで吹かれ、鼻が肌に擦れ遼子は増幅してくすぐったく
なって無邪気に声をあげていた。
 男の少女への仕込みはさほど続かなかった。執着がなかったわけではない。仕向けた。
おかえしに男の乳首を舐めると遼子は言い出して、飽きると下腹を這って
口に余るほどに大きくなったペニスに辿り着いた。
 痛みを与えた男のもの。雪の駅ほどではなかったが。遼子はしゃぶった。次の夜も。次も。
愛して微笑みながら唇をかぶせ、不意に頭を掴まれ深く沈む。
 今までとは……何かが違う。遼子は焦ってもがいた。亀頭を飴玉のようにしゃぶっていたのとは
くらべものにならない苦しくなった。
 初めて、なにをしているのかがわかって驚く。遼子は眦を涙で滲ませ大きな手で髪を掴まれ、
押さえ込まれていた。えづいて鼻孔から呻き声をこぼした。
 おしっこが出るところを口に含んで、てらてらになった亀頭が口蓋垂を弾き飛ばし、
喉奥を抉る力のリアルが執拗に迫って、遼子を壊しに掛かった。悦ぶ熱情の体現が、男性器の
勃起だと少女は皮膚感覚でわかってしまう。扉の前に立たされていた。


 泣いたことを思い出しながら、菜緒子を刺し貫いている肉茎に舌を這わしてゆく。
『遼子、つよく、強くしたらだめ。左手の薬指と小指でいらうみたいにするの。いい』
『はい。悠美姉さん……』
286名無しさん@ピンキー:04/11/01 01:29:36
『453』

 舌の裏をペニスの腹の真ん中あたりに付けて、そろりと根本まで下ろす。そこから――。
悠美は菜緒子の貌に小鼻を擦って動かしていた。熱い息が菜緒子の頬をもっと熱くする。
『はあ、はっ、はっ……』
 菜緒子の悶えに、囁くエンジェルボイスが悠美と遼子を狂わす。遼子の愛着ある肉頭は、
菜緒子のヴァギナがいっぱいに拡がって頬張っていた。菜緒子の下の口が吐き出す唾液に
遼子のものがとろりと交じる。

 舌先の裏で交媾に蒸れた陰嚢の中心をアヌスまでぞろりと刷いて、外周にゆっくり廻り込み、
肉茎の根本に収斂されるよう顔を動かして何度も舌先を這わした。
 屋敷にある大きな水槽の水面に手を掛けて、ちょんと指先で触れて波紋を落すみたいに。
睾丸を舌で泳がした。くすぐったさが、男に伝わるようにと祈って。丹念に、丹念に、
右も左も別け隔てることなく愛でて、肉茎の根本に上った。
 睾丸を痛くしないよう、悠美の命に従って。菜緒子にも教えられたことだった。

 遼子は肉茎の根本を圧し、硬くなった軟骨を確かめに行って、小さないたずらを仕掛け
菜緒子に咥えられていたペニスがビクンと痙攣した。遼子の悦び。あとから来る微かな嫉妬。
 おいしそうに食べて、ヒクヒクしてこわばっている菜緒子の白い股間。呻き。内太腿や
ふくらはぎ。太腿の外側の白雪にはサァァッと縦にシャドウが入り、脾腹にも肋骨の
シャドウが入っていた。少女の躰にタナトスの悦楽のタッチが舞い降りて来る。
『あっ、あ、ああっ……!やああぁぁぁ……』

 腰周りの前に突き出した骨盤の二つ突起の丸み。流れたラインが太腿の上にすううっと
通っていた。
 柔らかな腹部が硬くなって収縮し、異様に陰阜が突き出た菜緒子の白いわななきに
遼子は酔っていた。
 躰が跳ねあがって、ガクガクと顫える。肉棒がバネになって遼子の赧らんでいる貌を
叩いていた。遼子の望んでいた肉頭がぬるんと吐き出されて、反射的に咥え込もうと
口をぱくぱくさせた。塗されていた体液が、遼子の目に入って滲みた。
『ああっ、ごっ、ごめんなさい……おじさまぁぁぁッ!』 悠美を振り切って菜緒子が泣き叫んだ。
287名無しさん@ピンキー:04/11/02 01:31:09
『454』

 紫苑のメッシュの手で暴れるペニスを掴み、揺れていた錆朱の肉頭の向うに、絖って
ぷっくりと膨らんだ二コルが開いていた。みだらでいて、清楚なる花。
 菜緒子は男との結合がとけたことを知って、狂ったようにお臀を動かしていた。
『ああっ……、ごめんなさい。おじさまぁぁぁ……』
『かまわないから』

 男は射精を目的としたセックスを少女たちと持つ気はなかった。過度な律動には
痛みが伴う。別な理由もあったが、抱きしめてやることが前提にあって。
 最初に屋敷に足を踏み入れたのは姉。
『いや、いやっ』
 菜緒子は姉の微妙な変化にとまどいを覚えていた。菜緒子も男の領域に近づいた。

 人形のように姉妹に接する男。裸で抱き合って、みだれにみだれ。
『遼子、菜緒子の上に来い』
 膣に挿入されて、先に泣いたのは菜緒子だった。姉は男にお臀の穴をいじられ、
悶えていた。肛門に逞しくなったペニスを受けいれて、痛い、痛いといって泣き叫んで
裂いたのを見せられた。
 菜緒子は同じ場所に、姉がペニスを突き立てられたのを見てはいない。
区別されていたという疎外感はなく、実際等しく可愛がられていた。菜緒子は思った。
 その年の夏には、姉とはいっしょに訪れていない。菜緒子は男にとって特別な存在だと
思うようになっていた。連作の絵を見るまでは――。

 菜緒子はお臀を出して、ここに刺してとねだった。いまは、駄目だと即答だった。
男の顔つきが一瞬変っていたのを見逃しはしなかった。泣いた菜緒子の髪を
撫でてくれはしたが、菜緒子にわだかまりが残った。
『ごめんなさい。ごめんなさい……』
『悠美』
『はい、おじさま』
288名無しさん@ピンキー:04/11/02 21:38:26
『455』

 吸血鬼に惹かれる乙女。憐れむべき、闇の帝王に傅く。男に従って菜緒子のくちびるを
奪いに行った。
 男のアトリエには連作の大作が立てかけられていた。2×1.5m程のキャンバスに
描かれているもの。菜緒子が見た時、絵の中の少女は姉だと思った。

 顔立ちは似ても似つかないが、姉の雰囲気は纏っていた。そこにいたのは
日本人形のような、白雪のしなやかな裸の少女。
 背景は闇の中の焦土と化した街並みだった。陽が昇りはじめても、夕暮れと思しき
暗さの印象がある。
 見た者は夜明けだとは思わない。モチーフがそうさせる。いかがわしさと清楚が
混じり合う、はじまりは無垢な二枚の肉の綴じ目の少女の季節。

『いってもいいの……?』
『遼子、どうした。さあ、来い。菜緒子も来てと躰が言っているぞ』
『ごめんなさ……んっ、んん』

 焦土を背にして、シンプルなマカボニーの肘掛のある椅子に腰掛ける。黒髪は少女の
天使のなごり(肩胛骨)を隠すまでにたくわえられ、乳房を覆い隠して黒髪がふた房、
白い儚げな肌に垂せらされていた。
 次の絵では少女の足元には水が張っていて、湖水上に浮かぶ椅子に座っている。
そうさせないのは、背後の焼け焦げた街並み。陽が昇りはじめて全景が見え、少女の
尋常ではない緻密な描写が際立つ。

 菜緒子がはじめて屋敷に連れて来られた時、応接室にひとり待たされていたが、
退屈でしかたなく部屋を抜け出た。来る途中で見た絵に心を奪われていた。
 階段の踊り場に掲げられていた絵。技巧からすれば、愚直なほど緻密なもので、
価値の無い否定されるべきものでしかない。菜緒子には、そんなことは関係なく、絵の中に
惹き込まれて、姉が探しに来るまで絵の傍にいって、じっと見ていた。
289名無しさん@ピンキー:04/11/03 10:30:16
あとで、膝と肘を確かめると赧らんでいることに気がついた。真もそれに気が付いて、
遼子の赧らんでいる膝頭の部分を舌で舐め始めた。起き上がろうとしていた遼子は、
また真に押し倒されて脚と脚を絡ませ、肌の感触を愉しみながらのたうった。
 タートルネックの黒いセーターをたくし上げられ腋窩を晒し、ボルドーのブラををも
押し上げられて、白い乳房の柔らかな膨らみを揉まれた。真の唇は乳房にではなく、
遼子の床に這ってセックスした赧らんだ肘を舐めて。舐めさせている遼子は真の視線が
テーブルにも行っている事に気が付いてしまった。 
290名無しさん@ピンキー:04/11/03 14:02:25
240 『441』  三行目から  すいません

 烈しい交媾にテーブルからずり落ち、床の世界でのたうつ。捻じ伏せようとする力に、
淫らな臀を突き出して応える遼子。真に沈めと穿たれて、頬骨を擦りつけた。
両腕を折り畳み、歪む貌に両手を添え後ろから衝きあげられる。
 膝と肘を確かめると、赧らんでいることに気がついた。ペニスは去っても、躰には真が
ここかしこに残っている。
 裾を下ろそうとしていたら、膝頭に真の唇が吸いついた。舐められながら、揺れる真の
硬度を量っている。それでも起き上がろうとした遼子は信じられない力で押し戻され、――捌かれる。
されたかったから容易くだったのか……、脚と脚を蔦が絡むように肌の感触を
愉しみながら、肉体の刹那に酔いながら弄り合っていた。
 頸廻りのふくらみのやさしいタートルネック。黒のノースリーブセーターを遼子は
たくし上げられ、両の二の腕で頬を挟んで腋窩を晒す。ボルドーのブラも乳房ごと圧され、
顫える白の膨らみをぷるんとあふれさせ揉みしだかれた。
 白に尖った乳首が赫く真の眼に滲みた。真の唇は乳房にではなく、腕の裏側の薄い肉を
舐め上げ、床に擦られ仄かに赧らんだ尖りに辿り着き吸い付く。
 少女の季節にペニスをしゃぶった経験が降って、真が見ているものに気がついて
頤を上げ仰け反ってついてゆく。顫えの治まった遼子は頤を戻して真に訊いた。
291名無しさん@ピンキー:04/11/03 21:06:49
『456』

『んっ、んっ、んんっ』
 曇天の浜辺にたてがみをなびかせ、黒馬が走る。少し遅れて白馬が付いて来ていた。
ロングで固定された世界に、右側の隅に城が見える。雷雲の闇を閃光が裂く。
 血が逆流して動悸が烈しくなる。どこにどう惹かれていたのか茫漠とし、絵の世界の
住人となっていた。
 背後から手が伸びてきて、菜緒子は両肩をふれられて瞑ぐ。黒馬が駆けて躍動する
筋肉がぶれる。菜緒子は後ろを向いて、姉を仰いでいた。

 あっ……、こんにちは
 こんにちは
 お姉ちゃんは来ていませんか?
 部屋でまっているよ。代わりに迎えに来た
 ごめんなさい。じっとしていなくて……
 低い声のバイブが菜緒子の躰を徐々に侵していった。
 この絵が好きか?
 ……はい……
 なにかを受け入れてしまったような感慨が菜緒子の中に刻まれた。

 猫のように感じる大きく黒い瞳。眩いばかりの白い素肌。まだまだ未成熟な稚い頤。
肉情を掻きたてられる、ぽてっとした小さな唇。絵の中の少女は膝小僧を合わせていて、
少女の無毛の女性器は見せてはいなかった。
 くちびるの彩りがその代替として描かれて、鴇色は足元の水を吸ったように瑞々しく
艶やかだった。

 菜緒子は男に連れられて、アトリエに向かった。迎えに来てくれるはずだった姉は
椅子に腰掛けていた。姉の微笑があいさつをしてくれはしたが、空間に足を踏み入れた
一瞬で闇に包まれていた。裸にされて、無数の白い手が地の底から湧いて来るような幻視。
 ここに座って観てなさい    
 なにをするの?
292名無しさん@ピンキー:04/11/03 21:16:25
『457』

 男は黙って菜緒子の姉に近づくと、着ている物を引き千切りはじめる。姉の躰が男の
大きな躰に隠れてはいても、衣服を裂く音と華奢な躰が揺さぶられているのがわかる。
 ぼろきれだけを纏うことになった姉は、頭を掴まれて座部に捻じ伏せられ、
お臀を突き出す格好にさせられた。太腿の閉じ目から男に手を差し込まれ、ショーツの
フロントから一気に引き摺り下ろされる。

 ビスクドールのようだった姉のこわれゆく姿に、菜緒子は動揺した。しまいには、
お臀の乾いた音が響いて来た。姉の叫び声に、菜緒子も泣いていた。
 容赦の無い打擲にみるみる臀肉は赤く火照っていった。姉の声が啜り泣きに変わった頃に、
菜緒子は男に抱きしめられ、涙が乾いて気持ち悪くなった眦を舐め取られていた。
 お姉ちゃんをいじめないで……、いじめないで……

 いじめてなんかいないよ。ほら、菜緒子。みてごらん
 男の膝上に乗せられて、姉を見ていた。ぐったりとなった躰を引き揚げるようにして
肘掛を掴んで起こし、座部に委ねると躰がぐうんっと反っていた。菜緒子はまた声をあげて泣いた。
 乳首は尖って喘いでいる。骨盤の二つの突起に挟まれた、肉の膨らみが烈しく
波打っていた。
 両膝を閉じて総身を緊張させ、座部にお臀を下ろす姿を涙に濡れた瞳が見つめ、
菜緒子の躰も共鳴していた。やわらかな微笑を浮かべていた姉のバロックが菜緒子の精神を灼いた。

 水に乗る少女の足の表情も清楚でありながら妖しげなエロスを醸して、肘掛に両腕を置いて、
艶のある微笑で鑑賞者を向こう側から観ている。猫の瞳で。細い頸には赤いリボンが巻かれ、
猫目石が光っていた。
 この絵の中の少女は姉なのかはどうでもいいこと。モデルはあくまでも素材でしかなくて、
テーマに取って代わることは無い。そう思うことにして、菜緒子の日課は黒馬の駆ける
踊り場の絵を観に行くことになっていた。
293名無しさん@ピンキー:04/11/03 21:22:31
『458』

 菜緒子はこの絵が好きなのね
 うん
 黒馬は菜緒子にとって荒々しい肉棒だった。怯えながらも惹かれるように併走しようと
駆ける白馬。
 お姉ちゃんも好きよ。どこまでも黒くなって駆けてくの。おじさまは私に精気を
吸い取られて、どんどん白くなって置いていかれるの
 お姉ちゃん……
 混沌が起こった。
 なに?そんな貌してどうしたの
 翌年に絵と生き写しの悠美が菜緒子の前に現れた。

『菜緒子、気にするな。奈緒子……』
 喘ぐ腹部を撫で、遼子は開かれている菜緒子の躰に自分を重ねていって、爪先を
踏ん張っておずおずと性器を擦りはじめた。男の手が遼子の細腰を撫でる。
『ああ……』
 仰向けになって、歔いている菜緒子のほっそりとした赤に包まれた両脚。
毛深い脛からずり落ちて、シーツに着いた爪足の指が外側にくにゅっと折れ曲がった。


 スケッチブックに緻密に素描された遼子の躰。雪の駅の木の椅子で、裸になった少女は腰掛け、
凍えながらも座部踵を乗せて、膝を抱えて開いていた。
 目の前でスケッチブックにコンテを黙々と走らせる男を見ながら、姦されて、股間をどうにか
されているような気持ちにおかしくなる。
 少女の脚に不釣合いの大きな足を眺めながら寒さに耐えて足の指を蠢かせ、シンプルな女性器を
ひくひくさせていた。
 悠美が菜緒子の口を吸っている。遼子も下のくちびるを重ねて、吸血鬼の花嫁なのだと思った。
294名無しさん@ピンキー:04/11/03 21:25:42
『459』

 遼子は腋に両手を差し込まれ、引き揚げられた。真の両肩に両手を付いて、ガウンから
はだける乳房を迫出しながら、乳首を真に含ませながら背をしなわす。
 起き上がった遼子は、荒い息を吐きながら、テーブルに腰掛けようと臀をに乗せる。
『真、来て頂戴……』
 大きさではなかった。ただ、ペニスのかたちはいっしょだ。肉の記憶に縋る遼子。
『遼子が来てよ』
『わたしが?』
『うん』
『からだ、痛くなっても知らないわよ』
 手の甲を真の下腹に付けて人差し指と中指で挟み、椅子に座っている真の肉体を
跨いでいった。
『いいよ。遼子を感じたいから』

 挿入。椅子の背もたれを掴んで腰を振った。ガウンをはだけられて、繋がっている
場所だけを隠し、熱気がどんどん籠っていった。
 太腿を愛撫していた真の手が左手の小指を立てて、遼子のアヌスを突いた。
指先が肉の悦びを知覚して、息をふううっと吐いて、ペニスのようにぬぷっと埋められていった。
 遼子の硬化、――すべてを受けいれようと弛緩した。根本まで埋まって男に
してもらったように、真は抽送を繰り出していた。でも、鉤爪にしてアップする
クレインはしてもらえなかった。
 男の手で股間を掴まれた感覚が蘇った。負の感情を振り払って、真に奪って
欲しいという情で、喘ぐ下腹を遼子は打ち続けた。
295名無しさん@ピンキー:04/12/28 13:43:38
hosyu
296名無しさん@ピンキー:05/01/17 16:07:02
sage
297名無しさん@ピンキー:05/01/29 18:43:51
で。誰かまとめサイト作れよ。
298名無しさん@ピンキー:05/02/04 06:46:02
age
299名無しさん@ピンキー:05/03/20 08:49:30
イイ(・∀・)!!
3週間かけてやっとここまで辿り着きますた
300名無しさん@ピンキー:05/03/20 16:33:29
つーか、挿絵作ってくれる人いたら本出せるよ
301名無しさん@ピンキー:2005/05/17(火) 16:59:23 ID:4jK+v9jv
 保守?
302名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 00:56:18 ID:xXFLW/In
>>297
最初から全部まとめられている。
前作もある。
http://novels2ch.s6.x-beat.com/pukiwiki.php
303名無しさん@ピンキー:2005/07/04(月) 15:07:22 ID:xXFLW/In
まとめサイト記念あげ
304ニッカ :2005/07/10(日) 22:55:14 ID:u6ZFs8bs
幼女ありすのお話

http://www.freepe.com/ii.cgi?aoinikka
305名無しさん@ピンキー:2005/09/19(月) 03:14:05 ID:iLd1wVO1
306名無しさん@ピンキー:2005/11/11(金) 01:54:38 ID:LPy+2ZAO
「なにしてるんだ」
 隆(たかし)が文子(ふみこ)のいるリビングへとやってくる。ブラウンの
リビングテーブルには遼子の水彩画と行き先の地図が拡げられていた。
「絵を見ているのよ」
文子(ふみこ)は娘が絵画教室からモデルになってもらえないかと
懇願されていたことを悩んでいた。

 冬休みに一週間という期間でどうかと頼まれていた。
 義理立てというわけでもないが、文子は承知することはすでに決めていた。
ひとりで来させるのがもしもお嫌ならいっしょにどうですかと
最初から言われていて、甘えて遼子に同伴するつもりでいた。隆にそのことは話していた。
「テーブルに開いてる地図のこと」

「じゃあ、そういってよ。ばかっていわれているみたいで、そんな言い方いやだわ」
「ご、ごめん」 
 入ってきていつもはソファによっこいしょと腰掛け、好きな番組をすぐに見るのに
隆はテレビをつけようとはしない。茶化してはいても気にしてくれていることに
すまないと思って、声をかけた隆を振り向いたら、本棚に白うさぎと黒うさぎの
絵本の表紙が見えた。
 遼子があるものを隠すように立て掛けたのだった。遼子の小さな手が動くのが
可愛らしかった。すてないでよ、と文子が後ろから声を掛けると振り向いて瞼をぎゅっと閉じ
小悪魔は舌をべえっと出した。

 応接室の本棚には百科事典と文学全集で体裁を取り繕ったありきたりな陳列。
実際に読むのは寝室にあるほうのものだったが、最近買った小説が読めるようにと
何冊かは適当に入れてもあった。
 遼子のスペースも本棚には取ってあって、絵本が数冊入って傍には遼子がつくった
なにかわからないかたちをした紙粘土の作品もちょんと置いてあり部屋の空気を和ませていた。

307名無しさん@ピンキー:2005/11/11(金) 01:58:31 ID:LPy+2ZAO
『こんなの、捨ててちょうだい』
『たいせつな記念にもなるのよ』
 遼子の生きた証しだと文子は思った。これからどんどんと増えて、
それをひとつひとつ取っておくことはできなくなってしまうのかもしれないが。
『やだあッ』
『どうして。ママにつくってくれたんでしょ。そんなこというと哀しくなるわ』
 嘘泣きでもしようかと文子が思っていたら、遼子が文子の貌を読んだのか。

『おかあさんには、今度もっと上手につくったのをあげるからぁ』
『これでいいのに』
『ダメぇ!』
『遼子のくれたこれがお気に入りなの』
『んんっ、パパぁ!パパ!おかあさんが!』
 遼子のちいさな身体がめいっぱいに動いて文子は可笑しくてたまらなかった。

「で、文子は何していたの」
「……もう。遼子はなにしているの?」
「部屋で宿題しているよ」
 遼子についていくことで家庭を先方にまで持ち込んでしまうことにはならないか。
普段の娘になることを先生はモデルとして良しとするだろうかと文子は
躊躇いはじめていた。
「もう、決めてはいるんだろ?」

「隆はどうなの……」
「俺か。やっぱり、親の努めを放棄するってわけじゃないけどさ、
そっとしてあげたほうがいいんじゃないかな。ほっといてもひとりでに
乗り切れるものなのかもしれないけどな。もう忘れてたりしてな」

308名無しさん@ピンキー:2005/11/11(金) 02:08:43 ID:LPy+2ZAO
「うん」
「感受性も強そうだし、いい機会だと思うな」
「それはそれでいいと思うの」
「ん、そのことじゃなかったのか。なにをそんなに悩んでいるんだ」
 子供からのローアングルは大人には非日常の特異性をもつ。その目線でのらしさ。
子供らしさ。気懸かりは、遼子の絵が上手くなったことだ。

 風景、静物の絵を見ても技法的な上手さが際立っていた。そつのないことが
遼子には悪いとは思ったが、文子にはどこか気に入らなかった。
 遠くの霞む山々を紫苑で表現していることにハッとさせられた。風景全体の色使いも
申し分ないできだった。こなれていて写実的に捉えようとしている姿勢がみてとれた。

 写生だからあたりまえかと、苦笑しながら今度は教室で描いた絵を見た。
数本の瓶を描いたものにも、貼られた商標ラベルを表現するのに遼子は上手に
筆使いをして、ていねいに色を重ねて質感を出していた。
 くすんだ日に焼けた、たぶん教室で写生にずっと使っている瓶なのだろうと思う。
アイボリー色のラベルに書かれた文字もぼかしも使って克明に写している。
隆に見せた時は、緑色の瓶の透明感に感嘆していたみたいだった。ラベルをみて、
と文子が言うと、それならこの格子模様のクロスをみてみろよと隆が言い出して
大笑いになった。

 自転車に乗れた時も、どんどん娘が歩き出すのがうれしい文子だった。
娘の才能が伸びることは親として素直にうれしい……。好きな隆と共有できる
最大の喜びのはずだった。現在の絵をみて感じた不安ととまどいはどこか異質で。
『これ、遼子が考えたの』
 遼子の絵をみて笑ったのがずいぶんと遠い昔のようだ。へたというのではない。
遼子の気持ちが画紙いっぱいにあふれてくる、自由なステキな絵だと感動したのだった。


309名無しさん@ピンキー:2005/11/11(金) 02:17:04 ID:LPy+2ZAO
『……これってなに?』
『あっ、ごめんね。技法……こことか、ここの描き方よ』
 なぜ、変わってしまったのだろうと思う。
 仕方のないことなのだろうかと思い悩んでしまう。
『ママが遼子の時でも、こんな風には描けなかったわ』
 文子が遼子の眼を見ると逸らした。遼子は文子の不自然さを感じたのだろうかと
思ってあわてて付け加えた。

『すごいな。ママ、知りたいな』
 遼子は怒られた時みたく髪をいじりだしていた。
『おしえてくれないかな。先生に教えてもらったの?』
『先生の絵をみていて盗んじゃった……』
『そ、そうなの。先生はなんておっしゃってた』
 遼子をいっぱい褒めてやりたかったが、どこか文子は言いづらかった。

『ほめてくれた』
『よかったわね』
『うん!それでね、せんせいは、ほかにもいろいろ遼子に絵をみせてくれたの』
『そおなの、どんなのだった』
『こまかくてとってもすごいの』
『こ、細かいの?』
『絵にもさわってもいいって、遼子にさわらしてくれたの!』

『遼子におえかきは好き』、と訊けば満面の笑顔で応えるのだから納得するしかなくて、
どこか釈然としないものがのこる文子だった。せんせいの話題から無意識に
逃げたようでもあり。
『そうだ。買い物にいこうか』
『お買い物?』
『自転車で』
310名無しさん@ピンキー:2005/11/11(金) 02:20:19 ID:LPy+2ZAO
『行きたい』
『じゃあ、行こうか』
『うん!』

 どんどん遼子の自転車は先に行く……ようにみえた。
『そんなに先にいったりしちゃ、あぶないわよ』
『だいじょうぶ!』
『なにがだいじょうぶなのよ』
 文子からすれば、簡単に遼子との自転車の距離など縮められる。
遼子は自動販売機が二つ設置されているところで突然止まった。

『ねぇ、なにをしているの?』
 遼子は大人が一人通れるくらい開いていた工場の鉄扉の中を覗くのをやめて、
うしろから声をかけた文子に顔を向けた。
 遼子は瞼をぎゅっと瞑って、眉間と小鼻に皺を寄せ、舌を出してみせた。
『そんなことしているとね、お顔に皺ができちゃうわよ』
 眉間に寄らせた皺を解いて瞼をひらく。くりくりっとした深い黒い瞳が
文子をたのしませるのだった。

『だって、ここの匂い嫌いなんだもん』
『どうしてよ。きれいにするための匂いなのよ』
『おかあさんは好きなの』
 買い物途中の文子と遼子は、国道沿いにあるリネンのクリーニング工場の前で
立ち止まって話しを続ける。
『ええ。好きよ。遼子はどうして嫌なの』
『……』
 理由がなくとも嫌いなものは嫌いだということもあると文子は合点した。
『それならもう行きましょう』
311名無しさん@ピンキー:2005/11/11(金) 02:33:25 ID:LPy+2ZAO
読んでくれて、ありがとうございます。
312名無しさん@ピンキー:2005/11/11(金) 02:44:32 ID:9+B3go5k
おかえりなさい
313名無しさん@ピンキー:2005/11/11(金) 02:44:41 ID:LPy+2ZAO
『ううん』
『どうしたの。嫌いなんでしょう』
 文子は車で来たらよかったとは思わなかった。確かに遼子の安全はよほどのこでも
起きない限りは確保されるだろうが、いろんなものを見せてやりたいと思う。
 娘がどんなイレギュラーな行動をとるかという不安がないわけではなかったが、
不謹慎と思いつつも遼子の反応を見ていておもしろかった。怖がっていては
進まないこともある。
 あれだけ練習して自転車にうまく乗れるようになっても、不安は終わらないのだ。
あたらしい不安ととまどいがやってくるのだろう。

『むんむんするのがいやなの』
『シーツをクリーニングするのに必要な糊なのよ。それとスチーム』
『すちーむ?』
『白い湯気のことよ』
『でも、ずっといるとあたまがずきんずきんしてくるの』
『ずきんずきんって?どんなふうになの』
『チーズの匂い嗅いだ時みたい』

 痛みのことを表現してくると思って文子は待っていた。遼子の上げたのは
生理的に嫌いな匂いを感じたときの反応だった。
『チーズ?ぜんぜんちがうじゃないの』
 くせのある匂いだが、結びつかなかった。娘の言わんとしたいことはわかったが。
『だってぇ』
 遼子の困った顔を見て、しまったと思った。頭のなかで理解できたのなら、
わかると応えればよかったのだ。
『じゃあ、嫌いな匂いがしてくるのに、遼子はどうしてそんなに見ていたいの?』

314名無しさん@ピンキー:2005/11/11(金) 02:55:55 ID:LPy+2ZAO
『サンタさん!』
 遼子が傍に路肩駐車していた、バンにいっぱいに積んである大きな白い
布の袋を見て言った。
『ふふっ。おもちゃなんかないんだから』
 遼子がクリスマスカードをつくって近所の家々に配り歩いたのを思いだしていた。
最初は恥ずかしかった文子だったが、娘といっしょに着いて行って、
出て来てくれた人たちが笑顔を見せると文子の気持ちは華やいでいた。
 カードには稚拙だが、いっしょうけんめいに描いた元気があふれる
雪だるまと遼子がいっしょに笑っていて。

『そんなの知ってるもん』
『あら。そうなの』
 おもちゃが欲しくて遼子がそんなことをしたのではないことはもちろん知っていた。
いざカードが机にたまると文子は遼子についていくのに少しおじけついた。
けれども遼子となら文子は負担にはならなくて、そんな娘と体験したドキドキがなつかしい。

『むんむんするのもイヤだけど、雪みたいでいいの。だから見ているの』
 ドアから作業員の男が一人出て来て、バンの横のドアを開けた。袋を取り出そうとする。
『こんにちは』
 文子は驚いていた。遼子が声を掛けて男が応える。

『こんにちは』
 そのささやかな遼子への報酬が笑顔だったのだ。
『すみません。ほら、じゃまになるから、もう行きましょう』
『匂い好きになったか?』
 男が口をひらく。
(やっぱりというか、この人は遼子のことを知っているんだ……)
315名無しさん@ピンキー:2005/11/12(土) 02:54:10 ID:LsCNx4GS
遼子は瞼をぎゅっとつむって、べえっ!と舌を出して応える。
『こら、なにやっているの!』
遼子は人の笑顔を見ることが好きなのだ。館に行った時とはちがっていて。
『ハハハハッ』
 
 遼子のみじかいなつやすみは、須田のもとで過ごすことが多かった。仕事の関係で
隆がクルマで文子と遼子を何度か山の館へと連れて行っても、三人いっしょで
すごしたということはなかった。
 館には人が確かに生活をしていた。篠崎の家とはちがって、生活臭はかなり
希薄であったが、文子は絵を描くという目的で建てられたのだからと納得し、
ゴシックな雰囲気を満喫していた。

 しかし、周りには自然があって、みじかい夏をすごすのには最適だと文子は思った。
館に着いて四日を過ぎた頃には、早朝はかなり肌寒くなった。遼子にカーディガンを
着せながら、須田に遼子をモデルにしたいんだが、と頼まれていたことを
ぼんやりと考えていた。

 前日に絵を須田から何点かみせてもらった。淡いタッチで描かれた
水彩画のような油絵。裸婦画だった。立っているもの。椅子に反対になって開脚して
背もたれに頬杖を突き腰掛けているもの。卑猥さは感じられない。グラビアともちがって、
確かに芸術性が高められた、文子にも認められる、やさしいさを与えるものだけれども、
母親としては見ているのはつらかった。

「あなたは、わたしたち親子に取り入ろうとしていたの!どうなの!」
 文子は遼子と須田がいかがわしい関係になろうとしていると思いこんで、
ほんとうはもうなっているのだという考えもあって、激怒しぶちまけていた。
 遼子が館に滞在中は、ここに染まろうと態度を変えるのだった。この絵を見せられて、
遼子が須田をおじさんではなく、おじさまと呼ぶことにいまはじめてぞっとした。
316名無しさん@ピンキー:2005/11/12(土) 03:24:50 ID:LsCNx4GS
「落ち着いて、文子さん」
「よして!名前なんか呼ばないでッ!」
「なにも、こういった絵ばかりを描いているわけじゃないから」
「でっ、でも、でもね!遼子をモデルにしたいってことは、脱がすってことなんでしょう!」

「そう思うかい?だったら正式に頼まないで、もうやっているよ」
「やっ、やっているって!」
 文子は金切り声を張り上げていた。
「わたしは人を描いているつもりだ。それにモデルが性的欲望の対象になどなることは
絶対にありえない。小説とかドラマで描かれているのは100パーセント、フィクションだよ」

「かっ、考えさせて。時間がほしいわ……」
 興奮している文子に、須田の言った人を描く、という言葉はたのもしいものだった。
「お願いします。つぎの冬休みに頼みたいんだ」
 須田の人を感じる時間は、遼子にだけやってきた。あけすけに、男の本能を
剥き出しにしてぶつけ、遼子をおそった。
「ふっ、冬休み……!」
 文子はめまいがして倒れそうになった。

 先にあぶなさの感じを、男に抱いていたのは遼子で、須田がほんとうに描いている
特異な絵をはじめて見たときだった。だが、あぶないゆえの回避とは、
遼子の中で気持ちは、そうはならなかった。
 破瓜の冬、遼子のはじまりの館で見た、奇妙な風景のなかにいる白い裸の
長い黒髪の少女とはべつな絵に惹かれたのだった。

 遼子は須田の技法を盗みたくて、木製の絵を収納しておくストッカーからひとつひとつ出しては
観察していた。
 他にどんな絵があるのだろうと、好奇心からもっと探してみたくなり、須田の個室へと行ってみた。
鍵は掛かっていなくて、忍び込むと灰色のカーテンが引かれて陽は差してきていても薄暗かった。
317名無しさん@ピンキー:2005/11/13(日) 01:24:20 ID:MaJ4/oMo
 部屋の空気がざわめいて、遼子に寄ってきた。闇に浮んで見えた裸の少女。
白い絵……だと思う。近づいてみて、白だとはっきりとわかった。
 絵の中にいる少女は、壁に塗り込められるように描かれていて、
湖水の底から徐々に浮上してくるみたいだった。
 水面に浮いているのではないだろうか。遼子は絵にふれてみたくなった。
 いままさに何者かによって、裸の少女は湖底へと引き摺りこまれようと
しているのかもしれない。

 遼子は更に少女に近づいて確かめると、ちいさな悲鳴を上げた。
裸の少女は頤を突き上げ、細い首を伸ばして喉を晒す。
 吐息が洩れる濡れたくちびる。

 遼子は手を口に当てた。動いた手は少女が股間にしているみたいにして
下唇をめくり、遼子の指は自分のくちびるをいらいだす。
 絵に没頭して、いたずらにこねていたら、じんじんと痺れて重くなってゆく。
遼子は口をあけたまま、自分の手と少女のくちびるを交互に眺めて離した。
 いけないことをしたという、とまどいと責めは遼子の躰を灼くように熱くした。
 噛んでみたいと思うほどのやわらかさ。肉のぷりぷりっとした
羨望の質感は緻密な筆致で構成され、少女のくちびるに清楚と淫らは蕩けあう。
 
 単純な体位を少女は取らされていても、ほっそりとした四肢が
奇妙にまがっているようにも見え、おんなが薄い少女の躰に黒髪のほつれ毛が
生き物になってまとわりつく。脾腹と腰骨があやういうつくしさを醸していた。
 躰の境界線は壁の白に静かに取り込まれ、薄く希薄になっている。絵の中の少女は、
なにかにたゆたいながら、白い背を壁にもたれかけていると思った。
 細い両脚をスクワットのかたちにあられもなく拡げ、いけない場所を色とともに
遼子に示し、怯えと下腹の疼きは躰のなかで渦を巻いていた。
318名無しさん@ピンキー:2005/11/13(日) 01:52:57 ID:MaJ4/oMo
 セックスのことは遼子にはわからなかったが、だれかに向けて少女は性器を晒し、
なにかとても気持ちのいいことをけしかけられている。薄皮を剥いたように
曝け出されていた、股間にある内臓。少女の性器。
 遼子は背中を何本もの針で刺されるような感覚に襲われ、クロスハンドして
両肩を抱きながら躰を烈しくよじって呻いた。緋の疼き。闇の中の叫び。

『おかあさん、シロ来た?』
 学校から帰ってきて、すぐに遼子は文子に尋ねた。
『今日も来ていないの』
 白い体毛のノラで、瞳は宝石のような薄い空色のかわいい猫だった。隆がパンをちぎってやると、
いつのまにかなついて居座ってしまっていた。そのとき文子は隆に批判的で、
遼子のためになるからといわれ、しぶしぶ納得したのだった。

『シロ、またよその猫とケンカしているのかなあ……。出歩いたりなんかしないで、
家でじっとしてればいいのに……』
 遼子はさみしそうにつぶやいた。
『そんなことしてたら、シロもっと大きくなっちゃうわよ』
 他のノラよりも、あきらかに太ってみえた。
『そのほうが、かわいいからいいもん』
『でも、弱いのにどうしてけんかするのかな。逃げたらいいのに……』

『シロ、冒険が好きなのかもね』
『ぼうけん?シロ、ぼうけんが好きなの……?』
 ちいさな冒険でも危険はつきもので、はじめは額にけがをこさえて、治った頃に
右頬の皮を剥がされていた。遼子は避けることなくシロの頭を撫でていた。
シロのおかあさんになって、撫でていても叱っているのが文子には滑稽だった。
 おもにシロの治療をしていたのは文子で、薬局で皮膚のびらんを予防する軟膏、脱脂綿、
綿棒も購入して揃え、まめに世話をしていたが、性懲りもなくシロはけがをしてやってきた。

319名無しさん@ピンキー:2005/11/13(日) 02:48:18 ID:MaJ4/oMo
 首うしろの皮を剥がされ、まわりの白い毛には血が飛び散っていた。
いちばん酷かったのは、鳩胸の鮮血だった。そこはけがをしていないのだから、
無水エタノールで拭いてやれるが、文子はシロを見たとき、遼子から心底
遠ざけるべきだと思った。そして、選択した。
 かわいそうを連呼して、遼子は大声で泣いた。シロの首うしろのけがは
治まることなく侵食を繰り返した。

 家にじっとしていなくて、シロは出歩いて、他所でけんかをし続けていたからだ。
夜中に近所から猫のけんかする声がきこえて、遼子が泣いていたこともある。
シロの首まわりは、ついに紅色の生皮をさらし、常時、膿で絖っていた。
 エタノールでは刺戟が強すぎて、逃げこそしないもののシロは嫌がった。
それでも文子は、手をシロに爪で掻き毟られたことは一度もなかった。
『どうして、あんたはバカなの』

『シロをばかっていわないで……おかあさん』
『いつから』
『おかあさん……』
 いつしかシロの治療に夢中になっていて、遼子が帰ってきて、傍で見ていたことに
気がつかなかった。
『り、遼子……。ごめんね』
 綿の毛がついて膿は拭き取りにくかった。エタノールの使用はすぐにやめた。
刺戟の少ないマーキュロをしばらく使っていたが、それも既にやめていた。

 びらんの侵食は胸にも及び、顔側の皮膚が浮いてしまい、頬にまで達して
穴を開けてしまっていた。綿棒つけた軟膏で、浮いてできた穴にそっと入れて薬を塗布した。
 安楽死は選択せずに、最後までシロのめんどうをみようとした文子だったが、
さすがに遼子を、こんなシロには近づけたくはなかった。
 嫌がる遼子に言い聞かせ、治療するのを見せるのをやめた。けれども、遼子は
隠れながら、シロに会っていたかも知れない。
 数週間して、シロは姿を見せなくなった。
320名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 02:18:01 ID:V/pX51U5
『シロこのあいだね、家から離れたところいて、道路にじっとして座っていたの』
 うっ、ううっ……。
『遼子、それでどうしたの』
『シロってよんだら、こっちをみて、どっかに行っちゃったの』
 あ、あっ。
『きっと、さよならをいいにきて、遼子が帰ってくるのを待っていたのね』
『えっ……。待ってくれていたの』
 あっ、あ、あ。

『そうね、たぶん。それから動物はね、死ぬときが来ると、自分のからだを
人に見られないところに隠すの』
 ああ……っ。
『……どうして』
 遼子の黒い瞳がみるみる涙を張ってゆくのがわかった。
『遼子?しかたが……』
『どっ、どうして!どうしてぇ!シロを治療する手伝いを、
させてくれなかったの!おかあさんのいじわる!いじわるうッ!ばかああぁッ!』

「うああっ、ああっ」
 少女は壁に肉体を取り込まれていながらも、男の性欲の対象物と化すのを甘受し、
恍惚となっている。
 少女の開かれた性器に、シロの毛皮の剥がれた皮下組織を見た。紅色はてらてらして
絶えず噴き出る膿で絖っていた。遼子は獣の声を出しながら、床にしゃがみこんだ。
「遼子ちゃん!」
 繭になってうずくまる遼子を、奇妙な声を聞きつけ、部屋に入ってきた深静が気付いた。
近寄ってから深静は、遼子を揺すりそうになる衝動を、すんでのところで抑えた。
「どうしたの、遼子ちゃん!」
「きもちがわるいの……」
321名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 03:23:56 ID:V/pX51U5
「とりあえず外に出ましょう。立てる、遼子ちゃん?」
 遼子はかぶりをふっていた。
「動きたくないのね。ひどく気持ちが悪いの?」
「ちがうんです」
「なに?」

 遼子と応対を取りながら、救急車を呼ぶべきか、自分の車で遼子を病院まで
連れて行ってやるべきかの判断を計っていた。
「せんせい、だいじょうぶですから」
 深静は両膝を床に突きながら、スーツの上着を脱いで遼子に持たせた。
「なにをするんですか」

「いまから、病院へ行くわ。篠崎さんの家には、着いてから、わたしが連絡します」
 油絵の具の匂いにあてられただけだろうと思ったが、自己判断はよくない。
一応病院に連れていって、遼子には検査を受けてもらおうと思った。
「ちがうの」
 須田がここにいてくれれば、運転を頼んでもらって――。

「これからね、遼子ちゃんをだっこして、車までいくから。もしあげっぽくなったら、
これにしてもらってもいいから。わかった」
 後部シートで遼子を横にし、深静は遼子を膝枕して、めんどうを見ながら
病院まで搬送できたのに。苛々がつのりそうだった。
 濡れタオルをつくる時間すら、いまの深静にはもどかしかった。

「ちがうのッ!」
「おねがいだから、遼子ちゃん。わたしの言うことを聞いてちょうだい」
 ゆっくり、遼子にやさしく、根気よく深静は遼子に声をかけていた。
「なんともありませんから。もっと絵をみていたいの。せんせい、おねがいします」
「この絵を……なの?」
322名無しさん@ピンキー:2005/11/14(月) 15:55:48 ID:JojMXqQa
つ@@@@
323名無しさん@ピンキー:2005/11/15(火) 01:05:32 ID:TQvUPN0T
「……はい」
「明日でも絵は見ることはできるわ。そうでしょう?さあ、もう行きましょう」
「やっ、いやです……」
 躰を抱きかけた、深静の手を遼子は烈しく拒絶し、深静の首に腕を巻きつけるどころか、
胸に両手を突いて引き離し、ほっそりとした四肢をばたつかせて暴れた。
「いやあっ、なかったら。あした、ここにきて、もうなかったら!」

「そんなことはないから」
「いやああああっ」
 遼子の愛らしかった、こころにそっと置くような、やさしい声質は、
深静に細く鋭い刃物となって耳に届とどいてきた。
「なかったら、もう、ここになかったらッ!」
「遼子ちゃん!」

「やああっ、みたいっ!絵をみていたいの。おねがいだから。おねがい……」
 絵をみていたいと、深静にすがる遼子にくじけた。自分をすてないで、
といっているみたいで、遼子のことが憐れになった。打算も一緒に働いた。
 何者かによって全裸にされて、白い壁に立たされている少女に、
遼子は春情を突然もよおしたのではないか、と判断した。
 これで篠崎遼子を取り込み易くなる……かもしれなかった。

「じゃあ、すこしだけ。すこしだけなのよ。わかった?」
「それに、お注射もきらい。点滴も嫌なの……」
「はじめてじゃないのね」
 遼子は媚びるような瞳でコクリと頷いた。すぐあとの退行を眼にし、
深静は瞬間的に、遼子から情報を収集することをシャットダウンしてしまった。
 遼子の愛らしさも、モデルとしての利用価値をも押し退けて、チリチリッとした。

324名無しさん@ピンキー:2005/11/15(火) 01:47:58 ID:TQvUPN0T
「それで病院には行きたくなかったの?せんせい、怒るわよ」
 頷いていた遼子に深静はきっぱりと言って離れ、立ち上がって窓のほうに
行こうとした。
「ごめんなさい、せんせい」
 踵を返し、遼子の傍に腰を下した。
「ゆるしてあげる。だから、病院で診てもらいましょう。ねっ」
「はい、行きます」

「それから、この絵のことは、ヒミツ。わかった?」
「はい、わかりました」
 取り引きとして、遼子に釘を刺した。いまここで、誤解を招くようなことは
取り除いておきたかった。
 遼子は深静の動きを追うと、引かれていた灰色の厚手のカーテンに
手を掛けようとした。

「あっ、まって。まってください。そのままにしおいてください」
「暗いけれど?いいのね。わかったわ。遼子ちゃん、前にもこんなことがあったの?」
「はい、気持ち悪くなって、点滴をしてもらったんです」
「それで、なんともなかったの?」
「はい」
「それは、いつ頃のことかしら」

「シロがいなくなって……から」
「シロ……?ああ……そうなの。遼子ちゃん、ことしの冬休みにも
また来てくれるかしら?」
 ペットを亡くして喪失感に囚われてのことなのだろうと思い、
深静は話を逸らそうとした。
「……ゆき」
「遼子ちゃん?」
325名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 01:38:08 ID:InBU7pw3
「だいじょうぶなの?」
 ちゃんと家で睡眠をとっているのだろうかと不安になった。
「はっ、はい」
 たぶん精神的なものか、その日による体調不良による影響。
それらが複合しての結果なのだろう、とおよその見当はつけてはみたけれど
想像の域を出ることはなかった。

「遼子ちゃん」
「……」
 焦点の合っていない遼子を、深静は現実に連れ戻す。手近の目的を
設定してやって、活力をあたえてやることを試みる。
「いま描いている遼子ちゃんの絵、とても上手よ。須田先生、喜んでいたわ。
仕上げ、がんばってね」
 遼子は深静に言われたことに、きょとんとしていたが、すぐに元気よく
「はい」と応えた。

 デスクのアイボリー色の焼けた受話機を取って、遼子の様子を見ながら
家に掛けてみた。生徒の電話番号、取引先も含め、深静は記憶してはいたが
須田の机に眼を落とし、メモ帖を引き寄せ、ペン立てからボールペンを取った。
 応答はなかった。呼び出し音をしばらく聴いていてからあきらめて、
画廊の方に対処する連絡を入れてみることにした。

 なにがあったのか、ことをおおげさに構えてほしくない。
遼子のことを深静は慈愛しながら、モデルのことを隅にとどめていた。
くちもとには自嘲ぎみな笑みが浮んで消えた。
「もしもし、河野ですが、生徒の篠崎遼子さんのことで家に……。ええ、はい。
はい。それで、こちらから……」
 深静は画廊から車を篠崎遼子の家にやり、文子を拾わせようとした。
326名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 02:12:34 ID:InBU7pw3
 メモ帖には須田の筆跡で、遼子の名前と電話番号が書かれていた。
 遼子は正座をくずし、ちっちゃな尻をぺたんと床に落とし、大きなキャンバスの
少女を眺めることに没頭している。
 深静は紙を捲ってページに変える。画廊と話しを詰めはじめると、ある程度の時間的な
余裕はできるだろうと思っていた。

 考えることは一旦はモデルの件を下げて、療養的なものにして篠崎家に薦めること。
現段階では白紙にすることだけを伝え、先方が反応をみせれば、今度は逃がさずに
捕まえてしまえばいい。
 なにか見落としはしていないか、先々ばかりを見ていることを気にしはじめ、
心を落ち着かせようと筆記具を走らせ、意味の無い図形を書き始めた。
須田の筆圧の透かしが、深静によってつぶされる。

 思いついたのは、即日入院ということにでもなりはしないか。だとしたら、
こちらからバックアップできる品物はなんだろう。それから、それから……
白地に描かれた細かったラインは、幾重にも重なり、もつれあい、
……まがまがしいまでにこゆくなっていった。

 喜悦に近づこうとする少女は、皺もない無毛の秘所を拡げ、対象者に向かい、
複雑な構造と妖しい内臓の色とをさらしていた。
 おののきながらも、遼子は少女の居る絵に入りたくなって、絖っている女性器に
手をもっていこうとした。

『パパ、さわりたいの』
『ん、なにをだ、遼子?』
 言ってしまってから隆は困っていた。少しでも心を開いたことで、
ことは前に進み出してしまう。そこが遼子への隆の甘さでもある。
『おちんちん』
『さわりたいのか?』
 言葉を交わすことは、もう受け入れてしまったことへの同意でしかなかった。
327名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 02:57:12 ID:InBU7pw3
『うん』
『ダメだぁ』
 おどけながら、遼子へのやさしさをこめて隆は発話していた。
すでに取り込まれている証しだな、と苦笑していた。
『どうしてぇ』
『ママに怒られるからかな』
『おかあさんが……怒るの?』

『そうだよ』
『いわない。だから、さわらして。おかあさんには、ぜったいないしょにするから』
『んん……どうしようかぁ』
 両腕を組んで思案ぶっていふりをした。
『ほら、ちゃんと浸かってなきゃ』
『パパに遼子のをみせてあげるから』

『こらっ、やめなさい遼子』
 遼子は湯舟から立ち上がって、躰を反らして下腹を突き出すと、
隆に無毛の縦溝をみせつけた。
『仕方ないなあ』
 あきらめた隆は、遼子の誘惑につきあうことにした。
『好き嫌いしないで、いっぱいたべないけないな』
『たべているもん』
 ぽてっとした遼子のお腹を隆はぴたぴたと濡れた手で触る。文子のなかに
遼子がいたときのように。

『ほんとか。ピーマンは?』
『……にがい』
『サラダは?』
『千切りした、にんじんがいやなの』
『お皿でわけたりしたら、ダメじゃないか』
『これからはたべる。ちゃんとたべるから。だから、おねがい、パパ』
328名無しさん@ピンキー:2005/11/16(水) 21:04:51 ID:InBU7pw3
『どうして遼子は、おかあさんのことをママっていってあげないんだ』
 優越感に浸れてはいても、文子には正直すまないとも思っていた。
『どうしてって……』
文子は、遼子の馴染んでしまった癖には言い易さもあるだろう、
と楽観的にみていた。気にしてどうこうするより、むしろ余裕で
たのしんでいたことを隆はしらなかった。

ただ、風向きは変わりはじめていた。たとえば娘の反抗期、もしくは好きな男の
身近にいた女への対抗意識、近親憎悪……だけは除外して。
『……わからない』
 ひとつひとつの微妙なずれの重なりに、文子は迷路に入り込みそうになっていた。
それなりに、心を砕きつつ接していたつもりだったのに。

『そっかぁ。それじゃあ、しかたないかな』
 隆は湯舟の中で両太腿を拡げていた。
『ダメなの……』
 下を見ながら残念がる、遼子の顔を見て可笑しくなった。湯舟の中の
隆の腰にタオルは掛ってはいなかった。


「じゃあ、遼子といっしょに入る時は、俺どうすればいいんだ。手で前を隠すのか」
「なんで隠しちゃうの。隆はいっしょに入っちゃえば勃起しちゃうの?
へんたいなんだね」
「ばっ、ばか。いきなり飛躍するなよ。それにそういうことをいってるんじゃない」
 怒り出した隆に文子は両脇をしめ、ボクシングのポーズで身構え、すぐにほどいて
掌を見せた。
「そんなことぐらい、わかっていますよーだ」
「おい」
「ほんとに、お風呂にタオルを入れちゃうのだけはやめてよね」
329名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 01:45:33 ID:fs0BOPgK
「だけって……。文子といっしょに入っても勃起はしないだろ」
「蹴飛ばそうか」
「しようと思えばなるぞ。安心しろよ」
「ばかッ」
 文子のこぶしをかわして風呂に逃げ込むと、浴槽の縁を両手で掴んでいる
たのしそうな遼子の笑顔があった。

「遼子、待ってたか」
「ねえ、パパ、ボッキってななんなの」
「ん、勃起か」
 遼子は縁から離れて隆の浴槽を跨ぐのを見ながら大きな躰を迎え入れて、
勢いよく湯が流れ出る。

「ちゃんと、水足ししてから上がってきてよね」
 文子が硝子越しに注文をつけ、湯舟に浸かっている二人の声が「はあい」、
とはもった。もちろん先に上がってくるのは遼子で、脱衣場で待っていた文子が
躰を拭いてやるのだった。

『じゃあさ、おかあさんのことをママって言うなら、遼子におちんちんを
さわらしてあげてもいいかな』
 タオルの細かな毛屑で湯舟がよごれるから、と中に入れることを文子から
隆は止められていた。
『ほんとなの』
『そのかわり、ママって言ってあげないとダメだからな』
『うん』
『うん、じゃなくて?』
330名無しさん@ピンキー:2005/11/17(木) 02:08:00 ID:fs0BOPgK
『はい』
 ハの中にかすかにアが混じった発話に、隆の顔は思わずほころぶ。
いつまでこんなことをいっしょになって、娘としていられるのかと思いながら。
 遼子はそのぐらいの使い分けはできて――。
『でもなぁ。どうしようかな』
『やくそくうっ!』
 勘が働いて、すこしの媚態をないまぜにする。

『さわるだけだからな。へんなことはするな』
『はい』
『それから、このことはママにはないしょなんだからな』
 隆は湯舟から上がらないでいた。このまま降りておいで、というサインだと
遼子はわかった。異形のものを眼にして、いよいよという緊張ととまどい。
『ほら、きてごらん』

『うん』
 遼子は湯舟にふたたび腰を落とし、頤を湯舟にちゃぷっと浸ける。
 いつもは隆の眼の前で、おふろという語感に歓びながら、水面に掌をスレスレに
浮かせてから、ぴたぴたと音を立てて遼子は遊ぶのだった。
 いまは昂ぶりと唇に近づきそうな水面に、小鼻から吹く息は強くなって
紋を描いている。

 遼子は両脚を折って、膝を抱くような格好で隆のものにふれようとした。
肉棒に対しての自分の小さな手に気が退けてしまって、隆の太腿の内側に
ぴたっとふれていた。
『そこ、おちんちんじゃないぞ』
 肉を揉むように、少し手を動かしてみた。いくら娘の遼子とはいっても、
隆の目の前で愛らしい華奢な躰をさらに小さくして、腕を動かすたびに、
骨の見える背から出る、娘の天使のなごり(肩胛骨)を見ていたら……。
331名無しさん@ピンキー:2005/11/18(金) 00:35:14 ID:IgjzzWgc
『うん、まってて』
『ちょ、ちょっとまて』
 スポイトで吸ったインクを、湯舟の中に一滴垂らしたとしたところで
澱みは生まれなかった。娘との戯れに露骨な春情などありえないが、
隆はへんな気持ちにはなった。

『なに、パパ』
 上気した顔に薄っすらと掻いた汗。
『なんでもない』
『へんなの』
『……』
 愛らしい顔に、ほつれ毛が貼りついていた。

『すぐだからね』
 ママゴトに付き合っているみたいなのに、いけない戯れのふたり。
『ああ、わかった』
 頬擦りされれば、じょりじょりとなって痛いのに、と遼子は思う。
実感する、やわらかい文子のような肉の手触り。ごつごつとしていて、
まろみの少ない男の躰。
 脛毛を生やした、脚の見た目に対して、内腿のやわらかさが
遼子には新鮮だった。

 遼子は隆と手を握ったときの、やわらかで温かな感触を思い出す。
湯の中でもこうなのだから、上がってみた太腿の感触は、
今と違わないものなのだろうかと思う。
 肉棒への質感をおいて、好奇心が湧いた。湯のゆらぎに、遼子は眼を
しばたかせた。怖くて攻撃的なスタイルをとっているのに、
錆朱色の尖端のやさしさは湯のブラインド。隆の肉棒は動いていた。
『遼子……』
332名無しさん@ピンキー:2005/11/18(金) 01:08:20 ID:IgjzzWgc
 不思議なおとこのかたち。文子とおなじような黒々とした下腹にある、
藻から生えた異形のペニス。
 肉棒に血汐が勢いよく流れ張りが出てしまって、遼子がそれを湯舟の外で
見ていたなら。亀頭の色に、肉茎にくっきりと浮き彫りにされる、
のたうつ生き物のような血管に、こうもいかなかった。

 隆の下腹も、肉棒の下にある、やわらかそうな皺袋も、遼子はじっくりと
さわってみたかった。隆との約束を破って、無造作に肉茎を握りたい
衝動に遼子は駆られていた。
『遼子、もうよそう』
 遼子への懇願は無邪気なことばに遮られ。
『いますぐにする。いくから』
 遼子のおんなとしての波長の伝播に、隆の男は跳ねてしまいそうだった。
 でも、約束は約束だから。

 掴んだ隆の太腿の肉をまた、くにっとさせてから、遼子はこころの中の
強力な因子に向かう。
 まったくないといっていい自分の股間は、かなり物足りないものではあるけれど、
それが遼子には愛着を覚えるものだった。ペニスにさわりたい、
と隆に言ったのも、憧憬というよりは自己確認の作業のひとつでしかなかった。

 しかし遼子の交媾のはじまりは、遠きものではなく、すぐ傍までやって来ていた。
『どうだ?』
 みじかな指が隆の肉茎に絡まって、感想をおそるおそる訊いてみた。
『うん……』
 文子とくらべ、膨らんだ柔らかな乳房は遼子に無いけれど、
遼子にもある僅かな下腹のふくらみに、消せない刻印のようにある陰裂。
遼子は自分の下腹を、とても洗練されたかたちと確信する。
333名無しさん@ピンキー:2005/11/18(金) 01:21:15 ID:IgjzzWgc
『どうした』
『かたい。かたいけど、ぐにぐにしている』
 そして、隆とくらべて。遼子は人差し指と親指に、すこしだけ圧を入れて、
二回だけ動かしてみた。
 なにかわからない、もやもやっとした感情が、底から込み上げてきた。
『軟骨っていうんだ』
『なんこつ』
『ほら、ここみたいに』

『あん』
 隆は血汐の流れの気を逸らそうとして、小鼻を摘んでみせた。
遼子は顔を振って、湯舟はざわめいた。
『もう、いいだろ』
『噛んでみたい』
 無駄のないかたちと密かに思いながらも……、隆の下腹に、文子との
いかがわしき美を見出して、遼子は夢想する。

『そんなこというなら、もうおしまいだ』
 遼子の少女の両肩が喘ぎ始めようとしていた。
 ペニスをさわっていた遼子の手首を、隆はむずんと掴んで、
湯からむりやりに引き上げた。
『いやあぁ、まだダメぇ』

『もう、ダメ。それに、噛んだりしたら、おしっこがぴゅーって
出るかもしれないぞ』
『ええ、そんなの、やだぁ』
 かわいい声で遼子は笑い、隆もつられて声が重なり大きくなった。
『いつまで入っているの』
 文子の声がきこえて、肉欲らしきものは霧散していった。
334名無しさん@ピンキー:2005/11/19(土) 01:05:43 ID:p67c1Im1
「それから、こちらのほうにも一人よこしてください。はい。はい。
入れ違いになると困りますから、こちらでも待機をよこしてください。
ええ。はい。おねがいします」
 深静は受話器を置こうとしてから、いまいちど遼子の家にかけてみようと思った。
 絵にふれようとしていた遼子は、我に返り、手を下ろした。
「せんせい……。深静せんせい」

 カーテンの引かれた陽のあたる部屋は、暖気がこもっていくらか熱く、
頬は火照ってくるようだった。
 呼ばれて、深静は遼子の少女の顔を見た。薄暗がりでは遼子の上気している
貌は見にくい。それでもなぜだか、大作のキャンバスの前に座って、
闇の入り口の前にいた茉織(まおり)をみて、深静はひさしぶりに
春情をもよおしていた。

 このまま、遼子を床に寝そべらせ、喘ぐ遼子の肩と胸を見ながらスカートの裾をめくり、
差し込む光りは太腿のうぶ毛を金色にかざり、深静はガールショーツを
静かにおろして波打つ下腹を眺める――。
「なに、遼子ちゃん」
 遼子も立っている深静をまっすぐに見ていた。
「さわってみたいの。須田せんせいの絵にさわってみたい。おねがいします」
 冒険には危険がつきもの。そっと押しやるだけでよかった。

「だったら、本があるわよ」
「ご本ですか?」
「ええ、そうよ。須田先生の作品目録、みたい?」
 深静は躰を捻り、デスクの本立てに手を伸ばそうとした。
「いいえ」
「あら、どうして」
「遼子にさわらして。だめですか」
335名無しさん@ピンキー:2005/11/19(土) 01:23:17 ID:p67c1Im1
「――いいわよ。遼子ちゃんなら、さわってくれても」
 絵の中の少女が遼子に『いいよ』、とゆるしてくれたようにきこえた。
「ありがとう、深静せんせい」
 深静に起こされ、遼子ははだかの少女に接近した。
「息が聞こえてきそう」
「すてきでしょ」

 さわりたい場所はもっと他にあって、遼子が触れたのは少女の内太腿。
おしっこをお漏らししたみたいに、緋のところからは少女の体液が吐き出され、
陽に照らされ煌いていた。遼子は透明感の表現にも引き込まれた。
「はい」
 顫える人差し指でそこをなぞってみた。絵の具が盛ってある秘所は少し立体的に見えて、
遼子の傍で少女は内臓の色をさらす。

「さっきもいったけれど、このことはひみつ。わかったわね」
 遼子の両肩に顫えを感じた、深静の赫い唇の口元には笑みが浮んでいた。
「はい」
「快楽は罪なの。遼子ちゃんなら、わかるわよね」
「ごめんなさい」
 遼子は少女の性器にふれないまま、手を下ろした。快楽のことばを知らなくとも、
深静の印象は遼子の躰を突き抜けた。

 冬の寒空の下、遼子は男とモデルとしての関係を結んだ。
「いいのよ、遼子ちゃん。もう出ましょう」
「はい」
 廃線になっていた木造の駅に、男とふたりで行って、到着してから、
遼子はクルマのなかで自分から裸になった。
「ごめんなさい」
「もう、いいから。さあ、いらっしゃい」
336名無しさん@ピンキー:2005/11/19(土) 01:42:15 ID:p67c1Im1
 窓から見える降る雪に、少女の淡いと、なま皮をさらしていたシロの姿が
脳裏をよぎっていた。
 遼子は男にやさしくだきよせられ忘れる。びくっとしたあとに、躰が熱くなって、
気がつけば胸には、銅アンティークのハート型ロケットが胸に鈍く耀いていた。
 車の暖気に守られはしていたが、少女の凍えた白い素肌に金属は異質であり、
遼子にわかりやすい肉情を示す物だった。
 ロケットをかけられて、男を見たとき、遼子はシロのことを打ち消し、
かわりに遼子が手にしたもの。奈緒子の姉である長身の少女、茉織と須田の関係。
館で絵を介して知り合いになった、菜緒子と悠美に教わったのは、
セックスが心をつなぐ、肉体を使った……甘い儀式だと知ったこと。


 深静が病院の車寄せで待っていて、文子を出迎えた。不安になっている文子に
長身で肩幅も広く、それとなくフェミニンを振り撒く、深静は頼もしく思えた。
 普段のやわらかな声質とは違って、張りのある声でテキパキと説明され、
個室に案内される頃には遼子の状況は把握できていた。
 一時間ほど寝ていたら、遼子は家に帰られると聞かされ安堵しのだった。

 病室のドアの前に立つ。深静がノックをしてドアを開けようとしたとき、
文子の足は竦みかけていた。深静も文子の様子に気付いた。
「篠崎さん」
「はい」
「もう、だいじょうぶですから」
「ありがとうございます」
 文子の父親が入院した日のことを思い出すのだった。文子が入っていくと、
遼子はベッドで起きていた。
 付き添いの画廊の職員が立ち上がって、文子を招き入れる。
337名無しさん@ピンキー:2005/11/19(土) 17:41:39 ID:p67c1Im1
「ママ」
遼子は握り拳を毛布の上に載せながら顔を向け、小さな顔が大きくなった。
ベッドに近づいていくと、深静と画廊職員は個室からそっと出て行った。
 深静の説明では、医者は精神的なものといっていましたが、
油絵の具の所為ではないかとも疑われますから、遼子ちゃんの絵画教室は
しばらくお休みになられてはいかがでしょう、と言われ――。
遼子は教室に行くのをたのしみにしていますし、前にも同じ様なことがあって、
こころあたりがありますから、とことわり、今日の対応の礼をいって文子はこたえた。

「ママ……」
「遼子、どこも痛くないの?こわくない?」
「うん、だいじょうぶ。針を刺す時は、ちょっぴり痛かったけど」
「そう。よかったわ」
 点滴を見て笑う遼子に、文子の目尻にはうっすらと涙が滲んだ。
「ママ、ごめんなさい」

 椅子に腰掛け、遼子の顔に近づく。血色はすでに戻っている。やつれもなく、
いつもの遼子だった。
「遼子が、どうしてあやまるの?」
 文子は寝ている遼子の髪をていねいに指で摘んで直してやった。
「だって、ママを心配させたから……。それから」

 ママとよばれていたことに気づいて、文子はすこし驚いていた。
「おかあさんも、遼子にごめんなさい。遼子の気持ちを考えてやれなくて」
 文子に顔をふれられ、遼子は深静とのひみつに、鼓動が速まっていた。
シロの肌と少女の淡い。赫いものの侵食が始まろうとしたら、
遼子は文子に額を撫でられた。ひんやりとした感じがここちいい。
「すこし眠りなさい」
「はい。おやすみなさい」
338名無しさん@ピンキー:2005/11/19(土) 18:11:39 ID:p67c1Im1
 遼子の拳から力はすっと抜けていった。

 クリーニング工場の男とのやりとりで、文子は両耳を瞬間的に熱くして赧らめた。
『おかあさんとどこに行くの?』
 二車線跨いだ、向こう側のスーパーを遼子は指した。
『お買い物なの』
『きおつけてな』
『はあい』
 遼子が元気に声を出す。リネンを入れた白い布袋を担いだ男に、
文子は軽く会釈をしてから、遼子とともにその場を離れた。

 路肩を進んで横断歩道のある十字路まで行くのではなく、自転車を押しながら
手前にある陸橋を使う。横断歩道は交通量も多く、それでも遼子が高学年に近づけば
なんてことはないのだろう、と文子は遼子の背中を見た。
 上るときは遼子を先に。上で文子は遼子の自転車を追い越し、先に下りようとした。
『わたしに先に行かせて』
『だいじょうぶなの』

『ぜったいに、だいじょうぶ』
 まかせて遼子を先に行かせ、文子は声をかけた。
『きをつけてね』
『さっきも、おじさんにいわれた』
『そうだったね。こっち向いて、笑わなくてもいいからねぇ』

『そんなことしない』
 じっとしていれば遼子は日本人形みたいにきれいなのに、ちゃかちゃか動くと
いたずらな妖精にすぐなる。
『遼子、怒っちゃったの?ぶっきらぼうなんだ』
『ぶっきらぼう……?』
339名無しさん@ピンキー:2005/11/19(土) 21:42:48 ID:p67c1Im1
『こっち向いたりしないの』
『だってぇ、おかあさんがいったんでしょう!』
 遼子に文子への怒気は感じられない。
『ねぇ、遼子』
『もう、向いたりしない』
『今年も須田さんのところに行きたい?』
『えっ。うん、いきたいよ』
 階段を降りて、遼子の弾んだ声が文子の耳に響いて渡されていた。

「うまくいえないけれど……」
文子は隆に遼子の絵のことの不安をもらしたら、
「あたりまえだろう。だって須田さんにちゃんと習っているんだからさ」、
と一笑にされた。
床に座って絵をみている文子の背を跨いで、隆が後ろのソファに腰掛けた。

「あん、よしてったら」
「どうして」
 隆の手が文子の両肩にふれる。文子は夫の隆に安心感を求めていた。
「どうしてって、遼子がやってきたらどうするの」
「あれ、なんか期待してる?」
「……」

「どうした」
「だから、こどもらしくないの……」
「それは、もうきいたよ」
 ヌードモデルは遼子にさせはしないだろう、と文子のなかで折り合いはついた。
たとえそうなったとしても、須田はモデルを性欲の対象になどならないと文子の前で
明言をした。信頼はできるのだ。問題は自身のこころだったと思った。
「じぶんに言いたいこと。もう、はっきりしているじゃないのか?」
340名無しさん@ピンキー:2005/11/19(土) 21:49:43 ID:p67c1Im1
「じぶんに?」
「そう」
「うん……。かもしれない」
 近づいた隆の息が文子の頬にかかる。
「さみしいんだな、きっと」
「なにいってるのよ」
 なんにせよ向上したことはいいことなのだ。決して悪ではない。
「俺がいるじゃないか」
「ばか」
「ふううん」
 隆はにやにやする。

『せんせいのこと好き』と訊いた時の遼子の返事にひっかかっていたのかもしれない、
と文子は自分を納得させる……ことにする。そう、娘は恋しているのだ。
「そうよ。急に大人になっちゃうんだもん。さみしいわよ。おかあさんと
行ってもいってもいいけど、ひとりでもいいだって。いきなりななんだから」
「大人になろうとしているんだよ」

「ちがうっ。遼子は背伸びしているだけなの」
 ソファに座っている隆の両脚の淡いに、じゃれ猫みたいにして、
背中から文子は躰を捻じ込んだ。
「そりゃ、そうだろうけどさ」
『あなたの影を追って、遼子はいつかちがう男のところにいってしまうのに』
と文子は隆にいじわるしてやりたくなった。
「で、どうするんだ」
「うん」
341名無しさん@ピンキー:2005/11/20(日) 02:20:29 ID:oJVK32rD
 悪ではないけれど、そつが無さ過ぎることが不安だった。隆に言えば、
きっと贅沢な悩みなのだと言うに決まっていた。
「はっきりしないなぁ。もう答えは出ているんだったら、それでいいじゃないか」
「じゃあ、なぐさめて」
 遼子のかつての絵からは、たのしい音楽が奏でられて踊っていた。文子は
そう思っていた。降りてきていた隆の頭の髪をくしゃっと掻きまわした。

「はい、お嬢さま」
「もう。そんなこというなら」
「なんだよ」
 隆は少し力を入れて、動いた文子を羽交い締めにし引き戻した。
「あ、あん」
 指頭が遼子の脾腹を圧す。両脇に舐めるようにすっと上がって、乳房に
戻ってきた。

「ほら、どうしてほしい」
「どうって」  「いってごらんよ」
 隆の手はせり上がって、文子の乳房を押し上げる。
「なぐさめて。パパがなぐさめて」
「そりゃないだろ。これからってときに」
 最初の遼子の絵は色を知っていた。子供らしい色を。……いろ。

「わたしだけおかあさんなんだもん。たまにはママっていってほしい」
「遼子、いってただろ」
「ちょっとのあいだだけ」
「じゃあ、ママのここをさ」
 ブラウスの上から文子の乳首のしこりを摘んでくりくりと捻った。耳朶を甘噛みされ。
「あっ、ばか……」
「でもさ、さっきの言い方だと、父と娘にもなるよな」
 熱いブレスが文子をくすぐって、甘い痺れが背を伝って這い上がった。
「なにを、んっ……んあっ、あ、あっ」
342名無しさん@ピンキー:2005/11/20(日) 02:28:13 ID:oJVK32rD
 あぶない夜に滑り落ちる。ただ加速すればいいだけじゃないと、
館の男に少女の遼子は教えてもらった。
「パパって、もういちどいいなよ」
「ああっ、あっ、りょ、遼子が来たら……」
 ミニマルミュージックのように、セックスの物悲しい単調な旋律は、せつない
破壊の連続性で文子に忍びよる。
「ま×こにチンポをいれるだけじゃないよ」

「い、いいから。もう……」
 隆と文子の指がもつれ、春情をねっとりと交わす。どちらからというより、
求め奪い合うようにして。
「セックスは」
「どっ、どうでもいいから。して……して」
 隆の腕が文子の頭を掻き抱いて髪がみだらになった。
なによりも、文子は須田の淡いタッチに惹かれていた。文子も遼子とおなじように、
隆との絵を脳裏に描きはじめ、やがてモノトーンになって溺れていった。

 海に面した断崖絶壁に立って、どこまでも青い天上を仰ぐおののきとせつなさ。
真(シン)の顔が快美感に歪みそうになるのを、交媾にみだれた遼子は赫い唇を
上気した息子の頬に擦りながら、認めて律動を緩めていった。
 ダイニングに真の生臭い喘ぎが強まって、スピードをはずした遼子を責めた。
真は催促して、遼子のうしろの窄まりに納まった指の抽送のピッチを
上げて嬲り出す。

 はじまりの季節には、真の裸身を長時間に渡って遼子は弄ってやり、
頂点に届きそうになるくらいで逸らしては果てることを伸ばし、さらなる高みを
めざした。
 単純な射精ではなく、最初から絶頂を分かち合うことを真に教え込もうとした遼子。
須田という男が、稚い遼子の躰と心に処置した調教と似ていた。
343名無しさん@ピンキー:2005/11/21(月) 21:41:38 ID:dkf2nZCC
 求めたのは雪白のうつくしさ。夢を追いかけても、凍えは遼子の素肌に
降りた素足へと確実に刺さってくる。遼子は躰だけを一方的に使われる。
『そんなことしたら、うんちがでちゃうううっ!』
 遼子の左太腿に勃起した絖る尖端がぶつかる。お尻を振りたいのに怖くてできない。
『うんちなんかが出てもかまわない。ここには、ビニルシートを敷いているだろう』
『あっ、や、やっ、あっ、ああああああぁぁぁ―――ッ!』

『練習しなければ、ガーデンルームには連れてはいかない!』
 須田の脅しだった。遼子がたとえ拒んでしまっても、華奢な怯える躰を強引に
抱きよせてしまい、仲間はずれなどにはしない。遼子と須田は絵で繋がっていた。
『する、するっ!するからああぁぁぁっ!だからぁ、遼子をおいてかないでぇ!』
 館と庭とを繋いだ、硝子張りの温室のような外観の空間。陽が降り注ぐ場所には、
菜緒子と悠美もやってくる。

 鳥かごのようなところで、陽を浴びて男に抱かれ貫かれることに、
遼子は少女的幻想を描き始めていたから、薬の効果は絶大だった。
 遼子の菊座が拡げられる。上体をベッドに載せて男に臀を向けている遼子には
どうすることもできなかった。繭になって耐えて背を丸めることも。遼子の頭上にあって、
シーツを握っていた両手は胸元へと引き戻される。
『いきむからあああぁぁぁっ!だから、だからッ!遼子をおいてなんか!
ここにひとりにして、いったりしないでぇぇぇっ!』
『いい娘だ。それでいい』

 置いていかれるのは、やるせない。いっしょになれないのなら先にひとりで
逝ってしまってもいいのかもしれない。
「遼子と真林なら大丈夫だから」
 真林を招き入れた真の囁きに躰は浮遊していても、内太腿が痙攣してしまう。
遼子はとまどいを振り払って、快楽だけに没頭し駆けた。すると真の指が
臀で不穏な動きを感じさせ、遼子の窄まりは蠢き捲れ返りそうになった。
344名無しさん@ピンキー:2005/11/21(月) 21:48:01 ID:dkf2nZCC
 教え込まれた男の低く囁くやさしい声が遼子の心の底から響いて来る。
真の肩を掴んでいた右手を離し、目の前で手をぶれさせた。
 人差し指から薬指を曲げ小指だけを外し、赫を咲かせ口に咥えた。お臀の穴に
挿入されていた真の小指は引揚げられ、遼子の背筋に顫えが走って、盆の窪まで
昇ってきて舐めた。

「んっ、んんっ」
 記憶を手繰り寄せて退行するかのように、稚くも淫靡な貌になって、
遼子は唇と頤を濡らして、喉にも唾液を滴らせた。溜まった唾液を嚥下する音と
肉情に耽溺する呻きが洩れて、小鼻がひくついている。
「またうなされている」
 遼子はかかった髪を掻き上げもせずに、噴出した細かな珠の汗でへばりつく、
命を宿した水底でたゆたうような淫ら髪から、恍惚と苦悶に蕩ける凄艶な美貌を覗かせ、
ようやく含んだ指を唇から抜いて真の頬に指頭を埋め込んだ。

「いったわね」
 真の両耳を中指と薬指で挟んで捏ねてみせた。遼子は息を整えながら
腰に捻りを咥えて真を責め続けた。
「いったよ」
 頭を右に傾げて、眼を細めながら鼻孔を膨らませ、髪を右肩に流して真を見る。
真は果てない。どうしてと疑問に思うより、素直に男のたくましさに遼子は歓喜する。
育てたという達成感をつれて。
「ええ、うなされていたわ」
 乳房を真の胸板で拉げさせた。
「そうなんだ」
「数日前から。傷つけたいの」

345名無しさん@ピンキー:2005/11/21(月) 21:53:27 ID:dkf2nZCC
「うん」
「ばか」
「怒ったの」
 鏡の前に立って、おとこの匂いになつかしさを感じ、クロスハンドで我が身を
抱きしめておぼろに漂う。内に閉じた淫らの世界に見た、幽玄と退廃。

 きめ細かな肌のうるおいとしなやかな指の骨の動き。肉体も、髪を掻き揚げ、
おんなの背に描いた軸骨と天使の翼のなごりを問うてみたい。両手を動かして
髪を払ってから、遼子は手の甲をかざして眺めてみる。
 甲には数個の小さなほくろが目立つのも、真の言ってくれた、素肌の白雪を
飾るためとしても、にわかに信じがたく、新しいほくろをみつけては、
衰えを食い止められない淋しさにいらついていることを知る。
 真が真林に近づいたから、自分の存在を危ぶんだ因果、
と狂った時を分析してもみたり。

 しなやかさがちがっていた。
 真林には無いものだから。
 そのことをよく理解していたのは真のほうだったが、真はしっとりとした潤いに満ちた
遼子の手に憑かれていることをたいして口にはしていなかった。ナンセンスと
判断していた。ひとつひとつが遼子の不安を除去する術であることを、知らずの内に
粗略に考えていた。

遼子が悩みをかかえていることは、真も薄々気が付いていて腐心はしていた。
真林を開かせることに傾倒して、遼子をぞんざいにしていたのだと定義して
真は心で反芻した。
 ベッドでうつ伏せになった真林を開脚させてみても、遼子のお臀との差異があるが、
どちらが好きというのではない。どっちも真は好きなのだ。
346名無しさん@ピンキー:2005/11/21(月) 22:04:49 ID:dkf2nZCC
 遼子の成熟した臀部を知っているからこそ、真林のちっこいお臀にも惹かれ、
世代の違う女の間で夢をみてペニスで遼子を突けば、真は背中を爪で掻き毟られ、
急いて歓喜の証しを早々に遼子の練れた肉襞に呑まれながら膣内へと放出をゆるした。
 真はそれでおしまいではなかった。
 遼子は真を舐めさせて、
とおねだりしては、そのまま交渉可能な肉棒を遼子の鴇色に上気した裸身に擦りながら
移動して赫い唇に捻じ込んだ。

 稚い真林とは違う、整った顔を股間に組み敷いて、いつしか遼子の喘ぐ顔を叩くように犯し、
快楽に惑溺する怒りの化身になった。腕立て伏せのような体位で下腹だけを遼子の顔に乗せ、
律動するだけのマシンとなった真は新たにしぶく。
 遼子も心得ていた。苦悶は絶頂感の訪れに等しい。どうにも我慢できないときは、
真を含んだまま潰された鼻を僅かに圧される下腹からずらし、少しの空気を
肺に送りさえすればいい。少ない空気にめまいがしても。

 両腕で頭上にいる真の両太腿を内側から逆手に遼子は捲きつかせ、打ち付けられる
真の臀を離さない。遼子に拘束され、ストロークの幅が狭まった真はあせり。怒れる滾りで
口腔を蹂躙される快美感に呑まれつつ、ヴァギナの寂寥に心をしめつけられながらも、
また跳んでしまうのだった。
 そのあとで真に甲斐甲斐しく介抱されることを知っている。

 寝ている遼子の手首を掴んで、甲に白濁をしぶかれ、粘度の高い夥しい白濁が
つるんとした手の甲を穢して、敷布にもぼとっと落ちた。遼子の頬にまでも一部の飛沫は
届いていた。真は果ててしまっても残りを絞り出すように扱いていたら、どくんどくんと
股間に蘇りの血汐は流れ、遼子は雄の匂いに薄目を開けていた。
『し……ん』
『起こしたね。ごめん』
『……』
347名無しさん@ピンキー:2005/11/21(月) 22:07:55 ID:dkf2nZCC
 寝ていて何度か真に揺り起こされていた。ようやく瞼をひらくと、間接照明の
橙色に浮ぶ、真の無邪気な顔が間近にある。
『それから?』
『えっ』
 遼子の瞳にうっすらと涙が張っててしまっている。薄暗がりでは気付かれることは
ないかもしれない、と心でぐちる。わたしの膣内にはくれないのね。

 あなたの所為なのに。膣ではなく、手の甲を選んだことが気になった。
みつめている真に『なんでもないわ』、
とぷいっと横を向いて真から顔を逸らした。
『遼子のこの手が好きだよ。パンを切っている所を見るのが好きなんだ』
 真の手が残滓のかかった上に重ねられる、感情はぎりぎりりまで追いつめられて
妬心に焙られてしまいそうだ。

『舐めてあげるね。どこがいい。顔。それとも精液をかけた手の甲』
『だったら、ま×こを舐めて。真のものは舐めるから』
『うん、わかった』
『その前に、して』
 真の言葉を遮って、早口になったことに遼子は頬を染めていた。
 逆に枷が外れ、子供みたいにおねだりをして唇を窄める。

 真は遼子の躰を跨いでペニスを乳房に載せて背を屈め繭になり、遼子の桜色にけぶった
火照る頬を両手で包み込んだ。
『あっ』
『心配しなくていいから。ボクに任せていて』
 奥に届かなかった真の精液がペニスといっしょに遼子の胸に擦られる。
『だから口付けして』、
と真にせがんで縋る。
348名無しさん@ピンキー:2005/11/21(月) 22:14:16 ID:dkf2nZCC
 拗ねていたのを曖昧あいまいに、馬鹿になりきってみだらに堕ちた。遼子の顔の上で
真の片脚は跳ね上がり、しゃぶりつきたいエレクトしたペニスが揺れて。
 そのまま降りて来て、と遼子は両肩を浮かせたが、真は横臥してしまってから、
遼子のお臀をむずんと掴んだ。不意の力に遼子の下腹は波打った。肉情に支配された
真の肉栓で口腔を塞がれることに遼子は鼓動を速めた。
 その前に火照りの因子でもある、手にかかった精液を愛しみながら、啜るように
きれいに舐め取って。

 苦悶し涙を噴くことも遼子を狂わせはしたが、穏やかに真の太腿を枕にして、
ペニスをしゃぶることに没頭することも素直にうれしかった。遼子は片脚を折って
真の顔をしとどに濡れそぼる股間に誘った。互いの太腿を枕にして、性器をしゃぶりあう
ゲームに身も心も惚ける。
 いつもは清楚な遼子の唇は、牝になりきって、特に腫れぼったくなって好きモノに染まる。
吐息は熱く快楽に酔う様は唇を性器に見立て、上唇がめくれあがっている。
『気持ちよくさせて』
 頬擦りして遼子は口を大きく開けて真の逸物を呑んだ。

「あたりまえよ」
「これからも」
「そんなこと言うと、ほんきでオチンチンを痛くしてあげるんだから」
 椅子の背もたれを強固に掴んで、両腕で真を囲む。
「なにするの」
「わかっているくせに」
「おま×こ擦り切れるくらい。そんなことしたら遼子のほうが負けて、
お漏らしするんじゃないのかな」

349名無しさん@ピンキー:2005/11/21(月) 22:15:58 ID:dkf2nZCC
 真の怒張が膣内に居つづければそうなるのかもしれない、
という不安は確かにあった。
 エキサイトして恥骨を真に烈しくぶつけていれば、真にスポットを突き上げられたなら
その前に尿の溜まった膀胱が攪拌されてどうなるのかなどわからない。
「そうなっちゃう・・・かもしれない」
「して、びしゃびしゃって」
「だっ、ダメよ。やっぱりダメ」
 遼子は早口になって、捲くし立てた。

「遼子、出して。だしてったら」
「バカ言わないで」
「どうしてバカなんだよ」
 拭いてどうこうの納まりでは済まない。
「こんなとこでしてしまったら、臭くなっちゃうのよ」
 いくらフローリングとはいえ、尿が滲みこんでしまったなら、もう取り返しはつかない。
とりかえし……。遼子の瞳は迷子のように彷徨いそうになっていた。

「どうしたの」
「ううん、ななんでもないわ」
「ぼくも手伝うからさ」
「そんなこといっても取れないの」
「知っているんだ」
 臭いことで性的興奮があるならそれでもいいかもしれないと思ったら、真の肉を
挟んでいた遼子の両太腿の付根あたりが、ひくひくと痙攣し出した。
「ば、ばか言わないで」
「遼子の怯えた貌、とってもいい感じ」
350名無しさん@ピンキー:2005/11/21(月) 22:21:34 ID:dkf2nZCC
 真が下から腰を浮かせ、積極的に腰を振り出し遼子は呻いた。ガラス張りの
温室のような場所で知った。
 失禁してソファーのクッションに滲みて、乾いても降り注ぐ陽光に蒸れた匂いが
遼子の鼻を刺す。そこには須田の精液もかかっていて。
「ばか。お、怯えてなんかいないわ」
 嫌な臭いだったけれども男といっしょになって、稚い遼子も興奮した爛れた
時間をすごした。

「ちょっと考えていたでしょ?」
 真は遼子に屈託なく笑ってみせる。
「う、うん」
「いくら遼子の匂いでも臭きゃ、困るよね」
「ばっ、ばかあっ、あっ、あっ」
 真の白い細腰は素早く動いて遼子を責めた。

「はやくいじめて。遼子が振らなきゃ、ぼくが終わんないからね」
 遼子は真と顔を正位置に持っていって頤を引き、お臀を振った。真の右の掌は
遼子の臀と脾腹を行き来しながら、直腸に挿入されている真の左の小指が遼子の
窄まりを掻き廻している。
 置いて行かれまいと遼子も追いかけた。椅子の四脚はフローリングに細かく
タップを踏んで、それでもすぐに、真のストロークを追い越していって、
遼子のペースに持ち込んでいく。そうなるはずだった。

「はっ、はあ、はっ、あ、あっ、あっ、あ……ゆっ、ゆ……きっ……」
 ついに耐えられなくなって、遼子は軟体動物になり、がくっと真の躰に覆い被さる。
真は遼子の腋窩に手をくぐらせ、背を撫でた。それから、ちょっとしたいたずらを。
 やさしさの手は滑り降りて、遼子の臀部のやや上。下から上に遼子の背の窪みを
おもいっきり爪で掻き毟り、真は肉槍で下からガク、ガクッと突き上げ止めを刺した。

351名無しさん@ピンキー:2005/11/21(月) 22:23:10 ID:dkf2nZCC
 射出される夥しい精に遼子の意識は混濁する。
「あっ、ああっ……」
 息を吐いて唇をOのかたちに咲かせる。脱力しつつ、ウンチをひり出すように
いきめといわれ男にアナルエントリーをされた。
「リョウコ?」
「んんっ……」
 妖しく男に操られ、少女も男を手に入れた。白閃光の舞う陽のなかで。

「遼子」
 椅子の背もたれを両手でひしと掴んで、真の躰ごと椅子を揺さぶれば、
遼子の中であのときの雪が降り続ける。
「なに……シン」
「最後になんて言おうとしたの」
 落ち着いて、果てた躰を真に撫でられ遼子はめざめる。

「ゆき」
「どうしたの」
「降っているの。まだ……」
 遼子は真の肩に頤を載せて、うつろな瞳でダイニングの橙色の灯りを見ていた。
真の手が遼子の後頭部を撫でている。
「ずっと。雪が強風に舞ってななめにふってくるの」

「遼子……」
「オレンジのなかで。とっても、きれいなのよ」
 遼子は館でカーテンを引いて、夜の外を眺めていた。
真が顔を捻って、遼子の見ているものを向くがなにもない。見えるはずはなかった。
「おかしくなったの。それにここでも」
「そんなんじやないの。灯りにチラチラと映って、ほんとにきれいなの」
352名無しさん@ピンキー:2005/11/21(月) 22:24:59 ID:dkf2nZCC
 滞在予定の五日を過ぎた真夜中に遼子は揺り起こされていた。
「りょうこ。起きなさい」
「は、はい。おじさま……」
 遼子は寝ぼけていて、男の股間に右手を持っていこうとしていた。須田は
それをほっといて、右手で遼子の頬をぴたぴたと連続的に軽く叩いた。
「遼子、遼子、遼子」
「ご、ごめんなさい」

「いいから、服を着なさい」
「はい、おじさま」
 ベッドに載せられた衣服に、遼子は手を伸ばして引き寄せた。置時計を見ると
十一時半を差していた。
「これからみんなが行った場所に、遼子を連れて行ってあげよう」
 館から菜緒子と悠美。奈緒子の姉の茉織もいなくなっていた。
「菜緒子姉さんも悠美姉さんも帰ってなかったの……?」

「まだ、いるよ。茉織もだ。今度遼子が来たら、連れて行ってあげようと思っていた」
「うれしい、おじさま」
 遼子は今朝方、三人の娘たちが館から消えたことを知って、須田に訊いていた。
もうこの家を出て行ったよ。そういわれて、前日に悠美が熱心に遼子に作法のことを
教えていたことを思い出していた。

『遼子はもうここにはこないかもしれない。もしかしたら、またやってきて、
わたしたちと逢うことがあるかもしれない。そのときは、このことを思い出して』
 菜緒子をより慕っていた遼子だっただけに、悠美のやさしさともいえた言葉は
強く印象に残っていた。
「遼子にはつらいことになるかもしれないよ」
「がまんします」
「いい娘だ。わたしは車を用意してくるから、準備が済んだら玄関までおいで」

353名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 14:14:11 ID:dI5fuuRt
 遼子は含羞をみせていた。かげろうのようなその儚さ。須田は遼子に
お前の笑顔が好きだといった。その笑みはおとこの性欲を否定してしまうともいった。
花を散らせるという男の嗜虐心を満すものでもあったけれど。遼子はなにを
示唆されたのかもわからずに須田をもとめた。

 片手で遼子は頭を抱き寄せられ、唇を奪われて反射的に唇を開いた。
かるく重なり合う口の肉感は、ねざめの遼子のこころにやさしいペニスとなって
ずぶずぶとめり込んできた。
 遼子の口腔には唾液が溢れてくる。こぼれそうになって遼子は口を離され、
顔を男の肩に埋められて後頭部を撫でられる。少女の唇からおんなに成り切れていない
躰とおなじ頤を伝い、したたりは須田を濡らす。遼子の黒髪をかきわけて、
尖って覗く耳殻をほんのりと赧らめた。

「ほんとに、がまんするんだよ」
 毛布は遼子の躰から既に滑り落ち、下半身を隠すだけになって、真っ平らな乳房の
喘ぎを男の胸板に伝える。
「はい、おじさま」
 男の手は名残り惜しそうに離れていった。男女(おめ)の交媾の匂い、
男根を挿入された淡いの痛みもまだ馴染まない。
 遼子は釦に手をかけ、レモン色のパジャマを脱ぎ始めた。こわれそうなほど痛かった。
粉々にはならなくとも、されれば痛みに首を竦め、裸身は内側に反って交接を覗く繭となる。

 烈しく抽送されたなら、遼子は羽ばたくように薄い胸をいっぱいに須田へと突き出し、
男のためにきれいになっていって仰け反りはするけれど厳しい現実だった。
 それでも絵があって、雪の駅の痛みが遼子を記憶から離さないでいる。
雪に隠れている線路の上に裸身を横たえていても電車は来ないが、遼子は圧搾機に
放り込まれる痛みを知って、茉織、菜緒子、悠美たちと……交わった。
そして今ならわかる文子と隆の関係。

354名無しさん@ピンキー:2005/11/23(水) 14:21:09 ID:QPAB/F/H
スレ容量480近くになったな。
355名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 21:00:50 ID:ewd/cmcR
 上着を脱いで男とのつながりを記憶した、乳房からパジャマの下に隠れている
股間を眺めた。遼子はベッドから降りてズボンとガールショーツを脱いで
畳んで枕元に置いた。
 孵化したまばゆい妖精は裸身をひとりさらしながらドレッサーの前に立った。
 黄色味がかったブラウンの枠の上には、透き通った硝子に桃色の薄く溶け込んだ
五枚の花弁。その先を外側に繊細に反らして咲かせている百合が一輪あった。

 抱擁はセックスの体験となってよみがえって、遼子の肉情をリフレインさせ
熟成させようとする。
 鏡木枠の左上部に設置されている、花を模した傘の頭頂の摘みを摘んで廻し
もうひとりの遼子と向き合う。ぽうっとして唇を半開きに、目元が腫れぼったい。
「かっこわるい」
 鏡におどけてみせる遼子の発話。

 館から帰ってしまったと思われていた菜緒子と悠美がいて、茉織もまだいるという
知らせにも遼子は心傾いていた。
 須田とふたりだけで残りの日を過ごせたかもしれないことが消失した落胆と
新たな昂ぶりにとまどいながら、男がいった遼子にとって辛いこととはなんなのか
気にしていた。

 遼子は右手を口に持っていって、中指の頭で下唇の中央にそっとさわってみた。
唇を擦りあった程度なのに、須田の余熱がのこっていてじんじんとしていた。
 舌を出して上唇を舐めて、閉じないままで唾液をコクリと嚥下した。首筋が張って
交媾の痛みを堪えるようになった。
「かっこわるくなんかない……よ」
 数時間前にはドレッサーチェアに腰掛けた、男の股間に遼子は顔を埋めていた。
男の怒張を口に含んで、頭を撫でられながら遼子は顔の律動で応えた。遼子の頭にある
掌にも力が加わって旋律は加速し、深く肉棒を呑んで小鼻からは苦悶の呻きを洩らした。
356名無しさん@ピンキー:2005/11/24(木) 21:36:15 ID:ewd/cmcR
『んっ、んっ、んぐっ、んっ』
 白木の箱の蓋を取って京塵紙を取り出し、須田との抱擁にもよおした口元のよだれを、
遼子は鏡を見ながら拭い取った。それでも拭えないものはあった。
 須田との戯れの絆に遼子は没頭して、少女は男とおま×こをしていましたという、
女のあけすけな貌をつくってしまっていた。
 王様のように尊大でありながら、裸でいる須田の格好に遼子は愛らしさを
密かに感じて、すまないとしながらも決してかっこのいいものではない、と思った。
『んっ、んっ、んっ』

 茉織が全裸でドレッサーチェアに腰掛け、躰を正位置から三十度ほとずらして
開脚していた。遼子は素描をする須田に抱かれながら茉織を見ていた。
 遼子と須田はベッドの縁に腰掛けていた。遼子の股間は肉棒に突き刺さっていて、
背を須田の胸板にあずけていた。鼻息も荒く遼子の呼吸は乱れていた。
「はっ、はっ、あっ、あっ」

 肉の結び目はスケッチブックに隠れ、画紙の上を素早く走る、シュッシュッ、
という連続する小さな耳障りな鉛筆の音は、須田の胡坐の上にお尻を落として喘ぐ、
遼子を小パニックにさせ、心の中の何かをこわしてしまいそうになる。
「あっ、あっ」
「遼子。ま×こをみてごらん」
「まっ、ま×こ……。茉織、姉さんの……」

「みなさい」
 スケッチブックを持ちながら遼子の胴を囲む腕を掴みながら、踏ん張るように
躰を跳ねさせた。
「はっ、はいっ、うっ、うあっ……」
「ビラビラがすこしだけ見えちゃっているだろ。ほら」
 須田はスケッチブックと鉛筆を置いて、遼子の腹部で両手を組んで揺らし、
下腹の捲れた核(さね)を指頭で擦った。遼子は治まり悪く、ぐらぐとしていた顔を
烈しく振り立て、熱くなってあらたな涙で頬を濡らした。
357名無しさん@ピンキー:2005/11/25(金) 19:00:10 ID:mMpOcpte
「んあああ――っ、あ、あっ、やっ、やああっ」
 稚いヴァギナはいっぱいに拡げられ、だのに須田のペニスを懸命に離すまいと
頬張っている。遼子が刺し貫かれて串刺しになっている肢体を茉織が今度は見ていた。
 醜悪さをあこがれの茉織に見られながら遼子は泣いて、須田に貫かれていても
股間に感じてしまう、押え切れない茉織への熱情。妹の菜緒子とは頭ひとつ分の
身長差があり(遼子から見れば、文子と深静との区別はつくものの、菜緒子と悠美も
大人とさして変わらない)、女とも少女ともつかない存在感で肉迫する。

 男と女は全裸であっても、ただ椅子に座っているだけで絵になって、特に茉織は
なぜにこうも印象が違うのだろう、と思った。
 隆とのお風呂からのことが続いていて、つながりを想えば、ほんとうはあのときに
隆とこうなっていたかったのでは、と思うが、この世界がすべてになった暗転しそうになる。
精神も肉体も遼子は爛れていた。白い壁の少女に近づこうとする遼子だった。

 茉織が椅子から立ち上がって、須田に肉棒を突き立てられ、性的快感にではなく
あくまでも生理的に感じているだけの遼子にゆっくりと近づいてくる。意識した。
 須田の太腿に掛けた遼子の細く華奢な両脚が閉じたり開いたりを繰り返した。
乳房には羽のように胴を撫で廻されていた、両の掌が覆い動かなくなった。
軟体動物になった遼子の裸身を支えていた。
「遼子ちゃん、きもちいいの」

 茉織の瞳に遼子への悋気は皆無で、文子の瞳に似ていて、やさしかった。肉棒で
相の変わりつつあった遼子は、須田に性欲を削ぐものだと言われていても、
笑顔で茉織に応えようとした。
 数日前の遼子は瞳を細くして、含羞と細かな歯をみせながら、ちいさな顔にあふれる
笑顔で人を無防備にさせ、遼子の側に引き込んで華やかな気持ちにさせてしまっていた。
なにも穢れを知らなかった笑顔は館で交媾を教えられ、翳りが射して微かな艶を放ちだした。
 遼子は呻いてよだれを垂らし、自分の胸元を濡らした。含んでいた肉棒は膣内(なか)で
嫉妬するようにあばれて跳ねた。
358名無しさん@ピンキー:2005/11/25(金) 20:16:59 ID:mMpOcpte
 須田はふたつの掌を遼子の胸骨に埋め込むみたいに圧した。遼子は須田と交媾をして
茉織の目の前で罪の意識に苛まれて揺さぶられながら、動悸が早鐘のように
鳴り響いていた。
 ペニスを口腔に咥えていて、男の手が頭に置かれている感覚。望む旋律を
男は伝えるわけでもなく、ただ遼子の髪をさわるかのように置いているだけ。
自発的に遼子は顔をストロークはさせているのに、ささいな圧が遼子の脈拍を速める。

 遼子の緊張が高まってから、はぐらかすように須田は掌を脾腹に移動させた。
今度はさらなる圧力を遼子に加えるために。
「あ、あ、あああぁぁぁ――ッ!」
 遼子は裸身を捩っても鎖は解けない。茉織のくちびるが遼子の乳首を捉えようと
降りてくる。圧力から解放された遼子の乳房は、じんわりと熱を孕むみたいになって、
そこを茉織に吸われてしまう。

 花のように綺麗に咲かせたかたちの手を、遼子の左脇にそっと置いて、
須田に揺さぶられている左太腿にだけ茉織は弄りをしかける。
「あっ、ああっ、お姉さまあぁぁぁ……、はっ、はっ、はあ、はあ、はあっ」
 遼子の黒髪と茉織の黒髪がもつれあった。須田の掌は脾腹も離れ、波うつ遼子の
下腹に下りた。少女の骨盤の両の突起を人差し指から小指の頭でちいさく撫で廻し、
太腿と胴の付根すうっと滑ってきた。

 濡れてはいても痛みを感じている遼子の下口。醜悪な男根とやさしいかたちをしていた
遼子の秘所との肉の結びを見つめ挟むように羽となって、親指をはずした八つの指頭で、
遺物のせいで波うっている下腹を擦りあげる。痛みの記憶に拒絶反応を示したみたいになった
遼子は烈しく跳ねて痙攣し、裸身を反らし強張った腹部を茉織に向かってぐんっと突き出す。
 茉織は遼子の変化に菜緒子を重ね、無垢で柔らかい遼子の腹部の変容と臍の窪みに
異様な関心を示し、劣情をもよおした。太腿から鼠蹊部、遼子の腹部に移動しようとした
茉織の手を須田は掴んで指を絡めた。奈緒子のようになることを、須田は止めようとしていた。
359名無しさん@ピンキー:2005/11/26(土) 01:02:24 ID:DUj+7uO6
「いかせてッ!」
「遼子の核(さね)を舐めてやれ!茉織!」
「あっ、ああっ、あっ」
遼子の脾腹にはタナトスに抱かれた痕跡とも思えた、肋骨をくっきりと刻んで、
生臭い声で喘ぎ禁断の場所につれていかれた。深静が遼子に快楽は罪だといった
蝕のはじまり。家で待っている文子のことを思えば罪にはなんらかわりないことだけれど、
菜緒子と悠美とで躰を舐め弄り合って過した、快楽への没頭した涙とはどこか
異質なものだということがわかった。

『んっ、んっんっ』
ため息に近い遼子の口腔性交の小さな苦悶のみだら声。下腹の蒸れたおとこの匂いが
遼子の頬を上気させ、胸元でさえも赧らませる。こめかみは汗に濡れて髪は乱れ、
額や頬にほつれ毛がへばりついていた。
 遼子の凄艶さは、須田の太腿の脛毛や下腹には剛毛が密生する下腹に屹立した
肉棒の醜悪の極みに、稚い口腔で触れながらも、控えめであっても抗う態度だった。

 鏡の奥に映し出される遼子と須田の両脚がもつれあう、破瓜の夜からの粘膜による
擦れ合いではなく、純粋に肌と肌のふれあいにこそ、男女(おめ)の密に至る
夢をかけようとしていた。
 手と手を繋いで指を絡め合うだけで遼子は満足だった。須田の他にそこにはもうひとりいて、
連れて行ってもらえば、また逢えるという歓びに遼子は、無毛の下腹の裂から女蜜を
とろりと吐き出して濡らしていた。

 人肌のかけらを瞼の裏に映しだした遼子は随喜の熱に弾けて下腹を波うたせ、
須田の肉瘤を喉頭に無理やり押しやって、あふれる唾液と唇と舌で懸命に扱いていた。
深静のような喉奥を締めることや、ましてや茉織ほどの体力もなく、
恥戯の稚拙な遼子は徐々に置いて行かれ、気力はあっても頬を窄めることに辛さを、
舌も引き攣りそうになってしまっていた。酸欠に近い症状は遼子の頭を朦朧とさせた。
360名無しさん@ピンキー:2005/11/26(土) 01:28:50 ID:DUj+7uO6
『遼子、もういいから』
 頬を撫でられて、遼子はようやく瞼を開いて須田を仰ぎ、口の中の怒張を
そっと吐き出すことに注意を払いながら、舌に最後まで載せることを努めて、
裏筋を舐め取るようにして外気へとペニスを解放してやった。
『はっ、はあ、はあ……はあ、はあ……』
『ここに来なさい』
 肉体が弛緩しそうになって、次の目的に遼子は縋った。おんなとして生きるという
韻を須田に踏まされて。
『はっ、はあ、はあ……はあ、はあ……おじさま……いま、いきます……』

 椅子に腰かけている遼子の縦溝からは男を招き入れる体液が溢れて、こゆい緑色の
座部に貼られたビロードクッションを濡らしてしまった。
 割れ目に収まるべき肉棒はなくて、須田はいま遼子をべつな場所につれていってくれる
車の準備をしていた。でも、引出しの中に。口元を拭った塵紙で遼子はクッションに
滲みをつくらないよう慌てて拭った。生地には細かな白い粉らしき痕が付いた。
鏡から躰をずらした遼子は、お尻を椅子の縁に持っていって開脚し、
白木の箱に入っていた京塵紙を数枚また取り出し、覗きこむようにして自分の股間に
そっとあてがい擦って、背を丸めて竹で編んだくずかごに捨てた。鏡の自分を盗み見しながら。

 遼子は須田の股間から立ち上がって、お尻を向けた。細い両脚をいびつながにまたにして、
爪先立ちながらそそり立つ肉棒に指の狭間に固定し、遼子の縦溝をあてがって慎重に腰を沈めた。
痛みの喘ぎは遼子の脾腹にすぐにあらわれ、うしろから須田に躰を支えてもらっているという
状況が遼子を烈しく興奮させていった。そして、この滑稽なまでの自分の格好。
 須田は遼子が沈み切ると、繋がった躰を静かに動かして鏡を見せた。姿見ではなかったので、
少年のような胸と、遼子の躰では隠しきれないでいる、少女をたべようとしている
逞しい男の肉体が映されていた。須田に載った遼子は、人形を抱かれるようにして
くまなく愛玩された。
361名無しさん@ピンキー:2005/11/26(土) 02:13:31 ID:DUj+7uO6
『遼子、もう馴れたかい』
 須田の掌が遼子の肌をねっとりと舐める。
『……』
『どうした』
『わ、わかりません……』
 遼子は、交じる、交じわらないにかかわらず、須田の膝に載せられて最後の夜を
いっしょに過していた。鏡に映される角度は微妙に変化していた。

『おちんちんのかたちは、もう好きにはなったか』
『……』
『じゃあ、また練習しなくちゃな』
 須田はドレッサーに置いていた、シリコンの模造ペニスを取って、遼子にスイッチを
入れさせた。
『さあ、咥えてごらん』

 須田は喉笛を掻き切る短刀のように持って、遼子の唇に近づけた。唾液がバイブで
引伸ばされて、遼子の二番目の性器を擦った。遼子の顫える肉の尖り。
『瞼は瞑っちゃいけないな』
 瞼を薄く開いてしまった遼子の泣き顔はいびつになって歪んでいた。茉織には遥かに
遠くなった。

『んっ、んんっ』
 息を継げないで遼子は小鼻を膨らませた。相の変容を目の当たりにして、
遼子の頬には恥辱の涙が伝う。須田は模造ペニスを遼子のほんものを含んでいる
下腹に持って行こうとした。不気味な振動が肉の結びに降ろされて、遼子はけものの声を
張り上げていた。
『うあああっ、うあ、ああっ、あ……』
『遼子、舌を、舌をだせ。早くッ!』
362名無しさん@ピンキー:2005/11/26(土) 02:44:32 ID:DUj+7uO6
『はっ、はっ、はあ、はあ、あ、ああ……あ』
 口蓋垂までも見せるように、大きく口を開いて、遼子は犬みたいな声で
息継ぎをしながら荒れてなどいないきれいな舌を鏡に晒した。昨夜からの須田の
遼子への指示だった。
『遼子はそんなにチンポが咥えたいのかな』
『は、はあ、はあい、はあ、はあ、あ、あぁ……あ、あ、あっ』

 遼子はゆっくりと瞼を閉じて須田に躰をまかせる。鏡の前でいっぱいに
口をあけて舌も十分過ぎるほど出した自分の顔がどんなものかは確認した。
 舌先を遼子は唇で挟んで、そこを紫と赤と黒の入り混じった須田の尖端で
こじ開けられ含まされる絵を想い描く。上と下からも責められ、苦しむなら一気に
してほしいという気持ちでいっぱいになりながらも、苦悶の時に遼子はたゆたう。

 遼子はドレッサーのチェアに座る須田に、背をあずけて跨って串刺しになり、
須田の欲望を下から繰り出せない分、模造ペニスで喉奥を抉られることを甘受する。
『ぐふっ、んぐっ、んんっ、んっ』
『ロッキングチェアのほうがいいかもしれないな』
 それでも、壁にもたれて開脚して、恍惚となる少女の絵に繋がっていると思うと、
耐え忍ぶことができるのだった。
 
「んッ」
 鏡に躰を戻して唾液を喉奥に流し込む、遼子の小さな声。背中の軸骨を少女は
背になにごともなかったように戻して、少量のラメの入ったピンクのコームを取った。
遼子は濃やかな黒髪をていねいに梳いて、引き出しから二つのヘアピンを取り出す。
こなれた仕草で両サイドから髪を捻って一本、二本と後頭部に持っていって、
唇に挟んだピンで留め、ふたつの捻りを加えた髪束を茉織がくれたパールの髪飾りで
ひとつに仕上げた。まだ両脇を鏡に映したまま、ピンがちゃんと髪に隠れているかを
遼子はしきりに気にしていた。
 絵画教室にあった精彩で緻密な大作の少女を描いた油絵が、遼子を茉織に何度も
近づけていった。
363名無しさん@ピンキー:2005/11/26(土) 21:33:03 ID:DUj+7uO6
 両サイドからのひねりを咥えたふたつの髪束に挟まれた漆黒。脆弱なる白い背に
垂れる流れは、男の嗜虐心を満足させるたぐいの怜悧をも装っていた。
 裸のままの遼子は、須田からもらったアンティークのハートを臙脂色の
ジュエリーボックスから出して胸元に飾った。ロケットの中にはなにもなかったが、
四日間のここでの想いが込められていた。
 遼子はベッドに戻って、白いオーバーニーソックスを穿いて爪先を黒靴に入れ、
ストラップをしめる。遼子はベビーピンクのコートに裸身を包んで白い釦を嵌めた。
 裸身にコートの裏地は違和感があったが、襟周りの白い毛皮が心地いい。
遼子は物語を紡ぎに須田とふたりで交わった部屋を出て行った。

 エントランスに出ると、さすがに寒い。須田が待っていて車の向側に、
赤いテールランプが闇の中に消えていったのを見た。
「寒くはないか」
「いいえ」
「車の中はヒーターが効いているから、早く入りなさい」
 個室の不自然な熱さは、遼子は嫌いだった。駅で裸になって素描されているよりも、
楽ではあるけれど。針の刺すような痛みはない。
「はい、おじさま」
 先に出て行った車のほうの闇を見ながら遼子はドアを開けてシートに座った。

 館を離れ、車は雪の降る闇の中を走って遼子をどこかへと連れて行く。
『もしも、遼子がまた来ることがあるなら、館の人たちに逆らってはダメ』
『わたし……』
『悪くはなくても、あやまるのよ。いい、わかった』
『……』
『従順さが癇にさわる人もいて、お仕置きもされるの。それでもあやまり続けて』
『はい、悠美姉さん』
『でもね、ちゃんとご主人様に理由は訊かなきゃだめよ。どこがいけなかったのかを』
「すぐにつく」
 遼子は右手を須田の太腿に置いた。
「はい……」
364名無しさん@ピンキー:2005/11/26(土) 22:24:16 ID:DUj+7uO6
 遼子の右手は須田の太腿に五指だけを押し付けて擦った。
「遼子、チンポをさわってくれ」
「はい、おじさま」
「出さなくていいからな」
「わかりました」
 闇に囚われていた力が遼子の手から、すっと抜けて須田の股間をさわった。
肉棒はふくらみかけているのがわかって、遼子はいったん手を戻し、
シートベルトを外した。

「出さなくともいいといった」
「だめだ、直ぐに着く」
 べつに急ぐことではなかったかもしれない。引き渡すのがたとえ遅れても。
「おねがい」
「ダメだ」
「じゃあ、上から舐める」
 遼子は須田の股間に助手席の横から顔をもぐりこませた。黒髪が闇に妖しく
揺れ動いていた。魔物、そんな言葉が不意に浮ぶ。なら、遼子に肉情を抱いている
自分は何者なのかと須田は苦笑しながら、車は細道に入り込んでいった。

 遼子は須田と添い寝をしながら、肉棒を指でいらっていたことがあった。
『なにをしているんだ』
『ごめんなさい』
 乳房を上から須田の胸板に置いて、寝ていた須田に頭を抱かれていた。遼子の手淫に
覚醒して須田は訊いていた。
 遼子は親指と人差し指、そして中指を駆使して、くにくにと動かしていた。
これなら起きないだろうという加減で。
『怒ってはいないから』
『……』
『どうした』
『ひゃっ……冷たいの。おじさまのチンポ、ちいさくなっているの。死んでいるみたい』

365名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 00:55:50 ID:q4m9+NBF
『遼子がほしくてそうなる。そんなことしていると、ほんとにお股に入れるぞ』
『おこりんぼになるの。なら、遼子にいれて、おじさま』
 灼ける肉棒が、冷たくなっていたことを遼子は単純に心配していた。茉織のときにも
似たようなことがあったことを思い出した。菜緒子、悠美にもそれに近い体験があって、
少女の性的な好奇心によるものだと解釈していた。
 生まれながらの少女は母。そしておんなでもあった。

 朝霧立ちこめる中にひとり。遼子はワインと湧き水が吐息になって絡み合う
夢を見ていた。比率でいえばシーツが6で血が2。燐光のように光る水の色が1。
遼子は白にやさしく抱かれながら血の色が天上侵食し始め、かろうじてアクアブルーが
片隅で自己主張をした。それもいまは時間の問題。遼子は須田の胸板から降ろされて、
側面から責められた。
『あ、あっ、あっ』
『さむくはないか』
 男の唇が肩口をねぶりながら遼子の粒状の乳首を吸い立て、陰裂を指弄した。
『あ、熱い。熱いッ!』

 痛みは依然として存在しても、遼子は男に抱かれることの迷いは無くなりつつあった。
アトリエで見た男の大作の絵が遼子の頭を掠める。夢のようでありながら、緻密な筆致は
恐怖すら覚えた。白い壁に塗り込まれるように、クィーンタイプのソファーに黒髪の、
モノトーンだったからたぶんそうと思うだけで、少女が腰掛ける像が結ばれて、
除々に色が付いてゆくのは遼子自身だった。

 須田は遼子の両脚を束ね、軽がると上げて横臥位での挿入を試みた。男が肉棒を掴んで、
濡れた遼子に尖端を近づけた。須田は自分を横臥位の受け月に見立て、遼子を仰臥にし、
男の描く月に腰掛けさせる絵を完成させようとしていた。
 皮膚組織が壊死したような赤銅色の節くれ立った偉容。遼子の臀下の夢想に
圧倒されながらも、やがて来るほんとうの時を待つ。
366名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 01:18:43 ID:q4m9+NBF
 遼子は男を抱きしめたくて、華奢な胴を捩り、両腕をじたばたとさせていた。
『遼子、見るんだ』
 月に腰掛ける遼子は須田と互いの頬を擦り合せ、頭を抱かれていまのかたちを
まざまざと観せつけられた。ファンタジーを掻き立てる装置に遼子は興奮し、
瞳を潤ませた。
 すべてにおいて美しいセックスではなかったが、アクティビティに男女が求めだすと
渦の中に埋没した。
 喉頭を抉られる苦しみの涙を知り、惚けた顔で半開きにした口から愛らしい舌を
だれに向けるでもなく差し出して、下腹に逞しい肉棒をまた稚い女陰へと
迎え入れようとした。
 男を受け入れる自分がかわいいと思って、遼子の総身に残酷な快美感が走る。
 弱々しい声質。ミニマルミュージックが流れる。泣きのカテゴリに属する
タイプのものだったが、遼子がいま、交媾での甲高いあられもない声を上げていた。

 少女を犯す。
 だからといって愛でないわけではない。かといって愛し過ぎているわけでもなかった。
でなければ勃起した肉棒で交媾に及ぶことすらできないだろう。
 泣き腫らした顔で遠くをみつめる遼子。
 男は片肘を突いてじっと遼子を見下ろしていた。
 人形に宿っていた魂がどこかへ行ってしまったのではないかとさえ思えてくる。
 忘れていた痛みが遼子と須田に蘇っていた。
 遼子は男の視線に気づいて、微笑を送った。なぜそんなことができたのかもわからなかった。
367名無しさん@ピンキー:2005/11/27(日) 02:07:33 ID:q4m9+NBF
 気持ちまでも裸になったのか。どこかで、男を心配させたくなかったからなのか。
少女でありながら、すでに母ともいえた。
 アクロバティックな体位とか緊縛を用いた女体の変容。それを覗けば交媾の種類は
限られていた。存在が無になるセックスを須田は遼子に処した。
 膣内にあった果てた肉棒はこわれたように血汐を装填し膨張した。須田はふたたび
遼子の両脚を束ねて片腕に担ぎ、遼子を二つ折りにして愛した。

 クリムトの接吻に描かれている至福の顔。
 もしくは入水して、胸から顔、両の掌をかかげていた、ジョン・エヴァレット・ミレイの
悲劇の姫オフィーリア。忍びよるタナトスの翳り。須田の腰の律動は遼子を
抉るようにして加速した。
『くっ、くるしい』
 仰臥して烈しく顔を振る遼子の黒髪はボリュームを増した。
『遼子!遼子!りょうこ!』
『いっ、痛いっ』
『がまんしろ』
『痛いのはいやああっ』

 エレクトした肉棒に抉り立てられる突きに遼子は跳ばされないようにと、
必死になって男に守ってと躰はいっている。
 須田は、ひ弱な少女がより儚く守るべきものとして、自分を抱きしめてくれようとする
母のようにも思えた。乙女の気持ちを壊すに等しい、相反した行為に男の肉情は弾けた。

 男の渇きを癒そうと獣欲に身をゆだねて、力で組み敷かれる、性愛を受け入れるだけの
遼子は、なんとか躰を捩り、たくましい首に両腕を巻きつけ縋っていって――
世界でひとつの存在として認めた。
 きっかけはいつも些細なことだ。安っぽくても心はときめく、きらきら光る
硝子のビー玉を見つけたみたいになって心は昂ぶる。
368名無しさん@ピンキー
 唐突で理不尽な破壊の抽送に遼子は耐えられなくなって、眉間に縦皺を刻み
眉を吊り上げていた。口蓋垂までもを見せて、遼子は泣き叫んだ。
『遼子、繭になれ』
 須田が引き起こした嵐に、遼子の絡んでいた腕は、荒れる白い波に投げ出され、
折れた枝のようになっていた。少女の細い腕はマネキンの無機質ぶりを見せ付けて
小さく跳ねた。指は花のように咲いたかと思えば、くなっと手首を折って須田を誘った。
曝ける少女の柔らかな腋窩を貪り吸いたてる男の唇。
『あっ、あっ、あ』
『繭になれ』
 頭上に両手を上げられ、踊らされる遼子は、シーツの白波に磔の贄。
血汐の滾る男根に、遼子の孔はいっぱいに拡げられ、裂けよとばかりにビルドアップし、
交媾の果てへと近づこうとした。永遠と思われる苦悶の回廊にけりが付いた。
 無理やり連れて行かれた場所で、無上の歓びに男が先に往く。
苦行にも近い命を削られるような行為に遼子は顫え、白閃光に灼かれる前に意識は
闇に滑り堕ち、須田のこわれてしまった律動は尚も続いていて、徐々にゆるくてなりはしたが、
最後はズン!ズン!と腰を振り穿たれて、心地よい疲労感に浸って、もう一度突上げて
呻かせてから遼子の横に躰を動かした。秘所への肉棒の攪拌は収束した。
 眠りから醒めた時に、仰臥した男の右視界には遼子の背が映って、
介抱してやらなかったことを後悔した。遼子は須田の所業の荒淫の痕を眺めているのか、
頭を落としたまま動かない。後ろから見る少女は寝起きのようにぼうっとしていた。
 暗がりにおぼろに浮かんだ像。白い背には肩胛骨の尖りとチューブのような細い軸骨を
立てに走らせている。男の腕が伸びて、痛々しい姿に掌がふれて撫でた。性懲りもなく
勃起してしまいそうにはなるが、いたわりの言葉を須田は遼子にかけた。
「おこりんぼだった。遼子、怒っているか」
 少女は頭を落としたまま横に顔を烈しく振った。男には遼子がどんな顔でそうしたのか
見ることはできなかった。