保管サイトに、他スレの露出小説を1話追加。
信二は、半ば放心状態の中で杉野と佐和子が何事も無かったかのように
テニスの練習をしているのを見つめていた。
二人が笑顔でボールの交換をしている姿は、まるでどちらが本当の
夫なのか分からないくらいだ。男という生き物は射精後、最も冷静に
なるものだ。信二は自分が仕向けた結果を悔いた。そして理不尽を
承知で妻を呪った。(例え、俺が仕向けたにせよ過ちを犯したのは
佐和子の不貞だ)信二の心には青白い復讐の炎が燃え滾っていた。
自分の前の通路を人が何人か通り過ぎても構うことなく信二は
妻を奈落の底へ突き落とすような、残酷な展開を思案していた。
そんな事とは関係無く野良猫が信二の心をあざ笑うかのように
目の前で毛繕いをしている。腹が立った信二はズカズカと猫に
歩み寄るとサッと路地裏へ逃げていってしまった。通行人が
見ている。ちょっと恥ずかしくなって信二は妻が終わるまで
車の中で待つことにした。
佐和子は杉野との最高の情事の爽快感からか体の動きも滑らかになり、
空が夕焼けに染まり出す頃にはいっぱしな球を打ち返せるようになっていた。
「いやぁ、奥さん良いセンスしてますよ。学生時代何かやってらしたんですか?」
と杉野が感心して言うと、佐和子は照れくさそうに「高校生時代にバスケットを
ちょっと・・」と答えた。「なるほど、それでフットワークが良いんですね」
杉野はニッコリと笑い「そろそろ終わりにしますか?」と言った。
佐和子はせっかく上手くなり始めてきたところなので名残惜しかったが
子供も待っていることだし、「そうね、今日はどうもありがとう。楽しかったわ」
と素直に礼を言った。気付くと回りにはもう誰もいなくなっていた。
「あら、誰もいないわね。管理人さんに怒られちゃう」と佐和子が言うと、
「大丈夫。鍵は僕が持ってるから」と言ってウィンドウブレーカーの
ポケットから鍵を出し、チャラチャラさせて見せた。
夕焼けに染まった佐和子の顔が一層魅力的に見える。杉野は佐和子をもう一度
抱きたい衝動に刈られたが、さすがに癖になってお互いの家庭を壊してしまい
そうな気がして、その気持ちを打ち消した。
「さ、行きましょう」と言って軽く佐和子の方を抱く。
汗でほんのり湿っている佐和子の肩は否応無しに杉野が男であり
佐和子が女である事を意識させた。(このまま抱きすくめて彼女の
魅力的な唇に吸い付きたい!)その思いが杉野の理性の堤防を決壊させそうに
したが、指にギュと力を入れそうになる衝動を辛うじて堪え手を離した。
杉野の異変に気付いた佐和子が「なに?」と不思議そうな顔をしている。
「いや、夕日に染まる奥さんは、一層素敵だと思って・・」と言って
杉野はニヤけた。佐和子は「なに言ってるのよもう!」と言って照れた。
(また杉野さんは私を抱きたいと思ってるのかしら?・・)お互い
スポーツで上気した今SEXをしたらさぞかし気持ち良いだろう。
佐和子は今杉野が誘惑してきたら断りきる自身が無かった。
だから(お願い、誘惑しないで・・)と祈った。
どこかで5時を知らせる夕焼け小焼けのメロディが流れる。佐和子と杉野は
並んでそのメロディを口ずさんだ。気付くと二人の手と手がお互いに
絡み合っていた。まんじりともせぬ信二は遅い二人の帰りをイライラしながら
待ち構えていた。が、待てども待てども二人の姿は見えない。待ちきれなくなった
信二はとうとう車を飛び出し元来たテニスコートへ向かった。そして金網に
張り付いた。重なり合う二人のシルエットが夕日に赤く染まっていた。
杉野はしっかりと妻の体を抱きしめ唇を重ねている。信二は身じろぎもせず
その絵に描いたドラマのような情景を見つめていた。
ひとしきり愛を確かめ合った二人は、信二に気付くことも無くクラブハウスに
消えて行った。夫にとってこれ以上の悪夢があるだろうか?
信二は自分の性欲を満たすために仕掛けた結果の代償があまりにも大きかった
事に今更ながらに気付いた。信二は二人が消えた玄関口を呆然と見つめながら
二人が中に消えたままタダでは出てこない事を確信していた。
信二はザックザック・・と砂を重く踏みしめながら入り口に近づいていく。
(見たくない!)と強力に思う反面、(それでも確認せずにはいられない)
衝動を抑える事ができなかった。
杉野と佐和子はお互い向かい合いシャワー室に立っている。
杉野は黙って佐和子のシャツをめくり上げ脱がせた・・。
続いてブラをはずす・・。
それに呼応するように佐和子も杉野のシャツを脱がせようとした
杉野が大柄なため佐和子はつま先で立ちシャツを脱がせたがよろめいて
しまった。杉野はあわてて佐和子の体を支えクスっと笑った。
今度は杉野が佐和子のショートパンツをパンティごと降ろした・・。
こじんまりした茂みが何ともむしゃぶりつきたい衝動に駆られる。
佐和子は杉野を真似るように信二のパンツを降ろすと、力の漲った
ペニスが硬いゴムのように反動を付けて飛び出した。
佐和子は小さな声で「キャ・・」と悲鳴をあげた。
佐和子は巨大な杉野の砲身を興味深げに見つめ
「さっきあんなに出したのに・・凄いのね・・」と驚きの声をあげた。
「この子が早くあなたの中に入りたいって聞かないんだ・・」と言って
軽く砲身をしごいて見せた。そのまま佐和子の手を想定し杉野は目を瞑って
シュッシュッとしごく。「すぅ・・はぁ・・想像しただけでも
でちゃいそうだ・・」と恍惚の表情を浮かべた・・。
男の自慰行為を初めて見た佐和子は思わずゴクっと唾を飲み込んだ。
そしてハッと我に返り「いやだ、入れさせてあげないっ」と言って
前を隠して見せた。
杉野は急に真面目な顔になり「愛してるよ佐和子・・」と言った。
佐和子は何か言おうとしたが真剣な眼差しに射すくめられて
何も言えなくなってしまった。
シャワー室の小窓から入る真っ赤な夕日が二人の裸を照らすと
杉野の頑健な肉体と佐和子の女らしい柔らかい肉体が赤と黒の
陰影となり、お互いが異性であるという事を強調させた。
たまらなくなった杉野は佐和子を抱きすくめ佐和子の唇を吸った。
佐和子もそれに応えるように杉野の首に手を絡め舌を入れた。
お互いの舌が生き物のように絡み合う。チュパチュパと唾液が
絡み付きシャワー室に響いた。佐和子の割れ目は既に杉野の
ペニスの挿入を期待してジットリと湿っている。
杉野は佐和子の柔らかい太腿を片方抱え上げ、自分のペニスを
挿入出来るようにいざなう・・。
佐和子もそれに協力して腰を突き出し杉野の巨大な砲身を迎え入れた。
肉道を巨大なペニスで埋め尽くされた快感で、佐和子は喘ぎ声をあげようと
したが舌が絡み合っていて声にならない。「んぐっ・・ん、ん、んぅー!」
といううめき声をあげ杉野の背中に爪を立てることで募る快感を辛うじて
開放した。
屈強な杉野の肉体は華奢な佐和子の肉体を不安定な体制でも
まるで弄ぶかのように支配した。杉野は夕焼けと上気した体で
真っ赤に顔を染めながら佐和子の口内に舌を狂ったように蠢かせ、
ペニスをかきまわして膣壁の感触を堪能した。
二人は上の口と下の口の両方でお互いの性を確かめ合った。
杉野はおもむろに口から舌を離し、「お、お、お・・奥さん。で、出そうだ」
とうめいた。「な、中に出しちゃ駄目ですか?お、奥さん・・」杉野は
ペニスを出し入れしながら苦しそうに言う。佐和子は首をぶるぶると横に
振って拒否した。「な、なかに、中にだしたい・・奥さん・・」
杉野が嘆願する。佐和子はハァハァと荒い息をしんがら眉間に皺を寄せ、
また首を振った。「な、中に!」「だ、だめ・・」「中にっ!!」
「中に!!!奥さんっ!!」杉野の腰の動きが一層強くなり射精が間近
なのが分かる。
「だ、駄目できちゃう!!」「中に!!」「いやっ外に!!」
佐和子は体を突っぱねようとするが、下半身は杉野ががっちり支配して
いるので外せない。「やだ、やだやだやだ!!外に出して!」
佐和子は涙ながらに嘆願した。杉野は「う、うぉー!!」と吠えながら
二度三度と強く最奥部を貫くと砲身を引き抜き佐和子の頭を股間に
押し付けた。
「せめて口で受けてください!!」そう言って杉野は苦しそうに
ぐいぐいとお互いの粘液でネットリとテカりを帯びているペニスを
佐和子の口内にねじ込んだ。
佐和子はそれに従い、根元を手でしごきながら杉野の欲情の証しを
口内で受けた。さっき出したばかりのはずの精液は、どこに貯めていたのか
と思うほど大量に佐和子の喉元に注ぎ込まれた。佐和子は慌てて
ゴクゴクと飲み干そうとするが、間に合わずゴホゴホと咳き込んでしまった。
その拍子にだらしなく白い粘液が口元から涎のようにこぼれ落ちた。
杉野は自ら根元をしごきあげ最後の一滴まで佐和子に飲み干させると
「ふぅー・・」と満足そうな深い息をついた。
そして座り込んだ佐和子の手を取り立たせ「とっても良かったよ佐和子・・」
そう言って軽く髪を撫でた。佐和子もニッコリ笑い「私もすっごい気持ち良かった」
と満足そうに言った。そしてシャワーのコックをひねり汗まみれのお互いの
体を洗い合った。
一部始終を見ていた信二は、情けなくも寝取られた二人の情事に
二度目の射精を果たしいた。
仕方がない・・自分が佐和子にしてやるSEXなど吹き飛ぶような
二人の情交を見せ付けられ、佐和子がどっぷりとそれに浸かってしまう
気持ちも分からないではなかった。(だがそれはそれ。裏切った妻と杉野への
落とし前はきっちりとつけさせてもらう)
信二の心の中には家族への愛着の部分が閉め出され、
これからは実質一人で生きていかなくてはならないという
一種の覚悟のようなものが芽生えていた。
信二の姿はポケットに手を突っ込みながら、すっかり暗くなった
夜道に消えて言った。
つづく
マルチネスさん、毎回楽しませて頂いていますが、今回も良かったです。
信二が今後、どのような行動に出るのか楽しみにしています。
頑張って下さい。
生活時間調整のため徹夜中。
勢いで、保管サイトの外観をクリスマスverに。
色がいまいちなので良い組み合わせがあったら教えてください。
>>569の続き
第5章
サラが目覚めたのは、翌日の日中だった。どこにいるのか、昨夜のことを思い出すのに時間がかかった。
下女がすっと寄ってきて身支度を促す。軽い食事後、サラはついに尋ねた。
「ザンはどこ?」
「こちらへ今、お見えになります。」
無表情な下女の言葉が終わらぬうちに扉が開いた。
「我が名を覚えていたか・・・サラ。」
嘲笑を含む低い声と共に彼は姿を現した。優雅と言ってもよい堂々とした歩き方だがどこか獰猛な肉食獣を思わせる。
サラは背筋がぞっとするのを何とか抑えながら誇りだけは失うまいと誓った。顔を上げ彼を見据えた。
「慈悲深き王よ。いよいよ私の死が必要になったのでしょうか?」
彼はサラの勇気に感心しつつ欲望が膨らんでいくのに身を任せた。
サラの顎に触れ、指を下唇に這わせる。
「お前の血がほしい。死ではなく別の意味でな。だからこそ、生かして捕らえたのだ。幸いにもお前は美しい。
しばらく楽しめるだろう。慈悲については・・・、これから嫌というほど請う事になるだろう・・・。だが、
まずは・・・。」
紫色の瞳が驚愕に見開く。彼の声はさらに低く官能的になり、金の瞳が欲望で暗く翳る。
下唇をなぞっていた指がサラの歯に触れた。
思わずサラが一歩退いた瞬間、彼は両手でサラの頭を抱え、唇を塞いだ。
激しくどこまでも貪欲な獣のような口づけ。
支援
助かります。
「!!・・・う・・っ」
彼の舌はサラのそれに巻きつき吸い込み味わった。叫ぶことも、振り払うこともできず、彼の欲望の中に突き落とされていたサラは、かつて力ずくで
自分を奪った男への恐怖が蘇り混乱を来たしていた。
両手で彼の身体を押しのけようとしてもビクともせず、ますます抱きすくめられるだけだった。
さらに、執拗になっていくキスから逃れるためサラは彼の腕に爪を立てた。
血が滴るほど強く。
罰する為に始めた戯れだったが抱きしめたサラの感触と匂いに、ザンもまた止まらなくなっていた。しかし、さすがに痛みに気をそがれサラを放した。
一瞬、お互いに見つめあい睨み合った。
彼は、瞳を剣呑に光らせつつ腕から流れ出る血を舐めた。
その隙にサラが彼の横をすり抜けようと走り出した瞬間、肩が外れるかと思うほどの勢いで
腕をつかまれ引き戻された。
「確かめておかねばならぬことがある。」
怒りを含んだ一言と共にサラを抱き上げ奥の寝室へ向う。
サラは彼の目的は分からなかったがこれからしようとしていることをすぐに察し、恐怖と怒り
のあまり猛烈に暴れた。
「王はこちらか?」
カイルが訪れサラの下女に尋ねた。
扉の向こうから激しい物音と叫び声が聞こえ、カイルはすべてを察した。
少なくとも姫君が殺されることはなさそうだ。
カイルは胸をなでおろし下女に頷くと、退いた。
第5章 完
保管サイト担当者様
保管サイトの色・・・今のじゃ駄目なんですか?
僕はノー問題だと思いますが。っていうか十分すぎるというか・・」
>>605 ありがとうございます。
正直、いつもいきあたりばったりで書いているので今後の展開は
作者自身も皆目見当がつきません
見捨てられないよう何とか収拾つくように努力します
保管サイトへの行き方がわからないです
おしえてくださいー
直にクリックすると行けないかも。
URLをコピペで貼ると飛べると思う。
>>354の加奈の続き
プールから出たあとの日差しは入る前より強く感じる。
迷彩色のタンクトップとデニム地のホットパンツからスラリと伸びる健康的な手足が15歳という若さを物語っている。
しかし、先ほどまでの出来事で体力的にも精神的にもクタクタで気怠さが重くのしかかる。
「加奈さんお待たせしました」
振り返ると出口の階段から彌生ちゃんが白のワンピースを清楚な雰囲気を翻しながら降りてくる。
不意に一条の生暖かい風が吹き、スカートが大きく膨れあがる。
「キャッ」
可愛らしい悲鳴を上げ、真っ赤にしながら一生懸命押さえる。
スカートの裾を気にしながら降りてくる様は微笑ましく、疲れも吹き飛んでしまう。
「……見えました?」
恐る恐る私に尋ねる。
「カワイイアソコがね」
小声で笑いながら答えると
「ウソッ!」
改めてキョロキョロと自分の痴態に気付いた視線がないか確認する。
「彌生ちゃん、スカートの中日差しに透けてライン見えちゃってるよ」
頭から湯気を出して俯いてしまう。
私たち二人は昨晩の内に指示されたとおりノーパンノーブラで帰らなくてはいけない。
駅までの道を一緒に帰る。
門を出るとプールの近くには子供達を相手にした駄菓子屋が何軒かあったり、ワラビ餅を売っている軽トラックが来ていて、プールから上がった子供達でにぎわっている。
恥ずかしがる彌生ちゃんの手を引っぱって人だかりの中に混ざる。
小学生の男の子達の前でお菓子を見る振りをしてわざとしゃがむ。
大きく開いた太腿の付け根が見えそうで見えない。
真っ赤になって眼が離せなくなっている男の子達のゴクリッと生唾を飲む音が聞こえてきそうだ。
膝を折ったまま横に移動すると生地が歪み、隙間からさらに奥まで見える。
パンツは見えるはずもなく、日焼けをしていない肌が覗く。
中には前からではなく、私の横や後ろに立って胸元を見ようとしている男の子達もいる。
私はタンクトップだから胸元を覗かれても大丈夫だけど乳首が尖っているのがハッキリとわかってしまう。
彌生ちゃんは私の隣で同じ格好をしているけど、脚はピッタリと閉じてる。
一生懸命スカートの方を気にしていたためカワイイアソコは見えないけど、ノースリーブで少しゆとりのある首元や脇からはぽっちりとした乳首まで覗けてしまっていた。
男の子達の視線を強引に振りほどいて結局、ワラビ餅を買い、駅の方へと食べながら歩いていく。
「加奈さん……さっき背中からお尻見えてましたよ」
自分が気付いていなかった痴態を指摘されてしまった。
「そう?彌生ちゃんなんてその可愛いオッパイ見られてたよ」
とささやかな反撃をする。
彌生ちゃんも私もとも気まずいのか恥ずかしいのかその後は黙って歩き続ける。
ポツンポツン
大粒の雨が乾いた道路を濡らしてく。
少し蒸発した雨の匂いが漂ったと思ったら、厚い雲は青空を浸食して真っ暗にしながらその雨足を強めていく。
「きゃぁーっ」「やだぁっ」「うわっ」
他の通行人も慌てて四方八方に散っていく。
私たちも駅の方へと走るが雨宿りができそうなところが見つけられず、びしょ濡れになって服が肌にピッタリと張り付く。
なんとか道の横の小さい公園に屋根のあるベンチを見つけ雨宿りをする。
胸に張り付いているタンクトップを摘み、湿気を逃す。
もう彌生ちゃんなんかは乳首の色が服の上から分かるぐらいびしょ濡れになっている。
一生懸命タオルで雨を拭き取っている。
服が乾いて雨が止むまで二人だけ静かな空間に取り残されてしまった。
ずっと疼きっぱなしだった頭は突飛でもないことを考え出す。
「彌生ちゃん…風邪ひくといけないから濡れた服脱がないと」
支援
日陰から出ると一瞬視界がホワイトアウトする。
眩しさを我慢しながら先に出た加奈さんを探す。
水着と同じようにできるだけ生地が少ない感じの格好をした加奈さんを見つけ、階段を下りていく。
「キャッ」
突風がスカートを捲り上げてしまう。慌てて前を押さえる。
すぐにやんだ悪戯な風を恨めしく思いながらも不安で加奈さんの元に急ぐ。
「……見えました?」
念のため加奈さんに聴いてみる。
「奇麗なスジが一本ね」
「ウソッ!」
加奈さんの小悪魔をも思わせる無邪気な笑顔はウソか本当か疑心暗鬼にさせる。
加奈さんはそのままの顔で追い打ちをかける。
「彌生ちゃん、スカートの中が日差しに透けて身体のライン見えちゃってるよ」
赤外線カメラで見られてるように思えて、頭のてっぺんから脚の指先まで体温が上昇していく。
スースーする胸元と股間が気になりながらも門を出る。
加奈さんはいきなり私の手を引っぱりどこに行くと思ったら、一番行きたくない所が
わかってるかのように人だかりの方へと誘う。
加奈さんは男の子達に紛れて路上に並べられた駄菓子を選ぶ。
いや、選んでいる振りをする。
向かいの男の子を挑発するように大股開きで座っている。
ちょっと短いタンクトップと際どいデニムの短パンは背中どころか、下着を付けてないお尻の割れ目まで見せている。
「彌生ちゃん、こっちとこっちどっちが良いと思う?」
加奈さんは眼で私にも座るよう促す。
その目線に囚われた私も仕方なく色とりどりの駄菓子の前に座る。
いつもは下着が見えないよう気を付けるのに今日はそれすら付けていない。
細心の注意をはらってしゃがむ。
男の子達が指を指すたびに私のアソコが見えているのではないか気になって加奈さんの言葉もすり抜けていってしまう。
お尻の穴にも空気の流れが分かるぐらい下半身に意識が集中してしまう。
『今、風が吹いたらどうなるんだろう…』
衆人環視の中、何も付けていない下半身を露出する。
そんな場面を想像していまい、再び子宮が熱を帯び始める。
冷たく柔らかな食感と共に黒蜜の甘さが口の中に広がる。
「美味しいね」
と隣の加奈さんはきな粉がかかった同じモノを食べながら歩いてる。
容器と爪楊枝を道路脇のゴミ箱に捨てて、再び歩き出す。
先ほどの光景を思い出し、加奈さんに言う。
「加奈さん……さっき背中からお尻見えてましたよ」
気付いてなかったのか瞳を大きくして見つめ返してくる。
逆にこっちの方が恥ずかしくなる。
「そう?彌生ちゃんなんてオッパイ見られてたよ」
そう言われて慌てて手で胸を押さえる。
下半身しか意識していなくってすっかり忘れていた。
オッパイを覗かれてたなんて恥ずかしくてそのまま黙ってしまった。
加奈さんもそれ以降何も言わず、今日の今までの出来事を思い出してるようだった。
日が暮れるにはまだ早いのに、急に西の空が暗くなり始める。
そうかと思ったら駆け足で夕立が街を包み込んだ。
私たちも慌てて雨宿りができる所を探し、再びびしょ濡れになりながらも住宅街の一角の公園を見つけた。
ワンピースは透けて下着を付けていないオッパイやお尻を見せながら街中を走り回っていたなんて、死にたいぐらい恥ずかしくって、でも、なんか気持ちよく感じる自分もいた。
変態な性癖がこのまま加速していきそうで不安になりながらもタオルで水分を吸い取らせる。
裸じゃないけど透けて見える姿は余計羞恥心を掻き立たされるというのに、一緒に雨宿りしている加奈さんはなにもせず私を見つめている。
そして、一言つぶやく。
「彌生ちゃん…風邪ひくといけないから濡れた服脱がないと」
さらにアクセルを踏まれてしまう。
>>622の加奈と
>>626の彌生の続き
湿った肌がくっつくと体温が伝わってくる。
背中に回した手は再び濡れた黒髪を撫で、さらに互いの身体を密着させていく。
唾液と吐息を交換し、感覚を同調させていく。
私の高まりが彼女の高まり、彼女の喘ぎは私の喘ぎ
多分、このまま互いの本名も住所も教えず駅で別れるのだろうとなんとなく分かっている。
しかし、二人はこうして実際に出会い、画面の向こうの虚構の存在ででないことを分かれたあとも思い出すことができるよう、互いに心と体にマーキングをしていく。
私と彼女の二人だけの夏休みの秘密と想い出として……
緑に囲まれた公園の中で夕立のカーテンの向こうに二人の少女が裸で立っている。
その一幅の名画のようで幻想的な光景はそれが絵ではないことを証明するよう徐々にだが体温を持ちながら変化し続けていった………………
<了>
季節外れも良いところですがコレで「加奈の夏休み」、「彌生の夏休み」を終わります。
一つの時系列を二人の視点で書いてみました。別々にでも交互にでも読めるようになっています。(なってるはずですw)
ただ、加奈を先に書いていたので、彌生の方が細かく書いてしまう傾向があって、(いるかどうかしりませんが)加奈ファンには申し訳ないと思ってますw
一応、二人の番外編の構想(これまたもう既に季節外れw)がありますが、来年の一月いっぱいまでリアルが忙しすぎるので休筆?させていただきます
復帰後は「ボランティア委員会」を最優先に執筆・投稿していきますので、首を長くして待ってた方達には大変申し訳有りませんが今しばらくの猶予を…
>>623 キリがいいところでの支援どうもです
>>補完さん
ラストは二人の共通ラストなので
>>627を加奈と彌生の両方に加えてください。
乙です
次作期待してます
お疲れ様です。
「ボランティア委員会」待っています。
(TJさんの描く女性が素敵なので…)
二つの視点で書くというのには考えさせられました。
私では書けないので、うらやましい…。
一人称に四苦八苦して現在挫折中です。二つの視点でとなると…。
>>保管様
お疲れ様です。
クリスマスバージョン、素敵です。
読みやすくなって、私はホクホクしています。
>>TrafficJamさま
ご相談いたしたいことがありますので、
メールいただけたら幸いです。
>補完氏
露出スレでいうのもなんだからここで言わせてもらうが、
「〜が完結しました」とか宣伝するのはどうかと思うぞ。
向こうには直接関係無いんだし
保管だった
>>634 露出スレはもともと作品紹介用スレなので、
スレの趣旨に合う作品であるかぎり紹介しても良いのではないでしょうか?
「解毒剤?」
「そう。ほしい?」
「もちろんです」
「じゃあこれを穿きなさい」
美晴先生は黒い布切れをさしだした。
「これは……?」
手にとって広げてみる。
「やだあ……」
ユカの全身はふるえてきた。
見た目はブルマーだが、またぐらの内側に大きく隆起したものがある。
これを穿いたらどうなるか明白だった。
先日、コスプレ会場でつけた擬似ペニスパンティと丁度正反対の、ヴァギナに人工ペニスが突き刺さる用途のものである。
「こ、こんなものを着けるんですか? ひどいです!」
「だって解毒剤がその突起に塗ってあるの。催淫剤は経口薬だったけど、解毒剤は直接性器に塗らないと用途をなさないの。それも奥深くね。だからこんな形のパンツを穿かなきゃならないってわけ」
「でも……どうしてこれブルマーになっているんですか?」
「あら、だって次の授業は体育でしょう? それをつけて運動しなさいな」
「そんな! わたしそんなことできません」
いくらエッチが心から好きなユカとはいえ、そんな色情狂のような真似はできない。
「あら、じゃあ、体育の時間に好きなだけイキまくるのね」
「そ、そんな。……わかりました。」
恨めし気に美晴先生を見て、素肌にペニスブルマーをつけるユカだ。
「そのかわりもうこんな真似はやめてください。あんまり酷いことをされると、わたしだって考えがあります。PTAとかに今度はこっちが訴えますよ」
「わかったわ……やりすぎたのは謝るから。ブルマーの穿きごごちはどう?」
笑顔で聞いてくる美晴先生だ。
(ん……んん、おまんこに入ってくるよお……)
ユカは思わず、ぐいっとブルマーを引き上げてしまう。
「どう? 少しは落ち着いた?」
「……そうですね。大丈夫みたい」
「しばらくつけていないと薬の効果はないから。今度の授業の間はそれで我慢してね」
にっこり微笑む美晴先生だった。
モッコリ・マンというあだ名のある尾崎体育教師の授業は男子生徒には好評、女子生徒には不評である。
奇妙な運動ばかりさせるからだ。
今日もそのおかしな運動をさせられることになった。
尻を床について、足を広げ、腰を上下に動かす体操である。
男子生徒たちの前に女生徒を一列に並べて足を広げさせる。
(なにこれ……あたしたち見世物じゃないわよ……)
不満なユカだ。
だいいちこれではペニスブルマーが男子生徒から丸見えである。
外見は普通のブルマーと変わらないとはいえ、ばれてしまったらどうしようと気が気ではないユカだ。
モッコリ・マンなどという別名がある通り、尾崎教諭のジャージはいつも盛り上がっている。
20代後半の教諭でまあまあハンサムな部類ではあるがユカの好みではない。
しかしどうしたことだろう。
今日は不思議と尾崎が魅力的に見える。
(ん……なんなの! トロトロあそこからジュースがあふれてきてる!)
ヴァギナを深々と抉っている擬似ペニスの与える快楽にユカは思わず腰を動かした。
「こらあ! 西野! まだ運動は始まっていないぞ」
尾崎が怒鳴る。
「は、はい……」
消え入るような声で答えるユカ。
だが下半身の異変はいっかな治まることがない。
おかしい。
解毒剤が効いているはずではないのか。
「よおし。では体操を始める。女子は腰を落とし、両足を開く。腕を後ろに回して全身をささえろ。そうして、足を広げたまま腰を浮かせて上下させる。この運動をすると、足腰がとても丈夫になる。では、始め!」
おずおずとユカは腰を動かして運動を始めた。
(ん……しみる……)
腰が動くたびヴァギナに食い込んだ擬似ペニスがユカを突きさす。
「西野! もっとちゃんと運動しないかあ!」
尾崎が今度はさっきと別のことを言う。
(もう……尾崎先生最低……)
しぶしぶユカは律動を激しくする。
しかしその動きに比例してヴァギナへの快感が増していく。
(んんっ? なんなの! どんどん気持ちよくなるよおッ!)
自分の意志とは別に腰の動きがさらに過激になっていく。
(どうして? どうして? ユカ、またいっちゃうよおッ!)
その時だ。
ユカの内部に収められた人工ペニスが律動を始めた。
「!」
絶妙な動作といえた。
緩やかに動いてユカを安心させたかと思うと、隙を突くように激しいうねりを加えてくる。
(そ、そんな! これ、電動式バイブだったの?)
ブルマーの内部に仕込まれた太い擬似男根に陵辱されながら、快楽の波に腰をつきあげるユカだ。
生徒たちと尾崎は異様な雰囲気にしん、としている。
(す、すごい! いっちゃう! いっちゃう! バイブでユカいかされちゃうよおッ! すごいよ、
もっと突き上げてほしいよ! ユカのおまんこ滅茶苦茶にしてえッ!)
クラス中の人間にいやらしいブルマの股間を見せつけるユカだ。
(み、みんな見てるうッ! みんなユカのブルマ見てるよおッ! おまんこ、ぐりぐりされてる
ユカの淫乱な姿全部見られてるッう!)
仰向けになったまま腰をぐうっと天に突き出すようにしてユカは絶頂した。
(いいいいッ! ユカいきます! いっちゃいますうッ!)
性玩具着きブルマーをべとべとの愛液で汚しながら、ユカはエクスタシーに達した。
しかし快楽地獄はまだ終っていなかった。
(ま、またいっちゃう?)
深い絶頂感を味わったというのに、息つく暇もなく再び快楽の魔の手がユカを襲った。
(だめええッ。もういけないよおッ! おまんここわれちゃうよおッ!)
しかしユカのヴァギナは悦楽の痙攣を止めることなく、擬似ペニスを貪っていく。
ペニスもそれに応えるように、動きを加速させていった。
(うわあああッ! どうしてこんなに何度もいくのおッ! もうダメ頭がおかしくなっちゃうよおッ!)
ユカは本気で己がおかしくなってしまうのではないかと恐れた。
どうすればいいのか。
我慢をすればするほど、快楽で爆発しそうになる。
(そうだ。思いきり声を上げよう。そうすれば少しは楽になるかも)
そう考えた時にはもう甲高い声をはりあげていた。
「尾崎先生! クラスのみんなッ! ユカのエッチなブルマー見てえッ! ユカいっぱいいっちゃう!
だめえッ! 止まらないの! 何度も何度もいっちゃうのおッ! ブルマーの中でびくびく動いてるユカのおまんこ、
みんなの視線で犯してえッ! 犯して何度も何度もユカをいかせてえッ!」
尾崎だけではなく男子生徒たち全員が勃起していた。
あるものなどは射精に到ったのだろう、体育着の短パンの前を汚していた。
反面女生徒たちは眉をひそめうつむいている。
荒波のように繰り返し打ち寄せる快楽で気を失う前、ユカは見た。
体育館の隅に美晴先生がにっこりと笑いながらユカを眺めていた。
手の中にあるのはリモコン?
その時ユカはまたしても罠にかけられたことを知った。
>>ヘア解禁さん
どきどきしました。
この先どうなるのかとっても楽しみです。
>>TJさん
お返事しましたー。
『西野! 授業中のこの態度はなんだ! 放課後、体育準備室に来い!』
ひとしきり絶頂を味わった後、ユカは尾崎に命令された。
確かにあんな痴態をさらけ出したのだ。怒られない方がどうかしている。
周囲のクラスメートの視線にはさすがにまいった。
男子生徒たちはいやらしい視線を投げかけてくるし、女生徒たちは軽蔑の白い目である。
それよりも困ったのは快楽のうずきがまだ治まっていないということだった。
「ユカちゃん、すごかったね」
体育の授業中すれ違いさまに只野に声をかけられ、ぽんと肩を叩かれただけで、びくッびくッと感じてしまうユカだ。
(おかしいよ……これ絶対おかしい……。ユカいくらなんでもこんなにエッチなコじゃないもん!)
しかし身体は正直だ。
今は律動を止めたブルマーバイブを使ってオナニーをしたい誘惑を抑えながら、どうにかユカは授業をやりすごした。
「どういうことですか?」
また同じセリフを美晴先生に投げつけたユカだ。
体育の授業が終っても美晴先生は体育館に残っていた。
憤怒に燃えて、食いかかるユカだ。
美晴先生はくすくす笑っていった。
「あら? だってあんなに悦んでいたのに、文句言うなんておかしいわよ、ユカちゃん」
「いったいわたしに何をしたんですか?」
「このこと?」
言ってこれみよがしにリモコンをとりだすと、スイッチを入れる美晴先生だ。
「やン!」
またしても下半身にずーんという快楽の波動を送り込まれ思わずしゃがみこんでしまう。
「解毒剤というのはウソ。バイブに塗ってあるのは催淫増強剤よ」
「ひ、ひどい……」
床にぺたりとへたりこんで悦楽の呻きを噛み殺すユカ。
「これで経口薬と内臓部の両方にしっかり薬効を埋めこんだから。あと24時間はあなたいき続けるわよ」
「そ、そんな。そんなにいったらわたし死んじゃいます」
ニコニコ嬉しそうにしながら美晴先生は言った。
「じゃあ、本当の解毒剤を教えてあげる」
「は、はい」
「その代わり」
「な、なんですか?」
「これからわたしの性奴隷として毎日保健室でご奉仕すること。そうそうあなた一人じゃ物足りないから、だれか仲間を連れてくるのね。わたしの淫乱セックスペットになることを誓えるなら、解毒剤を教えてあげる」
「わ、わかりました」
咄嗟にユカがレズ用の性処理道具として秀夫先輩からもらいうけた由美子先輩のことが頭に浮かんだ。
彼女には悪いが、一緒に美晴先生のご奉仕奴隷になってもらおう……。
「それで解毒剤はどこにあるんですか?」
「今は持ってないの」
「それじゃどこにあるんですか」
「わたしのまわりを探してもどこにもないわよ」
「言ってることがわかりません。解毒剤はあるんですか? ないんですか?」
「解毒剤はあるわ。男の人の身体の中にね」
「そ、それって……」
ユカはいやな予感がした。
「スペルマが解毒剤なの」
があん、とショックを受けるユカだ。
しかし美晴先生の顔は極めて真面目で、今度はウソを言っていないようである。
「今から一時間以内に、お口とあそこの両方に精液を注ぎ込んでもらわないと、解毒効果はでないの。
時間切れになったらこれから丸一日ユカちゃんは快楽地獄でイキまくることになるわ」
それを聞いて蒼ざめるユカだ。
もう放課後である。
最近、秀夫先輩はリクと共に放課後になるとそそくさと退校する。
そうして家でコスプレエッチに興じているのだ。
もう秀夫は校内には残っていないだろう。
とすると秀夫の精液は当てにできない。
しかもこれから尾崎のいる体育準備室に行かなければならないのだ。
お説教を聞いているうちに一時間などあっという間にたってしまうだろう。
「あなたがなにを考えているかわかるわ」
美晴先生は心底面白そうに言った。
(悪魔……)
ユカの内心の声など気づくそぶりもなく、美晴先生は言葉を続けた。
「こうなったら尾崎先生から精液をもらうしかないわね。一生懸命お願いしてごらんなさい」
「むりです。学校の先生の精液を注いでもらうなんて!」
「いい方法があるの」
今日はさっきの所までにするつもりだったんですが、TJさんと補完さんの言葉に励まされて
続きを書いてみました。
このさらに続きは……今日はもうムリかなあ??
相変わらず期待せずに気長にお待ちいただければ幸いです。
期待しながら気長にお待ちいたします。
ヘアさんほどの文章の盛り上がりと勢いを持ってくことができなかったので、良い勉強になりました。
自分はもっと気長に待たせてしまってますw
602からのつづき
二人がクラブの玄関を出ると、外はすっかり日が暮れていた。
「たぁいへん!早く帰らなきゃ」佐和子は杉野に
「じゃ、またね」と言って帰ろうとする。
佐和子を自宅まで送ろうと思っていた杉野は慌てて
「あ、送るよ送るよ」と言って引きとめようとした。
だが佐和子は「いいわ、旦那に嫉妬されちゃう」とクスっと笑った。
2度も抱かせておいて嫉妬もないもんだと思ったが、
無理強いするのも変だし杉野は「そっか、じゃ気をつけて」と
言って手を振った。
杉野は名残惜しそうに佐和子の姿が見えなくなるまで見送った。
それとは裏腹に佐和子は一度も振り返る事もなく駅の方角に消えていった。
完全に見えなくなったのを確認すると杉野は車に乗り込み
テニスコートを後にした。繁華街のネオンの光と対向車線を走る
車のヘッドライトで杉野の顔が定期的に光る。
杉野はその光の中に佐和子との情交を映し出していた。
佐和子の柔らかな乳房を夢想して手を握ってみる・・
それだけでも二度も吐き出した杉野の欲情はふつふつと沸き立った。
本音を言えば、彼女を送る車の中で次に抱ける約束を取り付けたかったが
見事にすかされてしまった。杉野の心の中に占める佐和子の割合が
自分が守り育ててきた家庭の存在を凌駕しつつあった。
杉野は自宅のマンションに到着し、ガチャリとドアを開ける。
ほのかにただよう夕げの香りが杉野の鼻をくすぐる。
一気にただれたさっきまでの情事が気まずいものに思えてくる・・
そして自分だけ立ち入ってはいけないような疎外感を感じた。
妻由紀は夫の帰宅に気付き「おかえりなさい、今日はごめんなさい
行けなくて」と謝った。
「いや、いいんだ」と杉野は言った。「楽しかった?」由紀は台所に
向かいながら聞いた。「ああ・・まぁ」と杉野は生返事をした。
由紀はそれ以上聞いてこなかった。深く聞かれるとさすがの杉野でも
ばつが悪いので、こういう時は妻が大人しい性格なのは助かる。
クラブのマッチなども由紀は深く追及せずにしまってあったりする。
はっきり言って妻が何を考えているのか分からない時が杉野にはあった。
若い時は妻のモデル顔負けのスタイルと美貌を自慢したくて
よく友達などの飲み会にも連れて行ったりした。
一種のブランド服みたいなもんだったのかもしらない。
結婚後も不満も一切言わずによくやってくれているし何か具体的な
不満があるわけではなかった。が、やはり杉野が佐和子に惹かれたのは
間違いなく由紀の大人しさにあった。
ふいに「夕食まだ時間かかるけど、お風呂先にする?」と由紀が言った。
「あ、え?あぁ・・腹が減ってるから待つよ」と杉野は応えた。
由紀は黙って手を動かしている。自然に杉野は妻のエプロン姿を佐和子に
置き換えていた。テニスコート裏で渾身の力で責め立てた佐和子の尻と
背中の肉が苦しそうに波打つ情景がリアルに甦る。のぼせた顔で
杉野は妻の後姿に見入っていた。後ろのソファーでは何も知らない
7歳の娘が無邪気に絵を描いている。
おもむろに杉野は立ち上がると妻に近付いた。
由紀は夫の気配に気付き野菜を刻みながら「なに?」と言った。
「今晩どうかな?・・何か苛々してるんだ・・」
「どうしたの?」
「いや・・今日高山も来れなくてさ、高山の奥さんをマンツーマンで
指導したんだ。人妻の色気にやられたのかな?」と杉野は悪びれる
事も無く言った。
妻は口元だけ笑みを洩らし、そしてコクっと頷いた。
そんな両親の夜の営みの密約など知る由もなく娘はまだお絵かきに
熱中している。杉野は娘のちょっと前で胡坐をかき、
また由紀の後姿に見入っていた。杉野が2度のSEXでも性欲が
抑えられないのには訳があった。結局佐和子の膣内で思いを
遂げられなかった事が欲求不満となり、ブスブスと不完全燃焼を
起こしていたのだ。そのやるせない気持ちを妻に置き換え、
思いを遂げようと思った。
杉野は佐和子の顔を想定し、理不尽にも妻を抱こうという企みを
持っていた。下半身は気が早くも中出しを想定し立派に膨張している。
トランクス姿の杉野の勃起は丸見えで、後ろで絵を描いていた娘が
父親の下半身の見慣れない出っ張りが何なのか興味深げに見入って
いる事に杉野が気付くよしもなかった。
つづく
いきなり娘の舞は父親の勃起に「うわぁパパのここおっきくなってるぅ・・」
と言いながら無邪気に手を伸ばしてきた。
「うぁ!・・こっこら、ま、まいっ」妄想にふけって隆起しきった急所を
娘にまさぐられ、杉野は身をよじった。
まだ性に関する予備知識の無い娘は、父の過剰な反応を面白がって
さらにサワサワとトランクスの上から砲身を触り続ける
「おぅ、おっ、おっ・・・」自分の手の動きに合わせ父親がビクビクッと
反応するのを舞は嬉々として喜んだ。
いつもの杉野なら事も無げに娘をたしなめて終わるのだが、一度家族の
タブーを犯し快楽に溺れた杉野の自制心の防波堤は極端に脆いものに
なっていた。このまま快楽の波に浸っていたいという思いが、娘を
止めるという気持ちを侵食していく。
舞の無垢な両手は父親の気持ちを察する訳も無く気持ちよさそうに
恍惚とした表情を浮かべる実の父親のペニスを慰めつづけた。
舞は「パパ気持ちいーのぉ?」クリクリとした眼で興味深そうに
父親の表情を見上げている・・。
「う、うん・・あ、いや・・おっお・・」父親の仕草は舞が父親に
してやる肩揉みの時のそれに酷似していた為、舞は自分の行為が
親孝行をしていると大きな勘違いをしていた。
(あぁ・・・出そうだ。出したい・・あ・・)杉野は官能の波の
中で無垢な娘の手の平の中に放精したいという気持ちに駆られた。
最初娘を制する為に伸ばされた両手はワタワタと中を泳ぎ、
顔は子煩悩な父親としての表情から女児に悪戯をする変質者の
それに変化していった・・。
いきなり杉野は娘を抱き上げると、すっくと立ち上がり由紀に
「やっぱり舞と風呂入ってくる」と言った。
夫の変化に気付かない由紀は「そう」と言ったきりまだ台所に
向かっている。
生まれたままの姿になった父娘は風呂場に入る。
そこで初めて舞はトランクスの中に隠されていたペニスを
生で見た。「おぉ〜」という歓声をあげて感心しながら
その得体の知れない下半身の突起物に見入った。
青筋を立て時折ピクピクと動く砲身に舞は
「生きてるみたいだねぇ・・」と素直な感想を洩らした。
「男の子のここを、こうして擦ると気持ちよくなって
おっきくなってくるんだ」杉野はそう言うと自分で砲身を
しごいて見せた。舞は目を丸くして父親の表情とペニスを
交互に見ている。「そして最後に先っぽから赤ちゃんを作る
ミルクが出るんだよ」と杉野が教える。
「ミルクぅ?・・」おっしこしか出ないと思っていた舞は
驚きの表情を浮かべた。
「そう、見たい?」と聞くと、すかさず舞はうんうんと頷いた。
「自分でこうして擦っても出るんだけど、女の子にやってもらった
方が気持ちよくなるんだ・・。舞ちゃんさっきみたいにやって
くれないかな・・」と杉野は無知な娘を利用し変体行為を要求した。
舞は「うん、いいよ」とあっけらかんと応え父親のペニスに
手を伸ばした。
いたいけな娘の両手に包まれ杉野は恍惚の表情を浮かべる。
「あぁ・・気持ちいい。舞ちゃん上手だなぁ・・」と父親に
褒められると嬉しくなって懸命に父親の砲身を慰めつづけた。
まるでイソギンチャクにでも愛撫されているかのような
快感と実の娘に慰められているという興奮が既に最高潮に
達しつつあった。
舞は父親の表情を観察しながら、より気持ち良さそうな反応を
する部分を探っている。どうやら亀頭部の裏に急所が
ある事をつきとめ、そこを指先でぐるぐると円を描くように
刺激した。たまらず杉野は悶絶し「うっぐ・・おっおっおぉ」
とうめいた。先端からテカリを帯びた粘液がぷっくりと光っている。
舞は「パパぁ、おしっこ出てきてるよぅ」とクリクリと
見上げながら言った。
「あっ、いやっちがっ・・そ、それはオチ○チンが気持ちよくなってきた
証拠なんだ・・」ともがきながら弁明する。
既に砲身は射精の予兆でブルブルと小刻みに震え始めている。
睾丸も収縮をはじめ精液を送り出すため上がり始めていた。
「あ、あ・・出る出る舞ちゃんミルクも出ちゃうから、お口開けて」
と実の娘に何と口内射精の要求をした。
何も知らない舞はいたいけな口を開け巨大な父親の先端を
頬張った。娘の口内の暖かみに包まれ杉野は「あぁ気持ちいい」
とまるで湯船に浸かったような満足そうな声をあげた。
舞は精一杯口を開け父親に誘導される通り根元をしごき続ける。
「あっあでるでる出るからね舞ちゃん全部飲んでね・・」
と父親が無茶な要求をすると舞は見上げながら素直に頷いた。
「うっうぉ〜」と杉野は吼えると射精を開始した。
けな気な娘は父親の要求通り、くっくっくっと喉を動かし
懸命に偽りのエキスを飲み込んでいる。
杉野は吸い込まれる快感に耐えかねぶるぶると下半身を
震わせながら娘の頭を抱え込んだ。
最後の一滴が出来るまで砲身をしごかせ飲み干させると
娘の口から一物を引き抜いた。
舞は「にっがぁいぃ・・」と眉間に皺を寄せ父親を責めるように見上げた。
口元から抜かれた拍子に溢れた父親の精液がヨーグルトを
飲みこぼしたように口の周りにへばり付いている。
杉野はそれを手でこそげ取ると娘に見せ
「ほら、これが赤ちゃんを作るミルクだよ。これが女の子のここに
入ると赤ちゃんが出来るんだ」と言って幼い我が子の割れ目をつついた。
さっきまで怒っていた表情が変わり舞は興味深げに、おしっこ以外の
物が出るんだという事を不思議そうな顔で見ていた。
「舞はまだ子供だから無理だけどね」と笑いながら娘を抱き上げ
湯船に浸からせた。
「おっきくなったら出来るの?」と舞は不思議そうに聞く。
「うん、ママくらいになったら出来るよ」と言いながら杉野は
娘の口の周りに付いた自分の精液を洗い流してやった。
「そうだ、ママとパパが赤ちゃんを作ってるとこ見てみたい?」
と、いきなりとんでもないことを杉野は聞いた。
舞はうんうんと頷く。
「じゃあね、ちょっと耳貸して」と言って杉野は舞に
ゴニョゴニョと耳打ちをした。
舞は目をキョロキョロさせながらちょっと興奮気味に聞いている。
杉野は娘の耳から口を離すと「ママにはシーだからね」と言って
口に指を当てた。舞は素直に「うん、わかったよ」と言って笑った。
風呂から上がった杉野の目は鈍く曇り鬼畜の表情を浮かべていた。
あまり下がるとさみしくなるので。
>>保管サイト担当様
合いの手ありがとうございます
食事の間、舞はチロチロと母親と父親の顔を落ち着き無く見ている。
由紀は娘の雰囲気に気付いていない。「おかわりは?」と
既に空になった茶碗を取ろうとするが舞は首をぷるぷると横に振って
「いらなぁい」と言った。
いつもおかわりをするのに不思議に思った由紀は
「どうしたの?あんまり美味しくなかった?」と娘の表情を
じっと見つめた。
「今日はね、あんましお腹空いてないの、ごちそうさま」と言うと
舞はお行儀良く自分の食器を台所に運んだ。
その姿を由紀はちょっと心配そうに見ている。
娘の落ち着かない理由を知っている杉野は「だいじょうぶだよ」と
心配そうな由紀に言った。
「そうかしら・・」と由紀は言いながら自分の食器と夫の食器も
片付けようとする。杉野は「あ、いいよいいよ舞が自分で運んでる
のに僕が運ばないと教育上変だろ?」と言って自分の物を運んだ。
舞はしばらくすると眠そうな顔をしだし、目を擦りながら
「ママー、眠くなった・・」と母親に言った。
「あら今日は早いのね・・やっぱりちょっと体調悪いのかしら・・」
とやはりちょっと心配だという表情をする。
「今日は色々と遊んで疲れたんだろ?」と杉野は心配無いという
顔をしている。由紀はちょっと夫を睨んだ。
由紀は自分を早く抱きたい為に夫がさっさと娘を寝かしつけようと
いう態度が感じられて少し腹が立った。が、それを口に出さないのが
由紀の性格だった。
由紀は寝室に舞を連れて行き、寝静まるまでじっとそこを動かない。
じらされてたまらないのは杉野の方で、その間も杉野の妄想の
中ではあぁもしようこうもしようと今日のSEXプランを勝手に
描いている。下半身は既に充血しいつでも妻を貫ける準備は整っていた。
少し落ち着くため自分でお茶を入れていると、由紀が戻ってきた。
杉野は慌ててポットのお湯を途中で止めると「どうだった?」と
少しは心配しているように努力した。「うん、多分大丈夫みたい・・」
と由紀は少し安堵の表情を浮かべた。
由紀はテーブルの上を拭こうと布巾を取ると、手ぐすねを引いていた
杉野は背後から由紀を抱きすくめた。
「きゃ、ちょっ・・待って!ここじゃ聞こえちゃう」
急な夫の欲情を抑えようと由紀は振り返ると夫の胸を押す。
が、楽々と手を払い除けられると唇を奪われた。
「んぐっ!ぐっ・・んっ・・あ、ん」と声を上げ抵抗していたが、
由紀の手は夫を引き離す為から抱きかかえる為のものに変わっていった。
エプロンをまくり上げ、褐色のセーターの中に手を潜り込ませると
形の良い乳房が顔を出した。由紀の柔らかい乳房は屈強な杉野の
指によって変幻自在に形を変える。指でピンクの乳首を弄ぶと
次第に隆起していった。いつしか由紀はハァハァと夫の愛撫に
熱い息を洩らすようになっている。杉野は娘の寝室の扉をちらりと
見る・・。少しだけ開かれた隙間から先程寝たはずの娘の目だけが
覗いていた。
つづく
>>614の続き
第6章
「ザンっ!はな・・な・・!!」
ベッドに半ば投げられるように落とされたサラの唇は腫れ、砂嵐の中に置き去りにされたように髪はクシャクシャだった。
彼がのしかかるように覆いかぶさってきたのを見て、くるりと転がってベッドから降りようとしたが間に合わず、両手首
を捕まれ押さえつけられた。
蹴ろうとしたが、すかさず足も押さえられ開いた腿の間に彼の身体がある。
荒い呼吸のため胸が大きく上下して頬が朱く染まる。
男の重みも疲れた身体に負担をかけていた。
彼は、徐々に脱力していくサラの様子を観察しつつ頃合をまっていた。
そして、何の躊躇もなく布を引き裂き、サラの身に付けていたものを取り払い、
一糸纏わぬ裸体を露にした。
冷酷な瞳が賞賛の色を帯びてサラの全身をなぞる。
滑らかな肌、やや小ぶりな2つの柔らかい、形の良い美しい乳房、花の色のような乳首、
臍の下に位置するふっくらとした丘と茂み、さらにその奥にあるもの。
彼はぞくぞくするような高ぶりが血のように全身を駆け巡っていくのを感じた。
サラは最後の力を振り絞り、男の身体の下で身をよじる。
この行為が彼の自制心を破り、怒りに火をつけた。
「痛い思いをしたいのか?」
恐ろしく低い声が響く。
彼は片手でサラの両手を押さえつけたまま、欲望で反り返った自分の太いペニスをサラの中心に導いた。
そして、何の準備もされていないその内に一気に突き入れた。
一切の前戯もなくあまりにも唐突で残酷な行為。
下半身を切り裂くような痛みと凄まじい違和感がサラを襲う。
男を迎え入れるのは何年ぶりか、あの陵辱の日以来の、サラにとっては初めての時のような激しい痛みだった。
あの日と同様、そこに思いやりもいたわりも皆無だった。
あるのは男の欲望と支配欲のみ。
「あ!!・・・ああっ!!・・うう・・う・あ・」
痛みのあまり声が漏れ、苦痛から逃がれようと身体をひくが彼は許さなかった。
サラの腰の下に腕を回し軽く持ち上げ、ゆっくりと腰を引いた。
つかの間の痛みの休息にサラの身体から力が抜け、安堵のため息が漏れる。
彼はサラの腰を抱えたまま片膝を立て、サラの両腿を大きく開き力をこめて再び強引に押し込んだ。
衝撃の大きさにサラの両目はカッと見開き、悲鳴がほとばしった。
苦痛の悲鳴。
「ああっー!!う・・・ぐうっ」
彼はサラの口を封じ悲鳴を呑み込む。そのまま彼は腰を振りはじめる。
奥へ奥へ、どんなに深く突いても足りないかのように、打ちつけた。
サラの瞳から怒りと恐れが失せ、苦痛と絶望と哀しみが宿る。
そして、ずるりとサラの全身から力が抜けた。
痛みと衝撃のためサラは意識を手放したが、彼はそのまま突きつづけ、ついに自分を解放した。
汗まみれの身体をサラに押し付け、射精直後の心地良い開放感と脱力感を堪能する。
サラの身体が準備がされていなかったことは彼にとっても楽なことではなかった。
激しい行為がサラの内を傷つけシーツに点々と出血の後が付いていた。
第6章 つづく
つづき待ってますよー!
696 :
名無しさん@ピンキー:03/12/10 12:45
前の保管サイトは観れたけど、今回のは容量オーバー?で観れないんです
携帯からは無理かな?
教えて下さい
|ヽ
|ヽヽ
. |::ヽヽ
|└| |
|┘| |おまいらは爽やか!
,、,,,,,、 |└| |
==ロ=ロ |│| |
。。 ,、7、 彡y・ヤ・)◇_|_|
§ †(,゚マ゚) /);:;;::;(っl
§ cギc) ヽ/;;:λ;「
。゚ u u (_)__)
Your is 爽やか! Your is 爽やか! Your is 爽やか!
貴方は爽やか! 貴方は爽やか! 貴方は爽やか!
>>696 アクセスログを見るかぎりでは、
docomo ez voda
から見ている人はいるみたいです。
何kbのページまでなら見ることができますか?
それによって多少レイアウトなども考慮しますが。
vodafoneでみれたよ
>>695 読みました。
上手いですねープロみたい
生まれて初めて書いたエロ小説です。
無駄に長い、本番はまだ等、多々問題はありますが、生暖かくお願いします。
「ねえねえ知ってる?」
「何を?」
「うちの学校で一番有名な怪談って、六不思議だよね? だけど、2年前まではちゃんと七つ不思議があったらしいのよ」
「知ってるわよ。最後の一つの怪談は……って話が続くんでしょ? 今までいくつも聞いた事あるんだから」
「うんうん。この話はホントだよ。6年前の新聞に載ってたのを、うちの姉貴が新聞で見つけてきたんだから。体育倉庫の機材崩落事故で死んだ、二人の姉妹の話……」
「コレがそのコピー? ……ふーん。ホントの話みたいね。なんでこれが噂になって流れてないの?」
「それはね。PTAがもみ消したかららしいのよ。なんでもね。この二人、体育倉庫で、寝てたらしいの」
「寝てた?」
「二人共、素っ裸で」
「……」
「それで、先生に見つけられて、逃げようとした時に、機材倒してそのせいで死んだらしいよ。その先生、男性だったから、強姦した疑いかけられて、結局仕事をやめたらしいよ。こんなの漏れたら誰もうちの学校来なくなるじゃん? うち進学校だし」
「……それは嘘だと思うよ。だって、仮にその姉妹が『淫乱野郎の同性愛者』だったとしても、体育倉庫なんかでする必要ないじゃない」
うちの学校の体育倉庫には、何故か中央に何も置いていない空間があった。その空間は、ちょうどマットをしけるくらいの広さだった。その事実に、今ようやく気付いた。マットをここにしいたまま部屋を出て行ったのは、一体誰だ?
「来たね」
奥の跳び箱の影から、人影が出てきた。
「もう、8分で昼休み終わっちゃうよ。どうしてこんなに遅れたの?」
跳び箱の影にいたのは、女だった。
その女は、影から立ち上がると、俺の方を見た。
背は、ちょうど俺の首までの高さ。腰までとどく長さの黒髪。ブスな生徒からは「体型がごまかせない」と嫌われ、美人の生徒は「この服かわいい」と絶賛する、うちの学校の制服を見事に着こなしていた。
「私、手紙には、ここに一時って書いたよね」
「ああ。そう書いてあった」
「なんでこんなに遅れたの?」
そんな事を言いながら、女は俺に向かって歩いてきた。
「下駄箱に、いきなり『昼休みに体育倉庫で待ってます』なんて手紙が入ってて、信じる奴がいるわけが……」
俺の口は、思わず止まった。
女の顔が、俺の顔から6センチの所にあった。
「バカだねえ……」
その言葉と同時に、股間に何かがぶつかってきた。
「え?」
下を見ると、俺の股間に女の右手が添えられていた。
「え?」
「逃げようとしたら、痛くするよ」
「え?」
そう言って、女は左手を俺の首に回してきた。女は顔を下に向け、俺そのまま頭の頂上の部分を俺の胸にぶつけてきた。
「絶対に逃げられないからねー」
女の声は、喜んでいるようだった。俺の気のせいだろうか?
「始まりー」
「! な……」
女は、俺のモノをもみ始めた。女の右手は、最初に俺の睾丸と陰茎の形を調べるようになでた後、陰茎と睾丸を交互に、痛くない程度の力で、揉んできた。
俺は言った。
「何やってんだ……お前」
俺の声は、明らかに上ずっていた。
「あーダメダメそのまま動かないでー。もうちょっとだからさ。……ん?」
自分のモノは、勃起し始めた。
首にかけられていた左手がどけられた。同時に、女は首を上げてこちらを見てニコリと笑った。目が大きく、柔らかそうな唇が印象に残った。
「少なくとも1週間以上、は女も抱いてないし、抜いてもない、でしょ?」
左手も、股間に近づいていく。
「なんでんな事わかるんだよ」
左手は、ズボンのジッパーにかけられた。その間も、右手は、休みなく俺のモノをもみ続ける。
「君のタマがね。大きかったんだよ。しばらく使ってないと、こうなるんだよね」
そう言うと、女は俺のトランクスの穴から棒を取り出した。
「それに、いくらなんでも早すぎるからねー」
肌色の棒か、少女の手で包まれた。
「……」
そのまま、手は動かなかった。
「……」
その体勢のまま、5秒が経過した。
「……おい。お前」
「なーにー?」
女は、芝居かかった口調で言った。
「さっさとしろ」
「何をー?」
「……さっさと、こすれ」
「どうしてー?」
「どうしてって……」
「私とあなた、彼氏と彼女でもないのに、どうしてこんな事しなきゃいけないのー?」
「……」
たしかに、下駄箱に入ってた手紙にはそう書いてあった。しかし、今の今まで、そんな事は忘れていた。
忘れていたのは、間違いなくこの女のせいだ。
「……付き合ってやる。だから、早くやってくれ」
俺の我慢は、限界に近づいていた。
「二つ約束して」
俺の我慢は限界に近づいていた。
「まず一つ目。他の女を抱かない事。付き合ってもいいよ。ただし、抱かない事。二つ目……」
俺は、女の胸に手を伸ばした。
――ひゅっ
女の左手が飛んできて、俺の手を止めた。
「二つ目。オナニーをしない事。この二つの条件を呑めば、何でも好きな事をさせてあげる」
オナニーしない?
「……わかった。しない。だから、はやくしてくれ」
与えられる餌と取られる餌を比べれば、この選択に迷う奴はいないと思う。
女は、ぷっと吹き出した。
「硬くなってるねえ」
そう言うと、女は一瞬、モノを握っていた右手に力をこめた。
「くっ……」
俺は、股間からくる何かに、思わず声を出した。女は今までに一人しか抱いていなかったが、この女がとんでもなく「上手い」事は間違いなかった。
が、その手がどけられた。
そして、彼女は一歩下がる。俺の右手は、今も女の左手につかまれたままだった。
「おい……」
「こっちが先の方が、良くない?」
女は、スカートの中に入れていたシャツの端を右手でつかみ、引っ張り出した。
だが、シャツをたくし上げて肌を全部露出させたりはしない。
女は、俺の右手を、スカートのゴムの部分にコツンと当てた。
また、手はそこで動かなくなった。
「上と下、どっちを先にしたい?」
もうじき1万ヒットです。
708 :
保管サイト担当 ◆G6orYY7knM :03/12/16 01:34
>>707 遥の続きを保管。長い話です。
年末でみなさん忙しいのでしょうか。
忘れていませんよ〜。
リアルが忙しいのとなかなか思うように筆が進まないのと両方です。
次回作は「星の指輪」の続編?です。
来生涼子と南良明のその後、の話を予定しています。
が、下書きに手を入れたらエロ小説じゃなくなって
普通のダラダラした読みにくい小説になってしまいました。
これはいかんと書き直しております。
わがまま言いますがもう少し待ってくださるとありがたいです。
ずっと「上げていた」という謹慎期間も残っているでしょうし。
(反省してます。…下がっていますよね?)
以上、次回予告でした。
にゃん
事故りました・・・
しばらく休憩させていただきたく・・・
>>711 事故って、、、大丈夫ですか?
無理せずお大事に。健康が一番ですから。
補完サイトに繋がらない…おなろうとおもってたのに
作家さーん、お願いします
716 :
名無しさん@ピンキー:03/12/22 17:26
かも〜ん
717 :
名無しさん@ピンキー:03/12/22 18:08
急にシンとしちゃったね
年末ですから。。。
>>715-718 男「犯すぞ」
女「いや!」
男「ほれほれ」
女「あんあん」
男「いくぞ」
女「やめて」
男「うっ」
女「ああっ」
おわり
アク禁でかきこめません。 解除まで待ちます。
>>721 何げにsageがまた全角になっている訳だが...
かきこむ前に直されるが吉
失礼、携帯からだったので自爆しました。
重ね重ねのご指摘ありがとうございます。
メリークリスマス、でございます。
年越し投入の可能性大なのですが、キリが良いところまで。
補足説明させていただくと、章立てにして、
場面切り替えの時に※※※の印を入れました。
読みにくいようでしたらまた考えます。ご意見ください。
藤原忍
序章・弥生の雲
恋人の南良明は研修を兼ねた東欧旅行に旅立ったのは2月末のことである。
当初の予定より出発が遅れたので帰国は3月20日の予定だった。
涼子は新宿のバスターミナルで彼の乗ったオレンジ色のバスを見送り、
2月から始まった簿記学校の春季特訓講座に向かった。6月の試験に向けて
講座が続くのである。
その講座の合間に、三日間の休みがあった。
たまたま、その休みの間に故郷の小学校の同窓会が行われると言う知らせが
届いたのは1月末のことで、涼子は楽しみにしていた。
その年の成人式の日、小学校の同窓生が卒業以来の顔合わせで盛り上がった
のだが、大学や短大の進級試験と重なって出席しなかった同窓生も多く、
その話の流れで春休み、3月20日に小学校の同窓会を開こうと言う話になった。
それが幼馴染の和美から聞いた報告だった。
和美は涼子の家から3件先の中華料理店の娘で、
今は東京の4年制大学に通っている。生まれてからずっと一緒に
育ったようなもので、涼子のよき理解者でもあった。
南の帰国と同窓会が重なったので和美のほうが残念がっていた。
南も涼子も和美の心配を笑い飛ばして同窓会出席を選択した。
帰国は夜遅くになるから、という南の心遣いもあったのだ。
涼子は東京から夜行バスでターミナル駅に降り立つと電車に乗り換え、
海辺の地方都市である実家に向かった。
涼子は東京に出て初めて瀬戸内の素晴らしさを知った。
実家に一番近い駅は海に近い場所にある。
駅に降り立つと東京とはまた違う、静かな落ち着きのある町並みの中に、
確かに人が生活しているという活気。100メートル先にある海からは
潮風がゆっくりと流れてくる。
風向きに関係なく香るこの潮の匂いは東京にはない。生まれてから
それが当たり前だとは思っていたが、東京に出てみて初めてこの匂いに
自分が郷愁を感じることに気がついたのは大きな収穫だった。
それ故、今回の同窓会出席は楽しみにしていた。
※ ※ ※ ※ ※
山本和美の自宅は中華料理店兼自宅の割合大きなビルになっている。
1階は普通の店構えで2階も椅子席なのだが、3階は座敷にして
100人程度は充分入れる宴会場を作ってある。もちろん、
パーテーションして小部屋にすることもできる。
自宅玄関もあるが、店の中からも内階段で自宅に入れるので
涼子は和美の家に行くときは店の厨房入り口から出入りしていた。
誰もいない自宅に戻って荷物を置くなり、涼子はその和美の家に行った。
「おはようございます」
「お、涼子ちゃん、お帰りなさい」
和美の家で働く厨房のスタッフが頭を下げた。この街では割合大きな
中華料理店なので修行目的の若者もやってくる。住み込みでとことん面倒を
見るのは山本夫妻の人柄の良さを示していた。
和美の母親はもう忙しく立ち働いていた。お互いに忙しさは知っているので
和美は朝食を食べていると教えてくれただけで自分の仕事に戻っていった。
店では従業員が交代で朝食を食べていた。和美も毎朝、従業員と一緒に
朝食を取るのは生まれたときからの習慣だった。
「お、おはよう」
涼子に気がつくと和美は口をもごもごさせながらそう言った。和美は
1週間ほど前から帰省していたはずだった。
「おはよう…ん?」
朝からテーブルの一角で将棋をさしているのは和美の父と涼子の父だった。
「あれ?父さん?」
「およ?涼子か。早かったな」
「ただいま。でも何で?」
「早朝ゴルフに誘われてな、今帰ったばかりだ」
「あ、そ」
「ね、涼子、南さんは戻ってきたの?」
車のことを聞こうとした涼子は不意打ちを食らった。家に車がなかったので
てっきり仕事の母親を送っていったのだと思っていた。
「え?あ、ちょっと、和美」
涼子は口ごもった。動揺したといってよい。
交際中の男性がいると名前まで口にしてはいるが、その後の話は
余りしていない。特に父親とは話していないのだ。
「ねぇねぇ、指輪は?いつあいさつにくるの?」
その一言に父親が振り向いた。
「あら、何の話?」
和美の母親がコーヒーを持ってやってきた。
「和美、だからね、まだ話していないんだってば、そのことは」
「うそ」
和美が驚いていた。
南良明がプロポーズしたことは和美には話してある。母親にも
話してあるのだが、それ以上の話は父にはしていないはずだった。
一方の和美は今はそれ以上は動かないと言う二人の結論に不満を持っていた。
「どっかーん」
和美がおどけた。が、涼子の父はまた将棋の駒に目を落とした。
「話せないことか」
涼子の父は不満そうにそう言った。口には出さないが、
怒っているような口調だった。
「そういうことじゃないんだけど…」
和美がどうフォローしようかとおたおたしていた。
「南さんにプロポーズされたの。去年のクリスマスに」
涼子はあっさり認めた。
「涼子ちゃん?」
和美の母親は驚いていた。
「ただ、南さんも私も学生の身だし、今のところ具体的に話を進める
段階でもない、で、…今はね、お互いに真剣に付き合っている人がいるという
ことだけは両親に話しておこうとしう段階。だから母さんには一応話した」
「でも南さんの卒業式の時にご両親と会うんでしょ?」
「どうして和美がそれを知っているのよ」
「晴香さんがそう言っていたもん」
「誰だ?そのハルカさんというのは?」
「南さんのお姉さん。素敵な人よ」
和美は自分の父親にそう答えた。
「お前、南さんとはそういうふうに考えているのか」
「ずっと先の話だけどね。ただ真剣に交際していますという段階。
お互いに社会人になって、その時が来たらそうなることを
考えていると言う話で、今の段階では結婚しますと口に出せないでしょ?
お互いに学生だし」
「そうか」
「そうかって・・・おじさん…」
「分をわきまえているのならそれで良い。ただ、お前がそういう風に
南さんのことを見ているのなら、相手のことも大切にしてやれよ」
「はい」
それでその話は終わった。
「で、どうなったの?そろそろ帰って来るんでしょ?」
「明日の夜の飛行機で戻ってくるわよ」
「モスクワからだっけ?」
「そ。モスクワって美術館がごろごろしているんだって。
よくわからないけど。楽しそうよ」
「ごちそうさま」
和美はそう言った。
「あ、こんな時間に来たってことは…」
「もちろん、手伝いに来たのよ、幹事さん」
涼子は即答した。
※ ※ ※ ※ ※
翌日の同窓会は日曜日ということもあって、かなり集まっていた。
最終的に1クラス40人のうち30人近くの人間が集まり、
当時の担任だった堺先生と音楽の先生だった田中先生が出席してくれた。
全員、20歳を迎えたとはいえ、それでも相変わらずのやんちゃぶりで
堺先生の一喝も食らったのだが、久しぶりに会った幼馴染や学友たちと
楽しい酒を飲んでいた。
一番のお笑いねたは原島圭介とのことだった。
原島家は涼子の家から6軒先なのだが、中学に入ってから
同窓会があるまで今の今までずっと会わないままでいた。
そのことがクラスメートの笑いを誘った。
幼稚園から小学校卒業までずっと一緒だった原島圭介と山本和美は
同級生の間でも有名で、クラスは違ったが、やはり幼馴染の工藤守とも
そろって4人組とも呼ばれていたのだ。
その4人の話をしながら場は盛り上がっていて、そろそろ場所を移動
しようかといい始めたのは5時くらいだった。
誰かがカラオケセットの片づけをしていて、テレビのスイッチに触れ、
たまたまニュース番組になった。
ニュースではシベリア上空を飛行中のソビエト航空が墜落したという
速報ニュースを流していた。
シベリア上空を飛行中のソビエト航空421便が墜落、機体は炎上し、
乗員乗客の安否は絶望、とソビエト側は発表していた。同時に外務省によると
乗客名簿に日本人らしき男性4人の名前があり、現在確認を急いでいる
というコメントもあった。
それが、恋人・南良明の訃報だった。
和美が涼子の様子からことの次第を理解し、その和美の説明で級友たちが
確認のために動き始めた。
そんな彼らを目の端で追いながら涼子は呆然と座っていた。
自分のはいているスカートがたまらなく、心細かった。
そして、涼子はスカートをはかなくなった。
(序章・完)
今日はここまでです。
時間作ってまた投入します。
年末ですので事故にはくれぐれも…。
リアルでも自爆したアフォより。
>藤原忍さま
ああああーーーーー。。。。。
という感じですね。
クリスマスプレゼントありがとうございます。
ゴールデンレター
このスレを見た人はコピペでもいいので
30分以内に7つのスレへ貼り付けてください。
そうすれば14日後好きな人から告白され、17日後に
あなたに幸せが訪れるでしょう
クリスマスもすぎ、そろそろ模様替えかな。
どんな色がよいでしょう?
やっぱり年末・お正月モードでしょうか?
保管サイトのリンク集に
「母親が他人に犯される作品」スレのまとめサイトを追加。
(ひそかに存在していたらしい。ショック!!!
でも、全部は保管されてないからこぼれを狙う。)
容量1メガをこえる「堕された母」は秀逸。
藤原さんのは、まだ保管してません。ごめんなさい。
おそいので(いや、むしろ早いか)起きたら保管します。
お休みなさい。
保管サイトはこちら。
http://novels2ch.s6.x-beat.com/
>>保管サイト担当様
いつもありがとうございます。
お暇なときで充分でございますです。
御身御大切に。(睡眠不足は大敵です)
>>733からの続きです。新章突入です。
春の章
それから2年の月日が流れ、涼子は地元ではかなり大きな家具会社に
就職した。今はホームセンター事業に力を入れており、涼子は店舗勤務を
希望した。将来、店舗開発部を希望しているのでそれを踏まえての選択だった。
人事も本部配属でずっと店舗開発に携わるより、現場で経験を積んだ後
店舗開発に関わる方が涼子の性に合っていると判断したのか、配属先は
店舗だった。ただし、大卒女子が店舗勤務と言うのは前例がないという理由で
半年か一年か、現場の流れを掴んだ後店舗開発に入って欲しいと言うのが
条件だった。
店舗担当と言っても実際はレジ打ちから掃除から品出しから、
やることは雑用のようなことばかりだった。
どこまでが店舗開発につながるのか、暗中模索の状態だったが、
ほぼ毎日の肉体労働は涼子の、南良明への時間をどんどん奪い、
かえって涼子には楽だった。
しかも、担当は全く知識のない工具関係、いわゆるDIY担当に
なったので勉強することは山ほどあった。それぞれの名称、使い方。
釘一つとっても種類は山ほどあった。
「すいません」
「はい」
売場で顧客の注文を取りまとめての発注業務中の涼子は顔をあげた。
「あれ?来生?」
「原島…?」
去年の夏以来の再会だった。
南を失ってから、涼子は東京に戻り、少しずつだが普通の生活に
戻っていった。しかし、南という男の存在は涼子の心に深い喪失感を生み、
それに気付いた原島はその年のゴールデンウィークや夏休みや、
事あるごとに理由をつけては東京に出てきた。
原島圭介は福岡にある大学を出て、建築関係の会社に就職したと
聞いている。もともと、建築士希望でその手の大学に進学したのだから
当たり前と言えば当たり前なのだが。
「戻っていたんだ」
「そ、ここで働いているの」
「パート?」
「正社員」
その言葉に、原島が驚いていた。大学卒業の女子は本部採用が
原則の会社であることは周知の事実である。その本人が店舗にいるのは
驚きだった。
「で?探し物なの?」
「あ、ああ」
原島は会社で使うのだといって研磨剤と画鋲を買い求めた。
「会社はこの近くなの?」
「研修兼ねてこの先の事務所に配属されたんだけど、もう、大変で」
「仕事が??」
「通勤だよ。研修期間中、3ヶ月は車通勤やバイクは禁止なんだ。
だから電車とバスで」
ホームセンターは住宅地に近い幹線道路沿いに店舗を構えるため、
駅からは離れてしまうので交通の便は不便だった。自宅から車通勤でも
1時間はかかる。電車でとなると最寄り駅からバスでここまで20分、
電車で30分、その後自転車で20分、といったところか。
「帰りは何時なの?」
「仕事が終わるのは6時。でも時間になんか帰れないから7時ごろかな」
「じゃぁ終わったらここにおいでよ。乗せて帰ってあげる」
「は?」
「アタシ、車通勤。兄貴の軽四貰ったんだ」
「ラッキー。7時に外の苗売り場にいる」
「OK」
二人はそこで別れ、仕事に戻った。
※ ※ ※ ※ ※
涼子は勤務を終え、タイムカードを押すとロッカールームで
制服から私服に着替えた。
ジーンズにポロシャツ姿でショルダーバックを下げると外の駐車場に行く。表の駐車場に車を回せば、原島を拾えるはずだった。
が、予想に反して原島が、車の側でタバコを片手に待っていた。
タバコを箱から出そうか、どうしようかと迷っている姿はちょっと滑稽だった。
「スーツ姿もサマになっているわね」
「馬子にも衣装ってか?」
「そうそう」
「俺、はらぺこ」
「はいはい、夕飯一緒に食べよう」
「賛成」
「割り勘ね」
「ガク」
涼子は就職祝いに、兄から譲られた白の軽自動車のロックをあけた。
中古だが、綺麗に使ったので汚れはあまりないし、傷もない。
クリーム色のシートカバーがちょっと女の子らしいと言って原島は助手席に
腰掛けた。
「禁煙ね」
「その方が助かる」
「何で?」
「今の職場、完全禁煙で…タバコ、やめようかなと思っているんだ」
「えらい」
タバコの煙は、南を思い出した。
最後に南の墓参りをしたとき、昇って行く紫煙をいつまでも
眺めていたっけ、とふと思う。
「おーい」
「ごめん」
涼子は原島に作り笑顔を向けた。
「で、どうなの?」
「何が?希望通りの会社に入って、希望通りの仕事をしているわよ」
「それは和美から聞いた。そうじゃなくて、南さん以後、男の話」
「ストレートね。何で?」
「フリーなら付き合って欲しいかなと」
「ジョークでしょ?」
「本気だよ。あれから2年経って、少しは楽になれたかなとも思ったり…。
心配していたんだぞ、これでも。で、今日会ったのがチャンス、
と思ったわけ。俺は」
「チャンス、かぁ・・・」
「で、男の話は?」
「2、3人いたわよ」
涼子はあっさり教えた。
「でも続かなかった。以上、昔の話」
「どうして?変な男だったのか?」
「どうして私はスカートをはかないのか、それで喧嘩になったのよ」
「スカート?」
原島圭介が考え込んだ。記憶にある限り、最後にスカートをはいた姿を
確認したのは、あの同窓会の日だけだった。
「レストランで食事しようって言われてね、お互いの内定祝いに。
それでパンツスーツで行ったの。それが気に入らなかったみたい。
良い雰囲気になったってキスもしなかったし」
「拒否したのか?」
「びんた一発」
「マジ?」
原島が笑った。
「だって夜の公園でいきなり押し倒してキスしようとするんだもの。
こっちが慌てるわよ」
「同感、そりゃ、驚きだ。じゃぁ俺が同じことしたら?」
「状況によるわよ。いきなり両手封じてキスしてきたら間違いなく
抵抗するわよ」
「その状況で…そうか、じゃぁ今度からその手で迫ろう」
「研究しないの」
市街地の渋滞を抜け、市街地から外れた、通りに面したファミレスに入った。
そこから二人の家まで、峠の山道を使えば一本道で帰れるからだった。
原島との食事は、楽しかったの一言に尽きた。
お互いに他愛ない話をし、最後のコーヒーが運ばれてきた。
「砂糖は?ミルクは?」
原島は自分のカップに砂糖を一つ落とすと、そう尋ねた。
「いらないよ」
「ブラック?」
「甘いと眠くなるから」
嘘だった。南との情事の後、ベッドの中で飲むコーヒーは
甘いコーヒーだった。それを、思い出したくはなかった。
ごめんなさい、訂正します。
>>744の5行目
「びんた一発」→「ケリ入れてビンタ一発」
題名を入れずに素直に名前を入れてみました。
読者殿はこちらの方が読みやすいですか?
「帰り、運転してやるから。コーヒー飲んだら寝られないのが普通だけど」
「誰かの話に戻るからだよ」
涼子はぽつりとそう言った。
「そうか。今度の休みは?」
「来週の火曜日」
「今度休みを合わせてどこか行く?」
「誘っているの?」
「通勤用に車を買ったんだが、出番なしで可愛そうなんだ。紺の軽四だけど」
「助手席に彼女を乗せなさい」
「だから俺の彼女になって欲しいと言っている」
「だから、本気なの?アタシはつまらない女だよ」
「つまらなくないよ」
原島の真面目な答えだった。
「確か、彼女がいたんじゃない?」
「彼女とは終わっちまった。大学3年の冬。浮気された」
「原島のよさをわかっていないのよ、その子は。あーあ、勿体無い」
「そう思う?」
「もしかして、その優しさが優柔不断だと誤解されているんじゃない?」
「図星。どうしてお前ってズバズバ言うの?」
「合計9年間一緒だったのよ。アンタの本質、そんなに変わっていないと
思うから。アタシだって原島だから話せることもあるし、和美だから
話せると言うこともあるし」
「なぁ、これ、好奇心。だから無理に答えなくて良いけど、
どうしてスカートのことで別れたんだ?」
「男とする話じゃないような気がする」
「和美は信じられない理由だって言っていたけど…。
理由がスカートだったとか?」
「そうね、和美はそう言っていたけど」
苦い沈殿物が、また体の中に沈んでゆく。
「大学に入ってすぐ、電車の中で痴漢にあったのよ。
その時スカートをはいていて、結局、
それからスカートはけなくなったのよ」
「トラウマか」
「それから南さんと知り合って、私がスカートをはかない理由を知ったとき、
南さんは珍しく怒ったのよ。穏やかだった人が。痴漢行為は卑劣だといってね。
それでこの人は信用できると思ってまたスカートをはける様になったんだけど、
またはけなくなっちゃった」
「南さんが死んだから?」
「みたいね。毎年スカートは買うんだけど、結局はかないまま終わっちゃう」
「それより、お前スカートはく気があるの?」
「鋭いなぁ」
続けて、指輪を指さした。仕事中のアクセサリーは禁じられているので
指輪はネックレスに通して制服の下に隠してある。今はポロシャツの
胸元からのぞいていた。
「どっぷり漬かってない?ツケモノみたいに」
「前の男にも同じことを言われた。でもね、何か違うと思うのよ、私」
「スカートはいても、指輪を外しても外見が変わっただけで
お前自身が変わった訳じゃないもんナ。それは、わかる。だけど、
そういうことをひっくるめて前を見ないと、お前、駄目になるぞ」
「自覚はしているわよ。そこから脱却しなきゃいけないことも。
ツケモノのままでよいとは思っていないから」
「でももう2年だ。過去はもう変えられないんだし、
忘れることも出来ないんだし、それはそれでお前の歴史に
すれば良いことで…」
涼子の目から涙が、落ちた。
「来生?おい?俺変なことを言ったか?」
「どうしてなんだろう…」
「え?」
「前の男は忘れろの一点張りで。原島は歴史にしろって言うし。
同じ男なのにね」
「…公園で押し倒したって男か?」
「そう」
原島が小さなため息をついた。
「最低の野郎だな」
「ご免」
涙が、止まらなかった。
何度かデートした男はごく普通の男だったが、涼子の昔の男のことを
知りたがった。
だから素直に全部話した。
結婚を考えていたこと、飛行機事故で死んでしまったこと。
しかし、その男は一言しか言わなかった。
忘れろ。
それしか言わなかった。それが、辛かった。
忘れろ、でも良いのだがどうして自分の痛みに共感してくれないのだろうか。
ほかの事はともかく、人一人の命がこの世から消えたというのに。
そのことで打ちひしがれている自分に、忘れられなくて苦しんでいる自分に
忘れろというのは苦行にも等しい。それを笑いながら平気で口にして、
手の一つも握らない、慰めの言葉一つかけない思いやりのない男に
どれだけの優しさを見出せというのか。
一時でも好きだったそんな男の側面を思い出し、
涼子はまた自分が情けなくなってきた。
同じ男なのに、目の前の原島は少なくとも自分で消化して吸収して
「歴史」にしろと言った。少なくとも全部捨てて「忘れ」られないのなら
そうするしかないと言った。
だったら、南だったらどう言うのか。
そう思ったとき、自分のあさましさに情けなくなって涼子はまた泣いた。
一体自分はどこにいるのだろうか。どこにゆこうとしているのだろうか。
「御免、出よう。原島が変に思われちゃう」
「馬鹿か、お前は」
周囲の視線のことを考えて涼子はそう言ったのだが、
そこまで気を使う涼子に原島はばかばかしさすら感じていた。
とりあえず会計を済ませると外に出た。
湿った生暖かい風が流れる。
涼子は涙をこらえていたが、店を出たらまた涙が溢れた。
原島は黙って腕を取り、車のキーを取り上げると
そのまま助手席まで誘導した。
どこかで稲妻が光っていた。
「お前、ひょっとしてずっと我慢していたのか?」
原島は運転席に座るとエンジンをかけた。
「何を?」
「泣かなかったのかって事。和美の話だと、和美の前で泣いたのは
四十九日の時だけで…」
「無理だよ。両親やお姉さんの方が一緒にいた時間が長いのに、
アタシが泣いたら余計辛いでしょうに」
「そう言う変な気遣いするから…ばかだなぁ、お前は」
「だって…親だって心配するし、うかつに泣けないもん」
「じゃぁ今ここで泣いて少しはすっきりしろ、誰にも言わないから」
「原島に泣き顔見られたくないよ」
「へいへい。全く、わがまま」
原島はそう言って自分のスーツの上着を涼子の頭からかぶせた。
それが、涼子にはありがたかった。
原島はちょっと乱暴に車を発進させた。
(春の章・完)が抜けた…。
今日はここまでです。
また時間作ります。
本当はもっとまとめて投下したいんですが、事情があってそうもいかないです。
とはいえあんまり投稿しないと今度いつになるのかわからないので、短くてすいませんが
続きを書き込みます。
「むりです。学校の先生の精液を注いでもらうなんて!」
「いい方法があるの」
白衣のポケットから布着れを出す保健室の先生だ。
それを見てユカは声を上げた。
「こ、これは……!」
美雪先生がとりだしたのはパンティ。
しかしただのパンティではない。
魔女ッ子アニメのキャラが、前後にプリントされている幼児向けパンティだ。
「こ、こ、これをはけと……」
「そう。尾崎先生はね、実はああ見えて真性のロリコンなの。だからユカちゃんがこのパンティを見せて御覧なさい。
とってもムラムラくるわよ。それにこれ……」
これも幼児向けのキャミソールを美晴先生は取り出した。
ご丁寧にこれも魔女ッ子キャラがプリントされた、パンティとお揃いの下着だ。
(この人いつも白衣にこんなもの入れてるの……?)
ちょっとあきれるユカだ。
「こんなので本当に尾崎先生を誘惑できるんですか?」
「それはあなたのテクニック次第よ。がんばって」
言われて仕方なく更衣室で下着を着替え、その上から体操着をつける。
(やだあ……完璧にハミパンしてるよお……)
幼児向けパンティは布の面積が大きい。
しかも足を通す部分の構造も独特の布地が厚くなっているものだ。
しっかりとパンティがはみだすばかりか、幼児向けのものをはいていると判ってしまうだろう。
(う、う……恥ずかしい)
しかし、催淫剤の影響だろうか。
これから誘惑する尾崎の巨根を想像して、新品の魔女っ子パンティをさっそく愛液で濡らしてしまう。
(よーし)
そうとなれば覚悟が決まった。
ブラジャーも脱いでしまう。
薄い幼児用のキャミを素肌の上から着けるが、若々しい張りのある乳房の形が、体操服の上から丸わかりになる。
(ん……ち、乳首が固くなってる……)
バストの輪郭どころか、乳頭の形状までこれでは尾崎にしっかりと見られてしまう。
(ええい! 女は度胸だ!)
決意を秘め、ユカは体育準備室をノックした。
入れと声をかけた尾崎はユカの姿を見て絶句した。
目がブルマーと勃起した乳首のあたりを往復している。
(う……う……み、見られてるうッ)
じゅん、と視線に感じてしまうユカだ。
「に、西野……」
気を取り直すように咳き払いをして、喋り始める尾崎。
「今日の授業中の態度は何だ? 罰として補習をする」
「は、はい」
「そこのマットに座れ」
準備室はかなり広い。
尾崎の授業準備用のデスクの他に小さなマットがわきにひいてあるのだ。
尾崎によると簡単な運動のアイディアをここで実験するのだという。
「よし、じゃあ、まずは倒立だ」
いわれてユカは逆立ちをした。
尾崎に足を支えてもらう。
勢い良く倒立をすると、ブルマーの中に入れていなかったので上着がめくれて、キャミソールが露出してしまう。
(やあん……恥ずかしい……。子供用の下着が見られてるう)
ごくり、と尾崎が唾を飲み込みのがわかった。
倒立しながら、尾崎の股間に目をやると……
(す、すっごい! おっきくなってるう!)
そうでなくても柔らかい素材のジャージを突き破らんばかりに尾崎の巨根のシルエットがありありとわかる。
「よ、よし、次は足を広げて前屈だ」
ユカは尾崎に向かって股を開いた。
「うんしょ、うんしょ」
わざとらしく言いながら前屈をする。
勿論、ブルマーからパンティがうんとはみ出すように動く。
「ん……」
ハミパンを直すふりをして、ブルマーの裾をひっぱる。
だがもちろん、さらにパンティをはみださせるのだ。
幼児用のコットンパンティが外に見える面積がますます増えた。
「に、西野お前……」
尾崎の声がかすれていた。
勃起したペニスが天に向かう高度をさらに急角度にしている。
「だ、だってユカちゃん、可愛い下着が好きなんだもん……」
ここぞとばかりに幼児口調で甘えた言葉を言ってみるユカだ。
(ち、ちょっとわざとらしいかなあ……)
しかしユカの心配とはよそに尾崎の逸物はいよいよ猛り狂ってきていた。
「そ、そうか。ユカちゃんはまだ子供なんだね」
あっさり乗ってきた。
「そうだよ。だからパンティもこーんな可愛いのはいてるんだよ」
言って、ブルマーを一瞬ずらす。
西野の鼻息が荒くなった。
コットンパンティの魔女ッ子キャラが目に焼きついたに違いない。
ここまで。また忘れられないうちに続き書き込みたいと思います(苦笑)
保守
保守
760 :
名無しさん@ピンキー:04/01/01 19:27
あけおめ
作家陣の方々、補完さん本年もよろしゅうおねげーします
新年投稿がない……(´・ω・`)ショボーン
ほしゅ
保管サイトのカウンタが鯖死でリセットされちった(泣
補完サイトの各作品のヒットが多い順にランキングされると面白いかも
>765
それは書く側にしたら創作意欲にプラスに働く人とマイナスに働く人が激しく分かれそうな気がする。
読み専としては便利だし面白そうだと思うけど。
>>765 どのくらいの期間で更新するかも問題ですね。
トータルをだすと古い作品が上位にきますから。
入れ替わりが激しいほうがよいとすれば一日集計でしょうけれど、
一日集計では作品の質が反映されませんしね。
ティッシュにはじけた白濁とともに捨て去るべき妄想を書き連ねただけ
読者がいようがいまいが……と達観しましょう。
>>767 短期-1週間 中期-1ケ月 長期-1年
の三本立てでは?
一つなら1ヶ月
作家自身としたら1日にどれだけカウント数が上がったかは逆算で分かるだろうから
トータルで良いんじゃないの?1月当たりとか、週当たりでカウントが分かると
逆に気になって書けなくなっちゃったりしそうだし。
あんまり競わせるような感じが良いのかどうか・・・。
見てるこっちとしては面白いけどねw
漏れ的には藤原さんちの涼子ちゃんが
幸せになってくれればそれでいいっす。
ガンガレ!
今更ながら…あけおめでございますです。
作家陣の方々、保管さま、読者の皆様、
今年もよろしくお願いします。
カウントの件ですが、読者サイドとしては面白いと思いますが、
書き手としては好き嫌いあると思います。
私的には3ヶ月くらい(カウントの意味なしって声もありそうですが)
サイト自体に各種ジャンルの小説があって、その中で「競う」ための
スタンスは避けたほうが無難かもという理由で。
例えば、どれを読もうか迷っている読者さんにランキングは
「保管サイトの案内の一種」として扱うのなら作家・読者双方に
軋轢は少ないと思いますが。
>>読者の皆様
今年は自爆しないように、涼子、がんばります。
春の章が終わったので次は夏の章です。
夏の章
結局、ドライブの約束を果たせたのは7月に入ってからだった。
あの日以来、休みが一緒になるということはなく、また一緒の休みを取れる
と言う忙しさではなかったので仕方なかったのだが。
原島は6月中旬に会社近くのアパートを借り、そこから会社に通っていた。
駐車場の都合がつかなくて、車の引越しは7月からだと笑っていたのだが、
その車の引越しの為に夕方、会社帰りに原島を乗せて実家に戻り、翌日は
二人でドライブに出かけるという約束だった。
梅雨の合間のちょっと心もとない晴れの天気ではあったが、二人は海にいた。
毎日海なんて見慣れているはずなのに、ドライブコースは海のコースを選んでいた。
「うまい」
原島圭介はホットドックをかじった。
さっき昼食を食べたばかりだというのに、展望台のホットドッグ屋に
足を踏み入れてしまった。
「昔さ、プールの帰りに良く食べたよね」
「そ、カレー味の炒めキャベツが最高だった」
「あれは贅沢だったよね、子供ながらに」
「そうそう」
市民プールの入場料を払うと親から貰ったお金はいくらかしか残らない。
何回かプールに行って、残りのお金を貯めておいてやっと買えた
ホットドックは至福の味がした。
涼子はそう言って同じようにホットドックをかじった。
海からの風が気持ち良い。夏を予感させる。
「なぁ、やっぱりまだスカートははけないのか?」
「今度ははこうか?今日はいてこようかと思ったんだけど、
海だって言うからやめた」
「何で?」
「風にあおられたらイヤだもん。まだ、お礼言ってなかったね。
あの時はありがとう」
代わりに圭介が耳まで真っ赤になってホットドッグをかじった。
どっちの言葉に反応してのことだか…と涼子が苦笑する。
「なぁ、俺達、ちゃんとつきあわないか?」
「ご近所だと駄目になったとき、辛いよ」
「駄目にならない。俺本気だもん」
「私本気じゃないもん」
本音とも建前ともいえる今の心境だった。
「お前、俺のこと嫌いなのか?」
「そうじゃないよ。ただ、何かあったときに辛くない?
恋人が死んだことはご近所知っているわけだし、
何かあったら全部それをつなげちゃうよ。ご近所さんの底力。
何だかんだ言われるのは私はもう平気になった。ただ、
貴方はそういうこととは違う立場でいて欲しい」
「…………」
「怒った?」
「情けないだけ。俺じゃ力になれないのかな?」
「違うって。わざわざ火の中のクリを素手で拾うことはないと思うってこと。
頭冷やしなさいって」
「お前冷静だな」
「冷静だよ」
「じゃぁ今俺がこのままホテルに行こうって言っても冷静でいられるか?」
「冷静じゃなくても、冷静を装うだろうね。貴方がそこまで考える
と言うことは余程のことだと思うから。逆に一緒になって騒いで良いけど、
そうしたら貴方は余計に自己嫌悪に陥るでしょ?それよりびんた一発で
冗談だったと言う方が貴方楽だもん」
「な、何で俺中心に物事考えるんだ?自分の気持ちに向き合えよ」
「貴方が大切だから、そういう考えになるわよ」
「俺のこと、好きという事か?」
「友だち以上恋人未満の方が楽だよ、きっと」
「根拠は?」
真面目な、圭介の顔だった。
「一緒にいても何をやっても貴方を見ながら…貴方を通して南さんを
探しているのよ。それに気が付いて、アタシは何て嫌な女なんだろうって。
そんな気持ちで貴方と向き合えるわけないじゃない」
圭介は突然、怒ったように涼子を助手席に押し込んだ。涼子のホットドックが
落ちそうになるが、かろうじてそれをこらえた。そしてそのまま、自分も
運転席に乗り込むと車を発進させた。
「ちょっと、落ち着いてよ」
食べかけのホットドックをほおばりながら圭介は片手運転で車を走らせる。
「落ち着いているけど怒っている。黙って付いて来い」
そう言うと圭介は車を走らせ…一番近いラブホテルに車を入れた。
「ちょっと・・・」
「降りろ」
それだけ言うと、圭介は車を降り、助手席のドアを開けた。
涼子は降りなかった。
圭介は手首を引っつかんで乱暴に車の中から引きずり出し、目の前の
ホテルのドアを開け、涼子を玄関に突き飛ばした。
「やめてよ、こういう真似は」
圭介の背後でがちゃりと金属音が起きてドアがロック状態になった。
「脱げよ。裸になれ」
圭介は涼子の靴を脱がせながらそう言った。
「だから、やめてよ」
体を起こそうとする涼子だったが、圭介は靴を脱がせると容赦しなかった。
そのまま倒れている涼子にのしかかり、抵抗する涼子の首筋にキスをした。
「あっ」
声が上がると同時に、何年かぶりの刺激と、圭介と体を繋ぎたいという
涼子の欲望が入り混じる。
「やめてよ」
涼子は抵抗したが、圭介は着実に涼子を攻めてゆく。
最初は首筋から耳に。それから執拗に耳を攻める。
涼子は抵抗したが、圭介が自分にのしかかっていて動きが取れない。
両手すら、床に押し付けられて動かない。
圭介のキスは薄皮をはぐように涼子の理性をはがして行く。
「俺の昔の女はここが一番弱かったんだ」
そう言ってもう一度いとおしそうに耳にキスした。それから口に含み、
やわやわと耳のラインに添って舐める。
全身、総毛立つ快感に涼子は身体を硬くして耐えるしかなかった。
その反応を見て取ると、圭介は耳朶に歯を立てた。
「!!」
涼子の身体が一瞬、びくりと動いた。それを確認してから、また耳を舐める。
涼子は抵抗の声を出そうとしたが、その感覚をやり過ごすことに必死だった。
南のときと同じように、圭介が愛情を込めたキスを首に落としていた。
それだけで身体が震えるほど嬉しい。
この男がいとおしい。
「ここも」
少し位置を下にずらして今度は首筋に。
「ここもだ」
ポロシャツの襟元から見える肌のぎりぎりのライン。
もうそれだけで体が熱くなる。
圭介ことは好きだが、それ以上は…と封印してきた涼子の気持ちがはじけそうだった。
「ここも」
「!!」
耳の穴をざらりと舐められて声にならない声があがる。
どこかでぷつんと糸が切れた。
「俺だってそうだよ。涼子を通して昔の女と比べている」
圭介はそう言って離れ、隣に大の字に転がった。
「誰だって完璧にはなれない。心の奥底で思うことを止められはしないさ」
だけど、と思う涼子。南の思い出は月日と共にゆっくりと色あせていると
思いたい。しかし、反対に南に対する思いは月日と共に鮮明になっているのも
確かだった。
届かぬ思いに何度頭を抱えただろう。
いっそ泣ければ、辛くはなかったのに。
圭介の存在は南の存在と共存している。
だからこそ、涼子は圭介への気持ちを封印してきた。しかし、
これ以上は理性も身体も保てない。何かが悲鳴をあげていた。
「いちいち突き詰めると神経持たないぞ」
「本当、神経疲れるわ」
涼子は深呼吸した。しかし、まだ胸の動悸はおさまらない。
「悪い、やりすぎた」
「自己嫌悪にならないでよ」
「もうなっている。思いっきり後悔している」
圭介はため息と共にそう言った。罪悪感が、涼子に広がる。
追い詰めたのは私だ、と涼子は思う。
「本当。酷い口説き方よね」
涼子はのろのろと体を起こした。圭介に与えられた刺激で頭がぼうっと
していた。
しかし、心の中では圭介の気持ちは痛いほどわかる。
あの時、靴を脱がせたのは涼子にとって抵抗するチャンスを作る為で、
それは涼子にもわかっていた。
突っ走るつもりなら、わざわざそんなことはしない。
その気持ちがわかるからこそ、涼子の身体が余計に反応していた。
ある種の安心感か。
「…俺じゃぁ駄目なのか?」
「本当に嫌だったらけり倒しているわよ」
確かに、そうだ。反撃のチャンスはあった。圭介はそう思いたかった。
「涼子?」
「今度は色気のある誘い方をしてよね」
涼子は深呼吸して、圭介の方に振り返った。それから寝転がっている
圭介の頬にキスして、耳元でささやく。
「先にシャワー使うからね。後でちゃんと入ってよ」
「涼子?」
かまわず、涼子は耳たぶにかじりつき、首筋に舌を這わせた。
「お前、それは・・・」
圭介が体を硬直させ、声にならない声を我慢していた。それを無視して、
指を圭介の胸板に這わせる。目的のものはポロシャツの上からでも
はっきりと突起を作っている。
「やめろって」
「やめないわよ。人を押し倒しておいてそれはないんじゃない?」
即座にその答えを返す。涼子の舌がもう一度圭介の首筋を這った。
圭介が涼子を押しのけたいのか、両腕が宙をさまようのを見届けると
涼子は立ち上がった。
「ここに連れ込んだのは貴方、誘ったのはアタシ。以上、共犯成立」
「涼子?」
「あんまり悩むと頭はげちゃうよ」
圭介は何ともいえない苦笑いを返してきた。
涼子は立ち上がるとお風呂場に向かった。
※ ※ ※ ※ ※
バスルームから出てきた涼子はその動きが不自然だった。
備え付けのバスローブは情けないほど薄っぺらで下着まで透けそうだった。
膝下まである丈が唯一の救いだったが、涼子の心もとない気持ちを隠せるほどではなかった。
部屋の明かりは薄暗く落とされていた。が、逆にバスルームが明るくなって、
マジックミラーから見える浴室は丸見えだった。
「あ、発見しちゃった」
スイッチ類を触っていた圭介の意外にも明るい声だった。
「明るくしたらわからないんじゃない?」
「それもそうだ」
そう言って明るくしたが、圭介は無言のまま、また暗くした。
「どうかした?」
「そこに立つなよ。後ろからライトが当たって…」
振り向くと、ライトが幾つも並んでいた。後ろからライトが当たると、
シルエットは丸見え状態になる。
「わ、ご免」
涼子は慌ててその場所を動き、洋服をバッグの脇に置いた。
さっきは突き飛ばされたのでバッグが部屋のどこかに行ってしまったのだが、
今度はちゃんとテーブルの上にあった。圭介の、こういうところが好きだと
涼子は思う。
「後悔しないのか?」
背中に投げかけられた言葉。
「私のセリフ」
「そうやって強がりばかり言って、周りを安心させて、自分を隠す」
「そうやって分析がちゃんと出来る貴方に今更隠し立てしたって
何も得はないでしょう?それとももっと直接的に言った方が良い?
別の方法が良い?」
「口説く俺の楽しみ取るなよ」
圭介はそう言ってバスルームに向かった。
涼子は結局目のやり場がなくて、テレビを見ながらベッドの中で待った。
圭介はシャワーから出ると、ベッドに入ってきた。
「おーい」
「はいはい?」
テレビに熱中していた涼子は、体を起こし、ベッドの上に座った。
「本当に良いんだな?」
「私はね」
「涼子?」
「自分が傷つくのは良いけど、誰かが傷つくと言うのは、私は辛いよ。
信頼した人なら尚更」
「守ってやりたいと思うのは俺のエゴか?」
「人間皆エゴよ。エゴの塊。ただどこでどうそのエゴと付き合ってゆくか、
どこまでそれを認められるか」
圭介は、涼子の右手を握った。左手がちょっと汗ばんでいたのは
シャワーのせいなのか。それとも…。涼子は全然関係のないことを
思っていた。
「南さん、だっけ?そういう関係、あった…んだろうな?」
「南さんだけにはね」
「ほ?」
「南さんがいなくなってから何人かの人とデートはしたけど、
特に付き合っているといったふうにもならなくてみんな消滅したの。
誤解のないように言っておくけど」
「意外と真面目だもんナ」
「誰とでも寝られるくらいさばけてしまえば良かったとも思うけど」
「そういう痛みや悲しみをいつも側にいて分け合えたらと思うのは
俺のエゴかな?」
「友だちとして?」
「人生のパートナーとして」
「今は…」
「答えられなくて良いよ。ただ、今日のことを踏み台にして欲しい」
圭介はそう言うと、涼子の唇をふさいだ。
涼子はためらって逃げたが、圭介はつないだ手をゆっくり絡ませて
もう一度キスした。
二人の間に、ためらいがなくなっていた。
「南さん、どういうふうに涼子を愛したんだ?」
「いつも本気だったわよ」
「そうじゃないよ。最初はキスした?それとも押し倒した?」
「…南さんに嫉妬しているの?」
「多分な」
「最初は私が押し倒してキスしたのよ」
「ウソだろう?」
「ウソに決まっているわよ。…教えるわけないじゃない。
そんなのテクニックで、気持ちとは別物じゃない?」
「だから、いつも本気だったと答えたのか」
「そ」
「俺、本気でそうなったら…止められないような気がする」
「大丈夫、びんた一発でジョークですませてあげるから」
「子供が出来たらどうする?」
「避妊してよ。少なくとも今は」
「お前冷静すぎ。さっきは声が出ていたくせに」
「どっちが冷静なのよ」
「あんな声で鳴かれたら男は理性失うって」
そう耳元で囁くと、首筋にキスした。涼子はじっと動かないで耐えたが、
代わりに圭介の左手をしっかり握ってしまった。
圭介はその手を振りほどくと、代わりにしっかり抱きしめた。
「真面目に、イヤだったらストップかけろよ。
俺、お前のこと待つ覚悟はあるんだから」
圭介は耳元でそう囁くと、額にキスし、それから少しだけ、唇を重ねた。
涼子はそっと圭介の背中に両手を回した。それに気がついた圭介が
もう一度、本気のキスを涼子の唇に落とした。
2年ぶりの本気のキスは、涼子には刺激が強すぎた。圭介の指は
涼子の背中を往復し、その刺激であっけなく涼子はベッドに倒れこんだ。
涼子は息を整えようとしたが、圭介はそれを許さなかった。
マジックテープで止められているバスローブの前をはだけると白い下着が
圭介の目を奪った。涼子の薄肌色と白のコントラストが欲望を掻き立て、
首筋から胸へと舌を這わせた。
「うっ…あっ…ぁぁぁぁ」
さっと舐めただけで涼子の体は物凄い勢いで反応してゆく。びくびくと
体が跳ねるように反応し、恥ずかしさに逃げようとするが、圭介の両足は
涼子の腰をしっかり挟んで動けなかった。
圭介は露わになった胸だけに刺激を与えていた。
「やめてよ。そんなに…」
圭介に唇をふさがれ、その状態で下着をくぐった指先が涼子の胸の頂点に触れた。
「あぁっ」
「そんなに、何だよ」
指先が、また頂点を刺激すると体が跳ねた。目を閉じ、少しだけ眉間に
皺を寄せて涼子は悶えていた。圭介が考えていたより胸は薄かったが、
それ以上に涼子は滑らかで敏感な肌の持ち主だった。
「そんなに責めないでよ。恥ずかしいから」
「何とでも言え。俺、嬉しい」
圭介はそう言って涼子の胸に耳をあて、目を閉じ、しっかりと抱きしめた。
涼子の息遣いが圭介の耳に届く。圭介が胸に指先を置くとその指先の動きに
あわせ、息も乱れ、鼓動も激しくなる。
「はぁん」
「他の男でなくて良かった」
「え?」
「こんな声、他の男に聞かせたくない」
「誰にも聞かせたくないわよ」
喘ぐように答える涼子。
「俺にも?」
「こんなぐちゃぐちゃな状態で…」
「それでも俺はお前のことが好きだよ」
心臓をえぐられるような苦痛。
圭介を傷つけていることに変わりない自分。
「・・・・・」
「だから安心して良いよ」
圭介は下着の隙間から胸にキスをし…そのキスだけで涼子は声を
あげてしまった。
「敏感?」
「貴方だからね」
「お、殺し文句」
「もう、これでも男を選ぶ余裕はあったんですけど」
「ひどいなぁ、その言い方。…涼子」
「何?」
「昔みたいに圭介とは呼んでくれないのか?」
「どういう意味?」
「俺の初恋、涼子だったから」
「ウソだよ。3年の時の新田先生でしょ」
図星だった。
「そういうこと言うか?お仕置き」
そう言って舌を胸に這わせ、その後お腹から下腹に這わせた。
圭介の舌が散歩するたびに下にいる涼子はコースを変えさせようともがく。
「やめてって」
生暖かい刺激とざらついたような舌の刺激は一気に快感を呼び起こす。
「それ以上は、やめてよ。びんたでジョークの範ちゅうを超えるから」
圭介は下着の場所をパスすると内股に本気のキスを贈ってきた。
「わ……」
涼子の体が仰け反った。甘い快感が走る。
背中が浮いたところで、圭介はブラのホックを外し、内股を指で
なぞりながら自己主張した胸の頂点を口に含んだ。それだけで、体が反り返る。
「ぁぁぁぁぁぁん」
甘い吐息が混じった。
「良い声だ」
圭介の声が聞こえてきて、それから涼子は圭介から与えられる刺激に
訳がわからなくなっていた。毛穴の一つ一つが甘い快感に呼吸し、息づいてゆく。
圭介がキスをすればキスされた部分の細胞がふわりと新しく呼吸を始める。
圭介が指を這わせればその部分の肌がみずみずしく満ち足りてゆく。
圭介の体温を感じるたび、圭介の息を感じるたび…。
涼子の中で「圭介」というキーワードで身体のすみずみまでその感覚は
インプットされ、同時にそれは直接快感として涼子の頭の中に入ってくる。
「もうストップきかないからな、覚悟しろ」
圭介はそう言うと涼子の胸に唇を這わせ、その掌で小さなふくらみを
愛撫する。
息が出来ないほどその刺激に溺れ、下半身がそれに答えて蜜を出す。
もう自分でもわかるほどに涼子は濡れてしまっていた。
自分の体の暴走が信じられないほどなのだが、その一方で圭介に
触れてもらうこと、愛されることで心が満たされ、体が満たされてゆくのが
わかる。嬉しくて嬉しくてたまらない自分に涼子は気がついていた。
2年ぶり、というだけのことではない。自分の奥底にしまいこみ、
封印していた何かがあふれてくるのがわかっていた。
「俺も嬉しい。お前の体が喜んでいる」
背中にまわった圭介の胸板を感じながら後ろから両方の胸を塞がれた。
同時に両方の指がくるりと動いて涼子の敏感な場所を刺激する。
「あ…ああん」
背中が反りあがって圭介の腕から逃げようとするが、圭介はぴったり
身体をつけたまま、それを許さない。腰に熱い圭介を感じながら、
涼子の蜜は胸と腰の愛撫に同調する。
「ここは?」
圭介の手が下に下がった。
「やめて、お願い。今は…」
涼子の言葉より、すっと圭介の指が下着の上からスリットを撫でた。
瞬間、体が大きく仰け反り、電流が走った。それだけで、軽い絶頂を迎える。
うつぶせのまま、ベッドに倒れこみ、涼子は体を丸めようとした。
「ああ・・・」
圭介のそんな呟きが聞こえた。圭介の指には涼子の身体の反応を示す蜜が
絡んで残っていたからだ。それはまた、圭介自身の喜びでもあった。
一方の涼子は呼吸を整え、体を丸めて、まず続いて来る絶頂の波を押さえようとする。
しかし圭介は荒々しく涼子に体の向きを変えさせると下着を取り去り、
足の間に入ってきて、その先端を、涼子の下半身の中心に当てた。
「駄目だよ、そんなことをしたらすぐに終わっちゃう」
「いいよ。どんどん感じて」
圭介はもう一人の自分をスリットにこすりつける。お互いの体温を感じて、
また一段と嬉しくなるのを抑えられなかった。涼子は自分の下で
抵抗することなく、裸身を晒していた。それどころか、
ちょっと触れただけで喜びの声をあげ、体は正直に反応している。
今までのこともあって充分登っていて、あと一息の刺激で達してしまうのは
明白だった。
「良くないって」
「良いの」
圭介はそう言って体重をかけ、涼子は久しぶりに男性を迎え入れる
激痛と快感と嬉しさに・・・頭の中が真っ白になった。
「涼子?痛いの?少ししか入っていないのに」
圭介の声が、もう一人の圭介を通して涼子の中に直接話し掛ける。
快感の波がすぐそこまで迫っていた。シーツをしっかり握って
顔を背けている涼子を見ていると、それがわかる。少し体が震えているのが
いじらしい。涼子の中心がまた一段と暖かくなる。
「俺の背中に手を回して。爪、立てて良いから」
圭介の手が涼子の手を背中へと導き、また少し圭介が体重をかけてきた。
「だめ・・・いっちゃう・・・」
涼子の小さいか細い声が部屋中に満ちたように思えた。告白したとおり、
涼子は快感が津波になってやってきて、一人で登りつめてしまった。
が、圭介の背中に爪は立てられず、涼子は握りこぶしのまま、
圭介の背中を抱きしめていた。
圭介は涼子の中で動かなかった。自分の下にいる涼子の体がしっかり
反応し、喜んでいることは自分が一番良く感じていた。それだけで
最初よりもずっといとおしさが増す。こういう行為でしか、
しかも半ば捨て鉢な状況でしか自分の気持ちを伝えられないもどかしさが、
いっそう自分自身を妙に駆り立てていた。できれば二人を隔てている
この薄い人工物すら取り払って、自分の気持ちを涼子の体の中に
思い知らせてやりたいとすら思った。
涼子は肩で荒い息をしたまま、トロンと目の焦点があわせられないでいた。
さっきから、涙が溢れて止まらない。
「ごめん・・・。本当にごめん・・・」
自分ひとりだけ登りつめたことを謝った。
「気にするな」
圭介はそう言って涼子の余韻の波に合わせて腰を振り、奥まで入れてきた。
「あ・・・ぁぁぁぁんんん」
涼子に再び波が襲ってくる。
圭介自身を受け入れた涼子の体に圭介は満足はしていた。
しかし、涼子は圭介を愛したから受け入れたわけではない。
それがわかっているからこそ圭介は自分の欲望をもてあましてしまう。
「素敵だよ、涼子」
圭介は自分の心の中を隠そうとするように涼子の波とシンクロを始めた。
余韻の波とシンクロすることは、圭介には心地よい刺激だったのかも
しれない。しかし、圭介自身は果てることなくひとしきり涼子の中を
かき回すと、波が収まるのを待って外に出た。
「少し落ち着いた?」
「こういうことをやっている限り、落ち着きませんって」
「当然だ。完全にクールダウンしたら俺が面白くない。
涼子にはもっと可愛い声で鳴いて欲しいから」
「変なビデオの見すぎ」
「そうじゃない」
そう言って圭介は涼子を抱きしめると横になり、その体に指を這わせた。
「他の男に絶対渡したくない。…これは俺のわがままだな。
お前、本心から抱かれたわけじゃないだろう?
だから、今度はちゃんと俺のほうを見て…」
涼子の目から涙が溢れた。嬉しい涙ではなかった。それが、よくわかる。
罪悪と、情けなさと、ずるがしこさと。
自分のために圭介とこうなってしまった罪の涙だった。
「それが俺の気持ち。…お前、こんなに自分を痛めつけないと
前に進めないほど、南さんへの思いを溜め込んでいたのか?」
図星だった。
「パンパンに南さんの思いを溜め込んでいるお前を見ていると痛々しかった」
「ごめん、私・・・」
「整理がつかないくらい訳わからない状態になっているんだよ」
「でも、でもね、圭介、私は…」
返事の代わりに、圭介は涼子の胸に指を当てた。
「!!」
指先は確実に涼子を捕らえていた。涼子はその先の言葉を紡ぎ出せなくて
ただ喘ぐしかなかった。
そんな様子を見てから、圭介はその指を涼子のスリットに落とした。
少しの抵抗はあったが、涼子は圭介の指を受け入れた。
「私、圭介のこと・・・」
「ああ、わかっているよ。でなきゃ、ちょっと触っただけで
体がこんなに喜ぶわけないだろう?」
圭介はそう言いながら、涼子の体の反応を見ていた。
「心も体も限界だった、そういうことだ。だから今はそれで良い」
「でも・・・圭介・・・」
「俺は涼子の事が好きだ。何も心配することはない」
「あっ」
圭介の指の動きに、涼子は身をよじった。涼子の中心の一番敏感な部分は、
圭介の指を喜んで受け入れていた。
涼子の体は圭介の動きに素直だった。そっと指を動かすたびに蜜が染み出してくる。
「涼子、キスして良い?抱いて良いか?」
「圭介…」
「本格的に口説いてから抱きたいとも思うんだが、俺にも限界があってな」
涼子の体が小さく震えていた。圭介はスリットから手を離すと、
濡れた指先を涼子の胸の先にあてがう。
「ひっ」
涼子がその濡れた感触に声をあげた。が、指先は確実に涼子を責めていた。
「今度はちゃんと俺を感じて欲しいんだが。涼子」
「ん…」
「俺は、誰かの代わりじゃなくお前を愛したいし、受け止めたい」
「ありがとう」
涼子はそう言うと本気のキスを、圭介の唇に重ねた。
「んんんん…」
圭介は涼子に本気のキスを返す。
涼子の「受容」が圭介の欲望のタガを取り払った。
そのまま、涼子の首筋にキスを落とし、静かに下にずらしてゆく。
涼子の細い首筋も、鎖骨も、薄い胸も、圭介には愛しい存在だった。
その一つ一つにキスすると、涼子は悩ましい声をあげた。特に胸は。
すっぽりと手に収まる胸の厚みは男の圭介にとって不満とも言える
大きさだったかもしれない。しかし、その感覚の鋭さに圭介は満足していた。
涼子が圭介の動きに息を乱れさせ、時に声をあげる姿は圭介を胴震いさせる。
「あぁぁぁぁっ」
何度目なのか、圭介が涼子の胸を責めると涼子はそう声をあげて軽く達してしまった。
「涼子?」
圭介は呆然とした涼子に一度声をかける。
「ごめん…」
「どんどん感じれば良いと言っただろう?」
「でも…」
「大丈夫だから」
圭介はそういうとスリットに指を落とした。先ほどからの愛撫で
もう充分に潤っていた。
圭介は涼子の胸に顔をうずめ、その突起を口に含むとゆっくりと舐めた。
「あ…」
一度達してしまえば女性の体は余計に敏感になるときがある。
涼子の口から甘い声を引き出すと、胸の刺激はそのままに、
スリットの間の突起を指でそっと撫でた。
「ああっ」
体をビクリと震わせて涼子はその刺激に耐えていた。
つるんと指が往復するだけでまた新たな刺激に体は喜んでいて反応を示す。
敏感になっているだけあって、涼子の息の乱れはもう終わりが近いことを示していた。
「あっ、だめ」
指の動きを変えると涼子の息がひときわ乱れた。
圭介は愛撫をそこだけに集中させる。
「あっ…あっ…」
圭介の耳を刺激する良い声だった。だんだん小さくなるその声は、
最後は息と一緒になって圭介の背中に、しっかり握りこぶしの感触を植えつけた。
何故、爪を立てないのか。
そのことは圭介の気持ちをいっそう駆り立てた。
まだ南良明という男の呪縛から逃れられないのか。
しかし体のほうは着実に圭介の刺激に喜びの反応を示していた。
「もうやめて…」
涼子がそういっても、圭介は涼子を責め続けた。
圭介の腕の中で先ほどから何度も波を迎えている。その波に合わせて圭介は涼子を責めていた。
お互いの気持ちはわかっていても、もしかしてこれは一時の気の迷いで
後になってみるともう抱けないかもしれないという危機感が圭介を駆り立てていた。
ひときわ強い波を迎えた涼子を見届けると、圭介は涼子の体を割って中に入った。
たちまち、涼子の波が圭介を襲う。
その波に呑まれないように圭介は奥へ奥へと登って行く。
圭介の体を受け入れた涼子の体は喜びに満ちていた。
「あ…ああ…」
自分の身体の中心が妙に暖かくなる感覚が涼子にはある。
それが体中に広がればとめどない至福の世界があるということは
もう体が覚えてしまっていた。身体の中心がその感覚を思い出してきた。
圭介をその中心にといざない、包み、放さない。
「気持ち良いの?」
圭介はわざとそう聞いた。
「わかっているくせに」
圭介がいたずらっぽく腰を振って少し奥に進めた。それだけで
涼子の腰に温かみが広がる。
さっきとは違って、お互いに精神的に落ち着きがあるのか感じ方も違った。
「あ…だめ…」
「まだ奥まで入れていないよ」
「でも…」
圭介の腰の動きは涼子を追い立てる。圭介はそれを満足そうに
下に見ながら、腰を振った。
「涼子の体は正直だよ。凄い…俺のほうが危ない」
「あ…」
突き上げられた涼子に波が来た。
「俺も限界」
圭介の動きが変わった。涼子の波に合わせていたのだが、
今度はその波に合わせて自分でリズムを刻んで新しい波を起こし始めた。
涼子が波に呑まれて行くと同時に、圭介も同じように波に呑まれてゆく。
「あ、あぁぁぁぁっ」
涼子がか細い小さな声をあげて終わりを告げた。
ほぼ同時に、圭介も果てた。
しかし、圭介の心の中に何か苦いものが残ったのは確かだった。
あの瞬間、背中に回された涼子の手は、開かれていなかったからだった。
今日はここまでです。
また次回に。
夏の章があと少し続きます。
(2回投稿分かな?シーンが変わります)
by藤原忍
>>793の続き
※ ※ ※ ※ ※
夜、涼子は一人の部屋で今日の出来事を思い返してみる。
二人で交わした会話は、あのホテルの後から意味が通じないほど怪しくなっていた。
半分自暴自棄に抱かれてしまった自分と、圭介に抱かれたことを喜ぶ自分。
あんなシチュエーションで圭介を追い詰めて、しかもあんな行為を
させてしまった自分。
後悔の涙。
マイナスの要因しか頭にはない。
二人で交わした会話さえ、支離滅裂の会話だと思う。
ただ一つ、涼子にとって贅沢なのはそんな自分でも圭介は受け入れると
言ってくれたことだった。
なにより、圭介は涼子が立ち直るまで待つ覚悟があると言うことだけは
はっきりと言った。あのベッドの中でも、別れ際の言葉でも。
圭介自身にその覚悟があるからこそ、今日のことは「安心して」良いとも
言われた。
圭介は今日のことを転機として捉えようとしているという表れだった。
深呼吸すると窓を開けた。先ほどからの雨で、気温が下がっていた。
7月にしては寒い空気が部屋に流れ込んだが、雨の匂いは心を落ち着けされてくれる。
「涼子、入るぞ」
「はい?」
涼子の返事を待ってから兄の純一が部屋に入ってきた。
今日は飲み会だとかで帰ってきたのは遅く、さっきまでお風呂で
鼻歌を歌っていたのだ。
「借りていたCD」
「お、ありがとう」
3枚のCDと一緒に純一の手から缶ビールが手渡された。
純一自身、風呂上りなのでもう一方の手には自分のための缶ビールが
握られていた。一瞬、純一が何か言いたそうに立ち止まり、
涼子と目が合った。
「?」
「涼子、キスマークついているぞ」
兄の不用意な一言に、涼子はリアクションを忘れた。
「え?」
「ま、前に進んだと言うのは良いということかな?で、相手は誰だ?」
「飲みすぎじゃない?」
涼子はそうとぼけた。今日は圭介とデートだったことは
家族の誰もが知っている。
「そうだな、他の男に走るほどお前器用じゃないから…」
「どういうことよ?」
「ケースケは本気だってことだよ」
「だから悩んでいる、ということよ」
「相談に乗ろうか?」
「兄貴も和美にも圭介に筒抜けになるからだめ。意味なし」
純一がにやりと笑った。つい今朝までは「原島」と
呼んでいた筈だったのに、今は圭介と呼んでいる事に気付いたからだった。
「へいへい、おやすみ」
純一は頷くように部屋を出て行った。
純一が出て行った後、鏡で確認すると涼子の肌には情事の後が残っていた。
そのアザミ色の痕跡がいっそう涼子の混乱に拍車をかけた。
混乱の原因は、涼子が確かに圭介を愛し始めていることにあった。
(夏の章・完)
どうにかこうにか、日付が変わる前に夏の章・終わりです。
秋の章はただ今執筆進行中です。
ではおやすみなさい。
乙です、若さ故の切なさですな…
読み返したらタイプミス発見。
失礼しました、訂正します。
>>796の2行目
雨の匂いは心を落ち着けされてくれる。
→雨の匂いは心を落ち着けさせてくれる。
>>797の12行目
「兄貴も和美にも圭介に筒抜けになるからだめ。意味なし」
→「兄貴は和美にも圭介にも筒抜けになるからだめ。意味なし」
あとはないと思うんですけど…
日本語としては「落ち着かせてくれる」が正しいと思うのだが…
>>801さま
ご指摘の通りです、ありがとうございます。
訂正の訂正なんてみっともないですが、
「落ち着かせてくれる」と訂正させてください。
(゚д゚)ウマ-
ここまで保管しました。
他スレの過去ログ保管依頼があったので検討中。
>>藤原忍さま
どんな執筆者だって誤字脱字をします。
出版物の場合、先に校正が入るから目立たないだけです。
気にせずにどんどん訂正を入れてしまってください。
保管サイトはこちら。
http://novels2ch.s6.x-beat.com/
SOTさんまだかな……右手が疲れた(*´Д`*)ハァハァ
>>保管サイト担当さま・読者さま
いつもありがとうございます。
誤字脱字・日本語がおかしい、などなど指摘してください。
(と皆様に頼ってしまって良いのかしら、と思うときもありますが)
一つ一つが勉強だと思っていますので、どんどん鍛えてやってください。
自分としては誤字脱字などは読み手さんにとって読み辛いだろうな、
と思っておりますので、見つけてしまうとやはり恐縮してしまいます。
推敲しよう
捕手
作家の皆さん、待ってますよー
推薦する作家さんとか言ったら少しは書いてもらえるようになるのかね?
それとも逆効果?
推薦された人はやる気でるけど、されない人がいじけたりしない?
いろいろなご意見があるようで…。
他の方のご意見も伺いたいですね。
書き手の方の腹を割ったご意見とか。
読者さんがいる、待っているというのが私としては幸せなので…
誤字脱字や推敲しろというご意見も読まなくては
出てこないっていうのがありますから。
ちなみにこれでも推敲しています
…だからミスを発見すると恐縮しちゃうんです。
ひたすら長い秋の章に戸惑っている藤原です。
完成分だけですが…。
秋の章
あの海の日以来、二人の時間は電話だけに限られた。
圭介は仕事が忙しくなり、色々な仕事を任せられるようになったのか、
休みの日もあってないようなものだった。それは涼子も同じで、
店舗開発部へ提出する定期レポートのために時間を費やすことが多くなり、
8月はレポートと仕事の両方に忙殺された。
ホームセンター事業は夏のシーズン時は忙しいの一言に尽きる。
6月から9月初旬にかけての売り出しキャンペーンは枚挙にいとまがなく、
加えて夏休みと言うことでアルバイトやパートが休みを取るので
社員はそのカバーに入らなければならない。社員は文字通り目の回る
忙しさなのだ。
しかし、9月のシフトは8月の休めなかった分も含め、少し余裕がある。
会社では夏季休業を6月から10月に分割することを推奨している為、
涼子は家族旅行の予定を組んで連休を取得した。
毎年、夏に家族旅行するのは来生家の恒例行事だった。
共働きだった来生家には毎年の約束がいくつかある。
その一つが夏の家族旅行なのだが、今年は涼子のスケジュールの関係で9月になった。
一泊二日の旅行は、近場でのんびりと過ごすのが通例で、
今年は父の会社の親睦会でリゾートホテルの招待券が当たったので
車で2時間ほどのその海辺のリゾートホテルに決定した。
仕事の関係があるので両親は先に電車で向かい、兄の車を借りた涼子は
本部にレポートを提出し、本部での仕事をしてから同じく出張帰りの兄を
駅で拾ってそのホテルに向かった。
「お、白亜の地中海、のイメージなのかなぁ…」
日中は夏の日差しのような陽が当たるが、朝夕はやはり秋の気配がする
日差し。その日差しに照らされたホテルはなかなかコンセプト通りの建築に
仕上がっていた。
「夏のエメラルドの海だったらもっと良かった?
でも夕陽に照らされている海も素敵よ」
そう言って車のロックをかけた。
「来生なのか?」
不意に声をかけられた。声をかけてきたのは長身の男だった。
涼子にはこの男に見覚えがある。背格好は違うが、兄の中学・高校時代の
友人で森崎という男だ。
「おう、森崎」
「あ、悪かったかな?彼女とデート?」
純一と涼子が同時に噴出した。
「お前、覚えてない?」
「え?」
「妹の涼子だよ。ホテルの宿泊券が当たったから家族で来たんだ。お前は?」
「涼子ちゃん?」
「お久しぶりです」
涼子は頭を下げた。
「見間違えた。…おれは仕事。これからここでパーティがあるんだ」
「お疲れさん」
「後でラウンジで一杯どうだ?今日は俺もここに泊まるんだ」
「いいなぁ。じゃぁフロントに声をかけてくれ。話を通して置くから。
まだ部屋がわからないんだ」
「おう、後でな」
森崎はそういうと足早にフロントに走っていった。
※ ※ ※ ※
ホテルの部屋は家族で泊まれるようにとベッドルームが二つ、
リビングが一つという豪華な部屋だった。バスルームも二つ付いていて、
なかなかのものだった。
が、部屋全体を見渡す間もなくシャワーを浴びてから
純一も涼子も盛装した。涼子は相変わらずスカートがはけないので
スーツ姿にネクタイまで締めてボーイッシュな盛装である。
ポケットに飾られた花のプリントのハンカチが女性らしさを漂わせていた。
「時間、早すぎるって」
「兄さんは満腹じゃないの?」
「あとラーメン一杯くらいかな」
その言葉に涼子は笑う。食事を終えて部屋に戻る途中のことだった。
「だって6時半じゃないとレストランの予約が一杯なんだっていうし」
「前もって予約しないからだよ」
前日、7時からの予約を頼んだが、6時半しかあいていないというので
一家はそれを受け入れた。
「はいはい、言わないの」
涼子が間に入る。家族で盛装してレストランというのは
久しぶりのことだった。時間は早かったが、料理も満足行くものだったし、
何より家族全員が楽しい時間を過ごせたことは良かった。
「あら、素敵なお嬢様」
母がおどけて涼子を褒める。
「ネクタイ曲がっているけどな」
父が笑いながらそう言った。
「やぁねぇ、早く言ってよ」
廊下を歩きながら急いで直す。パーティ会場と同じフロアなので
先ほどから華やかに着飾ったドレス姿の女性や、スーツ姿の男性が
行き交っていた。もうお開きになったのか、それともまだ続いているのか。
7時半を過ぎているのでまだ半ばかもしれない。
「じゃぁ私たちは売店に寄るから」
「おう」
父と兄は部屋に戻り、涼子と母はロビーで開催されていた
小さな花の個展にため息をつき、ロビーで買い物をした後部屋に戻ってきた。
「あらま」
父はまだリビングで起きていたが、兄はベッドの中で高いびきだった。
「もう、そろそろ8時半なのに」
森崎との約束は8時半である。母と涼子が純一に声をかけたが、
もう夢の中だった。
涼子が仕方なく、約束のラウンジに行った。
「あれ、涼子ちゃん?」
「兄貴は寝ちゃって。ごめんなさい」
「出張だったから、疲れちゃったんじゃないのかな?」
「みたいです。本当にごめんなさい」
「いえいえ。何か飲む?」
瀬戸内の多島美が望める階上のラウンジは客も少なく、落ち着いた雰囲気だった。
森崎はカウンターに座っていた。
「じゃぁ、ジンフィズを」
家族との食事ではワインを飲んだので、口当たりが良いものを
飲みたくてそれを頼んだ。
森崎がバーテンダーに注文すると席を立とうとして、思いとどまった。
「高所恐怖症だったっけ?」
涼子がためらいながら微笑んだ。
「そんなことまで話したんですか?」
「高所恐怖症を治すためにジェットコースターに乗せたら
これがフリークになったって言う話は聞いているよ」
「もう」
「最近は、乗った?」
そういわれて首を振った。遊園地に行っても、
コースターに乗ることはない。森崎は隣の席を勧めると
椅子に座りなおした。
「仕事、忙しいですから全然」
「今何しているの?」
「ホームセンター・ピースの南野店勤務です。DIY担当です」
「?あそこは大卒女子は社員採用で本部勤務だと思ったけど」
「店舗開発を希望しているんです。それで現場の仕事を覚えたほうが
良いという助言もあって。うまくすれば4月から本部勤務ですけど」
「そうかぁ。ピースの仕事は厳しいからなぁ。…ウチでも仕事が
ほしいんだが、プレゼンで撥ねられるんだ」
森崎は森崎工業グループの御曹司である。地元では造成から
建築・解体まで請け負うのでなかなか大きな会社だった。
「勉強しているんだよね、あれこれと」
「社内競争も凄いんですけどね」
「でも…思い切ったことしたなぁ、大卒女子で現場に出るなんて」
「父は本部だと思っていたからカンカンでした。
でもアタシの希望を聞いたら納得してくれて。現場を知らない人間に
店を建てられるかって言われたら、二の句が告げないですもん」
「立派だなぁ…。俺はすぐデスクワークだったから…見習わなきゃ」
「何をおっしゃいますか。私だってレポートやら課題やら、
それをパスしないと本部は遠い道になるんですよ。
毎年開発に入れるのは二人、とか。入っても残るのは難しいし」
「凄いなぁ」
「ちょっとグチになっちゃいましたけど。
森崎さんは今何をしているんですか?」
「親父の下で見習い中だよ。まだまだ、だけどね。
今日は取引先のパーティで親父の代理なんだ。
知り合いばっかりのパーティだから俺でも代役が務まるわけ」
「ご謙遜」
「涼子ちゃんは建築に興味があるから店舗開発希望なの?」
「うーん、ちょっと違うかな。私は家族で笑顔になれる店にしたいだけ。
ホームセンターというと実用品ばっかりじゃない?
実用品を買う店だから、毎日来ても楽しくなるような店にしたい、
そういう店を作りたい…と言うのは贅沢なんだけど」
「へぇ。で、具体的には?」
「企業秘密です」
涼子が笑った。森崎がくすくす笑う。
「なかなか口が堅い。じゃぁプライベートは?」
カクテルが運ばれてくる。
「純一は涼子ちゃんのことは絶対紹介しないって言っていたから
今日がチャンス、と思うんだけど」
「森崎さん、相変わらずストレートね」
「カルーく流してくれたね」
「何も話していないんですか?」
カクテルを一口飲んだだけで涼子はそう言った。
「涼子ちゃんが東京の大学に行った、戻ってくるという話は聞いたけど、
それ以上は聞いていないよ。あ、半年ほど前に会ったときは
紹介しないって拒否されたし。彼氏がいるのかって聞いたら
今はいないとは聞いたけど」
「飛行機事故であっけなく。2年前の春です」
「悪いこと聞いたかな」
「いいえ。立ち止まることが嫌いで、少しでも良いから前に進め
と言う人だから、少しづつでも過去にしていっているんですけどね」
「辛いね」
「でももう落ち着いてきたんで」
「全然そういう話しなかったな、純一は」
「私がいなかったからでしょうね、きっと。殆ど東京にいたし、
こっちに帰ってくると事情を知っている同級生が毎日のように電話くれたり。
家族が話をするよりも友だちが支えてくれたんで」
「今はプライベートは充実しているの?」
「返事に困りますね。会社の課題のレポートに追われて
ヒーヒーしていますよ。その準備と仕上げで殆ど休みが潰れています」
また森崎は笑いながらカクテルを口にした。涼子もジンフィズを口にする。
もっと辛いほうが涼子の好みなのだが。
「森崎さんはどうなんです?学生時代はプレーボーイだったと
聞いてますけど」
「え?」
「女子の人気が高いって」
森崎がくすくす笑う。
「高校までは真面目一辺倒だったけどね。大学に入って
2,3人と付き合ったけど、どうもしっくりこなかったから自然消滅したよ。
純一、他に何か言ってなかった?変なこと言ってないだろうな」
「そうやって私をダブルスパイに仕立て上げるんですか?」
これには森崎が笑った。
「うまい言い回しだな。参った参った」
森崎との会話は、半分が冗談のようなやり取りで笑わせてくれる。
「ね、涼子ちゃん、今はフリーなの?」
「一応、フリー…かな」
「一応、ってどういうこと?」
「う…ん、気になる人に凄く酷い仕打ちをしたのね。
それでその人から連絡がない、連絡できないというのは…やっぱり脈なし、
なんだろうなと」
「酷いことしたって…?」
そこまで聞いて言葉をとめ、改めて良かったら、と言いなおした。
いつもは口にしないが、酒の勢いがあったのか、涼子はぽつりと話し始めた。
「南さん、というのが死んだ恋人で…もう辛くて辛くて
どうしようもない気持ちをその気になる人にぶつけてしまったのね。
凄く傷つけたと思う。南さんへの気持ちを、その人にぶつけちゃったから。
…で、とどめに3年経つまでは自分の中でけじめが付かないから
無理だって言ったのよね。酷い女」
「3年?」
「古いって言われても仕方ないんだけど、南さんが死んでから3年は
あの人と一緒に生きようと。…実はね、南さんが死んだとき、
死のうと思ったことがあるの」
「えっ?」
「でも色々考えていたら迷いに迷って。優柔不断な性格みたいで。
だから3年という区切りをつけたの。3年経って、まだ南さんのことが
好きでどうしようもなくて、死んでも良いと思うのなら
その時に自殺しようって。今は落ち着いたからそんなことは
考えないんだけど、でもやっぱり自分の中で3年は喪中っていう
考えがあるの」
「彼、そのことは?」
「知っていますよ。ずっと待っているから、立ち直るまで待っているから、
といわれたんだけど彼も自分の気持ちを殺しているみたいで。
結局、7月にそんなことがあって、電話が月に一度か二度くらい」
「会ってないの?」
「全然。謝ろうと思って連絡を取ったことがあったんだけど、
留守になっていて。こんな重たい女は多分…。向こうも迷惑だろうし」
「じゃぁ恋人候補に名乗りを挙げてよい?」
「普通はその彼とのことをアドバイスしない?」
森崎が笑った。
「君を口説くほうが面白い」
「簡単に口説かれる女じゃないぞ」
兄・純一がそこにいた。
「あ、起きた」
「お前が一人で行ったと言ってお袋がカンカンになって俺を起こしたんだ」
「男の話がご無沙汰だから森崎さんにふらふら〜と?」
「ならないっていっておいたんだがな」
「お前までそう言うか?涼子ちゃんに失礼だぞ」
「家族で来ているのに部屋にまで連れ込むほど節操のない男じゃない
といったら…親父に殴られた。『森崎さんに失礼だ』ってさ。
それ以前に約束すっぽかした俺を怒っているの」
「ご両親は涼子ちゃんのことを信じているのか…」
「慎重だからね。考えなし・覚悟なしに行動するわけじゃないから。
ある意味、無鉄砲な俺より信頼が厚い」
「よく言うわよ」
「それで?お前は手帳に森崎の名前を入れるのか?」
「…なんでこんな良い男が兄貴の友達なの?」
純一が迷わずデコピンを涼子に突っ込んだ。
森崎が二人を見ながら苦笑する。二人のやり取りはまるで漫才だ。
「でもま、男の話がないと言う意味では心配しているのは確かだな。
森崎は良い男だぞ。俺が保障する」
「次から次へ男を取り替えるほど器用な女なら家族も苦労しないのにね」
「確かにな」
「兄貴がけしかけてどうするんだ、おい」
「こいつは特殊なの」
「やぁねぇ、そういう言い方」
そう言いながら残りのジンフィズを口にした。
「バトンタッチ」
「おう」
涼子と席を替わる純一。
「送っていかなくて大丈夫か?」
「え?」
「涼子ちゃん、酔っているみたいだけど」
「お前そんなに飲んだ?」
「フィズ一杯。それからさっきのワイン」
「じゃぁ大丈夫だ。一晩でボトル半分空けても平気な奴だから」
「ワインボトル?」
「ウィスキーボトル」
森崎の言葉を涼子が訂正する。
「わが家の異端児。酒に強い」
「ねぇ、その言い方、あたしがとてつもなく強い女に聞こえない?
男の話と良い、酒の話と良い…」
「節操を知らない尻軽女とどっちが良い?」
「わが家の異端児の称号のほうがまだましか」
涼子が納得する。
「ん、酔ってないから大丈夫。頭のほうも大丈夫」
「じゃぁお先に。おやすみなさい」
涼子は先に帰っていった。
「真面目に口説きたいな」
森崎はふとそう言った。
「そうしたら…来生が『お兄様』か?」
「あほ」
純一が笑った。
次回は手直しがはいってからまた近日中に。
なかなか進まない涼子ちゃんストーリーに
作者の精神状態は鬼畜と化しています。
(単に自分が思うように表現できないだけのことなんですけどね)
乙っす。
風邪っぴきで死亡してました。
死んでた分仕事まきかえすのに必死でまだ書けそうにありませんが
また挑戦したいと思います。推薦されなくてもw
保管サイトに、他スレの作品+新規投稿になる続編を保管しました。
以前に「糸」を書かれた水戸っちさんの作品で、
保管はご本人の依頼によるものです。
よろしければご一読ください。
>>藤原忍様
ゆったり、ゆったりいきましょう。
他スレの保管などせず、さっさと保管しろとお怒りかもしれませんが、
今宵はご勘弁を。
>>マルチネス様
お久しぶりです。
無理せずに時間があるときに書き進めてください。
続編をお待ちしております。
保管サイトはこちら
http://novels2ch.s6.x-beat.com/
>>保管サイト担当さま
ゆったり、ゆっくりですね…
愚痴になって失礼しました。ありがとうございます。
保管作業は大変かと思いますのでどうぞご自分のペースで。
>>マルチネスさま
今シーズンの風邪はぶりかえします。長いです。
だからくれぐれもお体には気をつけて。
続編をお待ちしております。
舞ちゃん…大丈夫ですよね?
>>828 どうも。作品しっかり読んでますよー。イラつくの分かります。
大量投下するのってエネルギーいりますよね。
自分はいつも途中でどうでもよくなってきちゃうんで・・・。
>>保管サイト担当様
他スレで書いた作品も依頼すれば保管してくれるですか?
>>830 ご依頼がありましたら保管いたします。
直接の新規投稿も歓迎です。
保管サイトの下のほうにメールアドレスがありますので、
直接の新規投稿の場合はそちらからどうぞ。
>>all
サイト下部のカウンタがもうじき20000突破。
>>藤原忍氏
16日投下分はエロなかったけど
なんだかすごくドキドキときめいたよ!続き読みてぇぇ
>>保管係り氏
いつもお疲れ様でやんす
>>832様
ありがとうございます。
日々鋭意がんばりますです。
>>824の続きです。
※ ※ ※ ※ ※
休暇から少したった頃から、朝晩は急に冷え込み始めた。
同じように涼子の精神状態も穏やかではないが、
冷静に振り返る余裕も出てきていた。
先日、森崎と話したことは漠然と涼子の心の中に波を起こしていた。
圭介も森崎もいつも自分の身近な存在だった。
森崎は兄の友人で、涼子の記憶にある森崎はざっくばらんで屈託がない。
先日の印象も同じようなものだが、涼子が酒に任せて話してしまったことに
相槌を打ったものの、それ以上は深入りしなかったことである。
その距離のとり方は安心感すら与えてくれる。
兄が珍しくけしかけるようなことを口にしたのは驚きだったが、
夏以来、進展もしない、むしろ疎遠になったような圭介との関係は
兄にしてみればもう終わったことかもしれないという判断なのか。
しかし、判断するのは自分である。
森崎の距離のとり方は涼子にとって心地よいものであり、
兄によるとそれとなく今度二人で会えないかという話が出てきている
というのだから悪い話ではない。ただ、残業で直接先日の詫びが
できなかったのは気がかりだが。
どちらにしろ、はっきりしない圭介との関係は涼子の迷いを
増やしているだけだった。
※ ※ ※ ※ ※
圭介は仕事を終え、一人のアパートに戻ってきた。
ここ数日、仕事が忙しいので夕食は外食弁当の世話になっている。
あの夏の日以来、涼子のことを思い出せないくらい忙しい日々が続いていた。
ボーナス前後は住宅を買おうという動きが活発になる。
圭介の会社では夏のボーナス時、冬のボーナス時、そして1月、2月、3月に
物件が動くという法則がある。新入社員といえども、その法則を無視する
わけにはいかないので俄然、忙しくなる。涼子との関係を
何とかしようとは思うが、夜10時近くに帰宅するようでは、
自宅にいる涼子には電話しづらい。以前は会社の備品の買出しに
かこつけて勤務中の涼子に会うことは出来たが、最近は事務のアルバイトが
入ったので彼女の仕事になってしまってそうはいかない。
結局、思うように連絡できないまま、秋を迎えてしまった。
しかし、今日は本当に久しぶりに仕事が早く終わった。
終わったといっても7時近いので定時には程遠いが、アパートに戻って
一人で電気を点ける寂しさに言いようのない不安を覚えた。
家に帰って会話のない生活。
一人で明かりを灯す寂しさ。
留守番電話のランプさえ、最後に作動したのはいつか覚えていない。
少なくともここ2週間、涼子からの連絡はない。
圭介はもう一度時計を見た。午後6時58分。
今からなら、涼子が遅番シフトだったら会えるかもしれない。
圭介は衝動的に車のキーを握ってアパートを後にしていた。
車で5分ともかからない場所に涼子が勤務する南野店があり、
夜間の駐車場の出入りも自由だった。隣には24時間営業の
レンタルビデオ店がつい先日オープンし、元々あるパチンコ店と
3店舗で駐車場の境を取り払い、共有しているのでそこで待つつもりだった。
※ ※ ※ ※ ※
涼子は従業員駐車場を見渡し、自分の車があることを確認した。
朝停めた街灯の真下の駐車スペースに車はあった。
しかも、そこに森崎がいた。
「森崎さん?」
「仕事で近くを通ったものだから。電話だと時間を気にするし。
君がすぐ出てきてくれて助かった」
「今日は残業はないですから。あの、先日は失礼しました」
「何のこと?」
森崎はとぼけた。
「酔った勢いで口が滑って。私一人がしゃべっていたから」
「女の子はおしゃべりだと思うんだが」
森崎が苦笑した。
涼子は車の側にいる森崎に近寄った。
「まだ乗っていたんだ、911に」
森崎はそう言った。純一が大学時代中古で買ったこの車は
たまたまナンバーが911だったこともあって純一のポルシェとか
911と仲間内で呼ばれていた。
「まだまだ現役ですよ、あっ」
涼子は何かにつまづいた。
「おっと」
森崎はバランスを崩した涼子を受け止める。
涼子は森崎の胸に飛び込む形になってしまった。
「ごめんなさい」
「いや、大丈夫?」
森崎のタバコの匂いが涼子の記憶を呼び起こし、
バリトンが直接耳に入ってきて眩暈すら覚えてしまう。
森崎は思ったより小さな涼子の身体を受け止めながら片手で
背中に手を回し、片手で腕を支えた。
「ごめんなさい…」
涼子の声が掠れていた。森崎は涼子が体勢を整えるまで
手を添えていてくれた。
「今度連絡して良い?一緒に食事でも。ありきたりだけど」
森崎が鍵を渡しながらそう言った。鍵は涼子の手から落ちて
森崎の足元に落ちたからだった。が、涼子の手は震えていて
渡されたその鍵を落としてしまった。
「涼子ちゃん?」
「ごめんなさい、大丈夫ですから。気にしないで下さい」
「どうかした?」
鍵を拾い上げる涼子。
「仕事のことで頭が一杯で。ごめんなさい。…あ、森崎さん、帰りは?」
「向こうで車が待っているんだ。今日は仕事が残っているし」
「おかまいなく。大丈夫ですから」
「本当に?」
「ええ」
「じゃぁまた連絡するよ、それで良い?」
「え?はい…」
涼子はあいまいに返事して、森崎を見送った。
少し離れたところに、運転手が運転するセダンがあった。
森崎の姿を認めると、彼は車を降りて森崎のためにドアをあけ、
それから運転席に戻って車を走らせた。
去り際、森崎は涼子に手を挙げたような気がするが、
涼子はあいまいな笑みを残してのろのろと運転席のドアをあけた。
運転席に座ると、深いため息をついた。
一瞬だったが、森崎の体臭は南を思い出させた。
森崎のあのバリトンの声も。いや、正確には同じバリトンでも
森崎のバリトンはテノールに近い。南のバリトンを中間のバリトンとすると
森崎の声はそれより高く、圭介のバリトンは少し低い。
圭介…。
自分でストップがかかっていた。
森崎に抱かれたとき、自分の動揺を悟られたくはなかった。
何故動揺したのか。
涼子はもう一度深呼吸するとエンジンをかけ、それからいつものように
車を発進させた。低速ではもたつく感じがする「911」ではあるが、
それは自分の運転の癖かもしれない、と涼子は思いつつ駐車場を出た。
その涼子が店を出てきてから駐車場を出るまでの
一部始終を見ていた男がいた。圭介である。特に森崎とのやり取りは
軽いショックを覚えていた。
涼子と一緒にいた男に記憶はない。少なくとも涼子に話を聞く限り、
そんな話は出てない。というとここ2週間の話だろうか。
それとも涼子がずっと隠していた話なのだろうか。
何かにつまずいてあの男に抱かれる形になったのはわかった。
しかし、それがかえって自分の嫉妬の炎を燃やし続けている。
たったそれだけのことに腹を立て、嫉妬しているのは夕飯を食べていない、
空腹のせいだろうか。そう思い返して圭介は首を振った。
一番は声をかけられなかった自分の情けなさだ。
圭介は長い長いため息をついて、目を閉じた。
落ち着かないことには、この動揺した状態で運転は出来ない。
長い時間が必要だったかもしれない。しかし圭介に時間の感覚はない。
やっと自分の気持ちを押さえつけるとエンジンをかけ、アパートに帰った。
支援
今日はここまでです。
また来れるようだったら投下します。
(手持ちのストックを使ったのでちょっと苦しいです。
給料日前のお財布のようです)
>>839様
ありがとうございます。
リアルタイムで読んでいただけるとは、
うれしい限りです。
捕手
ほす
やっぱ個人のカウンタも付けた方が良いんじゃ?
カウンタ上がるとやる気でるだろうし。
もっと作家さんに書いてほすぃ。
時間の都合で秋の章の全部が投入できなかったらごめんなさい。
(問題の鬼畜になってしまった場面です)
>>838からの続き
シーンが変わります。
※ ※ ※ ※ ※
翌月、涼子の休みに合わせて圭介は休みを取った。
その日、朝一番で自分の車を整備工場に預けなければならなかったが、
それさえ済めば後はフリーになった。
涼子には10時半にアパートで待ち合わせをした。
あの日、圭介は自分の気持ちを落ち着かせてからアパートに戻った。
もう取り返しが付かないかもしれない、という思いは自分を激しく
動揺させていて、時計を見ると30分以上も涼子のいなくなった駐車場にいた計算になる。
自分への情けなさで落胆してアパートに戻ると、廊下の電球が切れていた。
不動産屋に連絡しないとな、と思って自分の部屋のドアの異変に気が付いた。
紙が挟んであった。
自分が出かけるときにこんなものはなかったので、駐車場に行ってから、
ということになる。部屋に入って折りたたまれた紙を広げたとき、
圭介はガツンと頭を殴られたような衝撃を受けた。
システム手帳のメモ帳に書かれたのは簡潔な内容だった。
話がしたいので時間を取って欲しいこと、10月の休みがいつなのか、
4日ほどの日にちが書かれてあり、今日の日付と時間と涼子のサインがあった。
お帰りなさい、という文字で始まる涼子の文章は、
圭介に暖かなぬくもりを与えてくれた。
圭介が急いで涼子と連絡を取ったのは言うまでもない。
その約束の日が今日だった。
圭介は一駅先の整備工場に車を入れると、電車で戻るつもりだった。
しかし、所用があるからといって整備工場のスタッフが近くまで送ってくれた。
予定外に早かったが、涼子の車は指示したとおり、アパートの駐車場に止まっていた。
圭介は予め郵便ポストの中に鍵を置いて来ていたのでスペアキーでドアをあけた。
「ごめん、先に入っちゃった」
涼子はそう言いながらダイニングテーブルの資料に目を通していた。
「おう」
電話では、レポートの提出の為に設計図を読めるだけの
建築関係の知識が欲しいとも言っていた。
そのコーチを引き受ける、という口実でアパートに呼び出したのである。
本当は根掘り葉掘り二人のことを話していたいという思いもある。
「何をしているんだ?」
「資料整理よ。夕方からリサーチに行きたいから」
そう言われて、圭介の動きが止まった。
涼子は資料を仕分けしているようだったが、その足元の布が
ひらひらと揺れていた。
間違いなく、スカート姿の涼子だった。
「涼子…」
圭介はそのまま涼子を抱きしめた。嬉しい、の一言に尽きた。
しかし、と思う。
「圭介、御免、離れて」
圭介に抱きつかれて身動きの出来なくなった涼子はそう言った。
はっと気が付いて圭介が離れる。
「お前スカート…」
「いきなりそんなに、苦しいじゃない?」
二人の言葉がぶつかった。
「真面目に…」
「他の男に一番最初に見せたいとは思わなかったんだもの」
圭介の喉がからからに渇いていた。
「その…涼子…」
「それとも他の女を口説いた?」
「お前以外に口説くか?」
「だって…」
「あの時は流れで口説いたと思ったのか?」
「それが自然でしょう?」
「俺、暴れるぞ。そんなに根性なしに思えたか?」
「貴方の負担になりたくないだけよ」
「負担とは思っていない。何度も言っているが、俺は本気なんだ。
お前は本気じゃなかったのか?」
「そんな余裕ないもん」
「お前正直だなぁ」
圭介が笑った。
「ちゃんと付き合ってくれないか?それとも…口説いた男がいるとか?」
頭の隅に、あの街灯の下の男がいた。
「別の男に口説かれそうになったから、このまま口説かれても良いのか
圭介の真意を聞きに来たの」
涼子はそう言った。
「選択権はお前にあるだろうが」
「夏のこと、ちゃんと謝っていないし、この先の事もあるし」
「俺、お前を抱いて後悔していないし、幸せだったんだぞ」
不意に涼子の耳元で圭介はそう言った。圭介にしてみれば
ふざけただけのことだったが、涼子にはものすごい刺激だった。
圭介の吐息がかかるだけで全身に快感が走っていた。
「それに、何でスカートはいたんだよ?」
「ばか」
「涼子?」
「ごめん」
「耳まで真っ赤だぞ」
圭介はそう言って耳朶を口に含む。
「あっ」
涼子の口から小さな声を引き出した。
「嬉しい」
圭介は後ろから涼子に抱きついた。そのまま、耳から首筋にキスを落とす。
涼子の身体がふるふると震えて資料がテーブルの上に落ちた。
圭介はゆっくり涼子を味わう。
あの街灯の下の男のことなどどうでも良くなっていた。
服の上からでも伝わる涼子の体温がこの上もなく暖かく感じられるのは
自分の感傷のせいなのか。
そう思いながら涼子の耳から首筋を往復しながらブラウスに手をかけた。
涼子はそれをさせまいと圭介の手を押さえようとしたが、
圭介の腕を胸に押し付ける格好になって、それは余計に圭介を興奮させた。
「やめて…」
その言葉と共に涼子の身体から力が抜ける。
崩れ落ちかけた涼子を支えて圭介は涼子と向かい合った。
「ねぇ、返事は?」
圭介のバリトンが耳に響く。
「真面目に俺と付き合う?」
「せめて一緒に食事、くらいの関係に修復したいんだけど」
「でも今こんなことをしてるのに?」
そう言いながら圭介の唇が首筋を往復する。
「あれから、落ち着いたからこういうことをしているんじゃないのか?
スカートはいて」
そう言った後で、変化に気が付いた。
指輪が、なかった。
いつも涼子の胸元を飾っていたネックレスがない。南の指輪がない。
涼子の決意が見て取れた。
「少し、話してよい?」
「指輪も外したのに?」
圭介が指摘した。
「まだ怖いの」
「何が?」
圭介は涼子の手を取って奥の和室に導いた。
奥の8畳の和室にはコタツとベッドとキャビネットつきのテレビ、
それに整理ダンスしか置いていない。作り付けの本棚に仕事で使うらしい本が
並べてあり、製図用の机はLDKのほうに置いてあるのでそこはがらんとした
空間だった。
涼子をベッドに座らせると、ブラウスのボタンの続きに取り掛かる。
キスを落としながらの作業は、圭介を再び興奮させた。
「何の話?」
圭介はブラウスのボタンを全部外すと、涼子の足の間に跪き、
涼子と視線を合わせた。
「圭介と向き合うことにちょっと混乱しているの。それは…
やっぱりちょっと怖い」
「混乱ってどういうこと?話せよ」
圭介はそう言った。
いつもと同じ圭介に、涼子は安心していた。
あの夏の日、独りよがりになって、自分を見失い、それに巻き込んだ
圭介のことが心配だったからだ。しかし、今はその片鱗はない。
それだけは安心材料だった。
この状態の説明には困るのだが。
圭介は涼子がためらっているのを見て取ると、涼子にキスした。
それだけで圭介のスイッチは入ってしまったことがよくわかる。
涼子の唇に、喉に、首に、そしてキャミソールに隠されていない胸元に
キスを落としてゆく。
「ぁぁぁぁぁん」
「ここは?」
圭介がそおっとキャミソールの上から胸を撫でた。
「あ…」
その力加減に、涼子の下半身の蜜が溢れた。
そして改めて感じる。
この男がいとおしい。
一度っきり、そう思って圭介と関係を持ったが、今、冷静に思い返せば
圭介との関係を望んだ自分がいて、そしてその気持ちが今も続いている。
精神的にも肉体的にも、圭介のことをもう愛していた。
幼い頃から人に対してまっすぐに見つめる圭介を、涼子は愛していた。
圭介は再び首筋に唇に落とし、涼子はその優しさに身体が震える。
だからこそ、スカートをはいてネックレスを外したのではなかったか。
瞬間、南に気持ちが向く。
しかし、南のことをまだ愛しているというのに。
その事実に涼子はまた自責の念に駆られた。
そしてその事実は同時に涼子を混乱させていることも。
「涼子、お前今も南さんのことが忘れられないんだろう?」
圭介は耳元でそう囁いた。
「ん、そう」
涼子はそう言った。
「でも、誤解しないでね。私、圭介のこと…」
圭介は頷いて涼子の隣に座った。
「話してくれないか?」
涼子は小さく頷き、その混乱の原因を話し始めた。
南は大学4年に進級すると月に一度のペースで涼子の両親に宛てて手紙を
書いていたこと、その手紙の存在は涼子は全く知らなかったこと、
そして今年3月、会社の研修の前に父親からその手紙を見せられたこと。
一気に熱が冷めたが、圭介は涼子の話をじっと聞いていた。
南が両親に手紙を書いていたということは涼子は全く知らなかったから、
その衝撃は普通ではなかった。
その夜のうちに全部に目を通し、結局色々なことが頭を駆け巡って
苦しい夜明けを迎えることになったのは記憶に新しい。
泣けるほど消化していれば苦しくはなかったはずである。しかし、
泣くという感情を表に出せないほど涼子は苦しんだ一夜だったのだ。
その苦い想いが蘇る。
「南さんの本当の気持ちが書いてあった。いい加減な気持ちで付き合って
いないから、就職して一人前になったら結婚したい、いつかは両親に
挨拶したいって。だからアタシは、南さんにきちんと答えて
あげなきゃいけない、ちゃんと仕事して、毎日を精一杯生きなきゃ、
と思ったの。いつか南さんを越えて幸せになりなさいって父さんは
言ったんだけどね」
「…………」
「圭介の気持ちは嬉しい。素直に、喜んでいる自分がいるのはわかる。
でも、貴方が愛してくれて、その気持ちが真剣だからこそ、
南さんのことは余計に忘れちゃいけないと思うの。
私が幸せになると言うことが、南さんの望むことで、南さんの幸せなら…。
でも、貴方は南さんに会ったこともなくて、ぜんぜん関係ないでしょ?
貴方にまで南さんのことを背負わせてしまうのは…」
圭介はそこまで聞くと、涼子に強引にキスした。
「前に、言った筈だ。忘れなくてよいから。3人で一緒に幸せになれば
それで良い。思い出が生々しいのなら、そうするしかないだろう?」
圭介の優しさに、どっと涙が溢れた。南とのことは過去であると
もうわかっている。しかし、未だに南のことを「愛していた」という
心の傷が残っているのも事実で、同等に圭介をも愛しているという事実は
涼子の心の中で同じ比率を占めている。
順番などつけられないのだ。
「それが、混乱の原因か?」
涼子は静かに首を振った。原因はそれだけではない。
たまたま見てた
支援
「御免、それだけじゃないの。話してよいものか迷っているの。貴方には」
「それは俺が判断するよ。聞いてまずい話なら、俺は忘れるから」
「ありがとう…」
やっとそれだけいえた。
「御免ね」
「気にするな。俺とのことを何度も何度も確認するのは慎重と言う範囲を
越えていると思っているんだ。実は。だからお前には引っかかる何かが
あるんじゃないかってずっと思っていた」
「圭介のこと、大切にしたいから。…夏にはひどいことをしちゃったし」
「共犯、なんだろう?」
圭介はそう言ってウィンクし、涼子の肩を抱いた。
「…南さんと貴方に、似ている部分が多いのよ。それが混乱の原因だと思う」
「似ているって、どこが?」
圭介は疑問に思った。和美が見せてくれた写真では、
南良明は自分と似ているとは思えなかった。少なくとも容姿は。
「本質的な部分、かな。だから、同じようなタイプの人間に惹かれるのは
仕方ないとしても、妙なところで似ている、と言うのかな…」
涼子は言い澱んだ。
「そういう部分、俺に直して欲しいと思っている?」
「どうして?」
涼子は即座に答えた。
「私そんなこと一度も…」
それで涼子は次の言葉を飲み込んだ。
「だったら、良い。そこまで目が曇っていたら重症だと思っただけだ」
「そこまで重症だったら後追い自殺でもしていると思うけど」
涼子は深呼吸した。
「全部、吐き出してみろよ」
「ほら、それよ」
「え?」
「全部受け止めようとするっていうのかな、大丈夫だよって。
俺はそれくらいで倒れる器じゃないよって言うようなこと、口にするところ」
「ふぅん、それから?」
>>853 ヘア解禁様、助かります。
「…………」
「それだけか?」
「違うけど」
「じゃぁ言えよ。全部白状して楽になれ」
「きっと怒る」
「怒らないから」
涼子は黙った。
「夏、貴方に抱かれたときね…ゾクゾクしちゃったのよ。
たった一回だけだったんだけど、今でもゾクゾクしちゃっているもの」
「は?」
「私のあの時の声を聞きたがるのも、人が感じているのを喜ぶのも、
…独りよがりのセックスをしないっていうの、そういうところ」
「ばか」
圭介は真っ赤になってそう言った。
「口にする言葉も似ているの」
「男は殆どそういうことで喜んでいるんじゃないのか?
それに…他にどう表現するんだ?」
「だって…どういうのが標準、ってほど経験がないもの。
南さんと貴方しか知らないんだし、共通点が多いとちょっと戸惑っちゃう」
「それが原因?」
「似ているから…混乱するのかな?」
「考えすぎるから混乱するんだろう?」
「圭介?」
「お前を見ていると、一人で苦しんで感情を表に出さないようにって
やっているだろう?それ、必要ないと思う」
圭介はそう言って涼子の耳朶を指で愛撫する。涼子は堪らなくなって、
少し身体を捩った。
「もっと感情を外に出してもおかしくないと思うが。泣いたり笑ったり、
南さんのことを話したり。お前の中で実際に南さんがいて、同時に俺がいて、
っていうことを客観的に理解できていると言うのは少し前進したんだと
思うんだけど。俺が不思議なのは、どうしてお前の中に俺と南さんの
二人いるってことがだめなわけ?」
不意を突かれて涼子は黙った。
「涼子はさ、南さんのことが好きで、その事実を過去のことにしようと
努力して苦しんでいるんだろう?この2年、ずっと頑張ってきて、
少しづつ過去になってきているんだろう?」
「ん、それはそう」
「俺の存在は?」
「……好き」
「俺はそれで充分だと思う。南さんのことが過去になってきているから
俺のことを考える余地ができてきたんだろう?だから俺と南さんが
似ていると言って混乱する」
「ん、そう」
「南さんのことは自分の中で一区切りついている以上、あとは時間しか
頼るものはないと思う。少しづつで良いから。それが一つ」
「ん」
「それから…、俺と南さんが似ているっていうの、あれな・・・」
「ん?」
耳朶への愛撫が、指から唇に替わる。指が真っ直ぐ下に下りて、
涼子の胸元で止まった。
それだけで、涼子の息が乱れた。
「ノーマルに女が好きな男の中で、女の喘ぎ声が嫌いっていうのは…
少数派だと思うぞ。それに…相手に気持ちよくなってもらいたいと思うのは
…普通だと思うんだが」
耳元でそう囁くと、涼子にキスをした。
「あのね…」
涼子の声が切れ切れになる。圭介は喉に唇を落とし、涼子の言葉を封じる。
「ありがとう」
震える声で涼子はそう言った。本心だった。
「他の男に口説かれるなよ」
圭介はそう言って涼子を押し倒した。
圭介の手が、涼子のキャミソールの上で遊んでいた。
その手は涼子を悩ませていることは確かだった。
圭介の指には、下着を通しても触れる涼子の胸の突起が捉えられていた。
そこを指が往復すると涼子は目を閉じたまま、眉間に皺を寄せ、
ふるふると息を乱す。
圭介の自制心は限界だった。
喉元にキスをしながらキャミソールの前をはだけると、
容赦なく露になった胸にもキスを落とした。
途端に涼子の身体が跳ねる。
「まだ大事なところにキスしていないのに?」
「やん」
涼子は真っ赤になるが、背中に差し込まれた圭介の手は下着のホックを
あっけなく外してしまい、圭介は涼子の身体を押さえるように、露になった、
そのツンとたった乳首を口に含んだ。
「はぁぁぁ・・・」
涼子が吐息を漏らした。
もう一方の乳首は掌でもてあそぶ。
涼子の両手が圭介の頭に伸びるが、圭介が舌で味わうたびに
涼子の指が震えて力が抜けてゆくのがわかる。
「あっ」
圭介に少し強く刺激されて涼子の身体が跳ねた。
圭介の温まった掌が涼子を身悶えさせる。
圭介のキスがあちこちに落ち、耐えられなくなって身を捩ったときには
涼子の背中にキスが落ちた。
「はぁぁぁん」
ぴくりと身体が震える。
圭介はその一瞬を見逃さないように、スカートを脱がせながら
背中にキスの雨を降らせた。
涼子は背中に弱い。身体を丸めて快感をやり過ごそうとしたが、
圭介に阻まれ、ベッドの上に寝かされてしまった。涼子の身体を
隠しているのは自分の両手でしかない。
「お前…」
涼子が圭介と目を合わせたのは一瞬で、その後は恥ずかしいのか、
真っ赤になって視線を外した。
涼子の腕の下でははっきりと頭を起こした胸の突起が色づいていた。
圭介の腕に、力が入った。涼子に本気のキスをすると、片手を胸に
落とそうとしたがそれはかなわなかった。
涼子は自分から本気のキスを、圭介に贈った。
圭介の脳髄をかき回すような情熱的なキスだった。
「んぁ」
圭介の喉から、小さな吐息が漏れた。涼子はそのまま、圭介の首筋や喉に
唇を這わせた。同時に、はだけられた胸に時々キスをして。
脱ぎかけの圭介の姿は妙に色っぽい。
「誘うなよ」
「さっきのいたずらのお返し」
「ここは喜んでいたぞ」
そう言って涼子の乳首を口に含んだ。
途端に、涼子の体が仰け反った。圭介の目が優しく笑って、
反応を楽しみながら自分も服を脱ぎ始め、涼子を悩ませた。
圭介は順番に涼子を責めた。首、胸、あの夏の時と同じように、
しかしそれ以上にゆっくりと。
圭介はぷっくりと立った涼子の乳首を口に含む。それだけで涼子の身体が
震える。手のひらにあるふくらみは暖かく、その弾力と肌触りは
圭介の指を喜ばせる。
鎖骨から首のラインにかけては圭介が執着する女性の肉体的条件の
ひとつだった。
男のラインはどうしても骨ばっていて首が太くなってしまう印象を
与えるが、女性のそれは男性より骨が細いせいか華奢に見えるし、
ライン自体が滑らかだった。そのラインが女性を最も
女たらしめているのではないか、と思うときがある。
そのラインにキスして、体勢を変えようと体をずらしたときだった。
涼子がやんわりと圭介を拒否して体をずらし、はっきりと男の体を
示しているもう一人の圭介を、口に含んだ。
「おお…」
圭介は小さな声をあげた。圭介は体をずらして横向きになって涼子から逃げる。
しかし涼子はやめない。口に含んだまま、舌の愛撫は圭介を悩ませる。
「やめろ…」
「イヤなの?」
涼子はそうきいただけでもう一度口に含んで続けた。
返事に困った。
女性経験は豊富とはいえないが皆無ともいえない。何度か相手に
願ったこともあったが、相手が拒否したこともあって
それ以上は強いたことはない。
付きあいでそういう場所に行ったこともあるが、商業的な
流れ作業の処理に、性欲はわいても愛情は湧かなかった。
そういう意味では、自分から口に含んだ涼子に軽いショックと、
同時に愛おしさを抱かないわけがない。それ故に圭介の快感を倍増させる。
涼子の暖かい刺激は耐えられないほどの苦痛とも言える快感を強いる。
圭介はたまらなくなって身体を横たえ、今までにないほどの強い刺激に
理性を奪われてゆく。
「涼子やめろ」
辛うじて、そう言った。それ以上は理性が耐えられない。
このまま快楽をむさぼりたくなる。そうなることは簡単だったが、
そこまでする涼子の精神状態が不安だった。
涼子は、顔をあげた。
「お前の方が嫌なんじゃないのか?」
「貴方にも気持ちよくなって欲しいの。駄目?」
「いや、そうじゃなく…」
圭介の言葉には明らかにためらいがあった。
「こんなこと…昔の彼女にさせたことはなかった」
圭介の正直な一言だった。
「でもして欲しかったんでしょう?」
「本音はね。でも…言えなかったし、彼女は嫌っていたから」
「嫌々やってるわけじゃないよ。圭介にも気持ちよくなって欲しいだけ。
貴方が嫌ならやめるけど…。圭介は女の子に触ってもらったことないの?」
「えっ?」
涼子はもう一人の圭介をそっと撫でた。いとおしむように、
ゆっくり撫でて、それから両手でそっと包む。
圭介はその行為に震えていた。体の感覚だけではない。
そこまで愛しんでくれる涼子の気持ちに震えていた。
「経験、ないわけじゃないでしょう?女性を喜ばせる方法は知っているんだから」
確かに、圭介はテクニシャンだった。少なくとも、独りよがりのセックスはしない。
「あるが…ほどほどってところだ」
圭介はそう言った。隠すつもりはさらさらない。
一方の涼子の両手はゆっくりと圭介を捕らえ、撫でていた。
「自分が嫌だったから?それとも正直に言わなかったから?
変なところで意地を張るからよ」
涼子はそう言った。圭介は昔ながらの男性気質、というのだろうか、
自分の気持ちを押し殺すときがある。それが時に誤解を生み、
亀裂を生むこともある。
援護
涼子の言葉は図星だな、とちらっと思ったが、その先を考えている余裕はなかった。
快楽をむさぼりたい。涼子と愛を交わしたいという欲望が身体を震わせている。
涼子の指はもう一人の圭介の反応を見ながら確実にマッサージしていた。
「私には正直に教えてくれないの?」
「涼子…」
「私が欲しいのは貴方の身体じゃないわ。貴方の心が欲しい」
圭介はその言葉をかみ締めていた。
「そうやって触ってくれるのも気持ち良いし、口に入れてくれるのも気持ち良い」
「じゃぁどうするのが一番気持ち良いの?ちゃんと教えてね」
涼子はそう言って、圭介を口の中に招き入れた。
「ぁぁぁぁ」
圭介はゆっくりため息をつくと、涼子の髪の中に指を入れた。
圭介の反応は正直だった。気持ち良いときは涼子の髪をぐしゃぐしゃに
撫で回し、ポイントに当たると両手が止まって指先に力が入った。
同時に圭介自身のそれが、ドクドクと鼓動を始める。一層硬さを増し、圭介は腰を震わせる。
涼子は敏感なその部分にキスを落とし、舌を這わせ、圭介から理性を
奪うと口の中でゆっくりとその欲望を味わう。
舌を絡ませるごとに熱くなる圭介の欲望は、そのまま圭介の気持ちだと
思いたい。今にもはちきれそうなその欲望は、自分に向けられた愛情だと
信じたい涼子がそこにいた。
だからこそ、余計に味わいたくなる。圭介が奥底で育んだ愛情と形として。
圭介は一番敏感な部分を舐められて腰が震えた。このまま、果てたいとも
思うがまだこの快楽を手放したくはなかった。涼子が自分の気持ちを
こういう形で示してくれたことは予想外だったこともあって、
自分の気持ちを掻き立たせていた。こんなにまで自分を求める女に、
愛おしさを超えて一つになりたいという欲望が走る。
その想いが、圭介をますます掻き立たせている。肉体の限度はあるが、
精神の限度はない。もう既に肉体は終わりを告げようとしていたが、
心の中の自分の気持ちは終わりがない。
「あう…もう…」
圭介の身体が震えた。圭介は、登りつめてきていた。感覚がそこだけに
集中してくる。
「涼子、やめろ・・・」
しかし涼子はやめなかった。圭介は涼子の頭を何とかしようとしたが、
逆に圭介の両手首を掴むと、涼子は抵抗を封じた。涼子の意思がわかると
圭介は観念してそれ以上は抵抗しなくなり、涼子は手を放した。
涼子は圭介の足の間で頭を動かしていた。
「出ちゃうよ」
「ん?」
聞こえなかったのか、涼子が顔を上げた。その姿にどきりとして
圭介は身体を起こし、涼子の身体を押し倒した。
「嫌だった?痛かった?」
「いや・・・」
どうして自分が涼子を押し倒してしまったのか、わからなくなってしまっていた。
涼子は戸惑う圭介を知ってか知らずか、再び圭介を押し倒す格好になると
圭介の乳首を逆に舐めた。手はそのままゆっくりともう一人の圭介と
遊んでいる。途端に、圭介の身体がビクリと動いて涼子を抱いている腕に力が入った。
「考えられないようなことをするなよ」
圭介が顔を歪めた。もう苦痛に近い快感が襲っている。
「こういうことの最中に複雑なことを聞くからでしょう?圭介の心と身体が
欲しいからこういうことをしているのに邪魔しないの。…私のことが
嫌いなら話は別だけど」
「だから、そういうことじゃなくて・・・」
涼子は身体をずらして固く大きくなった圭介を口に含んだ。
「ああ・・・」
舌で刺激をしながら喉の奥まで入れると、ゆっくり手と口で圭介と戯れる。
圭介の身体が震え、腕に力が入る。もう終わりが近いことを示していた。
やがて涼子の口の中で圭介は熱を帯び、高みに到達した。
「ぁぁぁぁぁ」
圭介は甘い吐息とともに果てた。
「あ、出せ」
圭介が慌てて枕もとのティッシュを差し出すが、涼子はもうそれを
飲み干していた。
「飲んだの?ごめん。でもありがとう」
圭介は本当に嬉しそうに涼子を抱き寄せた。
「今まで何人も付き合っていた人がいたけど、こんなことをしたのは涼子だけ」
「またウソを言う」
「本当だよ。俺、女の子の喘ぎ声の方が好きだから
いつもさせなかっただけなのかな?う…ん、思い出せない。
誰かさんに頭ボケボケにされたからかな」
「誰かさんが意地悪するからよ」
「俺が?いつ?」
「夏。結局貴方は1回いっただけなのに、私だけ何度もいかされて。
で、貴方私のこと見て楽しんでいたでしょ?」
「あの時、もうこんなチャンスはないと思って…今考えたら酷く責め立てたなと。
だからお前から連絡来ないのかと思って…」
「自覚しているのなら良いわよ。…少しは私にも楽しみと言うものが
あるんだからね」
「俺、下手くそ?」
「バカ。…圭介の声、好きだから」
「俺も涼子の声が好き」
そう言っていきなりスリットの中にある花芯に指を添わせ、乳首を口に含む。
突然のことで涼子は声も開けられず口をパクパクさせたが、
花芽はもう頭を起こしており、指には女の潤いが絡んでくる。
時折圭介の耳に聞こえる鼓動は早く、舌の上にある突起ははっきりと
自己主張していた。
「あ…いきなり…」
圭介が嬉しそうに舌の上にある突起をついばむ。指に絡む愛液は
もう充分すぎるほどで、もう指に絡むという範囲を越えている。
指を落とす前からもう涼子の体は蜜を溢れさせてる。
その事実に圭介の心臓が高鳴る。
「ぴちゃぴちゃになっているよ。自分でもわかる?」
「そんなにしないでよ・・・」
体を動かして逃げようとするが、圭介はそれを許さない。
涼子の気持ちが嬉しくて嬉しくて仕方ない。蜜をたたえた体がいとおしい。
自分には望めない女の体の柔らかさや華奢なラインはいっそう欲望を
駆り立てる。気持ちが通じた今は余計にあの声を聞きたいとも思う。
初めて自分の腕の中で果てた声を聞いたとき、言いようのない
暖かな感情を感じたのだが、逆に不安が残ったのは確かだった。
「少し休ませて…恥ずかしいから…」
「こんなに喜んでいるのに?」
「ああっ、もっと、って言ったほうが良いの?」
涼子が気をそらそうとそう言ったが、圭介の指の動きに身体を封じられ、
唇を噛んだ。
「やめて…早すぎる…」
涼子の言葉は耳に入らなかった。嬉しくて嬉しくて仕方のない気持ちに
歯止めはかからない。今はあの時とは違って、涼子の身体も、
心も圭介の腕の中にあった。そのまま指で涼子を責めあげる。
圭介自身を待ち焦がれる熱を帯びた蜜壷も自分の手の中にある。
圭介の愛撫に頭を起こした花芽はぷっくりと起き上がっている。
この幸せを手放したくはなかった。
「これは俺の楽しみなの」
「あ…あっあっ…はぁぁぁぁぁん」
圭介の指攻撃に耐えられず、涼子は声をあげてしまった。
そのはしたなさに、恥ずかしいとは思うが、それよりも今はその刺激に
耐えるほうが先だった。
後方支援
>>861様 支援感謝します。
途中なんですが、今日はここまでに…。
夜また来られたら来ます。
マルチネス様、ごめんなさい。感謝します。
投下したいんですけど、タイムリミットなんです。
規制も厳しいので(このレスも規制されてしまった…)
20レス近くも使えば当たり前か。
そろそろ次スレたてねば・・・
重複したらイヤンなので、
>870さん立ててくださいね。
まだチト早杉な気が、いつも早めに次スレたてんの?
>>870 だいたい1000到達前に容量で限界が来るので早めですね。
よろしくお願いします。
872 :
名無しさん@ピンキー:04/01/23 17:05
1000レスではなくこの手のスレは容量オーバーが深刻な問題・・・
いちおー責任とってたててみますた。
後おながいしまつ。
用事を済ませて戻ってきたら…、次スレが立っていて…
>>870さんありがとうございます。
このまま秋の章続行して次スレで冬の章、行きたいと思います。
即落ち防止にどれくらい書けば良いのです?
素朴な疑問。