【異能】黄昏の学園 42【異端】

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464兵部 晶 ◆oWbpNIMs9M :2012/05/13(日) 00:24:01.87 ID:cYWfdiPA
>>463

(ーーーどんな事があっても、味方でいる)
(それはずるい。嫌いになってほしくても、それが正しければ、
自分にはどうする事もできなくなる。甘えてしまいたくなる)
(あの少女を利用して、最後には罪の意識に耐え切れず、
自ら命を奪ってしまったのに。逃げ道すらなくなるんだ)

(ゆりかの為に何かするなんて、自分の中では当然の事だから。
例えどんな事があっても、心の底からゆりかを嫌いになるなど有り得ないから。
だからこんな感情も、ゆりかを助けられると聞いた時は、少し嬉しくなった。
けれど、それがゆりかにこんな苦しみを抱えさせているなら。それはとても、悲しい事だとも思った)

(そして彼女は、あれ程までに拒絶していた背中の模様を
自分にも見せてくれた。ならば、この罪も話すべきだろう。
自分はどうすべきなのか、分からないなら、姉に相談するしかない。
彼女は言ってくれたのだから。頑張った時は褒めてあげる、間違った時は叱ってあげる、と)

…お、ねえちゃっ……ぼくが、いけないんだ……っ。
ごめん、なさいっ。…ぐすっ……。

(もはや誰に言葉を向けているのかも分からない。理路整然とした
文などなく、ただ心の中に浮かんだ単語を吐き出すのみ)
(そして謝罪の言葉をひたすら紡ぎながら、それでも晶は、ゆりかの手を掴んだ。掴んでしまった)
465久遠ゆりか ◆Juli/dituo :2012/05/13(日) 00:38:24.86 ID:BdOJKTec
(頼りなげに、でもしっかりと確かに、きゅっと掴まれた手。)
(壊れ物でも握るかのように、そっと、でも強く握り返す。)

よしよし。
いいこ、よく落ち着きました。
(もう片手を伸ばし、兵部の頭を撫でてやる。)

晶くんが、いけないこだったの?
言いたくないことは、言わなくてもいいんだよ?
でも、言わないことが苦しいのならば、言っちゃったほうがいいと思うけれど。
大丈夫、ゆっくりでいいからね。ゆっくり。
晶くんが悪い子だったときは、ちゃんと言うから。
甘やかしたりは、しないよ?
おねえちゃん、こう見えてスパルタなのですわよ。
(しゃくりあげながら、覚束ない様子で、ぽつぽつと言葉を紡ごうとする兵部を見て)
(安心させるように、にこっと笑いかけて、見つめる。)

(まだ幼い、ほんの子供の泣き顔。)
(こんな少年が、色んな思いを胸にいっぱい抱えて、生きている。)
(少女を運命から助けると言ったかと思えば、自分の罪に自分を罰しようとしている。)
(懸命に、一瞬一瞬を生きている、愛しい、大切な弟。)
(ぎゅっと抱きしめてやりたくなるが、それは今はしない。)
(ただ、今の彼に必要なことをすればいい。それが、姉の役目だから――)

(とん、と床に足を着け、兵部の手をしっかりと握ったままで)
じゃあ、とりあえず上にあがろっか?
なんなら、おねえちゃんのおうち来る?
歩ける?
手、以外に怪我は無い?
466兵部 晶 ◆oWbpNIMs9M :2012/05/13(日) 01:03:03.96 ID:cYWfdiPA
>>465

(優しく、頭を撫でてくれる手)
(家族が大好きだった自分は、基本的には泣かなかった。
自分の思い通りにならなくても、それは自分が悪いのだ。
そんな事で泣いてしまっては、大好きな家族を不安にさせてしまうと)
(それでも、不意に時々泣いてしまう事はあった。テレビで
とても悲しいお話を聞いたり、父親が突然の仕事でお出かけがなくなったり)
(そんな時にも、兄はこんな風に優しく頭を撫でてくれた。
姉は後ろから、ぎゅっと強く抱き締めてくれた)

んっ……っ!

(亡くした家族の事を思い出し、そして再び失ったメリルの事も思い出し、
また泣いてしまいそうになるけれど。兄や姉が泣き顔を
望まなかったように、メリルもきっとそんなのを望んでないはずだ。そう思い、涙を堪える)

…いえ、だいじょうぶ、です。けがは。

(ようやく嗚咽も収まり、どうやら荒れ狂った感情よりも、理性が正常に
働くようになったらしい。しかし未だに目は赤く腫れていて、
学ランの中の輝石を握る手は、力を込め過ぎて割れてしまうのではないかと思うほどだ)
(泣き果てて乱れた呼吸の隙間から、途切れ途切れの声を出す)

あるけ、ますっ。…だめ、です。
うさぎに、つたえなきゃ、ですからっ。

(ゆりかに先導されるまま、地下室の通路を歩いていく。
俯いて視線を下げている少年は、ゆりかが手を離せば、ずっとそこに居続けてしまいそうな雰囲気だ。
そんな晶は、やがて聞き取り辛く小さな声で、ぽつりぽつりと話し始めた)

…はじめは、ゆりかせんぱいの姿で、出てきたんです。
それで、僕を好きだっていうから、ころそうとした。
でも、あの子は、本当に僕が好きなんだって。ようせいだから、叶わないとしんじゃうんだって。

だったら、べんりに利用すればいいって思った。
あなたにきょぜつされたばかりだったし、どんな汚い手でも
使って、あなたをすくってやるって思ってた。
ペットみたいなかんかくでお家において、危なくなったら捨てればいいって。
467久遠ゆりか ◆Juli/dituo :2012/05/13(日) 01:24:03.07 ID:BdOJKTec
うん、ちゃんと歩けるね。
よかった。
(兵部と手を繋ぎ、長い廊下を一緒にとことこと歩く。)
でも、手はあとでちゃんと消毒しようね。

(ゆっくりと、兵部の呼吸にあわせるように歩いていく。)
(ぽつりぽつりと話だす兵部に、時々「うん、うん」と応えながら。)

そっか…
叶わないと、死んじゃう……
(殺してしまったとは、そういうことか。)
(全てを理解できたわけじゃないけれど、なんとなく、解かった気がした。)
(自分が上の階に行っている時間に、二人の間で何らかの会話がなされて)
(少女は、叶わぬ恋に嘆き――死んでしまった。)

利用しようと思ったのは、いけなかったね。
それは、晶くんが悪い子だった。
わたしは…やっぱり恋に付いては、よく解からないのだけれど…
恋心は、利用しちゃいけない気がする。
それがお仕事のホストさんとかなら、いいのだろうけれど。
わたしのために、誰か他の人の恋心を利用するのは、そういうの、本当によくないことだよ?
(立ち止まり、くるりと振り返って、兵部の額をぺちんと叩く。)
(そしてまた、何事も無かったかのように、手をひいて、ゆっくりと歩き始める。)

…あ、足元気をつけてね。
(階段に差し掛かり、兵部が崩したであろう瓦礫を、躓かないように蹴飛ばしてよけてやる。)
こんなにしちゃって…
あの子が危険なめにあってると思って、晶くん、こんなに慌てたんだね。
晶くんは、その子のこと大切にしていたんだね。
最初の出会いはそうでも、一緒に過ごしていくうちに、大事な子になったんだね。
違うかな?
だって、そうじゃなきゃ、あんなに優しい顔して笑わないし。
それに、こんなに泣いたりしないでしょ?

それにあの子…結局、いなくなっちゃったかもだけれど。
でも、すごく幸せそうに笑っていたよ。
少なくとも、わたしにはそう見えたな。
そりゃ、生きていれば、もっともっと幸せになれたかもしれないけれど。
でも、晶くんと一緒に過ごせて、幸せだたんじゃないのかなぁ…
第三者のわたしが言うなって、話だけれど。
…少なくとも……わたしが、少し……
今、こんなこと言うの…間違ってると思うけれど……
……少し、もやもやしちゃうくらいには、幸せそうに見えた。
468兵部 晶 ◆oWbpNIMs9M :2012/05/13(日) 01:47:35.41 ID:cYWfdiPA
>>467

ん。…ごめんなさい。

(額を、ぺちんと優しく叩かれる。敵意や害意のない、純粋に相手を心配している故のもの)
(良くないことなのは、分かっていたつもりだった。でもそれでも、
結果的に彼女の命を救えるなら、どんな悪行でも、正しくなるようなら気がした)
(それで起きる犠牲から目を背けて。それでゆりかがどんな思いをするのかも考えずに)

…大切に、なってしまった。
次の日家に帰ったら、おかえりって言ってくれた。
料理を教えたら、がんばって練習してくれた。
………本当は僕のうそに気付いていても、ずっとその言葉にしたがってくれた。
メリルは…メリルはっ、本当に、いい子だったのにっ。

(涙が再び、片目から一粒だけ零れる。それは少年の顎を伝い、腕の中の輝石に落ちた)
(本当に、本当に、彼女は幸せだったのだろうか?
上っ面こそ優しくはしたが、それでも扱いには一線を引いていた。
いや、引こうとしなければならない程、彼女の存在は大きくなっていた)
(だがそれでも、メリルが望んだ物は手に入らなかった。
その上愛するものに命を奪われて、本当に幸せだったのか?)
(姉の言葉ならば、嘘はないと思う。けれどこれを完全に
信じるには、メリル本人の言葉でもない限り、無理だった。それでも幾分か、心は安らいだが)

…僕は、どうすれば良かったんでしょう。
どうすれば、あの子を死なせずに済んだのでしょう。

(ゆりかへの感情を変えずに、リャナンシーの少女を救う手段だ。
それこそ、公安が自分に用いたような薬物を使えばよかったのか)

………もやもや、してくれたんですか?

(力ない笑みだが、晶が笑った)
(まさか、ゆりかが嫉妬に似た感情を抱いてくれるとは。
思ったよりも、自分に向けてくれる感情は、恋に近付いているらしい。この状況では、そう素直に喜べないが)
469久遠ゆりか ◆Juli/dituo :2012/05/13(日) 02:05:31.00 ID:BdOJKTec
………でも、ありがとう。
身勝手だって、解かってる。
だけど、晶くんがそこまで想ってくれているのは、嬉しい……
それに甘えちゃいけないって思ってるし、そんな風に想われる資格が自分にあるのだろうかって
すごく、困ったりもするけれど…
でも、ありがとう。想われるのは、嬉しい。
(階段を上りながら、ぽつりと呟くように告げた。)

晶くんも、いい子だよ。
利用しようと思ったのは、よくないけれど。
でも、それは晶くんだけのせいじゃないから。
そうやって、メリルさんによくしてもらって、想われて
晶くんは、メリルさんのことが大切になったんだよね。
それって、人間として…ううん、そういう感情のある生き物として、大事なことだと思うよ。

(兵部の目から涙が落ちて、大事そうに抱える綺麗な小さな石の上で弾けて濡らす。)
(背を向けているゆりかには、その様子は見えなかったけれど)
(不意に、ふわりと甘くいい香りが漂った。)
……なんか、いいにおいしますわね。

死なせずに……は、難しいわね。
(1階にたどり着き、書斎のソファーに座って)
(隣に座るようにと、兵部を視線で促す。)
わたしは、妖精のことは詳しくないのでよく解からないわ。
二人の普段の様子も、今日、ついさっき初めて知ったばかりだし。
あぁ、勘違いしないでね?
投げてるわけじゃないのよ。
ただ、晶くんの質問にいいかげんに答えたくないだけ。
だから、一緒に考えよう?
(兵部の顔を覗き込み、なるべく出来うる限り優しく微笑んで、安心させるように)
死なせずに済む方法…死なせずに……
まぁ、有り体に言えば、晶くんが彼女を好きになること。
……怒らないでね?方法としての答えなだけ。
それか…そうねぇ………または、嘘をつき続けること。
でもたぶん、その後者は、メリルさんが幸せになれるとは思えない、けれど。

―――っ
(兵部を覗き込んでいた視線を、慌ててそらす。)
もやもや…って言うか……その、まぁ、そんな感じよ。
(頬が赤くなっていないだろうか。そんな場合ではないというのに…)
(部屋が薄暗いから、気付かれないことを祈るのみだ。)

(そして、言い難そうに問いかける。)
メリルさんは、死んだって……そういえば、その……死体、は?
妖精だから、そいうのは無いのかな…
470兵部 晶 ◆oWbpNIMs9M :2012/05/13(日) 02:10:14.36 ID:cYWfdiPA
【申し訳ありません、ここで凍結をお願いしても大丈夫ですか?】
【ちなみにこちらは、日曜日ならば22時30分頃から再開できます】
471久遠ゆりか ◆Juli/dituo :2012/05/13(日) 02:15:09.83 ID:BdOJKTec
【承知いたしましたわ。】
【何時の間にこんな時間…気が付かなかった……!】

【わたしのほうは日曜日は空いていないのですが、月曜からだと今のところいつでも大丈夫ですわ。】
472兵部 晶 ◆oWbpNIMs9M :2012/05/13(日) 02:18:21.24 ID:cYWfdiPA
>>471
【その言葉、楽しんで頂けていると好意的に解釈させて頂きます。僕も同じ気持ちですので】
【では月曜日の22時にまたよろしくお願いしますね。
今夜もお付き合い頂きありがとうございました、また明後日にお会いしましょうね】

【お疲れさま、お姉ちゃん。暖かくして寝るんだよ?なんて
お姉ちゃんのまねー(にぱー)。うん、お休みなさいっ。ノシ】
473久遠ゆりか ◆Juli/dituo :2012/05/13(日) 02:22:12.82 ID:BdOJKTec
【えぇ、それは勿論ですわ。】
【わたしこそ、同じ気持ちと仰ってもらえて光栄なのですわ。】
【では、月曜の22時に。】
【お会いできるのを、楽しみにしておりますわね。】

【こちらこそ、今夜もお付き合いいただきまして、ありがとうございます。】
【ちゃんとベッドに入って、あったk………ぐぬぬ…生意気な……でも、かわいくて文句言えない。】
【おやすみなさい。晶くんに、よい夢を。】


【スレをお返しいたします。ありがとうございました。】
474名無しさん@ピンキー:2012/05/13(日) 02:40:20.72 ID:GNHCLgML
小島
475名無しさん@ピンキー:2012/05/14(月) 13:54:54.29 ID:kyJZhdzg
今夜
476久遠ゆりか ◆Juli/dituo :2012/05/14(月) 22:05:41.41 ID:+FRQPvp0
【兵部 晶 ◆oWbpNIMs9Mさんとのロールの解凍にお借りいたします。】
477兵部 晶 ◆oWbpNIMs9M :2012/05/14(月) 22:09:58.73 ID:ZEueDtJG
>>469

…僕だって、姉さんと以前デートした時。
姉さんが、僕が腕にケガしているのを見て、
相手に怒ってくれたの、その場は落ち着くように言ってましたけど。
本当はすごく嬉しかったんですよ。…こんな形で喜ぶのは、互いに歪んでいるんでしょうけどね。

(それは、黒上いろはに付けられた傷のこと。ゆりかがどんなに自分を
大切だと言ってくれても、そんな愛の形など知らない自分は、
それを信じられなかった。けれど、あの時聞いた激しい言葉は、
驚きと小さな喜びを己にもたらした。もうそんな事はないだろうけど)
(今の自分は、彼女を信じられるから)

…これは演技だって、心の中で冷たい言葉を吐いていれば、
距離を置けると思っていました。でも今日、彼女をあんな目に
合わせてしまって…目を背ける事が、できなくなってました。


…かおり?

(甘い匂いに、思わず周囲を見る。これは、どこかで嗅いだ事のある匂いなのだろうか?)
(けれど、どこを見てもいい香りがするので、正体は分からなかった)

(ゆりかに促されるまま隣に座り、勝手にその肩に、頭をコトンと乗せた)
(正直な所、精神的な疲労が限界に達している。ゆりかが
いなければ、いつ倒れてもおかしくなかったろう)

(目を瞑りながら、ゆりかの声に耳を済ます。心が落ち着く。
その内容が、残酷な現実そのものだったとしても。避けようのない二択でも)

…記憶を改竄する、ですとか。
または後者の派生で、嘘をつき続けている間に、誰か他の人を好きになる?
…どれも現実的じゃ、ないでしょうか。

(何を今更、そんな議論を繰り返している。結局何も変わらない。
メリルが死んだことは変わらない。だけど、それを忘れないよう、
意味のない事にしたくないから、どうすべきだったのかを考える)

…あ。

(ふと、そんな感じと答えたゆりかの頬が、微かに赤くなっている
事に気付いた。可愛い。そう思った晶は、その頬に口を寄せ、
キスをしようとする。だが、やはりメリルの事を思い出して、寸止めで戻ってしまった)

…。
……死体と言いますか、その亡骸と言っていいのか分かりませんが…。
彼女のいた場所には、これか残されていました。

(そう言ってゆりかに、学ランの中の綺麗な石を見せる)



【それでは、よろしくお願いします】
478久遠ゆりか ◆Juli/dituo :2012/05/14(月) 22:43:01.98 ID:+FRQPvp0
ふふっ…わたしたち、似たもの姉弟ね。
歪んでいるのかもしれないけれど、当たり前の感情ではあると思いますけれどね。
自分を想ってくれる気持ちは、誰だって嬉しいものですわよ。
それが、大切な家族から向けられたものであれば、なおさらよ。
(当たり前でしょ?とばかりに、得意げに話す。)

記憶を改竄する……
(不意に厳しい顔になり、肩にもたれる兵部の顔を少しだけ睨んで)
(膨らんだ漆黒のスカートの上に置いた手を、兵部の手の上へと移動させる。)
この間の、晶くんみたいな…?
それ、本気で言ってる?
わたしは、メリルさんじゃないので解からないけれど
もしわたしがメリルさんと同じ立場なら…晶くんには厳しい意見だけれど、そんなの、死んだほうがマシよ。
誰かを大切に思う気持ちが、作りかえられてしまうのよ?
わたしの中で、折角生まれた大切な気持ちが。
自分の恋についてはさっぱりのわたしでも、その想いがどんなに大事なものであるかくらいは想像つくわ。
その想いを汚されるくらいなら、わたしなら、死ぬ。
恋って、そういうものなんじゃないかなぁ…とか、思うわけ。
誰か他の人を好きになるって言うのは…どうかしら?
それこそ、メリルさんがいないと解からないですわね。
でも、晶くんは騙し続けるのは嫌だったんでしょう?
本当のことを告げたとき、メリルさんはどうだった?晶くんを怒った?
自分の命を奪うものとして、恨み言とか言われたりした?だったら、謝らなきゃね。

(兵部の息が、柔らかく頬をくすぐる。)
(ぴくんと肩を小さく震わせ、掌の下の華奢な手を、ぎゅっと握ったけれど)
(すぐにその吐息は離れていき、冷ややかな室内の空気に頬が晒された。)
(さすがに、残念と思うほどには感情は成長していないけれど)
(なんとなく、反応してしまった自分自身を恥かしく思った。)

(大切そうに学ランに包まれた、綺麗な小さな蒼い石。よく見ると、薄紫色の蝶が小さく描かれている。)
……っ
(綺麗…と、言いそうになって、飲みこむ。)
(兵部の気持ちを考えると、その台詞はそぐわない気がしたから。)
……あ、ねぇ、これじゃない?
(石のほうへ、そっと顔を近づけ、くんくんと小さく鼻を鳴らす。)
甘いけれど、爽やかで……なんだろう?わたし、これ知ってる……
…あ、鈴蘭の香りじゃない?
(透き通るように白く小さい可憐な花を思い出す。)
さっき…あの男と対峙していたときも、メリルさんからいい香りがしていましたわね。
これよりもっと…こう……甘ったるい感じでしたけれど。
わたし…なんとなく、勝手な思い込みですけれど…
メリルさんは、晶くんを恨んだりとかしていないと思いますわ。
こんな綺麗でいい香りがするものを、残してくれたんですもの。
なんか…これを見ていると、心が優しくなる気分になりますわ…

ふむ……
(腕を組み、考える。)
(消えてしまったものは、仕方が無い。)
(仕方が無いなんて言葉で一つの命を片付けるのは間違っているとは思うけれど)
(でも自分の父親も、兵部の家族も、メリルも)
(死んでしまった以上は「仕方ない」としか言いようが無いのだ。)
(大事なのは、残されたものが故人とどう向き合い、想いにどう整頓を付けるか。)
(人間の場合は、葬儀を執り行ったりするのが定番だけれど……)
ねぇ…まだもうちょっと先ですけれど
メリルさんって、妖精さんだったんですわよね?
夏至の夜に、これを持って、また妖精の住処に行く…と言うのは如何かしら?
そして、花束を置いて帰りましょう?

【こちらこそ、よろしくお願いいたしますわね。】
479兵部 晶 ◆oWbpNIMs9M :2012/05/14(月) 23:12:41.24 ID:Gom0Scg8
>>478

でも、そんな方法で想いを確認するよりは、もっと
綺麗で確実な方法があるじゃないですか。今は…ね?

(大切な人が傷付けられて怒るより、そんな人の為にどこまで
倫理を外れた行為をするかより。言葉よりも、更に手っ取り早いものがある)
(晶はこの前の夜を思い出しながら、ゆりかの唇をぷに、と押さえた)

(不意に睨まれて、思わず目線を下げる。しかきゆりかの言いたい事は
分かるが、それと嘘をつくことには、些細な違いしかないと自分は思う)

それでも、一度完全に記憶を失ってしまえば分からないんですよ。
あの時の僕は、不幸に、見えましたか。
…今でこそ記憶を取り戻して良かったとは思っていますが、
もし記憶を完全に消されて、見知らぬ場所に送られたら、
それは完全に新しい人生なのでは、と思うんです。
自分達の良心を切り捨てるぐらいでメリルが完全に幸せになれるなら…僕は、その覚悟はあります。

…真実を告げたら、知ってたけど黙っててほしかった、
嘘を付き続けてほしかったって。…でも最後には、…大、好きって…っ…!
…そう、言って、くれました。

(これから先、あの言葉を、あの笑顔を思い出す度、鋭い痛みが胸を刺すのだろう)
(頼るように、重ねられた手のひらを返し、ゆりかの手を握りしめる。
でもこれでいい。痛みある限り、心の中に、メリルはいてくれるはずだ)

…え?
…そう、ですね。言われてみれば、この石からしてるみたいです。

(ゆりかに続いて、晶も妖精の輝石に鼻を寄せた。より一層、香りが濃密になる)

鈴蘭、なんですか?
そう、ですか。…ーーー「純愛」「幸福の再来」…。
身勝手かもしれないですけど、…先輩のいう通りだと思うことにします。
…ずっと、大切にするからね。

(学ランに袖を通し、改めて両手でぎゅっと輝石を抱き締めた)
(これからどうしようかと考えていると、やはり姉が
素敵な意見を出してくれた。こちらの世界と妖精の世界が
繋がるらしい夏至の時に、メリルの葬儀をしようというのだ)

うん…そうですね。
僕は、魂の概念とかはよく分からないですけど…。
その時なら、メリルも家族のいた世界に帰れるんじゃないかって。
そこでまた新しい命を貰えるんじゃないかって、そう思います。
…行きましょう、ゆりか先輩。今年の、夏至の日に。
480久遠ゆりか ◆Juli/dituo :2012/05/14(月) 23:35:47.06 ID:+FRQPvp0
今は……?
(首をかしげていると、唇が示されて)
……っ
(怒ったわけでもないけれど、何故かぷいとそっぽを向き、知らない…と呟く。)
(頬が赤くなり、困ったように眉が下がった。)

(兵部に言われて、思った。)
(確かに、あの兵部はとても幸せそうだった。)
(無邪気で純粋で、多少幼すぎる所はあったけれど)
(きっと、家族を失わずにそのまま真っ直ぐ育ったら、あぁなっていただろうと)
(容易に想像できる、あの姿。)
(――彼を、あの幸せな時間から引き戻して、ほんとうに良かったのだろうか?)
(もしかしたら、自分を忘れていて欲しくないという、エゴから、彼を引き戻してしまったのでは…)
………
(ふるふると、首を横に振る。)
(考えるのはよそう。)
……それでもやっぱり、わたしは嫌だな。
自分の気持ちは、自分が決めたい。

最後に伝えた言葉が、きっと、ほんとうに晶くんに届けたかった言葉じゃないかな。
メリルさんは、晶くんと過ごせて、幸せだったと思うよ。
(握り締められる手、もう片方の手を、そっとまたその上に重ねて)
(あやすように、ぽんぽんと軽く叩く。)
だって本当に、幸せそうだったもの。

えぇ。
わたし、昔父が出張……あぁ、表向きのお仕事で、ね?
出張で北海道に行ったとき、お土産の一つに貰ったんですの。
鈴蘭の香水。
すごく、よく似た香りですわ。
この石のほうが、少し青っぽくて爽やかな感じだから、より本物の鈴蘭の香りに近いんじゃないかしら?
なぁに?それって、花言葉?
うん、素敵な言葉ね。
ずっと、大切にしてあげて。
きっと晶くんへの優しい気持ちが、いっぱい詰まっているような気がしますもの。
えぇと……女同士の勘、かな?なんちゃって…
メリルさんみたいに、しっかり恋をされている方と同カテゴリって、図々しい気がしますけれど…

ん、約束。
Midsummer's Eveって、いうのかな?
メリルさんが、ちゃんと家族のところに帰れるように…
でも、花束とかは全部晶くんが選んであげてね。
わたしはただ、付き添うだけ。
(むっとしたような、張り合うような、自分に向けられたあの少女の視線を思い出して)
(少しだけ小さく笑う。)
(ちょっと、かわいかったなぁ…と、聞こえないほどの小さな声で呟く。)
(もしかしたら、お友達になれたかも?なれなかったかな…どっちか、解からないけれど)
(解からないのが、残念だった。)
481兵部 晶 ◆oWbpNIMs9M :2012/05/15(火) 00:04:03.74 ID:BEHSGwlO
>>480

…そう、ですよね。
結局僕が二人になったりですとか、やはり普通の解法は思いつけませんね。

(そうなったらそうなったで、結局二人でゆりかを取り合ってしまったら
どうするのだろう。やはり、メリルが好きな人を見つけるのがまだ妥当か)

…あんな生活でも幸せだったなら、普通の暮らしを送れていたなら、
もっと幸せだったでしょうね。学校へ行って友達を作って、
色んな人間を知って、一緒に買い物へ行ったりして。
………彼女を、人間にすれば、良かった?

(その瞬間、晶は唐突に閃いた)
(メリルを人間にさせられたなら。その幸福な生活は勿論のこと、
恋を失う時に命を落とすなどという、リャナンシーの縛りはなくなる)
(当然ながら、口にするほど容易くはない。間 平の研究とて、
人間の体に異形の性質を与えるという類のもの。逆は未知数だ)
(だが、可能性がないわけではない。今度加藤由美子に話し、
その研究データを閲覧して勉強してみよう。どこまで理解できるか分からないが)

ふふ。
小さい頃のゆりか先輩は、香水を欲しがるようなおませさんだったんですか?
ーーーああ、これは花言葉です。とあるポーションに描かれていて、覚えました。
…そうですね、部屋に持ち帰って、月光の当たる窓に置こうと思います。
今度の休みの日にでも、それを飾る装飾の付いた小さな台を買ってこようかなって。

女性の心情は、やはり男性の僕には察せないものですから。
そういったお言葉が貰えるだけでも、少し心が安らぎますよ。

(晶は微かに笑うと、小指を出して、ゆりかのそれと絡めあった)

分かりました。…僕を愛してくれた、人、ですからね。
チューベローズと、鈴蘭と…後は、僕の好きな花を添えて送りたいと思います。

(あのリャナンシーの少女を思い出す、花の香り。それに
この輝石の鈴蘭と、自分が選ぶ、自身の象徴のような花。それらを彼女への餞にしよう)


………ありがとうございました、ゆりか先輩。
お帰りならば、送らせて頂きますが?
482久遠ゆりか ◆Juli/dituo :2012/05/15(火) 00:24:28.01 ID:LnYR3TWa
人間、に?
(きょとんとした顔をして、兵部を見る。)
(そして、暫し後にはっとした表情になる。)
(思い出したのは、「キマイラ」。加藤から聞いた、人間と異形を組み合わせて作られた、生き物。)
(メリルを人間により近いものにするには、異形に人間の遺伝子を組み合わせて……)
(あぁ、それよりも……もしも…もしも、その逆も、出来るのだとしたら―――)
(兵部の手をあやすようにしていた片手を、自分の肩に置き、ぎゅっと服を掴む。)
………キマ…イラ……
(小さく呟き、兵部を見た。)
(データが、見たい……)
(ダメだ。きっとそんなもの、兵部の組織の最重要機密事項に違いない。)
(可愛い弟に、無理をさせるのは嫌だった。)
……なんでもないですわ。
(にっこりと笑い、握り締めた肩の皺になった部分を、ぽんぽんとはたいた。)

まあ、女の子だったらそれくらい、当然ですわよ。
と言いたいところですけれど…実はその頃は、かなりのお転婆で……
ちょっとは女らしくなりなさいって、パパが買ってくれたものなのですけれどね。
あまり強く香るものを身に付けると、戦闘に差し障りそうですけれど…
今度、学校にでもつけていこうかな。

花言葉……素敵。
晶くんは、物知りですわね。
そう言えば、さっき月光を浴びるとか仰っていましたわよね。
ほんとうに妖精なのですわね。
わたし、あまり好かれていなかったみたいですけれど、お話してみたかったですわ。
子供の頃、弟と一緒に妖精を捕まえて一緒に暮らすんだー、とか言って
一度だけ、ムシ網持ってロシアで森を散歩したことありますわ。
ふふ…今思えば、妖精さんに失礼なお話ですわよね。
(困ったような笑いを浮かべながら、小指を絡めあい、ゆっくりと上下に揺らす。)

ん…
表にある車を運転してもいいけれど……なんて、無免許運転ですけれど。
そう言えば、晶くんはここまでどうやって来られたの?
……まさか、パトカー…?
わたし、パトカーに乗るのは性に合わないですわ。
わたしは、夕方頃に森の入口辺りまでタクシーで来ましたの。
もう、タクシーも呼べるような時間じゃないですわね。
483兵部 晶 ◆oWbpNIMs9M :2012/05/15(火) 00:48:10.37 ID:BEHSGwlO
>>482

…そうですが。何故、あなたが…?
ああ、加藤由美子から聞いたんでしょうか?
全くあの人も、関係のない人に機密情報を喋ってくれます。

(思い当たる可能性は、それしかない。しかし仕事熱心で
真面目なあの人が、本当に口を滑らせるとは思えない。
何か話さざるを得ない状況になったのだろうが、それは何だろうか)
(晶は知らない。そのキマイラこそが、自分の愛する家族を奪った存在なのだとは)

(何故だか、ゆりかが呟いてじっとこちらを見ていた。辛そうな表情だ。
やはり、身体をいじくり回すという行為に対して嫌悪感があるのだろうか?)
(しかし彼女は、やがて何でもなかったかのように、にこりと微笑む。
一体何なのだろう。彼女にとって、キマイラが、あるいはその研究には何かがあるのか?)

その口振りですと、まるで今はお転婆ではないようですね。
まさか夜毎出歩き銃を振り回すような、深窓の令嬢という新しいキャラでもないでしょう?
…しかし、時には僕もそういうのをつけた方がいいのかもしれません。
以前、蝶子先輩という異形の生徒に、火薬の匂いを嗅ぎつかれまして。
分かる異形には、普通の生徒でない事がバレてしまいますので。

別に一回見れば、文字や映像を記憶するだけなら容易いですよ?
そうですね、信じ難いでしょうけど…僕の姿はもちろん、
色んな人間の姿になれますし。本来の姿ですと、僕以外の人間には見えませんしね。
…それは、本当に捕まることがなくて良かったです。

(メリルがそれを聞いていたら、ますますゆりかの事を嫌いに
なってしまったのではないだろうか。それにしても、妖精を捕まえるとは。
確かに日本でなくロシアの森なら、いそうな雰囲気はある)

…僕が単身パトカーで来ても、結局無免許じゃないですかっ。
………大人数なら、それを呼ぶ事も考えましたけど、必要ないですからね。

原動機付自転車、ですよ。
二輪と言えば聞こえはいいですが、拓兔先輩のよりかなり小さいです。
タクシー…ですか。でしたら、後ろに乗って下さい。
二人乗り用に作られてないので、少し狭いですが。

(そう言って晶は立ち上がると、金髪の少女に手を差し伸べる)
484久遠ゆりか ◆Juli/dituo :2012/05/15(火) 01:04:29.66 ID:LnYR3TWa
え…えぇ……
この間、ちょっとね。
(機密情報、やはり見せてもらうのは難しいかもしれない。)
そっか、機密情報ですわよね。
うん、忘れたっ
(きちんと笑顔でいられただろうか。)
(異形と人間の混合が出来るからと言って、分離が出来るというわけではないだろうし)
(――忘れよう。)

なぬっ!?
いまのわたしのどこが、お転婆だとおっしゃるの?
どこをどう見ても、レディーじゃないですの。
(ふふんと、わざとらしく胸を張ってみせる。)
(だが、その調子に乗った様子も、すぐに掻き消えて)
異形の、生徒?
そんなのがいるの?危険じゃないの?
学園に通えるということは、それなりの知的思考を持てる異形なのでしょうけれど……
ん…でも、そういうのに気が付くというのは、所詮は同じ穴の狢ですもの。
知られても、大したこと無いのですわ。

晶くんって……前々から少しだけ思っていたのですけれど…
……もしかして、学校の成績いい?
へぇ…あ、じゃあさっき晶くんと同じお顔されていたのも、彼女の能力だったんですの?
そういえば、わたしの姿で現れたって…へぇ…そういうこと。
すごいですわね、妖精さん。
お婆様がね、妖精が願いを叶えてくれるなんて仰るんですもの。
子供はすぐに信じちゃいますわよね。
今思えば、無茶をしましたわ。
暗くなるまで森にいて、しこたま叱られたのですわ。
(夏場とはいえ夜は冷える森の奥深く、よくも遭難しなかったものだと、今となっては笑い話の一つである。)

……あら、ほんとね。
わたしじゃあるまいし、晶くんが無免許運転するとは思えませんわね。
原付…なるほど。
わたし一度運転したことありますわ。
コケましたけれど。
二人乗り、大丈夫?わたし、運転しようか?
(にこっと笑って、差し伸べられた手を素直に取って立ち上がる。)

(立ち上がりながら見上げると、少年の表情は、もうすっかり元通りになっていて)
(普段の笑顔の裏に隠した悲しみは、消えては無いのだろうけれど)
(変わらずに、少年の心を痛めつけているのだろうけれど)
(でも、少なくとも、自分に笑いかけてくれるくらいには、日常に戻った兵部を見て、安堵の息を漏らした。)
485兵部 晶 ◆oWbpNIMs9M :2012/05/15(火) 01:27:11.58 ID:BEHSGwlO
>>484

成る程、先輩はまだ日本語に慣れていない所があるようですね。
レディとは、日本語に直した場合、淑女となるんですよ?

(ゆりかは基本的に日本で育っているので、ロシア語より
日本語の方が得意だろう。そもそもレディは英語だ。
それをふまえてなお、非の打ち所のない笑みで、そう晶は首を傾げた)

ええ、異形です。
危険ですよ、いつでも一般人の生徒が、手の届く所にいるんですから。
それ故に、日の当たる所では手出しができないんですけどね。
なのでなるべくなら、先手を打ちたいですから。
自分の素性だけ知られるというのは、後手後手に回らざるを得なくなってしまいます。

常に予習・復習は欠かさないですから。
中学校の勉強程度なら、それだけで学年10位以内には入れますよ。
そうですね、彼女の異形としての性質と言いますか。
かっての『レプリカ』は触れた対象という制限がありましたが、
リャナンシーの場合は、イメージしただけで変身できるようです。

お祖母様、ですか?
お母さんの、お母さん、ですよね…それはお茶目な方だったんですね。
僕の兄さんみたいな、真面目なストッパーさんがいないと、大変ですね。

(口元に手を当て、くすりと笑う。以前の自分もそれを聞いたら
妖精と友達になろうとして、姉が面白半分でそれを焚きつけ、兄がそれを止めるのだろう)

いえ、原付でも結局無免許には変わりませんし。
あなたとメリルは、車で送っていこうかと思ってましたけど。

(さらりと冷静に述べる晶。ちなみに彼は、車の運転の経験は
ない。精々、ゲームセンターのカーレーシングぐらいだろう)

特に問題ないでしょう。…背中に抱きついている時に
血が出たら、流石に僕も困りますよ。え、異能なしで運転するんですか?

(失礼な話だが、それでこの少女が二輪を乗りこなせるとは思わなかった。
自分とて、二人乗りは異能の補助なしでは難しい。そんな訓練はしていない)

(そして二人は敷地外に出て塀を周り、そこに置かれた原動機付自転車の
横に立つ。一個しかないヘルメット、そしてメリルの輝石をゆりかに渡すと、
サックスケースを後部に固定して、スタンドを上げ先に座席に乗り込んだ)
486久遠ゆりか ◆Juli/dituo :2012/05/15(火) 01:51:04.57 ID:LnYR3TWa
な……っ
知っとるわぃ、そんくらいっ!!
(優雅で愛らしく微笑む兵部を見て、ゆりかは拳を握って対抗するように叫ぶ。)
(わざと言っているのは百も承知だったけれど、挑まれた戦い(?)は買うタイプなのだ。)

ふむ…それは、危険ですわね。
手伝うことがあったら、仰ってくださいませね。
わたし、いつでも晶くんの味方、ですわよ?
(まさか、兵部が話すその異形と、自分が原付に乗りコケるはめになった異形が同じものだとは知らず)
(うむうむと頷き、そして兵部に向かって、にこっと笑いかけた。)
優しいあなたは、わたしが危険なめに合わないようにと、思ってくれているのでしょうけれど。
それはとても嬉しい。
でも、大切な弟に守られるだけの存在なんて、それはわたしがわたしではないのですわ。
ただ守られるよりも、守って守られて、一緒に…ね?
それとも晶くんは、わたしがお人形さんのように大人しく養われているほうが、お好き?
そんな姿、一度も見せたことがないと思いますけれど。

へ…へぇ……
(成績に関しては、悪くも無いが決して優良とも言えないゆりかにとって、10位以内とは雲の上の存在で)
(たらりと冷や汗をたらしつつ、とりあえず笑っておいた。)
でも、あまり無理したらダメですわよ?
お勉強しっかりするのも偉いけれど、晶くんはお仕事もありますもの。
わたしとしては、お仕事の方をセーブして欲しいのですけれどね。
でも、お仕事も含めて、それが晶くんなのだから。
リャナンシーって、すごいんですのね。
ほんと、そっくりで吃驚しちゃいましたもの。
でも仕草は全然違うのね。晶くんより、ずっと……かわいかった。
(いたずらっぽそうに、くすっと笑ってみせる。女の子としてね、と付け加えておいた。)
本当はどんな姿だったのかしら?
きっと可愛らしいですわね。
石になっても、そんなに綺麗なんですもの。
(きっと、リャナンシーの少女にとって、ゆりかは良い存在では無いのだろう。)
(それは、あの時に向けられた視線で解かっていたけれど、それでも、なんとなく彼女のことを妹のように感じてしまう。)
(あんなに愛らしく笑う姿を見たら、誰だって守りたくなる。)
(妖精は恐ろしい存在だけれど、概ねその外見は可憐で愛らしいイメージ)
(そういうものばかりでは無いのだろうけれど、きっとメリルは可愛らしかったに違いない。)

えぇ、お婆様は夢見る少女みたいな方でしたの。
いつも弟とわたしに、おとぎ話を教えてくださいましたわ。
それがすごく好きで、演習でも父にせがむようになって……
うちの場合ストッパーは……あれ?もしかしたらいないかも………

晶くん、車運転できるの?
わたしは、したことないけれど…たぶんできると思うのですわ。
まさか、一応は読み取りますわよ。
私の場合、機械を動かすことは出来ないんですの。
読み取って解読して、分解し構成する。
だから運転の場合は、読み取り解読、あとはその知識に頼るのみですわね。

あっ…
(兵部にとって、大切なものを手渡される。その大事なものを柔らかなレースのハンカチで丁寧にくるみ)
(わたしが持っててごめんね、少しの間だからね…と小さく呟き)
(ポケットに入れるのも心配だったから、ハンカチの両端で、ぎゅっと手首に結びつけた。)
スカート捲れちゃうから…横向きに座ってもいい?
(ヘルメットを留めつつ、座席にちょこんと座り、遠慮がちに兵部の服を掴んだ。)
487兵部 晶 ◆oWbpNIMs9M :2012/05/15(火) 02:12:49.96 ID:BEHSGwlO
>>486

ええ、あなたの力は存じ上げていますから。
自分より弱いと判断したなら、それこそ大人しくお姫様のように
下がって頂きますが。先輩程の腕の方が、守り守られを望むのであれば、
拒む理由はありません。必要な時は、その力をお借りしますので。

(ゆりかの機械を操作する異能と、様々な銃をPTOに合わせて
使い分ける自分の技能は、相性が良い。以前はそれで、狙撃銃の
弾丸が通用しなかった異形の甲殻に、風穴を開けてやった)

…名残ですよ。
昔…いえ、今でもスポーツはほとんど苦手で、母さんや父さんに
誇れるのは勉強だけでしたから。二人に心配をかけない為にも、ですよ。
でも…今日からまた料理もいっぱいしていかなきゃですから、
勉強も少しセーブしなくてはいけなくなるかもしれません。ま、どうせ
将来の就職先は決まってますから、構いませんけどね。
…ふーん。そっか、そうですか。

(男としては、可愛いなど決して褒め言葉ではない。だがしかし、
愛する少女からの褒め言葉と捉えれば、それが他人に
向けられるのはあまり心地良くない。故に晶はジト目でゆりかを
見つめていたが、突如肩をすくめ、言い放った)

そうですね、仕方ありません。ーーーゆりか先輩よりも、女の子らしいんですから。

本当の姿は、カメラにも写りませんでしたし…ふふ、なら秘密という事にします。
メリルの素顔は僕の心の中だけの、秘密ですね。

(目を瞑り自分の胸に手を当て、そっと異形の少女の思いを馳せ。そしてハンドルを握った)

いえ、僕もしたことありませんよ?…けど、多分できるんじゃないでしょうか。
全くの勘ですけど。
…成る程、超詳しい説明書を脳内に再生する感じですか。
スペックや調子などを読み取れるのは、確かに便利ですね。

(横に向けて座るゆりかに首を向け、うぅんと考えた。
自転車ならともかく、原付でこれをやるのは少々危険だが、
その姿の可愛らしさと、ゆりか先輩ならばと思い、許容する事にした)

いいですけど、落ちないで下さいね。
あと膝もぶつけないよう、注意です。…では、行きますよ。

(ゆりかの大勢が整った事を確認すると、異能を行使し
車輪を回転させ始める。夜の森に相応しい静寂の中、
月明かりに照らされる、舗装された道を走っていった)



【では、そろそろ〆に向かいますか?】
488久遠ゆりか ◆Juli/dituo :2012/05/15(火) 02:35:04.19 ID:LnYR3TWa
本当に?
わたしを頼ってくれる?
(ゆりかの顔が、ぱぁーっと明るく笑う。アホ面下げて笑ったと言っても過言ではないほどに)
(そのくらい、弟に頼られるのは嬉しかったから)
ぜったいぜったい、ですわよ。
(兵部の袖をぎゅっと掴み、駄々をこねるように軽く引っ張と、まっすぐ顔を見つめて笑った。)
嘘ついたら、許さないんだから。

ふふ…晶くんは、いい子でしたのね。
うん、もちろん良い意味でですわよ?
家族に心配をかけないように頑張る、基本ですわよね。
わたしも…見習いたいけれど……なかなか実が伴わなくて……
あ、銃の腕前なら、自信があるんだけれど…
わお、なんかエリートっぽい発言。
(はたして、兵部の所属する組織がエリートなのかどうなのかは、解からなかったけれど)
(それでも、決まった将来のことを話す兵部の姿は、なんとなく頼もしくもあり、悲しくもあったから)
(茶化したような言葉で、対応することしか、出来なかった。)
なんて言うか…晶くんより、おんなのこおんなのこしてた。
たぶん、わたしよりも…ずっと……
(あれが、本当の愛を知り恋をしている少女の姿なのだろう。)
(異形だけれど、そういった感情が死んでしまっている自分よりも、余程人間らしい)
……!!
わぁっとるわいっ!!
どうせ、わたしは女の子らしくないですよー、だ。
あ、ずるーい。
そんな可愛い子、独り占めなんて。
おねえちゃん、拗ねちゃうんだから。
(ぷくっとわざとらしく頬を膨らませ、すぐに笑ってみせる。)
(あまり良い出会いではなかったし、悲しい別れだっただろうけれど)
(それでも、兵部の中で一つの思い出として刻まれているだろう。)
(そしてその想いは、いつしかきっと少年の成長に役に立つ。ゆりかは、そう信じていた。)

…………ないのかよ。
(人のことは言えないだけに、責めることも出来ずに、思わず無表情になる。)
そうそう、そんな感じですわ。
それの組み合わせで、ある程度は機械の操作は出来ますけれど。
でも、運転技術が必要なものは、そこはまた別カテゴリなのですわ。

も、もしかして…原付二人乗りも、初めて……とか?
(静かに走り出す原付に乗ったまま、兵部に問いかける。)
(横向きに座ったことを、少し後悔し始めて、両腕を伸ばし兵部の細い胴体にしっかりと掴まった。)
(……無事、帰れますように…と、願いながら。)

【うむ。わたしはこんな感じで、これか次回かで〆にできるかな。】
【もちろん、晶くんが他にやりたいことがあれば、続けるのも吝かではないですが】
【次回のお楽しみ、でも、楽しいですしね。】
【とりあえず、気が付けばこんな時間なのですが、大丈夫?】
489兵部 晶 ◆oWbpNIMs9M :2012/05/15(火) 03:05:51.07 ID:BEHSGwlO

逆に姉さんが急に真面目に勉強しだしたら、お母様や守弥くんが心配してしまうんじゃないですか?
普通のキャリアの方々なら、こんな危険な職場には送られませんよ。
よほど有能か、あるいは異形に関わってもいない限りは。

(もうそろそろ春も終わる、心地良い温度の風が、頬を撫ぜる)

でも、例えあの子より女の子らしくなくても。
僕があの子より、この世の誰より愛しているのは、久遠ゆりかですから。

(振り向きもせず、静かな声で呟く。リャナンシーの少女に真実を
伝えた事を何度も後悔したが、久遠ゆりかを愛した事を後悔した事は、一度もない)

ええ、初めてですけど?
ああ、言い忘れてましたけど、いつでも飛び降りられるようにして下さいね。
当たりどころが悪ければ、人間は時速30kmでも亡くなってしまうそうですから。

(後ろの金髪の少女を不安にさせるような事を、さらりと言う晶)
(普段は理論武装で確実な道を選ぶくせに、奇妙な所で
常識的な判断力がなくなるのが、中学生ならではである)

…月が、綺麗ですね。

(あの少女の住処である森の中のように、たくさんの木々に
囲まれた道を走りながら、夜空を見上げる。今夜は、ニュースなどで
話題になっていたスーパームーンのようだ。普段よりも、更に月が大きく見える)

…忘れないよ…?…夢は 時に 不純さ…もう行かなければ…?

(夜の闇に飲み込まれそうな、か細い声で歌う晶)
(メリルの事を思い出す度、気が狂いそうなほどの痛みが襲う。
それでも、自分は笑顔で前を向こう。愛する少女が言ってくれた、
メリルは幸せな時間を過ごせたと自分も胸を張って言えるように)

…愛して いるよ…?…魔法が 解ける 時間さ……?…さよなら、メリルーーーー。

(だから泣くのは今夜で最後。後はこの妖精の輝石、メリルの
前ではずっと笑っていよう。自分の幸せは彼女の幸せだ信じて)



【長らくお待たせしました、今夜はこれで〆にしますね】
【大丈夫ですけど、ちょっとくるくる?するので、先にお休みなさいだけしておきますね】
【ロールありがとうございました。お疲れ様です、ゆりか先輩。ノシ】
490久遠ゆりか ◆Juli/dituo :2012/05/15(火) 03:26:06.96 ID:LnYR3TWa
ん…そうですわね。
………あれ?今もしかして、わたしすっごく失礼なこと言われなかった?
(兵部のおなかの上で、自分の手首を掴み、ハンカチがしっかりと結ばれていることを確認して)
(緑と土の匂いのする柔らかな風が、黒いワンピースのレースを揺らすのを見つめる。)

…………そう。
(愛していると言われ、小さく応えた返事は、タイヤが地面に擦れる音で消えたかもしれないけれど)
(温かい背中に、身体をくっつけて目を閉じ――)

――っ!?
(――ようと思ったけれど、見開いた。)
えぇと…ちゃんと前見て、ね?
メリルさんも、一緒なんだし……
(引きつった笑顔で、兵部に話しかけ)
(頭の中ではぐるぐると、受身のとり方を反芻していた。)

…………うん。
(ふと空を見ると、木々の隙間からもなお明るく輝く、綺麗な月。)

(兵部の微かなメロディを聴きながら、ハンカチを結びつけた方の腕を離して)
(ゆっくりと、運転に邪魔にならないように、夜空に持ち上げてみる。)
(レースが月の光を透かして、中の石まで届いているかな?)
(石の形に膨らんだハンカチを見つめながら、軽く腕を振ってみると、ふわりと甘く清々しい香りが鼻を擽った。)

(うん。晶くんのおうちに、帰るんだよ。)

(そっと心の中で話しかけ、再び兵部の身体に腕を回して)
(――万が一の時には、まずは受身と、あとメリルさんの石を守ること。これわたしの使命。)
(と、綺麗なメロディに誓った。)


【こちらこそ、長い間のお付き合い、ありがとうございました。】
【色々とレスに時間かかっちゃったりで、ごめんなさい。】
【懲りてなければ…いや、懲りていても、またお相手いただければ嬉しいですわ。】

【くるくる…くるくる?えっ…大丈夫ですの?】
【しっかり休んでくださいませね。】
【晶くんが、ぐっすりやすめますように…おやすみなさい。よい夢を。】

【スレをお返しいたします。ありがとうございました。】
491名無しさん@ピンキー:2012/05/15(火) 14:35:33.71 ID:84vblmP/
ぐるぐるまわーる ぐーるぐるまわーる
フラフラな振りして 貴方の胸に
492兵部 晶 ◆oWbpNIMs9M :2012/05/16(水) 01:20:56.45 ID:a2vdefAx
【…やはり、先にお休みなさいを言っておいて、正解でした】
【レスの時間など、僕も同じですから。とても楽しませて
頂いたので、そもそも気にしてなどいませんしね】
【やはり姉さんは、頼りになる姉さんでした。こちらこそ、是非またよろしくお願いします】
【どうか、ゆりか先輩も良い夢が見れますように。それでは改めて、失礼しますね。ノシ】



【また高須賀先輩に新スレを建てて作って頂いたので、
そちらも貼らせて頂きますね。ありがとうございました、高須賀先輩(一礼)】
【こちらが、そのURLになります。http://pele.bbspink.com/test/read.cgi/erochara2/1337089558/
493名無しさん@ピンキー:2012/05/16(水) 15:23:50.14 ID:jI11Gk2Y
494名無しさん@ピンキー:2012/05/17(木) 18:45:48.37 ID:0fgo92/2
495白河 沙耶 ◆PF4Z/85Uas :2012/05/17(木) 18:48:35.42 ID:MfSz+517
【さて、少々お邪魔させてもらおう。>>402にプロフだ】
496白河 沙耶 ◆PF4Z/85Uas :2012/05/17(木) 19:26:58.68 ID:MfSz+517
【落ちとさせていただく】
497紅裂拓兎 ◆QiSi/P5T2Q :2012/05/17(木) 21:24:30.78 ID:vZqyrwAY
【少しだけ待機】
>>52がプロフ】
498紅裂拓兎 ◆QiSi/P5T2Q :2012/05/17(木) 21:58:07.32 ID:vZqyrwAY
【それでは撤収】
499名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 04:30:42.58 ID:g86bo50i
500↓
500名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 04:31:16.66 ID:g86bo50i
500
501名無しさん@ピンキー:2012/05/18(金) 12:50:57.51 ID:g86bo50i
502崎守 慧 ◆YsP2DTr7NE :2012/05/18(金) 21:07:36.40 ID:DTqJ+Xlo
【プロフ>>3で待機ー】
503紅裂拓兎 ◆QiSi/P5T2Q :2012/05/18(金) 21:39:59.50 ID:6LgI2EFW
【俺でよければ…と言いたいけどなんかやりたいネタとかある?】
【こっちノープランよ】
504崎守 慧 ◆YsP2DTr7NE :2012/05/18(金) 21:42:47.09 ID:DTqJ+Xlo
>503
【問題ないぜー。やりたいことと言えばとりあえず戦闘能力確保のために】
【妖刀なんかに魅せられちゃいましたなことをしたいけど………ってところだぜ!】
505紅裂拓兎 ◆QiSi/P5T2Q :2012/05/18(金) 21:44:43.11 ID:6LgI2EFW
【そんなにほいほい怪しい刀拾っちゃう崎守くんの明日はどっちだ?】
【拓ちゃんは刃向けられたら嬉々として殺し合いに応じるんですけど】
【その場合助けた方がいいんだろうか?】
506崎守 慧 ◆YsP2DTr7NE :2012/05/18(金) 21:48:27.93 ID:DTqJ+Xlo
【銃刀法とかそういうのはもうこの際明後日のほうに投げ捨ててしまうのだった、まる!!】
【まぁ、やたら容量のおおい魔力持ってたから向こうから来ちゃいましたよってことで!】

【ぶっちゃけ、助けてもらえるような関係じゃないよね!!】
【ぶん投げちゃって悪いんだけど、そこはお好きなようにと月並みに言わせて!!】
507紅裂拓兎 ◆QiSi/P5T2Q :2012/05/18(金) 21:55:55.33 ID:6LgI2EFW
【日本刀って古美術品だけど安くても30万円くらいするってね】
【まあ、この街ならどこぞの異形狩りが使ってたのを拾ったとか】
【それこそ所有者が転々とする妖刀を拾うとかこじつけられるしね】

【投げられたっ!?】
【NGには明記してないけど、やっぱり崎守くんの今後の展開を考えると後遺症の残る】
【傷だのなんだのはまずいよね。その日は機嫌が悪いので殺す気になれなかったとか】
【無理にこじつけるならそれくらいかな。まーあ、それでいいなら書き出してもらいたいけど】
【容量オーバーしたら次スレに移動って感じで】
508崎守 慧 ◆YsP2DTr7NE :2012/05/18(金) 22:02:58.94 ID:DTqJ+Xlo
【こまけぇことは(ry】
【うん、異形に襲われて拾ったバットやら鉄パイプやらバールのようなものやらが】
【実は呪われてました。とかだとこじつける必要はないけれど格好悪いよね!!】

【まぁ、問題はないけど次回以降死にやすくなるね!】
【とりあえずいろいろ了解したんだぜー、書き出すからちょっと待ってね!】
509紅裂拓兎 ◆QiSi/P5T2Q :2012/05/18(金) 22:06:26.76 ID:6LgI2EFW
【あいー、待ってますよ】
510崎守 慧 ◆YsP2DTr7NE :2012/05/18(金) 22:32:14.45 ID:DTqJ+Xlo
(――夜闇が視界に入る。周囲に立つ木の影がここが街の中ではない、どこかもっと自然にあふれる場所だと認識させる。)
(それを認識した頭の中は何故か朦朧としていて、まるで夢の中にいるかのように、地面を踏みしめる足の感覚が安定しない。)

『――――い……せ――す……を――』

(頭の中に響く声、確かにそれは声なのだと認識はできるが、何故そんなものが頭の中に響いているのか)
(何故こんなに不安定な状態で外に、ましてや夜の人気のない場所にいるのかわからない。)
(まるで俺以外の誰かが俺の前にいて、どこかに連れて行こうとしているかのようだった。)

『――救……成――……さ………』

(頭の中の声がだんだんとはっきりとしてくる。そして開けた場所へと出る。)
(目の前にあるのはどこかで見たことのある祠……何かしめ縄や、鳥居やらついてる――それを見た俺は朦朧とした意識の中で)
(ここが学園の裏山であることを認識する――もっと日が高い時にここを通った記憶がある。)
(手を伸ばし、触れているこの祠を何度か見たことが………あれ?なんで俺はこんなところに来てこんなものに触れてるんだ?)

…………ぁ………

(そう考えている間に頭の中に更なる声が響く――ああ、そうだな、俺はこの言葉を言わなくちゃならない。)
(そして「やらなきゃ」な――)

救世を成す、其の剣――『桜閃』。救世への強さとともに俺は執る………

(その言葉を紡いだ瞬間、俺の体からそこへ何かが流れていく――――)
(ああ、そういえば誰かが言ってたか、人より魔力がどーのだとか……今流れていってるのはそれか…?)
(体の中から祠に、そして淡い光とともにそれが俺の手の中に納まる――たぶん長さは1Mと2,30cm超えるくらいだろう。)
(一振りの日本刀、それを手にするとぼんやりと思う。「救世のために」と………)
(そして俺はふらふらと歩きだした――――。)

【書き出し終わってから、思いついたんだけど。】
【このまま適当な異形の群れと戦闘でいいんじゃないかなとか思ってみたり!】
【紅裂先輩が戦ってるところに乱入する感じで!どう?】

【ってことで、どっちにするにせよよろしくお願いします。】
511紅裂拓兎 ◆QiSi/P5T2Q :2012/05/18(金) 22:48:01.29 ID:6LgI2EFW
(久遠ゆりかと二人で兵部晶の為にシチューを作っていたらドサドサドサと分量を考えず)
(鍋に材料が投下された。一体いつの間に?止める暇もなく投下される材料)
(止めろと言っているのに聞く耳を持たないゆりか。居間では晶が心配そうに見つめている)
(■■■!分■は守■っていっ■だろ■がっ!)
(叫ぶ。正論のはずだ。百人中百人が賛同する正論だろう)
(だというのに、夜叉の形相でゆりかが包丁を振り回してきた)
(■すぞ!この■■ロ■■タがっ!)
(叫びつつ包丁を受け止めて、ゆりかの顔を掴んでガンガンガンとリズミカルに)
(キッチンシンクに叩きつけた。晶が背後からやめてと叫んでも叩きつけた)
(―――そんな夢を、見た。なんぞこれと首を傾げたら、夜だった)

いい夜だ…・・・
(妙な時間に寝て起きたら夜だった。そんな日もある。だから夜を歩く)
(だから…というのも妙な話だが、夜こそこの男の生きる世界だった)
(人気のない場所を歩く。苔むした石柱、神社や寺、湿った空気)
(森林の放つマイナスイオン。ホウホウと啼く鳥の声。夏の虫たちの合唱)
(そして息絶えようとする異形たちの放つ血の匂い。打つ。打ち据える)
(狙うは頭部。まず頭部を破砕する。生き物の範疇ならこれで殺せる)

くく、はは、見てごらん。オリオンの星が墜ちて来るよ。
(天には星空。都会の濁った空気の中でも、見える星はある)
(幸せそうに笑いながら、闇に蠢き牙を鳴らすモノたちに語りかけた)

【はいー、では都合のいいようにお願いするね】

512崎守 慧 ◆YsP2DTr7NE :2012/05/18(金) 23:18:56.35 ID:DTqJ+Xlo
(鋭利な刃がその生き物を切り裂く。)
(手の中に妙にはっきりとした生き物を殺した感触が残る――背後で赤いものが吹き上がる気配。)
(物言わぬ、生命という活動を停止した気配が背中越しに伝わってくる。)

………救世

(目の前にいる群体に向けてつぶやく。どいつもこいつも人はおろか地球上のどの生物のカテゴリにも当てはまらない者たち。)
(深海にならこんな気持ち悪い生物でもいるんじゃないかとは思える程度に、普段俺が生きている生活からはかけ離れた存在。)
(――あいつも、俺をこんな姿にした奴もこんな姿をしていたのだろうか?)
(そう思いながら力を込める――手にした刀が淡い光を纏う。そしてそれを横に薙ぐ。)
(断末魔の悲鳴を上げる間もなく、異形たちが消し飛んだ――文字通り、跡形もなく。)

(規格外の質と量を兼ね備えるがゆえに人間の扱う魔術や魔器では受け止めきれない魔力を纏った)
(規格外の刀による一撃――――こんなものは知らない。けれどもわかる。)
(頭の中ではなく、心の中でもない――この知識、技は今俺の手の中にあるものから送られてきている。)

…………う、く

(次の標的を探して歩く。)
(ギシギシと体が痛む………異形の群体を一撃で葬り去る力、技。それをふるう俺自身の体が悲鳴を上げている。)
(節々が痛み、刀を持つ腕がだるい。手のひらから皮膚がなくなったんじゃないかと思うくらいひりひりする。)
(そして朦朧とする意識の中で幸せそうに笑う男を見る――その男の赤い髪が印象的で、思い出す。)

紅裂……先輩………っ

(少しだけ覚醒してくる意識の中でその男に呼びかける。)
(意識がはっきりとした分だけ、体の異常を強く感じ、その場でたたらを踏む。)
(とっさに右手に持った刀を杖代わりにして倒れることは防いだ。)
(――汗でぬれた黒髪が頬に張り付き、腰にまとわりつくのが鬱陶しいと思えた。)
513紅裂拓兎 ◆QiSi/P5T2Q
(異形と言い、妖魔と言い、夜魔族と言う。確かにそれらには統一性はなく)
(ただひたすらに攻撃的で禍々しかった。骨だけで構成された空中を泳ぐ魚が長い犬歯を)
(突き立てんと襲い掛かる。双頭の虎が三本の尻尾を尖らせながら唸っている)
(鱗粉を放つモスマン。その隙間を縫って駆け抜ける。駆け抜けながら敵の攻撃のエリアを)
(見極めながら、その間隙から攻撃をする。水晶の剣が乱舞して確実に敵の数を減らしてゆく)
(その隙を見逃さず頭上から強襲する人面鳥の叫び声)

(百鬼夜行。今夜はやけに数が多い。敵の数=生贄の数。無意味な屍を積み重ねる作業)
(その無意味さに無意識のうちに笑っていると、背後から一際強烈な気配がした)
(斬!夜の大気を切り裂くような一閃が、魔物を滅ぼした)

ふへ?
(貴方だれ?と言いたげに首を傾げる。紅裂拓兎、17歳。関心のないことは即座に忘れる男だった)
(ただ、他に関心はある。年頃の少女が強烈な力を放つ刀を携えて、強烈な一閃を繰り出したのだ)
(ふむと、戦いの狂熱が一時的に醒める。その刀の力に恐れを成したのか、闇からの来訪者たちが)
(少しずつ距離を離してゆく。本能的に生きるカレラに訴えかけるほど、その刀の力は露骨だった)

破邪の霊刀か、何かかね?深凪の≪式≫みたいな霊体武装って線もあるか。
(語りかけるわけでもなく、ただ確認するように呟く)