舞台はとある学園、人ならぬ『力』を得た少年少女たちの物語である。
彼らはその力の存在に惑い悩みつつも、同じような『力』を持つものたちと、時には敵として、
時には味方として対峙しながら 力を合わせて様々な奇怪な事件に挑み、その闇を暴いていく。
【ルール】
・煽り、荒らしは華麗にスルー。
・異能が認知されていない普通の現代日本設定なので、民間人やその他能力を持たないキャラハンの参加も可能です。
・スレの性質上、強姦や特殊プレイも可ですが、きちんと相手の了承を得ましょう。
・いくら戦闘モノだからとはいえ、険悪な展開はやめましょう。(過度の確定、相手を無視するロールなど)
・最強設定は勘弁してくださいお願いします。
・能力は使い魔、サーヴァント、念、核金、魔術、法術、変身など基本的になんでもありです。(強力すぎなければ)
・名無しさんも一発キャラでどんどんご参加ください。
・本校は幼等部から大学部まで有しており、留学生との交流も盛んです。
テンプレ
【名前】(読みも)
【年齢】
【性別】
【身長】
【3サイズ】
【容貌】
【能力】
【希望】
【NG】
【弱点】
【備考】
前スレ【異能】黄昏の学園24【異端】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/erochara2/1268746813/ 避難所【異能】黄昏の学園避難所60【異端】
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5556/1271001679/
【名前】紅裂 拓兎(べにさき たくと)
【年齢】十七歳
【性別】 男
【身長】 183p 83kg
【容貌】 半端な長さの赤茶色の髪・右耳にリングピアス(10mm)
紅いコートを好んで着る。 特に冬場。
【能力】
・珪素の支配…珪素を生成して支配する能力。能力の用途は多岐に渡る。
・体術…あらゆる格闘技の技を節操無く使う。
・感知…魔力の流れを漠然と感知できる。
(主に人間と人外の区別に使用するが完璧ではない)
・魔術・・・『Timewalk』自分自身の時間の流れを加速させる。
『Lunatic』相手の運動神経を一時的に混乱させる。有効射程は6メートル程度。
【武器】鋼鉄製トンファー(銀メッキ加工済み) 重量15kg×2
【希望】戦闘・交流・その他
【NG】 猟奇・排泄
【弱点】
・魔王の加護(魔力供給・再生能力など)を失っているので
肉体的には鍛えた常人程度の強度しかない。
・魔術と異能の同時使用ができない。
・『Lunatic』は一度の戦闘に二度までしか使用できない。
無理に使用すれば行動不能になる。
【備考】
数多の矛盾を抱える、珪素を支配する異能を有する自称「悪人」。
魔王の契約者だったが様々な人間との出会いと戦いの末に今までの自分を見直し
新しい自分を作ることを決めた。 契約破棄の代償に「魔王の加護」と寿命を失う。
気さくで適当な態度は上辺だけ。ネガティブ思考かつ悲観的。皮肉屋で屁理屈好き。
素直に他人の言い分を認めないが、認めるべき部分はちゃんと認める。要するに天邪鬼。
※現状
《虚影会》に反旗を翻す。
兵部晶とはいずれ決着を着ける気でいる。
紫一久からある少女を救済するつもりでいる。
アンジェラ・トルーマンと契約し2種類の魔術を使えるようになった。
別に人殺しを止めたわけではないし、罪を償うとか考えたこともない。
奏永久の兄探しを手伝う←new
【スレ立て乙】
【投下落ちだ】
【さて、移動してきたわけだが】
【書き出しはどうする、か】
【そちらから書き出してくれた方がやりやすいかもな】
【名前】奏 永久(かなで とわ)
【年齢】 16
【性別】 女
【身長】 162cm
【3サイズ】 B94(66)W56H84
【容貌】
艶やかで癖のない漆黒の髪(長さは膝裏まで達するほど)。同じ色の瞳。奏鬼眼発動時、睫毛のみ銀色、瞳が金色に。
登校時は大き目の制服。普段着はゆったりとしたものが多い。
女子にしては長身だがかなりの細身、ただし胸は除く。黙っていれば凛々しい顔立ち。
【能力】
暗器・村時雨:ヌンチャク、棍、トンファー、ナイフ、剣をそれぞれ組み合わせた多節大鎌。分解して使うことも可能。
奏鬼眼:奏家後継者の証で額に現われる金色の眼。角状にオーラを立ち上らせるため奏鬼眼(そうきがん)と呼ばれる。
永久は身体能力を上昇させるほか、体液に「癒し」の効果を付加させる。
【希望】気分次第ですがまぁ、主に雑談戦闘などを望みましょう。
【NG】排泄物を強調したスカトロは勘弁してもらいたいです。損傷は治っちゃうこと前提なら。
【弱点】奏鬼眼(攻撃されると威力に比例して思考に霞がかかる。)、体液を失うような攻撃、物理攻撃の効果が薄いもしくはない相手。
【備考】
時に退魔師、時に妖魔として言い伝えられる家系の跡取りとして生まれる。性格は非常にマイペースで時期頭首の自覚はまるでない。
危機的状況にでも陥らない限りのんきに振舞う。高等部一年。
行方不明になった自分以上の力を持つ兄を探して、深夜の町等を徘徊するとともに銀色の角を持つ鬼に関する噂を調査している。
大抵「知らない」なので別の異形や異能の調査に摩り替わってたりもする。
紅裂拓兎に兄の面影を見て、別人とわかりながらも兄と呼ぶ。済んでのところで同一視はしていない。
【>1くんおつかれさまさまで〜す。ではプロフのほう張らせていただきましたー。】
【ロールにお借りしますね。】
>>3 【はいな、書き出しを行おうと思いますので】
【少々お待ちくださいませ】
【よろしくお願いします。】
【それじゃあ、のんびりと待っていよう】
(――大学ノートを捲る。「裏山」「祠」の文字………そして条件を満たせば現われる「鬼」。)
(ただ今回は「鬼」に限ったことではなく「百鬼夜行」が行われるという噂もある。)
(仕方がない、最近では「デパートの火災」や「突如破裂した貯水タンク」、「呪いの日本刀」など)
(そういったことのほうが注目を集めている。鬼が出るなんて噂はほとんどたたない。)
(――ソレでも諦めきれずにわずかな可能性にすがる。今回の調査はそれに一人の男性を巻き込んだ)
(そんなお話である。)
…………――
(夜もふけたころ、拙い動作で携帯の画面をスクロールさせ、電話帳を呼び出し、友人やバイト、教師といった)
(グループわけが行われたものの中から「家族」のグループを選び開く。)
(いつか無理やり聞き出した電話番号――自分の兄探しを手伝ってくれるといった男の番号を選び)
(そこへ電話をかける……)
拓兎……お兄ちゃん……
(『もっと雰囲気のある場所なら――』その言葉を思い出しそんなところとは無縁の場所に連れ出そうとする)
(ことに一抹の不安を覚えて呟きをもらし、コール音を鳴らし続ける受話器を耳に押し付けて………)
【お待たせしましたっ!こんな感じでお願いします。】
(――泥沼の底から浮き上がって来る感覚。眠りから醒めるのだと、わかった。)
(いつもと変わりのない部屋。夕食に食べた肉じゃがと大根の味噌汁と白米と塩サバは)
(大分消化されている。夕食後、ベッドに身を投げ出してそのまま熟睡していたらしい。)
(シャワーでも浴びようかと身体を起こすと、スチールデスクに置いてある携帯電話が鳴っていた。)
(珍しい事もあるものだ。相手は、≪妹≫の『奏 永久』からだった。)
ハロー。どうしたマイシスター。
眠れないから添い寝でもして欲しいのかな?
基本的に断るが……ん?どうした?なんか電波遠いな?
(ゴキゴキと首を鳴らしつつ、着替え始める。この時間に電話があるという時点で十中八九)
(楽しい用事ではないと、返事を聞く前に確信する。ふざけた対応は挨拶代わりに過ぎず)
(紅裂拓兎はそこまで平和ボケした人間ではない。靴下を履く。)
どうした?何かあったのか?
(紅いコートを羽織り、トンファーを隠して準備完了。)
【ああ、こちらこそよろしく】
>>8 (いつもどおりの悪ふざけ。ちょっとだけ不機嫌そうな声音だと思ったが)
(紅裂拓兎が身を置く世界を考えれば、察しがよくて自分に真剣に向き合ってくれてるのだと解釈もできる。)
(とりあえず、自分は拓兎お兄ちゃんではないので――と結論を出して苦笑。)
こんばんは。うん、寝つきはいいほうなんだけどちょっと眠れなくて。
ソレというのも、鬼………がね、出てくる噂確かめようと思ってるの。
けど、ソレを試すのに私一人だとできなくて――――ええっと、もしよろしければです 。
手伝っていただけたらなぁとか………
(少しだけ曖昧に笑ってから受話器越しに聞こえた声に答え)
もし来て頂けるのなら、裏山に続く道のの入り口の辺りに自販機あるじゃないですか。
ソコでお待ちしてようとおもいます………ええっと、きて――くれますか?
(自分はすでに来ている。必要なものもそろえて手さげ袋の中に入れている。)
(時々ノイズがかかったりするのはきっとここの電波状況が悪いからだろう。)
(四月も後半に入ったというのにいまだ冷たい風に身を撫でられ、少しだけ体を震わせた。)
ははん……
ブラコンな永久は、お兄ちゃんの事を考えると切なくて
思わず夜歩きしちゃうのか。夜更かしは美容の大敵だぞ。
(スリープ状態のパソコンを再起動。メールをチェックする。重要な要件は、なし。)
(再びパソコンをスリープモードに移行。ガスの元栓を確認して、部屋の電気を消す。)
学校の裏山か。そこは魔獣境になってるぞ。夜行くには危険すぎるな。
俺も何回か行ったけどよ。まーあ、いい。そこを動くな。一人で行動するな。
すぐに行くから待ってろ。
……俺が到着したら『お兄ちゃん大好き』とか言いながら抱きついてくれることを強く推奨する。
(冗談めかした事を言い、空気を緩和させ部屋を出て鍵を閉める。軽やかに階段を下る。)
(駐車場の片隅に停車している紅く塗装された単車。手押しでアパートから離れてゆく。)
(近隣の迷惑を考えるとこの時間に排気音を撒き散らすわけにはいかない。)
(最低限度の近所付き合いはこの悪人にとっても無視できない要素なのだ。)
じゃあ、また後で。
(手早くエンジンを起動させて跨る。夜の街を駆け抜ける真紅のライダーがひとり。)
(GSX1300Rハヤブサのスペックを最大限に発揮して、学校まで直行する。)
(――到着するのに30分も必要無かった。春とは言え、まだ寒い。この近隣は特に。)
よう、待たせたな。
(自販機の前に、見覚えのある人影がひとつ。…まさか本当に抱きつかないよな)
(なんて思いつつ近寄ってゆく。山から吹き下ろす風は妖気は孕んで骨が凍りそうだった。)
はは…ちょっとだけ否定できない。
(実際問題、兄に対してコンプレックスはあるし、いなくなった家族を探す以上の)
(気持ちもないわけじゃない気がする………ブラコンか?といわれれば正直否定していいものなのか迷うくらいだ。)
まだ若いから大丈夫だと思うよ?
でもそれなりに肌には気を使っておくね……お勧めの化粧品とかあったら教えてください。
(などと冗談めかして返しておくことにして)
………そうだったんですか、あ。じゃあちょっといったところにある――
(最低限の事前情報を大学ノートを捲りながら話す。)
(自販機の電灯を頼りにしているものだから目を悪くするかもしれないな、などと思いつつ)
はい、では……
(礼儀として一応こちらから電話をきる。)
(そうしてから携帯を胸元に抱いてほっと一息――何故か緊張した。こんな時間に男の人に電話をかける)
(といったことをしたこともなかったからなのか。それとも「兄」に対する遠慮が彼にもでてしまったのか。)
(見慣れないバイクのライトが目をくらませる。)
(一瞬誰かと思ったけれど――なるほど、紅裂お兄ちゃんはこういうものをもっているのか。)
(ソコまで考えてから紅裂拓兎お兄ちゃんがいっていた言葉を思い出す。)
………いえ、待ってません。ソレより寒いでしょう?その……えっと………
い、いきます…………っ!
(強く推奨ということ=きっとしたら嬉しい。そうに違いない。)
(意を決して拳を握りこむそしてストールを羽織りなおすと――)
お兄ちゃん大好きっ
(その首元めがけてぴょんっと軽くジャンプ。腕をのばすとか全体重をぶつけるつもりで)
(紅裂拓兎に抱きつきにいった――)
おっとおっ!
お兄さんはちょっと驚きました!
(予想してなかったと言えば嘘になるが、奏永久なる少女は、こういう性格をしていたらしい。)
(こちらの冗談めかした言葉を律義に守って、抱きついて来る。女の匂い、温度、感触。)
(――反射的に、鳥肌が立つ。全体重を預けてくる奏永久抱きとめるのは、それなりに苦労した。)
……むぐぅ。
兄としてリアクションとコメントに困る。
(出来るだけ傷つけない台詞を選びつつ、そっと脇に手を入れて地面に下す。)
(別段、物理的に重いわけではない。単に、触れ合いに慣れていないだけだ。)
(否――紅裂拓兎にとって、女性との接触は、姉を殺して以来ずっと鬼門だった。)
で?この山に鬼が出るってか?
確かに、鬼の一匹二匹は棲んでそうだけどな。
まーあ、君のお兄さんが理知ある人間としての姿を捨ててれば、の話だけど。
人間としての理知を残してるなら、人に紛れてこっそり生きてるだろうし。
(一言に裏山と言っても、広い。それこそ魔物の巣窟になっていても不思議ではない。)
(かつてここで熊や大蛇やトロールや野人と遭遇した。ぷかぷかと浮く魚とも遭遇した。)
(その魚を狩り、調理して、焼いて醤油で食べた。美味かった。兎に似た魔物もこの山にいる)
(と大事な後輩であり弟子であり妹分でもある『久遠ゆりか』が以前言っていた。)
ああ、そう言えばな。俺の方でもちょっと調べてみた。
どうにも≪奏 従矢≫の方はともかく、≪銀色の鬼≫については少しは目撃があるらしい。
まーあ、仮に俺が由緒ある退魔士で家でするんだったら、偽名使って異形狩りでもやって
生計立ててるぞ。血統書付きってのは、足がつきやすいんだ、有名だから。
(情報屋に金を払って集めた目撃情報と、自分なりの考えを披露する。)
(生粋の退魔士の情報は、その気になれば簡単に集まるのだ。)
あ……へ、あの……したら嬉いのだと思ったので。
それに、ちょっと寒かったので……個人的にも、ありかなって。
や、やっぱり……男の人にするのは変なんでしょうか?
(ちょとだけ乱れた髪やストールを直しながらチラッと上目で紅裂拓兎を見つめる。)
(その体温は冷えた頬などに丁度よく、そして――また少しだけあの表情を垣間見た。)
電話でも言ったとおり、ちょっといったところに祠があるんですよ。
ソコの前に鏡を置いて、二人以上二方向以上から光を当てると――そこに「鬼」が現われる、か「百鬼夜行」が
行われるそうなんです。
また、扉か何かが開くと思うんですけど………もしかしたら、そっちのほうにお兄ちゃんが行ったのかなって。
か、考えすぎだとは思うんですけれどね。
(とはいえ、最近の鬼関係の噂はもうコレくらいしか残されていない。)
(可能性はすくなくとも試してみるしかないのだ――むしろ試すしかない。)
光……っていうのが懐中電灯の明かりでもいいのか、昔みたいに銅鏡で反射した月明かりにするべきなのか
ちょっとわからないんですけど。
(などと道すがらに軽く説明を補足して、用意してきたものをかばんの中から取り出してみせる。)
(手鏡と置き鏡。それから懐中電灯を二つ。)
えっと、奏の人間なら、異形の社会でも渡っていけると思います………
姿かたち、それから知能ある異形相手なら交渉できるということは昔から私たちが
やっていることですから。
(それに従矢は自分と違い、かなり要領がいい。力もある。)
(いまも足跡一つ残さず行方をくらましているのがいい例だ。)
あ、ありがとうございます…。そうなんですか?!
(銀色の鬼について目撃例がある――その言葉にまさにつかみかからん勢いで顔を寄せる。)
(身長差の所為でまたもや抱きつくような形にはなったけれど――)
……はい、そうみたいですね。奏の「天狗」の間でも偽名を使ってる可能性は高いって話です。
(――「天狗」。時に鬼とされる妖怪で、奏家では情報能力に特化した鬼眼を持つ集団を表す単語だ。)
ただ、お兄ちゃん。能力にに汎用性があるものだから額に「銀色の眼」もしくは「銀色の角」だけでは
なかなか見つからないらしいです。
先週でしたか………紅裂お兄ちゃんが候補に上がったくらいですから。
「水晶を作り出す」なのにどこに引っかかったんでしょうか?
(まぁ、十中八九容姿だろうなと思いつつも苦笑を浮かべる。)
……どうなんだろ?恋人ならオッケーなのかな?
家族なら、ギリギリオッケーだと思うけど。
(ぺしぺしと軽くチョップを叩きこみつつ、考える。世間一般の基準がよくわからない。)
(やる人はやるだろうし、やらない人はやらないだろう。多分。きっと。恐らく。)
あー……まあ、やりたければやればいいんでない?
(――結局、個人の裁量に任せるという無難な答えに辿り着いた。)
なるほど……とは言え、だ。十中八九、なんか出るだろうよ。
古くなった鏡は別の世界への入り口になっている……てな。
正直、後始末が面倒で仕方ないが、やるだけやってみるか。
(奏の説明を聞いて、思案し、後の被害なども考慮して、頷く。)
(やれることをやらなければ、気がすまないのだろう。その渇望を癒す代案を考えられない)
(以上、無暗に反発するのは避ける。誰だって、馬鹿な真似でもしないと気が済まない時はある。)
(――愚行を繰り返したのは、自分だって同じなのだから、人の事を責められるはずもない。)
異形に社会があるってのは寡聞にして知らなかったな。
単体で生きられる生き物って基本的に群れないし。
同種で群れるのはありにしても、異種の生き物と交流したりするのかね。
(お化けの世界はあるさお前の家の傍♪なんて歌を思い出す。)
(夜は墓場で運動会をするのだろうか?学校も会社もなく病気もなんにもないのだろうか?)
落ちつけ。俺の考えでは、多分ハズレだ。
キミの兄だって追跡の眼くらいは承知してるだろう。そう簡単に尻尾捕まえさせるとも思えん。
むしろ、意図的に偽情報流してミスリード誘うくらいのことはするだろう。
(掴みかかってくる奏の肩を宥めるように叩く。裏の社会のやり方に通じた人間なら)
(それくらいするだろうと、紅裂拓兎は考える。相手は怪物ではなく、理知ある人間なのだから。)
……なるほど。俺も結構、暴れたからな、昔は。
しかし、そんなに似てるんだろうか、従矢ってのは。
俺ってそんなに没個性、か?
(傭兵としても、魔王の契約者としても、派手に動いて派手に壊した時期がある。)
(「天狗」の掴んだ情報とは、その名残だろう。けれどそこは問題ではなく、誰かに間違われる)
(程度に自分の容姿は没個性で有り触れているものなのだろうかという、そんな拘りだ。)
だ、ダメだけどお兄ちゃんの代わりをするからそういってるんじゃないですよね?
ほんとにしたくなったらシテいいんですよね?
(ぺしぺしと叩かれた前髪が乱れる。)
(こんなやり取りもいいなぁとか思いながら少しだけ真剣になって)
どこでもどんなときでもシテいいんだよね?拓兎お兄ちゃんっ
(じっと兄ではない兄を見つめて――)
うん、さっきのお兄ちゃんの話から私もソレは想像できた。
ただ、それだけ色々出てきてるとなると――――
(やめておいたほうがいい、そう考えながらもその答えはたどり着けない)
(わずかな希望いn縋りつこうという意識がその言葉を口にするのを拒絶して――)
ありがとう、やっぱり大好きです。拓兎お兄ちゃん………
(どう考えても付き合う必要性なんてないのに。引きずってでも止めてもいいはずなのに)
(「やってみるか」その言葉をくれる兄に似た他人。)
(その男性に呟くようにポツリともらすと裏山への道をいく――)
その単体で生きられない、もしくは単体で生きられるけれども
ソレによって発生する不都合をなるべく減らそうとする支族というか種族もいるんです。
そんな方々の社会と人の社会を繋ぎ、時に管理するのが「奏家」の代々伝わる仕事だったりします。
おもに荒事の対処で、ではありますけれど…………
(問題はそういうことをしているのは知っているのだが、その手の仕事にかかわったことはまだないので)
(そういった異形にあったときにどうすればいいのかわからないのだが。)
あ………そっか。
で、でも………その話の出所を探れば、流した人を突き止めて話をするとか。
(肩をたたかれれば精一杯伸ばしたつま先をすとんとおろし)
(襟元から胸元を撫でるように手の力を緩めていき)
………似てると思います。
始めにあったとき叫んじゃったじゃないですか、私。
(少しだけ恥ずかしげに舌を出して、そのときのこと思い出す。)
どちらかというと個性的です。お兄ちゃんよりも個性的です。別人だって思えますから。
喋り方とか、態度とかで………うん、拓兎おにいちゃんもお兄ちゃんとは違った意味で優しい
ってところは共通、かな。
(フォローになったかどうかはわからないが、それだけいって再び苦笑を浮かべる。)
(そうしているうちに、目的の場所が近づいてきたらしく。)
(朽ちて色あせた小さな鳥居や、コケの生えた祠が見えてくる。)
――ここ、ですかね。
【脳味噌が振りーズ寸前。意図的な誤字だけど】
【そろそろ凍結頼めるか?前と同じで金曜日の21時と、土曜日は一日空いてる】
【それまでは置きレスで少しずつ進めたいと思うんだけど、大丈夫か?】
【了解ですお兄ちゃん。】
【こっちはこっちで意図しない誤字がありそうで見つけられなさそうで】
【びくびくしなが読み開けしている次第でありまする。】
【それでは前回と同じく金曜日の21時からお願いできますでしょうか?】
【あと今回は二度目の凍結後も置きレスしていいんですよね?】
【前回二回目に特に言ってませんでしたから置くのためらっちゃいまして。】
【誤字はお互い様。結構あるから気にするな(何】
【ああ、金曜日の21時によろしく頼む】
【また急用入った時はごめんな】
【ああ、構わない。それで頼む。】
【では、今日はありがとう。また今度。】
【多分そのときはナニコレデジャヴ?って】
【ちょっと首を傾げるだけですのでお気になさらずに。】
【はい、こちらこそお付き合いありがとうございました。】
【また金曜日を楽しみにさせていただきます。】
【お疲れ様でした。】
【コレにてわたしも失礼します。以下空室です。】
【名前】黒上 いろは(くろがみ -)
【性別】女
【年齢】15歳・中3
【身長】142cm
【3サイズ】つるぺた
【容貌】人間時:童顔、黒のショートボブ
異形時:↑+頭に、前に突き出た一対の白い角。背に蝙蝠のような二枚の翼。背中の中ほどまで伸びた髪。
本来の姿(不完全):漆黒の巨大な四足獣、霧や影のような見た目。背に六枚の翼。
【能力】異形としての力と姿。任意のタイミングで異形化できる。
異形時には身体能力(特に五感と筋力)が大幅に強化される。
そこまで強力ではないが再生能力を持ち、一ヶ月ほどで片腕くらいなら再生可能。
因みに、角や翼にも痛覚があり、折ったり千切ったりできる。
【希望】雑談、戦闘 エロール可
【NG】スカ、ハードなSM
【弱点】中距離・遠距離戦(射程的に)、退魔武器(種族的に)
【備考】過去に喰った少女「黒上いろは」の姿をとって学園に通う純正の異形。
日中は人として生活する一方で、夜では人・異形を襲い喰う。
無邪気な性格故に、他者を殺すのも、たまに異能者を手助けしたりするのも、遊びの内。
人間は今のところ、餌か玩具程度に考えているが、気に入っている人間には手を出さない。
やりたいからする、というような思考回路で行動することが多い。
因みに、頭が弱く補修・再試常連。
水鏡恭弥との戦闘において現在、左腕消滅。治療に専念することに。
また、著しく損傷した影響でリミッターが外れたため、一定環境下で不完全ながら本来の姿になることがある。
この際、いろはの意識は無く記憶も残らない。
【投下落ちだよー】
>>15 ……TPOを弁えつつ、やってくれ。
(真剣な眼で訴えられたので、それだけ答えておく。)
(本当は真っ平ごめんだが、丁度いい機会だ。)
(苦手な分野も克服しておこうと思い直す。)
(人と触れ合うのを厭う人間など、哀しすぎるし憐れすぎる。)
(何より、いつまでも古い自分の殻に縋るのも滑稽だし、飽きた。)
まーあ…アレだ。手加減はしてくれ。
(何せ、あんな冗談を真に受ける子だ。釘は刺しておかねばならないだろう。)
――まーあ、確かに。ある程度コミュニケーションの取れる奴もいるだろうな。
俺は殆ど会ったことないけど。そんな仕事があったとしても、不思議では、ないな。
けどそうなると……本気で≪従矢≫を探すなら、妖魔の共同体とも接触しないとならないのか。
そっちの方面のツテとコネは、生憎と皆無だな。やれやれ、困ったもんだ。
願わくば人として暮していてくれたら、まだ話は早いんだが。
(ぽつりと漏らした言葉は聞こえなかった事にして、道を進む。)
(進みながら、話す。語られるのは「奏家」の仕事の事だった。)
(なるほど。それならば、人間の社会だけではなく、妖魔の世界にも足を踏み込まないと)
(ならないわけだ。もし本当に≪奏 従矢≫が鬼となり妖魔の世界で生きてるのならば)
(現時点ではこうやってコツコツと虱潰しにやっていくしかない。彼女が焦燥する訳だ。)
それもありと言えばありか。
まーあ、そっちの方は俺がやっておくから、任しておけ。
(いつもの軽口のように請け負いつつ、彼女との出会いを回想する。)
ああ、そうだったな。びっくりしたよ、あの時は。
……そうか、なら俺の方から言う事もないな。
(ちゃんと別人だとわかっているのなら。その一点だけ確かなら、他に言う事もない。)
(優しかろうが、冷たかろうが、そんなものは一面的な見方であると、知っている。)
やれやれ。この街はこの手のモノが多すぎるな。
日本中の怪異と神秘を集めて、ミキサーでシェイクされてるみたいだ。
……ああ、そう言えばこの山の向こう側に開発途中で放置された住宅街があるんだが。
その近くにも似たような祠があったな。もう少しデカクて立派だったが。
(じっと苔生した祠を見つめ、ふと、久遠ゆりかと出会った場所のことを思い出す。)
(あの頃の紅裂拓兎はまだ魔王の契約者で、その祠を壊して封印されている邪霊を)
(呼び覚ました。その影響で当時乗っていた単車が壊されたことも思い出す。)
んー……アレだ。
何か出てきたら全力で駆逐するぞ。
(昔自分がやったことを踏まえて、警告し、覚悟を決めさせる。)
【置きレスをひとつ】
>21
てぃーぴーおー?
えっと、うん。わかったよっ、お兄ちゃんっ!
(明らかに何もわかってなさそうな顔で小首を傾げたあと肯定の意を示す。)
(そのあとで何かに気付いたのか、頭の上に耳があればピンと立てていそうな表情でをして)
新しい顔………あ、ううん、こっちの話。気にしないでいいよ。
手加減、すればいいんだよね、うん。するする。
(何かに気付いたような、新しいことを始めようとするような、そんな表情。)
(いままでにみたこともない明るいそれが覗くと、その真意やそこにいたるまでの経緯などにこそ気づかないまでも)
(なんだか嬉しい気分がこみ上げてきて、表情を緩ませた。あわよくば「弁えろ」位は聞いているかも知れない。)
すみません、困ったお兄ちゃんで。
帰ってきたら拓兎お兄ちゃん見習うようにいっておきますんで………。
(少しだけ想像する――もしかしたら奏と敵対する集団、もしくは快く思ってない集団にかくまわれているかもしれないと。)
(その場合、こちらの家の事情が駄々漏れかもしれないと。それだけならともかく利用するだけ利用されて亡き者に――)
(ここまで想像して首を振ってその考えを消す。さらに頭にこびりつくその想像を打ち消し)
(無事を祈るために≪従矢≫にするべきことを口にした。)
………できたら、私にも手伝わせて欲しい、です。
その……私のことですから。拓兎お兄ちゃんの作業、こう見えてもそれなりに役に立てると思うんですよ?
…………。あのっ、ええと、ですね。私忘れませんから!
例え、これからどんなに拓兎お兄ちゃんにいやな目にあわされたとしても。いろんなところで、私に優しくしてくれた。
その事実だけは絶対に忘れませんから!!
(屋上で、廃工場で、桜の木の下で――そしてここで。)
(どんなに一面的な見方であろうとその事実だけは覆らない。それは例え非情な現実を目の当たりにしたとしてもだ。)
(信じるとか裏切られる――などという言葉ではない。ただなにをされてもそれは紅裂拓兎の一面として受け止める。)
(いうなれば覚悟の問題。それをする、決意。)
――・――・――・――・――・――・――
(ちょっと拓兎の昔話(とは言ってもソコまで昔でもなさそうだが)が聞けそうで少しだけボーっとしてしまう。)
(けれどもすぐに気を取り直して祠の前に鏡を置く。)
(そうしてから取り出した懐中電灯を二人で、それぞれ別の方向から当てて――)
…………。
…………。
えーっと、警戒しろ……とのことですが。
(懐中電灯を構えてから数分。二方向から光を受けた鏡が光を反射して煌く。)
(待てど暮らせど何の変化は起きず、静寂だけがあたりをすぎていく――)
何もおきませんね…………
(――そう呟いた時に鏡に変化が起きる。鏡の中に映った虚像が変化を始める。小石が落ちた水面に波紋が広がるように)
(ユラユラユラユラ、と……そしてそこから転がり出るように何かが落ちて来る。)
(高いところから落ちた赤子がでんぐり返しをするような可愛らしい仕草をする人型の、だが人と呼ぶには一回りほど小さいそれ。)
(額には一本の角、犬歯は必要以上の長さと鋭さを備えたものを持つ――それでも一体だけならまだ可愛げがあったかも知れない。)
(だがそれは次々ところん、ころんと鏡の中から落ちてきて、だんだんと気味が悪いほどに増殖を始める。)
――はずれ、ですね。はは………
(両袖からヌンチャクを取り出す――なぜならでてきた小さな鬼達――餓鬼とか魍魎の類だろうか――は、例外なく自分たちを)
(餌として認識して、今にも飛び掛ってきそうな雰囲気だったからだ――幸いにも今回は場所がそこそこ広い、あの体格だと茂みに隠れられそうではあるが)
(それを差し引いても武器をまともに振れるこの広さでなら今回はまともに戦えそうだ。そう思ったのは鏡に光を当ててから4分44秒後の事だった。)
【お兄ちゃんに置きレスをしますっ、落ちです。】
>>22 いやな目って、あのな。
まるで俺がこれから奏ちゃんを無理やり手篭めにするみたいな言い方だな。
安心しろ。こう見えても俺は……えっと、ともかく、アレだ、アレ。
変態じゃない紳士だから、そう、ジェントルメンだから、大丈夫。
(何かを決意したような言葉には、真面目に取り合わず軽口を返す。)
(……何があっても、親切にされたことは忘れない。)
(その言葉は、とても重い。とてもとても、重く圧し掛かる。)
(その言葉は、嬉しい。けれど、それは辛いことだと、知っている。)
(忌み嫌って、唾棄して、憎んで、そして忘れてしまえばいい。)
(紅裂拓兎の所業を知れば、兄と呼んだことすら汚らわしい出来事となってしまうだろう。)
(魔王の下僕となり、無辜の民を殺したことなど、誰が受け入れられる訳でもない。)
――・――・――・――・――・――・――
(そして召喚(?)の儀式を開始して、暫くのことである。)
……匂うな。
(何も起こらないなんて、あり得ないと確信した表情でじっと照らし出された鏡を見つめていると)
(その変化は起きた。鏡が揺れる。振動ではなく、鏡面が水面のように揺れている。)
(そこから出てきたのは小さな鬼。餓鬼草紙に描かれる「餓鬼」とは容姿が微妙に異なっている。)
まーあ、アレだ。最初からわかってた事だから気を落とすな。
それにしても……人間の決めた分類なんて、本当に無意味だよな……
(わらわらと湧き出る小鬼を前にして、しみじみと呟く。臨戦態勢すら取っていない。)
(だが、餓えに突き動かされた小鬼たちは、自分たちの周囲にキラキラとした粉が舞い散っている事に)
(気付いた。気付いた時には遅かった。それは珪素の粒子。紅裂拓兎の武力であり魔力の具現だ。)
(パチリと指を鳴らす。次の瞬間にはギチリと水晶の柩の中に閉じ込められていた。)
……流石に数が多い。
(まとめて十匹くらいは屠ったが、減ったようには見えない。例え小さくとも、数が集えば暴力だ。)
(そして一匹一匹に人一人を殺傷できるだけの生物的な性能があるとして――思考停止。)
(数えるより、腕を動かした方が話は早い。一匹を蹴り飛ばし、一匹踏み潰す。)
(トンファーを取り出し、重さと硬さと膂力で脳天を叩き潰す。飛び散る脳漿。)
(断末魔の叫び。威嚇の唸り声。咀嚼音。同類の死体の肉を喰らっている。)
よっぽど腹が減ってるんだな、コイツら。
子牛一頭分の肉でも食わせれば、穏便に帰ってくれるかね。
(傍らではヌンチャクを取り出して、奏永久が奮戦している。)
(そもそも、こちらの都合で呼び出してしまったのだから、穏便に帰ってくれるに越した事は無い。)
(無論、この場においてそれは理想以前の夢想。不可能だ。だからいつもの冗談に過ぎない。)
【置きレスに借りますっと】
【水琴さんとのロールに借りるぜッ!】
(不思議な街である。遠目にはビルの群れを望めるが、しばらく歩けば山奥といえる場所にも迷い込むことができる。
花開く春先、草木をかきわけた山道の果てには、いかにも曰く付きの無人の木造建築ひとつ。
古いも古い、そこは地元の中学校の旧校舎。学徒を迎える門を閉ざして久しいそこは、なぜか放置されたままだ。
その理由は、都市部の一区画にある未完成の建物の群れを見れば推し量れるだろう)
『あそこ、出るんだって』……ねぇ?そりゃまぁ、出るでしょうよ。
(時刻は深夜と明け方の狭間。もうすぐ空が白み始めるだろう。
その噂の真偽を確かめるべくこの中学旧校舎に赴いていた。調査の命令だ。
ところどころ腐食した床材を、危なげな足音を立てて踏みながら……仕事を終えて戻るところだった)
こんな場所を今日までほっぽっとくくらい、都市部で事件が絶えてないってわけか。
……こういう簡単な仕事ばっかりなら、いいんだけどねぇ?
(蜘蛛糸の垂れるなか独り言を並べる。しかしネズミや虫の影がうごめくことはない。まるで避けるように。
その筈、古びた見取り図を開く手も、物憂げに語る頬にも、真紅の飛沫が散っている……ヒトガタの鬼、そう言われて否定できるか)
……ん。
(二階奥から一階へ下りるための階段の手前まで来たところ、下階に気配を感じた。
後から来た物好き。もしくは取り零しか。壁に背をつけて息を潜め……腰のものの鞘を払う)
【お、おくれたー。よろしくっ】
これも、ひとつの『都市伝説』……ってヤツかね?
(溜息をひとつ溢しながら、軋む廊下をのんびりと歩く。散歩を楽しむかのように)
(都市伝説―――それが、この街の流行のひとつとなっていた。ただの都市伝説ならばいいが、
それに巻き込まれて、行方不明者も出てきている。しかも、その『都市伝説』の数が尋常ではなかった)
(一つ噂になれば、二つ新たに噂が湧く。大小含めればきりがなかった)
やれやれ……こりゃ、尋常じゃないな。
全く、誰が何を企んでいることやら――――。
(そもそも。この街には様々な不安定要素が集まりやすいような気がするのだ)
(異形はもとより、人にあらざる力を持つ能力者たち、あるいはそれらが属する組織。
不自然なぐらいに、それら全てがこの街に集約しているような錯覚さえ覚える)
………まぁ、取り敢えずは目の前の厄介ごとを解決することが優先だよな。
(そっと苦笑を浮かべる。此処に来たのは、その都市伝説に関わっていたからだ。
だが―――、先ほどから、あまりに静かで違和感を覚えてしまう。)
…先客がいたか?
(その予感は直後に現実のものとなる)
(―――ゆっくりと階段を上る。異形からの襲撃に備えて、視線をあらゆる方向に配らせながら)
【こちらこそ、よろしくっ!】
(息を潜めたまま、ひとつ響くごとに大きくなる足音へと意識を向ける。
歩調から――人間だろう。そして、少なくとも武術かなにかの覚えがあることは知れる。
問題は、それが敵かどうかということ。味方でなくてもいい。こちらに危害がないのなら。
出来ることなら、いつでも狙える背後に位置取れるのが最良だけれども、贅沢は言うまい)
……だれ?だれかいるの。
(出会い頭にぶっ放されては敵わないと、手に刀を提げたまま問いかける。
階段はそこそこ長い。一足飛びでもやろうものなら抜けてしまうほど老いている。
それが出来るなら敵意ありと見て斬ればいい。不自然に消えたのなら来るだろう、迎え撃つ)
ここ、立ち入り禁止だよ……危ないよー。
(幽かな囁きは、常人であらばむしろ恐れを成すかもしれない。
逃げ帰るかどうか、小石を投げるような真似をする。
果たして、そう、まさか自分の声に聞き覚えがあるであろう相手だとは、
水琴は毛程も考えていなかったのだが――警察との連絡は、電話だからだ)
(ぎし、と階段を軋ませながら上っていく)
(ふと、その時上から声が聞こえてきて)
………ん?
(聞き覚えのある声。階段を上りながら首を傾げてみた)
その声………、もしかして、水琴さんか?
(この状況において、彼女は自分の敵ではないはずだ。
警戒を解きつつも、様子を探るように声を掛け返しながら、視線を上に向ける)
『危ないから』、此処に来てるんだっての。
噂になってる『都市伝説』――、噂は噂にしておくのが一番いいからな。
間違っても、現実のものになんかしちゃいけないし、そのためにも来たんだぜ、俺は。
(軽く肩を竦ませながら、階段を上り切るまであと数歩。その『声』に対して、おどけた様子で言葉を返した)
まぁ、この様子だと、俺の出番はないみたいだけど、な。
――――。
(階下から響いた、現状からすれば拍子抜けするほど穏やかな返答に、言葉を失って。
それから所在なげに埃を払いつつ、壁から離れて、階段へ向かう。抜き身の刃を提げたままだ)
あんたね……どうして今日に限ってここに来んの。
いや……なんでもっと早くやんなかったのさ。
(階段の途中に見知った顔を認めて、刃を揺らしながら険しい表情で見下ろす。
詰問するような口振りは、言葉通りの意思が半分、もう半分はごまかし)
そうよ。あたしがお仕事しました、一から十まで。
あーあ無駄足踏んだ気分。最初からあんたにやってもらえばよかった――降りて。回れ右。
(階段を降り始める。仕事の時はパンツルックなので高低は気にすることもない。
が、さすがに同じ段にふたりで並ぶのは自殺行為だから避けておく)
それに、現実にしちゃいけないってんなら、ちょっと遅かったと思うよ。
『都市伝説』か。誰が言いふらしたんだかね……さっきの化け狸かな。
(返り血の残りを頬に乗せたまま……奥の教室を一瞥する。
骨までしゃぶられた先客≠ェ、何個かあった≠だと、少年の背に囁いた。
半端な情で、隠し立てはしない)
【あー、ごめんっ、そろそろ眠気が襲ってきましてっ】
【凍結……でいいかなっ、かなっ?】
【はい、うけたまわりますー】
【とすると、解凍はいつごろになるかな……?】
【こっちは、明日でも全然オッケーだぜっ】
【そちらの都合に合わせようと思うんでっ。それじゃ悪いけど、一足先に休ませてもらいます】
【どうも、ありがとーございましたっ】
【――はい。それでは、避難所のほうに伝言を綴っとく】
【おやすみなさい。ありがとう】
【スレをお返しします】
【ロールにお借りします】
【スレをロールに借りるぜーっ。】
>>29 そりゃ、こっちの台詞だっつーの。
水琴さんが粗方片付けちまったみてーだし、俺、ただの骨折り損じゃんか。
(がりがりと頭を掻きながら、小さくため息をつく。とまぁ、ポケットのナイフを確認はしたのだが)
へいへい。それじゃ、まあ、下に降りるとしますかね。
(彼女の言葉に素直に従い、今昇ってきた階段を降りていく)
(一応は辺りに視線を飛ばしながら、再度警戒しつつ、一階の廊下へと戻った)
………チッ。全く、よくよく今日の俺はタイミングが悪いらしいな。
(彼女の話を聞きながら、不機嫌そうに唇を尖らせて、軽く廊下の床を蹴り飛ばす)
(“こういうこと”を始めてから、間に合わなかったことは何度か経験していた。でも、だからといって、割り切れるわけもなく)
『先輩』から聞いたんだよ。そういう『都市伝説』が流行ってるって。
色んなヤツが調査してるみてーだぜ? あるいは、それを利用している奴らも。
(面白くなさそうに呟く。結果としては、今日の出来は0点だ。あるいは、そもそも試験に出席すらしていなかったのだが)
【それじゃ、今日もよろしくなーっ】
(相手が背を向けたのを確認して、いくらか歩かせて距離を取ってから刀を納めて)
利用?首を突っ込みたがるひとがいる……自分の目で確かめてみたくなる、って好奇心をとか、かな。
ふ……ん、別に、そういうひとたちだけで話が終わってくれるんならいいんだけど。
(悪戯、あるいは、表沙汰にならずとも処理できる尋常な事件であればいいのに。
そう愚痴った。水琴本人は、犠牲になったものたちのことなどどうとも思っていない。
それが近しい人であれば兎も角、赤の他人であるなら、胸を痛める理由もなかった)
あんたみたいな普通じゃない物好きが少なくない筈なのに、
どうしてか無くならないんだよね……こういう事件。 うわ、腐ってる。
(抜けそうな床を避けて昇降口へ向かう。真っ暗でないのは、そろそろ夜が明けるからか)
おかげで、あたしみたいなのにもいまだにお鉢が回ってくるわけ……。
――ね、あんたの頑張りが足りないんじゃないの?
それなりに時間が経ったよね……?なのに、減ってる気がしなくない?
【ほい、よろしく!】
>>36 そうなんじゃないか?
特に、実際に『こういうこと』があるってことを知らない奴らなんかは。
まぁ、このまま『都市伝説』が広まっていって、噂で留まらなくなったら―――。
………考えるだけで、憂鬱になるっての。
(小さくかぶりを振りながら、被害にあった人間たちのことを考える)
(ある種自業自得な部分があるとはいえ、完全に巻き込まれた人間ばかりだろう)
(軽はずみな気持ちの結果が、死につながる。そんなことを誰も予想は出来なかったのだろう)
……そうだな。
好奇心は猫を殺すとは言うけれど、こりゃあ、洒落にならないぜ。
(水琴の言葉に、小さくため息を溢して、軽く肩を竦ませ―――)
―――その通りでございますよ、お嬢さん。
まだまだ俺は、『見習い』から脱しきれてないんだよ、きっと。
もっと、頑張らないと――、せめて、目に見えるものだけでもこの手で掬えるぐらいには。
(憂鬱そうに、視線を天井へと向ける。この女性は、いつも掛け値なく、痛烈で正直だ。)
(『あの人』とは全く反対の人。故に、彼女の意見はより素直に自身の中に染み込んでくる)
>>37 さすがにそこまで面倒見切れないっしょ。
気にするだけ損だって。化け物がいなくたって死ぬときゃ死ぬ。
ニュースからはヒトがやった殺人事件もなくならない……今回は、たまたま犯人が異形だった、ってだけ。
(恐らく、ここの骨は行方不明として処理された人間のものだろう。
そして、調査の手が入った以上は建物ごと粉砕され、文字通り葬られる。墓標もなき土葬である)
ま、起こらないに越したことはないけどね。
回避するには、ぜんぶ根っこから刈り取って、もう起こらないようにするしかないのかもね。
……ナイフ。前持ってたのと違うね?
(足音。木の軋み……風の音のなかから、聞き取った金属音の違い。服に忍ばせているくらいなら聞き取れる。
この少年と出会うのは久しぶりだったが、きりのない前向きな心情吐露よりもこっちのほうがわかりやすい。
強くなった――のだろう。前と比べて。
新しい得物に手を出して、それに慣れようと思う、あるいは慣れるくらいには)
どれくらい頑張ったの?どれくらい斬ったの。あれから……。
(前に会ったときは――刃を交えていたような、気もする)
>>38 …………ま、そうなのかもな。
でも、それを言っちゃお終いだろ。
せいぜい、俺は俺に出来る範囲で、出来ることをするだけだよ。
問題は、その範囲がどれだけ広げられるか――ってとこだな。
(根本的な解決は、きっとどれだけ時間が経っても解決しないだろう)
(ただ、それを軽減させることは出来るはず。そう考えて、ぽつりと呟いた)
あぁ、ナイフは前のまんまだけど、こっちはな。貰い物だけど。
(ズボンのベルトに差した小太刀の鞘を軽く叩く)
(そして、水琴の言葉に眉根を寄せて怪訝な表情を浮かべる)
随分と、意地悪な聞き方してくれるじゃねーか。皮肉か?
(苦笑を浮かべながら、さーなと答える)
どれだけ頑張った――って、それは自己評価にしか過ぎないだろ。
俺がどれだけ頑張ったって言っても、あんたはそれを疑うだろ? なら、言っても意味のないことだ。
(正直なところ覚えていない。ただ、それを一度も後悔はしていない)
―――なら、試してみるか? あんた自身で。
(売り言葉に買い言葉。そういうつもりではなかったが、挑発と受け取られるには十分な言葉だったろう。
やおら剣呑な響きを帯びた少年の言葉には、微笑みで返した)
頑張るってのは、うまく、はやく斬るしかないから。
死なないように、出来るだけ多く。
意地悪に聞こえた? そのつもりはなかったけど……それ以外になにか方法があるの。
(笑ったつもりだったが、視界は狭まらない。口許だけが三日月のかたちになっていた。
試すかどうか、その問いかけには答えないが、柄には手をかけない)
(鞘を握った刀を振ってみせ、前を横切る。先に昇降口を抜けて、青臭い朝の春風を浴びた)
……遠慮しとく。戯れるには、すこし血に酔ったよ……手元が狂うかも。
それに、あんたに強くなられ過ぎちゃ、いざ敵に回ったときに困るじゃない?
なるたけ手の内は伏せておきたい。
(微笑。 以前と比べて、自分は格段に落ち着いたはずだ。
迷いは抜け、情を割り切ることで……心も技も、刀さながらに磨き鍛えられた)
さてな。あるかもしれないし、ないのかもしれない。
けど、方法がそれだけ――と、決め付けるのは早計過ぎやしないか?
ま、言ってみただけ、だけどな。
(彼女の言葉にそう返しながら、ようやく先ほど入ってきた出入り口まで戻ってこれた)
ふぅん? ま、いいや。俺もさらさら命を懸ける必要はないしな。
(彼女は一枚も二枚も皮が厚い。それだけが本心ではないだろう)
……さて、結果はどうあれ、一件落着だ。
もう朝か―――。
(気がつけば、朝日は昇り始めており、雀のさえずりが聞こえてきた)
やれやれ、今から家に帰って学校の準備するのも面倒だな……このまま今日はサボるか。
(最近サボり過ぎのような気もするけど、と小さく苦笑いして)
どうだ? ついでに朝食、どっか食べに行くか?
みつけてから、言おう。そういうことは。探すのはあんたの勝手だけど。
でもあたしは、あたしみたいに進むことが、賽の河原で石を積むようなまねだとはおもってない。
有意義なことだと――思うよ。そうでなきゃ、なんのためにやってるの、ってね。
(ベクトルは違えど、同じく前向きなのだ、と、肩を竦めてみせた。
前のように、頭ごなしに否定するよりは、相手を認められるだけの余裕もある)
あたしも、自分の周りだけでいいんだ。
どぶさらいも頑張って続けてれば、いつか白河になる……なって欲しい。
あんたはその邪魔には、ならないでしょう、いまのところは。
帰って寝よ……って、なんか食べたいもの、あるの?
(ファミレス、ファーストフード――肉。
いま開いてそうな店で、美味しくありつけそうなものは思い浮かばなかった。
昔は、ふつうに食べれていた気もするが、そういう意味では弱くなったかもしれない、あるいはまともに)
パン、奢って。コンビニの……クリーム入ってるやつ。
あんた、汚れてないしね。こっちはへたしたら強盗扱いだもの。
(竹刀袋に刀をしまいながら、言う。
サボりについては突っ込まない。こっちからすれば、仕事の後は学業はお休み、が常識だから)
(驚いた。そう言った様子で、目を丸くさせる)
(彼女が何かを認めたり、それを肯定するということは非常に珍しかった。――少なくとも自分に対しては)
…何かあったのか? あんた、変わったな。
まぁ……そうだな。あんたはあんたのやり方で、やるべきことをやろうとしてる。
なら、俺も俺のやり方で、やってみるとするよ。
(理想が現実になるのかは、さておき。少なくともそうしている瞬間に限っては、救われる人もいるはずだと)
……俺が奢る方かよ。普通、先輩が後輩に奢るもんじゃないのか?
(やれやれと肩を竦ませてみせると、くしゃと笑って)
上等だ。
ま、ちょうど近くにコンビニがあるし、奢るさ。
これで貸しが作れるわけだしな。
(にやりと口の端を軽く吊り上げて、歩き出す。数歩歩いたところで振り返って)
さ、行こうぜ。こんなところ、いつまでもいたら、それこそ怪しまれるっての。
(笑顔で手招きして)
【んー、それじゃそろそろ締めって感じかなー?】
他人を否定して、言い負かしたらそりゃ気持ち良かったよ。
それで気も晴れることもあった、けど、いまのあたしはこんなん。
……そのときの感情にまかせて暴走するのが、どんだけ虚しいかってね。
(刀を手放さず、持ったままの自分を示して、こういうことだと)
ま――色々あって、努力の方向音痴を矯正して。
あとはー、しおらしくしてると優しくしてくれるひとが多いことに気付いた、かな。
(凝った肩を揉んで解しながら、それはもう、素直に自分の気持ちをぶつけた)
みみっちぃこという。
まさか、葵にも貸し借りとか言ってんのー?
(目を細めて、招かれるまま足を進めると)
……はいはい。そんなに勇んですッ転ばないでよ、怪しまれるから。
(欠伸をしながら、白む山道を降りていった)
【それじゃあ、ここらで締めに】
【復帰リハビリ、いくらか見苦しいところもあったかと思うけど、おつきあい感謝ーッ】
【いや、こっちこそ付き合ってくれてありがとうなーっ】
【久しぶりに水琴さんとロール出来て楽しかったぜっ。それじゃお疲れ様っ!】
【また、機会があれば、よろしくなーっ!】
【お二人ともおつかれさまでした〜】
【一レスお借りしますっ!】
>23
(――珪素が結晶化し、小鬼たちを捕らえる。それと同時にその光が煌く中央へ飛び込む。
(水晶が月光を乱反射する光の中へ金色の目をした鬼が――)
ありがとうございます………そうですね、私の都合で呼び出しておいて――と思わないでもないのですが。
かといって、彼らをどうにかする術を………
(手に持ったヌンチャクを振るう。飛び掛ってくる小鬼を確実に叩き落す。)
(身を捻り、回転させ、遠心力を味方につけてから直線的に打ち出す鋼鉄でできたそれで小鬼達を巻き込み蹴散らす。)
……私は知らなくて。
(苦笑を零しながらヌンチャク同士を接続して多節棍の様にして回転させる。数匹をつれてさらに前方へとぶ。)
(数が多いならなるべく一度の攻撃で多くを巻き込む必要がある――そして自身の攻撃範囲と紅裂拓兎との攻撃範囲を比べ、少なくとも)
(自分は一度に数十匹を屠れるほどの攻撃範囲を持たないことに思い至る。)
――拓兎お兄ちゃんっ!
(紅裂拓兎を中心として外に螺旋を描くように走る。多節棍とかしたそれを器用に操り殺すことよりも吹き飛ばすことを目的とした打撃を)
(直線的に打ち込む――そうして動きを鈍らせた小鬼達を一箇所にまとめ紅裂拓兎に一気に殲滅させる腹積もりだ。)
(そして跳躍。太腿をさらすことも躊躇わず長い丈のスカートを捲り上げるとそこに巻いた片方の皮ベルトを解き)
(片手にトンファー、もう片方の手に多節棍をもち一拍――――)
………いきますっ!破っ!!
(――気合とともに再び駆け出し、目の前にいる小鬼達を殴る、打つ、吹き飛ばす。特別な攻撃方法は持たない。)
(けれど両の手に持った、体の各所に隠し持った武器を巧みに扱うことができる。それが自身の力だ。)
(円軌道により遠心力を味方につけながら。直線的な奏の体捌きで突き進む。)
(ヌンチャク同士をあわせた計四節の棍棒で正面の小鬼達を打ち据え、迫りくる小鬼達をトンファーで捌き)
(――ここで体を反転。遠心力にそって漆黒の髪が舞う。)
(高く脚を上げ背後から来た数匹をロングブーツに包まれた脚での上段蹴りで打ち落とす。そのついでに再び捲れたスカートの端から覗く)
(皮ベルトを解く――四節のほうはトンファーにジョイント、トンファーのリーチを伸ばす。そのまま流れるように空いた手に)
(脚に仕込んであった三節棍を空いた手に取り――)
ふっ………
(短く息を吐くと今度は逆に内へ螺旋を描くようにして紅裂拓兎の元へ――無論小鬼達をまとめながらだ。)
――そうですね、子牛さんはやわらかいですから……
私が食べたいくらいです。ですので彼らと私とで取り合いになること必須でしょう。
拓兎お兄ちゃんが作ったとなれば味を占めている私はかなりムキになると思われます。
(そんなことを口にすると冗談とはいえ本当におなかがすいてくる。我ながら食い意地が張ったものだとため息が出た。)
(まぁ、向こうと違って紅裂拓兎に食いつかないだけマシだろう――きっと。多分。)
……それより気付きましたか?
共食いを始めている彼ら………大きくなってます。もちろん奏鬼眼でも確認しました。
確実に生命力が増えてます。
(健康状態が見れる眼………とでも言えばいいのだろうか。それがある変化を捕らえた。)
(自分が打ち据えた、もしくは紅裂拓兎の攻撃から逃げ延びた小鬼が他の小鬼の屍骸を食らうことにより)
(傷を回復させていたのだ――そしてその小鬼と他の小鬼を比べた結果、目測ではあれど大きさを変えていた。)
狙えますか?
(優先的に屍骸を喰らう敵を、そして――)
(「防御しながら」――その言葉を飲み込む。庇われることを嫌う彼が「NO」というはずがないと思ったからだ。)
(ならば前回のように怪我をさせてから動く……そんな間の抜けたことだけ避ければいい。)
【置きレスにお借りしましたー、失礼します。】
【名前】紫 一久(むらさき かずひさ)
【年齢】16/高2
【性別】男
【身長】172cm
無駄のない体つきに、やや大人びた顔。昼間は笑顔、夜間は無表情が七割を占める。
右腕は義腕。ただし、肌の色と質感をした装甲をつけているので、一見して義腕とは
分からない。
手ばかりは間接が多く誤魔化しにくいので、常に黒い革手袋をつけている。
【能力】
*身体能力
生身でも、訓練を受けた大人と互角以上に渡り合える程度の身体能力。ただし、若干
足が遅い。
*特殊能力関係
・アンビバレンス
右の義腕。手首から右手を射出できる他、五指も別々に射出する事ができる。有線でそれぞれ5mほど。
右手から電流を流せなくなった。また、右上腕部には「デオニュソス」という変圧機関が搭載されている。
首筋の端子(平時は装甲で隠している)にコードを接続して使用すると、脳の活動を活性化させ、反射神経や思考力を大きく上げる。
・ショックボルト(能力)
左手から触れている対象に電流を流しこむ(義手からは不可能)。使用には痛みを伴い、痛みは威力や相手の大きさに比例。
・刺天改
強固な補強を施した日本刀。電流を流すと刃が裏返り、流し続けるとドリルのように回転する、冗談のような刀。
・他にも様々な武器を小器用に操る
【希望】事前に相談あれば、基本的に何でも
【NG】グロ、ホモ、大きな後遺症(切断くらいならおっけー)
【弱点】
義腕の駆動に常時能力を発動する必要があるので、激しい動き(戦闘等)を長く続ける事ができない。
足が遅い。
勝利が見えると油断する(平時)。
【備考】
対異能組織<<十三天梯>>の特職部隊隊員。コードネームは<<ヴァンブレイス(剣守の篭手)>>。
異形や異能の調査および討伐、捕獲、場合によっては勧誘を行う。また、実戦の中で試作武装のテストを行う事も。
孤児だったところを組織に拾われ、ある異能を模倣した電撃能力を、人工的に与えられる。
適当な性格に見えるが、使命感はかなり強い。でも不平不満は結構こぼす。
昼間は人当たりが良いが、あくまでそれは情報収集のための仮面であり、夜の戦いの最中に現れる残忍・傲慢な性格が本性。
自身がかつて苦しい思いをして能力を物にした経験から、能力を制御しきれない異能に対してすこぶる甘い。年下にも甘い。
<<オートクレール(妖精の麗剣)>>と言われる幼い異能とちょくちょく行動を共にしている。
組織上層部で混乱(再編)があり、自由に振舞う事ができずストレスが溜まっているとか。
【久しぶりの一言落ちだ!】
>>46 (カンフー映画のようにヌンチャクを振り回し、小鬼を叩き落とす。)
(遠心力を最大限度に利用し、竜巻のように飲みこんで弾き蹴散らしてゆく。)
(次にヌンチャクを接続させて――そういうギミックの武器らしい――多節棍を)
(作り、更に回転による遠心力で小鬼たちを巻き込んでゆく。)
(彼女の動きは直線的であり、彼女の攻撃は円を基本としている。)
仕方ないな。本当に。
(仕方ない。本当に仕方ない。一方的な都合で呼び出して、対処に困ったから殺す。)
(人間はこの手のミスやポカをする。こんなことばかりだと、本当にそう思う。)
(小型竜巻に弾き飛ばされた小鬼を、呼びかける声と共に迎撃する。)
――停止を、命じる!
(落下地点を予測。その地点に予め珪素の粉を待機させておき、包囲した瞬間に結晶させる。)
(水晶の棺桶の中で小鬼たちは永遠に停止した。それでも数は減った様には見えない。)
……器用だな。
今度俺にも教えてくれない?その武器の使い方。
(小鬼たちを蹴り飛ばし、叩き殺し、軽口を叩き、背後を取られない位置取りを心がける。)
(背後さえ取られなければ、左右と前方から襲いかかられても対処できる。)
(正確には、対処しなければならない。あの長い牙に食い付かれれば、人間の肉などあっさり)
(食いちぎられると理解している。だからこそ、集中力が研ぎ澄まされる。反応速度が最適化される。)
(こんな状況だからこそ、紅裂拓兎は成長する。逆境だからこそ人は成長しなければ生きられない。)
(もっとも、奏の動き方や武器の扱いに感心したのは半ば本音だ。)
――穿て!
(地面から飛びだした水晶の槍が、まとめて吹き飛んでくる小鬼を貫く。穿つ。抉り殺す。)
(腹を、顔を、肛門を、手足を、喉を貫かれ苦悶の呻き声を上げ悶えている。)
(一方的に呼び出しておいて酷い仕打ちだが、人間は自分の為なら何処までも冷酷になれる生き物だった。)
料理する側としては、ちゃんと味のわかる妹に食べてもらいたいもんだ。
コイツらからすれば、人間も牛も等価値らしいからな。
(何せ、共食いをするくらいの強欲さだ。鬼たちに味の違いがわかるとも思えない。)
(そんな些細なことはともかく、奏の警告の意味は理解している。)
ああ、周辺の妖気も増大してるし。
何より、魔力が膨れ上がっている。
(彼女のような特別な眼はなくとも、周囲の環境が変化している事は魔力の変動を通じて察している。)
(屍を喰らい、喰った分だけ成長してゆく。これが続けば最後の方に残った小鬼は大型の鬼に新生する)
(ことだろう。まるで最後に生き残った一匹が一番強い毒を持つという蟲毒の呪法のようだ。)
まとめて潰しちまえば一番早いんだが。
まーあ、いい。とっておきを喰らわしてやる。息を止めてろ。
(かつての魔力があるなら、周辺一帯まとめて水晶の庭に出来たことだろう。手放した力への僅かな未練が)
(浮かんで消える。ニヤリと笑う。力は捨てた。だが、今の自分にはかつてはなかった強さがある。)
(一人で戦っているという自負。肩を並べて戦っている人間がいるという現実。ならば恐れる事は無い。)
(そこにある手札を最大限に活用する。手持ちの札の切り方を工夫して勝敗を決める。)
腐霞・蝕。
(珪素の粉が周辺一帯を薄く広く覆う。月光に照らされた粒子が幻想的な光景を生み出す。)
(しかし、これは猛毒である。珪素の粉は呼吸器官を通じて内臓に侵入して食い潰してゆく。)
(死骸の腿肉を喰らっていた小鬼が血反吐を撒き散らす。腹から水晶の剣が突き出す。)
(死骸の肩肉を食いちぎっていた小鬼が血反吐を撒き散らす。背中から水晶の槍が突き出す。)
(突き出す。貫く。抉る。脳天から。腹から。血反吐を撒き散らす。)
(幻想的な世界から、瞬く間に間に阿鼻叫喚の光景へと変じる。)
【置きレスに借ります】
【名前】前山 馨(さきやま かおる)
【年齢】14歳(中等部三年/8月26日生まれ)
【性別】男
【身長/体重】168cm/58kg
【容姿】
茶色で髪の毛が長い。
サッカー部の副部長で、体つきはいい方。
右の肩胛骨に火傷の跡がある。(能力最大発動時は熱くなる)
微笑むと人懐っこく(犬っぽく?)なる。
【能力】
・火を操ることができる。[常時]
(火の大きさに比例して精神または体力を消耗する。
例えば、マッチやライターの火程度なら増幅するのは容易だが、大火事を抑えようとすると倒れてしまう。
現在、アンジェラ先輩によって一時的にパワーダウン中)
・着火[能力最大発動時]
(自分の両手から火を出すことが可能。
炎は数百度〜数千度の火を出すことができる)
・耐火[能力最大発動時]
(炎の熱から身を守ることができる。自分のみに適用)
・無呼吸[能力最大発動時]
(呼吸をしなくても済むようになる。自分のみに適用)
[※能力最大発動時は長くて30分。その後は一日動けなくなる]
【NG】グロ(要相談)、スカ
【希望】日常、エロール(要相談)、雑談
【備考】
過去に自宅が火災にあい、その際に炎の精霊に見初められ、火傷跡と引き替えに力を得た。
その後、奇跡的に助け出されるも、しばらくは生死の境をさまよう。
そのときはまだ四歳で、当時の記憶はもう曖昧になっている。
なので、何故火傷跡がついているかと、何故泳げないかは、本人は知らない。
日課としてランニングを行っているので、たまに異形と遭遇することも。
【家族】母、義父、義妹(実父、実弟は火事で他界。実父と実弟の面影は既にないため、本人は覚えていない。義妹も、実妹のように接している)
【性格】
人懐っこい性格で、どことなく頼られるところがある。
正義感がやや強く、平和のためなら犠牲になってもいいと思っている。
たまに頑固なところが見られる。
【ロール傾向】
戦闘シーンにおいて確定気味のレスをしてしまうことがある。
(本人は注意していますが、出てしまうことがあります)
また、ほのぼの系が多いかもしれません。
【現在の状況】
・アンジェラ先輩に「修行」と称して異形と戦うことを課せられた。
その代わりに、アンジェラ先輩の力で少々パワーダウン中。(能力の最大発動は可能)
・いろはちゃんと同じクラスに在籍中。
・異能として、その手の人にはだんだん認知されはじめてきた。
【プロフ投下ついでに待機っすー】
【避難所も見ているので、規制中の方もどうぞー】
>>50 【こんばんは〜、まだいらっしゃいますか?】
>>51 【おー、こんばんはー!】
【まだいるよー】
【そろそろ諦めかけたとこだったよ】
【久しぶりのロールになるかな?】
【都ちゃんは何かロールのアイディアあるかな?】
>>52 【ねたはですね、前に避難所でちょろっと書いたのです】
【夜に先輩がわたしと思わしき人物に遭遇して、というので、ちょい18禁描写ありと】
>>53 【ああ、あれね?】
【おっけー、そしたら今回は書き出しをお願いしても大丈夫かな?】
>>54 【はーい、それじゃちょっとお待ちください】
>>55 【うん、よろしくー】
【ゆっくりで大丈夫だよー、待ってるから】
(その夜は満月だったけれど、どんよりとした雲が隠してしまっていた)
(月明かりは頼りなく、街灯の明かりだけが道路を照らしている)
(草木も眠る丑三つ時、静かな街中を彷徨うのは野良猫と異形を狩る異能者くらいで)
ケェェェェェッ!
(ふいに不気味な鳴き声が夜中の静寂を破る)
(鴉か何かの鳥か、鳴き声は彼の頭上を通り過ぎた)
(ほんの少しだけ雲が途切れ、月明かりがそれを照らす)
ケェェェェェッ!
(再び鳴いたそれは、確かに鴉の頭をして、鴉の翼をはばたかせていた)
(けれど、それはとても大きく、人くらいの大きさはありそうで、手足とおぼしきものの影も見えて)
(その異形の影は、彼の先にある建築中のビルへと降りていった)
【ちょっと時間かかっちゃった】
【それでは、よろしくお願いします】
ふあーぁ……なんかかなり遠くまで来ちゃったなぁ……。
(ぽりぽりと頭を掻く馨。
今日は金曜日で、いつもより遅くランニングに出発し、いつもより遠くまで走りに来ていた。
翌日が休みだから、という慢心があったものの、自分が見覚えのない場所まで来てしまったことは流石に反省していた。
先日も、媛名先輩と異形を斃した時に、家族に怒られたばかりなのに。
こんな時間に帰っては、おそらく再び怒られるだろうな、と考えつつ、周囲を見わたす)
……気味悪ぃ。
鴉なんかないちまって……。
あれ実は怖いんだよなー……。
(少しだけ、身震いする馨。
ふと、鴉がないた方角を見ると……鴉とは思えぬものが飛来していくのを見た。
明らかに見たことがない生物)
……こんなところにも異形が居るのか……。
あれは……追いかけたほうがいいだろうな……。
(体は既に温まっていたが、念のため、と準備運動を始めた。
屈伸、そしてアキレス腱をのばし……うっし、と小さく呟く)
さて……行くか……。
(馨は異形を追いかけ、建築中のビルへと向かっていく。
工事中の看板があったとしても遠慮なく飛び越え、追いかける馨。
今日の夜は長くなりそうだな、と思いつつ、闇へと足を踏み入れた)
【こっちもちょっと時間かかっちゃったなー】
【では、よろしくね】
【あと、丑三つ時 = 中学生にとってはかなり遅い時間 だから、勝手に金曜日にしちゃった】
【都合悪ければ直していいからねー】
>>58 (建築中のビルはまだ建て始めたばかりで、壁もなく鉄筋の柱ばかりだった)
(積み上げられた鉄筋の影にいくつか蠢くものがあった)
(――異形である)
(修験者の体に鴉の頭と翼、いわゆる鴉天狗と呼ばれる存在か)
(それらは何かを囲んで、何かをしているようだが、暗くてよく見えない)
(が、少しだけ雲が途切れて、異形らを照らす)
……んっ……んくっ
(押し殺された声にならない悲鳴とおぼしき呻き声が聞こえる)
(それは、もちろん異形のものではないことが、月明かりが示している)
(まだ年若い少女だった)
(小柄な外見からはまだ馨よりも年少に見える)
(少女は白無垢とおぼわしき着物を着ていて、念を入れたことに角隠しまでしていて)
(その少女を三体の異形が囲んでいる――いや、組み伏せている)
(一体は下半身を少女に押しつけ、もう一体は同じく下半身を少女の顔に押しつけている)
(最後の一体はというと、少女の襟に手をかけて引きはがそうとしていて)
(つまり、異形達は少女を犯しているのだった)
んん……んぐっ……
(月はすぐ雲に隠されてしまったが、青白い少女の胸のふくらみは馨にはっきりと見えた)
(少女はもちろんのこと、鴉頭の異形達はまだ馨に気が付いていないようだ)
>>59 (声を頼りに天辺をめざす馨。
建設中のビルではあったものの、階段が途中までしかなかったり、床が未完成の箇所があった。
そこは回り道をしつつ、持ち前の運動神経を遺憾なく発揮し、道なき道を進む。
やっとこさ辿り着いたときには、ウィンドブレーカーに数箇所穴を開け、息も多少乱れてはいた。
月明かりにより、異形の影と、少女の影を見ると、一度、眉を顰めた)
……なにしてんだ……?
(鴉頭の異形が、少女を組み伏しているのがわかる。
そして、布の破れるような音。
これは……ただ事じゃない。
そう察知した瞬間、馨はウィンドブレーカーのポケットからライターを取り出し、一直線に異形たちへ駆け出していた)
お前ら……なにしてんだ!
(少女が伏せているなら好都合。
ライターの火力を上げ、しゅぼ、と火をつけると……床から平行に炎を振りまく。
床から高すぎても威嚇にならないし、低すぎると少女を傷つける。
そう判断した馨は、床から1メートルくらいの高さに調節して力を込めた)
>>60 (少女を犯すことに夢中になっていた異形達は襲いかかってきた炎への対応が遅れた)
(特に少女を直接犯していた異形二体は、それ故に避けることも叶わずもろに食らってしまう)
ギャアアアアアッ!
(上半身が火だるまになり、床を転げ回る異形たち)
(からくも炎から逃れた残りの一体は宙へ逃げると、懐から巻物みたいなものを取り出して振り上げる)
(すると巻物はずずずっと長く伸びて錫杖となり、異形はそれを馨の頭上へと振り下ろす)
ケェェェェェッ!
>>61 うっし……!
(二体の異形が火達磨になったのを確認すると、思わずガッツポーズをする馨。
最近は力が安定していなかったので、うまく倒せるか、一抹の不安はあった。
しかし、こうしてみるとまだ自分の感覚が鈍っていないことを知り、一先ずの安堵感が胸に広がった)
おっしゃ、次……!
(サッカーをやっているのだから、これくらいのスピードは目と、体が慣れている。
前後に転がったら、敵は杖を振りおろす場所を調節して当ててくるだろう。
となると、左右に避けたほうがよさそうだ。
そう考えた次の瞬間、体は右足に体重を乗せ、右へと転がろうとしていた)
>>62 (ガキンッ!)
(錫杖が床を叩く音がビルの中に響き、火花が散った)
(音も火花も派手だったものの、それだけでギリギリ馨に掠りかけただけで手傷を負わすことはできず)
(だが、鴉天狗は打ち付けた錫杖を軸にくるっと体を回転させ)
(足袋を引き裂いて飛び出したかぎ爪を馨の顔へと向ける)
ケェェェェェッ!
(風圧が馨の顔にあたる)
(当たればただではすまないだろう)
>>63 避け、何っ!?
(避けたと思った次の瞬間、自分に向けられた鉤爪。
床を転がっていたからこそ、少し反応が遅れてしまう。
どれが最善の避け方か、と考える前に、体が反応していた。
床に着いた手が反発し、上半身をおす。
少しの怪我ぐらいなら、と思っていたが……どうか)
くっそっ……。
(右手に握っていたライターに力をこめる。
早く、こいつを倒さないと。
異形の攻撃を避けつつ、次の一撃を繰りだす瞬間を馨は狙っていた)
>>64 (かぎ爪は馨の髪を擦り、ぱらぱらっと幾本かの毛が宙を舞った)
(鴉天狗はそのまま宙を飛んで垂直に立った鉄筋を掴む)
ケェェェェェッ!
(馨に対して九十度垂直に位置した異形は、鉄筋を足場にして再び宙に飛び上がり)
(今度は錫杖を両手でくるくると回しながら馨に襲いかかる)
(今ならばまた炎を打ち付けるだけの一瞬がある)
(しかし、もしも回転する錫杖が炎を打ち消したら――命を保証してくれる存在はこの場にはいない)
>>65 ぶ、ねーっ……!
(髪の毛が舞ったことは、風と、視界からわかった。
しかし、それに気を取られている暇はない。
異形の動きを目だけで追い、次にどうやって攻撃を繰りだすか。
それだけを、虎視眈々と狙っていた)
今だ、っ……!
(異形が真正面からぶつかってきた今しか、チャンスはない。
それをモノにできなかったら、自分はそれまでの男だった。
覚悟を決め、右手に力を込め、ライターを着火する)
いっけええええええっ!
(闇夜に、馨の声が響き渡った)
>>66 ギャアアアアアッ!
(炎に包まれた異形が馨の横を通り抜け、反対側の鉄筋にぶち当たる)
(手から離れた錫杖は回転しながら宙をくるくると飛んで)
(ガキッと鈍い音を立てて馨の足下に突き立った)
…………
(最初に炎に包まれた異形は全身に炎が回り、既に動きを止めていてピクリともしない)
(月明かりの代わりに異形を燃やす炎がビルの中を照らす)
(床に横たわった少女は、あらわにされた胸を上下に動かし、ぼんやりと宙を見つめている)
(見つめていると言うよりも、単に放心して目を開けているだけだろうか)
(よく見ると、少女の顔を白い液体が汚していて、その液体は押し開かれた下半身にもかかっていて)
(どうやらそれが炎をまともにくらった原因らしい)
(また雲が途切れて少女の顔を照らす)
(月明かりに照らされた、異形の精液に汚された少女、それは馨の知っている顔だった)
(それは、同じ学園の一学年下、料理部所属、サッカー部の試合に応援へきたこともある少女――天羽都の顔)
>>67 ふいー……助かった……。
(自分の足元に突き刺さった杖を見て、額を拭う馨。
今回は一か八かの勝負に出たところが大きかったので、思わず脱力してしまう)
……っ、もう居ねぇ、な……。
(周囲を警戒しつつ、少女に近づく馨。
不意打ちでもされたときのことを考え、慎重に近づいていた)
おい、だ、……!
(しゃがみ込み、押さえつけられていた少女の姿を見て絶句する。
明らかに輪姦され、穢されたとわかる姿。
あまりにも現実とはかけ離れた世界に、自分だけ吹き飛ばされたような気持ちになり、思わず一歩、後ずさりしてしまう。
それとともに、顔を背ける馨。
彼には、まだその現実を直視することはできなかった)
(それでも、嫌悪感を引きずりつつ、少女に近づく馨。
せめて、無事かどうかだけ確認しないと。
そう思い、閉じていた目を開け、その人物の顔を確かめた)
……だい……都ちゃん!?
(信じられなかった。
こんな夜遅く、しかも一人では歩けない少女がここに居るなんて。
思わず目を見開き、その体にそっと手を伸ばし……驚愕の表情のまま、固まってしまう)
>>68 (白無垢を着た少女は、やはり近くで見ても天羽都にしか見えない)
(もしも馨が同じ女子寮に住む女生徒であれば見分ける方法はあったが)
(馨は寮生でもなければ女子生徒でもない)
(例えば紅裂拓兎であれば気が付いたかもしれないが、馨には紅裂と同じ判断する情報はなかった)
……ん、んんっ
(放心していた少女の瞳に意識の色が戻ってくる)
(ゆっくりと周囲を見回していた瞳が馨の顔を捉え、驚愕した馨の顔が映った)
…………っ
(何か言おうとしたのか、少女の口が開いて、また閉じる)
(その代わり、少女の手が馨の方に差し出される)
(襟元がずれ、体格に比べて以外と大きさのあるふくらみと、その先にある突起が白無垢からこぼれ落ちる)
>>69 おい……都ちゃん、どうしたんだよ!?
一体何があったんだ……!?
(あまりの出来事に気が動転してしまっている馨。
先ほどまで倒れていた少女の体を無理に起こしたりせず、揺さぶることもしなかった。
こういうときは、どうすべきか。
夜の闇に紛れた経験がまだ浅い馨にとって、パニック状態へ陥るには十分すぎるほどの材料がそろっていた)
気がついたか、何、どうしたんだ?
何が言いたいんだ?
(都ちゃんが何かを言おうとしたと感づいて、顔を近づける馨。
そして、差し出された手を握ろうと、自分も手を差し出した)
>>70 あ……ぁぁ……
(少女は馨の手を握りしめ、潤んだ瞳で見上げる)
(弱々しくだが、少女は握りしめる手に力を込めていた)
わ、わたし……
(かろうじて声が出るものの言葉が続かない)
(まだ声がちゃんと出ないのだろう、顔を馨へと近づけようとして)
(顔を汚す白い液体がたれて片目をふさぐ)
……んん……ぁっ……
(小さな肩が震えて、握りしめた手から力が抜けていく)
>>71 おっ、おい、都ちゃん!?
(思わず、握っていた手に力が篭る。
都ちゃんの意識を切らさぬよう。
生きていることを実感できるように、強い力で手を握り締める)
都ちゃん、大丈夫だよ、もう助かったんだから……。
(都ちゃんの言葉を聴いて、声をかけ続ける馨。
しかし、握っている手から力が抜けるのを感じ……血の気が引いていくのを感じた)
……都ちゃん?
おい、しっかりしろよ、都ちゃん……。
おい……おい……!?
(先ほどまでの気遣いを忘れ、必死に抱きしめている少女の意識を取り戻させようとする馨。
その目には涙が浮かび、必死の形相になっていた)
>>72 ……ゃ……や、いゃぁ……っ
(馨の呼びかけが功を奏したのか、少女の手に力が戻り)
(ぎゅっと馨の胸に顔をうずめるように抱きついてくる)
ぅぅ……ゃぁぁ……ぁぁ……
(言葉にならない呻き声が少女が顔をうずめる馨の胸元から聞こえてくる)
(それだけでなく、少女からいつくかの香りや臭いが漂ってくる)
(甘い果実のような少女の体臭に、髪からただよう爽やかなシャンプーの香り)
(それを打ち消すような、馨の年頃の少年には馴染みのある獣臭じみた白い液体の臭い)
(さらに微かではあるが血の臭いも混じっていて)
(裾がはだけた下半身には白い体液だけではなく赤い体液も付着していた)
ゃぁぁ……いやぁぁ……ぁぁ……
(こんな状況なのに、それらが年頃の少年の体を刺激する)
(刺激するのは香りや臭いだけじゃなく、抱きついたせいで押しつけられた胸の柔らかさも後押しする)
(何もかもが混乱する少年を惑わす――理性を少しずつ削り取るように)
【もう少しできると思ってたんだけど……今夜はここで凍結でいいでしょうか?】
【明日は時間がなく置きレスができるかできないかですが、金曜土曜の夜は大丈夫です】
>>73 【おっけい、じゃあ今日はここで凍結にしようか】
【幸い、こっちも金曜と土曜は用事がないから、金曜夜以降なら大丈夫だよ】
【置きレスでもいいけど……時間が合うようなら即レスでいきたいしね】
>>74 【金曜日は9時ごろに来られるはずです】
【とりあえず避難所で待ち合わせしましょう】
【では、お先におやすみなさい】
【ps.もしも万が一理性が耐えられないようなら(←)先に言ってください、心の準備があるので】
>>75 【りょーかい、じゃあ金曜日の21時に避難所待ち合わせで】
【まーだ理性は大丈夫かなー (←)】
【何かアクションがあるとしたら金曜だと思うな】
【それじゃ、おやすみなさい】
【名前】霧原 朱音(きりはら あかね)
【年齢】享年17
【性別】女
【身長】178cm ※生前
【3サイズ】89/58/81 ※同上
【容貌】切れ目に長い黒髪、夏に冬服、冬に夏服。あえて季節はずれな服を着込んだどこにでもいる浮遊霊
もちろん、足はない。 ※同上
現在は伊織津綺子に憑依しているため、身体情報はそれに準じる。
【能力】伊織津綺子に憑依することによって得た、電撃を操る能力
能力の発動までにチャージ時間が必要となる、直接触れている場所からしか電撃を放つことが出来ない
といった制約が課せられており、能力だけでは伊織津綺子のそれに劣る。
【希望】面白いことならなんでも、戦ってもいいし話をしてみてもいい
【NG】つまらないこと。後、津綺子の体を使ってるだけに、本番はNGってなとこで
【弱点】生前もっていたシードの力は全て失っている。
幽体であったときにもっていた触れた対象の生命を吸収する能力は封印しており
本人ですら使えるのかどうか明らかではない様子である。
また、大切な妹である伊織津綺子の体を傷つけることを酷く恐れている。
色々と揺れ動く恋心とかいう奴で、現在精神的に非常に不安定な状態にある。
【備考】
かつて、この街を混沌の最中に叩き落した張本人。
さんざんっぱら暴れた挙句に壮絶な最後を遂げたが、何の因果か地獄から舞い戻ってきたらしい
舞い戻ってくることができたのには、何か理由があるはずだと考え
生前同様街徘徊していたが、とあることから伊織津綺子に憑依することとなった。
今は彼女の魂の奥底に潜んで力の回復を図ったり、時々人格を乗っ取って表に出てきたりしている。
現在では彼女を付けねらう敵が現れており、その敵にシードの存在を感じ取る。
この状況を打破するため、まずはなんとかして伊織津綺子の中から出るための方法を画策している。
【とりあえず、いろいろとテンプレ改変だけして投下、と】
【今日は投下だけして落ち、またそのうちにね】
>48
(何度目だろうか、紅裂拓兎操る珪素の結晶化による攻撃を目の当たりにするのは――)
(半透明のそれは月に映え、何処か幻想的な雰囲気をかもし出す。)
(異なる形をとるモノへの手向けの華としては充分すぎるほど美麗な異なる能力。)
えっと……村時雨(コレ)の使い方ですか?
別に構いませんけど……拓兎お兄ちゃんはこういうのに頼る必要もないと思うのですが。
(時折見惚れてしまうほど美しい力を持った青年の言葉に小首をかしげながら答え)
(そうしている間にも迫りくる鬼達を纏めあげる――トンファーから四節棍を取り外し、トンファー部分を背中につっこむ。)
(背面に隠し持った剣と接続しつつ、だ。)
(そして三節棍を肘と腰をうまく使い回転させ、両手を空ける――空けたと同時に四節の棍を分解して、元のヌンチャク二つに)
(両手、腰、手首、肘、無論脚も使い三節棍の両端にヌンチャクを取り付け計七節の棍棒を作り出す。)
(六つの節と七つの棍をもつ棍棒というよりは鋼鉄の太い鞭と呼んでも差し支えないしなやかさをもったそれが)
(周囲の小鬼達を吹き飛ばし、粉砕する――)
(あらかた小鬼を打ち据えた後、伸びきった鎖を引き、棍としての形態をとらせ一息。)
(肩に担ぐようにすると場の雰囲気にそぐわない笑みを浮かべる。)
(――おそらく、紅裂拓兎がいるということで色々緩んでるんだろう。主にねじが。だから気付かない。)
(スーパーも肉屋もこの時間じゃやってないことに。)
それでは決まりですね。
明日のランチタイムはお兄ちゃんと一緒です〜
(――「とっておき」の言葉が紡がれると同時に周囲の雰囲気が変化する………珪素が煌くヴェールのように)
(周囲に漂い始める。)
(無論その変化に気付いたのは仕掛けた紅裂拓兎自身や永久だけではない。小鬼達も数匹その変化を感じ取っている。)
(自身の身の危険を感じれば誰だってその場から離れようとするもの――自分が狙うべきはそういった小鬼。)
(背後からトンファー、そしてそれに繋がった剣を取り出し、棍に接続した。)
ふっ!
(月光に照らされた粒子が舞う中、呼吸を制限して場に踊りだす。)
(狙うは水晶に侵されもがく敵ではなく逃げのびて尚死肉を喰らおうとする小鬼達。それに向けて棍部分を再び引き伸ばす)
(――生き延びた小鬼達を捕らえる鋼鉄の牙。)
(大鎌の刃が小鬼達を捕らえ、引っこ抜くようにして水晶の領域へと引き戻す――これが鎌本来の機能「引っ掛ける」)
(それを使い、殲滅速度を加速させて――)
(――――しばらくして肉が潰れる音も異形の断末魔も止み、夜闇の静寂が取り戻されつつあるなか)
(祠の前に置かれた鏡に変化が生じる。光を当てられ、小鬼を生み出していたそれの表面が波立つように乱れていき――)
「――やれやれ、随分と無茶をする。」
(幼い少女の声とともに浮かび上がる虚像……声音のとおり幼い顔立ちに、短めで少し癖のある髪。)
(幼い肢体を和装で着飾る像が置き鏡の前辺りに浮かび上がる)
「まさか妾を呼ぶより先に木偶が呼ばれるとはおもわなんだ――まぁ、無事に修行を終わらせたあたりそれなりの腕前だったようだがな?」
(容姿に似合わぬ傲慢不遜な態度で二人を見下ろす虚像………)
(正直言ってることの半分も理解できない永久は思わず硬直した。)
【置きレスにお借りします。】
【名前】鳴海 絢(なるみ あや)
【年齢】18歳
【性別】女
【身長】152cm
【3サイズ】80/56/78
【容貌】少し幼く、大人しそうな顔立ち。
焦げ茶色で肩に届く長さの髪。前髪はヘアピンで止めている。
腕に擦過傷があり、いつも袖の長い服を着ている。
【能力】半異形化(腕のみ)
腕の長さが伸び、爪も鋭い魔物のものに変形する。
皮膚も鱗状に堅くなるため、防御力も上がる。
力が暴走しない限りは、変身は自由自在。
【武器】両腕(攻撃パターンは爪での引っ掻き、殴る、衝撃波等)
【希望】日常ロール/エロール(事前に軽く相談)/戦闘ロール(軽め)
【NG】スカ・大怪我〜死亡
【弱点】腕の動きを封じられる攻撃。腕以外へのダメージ
【備考】異形と人間の混血の一族。
異形としての能力を使いながら、代々人里に害を及ぼす異形を狩り続けてきた。
異形の存在を察知すると、同胞としての血が騒ぐらしい。
視力の良さが自慢で、両目共に2.0。成績は並。苦手科目は英語。
放送部所属。祖母と二人暮らしで、自転車で通学している。
>>1 【スレ立て乙ですー】
【規制が解けたようなので、プロフを投下させていただきます】
【そしてついでに……待機してみようかな、と】
【まだいるかな?】
【いたら軽くロール希望したいんだけど】
【ちょっと席を外す用事ができましたので、早々ではありますが待機を解除します】
【失礼致しますね。ノシ】
>>80 【と、うわわ、すみません……!15〜20分位で戻って来れるのですが、】
【もし良ければお待ち頂くことはできますか……?】
>>81-82 【なんかタイミング悪くて申し訳ないね】
【こっちはいつでもいいし、待ってるよ】
>>83 【ずさーっ!と……、只今帰還しました。お待たせして申し訳ありません】
【そして間が悪かったのは寧ろ私の方です。名無しさんは悪くないのですよ?】
【それでは……、えっと、名無しさんは何か希望のロール案などありますか?】
>>84 【お帰りー。】
【そうだねー…こっちも混血で異形と戦っていて、絢ちゃんから異形の匂いを察知→軽く戦闘みたいな】
【流れを考えてたんだけど、そっちで何か案があればそれも踏まえつつやってみようかな、と】
【何かあるかな?】
>>85 【流れ、了解なのです】
【えっと、共闘ではなく戦闘、ででしょうか?】
【私はどちらでもおっけーなのですが、ただそれによって恐らく絡み方が変わってくると思うので……】
>>86 【説明不足でごめん】
【お互いに存在を知らず狩りをしていたんだけど、ある日こちらが絢ちゃんを発見】
【悪意のある異形と思い込んで戦いを挑むも勘違いであることに気付き…】
【みたいな感じを想定してた】
【エロールの有無はそちらが乗り気ならプラスする方向で】
【これでどうかな?】
>>87 【こちらの解釈が行き届かず申し訳ありませんです】
【改めまして流れの方、把握致しました。ご丁寧にありがとうございます】
【エロールは……今のところこちらとしては、その場の雰囲気で行けたら、という感じですねぇ】
【書き出しはどちらから、始めましょうか?】
【もし特に拘りが無いようでしたら、私の方から書き始めますが……】
>>88 【よし、これで大丈夫そうだね】
【じゃー申し訳ないけど、書き出しはそちらでお願いします】
【どんな切り出しでもばっちこい!】
>>89 (人気の無い路地裏で、事は既に終わろうとしていた)
(そこに居たのは、少女の姿をした異形と、巨体を持つ不気味な異形)
……ここは、お前のような存在が生きていて良い場所ではないのです。
――――――消えなさい。
「……ゥ ……ガ――、ガ……?ォ、ッガアァァァッ!!」
(一歩、トンと地面を蹴ると、少女の腕は巨体の心の臓を突き刺した)
(全長3メートルはあろうかという程の異形は、不気味な鳴き声とともにその場に倒れ、灰化していく)
――――――…………はぅ。
つ、疲れたぁ……。ん、ちょっと休憩です……。
(トドメをさしたのを確認すると、余程体力を消耗したのか、
大きなため息とともにその場にへたり込んでしまう)
(元々人通りも少ない場所なのだ、少しくらい体を休めていても見つかりはしないだろう)
(人間のそれとは明らかに違う腕を、異形の血液も拭わずに露出したまま、
空に浮かぶ大きな月をぼーっと眺めていた)
【最初からクライマ(ry】
【それでは、こんな感じでよろしくお願い致しますー】
>>90 (時同じくして路地に近づく男の姿が一つ)
(日常ではありえないような濃い血の匂いに誘われ、足取りは早まる)
……今夜異形どもがうろついてるようだな。
しかし、何かがおかしい。
(元々異形の気配は感じていたが、ある時点からそれが消えてしまった)
(それも濃厚な血液臭とともに。何かが戦い、片方が死んだ)
(空気から伝わる情報から起きている出来事を読み取っていく)
(そして……男は程なくして匂いの発生源へと到達した)
…お前、そこで何をしている?
(夜目が効くため、全ては見えていた)
(しかし想像と異なる風景に、思わず目の前の少女に対して言葉が漏れた)
(男の握った手の中では既に鋭い爪が伸び、静かに臨戦態勢へと移行していく)
【状況はだいたい把握。じゃあ始めよっか】
【即席プロフを投下。このロールのみのキャラということで】
【イメージの補助くらいにしてもらえば】
【名前】庚 悠吾(かのえ ゆうご)
【性別】男
【年齢】見た目20代半ば
【身長】178cm
【容貌】人間時:黒く縮れた髪につりあがった目、筋骨がはっきりとラインに出ており、
どこか野性的な雰囲気を相手に与える。表情を表面に出さないので感情が読みにくい。
正体は人狼のクォーター(人間率1/4)。
異形の血を濃く引く身でありながら、異形に対して反旗を翻す。
異形時:セミロング程度まで髪が伸び、犬歯が狼のように巨大化。
四肢は獣人化(二足歩行)し、ほぼ完全に近いワーウルフと化す。尻尾も生えたりする。
>>91 ………………?
――――――っ……!!
(戦闘の疲れもあってか、新たに近付く者の気配に気付くのが遅れてしまった)
(気配に気付いた時、その存在は既に視界に入る所まで、十分に近付いてきている)
(――――始めから私を狙っている、のか……)
何……って――そう、ですね。運動をしていたら疲れてしまったので
少しばかりここで、休憩、していたのです。
……いけませんか?
(聞かれたことに淡々と答える)
(だがしかし、この汚れた姿を見て誰が素直に納得するだろうか)
(自分の言った言葉に内心苦笑してしまう)
あなたは……どちら様ですか?
お邪魔でしたら、退きますが……。
(目の前の男からは、自分と似たような匂いがする)
(下手に刺激すれば攻撃されかねない。いや、相手はもう臨戦態勢に入っているようにも見える)
(いつでも立ち上がれるように、脚に力を入れながら、相手の出方を見る)
>>92 【わ、わざわざプロフィールまで……!】
【感謝、感謝です。参考にさせていただきますね】
>>93 そうか、運動をして休憩を…ふむ。
まぁ、そういうことならばそれでいい。
俺は仕事でこの辺りを見回っているんだ。夜はおかしな連中が彷徨いているからな。
(しかしとても警察のような風貌ではない)
それよりも、この辺り一帯に血の匂いが立ち込めていてな。
特に……お前の辺りから強く匂っているように感じる。
(一転して言葉に鋭さが増す。一語一語相手を追い詰めるかのような圧迫感)
さらにしいて言えば――お前のその腕から滴るモノが匂っているんじゃないか?
(一歩また一歩と距離を詰め、残り五歩の距離まで間合いが詰まったころには)
(男の左腕は漆黒の獣と化し、鋭い爪が月の光を受けて銀細工のように輝いていた)
…すこし、近くでよく見せてくれ。
こう暗くちゃ目を凝らさなきゃ見えないからな!
(漆黒の左腕は弧を描き、鳴海の異形の左手を勢い良く掴むと、ぐうっと空へ吊り上げる)
お前、ここで殺ったろう。縄張りか、食料か…理由なんかどうでもいい。
その腕だけで理由は十分だからな。
(見る見るうちに右腕も左腕と同様に異形と化し、ゆっくりと鳴海の顔へと近づけ)
(顎に触れると軽く持ち上げ、男は鳴海の顔を覗き込む)
>>95 お仕事……ですか。
それはそれは夜分にご苦労様、です。
(何の仕事か、なんて知りたくもないとばかりに、わざとらしく微笑む)
(警察には見えないし、異形狩りか、異形そのものか……大方そんなところだろう)
…………鼻、随分と良く利くのですね。
そういえばつい先程、それは大きな化け物がここで命を絶ったようですが……
(飽くまで他人事、自分はただその場で見ていただけのような言い分)
(しかしこの腕と異形の血だけは、どう見繕っても偽れない)
――うぁっ!?
っ……う、ぐぅ………………。
(――――来るっ……!?)
(そう思い構えようとした時既に遅く、男の方がスピードも力も数段上だった)
(腕を掴まれ、体は軽々と宙に浮いてしまう)
(暗闇の中見えた男の左腕は獣の毛に覆われてて、まるで狼のような鋭い視線がこちらを見つめている)
……殺ったなら、何か問題でも、あるのですか?
異界の化け物が、人間界で巫山戯た真似をしないように
身を以て教えて差し上げて、何がいけないのですか?
(今なら右の腕で男を攻撃することも出来た)
(しかし攻撃する理由もないし、下手に手を出して喧嘩を売るのも嫌だ)
(冷めた表情で、男を見つめ返し、変わらず淡々と言葉を吐いた)
>>96 異界の化物とはよくいう。
それはお前のことではないのか?
(視線はあくまで冷酷であり…男の瞳に映るのはこれから刈り取る一匹の異形に過ぎない)
仲間同士殺し合うとは血の気の多いことだ。もっとも、異形とはそういうものだが。
(もはや弁解の通じるような流れではななかった)
(表情こそ変わらなかったが、獣のごとき眼には敵意、怒り…様々な激情が宿っていた)
さぁ、早くお前の本当の姿を見せろ。
そこで灰になっている異形を殺ったときの姿だ。
(腕の力を抜くと手を放し、鳴海を開放する)
(その刹那、周囲の空気が変わった)
(男はゆっくりと、大きく振りかぶると鋭いモーションで鳴海に真っ直ぐ拳を繰り出す)
────シュッ!!
(次の瞬間、辺りに鈍い音がこだまし、互いの体に衝撃が伝わる)
ぼさぼさしていると、その灰に混じることになるぞ?
(あえて一撃目は防御させ、鳴海の力…正体を見極めようとした)
(そして男は次の攻撃に備えると、拳を開く)
(その爪は凶々しく輝き、防御できるような攻撃ではないことを示していた)
>>97 あのような輩と同類にされては困ります。
そのような事を言い出したら、あなたのその腕だって、似たようなものではありませんか。
(明らかに不機嫌そうな顔をして)
あぁ……休憩なんてしないで、早く帰っていれば良かったのに――きゃっ……!
っとと……今日はついてない日、のようです、っ……くっ!
(腕を解放されて、よろけそうになりながらも体勢を立て直す)
(刹那襲いかかってきた男の拳を、慌ててその強固な両腕で防御)
(そして両の脚でふんばりながら、男を睨む)
私の腕は、見世物ではありません。
もう……本当の姿とか、血の気が多いとか……
本当にっ、先程から人のことを馬鹿にしてっ……――――
(鋭い爪の生えた拳をぎゅっと握る)
(正直、この売られた喧嘩を買いたくて買いたくて仕方がなかった)
(怒りに任せて感情を爆発させれば、力が暴走してしまうかもしれない)
(それに男も異形とはいえ、自分と同じ混血だ。攻撃したら、自分も向こうの異形と同類なのだ)
(そう思って出した結論は、自らに攻撃させる意思を与えずに終わった)
(ただその場に立つだけで、男の爪の一撃など容易に喰らってしまうだろう)
【そういえば……お時間大丈夫ですか?】
>>98 お前、妙に人間臭い異形だな……。
(通常なら既に交戦している段階である)
(少女の不自然な挙動に僅かに動揺を覚えだが、当然表面に出すことはない)
見て通り俺も異形だ。
だから……身内の不始末は身内で処理するんだ。
(表情に暗い影が宿る。しかしそれを悟られまいと矢継ぎ早に言葉を繰り出す)
……俺は異形を野放しにはしない。
例外なく滅ぼしてきたし、これからもそうするだけ―――。
(男は言葉を淡々とつぶやく)
(まるで異形を前にするたびに口にしてきたような……冷たく、自然な響きだった)
俺を退けなければお前が灰になるだけだぞ……?
(男の四肢はもはや完全に獣と化し、体躯は先刻とは見違えるほどに隆起していた)
それでいいなら、そのまま動かずにいろ。せめて苦しまぬよう始末してやる。
(地面を踏み抜くかの如く蹴り、その体からは想像もつかない速度で背後へと回りこむ)
(刃のように爪がきらめき、一閃二閃と彼女の背へ袈裟が描かれた)
【こっちはまだ大丈夫だけど、そっちはどう?】
【とりあえず戦闘ロールは次のレスくらいで終わりにするけど】
【そのあとの展開はどうしようか?】
>>99 【む……申し訳ありませんが頭の働きが鈍って参りましたので凍結をお願いしても良いでしょうか?】
【今後の展開としては……エロールは難しそうな流れのような気もしますが
持って行けそうであれば軽くやってみても、こちらは構わないのですよー】
【怪我の治りは早いほうですから、多少の怪我は目を瞑れますし】
【難しそうであれば、こちらの敗北ロールでもおっけー、です】
>>100 【OK、ひとまず今日はここまでにしておこうか】
【エロールが難しそうだとー?無理やり超展開にするまでだ!!……と、それは冗談としてもただ戦って終わりじゃ味気ないしね】
【何かやりたいとこだなー】
【次回の日時だけど、こっちは24日と25日の夜が空いてる】
【そっちはどう?】
>>101 【ナ、ナンダッt(ry あぁいえ仰りたいことは重々分かっております。はいっ、です】
【では解凍日までに考えてきましょう、そうしましょう】
【私は25日の夜9時から空いています。時間の方、問題ありませんか?】
>>102 【まるで俺が変態とでも理解したような口ぶりを……!】
【うん、その時間でこっちも大丈夫だよ。25日にまたよろしくね】
【今日はありがとう。おやすみー】
>>103 【ふふふ……。言えば言う程怪しくなるのですよ?】
【こちらこそありがとうございました。また25日、よろしくお願い致しますねー】
【それでは私も失礼致します。ノシ】
【名前】須佐乃 水琴(すさの みこと)
【年齢】17歳
【性別】女
【身長】172cm
【3サイズ】87-64-88
【容貌】肩までの黒髪/黒瞳、左瞼を縦に過ぎる薄い刀傷がある。
背筋がピンと伸びたしなやかな体躯。
学校ではツーポイントの眼鏡を着用。
【能力】経絡を巡る「気」を操り、武を以て妖を払う退魔師。
「斑雪」と銘を打たれた長刀を得物とする。
消耗が激しい能力だが応用が利き、「封魔刃」という奥義も秘める。
【希望】雑談 エロール 戦闘
【NG】度が過ぎる確定 エロールに関する特殊プレイは事前に相談を
【弱点】自然現象系の能力 銃器
【備考】若き天才剣士。警察組織に雇われている殺し屋。
昨今の異形増加と、本人の天賦を見初められ、一族としては数代ぶりに役目を授かった。
本人を含む一族は「巻き込まれた」意識が強く、正義ではなく「自分の平和」のために戦う。
出席態度の悪い不良生徒。いちおう保健委員。
極めてマイペースで打算的。本性は寂しがり屋。
敵に対しては冷酷非情で、正統派な能力を持ちながら卑怯を卑怯と思わない。
【投下落ちぃ】
【都ちゃんへの置きレスで使用しますねー】
>>73 大丈夫……大丈夫だからさ。
(都ちゃんに頭を擦りつけられると、どうしていいかわからず、思わず後頭部へ手を回し、ぎゅっと抱き寄せた。
年端もいかない少女が目の前で犯されていたという事実。
それだけでも相当なショックを自分でも受けているのに、目の前の少女はどうだろう。
きっと、その気持ちは測り知ることはできないだろう。
ならば、今胸を貸してあげることで少しでも軽くできたなら。
その一心で、馨は身を委ねた)
ん……っ、んん……。
(甘い香りが鼻腔を擽ると、理性の奥に隠されていた本能がそれを察知した。
血の匂い、あるいは獣の欲望の臭いだけならばまだ抑えられたかもしれない。
だが、今抱えられている小さな体ははっきりと、女であることを感触で伝えてくる上、それを引き剥がすには余りにむごすぎた。
ふつふつと沸き上がる欲望を理性で抑えつつ、今は目の前の少女を癒すことに努めようと心に決めた馨だった)
【お借りしましたー】
【お返ししますね】
>>78 (村時雨―その武器の名前らしい。ヌンチャクでありトンファーであり多節棍でもあるらしい。)
(それは鉄の鞭。遠心力でしなって小鬼を弾き飛ばし粉砕する。着目すべきはそのギミックを)
(使いこなす器用さ。手に馴染ませ、手足の延長として、やがて己の分身として一体化する。)
(以前まで武器を使用しないタイプの戦士であった紅裂拓兎では、到底及ばない領域の技量。)
(更に刃を接続して大鎌としても使用する。切り裂くのではなく引っかけて纏める。)
……へえ。
(息を止めて、猛毒地帯に飛びこんで鎌を振るう奏永久に、少し感心の声を漏らす。)
(一度は逃げたかに思えた小鬼を、文字通り死神の鎌を振るい引っかけて、一見美麗にすら思える猛毒の)
(粉「腐霞」の攻撃範囲へと、引き戻す――瞬く間に小鬼たちは、喉を掻き毟って身体の内側から刺し穿たれる)
(末路を辿った。生き残ったものは皆無。健常な精神を持った人間なら吐き気を催す凄惨な死体、屍、躯の山。)
(残ったのはそれだけ。二人の人間が自分の都合で作りだした凄惨な空間。水晶の煌めきがその無残さと無情さ)
(を際立たせ、それを作りだした者たちの精神の在り方を疑わせるだろう。マトモではない、と。)
(ピクリと反応し、出入り口となった鏡に視線を移す。そこから浮きだしてきた虚像がひとつ。)
(幼い声でありながら、不遜さを含む声。和服。当然、只者であるはずもない。)
(小鬼たちと違い言葉は交わせそうだったが、心が通じるかまではわからない。)
ああ、悪いな。一身上の都合でそちらの……身内だか何だかを屠ったわけだが……
見逃してくれ、と言っても通じないだろうが、ここは堪えてくれるとありがたい。
この現場を見た上で説得力がないのは百も承知だが、俺たちとて無用な殺生は避けたい。
(それでも、言葉を交わす為の努力はする。損得勘定から外れた戦いをいつまでも続けられるほど)
(のモチベーションはない。そんな自分に気づいて内心で苦笑する。かつて、損得勘定で戦ったことなど)
(なかった。ただ魔王の命令の為に戦い、破滅への欲求の赴くままに暴力を振るっていただけだ。)
(何が違うのかと考えたが――これは誰かの為の戦いだからだと気付いた。)
(これは紅裂拓兎の戦いではなく、奏永久の戦いである。この物語において紅裂拓兎は脇役に過ぎず)
(主役は奏永久なのだ。だから、無用な戦いを避けるという選択肢が自然と浮かんだのだろう。)
(これが紅裂拓兎の為の戦いならば、どちらかが死ぬまで戦い続けたことだろう。)
【置きレスに借りた】
【ロールの解凍に借ります、と】
>107
(虚像はただ黙って話を聞き、時々つまらなそうに髪をかきあげた。)
(虚ろな像でしか過ぎない彼女はたった今屠られた彼らに目をやり、心底呆れはてたといわんがばかりにため息をついて見せた。)
「本当に何も知らなかったのだな。どっちの発案だ?女か?それともお前か?」
「――ああ気にしなくてもいい。ここはそういう場所で彼奴等はそういう存在だからな。そのように妾が作った。」
(明らかに迷いや戸惑いを見せる、何かしらの罪悪感をあらわにする二人に対して冷ややかに視線を送り――)
コ コ
「 祠 はもともと修行場のようなものでな。今しがた貴様らがやったのは修練の儀。いわばこの場がこの場足りうるための儀式だ。」
「もっともその前に妾を呼び出す、召還の儀を行い安全を確保する必要があるのだがな」
「本来は妾の監督の下行うべきものなのだよ、貴様らが今やったことは。」
(虚像の少女曰く。此処は古来より「自分」が低級の鬼を作り出し修行者の相手をする場所だという。)
(それにより実戦さながらの修行ができるという………無論、実戦さながらであるため命を落とす危険性も孕むらしい。)
(それを押さえるために本来自分を呼び出してから鬼の召還を行うのだとか。)
「まったく、此処も使われなくなって久しいものだし、そのあたりの手順ももう伝わっておらんのかもしれんな。」
「それでも「奏家」の人間は此処の存在をしっているようだが――――」
(呆れ果てる虚像の少女が聞き捨てならないことを言った――「奏家の人間と」)
(間髪いれずにそれに永久は食いつく。)
「奏家」………って私以外に「奏」の人がきたんですか?!
(少女に掴みかかろうとしたその手が空をきる――虚像の少女は虚像であり実態を持っていなかったからだ。)
「なんだ――――――」
(再び話が食い違う彼女達の話に虚像の少女は眉をひそめる。そうしてから淡々と語り始める。)
(この場に「奏の鬼」が来たことを。その鬼が正規の方法で自分を呼び出し、ここで訓練をしていったことを)
(そしてその鬼の鬼眼は≪銀色≫で紅裂拓兎に似ていたことを――)
それって…………
(体が震える。そして――感情が昂ぶっていく。)
(どう考えても此処に兄が来て永久たちと同じことをしていったというからだ………何度も何度も虚像の少女と)
(紅裂拓兎へ視線を往復させる。)
【同じくお借りします。】
【お待たせしました、今回もよろしくお願いしますっ。】
>>109 ――大体わかった。
(長い話を聞き終えて、彼はいつも通りそう言った。)
(この少女の話を纏めると、要点は四つになる。)
(第一に、ここは「奏家」の修行場であること。)
(第二に、この少女は修行のその監督の役目を担っていること。)
(第三に、正しい修行場の使い方がされなくなって久しいということ。)
(第四に、最近ここが「奏家」の鬼に使われたということ。)
(補足。その鬼は銀色の眼をしていて紅裂拓兎に似ていたとの証言。)
つまり、奏従矢が此処に来た――間違いないようだ。
(混乱、動揺、不安、焦燥、そして期待と希望。感情を昂ぶらせる奏永久の肩に手を置く。)
(本当は、この手の接触は苦手で苦手で仕方ないのだが、今は彼女の気持ちを宥めるのが)
(先決である。蜘蛛の糸のように細い可能性を手繰り寄せて、彼女は此処まで来た。)
(だからこそ、慌てるな、落ちつけと言い聞かせる。ここからが正念場なのだから。)
――監督役殿。
その鬼は恐らく奏従矢という名前の男だと思うんだが、間違いないだろうか。
もしそうなら、彼が何のために来て、そして此処から何処へ行ったのか。
心当たりがあるなら教えてくれないか?
(夜の静謐さを壊さない、静かな声を出す。自分でも頭が醒めているのがわかる。)
(こんな時に必要なのは壁を突き破る情熱ではなく、状況を俯瞰する冷静さ。)
【ああ、こちらこそよろしく。】
(その声にピクリと肩がはねる)
(――『従矢が此処に来た――間違いない』――)
(言葉が喉の奥から矢継ぎ早に出てこようとする。何故?どうして?何をしに?本当に?今日も来るの?)
(そんな纏まらない言葉が口をつく前に自分の肩に大きな手が触れた――)
(代わりに自身よりはるかに落ち着いた声で、自分が知りたい事を聞いてくれる――)
「さて、な………特徴は先ほど言ったとおりだ。だがヤツは奏の鬼でありながら奏を名乗らなかったよ。」
「ジュウシロウ――従志浪と名乗っておったな。従う矢を志に変え…流浪するか――洒落てるじゃないか。」
(皮肉げに口元が歪められ、次に語られるのは自分が目的など聞くようにできていないこと。)
(強いて言うならここに来たからには訓練をしにきたんだろうということ。)
(千里を見渡せるわけではない自分は「お前たちと同じ方向から来た」としかいえないということ。)
(――そして)
「何もしらずに派手にやってくれたものだ。この調子で殺生を頻繁に行っているのか?」
「嘆かわしいことだな」
(この意味のない殺戮に対する皮肉。)
「まったく――――まぁ、いい。次にくるときはきちんと召還の儀を行うのだぞ?」
「ついでに労力を強いられる妾のための献上物ももって来れば尚いい。」
(召還の儀――コレはただ先ほど鬼を呼び出したときと同じく祠の前に鏡を置き簡単な呪文を唱えるだけだった。)
(それを教えると虚像の少女の姿がだんだんと薄れていき、最後に完全に消えていった。)
(再び夜の静寂がそこに戻る――その中で先ほどと変れない自分がいて)
(肩に置かれたその手を、その形を確かめようと、そこに確かにそれがあることを確かめようと手を伸ばして――)
………はっ……ぁ………
(気がつけば頬に熱いものが伝っていた……金色の目から漆黒に変わっていくそこから溢れたそれはとめどなく溢れ)
(頬をぬらしていく――)
――ごめん、なさいっ………けどっ、いき、てた…………ちゃんと……生きてた。
(偽名を使える程度に人として、「奏」の修行場を利用するくらい健康に。)
(そしてやっとその足取りをつかむことができた――今度は本人に対するもので、似ている誰かのものではない。)
(感情を抑えることなどできなかった――)
(昂ぶり続ける感情が溢れるように瞳から零れ続ける。肩におかれた手を思わず握り締めてしまったのは最初だけ)
(今はいつでも振りほどけるように、けれども誰かに傍にいて欲しいという浅ましい感情からすがるような弱弱しさで)
(紅裂拓兎の手を掴もうと――)
確かに、なかなか洒落た名前だ。己の志で放浪する――か。
ふん、なるほど、そういう意味、なのか。
(誰かの責任ではなく、自分の意思で放浪する。)
(その意思とは、言うまでもなく、妹の為――なのだろう。)
(けれど、責任の所在を妹に求めない。そういう事なのだろうか。)
(真意は直接本人に会って聞いてみるしかないだろう)
ああ、人間ってのはどうしようもなく救いようのない生き物なのさ。
人も鬼も、大差はないんだろうさ。
(人は自分の正当性の為に他者を犠牲に出来る生き物だ。)
(笑いながら人を喰らう悪鬼とどれほどの差があるのか。)
(人間の蛮性も獣性も何もかも承知しているから、その程度の皮肉には動じない。)
(紅裂拓兎自身が、そういった生き物だと自分を定義しているからだ。)
悪かったな。
今度御神酒でも置いておく。ありがとう。手間を取らせた。
(銀色の鬼が何のために来たのかはわからない。目的はわからない。)
(手がかりはここで途絶えた。けれど、ちゃんと謝罪と感謝の言葉は述べておく。)
(スウッ……と、やがて少女の姿は音もなく完全に消えていった。)
ああ、生きていたな。
(「よかったな」と続けようとして、口を閉ざす。手がかりは途絶えた。けれど、足取りは掴めた。)
(彼女の兄は、生きていた。偽名を使う程度の理性を残し、自分の意思で放浪している。)
(けれど、ここから先はどうやって探せばいいのだろうか。紅裂拓兎はそれを考える。)
とりあえず、偽名で異形狩りの仕事のひとつも受けてるかもな。
そこから探るか。また金使わないとならないが、何もないよりはマシか。
それにしても、従志浪、か。
(多分泣いているのだろうと察して、敢えて彼女の方は見ず、今後の事を口に出す。)
(肩に置いた手に、縋るように伸ばされた手も、敢えて無視しておく。)
――自分の意思で、放浪する。誰かの責任ではない。
決して、誰かの責任ではない。そういう事かもな。
……けど、放浪ってのは目的が無い。目的地が無い。
そんなものがいつまでも続くはずもない。野垂れ死ぬのが関の山だ。
だからさっさと見つけて、手料理のひとつでも振舞ってやらないとな。
(旅をするのなら、いずれ目的地に辿り着くこともあるだろう。)
(いずれ、探していた何かを見つける事もあるだろう。)
(けれど、人はあてもなくいつまでも彷徨って平気でいられるほど強くない。)
(だから、帰るべき場所があるなら、そこに連れ戻すべきだろう。)
(ユートピアは何処にもない。その言葉通りに。)
(紅裂拓兎が言葉を紡ぐ――感情を昂ぶらせ、涙を流してすらいるくせに)
(彼のそういう変化だけは見逃さない。どういうことなのだろうか………)
はい………そうです、ね……ぁ……わたし、手伝います、てつだい……ますから
わたしが、やらなきゃ………イケナイコトだから
(嗚咽が言葉を紡ぐ邪魔をする――自分できることを見せなければならないのに)
(ただひたすらに目から溢れてくるのものがとまらず、それを止める方法ばかりを考えている――)
(数秒遅れて紅裂拓兎の言葉の意味を考える始末だ。)
誰かの責任じゃないってことは………お兄ちゃんにも責任はないて、ことですっ……ぅ…
だから、もし、責任を感じての放浪なら、私が………止めなきゃ………っく
(何度か鼻を啜る………すでに固まっている自身の意志すらまともに出せないのがもどかしい)
生まれたときから「従う矢」なんて名前をつけられて、それでずっと出来損ないの私のために泥をかぶってきたんです。
だから、だから――――――
(これ以上兄に負担はかけられない。だから続く言葉に一度だけ顔を上げて紅裂拓兎のほうへ顔を向ける。)
(涙でくしゃくしゃになった顔に精一杯の笑みを浮かべて頷く。高らかに、朗らかに――)
――――はいっ、必ず。必ず………!!
(感情を抑えられなかった弱さを受け入れ、またもやさらした無様を恥、省みて――)
(絶対にしなければならないこと、強くならなければ、強くあらねばならない理由を再び胸に刻み)
(肩に置かれた方をそっと振り払う。)
(乱暴に袖で目元を拭った跡で来た方向へ足を伸ばし、紅裂拓兎に向き直る。)
もう大丈夫です………やらなきゃならないこと、しらなければいけないことはまだあるんです。
だから――――いこ、拓兎お兄ちゃん。
私、ホントのお兄ちゃん、見つけるから――――。
(手を伸ばして強い意思をもった目で、それまでは可能な限りでいいから付き合って欲しい)
(そう言葉に告げる代わりに意思を視線に乗せて………)
【そろそろ〆ようかと思います。】
いい返事だ。
(彼女は、強い。自分の弱さを認め、受け入れられる強さを持っている。)
(今は足りないだろう。けれど、それを自覚して進むなら強くなる。)
(自分の弱さを受け入れられなかった赤村拓巳とは違う。)
(弱さ故に紅裂拓兎になるしかなかった自分よりも、強い。)
――ああ。
(泣き腫らしてぐしゃぐしゃの顔になりながらも、それを受け入れて進む。)
(そんな彼女は綺麗だし、強いと思う。だからいずれ、紅裂拓兎も必要なくなる。)
(だから、差し出された手を一度だけ握って、離す。)
(この手はいずれ本当の兄を掴む為に必要な手だ。だから離す。)
(今は、もう少しだけ彼女の物語に付き合うとする。その時が来るまでは。)
じゃあ、さっさと帰るか。
もう眠い。明日も学校だしな。
バイクでよければ送っていくけど、どうする?
(くしゃりと紅い髪を撫で透いて、ニッと小さく笑った。)
(彼女の笑みには敵わないだろうが、少しは上手に笑えたはずだった。)
【じゃあ、これ以上は不要だと思うんで俺の方は〆で】
【お疲れさまだ。またよろしくな】
【降臨っ!で、もって待機だ】
【時間も時間、今日は打ち合わせだけして後は明日、とかになることもあるかもね】
むぅ………また難しいこと考えてる気がする。
(きっと自分が思いもよらないようなことなんだろう。)
(今は自分のことで手一杯だからこういう好意に甘えることしかできない………けれど)
(いつか何処かで、この男の力にもなれればいい――自分が優しくされた分だけ優しくできたら良い)
(もし力になれたらそれで万歳だろう。)
(――――けど彼は未だそれを望んでいない。未だその時ではないのだ。)
いつか拓兎おにいちゃんも泣かせます。今度は私が拓兎おにいちゃんの手を握るのです。
(ポツリと物騒に聞こえることを呟くと)
(今走らない紅裂拓兎の別の一面を知るときが来ることを信じて――――)
では女子寮までお願いしますっ!
(と勢いよくバイクの背後に飛び乗り――――――)
(ノーヘルでバイクの風にさらした髪と泣きはらした顔の酷さに、それを異性に見られた羞恥に死にたくなったのは)
(帰って自室の鏡を覗いてからだった。)
【とりあえずこちらはコレで。】
【長いお付き合いありがとうございました。】
【お疲れ様です。私もコレで失礼します。】
【以下空きです。】
【先走った、ちょっとだけ反省】
【いや、ログ見てない私も私なんだけど】
【ひとまずお二方には謝罪しつつ、待機は続行だ、と】
【壁|ω・)】
【おやぁ……?何か見られている気はするが】
【さてはて、私と遊んでくれるのかな?】
【今晩はあまり遅くまでいられないはずなんだけど、】
【ぼーっとみてるうちに、耐え難いほどの遊びたい欲求が……】
【というわけで、お相手に立候補をと、ね】
【いいとも、それじゃあ今日は軽く打ち合わせくらいにしてさ】
【明日にでも、心行くまで遊んでみようか】
【まずはそちらの手札をうかがってみよう】
【何かやってみたいこと、面白いネタなんかはなかったかな?】
【前に会ったのはあんたの幽体で、あんたはこっちのことをまったく覚えていなかった、と……?】
【で、いまの間はあの優等生のなかに入ってるんだったかなぁ、そしてこっちはそれを知らない】
【ただ会うだけでもネタになりそうっちゃなりそうで…いやね、こう、見せるほどの切り札もなかったりなんだよねぇ】
【もともと、一回撫で斬りにされただけだしねぇ、私は】
【さてそうなってくると、どうしたものかな】
【この子が襲われていれば、それだけで共闘する理由には成るだろうけれど】
【あえてそこに何か面白い要素を加えるとすれば、だ……】
【ある日、私の前に立ちふさがったその敵は、幼い子どもの姿をしていた】
【当然のように、私はそれを倒そうとするけれど、そこに君が通りかかる】
【これ幸い、と彼女は君に助けを求めるだろうね】
【もちろん、君が無力に見える幼子を守るようないい趣味している奴だという前提の上での話、だがね】
【その、あんた敵とやらがあたしにとって敵じゃないのなら、という前提があれば――】
【多対一なら多のほうに回りたいよね、ふつうは?】
【危険そうな能力者といえば、あたしにとっての排除対象でもあるわけだから、それはもうすんなり抜ける】
【賽がみっつで、どういう目が出るかは、まぁやっぱりやってみないとわからない、よねー】
【敵か味方か、なんてのはその状況で変わるものだし】
【そういう変遷を楽しんでみるのも、まま悪くはないものだよ】
【多分、危険なのはお互い様だとは思うけど、さ】
【んじゃとりあえずはそんなところでやってみようか】
【勘違いして戦ってみて、それを嘲笑うもう一つの敵】
【果たして最後に立っているのは、最後に笑うのは誰か】
【乞う、ご期待】
【相変わらずの悪っぷりだねぇ、いやはや、敵わない】
【それじゃあ、話したところで悪いんだけど、開始は明夜からでいいかな?】
【時間は、22時以降だったら来られると思うんだけどー】
【最近微妙にニュートラルになってる気がする私なわけだけどね】
【ん、了解した。明日を楽しみに待たせてもらうからね】
【楽しもう、技を心を尽くしてね。では、また明日】
【ほい、また明日ー。おやすみぃ】
【名前】 媛名 葵(ひめな あおい)
【年齢】 18歳
【性別】 女
【身長】 170cm
【3サイズ】 全体的にすっとした体型だが、胸もちいさめ
【容貌】 腰下まで伸びるストレートな黒髪。漆黒の瞳。肩口に二つ、薄く残った刀傷
見かけはどちらかといえば華奢。黙っていれば淑やかそうにも見ないこともない
【能力】 異能ではないが「霊刀」と「糸」などの様々な暗器を得物を器用に扱う
そのことから、組織での名は≪剣糸(けんし/ソードストリング)≫
特出した能力はないが、常人を大きく上回る運動能力・動体視力・反応速度をもつ
【武器】 暗器各種 + 弐式<にしき> … 深凪に伝わる特殊な霊刀。黒塗りの鞘、小さな鈴付き
【希望】 雑談、戦闘、エロールなど相談内容次第
(※こちらのキャラ設定上の都合で、特に和姦と欠損等は特に相談を)
【NG】 死亡などは原則的にはNG
【弱点】 憑依、暗示、洗脳等の精神干渉を受け入れやすい体質 ≪弐式≫を使いすぎると疲れる
【備考】 ≪深凪(みなぎ)≫という異形狩り組織に所属。識別名は≪剣糸(けんし/ソードストリング)≫
この街に潜入調査に来た際に当主相応に大切な人を見つけ、今では一時的に街に身を置いて仕事をしている。
異形や危険な異能者狩りを主業(非合法)とするが、他種の仕事を引き受けることも。
表向きには、学園の編入生。大人しく高等部三年に所属。現代文が苦手。
外見や丁寧げな口調とは裏腹に、真顔で冗談や人を喰ったような発言もしばしば。時折ひどく奔放。
しかし長く組織で育ったため、忠誠心が強く、当主に心酔している面有り。また、時に常識外れの考えをしたりも。
ただし、今は≪深凪≫と≪日常・大事な人≫との間で少し揺れ動いている部分もある。
現在、≪深凪≫は兵部晶こと「ガンスリンガー」の所属する警察の一機関に協力。
アンジェラ・トルーマンの属する機関・御法川醍醐の師匠とは簡単な不戦協定を結んでいる。
また、彼女自身は記憶が欠落して幼い頃が一部思い出せない。何か封印的なものを施されている所為、らしい。
【規制がとけておりました……(ばんざい)】
【遅ればせながら。
>>1さん、スレ立てありがとうございました】
>>129 【というわけで。こんにちは、奏さん。
もしも、問題がないようなら立候補させていただけたら――なんて思うのですが、いかがでしょうか?】
>>131 【こんにちはですっ】
【了解でありますよ】
【こちらのほうこそよろしくお願いしますっ】
【何かしらプランはありますか?】
>>132 【良かった、です。そして、一応待っている間に簡単に考えてみたのですけれど】
1.「鬼」の目撃情報があった場所にて、
そこで狩りを終えた私と、その後にやってきた貴女がたまたまバッタリ。
私の足元には黒髪の男の死体が――(というちょっと物騒編)
2.真夜中の旧校舎の踊り場。誰もいないはずの鏡の前に背をむけて夜0時に立つと
会いたい人に会える。ただし振り返ってはいけない――なんていう都市伝説。
どちらかが実践したところに、一方が駆け付けた。(結果共闘編)
【一応、≪深凪≫を知ってもらう方向を盛り込んでみたので、昼日常編は除外してみました。
もちろん、そちらの方がいい、ということであれば遠慮なく仰られてくださいませっ】
【1だと――背格好がお兄様に似ている別人、とかだと少し物騒になるかもしれない、と考えつつ】
【2でしたら、そういう都市伝説を奏さんが信じるなら、実践側でお願いしてみたいかもしれない、です】
【んー、ぱっと考えますと1ですかね?】
【こっちからは………特に思い浮かびませんっ!】
【あ、媛名先輩はどの程度名前知られてるんですかね?】
【≪弐式≫とか見たら≪剣糸≫ってわかる程度とかだいじょうぶですか?】
【それでは、「1」で行ってみましょうか……十全です】
【ちなみに私及び≪深凪≫の知名度ですけれど――
うぅん、知っている人は知っている、知らない人は知らない程度でしょうか……結構適当で大丈夫、です。
ご存じでなくても、こちらからきちんと名乗らせていただくと思うので、奏さん的に都合のいい方、で】
【奏家は――、やはり能力を顕現したら「奏の鬼だ」と分かる程度に知られている、でしょうか?】
【了解です。】
【ではこちらも同じく適当で、ただの鬼として認識されることもあるってことで。】
【「角が実は眼だったと知らない」とかは充分ありえますねぇ〜】
【こちらからはコレくらいですので、よければ始めましょうか?】
【じゃあ、今回は都合よく……「鬼」と認識してしまう、方面で行ってみましょうか】
【了解いたしました】
【それでは、こちらから簡単に書き出させていただこう……かと思いましたが
奏さんから書きだしていただけるのなら、それでも十全、ですので遠慮なく仰ってください。
既に女が立っていて、そこに男の死体がーみたいな感じでも大丈夫、ですので】
【はいな、ではよろしくお願いします〜】
【今回は不肖ながらこちらか書き出させていただきますっ!】
【しばしお待ちくださいませっ】
【十全、です。それでは、その書き出しにどどんっと乗らせていただきたく思いますので
どうぞ、書き出しの方はゆっくりと、です。それでは、先んじて――宜しくお願い致します(一礼)】
(夜も更け、人通りがない路地を行く――否、夜が更けなくとも人通りが少ないいわゆる裏路地といわれる)
(さらに人が少ない時間帯に往く。)
(『奏 従矢』が『従志浪』としてこの町の何処かにいるという情報を得たのはつい先日のこと。)
(コレにより『奏家』の情報機関『天狗』もかなり動きやすくなったとのことだ………)
(そして今こういう人気のない場所へ歩を進めるのはそれに関係している。)
(――曰く、この近くで『従志浪』を名乗る人物が現われたとのこと。そして――≪鬼≫の目撃情報。)
(自分より優れた≪鬼≫である兄、『従矢』その足取りを捜し求めて入った裏路地――妙な寒気がする。)
(春も半ばを過ぎ去ろうというのに未だに肌寒い日が時々ある………どういうことなのだろう?)
―…………お兄ちゃん、風邪なんてひいてなければいいけど。
(なんてことを漏らして角を曲がる――そこで見かける人影――見た事のあるような気がする倒れた男。)
(そして何か長い物を手に立つ細身の人影。)
(倒れ伏した人が、その体格が先ほどまでその思考の八割を占めていた人物に似ていること)
(そしてその体から流れる赤が血である事を認識すると同時に――――)
(――――自分は≪鬼≫になっていた。正確には≪鬼≫と呼ばれる一族がそう呼ばれる所以である)
(鬼眼と呼ばれる機関を開き、額に開いたそこから鬼の角のようなオーラを立ち上らせる。)
(脚に力を入れて前方へ懐に潜り込み、倒れ伏した男から距離をとらせる為体を当てようと地面を打ち抜かんばかりの)
(力をもってして踏み――長い丈のスカートが翻り、羽織っていたストールが宙を舞った。)
【えー、こんな感じでよろしくお願いしますっ】
(その日の狩りを終えたのは、――夜も更けたころだった。
腹部を切り開かれて倒れている足元の男は、今夜の自分の獲物――悪害たる異能者だ。
色々とあって彼女は制服姿のままではあったが、
そんな日常の格好をしていても、靴を濡らす血と、彼女の手に持つ長めの日本刀が非日常を示していた)
――――ッ。
(そして、それは刀を鞘にしまいなおそうと考えていたときのこと)
(珍しく高い位置で一つ結びにした髪を揺らし、強い殺気の方向を振り返ると同時。
――目の前に現れたのは、美しい銀の髪をした、三つ目の『ナニカ』だった)
(突進、といっても過言でないほどに力強く自らの懐に入り込んできたそれを視認すると、
片足を軸にしてくるりと体をひねり、その体当たりをかわそうとする。
そして次に、左手に持っていた刀を構え直し、戦闘態勢をとった。
丁度、彼女の後ろに男の死体があり……そうして、構えた刀からはぽたり、と赤い滴がひとつ零れる)
……何事ですか。
いいえ、それよりも先に貴女が何者かを問いかけた方がいいのかもしれません。
異形ならば――私はこの後ろにあるモノと、貴方を同じ存在にさせていただきます。
(そして、威嚇するように刀を振ると、付着していた鮮血がぱらりと飛び散る)
(――反応が早い、速度、タイミングともにかわせる様な攻撃は仕掛けなかったはずだ。)
(震脚も充分、アスファルトで舗装されたソコをぶち抜き、下に敷詰めてある砕石を露出させる程度には行った。)
(が、それはあっさりとかわされその勢いのまま体を後方に流すことになる。)
(一足一刀の間合い。未だに武器を取り出していない自分には不利な距離、そして自身の目的である倒れ付したその人は)
(今も血を流し、夥しい量の赤は路面に広がっている)
そんなことよりもソコをどいてくださいっ!
確かめないと………貴方は邪魔なんです!はやく………ッッ!!
(今尚、生命を失っていくそれがもし兄なら――伏している今の状態じゃ決してそうだとは言えない。)
(けれども逆にいえばそうかも知れないということもある。)
(焦りばかりが募り本当に答えねばならないことよりも伝えなければならないものが口から出る)
(そして再び接近するために突進――――)
確かめないと
(確かめないと、というその言葉に眉根をよせる)
(アスファルトをブチぬくほどの脚力による突進。
あんなものまともにくらったら内臓破裂は危うい、と崩れた地面を身ながら思った)
(不意討つ一撃は確かに鋭く、それでいてかなりの速度を伴っていた――避けられたのは、直線的だったからこそ)
……邪魔なのは、貴女の方です。
「コレ」の知り合いでありますか――だとしたら、弔いでも何でも好きになさってください…!
(再びの突進。だが、少ない動きでかわすには今の場所が悪すぎた。
相手のそれは早く鋭く、その細身の身体からは想像できないほど力強い。
よけきったつもりであったが、わずかに彼女の体が右肩にあたり、それだけで強い衝撃がはしる)
―――……っ、うッ!!?
(そして、丁度近くのコンクリートの壁にしたたか背中をうちつける)
(そして、ようやく――ようやく、女が倒れている男から離れ、うつ伏せのそれが月夜にさらされた)
……っ、はぁっ。
助けたいのだとすれば、もう手遅れです――腹を切り裂いているのですから。
(よろり、と肩を押さえながら漆黒の目を銀色の髪の少女に向ける。その目はどこか冷たい)
(そして、彼女の言葉を示すように、うつ伏せの男の腹部はかなりの血だまりになっていた)
(掠める程度ではあるが体があたる――手応えが驚くほど少ない。おそらく、彼女が衝撃を和らげるため)
(衝撃の方向に飛んでいるのだろう………驚くべき反応速度とそれを実践に移す体術だと冷静な時ならば)
(驚くことはできるかもしれない。)
(けれども今はコレ幸いとそのステップを後押しするようにその華奢な体躯を吹っ飛ばす。)
(ようやっと彼女を引き離すことができた、後は確認、必要ならば治療を。)
(――身元を確認するために血溜まりに膝をつきその体を仰向けにひっくり返す………)
…………。
(結論から言えばその男は別人――急速に頭が冷えてくる。それと同時に銀色だった髪が)
(暑くなった鉄が冷えるようにもとの漆黒を取り戻していく――そして耳に入る何処か冷たい声音。)
(額の眼はそのまま、黄金に染まった眼を縁取る長めの睫毛も銀色のままだが)
(髪だけは急速に元の色を取り戻して――――)
………はい、そう、みたいですね。
(倒れていた男の口元、脈と手を当てていきそのどれもが停止していることに気付く――自分の能力を使ったところで)
(外傷もないのに失血死をしているという不思議な死体が出来上がるだけだ。)
(そんなことよりも立って謝らなければならない――と先ほど突き飛ばすというのには明らかに)
(やりすぎた攻撃を向けてしまった女性に振り返り――硬直。)
すみま――…………
(そして絶句。すらっとした体躯に艶やかな黒髪を一つにまとめて肩を抑えるその姿は)
(自分と同じ学園の制服を纏っていた。そして何よりも手にもつ刀――見たことがある。聞いたことがある。)
(確か――深い凪の名をもった組織。その一員が持つ刀。≪弐式≫そしてそれを操る者。)
(なにから喋るべきかわからずその場に立ち尽くして驚愕のあまり半開きになる口を隠そうと手を口元にやる。)
(銀の髪が、漆黒へと戻る。銀のそれも美しかったが、闇に溶けるようなその髪色もまた美しかった)
(こちらへと振り返る少女の瞳を縁どる銀の睫毛と、明らかに人とはことなる「額の銀の瞳」)
(女は漆黒の瞳で、まるでそれを睨むようにまっすぐと見据えながら、
痛む肩を押さえつつふらりと立ちあがる。グキッ、と嫌な音がして肩の関節が、はまった)
……お分かりいただけましたようで、重畳でございます。
(そして、再びと刀を向ける)
(月に照らされた刀身は、青白い燐光を放っている。それは、≪弐式≫特有の霊力の光。
柄の部分についていた小さな鈴が、りりん、と小さい音を立て――最後にはその余韻だけを残す)
貴女が私の敵であるならば、
そうして、貴女が私の敵であるならば――、そこの死体と仲良く並んでいただきます。
(熱を宿さない瞳が、驚愕の表情を浮かべる少女を見つめる)
(――だが、女はこのとき気づいていなかった。目の前の相手が「奏」の人間だと言うことに。
奏の人間は「鬼」である、という情報は得ていたものの……角ならぬ瞳が、それだとは知らなかったのだ)
決めてください。
貴女が何者であるかを説明し、私の納得のゆく解答を出し、何も見なかったことにしてお家にお帰りになるか。
それとも、このまま私を敵として闘い――この刀に切り裂かれるか。
……ただの異能者にしては、戦い慣れておられるようにお見受け致します。
(威嚇するように、威圧的な言葉を並べる)
(本当に戦うとして、そんなにすんなり勝てる相手ではないが――大事なのは、弱気を見せないこと)
>>145 (――まずい。当然といえば当然だが拙い事に敵として認識され始めている。)
(月明かりに反射しているわけではなく、刀身そのものが淡く光るそれを向けられ身を立てる)
(この状況で「奏」を名乗ったところで敵対するものでないということを証明できるか?)
(直接やりあったということ事態は聞かない………けれども人と異形の「均衡」を保つため)
(片や「共存」、片や「払う」ことを生業としている。もちろんどっちもやってることは似たり寄ったりではあるが)
(根本的な思想が違うため、相容れないものだと互いに認識している。)
(また、「≪深凪≫土地である所為で保護すべき異形を保護できなかった」、「≪奏家≫の土地であるために狩るべき異形を取り逃がした」など)
(結果的に、間接的な妨害をしあってすらいる)
――私は………
(彼女が納得のいく、納得させるだけの答え――でまかせを。事を荒立てない努力を。)
(自分が敵として認識されるだけなら未だいい。だがそれによって≪奏家≫まで敵対関係になるとなると色々と不味い。)
結論的にいえば貴女の敵ではない。
何者かと問われれば――そうですね、貴女の後輩………とでも言っておきます。
ちょっと、今貴女が狩ったと思われる人物が家族に似ていましたもので………
(威圧的な言葉、振る舞い……どうするべきか。)
(どうしたら戦うことなくこの場をしのげるか――――――)
すみません、本来ならば弁明より先に謝罪を述べるべきでした。それも含めてごめんなさい。
(長い黒髪を乱しながら深く頭を下げる。)
(まずは話題を変え、不審なてんを突っ込まれた時の答えを、名前を聞かれたときの答えを考える。)
私の後輩……あの学園の生徒、ということで宜しいでしょうか。
(その言葉に驚きはせずとも、納得してしまった)
(あの学園が異様なほどに、異能者そして異形、それに関わる人間を“飼っている”のは身をもって知っている)
―――私が殺した『ソレ』が家族に似ていたから、思わず私に飛びかかった、と。
その点に関しましては、理解致しました。
こんな場所で堂々と殺しを行っている私の方にも、非はありましたでしょう。
結果、どうにも貴女のご家族ではなかったご様子で、それについても重畳であったと考えます。
(刀を構えたまま、視線をそらさずに、言葉を続ける)
私が弁明をしろ、と申し上げているのですから、謝罪は必要ありません。
(そして長い黒髪を乱して、律儀に頭を下げる少女の頭の上から声を落とし)
……それにしても、殺されているのが家族だと思われた、だなんて。
随分と物騒な、御家柄なのでしょうか――……。
(と、そこまで自分で言って何かがひっかかった)
(もしも、彼女の能力が血族的なものだったら。そうして、彼女が何かしらの「家」の者だったら)
―――貴女のお名前を、お聞きしても宜しいでしょうか?
(だが、「三つ目」で「怪力」の能力を持つ家などあっただろうか。
少なくとも報告にはあがってきていない――そんなことを考えながら、少女をじっと見る。
黒い髪と額の金色の目。細い体ながらも、出ているところはきちんと出ている。
その顔はととのっていて、どちらかといえば凛とした顔立ち――その手に今のところ、武器は見えない)
>>147 はい、そのとおりです……
ちょ……頂上?えぇっと………?
(なんだかよくわからないがきっといい意味の言葉だろうなどと思いながら)
(いまだ下りない切っ先を、今にも飛びかかれる状態の重心を、その視線を見つめ)
いえいえ、家柄は極普通です。ただ私だけこういった特異体質でして………
あ、傷とか治せるんですよ?
あんまり他の人には見せたくないのですが――
(威圧感に圧されながらなるべく明るく振舞うことを心がける。)
(穏便に済ませるのが双方にとって最良なはずだからだ――もし今後何かの形で自分の素性がばれても)
(此処で戦う気がなかったことを見せていれば最悪の事態は避けられるはず。)
(そう思いながら一歩、殺意の顕現たる刃の先に近づくために脚を踏み出して――)
――――……………………。
(踏み出そうとした足をとめる。――偽名を使うのが最良、しかし調べられたらわかってしまう。)
(じゃあ、実在する人物の名前を使う?たとえば別のクラスの自身と関わりのない人物の名前。)
(きっとその人は異能者として≪深凪≫にマークされるだろうが――――)
自己紹介は後にしませんか?
多分、痛めてますよね。肩………自分がやった傷を見ながらですとなんだか苦しくて。
できたら治療させていただきたいなぁって。
(額の眼に見える彼女の肩、その状態は決して健康だとは思えない。)
(むしろ脱臼状態から無理やりはめ込んだものだからその痛みは多分相当なものだろう。)
(コレを治すことにすれば多少なりとも時間は稼げる。)
…………ダメですかね。
(じっと邪気のない笑みの裏に先ほどとは違う焦燥を隠して再び刃に近づいて――)
(傷が治せる――「癒し」?)
(記憶のどこかに何かがひっかかっている気がするのに、どうしてもそれが思い出せない。
この街に住む『退魔士』は数が多すぎて……把握するだけでも、一苦労なのだ)
……家柄が普通であり、特異体質。
ということは、突発的な異能――血筋にはよらぬそれ、ということで宜しいでしょうか。
私個人と致しましては……、それか否かで、貴方に対する対応も少し代わることになりますので。
(目の前の少女が、自分のことを≪深凪≫と知っていることなど露知らず。
そうして、自分が刃を向けているのが、「奏家」の人間であること――つまりは、
自分は敵対すべきでない『家』と敵対関係を築こうかとしていることも、未だ気づけないまま)
(邪気のない笑みを浮かべる少女)
(じんじんと肩は痛むが、彼女の申し出に「ええお願いたします」と、答えるわけにはいかない)
――駄目、です。
(切っ先をわずかに揺らし、威嚇。再び鈴の音が響き渡って)
私は、貴方を信用できておりません。
その力とて詳しく存じ上げないのに、その人間に身を預けることは怖うございます。
……自己紹介を、あとにするということは―――。
(そこで、瞳を鋭くさせて)
名を、私に教えたくない、ということでしょうか……?
(そして、小さく息を吸い込む。頭をフル回転させ、自分の記憶のなかからあるカテゴリに属する名前を導き出す)
――須佐乃。
青江、壱林(いつばやし)、葛森、伊織、橋祭(はしまつり)、紅裂、奏、兵部。
(それは、――夜に関する名前。
「青江」「須佐乃」「葛森」「奏」「壱林」「橋祭」――については、この街に住む退魔の『家』の名。
そして、「伊織」と「紅裂」と「兵部」は……たまたまさきに頭の中に浮かんだ、活動範囲がひろそうな夜の住人の姓。
これらをごちゃまぜにして、彼女の前に提示する。彼女がどこで反応を見せるか、見極めるために。
退魔の家の名で反応すれば、そこから攻めればいい、そうでないもので反応すれば、そこから。
どれにもまったく反応しなければ――よほど隠すのが上手いか、……夜との関わりが浅いか、だ)
……この中の名前に、心当たりがあるものはございますか?
>>149 あ、いえ………そういう詳しいこととかわからないんです。
ホントに突然発現したものでして――出て行った家族もその関係なんじゃないかなぁって思ってるくらいなんで。
先輩はどう思います?
突然こんな変な力に目覚めたとしたらやっぱり家出ちゃいますかねぇ。
(彼女の不信は未だに拭えない――拭うべき不信を拭えばまた新たな不信が現れるからだ。)
(故にとにかく敵に似たそれだけやんわりと受け流し、場違いなまでに日常を演じてみせる。)
(自身が近づこうとすれば当然その切っ先は揺れる――威嚇するように、強い声音とともに)
………いえ、単純に貴女が心配だからです。
後ろめたいのは本当です。生意気にも名乗るならそっちから名乗るのが礼儀なんじゃないんですかとか考えちゃったりもしています。
(本当は名前をヘタに提示して話がこじれることを恐れてだ)
それに最近詐欺とかありますから、それも怖いですし――なんて。
ええっと………ですね。
(自身の知り合いの名前、除外するべき前山、水鏡、霧原、そして紅裂。)
(それ以外の名前を考え口に使用としたときに――――)
(――突如紡がれる名前。いや退魔の家柄――かと思えば聞き覚えのある名前まで)
(紅裂は特に――むしろ聞き覚えどころの騒ぎではない、兄に似ている別人として今の永久の中で)
(割と大事な人物だ………退魔の家系の他の名や、全然聞き覚えのない名はいい……この名前を聞いた時だけ)
(ぴくん、と僅かに肩がはねたかもしれない。)
………ええと。伊織ってあの陸上部の伊織さんでしょうか?
すごいですよね、大会新ですっけ?将来有望な方が同じ学校の同じ学年だって言うのはなんだか不思議な感じです。
(多分、自分が反応しなければならないところは此処。)
(退魔士の家系に精通していなくとも「知らない」が通らない名前………。)
ええっと、そっれがどうかしたんでしょうか?
(とはいえ紅裂で反応したのは事実。コレを問われたら――――そろそろ腹を括るべきなのだろうか。)
(目の前の彼女は一番、無難なところで反応を見せた。
それは、目の前の彼女がそれだけの判断力を持ち、それだけよく頭が回ると言う印でもあった。
――ただし、言葉の反応と、身体の反応では、見る側としても「信頼度」が違いすぎるのである)
……少しばかり、意外です。
(跳ねあがった肩を見て、思わず目をしばたかせてしまった)
(「紅裂」――そこでヒットするとは思わなかった、ということもある。
目の前の彼女が、前に紅裂が属していた“虚影会”の人間だろうか、とも考えはしたけれど、
すぐにその考えは捨て去る。彼女はそう、ではないだろう……「違い」が多すぎる)
――『紅裂拓兎』の、お知り合いでありますか。
(痛む肩をかるく揺らし、小首を傾げる。黒髪が、揺れた)
そして、貴女が仰られる「人の名前を尋ねるときはまず自分から」というのももっともでありましょう。
私こそ、非礼をお詫びいたします。
……「媛名、葵」と申します。
よく先輩だと分かったものですけれど、あの学園の高等部三年に所属いたしております。
もしくは、この時間帯に名乗らせていただくならば、―――深凪八席、≪剣糸≫
貴女には、もしかして此方の方が馴染みが深いでしょうか?
(まっすぐに少女を見据えて、尋ねかける。いや、カマをかける)
(そして、その漆黒の目を細めてから)
―――まあ、詳しいことは、いざとなれば“紅裂拓兎”にお聞きしても、構いません。
(彼女を揺さぶった)
…………っ
(やはりというか見逃してはもらえていない。)
(当然だ――そんな甘い人間であるはずがないのだ。そんな甘い組織であるはずがないのだ≪深凪≫が)
(彼女は媛名葵と名乗ったなるほど深凪の若い猟狗はそういう名前だったらしい。)
(齢十八にして≪剣糸≫の名をこちらにまでとどろかせる)
(先輩――といってしまったのは不味かったらしい。とはいえ此処で「たまたま」なんていっても信じるはずもない。)
(そういう段階まで彼女は確信を進めてしまっており、またそれが通るほどお気楽な思考もしていないということだ。)
(次々と語られる確信的な言葉――そして)
――そんなの駄目ッ!!ただでさえ私の家の事、手伝ってもらってるのにその上………っっ!!
(その言葉に感情を抑えることができなかった)
(「家の事」――そう言ってしまうほどにその言葉に、単語に揺さぶられてした唇を噛み締める。)
(ぶちっと何かを噛み潰す感触がしたと思えば鉄の味が口の中に広がる。)
隠していても………もう駄目、ですね。
ですが、コレらは貴女と敵対したくなかったから。それを承知してもらいたいです。
私の勘違いで貴女に傷を負わせてしまったこと、その所為で個人的な戦い以上のものが起こってしまう事を恐れてです。
(眼を閉じ一息、静かに吸って、吐く動作。それからゆっくりと眼を開け真剣なまなざしで彼女と対峙する。)
――名乗り、遅れました。奏 永久です。
(いまさら誠意を見せたところでどの程度通じるかはわからない――けれど今ごたごたを起こすわけにも)
(その引き金となって兄が帰れる場所を危うくするわけにもいかない。)
もう一度いいます。私は貴女と敵対する気はありません。
【っと、私のレスに時間がかかりそうなので……先に】
【ここらで中断をお願いしたいのですが、いかがでしょう?21時か20時半には戻れると思うのですが、
もちろん、別日に改めて、でも大丈夫ですっ】
【問題なく大丈夫であります先輩っ】
【では21時半を目安にしておきましょう、早めにこれたらそれはそれでということで。】
【かまわないでしょうか?】
【ありがとうございます、奏さん】
【それでは21時半を目安に――早く来られれば、早めに避難所に顔を出させていただきますね。
と、では、私の方は次でレスを返してから、お暇致します】
【ともかく、一旦此処までのお付き合い、誠に感謝、です(一礼っ)】
………あの男も相変わらずと。
いったい無意識のうちにどれだけの女性をたぶらかしておられるやら、です。
(「紅裂」、の一言でいままで隠してきたものを露呈した目の前の少女。
つまりは、彼女のなかでそれだけ彼の存在は大きい――というよりも危険にさらせぬものだろう。
まあ、――あの男を危険にさらしてみたところで
彼の場合はいっそ喜びそうだが、と思ってしまうのは自分の性根が曲がっているのだろうか)
―――奏、とわ。
(真剣なまなざし、それが真っすぐに自分に向かってくる)
(誠意のこもった瞳をむけられ、ついでその名を――「奏」の名を聞かされて、思わず息を呑んだ。
加えて、「危ない」と思った。――自分はもう少しで、あやうく一線を越えるところだった)
そうそうに、仰っていただければ私も非礼を重ねることはありませんでしたのに。
(刀の血をぬぐってから、鞘に納める。燐光も弾けて消えた)
(そうして、ゆっくりと肩膝をつくと、恭しく彼女の前に跪くような形をとる。
ゆらり、と一つに結いあげている髪が、左右に揺れていた)
改めまして、――≪深凪≫第八席、当主よりいただいた名を≪剣糸≫。
奏のお方とは気づけず、今までの非礼、改めてこちらよりもお詫び申し上げます。
……我ら≪深凪≫としても、余計なまでに『家々』と荒らそうような状態になるのは、好ましくありません。
私も同じように、個人的な戦い以上のものを――望んではおりません。
【それでは、改めて定刻に。ありがとうございました、失礼いたします。(一礼っ)】
【こちらのほうこそお付き合いに感謝いたしますっ】
【此処までお疲れ様でした】
【また定時によろしくお願いしますっ(ぺこーり)】
>156
紅裂拓兎――……さんと、どのような関係かは存知あげません。
あぁ………無論詮索するつもりもありません。
(済んでのところで飲み込んだ「お兄ちゃん」という単語を気にして数回喉を撫でて)
ただ、彼に責はなく、その手を振り払う事ができなかった私のほうにこそ責はあるといっておきましょう。
(この言葉を口にして改めて自覚する。似ているからというだけでまったくの別人を自分のことに巻き込んでしまっていることを。)
(危険だからとかよりも自分の都合を他人に押し付けているのだ、またその都合で振り回すわけにもいかない。)
(――もちろん、危険な目にもあってほしくない……コレは多分兄に似ているからなのだろうか。)
非礼?
――貴女は≪深凪≫第八席として狩の邪魔をする傲慢な小娘に対応しただけでしょう?
私は名乗るまで「奏」の者として振舞ったつもりもありませんので。
――ですからその侘びも無用のものです。そして「奏」の者として相対している今の私は貴女に詫びる気はありません。
(正直、跪く彼女を見て心中では大慌てだったし。ぶっちゃけると地面に額を擦りつけながら謝りたい気分だ。)
(それでも組織の面子と言うものがある以上簡単に頭など下げれない。)
(そして「お願いします」という代わりに「見逃せ」といわんがばかりに「さっきまでの自分は別人です」と暗に告げる)
さぁ、貴女ほどの方がどこの馬の骨ともわからない小娘に手傷を負わされたとなればその名に傷がつきましょう。
治療………させていただけますね?
(視線を合わせるようにそっと膝をつき、労わる様にその傷に手を添えて――――)
それから此処から小娘が戯言を言います――――さっさと名乗らなかった理由ですが。
私は貴女方が我々をどう思っているのか知らなかったのが理由です。
聞くところによれば貴女方は人に仇成す異形は狩るものとして接しているとか………それに対し我々はあくまで共存を望み
話の通じる異形は保護すらしています。
現に我々の目的のため貴女方が、貴女方の目的のために我々が。それぞれ邪魔になったケースも聞き及んでいます。
ですが決定的な確執までにはいたっていない――そのような時に「奏」が≪深凪≫を傷つけたという事態になれば
それ相応に事態が悪化しかねないと思いまして…………
【それでは再びよろしくお願いしますっ!(ふかぶか)】
【……髪の色の描写につきまして、奏さんは常に黒でしたのを描写し間違えた、
と、どうして間違えたのか分からない程の失態に、改めて謝罪を加えつつ―――(頭をさげて)】
【ふつつか者ながら、またしばらくお相手宜しくお願い致します。
ということで、改めて奏さんとのロールに場所をお借りいたします】
【そのあたりはお気になさらず〜】
【向こうでも言いましたが大丈夫です!】
【あ、けど自身自覚はしてないってことでお願いします。】
【それではお相手よろしくお願いします(ぺこー)】
>>158 狩りそのものを邪魔された場合、私としてもこのような態度はとりませんが
――この場合、もう既に狩りは終了しております。
したがって、非礼は非礼。
ですが……貴女が「奏」として振舞っておられぬと仰られるのであれば、そのように。
(肩膝をついて跪きはすれど、頭はさげていない。瞳は真っすぐに少女を見ていた)
(ここで、「奏」として接さないと言われれば、それを受け取らない理由は無い。
自分としては≪深凪≫が一応の「礼」をつくしたことさえ、事実として成ればよいのだから)
(そして、組織としてのメンツの話は――目の前の彼女にも当てはまるようで。
「頭を下げるつもりはない」。その一言で、彼女の「奏」としての自覚がうかがえるものだった)
……我々、≪深凪≫は。
(労わるように触れてくる手を振り払うことはしない。体勢を崩し、その場に座りなおして)
貴女の仰られるように、人に仇成す異形を狩るもの――異形狩りの組織です。
(――表向きは、とはいえない。
確かに≪深凪≫は異形を狩る。それが本業だ。ただ、その≪深凪≫の奥にはもっともっと、
ぐちゃぐちゃでどろどろした行動原理がある。でも、それを他人に説明し、分かってもらうのは難しい。
だから、≪深凪≫は実質の行動である「異形狩り」の組織――として、言われているし、振舞っている)
確かに、我々の狩りにおいて、奏の土地では狩りが上手くいかなかったという報告例も聞いております。
しかしながら、逆に貴方がたが保護しようとした異形を、我々が狩ることもあるのは事実。
そして、そのような場で争いが発生したならまだしも、
このような小さなことで、奏との確執が深まるようでありますれば――≪深凪≫としても問題。
我ら≪深凪≫は、出来るだけ組織間の抗争については……避けたい、と考えております。
まあ、……中にはもちろん、考えなしに「狩り」を重視する輩がいることも、否めませんが。
(同僚の顔を思い出して、咳払いした)
――少なくとも、「私」がこの程度の怪我をしたくらいで≪深凪≫に対しての反抗とはとられません。
(ご安心ください、と付け加えた)
【無自覚について、了解、ですっ】
【それでは、そのように……改めて、宜しくお願いします】
(語られる≪深凪≫の行動理念。その意思。)
(切れが悪くなった部分、「異形狩り」。それは事実なのだろうが≪深凪≫は≪深凪≫で行動理念があり)
(それにそって動くもの、必ずしもそれにそって動くとは限らないものがいることが伺えた。)
――その言葉、信じます。
そして良き答えを得られた事に感謝を――
(此処も頭は下げず、胸元に手をやり薄く笑みを浮かべるのみ――まぁ心中じゃフライング土下座くらいはしているのだが。)
(撫でる肩に眼をやる。奏鬼眼には骨折らしき痕は見えないが一応肩から鎖骨に向けてなぞって、媛名の反応を見てみる。)
(ついで得るべき答えを得た。その事に満足して奏の次期当主としての顔を引っ込める。)
でも、脱臼は癖になるとしつこいですよ?
ようは酷い捻挫ですからねぇ〜、痛みも長引きますし………何より私が余計な事考えた所為でその肩で
長い時間、刀もたせちゃいましたし。
(とここで………気付く。肩がどういう部位であるかをどこにあってどのようにしなければその傷を見ることができないかを)
(要は自分の行動が人通りが少ないとは言え野外で上を脱いで半裸になれといっているのと同義だということを。)
………すみません、余計なこと言ってましたね。
(すっかり同じ学校の先輩に――という体で苦笑を向けて後頭部を掻きつつ)
ええっと、すぐに治したいと言うのであれば場所を変えますけれど
大丈夫……でしょうか。
(流石に自分でもちょっとしつこいかと思い始める。けれども自分でやった事、故に自身でやりたいと思うところもある。)
(そんな事を思いながらもちらちらと媛名に視線をやって――)
――信じて頂けましたようで、重畳。
ああ、……重畳、というのは「この上なく好都合」とか、そういう感じの意味であります。
(たぶん、と付け加える。
そもそもは≪当主≫の口癖であり、それがそのまま自分にうつってしまったところもあるのだが)
(目の前の少女が心中でフライング土下座してしまうような、優しい少女とは依然知らぬまま、
肩から鎖骨にかけてをなぞられると、少しだけ痛いのか僅かに片眉を動かしたのだった)
……いいえ。
奏の者が手をかけられている、と思いこんでの行動なら致し方ありません。
それに、我が≪当主≫に言わせれば「避けきれなかった方が悪いだろ」、でしょうから。
(ふー、と息を吐きだす。確かに脱臼した肩は流石に痛かった)
私としては、貴女の手を煩わせるほどでもない、と思っておりますから。
この程度、大丈夫です。……貴女も気に負わないでください。
(ちらちら、とまるで小動物のような可愛らしい仕草でこちらを見てくる奏の鬼)
(表情を変えることはしなかったが、心の中で「可愛らしい人だ」と思いながら、立ちあがる)
しかしながら、少しばかり貴方とお話をしておきたいとは思います。
……奏のことや、紅裂のことも少し、気になります。
もちろん、貴女が話したくないことは離さなくても問題ありません。……まあ、世間話程度とお考えください。
(つまり、どこかに場所をかえることはしよう、という意思表示)
(携帯電話を片手にどこかに連絡――近場の死体の処理を、頼むためだ)
ですけれど――、かように治療、大がかりなのですか?
(連絡を終えてから、不思議そうに首を傾げた)
>163
頂上がですか〜………日本語って不思議ですねぇ。
長城のほうですかね、いえ〜、好都合ですから〜
(ちょうじょう、ちょーじょーなどと呟きつつ)
骨に異常はないみたいですね、よかった――この場合は流石といっておいたほうがよいのでしょうか。
こっちとしては直撃させるつもりで行っていましたから。
それこそ肩どころか肋骨の数本はいただくつもりだたんじゃないんでしょーか
(確定できないのは無我夢中だったから。)
それでは双方悪いということでこの際、先輩は場所の用意を、後輩は傷の手当をする事で
手打ちといたしましょうか。
――ん、奏はともかく……拓兎お……さんについて?
お話がある――あ、世間話ですか………わかりました、是非お付き合いさせてください。
(話したくない事は――とはいうが基本的に自分は嘘がヘタだから、多分この人の前でヘタに偽って)
(憶測で動かれるよりある程度の事を知られるのは眼をつぶって正直にっ他方がいいかもなぁとか思いながら)
あ、いえ………少し患部を見せていただければ。内出血ですと傷を切り開けばもっと早いんですけど。
私の力――鬼眼による能力は「癒し」を体液に付加させられるんですよ。
ですから患部を舐めさせていただけるか、患部に血を塗らせて頂ければそれで治す事ができます。
(敵対する気がない相手。故に能力も隠す必要がない――とはいえ視覚としての能力)
(相手の健康状態が見れるそれまでは教えない。念のためだ。)
肩見せてもらわないといけないので、此処で脱げはさすがに…………
(と苦笑を浮かべて頬を掻きながら)
逆に申し上げれば、あれだけ早く鋭く強くても――直線的、でありましたから。
確かに当たれば内臓ごともっていかれそうなほどに、力強い一撃でしたけれど、
無我夢中だったからこそ、――貴女の一撃はまっすぐでした。だから、避けられたもの、と。
……まあ、『奏』を敵に回したくない、と実感させられたのは事実であります。
(あのとき銀色に染まった髪と、強い意志を込めた瞳を思い出す)
(――よほど大切なのだろう、と思った。彼女にとって、あの死体と見間違えた人間が)
お付き合いくださるとのことで、嬉しく思います。
(連絡をし終えると、携帯をポケットになおす。竹刀袋に≪弐式≫を入れ、通学カバンを持った)
……それにしても、癒しを体液に、付加。
そういえば、奏に「癒し」の力をもった鬼が、というお話は聞いたことがあります。
まあ、噂話だったものですから、情報として数には入れていなかったのですけれど。
(後れ髪を直しながら、竹刀袋をからい直す)
そして、奏での鬼は、角のない鬼――だったの、ですね。
まあ、ここのところは立ち話も何であります……あらためて、お話を聞くとして。
私はここでも肩を露出する程度なら、構いませんが……
それが問題ならば、――場所は、私の部屋で宜しいですか?
もちろん、奏の鬼が≪深凪≫のような野蛮な人間の巣窟に足を踏み入れてくださるなら、の――お話ですけれど。
(どこか挑発的な言葉。表情は変わらなかったものの、その声はいたずらな響きを帯びている)
(路地の出口へと足をすすめながら、永久を振り返った)
そのあたりはこちらにも事情がありますが………その。
手の内を明かしてもいいことはないので――ただ貴女の体捌きに感心させられたのは事実です。
(こちらの攻撃方向を読んでの円運動。)
(直線とはいえ曲げられればどうなるか――よく勉強になった。)
私も、基本的に争いごとは得意はないので………貴女みたいな方が後7人以上いるとなると
敵対するような事はさけたいですねぇ。
でしょうね………
(少しだけ、自分がどれほどの存在か知って寂しくなった。)
(多分これが兄なら「銀色の角を持った『振動』使い」としてそれなりに名を馳せていただろう)
(次期当主でありながらその程度の噂話が流れる程度の実力。数に入れる必要がないような情報。)
あはは、まぁ、でも互いにそんなものだと思います。こっちも≪弐式≫や年「若くして第八席」のあたりしか
媛名先輩の事はわからないくらいですし。うん。
(コレは半ば自分に対する鼓舞。今はコンプレックスに沈んで歩みを留めていられる時間でも感傷に浸ってる時間でもないから)
あ、はい。角がないというよりは角に見える機関があるんですが
できる限りの話しはそちらでと行きましょう。
――先輩は女の子ですよ?
そんな事させられません、そういう趣味を持っていたとしても駄目です。
というわけでお部屋に上がらせていただきます…………『奏家』の日和見主義者にまたがせる敷居があるのでしたら
ですけれど。
(表情が変らないあたりさっきの延長線上なのか単なるスラングなのかわからなくなる。)
(とりあえず付き合って、内心の焦りさえ隠しておけば大丈夫かななんて考えながら振り返ったその女性に追従する。)
≪深凪≫にいる以上、女であるまえに異形狩りです。
ですけれど――、せっかくの御好意、そういう趣味もないですから、お言葉に甘えましょう。
(路地から出た時、黒い服の男とすれ違う)
(――女はその男と二言程度言葉を交わしてから、おいで、というように手招き。
死体の方へ真っすぐと男が向かっていったのからして、恐らく彼が処理担当だったのだろう)
(まあ、そんなこんなで夜の道をゆくこと少し。
縦に長いどこにでもありそうな高層マンションの一室に、彼女たちは場所をうつしていた)
(そのままリビングにあがってもらい、ソファに腰かけてもらうようにと促す。
そして、その間に自分は、キッチンで簡単に紅茶の用意をしてきたというわけだ)
……ええと、紅茶で宜しかったでしょうか?
ミルクと砂糖はこちらにありますから、ご自由に―――。
(と、彼女の逆側のソファに座ったところで、あ、というように動きを止めてから)
――私の話が先、で宜しいですか?
(自分の都合でここまで連れてきてしまったけれど、
そもそも彼女が治療してくれるから場所をうつしたのだ、ということを思い出して首を傾げる)
(さすがに露出狂呼ばわりが功をなしたと感じると、手早く鬼眼を閉じて)
(――ちょっとすれ違った黒服の男たちが気になったが。)
(招かれるままに道を行くこと数分から数十分――帰り道がわからなくなったようまきがするが)
(とりあえずそれはそれとして招かれるがまま来たマンションの高さに絶句。)
(続いて部屋の高級さ……とでもいうのだろうか。なにやら造りが言葉では言い表せないものだった。驚愕。)
(とまぁ、そんなこんなでほへぇっとしているとソファにうながされれていて)
(次に気付いた時には目の前に香り立つ琥珀色の飲み物が置かれていて――――)
す、すみません……怪我人を働かせてしまって。
話はお先にしてもらって結構です。痛いのが気になるようでしたらすぐにそっちのほうにかかります。
それと紅茶、いただきます。
(ペコリ、と頭を下げてから「こちらにある」ミルクを大量に投下、ミルクティーどころの騒ぎじゃなくなったころに)
(カップを傾けて――心底落ち着いた表情を見せる。)
(確かに高級マンション――ちなみに高級マンションを借りている理由は簡単。
彼女が望んだのでなく、たまに泊りにくる予定にしていた同僚が「どおせならぁ、たっかぁーいところにしましょ?」と言った――
そんな一室なので広めではあったが、物は殆ど置いていなかった)
(よく言えば質素、悪く言えば寂しい部屋――彼女が頓着していない、結果)
(そんな物少ないリビングに彼女を座らせ紅茶を飲んでもらったまでは良かった。
だが、なみなみに投下されたミルクをみてしばらく黙る。……そしておもむろに立ちあがりキッチンへと)
……怪我人、とは申しますけれど
私にとってこの程度、そんなに大きな怪我ではありません。気にしないでください。
痛いのにも、慣れています。
伊達に――長く、異形狩りをやっているわけではないのです。
(そして何かしらをして戻ってきた。キッチンでは電子レンジがまわっているようだ)
あと、今、牛乳あたためていますから。遠慮なく、そちらも飲んでくださると嬉しいです。
(すっかりミルク色に染まった紅茶を見てから、そう付け加えたのだった)
――それでは、まず、こちらのお話から。
(自分も紅茶を一口飲んで、ひと息つく)
……まず、お聞きしたいのは奏のことです。
先ほど、申しましたでしょう? 噂程度しか、私たちの耳には入っていない、と。
どうにも、基本的に貴方と我々の利害が対立することが多かったせいか―――
うちの諜報が、「奏」について正式な情報をあまり多く手に入れられていないのが現状なのです。
(情報は時に武器になる。だからこそ、≪深凪≫に回ってこないもの、と考えている)
次期当主については――、とても腕のたつ人間である、と。
何でも、多種の武器を自在に使う「女性」であると、聞き及んではおります。
ただ、その人物の能力。および、『奏』家の能力については……いまだに、我らは深く存じ上げぬのが現状です。
(そこで、ちらりと目の前の少女に目を向けて)
――そして、私個人として「貴女」と対峙して思ったことなのですけれど、
奏の時期当主は……、貴女、ということで、間違いないでしょうか?
(あの力を近くで感じて、思ったこと。そうして、彼女の年齢的なものからして考えたこと。
目の前の少女が、時期当主なのではないか、と――そんな予想を、そのままぶつける)
(造りが高級なことに目が行っていて気がつかなかったが)
(いまさらながら気付く――物が少なくものすごくもったいないと。)
(確かに自分も必要最低限の家具以外は部屋においていないが、それは部屋があまり広くないからという)
(根本的な問題があるからである。)
(少しだけもったいないなーなどと思って各所を見て此処にこれを置いたらとか此処にはこういうのが合うんじゃないかとか)
(のんびりと考えて紅茶を啜り)
いや、大小の問題でもなく私が五体満足で媛名先輩が傷物という事に問題がありまして………
さっきも言いましたが、脱臼は癖になりやすいんです。たとえば実は骨が欠けていて、かけた骨がくっつかずに治ったりとかしますと
固定されてないそれが神経を刺激します。結果、肩を動かすたびに走る痛みと一生付き合うコトになったりしちゃうんですよ?
(と説教めいた事を言いながら再びミルクティーもどきを一口。)
(そんな事をしてる間に好みが見破られたらしい。)
…………。
…………。
……う〜、すみません、お大事にお願いします。
(うなり声を一つ、あまり表情を変えないのがちょっとだけ怖かったが非常に気の利く女性だと思った。)
――すみません、利害が対立する事をわかっていてそれをいっているようなら
申し訳ありませんが質問に対して質問を返させていただきます。
コレはこちらの家の存続に関わる事です。ですからおいそれと確定的なことを言うわけにはいきません。
ですから先に知っておかなければなりません――それを知ってどうするつもりなのですか?
(とはいえ、相手は自分の住処を曝している。)
(一応、それなりの義理は通しているといっても過言ではない――が、第八席と次期当主の話では釣り合わない。)
(それこそ兄が家に健在だというのならば自身が危険にさらされようとも家が途絶えるわけではない。)
(むしろ自分に目がいく分好都合とも言える――が、今その兄はいないし、兄にそういうものを背負わせないために)
(自身は今努力している。)
奏についての情報を得て、共有される事で生じるこちらの不利益――貴女ほどの方がそれをわからない女性だと私は思いません。
個人的な情報をさらしたから組織的な情報を得られるとは思わないでいただきたいです。すみません。
(冷静な返し。紅茶をもう一度口に運びながらも、少女を見返す葵の瞳には、
どこか愉快そうな色が宿っていた――面白い、と素直に思っている。そうして、素直に感嘆していた)
……いいえ。
もちろん、おいそれと「奏」の情報が手にはいるとは、こちらも思っておりません。
なるほど――道理でうちの諜報がなかなか情報を拾って来られなかったわけです。
「奏なんて嫌ぁい。なぁにぃ、あのガードの硬さぁ」って、同僚が申しておりました。
(カップを置いて、口元に手をやる。
笑っているようだ。このとき、初めて表情を崩して肩を揺らして、彼女は笑った)
謝る必要など、ありません。
世間話……と申しておきながら、このように駆け引きを要する話を持ち出した私が悪かったのです。
それに、「話したくないことは話さなくていい」。そう申し上げたのは私です。
(しっかりと閉じた膝の上に改めて自分の手を置くと、姿勢をただした)
もちろん、貴女が次期当主であれば、貴女を今すぐ殺そう、と思っているわけでもありません。
特に我ら≪深凪≫は、我々に牙を向くもの以外には、爪を返さない主義ですから。
権力などというものにも、合併吸収、侵略、征服にも興味がありません。深凪がというよりも、我が当主が。
ただ、少しばかり気になったもので。
そのようなキッチリした「奏家のお嬢さま」が――お家ごとに、あの紅裂拓兎を関わらせているの、が。
(訝しむような、または少しだけ心配するような視線を向け)
――…少し、個人的な好奇心をもった、と言っても過言ではありません。
――なるほど、貴女も意地が悪いですね。すでにこの場の否定は意味を成さなくなっている。
ここで私がどう答えようとも貴女は私を「奏次期当主」として扱うつもりでいる。
(始めはただの兄の代わりとしてみていて、それではいけないと気付き)
(一人の男性として接していこうと決めた。もともとが兄の代わりだから「兄」としてよんではいるが――)
(そんな人物から来た綻び。こんな事だから実兄は出て行ってしまったんだと思えば頭痛がした気がする。)
そうですね、結論だけ言うと私が次期当主です。形式的に言えば――ただし、あくまで私は第一候補です。
奏にはまだ当主たる器の鬼が数名ほど控えています。
無論、私が第一候補に上がっている以上次にいくほど能力は――――いえ、コレは言う必要がないですね。
(喋りに気を使い、あたかも自身が次期当主として有能であるかのように振舞う。)
(これ以上がいると思わなければそれでよし、自分を警戒すればそれでいいと思えば万々歳だ。)
こんなところでしょうか、次期当主については………
――………コレだけしゃべりましたのでご褒美のひとつは欲しいくらいですけれど。まぁ、≪深凪≫にも事情があるでしょうし
コレくらい、慰謝料と割り切る事もできます。
(あくまでも余裕は崩さないように心がける………挑発に乗って自身の組織の情報をさらす女性とは思えないが)
(乗ってくるようならそれで――)
…………?
(視線の意味がわからない。「あの」の意味がまったくわからない。)
(紅裂拓兎は自分の兄に似ている異能者だ。時々すごく悲観的で寂しそうな顔をするのがたまらなく心配な。)
(適当で、後ろ向きな事を言うくせに要所要所で優しい「もう一人の兄」だ。それ以上でもそれ以下でもない。)
彼は、巻き込まれただけです。私の探し物に――さっきの裏路地で私が間違えた彼。うつ伏せになった彼。
誰かに似ていませんでしたか?
――貴女が「紅裂拓兎お兄ちゃん」と面識があるとして、です。
すみません。≪深凪≫の人間は基本的に性根が悪い、ともっぱらの評判です。
どうぞ、そんな嫌な人間を目の前にしていると思ってお話下さいませ。
(細める、黒い瞳)
(姑息でもこのような手をうつのは、それが夜に生きていくうえで必要だったから。
必要悪だなんて綺麗な言葉は使わないけれど――≪深凪≫の八席であるために、必要なスキル)
―――……なるほど。
詳しいことは存じ上げませんが、風の噂で――『奏』がごたついている、と聞きました。
もちろん、噂程度でありましたし、
何より、毎回うちの人間が「奏」と対峙することがあるときは、
どこからどうみてもごたついているようには思えない統率っぷり――との、ことでしたけれど。
継承者問題、ですか。……なるほど、了解いたしました。
もちろん、継承者問題なんてものは特に家々のコアな部分。我らは、干渉を望みません。
(と、一応前置きしてから)
――巻き込まれた。
(少女の言葉を繰り返す。そういえば、先ほどもそのようなことを言っていたか)
……私が殺した異能者が、誰かに似ていた?
(と言われて、記憶をたぐる。そうして、加えられた言葉――紅裂、と言われると、
なるほど、背格好や顔のつくりは、特に似ていたかもしれない。そこまで考えて、ようやく気付いた)
あの男の髪は、赤で……もう少し、うつろにお笑いになりますけれど。
そうですね。言われてみれば――背格好は特に、似ていたかと存じます。
つまり……貴女が探している人物に、紅裂拓兎が酷似していた。それゆえに彼が巻き込まれた。
……そして、彼が巻き込まれた。つまり、彼に“手伝ってもらっている『家のこと』”。
…………貴女のご家族が、どなたか失踪なされた、ということ、ですか。
そうですか、でもよく気がつくいい人でもあるみたいですね。
ホットミルク、非常においしくて………私、牛乳に目がないんです。
(とりあえず、ここからは社交辞令とブラフの掛け合いだろう。)
(……この手の駆け引きは本当に疲れる。)
あの程度で統率が取れているなどと――貴女方が申されますと皮肉にしか聞こえませんよ。
我が家の未熟を恥、≪深凪≫を見習い、精進していきたい所存でありますから。
(対峙そのものはしたことがないはずだ。している過去があるようなら自身の耳にも入るし)
(そんなところに所属する人間のお誘いにホイホイついていったりしない。)
――ええ、彼を巻き込んでしまいました。
貴女にそうしたように、あの人にも私は「兄」の面影を見て取り乱して――貴女がみたように後は感情に任せて。
あのときに言った家族が云々のあたりはブラフでもなかったんですよ。
(にこり、と笑って人差し指を立てる。)
(悪戯の種明かしでもするように。)
ええ、まとめると兄が失踪してしまい。その兄を探している最中、紅裂拓兎に出会い。そして彼に兄の面影をみた私は
彼を巻き込んでしまった――そんなところです。
こちらからもおききします。何故貴女はそのような眼で紅裂拓兎が我が家に関わっている事をお聞きに?
……いいえ。≪深凪≫は必要時以外は「統率」など取れていないと言っても過言ではありません。
無駄に、単独個人プレー好きが多いもので。
(目の前の少女は、急激に――そう、まるで急変を見せるかのように、
先ほどよりも的確で、正確で……つまりは、こちらにとって困るような答えを返してくる。
それは――次期当主ならば、必要なこと。つまり、目の前の少女は確かに器をもっている、ということか)
(――ふ、と口元を緩める。本当にこの街は厄介な人間ばかり囲い込んでいる、とそう思う。
可愛らしいだけでも、人が良いだけでもないらしい。目の前の少女は、確かに夜に生きる人間と知った)
なるほど、そういうこと、でしたか。
その答えには納得が出来ます――失踪した兄を殺されそうになったとみれば、
……やはり、あのようになるのも致し方ありません。
(口元に手をやる。彼女としても「兄」という存在には思うところがあるようだ)
そして――そうですね。
私ばかり質問していても、悪いですから……その質問にお答えするとすれば。
しばらく前までは、あの『紅裂拓兎』は我々の狩り対象――であったから、です。
(紅茶のカップを手にとって、一口)
ですか、今となっては彼が狩り対象か否かという点は少しブレているのでご安心を。
少なくとも、出会ってすぐさま抜刀までの仲ではありません……「紅裂拓兎お兄ちゃん」とは。
(彼女が満足するまで話に付き合おうとか、考え付く当たり障りのない言葉を捜したりとか)
(それによって生じる彼女の答えを予想とか、そんな事ばかりを考えている時――だった。)
拓兎、お兄ちゃん………が≪深凪≫の狩り対象?
………あっ、とと
(思わずカップを取りこぼしそうになる。波打った白の液面がほんの少し親指をぬらし)
(生暖かい感触、しばらくして冷たい感触をもたらして――)
待って………すみません。待ってください。
(考える――これはなんだ?≪深凪≫の話ではない、≪奏≫の話でもない≪紅裂拓兎≫の話だ。)
(それが「狩り対象」?おそらく彼女が使った「お兄ちゃん」は明らかにからかわれている。)
(けど――そんな事よりも何よりも)
貴女、は………彼の笑みが虚ろだって言いましたね。
その理由を知っているんでしょうか………
(自身が先程言った言葉が胸に突き刺さる。「この場の否定は意味がない」。)
(私はすでに確信してしまっている、自身が今知りたい事を。兄の所在と同等に知りたい事)
(それは紅裂拓兎があの表情をする理由であり過去――――)
わた、しは………それを聞いてもいいん、でしょうか………
(――躊躇うだけで押さえる事ができなかった言葉が口を吐く。なんて………弱い。)
―――理由など、存じ上げません。
(まるで震えるように吐き出した少女の言葉を聞いて、彼女は静かに返す)
少なくとも、何と申し上げればいいのでしょうか。
……たまに、何とも言えないような笑いをなさるでしょう、あの御方は。
笑っているのに、どこか空っぽみたいな、不思議な笑い方をなさるでしょう、あの御方は。
(躊躇いながらも、口に出してしまった、というような)
(そんな素振りの少女を見る――きっと彼女は、紅裂が今まで何をしてきたかを、知らない。
だけれど、何かあることはしっているのだろうと思う。そうして、それを知りたがっているらしい)
―――私は、その理由は、存じ上げません。
(けれど、「この場の否定は意味がない」)
彼について、詳しいことは存じ上げません、奏さん。
プライベートなこと、といえば……どうにも、年下の女性に懐かれやすい、くらいでしょうか。
(彼女の細い指先に零れた紅茶。それを見ながら、また一口紅茶を口に含む)
そうして、――彼が、我らの狩り対象であった、理由。私が存じているのはその程度です。
ただ、……それは、私に聞くのは――お勧めいたしません。
私の口から聞くよりも、彼の口から聞いた方が……私は、良いかと、存じ上げます。
あの方は、尋ねたら教えてくださると思います。
――貴女にとって、彼が重要な存在ならば、自分で聞いて自分で受け止めるのが一番です。
受け止めてみたら、案外大したことでもないかもしれません。
(紅裂が人殺しと知っても、変わらず懐いている金髪の少女を浮かべて、頷いた)
知って………います。
私はそれがたまらなく嫌です……あんな笑い方生きてる人間がするべきじゃないんです。
不思議………じゃなくて、気味が悪いんです………あんな笑い方。悲しい、しちゃいけなくて………
(ぎゅっとカップを握り締める。奏鬼眼でも発現していれば砕いてしまいそうなほど力を込めて)
う………そんなの、うっ………
(嘘だと否定の言葉を吐きそうになる。それと同時に冷静に。嘘吐く、言葉を濁す理由を考える。)
(簡単な事だった――そう彼女が言っている通りだ。)
…………………はぁ
(ため息が出る。仕方がない――余裕を見せなければならない相手の目の前でこの様だ)
(正直、自身のふがいなさには呆れ果てる――)
――私、彼に………兄の代わりをしてくれる彼に言ったんです。
それでも兄としては見ないって、どんな一面を見てもそうやって優しくされた事は絶対に忘れないからって……
決めたんです、いつか話してくれるまで待とうって………私が信頼されるまでって。
(力のこもった指先に気付いてカップを置き、紅茶のついた指先を軽く舐めとって――)
あー………あなたの前では、こんなこと、こんな態度、見せるべきじゃないのは、わかるんですよ。
うん、けど………止まりませんでした。
(この程度の話でここまで心を動かして、ここまで動揺して――その人物が自分にとってどういう人間か)
(簡単に悟らせる――次期当主のすることか。)
なるほど――私の拓兎おにーちゃんは物騒なことしていたか…………色々と詳しいわけです。
とっても強いわけです………
………まぁ、心の準備だけはしやすくなたと思っておくべき、ですよね。
(≪深凪≫第八席の前ということもあり、少なくとも表面上は落ち着きを取り戻して。)
ええと、こっちからはコレくらいですね。大きな借りを作ってしまった気がしますけど…………
もしも、誰かが何かを抱えていたとして。
それに踏み込むか踏み込まないか。あるいは、意図せず踏みこんでしまうか。
それは、ひとそれぞれだと思っております。
(ことん、と紅茶のカップを置く。琥珀色の中身は、ほとんど無くなってしまっていた)
……けれど、知りたいと思って自ら踏み込むことは、
もしかすれば関係が崩れるかもしれないけれど、それでもいいからその人を知りたくて踏み込むことは
決して、悪いことではありません――少なくとも、私は、そう考えます。
もちろん、向こうが話してくれるのをじっと辛抱強く待つこともまたしかり。
……そうして、何かあることからずっと目をそむけて、その人の隣にいようとするも、しかり。
(ゆっくりと、目を伏せた)
あの方は――、個人的な意見では、ありますけれど、
どんなに信用したとしても、きっかけがなければ、自分から話すようなことは、滅多になさらないかと存じます。
逆にきっかけがあれば、尋ねられたなら、話さなければならない機会があるなら――隠しは、しないでしょう。
(ピーッ、と電子レンジが電子音をたてた)
………大きな借りですか? まあ、今のは媛名葵と奏永久のお話だった、ので。
借りだと思われるなら、一個人として返していただければ十全かと存じます。
(悪戯っぽく、目を細める。つまり、今のは深凪八席≪剣糸≫としての会話ではなかったのだ、と。
そして、キッチンへと消えた彼女が返ってくれば、片手にマグカップが二つ。片手に小瓶が一つ)
よっと……。
――さて、これでまだるっこしくて精神力を削るようなお話は終わり、に致しましょう。
ああ、あと……私個人としてはの意見になりますが、
私は、貴女に次期当主には、……あまり、なってほしくはありません。厄介です。
(ただ、彼女が言う場合はそれは――非難、ではない。
敵対可能性側の人間が“なってほしくない”というのはつまり、――高評価の、裏返し)
なんだ………本当にいい人じゃないですか。
――そこまで親身になってくれると好きになっちゃいそうです。
………そうですよね、拓兎お兄ちゃん、なんか自分にある種の劣等感を感じてるんですよねぇ。
誰かと比べてとかじゃなくて、世界から見て………って感じなんですけれど。
どんなに自分が必要とされてもいつかは要らなくなるーみたいに
(最早ここでは独白ではなく愚痴である。)
(無理に感情を殺そうとするからああなったのだ。ならばもう媛名葵に接すればいい奏永久として)
あおさーん………アレって男の子ならふつーなんですかね〜
私、ああいうことばっかり言うくせに必要な時やさしくしてくれる人だとものっそい勢いで好意ぶつけてやりたくなるんですよぅ。
――こう、実は待ってるって決めましたが容赦なくずかずか入り込んで荒らして回りたいくらいです。
それで言いたい事言ったあげくに「私仕事したー」ってさわやかに笑ってやりたいのです。
ハイです。私もホットミルクが来たからには容赦せずごしょーはんに預かりたいです。
ん………?
私は逆にあおさーんに当主についてほしいかな、もしくは補佐。
当主さんに代わって組織切り盛り。
そーしたら多分≪深凪≫とお話しやすくなると思うんですよ〜
(なんてのんびりといいながらホットミルクを飲んで一息、心底幸せそうなため息を吐いた。)
……劣等感のスケールが大きいですよね。「世界に俺は――」というような。
(ああ、と納得した様子を見せる)
(それから小さく笑う。まさか、紅裂の話をこんな形でするとは思わなかったから。
黄金色のはちみつが入った小瓶から、はちみつをみるくに入れてかきまぜながら)
まあ、あおさんはあまり『男の子』というのに詳しくないので存じ上げないのですけれど、
あの方は、そうですね――私個人としては、もういっそそのくらい踏みこんでみた方がいいのかもしれません。
腹割ってじゃないですけれど……私なんか結構言いたいこと言いまくってますから。
……我慢できなくなったら、そうやってしまってから、爽やかに笑ってやればいいのでしょう。
必要なときは自分に優しくするくせに、って言ってやれば……彼とて反論できないはずです。
(そういえばあの男は急になんとなく優しいな、と思い出してホットミルクをすする)
ゆっくりとお飲みになられてください。
そして、もうこんな時間でありますから……飲み終わったら、家までとは言いませんが
安全なところまではお送りいたしましょう――。
(やっぱり牛乳好きなんだなぁ、と心底幸せそうな溜息を見て思いながら)
――それと、あおさんが当主になったって、今と変わらないと思います。
私の考え方は、そもそも現当主の考え方によって構築されたものでありますから。
……私の当主は基本平和主義者ですよ?
ただ、平和主義者に程遠い輩を、自分の手足として放し飼いにしているだけ、です。
(二コリ、と笑う。はたしてそれは平和主義者と呼んでいいのだろうか)
あの方がきちんと一線ひかせていなければ――、≪深凪≫は今以上に殺戮主義です。
【お、お時間とか大丈夫、ですかっ?】
………ですねぇ、劣等感が――じゃなくて自意識過剰でもよろしいのですが。
そんな世界レベルで物見ないでなたをもいてるもっとちっぽけなものに気づけと。
(はちみつが入った事により破壊力を上げたホットミルクを口に運ぶ)
(温かいミルク+甘いはちみつ=コレ最強とかわけのわからない図式が思い浮かぶ。)
ですねですねっ!よし、失敗してもあおさんのせいにしてやろ――――コレはさすがに冗談ですが。
あまり言いたい事をいわないから「お兄ちゃん」なのか「拓兎お兄ちゃん」なのかわからなくなるし
自分がどうしたいのかもわからなくなるんですっ!
(うぬんと何度も頷きながら)
あ、問題ないです一人で――――帰れません。夜道は問題ないのですが帰り道がいまいちわからなかったのです!
というわけでここがどこかだけでいいので教えていただけたら一人で帰れます〜。
いや、なんと言うかここに来て一年近くになるのですがどうも未だに地形を把握しきってなくて………
(恥ずかしげに頬を掻きながら)
――――ふむ、つまり≪深凪≫の当主さんもあおさんくらいには話しやすい性格なのですね。
まぁ、腹芸ではものの見事に負かされたわけですが…………
その辺きっちりするために補佐についていただけないでしょーか………こう、狩るばかりが異形を管理する方法じゃないのですよ?
まぁ、管理なんて偉そうな言い方ではありますけどねぇ
『奏』も≪深凪≫も少し歩み寄ったほうが少しだけやりやすくなるとは思うんですけどねぇ……行動理念そのものを変える必要はないのですが
保護するべきモノと狩らせるべきモノの情報くらい共有できれば――――ま、今の段階では絵に書いた餅ですね。
【問題ないですよ〜】
【ええと、そちらのほうこそお時間はともかく眠気とか睡魔ーさんは大丈夫でせうか?】
―――自意識過剰。
っ、くっ……自意識過剰、そうですか。っ、だめ……ちょっと、ツボにはいりました。
(自意識過剰とはいえ、そうだとすればネガティヴな方向にそうなのだろうけれど、
なるほど、そういう称し方もあるのかと思うと、何となくおかしくなって肩を震わせてしまう)
……接し方には二通りあるでしょう。
自分をきちんとぶつける接し方、そうして他人を尊重する接し方。
どちらが欠けても駄目だと思います――譲れないところだけは、譲れないと言ってぶつからないと。
(そういえば、あのバンダナの青年が特にそんな感じだな、と思う。
――と考えたりしたあとに、この場に及んで彼のことを考える自分が恥ずかしくなり、誤魔化すようにマグを引き寄せた)
私の所為にされても――、駄目ですよ、あの方、私のことお嫌いなのですから。
余計に話がこじれそうなものです。
あれです。失敗しても、それでも突き進みたいと、思ったら――突き進めばいいのです。
関係がこじれるかもしれない選択肢を選んででも、彼にぶつかりたい、という覚悟が大事なのですよ?
(と、もっともらしいことを言って首を傾げる。僅かに、彼女の顔は笑っていて)
……紅裂さんって、結構強情な気が致します、個人的に。
道の件につきましては、了解です。
……やはり、貴女が分かるところまで送っていきましょう。学園の近くまでいけば大丈夫でしょう。
(実は方向音痴だったりするのかな、とひそかに思ったりして)
ちなみに、我が≪当主≫は話しやすいといえば……どう、なのでしょう。まあ、そうですね。おカタイなんてことはないです。
(うぅん、と小さく唸って考えながら)
そして――、私ではあの方の補佐はできません。
私は、あの方の為の手足でしかなく、あの方の為の手足でありたいと思っています。
私にとって我が当主は絶対です――私が異形を狩るのは……言ってしまえば秩序の為というよりも、
ただ、あの方の……あの方の猟狗でありたいから。ただ、それだけなのですもの。
(目を細める。まるで愛しいものを語るように)
――ですから、その点に関しましては私を補佐につけるよりも、直にうちの当主と話をつけてください。
(と、最後に目元を緩めてそんなことを言ってのけた。今のは次期当主への言葉だろう)
【良かった、です】
【こちらは、まだ大丈夫ですから……奏さんもキツくなったら遠慮なく、ですよ?】
それですっ
今までの私は自分の事ばっかりだったんですよ。事情を知ってもらってそれで受け入れてもらえたから
なんとなくいい気になって――うん、他人を尊重…………ん?
(考えてる事は尊重というより略奪に近いものなのだが、永久の頭にそんなものはない。)
(そして何故か最近他人のわずかな表情の変化に敏感になったので――)
お、あおさんはそういうことしてくれる人がいるのですかっ!
微妙に恥ずかしそうなところを見ますと男性なのですかっっ
(――餌のついた釣り針を見つけた魚のような勢いで食いつきつつ)
――あんまり拓兎お兄ちゃんの嫌いは信用できません。嫌いじゃなくて無関心なら多少信用できますが……
ええ、そのあたりは抜かりないのでご安心を。
失敗して、嫌われても、それでも好きだって言ってやります。
そうでもしないと拓兎お兄ちゃん場合………あまりにも損なんですよね。
すみません、こんな事ばっかりで。
――こう、地図が微妙に見れなかったり方向がすぐわからなくなってしまって、いい加減慣れたいのですけれど
どうにもこうにも………
(恥ずかしげな顔で苦笑を浮かべて――)
ふ………む。
(語られる意思は何処か悲しく、けれども力強い意思も感じて)
(自分にはわからない複雑なものがからんでいるんだな、と思えた)
(そしてその意思こそがあの強さを支えているのだと――)
くすっ……なって欲しくないといわれてしまった永久はどーするべきなのでしょーか。
(そんな風に次期当主へ向けられた言葉に返す。)
(どうするもこうするもない。なるしかない――当主として相応しい心技体を身につけて)
(――そうでないと、何も変らない。変える事ができないのだ。)
ふぅ…………
(最後にもう一度至福の時に感謝しつつ息を吐き出す。いつしかカップの中は空になっていた。)
――さて、色々和んだところであおさんの治療に入りたいと思います。
えーと、肩。出してもらえますか?
一回切り裂いちゃうのがホントはいいんですけれどそれやると結構汚れちゃうんで。
……まあ、私も『人づきあい』というのはあまり得意な方ではありません。
試行錯誤して、やっていくしかないのではないか―――っ、こほっ、んっ。
(あまりの勢いの喰いつきに目を見開いて思わず咳き込むものの、少し間をおいて左右に首を振り)
あ、いえ、その……まあ、私の事は置いておくことに致しまして、
――貴女が、それでも好きだっていう覚悟があるのならそれでいいと、私は思うのです。
いいえ、構いません。
(「ああ、やっぱり方向音痴なのだな」、と心の中で結論づけると
恥ずかしがっているそんな可愛い表情を目に収めつつ、小さくわらってみせた)
だから、私にとっては――≪深凪≫という存在は譲れません。
大事、なのです……そう、とっても、大事――何物にも、代え難く、大事です。
(最後に呟いた言葉は、自分に言い聞かせるかのようだった。
「大事でなければならない」。だから、――本当は、深凪と並ぶほど大事なものなんて作ってはいけない)
(そして、彼女もそれを飲み干した)
……ああ、覚えていらしたのですか。
お忘れになられていれば、このままお家に返そうかともくろんでいたのは内緒です。
(制服のボタンを外し、すいっと上を脱ぐ。中にはキャミソールが一枚。丁度良かっただろう)
というか、一回切り裂いてというのも、なかなかに……その、えげつない、と思うのですが、
……まあ、信用させていただきますよ。
(それは「奏」という家に対する信頼でもあったかもしれないし、彼女個人への信頼でもあったかもしれない)
(少しだけ赤くなっている肩と、打撲のあとを彼女に見せた)
なんだか綺麗にまとめたつもりになっているところ悪いのですが
永久はあおさんのことはいいだなんて思いませんよ?置いときませんよ?
(悪戯っぽい笑みで数歩分くらい詰め寄ると、ふっと息を吐いて)
――あおさんもそういうところ話してくれるようになったら私は嬉しいかな。
私の場合順序全然違っちゃったから、正直悔しいですし。
………そっか、あおさんもまだ成長段階かぁ
(ちょっとだけ彼女の弱さが垣間見えた。その事に対して呟く。)
大事なものは一つじゃなきゃいけないって言う決まりはないと思ってます。少なくとも私は。
守らなきゃいけないものが多いほうが弱みが増えてしまうのは確かですか
その弱みの分だけ強くなれるものだと、そう思ってます。少なくとも私は。
何にも代えられない大事なものはいくらでも作ってみるべきです、守れなくて傷つく事もあります。
(自分の場合は兄が出て行ったこと、それを止められなかった事。)
けれどもそれを取り戻すために、それを割り切るために人は強くなれる生き物ですから、ね?
内緒にしてないっ!駄々漏れだから!!
私そこまで耳悪くないですよ?ボーっとしてるかもしれませんけど。
お仕事に響く怪我じゃないですか肩って………さすがに放置はできません。
――ん、肩のライン綺麗ですね。とか思ったのは内緒です。
(お返しに、といわんがばかりにキャミソール姿になってその流麗なラインをはっきりさせた)
(彼女にからかい1/4といった口調で告げる。見惚れそうになったのはほんとだからだ。)
でも内出血ですと表面は傷がないじゃないですか。だもんで患部を直接となるとどうしても………
切り裂いてできた傷も直接塞げますし。
――ま、そんなわけで失礼しますね。ちょっと浸透するまで時間がかかるでしょうから今回は唾液にさせてもらいます。
(「奏」が鬼と呼ばれる所以である奏鬼眼を再び発動、額に眼が開かれ眼の色は金色に、それを縁取る睫毛は銀に――)
(「信用する」との言葉に答えるために身を乗り出し赤くはれ上がったそこ、自分の肩が掠めたそこへ)
(舌をつけると、唾液のついたそれで傷をなぞっていく――)
さすがに即効とはいきませんがすぐに元通り肩を動かせるようになりますし、痛みも引くと思います。
(一通り奏鬼眼で見た悪いところを舐め終わるとひょいと身を放して)
(じっと奏鬼眼で傷の経過を見つめつつ)
でも、守らきゃいけないものが――重なった場合、どうしたらいいのでしょうか。
片方を守るために、片方を守れないときがきたら、私、どうしたらいいか、分かりません。
(小さく苦笑い)
(それは、会って間も無い人間にこんなことを言ってしまった自分に対しての苦笑も籠っている)
……それを取り戻す為に、強くなれる、生きもの、ですか?
まあ、私のことを置いとかないでいただけることは嬉しいのですけれど、
―――うん。今日はとりあえず、「ありがとうございます」、で綺麗にまとめておこうと思います。
(彼女に見せた弱さを隠すように、目を細めて微笑してみせた。でも、感謝は本音だ)
……あらあら。
褒めたってたまにいらっしゃったときにホットミルクが出るくらいの特典しかつきませんよ?
(少しだけからかいのこもった口調を認めて、こちらも軽口を返す)
(相変わらずの表情で首をかしげたりするものの、やはり声音は悪戯っぽい色を帯びていた)
(日にあたらない所為で白い肌――は、ところどころやはり、薄く傷が付いている。
異形狩りの性とでもいえばいいのだろうか。そして、彼女の舌が近づくとくすぐったそうにして)
んっ……なるほど、そういう、ことでありますか。
なんというか、こちらも気恥ずかしくもあり……舐めさせるのが、申し訳なくもあります。
(くすぐられているような感触にふるる、と身体を震わせたが――終わると、ふっ、と一息ついて)
ありがとう、ございました。
でも――、今のだけで、確かに、少しばかり痛みはひいた気が致します。
(序盤でもこの効き目だ。まるで魔法のように痛みが和らいだのに少し驚きつつ)
――ただし、……治療中の奏さんはなかなかに色っぽかったので、
男性にやるときは、襲われないように気を付けてくださいませ?
(と、真顔で首を傾げたりして)
さて――、それでは、お送りいたします。奏家のお嬢さま。
(制服の上をささっと着直してから、ソファから立ちあがる――)
そんなの簡単です。重いなら力強くなるか一緒に持ってくれる方を探せばいいです。
片方だけしか守れないかもしれないと思ったのならその状況を回避するんです。
それでも選ばなければならなくても欲張ってしまうべきなんです。
――仕方がないので「どういたしまして」でこれ以上の追求はやめにします。
あ、すでに男性の方にはやっておりますが大丈夫でした!
襲われてもめったなことにはならないとおもいますし、きっとだいじょうぶですよ
うん、だいじょうぶです。
(真顔ではなたれる冗談とも本気とも吐かないそれ――あって間もないころのような恐怖はなくなったが)
(それでも心臓に悪いものは心臓に悪いし、恥ずかしいものは恥ずかしい。)
永久でいいです。むしろ奏はそういうつもりで相対する時に使ってください。そっちのほうが私もわかりやすいです。
今回は「奏のお嬢様を」、ではなく「後輩の永久を」送ってください。
(笑みとともに立ち上がると玄関まで行き――)
【えーそろそろ〆ですねぇ】
………。
(「やったのか」と内心で思う。そうして、相手の男性の理性に拍手をした。
よくぞこんな可愛らしい、かつちょっぴり艶めかしい女性に耐えられたものだなぁ、と、
知らぬ――とはいえ実は出会っているのだが――男性に向かって、心の中で敬礼)
奏さんも……女の子なのですから、駄目ですよ、あまり油断しすぎると。
――男性というのは狼なのです。私は、幼いころにそう教わりました。
実際≪深凪≫の男連中なんて――狼どころのお話では、ありませんし。
(席を立ってから、呆れたような声でそう言って見せる。
そこで少しデジャヴ――そういえば、つい先ほどもこんなやりとりをしただろうか。逆立場で)
(扉を開けて、外に出る)
(夜の空気はまだ少しばかり冷たいが、心地よい程度ではあった)
……それでは、永久さん。
そうですね――、奏さんとお呼びすると如何してもお家の感じが致しますから。
(――須佐乃水琴を、水琴さん、と自分から呼んだのにはそういえばそういう理由があった。
須佐乃の人間として呼びたくなかったから、「水琴さん」と自分から呼んだのだったか)
それでは、可愛い後輩である永久さんをお送りさせていただきます。
(軽い腕――そして、一歩踏み出した瞬間、不意に、変な映像が頭の中をよぎった。
≪夜、縁日――子供の手、男の子、手をひく、ナイフ、浴衣……鈴の音≫
記憶にない映像。そうしてつきり、と痛む額。
それはとても軽い痛みで、とても軽い違和感だったから、表情には出さなかったけれど)
………ん。
(そして、カチリ、という脳内で響く変な音と共に痛みがひく。すると、何だか頭が軽くなった気がして)
――永久さんの癒しの力は、どこまで働くのでしょう。
なんだか、少しばかり頭まで軽くなったような、気が致します……。
(不思議だ、というように。それでいて感心するように呟く。
肩の痛みも徐々にではあったけれど薄れていっているのが実感できて)
これは、きちんと貴方を送り届けませんと、わりにあいませんね。
(そういって、可愛らしい黒髪――あの銀の色も綺麗だったなと思いながら――の少女と一緒に夜道を歩いた)
【ですね。こちらはここらでっ、と思います】
【なんだかドキドキな展開を見せつつな〆が綺麗ですので】
【私からは特になしでお願いしますっ】
【見届けさせていただきましたーーーっ】
【ほんとーに長時間のお付き合い感謝いたしますっ】
【十全と。それでは、これにて〆で】
【――そ、空が、お空が白んでいるどころか、もう明るいです、か……永久さん。
(さっそく間違えそうになっていた)
本当に、こんなに長い時間のお付き合いに感謝してもしきれないくらい、です。
ありがとうございました。楽しませていただいたと共に、ただただ感謝の気持ちでいっぱい、です】
【色々と拙いところもあったと思うのですが、呆れておられなければ、また遊んでやってください】
【それでは、改めてお疲れ様でした。どうぞ、ゆーっくりとお休みになってくださいね。
時間的には少しおかしいですけれど――おやすみなさいませ、永久さん】
【今日もいい天気ですねぇ………あおさん(若干現実逃避気味)】
【ちなみにこっちでは今までどおりで構いませんよー。当主モード使うべきところと区別しやすくしたかっただけですので。】
【こちらこそ、つい長々と――本当にお付き合いに感謝ですっ!】
【感謝を通り越して神格化して崇め奉ってしまいそうな今日この頃ですっっ】
【いえ、なにから何までこちらの台詞で申し訳ないのです――拙い文章に付き合っていただき感謝です。ほんとに】
【今日は本当にありがとうございました、また機会があればお願いしますっ!】
【あおさんもほんとゆっくり休んでくださいませっ!ぐっすりと、どろのようにっ!!】
【それでは――こんなときこそおはようございました?とりあえずおやすみなさいませ〜】
【名前】天羽 都(あもう みやこ) ※愛称はみゃこ
【年齢】13歳(中等部第二学年)
【性別】女
【身長】148cm(寝た状態での測定で正確ではない)
【3サイズ】B75/W52/H76、けっこう着痩せする方
【容貌】
栗色のさらさらショートに赤いヘアバンド、色白で目や鼻など顔立ちが全般的に丸く幼い感じ
制服に長めのエプロン、サイハイソックスに隠された部分は傷跡や手術痕で覆われている
ttp://okms.h.fc2.com/uri/amou.jpg 【能力】
・異能に分類される様々な力の増幅/抑制
都に直接触れている対象の【能力】が増幅したり抑制されたりする。
効果はランダムで強く発揮することもあれば何も起きないこともある。
例:魔法の制御が正確になる、機械の動作が不調になる
・生物が持つ一般的な力の増幅/抑制
都の手料理を食べた者は、異能に限らない様々な力が増減する。
胃に残っている間だけ作用し、効果は都の感情や意志に左右される。
一般的な範疇内であり、生物的限界を越えるようなことはない。
例:マラソンで自己ベストを出す、試験で暗算を間違える
※発動と効果はロール相手の方に一任です。
【希望】日常、怪異との遭遇 ※エロールと戦闘は要相談
【NG】猟奇凌辱、強姦、SM、グロ
【弱点】両足不随で車椅子生活、戦闘能力なし
【備考】
十年前、学園教師である両親と共にどこかから旧校舎の屋上へ転落、
下敷きとなった両親のお陰で命は取り留めたものの後遺症で両足不随となる。
引き取り手がなかったため学生寮の寮母に引き取られて学園へ通っている。
明朗活発、世話好きで少し頑固、まっすぐ真当な性格。
料理部所属で自称エース、義母(寮母)仕込みの料理は学内でも評判。
事件のことは覚えていないが両親の幽霊が旧校舎へ出る噂を知って調べ始めた。
【最近の状況や重要な出来事】
・つい最近まで能力を自覚していなかった。
・憧れていた迫水直と伊織津綺子が付き合っていると知って失恋。
・失恋時に一つ目の能力を自覚したが制御できないのは相変わらず。
・綾香お姉ちゃんがとにかく無事でいることを陰ながら祈っている。
・正ちゃん先輩の自宅に下着を置き忘れた。
・旧校舎で両親の幽霊を目撃、少しだけ母に憑かれた。
・紫からプレゼントされた十字架のお守りに仕込まれた発信機は久遠ゆりかに渡る。
・二つ目の能力を知ったショックで料理できなくなるが、伊織津綺子とのわだかまりを解いて再開。
・大怪我をしたお稲荷様の使いに憑かれている。
【プロフを投下のみです】
【待機しますー】
【プロフは
>>49にあります】
【避難所も見ています】
【名無しさんもどうぞー】
【お昼ーになっちゃったよ】
【後でもう一度待機しようかな】
【とりあえず今は撤収ー】
【久遠ゆりか ◆Juli/dituo先輩とスレを使いますねー】
【そういえば書き出しを決めていませんでしたねぇ……】
【書き出しどうしましょうか?】
【あの話の流れからするとこっちから書き出したほうがいいような?】
【お待たせ、ですわ。】
【それでは前山くんから書き出し、お願いいたします。】
【ちなみに、わたしの今宵のお召し物は、白に見えるぐらい薄いミントグリーンのワンピに】
【白のパーカー羽織り、頭はポニーテールですわ。】
>>197 【あれっ!?】
【久遠先輩の格好の描写は任せようと思っていたのですが……】
【それじゃ、それを念頭に置きつつ書こうと思います】
【よろしくお願いしますね、少々お待ちをー】
【服は、ある程度の外観だけでも解かっていたら便利かな、って】
【特に入れてくれーって、わけでもないので…】
【……って、遅かったですわね。失礼致しました。】
【はい、ごゆっくりとどうぞーですわ。】
【ちゃっかりお茶を淹れてまいりましたので、ゆっくり待ちますわ。】
……待てぇっ……!
(夜中の住宅街に、馨の声が響き渡る。
この時間帯のおなじみの格好になった黒のウィンドブレーカーを着た馨が、何かの影を追いかけていた。
近頃、この近辺で確認されている「謎の切り裂き魔」と呼ばれているもの。
それの正体と思しきものを、馨は追いかけていた)
くっそ……。
あの野郎、急に斬りつけやがって……!
(そう呟く馨のウィンドブレーカーは、何箇所か、刃物ですっぱりと切られていた。
その隙間からは肌が見えている。
右腕上部、左腿、そして胸の部分が大きくばっさりと)
(実のところ、今までその「切り裂き魔」と呼ばれている人物に関する目撃証言はなかった。
服を切り取られた被害者の証言は「振り返ったら誰も居ない」という点が共通していること。
だからこそ、馨は異形の仕業ではないかと考えていたのだが……たまたま今夜、その切り裂き魔と思しきものに遭遇できた、と馨は思っている。
ここで逃がしては、被害が拡大するかもしれない。
そう考えると、馨の走る速度が尚更上がる)
……くそ、見づれぇ……。
(その「人物」は人の形をしているが、格好が真っ黒いため、なかなか目で追うことができなかった。
時折設置されている街頭の光。
それを頼りに追いかけているが……その先に進むと思われる道に、ある姿を目撃する)
あれ……?
(光の中に見える白い洋服。
見た感じは背が小さく、そして金髪のポニーテール……。
自分の頭で知りえる限りでは、その人物は一人しか居ない)
逃げて、先輩!
(走りつつも全力で、先輩に向かって声を上げた)
【実は遅くなかったのですが、ちらっとだけ入れました】
【細部は任せますので!(まる投げした】
【ではでは、よろしくお願いします】
ふぅ……
(バイオリンケースを、手持ちから肩かけに持ち替えて、小さく息をつく。)
(春らしい生温い風が髪や頬を撫でていくけれど、うなじがちりちりとするような、緊迫した霊気が漂っている。)
(こんな夜は、決まって戦いになる…)
(そんな予感に、改めて身を引き締め、白いうさみみパーカーの上からP7を確認する。)
―――――っ?
(その霊気のような瘴気のような空気の威圧感が、急激に体を襲う。)
(ふわりと髪を揺らして、その方向へ半回転。まっすぐに、暗闇を見据えて)
(真っ黒い何かが、こちらへ向かって真っ直ぐ突き進んでくる。)
(素早くパーカーのファスナーを降ろして、ホルスターのホックをぱちんと弾く。)
(手に馴染んだグリップを握り締め、眉を寄せ、目を細めて、その物をサイトに納めようとして)
……っ、あ!
(グリップセーフティーを解除する直前で、銃を構えた両腕を慌てて下ろす。)
(声が――聞いたことのある声が、聞こえたから――)
きゃ……っ
(風圧が横切り、パーカーの前面が、なにか鋭利な刃物で切り取られる。)
――ッ
(その攻撃は、中にまでは至っていないものの、飴色のホルスターを露わにして)
(前山の姿を目視。躊躇わなかったと言ったら、嘘になるけれど)
(握り締めたP7のセーフティーを、解除。)
(再び襲い掛かろうとでもしているのか、再び、こちらへ向かってくる黒い影を、今度こそサイトに捉えて)
ボッシュッ
(P7特有の、くぐもった音が闇に響く。)
しま…った!外した!!
(思いのほか素早い動きと闇に紛れる暗黒の姿に、視界が翻弄される。)
その声、前山くん――?
あなたこそ、こんなの追いかけてないで、早くお逃げなさいませっ
だから、夜は危ないって、言ったでしょうっ?
【よく考えたら、導入だけ出して、わたしこそ前山くんに丸投げ、でした…】
【それでは、よろしくお願いいたしますわ。】
>>201 (影は、自分の逃げる先に新たな獲物を見つけたと見るや、逃げから転じて攻撃にかかる。
自分の影の形を変え、ライトが当たって白く眩しい久遠先輩――の影に対して攻撃する。
そこには何もないはずだが、久遠先輩のパーカーは切り裂かれた。
影は、その中にホルスターを見るなり、背後を確認。
そして、目の前に居る久遠先輩と対峙した)
(その間に、軌道を確認する余裕があるほどの影。
銃身の向きと、指の動きを追い、影はすっと流れるように動き、弾丸を避けた)
(久遠先輩の声が耳に届くも、そんなことは考えていられない、とばかりに声を荒げる)
先輩こそ、逃げてください!
こいつは危ないんですから!
(そう言うと、立ち止まっている影に対してタックルをかます馨。
油断し、今から体勢を立て直そうとしていた影はかわすことができず、二人でもみくちゃになって乱闘を始める)
この、くそ……っ!
(暴れているうちに、切り裂かれたウィンドブレーカーからライターが落ち、かちゃん、と音を立てて久遠先輩の方へ転がっていった)
あっ……!
(一瞬、ライターに気を取られる馨。
その隙を狙い、影は馨の顔面に殴りかかった。
ゴッ、という音を立て、馨はノックアウト。
無様に影から転がり落ちてしまった)
(触れられた感触も無いうちに、パーカーが切り裂かれている。)
(弾丸は、外したというよりも、避けられたという事実。)
(それが、この黒い存在が只者ではないということを、確実に告げている。)
(異形なのか、悪意のある異能者なのか…いずれにせよ、止めなければならない。)
こいつは、危ないって・・・
ちょ…まって!!
(引き止める間もなく、前山が黒い姿に対して、文字通りタックルをかまして)
―――っ!!
(見れば、前山のソレにやられたのか、黒い上着のあちらこちらが切り裂かれていて)
(もしかしたら、次に切られるのは、その中に見えている素肌かもしれないと、ぞくりと背中が凍りつく。)
……っ
(黒い影と前山が、もみくちゃになっているところを、何度か狙ってみるものの)
(二人の動きの素早さに、小さく舌打ちをする。)
(手に持った銃を上げたり降ろしたりと、自分の出来ることを考えながら、手をこまねいていると)
(小さな音を立てて、前山の裂かれた服から、何かが零れ落ちて)
……?
(足元へ転がってくる、小さなそのなにかを拾い上げて)
らい、たー?
(前山くん、煙草でも…と思った瞬間)
あっ!!
(ずるりと力無く影から滑り落ちるように崩れる前山の姿が、視界に入る。)
前山くん!前山くん!!
(必死で呼びかけて、影に向かって銃を構える。)
(ぴくりとも動かない前山の姿に、病院で再会した父の姿がフラッシュバックする。)
っう、あ…、うあぁぁーーーっ
(前山の校則から逃れた影に向かって、続けざまに3発撃ち込んでいく。)
>>203 うう……ん……。
(正面からぐーパンチを受け、慣れない衝撃とショックに昏倒する馨。
影に馬乗りになっていた姿から、ばったりと後ろに倒れ、大の字で地面に横になって居た)
(一方、影が馨の拘束からやっとこさ、逃れたところで……飛来した三発の弾。
まだ少年とはいえ、そこそこ重さのある身体に足を取られていた影は、立て続けにその弾丸を食らう。
打たれた瞬間、影が痙攣し……そのまま、地面に崩れ落ちていった。
影はそのまま、影に帰るかと思われたが……さらさら、と灰になり、空へと姿を消していった)
…………。
(右目の目頭と、鼻の付け根の間ぐらいにパンチを受けた馨は、地面に仰向けになったまま、動かない。
近づくとわかるが、切り裂かれたウィンドブレーカーからは同じように斬られたインナーと、うっすらと血のついた傷が見える。
腕と足に血はついていなかったが……運が悪ければ、久遠先輩が死んでいたかもしれない、ということを思わせた)
(3つの弾丸は、真っ直ぐと黒いものに向かう。)
(前山との戦闘直後の油断からか、弾丸の全てをその身に受け止めて)
―――っ
(黒いものが、姿を灰に変え、夜の空気に霧散するが早いか、ゆりかが前山に向かって駆け出すのが早いか)
前山、くんっ!!
(駆け寄りながら、P7をホルスターに仕舞って――仕舞ったところで、裂けたパーカーから丸見えだったけれど。)
(地面に仰向けになっている姿の横に、ミントグリーンのワンピースが汚れるのも厭わずに、座り込み)
(前山の顔に、頬を寄せて)
――息、してる…
(ひとまずは、生きている……まだ、だけれど)
(両肩を掴もうとして、手を伸ばしかけ、引っ込める。)
そ…だ……揺らしちゃ、ダメですわ……
…えっと……意識の確認……
(昔、父親に教え込まれた対処を、一つ一つ丁寧に思い出していく。)
(ぴくりとも動かない前山の様子に、血の気が引き指が震えたけれど)
前山、くん。
さーきやーま、くーん。
(あまり頭に響かせないように、落ち着いた声色を懸命に出して、呼びかける。)
(同時に、嘔吐物が無いかどうか確認する為に、刺激しないようゆっくりと前山の唇に指を引っ掛けて)
>>205 (声をかけられても、馨の表情はぴくりとも動かなかった。
しかし、切り裂かれたウィンドブレーカーから見える胸は上下しているので、呼吸があることを匂わせる。
見える範囲では胸以外に傷はなく、特に流血しているようにも見えない。
一先ずは大丈夫そうだとは、見て取れる)
(しかし……やはり、目を覚まさない)
(口の中には悪臭が漂ってなかったし、異物も特に見られなかった。
ということは、嘔吐物は特にないということだ。
呼吸も安定している)
(だが……しつこいようだが、目が覚めなかった)
【先輩、どのくらいまで大丈夫ですか?】
【用があるようでしたら、19時で凍結にします?】
【そうですわね。凍結、お願いできますか?】
【今の所、解凍の具体的な日時がわからないので、本日中には一旦置きをさせていただきますわね。】
【月曜日の夜までには、予定がわかるはずですので…】
【前山くんのほうは、解凍するとしたら、いつぐらいがよろしくて?】
>>207 【了解ですー】
【忙しい時期は過ぎたので、曜日選ばず午後9時か10時にはこちらへ出向けますよー】
【GWも特に出かける予定はないですが……昼は結構埋まっているので夜の方がいいですねー】
【承知いたしました。】
【それでは、わたしの方の日程の確認が出来次第、避難所にでも伝言させていただきますわね。】
【なにか質問等お互いにあれば、その時にでも】
【それでは、今夜はこれで失礼させて頂きますわね。】
【おやすみなさいませ。良い夢を…ですわ。】
>>209 【了解です】
【では、お待ちしていますねー】
【おやすみなさいませー】
【早々に、前山くんへのレスに1レスお借りいたしますわ。】
>>206 (嘔吐物も無し、一見して呼吸も落ち着いていて、おかしいところは無い。)
(外傷も、見えているだけだが、薄く胸が切られている他、大きなものは無くて)
……前山くん?
(打ち所が悪かったのだろうか?それとも、見つけることの出来ない致命的な傷があるのだろうか?)
(心配と不安で、胸が早鐘のように打って)
(まるで眠っているようなその姿の頬を、掌でそっと撫でてみる。)
ねぇ…起きて……
ど…したの?ねぇ。目、開けてくださいませ。
どうしたらいいんですの…
そ…だ、晶くんに、電話……ダメ、ですわ。
あの子も、きっとまだ仕事中……
(それでも、このまま前山が目覚めなければ、兵部の助けを請うことになるかもしれない。)
起きてくださいませ、ねぇっ?
また、スポドリでもなんでも、奢りますから……
(頬を擦る手の動きを、だんだんと早くしていって)
(仕舞いには、ペチペチと軽く叩きながら)
【お借りいたしました。ありがとうございます。】
【あまりにレスが早すぎて光の速さで噴きました……】
【というわけで、こちらも1レス、置きレスで使用します】
>>211 (久遠先輩が触れる頬。
その頬にはまだハリもあり、暖かい。
走ってきた直後だったからか、頬はまだ上気して赤く、まるで死んでいるとは思えない顔だった。
また、右目の目元と目蓋がだんだんと腫れてくる。
明らかに、殴られたとわかるようにはっきりとそれが主張し始めた)
(久遠先輩の手が早くなると、頬が揺れる速度が速くなる。
運動しなくなってから、少し体温が下がってきたのか頬は黄色く色落ちしてくる。
しかし、久遠先輩が頬を張ると、やがてその頬が赤くなってくる)
う……うう、ん……?
(何度か頬を張られているうちに、久遠先輩の手の中で小さく声をあげる馨。
うっすらと左目を開き、左手を顔に翳して、殴られたらしい右目の辺りを摩る。
すると、赤く腫れ始めたところに触れたところで声を上げる)
痛っ……。
あれ、先輩……。
あいつは……どうしました……?
(身体を起こそうと、右手を地面につく馨。
しかし、うまく手に力が入らずに地面に寝そべってしまう)
【お借りしました、ありがとうございました】
>>庚 悠吾 ◆rA7YGhI/mUさん
【避難所か本スレか迷ったのですが、名無しさんですのでこちらに伝言を置かせて頂きます】
【予定外の用事が長引いており、帰りが遅くなりそうです】
【申し訳ありませんが……今日の解凍は厳しいかと思われます】
【もし明日以降の夜間に変更可能であれば、お願いしたいのですが……】
【と出先より連絡させていただきましたっ……。ノシ】
>>213 【うん、そういうことなら仕方ないね】
【こちらのことは気にせずゆっくり用事を用事を片付けて欲しい】
【解凍の日程だけど、明日の夜でどうだろう】
【明日の夜なら何時でも対応できるので、都合の良い時間があれば指定して欲しい】
215 :
名無しさん@ピンキー:2010/04/26(月) 01:52:52 ID:DowTNrIj
明日か……
【鳴海 絢 ◆xZrZ.eP7R2先輩、庚 悠吾 ◆rA7YGhI/mUさんへ】
【これからこのスレをロールで使用させていただきます】
【ロール中でも伝言は遠慮なくしてください】
【もし、気が引けるということでしたら、お手数ですが避難所へお願いします】
【久遠ゆりか ◆Juli/dituo先輩とスレを使わせていただきますね】
【お邪魔しますー】
【…クッキーが!】
【本当にもう…申し訳ございません。】
【忘れていただければ、幸いですわ。】
【前山 馨 ◆KAORU./MzYさんとのロールの解凍に、お借りいたします。】
>>212 (何度呼びかけても、微動だにしない姿は、どうしても嫌な思い出を呼び起こす。)
ねぇ…お願い……前山くん……?
(半ば泣き声になりつつ、何度も頬を擦って)
………っ
(やがて、赤みの指してきた頬。)
(微かだけれど、声が聞こえて―――)
前山くんっ
(よろめきながらも、起き上がろうとするその姿に、懸命になって声をかけて)
(目を擦るような仕草を見たかと思うと、痛…という声を聞き、前山の目のあたりが酷く赤く腫れていることに気がつく。)
あ…触らないでっ
視界は?大丈夫ですの?見えています?
(再び体を横にする前山の目前で、ひらひらと掌をゆっくり振って見せる。)
ど…したら……あぁ、まずは冷やさなきゃ
(きょろきょろと見渡してみるも、水道のある公園までには、少し距離がある。)
(ミネラルウォーターなどが買えそうな自動販売機も、見当たらずに)
………そっだ…
(少し考えたのち、バイオリンケースをぱくんと開いて、93Rを取り出す。)
(遊底を取り外し、金属製のひんやりとしたそれを)
(前山の一番腫れている部分を避けて、その周りを冷やすように、そっとあてがう。)
顔を殴られたんですのね。
急に起き上がっては、ダメですわ。ゆっくりと、息をちゃんと吐いて、吸って。
あれは、消えましたわ。
なんか…灰みたいな、砂みたいな状態になって……
だから言ったでしょう?この街の夜は、危険ですわ…って。
あんな物に普通の人間が素手で向かうなんて…自殺行為ですわよ?
あ…それと、これ。前山くん、の?
(先程拾い上げたライターをポケットから取り出して、地面に横たわる前山の左目の前にちらつかせる。)
いいのかな?こういうもの持っていて。中学生さん?
【それでは、よろしくお願いいたします。】
>>219 先輩……俺は大丈夫ですから。
だから……先輩は心配しなくても大丈夫です。
大丈夫ですって。
(ぼんやりとした目で、動いている先輩の手のひらを追いかけて左目が動く。
小さく唸り声を上げつつ、再びゆっくりと目を閉じて首を縦に頷いた)
んん……そうですね、顔面をがつんって殴られました。
頭が揺れたような感じがして……あー、痛かった……。
(金属のひんやりした感触を受けて、左目だけをあける。
既に腫れ始めている右目は開けるのが難しく、ほんのわずかかな視界しか確保できなかった。
眉間に皺を寄せ、難しい顔になってしまうが……それすらも辛い。
その間、先輩が話しかけてくれる言葉を聞き入れ……ゆっくりと、深呼吸を繰り返した)
消えた……?
ああ、ならよかった……まぁ……危険は承知でしたし、素手ではなか……。
(やはり難しい顔をしながら、先輩の手に握られているライターを手に取る。
それを見ると、明らかに目の色が変わった)
……えっと。
よくないんです、が……。
(冷や汗を流しつつ、あー、うー、と判然としない言葉を言いながらどう言おうか迷う)
……先輩とおんなじですよ。
だから……持っていたんです。
(カマをかけつつ、先輩の反応をうかがう。
そのためには大きい賭けではあったが……そんな言葉を発してみる)
【こちらは大丈夫ですー】
【が、こういう場合……向こうの方気をつけてください】
【ではでは、よろしくお願いします】
あー、痛かった、って!
当たり前ですわ、あんな物と素手で戦って、感想が呑気すぎますわ。
(まだ心配の表情を浮かべながら、前山を見ているものの)
(きちんと受け答えが出来ている様子に、一先ずは胸を撫でおろす。)
(差し出したライターを受け取ると、口籠もり、あーうー等と呟く姿に、小さく溜息。)
…………わたしと、おんなじ?
このわたしが、喫煙しているように見えますの?
そりゃあ、この服を初めて見た方に一度、悪い薬でもやってんの?と、聞かれたことはありますけれど。
……それよりかは、喫煙疑惑の方がマシ、ですわね。
それとも、なに?
(前山の体温でぬるくなった遊低をひっくり返して、再び冷たい面を当てて)
このライターを使って、なにか戦おうって言うんですの?
(首を捻って考える。)
(ライターで戦う、なんてのは、あまり聞いた事が無い。)
(使えるとしたら、ガス…それでは、この1本程度では異形に立ち向かうのは難しいだろう。)
(ガスじゃないとしたら、炎……ライター程度の?)
(考えをめぐらせながら、遊低を持ち上げて、前山の目元を確認。)
(依然と腫れている状態ではあったが、前山の様子は随分と落ち着いて見えた。)
…………前山くん。
このライターで、なにか勝算が?
さっきみたいなヤツと戦うの、もしかして初めてでは無い……とか?
>>221 いや、そりゃ……こんな傷受けてますしねぇ。
(ほら、といいつつ斬られたウィンドブレーカーを示して見せる。
下手したらこうなっていたかも、というアピールだが……それでもそれは暢気に見えた)
ええ、先輩とおんなじですよ。
……ええっと、喫煙しているわけじゃないです!
煙草なんてすわないですから、未成年者は喫煙しちゃいけません!
(自分も未成年者だが、必死に訴える様は怪しくも見える。
しかし、あまり騒ぎ立てると頭に響くのか、あー、ともうーともつかぬ声を出して再び静かになる)
勝算……ならありました、一応。
ああいうのと戦うのは……えっと……もう何回戦ったか忘れましたが、とりあえず初めてではないです。
その、ライターっていうのはその勝算を勝ち取る上で重要なアイテムでして。
……納得してもらえました?
(目元が腫れているせいか、少々間抜けな表情に見える馨。
しかし、本人は至って真面目に話をしていた。
その証拠に、先ほどまでは左目の焦点がはっきりしていなかったが……今では、しっかりと先輩を見つめていた)
ああ、そうそう……俺の手の内を見せてもいいですけど……その代わり、先輩も手の内見せてくださいね。
(にっこりと笑いかける馨。
しかし……目が腫れているようではそれは無様か)
はぁ………
(目元を腫らした姿で、ウィンドブレーカーの切り裂かれた様子を指し示す前山を見て、再び溜息。)
(まだ、死ぬぐらいの目に会っていないのか、それとも前山生来ののん気さなのか)
(その様子に、なんとなく心安らぐものを感じたけれど、それ以上の心配も感じてしまう。)
あ、あーぁ…おっきな声、出すから…
(未成年は喫煙をしてはいけない事を必死で力説しては、呻き声をあげる前山の目元に)
(ずいぶんとぬるくなってしまったけれど、無いよりマシだろうと、また遊低をひっくり返してあてがう。)
わたしは教師でも指導員でも警察でも、ましてや前山くんの保護者でも無いですもの。
それを咎める権利は、無いんですけれどね。
ま、解かりましたわ。
喫煙は、なさって無いんですわね。信じますわ。
………初めてでは、ない。
(少しだけ予測はしていた返答を貰って、改めてこの街の、あの学園の、夜に関わる者の多さに驚く。)
この、ライターが?
(あてがっても意味の無いほどに、すっかりと人肌の温度になってしまった遊低を持ち上げ、首をかしげて、前山を見る。)
(見返してくる顔は、まるで漫画のように目元が腫れていたけれど、その奥の瞳は真剣そのもので)
(それに、初めてでは無いと言い切ったからには、きっと彼は、今までこのライターで勝利と明日の命を得てきたのだろうと)
解かり……ましたわ。
(傍らのバイオリンケース上に置いてある93Rを持ち上げて、遊低を戻す。)
手の内、見せ合いましょうか?
………ところで、立てますの?
>>223 え、いや、先輩、ため息つかないでくださいよ。
こんな傷ですんだだけまだマシなんですから……。
初っ端、俺本当にやられたかと思ったんですからね……?
(ため息をつく先輩を見て言葉をまくし立てる馨。
必死に両手でウィンドブレーカーを揺らしてアピールするものの、それはあんまり効果がないかもしれない)
ん……いや、そこは先輩なんですから……俺が例えば喫煙していたとしたら、それは立派に咎めていいと思いますよ。
それはやっちゃいけないことですから、権利云々じゃないと思います。
(ぬるくなったその金属の硬さを感じつつ、小さく呻く馨。
やはり、瘤になってしまってはじんじんと痛みだす。
うっすらと目を開け、先輩の顔を見て……どうやら煙草に関しては信じてくれたようだ、と安堵した)
ええ、初めてではないです。
先輩みたいに、あれと戦おうっていう人も初めてではないですし……。
(金属の重みが取れると、小さく首を横へ曲げる馨。
こきこきといい音がして、再びじっ、と先輩を見つめる)
交渉成立ですね。
ええ……もう、立てます。
(両手を地面について、よっ、と小さく声を上げると立ち上がる馨。
ウィンドブレーカーについたゴミを払い、軽く両頬を張って意識を集中させた)
言い出したからには俺からやりますね。
ちょっと、失礼。
(断りを入れた後で先輩の手からライターを受け取る。
ライターの着火石を擦り、しゅぼ、と炎が揺らめく。
その火に、右手をかざすと……。
一瞬にして炎が膨れ上がり、あわや爆発かと思えるような勢いのそれが現れる。
適度に火力を調節して、先輩に被害が及ばないよう、配慮も怠らなかった)
こんな感じです。
だーかーら、こそっ
溜息ついているんですわよ。
(やられたかと思ったと言いながらアピールする姿。)
(なるほど…生来ののん気さが有力……と、少し呆れたように見つめ)
ま、ご無事でなにより、ですわね。お互いに。
さっき、前山くんも見ましたでしょう?
わたし、銃刀法違反ですもの。
後輩の喫煙を咎める権利、無いと思うのですわ。
……前山くんの健康を心配する、ぐらいかな?
わたしが、初めてでは無い。
(異形と戦うのが初めてでないという告白も、驚いたけれど)
(さらに、異形と戦う者と会うのも、ゆりかが初めてでは無いと言う。)
(この人の良さそうな前山から、何か情報が引き出せるかもしれないと考えながら、首を横に動かす前山に、にこっと笑ってみせる。)
その様子だと、大丈夫みたいですわね。
でも、今夜いっぱいは、ちゃんと冷やしたほうがいいと思いますけれど。
(立ち上がった前山にライターを渡すと、少年は慣れたような仕草でライターを扱って、小さな音と共に蒼めいた炎が出現する。)
(前山が右手をその炎にかざすと、あっと言う間に炎が増大し、まるで爆発のような火炎が発生する。)
…………
(なるほど、火系の能力。増大は出来る様子だけれど、鎮圧なども出来るのだろうか。)
(色々と便利そうな能力だな、と)
(それを、ただ黙って見つめて、そして炎から前山のほうへ視線を移す。)
わたしは、大したことは出来ませんわ。
前山くんみたいな、能力では無い……ですもの。
(嘘をつくのを、躊躇わなかったわけではないけれど、落ち着いた挙動を見せられたと思う。)
(遊低を戻し、元の姿に戻った93Rを持ち、マガジンを外して、それをバイオリンケースに転がす。)
いい?こんな、感じですわ。
(目にも止まらないような素早い動きで、遊低をスライドさせ、チャンバーに残った1発を排莢。)
(その銃弾がカランと音を立てて地面に落ちる前に、ショルダーストックを立てて構え、引き金を引く。)
(無論、残弾ゼロの状態のため、発砲はされなかったけれど)
……わたしの出来ることは、これだけですわ。
>>225 んー、そうですねぇ……お互い生きてて何よりです。
そういえば先輩は……大丈夫でした?
……なんか、上着斬られてますけど……。
(よくよく見てみると、先輩の白い上着が横にすっぱり切られ、別のものが覗いている。
まさかやばいものが見えているんじゃないかと思いつつ、少しどきどきし始めた)
ええ……まぁ、見ました。
確かに……銃刀法違反ですよ、ねー……。
(どうやら、先ほど見えた銃らしきものは偽者ではなかったようだ。
あれが偽者であれば、どんなにいいかとも思ったが……先輩のような可愛らしい人が、ガチガチの金属銃を持っているそのギャップにも、笑うしかなかった)
ええ、そうです。
初めてではないですし……ま、怪我も一度や二度じゃないですしね。
こんなこともありますって。
(そういいつつ、先輩が微笑んだので思わず自分も笑顔になる馨。
いつもならば、犬のようにころころとした笑みを浮かべるのだが……今日はなんだかオバケが笑っているようにも見える)
……っと、まぁ俺のはこんな感じです。
(そして、どんな技が出るのかと暢気に構えていたところで見えた早業。
あまりの動作の速さに、すぐには目が追いつかず、音でその成り行きを判断するしかなかった)
……わぁお。
かなり扱いに慣れてますね……。
ちょっと……度肝を抜かれてしまいました……。
(久遠先輩の動作を見て、目を丸くしている馨。
その言葉の通り、しばらくはそのまま、硬直しているしかなかった)
わたしは、大丈夫ですわよ。心配ご無用、ですわ。
仰るとおり、パーカー切られちゃいましたけれどね。
(お気に入りだったのになー、とか言いながら、パーカーの切り口を確認して)
うん。中のワンピは、無事ですわ。
ホルスター丸見えになってしまいましたけれど……ま、人通りを避けて帰りますし、なんとかなりますわ。
中学生がライターを所持しているのと、高校生が銃を所持しているのと。
どっちが連行モノかって、言うまでも無いですものね。
だから、今夜見たことは、誰にもナイショ、ですわよ?
……たとえ、同じように戦う者であったとしても。
(真面目な顔で、前山をじっと見つめ、そしてすぐにクスッと笑う。)
だって、この服装に銃なんて似合いませんでしょう?
誰かに知られたら、わたし、とっても恥ずかしいんですもの。
……うーん。
(前山が笑う様子を見て、腕を組んで一唸り。)
(記憶に新しい、あの晩ぶつかって少しだけお喋りした時の、前山の人懐っこそうな笑顔を思い出して、頭の中で比べてみる。)
その顔……早く治るといいですわね。
おうちへ帰って鏡をご覧になって、卒倒なさらないでくださいませね?
彼女さんとか、いらっしゃるんですの?
治らないうちに会う時は、前もってお知らせしたほうがよろしいですわよ。
ま、小学生の頃から触っていますもの。
嫌でも、こうなりますわ。
(にっこりと笑って、落ちた弾丸を拾い上げ、93R本体と一緒にバイオリンケースに放り込み、蓋を閉じる。)
前山くんのは…いわゆる異能、ですわね。
火系統の、能力?
それは、いつから?生まれつきなんですの?それとも、お家柄?
そういえば、戦おうって人を見るのは初めてでは無い…って、他に誰かご存知ですの?
>>227 (先輩の言葉を聴き、ほっと一息つく馨。
とりあえず自分よりも被害は少ないようだ――見た目的にも)
よかったです。
俺のこれはもう……使い物にならないんで、捨てるしかないですしねぇ……。
(ううーん、と小さく唸りつつ、穴を見る馨。
ファスナーで閉じるようになっているのだが、そのファスナーさえもスッパリ斬られている。
閉じることのない口を開閉させつつ、渋い顔をした)
ええ、そうですね。
大丈夫です、言ったりしないですよ。
だから安心してください、先輩。
(苦笑を浮かべつつ、左目だけを開けて先輩を見る。
こう話しているうちに、すっかり右目は腫れてしまって開かないほどになっていた)
確かに……似合わない、というかかなりギャップがありますよ。
まさか、こんな可愛らしい格好をしているのに中身はスナイパー……違うか、ガンスリンガーかな。
人が聞いたら、多分どこの漫画だって言われちゃいますよ。
……なんですか、渋い顔をして?
卒倒……って大げさな。
いや、自分でももう、右目が見えてないのわかっていますから。
大体、どんな顔になっているかくらいは想像できます。
……それに俺、彼女とかいないんで……驚くのは家族とクラスメイトぐらいかな……はは。
(先輩に言われると、だんだん表情が暗くなり……それこそオバケのようになる)
……小学生のときから?
(一瞬、耳を疑った。
確かに先輩は日本人の両親を持っているわけではない……だが、だからといって小学生から銃を持つ機会があるなど、紛争地域の子供ぐらいとしか思っていなかったからだ。
だからこそ、今、自分の常識が覆されたことに眩暈を覚えた)
そうですね、俺の場合異能ってことになると思います。
生まれつき……とか、家柄じゃないですよ。
家族では俺以外使えないですし……。
……俺に隠しているなら別ですけど。
他に知っている人、といえば……。
(右手を出して指折り数え始める馨。
一度、小指まで全て曲がり、更に小指は折り返して全ての間接が伸びる。
……が、薬指を伸ばそうというときに首を傾げ……中途半端な伸び方になった)
6.5人……もしかしたら6.3人かもしれないし、6.7人かもしれない……?
(人数の数え方としてありえない答えが返ってくる)
(あちこち切り裂かれたウィンドブレーカーを、渋い顔で見つめる前山を見て)
(洋服に関して、並々ならぬ情熱を注ぐゆりかにとって、その表情には心が揺さぶられ)
(よせばいいのに、ほんの少しだけ親切心と心配する気持ちが働く。)
……それって、大事なものですの?
えっと…わたし、実は意外と、服を直したりとか、得意なわけで……
ちょっと脱いで、貸してくださいませんか?
確かに、漫画だと、わたしみたいな女の子が銃を持っているストーリーも、ありそうですわね。
(すっかりと右目が塞がってしまった前山が、こちらを見る。)
(顔のことを話しているうちに、どんどんと暗くなっていく様子を見て、慌てて元気付けるように、笑顔で覗き込む。)
じゃあ、ご家族に言い訳が大変ですわね。ふふ…頑張ってくださいませ。
あ…えっと、腫れてるだけですもの。
すぐに治りますわ。だいじょーぶ、だいじょーぶ。
(まるで、弟にでもするかのように、精一杯背伸びして冗談めかして頭を撫でてやる。)
そ。小学生にあがった頃から、みっちりと仕込まれましたもの。
まだ高校生ですけれど、年季が違いますわ。
(パーカーが切られて、丸見えになっているホルスターをぽんぽんと叩いてみせる。)
……生まれつきでもないし、家柄でも?
じゃあ、誰かに与えられた能力?それとも、なにか変な物食べて?それとも、修行?
(矢継ぎ早に、質問を投げ掛ける。)
………なに、その中途半端な人数は。てんご、とか、てんなな、とか。
(前山の人数の数え方に、眉を顰める。)
半分よりちょっと多い人間って、なんですの、その不気味な存在は。
他に知っている人の名前…ご存知?
あの学園の生徒達?
>>229 ……え?
(思わず目が丸くなる馨。
きょとんとした顔をして……曖昧な返事をした)
ええと、割と大事なものですけど……。
……直すって……できるんですか……?
(そう思うのも無理はない。
ウィンドブレーカーは布でできているわけではなく、表面がポリエステルで覆われている。
いってみれば、風を完全に遮断するように生地自体ができている。
そんな生地の服を直すのだから、並大抵のものではないだろうと想像していた)
多分探せばあるんじゃないですかねー。
漫画みたいな話だからこそ……ま、現実味がないと申しますか。
(はは、と笑っている姿は、やはり苦い顔が抜けきれない)
このくらいなら言い訳できますよ。
ボーっとして走ってたら電柱にぶつかったとか、川原を走っていたら頭から落っこちてついでにウィンドブレーカー切れちゃったとか。
なんとでもなります、このくらい。
(先輩が背をのばす姿を見ると、ちょいと猫背にして頭を撫でやすいように調節する。
それでもやっぱり、悲しい思いは抜けないのでした)
へー……そんな昔から……。
そりゃ年季がかなり違いますよねぇ……。
(はー、といいつつ、先輩の仕草を眺める馨。
それだけ一緒だと、自分の身体の一部にも思えるんだろうなぁ、と思えた)
ええ、生まれつきでも家柄でもないです。
重ねて言いますが、家柄は多分、ですよ?
誰かに与えられた……っていう覚えもないし……変なものって、例えば何ですかね。
修行もしたことないですし……。
(あはは、と苦笑する馨。
本人にとってすれば「生まれたときには使えなかった能力」であり、「誰かに与えられた記憶」もなければ、
「特に何かした記憶」もなく……「いつの間にか使えるようになった能力」なのだった)
ええと、なんて言ったらいいか。
6人いっていった方が正しいか、7人って言った方が正しいかも知れません。
一人、多重人格者……というか、乗り移られた人が居まして、ね。
ちゃんと、あの学園の生徒ですよ。
(そう言うと、次々と7人の名前を挙げていく。
あげられた人物は、兵部、迫水、奏、アンジェラ、伊織、朱音、媛名の七人。
そして、ある程度の特徴と……伊織先輩、朱音先輩が同一人物で、人格が違うということを告げる)
【うあー、ちょっと名前と人数を確認していたら遅くなってしまいました、ごめんなさい】
えぇ…たぶん。
やったこと、ないけれど……
(自信は無かったが、以前コンクリートを分解させたこともある。)
(あの感覚の要領で、なんとかなるかも、と)
……ナイロン…炭素………構造は…
(ぶつぶつとなにやら呟きながら、頭の中で計算式を作っていく。)
ま、実はわたし、さっきのケースの中に工具を持っていますの。
最低でも、その金属ファスナーだけは直せますわ。
どうする?
ま、この街の存在自体が、漫画みたいなものですしね。
(不気味な顔で乾いた笑い声をあげる前山に対して、微妙な笑顔を浮かべて対応する。)
(早く、腫れが退けばいいけれど…と)
変なものって……
例えば……
兎を追いかけて落ちた穴の底で、「わたしを飲んで!」とか書いてある、怪しい小瓶の中身を飲んだ、とか?
(言って、クスクスと小さく笑う。)
いつの間にか、使えるようになったわけですわね。
んー…自然発生?元々、そういった素養があったのかしら?
それとも、本当は生まれつきで、何かのきっかけで使えるようになった…とか。
まぁ、考えていても埒が明かないでしょうけれど。
(大げさなジェスチャーで 『お手上げ』 と、いった風に見せて)
(多重人格と聞いて、一瞬水鏡の事かなとも思ったが、前山から告げられる名前軍にその名は無くて)
(代わりに、いくつかの聞き覚えのある名前。)
(兵部は、言うまでも無く自身が弟として可愛がっている、兵部晶のことだろう。)
(媛名、なんて名前は、あの学園が大きくとも、さすがに媛名葵以外にいないだろうし)
(面識は無かったけれど、紅裂から聞かされていた奏という名前。あとは、高等部の有名人伊織―――)
(あの陸上部で有名なお嬢様の先輩まで、なんらかの形で夜に関係しているとは)
―――伊織先輩が、多重人格?……乗り移られた?幽霊、とか?
(顎の下に指をあてて、頭の中を整理する。)
(天羽都が言っていた、幽霊に憑かれている学園の有名人の、話。)
なるほど、ね。
ありがとう。一つ、情報が集約いたしましたわ。納得。
そ…だ。あとこれは、わたし個人的に聞きたいこと。
奏…って、女の子の?奏永久って子?
………どんな感じの、子?
【いえいえ、わたしなんてなんにも無くても遅いですもの。】
【毎度お待たせしてしまって、申し訳ない限りですわ。】
>>231 やったことないけど、と言われてもなぁ……。
んー、とりあえずお任せしますか。
どうせ、俺が持っていても直りませんしねぇ。
なので、先輩に全てお任せします。
はい、どうぞ。
(さっさとウィンドブレーカーを脱ぐと、久遠先輩に手渡しする。
インナーまで切られてしまっている馨の姿は、ウィンドブレーカーを脱ぐと赤い血痕が痛々しい)
いえいえ、そんなことした覚えないですから!
子供の頃でも、そんなことしたとか聞いてないですしね。
(先輩の冗談にあっはっはと思わず声を上げて笑う)
自然発生……まぁ、そうかもしれませんけどねぇ……。
ここで議論してても多分仕方ないですね。
(先輩の仕草を見て、自分も好都合と、自分の話をきっぱりと終わらせる)
ええ、伊織先輩がそう言っていました。
「一つの身体に別の人格がある」って。
なんでも……「自分の身体を使っている別の人格」って言っていましたよ。
幽霊かどうかはわかりませんが……。
(正直、伊織先輩に聞かされた話はそこまでしかなかった。
更に、霧原先輩本人からその言葉を聞いたわけではないので……尚更、確証が薄い)
……乗り移られた、といえば、最近、狐に乗り移られた女の子が居ましたねぇ。
ほら、車椅子に乗っている……都ちゃん。
(ふと、思い出したことをぽろりとこぼす)
個人的に?
……どんな感じ、って言われましても。
(正直、首を傾げるしかないその質問。
一瞬悩み、自分の印象でいいなら、と前置きした上で話し始める)
そうですねぇ、なんだか怪談話とかよく集めていましたよ。
ああいうの、好きなんでしょうか。
見た目としては……その、体つきは……いい方です。
そして、髪が凄く長くて……背丈は……俺よりちょっと小さいくらいでしょうか。
……奏先輩がどうかしたんですか?
(伊織先輩に続き、名指しでしかも「個人的に聞きたい」といえば、自然と興味がわいてしまった)
【いえいえ、大丈夫ですよー】
【先輩のペースでレスしてくださいな】
(ウィンドブレーカーを受け取り、インナーに滲む赤い血の痛々しさに目を細めつつ)
(切り裂かれた箇所を指で撫でて確認する。ファスナーは、すぐに直せそうだった。)
なんとか、頑張ってみますわ。
別の人格が、ある……
(前山と天羽が言っている人物が同一ならば、高等部の期待の星、伊織は幽霊にとり憑かれている。)
(しかも、人格としてはっきりと出るくらいに。)
(前山は、幽霊かどうかは解からないと言っているし、天羽の口からは、伊織の名前を聞くことが無かった。)
(けれど、一つ一つのパーツを合わせていくと、双方同一人物の事を語っているとしか思えない。)
(そもそも、伊織とは面識が無かったが、夜を歩く人間、幽霊に憑かれている。)
(そのぐらいは、情報として持っていても損は無いだろう。何せ世界は、情報で動いている。)
…狐?
こっくりさんとかの、類ですの?
――って、天羽さん、が?
(息を飲み、そして直後、呆れたように息を吐き出す。)
は…ぁ……やっぱりあの子、目が離せませんわねぇ……狐ですか、狐……
天羽さんとは、お知り合いですの?
あぁ、同じ中等部ですものね。クラスメイトさん?
(前山の口から語られる、まだ見たことの無い奏永久の話に、じっと黙って耳を傾ける。)
(怪談話を集めているのは、きっと銀色の鬼の情報を集めているのだろう。)
いぇ、特に意味は無いんですの。
ただ―――わたし、の…大切な先輩が、とても気にかけていらっしゃる方だから
どんな方かなって、少しだけ興味本位?
だから、これも聞いた事はナイショにしてくださいませ?……恥ずかしい、から。
(小さく笑ってから、改めてウィンドブレーカーを抱えなおす。)
さて、直すとしますか。
あぁ、少し時間がかかりますの。だから適当におしゃべりしてくださっているなり、しててくださいませ?
……えっと、こっちを見ないで、くださいませね?
【大変申し訳ございませんが、もう一度凍結をお願いしてよろしいでしょうか?】
【解凍は、いまのところ水曜日と土曜日以外でしたら空いておりますわ。】
>>233 【了解です】
【こちらも、そろそろ凍結をお願いしようかなぁと思っていたところなのでー】
【こちらは、木曜日が埋まっているので……それ以外となると……】
【また明日でも大丈夫ですかねぇ……?】
【連日になってしまい、申し訳ないのですが……】
【い…いきなりPCが止まりましたわ。】
【投下直後、セフセフって気分……ですが、お待たせしてしまいましたっ】
【わたしのほうは、明日でもまったく問題ありませんですわ。】
【時間は今日(昨日?月曜日!)と、同じぐらいで?】
【明日は、締めに持っていけるかな、といったところですが、前山くんはいかがです?】
【もちろん、なにかやりたいことがございましたら、どどんと乗らせていただきますので】
【本日は見苦しいところをお見せしてしまい、申し訳ございませんでした。】
【わたしが失礼をしてしまいましたのに、お気遣いも頂きましてありがとうございます。】
【では、今夜はこれにて。また明日、火曜日に】
【おやすみなさいませ。良い夢を……】
>>235 【それでは明日(火曜日)の、同じ位の時間で】
【こっちは21時から身体が空くので、その時間には開始or待ち合わせOKです】
【こちらも……明日には〆に持っていけるかな、と】
【あとやろうとしても……多分、今日の最後で出した都ちゃんのことぐらいですからね】
【いえいえ、お気になさらず】
【まぁ……ないことではないですしね】
【というわけでおやすみなさい】
【先輩も、いい夢を見てくださいね】
【スレをお返ししますー】
【名前】兵部 晶(ひょうぶ あきら)
【年齢】14歳
【性別】男
【身長】153cm 42kg
【容貌】全体的に髪はショートだがアホ毛があり、もみ上げが長い。童顔。
基本的に仏頂面でツンツンした様子。
【能力】接触した物体、及びそれに接触していた物体を回転させる。
また己の非力を補う為に、銃器の訓練を積んでいる。
能力と組み合わせ弾丸の貫通力の向上や、弾道を曲げたりできる。
【武器】深紅色のサックスケース型ガンケース『ハーミット』or
対異形用複合電磁兵器『ジムノペディ』+S&W M38
【希望】NG以外なんでも
【NG】スカグロ
【弱点】持久力や弾数の関係から長期戦が苦手で、またかなり打たれ弱い。
【備考】中等部二年に属する、鳶色の髪の少年。以前は家族を溺愛し、また家族に溺愛された純粋無垢な少年であった。
しかし去年の夏に、異形の襲撃により家も家族も失ってしまう。
それから警察官であった父のもう一つの仕事、異形狩りを知り
復讐のためそれを受け継ぎ、訓練を受け『ガンスリンガー』のコードネームを得た。
だが様々な出会いから、大切なのは復讐でなく、同じことを
繰り返させないこととし、また孤児院の似たような境遇の子供達に
会うことで、改めて誰かを守ることへの大切さを自己確認した。
そのおかげかほんの少しだけ、表情が大人びた。
紫 一久とは組織的に協力関係、紅裂 拓兎とは類似した過去を持ち、
その心を理解しながらも、罪は許せず、断罪をすると誓った。
自分の心の支えである久遠ゆりかを姉と慕い、恋心を抱いている。
アンジェラ・トルーマンとは同じ公僕として組織的に協力関係にあり、
須佐乃水琴とは間接的な同僚、霧原朱音とは伊織津綺子を
敵対する組織から守るという前提で個人的に協力関係にある。
また媛名葵も組織的に協力関係であり、彼女個人に対しては強い信頼がある。
絵師さんに、僕の絵を描いて頂きました。
http://www.100gazou.com/sinzou/bbs.cgi?check_img=493&type=jpg http://www.100gazou.com/sinzou/bbsdata/img/498.png
【1さん、スレ立て乙でした。プロフ投下だけにて、失礼しますね。ノシ】
【新規参入希望】
【とりあえず今日はプロフ投下のみです】
【よろしくお願いします】
【名前】秋野 涼太(あきの りょうた)
【年齢】16歳(高等部1年)
【性別】男
【身長】176
【3サイズ】 −
【容貌】
明るいオレンジ色の髪。
釣り目だが愛嬌があり、笑うと人懐っこくなる。
ひょろっとしている。
【能力】
・ パイロキネシス
物体発火能力。酸素と発煙物質を結合させて発火させる。
能力発動時は異常に体温があがる。
【希望】日常、戦闘、雑談、エロール。
【NG】グロ、猟奇、スカ
【弱点】
能力発動時は人間の身体では長時間耐えきれないほど
体温があがるため長期戦には不向き。
水の中では能力を使えない。
【備考】
先天的な超能力者。
子供の頃はパイロキネシスに加えてテレキネシス、サイコキネシスも使用できた。
成長するにつれ能力は消滅し、現在はパイロキネシスのみしか使えない。
パイロキネシス自体も年々弱ってきており、二十歳までには消滅すると予想している。
高校入学を期に家を出た。
楽観的思考回路で「なんとかなる」が口癖。
成績は中の上。
料理が趣味。
【前山 馨 ◆KAORU./MzYさんとのロールにお借りいたします。】
【久遠ゆりか先輩とのロールの解凍に使いますねー】
(久遠先輩の仕草を眺めつつ、何をしているんだろうかと考えてみる。
ウィンドブレーカーの生地が何かということと、どう縫うかを考えているのだろうか?
しかし、馨にとっては破れてしまったものはしょうがなかった。
スポーツをやっているため、用品の消耗は激しい。
特に靴は人並み以上に履き潰してしまうため、それが修復されることは諦めていた)
まぁ……無理ならいいですよ。
ダメになった奴ですから、生地にしちゃっても構いませんし……。
どちらにしろ、先輩にお任せします。
ええ、別の人格だって言っていました。
ただ……もしかしたら、本人もよくわかっていないかも、しれません。
どうやら、もう一つの人格が目覚めているときは意識がないみたいですしね。
(そこまで話してから、とあることに気がつく。
先ほど名前をあげた一人、アンジェラ先輩に、軽々しく話すなと言われたことに)
あ……いっけね、喋りすぎた……。
(慌てて口を抑えるも、かなり喋った後なので効果は非常に薄かった)
(しかし、都ちゃんのことに関しては心配な点があるため、戸惑いつつも話し出す)
ええ、狐です。
こっくりさん……かなぁ?
そうは言っていませんでしたが……とりあえず、お狐様が憑いていますよ。
都ちゃんは、一度部活の応援に来てくれました。
あと、食堂で話したりしましたね。
都ちゃんは二年生で、俺は三年生なのでクラスは別ですけどね。
……先輩が都ちゃんを知っていて、都ちゃんに狐が憑いたことを知らないってことは……少なくとも、それは最近なんですね。
(都ちゃんに会ったときに、体力を吸われたあの現象。
最近とり憑かれたということは、まだあれの被害者もそう多くはないな、と考える)
……先輩の、先輩が?
……はぁ。
(どう反応していいか困ったもので、曖昧な返事をするしかなかった。
恥ずかしいと言っているということは……この先に待ち受けているのは三角関係なのかな、と頭を過ぎるものがあった。
女子ならばこういうことに好きで頭を突っ込む子がいるかもしれないが、内緒と言われると言うのが躊躇われる。
これは黙っておこう、と心に決めた)
(先輩が直すと宣言して目を見開く馨。
いくら工具を持っているとは言え、すぐに直せそうもないのに、まさか今直すとは思わなかったからだ。
しかし、直すと言われた以上はそれを見ているしかなく、小さく肯定の返事をするしかなかった)
それならそれでいいですが……。
先輩はどうなんでしょう?
先輩の方は、先ほど、俺が名前をあげた以外で知っている人は居ます?
(自分ばかり情報を提供していたのでは割に合わない、とばかりに先輩も何か知っていることはないかと訪ねる馨。
ウィンドブレーカーがなくなったからか、夜風が吹くと少し体を震わせた)
(前山に背中を向けて、ウィンドブレーカーを広げ、むむむ…と、小さく呟いてみせる。)
分解するだけなら、壊せばいいだけの話ですものね……
あ…分解して、結合…それなら…………あ、話してて話してて、聞いてますわ。
(前山の言葉にも、ふむふむと相槌う打ちつつ、ぶつぶつと聞き取れないような声で呟いている。)
っぷ。
(ここまで話して、初めて『いけね』と、いう声が聞こえて、思わず噴出してしまう。)
気がつくのが、遅すぎですわよ?
でも次に、一人一人の能力を聞こうと思っていましたので、その前に気がついて上々、といったところかしら?
(ばふばふと、ウィンドブレーカーの形を整えつつ、窘めるような声色で話し続ける。)
わたしにとっては、情報が途切れちゃって残念、ってとこです、けれどね。
今度からは、もっと早くにお気づきなさいませ。
こっくりさん…ねぇ……
わたし、あまり心霊的なことは信じていませんの。
でも、魔王様は存在するかな。たぶん。見たこと、ないけれど。
わたしの信じている方が、そう仰っていたから、きっと存在するのですわ。
だから、お狐様も、きっと存在するのでしょうね。
天羽さんも、前山くんも、嘘をつくような子には見えませんもの。
まぁ、わたしが天羽さんに最後に会ったのは、4ヶ月ぐらい前のことですもの。
前はよく高等部へ来ていたのに、最近はあまり見かけなくなってしまって、心配していたところですわ。
(言いつつ、ファスナーの金属の上で、何度か指を滑らせて)
………っしゃ。
こういうのは、慣れているから楽勝っと。
そ。わたしの先輩。
(ウインドブレーカーの裂け目を一つ一つチェックしている手を止めて、顔だけを前山に向け一言放つ。)
……言っておきますけれど、愛だの恋だのなんだのって、そういうお話じゃないですわよ。
(ゆりかにしては、少しだけ勘が冴えたようだった。)
わたしが?知っている人?そんなの、言うと思っていますの?
―――なんて、ね。前山くん、素直でイイコそうだから、少しだけ情報を差し上げますわ。
あなたが話した中で、わたしが知っているのは兵部…兵部晶、くん。
この子はいい子ですわ。なにかあったら、頼りなさいませ。
媛名先輩の名前も知っていますけれど、あの方とは夜の…というよりも、普通に先輩後輩。
女の子同士のオトモダチ、ですの。だから、詳しくは解かりませんわ。
でも、とても有能な方だと感じておりますの。
悪さをするのなら、異形も異能も狩る方ですので、前山くん気をつけてくださいませね。
あとは…名前を挙げた以外では……
(そこまで話して、口を噤む。)
(ウィンドブレーカーのダメージは全て確認。準備が終わったからだ。)
―――Деградация
【しょっぱなからお待たせいたしましたっ】
【それでは、よろしくお願いいたしますわ。】
>>243 ……はぁ……?
(話していて、といわれたものの、話をする相手が後ろを振り向いていては話をしようにも非常に話しづらい。
次に何を話そうかと考えるものの……やはり、話題に窮してしまうのだった)
わ、笑わないでくださいよ……!
まぁ……危うく話をするところでしたけど……。
……あの、べらべら喋ったことは内緒にしてくださいね。
(ひそひそと囁く)
ええ、今度から気をつけます……。
心霊的なモノを信じないのに魔王は信じるんですか……。
……単なる先入観でいくと、先輩ってキリスト教徒っぽいから神様とかは信じていそうですけどね。
あれ、でもロシアのキリスト教ってちょっと違うんだっけ?
(そこらへんのことは詳しくないので首を傾げる馨。
しかし、ない知恵は絞っても出てこない、か)
ああ……4ヶ月前ですか。
そりゃ、変わってても知らないでしょうね……。
俺が会ったのは……確か1月の終わりはまだ普通、でしたね。
で、この前あったら変わっていたので……少なくとも、その間に何かあったんでしょう。
あ、あと……そのお狐さまの影響で、体力を奪われることがあるかもしれません。
それだけは気をつけてください。
(自分が身をもって体験した出来事を口にする馨。
単なる注意喚起だが、それでも十分だろう、と)
へぇー……。
……ああ、なんだ、違うんですか。
てっきりそういう話かと。
(はは、と苦笑する馨。
その影にはそういう話だったらいいな、という願望もなくはなかったり)
まぁまぁ……少しぐらい、教えてくれたっていいじゃないですか。
(ここで先輩が話をしなかったら、自分はかなり損しているな、と思いつつ、先輩の話を聞く馨。
今あがった人の名前を頷きつつ、聞き入る)
……へぇー……?
(過去二回、会った中では兵部晶は少し棘のある言葉しか投げかけられなかったような気がする。
そんな彼が、先輩にとっては「いい子」というからには、自分の知らない顔があるんだろうなぁ、と驚きが入った。
また、媛名先輩の名前を聞き、あの人も実は知られているのかもしれない、とちらりと考える)
俺が悪さするってことは……ないと思いますけどねぇ……。
そこのところ、肝に銘じておきます。
(久遠先輩の詠唱が始まるも、何を言っているかさっぱりわからないのでただただぽかん、と見つめている)
(囁くような声に、小さく笑ってこくんと頷く。)
じゃあ、今夜のことはお互いにナイショ、ですわね。
ロシアは、正教会ですわね。
ま、最近は色々な宗教も入ってきているみたいですし、もっと古い宗教なんかも…
わたしは、生まれも育ちも日本ですもの。あまり、詳しくは無いですけれど。
目の前で、見せていただければ現実として信じますわ。
魔王さまは、わたしが信頼する方が見てきたんですもの。だから、信じていますの。
……それだけ。
お狐様の影響で、体力を奪われる……?
はぁ……
(前山の気をつけてと言う声色を聞いて、なんとなく察しがついた。)
なるほど、前山くんは人に注意を促さなければならいほど、体力奪われちゃったわけ、ですわね。
(異能を乱し、体力までも奪う…地味に無敵じゃないの。と、小さく呟きながら)
なによ…その、いかにも期待はずれで残念です。って、笑いは。
ただ、その先輩のことはとっても大好きですわ。
愛とか恋とかではないけれど、わたしにとって少し特別な存在であることは、確かですわね。
…っと、わたしもちょっと、喋りすぎちゃいましたわね。
(集中する為に発した単語。同時に、地面に広げたウィンドブレーカーの上で、ゆっくりと掌を移動させる。)
………………
(地面についている膝に砂利が食い込む痛みも気付かないほどに、集中して、押し黙り、額には軽く汗が滲む。)
――――っ、は…ぁ〜……
(気の抜けたような声を出しながら、大きく息を吐き出して、張っていた背中の緊張がかくんと融ける。)
そう。肝に銘じておいたほうがいいですわ。
異能者は、その能力がゆえに、道を外し易い。
―――あ、そうそう。
(地面に広げていたウィンドブレーカーを持ち上げて、軽くばさばさと埃を払い、簡単にくるくると畳む。)
高等部に、色のついた名前を持つ、二人の男子生徒が居ますわ。
一人は、少し軽薄な感じの表情を浮かべて笑う、紅い髪の男。
もう一人は、黒髪で柔らかい笑顔の優男。
まぁ…二人とも"それ"は、あくまでも昼間のお顔、ですけれど。
その二人には、気をつけて。
(紅裂拓兎と紫一久、これ以上、二人の争いに巻き込まれる人間が増えないよう願って)
(二人を一括りにし、情報として与える。)
はい、出来上がり。
(簡単に丸められたウィンドブレーカーを、前山の胸元に押し付けるように返して)
……裂けていたところ、少し色が薄くなっちゃいましたけれど、そんなに目立たないし、まだまだ使えますわ。
>>245 そうですねー……そうしていただけると助かります。
(ほっと胸を撫でおろす馨。
一時はどうなるかと思ったが、なんとか交渉成立して不安は除かれた)
生まれも日本なんですか?
ああー、それじゃああんまり詳しくないのも納得ですねぇ。
(ふーん、と呟きつつ、先輩の言葉を噛み締めると……どうやら見たものしか信じないのかな、とちらりと考える。
しかし、やたらと出てくる「先輩が」という言葉には何か引っかかるものを感じずには居られなかった)
ええ。
お狐さまが出てくるのに、どうやら体力が要るらしくって。
まぁ……かなり奪われましたね。
なので、今は要注意だと思いますよ。
(あの時のことを考えると、今みたいに下手をすれば死んでいたんじゃないかと思うと……再び、背筋に冷たいものを感じた)
いえいえ。
ただ、よっぽど気にかけていらっしゃるんだなぁ、って。
単にそれだけです。
(先輩の反応を見る限り、その「特別」というのにはいろいろなものを感じずにはいられなかったが、それ以上は言及しない)
……えっと……大丈夫ですか……?
(いきなりわけのわからない言葉の後、脱力したように見えた先輩に驚きを隠せない。
ウィンドブレーカーをなおすだけなのに、そんなに労力が要るものだろうか、と不思議に感じてしまう)
ええ、ちゃんと肝に銘じておきます。
……色のついた名前を持つ男子生徒?
紅い髪の先輩と、黒髪で柔らかい笑顔の先輩……?
……はぁ。
(会ったことがないので想像がつかないが……わざわざ注意するということは、何かあるということだろう。
そのときは、何があっても驚かない方がいいんだろうな、と考えつつ、ウィンドブレーカーを受け取る)
お、ありがとうございます。
……え、すげぇ、どこ切られたかわかんなくなってる!?
……何したんですか……?
(目の前で起こったことが信じられず、目を白黒させる馨。
受け取ったウィンドブレーカーに袖をとおすと……寒さなど微塵も感じなかった)
あっちには、祖父母も住んでいますので、何度かは行ったことがありますけれど
親戚と話すのに最低限ぐらいしか、言葉も知りませんもの。
ほとんど観光気分、ですわね。
わたし、国籍も日本ですもの。祖国って感じは、微塵も感じませんわ。
そう、ですわね。
あの子…天羽さんに触れるのは、注意なさったほうがよろしいですわ。
前山くんみたいに、異能を持つものは。特に。
天羽さんを傷つけることに、なりかねないから。
(小さくため息。)
(あの少女は、元気で愛らしくて、些か好奇心が強すぎる向こう見ずな彼女は、能力を少しでも扱えるようになったのだろうか。)
う、ううう、うっさいです、わねっ
わた、わたし、が、せっ、先輩のこと、気にかけちゃダメってんですのっ
(見るからに、わたわたとしながら訴えかける。)
(注目してください、と言わんばかりの行動だと、ゆりか自身でも解かっていたが、とめられなかった。)
そ、それだけ、ならっ、この話はおしまいですわっ
―――あ、あぁ
(大丈夫ですかと問いかけられて、吐き出す息と同時に返答の声を出す。)
大丈夫、ですわ。
ちょっとだけ…初めての素材でしたので…それに、普段の応用ってだけで、わたしの範疇外……
形が無くなってしまわなかっただけでも………
……あぁ、なんでもないですわ。とにかく、大丈夫。
(額に浮かんだ汗をパーカーの袖口で無造作に拭って、笑顔を返す。)
そう。特に黒髪のほうには、さっきわたしに話したみたいに、ぺらぺらと情報を漏らしてはダメですわ。
わたしの1億倍はお口のお上手な方ですから、前山くんなんか、あっという間に骨までしゃぶられますわよ?
ほんの些細なことでも、誰かにとっては重要な情報かもしれない。それが、夜の世界ですもの。
だから――気をつけて。
ちなみに、このお話もナイショ、ね?
こんなこと、人に話したなんて知られたら、わたし叱られちゃいますもの。
(ウィンドブレーカーを手渡したあと、人差し指の指先を自身の唇に当てて『しぃー』と言って見せ)
よかった。
たぶん昼間に日光の下で見たら、修正跡が少し目立っちゃいますけれど…
こうやって夜見れば、解からないレベルですわね。
じゃあ、わたしはそろそろ帰りますわね。
あ、そうだ。
(バイオリンケースを再び開いて、今度は銃ではなく、ラインストーンや薔薇パーツで煌びやかにデコられた携帯を取り出して)
……携帯、お持ち?赤外線でアドレス交換、出来る?
それとも、わたしなんかと番号交換するのは、不本意?
>>247 なんか……そういう意味では、先輩って中身は純日本人ですよね。
見た目でちょっと、偏見持ってた部分もあったかもしれないですね。
気を悪くしたら、ごめんなさい。
【キーボード打ちミスしたぁorz】
【やり直しです】
>>247 なんか……そういう意味では、先輩って中身は純日本人ですよね。
見た目でちょっと、偏見持ってた部分もあったかもしれないですね。
気を悪くしたら、ごめんなさい。
(そう言うと、頭を下げる馨。
しかも、軽く、ではなく深く頭を下げて謝罪した)
ええ、俺も注意することにします。
……都ちゃんを傷つける?
(それに関して心当たりがない馨。
もしかしたら、体力を吸ってしまうことを指摘しているのかな、と考えをめぐらせる)
いやいやいや、勿論気にかけちゃ駄目とは言いませんよ。
単に興味をそそられただけです。
ただそれだけですよ。
(あはは、と笑いながら先輩の反応を楽しむ馨。
これは、先輩が口で言っている以上のことは絶対あるな、と察した)
本当ですか……?
まぁ……大丈夫ならいいんですが……。
(戸惑いつつも、呟く馨。
先輩の口からは「初めての素材」だの「普段の応用」だの「範疇外」だの、何を言っているかさっぱりわからず、ただ心配することしかできなかった)
ん……ってことは、黒髪の先輩に要注意ですね……。
……それだけ言うならかなり居そうな気がしますが……。
……骨までしゃぶられないように、気をつけ、ます。
(あまりの言い方に、少し言葉が硬くなった)
いえいえ、修正跡なんて気にしませんよ。
そもそも、これは普段夜にしか着ませんから。
大丈夫です。
(先輩が携帯を取り出したのを見て、自分もポケットから携帯をとりだす)
ええ、赤外線使えますよ。
不本意どころか、光栄です。
(にっこり微笑むと、赤外線のやりとりの準備を手早く済ませる馨。
その手つきは慣れたもので、あっという間にできてしまう。
その間、先輩の携帯のデコレーションに目を奪われてしまう馨。
自分の携帯はサッカー選手のユニフォームを模したストラップを下げていること以外、特徴がなかったが……今度変えてみようかな、と心の隅で思った)
(深々と礼を尽くす前山を見て、少し慌てたような声を出す。)
やだ…頭を上げてくださいませ?
謝っている人に対して、気を悪くなんて、しませんわよ。
この外見のせいで、小さな頃はよく苛められたりもしましたけれど、わたしだってもう高校生ですもの。
(軽く疑問符を浮かべている前山に、少しだけ首を傾げて)
あら…ご存知なかったんですの?
異能者が天羽さんに触れたら、異能を乱されるってこと。
下手したら、能力の暴走になってしまう、とか。
あと、天羽さんの料理を食べた異能者は、能力が増減する、とか。
彼女、そのことについて、ずいぶんと悩んでいたみたいでしたけれど……
……ん。じゃあ、これも天羽さんご自身が、前山くんに言うまでは、知ってるってことはヒミツ、ですわね。
知らないフリをして、なるべく気をつけて差し上げてくださいませ。
ぅ〜……
(前山の明るい笑い声。明らかに、疑われている。)
(恨めしげな視線を、前山に投げ掛けて、小さくうなり声を上げる。)
(ただ、誰のせいでもない、この事態は自分のせいなのだ。)
(こういう話題の中心に自分がいると気付いてしまった時点で、意味の無いほどに過剰反応してしまう。)
(もう少し、精進せねば、と心に誓った。―――――毎度の事だったけれど。)
黒髪は、確かに沢山居ますわね。
でも、名前に特徴がありますもの。顔も……割とお綺麗なほう、ですわね。
彼は、前山くんが異能者だと知ったら、おそらく近づいてくるかと思いますわ。
もっとも彼の夜の顔は、わたしもよく知らないのですけれどね。
戦いにおいては、とても有能……だと、推測するだけで。
(青い瞳に真剣な光を宿して、前山をまっすぐ見つめる。)
(前山の手馴れた携帯操作に、感心して見つめてしまう。それに気を取られたせいか)
(一瞬だけ普段どおりに"キー操作をせず"に携帯を触ろうとして、直後気がつき、ぽちぽちとキーを押してアドレスを登録する。)
じゃ、危ないことがありそうでしたら、先輩に必ず電話すること。
いいですわね?
(わざとらしいぐらいに先輩面をして、胸を張り、前山を見上げて)
(そしてすぐに、くすくすと笑ってみせる。)
(足元のバイオリンケースを持ち上げて、膝に付いた砂利に気が付き、ぱんぱんと叩き落とす。)
それでは、わたしはそろそろ帰らせていただきますわ。
前山くんも、ちゃんとまっすぐ帰ること。早く、きちんと目を冷やしたほうがいいですわよ。
それとも、わたし送ります?一人で、歩ける?
【よくある話ですわ。おっけーおっけー】
>>250 いえいえ……なんか……すみません。
(久遠先輩に言われると、少し戸惑ってしまうも、頭を上げる馨。
先ほどまでの明るい顔から、微妙な面持ちになった)
……都ちゃんが?
それは……知らなかった……。
……ああ、だから、都ちゃんが最近料理作ってないとか言ってたけど……そういうわけだったのか……。
(かなり料理が好きだと思っていた都ちゃんが、最近台所に立たないという話を聞いたので、疑問には思っていた。
久遠先輩の言葉を聞いて、こちらも謎が一つ解け、明るい表情になる)
あはは、先輩が凄んでも……迫力ないというか、可愛いですね。
(先輩の仕草を見つつ、微笑む馨。
思わず笑みがこぼれてしまう)
ふーん……。
ということは、その先輩は割りと目立つ人ですねぇ……。
そして、もしかすると……俺が何かアクションを起こさなくても、自然と接触するかもしれませんね。
……気を抜けないなぁ……。
(むぅ、と小さく唸る馨。
あの学園に入ったのは、異能をのばすという意味では正解だった。
しかし、それと同時に常に気の抜けない世界に入ったという覚悟が必要なことを、改めて知らされる)
ええ、何かあったら連絡するようにしますよ。
頼りにしていますよ、先輩。
(小さくて大きい先輩を見て、くすくすと笑う馨。
自分も軽く埃を払い、軽くジャンプして体の調子を確かめる)
ん、普通に歩ける程度にはなっているんで、大丈夫です。
まぁ……目ばかりはちょっと、気をつけるしかないですね。
朝起きたら、おばけに変身していないことを祈るばかりです。
先輩こそ、大丈夫ですか?
俺、送りますけど。
天羽さんは、異能持ちとしては、まだまだ子供ですわ。
年齢だけの意味じゃなくて。
異能を持ちながらも、明るく無邪気でいられるのは、良いことだとは思いますけれど
同時に、危険も孕んでいますわ。
わたしがもっと頻繁に見に行ければいいのですけれど、中等部の校舎までは、そうそう、ね?
だから、前山くんもなるべく気をつけてあげてくださいませね。
…………っ
(可愛い、と言われて、ムスとした顔をして)
わたしはねっ
世の中の言葉で、可愛いってのが3番目に嫌いですの。
言うのは好きですけれど、言われるの、はっ!
あとは、夜に偶然出会う、とか?
……こんな風に。
前山くんとは、2回目、ですわね。
(クスクスと、おかしそうに笑って、唸っている前山を見上げ)
そう、気を抜かないようにね。
それに……その腫れがひくまでは、夜の外出は控えられたほうが宜しくてよ。
目の近くですものね。
そんな状態で、もう一度そこにダメージを食らったら、危ないですわよ?
(わざとらしい仕草に、頼りにしてますよと笑って返してくれる様子を見て、こちらも同じように笑顔を返す。)
(ジャンプしたりして体の調子を確かめる前山は、先程死んだように倒れていたとは思えないほど、軽やかな動きで)
(その姿を見て、ほっと一安心と、胸をなでおろす。)
わたしは、大丈夫ですわ。
怪我もないですし、パーカーが破れたぐらいで……
(自身を見下ろし、パーカーの切れた部分を胸元にきゅっと寄せて、丸見えのホルスターを隠し)
人が来たら、こんな感じで。
それにわたしの家、ここから割りと近いんですもの。大丈夫だいじょーぶ。
(にこっと笑いかけ、あっちの方、と一つの路地の方向を指差して、そのままその手を、ひらひらと振る。)
じゃあ、絶対ですわよ。
何かあったら、連絡、くださいませね。
(ひらりと、ミントグリーンのスカートの裾レース、ハイソックスの穿き口に飾られた白いサテンリボンを揺らして)
(身を翻し、5歩ほど歩いて振り返る。)
『 お や す みー 』
(唇の脇に、メガホンを作るようにして右手をかざして、真夜中の街、声が響かないように口パクで別れの挨拶を唱えた。)
>>252 ん……なるほど。
そしたら……そうですね、都ちゃんにはちょっと気を配るようにしようと思います。
ただ……先輩の仰るとおり、俺はまだ都ちゃんの能力を知らなかったので、それとなく、ですけどね。
(ふんふん、と頷きながら答える馨。
また一つ、都ちゃんに対する危険度が上がったような気がする)
……え、ええっ!?
(先輩に言われたことが信じられず、思わず口をぽかんと空ける馨。
まさか、そんなことを言われるとは思っていなかったので、言葉につまってしまう)
そ、それは……失礼しました、謝ります。
世の中狭いですからね。
いつ出会うかわかったもんじゃないですよ。
……まあ、これが取れるまでは……そうですね、外出は控えることにします。
多分、次に一発喰ったら倒れるでしょうねぇ……。
(そういいつつ、目に手をのばす馨。
しかし、指先が触れると顔を顰めるしかなかった)
ん……パーカー……ちょっと残念でしたね。
家が近いなら……って、それでも安心できないんですけど……。
(既に先輩は歩き始めた後だった。
もう今から止めても、遅いだろうなー、と思いつつ、声を投げかける)
先輩もですよー!
何かあったら連絡くださいねー。
(先輩の口が動いたのを見て、同じように口パクをする馨)
『 お や す みー 、 せ ん ぱー い』
(先輩が見えなくなるまで馨は手を振り……ふぅ、と一息つく馨。
まさか、こんな夜に久遠先輩に出会うとは思わなかったけど。
だけども、今日も今日でいい経験ができたし、いろんなことを学ぶことができた。
それを生かして、明日も頑張るぞ、と心にエールを送りつつ、自分も家へ向けて歩き出した。
すぐに、ウィンドブレーカーの黒は闇夜に紛れてしまった)
【こちらはこれで〆でお願いしますー】
【土曜日から続いたロールもこれで終わりですねー】
【長い時間お付き合いくださいまして、ありがとうございました】
【前山くんので、いい感じで締まっているので、わたしもこれにてー、ですわ。】
【こちらこそ、お付き合いいただきまして、ありがとうございます。】
【久々に、じっくり話せたーって感じで、充実ですわ。】
【また機会がありましたら、遊んでくださいませね。】
【それでは、おやすみなさいませ、ですわ。よい夢をー】
【スレをお借りいたしました。ありがとうございます。】
>>254 【こちらこそ、ありがとうございましたー】
【そうですね、かなりじっくり話せましたねー】
【先輩こそ、おやすみなさいませ、いい夢を】
【スレをお借りしました、お邪魔しました】
【異能】黄昏の学園避難所61【異端】
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http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5556/1272161319/172 (霧原朱音と迫水直、一人の女性を挟んだ恋敵である)
(都は恋の勝者である直に余裕みたいなものがあるものと思っていたが、そうでもないらしい)
(それが嫉妬なのか性格的な犬猿の仲なのか分からないけど、直の方もずいぶんと嫌っているみたいだった)
(この様子ではきっと火に油をそそいできたのでは、と心配になってついついため息をついてしまう)
はぁぁ……なんか、一言じゃすみそうにない気がしてきました。
とにかく、伊織先輩のためにも聞いてください。
(言うと決まってから思うが、都の心配をどう伝えたらいいのかがとても難しい)
(言い方によっては都が嫉妬していると思われるかもしれず)
(言いたいことが伝われば勘違いされるのはかまわないけど、そううまくはいかないだろう)
迫水先輩と伊織先輩は付き合ってます、彼氏彼女の間柄です。
イチャイチャしてても悪くないですから、そうされているんだろうと思います。
(キスしたり抱き締めたりくらいはしてるだろうと思うし、朱音の話からその程度はしているとのニュアンスは感じている)
(それ以上の行為については、自分の精神面への影響からこの際考えないようにする)
(それでも頬が赤くなってしまうのは止められなかった)
イチャイチャするなとは言いません。
けど、節度は守って控えめにしてください。
これは伊織先輩のためで、迫水先輩のためでも、霧原さんのためでもあります。
間接的にわたしのためにも、先輩たちの家族のためにもなります。
(最悪のことを考えれば、傷付く人達はもっとたくさんいて、それを未然に防ぐのは小さな心掛けから始めるしかない)
わたしが言っている意味、理由はわかりますか?
(分からなければ、きっとおざなりになってしまうかもしれず)
(だから、まっすぐ真剣に迫水直の目を見つめた)
【迫水先輩への置きレスです】
【>
ttp://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/erochara2/1266689592/545の続きとなります】
(ずっしりと腕にのしかかった重みはすぐになくなり、仕返しとばかりにようやっと微笑んだ少年は)
(自分の脇をすり抜けていく――改めてなんか猫みたいだなぁとか思った。)
おー……さすがは男の子です。
実はさっき乗っけられた感じですと駄目かなぁとか思ったりしちゃった重さでしたので。
コレを全部持ってきたとなると――年下でも男の子なんだなぁって思いました
(楽観的に笑うと自分の分の紙束を抱えなおして)
道案内任されました〜、それじゃ行きましょうか〜。
(のんびりとした声音を響かせてぱたぱたと廊下を行く――)
(半分ほど道程を言ってから気がついたこと。確かにこの荷物は重いということ。)
(紙束は重いといっても二人で分けてるんだし大丈夫だと思っていたが)
(正直、軽く足腰の鍛錬でもしているかのようだった)
む……んっ…
(歩き出そうと思って酷くバランスが悪いことにも気付く――というかこんな事なら村時雨身につけとかなければよかった。)
(そうは言っても受け持った以上は最後まで手伝う義務があるわけで。)
(多少楽そうになった兵部くんを見れば、まぁコレもいいかなとも思えたしフラフラしよう。このまま――)
――………
(ここでひとつのことを思いつく。)
(この時間にこんなところに来る生徒の姿はほぼない、そして今近くにいる兵部くんもこちらを見るくらいなら)
(前を向いたり、足元に気をつけたり、荷物に気をつけたりしなければならないはずだ。)
(――つまり、ここではあまり人目がないも同然。と安易に思いつく。)
(荷物が重いのがどうしようもければ自分が力強くなればいい――幸い職員室までは距離もある。着く直前まで――)
(少しだけ目を閉じて集中する動作、額に第三の眼、奏鬼眼を顕現させる祈り――そしてそれは成る。)
(奏が鬼と呼ばれる証である角状のオーラをまとう眼と、そして大幅に上昇した身体能力は先程まで鉛のようにのしかかっていた)
(紙束を軽々と持ち上げさせる。)
…………ふっいー。そだ、兵部くんって、弟さんとかいます?
もしくはご両親のどちらかが体が悪い――とか………なんというか兵部くんの年にしてはちょっとしっかりしてる。
といのもですね、普通なら誰かに頼るべきところなのに誰にも頼らず一人でやり遂げようとしたじゃないですか。
何か理由があるのかなって――――ああ、もちろん言いたくなければいわなくても言いですよぅ。
ただ、そうなら私とにてるかなー、とか思ったものですから。
(身体能力が上がったことにより、大分余裕ができてきたのか、一度体をゆすって紙束を抱えなおすと)
(能天気な、それでも多少真剣な声を響かせて――)
【ロールの再開にお借りしますっ】
【それでは今宵もよろしくお願いしますっ】
……ふ、ふふん。
(さすがは男の子、そう言われると思わず顔がにやけてしまう)
(あんまりそう褒められたことはない。別に誰かに言って
もらうために頷いたわけではないけれど、でもちょっとだけ報われたような気分になる)
(もっとも、結局彼女に銘柄をかけてしまい、手伝ってもらっているのだが、
それを踏まえているであろう彼女の言葉に、水を差すようなことは言わないようにしよう)
(そうして、幾分楽になった荷物を抱えとことこと前を歩く)
(歩く速度に合わせて揺れる彼女の髪は、綺麗だった。
トリートメント、何を使っているんだろう、とか考えるくらいに)
…………。
(ふと、隣を歩く彼女が一瞬動いた気がした。先程より、手の中の荷物を永久が持ち上げた気がした)
(力を込め直したのだろう。女性にしては、力が強い方と思う。運動部か何かに所属しているのだろうか――――)
(と、ここで晶に声がかけられる。少年は少し眉をひそめ、沈黙した)
(そして、口を開く)
……両親と、姉と兄は、去年亡くなりました。
そうですね、今は一人暮らしです。
(あまり深刻な調子にならないよう、微かに笑う。上手くできているだろうか)
(不幸でなかったなんて、思うはずはない。けれど、その闇を彼女にも伝播させるのは、間違っている)
……奏先輩も、なんですか?
【こちらこそ、よろしくお願いしますね】
(――褒められば素直ににやけたりもできるらしい。)
(妙にしっかりしていてもこういうところは年相応なんだな、と思うと)
(少しだけ安心できた。)
(――………けれどその後で少しだけ後悔した。それとともにやっぱり自分はこうなんだなと)
(妙に納得してしまうところもあった。)
………ごめんなさい、ちょっとだけ私は貴方の人生を甘く見ておりました。
そっか……頑張らなきゃならないわけだよね。
(中等部にして一人暮らし、そしてその原因となった不幸。)
(その言葉を聴くと申し訳ないような、ソコまでわかっていてなんでコレを察してやることができなかったのかというような気持ちが)
(胸の中にしこりのようなものを作る。)
私はまだ………兵部くんのように失ってはいないです。
ただ、その可能性はないとも言えませんけど――――行方不明、なんです。お兄ちゃん、兵部くん風に言うなら兄が。
こういうのって、いなくなるとわかるものですよね………自分がもっとしっかりしていれば避けれたかもしれないことに。
少なくともわたしはそう思ったので――――なんだろう。
兵部くんが一人でコレをやり遂げたようとしたように、私もしっかりしていたかったから兵部くんに手を差し伸べたんだと思います。
(放している途中で前方に人影――金色の両の眼と、額の眼を隠すように俯き)
(少しだけ体を揺らす。それにあわせて単調だった髪の揺れも大きくなり……)
(――なんとなく独白。それから「失った時どうでしたか?」などと、自身が失った時のダメージを和らげるため)
(他人の不幸を掘り返すような言葉が浮かぶ――――会ってまもなくで聞いていいことではないだろう。と口の中でとどめる事はできた。)
私は誰かに手を差し伸べてやれるくらい強くなってるんだって、実感したいんだと思います。
兵部くんのそれとは違うかもしれませんねぇ………というかちがったら何言ってるんでしょうね、私。
いえ、甘く見て頂いて構いません。
そのせいで、あなたに気を遣わせたり、謝罪させたりするのは忍びないですから。
(にっこりと―――今度こそ大丈夫―――傍らの黒髪の少女に笑いかける)
(その痛み、苦しみは他人と共有すべきではない。そう知りながらもなお、
この少年は一人でそれらに立ち向かうには、あまりに脆すぎた)
(けれど、そんな砕けかけた水晶を、優しく支えてくれた人がいたから。
辛い心を理解し、そばにいてくれると言ってくれたから、今は壊れずに済むのだろう)
(だからもう、その苦しみや痛みを、何かにぶつけるようなことはないだろう。
今まで様々なものを傷付けた分だけ、他人に優しくあろうとする)
………そう、ですか。兄が、失踪………。
その、警察に捜索願いは、出したんですよね。
(自分がもっとしっかりしていたら、避けられた―――そう呟く彼女の顔は、痛みに耐えているようで)
(その痛みは、完全には理解できないだろう。家族を失った時は
異能こそあれど武器も技術もなく、仮に家にいても、自分には何もできなかった)
(後悔。家族がいなくなったという点では類似しているが、そこ一点においてのみ、異なる)
…ええ。奏先輩は、こんな後輩に手を差し伸べる、しっかりしている先輩ですよ。
だからきっと、あなたの兄さんも、安心して戻ってこれると思います。
(根拠も何もあったものではない。それでも、空言にも等しい音を紡ぐ。
何も言わないよりは、多分いいだろうと思う。雀の涙ほどでも、助けになればいい)
様々なことを一人でこなせても、それでもなお僕は、他人に迷惑をかけてばかりですから。
だから僕は、一人で全部をやる「しっかりしている」ではなくて、
そこから必要な時には、誰かを頼れる「しっかりしている」にならなくちゃって。
そう教えてくれたのに、忘れかけていました。
ありがとうございます、先輩。
(あなたの優しさは、きっと後者の方だろうと、言外に述べながら、小さく頭を下げた)
(――ああ、手伝いに来たはずがなぜかというかなんというか)
(慰められてる………)
いえいえ、事実、甘くなかったじゃないですかぁ………もう、ずるいなぁ。
(年下の男の子らしからぬおちついた言葉は胸に染み渡る――多分この子は乗り越えたんだろうな)
(どういう風にしてかはわからない。そもそも本当に乗り越えているのかすらわからない。)
(なんというか………この子は自身の弱さを隠せているわけではない――けどそれをさらしても)
(尚、誰かのために行動できる強さをもらっている………ちょっとだけ、この子にこんな顔をさせる人に興味がわいた。)
(そして同時に拗ねるように言葉を繋いだ。)
ええ、出しましたよー。特に進展はありませんけど…………
(当然だ、表向き出しておかなければならない情報しか出していないのだ。)
(名前、体格、年齢、顔写真etc……それだけだ、警察に渡せる情報など。)
(最大の特徴である「銀色の眼」も「振動の異能」も「奏がどういう家なのか」も警察に与えられる情報であるわけがない。)
(いや、与えたとしたら趣味の悪い悪戯ととられるだろう。)
兵部くん、ありがとう………けど、ちょっと早いです。
その言葉――私はまだ受け取れません。未だ何もできてないから………うん、けど、嬉しい。
未だ受け取るべき言葉じゃなくて、本気にして、甘えちゃいけない言葉なんですけど。
それでも兵部くんの言葉は嬉しいです
(いいながら振り返る――奏鬼眼を出している事に気づいて――慌てて閉じる――振り向くころには)
(金から元の漆黒へと戻り行く瞳、薄れていく額の眼の裂け目のあと――我ながら感情的になりやすいのは駄目だと)
(媛名葵と対峙した時に学習したばかりだというのに………変な風に思われなければいいが。)
お礼なんかいいんですよ……ちょっと余計な事聞いちゃいましたし。
でも――兵部くんにそれを教えてくれた人は気になっちゃったりします。
(何事もなかったかのように紙束を抱えたまま器用に人差し指を唇に当てて)
(悪戯っぽく片目を閉じる――)
差し支えなければ教えてもらってもよろしいでしょうか……………………
(言外にある言葉、多分褒められてるんだろうなとか思ったので。こちらも言外にて)
(………「自分の間違いに気付けるあなたも充分優しいです」と。)
(そんなこんなで目的地である高等部の教員達の集う………などというと大げさな職員室が見えてくる。)
ふふっ。おねーさんは、その明るくのんびりとした雰囲気がいいと思いますよ?
(ずるいなぁ、そういう少女の姿は完全に先程のような柔らかい雰囲気で。
やっぱり、それが一番彼女にはよく似合う。そう、感じた)
(自分の言葉が功を奏したのか、あるいは類似した痛みを持つもの
だから、その苦しみを受け取らないようにしようと、気持ちを察してくれたのか)
………そう、ですか。
それでも警察の人達も頑張ってくれていると思いますから、
先輩も、頑張って待っていて下さいね。
(一般人にしては、警察の方に偏っているような言葉だろうか?
――――いや、この程度なら珍しくあるまい)
(もし仮に、あの頃自分の兄が失踪していたら。他の家族の
対応にもよるが、きっとどこかでその姿を探してしまうだろう)
(だが、それにはこの街の夜は危険過ぎる。もしかしたら彼女の兄は、
死体が残らない死に方、例えば異形に喰われでもしたのかもしれない)
(永遠に待ち人は現れないかもしれない。でも、逆に死亡が確認できて
いないからこそ、そこに一抹の光はあるのだから)
(だから、その気持ちに耐えて。『頑張って』、待ってほしい――――)
……それなら。いつか、あなたがこの言葉を受け取ってくれる日を、待っておきます。
(彼女には本当に自分がしっかりするまでの、けじめのようなものがあるらしい。
それならそれでいい。彼女を助ける言葉ではなく、待ち人が来る時の花束代わりにしておこう)
(それでも嬉しいと言ってくれたのは、こちらも嬉しくて。照れ臭そうに、笑――――)
(振り返った彼女の瞳は、金色。額には、眼。人ならざる姿、それは異形)
(少年の瞳が大きく開かれ、紙束を持つ手が僅かに動く。
近くに銃が置いてあれば、あるいは掴んでいたかもしれない)
(――――が、よく見れば彼女にそんなものはない。ただの見間違いだろうか。
異形との戦闘が続き、疲労しているのかもしれない。
以前倒した人間に似たそれの姿を、偶然に重ね合わせたのか)
(と、職員室が見えてきた。幻視に関する思考は止め、気を引き締める)
え……。……うん、じゃあ特別ですよ。
(似た苦しみなら、かの天使が助けを差し伸べてくれるかもしれない。
やや頬を赤らめながらも、恥ずかしそうに、晶は彼女の名前を呟く)
久遠ゆりか、と言うんです。先輩と同じ学年ですから、あるいはご存知かもしれませんね。
(兵部くんの笑みが強張った――強張った?この表現であの表情を形容するのは)
(合っているのか?それでいいのか?)
(多分、少しだけ奏鬼眼を見られたんだと思う。けど――――考えるのをやめよう。)
(いや、やめるべきだ。この少年の言葉はどれだけ自分の身になった?今はそれだけ受け取っておけばいい。)
(――なんだか年相応の表情を、見た目どおりの幼い、どこか青い表情を。)
(始めに話しかけたときのような顔よりとは違う表情を見せてくれる――それほどに自分になれてくれたのだろうか。)
(それとも今語っている少女がそれほどの存在なのだろうか――――――)
初耳、です。くどうさん………ですかぁ、なんか兵部くんの顔から想像するとすごく、いい人みたいですね。
なんだか……会いたくなってきましたよ。クラスの子に聞いてみようかな………
兵部くんの「特別な女性」かぁ〜
(ホワンと表情を緩めて片手を空けて、扉を開ける――――)
――――失礼します。
(後は兵部くんが言っていた××先生のところにプリントを届けるだけだ――)
【こんな感じでこちらは〆に向かいますねぇ。】
ええ、誰にだって自慢できるお姉ちゃんです。
…亡くした姉さんとは違い、血が繋がっているわけではありませんが。
それほど僕にとっては大切な人、というわけですよ。
(永久の言葉に、まるで自分が褒められているかのような反応を見せる晶)
(とっさにお姉ちゃん、という単語が出てしまい、解説を後から付け加える。
喋り過ぎだろうか?自分はともかく、彼女の迷惑にならなければいいのだけれど)
(いや、この少女ならば心配することもないだろう。共有こそしないが、
家族と別れた痛みを持つ永久なら、話してもいいと思えたのだ)
(先程の幻が気にかからなかったと言えば嘘になる。だが、それも
気のせいだと結論づけた。こんなに親しみを持った彼女が、異形のはずはない)
『コンコン』
失礼します。
(ドアをノック、二人で職員室の中に入った。学年、クラス、名前を告げ、
最後に用件を述べる。あまりそこまでキチンとやっている生徒はいないかもしれないが)
(すると、入り口に近い机でパソコンに何やら打ち込んでいた女性が手を上げた。
晶はコードなどに引っかからないよう、足元に気を付けながら彼女の元へ向かう)
(その量に驚きながらも少年から、続いて永久の腕からプリントを受け取り、机へと移動させた)
「自分で持ってくればいいのに、あの人は…はぁ。ごめんね、二人とも。大変だったでしょう」
いえ、これ位でしたら。…次回この量をまた頼まれたら、流石にあの先生にも手伝ってもらいますけどね。
(軽くなった腕を振りながら、ため息とともに少々苦言を呈する晶。
そんな様子に、紙束を受け付けた先生は、おかしそうに小さく笑った)
【はい、了解しました。それでは〆の方向に向かいましょう】
(――ほんとにきっちりやってのける子だなぁとか思いながら)
(手を上げた教員の下へ。特に悪いことをしてここにいるわけでもないのだが)
(無断外泊がらみで呼び出されることもしばしばある自分としては正直、居心地が悪かったりしないでもない。)
むしろよく言っておいてくださると助かりますよぅ………兵部くんすごい不安定だったんですから。
ついでに寮の門限なんかをゆるくしてもらえるように担当の方に掛け合ってくださると――とか思ってますけど。
(半分冗談、1/4ほど本気。あとはなんとなく気分でそんな事をいいながら)
それが駄目ならお茶菓子の要求をしますっ!
(体を解す兵部くんの脇で冗談めいたやり取りをする事数回。)
(モノの見事にあしらわれたり生活態度への評価が悪化した気がするが――気のせいだと思っておこう。)
(そうして最後に来た時とは逆に――失礼しましたといって職員室を出て)
それにしても………お姉ちゃん、ですか。
私もね、お兄ちゃんの代わりに支えてくれるって人がいるの――そのひと、お兄ちゃんと似ててね。
つい呼んじゃうんだけど、時々ほんとにお兄ちゃんだったらなぁとか思ったりもするんですよ。
だから、今ので兵部くんが大切だって言った意味が少しわかった気がします。
(もちろん、その人物が――自分が兄と呼ぶその人物が目の前の兵部くんにとってどういう存在なのかは知らない。)
(けれども、自分のことのようにその女性のことを語る兵部くんが楽しそうだったから――)
ちょっと、変だし、おかしなことばっかり言うんだけど………優しかった。
あ、こっちも名前言っておくね――――『紅裂 拓兎』。お兄ちゃんの代わりなんだけどお兄ちゃんの代わりにはできない大切な人です。
(その名前の持つ意味も知らずに微笑む――どこまでも和やかに、どこまでも穏やかに、誇らしげに。)
それじゃ、私はコレで――――またいつか会えるといいですね。
ああ、今回みたいなことがあったときに通りがかりに声かけてくださいな。
またいつでも手伝いますよ。
(ろくに兵部くんの表情は見ず振り返り手を振る――一度だけ兵部くんのほうにもう一度振り返り)
(深く、頭を下げて手を大きく振って別れを告げた。)
【それでは私はこんなかんじで〆ますねぇ。】
………………はあ。
(並んで職員室を出た彼女を、ジト目で見つめる)
(教員相手に、実に好き勝手を言う人だなぁ、と。自分にはできないし、
やろうとも思わない。もちろん、それで自分の彼女に対する
評価が下がったわけではない。これはお約束、無言のツッコミだ)
(内容には少し同意できるのもあったけれど、口に出た
ところで何か変わるわけではない。しかし、職員室の堅苦しい雰囲気は柔らいだ)
(だから、それが自分とは違う、彼女のいいところなんだろうから)
――――へえ。そんな人がいるんですかっ。
(ぱあっと明るい笑みを浮かべる。似ているというのは珍しいが、
何にせよ、失った心のスキマを塞いでくれる誰かがいたというのは、良い事だ)
(それもかなり親しい様子と見える。これならきっと、しばらくは。
いや、もしかしたらずっと。彼女は、耐えられるかもしれない)
(そんな境遇もまた、我が事のように嬉しそうにしていた晶。
そしてその『お兄ちゃん』の名前を聞いた瞬間―――――表情が、凍り付く)
(和やかな、穏やかな、それでいて誇らしげな永久は、それに気付かない。
手を振って去り行く彼女に応じることすらできず、晶は立ち尽くした)
………たくと、先輩、が。
(あの紅い髪の青年。元世界共通の敵にして、元魔王の下僕であった男。
罪のない人間を殺しながら、悪に染まり切れない悲しき罪人)
(それはIfの自分であり、その不器用な優しさに、幾度となく
助けられた。だからこそ、彼を断罪することで、安らかに逝ってほしいと)
(だが、いかな言葉を労しようが、最終的な結論は一つ。僕は、彼を、殺す)
僕は……っ。
(仕方あるまい。とても悲しむのは、ゆりかとて一緒だろう。
彼女には、まだ生きているかもしれない本物の兄がいる―――)
(違う、そういうことじゃない)
……僕、は…………っ。
(彼は組織に反旗を翻したんだ。虚影会の強大さは、組織も知っている。
だからそれが事実ならば、少なくとも虚影会がなくなるまで、彼を殺さずに済む―――)
(違う、そうでもない)
(担任に報告するために、少年はゆっくりと歩いていく。
けれど、頭の中は様々な言葉が幾重もの螺旋を描いていて)
(辿り着く中心、結論は一つ。罪は消えず、彼はいずれ殺すしかなく、彼女らの笑顔を奪うしかなく)
(それでも回転は止まることなく、晶の心を揺らしていった)
【よし、お待たせしましたっ。これにて僕も〆となります】
【どうやって色んなことを絡ませていこうかと思ったら、
先輩が鮮やかに作ってくれたおかげで、様々な思惑が交差するロールになりました】
【とっても楽しかったです、ありがとうございました。
先輩さえよろしければ、またお時間のある時にお付き合い下さい】
【それでは、お疲れ様でした。お休みなさい。ノシ】
【ふ……計算どおり!――すみません特に何も考えてませんでしたっ!!】
【いえ〜、悩める少年を虐めたくなる性分なモノで。結果は上場ですね。】
【いい反応をありがとうございますっ!!】
【それに色々と振っていただけたおかげでこちらも割と自由奔放にやらせていただきましたよぅ】
【ありがとうございますっ。】
【もちろん、いずれまたおねがしますっ!】
【きっちりとかき回してさしあげますので頑張ってくださいねぇ〜】
【二日にわたるロールをありがとうございました。すごく楽しませていただきましたよ〜、やっぱり動きやすかったので】
【重ねて感謝しますっ、お疲れ様でした。私もコレで失礼します。】
【以下空室となります〜。】
【名前】水鏡 恭弥(みかがみ きょうや)
【年齢】17歳/二年次
【性別】♂
【身長】T180/W59(ライト級)
【容貌】スポーツ刈りというほどでもないが髪は短め/不知火時は髪の毛は逆立つ
瞳は薄い茶色、体形はかなりのひょろ長、少し面長
【能力】戦装束「不知火」:左手の人差し指で唇をなぞることにより、
全身に揺らめく炎または人魂のような呪術的紋様が浮かび上がる
「不知火」時限定能力:「ハレ」と「ケ」
「ケ」の右手から放つ波動で物質・エネルギーを腐食・減衰させ、破壊する
「ハレ」の左手は逆に物質・エネルギーを活性化・賦活することができる
「不知火」時は霊的・物理的防御力が大幅にアップ、運動能力も常人を超えたものになる
気配や異形の臭いには敏感で、霊体や幽体を感じ、会話することも可能
発動時ほどではないが、不知火を纏っていなくても異形や妖魔、人の「匂い」を嗅ぎ分けることが出来る
【希望】 NG以外
【NG】理不尽な死
【弱点】「不知火」持続時間が短く、能力全開なら3分程度、全く「ハレ」も「ケ」も使わなくても30分程で霊的スタミナ切れを起こす
スタミナ切れ後は強制的に刺青状の文様は解除され、立っているのがやっとなほどに消耗する
また、連続使用も不可能、最低24時間は霊的スタミナを回復させないかぎり、再度「不知火」を纏うこともできない
遠距離・中距離攻撃の手段は皆無、接近戦オンリーに特化している
常態では平均的高校生男子よりは運動能力がやや上な程度
動体視力は発達していて、攻撃をかわす・いなすのだけは得意
【備考】アマチュアボクシング部所属、普段の性格は温厚で、誰にでも丁寧な言葉を使う
若干手足は長く、体重もあいまってガリガリ、筋肉はボクサーらしくそれなりに締まってついている
両親とは物心がつく前に死別、兄弟姉妹なし、現在は寮生活
不知火発動時は完全に別人格となり、恭弥自身の意思で言動をコントロールすることはほぼ不可能
近接戦闘技術・体術に長けた「オレ様」キャラになる。人を勝手に愛称をつけて呼ぶ癖がある
現在、紫一久から借り受けたオートマティックハンドガンcz75(後期型)を所持。
【プロフ貼り落ちです】
【名前】伊織津綺子(いおり つきこ)
【年齢】17 高等部2年E組
【性別】女
【身長】168センチ
【3サイズ】85−58−87
【容貌】ショートカット、切れ長で涼しげな目元、きりりとした大和撫子
【能力】電気を起こし、放つことができる。
稲妻を起こして攻撃するほかに、微弱な電流で治療行為なども可能。
【弱点】放出する電力量に比例して、体力の消耗がある。
大きい電力を発するためには充電が必要なので、短時間での連発はできない。
逆に弱い電力は意思に関係なく発してしまうことも多く、しょっちゅう精密機械を壊す。
【希望】バトル 日常ロール エロール※・グロ展開は要相談 バトル以外は多少の確定はOK
【NG】相談なしのエロール・グロ:ROMの方への警告も含めまして事前のご相談をお願いします
過度の確定:特にこちらの考えや反応までを強制的に決められるのはNGとさせてください
【ロール】 一行20〜40字で15〜30行前後 7〜15分ほど 日常動作レベルの軽度の確定あり
背後があまりにも馬鹿なので長文レスが書けません…
置きレスもできますので長文でやりたい方、お時間のない方もお気軽にお申し出ください
【備考】高等部2年。陸上部のエース。ハイジャンプの学生記録を持っている。
一見淑やかな優等生であり、クールでストイックなアスリートとしても知られているが、
素の性格は素直で恥ずかしがり。育ちはいいが謙虚で努力家。
厳しくしつけられたので、少し頭が固いところもある。
兄を異能に殺されており、それがきっかけで退魔の世界へ足を踏み入れた。
*現在の状況
・恋人である迫水直と組んで退魔を行っている
・武道家である祖父と叔父に迫水の能力と退魔のことを知られている
・天羽都の能力によって、ハイジャンプの新記録を出してしまった。
・妖魔にレイプされた記憶を御木本正太郎によって封印され、表面上忘れている。
迫水と御木本の二人は真実を知っている。
・兄の仇である「仮面の電撃異能者」は実は紫一久であるが、そのことはまだ知らない。
・霧原朱音の霊に憑依されている。意識のないときに朱音が勝手に身体を使っていることもある
※ロールの状況により、ご希望に添えないことがあります
【プロフ投下のみにて失礼します】
【時間も微妙といえば微妙だ、が】
【待機の一つもしてみるものか、と】
【夕食はさみながらになるだろうけど、それでもよければ誰か相手をしておくれ】
【さすがにもう、いらっしゃらないですよ…ね……?】
【ところがどっこいここにいる】
【色々と用事を済ませていたらこんな時間だ、立ち去るのをすっかり忘れていた】
【……だけど、相手をしてくれるってのなら、嬉しいかな】
【というか、ほとんど夕食休憩直前だったりしますので】
【お打ち合わせだけさせていただいて、ロールはまた21時過ぎぐらいに、という…】
【まことに失礼なお誘いなので、すぐに始められる方とご希望でしたら】
【どうぞお断りくださいませ…です】
【いやいや、それでも構わないとも】
【なるべく長くならないようには心がけたいところなんだけどさ】
【それじゃさっくりと打ち合わせだけしちゃおう】
【まずは何かネタがあるかな、いつもどおりだけど聞いておきたいな】
【今そちらの状況がどんな感じでしょうか】
【そろそろ離脱したいということでしたし、何かとっかかりになるようなロールができたらと】
【でなければ、日常のどこか一コマをまったりとロールしておいてもいいですし】
【そうだね、三行にまとめてみると】
【最近敵が強くなってきて身の安全が守れない】
【おまけに戦ってばかりだからまともに回復もできない】
【ついでに色々と居辛いからそろそろ出ようかな】
【てなところだし、今まであんまり対話をしたことはなかったからね】
【お互いの対話を通じて、一つ別離の算段を立ててみることにしようか】
【敵が強くなってきた……んですか…】
【すると私も体を相当酷使してますね】
【腕の傷は治って、傷跡だけが残っている状態で】
【そういう時期ということで、書き出しをお願いできますか?】
【すみませんが、呼び出されてしまいました】
【21時より遅い時間なら何時でも結構ですので、避難所にご連絡をお願いします】
【なんだかバタバタしててすみません!】
【というよりか、私が弱くなったのかもしれないしね】
【そのあたりも色々考えようによっては面白いことになりそうだ】
【わかった、ではそういうことで考えておくよ】
【では、また後でね。楽しみにしているよ】
【霧原朱音お姉さまをお待ちしています】
【では、今日はよろしく頼むよ。津綺子】
(夜、その日霧原朱音が目を覚ますと、そこは伊織津綺子の部屋の中だった)
(もちろんそれはいつものことだけど、今日はどうにも敵の気配は感じられずに)
……今日くらいは、静かに休ませてもらえそう、かね。
(ほんの僅かな安堵を込めて、そう呟いたのだった)
(“寝起き”でまだぼんやりとしている視界で周囲を眺めると、姿見に写った伊織津綺子の姿が見えた)
――津綺子。
(名前を呟いて、姿見の前に立った。悲しげな顔をして彼女はそこに立っていた)
(そんな顔をしていることに、ずきりと胸が痛んで。すぐにそれが自分の顔であると気付いて)
(躊躇いがちに姿見に手を伸ばした。触れ合う鏡像と実像)
(だけれども、返ってくるのは冷たい感触だけで)
(手を伸ばした拍子に寝間着の袖が捲くれて、腕に深々と残った傷痕が露になった)
――っ!
(蘇る記憶、守れなかった、傷つけてしまった)
(この傷を負ったあの日の記憶は、今でも彼女を苛んでいた)
ごめん、ね。津綺子。
(姿見に触れていた手を下ろして、呟いた)
(きっと届くはずのない声を、きっと届くはずのない想いを)
(逢いたい。だけれども津綺子の身体を守れなかった、傷つけた自分が)
(いったいどんな顔をして逢うことができるだろうか)
(そのとき彼女にできたことは、ただただ自責の念を抱えて佇んでいるだけだった)
(ぽっかりと、心のどこかに隙間が出来てしまったような、そんな気がした)
(校内で学友に負傷させられ、腕に長い傷跡が残った)
(学内で警察沙汰に巻き込まれるのはこれで二度目とあって、両親は今度こそ転校させると息巻いたが)
(これ以上事を荒立てて大事になるのはもっとも避けたいことであり)
(その点、学校と両親は利害が一致して、結局双方が協力し、手を尽くして)
(この事件が外部へ漏れることだけは防いだのだった)
お姉さま……何があったの?
(そう問いかけても、答えはない)
(どこかで答えているのかも知れないが、自分にはわからない)
(もしも霊能力者であれば、あるいは朱音の存在を感じ取れるのかも知れないが)
(こちらが彼女を感じられるのは、朱音がそうしようと思った時──すなわち)
(“化けて出る”時だけなのだった)
……ぅ……ん…?
(眠っていた、その意識の表面に何かが触れたような)
(静かに凪いだ精神の水面に、一滴、波紋を広げる何かが滴ったような)
(それは無意識の底へ呼びかけられた、名前だったかもしれない)
【まだそちらに気づいていませんが(汗】
【どうぞ、確定で話しかけてしまってください】
【今夜はよろしくお願いいたします】
ん……。
(何かが聞こえたきがする)
(他には誰もいない部屋の中、彼女専用の携帯電話も、まだ電源すら入れていない)
(だとしたら、そんな部屋のなかで彼女に聞こえる声があるとすれば、それは)
津綺子……なのか?
(ぎゅ、と手を胸の前で握る)
(話すことができるのかもしれない)
(もしかしたら、彼女の意識が近いところまできているのかもしれない)
津綺子っ……いるなら、聞いているなら、返事をして、お願いだから――。
(不安も、恐れも。会えるのかもしれないという希望)
(その前では、全てが消し飛んでしまって)
(掠れたような、震える声で呼びかけた)
(彼女にとっての、最愛の妹の名前を)
私は……お前に謝らなくてはいけないんだ。
私のせいで、こんなことになって。守りたくても守れなくて。
だから、だから私は……っ。
(それ以上は、もう言葉にすることすらできなかった)
……あ……?
(気がついたら鏡の前に立っていた)
(眠っていたはずなのに…)
お姉さま…?お姉さまなの?
(そう呼びかけた。呼びかけたはず、なのだが)
(声が出ない)
……っあ……!
(驚いたのだから、鏡の中の自分の表情も当然、驚いた顔になるはずだが)
(ならなかった)
(無意識のうちにやろうとしていたことが、何一つ出来なかった)
(自分の体が自分で動かせない)
………
(じっと悲しげな表情のまま鏡に見入ると、不意に体がうごいた)
(自分の意志ではなく、誰か別の存在が、この体を動かしている)
「津綺子っ……いるなら、聞いているなら、返事をして、お願いだから――」
(鏡に向かって、追いすがるような姿勢で語る自分がいる)
(それは自分が発した言葉ではない)
お姉さま、聞こえてる?
今、私の体を使っているのはあなたなの!
私は、あなたの内側から話しかけてるのよ、分かる?
(結論はそれしかない)
(今、この肉体は霧原朱音の意思に従って動いている)
(自分は、伊織津綺子の肉体に間借りしている状態なのだ)
聞こえた。……今度こそ、聞こえたぞ。津綺子。
(聞こえてきたのははっきりとした声)
(何故声が聞こえるのか、なぜ話ができるのか)
(理由はさっぱり検討がつかないけれど、そんなことはどうでもよかった)
ああ、分かる。聞こえるよ。津綺子。
……前の時と同じだ。私とお前が、同時に意識を保って話ができる。
(かつて、一組の異形を狩る時に起こった一瞬の奇跡)
(それ以来、どれだけ試しても声は聞こえなかったというのに)
聞こえる……よかった。話ができる。伝えることが、できる。
(何か張り詰めていたものが切れてしまったように、そのままその場に蹲って)
(その高揚感に浸りながら、それでもどうにか頭の一部で冷静を保ちながら)
……っ、はぁ。津綺子。一先ず、場所を変えよう。
ここで一人で喋っていたら、色々と怪しまれるだろうしね。
道すがら、話をしよう。……たくさん、たくさん話さなくちゃいけないことがあるんだ。お前に。
(戦い続けたこと、そしてその結果見えてきた敵の影)
(その狙うもの、それ故に、彼女は津綺子から離れなければならないという、事実)
よかった、やっとあなたと言葉が交わせる……
(蹲る朱音に、安堵したような声を聞かせる)
(その声は現実の肉体が発したものではないけれど)
(朱音にだけは、聞こえているようだった)
場所を変えるのなら…
(一瞬頭の中に浮かんだのは恋人が一人暮らすマンション)
(世界で一番安心できるばしょではあるが)
(霧原朱音が同じように感じるかどうかは、自信がなかった)
──道場へ行きましょう。
(自分の家と道路一本挟んだ向かいにある本家には、道場がある)
(本家に住む叔父は霧原朱音に会った唯一の親族でもあった)
(朱音が着替える時に、腕に長々と傷跡が見えた)
(十数針も縫った大怪我で、完治したと言っても傷跡は長く残るに違いない)
話ってなんですか?お姉さま
(道場に入り、灯りをつけずに窓から月を眺めている朱音に問いかける)
ああ、本当によかった……どうしても、伝えたかったからさ。
話さなきゃ、いけなかったからさ。お前に。
(それでもこちらの声は、口に出さねば聞こえない)
(だからこそ場所を変えようと思ったのだった)
――っ、う、ぐっ。
(丁度津綺子が移動する場所のことを考えていた、そのとき)
(彼女の胸に痛みが走った。忌々しく憎たらしくも、なぜか切なささえ感じる痛み)
(それは、津綺子が恋人のことを考えたときのことだった。もちろん彼女は知る由もないが)
(体を、心を重ねた影響は、こんなところにも出ているのかもしれない)
……っ、ああ。そうだね。道場。
あそこなら、きっと余計な邪魔は入らないと思うし。
こんなことになって、私とお前が初めて言葉を交わした場所だしね。
(痛みは一瞬でひいてしまったから、さほど気にせず言葉に答えた)
……ごめん。
(着替えながら、腕の傷痕にそっと触れて、呟いた)
話すと長くなる。だから……結論から先に言う。
(目を伏せて、僅かに言葉を止めて。やがて意を決して告げた)
津綺子。私は……これ以上お前と一緒にはいられない。
できる限り早く、できることならすぐにでも、ここから出て行くつもりだ。
(月明かりだけが照らす道場で、硬い表情でそう告げた)
(自分の顔で、朱音がうめく)
お姉さま…?
(朱音が痛みを感じたその時、こちらは何も感じなかった)
(だが、彼女が痛みを感じたらしいことは伝わる)
お姉さま、どこかお怪我でも!?
(焦って尋ねたが、朱音はそれ以上何も感じなかったらしい)
(さほど気にする様子もなく、道場へ行くことに同意する)
乱心した生徒が突然切りかかってきた、と聞きました。
その生徒が何に取りつかれていたにしろ、戦闘中のことじゃないのですから
お姉さまに謝っていただくには及びません。
(その生徒が目に入った時のことは覚えている…が、一瞬で意識が途切れた)
(その後のことは何一つ覚えていない)
出て行く?ついにこの体を出ることができるようになったのですか?
(朱音はある戦闘で傷ついて、弱りすぎてしまったためにこの体に憑いた)
(この体を出て行くからには、また元のように力を蓄えることができたのだろうか)
それで、私の体を離れてからは、どうなるのです?
(それは慶事なのだと疑いもせずに尋ねた)
あの時は人目があってね、迂闊に力を使えなかった。
それでもなんとかしようと思ったんだ。……だけど、どうにもならなかった。
結局、力を使うことでしか奴を退けることは出来なかったし、お前を守ることも出来なかったよ。
そんな、自分の弱さに嫌気が差すよ。
(月明かりに照らされて佇みながら、小さく静かに嘆息した)
その方法は、今のところまだ見つかっていない。
最悪、色々と無茶をしてでも出て行かなきゃいけないんだ。
なぜなら、私は狙われている。
(無茶、というが実際に何をすればいいのか)
(考えうることとしては、無理やりにでも力を回復させるか)
(そうでなければ、代わりの器に乗り移るか)
(さもなくば、消えることを覚悟で外に出ることだけだ)
シード、なんだろうな。あれは。あれがまだ生きていて、私を狙って動いてる。
それに、どうやら私の敵はそれだけじゃない。戦いは日増しに過酷になる一方。
正直、私はこれ以上お前を守っては戦えない。
(力を得るため、できるだけのことはした。それでも傷つくことへの恐れが)
(彼女の力を大きく削いでいた)
……だから、出て行く。その後は、一人で決着をつけるさ。
(敵の力は未知数。対する彼女は、ここを出てしまえばもはやさしたる力ももたない幽体)
(結果など、火を見るよりも明らかだった)
そんな、無茶だなんて、お姉さま!
駄目です!絶対にダメ……
(声帯があったならありったけの声を振り絞るようにして叫ぶ)
狙われているのなら、尚更私から離れないで!
戦いが次第に激しくなっていることは、わかっていました。
やはり意識が戻った時の負担が違いますもの
(朱音に気を使わせては、と思ったが、あえて正直に告げる)
けれど、辛いと思っているわけではないのです。
私は……あなたがこの体を使って戦っていらっしゃる時も
無意識にその戦いを楽しんでいるのでは、と思います……
(窓ガラスに映る朱音の──自分の表情を見ながら、淡々と告げる)
あなたがいつもお近くにいらしてくださるようになってから
私は戦い方が変わりました。
ただ離れたところから電撃をぶつけるだけではなく
この手で、この体で、直接相手にダメージを与える戦法になってきたのです。
それが……快感だから。
(直接感じる打撃の感触、暴力の実感)
(今やそれらをはっきりと楽しんで味わっていると自覚していた)
(大義名分はどうあれ、自分は楽しんで暴力をふるっている)
私を守ることなんて、お考えにならなくていいのです
あなたが本当の力を振るえば、誰もがあなたの前に斃れることになるわ。
この体を守りたかったら、それが一番確実なのです、お姉さま。
……やはり、負担だったんだね。
(考えまいとはしていたけれど、一度考えればどうにも否定できないことだった)
(本来であれば寝ている時間、疲れた体を癒すはずの時間に大立ち回りを繰り広げているのだ)
(たとえ異能をもつ身であれ、それが負担にならないはずもない)
否定は、できないな。私にとっては、命を懸けた戦いも楽しみの一つだった。
それは決して否定しない。だけど、最近は違う。
生き延びるため、お前を守るために力を使い、戦い続けてる。
(彼女自身、それを知りながらどうすることもできなくて)
(それが、どうしようもないわだかまりを産んでいた)
っ!?……津綺子。
(津綺子の告白は、否応なしに彼女を揺るがした)
前に話をした時も思ったよ。だけど、まさかこんなになるなんて。
私の影響なのだろうけど。……その変化を、恐ろしいとは思わないのかね?
変わっていく自分を、恨めしくは思わないのかね?
(彼女が宿ったことにより、伊織津綺子は変わっていった)
(それは静かに自然に、津綺子の意識を塗り替えていった。忌まわしき、シードによる侵蝕と同じように)
……それに、私はお前ほど上手くこの力を使いこなすことが出来ない。
今の私は、純粋に弱くなっているんだ。お前を守るためとか、そういうこととも関係なしに。
だから、守りたくても守れないっていうのが本音なのかもしれないよ。
人を守るため、愛する人と一緒にいるために戦っていたはずの私が
異形との戦いの中で暴力の快感を得ているかと思えば
戦いさえ楽しみの一つでしかなかったあなたが
いまは守る者のために戦っている……
どちらも、お互いに相手に影響を受け、また影響を与えているのでしょうか。
もしかして、このままずっと一緒にいたなら、私たち、本当に一人の人間になってしまうのかも。
(シードの本質……液体。液体に自他の区別はない)
(同じ器に注がれれば溶け合い、まじりあって一つの液体になってしまう)
(弱くなったと聞くと、矢も盾もたまらずに不安になって)
お一人で存在することさえ辛くなって私の中に来られたのでしょう?!
それなのに、その時よりも弱っているにも関わらず、なぜ外へ出ようとなさるのです!
守る、なんて考えないで……ただ強くなることだけを考えて。
他の人に乗り移れるなら、もっと強い依り代を見つけるまで、こうしていて。
きっとそうなんだろうね。誰かを守るために戦う、だなんて。
前の私じゃきっと考えられもしなかった。そんな風に私を変えたのがお前なら。
お前を戦うものへと、戦いの中に生きるものへと変えてしまったのが私、か。
……お互いがお互いに影響を与え合って、変わり合って。そして最後には。
(想像していたものは、結局同じだった)
(自己と他者との境界がなくなり、どこまでも混ざり合い一つになる)
(その時、それぞれの自我は、記憶はどうなるのだろう)
(全く新しい何かが、生まれてしまうことにはならないだろうか)
(それこそ、かつてシードの忠実な僕であった彼女が、彼女自身の自我を持ちながら)
(シードの本能をも持ち合わせたものへと変貌したように)
強くなる、か。そのために何ができるだろう。
力の使い方を考えたところで、結局根本的な問題の解決には繋がらない。
私という存在自体が、もっと強くなるための方法が必要なんだ。
(考えまい、としてきた最後の可能性。できることなら、この子にはさせたくなかった行為)
だとしたら、きっと私にできるのは一つだけだ。喰らうしかない。
強い力を持つものを、喰らって。自分の力に変えるしかない。
(かつて奏の鬼の血を喰らった時、駆られたあの衝動に身を任せて、喰らう)
それを、お前は受け入れることができるかい?津綺子。
(ともすればそれは、一人の異能使いから、一つの異形へと己を変貌させかねない)
(そんな行為であった)
あなたを強くする方法……それがあるのなら、教えてください!
もう一度あなたを蘇らせるためなら、きっとやり遂げて見せますから!
(そして朱音が語った方法は、意外と言えばあまりにも意外な)
(見慣れていると言うなら、日頃当たり前のように見慣れた方法)
魔を喰らう───
(恋人である迫水直が戦う理由がまさにそれ)
(内なる妖魔を養い、共存するために異形を斃し、喰らう)
(今度は自分がそれをするのだ)
(内なる幽体を養い、実体に変えるために)
(こみ上げる生理的嫌悪感を飲み込む)
(何といっても、そもそもは人間なのだ)
私にそれをお訊きになるのですか、お姉さま……
あなたのために、魔を喰らうことができるか、と?
……できます、とも。
(今、体を自由に使えていたなら、おそらく震えているに違いない)
(それでもヒトとしての禁忌を破ることへの抵抗を乗り越えて、あえてそれを言ったのは)
(一つの光明のような思いつきがあったからだ)
私をシードから救ってくれた人が、きっとあなたを助けてくれる……
妖魔の血を、与えてくれる人を知っています
よく考えるんだ、津綺子。
……もしも、お前がそれを受け入れるなら。お前は人間じゃなくなるかもしれない。
(そんなことにはさせたくないし、させないと心中では誓いながら)
(たとえどれだけ穢れようと、どれだけ魔道に染まろうと)
(それを全て抱えて、津綺子の中から出て行ってみせる)
(その結果、再び解き放たれた自分が今度こそ理性を失った魔獣と化すとしても)
それに、受け入れるのなら私の戦う意味も変わってくる。
守るためじゃない、生きるためでもない。喰らい、奪いつくすための戦いになる。
(きっとそれは、今まで守るための戦いを続けてきた彼女を認め)
(例え一時的であれ、協力関係を結ぶこととなった者達を裏切る行為に他ならない)
望まぬ相手を殺すことになるかも知れない。新たな敵すら増えるかもしれない。
それでも、戦い抜いて見せるかね、津綺子。この私と。
……それは、あの男のことだね。
(シードから津綺子を救いうる人間は、彼女が知る限り二人)
(そして、妖魔の血を与えうる。すなわちその血を持つものとなれば、答えは一人)
あの男に、助けを請えというのかね、私に。
(その声には、不快が色濃く映し出されていた)
たとえ畜生のように互いが互いを喰らうために戦う世界に堕ちても
私は人間であり続けるわ!
魔に憑かれながら魔道に堕ちず、いまだヒトであり続ける方がいるのですもの
私にだって、同じことができます!
(迫水直は妖魔に憑かれて丸一年、ヒトではなくなった)
(現在はそれを乗り越えたにせよ、決して簡単なことではない)
今だって、私は魔を狩り続けているのです。
狩った者を喰らうことをしないだけで……
こんどはそれをする。それだけのことです、お姉さま。
(まるで自分に言い聞かせるように、ゆっくりとそう言って)
そう。その方……妖魔を宿し、その力でほとんどあらゆるダメージを瞬時に回復させてしまう
その方の血なら、きっとあなたを本当にこの体から自由にして差し上げることができるはず。
お姉さま、それが今出来うる最善の方法だわ。
(そしてあたかも深呼吸するかのような間を置いて)
お姉さま、ぜひそうしてください。
……私のために。
【そろそろ締めかと思われますが、いがかでしょう?】
……わかった。
(ここまで覚悟を決めてしまった以上、今更どうすることもできないだろう)
だからこそ、私も誓おう。私はお前を絶対に化け物になんてしやしない。
何があっても、お前をお前のままでいさせ続ける。
……お前は、私が守る。
(そして敢えてまた、告げた。守る、と)
少しずつ、慣らしていこう。
私だって、いきなり大物を喰らえる気はしないし。
きっと、うまくやれるさ。私らなら。
(ようやく、自らの心が平静を取り戻し始めたのを感じた)
(だけれども、続く言葉でそれは断ち切られた)
断るっ!……私は、あの男が、嫌いだ。
(語尾を荒げてそう言い放った)
(津綺子の内に潜み、過ごしてきた日々の数々が)
(そして、シードであった頃の記憶の残滓、大切な妹を奪われた、という苦い記憶が)
(今尚彼女を取り巻いていた、その怨恨はどこまでも、不快)
……ぐ、ぐぐっ。
(ぎり、と歯噛みする。「私のために」という言葉がどこまでも彼女の中で反響する)
あいつは、私からお前を奪った。そんな奴に、そんな奴を頼れと言うのかっ!!
(そして、弾けた。ひた隠しにして押し殺してきた想い)
(ただ一度、天羽都にだけ打ち明けたその想い。それが再び、止め処なく溢れ出してしまった)
……お前は、お前はそんなにあの男が大事なのか。そんなに、そんなに……っ!
私ニハ、オ前シカイナイノニ。
(そうして再び感じる。自分の声が、まるで別の誰かの声のように聞こえてしまう)
(暗く淀んだ心の奥から、嫌なものが這い出てきてしまう。そんな感触を)
【ドロドロするのはこれからだ、でも、すぐに〆には向かうはずだ】
【ここからがクライマックス、もう少しだけ付き合って欲しいな】
ええ、私たち二人なら、きっとこの困難な状況を乗り越えられますね。
(ようやく意見の一致をみたと思うと、安堵の言葉が漏れる)
(ともかくも、霧原朱音の力を取り戻し、再分離して、敵に向かえるようにしなくてはならない)
(そのための時間は、あまりにも少ない──)
お姉さま?
落ち着いて、お姉さま!頼れと言うわけじゃない、その人の血を喰らう、
喰らう相手を好きになる必要なんてないわ、そうでしょう?!
(朱音の怒りが奔流のように膨れ上がるのを感じる)
(必死で説得を試みる、その声は彼女に届いているのかいないのか……)
なんですって……?
(膨れ上がった激情が自らの肉体を借りてあふれ出す)
(その言葉を耳にした時、朱音が何か別の存在に変貌したような気がして)
【では十全とドロドロにお付き合いさせていただきます】
【…が、続くのであれば凍結をお願いしたいのですが…】
【1,2往復ぐらいなら、最後までおつき合いできます】
アイツがいたから、お前と一緒にいられなくなった。
世界なんてどうでもよかったのに、お前がいてくれたらそれでよかったのに。
それさえも、奪ったんだ。
(激しい怒りに目の前が赤く染まり始める)
(もともと移ろい気味だった記憶さえ、もはや定かではなくなり混濁を初め)
(過ぎ去ってしまったはずの、むしろ疎んでいたはずのシードとしての記憶さえ)
(彼女の中で蘇り、さらなる怒りを喚起した)
(頭痛が酷い、頭を押さえて蹲る)
そんな私に、あいつの血を喰らえと。私を、シードを喰らったあの男をっ!!
(その怒りは、実体を持たない霧原朱音としての自我すらも容易く揺るがした)
そして、そして……何より嫌だったのが、許せなかったのが――。
―――あいつに抱かれて、この世で誰よりも幸せそうに笑ってる、お前だよ。
(愛していた、だからこそ触れることも語らうことも出来ない我が身を呪った)
(たった一人の同胞への、深すぎる想いがそのまま転じて憎悪に変わる。その矛先が、津綺子へと向けられた)
(それが、始まりだった)
(その憎悪は、断ち切ってしまった。二人の間の繋がりを)
(二人を、一つの器に納め得ていた繋がりを)
(それ故に、これから起こることは必然だったのだ)
(まるで何かに弾かれるように、津綺子の体から何かが飛び出した)
(それはもはや、人の形を取ることすら困難なほどに衰弱しきった、霧原朱音の魂)
(そう、全くの偶然に、そして突然に。彼女は望んだ別離を果たしてしまったのだ)
(共に求めたはずの力を、一切持つことなく)
(そしてそれは、彼女を求めた敵にとっても、最大の好機だった)
【無理やりにはなるが、次で〆る】
【時間がかかってしまってすまない】
(頭痛がひどくなる)
(体が急に重くなり、生温かい春の夜の空気を感じ)
お姉さま、やめて、お願い……
(耐えがたい頭痛と急に全身に襲いかかる重力)
(その重さにひしがれる寸前で)
直さん……助けて!
(心の中に、その面影が像を結んだ瞬間)
───っっっ……!
(その場にひざまづき、思わず両手を見つめる)
私に…戻った……
(身体感覚が完全に元に戻っていた。そして)
お姉さま、お姉さまっ!どこ?
(霧原朱音の存在を感じなくなっていた)
(霊能力者でない自分には、浮遊霊の存在を感じることはできない)
(その霊と、よほど個人的な因縁でもあれば霊が化けて出ることも出来るのだろうが)
(今、朱音との繋がりは切れてしまった)
お姉さま、お姉さま───……ッ!
(無人の道場に、むなしく呼ぶ声が響く)
【ではこちらはこれで〆としましょう】
【そちらの締めを確認してから落ちます】
【コピペミス!全文コピペし直します!】
>>299 ……痛っ……
(こめかみのあたりに鈍痛を感じる)
(それまで、五感はただ朱音を通して感じていたものが、突然自分の手に帰ってくる)
お姉さま……落ち着いて、どうか……きいて……
(頭痛がひどくなる)
(体が急に重くなり、生温かい春の夜の空気を感じ)
お姉さま、やめて、お願い……
(耐えがたい頭痛と急に全身に襲いかかる重力)
(その重さにひしがれる寸前で)
直さん……助けて!
(心の中に、その面影が像を結んだ瞬間)
───っっっ……!
(その場にひざまづき、思わず両手を見つめる)
私に…戻った……
(身体感覚が完全に元に戻っていた。そして)
お姉さま、お姉さまっ!どこ?
(霧原朱音の存在を感じなくなっていた)
(霊能力者でない自分には、浮遊霊の存在を感じることはできない)
(その霊と、よほど個人的な因縁でもあれば霊が化けて出ることも出来るのだろうが)
(今、朱音との繋がりは切れてしまった)
お姉さま、お姉さま───……ッ!
(無人の道場に、むなしく呼ぶ声が響く)
「なんとも、つまらない幕切れだ」
(二人の少女が語らい、そして別れた)
(言葉にすればそれだけのこと、さしたる興味もない、と言った様子で)
(その男は呟いた)
「だけれども、これで目的は果たされた」
(その手には、灯りのないカンテラ。その蓋を開けると)
(彼が“眼下”に眺めていた道場から、青白い光の玉が一つ、飛び出した)
(それはカンテラの中へと吸い込まれていき、そこに青白い炎を灯した)
(すると、その中から声が聞こえてきた。その声は)
憎い、憎いぞ。……あいつが、あの子が。――憎い。
(ただひたすらに怨嗟の声を吐き続ける。もはやその魂は、半ば怨霊と呼ばれるものへと変わっていた)
(そんな様子に、思いがけなく満足そうに頷くと、男は)
「そんなにも、奴らが憎いか。ならば、復讐すればいい」
「お前が受けた痛みを、奴らにも与えてやればいい」
(そんな言葉に応じるように、カンテラの炎が燃え盛り)
「そのための術を、力を。与えてやろう」
(そうして男は身を翻し、夜の闇の中へと文字通り、飛び去っていった)
(跡に残されたのは、ただただもうそこにいない人の名を、呼び続ける声だけだった)
【では、これで〆だ】
【長らく続いていた同居生活もこれにてお終い】
【これからどうなるか、それは次の展開をご覧あれ、だ】
【何はともあれ、こんな時間まで付き合ってくれてありがとう】
【そして、今日のところはこれでお休み、だ】
【見届けました】
【お陰さまで、こちらもまた色々と変化させていただきましたし】
【またまた因縁もネタもいただきました】
【これからどうなるのか、次の邂逅を楽しみに】
【今夜はこれにて失礼いたします】
【色々と都合で振りまわしてしまってすみませんでした】
【おつかれさまでした。おやすみなさい】
>>256 むぅ……
(都に言われ考える。自分では他人に言われるほどにイチャついているつもりはない)
(学校にいる時間に彼女と会うことはさほど多くもないし)
(校外でも、一目を憚らず、といったことは--ただ一度の例外を除いて--ない)
(ただ、それはあくまで主観的な感覚で、都にしてみれば--ある種のフィルターがかかっているかもしれないが--十分にイチャついていると見えるのだろうか)
…分かったよ。今まで以上に気をつける
(真剣な表情でこちらを見つめる目に向かい、真面目に答える)
(目の前の健気な少女を傷つけるのは本意ではない。ならばその言葉には真摯に向かうべきだろう)
ただね、いくら控え目にしたところであの女の目には嫌でも見せつけるカタチになってしまう時もある、それは仕方ないと思うんだ…
そうだろ?だってあの女は津綺子の中にいるんだ
どうしたって「そういう時」に居合わせることもあるのかも知れない
それについて俺達は、どうすることもできないんだ
(話しているうちに記憶が蘇ったのか、台詞に隠し切れない苛立ちがまじる)
【みゃこへの置きレスにお借りしました】
>>304 …………。
(やっぱり、と思ってしまう)
(それが悪いことかと言うと難しいけれど、そこまで気を配らなければならないのかと言えば難しいけれど)
(それでも文字通り血を吐くような悲痛な声を聞いた身からすると、もう少し考えて欲しいと思ってしまう)
時もある、じゃない、いつもいつも、です。
霧原さんはいつも見せつけられてるんです。
ううん、それ以上のはずなんです。
(霧原朱音は伊織津綺子の中にいる、それは中から見ているということ)
これ以上耐えられないって、悲鳴を上げていました。
すごく傷付いて、辛くて、とても見ていられないくらい……。
(一息あけて、霧原朱音を傷付ける理由の一つをあげる)
先輩は、好きじゃない人にキスをされても平気ですか?
(伊織津綺子が迫水直からキスされる感触、それを霧原朱音も感じている)
(それは霧原朱音から見れば、迫水直からキスされていると同義のはずだ)
わたしは平気じゃないです。
平気な女の子なんて、いないはずです。
(男女で多少は違うかもしれない)
(できるなら誰でもいいと思う男もいるかもしれない)
(けど、迫水直はそう思わないはず、思うなら都と二股くらいはするだろう)
先輩達がそうするたびに、傷付けられてるんです。
傷付いて、辛くて、辛すぎて……無理心中まがいのことをしようと思うくらい。
そうゆうことをするなと、わたしに言う資格はないかもです。
こうゆうことを言ったら、先輩達は変に気にしてしまうでしょう。
けど、あの場にいたわたしは言わずにはいられません。
(霧原朱音の吐き出したあの暗い思い、あれを思い返すと体が震えてしまう)
霧原さんが迫水先輩を、殺して……絶望した伊織先輩が自殺して……。
わたしは、考えすぎだなんて思いません。
(迫水直も、伊織津綺子も、霧原朱音も、都にとって大事な人だ)
(だから、最悪な悲劇が避けられるなら、多少うざく思われてもいい、と)
【迫水先輩への置きレスです】
【媛先輩に
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5556/1268927210/844への置きレス、即撤退です】
柄は柔らかく握れって教わらなかったか?肩にも余計な力が入ってんぞ。それじゃ無理だな。
(葵の手の上に、こちらの手のひらをそっと重ねて、刀を脇に)
狙い済ました一撃が必要だって言っただろ?破壊の衝動に身を任せてもいーが、それじゃその霊刀が泣くぜ?
しょーがねーなー…
とっておきの落ち着くおまじない、だ。
(葵の肩に両手を置くと、すいっと顔の紋様が消えて、薄い茶色の瞳に何やら真剣な色を浮かべ、
ぐっと唇を引き結び、しばし無言で相手の目を覗き込み――
軽く唇をわななくように綻ばせ瞳を見つめたまま、やや顔を傾けそっと肩を抱き寄せてゆっくりと顔を近づけ――)
『あと7秒で作戦タイムは終了。君達の健闘に期待する』
(――る、と見せかけて、引いた肩を柔らかく押す。重心が移った足に、尻もちを突く様に計算しつくした足払いを掛け)
わりーな、おねいさんにもよろしく頼まれちゃってっからさー。
(バランスを崩す葵に人の悪いニヤニヤ笑いを浮かべてから、それでも真っ直ぐ葵の瞳を射抜くような力強い視線で)
おヒメさんはいらねー子じゃねえ、何度も一緒に狩りしただろ?
あの時のおヒメさんの姿、オレ様も、僕様ちゃんもしっかり覚てっから――後は任せた。
『タイムアップ、それでは再開だ』
(再び空気を震わせて、魂に刻みつけられる痛みと絶望の、声なき苦悶が肌から沁み込むように周囲に響き渡る。
ここが勝負所、再び顔にも紋様を浮かせて、EHMに向き直ると全ての力を放たんと、
トレーニングウェアを透かせて全身から青い燐光を放ち、不知火は正面からEHMに突撃する。
不知火に対しては感情の刃が効果がないのを見て取ったか、
今度は純粋に物理的に対象を切り裂く三日月様の刃が無数に迫り――)
(目を庇うように顔の前でクロスした腕に、肩に、体に次々と漆黒の刃が食い込み、
切り裂いて血しぶきをあちこちから上げながらも、意に介さず最短距離を遮二無二突進して――
そのままがっちりと、腕を抱えこんで相手を正面から抱いて拘束――
ゼロ距離からの無明刃に全身の傷から血が迸っても、ダメージをあえて無視して、
EHMの背後で手を拝むように合わせて、「魂」のとっかりを探して――)
(無明刃の生成が次第にまばらになっていく。
先ほどと違って人くさく苦悶に身を捩るEHMと、不知火の魂の綱引きに)
『なんだ?この反応は…そんなことも出来るのかね、いやはや、呆れたものだね…ふむ?』
(本城冴子は嬉々としてモニタに見入って、何やらキーボードを叩いていたが)
『コントロール不能、暴走というやつか…仕方ない、データ取りに専念しよう…興味深いね…』
(まばらにはなったものの、無明刃が物理バージョンと悪意バージョン、ランダムに八方に放たれ――
ほぼ水鏡と同じ背丈のあるEHMを力任せに持ち上げて、柔道の裏投げの要領で、
宙で身を捩り、相手を背中から地に叩きつける。耳を塞ぎたくなるような衝突音、
それでも相手を押さえ込む腕は放さない。言葉を発する余裕もなく、苦悶に顔を歪ませた不知火は、
ぎこちなく顔を上げると口の動きで「み・け・ん(眉間)」と葵に伝えて――
EHMは初めて目を見開き、ぽっかりと空いた空洞に底知れぬ闇を浮かべたまま、
天井をうつろに見つめる。その眉間にぼんやりと、不知火の紋様に良く似た陽炎のような、
揺らめく炎のようなかぎろいが薄く踊っていて――
まばらになったとはいえ、むしろ性質の悪くなった無明刃をかいくぐり、葵が止めを刺すのを信じて待つ。
EHMに覆いかぶさったまま、がっちりと押さえつけ続け――
葵とあわせた目をかすかに細めてほんの少し、泣き笑いのように微笑んで――)
【水鏡さんへの置きレスに、ひとつお借りいたします】
>>306 ……きょう、や―――。
(紋様の消えた顔。薄茶の瞳。目の前にいるのが一瞬どっちか分からなくなった)
(だから、いつもなら紋様のない方である「水鏡恭弥」の方の名を呼び掛けようとして、止まる。
そっと抱き寄せられる肩、近づく精悍な顔。ぱち、とひとつ大きく目を瞬かせて――)
(――そのまま、軽い衝撃と浮遊感)
(黒髪を揺らしながら後ろに尻をつく形で、ぺたん、と座り込んでからもなお、ぱちぱちとその瞳を何度か瞬かせる。
目の前にいるのは言うまでも無く、『不知火』であり。
その人の悪い笑みの裏、――こちらを真っすぐ射抜くような目。それに、心奥まで貫かれた気がした)
…………っ。
(自分でも何を言おうとしたのか分からなかった。ただ、不知火の言葉に何かを言おうとして、
でも、それは空気を震わせる痛みと絶望の音色によって阻まれて。改めて、弐式を握る)
(対象を切り裂く、刃――それが『彼』の体に食い込み、鮮血を噴き上げる様を漆黒の瞳が捉えれば
言いようも無い胸騒ぎと一緒になって、弐式を掴む力に手がこもる)
しら、っ……ぬい――ッ!!
(徐々に刃の数が減った代わり、激しい衝突音がして目の前に痛々しい光景が広がる)
(ぞわぞわした何かが体を這いあがる。消失感、喪失感、――“また”、目の前で、何かが無くなる?
弱いから。守れない――あれだけ大そうな口をたたいていた自分が、今やこんなザマでしかない)
……我が腕は、あの方が為に、奮うもの。我が足は、あの方の敵を追い詰める為に、駆けるもの。
(こんな無様、失態――そんなものは、≪深凪≫八席として許されていいはずもない)
(弐式から手を離し、立ち上がる)
(指先に全神経を集中させ――まず、ゆっくりと右手の人差し指を動かした。地面にある弐式が震え、刃に光がともった)
(指先を動かすたびに、まるで弐式が操られるかのように宙に浮いて――最後に、彼女の手に収まる。
――― 糸。 それが、最終的には彼女の手と弐式をがんじがらめに絡めていた。もう、“何があっても”取り落とさぬように)
必要ならば、この無様な腕なり足なり持って行けばいい……
代わりに、寄こせ。力が、欲しい……強くなるだけの、守るだけの力が欲しい―――求めに、応えろ。
(刀を構え、「眉間」の言葉が伝えた通りに、ただそこだけを見据え、そして踏み込む)
(迫りくる刃を打ち返し、薙ぎ払う。ひゅ、と短く吐き出した息。
髪を、肩を、足を、腕を、刃がかすめても止まることなんて出来ない。
だって、目の前の青年はあの状態で自分を待ってくれているから。泣き笑いのような顔をこちらに見せてまで)
私に、こたえろ……この剣糸に、応えろッ!! ≪弐式≫――――ッ!!!
(狙うは、揺らめく炎のような陽炎)
(叫びと共に、考えもなしに霊力を放つ。自分にできる――否、出来る以上の最大出力)
(脳が弾けそうな感覚が襲って、指先の感覚がなくなりかけても、弐式は離れない。糸がその手に繋いでいる)
(そんな彼女のその瞳は、狩人の色をしてただ狙うべきその場所だけを見つめていた)
(――そして、眩いばかりの閃光。鋭い霊気をまとった切っ先が、人形の額を無情に抉る)
【どもー、ロールのためにお借りしようかと思います。】
【書き出し行うのでちょっと待っててくださいねぇ】
【奏 永久 ◆ONICNlGmhA 先輩と場所をお借りしますねー】
【すみませんが、書き出しをお願いしますー】
(始まりは前の授業の時、担当教諭が持ってきた教材を「中等部に返してきてほしい」と自分に言ってきたことからだ。
どうやらその教材は高等部ではめったに使うことがなく、中等部のものを使ってるらしい。
それ自体は問題はなかったのだが………問題はその教材を中等部のしかるべき場所に返した後
高等部の校舎に帰る途中に起こった。)
(あといくつかの授業を終えれば放課後、学生が自由になれる時間だというのにその時間まで待てずに
へばってる男子生徒が渡り廊下に一人――たぶん、疲労とかだろうかな、とか楽観的にみたものの
ここで見かけたのも何かの縁だし、ちょっと声くらいかけていこうとか思って笑いかける。)
こんにちは、次の授業始まっちゃいますよ?あんまりのんびりしている時間はないんじゃないんですかねぇ
(にこーっと、のんきな声とのんきな笑みで話しかけ――――そこで気づく。
彼の表情が本気で調子が悪そうだと。というか………顔色がすでに健康な者のそれとは違っていることを)
大丈夫ですか…………すごく、顔色悪いですよ?
保健室いきましょうか?
(深刻そうなその様子にのんびりとした態度も真摯になり、その名前――中等部の知り合いのその名前を呼ぶ。)
【それではよろしくお願いしますっ】
(その日、馨の体調はすこぶる悪かった。
先日葛森先輩に受けた傷をまともに治療できなかったため、朝起きた段階でかなり気分が悪かった。
しかし、朝はやせ我慢で家族に隠し通すことができた。
昼はそうはいかず、何度もクラスメイトに心配されたものの……午後の授業に入り、かなり力が入らなくなっていた。
休み時間の最中に歩いて移動するものの、その足取りは不自然だ。
しかも、顔色も極度に悪い。
クラスメイトをこれ以上心配さすまいと、先に移動するようにお願いしたものの、それ以後、馨はその場から動けなくなっていた)
……あ……。
えっと……せん、ぱい……。
(右目に眼帯をし、青い顔をした馨が呟く。
顔は真っ青になっていて、いかにも病人らしいといういでたち。
左足に体重をかけて壁によりかかり、わずかに開いた左目は虚ろな様子だった)
……顔色……悪いですか……。
保健室……行かなくても、大丈夫です……。
(いらぬ心配をかけさせるまいと、左手で窓枠を掴み、足を引きずりながら移動しようとする。
しかし、左手と左足だけではまともに移動できず、廊下に無様に転がってしまった)
(そして、そのときに漂ったのは……血と、膿の臭い。
うつぶせに転んだ馨は、体を震わせ……必死に起き上がろうと、力を振り絞っていた)
【はい、こちらこそよろしくお願いします】
(――その声に力はなく、その足取りには今にも消えてしまいそうな炎のような
ひどい危うさがあって――)
(勝手ながら額に手を当て、その体温を測る――明らかに平温とは違う体温だ。
なんだか脚を引きずっているような、かばいながら歩いているようなそんな歩き方。
とっさにその体を支えるように手を出して)
どうかしたんですか、前山くん。
酷く、いえ………すごく顔色悪いです。もしかして………脚、怪我してますか?
え、ええと…とにかく、場所変えましょう。私が治療しますから。
歩けますか?
(肩を寄せるように、その身を支えに貸すようにして前山くんにを起こすと
次に近場で人目のない場所を考える――校内は無理だ。高等部の生徒が、あるいは中等部の生徒が
うろうろするには目立ちすぎる。)
(そうなれば後は校外にしか場所はないのだが………近場かつ人一人を運び込めるような場所の心当たりを探す
どこかにあったはずだと、都合よく人目につかなく、かつ人一人を連れ込めるような場所があったはずだと。)
(そして思いつく――人が来なく、この時間帯はただの無人の空き家である場所のことを)
すみません多少恥ずかしいかもしれませんが我慢出来ますか?
いえ、我慢してもらえますか。我慢してください。我慢しないとおねーさん怒ります。
(片方の腕は前山君の肩を抱くように逆の方の肩に回して
もう片方の手は足の方を抱こうとしていて――矢継ぎ早に脅し文句のようにしゃべると
あたりを確認してひとけがないことを確認。瞳を閉じて集中――額の目を開き、鬼となるための
予備動作を行うことにした。)
たぶん、あなたの傷はあなたが思っているよりもずっとひどいです。その様子からするとたぶん
まともにできた傷じゃない、自分で治療しなければいけないような傷ですね?
大丈夫です、少し我慢していただければいいですから――――
(そう諭すように話しかけてどの程度意識に余裕があるのかを計る。
この会話に冗談を返せるような状態ならよし、まともに言葉すら返せないようならこのまま抱き抱え、鬼の身体能力で
しかるべく場所に移動して、自身の鬼眼による治療を行う。)
(嗅ぎなれているわけではないが人から漂っていいはずがないこの匂いを、この陰鬱なにおいをほおっておけるはずがない。)
>>312 はぁ……はぁ……。
(額に手を当てられても、振り払うほどの力はなかった。
いや、振り払うために手を動かせることすらできなかった。
荒く、熱い呼吸を繰り返しつつ、地面に突っ伏している馨。
奏先輩の言葉は聞こえているが、右手を軽く左右に動かして「否定」を意味することしかできなかった)
我慢……します……。
先輩…………。
(体を抱えられたものの、その体ははやり男の子であり、ずっしりと重みがある。
いつもより脱力しているせいか、何割かまして重く感じられるほどだった)
先輩……あんまり、無茶しないでください……。
俺、平気ですから……。
(先ほどとは違ったことを呟く馨。
熱にうなされて、正しい判断ができなくなっているのかもしれない)
(右足に履いている白い靴下に、じわり……と、赤い滲みができていた)
(反応はおかしかった――まともじゃない、というか判断能力が低下している。
そもそも前山君がいうこの先輩は自分じゃないかもしれないとかそんなことも考えられるほどに
危うく、そしてきつそうな表情、力ない言葉………。)
こう見えておねーさんは力持ちなのですよ。四tトラック動かせーとか言われますと
さすがに無茶ですから前山君の厚意に甘えますけれど。
すぐ治療できるところに行きますからそのまま、平気な前山君のままでじっとしていてくださいっ!!
(周りに不審に思われないように小声でささやくように言いつけるとその体を抱き上げる。
運動部の男子というだけあって、また体格も平均的な男子のものを持っていることもあって非常に重い
何もしていない自分ならば………だが。)
(奏鬼眼を起動した今の自分なら人一人くらいでへこたれるような体はしていない。
軽々と前山君を持ち上げてダッシュ――――あとは人目に付かないように、かつ迅速に前山君を
治療できるような場所に運ぶだけ)
――・――・――・――
(そこは学園を出て少しした所にあるこじんまりとした物件。
とある店舗として昔あったらしいが今はただの空き物件であり、周りの交通量のこともあり
めったに人は寄り付かない………)
(というのも、ここもいわゆる怪談スポットだからである。今の時間帯なら問題はないが
深夜0時とか丑三つ時とかに来るとここの経営をしていた店主が化けて出るとか。
ちなみに化けて出るも何も元ここの店主は都心で自営業を開いており、ここで起こる怪異とは
全く関係なかったりもする。)
………つきましたよ、ちょっと横になってくださいね〜
(手近な壁によりかけるように前山君を下ろすと、手早く右足の靴と靴下を脱がせようと手をかけて――)
>>314 (先ほど話をしてから、空き物件に連れこまれるまで、馨は一言も発しなかった。
その間していたことといえば、ただただ苦しい呼吸を繰りかえすだけ。
運んでいる間、顔はさらに青くなり、熱も上がってきていた。
見た目だと、かなり危なそうに見える。
幸いなのは、運ばれている間、本当にじっとしていたこと、か)
(壁によりかけられた後、がっくりと頭を垂れる馨。
奏先輩の声に反応する様子はなく、脱力しているように見えた。
右足の靴と靴下は、手をかけられるとすぐに脱がせることができた。
靴には血がついていなかったが、靴下には血と、膿の色が混じっていた。
今の状態であれば、足首とふくらはぎ、脛の辺りまで、ズボンに手を入れて探ることができるだろうが、そこには傷はなかった。
傷があるのは、右足の太もも。
そこに、大きく銃で穿たれた穴があった)
……せ、んぱ……い……。
(うっすらと左目を開け、言葉を呟く)
(抵抗もなく靴と靴下を脱がされて、いるのをみるといよいよまずいかもと思い始め
そこにある傷を探るべく足の甲、裏など傷らしいものを探す――ない。血にこそ塗れているもの
そこに傷はない。じゃあ、なんで血が流れているんだとくるぶしや足を手で探って)
(自らの愚かさを悔やむ――何をしているんだと、額の目は飾りなのかと。
即座に奏鬼眼の視覚としての力でこの血の膿が流れている原因を探る………
見つけた。これがこの錆びた鉄のような匂いの原因である傷。)
ごめんなさい、手間取りました。失礼しますね………
(強引にズボンを下ろすとそこに見えたのは不格好に処置されたあと。
そこから絶え間なく滲むこの鉄錆びたにおいを発する原因。
それを目の当たりにするためにいったんその傷をあらわにして――)
(その傷は銃創………あれだ、そのまま銃に撃たれた時とかに出来る傷で――
日の当たる場所を歩いているはずの前山君には全然関係のない傷の負いかたであるはずで)
何をしたんですか、前山くん………完全に化膿してますよこれ。
(中世の欧米諸国では消毒技術の発達がなかったため、戦争そのものよりも戦争で負った傷が
治らなくて、腐ったりして死んでしまうなんていう事例も多かったらしいが、そういうことがあっていい
時代ではないはずだ、いまこの時代は。)
(――その場に膝をついて傷口を見つめる。皮膚はぼろぼろになって剥がれかけてるものもあり
じわじわとにじみ出る血液に混じって黄色い液体がどろりと溢れてくる。)
(たぶん、いろいろなバイ菌とかが入ってしまったのだろう。さすがにその辺りの詳しいことなんかは
わかるわけがないが、それでもできることは決まっている。)
すみません、前山君。さらにさらに失礼します。
ん…………
(口の中に唾液をためて押さえる。そうしてからそれを垂らすように前山君の右太ももに
口を近づけていって――――)
>>316 (ベルトを外され、恥ずかしい思いを受けたとしても、今はそれを考える暇すら頭にはなかった。
できることは、今呼吸を繰りかえすこと。
そして……死なないように、思いを振り絞ること。
ただそれしか、方法はなかった)
う、い、っつ……!
(傷には、単に包帯をきつくぐるぐるとまいただけしか処置がされていなかった。
当然のことながら、傷は塞がっておらずに出血も夥しい。
それ以上に……傷の化膿具合が、進行していた。
左目をうっすらと開け、その傷を見る馨。
信じられないものが広がっているその光景に、一瞬目を疑いたくなったが……その痛みが、今この情景が真実であることを物語っている)
……せんぱい……。
あ、い、たたたた……。
(傷口に何かが近づくと、思わず顔を顰める馨。
額に汗が浮かび、歯を食いしばる。
ギリ、と音がして……二人しかいないその空間に、乾いた音が響き渡った)
すみません………がまん、ぅ…………してくださいっ
(懸命に、傷を負った野生動物が仲間にするようにその傷を丹念に舐めていく
血や膿の匂い、味が舌の口の中に広がる。それでも傷がふさがるまではと
丹念にそこをなめていき、時折舌でこそぎ取ったり、吸い出した膿を吐き捨てたりして)
…………はぁ……んぅ。……ぁ……
(前山君の顔色を時折うかがいつつ、その傷の状態が良くなるまで行為を繰り返す。
さすがに匂いには慣れてなかったし、これだけ放置した傷口をなめるのも初めてだったので
時折苦しそうに息を吐いたりもして――)
………どう、ですか?
傷、まだ痛みますか?
気分が悪いようでしたら私の血、飲むことお勧めしますけれど――
(あまり傷口がよく見えず、焦っていたこともあり、よく確認もせずに本人に確認をとる
心配そうに眉根を寄せ、悲しそうに目じりを下げながら…………)
>>318 (奏先輩に脚を舐められている間、ぼんやりとした視線を投げかけていた。
時折、体が痙攣したように震えて痛い、とも呟いたし、一度大きな呼吸をすることもあった。
顔色はそれ以上悪くなることはなく、熱もそれ以上は出てこなくなる。
うっすらと開けた左目を開け、奏先輩の様子を伺う)
無理……しなくていいですよ、先輩……。
そんなに……辛いなら……。
(右手を伸ばし、そっと奏先輩の肩に触れる。
つい、とその右腕に力を込めるも……つっかえすほどの力までは出なかった)
……血、って……。
吸血鬼じゃないんですから……。
でも……気分はよくないですよ……。
(はは、と苦笑を浮かべる。
しかし、力ない苦笑は嘲笑にすら見えた)
無理しているのはどっちですか、そんな力の入らない手で……
私の体………押し返せてないじゃないですかっ!
そんな、私の……前山君の手を払いのけられる私の心配よりも
自分の心配をしてくださいっ
(言葉どおりに肩を押し返そうとするその手を払いのけて
ただ非難するような目で前山君を見つめて――)
飲みなさい。気分が悪いならっ
前に言ったとおりです。私の能力は体液に「癒し」の効果を付加することです。
それは血も含まれますから…………じゃないと
私、まえやま、くんにっ………ちゅー、します。そっ、それでっ、むりやりっ
唾液流し込みますっ!
前山君がちゅーしたことなければ………私が、初めての相手になってしまいますっ!
いやなら、飲むと言ってください。
(短刀を髪から取り出し、人差し指を裂く準備をしつつ――)
>>320 んん……。
先輩を押しかえすのに……本気、だすわけないじゃないですか……。
(汗まみれになった顔でにっと微笑みかえす。
本当は、今全力を出して押し返せていなかったのだが……無理にでもそれを押し隠していた。
奏先輩が手を払うと、それは簡単に地面に落ちてしまう)
……わかりました……。
でも……血じゃ、先輩が痛いでしょう……?
俺のことはどうでもいいですから、先輩が好きな方を選んでください……。
俺は、目を瞑ってますから……。
(決意したように、左目を閉じる馨。
ほんのわずかに口を開き、何かを差し出されるのを待った。
汗をかなりかいたので、喉の渇きに耐えられずにごくりと喉を鳴らしつつ……何かを差し出されるのを待った)
それでも、だいぶ良くはなってるみたいですね。
もう少しだけやらせていただきますよ?
少しだけでいいですから、少しだけやらせていただければ完全に塞いでしまいますから。
(癒すしか能がないはずの自分の力をもってしてもこの程度の効果しかもたらせない
心の中で歯噛みすると一回ぎゅうっと前山君を抱きしめて、すぐ離して――
また口の中に唾液をため込んで傷口の治療を再開して、治るまでこれを繰り返し)
――………なんで私が決めるんですかっ
(いつかのように両方と言われないだけましだが――何せ今回は同性相手ではなく
まぎれもない異性が相手なのだ。)
(少しの間悩む、けどそれだけ悩むのも無駄だし、自分の痛みのために相手の痛みや貞操観念を無視するのは
心が痛む――『血じゃ先輩が痛いでしょう?』こんな傷を負ってこんな言葉を吐く少年なのだ。
そんな子が相手ではなおさら自分が痛いからなんて理由でためらえない。)
もう……私の傷はすぐ治っちゃうんですよ?
(拗ねたようにそう言うと人差し指を軽く切裂き赤い滴を作る指先を前山君の
口元に持って行って――――)
>>322 んん……はい、お願いします……。
(そのまま、無防備に体をさらす馨。
一度、何か柔らかいものにつつまれたような気がしたが……多分、気のせいではないのだろう。
何度も舐められていると、みるみるうちに傷口は塞がり、その跡はわからないほどになった)
随分……楽になりましたね……。
……ん。
(指を差し出されると、ちゅう、と唇で血を吸う馨。
目を瞑ったまま、唇を何度も動かし……喉を潤すように、血をなめていった)
んん……。
……どっちでもよかったのにな。
(ぽつりとそんなことを呟き、血を吸うのをやめた。
そしてそっと、目を開く。
右目に眼帯をしているため、左目しか開かないが……先ほどとは違い、目には光が宿っていた)
……やっぱり先輩、凄いですねぇ……。
こんな傷でもすぐ治るなんて……。
ふぅ………なんとか、よくなったみたいですねぇ。
というか――そのつぶやき方はまるで私にちゅーされたかったみたいですねぇ。
そーですか、前山君はおねーさんにちゅーされたかったのですかー
(やっと前山君の顔に、目に常のそれが宿るとふー、と大きくため息をつき
こちらの常にある、のんびりとした表情を見せて、奏鬼眼をしまう。
金色の目もそれを縁取る銀色の睫毛も元通りの漆黒を取り戻して――
――その顔に悪戯っぽいものを浮かべる。)
その顔は申し訳ないですけど、私が治すよりも自然治癒を待った方がいいですね。
いきなり治っても不自然でしょうから………
(あはは、と苦笑を浮かべて――心中では今回の不手際、要領の悪さをひたすら反省するのだった。)
………すごくなんかないですよ。これだけ、これだけなんです。私の力と呼べる力は。
(苦笑を浮かべる――「癒す」だけ、ただそれだけ。それを応用して別のことができるわけでもなければ
極端なダメージは治せないなど兄に比べて力不足感が否めない――)
あはは、でもよくなったようでなによりですよぅ
というか、前から思ったのですが前山君って変なところで意地っ張りですよね。
前に一緒に戦った時も私を逃がすことを最優先しましたし………
>>324 ええ……よくなったみたいですねぇ……。
ああー、授業中本気で死ぬかと思いましたよ……。
先輩が着てくれなかったら、本当に今頃冷たくなっていたかもしれません……。
(ふぅ、と大きくため息をつく馨。
汗をかいた額は、もう次から次へと汗が出る様子ではなくなっていた。
奏先輩の言葉に対しては、否定もせず、肯定もしない)
あとは……自然治癒ですか。
まぁ、これだけの傷がこんなに楽になったんですから……いいほうですよ。
俺こそ、火は出せずに強くしたり弱くしたりぐらいしかないんですから……。
(右手で額の汗を拭い、ばさばさと制服を使って体に風を送り込む。
全身汗をかいてしまったので、すっかり気持ち悪くなってしまっていた。
意地っ張り、ときいて口をアヒルのようにする)
……意地っ張りですかねぇ……?
あれは……先輩に危害が加わらないように、と思いまして。
……そんなに意地っ張りですか?
それは何よりです。
というか…………さっきの銃創ですよね?
「ちがう」なんて言わせませんよ。いったい何があったんですか……
貴方が撃たれるなそんなことになんて――いったい何に首をつっこんでいるのですか?
あんなの治療する方法なんてないでしょうに………。
(少しだけ心配そうに、あきれ半分に)
もう一度聞きます。何に首を突っ込んでる、もしくは首を突っ込んだですか?
ええ、顔の傷なんかは皆さんに見られてることでしょうから
そんなのがいきなり治ったとなると怪しむ人が出てきます。
(むろん、ほとんどの人は気に留めやしないだろうが
問題は夜の住民がそれに気づき、前山君が不必要にマークされるような目にあうとまずい。
そんなわけで顔の傷には触れず――)
ええ、意地っ張りです。なんというか………自分を省みてないんですよね。
他人のことよりも気にしなくてはならないはずの自分のこと。
意地になって他人のことを優先してるんです。
>>326 ……うぇっ……。
(先輩にズバリな部分を指摘され、思わず口ごもってしまう馨。
どうしようかなぁ、と考えつつ、このことを説明するには説明しづらいので、ちらりと右下を見てしまう)
……えっと……な、長くなりますから……。
説明しますね。
昨日のことでした。
家の周りを散歩して、新しいところに出かけたところ……道に迷ってしまいまして。
そこで遭遇したのが、姉妹で争っているところでした。
それを止めようと割って入ったのですが……片方が銃を持っていまして。
その銃で俺は撃たれ、気を失ったらいつの間にか、家の近くに……っていうことでした。
……なんでしょうね。
その姉妹、普通じゃなかったですよ。
ムカデを操ったり、銃を撃たれても平気だったりしましたから……。
(簡単に昨日の出来事の概要を説明しつつ、ちら、と奏先輩の顔を覗き見る)
ん……まぁ、これはもうすぐ治ると思いますし。
単にたんこぶができただけですから……。
(そういって右目に触れても、別段痛そうにする様子はなかった)
……自分のこと……。
うーん、そうですけど……。
……だって、いろんな出来事が起きている世の中を知らない人たちのために、俺が汗水流して、血を流して。
それで一方で平和な世界が保てるのなら……それでいいじゃないですか……。
(少しぶーたれた様子ではなす馨。
無論、口はアヒルのようになっている)
む、むか………ええと、蟲使いなわけですね。
銃を撃ち込まれても平気で、蟲使い………姉妹、ですか。
(神妙な顔で情報を整理して心あたりにある異能、もしくは異形。それから怪談
都市伝説を頭の中に想いうかべて一息つき――)
――姉妹、というのはそのお二方のどちらかが名乗ったんですね。
それから蟲を使い、銃器の取り扱いも見せた…………私の知り合いにはそんな方々はいませんね。
前山君。君はそんな傷を負って生死の境を彷徨いました。
それこそ先ほど言った「私が来なければ冷たくなっていた」あれは現実のものとなってもおかしくない
それほどの大怪我です――――それを負って、あなたはどうしたいと思いましたか?
夜にこれからもかかわるつもりですか?
(ひどく自己犠牲な言葉が前山君から聞くと悲しそうに眼を伏せて)
そう、ですか………あなたは自分がどうなっても私たちのようなことをしている人間のことを知らない
人たちが平和に暮らせるならばそれでいいと、そういうわけですね?
(それから深く暗い色の瞳で前山君をしっかりと見つめて――)
前山 馨。
(静かに深い声でその名を呼ぶ。凛とした声音ではっきりと)
貴方は自身が傷つくこと、血を流すことで誰かが悲しむことすら省みず
己を犠牲にしてでも世の中を守ると?
ならば、そのような戦いはやめてしまなさい。貴方が守れるのはほんの一握り。
貴方のために涙も流せないような一握りのために自身のことを想う者たちに涙を流させても
厭わないと………そう言うつもりでしたらそのような戦いはすべきではない。
(背筋を伸ばして、いつものようなのんきな顔ではない、奏の当主としての表情で向かい――)
>>328 ……ムカデがどうかしました?
(なんだかその一言が先輩からなかなか出てこなかったので、何かあるのかな、と尋ねる)
ええ、そんな姉妹でした。
確かに俺はそれで生死の境を彷徨いましたが……それでも、俺はそれに首を突っ込もうと思います。
あの二人は狂ってる……。
姉が妹を傷つけることで、愛してるなんて言っていましたからね……。
俺はそれを間違っていると思うし……それを正したいと思っています。
それに……今回の傷も、ちゃんと処置をしていればこんな目にあわなくてすんでいただろうと思います。
ええ、俺は、自分がどうなっても、誰かが平和で暮らせているなら、それでいいかな、って。
……でも、随分と言ってくれますね、先輩……。
先輩がなんと言おうと……俺はそうするって決めたんです。
心が何回折れようとも、俺の決意は変わりません。
(先ほどとは違い、明らかに光を持った目で……先輩を見つめる)
俺のために涙を流してくれる人間がいなくてもいい。
だけど……俺は、その人たちのために体を張るんです。
人間、生きてる限り体を張らなきゃいけないと思うときはあると思うんです。
俺は、そのタイミングをこれと決めただけ。
だから、俺はなんと言われようとその決意は変えません。
(きっぱりと奏先輩に言い放つ。
奏先輩のその表情がいつもと違い、本気で言ってくれていることはわかっている。
だけども……自分ももう、子供ではないし、本気でそれをいっていることを、理解してもらいたかった。
ただ、それだけ)
ちゃんと処置?
貴方の知らない傷の治療法がいくつあると思ってるんですか?
貴方がどうあがいても出来ない傷の治療法がいくつあるとおもってるんですか?
貴方に足りないのは力じゃない。意識だ。
己の身すら大事にできないものが誰かの笑顔を守るなんてできるわけがない。
貴方は生き延びてもいずれ擦り切れる。
(ただ静かにそれを告げる――どこからか入り込んだ風が長すぎる髪をわずかに揺らし)
貴方、今の言葉の意味をわかっていますか?
貴方のために「涙を流してくれる人間がいなくても」?――それは後がない、守るべきものがない
人間が吐く言葉で決して貴方のような人間が吐くような言葉ではない。
貴方のために涙を流せる人間はいるんですよ。
貴方が傷つき、血を流せばその人間の心が刻まれる……自己犠牲などという言葉で自分に酔うな。
今のあなたは駄々をこねる子供だ。何も分かっていない、何も見えていない子供だ。
誰かの笑顔のために自身が奮起する。それはいいでしょう。
しかし、己がどうなってもという考えは改めるべきだ。
自身の体を張るのならば自身が体を張って守った笑顔を見る義務がある。
無責任に死に、誰かを悲しませるのは愚者のすることです。
もう一度省みてください。
貴方の為に涙を流せる人達のことをそして貴方の為に笑顔になれる人達のことを。
――――私も、前山くんが死んじゃったら悲しいんだから、ね?
(いつもの彼に昼間に近寄る時の自身の言葉で奏 永久の言葉で
譲れない思いを込めて――)
>>330 意識……。
……意識、かー……。
(ううーん、と小さく声を上げて、上空をぼんやりと見つめる。
生き延びても「擦り切れる」と言われても……実感がわかなかった。
疲弊して、ボロボロになるってことなんだろうな、と考えつつ、先輩の言葉に耳を傾ける)
自分か体を張って守った笑顔を見る義務がある……。
……俺、それ意識したことなかったですね。
俺が必死になって守って、その結果、みんなが笑ってくれればいいや、って。
自分が、その笑ってくれた姿を見られるなんて、思ってもみなかったから……。
(しゅん、としょげた犬のように視線を下に向ける馨。
今まで、ここまで言ってくれる人はいなかったかもしれない。
これだけ、自分に親身になって考えて……家族には隠しているから、こういわれたことはなかった。
だからこそ、今の先輩の言葉は新鮮で、重みがあった)
……え……?
(先輩の言葉に、不意に心臓が高鳴った。
先輩は、単に俺のことを「身近に居る後輩」としか思ってないと考えていたのに。
馨の表情は、その部分だけ、時が停止したように……固まった)
わかっていただけたなら、それで自身を大事にしてくれるというのならば――
私がいなくてもそういった傷の治療法を用意できる人を紹介しましょう。
――自身の身を、大事にできますか?自身が守った笑顔を見守る気概はありますか?
(それに頷き、自身と約束ができるのならばそのための支援をする。
そういう意味で彼の顔をじっと見つめて――)
どーかしましたか、前山君。
そんなにおかしいですか?知り合いが死んだら悲しいという言葉が。
すごい変な顔してますよ?
(頭の上に「?」を浮かべながら首をかしげて)
そんなことよりどーなんですか。私に自分を大事にするって言えるんですか?
私に言う必要はないのですけど………
>>332 ……はい。
ちゃんと自分を大切にしますし……守り通した笑顔を見届けます。
先輩と約束します……絶対、守りますから。
(先輩のことをじっと見据えて、はっきりした言葉ではなす馨。
小さくこくり、とうなずいた)
え……?
ああ、いや、そ、そうですよねー。
あはは、は……。
(小さな笑いが浮かんだ後、それはシャボン玉のように消えていった。
先輩の言葉に胸を高鳴らせた自分がバカみたいだ、と、しょげた犬になる)
ええ、ちゃんと自分を大切にします。
……あ、そうそう、先輩に一つ、相談に乗ってほしいんですけど……。
(コトのついでに、と新しく話をもちだす馨。
一瞬、思案したように考えて)
うちの学校、寮に入るときってどうすればいいんですかね。
このまま、家族の元に居ても、多分……ほら、今回みたいに、傷を作ったりしたらあやしまれますし。
それだったら……寮で生活していたほうが、いろいろと都合がつくんじゃないかと、思いまして。
はい、よろしいですっ!
というわけで………ってあれ、なんでそんなにしょんぼりしてるんですか?
ど、どんな言葉をかけてほしかったんでしょうかっ?!
(浮かぶのは大きな汗マークと大量の「?」。
前山君がしょぼくれる理由と意味がわからない、いや結構強く言いすぎた?
けどそれには頷いてくれたしなー……とか何とか考えること数秒。)
ええと、とにかく。この番号使ってください――近くの小さな診療所につながるんですけど
この番号で「夜叉」と告げればどんな時間でもどんな傷でも診てもらえますから。
ええとさすがに料金の方は多少かかってしまうので、そこで私の名前を出してください。
(早口で言うと大学ノート一つをちぎって電話番号をメモ、その紙きれを前山君に渡して
さらに件の診療所の名前を告げて――)
ああ、ハイな。何でしょうかっ。
(そして告げられるのは寮のこと。
その理由については納得せざる得なく、顔を妙にひきつらせて苦笑を浮かべたのだった。
肩が揺れるとそこにかかっていた黒髪がはらりと背中に落ちて――)
ええとそれはですね、私の場合と同じなら職員室で専用の用紙を貰いまして
それで申請、親の許可と理由などを書けば――少なくとも女子寮には入れました。
男子寮の場合も同じだと思いますけれど………
(違いは多少あるだろうけど大体はこれと変わらないだろうということでそんなことを告げて)
というか………男子寮って夜と朝ご飯出るんですかねぇ。
昼は学食に行けばいいかもしれませんけど……
(寮に入る理由よりもそっちの方がちょっと心配になってきたり。)
>>334 え、いやぁ……大丈夫です、なんでもないですよ。
(自分が変なところで頑固なら、先輩は変なところで天然ボケなんだなー、とか自虐的なコトを考えつつ、小さく首を横に振る。
次にメモを渡されると、今度は馨に「?」マークが浮かんだ)
なんですか、これ……。
……え、なに、夜叉?
夜叉って……。
……はぁ。
(矢継ぎ早に浴びせかけられる言葉にうなずくしかない馨。
しかし、電話番号だけ渡されて何をしろというのだろう……)
……あの、地図描いてくれないと、俺その場所わかんねーんですけど……。
(はい、と紙切れを一度つきかえす)
ふむふむ……。
なるほど、それでオッケーなんですねぇ……。
それなら……俺もちょっと申請してこようかな……。
(ふむ、と呟きつつ、手を顎に当てて何かしら考える)
……え、先輩、朝と夜出ないんですか?
……俺それだったら簡単に餓死できる自信ありますよ。
あ、でも夜だったらまだ食堂開いてるからなんとかなる……かも。
(それでも、料理に自信がないために背中には冷や汗が流れる)
あはは………やっぱりあんなのが医者じゃ名前も知られてないかー。
活動資金のほとんどが闇の時のって言ってるし………。
(さすがに未だ一般人に『奏』の組織の補給面や衛生面を整える集団で、鬼の一種です
などというわけにもいかず………いずれ喋んなきゃならないのかなぁと
思いつつもその場所への地図を書きしるし)
結構目立つ所にあるからわかりやすいと思いますよ、うん。小さいだけで。
(主要看板、目印になるような信号、店などを書きしるして
もう一度前山君にメモ書きを渡して)
ご飯も申請制でしたっけ………いや、私ずっと自炊してるからその辺の話よく解らないんですよ。
一応、近くに皆さん使ってる定食屋さんとかありますけど。
安くてボリュームがあるので男子寮生には人気だとか?
休日とかどうするんですか………たぶん何もないんじゃないかなぁとか思うんですけど。
うーん……これを機にお料理覚えるしかないんじゃないんですか。もうこの際。
あれです、今はゲームでそういうソフトとかあるとかっ
>>336 あんなのが医者って……それに、闇とか……。
そりゃ、普通の人間が知ってるわけないと思いますよ……?
(ううーん、と小さく唸りつつ、再びメモを受け取る馨。
描かれた地図を見て、だいたいの場所のめぼしをつける)
ふーん……。
とりあえず、何かあったら言ってみますよ。
……で、そこに行ったら一旦はこれ、先輩のツケになるってことですよね?
その分、いつお支払いすればいいですかね……?
申請制?
……へー、そうなんですか……。
あ、その定食屋さんちょっと知りたいですよ。
今の俺にとっては量は凄く大事なので……。
(しかし、料理の話をされると首を傾げて)
……俺、料理が決定的に苦手なんですよ。
ほら、調理実習あるでしょ。
あれは俺、食べる係だし……。
家でカレーを作ったら全く別のものになりますからね。
スープカレーにもならないくらいに。
(うむ、と小さく唸る馨。
独り立ちするための道は厳しそうだなぁ、と思わざるを得なかった)
こっちの話です。
ものすごい勢いで外道ですが腕だけは確かです。腕は。
あと顔がいいのも自慢できると思います。奴は。
ですからあんなのでもちゃんと免許持ってます、そこを利用することになっても
この国に絶望しないでくださいね?
(うんうんと何度もうなずき)
あ、大丈夫です。奴は私から給料もらってるようなものなので
私からお金はとれませんし、前山君からもお金は取らせません。
料金のことをあまり心配するものじゃないですよ?
んーちょっと待ってください思い出せたら思い出しますから。
(こめかみのあたりをぐーりぐり指を突き立て)
えーと、ですねぇ………たぶんこれは運動部の方に聞いた方がいいと思います。
中には常連さんもいるでしょうし、その方と一緒に行けばお店の人に顔覚えてもらえたり
できるかもしれませんし……
(スーパーのタイムセールのタイミングとかなら教えてあげられるんですけど
あと特売日とかなら……と付け加えて)
火を操れるなら料理とか逆に得意そうなんですけどねぇ
………うーん、さすがに男子寮ですと私が作りに行きますなんて言えませんし。
拓兎お兄ちゃんは寮には入ってないから口をきいても意味ないし……
水鏡先輩………うーん、料理するのかなぁ?
(知り合いの男性を指折り数えながらつぶやきを漏らして)
>>338 外道だけど腕だけは確か……?
……それ、顔に皮膚を移植してたら、天才的な医者なんですけどねぇ。
あ、でも免許持ってないか。
(まさかBJを名乗る医者が本当に居るとは、とか思っていたところだったが、そうではないらしい。
そこを利用するどころか、本当は夜の世界を知ってしまっただけでも絶望は襲ってくるところだろう。
しかし、分水嶺はとっくに越えている。
これ以上、何が起きても失望したりしないだろうな、とか考えつつ、先輩の言葉に耳を疑う)
……え?
先輩から給料をもらっているようなもん?
……先輩、一体何者なんですか……?
(聞き逃しようのない事実。
しかも、お金は取れないし、自分からも取らせない、と言った
ということは、何かしらのシステムが裏で働いているのだろうと考え……やはりそれが気になってしまう)
あ、了解です。
そしたら、今度別の先輩にでも聞いてみることにします。
裏メニューとかあったりするんだろうなぁ。
(ほくほく顔をしつつ、その定食屋を想像する馨。
気分は既に生活を満喫しているようだ)
いや、俺はガスコンロじゃないんですから……。
まあ……うん、そこらへんはなんとかして考えます……。
……拓兎お兄ちゃん?
水鏡先輩?
(自分の聞いたことのない名前が出てきたので、思わず疑問符が浮かぶ。
もしかして……久遠先輩の言っていた要注意人物と、気になっている人の名前だろうか。
そんなことを考えつつ、ふむふむ、と首を縦に頷く)
【えーと……このまま先輩がボロをだすようならそれどんどん問い詰めるんですが……大丈夫ですかねぇ?】
何者、と言われましても――ただの変わった女子高生ですよ?
実家の仕事もちょっと変わってましてねぇ。
そういうわけですからこういうところにも顔がきくのですよ〜。
ん?
(なんでそんな深刻な顔をしてるんだろうと言わんがばかりに首をかしげて見せて
相変わらずのほほんとした表情を返す。)
本気で夜にいきたいのならばこういうコネはすこぶる大事ですよ?
今回は私が取り付けてあげますから、医療関係は命にかかわりますから持っていなければ
つらいでしょうし………ただし、情報関係のコネは自分で作ること。
ハイな、私にはそっちの方向で力になれることはなさそうですので。
前山君の先輩さんに任せるとしますよ〜
いえ、火加減の面倒見るときにいちいちコンロのつまみひねらなくてもよさそうだなー
とかおもいまして。それどころかとろ火状態から強火にできるじゃないですか。
ガス代節約できますよ〜。
えーっと、私の知り合いです。一人は一回会っただけですけど
もう一人はちょっとお世話になってる人です。
両方、とも………どうでしょう?地味に厳しい気がしないでも、やさしい時はやさしいのですが。
【どっちでもかまいませんよ〜。ある程度以上は答えませんけど】
>>340 ……いやいや、実家の仕事が変わってるとか、そういう一言では片付けられないでしょう……。
今の発言は聞き捨てならないものでしたよ?
(相変わらず、奏先輩に真面目な話をするとはぐらかされてしまう。
その手の届かないもどかしさがどうにも、馨の心にはもやもやと残ってしまうのだった)
ん……まぁ、情報関係のコネは……できてるのかなぁ。
夜の仲間、という意味ではいろいろとコネができていますが……。
(ううん、と唸りつつ、まだまだ人脈が足りないなぁ、と痛感せざるを得ない)
ええ、まぁそれに関しては俺が自分で調べることにします。
いやぁ、でも俺、料理するならコンロとか必要ないですし……。
ほら、固形燃料とか買っておいとくだけで料理とかできますし。
とろ火から強火、どころか超強火とか、中華料理も普通にできるくらいになりますよ。
……知り合い、ですか。
ふむ……。
俺が会ったことないので……よくわかりませんけどねぇ……。
(今これ以上何かを聞いたとしても、その先の関連性まではおそらく見えてこない。
ということは、これ以上聞かない方が得策かな、とも少し考えた。
だが、一つ、この質問だけは聞いておこう、と)
そうだ、その二人のうち、何か特別かわいがってる人がいるっていう話、聞いてないですか?
【了解ですー】
【3時ぐらいになったら凍結をお願いしたいのですがー】
私に何を期待してるのかはわかりませんけど。
ん〜………そんなにおかしなことでしたかねぇ、今の私の発言。
(ちなみに本人としてははぐらかしているつもりは毛頭なかったりもする
ただ、相手がしていればいい情報だけを与えればいいと思っているだけで
自分なりにまじめに向き合ってるつもりである。)
それに、前山君も肝心なことはいつもはぐらかすじゃないですか。
それと似たよーなものですよきっと。
ふふ、頑張ってくださいねぇ………
(にこにこと笑みを浮かべつつ)
なおさら料理、特に中華を覚えていただきたいのですけど。
私中華は、あまりレパートリーないんですよぅ、やっぱり油いっぱい使うせいか
カロリーとかも気になっちゃいまして………酢豚とか作ることがあるくらいでしょうか。
和食、洋食はよく作るんですけどねぇ。コスト的に考えて。
ええと、拓兎お兄ちゃんには可愛がっていただいてるのでしょうか………たぶん。
でもこれ私の話ですし。ほかにだれか可愛がってるっていう話は聞きませんねぇ
水鏡先輩についてはそこまでのお付き合いもありませんし………
【ではこのあたりで凍結してしまいましょう。次はいつくらいがいいですかねぇ?】
>>342 【んじゃあ、今日はここで凍結でー】
【一応明日も空いてるので明日でも大丈夫ですよ】
【りょーかいですっ】
【じゃあ、明日、日曜日の13時〜15時のあたりが適当ですかねぇ?】
【お好きな時間を選んでくださいませっ】
>>344 【あー、すみません、明日の昼は用事があるので……夜のつもりだったのですが】
【明日の夜にお願いできます?】
【……あと、
>>342の「相手がしていれば」と
>>320の「まえやま、くん」は……誤植? だったんですかね?】
【えーと、希望時間言ってもらえると非常に助かるのですがっ】
【はい、申し訳ないです。
前者は「知って」で後者は「まえやま」で前山君の名前変換してるのでそれがもろ出てしまいましたっ
フライング土下座でお詫びを申し上げると同時に脳内変換をお願いしますっ】
>>346 【では20時でお願いしますー】
【先輩は大丈夫ですか?】
【ああ、やっぱりそうだったんですね……】
【というわけで脳内変換しますのでー】
【ハイな、問題ないですよ〜。むしろその時間に合わせられるような計画の組み方はできますのでっ】
【申し訳ないのですよほんとにっ(へこへこ)
それではそろそろお暇しようかと思うのでこれで〜
長時間のお付き合いありがとうございました〜、お先に失礼しますっ】
【お疲れ様でした〜】
>>348 【了解ですー】
【ではまた明日の20時にー。あと17時間後ですが】
【いえいえ、まぁ……自分でも名前打つときまえやまってうつんで……げふんげふん】
【では、おやすみなさい、いい夢をみてくださいー】
【お邪魔しました、失礼します】
【名前】熾咲 唯我(しきさき ゆいが)/熾咲 ゆいが(左に同じ)
【年齢】13
【性別】男女混合(元は男)
【身長】162cm/左に同じ
【3サイズ】―/平均よりやや発育よさげ?詳細不明。
【容貌】黒髪短髪、長身、目付き悪い/薄青いセミロングの髪、かなりの長身、目付き悪い
【能力】
天使憑き。その力に振り回される。
男性時には身体能力、持久力など物理的に優れる。女性時には霊的に優れるが虚弱体質になる。
対峙する者に対応してどちらかの性別に勝手に変身する。制御不能。
変身する予兆こそあるものの日常生活に支障をきたしている。
男性の時は左に、女性の時は右に三枚の翼が生える。
【希望】雑談、戦闘、エロ。あと口が悪かったり口数少なかったりするのは許容してください。
【NG】スカ、真面目なBL
【弱点】霊的存在(攻撃は受けられる)、遠距離攻撃/虚弱体質、元来瞬間火力と殲滅力に長けているはずの力が使いこなせない。
【備考】
某学園の中等部に通う少年。
なにやら≪柩≫だなんだ自分を呼んだ天使っぽい生物に憑かれた。
性別が突然変わる理由も力の使い方もわからず途方にくれる毎日。
体質改善の為奔走しているうちに様々な事件に巻き込まれる。
「わっけワカンネェ」が口癖。
【投下落ちだぜぇ】
【しばらく、水鏡さんとのロールに場所をお借りいたします(一礼)】
【媛先輩とのロールの再開に場所をお借りします】
>>307 (探り当てた急所を狙い過たず貫く閃光――眩しすぎてその瞬間を見ることは出来なかったが、
腕の中で「何か」が決定的にぶつり、と途切れるのを感じて――
EHMは完全に動作を停止する)
なんとかなった、な…お見事、おヒメさん。
(呻くように呟くと、ごろりと仰向けに転がり、そのまま「左手」の能力で自分の治療に入る。
体の前面はいたるところが切り裂かれ、ウェアもぼろぼろになっている。
左手に光を集め、かろうじて損傷の大きい傷口を塞ぐのには間に合ったが――)
すまねえがおヒメさんの方までは手がまわらねーや。
僕様ちゃんが死なねー程度に回復するのがやっと――ざまぁねーや。
あばよ、おヒメさん。
(仰向けのまま、ひらひらと手を振って別れの挨拶。
顔を手を覆う紋様が薄れていって――)
(恭弥に戻ると、全身の痛みに思わず顔を引きつらせ、脂汗を掻き始める。
それでも不知火の言うとおり、今すぐ治療しないと危険な状態とまではいかない程度に回復したようだ。
自分の全身の感覚をさぐってから、まだかすかに傷口から血も流したまま、ゆっくりと立ち上がる)
先輩は、大丈夫です、か?僕の方はあいつの言うとおり、なんとか――
(先輩のダメージも気にはなっていた。それでも先に、やらなければいけないことが――
投げ捨てた自分のスポーツバッグに、のろくさとした動きで歩みよる。
薬や包帯、タオルも入っているそれに、顔を顰めながら手を伸ばして――)
(ガラスの向こうで何やらキー入力をしてから、本城冴子は立ちあがり、ドアを開けて階段を降り、葵に近づいてくる)
いやはや、参ったね。全面降伏するよ、剣糸。
(白衣をだらしなく引っ掛けて、タバコを咥えたまま)
私の命は好きにするといい――が一つ、提案をさせてもらいたいことがある。
今のデータを元にして、もう一段階研究を進められそうだ。
毒を盛っても監禁しても構わない、なんなら足を斬りおとしてくれてもいいぞ。
頭と腕が残っていれば問題ない。意識がはっきりしなくなるような薬物はお断りしたいところだが、ね。
ただ、私を殺す前に三日…いや、二日でいいから時間をくれないかね?
研究成果は無論≪深凪≫に渡そう。
君たちの組織で使うなり、取引の材料にするなり、どうぞご自由に。
私を殺すのはそれからでも遅くないと思うのがだ、さて、どうかね?
(紫煙を燻らしながら悠然と、殺気を纏ったままの葵の姿にも動じることなく、取引を持ち掛ける。
表情はどこまでも落ち着いていて、自分の死さえも重要視していないのか、
タバコを投げ捨てるとまた一本ポケットから取り出して、マッチを吸って火をつけて、
いかにも美味そうに煙を吐き出して)
>>352 (霞む視界の端で、不知火が手を振ったのが見えた)
(あいさつ代わりに口ぱくで「お疲れ様」と言ってからから、大きく息を吐きだす。
改めてその足を踏みしめて、モニター室に視線を向けた……左手は糸で弐式と一体化したままに)
――――。
(この場に及んで、自分よりもこちらの心配をしてくる恭弥に片手をやって「大丈夫」と告げる。
自分はいいのだ。そちらの方のダメージを優先すべきだろうに、と内心そのお人よしぶりに呆れながらも、
顎を汗が伝ったのを感じていた。――軽く、肩を回す)
……まあ、私はトドメを刺しただけ。俗に言う、いいところどりというもの。
(黒い目を本城冴子に向ける)
(静かな殺気を身にまとわせたまま。ゆらり、と揺れつつもその剣の切っ先を美しい女性に向ける。
鼻を突く紫煙の匂い、この場に及んでひきつりもしない顔、研究にかけるその熱意と、執着―――)
(――それを全て感じ取ってから、彼女はゆっくりと口をひらいた)
―――不必要。交渉は、決裂。
(こちらも、さっきよりは随分落ち着いた表情と、声音)
(ただ、表情は落ち着いているというよりもただただ無表情だった。それでいて、瞳だけが獣のようにギラついていて)
確かに、貴女の技術は最高峰のもの。
その技術があれば、色々な場面に転用できる……本来なら、喉から手が出るほど欲しいもの。
でも、――それは、≪深凪≫以外の話。
それに、……私は、“貴女を殺す”以外の命令(オーダー)を受けていない。
貴女の力が欲しいのなら、最初から私に抹殺命令なんて―――下らない。
そして、……私はこの決断を正しいと判断する。
貴女は自分の命なんてどうでもいい。逆にいえば、研究の為ならなんだって捨てられる。
…………この場で命乞いをする輩よりも、お前の方が、危険。
―――もう一度、言う。
私が承ったのは、貴様の抹殺命令。ゆえに、その交渉は受け付ける気がない。
(真っすぐに女性を見つめたまま、弐式を向けている)
(だが、今にも消えそうな弱々しい燐光は――彼女の右手が、僅かに震えているのと同じ意味だ)
>>353 そうか、一体どこの誰の恨みを買ったのか、わからないのが残念ではあるね。
――私を殺しても、この街の異常は止まらないよ?
むしろ私はこの街の夜に適応して生きていこうと――
(銃声が二発響いて、本城冴子の腹部に弾痕が穿たれる。
さすがによろめいて、そのままどさりと床に崩れ落ち――)
なんという下手糞な射撃だ、水鏡君。これでは死ぬまでしばらく掛かるではないか。
(声は震え顔は青ざめていたものの、この状況でも穏やかに微笑んで、本城冴子は水鏡を見つめる)
(バッグから取り出した銃で、かつて教わったとおり腹部への射撃――
がしゃん、と銃を取り落として、ほとんど放心したような表情で、水鏡は冴子に歩み寄り、
何も言わず、自分が撃った女医の姿に目を落として――)
頼みがある。タバコをもう一本…
(手を震わせて、それでも何とか口に咥えることは出来たが、マッチが擦れない。
水鏡は手を伸ばし、マッチに火をつけるとタバコに近づける。
それでもタバコが震えてうまく火をつけられないのを見て取ると、女医の口からタバコを取り、
自分で咥えるとマッチを近づけて―― 盛大にむせてから、もう一度女医に咥えさせる)
やあ、最後の最後に水鏡君に意地悪が出来た。これでもう――
(底意地の悪い笑みを浮かべてタバコを一口吸うと、つと水鏡の体を引き寄せて――耳元で何か囁く)
ではさらばだ。君たちの今後の健闘を期待する――
この街の夜の深さに、飲み込まれないように、ね。
(そう言うと、ぽろりと口からタバコが零れ落ちて――目を開いたまま、絶命する)
>>354 私たち、≪深凪≫は――――。
(―――銃声)
(腹部を捉えた弾、その軌道。振りかえらなくてもこの状況なら、犯人は一人だ)
(だから、振りかえらなかった。ゆっくりと手を動かしてからは、身動きもせず、何も言葉を発しなかった)
(あれだけのことをしてくれた彼に、幕を引かせるのくらい、目をつむっていてもいいだろう)
(むしろ今回は自分の方が随分と迷惑をかけた。
まったく、無様だ――心底そう思う。自分はあまりにも、あまりにも、弱くなりすぎてしまった)
(――強く、なりたい――)
(唇を軽く噛んで、糸がきつく締めあげているその手に力を入れ、≪弐式≫を握りしめる)
(弐式の刃は淡い光が宿ったかと思えば消えたり、揺らめいたりと、不安定だった。
―――霊力が乱れている。もう、この子も“限界”だ。
大変なこと、で、慌てなければならないことなのに、もう何も難しいことを考えたくなかった)
(僅かに目がかすむけれど、どうにか目の前の終幕を見終える)
(落ちたたばこ、絶命した女医、青年。
その順番で視線を動かしてから、ようやく足を進めた。そして、無言で女医の死体の前に膝をついて
右手の皮手袋を口に咥えて外すと、その生死を確認する)
>>355 (先輩が歩み寄って、どうやら事切れたかどうか確認しているらしい。
立ち上がると、モニタ室に歩み入り、デスクトップのPCに椅子を叩きつけて破壊する。
ハードディスクを折り、メモリを砕き、どのような形でもデータを取り出すことができないよう、
完膚なきまでにPCを叩き壊して――)
確認できたら、上に。
(先輩に言葉少なく声を掛けて、背後についてくるかどうか確認もせず、階段を上る。
研究所の部屋を漁り、灯油を見つけるとポリタンクの口を開いて、
部屋に廊下に、資料と思しき冊子や論文もばら撒いて、燃え移りやすいよう、
灯油をたっぷり染み込ませて――)
(先ほどのマッチを手に持って、玄関口で先輩を待ち受ける。
能面のように表情のない、血の気の失せた顔。後は火をつけるだけ――)
>>356 (破壊音。それを気にしながらも、彼女はそれを止めようとする様子も無かった)
(―――脈、瞳孔、その他を簡単に調べて、生死を確認。
死んでいる。そう判断してから、鼻をついた灯油の匂いに振りかえった。
そこには無表情で作業をこなす彼の姿が見えて……まあ、気がふれてないだけいい、と思った)
(そこらへんにあった自分のコート。
薄汚れたそれを着ようかどうしようか迷うように持ち上げてから、ちらりと死体を見る。
そして、もう一度、彼女が眠っているそこに戻ってから、その顔の上にそっと被せて)
(顔をあげて、玄関口にいる彼を見る。
左手に巻きついている糸を外して、その場に捨て置きながら、ようやく手と刀が分離した。
皮手袋を外して、手の具合を確かめる。また、顎のラインにそって汗が流れたのを感じながら、
弐式を鞘にしまうことはせずに、そっと水鏡の隣までいくと、無言で振りかえって今から燃えるであろうその場を見た)
>>357 (先輩の姿を認め、振り返ったのを目の端で捉えながら、マッチに火をつける。
絨毯にもたっぷり灯油が染み込ませてある、そこに火を放って、爆発的に燃え始めたのを確認して――)
さようなら、先生。
(ドアを閉め、研究所に背を向け、研究所を抱くようになだらかに広がる丘への道を辿る)
(研究所からは時折爆発音が響き、天に向かって火の粉が舞い上がるのが、
丘を登る道からも見え隠れしている。
やがて木々が伐採されて研究所を見下ろす、ベンチの置かれた開けた空間に出て――)
ベンチの後ろ、少し大きめの石が斜面に不規則に並んでるの、見えますか?
(ぼんやりと街灯の明かりもあり、そして燃え盛る研究所の炎で視界には苦労しなかった)
犠牲になった方の亡骸が埋葬されてるそうです。最後に先生が教えてくれました。
(目を閉じて、しばし黙祷してから、振り返る。
辺りに人家もないため延焼の危険はなさそうだ。
炎に包まれた研究所を、じっと見下ろして――)
あとは朱羽さんに連絡してお終い、でしたっけ。
電話番号を知らないので先輩が掛けるか、僕に番号を教えてくれるか、してくれますか?
(先輩の顔は見ない。表情も動かず、平板な調子で先輩に語り掛ける。
目はじっと、もはや消火も間に合わないほどに火が回っている研究所の炎上の様子に注がれて――)
>>358 ――――……亡骸をきちんと埋葬すれば、自己の研究の為に、他人を殺して、いいの?
戦場で相手の死体を野ざらしにしておいた兵士は、もっと責められる?
(ベンチの後ろにある墓石を見つめる。
明るい炎の所為で、それを見るのには苦労しない。そうして、そんな言葉を吐きだすのにも)
………ごめんなさい。意地悪だった。応えなくて、いいから。
(彼が黙祷を終えたのをみて、髪を揺らして研究所を振りかえった。
その黒髪は随分と乱れてしまっていたものの、彼女は指先でそれを整える気力も無いようだ)
(ごうごうと燃え盛る研究所。赤みを帯びた炎の周り具合を見てから、次に時計を見る。
丁度、彼の一歩後ろあたりで彼の言葉を聞いていたけれど、しばらくは無言を通していた。
彼女もまた、――黒い瞳で、赤々と燃えるその研究所を見つめていて)
恭弥……さん。
(それから、彼と研究所の間に入る)
(とはいっても、彼の方が10センチは高いのでその視界を遮ることも出来ず、結局は見上げる形になるのだけれど)
―――『不知火』は、霊力を、受け取れる……?
>>359 (僕には何も、分からない。先輩の問いかけに無言で返す。
名を呼ばれれば顔を上げて、それでも目は見ないようにして)
どういう、ことですか?何を言われてるのか、よく分からないんですが…
霊力を?受け取る?
(今は自分の千路に乱れた心で手一杯で、先輩の様子を気にかける余裕も本来はない。
疎ましささえ覚えながら、いつもの水鏡らしくもなく目線を合わせず、
それでも何とか覚束ない言葉を返して――)
それ以上、僕に近づかないで下さい。今の僕に触らないで。
(冷たく、そう告げる)
>>360 (説明しようと口をひらきかけてから、閉じる)
(今の彼には何を言っても駄目だ―――説明しても、自分の言葉では届かない。
合わせようとしないその目をじっと見るようにする。探るというよりは、ただ見ている感じだった)
…………嫌なら。
(素早く両手を伸ばして、素手で彼の頬を包んだ)
(振り払おうとすれば、すぐにでも振り払えるだろう。
所詮はこちらは女なのだから。しかも、この状態なら子供にすら払われるだろう)
―――突き飛ばして。
それから、私の意識がなくなるくらいまで、傷めつけて、いい。
そうしたら……これ以上、近づけないし、触れない。
でも、そうしないなら、私は貴方に何度でもこうするし、近づくし、話しかける。
(真っすぐにみる。わずかに肩に力が入ったのは、衝撃に身構えてのこと)
>>361 (びくっと体を震わせる。先輩の手がいつかのように自分の頬を挟んでいて――
ようやく、目線を下ろしてじっと深い深い、夜の色の瞳を見つめる。
しばし、そのままじっと――)
(そっと先輩の手首を握って、ゆっくりと自分の頬から手を離させる)
話は聞きますから、落ち着いて下さい。
今日はもう不知火に変わることは出来ませんけど、僕で力になれることかどうか、教えてもらえますか?
でも、条件があります。いくらでも仕事とか狩りとかの話は付き合いますけど、
≪深凪≫の剣糸に名前を呼ばれるのは不快です。
僕をその名で呼ばないで下さい――キョウって聞くと嫌なことを思い出すから。
そして、何度も言いますけど勝手に僕に触らないで下さい。
(僕は――ひとごろし、だから。それを口にしないだけのギリギリの自制は、なんとか出来た。
今、自分はどんな顔をしているんだろう?鏡があれば見てみたい、そんな風に思う。
実際には厳しくほとんど怒ったような、いびつな表情をして、かすかに後ずさって距離を置いた。
――もう、手を伸ばしてもすぐには届かない、そんな距離まで)
>>362 …………そう。
不知火に変われないのなら――もう、呼び方を改める必要性もない。
ごめんなさい、もう、絶対に、呼ばな、いから………許して、水鏡さん。
(何度か大きく息を吐きだして、呼吸を落ち着けるようにする。
ゆっくりと手を離されると、呆れたように目を細めた――彼女が声に出さず呟いたのは、
「いくじなし」か「おひとよし」か、いったいどちらだったのか。ともかく、口ぱくで何か言った)
霊力の、話は……あとでいい。
(彼が手の届かない位置に行ったのをみて、ゆっくりと座り込む)
(弐式を横にして地面に置くと、上体を伸ばして、自分の目の前の地面をバンバン、と叩いた)
ここに、来て、座って。
……違う話がしたい。―――話がしたい、水鏡。
(それから視線を上にあげて、彼を見る。
厳しく怒ったような表情を見て小首を傾げる。それから、うっすらと目を細めてから)
そんなに、怖い顔……するくらい、私に触られるの、嫌?
でも、そっちの顔の方が、いつもよりも凛々しく見える……早く、座って。
触られるのが――こんな無様な深凪八席に――否、こんな女に触られるのが嫌なら、
極力は、気をつけるから。
(まあ、彼女の極力という言葉がどれくらい頼りないものかは、
それなりの付き合いがある人間なら、分かっているだろう。逆の意味ととっても良いくらいの頼りなさだ、と)
>>363 いいえ、僕もちゃんと最初に呼ばれたときに説明しておけば…
(もごもごと口を濁す。なんだかいつもと様子の違う媛先輩の姿に、
ようやくの不安の影が胸に差すのを感じながら、
いざなわれるままに腰を下ろす。なんとはなしに正座してしまって)
…怖い顔、は――あんなことがあった後なんで、表情をどうしていいか分からないだけです。
別に嫌とかそういうわけじゃ…いつもいきなりだからビックリするっていうか…
(今は先生を自分が殺した、それ以外のことを考えられるほうがかえってありがたい。
少しずつ表情も戻ってきて、不安をかすかに目に浮かばせて)
それで、お話というのは…?
(正直内容に全く予想がつかず、微妙に困惑したまま、それでも逃げも隠れもしない、と腰を据えることにする。
こういう不安定な媛先輩の姿を見るのは初めて、ではない。
先ほど叩き込まれたあの悪意の刃、その影響が今頃出ているのか――
それとも、と別の可能性も頭に浮かんだけど、あえて口にせずに相手が口を開くのを待つ)
>>364 ………じゃあ、今度は前置きしてから、触る。
あと、――私は多分、今から貴方に、もっとそういう顔をさせることになると思う。
止める方法は、さっき言った通り……先に、言っておく。私は、性根が曲がっている。
それと……私は、大丈夫。 だから、心配しなくていい。
(正座した水鏡を前に、こちらは足を崩して座っている)
(指先で軽く、弐式の刃を撫ぜてから、眉間にしわをよせたあと、
改めて目の前に座ってくれた青年の目をまっすぐと見つめてから、小首を傾げる)
―――どうして、殺した?
銃を撃たなくても、私が殺していた。
なのに、どうしてあえて、撃った? …………どうして、人殺しになる道を、とった?
……彼女が、好き――だった、から?
>>365 (そっちか、と唇を噛み締める。でも、まだそれなら大丈夫。
――大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大丈夫大…)
…あの黒い刃を受けた時、不知火自体は戦闘に支障をきたすことはなかったですけど、
どうしようもない苦悶と絶望と苦しみが、僕の中に流れ込んできました。
捕えられ縛められ、終わることのない拷問と苦痛の魂の叫びが――
(自分の傷だらけの体をぎゅっと抱いて、目を閉じてうなだれる)
前の時もそうでしたけど、流れ込んできた絶望の淵の深さに、僕自身が飲み込まれないようにするのがやっとで――
人として、禁忌の領域を遥かに超えた行いだと思って――許しては置けなかった、そういうことです。
それに、お部屋で約束したじゃないですか。
「非常の手段」を使ってでも止めて見せるって。
きちんとそれを果たした、それだけです。
――好きとか嫌いとか、そういうことじゃありません。
(嘘ではない。それも間違いなく、理由の根幹の一つではある。
だからもう一つの理由は、口が裂けても先輩には言わないことにして、
真っ直ぐ目を見て返事をする。また表情が、どうしてもやりきれなさに歪んでしまってはいたけれど――
治療してもらいながらこちらをからかって、タバコを吸う先生の姿が一瞬、脳裏に浮かんだ)
>>366 ………許しては、おけなかった。
(傷だらけの体を抱きしめるその様は、痛々しかった)
(それでも、真っすぐに薄茶の瞳を見つめる。今度はどちらかといえば、探るように。
黒色の瞳で、覗き込むようにして彼を見つめ、小首を傾げたまま―――)
人として、禁忌の領域を越えた行いだから、自分が殺さなければいけないと、思った?
…………そう。
確かに貴方は約束した、止めて見せる、って。
でもそれは、私があれを止められなかった場合における、話。
貴方が、どうしても殺さなければいけなくなったときの、話………。
(立ち並ぶ墓石を見る。うっすらと目を細めて)
衝動的に、撃った?
それならば、彼女が私に取引をもちかけていた時点で、撃つのが普通。
(やりきれなさに歪む、彼の端正な顔、ところどころに傷がみえるその顔を見てから)
―――どうして、殺したの。
(彼女は同じ質問を繰り返した。今の答えでは、納得しない、というように)
>>367 ――僕のこの手で殺さなければ、僕の気が済まなかったから。
先生を尊敬してて、いつかちゃんと僕の体のこととか、お話したり、
先生の手伝いが出来るといいな、と思ってたのに…
(薄く、力なく笑う)
もし出来たら僕、将来はスポーツ医学とか、トレーニング理論とリハビリとか、
理学療法士とか…そういう方面に進みたいと思って…
そんな相談に乗って――先生は色々僕に教えてくれたのに!
(思い切り拳で地を撃ちつける)
裏切ったのは先生の方なんだ!
あんなに、あんなにいい先生だと思ってた僕の信頼を踏みにじった!
憎い憎い憎い憎い憎い憎い…撃つ瞬間には、それしか考えてませんでした。
先生が憎かったから、殺したんです。
(泣いてはいない。暗く澱んで狂気も滲ませた目で、ぎっと先輩を睨みつけるように、返事をした)
>>368 ―――だから、そんな顔をしていた、の?
憎悪で人を殺した自分がいたから、……だから、ずっと、そんな顔をしていた?
(―――極力)
(彼女のその言葉はやっぱり守られなかったし、前置きすると言う言葉すら守らなかった)
(手を伸ばして、また頬を挟んで、澱んだ瞳を覗き込む。
狂気まで滲ませたその瞳を覗き込むのは、いつもの彼の目を知っているだけに、
抵抗やら何やらがなかったと言えば、嘘だったけど)
…………それは、ほんとうに、憎かったの?
悔しかったんじゃ、なくて、苦しかったのでもなくて、辛かったのでも、なくて、
憎かった、の?
(黒髪をゆらして小首を傾げる)
…………いまは、苦しい?
それとも、泣けないほどに―――まだ、憎い? あの女の人がまだ、憎い?
水鏡さんに、そんな顔をさせるくらい、憎かった……?
(ぐ、と両頬を挟む手に力を込めてから)
―――たばこ、すわせてあげたのに?
>>369 ――っ!
(止めて欲しい。止めてほしくない。いっぺんに、両方を思って頭がまっしろになる。
頬に感じる、先輩の手のひらの暖かさ―― そう、人のぬくもりは、こんなにも…
ひとのてって、すっごく、あったかいの、知ってるのです――
心まで、蕩かすような――かすかに目を滲む。ぐちゃぐちゃの、泣き笑いを顔に浮かべて)
今も、憎しみでいっぱいです。それしかありません。
苦しくもないし、悲しくもないです。絶対ないです。
そんなの、小指の先ほども感じてません。
嘘じゃないです、ホントのほんとの本当、です。
後悔なんて、一欠けらもしてません。
(涙は、こぼれなかった。自分の中にうねった感情の波を、ギリギリだったけどなんとかやりすごして――)
本当に先輩は性根が曲がってますよ。
さっき約束したばかりじゃないですか。その手を、お願いだから、離して下さい。
僕はなんともありませんから。大丈夫ですから。
(それでも、今度は自分から媛先輩の手を外そうとは、しなかった。
ほんの少し、目に澄んだ暖かな色合いを浮かべる。
全部が全部、とはいかなかったけど、瞳に残る狂気のかけらを薄めていって――)
(どぉん、と重い音が響く。研究所の床が焼け落ちて、夜空に一層、高く火の粉が上がって――
赤々と二人の姿を照らし出し――)
>>370 …………そう。
(まくしたてるような言葉、僅かに薄らいだその瞳の色)
(それを見てから、唇の端で笑う。
「いじっぱり」、とそういうように。でも、彼女は一言だってそんなことを口にはしなかった)
あなた、ばか?
性根が曲がっているから……離さないに、決まっている。
性根が曲がっているから、……わたしは、約束を、平気で、やぶる。
(頬に置いた手をすべらせて、腰を浮かして膝立ちで、頭を抱くようにする。
彼の顔はまったく見えなくなって、頭の上にとん、と顎を置いてから大きく息を吐きだした)
でも、流石にこれは、約束破りも甚だしい。
……やめろというのなら、すぐにはなれる。
――――私が、あなたにくっついていたいだけ、別に貴方をなぐさめる気なんてない。
あなたが、怖いかおをするから、こうしてその顔をみなくていいように、しているだけ。
(重い音――視線だけ動かして、それを確認する。
あまり、時間がない。そう思いながら、腕に力を込めようとしたが、相手が振り払おうとするときに
そうしていては払えないことに気づいて、そのままゆるくしておいて)
――――彼女が、貴方を裏切ったなんて、嘘。
そう感じるのは、あなたがただ、心底彼女のことを信じていたから。
……信じていたから、いたかったから。――彼女と、話をしたの? 機械の首の話なんて、したの?
…………私は、あの女に、裏切るつもりなんてなかったし、
――あの女は、自分からわざわざ他人を欺くような性格には、見えない。結果的に、そうなっただけ。
【――色んな意味で僕の限界、とっくに振り切れちゃってます。
申し訳ありませんがここで一度、中断をお願いいたします。
今夜先輩の都合がよろしければ、少しお時間をいただいて21:30〜22時で再開、でお願いできますでしょうか?
振り切れちゃってますけど、先輩もどうぞ自粛って何?って感じで突っ走ってくださると、これ以上の喜びはありません。
そしてレスの速度も分量も全く安定しないのは、どうぞお目こぼしくださいまし】
【―――貴方が振りきれているときは、だいたい私も振りきれているとき、であります?(←)】
【ということで、十全と……多分、その時間には大丈夫だと思います。
ですから、その時間に避難所にてということで――、下から2行は水鏡さんにお返しいたします】
【それでは、今回も改めてお付き合いありがとうございました】
【問題がないようならば、その時間には顔を出します。それでは……お先に、失礼いたします(一礼っ)】
【ではそのように先輩のお言葉をいただいて、以降につきましては万事そのように。
スレッドをお返し…する前に、どなたでも、待機でも解凍でも遠慮なく、こちらをお使い下さい。
空いていれば引き続き使用しますし、埋まっていれば別の場所にこちらが移動しますので、とお伝えしておいて。
今度こそ本当に、スレッドをお返しいたします】
【異能】黄昏の学園避難所61【異端】
>>
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/5556/1272161319/452 (霧原朱音の言葉、伊織津綺子の言葉、迫水直の言葉)
(それぞれにそれぞれの思いが込められていて、どれが正しくて何が真実なのか都に決めることはできない)
(そもそもとして、第三者である都が口を挟むことじゃないかもしれない)
(それでも都にとって三人とも大事な人だから、悪い関係で終わって欲しくない)
霧原さんだって好きこのんで伊織先輩に憑いたんじゃないはずです。
限られた中で頑張って伊織先輩のことを守ろうとしていたはずです。
(病棟を睨みつける迫水直の背中に、都は感情的な言葉をぶつける)
頑張って頑張って、傷付きながら頑張って……それでも守れなくて。
それで挫けて自暴自棄になりかけている人を責める言葉なんてわたしは持っていません!
霧原さんの心を傷付けて足をすくうようなことをしてる人にそんなことを言われたくない!
(なんでそんなことを言うのか、なんで都と同じように思ってくれないのか)
(男女の違いからか、愛を勝ち取ったものと恋に破れたものの差なのか)
(二人が霧原朱音にもう少し気をかけてくれていたなら、あそこまで追い詰められなかったはず)
(失恋したものとしての共感が都を霧原朱音よりへとさせていた)
……ごめんなさい、言い過ぎました。
(病棟の向こうから聞こえてきた鳥の羽ばたき音が都を我に返す)
霧原さんにだって悪いとこはあるけど、全部を押しつけて欲しくないんです。
三方一両損とかって言うじゃないですが、みんながちょっとずつ我慢すれば、みんなが幸せになれる方法があるはずです。
わたしだって、一両出すつもりです。
そうゆうの、駄目ですか?
(具体的に都ができることはほとんどないけど、都に憑いている紅雲を巻き込んで何かできるはずと思う)
(その結果、紅雲の回復が遅れ、紅雲に憑かれたままの期間が長くなるのが損になるのだろう)
【迫水先輩への置きレスです】
【こんばんは〜、前山君とのロールにおかりしますよ〜】
【奏 永久 ◆ONICNlGmhA先輩とのロールに使用しますねー】
【昨日の続きをー】
>>342 えっと……。
(どう言ったらいいものか、と頭を抱えて考えなおす馨。
おそらく、先輩はこれを普通ではないと思っていないんだろうな、と考え直して)
いいですか、高校生である先輩が、何でお医者さんに給料わたすんですか!
お医者さんのところでバイトしてお金をもらうというならわかります。
でも先輩の言った事は逆でしょう!
似たようなものじゃないですよ、全然……。
(自分のことは棚に上げて、ちょっとだけ不貞腐れる)
中華を覚える……って、そりゃいいですけど……。
……それ俺が覚えてどうするんですか。
先輩に教えるんですか、その料理を?
(一体どうしてこんなことになったんだと改めて考え直し、嘲笑)
……ふむ。
(奏先輩が「拓兎」と呼ぶ先輩に可愛がられていることは事実。
とすると、奏先輩のことが気になったあの人は、その「拓兎」先輩に気があるのかもしれない……。
そんなことをちらりと考えつつ、ふむふむと首を縦に頷いた)
なるほど、そうでしたか。
(そろそろ立てるだろうか、と地面に手をついて、体重をかけてみる。
手の力は戻っているようで、そのままの勢いで立ち上がろうとする)
【ではでは、よろしくお願いします】
んー…………そうですね。
前山君は人の話をちゃんと聞いておくことをお勧めします。
私はようなもの、と言っただけで「渡している」とは一言も言っておりません。
私は、自分がどういう存在なのか想像できるだけのヒントは出してます。
わからないから聞くのは重要です。でもそれ以上に自分で考えることはもっと重要です。
全部が全部あなたが知っていいことじゃないんです。ですから――――そうですね。
(うん〜と一つ唸り声、あごに手を当てて)
これでも貴方にはずいぶんサービスしてるんですよ?
ですから、後は自分の力で何とかしてみてくださいっ。
たまに食べたくなったときに作ってくれれば喜びますよ。
大いに。私が。
あんまり作られますと重くなるので遠慮したいところですけど。
はいな、水鏡先輩か拓兎お兄ちゃんになにかあったんでしょうか。
まぁ、どちらも何があってもおかしくない方々ですけれど――
(などとつぶやいていると体を起こし始める前山君が見えて)
――――体、平気ですか?
まだいるようでしたら血、あげますよ?
(未だしまっていない短刀を指先に押しあてながら小首をかしげて)
【こちらこそっ、よろしくお願いしますっ】
>>378 ようなもの、と言ったってそれに類する状況が思い浮かばないですよ!
生活費を渡してるとか、物資を全部提供してるとか……結局それでも、おかしいことに変わりないです。
……ぬぅ。
(先輩の言葉を聞くと、小さく唸り声を上げて黙ってしまう)
あとは自分の力で、って……。
……わかりましたよー。
(むー、と声を漏らしつつ、アヒル口で先輩に呟く)
食べたくなったときに作ってくれればって……。
俺食堂代わりじゃありませんよ!?
まぁ……作れるようになったらですよー?
あんまり期待しないでくださいね。
(なんだか釈然としない様子ながらも、薄々頷く)
ん、あ、いえ、なんでもないです。
……何があってもおかしくないってなんですか、それ……。
(そんなに危ない人なのだろうか、と首を傾げる)
ああ、もう大丈夫ですよ、多分。
……余分に飲んだら健康が促進するものでもありませんっていうわけじゃないですよね。
体に害がないなら、飲んでおいたほうがよさそうですね。
(よっ、と言いながら立ち上がる馨。
しかし、先輩にズボンを脱がされたまま、気づかずに話をしていたので下はパンツ一丁で仁王立ちに)
うん、うんうん。うんっ
はい、全部おかしいことだらけですね?
――――貴方は私がそれを貴方に知られて都合が悪い人間だったら
この後私が貴方に対してどういう行動をとるかわかりますか?
(響くは驚くほど冷たい声音、瞳に宿るは凍えるような光。
手に持った短刀の切っ先がゆっくりと前山君の方に向く。その刃に
まぎれもない殺意を宿して、ゆっくりとその喉元へと照準を合せて。)
お忘れなく。貴方は貴方自身の身を大切にしなくてはならない。
そして貴方の踏み入る世界はそのような物など簡単に朽ちる世界――――
もう一度、貴方は意識が足りない。といわせていただきます。
…………そういうわけで頑張ってくださいな〜
(一瞬で冷えた空気を振り払うとその顔に微笑を浮かべて)
ええ、期待して待ってますから。
いろいろと頑張ってくださいねぇ…………
(にやにやと都合の悪いことを聞き流しつついやらしく笑いかけて)
はい、今私がしているのはそういう話です。
あまり間の抜けたことばかり言ってると貴方の安全のために口塞いじゃいますよ、私。
気になったのならば彼らに直接接触してみてください。
職員室とかで名簿見せてもらえればすぐに見つかりますよ。「紅裂拓兎」も「水鏡恭弥」も。
その二人に接触して、有益な情報を得られるかは貴方の振る舞いしだいです。
(首を傾げ続ける前山君に対してさらにおせっかいを一つ。)
…………ハイな、お待ちくださいねぇ。
今、ゆび………さい……ちゃい、ます………から。
(なぜかズボンを下ろしたまま仁王立ちするその姿に硬直すること数十秒。
セクハラなのかここで自分は襲われるのか考えること数十秒。
それから数分かけて自分が脱がしたことに気づき喉を震わせかけた悲鳴を押さえることコンマ一秒前)
――――あ、はは、ごめんなさい。下、脱がせたままでしたね。
えっと………前山君、私、指裂いちゃいますからその間にズボンはいちゃってください。
(顔を極端に赤らめて指に短刀を突き刺す。そのままぐーりぐーりと傷口を無意味に広げて
羞恥心を極端な痛みで忘れ去ろうとして――)
>>380 ……えっと……?
(一瞬感じた、冷えた空気。
先ほどまでとは違い、忍び寄る死の感触ではなく、直線的な死がそこに迫っていた。
豹変した先輩を見て、思わず喉を鳴らす。
その直後、空気が振り払われたのを見て一度息を吐く)
……だったら先輩、示唆しないでくださいよ……。
(うんざりした様子で答えた)
そういう話?
……はぁ。
(今までの話を総合すると、どうやら先ほど名前が出た二人も夜の人間らしい。
ということは、もしかしたら先輩が忠告した「危ない二人」のどちらかが居るのかもしれないなぁ、と思いつつ)
……紅裂拓兎?
(その名前を聞いて、少し表情が変わった)
へ?
先輩、どうかしまし……。
(先輩に指摘されて自分の下を見る馨。
そこには見事に自分の下着が露出されていた)
あっ、ちょ、先輩!
それ早く言って下さい!
(慌てて後ろを向き、ズボンを上げ、ベルトをなおす馨。
先ほどの何倍も疲れた表情をして再び座り込んだ)
いえ、言葉尻に違和感を覚えたなら
その言葉を出す意味を考えろと言いたいだけなのですけど…………
やっぱり前山君は向いてないのかもしれませんねぇ。
(うんざりした様子にこめかみに大きな汗マークを浮かべて
それとも自分の教え方が悪いのかなぁとか思いつつ指先をぐーりぐりして)
………
(何か思い当たる場所に至った前山君をじっと見つめて
彼の思う『紅裂拓兎』の名前の意味を観察する――先ほどは何か注意するべき人物の名前を
探るような気配。そして今は何かに思い当たった表情。)
…その名前に聞き覚えでもありますか?
私でよければ何か力になりますけど………。
あー………はい、だってそこなめなくちゃいけないじゃないですか、ですからかちゃかちゃと
ずぼんをぬがし、おもむろにおろして、あんまりうまくまかれてなかったほうたいをはずしまして
そこにだえきをぬりたくるためにぺろぺろぺろと、こうやってそーきがんをはつどーしまして――
(いい加減やりすぎなんじゃないかと思われるほど指先から赤があふれてくると
未だ拭えぬ羞恥心を押さえてちょこちょこと前山君に近き――)
ど、どーぞです。舐めてください。
(ぬっといい加減やりすぎてじんじんと痛む指先を口元に差し出した。
涙で潤む金色の目を下に向けながら、耐えきれない羞恥に頬を染めて。)
【ごめんなさい、ちょっと裏事情で遅れます】
【ハイな、ごゆっくり〜】
【あまり時間がかかるようでしたらお返ししておきますけれど?】
>>384 【大丈夫ですよー】
【今から書き始めるだけなので……あと10分程かかりますが……】
【りょーかいですっ】
【私もどこかのタイミングで離席するやも――と予告しておきます。】
>>382 ああ……そういうことでしたか。
……いや、それならわかりました。
まぁ……向いてないのかもしれませんねぇ……。
普段勉強もできないので……。
(うむぅ、と小さく唸り声を上げて首を傾げる)
え?
ああ、いや、なんでもないですなんでもないです。
(奏先輩に笑顔を向け、手をひらひらと振る馨。
とりあえず、手繰り寄せられそうな糸は見つかったなぁ、と感じて小さく頷いた)
……いや、先輩、そんな詳細に説明しなくてもいいですから。
そんな言いたくないならいわなくてもいいですから!
(苦笑を浮かべつつ、そっと先輩の手をとり、舌先でちろりと血液を舐めとった。
味わうように口の中に鉄の味をかみ締め……唾液と一緒にごくりと飲み込む)
……終わりました、先輩。
…………ふむ、そーいうことにしておきましょう。
(――紅裂拓兎に関する何かが前山くんに伝わっている。
おそらくは注意の類。誰が彼に紅裂拓兎に関して注意することを促した?
思い当たる夜の住人は――)
――媛名葵。
(――この名前だけ。いや、『奏』の次期当主が自分だと感づいた彼女のことだ
そんな彼女が意味なくその名前に関する情報を漏らすだろうか。否。
では自分が知らない誰かがそういう情報を前山君に流したことになる。)
(その誰かは自分の知らない紅裂拓兎の一面を知っている。…………ここで手詰まり
その誰かに接触する価値と危険性を天秤にかけ、さらに紅裂拓兎へ直接聞くのとどちらが早いか
――考えるまでもなかった。)
はい、おつかれさまでした、つぎのもんしんはありませんので
たいいんするといいですよ――――――こほんっ!
(いい加減にしゃきっとしろと自信に言い聞かせるように頬を打つと
その場から立ち上がり――)
まだ何かありますか?ないならこのまま学校に戻ろうかと思います。
>>388 ……ん?
先輩こそ……どうかしました?
(小さく首を傾げる馨。
ひょっと出た名前は確かに馨の耳に入ったが、それに対しては別段反応をしめすことはなかった。
自分としては思わぬ収穫を得ることができたので満足していたし、何かを問い詰めることもしない)
退院って、入院すらしてなかったですよ、今。
(あはは、と苦笑しつつ、自分の身を確かめる馨。
他には別段、変わった様子は見当たらないのではい、と言って敬礼して)
ありません。
俺も学校に戻ろうと思います、が……。
……そういえばここ、どこですか?
(周囲を見渡してみると、荒廃しているように見える。
しかも、自分の見たことのない景色。
ここから帰るのは至難の業だろうなぁ、と考えた)
いえ、よかったなーって。
それだけです。ええと………くれぐれも、無茶だけはしないで下さいよ?
もう一度言いますが、私は貴方が死んじゃったら悲しいんですから。
(にこーっと笑みを浮かべて)
んー、ここはですねぇ学校から離れたところにちょっと前に****っていうお店があったんですけど
そこの跡地です。ほらコンビニの*******からちょっといったところにある。
ここから出てまっすぐ右に行くとありますよ。
ちょっと間借りさせてもらいまして――
(いたずらっぽい顔で空中で鍵開けの動作をして見せて)
それでは、行きましょうか………今からなら――今の授業は無理でも次の授業には間に合いますかね。
この際さぼってしまうのもありなんですけれど。
私はいい加減生活態度がまずいことになってそうですし…………
(苦笑を洩らしながら扉に手をかけて――)
それじゃ、行きましょうか。お付き合いしますよ………ここまで連れてきてしまったのは私ですから。
(微笑を浮かべて外に促すようにその扉を開いた――)
【えーと次くらいで〆で問題ないですかねぇ】
>>390 ええ、無茶はしません。
その前に引きかえすことにしますから。
死ぬ前に止めます。
(きっぱりと言ってから、また人懐っこい笑みを浮かべる)
えーっと……ああ、あれですか。
はいはい……。
わかりました。
……俺たち今そんなところにいたんですか!?
(今知る驚愕の事実。
あまりに驚いたので大きな声を出してしまう)
ん……俺はサボってもまだ大丈夫だと思いますが……ま、帰ったほうが無難でしょうね。
はい、了解です。
じゃあ行きましょうか。
(先輩が扉を開いたのを確認して、先輩を先に通す。
自分は後から扉を潜り、一度背後を確認してから……学校へ向かった)
【そうですねー】
【次に別段書くことないので、こちらはこれで〆でお願いします】
…………そこまで驚くことなんですかねぇ。
うーん……ほんとに、大丈夫なのやら?
(先行きがちょっと不安になってきて――まぁ、それでも言われたことをすぐにできる
素直さがあるなら大丈夫かなぁとか思いながら――私が言ったこと忘れないでいてくれたらいいなぁとか
そんなことを考えながら、いつまでたっても扉をくぐろうとしない前山君に「?」を浮かべて
やっとのことでレディファーストとかそういうことに気づくとぽむん、と手をたたき
先に扉をくぐる。)
ああ、じゃ………そのままさぼってくれてもかまいませんよ?
私、奏鬼眼使えば早く帰れますから――――
(とまぁ、そんなことを言いながら結局は折れてくれた前山君に甘えて
一緒に帰ることになったのだが――)
(――余談だが中等部に授業の合間に人を「攫っていく鬼」なるうわさが流れ始めたとか
曰く、生気を吸収して抱きかかえられるとか。その鬼にあったが最後苦しみながら地獄に連れてかれるとか。
誰のせいかは…………とにかく今回の話はこれでおしまい、です。)
【ではこれにて〆です。】
【二日にわたってのお付き合いありがとうございましたっ】
>>392 【はい、こちらこそありがとうございましたー】
【これで怪我をすると全て奏先輩の耳に入るようになったわけですね……】
【本人は多分それを自覚してないでしょうけど】
【というわけでお疲れ様でした】
【引っ込みますねー】
【ですねぇ、それならそれで。】
【お望みでしたら「夜叉」の人でお相手もできますので】
【気が向いたらどぞですっ】
【ハイな、お疲れ様でした。こちらもこれで返します。】
【以下空室ですっ】
【ロールに使用します】
【ちょっと打ち合わせ】
【@天羽都のことはメールで伝えた】
【Aそちらが組織を結成したこともメールで知っている】
【必要な前提はこれくらいか】
【何処で話をする?文芸室とか放課後の教室とか夜の道でばったりとか】
【色々ありそうだけど】
>>395 【同じく使用させていただこう】
【ふむ、とりあえず相互の了解はその辺でオーケイだろうね】
【場所は……うん、示し合わせてなら、文芸部室ならお茶を出せるね】
【ファミレスとか学食とかで、昼食を共にしながらとかもいいかも】
【文芸部にしようか。示し合わせてな。】
【輸送手段茶の関係で菓子はクッキーくらいしか出せないが】
【それでよければ、ちょっと書きだしてみるよ】
【あ、リミットになったら事前に教えてくれ。〆る方向に行くから】
>>397 【よし、じゃあそれでいこう。こちらも安物のお茶しか出せないが】
【リミットは……まあ、せいぜい二時ぐらいかもしれないなぁ……まあ、眠くなってきたら言うさ】
【それじゃ、書き出しよろしく頼むよー】
(ある日の放課後。文芸部の部室に、紅い髪の男が訪れていた。)
(これは当然の訪問ではなく、携帯電話で示し合わせた上での事だ。
(前日からチョコクッキーを用意していたのもその関係である。)
へぇ、本当に組織作ったんだな。
不老不死になりたがる奴って結構いるんだな。
考えても見れば、案外そっちの方が普通の感性なのかもな。
……まーあ、世の中にはもう生きる事に疲れて。
けど、死ぬ切っ掛けも掴めずふらふらしてる人間も、いることにはいるけどな。
(例えば、この俺のように。言外にそう言って、紅い髪の男は笑う。)
(そこに狂気はなく、虚無はない。ただ、少しばかりの自嘲はある。)
(紅裂拓兎がこんな風に普通に笑いかける人物は、限られている。)
それで、少しは順調なのか、計画は?
俺、ここのところ忙しくてメールで教えてくれた事ぐらいしか知らないけど。
(パキリとクッキーを齧って、紅裂拓兎が隙屋量子に訊ねる。)
(元魔王の契約者。大量殺人鬼。世界を滅亡に導く為の尖兵。そして悪人。)
(彼は、隙屋量子を「真に邪悪な存在」だと思っている。)
(何せ彼女は、「無限の存在」に至り、欲する全てを手に入れようとしているのだから。)
(けれど、だからこそ、その正反対のベクトルに彼は惹かれたと自己分析している。)
【了解。じゃあよろしくな。】
(その日の文芸部室は、いつもより少し賑やかだった)
(何しろ、人の声がしている。普段は、隙屋量子がひとりで本を読んでいるだけなので、ほぼ無音なのだ)
(今日は、彼女の他にもうひとり……紅裂拓兎という赤い髪の少年がいた)
(悪人を自称し、事実殺人などの犯罪を幾重にも犯している危険人物)
(しかし、隙屋量子は彼のことを、得がたい友人だと思っている)
(こうやって、お茶の時間を共にして、安らげる程度には「合う」のだ)
(能力的にも、頼れるところが多い。今日も、話題は、お互いの目的と、近況についてだった)
うん、まあ、まだ人数的には、十二、三人といったところだがね。
ただ、勧誘していてわかったよ。いわゆる異能者たちが、かなり多い割合で、企業や組織に対して奉仕しているということがね。
理由としては、身の安全を図るためだったり、効率的に利益を得るためだったりするわけだが……。
そして、そういった企業や組織の上の方にいる人たちは、これまた多い割合で、長い寿命、死なない命を欲している。
だから、異能者として話を持ちかけると、結構真剣に検討してもらえるんだ。
複数の大集団が、我々を通じて、無限について本気で研究を始めてる。
ちょうど私の組織は……いろいろな集団を少人数でくっつけている、接着剤みたいな存在なんだね。
キミも入ってもらえたらいいんだが……死ぬきっかけなんて考えずに済む最良の方法は、打ち込めることを見つけることだよ?
(クッキーをかじる彼に、量子はマグカップに入れた紅茶を渡す)
(オレンジの香りのするお茶だ。ティー・パックの安物だが、入れたてなので香りはいいはず)
少しずつ前進、といったところだね。リンクスの襲撃も、相変わらず続いているし。
それより、キミがこないだくれた情報は面白いね……人の能力を増減させる能力だっけ?
それ、制御できたら、かなり便利だよねぇ。
(自分も、彼の持ってきたクッキーをかじる……ほろ苦く、甘い)
【ちょっと遅くなったっ……じゃ、よろしくっ】
少年漫画的には丁度いい数字かもよ。≪幻影旅団≫を思い出す。
ラノベ的には≪十三階段≫でもいいが。
ふん、なるほどね。安全に、安心して生きることか。
なんか≪ギミー・シェルター≫みたいだな。
どうにも、人柄が想像し辛いな。普段接してるのがアレとかアレとかだし、俺。
(生きていることを肯定して、生きる事に喜び感じ、生きる為に必死になっている)
(異能者たちの顔を思い浮かべようとするが、どうにもイメージが湧かない。)
(彼が呼吸する闘争と流血と呪詛と死の世界では、それは難しい。)
ははん、そっか。ある意味、上手いやり方かも知れない。あんたらしいよ、実に。
例えるなら、≪殺し名≫やら≪呪い名≫やら≪四神一鏡≫やらからそれぞれ人間を
引き抜きつつ、その上で相互で繋がりつつ利益を得る関係なのか。
俺は――生憎とやることがあってね。
出来れば、あんたと一緒の道を歩きたかったけれど。
まず、それを片づけないと、な。
それに、前にも言ったけど、あんたに俺は必要ないだろう?
もうあんたには、仲間がいるんだからさ。
(マグカップから立ち上る芳香に頬を緩め、見つめる。)
(彼女と同じ道を歩めないのは、最初からわかっている。)
(共に歩む仲間を得たのなら、異物でしかない自分の居場所など、余計にない。)
天羽都ちゃんのことね。
うーん、どうしたものか。あんな能力は、安全装置のない爆弾と一緒でよ。
潜在的に原子を操れる素養のある能力者が迂闊に接して、それが引き金となって
能力に覚醒して、それを制御できず大爆発ってこともあり得るんだぜ。
(天羽都がその生涯で何人の人間と接するかは予想できないが、その中に)
(危険な潜在能力を持った人間が現れる確率は低くないと感じている。)
(力と力は惹かれあう。まるでS極とN極の磁石のように、接近する。)
まーあ、接する時は細心の注意を払ってくれ。
仲間に誘うなら、彼女自身にも利益があるって思わせてくれ。
下手な言い方したら、利用されるんじゃないかって警戒されるから。
あー、それと、彼女事故で両親亡くしてるらしくてな。
その件について触れることがあったら、穏便にな。
(「屋上の上に落ちたらしい」という事は黙っておく。)
(彼女の消えない傷の事を思えば、気軽に話していい事ではない。)
ふ、ふ、ふ。個人的には、増えてくれた方がいいことはいいんだがなぁ。
13もゴルゴを連想させるから悪くないが……666とか、56483(ころしやさん)とかもよくないかい?
(こうなると、もう語呂合わせである。遊びになっている……だが、その罪のなさがいい)
基本的に、持つ物が多ければ多いほど、死を忌避するようだね。
上に立つ者、権力者というのは特にそうだ。お金持ちもね。後はそう、健康を害して、死に瀕している人もいる。
とにかく、不死を提案するなら、人生がバラ色の人たちを選ぶに越したことはないってわけさ。
店おっと! 異能者たちの上に立っているからといって、異能者というわけではないよ。
むしろ、異能を持たない人たちが、異能者をお金で雇って、その能力を使っているパターンが多いかな。
(そういう社会的強者たちの支持の下にいるから、研究資金は比較的潤沢だ)
(この間伊達骨董品店で購入しためのう時計、あれもそこそこの金額だったが、経費で落とせた)
(今ごろは、組織の研究機関で、いろいろな角度から検査されているだろう)
ふーむ……西尾維新は、戯言シリーズの外伝類は読んでないんだが……言いたいことはわかるよ。
まあ、そんなところだね。つなげて、連動させるギアでもある。
結果が出れば、恩恵を受け取ることはできようが、失敗しても「つながり」に過ぎないから、害は及ばない。
ふふ、卑怯と思うかね?
ふむ……そうだったな。
無事にそれを終えられるといいね……ひとつの目標が片付いたら、また考えておくれ。
何しろこちらは、無限を望んでいる存在だ。待ち時間はそれこそ無限にあるのだ。
それと……。
(カップの湯気の向こうに、彼の顔を見ながら、皮肉げな笑みを浮かべてみせる)
私は、必要のあるなしで友人を選んだことはないよ。
確かに頼れることは確かだが……弱く、無能であったところで、こうして話をするのに、何の問題があるかね。
(く、と熱い茶を飲み干す。湯気は消えた……)
天羽さんね……うん、危険性はかなり高そうだ。
とりあえず、戦闘タイプの能力者は接触させられそうにないな。
強化されたり、弱体化させられたとしても害にならなさそうな能力者を選別するか……。
……私の能力なら、どう変化するかな?
持続時間が長くなったりするだろうか……? そうだとしたら、かなり嬉しいんだが……。
(危険性より、新しい可能性への好奇心が、より強く眼の中に現れている)
(冒険は、嫌いではないのだ。特に、得られるものが大きそうな冒険の時は……)
そうか……異能者という奴は、数奇な運命をたどっていることが多いものだが。
わかった、こちらも、勧誘の時に警戒されて失敗したことは少なくない……穏便にやるよ。
まずは、友達になれれば一番いいな。共通の趣味でも持てるといいんだが。
とにかく、研究の進展のためにも、リンクスからの自衛のためにも、彼女の能力はぜひ解析したい……。
なるほど、その筋の連中ともツテとコネを作れたのか。
(彼女の交渉能力には感服するしかない。その手の交渉は下手をすれば)
(一方的に利用されても不思議ではない危険性を秘めているのだから。)
(多分、自分なら上手い具合に交渉を成立させる事など不可能だろう。)
――人間の欲望に際限はない、か。
普通の人間が一番怖いって誰が言ったんだか。
俺にも、並み程度の物欲はあるけどよ。
(暫く、揺れる水面を見つめる。そんな人間には、少なからず会って来た。)
(権力を得た人間の中には、それこそ遊び感覚で人の命を弄んでから)
(殺す事を快楽とするような人間も、少なからずいた。)
いいや、それも合意の上ならいいだろう。取引や契約とは、そういうものだ。
あんたが危ない橋渡ってその関係を構築したのは理解できる。
何より、敬愛する姫様のやる事に俺が苦言を呈するとでも?
(冗談めかして笑う。友達だけれど、大切だけれども。)
(何か出来る事があるわけではない。ならせめて遠くから見守っていようと、そう思う。)
終わるまで、命が残ってれば、な。
(多分、それはあり得ないと思っている。魔王と十一人の契約者たちと、戦う。)
(命を賭した程度で魔王に届くとは思えないが、それとこれは話が別だ。)
――生憎と、な。俺は誰からも必要とされた事がないもんでな。
必要としてくれた主のことも裏切ったし。自信がないんだよ、要するに。
(それは、劣等感と言い換えてもいいかも知れない。それ紅裂拓兎を構成する傷のひとつ。)
(愛された事が無い人間ほど、愛を求めると誰が言ったのだったか。)
(けれど、正しい愛し方も愛され方も知らない。だから、自信がない。)
料理部だから、その線で責めればいいんじゃないか?
偶に、高等部の料理部にも顔出しているって話だし。
まーあ、それはともかく、あの子の力は、発動した自覚がないって言ってたからな。
それ単体では無害だが、特定のものを混ぜると劇薬に変化する薬みたいなもんだ。
どうやって能力の有無を判定してるのかすらわからないわけだ。
(パキリ。クッキーを齧る。天羽都の件を知らせたのは、どう考えても彼自身の手には余ると思ったからだ。)
(けれど、放置するには危険すぎる。だから、自分より知恵のある隙屋量子に力を借りたいと思ったのだ。)
話しておいてなんだけどよ。危なくなりそうだったら手を引いてくれよ。
俺は、そっちの事には手を貸せないからな。
他にも、色々柵も増えちまったしな。死ねない理由ばっかり増えてしまってるよ。
(兵部晶、紫一久、久遠ゆりか、奏永久、他にも色々なことが、紅裂拓兎の身体に絡みついている。)
(けれど、悪くないと思える程度にはなれた。その切っ掛けは何だったのかを考えてみる。)
――ああ、そうだ。俺、あんたに一度、礼を言いたかったんだ。
ありがとう。あんたには、結構助けられた。
(すっと右手を差し出して、握手を求める。今更改まるのも照れくさいが、一度言っておかないと)
(次の機会がいつ巡るか不明瞭だ。それが、紅裂拓兎の切り拓いている道。生きる世界。)
(だから、今を置いて他は無い。好きだとか、愛しているとか、そんな曖昧で真意の掴めない言葉より)
(ただ、彼女と会えたことを感謝して、彼女に支えられた事を感謝する。)
ふ、ふ、ふ。生存に執着している私が、危険なことをするというのもおかしな話だが。
まあ、ぼちぼちやるさ。逃走に関しては、私の能力は非常に役に立つからね。
それに、目的を達成するまでは、我々に味方している連中は、我々を切り捨てないだろう。
そして、目的が達成された時には、私は完全に安全になっている……「不死」になっているはず、だからね。
……ふ。私の騎士さんは、どうにもむずがゆい男だね。
まあ、そういうところも嫌いじゃない……。
こちらとしては、キミの幸運を祈るぐらいしかやりようはないが。
だがせめて、生き延びるために、できるだけのことはしたまえよ?
命を失うような危険に身を晒すのなら、一パーセントでも死の可能性を減らすべく企むべきだ。
そうだな――もし、私に相談してくれるなら――。
キミの敵と、リンクスの部下どもを鉢合わせさせるぐらいのことは、計画してあげるさ。
(危険はなるべく減らす。利益はなるべく大きくする)
(ただ、友人を有利にしたいというだけではない。それによって自分もいい目を見る)
(生存に執着した少女の思考回路というのは、基本的にこういうものだった)
(彼女にとっては、友情も手放しがたい「利益」なのだ)
(しかし、そうだからと言って、そこに敬意が含まれていないということにはならないのだ――)
料理――料理か。それはいいな。
私も、料理は嫌いな方じゃない。文芸部と、料理部、掛け持ちは大丈夫だろうね。
「わからない」――という部分を、研究して「わかる」ようにするのが、科学だよ。
どのような現象も、必ず、何らかの原理によって引き起こされているはずなのだ。
それを解析できれば、私たちの組織は、さらに一歩無限に近付く。
……危険かもしれないが、天羽さんにはこちらから必ず、接触しなければならないんだ。
そして、我々の組織で保護する必要がある。一番怖いのは、彼女がリンクスに殺されることだ。
もし、その能力増減能力が、向こうの手に渡ったら……こちらは、ひどい窮地に立たされる。
(リンクスは、観察と分析にかけては、人類をはるかに超越している)
(奴の死者を復活させる能力も、人体の組成を、完璧に分析できる異能者あってのことだ)
(もし奴が、天羽都を殺し、その能力を分析し、能力制御を自在に扱えるようになったら……)
死ねない理由が増えるのは、私の価値観にしてみれば結構なことさ。
この世とのつながりが多ければ多いほど、人は生に執着する。キミはきっと、いいつながりを増やしているんだよ。
(そう言った量子に、差し出された彼の手)
(量子は思う……まったく、この男は、悪人と自称するには、人間的過ぎる)
(だが、そこが気に入っている。人間、何かに一辺倒である必要はない)
(彼の手をそっと握る。少し固い、男の手)
生き延びるんだよ。絶対に。これは、友人としての命令だ。
死んだとしても、生き延びようとあがいて、あがいて、意識の失せるまで動き続けたまえ。
諦めでもしようものなら、無限の中でいつかあの世に対して砲撃できる兵器を開発して、地獄を爆撃してやる。
無限というのは、あらゆる可能性を内包した概念だ……我々『ホイル』は、不可能ごとでも可能にするよ?
(にやりと、笑う……本気だという意思を、瞳に込めて)
あんたの友情には感謝しているよ。
ま、気が向いたら、相談くらいはするさ。
一人でどうにかなるような相手でもないしな。
(けれど、それはあり得ないだろうと、考えている。)
(友達と言ってくれた人を、こちらの事情に巻き込む事は出来ない。)
(精々、こちらの戦いに巻き込まれないように注意を払う事しかできない。)
それはマズイ、な。ちゃんと保護してくれ。
どうにも、な。年下の子ってのは庇護欲が湧いてしょうがない。
身体もそうだけど、出来れば心も保護してやってくれ。
(何より、知った顔の少女が殺されるシーンを想像するのがよくない。)
(そして、リンクスの駒として使役されるだけの存在に成り果てる事も。)
(別段、そこまで思い入れがあるわけではないが、やはり子供は大事に)
(した方がいい。今まで子供を殺さなかったわけではないけれど。)
嫌な繋がりの方が多いけどな。
毎日毎日、どうしたものかって悩んでる真っ最中さ。
(例えば、アンジェラ・『ウィーク』・トルーマンとか。あの魔女とも一度白黒はっきりと)
(決着をつけねばならないと感じている。あらゆる損得を抜きにして、紅裂拓兎という)
(人間がどうしても打倒しなければならない相手は、あの女だけだろうと確信している。)
うわ、酷い。死後の世界まで踏み込む気か。
やれやれ、うっかり死んで楽にもなれねえのか、俺。
まーあ、アレだ。無限の存在が地獄すら踏破できる存在なら
それこそが人類の勝利かもな。神様も魔王様もさぞかし喜ぶことだろう。
(結ばれた手。彼女の瞳を見つめる。強い意志を宿した目だった。)
(一度冗談めかして笑って、真剣な表情を形作る。)
……いいよ、約束する。
もう諦めないって、あんたに誓う。
(穏やかな声で誓いが宣誓される。だから手を離す。離れていても繋がっていると)
(教えてくれたのは、彼女だったから。ならそれを信じよう。彼女の事は本当の意味では)
(理解できないし、本当の意味で交わることは叶わないが、それでも最後までこの誓いだけは)
(刻んでおこう。数多の約束と、誓いが、紅裂拓兎をまたひとつこの世界に留める。)
そろそろ帰る。
悪い。本当なら送って行きたいんだが、用事があってな。
また何かあったら連絡してくれ。できれば力になるから。
(何気ない挨拶のような会話を別れの挨拶として、部室を立ち去る。)
(そして紅裂拓兎は、再び歩き出す。今度こそ自分の意思で選んだ道を切り拓く。)
【では、リミットも超えてしまったのでこれで〆とする。】
【お疲れ様。ありがとう。】
大丈夫だ。天羽都……悪いようにはしない。
とりあえずは、どんな形で接触するか、どういう風に能力を研究するか、仲間たちと相談するよ。
(利用はするが、決して道具扱いはしない)
(能力を使って無限を目指す――最もいい形は、彼女にも仲間になってもらうことだ)
(能力を手に入れるために、友達になる。それは侮辱かもしれないが)
彼女と友情を持ちえたなら、それは大事にしよう。約束する。
(紅裂に対しての友情に、偽りがないように)
(天羽都とも、信頼関係で結ばれた友になれればいいのだ――)
その嫌なつながりも、いいつながり同様にキミをこの世につなぎとめているなら、私はそれに感謝すべきかもな。
(極論すれば、彼の敵である魔王一派も、彼がこの世に生きている理由なのだ)
(紅裂に関わる全てのつながりを、量子は知らない)
(だが、それらひとつひとつが、彼を生かし、成長を促してくれているなら、やはり感謝したい)
問題を解決したいというのは、生存の理由としては充分さ。
いっぱい悩んで、あがきまくるといいよ。く、ふ、ふ。
(意地悪く笑う。遠慮なく意地悪くなれるのも、また友情か)
(握手ごしに、彼が誓いの言葉を口にするのを聞いた)
(口約束だ。証文はない、証人もない、証明もできない)
(ただ、お互いに了解していればいい)
……無限を望まない人間には、死は必然の運命だ……。
彼はいつか死ぬだろう。誓いはしたが、不本意にも道程の途中で、倒れることもあるかもしれない。
だが……死に抵抗しようとあがいた人間の、命の輝きを否定するほど、私は機械的ではない。
いつか私も、彼を失って悲しむ時が来るだろう……それはきっと、避け得ない。
(去っていく彼の後ろ姿を笑顔で見送り、しかしそんなことを呟く)
(自分が先に死ぬかも……とは、微塵も考えない)
(彼が、やれることをやるのと同じように、彼女も、できる限りのことをするのだ)
(懐から、携帯電話を取り出す。ダイヤルする相手は、信用できる仲間のひとり……)
――『クオンタム』だ。例の『増幅器』に、我々で正式に干渉することに決めた。
情報を集めてくれ。彼女を仲間に引き入れるにあたって、よく知っておくに越したことはない……。
(こうして、またひとつ『ホイル』の活動は進む)
(無限を達成するまで、あとどれくらいかかるか、彼女たちは知らないが――歩みは進んでいる)
【では、こちらもこれくらいで締めようか】
【久しぶりのお付き合い、ありがとう!】
【見届けたっ!】
【ああ、楽しかった。また機会があればよろしく。】
【以下空室です。】
【うん、おつかれさま!】
【――おっと、落ちる前に、私はプロフ投下をしておこうか】
【名前】隙屋 量子(すきや・りょうこ)
【年齢】17(高等部2年)
【性別】女
【身長】161センチ
【3サイズ】78、55、80
【容貌】黒髪のおかっぱ、眼も黒。夜型なので、いつも眠そう。肌が白いのが自慢。
夜間外出時には、黒いレインコートを着用。装備は刃渡り20センチの刺身包丁。
【能力】名前は『クオンタム』。
連続で最大一分間、非実体化することができる。
発動中は、目には見えるが触ることのできない、立体映像のような状態になる。
何者の攻撃もすり抜けて受けつけないが、こちらからも何にも触れることはできない。
一度使用すると、使用時間の倍の時間を置かなくては再始動できない。
(一分使用なら待ち時間は二分、三十秒使用なら一分、一秒使用なら二秒、といった具合)
非実体化中は、身につけているものも非実体化するが、手放せば実体化するようだ。
【希望】雑談、戦闘、エロール
【NG】スカ系、四肢切断、死亡、妊娠など。
【弱点】日光に弱い。非実体化中にこれを浴びると、頭痛とめまいを合わせたような苦痛に襲われる。
月明かりや蛍光灯は平気。苦痛の原因になる波長の光が含まれていないためであろう。
よって、能力を使用できるのは夜間に限定される。
ただし、大きな炎の発する光や、ある種の電磁波兵器でも同じようにダメージを受けるようだ。
また、精神系の魔術攻撃や、魔を払うような術にも影響を受ける。
【備考】普段は、物静かで読書が好きな普通の少女。
一年前、他人の異能を目覚めさせることのできる能力者「ザ・リンクス」と遭遇し、異能に目覚めた。
それによって自分が特別な人間だと思い込み、他人の命を虫けらのように扱うようになる。
具体的には、夜な夜な強盗、殺人を繰り返し、能力を使って証拠を隠滅したりするようになった。
また、唯一の特別な人間になるために、リンクスを探し出して殺害しようと計画していた……。
――が、最近、超常の世界に生きる人々と相次いで遭遇し、自分が特別な人間ではないことを痛感。
さらに、リンクスが自分の目的のために、自ら生み出した能力者たちを殺して回っていることを知る。
リンクスの正体は、宇宙からやってきたコンピュータ生命体で、永遠に存在し続けることを望んでいた。
地球で異能者を作っていたのは、リンクスに無限の生命を提供できる異能者を見つけるためだったのだ。
すでにリンクスは、殺害した異能者を洗脳した上で復活させ、味方にする手段を持っている。
もしリンクスや、その部下たちに殺害されれば、自分も洗脳されて復活させられ、手先にされてしまう。
そんな事態を防ぐため、今では街で遭遇した異能者に協力を持ちかけ「対リンクス」組織を構築し始めている。
組織の目的はふたつ。まず、リンクスの襲撃からお互いを守り合うこと。
そして、リンクスに先立って「無限に生きる方法」を手に入れること。
組織名は『ホイル』で、まだ十人程度の小規模集団だが、複数の組織や企業と関係を持つことによって、じわじわと勢力を拡大している。
なお、最近は組織運営と勧誘に忙しくて、強盗稼業はお休みしているようだ。
【そして、あらためて空室だ】
【お邪魔いたします。失礼して、水鏡さんとのロールに場所をお借りいたします】
>>
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/erochara2/1272469447/46 (むずがゆいような、ぴりぴりするような、なんとも言いようのない不思議な感覚が、
刀身から伝わってくる。何かが自分の体の中を流れていくのを感じて――)
治療、といっても僕自身には…
『ったく、手間のかかる奴らだなー、二人とも』
(一瞬だけ手に紋様が浮いて、「左手」の力が顕現する。指の傷のみは消え失せて)
(少し自分の中から聞こえる声に耳を傾ける、視線が定まらない表情をしてから、
思い切り頭をかいて天を見上げ、嘆息してから)
…えっと、あんなこと言った後でなんですけど、ちょっと背中、触りますよ?
あいつから、すぺしゃるさーびす、だとか。
(背筋にそってほとんど指が当たるか当たらないかの距離で触れて、
一度背骨をなぞるように撫で下ろして――)
体の中の力の流れがガタガタのムチャクチャになってるから、
大した助けにはならないかもしれねーが、だそうです。
(呼吸が楽になる気休め程度ではあったが、体内の「気」の流れをほんの少し、整えて)
基本的には一日一度だけしか、あいつは出てこれなくって…
それでも疲れたとか力を使い果たしたとか、そういうことは今までなかったです。
(そんな説明も付け加えると、何か胸の辺りを掴む仕草が目に留まる。
顔を見られてないのをいいことに、ほんの少し渋面を浮かべて――
ほんの少し、小さな音を立てた鈴の音が、妙に気に障った)
伸びしろ…ですか。僕に出来ることなら、その時は何かしてみます。
多分不知火のほうがそういうことなら向いてそうですが…
(霊力の受け渡しと話を終えると、少し考え込むような表情をして)
そうですね、大分待たせちゃってますし…さすがにあれには気づいてるでしょうし。
(消火作業もようやく始まりそうではあったが、燃え方が激しく近づけないでいるようだ。
周囲を囲んで飛び火しないかどうか、そちらを警戒するような消火作業の様子も見下ろせて)
じゃあ、報告することにしましょうか。
(完全に動揺が収まったわけでもないけれども、なんとか話が出来る程度の冷静さは取り戻したはず。
朱羽との「約束」に関しては…どうだろう?と内心複雑な思いにもかられて――
それでも頷いて、連絡を促す)
>>410 (指の傷だけでも治り、消えうせたのをみて少しだけ安堵したような表情を見せる。
彼女が良かったと語るのは言葉でなく、目線と表情。
大きく息を吐きだしたところで、丁度彼との嘆息とそれが重なり、何事かと首を傾げた)
別に私は、貴方に「触るな」とは言ってはおりませ、ん……っ―――ッ!
(肩をすくめようとしたところで背骨をなぞる指から流れ込んできた何かにいつもより敏感に反応した。
何事か、というように目をしばたかせたが)
……力の流れが、ガタガタのムチャクチャ、に、ですか?
(確かに何度も荒く息をついていた。不知火にはとうに見抜かれていたか、と僅か苦笑して)
(「ありがとうございます」とお礼の言葉を返した)
ともかく、不知火が一日一度しか出てこられない、というのは了解です。
でも、それならば良かった――弐式と同じ要領で、考えてしまっていたのかもしれません。
不知火さんについて、駆け引きなく知ることができたのはお得でした。
(相変らずに、真顔でそんなことを言って)
ふふ、後輩さんの件は、貴方でも不知火でも、
まあ。不知火が彼に興味を持つかどうかというところなのではないでしょうか、なんて。
(どこか楽しそうに笑いながら、胸元から手を離す。
水鏡が見た方向につられて目をむけながら、携帯電話を取り出し、ひらいた)
―――そう、ですね。
早々と連絡しないと、怒られるかもしれません、水鏡さんが……というわけで、こちらが電話番号。
携帯お持ちですか?お持ちなら、そちらをお使いになられても、私ので
(「も」。その一文字を言おうとした瞬間。パリン、と何かが砕け散るような音がした。
彼女の視線が素早く下にむく。弐式をおいていた場所――そこにあるのは、罅の入った刃。
しかしながらその罅はひとつにとどまらず、そこから広がるように亀裂を大きくしていく。
あろうことか柄の方まで同じような現象が起こっていて)
……ああ。
良かった、霊力を移すのが間に合いました……よう、で。
(大きく、吐き出す、息)
それでは、私……下の様子を見てこようと思います。
警察がいれば、とても頼りになる知り合いがいるので――早々と話をつけられると思いますし。
連絡が終わったら、水鏡さんはお帰りいただいて構いません。私の事は、遠慮なく、です……お疲れでしょう?
(パキッ、という音がまたする。痛々しげな視線を弐式におくり、バラバラになった破片をあつめて)
それとも、朱羽と電話するのに私が横にいないと不安ですか?
(なんて、意地悪で挑発的な言葉を彼に投げかける。やはり、相変わらずで)
【それでは、今日も改めて宜しくお願い致します】
>>411 …え?
(携帯、の話し云々でひきつけられた注意が、乾いた音に引き戻される。
あれだけ美しかった刀身が無残に罅割れていく、その様子に何もすることができず、
すうっと息を飲んで、ただただ、見ていることしか出来なくて――)
(そのまま先輩の携帯――なんの飾りもない、いっそそっけないモノトーンのそれを手に取ると、ダイヤルする。
通話中になったのを確認してから――)
先輩の携帯を借りてます。こんばんは、水鏡です。
そちらからも――まあ、これだけ派手なら、見えてますかね?
仕事の用件は、完全に果たしました。
余計なおまけがついてるように見えるなら、それは全部僕がテンパちゃって、
なれない仕事にあたふたしちゃった結果ですので、なにかあれば――
(ほとんど上の空で話しながら、ようやく思い返して、思いいたる。
あれだけ自分をせかしていて、しかもその話を後回しにした、それだけのことがあったはず、なのだ。
――自分の思いにかまけて、いつもの表情を浮かべる先輩の、気持ちを
破片を集める背中を、見つめることしかできなくて)
ばかでいくじなしのダメダメわんこちゃんの責任ですから、
何かあれば僕の方まで、お願いします。そうですね、組織としては、
ヤンチャしてた跳ねっかえりを、≪深凪≫が完膚なきまでにぶっつぶしました、なんて、
そんな風評を流すと効果的だったり、するんじゃないでしょうか?
僕が関わったとかどうとか、≪深凪≫にとっては邪魔なだけでしょう?
――僕が、本城冴子を、銃殺しました。ころしました。
そのあたりの脚色も、わんこちゃんとしてはおねいさんに、全部お任せしますので。
――任された責任を果たした、とは
(血が滲むほどに、唇をぎちっと噛む。痛みを感じて、いっそ血が流れ出す感触に安心さえ覚えて)
とてもいえないですけど、なんとか五体満足、なレベルではお返しできると思います。
(つい、っと顔を背けて、並んだ墓石に目をやった)
(破片を拾い集めて、竹刀袋の中にころころと入れる)
(単調な作業を何度か繰り返し、残りの破片がないことを確認する。手元は明るかったから困らなかった。
最後に、薄汚れた小さな鈴を見つめる。
ちりん、と一回鳴らしてから、自分でもよく分からないと言ったような顔をして、それをポケットにしまった)
≪………それでは、ごきげんよう≫
(電話をかける水鏡に向かって、口パクで言う。)
(手をついてゆっくりと立ち上がると、一礼し、彼女はまた大きく息を吐きだして、
――木々が伐採されたその空間から鬱蒼と木々が生い茂るその中へと姿を消していった)
『はぁい、こんばんはぁー。あなたの朱羽ちゃんよぅー、ってああ、水鏡クン?』
(電話越しに聞こえる間延びした声)
(しばらくは彼女の方は無言で水鏡の声を聞いていたが、しばらくして溜息をついて)
『もっちろん見えてるわよぉ。
ずいぶん派ッ手にやってくれちゃってえ、あたし、おこぼれにあずかろうと思ってたのにぃ、
どうせ全部燃やしちゃったんでしょお? まあ、いいんだけどねぇ、依頼は抹消の方だったからぁ』
(ちょっぴり、残念そうな声をして)
『あー、はいはい、キミにぃ、何を言われなくってもこっちでテキトーに処理しとくわよぉ。
安心してぇ、そういうのもアタシの担当だしぃ?ああ、もしかして処理に要望でもあったりするのかしらぁ。
あるんなら聞くだけ聞いておくけどぉ、ああ、あと銃殺お疲れ様ぁ、いちおう褒めとくわぁ』
(軽いノリのまま、彼女は会話を続ける。
電話越しであれば、彼女がどんな顔をしているか分からないだろうが――性格の悪さから考えて、想像できるだろうか)
『五体満足ぅ? ああ、なに、剣糸ちゃんのことぉ?
別に気がくるってなきゃいーわよぉ、廃人になっちゃうと流石に使い物にならないからぁ。
で、あたしの方もいちおー今そっちに向かってるんだけどぉ、二人はもう撤収済みぃ?
してないなら撤収しちゃっていいわよぉ。ちゃんと殺したんでしょお?ならぁ、キミはもう解放ーよねぇ?』
>>413 (背中を見つめて――見つめるだけで、手を振り返すことさえ、できなかった。
もう、虚勢を張る必要もない。どすん、と急に襲ってきた全身の傷の痛みに、
それでもなんとか呻くのだけは堪えて、ベンチに腰掛けて)
…僕は朱羽さんのものでも、そういうことを言ったら誰のモノでも、ありません。
ていうか、誰にでもそんな殺し文句を吐きまくるのは勘弁してください。
おねいさんの色香にくらくらきちゃってる僕には、特に。
(ん?とポケットの違和感に気づいて、手を突っ込む)
それは随分、媛先輩にいってたオーダーとは違うような気がしますが。
殺していいからデータをやるっていわれても、抹殺指令のみにこだわってたように、
僕には聞こえましたけど、ね?
(いつも先生が身につけていた、ハート型のブローチ。なんでここにあるんだろう…
最後に、身を寄せられて囁かれた時?に、渡されたというか、こっそり忍び込ませたのか)
そのあたり、組織の微妙な駆け引きなりなんなり、きっとあるんでしょう?
僕には全然興味ありません。全部お任せします。
撤収は…僕の好きにしますよ、それこそ、関係ないことです。
(弄っているうちに、ぱきりと真ん中から割れて、USBの端子がブローチの中から顔を出す。
ぼんやりそれを見つめながら)
あったかい日常も、常識が通用しない夜も、どっちも知ってる人が、
初めて人を殺したときって、どんな風に感じるもんなんでしょうか?どう、感じるべきなんでしょうか?
あと、解放しきって力を使い果たした式って、そんな簡単に回復する、そういうもんですか?
(うまく何も考えられない、思いついたまま、ブローチを見つめながら、
そんな問いを投げかけてみて)
【僕自身の携帯で、朱羽さんに掛けてるってことに>412は読み替えてしまってください】
>>414 (かつかつ、とヒールの音を響かせながら誰もいない夜道を歩く)
(騒ぎの所為で少し騒がしかったが、彼女自身がわざわざ人のいないルートを歩いているからだろうか。
彼女の周りには声はすれども人はいない――唯一、ひらりと薄青い蝶が彼女にしたがっているだけ)
(そして、その蝶は良く見れば――紙だった。紙の蝶が、ひらひらと淡い光を放ちながら彼女の後ろを飛んでいた)
あらぁ、そうよぉ?
でも。本城をささっと殺してからぁ、残ったデータをどうしろーなんて指令は依頼人(クライアント)から受けてないわぁ。
だからぁ、データ残ってたらおこぼれにあずかろうと思ってたってコトよぉ。
まあ、別にいいんだけどねぇ、何か今回の件見る限りぃ、面倒くさそうな情報だしぃ。
(電話を片手に、もう片方の手には某電子PAD。片手で器用に弄りながら、何かの資料を見ているようで)
そぉ、ならぁお言葉に甘えてあたしの好きにさせてもらうわぁ?
やぁん、水鏡クンってばふとっぱらー、そういう男の人ってとーってもイイと思うわよぉ?
あと、日常も夜も知っちゃってる人間が人殺した時どう思うべきかってぇ?
(はぁ?というように電話に向かって顔をしかめながら)
んなもの、あたしとキミじゃあ、違いすぎるでしょうねぇ。
全部場合次第だわぁ。っていうか、そんなモンに正解ないに決まってんじゃなあい、ワンコちゃん。
それでも答えが欲しいって言うならぁ、――あはっ、あたしはパース。
そういうのはぁ、剣糸ちゃんに聞くのがいいわよぉ、無駄にバカ正直に考えてくれるだろうしぃ。
(さっきとは打って変わって愉快そうな笑いを響かせる)
まぁ、やっぱりボクなんかーって悲嘆ぶるのもいいしぃ、これを糧にぃって熱血ぶるのもいいんじゃなぁい。
悩みなさい青少年、それが青春ってものでしょぉ?
……んー。なに、何でそんなこと聞くわけぇ?
っていうか、式が回復するってぇ、いわれてもねぇ。剣糸ちゃんなんか式が疲弊するどころか
式が疲れる前に剣糸ちゃんの限界が来ちゃうのが普通だしぃ。
ああ、なぁにぃ? 剣糸ちゃん、力ぶっぱなして倒れちゃったの?
【はいはぁーい。了解したわよぉ?】
>>415 無駄にバカ正直に答える、そういう人間に、玩具みたいな式を与えて――
(壊れそうなほどに、携帯をぎちっと握り締める)
それでいて、面白がるみたいに指令だけ与えて、その意味を説明しない。
そんなふざけたどこぞの組織の当主も、いるんですね?
いいですよ、好きにして下さい。
そのかわり、どんなしっぺ返しを喰らっても文句を言わないように、と、伝えて下さい。
ああ、協力はしますけど、ちっとも信用しないように、と一応今のうちに、フェアに宣戦布告しておきます。
朱羽さんに、じゃないですよ?
ふんぞりかえってる≪深凪≫当主、媛先輩のお義兄さん…
――あの、とっても格好つかないんで、名前、教えてください。
…そのあともう一回、ちゃんと言い直しますから。
それと、筋が違うのは分かってるつもりですけど、一応お願いが。
例によって例のごとく、先輩、ものすっごい不安定になってますんで、
朱羽さんと合流できたら、今日はあんまり意地悪しないで、先輩を安心させてあげてもらってくれませんか?
特別なケアが必要だとは思いません、側にいて安心する…
――他にかけがえのない、一番家族に近いのが≪深凪≫だって、言ってましたから。
どうか、それだけは本当に、お願いします。
(つわたるはずもない、とおもったけれど、携帯を耳に当てたまま、深々と頭を下げて)
…式が力を解放しきって、壊れるのを、はっきり見ました。
やっぱり先輩、とても不安定になってると、戦闘の様子を見てて、僕も思います。
だからどうか…今日だけでも、あまり意地悪しないでもらえると、助かります。
朱羽さんが僕に使いでがあると、一片でもおもうなら、どうか、お願いします。
…エントランスホールの約束、僕なりにしてみたつもり、ですが、
それが役に立ってるかどうか、ちっとも保障できなかったりする、本当にダメダメなわんこちゃん、ですが。
>>416 ふふっ、あらあらぁ。
うちの当主様が剣糸ちゃんに説明をしないのは、剣糸ちゃんがそんなもの望まないからよぉ。
説明求められたら説明するわよぉ、うちの当主様だってねぇ。ただ、望まない者にはなんにもあげないだけぇ。
確かにふんぞり返ってるっていうかぁ、
むしろいっつもだるそうに転がってるけどねぇ? 今の……剣糸ちゃんが聞いたら確実にブチ切れるわねぇ。
ちゃんと小声で言ったぁ? あはっ、睨みつけてるんじゃないのぉ、剣糸ちゃん。
(肩を震わせるほどに笑いながらも、PADに目を滑らせる)
―――名前は、ナイショ。
ってわけじゃないんだけどねぇ、あんまり≪深凪≫の人間以外知らないハズのことになってるからぁ
あんまり外に漏らさないでねえ?
キョウ……漢字は、「夾角」の『夾』。ああ、キミとちょーっと似てるのかもねえ?
(葵と水鏡の会話など知らない。彼女は愉快気に笑ったまま)
まあ、ともかく伝えとくしぃ、
剣糸ちゃんが疲弊してるっていうならぁ、もう朱羽ちゃん思いっきりぎゅーってして甘やかしちゃうわよぉ。
そういうケアもあたしの仕事だしぃ? ま、剣糸ちゃんに一番いいケアはうちの当主様が構うことだけどねぇ。
はーあ。
……それにしても不安定、ねぇ。大分落ち着いてたと思ったんだけどぉ、まったくヤになっちゃう。
―――全ッ部、あのガキが悪いのよ。 うちの剣糸ちゃん、たぶらかすから。
(苦々しげに言葉を吐く。しかも、強く舌打ちをしてから)
ま、とにかく了解よぉ。あの子のケアも、≪深凪≫がやるから任せといてぇ。
間違っても、放ったらかしてこっち側の人間なんかに任せたりしないわよぅ。当たりま―――。
(途中で朱羽の言葉が止まる。エントランスホールの件についても何か言うことも無い)
(止まった足。手から滑り落ちたPADを一匹の蝶が素早く追って、その小さな体でふらふら支えている)
――待って、今、キミ、何て言った?
キミ、……何を、見たって?
>>417 (偶然なのに音が重なるのが、無性に癪に障る。それでも何とか)
…今更言い直すのも、流石に間抜けすぎますから、そういうことで。
(甘やかすうんぬん、の話は適当に相槌をうって、聞き流してから)
そういうときは、わんこちゃんは何をみたのお?
おねいさんに詳しく教えてくれるかしら、とか、ちゃんと取り繕ってください。
でないと、僕みたいな素人にもそれがどのぐらい重要な情報かどうか、分かっちゃいますよ?
(知られてはいけないレベルまで、とっくの昔に首までつかってたのは、分かってるつもりだった。
それでも改めて、朱羽の反応でやはり、と納得し返しながら)
身どころか柄まで、ボロボロに崩れるのを見ました。
その前に、霊力を移すとかなんとか、どのぐらい効果あるのか、僕自身にもよくわかりませんでしたけど…
あれって、なんていうか、先輩自身もてあましてるような、
使い切れてないような、そんな印象もありますけど?
だから余計に、玩具を与えて、って僕なんかは思うんですけどね。
安心してください。そんな情報、他所に漏らしたりしませんよ。
――何か、よほど僕が取引したいみたいなことがある、以外は。
(ぱちり、とブローチを元の形に戻して、手の中で弄んで)
詳しくは、先輩に聞いてください。それ以上知りたいなら、取引です。
>>418 ―――――代わりなさい。
さっさと剣糸に電話を代わりなさい、水鏡。 殺されたくないならさっさと代われ。
(苛立たしげに靴を踏み鳴らす)
(彼の言うとおりに重要なことをさらした、だが、そんなことすら気にしていられないという様子で)
ッ……っていうか、なに、あの子、生きてるワケ?
アンタもしかしてあの子の死体の隣でくっちゃべってんじゃないでしょうね?
(蝶が支えているPADを拾い上げると、バッグになおす。
そしてその中から違う携帯をとりだし、ぶつぶつ何かを呟きながらダイヤルして)
弐式はあの子の能力で無理矢理にあの子に適合させてんのよ。
なんでそんな半端者のあの子が――あの子が、式が疲弊して契約解除になるまで、
式を解放させた―――ああっ、なんであの子の携帯繋がんないのよ、ホンット!!
(電源がはいっていないため〜、という言葉を聞いて乱暴に電源を切る。
水鏡と繋がっている携帯は口元から離してはいたが、その声は聞こえていたかもしれない)
ああ、うちの当主もなんか今朝からふらふらどっかいっちゃったし、
式神に探させてるけど、ぜんっぜん反応しないし―――!
(苛立たしそうにひらひらと飛んでいる蝶を指で払って)
ホント何、なんなのよ、もう……あの馬鹿当主―――ッ!
ほら、剣糸ちゃんは生きてんの?生きてるならさっさとかわって!!
(そして水鏡の方の電話を手にしなおして、電話口に向かって叫んだ)
『―――オイコラ。朱羽テメェ、自分の主人に向かって馬鹿はねーだろうが』
(その時だった)
(蝶が点滅して、そこから声が漏れる。電話口の水鏡にも、朱羽が息をのんだのが分かっただろうか)
『……葵なら崖下で拾っといた。オイオイ、式神が繋がってたから途中からお前の声こっちに丸聞こえだったけどな?
お前にしちゃあ、ちょいっと崩れすぎなンじゃねェの――俺の諜報長サマ。ヒステリー起こすと老けンぜ?』
>>419 (らしくもなく慌て、いつもの余裕を失った朱羽の言葉には、答えない。
それでもじっくり、もたらされた情報を噛み締めていたら――こちらも思わず、息を飲む。
聞いたことのない、男の声。主人?なら、間違いは、ない)
はじめまして、水鏡恭弥といいます。
夾さん、でしたか。よく声が聞こえないのが残念ですけど、僕の声が聞こえているといいな、と思って、
貴方に話しかけています。
――もっと大人びてる人を想像してたんですけど、印象が裏切られるのはお互い様かもしれませんね?
今日のところは挨拶だけにしておきます。
ちっとも、長いお付き合いをしたいとは思ってませんけど、ね。
(ようやく鎮火する様相を見せ始めた研究所の様子を見下ろしながら)
…全部知って、見てて、ぶっ倒れまで放置してた、なんてことは、ないですよね?
お義兄さん?
(ほとんど答えは核心していたけど、多分、向こうも何か言ってくるはず、だ。
その答えから推し量れることもあるはず…と、全身全霊を込めて、耳に痛いほど、携帯を押し当てた)
>>420 『ああ? ん、何だよ――お? ああー、まー、とりあえずハジメマシテでいいのか?』
(状況を把握していないような声がする)
(蝶はひらひらと朱羽のもっている電話口に近づいてその声を拾おうとしていた。
朱羽が素早く携帯を操作して、携帯の音をスピーカーにした。これで、お互いの声が届く)
『こっちの名前は知れてるみてェだな? ハハッ、その名前で呼ばれんのスゲー久々。
今抱えてるコイツだってほとんど呼ばねえしなァ。兄様とか兄さんとか。
ほかだって当主とか仕事しろバカとか……ンなんのばっか。あ、印象裏切ったなら悪かった。
きちんとご挨拶すっときはちゃんと大人っぽい対応を――するさ。……こういう口調期待してたのか?』
(蝶が震えて、男の声が愉快そうに笑う)
『あー、水鏡クンだっけ?テメェなかなか勘鋭いんだなァ――とはいえねェから、「さあてなぁ」が答えだ』
『ま、全部知らなかったし見てたわけじゃねェけど。感じてたぜ? 弐式が壊れるカンジ。
式は俺のモンだからなァ。
ま、――こうして、燃え盛る何かの近くの森でコイツ拾ったのは、あれだよ。偶然ってヤツかぁ?』
『なーんとなく、今夜コイツに呼ばれるんじゃねーか、俺は必要とされるんじゃねえかと思ったから直感を頼りにだなァ。
あ、つーわけだからサボりじゃねえんだぞ、朱羽。こういう理由があったわけで別に散歩で抜けだしたとかじゃねーぜ?』
『ま、あれだ。途中で可愛い義妹が知らない男と語りあってんのを見て
どれだけ妹がボロボロになってようが、妹がバレないように強がってんの邪魔するほど、俺無粋じゃねェから』
>>421 ――なるほど、なるほど、です。
きちんとしたご挨拶は、次の機会に。きっちりと、顔を合わせた時にでも。
――名前しか知らない人と、命のやりとりをするようなつもりには、僕はなりませんから。
(整理の仕様のない、激情がこみ上げてくるのを押さえ込んで、押し殺した声で応対する)
僕にそんな価値があるとは思いませんけど、きっと他人の前だから意地を張ってたんじゃないですかね?
今思えば、ですけど、すごい突っ張ってなんでもないフリと、残ってる霊力をどうにかしたい、ってのと、両方感じました。
――だから、なんかあったら洗いざらい、≪深凪≫のこと他にぶちまけた上で、
貴方を殺しに行きますから、今日はきちんと先輩を大事にしてあげて、下さい。
そうやって、郡くんと触れ合って、他の人を知って、揺れて戸惑う様子も全部、知ってたんだ、貴方は。
冗談でも可愛い妹、とか言ったら、次は必ず、僕のパンチを貴方に叩き込みますから。
その時をお互い、楽しみにしてましょうか。
(きっと、このレベルのお遊びに付き合ってくれるぐらいのタチの悪い人間だと、ほぼ確信して、
そんな挑発的な言葉を紡ぎだす)
ボロボロになるまで脇で見てるほうが、よっぽどひどいと思うんですけど?
そっちのスタンダードだっていうなら、クソ喰らえ、です。
――水鏡恭弥、そして不知火、この名前を、覚えておいて下さい。夾さん。
今日のところは、あんまり気の利いたご挨拶でなくて申し訳ないですけど、ここまでです。
>>422 『ま、コイツにとっちゃテメェは心配かけたくない対象なんだろうよ。
ぶっ倒れたらどうなるか、テメェがどうするか、どう思うか、――そのくらいは推測できるように育てたつもりだぜ?』
(水鏡の脅すような言葉を聞いて、喉で笑う。低く、ククッ、と籠るような笑い)
『―――何かあるかないか、そりゃあテメェが口出すことじゃねえ。
少なくともコイツが決めることだ。弐式が契約解除になった今、コイツが次に何をするのかは、な。
俺は、少なくともコイツの自主性は尊重してるつもりだぜ? ハハッ、でもその脅し文句よっく覚えとくぜ』
(朱羽の手は、震えていた)
(彼女自身状況を理解しようと必死な様子だった)
『ンでもな。―――俺はただ、コイツとの約束を守ってるだけだよ。履行中っつった方がイイか』
『コイツがスゲー大事にしてる坊主や、テメェみたいにコイツのことをそれなりに心配してくれるようなのとか
もしくは須佐乃の娘ッ子とか……そいつらに触れ合わせたのは、俺だ。戸惑う様子も知ってたぜ?
でも、それを選んだのはコイツだよ……ま、コイツ自身はまーったく覚えてねェだろうけどな』
(多分それは深凪の深部というよりも、葵にとっての深部)
(細かく語らないから分かるはずもない言葉を軽々しく連ねていく。男の声は、軽やかだった)
『了解だ』
『……ミカガミキョウヤ、と、シラヌイ、な? ちゃんと実家帰ったら横着せずにテメェらの資料も読みこんどく。
久々に面白いモン見たからなァ。ハハッ、やっぱ楽しいねェ、久々にゾクゾクするぜ』
『こっちからは以上だ。気の利いてないなんて無かったぜ?こっちとしちゃあ、十全と楽しませてもらったっての』
『朱羽にも何もねーようならこのまま切れ。テメェも疲れてんだろうが。
ああ、深凪当主として挨拶しとくわ――今回の協力には感謝させていただく。謝礼は望めば考えよう……ってな』
>>423 どんな情けも、貴方の斟酌も、絶対に拒否します。
感謝も謝礼も、要りません。貸し借りはなしです。
――さようなら、夾さん。
(血のにじむ唇を改めて噛み締めて、しばし無言でいて――)
まだいますか?朱羽さん?今回はそういうことに、なりましたから。
今ちょっと思っただけですから聞き流してくれてかまいませんけど――
一度やってしまったら、ひとごろしなんて、二度目をためらうような人のほうが、少ないかもしれませんよ?
――おやすみなさい、朱羽さん。
(そういって一方的に通話を切って、投げ捨てたいのをなんとか我慢して、携帯の電源を切った)
…
(ごつ、ごつっとベンチに拳を何度も何度も、打ち据える。
皮膚が破れ、せっかく治療した指がまた血を滲ませて――)
『それ以上やると、腱を痛めて、指の骨が折れる。どうせ明日は体の傷を治すので手一杯だから、そこらへんにしとけ。
――余計な手間、増やすんじゃねえ』
(不知火の声が、頭の中に響く。思わず握り締めた拳を、また打ちつけようとして、
やり場のない気持ちと共に、宙に拳を突き出して――)
ちっくしょう…――!
(言葉にならない激情のまま、まだ火の粉の上がる天に、絶叫を吐き出した)
(なんとか寮の部屋にたどり着いてからばったりと、高熱を発して水鏡は寝込んで――
部に退部届けを出すために、学校に顔を出せるようになったのは、ようやく一週間後の、ことだった)
【いろいろあるのは全部放置しておいて(←)、今回はこれにて僕の締めにいたします。
超絶サプライズもどっぷり堪能させていただきました。ぐだぐだな上にやっぱり長引いてしまった、
それでもとっても楽しかったロールのお付き合いに、深く深く、感謝申し上げます】
【せっかく綺麗なので、それで〆にしてくださると嬉しいです】
【こちらこそ、ここまでのお付き合いに本当に感謝感謝、なばかりであります。
本城先生のお話も、堪能させていただきましたし――気になる、ブローチが気になる、とても気になる、です。
この先、この本城先生の一件から水鏡さんがどうなるのかというのにもwktkしつつ、
今日はだたひたすら、振りまわしたことへの謝罪と、付き合ってもらったことに対する感謝といっぱいです。(深々と一礼)】
【長引いたのはこちらの所為。ぐだぐだ? あますところなく堪能させていただいた私には感じられませんでした
ということで、本当に楽しかったロールにめいっぱいの感謝をこめつつ、こんな時間。お暇を、と思います】
【数日にわたるロール、ありがとうございました】
【呆れられてなければ、また遊んでいただければ幸いです――それでは、お疲れ様、おやすみなさい、水鏡さん】
【ちょ、弐式!でサプライズは終わりだ思っていた僕が、浅はかでした。
本当に偶然なのに、キョウが被るあたりはもう…としか言いようもなく、先輩の今後を気にかけつつ、
たっぷりお腹いっぱいなロールをありがとうございました、と感謝、そしておやすみなさいませの挨拶もして
これにてスレッドをお返しします。お借りしました】
【みゃこへの置きレスを投下させてもらうよ】
>>375 ………それは十分に分かっているさ
あの女も津綺子を大事に思っている。それは理解しているつもりだ
(背中に浴びる激しい言葉とは逆に、感情を吐き出した後で心は比較的落ち着いた)
(それでもまだ、病棟を睨み付けて、都には向き直らないまま言葉を連ねる)
だけどね、一度決めたらどんなことがあっても挫けたりしたらダメなんだ
それは、俺達みたいに「夜の世界」に足を踏み入れた者ならなおさらね
我儘だろうが、独り善がりだろうが、自分勝手だろうが、それを押し通さなければ、飲み込まれてしまう
あの女もそれは分かっていたはずだ…少なくとも生きていた頃や、津綺子に憑く前の彼女はそうだった
(二人が言いたいことだけを言い放し言葉が途切れる)
(ほんの少し、わずかな時間だけ静寂が訪れて…)
………いや、言い過ぎだなんて思ってないから、みゃこが謝ることはないよ
どちらかと言えば、俺の方が言い過ぎだな
(後ろ向きに身を投げるようにベンチへ腰を落とす)
(年下の女の子に思うまま感情をぶつけてしまった気恥ずかしさから自嘲の笑いを頬に浮かべて)
ありがとう…けど、やっぱりこれは俺達の問題だ。俺達が、なんとかしなきゃいけない話だよ
損をするのは「三方」だからね。俺と、津綺子と、あの女と、これでちょうど三人だ
みゃこが損をすることはない。気持ちだけ受け取っておくよ
君は「こっち側」に来ちゃダメだ
ずっと、日の当たるところにいて欲しい
君が笑っていてくれれば、俺達は夜から帰ってこれる
俺の言っていることの意味、分かるよね
(体ごと都へ向き直り、真剣な表情で訴える)
【以上、スレをお返しします】
【ロールにスレをお借りします】
【迫水先輩とのロールで使わせてもらいます】
>>427 …………。
(迫水直のいうことは厳しいけれど、正しいことなのだろう)
(けど厳しすぎると思うのは、都の考えが甘過ぎなのだろうか)
(たぶん、甘いのだろう)
(それでも、厳しすぎるだけでは生きていけないと思う)
(それが「夜の世界」なのだけど、まだ都はちゃんと区別できていない)
(日の当たる場所と当たらない場所、夜の世界と昼の世界、こっち側とあっち側)
(言い方は柔らかいけれど、言っていることは分かるけれど、それは拒絶ともとれてしまって)
(知りたいことはあっても、そちらへ深く足を踏み入れる意志はなくて)
(それなのに寂しさを感じてしまうのは、知らず知らず向こう側へ踏み行っていたということなのか)
はい、分かります。
それでも、何かできることがあったら言ってください。
(きっと、笑うこと以外にも何かできるはず、できることがあるはずだから)
そう言えば、わたしにお話って、何ですか?
(最初に自分から色々話してしまったが、元々用があったのは迫水直の方で)
(本来ならば都に言ったような言葉ですら、言いたくはなかった)
(都には暗い、裏の世界の存在すら知って欲しくはなかった)
(だが、都が異能を持ちこちら側に踏み込みかけている今、それは叶わない)
(ならばせめて、これ以上染まらないでいて欲しいと願う)
(それが都に疎外感を与えてしまうことになったとしても…)
ありがとう
(理解をしめす都に、ようやく浮かべた自然な微笑みで頷く)
どんな事件だったのか…相手はどんな奴だったのか
病室では聞けなくてね…
みゃこなら、何か見てたんじゃないかなって、さ
>>430 どんな事件、ですか。
(この事件は加害者が被害者でもあり、説明が難しい)
(伝え方を間違えれば、まだ意識を取り戻せていない刀に取り憑かれた少年に悪評が立ってしまう)
ええとですね、たぶん一番悪いのは人じゃなくて物なんです。
異形を退治する日本刀があって、それが犯人なのかな、人じゃないけど。
それは強い力を持っていて、異形退治を第一としてるそうです。
普通なら退魔士とかいうような人が使うそうですが、なんでか普通の人の手に渡ってしまったみたいで、
すごい力を持つ刀だから、持った人を支配してところ構わず異形退治をしはじめてしまって、
だから真っ昼間に霧原さんに憑かれた伊織先輩を見かけて襲いかかった、と。
(これは紅雲からうけた説明を都なりに咀嚼したもの)
(たぶん間違ってはいないはずだけど、いまいち伝わったかどうか心配だった)
(結局どれもこれも受け売りで、都自身の知識じゃないからだ)
かなり酷使されたみたいで、刀に取り憑かれた人はまだ意識を取り戻せていません。
意識を取り戻しても、両手首から先をなくしてしまいましたから、これからかなり苦労すると思います。
(と警察に犯人扱いされている少年をかばうよう説明を付け加える)
異形を狩る刀…
(一番真っ先に頭に浮かんだのは、黒髪の異形狩りの少女)
(その手に握られていたのが、退魔刀だった)
(妖の力を退け、紙を切るより容易く、魔の体を切り裂く)
(自分にとっては恐ろしいまでに効果的な、武装)
刀の意思…つくも神とか言う奴なのかな…?
ほら、古い家具何かが妖怪になっちゃうみたいな
(夜に身をおくようになり、そんな知識も手に入れていた)
まぁ、何にしても迷惑な奴だね
異形退治が第一で、回りなんかお構いなし、ってことだろ?
もちろん異形に憑かれた人に気遣うことはない、か…
(都の話す状況に眉根を寄せて、苦い顔になる)
しかも、自分を扱う人間にも気を遣わないのか…
きっと、体中ボロボロになってしまったんだろうな
(刀に憑かれた犯人?の状態にも悲痛そうに首を振り)
それで、その刀はどうなったの?
それに両手首から先がなくなったって、何があった?
>>432 つくもがみ?
どうなんでしょう、そこまでは聞いてないので。
(紅雲に聞いてみれば答えてくれるだろうが、たぶん今は睡眠中だ)
(睡眠と食事が一番の回復方法ということらしく、何かなければ寝っぱなしだった)
だから何か原因があって暴走してるんだろうって。
(使い手が退魔士だろうと制御に力を取られるなら本末転倒)
(本来は使い手と一体になって力を発揮するもののはずだから)
刀が持ってる人を操ってるので、刀から切り離せば解放できるんです。
穏便にできればよかったんですけど、霧原さんも襲われた怪我が酷くて、どっかーんと。
その拍子に刀は校舎の外に落ちてしまって行方不明です。
(たぶん誰かが迂闊に触って、支配されてしまった可能性が高い、らしい)
(刀は使い手を必要として、操れる使い手がいなければ動くのもままならないはず、と)
だから、もしかしたら学園近辺をうろついているかも――。
「――近い、近くにいる」
(都の声で、都の口から、都よりも落ち着いた口調の言葉が発せられる)
(動物が警戒するように眉をひそめ、周囲を見回す)
(何かに感づいた紅雲が都の中で目覚めた)
っ?!
みゃこ、今のは何だっ!?
(都の口から飛び出した、都とは違う口調の、都の声。驚いて都に問い詰める)
(それまでの話から新たに湧いた疑問「聞いたって誰から?」とか、「どっかーんって、あの女は何をやった?」とか)
(それ以上の衝撃に全部頭から吹き飛んでしまう)
…………っ!
(それも束の間、身に宿した妖魔が体内で唸りをあげる。それも普段感じる歓喜の唸りではなく)
(それこそ獣が警戒するような威嚇するような、そんな唸り)
なんだ、これは…怯えて、いる…?
(知らず上がった心拍を抑えるように胸に手を当てながら、都と同じように周囲を見渡す)
(いつの間にか鳥の鳴き声すら聞こえなくなり、空気がねっとりと粘るような気配を帯びて)
あれか…?
(目を向けた正面に、氷を突き刺すような、冷たい殺気を発する人影)
(車のない駐車場を、ゆっくりとこちらへ歩いてくるように見える)
>>434 『あ、いたいた〜♪ こんなとこにいた〜♪ も〜、捜しちゃったよ〜♪』
(あどけない浮ついた話し方で話しかけてくる高等部の制服を着た少女が歩いてくる)
(金髪のウイッグに付け睫毛、いくつものピアス、化粧も濃く、ちょっと遊んでる感じの少女)
(その少女はコンコンと手に持った日本刀でアスファルトを叩きながらこちらに手を振っていた)
「やばい、あれはかなり霊感が強い質でそれなりに同調しておる」
(一目見て相手の力量を見抜いた紅雲の口調はかなり切羽詰まっていた)
それって、つまり?
「前の使い手よりも強いということじゃ」
「そこの若造、憑いてる妖魔ごと滅せられたくなくば、加減はせぬことじゃ」
(都の額から冷や汗が流れ落ちる)
(それは紅雲が感じている危機感が都に影響を与えているということ)
『いっくよ〜♪』
(刀でアスファルトを引っ掻いて火花を散らしながら少女が迫水直に駆け寄る)
(迫水直の中にいる妖魔が近寄ってくる剣気の熱を浴びて悲鳴を上げている)
(ようにすら感じるほど、迫水直の体の奥底から震えが昇ってきて)
『や〜♪』
(可愛らしいかけ声と共に退魔の白刃が地面から襲ってきた)
(人影は陽光に白い光をきらめかせながら、ゆらりゆらりと近付いてくる)
(同じ年頃の派手な身なりの女子生徒。その手には、アクセサリーにしては武骨な、むき身の日本刀)
(のんびりと間延びした口調は女子校生そのもの。それは、都-紅雲の話の通り、意識もろとも乗っとられていると言うことで)
…………っ!
(まるで緊迫感のない掛け声でこちらへ駆け寄る少女。そこから発せられる剣圧と霊気に、体内の妖魔が震える)
(その震えは体を硬直させ、下からの斬撃に対する反応が一瞬遅れる)
くっ……っ!
(上体をのけ反らせ、間一髪で必死の一撃を躱す。白刃の残光が目の前を通り過ぎていく)
みゃこ、逃げろ
俺ができるだけ時間を稼ぐから、出来るだけ遠くに、いいな?
(たたらを踏むように下がりながら、都と少女を結ぶ直線上に身を置く)
(その胸はシャツが大きく切り裂かれ、下の肌からは小さな血の玉が滲む)
(予想通り、傷が塞がらない。刀の持つ霊力が妖魔の再生能力を阻害している)
素手だと、不利か……
(今まで座っていたベンチへ手を伸ばすと、背凭れを掴み)
(固定していたボルトとアスファルトごと一緒に持ち上げる)
これならしばらくは戦える…
(?
>>436 (胸の傷は深くはなく、とは言えそれなりの痛みを感じる)
(だがそれ以上に迫水直の中にいる妖魔が悶え苦しんでいた)
(妖魔が感じる強い痛みは妖魔のみに、単に切られただけの痛みは迫水直にのみに)
(もしも妖魔と同じ痛みを感じたなら失神するのではと思えるほど妖魔は聞こえない悲鳴を上げる)
先輩、刀、刀をもぎ取って!
手から離れれば正気に戻るから!
「たわけ、そんな余裕があるか!」
(都は車椅子を下げながら叫ぶが、紅雲は都の無理難題をとがめた)
(都から聞こえるもう一つの声は、それほどこの事態を危惧している)
『あ〜ん、避けられちゃった♪ でも〜♪』
(下から上にあがった白刃が陽光できらめく)
『そんなのじゃ〜、盾にもならないよ〜っ♪』
(迫水直が持ち上げたベンチ、それは豆腐のようにぱくっと縦に真っ二つとなった)
(さらに少女はくるっと踊るように回転すると)
『えいっ♪』
(軽快なかけ声と共に白刃を迫水直の左胸に向かって突き出した)
(胸の傷の痛みはほとんどかすり傷程度。このくらいなら日常茶飯事で行動を妨げるものではない)
(問題は体内の妖魔にある。破邪の霊力をまともに食らい悶え苦しみながらも)
(報復への憎悪を滾らせ、外へ出ようと暴れ狂う)
あぁ、分かった、やってみる
(答えはしたが、事態は簡単でもない)
(刀を掴めれば後は力任せにでももぎ取れるだろうが)
(それ以上にこちらがダメージを負う可能性もあり)
おわっ!
(ブンッ、と威嚇のつもりで振り回したベンチは呆気なく切り裂かれる)
(所々に施された金属補強の部分もまるでバターのようにあっさりと断ち割られて)
(霊刀の切れ味、その力を完全に引き出すほどに少女と同調している)
(そのことが判明しても何の救いにもならないのだが)
マジ、かよっ……!
(身体を捻るようにして致死の刃を躱す。正面から突き出された切っ先が、初撃より深く胸を斬る)
ぐ…
(胸板に大きく十字を赤く描かれ、その横軸からは目に見えるほどに血が流れる)
このままじゃ、ジリ貧か…
(躱しているだけでは、嬲り殺しにあうだけ。チラリ、とこちらを必死の表情で見つめる都に視線を向ける)
(「できることなら、みゃこには見せたくなかったな」胸によぎるそんな思いを振り払い)
(体内で暴れる獣の手綱をジワリ、と緩める)
来いよ、本気で相手してやる
(瞳に青白い光を宿し、鍛えあげた肉体から妖気を噴き出す)
(増大した妖力が胸の傷を塞ぐ。後に残るのはわずかな十字のみ)
>>438 「気をつけろ、妖魔の力を使えばその分だけ妖魔の苦痛を分け合うことになるぞ!」
(都の口を借りて紅雲が叫ぶ)
それって、どうゆうこと?
今の先輩は――
「己に取り憑いた妖魔の力を使おうとしているのじゃ」
「それは己と妖魔との境目が薄まり――妖魔のみが受けていた傷や痛みがあやつにも降りかかるのじゃ」
……そんな。
(二人から離れながら、かつ第三者が近寄ったら知らせられるくらいの距離で押しとどまる都は)
(紅雲が警戒する危険の説明を受けて絶句する)
(何とか手助けしたいが、都には手も足も出ない)
(誰かを呼ぶにしても、それまでに結果は出てしまうだろうし)
(唯一間に合いそうな伊織津綺子を呼ぶわけにもいかず)
『きゃははっ♪ しぶといなぁ〜♪ でもぉ、手加減してたなんてよゆーあるじゃん♪』
(ふさがっていく胸の傷を見て、少女はケラケラと楽しげに笑う)
(多少は持ち手の影響もあるのだろうか、むらっけがあるのが幸いしていた)
(無言の殺戮マシンのように行動されていたら、まだ立っていられたか危ういかもしれず)
『なら、これはどーかなっ♪』
(少女は刀を後ろに腰を下ろす――達人の繰り出す必殺の居合い)
『えいっ♪』
(まるでモグラ叩きでもしてるような気の抜けた叫び声と共に)
(正反対の必殺の閃光が迫水直の首を襲った)
【次のレスは遅れてしまうかもです】
(都の声で叫ぶ都以外の何者か。正体は知らないがこちらの事情には随分と詳しい様子)
(都本人の目には見えない何かを感じ取っているのか、妖魔の力を開放したことを正確に察知している)
こうでもしなけりゃ、一方的にナマス斬りにされちまうからな
痛いのは元より覚悟の上……っ!
(刀を腰に引き低く構える少女。その姿勢から繰り出される一撃)
(常人であれば見ることすらできない、まさに必殺の閃光――)
くっあぁ…っ!
(抜き打ちの瞬間に合わせて、その軌道へ握り拳を振り下ろす)
(伊織道場でわずかだが積んだ経験と、急所を正確に狙ってくる相手の性格と)
(分の悪い賭けに身をまかせ、何より津綺子を傷つけたことへの怒りが爆発して――)
『ギィンッ』
(金属音が広い空間に響き、都の耳へと届く)
ぐ……が、はあぁ………
(上からの一撃で無理矢理ねじ曲げた閃光は、胸に大きく食い込む)
(皮膚を切り、肉を抉り、肋骨を削り)
(重要な器官のわずか手前まで切っ先が迫っていた)
つ、掴まえた、ぜ……
(胸に食い込む刃の峰をガッシリと掴み、傷口から無理矢理引き抜く)
(全身を駆け巡る激しい痛みに身を震わせながら、それでもなお不敵な笑顔をつくる)
【遅くなる。了解】
【でも、最初言っていた時間過ぎているけど、大丈夫かな?】
>>440 きゃぁぁぁっ!
(離れた場所から、それも背中からでも見えた血飛沫に悲鳴を上げる)
(肝が太いといわれる都でも、よく知る人のピンチには動揺してしまう)
「無茶をする……」
(さすがの紅雲も迫水直の力業に呆れかえっていた)
「そのまま腕を押さえて刀を引きはがせ!」
(紅雲としては、多少は少女に手傷を負わせてしまうのは仕方ないと判断していたため)
(あくまでも狙いを刀に絞った行動には賛否両論で単純には褒められなかった)
『エッチ、ヘンタイッ! なに触ってんのよ〜!』
(迫水直をほとんど痴漢扱いする少女は、両足をひろげて踏ん張ると全身を震わせ始めた)
(その振動は刀を持つ両手に集まり、刀身へと伝わってビィィンという奇妙な音が鳴る)
(それは刀自体をヤスリのようにし、電動のこぎりのように刀を掴んだ指を削り苛む)
(刀は指の皮膚や肉を擦り取ろうとし、骨まで響く拷問とも思える苦痛が襲ってくる)
【昼間寝ちゃったので眠気があんまり】
【でも、あと1,2レスくらいかな?】
【とか言いつつ、レスしたら急に眠気が強くなってきちゃいました】
【また凍結して、お昼くらいに再開でもいいでしょうか?】
【明日の夜になるとあんまり時間が取れないと思うので】
がっ!あ、ぁぁぁぁ…っ!
(掴まえた刀身があろうことか高速で振動を始める)
(退魔に特化した刀の帯びた特殊な能力なのか。とにかく、刃を掴んだ手指への被害は甚大だった)
ぐぁぁぁ…っ!
(肉を抉られ、骨を削られ、日常を生きる上では決して味わうことのない痛み)
(高速の振動で細かい飛沫となった血が飛び散る。その中には削られた肉片すら含まれて……)
『ギギィ、ギギュギュッ!』
(突然耳障りな、金属同士を擦り合わせような音が響く)
逃さねぇよ…どんなことがあろうが、もう、逃さねぇ
(肘から先を硬質な装甲が覆い尽くす。『メキメキメキ』と軋むような音とともに肘から肩にかけてが以上に盛り上がり)
(シャツの布を引き裂いて、禍々しく突起を生やした装甲が現れる)
【じゃあ、無理はしないで】
【今夜はこの辺りで凍結をお願いできるかな?】
>>443 【えと、5日の昼間は大丈夫ですが、夜はたぶん置きレス程度の時間しかとれません】
【夜だと金曜日の夜になってしまいます】
>>444 あぁ…すまない
では、5日の昼間…13時くらいでいいかな?
もう少し早い時間…10時頃からでも大丈夫(この場合お昼の休憩を挟むけど)
あ、もし返事がキツいなら、明日の朝にでも避難所に返事してくれればいいよ
>>445 それじゃ、13時に避難所で。
お先に失礼します。
おやすみなさい。
了解。では13時…12時間後に
お疲れ様&ありがとう
おやすみなさい
【スレをお返しします】
【ロールにスレをお借りします】
>>443 ……っ!
(これは死闘と呼ばれるものなのか)
(今まで幾度か異形との戦いを見たことはあったが、ここまでダメージを受けるような戦いはなく)
(先日の霧原朱音の戦いと同様に、あちらの世界への認識が甘かったことを都に知らしめた)
(かろうじて目をつぶらず迫水直と周囲の状況に気を配り続けられたのは元来の気丈さ故だろうか)
「力押しだけではいずれ押し切られるぞ、その娘の指を折るなり何なりして刀から引きはがすのじゃ!」
「いや、その前に娘の方が死ぬ、この際多少怪我させるくらいは諦めろ!」
(状況悪化に焦ったのか、紅雲の声は都のを擬態したものではなく、本来の幼い児童の甲高い声に戻っていた)
(そして紅雲が焦るのは無理がなかった)
(少女の顔や手足などの素肌がどんどん青黒く変色していっている)
(同調して強い霊力を発揮しても、所詮鍛えていない素人の肉体は刀からの酷使に耐え切れていなかった)
せん、ぱい……頑張って!
(変貌していく迫水直の体に言葉を失いかけるけれど、気を振り絞って声援を送った)
(あまり大きな声を出して他の人に気づかれてはならないから、大きな声は出せなかったけれど)
(それでも刀のうなり声に負けず、ちゃんと迫水直に届く声で)
【今日もよろしくお願いします(ぺこり】
そう、簡単に、いくかよ…
(誰とも分からない少年の声に毒づくように声を搾り出しながら)
(最早手だけでなく全身を切り刻まれるような激痛に、膝が崩れそうになるのを必死に踏ん張って)
(傷口の回復が完全に間に合わない。刀はうなりとともに着実にこちらの手を削り)
(こちら側に突き出された切っ先がジリジリと、胸元に向けて進みはじめていて)
………っ!
(痛みで霞む視界の中で刀を持つ少女の手が、顔が、見る見るうちに青黒く変色していく)
(肉体の酷使によるものなのか、それとも霊的な不調なのか)
(背後の少年の言う通り、これ以上は少女が保たないのは確かなようで)
(都の発する言葉がかすかに聞こえる。笑っていて欲しいと願った女の子の震える声だった)
ち、くしょうっ…!
(握り止めていた刀身から手を離す。支えを失った凶刃は胸のど真ん中を貫いて、切っ先が背中に抜ける)
(同時に腕の届くところへ近付いた、刀の柄を握る少女の手を捕らえて)
すまない…
(ポツリと唇を動かす。柄を握るか細い指を握り、捩じりあげる)
(手の平の中で吐き気を催すような、嫌な音が鳴った)
【はなっからお待たせしてしまって申し訳ない】
【今日もよろしくお願いします】
>>450 あぁっ……せ、先輩!
(迫水直の背中にきらっと光るものが見えた)
(分厚い胸板を貫いた刀の先端だった)
(どう見ても致命傷にしか見えず、頭から血の気が引いていく)
『や、やめっ……あんっ』
(無理矢理に指を引きはがされた少女の目がくるっと白目をむき、体が地面に崩れ落ちる)
(迫水直の体を貫く刀の痛みは激しいものだったが、少女の手が離れたとたんに弱まった)
(もちろん貫かれた痛みはそのままだが、刀の霊力が妖魔を蝕む痛みが格段になくなっていた)
(紅雲が声をかける)
「柄に触れるな、お主も取り憑かれるぞ、刃を掴んで引き抜け」
「思うところはあるじゃろうが、乱暴に扱うな、中で折れればことじゃぞ」
(ある程度片が付いたと見た都が近寄ってきていて)
迫水先輩……大丈夫、ですか?
(普段から何かあった時用に持ち歩いている包帯とガーゼを取り出して声をかける)
(けれど体を貫くような傷にこんなので何ができるのか)
(今いる場所を考えれば建物中へ駆け込むのが筋だろうが、妖魔化した体を他の人に見せるわけにもいかず)
ぐ、は……
(少女の手が刀から離れた途端激しい痛みが並のように引いていく)
(出血と身体中を走る痛みに耐え切れずその場でガクリと膝をつく)
くっ…、つ……
(胸に突き立つ刃をゆっくり、ゆっくりと引き抜いていく)
(鋭い刃に傷口が拡がり、地面に血の雫をこぼして)
(引き抜いた日本刀をカラリと落とす)
俺なら大丈夫…それより人を呼んで来て
彼女の方を先に
(近寄ってくる都を手で制しておいて、目線で地面に倒れ伏した少女をしめす)
俺の傷は放っておいても塞がるから…
(血の気のない顔を都に向けて大丈夫だと頷く。その唇の端から赤い筋が垂れる)
>>452 でも……。
(迫水直と倒れた少女を見比べる)
(都自身は迫水直の超回復とも呼べる回復能力を知らない)
(塞がると言われても強がりかもしれないと思ってしまう)
「その刀、誰かが柄に触れればまた支配されてしまうじゃろう」
「刃の部分を持って、どこか人目につかない場所に隠すか隠れるのじゃ」
「ほら、小娘……都! その娘を放っておいて殺す気か!」
(紅雲に一括されて、都は病院の方へと向かう)
(そう時間がたたないうちに病院関係者が来るだろう)
誰かは知らないけど、そいつの言う通りだ
早く、手当てしないと
(刀から手が離れて幾分か肌の色が回復したように見えるが)
(前の事例を考えれば、手当ては早いにこしたことはないだろう。命に別状がないといいのだが)
まったく、厄介な代物だな…
(既にボロ切れと化したシャツを脱ぎ刀身に巻き付けて持ち上げると)
(傷の塞がりきっていない手の平から再び出血がはじまり、ジワリと染みを作る)
俺は一旦ここを離れるよ
警察とかには色々聞かれたくないからね
後で連絡する
(病院へ向う都の背に声をかける。その声はある程度の回復を見せていた)
【さて…一旦場面転換?】
【場所はそちらにお任せするよ】
>>454 はい、わかりました。
またあとで!
(一度振り返ってうなづいてから、病院の入口へと向かった)
(すぐに人が来て少女は運ばれていった)
(事件性があると言うことで警察にも通報がされ、第一発見者である都も事情聴取を受けることになった)
(そのため、迫水直と落ち合えたのは夕方も遅くになってしまった)
(それでも偶然少女が倒れていたとこに居合わせたということにしたため、早めに解放はされたのだけど)
(待ち合わせの場所は学園近くの公園で、怪事件が多い場所なのであまり子供も多くなくて)
(誰もいないか、いても学園の中高生だったりする場所だ)
(解放されてからメールしたので、都と迫水直、どちらが先に来ているだろうか)
(公園入口まで来て、都は迫水直を捜す)
(都が駐車場を離れ、全身から力が抜ける。その場にへたりこみそうになる膝に手をかけて、無理矢理体をおこす)
早く離れなきゃ………
(シャツに包んだ刀を片手にフラフラと歩き出す)
(都には強がりを見せた。霊刀によるダメージは、体中を蝕んでいた)
(自宅に帰り着いた途端その場で倒れ、深い眠りに落ちる)
(都からの連絡--携帯の電子音で目を覚ました時には既に日も落ちかけていて)
お待たせ…今日はご苦労様さま
(先に公園に着いて、入口で辺りを見回していた都を見つけ声をかける)
>>456 迫水先輩!
わたしなんか全然です。
先輩の方こそ傷は大丈夫ですか?
(何事もなさそうに公園にいたけれど、なんとなく顔色が悪そうな感じもする)
あの刀に取り憑かれていた人は何とか大丈夫みたいです。
詳しくは聞けていないですが、命に別状はないとか……。
(それでも完治するまではとても時間がかかるだろう)
(そして「先輩のおかげです」と言おうとして口を閉ざす)
(そもそも、前回と同じくあの刀は迫水直の中にいる妖魔を狙ってきた)
(妖魔がいなければ襲われることはなく、別の似たような立場の人が襲われていたはずで)
(だからどうしようもないことではあるが、何と言えばいいのか難しかった)
あぁ、もう大丈夫。後はゆっくりと時間をかければ傷も残らないよ
(そう言って手の平を見せる。全体にまんべんなくヤスリをかけたような)
(無数の条痕が掌を赤く彩っているが、そのどこからも出血はない)
(妖魔の能力による超回復は霊力により大幅に減衰、加えて霊刀による傷の回復は遅く)
(普段だったら瞬く間に消える傷も今は残っている)
そうか、よかった…
(命の危険がないと聞き安堵の息を漏らす。異形と化した人を幾度も殺め、覚悟の決まった心にも、犠牲者に近いような人にまで手をかけることは本意でなく)
(結果として怪我をさせただけでも罪悪感を覚えていた)
………?
(口を開きこちらに話しかけようとした都が、一瞬ためらった後で口を閉じる)
(何か言いたかったのだろうか?普段明瞭に話す都にしては珍しいアクションで)
(こちらを向いた目に「何?」と、こちらからも目で話しかける)
>>458 ……っ!
(大丈夫と言われても、傷跡を見てしまうと息を呑んでしまう)
(ただ傷が残らないというとこで、あの攻撃を受けたのが伊織津綺子じゃなく迫水直でよかったと思う)
(こんな酷い傷が残るようなのは、女性としてはやはり厳しいから)
えと、その……。
(都が口ごもったことに気が付かれてしまい、どうしようか悩むけれど)
この間は伊織先輩の中にいる霧原さんが狙われました。
今度狙われたのは迫水先輩の中にいる妖魔です。
妖魔がいなければ狙われなかったけど、その力がなくては撃退できなくて。
それが、何というのかな、皮肉と言うんでしょうか……難しいなぁ、と。
(そのことは都が言わずとも意識しているかもしれず)
(もしかしたら、もうとっくに乗り越えているのかもしれず)