好きに使うスレinオリキャラ板

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1名無しさん@ピンキー
使おうと思っていたスレが空いてなかった時などにお使いください
シチュの種類、バトル、エロールは問いません
打ち合わせも有りです
名無し同士の雑談、常駐及びキャラハン同士、若しくはキャラハンと名無しの雑談も認めます
スレが荒れるような行為(キャラハンや名無しの叩き、煽り、乱入等)は禁じます
もしそのような書き込みを見かけても、釣られずスルーしてください
ヲチ行為も禁止です
2春日桜子 ◆IzXu3gqo6w :2008/10/23(木) 23:44:02 ID:matQBEpq
2げと
3春日桜子 ◆IzXu3gqo6w :2008/10/23(木) 23:45:21 ID:matQBEpq
ぬるぽ


って、また過疎スレ化かな
4名無しさん@ピンキー:2008/10/24(金) 22:18:44 ID:UKvkMavd
過疎板だからこそ、何でも使えるスレが貴重。
5伊織津綺子 ◆w6iOQ87fxQ :2008/10/25(土) 21:40:07 ID:eMxULaUG
【ロールにお借りします】
【迫水 直 ◆W7jpcu/rVEをお待ちしつつ、レスの準備をしています】
6迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/10/25(土) 21:41:30 ID:HHWFbnGG
【ロールにお借りします】
【書き出し待ち】
7伊織津綺子 ◆w6iOQ87fxQ :2008/10/25(土) 21:51:36 ID:eMxULaUG
(夜。人ならぬ存在が跳梁跋扈する時間)
(寝室の窓から外を伺い、携帯を握りしめてそれが震えだすのを待つ)
(これまでは誰にも知られずに夜をさまよい、人外の存在を狩るばかりだったその時間が)
(今はひそかに心弾むひと時ともなっている)

…あ!
(マナーモードに設定した携帯が振動する)
(その瞬間、心拍数が一気に跳ね上がった)
(窓の外を伺うと、庭の木立の向こうに携帯電話を耳に当てているらしい青年のシルエットが見えた)
伊織です。今すぐ行きますね!

(夢中で家を抜け出し、その青年のもとへ駆け寄る)
(夜に徘徊するようになって、彼と何度も出会い、やがてこうして誘いあって出かけるようになった)
お待たせしました……迫水先輩。

【改めましてこんばんは。よろしくお願いします】
【勝手にいろいろと決めてしまいましたが、やりにくいようでしたら変えてください】
8迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/10/25(土) 22:06:39 ID:HHWFbnGG
(若い男女が待ち合わせて、深夜の街を徘徊する)
(言葉だけなら色気を感じさせるかも知れない。だが実際の目的は殺伐としていて)
(それでも彼女の家の前で電話をかける時には心が弾み、彼女に惹かれている自分を自覚する)

(携帯を耳にあてて窓を見上げる。相手の少女らしい人影を見つけて、自分の鼓動が早くなっていくのを感じ)
(コール2回で相手が応答)お待たせ。すぐに出れるかな?
(電話の向こうの声を聞くだけで心に火が灯るように暖かくなる)

(駆け寄ってくる人物--伊織津綺子--を目の前に押さえた口調は、緊張で声が裏返りそうになるから)
こんばんは。調子はどう?
(昼間の太陽の下なら、顔が紅潮してるのもバレてしまうかも)


【いえいえ、このくらいの確定なら、どうとでも】
【では、こちらはこんな感じで。よろしくお願いします】
9伊織津綺子 ◆w6iOQ87fxQ :2008/10/25(土) 22:16:07 ID:eMxULaUG
(調子は、と尋ねてくれるのが嬉しくて、これは単なる挨拶代わりなのだから、と自分に言い聞かせながらも)
(声が弾むのを抑えられない)
万全です。
(もっと何か言うことがあればいいのに、と言葉を探すが)
(そっけない一言以上に何も言えず)

今日はどこへ行きましょうか?
この近くではあまり魔物を見かけませんでしたし、もっと違うところへ行ってみましょうか。
(背の高い直の顔を見るためには、顔をちゃんと上に上げなくてはならない)
(ちょっといつもより視線を上げるだけの仕草にも、動悸が激しくなってしまう)
(深夜の街灯に浮かぶ青年のシルエットは、それだけでまぶしく思えるほど)
10迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/10/25(土) 22:30:05 ID:HHWFbnGG
頼りにしてるよ
(相手の言葉に相槌をうちながら)
(素っ気ない社交辞令的な会話にもどかしさを覚えつつ)
(無地のTシャツにトレーニングウェア。深夜のジョギングと言えなくもない、そんな自分の服装を思い出す)
(何よりも動き易さを優先した結果だが、少女の視線を受け止めると、もう少し洒落た格好をしてくれば…などと考えながら)
(対する伊織の服装をチラリと観察する)

えーと、伊織さんは、これを見た?
(伊織の質問の答えに取り出したのは新聞の切り抜き。場所は、ここからさほど遠くない閑静な住宅街)
(「連続猟奇事件」、「大型動物」などの剣呑な見出し文字が並び)
(この街の夜を知る者なら、事件の背後に蠢く怪異の存在を感じ取るができるだろう)
場所も遠くないし、今夜はコイツを探してみないか?
11伊織津綺子 ◆w6iOQ87fxQ :2008/10/25(土) 22:43:06 ID:eMxULaUG
…はい。
(頼りにしているという言葉に、舞い上がるような気持を覚えながら)
(そこで洒落た返事の一つも返せない自分に失望する)
(会話が終わってしまっては、彼の顔を眺めている理由もなくなってしまうので)
(自分のバカ、と内心で自分を罵りながら視線を落とす)

(いつもは手持ちのTシャツやポロシャツをただ着ていただけだったのが)
(今夜はわざわざ夜の活動のために買ったカットソーのブラウスを着ていた)
(ネイビーの七分袖は、夜目には黒いシャツと変わらないかもしれない)
(それでも、ただのポロシャツよりは少しでもシルエットは女性らしく見えるかも、と選んだのだった)
(黒のクロップドパンツは脛の真ん中までの長さ)
(足首だけでものぞかせているのが、いじましいばかりの女ごころ)

そんな事件が…それはどう見ても、魔物の仕業ですよね。
行ってみましょう。
(声に緊張感をにじませ、たちまち退魔の業を行う者の態度になる)
(そのことを、少し残念に思いながら)
12迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/10/25(土) 22:57:27 ID:HHWFbnGG
(伊織の服装は実用的だがいつもより女性らしく)
(浮ついた心を押さえて相手を見れば、「脈あり」だと感じれるのかも知れないが)
(今はそんな余裕などありもせず)
(元来、服装について無頓着なのも手伝って、気の利いた台詞すら口にしないで)

(伊織の表情が学園の後輩から夜の表情へと変化して)
(それに呼応するように、自然と心のスイッチが切り替わる)
じゃあ、決まりだね
いつもの確認。
伊織さんは後ろにいて。俺が相手を足止めしている間に充電、君の合図で俺が離れる
(歩き出しながら、恒例となった手順の確認)
(二人で共闘している間に自然と生み出された戦術)
(こうして会う度に口に出して確認し、頭と身体に染み込ませる)
電撃で動きを止めたら、俺がトドメを刺す
何か問題はあるかな?
13伊織津綺子 ◆w6iOQ87fxQ :2008/10/25(土) 23:08:06 ID:eMxULaUG
(冷静な声で戦術を確認する直を見上げながら、緊張した面持ちで一言一言にうなずく)
大型獣、ってどのぐらいの大きさなんでしょうね。
本物の熊ぐらいなら、電撃だけでも何とかなりそうですけど……
先輩は前へ出たければ、最初に動きを止めるだけにします。

(青年に宿る妖魔をなだめるためには、魔物と戦い、それを食らう)
(それが彼のエネルギー源であり、狩りの一番の動機だと、今では理解している)
(それでも直に少しでも危険があると思うと、前に立たせたくないと思う気持ちは日々強くなった)
(魔物が食いちぎられるのを見てもなんとも思わないが、直が怪我をするのは見たくない)

(いつしか周辺の町並みは、長い垣根が続くお屋敷街へと変わっていた)
(こせこせした庶民の家と違って、敷地にゆとりのある家が続いている)
一番新しい事件があったのは、このあたりでしょうか…?
14迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/10/25(土) 23:27:20 ID:HHWFbnGG
どうだろうな…少なくとも人一人を…一回の食事にするくらいだから
(伊織の電撃は連発が利かない。一撃で仕留められなければかなり危険な状態になる)
(自分の役割には伊織の盾になることも含まれる。そのことを口に出さずに確認する)
(自分の身体を犠牲にしてでも、彼女には怪我を負わせはしない)


(深夜となれば当然のように住宅街は静寂に包まれていて)
(夏の湿った微風に遠く繁華街のざわめきが運ばれてくるのが耳に届く)

うん…ここ、だね…
(目線で示す電柱の根元。真新しい花束と供え物が街灯に照らされていて)
(立ち止まり、沈痛な表情で黙祷を捧げる)

…?……っ!
(黙祷を終え目を開いた時、気配を感じる)
(否、身体に宿した妖魔が魔の気配を察知して唸りをあげたのを感じ)
伊織さん…近くに、いる…
(隣りの相方に注意を促すように声をひそめて囁きかける)
15伊織津綺子 ◆w6iOQ87fxQ :2008/10/25(土) 23:39:47 ID:eMxULaUG
(黙とうを捧げる直に倣って、自分も手を合わせて頭を垂れた)
(何の罪もないのに、圧倒的な暴力でむごたらしい最期を遂げた人を悼んで)
(そうなる前に、自分の力が及ばなかったことを詫びながら)

…?
(直の様子が変わった)
(黙とうの目を上げて彼の様子を見る)
いる、んですか……?
(直の緊迫した声を聞けば、たちまち体中のセンサーが目を覚ました)

(二人して夜の街を疾駆する)
(感じた気配は間違いなく人を害する魔の存在)
(長い屋敷の塀を曲がったとたん、それは頭上からやってきた)

…あっ……!
(自分の斜め上から殺到する質量に、思わず直の腕をつかむ)
(彼に倒れ込むようにして、飛びかかってきた「それ」をかわした)
(夢中で直の腕にすがりついて、振り向けばそこには黒々とした獣のシルエット)
先輩…!
(驚いたために、その声はまるで怖がっているかのように細く震えた)
16迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/10/25(土) 23:59:19 ID:HHWFbnGG
…っ!
(頭上から殺到する気配と腕にかかる質量を同時に感じて身を翻す)

…怪我は?
(腕にすがりついている伊織の身体を自分の後ろに庇うように、魔に対して半身に構え)
(目の前の獣--大型猫科動物を思わせる--をの挙動を警戒しながら、震えた声をだす伊織に問う)

(人の血肉で研ぎ澄ました爪と牙をむき出しにして、赤い瞳でこちらを見つめ)
(喉の奥から唸り声を絞り出しながら、一歩を踏み出してくる)
17伊織津綺子 ◆w6iOQ87fxQ :2008/10/26(日) 00:12:04 ID:Fy9A6VeU
(直がこちらの体を魔物から庇うように体勢を入れ替える)
(一瞬、彼の体温と体臭を感じ、心臓が一度、大きく鼓動した)
大丈夫です!
(気を抜くと死ぬわ!と自分を叱咤しながら直の体越しに魔獣を見据える)
(四足でのそり、とこちらへ向かってくる魔獣は熊どころか、ワンボックスカーぐらいはありそうな大きさ)

先輩、離れて!
(彼の体温が離れるのを心のどこかで惜しみながら、魔獣に電流を向けた)

ギャアァァァッッ────!!

(後ろ脚で竿立ちになりながら、魔獣はこの世ならぬ咆哮を上げる)
先輩、お願いします!
(直に任せて素早く下がり、さらに充電を始めた)
18迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/10/26(日) 00:32:07 ID:QGBtUmBO
(伊織が腕から離れると、緊張で感じていなかった柔らかな感触が今更に蘇る)
(感触の正体を推測する必要もなく、心拍数が跳ね上がる)
……っ!!
(巨大な妖魔が近付いてくるのを目にして、気を取り直し)
(腕に残る感触が消えるのを惜しみながら、目の前の事態に対処することに集中する)
(閃光と雷鳴。同時に伊織の合図)
応っ!
(悲鳴をあげ竿立ちになった獣の、がら空きにの腹部へと潜り込み)
(握り締めた拳を力任せに突き入れる)

(しなやかで強靭な筋肉を抜け、鈍い音を立てて拳を突き刺さすと)
(こちらを押し潰すように四つ足に態勢を直す前に素早く飛び退くと)
伊織さん、トドメをっ!
(背後のパートナーへと叫ぶ)
19伊織津綺子 ◆w6iOQ87fxQ :2008/10/26(日) 00:42:05 ID:Fy9A6VeU
(直が魔獣に一撃をくらわすのを見ながら、ありったけのエネルギーを両手に集中させる)
(その刹那、手負いの獣は渾身の力で跳躍した)

…きゃ……あっ!
(瀕死の獣が地獄への道連れにとこちらを狙って飛びかかってくるのと)
(両手のエネルギーを獣にぶつけるのがほぼ同時)
(そして、一瞬遅れて直が身をひるがえし、こちらに向く)

……っ!!
(どさっ、と押し倒された時には、何がなんだかわからなかった)
(自分にのしかかる重量の下から逃れようともがき、目の前に、魔獣の足が見えるのに気づいて動きを止める)
(のしかかっているのは魔獣ではない)
(それは、目の前の路上に倒れたまま動かなくなっていた)
20伊織津綺子 ◆w6iOQ87fxQ :2008/10/26(日) 00:43:19 ID:Fy9A6VeU
【なんかすごい確定でごめんなさい!】
【例によって、無視するか、変えていただいても…】
21迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/10/26(日) 00:56:50 ID:QGBtUmBO
(おぞましい断末魔の叫びをあげて魔が身体を縮めるのを見ると)
(ゾクリと背筋を這う嫌な予感に慌てて身を翻し)
伊織さん、伏せて!
(声をかけると同時に獣がバネ仕掛けの人形のように伊織に飛び掛かる)

(2度目の閃光に視界を漂白されながら)
(覆い被さるようにして伊織の身体を胸の中に抱き締め、押し倒す)

…ふぅ…
(数瞬の後、伊織の身体を強く抱き締めたまま、止めていた息を吐く)
危なかった…すまない、油断してたよ。まだあんな力が残ってた…なんて…
(謝罪の言葉を紡ぎながら、至近距離にある伊織の顔に気付いて)
(途端に身体に触れている柔らかな感触に意識が集中する)

その…怪我は、ない?
(途切れ途切れになる言葉を駆使してなんとか問う)
22迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/10/26(日) 01:01:57 ID:QGBtUmBO
>>20
【いやいや、大丈夫だよ】
【こっちも積極的に動けてないからね…】
23伊織津綺子 ◆w6iOQ87fxQ :2008/10/26(日) 01:06:58 ID:Fy9A6VeU
せ、先輩!
(体の上で、直の胸郭が大きく膨らみ、長い呼吸にしぼんでいくのをじかに感じて)
(ようやく自分の状況が理解できた)
(直の腕の中に包みこまれるように、強く抱きしめられている)
(詫びの言葉はすぐ耳元から聞こえ、それから腕の力が弱まった、と思うと、すぐ目の前に直の顔があった)

私は大丈夫です……先輩こそ、お怪我は……?
(危機は去ったというのに、むしろ一番か弱い声をだして、震えながら問い返した)
(吸いこまれるように直の瞳を見返して、時間も空間も認識能力を失う)
(まるで異次元にポカリと浮かんでしまっているかのようで、ただ、直の体の感触だけを強く強く意識して)
24迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/10/26(日) 01:20:10 ID:QGBtUmBO
ん…俺も大丈夫…
(引き込まれるように伊織の瞳を見つめ続け)
(上の空な返事を唇からこぼす)

(身体の下に組み伏せた少女の肢体の凹凸を布越しに感じながら)
(そのまま唇を寄せたくなる欲望を必死に押さえ込んで)
……
(自分から視線を切って立ち上がると、地面に倒れたままの伊織に手を伸ばす)
25伊織津綺子 ◆w6iOQ87fxQ :2008/10/26(日) 01:27:58 ID:Fy9A6VeU
(心臓の鼓動を、どのぐらい数えただろうか)
(直がふと眼をそらし、たちあがってこちらに手を伸ばした)
あ、ありがとうございます…
(その手につかまり、こちらも体を起こす)
(大きな手がこちらの手を握り込むと、その感触にまた我を忘れて)
(ぼーっとしたうつろな表情のまま、体を引き上げられて立ちあがる)
(立ちあがっても、手を離すのも忘れていて)

あ、ご、ごめんなさい! あの、ありがとうございました。
(あわてて手を引っ込め、勢いよく頭を下げた)
26迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/10/26(日) 01:38:38 ID:QGBtUmBO
(お互いの手が離れ、慌てて頭を下げる伊織にこちらも慌てて)
あ、いや、伊織さんがあやまることないから
あの、服も汚しちゃったみたいだし…
(そこまで言っておいて、はじめて伊織の服装がいつもと違うのに気付く)

……新しい服なのに…ゴメン…
(多分新しいと思うのだけど…いまいち自分の判断に自信が持てなくて)
(今更確かめるように、伺うように伊織の顔をチラチラと見ながら)
27名無しさん@ピンキー:2008/10/26(日) 01:52:39 ID:nbIctAB2
相方様が規制だそうです
28迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/10/26(日) 01:54:07 ID:QGBtUmBO
>>27
【ありがとう。避難所に移動です】
【スレをお返しします】
29須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2008/10/26(日) 22:41:41 ID:72IGNrdi
【お借りします。】
30御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/10/26(日) 22:47:39 ID:G78LgJry
むー。確かに僕みたいな、ぽっと出の能力者がいるからね。
昔は本当に限られた、一部の人のものだったってイメージー。
でも……こういう力を持ってて良かったって思う時もあるかな。
今日だって、ただの人だったら須佐乃さんに何もしてあげられなかったし。
(こっくこっくと頷きながら、クッションとミルクを勧める)
(とりあえず、口数が増えてきたのにとてもほっとして)
(釣られるようにこちらも、いつもどおり口が元気になる)

だから、力を持ってることで胸を痛める必要はないんじゃない?
考えたことがなかったなら、今からゆっくり考えていけばいいんだから。
何かを始めるのに遅すぎるなんてことはない、て正ちゃんは思うなー。
(それは、間違ったことなのかもしれない)
(これから先、どれだけ考えてもあの浮浪者は戻ってこないから)
(けれど、糾弾して須佐乃さんの一生を台無しにしてしまうより)
(あの強さを良いことに使ってもらったほうがいい。ずっといい)
(そんな生き方のほうが、きっと須佐乃さん自身も幸せだろうから)

うん、そのことなんだけどね。
僕の能力は須佐乃さんがどうして、ころ……。
今日の原因を、探るのに役立つと思うんだ。
(先日、人狼と戦っていた先輩のことを思い出す)
(彼は自分の能力を受け入れ、頭の中を見せてくれた)
(けれど、それは万人に共通する反応ではないだろう)
(もしかしたら、敬遠する人間のほうが"普通"なのではないか)
……僕の能力は精神操作や暗示……幻術能力、だから。
(その恐怖を押し返したのは、須佐乃さんが見せてくれた信頼だからだろうか)
(遠ざけられる不安より、隠し続けることへの罪悪感のほうが大きかった)

【ごめん、遅くなったね。今日もよろしくお願いしますー】
31須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2008/10/26(日) 22:58:49 ID:72IGNrdi
感謝してるよ。本当に、助かったからね。
(揺れた時には、些細なことでも助けに、支えになる。
 そうした状況で最も恐ろしいのは孤独だと、水琴は考えている。
 受け取ったホットミルクを掲げて、口付ける――と、まずは熱さに離れて)

あちっ……。
――ふふ。でも、多分、無理。あたしは多分、土壇場で逃げ出しちゃうからさ。
だから逃げて、隠れようと思った。それで誰が傷ついても自分を優先したんだ。
もしあたしが正常でも、弱かったら……ミッキー囮にして逃げちゃったかもね?
(などと、困ったように笑って。
 人並みの善心も優しさもありながら、どこまでも臆病でエゴイストな
部分は隠し着れなかったのだ。殺し合いという、本能の場においては)

――ふう、ん?凄いじゃん。つまりだれかを操れる力、ってことでしょ?
色々、みてきたけど。相性悪いなぁ……。
あたしって、殴ったりとかしか出来ないから。
(言葉だけを聞けば、むしろ万能とすら思えるものだった。
 訝るより怯えるより、興味が先立つのもこの空気ゆえか。)
でもさ?じゃあ、なんで、あたしの――さっきの、おかしくなった原因とかが、わかるの?
(そして、催眠療法などといった知識には、乏しいのである。)
32御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/10/26(日) 23:11:53 ID:G78LgJry
いやいやー、僕は自分のためにしただけだよー。
友達が一人減るのも、後悔するのもやだったから。
……ああ、熱くしすぎちゃったかな。
なにか別のものも要る? ちょうど晩御飯時だしー。
(口が離れるのを見ると、ちょっとだけ目を見開いて)
(そういえば、夕方の散歩から何も食べていなかったっけ)

んー……ほんとに、百回のうち百回逃げるのかな。
それだったら、今須佐乃さんはそんな笑い方しないと思うんだー。
学校で見た笑顔のほーが、ずっと素敵だもの。
いいじゃん、きゅーじゅーきゅーかい逃げたって。
一回だけでも人を助けられるなら、力を持ってる意味があるよ。
(勘でしかないけれど、彼女に足りていないのは)
(勇気じゃなくて自信なんじゃないかなと、そう思い)

ありがとう、凄いだなんてあんまり聞けないからさー。
うん……操るってことは、中身を知れるってことなんだよね。
須佐乃さんがどうして今日みたいなことをしちゃったってことも、もしかしたら。
原因がわかれば、対処法もあるんだろうしー。
(逃げ出す自分を悔やむ心がある。自分の戦力を把握する頭がある)
(快楽殺人者と断ずるなど、できない相談だ)
いや、もちろん。プライバシーがあるからね。そういう手段もあるってだけー。
33須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2008/10/26(日) 23:16:59 ID:72IGNrdi
……そういう問題じゃ、ないんだよ。
助けられないことが、恐いんじゃなくて――さ。
んー?おなかすいてるけど、御木本って料理できるの?
(手をひらひらと振って、がんばって冷ましながら飲む姿勢を見せる。
 少しぬるまれば、ちびちびと飲めるくらいには適温になった。
 力を持つ意味については、半ば強引に断ち切るように)

なんとなく、察しはついてんだよね……それ。
確かめたい、って気持ちはあるよ。
でも御木本さぁ、それってさ、その、どんくらい視えるわけ?
(瞳を少し、きつく細める。当然――それを差し引いても、
見られたくない"プライバシー"というものは存在しているのだ。
 最も、そうしたことを利用したり笑うような信用ならぬ人間ではない、
とは軽く考えているものの、相手は男性であり、やはり他人なので)
……それによっては、お願いしたいかな。
ああでも、あたしも持ち合わせないからね、何もお礼できないけど。
34御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/10/26(日) 23:29:27 ID:G78LgJry
はっはっはー、一人暮らしをなめちゃいけないよん?
味は保障しないけど、量は作れるからねー。
煮物でもいーよね。今魚が高くて切れちゃっててー、豚か鳥どっちが好き?
(何が怖いのか、そんなことを今日初めて話した異性に話せというのは酷だろうか)
(それ以上は問わずに、須佐乃さんに合わせて料理のほうに話題を移す)
(今強引に引き出すよりも、いざと言う時話す気になれる相手になりたくて)
(一緒に食卓を囲むというのも、きっとそれを助けてくれるだろう)

そうだねー、偏に……須佐乃さんの意志と僕の力の引っ張りあいっこになる。
君の見せたくないって気持ちが僕の能力に勝てば、秘密のまんまだしー。
でも、まあ。かなり深いところまで見えちゃうのは確かかな。
(そして嘘や隠し事はしない。あとは、須佐乃さんの気持ち次第だ)
(敵意を向けているわけでもないだろうに、彼女の瞳は鋭かった)
(ああ、この目でずっと戦ってきた。戦わされてきたのか)
(そう思うと、エプロンを締めた胸がチクチクと痛んできて)

お礼ー? 特に、何かがほしーってわけじゃないからねー。
ん……それじゃーまー出世払いってことにしといてよ。あっはっはっは。
むしろ、いろいろ覗いちゃうわけだから申し訳ないくらいだけどねん。
35須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2008/10/26(日) 23:36:25 ID:72IGNrdi
それだったら鳥かなー。ももが大好きでさ。
料理出来る男っていーなぁ。楽できそうだし。
(微笑む。一人暮らしの部分に踏み要るほどには、やはり親しくはないのか。
 線引きを違いに、どこかぎこちなく行いながら会話が進む。
 ホットミルクはいつしか、半分くらいになっていた)

意志の力……ねえ。三日坊主の常習犯なんだけどな、あたし。
でもここでイヤ、っていうのもイヤかな。
なんか本当に薄情になっちゃうっていうか、孤高気取ってるみたいで、あたしがヤだ。
まあ、ただの格好つけなんだけど……まあ、義理というか、そんな感じでね。
(正直に返ってくる言葉に、さしたる自信もないものを引き合いに出されても、
思い切りはよく、すぐさま頷いた。
 隠し立てしたいことはある。しかし、「知りたい」と願うこともあるのだ。
 それがどんなものであろうと、向き合わねば逃げるだけ)

……どんなもんだったとしても、逃げるよか向き合えば……辛くても進めるかも、なんでしょ?
36御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/10/26(日) 23:50:09 ID:G78LgJry
ももかー、冷蔵庫の奥に……火曜は安売りでさー。
(と冷蔵庫に頭を突っ込んだところで、声が聞こえてきて)
(顔を真っ赤にして急いで体勢を戻そうとし、うなじをごつんとぶつける)
ら、ら、ら、楽できるってどういう意味い!?
(いーんだいーんだ、痛みを生贄に場が和めばそれでいーんだよーだ)

孤高、とは違うんじゃないかな。
誰だって記憶や思考を探られたら気持ち悪いと思うー。
それで逃げてった人も見てるから……わかってるつもり。
(ため息をつくと、妙な沈黙が部屋を包み始める)
(慌ててぶんぶん首を振ると、包丁で静けさを追い払って)

でも、進むほうを選んでくれたならぐだぐだ言うことはないよね。
いつでも気が変わったら断る権利はある、とだけ伝えとこー。
なんだっけこれ、いんふぉーむどこんせぷと?
(まだじんじんと痺れる首をゆっくり捻りつつ、鍋を火にかける)
(ぐつぐつという音と匂いが、須佐乃さんのわだかまりを癒すことを願いつつ)

辛くても後悔させない、てことだけは約束するよ。
(くるりと振り返る。記憶を弄る経験は浅いけど、誰かがそれで助けられるかな)
(うまく、笑えたかな)

【んっと、どうしよう。今回でいきなり分析までいっちゃうー?】
【それとも約束だけして、深夜にならないうちに〆るか】
【というのも、今日あんまり夜更かしできなくて……ごめん】
37須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2008/10/27(月) 00:07:37 ID:7CQOUpVm
ん?いやあ、だって旦那が家事出来たら楽そうじゃない?
(無論、そういう男、が好みという話題。
 かと言えば、御木本が慌てないと考えて物を言ったわけでもなく、
戻ってきたのを迎えるのは、にやついた笑みだった)

……ま、ね。
――とりあえず、考えとくよ。
むしろ、そのあたしの原因が、他者にはどう見えているのか……。
それを知るだけでも、これからの指標にはなると思う。
……いんたーんしっぷ?
(それがもし、尋常との乖離であるならば、
自分はもう、生きる世界を限定せざるを得なくなる。
 考えたくない自体ではある。だが、"目をそらせない")

……ん。ま、とりあえず今日は、一旦帰って、考えてみる。
自分のことも。これからのことも、さ。あ、ご飯は食べてくね、それと――
――お金、ちょっと貸してくんない?
(今度はそれを、再会の約束と出来るように。
 受け止められるかわからないほどのことが心中にあるように思えても、
目を逸らし続ければ、あらぬ方向に力は向くだろう、と――やはり怯えて。)

【――ということなので、強引に締めてみたよ!】
38御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/10/27(月) 00:22:38 ID:61tg3Wys
旦那って、いやまだ17でそんなこと考えなくあう!?
(ひんやりした冷蔵庫にぶつけた次は、熱いお鍋が指に洗礼)
(こちらが慌てるとわかって言ってるんだから、性質が悪い)
(笑みに返すものはなく、赤くなった頬を隠すのが精一杯だった)

本来は見えない原因を、無理に覗きこむからね……。
正直に言うと、負担がないって保障はできない。
でも、封じるかコントロールするかは不可能じゃないかもしれない。
良いほうの確率が上がるように頑張るよ、やくそく。
……いんとろでゅーす、は違うか。
(知るだけじゃないかもしれない、と可能性を示す)
(不確かな希望。もしダメなら落胆させてしまうかもしれない)
(けれど、行うまでずっと彼女を不安にさせておいたなら)
(治療に悪影響が出そうだし、何より辛いだろう)

そっか、来たくなったらでいいからさー。
日曜日はちょっと用事があるけど、それ以外なら……。
(滅多に確定することのない、週末の予定)
(その相手は、果たして人を手にかけた自分をどう思うだろう)
(忘れたことはなかった。けれど、口にするとそれは重く)

やれやれ、召し上がれっと。
出かけるからあんまり貸せないけど、許してねん。
待ってるよ、共犯者さん?
(いつだって受け入れる仲になりたいと、直接言えば白々らしくて)
(繋がりの深まる言葉を捜せば、それが一番しっくりくるような気がした)
(鍋を置いて取り皿を用意し、手を合わせる)
(願わくば、この料理のような……温かい結末が待っていますように)

【おわー、ごめん。慌てさせちゃったかにゃ】
【それじゃあ僕もこれで〆ー】
【三日も遊んでくれてありがとう、とっても楽しかったよ!】
【また機会があれば、ぜひお願いしたいなー。それじゃーねー】
39須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2008/10/27(月) 00:25:02 ID:7CQOUpVm
【いやいや!こちらこそありがとうー】
【久々に平和というものを見られた気がする……!おやすみ!】

【スレをお返しします】
40瀬尾 司 ◆xUvAmVUL3w :2008/10/27(月) 22:24:30 ID:cp7cDzGU
【ロールにお借りさせていただきます】
【では、媛名さん待ちで…】
41媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/10/27(月) 22:27:31 ID:Yb/D6RQx
【ロールに、お借り致します。(一礼) 】
【問題なければ、とりあえず倒れてでもおりますので少々お待ちいただけると幸いです。】
42瀬尾 司 ◆xUvAmVUL3w :2008/10/27(月) 22:31:00 ID:cp7cDzGU
【はい。それで問題無く。お待ちしてますよ】
43媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/10/27(月) 22:32:20 ID:Yb/D6RQx
「――…よく考えろ。 選び間違えんなよ。“お前”の選択を、な。」

(あの人はそう言った。蝶が「何か」を誘(いざな)ったあの日、
 久しぶりに直接耳元で響いた声は、いつもならぬ真剣味を帯びて溶けて消えた)
(それでも、きっと自分は、“選び間違えて”いないはずだ)
(自分はあの人の猟狗なのだから。猟狗ならば、ただ彼の言葉に従うのが常なのだから)



(保健室の柔らかなベッドの上で、その体は横たわっていた)
(連日連夜の狩りで消耗した身体は――…流石に、その負荷に耐えきれなかったらしい)
(体育の授業の途中、そのまま倒れて運ばれた女は、静かに寝息を立てていた)

……ん。
(わずか小さく身じろぐものの、未だ起きる気配はない)
(何かに縋るように毛布を指先が引き寄せた拍子に、長い黒髪が零れおちた)


【こんな感じで、失礼を…それでは、改めまして宜しくお願い致しますね。(一礼)】
44瀬尾 司 ◆xUvAmVUL3w :2008/10/27(月) 22:47:21 ID:cp7cDzGU
――――ふむ。
(何が“ふむ”なのか。瀬尾の視線の、そう遠くない先には媛名葵その人が横たわっていた)
(元来、授業など研究と関係無いものでありさほど真面目には受けない)
(故に。具合が悪いと称して保健室に寝床を求めに来たわけだが思わぬ先客がいた)

お加減いかが…?いえ、僕が聞いても何も出来ませんか、そもそも――。
うむむ……。

(妙な因縁がある…有り体に言えばいささか顔を合わせ辛い…そんな相手だ)
(協力を申し出はしたが。目的があるならばともかく日常の中で会うとなると…)
(寝ている彼女に声を掛けるべきか否か…埒も無いことをベッド脇の椅子に座り悩むこと数分)
(――と。零れた黒髪を指に掬いシーツの上に戻す。絹のように艶やかで冷たくサラ…と音がした)

【はい。改めてよろしくお願いします】
45媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/10/27(月) 22:58:23 ID:Yb/D6RQx
(あまりにも深いまどろみだった)
(常ならば人の気配がくれば――それも、相手が彼ならば気配を察して飛び起きるところかもしれない)
(しかし、彼女はそれに気づくことなく無防備な体(てい)を晒した彼女は眠りを貪るばかりで)

……ぅ、ん、っ…。
(黒髪に相手の手が触れて少し、小さな呻きとともに体が少しよじられる)
(流石に、接触をともなえば、その体は小さくでも反応するように“出来ている”らしい。
 ゆっくりと、双眸が開かれる。薄く、開いたそれは、どこか縋るものを求めるようで――)
――……い、さ……?
(その唇が小さく紡いだ言葉は、いったい何であったのか)
(不思議そうな唸りにも似た声が零れ落ちてから、数秒のこと、
 ぼんやりとした黒い瞳が相手をとらえてから数瞬のこと――…その体が跳ね起きた)

…っ、ぁっ、ひぁっ…!?
(勢いよく飛び起きて、そのまま反射的に後ろに逃げようとしたのだろう。
 起きぬけの疲れた思考はどうにも十全と働かなかったようで、
 そのまま後ろ向きにベッドから落ちかける――というあまりにも間抜けな様を司の目の前に晒した)
46瀬尾 司 ◆xUvAmVUL3w :2008/10/27(月) 23:10:23 ID:cp7cDzGU
ん……?
(夢の続きでも見ているのだろうか。彼女の向けた瞳は揺れて儚げな…)
(とにかく自分が知る数少ない彼女の印象の中にはない表情。そして――)

おっ…と、と…!
危ないですよ。まったく…寝起きから元気な方ですね。
(後ろに落ちかけた彼女の腕を咄嗟に掴む。さすがにそのままでも落ちるほどに間の抜けた事も無かったろうが)

……しかし、まあ、まるで間男を見つけたかのような反応ですねぇ。
貴女にしては可愛らしいことで。
ふふ、おはようございます。よく眠れたようで。
(とりあえずひとしきりからかったついでに挨拶をして)
(いかにも“面白いものを見た”と言いたげな含み笑いを寝起きの媛名に向ける)
47媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/10/27(月) 23:19:43 ID:Yb/D6RQx
(落ちかける寸前でどうにかバランスを保ったそのとき、
 腕を掴まれようやくその体が安定する。 ほっと一息ついた彼女は、ようやく相手を認識した)

……瀬尾、さん。
(ひとつふたつ、瞬きをしてから相手の名前を口にする)
(それからようやく大雑把に状況を認識したようで、バツが悪そうに眼をそらした)
(表情には強く出さぬも「どうにも、この男には間が悪いときに会う」とでも言いたげな様だった)
――…錬金術師も間者も、警戒すべきはあまり変わりありません。
おはようございます。 おかげさまで、ばっちりと惰眠を貪った次第です。
(含み笑いを見咎めながらも、軽く会釈すれば黒髪が零れおちた)
(それから、しばらくあたりを見回す――…枕元に畳まれているのは自分の制服。ここは、保健室。
 それでようやくきっちりと事の次第を理解したのだろう。ひとつ、ため息をつく)

………いま、何時間目くらいですか?
(彼女が倒れた体育があったのは、確か2時間目)
(黒髪をかきあげながら女の唇がこぼした問いは、あまりにも日常的だった)
48瀬尾 司 ◆xUvAmVUL3w :2008/10/27(月) 23:32:30 ID:cp7cDzGU
(周囲の状況を確認する媛名。その姿を確認し観察する…別に何のことも無い)
(寝起きで頭がぼんやりしていて、油断ならぬ相手がいたから驚いた)
(単にそれだけ。いやそれが“媛名葵”でさえ無ければ自然な反応だが…)


昼休みを終えて五時間目も半ば…でしょうか。
随分とお疲れのご様子ですね?
それこそ警戒すべき相手にも気付かずに眠りこけるなど……。

(自分は別段、体術や武道に精通しているわけでもない。本来なら無防備な彼女にここまで接近は出来ないだろう)
(彼女の問いはあまりに日常的で――あまりに普通の“疲れた女子高生”の溜め息だった)
49媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/10/27(月) 23:42:47 ID:Yb/D6RQx
(頭の中で警鐘が鳴らされることもないくらいに、彼女の体は疲弊していたけれど
 疲れによる無防備――そう称するにはいささか物足りない何かが、
 女の中で渦巻いているのも確かだった。彼女はいま、あまりにも揺れ過ぎているから)

もう、そんなに。
(目線を伏せて、呟く。まるで大切な時間を逃したとでもいうように)
……六時間目、確か現代文でした。
貴方が起こしてくださらなければ、十全とザボれましたところでしたのに。
(不気味なくらい、あまりにも日常的な呟き。
 しかしながら、その貌にはいつものように特に表情が宿ることもなく)

――警戒すべき相手、とは申し上げましても。
貴方は、私に興味がないでしょう? 実質的には、ただの「ヒト」ですから。
(しかし、次に小首をかしげてみせた彼女の目に宿ったのは悪戯な色。
 それこそ、先日の駆け引きのときにみせたような、少し喜色の宿ったもの)
それとも、寝首を?くのは主義じゃないから、起きてから…とかでしょうか。
あるいは、そのように申されるということはもしかして――…

私に狩られるような、あまりよろしくないことでもなさっておられるのですか?
(――かまかけ)
(いくら日常を装っていてもやはり、本分を忘れてはいなかったのか。
 それとも、これも少し無防備な様を曝したことを自覚したゆえ、仮面を被り直しただけか)
50媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/10/27(月) 23:44:52 ID:Yb/D6RQx
【いつだって「掻く」を文字化けさせてしまう、私です…っ(一礼)】
【上から3パート目の「?」はお分かりかもしれませんが「寝首を掻く」に脳内変換を】
51瀬尾 司 ◆xUvAmVUL3w :2008/10/28(火) 00:02:38 ID:WsV0yyCT
律義な方ですね。サボればよろしいではありませんか。
嫌いな授業をサボって潜り込むベッドの温もりは、また格別ですよ?

(僅かに笑って見せて。吹き込む細やかな悪事――この会話だけならば)
(他愛もない少し不真面目な学生の、少し不真面目な会話…)

ええ。研究対象としての興味は。貴女はただのヒトですからね。
で――それを自覚なさるのなら“何を”警戒なさるのですか?
(媛名のこの悪戯な表情。人を食ったような、或いはどこかで自分の持つそれと近いような…)
(駆け引きの内に垣間見せる隙の無い…しかし冷酷さとも違う笑顔)

ふふ、そうですね…反応を観察するなら寝首を掻くのはあまりよい選択とは。
仮に貴女を倒すならやはり起きてる時を狙うと思いますよ?

貴女に狩られる覚えは――さあて…どうでしょうかね?

(倒す。狩る。二人の笑顔に似合わぬ物騒な言葉が飛び交う)
(しかし、まだ。まだ“本気”と言える程の緊張感は空気に無い)
(だからこそ、駆け引きもかまかけも…楽しむような調子ではぐらかす)
(正直やましい部分も無くはないのだが。疲れた女性を労るよりはこちらの方が性に合うらしい)
52瀬尾 司 ◆xUvAmVUL3w :2008/10/28(火) 00:03:34 ID:WsV0yyCT
【はい。文字化けの件、了解ですよ】
53媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/10/28(火) 00:11:56 ID:+G1lkYCL
あら、そうですね。
女性として警戒すべきは…寝込みを襲われてしまうこと、とか。
(小首をかしげたまま、頬に手を当てて思案顔)
(心にもないことを言いきって、相手を見た――相変わらず隙のない男だ、と)

それでは、貴方の前では眠っていた方が安全でしょうか。
(しかしながら、互いの語調は緩い。
 それはおそらく、お互いが瀬戸際に瀕した本気ではないから)
……まあ、なされていないのなら重畳ですけれど。
(はぐらかすような語調の瀬尾の目を真っ直ぐに見据えてから、逸らした。
 起きぬけの思考では、この前の「仕返し」をするには不十分だと判断したらしい)
(軽く頭を振ってから――…彼女は枕もとの制服に手をのばした)

――十全とサボられていらっしゃるつもりのところ、少し申し訳ないのですけれど。
しばらくの間、カーテン閉めていただいても?
(小首をかしげて、頼みごとを口にする)
私、実のところもう現代文の授業は結構サボっているので、単位が危ういのですよ。
(“このまま惰眠を貪りたいところでしたけれど”と、
 そう付け加えながら続けたその意図は――つまり、着替えるから少し向こう向いていろ、的なことらしい)
54瀬尾 司 ◆xUvAmVUL3w :2008/10/28(火) 00:35:25 ID:WsV0yyCT
さてさて――命を守る為には眠るのが安全。
しかし貞操を守る為には寝込みを襲われるわけにもいかず…と。

まあ、貴女の“乙女としての守り”には起きていたとしても疑問符がつきますが。

(くくっと忍び笑いを漏らす。言わずもがな先日の、口づけのことを指して笑っているらしい)
(……その時は。少なくとも図書室を出るまでは反省していた筈なのだが)
(都合良くからかうネタに持ち出す辺りは、単に性格が悪いのだろう)

貴女にしては素直に聞き分けて下さいますね。
よもや、本当にお加減よくないので……ん?

(と、これも予想外。引いた。自分から仕掛けて来た悪戯…若しくは駆け引きを…自ら降りたのだ)
(皮肉もそこそこに少々心配仕掛けたが、授業に出ると言われれば)
(さほど体調が優れぬわけでもないと分かる。つまり単純に“退いた”と)

はい。カーテンですね。
―――これでよろしいですか?

(シャッとカーテンレールの滑る音。白布が光を遮り…その仕切られた空間の中に何故か瀬尾がまだ居た)
(良いわきゃない。着替えるから見るなというのにこの対応は、明らかに大間違いだ)

……貴女が補講を受けるから今日は休みます、とか
組織に電話する姿を想像したなんてことありませんよ?
(授業をサボる。単位が危うい。しかし、まさか一発で落第もすまいが)
(補講となれば下手をしたら“夜”の時間に食い込む)
(凜とした彼女のそんな微笑ましい失態が楽しそうだと……つまり、ただの戯れの意地悪)
(まさか着替えもすまい――とは思った)
55媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/10/28(火) 00:55:58 ID:+G1lkYCL
(見咎めた。明らかな動揺をもって、黒い瞳が司を睨んだ)
(男が揶揄した出来事は、自分にとっては大きな不覚でしかなくて、
 あのように弄されたのは組織の人間を除けば、この男が初めてだったから)

まったく。あれは不覚でした次第です。
……あんなにも容易く奪われるなんて、十全と御返ししなくてはなりません。
(心の中で落ち着け、と呟いた自分は、既にきっと相手の手のうちなのだろうと思う)
(心乱した時点で、自分は優位な位置にはいない。悔しい、はずであるのに、
 どこかそれを楽しむ自分がまた癪で――…自らの唇をなぞりながら、そういい返す)
(ただ、いつか夜に会ったら、手の滑りを装ってダガーの一つくらい投げることを心に決めた)

お望みなら、ため込んで三倍くらいにしてお返しいたしますから、
そのように急かれずとも。 わたし、「御礼」はきちんとする性質――…で。
(皮肉を引っ込めた相手に、せめてもの仕返しとそんな言葉を吐き出し、
 カーテンの引く音、と目の前の光景に目をやってから、思わずと瞠目した)

――…いちいちと、性格の悪い男です…っ。
(今度は、悔しい感情を隠すことさえせずに相手をねめつけて)
(それからその視線が大きな溜息とともに伏せられる――…すっとその体が相手との距離を縮め、
 冬の体操服のジャージに手をかけ、上のファスナーをゆっくりと下に降ろしていく)
(もちろん、その中身は十全と、夏の体操着である)

……こういうことでうろたえて下さるなら、やりがいってものもありますけれど。

(ここで力に訴えたらまた二の舞だとは理解しているからか、実力行使には出られなかった様子だった)
(――せめてもの抵抗。もちろん、今のところは着替えるつもりもないのだけれど)
56瀬尾 司 ◆xUvAmVUL3w :2008/10/28(火) 01:15:49 ID:WsV0yyCT
三倍返しなら…都合、キス三回していただける計算でよろしいのでしょうか…と。
(クスクスと。笑う声も意地悪く減らず口を返してみる)
(楽しい――自分には珍しく他人との研究抜きの関わりが楽しいと感じた)
(尤もコミュニケーションの方法がかなり歪んでいるわけだが)

……と。ふふ、うろたえれば初な男をからかう妖艶な女性よろしく
艶めかしく肌を見せて下さるので?

(距離が縮まった瞬間、微かに体が強張った。媛名の瞳は、以前のように猟狗のそれに近付きはしないものの)
(平手の一発くらい張られてもおかしくはない状況だ)
(もちろん常識的に考えてこの季節。ジャージの下にいきなり下着の訳もなく)
(そういう意味ではうろたえはしなかったが)

どうぞ続きを……と、冗談です。
存分に“楽しみました”ので。
あまり苛めて泣かれても困りますから。
(媛名には。少なくとも昼間の延長で力を振るうことは出来ない)
(だからこそ、こんな戯れもスレスレでやれるわけだがここらが限界だろう)
(自分の性格の悪さを自覚してるし敢えて改めもしないが…前回と同じ轍を踏みたくないのはこちらも一緒)
(基本的には彼女を嫌いではないだけに、あまり困らせても…だ)
(すいっと背を向けて視界から彼女を外した)
57媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/10/28(火) 01:27:59 ID:+G1lkYCL
それでお返しになるのなら、三度と言わずいくらでも。
加えまして、本当にそういう可愛らしい反応を見せて下さるのなら、
十全と愛でて差し上げることもなしきにもあらずかも、しれませんよ。
(いつものような、特に感情を宿さぬ顔で淡々と言い切ったのは、
 やるつもりもなければ、期待されてもいないうえに――…相手に弄されていることを知っているから)
(そんなに楽しげに笑うな、とでも言いたげに黒い瞳は相手を見ていたのだけれど)

(“猟狗”である自分は、「今」は力を振るえない)
(それは猟狗であるが為の制約であり、猟狗である為に自分に強いた縛り。
 それを相手は知っていて、その一線を見極めてくる――…本当に油断ならない男だ)

あらあら。そう申されるなら、泣いて困らせた方が十全でしょうか。
(すいっと背を向けた相手の背中を、目を細めて見つめる)
(それでも相手は退いてくれた。そこにどんな思惑があるかは知らないが、
 そこで「振り返る」ようなことをする人間でもないだろうと、葵はそう認識しているらしい)

……嫌い、です。こういう、“楽しい”やり取りなんて。

(制服を手にして、ようやくジャージを脱ぎさる)
(寒さに弱い彼女は毛布にくるまりながら、着替えを進めて――…
 スカートをはき終え、上のボタンに手をかけながら。
 何を思ったか呟くように、小さな小さな声でこぼしたのだった)
58媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/10/28(火) 01:32:51 ID:+G1lkYCL
【本当に、申し訳ありません…っ。そろそろ、時間がきつくって。】
【あと少しで〆にもっていけるようなら、それまでお付き合いさせていただきたく思いますし
 瀬尾さんのご都合がつきそうでしたら「凍結」という形でも重畳な次第なのですけれど…】

【宜しかったら、どちらか選んでいただけますと幸いです(一礼)】
59瀬尾 司 ◆xUvAmVUL3w :2008/10/28(火) 01:39:56 ID:WsV0yyCT
女の涙は武器だ…などと昔から言います。
貴女がそんな武器をお持ちだとは思いませんがね。

(愛でるだの泣いて困らせるだの…言葉のわりには色気も可愛げもない口振りで)
(いや。弄されたのが癪に障るのだけは、その感情が宿らぬように聞こえる物言いに見て取れたが)

おかしなことを言いますね。楽しいのが嫌いだなどと。
―――楽しくあってこそ甲斐もあると言うものでしょうに。

(衣擦れの後に届いた小さな呟きは…瀬尾の頭をいくら捻っても)
(それだけでは理解も納得も出来ぬものだった)
(力と才を傾けるのは終始、自分の求めるまま。そんな身勝手な人間には…)
60瀬尾 司 ◆xUvAmVUL3w :2008/10/28(火) 01:42:57 ID:WsV0yyCT
【ええ、自分も実はかなり気にしてた次第で(汗】
【〆も、遠くは無いでしょうがお付き合い頂くのも心苦しいですので】
【ここで凍結で。再開予定などは明日、避難所に書き込みますのでどうぞおやすみ下さい】
61媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/10/28(火) 01:50:58 ID:+G1lkYCL
【眠気、とかは大丈夫なのですけれど…時間が――で。申し訳ありません…っ】
【お気遣いに感謝いたします。
 本当に、いろんな意味で本日も楽しませていただいた次第です。(一礼)】

【はい。事前にご連絡いただければ、木曜以外はたぶん21時くらいから空けられると思います。
 こちらが確実なのは水曜日、でしょうか…一応ご連絡だけして、詳しいことは避難所を拝見させていただきますね。】

【それでは連絡とご挨拶のみ、になってしまったのですけれど】
【本日は本当にお付き合いありがとうございました。
 遅レスを刻みつつなことなどへのお詫びと、お付き合いへの感謝を申し上げつつ、これで失礼を。おやすみなさいませ。(一礼)】
62瀬尾 司 ◆xUvAmVUL3w :2008/10/28(火) 01:56:07 ID:WsV0yyCT
【いやいや、そんな丁重に。こちらこそ楽しませていただきまして…恐縮です】
【レスの遅さは…うん、媛名さんより余程、僕の方が酷い有様ですし】

【了解です。まずはお礼をしつつこの場は凍結で】

【ではスレをお返ししますね】
63瀬尾 司 ◆xUvAmVUL3w :2008/10/29(水) 21:14:40 ID:a6sXGkw+
【失礼してロール解凍に使わせて頂きます】
【では媛名さんをお待ちしてます】
64媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/10/29(水) 21:15:13 ID:xJ/2TrtQ
>>59
(夜は糸を弄う指先が、制服のボタンを止め終えた)
(「楽しくあってこそ甲斐がある」という男の言葉を聞くと、
 彼女はたっぷり数秒黙りこんでから、ぽん、とその体をベッドに投げた)
……そう、ですね。
(今度はっきりとした声。それはどこか、笑っているようでもあって)

ですけれど、私にはあまりにも楽しすぎて、暖かすぎて、優し―…すぎました。
ほら、愛情と憎悪は表裏一体だ、とか言うではありませんか。
………あら、少し違うかもしれません。
(シーツの上に散らばった自分の黒髪を弄りながら、口にしたのはあまりにも唐突な言葉)
(きっと、こうも唐突なのは相手にそれの理解を求めているのではないからだろう。
 彼女が“良く言えば”マイペースであることも、唐突の原因ではあるかもしれないが)

ねえ、変な事をお聞きしても宜しいですか?
(“あと、終わりましたよ”と、そう付け加えて、黒髪から指を離した)


【ロールの解凍に、場所をお借り致します。(一礼)】
【それでは、改めましてになりますけれど、本日もお付き合いの程を宜しくお願い致します。】
65瀬尾 司 ◆xUvAmVUL3w :2008/10/29(水) 21:29:31 ID:a6sXGkw+
ふむ。優し――過ぎた?
過ぎた……る、は及ばざるが如し?
人の心のままならぬ…と。

(媛名の、どこか気負いの抜けたような声を聞いて
(出た言葉は理屈では無くて、まして言葉遊びでもなく…感覚をそのまま口に出す類の)
(理解したというよりも漠然と何かを“掴んだ”ような)

――はい。僕に何かお答え出来ることならば。

(小さく椅子を軋ませて座り直す。服を整えた媛名の姿は)
(白いシーツに身を投げ出して、広がる黒絹の髪を指で弄し)
(今まで見た姿の中では最も隙だらけ、無防備、そんな様子だった)
66瀬尾 司 ◆xUvAmVUL3w :2008/10/29(水) 21:32:20 ID:a6sXGkw+
【ああ、最後の方、細かいところで読み落として(汗】
【初っ端からいけませんねぇ…改めてよろしくお願いします】
67媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/10/29(水) 21:35:43 ID:xJ/2TrtQ
(相手が口にした言葉は、あれだけ唐突なものを放ったにも関わらず
 それでもなお、受け止められたらしい。まったくと聡い男だと、彼女は思った)
(どうにも、一度弱い面を晒しているからか――自分はこの男に弱みを見せやすいらしい)

……我ながら、唐突だなぁ、とは自覚しております。
ついでに、不躾だなぁ、ともそれなりに思っておりますので、
あれでしたら、適当に聞き流していただいても構いません。
(それなり、と付け加えてしまうのが彼女らしいところであろうか)
(椅子に座った司の姿を、――表情は宿らぬも――どこか楽しそうにみつめたまま、
 自らの腕を枕にするように、頭をのせて、いやに寛いだ様子で問いかけを発した)

――なにか、大切なものって、ありますか?
大切“だった”ものでも、構いません。ほんとうに、何でもいいのです。
68瀬尾 司 ◆xUvAmVUL3w :2008/10/29(水) 21:53:54 ID:a6sXGkw+
聞き流しはしませんが…語った後にバツの悪い話しなら
…後ほど聞かなかったフリをするくらいの心得はありますので、どうぞご遠慮なさらずに。

(唐突な言葉と問いと。そして如何にもマイペースな事の運びと)
(…なんとなく似ている…いや、共感出来る部分の多い)
(寛いだ姿の媛名に改めてそんな感情を抱いた)


“大切”――ですか?
ええ、ありますよ。自らの理想。真理の探求と掌握。
不滅、不老、無限。ふふ、俗っぽいでしょう?
(大切なものを。自らの素性を知る人間にそれを聞かれれば)
(必ずや、同じ答えを返すであろう。誇大妄想とも思える夢を)
(――そして。いつもならばそれで終わるはずが…もう一つ別の“何か”が心に細波を立てた)

――ああ。もう一つ。
尊敬し、慕い、羨んだ人が一人いました。
道交わることなく譲ることならず……僕の造った研究成果で…屠りましたが。
“大切な”…そう称してもいいでしょうね。
(心の水面から汲み取ったのは単純に“霧原朱音”一人では無く)
(あの“時間”そのもの。故に「大切な人」とは表さなかった)
69媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/10/29(水) 22:09:18 ID:xJ/2TrtQ
(代々の錬金術師たる瀬尾の男。
 瀬尾 司が投げ返した答えはあまりにも十分で、それでいて確かだった)
(それをらしいとはいえど、誇大妄想とは言うはずもない。
 人にとって何が大切で、譲れぬものはそれぞれ違うのだと、嫌なくらい知っている)
(しかし、この男が口にすると――どうにも実現しそうに思ったのが怖いところか)

それは、何とも錬金術師らしいと、お褒め――…
(だから“褒めよう”としたところで、彼女は言葉を途切れさせた)
(あまりに自分がまっすぐに見すぎていたからか、
 わずかに彼の何かが揺らいだのが、感じ取れた気がしたのだ)
(何も言えぬままに、その言葉を聞く。心の中にゆるく入り込んで、そうして溶けた)

貴方に――瀬尾 司にそういわせるとは、
それは、その人は、その時間は、その流れは、とても“大切”だったご様子ですね。
(言葉にしたのは、揶揄でもなく皮肉でもなく、
 純粋な――“何”かは分からないけれど、わりかし暖かな感情を込めたものであった)
……あなたは、自らの道を譲らなかった。
譲ることならず、と仰っていたから、譲れなかった…でしょうか。
それでも、なお、貴方はそれを“大切”だと称するのですね。
――あなたは、そのことを…。
(それから、少しばかりためらったように言葉を切ったのは、
 流石に次にかけようとした問いかけが不躾すぎると理解する程度の常識があるからか)

(“後悔なさらないのですか”、と。喉元まで出かかった言葉を飲み込んで)
(枕を引き寄せるとそれを抱いて、何かを窺うように、司を見た)
70瀬尾 司 ◆xUvAmVUL3w :2008/10/29(水) 22:27:32 ID:a6sXGkw+
(静かで穏やかな、媛名の声音。それが彼女の優しさなのか同情なのか)
(――定かでは無いが少なくとも嘲笑や揶揄よりは舌の滑りを促す)
(そもそも問われたといえ、ここまで語ることも自分には珍しい…頭の片隅でそう思ったが)

――ええ。充実した時間でした。
そして…譲れませんでしたね。
僕が今、語った夢故に。自分の持つ才の全てを以て戦わずして
彼女の前に膝を屈することは許されませんでした。
…彼女は許してくれたかも知れませんが。僕が僕を、ね。
(そして幸か不幸か、自らが造り出した物は彼女を葬るに足りた)
(返らぬ日々。戻らぬ時間。思い出されるのはいつも…熱と苦さと)
(目を細め――そこには無い“何か”を見るように。口調は常以上に淡々として)

……そのことを…後悔してますよ。ええ。
ふふ、まったく無様なものですね。
(“お気遣い有り難う”と小さく、皮肉の宿らぬ柔らかな口調で前置くと)
(媛名の飲んだ言葉の後を継いで答えた)
(悔いている。そしてなお充実していて…“大切”であると。矛盾した偽らざる想い)
71媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/10/29(水) 22:44:51 ID:xJ/2TrtQ
(細まったその目、普段よりも淡々としたその口調)
(遠き何かを見るようなその姿は、どこか現実とずれていて。
 こんなにも目の前にいるのに、彼が遠くにあるような錯覚を覚えた)
(手を伸ばしかける――それは、わずか動いただけで引っ込められたけれど)

……強い、ひと。
(胸元に抱いた枕で、口元あたりを隠すようにして呟いて)
(自分の意を汲み取って、返された言葉に少しだけ瞠目する。
 つい先ほど再認識したはずなのに、忘れていた――この男は聡いのだと)

無様じゃなくて、羨ましい、と。
そう思っただなんて申し上げたら、それこそ変だと思いますか?
(黒い瞳が、ただまっすぐに相手を見つめて)
――自分を貫きとおし、悔いてなお、それでも“愛しく”思って。
それでさえ、そうやって私の前に座っている貴方の強さが、羨ましいと。

そう申し上げたら、貴方は私を哂ってくださいますか?
(身体を、起こす。それでも、ひと時たりともその瞳は司からそれない)
(口にしたのは、あまり褒められたことではないかもしれないとは思っていた。
 それでも、聞きたかったのは――自分が、何を確かめたいのか。それも、分からぬまま)
72瀬尾 司 ◆xUvAmVUL3w :2008/10/29(水) 23:11:14 ID:a6sXGkw+
強い……羨ましい…
ふむ…そんなふうに見えるのでしょうか、今の僕が?

(自分に伸ばされかけた媛名の手には気付かなかったけれども)
(彼女の言葉が瀬尾の意識を此処に引き戻す)
(自分はかつて“人”であるならば決して同調してはならぬ物に強さと羨望を見たけれど…)
(今の自分の姿は客観的に見ればままならぬ事に心を乱してるだけにも思えて)

愛しい…?ああ、そうか。僕は――ふふ、話してみるものですね。

(“愛しい”とそう称されて初めてそれに気付いた。恋愛などではなく)
(その時間を存在を“愛して”いるのだと。普段、迷いも躊躇も自省も無く…)
(望む事をひたすらに――故に自らの感情を整理するのは得手としない)

ふむ…羨むのならば欲しいのでしょう。
欲しいのならば――要るのでしょう?
さて…僕の述懐などをお聞き頂いた上、温かな言葉まで貰ったお礼です。

――欲するままに進みなさい。道は迷う程、探し難いようなものではありません。
迷うのは既にそれが“欲しい”から。それだけのことです。
貫くのは易くは無いですが、貴女が羨んだ“何か”はその先にあるでしょう。
自らが望んだものをこの手に掴む。クセになりますよ?
…と。ふふ。

(真直ぐに向けられる黒い瞳を受け止め、そして返す)
(晒ったのかどうか…視線と共に返した言葉は、俗物の錬金術師らしく)
(彼の野心を夢を常に支えてきた情熱を込めて)
(俗物なりに彼女への誠意を以て)
73媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/10/29(水) 23:33:20 ID:xJ/2TrtQ
(司の言葉が、返された視線が、それに籠った感情が、
 大きく何かを揺らして、ざわめかせて、そうして自分の奥に染み入って消えた)
(それはとてもまっすぐな言葉だった。
 形は違えど、自分が“愛しい”と思った真っ直ぐさと同じようなものに思えた)
(揺れたのは、心と、瞳と、残りひとつは何であっただろうか。
 その答えを出すことはまだ――彼女にはできなかったけれど、それでも思わず笑みが零れて)

――第一印象は、さいっあくだったのですけれどね。
わたし、少しばかり貴方の事をこう、尊敬というか、いい人だと思いました。
いえ、性格がいいとは失礼にも言い難いのですが――…なんでしょうね。
ああ、うん。 こういう感情って、よくわからない。わたし、感情に名をつけるの苦手なんです。
(たぶん、これはこれで彼女なりの精一杯の褒め言葉なのであろうが、
 小首をかしげてそう口にした言葉の内容は、どうにもそうと取れないものばかりで)
……ありがとう、と、申し上げれば十全でしょうか。
とりあえず、感謝、というか……ほんとうにもう、自分の国語力が嫌になります。
(少し間があったのは、言葉を彼女なりに選んで選んだせいなのか)
(自分が乱した毛布を綺麗に戻し、枕を定位置に戻しながら、ひとつ溜息をついて)

……一番適切な言葉、思いついたらいずれお伝えいたします。
(本気か冗談か。 真顔でそういってのければ、どちらとも分からぬかもしれない)
(整えたベッドの淵に腰かけて、女はその顔に小さな微笑をのせた)

――よっぽど素敵だったのですね、貴方の“愛しい”ものは。
74瀬尾 司 ◆xUvAmVUL3w :2008/10/29(水) 23:55:44 ID:a6sXGkw+
ふふ、第一印象も含めて、その評価は甘んじて受けますよ。“あれ”は我ながら――ね。

うん。貴女の、その不器用で正直で取り繕わないところ
…決して嫌いではありませんよ。いえ、むしろ好感が持てますね。

ちなみに僕も感情に名前をつけたり、それを説明したりは苦手ですので心配無く。
(褒めているにしては所々に疑問符がつきそうな表現が並ぶが…思えば自分もこんなものだ)
(自分もそれで他人を褒めてるつもりであるし、自分がやるからには他人がそうでも不思議は無いのだ)

――どういたしまして。何かお役に立ちましたなら幸いです。
貴女からの言葉も気長に待たせて頂きますよ。
(媛名がその時見せた、その笑顔には含みも駆け引きも悪戯も無くて)
(初めて彼女に見る、純粋で柔らかな微笑だった)

ええ……気分屋で傲岸不遜で喧嘩っ早くて、バカみたいな野心と力を持っていて
とても――と、感謝ついでに…今の述懐は聞かなかったことにして下さい。
それが礼儀というものでしょう?
(“愛しい”ものについて水を向けられたままに語る)
(話し半ばまで来てどうにもバカみたいだと、ふと思い至って)
(照れを隠しながら首を傾げて媛名に“忘れろ”と念を押す)
(どうにも今日は舌が滑り過ぎて良くない)
75媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/10/30(木) 00:15:19 ID:RA+ISfdk
……まあ、私も、決して大人の対応とは申し上げられませんでした。
だから――……二度目はありませんよ、ということ、で。
(小首をかしげての言葉は脅しでもあり、謝罪でもあり赦しでもあり)
(好感が持てるとの評価には、少しばかり驚いて「奇異な方です」と目を細めた)

ありがとうございます。
……こう、貴方が大切なものに抱かれていらっしゃる“愛しい”だとか、
甘く心揺らされたとか、そういう類では、ないのでしょうけれど、
感動…とか、共感…? やはり、気長に待っていただくのが重畳の様子です。
(少しだけ乱れた髪を直しながら、こくり、と一つ頷いた)
(そうして、ベッドの足元にある上靴に足を入れながら)

でも、たまには口にしたりしてみても良いかと存じますが。
思い出が記憶に、記憶が記録に、記録が薄れて消えるくらいなら――…と、
(緩い動作で、靴をはき終えた彼女は、頬に手を当てて小首をかしげる)
あらあら、何のお話をしておりましたでしょうか。
まったく、体育で倒れてかなりの時間眠りこけた身には残らぬ次第です。
(何となく好感の持てると思える態度でもって念を押してきた司に対して、
 それは白々しくも、傍からは本気としか思えない仕草で持って答えを返した)

(次の瞬間に響いたのは、五時間目終了の――音)
76瀬尾 司 ◆xUvAmVUL3w :2008/10/30(木) 00:33:00 ID:ywsU5e8l
ふふ、貴女の言葉を借りるならば
忘れておくのが重畳です、と言っておきましょうか。

(とぼけた仕草で言ってのける彼女の姿に、笑みが漏れる)
(しかし我ながら…こうも色々な意味で悪戯で、決して他人に弄されたままではいないような媛名を相手に)
(ああまで良くも喋ったものだと、呆れるやら何やら…)

さて……いつの日かより良いその言葉を見つける為にも
貴女は国語力を養うべきなのでしょうかねぇ?
――まさか、僕に約束して下さいましたのにその努力を怠りはしないでしょう?
(五時間目終了の鐘の音が響き、廊下にそぞろに人の声が聞こえ出す)
(次は媛名の苦手と言った現国だったろうか?)
(単位の為に気の進まぬ足を引きずって教室に戻るであろう彼女の背を)
(少しの皮肉を込めて押す。もちろん自分はその後に改めて寝直す気だが)
77媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/10/30(木) 00:58:50 ID:RA+ISfdk
…………もちろん、十全と。
(少しばかり気の進まなそうな様子で、それでもちゃんと応えた)
(単位が危ういのも事実であるし、国語力を養わねばならぬのも事実)
(少しの皮肉が、少しばかり癪ではあったがこればかりは言い返せず、立ちあがると軽く伸びて)
それでは、どうぞ十全とお休みになられてください。
(少しばかり嫉妬も籠ったようにも思えるような言葉を残して、
 保健室を後にしようとしたとき、ふっと何かを思い出したように立ち止まる)

――…ああ、言い忘れておりました。
あまり、派手な悪戯をなされませんよう。流石に見逃せぬことであれば、
多少なりとも、干渉せざるを得ません。もちろん、瀬尾さんには要らぬ心配でしょうけれど。
(のほほん、と小首をかしげて言いきったのは“異形狩り”の領分の話)
(彼の動向を今現在において把握しているわけでもないが、大きくかまをかけ、警告したのだ。
 まあ、少しばかり言い返せぬことに対しての子供っぽい意趣返しもあったやもしれないが)

(答えを聞く前に、逃げるように保健室を後にした)
(言い逃げが効果的なのは、誰から学んだ術だったか――…人のある廊下を歩きながら思う)
(開け放たれた窓。そこから吹き込んだ風に揺られる髪を、ゆるく抑えながら)

……たった、ひとつだったのに。
ほんとうに大切にしたいものなんか、二つ以上、なかったのに。

(呟くよりも、囁くよりも小さな声で紡いだのは司によって促された認識)
(自らは、猟狗。あの人に仕えることが至上で、それが全て)
(それでも、そうであるはずであっても、それと並ぶほどまでに、大切なものがある。
 それは夢で刻まれた感情とも重なった――ただ、自分の葛藤は、
 だからといってすんなりと断じられるほど軽いものではない)

(自分の在る世界を、根底を崩して、この手を伸ばしたいのか、どうなのか――は、決められない)
(だけれど、自分でも優柔不断だ、と笑うくらいの認識は生まれたようであった)


【それでは、長々となってしまいましたけれど…こちらはこれで〆になります】
【本当に本当に、二日にわたりお付き合いありがとうございました。十全と楽しかったです(一礼)】
78瀬尾 司 ◆xUvAmVUL3w :2008/10/30(木) 01:19:49 ID:ywsU5e8l
ふふ、ふ…言われなくとも十全と。
睡眠も休養も大事なものですし―――うん?

(媛名が整えたばかりの布団を捲り、いそいそと潜り込もうとした矢先)
(背にかけられた声に動きが止まる)

ふむ―――貴女とやりあうのはゾッとしない話しですしねぇ。
なるべく留意しましょう。しかしですね…不肖、瀬尾司……む?いません、ね。
(去り際に釘を刺してゆくのは、仕事熱心なのか細やかな皮肉への細やかな意趣がえしなのか…)
(答えを待たぬ辺り、おそらくは後者と判断したが。とは言え彼女と戦うのは脅威には違いない)
(先ほどまでそれなりに和やかな空気もあり、協力の約束をした間柄であっても)
(必要ならば実力行使を互いに躊躇はすまいから)

……ま、目立たぬようにはしましょう。ええ。

(聞く者もいない呟きを吐いてベッドに潜り込む)
(数刻後に訪れる夜の闇を行く為に。いつもと変わらず、その闇から何かを掬いあげる為に)

【はい。こちらも〆で】
【こちらこそ存分に楽しませて頂きました。改めて感謝を】
【ではスレをお返しします】
79名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 09:12:37 ID:nQbgJBP5
テスト?
80名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 09:14:32 ID:nQbgJBP5
も、いっかいてすと♥
81名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 09:16:03 ID:nQbgJBP5
♥ ?
82名無しさん@ピンキー:2008/10/30(木) 09:18:57 ID:nQbgJBP5
【失礼しました。お返しします】
83御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/10/31(金) 22:11:07 ID:0ewtpsZC
【島田六花さんとのロールに、スレをお借りします】
84島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/10/31(金) 22:15:11 ID:QTvMsSQZ
【お借りします】
【お待たせいたしました】
【では、よろしくおねがいします(ぺこり)】
85御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/10/31(金) 22:25:27 ID:0ewtpsZC
(用意は万端、というわけではないが人事は尽くしたつもりだった)
(いつものアニメ雑誌の代わりに、それなりの本を買って予習して)
(散歩と共に町の情報も集め、目覚まし三つのお陰で早起きもできた)

……っ
(なのに、どうして自分は手を洗い続けているのだろう)
(昨夜見た光景が、朝風呂に入っても朝食を摂っても忘れられない)
(赤、赤、一面に広がる赤。浮浪者の身体から噴き出る真紅の血)

割り切った、はずなんだ……。
(いつか北峰さんに加勢したときもそう。いやそれ以前にも)
(無為な殺生はしていないつもりだ。己と友だちが生き残るためだ)
(須佐乃さんにそう語った癖に、どうして手が流水から離せないのか)

(ふと、ちゃぶ台へと視線を移す。センスがないなりに選んだ服がそこにある)
(御木本の所業を知らず、六花はそれを着て一緒に出かけてくれるだろう)
(そして僕も、これまでどおり何食わぬ顔で笑って済ませてしまうのだろう)
(あの子が求めているのは、優しい御木本さんなのだ)

(せめて、洗わなきゃ……綺麗なあの子を汚しちゃダメだ。血を落とさなきゃ……)

【とと、ごめんお待たせ。こちらこそよろしくねん(ぺこり)】
86島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/10/31(金) 22:39:31 ID:QTvMsSQZ
(待ちに待った、日曜日)
(六花の1年ほどの人生で、初めての、「お買い物」)
(いつもの学園指定のジャージに、スニーカー。片手にスニーカーを買った時の紙袋を提げて)
(てくてくと歩く)
(数日前の戦闘で汚してしまったジャージは、なんとか納得できるまで綺麗に洗濯できた)
(すぐに服を借りて着替える予定とはいえ、身綺麗にしていたかった)
(汚れた六花では、彼に会いたくなかったのだ)

……と。
(約束の時間は、はっきり決めていなかったが)
もう、迷惑な時間、じゃ、ないよね…
(太陽はすでに、見上げる高さ)
(たぶんこの時間なら、彼も起きているだろうと)
(やや不安に思いながらも、訪れるのは3度目の、彼のアパートの前に辿り着く)

………………ふぅ。
(今日は、「おともだち」と「お買い物」なのだ)
(新たに「おともだち」になれたあの少女に吹き込まれた諸々に)
(六花は僅かに、揺れていた)
(理由が何なのか、自分でも分からなかった。けれど)
……ん、がんばるぞっ。
(両手で頬を軽く叩くと、ひとつ頷いて、インターホンを押した)
87御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/10/31(金) 22:49:31 ID:0ewtpsZC
(びくり、と肩が震える。それを感じて、改めて自分の弱さを知った)
(あれだけ楽しみにしていたおでかけだったのに、チャイムに怯えるなんて)
(血は落ちただろうか。純粋なあの子を、汚してしまわずに済むだろうか)
(物理的はすぐわかる話なのに、結局今の今まで離れられなかった)

ん、いらっしゃいー。
(玄関のほうを振り返りつつ、痺れかけの手をタオルに押し当てる)
(廊下を歩くと、着込んだジャンバーが擦れて小さな音が立った)
(その下はゆるい長シャツだし、ボトムはごつごつしたジーンズ)
(あまり痩せた身体が見えると隣を歩く六花が可哀想かな、と)
(ない頭を絞って選んでいるうちにこうなった)

ちょっと待ってねー、鍵開けるから。
(本格的に寒さが増す中、待たせてしまうといけない)
(正面を向いたまま、チェーンを外してドアノブを捻る)
(笑えてるかな、笑わなくちゃ。ここからはいつもの正ちゃんだ)

やーやーいらっしゃい、来てくれて嬉しいよー。
出る前に、なにかあったかいもの飲んでく?
風邪ひいちゃったら大変だからさー。
88島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/10/31(金) 23:02:35 ID:QTvMsSQZ
(ドアの向こうから、金属音。チェーンの音に、気を引き締める)
お、おはよう、ござ……あ、もぅ、こんにちは、でしょうかっ。
(開くなり、相手の顔も確認する前に深々と頭を下げる)
(そして顔を上げて――違和感を、覚えた)
……御木本、さん?
(笑顔、なのだ。優しい、笑顔。それは、間違いなかった)
(けれど、何かが引っかかって)
(なのに、それが何か分からない)

……っ、あ、あ……ん、はいっ。
(ただ、その意味を感じ取る前に、やや畳み掛けるように言われた言葉に)
(胸に湧いたささやかな疑問は流されてしまう)
(六花にも、大した余裕はなかったのだ)
(彼が抱えるものに、気付けないほどには)

あ、と、お邪魔、します。
(招かれるままに、その部屋に三度足を踏み入れた)
89御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/10/31(金) 23:18:22 ID:0ewtpsZC
そういえば微妙だね。おはにちはとか作っちゃうー?
ごめんごめん、今度お出かけする時は時間決めとこっか。
(どうやら前のように、長く待たせることはなかったようだ)
(もっとも、彼女は寒がるとか暑がるということをしないようだけど)

……外、雲が見当たらないよねー。
こういう日は夜の冷え込みが厳しいっていうし。
六花も、お布団たくさんかぶっといたほうがいいよー。
(招きいれようとした時に、名前を呼ばれた)
(いつもなら呼び返して笑いあう。そしてあったかい気持ちになるけれど)
(今日だけは天気の話なんてべたべたな真似をしてでも逸らす)
(一度この話をしてしまったら、本当に笑えなくなる気がしたから)

っ!?
(そんな葛藤があったせいか、自らの言葉を認識するのに時間がかかった)
(確かに発声したよね。「六花」って……島田六花さんのファーストネームを)
(扉を閉め、身を翻して洗面所へ案内している今になって顔が赤くなる)
(予定表に書かれた名前を見て、生徒会長さんの励ましを受けて呼べるようにはなった)
(けれどそれは、あくまで三人称として彼女を呼ぶ時の話なのだ)

ああ、えと。じゃあ僕、お茶用意してくるから……。
(面と向かっていきなり、何の断りもなく女の子の名前を呼んでしまったなんて)
(彼女どころか女友達もろくにいない御木本、心拍数はたやすく跳ね上がった)
90島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/10/31(金) 23:35:10 ID:QTvMsSQZ
お……おは、にち……
あ、いえ……じゃないっ、そう、ですねっ。
(その間の抜けた響きに、やや緊張していた表情が緩む)
(「今度」……今日だって、今からなのに。もう、次がある)
(それだけで、胸が踊る)

はい、ほんとうにいい天気で、良かったのです。
(やや不自然さもある話題の転換にも、六花は素直に頷いた)
ん、御木本さんこそ、ちゃんとおふと………………ん?
(彼は今、何と言っただろうか)
(「六花」と。そう、言わなかっただろうか)
(けれど、確認するのも、何故か憚られた)

(促されるままに、前と同じように、座布団に腰を下ろす)
(彼もどこか慌てたような様子で、台所へ行ってしまった)
…………。
(下の名前で、想像主がつけてくれた本来の名前で呼ばれるのは、工房にいた時以来だった)
(慣れていない、訳はなかった。六花には、ここに来るまで名字などなかったのだから)
(なのに、どうして――こんな、くすぐったい気持ちになるのだろうか)
91御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/10/31(金) 23:50:31 ID:0ewtpsZC
いやあ、こんにはようにしようか悩んだんだけどねん?
響きが僕の好みにあったものだからさー、あはは。
うん。朝から行くと良い日もあるし、夕方くらいに見せたいものもあるから。
(六花の緩んだ表情に、つっかえながら返すまっすぐな言葉)
(どれもこれもがあたたかくて……そして、眩しいくらいに綺麗だった)
(こんな子を汚したくなくて。楽しみをたくさんあげたくて)

う、うん。僕はお布団大好きだか……ら……。
(むしろ今すぐベッドに飛び込んで、布団を引っかぶりたい気がした)
(かぁーっと頬が赤くなり、痺れていた手に血が流れるのがわかる)
(鏡に映った六花と一瞬目が合って、もうそれだけで声が枯れかけて)
(胸に手を当てて深呼吸をし、いつもよりゆっくりとした動作でお茶を淹れる)
(けれども、そんな短時間で鼓動が元に戻るはずはなかった)

あー、うん。あの、確認もせずにごめん。
せっかくおともだちになったし、呼び方変えてみたいなって思ってて。
(お茶やおせんべいをこぼさないように、震える手をコントロールする)
(そして、ちゃぶ台に食べ物を委ねると空いてしまった指で頬をかき)
……六花って呼んでも、いい。かな。
(うわあい何この全身を駆け巡るむず痒さ)
(ギャルゲでは何度も何度も何十年も前に通った道なのに)
(現実ではこんなに恥ずかしいなんて。主人公くんいつも乙だ)
92島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/01(土) 00:12:00 ID:XzNt2LRh
あは、そっちはなんだか、舌噛んじゃいそう、なのです。
1日中、素敵なもの、いっぱいあるんですね。楽しみ、だな……
(こんなに。たくさんの、きらきらしたものを、もたらしてくれる)
(ここにいられて、本当に良かった)

……ぅぅ、ぅ……
(落ち着かなくて、ふと上げた視線の先に、鏡)
………………!
(それ越しに、ほんの一瞬だけ、目が合った)
(そして、思わず目を逸らしてしまう。何ということは、ないはずなのに)
……っ。
(「ぐちゃっ」となってしまった感情は遣り場なく、膝の上の紙袋に添えた指に力を込めた)

……あ、ぁ。ありがとう、ご、ざいます。
(ちゃぶ台に、湯呑みとお煎餅の乗った鉢が並べられる)
(その手がかすかに震えているのに、六花が気付けるはずもなく)
ぅあ、は、はいっ。ぜんぜん、だめじゃ、なくって。
好きなように、呼んで、くださいっ……
(やはり、聞き間違いではなかったのだ)
(呼ばれ慣れた名で、呼ばれただけなのに)
(ひどく、顔が、熱い)
……じゃ、じゃあっ……わたしも、その、あ、と……
お名前で、しょ、しょーたろーさんっ、て、呼んでも、いいですか……?
(「おともだち」なら。少しでも、近づきたくて)
(途切れ途切れの口調で、やっとそう、問うた)
93御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/01(土) 00:35:26 ID:0W8F5Lz8
舌噛むと、せっかくのおいしいものが食べにくいんだよね。
それじゃーおはにちはにしておこっか。
うん。おはようからこんばんはまで、楽しいことはたっくさんあるんだよ?
(純粋に喜ぶ彼女を見て、もっと幸せを分けてあげられたらと切に思う)
(なんでこの子が、異形の始末なんてものを引き受けなければならないのか)
(そう言ったら、きっと人の役に立ちたいんだって頬を膨らますんだろうな)
(だからせめて……闘いの中でも、少しでもこの子を助けてあげたい)

そ……か……。ありがとう。
(ほうっとため息をつき、膝の上に置いた両手を重ねる)
(その段階になって初めて、緊張から震えていることに気が付いた)
(もしかして、お茶を出すとき六花に見つかってしまっただろうか)
(そう思うと余計に恥ずかしくて、鼓動を聞かれるんじゃないかと心配になって)

えっ!? ああ、うん。も、もちろんっ
嬉しいよ、六花にそう呼んでもらえるなら。ほんと。
(そんな中で余計にくすぐったくなるようなことを言われて)
(こちらも何度も息を飲み込みながら、こくこくこくと首肯する)
……さん、は好きなときに外しちゃっていいけどねん?
(大きな縦の振動も、無限に続くわけではなく)
(その動きがおさまると、ぴたりと唇が止まってしまう)
(そのまま沈黙するのは耐えられなくて、お茶をすすり)
(六花も飲み終えるのを待つと、やっと息継ぎをして)

ああ……おかわりいるかな。それとも、もう着替えちゃう?
(何冊か雑誌を読んでみたものの、付け焼刃で女子の服を選ぶのは難しい)
(だから、せめて恥ずかしくはないように。そして厳しくなってきた寒さが堪えない様に)
(ローゲージ、帽子、マフラーとニットを揃えてブラシをかけ、畳んでおいた)
(パンツもコットン。下の長シャツにハイソックスと手袋もつけて、防寒は抜かりないはずだ)
94島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/01(土) 00:54:40 ID:XzNt2LRh
はい、おはにちはー、ですね。
(このしあわせは、生き延びるための、きっと最良の糧)
(それもきっと、余ってしまうくらいの)
(それを少しでも、返して――共有できたらと、思う)

そ、そう、ですか?
はい、じゃあ、呼びますね、これから。
……しょーたろーさん、って。
(笑って頷いてくれるのが、嬉しい)
(顔の熱さも、嫌ではなかった)
……て、あ、やっ、そ、それは……
ん、失礼じゃ、ないかって……んぅ。
(軽く首を振って、湯呑みに手を伸ばす)
ふ、ふーっ。
(少し吹き冷まして、口を付けた)
(このお茶と自分とどちらが熱いだろうか、などと他愛もない考えが浮かぶ)

……あ、そう、ですね。
時間がもったいないですから、着替えます。
(そして、出して貰ったのは、以前話したセーター込みの、一式)
あ、ありがとうございます。……ふふ、あったかそう、なのです。
じゃあ、着替えてきますね。と、お風呂場、お借りします。
(まとめて受けとると、立ち上がって風呂場へ向かう)
(抱えたセーターは、それ自体が熱を持っているくらい、暖かい気がした)
95御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/01(土) 01:17:57 ID:0W8F5Lz8
うん、おはにちは。
(二人だけのちょっと間の抜けた挨拶を交わすと、自然と歯がこぼれる)
(手にこびりついているような気がしていた、あの真っ赤な血は)
(いつのまにか、胸の痛みごと彼女の清らかな笑顔に洗い流されて)
(嗚呼。この子が僕のイメージごときで、汚れてしまうはずはないんだ)
(それより今は、言葉や表情で憂いを伝染さないようにしないと)
(もっと六花に優しくしたい。もっと六花を笑顔にしたい)
(そして、幸せに……それが、生き残った自分にできること)

そうかな。僕は、り……六花のこと呼び捨てにしちゃってるよ?
(咳払いをして、赤くなってるであろう顔を伏せながらつっかえたのをごまかし)

もちろんそれが失礼って感じるなら、僕もさんをつけるけどー。
(礼儀正しい彼女は、御木本にも敬意を払うつもりなのだろう)
(さっきまでの自分ならば、真実とのギャップに傷ついていただろうけど)
(今は……もちろん、呼び方は対等に呼び捨てられることになろうとも)
(そうやって敬称をつけるだけの価値がある人間になれたら、と思う)
(六花の純粋さに触れていると、こちらもまっすぐに生きていける気がした)

ん、ゆっくりどうぞー。僕はすみっこで待ってるからさ。
寒いといけないから足拭きの上に乗るといいよー。
(と、いっても悩みは消えどむず痒さというか羞恥心というかは消えないわけで)
(頭の中をしょーたろーさんという声や、あったかそうと喜んだ可愛い笑顔が占めて)
(ついつい、必要以上に隅に寄ってぎゅうっと膝を抱え込んだ)
96島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/01(土) 01:41:12 ID:XzNt2LRh
あ、わ、わたしは、いいのですっ。
失礼……と、いうより……わたしが、そう呼びたい、かなって。
(六花に優しくしてくれる、たいせつなヒトで、たいせつなひと、だから)
(名前の呼びかたひとつにも、感謝の気持ちをいつだって、込めていたかった)
だから、これで、いくのです。しょーたろーさん。
(込められるだけの親愛を込めて、再度彼の名を呼んだ)

はい、行ってきます。
(先ほど案内された風呂場に移動し、ドアを閉める)
……りっか、だって。
(ドアに寄りかかって、小さく呟く)
姉様の他にも、そう呼んでくれるひとが、できたよ。
(気付かぬうちに、口が笑みの形になっていた)
さて、早く着替えないと。
(ジャージの上下を脱いで畳み、紙袋から大きなビニール袋を取り出して、しまう)
(渡された内容を確認しながら、さくさくと身につけてゆく)
(途中、僅かに心拍数が上がりもしたが)
……ん、ぶかぶかってほどじゃ、ないかな。
(彼との身長差は10センチほど)
(華奢な彼と、身長以外は「発育のいい」六花では、そう大きな違いはなかったようだ)
(パンツの裾を少し折り返すだけで、さほど違和感なく着ることができた)
……よしっ。

……お、お待たせしました、ですっ。
(帽子とマフラーだけ持って、彼の待つ部屋へ戻る)
(ジャージ以外の姿を見せるのは初めてだ)
(何と言ってくれるだろうか?)
97御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/01(土) 02:02:18 ID:0W8F5Lz8
そっかー、六花は丁寧だからね。
それじゃあ正ちゃん、喜んでさん付けされちゃおう。
ありがとう……ありがとう、六花。
(沈みかけた思考を、再び前へと向かせてくれた)
(そのことで具体的にお礼を言うわけにはいかないけれど)
(感謝の気持ちをいっぱい込めて、呼びかけに答える)
(そう、今度こそは。己を呼んでくれた優しい声に、応じられた)

しょーたろーさん、か。
(浴室のドアの音を聞くと自然と目が閉じ、口の中で新しい呼び名を呟いた)
(背後の壁に寄りかかると、ふうっと胸に溜まった苦しさを吐息に乗せる)
(先ほどまでの負の感情とは違う、熱くてむず痒くなるような何かのかたまり)
(六花といて、これまでもその清らかさやまっすぐな部分に元気付けられてきた)
(けれどこんなにもドキドキしたのは、もしかしたら初めてじゃないだろうか)
(名前で呼び合うって、こんなにあったかいことだったっけ)

んーんー、全然。早かったねー。
(温もりを再確認する時間があまりに幸せだったのだろう)
(再び目を開ける頃には、もう六花は着替え終わっていた)
(服飾のお勉強の成果が出ているかどうか、少し不安になる)
うわあ……可愛い……。
(普段見慣れた、自分の持ち物。幾度も目にしているはずなのに)
(六花のような可愛い子が着ると何倍も素敵な衣服に見える)
(そう感動してから、己が用意した服だということを思い出し)

ああ、いや。ごめん。
正直僕流行とかそういうのは自信ないんだけど、そのー。
……でも、僕は好きだよ。もこもこであったかそうな六花。
(わたわたわた、と手を振りながらもう一度)
(繰り返すと、再び頬に血流が集まってきた)
98島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/01(土) 02:22:06 ID:XzNt2LRh
だって、早くおでかけ、したいですから。
(胸の前で、両手を握る)
…………ぁ、う。
あ、りがと、ございます。
(嫌味のない「可愛い」との賛辞に、再び顔が熱くなってしまう)
(「恥ずかしい」という思いと「見て欲しい」という思いが絡み合い、胸がきゅうっとなる)
しょ、しょーたろーさんが、わざわざ用意してくださったんですから、しょーたろーさんのお陰、なのです。
ほんとうに、感謝、なのですっ。
(それだけ言うのが、精一杯だった)

いえ、選んでくれただけで、わたし、十分で。
それにわたしも、この服はとてもいいと、思うのです。
(自信がないと言いながらも、六花のために、わざわざ考えてくれたのだ)
(それだけで嬉しくて仕方ないというのに)
(それがこんなに暖かくて、見た目も、十分過ぎるくらいで)
(マイナスの要素など、何ひとつないのだ)
…………え、あ、あ。
も、もこもこ、ですもんね。それにほんとうに、あったかい、ですし。
(言葉のひとつひとつに、過剰反応してしまう)
(恥ずかしさを隠すように、長めの袖を軽く引っ張った)
99御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/01(土) 02:43:19 ID:0W8F5Lz8
ふふ、楽しみにしてくれてるんだねー。
あそこの店員さん親切だから、きっといろいろ教えてくれるよ。
この機会に、僕もお勉強しとかないと。

あ……うん。どう、いたし、まして。
(六花も恥ずかしがっているのがわかると、いよいよ舌が回らなくなる)
(可愛いやら照れくさいやらで熱が出そうだった。あの赤い頬は反則だ)
ううん。六花は元が可愛いから、用意するのも楽しかったよ?
こうするともっと素敵なんじゃないかとか、たくさん考えたくなった。
いい服、か。ありがと、今考えられる中ではそれが一番かなってー。
もっと勉強してもっと服のことがわかったら、また……。
(六花と出会う前の自分からしたら、考えられない発言だった)
(服は最低限身を包めばいい、とゲームに没頭していたのに)
(あろうことか、今では女の子の服を選んであげたいと思っている)
(うわあ誰だよこれ。御木本正太郎じゃないよ、ほんと誰だろー)

う、うん……じゃあ! もこもこになったとこで、そろそろ行く?
あんまり遅くなっちゃったら、お話聞けなくなっちゃうからさー。
(六花の仕草に共鳴し、さらに増幅するように動揺してしまう)
(可愛い。可愛いけど可愛いって言ったら恥ずかしがられて余計に可愛い)
(このままだと、冗談抜きで湯気を噴いてしまいそうだった)
(財布やらもしもの時の装備をつめたナップサックを右肩にかけると)
(熱くなった部屋から逃れるように、ちょいちょいと手招きして玄関に誘う)
100島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/01(土) 03:03:42 ID:XzNt2LRh
はいっ。それは、もちろん。
じゃあ、教えてもらって。ふたりでお勉強、しましょうね。
(うんうんと頷いて、笑う)

そ、そうですか?なら、良かったのです。
それに、わたしのために……とても、嬉しくて。
しょーたろーさんの気持ちがいっぱいの籠ってるから、これ、すごくあったかいんだと、思うのです。
(胸元に手を当てて、微笑む)
(創造主は、六花に着せる衣服を選ぶ時も、比較的手早く)
(もちろん六花も、それらを気に入っていたけれど)
(時間をかけて、考えてくれたこの服はまた、特別なように思えた)

はい、行きましょうっ。
それに、できるだけたくさん、いろんなところ、見たいですし。
(熱を振り払うように、首をぶんぶん縦に振る)
(これ以上言葉をかけられたら、ほんとうにオーバーヒートしてしまいそうだった)
あ、行きますっ。
(荷物を持った彼の招きに、紙袋を引っ提げてついてゆく)
(玄関は先ほどの部屋より少し冷えていて、火照った顔には心地よかった)
101御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/01(土) 03:27:58 ID:0W8F5Lz8
いいね、二人でお勉強。
店員さんにすごくお世話になっちゃうから、よーくお礼言わなきゃねー。
(とはいえ、店員さんもきっとこの笑顔を見たらお世話を焼きたくなるんじゃないかな)
(たとえ贔屓目が入っていたとしても、この純粋な微笑みには誰もが癒されるに違いない)

いやあ、六花がそれだけ"スイッチ"を入れたくなる人ってことだよー。
こんなにありがとうって言ってもらえるなら、いくらでも頑張れるもの。
きっとその服も、六花に着てもらえて幸せなんじゃないかな。
似合うし、何より喜んでもらえるんだからー。
(元から糸のように薄い目を、更に更に細くして顔をほころばせる)
(誰しも、人からありがとうと言われるのは好きだろうけれど)
(六花の心からの笑顔と感謝の言葉は、何よりの報酬だった)

あ、ジャージは置いていくかい?
大丈夫、ちゃんと鍵はかけるからさー。
(施錠しつつ、紙袋を持つと声をかけようとしてふと考え直す)
(ジャージとはいえ、これには脱いだ服が入っていたわけで)
(もしや、異性からそう提案されたら気にするのではないだろうか)

ゆっくりいこっか、道はこっちだよ。
運が良かったら焼き芋の屋台を見かけるかもしれないー。
(女性とのコミュニケーションにまだまだ不慣れなこともあって)
(そういった小さな疑問は、道すがらもいくつか沸いてくる)
(ただ車道側を歩こうとか六花の歩幅にあわせようとか)
(そんな当たり前のことを何度も確認して不安を紛らわした)
102島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/01(土) 03:56:26 ID:XzNt2LRh
【……う。これ以上、続きを打つ集中力が…】
【ここまでお待ち頂いて申し訳ないのですけれど、凍結をお願いできないでしょうか】
【もう少し早く、言えれば良かったです…ほんとうに申し訳ないのです】
103御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/01(土) 04:00:59 ID:0W8F5Lz8
【ありゃりゃー、ごめん。長引かせちゃったからね】
【んーんー謝らないでほしいな。頑張ってくれて嬉しかったよ?】
【ただ、りっかに無理させちゃうといけないから】
【今度から、辛かったら遠慮せずに言っちゃってねん?】

【凍結了解だよ。僕は週末空いてると思うから、六花の好きな時に声かけてね】
【今日はありがとう、とっても楽しかったよー】

【……けど、一晩やって出発したところとは。ほのぼのぱわーおそるべし】
104島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/01(土) 04:07:32 ID:XzNt2LRh
【…うぅぅ。ありがとうございます】
【打ちながら半分、意識が飛んで…】
【はい。お互いのために、そうするのです】

【たぶん今日の夜は、同じくらいからだいじょうぶだと思うので】
【できるだけ早く来ますね】
【わたしこそ、現在進行形でとても楽しませていただいて。感謝、です】
【確かに長くなるとは、思っていましたけれど…ここまで、とは…】

【では、お先に失礼します】
【おやすみなさいませ(ぺこり)】
105御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/01(土) 04:16:45 ID:0W8F5Lz8
【あわわ、ごめんねー?】
【もうちょっと早く気付いて、こっちから言えばよかったかにゃ】
【うん、健康第一だよ。元気なときにロールするのが一番だから】

【わかったー、それじゃーまた避難所でね?】
【六花に楽しんでもらえてるなら、何よりだよ】
【二人一緒に笑顔になれたら最高だなー】

【あはは、いやあ何かを削るのももったいないや】
【うん、おやすみい。また明日……いや今日ね(ぺこり返し)】

【スレッドをお返ししますー】
106島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/01(土) 21:37:33 ID:XzNt2LRh
【御木本正太郎さんとのロールの解凍に、引き続きお借りします】
【今日も、よろしくおねがいします(ぺこり)】

そしたらまた、わたしもありがとうって言って。
それで、ずーっとぐるぐるって、続いていったり、して。
……ふふ。ありがとうございます、しょーたろーさん。
(彼と話していると、ずっと笑っていられる)
(彼も、笑顔でいてくれる)
(ここにいさせてくれることだけで、何度だって「ありがとう」と言えた)

(ドアに施錠している後ろで帽子を被っていると、提案を受ける)
……あ、それも、そうですね。たくさん、お買い物したいですし。
こっちは、お金とか入れてるから……これだけ、置いていっても、いいですか?
(厚意に甘えて、紙袋からジャージの入った袋だけ出して、置かせて貰うことにする)
(彼が抱いている懸念など、露ほども頭になかった)

ほんとうに、きれいに晴れて、良かったのです。
わぁ、いしやーきいもー、ですねっ。
(彼の隣を、てくてくと歩く)
(明るい陽の下で、誰かと歩くなんて久しぶりだった)
(先日、チョコレートを買いに行くためにと、北峰綾香とも夜の街を少し歩いたけれど)
(あの時とは違う種類の高揚感が、あった)
…………ん。
(早すぎず、遅すぎず。しばらく経って、六花の歩く速度に合わせてくれているのに気付くと)
(その心遣いに、胸が暖かくなった)

【では、お風呂に行ってまいります(ぺこり)】
107御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/01(土) 22:10:55 ID:XaDrE8jT
【同じく、スレッドをお借りします】
【こちらこそ、今日もよろしくね。りっか(ぺこり返し)】

あっはっはー、スイッチが無限に量産されちゃうなー。
んーん……僕のほうが、お礼が言いたいくらいだよ。
六花と一緒にいると、寂しい気持ちには絶対ならないから。
(六花は一番幸せな感情を、何よりのプレゼントをたくさんくれる)
(だから、いくらでも恩返ししたい。この子にも笑顔をたくさんあげたい)

うん、お金はできるだけ身に着けといたほうがいいよ?
最近ひったくりなんかも増えてるみたいでねー。
(そういえば、うちの学園の先輩が車椅子の子を助けたんだっけ)
(助けた側とも助けられた側とも出会っている、とは気付いておらず)
(いつかの朝礼を思い出して、注意とともにそのお話をする)

おやー、六花もそれは聞いたことあるんだ。
(たいやきは一回食べたきり、夏祭りには参加したことがない)
(そう聞いていたので、思わぬところで何かを共有できて嬉しくなる)
(特にそれが、六花の大好きなおいしいものの話題だったなら)

ん、会えなかったか。帰りに期待だね。
夕方になってもっと冷えてきたら、確実に見られるからー。
(歩いて15分ほどの衣料品店。気が付いたら、もう道路の向かいだった)
(改めて、この子と歩いていると楽しいんだなと実感する)
ちょっと待っててね? ここの横断歩道は押しボタン式だからさー。
(横並びに歩いていたのを少しだけ離れて、かちりとボタンを押し込む)
(反応が遅めな信号、普段なら青になるのが待ち遠しいのだけれど)
(今日は、この時間差がもっと長くなればとつい願ってしまった)

【さて、と……これくら空ければ大丈夫かなん?】
【ゆっくりはいっといでー】
108島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/01(土) 22:45:11 ID:XzNt2LRh
お金、どれだけいるのか分からなくて、結構たくさん、もってきたので……
はい。ほんとうに、気をつけないと。
(財布すら所有していない六花は、とりあえず「適当な額」を小さな袋に入れて、持ってきた)
ひったくり、なんて……どうして、そんなひどいこと、できるのでしょうね。
(その話に、小さく眉を顰める)
(何故、ヒトがヒトを傷付けるのか)
(等しくヒトに尽くすことを旨とする六花には、それが理解できなかった)

はい、姉様とお出かけしたときに、何度か。
それで、いちどだけ、買ってもらって。
冷めちゃう前に食べたいから、他の子には内緒だよって。
(鮮やかに思い出せる、しあわせな記憶)
(あの頃と同じくらい、今の六花はしあわせだった)

ん、残念、なのです。お昼間じゃ、まだ早いのですね。
なら、それまでにいろんなところ、行きましょうねっ。
……と、あそこ、ですか?
(道路を挟んだ向かいに、それらしき店構え)
(最初は、あそこから)
あ、はいっ。
(脇の赤いボタンを押して、戻ってきた彼の隣に立って)
(車の流れを眺めながら、信号が変わるのを待つ)
(その微妙な時間も、退屈など微塵も感じず、寧ろ心地よいくらいであった)
――あ、青ですっ。

【お待たせいたしました】
【改めて、よろしくおねがいします(ぺこり)】
109御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/01(土) 23:09:31 ID:XaDrE8jT
けっこう……そ、そーなんだ。じゃー他の人に知られないようにしないとー。
レジに持っていったら先に値段を聞いて、後からちょうど出せばいいからねん?
(同年代の相手に、おつかいのようなことを言うのもどうかと思うが)
(服もブランドから見ていたらしい、という話を耳にしていたので)
(心配になって、お金をなるべく衆目に晒さないようにと注意する)
遊ぶお金がほしかったなんてのから、明日の食べ物が買えない人まで。
やっちゃいけないことをしたって結果はおんなじでも、理由はいろいろみたいだねー。
(人の役に立ちたいという純粋な願いを何度も聞いた)
(そんな性質の彼女は、汚れた連中には弱いかもしれない)
(できうる限り、自分がそんな輩からガードしてあげないと)

そっかー、一度食べたことがあるって言ってたっけ。
その時にも聞いてたのかー、寒い中で食べると一際おいしいんだよねー。
あはは、それじゃー今度は堂々と食べちゃおっか。
うん……服屋さんに行って、それから公園にも連れてくよ。
でも、遅くなると危なくないかな。家まで送っていこっかー?
(姉や妹の話からすると、もしかしたら一人暮らしなのかもしれない)
(妖魔と戦っているとはいえ、相手は女の子だし……と申し出てみた)

そうだよ、向こう側の建物ー。
おや、いつもより青が早いや……協力してくれたのかなん。
(右見て左見て、と横断歩道を渡って入店する)
(中にはコートからボトムまで秋物がずらりと並び)
(奥を見れば冬物もあって、試着室も複数ある)
やー、参ったな。どれも六花に似合いそう……。
110御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/01(土) 23:10:35 ID:XaDrE8jT
【いやいやー、湯冷めしないように気をつけてねん?】
【こちらこそよろしくお願いします、だよー(ぺこり返し)】
111島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/01(土) 23:33:52 ID:XzNt2LRh
ん、そのほうが、いいかもしれません。
(「たくさん」のうちの「一部」とはいえ、創造主が残してくれた、たいせつなお金)
(そして、今日1日を精一杯楽しむための、軍資金)
(万一のことがあってはいけない)
…………うーん、それでも、なんとか……ならないの、かな……
(六花は恵まれている)
(ゆえに、「恵まれぬ」ヒトの現実を思うことができない)
(話を聞いても、どこか遠い存在に感じられた)

はい、身体じゅう、ほかほかになるみたいで。
堂々と、ですねっ。
お洋服買って、ジャージも、新しいのほしいですし。
公園、ですか……それも、楽しみですっ。
(期待することがたくさんのあって、1日で足りるかとさえ思われる)
ん、だいじょうぶ、ですよー。そんなに、遠くないですし。
(何の含みもなく、そう帰す)
(六花の住処は「家」ではなく、さらに学園の裏山は建物ですらないにも関わらず)
(六花にとっては帰るべき「家」だった)

わ、あっ……!
(彼に続いて店に入ると、色とりどりの服が並んでいる)
(やや雑多な雰囲気も、六花の好奇心をそそる)
これだけあったら、思いっきり迷ってしまいそう、なのですっ。
(逸る気持ちに思わず彼を追い越し、満面の笑顔で振り返った)
112御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/02(日) 00:06:31 ID:Wjtw/d7z
自分が困ってないのに悪いことする人たちはどうにもならないし、
食べるのに苦労してる人を全員支援するのは無理だけれどー。
その分、幸せを無駄にせずにしっかり生きるのが一番じゃないかにゃ。
自分が弱ってなければ、手の届く誰かを助けられるかもしれないし。
恵まれてることに感謝するって、そーゆーこと……かな。自信はないけど。
少なくとも、僕はそう信じてる。
(だから今は笑おう? と肩を叩いて目的地を指差す)
(六花は優しい。こんなこと言わなくても、困っている人がいたら飛んでいくだろう)
(だから、遊べるときは遊んでほしかった。それくらい、バチは当たらないはずだ)

ジャージかー、それなら学校指定のを売ってるとこが別にあるよ。
違うのでもよかったら、ここにスポーツウェアも置いてるはずだからー。
(六花は異形に接近して戦闘するし、花壇の整備を手伝うこともある)
(汚れてもいいような服がほしいのかなーと頭では理解しつつ)
(どこかで、ジャージのほかにもっと可愛い服を勧めたいなんて思ったり)
そう? じゃー暗くならないうちに、いろいろ案内しないとね。
(悶々としていたためか、考えなしにそう返した)
(まあ、もし遅くなってしまったらまた提案すればいいや)

あは、時間はたっぷりあるからいっぱい迷っちゃおうか。
あーこの組み合わせなんて六花に似合いそうかもー。
(マネキンが着ているセットを眺めたり、目に付いたシャツを広げてみたり)
(自宅の収納とは比べ物にならないその量に、幸せな悩みが尽きることはなく)

あ、お願いします。普段着が2〜3着と、あとスポーツウェアを探してまして。
(不慣れな様子を察したのか、声をかけられるまでそう時間はかからなかった)
(内心頭をかきながら、軽く頭を下げて店員さんにお願いしてみる)
(のんきなもので、ご予算はという質問が返ってくる瞬間まで紙袋の中をすっかり忘れていた)
113島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/02(日) 00:37:05 ID:+hzqAl+O
あ、あれって、誰でも買えるのですか。
生徒のひとしか、買えないのかと思ってました。
んー、じゃあ、違うの、買いたいのです。
(この間のように、汚してばかりでは適わない)
(せめて、洗い替えくらいは揃えておきたかった)
(もちろん、動きやすいのが大前提だ)
ん、善は急げ、ですねっ。
(あれも、これも。やりたいことは、たくさん)
(少しの時間も、無駄にはしたくない)
(彼との時間が、無駄になるとも思えなかったけれど)

あ、それ、可愛いのですっ。
……ん、棚のは色違い……こっちも、いいかも。
(売り場を廻りながら、あれやこれやと喋りながら、手に取って)
(何を買うか決まらなくても、楽しい)

……ん?
(店員が、声をかけてきた。そう、たくさん教わらねばならないのだ)
よ、よろしくおねがいしますっ。
(やや緊張した声音で、彼に倣って頭を下げる)
よ、予算……と、あんまり高くなかったら、いいなぁと、思うのですけれど。
(しかし、どこからが「高い」のか、分からない六花)
(不安になって、彼に近付くと)
(『じゅうまんえんで、足ります、よね?』と)
(一般常識的にとんでもないことを、小声で尋ねたのだった)
114島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/02(日) 00:38:49 ID:+hzqAl+O
【あ、ごめんなさい。頭に、これを挟んでください】

……しあわせを、しっかり……
(彼の言葉を、小声で反芻する)
……はい。せっかくあるのを無駄にしてしまったら、それこそひどいこと、なのです。
それで、誰かになにかできる力を、蓄えて。誰かのために、使えたら。
――はいっ。
(肩を叩かれて、笑顔を返す)
(六花のしあわせは、少しだって、無駄にはしない)
(それを糧として、育てて。いつか、誰かに分けてあげられるくらいにしたい)
(まずは、今日のしあわせを、満喫するところから、だ)
115御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/02(日) 01:10:14 ID:Wjtw/d7z
【ん、りょーかいだよ】

うん、力があるっていうこと自体は幸せなことだと思う。
管理するのが、難しくなっちゃうんだけどねん?
(その言葉と共に、糸のような細い目がぺたんと完全に閉じる)
僕は、出かけたばっかりなのにもうすごく楽しいよ。
六花のおかげで、また誰かに優しくできそうだー。
(もちろん六花にもと、本人の前で加える勇気はなくて)
(こくりと頷くと、前を向いてからまた薄い目を開けた)

いやあ、学校の中で注文するならそうだけどねん。
名前が入ってなくて、デザインが同じっていうのは置いてたと思うー。
ん、でもそうだね。せっかくだから違うのがいっか。
(作業や戦いのための服とはいえ、それならいくらか楽しめるだろうか)
(にしても、バトルの時までふりふりな魔法少女は本当にすごいね。うん)
(ふと、そんな六花を想像してしまって慌てて自分の腿をつねる)
あは、急がなくたって大丈夫だよー。
遅くなったら、また次の機会にいけばいいんだから。
いっぺんに全部回ったら、もったいないからねん。
(けれど、その無邪気な様は魔法は置いといて少女そのもので)
(わずかな痛みくらいでは、頬が緩むのは止められなかった)

おやー、こういうの好きなの?
(六花が手に取ったものをいくつか見て、好みを覚えようとする)
(何が好きか何が嫌いかを知る、と会長さんは言っていた)
(人と仲良くするなら、それは大切なことに違いない)

(高い、高いよりっかーっ)

(そして、彼女の場合ものさしを教えるのも大事なのだろう)
(いやもちろん、女の子の服を上下一式買うのだから)
(普段の自分の買い物よりは高くなるんだろうけど……)
そう、ですね。このくらいでおねがいできますか?
(あまり絞りすぎれば、六花の服を選ぶ幅が狭くなってしまう)
(やや大目、けれどじゅうまんえんよりは桁を一つ減らしてお願いする)

えっと、はい。なるほど……。
(親切丁寧に教えてくれる店員さん)
(けれど、萌えオタの例に漏れず服飾関係の単語には弱く)
(とりあえず説明だけ聞いて、わからない言葉を記憶しておく)
(後でメモ帳に書いて、帰ったら検索してみよう)
(今は、その単語がどの服を指すかさえわかればいいのだから)
116御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/02(日) 01:19:21 ID:Wjtw/d7z
【説明不足ご容赦、普段着2〜3+スポーツウェアでって意味ねー】
【ええとその、単体で5桁……というのがお望みだったり?(だらだら)】
117島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/02(日) 01:44:59 ID:+hzqAl+O
……たしかに、使い方、間違えたら。
どんなすごい力でも、ただの暴力になってしまうかも、しれないのです。
(それは、六花の力も、彼の幻術も、同じ)
……ふふ。わたしも、おんなじなのです。
(そして、つられるように、まっすぐ前を向いた)

あ、名前、入れてもらうなら、ちゃんと生徒だって分かってないと、だめですものね。
はい、いろいろあったほうが、楽しいかなって、思って。
とりあえず、1着違うのを。
(服を破るのと、治癒できる身体を守れないことを天秤にかけた結果、前者を取った)
(やはり怪我は、しないに越したことはない)
あ、それも、そうかもです。
でも、やっぱり……早く、しょーたろーさんと、いろんなところ、見たくて。
(世界は知らないこと、だらけなのだ)
(その全てが、六花には素晴らしいものに思えて)
(それに触れたくて、仕方なかった)

はい、あんまりひらひらしてるのよりは、こういうののほうが、いいかなって。
しょーたろーさんは、どう思いますか?
(思ったことを、素直に口にする)
(「いっしょに」選んでいるのだから、六花の意見と彼の意見を合わせて、いいものを選びたかったのだ)
(そして――また、誉めて貰えたら、と、ささやかな期待を胸に抱いて)

う、やっぱり、多……それとも、少な……?
(見当外れのことをしてしまったかとまごついていると、彼が代わりに予算を告げてくれて)
(それは『じゅうまんえん』より、桁が少なかった)
……そのくらい、なのですか……
(やはりものを知らないのは宜しくないと、ほぅと息を吐いた)

……ん、はい。……あ、そう、なのです。あぁ。
(話に入ると、やりとりはスムーズで)
(今はどんなものが流行りなのか、とか、六花の雰囲気に合いそうなのは、とか)
(いろいろな話を、聞くことができた)
……やっぱり、プロのひとは、違うのです。
(ただひたすらに、感心しきりだった)
118島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/02(日) 01:47:22 ID:+hzqAl+O
【あ、さすがにそこまで使い込むつもりは、さすがに、なのです】
【高校生くらいの子にはそれだけあれば十分だと、リアル金銭感覚でも…】
119御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/02(日) 02:21:00 ID:Wjtw/d7z
【ごめん六花、書いてたのが消えちゃったよ……】
【夜遅いけれど、身体のほうは大丈夫かにゃ】
【六花の体力がもつようだったら、なるべく早く書き直すから】

【いやはあ、正ちゃん思春期だから】
【ものの値段を教えたいっていうのと女の子の服をケチりたくないってので】
【揺れちゃってるんだろうねーあはは】
【うん、ゴーレムのりっかにもちゃんと教えないとー】
120島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/02(日) 02:27:03 ID:+hzqAl+O
【あら、ら】
【わたしのほうは、もうすこし、だいじょうぶそう、です】

【あは、いろいろ考えてくださって、ありがとうございます(ぺこり)】
【自分のことなのに、悩むところだといいますのに】
121御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/02(日) 02:49:37 ID:zDi3iC0I
【ID変わってるけど正ちゃんだよ】

【うう、散々待たせておいて申し訳ないけれど】
【どうもブラウザの調子が悪いみたい】
【ごめん六花、今日はここまでにしてもらってもいいかな?】
【これ以上続けても、いたずらに待たせそうだから……】

【夜遅くなのに、長時間待たせちゃってほんとにごめんね?】
【今日もとっても楽しかった】
122島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/02(日) 03:10:13 ID:+hzqAl+O
【それは大変…了解です。では、凍結で】
【実はわたしも、急に頭がぽーっと…】

【たぶん明日…今日は時間取れないと思うのですけれど】
【次の相談は、避難所のほうで】

【では、おつかれさまでした。今回も長時間、ありがとうございます】
【おやすみなさいませ(ぺこり)】

【スレをお返しします】
123御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/02(日) 03:13:32 ID:zDi3iC0I
【疲れさせちゃってごめんね?】
【僕が言うのもなんだけど、ゆっくり休んでほしいな】
【わかった、また避難所のほうにレス書くよー】
【こちらこそ長い時間ありがとうございました、おやすみ(ぺこり返し)】

【スレッドをお返しします】
124島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/04(火) 22:58:44 ID:gMD3rOL4
【スレッドをお借りします(ぺこり)】
125御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/04(火) 23:28:22 ID:ogHbzOFA
>>117
……六花は、誰よりも優しいから。
だからこそ使い方で、迷うこともあるかもしれない。
えっと、解決できるかどうかはわからないけどね?
そーゆー時は、正ちゃんも一緒に悩みたいな。て。
(殺傷能力に乏しく、加減もしやすい幻術)
(そんな力で、自分は三つの命や心を奪った)
(けれど、自信なんてなくても諦めたくはない)
(三人のためにも。二人は防衛の結果だとしても)

そだね。お出かけも、服選びも楽しまなくっちゃね……。
(血の幻想から自分を救い出してくれた、純粋な少女を思う)
(もしもこの子が、目の前の男が人を手にかけたと知ったら)
(偽る罪と、知れて彼女を悲しませる罪。どちらが重いのだろう)
(御木本正太郎は前者を取った。それは重さを量ったのか、あるいは)

うん。すごく、似合うと思う。
"いろんなところ"を、それを着て歩いたら楽しいだろうなー。
六花のその格好を見たくって、正ちゃん早起きしすぎちゃうかも。
(今は笑おう。自身の言葉を噛みなおして受け答えする)
(純粋な彼女に知らせないなら、幸せにすることが絶対条件)
(演技を重ね話術を用いて人に幻を見せてきた異能だからだろうか)
(心の整理がついていなかった自宅と違い、満面の笑みを浮かべられた)
(そして、一方で自らの咎を鋭く責めながらも)
(他方で包み込むように、六花を心の底から称えていた)

あは、いろいろ値段はあるから間違いってわけじゃないよ?
じゅうまんえんは、お金持ちさんのブランド品になっちゃうけどー。
逆に、安いものを選りすぐれば桁を3つ下げられるのだよー。
(店員さんが上のほうの棚を探っている隙に、こっそりと教えてみる)
(気にしない気にしない、と呟きながらその愛らしさに微笑んで)

そだね、服を売って生きてる人たちだからー。
何かを追求してる人は、正ちゃん尊敬しちゃうよ。
(戻ってきて、また丁寧に説明してくださった店員さんに一礼)
(こくりこくりとうなずいていると、また不意を突かれてお約束を言われた)
「試着なさいますか?」

【ごめん六花、書き溜めてたの直してたらすごく待たせちゃった……】
【重い波と軽い波がやってきて。何回もごめんね?】
126島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/05(水) 00:01:30 ID:szl+ih0O
……わたし、は。わたしの力を、守るために使うって、決めてますけれど。
もしかしたらいつか、迷うかもしれない、ですよね。
(そんな事態がどのような状況下で起きるのか、今は想像もつかないけれど)
(《この手は、妖魔の血でしか汚したことはない》)
(それが崩れる時など、決して来ぬよう、願う)
……しょーたろーさんがいてくれたら、きっとだいじょうぶ、なのです。
(ただそれだけは信じて、言えた)
はい、楽しまないと、ですっ。
(だって、今の六花は、こんなにしあわせだから)

いろんなところ……ほんとうに、たくさんあって。
たまに、新しいの買っても、いいかなって、思ったり、とか。
ふふ、途中で眠くなったら、だめなのですよ?
(笑ってくれるのが、嬉しい)
(六花はヒトのために生まれたモノで、ヒトに尽くすことが至上)
(ゆえに。それだけで幸福を得られるように「できている」――けれど)
(それだけではなくて。一方的なものではなくて)
(思いのやりとりがある――それはきっと、「違う」のだ)
(契約の下での奉仕、とは)

(「未完成品」の六花だからこそ、得られた)
(そんな六花を、彼と巡り合わせてくれた神様に)
(そして、彼に。全力の、感謝を)

な、なら、良かったのです。
(小声で囁かれて、うんうんと頷く)
桁、みっつ……
(いろいろな服が、あるものだ)
(自分が今まで着ていたのは、果たしてどのようなものだったのか)

はい。だから一生懸命に、なれるのですね。
(答えたところで、店員が戻ってくる)
……し、ちゃく?……
は、はいっ。します、しますっ。
(可愛い服は多いけれど、全部買う訳にはいかない)
……しょーたろーさん、見て、くださいね?
(最後まで一緒に選びたくて、彼の方を見て首を傾げた)

【いいえ、お気になさらずっ】
127御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/05(水) 00:42:30 ID:5WOO3Rfq
ん……正ちゃんも頑張るよー。
今日も明日も、ずーっと。
みんなで笑ってられるのが一番だから。
(六花が言ってくれた。御木本正太郎のことを頼ってくれた)
(誰かに信じてもらえることって、こんなに幸せだったんだ)
(ゲームの中で、何度も繰り返し見てきたような光景なのに)
(どうしてなんだろう。胸が、ぎゅっと締まった)

そうだね。春が来て、夏が来て……。
服も替えるし、いろんなところの景色も変わってくんだー。
(六花はこちらが笑うと、無邪気に喜んでくれて)
(だから、もっとこの子のことも笑顔にしたい)
(みんなで幸せになるって、たぶんそういうことだろうから)
あはは。周りもこんなに賑やかで、何より六花と一緒だもの。
眠くなれって言われても無理だよー。
(御木本正太郎は三つの人生、三つの未来を永遠に奪った)
(けれど、共に過ごす中微笑を一緒に作れるかもしれない人もいる)

(神様はいるのだろうか。そういう宗教的なことは普段考えない)
(けれど、もし天井から人智を超えた何かが僕らを見ているとしたら)
(赦しを得ようとは思いません。どうか、見逃してくださいませんか?)
(この無垢な少女と微笑みあう幸せを……見逃してくださいませんか?)
(そして、己の心を救ってくれた彼女に。両手いっぱいの、感謝を)

一生懸命になれる何かを見つけられるって、すごく幸せだよね。
(今までのそれは、ゲームだったりアニメだったり。けれど、今は……)
へあ!? あ、あ、そ、そうだよね。
ああえっと、お願いしますっ
(今日はどうも、想いに浸ることが多いようだ)
(上ずる声をなんとかかんとか制御して、頭を下げる)
(思えば、六花が自分の間近で着替えるのはこれで二回目だっけ)
(閉められたカーテンの向こうを意識すると、どうしても頬が赤くなる)
(とりあえず、ずっと試着室のほうを向いて待っているのは失礼だ)
(後ろを向いて……あああーなんか微笑ましそうに見られてる!?)
う、うん……待ってる。
(結局右の後斜め45度を見て、じぃーっと棚のハンガーと向き合った)

【ん、いつもありがとう。六花】
【大事なこと言い忘れたー、今日もよろしくお願いします(深々とぺこり)】
128島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/05(水) 01:15:56 ID:szl+ih0O
春も、夏も。ずーっと、巡って。
しょーたろーさんや、いろんなひとと、たくさん、仲良くなって。
いろんなことが、できたらいいなって、思うのです。
(そうやって、しあわせを分け合って。そうしたら六花も彼も、きっともっと、嬉しいに違いない)
そうですか?でも、無理はしたらだめなのですっ。
(少し冗談めかして、微笑む)
(ただ今は、彼とふたりで、笑っていたい)

ん、そう、思います。……姉様も、お仕事や、研究のときはいっつも、大変そうでしたけど……
……やっぱり、楽しそうで。
きらきらしてて。とても、かっこよかったのです。
(みずからの目指す魔道を究めるため、寝食も忘れて没頭することもあった創造主)
(その結果産み出されたのが、六花であり、姉たちであり、妹たちだった)
(被造物である六花たち「人形」にとって、母にして姉たる創造主は、等しく憧れの存在であった)
(そして、誇り)

あ、は、はいっ。
(彼の反応に、つられて声が詰まってしまう)
じ、じゃあ、行ってきますっ。
(そのまま数着の服を手に、個室へ入り、カーテンを閉める)
(静電気を気にしつつ、セーター、パンツと畳みながら脱いでいき、下着姿になって)
(全身鏡の中の自分と、目が合う)
……う。
(背後のカーテンの向こうには、彼がいるのだ)
(何だか、とても恥ずかしいような)
(みるみる顔が、真っ赤に染まっていく)
〜〜〜〜〜〜ッ!
(ぶんぶんと首を横に降ると、持ち込んだ服を掴んだ)

……しょーたろー、さん。
(ふぅと息を吐いて、カーテンを少し開き、外を覗く)
えと、終わり、ました。
(勢いのままに、音を立ててカーテンを開けて)
……ど、どう、ですか……?
(オフホワイトのカットソーと、グレー地に白い雪の模様が織り込まれたニットのワンピース)
(先ほどまでとは一転、「女の子」らしい装いを、見せた)

【あ、そうでした。うっかり】
【よろしくおねがいします(ぺこり)】
129御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/05(水) 01:55:12 ID:5WOO3Rfq
きっと、六花ならみんなから好かれるよー。
ともだちがたくさんいたら、楽しいことも増えていくから。
みんな一緒に、遊びに行けたら最高だなー。
いつか、僕のともだちも六花に紹介するからねん?
(六花の笑顔に癒され、幸せの輪が広がっていく)
(そんな夢も、この子なら実現できるんじゃないか)
もちろんだともー。六花と笑える日は、一日でも長くしたいんだ。
(その中心に咲く幸福の花を、めいっぱい喜ばせたい)
(今は、ふたりで。何にも代えられない程この時間が愛おしい)

……きっと、六花がいたから頑張れたんじゃないかな。
いつも元気をもらってるから、正ちゃんはそう思う。
(姉や妹のこと、深くは尋ねてこなかった。そういう類のものじゃない)
(笑みが壊れそうな話題を、無理にするつもりもないのだから)
(けれど会うたびに光をくれる六花に、そのことだけは伝えたかった)

あ……う、うん。
(楽しみにしていた、店員さんの見立ててくれた衣装に身を包んだ六花)
(なのに、いざ声をかけるとぎくりっと肩が縮み上がってしまい)
(抑えようとしてもどんどん頬が熱くなって、じんじんと痺れだす)
(半周もせず振り向くだけなのに、ドキドキと鼓動が激しくなって)

わあ……うわあ、わあ……。
(純白の衣装に身を包んだ六花を見て、思わず言葉を失う)
(その姿はもう天使のようで、万の言葉を尽くしても褒め足りなくて)
(後から後からそんな感想が沸いてくるのに、唇に伝わってくれない)
可愛い……やっ もこもこも可愛い、けど。
なんていうか、きれいだよ……。
(戦闘の最中であろうと、先ほど偽ることで悩んだときも)
(舌はよく動いてくれるというのに、今は胸がいっぱいに詰まる)
(ゲームの世界にでも、迷い込んでしまったのだろうか)
(真っ赤になって、つっかえてしまって、視線が泳いで)
(ただ、そんな自分に対する羞恥心よりずっと)
(頭にも胸にも詰まってる言葉を伝えたくて)
(不器用に、その二語だけをなんとか声音に乗せた)
130島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/05(水) 02:30:24 ID:szl+ih0O
ふふ、だと、良いのです。
ん、きっと、そうなのです。足し算じゃなくて、掛け算なくらい。
……わ、そんなことできたら、すごいですよねっ。ずらーって、いっぱい。
しょーたろーさんのおともだちなら、きっとみなさん、いいひとたちばっかりだと、思うのです。
あ、わたしもひとり、おともだちになれたひとがいて……
(こうやって、少しずつ輪を繋いでいって)
(いつか、大きなひとつの輪になれたらいい)
(きっと叶う。叶えられる)
わたしだって、ながーく、たくさんあったほうが、いいのです。
(そう。少しでも長く、近く、あれたらと)
(純粋に、そう感じていた)

……かな。ふふふ。
そんなの今まで、考えたことなかったのですけれど。そうだったら、うれしいなぁ……
(唯一で、絶対だった創造主)
(太陽のようなあのひとに、六花が力になれていたとしたら)
(それ以上、嬉しいことはない)
ありがとうございます、しょーたろーさん。
そんなこと、教えてくれて。
(創造主のことで、彼には心配をかけた。今でもそうだ)
(だから、六花はだいじょうぶだと示すために、心からの笑顔を向けた)

……あ、ぁう……?
(自分の姿を見るなり固まってしまった彼を前に、六花は戸惑う)
(ただでさえ、緊張で足が震え出しそうなくらいなのに)
…………き、れい……?
(「可愛い」なら、もう何度も言われている。もちろん照れくさくない訳ではないけれど)
(少しは、耐性もついていた)
(けれど今の彼の言葉は、工房にいた頃ですら、かけられた経験の少ない類のもので)
(六花の頭を沸騰させる分には十分だった)

…………は。あぅ、あ……
(鯉か金魚のように、口をぱくぱくと動かして)
(周囲の視線が注がれているのにも、気付かず)
…………ぃ、これに、します!これ、買いますっ!
(衝動的に首をかくかくと縦に振りながら、宣言した)
(まだ1着目で、手をつけていない服が残っているにも関わらず)
(もうこれ以外、考えられなかった)
131御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/05(水) 03:13:23 ID:5WOO3Rfq
うん、それも人数を2回も3回も掛けちゃうくらいのー。
ずらーっていっぱいで、どこに行こうか。遊園地に、海に。
そうだね。僕はみんなのおかげで、とっても幸せなんだよー?
(異能知って尚、そばにいてくれる人がいる)
(知らなくともずっと仲良くできそうな人も)
(そして、何より隣では六花が笑ってくれていて)
(一番伝えたい相手の目をじっと見ながら、微笑む)
ほんとうかい? 良かった、良かった……。
僕のともだちにも、六花と仲良くなりそうな人がー。
(一日でも長くそんな友達に、笑顔を配りたい)
(そして一日でも長く、六花といっしょに)

うん。今日も……いつも六花といるとあったかいもの。
六花の笑顔ぱわーには、正ちゃんが太鼓判押しちゃうからー。
(ありがとう。そう伝えると、血のことも気取られそうで)
(だから、遠まわしな言葉でその温もりに感謝する)
(今度は六花のこと守りたいというくらいに深く、深く)
ふふふ。僕はただ、六花の魅力をみんなに教えたいんだー。
六花自身がそれに気づかないなんて、一番もったいないよ。
(その想いに押されたのか、先ほどは言い損ねた)
(恥ずかしい、そして青い言葉が口から漏れた)

あはは、六花ったら急がなくても……。
そんなに気に入ってくれたなら、連れてきて良かったよー。
(ガチガチに身を縛った緊張の糸は)
(六花の元気いっぱいの宣言で僅かに解ける)
(さすがプロ、六花があんなに目を輝かせるなんて)
(僕もいつか、あれくらい喜んでもらえるような)
(六花好みのコーディネートができるかな)
(喜色満面のその様子を見て、店員さんに深々と頭を下げた)

待って、六花。ほら。
普段着をそれに決めて、スポーツウェアはいかがですかって。
店員さんが、カットソーのサイズを元に選んでくれるらしいよ。
買うんだったら、六花はそれを着たまま待つー?
(ほっぺたをおそろいの色に染めて、相談してみる)
(せっかく決めた六花を、長く引き止めないように)
そうすれば、その服着たまんまでいられるから。
……ぼ、僕もー、僕も、あのっ 六花のこの格好、もっと見ていたいし。
(けれどもどうしても最後まで視線を合わしていられなくて)
(ちょっと顔を伏せながら、熱い頬を指でかきつつ囁いた)
132島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/05(水) 03:51:34 ID:szl+ih0O
わたしも……しょーたろーさんといると、いつもあったかい、ですよ?
あなたが笑っててくれる、だけで。
どれだけ、ありがとうございますって言っても、足りないくらい、なのです。
(思ったことを、ストレートに言葉にして)
(言ってみたけれど、それはやはり恥ずかしい)
(無意識に、指先で髪を弄んでいた)
わ、わたしの、魅力……
(自分でも気付かない、それを彼は見い出してくれた)
(またひとつ、「うれしい」が増えた)

そ、そうですねっ、慌てすぎ、かも……
(すーはーと、深呼吸)
(数回繰り返してようやく落ち着く)
……はい、ほんとうに、来れて良かったのです。
(服が可愛いのはもちろんだけれど)
(何より、誉めて貰えたのが嬉しくて)
(何を着ていたって、もしかしたら、同じような反応が返ってきたかもしれない)
(けれど、やはり――これが、良かった)
あ、わたしも、ありがとうございますっ。
(彼に倣って、頭を下げる)
(店員さんは微笑ましそうに、笑った)

そ、そうなのです。そっちも。
……わ、忘れてたわけじゃ、ないのですっ!?
あ、なるほど。じゃあ、色が濃くて……
(要望をいくつか、店員に伝える)
え、いいの、ですか?
(そういえば、試着したものをそのまま買って、着て帰った経験はある)
(このお店でも、できなくはないのか)
…………ぇ、あ、そう……なら、はい。
(目の前の、彼の顔は赤くて)
(恐らく六花も、同じくらいかそれ以上に、真っ赤にになっているだろう)
(落ち着かなくて、六花は俯くと、両手の指を絡ませた)

あ、どうも、ですっ。
(しばらくして店員が持って来てくれたのは、数着の黒地のジャージ)
(学園指定のものより、軽そうだった)
133島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/05(水) 03:53:00 ID:szl+ih0O
【すみません、そろそろ限界が…なので、再度凍結をおねがいできますか?】
134島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/05(水) 04:30:50 ID:szl+ih0O
【うぅ、すみません、もぅ…】
【もちそうにないので、これだけ】

【今日も長時間、ありがとうございました(ぺこり)】
【とても、楽しませていただいてます】
【やっぱり、文量がとんでもないことに…!】

【次のことは、避難所でまた】
【では申し訳ありませんが、お先に失礼いたします】
【おやすみなさいませ(ぺこり)】
135御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/05(水) 04:34:13 ID:5WOO3Rfq
へっ!? あ……あは……。
(どどどうしよう、周りの視線すら気にする余裕がなくなってきた)
(恥ずかしい。嬉しい。六花にそんなこと言ってもらえるなんてっ)
(もう六花しか見えなくなったかのように、声を絞り出す)
じゃー、ありがとうってずっと言い続けちゃうね。
言葉だけじゃ足りないから、その……。
これからも、一緒に。ずっと六花のこと笑わせたい。
(細く、骨ばった手をぎゅっと握り締めながら言い切る)
(六花への感謝、ほんの少しでも伝わったかな)
(心臓は店内に響いてるんじゃないかというくらい暴れて)
(頭に上った熱い血液で、一瞬だけ世界がぼんやりと霞んだ)

んーんー、慌てる六花が見られて得した気分……。っ!?
(そんな回らない頭で、一生懸命フォローしようとして)
(後からその言葉を戻して噛み砕きたいくらいの衝動に駆られる)
(おお落ち着け御木本、六花が嫌がっちゃうかもしんないのにっ)
あ、いや。そのだからつまり!
えっとほんとに、連れてきてよかっ……あう。
(沸騰寸前の脳細胞では、同じ言葉を繰り返すのが精一杯だった)

そ、そう。今は喜びに浸ってただけなんだよねー。
うん。店員さんの、ご好意で。
(ぺこりっと第三者に頭を下げ、ようやくお店に意識が戻ってくる)
(けれど、相変わらずそれは思考の片隅においやられたままで)
(何かあちらから干渉して来ないと、折りたたまれたように小さい)
(世界の大部分が、六花の俯いた顔や組んだ手で占められて)

あああの、ほんとに今日はいろいろありがとうございましたっ
(そんな六花をはしゃぐくらいあっためてくれた)
(店員さんや、お店には感謝してもしきれない)
(六花がジャージにうなずいたのを確認し、支払いを終えると)
(深く深くふかーく頭を下げ、くるっと振り返って六花を店外に誘った)
(彼女に歩幅をあわせようとしても、早めになってしまう二本の脚を動かして)
136御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/05(水) 04:42:36 ID:5WOO3Rfq
【ごめんね六花、投下するまで気づかなくて】
【動いてる僕だけじゃなく書いてる僕まで】
【テンパっちゃってたのかも……お恥ずかしい】
【疲れさせちゃって申し訳ない】

【六花さえよかったら、僕は最後まで何度凍結しても大丈夫だよー】
【だから、疲れてるようだったら宣言と同時に寝ちゃっても】
【もちろん、僕のほうもこまめにリロードするように気をつける】

【こっちこそ、朝まで幸せな時間をありがとう(ぺこり返し)】
【いやはあ僕も楽しくて、楽しくてしょうがないなー】
【いっぱい返してくれて嬉しいよ? 僕は、もうちょっと精進しないと】
【うん、避難所にまた書くから。おやすみい、六花(ぺこり)】
137郡 太一朗 ◆gphCpRvXtQ :2008/11/05(水) 20:46:13 ID:WeHgWLrB
【少し、スレを借りさせてもらうぜ?】
138媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/11/05(水) 20:46:18 ID:o9al7GN3
(かけられた言葉は、あんなに酷いことを言ってみっともなく取り乱した後なのに、
 変わらずに真っ直ぐで、それでいて、変わらずに優しくて、暖かかった)

わ、たしは……ッ。
(抱き寄せられて、わずかに抵抗したが、彼の言葉にその抵抗もぴたりと止んで。
 両手から零れ落ちたダガーが、床に転がって乾いた音をたてた)
初めに申し上げたように、あなたを、利用しておりました。
日常に溶け込むための、隠れ蓑にしようと思って。だから、傍にいた。
全部、仕事の為だった……でも、だんだん“変”になっていって。
日常で、誰かと――貴方たちと笑いあってるのが、たまらなく、楽しくなって…。
(怯えるように震えていた身体が、あたたかな手のぬくもりによって落ち着いてゆく)

ほら。私、きっと、貴方に幸せを願ってもらっていいような、人間じゃないのですよ?
(命を狙っていたはずの片手が、縋るように相手の服の胸元を握り締めた)

それでも、私の傍に、いてくださるのですか。
(自分はいつだって何も口にせずに、全てを、くらましてきたから)
後輩さんをからかって、笑ったり。他の人と同じように、大学にいったり、
ほら、水琴さんと三人で、お弁当、食べたり…どこかへ、遊びにいったりだとか…。
(震える声で、どんな表情をしたらいいか分からない様子で、相手を見つめた)

… わたしは、貴方の傍にいても、いいのですか?


【ロールに、場所をお借りさせていただきます。(一礼)】
【それでは、改めましてになりますけれど、今宵も宜しくお願い致しますね。】
139郡 太一朗 ◆gphCpRvXtQ :2008/11/05(水) 20:58:18 ID:WeHgWLrB
>>138
……俺だって先輩のことを利用してたさ。
俺の自己満足を満たすために、…異形の情報を得るっていうためにな。
だから、それはお互い様だろ?
(苦笑する。そう、そもそもはこちらも打算あっての関係から始まったのだ)
…それが普通なんだ。それが当然。
誰かと一緒にいれば、笑いあって楽しくなるのが当然なんだよ。
それでいいじゃねーか。それのどこが悪いんだ?

……幸せを願っちゃいけない人間なんてこの世にはいないさ。
それが、幸せになって欲しいと願っている相手ならなおさらな。
(ふ、と口元を綻ばせて、軽く力を抜いて)
―――もちろん。
先輩が俺を信じて、それを願う限り。
俺が先輩の力になるのなら、俺は力になる。
当たり前のことを、聞くなよな。先輩?
(にっと陽気な笑顔を浮かべながら、大きく胸を張って頷いてみせる)


【こちらこそよろしくなーっ】
140媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/11/05(水) 21:07:31 ID:o9al7GN3
>>139
……―――ッ。
ずるいですよ、そんな、台詞…っ。
(いつだって、彼の笑顔をみれば釣られたように笑ってしまうのだけれど、
 この時ばかりは、黒色の瞳が細められて、ぽろぽろと涙が零れおちた)

わたし、あなたに、「どんな『選択肢』を選んでも自分を貫く覚悟を持て」って言ったのに。
ずっと『猟狗をやめる』って選択肢を、選ぶ、ことが、でき…っ、なかった。
異能者を全部『異形』とするのは、間違いだって分かってたのに。怖くっ、て…ッ。
(力なく首を横に振って、零れてくる涙を手の甲で拭う。
 それでも、まるでストッパーが壊れたかのようにその瞳からは涙が零れるばかりで)

ごめんなさい。信じてくれていたのに、
わたし…っ、応えようって、してなかっ――…っ。
(“ほんとうに、馬鹿です”と、笑おうとして笑い損ねたような表情で言葉を紡ぐ)
(一度堰をきってしまえば、あとはあふれ出すばかり。
 溜め込んでいた感情は、最後のほうにはもはや音でしかないものとなって晒されて)
(口元を押さえて、必死にとまらない嗚咽を押し込め、
 それから、笑ってみせようとするのだけれど、それは無為に終わるだけだった)
141郡 太一朗 ◆gphCpRvXtQ :2008/11/05(水) 21:28:12 ID:WeHgWLrB
>>140
……そんな簡単にすっぱりと決められたら、人間苦労しねえよ。
それに迷いがない、ってことは自分から選択肢を捨てるってことだしな。
(苦笑を浮かべながらぽんと自分より背の高い彼女の頭を撫でて)
何が正しくて、何が間違いなのか、俺には分かんねーよ。
迷って迷って、そのなかで、自分が正しいと思う選択肢を
選んでいくしかないんじゃねえかな?
(正直、今、自分のしていることが正しいのかは分からない。
 ただ、それを選んだのは自分だ。それが悩んで考えた上で出した結論。
 ――ならば、後悔はない)

………俺だって、最初から先輩のことをずっと信じてたわけじゃないさ。
最初の頃は、いつ寝首を掻かれるか分からないって疑ってた時もあったし。
本当にお互い様だって。
(ふー、と大きく息を吐き出すと、双眸を細めてゆっくりと頭を撫でた)
142媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/11/05(水) 21:42:17 ID:o9al7GN3
>>141
(頭を撫でられる感触に、震えと嗚咽が徐々におさまっていって、
 このまま甘えてしまいたくなるのを抑えるように、ぐっと自分の手を握った)
疑っていらっしゃらなかったら、どれだけ警戒心皆無なのかと怒るところです。
……というよりも。
私は未だに、どうして貴方が「媛名葵」を信頼したのか皆目、見当がつきません。
(小首をかしげてからかうように目を細める様は、いつもの彼女に違いなかった)

……私、選んで参ります。自分なりに、正しいって、思うこと。
(揺れていた気持ちがしっかりと定まった今、自分がやることは決まっている。
 世界は壊れても、それでももう、自分の足で立つ気があるのならば――)
(その行為の正誤は別としても、自分には、すべきことが、ある)

≪主人≫に――…いえ、≪当主≫に、私の意思を伝えなければなしたりません。
異能者を全て、異形と括ることに、少なくとも私は賛同できないと。
「媛名 葵」は、その命令には従えない、と。
(指先で涙を零れおちた涙をぬぐってから、大きく息を吐きだした)
少し、我を通すのは楽ではないかもしれませんが、
それでも、もう決めたから。正しいとか、分からないけれど、そうするんだって。
だから、ケジメを、つけて参ります。
(ちゃんと、「媛名 葵」として生きていきたいから、と、
 憑きものが落ちたようなすっきりと様子で宣言して、ふと彼に視線を戻す)

あの。それにさいして、お願いが、あるのですけれど。
(両手の皮手袋を取りながら、それから、また小首をかしげた)
143郡 太一朗 ◆gphCpRvXtQ :2008/11/05(水) 21:54:47 ID:WeHgWLrB
>>142
それは先輩だから――なんて、言うほど俺もお人よしじゃないな。
それこそ先輩に『迷い』が見えたからさ。
ん、言葉にするとちょっと難しいんだけど…
…ああ、やっぱりこの人も俺と同じ人間なんだなって思ってさ。
少なくとも単純に命令に従うだけの猟狗じゃない、ってな。
(気づかなかったのか? と軽く首を傾けて笑い)

……分かった。
(彼女の言葉に頷く。それが彼女の身を危うくするものではないのか。
 そんな疑問が頭に浮かんだが、今更だった)
それが先輩の選んだ選択肢なら、俺はそれを見守る。
先輩の道だ。俺が出来るのはそれくらいしかねーしなぁ。
(苦笑。力になる、と言ったばかりなのに、どうも間が抜けてしまう)

……願い?
まあ…そりゃ、内容にもよるけど?
(はて、と首をかしげながら、何を、とたずねて)
144媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/11/05(水) 22:05:38 ID:o9al7GN3
>>143
貴方の前では特に、気を抜かぬよう、凛としていたつもりなのに。
(そう言っても、確かにこのところの自分は揺れ過ぎていた。
 今みたいに、前も見れぬほどに。今になって考えれば、少し気恥ずかしいほどだ)
見守って下さるのが、私にとっては何よりの事です。
大体、「それくらい」だなんて。してもらいたいことは、たくさんありますよ?
帰ってきたら、いっぱいからかわれてもらいますから覚悟しておいてくださいね。
(くすり、と笑って。願い事を口にする前に、ひとつ息を吐きだした)

名前を、呼んでいただけませんか。
一回だけで、構いませんから…“葵”って、呼んでください。
(ひんやりとした手で、相手の頬を包んで小首を傾げる。
 それから、ゆっくりと目を細めて、相手を見つめたまま少し笑った)
なんとなく、ですけれど。
そうやって呼んでもらえたら、わたし、ちょっと頑張れる気がするから。

わたしの力になって、くださるのでしょう?
――それに、ほら。告白のお返事もまだしないうちに、失踪できませんし。
(最後の方は、いつものようにどこか悪戯っぽい口調ではあったのだけれど。
 それでも、まっすぐに黒い瞳が相手を見つめているところをみると、本気のようで)
145郡 太一朗 ◆gphCpRvXtQ :2008/11/05(水) 22:19:46 ID:WeHgWLrB
>>144
……ん、そうか。そうかな。
なら、俺は先輩が先輩の道を歩くのを見守る。
…いざとなれば、俺が助けるから。たとえ、それが俺に出来ないことだとしても。
(釣られるように笑みを浮かべて、小さく頷いて)
ああ、上等だ。そう来なくっちゃ、先輩じゃねーよ。

ん、分かった。
ちょっとばかし、恥ずかしいけど……葵さん、頑張れよ。
(少しだけ赤面し、照れながら、そう口にする)
俺はいつでも葵さんの味方だから。
葵さんが俺を信じている限り、俺は先輩を信じる。
それだけは、変わらない。だから――、絶対に帰ってこいよ。
(初めて、面と向かってはっきりと彼女の名を呼ぶ。
 彼女の名を呼ぶだけで、なぜか安心できる。彼女は『姫名葵』だ。きっと、その意思を貫くだろう)
146媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/11/05(水) 22:36:30 ID:o9al7GN3
>>145
……当てにしています、後輩さん。
(それは信頼の言葉。彼を頼ると、確かにそう答えた)
ええ、十全と。
とはいえ、寂しいことに貴方の成長は目覚ましいものがありますから、
いつまで愛らしく赤面やら照れてうろたえてくれるやら、私は心配でなりません。
(はあ、とこれ見よがしに溜息をつく。まるで、この先に何一つ不安はないように)

(名を呼ばれるのが、こんなに暖かくて優しいものだなんて知らなかった。
 いままで、自分の名を呼ぶものなんて殆どいなかったから)
(呼んでもらえる存在に、ひどく安堵している自分を自覚して――決意したように、頷いた)
十全と承りました。 だいたい、私を、誰だとお思いですか?
(そのまま、すっと顔を寄せた。重ねるというよりも、掠める程度。
 ほんのわずか、羽毛が触れるほどに軽く唇を触れ合せてから、すぐに離れて)

――…「媛名葵」ですよ? 貴方の、先輩の。
いろんな意味で印象の強い人で、貴方のファーストキスの相手、です。
(それから頬に置いていた手を離して、離れるように一歩距離を取った)
帰ってくるに、決まっております。
数日くらいしたら、何事もなく三年の教室にいて、夜は妖魔狩りでもしておりますよ。
(髪をかきあげて、目を細める。それはあまりにも、不敵な宣言だった)
だから。 今日はこれで、お別れです。
今から「連絡」しなければなりませんし、夜も遅いです。
私は十全とサボりますけれど、貴方には明日は学校もあるのでしょう?
147郡 太一朗 ◆gphCpRvXtQ :2008/11/05(水) 22:52:42 ID:WeHgWLrB
>>146
……よく言ってくれるぜ。
ま、その方が先輩らしくて、安心できるけどな。
(いつものからかっている姿を思い浮かべて、苦笑する。
 そう、これこそが自分の知っている姫名葵だ)
先輩だろ? 俺の先輩。姫名葵だ―――?
(さっと触れる唇の感触。それをそれだと知覚する前に顔が離れ、さぁっと顔に赤みが差す)

なっ…………っ!?
(しばらく口をパクつかせていたが、結局は観念して)
…そうだな、葵さん。
あんたは簡単にどこかに消えるような人じゃない。
俺はその言葉を信じるぜ。……力が必要なら、いつでも言えよ?
葵さんがいるところなら、いつでも駆けつけるからよ。
148媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/11/05(水) 23:06:45 ID:o9al7GN3
>>147
あれだけ気恥かしいことは仰って下さるのに、どうして変わらずキスは駄目なのです?
(そんなことを言いながらも、
 それは彼女が求めていた反応だったというのは、否定しないのだろうけれど)
(可愛い人です、とでもいうように小首をかしげる。
 しかも、それがいつもの特に表情の宿らぬものなのだから性質が悪かった)

――…っ。
(「駆け付けるから」との言葉にまだ名づけられぬ感情がわきあがって、
 涙腺がまた緩みかけたのを、必死にとどめる。もう、十年以上泣いてなかったのに)
そんなこと言われたら、照れてしまいますよ?
…頼りにしています。頼もしく、思っております。
本当に、いつの間にこんなに素敵になられたやら…存じ上げませんでした。
(片手で携帯を、取り出す。押すのは、慣れ親しんだ番号。
 今から≪深凪≫に連絡して、此処の処理と、弔いと――けじめを、つけなければ)
(発信ボタンを押す手前で、その手を止めてから。息を吸って、吐き出す)

おやすみなさい、後輩さん。
後輩さんこそ、私がいない間に怪我だとかなされては嫌ですよ?
(ひらひら、と手を振る。つまりは、帰りを促したのだ)
(ここから先は自分の仕事だから、と。
 そう言外に付け加えながらも、いつもと変わらずその背を見送るために)


【そろそろ〆、で大丈夫でしょうか?】
149郡 太一朗 ◆gphCpRvXtQ :2008/11/05(水) 23:24:01 ID:WeHgWLrB
>>148
………ったく、これじゃ格好もつかないぜ。
ま……言うだけ言っておかないとさ。
此処まで言ったんだ。葵さんが蹴りをつけるまで、俺は見守る。
それが、俺に出来る葵さんへの応援だと思うから。


……葵さんこそ、きをつけろよ?
どんなことが会っても、また帰ってくること!
絶対に、絶対、約束しろよっ!!
…俺、先輩のこと待ってるからな!
(これ以上話をしていたら、それで彼女の決意を揺らがせることになりかねない。
 黙って、大きく頷くと踵を返し、その場をあとにした。一抹の不安と期待を胸に抱きながら)

【それじゃあ、こんな感じで〆ってことでいいか? どうも付き合ってくれてありがとうな!!】
150媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/11/05(水) 23:42:04 ID:o9al7GN3
>>149
もうちょっとくらい、そのままでいて下さい。
どうせ、いずれは私が貴方に太刀打ちできなくなる日も来てしまうのですから。
(それはどういう意味か、これも帰ったらちゃんと告げようと思いながら、
 最後の最後まで、真っ直ぐな言葉をかけてくれる彼に向って笑いかけて)
応援、十全と受け取りました。それだけで、めいっぱい頑張れます。
約束も、承りました。 もし破ったら、何でも好きなことして差し上げますね。
だから、ちゃんと待っててください、太一朗さん。
(踵をかえしたその背を見送って、携帯を握りしめる。不思議と不安はなかった)



(彼がもう見えなくなってしばらく――ようやくその体を動かす。指先はすっかり冷えていた)
……こんばんは、いつものようにお仕事の件と。
あとは、少しばかり別件で。当主に、≪夾≫に繋いでください。
(携帯を耳にあてて、階段を降りる。身体は震えなかった。
 ――約束したのだ。違えるわけにはいかない、大切な人との約束だから)

わたし、これが終わったら一回、≪ホーム≫に帰還致し――ッ……もう。
……やはり、あの人への取次ぎは必要ありません。前件だけで、十全です。
(そんな決意を胸にした瞬間に、高らかに鳴った“自分のものでない”足音に目を向ける。
 どうにもこの方は自分の意表をつくのが好きなのだと、少しズレた思考をした)

「その顔を見る限りだと、どうにもテメーの選択はできたようで重畳だな?」

(闇色の包帯を巻いた隻目の男――楽しげな様子のそれと対峙しながら女は柔らかく笑った)
(自分にはまだしたいこともある。会いたい人もいる。なら、答えは一つだけ)

ええ。 初めての反抗期、受け止めていただけますか――…義兄さん。



【それでは、蛇足になりますけれど、こちらも〆です】
【…本当に、本当にお付き合いありがとうございましたっ。
 感謝してもしたりない、とはこのことです…とても、楽しませていただきました。(一礼)】
【よろしければまた、お相手して頂ければ幸いです。
 それでは、ゆっくりお休みになられてくださいね。お休みなさい、後輩さん。】
151郡 太一朗 ◆gphCpRvXtQ :2008/11/05(水) 23:50:29 ID:WeHgWLrB
【お疲れ様っ! それじゃまた機会があればよろしくな?
 日をまたいでどうもありがとう。それじゃ、おやすみっ! またな?】
152天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/08(土) 21:16:59 ID:oEGNT8VK
【スレをお借りします】

(時刻は夕刻、料理実習室には窓から茜色の光が寂しげに差し込んでいる)
(本当なら料理部の活動でにぎやかな場所なのだが、今はしんと静まりかえっていた)

(どうして……わたし……)

(茜色に染まる教室の中で都は一人、放心して窓の外を眺めていた)
(そろそろ約束の時刻なのに何もできず、持ち込んだ料理の材料はテーブルに置くどころか床に散乱して)
(制服やエプロンはところどころ煤で汚れ、泣き腫らした顔は真っ赤に充血し、頬には涙の跡が残って)
(打ちひしがれた姿には、持ち前の明るさは微塵も残っていなかった)


【では迫水先輩、よろしくお願いします】
153迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/11/08(土) 21:32:40 ID:9Yr8eqBE
(受け取ったメールには「大事な話がある」と記されていた)
(天羽都が異能者であることを知ったのはつい先日)
(恐らくその件についてだろうと思い込んで、会うことを約束した)

(特別教室の並ぶフロアの廊下)
(辺りに人の気配は無く自分の立てる足音がやけに大きく響く気がする)

………
(調理室の扉の前に立ちノックしようとして、ふと思い直し)
(一度上げた手を下ろし、ゆっくりと扉を引き開ける)

……天羽さん、お待たせ…
(約束の時間にほんの僅か遅れで、中にいるであろう後輩へと声をかける)

【お待たせしたね】
【こちらこそよろしくお願いします】
154天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/08(土) 21:42:58 ID:oEGNT8VK
>>153
…………。
(ガラガラと扉が開く音がして、少し遅れて胸に記憶した愛しい人の声が聞こえた)
(もうそんな時間になったのか、都はゆっくりと、その人を見るのを恐れるように、ゆっくりと車椅子を声の方へ向ける)
……ぁ……ん……っ……ぁ……。
(返事をしようとして、でも声がうまく出ない)
ぁ……さ…こ……み……せ……っ………ぃっ。
(笑おうとした、笑顔で迎えようと思っていたから)
(でも、できなかった)
(顔は強ばるだけで、頬を熱いものが伝う)
さ、さこ…みず…せっ…せん…ぱい……ぐすっ、うっ……ひっく。
(泣くな、泣いちゃ駄目、そう思っても、大好きな人の顔を見て、決壊した涙は止められなかった)
155迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/11/08(土) 21:58:15 ID:9Yr8eqBE
……天羽さん?
(窓からの差し込む夕日が逆光となり、都の表情を影の下に隠して)
(それでも自分に向けて答えた声が、嗚咽に変わるのを聞くと)
(瞬間頭に浮かんだのは異能者に襲われた恋人)
(まさか彼女までも…と慌てて不吉な思いを振り払う)

……どうした?何かあったのか?
(落ち着かせるように、敢えてゆっくりと穏やかに問い掛けながら都に近寄る)

………
(都の目の前まで来ると、泣き腫らした顔と煤けたエプロンが目に入って、数時間前の落雷事件を思い出す)

何か怖いことでもあったのかな?
(いつもの如く屈んで視線を合わせ、できる限り優しく見えるように微笑みかける)
156天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/08(土) 22:08:13 ID:oEGNT8VK
>>155
ひっく、うぅぅ、ぐすっ…わ、わた…ぐずっ…わ…たし……。
(すぐ近くに、目の前に大好きな人がいるのに、涙でにじんで顔が見えない)
(のろのろとエプロンの裾で涙を拭うが、後から後からポロポロと流れ落ちる)
わた、し…ち、ちが…ひっく…そ、そう…じゃ…ずず…な、な…うっ。
(優しい声が、もう大丈夫だと、都の感じている恐怖を溶かすように、心に染みこんでくる)
うっ、うううっ、うわわわわわっ、うわわわわわわっ。
(小さな子供のように、怖いことから解放されたように、泣き出す都)
(エプロンをギュッと握りしめて)
(しなければならないことがあって、言わなければならないことがあって、それは分かっていたけれど)
(安心して弛んだ心は泣くことしかできなかった)
157迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/11/08(土) 22:20:49 ID:9Yr8eqBE
天羽さん……
(堰を切ったように声をあげて泣き出した都を目の前にして)
どうした?泣いてばかりじゃ何も分からないよ
(流れ落ちる涙を指で拭ってあげようと伸ばした手が空中で止まる)

(「優しくしないで」と涙ながらに訴えてきた津綺子の顔を思い出し)
(今目の前で涙を流す都と恋人の涙の間で僅かに心が揺れて)
…………
(制服のポケットからハンカチを取り出すと、都に差し出す)
ほら、涙を拭いて…何があったのか全部教えて?
158天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/08(土) 22:37:11 ID:oEGNT8VK
>>157
うわわわわっ、わあああああっ。
(泣きながら、差し出されたハンカチを受け取る)
わあああああっ、ああああっ、ぐすっ、ひっく、うううううっ。
(ハンカチで目を押さえても、すぐには泣くのを止められず)
(とりあえず、なんとか話せるようになるまで、時間がかかった)

ぐすっ、わ、わた、し、ひっく、わた、し、た、たすけ、て、ひっく。
ど、どう、ぐすっ、したら、いいか、わ、わから、ない、の。
(うまく言葉にならず、どう話したらいいのかも分からない)
き、きず、つけた、めっ、めい、わく、かけ、た。
でも、な、に、した、か、わ、わから、ない。
な、なにも、し、して、ない、わたし、し、して、ない、のに、でも。
(嫌々と駄々をこねる子供のように首を振る)
(何かがあるのは分かっているが、それが何なのかまったく分からない)

(怖い、怖い、こわい、こわい、こわいこわいこわいこわいこわい……)

た、たすけて、さこみず、せんぱい。
(助けを求めるように、手を伸ばす)
(大丈夫だと抱きしめてもらいたくて、安心できるまで泣ける安心できる場所を求めて)
159迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/11/08(土) 23:01:47 ID:9Yr8eqBE
(一度流れ始めた涙は簡単には止まらないのだろう)
(ほんの小さな、幼い子供のように泣きじゃくる都をじっと見守る)

(泣き声が少しずつ小さくなり、しゃくり上げながら切れ切れに)
(紡ぎ出された断片的な言葉のひとつひとつに小さく頷き)
(ばらけたパズルが組合わさるように都に何が起こったのかを悟る)

(目の前の少女は今自分の力を自覚したのだと、自分が普通の人と違うのだと…)

大丈夫…何も怖いことなんてないから…
(救いを求めて差し出された小さな手をそっと握り、ゆっくりと体を寄せて)
(慰めるように震える背中を撫でさする)

(この時、迫水は全てを忘れて、小さな女の子の心を救おうとしていた)
(都の能力が「接触による異能の増幅」だということも忘れて…)

(ゴソリ、と体の中で蠢く妖魔を感じる。増幅された力で拘束を振りほどこうと暴れ始める)
う…ぁ…
(都を抱き締めたまま、小さく呻き声をあげる)
あ、あぁ…うぅ、っ…
160天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/08(土) 23:16:44 ID:oEGNT8VK
>>159
(小さな都の手を握る大きな手、背中に回された逞しい腕、優しく包み込む胸)
(その胸に都は寄り掛かった)
せん、ぱい……さこみず、せんぱい……。
(心が静まる)
(幼い頃、痛みが辛かった時に義母や姉と呼べる存在である寮の先輩達に抱きしめられた時のように)
(都は思う、初めて会った時、抱きかかえられてあの屋上に上った時から、好きだったのかも、と)
せんぱい、せんぱい、さこみず、せんぱい。
(心臓の鼓動を聞くように、大好きな人の胸に顔を埋めて)

(今なら、言える……先輩が、私を守ってくれる)

さこみず、せんぱい。

(小さく何かが聞こえたが、何か分からなかった)
(激しい心臓の鼓動が聞こえた、それは、自分のか、迫水直のものか)

さこみずせんぱい、わたし、せんぱいのことが……好きです。

(また能力が発動したこともしらず、都は、生まれて初めての告白を、した)
161迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/11/08(土) 23:40:53 ID:9Yr8eqBE
う…あぁあぁぁ…
(心臓が飛び出しそうなほどに胸隔を叩く)
(最早呻きを隠すことすらできず、都を抱いたまま意識を自分の中に集中する)
(くるなくるなクルナクルナ…)

…っ!来るなぁっ!
(都の言葉--年頃の女の子にとって一番大切な「告白」に耳を傾けることなく)
(残り僅かな理性を総動員して都から離れる)

(都の小さな体を突き飛ばさないようにして大きく飛び退き)
っ…はぁ、はぁ…
(両目に青白い灯の名残を映し、都を見つめる)
…天羽さん……君は……
162天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/09(日) 00:00:31 ID:oEGNT8VK
>>161
っ!?

(エ? ナニ? センパイ? イマ、ナンッテイッタノ?)

(予想もしていなかった言葉)
(突然支えを失い、車椅子からずり落ちそうになって)

…せ…ん……ぱ……い……?

(ワタシ、ガ、キライ、ナノ?)
(ワタシ、ヲ、タスケテ、クレナイ、ノ?)

……ひっ!!

(呆然とする都の瞳に映っているのは、両目を青白く光らせた迫水直の顔)
(忘れていたわけではなかった、でも強く考えていなかった、伊織津綺子の言葉を)
(迫水直が能力者であることを)

いっ、いやああああっ!!!

(血の気がひいて都の顔が青ざめる)
(迫水直から逃げるように車椅子を後へ下げようとして果たせず、大きな音を立ててずり落ち、床へ転がる)
(そのまま、うつぶせのまま、不自由な身体を、細い両腕を伸ばし、教室の隅へ、這って、逃げて)

いやっ、やっ、いゃぁ、ゃぁっ、ぃゃぁぁぁ……。

(先輩を傷付けた、おかしくしちゃった、聞いていたのに、知っていたのに、大好きなのに!)
(私、わたし、ワタシ、先輩を、せんぱいを、センパイ、ヲ!!!)

(また涙があふれ出す)
(身体の下敷きになった卵が割れて制服を汚す)
(今はただ、大好きな人を、これ以上傷付けないように、離れなければならない)
(その思いに飲まれて)
163迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/11/09(日) 00:22:55 ID:BqrM/ihk
(暴風は微風に、やがてそれもおさまると、同時に瞳の灯も溶けるように消えていく)

天羽さん…っ!
(呆然とした表情が一気に恐怖へと変わり。そして恐慌に陥った都に慌てて駆け寄る)
天羽さん、落ち着いて!

(床を這い、制服を汚し、それでも自分から遠ざかろうとする少女の背中に声をかける)
大丈夫、もう大丈夫だから…驚かせてゴメン
都…俺の話を聞いて
(意識して相手の名前を呼び捨てにする)
(そうすることでお互いの心の距離を少しでも埋める為に)
164天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/09(日) 00:33:42 ID:NNxxOHTT
>>163
いやああああっ!
だめっ、近寄らないで!!
(教室の隅で、両腕で頭を抱えて拒絶の言葉を投げる)
(這っていては離れられない、だから向こうから離れるようなことをする)
(触れたら、どうなるか分からないから、近寄ったら、どうなるか分からないから)
……うぅぅっ、ぐすっ、ひっく。
(肩が震える、頭を抱え、借りたままのハンカチを握りしめた手も、震えている)
(名字ではなく、名前を呼んで貰えたのに、嬉しいはずなのに、悲しい)
165迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/11/09(日) 00:46:53 ID:BqrM/ihk
大丈夫、もう大丈夫だから…
(同じ言葉を繰り返し投げかけながら)
(都の能力を思い出し、そして思い至る)
(都は同じような体験をしたことがあると、誰かの能力を暴走させたのだと)
(それが津綺子と落雷事件までは結び付かなかったけれど)

都…俺は大丈夫だから…さっきはちょっと油断したけどね
(都の必死の拒絶を無視して、ゆっくりと近付き)
(目の前で屈み、顔の高さを合せる)
ね、もう泣かないで…
166天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/09(日) 01:04:56 ID:NNxxOHTT
>>165
だ、だって、ひっく、わた、わたし、せん、ぱい、きず、つけ、た。
ぐすっ、ま、また、きっと、ひっく、だから、だ、だめ、だいじょう、ぶ、じゃ、ない。
(投げかけられる優しい言葉が痛い)
(信じられないのではない、だけど、傷付けるのが怖い)
(迫水直の顔を見られない、見たら、どうなってしまうか)
だって、わ、わたし、ずずっ、ぐすっ、きず、つける……のに、……のに。
(今まで、手を煩わせることはあっても、人を傷付ける事なんて無かった)
(迷惑をかけずに生きていくことなんてできないが、だから甘える時は甘え、牙をむいた事なんて無くて)
……のに、す……に、す…のに、好きなのに、先輩が好きなのに、私はっ!!
(ダンッ、ダンッ、と、小さな拳で床を叩く、叩く、手が傷つくのも構わず、あえて傷付けるように)
(大好きな迫水直を傷付けた自分が許せないと)
167迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/11/09(日) 01:22:26 ID:BqrM/ihk
俺は俺のまま。都に傷つけられたりなんかしていないよ
(しゃくり上げ、泣きながら自分の力の恐怖に縛られた都を見つめ)
(慰めるようにゆっくりと声を紡いでいく)

…っ!!そうか…そうだったんだ…
(都の告白に驚きつつ、その動揺を隠して)
(床を叩く小さな拳を両手で包み込むようにして押さえる)
…っ!
(途端に体の中で蠢きだす力を押さえつける。額にジワリと汗を浮かべながらも笑顔を作り)
ね?大丈夫…それに、ありがとう……
168天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/09(日) 01:31:26 ID:NNxxOHTT
>>167
っ!
(痛みを感じるはずの手が、大きくて温かい手に包まれる)
(それでも床を叩こうとするが、押しても引いても包まれた手からは抜け出せなかった)
……ぁ……せ、先輩……。
(やっと顔を上げると、脂汗を流しながら笑顔を向ける愛しい人の顔があって)
ううん、せんぱい、むり、してます。
(手も、笑顔も、温かくて、都は、心から、この人を好きになって良かった、と思った)
私、迷惑をかけて、お礼を、言われる筋合いなんて。
(まだ涙は乾かないが、やっと、ほんの少しだけ、都の顔に笑みが戻った)
169迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/11/09(日) 01:48:21 ID:BqrM/ihk
大丈夫、無理なんかしてないよ。「さこみずせんぱい」を信じて…ね?
(目の前の少女の傷ついた心を救う。その使命感で自我を保ち)
(暴れる都の手を決して離さず)
やっと笑ってくれたね?
(僅かに浮かんだ微笑みを見て、心の中で安堵の溜め息を漏らす)

俺を好きになってくれてありがとう
(都の目を見つめ、大事な事を告げるために息を吸い込む)
………
(二人の間をわずかな時間の沈黙が流れて過ぎ)
(やがてゆっくりと口を開く)
……でも…ゴメン、俺は君の気持ちに応えることができない
(都を一人の女性として扱い、その思いに真剣に答える)
170天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/09(日) 01:58:57 ID:NNxxOHTT
>>169
(茜色が薄くなり、教室を闇の色が覆い始める)
…………ぇ……ぇと……。
(闇が影になり、大好きな人の顔と、都の笑顔を隠す)
……そう……そう、です…よ…ね、私、何か。
せ、先輩を、傷付けて、おかしくして……こんな、あ、危ない、女、な…ん……か……。
(うつむいて、握られた手を振りほどこうと、肩が震えて)
(半日前の都なら、まったく想像もしていなかった言葉)
(今は納得するしかない言葉)
171迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/11/09(日) 02:11:18 ID:BqrM/ihk
違うっ!
俺が、君のことをそんな風に見ると思うか?
(都の自分を卑下する言葉に、思わず強い調子の言葉で否定する)

俺にはもう付き合っている人がいるんだ
俺がその人を捨てて、君と付き合うような人間なら、きっと、君は俺のことを好きになんてならなかったと思うよ
(手を握り締めたまま、ひとつひとつの言葉をゆっくりと伝えていく)
だから…ゴメン…

【そろそろ時間だよね…締めにいけるかな?】
【みゃこちゃんにやり残した事があるなら凍結でもいいよ】
172天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/09(日) 02:25:17 ID:NNxxOHTT
>>171
きゃっ!
(強い言葉に身がすくむ)

付き合ってる、人?
そんな……みんな、先輩に付き合っている人、いないって……。
(寮や料理部の先輩経由でそことなく調べたこと)
(それ故に隠されていた交際を余人が知ることはなかった)
あ……あ…あやまらないで…ください……。
(ぽた、ぽた、と、二人の手の上に透明な滴が落ちる)
………って、……いって、…ていって、でていいて!
(床を転がるようにして好きな人の手の中から自分の手を引き抜く)
つっ!
(勢い余って壁にぶつかり、小さく悲鳴を上げるが、それでも)
あ、謝るくらいなら、出て行ってください!
お願いだから……早く……はやく……。
(握られていた手を、胸にかき抱いて、大好きな人に背を向けて)

【強いて言えば付き合っている人の名前ですが、それは他のロールでもできるので】
【先輩のレスのあとで、都は〆ます】
173迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/11/09(日) 02:52:51 ID:BqrM/ihk
(闇に覆われ始めた教室の中、都の表情が影に隠れて、そんな中でキラリと輝く粒を見つける)
(手の甲に冷たい滴が零れるのを感じながら)
(黙って都の言葉を聞く)

でも……ん…あっ!
(スルリと都の手が抜けて、都が転んだのを慌てて助けて起こそうとして)
(身体を乗り出したところに本人から強い否定の言葉を投げ付けられる)

………
(最初は強かった言葉が最後は弱々しく懇願に変わるのを聞き)
(都の背中に声をかけようと一度は口を開くが)
あ……
(言葉が見つからず、口を閉じ立ち上がり)
(ゆっくりと扉を開き、教室を出ていく)

(扉を閉め、そのままそこに体重を預けて)
……ゴメン……
(一言だけ呟くように言葉を漏らし、その場を後にする)

【ではこちらはこんな感じで締め】
【そちらのレスを見届けてから落ちますね】
174天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/09(日) 03:11:31 ID:NNxxOHTT
>>173
(都の側から遠ざかる足音)

(いや、行かないで……)

(扉が開いて、ゆっくりと、閉じられて)

(行っちゃ、行っちゃいやっ!)

(手の中に残されたハンカチを握りしめて)
……っ、くっ、ひっ、ひっく、うっ、あっ、あぁぁぁぁっ。
(すっかり暗くなった調理実習室の中で、都は、また、泣いた)
あああああっ、わああああああっ、あああああああっ!
(胸が破けそうなくらい痛くて、今まで経験したことがない初めての痛みが苦しくて)

(先輩、先輩、迫水先輩! 好き、好きなの、大好きな、迫水先輩……っ!)

(奪ったり、壊したり、仲を壊すようなことは、都にはできない)
(今の都には、できない)
(今できるのは、ただただ、泣くことだけだった)

【はい、これで〆です】
【ロールしていただいて本当にありがとうございました】
【これでプロローグが終わって、やっと起承転結の起になったという感じです】
【他、細かいことは、また後ほど】
【今夜は遅くまでありがとうございました】
【おやすみなさいませ、迫水先輩】
175迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/11/09(日) 03:18:13 ID:BqrM/ihk
【見届けたよ〜】
【予定時間を大幅にオーバーしちゃったね、申し訳ない】
【とにかく今のところはお疲れ様とありがとうを】
【また今度避難所の方で詳しく聞かせて貰うね】
【じゃあ、おやすみ(ぺこり)】

【スレをお返しします】
176隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2008/11/15(土) 21:46:16 ID:CtOKR/wW
【や。紅鮭くん待ち】
177紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2008/11/15(土) 21:46:22 ID:9NDtKtB9
【ロールに借ります】
【書きだすので少し待っててNE>隙屋】
178隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2008/11/15(土) 21:48:06 ID:CtOKR/wW
【はいはい、ごゆっくりー】
179紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2008/11/15(土) 21:53:14 ID:9NDtKtB9
(授業が終わる。帰りのHRも終わる。解放された羊たちがぞろぞろと)
(それぞれの時間を過ごすべく、小さな箱庭の中で徘徊する)
(赤茶色の髪とピアスと奇怪な言動で、周囲から倦厭されている契約者は)
(のろのろと立ち上がって教室を出た。今日はなんだかやる気が起きなかった)
(骨董屋で篠笛を買い、その持ち主の記憶に触れてからこの不調は続いている)

くぁ・・・・・・
(のんびりと歩きながら人の群れを避け、すり抜け、昇降口に向かう)
(その途中で、誰か見知った顔を見た気がした。否、正確には、一度だけ契約者としての)
(顔を暴露した相手というべきだったか。名前は確か―――それを確認するべく振り返って)

――おお、牛丼屋――じゃなくて隙屋さんか。
(つかつかと歩み寄って、口元を緩ませ、笑みを浮かべた)
(多分、退屈凌ぎを見つけた子供の顔に近かっただろう)
180隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2008/11/15(土) 22:02:48 ID:CtOKR/wW
ん、今日の授業もこれでおしまい、と。

(学校にいる時間は、実のところ嫌いではない……穏やかに過ごせるから)
(ある意味、人生の清涼剤。お風呂上がりのコーラ。一日の終わりに読む、ドラえもん)
(その時間を充分堪能し、これから私自身の時間へと戻る)
(陽は、黄昏。教科書をバッグに詰め込み、下校の途へつく)

(今日の、これからの時間は、どのように過ごすことになるのか)
(現実というのは、どういう風に進行するかわからない)
(ことに私の場合は、明日の朝までには死んでいるかもしれないことがありえるわけで)
(そういう未来を選らばないために、どう行動するべきか……)

(一緒に戦ってくれる仲間を探して、敵と出会うかもしれない夜の街を彷徨うか?)
(それとも、下宿の部屋で夕食を食べ、テレビを見て、のんびりした時間の続きを貪るか?)

(いつもは、だいたいその二択。だが今日は、第三の選択肢にぶつかった)

……ん? キミは……ああっ!
えっと、えーと、べに……べにぃ……紅鮭、違う、ええと……。

(三十秒経過)

ベニサキ! ベニサキくんじゃないか! 忘れようもないキミとこうして再会できるとはな!

(こちらも、笑顔を久しぶりのトマトヘアーに向ける)
(牛丼屋呼ばわり? 特別に不問にふす)
(ただし、二度目はない)
181紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2008/11/15(土) 22:12:49 ID:9NDtKtB9
(紅鮭と牛丼屋。ランクで言えば後者の方が上だと思う)
(いや、そもそも比較するべき対象なのか、というツッコミはさておき)

くふふ、いやいや。久し振りだぁな。この間は悪かったな。ちょいあの後引き籠りの
空間使いに強制送還された挙句、ボスに二時間耐久で拷問もといおしおき喰らってたもんで。
(あの異層空間での戦いの後、忽然と姿を消したことを詫び、その事情について)
(一通り説明する。理解できるかはまた別問題として、だが)

あのさ、今から時間ある?なんなら少し話とかしない?この間できなかったしさ。
そっちの話にはちょっと興味あるし、そっちの俺らの話聞きたいんだろ?
この間の詫びも籠めて、こっちの本拠地にご招待してもいいし。大丈夫、直ぐに行けるから。
(此処から近いとは言わず、直ぐに行けると言う、その言葉の意味は直ぐに理解できるはずだ)

(クラスメイトたちが珍しそうな視線をぶつけつつ、避ける様にして通り過ぎる)
(珍しい光景だ、とその視線が語っている。クラスで彼が浮いている事実が理解できるだろう)
182隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2008/11/15(土) 22:24:12 ID:CtOKR/wW
……何だか複雑な事情があったようだが……。
ん、まあ、深くは聞かないことにしよう。とにかく、無事な様子で、安心したよ。

(拷問だとかオシオキだとかの部分を、あまりに朗らかに話されたため、少々違和感)

……どうでもいいことだが、そのボスさんって、きれいな女の人とか、そういった……。
いや、何でもない。私は何も聞かなかった……気にしないでくれ。

(そういうことされたがる趣味なのか? とか、一瞬でも疑ってしまった自分を恥じてみる)
(まだ、ろくに話をしてもいない相手の人柄を、そう決め付けてしまうのはよくないことだ)

うん、時間ならある。今日は部活もないし……話なら、私もしたいと思っていた。
知らない世界のことには、何でも興味がある年頃でね……。
ことに、命を救ってくれた相手の話なら、なおさらだ。

本拠……地? ふむ、アジトと言っていいものかな?
なかなかロマンのある単語じゃないか。ふ、ふ、ふ、お茶菓子は期待していいだろうね?

(知らない人が聞けば、ちょっと友達の家に遊びに行く、ぐらいのニュアンス)
(だが、実際は違うかもしれない。先程聞いた、「引きこもりの空間使い」という言葉)
(ミラボー伯爵のような能力者が、彼の仲間にいるとすれば、その場所は……その、行き方は……)

(赤色の派手な男子生徒と、地味なおかっぱの女子生徒)
(周りからは、どのような組み合わせに見えただろう? その上、今からフェードアウトするとなれば?)

じゃ、案内はキミに任せるよ。また、リンクスのお友達に出会ってもまずいし。
暗くならないうちに、行こう?
183紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2008/11/15(土) 22:38:06 ID:9NDtKtB9
正直死ぬかと・・・・・
まーあ、死なない程度に苦しませるのが基本とか。
ん?うちのボスは外見年齢10歳のワンピース着た幼女だな。
くふふ、まーあ、会えばわかるさ。会えば、な。
(ちなみに隙屋量子の妄想はある程度的中していた)
(しかし、その事実が判明するのはもう少し遠い未来のことである)

お菓子くらいはあったと思うけどな。
ちょい待ってくれ。今から連絡するからさ。
あー、ここだと目立つからちょい移動しようぜ。靴履き替えようぜ。
(言って、返事を待たずに踵を返す。流石に人目につく場所での能力の行使は)
(憚られる。周囲にどう思われようと構わないが、それも時と場合による)
(下駄箱で携帯電話を取り出して、登録してある番号に掛ける)

あー、俺俺。俺だよ。あー?今起きた?ち、この駄目人間め。
今から客を招待したいんだけどよ。あ?別にそんなんじゃねぇけどな・・・・・・
うむ?パスタ?おいおい、晩飯にはちと早すぎないか?あ?あー・・・・・
わかった、たらこパスタにしてくれよ、うん、うん・・・・・わかった、じゃあよろしく。

――こっちだ。
(靴を履き替えて、校舎から少し離れる。辿り着いたのは旧校舎前)
(相変わらず不気味な雰囲気を発しており、その地下から得体の知れぬ波動を感じる)
(しかし、旧校舎には用事はない。その入口にぽかりと浮かんだ紅い影。空間使いが使う扉)
(その四角い入口の前で振り返り、手を差し伸べる。ニィっと、不敵な笑みを浮かべる)

さぁて、ようこそ。《虚影会》の本拠地に。契約者と信奉者以外が入るのは、あんたが初めてだ。

(芝居掛かった口調。案外こういうノリが好きな男であり、それが倦厭される理由のひとつである)
184隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2008/11/15(土) 22:50:34 ID:CtOKR/wW
10歳の……ワンピース……幼女……?

(思わず、一歩後ずさりそうになったのは内緒だ)
(うん、まあ、世の中は非常識なものだ、そういう「ボス」もいてもいいだろう)
(……単なる……ボス、だよね……? ちょっと不安が増したり)

とりあえず、お目にかかるのを楽しみにさせてもらうよ……。
というか、会わせてもらえる、という意味かい、それは? これはこれは……。

(案外、大きなチャンスかもしれなかった)
(この赤い男の能力が凄まじいことは、先日の戦闘でよくわかっている)
(そんな能力者の上に立つ「ボス」。興味がなくてどうする)
(運良く、それを味方につけられれば……)

ん、わかった。……ちょっと待っていて……。

(下駄箱で靴を履き替える。背後で、紅裂が携帯で話をしているのが聞こえる)
(会話の内容は、なかなかアットホームだ。こういう「組織」は嫌いじゃない)
(紅裂は、どうやら夕食の内容に注文をつけているようだった)
(たらこスパ、は非常に嬉しい。前回、涙を飲みながら冷凍の安っぽいたらこスパを食べた記憶が蘇る)
(手作りだ♪ 久しぶりに、ひとの手作りのお夕飯だー♪)

(彼に案内されて向かったのは、いろいろ曰くのある旧校舎)
(地下に迷宮があるとか、悪魔や妖怪が住み着いているとか、眉唾物の噂に取り付かれている)
(その入り口に……その噂を、全て笑い飛ばすように……口を開く、「異様」があった)
(赤い、扉のような、スクリーンのような……)

「虎影会」……それが、キミの組織の名か。
ご招待頂き、光栄の極み。エスコートは、よろしく頼むよ?

(彼の手を取り、私は、赤い陰の中に足を、踏み入れた)
185紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2008/11/15(土) 23:03:16 ID:9NDtKtB9
(彼女の手を取って、一歩踏み出す。そこから先は一直線だ)
(紅い影をすり抜ける。空間を転移する。その感覚をどう表現すればいいのか)
(強いて言うなら、短い思索からふと我に返った瞬間に似ている。だがそれも正確ではない)
(気づけば、そこは《虚影会》の居間であった。パチパチと暖炉から薪が燃えている音が響く)
(間接照明によって光度は低く、ゆったりと座れるソファがローテーブルを囲んで)
(並んでいる。契約者たちが寛ぐ時に使うスペースであるが、使用する人間は限られている)
(壁には絵が並んでいる。どれも異端審問会によって世界の表舞台から消し去さられたはずの)
(異端の絵画であり、どれもが悪魔や妖怪、世界の終焉の光景を描いているものばかりだった)

ただいまーって、誰もいないじゃねえか?
ちょっとそこ座っててくれ。おーい、時宮、帰ったぞー!?
(隙屋量子にソファを薦めて、彼は学生服を適当に脱ぎ散らかして床に放る)
(まるで我が家にいるような態度であり、とても悪の組織の本拠地の雰囲気ではない)
(扉を開けて、部屋を出ようとするが――カチャリ、という音が響く)
(気づくとテーブルの上に二人前のたらこスパが置かれている)

『おかえりなさい。随分と可愛い子を連れて来たわね、この腐れ外道。
 その面、当分見せないでこの偏執狂。腹が立つから。皿は流しに漬けておくのよ』

(冷やかな声が虚空から響いて消える。空間使いの少女はご立腹らしい。理由はわからない)
(所在無さそうにボリボリと頭を掻いて、自分もソファに座ることにした。パスタとグラスと水入りピッチャーは)
(キチンと用意されているあたり、あの女の屈折具合も相当なものだと、人のことは言えない戦闘狂は考えた)

なんだぁな。悪い。なんか機嫌悪いみたいよ、アイツ。時宮美也って言ってな。
うちの学校の三年生なんだが、ずっと引き籠ってるんだ。知らない人間がここに来たの見て
腹立てたのかもな。まーあ、それはともかく、これ片付けつつ、話しでもしようや。
(やれやれと肩を竦めて、フォークを片手に掴む)
186隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2008/11/15(土) 23:21:10 ID:CtOKR/wW
(ばちん、と一瞬思索が途切れ、再び復活する)
(それはたとえるなら、明かりを消して、またつけるような、シンプルなイメージだが)
(起きた結果は、空間と時間を飛び越えるという、ある意味桁外れの現象で……)

……ここは、旧校舎の中じゃない、ね。
ふ、ふ、瞬間移動か。初めての経験だ……。非実体化とは違う、貴重な経験をさせてもらったよ。

(部屋の中を見渡す。落ち着いた雰囲気の、なかなかセンスのいい部屋だ)
(高級な婦人雑誌にでも出てきそうな……ヨーロッパの作家とか、こういうところに住んでるかもしれない)
(この照明の当て方、憧れるなぁ。わ。このソファ、大きくていいなぁ。欲しいなぁ)
(絵も……ちょっとばかし凄まじい内容だけど……腕のいい絵描きが描いたのだろう、質は極上だ)

あ、おかまいな……って、おいおいおいおいおいおい……。

(服を脱ぎだす紅裂から、45度ほど視線をそらす)
(この男の普段のクセなのだろうか? 今日は、客が同じ部屋にいるということを意識して欲しい)
(いや……気にしないタイプか。そうか、そうだよな)

(チン、という高い音に、視線をテーブルの上に移動させる)
(いつの間にか、天板の上には、二皿のたらこスパ……さらにグラスと水差しも)
(さっきまでは、確かになかったはずなのに……と、そこで、天から降ってくる声)

(ぶっきらぼうだが、かわいらしい声だった。紅裂くんの「お友達」か)
(く。く。く。歓迎されているのか、いないのか。一応、私には悪意はないと思っておこう)
(私には、ね)

時宮、さんね……その人も、ウチの学校の生徒なのか……。
いやはや、何人面白いのがいるんだか、ウチには。しっかり数えられれば、面倒がないんだが。

(クスクス笑って、私もフォークを取る)
(頂きます、と手を合わせて、くるくるとパスタをフォークに巻きつけ)
(まずは一口)

……ん。おいし。

(思わずほころぶ顔。人の手作り、ということ以上に、普通においしい)

さて、そうそう、話を聞かせてもらえるんだったな。あるいは、私が話すんだったかな?
とりあえず、これを味わいたいからね……最初の話し手は、キミに譲るよ。
どんな話を、聞かせてくれる?
187紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2008/11/15(土) 23:39:27 ID:9NDtKtB9
んぐっ・・・・・ふぅ。アルデンテだな。
料理だけは得意なんだ。アイツ。人付き合いは苦手なんだが。
(フォークに絡めて口に放る。噛む。程よい食感だった)
(ずっと引き籠っているだけあって、練習する時間だけは腐るほどにあるのだ)

俺?ふぅむ・・・・・・何から話せばいいんだかな。
俺は正直説明するの下手なんだが・・・・・・・
(話し手を譲られて、悩む。話題の引き出しには困らないが、何が最適なのかが)
(判別できないし、それをうまく説明する自信もない。暫く皿を突いて思案する)

まず、《虚影会》について話すのが手っ取り早いか。
俺たちは魔王サタンの契約者だ。この間言ったかもしれないけどな。
(キュッと彼の眼が細く尖る。まるで蛇の眼だ)
サタン、ルシファー、万魔の王、万物の敵、地獄の君主、人類を堕落させた蛇・・・・・・
かつての天界において最も神の座に近い場所にいた、我らが君主と仰ぐ至尊の御方。
そして、この世界を破滅させ、生まれ変わらせる神の計画の賛同者であり協力者でもある。
(朗朗と、何かの呪文を唱える様な、強力な言霊が宿った彼の言葉が、室内の温度を下げる)

そして、俺たちはあの方の意志の代行者として選ばれ、契約した。
魔王の律法が敷かれる国、その国から支配する為の権能を俺たちは与えられた。
だから俺たちは契約者と名乗り、あの方の意思に従い行動する。
《虚影会》はその為の組織であり、俺たちはその為にこの世界を――壊す。
(バチンと、一際大きく薪が爆ぜる音が響いた)
(紅裂拓兎の表情には何も宿っておらず、只管に虚無。さっきまでの軽薄さは欠けらもない)
188隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2008/11/15(土) 23:59:15 ID:CtOKR/wW
ん、料理上手だということには、一も二もなく賛成するよ。
これはいいものだ……。麺の触感も、たらこの触感も、ともに生きている。
「ゥんまあぁ〜いッ!」って叫んで、歯が生え変わらないのがおかしいぐらいかな?

(自然な笑みを浮かべ、たらこスパに舌鼓を打つ)
(おいしい食事は、人の心を楽しませ、くつろがせる)
(この一皿をご馳走になれただけでも、今日ここに来た価値はあった)

キミの好きなことを……。
何でもいい、私も、何が知りたいか、よくわかっているわけじゃないから。

(パスタをフォークでくるくるしながら、彼の話に耳を傾ける)
(「虎影会」。サタン。悪魔王との契約……)
(世界の破壊と、生まれ変わり。その代行者……)
(魔王の律法、その国、権能。異能……)
(破壊)

――なるほど。いや、説明下手、という自己評価は、改めていいと思う。
少なくとも、キミのバックグラウンドは、今の説明で想像できた……。
つまりは、世界に対しての……ふ、ふ。こういう言い方が無礼でないといいが……「悪役」なんだね?

(薄ら寒い言葉が、場を支配していたが)
(それは、すでに覚悟していたことだ)
(強力な戦闘用の能力の持ち主で「悪」の思想を持っている。珍しいことではない)
(そして、その役割に対して、彼は真摯であり、真剣だ……この表情のない表情が、その証拠)

――私については、もうある程度知っているかもしれないが。
「星の外からの来訪者」とキミたちが呼んでいた『ザ・リンクス』という存在に、異能を目覚めさせられた。
リンクスの正体は、宇宙を浮遊する隕石で……無数のそれが連絡を取り合って計算を行なう、鉱物機械らしい。
何やら、やたら時間のかかる計算を完遂するために、宇宙が終わっても生存し続ける方法を探して、地球の異能者を
目覚めさせ続けている、という。
私自身の所属はなし。リンクスには、協力していない。自分の使いたいように、能力を使ってきた。
ただ、ヤツと同じように……無限に生きる方法を研究中だ。
キミたちの「世界の破壊」とやらにとって……私の死が、どの程度の優先事項かは知らないが。
少なくとも、無限を実現するまでは死ぬ気はない。それは言っておこう。

……ときに、キミの親玉さんは、悪魔の王らしいが……どの程度生きられる人なのかな?

(フォークを口に入れながら、おたくのおばあさんは長生きですか、と聞くような、さりげない問いかけをした)
189紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2008/11/16(日) 00:17:08 ID:tUgyS14H
四部の料理屋か。
俺も一度でいいからあの料理食ってみたかったがよ。
くふ、あの髪のスタンド使いって、今で言うヤンデレなのかな?
(例の人間賛歌的漫画のことを思い出す)
(ついでに言えば、偏執的な愛情で男の子監禁したスタンド使いのことも)

わかってくれたのか、よかった。
くふふ、もう一度詳しくとか言われたらおじちゃん困ってたよ。
(能面の様な無表情が剥げて、元のふざけた態度の青年に戻る)
まーあ、ぶっちゃけるとそういう事だぁね。強いて訂正するなら゛必要悪゛だが。
そっちにとっては大差はないかも知れんな。例えそれが神の計画の範疇だろうと、
この世界に破滅を齎す者は悪には違いない。生きるってのはそういう事だから。
・・・・・くふふ、人間にとっての悪でも、世界には必要なのさ、俺たちは。
(くるくる、ぱくん。噛む。嚥下する。水を一口。今度は彼女の説明に耳を傾ける)

なるほど、なるほど・・・・・・随分とSFだぁな。ちなみにSFってのは詳しくないんだが。
生命体ではない――いや、微細な生命体、か?なんとも不思議な・・・・・・
(自分たちも人のことは言えた立場ではないのだが、それはそれである)
(人間は自分の常識の範疇でしか物を語れない。彼らもまた人間だという証拠である)
くふ、くふふ・・・・・・問題ない。まるで問題は、ない。俺たちは破滅を齎す為の存在であり
また゛倒されるべき悪゛だ。もし邪魔だと思ったなら遠慮なく俺たちを殺すといい。
そうすれば、人類の封印は解け、新たなる階梯へと進める――進化だ。
(その言葉に偽りはない。死ぬのも、滅ぼされるのも、自分たちの役割なのだと、契約者たちは)
(知っている世界を滅ぼすにしろ、誰かに倒されるにしろ、それもまた神の計画の範疇なのだから)

―――さあ、この何兆回目の宇宙が開闢する以前から存在してるらしいが、な。
どうなんです?ボス?そこんとこ俺も聞きたいんですがね。

『女性に歳を尋ねるものじゃないわ』

(暖炉の椅子に揺られながら、その少女は答えた。いつの間にか、彼女はそこにいた)
(暖炉の方に身体を向け、週刊誌を読み耽りながら。《虚影会》のボス。悪魔王サタンだ)
190隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2008/11/16(日) 00:37:24 ID:4XJwF5qD
あのレストランはある意味、第四部の伝説だからねぇ……。
あれに影響されて、娼婦風スパゲティとか、トマトとチーズのサラダとか作った人が、どれくらいいただろう?
山岸由花子はヤンデレだねぇ。あんな昔にヤンデレを描くんだから、荒木先生もさすがと言わざるを得ない。

(ちなみに、トマトとチーズのサラダは試した派である)

ふむ、必要悪ね。言うなれば、アポトーシス機能かな。
死ぬための機能というわけか……世界の? それ自身老いて、新たな誕生を得るための?
理にはかなっているか……うん、人の手によって、というところが少しアレだが……。
人為的な方が速やかでいい、ということかな。なるほど……。

(彼の言葉に、何度も頷き)
(合間に私も、水を頂く。たらこスパはおいしくて、つるつる入ってしまうが、味が濃い)
(さらりと冷たい水で口の中を流すと、再びスパゲティを新鮮な気持ちで頂ける)

SFだねぇ。魔物とか異能とかと、少しジャンルがずれているな。
たぶん、マルチプリケーション・マシンの類だと思うよ。自己増殖機械ね。
隕石になって、定期的に地球に降りそそいでいるらしいんだが、それじゃいつか無くなっちゃうから。
小惑星とか宇宙塵とかを取り込んで、自分の一部にできる……新陳代謝のある……。
生命と機械のあいの子、いや、植物と鉱物の中間……カーズ様みたいなもんかな。
あくまで想像だが、大きく違ってもいないだろう。

ん。そう言ってくれると、助かるよ。巨視的で、目標が細かくないというのは、ありがたい。
敵対せざるを得ない状況になったら、逃げの一手をかまさせてもらうさ。
私も、私自身が死ななければ、この世界は滅びようと、どうでもいいから。

……進化、か。無限を手に入れた者には、それはどういう意味を持つことになるのか……。

(そこで止まるのか、それとも、不死は一段目であり、更なる進化があり得るのか)
(重要である。不死を得たあとも、私は生きがいを見つけられるのだろうか)

――――――――――ッ。

(紅裂の問いかけに、答える幼い声)
(これまた、たらこスパ同様、いつの間にかそこに存在していた)
(無造作に揺り椅子に揺られ、何か読んでいる。顔は見えないが、体は小さい)

……お邪魔しています。紅裂くんの、保護者の方……ですね。

(自然と低くなる声。緊張を飲み込み、それに声をかけた)
191紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2008/11/16(日) 00:56:25 ID:tUgyS14H
一度作ってもらったが、素材が悪いのかスタンド使いじゃない所為か
劇的な変化はなかったぞ。まーあ当然と言えば当然なんだが。
あれはあれで結構普通に美味しかったけどな。
くふ、ヤンデレの先駆けだったんだな、やっぱり。流石と言うしかない。

いやいや、そういう細かい理屈じゃないんだ。これは神の計画で遊戯。
人類という種が何処まで到達できるのか、それを神は天の上で見て楽しんでのさ。
娯楽、余興・・・・・・あるいは実験かな。あれ、昔あったじゃないか。街を作るゲーム。
あれと同じだ。何十億年単位の、人間からすれば壮大な規模のゲームだが。
俺たちは、内部から人類を攻撃する。それに対抗できれば強くなるし・・・・・
できなければ終了。この星は消滅し、また新しい宇宙が始まる。
これは何兆回も、何京回も、数字というものが無意味になるほど繰り返されてきた、実験だ。
(契約者の語る、この世界の真の姿。この世界は神の遊戯の為の箱庭なのだと、彼は言う)

なるほど・・・・・異物を取り込んで更にカオスを齎しそれすら楽しむ気か。
(彼がふと天井を見上げる。天の上で見物している造物主。それを自分がどう思っているのか)
(わからない。感謝しているのか、迷惑だと思っているのか。愛しているのか憎んでいるのかすら)
くふふ・・・・・まーあいいさ。カーズ様だろうがなんだろうが、この世界に刺激を与える存在なら
俺たちの計画の役に立つ。目覚めた力が俺たちの役に立つ可能性も、ある。
――随分と弱気だな。進化の果てには、もしかしたら造物主と同等の存在になる可能性だって
在り得るんだぜ?或いは神は、その為にこの計画を続けてるのかも知れん。俺の考えだが。
(もしかして、と彼は思う。もしかしたら神は自分の計画を狂わせるほど人類が進化して、自分の)
(想定を遥かに超えた存在になる日を待っているのかも知れない。確証はないのだが・・・・)


『いらっしゃい。こんな恰好で失礼するわ。《虚影会》のボスよ。
 ふふ、お客さんが来たのは初めてだわ。ゆっくりしていってね』

(椅子から離れ、白いワンピースを着た少女が裾を掴んで一礼する)
(ふわふわと揺れるウェーブの掛った亜麻色の髪、幼い表情。邪気が欠けらもない)
(これが悪魔王サタンの姿。幾つかある姿のひとつ。契約者たちの前では常にこの姿をしている)
192隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2008/11/16(日) 01:18:17 ID:4XJwF5qD
ほほう? それはそれは……。
機能ですらないのか。あくまで意志の上に立脚した現象なのか。
ふむ……神のしわざか。相当やりこむタイプのゲームというわけだ……。
ふ、ふ、ふ、前にネットで、宇宙は何者かの実験用シミュレーションであるという理論を見たよ。
誰かが、今現在の宇宙がこうなる風に仕組んだ結果が、現在だという話だそうだ。
それを見た時は、ちょっとしたSFのネタみたいだなと思っていたが……。
ふ、ふ、ふふふふふ、案外、的外れでもなかったんだね?

(神による、人類育成ゲーム)
(ご大層なメモリが必要な遊びだが、神に人間レベルの処理を期待しても詮無かろう)
(そのゲームを繰り返して、今があるというのだ……)
(子供が、スーパーマリオを毎日毎日、一時間ずつプレイしているぐらいの感覚で)
(今は、第五面の三ステージ目といったところかな?)
(創造物世界。予定と、予想と、仮定の上に繰り返されてきた世界)
(通常の神経であれば、少々げんなりする――というか、生きる熱意に冷めそうになる話だ)

(しかし、それは――私にとっては……)

――リンクスの目的は、あくまで計算だ。
それも、効率的な計算だ。
そのために、自分で目覚めさせた異能や、関係のない妖魔を攻撃している。
そのために、何の関係もない一般人は、攻撃から守ろうとしている。
それが、一番計算しやすく……目的を達しやすいから。

(リンクスは、神のような力を持ってはいるが、神ではない)
(そこにヤツの意志はない……近道を選んでいるだけ)
(楽しみも、悪意も、ない。それは、間違いない)

ふむ。キミたちの役に立つ可能性は、大いにある。もっとも、ヤツが被害を出すのは、異能者限定だが。
――いや、被害が出てるかどうかも、怪しいな……。少し思うところがあるが、まあいいや。

ん。それは、私も思っていたよ。
無限の命に達すれば、それはある意味、生物というくくりからランクアップすることだから。
神が、どう思っているのかは分からないが……私は、少なくとも、私の計画通りに動ければ、いいのさ。

(そして、そうなれば、神のゲームは終わるだろう)
(リセットできないゲームを、誰がゲームと呼ぶだろうか)

(そして――私は「それ」と、対面する光栄に浴する権利を得られた)

――恐れ入ります。

(あどけない少女に、私は頭を垂れた)
(美しい……人形のように、美しい)
(正直、お持ち帰りしたいが、自重する……雰囲気と、本能的な恐怖とで)

ひとつだけ、お聞きしてもかまいませんか。
今しがた、彼が……紅裂くんが……あなたは「何兆回目の宇宙が開闢する以前から存在してる」と、言いました。
それは、真実ですか? というか……。
「宇宙は、生まれて滅びてを繰り返している」と認識して、間違いでないのでしょうか?
ぜひ、お聞きしたい……非常に、重要なことなのです。

(すがるような、真剣な目で……私は少女に問うた)
193紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2008/11/16(日) 01:39:47 ID:tUgyS14H
永遠の存在になることが目的で、永遠の存在になって永遠に計算を続ける
ことが目的の根底にある、か・・・・・・なーんか何処か破綻して気が。
まーあ、派生段階から異なる生命体の思考回路を人間の常識の範疇で
語るのも馬鹿らしいっていうか、不毛っていうか・・・・・・・・
(頭の痛い話だった。だが、どの道それも関係のない話である)
(会の方針としては、別段利益も損害もない『ザ・リンクス』の目的)
(ならば下手に関わらないという方針は、あながち間違いではないのかもしれない)
(彼個人としては、更にどうでもいい話だ。もし生み出された異能者たちの内に己の)
(望む強者が存在するとしたなら・・・・・・可能ならその者と刃を交えてみたかった)

(そして、彼はここから傍観者に徹する。サタンと言葉を交わす隙屋量子)

『どちらも間違いではないわよ。この宇宙が何回目の宇宙かは、数えるだけ無駄だけど。
 私はサタン。そしてかつてはルシフェルと呼ばれた存在。神の計画の忠実なる実行者。
 人間がどのように進化するのか。人間は何処まで到達できるのか。ずっとずっと昔から人間の
 中に紛れて観察している。時には刺激を与えて、光と闇、勇者と魔物の戦いを演出し、そして
 人の子がどのように逞しく成長するのかを楽しみに見てたわ。最近はマンネリ気味だけど』

(クスクスと少女は笑う。マンネリと言ってはいるが、それは出来の悪い子ほど可愛いと言っている)
(母親のようなニュアンスのある、そんな発言だった。ふわふわとした歩みでテーブルに近づいて)
(拓兎の皿に手を伸ばして――それをフォークが阻止する。「横取り禁止」「ちぇっ、つまらないの」)
(「それより、あの本後で読ませてくれ」「いいけど、もう少し待ってなさい」「言いつつ取るなっ!)
(手掴みで食うな!」「んふふ、美味しい♪」などど、仲の良い兄妹のようなやり取りを繰り広げている)

『ああ、言っておくけど、私の言っている事が正しいという保証はどこにもないわよ?
 悪魔は甘言を弄し、人を騙し、陥れる。その王様が本当のことを言うって、貴方は信じられるのかしら?』

(クスクスと、あくまで邪気のない笑みを浮かべ、口元に拳をあてて晴れやかに笑う)
194隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2008/11/16(日) 02:01:29 ID:4XJwF5qD
(サタンの言葉は、思いのほか柔らかい)
(人間が想像する悪魔の恐ろしさは、その姿、物腰からはほとんど感じられない)
(私がそれを感じるとするなら……それは先入観と)
(あるいは、彼女が私に、それを感じることを「許した」場合のみであろう)
(とりあえず、今の状態はありがたい。それなりの思考力を維持して、相手に質問できるのは)

そう……あなたは何万回も宇宙が生まれ変わる間を生き、宇宙も何万回も生まれ変わって存在している……。
ああ、そうか……共犯者なのですね、あなたは……。
原初の海に落ちる雷のようなもの……刺すことによって変化を与える、神の槍……。

(自然な敬意から、彼女の前に膝をつく)
(私は、彼女の組織に属してはいないが、なるほど、他者の上に立つべくして立っている存在だ)
(私が、目的もなく生きている者だったら……今この瞬間に、彼女に忠誠を誓っていたかもしれない)

(その、尊敬に値するナニカは、紅裂とパスタを争って闘争を始めた)
(伸びる手。阻むフォーク。なんでもない会話。そして再び伸ばされる手……)
(これなんてサザエさん? とでも言いたくなる、平和な光景)
(とても、世界を攻撃する組織のボスと、その部下には見えない)

(だが、そう見せられるからこそ、このふたりは悪の眷属なのだろう)

(とりあえず、私の分のパスタは死守して、ふたりがじゃれている間に、完食してしまう)

(そして、トドメに水をくいっと飲んで、ノドを潤すと……)

――――ユーレカ! 我は知り得たり!

(一声叫んで、天井を仰いだ)

ありがとう、サタン様……あなたのお言葉で、めどがつきました。
無限へ至る方法が、どうやら見つかったようです……きっとうまくいく……。
あとは、実現させるだけだ……いや、やり方さえわかれば……リンクスなら、もう実現可能なはず……。
仲間が要る……いくつもの条件を満たすために、特定の能力を持った、仲間が……。

(興奮に頬を赤くして、恍惚とした表情で呟く)
(夢の実現が目の前にぶら下がった、それは――下品な言い方だが――性的な快感にも近く)
(トリップしかけていたとしても、ちっとも不思議ではなかったはずだ……が)

…………って、え?

(真実という保証がない、という言葉に、きょとんとした表情になって)
(直後、がっくりと肩を落とした)

そ、そうですよね……悪魔、ですものね……。
いえ、でも、大いに参考にはなりました。こちらでも、検証する必要がありますが。
……もしかしたら、人間の生物を超える進化を、私の代で実現してごらんに入れられるかもしれません。

(気を取り直したように、立ち上がり、胸を張る)
(失望しかけたが、希望は確かに、胸の中に芽生えた)
195紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2008/11/16(日) 02:25:59 ID:tUgyS14H
『そういう事。私と神は竹馬の友なのよ。探偵役と犯人役が共犯ならどんな事件でも
 でっちあげられる。私たちはずっとずっとそれを繰り返している。神は自分の定めた
 遊戯の絶対律を破らない。私はあらゆる災厄を齎し、そして神は救世主を出現させる。
 善は悪を打ち破り、世界には平和と希望という名の種がばら撒かれる』

(物凄い、というか、素人には何をしているのかわからない攻防を繰り広げつつ)
(魔王の中の魔王と呼ばれる存在は言った。攻撃しているのは専らサタンの方であり)
(拓兎はパスタを死守するのに精一杯だった。格から考えれば攻防が成立するはずもないが)
(「ふんぬ!」「無駄無駄無駄!」「時を止めるなチート過ぎる!あー!もう無いしっ!」)
(「ごちになりやした!」「盗人猛々しいとはこのことだぁ!」なんとも牧歌的な光景である)

『ふふ、その意気その意気。神の奇跡でもなく、悪魔の誘惑でもなく。
 自分自身の確固たる意志を持って自分の道を決める。
 それこそが、私や神が人の子に期待したものよ。
 待っているわ、愛しい愛しい私の妹。いずれ私たちの想像を超える日を。
 もしその日が来るのなら、喜んで私は゛倒されるべき悪゛を演じ続けるわ』

(神は天使の次に人間を作った。つまり、かつては天使だったサタンにとって、人間は弟であり)
(妹である。そして、この姉とも言うべき存在は、人間を愛していた。かつて天の三分の一を率いて)
(神に反乱したという伝説すら、突き詰めるなら゛人間に倒されるべき悪゛として必要だった行為なのだ)
(サタンは人間を愛している。それこそ神の様な寛容さで。そしてサタンは愛しながらも人類を破滅へと)
(導く計画を練っている。契約者たる紅裂拓兎らの存在が、その最たる証拠であった)


『さて、そろそろお開きにしましょうか。拓ちゃん。隙屋さんを送ってあげなさい』
や、何でさ?時宮に送ってもらえば一瞬でごふはっ!?
(パスタを略奪された拓兎は、天井に叩きつけられ、床に叩きつけられた)
『本当に困った子ねー、拓ちゃんは。後で美也ちゃんに謝りなさいよ』
ぐふっ・・・・り、理不尽だ・・・・いつもより更に理不尽・・・・・だっ・・・・・

(蠅のように叩き潰された拓兎は、それでもボスの命令には逆らえないらしく)
(部屋の隅に放置していた紅い革ジャンを羽織る。時計を確認すると、結構な時間が経過していた)

行こうぜ。近くまで送っていくぐらいはするからよ。
196隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2008/11/16(日) 02:46:00 ID:4XJwF5qD
ふ、ふ、ふ。何かのミステリで聞いたことがありますね、その言葉。
く。世の中、そういうものかもしれませんね。
そっちは確か、探偵と犯人と、被害者が共犯でしたが。神なら、より少ない要素でも可能か……。

(悪魔の言葉に、くすくすと笑みを漏らしながら)
(紅裂と、悪魔王との攻防を見守る)
(時間が吹っ飛んだように流れがつかめないこともあったが、一方的にサタン優勢のようだった)
(いつしか、紅裂のパスタはちゅるーんとなくなってしまっていたが、私には同情しかできない)
(なぜなら、私のパスタも、すでになくなっていたから)

ふむ。そのためのご意見を、当のゲームのボスキャラに聞いてしまうあたり、反則っぽい気はしましたがね。
この反則が、あとに響かなければいいですが……。
ええ、心にとどめておきましょう。あなたのようなかわいらしい姉のお望みなら、叶えるにしくはありません。

(この世界の敵に、どうにも敵意が抱けないのは、魔王の力が精神に影響を与えているのだろうか)
(それとも、ゲームのルールから外れて、ざっくばらんに話をしているからだろうか)
(後者だからと思いたい。彼女の話す理由は、リンクスの理由よりわかりやすい)
(彼女は、千尋の谷から子を突き落とすライオンか。それとも、永遠にただの虐殺者か)
(それは、私たちがどのような「抵抗」を見せられるかで決まるのだ)
(彼女の話を信じるなら、だが)

(突然、がん、ごんと天井、床の間を往復した紅裂を見やり、苦笑して)
(ご馳走様でしたと、天井に向かって声をかけた)
(時宮さんは、この言葉を聞いてくれただろうか)
(また機会があれば、彼女の料理をまた頂きたいものだ)

ん、じゃあ、送ってもらおうかな。狼は禁止だよ?

(くすくすとからかうように言って、紅裂の赤いジャケットの背中についていく)
(去り際に、サタンにぺこりと頭を下げて)

――お邪魔しました。

(……部屋を出る前に、私は紅裂に聞いてみた)

ねえ。キミは世界を滅ぼすという。あの、かわいらしいご主人様も、同様だ。
あの人は世界が終わっても生き続けるだろうが……キミは、どうなるんだ?
世界が終われば、普通の人間は当然、生きていけない……。ともに、散る覚悟なの?
197紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2008/11/16(日) 03:07:04 ID:tUgyS14H
(部屋を出て、暗い通路を歩く。左右にはやはり絵画が配置されている)
(ただ、それは肖像画が大半であり、どちらかというと素人の作品に見える)
(やがて照明の当たる部分に出てから、彼は質問に答える)

くふ。まーさーか、俺の心配でもしてるのか?
ボスも言ってただろう、俺たちは倒されるべき悪役なんだって。
俺を倒すのがもし正義の味方なら――最高じゃないか。
俺の、この無価値な命にも、人類の礎となるって価値が見いだせる。
(その顔に悲壮感はない。その声に悲しみはない)
(ただ生きるだけ生き、暴れるだけ暴れ、そしていつか倒される日を待っている)
(この戦闘狂は、それだけの存在である。永遠より終焉を求めているのだ)

そう、俺たちはその為の駒。生き残ることなんざ考えたこともない。
俺たちは魔王の権能を勝手気ままに振舞った代償を、いずれ支払うだろうよ。
(ふと、立ち止まる。紅裂拓兎の肖像画が飾られた箇所である)
・・・・・けどまあ――その前に、あれだ。やれたいことがもう少しあったな。
食玩を揃えるとか、気になる漫画やラノベを完結まで読むとか。
あーとーは・・・・・・恋のひとつでもしておきたかったかもな。
まーあ、どの道直ぐに終わる。その為の準備は始まっている。
そろそろ因子も揃う頃だろうし、一夜限りの祀りは――もう直ぐ開演だ。
(暫く、自分の絵を見て、再び歩き出す。そして少し広いスペースに出る)
(出入口の扉を開ける。外は既に闇色に染まっていた)

さっきの話だが、ボスはあんたに言ってないことがある。聞かなかったからな。
以前の、何万回目かは知らないが、人類が今より高度な文明を築いた時もあったそうだ。
或いは、魔術と科学が融合した、世界との調和のとれた理想に近い世界も。
そして人類自体もかなり高位の階梯まで、霊的にも肉体的にも進化した時があったらしい。
(闇色の世界で語られる、以前の世界の話。寒風に身を晒し震えながらも夜空を見上げる)
(無慈悲に女王が、その冷たくも美しい姿を晒している。満月の夜だった)

だが、全ては滅んだ。契約者たちが滅ぼした世界もあれば、自らの傲慢さ故に自滅に近い
形で滅んだ世界もある。くふふ・・・・・・壮大過ぎて、実感することのできぬ与太話だがな・・・・・
なあ?永遠を求めるたり、理想郷を求めるより、誰かと過ごす刹那の方が大事だと思わないか?
俺は、時々そう思う。あんたの目的を否定するつもりじゃないけどな。
何より、俺は誰かと過ごす権利を自分から放棄しちまったから・・・・・・・
(最後の台詞を吐いた時だけ、ほんの少しだけ、彼は悲しそうに言った)
198隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2008/11/16(日) 03:40:00 ID:4XJwF5qD
(無数の肖像画に見下ろされて、私たちは歩く)

心配をしているか? ま、そうだな。キミは数少ない、私の同類だ。人を一歩踏み越えた、な。
贔屓目というものは、誰にでもある。私は、友達は大事にしたい方なんだ。
……そうか。それがキミの望みであり、使命なんだな。

(彼の答えに、少しだけ寂しげに目を細める)
(しかし、実に彼らしい、とも思う)
(永遠の灰色より、一瞬の虹の方が美しいと思うタイプか。……王ドロボウJINGは読んでるかな?)

ま、そういう生き方もあろうさ。
支払うものと得るものを理解しての取り引きなら、それは正当だ。私は口を出さない。

(見上げると、面白いものを見つけた)
(なんと、この紅裂の肖像画だ)
(赤い髪の少年は、絵になると、ふふ、ちょっと安っぽかったが、これはこれで前衛的かもしれない)

ああ、それは、誰でも考えるさ。
私も、デスノートが最終回を迎えるまでは死ねないと思っていたし、今はスティール・ボール・ランが終わるまでは
死ねないだ……。そのあとはなんだろうな? たぶん無限に、生きたい理由は続く。そんなもんさ、生者というのは。
恋、ね? く、ふ、ふ。それはまた、ずいぶんと高望みをしたね?
人間を踏み越えた者が、果たしてただの人間と恋ができるかね? それに関しては、諦めた方がいいかもしれないよ。

(実際、私がそうなのだ)
(人間を踏み越えてしまったから。本当の自分を知らない、知らせられない普通の人とは、マトモに交流ができない)
(よくしゃべる友人はいる。部活にも入っている。人間関係も、わりと広い)
(だが、心の底を打ち明けられる、真の仲間はいない)
(だから、欲しいのだ。真の友人が。同じ立場の、人を踏み越えた友人が)

……ふむ? 祭り……?

(不穏当な意味であろうことは、すぐに察せた)
(ただ、それは私にとって、問題ではない。――ただ気になるのは、因子が揃うという言葉)
(仲間が集まるということか? 人を踏み越える契約をした、彼の仲間が?)
(あえて、聞かずにおくが……気にはなった)

【長すぎてはじかれたから、二回に分けるね】
199隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2008/11/16(日) 03:42:39 ID:4XJwF5qD
(外に出ると、夜の冷たい風が、ぞっと腕や顔を冷やした)
(黄昏を過ぎた夜の下、私は反射的に身を縮めて)

ふん? それは……実にいいな。
実例がある、というのは、すごくいい……。
いやいや……与太じゃない、信じるよ。きっと、そういうことはあったんだ。
そうでないと、むしろおかしいから。何万の宇宙の中で、私たちしか進化しないなんて、あり得ないからね?
しかし、滅びたのか? そこまでしながら?
だとしたら、それはひとつとして、不死には到達していなかったというだけのことだ。
私が望むのは、唯一、数学的な不死だ。グレッグ・イーガンの書いた、不死の定義を教えてあげよう。
「死なないこと。以上」。

(歌うようにそう言って、私は紅裂に笑顔を向けた)

なあ、なあ。紅裂。キミは、世界の敵を名乗るにしては、律儀で、誠実すぎる。
私は、残念ながら、もっと欲に凝り固まった女だぞ?
無限を生きたい。理想郷に生きたい。誰か大切な人と、その永遠を生きたい。
お金も欲しい。おしゃれもしたい。おいしいものも食べたい。エトセトラエトセトラ。
何かを得て、何かを諦めるなんて、そんなのは正直者のすることだ。
私はね……「全部欲しい」のさ。
力を得ても、代償なんか踏み倒す。逃げ切る自信があれば、支払いなんかしやしない。
キミが、永遠を生きたいと言うなら……私は、キミをそこに連れて行ってもいいと思っていた。

(歩く。そして、私の下宿が見えてくる)

今日はありがとう、紅裂。とても楽しかった。
料理はおいしいし、キミのご主人様も可愛かった。そして……キミと話をした時間も……。
また、こういう機会が欲しいな、我が友。……終わっては……機会はなくなるぞ?

(別れ際、笑いかけて……私はこつんと、彼の胸に拳を当てた)
(この変な男に、友人としての好感を込めて)

【とりあえず、こんな感じで締めようかと思うけど、どうかな?】
200紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2008/11/16(日) 04:21:29 ID:tUgyS14H
へぇ、なーるほどね。それはありがたいことだぁな。
(くくくと、低く笑う。同類、友人。迂縁で無縁な言葉だった)
生きてるだけで価値がある、なんてお題目は俺には必要ない。
要するに俺は、俺が満足できればそれでいいんだ。
それこそが俺自身の生きる意味で、生きる価値だ。
くふ、まーあ、だらだらと生きるより派手に散るのが悪の華というものだ。
(命の使い方、生きる道、それらを決めただけだ。別段、特別なことではない)
(ただ、それが誰からも賞賛されないやり方だったというだけで。けれど、これはサタンの誘惑)
(とは関係のない、彼自身の明確なる彼の意思である。他の契約者がどうなのかまでは知らない)

デスノート・・・・・漫画喫茶で読んだな、アレは。
もうラスト周辺はぐだぐだだったが・・・・・・そこそこ面白かったな。
まーあ、人間の欲望に際限はない。それこそが人の原動力だから。
知恵の実は知性と感受性と雑多な欲望を与えた。これも神の計画通り。
だが、本能的な欲求――愛されたいって本能は消えなかった。面倒なことに。
(或いは、それも欲望のひとつで、生きる原動力なのだろう。魂が訴える愛されたいという声に)
(ある意味で人を逸脱した精神性を持つ彼のような人間ですら、時折苛まれる時があるのだ)
(奇人と呼ばれ、変人と呼ばれ、周囲から倦厭されようと、原始的な魂の欲求は消せない)

――この世界で、死ななかったものはいない。
誰も永遠に生きない。誰も永遠に待たない。誰も永遠に愛さない。
「死なないこと、以上」か。シンプルで美しい答えだが、誰もそれを遂げたことはない。
錬金術、賢者の石、仙人・・・・・・どれだけ繰り返されてきたんだか、そんな試みは。
まーあ、それもまた神が人類に与えた、パズルのひとつなのかも知れない。
(あくまで傍観者の立場で、彼は言った。彼は永遠を望まない。一人で過ごす永遠など待て余す)

全てを掴んでいるはずの神が、こんな遊戯を繰り返してること考えれば――
あんまり羨ましいとも思えないけどな、その話は。それに――俺は世界の敵で、倒されるべき悪だ。
こんな役割はそうそう放棄できんよ。俺があんたを愛したなら、話は別だが、な。
(それは有り得ない前提。誰かをまっすぐに愛せるのなら、契約者などになっていない)
(愛した姉を犯し殺した自分に、誰かを愛せるはずもない。誰かに愛されたいと願いながらも)


――終わりがあるから、その時間は価値がある。
恋人も友人も永遠の愛を誓った夫婦も、いずれは別れる。
だがそれは゛悪いこと゛じゃない。゛悪いこと゛じゃないはずなんだ。
誰かとの出会いは別れの始まりだ。そして終わりは始まりへの合図。
終わりを恐れるのは、次の始まりを信じられないから。
けど俺はもう知っている。誰かの生も死も、次の世界に捧げられし供物。
だから何も恐れることはない――だが・・・・・ありがとう。その言葉は受け取っておく。
(自分を友と呼ぶ、永遠を求める少女の拳が軽く胸に当たる)
(なら、自分はどうするべきか。その言葉と気持ちを受け取った上でできることは――)

隙屋量子――多分、あんたが俺にとっての、最後の友達だ。じゃあ、おやすみ・・・・・・
(軽く手を伸ばして、その頬に触れて、離す。踵を返して、月明かりに照らされる道を往く)
(そして再び珪素の支配者は、自分の道を歩き出す。狂気と孤独と使命を抱えて)

【うーむ、出したい設定これで全部消化できた。ありがとう、いや本当に】
【こんな時間までありがとうな。懲りてなければまたよろしく頼む。おやすみなさい)
201隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2008/11/16(日) 04:26:08 ID:4XJwF5qD
【見届けたー。本当は、順番的に私が〆るべきなんだろうが……】
【いや、こちらこそありがとう。時間をかけた分、楽しかった】
【ん、おやすみ。また会えたらいいね? ふ。ふ。ふ。ノシノシ】

【じゃ、スレをお返しするよ】
202島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/18(火) 21:18:38 ID:OZ/Npy+U
【スレをお借りします】

(もしかしたら、自分はとんでもなく恥ずかしいことを口にしてしまったのかもしれない)
(しかしそれが何故恥ずかしいのか、どうしてそんなことを言ってしまったのか、分からない)
…………ずっと、いっしょ、に……
(塊のような熱さと、痺れのような、むず痒さのような感覚が全身に走る)
(頭がぼぅっとして、けれどそれが、妙に心地よくて)
(そしてそれが「泣いてしまいそうなくらい」の喜びだと気付くのに、そう時間はかからなかった)
……すごく、うれしいです、わたし……ありがとう、しょーたろーさん。
(この気持ちを返すには、やはりこの言葉しか見つからなくて)
(眩しいものを見るように目を細めて、告げる)
(その時、六花の「心」の底の底で、小さな何か――否、「大きな何か」のほんの一端が)
(僅かに引っかかっていたけれど)
(その存在を、気にも留めなかった)

……む。しょーたろーさんの、意地悪。
(文句を言うようで、けれど顔は笑っていて。慌てている彼を見ているのも、楽しかった)
しょーたろーさんこそ、慌てすぎ、なのですよ。
でもわたしも、ほんとうに、良かった。
(くすりと笑って、頷く)

そ、そうなのですっ。
……ん、おねがいします。
(待っている時間が、とてつもなく長く、感じられて)
(頭の中は、「ぐちゃっ」としたままちかちかと、明滅している)
………………。
(所在なげに指を動かしながら、ただ、待つしかなかった)

じゃあ、これとこれと……買い、ます。
(差し出された中からいくつか選び取って、荷物を纏めると、レジへ向かう)
(財布からではなく、紙袋から直接現金を出すとぎょっとされたものの)
(滞りなく、支払いを済ませることができた)
ほんとうに、あ、ありがとう、ございましたっ。
(膝に付きそうなくらいに深く頭を下げて、彼に続いて店を出た)
(久々に履く、スカートにブーツ)
(冷えた空気が、火照った肌を冷ましてくれる)
(ほんの少し前を行く彼の横顔をちらっと見て)
……ん。
(頬が弛むのを抑えられなかった)

【では、よろしくおねがいします(ぺこり)】
203御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/18(火) 22:12:42 ID:8c7w9exn
わっ あ……そんな。
(自分のものではなく、六花の声音で反芻された言葉が耳に届くと)
(その発言が告白のように聞こえ、オーバーヒート寸前にまで陥る)
(六花はとても可愛らしく目を細めて、感謝の言葉を伝えてくれて)
(その表情には、ほんの少し「泣き出しそうな」要素が混じっていて)
(こんな状況では冷静になれというのが無理な話だった)
ううん、六花が嬉しいって言ってくれたら僕も幸せだよー。
これからもこうして、一緒に笑顔になれるんだから。
(けれど、ずっと一緒にという言葉を曲げたり取り消したりはしたくない)
(それが沸騰した頭から出てきた、どんなに恥ずかしいものであろうとも)
(六花への感謝も、一緒にいることで感じる幸福感も真実なのだから)

い、いや。意地悪いうつもりは全然なくってね?
だから……様子も……う。
(浮かべられた表情が、穏やかなものだとはわかっていても)
(自らの失言……失言なのかな。それすら判断できない)
(ともかく、慌てる六花が可愛くて萌えなんて言い直したら)
(完全に脳みそが焼け焦げる。自殺行為だ、もう自爆テロだ)
(ただ、幸せそうな六花を見てこくりこくりと頷くのが精一杯で)

(二人一緒に丁寧すぎるお辞儀をして店から外へと踏み出し)
(冷たい秋の風に触れるまで、その状態は戻ってくれなかった)
(ゲーム、コミック、小説にラノベ、アニメ、ドラマCD)
(いろんなメディアで様々な甘酸っぱい場面を見てきたのに)
(今日の御木本正太郎は、いったいどうしたというのだろう)
ん、あ……。
(やや遅まきながら前を歩いていたことに気づき、歩調を緩める)
(けれど、横並びになることすらなんだか恥ずかしくなってきた)
(ぶんっと一回だけ首を振って、まだ残っている熱気を追い出す)
(そうだ、ゲームの中で慣れたんじゃなくてゲームのやり過ぎなんだ)
(恋愛シミュレーションと混ざって、変な風に意識してしまうのだろう)

とー、寒くはないかな?
冷えてなかったら、帰る前に近くの公園寄ってかない?
ちょっと大きめでねー、アスレチックとかあって面白いの。
(目的地のない歩行と終着点のない思考を終わらせようと、そう提案した)

【同じくスレッドをお借りします】
【ごめんね六花、改行制限にはじかれてずいぶん遅くなっちゃった】
【今日もよろしくお願いします(ぺこり)】
204島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/18(火) 22:35:16 ID:OZ/Npy+U
(抜けるような、青空と白い雲)
(そこに街路樹の赤や黄色が鮮やかに映えて)
(とても、気分がいい)
(いつの間にか、僅かに前にいた彼は、六花の真横に来てくれていて)
………………、と。
(ちゃんと前を見て歩かないと、と、思い直す)
(それでもやはり、意識はそちらに向かってしまう)
(どこへ歩いているのか、考える余裕すらない)

ん、だいじょうぶ、ですよ。
これも、ありますし。
(再び巻き直していた借り物のマフラーに、触れて笑う)
(これがなくとも、寒くはない。けれど、「あったかい」)
……あ、と、公園?
(不意に提案を切り出されて、きょとん、としてしまう)
(けれど、彼が言ってくれているのだ。楽しいに違いない)
はいっ、行ってみたい、ですっ。
(期待に胸を膨らませ、六花はうんうんと頷いた)
205御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/18(火) 23:05:12 ID:8c7w9exn
よーし、じゃあちょっとだけ寄り道だねー。
実はあの公園……いや、これは着いてからのお楽しみか。
いやはあ、マフラーもお役に立ったようで何よりー。
(行き先が決まり、頭が冷えるとやっと辺りを見渡す余裕ができた)
(大空を見ていると、縮こまっていた思考がようやく元に戻る)
(――目の前女の子の存在感は、まったく小さくならなかったけど)
(むしろ、マフラーを喜んでくれた温かな表情が頭から離れない)

そういえば、荷物ずいぶん増えちゃったよね。
公園までちょっとあるし、ジャージの袋とか持つよー?
(出かける時から心配していた事が、頭の片隅に残っていたらしく)
(ジャージ、まだ六花が袖を通していないものを無意識のうちに指名する)
(思考能力のほうは、何度か合ったような気がする視線とその意味に)
(そして、繰り返される「これはゲームじゃない」という忠告に割かれた)

(見えてきた公園は、ところどころ紅葉の混じった木々に囲まれていた)
(設置されている遊具は大はしゃぎできるターザンロープやネットから)
(軽く楽しめる切り株渡りやバネつきの椅子までと訪れる人を選ばない)
(並木道を散歩してもいいし、真ん中の小さな池では水切りで遊べる)
(どうやったら一番楽しんでもらえるかなと、考えるだけでも幸せだった)
206島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/18(火) 23:26:53 ID:OZ/Npy+U
はい、寄り道、なのです。
ん、なんですかー?……と、聞かないほうが、良いのでしょうか。
きっとすぐ、分かりますし……
(なんだろう。どんな楽しいものが、待っているのだろう)
(足取りは、軽くなるばかり)
ふふ、さすがしょーたろーさんの、ものなのです。
(両手の指先で柔らかな布地を押さえて、また、頬が弛む)

……へ、あ、ぁ、だ、だいじょうぶ、ですよっ!?
(思いきり目が合ってしまい、続けて言われた言葉に)
(立ち止まって、手を振る)
(――分かり易いくらいに、挙動不審になってしまった)
(けれど、自然に差し出された手を、その厚意を断るのも、申し訳なくて)
……あぅ、う……じゃあ、こ、これ、おねがいします。
(頭を下げて、おずおずと袋を差し出した)

……わ、そこ、ですか?
(前方から聞こえてきた歓声に、我に返って顔を上げる)
(その先に見えたのは、色とりどりの木々が並ぶ、広場)
(大小いくつかの遊具に、休日だからか、家族連れで遊ぶ人たちも見える)
(いかにも、楽しそうな場所だった)
207御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/18(火) 23:56:06 ID:8c7w9exn
そだね、楽しみを後に取っておくのもいいものだよん?
一通り回って、ベンチで休むくらいになったらわかるからー。
(すぐ、ではないもののいずれわかるとは伝えておく)
(素敵なものを待つ時間、というのも楽しいだろうから)
あは、そう言ってくれるならなんだって貸しちゃうよー。
(もっとも、御木本正太郎は何も待たなくても幸せだった)
(愛らしい笑顔の一部を、自身の所有物が構成しているなんて)

あ、ああ。うん。
これくらいなんともないし、ぼ、僕も大丈夫だからっ
(六花が慌てると、連鎖反応を起こしてこちらもつっかえてしまう)
(彼女が恥ずかしがっているという事実だけでも心臓が暴れるし)
(そんなばたばたした自分を見られるというのも、また耐え難くて)
(紙袋を持つ手は震え、また作品の世界で見た光景が浮かんでくる)
(落ち着け御木本、ここは恋愛ゲームの中じゃないんだってば)

そーだよー、ちっちゃい子からご老人まで集まってるから。
(無限ループに陥りかけた自分を救ったのは、子供たちの歓声だった)
(そのはしゃぎっぷりに感謝しつつ、深呼吸をして落ち着きを取り戻す)
(さっきいいそびれたこと、きちんと伝えたかったから)

えっとさ、このジャージだけじゃなくってこれからも……。
六花は自分の荷物も、他人の荷物も持ちたがるんだろうけどー。
それがどんなに軽いものでも、たまには正ちゃんにも分けてねん?
(入り口をくぐると、木々が吸い取っていた声が直接届いてくる)
(かき消されないように、羞恥心に負けないようにしっかり声を出すと)
(六花の反応を待たないまま、公園の中央へと足を向けた)
よーしと、お楽しみの前に水切りで勝負してみるう?
六花はやったことあるかなー。
208島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/19(水) 00:34:07 ID:BAAPuDO5
わ、分かりましたっ。楽しみに、してますね。
(それが分かるのは、少し先のよう)
(けれど、その時が来るまでも、たくさんの違う発見をさせてくれるのだろう)
(待つのは苦でも、なんでもない。寧ろ、正反対だ)
これだけで、十分、なのですよ。
ぬくぬくで、ぽかぽかなのです。
(きっと、「何でも」では、駄目なのだ)
(このくらいが。六花には、ちょうどいい)
(モノなんてなくとも、既に暖かいのだから)

あぅ、ありがとう、ございます……ね。
(本当は、持って貰う必要など、なかった)
(ゴーレムたる六花には、彼よりよほど体力も腕力もある)
(けれど、そういう問題でもなく)
(ただ、「優しくしてくれた」という、そのことだけに)
(六花は、ただ喜びを感じる)

「いこいの場」、と、いうものですねっ。
(平和で賑やかな空気につられて、思わず声のトーンが上がる)
(少し背伸びして、より遠くを見ようとして)

…………え?
(六花の抱えるもの。自分のこと。創造主のこと。色んなひとを、守りたいという願い)
(今だって十分すぎるくらい、支えてもらっているくらいなのに)
(それでもまだ、六花のために)
……だったら。しょーたろーさん。
わたしにも、あなたの荷物、すこしでも……すこしでいいから、分けて、ください。
(一緒に過ごしても。自分は聞いて貰うばかりで、彼自身の背負うものは、知らないに等しい)
(六花の前では、いつも笑っていてくれるけれど)
(せめて必要な時には、役に立ちたい)
(そんな思いを込めて、彼の背中に、はっきりと告げた)
えと、水切りって、石投げて何回跳ねるかって、やつですよね。
いえ、やったことは、ないです。テレビで、名人ってひとがすごいのは、見たことありますけれど。
ん、しょーたろーさんは、おじょうずなのですか?
209御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/19(水) 01:18:39 ID:Qb9OLX0B
あはは、ついねー。六花といるとお世話スイッチが入っちゃって。
そかそかー、編み目がきっちりしてるでしょー。それ。
(こうして喜んでもらえるなんて、大事にしててよかった)
(自身も冬にはお世話になるマフラーに、心の中で感謝する)
(六花だけでなく、御木本の心もぽかぽかにしてくれたのだから)

そーゆーこと。みんなが笑顔になれる場所、だね。
慌てなくても公園は逃げないから、ゆっくり楽しもう?
(伸び上がる六花を見て、小さく笑みを漏らしつつ頷く)
(頭を撫でたいという衝動に駆られたのは秘密にしておこう)

(そうして温もりや笑顔を分け与えてくれる大切な人)
(だから、かけられた優しい言葉がチクリと胸を刺す)
あっはっはー、正ちゃんは能天気だからね。
でもまー、もし重い荷物を背負っちゃったらお願いするよー。
(優しいこの子が最も忌避するであろう、命のやり取り)
(いっそ、己が完璧な加害者なら割り切って六花から離れた)
(けれど現実は善と悪では分けられなくて、いつまでも宙ぶらりん)
(それが重くないとは言えない。でもまだ……まだ"持てる")
いやはあ、恥ずかしながら正ちゃん腕が細いからね。
ちょっとは鍛えないとー。
(池へと先導しながらふと空を見上げ、広がる青を視界に映す)
(この大きな大きな存在は、今の僕を見てどんなことを思うだろう)
(持てるといいながら、六花を振り返ることのできなかったこの僕を)

ふっふっふ、正ちゃんは凝り性だからね。
子供の頃友だちに負けっぱなしで、それが悔しくて悔しくて……。
(お気楽な世界に戻ってくる時間は、服屋さんに行く前よりは早かった)
(殺めた人々を忘れるでもなく、開き直るでもなくという確認と)
(その人たちの分まで、幸せに生きて幸せを分けようという決意)
(この二つは、善か悪かは判断できなくても固めたことだから)
研究に研究を重ねた結果、こんなに跳ねるようになったのだよー。
(もやもやした感情を、傍らにあった平たい石に込めるように)
(なるべく水平になるように、横手投げから素早く投げ込む)
んー初めてだったらいきなり勝負は難しいよね。
コツは教えられるけどやってみたいー?
(決意を貫くためには、一時的に忘れないといけない自責の念)
(けれど、人として絶対に忘れてしまってはならない悔恨の情)
(その狭間を滑るように、小石はてんてんと六回水面を跳ねた)
210島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/19(水) 01:47:30 ID:BAAPuDO5
………………はい。
(届くと、思った。否、たぶん、届きはしたのだ)
(けれど――するりとすり抜けられたような、もどかしさ)
(彼は本当に「その時」に、六花を頼ってくれるだろうか)
(どうしたら。どうしたら、“そこ”に、行けるのか)
(何かが足りないのか。行くべきではないのか、来られたくないのか。六花には、判断がつかない)
(けれど。それでもやはり、六花は)
――わたしは。
…………なら、お手伝い、しますよ?わたしに、できることなら。
(在りたいのだ。ここに)
(だから、笑っている)

(彼の話に、興味深く耳を傾ける)
(そして彼は、石を拾い上げると――)
(何かを込めるように、ひゅん、と、投げた)
…………ほぁぁ……
(滑るように水面を跳ねてゆく小石)
や、やってみたいですっ。
(できた波紋は6つ。「名人」には及ばないけれど、なかなかの好成績のはず)
んー、いちど、やってみます。
(確か、平たい石が、などと言っていたはず)
(それらしいものを足元から見繕って)
…………せーのっ。
(先ほどの彼の真似をして、投げる)
(――――が)
…………あ、ら。
(小石は、水面に当たることなく、向こう岸へと届いてしまった)
211御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/19(水) 02:21:06 ID:Qb9OLX0B
りっか……。
(六花のまっすぐで、まっしろで、明るく純粋な優しさ)
(それは御木本を癒したし、これからも多くの人を救うだろう)
(なのに、何故今自分はその太陽のような光から逃げるのか)
(照らされたくない闇がある。改めて自覚すると頬が引きつった)

ありがとう、ありがとうね……。
ほんとにありがとう。
(が、御木本正太郎は夜に生きるモノへとなったわけではない)
(むしろ大切な人の笑顔が好きだ。明るいお話が大好きだ)
(眩しかろうと陽の光への感謝はいくらしてもしたりない)
(だから、六花へのありがとうが途切れることもまたなかった)

いやはあ、日本記録はさんじゅーいくつだからね。
正ちゃんももっと頑張らないとー。
(子どものように興味を示す六花を見ていると)
(まるで妹ができたかのように、いろいろ教えたくなった)
(娘、という単語が一瞬過ぎって自己嫌悪したのは忘れよう)
あははー、力みすぎたら危ないから気をつけてねん?
対岸の人なんかに当たっちゃうと大変だからー。
今はいないけど、水鳥さんもきちんと避けなきゃねん。
(きょとんとする彼女に、ちょっとだけ注意すると)
(そのパワーにあわせてもう少しサイズが大きく)
(かつ最も跳ねやすい、レンズ型の石を選んで渡す)
(それにしても……シャベルで戦うから予測はしていたが)
(自分より力持ちなんだなーと遠くを見ずにはいられない)
(男女差別には反対だけど、なんというか自分の細腕が情けない)

もすこし角度をつけても大丈夫だよ。
さすがに、完全に水平に投げたら着水しないしー。
(自分も手ごろな石を探し、もう一度投げてみる)
(重たい念をこめなかったおかげなのだろうか)
(今度は少し記録が伸びて、小石は八段水面を舞った)
212島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/19(水) 02:58:39 ID:BAAPuDO5
しょーたろー、さん……
(これ以上、踏み込むべきではない。少なくとも、今は)
(それだけは、理解した)
(《このまま、変わらず笑っていられたら、笑ってくれていたら、それでいい》)
(それに尽きるのだ。すべては、そのため)
(そして――また、「何か」が、引っかかる)
どういたしまして。しょーたろーさん。
(それは先ほどよりはっきり、形を持って――)

さ、さんじゅー……
(思わず、絶句してしまう。ただでさえ、どんどん減速していくものを)
(それほど保たせるなんて、どのようなテクニックを持っているのか)
むー、行ってしまったのです……
う、気を付けないと。
(六花の膂力をもってすれば、小石といえど凶器となりうる)
あぅ、ありがとうございます。
(反省して、新たに石を受け取る)
(さっきよりやや大きく、重い)

で、ですよねっ。
……と。角度……
(考えつつ、腕を何度か振ってみる)
(その横で、彼が再び、投擲)
うわぁ……
(軽やかに跳ねた石が描く波紋は、今度は8つ)
伸びました!すごぉいっ。
(子供のように、はしゃいでしまう)
じゃ、わたしも、もういっかい……
(先ほどよりは、力を緩めて。けれど、速度は、落ちないように)
えいっ!
(かくして小石は、水面で一度跳ね、沈んだ)
わ、跳ねました!……まだまだ、ですけどっ。
(それでも嬉しくて、満面の笑みで彼の顔を見た)
213島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/19(水) 03:44:30 ID:BAAPuDO5
【ちょっと集中力が途切れてきたので、また凍結をおねがいできないでしょうか?】
【中途半端なタイミングで、申し訳ありません】
【たぶん、今日の夜も回せると思います】

【では、レスを待たずですが、お先に失礼いたします】
【おつかれさま、です(ぺこり→ぱたり)】
214御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/19(水) 03:45:17 ID:Qb9OLX0B
うんー、ギネスに乗ってる世界記録だと五十回超えてたっけかな?
理論のほうも、物理学者さんが真面目に計算してたりするのだよー。
(六花の顔は少し悩んでいるようで、物悲しげにも見える)
(そりゃ、快だけでなく不快を感じることもあるだろう)
(けれど親しい人、特に六花には一秒でも笑っていてほしい)
(これ以上、自らの影の部分で彼女を苦しめたくはなかった)

だいじょーぶ、最初からうまくできる人なんてほとんどないさ。
ここで水切りする人はたくさんいるから、みんなも気をつけてるし。
りらっくすりらーっくすー。
(真面目に考えこむ六花を見て、今度は肩の力を抜きにかかる)
(周囲が気をつけているのは事実だし、狙って投げない限りは)
(跳ねるかどうかはさておき人に当たることはないだろう)

あっはは、すごいなんて言われたら正ちゃん天狗になっちゃうよ。
切りよく十段跳ねるのが目標なんだー。
(本人としてもまあまあの出来に、少し得意げに頷く)
(仲の良い人から褒められて、悪い気がする筈はなかった)
(それも、あんなに無邪気に喜んでくれたら……)

おお!
(が、伸びかけていた鼻はすぐに縮む)
びっくりしたー、二回目の挑戦でもう跳ねるなんて。
六花、もしかしたら才能あるかもしれないよー?
(自分や幼い頃の友だちに比べると、この上達は驚くべきものだった)
(真面目に人の話を聞いて、しっかりとお手本を見て実践して)
(そんな六花だからこそ為せる技なのだろうか、と平たい目も丸くなる)
この調子だと、勝負できる日もそう遠くないかもねん?
(我ながら単純なもので、真剣勝負が早くも待ち遠しく)
(わくわくして、童心に返ったように一緒になって笑う)
(そんな調子で水切りに夢中になっていて、時間を忘れ)
(気がつけば、"お楽しみ"が遠くのほうから聞こえてきていた)

それじゃー六花、跳ねた記念にさっき言ってたお楽しみを食べにいかない?
人が多いから売ってる側もここを通るんだよねー。
(いーしやーきいもー)
(お昼間は逃したそれが、だんだんと近づいてくる)
(そう、この公園はやきいも屋さんの巡回ルートなのだ)
(お楽しみが売り切れないうちに、と六花を誘ってみた)
215御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/19(水) 03:48:37 ID:Qb9OLX0B
【おやー、気づけばもうこんな時間だねん】
【りょーかいだよー。六花が疲れてなければ、ぜひ今日も】
【んーん、無理してほしくないし謝んないで?】
【今日もとっても楽しかったよー、ありがとう。りっか】

【あは、おやすみなさい(ぺこりっと礼を返して、毛布を被せる)】

【スレッドをお返しします】
216島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/19(水) 21:59:09 ID:BAAPuDO5
【連日になりますが、今日もスレを使わせていただきます】

ごじゅっ……はぁー……
(頭の中でイメージしようとしたはいいものの、あまりに途方もなくて)
(思わず溜め息を吐く)
(とにかく今は、余計なことに煩わされるなんて勿体ないことを、している場合ではない)
は、はい、りらーっくす、ですね。
(石をにぎにぎと手に馴染ませるように握りながら、深呼吸)

10段、だったらきっと、もうすぐ、できますよ。
あと2つ、ですもん。しょーたろーさんなら、きっと。
(無責任な発言では、あるけれど。彼ならきっと、達成できるに違いないと)
(心からそう信じて、小さなガッツポーズ)
(こんな励ましでも、彼の力になれたらと、願う)

わ、わたしも、びっくりなのです。びぎなーず、らっく?
(興奮冷めやらぬまま、かくかくと首を縦に)
(自分でも、いきなり上手くいくとは思わなかった)
(彼の言葉通りなら、一度跳ねさせることもそこそこの難易度なのだろう)
(偶然でもなんでも、嬉しかった)
はいっ、わたしも、がんばりますよっ。
(彼の言葉に頷いて、また手頃な石を、拾い上げる)
(それを何度も繰り返し、上手くいったり、いかなかったり)
(失敗しても、またやり直して)
(わあきゃあ騒ぎながら、どれだけ経っただろうか)
(不意に、公園の外のほうへと顔を向けた彼の、視線を追う)

お楽しみ、ですか……?
(首を傾げたところに、聞こえてくるメロディー)
(それにようやく得心して、手をぽんと叩く)
そうでしたっ。行きます、行きますっ。
(顔を輝かせて、頷いた)
【では改めて、本日もよろしくおねがいします(ぺこり)】
217御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/19(水) 22:40:49 ID:x6IWGy0f
【同じく、スレッドをお借りします】

ふふ、平たい石はまだまだたくさんあるからね。
気楽にしてれば、そのうち上達していくよー。
(大事そうに石を握る六花に、ついつい笑みをこぼす)
(物を大事にできるっていうことは、美徳だけれども)
(力んでいては、せっかくのパワーが活かせないだろうから)

あはは、ありがとう。八段までは伸ばせたんだからね。
あと一つ、を二回すれば目標達成だー。
(そのあと一つ、はすぐできる類のものでもないとは思うけれど)
(六花に応援してもらうと、なんだってできそうな気がしてくる)
(心の底から信じてる、そんな励ましが目元から伝わってきた)
(信じぬくって、強い意志がないとできないことだと思う)
(六花の温かさは、このエネルギーからきてるのかもしれない)

いやはあ、きっと運だけじゃないと思うよー。
僕がやって見せた時も、すごーく真剣に見てたから。
六花が一生懸命だからこうやって、ご褒美がやってきたんじゃないかなん?
(あどけない動きにつられるように、一緒に小さく頷きつつ)
(子ども達に混じって屋台の列に並び、"ご褒美"を待つ)
(新聞紙に包まれた焼き芋はぽかぽかして、湯気が立ち)
(早く食べて、とでも言うように甘い匂いを放っていた)

うわー、水切りたくさんしてたら泥ついちゃったよ。
代わりばんこに手洗おっか。
(新聞の余っている部分をちぎって、席の土埃をそっと拭い)
(ポケットのハンカチを確認しながら、水道を指差す)
(今の時期に冷水は辛いけど、食中毒になると大変だ)

【こちらこそ、改めてよろしくだよー(ぺこっとお辞儀して)】
218島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/19(水) 23:03:09 ID:BAAPuDO5
ん……そう、でしょうか。
(誉められると、やはりむず痒くて。軽く、頬を掻く)
ふふ、わたしだけじゃなくて、しょーたろーさんも、なのですよ。
(暖かい、僅かに甘く香ばしい香りを孕んだ空気を纏って、屋台の車がやって来る)
(子どもやその親たちが列を作っていく中に、混ざって並んだ)
なんだか、わくわくしますねっ。
(小銭と引き換えに、湯気を立てる包みを受け取っていく人々の表情は、一様に柔らかな笑顔で)
(六花も数枚の100円玉を握り締める。待ち遠しくて、仕方ない)
あ、ありがとう、ございます。
……わ、ほかほか、ですっ。
(甘い香りの包みを、ひとつずつ受け取って)
(その温かさに、顔を綻ばせる)

あ、そうですっ。きれいに、洗ってから。
(六花も紙袋の中からハンドタオルを取り出すと、交替で包みを預けて、手を洗う)
(石鹸で、汚れが残らぬよう、丁寧に)
(冷たい水道水で冷えた手に、再び手にした包みが心地よい)
あゎ、ありがとう、ございますっ。
(そして、拭ってくれたベンチに、並んで腰かけた)
219御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/19(水) 23:32:44 ID:x6IWGy0f
なんにでも一生懸命になれるって、とってもいいことだよ?
僕もがんばろーって、六花のおかげでそんな気持ちになれたからー。
(水切りから前向きに生きる決意まで、たくさんの頑張ろうをくれた)
(そんな六花が自分の魅力を知らないなんて、とてももったいなくて)
うん、順番待ちの列ってわくわくするよねー。
その先においしーものや、楽しいものが待ってるって考えると。
(返答しながら、ふと小銭を直接握り締める六花の手を見る)
(頭が沸騰していて何もいえなかったけど、服屋さんでも)
(紙袋から直接紙幣を出して驚かれていたんだっけ)
(次のお出かけでは、財布を買いにいったほうがいいかもしれない)

ありがとうございます。
(自らも小銭を渡し、まいどーというおじさんの声に頭を下げると)
(ひやりとする水に肩を縮めながら、丁寧に砂や泥を落とす)
いやはあ、ちっちゃい頃に一度ペンキ塗りたてのベンチにね……。
六花も気をつけるんだよー?
(かじかんだ手を焼き芋で温めながら、二人一緒に座って)
(そんな、漫画みたいな失敗談を真面目な顔で語ってみる)
(もっとも噴出してしまうまでそうはかからなかったけれど)

それじゃー、いただきますしよっか。
(焼き芋は温かくて、皮を剥くとほくほくした中身が顔を覗かせた)
(不ぞろいに振りかけられた塩が、ちょこんとついていたりして)
(温かい六花と、温かい憩いの場で温かい石焼芋を食べている)
(その幸せを改めて思うと、身体の芯から何かが零れそうになって)

りっか……今日は、ありがとー。
(それが外に出てしまう前に、声帯の震えへとそれを変える)
(咎人の自らにはもったいないこの時間を、壊すことのないように)
(今日だけじゃない、これからも。ずっとずっと)
(隣に座る救いの天使を、守っていきたいから……)

【ところで、避難所で一度書いたんだけど〆ってどうしよう?】
【いやはああんまり楽しいから、うっかりするといつまでも続けそうで】
220島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/20(木) 00:03:34 ID:BAAPuDO5
(冷えた手で、ころころとお芋の包みを転がして)
ひゃ、それは……ペンキって、なかなか落ちないの、ですよね。
はい、せっかくの服を、汚したらだめですから。
(真面目な表情で語るから、六花も同じように神妙な顔になるけれど)
(やはり最後は、笑ってしまう)

はい、いただきます、です。
(両手で包みを持ったまま、小さく頭を下げる)
(そして、新聞紙をめくると、湯気とともに香ばしい香り)
わ、おいしそう、ですっ。
(皮を剥いて、少し息を吹きかけて。濃い黄色の中身を、一口囓る)
……はふ、おいし、れふっ。
(思わず口を押さえて、肩をすくめる)
(甘さと、ほんのり塩味。何より、ほこほことあったかい)
(その暖かさは、この場でさらに増幅されて)
(しあわせで、たまらない)

……しょーたろーさん。わたしこそ……ありがとう、ございました。
(真剣な声に、六花も気を引き締めて、答える)
(そして、深くお辞儀)
(可愛い洋服を、一緒に選んで。公園で、たくさん遊んで)
(こんなにおいしい焼き芋を、食べられた)
(きっと今日は、六花の1年余りの日々のなかで指折りの、素晴らしい日だ)
(こんな日が、これからもずっと、続くかもしれない)
(このまま、変わらなければ)

【えと、ですね……途中端折っても構わないので】
【さよならするところまで、やりたいと思うのですけれど】
【だいじょうぶでしょうか?】
221御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/20(木) 00:43:10 ID:voBRVvq+
そだねー、せっかく六花が気に入った服だからー。
(と、そこまで言ってからしげしげとワンピースを見る)
(六花って、洗濯表示のことを知ってるんだろうか)
そういえば、ニットってどうやって洗ってるー?
正ちゃん色移りさせちゃったことがあってさ、あはは。
(相手も高校生、そんな疑問を持つのは失礼だけれど)
(箱入りらしさを見ているだけに、聞かずにはいられなかった)

ん、いただきます。と。
(焼き芋があって手は合わせられないので、代わりに少しだけ)
(左右の腕に力を込めて、焼き芋を挟んでぺこりと頭を下げる)
あは、慌てなくてもちゃんとお芋さんは待っててくれるから。
喉につまらせないよーに気をつけてねん?
(微妙に洗濯のことより子ども扱いしてしまったけど)
(無邪気に笑う六花を見てると、ついそんな言葉が出て)
(これ以上余計なことを言わないうちにと、自らも齧る)
(甘さと温もりと、そしてほくほくした食感が心地よかった)

……あは。
(口の中に入ってきた甘味は、すぐに噛み終わったけれど)
(胸がいっぱいになって、答えを搾り出すことができなくて)
(長めに咀嚼する振りをして、何度も何度もこくりと頷いて)
(やっと飲み込んだ芋の代わりに、声を引っ張り上げてくる)

六花が楽しんでくれるなら、町中どころか全国案内しちゃうよー。
正ちゃん、そのためなら世界地図だって丸暗記しちゃうね。
(六花のためなら、それくらい頑張れる気がする)
(笑顔のお礼を少しでもできるなら、いくらでも)
(両親、天命、誰にしていいのかわからないから)
(そう思える相手と出会えたことを、世界中に感謝しよう)

【ありがとう。そういうことなら喜んで付き合うよー】
【端折ることもできるけど、アスレチックとかやれることもたくさんあるし】
【六花の気分次第で展開変えられるからね? 最後まで楽しんでほしーな】
【た、ただ連日の夜更かしはまだ不安なんで完結できないかもだけど。ごめんね?】
222島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/20(木) 01:17:26 ID:1e4ETxle
どう、やって……?
(こくりと首を傾げて、気付く)
……です、よね。前は、セーターとかはぜんぶ、クリーニングのお店に、おねがいして、て。
(完全に、失念していた。ひとに頼んでいたことを、自分ができるはずもないと、思い)
あゎ……どう、しましょう……?
(困惑顔で、呟いた)

だ、だいじょうぶ、ですよー。
(少し口を尖らせて、けれど、また一口)
ふ、はふっ。
(中のほうは冷ましてもまだ熱くて、口の中ではふぅと息を吐く)
(こんな動作が、ますます幼げに見せているのだけれど)
(当の六花自身は、それに全く気付かない)
(ただこの時を、全身で精一杯楽しむだけ)
(この瞬間は、その力の大半が、手の中の焼き芋に注がれているけれど)

ふふ、どこだってきっと、楽しいのですよ。
わたしもいろんなところ、行って、見て、覚えたいです。
ほんとうに、どこまででも。
(してもらうだけじゃなくて、六花も、いつか)
(彼や、他のたくさんのひとを、もっとしあわせに)
(そして、少しずつでも返していけたらと、思う)
(面と向かっては、遠慮されてしまうかもしれないけれど)
(その分、時間をかけて、ゆっくりと、だ)

……ごちそうさまでした。
(残ったのは、新聞紙と剥いた皮のみ)
(今度こそしっかり手を合わせて、一礼)
はふ、おいしかったのです。
また、食べれたらいいなぁ。

【たしかにここで終わらせるのは、勿体ないような気も】
【はい、お互いに、最後まで】
【こちらも延びるのは、構いませんのでー】
223御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/20(木) 02:00:35 ID:por750Qt
【ID変わってるけど正ちゃんだよー】
【ごめん六花、書いてたのがまーた消えちゃって……】
【今から書き直すの待ってもらっても大丈夫?】
【昨日も夜遅かったし、無理はしないでほしいけど】

【ただでさえ遅いのに、ほんとにごめん】
224島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/20(木) 02:03:02 ID:1e4ETxle
【あら、それはそれは…】
【今日は、今のところまだ起きてられるので、だいじょうぶですよ】
【では、お待ちしてますね】
225御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/20(木) 02:43:47 ID:por750Qt
(斜めになった首を見て、ついつい微笑ましい気分に支配される)
(ああダメだ、笑ったら馬鹿にしてるみたいで六花に失礼だっ)

うんー、お店に頼むのが一番確実なのだからそれで正解だよ。
(困ってる。洗濯機に放り込むだけじゃダメとは理解しているらしい)
(ならやっぱり笑っちゃダメだ。特に頭を撫でたいなんてダメダメだ)
(可愛い可愛いと連呼したい衝動を押さえ込むと、傍らの棒きれを拾う)
それにね、自分で洗うにしても服には洗い方が書いてあるから大丈夫。
(そして、ジャンバーのファスナーを開けて表示を見せると)
(地面にそれを拡大し、さらに他のマークも書き足してみた)
(洗濯機か手洗いかドライか、温度や干し方の決まり)
(訳ありらしい六花がクリーニングを利用できないことも想定して)
(一つ一つ、家庭科の教科書を思い出しながら説明していく)
(と……そうしているうちに、焼き芋の大きさに差が付いてしまった)

半分、いる?
(このままだと、六花は先に食べ終わって待つことになる)
(隣で消費されていく焼き芋をじっと見る食いしん坊の女の子)
(うん、なかなかに萌えるじゃなかったかわいそうな光景だ)

そだね、服屋さんを楽しみにしたなんてほんとに久しぶりだし。
焼き芋も、二人で食べるとずっとおいしかった。
六花といると、世界に魔法がかかったみたいな気がするよー。
(笑いかけてくれる六花にも、この魔法はかかってるかな)
(さすがに、かけたいと面と向かって言うのは照れくさくて)

ごちそうさま、おいしかった?
冬の間は屋台が出てるだろうし、また食べに来られるよ。
喉渇いてない? 向こうに自販機があるからー。
(やや経過して、御木本の新聞紙も皮を残して空になる)
(六花に倣って手を合わせると、しっかりと頭を下げ)
(新聞紙をきちんとくずかごに入れると、道の向こうを指差す)
(ちょうど、その間には手頃なアスレチック。切り株渡りが伸び)

【と、修正してたらまた遅く……ありがとう。りっか】
226島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/20(木) 03:13:15 ID:1e4ETxle
ん……
(木の枝で地面に描かれていく、記号たち)
じゃあ、ぜったいお店でないとだめ、というわけでは、ないのですね。
姉様、縮むのとかアイロンがいるのとか、ぜんぶお店に出してたので、ぜんぜん、知らなかったのです……
これも、後で見てみます。
(焼き芋を食みながら、うんうんと頷いて)
(手の中のお芋はいつの間にか、半分弱)

……ふぇ、や、だいじょうぶ、ですからっ。
(彼のほうは、まだ3分の2は残っていて)
(ひとの話を聞く時くらい、そちらに集中できなかったのかと、恥ずかしくて仕方ない)
(顔を赤くして、ぶんぶんと首を振る)

ふふ、ほんとうです。魔法、みたい。
(あったかくて、きらきらして、楽しくて)
(「魔法」そのものの六花が思うのも変かもしれないけれど)
(否、つくづく魔法に縁がある、ということかもしれない)

はいっ、とっても。
じゃあまた、いっしょに来ましょうねっ。
(満足した気分で、新聞紙を畳んで)
……あ、はい。ほしいかも、です。
(このゴーレムの身体には、固形食は必須ではないが、水分は必要)
(彼もちょうど食べ終わり、良い頃合いだろう)
(ゴミを捨てて、彼が指差した先には、自動販売機)
(その手前には、何やら高さのまちまちな切り株がいくつも並んでいて)
(小さな子どもが、よじ登ったり飛び移ったりして遊んでいた)

【いえいえー】
227御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/20(木) 03:44:40 ID:por750Qt
ウールじゃないならつけ洗いでなんとかなるはずだよー。
お店のドライ以外ダメなのもあるから、見てみないとわからないけど。
(書き終えると、とんとんと地面を打って枝についた土を落とし)
(通行の邪魔にならないように、木の根元へと戻しておく)
手間がかかるし、お店に出したほうが楽で安全だからねー。
お姉さん、間違ってはないよ。
(とはいえどうやら、その姉様はもう六花の側にはいないらしい)
(恒常的に店を利用できるとは限らないし、教えておいて損はないだろう)

そーかい? あは、じゃなるべく早く食べるからー。
(それにしても、自分は両親が海外に行っただけで寂しいのに)
(姉が"連れて行かれ"妹は"壊された"という六花は)
(こんなに表情豊かで、他者にまで元気を与えている)
(今も赤くなって首を振る六花に、また笑顔をもらった)

よーし、屋台のおじさんに顔を覚えてもらう勢いで通っちゃおうー。
(強いなあ、とお姉さんの話題が出るたびに認識して)
(強いからこそ六花を支えることができたら、と新たに思う)
(腕力で負けても紙袋を分け合ったように。ずーっと)

りょーかい。食後の運動ってことで、ちょっと渡ってみる?
これにも、魔法がかかってたりしてねー。
(お茶を買いに行くがてら、ちょっとした遊び心が出て)
(小さく笑いながら、ゆったりとした動きで切り株に乗ってみる)
(子ども達の邪魔にならないように、端のほうをとんとんと歩き)
(上下に揺れながら大きくなる自販機を見て、何を買うか考えた)
228島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/20(木) 04:03:03 ID:1e4ETxle
【すみません、今日はここで凍結にしていただけないでしょうか】
【急に、眠気が…】
229御木本 正太郎 ◆MikiUuyalc :2008/11/20(木) 04:10:43 ID:por750Qt
【あー、二日連続で朝までやってたもんね】
【途中ものすごく待たせちゃったし……申し訳ない】
【無理せずに休んでほしーな】
【今夜はできないけど、明日はまたロールできるし】
【おやすみ、りっか。今日も楽しい時間をありがとう】
230島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/20(木) 04:14:21 ID:1e4ETxle
【ありがとうございます。こちらも、楽しかったのです】
【では今日のところは、休ませていただきますね】
【おつかれさまでした。ではまた、避難所で】
【おやすみなさいませ(ぺこり)】

【スレをお返しします(ぺこり)】
231名無しさん@ピンキー:2008/11/21(金) 21:16:13 ID:odo76LVP
テス
232島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/22(土) 00:20:24 ID:MfeWULcS
【スレをお借りします】

ん、それだったら、わたしでもできるかな……
お勉強に、なりました。ありがとうございますっ。
なにかまた、分からなかったら聞いても、いいですか?
(一般常識さえ知らないことばかりの六花は、ひたすら感心しきりで)
(彼に尊敬の眼差しを向けるのだった)
でも姉様って、すぐたくさん溜めちゃって――……
(姉様が、帰ってきたら)
(六花はこんなにいろんなことを覚えて賢くなったって、教えてあげよう)
(そして、これからもお仕事や研究を続けていけるように)
(今度は自分が、支えてあげるんだ)
(そう、心に決めた)

じゃあ、わたしはもうすこしゆっくりー。
(寂しくない、訳ではない)
(創造主はいない。既に大地に還ってしまっているだろう、壊された妹たちには、もう、会えない)
(すべて置き去りにして、六花は逃げてきたのだ)
(けれど、それを悔いてばかりはいられない。誰もそれを、望んでなどいない)
(それを教えてくれたのは、彼だ)

はいっ、お得意さまに、なってしまうのですっ。
(勢い良く立ち上がって、スカートのお尻を払う)
え、あ、はい!遊びましょうっ。
(誘いに頷くと、駆け寄って、子どもたちの真似をして切り株に乗っかって)
……ん、とっ。
(ブーツで踏み外さないように、紙袋と腕でバランスをとりながら)
(ぴょこん、ぴょこんと跳び移る)
あはっ、楽しいですっ。
(ふと目が合って手を振ってきた子どもに、振り返したりして)
(てん、てんと、進んでいく)

【では、では。よろしくおねがいします(ぺこり)】
233島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/22(土) 02:02:40 ID:MfeWULcS
【と、だいじょうぶでしょうか…?】
【もうすこし待って、レスがなかったら落ちますね】
234島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/11/22(土) 02:19:22 ID:MfeWULcS
【とりあえず、今日は落ちますね】
【連絡は避難所に】

【では勝手ながら、スレをお返しします(ぺこり)】
235天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/22(土) 13:53:03 ID:q2/MaWwC
【スレをお借りします】

(天羽都が迫水直に振られてから翌々日の夕方)
「あ、ちょうどいいとこに。綾香ちゃん、悪いんだけど、これ、みゃこに持っていてくれないかな」
(北峯綾香を捕まえて鍋を乗せたお盆を差し出したのは女子寮の寮母だった)
(彼女は都の育て親であり、料理の師匠でもある)
「熱は下がったみたいだけど、どうも変なのよ」
「引きこもっちゃって、何か恐がってるみたいなのよね」
「余程こっぴどく振られたのか、酷いことされたのか、そうゆう男の子には見えないけど、聞いても話してくれないし」
「お母ちゃん悲しいっ……じゃなくて、良かったら相談に乗ってあげて」
「みゃこ、最近は綾香ちゃんに懐いてるみたいだし」
(じゃ、よろしく、とお粥が入っていると思われる鍋を押し付けて厨房に戻っていく)
(まだ厨房の仕事が残っているのだろう、寮の仕事が優先であり、その分寮生を巻き込んでうまく使っている)
(公私混同と言えばその通りだが、都が正式な寮生ではなく、住み込みの寮母の娘としていた時からのなごりだった)
(幼い子供を寮生達全員に世話させることで、協調性や団結力を養う目論見があったらしい)

(ところかわって天羽都の部屋)
(フローリングの洋室に車椅子の高さにあわされた机、備え付けのクローゼットと大きな鏡、料理関係の本が並べられた本棚、大きなぬいぐるみがいくつも並んでいるベッド、そして脇に置かれた車椅子と来客用の椅子)
(そのベッドの上で、都は頭まで布団の中に潜ってブツブツとつぶやいていた)
……ちがう……でも……ないと……。
(触れると異能の力に作用する、ようで)
(異能とは関係なく、ジャンプ力みたいのにも影響がある、らしい)
(触れてなくても影響がある、らしく)
(触れていても必ず、ではないようで)
……ない……んぜん……わから……。
(これだというのがないので、トラブルを避ける策が立てられない)
(なので、昨夜には下がった熱を理由に学校を休んで引きこもるしかできなかった)
(身近で信頼できる存在、北峯綾香の顔も思い浮かんだが、綾香の力に何かあったらとても迷惑になるし)
(何よりも自分に力があると知ったら、二人の関係が変わってしまうのではと、それが恐くて相談できなかった)

【よろしくお願いします】
236北峰綾香 ◆mwgFZHH8O2 :2008/11/22(土) 14:15:20 ID:KelnwnP5
(また……まだ出会えない…段々、近づいているのは確かなのに。)
(綾香は、焦りとは言わないまでも若干もどかしさを感じていた)
(そして、次々に自分の存在意義に対して疑問を呈する人達)
(異形狩りとしているという媛名、伊織という陸上部のエース、葛森という記者、そして――)
(考えながら、少し歩いていると寮母に話しかけられる)
(そう特段親しいわけでもないが、話しかけられれば答えない義理はない)
………みゃこちゃんが………?
(言われてみれば、風の噂に聞いてはいた。迫水という男子にフラれたという事)
(ただ、自分の事にいっぱいいっぱいでそこまで構って上げられなかったけれども)
(こういう時は、少しは気分転換もいいだろうそう思い頷いて)
分かりました。って、ぁ……っ。
(お盆を押しつけられ、そのまま去っていく寮母)
(好意的に解釈すれば、頼られているということなのだろう)
(ただ、押しつけられるという行為は少しだけやる気になっていた気持ちを削いだ)
(そこまでここに慣れているわけでもないのだ、仕方ないかもしれない)

(とりあえず、心に妥協のラインを引いて――何より都が気になった)
(最近、何かとあまり話さない自分に対して話しかけてくれていたから)
(冷酷な面のある中できっとほんの少しだけの良心が、行動を起こさせた)
(お盆を持って都の部屋の前に着く)
(一つ息をして、部屋の扉を叩く)
みゃこちゃん……私…綾香だけど。
ご飯、持ってきた。
………私で良かったら…少しお話…しない?
(そう声は大きくない方だ、背を張り声量を大きくしながら)
(いつも通りの落ち着いた声で、そう部屋の中にいるはずの都に問いかけた)

【こちらこそ、宜しくお願い。】
237天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/22(土) 14:26:26 ID:81qCXqgL
>>236
(いくら考えても、都一人では荷が重すぎる難問で、答えもヒントも見つからない)
う〜。
(うなっても何にもならず、下がった熱がまた上がってしまいそうだった)
(そんな時、扉を叩く音と、色々な意味で親しい人の声がした)

(綾香先輩! ダメ、いま会ったら、先輩にも!)

いっ、いません!みゃこは寝てます!

(異能者である綾香と接触したら、綾香にも大変なことが起きるのでは)
(それを恐れた都だったが、慌てて寝ぼけたことを叫んでしまう)

……ごめんなさい、綾香先輩。
起きてますので、どうぞ。
(布団の中に潜り込んだまま、壁際まで逃げるように転がる)
(とりあえず、間違って触ったりしないように)
238北峰綾香 ◆mwgFZHH8O2 :2008/11/22(土) 14:45:57 ID:KelnwnP5
>>237
……………?
えっと…………。
(中から大声で返事が返ってくる)
(何だろう、この展開)
(コメディじゃあるまいしと、少し困りながら扉の前で立ち尽くしていると)

(中から、入って良いと言われ、遠慮気味にそっと扉を開ける)
それじゃあ、ごめん……。
(部屋はとても可愛らしくて、無機質で生活感のない自分の部屋とは大違いだった)
(別に羨むことはないけれど、それでも私もこういう部屋で生きていた可能性もあったかもしれない)
(あの事さえなければ――そこまで当たって慌てて思考を戻す)
(今は自分の事じゃない、都の事なのだ)
(見ると都はベッドの中―というか布団の中にいて)
(しかも一番端に逃げ込むように収まっていた)
(フローリングに上がってから、とりあえずお盆を机に置こうかと思ったが)
(それでは、食べてくれないかもしれない…と思って)
(ベッドの側まで歩いて行き、その隣にそっと都の方向を見つめながら座った)
………………ご飯、食べられる?
全部じゃなくてもいいから……少しでも食べて。
………後、私に出来ることがあったら…何でも言って、使って良いから。
…そう、多くは出来ないかもしれないけれど。
とりあえず……顔見せてくれない……?
(布団の恐らく頭の方を見つめたまま、そう投げかけた)
239天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/22(土) 15:02:14 ID:7bbrEk4h
【携帯から】
【書いている途中でパソコンが落ちてしまいました】
【温度が高くてどうのこうのみたいです】
【冷えたら動きそうなので、もう少し待ってもらないでしょうか】
240北峰綾香 ◆mwgFZHH8O2 :2008/11/22(土) 15:05:14 ID:KelnwnP5
【書いている途中に…なんて。】
【うん、了解。】
【また落ちないようにしっかり冷まして。】
【慌てないでいいから…ね?】
241天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/22(土) 15:22:18 ID:81qCXqgL
>>238
(北峯綾香が部屋に入ってくる気配がする)
(とても物静かで、綾香先輩らしいと都は思う)

(先輩も知ってるのかな、振られちゃったこと)
(どうしよう、私の力のこと、力を持った人たちのこと、先輩が知ったら、もしかしたら……)

(復讐のため、危険な戦いをしている北峯綾香に、一昨日のことを話して良いものかどうか)
(もしも綾香と迫水直が戦うようなことになったら、それはとても恐ろしい想像で)
(そうなったら、そうなるのは止めたいが、実際にできるかどうか)

…………うん。

(もぞもぞと動いて、布団から頭だけ出す)
(お風呂に入っていないので髪はボサボサ、目にもクマができて、あきらかにやつれている)

ごめんなさい、その……。

(食事を置いて帰って貰おう、そう思ったが、言葉が続かなかった)
(綾香の顔を見て、涙が出そうになって、なぜか、ほっとしたのだと感じた)

【画面が真っ暗になって、頭の中が真っ白になりました】
242北峰綾香 ◆mwgFZHH8O2 :2008/11/22(土) 15:38:39 ID:KelnwnP5
>>241
……ありがとう。
顔も出してくれなかったら…どうしようかと思った。
(布団から顔を出した都の感じは、いかにも何かで疲れている――といった様子で)
(普段の都からは想像もつかない感じではあったが、これもまた都なのだろう)
(そう判断しながら、とりあえずほっとして目を僅かに細める)

………………?
謝るような事は………え?
あ………えっと……。
(喋った後少しの間を持って瞳が潤んでるのを見て)
(少し驚きながら…それでも落ち着いて)
みゃこちゃん……迷惑じゃなければ一緒にいるから。
だから……何か話したくなれば話せばいいし、逆なら話さなければいい。
ご飯も、食べたくなったらで構わない。
……………ね?
(小首を傾げながら、そう言って)
(今の彼女をこのまま放っておく気には、どうしてもならなかった)

【うん、だろうね………でも、よかった復帰できて。】

243天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/22(土) 15:50:45 ID:81qCXqgL
>>242
綾香先輩が持ってきてくれたのに、そんな失礼なこと、できないです。
(最初居留守しようとしたのに、と自分にツッコミを入れつつ)
(やはり先輩が来てくれたのが嬉しいんだと自覚する)

……うん、迷惑なんかじゃ、ぜんぜんないです。
(食欲はあまりない、義母の作った料理のこと、手を付けさえすれば自然に食欲が出るだろうが)
(それよりも、何を話すかはあるが、話していたかった)
あの……私、振られちゃいました……ぁ。
(思い切って、そのことを口にしてみる)
(とたん、涙がポロポロとこぼれ落ちる)
振られるなんて、まったく考えていなくて、だから、すごいショックで。
私、こんなに好きだったんだって、でも、それは叶わないから、だから……うぅっ。
(どうしたらいいのか分からない、と続けられず、代わりに口からは嗚咽がもれて)
244北峰綾香 ◆mwgFZHH8O2 :2008/11/22(土) 16:07:42 ID:KelnwnP5
>>243
……………そう、ありがとう。
(敢えて、最初のことは蒸し返さないことにした)
(都の意図も分からないし、実際こうして話しているのだ)
(問題はなかった)

……………ん。
(ひとまず都の次の動作を待った)
…………………。
(話は風の噂程度には聞いていた)
(ただ…そこに踏み込んで良いのかは分からなかった)
(そう、なんて簡単な言葉、返せるはずがない)
(彼女にとってはとても大事な告白だったはずだから)
(ましてや同情なんて、彼女が望んでいないだろう)
(黙って、聞き続けることにしかできず、少しの歯がゆさを感じた)
(彼女の言葉を聞く度に、それが少しづつ、膨らんでいく)
(世の中には叶わない願いもある――でも、それが終わりではないから)
(何かを彼女に伝えたい、と思った。でも、その感情は曖昧なまま)

………………。
私には……気の利いたことは言えない。
ごめんなさい。でも……。
(気がついたら、ことり、とお盆を横に置いて)
(立ち上がりベッドの上に膝を立てていた)
(なんでこんな事をしているのかと、自分でも驚きながら)
(そっと、都の頬に手を伸ばした)
245天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/22(土) 16:17:56 ID:81qCXqgL
>>244
ひっ!
(綾香の指が頬に触れそうになった瞬間、都は悲鳴を上げて頭を布団の中に隠した)
(激しい雷鳴の音、苦しさに歪む好きな人の顔、痺れて動かない感覚)
(ぶり返した記憶で一瞬パニックに陥る)
(布団の端を握りしめる指がガクガクと震える)

ぁっ……うぅぅ……ご、ごめんなさい……そ、そうじゃなくて、その……。

(怖い、怖い、やだ、やだ、でも、やだ……)

(手から遠ざかったまま、少しだけ顔を出す)
(怯えた表情を浮かべ、いやいやをする小さな子供のように首を振って)
246北峰綾香 ◆mwgFZHH8O2 :2008/11/22(土) 16:32:16 ID:KelnwnP5
>>245
……………っ?
(刹那、都が布団の中に再び潜ってしまう)
(自分の行動が唐突すぎたからだろうか)
(よく見ると布団の上の指が大きく震えていて)
(その動きからは恐れ、恐怖という感情が読み取れた)
(人間不信?なら、そもそも自分を入れてくれるはずはないのだ)
(とすると、恐らくその行為自身に何らかの引きこもる原因があるのかもしれないと思い至った)

…………謝らないで。
何か悪いことをした訳ではないのだから。
(布団の中から僅かに見える顔、目は、恐怖に支配されていた)
…………………何があったの、なんて聞くのは野暮だから。
………触られるのが怖いの?
人に、触れられるのが………。
……私じゃ……都ちゃんに触れない理由があるの?
(穏やかに、手を宙に浮かせたまま)
(質問攻めも悪いと思いながら、でも本当のことを知りたくて)
(つい、口に出してしまった)
247天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/22(土) 16:46:17 ID:81qCXqgL
>>246
その、ええと……うん。
(小さく、頷く)
(触れられるのは怖い、また何か起きるかもしれないから)
(義母さんは何も起きなかったけど、綾香先輩には、力があるから、あの力がどうなるか)
せ、先輩がっ……綾香先輩が、嫌じゃないの!
そうじゃなくて、その、先輩だと、きっと、たぶん……迷惑、かけちゃう、から……。
(言葉が段々と小さく尻つぼみになっていく)
先輩に何かあったら、私、どうしたらいいか……そんなの、やだ、やなのに。
(駄々をこねている、そう自覚はあったけど、止められない)
どうすれば、分からない、分からないの。
(もう綾香に近づけないとしたら、そんなことになったら、耐えられないかもしれない)
(今までにないくらい、弱音を吐いてしまう)
248北峰綾香 ◆mwgFZHH8O2 :2008/11/22(土) 17:10:33 ID:KelnwnP5
>>247
…………ん。
(その微妙な間に、何か考えている節があったが)
(とりあえず、今は聞いておくことにする)
……………嫌だったら、入れてくれるはずないから。分かってる。
………迷惑…………?
(ということは、以前に誰に迷惑をかけたという事になる)
(しかも恐らく迫水という人物かもしくは同時期に接触した誰か)
(重なって、今の現状に陥っているという予想を立ててみた)
…………………………。
私に何かあったら………か。
(自分の手と都を交互に見つめて)
……ね、……それは死ぬような事?
………それに……今まで私と触れてきたはず、お風呂でだって…寮でだって。
…大体……私が今までどれだけ…危険な事をしてきてるかは想像が付くでしょう。
今更、何が起きても驚かない。
………………何故か言えないのなら……私を一度信じてみて。
今のみゃこちゃんも……本当のみゃこちゃんだって、分かってる。
でも、いつまでもそうして…私に触れないって逃げ回る?
……そんなの…寂しいって思わないの………?
(優しく、問いかけるようにそう口にする)
(心の中のざわつきは、隠せなかった)

【ごめんなさい、予想以上にレスに時間がかかってしまって……。】
249天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/22(土) 17:32:16 ID:81qCXqgL
>>248
それは、そう、だから、分からないの。
(綾香が入寮してから一年以上たち、最初はそれほどでもなかったが、触れたことなんて数え切れないほど)
(迫水直とも、回数は少なくても、抱きかかえられたこともあって、だからこそ分からず)

いや、いやよ、そんなの、そんな寂しいことなんて、嫌。

(先輩を信じて……私は、先輩を信じられる?)

(布団の裾で涙を拭う)
(その問いの答えは、考えることもなく決まっていた)

綾香先輩、私、私に、何か、普通じゃない力、そうゆうのが、あるんです。
何でか、分からないけど、私に触ると、先輩が持っているような力に、影響が出るみたい、で。
たぶん、触れると、そうなるみたい。
(ポツポツと、言葉を選びながら、告白する)
それで、私、傷付けちゃった、そんなつもり、なかったのに。
だから、それで、先輩に何かあったら、って、それが、怖くて、怖くて。
先輩だけじゃない、みんな、みんなに触れるのが、怖くて。
また、誰かを傷付けてしまったらって、そう思ったら、私、わたしっ。
(恐怖と自己嫌悪が悪寒のように取り巻いて、また涙があふれる)

【私の方が遅いし、今日は色々ですから、お気になさらず】
250北峰綾香 ◆mwgFZHH8O2 :2008/11/22(土) 18:03:02 ID:KelnwnP5
>>249
(言葉の意味がいまいち読み取れない)
(だからこそ、ちゃんと聞く必要があった)

…………。
(だったら――、と言いそうになるのを抑える)
(そんな飛びつくような発言を出来る状況ではない)

………………………。
(一言一言、刻んで話し始める言葉に)
(次第に、今までの状況や反応について理解し始める)
(つまり、彼女も異能にカテゴライズされる人間だと言う事)
(そして、それは本人の意思に関係無く発動すると言う事)
(発動して、他の誰かを傷つけてしまった事)
(それが、今の都の状況を生み出しているという事)
…………そうだったの。
………こういう時、上手く喋れなくてごめんね…語彙、多くないから。
例え誰かを傷つける事になったとしても。
みゃこちゃんの場合それは自分のせいじゃない。
私みたいに、自分から能力を欲した人間とは違うし、何より自分の意思ではないのだから。
だから、自分を責めないで。怖がらないで。
誰か、なんて不特定多数の人間を怖がっていたら…みゃこちゃんが潰れちゃう。

………そんなの、私が許さない。
みゃこちゃんは言ったよね…私は大事なお姉さんで家族だって。
だったら……私を姉だと思って思い切り頼ってよ…!
これ以上、泣いてる所、私が…私が見たいなんて思ってる訳ないでしょう!!
いつもの…明るくて気丈な…みゃこちゃんをまた見たいの…!
(珍しく語気を強め声を大きく上げて、食いしばったように細められ潤んだ瞳で都の瞳を見つめて)
お願い………触らせて…みゃこちゃんに…都に触らせて。
私は傷ついたりしない、怖がったりもしない。
……………大事な、大事な妹だから。
(もう一度、手を都へ伸ばしてみる)
(もしかしたら半ば脅迫めいているかもしれない)
(それでも彼女を絶望や恐怖の中から救ってあげたかった)

【ありがとう。】
251天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/22(土) 18:06:11 ID:81qCXqgL
【ごめんなさい、夕御飯の時間になってしまいました】
【いったん抜けさせてください】
【19時前にはレスできると思います】
252北峰綾香 ◆mwgFZHH8O2 :2008/11/22(土) 18:14:16 ID:KelnwnP5
【ん、分かった。】
【行ってらっしゃい。】
253天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/22(土) 18:48:27 ID:81qCXqgL
>>250
綾香、先輩……う、うん。

(責めないで、怖がらないで、それだけでも、すーっと楽になる)
(普段はあまり話さない綾香の言葉は、日照りの大地に降り注ぐ恵みの雨のように心へ染みこむ)
(楽になったのかは分からない、でも、話して良かったと、心から思う)
(そして、)

んっ!!
あ、綾香先輩……。
(そして、それこそ初めて聞いた、見た気がする、綾香の怒ったところ)
(強い言葉、大きな声、潤んだ瞳、どれもが、痛いほど心に突き刺さる)

(私、力とか関係なくて、綾香先輩を傷付けちゃったんだ)
(なのに、綾香先輩が、私を妹だって、お姉ちゃんだって、言ってくれた)
(うれしい……)

(綾香の思いが都に突き刺さり、そこがじんわりと温かくなって)
(温かくて、たまらず、また涙が溢れて)

(先輩の、お姉ちゃんの、気持ちに、答えなくっちゃ)

(涙は拭わず、布団をはだけ、寝間着に包まれた上半身を露わにする)
ごめん、ごめんなさい……みゃこが、馬鹿だったの。
だから、みゃこも、大丈夫だから、触って。
(くしゃくしゃな顔をゆがめて、ほほえむ)

【お待たせしました】
254北峰綾香 ◆mwgFZHH8O2 :2008/11/22(土) 19:13:00 ID:KelnwnP5
>>253
……………ぁ…。
(もしかして、更に怖がらせて泣かせてしまっただろうかと)
(一瞬不安になる)

(だけれど、都はそのまま布団をどかしてくれて)
(寝間着姿を曝してくれた事にほっとする)
………いいの、もう泣かないで……。
自分の事、馬鹿だなんて言っちゃ駄目…。
…っん………久しぶりに見れた…都の…みゃこの笑顔。
ありがとう…………。
じゃあ……触る………ね。
(そのまま…手をそっと頬に触れさせる)

【おかえりなさい。】
【確認したいことがあって。】
【自己で能力制御はまったくできないままの方が良いの?】
【流石にここはノープランじゃいけなそうだから聞いておかないと。】
255天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/22(土) 19:25:38 ID:81qCXqgL
>>254
ううん、やっぱり馬鹿よ。
だって先輩のこと、信じていなかったから。
でも、今は信じてる。
何があっても、先輩とだから、平気、大丈夫、頑張れるから。
(今度はしっかりと笑顔で、綾香の指の頬で感じた)

【能力制御は最初にバランスとかの話があったから、今はこのままで】
【制御できるかとかは、いずれかなぁ、と】
【今の基本スタンスはドラマティックに使って貰えれば、です】
【ボール投げっぱなしでごめんなさい】
256北峰綾香 ◆mwgFZHH8O2 :2008/11/22(土) 19:41:36 ID:KelnwnP5
>>255
……そんな、気にしなくていいのに。
…ありがとう……。
うん、私を信じて……大丈夫だか………っ。
(僅かに目を細めると、少しだけおかしなものを感じた)
(どうやらこれがその力、なるものらしい)
(床に手をつけていないにも関わらず、異能が作動しかけている)
…確かに…使いようによってはすごい力かもしれない。
…他人を傷つけてしまうかもしれない。
でも……みゃこは…自分の意思でしているんじゃない。
だから…………大丈夫………っ。
(そのまま、都に近づきその体をたぐり寄せ、首に腕を回して)
(抱きしめながら、頬に汗を流しながらそっと…小さく微笑んだ)
(まだ、完全に自分の力を抑えられるか分からないけれど)
(それでも、安心させて上げたかった)

【ん、分かった。】
【気にしないで……それじゃあ。】
【あとは、みゃこちゃんの返しに任せるね。】
257天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/22(土) 19:59:22 ID:81qCXqgL
>>256
…………。
(少しだけ、綾香の様子が変わる)
(口ぶりからして、都の力が作用しているように思える)
綾香先輩……ぁっ。
(ふわっと、抱きしめられて、少しビックリする)
やっ、ダメ、お風呂入ってないから、汚い、です。
(恥ずかしい、けれど、綾香の身体が温かくて、ほっとする)
……使いよう、使えるのかな、こんな力。
自分で、どうしようもないのに、今だって、そう。
(迷惑をかけている、という言葉は飲み込んだ)
(ただ、綾香のぬくもりが、鼓動が、心地よくて、頭を綾香に預けて)
どうにか、なるのかな?
(義手を持った男子生徒は、どうにかなるようなことを言っていた)
(都にはその真偽は分からないが、綾香なら分かるのだろうか)
この力、どうにかなるのかな?
そんなことを、言っていた人がいて。
(ふと、そのことを漏らしてしまう)
258北峰綾香 ◆mwgFZHH8O2 :2008/11/22(土) 20:14:39 ID:KelnwnP5
>>257
…………っ、ん……。
(抱きしめると、都の体は暖かかった)
(おそらく布団に長い間入っていた事もあるのだろうけれど、どこか落ち着いて)
そんな事言ったら、私だって…学校帰りで下、汗かいてるかも。
私に抱きしめられるのは、嫌…?
(少しだけからかうように言いながら)
………疑問に思っていたら駄目。
出来ると思って……んんっ………。
(その頭を髪を梳くように撫でながら)
(まだ、耐えられる、ただでさえ地面に手を付けていないのだ)
(元々発動条件を満たしていないのもあり、影響があるとはいえなんとかなりそうだった)
………そう、言われたの………。
その人の言う事は…ある程度正しいはず。
要はみゃこ次第なの……多分ね。
今までは気付かずに…使ってしまっていた。
でも今は気がついて………でも、それも間もない。
なら…どこかで何かしらの能力に関するきっかけができるはず。
その時まで…は、…ね?
(優しく諭すように、抱きしめたままそう言って)


259天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/22(土) 20:29:14 ID:81qCXqgL
>>258
ううん、嫌じゃない。
けど、ずっと入ってないし、臭いから、恥ずかしい。
(身体が熱くなって、撫でられているのが心地よくて)

できると思う……私次第……きっかけ……。
うん、そうならないと、大変だもの。
みんながみんな、綾香先輩じゃないし。
(迫水先輩や、伊織先輩に、迷惑をかけたくない)
(大好きだけど、でも、綾香先輩と、迫水先輩は、違うから)
そうなったら、先輩の手助けができるのかな。
先輩の、その、そうゆうのは、無理だけど、そうじゃなければ。
(復讐を良いこととは思わないし、それを手伝うことはできない)
(でも、綾香が無事にすごせる手助けになりたいと、思う)
(消えて欲しくない、居なくなってほしくないから)
260北峰綾香 ◆mwgFZHH8O2 :2008/11/22(土) 20:48:00 ID:KelnwnP5
>>259
そう……よかった。
そんな、気にしなくてもいいの…。
………姉妹でしょう……?
(穏やかな声で、そう囁いて)

………ん……そう…。
頑張って、とは違うけれど…大丈夫。
私が保証してあげる……。
(少しでも安心させてあげたくて)
(その言葉が心の支えになるのなら)
(そして、きっと出来る、と思いながら)
手助け…………?
………ん、ありがとう………。
私の…そっちは、私自身でケリをつけるから。
もう………そろそろだと思う。
悪いことだと思っている…と思うけれど。
私が、過去と決別する為の、新しく生きる為のケジメみたいなものなの。
わがままな姉でごめんね……。
(実際次第に当たってくる敵のランクは上がってきており)
(相手側の構成員不足で幹部クラスに当たり始めているのだろう)
(その分消耗も激しく、情報を流す間隔を伸ばしはじめている)
(でも、そんなことよりも…今は、今だけでもこの温もりに暖められていたかった)
261天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/22(土) 21:07:44 ID:81qCXqgL
>>260
うん……綾香、お姉ちゃん。
(中等部に上がってからは言わなくなったが、初等部までは皆をお姉ちゃんと呼んでいた)
(その頃はまだ綾香は入学しておらず、そう呼んだことはない)
(何となく、今だからこそ、ふと甘えたくなって)

頑張ってみる、具体的に、どうしたらいいか、分からないけど、でも。
それが、傷付けちゃった人たちへの、つぐない、にならないかも、だけど。
(綾香お姉ちゃんが保証してくれるなら、きっと大丈夫、私は頑張れる)

そろそろ……そうなんだ、これから、もっと大変に。
(綾香の背中に腕を回し、都からも抱きつく)
(強く広く触れることが影響あるのか不明だが、そうせずにはいられなくて)
なら、私はここで応援する、綾香先輩と新しく生きられるように。
わがままなんかじゃないよ、綾香お姉ちゃんは、いま、こうしていてくれるもの。
(思いが力になるのなら、みゃこは、ありったげの限り綾香お姉ちゃんのことを願うから!)

ぐぅ、ぎゅるるるぅぅ〜っ

(都と綾香の間、というより、都のお腹の辺りから盛大な音が鳴った)

…………あ”

【落としどころはどうしましょう?】
【都が出会った能力者達のことを伝えるなら、食べながらお話しする、感じでしょうが】
262北峰綾香 ◆mwgFZHH8O2 :2008/11/22(土) 21:34:39 ID:KelnwnP5
>>261
………一人っ子だったから、言われるとなんだか新鮮。
…これからも、ずっとそう呼んでいいからね…?
(それがとてもくすぐったくて、嬉しくて)
(目を細めながら、ごまかすように乱れている髪を手櫛で整えてあげ)

……誰かが見てくれているから。
それに気付いて貰えたとき…きっと許して貰えると思う。
だから……安心して大丈夫。
(少しだけ、言葉を強くしてそう言って)

ん…………そうなる…かな。
………っん………。
(触れている面積が大きくなって)
(その温かさに、都の心の温度を感じたような気がした)
……ありがとう、みゃこ………。
私もみゃこも…今が人生の変わり時なんだと思う。
…これからも……一緒にいて、私に…料理作ってくれる………?
(分かってくれた事や言ってくれた事が嬉しく)
(絆を確かめたくて、そう問いかけた)

…………ぁ……。
(その大きさに思わず、吹き出してしまい)
ご、ごめん、みゃこ……。

そういえばご飯まだだったから……。
少し冷めちゃってると思うけど、このまま食べる…?
(視線をベッドの下のお盆――見えないけれど――に目線を送り)
だったら、お盆上げるけれど。

【食事に入る所で終わりでいいんじゃないかな。】
【みゃこちゃんは正常な状態に戻ったし。】
【聞きたい気持ちもあるけれど……うぅん…悩ましい。】
【聞いていると端的に、短くというお話にするのも難しそうだし。】
【…聞いた事にして、避難所の方に会った人の評価みたいなのを書いてくれると、引き出しに使えるかなって思う。】
263北峰綾香 ◆mwgFZHH8O2 :2008/11/22(土) 21:37:01 ID:KelnwnP5
【ごめんね、入る所、じゃなくて途中って感じのがいいかも…。】
264天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/22(土) 22:01:44 ID:81qCXqgL
>>262
中等部にあがったとき、もう中学生だからみんなを先輩って呼ぶようにしたの。
きっと他の人に聞かれたら、きっと小学生に戻ったのって言われちゃう。
だから、二人っきりの時だけ、綾香お姉ちゃんって呼ぶね。
(お姉ちゃんと呼べるのが嬉しくて、髪をすく綾香の指が気持ちよくて)
(すりすりと、頭を綾香にこすりつけて)

誰かが……うん、きっと、大丈夫。
(逃げちゃ駄目だと、伊織先輩は言っていた)
(綾香先輩と、伊織先輩とでは、違うのかも、だけど、きっと)

人生の変わり時……そうなのかも。
(事故のことを知らなくちゃっと思って、綾香先輩のことを深く知って、恋をして、破れて、そして)
うん、お姉ちゃんのため、おいしい料理、つくる。
今は、綾香お姉ちゃんが、一番料理を食べて欲しい人だもの。
(迫水先輩にはもうつくれない、つくっちゃいけないから)
(お姉ちゃんが、みゃこの味で、ちゃんと戻ってこられるように)

はぅぅぅぅ〜〜うぅぅぅ……くすん。
(恥ずかしくて、真っ赤な顔を両手で隠す)
だって、安心したら、とってもお腹が空いちゃったんだもん。
(やっと、この数日の間、凝り固まっていた解けて、気が抜けて)

うん、食べます。
義母さんのは、冷めても美味しいし、もしかしたら、冷めて美味しいものかもだから。
(血は繋がっていないけれど、義母は都の母だから、そこまで考えて綾香に運ばせたかも、と都は思う)
綾香お姉ちゃんも一緒に食べよう?
美味しいから、義母さんのお粥は。
(都は義母に、何よりも綾香に、感謝した)

【そうですね、では、こんな感じで締めに】
【能力者のことはロールで話すと切りがなさそうですし】
【避難所にこんなふうに話したとレスをします】
265天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/22(土) 22:03:26 ID:81qCXqgL
>>263
【あ、書いてる途中で自動リロードが止まっていたので読み落とし】
【〆とかいちゃったけど、続けるかはお任せします】
266北峰綾香 ◆mwgFZHH8O2 :2008/11/22(土) 22:24:27 ID:KelnwnP5
>>264
そうなの……。
それに血も繋がっていないのに、お姉ちゃんは変だものね。
うん、それで構わない…ありがとう。
(頭をこすりつけられるのが何やら可愛くて)
(思わず目を細めてしまいながら)

ありがとう、みゃこ……嬉しい。
……一杯、食べちゃうから。
(そんな事を言いながら、比較的少食な自分)
(きっと都も気付いているだろうけれど)

…………ああ、泣かないで……。
…まあ、恥ずかしい、よね………。女の子だし…。
(宥めるように、そう語りかけて)
…………でもよかった……お腹がすいてくれて。

………うん、それじゃあ………。
(ベッドの下に手を伸ばし、お盆を上に持ってきて)
動くのも面倒だろうから。
このまま、食べちゃって…って私も……?
うん、いいけれど……。
それは良く知ってる…うん。
それじゃあ…頂きます。
(そう言って、綾香は都と一緒に食事を取り始めたのだった)
(都の笑顔をまた見られることを嬉しく感じながら)
(訪れる――やがて来る決戦の日に思いを巡らせていた)

【いえ、丁度良いからここで締めちゃいましょう。】
【頬に米粒とか、とってもとってもやりたいけれど……。】
【また新しいロールの時に、何か出来ればいいな。】
【長い時間、ありがとう。お疲れ様。】
【みゃこちゃんが戻るきっかけを作れてよかった。】
267天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/11/22(土) 22:29:20 ID:81qCXqgL
>>266
【あー、頬にお米粒!】
【おいしいものは最後に、ということで、今度にしましょう】
【きっと、つながりは広がっていくと思うから、また何かできると思います】
【みゃこの方こそ、ありがとうございました】
【やはり、綾香お姉ちゃんとのロールはとても良いです】

【では、スレをお返しします】
268媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/11/24(月) 21:56:22 ID:L1s6qAah
【失礼してロールに、お借りいたします。(一礼)】



(冷たい空気を、めいっぱいに吸い込んだ)
(ひとつの季節分も離れていないのに、もう一年もこの街から離れていた気がする)
(――自分のホームは深凪だったのに。そう思うと、少しだけおかしくて笑った)

(この頃の夕暮れは早く、六時をすぎればもう闇が落ちてくる)
(少しばかり大きめの荷物を片手に、久々に思える借り部屋への岐路を、
 どこか体をかばうようにゆっくりと、ゆっくりと歩きながら、少し空をあおぐ)

……払った代償には、もったいなさすぎるほどの見返り、ですね。

(言葉をつむいだ声音は、いつになく柔らかく)
(吐き出した吐息は白い水蒸気となって――白く、くゆった)


【改めて、宜しくお願い致します(一礼)】
【……パソコンの調子の方、もう危ないっとなりましたときは遠慮なくっ、ですよ?
 こんな感じで書き出させていただきましたけれど…こちらにも、問題あればなんなりと】
269須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2008/11/24(月) 21:56:24 ID:PdnPwXcD
【お借りします】
270須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2008/11/24(月) 22:06:11 ID:PdnPwXcD
(鋭く凍てつく空気を吸うと、それに切り裂かれたように血臭が飛び込む。
 それは錯覚であった。意識が香らせているのだ。
 自転車を少し早めに漕いでいる故の勢いのせい、だけではないだろう。
 既に陽も落ちきった魔の世界に、一時も身を置きたくないのだ。)

……、あれ?

(しかし、そんななかでも前輪のブレーキを緩くかけたのは、
久しく見ていなかったような姿を、視界の端に捉えたからだ。
 近眼ゆえ、見覚えというものも曖昧になるのだが、つい興味が逸れたのだ。
 何故かは、わからない。無視して帰ってもよかったはずだ)

センパイ……?だよね。
……ガッコ、さぼってたんじゃなかったの?

(きぃ、と音を立てて自転車を停めて、眼前に停車する。
 籠に押し込んであった買い物袋が僅かに音を立てた。
 当の運転手は、不思議なものでも見たかのように、
あっけにとられた静けさを表情に浮かべていたが)

【はい、ではこんなで。よろしくッ】
271媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/11/24(月) 22:11:56 ID:L1s6qAah
(自転車の、音。
 そちらを向けば、つられたように黒髪が揺れた)
(眼前に止まった自転車の、その乗り手を視覚が捉える前に、
 聴覚が相手を認識して――その貌に一瞬、緩みがおこるも束の間、すぐに驚きに転じて)

………ええ。本日より学校復帰、です。
携帯も、少しばかり壊れてしまって――連絡、取れない次第で申し訳、なかったのですけれど。

水琴さんこそ、どうなされたのですか。
お買いものにいって、どこぞで眼鏡、落とされたとか?

(小さく小首をかしげて、口にした憶測はもちろん本気じゃないのだろうけれど)
(ひどく不思議そうに。そうしてその傷を夜目が捉えたか、
 どこぞ不安そうに声を震わせて、尋ねかけた)
272須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2008/11/24(月) 22:20:38 ID:PdnPwXcD
受験とかがめんどくなったのかと思ったよ。
センパイ、色々あるみたいだったしさ。その、なんていうか。
ま、元気そうでよかった。変わらないね。

(と、微笑む。水琴は、葵に在った一時の変化を知らぬゆえに。
 安堵を露わにする表情からも、見咎められたような傷は消えない。
 しかし震えた声には、首を横に振って)

ちょっとヘマこいちゃってね。目、やられちゃって。
でもま、かたっぽだけだし。携帯と違って、なくなってももう繋がらなくなるわけじゃないよ。
それで……うぅっ、寒いなぁ。

(なんでもないように振る舞ってみせる。触れられたくない――
 ように見せて、興味を惹かせるような、浅ましい行いだった。
 コートの襟をあわせつつ、白い息を吐いて見せたのも、間を持たせたのも)
273媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/11/24(月) 22:30:01 ID:L1s6qAah
現代文の授業、また受けなければならないとは鬱ですけれど――…なんて。
――ともかく、帰って参りました。…約束は、守らないと。
(柔らかく目元を緩めて、相手の笑みに応える)
(たくさんのひとに、たくさん話さなければならないことがあると、
 そう思うと、まだその理由は分からなかったけれど、自然と笑みがこぼれた)

……かたっぽでも、傷は傷です。怪我は、怪我でしょう。
(相変わらずその貌は強い表情を宿すことはしなかったけれど、
 それでも、細めた瞳と、すこし強めた語調は、それを咎めていて)

まったく、心配させないでください。
……ここからだと、私の家の方が近いといえば近い、ですけれど。
ああでも、どうにも買い出しの途中でしたようですね。 お家まで、送り届けても?

(しかしながら、すっと伸ばされた手は柔らかく、優しく――
 その傷に触れようとして、その直前で止まる。
 それから、投げかけたのは「触っていいか」を尋ねかけるような、視線)
(口にする言葉と、視線で、全く異なるふたつの問いを投げかけた)
274須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2008/11/24(月) 22:39:27 ID:PdnPwXcD
律儀だね、センパイは。約束も、ああ……勉強のこともさ。
いんじゃない。普通の学校生活って、面倒だけど、楽しいは楽しいし。
……でも、冬は夜が永くて……明けたところ、最近見てない気がするな。
(この世界に戻る寄る辺など、自分にはあるのかと自問する。
 見上げた空に白い溜息を舞い上げた。約束も何も、自分は固執できないだろうと)

センパイだって、いつこうなるかわからないじゃん。
今まで運が良かっただけだよ。続けてたらこうなるもんだって。
……あたしはまだ生きてる。センパイもね。
(でもいずれ、と紡ぎかけて、口を噤む。傾いていた自転車を、音を立てて直す。)
あたし、そんな子供じゃないよ。……でも、話相手がいるのは嬉しいかな。
歩いてけば、それなりの時間には、なるよね……。行く?

(苦笑した。伸ばされた指先に視線が動くが、咎めはしない。不思議がりもしない。
 もう痛みもなく、その傷からは血も流れない。肌となんら変わりないのだと)
275媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/11/24(月) 22:52:43 ID:L1s6qAah
そうですね。 うん……楽しい。
春になったら、高校は卒業してしまいますけれど…早く春が来るといいですね。
ああでも、現代文の授業の単位落としていたら、下手すると危ういかもしれません。
(零すように呟いて、それから何を思ったか、
 それからまるで愛おしいものを思い出すかのような表情で、笑った)
(――水琴の心のうちの思いなど、知ることもなく。
 白い溜息が舞い上がった先の闇のような思いには、未だ気付けないままに)

あら、それは言い返せませんけれど。
(伸ばした手。その長袖の中の腕には、みっともなく包帯が巻かれている。
 腕だけでなく、体にも幾重に――…“我を通す代償”は無傷とはいかなかった)
……ん。
ゆっくり歩いたら、結構な時間になるのではないでしょうか。
「旅は道づれ二人連れ」と、昔の人も申しました。重畳です。
(それでも、ズルイ彼女は水琴の傷だけを咎めて、嘘と共に首をかしげるのだ)

(その片方の目に触れて、その傷を確かめるように少し指を滑らせる)
(わずか、曇らせた表情でした決意は――…ひとつ。
 「できるだけ、できるだけ――もう、“大切なひとたち”が傷つかぬように」と)

さて、参りましょうか。
(言葉にせぬ決意を胸にして、ゆっくりと手を離した)
276須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2008/11/24(月) 23:01:20 ID:PdnPwXcD
>>275
センパイはまた三年なだけいいよ。あたしはもっかい二年やるのが確定してるしさ。
(肩を竦める。受験までは遠いが、二年間を微妙な空気のなかで過ごせ、というのだ。
 しかし――目の前の、謳歌してます、という微笑みには何か、ちくりとした痛みを感じる。
 同じような風景を見ている筈なのに)

そーいえば、さ……センパイんとこはさ、引退とか、そういうのあるの?
どれだけ仕事したら終わりとかさ。もしかしたら定年制だったりする?
(縦一文字の傷を撫でられながら、くすぐったさに眉をひそめて、問うた。
 依然として、彼女の「何故」を、自分は知らない。
 チェーンが回る音とともに歩き出しながら、なんとはなしに聞いて)

……ってか、流してたけど、「世は情け」じゃない。
センパイ、現文苦手っつーけど……実はこどものころ外国にいましたとかあったり?
(道連れの、ほんの数十分の旅路の切り口は、まずこんなところ。)
277媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/11/24(月) 23:16:24 ID:L1s6qAah
………留年、って。もう、決定ですか?
留年しないようにだけは憂慮しておられたかと、存じておりましたけれど。
(肩をすくめた相手に、少しばかり驚きの色を滲ませて問う)
(それから、次に何気なくよこされた問いに対しては少し、間をおいて)
――いえ、定年制とかではありませんね。
辞めたかったら、好きな時にという方式でしょうか。敵に回らない限りは、去る者追わず。
(そうか、と思った。自分はいつだって、話を濁してきたから。
 ちゃんと、話そうと思うのだが…どう話したものだろう――
 と。少し思案しながら、道を歩く。行く先の、闇は薄く冷たかった)

……でも、この場合は二人連れの方が、重畳でしょう。
ええ。実はイギリス人と日本人のハーフで、八歳くらいまではイリギスに。
ですから、英語は点数いいのですけれど、現代文は――…というのは、冗談ですよ?
(水琴によって、加えられた訂正の言葉に、
 つらりと冗談を真顔でつらねたのは、一体どんな心境からだったか)
(それから、ふと少し何かを躊躇ったように、息を吐きだした)

(すこし、「どう話そうか」という思考が、まとまったらしい)

―――…あの、ですね。
わたし、水琴さんに聞いてほしいことがあって。聞いて、頂けませんか?
(漆黒の瞳が、暗がりの中の水琴の瞳を捉える。
 風は依然として冷たいまま。歩調は、以前として緩やかなまま)
278須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2008/11/24(月) 23:25:37 ID:PdnPwXcD
>>277
まあ、二週間くらいずっと学校いってなかったときがあってさ。
やばかった単位を二個も落としちゃって。
だから春までは、本当はもう学校行っても意味ないんだけどね。
……だからセンパイは気をつけなよ?赤点だけはさ。
(肩を竦めて。結局、言ったこともしっかりと守れないのだ、と)
そこに行くのも好きなように、か……。ふうん、で、お金出るんでしょ?いいね。
(望み、そこに在る、という状況は、今でも理解できないことだった。
 平和や静穏を嫌う理由は、果たして自分が殺すのと同じことなのかと)

え、マジで?へえ、イギリスとのハーフってなんかかっこい……まあ、そうですよね。
顔とか、やっぱ大和撫子って感じだもんなー、センパイ。
(しげしげと、その顔を覗き込んではみるものの。真顔でフェイントかける人物だと思いだしては、
 見咎めるように目を細めて)
……ん?何?
(改まって話し出す様子には、眉を瞬かせる。自分から聞いて欲しい、といいだすのは、希有だと思った)
279媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/11/24(月) 23:45:59 ID:L1s6qAah
じゃあ、私にお弁当を提供するのに学校いらしてください。
私も、高校を卒業したら校内では会えなくなりますし…――ね?
(彼女は自分にとって都合のいい「約束」だけは忘れぬのだ。
 そういう自由なつくりの頭を、すこしだけ傾げてから目を細める)

(見咎めるような視線をうければ、飄々とした様子で視線を前にやって。
 それでも、わずかに肩が震えたのは抑えきれなかった笑いがこぼれたから)
(そんな軽薄なやりとりのあと、「何?」という言葉にわずかな沈黙を返して)

わたし、もうしばらく、こちらにいられると思います。
自分がここにいようって、思う限り、長く。

(どう話していいか分からなくて、水琴から視線を逸らす)
(こういう説明は苦手だった。加えて、どこから話せばいいかも、分からない。
 自分はあまりにも、彼女に対してなにも告げようとしてこなかったから)
その――…所属先を、辞めたわけではないのですけれど、その、えっと――…。
(そうして、ぽつりぽつりと、どこか拙い言葉で、説明をしてゆく)
(自分が“異形狩り”であることを、属していた組織の大まかな在りようを。
 少し前、自分が全ての異能を、当主の言うがままに狩ろうとしていたことを。
 そうして、最後にはそれに背こうと思ったことを――それを話し終えてから、また息を吐きだした)

ずっと、従っているのが私のすべてでした。
それ以外に、なにもいらないって、思ってた。でも――…“変わった”、から。
初めて、当主の言葉に対して、違うって思ったから。
自分の意思で、違うって思えたから。だから、どうにかして曲げさせてきました。
(“まあ、私の組織って基本的にそういうところは緩いので、今生きているわけですけれど”と)
(ようやく、黒い瞳が水琴に向いた)

(自分が、どれだけこの数分間の間に唐突すぎる事柄を話したかくらいは、理解している)
(黒い瞳が、――昔の彼女なら見せなかったように――どこぞ不安そうな様子で、相手を見た)
280須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2008/11/25(火) 00:00:41 ID:dtCViMQ3
>>279
お弁当、ね……そういやそんな話もしてたっけかな。
いいよ。なんだかんだで楽しいもん、やっぱりさ。

(学校に行く。名前を知っている相手とも、知らない相手とも話す。
 そうした当たり前が寄る辺だ。今は区別こそにないにせよ、
その日々があるからこそ、自分は未だ、命が惜しく、生き残ろうと思える。強くなれる)

(告げられるのは、上手く理解できようもないことだった。
 生まれてより、組織だった行動などしない。
 細かく考えて事を成す立場でもない水琴は、他方の事情にはとんと疎いのだ。
 故に――そうした組織への依存も、自我との板挟みの苦労も、
決して理解し得ることではなかった。それでも歩きながらに、
決して口は挟まず、耳を傾け続ける。)

……はじめての反抗、その歳で経験する人ってもしかして天然記念物じゃない?

(と、返したのは、呆れ。
 彼女の想像するスケールは、イエスマンからの脱却。再誕の余韻もなく、ただの一歩だ、と)

いーんじゃない。それだけ大事なものが出来た、ってんならさ。
あたしはこれしちゃいけない、とか、ああするべき、ってわかんないから。
センパイがスッキリしてるなら、あたしからはそうとしか言えないよ。
……もしかしてめでたいことなら、……あ、そうだ。
281媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/11/25(火) 00:08:41 ID:SLQMScM6
(本当に理解してほしいことは、自分の身の上なんかじゃない。
 そんなことはきっと、どうでもよかった。
 けれど、説明し終えてから結局のところはそれを話していないことに気づく)

(いつだって、自分は、核心を一発で伝えられない)

……ホンット遅い反抗期だったなァ、って、当主にも笑われました。
(呆れたように帰ってきた、水琴の声。
 それが呆れであって、拒絶じゃなかったことにどこか安堵した自分がいた)
(だから、こちらも少しだけ困ったような声音で、自分の頬に手を当てる)

ごめんなさい。本当に、何か、妙な事をお話してしまって。
水琴さんに、「いーんじゃない」と言ってもらえれば、私はそれで――…
(それから、返されたさっくりとした言葉に、目元を緩めて)
(「ありがとうございます」と、伝え損ねた「核心」を告げようとして、
 そこで、何かを思いついたような水琴の言葉に、その唇がとまった)

……どうか、なさいましたか?
(何か買い忘れたのかと、今度はこちらが目を瞬かせた)
282須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2008/11/25(火) 00:25:00 ID:dtCViMQ3
ふつーのことをしてなかった。
ってのは、ふつーじゃないセンパイには、ままあるとは思ってたけどさ。
前より、なんていうか、隙が出来たよね。ふつーになった、っていうか。

(胸襟を開いて物を話す葵には、やや違和感を覚えるものの。
 会話自体は滞りなく。言わば、葵は一歩、陽のあたるほうへ近づいたのだろう。
 そう思えば――自分も、とは思う)

……あたしもね。やっと、終わりが見えてきた。
いつでもやめれる、っていいもんだね、きっと。
多分さー、死ぬのが恐いんじゃなかった。
この世からいなくならなきゃいけないのが恐かったんだ、って。
……でも今のセンパイは、覚えててくれそうだね。優しそうに、見えるよ?

(と、悪戯っぽく笑い、首を傾いだ。こうして、「現世」に近づいていけば、
 憑きものが落ちたような顔が出来るのだと)

今日、鍋なんだ。
一緒にどう?……お父さん帰ってくるの遅いかもだから、二人になるかもだけど。
283媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/11/25(火) 00:45:03 ID:SLQMScM6
……隙ができてしまうのは、異形狩りとしていささか問題な気も致しますけれど。
(少しだけきょとんとした表情してから、困った顔を“つくる”)
(それから目を細めて、水琴の言葉に耳を傾けていたのだけれど、
 次第に、その瞳に揺れが帯びていった。一瞬だけ、言葉が理解できなかった)

(昔。そう、あれは確か、自分が二度目に水琴に会ったとき)
(夜と昼のどちらが現実でどちらが夢か――と、水琴が零した言葉を何故か思い出した)

みこと、さん…?
(胸のずっとずっと奥で、嫌な胸騒ぎがする)
(水琴の言葉を聞いていれば、
 まるで水琴がいなくなってしまうことを告げられているようで。
 まるで、彼女が「いなくなる」ことを前提に自分に、語りかけている気がして)

……お鍋、ぜひとも、御一緒させて下さい。
(ふいに、その足を止めて。
 隣を進んでいた水琴の、自転車を押す手の上に自分の手を乗せた)

ねえ、水琴さん。
(くらいくらい漆黒の瞳が、月明かりの似合う少女を見据える)
(見据えたのは相手の瞳か。それとも、縦一文字の傷だったか。
 あるいは、眼鏡が取れてより素のままにみえる――端整な、その貌か全てか)

―――…“何”か、ありましたか。
(一瞬たりともそれない瞳と、静かな声で、それだけ一つ問いかけた)
284須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2008/11/25(火) 01:00:34 ID:dtCViMQ3
いんじゃなあい。
多少隙があったほうが、男にもてるんだー、って、
誰かが言ってたような気がするよ。ガチガチなよりさ。
(冗談に冗談を重ねながら。古びた、背の高い木の塀。
 自宅の壁に沿いながら、ついに間借り、裏口の戸の鍵をポケットから漁る)

……?

(手袋をしていないためか、ハンドルに載せていた手に、
別の体温が乗っかってくると、貌を跳ね上げるように葵の顔を注視する。
 ……まっすぐな視線は、その深みを以てなお鋭く水琴の精神を抉った。
 強い問いかけには、目を細めて。息を吐いて、喉を引き攣らせてから)

……殺すのが、気持ちよくなってきた。
長いこと殺さずにいると、頭が壊れそうになるんだ。
そういう体質なんだと思う……殺し続けなきゃいけない。
殺されたくないし、殺さないといけないから、でも。
……そんなのよりも、鍋を囲むような、楽しいほうが好きだからさ。
そっちが現実だったら、どんなによかったか。
(溜息を吐く。声は震えないが、こうして、結論を出すこと、諦めることは。
 心臓の最後の鼓動のように、弱く打ったことこそ最後で、あとは静寂になる。
 伏せた顔を上げて、笑顔を作ると)
――センパイは「そっち」の人だから。
あたしのためにも笑っててよ。
285媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/11/25(火) 01:12:05 ID:SLQMScM6
(水琴を見つめていたその瞳が、大きく、おおきく揺れた)
(しかしながら、表情にそこまで大きな変化はない――…無い、ではなく浮かべられない、のか。
 水琴の笑顔をみつめたままに、呼吸とその瞳以外の動きを、完全にとめたように、彼女は固まった)

………どう、して。
(重ねた手。自分の冷たい手を――相手を温められない手を、初めて疎ましく思う。
 声が、震えた。相手の伝えた言葉を、理解したくなかった。聞かなかったことにしたかった)
(でも、それはできない。ここで逃げだしては、絶対にならないとそう思ったから)

なんで、そのようなこと。
……殺すって、それは、貴方は――…何を、殺めて、それで――。
(顔ふせると、黒髪が葵の表情を隠した)
(声が震えるのは、自分が尋ねたい事が湧き出て、それに混乱が絡まって、はっきりと言葉にならないからか。
 もどかしさに、おもわず、水琴の手を握る手に力がこもった)

――どういう、ことですか。
須佐乃の、御当主は……そのことを、御存じなのですか。
(顔は、あげなかった。笑っててと、告げた笑顔を、真っ直ぐに見られる表情は、まだできなくて)
286須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2008/11/25(火) 01:28:31 ID:dtCViMQ3
多分……あれだ、病気みたいなもんなんだ。
なんで自分がって、どうしてって思っても誰も答えられない。
今なら、まだ、仕事として、異形や異能を相手に、そういう理由があるから。
でも――もし、平和な昼間がさ、現実になっても、あたしがこのままだったら。
わかるでしょう。 ……それでもあたしは、殺すと思う。

(強く握って、体温を取り戻していく手も、冷えた声を温めることは適わない。
 吐露するのは、最も汚い部分。他者を糧にし、体質を理由にし、殺し続ける悪鬼の仕組み。
 これを、葵に吐き出すのはつまり、覚悟の顕れだ)

あたしはセンパイとは違う。人間だけど、異形みたいなもんなんだよ。
降りられない。殺すことを、生まれついての義務として、生きなきゃならない。
お父さんは気づいてて、時代遅れの「須佐乃」なんかやってたんだろね。
……でももう、お父さんのことも、センパイのことよりも……生きてたって、
終わりがないことのほうが、あたしには辛い。

(と、ひとしきり告げると、首を横に振る。
 勝手に便乗するように、どこまでも勝手なことを口にして。
 目に涙を溜めながらも、それでも笑顔を作れた)

センパイが変われたように。あたしはこれ以上、足踏みだけでいられないから。
……大事なものが、大事なものであるうちに。
287須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2008/11/25(火) 01:30:27 ID:dtCViMQ3
【ちょっとゴメン、少し長いこと離席することになるかも……】
【出来れば凍結なり締めるなりしてもらってもいいかな、ごめんっ】
288媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/11/25(火) 02:05:55 ID:SLQMScM6
(水琴のその言葉は、醒めきった心の奥底に響いて、脳まで届いて――認識を、促してゆく)
(自分の手の先の娘の中に巣食うそれは、“異形”として差し支えないものかもしれない。
 そうして、異形は自分が狩るべきものだ。自分は、異形狩りだ。猟狗でなくとも、それは違えぬと、決めたから)

――……私、諦めが悪いのです。
(ゆっくりと、顔を上げた。 そっと両の手を伸ばすと、水琴の頬を包むように触れて。
 親指でその目じりの涙をぬぐうようにしながら、すっと目を細めた)

前に、申し上げたでしょう?
わたし、貴方とあの方のことを、大切に思っているのだと。
(水琴に対して向けた漆黒の瞳も、その唇がつむいだ声も、震えてはいなかった)
……私は欲張りだから、大切だと思ったものをみすみす手放すことはできません。
貴方がもともと、私の手におさまってくださっていたかは、また別の話ですけれど。
(悪戯っぽく、小首を傾げて伝えた言葉は、どこまでも我儘だったけれど。
 彼女にはその気持ちを曲げるつもりは、つゆほどもないらしい。そうすると、決めたから)

須佐乃の天才児だろうが、殺人衝動の持ち主だろうが、それ以外だろうが関係ありません。
私が大切に思う“水琴さん”が、まだそこに在って下さるなら、私はそれを「はい、そうですか」と手放せない。
(自分は、「終わりがない」ことに苦しむ彼女を、まだ苦しめるといっているに等しい)
傲岸不遜、思いあがりなのは重々自覚しております。
それでも、これは譲れません。いえ、譲るつもりなど毛頭ございません。
(けれど、駄目なのだ。どうしても、すんなりと、あがきの一つもせずに受け入れられるはずもない。
 「大事なものが、大事なものであるうちに」と、そう告げてきた水琴は、少なくとも自分にとって異形じゃないのだから)

――……で、お鍋はなに鍋、なのでしょう。
ちなみに、センパイは鳥鍋が好きです。水菜なんて入っていると、それは重畳です。
(だから、何事もなかったように手を離して、彼女は頬に手を当ててから首をかしげた)
289媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/11/25(火) 02:06:59 ID:SLQMScM6
【遅れて、すみませんっ。お待ちしt――…と申し上げたいところですけれど、どうにも眠気がきつく…】
【一応、〆られる形…にしたつもりなのですが、こちらは凍結でも、あれでしたら置きレス、でも。
 もしくは、すこし不格好ですがこれで〆か、水琴さんが次で〆ていただけても、重畳です】

【凍結なのでしたら、良さそうな日時を避難所でお伝え下されば、幸いです】
【それでは、一応ですけれど、こちらからはいったん、スレをお返しする形にしておきますね】
【本日は、お付き合い有難うございました。これにて、こちらは失礼させていただきます(一礼)】
290須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2008/11/25(火) 02:08:29 ID:dtCViMQ3
【じゃあ、後ほどレスを落とすから、それで〆、ってことに。】
【我が儘言ってごめんっ。今日は嬉しかったよ−!】
【おつきあいありがとう。おやすみなさい】
291須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2008/11/26(水) 17:00:14 ID:/luA2j10
……。
(滲んだ視界から、瞬きで追い出した涙を拭う指。
 暖まってきた体温が頬を包むと、こちらの浮かべる笑みも、意味を違える。)

前のセンパイだったら。
仕事だからー、っつって、ざくってやってきそうなもんだったけど。
まあ……あたしにとっては、幸運だったのかな、これは。
(それも覚悟の上での告白だった。
 "告白"とは、"恥ずべき恥部を晒す"ことだ。弱点を見せることだ。
 追い詰められた者がすることだと、それを受け止められては、強く出られるはずもない。
 苦笑を浮かべて、片手を掌に重ねると、ゆっくりと降ろさせて)

……ありがとね。嬉しいよ。
(具体的なことは、それでもまだ返せない。「笑顔」だけで返すのは、最大の黙殺でもある。
 言葉はすべて真実だ。しかし、胸を抉る痛みは、ごまかし通せるものでもない。
 生きろ、というのは、今の自分に対する、最大級の拷問なのだ)

あれれ、偶然。鳥鍋だよ。お父さんも鶏肉好きでさ。
つみれなんかも入れちゃおうかなー、とか、思ってるけど。
ほら、入ろ入ろ。暖かいお茶に、こたつもあるからさ――。


【と、遅れてごめん!これにて〆させてもらうよ!】
292伊織津綺子 ◆w6iOQ87fxQ :2008/11/29(土) 23:02:37 ID:+g5gEgdi
【ロールにお借りします】
293迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/11/29(土) 23:06:34 ID:VPWEgMDg
【同じくロールにお借りします】

http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/erochara2/1227380184/167 からの続きです】

(逃がさないように両手で細くくびれた腰を掴まえて)
(高く突き出させながら反り返るものを更に押しつける)(口を開いたヒダに咥えさせるように擦り、その先にある突起にカリを引っ掛ける)

(こぼれる蜜が布地と勃起の間で粘った音を立てて泡立ち、白く濁って絡み付き)
…ん…くぅ…
(呻きと共に一旦腰を引くと、離れるのを惜しむようにお互いの欲望の間に幾筋もの糸を引く)

津綺子、脱がすね…
(宣言しておいてから、腰骨に引っ掛かっている小さな布に両手を添え)
(お尻の曲線に合せてゆっくりと引き下ろしていく)
(紐のように捩れた布を引き剥がし、押さえから開放された「そこ」をじっくりと眺める)

(露になった滑らかな桃、綻び媚香を放つ花園。そして谷間の中央にある薄く色付いた菊の模様)
……全部見えてるよ…
(お尻を左右に拡げ、恋人の秘められた部分全てを観察していることを告げる)

【ではこんな感じで】
【今夜もよろしくお願いします】
294伊織津綺子 ◆w6iOQ87fxQ :2008/11/29(土) 23:24:18 ID:+g5gEgdi
あ、あぁ、だめ……ぇ……
(熱い勃起を押しあてられ、刺激を待って膨らむ肉の突起をこすられると、もう喉から声が漏れるのは抑えようもなく)
(その部分が絶頂を求めて固くしこる)
直さん、そんな…あ……
(小さな布地には吸収しきれないほどの粘液を分泌して、悦んで直を迎え入れようとする)
(それだけで直は離れてしまい、かすかな落胆のため息と同時に、上体を脱力させてテーブルに突っ伏す)

(恋人の手が少女の肉体を包む薄い布地を引き剥がす)
(一度も日に当てたことのない白い双球を直の大きな手がつかんで両側に広げ)
(直が快楽を与え、磨き上げてきた津綺子自身をさらけ出す)
(その視線までもが粘膜に直接刺さるほどに感じて)
もう、見ないで、お願い……早く……


【今夜もよろしくお願いします】
295迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/11/29(土) 23:42:45 ID:VPWEgMDg
まだ全然触ってないのに、こんなに濡らして…
(双球を撫で回しながら、ふっくらとした秘唇を両手の親指で左右に割り)
(色濃く充血したサーモンピンクの粘膜に先端をあてがい、押しつけては離し、と繰り返す)

早く…どうして欲しいの?
(津綺子の口から直接聞きたくて、答えの分かり切った問いを投げ掛ける)
(恋人を焦らすことで自分自身の欲も煽り、駆り立る。その熱を、勃起を通して津綺子の中心に伝え)
296伊織津綺子 ◆w6iOQ87fxQ :2008/11/29(土) 23:54:24 ID:+g5gEgdi
(直の目の前で、淫蕩な妖魔のように局部を見せつけ、腰を振ってしまう)
(そんな自分の姿に羞恥心ばかりか、自尊心までグラグラしてしまうが)
(直の手が熱く熟した果肉を割って、滴る果汁を味わうように亀頭を押し付けると)
(先端から電流を流されるように、粘膜に触れる瞬間、ふる、と身を震わせ)

早く……入れて……そこへ、直さんの……その…固い……
(直の焼けつくような欲求が伝わってくる)
(早くそれを自分の中へ叩きつけてほしいと、テーブルに乳房を押し付けて身をよじりながら)
入れて、突いて……いつもみたいに激しく突き上げてください…!
297迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/11/30(日) 00:07:49 ID:/Ml++UyP
(淫らな部分を見せつけ、腰を誘うよう揺れ)
(恋人の切羽詰まった懇願は嗜虐心を燃え上がらせる)

分かった…今あげるからね…
(ぴっちりと閉じた入口を先端で押し開く。よりあわさったヒダは強く締め付けて侵入に抵抗してくるようで)
(その抵抗を崩すように入れては引き抜き、少しずつ深く埋め込んでいく)

(奥までの道程の半分ほどを越えたところで一旦侵入を止め、ゆっくりと抽送を開始する)
ん…あ、あぁぁ…津綺子…気持ちいいよ…
(腰を掴まえて恋人の動きを制限し、強い刺激を望む身体を更に燃え上がらせようとする)
298伊織津綺子 ◆w6iOQ87fxQ :2008/11/30(日) 00:18:26 ID:WtFdh8iw
あぁ……
(今あげる、と言われて乾いた人が水を与えられたように、歓喜の声を漏らして背をそらせる)
(まだ熟しきったとは言えない果実の中心に熱い剛直を押し当て、押し進められて)
あぁっ、やぁ……っ! すごい、広がっちゃうっ…
(亀頭が入口を通過する瞬間は、今でも息を呑んでしまう)
(何度受け入れても、そのたびにその大きさに犯される瞬間は怖れを感じて)

(途中、一番敏感な内部のあたりで挿入が止まる)
(浅い挿入のまま、ゆっくりと出し入れされ、導火線に火をつけられたように焦れて)
んぁ…あぁっ……き、気持ちいい…もっと……
(さらに腰を突き出して、子宮まで十分に犯してくれと)
もっと奥まで……ください……っ!
299迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/11/30(日) 00:30:03 ID:/Ml++UyP
いくよ…ん、んんんっ!
(後ろから抱き締めるようにして津綺子の背中に覆い被さり)
(腰を引きつけるようにしながら、一気に突き上げる)

…くっ…あぁっ!
(普段と違う挿入は、普段と違う角度で、普段と違う部分をこすりあげて)
(それでも奥まで到達して、津綺子の子宮を押し上げるのは変わらず)
(勃起の先端が子宮口に食い込むように抉り、ぴっちりと張り付いてくるヒダをカリでこそげていく)

あ…はぁ…津綺子…
(身体を起こし、腰を前後に振り恋人を背後から犯す)
(下腹部が津綺子の尻肉とぶつかり、ピタピタと音をたて)
(より大きな快感を求めるままに、ストロークのテンポを早くする)
300伊織津綺子 ◆w6iOQ87fxQ :2008/11/30(日) 00:39:11 ID:WtFdh8iw
(直の熱い胸に背中を抱きすくめられると、理性はたちまち曇って四散する)
(全身を優しく包み込まれるような姿勢で、下半身はきつい責めに激しく突き上げられた)
あ、あぁっ、ただし、さんっ……こんな、の……
(舌を噛みそうなほどゆすりあげられ、言葉は振動で途切れる)
(長い茎が子宮を押し上げ、エラを張ったカリがいつもとは逆の向きに粘膜をえぐり)
(その一往復ごとに、どんどん快楽の絶頂へと押し上げられて行って)

う、あ…直さん…直さぁんっ……
(ただ、うわごとのように恋人の名を重ねて呼び、また新しく内部に敏感な部分を見出され)
(直によって次々と目覚めさせられるのを痛いほど自覚して)

イく……イっちゃう……わ…たし……っ…
(ぎゅぎゅっと激しく蜜壷全体が痙攣し始める)
301迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/11/30(日) 01:04:04 ID:/Ml++UyP
津綺子、ここ?ここだね?
(いつもと逆向きの挿入。その抽送のうちに恋人が反応するポイントを見つけ)
(その新たに発見した部位を強く、激しく突き上げる)

(反り返る津綺子の背中を押さえ付け、逆に繋がった部分を高く突き出させように組み伏せると)
(女性を無理矢理犯しているような背徳的な快感が押し寄せる)

くぅ…つきこ、俺も…一緒に…
(絶頂間際の不規則な痙攣に締め付けられ、絞られて)
(睾丸がぐっ、とせり上がり射精の準備が整う)

いくよ?出すよ…んん…あぁぁ、つきこぉ……っ!!
(恋人が頂点まで駆け上がったのを腟の締め付けで感じ取り)
(それに合わせて奥深くまで剛直をねじ込み、子宮口をこじ開けそうなほど先端をぶつけ)
(恋人の胎内に生命の証を流し込む。勢いよく吐き出した白濁は恋人の子宮を熱く満たしていく)
302伊織津綺子 ◆w6iOQ87fxQ :2008/11/30(日) 01:14:05 ID:WtFdh8iw
ぁぁあっ…そこ……っ!
(早くもこちらが反応するポイントに気づき、固く反り返る幹の先端でその部分をえぐる)
(快感に声を上げて背をそらせば、たくましい腕に組み伏せられ、反動で腰が持ち上がる)

ただしさ、あ、んっ……!
(新たに刺激される部分からの鮮烈な快感にたちまち昇りつめ)
(そこへ追い討ちをかけるように精液が噴き出す)
あ…熱い……熱いの、いっぱい……

(精液の刺激で子宮が収縮し、背筋が大きくぷるっ、と震える)
(深く激しく満たされ、テーブルの上に突っ伏したまま、身動きもできずに)
(直が萎えていくのを感じて、直を抱きしめたいと思いながらも)
(背後の恋人に、それを伝えることもできずにただ荒い呼吸を鎮めようとするばかり)
303迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/11/30(日) 01:25:14 ID:/Ml++UyP
くぅ…はぁ…
(悦楽と充足感に満たされて、大きく息を吐く)
(絶頂に達した勃起は、恋人の中で少しずつ力を失っていく)

…………
(テーブルに突っ伏したまま、息を整える為大きく揺れる背中に、堪らなく愛しさを感じ)
(体重をかけないように気をつけながら覆い被さって、背後から抱き締める)

津綺子…
(名前を囁き、呼びかけながら、首筋にキスを落すと)
304伊織津綺子 ◆w6iOQ87fxQ :2008/11/30(日) 01:35:30 ID:WtFdh8iw
(温かい胸が柔らかく覆いかぶさってきて、背中を抱きしめられた)
直さん…
(かすれる声で呼びかけ、腕の中で向きを変えようとする)
(その首筋に熱い唇が触れて、体中、羽箒でくすぐられるように直への思いが広がっていく)
(乱れた制服が気恥かしく、たった今の行為を思い返すだけでものぼせてしまうほど)

(体をねじって直を見上げ、間近にまだ熱を帯びた視線を捉える)
そちらを向いてもいいですか…?
お顔が見えないと……少しさびしいから……。
(背後からの行為は、今までにない快楽を教えてくれたけれど)
(目を見交わすことがないのは、物足りなくさびしかった)
305迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/11/30(日) 01:48:38 ID:/Ml++UyP
(腕の中で身を捩りこちらを振り向いて視線を交える)
(その目は情交の残熱をたたえ、微かに潤んで見えた)

ん…?
(恋人の呼び掛けに何?と答え、続く可愛らしいおねだりに微笑みを返す)
(津綺子の身体を抱擁から開放し、こちらに振り向かせる)
(わずかに距離を残して向き合い、恋人の顔を見つめる)
306伊織津綺子 ◆w6iOQ87fxQ :2008/11/30(日) 02:00:26 ID:WtFdh8iw
(直の微笑に頬を染めてうつむき、体の向きを変えられて、改めて目を見上げる)
(こうして優しく包み込んでくれる時も、熱く責め立てられながら堕落へ誘うときも)
(直はいつも、こちらの心をありのままに解放しようとしてくれていたのだと気づいた)

直さん…本当に、私で良かった?
(夏の夜の出会いから、雨の夜の求愛、屋上での告白)
(そして初めてこの部屋で抱かれた日…)
(いつも自分の視界には、この青年の姿しかなかったけれど)
(彼には、他のごく普通のの少女たちという選択肢もあったのだと)
(天羽都が教えてくれた)

私に、あなたを愛することを、まだ許してくれる…?
307迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/11/30(日) 02:23:23 ID:/Ml++UyP
(こちらを見つめていた津綺子の瞳に不安の陰りを見つける)

…………
(恋人の問い掛けにしばしの沈黙で答える)
(今更何を、と答えるのは簡単なだが、それだけでは何かが足りない気がして)
あの夏の夜、公園で会ったのが津綺子でよかった
君は、俺のあの姿を見てもまだ、俺がヒトであると認めてくれた
あの雨の夜だって、屋上でのことだって…何時だって津綺子は俺が俺であると認めた上で、全てを話してくれた

もしかしたら都ちゃんも同じように接してくれたのかも知れない

……だけど、一番最初は津綺子、君だったんだ
だから、俺にとって君は一番で、たった一人の恋人で…
(津綺子の目を見つめ)
いつまでも、俺を愛していて欲しい
俺も、いつまでも、君を愛していたい
308伊織津綺子 ◆w6iOQ87fxQ :2008/11/30(日) 02:32:33 ID:WtFdh8iw
(直の真摯な答えを聞き、静まりかかっていた動悸が激しくなった)
直さん!
(首筋に両腕を絡め飛びつくように、その胸に身を投げて)

いつもいつも、私はあなたに助けてもらったり、支えてもらったりしてばかりで……
誰かほかの人なら、もっと直さんにふさわしいのに、って思ったら、怖くて……。
(ぎゅ、と抱きしめる腕に力を入れ、直の体のぬくもりを貪る)

ありがとう。
いつか今の家を出て、ここへ……あなたのところへ行きます。
私を待っていて。

【この後、どうしましょう?】
【なにかご希望や、やっておきたいことはありますか?】
309迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/11/30(日) 02:48:25 ID:/Ml++UyP
(勢いよく飛び込んでくる恋人の体重を難なく受け止め)
(首筋に絡み付く腕もそのままに背中に手を回し、しっかりと抱き締める)

何も不安に思う事なんてないよ。津綺子は何時だって俺を助けてくれている
俺が俺でいられるのは、津綺子、君のおかげだよ
(胸に愛しい人の頭を抱き、その温もりをひたすらに貪る)

俺からも、ありがとう
……いつまでも待ってるよ


【このまま2回戦へ…と行きたいところだけど】
【ぐっと我慢して、このレスで締めにするよ】
【できたらそちらの締めで、たくさん愛し合った…って感じにして貰えたらいいな、と】
310伊織津綺子 ◆w6iOQ87fxQ :2008/11/30(日) 02:59:29 ID:WtFdh8iw
(抱きしめられ、直の匂いに包みこまれて、ドキドキと心臓が高鳴るのをただ聞いていて)
(やがて互いに顔を見合わせ、自然に唇が重なる)
(もはや貪ることもなく、ゆったりと与えあう長いキス)

(直がふと体を離し、こちらを見つめたまま自分のシャツのボタンに手をかけた)
(その視線に熱さと、愛情と……わずかにきざした欲望の影を認めて)
(こちらも視線を外さないまま、セーターを脱ぎ棄て、ブラウスの袖を抜く)
(見つめ合ったまま、競い合うようにして衣服を脱ぎ棄て、一糸まとわぬ姿になって)
(お互いの体を引きさらうように、ベッドに身を投げた)

(直の手練手管に翻弄され、幾度も貫かれ、やがて互いの腕の中にまどろみながら夜明けを迎える)
(払暁の帰り道は、帰宅というよりも、直のもとから両親の家へ出かけて行くような気持で)
(もう、自分の居場所は直の胸の中なのだと、静かに実感した)

【それでは、こんな風に締めさせていただきました】
【またしても長いお付き合い、ありがとうございました!】
【連日お疲れでしょうが、こちらは楽しかったです】

【こちらはこのまま落ちますね。おやすみなさい】
311迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/11/30(日) 03:06:17 ID:/Ml++UyP
【見届けた〜キレイな締めをありがとう】
【そして連日のお付き合いにありがとう&お疲れ様】
【俺も十全と楽しませて貰ったよ】

【おやすみなさい。ゆっくり休んでねノシ】

【スレをお返しします】
312紫 一久 ◆/mycdNfRlc :2008/11/30(日) 20:20:37 ID:6gM+ntAZ
【直前まで何があったかなど些細な事だと思わないか?】
【使用する】
313名無しさん@ピンキー:2008/11/30(日) 20:28:20 ID:YBJNQrt8
規制で書き込めないそうだ>葛森
314紫 一久 ◆/mycdNfRlc :2008/11/30(日) 20:29:50 ID:6gM+ntAZ
【転進、転進、退却に、あらずッ!】

【スレをお返しする】
315葛森 利香 ◆eOqEZEQIEE :2008/12/05(金) 22:29:42 ID:CSzJ0Ssx
test
316御法川 醍醐 ◆DaigoSmCh. :2008/12/13(土) 20:34:54 ID:ZAPognhs
【ロールに使わせてもらいます】

【都ちゃん、よろしく頼むな】
317天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/12/13(土) 20:36:12 ID:Qjl5WksI
【スレをお借りします】
【書き出しを用意するので、少々お待ちを】
318天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/12/13(土) 20:44:52 ID:Qjl5WksI
(学園近くの商店街は年末ということもあって賑わっていた)
(景気も悪かったり、怪事件も多発していたが、それを振り払おうかのように)

ジングルベール、ジングルベール、鈴がなる〜♪

(調子外れの鼻歌を歌いながら、買い物袋を手に車椅子を進める都)
(今日は料理の材料ではなく、クリスマスパーティーの衣装の材料の買い出しだった)

ん、ええと?

(人込みの中に見た覚えがある顔があった気がした)
(学園の制服だから知り合いの可能性は高い)
(都はそちらへ車椅子を向けた)

【偶然、街中で出会った感じで】
【よろしくお願いします】
319御法川 醍醐 ◆DaigoSmCh. :2008/12/13(土) 20:57:44 ID:ZAPognhs
(にぎわう商店街に、同じ学窓の制服を散見する)
(店先で買い食いに勤しむ者、こまごましたファンシーグッズを品定めする者)
(商店街はわが学園のオアシスであり必需品供給拠点でもある)
(クレープ屋の出店にもわが校の女の子たちが群れていた)

やあ、キミらも腹ごしらえ?
俺も一つもらおうかな。お勧めは?
(一番近くにいた女の子に聞いたが、全員から答えが返ってきた)
「チョコバナナシナモンカスタードでえす!」

……。
(どんだけ甘いんだよ、と思いながらも笑顔でそれを注文)
(近づいてくる車椅子が視界の隅に入った)
(確か、迫水さんに片思いしている中等部の子だ)

やあ、キミ…天羽さん、だっけ。
今日は買い物?

【改めて、よろしく頼むぜ】
320天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/12/13(土) 21:09:16 ID:Qjl5WksI
>>319
(見覚えのある人の前に回り込む必要もなく、向こうから声をかけてきてくれて)
こんにちは、会長さん。
はい、天羽都です。
その節はどうもありがとうございました。
(見覚えもあるはず、高等部の生徒会長で、都もお世話になったことがある人だった)
はい、クリスマスパーティーの準備です。
(手に持っていた買い物袋から取り出したのは、何に使うのかウサギの付け耳)

そうゆう先輩はおやつですか?
手に持っているのはチョコバナナシナモンカスタードとお見受けしましたが。
女子の間では今一番の人気なんですよ、それ。
私も買おうかなぁ。
321御法川 醍醐 ◆DaigoSmCh. :2008/12/13(土) 21:19:10 ID:ZAPognhs
料理部のパーティかい?それとも寮でかな。
(商店街はお世辞にもバリアフリーだとは言えねえ)
(車椅子での買い物は楽じゃねえだろうが、都ちゃんは楽しそうだ)
(ねぎらいの言葉はわざとかけずに、その楽しそうな気分に俺も乗ることにした)
ぜひ招待してもらいてえな。
どっちへ行っても、都ちゃんの手料理が食えるんだろ?

あ、おにいさん、チョコバナナシナモンカスタード、もうひとつな。
(と俺は屋台の奥に声をかけて)
俺がおごってやるよ。ご招待のお礼を先に。
(いいなあ、ずるーい、と先にいた女の子たちが口々に囃す)
(俺は気分よく彼女たちに言った)
チョコバナナシナモンカスタードをもうひとつ食える、ってんなら俺がおごるぜ?
おにいさん、チョコバナナシナモンカスタードをあと……5つな!
(わっ、と女の子たちが盛り上がる)
(俺の懐事情なんざ、彼女たちの笑顔の前には屁でもねえ)

都ちゃんの、できたぜ。
食うんなら、荷物持っててやろうか。
322天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/12/13(土) 21:34:03 ID:Qjl5WksI
>>321
女子寮のパーティーです。
参加資格は予定のない寂しい女の子だけ。
なので、ごめんなさい、会長さんには参加資格はないのです。
(呼べばみんな喜ぶだろうが、寮母の娘としては、男子禁制を犯すわけにはいかず)
でも料理のおすそ分けくらいはできますよ?
毎年男子寮にもプレゼントしてるから。

あ、すみません。
(単に代わりに注文してくれただけと思い、頭を下げて財布を取り出そうとして)
はわわっ、そんな、駄目ですよぉ!
(男子は入れられないし、おごって貰うなんて滅相もないと慌てる)
(でもおごられたのは自分だけじゃなくて)
……あ、どうも、ごちそうになります。
(素直にごちそうになることにした)

いいんですか?
おごって貰ったのに、すみません。
(付け耳とかが入った買い物袋を手渡す)
あ、中身は見ないでくださいね?
……とか、色々入ってるので。
(都的には大胆なのも入っていて、ここで見られるのは気恥ずかしい)

チョコバナナシナモンカスタードはまだ食べたことがなくて。
クリスマス当日までに味を盗めれば幸いなのだけど。
(受け取りながら話していると「コラコラ、勘弁してくれ」と店から声がして)
323御法川 醍醐 ◆DaigoSmCh. :2008/12/13(土) 21:44:46 ID:ZAPognhs
そういう時は無礼講、男子禁制も解禁じゃないのかい?
(俺はもう、さっさと自分の分は食っちまって包み紙を捨てた)
(甘いものは嫌いじゃねえが、喉が乾いて自販機を目で探す)
野郎の寮に紛れ込む趣味はねえな。
もっとも、野郎どもがパーティなんぞをやるのかどうかも知らねえが。

(買い物の袋を預かる)
見ねえよ。人の荷物をいちいち開けたりするようじゃ、生徒会長は勤まらねえ。
(苦笑しながらそう答えて、車いすのレバーを取った)
どっかいくとこあるんなら、押してってやるよ。そのまま食ってれば?
正直、ウーロン茶でも欲しいところなんだ。
どっちへ行く?

324天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/12/13(土) 21:56:33 ID:Qjl5WksI
>>323
無礼講は違うと思うけれど、解禁にはならないのです。
忍び込んだりも駄目ですよ?
バレたら義母さんは首になって、私も一緒に寮を追い出されちゃいますから。
(庭くらいならなんとかなりそうだが、さすがに寒いだろうし)

ごめんなさい、そうでした。
(舌をちょこっと出して謝る)
取り敢えずは買い物は済んだので、新しく立ったクリスマスツリーでも見にいこうかと。
でも、カップルがたくさんいるだろうしなぁ……ふぅ。
(顔を暗くして、クレープをかじって)
甘い、甘すぎな美味しさ、カロリーが、むむむ。
(クレープの味と、失恋の痛みがぶり返して、複雑な表情になって)
325御法川 醍醐 ◆DaigoSmCh. :2008/12/13(土) 22:07:05 ID:ZAPognhs
じゃあな、みんな。
(女の子たちに手を振って、都ちゃんの車いすを押す)
(ご馳走様でしたあ、と元気な声に見送られ、年末の商店街を歩きだした)
ああ、商店街名物のツリーだな。よし、そっちへ行ってみようぜ。

カップルなんて、どこにでもいるさ。
見るべきものは美しいツリー、美しい女性たち。
人のモノになっちまった子なんか、いちいち見ててもしょうがねえからな。
都ちゃんだって、イケメンだけ見てりゃいいのさ。
おっ、自販機発見。

(俺は熱い緑茶のボトルを二本買う)
ほら、一本飲みなよ。激甘クレープの後は茶がうまいんだ。
チョコバナナシナモンカスタード、お勧めだけあってウマかったが
後に喉が乾いてしょうがねえ。
チョコバナナかシナモンカスタードだけにしときゃよかったかな。

(都ちゃんの膝に温かいペットボトルを乗せて、顔をのぞき込む格好になる)
どうした?
チョコバナナシナモンカスタード、口に合わなかったかい?
326天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/12/13(土) 22:15:33 ID:Qjl5WksI
>>325
…………。
(人のモノになった子、かぁ……そう、そうなんだけど)
イケメンって、会長さんのことですか?
(会長さんは知ってるのかな、振られちゃったこと)
(迫水先輩のこと、知ってるみたいだったし、もしかしたら)

お茶まで、なんかおごってもらってばかりで、ほんと……あ。
(ひざの上に乗ったペットボトルの温もりに手を当てて)
いいえ、美味しかったです。
でも余計なことを思い出しちゃって、あまり楽しめなくって。
(はぁぁ、とため息をついて)
失恋って、どうしたらふっ切れるのかなぁ、と。
(温かかったから、つい、言ってしまって)
327御法川 醍醐 ◆DaigoSmCh. :2008/12/13(土) 22:27:03 ID:ZAPognhs
そう、キミは俺だけ見てればいいよ。
あとはその綺麗な目で見る値打ちなんかない奴ばかりだ。
(俺は後ろから都ちゃんの顔をのぞきこみ、自信満々にそう言った)
(俺がイケメンかどうか?言ったモン勝ちさ)

いいっていいって。女の子の笑顔が見れるなら財布の底まではたいちまうよ。
それが本当に生きた金の使い方さ。そう思わないか?
余計なこと……
(都ちゃんはどんどん気分が下向いているようだ)
(しまいにゃ溜息ついて、失恋、と)

……。
(俺は二口、三口、緑茶を飲んで残りはふたを締め、また車いすの後ろに戻る)
(都ちゃんがむせないように、ゆっくり車いすを転がしながら、話しかけた)
失恋は吹っ切れねえと思うぜ。いずれ思い出になって、痛みも薄れることはあるが
それでも忘れたりふっきれたりはできねえだろ。
傷ついた記憶ってのは、そうそう簡単になくなったりしないもんさ。
だからいつでもいい思い出になるような、いい恋をしようとしてた方がいいぜ。
いい恋に出会えれば、その前の恋は思い出になる。
いい思い出か、思いだしたくもない記憶になるかはまた別だがな。

(商店街の先の広場に出ると、その真ん中にドでかいツリーが立っていた)
(きらきらとデコレーションされて、それはそれは華やかなツリーだ)
328天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/12/13(土) 22:48:53 ID:Qjl5WksI
>>327
値打ちがないなんて、そんなこと……。
(この絶対の自信はどこからくるのだろう?)
(あの日より前の私なら、あったのかも、だけど)
(迫水先輩から見て、私は、値打ちがなかったの、かな)
(少なくとも、私の知らない、誰かよりは)

(御法川の言葉を、噛み締めるように繰り返す)
ふっ切れない……思い出……恋……。
(良い思い出、先輩とのことは、とても楽しかったけど)
(あの日は、辛いことが多すぎたから、どちらもセットで思い出しちゃって)
(なのに、新しい恋なんて、想像もつかない)

っ…………ぁぁ、きれい……。
(視界が開け、まばゆい光りに飾られたツリーが目に飛び込んでくる)
(華やかな色の光と飾りは一瞬痛みを忘れさせた)
……他に、他に好きな人がいるって、それは分かるけれど、でも……。
なんか、まずいって言われて、どこに嫌いなものが混じってたのか、分からないような感じで。
好きな料理が分かれば対策のしようもあるのにって……ううん、何か違う。
(首を振って、ツリーの頂点で光る星を見上げながら)
会長さん、もし、知っていたら、知ってても、微妙なことだから、答えられたら、ですけど……。

迫水先輩が付き合ってる人って、知ってますか?
その人は、どんな人ですか?

(聞いて何か変わるのか、それは分からないけれど)
329御法川 醍醐 ◆DaigoSmCh. :2008/12/13(土) 23:05:05 ID:ZAPognhs
(人通りの多いところから、ベンチや植え込みがあるあたりへ移動して、車いすを止める)
(その隣にしゃがみ、また俺はペットボトルからガブリと茶を飲んだ)
好きな料理がわかれば対策のしようがある、か。
好きな料理を作ってやるのが楽しいのは最初だけなんじゃないか?
来る日も来る日も、同じ料理ばかり作ってたらつまんねえだろ。
(並んでツリーを見上げる。そりゃもう上から下まで、煌びやかな色と光の洪水)

別に隠れて付き合ってるわけでもなさそうだから教えるが
迫水さんは二年の伊織津綺子嬢と付き合ってる。
古い家柄のお嬢様で、陸上部のエースだ。
最近、公式に新記録を出したとかでちょっと話題になった。
しかも優等生だぜ。文武両道を地で行くってとこだ。
(伊織くんについちゃ、もう一つ、とても人には言えねえことまで聞いている)
(彼女は、異能の持ち主だ)

どうだい、参考になったかい?
(そこで俺は、都ちゃんの方へ顔を向けた)
330天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/12/13(土) 23:16:49 ID:Qjl5WksI
>>329
…………。
(それは、そう、美味しく食べて貰えるのは、嬉しいけれど)
(手掛かりがあれば、好みを広げていく作戦は立てられるし)


…い…お…り……つ…き…こ……?


(みしっと、何か、嫌な音がした、気がした)

(聞き覚えのある名前)
(忘れることができない名前)
(憧れて、少しうらやましくて、傷つけてしまって)
(わだかまりがあって、今はあまり顔を合わせたくはない人)

う、うそ……そん…な……そんな…こと……って……。

(気持ち悪い……)

(食べたばかりのクレープを戻しそうで、口を押さえる)
(参考になった、ばかりではなかった)
331御法川 醍醐 ◆DaigoSmCh. :2008/12/13(土) 23:33:22 ID:ZAPognhs
(都ちゃんの顔色が変わる…そりゃそうだろう)
(恋仇はどこから見ても非の打ちどころのないお方です、と聞かされて)
(平気でいられるほど神経の太い子は、そうはいない)

そう、伊織津綺子。もしかして聞いたことあるかい?
まあ……さっきの子たちが花屋で売ってる花束だとしたら
伊織くんは崖の上に咲いてる百合の花みたいなもんだな。
きれいだなあって見上げるのが精いっぱいで、とても手を出せるような子じゃなかった。
迫水さんは崖を登ってその花を取ってきて、今は自分の手元に咲かせている。

都ちゃん、気分悪そうだぜ?
寒いなら送ってくよ。大丈夫か?
(ライバルを知ってショックを受けている……にしては、都ちゃんの様子はおかしかった)
(体調が悪いなら、急いで送っていかなきゃならねえ)
(俺は腰を上げて、でも体を都ちゃんの前に屈めて彼女の顔から眼を離さなかった)




332天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/12/13(土) 23:51:07 ID:Qjl5WksI
>>331
……ってる……知ってます、伊織先輩の、こと。

(崖の上に咲く百合の花、崖をよじ登って、手元で咲かせて)

そう、だから、だから、なの?
私が好きなこと、知ってて、それで?

(分からない、けれど、そんなこと、思いたくないのに)

伊織先輩の、飛ぶ姿は、好きで、応援もして。
憧れてて、少し羨ましくて、あんな風に飛べるのが。
だけど、傷つけちゃって、ぶつかって、だから、私はっ。

(嫌がらせだなんて、思いたくない)

迫水先輩は、伊織先輩の作った、卵焼き、食べたんだ。
私が義母さんから習って、伊織先輩に教えた、卵焼きを。

(ギュッと、つぶれるくらい、ペットボトルを握り締める)

……ゃしい……くやしい……私、馬鹿だ、聞かなければ、よかった。

(事故や亡くなった両親のことなら、どんなことでも覚悟していたが)
(この初恋について、こんなにも辛いことがあるとは、想像もしていなかった)

ご、ごめん…な…さい……。

(肩が震え、我慢し切れず、涙が流れ落ちる)
333御法川 醍醐 ◆DaigoSmCh. :2008/12/14(日) 00:06:51 ID:ZAPognhs
(歩けない子が陸上選手が羨ましい、と言うのを聞くのは少し切ない)
(こう言うとき、神様ってのがいるなら不公平だと思わずにいられねえ)
(俺はなんて言ってやろうかと、いろいろ頭を悩ませながら、都ちゃんの前にしゃがみこんだ)

迫水さんは伊織くんが美人だからとかエースだから惚れたわけじゃねえ。
これは本人から直に聞いた話だから間違いないが
二人は……何と言うか、同じ目的を持って一つのことをやり遂げようとしてる。
(まさか魔物を狩っているとは言えねえな)
同志として出発して、そのうちにお互い大切な存在になっていったんだ。

だからキミが伊織くんの真似をすることも、伊織くんと自分を比べることも、
全然意味がねえんだよ。
誰かの好みのタイプを研究して、対策として自分をそれに近づけるなんてナンセンスだ。
くやしいなら、自分を磨くことだ。
誰かの基準じゃなしに、自分自身の基準で。
俺の言ってること、わかるかい?

(その時、俺はもう少し都ちゃんの言ったことを注意深く聞くべきだったかもしれねえ)
(都ちゃんは伊織くんを傷つけたと言った)
(傷つけた側が、なぜくやしがっているのか…その理由を)
334天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/12/14(日) 00:26:05 ID:RMv/XBND
>>333
同じ、目的……。
(都は、都の能力によって、二人が異能であることを知っている)
(伊織津輝子が言っていた、悪い異能者を倒すということ)
(たぶん、それは都にはできないこと)
(それが二人の目的、きっと命をかけた目的)

わ、分かります……だけど、でも……。
ううん、もし、私の方が、先に出会っていたら、って。
私は、迫水先輩と、同じ場所に立てない、から。
後に出会った、伊織先輩を、選んでしまうのかな、って。
(戦えないから、きっと、同士にはなれない)
迫水先輩の、力になれない、から――。

(そこで、ひとつのことに気が付く)

会長さん、は、お二人の、目的が何か、まさか、知って?

(知っているなら、異能者である可能性が――高い)
335御法川 醍醐 ◆DaigoSmCh. :2008/12/14(日) 00:37:50 ID:OTy5rOIf
キミは迫水さんのどこに惚れたんだ?
自分が惚れるにふさわしい相手だから選んで好きになったのか?

迫水さんは伊織くんを「選んだ」わけじゃねえ。
どうして迫水さんが伊織くんに惚れたのか、俺はわからねえが
迫水さんだってたぶんわかっちゃいねえだろう。
惚れたハレたってのは、選抜テストの合格者を選んでるのとはわけが違うんだ。

一緒に戦うのに便利だから惚れたとか
後から来た子が優秀だから乗り換えるとか
そんなのは恋愛でもなんでもねえ。
もう誰かを好きになったことのあるキミならわかるだろう。

伊織くんと自分を比べるな。
伊織くんだけじゃなく、自分以外のところに物差しを作るなよ。
誰かより優れた属性があれば、気に入った相手をゲットできるなんて
そんな考え方はするな!

二人の目的、ね。
知ってるよ。俺は俺なりに彼らと同じことをやろうとしている。
だが…それはキミには言えねえ。
(俺は天羽都の目を見据えて言った)

キミがもし、迫水さんや伊織くんのやっていることに少しでも関わってしまったとしたら
キミは二度と引き返そうにも引き返せない夜の闇に足を踏み入れることになる。
だから、そのことは忘れろ。
俺ももう、俺の口からこれ以上のことは言えねえ。
336天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/12/14(日) 01:05:36 ID:RMv/XBND
>>335
どこって、優しくて、頼もしくて、は、白馬の王子様、みたいな。
(ギュッと胸を締め付ける、熱い思い)
(好きという火は消えていなくて)

っ……ぅぅ……ぁ、ぁぅぅ。
(お説教、そう言ったら怒られるかもしれない、でも、そんな感じで)
(片手で数えられるくらいの歳の差なのに、とても大人に思えて)
はい、頑張ります。
たぶん、だけど、こんな心構えじゃ、先輩を好きな気持ちに、失礼、なんですよね、きっと。
他の人じゃなくて……例えば、今日の私は昨日の私、明日の私は今日の私と比べて、どれだけ進めたか。
(きっと、進んだ先に迫水先輩の心はないけれど、そんな気持ちじゃ、勝てる勝負も負けちゃうから)


(じっと見据える会長さんの視線が痛い、でも)
そっちは、覚悟の上です。
両親の死とこの足に怪異が関わってる、そうなら、逃げれないから。
知らなくちゃいけないんです、十年前に、旧校舎の屋上に起きたことを。
迫水先輩とのことも関係なしに。
(こっちは覚悟しているから、引けない)
会長さん、言わなくてもいいですけれど、一つだけ。
私には極力触らないでください。
理由は、迫水先輩が知っています。

(そこにメールの着信音がなった)
……あ、そろそろ帰ってこいって。

ええと、その、ごめんなさいっ。
そして、ありがとうございました。
(頭を深々と下げ)
その、たぶん無理だろうけど、パーティーに呼んでもいいか、寮母さんに聞いてみます。

【っと、こんな時間】
【そろそろ〆ないとですね】
337御法川 醍醐 ◆DaigoSmCh. :2008/12/14(日) 01:26:44 ID:OTy5rOIf
そうか、進むのか。
(俺は気が抜けたように笑って都ちゃんを見た)
(この強烈な向上心、負けず嫌い、それは悪い事じゃねえ)
(ハンディキャップのある彼女には、それが他の奴らよりも多めに必要だったんだ)

(だが、恋愛は勝ち負けじゃねえ)
(俺はそう言おうとして言わなかった)
(立派な自分になったからと言って、恋愛で成功者になれるというもんじゃないことを)
(今の都ちゃんは知らなくていい)

(その負けず嫌いさんは、もうひとつ、俺に覚悟のほどを教えてくれた)
知らなくちゃいけない……のか?
本当に?

(俺は立ちあがって都ちゃんを見下ろす)
知らない方がいいこと、首を突っ込むべきじゃないことだってあるんだぜ。
頑張るのはいいが、頑張りさえすれば何でもできるわけじゃねえ。
…キミにこんなことを言うのは酷だとわかっているが。
(自分でも、出せる限りの冷たい声を出す)

怪異は怪異だ。人間にはどうしようもねえことなんだ。
摂理を超えたものに近づく第一歩は、覚悟じゃねえ。
本当にそれを怖れるところから始まるんだ。
ヒトを超えたものを怖れる気持ちを持つことができねえんなら
…そこへは近づくな。

(その時、都ちゃんを呼び出す着信音が鳴った)
いい頃合いだな。もう帰った方がいい。
送ってくよ。

(頭を下げる都ちゃんの後ろに回って、車いすを押す)
(華やかなツリーに背を向けて)

【それじゃ俺はここで終わるぜ】
【そっちの締めを見てから落ちるからよ】
338天羽都 ◆oB0aPf5pqI :2008/12/14(日) 01:48:20 ID:RMv/XBND
>>337
そう、進むんです、私は。
(ヨチヨチでも、這ってでも、進まないと始まらないから)

本当です。
月命日に毎月お花を上げても、両親の幽霊の噂は消えない。
幽霊が出るには理由があるって、無念とか、死んだことに気が付いてない、とか。
なら、どうにかしてあげたい。
それに、何も知らないでいるには、重すぎるんです、この足は。
(一生、付き合っていくものだから、知らなければ、やっていけない)

…………。
(送ってもらう間、考え事で、ほとんど言葉を発しなかった)

(恐れ……私だって、怖がることはある、けど……)
(よく言われる、肝が座っているとか、度胸がある、とか)
(恐れ、恐れって、なんだろう?)

(まだ怪異と向き合う本質を理解していない、それを示すやり取りだった)

【これで〆、長々とお付き合いありがとうございました】
【やっぱり会長さんは凄いです】
【ロールをお願いして良かったです】
【では、また今度、おやすみなさいませ】
339御法川 醍醐 ◆DaigoSmCh. :2008/12/14(日) 01:51:07 ID:OTy5rOIf
【見届けさせてもらったよ】
【拾いきれないレスが多くて済まなかった】
【楽しかったぜ。遅くまでありがとう】
【お疲れさん】

【スレをお返しします】
340島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/12/16(火) 22:31:57 ID:sJ5C3t6M
【ロールに、スレを使わせていただきます(ぺこり)】
341迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/12/16(火) 22:41:06 ID:6W2wiHIg
【同じくロールにお借りします】

(深夜、××学園、校舎裏)
(学園の裏手に広がる山林を探索して、妖魔を捕捉。戦闘は長引き、いつの間にかここまで移動してしまっていた)

ふぅ……
(たった今とどめを刺した異形は、目の前で黒い砂となって崩れ)
(それを見ながら校舎の壁に体重を預け、大きく息を吐き出す)

(戦闘の緊張から開放された神経はわずかに弛緩して)
(新たな気配の接近に完全に無警戒となっていた)

【では、こんな感じで】
【改めてよろしくお願いします】
342島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/12/16(火) 22:57:20 ID:sJ5C3t6M
(アレの存在が、消えた)
(居所からほど近い場所で繰り広げられた戦闘の気配に、直ちに介入はせずとも)
(少し離れたところから、何かあればいつでも割り込めるように様子を伺っていたが)

――――あ。
(「残ったほう」の気配に、覚えがあった)
(加えて、あの背格好にも)
(ヒトとも、異形とも重なりきらない存在)
(そして、自らを傷付けてまで、六花を助けようとした、彼)
(確か――迫水直と、名乗っていたか)

あの、ひと……
(謝りたかった。苛立ちのままに、酷い言葉を、ぶつけてしまったから)
(そして改めて、お礼を言いたかった。六花の「いのち」を、救ってくれたことに)
――迫水、さん。
(タイミングが悪いことは理解していたが、意を決して、戦闘後の疲労に苛まれている青年に、声をかけた)

【こちらも、お待たせでした。よろしくおねがいします(ぺこり)】
343迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/12/16(火) 23:12:59 ID:6W2wiHIg
………っ!
(砂利を踏む微かな音に反応して、たちまち神経が覚醒する)

誰だ…?
(身体を壁から離し、音のした方向へ視線を向けて)
(ささやかな月明りに浮かぶ人影の気配を探りながら)
(口から出た呟きは相手に向けて、と言うよりは疑問が自然と漏れただけ)

(妖魔ではない…感じる気配は儚く、虚ろ。前にも感じたことがある)
(と記憶を探っているところに己の名前を呼ばれた)

(彼女の放つ気配は人のそれと違い、それ故に彼女が人でないことを示している)
…島田さん?
(思い出した。以前出会い、自分の血を「飲ませた」少女)
(「自分を大切にして」と諭され、気まずい雰囲気のうちに別れたから)
(彼女にはもう一度会って、しっかりと謝りたかった)

(警戒を解く。彼女に対してその必要はないだろうから)
久し振り…って言えばいいのかな?
あっと、その前に、こんばんは、だね
344島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/12/16(火) 23:25:22 ID:sJ5C3t6M
(声を掛けたことに、反応は過敏)
(けれど、その警戒は六花の姿を認めるなり、たちまち解かれる)
(「敵」と、認識されてはいないらしい)

……はい。島田、六花です。
お久しぶり、ですね。もう、冬ですもの。
(傍まで駆け寄ると、ぺこり、と頭を下げる)
(前に彼と会ったのは、まだ暑さも残っていた頃だったから。もう3か月近く、経っているだろうか)

…………と。あ、あのっ……
(手にしていたシャベルを、後ろ手に隠す)
(武器なんて不穏当なものを携えているなど、よろしくないと反射的に思って)
……べ、別になにかしようとか、もう、なくて。
ごめんなさい、って。言いたくて。
(しゃがみ込んでポケットからタオルを取り出すと、彼に差し出した)
345迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/12/16(火) 23:42:43 ID:6W2wiHIg
前に会ったのは夏の終わり頃だったよね…
(駆け寄ってきた少女を、小さな微笑みで迎え)
本当に、久し振り、だね。元気だった?
(ぺこりと頭を下げる様子からは不調を感じられないが、前に会った時の事もあり、一応尋ねる)

ありがとう
(下の方から差し出されるタオルを受け取り、首筋を拭う)
……何か謝られるようなことをされたっけ?
(再び壁に凭れかかって、顔をゴシゴシと拭きながら)
(脇にしゃがみ込んだ六花に聞き返す)

(前の別れ方が気まずかったのは、自分のとった行動のせいだと思っていたので)
(先に謝られた理由が思い付かない)
346島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/12/16(火) 23:56:20 ID:sJ5C3t6M
はい。なんとか、元気に。
(直立でなくても、だいぶ上のほうにある彼の顔を見上げて首を傾げる)
おともだちも、できましたし。そんな怪我も、してませんし。
(思えばあの頃はまだ、ここのヒトたちとの繋がりなど僅かしかなくて)
(でも、少しずつ、変わってきている)

なにか、……って。怪我を、させてしまったこととか。
血を、分けてくださったのに、あんなこと……
(まさか、忘れている訳ではあるまい)
(汗を拭いながら、素直に分からないという風情で返されて)
(逆にどう言葉を継げば良いのか分からなくなってしまう)

と、とにかく。ごめんなさい、と。ありがとう、ございましたっ。
(立ち上がるなり、再度深々と、頭を下げた)
347迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/12/17(水) 00:07:57 ID:D2Qmw0k/
そうなんだ。それは良かったね
(首を傾げる六花の顔を見下ろし、はっきりとした安堵混じりの笑顔を向け)
もう直った怪我だし、気にしないで
(言いながら自分の肩に手を乗せてグリグリと回して見せる)
それに、あれは俺の方が悪かったから
自分を大切にできない奴に、他人を助ける事なんでできないよね…
だから、あの時はゴメン
(脇の少女に向き直り、深く頭を下げる)
(それは六花が立ち上がり、頭を下げるのと同じタイミングだった)
348島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/12/17(水) 00:22:57 ID:5NptL0pv
あ、あなたが悪い、なんて……
(すべては、六花のためにやってくれたこと。彼が謝る道理などないのに)
(けれど、彼の言葉もまさしくその通りだった)
……あなたが辛い思いをしたら、それで辛くなるひともきっと、いるでしょうから。
わたしも、分かったんです。そういう、こと。
(この街の異形の存在を知ったばかりの頃は、みずからの罪を償うためであるかのように)
(ただがむしゃらに戦い続けてきたけれど)
(それで六花が失われてしまっては元も子もなく、六花自身もそれを望んではいないのだと、今は知っている)

…………ふふっ。
(小さな六花と大きな彼が、同時に頭を下げる)
(その構図に思わず、笑いが漏れた)

……そういえば。お怪我は、ないのですか?
それも……ぜんぶ、アレの、力で?
(ふと、彼の姿を見て思う)
(戦闘の激しさの割には、疲労はそれに比例するほどでもないようで)
(今も僅かに異形の気配を感じながら、問うた)
349迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/12/17(水) 00:43:24 ID:D2Qmw0k/
うん、その通り…
頭では分かっているんだけど、いざとなると体が先に動いちゃって…
(六花の言葉に思い浮かべるたは、パートナーの心配そうな顔)
(改めて六花に諭され、心の中で津綺子に謝る)
だから、気をつけるよ

あ、は…ははは…
(絵に書いたような頭の下げあいに照れた笑いが漏れる。ふと見れば、六花も笑っていて)
(ひとしきり堪えた笑い声を辺りに響かせる)

ん?、あぁ…かすり傷くらいだよ
動きが早くて、少してこずったけどね
(着ている服の所々に鉤裂を作り、ほつれた布の周りには微かに赤い染み)
そうだ…君には話したんだっけ
(完全に制御された状態の妖魔を身体の中に感じながら)
そう、俺の体に寄生している妖魔のおかげで…
(腹の辺りにある大きな裂け目--周りは赤く縁取られている--を開いて肌を見せる)
(そこには微かな痕跡すら見当たらないキレイな皮膚)
この通り…
350島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/12/17(水) 01:02:32 ID:5NptL0pv
……わたしも、おんなじような感じ、なのですけれど。
やっぱり、怪我しないに越したことは、ないですから。
(真っ直ぐ突き進んでしまうところは似た者同士かもしれないと考えながら)
気を付けましょう、お互いに。
(小さく笑みを浮かべる)

ふ……あはっ。や、もぅ……ふふっ。
(最初は噴き出しただけなのに、彼につられて笑ってしまって)
(誰かに聞かれないよう、口を押さえるのが精一杯だった)

わ……
(異常な回復力は既に目にしていたし、今も服を血で汚しているにも関わらず、その源であるはずの)
(傷口が一切見えていなかったために予想はしていたが、やはり彼の肌には傷ひとつなく)
……わたしも一応、怪我したら治したりはできるのですけれど。
それはわたしがヒトガタだからで。
……ほんとうに、ここにはいろいろな力を持ってるひとたちが、いるのですね。
(今までに会った異能者たちを思い出しながら、呟く)
351迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/12/17(水) 01:15:38 ID:D2Qmw0k/
(六花の口から漏れる「ヒトガタ」と言う単語)
(はじめて会った時も彼女はその単語を口にしていた)
(聞き慣れない言葉に首を傾げ、改めて六花を見つめ)
あのさ…ひとつ、聞いてもいいかな?
もちろん、答えたくなければ、答えなくても構わない
(分からないなら、分からないで、彼女をヒトとして扱うのに変わりはない)
…君の気配は、ヒトとは違う。かと言って妖魔のものでもない…
「ヒトガタ」とは?君は…「島田六花」は、一体何者なんだ?
352島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/12/17(水) 01:30:42 ID:5NptL0pv
…………ん。
(問われ、自分が自然にみずからの本性を明かしていたことに気付く)
(こんなに、抵抗も葛藤もなく。なのに、どうして――)
(――と、思考が逸れかけて、首を振って意識を先の問いに戻す)

お答えしますよ、あなたには隠すことでも、ないですから。
(そう、夜の世界を知る者には、隠すことでもない、のだ)
(それで、人外たる六花を排除する、ということにでもならない限りは)
……わたしは、ゴーレム、です。
土くれを練り上げて、造られたヒトガタ。人形、ですね。
厳密には、伝説にある「本物」のそれ、とは、製法も違うみたい、ですけれど。
わたしには良く、分かりません。
(六花の知る「六花」を、特に伏せもせず明かす)
(彼は、それを受けて何と感じるだろうか)
わたしを、このカタチに留めているのはすべて、魔力、ですから。
魔力の塊、と、言っても。差し支えないと、思うのです。
(淀みなくそこまで告げて、彼を見上げた)
353迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/12/17(水) 01:52:55 ID:D2Qmw0k/
(澱みなく自分はヒトではないと答える六花)
ゴーレム……本当に…?君が土で出来ているって?
(彼の乏しい知識でも「ゴーレム」くらいは知っている)
(土から作り出される、作成者の命令に従う、意思を持たない人形)
(その知識と彼女の見せる表情--先ほどの笑顔--はかけ離れていて)
だって、体温だって…
(思わず手を伸ばし、六花のわずかに冷たい手を取り)
それに君には、自分の意思がある…君の目を見ればそれは、分かる

(そこまで言っておいて、ふと疑問が思い浮かび、取った手を軽く握り締めると)
その…君を維持している魔力が尽きたら…?
(その態度は六花が人外であっても変わりない。興味、好奇心で聞いているのではなく)
(むしろヒトでない事で起こる危機を心配をしているようで)
君は、どうなるんだ?
354島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/12/17(水) 02:15:58 ID:5NptL0pv
……はい。土と、魔力と、色々なお薬で。
(驚いている――そういえばこんな反応は、初めてかもしれなかった)
(こういう反応が、「当たり前」で「普通」だと)
(それくらいのことは、いくら六花でも予想できていたけれど)
ぜんぶ――ぜんぶ、ヒトに似せて、造られたものです。
この身体も、中身も、ぜんぶ。
(本当のことなのに。当たり前のことなのに。言葉にすると、何故か胸に穴が空いたような気持ちになって)
(身体が内側から冷えていくような、そんな心地さえ覚える)
――だから、似せている、と。
(手を取られても、無色の視線は揺れず)
良くできていると、思いませんか?
(そのまま、口だけを笑みの形に変えた)

(六花の手を掴む無骨な手。力強く、温かい。これが本物の、命)
魔力が、切れたら。……前に、ご覧になったの、覚えていらっしゃるでしょうか。
そしたら、このカタチを保てなくなって。
土に、戻って。崩れて。壊れて。――「終わり」、です。
(こんなに、自分が淡々と話せることに内心驚きを覚えながらも)
(改めてその事実を確認させられて、更に、冷えてゆく)
355迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/12/17(水) 02:26:15 ID:D2Qmw0k/
(言葉と共に六花の表情と態度から熱が失われていく)
(冷たい冷たい、形だけの笑顔。ガラスのように色を無くした瞳)

島田さん…
(六花の小さな掌を両手で包み、その冷たい手を暖めるように握り締める)
必要なら、いつでも俺の血を飲ませてあげる
だから、絶対に土なんかになっちゃダメだ…
(見上げる六花の顔を真剣な目で、己の中の熱を目からも注ぎ込むように、じっ、と見つめる)
分かるよね?
君は「おともだちができた」って言ってた
その「おともだち」だって、君がいなくなったら悲しいと思う
それに、俺だって、君がいなくなったら悲しいよ
(君とは、もう「おともだち」なんだからね、と表情を緩める)
356島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/12/17(水) 02:43:11 ID:5NptL0pv
…………っ。
(不意に手に力が込められて、肩がぴくりと跳ねる)
(気付けば、真正面から彼が六花の目を、覗き込むように見つめていて)
(その視線にはまるで、熱が込められているよう)
(急に氷結していた心が溶けたかのように、六花は目を瞬かせて)
……だいじょうぶ、ですよ。
わたし、まだ壊れたりなんて、しませんから。
「おともだち」と、やりたいことが、たくさんあって。会いたいひとが、いて。
それを、ぜんぶ達成するまで。……うぅん、その先も。だから。
……ありがとう、ございます。おともだちって、言ってくれて。
でも、簡単に血をあげる、なんて、言っちゃだめ、なのですよ?
わたし、実は食いしんぼうさん、なのですから。
(握られた手に、更に手を重ねて、微笑んむ)
(今度は、六花の「あったかさ」を取り戻して)

【そろそろ〆、でしょうか】
357迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/12/17(水) 02:59:38 ID:D2Qmw0k/
ん、それならよし、だ
(「あったかさ」を取り戻した六花の表情に、笑顔を大きくして答えると)
…了解しました
(続く注意の言葉に笑顔が苦笑いに変わる)
でも、本当に困った時は遠慮しちゃダメだからね?

それにしても…食いしん坊さんだと、太っちゃわないのかな?
気をつけないとね
(おどけた様子で六花のお腹--ジャージに包まれている--を眺めてから、再び顔を見つめて)
(からかうように、ニヤリ、と笑いかける)

っと、ゴメンよ…
(ポケットの中で小さな音が鳴り、六花に断りながら携帯を取り出すと)
もしもし、津綺子?どうした?
ん、あぁ、構わない………っ!
(表情が変わる。声が真剣味を帯びて)
場所は?…うん……うん…あぁ、知ってる
分かった、すぐ行く。
無理はしないで、何かあったら、また連絡を
うん…気をつけて
(パートナーからの連絡。一人では手に負えないような妖魔を見つけたらしい)

ゴメン、急用…急いで行かないと
(もう一度六花の手を握ると、すぐに離して、身を翻して走り出す)
また今度、ゆっくりと話しよう、約束だよ?
(途中、チラッと振り返って、手を振る)


【ではこちらはこんな感じで締めにするよ】
【そちらのレスを見届けるまではいるから、ごゆっくりと】
358島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2008/12/17(水) 03:17:30 ID:5NptL0pv
ほんとうに。ほんとうに、大変なときだったら、おねがいするかも、しれません。
(そんなことが、なければいい。そうならないように、もっと、強く)
……だ、だいじょうぶ、なのですっ。わたし、ヒトガタですからっ!
他のひとにも、そんなこと言ったらだめ、ですからねっ!?
(お腹を隠すように両手で覆い、赤い顔で首をぶんぶんと振る)
(不意打ちの「意地悪」を、思いきり喰らってしまった)

…………?
(急に、電子音が聞こえたかと思えば、彼がポケットから携帯電話を取り出した)
(かすかに漏れ聞こえる声の主は女性のようで)
(会話の内容までは聞こえないが、それでも一瞬で空気が緊迫したのが分かる)
……つき、こ?
(その中に、聞き覚えのある人名が出てきたけれど、それが誰だったかは、すぐには思い出せなかた)

はい。また、よろしくおねがいします。お約束、ですね。
(今度はしっかりと握り返して、踵を返した青年を見送る)
(手を振ってくれた彼の背中に、こちらも手を振り返した)

【こちらも〆、です】
【和み担当、どこいった…!?なんて、予想外を孕みながらも、楽しませていただきました】
【ありがとうございます。おつかれさま、でした(ぺこり)】
359迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2008/12/17(水) 03:23:31 ID:D2Qmw0k/
【見届けたよ〜】
【いやいやびっくり、すぐに戻ってきてくれて助かった】
【あのままアッチに行っちゃったらどうしようかと…】
【でも、そんな予測外も含めて、十全と楽しませて貰ったよ。ありがとう】
【お疲れ様。おやすみなさい(ぺこり)】

【スレをお返しします】
360紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2008/12/27(土) 22:18:46 ID:zOMWtsuj
【ロールにお借りします】
【書き出しはこちらからでいいのかな?】
361媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/12/27(土) 22:23:14 ID:1q1rkXgu
【ロールに、お借り致します】

【書き出し、お願いしても大丈夫ならお願いをしても宜しいですか?】
【同業者のフリ――の件をなされる場合、貴方を狙ってきた退魔組織の名前、だとか
 実存する名前をかたってくだされば、今はあっさり信じるかと存じます】
362紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2008/12/27(土) 22:27:29 ID:zOMWtsuj
【うい、組織とかに関しては、実はあまり細かく】
【考えてないので、ぼちぼちと】
363媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/12/27(土) 22:30:21 ID:1q1rkXgu
【ふふ、テキトーでいいのですよ。同業者のフリして、ならのお話ですし】
【テキトーな他の組織をでっちあげて嘘ついてくださっても、信じますから…ということです】

【それでは、宜しくお願い致します】
364紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2008/12/27(土) 22:34:33 ID:zOMWtsuj
(終業式が終わった。短いホームルームを通過して、解放される)
(神の子羊達が、色取り取りのコートを纏い寒さを耐え忍びつつ下校する)
(その中で、只管赤く紅い青年が周囲から微妙に浮きつつ歩いていた)
(纏っている革ジャンが紅い。まるで鮮血の色だ。髪も濁った様に赤い)
(その紅い青年が口元に笑みを浮かべているのはいつもの事だ)
(学校にいる時も、小説を読んでいる時も、そして戦っている時も)

くふふ・・・・ここに来るのも久しぶりだぁね。
(学生の時間が終わり、紅裂拓兎は闘争狂としての時間を始める)
(××学園の裏手に存在する山。基本的に立ち入り禁止の区域であるそこには)
(豊富な自然とそこに生きる獣たちと、そして人知れず生きる異形たちの領域である)
(山を登り、登り、藪を抜け、森を抜け、獣道を踏破する)

そろそろ冬眠の時期の奴もいるか?
腹減ってるだろう?ここに餌があるんだけどな。
まーあ、只で食わせてやるつもりもねえが・・・・・・・
(片手を振って、魔法の様に水晶の剣を出現させる)
(相対するのは、人間と猿の中間地点にいるような、野人が三匹)
(その騒動を聞きつけて、傍に寄って来た木の精霊が数十匹)

さあ、やろうか。冬休み前の総仕上げだ。
(宣言し、ここに魔人と異形の戦いが始まる)


【ではでは、こちらこそ】
365媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/12/27(土) 22:46:11 ID:1q1rkXgu
(この時期ともなれば、空気は凍てつくような寒さを湛える。
 冷たい風が皮手袋越しに指先を――ミクロンサイズの糸が絡みつく指先を、撫ぜた)
―――……っ。
(この寒さだというのに、その額から一筋の汗がすっと零れおちる)
(深くゆっくりと吐き出した息が白くくゆって、空気の中に溶けた――次の瞬間)

(遠く離れた人と猿の中間のような形をしたものの首が、“ズレ”る)

(斬り口を曝し、遅れて飛び出した飛沫は近くにいた他の異形に飛び散った)
(びちゃっ、とあまりここちはよくない音ともに降る、紅の薄ら雨)


………っ、は、ぁっ。
(指先が震え、一筋の汗が顎をつたって地面に零れおちた)
(ぷつん、と途切れたのは集中の糸。一気に襲いかかる疲労感に大きく息を吐きだす、も――)

――…どなたか、いらっしゃった。

(騒動の渦中を視認できる最大遠の距離で、女が呟く)
(紅は飛沫のものだけではなかった。
 制服の上にコートを羽織った女は、皮手袋をきゅっとはめ直すと、そちらに足を向けた)
366紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2008/12/27(土) 22:53:54 ID:zOMWtsuj
(煌めく刃が血塗られて。野人の絶叫と返り血。透き通っていたはずの刃は)
(いつしか濁り、それに反比例して紅い鬼の心は透き通ってゆく)
(殺す度に、屠る度に、思考が純化される。少しずつ、本来の自分を取り戻してゆく)

くふ、くふふふ・・・・
まだまだ、これからだ。ようやくエンジンがかかってきたわい。
(既に野人の姿はなく、血の匂いに惹かれて寄って来た熊とトロールがいる)
(枝を伝い、大蛇が三匹こちらを観察している。血の饗宴はこれからが本番だ)
(浅くない傷を負いつつも、次なる供物を欲して刃が翻って踊る)
(鋭い刃とは言え、獣の分厚い毛皮と脂肪を切り裂けるはずもない)

がぁっ―――くはっ!
(巨木を抉る横振りの一撃を喰らい、紅い鬼は弾き飛ばされ木に叩きつけられる)
(木がその衝撃で震撼する。その上から、狙い済ましたように大蛇が牙を剥いて落ちてくる)

舐め、るな爬虫類!
(アナコンダより更に巨大で俊敏なその身体に巻き付かれる前に頭を捉え、額に短剣を突き刺す)
(そのまま木の幹に突き刺して、抉り、磔にする。蛇は頭部を潰すのが手っ取り早い)

馬鹿力め・・・・・だが、俺を殺すにはまだ足りん。
(脇腹を抑えつつ、それでも立ち上がる。その闘争心に些かの欠如もない)
(熊に喰らった一撃は、確実に肋骨をへし折った。感触では二本。それでも止まらない)
(トロールが吠える。熊が唸る。二匹の大蛇が虎視眈々と狙う。それでも、紅い鬼は止まらない)
367媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/12/27(土) 23:05:44 ID:1q1rkXgu
―――また、派手にわきでることです。
(渦中をとらえた女は、あきれかえったようにつぶやいた)
(所詮裏山にここまで異貌が集まり、まるで宴のようなものがあるとは何事か。
 ここは何処なんだと、問いかけたくなる宴の中で舞う紅い鬼を、木にもたれて見据える)
(このところ、この町の物騒さに、拍車がかかってきている気がしてならない)

(けれど、あの紅の男が敵と“戯れている”状況は、こちらにとっては好都合)
(―――未熟な腕に関わらず、標的を狙いうちできる、機会)

(糸の絡む左手を、ゆっくりとあげた)
(息を吸い込んで、集中する。間違えて、紅色した宴の主役を傷つけてしまわぬよう)
(全ての感覚を効き手に集中させて、薬指と人差し指を、曲げた)
………二匹ほど、横取りさせてください。
(指先に絡まった糸が、まるで生き物のように地面を這い、蛇の体にからみつく)
(捕えられた時には、すでに遅い)
ご無礼のほど、どうぞ、おゆるし下さいませ。
(ぐるぐると二匹の蛇に巻きついた糸は、それぞれを細切れに変えてしまう)
(だが、それは自分の力量でなく、この「糸」と、あまりある隙をつくってくれた宴の主役のおかげ)
(遺産――自分がそう呼ぶこの糸は、もともと自分のものではない)
(存外扱いにくいそれを、いとも簡単に操っていた白髪の男の顔を思い出して、少し笑った)
368紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2008/12/27(土) 23:19:40 ID:zOMWtsuj
(熊。それもグリズリー並みの巨体。鮫のような牙を生やし、世間に知られる熊より)
(更に凶暴で、俊敏である。熊は場合によっては山神の一柱に数えられる存在でもある)
(トロール。醜悪で巨大で、怪力。発祥は北欧、特にノルウェーの伝承に伝えられる妖精)
(その顔から妖精という単語は連想しろという方が無理だろうが。そして大蛇。蛇は西洋では)
(悪魔の化身でり、東洋では神の使いとも言われてる両面備える存在だ)

があぁぁAAaaa!!
(狂乱する紅い鬼が、トロールに槍を投げつける。ひとつと言わず二つと言わず)
(次から次へと珪素にて水晶の槍を形成して投げつけ、串刺しの刑に処す)
(ひとつなら対処できただろうそれも、的確に顔や心臓を狙った波状攻撃の前には)
(陥落するより他はない。倒れ伏したトロールを意識の外に追いやり――そして気づく)

―――――?
(何か、視認できない何かが、迫っている。細く?鋭い?)
(風の向きと葉の擦れる音。算出される位置は――)
(ハッと振り向くや、そこにいた大蛇二匹が煌めく何かに――多分「糸」――に絡め取られ)
(一瞬のうちにして細切れの肉塊と成り果てた。糸使いが、この近くにいるらしい)

くふ。モノ好きな人もいるもんだぁね。

(呟く暇もあらばこそ。唸る熊がその巨体で突進してくる、その圧力は人間の比ではない)
(しかし、それを恐れる男ではない。正面から組み合って、その突進を受け止める)
(当然、その力は大人と子供以上の差がある。だが、それを補うモノがあるから人は戦える)
(ドウッと倒れる熊の耳から、細く長い水晶の針が突き出ている。交差する一瞬に耳から脳味噌へと)
(突き刺して抉り、掻きまわして破壊したのだ。生物の範疇に収まるなら、この手の攻撃は有効だ)

あー、あー・・・・
そこに隠れてる人。大人しく出て来なさい。
そして俺の熱いお礼を受け取るがよい。
(いつもの軽薄で適当な調子を取り戻し、藪の向こう側へと呼びかける)
369媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/12/27(土) 23:30:26 ID:1q1rkXgu
(紅と共に飛び散る破片――あれは、硝子…のようなもの、だろうか)
(そのような思考をめぐらせながら男の宴を見つめていた。
 どっと押し寄せる疲労感。これを使うに慣れぬがゆえのそれを押し退けるほど
 男の宴は鮮烈であり、それでいて凶暴で在り、無秩序で――…“異形”だった)

(背筋に走った感覚は、何だっただろう)
(細く長い水晶の針を、悲惨にも耳からはやす羽目になったそれを一瞥して、
 男の声にこたえるようにして、木の影から靴のさきが一歩前に出された)

あら、何かしら温かいものでもおごって下さるのですか?
それは、まったくと重畳ですね。 このところ、めっきり寒いものですから。
(皮手袋越しに、白い息を両手に吹きかける)
(まるで目の前の出来事が細事であるかのように出てきた黒い長髪の女。
 しかしながら、その漆黒の瞳は目の前の紅を「細事」とは捉えていない)

……冬場の運動、には少々とハードではありませんでしょうか?
(動きだけは、ゆるやかに――彼女は小首をかしげた)
370紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2008/12/27(土) 23:43:06 ID:zOMWtsuj
近くのコンビニで、肉まんか餡まんくらいなら。
学校入れるなら、コーヒーでもココアでも好きなだけ。
(鷹揚に答え、木の影から出てきた女性――コートを纏った学園生に言う)
(髪が長くて、何処か表情が薄く、そして染みついて離れない血の匂いを纏っている)
(十中八九、狩人だ。似たような人間を何人も見たことがあるので、間違いないだろう)

まーあね。くふ、どうにも最近身体が鈍っててよ。
冬休みの前に鍛え直しておこうと思ったんだけどよ。
コイツら、前に来た時より凶暴なのが出てきやがった。
(脇腹に手を当てて損傷の具合を確かめる。やはり肋骨が都合二本折れていた)
(このぐらいなら、暫く寝ていれば治るだろう。貴重な冬休みは寝て過ごす事になるが)
(問題はない。積んである本を消化する機会としよう。「ハイペリオン」は読み終わっていない)

――で、そういうあんたは何をしに?ハントするにしちゃ随分軽装だし。
それに、ここらに賞金首の化け物が出るって話は聞いてないんだけどな。
(あらゆる前提を省いて、問い掛ける)
(省いたのは「そちらは異形を狩るモノであり、自分も同じようなモノだ」という点)
(一々問いただす事をせず、「そうに違いない」という自分の確信を疑っていないのだ)
371名無しさん@ピンキー:2008/12/27(土) 23:55:03 ID:1q1rkXgu
うぅん、少しばかりコーヒーが飲みたい気分でありますけれど
貴方のそのご様子では、学校にも入れませんでしょう。
奢っていただくのは、また次の機会に回せたらと存じます。
(頬に手を当て、残念そうにそう呟く)
(とりあえず奢ってもらうことを勝手に確約しながらも、
 黒い瞳は、ただただ真っ直ぐにその奥を探るかのように男を見据えた)

…あら、それは奇遇です。
(あの凄惨な宴は、「身体の鍛え直し」だと男は言った)
(先ほどの仕合いから見て――また、損傷具合を確かめているところから見ても
 軽くない怪我のひとつ二つはしていように、この物言い)
(戦闘狂か、あるいは――…「剣糸」たる自分の、敵にあたるものか)

私も、そのようなことを。
少しばかり、鈍っている感覚を取り戻すために…あとは――
(ふっ、と自分の左手に視線を落とす。
 もう小指はほとんど動かぬそれに絡みついた糸と見て、脳裏に過ったのは一人の面影)
――じゃじゃ馬を、飼い慣らそうと思いまして。
こっそり練習しようと思っておりましたら、まったく物騒な場面に出くわすものです。
願わくば、貴方のその牙は「異形」に向けられているだけ、と…望むばかり。
(ゆっくりとした動作で、軽く左右に首を振る。
 ただし、暗い夜の闇を湛えた瞳でもって目の前の油断ならぬ男を、見据え続けたままに)
372媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/12/28(日) 00:04:17 ID:1DyPGQgt
【…あら、あら。 どうしてか前レスの方、名前が抜けてしまっておりますね。】
【気づくの、遅れてしまいました。ミスを見逃してくださると幸いです…っ(一礼)】
373紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2008/12/28(日) 00:12:10 ID:2yXzsNml
まーあ、それもそうか。残念無念。
ミステリアスな女性とお茶する機会は、また今度だぁね。
(適当に言って――「ん?奢るのは確定?」と少し悩んだ)
(紅い革ジャンに附着した返り血――野人の血を指先で拭きとって舐め)
(口に含む。当然苦い、はずなのに。どうしてだか笑みが零れてしまう)
(血が甘いなどというのは、狂人の戯言だろう。ならば自分は――)

へぇ、この寒いのに熱心なことだぁね。
さっきのは、やっぱり「糸」か・・・・糸使いは珍しいな、本当に。
(いつもの様な笑みを浮かべて、彼女の左手を見つめる)
(そこに絡みつく、視認が恐ろしく困難な細い糸と共に)

くふふ、そいつはできない相談だぁね。俺は異形だろうと人間だろうと構わず
食っちまう人間なんだぜ?そういうそっちは、異形専門ってわけでもないだろうに。
あんた、血の匂いがするぜ。プンプン匂って来る。
(気楽に、人を殺した事があるだろうと指摘する。しかし咎める風もない)
(何故なら、この男は悪人を自負している世界の敵なのだから)

さっきの大蛇細切れにしたのってさ、その糸だよな。
あそこまですっぱり斬れるのは、得物のお陰か、それともあんたの腕か?
(その静謐で鋭い視線を真っ向から受け止めながら、それでもいつもの気楽な笑みを崩さない)
(笑っている癖に、決定的な部分で笑っていない、そんな笑み。眼も口も顔の形全部が笑みを)
(形成している癖に、絶対的に笑っていない、そんな虚を感じさせる表情)
(他の表情を知らぬが故に浮かべる、この紅い男の仮面である)
(それは偽る為の仮面ではなく、それはきっと、何の為でもない仮面だ)
374紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2008/12/28(日) 00:12:55 ID:2yXzsNml
【言われて気づいた俺ガイル】
375媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/12/28(日) 00:27:40 ID:1DyPGQgt
お褒めいただき、嬉しい限り。
私自身は寒いのが嫌いなのですけれど――…ね。ふふ。
(昔と違い、形だけ柔らかな微笑を浮かべるようになったその貌。
 ただ、その笑みが零れおちたものでなく作り上げたものなら、その裏に孕むものは別物だ)
………ええ、良い鼻をお持ちですね。これを、感じられるなんて。
(少しばかり集中して、糸を指先に絡め取りながら、首をかしげた)

……物騒な、方。喧嘩好きもほどほどになさってほしいもの。
そういえば、貴方みたいな方にこの前お会いしましたね。
あちらの方が、十全と健全な喧嘩ではあったような気も致しますけれど。
(目を細める。ただし、それは咎めるといったものではなかった)
(「この男は明らかに普通じゃない」と、脳の奥の方で第六感警鐘を鳴らしている。
 彼女にとっての“普通”はつまり、夜に携わる者――「普通じゃない」、とは、
 異質なる夜の中でも、ことさらに異質なもの、ということ)
――私は、ただの異形狩りですよ。
(血の匂いと言われれば、肯定もせず否定もせずに、名乗りをあげた)
これらは、私個人の力というよりも「これ」の力に恃むところが大きいでしょう。
……もらいもの、なのですけれど。
前使用者は、これをいとも簡単に使いこなされておりましたので、
現在、思い出の中のその方に、心の中で賞賛と羨みと罵声をあびせかけおりましたところです。
(男の世界にまつろわぬ笑み――虚を湛えたそれを、黒い瞳で見つめながら思う。
 自分はたぶん、あの表情を知っている。そこにあるから、被っただけの、仮面を――)
376紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2008/12/28(日) 00:50:21 ID:2yXzsNml
どの段階でブレーキを踏むかの違いだろ、その辺は。
くふふ、喧嘩で済む内は平和だぁね。
(この間校舎裏で喧嘩をした男の事を思い出して、苦笑する)
(喧嘩自体は好きだった。殺し合い抜きの戦いも、ある程度までは楽しめる)
(ただ、ブレーキが半ば壊れている為、相手が強ければ自制するのは困難だ)
(故に、本気で力を振るえるこの様な場所の確保は、拓兎には必要なことだった)

そうかい。俺は傭兵だ。人間でも妖魔でも、金次第でさっくりヤッちまうぜ。
「緋色の雫」って組合知らねえか?俺、あっこに登録してんのよ。
(特定の組織に所属しない退魔師やフリーの狩人は、組合を作ることが多い)
(組合を作り、規律を作り、信用を確立する事で、仕事を得るための信用を作るのだ)
(「緋色の雫」という組合は、現実に存在する。幾つかある小規模な組合のひとつで)
(知名度自体は低いが、それでもそれは確かに存在する。近隣の組合の中でも特に戦闘に)
(長けた狩人が多く登録している。裏に通じた人間なら、その窓口へ辿り着くのは簡単なことであろう)

ふむふむ、なるほどね。秋せつらか、ウォルターか。ブギーポップという線もありか。
元ネタは特定できんが、随分と大層な代物のようだぁね。
――てことは、あんた本来の得物は別ってことか。
(貰いものを使える様に頑張っているという事は、必然的にそうなる)
(推理と言える程の思考ではなく、当然の理論の帰結というやつだ)

あ、俺、紅裂拓兎ってんだ。あの学校の二年。趣味は戦いと読書。
最近はSF小説に嵌ってたりするぜ。あんたの名前は?
(今更気づいたように名乗り、訊かれてもいない趣味と最近のマイブームまで暴露する)
(その間にもその笑みは変わらず、その裏にある虚も変わらない。名前を尋ねたその瞬間も
377媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/12/28(日) 01:06:26 ID:1DyPGQgt
――……緋色の、雫。
(女の眉が、僅かにひそめられた)
(戦闘に特化した組合の一つ――こちらで息をするようになってから、
 ここに在るそういう存在は一応ではあるが、網羅して記憶している)
(それは、不用意に手を出して≪組織≫間の争いを招いてしまう危険を、避けるため)
それでは、≪深凪≫の者として、
この場で簡単に貴方に手を出すわけには参りませんね。
(息を吐き出して、くゆっていく白いもやを瞳で追う)
(彼を狩れるとしたら、彼が“異形”たる言い逃れのできない現場を取り押さえたそのときだろう)

われわれは、遺産(デバイス)と、呼んでおります。
そうですね。私は貴方の仰られたことにすら知識が及んでおりませんけれど、
「年代物」といえば、否定は致しません。 ――あ、ブギーポップはこの間、少しだけ読みました。
(ぽん、と思いだしたように手をたいて、頷く)
(『得物』についての抜け目ない考察に対する答えなど、要らないだろう、とでも言うように)

――べにさき、たくと。
二年生、とは……今後とも宜しくお願い致しますね。
(小首をかしげて、ようやく彼女は完全に糸を巻き取った)
(目の前の虚を湛える男に対する警戒が解けたわけでもないが、少しは緩んだのかもしれない)
…と、失礼にも申し遅れました。
私は高等部三年、媛名 葵と申します。どうぞ、お見知り置きを。
趣味は、そう、ですね……愛でる、こと、でしょうか。 あと、くつろぐのは嫌いじゃありません。
(長い黒髪を揺らして、彼に対して丁寧な一礼をむける。
 ただし、懸命に考えたらしい結果出てきた答えというのは、「趣味」からは程遠いことだったけれど)
378紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2008/12/28(日) 01:24:46 ID:2yXzsNml
≪深凪≫って、あの異形狩り専門の・・・・・
あー、なんか名前だけは聞いたことあるような。
(眉間に皺を寄せて、記憶を辿るが上手くいかない)
(興味のないことに関しては放置気味なので、仕方ない)

遺産(デバイス)ねえ・・・・・古代人の、なんだっけ?まあいいか。
「魔界都市ブルース」って言う伝奇小説と「HELLSING」って漫画だ。
魔界都市の方は初期作がお勧めかね。「HELLSING」の方はこの間月刊連載が
完結したから、興味があったら集めるといいかもな。コミックは簡単に買えると思うし。
「ブギーポップ」は初期作の方に傑作が揃ってるぜ。
「パンドラ」とか「ペパーミント」とか「歪曲王」とか。「夜明けの」も捨てがたいけどな
(好きな分野のことに話が及ぶと、武器に関することなど忘れた様に熱く語る)
(この辺は普通の高校生と大差はなく、その表情は稚気すら帯びている)

ヒメナ・・・・お姫さまの「姫」?それとも愛媛の「媛」?
まーあいいや、ひめっちと呼んでやろう。それが嫌ならひめ先輩。
(出会って間もない割に警戒心の欠けらもなく、隔意もなく、悪意もなく愛称を決める)
(それが、この男が変人と呼ばれる理由のひとつでもある。「誰であろうと同じこと」なのだ)
愛でるなら体育館裏に住みついた三匹の猫がお勧め。
俺にはちーっとも懐いてくれないけどなっ!
(最後のフレーズには、何か自棄になった様な響きがある。動物が好きで、猫が好きな拓兎)
(としては、懐いてくれないし撫でさせてくれない猫に対して、色々思うところがあるらしい)

――寒いな、そろそろ帰らないのか?俺はもう帰って風呂入ってまったり読書でもするけど。
(ぶるりと肩を震わせて、拓兎は蒼い空を見上げた。太陽は高く、風は冷たい)
(余所余所しいまでのこの蒼さが、拓兎は嫌いで、好きだった。この世界は人間を愛していない)
(という事を、その蒼さを見る度に思い出せるからだ)


【というわけで、そろそろ〆でいいだろうか】
379媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2008/12/28(日) 01:50:11 ID:1DyPGQgt
……ふむ。 お名前は記憶しておきましょう。
貴方がそのようにお話になるのなら、きっと読む価値があるのでしょう。
(屠ることに虚ゆえの、あまりにも純粋な様相)
(普通の高校生と変わらぬその様子には、思わず目元を緩めてしまう)
(微笑ましい、と思えてしまうことが、すでに異質だ。
 つまりのこと、あれだけ凄惨なことをやってのける彼の裏にこれだけの純粋さが潜んでいる)

後者です。 愛媛の「媛」に、名前の「名」、向日葵の「葵」で、「ヒメナ アオイ」。
……ひめっちに――…『ひめ先輩』ですか?
(その呼称を聞いた途端、思わずきょとーんとした表情をさらしてしまう)
(それはこの左手に絡む糸の持ち主が、昔、自分の事をそう呼んでいたのと同じ名前だから。
 あの人と、発想が似ているのだろうか…なんて思うと、思わず小さく笑みが零れてしまって)
貴方のお好きなように。 先輩後輩、気にする性質じゃありませんから。
(決して、気を許していい相手ではない。
 けれど、彼の本当の正体を知らない今は、刃を向ける気も彼女には無かった)
――…私も、こう、犬猫には懐かれなくって。
こちらからの精一杯の歩み寄りをしても、全力の逃亡をお返しされてしまって。
(加えて、自分と似た境遇が共感でも誘ったのだろうか。思いはせるように、息を吐きだした)

そうですね。
目標も達成したことですし、寒いですし、帰ることに致します。
(糸をまとめて、皮手袋を外し、それらをポケットにしまって、
 ふ、と何かに気づいたように動きを止める。そのまま、ポケットからハンカチを取り出して)
帰るのは十全ですけれど、せめて目立つ分だけ拭いてゆかれてください。
あんまり、目立って大事になりますと酷く面倒なことになってしまいますから。
(せめて紅いジャケット以外のもので、拭えるものはぬぐっておけ、と。
 彼の目の前で白いハンカチをひらひらさせながら、小首を傾げる)
……それで、お暇なときにでも缶コーヒーと一緒に返しにいらして下さいませんか?
(ただ、それは優しさではなく「奢りの確約」のためのズルイ手段だったのかもしれなかったけれど)
(彼女は何事もないように、変わらぬ表情で――でも、少しだけ楽しそうに――そう伝えた)


【それでは、こちらはこれで〆、でも大丈夫でしょうか?】
【もしレスをつけて下さるようであれば、それを見届けて失礼しようと思います】
【今宵は、お誘いとお付き合い、ありがとうございました。楽しかったです。(一礼)】
380紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2008/12/28(日) 02:06:30 ID:2yXzsNml
じゃーあ、ひめっちで。決定。
(懇切丁寧に「媛名葵」という名前を教えてくれた。その名前をきちんと自分の中に)
(刻むのか、或いは冬休みの間に忘れ去るのか、少し微妙なラインではあったが)
(ひめっちという愛称なら忘れないだろう、多分)
(それにしても――『ひめ先輩)と呼んだ時随分と間抜けというか、愛らしい表情を浮かべた)
(のは何故だろうか。世界は神秘で満ちている。それを謎を追求して解く事はないだろうけど)

くふふ・・・・・全力で、共感する・・・・
あの猫たち、白と黒と三毛でかぁいいんだけど、野性度高いから。
(がっくりと肩を落とす。似たように境遇故の共感を覚えたようだった)
(多分、身に纏った雰囲気がその野生センサーに引っ掛かって、警戒されるのだろう)
(昔、子供の頃はよく近所の犬や猫をじゃらして遊んでいたものだったが)
(契約者になって後悔したことがあるとすれば、動物に懐かれなくなったことだろう)


―――んあ?
(差しだされた白いハンカチと、缶コーヒーの件について首を傾げる)
(この女、そんなに奢られるのが好きなのだろうか?)
(まーあいいけどな、と些事に拘らずそのハンカチを受け取る)
ここは借りとく。冬休み終わったら返しに行くとするわ。缶コーヒー持ってな。

(かくして、新しい生き方を選んだ猟犬と、紅い契約者の邂逅が幕を下ろす)
(次に向け合うのは、言葉と笑顔か、それとも殺意と刃か)
(今はまだ誰も知らず、そして紅裂拓兎は返り血を拭いながら帰路を辿った)


【短いけどこれで〆お付き合い感謝しますとも。】
【お疲れ様でした。おやすみなさい】
【以下空室です】
381郡 太一朗 ◆gphCpRvXtQ :2009/01/03(土) 21:08:25 ID:1ZQi6689
【しばらく、スレを借りるなーっ!】

382須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2009/01/03(土) 21:21:53 ID:5IJfEsBr
【気づいてなかった私涙目】
【だいじょうぶ?いける?】
383郡 太一朗 ◆gphCpRvXtQ :2009/01/03(土) 21:23:56 ID:1ZQi6689
【いけるいける! …つーわけで、よろしくな?】
384須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2009/01/03(土) 21:25:09 ID:5IJfEsBr
【りょうかーい。ではでは。】

そういうっ……!
そういう、意気込みはいい。訊いたってどうにもならない……。
(首を横に振って、彼の発言を制した。
 それがたとえ"強さ"であろうと、認められるだけの余裕は既にない)

化け物ならまだいい。でも、あんたは人も殺してるんでしょ?
それでいいの?望むから誰かを殺す、そんな生き方を続けても。
あんたがやっていることが"偽善"なら……"悪"じゃない?
(自らをして「偽善」という認識を訊けば、
 それを彼が正しいと認識できているのかと問う。迷いのない言葉を確かめるように。
 怯え震える視線は、既に、人間のそれではなくなっているのかもしれないが)

……恨まれる。知らないところで、傷から血以外も流れていって。
なら、そうならないために殺し続けてもいいの?
あんたは同類を、殺さない?
(と、矢継ぎ早に問いを重ねていく。欲しい答えはひとつだろう。
 手には剣がある。他者を黙らせるための道具が、かたかたと震えて音を立てた)
385郡 太一郎 ◆gphCpRvXtQ :2009/01/03(土) 21:39:26 ID:1ZQi6689
>>384
……だから、偽善だって言ってるだろ?
誰かの『悪』になるから、偽善は偽善って言うんだよ。
でも、あの人が言ったんだ。先輩が。
どんなことをしてでも自分の意思を貫く覚悟をしろ、ってさ。
(おまじないのように、その言葉を呟く。それは今の自分にとっての信念でもあり)

殺すかもしれない。
――もしかしたら、あの殺人鬼のようになっちまうかもしれない。
けれど、それは最後の手段だ。
俺は最後の最後まで、最善を見つけることを諦めない。
それが、俺のやり方だ。―――俺は、偽善でも、悪でも、
罪のない人が殺されていくのが嫌なんだ。
(答え。それは、ようやく形になってきた自分だけの答え。
 ――間違っているのかもしれない。それはきっと、甘い答えなのかもしれない。
 それでも、曲げることは出来ない。自分の思いだけは止まらないのだから)
386須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2009/01/03(土) 21:52:07 ID:5IJfEsBr
>>385
……かく、ご?
"どんなことをしてでも"?

(眉を顰める。……この青年と話すにあたって、
"先輩"という名詞は、媛名葵にしかあてはまらない。
 当然それは、彼女自身も掲げている理念なのであろうが――。
 自害に及ばんとしたあの夜の言葉がすべて、その覚悟の上なら。
 ……殺人衝動を覚えた自分を飼い慣らし、「組織」として使うことが、
「組織の者」としての覚悟の上での非情であれば。
 今の状況にも、あの葵の言葉にも――勝手に、納得がいってしまう)

……成る程。"媛名さん"らしい、のかな。
誰かのための善が、あたしにとっても悪となる、か。なるほど……。

(どこか空虚になった面だが、表情は笑みだった。
 裏切られたことなど、生きていくうえでそう経験しなかったことだ)

あたしも、じゃあ、偽善を振りかざそう。
あんたに返して貰ったこれで、これから何人も手にかける。
……今のうちに殺さなくて、いいの?あたしは、"あんたみたいな奴"も殺した。

(そうして据わった目のまま、腰を上げて、鍔を指で押し上げる。
 不意は打たぬにせよ、僅かに夜気に晒される刃は、臨戦態勢のそれ。
 試し、否ならば良し。 是というならば……)
387郡 太一朗 ◆gphCpRvXtQ :2009/01/03(土) 22:02:06 ID:1ZQi6689
>>386
…偽善だろうが、悪だろうが、
それは誰かを救うための帰結だ。
誰かを殺すためじゃない。――そこを履き違えるほど、俺は間抜けじゃない。
馬鹿ではあるけどな。
(冗談っぽく笑いながら、軽く肩の力を抜いて)

俺と、あんたの言う“あんたみたいな奴”とは別人だ。
あんたがそいつを殺したっていうなら、何か目的があってのことだろう?
あんたが、そいつを殺した理由がひん曲がった快楽や適当な理由の為だったら、
俺は此処であんたを止める。――それこそ、命を張ってでもな。
(静かに息を吐き出すと、双眸を細めて鋭く見据える)
だが、あんたから理由を聞き出すまでは、それはしない。
だから、何があっても俺はあんたが何を考えているのか、聞き出すまで
諦めるつもりはないし、場合によっては力ずくでも聞き出してやる。

前提条件が違うんだよ。――『殺す』か否か、そういう問題じゃない。
俺が知りたいのは、あんたが何を考えているかだ。

388須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2009/01/03(土) 22:20:54 ID:5IJfEsBr
別に考えろ、って、難しいんだよ。
あたしみたいなのにとってはね。
誰かのために……殺されてあげることは、できない。
(銀幕の向こうの、英雄に駆逐される悪のようにはなれぬと。
 それでも既に姿勢は揺るがない。力を抜きながらも、ぶれない)

……怨みかなんか知らないけど、あたしを殺す必要があったんだって。
そいつが残してったのがこれ。とんだ土産だわ。
(自分の顔に手を這わせ、縦一文字に刻まれた傷を撫でる)
誰かのために。家族のために、そんなこと言って。
でも、あたし、そんなこと知らないからさ、殺したよ。
強かった。本当に必死だったみたいで、恐くて。だから"楽にしてあげた"。
(鋭い視線には、緩く細めた瞳で応える。
 笑うことも表情を顰めることもしない。水のように構える)

自分が、生きるためだけに、ね。あたしのための善が、そいつには悪だった。
やめればいいけど、あたしも夜の舞台からは、降りられない。
これからも、死んでもいいやつ。あたしを殺そうとするやつは。
……ひとり残らず、手当たり次第やってくよ。 これはあたしの善だ。
389郡 太一朗 ◆gphCpRvXtQ :2009/01/03(土) 22:41:18 ID:1ZQi6689
………ひとつ、聞くぜ。
あんたは、殺したくて殺してるのか。
それとも殺したくないのに、殺しているのか。
答えろ。須佐乃水琴。
(真剣な表情のまま、ただ彼女の瞳を捉える)
俺はあんたを止めてみせる。そして、助ける。
あんたに殺される人を。………そして、あんた自身も。
たとえ、あんたを苦しめることになったとしても、それが俺の正義だ。

誰も殺させない、とは言えない。
けれど、せめて目に見えている部分だけはどうにかしたい。
それが俺の願いだ。……なぁ、水琴さん。あんたが誰かを殺すっていうなら、
俺はその度にそれを邪魔してやるよ。俺は天邪鬼なんでな。
(にやりと笑いながら、真剣に目を眺めて)
たとえ、俺があんたの敵になったとしても。それは変わらない。
390須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2009/01/03(土) 22:52:53 ID:5IJfEsBr
正直なところ、よくわからないよ。
人殺しは犯罪。倫理的にも許されない。化け物相手なら、まだ良心も痛まない。
自分のために誰かを殺すのも、誰かを傷つけて生き延びるのも。
きりがなくて最悪だった。でも、人を殺すことそのものについて、
言うほど、嫌だったり、拒絶をしたりって経験はなかった。
(目を伏せる。 少なくとも、今、"殺さねばいられない"体質になった以上、
外道か、化け物か、そういったものを手にかけるからこそ、踏みとどまれている)

……そゆの、もういい。飽きた。
裏が見えるんだよ、あたしにとっての助けは、苦しみなんかじゃない。
耐え抜いた先の未来なんて……。
耐えて、乗り越えようとした奴を殺したあたしになんか、無い。

あたしは死ぬなって言われたんだ。つまり、殺し続けろってことだ。
たとえ誰かの道具でも、言いなりの人形でも、あたしは殺されたくなんかないんだ。
……邪魔をするなら、容赦はしない――。
せめてガッコだけでは、仲の良い先輩後輩でありたいけどね。も、居場所ないから。
(僅かに露出した刃を、鞘の中に呑み込ませる。慣れた動作で、竹刀袋に刀を突っ込む。
 邪魔をしたなら、という猶予を設けたのは、踏みとどまっている証拠。
 出来ることなら誰ひとりという感情は確かにある。状況がそれを許してくれないだけだ)
391郡 太一朗 ◆gphCpRvXtQ :2009/01/03(土) 23:03:13 ID:1ZQi6689
……悪いけど、俺はあんたを否定する。
俺は悲観的なのは大嫌いなんだ。
そもそも、『死ぬ』だとか『殺す』だとか、言葉自体が嫌いなんだよ。
悲劇のヒロインぶったやつも、同じくな。

あんたが飽きようが、関係ないね。
あんたが勝手にするなら、こっちも勝手にする。
そこにあんたが付け入る隙はないし、文句も言わせない。
――俺は俺が最善だと思う手段が見つかるまで、諦めないからな。
(宣戦布告。正直、彼女が何を考えているのか、分からなかった。
 それでも、分かる。とてもヒドい悪い予感がする。こういうときに限ってよく勘があたるのだ)
(最悪でもそれだけは避けなければ。たとえ、彼女自身がそれを是だとしても。)

たぶん、今のあんたに何を言っても聞いてくれないし、信じてくれないだろう。
きっとあんたの答えを肯定する答えしか、受け入れてくれない。
……なら、俺はあんたのその門を無理やりでもこじ開けてやる。
いつになるか、分からないけどな。
392須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2009/01/03(土) 23:28:47 ID:5IJfEsBr
楽観的に物事を捉えるなんて、もう無理なんだ。
確かにあたしは自分から何かをするわけじゃないさ。
……それでもこれは、足掻いて、自分になりに出した結論なんだよ?
(首を傾いで笑う。 否、嗤う)

確かにあまのじゃくだわね、あんた。
じゃあ、芽は今すぐに摘む……?
(すべてが革の筒に飲まれんとしていた剣の、柄を握る。
 邪魔をするなら、の宣言通り。鋭くなった瞳で睥睨して)

そらそうだ。下を見たらキリがなくて、上を見たら高すぎる。
あれこれ悩んでも、そうだ、意味ないんだよ。
……欲しいのは納得できることだけ。あんたと同じ。
(夜は深まる。だが剣は降ろして、肩を竦める。)
何の因果かな、こんなことになる奴相手に、こいつ渡しちゃってさ。
(会えばどうにかなるかという期待が、なかったわけではないのかもしれない。
 だが事態は混迷を究め、代わりに――背を向けた)

やる事できたから、今すぐってのはよそう。
……それとも、「どんなことをしてでも、貫く」なら……後ろから、ザクっと来る?
(肩越しに振り向いて、挑発的に嗤い)
393郡 太一朗 ◆gphCpRvXtQ :2009/01/04(日) 00:22:35 ID:yl6WESB5
なら、悪いけど俺はその結論を覆す。

…ああ、天邪鬼だ。
俺が嫌いなものはとことん邪魔してやるし、
それが気に食わないものなら、その結論だって覆してやる。
(屈託なく笑うと、ふっと肩の力を抜いて軽く首を横に振り)
…あんたが一体何をしたいのか、俺には正直わからない。
それなのに、話を曖昧にしたままあんたは俺を否定する。
……正直、あんたのことは気に食わないが、これだけは言える。

勝手に結論付けるな。

てめえ、一人だけで生きてるつもりじゃねえだろうな?
…ああくそ、…こういうときに限っていい言葉が出てこないけど…っ!
(言葉を捜すように、頭を掻き乱して)
…言っておくぞ! どんなことをしてでも、俺はあんたの考えを否定してやるからな!

【悪い、いろいろあって遅くなっちまった…ごめんorz】
394須佐乃 水琴 ◆MIKOlshTCI :2009/01/04(日) 01:04:30 ID:8xPnCSCj
……いつまでも、こんなこと続けられないのはわかってるよ。
時間はないんだ。最悪の終わり以外に、何かを見つけなきゃ。

(舌打ちをしながら、足を進める。
 掻き乱されて、打ち伏されて未来が変わるならばそれもいいが、
現状、自分は先行きに希望など見えない。
 剣を握り続けることも、藻掻くこと以上の意味をなさないが……
ならばせめて、無理に繋がれたこの生に意味を持たせようではないか)

できるもんなら、やってみなよ。
――あたしにとって大事なものが大事なものであるうちに。
あたしがあんたの首を落とす前にね。

(腕を振るい、澄んだ鍔鳴りを残して竹刀袋を担ぐ。
 太一朗が来たほうとは別の入り口から公園の出口に向かう。
 何かの不備か、吉兆か。そこに設えていた電灯だけが明滅し、やがて絶えた。
 決別も諦めもあってはならないものだった。
 非は水琴にこそ。しかしそれに気づけるだけの余裕もない)

全部、あんたが……悪いんだから。

(予感の行方はいずこへ。幻視した繰り糸の先へ、虚ろな剣を向けたまま……闇へ溶けた)

【というわけで、これにて……】
【剣と堕ち、付き合ってくれて、ホントにありがとうッ】
395郡 太一朗 ◆gphCpRvXtQ :2009/01/04(日) 02:00:23 ID:yl6WESB5
へえ、随分と腕に自信があるみてぇだな、あんたは。
悪いけど、黙ったまま俺もやられるわけにはいかねぇからな。
…相応の覚悟をしておけよ?
俺は俺なりのやり方で、やってやるさ。
まだ、あんたをゴールさせるつもりはない。
(苦笑を浮かべながら、ただ単にその背中を見守るしかなかった。
 今の自分には彼女を留める言葉を持っていない)

…なら、探してみせるさ。
あんたが納得するような言葉を。
勝手に諦めて、勝手に暗くなって、勝手に結論付けやがって。
…暴走もほどほどにしておけよ、水琴さん。
(彼女を押し留める力のない自分の言葉に苦笑するしかなく、
 ただ、今は解けてしまった闇をぼんやりと立ち尽くして眺めるしかなかった)

【お疲れ様っ。なんつーか、最後のほう迷惑をかけてすまなかったな。お疲れ様っ、おやすみ!】
396名無しさん@ピンキー:2009/01/05(月) 16:20:05 ID:dshkx4VH
浮上
397紫 一久 ◆aYx5IIasQU :2009/01/09(金) 21:57:37 ID:Gn6dn+4x
【伊織とのロールに使用させてもらう】
398伊織津綺子 ◆w6iOQ87fxQ :2009/01/09(金) 22:00:31 ID:48k64oWR
【おまたせしました。書き出しをお待ちしてます】
399紫 一久 ◆aYx5IIasQU :2009/01/09(金) 22:06:10 ID:Gn6dn+4x
【うむ、ではよろしく】


(殺人は、記憶しない)
(後ろめたさや恐怖感からではない。無意味だからだ)
(既にいない人間の事を記憶する事に、はたしてどれほどの意味があろうか)
(――しかし、あくまでそれは能動的な記憶を行わないというだけ)
(否応なく記憶に残ることは何度となくある・・・紫 一久は人間なのだから)
(そしてその殺人もまた、記憶に残るものだった)
(何故なら、その夜殺した彼は、紫 一久が初めて出遭い、死闘した"強い少年"だったからだ)

・・・・・・
(廃工場)
(少し前、迫水 直という男に出会った場所。
そして彼が少なからぬ虐殺――半ば誤解なのだが――を働いた処)
(そこは、紫 一久にとってもまた、一つの記憶が根付く場所だった)



(四年前。紫 一久がまだ十二歳で、生きた右手を持ち、しかし今ほどの理性すら持ち合せない狗であった頃)
(今日のように、大気は冷たく空は澄んだ、冬の夜の事だった)


イオリ・・・・・イオリ・・・!
クソ、どこだ・・・・どこだよ!?
(紫 一久は道に迷っていた)
(異能を見破る能力を持つ上司から聞いた情報・・・・伊織という家の子が電撃使いであるという話)
(それを聞き、その異能を抹殺すべく飛び出したのは良かったが・・・)
(その町には移動の途中で立ち寄っただけ故、彼には土地勘がなかった)
(しかしモタモタしてもいられない。明け方にはこの町を離れなければいけないのである)

ん・・・・?
(と、走る紫の耳が戦いの音を捉える)
(音の上流に視線を移せばそこは工場)
(そして、漏れ聞こえるのは人と人でない何かの声)
・・・ヘ、ツイてる
(紫 一久は工場へと駆け出す)
(兎にも角にも時間がないのだ。こういう時は、人に尋ねるのが一番だ)
(それが同じ"夜の住人"であれば尚好都合である)

(かくして、工場の入口までやってきた紫は、ひょいと中を覗き込んだ)
400伊織陽太郎 ◆w6iOQ87fxQ :2009/01/09(金) 22:18:52 ID:48k64oWR
たあっ!
(裂帛の気合と共に刃が一閃すれば、ありえない色の体液を散らして異形が切り裂かれる)
(真一文字に月光を反射する刃を操る少年は、ひるむことなく異形に対峙し)
(返す刀でその本体……かつては人であった異形の魔物を袈裟掛けに斬った)

……
(一瞬の間)
(少年が一つ、二つと呼吸をつめる間に、切り口から、びしゃり、と体液が吹き出した)
はぁ……はぁ……はぁ……

(ようやく少年は緊張を緩め、構えた剣を一振りして魔物の体液を払い落とす)
(その目の前で魔物の体が見る見る崩れ、元の人の姿に……人が、無残に惨殺されている姿に変じた)

【こちらもこんな感じでよろしくお願いします】
401紫 一久 ◆aYx5IIasQU :2009/01/09(金) 22:30:10 ID:Gn6dn+4x
・・・・〜♪
(鮮やかな刃の閃きに感嘆の口笛が漏れる)
(見た所自分よりは年上か、その少年の技は、大人とも競り合える程だろうと見て取れた)

(と、ここで工場を覗いた目的を思い出す)
(時間は無限ではないのだ。効率良く行かなければ)
(とりあえず――褒めよう)

いや、お見事! お見事お見事だ
(意識して明るい、あっけらかんとした声を出し、近付く)
恐るべき異形を紫電一閃! いやいや、カッコいいぜ、ホント

すげーな兄さん。強いんだな?
(惨い死体を眺め、屈託なく言う)
(その、年相応の幼さと戦士としての強者への敬意が混じった笑顔は、
ひどい色の体液が飛び散り、人間の惨殺死体が横たわっているその場には不均衡な物だった)
402伊織陽太郎 ◆w6iOQ87fxQ :2009/01/09(金) 22:38:20 ID:48k64oWR
(懐紙を取り出し、刀の血曇りをぬぐっていると不意に人の気配がした)
誰だっ!

(すばやく振り向き、切っ先を向ける)
(こちらの警戒振りに不似合いなほど陽気な反応が返ってきた)
君……こんな時間にこんなところで何をしているんだ?
(目にしたのは若い、というより幼ささえ残る少年)
(四つ違いの妹と同じぐらいだろうか)

こいつを殺すところを見ていたのか。
君のような子に見せたいものではないのだが。
おうちへお帰り。こんな時間だ。送っていこうか。
(魔物ではないと見て取って、わずかに緊張を解く)
(だが、刀を鞘に収めることはしない)
(その少年は、この修羅場を見て何も動じる様子がない……ということは)
(刀を納めて安全な相手だとは限らなかった)

403紫 一久 ◆aYx5IIasQU :2009/01/09(金) 22:51:56 ID:Gn6dn+4x
おっ・・・ととと、恐い恐い
(判断力は悪くないようだ、と、向けられ続ける切っ先を見て思った)
(相手が自分のような子供であっても、この場に動じていないのを見て警戒をしているのだろう)
俺は悪い異形じゃないぜー? 人も食わないし襲わない
むしろ・・・お兄さんと同じ。同好の士、ってヤツ?
(手で銃を作り、存在しない弾丸で惨殺死体の心臓を撃ち抜いて見せる)
だから、あんまり子供扱いするなよ? こーゆー死体も見慣れてるしな
クールダウンクールダウン
(終始ふざけた様子で喋り尽くすと、向けられた切っ先に握手の右手を差し出した)

あー、そうだそうだ
(ぽん、と掌を打ち、今思い出したかのように問いを投げ掛け・・・ようとするが
それよりもまず、自己紹介を・・・・相手の警戒心を解くのが先決だと思い到った)
(人間、相手の名前を知るだけである程度の理解した気分になるものである)
・・・自己紹介、まだだったな? 俺は紫、紫 一久っつーんだ
紫イモとか紫キャベツとか紫イルカとか言うなよ?
(おどけたように肩を竦める)
で、今夜のヒーローのお名前は?
404伊織陽太郎 ◆w6iOQ87fxQ :2009/01/09(金) 23:03:40 ID:48k64oWR
悪人だとは思わんさ。
もっとも自ら悪人だと名乗る悪人がどれだけいるか。
(緊張を解いたついでに苦笑を浮かべて、少年の浮ついた仕草を見守る)

同好の士、か。
俺が道楽でこんなことをしているように見えるのか?
(いささか疎ましげに目を細め、だが声には嫌悪の色はなく)
(ひゅっ、と風を切って切っ先を一閃させ、鞘に収める)
だが、誰に頼まれてしているわけでない。
なるほど、好きでしていることに変わりはないな。

紫くん、か。
俺は伊織…伊織陽太郎という。
(刀を鞘がらみにつかんで持ち替え、差し出された握手の手に応じた)
同好、というからには、君も妖魔退治をしていると思っていいのだろうか?
(どう見てもやっと中学生、ことによると小学生かも知れない相手をしげしげと見やって)
…君のような子がどうやって?
405紫 一久 ◆aYx5IIasQU :2009/01/09(金) 23:31:28 ID:Gn6dn+4x
くくー、確かに。詐欺師は詐欺師を自称しないな
だけど、信じてくれて感謝至極だぜ。強いだけじゃなくて頭も柔らかいー
(適当に煽てるのも忘れない。そうと悟られなければ、相手を持ち上げる行為はとても好ましい効果を生む)
まあ俺みたいなガキが悪人でも緊張感に欠けるかな?

ん、道楽じゃねーの?
人を救うという道楽。見返りなしの奉仕活動という趣味
そういうもんじゃね、普通? 表沙汰にできないもんな、こんなの
(・・・・自分は違うけどな、と拙い優越感を抱きつつ、心中でつぶやく)

・・・・・イオリ
(その三音を聞いた瞬間、紫の中の"何か"が変わった)
(かちりとスイッチが入り、歯車が軋みを上げ、違う弧を描き出す)
(すうっと紫の臓腑、血流、精神、長じて瞳の光、笑顔が冷え込み
全ての感情がただ一つ――殺意という衝動に書き変わる)
(イオリの子、目当ての的が)
(眼前に)

(貼り付けたような笑顔を浮かべたまま、握手を解き
左手をポケットに突っ込み、背中を向けて数歩ステップ、距離を取る)
どうやって・・・・か。やっぱ気になるか?
(先程までとは違う、抑揚のない声が響く)
そうだな・・・ちょうどいい
ここは人は寄り付かないし、外からじゃ音も殆ど聞こえない
何をしたって、見てるのは
(す、と右手の人差し指を立て、天を示し)
冬空の星と月ばかり

・・・・クク
見せてやるよ――イオリの子!
(先程までとは違う、明確な殺意と激情を込めた声でその姓を叫び
同時、振り向きざまに左手からダーツを投躑、
回避しなければ刀を持つ腕を確実に撃つコース)
(そして次撃のため、距離を確実に取りながら左手にダーツ、右手に短剣・・・
ソードブレーカーと呼ばれる、櫛状の刃を持ち刃を捕らえる短剣を構える)

(僥倖である)
(天恵である)
(目標が自ら姿を現してくれるとは)
(こうなれば、確実に仕留めるのみだ。必ず、必ず)
――イオリ!
(自分を奮い立たせるため、叫ぶ!)
・・・死んでもらうぞ! 俺が唯一となるためにッ!!
406伊織陽太郎 ◆w6iOQ87fxQ :2009/01/09(金) 23:46:05 ID:48k64oWR
(少年の長広舌を聞いている間も、違和感と緊張感はぬぐえなかった)
(握手をして、親しげに語りながらも紫はこちらに背を向ける)
(紫が今握手をした手を高々と掲げた瞬間、思わず身構える)
(それが結果的に陽太郎の命を救った)

……!!
(振り向きざま放たれたダーツ!)
(鞘ごと刀を払ってそれを跳ね除け、脇に飛びのく)

何をするッ!
(次の一挙動で鞘を払い、再び抜き身を月光に晒して少年に対峙した)
貴様…退魔狩りか?!

(そういう者たちがいるときいたことはある)
(魔を狩る者がいるのと同様、魔を狩る者を狩りたてる者もいる、と)
(だが少年は、不可解な言葉を叫んだ)

唯一?
何が言いたい! 俺がお前の、何を損なっているというのだ!
(低い姿勢から下段に構え、少年に問うた)
407紫 一久 ◆aYx5IIasQU :2009/01/10(土) 00:03:51 ID:ACu8beEX
ハハ、ナイス反応!
ドサクサ紛れの不意打ちくらいかわせなきゃな、良いぜイオリ!
対峙に不足なしッ!
(タガが外れた、半ば狂気じみた笑いを浮かべ)
(しかし次の一言に再び表情を沈める)
何を損なったか・・・か
別に、テメエはなーんもしてねえよ。ただちょっと、幸運が長じて不運になっただけだな
俺の勝手だ。――俺の勝手で殺されろと言ってるんだ
俺みたいなガキが悪人じゃ緊張感に欠けるか?

(取った距離を保ちつつ、伊織を観察する)
ふん・・・武術だけでも一丁前臭いな?
だが、異形狩りの趣味を持つんだ。それなりの能は持つんだろ?
得物が刀っつ事は・・・電流を流すタイプか。放出系は武器が邪魔になるしなァ
・・・・俺と同じタイプ、マジムカつく
(言葉とは裏腹に、いびつに歪んだ口許は間違いなく笑みを形作っている)
(また一歩、自分が唯一に近付ける・・・・そんな思いが、紫に勝手に笑顔を作らせた)
・・・・さて
辞世の句は決めとけよ? 考える暇はもうないからな――!
(歪な笑みを浮かべたまま、刀の動きを推測しながら駆け出す)
(ダーツを伊織の足元に放ち行動を限定)
(閃きの弧の先を読み、それを受けるべく短剣を構える)
(その動きに攻撃しようという意思はなく、進んで攻撃を受けようとしているようにも見えた)
408伊織陽太郎 ◆w6iOQ87fxQ :2009/01/10(土) 00:15:01 ID:GHC+VrAl
それなりに色々とやっては来たさ。
そうでなければ夜の世界に足を踏み入れることはできん。
(ぬかりなく切っ先を下段に構えたまま、すり足で距離を詰める)
(相手には投擲できる武器があるとはいえ、刀が届く範囲まで距離を詰めなくては戦いにならない)

(こちらの能力?を推察しようという紫の言に顔を顰めて)
電気も異能も、覚えがないことだ。
俺の得物はこれ一振り。後にも先にもこれだけで何体もの妖魔を葬ってきた。
ただ、俺が武道の家系に生まれ、その道を極めることに少しでも意味があるとすれば
それは……夜に生きるものたちを狩ること。
戦乱もない今の世に、殺戮の技を磨くことに大義があるとするなら、な。
だからこそ、俺は……

(こちらの言葉は続かなかった)
(足元に牽制のダーツが放たれ、一とびに飛びのく)
どうした、俺を殺したいんじゃないのか。
やる気がないなら帰れ!
今なら黙って見逃してやる!
(相手を挑発しながら、青眼に剣を構えなおして)
409紫 一久 ◆aYx5IIasQU :2009/01/10(土) 00:31:40 ID:ACu8beEX
・・・・?
(異能を知らないという伊織の言葉にほんの少しだけ動きを鈍らせるも)
・・・・ケ
なる、そういう行動指針な
とことん渋る訳だ。分かるぜ、気持ち
(イオリの子を前にした時点で、最早紫に歯止めは利かない)
(ただ一つ、眼前の人間の殺害にしか興味がないのだから)

・・・ふふん
乗らないか・・・・意地でも武術で決を取るつもりだな
良いぜ・・・・!
(挑発に応じ、薄い笑いと共に取り出したのは、一見普通のダーツ)
(しかし、その羽には細く固いワイヤーが結ばれている)

(そして再び迫る。次は牽制なし、ダメージ厭わずの攻撃だ)
(接近しつつ刀のリーチやや前からダーツを放ち、その勢いを殺さず短剣を振るう)
(時間差をつけ、一撃は当てる・・・二段攻撃の基本を放つ)
(先程とは違い、明確な殺意による攻撃・・・・最も普通なら、致命傷には程遠いのだが)
410伊織陽太郎 ◆w6iOQ87fxQ :2009/01/10(土) 00:49:33 ID:GHC+VrAl
乗るも乗らぬも、これが俺の全てだ。
(低く吐き捨て、放たれたダーツの軌跡から身をかわし、大上段から最初の一刀を振り下ろす)
(だがその一太刀は、短剣に阻まれて届かない)
(それが結果的には、こちらの身も守ることとなった)

…なにっ?!
(かわしたと思ったダーツは、旋回しながらこちらの体にワイヤーを巻きつける)
(それを交わそうとするも、左腕と肩を絡め取られ、かろうじて利き腕だけで刀を握りしめて)
くっ……
(身をよじりながらワイヤーを外そうとあがく)

お前こそ、何故俺を殺すのだ!
おまえ自身が闇の眷属だからか?
何故…俺のことを知っていた?!
(あがきながら、矢継ぎ早に質問を浴びせる)

これしきで、俺を封じたと思うなよ!
(ワイヤでこちらの体を捉えている紫の利き腕に向かって、一か八かの一太刀を繰り出す!)
411紫 一久 ◆aYx5IIasQU :2009/01/10(土) 01:08:34 ID:ACu8beEX
っ・・・く
(想像以上の初撃に、受け止めた短剣の右手が痺れ、電流を流し損ねる)
(しかし、痺れに怯んだお陰でダーツが引かれ、期せずしてその肩を絡め取った)
(心中ほくそ笑む。あとはこれに電流を流せば・・・と)
(そこに更なる剣撃が迫る)
・・・・っち!
やはりやるな、・・運には恵まれんようだが!
その問いは、お前が死んでから念仏代わりに・・・・捧いでやるッ!
(手を離し半身を退げて迫る刀をかわし、前に出た半身で床を蹴り上げ、伊織の顎に踵を食らわせる)
(地に足をつけると同時、床を踏切り右手の短剣を振りかぶり、よろめく伊織に飛び掛かった)

(勝ちを確信した)
(短剣の描く軌跡は確実にその首を捉えるはずだった)
(武術に拘った異能への勝利を前に、油断し――その油断が、刀への警戒を疎かにする)
412伊織陽太郎 ◆w6iOQ87fxQ :2009/01/10(土) 01:16:41 ID:GHC+VrAl
(片手でふりかぶった剣はかわされたが、ワイヤをつかんでいた紫の手も離れた)
(左腕にワイヤを絡みつかせたまま、すばやく体勢を整える)
(そこへ、強烈な蹴り!)

うぐぁっ!!

(口の中を切って血を吐き出す間に、畳み掛けるように短剣が襲い掛かってくる!)
遅いっ!
(あえて反対のことを言い、斜め下段から右上方へ大きく刀を振り上げた)
(…紫が、短剣をつかんでいるその腕に向かって)
413紫 一久 ◆aYx5IIasQU :2009/01/10(土) 01:36:16 ID:ACu8beEX
――――、、?
(勝っているはずだった)
(勝った瞬間、その手に感じるはずだった、肉と動脈を断つ感覚がなかった)
(代わりの感覚は、激痛)

・・・っぁ
(驚愕の声。あるべき感覚の喪失に対し)
ぁ・・・あ
(憤怒の声。あるべき部位の略奪に対し)
ああ――
(嗚咽――あるべくしてある痛みに対し)

っあ゙ぁ゙ぁ゙ぁぁっっ!!
(断たれた右手首から血を噴き出しながらも、野性的本能で背後に跳ねる)
(そして認めた、伊織の足元に転がるナイフ――それを握る手首)
貴゙様゙、貴様――貴様ッ゙ッ!
(叫ぶ紫も、自分が何を口にしているのか分からない)
(ただ殺意の壁が一刀に崩れ去り、流れる血と共に感情が暴れ回っていた)

っ・・・ググ、く・・・・フククッ
(最早声にすらならない音を喉から漏らし、不意に右手首を左手で押さえ付けた)
(と、血が止まる・・・・傷口を麻痺させ、更に焼いたのだ)
ッぐぐ・・・伊織ィ・・・・ヒふふッ
お前に・・くく、感謝しないとなァ?
(ギリ、と眼光鋭く伊織を睨む)
(顔は血飛沫と汗と涙で汚れ果て――だからか、その眼は爛々と輝いているようだった)
(憎悪と呼ばれる感情に)

――――死よりも辛い目、教えてくれた事によォ――!!
(咆哮、そして疾駆)
(僅かな理性で刀の軌道を測り、千切れた右手首で正面から受け止め・・・・電流を流す)
(意識は奪わず、全身の制御を奪う程度の威力)
414伊織陽太郎 ◆w6iOQ87fxQ :2009/01/10(土) 01:48:57 ID:GHC+VrAl
(鈍い手ごたえと共に、紫の手首が飛ぶ)
(窮地を脱したことに安堵する暇もなく、紫が狂乱する様を眺めた)
(紫は狂乱しているようで、どこかが醒めている)
(不意に右手首があった傷口をを左手で押さえると)
肉が……!
(人の体がこげる嫌なにおいがして、見る見る傷口が塞がる…)
(というより、焼け爛れていくのを見守った)

こいつは…狂いを騙るか?
(脳裏のつぶやきは我知らず舌に乗る)
(紫一久は…ヒトではない)
(ヒトでないものに、ヒトの理性のあるなしは意味がない……)

させるか…っ!
(咆哮しながら疾駆する紫に向かって、再び大上段からの振り下ろし)
(だが、またしてもその刃は止められた…「右手首で」!)

うああああぁぁっっ!
(高圧電流が一瞬にして全身の自由を奪う)
う、あ、あぁぁ……
(その場に倒れ、口もきかずにのた打ち回った)

(ここが終点……己の生も戦いも、ここまでだと)
(不意に陽太郎は悟った)
(紫の絶叫も空気を焼く放電のオゾン臭も、一瞬陽太郎の脳裏から消える)
(なすすべなく、ただ紫の……己の殺害者となる少年を見上げるばかり)

【お差支えなければ、次レスで止めをさしていただければと】
415紫 一久 ◆aYx5IIasQU :2009/01/10(土) 02:10:50 ID:ACu8beEX
っ、く―――
くーっ、く、く、くっ
(初めて与えられた、戻らない傷、止まらない痛み)
(しかしそれらは、電流の代価の痛みすら押し流し、揺がぬ足並みを紫に与えた)

(時折電流を流しつつ、伊織の身体をワイヤーで完全に捕縛する)
(小さくスキップしながら廃工場の隅から拾ってきたのは、レンチ)
(自分の勝利への確信と自尊、手首を奪い、唯一を妨げる男を処分するのに適した工具だ)

・・・・なあ、伊織よ。伊織陽太郎とやら
俺は感謝してるぜ・・・? 童貞の俺に痛みを教えてくれたお前にな?
(レンチで伊織の頭蓋を軽く叩き、腕をレンチでしっかりと固定し――)
――だから、返礼だ
ありえん痛みと共に死んでゆけ
(締める、締める、締め付け・・・ばき、と嫌な音が響いた)

・・・なあ
(ばき)
俺に質問あったろ?
(ばき)
忘れちまった
(ばき)
もう一度言ってみ?
(ばき)
今なら答えるぜ
(ばき)
何でも、俺が知ってる事
(ばき)
心広いしな
(ばき)

(――月が沈み、空が白み始める頃)
(紫はレンチを、伊織の首にかける)
(今までぎりぎり殺さぬよう、丹念に折ってやったのだから、フィナーレを飾らないと)
・・・・・何か言うことは?
(目を細め、絶対的強者の立場から見下すように、尋ねる)

(――が、その最後の言葉すら最後まで語る事を許さず
話し途中に、その首を捻じ折った)


【こんな感じで。次で〆か?】
【・・・なんか凄まじい描写になって、すまない】
416伊織陽太郎 ◆w6iOQ87fxQ :2009/01/10(土) 02:19:39 ID:GHC+VrAl
う、あ、ああぁ……
(全身の神経系統が狂わされている状態で、口を利くなどという繊細な動作は叶わず)
(紫の凄惨なリンチに耐えるというより、反応のしようもなかった)

伊織の子……
(その言葉は舌を震わすことはなく、ただ陽太郎の脳裏にのみ刻まれる)
(紫のいう「伊織の子」は、自分のほかに従兄弟が二人、妹が一人いる)
(誰だったのだろうか)
(紫を、これほどの憎悪に駆り立てたのは……)

(その一人一人を脳裏に浮かべ、妹の面影が薄れる)
(それは陽太郎の脳細胞が活動をやめたからだった)

(伊織陽太郎、16歳の春のことである)

【ではこちらはこれにて締めさせていただきます】
【そちらの締めを確認してから避難所へ行きますね】
417紫 一久 ◆aYx5IIasQU :2009/01/10(土) 02:39:42 ID:ACu8beEX
・・・・ハン
冴えん最期だ。言葉を喋れよ言葉を
(だらしなく垂れた頭をもう一度レンチで叩き、ダーツや短剣、ワイヤーを回収する)
(少し迷ったが、手首も拾い、ワイヤーで右手首に縛り付けておいた)
(動かなくても、外見さえ保っている方がマシだ)

・・・・・
(立ち去ろうとした時、ふと伊織の脇にあった刀に目がつく)
・・・・カッコいいな
(動く左手と動かぬ右手でそれを拾い上げ、脇に差す)
・・・ふふん
土産、土産。どうせ任務には行けないだろうし
アリサに見せてやろう
(やはり場違いな、機嫌の良い呟きをこぼし、揚々とこの場を去っていく)



(あれから四年が経った)
(右手を失い、結果として様々な物を得、失う契機となった戦いの場に光が差す)
(月光・・・・否、月光を反射する刀の閃き)
(四年前よりは幾分曇った閃きだ)

(異形を切り払い、懐紙で体液を拭う)
(――先日、帯電加工が終わったため、その試し斬りに来ていたのだ)
(試しが終わり、そして、呟く)
伊織陽太郎
お前の犠牲を無駄にしに行くぞ
・・・・伊織津綺子を狩る。俺が唯一となるために


【では、これで〆という事で。遅くまでありがとうだ】
【・・・・さすがに丸くなったからあそこまで非道い事はしないが】
【これからもよろしく(色々な意味で)】

【それではグッドナイト】
418伊織陽太郎 ◆w6iOQ87fxQ :2009/01/10(土) 02:42:27 ID:GHC+VrAl
【見届けました!】
【今日は色々と無理を聞いていただいて本当にありがとうございます】
【楽しかったですー】
【お疲れ様でした。おやすみなさい】
419紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2009/01/12(月) 01:16:00 ID:hLwOHoBw
【ロールの為に使用させてもらいます】
【すきやん待ち】
【書き出しはこっちからの方が都合いいかな?】
420隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2009/01/12(月) 01:17:18 ID:OdMpqd7e
【や、紅鮭くんとのロールに、ちょっとお借りするよ?】
421隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2009/01/12(月) 01:18:15 ID:OdMpqd7e
>>419
【おっと、すでに来ていたか】
【ん、そうしてくれると嬉しい。私は適当に通りかかって拾うからさ】
422紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2009/01/12(月) 01:19:15 ID:hLwOHoBw
【はーい、では暫くお待ちを】
423紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2009/01/12(月) 01:27:18 ID:hLwOHoBw
(世界が回る。視界が巡る。狂っているのは世界か自分か)
(間違いだらけの生と平等に訪れる死)
(振動。風を切り裂く音。痛み。滑る。転ぶ。壮絶な痛み)

くふっ・・・・・ここは・・・・・何処だ?
(――夜。某所の通りにて、赤を纏った青年が満身創痍の身体を引きずって)
(歩いていた。少し前、街外れの森で死闘を繰り広げた帰りだった)
(如何に再生能力を有しているとは言え、銃弾を腹と肩に喰らい、犀の突進を)
(食らった状態で単車の運転などできるはずもなく、結果として事故をした)
(その現場から逃げてきたところだった。当然、あちこちズタボロになっている)
(あの単車からは、身元が割れないようになっているはずだから、後始末に関しては)
(気にする必要はなかったし、そんなことを考えている暇もなかった)

何処かで、見た記憶があんだけどなぁ・・・・・・
(一人、呟きながら電柱に凭れて、蹲る。まるで忘年会で飲み過ぎた酔っ払い)
(だが、実際は死の淵の何歩か手前に立たされているのが現状だった)

424隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2009/01/12(月) 01:41:59 ID:OdMpqd7e
(遠くもなく、近くもなく。サイレンが鳴っている)
(パトカーの音らしい。何か事件か……それとももっと大したことがなく、小さな事故でもあったのか)

年が明けたというのに、騒々しいことだ。
まあ、それくらいの方がいいのかもしれないな。退屈はいいものだが……それを持て余すのはよくない。

(私はというと、今日は珍しく平和に一日を終えられそうだった)
(買い足さなければならない日用品を求めて、コンビニに行った帰り)
(今日は寒すぎるせいか、リンクスのお仲間も休んでいるらしい)
(面倒に巻き込まれることもなく、無事下宿の前まで帰り着いて……)

……ん? あれは……。

(下宿の門の前に、何か赤黒いものが転がっていた)
(電柱の街灯に照らされたそれは、あまりに赤黒すぎて、不吉なものを思わせた)
(そう、たとえば、血まみれの死体とか……)

(いや、それは違った)
(かすかに動いている……生きている。人だ……赤いのは、赤い服を着ているからで……)

なんだ、紅裂くんじゃないか。
こんなところで会うなんて、奇遇だな……しかし、寒いからといって、そんなにうずくまらないでも……。
って、ちょっと待った。キミ……まさか、怪我してるのか?

(彼が赤いのは、服が赤いからだけではなかった)
(それと同時に、彼の体から流れた血も、彩を添えている)
(それも……かなり、重症っぽい)

と、とりあえず、中に入ろう。来たまえ……!
その状態でこんなところにずっといたら、凍え死ぬ。あたたかいところに、早く……。

(彼の脇の下に手を入れて、羽交い締めにするように立たせる)
(そして、有無を言わせず、ずるずると下宿に引っ張りこんでいく)

(『暗黒荘』。庭付き二階建ての、古びた日本家屋)
(その一階、一番奥の部屋に、私は部屋を借りていた)
425紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2009/01/12(月) 01:50:05 ID:hLwOHoBw
(少しずつ、けれど常識では有り得ない速度で活性化し再生する肉体が)
(悲鳴を上げている。血が足りない。材料が足りないと)
(麻酔無しで弾丸の摘出手術を行い、血を失った代償である)
(元手となる材料がなければ、再生は遅れる。体内に残存する材料を集めても)
(完治させるには程遠い。更に言えば肋骨も折れており、そちらの再生はもっと)
(時間が必要な為、恐らくは冬休み中は寝て過ごす計算になるだろう)
(この場から、無事安全圏へと逃げられればの話だが―――)

――って・・・・あれ?あれ?す、きや・・・・・ん?

(背後から声を掛けられて、それが知っている声だと認識して、振り向くより)
(先に背後から手が伸びて、死体の様に運ばれる。有無を言わさず)
(きっと重いのだろうと、引き摺られながら考える。自分の体重は確か80kgは)
(あったはず。しかも脱力した人間というの、非常に重く、運ぶのは困難なのだ)

あー、ここってすきやんの下宿だったの?
道理で見た覚えの・・・・ある通りだと。一度送って行ったことが・・・・あったよな・・・・・
あ、待った。こんな時間に、お邪魔するのも気が、引けるんだけどね・・・・・

(痛みを紛らわせる為、軽口を叩く。そんなことを言っている間に、彼女の借りている)
(部屋へと運ばれてしまう。抵抗はできないし、できるはずもない)
(物理的にはともかく、精神的に)
426隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2009/01/12(月) 02:07:05 ID:OdMpqd7e
おっと? 目が覚めたかな。
ああ、キミの味方のすきやんだよ。また、何かろくでもないことをしてきたらしいね?

(彼の背後でニヤリと笑みを浮かべ、脚と手に力を込める)
(ずっしりと重いので、歩みは亀のように遅い。しかし、不可能というほどでもない)
(普段から敵と戦って、体を動かしてきた成果だろうか?)
(古い板張りの廊下は、一歩移動するごとにぎしぎしと鳴った)
(推理小説で、夜中に死体を運んでいる殺人犯になった気分だ)
(しかしまあ、今やっているのは生きた人間運びで、しかも救うためなのだから、少しは誇らしい)

怪我人が、遠慮しちゃいけないよ。困った時はお互い様だ。
今は、静かに休んでいるといい。休息と、栄養が、何より必要だ。

(何とか、彼の体を、自分の部屋に運び入れた)
(土壁、畳敷き、広さは六畳。立派な部屋とは言えないが、一人暮らしの学生にとっては、相応のお城)
(壁際には、大きな本棚と勉強机……あとは、テレビとストーブ。けっこう質素な部屋だと、自分でも思う)
(何とか運び入れた紅裂くんを、壁に持たれさせ、押入れから布団を出す)
(それを部屋の真ん中に敷くと、彼をその中に転がして……しかし、掛け布団はかけない)
(ストーブに、マッチをすって火を入れて……)

電気毛布が温まるまで、二、三分は冷たいが、我慢してくれ。
しっかり暖まってもらう前に、傷を手当てしなくちゃな。

(軽く彼の体を撫で回し、傷の具合を確認すると)

今日は何を相手にした? これは……銃創かな?
それに、すごい打撲……拳銃持ちのサイにでも、ぶちかましをかけられたかい?

(タオルと救急箱が、押入れの奥から登場する)
(まずは、止血してから、体の血を拭いていこう)
(ちょっと手こずりながら、上着を脱がせていく)
427紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2009/01/12(月) 02:24:41 ID:hLwOHoBw
・・・・・寝てないから。いや、ちょっとうとうとしてただけ。

(本当は、激痛と再生する際に発生する熱と、肉体の悲鳴に)
(意識を奪われていた。魔王の加護を得たとは言え、完全とは程遠い)
(脆弱さは、しかし自分はまだ人間であるという証拠だろうか)
(人間であることに執着しているのかと問われれば、首を傾げるだろうけど)
(何はともあれ、部屋まで運ばれる。内装を確認する余裕はない)
(壁に凭れかけている間、隙屋量子は布団を敷いている)
(そこに寝転がって、漸く周囲を確認する余裕ができた)

うくっ・・・・・恥ずかしいんだけど、な・・・・・・
いや、森の中で、よくわからん女と男二人が殺し合いしてたんだわ。
それで、この前爆炎使いの女とやりあって・・・・・その時のリハビリで
ちょっと戦いに混ぜてもらったんだけど・・・・・女の方に撃たれてね・・・・・
22口径だったから、死なずに済んだけど・・・・・で、その後に鎧着た犀に
ぶちかまし喰らってよ・・・・・乗用車に轢き逃げされたくらいの威力だった・・・・・
肋骨も折れてるから、あんまり触らないで、くれ・・・・・一週間くらいで治る・・・・・

(身体を撫でまわされると、声が出る。痛みと、羞恥で)
(それでも、問われた事に対して、ありのままに答える)
(紅いコートは擦り切れて、下に着た黒いセーターは弾丸摘出の際に)
(溢れた地で赤黒く染まっている。肩も弾丸に抉られ、浅くない傷を負っている)

・・・・・一人で、暮らしてるのか?
俺と、同じだな・・・・・俺は、高校一年の時から、だけど・・・・・

(上着を脱がされる羞恥から気を逸らす為の質問)
(何より、彼女のことを知りたかったから)
(彼女は、特別な繋がりをくれた、そんな存在だったから)
428隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2009/01/12(月) 02:44:25 ID:OdMpqd7e
ん、うつらうつらしているんだ。
部屋が暖かければ、意識を失っても大丈夫だろう。
口はきいても大丈夫だが、つらくなったらいつでも寝るんだよ?

(医術に関して心得はない。人工呼吸や心臓マッサージのやり方もうろ覚えなくらいだ)
(それでも、これがひどい状態だというのはわかる)
(打たれた傷、至るところに浮いた青アザ、流れ出る血)
(触感のおかしいところは、骨折した部分か? そういうところからは、さっと手を引く)

爆炎使いって……相変わらず、戦闘まみれの日々だねぇ。
ふぅん? 本当に拳銃使いとサイか!
冗談で言ったつもりだったんだが、やれやれ、現実は常に発想を上回るらしい。
二十二口径……どれくらいか、ちょっとわからないが……それでも、フツーは死ぬんじゃないか?
その上で、骨の折れまくるような打撃を受けて、しかもなんだって? 一週間で治る?
魔王の使いというのは頑丈だね。羨ましい限りだ。

(たぶん、彼の言ってることは嘘ではない)
(実際、ほっとけばそれくらいで治るのだろう)
(彼の所属している組織、仕えている者の内容を考えるに、それくらいはやれそうだ)
(だが、まあ……応急処置ぐらいは、してあげてもいいはずだ)
(一週間かかるケガが、六日で治れば、それにこしたことはない)

リハビリなら、もっと軽いのやりなさい。42.195キロロードワークとか。エベレスト登頂とか。
……ん? ああ、実家がちょっと離れたところにあるんでね。
この学校に通うために、下宿を借りてるんだ。家事は面倒くさいが……一人暮らしも、気軽でいいね。
キミも一人か。てっきり、魔王さんたちと、アットホームに共同生活してるのかと思ってた。

(服を脱がせ、銃で撃たれた傷口を露出させる)
(弾丸とか取り出すのはキツイが、どうやらすでに傷口の中にはない様子)
(じゃあ、とりあえずするべきことは消毒かな……)
(コットンにオキシドールをたっぷり染み込ませ、それで傷口を撫でた)

かなーりしみるが、男の子だ。悲鳴は上げるなよ? ふ、ふ、ふ。
429紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2009/01/12(月) 03:05:17 ID:hLwOHoBw
真実は小説より奇なり、だっけか?
この街を題材にした小説、書いたら売れるかもな。
ライトノベルにしかできそうにないのが、難点だが・・・・・
(そんな、つまらない冗談を言えるだけ、まだマシだと自己診断)

・・・・アメリカで強盗殺人犯がよく使う銃だ。当たり所が悪ければ死ぬ。
あんな無粋な玩具で殺されたくは、ないけどな・・・・・・
・・・・・そうか?致死量の攻撃受けても「死ねない」んだぜ?
材料が足りなければ、回復も遅れるし・・・・・下手に堪えちまう分、死んだ方
がマシって時もある・・・・・そんなことが、何回もあった・・・・・・
ついでに暴露しちまうと、破邪系統の攻撃食らうと、再生能力が停止する。

(天上からぶら提げる灯りを見つめながら、さっきよりははっきりとした口調で喋る)
(そして、暴露したのは自分自身の弱点・狙いどころとも言える事柄だった)
(本来なら、愚かとしか言いようがない。戦士が自分の弱点を晒していいはずがない)

ああ、今度からそうする・・・・・・多分な・・・・・
なるほどね・・・・確かに家事は面倒だ。最近は寒いから皿洗いが辛いし・・・・・
まーあ、ボスと共同生活すること考えればマシだがな・・・・くっ・・・・・・

(契約した当時、そのボスの提供した部屋で共同生活していたことは言わない)
(内容があまりにも下らな過ぎて、その事実を抹消したいくらいだったからだ)
(――ビクっと、身体が震える。消毒液が染みる。唇を噛みしめて、悲鳴を殺す)

隙屋、あんた・・・・・家族はいるんだよな・・・・どんな家族なんだ?
俺は、もう誰もいないし、帰ることもできないけど・・・・・・

(彼女も自分も、所謂悪人だ。悪人だが人間であり、当然生みの親がいる。場合によっては)
(兄弟や姉妹もいるだろう。自分には姉がいた。彼女はどうなのだろう。まっとうな道から外れた)
(とは言え、家族と暮らしたいとは思わないのだろうか?ふと、そんな風に思った)
430隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2009/01/12(月) 03:32:53 ID:OdMpqd7e
ふ、ふ、ふ、秘密だよ? 誰にもないしょだ。
実は、今、書いているんだ。これまで体験したことを、小説にね。
うん、ご想像の通り、ライトノベルって感じにしかできそうにない。
それはそれで、面白くなりそうなんだがね……。

(彼に耳元に唇を寄せて、声を潜めて……楽しそうに言った)

アメリカは銃が多いからね。こっちはそれが少ない分、わりと気が楽だが……。
ふふ、苦痛の量は問題じゃないさ。
死は終了で、その先はない。痛くても、死にさえしなければ……いつか治るかも、という希望は抱ける。
忘れちゃいないだろうね? 私は、無限の生存を望み、死をまったく望まない女だよ?
もちろん、キミが何度も体験したような、「死んだ方がマシ」な状態には、一度として陥りたくはないがね。
ふうん? 破邪系統ね……そんな属性攻撃があるのか。
……知人にひとり、それっぽい術というか、技を使う人がいる。
退魔師、みたいなことをしてるらしいんだが……。
手から、「気」っていうのかな……ものすごい生命エネルギーを出すことができる人なんだ。
私の非実体化も、その人には通用しなかった。さすれば、私も「邪」属性なのかな?

(須佐乃水琴のことを思い出し、ふと忍び笑いする)
(あの、少々潔癖な討ち手は、今頃何をしているだろうか)

キミと一緒に、その手の退魔師と戦わないといけなくなったりしたら、少しは配慮してあげるよ。

冬場は、さすがにね……ウチの共同台所には、瞬間湯沸かし器があるからいいけど……。
そうかい? あの魔王様と一緒というのも、楽しそうだけどね。
キミは振り回され型って感じだから、内心楽しんでいるんじゃないかい? どう?

(冗談っぽく言いながら、傷口を拭き続け)
(ある程度きれいになったら、タオルで流れ出る血を拭いて、押さえておく)
(本当に、回復力のありそうな体だ……こんなに深いキズなのに、流れ出る血は、思ったよりずっと少ない)

家族、かぁ……。うん、そりゃ、いるよ。
みかんの国でね、農家をやってる。両親とも全然元気でね……父さんは、最近ちょっとメタボってきたけど。
弟がひとりいるな。量太っていってね。可愛い子だよ。
去年の冬休みに、帰省して会った時は、ずいぶんナマイキになってたけど。

(遠い故郷に思いをはせて、表情をゆるませる)
(自分自身ほどではないが……家族も、私にとって、大切で愛すべきものなのだ)
(ふと思い出す。クリスマス・イブに、紅裂くんが言っていた言葉を)
(愛していた姉を殺したとか、なんとか)
(聞いてあげるべきか? それとも、触れないでいてあげるべきか?)

(……聞くとしたら……こちらからでない方がいいだろう)
(彼が、もし話す気になれば……話して、気が楽になるなら……その時、ゆっくりと聞いてあげよう)

あとは、体の材料かな……卵と、あと冷蔵庫に冷やご飯があったから……雑炊でも作るか。
たんぱく質、あった方がいいよね?

(ある程度血が止まってきたようなので、食べ物を用意することにする)
(傷口のタオルは、当てたまま、別のタオルできゅっと縛り付けて、台所に出て行く)
(調理には、五分もかからない……あたたかい卵雑炊を乗っけたお盆を乗せて、私は部屋に戻った)
431紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2009/01/12(月) 04:03:55 ID:hLwOHoBw
―――っ・・・・ホントかよ?
けどさ。俺らこそラノベの登場人物だろ?
もし出版しても、そういう話は世に氾濫してるから・・・・・
逆に珍しくないから、やっぱり売れないかもな・・・・・・・

(荒唐無稽さ加減では、小説や漫画の登場実物に等しい)
(自分にしろ、彼女にしろ、そしてこの街に巣食う異能者や異形たちにしろ)
(耳に彼女の吐息が吹きかかって、背筋がぞくりと震えたのは内緒だ)

――死は終了、か・・・・・そうか、そうだったな・・・・・・
けど、道のりは長そうだ・・・・・無限の存在に至る、その過程は・・・・・・
(まるで正反対だった。自分は、或いは、死を求めているかも知れないのに)
(世界の破滅を願い、人類の死滅を祈り、そして自分の死を求めている)
(だから、わからない。永遠を望む彼女の気持ちが。それが少しだけ、悲しかった)
僧侶とか、密教僧とか、あと神父とか司祭とか・・・・・
要するに神聖な力ってやつかな・・・・それを武術に応用した技も、ある・・・・・
単なる気功の攻撃なら、問題ないが・・・・それを更に一歩進めた浄化の思念の
籠った攻撃は、不味い・・・・・インドや中国の山奥には、その使い手は結構いるし、
日本の退魔師でも、そこそこ使い手は、いるんじゃねえかな・・・・・
冬休みの前、裏山で殺した木刀使いは、正しくそれだった・・・・・・
あんたの場合は、その能力の根源がよくわからんから、判断できんが・・・・・

(『ザ・リンクス』と呼ばれる不可思議な生命体によって、異能に目覚めたとかつて隙屋量子は)
(語った。その方法は知らず、その根源についても理解が及ばないが。だから非実体化状態で)
(気功の攻撃が通用した――という情報だけでは、何も判断できない)

・・・・配慮はいらないさ。安心しろ。その時は俺があんたを守るから・・・・・・
(言って、その違和感に戸惑う。誰かを守るための戦いなど、一度もしたことがないから)
(悪を自負する者が、誰かを守るなどと、そんなことはアリエナイと、そう思っているから)
・・・・勘弁してくれ。毎日コスプレさせられたり、妙な思いつきに振り回されたり・・・・・
そんな生活したいとも思わん。ラノベの主人公じゃないんだからさ・・・・・
(傷口をタオルで拭かれつつ、その感触に眉間を寄せて、慣れるのを待つ)
(眉間に皺が寄っているのは、決して傷口を拭かれている事が原因ではない)

・・・・・そっか。あんたも愛してんだな、家族のこと・・・・・・
わかるよ・・・・・あんたが言ってくれたから、それが伝わったから・・・・・・
(その緩い表情と、温もりに満ちた言葉で、彼女が家族を愛している事がわかる)
(友達であるという事は、繋がるということは、そういう事なのだと、彼女が教えてくれたから)
俺の家族は、普通の家族だった・・・・本当に一般的な家庭だったと思う・・・・・
単に、俺が異質だったのが・・・・・適切でなかったのが、悪かっただけで・・・・・
(結局のところ、全ての原因は自分なのだ。存在自体が適切でなかった)
(そうとしか言いようがない。そうとしか説明ができないし、納得もできない)

――ああ、悪いな・・・・・食えればなんでもいい・・・・・
(暫く天井を眺めて過ごす。台所で作業する音を聞いて、感慨に耽る)
・・・・・・やっぱり、殺せないよな・・・・・
(呟いた時、彼女が盆に雑炊を載せて戻ってきた)
432隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2009/01/12(月) 04:40:09 ID:OdMpqd7e
そこはそれ。ちょっとアレンジと誇張を加えてだね。
キミをもとにしたキャラも出てるが、ふふふふふ、絶世の美男子にしてあげたよ?

(懸賞などに応募して、出来を評価してもらうとしても、それは書き上がってからのことだ)
(私の関わっている騒動の顛末がどうなるかはわからないが、それがハッピーエンドで終わるなら)
(本当に、世に問うてみるのもいいかもしれない)
(この紅裂くんを始めとした登場人物たちが、どう思うかは知らないけれど。ふふ)

キミは、逆に終了を望んでいるんだったな。世界の終わりを。
あいにく、私はその境地に至れるほど生きていないが、きっと、経験が少ないから、より長い先行きを求めたいんだろうな。
これまでに、キミがどんな経験を積んできたのかは知らないが。
どちらの道でも、「望んだ通り」にことが進んだなら、それはきっと、幸せにつながる道だろう。
終わりを望むキミの気持ちはよくわからないが――それでも、キミの望みがかなうことを祈っているよ。

ふむ……なるほど、浄化の思念か。
私の知り合いのそれは、気功だとすると、キミには単純な攻撃力としての害しかないかもな。
もっともあの人は、体術も相当なものだったから……キミと戦ったら、どっちが勝つかなぁ……。
ちなみに私は、キミにもその知人にも勝つ自信がない。暗殺以外ではね。

(どちらも大切な友人だから、できれば殺し合いはして欲しくないところだが)
(単純な力比べで、上下はどうなのかは気になった)
(スタローンとジャン・クロード・バンダム、どっちが強い? そのくらいには、だ)

ふふ、今のところ、キミは私の会った中で一番凶悪な男だが、一番頼りがいもある。
守ってくれるというなら、嬉しいね。しっかりキズを治して……私を守る騎士になってくれたまえ。
毎日コスプレしたり、妙な思いつきに振り回されたり、おいしい料理が作れたりする……。
そんな、親しみの持てる騎士にね?
愛、か。そうだね。家族のことを愛している。
特に意識したことはないが、言葉にすると、それ以外表現しようもないようだな。
照れくさいことを言わせたもんだよ、キミも。

(困ったように眉の端を下げながら、クスクスと笑い)
(彼の沈んだ言葉には、静かに耳を傾け)

……つまり、小さな頃から、その力を持っていたんだね、キミは。
普通人の家族の中で、キミだけがその、魔法そのものの力を持っていて……それが原因で、問題が生じたと。
確かに、それは避けられなかったかもしれないな……。
異能というのは、その名の通り、異質なもので、恐れを喚起するものだ。
それを持って生まれてきたキミは……確かに、悪かった。
――ただし、「運」が、だ。
キミの遭遇した問題を、善悪で考えているのなら――たぶん、それは違っていると思う……。

(詳細を知らない私には、慰めたりもできない)
(だが、彼個人が、卑劣だったということはなかった――それは、疑わなかった)

(さて、熱々の雑炊が、湯気を立ててご登場だ)
(粉末だしのスープに、レンジで戻した冷やご飯を加え、火にかけながら溶き卵を混ぜ、ネギを散らしたもの)
(簡単でおいしい、病人食だ。具合の悪い人は、お試しあれ)

さ、これを食べて、元気になりたまえ。
おっと、腕はまだ動かさないほうがいいぞ。血が止まりかけてきたところだし、骨も折れているからね。
口を開けて待ちたまえ。私が、子ども扱いしてあげよう。

(レンゲで、雑炊を一口すくう。熱すぎても食べにくいだろうから、軽くふー、ふーと冷まして)
(ん、これくらいでいいかな。あとは単純。食べさせればいいだけだ)

はい、あーん。
433隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2009/01/12(月) 04:41:20 ID:OdMpqd7e
【さて、申し訳ないが、そろそろおねむさんが忍び寄ってきた】
【次くらいで〆るようにしたいのだが、いいだろうか?】
434紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2009/01/12(月) 05:08:48 ID:hLwOHoBw
ちょっ、おまっ・・・・俺モデルのキャラとか。
絶世の美男子とか・・・・・勘弁してくれ・・・・・・
(あうあーと呻いて、掌で顔を覆う。顔から火が出るとはこの事だ)
(いっそのこと、邪悪で凶悪な怪物にでもしてくれればいいものを)
(或いは、まともそうに見えるが快楽殺人鬼とか。実にハマリ役だ)

・・・・・さあてな。終わりを求めているけど・・・・・
同じ程度には、存続を望む気持ちもある・・・・・・
けど、俺は「世界の敵」になるってこと選んだから・・・・・・
だから、最後までそれを張り通さないとな。
・・・・・「幸せ」なんて、俺には相応しくないけど、ありがとうって言っておくよ。
(それで、この話題に区切りをつける。今は、そんな話をしたくはなかった)
(多分それは、彼女の前では「世界の敵」である事を忘れたかったから)

勝敗より、生きるか死ぬか、なんだろ、あんたは。
負けても生き延びられれば、それでいいだろう。
――俺ってもう、そのコミカル路線で決定なの?あんたの中では?
(何にしろ、自分には身に余る役割だ。誰も彼もが殺し合い喰らいあう)
(この世界で誰かを守ることなど。そんな役割は「正義の味方」でもないと無理だ)

・・・・・ああ、小さい頃からな・・・・・母親は気味悪がってた・・・・・
姉さんは、キレイキレイって言ってくれたけど・・・・・・・多分、そうなんだろうな。
この世界で、まだ正式に確認されていない力を持つという事は、異質であるってことは、
そういうことなんだよな・・・・・・・運が悪かった、か。それこそ宝籤一等賞当たる以上の
微細な確率だろうけど、そういうもんなんだろうな・・・・・・・・
(異能者に生まれる確率――確かに運が悪かったとしか言いようがない)
(けれど――と、物想いに沈みかけたところを、彼女の声が遮る)
(漂う匂いに、胃が受け入れ態勢を整えている。現金な身体だった)

ちょっ・・・・待て。これはどんな羞恥プレイだっ!?
死ぬから!いやいっそ殺してください!?
あーんって言われても・・・・・・っ!?
(今度こそ、仰け反ってしまう。ああ、生まれてこの方こんな扱いを受けたのは)
(それこそ幼児期以来だ。ふーふーと雑炊を掬ったレンゲに吐息をが吹きかけられる)
(このまま言いなりになっていたら、もう二度と彼女に対して強硬な態度を取れなくなる)
(この一掬いで、全ての尊厳が剥ぎ取られ、最早彼女に永遠の忠誠を誓うしかなくなる)
(――それでもいいかなー、とか思った時点で、勝負はついている)
(短くも濃厚な葛藤の末、口を開けて、レンゲに口をつけた。ぱくり、むぐむぐ)
435紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2009/01/12(月) 05:09:32 ID:hLwOHoBw
【ああ、おれの方もそろそろ〆にしようかと】
【では次くらいに〆るように】
436隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2009/01/12(月) 05:43:03 ID:OdMpqd7e
(正反対の目的に向かって生きている二人が、平穏な今をともに過ごしている)
(それは不思議なことだが、何より自然なことでもあった)
(よく考えなくても……終わりを望むとか……無限を望むとか……する方が、おかしいのだろう)
(私たちの幸せは、たぶん、目的そのものではなく、それを達した結果、追い求められるようになるのだ)

そうだなぁ。最優先は、生存することなのは間違いない。
むしろ、勝負自体求めていないな。
可能ならば、隙をうかがって、相対することなく始末できれば最高だ。
退屈が好きだから――同様に、スリルもあんまり好きじゃない。
特に、命をかけたスリルはね。
――コミカル路線――で、決定……かなぁ。否定するのは難しくないかい?
やっぱり、殺伐としてるよりは、面白い方が親しみ持てるしね。
仲良しに求めるものは、役に立つかより、一緒にいて楽しいかどうかだから。
私は、キミと話をしているこの瞬間にも、さりげなく守られているよ? ひとりぼっちの夜、からね。

……ま、誰も責められないさ。キミ自身は悪くないし、お母さんの気持ちもわからないではない。
その宝くじに当たったキミに優しくしてくれたお姉さんには、感謝すべきだろう。
理解者がひとりいただけでも、たいそうな幸運だ。

(しかしなぜ、それを殺してしまったのかな?)
(味方がいなければ……この世は、とても……生きにくいだろうに……)
(しかし、それを聞く機会は、たぶん今日じゃない)
(今は、お食事をさせてあげる時だ)

(すくい上げた雑炊が、レンゲの上でほのかな湯気を立てている)
(熱すぎず、冷たすぎず。口の中で、風味を一番発揮できる温度のはずだ)
(それを、ニヤニヤ顔で、彼に突きつけていく。慌てる彼。うわ、楽しいなぁ!)

羞恥プレイはひどいなぁ。献身的に介護して上げているだけなのに。
死なせないし殺さないために、私は今これをキミに食べさせようとしているのだー。
紅裂くん? マンガの中で、ある悪役が言ったよ? 「覚悟があるから、幸福なんだ」って。
覚悟を決めたまえ。なーに、ぱくんと口に入れて、かんで飲み込むだけだ。
誰も見ちゃいないんだ、恥ずかしがることがどこにあるかね?
さあさ、隙屋さんに身も心もまかせてしまいなさい♪

(完全に遊んでいる、いけないおねえさんである)
(嫌がってのけぞる彼に、容赦なくレンゲを近づけていき)
(その口が観念したようにレンゲを口にすれば、勝ち誇ったような満面の笑みを浮かべた)
(調子に乗って、ひょいぱくひょいぱくと、彼の口にどんどん雑炊を運んでいく)
(ときどき、お水も飲ませてあげて。案外、看護婦とか向いてるかもしれないな、とか思ったり)
(やがて、雑炊の器が空になると、彼の頭を優しく撫でて)

ん、よく食べたね。いい子だ♪

(弟を可愛がる時にするような、愛しい心地)
(今の彼を見ていると、ついつい「お姉ちゃん」してしまう)
(食事も終え、応急手当も済んで……寝かせた彼に、掛け布団をかけてやって)

今日は、泊まっていくといい。一週間で治るといっても、動くのはつらいだろう?
部屋、あったかくしておくから、朝までゆっくりおやすみ。
私の寝床は気にしないで。一度やって見たかったことがあるんだ。ドラえもん睡眠といってね?
押入れの中で、一度寝てみたかったんだ……どんな感じか、明日起きたら聞かせてあげよう。

じゃあ、おやすみ。目を閉じて。寝付くまで……そばにいてあげる。

(ストーブの火が、赤々と燃えている。それは、命の温かみの色をしていた)
437隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2009/01/12(月) 05:44:55 ID:OdMpqd7e
【とりあえず、私はここで〆だー】
【朝までつき合わせてすまないね。なごんでいただけたなら嬉しいが】
【今日も、お付き合いありがとう!】
438紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2009/01/12(月) 06:06:46 ID:hLwOHoBw
(――平穏な夜だった。身に余るほどの平穏)
(或いは、この瞬間こそが幸せで。今はとてもとても幸せで)
(目的を遂げる事自体に、あまり意味はないのかも知れない)
(―――そんな風に思ったのは、多分傷の所為だろう)

・・・・・・否定させてくれ、その辺は。その辺だけは。
いや、説得力ないだろうけど、殺伐としてない悪役なんて・・・・・・・
いやいや、俺も楽しいし、助かってるけどな。色々と、さ・・・・・
(今、この瞬間も。イブの夜も。彼女には、助けられている)
(とてもとても、助けられている。物理的なことだけではなくて)
(その言葉とその想いで、支えられていると、本当にそう思う)

まーあ、そうなんだろうな・・・・・
(その姉に依存してしまったのが、最大の過ちだったのだろう)
(まっとうな愛し方ができなかった。それこそが、最大の過ち)
(そして、それこそが道を踏み外した最大の原因だった)

(――まーあ、それはともかく、現在進行形で年上のお姉さん気取りで)
(こっちを弄って遊んでる「友達」が最大の頭痛の種でもあるわけで・・・・・・)

・・・・・何処のバカップルだ、俺たちは。
こんなシチュは漫画かラノベだけで十分だっての。
(むぐむぐ。あぐあぐ。押し付けられるレンゲの中身を啜り、噛みながら)
(その丁度いい熱さに、頬が緩む。時折運ばれる水を飲みながら、少しずつ)
(雑炊を攻略していって――空になった頃には、心地よい満腹感があった)

あー、くそ。もう完全に弟扱いだな!?
ああ、わかったよ。どうせ今日は完全にスクラップ状態だからなっ。
(頭を撫でられて、「ああ、もうどうでもいいや」と完全に開き直る)
(だから泊まって行けと言われた時も、布団の中に入った時も、もう動じなかった)

寒いと思うけどな・・・・・うん、悪い・・・・・
本当に・・・・・ありがとう・・・・・おやすみ・・・・・
(素直に眼を閉じて、就寝の挨拶。最後に、一度彼女の顔を見つめて)
(その面影を網膜に焼きつけて、もう一度静かに瞼を閉じる)

(――こんな関係も悪くない)
(暫くして、紅裂拓兎は静かな寝息を立てて、死にも似た眠りの中に沈んだ)


【お疲れさま。かーなーり、和んだ】
【うん、もう朝だね。もう寝るよ。お付き合い感謝】

【以下空室です】
439名無しさん@ピンキー:2009/02/02(月) 02:47:20 ID:5MdgQm8P
練習とかにつかってもいいんですか?ココは
440媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2009/02/07(土) 21:27:16 ID:B/plfTiC
【ロールに、失礼してお借りいたします(一礼) 】

>>迫水さん
【ということで、本日はどうぞよろしくお願い致します。書き出しの方は、どうぞごゆっくりとっ、です】
【あ、あと……私がもつ霊剣の話ですが、貴方には効果が強めやもしれませんので、
 使わぬ方がいい、という場合は遠慮なく仰られて下さいませ。十全と、家にお留守番させておきます】
441迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2009/02/07(土) 21:27:57 ID:DV/vwvXc
【ロールにスレをお借りします】
【>>媛名さん
書き出しを作るので、お茶など飲みつつ少々お待ちを…】
442迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2009/02/07(土) 21:44:26 ID:DV/vwvXc
(深夜。俗に言う草木も眠る丑三つ時)
(街の郊外にある廃ビル。そこに蠢くのは夜の闇に住まう異形、怪異、妖魔)

ガァァァッ!
(薄い月明りに照らされた廃墟で、黒い騎士が獣の雄叫びをあげる)
(地面に伏した妖魔の頭を踏み付け、その腕を捩じり上げて)
(ミシリ、と胸の悪くなるような音と共に肩から引き千切り)
(同時に頭蓋を踏み砕く)

ガハァァァァァッ!
(千切った腕をトロフィーのように頭上に掲げ、吠える)
(飛び散った血飛沫が鈍い光沢を放つ闇色の装甲を赤く塗装する)

(周囲には幾つかの妖魔が蠢き、血に酔い、戦いに飢えた獣は、それに向かって歩を進める)
(この惨劇を少し前から観察している人物に気付かないまま…)

【お待たせしました】
【え〜このような状態なので…霊剣で「さっくり」して頂いて理性を取り戻そうかと】
443媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2009/02/07(土) 21:59:15 ID:B/plfTiC
……≪八刃≫が、喜びそう。
(――廃墟の中に響き渡るのは、咆哮。
 餓えた獣のように叫びをあげ、闇色の装甲を赤く染め上げていく“ソレ”を上から見つめながら、呟く)

(背筋に寒気が走るほどの、強い狂気と欲望の声をあげる獣は、
 まるでその力を誇示するかのように、妖魔を引きちぎり、かみ砕く――それからうかがえるのは、圧倒的な『力』)


(腰につった刀に手をかけて、そっと鞘から≪弐式≫を引き抜く)
(廃墟にさしこむ月明かりをうけて輝く刀身を、指先でそっと撫であげる)
……参りましょうか、弐式。
(指先が撫ぜたところから次第に、刀は薄く青白い光を帯びて、
 それが切っ先まで、染まったころ――彼女は地面を蹴ると、そのまま切っ先を「獲物」に定めた)

(『式』と呼ばれる狩り道具)
(その、弐番目は強い餌を認めて、躊躇いもなく“彼”という餌にありつこうと牙をむく)
(声かけのない飛び込みとともに、右下から斜め上の方向に――その首を狙って、切っ先が振りあげられた)



【承りました、と……改めて、宜しくお願い致します。(一礼)】
444迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2009/02/07(土) 22:15:06 ID:DV/vwvXc
(気配が突然に現れた。否、気配なく突然に姿を現した影)
(その手から伸びる青白い殺意は惑う事なく首に、一直線に)

………ッ!!ガァッ!!
(反射的にその身を捻り、上体を逸らして)
(大きく飛び退くことて辛うじて躱す)

(相対し、喉の奥から唸りを漏らして警戒し、威嚇する)
(目の前のヒトに、ではなくその刃に宿る力に対して)

…グ…
(怯えるように半歩、足が下がる)
(背を向けるどころか、目を逸らしただけでも「喰われる」)
(理性ではない、己の生存本能がそう悟らせる)

(そんな二人--一人と一匹--を囲むように、ザワザワと怪異が周囲をはい回る)
445媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2009/02/07(土) 22:29:02 ID:B/plfTiC
(闇色に揺らめく獣の――反射的でありながらも、すばやく的確な回避)
(獲物をとらえ損ねた刀身は薄青い閃光をその場に残して、一瞬――その牙を仕舞った)

……弐式が、怖い?
(まわりでざわめく他のものには目もくれずに、
 彼女は――否、その≪刀≫の目として足として動く女は、ただ「本命」だけを見つめていた)
(常ならば、周りに注意を払わないわけもないが――今は、目の前の“獣”しか、見えていない)

(それから、わずかの沈黙)
(静かな刹那を破ったのは、まわりでざわめく妖魔の咆哮)
(――闇色の装甲をもつ彼には、遠く及ばない弱々しいそれを皮切りに、彼女は再び、踏みこんだ)

(一気に距離を詰めて、間合いの一歩手前で――彼の高い視界から消えるように、ふっと身をかがめた)
(薄く青白い光を纏った切っ先が、今度はその禍々しくも惹かれるほどに強い力を振るう腕を狙って、唸る)
446迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2009/02/07(土) 22:46:06 ID:DV/vwvXc
ハァァァッ!
(意を決したように、妖魔の咆哮と共に駆け出す)
(偶然にも目の前の「刃」も同時に前へ踏み出して…視界から消えた)

(下から迫る殺意は、間合いが変わったことでわずかに狙いを外し)
(それでも吸い込まれるように獣の脇腹に食い込む)
(退魔の力は頑健な装甲を紙のように易々と切り裂き、筋肉をザクリと抉って)
(分厚い胸隔の半ばまで無遠慮に侵入する)

(人と同じ赤い血潮を噴水の如く吹き出して飛び散らせ)
(それに構うことなく、動きの止まった狩人の細い肩へとに無傷の腕を伸ばし)

ガァァァァァッ!
(雄叫びをあげながら、床に組み伏せようと巨体を浴びせる)
447媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2009/02/07(土) 23:00:23 ID:B/plfTiC
(僅かに狙いを外れ、刀の刀身は“獣”の脇腹へ食い込む)
(胸隔まで至ったところで、勢いを失った刀は止まり――吹きだした血しぶきに、慌てて片手で目を覆う)

―――……っ、くっ。
(しかしながら、その凶行にも屈することなく)
(“獣”は無傷におわった逞しい腕をもって、肩を掴み、その体を覆いかぶせてきた)
(気付いても、距離が近すぎる。
 この攻めから逃げ出すのに≪弐式≫から離れたら――それはたぶん、自分の“死”を意味する)

……っ、っぁぁあっ―――!!
(だから、此処において彼女は≪弐式≫を手放すでなく、むしろ両手で握りしめた)
(守りに転じるでなく、攻めに攻めを重ねて、
 床に押し倒されながらも、刀身が胸郭まで食い込んだ刀の柄を、意思をこめて――より差し込むように、握り込む)
(途端に増したのは、刀の纏う霊気)
(しかしながら、素早く力強い“獣”の腕は、的確に彼女の肩を、捉えていた)
448迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2009/02/07(土) 23:19:43 ID:DV/vwvXc
ガッ!ハァァッ!
(強大な霊力を纏った剣の切っ先は背中へと抜け)
(人型の鞘に納めたように鍔元から先のみを身体の前面に突き出して)

(肩から離れた腕をすぐ脇の床につき)
(葵の身体を己の巨大な体躯の下にすっぽりと覆い隠して)

(次の瞬間、漁夫の利をねらったのか、それとも葵の瑞々しい肉体に惹かれたのか)
(周囲を取り囲んでいた妖魔達が一斉に飛び掛かってきた)

(だが無数に襲いくる禍々しい爪は、そのどれもが葵の服まで届かず)
(凶刃は獣の装甲を削り、突き刺さるのみ)
(黒い獣が装甲と骨格と筋肉で全てを受け止める)

ガッ!グッ!
(衝撃のたびに呻き、面頬の隙間を内臓を逆流した血液が伝い落ち)
(葵の黒い服に小さく無数の花を散らし)

…が…は…?けがは、ないか…?
(葵に降りかかるのは獣の牙ではなく、弱々しいながらも理性ある人の声)
449媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2009/02/07(土) 23:35:35 ID:B/plfTiC
(≪弐式≫――それは、≪深凪≫に伝わる『式』という名の狩り道具のひとつ)
(『式』は魔を狩るが為だけに在りしもの――青白い薄光の霊気によりて、魔の身を塵芥とす)
(しかしながら、彼女が握る刀は≪式≫の名を冠していても、『式』が纏うはずの力を持ち得ていない)
(彼女が≪弐式≫に認められていないから、その完全な力を揮えないのだ)

……っ、はぁっ、ぁ……ん――…ッ。
(乱れた呼吸。 荒く息をつきながら、自分を覆い隠すようにようにして)
(獣をが一旦の静止したのを確認したのもつかの間――彼女はようやく、周りに注意を払った)
――本当に、十全じゃない。
(滴り落ち、自分の服に花を散らす血液や、上に覆いかぶさる“獣”から一気に注意を彼らにうつす)

(かの“獣”硬い装甲と、骨格と、筋肉に幾らか防がせて……勢いが弱まった頃に、この『楯』を捨てるか)
(――と、そのような思考をめぐらせて、獣に刺さった≪弐式≫から手を離す。
 まわりの雑魚を蹴散らすためのダガーを数本ずつ、両手に取り出したその時……聞こえた声に、思考が止まった)
(それは、理性を伴った人の声。 そうして、それを零したのは自分を“庇う”、目の前の獣であるのだとしたら――)

―――…妖魔、憑きッ!?
(彼女がその仮定に至ったのと、次の行動にうつったのはほぼ同時だった)
(自分を庇う“彼”の首に腕をまわし、かの頭を抱きしめるようにして、その勢いで上体を起こす)
(それから、一瞬のうちに四方に振るったのはスローイングダガー)

(ひゅっ、と空気を裂く音がして、いくらかの痛ましい咆哮の合唱が響き渡る)
(彼女の最も得意とする獲物は、的確に妖魔の脳天を捉えて、いくらかの命を絶った)

……体、起こして下さいっ。
その状態じゃ、≪弐式≫を貴方から引き抜けませんッ、鞘におさめぬと、霊気が漏れたままになる――ッ。
(いくらか切羽詰まったような声音でもって、そう告げた)
450媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2009/02/07(土) 23:39:01 ID:B/plfTiC
【ああとっ、いくらか他に誤字もあるのですけれど、
 下から五行目あたりの「最も得意とする獲物」は「最も得意とする“得物”」の間違いであります、申し訳ありませんッ(一礼)】
451迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2009/02/07(土) 23:59:26 ID:DV/vwvXc
(霊剣の持つ退魔の力は寄生した妖魔を切り裂き、ダメージを与え)
(その衝撃に揺らぐ支配をねじ伏せて、理性を表層に浮かび上がらせる)

くっ…!
(妖魔の何匹が倒れ伏して包囲が薄れる隙をつき、葵を首に絡み付かせたまま上体を起こす)
(次いで揺れる下半身に最後の力を注ぎ、腕に抱えた葵の身体ごと立ち上がる)

(ピシリ、と澄んだ音と共に、「弍式」の刺さる傷口から放射状に罅がはしる)
…おれは、もうあまり…うごけない…
(息を苦しげに吸い込み、血をこぼしながら、途切れ途切れに話す)
(薄れる意識を繋ぐため、喋り続ける必要があった)
それでも、こいつら、くらいなら…きみが、いれば…
(士気を取り戻した妖魔達が、再びジワリと這い寄ってくるのをまるで意に介せずに語りかける)

(ピシリ、と音が響く。面が割れ、装甲が無数の破片となって剥れ落ち、床に届く前に砂と化し)
いっきに、たのむ…そのほうが、いたく、ない…
(垣間見える口元にほんの微かな笑いを浮かべて、葵の手を「弍式」の柄に導く)
452迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2009/02/08(日) 00:01:44 ID:DV/vwvXc
>>450
【うにゃ?言わなければ気付かないのに…w】
【文脈で分かるから大丈夫】
453媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2009/02/08(日) 00:13:27 ID:V4fhcNGs
(変わる、視界)
(腕に抱えられる形で、ふわっと身体が浮く感覚を認めると、そのまま彼の言葉に耳を傾ける)
……承りました。
(ピシッ、と済んだ音とともに、彼の装甲に広がっていく罅)
(それは、まるで彼が繋いでいる理性と、その命の儚さを示しているかのようにも見えて)

じっとして、いらしてください。
引き抜くのは一瞬です。 それから、あれらを蹴散らすのに……三分も、必要ありません。
(きゅっ、と唇を握りしめて、手に導かれるがままに、弐式の柄に手をかける)
(つとめて静かな声で、それだけ囁き――)

(――彼から刀ごと飛びのくようにして、勢いよく、一気に弐式の刀身を彼の身体から引き抜いた)

(青白い閃光を残し、宙を薙いだそれをぐっと握り直すと、
 こちらに向かってきた妖魔の一匹の首もついでに捉えて、斬り落とす)
(それから、刀身を染め上げた血を拭うこともせずに鞘にしまいこんで印を施す。
 この“霊剣”が、封をしていないだけでどれだけの効果を彼に及ぼすか――弱った彼には、おそらく多少の霊気もキツイはずだ)

(そうして、それからは、踊るだけ)
(向かいかかってくる妖魔の首をさき、糸で絡めてその体を寸断する。
 降りかかる血しぶきに構う暇もなく、主に、自分を庇ってくれた彼が傷つけられぬよう留意しながら、
 引き裂いて、抉って、寸断した――手にかかる嫌な感触も、体にかかる生ぬるい血にも、構っている余裕など、ない)
454迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2009/02/08(日) 00:38:30 ID:tV6pQ9T+
ぐぅ…っ!
(引き抜かれただけのわずかな衝撃で、黒い甲胄が罅割れ、剥離して崩壊する)
(欠けた装甲の隙間から覗くのは、赤黒い傷口と人の肌)…はぁ…がはぁ…
(ピシリピシリと途切れる事なく音を奏でて、全身に罅が拡がる)
(痛みと疲労が身体を再び床に引き寄せる)

すまない…
(軽やかに、踊るように、しかしその表情には一片の余裕も見て取れず)
(一体の妖魔を倒すたびに返り血に汚れていく葵を見守り)
(次々に妖を屠る葵の背中に聞こえないであろう謝罪を送ことしかできず)

(壁に背を凭れて、葵が最後の一体を葬ったのを見届けるのと同時に)
(限界を迎え、澄んだ音と共に全身の装甲が砕け散り)
(全身に受けた傷口を月明りに晒す)
455媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2009/02/08(日) 00:45:56 ID:V4fhcNGs
(最後の一体を屠り終えたとき、最大限に研ぎ澄まされた聴覚が捉えたのは、
 何かが砕け散るような澄んだ音と、明らかに“人”と認識できる、特有の息使い)

―――…ッ。
(返り血に汚れた黒髪を揺らして振り向いた先に見つけたのは、傷ついた身体を月下に晒す――妖魔憑き)
(息をのんで、思わず駆け寄って“大丈夫”かと、尋ねかけそうになった自分を抑えて、
 鈍く痛む腕を振るいなおし、黒い瞳で、彼を見つめながら……ゆっくりと、そちらへ歩を進めた)
(“異形狩り”が為すべきことは――決して、心配の言葉をかけるようなことじゃ、ない)

……貴方は、『何』?
――さっきまでいた“獣”は、今は、どこにいる?

(ただ、弐式の封だけは、解かぬままに)
(スローイングダガーをいつでも投擲できるよう構えたまま、熱を孕まぬ瞳と静かな声で問うた)
(腕をつたって、指先をつたって、その指が弄うダガーを伝って、
 ぽつり、ぽつりと、くすんだ赤とも他の色とも取れぬ水滴が、地面に落ちる)
456迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2009/02/08(日) 01:03:45 ID:tV6pQ9T+
(月明りの下、葵が静かに見守る目の前で)
(音もなく、ゆっくりと、傷口が塞がりはじめる)
(普段より緩慢な治癒は、それでも常人ではあり得ない速度)
(その光景はまるでビデオの逆再生のようで)

(こちらを見据える黒い双眸は熱どころか冷たさすら含まない「無」)
(その瞳に見据えられたまま、ゆっくりと問いに答える)
俺は人間だ。ただし、ただの人間じゃないけどね
…「アレ」は…今はここに(自分の胸をトンと突いてみせ)--疲れ果てて寝ちまった
(視線を正面から受け止めて、先ほどまで乱れていた呼吸は既に整って)
(多少の疲労を残しているが、声は張りを取り戻して)
(薄暗い室内に凛と響く)

(葵の手に提げられたダガーを気にする様子もなく)
(その部分に目を向けず、ただ黒い瞳を見つめ返す)
457媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2009/02/08(日) 01:13:15 ID:V4fhcNGs
(常人ならぬ治癒力――これが、妖魔憑きの一種の特徴なのであろうか)
(現実とかけ離れた光景は、幾度だって目にしてきた。
 常の感覚がときおり麻痺してしまうほどに――…けれど、そんな目にも、目の前の光景は奇異に映った)

……妖魔を、体に飼われておられるという解釈で宜しいでしょうか。
(血濡れた獲物を仕舞い、目をそらさぬままに腰につっていた日本刀を手に取る)
(鞘から抜かぬまま、それごと手にして――…彼女は、口を開いた)
――申し遅れました、“迫水 直”さん。 媛名 葵と申します。
この度、所用によりこの土地に身を置かせていただいている、”異形狩り”です。
(同じ三年であり、“彼”という存在は幾らかの理由から特に目立った者であるため、名は知らぬはずもない)

(目の前の青年の凛とした声、強い意志を秘めてそれぬことない瞳)
(それらを、“狩人”として見据えながら、彼女は刀を鞘から引き抜く一歩手前で、その動作を終えた)

……先ほど拝見いたしましたように、貴方は「ソレ」を完全に御されておられない。
貴方の指先は、いつか罪のない何かを壊すかも知れない。大切な何かを壊すかも知れない。
それでも、なお、貴方がその爆弾を抱えてまで生き続けるのは――…どうして?
……自分が生きていたいから、ですか?
(それは決して、彼を責めているのではなくて、純粋な問いかけだった)
(彼女は彼の生き方を否定しているのではない――ただ、そうして生きる「理由」が知りたくて、問うている)
458迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2009/02/08(日) 01:34:36 ID:tV6pQ9T+
君のことは知っているよ、媛名さん。「組織」の猟犬だって?
(目を逸らさないまま壁に手をつき、ゆっくりと立ち上がる)
(そうして葵に晒される肌は既に治癒を終え、痕跡と言えば固まりかけた血液のみ)

君の言う通り、俺は爆弾そのものだ
それを抱えて生きるのは…
(目を閉じ、深く深呼吸)
確かに、生きていたいから、と言うのは理由のひとつ…
だけど、この力で異形を倒し、少しでも罪のない人が傷付くのを防ぎたいから…
そしてなによりも、俺を思ってくれる人の為に、俺は生きている
(再び開いた目に意思を乗せ葵を見つめ、言葉に一筋の影すら見せず、答える)

それで…君の「組織」は、こんな俺をそう判断するのかな?
(その口調は、前にも同じ経験--組織に目をつけられる--があると語っていて)
459迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2009/02/08(日) 01:38:44 ID:tV6pQ9T+
【はうあ?!今度は俺がミスだ】
【最後の一文】

それで…君の「組織」は俺を《どう》判断するのかな?
(その口調は、前にも同じ経験--組織に目をつけられる--があると語っていて)

【脳内変換をお願いします】
460媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2009/02/08(日) 01:49:15 ID:V4fhcNGs
私はもう、当主の猟狗の肩書きを名乗れるほどに純粋で綺麗ではいられません。
異形を狩るが為の組織、≪深凪≫が第八席――“剣糸”、及び“異形狩り”。
私が名乗れるのは、自分の名前以外にその二つしかありません。
(何のためらいもなく「組織」の名前を明かしてみせたのは、どうしてだっただろう)
(彼女は、揺れもせずに自分の意思をこちらに告げてくる青年の、“傷の痕跡”を見つめて――息を吐いた)

貴方はこう仰っておられます。
「罪のない人を傷つけるかもしれない力で、誰かを救うために、誰かを傷つける可能性を野放しにしているのだ」、と。
それは、酷い矛盾です。

ならば、貴方には、いつか“大切な”何かを傷つけるかもしれなくても、
それでも、そのリスクを背負ってでも――身体に宿る「ソレ」に抗って、そのときの恐怖に抗って、生きていく覚悟がおありですか?
(リン、と――日本刀の鞘につけられた鈴が、涼やかな音を響かせる)
そうして、その最悪の未来図が決して実現せぬように、
たゆまぬ努力を続け、己の心を律し、その為になら必要ならば何でもやるというほどの、決意がおありですか?

自分の信念をつらぬいて、「罪のない人を傷つけるかもしれない力」で、
決して罪のない人を傷つけることなく、その力を御してみせるという意志がおありですか?

そのお答え次第で、たとえ「組織」が貴方を異形でないとしても、私は貴方を狩りとります。
(――「組織」と問うた彼に、これは自分本位の質問でしかないと、知らしめるように、彼女は告げた)
461媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2009/02/08(日) 01:51:38 ID:V4fhcNGs
【承りました……と、はいえ、私もちょこちょこと誤字を連発で申し訳ありませんっ】
【あとお時間の方……多分、もう少しで終わりに持っていけるような気配もあるのですが、
 眠気などキツいときは、どうぞ遠慮なくおっしゃられてくださいませ。(一礼)】
462迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2009/02/08(日) 02:14:52 ID:tV6pQ9T+
そう…ならば俺は「媛名さん」と呼ばせて貰うよ
(組織の人間ではなく、一人の人物であることを重視した呼び方を選び、その名で呼ぶと決める)

矛盾してるかも知れない。だけど、それを実行するにはこの力がどうしても必要なんだ
それに恐怖はある。いつか自分が狩られる立場になるのでは、とね
だが、怖いからと言って、何もしないでいいことにはならないだろ?
少しでも前に進む努力はしないといけないんじゃないかな?
もちろんその為の努力はする

…もし俺がこの力で、罪のない人を傷付けそうになったら…それを止めてくれる人が側にいる
俺にとって掛け替えのない人がね…
その人の為にも、俺はいつか、この力を完全に制御できるようにしてみせる
(どんなことを言われようと、瞳に宿した意思は揺らがない)

…これが俺の答えだ
463迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2009/02/08(日) 02:18:45 ID:tV6pQ9T+
【いえいえ、その辺はお互い様、としておきましょう】
【そしてお気遣いありがとうございます】
【そちらこそご無理はなさらないようにしてくださいね】
【あと、時間の割にそちらのレスを拾い切れず申し訳なく…】
464媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2009/02/08(日) 02:26:19 ID:V4fhcNGs
……まったく、強いお方です。

(その覚悟を、決意を、意思を認めたくなったのは――…
 もしかすると、『月の似合う彼女』を、脳裏に浮かべたからでもあったかもしれない)
(『彼女』と約束した日はいずれ来る――自分にできること“も”、その瞬間まで我儘に悪あがくことだけなのだ)
(だから余計に目の前の青年が語る言葉を、可能性がある限り、信じてみたくなったのかもしれない)

自己満足を満たすこと。 信念を貫き通すことが、貴方にとっては狩られる恐怖より、強いと仰られる。
誰かを傷つけるかもしれない力を御してみせるだなんて、十全と強欲なことであります。
あなたにとっての“かけがえのない人”は――…よほど、貴方の身を案じていつも、心臓に悪い思いをされておられるのでしょう。
(呆れたように、溜息をつく)
(彼女の腕から零れおちていた雫も、このときになってようやく落ち着いた)

ならば、その決意と覚悟と意志……勝手ながら、しばし拝見させていただくことに致します。
(この時になってようやく、彼女は視線を彼から外して、日本刀を再び腰につった)
(リリン、と冷たい空気のなかを響き渡る玲瓏とした鈴の音は、
 まわりが静かになって、ようやく聞こえるほどに小さな音だった)
私は、異形狩りです。
異形は狩ります。 それは異形に転んだものにだって言えること。
もしも、貴方が「ソレ」に喰われたときは――その時はどうか、私は貴方の敵にまわるものとお思い下さい。
(一歩下がっての、一礼。 それは、彼女が目の前の相手を「迫水 直」と認めてつくした、最低限の礼儀だ)


【いえ、こちらの方はまだ大丈夫なので……こちらこそ、お気づかいありがとうございます】
【そんなそんな、です! むしろ、こちらの方がなかなかうまく返せていない気がして……私の方は、十全と楽しませてもらっている、ばかりです】
465迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2009/02/08(日) 02:47:15 ID:tV6pQ9T+
(熱を持たなかった葵の瞳にここにきて、感情らしきものが揺れるのを見た気がした)

自己満足なのは俺もよく分かっている。自分勝手な我儘だってね
…彼女こそ、俺が人でいられることの最大の理由さ
彼女がいなければ、俺は今こうして君と話すこともできなかっただろうな
その点でも彼女に感謝しているんだ
(聞きようによっては痒いほどの惚気をサラリと言い放ち)
あぁ、見ててくれ…もっとも、結局は無駄になると思うけどね
(感情の正体を探るには至らないまま、視線が、つ、と外され)
あぁ、願ってもない。なるべくはやく、俺が人を傷付けないうちに頼むよ

(そこまで言ったところで、突然緩んだ口調に変わる)
…ところで…あまり見ないでいてくれるかな?
(葵の下げた視線の先には、恋人以外には隠すべき部分がむき出しで晒されているのだった)
466媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2009/02/08(日) 02:59:41 ID:V4fhcNGs
(彼が「彼女」と称した人物は、
 きっと彼にとって「かけがえなく愛しい人物」なのだろうと、思った)
――そのような惚気、
学校では少しも拝聴致しましたこと、ありませんでしたけれど?
(あまり感情の宿らなかった貌にわずか悪戯な色を浮かばせて、
 彼の口にした“聞きようによっては痒い惚気”を軽く揶揄してみせる)
はい、十全と承りました。 私は、異形狩りでありますから。

(と、そのような言葉のやり取りをしていた途中――)
(彼の言葉にふっと、「狩りの思考」から「常の思考」へと思考が切り替わった)
………え、と。 あの、その、申し訳ありません。
(きょとん、とした表情の後に、すっと片腕でその両目を覆って視界を隠す)
まったく、狩り以外の状況を意識しておりませんでしたものですから――…気が、利きませんでした。
そのままですと、貴方は我々以外の「組織」に捕まる前に、
公然猥褻罪あたりで、警察の方の御厄介になるような気も致しますけれど、どうなさるのでしょう?
……服、私の上着の一枚では、どうにも心もとないでしょうが、無いよりはマシでしょうか。
(相変わらずの様子でそのような事をいいながらも)
(さらりと、彼が追われている自分以外の「組織」とやらの存在を、確かめるような言葉を織り交ぜた)
467迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2009/02/08(日) 03:16:28 ID:tV6pQ9T+
宣伝はしてないからね
(情の宿った揶揄に、肩を竦めておどけてみせて受け流し)
あぁ、よろしく頼む
(意外なほど真剣に、自分を倒してくれ、と依頼する)

こちらこそ申し訳ない…
(全然申し訳なさそうに謝罪しながら)
えーと、この部屋のどこかに…バッグが落ちてないかな?
着替え一式とか入れてあるから、それが見つかれば…
(キョロキョロと周りを見回し)
組織はともかく、警察だけは勘弁だ…しかも罪は公然猥褻…彼女に嫌われちまう
「組織」ってのはそんな時には助けてくれるのかな?
(どこの組織とは語らず--名前すら知らないのだから語りようがないのだが)
(それでも「狩る組織」以外の「捕まえる組織」の存在を明かす)

【そろそろ〆かな?】
468媛名 葵 ◆YJKujNK4t6 :2009/02/08(日) 03:32:49 ID:V4fhcNGs
……私がその時に生きていたなら、お約束は守りましょう。
これでも、ちゃんと口約したことは七割五分二厘ぐらいの確率でお守り致しますよ?
(片手で目を覆い隠したままに、飄々と小首をかしげて見せる)
(彼の口調から受け取れたのは――自分が試したうちの、“覚悟”の片鱗だ)

…………。
うらわかきおとめに、なんてものおみせになられるのですか。
(申し訳なさそうな口調に、なんの対抗か心にもない棒読みの言葉を吐きだしながら、
 それでも、ちゃんとそちらには目がむかぬように素直に気を遣いつつ、バッグを探す)
(ひねくれているのか、素直なのか――ただ単に、きまぐれなのか)

(彼の示しているであろうバッグを見つけると、それを両手で抱えて)
……公然猥褻で捕まったら、正直なところ、
私は恥ずかしさから、その冤罪から逃げるのに当主に頼るのが憚られますけれど――
そうですね。 まあ、いくらかのことは都合よくどうにかしていただけるかもしれません。
(彼の言葉で「別組織」の存在を認識しながら、
 両手で抱えたバッグで、相変わらず前方の視界を隠しながら……幾らか近い距離にバッグを置く)
――さて、私はバッグを見つけてきたご褒美が欲しいのですけれど、
私は誰を警戒すべきかもしれないその人の名前を、
今から帰る私の背中にむかってうっかり漏らしたり、してみませんか?
(そうして最後まで、ちゃんと見ないようにやりきってから、一礼して背を向けたのだった)
(彼が言うか言わぬか――それを期待しているのかは、後ろ姿からは、分からぬままに)



【はい。問題なければ、こちらはこのあたりで〆…にさせていただきます】
【最後にそちらを見届けてから、本日は失礼させていただきますね】
469迫水 直 ◆W7jpcu/rVE :2009/02/08(日) 03:50:55 ID:tV6pQ9T+
…四回に一回は約束を破るのか…もうちょっと守ろうよ
(何やら細かく並べ立てるが、あまり自慢になる数字ではない)
(思わず呆れ声で注意をしつつ)

だから申し訳ないって言ってるだろ?
俺だって平気な訳じゃないんだからな
(ブツブツと何やら呟き、バッグを探す)

(やがて葵が目的のものを見つけてきて)
公然猥褻罪から離れないんだな
捕まる罪は別にそれだけじゃあるまい?
まぁ、それでもいくらかは助けてくれる訳だ
(置かれたバッグを手に取り、背を向ける葵に向かって)
むらさき、かずひさ
(一人の男子生徒の名を浴びせる)


【では、あとは何を書いても蛇足になりそうなので】
【このレスでこちらも〆だ】
【長い時間付き合ってくれてありがとう】
【おやすみなさいノシ】

【スレをお返しします)
470隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2009/02/14(土) 23:14:18 ID:wIJoEXtQ
【紅鮭くんとのロールにお借りするよ】
471紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2009/02/14(土) 23:21:43 ID:APHfoSkl
(一月中はあちこちを破壊しまくった。そのご褒美としてボスから無料招待券を貰った)
(某テーマパークの招待券を片手に、紅裂拓兎は思案していた。誰を誘うかなど最初から)
(決まっている。渡された直後脳裏を過った面影の人を誘うべく、誘う為の言葉を考える)
(結論――率直に言うべし。言うべし。誘うべし。だから紅い契約者は思い切ってみた)

なぁ隙屋。今週の土曜日、遊園地にいかない?

(それが二月最初の頃のことである)
(首尾よく誘えたので、電車やバスの時刻を調べておき、当日に備える)
(土曜日の朝、駅前に集合して急行に乗る。一時間ほど揺られ目的地に到着)
(そこからバスに乗ってまた揺られる事小一時間。その間は最近読んだ小説や漫画の感想や)
(突っ込みどころ、無意味な戯言の交換で費やす。彼女と一緒にいて退屈することだけはなかった)

(ちなみに今日の紅裂拓兎の格好はいつもと大差のない紅いコート姿だが、片翼の意匠を持つ)
(ネックレスを首からぶら下げている事だけは違う。番いの翼に籠められた想いを誰が知るのか)

ふーい、着いた着いた。
まだ寒いってのに、結構いるな、人。
(テーマパークの入口まで来て、その内側から発せられる歓声と熱気に驚く)
(此処から先は夢の国だ。惨劇とは無縁な、信じる心が生み出す幻想の世界だ)


【と、まあこんな開始でよろしく】
472隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2009/02/14(土) 23:39:49 ID:wIJoEXtQ
(最近の昼間の自分は、夜の自分に恨まれて夜道で刺されてもおかしくないほど平和である)
(美味しいものを食べたり、面白い本を読んだり、空想を書き綴ってみたり)
(そして、親しい友人とともに、のんびりとした日常を過ごすことができていた)

ふむ? 遊園地? これはこれは。
キミは案外、人付き合いが上手いようだね。
キミほどバラエティ豊かな誘いをかけてくれる人を、私は知らないよ。

(というわけで、土曜日である今日は、ちょっと足を運んで、某有名テーマパークへ出かけることになった)
(駅前で、紅裂くんと待ち合わせる。吐く息はまだ白いが、天気は上等)
(去年のクリスマス、彼にもらったもこもこのコートに、黒のミニスカートというアンバランスな服装で参上)
(それなりにぬくくて動きやすい選択をしてみた。このコート、やっぱりいい感じだ)
(コートの前を合わせているので見えないが、彼にもらった片羽のネックレスも、こっそりつけている)
(我ながら義理堅いものだ。……仕方ないさ、気に入っているんだから)

(あらかじめ、紅裂くんがアクセスを調べておいてくれたので、道中はスムーズで快適だった)

……まあなんだね、ひだまりスケッチは思っていたより神だったよ。
萌え絵だからといって、軽んじていてはいけないな。
そう、あの作品を例えていうなら、太陽系の内惑星軌道半径とM82星雲がだね……。

(彼とは、とても話がしやすい)
(よく聞き、よく吸収してくれる。ときどき、気のきいたことも言ってくれる)
(移動時間は本来あまり好きではないが、今日はそれも楽しい)

……ふむ、確かに。まあ、休日だしね。
でもまあ、これっくらい活気があった方が、楽しそうでいいさ。
さっそく入ろうじゃないか、私、ここのマスコットとぜひ写真が撮りたいんだ!

(彼の手を引っ張って、入場口に突き進む)
(夢の国は大好きだ。読書家ならば――あるいは、子どもの心を持つものなら、きっとみなそうだろう)

【じゃ、よろしくね】
473紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2009/02/14(土) 23:50:19 ID:APHfoSkl
ちょっ、おーい。慌てるな。チケットが、パスパートが。

(手を取られて、そのまま引っ張られてしまう)
(ワンデーパスパートで、一日自由に遊び回れる身分になって、改めて突入開始)

・・・・・いるいる。人がゴミのようだ。あはは。

(無邪気に笑う。まるで子供のように)
(歓声と熱狂。人、人、人、人、人、人、人・・・・・・・)
(風船。アトラクション。賑やかなBGM)
(カップル。親子。世界一有名なマスコットキャラが踊っている)
(此処には冬の寒さなど存在しないかのような、まさに夢の国だった)
(何処までも作りものでしかないが、此処はみんなの信じる心の作りだす巨大な共同幻想の国だ)

此処まで来て拓兎は後悔した。此処に置いても自分は異物でしかなく、溶け込めない異邦人だ。
――なんて思ったことは一度もなかったぜ。はっはー!凄いね夢の国!

(セルフナレーションも絶好調だったりする。眼がキラキラと子供のように輝いている)
(幼い頃、この手のテーマパークへ行ったことがない彼は、存分に満喫するつもりだった)
(クリスマスイヴにプレゼントしたコートを、彼女が着ていることも上機嫌に拍車を掛けている)

お、ネズミ発見。写真撮るなら早くしようぜ。

(丁度、家族連れが有名なマスコットと写真を撮っているところを目撃した)
(持参しておいたデジタルカメラを取り出して、二人連れだって某ネズミのお化けに)
(写真を撮りたい旨を申し出た。近くで見ると、なかなかシュールなネズミだった)

474隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2009/02/15(日) 00:15:10 ID:n64mhdtF
うん、これこれ! 夢の国はやはりこうでなくては!

(夢の国のメインストリートを、紅裂くんを引っ張って進んでいく)
(人の数は、ギリギリかき分ける必要がないくらいの、適切な混みようだった)
(大人も子供も、女も男も、みな笑顔で、美しい夢を楽しんでいる)

(足の方向は前、右手は彼の服をがっしり掴み、目線はあっちこっちそっちこっち)
(ジェットコースター、観覧車、メリーゴーランド、白亜の城)
(これを心動かされない人がいるとすれば、それは人のフリをしたカカシに違いない)

ふふっ、安心するんだ、キミはどうしようもなく溶け込んでいるよ!
あっちに海賊のアトラクションがあるがね、船長の横にこっそり立っていても、たぶん平気じゃないかな?

(赤コートという彼の奇抜な服装は、夜よりもむしろこういうところでこそ映える)
(左手がフックになっていないのが不思議なくらいだ)

(まず、どのアトラクションを楽しもうか考えていると、遊園地のマスコットキャラクターを発見した)

むむっ、よく見つけたぞ紅裂くん!
今こそ、キミの必殺のデジカメの出番だ! 仕損じることは許されないよ!

(親子が撮っているのをしばし待ち、順番が回ってくると、私はまず、もちろん握手を求めた)

うふふ、おいおい紅裂くん、彼の手はふかふかだぞ! キミも握手してもらえ!
あ、そうだ、写真撮影も忘れてはいけないな! すみません、写真お願いできますか?

(紅裂くんの手からカメラをひったくり、同じく写真待ちをしているカップルに渡す)
(そして、ネズミのマスコットと腕を組んで)

紅裂くん、キミもネズミさんと腕を組んでもらいたまえ。せっかくの思い出だ、三人で写ろうじゃないか。

(パシャリと、シャッターが切られる)
(あとで画面を確認すると、なかなか夢の世界らしい写真に仕上がっていた)

――――――――――――――――――――――――――――――。

(その頃。遊園地の入り口で)

「……今日は――ここで、観察を行なうのですね、リンクス……?」
《はい。/人が多く/もちろん/異能者の反応も多い/
 ここで大破壊を行なえば/きっと/より多くの/異能者の情報を/得られます》

(黒髪の幼女と、虹色に輝く異様な女性)
(『ミラボー伯爵』と、『ザ・リンクス』)

「…………攻撃役が――到着し次第――能力を展開します…………。
 ……今日は、誰が……?」

《『ラファイエット将軍』を/彼ならば/適切にこの場を/焦土に変えることが/できるでしょう》
475紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2009/02/15(日) 00:31:15 ID:ozuvwLN/
はっは!七つの海を股に掛けて冒険してみっか!
実際は豪華客船襲うのが関の山だけどな!あはは!

(いつもの適度な温さとは異なり、戦闘時の高揚に近い態度だ)
(それでも心は殺伐と正反対の境地にあり、至極平和な心理状態だった)
(こちらの服を掴み、あちこちを子供のように見ている隙屋量子)
(お化けネズミと握手している隙屋量子。かなり感激している)
(手袋してるからなー、中身の人は暖かいんだろう、などと、野暮な感想は仕舞っておく)
(そんな彼女がとても・・・・しかったから。悪人である事を忘れてしまいそうだった)

おいおい、俺もかよ、しかたねえな。

(口では気が乗らない風を装っているが、それでも内心うきうきしつつネズミの横へ)
(彼女はしっかりとネズミと腕を組んでいる。順番待ちのカップルに撮影を依頼する)
(ハイ、チーズ。パシャリ。実にメルヘンな写真が完成するのはもう少し後のことだ)

さて、どうすっかな。
絶叫系はな、セオリーとしてかーなーり、並ぶから。
園内を移動するタイプの・・・・・ほれ、船やら鉄道やらもそこそこ人気あるし。
最初は手堅くシアター系か、屋内で愉しめる系統がいいかも。ホラーハウスとか。
軽くなんか食っておくのもいいな。朝飯少ししか食ってないし、俺。
ディナーショーとかもあるんだが、アレ事前の予約がいるらしいんだな。

(首尾よく撮影を終えて、さて次はどうするかと思案する)
(ある程度事前に調べておいたので、候補はある程度絞れた)
(周囲は只管賑やかで、まるで異国の祭りに紛れている様な気分だった)
(――無論、その裏側で展開されている非常事態に、満喫している二人が気づくはずもない)
(もう少しで、二人は自分の置かれた境遇の厳しさ、非情さを思い出すことになる)
476隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2009/02/15(日) 00:53:23 ID:n64mhdtF
(ネズミと写真を撮ってもらい、それだけですでにヘブン状態の私)

今日のこの写真は、きっと一生の宝物になるだろうね。
これから先、来ようと思えばここには何度でも来れるわけだが……最初の一回は、やはり特別だ。

(デジカメのディスプレイをのぞいて、はずんだ声で紅裂くんに語りかける)
(彼は気付いているかな? 彼もまた、かなり楽しそうな笑顔で、写真におさまっていることを)

さて、それじゃあとうとうアトラクションを楽しもうか!
ふむふむ……なるほど、順番も考えなくてはならないな。

(入り口でもらったパンフレットと、紅裂くんの話を総合して、どうするか考える)
(近くにあるアトラクションは何か、人気のありそうなアトラクションは何か……)

屋内系となると、このヨーロッパモンスターハウスなんかいいかもね。
このアトラクションに行くには……うん、園内周回鉄道に乗ると近いな。
モンスターハウスの近くにフードコートがあるし、鉄道に乗ってフードコートに行って、食事してから
モンスターハウスという流れはどうだい? このジェットコースターはぜひ乗りたいから、そのあとに
計画しておこう。

(パンフレットを指差しながら、道順を提案する)
(お腹が空いているなら、まずどれを楽しむよりそれを解決しなければ)
(実を言うと、私も少し腹ごしらえをしておきたい)
(何はなくとも、体も精神も、エネルギーによって動かされている)

鉄道の時間は……おっとっと、もうすぐ、最寄の駅に着くじゃないか!
急ごうか、平和な時でも、走って損はない!

(彼に笑顔を向けて、鉄道の停まる小さな駅目指して走り出す)
(ちょうど、アニメタッチの顔がついた、ファンシーな蒸気機関車がホームに滑り込むのが見えた)

―――ー―――――――――――――――――――――――――――。

(ぴりり、ぴりり――ミラボー伯爵の携帯が鳴った)

「……はい――『ラファイエット将軍』? ――はい――はい……。
 …………了解しました――お早めに…………」
《どうしました/ミラボー伯爵?/ラファイエット将軍から、連絡ですね?》
「…………はい――それが――飛行機に乗り遅れて、遅刻すると…………」
《…………………………》
「……どうしましょう――リンクス……?」

《――ミラボー伯爵/私は/人間の作った/電気遊具というシステムに/興味があります/
 ラファイエット将軍が到着するまで/それらを体験/観察するというのは/どうでしょう?》
「………………賛成です」

(ふたりの異形は、うなずき合って入り口に向かった)

「……おねえさん――小学生、一枚……」
《宇宙人/一枚》

受付のおねえさん「チーフ、どうしましょう?」
受付チーフ「大人料金で」
477紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2009/02/15(日) 01:07:37 ID:ozuvwLN/
始めが肝心だぁね。
ふむふむ・・・・・間抜け面だな、お互いに。
いい感じに出来上がってるぞ、おい。あはは。

(デジカメのディスプレイを確認すると、脳内麻薬がいい感じに分泌された)
(ような表情の二人に挟まれたネズミのお化け。流石は夢の国)
(されど悪い気もしなかったので、けらけらと笑っておく)

お、いいね、モンスターハウス。俺もちょっと気になってた。
ジェットコースターは外せないとして・・・・・・・
ふむふむ・・・・・実に無駄のない。パーフェクトだ、我が姫よ。
よし、それで行こう。善は急げだ。

(二人してパンフレットを覗きこみ、経路を設定する。彼女が示してくれた経路は)
(無駄がなく、効率的だった。特に反対する理由もないので、それに乗る事にする)
(二人笑いながら駆け足。童心に帰った気持ちで小さな駅を目指す)

ナイスタイミーングって・・・・・
おおぅ、笑えるな、この機関車。なんかのアニメで見た気がするしィ。
こんなんで走るのかよって感じ、ははは。口から石炭喰うのかね?

(ファンシーな蒸気機関車に笑い、わくわくしながら発車を待つ)
(くだらないことを言っている間に、機関車は走り出す)

(――その頃、奇妙な二人組が園内に脚を踏み入れていたが、神ならぬ彼らが知る由もない)
478隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2009/02/15(日) 01:26:53 ID:n64mhdtF
オーケイ、私が姫なら、キミは王子だ。しっかりエスコートしたまえ。
……それとも、お付きの従者のほうがいいかな? ふふっ!

(アメリカンスタイルの濃い笑顔を浮かべた機関車にふたりで乗り込む)
(彼の言った通り、それは某有名海外アニメで有名なキャラクターを模しており)
(いろいろと想像力をかき立てることこの上ない)

なんだっけ名前。と、とー……とま……忘れた、トミーでいいや。
口から石炭か! なるほど、それはなかなか面白い着眼点だ!
そういえば、蒸気機関車だから、水も必要なんだよね。それも口から飲むことができるとすると……。
なんてこった! この機関車、フードコートで石炭バーガーと工業水シェイクを注文しかねないな!

(けらけらと、くだらないことで笑いあった)
(ゴウンゴウンと車輪が動き、機関車はパワフルに園内に敷かれたレールをばく進していく)
(座席に座り、窓の外を見ると、遠景にお城が、すぐそばには機関車を見上げている人たちが見えた)
(小さな子供が何人か、こっちに手を振っていたので、何となく振り返してみる)
(今日はみんなが幸せだ)

(フードコートも、派手な色彩とユーモラスなピエロのマスコットでデコレーションされた世界だった)
(洋食がもちろん中心だが、おにぎりとか蕎麦とか、和食もあったりする)
(私はトマトとベーコンのハンバーガー、ダイエットコーラを注文した)

キミはなんにする?
これからこわーいところに行くんだから、気持ち悪くなるこってりしたものはオススメしないよ?

(意地悪くニヤニヤしながら、壁のメニューを指差した)
(と、そこで、ちょっと変なモノを見かけた気がしたが、振り向いても何もなく……)
(そのまま席について、食事が運ばれてくるのを待った)

―――ー―――――――――――――――――――――――――――。

「……リンクス。――モンスターハウスを、最初に観察、するのですか……?」
《はい。人間の/恐怖という感覚に/興味があります/
 チケットは持ちましたね?/それでは、入りましょう》

係員「お客様、大変申し訳ありません。
   そのように激しく虹色に発光されては、他のお客様のご迷惑になりますので……」

(リンクスはしぶしぶ輝きを消し、モンスターハウスに入って行った)
(量子たちがモンスターハウスに入る、三分前のことである)
479紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2009/02/15(日) 01:47:08 ID:ozuvwLN/
ははは。王子って柄じゃないな。
悪い国の悪い姫と、その従者じゃね?

(園内をゆったりと周回しながら、ファンシーな機関車は走る)
(正気の時なら馬鹿馬鹿しいと一蹴するだろうが、この場は夢の世界だ)
(純粋に楽しい。馬鹿げて見えるほどに楽しい)

トミーねぇ。なんかフランクだな。クラスに一人はいそうな綽名だ。
ふむふむ、なるほど。だがどうやって食べるかが問題だぁな。手がないし。
人間が一生懸命機関車様に燃料食べさせるシーンって、ベラボーにシュールだよな。
「今日の石炭は安物だろ」とか、文句付けるんだぜ、トミー様が。

(白亜の城が遠く。夜にはきっと舞踏会が開催されるのだろう)
(灰かぶりの少女の物語。あの魔法使いは何故シンデレラに味方したのだったか)
(ちょっと内容が覚えていない。けど、それでいい。かぼちゃの馬車もいいが、機関車に揺られて)
(わいわい騒ぐのも悪くない。しかもこの機関車は人間のように口から燃料を補給するのだ!)

俺はグリルチキンのホットサンド。レモンスカッシュ。あとはポテト。
平気平気。そこまで怖いことねぇだろ、多分。
・・・・・多分な。だって夢と希望の国なんだぜ?スリラー主体のテーマパークじゃねえし。

(フードコートの一角、様々な店のひとつに足を運ぶ)
(遊園地ならこれだろうと言うべき定番メニューたちの中からチョイスする)
(彼女の忠告を笑って聞き流しつつ、やがて運ばれてきた食事に頬を緩ませる)

別に珍しくもないのにさー、こういうの。こういう場所で食うと格別な気がするよなー。
いやいや、この期間限定メニューとかちょっと興味あったけどさ。

(笑い、話に興じつつ、食事を楽しむ。あちこち指さしつつ、ツッコミを入れつつ笑う)
(値段相応な満足感を得つつ食事を終えて、いよいよモンスターハウスへ向かう)
480隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2009/02/15(日) 02:11:19 ID:n64mhdtF
(食事をするフードコートのテーブルからも、遊園地のシンボルであるお城は見えた)
(シンデレラのお城。あそこで舞踏会が開かれ、姫は王子に見初められた)
(十二時に鳴る大時計も、シンデレラが靴を落とす階段もある)
(パンフレットを見ると、夜になればお城の大ホールで、舞踏会も開かれるという)
(時間があったら、見に行くのもいいかもしれない……華やかなものは好きだ)

ほう、なかなかボリュームのあるメニューを選んだね。
ふ、ふ、ふ、言ったね? 果たして想像通り、無様な悲鳴を上げずに済むかな?
これほどの大遊園地なんだ、オバケ屋敷だって、それなりにハイレベルじゃないかと私は踏むがね。
……あ、ポテトもらっていい?

(言って、許可を得る前にポテトを一本スリ取って口におさめる)
(あげたての熱々で、塩気も充分。というかちょっと熱すぎた。はふはふ)

場のチカラというのはすごいね。この夢の世界にいるだけで、脳が不思議と高揚する。
一種の催眠術……と言うとロマンに欠けるな。これが、いわゆる「魔法」なんだろう。

(魔法の力でちょっと美味しくなったジャンクフードに舌鼓をうち)
(期間限定メニューは確かに美味そうだと、メニューを見て彼に同意し、しかし注文はしなかった)
(モンスターハウスに向かうには、充分な栄養を摂っていたからだ)

さて、来た来た……恐怖の館だよ、紅裂くん。

(レンガ造りの洋館に、枯れかけた蔦が這い、ぎゃあぎゃあとカラスの鳴き声が効果音として鳴っている)
(がし、と彼の腕にしがみつき、入り口へと向かう)
(小鬼の扮装をした係員にパスを見せ、中へ誘われる――真っ暗な館の中――)

……紅裂くん、歩行スピードを調節してくれたまえ。
私より早くても、遅くてもいけないよ。…………ひゃっ!?

(深くにも、廊下の隅においてある西洋甲冑ががたん、と動いて、槍を振り上げたことに反応してしまった)
(他にも、笑う肖像画、ガラス窓をばちばちと叩く血の手形、鉄格子の向こうから手を伸ばしてくるゾンビ)
(そういった恐怖の仕掛けに驚きながら、私は少しずつ慣れていった)

(しかし――)

ふ、ふふ、このくらいか。案外、大したことないかもしれないな……。
もうすぐ出口だね、このまま、どっちも見苦しい悲鳴を上げずに出られそう…………。
に゛ゃ――――っ!?!?

(突如目の前に現れた、虹色に輝く生首を見て、私は絶叫した)
(そして、つい反射的に、紅裂くんに思いっきり抱きついてしまう)

―――ー―――――――――――――――――――――――――――。

「……リンクス――なぜ、顔だけ光らせて、いるの……?」
《宇宙空間の本体と/定期的に光通信で/同期せねば/なりません/
 全身光らせると/怒られるので/頭部だけ……/おや、悲鳴が聞こえましたね》
「…………オバケ屋敷だもの――当たり前――さあ、早く――出ましょう…………」

(ミラボー伯爵の声は、かなり震えていた)
(実は苦手らしい)
481紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2009/02/15(日) 02:28:24 ID:ozuvwLN/
(―――などと益体もない話に興じた後、遂に到着したモンスターハウスである)
(洋館を模した造りになったアトラクションに突入する。深い暗闇の中へ足を運ぶ)

ふむふむ・・・・・なるほどー・・・・・・雰囲気は悪くない。
効果音はやり過ぎな感もあるがな。
・・・・・大丈夫か?顔が蒼いぞ?

(しれっとした顔でコメントしつつ、散歩するような歩調で進む)
(何となく、しがみつかれた腕の方が気になって、イマイチ集中できないのは内緒だ)
(西洋甲冑、笑う肖像画、窓を叩く手、ゾンビ・・・・・・なかなか出来が良い)
(怖い――というよりは、驚くという感覚に近い。タイミングもそのように計算されているからだ)

なかなか、計算しつくされているが。
それでもまだ改良の余地はあるな。これならホラー映画の方が・・・・・・

(事前に忠告してくれた彼女の方が卒倒しそうな気配があって、気が気でなかった)
(何より、これでも男なので女の前で無様を晒すのは――いや、確か他の意味で)
(情けない場面を晒した事はあったけれど、それとは別の問題で―――・・・・・・・)

―――――!

(突如隣から絶叫。同時、しがみ付かれる感触が、一時的な混乱を招く)
(おお、この感触は?いやいや、待て落ち付け話せばわかる。だからやめてやめてやめて)

―――っと。ちょ、ちょっと、待て。誰だアイツは。
(一時的な混乱から立ち直らせたのは、「虹色に輝く生首」だった)
(気配が、違う。どんな異形とも、魔物とも、魔王からですら感じた事のない、違和感)
(異質。その一言がこれほど最適な存在は、実に珍しかった)

えっと・・・・すきやん?大丈夫?
(だが、問題はまだしがみ付いている彼女の方で。この状態では何もできない)
482隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2009/02/15(日) 02:48:10 ID:n64mhdtF
(その生首は、出口が近付いて油断していた私の精神に、クリーンヒットを食らわせた)
(突然現れたことの恐怖と、その生々しさ……本当に人の顔が輝いているような……)
(作り物とは思えない「それ」のインパクトに、つい恐怖してしまったとして、誰が私を責められる?)

(紅裂くんの胸にギュッとしがみついて、しばしその怪物から眼をそらす)
(すー、はーと大きく呼吸をして、ゆっくりと振り返る)
(そこにはもう、生首はいなかった)
(出口の光が、ぼんやりと見えているだけで、幻想と現実の境目に、私たちは立っていた)

……い、いなくなった、か……な、なんだったんだ今の……?
このオバケ屋敷のアトラクションか? あんな出来のいい生首、初めて見たよ……。
やっぱり、一流の遊園地をなめちゃいけないってこと……か……ってぇっ!?

(自分の状態に気付き、慌てて後ろにジャンプするように彼から離れた)
(自分としたことが、なんという醜態!)
(怖いかもよー? と、彼にからかい口調で言っておきながら、この有様!)
(猫が踏まれたような、すっごい悲鳴を聞いた気がするけど、まさかあれ私?)
(というか――ナニ抱きついちゃってんだ私はアアアァァァァーッ!?)

ご、ごごごごごごごごごごごごごめんっ!
びっくりしちゃって、その、家でホラー映画とか観てる時はなんてことないんだけどね?
ちょっと運が悪かったと言うか、不意を突かれたと言うか、そのあの、と、とにかくごめんっ!

(顔を真っ赤にして、顔の前でわたわたと手を振り回して、必死に言い訳をする私)
(というか、何に対して言い訳をしているんだろう?)

と、とりあえず出ようっ、ここを、もう、早いことっ。
もう出口だし、後ろつかえちゃまずいし、あああああ。

(彼を引っ張るように、モンスターハウスを脱出して)
(輝く陽の下に出た私は、完全に頭から蒸気を出していた)

……………………ジェットコースターにいこう、紅裂くん。

(私は、赤い顔を伏せて、必死に押し殺した声で言った)

今、すっごく冷たい風に当たりたいんだ……うん、空いてることを祈って、行ってみよう。
付き合って、くれるよね……。

(抱きついたことで、何でこうも自分が動揺しているのかわからなかった)
(この友人に醜態を晒したのが恥ずかしいのか。それとも、不意に近付いてしまったからか)
(考えても混乱するので――とりあえず熱を冷まそうと考えた……)
(ジェットコースターへは、歩いても近い距離だった)
483紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2009/02/15(日) 03:04:07 ID:ozuvwLN/
(なんだかなぁ、という想いが胸中を占める。咄嗟に現れた異質な存在に対して)
(身構えていた精神が、しがみつかれる感触に打ち消される。戦士としては感心できない)
(できないが、まあいいかと思ってる時点で色々ともうダメだ。暫く彼女の甘く香る体臭や)
(服越しでも伝わる鼓動の激しさを感じていると、はっと彼女は我に返った)
(――ちょっと残念、などと思ったのも、きっと間違いだ)

アレはさ・・・・・いや、いい。
確かに、なかなか出来のいい生首だったな。
いやいや、さっきのすきやんの悲鳴、録音しておきたかったなー。

(捲し立てる様に言い訳する彼女に、何か言おうとして止める。折角の楽しい時間を)
(わけの分からないイキモノに掻き回されるのは、出来れば避けるべきだった)
(もう、輝く生首は何処にもいない。その気配の残滓を辿る気にはならない)
(だから、口に出すのはいつだってくだらない事。そうでなければつまらない)
(彼女に引きずられるまま、洋館から出て、ジェットコースターを目指す)

空いてる、かな?
むぅ、三十分待ちとか勘弁だぞ、俺。付き合うけどさ。

(顔の赤さについて指摘するのは止めておいた。多分、自分の頬も紅くなっている気がするから)
(だから、口に出すのはどうだっていいこと。歩きながら、考えるのは自分の精神状態について)

お、この分なら十分程度で済むかな?
(列の長さを見て、時間を予想。ここら辺で思いっきり絶叫しておくのもいいだろう)
(なんというのか、今はそんな気分だった。気恥ずかしくてしかたない)
(その為にジェットコースターは必要だった。並んで、暫く待つ。やがて訪れる瞬間)

おお、なんかギシギシ言ってるけど平気か?
484隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2009/02/15(日) 03:29:49 ID:n64mhdtF
もし録音していたら。キミは私が、どれだけ執念深い女か、思い知ることになっただろう……!

(ぐるーりと振り向きざま、暗い目でそう宣言し)

と、とにかく、オバケ屋敷はもう充分楽しんだ。これはもうこりごりだっ。
せっかくの遊園地なんだから、スカッとするジェットコースターに乗らずしてなんとする!
三十分待ちの時は、そうだね、フリーフォール的なものを試すのもいいかもしれない。
とにかく涼しいものだ、涼しいアトラクション! それを私は激しく欲するぞ!

(生首を、完全にアトラクションの一部だと思い込んでいて、それ以上には考えていない)
(だからこそ、夜の世界の私でない、素の私が無様にも混乱している)
(この平和な夢の国で、夜の考え方で問題を解決するわけにはいかなかったのだ)

(ジェットコースターは、ちょうどタイミングがよかったのか、あまり待たずに乗れるようだった)
(ちょうど走行しているコースターを見ると、凄まじい速さで鉄柱のジャングルを駆け抜け)
(激しく宙返りし、きりもみし、乗客から絶叫を搾り出していた)
(ときどき、最後尾の席がピカピカと光っていたのは、派手な電飾だろうか?)

(やがて、前の乗客を下ろしたコースターが、プラットフォームに戻ってきた)
(私たちは、隣同士の席に乗り込む。安全レバーを下ろし……)

不安を煽り立てられるが、平気だと信じるしかないだろうねぇ。
紅裂くん、ここだけは絶叫解禁だ。胸に詰まっているものを全部吐き出す気で、思いっきり叫ぼうじゃないか。

(がくん、がくんと揺れながら、コースターは最初の坂を上っていく)
(ジェットコースターは基本的に、最初の頂上に登るまでが動力で、そこからは落下エネルギーで動く)
(地球の重力に、我々の運命が委ねられるまで、残り三秒、二秒、一秒……)
(最後の瞬間に、何となくちらりと、彼の方を見た)

――――――――――ッ!!!!!

(叫ぶ。遠慮なく)
(ビリビリと顔を振るわせる激しい風に、激しく揺れる鉄骨の枠組みにせかされるように)
(恐怖と興奮と、強烈な開放感)
(スピードとスリルは麻薬であり、ジェットコースターはそれを、人体に対してもっとも強力に作用させた)

……はあ、楽しかった。
やっぱり、叫ぶってのはいいものだね。

(コースターから降り、私は思いっきり背伸びをした)
(先ほどの混乱した感情の始末はついていないが……とにかく、落ち着くことだけはできた)

次はどこへ行こうか? まだ、いろいろアトラクションはあるが……。

―――ー―――――――――――――――――――――――――――。

「……リンクス――なぜ、コースターに乗った後、うずくまって、いるの……?
 …………まさか――酔った、とか…………?」
《まさか/人間の乗り物が/あんなに速いとは/思いませんでした/
 つい、緊急信号を、本体に送信/してしまいました/不覚》
「……宇宙空間で、どんな速度で動いてるの――あなたは……」
485紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2009/02/15(日) 03:38:48 ID:ozuvwLN/
(人の集まる場所にこそ妖は集う。それは人の発した精気を喰らうが故に)
(人が沢山いて、人眼に届かない闇がある遊園地は、妖が集まるには最適な場所)
(だから、あの様な不可思議な存在がいても不思議ではない――はずだった)
(考えまい。上手く説明できないが、アレには関わってはならない気がする)

ヤバイ、少し緊張してきた・・・・・・
お、おう。俺も無性に叫びたい気分なんだ。

(身体がシートで固定される。ギシギシと軋む音が不安を煽った。モンスターが視覚的に)
(与えるのとは別種の危機感。スリル。ゆっくりと動き出して、徐徐に上昇して行って)
(何となく、隣り彼女と視線が合う。そして一瞬の浮遊感の後に落下する。思わず、声が出る)

っっああっ・・・・・ああああああああ!!
だぁぁぁっ・・・・・ああああっ!!こぇぇぇぇぇ!やべぇぇぇぇ!!

(落ちる。堕ちてゆく。上昇から落下。そして左右に蛇行する)
(迫る鉄骨に本能的な危機感を覚える。理性は平気だと判断する。本能は停止を命じている)
(反転。回転。くるくるくねくね視界が踊る。叫ぶ。絶叫する。それは恐怖であり快感ですらある)
(破滅への予兆を含んだ快感。遠慮なく叫び続ける。腹の底から。それもまた快感だった)

ふしゅぅ・・・・・・うー、眩暈がするぜよ。
生物学的に女の方がジェットコースターに強いって学説が、あったような、なかったような。
むぅ、次はちょっと大人しいのがいい。コーヒーカップで回る奴とか、観覧車とか。
メリーゴーラウンドとか定番すぎるかね?

(微妙に足元をふらつかせつつ、それでも先ほどよりはマシな気分で次なるアトラクションへ)
(途中で可笑しな二人組と擦れ違った気がしたが、多分気のせいだろう)
486紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2009/02/15(日) 03:45:09 ID:ozuvwLN/
【眠気の影響で徐々にレスの質が落ちてるな、俺】
【乗物はまだたくさんあるけど、端折って〆る方向にしようか】
【残念なんだけどな、実に】
487隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2009/02/15(日) 03:56:50 ID:n64mhdtF
ふふふ、風の音がすごかったが……それでも、キミの絶叫が聞けて満足だよ。
やっぱりこれに乗ってよかった! 気分もスッキリしたし!

(なんだかふらふらっとした感じの紅裂くんを見て、クスクスと含み笑いして)

そういうものなのか。まあ、確かに今の状態だと、その学説も多少の説得力は持てるようだね。
それとも、さっきのグリルチキンがお腹の中で暴れたかな?
確かに私も次は、ゆっくりしたアトラクションにいきたいところだな。
まったりした乗り物……メリーゴーランドかぁ……うん、いいじゃないか。
あれならそんなに混まないだろうし。

(そういうわけで、メリーゴーランドにレッツゴー)

(きらびやかな装飾の傘の下で、馬や馬車が、上下に動きながらぐるぐると回転している)

ここはやはり馬だろうね……ん、あの白馬は、大きくて立派だな!
鞍が紅いのが気に入った! 私、あれに乗る!

(それは、メリーゴーランドの乗り物の中では、馬車の次に大きな馬で)
(つかまるポールの他に、後部に手すりもついていた)
(要するに、前後に二人乗りができる馬なのだ)

ねえねえ紅裂くん、キミが前に乗りなよ。私が、キミの後ろに乗るから。
さっき言ってたね? 私が悪い国の悪い姫で、キミはその従者だと。
というわけで従者よ、馬の手綱を引くがいい。姫は、キミの背中にしがみついて旅をしようじゃないか!

(そう言って、先に馬に乗るようにすすめる)
(彼が乗ったあとで、その後ろに乗る……もう一度、彼にしがみついてみようというのだ)
(気持ちが落ち着いた今なら……また抱きついてみても、今度はきっと、平気でいられるはず)

―――ー―――――――――――――――――――――――――――。

《高い!/観覧車高い!/降ろして!/降ろしてええぇぇ!///》
「……ちょ――高所恐怖症なのに――宇宙から来るな……!」
488隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2009/02/15(日) 03:58:02 ID:n64mhdtF
【うん、私ももう少しで〆ようと思ってたところ】
【さすがに遊園地は、使いたい要素が多すぎて困ってしまうねぇ……】
489紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2009/02/15(日) 04:08:57 ID:ozuvwLN/
なんか、脳味噌の作りの違いに影響の差があるとかないとか。
うろ覚えの知識なんで、当てにはならねぇけどな。

(どうにか復調して、メリーゴーランドへ向かう)
(煌びやかな回転木馬。実に遊園地という風情が漂っている)
(乗るにしろ、見るにしろ、これが遊園地の定番だろうと、何故かそう思える)

おー、立派な白馬だ。
・・・・・って、俺も乗るのかよ?うわ、なんだかなーって感じですよ?
へいへい。了解しました我が姫よ。足元にお気を付けくださいね。

(二人乗りの白い馬に、まずキミが乗れと薦められる。おいおい本気ですかと)
(問いたくなったが、逆らうという選択肢は始めから存在しない)
(毒を食らわば皿まで、という諺もあることだし)
(ひょいと鞍に跨って、悪い国の悪い姫君に手を差し伸べる)

さぁ姫様、お手をどうぞ?
(結構高い位置に鞍があるので、手を差し伸べて手助けをする)



【うう、本当に無念だ。やれることまだありそうだからな】
490隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2009/02/15(日) 04:27:54 ID:n64mhdtF
うん、話に乗ってくれてありがとう。エスコート役はそうでなくっちゃ。

(馬にひらりと身軽に飛び乗る彼を、感心したように見ている)
(私も、馬の鐙に足をかけ、差し出された彼の手を握り、優雅に馬にまたがる……)
(いや、またがろうとしたが、よく考えるとミニスカートだ)
(いろいろとよろしくないので、仕方なく横座りで彼の後ろに)

(彼に引っ張り上げられ、彼の肩にしがみつき、何とか格好をつける)
(肩にかけた手を離しさえしなければ、振り落とされたりはしないだろう)
(しかし逆を言えば、彼にしっかりくっついていないと、ちょっと不安定だということで)

よし、じゃあ行軍の開始だ……はいよー、シルバー!

(音楽が鳴り、馬たちが一斉に走り始める)
(なめらかに上下しながら、巨大な円の上をゆっくりと進む)
(これは面白い。動きは単調ではあるが、音楽のテンポと走るスピードが合っていて)
(ゆりかごに揺られているような安心感があった)

子供の頃に戻ったみたい。小学校の頃、別の遊園地に行ったことがあるけど……。
その時も、私、メリーゴーラウンドは大好きだったな。

(夢の円盤は、私たちを乗せてくるくる回る)
(彼の背中に、体重を預ける。うん、平気だ)
(オバケ屋敷で感じたような、動揺はもうない)
(ただ、胸の奥がじんわり暖かくなるような……ほんの少し、心臓の鼓動が速まるような)
(そんな感覚があっただけで)

(うん、大丈夫。私は大丈夫だ)
(この親友と、これからもこうして付き合っていける。きっと)

(そして、私たちは、陽が暮れるまで仲良く遊園地を回り)
(楽しみ過ぎて疲れきって、帰りの電車で寝過ごしてしまうのだが……それはどうでもいい話)

―――ー―――――――――――――――――――――――――――。

《遊園地とは/面白いものですね/ミラボー伯爵》
「…………あの、リンクス――何時まで、この遊園地に、いるの…………?
 ……園内の異能者たち、ほとんど、帰ったのに……」
《もうしばらく/PM10時から/シンデレラの舞踏会が始まります/これは見なくては》
「…………眠い…………」

【とりあえず、こんな感じで〆るよー】
【詰め込むにはボリュームがありすぎるね、遊園地は! でも、楽しかった】
【また、こういう楽しみ方ができるといいね……おつかれさま】
491紅裂拓兎 ◆upSAKE287c :2009/02/15(日) 04:44:18 ID:ozuvwLN/
ちゃんと掴んでおけよー、結構揺れるみたいだし。

(横座りになった彼女は、実に不安定だった。危険な座り方である)
(だから必然的に、肩に手をしっかりと置いておかないとならないわけで)
(少しだけ騒ぐ心臓の鼓動と、鳴り響く音楽が同調しそうで重ならない)
(ゆったりとしたリズムの鼓動。軽快な音楽。アップダウンを繰り返す馬たち)
(揺り籠――例えるならそれだ)

ふぅん・・・・そっか。
生憎と、俺ぁそういう思い出に乏しくてね。
まーあ、今日は此処に来れてよかったよ、あんたとな。

(辛い思い出は、楽しい思い出によって塗り潰すことができるのだろうか?)
(漠然と、そんな事を考えて一笑する。最初から、そんな事は望んでいない)
(確実なのは、今ひの瞬間がとても穏やかで、楽しいという事実だけだ)
(それ以上は望まないし、望んでも意味がない。何故なら―――)

はは。そっれにしても。
単調な割には楽しいな、コレ。

(預けられる体重と、伝わる温もり。先程の不意打ちを食らった時のような混乱はない)
(ああ、そうか――やはりそうか――納得する。ならもう、やる事は決まった)

(飛ぶように時間は流れる。愉しい時間ほど早く終わるというのが持論だが)
(それでも、とても濃厚な時間を過ごしたと紅裂拓兎は断言する)
(日暮れの時間まで遊びまわってはしゃぎ回って、子供のように笑って過ごした)
(疲れ果てた電車の中で寝過ごしたのは、まーあ、些細な話である)


【うい、お疲れ様でした。いやいや、付き合ってくれて感謝してるよ】
【もうね、やりたいことがあり過ぎて追い付かないのが。でも楽しかった】
【最後に――リンクスの萌えキャラ化に笑ってしまった】
【では、今夜はこれで】
492隙屋量子 ◆zlYDW7WYY6 :2009/02/15(日) 04:49:12 ID:n64mhdtF
【うん、おつかれさま】
【リンクスは……新しい試みだった……笑ってもらえたなら嬉しい】
【じゃあ、おやすみなさい。またね】

【スレをお返しします】
493伊織津綺子 ◆IorinFNlA2 :2009/02/16(月) 22:47:36 ID:+8NtIm7p
【ロールにお借りします】
【島田六花さんをお待ちしています】
494島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2009/02/16(月) 23:00:19 ID:1/rvfRCg
(2月は恋する少女にとって、戦いの季節である)

(――ということを、その季節を一度しか迎えたことのない六花は知らなかった)

……む、無理、無理なのですっ……!
(先日、葛森利香に貰った文芸誌同好会に掲載された、お勧めの洋菓子店)
(“自慢のチョコレートは、バレンタインのプレゼントにぜひ!”)
(そんな紹介を読んで、お世話になった“彼”へと、贈り物をするために)
(珍しく「普通の服」に着替えて、何度か前を通ったことのあるその店へと、向かったのだが――)

(店頭は、戦場になっていた)

な、なんでっ、いつもは、あんなひといっぱい、いないのに……
(平日の夕方。バレンタインデー当日にも、あと数日ある)
(それなのに、店は私服、制服姿入り乱れた女性、女性、女性――で、ごった返して)
(六花は、彼女らの“本気”に、完全に恐れをなしており)
(いくらか離れた建物の影から、それ以上近付くことはできなかった)

【お待たせいたしました】
【入りは、こんな感じで】
【よろしくお願いします(ぺこり)】
495伊織津綺子 ◆IorinFNlA2 :2009/02/16(月) 23:16:15 ID:+8NtIm7p
(2月は恋する少女にとって、戦いの季節である)

(――ということを、その季節を17度目にしてようやく身にしみて思い知った)

幸せなカップルになれるチョコ……なのね……?
(うわさのジンクスは校内誌に掲載されて広まり)
(チョコレートなど全部溶けてしまっているのではないかと思うほどの熱気を発している)

か、買える…かしら…?
(少しは客足が途切れないかと落ち着かない気持ちであたりを見回していると)
(見たことのある少女の後姿が見えた)

あ、島田さん…?
(彼女に話を聞いてもらっているうちに、なぜかとても気持ちが落ち着いたのを覚えている)
(今日、その姿を見かけたのは天の配剤のようにすら思えて)
(急いで駆け寄って声をかけた)

島田さん、こんにちは。
この前はジャージを届けてくださってありがとう。
いつでもよかったのに。
(貸したジャージはきれいに包まれてロッカールームの中においてあった)
(どうやって置いたのかという疑問はあったものの、丁寧に返してくれたことに、まずは礼を言う)

【こちらも遅くなってしまって(汗】
【ちょっと確定っぽいんですが、よろしくお願いします】
496島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2009/02/16(月) 23:32:20 ID:1/rvfRCg
……っ!
(前の光景に気を取られているところに後ろから声をかけられて)
(思わず肩を震わせてしまう)
(振り向くと、そこに立っていたのは背の高い、ショートカットの少女だった)

……と、あっ、伊織さんっ。
こ、こんにちは、です。
(陸上部の選手で、六花にジャージを貸してくれた、あのひとだ)
(あまりに思い詰めていたために咄嗟に思い出せなかったものの、)
(僅かながら落ち着きを取り戻せば、すぐに名前が出てきた)

いえ、お借りしたものですしっ、それで伊織さんが困ったら、申し訳ないですしっ。
あのときはほんとうに、ありがとうございましたっ。
(深々と頭を下げ、こちらからも礼を返す)
(あのあとすぐ、洗い直したジャージは陸上部の部室に返却した)
(こっそり、鍵を開けて侵入したのは秘密だ)

……もしかして、伊織さんも、あの、お店に……?
(不意に彼女が六花と同じ方向を見ていたのに気付き)
(恐る恐る、尋ねてみた)

【…あ、文芸誌同好会“の会誌”、でした】
【補完お願いしますorz】
497伊織津綺子 ◆IorinFNlA2 :2009/02/16(月) 23:40:38 ID:+8NtIm7p
こんにちは。
こちらこそ、お役に立ててよかった。
返してくれるのはいつでもよかったのに。
(鷹揚な笑顔でおっとりと言う)
(いつもの令嬢然とした態度を取り戻せて、少し気持ちに余裕が出た)

ええ、わたしもおいしいお店だって聞いたのでいくつかプレゼントを、と思って。
もしかしたら、島田さんもあちらへ?
(知らず知らず気体に満ちた視線を送る)
(一緒に行ってくれる友達がいたら心強い)
よろしかったら、ご一緒しません?
(よろしかったらどころか、全身から断れないような妙な迫力をにじませて)
(ぐっと身を乗り出した)

【補完了解ですー】
498島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2009/02/16(月) 23:50:11 ID:1/rvfRCg
や、やっぱりそうでしたか。
わた、わたしもそう聞いて、行って見ようと思ったのですけれど……
すごい、ひとだから。びっくりして、しまって。近付けなくて。
(先ほど向けられた品のある笑みに)
(次第に違う気配が込められてきたような、来ないような)
(妙な圧力を感じながら、つっかえつっかえ答える)

……は、はいっ。ぜぜぜひ、わたしからも、おねがいしたいのですっ。
(店から漂うオーラにも劣らない迫力で誘われて)
(六花はかくかくと頷くしかなかった)

……バレンタインって、お世話になってるひとに、お礼することで、良いのですよね。
(店のほうへと歩きながら、隣の彼女に問いかける)
(常識に欠ける自分は、またおかしなことをやらかしはしないだろうかと)
(自分でも心配になるのだ)
499伊織津綺子 ◆IorinFNlA2 :2009/02/17(火) 00:01:29 ID:MgRMD4bC
いつもはあるのかないのかわからないようなお店なのに
この時期だけは賑わっていて…
(去年までは縁のない店だった)
(これまでは家族やコーチなどに送る義理チョコは自作していたのだ)
(店へわざわざ買いに出向く、というのは17年の人生でほぼ初めてといっていい)

そんなにびっくりしなくても、大丈夫よ
たくさんいるだけで、みんな同じ人間同士なんだもの…!
(気軽な励ましにしては妙に力が入っている)
(半ばは自分に言い聞かせている台詞)
(まさか六花が人間ではないなどとは思いもよらず)

え、そ、そう、お世話になったお礼…でも間違っていないと思うけど。
女性から、男性へ…告白できる日、でもあるし、
大切な男性に日ごろの思いをこめて……とか……
(今度は妙に照れはじめる)
(要するに17年の人生で初めてそういう男性ができたので)
(自作ではないジンクスのあるチョコレートをなんとしても入手したいと思ったのだった)

500島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2009/02/17(火) 00:15:01 ID:oXVlUcr5
そ、そう、ですよねっ。
(何だろう、前に話した時とは雰囲気が違っているような)
(その時の彼女は何か悩んでいるようだった、というのもあるが)
(何かこう、妙にバイタリティに溢れているというか)
……同じ、人間。
(やや気圧され気味になりながらも、その言葉を、反芻する)
(異質な自分が、ヒトに混ざって、ヒトの年中行事を行う)
(――少し、複雑な気持ちになる)

……わ、わたしは、そういうの、では、は、ないのです、けれど……
(頬を染める彼女には、“大切な”ひとがいるのだろうか)
じゃあ、伊織さんも、そういうかた、に?
(彼女には、凛々しいアスリートというイメージを抱いていたが)
(その“女の子”らしい表情や口調に、思わず笑みが浮かぶ)
501伊織津綺子 ◆IorinFNlA2 :2009/02/17(火) 00:24:53 ID:MgRMD4bC
ええ、同じ、人間、ですから。
(すでに目の前に人の波が迫っていた)
(何をいまさら確認するのか、力強く六花に相槌を打つ)
(その言葉が、彼女にとっては別に深い意味を持つのだとは思いもよらずに)

そ、そういう、方……
(どきん、として、店に突入しようとしていた気力がくじかれた)
(びっくりしたような顔で六花を省みる)
(無垢な六花の笑みに、見る見るほほから耳元に血の色が上った)

え、まあ、あの……ええ、そういう、方…なのです…。
(脳裏に描く迫水直の面影は、あたかも一昔前の少女マンガのごとく)
(花と星とを背負っている)
(今、ここに御木本正太郎がいたら、その映像だけで胸焼けを起こしているかもしれない)

…いけない!
(水を浴びた犬のように、ぶるぶると顔を振って直の残像を打ち消すと)
さあ、行きましょう!
(むやみに気合を入れて六花の手を握り締めた)

(目の前には少女たちでごった返す瀟洒なショコラティエ)
502島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2009/02/17(火) 00:38:03 ID:oXVlUcr5
……え、えと……
(六花の問いに、みるみる耳の先まで真っ赤に染めてしまった彼女の顔に)
(何かいけないことを言ってしまったのかと、戸惑ってしまう)
(けれど、それすらもとても、可愛らしく見えた)

そ、う、なのですか……
(それがどんな相手なのか、と問うことなど、思い付きもしなかった)
(まさか、六花に血を分け与えてくれた、あの異形憑きの青年そのひとだとは、思いもしない)
(2度目に会った時に、彼の口から彼女の名前を聞いてはいたのだが)
(それが目の前の彼女と、まだ結び付いてはいなかった)

え、あゎ、は、はいっ。
(気合いの声とともに手を取られて)
(六花は引きずられるように、店へと向かっていった)

……や、やっぱり、すごい、ひと……
(閉まる間もないほどに、ひとの出入りの激しいドアをくぐり抜けると)
ん、わっ……!
(そこには、チョコレート好きの六花には堪らない甘い世界が広がっていた)
い、伊織さん、すごいですねっ。
(思わずテンションが跳ね上がり、彼女に語りかける)
503伊織津綺子 ◆IorinFNlA2 :2009/02/17(火) 00:49:27 ID:MgRMD4bC
きゃっ……
(たちまち押し合いへしあいする少女たちに、もみくちゃにされてしまう)
だ、大丈…夫……?
(それでも六花を気遣ったつもりでふとみると)

………。
(六花はそれこそ少女マンガのように目をきらきらさせながら)
(人ごみもものともせず、チョコレートに見入っていた)

(人気なだけにチョコレートは細工も美しく)
(これまで一度も足を運ばなかったのをちょっと残念に思うほどだった)
(同じチョコレートだとは思えないほど、色も形もさまざまで)
(六花の、ピュアな感性が伝染してくるようで)
(幼児のように純粋にチョコレートがたくさんあることそのものに胸をときめかせて)
それ下さい、えーと、そこのも2つ、それも、それと、あっちのも2つ……
(夢中になってオーダーを重ねて)
(気がつくと、大変な量を買い込んでしまっていた)

島田さん、お買い物できた…?
(包んでもらう段になって、ようやく我に返って六花に声をかける)
504島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2009/02/17(火) 01:07:06 ID:oXVlUcr5
だ、だいじょうぶ、なのですっ。
(目を輝かせて、うんうんと頷く)
(こんなに素敵な世界の、何を怖がっていたのだろう)
(この空間にいられるのなら、人混みなど、恐れるに足りない)

(何とかひとの波を抜けて、壁際の棚の前へと辿り着く)
(仕切られた箱に詰められた、ひと口サイズのトリュフやボンボンショコラ)
(ハート柄が可愛らしくプリントされたプラリネ)
(アーモンドを乗せた、ココア色のクッキー)
………………。
(目移りどころではない)
(どれを買うか、贈るかよりも寧ろ、全部食べたい)
…………だめ、だめ。しょーたろーさんに、あげるんだものっ。
(沸き起こる食欲を首をぶんぶんと振って振り払い、真剣な眼差しで)
(ひとつひとつ品定めしてゆく)
(この街に来て、六花にいちばんたくさんのしあわせをくれたひとだから)
(このいっぱいの感謝の気持ちを、伝えたい)
(喜んで、ほしい)

(レジのほうから呼ばれてそちらを向くと、彼女はもうたくさんのチョコレートを)
(綺麗にラッピングして貰っていた)
……ん、わたしは、これに。
(六花が選んだのは、赤いハート型のボックスに詰められたアソートで)
(とびきり甘そうなトリュフやプラリネが詰められていた)
(少し緊張しながら支払いを済ませると、ふたり並んで店を出た)
505伊織津綺子 ◆IorinFNlA2 :2009/02/17(火) 01:15:54 ID:MgRMD4bC
はあぁぁ……
(店を出て、思わず深呼吸してしまう)
すごい人だったね……
(出てきて改めて振り返ると、今しがたまで自分が身を置いていた熱気が)
(それは店に入る前とは、明らかに違って感じる)

みんな夢中になるの、わかる。
お菓子がたくさんあるって、すごく幸せな気持ちになるね。
…みんな、大好きな人のために、大事にチョコレートを選んでるのが
もうひしひし伝わってきて。
(そういう自分も、とても一人に贈るとは思えない量のチョコレートを抱えている)
(包みは一つに、と言ったときの店員の目は少なからず驚いていたが)
(直と一緒に食べ物をオーダーするときの店員の表情には、もう慣れていた)

島田さんも、きっとお相手の方に気持ちが伝わると思うわ。
(長距離を完走した後のように、すがすがしい笑顔でそういった)
(その相手が、かの御木本正太郎だとは夢にも思わない)

【そろそろ締めでよろしいでしょうか】



506島田 六花 ◆Rikka6HNi6 :2009/02/17(火) 01:32:12 ID:oXVlUcr5
……はい、ほんとうに……
でも、とても、楽しかったのですっ。
(店から出てきた今なら分かる)
(今、この胸の中にある温かい――熱い気持ちが、あの熱気を生むのだと)

甘くて、ひと口食べたるだけで幸せになれるものが、お店じゅういっぱいで。
それを、大切なひとに、分けてあげられる……うん。
素敵ですね、そういうの。
(ひと抱えはある紙袋を持った彼女と、)
(一番小さなサイズの紙袋を持った六花)
(そんなに、違わないのかもしれない――ヒトでも、ヒトでなくても)

わたし、の……
(心地よい達成感を覚えながら、思う)
……いろんなこと、教えてくれて、ありがとうって。
……あったかさを分けてくれて、ありがとうって。
……いっしょに遊んでくれて、ありがとうって。

…………これからも、仲良くしてくださいって。
言えたら、伝えられたら、とても、とても――良いのです。
(紙袋をきゅっと胸に抱いて、呟く)

――伊織さんも、そのかたが喜んでくださると、いいですね。
(そして満面の笑みで、答えた)

【はい。わたしは次くらいで】
507伊織津綺子 ◆IorinFNlA2
これまではね、お金を出してすぐ手に入るものよりも
手をかけて作ったものの方が、誠意がこもってるって
そう言われて、ずっとそうしてきたの。
(そう言ったのは祖母であり、それは厳しいしつけの一環でもあった)
(金銭的には恵まれた家庭だからこそ、お金では買えないものがあると教えられてきたのだが)
(自分はお金のありがたみも知らないうちに、言われたことを丸呑みにしていただけなのだ)

でも、プロの人が気持ちをこめて作ったものって、
それだけでパワーがあるのね…。
一つ一つ、みんな欲しいって思わせる、すごい力があって…
だから、あそこのチョコをあげると思いが実るって言われてるんだわ。

大切な人に、あげたいって思えるのよね……。

(いささか度を失った買い物ではあったが、それは本当に幸せを約束してくれそうな)
(そんなオーラを持っている)

島田さんも、きっとお相手の方は喜んでくださると思う。
がんばって選んだのだもの。

(この少女といると、やっぱり気持ちにパワーを与えられる)
(それは上出来なチョコレートの一粒のように)
(直の部屋へ向かう足取りは、いっそう軽くなって)

【ではこちらはここで締めさせていただきます】
【最後の締めをよろしくお願いしますね】