【異能】黄昏の学園3【異端】

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605真賀樹 漸 ◆sAnaoYqjdU :2008/06/25(水) 21:46:39 ID:3pbWD2/O
【了解了解。旧校舎地下迷宮の描写は、きっちりとしておきたかったから】
【今回はそれでいこう。じゃあいきなりだけど、突入したシーンからでいいかな?】
【よければ次から書き出すよ】
606霧原朱音 ◆FdHN5Mb0fw :2008/06/25(水) 21:48:51 ID:lGXtToM7
【ああ、我侭聞いてもらってすまないね】
【では、お願いしよう】
607真賀樹 漸 ◆sAnaoYqjdU :2008/06/25(水) 21:58:40 ID:3pbWD2/O
(――――××学園の園旧校舎。その地下は迷宮となり、数多の怪物が徘徊し)
(秘宝を守っている。地下迷宮の存在を知る者は少ないが、それを知る者は)
(その危険な領域へと赴き、秘宝を求めて、知力と体力を駆使してそれに挑む)

じゃあ、今から突入するけど・・・・・・準備はいいかい?
ここから先は、まともな世界じゃないって事だけは頭に叩きこんでおいてね。
(用務員室の畳をひっくり返し、その下に大きな井戸が穴を開いている)
(ここが迷宮への唯一と言っていい出入口であり、そこには数本の縄と梯子が垂らされている)
(それは、かつてここに挑戦したハンターの名残であり、現在挑戦している彼を地下へと誘う梯子である)

異能だろうがなんだろうが、ハントっていうのは大変だからね。
(先日知り合い、組むことになった少女――霧原朱音に言う彼は既に暗視ゴーグルを被り)
(各種装備を身に着け、道具の入ったリュックを背負っている。これが彼のハンターとしての姿である)
608霧原朱音 ◆FdHN5Mb0fw :2008/06/25(水) 22:11:19 ID:lGXtToM7
(目の前の畳がひっくり返されると、そこに現れたのは古井戸)
(辛うじて底が見えるかどうか、といったほどの深さの井戸を目の前にして、霧原朱音は小さく笑った)
準備、といえるほどのものかどうかはわからないがね。
私に必要なものは、全て携えてきたつもりだよ。
(そんな重装備の男とは対照的に、彼女はいつもの制服姿でそこにいた)
(ただやはりその背には、小さなリュックを背負っていたが)
(中身はただのペットボトル。わずかな赤みを帯びた液体がなみなみと)
(大抵のことはこれで事足りる。だからこそのこの装備ではあるのだが)

……どうにも、あんたと比べると頼りなさが漂っているよねぇ。私は。
確かに仕掛けとかそういう面倒ごとは大体任せる、とは言ったけど。
本当にこれだけでよかったのかい?まあ、一学生にそろえられる程度のものがどれだけ役に立つのかもわからないけど。
(あきれたように言う彼女。たとえこんなときにでも、その姿には一切変わりはないのであった)
(唯一つ、彼女の周りを薄く霧が纏っていることを除いては)
609真賀樹 漸 ◆sAnaoYqjdU :2008/06/25(水) 22:24:59 ID:3pbWD2/O
ま、そこまで複雑に入り組んではいないからね。
問題は、通路が狭くて足元が悪くて、ついでに光源が少ないんで、
普通に歩くのにも結構神経使うってことかな。
(畳を部屋の隅に立てかけ、進入路へと足を入れ、井戸の縁に着地する)

んー、ま、下手に重装備して身軽さが失われたらそっちの方が大変だしね。
慣れてないと、体力の消耗が普段より激しいし、それでいいよ。
(彼は彼女の軽装に対してコメントして、慎重に縄梯子へと足を掛け体重を預ける)
(地下までは約三十メートルであり、そこから先は大広間が広がっている)
(その大広間から四方八方に洞穴があり、そこから迷宮が広がっている)
(彼は既に三つの迷宮を踏破し、三つの秘宝を入手していた)

じゃ、まずは行ってみようか。
行動に勝るものはない。ともかく、頼りにしてるよ。
(何処まで本気で言っているのか定かではない盗掘屋は)
(軽やかな身のこなしで地下へと潜っていった。彼はするすると梯子を降り、大広間に到着した)
(どの国のどの時代の様式かもわからぬ造形をした大広間。そこは薄暗いが、微かに何処からか)
(光が差し込んでいるようであり、肉眼でも辛うじて何かがそこにあると認識できる程度だった)
610霧原朱音 ◆FdHN5Mb0fw :2008/06/25(水) 22:37:24 ID:lGXtToM7
それは普通に大変だね。ま、足元がお留守にならないように行くとしようか。
(ふわ、と足元の霧が濃くなった)
(その霧を構成する水滴の一粒一粒は既に彼女の支配下にあり、つまりは触覚を有するということで)
(まあ、ある程度は役に立つだろう、というわけでめぐらせているのであった)

別に、このくらいで参るほどヤワじゃあないんだけどね。
これでいいってなら、そういうことにしておくよ。
(続いて、縄梯子に足をかけ手をかける)
ん……意外と揺れるな、これは。
(井戸の中とはいえ、縄梯子はそれなりに揺れる)
(おまけになれないこととあって、少しは苦戦していたらしい)
(ついでに言えば、今日の彼女は制服姿。つまりはスカートというわけで)
(きっと、下からのぞけば素敵な光景が見えることだろう。それはともかく)

さくっ、と降りたいところだけど……こんなところで無駄遣いするのも考え物だ。
ゆっくり降りるとしようか。……しかし、だんだん雰囲気出てきたねぇ。
(空気が変わり始めたのを感じて、縄梯子に手をかけながら自然笑みがこぼれてしまい)
(そして、彼が地下に降りてからたっぷり2分ほどの時間をかけて、彼女も地下へと降り立った)

さすがに暗いね、この上足場が悪いとなると、確かに苦戦はしそうだ。
(暗がりの奥に何かが見える、目を凝らして見つめながら)
さすがに、明かりの一つくらい自前で用意してくるべきだったね。
611真賀樹 漸 ◆sAnaoYqjdU :2008/06/25(水) 22:51:25 ID:3pbWD2/O
――うむ、これはいい。
(上を見上げ、荘厳な雰囲気すら伴って、一人呟く。当然というかなんというか)
(暗視ゴーグルにてその楽しい光景をきっちりと網膜に焼きつけて脳内に保存している盗掘屋だった)
(彼はこういう部分でも抜け目がない。・・・・・・単にスケベなだけとも言うが)

(その光景が終わる頃、彼女は降りてきて、暗さに関してコメントする)
洞穴の中はもう少し暗いね。明るい場合もあるんだけど、外からだとわからないからね。
(大広間の壁面にある幾つかの洞穴を指して言う。迷宮への入口だ。外からではどんな構造をしているのか)
(予想できず、経験的にひとつの洞穴ごとに特色があり、クリーチャーの種類も違う)
ランタンくらいならあるけどね。片手が塞がるのも考えものだし・・・・・・
ちょっと型が古いけど、予備のこれ使ってみる?最初は嵩張ると思うけど、慣れれば平気だよ。
(リュックの中から予備の暗視ゴーグルを取り出して、彼女に差し出す。彼が昔使っていたゴーグルでもある)

612霧原朱音 ◆FdHN5Mb0fw :2008/06/25(水) 23:01:24 ID:lGXtToM7
何か面白いものでも見えたかい?
(呟きを耳に留めて、相変わらずなペースで縄梯子を降りる)
(未経験者を先行させるわけにも行かないし、これは起こるべくして起こった必然である)

この上まだ暗くなるって?そりゃあ大変だ、下手すると何も見えなくなりそうだ。
……ある程度進んだところで、こっそり隠れてやり過ごしてさ。それだ後は一人で戻れば。
そうすれば、こういったところのことをろくに知らない私だ、多分生きては出られないだろうね。
(内心だけで危惧すればいいことを、あえて口にした)
(実際そうされると、おそらく打つ手はないのだろう。それでも言ってみた)
ま、そんなことにはならないように願いたいけどね。
(暗がりの中で、くくと肩を揺らして笑った)

いいのかい?おぉ……これぞまさしく探検、って感じだねぇ。
(渡された暗視ゴーグルに興味津々と言った様子で、しばらく弄繰り回して装着した)
確かに見える!これはいいね。一体どこで買えるんだい?こういうの。
(おもちゃを与えられた子供のように喜んで)
(あたりをきょろきょろ物珍しそうに眺めている)
613真賀樹 漸 ◆sAnaoYqjdU :2008/06/25(水) 23:14:15 ID:3pbWD2/O
ああ、とても素敵なものがね。
いい眼の保養になったよ。これだけでもキミと組んだ甲斐があったね。
(平然とした態度を崩さず切り返す。この程度は彼にとってジョークの範疇である)
(荒くれ野郎と商売女に囲まれて育ってきた彼には、気にするほどの事でもない)

・・・・・・なるほど、その手があったか。けど、そんなことするくらいなら化け物から身を
守る為の盾にした方がまだ有意義というものだから、安心していいよ。
(軽やかな態度で言ってのける。別の意味で安心できない内容ではあるが)
これでも、最低限度の仁義はあるつもりさ。少なくとも、陥れるつもりの人間をわざわざ
こんな場所にまで引っ張ってくるほど酔狂でも暇人でもないことは、断言できるよ。

それは組織からの支給品だよ。僕が昔使ってたやつ。まだ現役で使えると思うけどね。
日本でも、それっぽいのは割合売ってるみたいだね。相場はよく知らないけど、
安いのでもノートパソコン程度の値段だったような・・・・・そろそろ行こうか?
(子供の様に喜ぶ彼女に、このままでは埒が明かないと判断し、催促する)

――今日は、この洞穴に行ってみるか。
(幾つかある洞穴から適当に選び、今回はここを攻略すると決める)
614霧原朱音 ◆FdHN5Mb0fw :2008/06/25(水) 23:26:23 ID:lGXtToM7
へぇ、そりゃあ羨ましい。
でも……特にたいしたものは見えないけどね。あんたにとっては、価値のあるものだったのかね?
(ゴーグル越しに眺めているが、これといって面白いものは見つからない)
(多分、彼にとっては面白い何かがそこにはあったのだろうと考えて)
(少し残念だったが、それ以上の追求はやめることにした)

……そうかい、どこまで信用できるかって話もあるけど。
まあ、最初くらいは良い目を見せておくれよ。そうしたら、私が使えるところも見せてやるからさ。
(背負ったリュックを軽く揺らして)
それはつまり、最低限度の仁義しか持ち合わせていないわけだ。
それ相応の扱いは覚悟しておけ、そういうことだろう?望むところさ。
(先を歩く彼に、にやりと笑って言葉を放った)

ああ、問題なく使えてる。視界はきわめて良好だ。
(これだけ見えているのなら、足元にだけ注意を払う必要もない)
(するりと再び彼女は霧を纏い)
やっぱりそういう専門の店とかで探さないと見つからないんだろうね。
ああ、そういえば今はネット通販、って手もあったか。
(と、本気で購入を検討し始めていたところ)

………ああ、そうだったね。うっかり気をとられていたよ。
しかしずいぶん道が分かれてるね……どこまで潜ったんだい、あんたは?
(無数に開いた入り口の一つ一つを眺めつつ)
615真賀樹 漸 ◆sAnaoYqjdU :2008/06/25(水) 23:40:08 ID:3pbWD2/O
ま、口に出せる程度の信用度なんて、紙切れと同じだよね。
今後、よい関係を築けると僕としてもありがたいよ。
(少なくとも、背後から斬りかかられない程度の信頼性は確保したい)
(と胸中で呟く盗掘屋だった。何度かそういう経験をした身としては切実である)
こう見えても紳士なんだけどね、僕は。女性相手でベッドの上に限定されるけど。
野外プレイというのも割と好きなんだけど、虫よけスプレーが必須だからね。
ま、お望みのプレイがあったらいつでも言ってくれ。応えられるよう努力するから。
(卑猥な冗談を言って、雰囲気を緩和させるよう努める)

いい時代になったもんだよね。昔はこんな装備なかったし、松明かランタンが
必須アイテムだったんだよね。お金があれば、ネットで何でも買えるし。ナイフでも拳銃でも

僕が踏破したのは三つだよ。生憎と、他にも行くべき場所があってね。
ここだけに専念してるわけじゃないし。何せ確実に化け物がいるとわかっている場所に
何の準備もなく踏み込めるほど、僕は能天気じゃないよ。だからキミがいてくれて助かったよ。
(この部分だけは何の計算も打算もなく、彼は真実を述べてる。助かったというのも本当である)
(暗い洞穴に足を踏み入れる。二十メートルの暗闇を踏破し、やがて壁にぶつかった)


【さて、今夜はそろそろ凍結でいいかな】
【明日と土曜日の20時以降は、空いてるけど、他の日は未定だね】
616霧原朱音 ◆FdHN5Mb0fw :2008/06/25(水) 23:51:48 ID:lGXtToM7
まあ、そういうことだね。お互いに信用は、まだできないだろう。
でも、私の楽しみのためにはあんたが必要だ。
必要なものを意味もなく壊すほど、私もまだ狂っちゃいない。まだ、ね。
(心底楽しそうだ、と言った様子で)
(そのいつか、が来るのかどうかはまだ定かではないが)
(奇妙な確信はある、この体を流れる血潮が、いつかそれを訴えだすだろうと)
ははは、そりゃまたなんとも実用的な紳士だことで。
しかし、そんなことを言われるとなおさら信用いかなくなりそうだけど。
そうだな……この探検が最高に楽しく終わったら、考えておくさ。
そのときは、精一杯歓迎してあげるよ。
(後ろに続きながら、小さく肩をすくめて)

私には、その昔っていう時代がどんな時代だったかよく覚えてないんだけどね。
とりあえず、今はいろいろと便利になってる。それでいいさ。

この中で、三つか。
(無数に広がる洞穴に)
……先は、まだまだ長そうだねぇ。今日はなんとか、四つ目を攻略したいところだけど。
へぇ、やっぱり居るんだ。そういうの。
(戦いの予感がすると、思わず小さく身を震わせて)
ああ、任せておきなよ。化け物の相手は、化け物がするもんだ。
(そしてやがて、一度その歩みが止まった)

【それじゃあ明日、20時ってことでいいね】
【楽しみにさせてもらうよ。それじゃあまた】
617真賀樹 漸 ◆sAnaoYqjdU :2008/06/25(水) 23:52:54 ID:3pbWD2/O
【了解。今夜はお疲れ様】
【また明日よろしく】
618霧原朱音 ◆FdHN5Mb0fw :2008/06/26(木) 19:56:36 ID:HLtMYcYa
【さて、では今日も待たせてもらおうか】
619真賀樹 漸 ◆sAnaoYqjdU :2008/06/26(木) 19:59:35 ID:NHSiNn39
(危険な生き物と接する時に、心得なければならないこと)
(それは油断しないことと、心を許さないことに尽きる)
(彼女――霧原朱音は本質的に危険な生き物である)
(細心の注意を払いつつ、それでいて平静を装い弱みを見せないよう留意する)

――どうにも、その化け物たちは、この遺跡を残した者たちが作った代物らしくてね。
多分、既存の生き物の遺伝子を組み替えたり、掛け合わせたり、改造したりしてるみたいだ。
その技術だけとって見ても、大したものだよ。今の技術じゃアレほど見事な改造は無理だろう。
(その叡智(テクノロジー)の結晶たる秘宝。期待感はある。故に彼はこの遺跡に挑むのだが)

またか・・・・・ちょっと待ってね。
(よく見ると、その壁は石板となり、文字が刻まれている。攻略した三つの洞穴も似たような石板があり)
(それを解かなければこの先には進めなかった。壁に刻まれた暗号を大雑把に解読し、幾つかの小さい)
(四角の石を移動させるカチリと音がして解除終了。重い音を立てて壁は左右に広がっていった)
おいおい、またこれはとんでもないね・・・・・・
朱音、気をつけて。どんな生き物が出るかちょっと予測できたから。
(中はほんの少しだけ明度があり、暗視ゴーグルを介してならはっきりと物が認識できた)
(入口から一歩踏み出すと、そこはアマゾンを思わせる原始的な原生林が広がっていた)

【レスを投下するよ、今夜もよろしく】
620霧原朱音 ◆FdHN5Mb0fw :2008/06/26(木) 20:10:19 ID:HLtMYcYa
へぇ……それまた大層なことだ。
しかし、それだけ凄い技術が残されてるかもしれないってなら、もっと大々的な調査が組まれてもよさそうなもんだけどね。
いくら化け物が出るからって、手がないわけじゃあないだろうに。
……それとも、まるっきり人知の及ばない怪物でも潜んでいたりするのかな?
(ゴゴゴ、と擦過音を残して開いていく扉に向けて呟いて)
まあ、そんなことをされた日には私らの楽しみがなくなるわけだから、これは歓迎すべき事態なんだろうけど。
(目の前にゆっくりと広がる光景に、にぃ、と口元をゆがめた)

これまた、ずいぶんと洒落た迷宮だ。……風が吹いてきてるね。
どこか地上にでも繋がってるのか、それとも私らには及びもつかない何かが、ここにあるのか。
(どちらでも考えうる、歓迎すべきはもちろん後者)
遺跡って言うからさ、よくあるゲームのダンジョンみたいなのを想像してたけど。
ま、いずれにせよ注意しとくに越したことはなさそうだね。
(鬱蒼と茂る原生林、葦の高い草も多く見て取れる)
(これでは、自慢の霧も無駄だった。何せ風まで吹いている。あちらこちらで草木が動く)
(そんな動きをいちいち感じ取るのは煩雑だし、そんな中で迫る敵の動きだけを感じ取れるほど器用でもなかった)
(それゆえに、不意にその霧は掻き消えた)
621真賀樹 漸 ◆sAnaoYqjdU :2008/06/26(木) 20:23:22 ID:NHSiNn39
この迷宮の存在自体、そこまで知られてないからね。
五、六年ほど前挑んだハンターが、消息を絶ってから誰も挑んでないよ。
元々、日本自体そこまで注目度は高くないんだよ。それだけに何が残ってるから
わからないって部分もあるんだけどね。だから僕がこうして挑んでるわけさ。
(彼女の言うように、人知の及ばない化け物か神秘があるのだろう)
(危険度と比例するように期待感は増す)

どうやって育ってるんだ、この植物は?
水分はともかく、太陽も必要だろうし・・・・・・・これも古代の叡智という奴か。
(風の流れる方向へと進むことにする。恐らく通路なり何なりがあるはずだ)
僕の後について来て。足元にも気を付けてね。蛇とか毒虫がいるかもしれないし。
(進む度、草木を掻きわける作業に迫られる。リュックから鉈を取り出して、バサバサと薙ぎ倒す)
(こういう場所では、得意の糸は活用できない。それも踏まえるなら素早くここを抜け出るべきだった)
(暫く単調な作業を繰り返し、漸く森から抜ける。そこは森の中にある湖だった)

おお、明るい。
(外と変わらない明度となり、不要になった暗視ゴーグルを外す)
(それを待ち構えていたかのように、湖から何かが這い出す。それは子供ほどの体格のある蛙)
(一匹二匹三匹・・・・・・・・十匹十二匹十三匹・・・・・・次々と増えていく。ケロケロと合唱する)

――戦闘開始、だね。
622霧原朱音 ◆FdHN5Mb0fw :2008/06/26(木) 20:43:12 ID:HLtMYcYa
と、いうことはだ。今がチャンスってわけだね。
こんなとんでもない場所、いずれは誰かが知るだろう。あんたが知りえたようにしてね。
そして、厄介な連中がかぎつけてくる前に片っ端から暴いてしまおうじゃないか。
それまでは、私もずっと退屈せずに居られそうだ。
(この遺跡がどれだけ深く広がっているのかはわからない)
(だが、広間で見えた道の数、そしてその一つ一つにこれだけ広大な遺跡が広がっているとするのなら)
(それはきっと、途方もないスケールの退屈しのぎになることは間違いなかった)

もしかしたら、育ち方自体上の植物とは違ったりしてね。
普通の植物のようにも見えて、実は全部苔か何かだった、とかさ。
(あらかた切り開かれた道を、後ろに続いて悠然と歩く)
ほんと、用意がいいねぇ。
(ばっさばっさと草をなぎ倒しながら進む姿に、感心したような声を上げた)
(視界を遮らんほどの高い草木。それに覆われたこの場所)
(確かに奇襲をかけるにはうってつけとも言えるだろう、だからこそそれなりに注意を払って後に続いていた)

……どのあたりなんだろうねぇ、ここは。町の。
(急に明るくなった視界にまぶしそうに目を細め、ゴーグルを外す)
(湖面にぷかりと泡が立つ、それに続いて這い出してきた巨大な蛙)
こう……なんだ、手のひらサイズでも十分気味が悪いってのに。
このサイズだとそれすら通り越して笑えて来るな、逆に。
(リュックから後ろ手にペットボトルを取り出して、双剣よろしく両手に構え)

ああ、これでこそってやつだ。でも、最初の雑魚くらい、さっさと片付けないとな。
(その刹那、大凡20にも届こうかという数の蛙が一斉に跳んだ)
(その巨躯に見合うほどの跳躍を見せ、降り注ぐ異形の群れ)
(それを見上げて、彼女は笑った)
さぁて……行くよ。
(上空めがけて構えたペットボトル、その底から鈍い音とともに打ち出された無数の水弾)
(その弾丸は逃げ場のない空中で蛙たちを次々に捕らえ、貫けないまでも弾き飛ばして叩き落していく)
(それでもその攻撃を免れ、頭上まで落下してきた蛙めがけて)
せ……ぇぇぃっ!!
(ペットボトルを食い破り、その手に握るは水の双刃。目前に迫った蛙めがけて、その刃を叩き付けた)
(高圧にして極薄の刃を直接受けた蛙は、今度ばかりは両断されて彼女の背後にどさり、と落ちた)
623真賀樹 漸 ◆sAnaoYqjdU :2008/06/26(木) 21:01:35 ID:NHSiNn39
深き者にも、水棲人類にも似てるけどな。
――その亜種か同類項だろうけど。
(異様な蛙。現存するどんな蛙とも違う蛙を前にして呟く)
(何より異様なのは微妙に哺乳類――人間の特徴も備えていることだろう)
(それに挑むのは未知なる細菌に犯された少女――霧原朱音。跳びかかり振り注ぐ)
(蛙の群れに対し、放たれるのは水で形成された弾丸。それに討ち落される蛙たち)

ほう、芸が細かい。こっちも負けてられないな。
(水刃を形成し、舞うようにして刃を振るう。その水圧にて切断される巨大蛙)
(負けじと、こちらも微細な糸を操り、ある者を絡め取り、ある者を切断し、ある者を貫く)
所詮は蛙。単調な攻撃だね。けど気をつけて。
(頭上に降り注ぐ蛙たちを防ぎ、残りの蛙も同様に首を断ち切る。ピクピクと痙攣し屍を晒す)
(蛙が瞬く間に増えていく。それを埋めうわせる様に、湖から次々と這いいずる蛙たち)
(ケロケロと合唱。それはまるで、魔術の呪文の様な韻律を持っていて――)

――多すぎる・・・・・・なっ?
(横一列に並んだ蛙たちが口を開く。そこから高水圧にて放たれる水鉄砲)
(反射的に電磁フィールドを展開。人間を薙ぎ倒すに足るその攻撃を辛うじて電磁場が防いだ)
ち、ジリ貧だな。もしかしてどっか装置を解除しない限り、無限出現ってことはないか?
(拳銃を抜き放ち、次々と弾丸を叩きこむ。一匹二匹に仰け反るが、形勢を覆すには足らない)

624霧原朱音 ◆FdHN5Mb0fw :2008/06/26(木) 21:20:25 ID:HLtMYcYa
しぶといねぇ……動きはたいしたことなさそうだけど……っ!?
(水弾に打ち落とされて地に落ちた蛙がまた、動き出す)
(倒した数だけ湧き出てくるように現れる蛙に、わずかに焦りのような表情が浮かんだ瞬間に)
(意趣返しとばかりに高圧の水弾が迫り来る)
(しかし、それは全て目の前で弾けて消えた、薄い電磁の膜が彼女を護っていた)
……芸が細かいのはお互い様だろ。
(両手を寄り合わせて駆ける、特大の水の刃を形成し、横一文字に切り裂いた)
(しかし、それでも湧き出る蛙は止まず)

ほんと、キリがないよね。確かに、何か仕掛けがありそうだ。
もっとも、いっそのことこいつら放置してさっさと先に行く、ってのもありだけど。
幸い、動きはそれほど早くはなさそうだ……ぐっ!?
(再び二つに分れた水の刃で迫る蛙を叩き伏せた。その刹那、視界に飛び込む赤い影)
(それは首を狙って迫り、首を逸らせて避けるも薄皮一枚切り裂いていった)
ったく、本当に厄介な……。
(それは、舌。鋭く、そしてしなやかに、その刃は次々に撃ち抜かれた)

ああ、もう鬱陶しい!仕掛けがあるならさっさと解いて来い!ここは私が何とかするっ!
(延々と敵をなぎ倒すだけというのは、命がかかっているといっても退屈だった)
(耐えかねて怒声を発する。そして取り出したのは、純粋な赤い液体の注がれたペットボトル)
(それを放り投げると、空中で爆散。無数の水の槍となって蛙の体を貫いた)
(もちろん、それで全ての蛙の動きを止められたわけでもなく、いまだに湖からは新たな蛙が湧き出ているのだが)

あーゆー水弾を撃つってことは、さ。体の中に水を蓄えてるってことだ。
それなら、私にはこういう戦い方がある。
(言葉と同時に、赤い槍を受けた蛙の体が膨張した)
(そしてその体を食い破って突き出る無数の槍。それに貫かれた蛙からもまた、槍が生える)
(次々に蛙が撃ち抜かれ、沸き出でてまた撃ち抜かれる)
(その血が完全に薄まるまでは、そこでは延々と異形の殺戮が繰り返されていた)

……早く、しなよ。
(大量の液体の同時操作は、少なからず負担をかけているのだろう)
(彼女は、額に汗をにじませていた)
625真賀樹 漸 ◆sAnaoYqjdU :2008/06/26(木) 21:38:16 ID:NHSiNn39
そっちと違って、自前じゃないからね。
(軽口を叩ける内はまだ余裕がある。だがそれもいつもで続くか)
(攻撃と防御。攻勢と守勢。両者が目まぐるしく入れ替わる)
(特大の水刃が蛙の群れを薙ぎ払う。周囲に異臭が漂い始めた)
(蛙の屍から漂う血臭だ。それが蛙たちを更にヒートアップさせる)

ったく、古代人ってのは本当に悪趣味・・・・・だなっ!
(357マグナム弾が次々と蛙の群れに叩きこまれる)
(食らった蛙は仰け反り、だがまた立ち上がろうとする)
(一発では死なない。反動を殺しつつ、引き金を引き続ける)
(それでも水鉄砲と、鋭く伸ばされた舌が、二人を追い詰めてゆく)

保障があるわけじゃないけど――了解したよ。
(仕掛けを解いて来いと怒鳴る彼女は、新たな攻撃パターンを繰り出した)
(空中から降り注ぐ水の槍。貫かれた蛙が膨張し、爆発する。それが繰り返される)
(連続する爆発。連鎖する爆発。屍が屍を生む。まさに殺戮ウィルスの本領発揮だ)
(その間に彼は、リュックを下し、彼女の切り開いた活路を突進する。目指すは湖の中)
(それは自殺行為にも見えただろう。だが、彼には彼なりの考えがある)

―――――――・・・・・・・・・・・・・・・
(無駄のないフォームで入水し、水を掻き分けつつ潜ってゆく)
(浅いように見えて、湖はそれなりに深かった。水の濁りが薄いのが救いである)
(もし仕掛けがあるなら、それは湖の中という事になる)
(浮かび上がってくる蛙たちとすれ違い、深く深く潜ってゆく。酸素ボンベもなくここまで)
(驚異だが、それを知る者はこの場にいない。そして彼はそれを見つけた)
(限界が近づいているが、それでも彼は持ち前の冷静さを発揮し、その装置を破壊した)
626霧原朱音 ◆FdHN5Mb0fw :2008/06/26(木) 21:53:20 ID:HLtMYcYa
戻ってこなかったら、私はさっさと逃げさせてもらうよ。
……まあ、ぎりぎりまでは待ってやるけどさ。
(すれ違う彼に、そっと囁いた)
(薙ぎ払った草が今までの足取りを教えてくれる、逃げるとすればそこを通れば何とかなるだろう)
(という、非常に打算めいた思いと裏腹に、願っていた)
(この冒険がまだ続くことを、彼が、戻ってくることを)

しかし……そろそろこっちも、限界かな。
(爆発の連鎖が次第に収まってくる)
(無数の蛙の体液を巻き込み、力の根源である血液が薄れる)
(それでも無数に湧き出る蛙。一人でこの数に囲まれれば、四方から水弾に撃ち抜かれるか)
(舌に刺し殺されるか、いずれにしても生き延びる見込みは薄い)
(仕留め損ねた一匹が放った舌を、辛うじて槍で断ち切って)

……へぇ。
(ひたすら殺して殺して、気づけば蛙の数も減っていた)
やってくれたね、あいつ。
(それは一瞬の気の緩み。勝機が見えた。それゆえの)
(最初に感じたのは衝撃、そして次にズドン、という重い音)
(痛みがきたのはそのわずかな後。脇腹を、真っ赤な舌が貫いていた)

か……っふ。ざまぁ、ないね。
(まるで勝ち誇るように、蛙の鳴き声が木霊する。ただ一匹、彼女の体を貫いている蛙を除いては)
(そして、止めとなるであろう舌が放たれるその刹那)
でも、まださ。残念だけど、私も化け物なんだ。
(脇腹を貫いた舌を握り締める。ぞぶ、ぞぶぞぶという肉を切り裂く嫌な音が響き)
(次の瞬間、彼女の体を貫いた蛙が破裂した。赤い槍を伴って)
(それは四方に飛び交い、最後に残った蛙を貫き消えた)

(彼女の体を流れる血潮は、全て武器。ならばその舌を貫き、蛙の体を貫いて)
(そのまま再び、爆発の連鎖を起こしただけのこと)
(ようやく静かになった湖の側で、蛙の舌を引き抜いた)
627真賀樹 漸 ◆sAnaoYqjdU :2008/06/26(木) 22:08:08 ID:NHSiNn39
(浮上する。肺の空気を少しずつ吐き出す。頭がガンガンした)
(守護者の発生装置は破壊した。少し惜しかったかも知れないが、あの大きさの)
(装置を持ち運ぶ手段がない以上、愚痴っても仕方ない。頭を切り替える)
(発生は止めたと言え、まだ相当な数の蛙が残っていたはずだ。果たして彼女は)
(生きているのか、それとも死んでいるのか。或いは言葉通り逃げ出したか)

ぶはぁっ・・・・・・・
(彼が水面から顔を出す頃、戦闘は終了していた)
(倒れ伏す相棒と、蛙の屍の山。急いで水辺に泳いで陸地に上がる)
朱音、しっかり――くっ・・・・・・
(声を荒げるのを堪え、リュックに駆け寄る。彼女の身体が常人と違うとは言え)
(この負傷を負って平気ということもあるまい。素早く手当の用意をするべきだった)
この程度で死ぬ玉じゃあるまい。少し染みるが我慢してろ・・・・・・・
(各種道具を取り出し、服の一部分を鋏で切り裂いて傷口を検分する)
深いな・・・・・・これでも治せるか?一度戻った方がいいかもしれないな。
(焦る気持ちを押さえこみ、努めて冷静な口調を装う。彼女の血流操作がどの程度まで有効なのか)
(詳しい事はまだわからないので、血を拭い消毒液を振りかける等、一般的な応急処置しかできない)
(細胞の再生率を向上させる成分の含まれた、特殊な薬を塗りつける。彼もよく使う薬だ)
(多少構造に違いがあれ、彼女も人間には違いない。ならば効果はあるはずだ)
628霧原朱音 ◆FdHN5Mb0fw :2008/06/26(木) 22:24:18 ID:HLtMYcYa
ふ……ぅ。
なんとか、やったようだね。お疲れさん。
(駆け寄った彼に、いつものように笑って彼女は言った)
(撃ち抜かれた傷からは一滴の出血もない、つまりは、まだ大丈夫ということ)
私はこのざまだ。あれだけ言っておいて私がこれじゃ、どうにもしまらないねぇ。
(くす、と小さく苦笑めいた笑みを漏らして)
人並みの心配なら要らないよ。……化け物が、このくらいで死ぬもんか。
時間はかかるだろうけど、治せない傷じゃない。っ……はぁ。
(体の内側に薬を塗りつけられる感触、痛みもあるし、当然良い感触ではない)
(顔をしかめて苦痛に声を漏らして、それでも処置が終わるとその傷に赤い膜を纏わせて)

まだ、動けるさ。先を急ごう。
こんなところで、私のミスのせいで引き返すなんて、私は許さないよ。
(制服を脱いで、血塗れた部分を破って捨てて)
(腹をぐるっと巻いて縛った。やはり、そこに染み出る血液はない)
(しかし、これで上半身は下着一枚となってしまい)
……それなりに、暖かいのだけが救いかね。はは。
(体は動くし、頭も働く。何の問題もなかった)
629真賀樹 漸 ◆sAnaoYqjdU :2008/06/26(木) 22:42:14 ID:NHSiNn39
そっちもね。
随分と殺したもんだ。よく耐えきれたね。
(傷口からの出血は収まっている。そちらも大したものだと言えた)
(それでも、あの大きさの傷口からするとダメージが皆無なはずもない)
ならいいんだけどさ・・・・・・これでも相棒のことは大事にしてるつもりだからね。
(溜息をつく。向こうが大丈夫と言っているなら、これ以上は無用のお世話というものだろう)
(自分で血を止めれるなら、絆創膏も包帯も必要ないだろう)

せめて、これを着てくれ。何というのか、眼のやり場に困る。
誘惑するなら、もう少しムードのある場所でないと、ね。
(くだらない冗談を交えつつ、リュックから着替えを差し出す)
(LサイズのTシャツだが、上半身ブラのみよりは格段にマシだろう)
(実際、そんな恰好で傍に居られても困るのは事実であった)

ま、キミがその気なら、僕もこのまま続けるよ。
(引き返す気がないなら、このまま進むだけだ。リュックを背負い直す)
(二人は湖を迂回して、森の中の開けた一本の道を進む。幸い、怪物は現れなかった)
(暫くすると、切り揃えられた巨大な石が積み重なった場所にでる。まるで巨人が作った階段だ)
ロッククライミング・・・・・・は、経験無いかな?この上が目的地だと思うけど。
(ザーっと上から水の流れる音がした。滝でもあるらしい。ザイルとハーケンを駆使して、登山開始)
(近づくと石段にはそれなりに凹凸があり、昇るのにはそこまで苦労せずに済んだ)
630霧原朱音 ◆FdHN5Mb0fw :2008/06/26(木) 23:01:52 ID:HLtMYcYa
相性がよかったのさ、あいつらと私はね。
水を扱って、私に勝てるわけがないだろう?
(目を伏せたまま、傷口に手を当てる)
(傷口からは常に焼け付くような痛みが襲ってくる。それでも、今は前に進みたいと思う)
(生命の危機は脱したのだから痛みごときに歩みを止めるわけにはいかない)
そう言ってもらえる、ってことは。私もまだまだ利用価値がある、ってことだろうね。
せいぜい捨てられないように、お役に立つとしましょうか。
(こんな状況でも、面白そうに彼女は笑う)

ああ、そりゃあすまなかったね。
あんたみたいなのが相手だし、この手の遠慮は無用だと思ったんだけど。
しかし、そういうことならありがたく拝借しようかな。
(そそくさとシャツに袖を通す、直接肌に風が当たらない分、幾分かは心地よかった)

そうしておくれ、ここで止めたら私はあんたを恨んでやるよ。
(ずいぶん中身の減ってしまったリュックを提げて、時折ふらつきながらも後に続く)
(注意が散漫になってきているのがわかる。今襲われたらどうなるか。考えたくもなかったが)
(少なくとも、まだ自分には戦う力が残っている。だから前に進み続けた)
さすがにそれはねぇ……しかし、意外と短かったね。
ちょっと、今の状態で上るのは酷だ。だから、私は楽をさせてもらうよ。
あんたはそのまま、頑張って上っておくれ。
(登山を始めた様子を真下で眺めながら、声を張り上げ呼びかけた)

これで最後だ、ってなら。出し惜しみする必要もないよね。
(その石段の頂上めがけてペットボトルを放り投げる)
(一本、二本。それは石段の頂上を穿つ水の楔と化して)
(そして、残りのペットボトルの中身を空けると、打ち込んだ楔めがけて伸ばす)
(人一人支えてしまうほど強靭な、水の梯子を形成して、それを掴む)
それじゃ、お先に上で待ってるよ。頑張れ〜。
(後は勝手に、水の梯子が巻き上げられて体も上がる)
(その途中、すれ違う彼ににこやかに言葉を残して)
(唯一つ、忘れていることがあるとすれば、上ったからには降りなければならない)
(そのことを、まるで考えていなかったということだ)
631真賀樹 漸 ◆sAnaoYqjdU :2008/06/26(木) 23:21:11 ID:NHSiNn39
本当なら、ここで引き返すところだけど。
キミに恨まれたくないからね。精々気をつけてよ。
(流石に彼女の足取りが重い。これ以上の戦いは命を失う危険がある)
(ハントには常にそれが付き纏うが、だからと言って引くべき時に引かないのは)
(愚かな選択でしかない。だが、彼女の希望に反するのは、今後の為にも避けるべきだった)
(今後があれば――という前提が第一であるのだが、それは考えない事にした)

洞窟内の迷宮全部合わせると、とんでもない規模になると思うし。
それを考えれば、ひとつひとつはそこまで長くないとは思うけど。
確かに他の洞窟よりは短かったね。その分、戦闘が大変だったけど・・・・・・
(そんなことを言っていると、彼女は能力をフル活用して水梯を作り、先に上がってしまう)
――無駄遣いするなよなー、帰りが大変だぞー。
(こちらは地道に登りつつ、そんな在り来たりな台詞を口にした)
(頂上まで昇ると、そこにはまた水溜りがあった。その中に得体の知れない何かが泳いでいる)
(水溜りの中央に陸地があり、台座があり、何かが乗っている。秘宝に違いない。だが、問題は)
(その周囲を泳いでいる、巨大な何かだった。ザパンと水飛沫をあげ、ソレが跳ねる)

えっと・・・・・・・何・・・・?
(もう一度それが跳ねて、着地する。それは見上げる巨大なキマイラ)
(犀の頭部。ゴリラの胴体と四肢。亀の甲羅。複数の尻尾)
ど、どこまで悪趣味なんだ、古代人・・・・・・?
(流石に頭を抱えて呻く盗掘屋。だが、その出来の悪い合成獣は、猛然と襲いかかってきた)
632霧原朱音 ◆FdHN5Mb0fw :2008/06/26(木) 23:32:30 ID:HLtMYcYa
わかってるよ。自分の体がどういう状態かってことくらいね。
でも、退けないのさ。駆り立てるんだよ。何かがね。
(重くなる体、鈍くなる動き。強くなる痛み)
(その全てに相反して、心の中で駆り立てるものが強くなる)
(興味が、欲求が、欲望が増していく)

参ったねぇ。
(水の中でうごめく正真正銘の怪物)
(水を貫き耳を劈く咆哮とともに、飛び跳ねた)
やあ、漸。遅かったね。
(ようやく上ってきた彼に、ちょっと困ったように苦笑を浮かべて)
ありゃあ、なんだい?なんというか、作った奴のセンスを疑うよ?
……しかし、宝もすぐそこだ。ここは私も、全力でいかせてもらおうかな。
(手を天にかざす、すると足元から彼女の体を水が包み込んだ)
(水梯子を象っていた水が、石段を這って彼女の元までたどり着き)
(赤みを帯びた水が彼女を包む。それは、超硬度の水の鎧)

残念ながら、人に使ってやれるほど便利な力じゃないんだ。
そっちはそっちで、しっかり生き延びてくれよ?
(広げた両手に鋭い刃を形成し、襲い掛かってきたキマイラめがけて走り出す)
(さすがに今日は力を使いすぎている。おまけに傷まで負っている)
(限界は近いが、ここで退けるはずもない)
633真賀樹 漸 ◆sAnaoYqjdU :2008/06/26(木) 23:47:17 ID:NHSiNn39
なんていうのか、物凄い寄せ集めだね。
あれで生物としての成立してるのが、ある意味凄いけど。
(これも古代人の叡智の結晶なのか。それと戦わなければならない)
(こちらとしては、その悪趣味さ加減と面倒くささを感じるだけだが)
ま、宝があるならこっちも退くわけにはいかないからね。
(E・グローブの電圧を最大にまで引き上げる。最悪、殺せなくても行動停止させて)
(その間に宝を奪取すればいい。全て手札を切る時が来たのだ)

心配いらないって。それより――
(水の鎧を纏う彼女に、こちらは拳銃を取り出して、いつでも撃てる準備をしておく)
(相手は巨大で、獰猛で、そして頑強だ。相棒は水の刃を形成して斬りかかる)
(それを補佐するため、二挺拳銃が咆哮する。的がでかいので当たりやすい)
まともにいくな!隙間を狙え!
(巨大な敵を相手にする時、頑強な皮膚や装甲は狙わず、端末部分や隙間を突くのが)
(人間のやり方である。例えば爪先や指。或いは髭などを潰し感覚を潰す)
(眼球や口、或いは額を狙うのは相手が弱ってから、止めを刺す時だ)

(銃撃が、僅かだがキマイラの注意を惹く。当然、弾丸は皮膚で止められたが)
(時間が稼げれば充分だった。次手の布石として、糸を垂らして這わせる)
634霧原朱音 ◆FdHN5Mb0fw :2008/06/27(金) 00:00:57 ID:yY1NuHQF
だが、いかにも、って感じはしないかい?
なんとも王道って奴でさ。でも、王道だって悪くない。
そもそもにして、普通じゃありえないようなことなんだ。
(最悪のコンディションの体調とは裏腹に、目だけは爛々と輝いて)
(だが、長引かせることもできない。そこまで体力が持ちそうにもない)
じゃあ、やるよ。……頼んだよ。
(濡れた足跡を立てながら、キマイラへと駆けていく)
(応じて相手も、目の前の矮小な存在を蹴散らそうと迫り来る)

了解、っとぉ!
(振り下ろされた巨大な拳を跳んでかわして、そのまま眉間を狙う)
……っ!くぅっ。
(しかし相手も化け物、首をめぐらせ犀の角でその刃を受け止めた)
(そのまま頭を振り払って、迫る彼女を弾き飛ばした)
(追撃のために振り上げた拳を銃弾が阻む、隙は小さい。だが十分だ)
助かった。これで……どうだっ!
(案外、息はあってるのかもな。などと思いながら、水の刃を延ばして木を貫く)
(そのままそれを支柱として、空中で体制を整えて)
(角も視界も届かない、完全な死角から飛び込み、刃を振り上げた)
(狙うは後頭部、その一撃は確実のその怪物を捉える……はずだった)

なっ!?ぐっぅあぁぁっ!!
(ぎょろり、と後頭部に開いたのは巨大な眼。古代の叡智に死角はない。そういうことのようだ)
(さすがに驚いた、それでも刃を振り下ろそうとした彼女の体を、伸縮自在の無数の尻尾が縛り付けた)
(そしてそのまま振り回し、地面めがけて投げつけた)
(なすすべもなく地面に叩きつけられて、追撃の拳がそこに迫っていた)
635真賀樹 漸 ◆sAnaoYqjdU :2008/06/27(金) 00:03:25 ID:+maCqe+0
【ごめん、今日で終わると思ったけど見通しが甘かったよ】
【また凍結頼んでいいかな?】
636霧原朱音 ◆FdHN5Mb0fw :2008/06/27(金) 00:08:58 ID:yY1NuHQF
【了解した、ちょっと予定は未定だから、決まったら連絡するよ】
637真賀樹 漸 ◆sAnaoYqjdU :2008/06/27(金) 00:10:19 ID:+maCqe+0
【了解。その時はまたお願いするよ】
【じゃあ、今夜はお疲れ様ノシ】
638名無しさん@ピンキー:2008/06/27(金) 17:47:48 ID:nPc4Y6Zy
次スレ 【異能】黄昏の学園4【異端】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/erochara2/1214556412/l50
639裏宮空吾 ◆0bRd0Na7dY :2008/06/28(土) 21:07:15 ID:pTwBHfS0
【軽く待機してみるぜ】
【プロフは>>11だったはず】
640裏宮空吾 ◆0bRd0Na7dY :2008/06/28(土) 21:42:18 ID:pTwBHfS0
【これで落ちるぜノシ】
641名無しさん@ピンキー:2008/06/29(日) 20:40:06 ID:onstl0ng
要領オーバー?
642真賀樹 漸 ◆sAnaoYqjdU :2008/06/30(月) 21:13:13 ID:1E3cY41Z
>>634

(秘宝を守る守護者。それは現代に伝わらなかった古代人の叡智の結晶)
(防衛機構たる怪物たちの遺体ひとつでも持ち帰れば、生物学者が挙って)
(それを求め仕組みを暴こうとするだろう。だが、今の彼らにとって最優先なのは)
(目先の宝と自分たちの命である。守護者と略奪者たちが喰らい合う)

(怪物の攻撃を躱し様放った一撃は、堅固なる角にて阻まれる。弾かれる相棒)
(振り被られた鉄鎚の如き一撃は、銃弾にて阻止される。その間に体勢を整える相棒)

朱音!くそっ・・・・・!もう少し我慢してろよっ・・・・・・!
(相棒のトリッキーな動きから死角を突いた攻撃は、しかし驚異の機能にて阻まれる)
(恐るべしは古代人の叡智。現代人の発想ではそれに抗う術すらないというのか?)
(だが、彼とて遊んでいたわけではない。十数本、彼が一度に操れる限界の魔糸が)
(その見えざる驚異を秘めて怪物に着実に迫っていた)

調子に乗るなよ、出来そこないの怪物が・・・・・
(変幻自在とはこのことか。堅固な甲羅と角、そして触手の如き尻尾)
(幻想的な世界からそのまま来訪したかの様な怪物に、突け入る隙はないと思われた)
人間をあまり見くびらないことだ・・・・・・
所詮お前は人間に造られた物。ならそれを壊すのも、人間の仕事というわけだ。
(だが、冷淡に告げられる盗掘屋の言葉が、それを覆した。爪先に、指に、甲羅の中に、尻尾の付け根に)
(身体の隙間という隙間、端末という端末に鋭く見えない糸が絡み付き、その動きを戒めている)
(力比べして怪物に勝てるはずもない。だが、肉体の構造上どうしても脆い部分は存在する)
(彼はそれを突いた。無論、相棒が決死で挑み、時間を稼いでくれたから可能な攻撃ではあったが)

時間が稼げたよ。ありがとう、朱音。
これで終幕だ。コイツを優しく眠らせてやれ。
(咆哮し、足掻いて、戒め解こうとするキマイラ。ギチリと、糸が撓る)
(複雑に絡んだ糸は簡単には解けない。しかし、このまま放っておけば解かれる可能性もある)
(だが、その時間を与えるつもりはない。相棒に止めを刺すように指示する)

【ロール解凍だよ】
643霧原朱音 ◆FdHN5Mb0fw :2008/06/30(月) 21:32:07 ID:i6+p76tN
………。
(地面に叩きつけられる衝撃は、思っていたほどさしたるものではなかった)
(硬度と弾性、相反する要素を併せ持つ液状の鎧が、その衝撃のほとんどを減算していたのだ)
(それでも肺の奥から空気が押し出され、体はわずかに軋みを上げた)

(少なくとも今日、彼女は二度は死んでいる)
(脇腹を貫かれて一度、そして地面に叩きつけられて一度)
(それでも尚死なず、そして立ち上がるのはその身に宿った異形の業が故)
(だから彼女は立ち上がった、ゆらゆらと揺れながら、厚い水の鎧を纏って)
とんでもないな。こいつも、そして、漸。あんたもだ。
(四肢、という言葉で表現できるのかどうかも定かではないその異形)
(いたるところに絡みつき、その動きを封じる鋼線。その技量に感心したように唸り)

やはり、私はちょっと地味かもな。
(す、と手をかざす。体を覆っていた水の鎧が姿を変えて、彼女の手の上に集結する)
だが、残念だけど。私は優しくはないんだ。
(そして手をかざしたまま、ゆっくりとキマイラに近づいて)
派手に、逝きな。
(手のひらの上でゆらめく水球を、キマイラの頭上に放り投げた)
(刹那、迸る巨大な水の杭。超高圧で、さらに圧倒的な質量とともに放たれた)
(それは、頑強な表皮や堅牢な亀甲さえも無視して食い破り、頭頂から腹部までを串刺しにした)
(そして、その杭が無数の薄刃となり、キマイラの体を千々に切り裂き迸る)

濡れるのは好きじゃあないが、こういうのなら悪くもない。
(弾け飛ぶ巨体、当然のごとく肉片や返り血が舞う)
(それを一身に受けて、頬に張り付いた肉片をこそげ落として、凄然と笑みを浮かべた)
……ああ、そういえば。シャツを駄目にしてしまったね。悪かっ……ぁ。
(そのまま相棒の方を振り向いて、その体が崩れ落ちた)
644真賀樹 漸 ◆sAnaoYqjdU :2008/06/30(月) 21:45:00 ID:1E3cY41Z
(死んで当然の攻撃を受けながら、彼女は立ちあがった)
(その身体に宿る未知なるウィルスが、安楽な死を許さないのだろう)
(それが救いなのか地獄なのか、彼にはわからない)
(わからないが・・・・・・多分後者なのだろうと、察することはできた)

(そして終焉の時は訪れる。水球が舞い、鋭き水の剣と成りて怪物を貫く)
(その巨大な剣が破裂して無数の刃と成り、その強靭なる身体を切り刻む)
(壮絶な戦いに相応しい、壮絶な幕引き。残ったのは無残に飛び散った怪物の屍)
(返り血に塗れた彼女が、凄絶な笑みを浮かべていた。果たして、この場にいた怪物は)
(一匹だったのか二匹だったのか。彼は血塗られた糸を切り落として溜息をついた)

全く・・・・・どうしたものかね。
(今更だが、とんでもない相手と組んだものだと思った)
しっかりしろ。お宝を前に死ぬ奴があるか。
シャツくらい幾らでもあるから気にするな。起きろ。
(それでも、駆け寄って助け起こすことは忘れない。それが彼の定めたルールだから)
(一方はズブ濡れで、一方は血塗れ。今回は・・・今回もか?とんでもないハントになった)
(リュックからタオルを取り出して、顔を拭ってやる。流石に服を脱がすのは憚られた)
645霧原朱音 ◆FdHN5Mb0fw :2008/06/30(月) 21:55:30 ID:i6+p76tN
………。
(抱き起こされた彼女は、ぴくりとも動かず眼を閉ざしたままだった)
(それに対して相棒は、少しくらいは心配するかとも思っていたが、どうにもそんな様子は見えず)
(しかたない、と言った様子で彼女は眼を開けて)
ほら、こういうのもお約束じゃあないかね?ようやく手に入れた宝、しかしその代償は大きかった。
ってさ、結構ありがちじゃないかね?何はともあれ、おつかれさん。
(顔をぬぐう手と交差させて伸ばした手で、軽く彼の胸を小突いた)

これでようやく最後の最後、かな。
さて、お宝とやらを拝ませてもらうとしようじゃないか。
確か、あの泉の中央……だったよね。
(ふらふらと立ち上がって、おぼつかない足取りで宝へと向かう)
(長い髪はすっかり血に染まり、わずかに色濃くなって濡れた毛先から、ぽたりぽたりと血が垂れた)
(泉を目前にして、振り返り)
ほら、行こうよ。漸。こういうときは、二人並んで宝に手を伸ばすもんだろう?
(それ自体はただの誘い。しかし、その先にあるのは破滅か絶望か)
(いずれにせよ、まともな予感を感じさせないその手が、彼に向かって差し伸べられた)
646真賀樹 漸 ◆sAnaoYqjdU :2008/06/30(月) 22:07:52 ID:1E3cY41Z
・・・・・そういうバッドエンド調なのは嫌いだよ。
いつでも最後はハッピーエンド。それが僕の基本。
ともかく、お疲れ様。正直、助かったよ・・・・・・
(こちらも冗談めかしているが、呪いに蝕まれている゛相棒゛を持っている)
(彼としては、切実な願いであった。無論、それを彼女が知るはずもないが)

ああ、あの中央に・・・・・・
(広大な水溜りの中央に位置する台座。その台座に鎮座する秘宝)
(これを手に入れて、持ち帰ればMissionCompleteだ)
別にいいけどさ・・・・・触れる前にはトラップの有無を確認してくれ。
最後の防衛機構が残ってないと、断言できないからね。
(その誘いに、彼は躊躇なく乗り、手を取った。どの道、まともな生活とは無縁である)
(リンダの呪いを解くと決めてから、外道に堕ちてでも突き進むと決めた)
(だから、彼は破滅と絶望を予期しつつも、脚を止める事だけはできない)
(二人で、湖を渡る。腰まで水に漬かりつつ、それでも進む)

宝玉か・・・・・中で炎が燃えてるね・・・・・
(陸地に上がり、台座の上にあるそれを認識した時、彼はそう言った)
(掌の乗る程度の、水晶か何かで出来たような球体)
(どのような原理なのか。その中で炎が形を変え揺らめき、燃えている)
ここの迷宮にある秘宝って、よくわからないのが多いんだよね。
けど、キミは退屈せずに済んだだろ?
(手を取り合っている゛相棒゛に向けて、珍しく屈託のない笑顔を向ける)
647霧原朱音 ◆FdHN5Mb0fw :2008/06/30(月) 22:22:48 ID:i6+p76tN
お約束、ってやつだよ。フィクションの中のお約束を、ノンフィクションで体験できるなんて素敵じゃないか。
でも、この手のドラマの主人公が絶対に生き残る、というのもお約束だ。
だからこそ、視聴者は安心して観ることができる。
(大凡その場にそぐわない話題を切り出しながら、からからと笑う)
(この場合、主人公とはどちらなのだろう。最後まで生き残ることを確約されたのは、どちらなのだろう)
(少なくとも今は、この物語の主人公はただ一人ではないことを祈っている)

ふぅ……結構冷たいね、ここの水は。
……傷に染みるよ。
(傷を覆った血の膜も、同じく液体である水の前ではその力を減算されていく)
(自然脇腹に手を当てて、ゆっくり湖を渡った)
ああ、いかにも、って感じの代物だ。
(炎を内包した宝玉、存在自体が超常現象ともいえるその宝を前に)
一体誰が、何の目的でこんなものを作ったんだろう。
それを考えてみるのも面白い。わけのわからないものだらけだってのなら、もしかしたら……。
(言葉を切った。自分の体の中を流れているウィルスも、もしかしたらこの場所で生まれたのかもしれない)
(そう考えると、どうにも不思議な気分になった。そしてわずかに感じた)
(何かが、もっともっとずっと奥から。何かが彼女を、彼女の中にある何かを呼ぶ声を)

ああ、すばらしい体験をさせてもらった。
……楽しかったなぁ。
(唐突に、とても無防備にその宝玉へと手を伸ばし、掴み取った)
(直前の警告さえ無視して、手中の宝玉と、さらにその中で揺れる炎を眺めてみたが)
(刹那、その宝玉から溢れる炎、それは見る間に彼女の腕まで纏わりついて)
ぅ熱っつ!……うぅ、さすがは古代の叡智って奴だ。びっくりだ。
(驚いた表情で、悪びれる風もなくさらりと言ってのけた)
(不思議と、その腕には火傷の一つもなかったのだが)
648真賀樹 漸 ◆sAnaoYqjdU :2008/06/30(月) 22:40:10 ID:1E3cY41Z
どうせお約束再現するなら、ジープに乗って夕日の荒野を突き進んで
笑いながらエンドの方が、それっぽいけどね。何せトレジャーハントだし。
僕にしてもキミにしても、主役の器じゃないとは、思うけどね。
(盗掘屋と殺戮ウィルスの保菌者。主役よりむしろ敵役の方がぴったり当て嵌る)
(気がしてならない。明日無き二人という路線もあるが、それはそれでどうかと思う)

・・・・・ていうか、アレで死んでない方がどうかしてるけどね・・・・・
(やはり怪物か。あの傷を負って歩ける方がどうかしているのだ)
この遺跡を作った連中は・・・・・・多分何かの実験してたんじゃないかな?
この宝玉にしろ、あの守護者たちにしろ、あの装置にしろね・・・・・・
(動物の遺伝子を組み合わせた守護者たち。この迷宮に存在する植物)
(何より、この宝玉自体が何か大きなパズルのワンピースの様な気がしてならない)
(この街で起きている怪異や、出現する妖魔も、この迷宮とは無縁ではない気がする)

――そういうオチか。だから言っただろうに。
慌てるなんとかは貰いが少ないんだよ。火傷はしなかった様だけど。
(フライングした相棒に冷やかに告げて、落した宝玉を拾う。それを水の中に漬けてみた)
あー、なるほど。この場所が水だらけなのは、これを封印するって意味もあったんだね。
(暫く水に漬けておき、炎がこちらまで侵食しないと確認した時、彼はリュックから袋を取り出し)
(その中に詰める。念のため、水も少し入れておく。これで帰るまでは安心のはず、だが)

さて、帰ろうか。帰って僕の部屋で御馳走食べて、酒でも飲んでそのままキミとベッドイン
しようと思ったけど・・・・・その傷じゃどうしようもないか。
(本気ではない口調で告げて、袋をリッュクに詰める)
(それでも、その顔は達成感に満ちいてた)
(誰かと組んでハントを達成する喜びは、一人では味わえない)
649霧原朱音 ◆FdHN5Mb0fw :2008/06/30(月) 22:58:53 ID:i6+p76tN
ああ、そういうのもいいねぇ。そういえばあんた、運転できるのかい?
だとしたら、今度ドライブとでも洒落込みたいね。
(夕日の荒野は難しいだろうが、それでも色々走ってみるのも面白そうだった)
そうかな?案外いけると思うんだけど。確かに万人受けはしなさそうだけどさ。
(少なくとも、彼女は自分を主人公だと思ってはいるようで、小さく肩をすくめながら)

自分でもびっくりだ。ここまでめちゃくちゃやられたのは初めてだよ。
なんだかさ、さっき叩きつけられたときから肩の具合もよくなくてね……ん?
(ぐる、と肩を回すと、鈍い痛みが走った。なぜか片方の肩にだけ)
(不思議そうな顔をして考える、いくらこの体でも、おかしくなった関節がすぐに元に戻るはずもない)
(だとしたら、原因は……?)
へぇ〜ぇ、こりゃあいいや。
(彼女は、小さくほくそ笑んだ)

しかし、えらく熱くて痛かったよ、さっき掴んだときさ。
(何度か手を握ったり開いたりして)
……なかなか、考えてるねぇ。でさ、それを持って帰ってどうするんだい。
なんだか、面白いものみたいだけどさ。

それもいいが、今の私には休息が必要だ。帰ったらすぐに眠らせてもらうよ。
多分、2、3日もすればまた動けるようになるさ。それまではちょっと、学校も勘弁だな。
(傷の上から手を当てて、少しだけ困ったようにつぶやいた)
(2、3日といっている時点で、あからさまに常軌を逸しているのだが)
(それでも幸せそうに、満ち足りた笑みを浮かべていた)
だけど、帰ったらまず最初にシャワーを浴びないとな。
(血まみれのままで、途方にくれたように笑って言った)
650真賀樹 漸 ◆sAnaoYqjdU :2008/06/30(月) 23:22:05 ID:1E3cY41Z
ああ、ジープでもセスナ機でも船でもね。
夏になったら、海でも行ってみるかい?
(彼は職業柄、あらゆる乗り物の操縦方法に精通している)
(これらは修練の結果であり、特別な才能を持っているわけではない)
B級アクション映画だね、どう考えても。
(どうでもいいことだが、彼は華より実をとるタイプである)

・・・・・その割には元気そうだね。
何か、いいことでもあった?
(その笑顔を不気味に感じたのは、気のせいか?)
(此方にとって不都合がなければ、それでいいのだが)
んー・・・・僕が探してる物じゃなさそうだしね。
暫くは眺めて愛でて・・・・・・その後は・・・・・
知り合いか誰かに、精々高値で買い取ってもらうさ。
欲しいなら、キミにあげてもいいけどね。初ハント記念にさ。
(最後のフレーズは本気である。少なくとも、彼が真に欲している物以外なら)
(別段誰が所持しようと構いはしないのだ。それが良い物であれ悪い物であれ)

それもそうだね。打ち上げはまた今度にしよう。
お寿司でも焼き肉でもなんでもいいよ。
その後は、キミのその魅惑的な身体をじっくり探索させてもらうとしよう。
(またリュックから着替えのTシャツを取り出し、差し出す)
(この状態では、学校から出た時点で不審者扱いされるのが関の山だろうから)

【ごめん、電話に出てて遅れたよ】
【そろそろ〆、でいいかな?】
651霧原朱音 ◆FdHN5Mb0fw :2008/06/30(月) 23:36:50 ID:i6+p76tN
はっはっは、そりゃあいい。それだけできれば、ほら。あれだねぇ。
洋上に浮かぶ島、そこに潜む古代遺跡……だなんてことも、できそうな感じがするねぇ。
そういうネタは、そっちに入っちゃこないのかい?
(そういうことをさらりと言ってのける彼に、さすがは私の相棒だ、と感心しながら)
だったとしても、あいにくこっちはノンフィクションだからね。レベルが違う。
こんなに面白いことはないさ。

ああ、すごいいいことがね。
(一瞬のことだったが、それでもこの秘宝の力の片鱗を垣間見た)
(おそらくは何かしらの癒しをもたらす力だろう)
(それにしては妙に痛くて熱かったが、それでも肩の具合はよくなった)
あんたが一体何を探してるのか、後で聞かせてもらいたいところだけど。
まあ、それはいいや。宝をもらうってのも、悪くはないとは思うけど。
どうやらね、私には……宝よりも、宝探しの方が重要らしい。だから、それは好きにしなよ。
(便利なものだとは思った。だからといって、別に欲しいとも思わなかった)

まあ、何はともかく。今のところはさっさと帰ることを考えよう。
……しかし、本当に用意がいいよね。助かるよ。
(やはり見られているのも気にもかけずに、新たなシャツに袖を通した)
(そして辿る帰り道、並んで歩く、帰り道)
本当に、今日は楽しかったよ。ありがとう、相棒。
(不意に優しげな声色で、笑みを浮かべてそう囁いた)

【ああ、大分長丁場だったが、これで終いだな】
【私の方はこれで終わりにする、最後は任せたよ】
652真賀樹 漸 ◆sAnaoYqjdU :2008/06/30(月) 23:49:01 ID:1E3cY41Z
んー、そうだね・・・・・
この近辺の海じゃ、そういう情報がないな。
沈没船も海賊の隠し財宝も、期待できそうにないし。
(冗談じみた問いに、真剣に考えて答える)
ま、そうやって楽しめるのはいいことだよ。

へぇ・・・・僕の事情に興味があるんだ?いずれ、ちゃんと話すよ。
(最初、彼女と契約を結んだ時、彼が何を探しているのかは尋ねないと言った)
(それが、どうした心境の変化か。良い事なのか悪い事なのか、判断できない)
じゃあ、これは僕が預かるよ。それにしても、今回は戦闘がハードだったね。
(その秘宝の力を実感しなかった彼は、その宝玉が自分の求めている)
(物に近いと言う事に、現時点では気付いていない)

基本だよ、基本。次はキミも着替えは用意しておきなよ。
(そう言いつつ、しっかりと着替えシーンは網膜に焼きつけておく)
(お互い、ちっとも恥じらいがないのが傍から見ててシュールだった)

・・・・・こっちも助かったよ。ありがとう、相棒。
(彼女の口から滑り出た言葉。優しげな表情。それはまるで普通の人間の様で)
(だから、こちらもそれに相応しい真摯な言葉と、穏やかな表情で応じた)

【お疲れ様、長い間ありがとう】
【またの機会によろしく】
653名無しさん@ピンキー:2008/07/01(火) 10:41:20 ID:Jn77zWrA

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【異能】黄昏の学園4【異端】
http://yomi.bbspink.com/test/read.cgi/erochara2/1214556412/
654名無しさん@ピンキー
こっちも最後まで使いなさいよ