【パンプキン】オーランド伍長萌えスレ 4【シザーズ】
保管庫の人、ありがとうございます!!
すいませんorzスレ立てたの初めてだったもので。
ナイスフォロー乙です!!
>>1 スレ立てGJ!
ついにこのスレも第四弾か
前スレより男体の人GJ!
少尉と同じく、読んでいるこっちまで凄く心配
あーもーどうなっちゃうの〜
ランタン無しじゃなにもできないのに!
スレ立て乙です!伍長単体萌えでついに4スレ目までとは…
他のパンプキンスレが伸び悩んでいるのにここまで続けられたのは、
やっぱりいい職人さんが多くいるからでしょうね。
前スレのバーサークの人さんと男体の人さん、続き楽しみにしてます!
1乙!2もナイスフォローGJ!
しかし乙コールも作品への感想も
前スレを消費してからの方がいいんジャマイカ?
どうでもいいけど最近、感想投下する人が減ってないか?
ここに来ればいつでも良作SSを読めるのが当たり前と思わずに
エロパロスレの反応の良さをを見習わんと
職人さんがいなくなって
過疎って悲しい思いをする事にもなりかねんのじゃ
ないかとチョト心配・・・
>>6 禿同。ところでエロパロスレは「少尉×伍長」とか「伍長×少尉」が
ほとんどだよね。
個人的にはそれも好きだけど、俺は「男×伍長」も読みたい。
ヒロインな伍長が読みたいと思っている同志が少ないのかなぁ。チョト心配・・・
続き物だから、若干感想書きにくいのかなーと
ちょっと思った。それか単に過疎ってるのかな…
>>7 何を言ってるんだ
このスレがまさしく男×伍長の宝庫で
ヒロイン伍長に萌え萌え出来るパラダイスだろうにw
エロパロの方は今や少尉萌えスレになりつつあるな
>>7 男×伍長はあっちだとスレ違いになるからじゃないか
俺、ヒロイン伍長大好きだぜ…
>>9 >>10 嬉しいぜ!泣けるぜ。ヒロイン伍長のパラダイスだぜ。ここは。
>>8 確かに。でも俺は毎回感動してる。ここの住人の優しさにも。
12 :
保管庫の人:2007/02/25(日) 02:45:19 ID:???
>1乙!
>2あ、どうもですw
前スレ
>>439-440 すみません特に>439氏、画像流れちゃってて見れませんでしたorz
とりあえず問題あるのはわかりました。
症状から察するに、原因に心当たりがなくもないので、ちょっといじってみたんですが、
そちらでどう見えてるか、ちゃんと表示されるのかは確証ありません。
保管庫の製作環境を書きますと、OSはWinXP、ブラウザはIEの5とか6辺り。
A4のノート型PCで作ってます。
林檎さんは全然わかりません。IE以外のブラウザと言えば
窓に起動ディスクが必要だった時代のネスケくらいしか
使った事がありません…。
とりあえずこれでダメなら一旦PC用の構築は後回しにして、
携帯用のアップに専念し、後ほどリベンジするつもりです。
まぁやれるだけはやってみます。
>保管庫の人
保管庫作成お疲れ様です
PCに詳しくないのでよく解りませんが、頑張って下さい
携帯とPCサイトの両方で閲覧できる日が来るのを楽しみにしてます
14 :
男体の人:2007/02/25(日) 03:10:52 ID:???
面倒くさいので鳥外しましたw
>>12:保管庫の人
お疲れ様です。
私もMacユーザーなので、僭越ながらご報告を。
保管庫の人のおかげで火狐では何の問題もなく
バッチリ閲覧できるようになりました。
ありがとうございました。
ただ、safariのほうは前スレ439氏が言っていた現象が
未だ改善されていないようです。
一応safariで閲覧した画面をキャプってみました。
ttp://deaikei.biz/up/up/4772.jpg.html DLパスは『hkn』
多分、これと同じ現象になっていたのではないかと思います。
この広告部分が一定の行にくっついてスクロールされてしまうので
広告の貼りついている部分の行が読めないと言った状態です。
窓ユーザーさんに林檎ユーザーのことを分かれと言う方が
無茶があると思いますので、
『林檎ユーザーさんは火狐での閲覧推奨』と注意書きをして
済ませてもいいんじゃないかと……(;^^)
私は火狐使ってるので、とりあえずは快適です!
15 :
前スレ439:2007/02/25(日) 20:21:03 ID:???
>保管庫の人
ありがとうございます、ばっちり改善されました!お疲れさまです。
自分で言っておいて申し訳ないのですが、safariは基本的にデザインが崩れるで有名な
プラウザなので使用してる方も少ないと思います。無視でおkです!
>>保管庫の人
いつも乙です。
お時間かかるとは思いますががんばってください!
>>前スレ442
夢オチとは言えラーンカワイソスww
これは続きとかあるんでしょうか?
もしあるなら楽しみにしてます!
久しぶりに投下してみるテスト
過去の作品を読み返して超萌えた。
自分の書いたもんがあると無性に恥ずかしくなるな
ところでタイトルは書いた方がいいのだろうか…
内容はオレルドの独白
ちょっぴり暗め(かも)
超捏造
例によりエロは無しという体たらくです
短いので超暇な方はどうぞ〜。
『ねぇ知ってる?唇と唇を合わせると心の距離も近くなるんだって』
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「オレルド准尉は、キスが、好きなんですね」
そんなことを、デカブツに言われた
いわれて初めて気がついたのだが俺は普通(というのには語弊があるが)に女を抱くときは
脱がすときぐらいしかキスをしないが、
デカブツを抱くときにはアイツの唇に無性に貪りつきたくなる自分がいることに気がついた
そんなことを考えていると
ふっと
ある話を思い出した
いつだったか、どんな女かもおぼえちゃいない。
いつものように飛び切り上等の女を捕まえて
いつものようにお互いの欲望を満たす。
唯一違ったこと。
いつもは欲望を満たせばお互い後腐れがないようさっさと引き上げるのだが
この時の女はどこか人をひきつける目を持っていてついつい話し込んでしまったのだけは覚えている
ねぇねぇ、面白い話があるんだけどさ
ウチの店に働いてる若い娘から聞いた話なんだけど
その子、どんな男と寝ようが絶対本命ってきめた人としかキスするつもりないんだって
なんで?って聞いたらなんて答えたと思う?
その子の話じゃね、唇を合わせた回数だけ心の距離も近くなれるんだって
だからそんな神聖な行為を適当な男にしたくないんだ〜って。
フフッ今時珍しい子だと思わない?
初めて伍長を抱いた夜
最初デカブツにキスをしようとすると強く拒まれた
――――――キスは……本当に好きな人としか、しちゃいけません……
あぁそうか
俺は
俺はきっとデカブツに振り向いてもらいたいのだ
デカブツはきっと俺のことを只の上司だとしか思ってないだろうし
この行為も只の性処理程度のことでしか考えていないのだろう
(その証拠にいつも誘うのは俺のほうで、デカブツの方から誘ってくることは絶対に無いし
目の前で女を引っ掛けていても嫉妬する様子は微塵も無い)
沢山体を重ね唇を重ねてきた
それなのに一向に心の距離は近づいていないように感じてしまう
遠く遠く遥かかなたにありし我が想いたる者の心よ
ああ どうかどうか
たった一度きりで良い
薄汚れた世界に生きるこの俺を
映し出してくれないであろうか―――――
誰か
推敲
頼む
│ミ シュッ
21 :
男体の人:2007/02/25(日) 22:54:28 ID:???
>>(´・ω・`)の人
SSがどうこう言うよりも、まずあなた自身に萌えるw
それはさておき、オレルドの切ない心理描写GJでした〜!
キュンと来ましたよ〜。
>>前スレ442
続きがあるのかと思ってずっと待ってたんですが
あれで終わりだったのでしょうか?
報われないラーンに愛おしささえ覚えましたw
妄想世界の伍長のけしからん言動に
ラーンの欲望がにじみ出ててワロスw
続きがあるなら全裸でお待ちしてます!
泣けたっすー!マジ泣けたっすー!GJですー!
オレルドに切な萌えです。キスって奥が深い。短編なのに
勝手に妄想が膨らんでしまいました。伍長との心の距離が…。
>>20 思いがすれ違ってる所が泣けるなぁ
体は重なっても心が重なるのは難しいんですね・・・
GJ!!
>>前スレ442
やっぱり夢落ちかい!
ラーンも妙に強いし伍長が妙に大胆だったからなあ
面白かったですw
続きも是非
>>(´・ω・`)の人
なかなか好きな人に振り向いて貰えない気持ちよう解る
報われぬ恋ってやつね
やっと規制解除されたので投稿します。
今回はMっぽい伍長を書きたくて書いてみました。
ちょっと文の持っていき方が強引かもしれないです。
またしても本番無し。
・オレ×伍
・本番なし、前戯のみ
・甘々
26 :
オレ×伍 1:2007/02/26(月) 00:40:07 ID:???
明日は休日とあって二人で抱き合っていた。
いつも通りキスを繰り返すと、それだけで伍長は濡れた声を漏らし抱きついてくる。
オレルドはぎゅうぎゅうとすがり付く伍長を感じ
可愛くて仕方なくなる反面いじめたくなる気持ちが
湧き上がるのを抑えきれなくなった。
伍長の下肢に手をやり、早くも反応を始めている場所を撫で上げる。
「キスだけでもうこんななってんな。
ほら…自分で弄ってみせろよ…ここで見ててやるから」
オレルドは伍長にそう言い、体を離した。
ベッドの端に座り、横たわった伍長をじっと見つめる。
「あ……そんな…」
「できねぇのか?そんなになってるのに?自分でイけるまで俺は触んねーからな…」
伍長は困惑しきった顔をしていた。今までオレルドがそんな事を
言い出した事など無かったし、いつも伍長はオレルドに任せきりだった。
しかし、オレルドの顔には期待に溢れている。
それを見た伍長もむげに嫌だとは言えなくなってしまう。
やがて伍長は上体を起こし、背を丸めながらそっと自分の陰茎を上下にこすり始める。
最初こそ手つきもたどたどしかったが徐々に弄る事に夢中になっていく。
荒い息遣いと小さく漏れる声、じきにそれに混じって水音も聞こえ始めた。
オレルドは、伍長に存在を思い出させるように、ひゅうと口笛を吹いた。
はっと顔を上げた瞬間お互いの目が合い、伍長は途端に耳まで赤くなる。
「……んっ…………そ、そんなに、見ない、で…くださ…」
「いやがってる割にはさっきよりデカくしてんじゃねえか。
ったく、そんなこと言われても説得力ねえよ?」
伍長はくしゃりと顔をゆがめ、目にうっすら涙を浮かべ俯く。
恥ずかしくて仕方ないんだろうな、とオレルドは思う。
でも今日は止める事が出来そうに無い。
ギシリとベッドをきしませ、伍長の足の間に移動する。
俯いた顎をすくいあげ、見つめあったままそっと囁いた。
「お前、見られてると興奮するだろ…見てるよ、お前が射精するとこ。」
「あ、あ、…恥ずかしい、です……いや…ぁ…」
口ではそういいながら、伍長は呆けたような目で見つめ返す。
オレルドは伍長もこの状況にのってきている事を感じて心の中でほくそえむ。
「ほら、続き、しろよ」
耳元に軽く息を吹きこむように続きを促す。
「んぅ…!ぁあ…オレ、ルドさん、…意地悪…ぅ…」
掛かった息に促されるように、また伍長は手を動かし始めた。
27 :
オレ×伍 2:2007/02/26(月) 00:42:02 ID:???
やがて、股間を弄るだけでは物足りなくなったのか、乳首も弄り始めた。
オレルドがいつもそうするように、軽く揉みこみ、引っ掻き、摘む。
「一人でするとき、乳首、いじるんだな」
「はぁ、はぁ、……っ…やぁ……」
「カリんとこ、気持ちいいのか?そこばっか触ってる」
「あ、やだ………ん、…」
オレルドが意地悪く囁くと、伍長は立ち上がった陰茎を手で覆い隠すようにする。
「隠すなよ。もっと足開いて…そっち、もたれればいい」
後ろにあるヘッドボードの方に凭れさせようと肩に手をかける。
伍長はびくりと体を揺らしたが、やがて諦めたように背中に体重を預けた。
下肢全体が無防備にオレルドの前に晒される。
「ん、いい子だ…穴まで丸見えだぜ」
「ん…ん…ああ…」
オレルドが、開いた伍長の足の間に顔を寄せる。
「や、だっ・・・そんな近く…だめっ…」
「…こっちにも欲しいのか?」
そう言って、ヒクつく窄まりに息を吹きかける。
「んぁっ…!吹いちゃだめ…です…!…んふっ……ぁ…」
伍長は反射的に、オレルドの体を挟むように足を閉じた。
しかしすぐに内腿に手がかかり、ぐっと押されてさらに大きく開かれる。
「こら、足。いてえよ。…はは、ぱくぱくしてら。」
伍長の窄まりは、何かを期待するように蠢いている。
そこに触れたくなる気持ちをぐっと抑え、扱く伍長の手を間近で見つめる。
伍長の陰茎は完全に立ち上がっていた。先走りで手までべとべとになっている。
「イくときは言えよ」
「んなっ…無理ぃ…っ!」
心なしか涙声で伍長が訴える。
「もうそろそろ限界じゃねえのか?」
「んんっ…あぁ・・・オレルド、さん…もぉ……さ、さわって…くださぃ…」
「ダメだ、ほれ、もうすぐだろ?」
「あ、だ、だって…自分だけじゃ……んぅ…」
オレルドの頬にニヤリと笑みが浮かんだ。
もう、可愛くて仕方ない。
いつも伍長は恥ずかしがって、自分から求めるような言葉ほとんど言わない。
それだけ限界が近いということだろう。
それに、触ってもらってイキたいなんて言われて喜ばない男がいるなら
お目にかかりたいものだと思う。でも、今日は許してやるつもりはない。
「ほーら、手が止まってる」
握られて止まったままの伍長の手の上に、オレルドは手を重ね、
くちゅくちゅと動かしてやる。
「あぁっ!…ひっ、はぁっ、はぁっ…いっ…」
首が逸らされ、弾けるようにあえぎ声が漏れた。
伍長がまた自分で扱き出すのを見届けると、すっと手を離す。
オレルドは、ヘッドボードにもたれ掛かっていた伍長の体をすこしずりさげた。
自分はその横に移動し、ひざ立ちになる。
そして顔の傍にいきりたった陰茎を近づけ、扱くのを見せ付ける。
「お前のエロいかっこ見てたら俺もコーフンしてきた」
「あ………オレルド、さん、も…」
伍長はオレルドのモノを見上げると、亀頭にそっと舌を近づけた。
「あっ、コラ、舐めるんじゃない」
オレルドは伍長の頭を優しく押さえ、舌が届かない所まで離した。
伍長は出した舌で唇をペロリと舐め、少し不満そうな顔をする。
「あぅ、……ふっ…んはぁ」
「いいぜ…その顔…っ」
無意識の欲しがる仕草や表情にオレルドはますます欲情し、高ぶっていく。
その興奮を吐き出す事に集中すると、すぐに限界はやってきた。
28 :
オレ×伍 3:2007/02/26(月) 00:42:51 ID:???
「出すぞ、舌、だせ」
「はぁ、はぃ……」
「っ…くっ……はぁ、っ、っ…」
ビュルッ、ビュッと断続的に精液が飛び出し、伍長の舌や頬にふりかかる。
「んあっ!あ…いっふぁい・・・」
伍長は目を細め、熱に浮かされたように呟く。
舌にかかったものや唇にのった精液を躊躇することなく喉の奥に運んだ。
広範囲に飛び散ったそれは伍長を汚したような錯覚をオレルドに与える。
「ん、…いい眺めだな…」
満足そうなため息をついて、頭を軽く撫でる。
伍長はその手に頭を摺り寄せて、いっそう激しく自分の陰茎を弄っている。
すぐに、伍長が強請るように切羽詰った声を上げた。
「あっ、も、オレも、・・・でちゃ、でちゃう…あっ・・・」
「顔かけられて興奮したか?…ほら、出せよ」
伍長の真横に腰を下ろしたオレルドは耳たぶを甘噛みし、チロリとなめあげた。
「あーっ、んぅ、だめ、あっ!あっ!あ!!…っ…っ……は・・・あ…」
オレルドの差し出した手のひらに、どぷどぷと精が吐き出された。
吐き出すごとに身体がビクビクと震え、小さく声を漏らす。
長い射精が終わり、伍長はやっと体の力を抜いた。
「お前もいっぱいでたな…溜まってたのか?ほら…」
「ふぅっ……あ…」
精液を溜めた手を見せながら言うと、伍長は
達した余韻に浸ったままのとろりとした目を向けてきた。
先ほどオレルドが放った精液が、頬や顎、首筋に散らされたままだ。
それを見たオレルドの心臓はドクンと音を立てる。
手を傾け、あお向けた伍長の顔にぴしゃぴしゃと精液を垂らす。
オレルドの放ったものと、伍長自身のものが、混ざりあう。
上気した頬に擦りこむようにのばしてやった。
「ほら・・・おまえのとオレの…混ざって」
「あぁ…顔、ぬるぬる……んんっ……ん…」
伍長は指を伸ばし、それを掬いあげ口に運んでは丁寧にしゃぶった。
覗いた舌と指を吸う音に、また酷く煽られる。
オレルドは、脱ぎ捨てた服をひっつかみ水差しの水で濡らして伍長の顔を拭う。
「ん……」
されるがままの伍長を押し倒し、強引に口付けた。舌が絡み合う。
伍長の口の中はすこし青臭かったが、それも今は興奮材料にしかならない。
「後で、たっぷり舐めさせてやるから、今はこっちな」
「ん…ふぁい……んんっ…」
いやらしい水音が部屋に充満する。
ふたりのよるはまだまだこれから。
終
自慰伍長を書きたかった。
ぶっかけ+擬似ぶっかけで汚してやりたかった。
あと、かけられて感じちゃうっ、ビクビクッな伍長を書きたかった。
書ききれているか疑問ですが、楽しんでもらえると嬉しいです。
オレルドは自分の分身であります。
キタコレーーーーー!!!GJ!
心の中のチ○コが完全に起きたよーーー!
いいよ!すげーエロいよ!伍長エロ可愛いよー!
オレルド!ありがとう!伍長の新たな一面を見せてくれて!
これからどうなるんだ?この二人は?!続きも読みたい!
やばいぐらいに禿萌えた。
愛のあるソフトSMプレイはいいですねぇ。
GJ!!
>>男体の人
萌えるなんて初めて言われましたw
男体の人の方が萌えますよぅ
>>22 うぁ、泣けるだなんてありがとうございます
たかがキス、されどキスですよ。
イチャコラしてるオレゴも好きですが
オレルド→伍長⇔少尉
という関係が自分の中で完成されつつあるのでどうしてもかわいそうな展開に…!
>>23 現代日本の乱れた性事情を書いてみました(力一杯の嘘)
体は満たされても心が満たされないと辛いもんですよ。
>>24 報われぬ恋は本当に辛いですよね…
相手は体だけの関係であると認識してるとさらに伝えづらく…
伝えたいのに伝えられない泥沼
ぐあああああ!
だらだら返信してたら新作キタ――――!!
>>25 あ、もう前座だけで十分得ろいです。
ハートにズッキューンですよ
伍長…俺もいぢめたい…
>>25 うわーGJ!M伍長エロカワイくてたまらん
こういうの好きだー
エロスキタ−−−!
人工知能伍長に「コーラ飲む?」って聞いて
返って来たセリフに萌えたぐらいにエロい!
お座りもなかなか
40 :
保管庫の人:2007/02/26(月) 04:22:56 ID:???
乙くださる皆様ありがとうございます。
携帯・PC共に三月中の完成目指してコツコツがんばりまっす。
>>14-15両氏と林檎ユーザーの皆様
火狐の方では不具合解消されたようで良かったです。
男体の人さんsafariの画像ありがとうございました。
見た瞬間の感想→「(;゚;ж;゚; )ブッ 何だこりゃ??」
スクロールバーの色は諦めてましたが、広告は予想外です…(´Д`;)
原因に心当たりがなくもないものの、今度はちょっといじるだけでは
済みそうにないので、safariユーザーの方には申し訳ないのですが
ここは>14-15両氏のお言葉に甘えて「FireFox推奨」でお茶を濁させて
いただきます。
お騒がせしました。
>>前スレ442
オチに吹きますたww
待ったがかからない場合はあれで一本として保管庫入りですが、
続きがあればぜひおながいします。
>>(´・ω・`)の人
久々のSS乙です。
切ないですなー。キスじゃなく頑張って口説き落とすしか。
あ、タイトルは任意です、必須ではないので何も浮かばない場合は
そのままでも無問題です。
せっかくなので作家気分で遊んでもらうのも一興かと。
>>25 あらあらまぁまぁ(*´д`)
かけ合いって後の始末が大変そうだけど、エロスゲージは
満タンな感じでよろしゅうございますね。
乙でした〜。
41 :
シャワーの人:2007/02/26(月) 04:59:24 ID:???
保管庫の人遅くまで乙です!
>>442はまだ未完です。近日中には続きを投下出来るかと思います。
お心づかいありがとうございます!
ラーンがもっと酷い目に遇います。でもハッピーエンドです。(予定)
42 :
25:2007/02/26(月) 20:58:17 ID:???
やまもおちもいみもないエロですが
楽しんでいただけたようでなによりです
また萌えシチュが形になれば投稿しにまいります。
>>44 ごち。
ほんにこの回の伍長は性的じゃった…(*´Д`)
伍長の悲鳴やら恐怖に震える息づかいやら
全部が全部喘ぎ声に聞こえて妄想が止まらなかったw
>>44 この回はアニメも漫画の方もやばいくらい性的だったからなぁ
妄想好きなそのスレの住民たちにはたまらないねぇ
>>42 素晴らしいSS有難うございます!次のも期待してます
ところで42氏のコテハン名は何なんでしょうか…
>>46 ・ガンシャの人
・強制自慰の人
・ぶっかけの人
……なんかどれも気の毒だ
>>46 前スレでちちいじりSSを投下したのと中の人は同じです
また投下する時はそんなコテで投下しますね
49 :
保管庫の人:2007/02/27(火) 02:13:13 ID:???
>>41 シャワーの人さんでしたか。
了解しました。
お待ちしております。
>>25=48氏?もお待ちしてます。
コテ決まったら保管庫に反映させますので…
そういや前のスレで乳いじりの人とか乳フェチの人といったコテハン名が出ていたなぁ。
また投下しにきました。次回で完結なのでもう少々お付き合いください。
自分雑食でスレの空気読めずすみません、みなさんの優しさには深く感謝しております。
感想くださったかたどうもありがとうございました。ちょっと時間ないので
取り急ぎまとめレスでごめんさい。
バーサーク伍長の続き
*伍長ヘタレ攻め×少尉(幼児化ではないです)
レイープとかそんじゃなくてノーマル伍長なんでヘタレてますが許してください。
(ふだんよく読む伍長が受けなんで攻めになりきってないような気がします)
「泣いてもいいんです」俺は少尉を胸に抱いた。あまりにも孤独で寂しそうに見えたから。
どうしてつらい時ほど背中しか見せないの人なのかようやくわかったような気がした。
「だって泣かないと、誰も悲しんでいるとわかってくれません。それに、自分の気持ちが
自分でわからなくなります」
全部母さんが言っていたことの受け売りだったけど、俺自身もそう思っている。「つらい
時、悲しい時、痛い時、苦しい時……みんな泣いていいんです」
少尉の体が震えた。かすかな声が聞こえる。「つらい時、悲しい時……」
「そうです、泣いていいんです。人に頼っていいんです。助けてって言えば」
慰めてあげたくて、俺は汗ばんだ形のよい額に唇をつけた。昔、母さんがしてくれたように。
塩辛い汗の味がして、そのまま目蓋まで唇を滑らせると口に涙が入ってくる。
唇を離して、小さな額に自分の額を押し当てる。母さんはその後『元気出せ、ランデル』
って言って頭を撫でて髪の毛をくしゃくしゃにしたけど、少尉には、どうしてあげればいいのかな?
……やわらかな唇にそっと口をつけたら、これっきりにしよう。
情けないけれど、少尉を胸に抱いたせいで体が反応してきていて、このまま慰め役を続けるなんて
できそうにない。まったく俺はどうして男になんかに生まれついてきたんだ。大事な時にぜんぜん
役に立ちやしない。
すぐに唇を離したら『元気出せ』って食事をさせて、今日は仕事を休んでそばにずっとついて あげよう。
大祖父の死を知らせたら劇的に記憶が戻るかも、と少し思ってたけど、やっぱり素人考えだった
みたいだ。なんだか混乱させたみたいで、いたずらに悲しませただけなのかもしれない。
「痛い時、苦しい時……人に頼って……助けてって……」
小さな声が再びつぶやいたので、俺はしばらく言葉の続きを待ったが、もう一度“助けて”と
ささやくような声を漏らすと、少尉はそれきり黙りこんでしまった。
日はすっかり沈み窓の外が暗くなった。このままだと夕食が冷めてしまう。
そっと唇を押し当てた。これきりだ、これ以上は絶対しないと自分に言い聞かせて。
少尉の肩がビクッと震えたので俺はびびってすぐにやめようとした。とても名残惜しかったけど
口を離しかけた時……唇を割って入るようにして、尖った舌先が侵入してくる。
『えっ? しょ、少尉?!』
細い腕が首に回るとともに、舌も絡み付いてくる。俺は頭がとろけそうになった。おかしい。何か
おかしい。こんな大人のキスを今の少尉がするなんて。もしかして記憶が戻った?……なんだか、
以前にも同じことがあったような気がする……。
口の奥の敏感な部分を舌先でこすられ、自分の体温が上がっていくのを感じた。おかしい。おか
しい。こんなことしてないで考えないといけないことがあるはずだと頭の片隅が警告していたが、
俺はキスに夢中になっていった。
俺、あんなにひどいことしたのに、また。
でも、……今はランタンつけてないから。少尉がイヤだって言ったらきっとすぐやめられるから。
あんなの俺じゃない。本当の俺は、絶対少尉を傷つけたりしない。ランタン無しの俺は何もできない
図体だけのヤツだから……あんなひどいこと絶対しないから……少尉、本当の俺をわかって……。
しなやかな体を抱きしめて、唇をむさぼって。この宿屋にきてから、いや、ずっと以前、ひょっと
したら少尉を女と意識した時から、したかったこと。俺はなんだか泣き出したい気分になっていた。
硬い下着を身につけていない柔らかな胸が体に当たる。
「あの……む、胸……さ、触っても、いいですか?」
俺は息も絶え絶えに唇を離した。口を塞がれていたせいもあるけど、心臓が駆け足したみたいに
高鳴って、馬鹿みたいに興奮していたせいもある。
答えはなくて、熱い唇が今度は耳たぶに移動しただけだった。軽い甘噛みの後、耳の穴を舌先がつついた。
「しょ、少尉やめて! あ、そ、そんな……ひゃ……や、やめてくすぐったい……」
我慢できなくなって胸を探ると、とてもやわらかいのに、盛り上がった先が固く尖っているのが服越しにも
わかった。少尉も感じてる……こんなことってあってもいいんだろうか? 俺、夢でも見てるんじゃないの?
絶対おかしい……と思ったけど、震える手でボタンを外して……上から一個、二個は外したのを覚えているけど、
後はどうやったかわからない。
震える手でなんとかかんとか服を引き剥がすと、ぷるるっとはじけるように裸の白い胸が飛び出してきた。
ひどい記憶の中でもうっとりと見とれたような気がするが、それにともなう罪悪感は無視した。肌は白くすべすべと
吸い付くようで、触っているだけでイきそうなくらい気持ちいい。淡い色合いの小さな乳首を唇が捉えると、みるみる
うちにもっと硬くなり、鼻にかかった甘い声があがった……なんとなくわざとらしい、どこかで聞いたことのある声だ。
こんなあられもない声を少尉が立てるだろうか?何かおかしい。絶対、おかしいんだけど。
「少尉……し、しても、いいですか?」
俺はマーキュリー号みたいな息を吐きながら、ズボンのベルトをカチャカチャいわせていた。窮屈で、苦しくて
たまらない。下着が我慢汁でじっとりしめっているのがわかる。もう痛いぐらいだった。
「はぁっはぁっ……少尉、ほ、本当に、いいですか?……ほ、ほんとにほんとにいいんですかっ」
返事の代わりに舌が俺の顎の縫合線を舐めた。背中がぞくっとした。たまらなくなって、おずおずと小さな下着に
手をいれて探ってみると、そこはもうぬるぬるで…… 熱い。とても熱くてひくつき、指を吸い込もうとする。
俺はすっかりただのオスに成り果てた。
下着ごと自分のズボンを下ろそうとすると、汗でべたついてなかなか脱げない。熱でも出したみたいにいつの間にか
体中が汗だくになっていて、シャツが背中に張り付いている。あんまりもどかしくて自分の服を破きそうになった。
すでにぬるぬるになっている先端を小さな亀裂に押し当てて……上手く入らなくてすべってしまうばかりで、でも
それが凄く気持ちよくって。調子に乗ってこすりつけているとすぐイッてしまいそうになり、押し当てたまま動きを
止めたけど、熱く濡れたそこはひくひくとうごめき、凄く狭いのに、なんだか、吸い込まれそう……。
「ひっ、しょ、少尉、だ、駄目……あ、そんなふうに動いたら……入っちゃう……だ、大丈夫? 痛くないですか……」
体重をかけると、内部の動きにつれて、ほんの少しずつ、少しずつ、奥に吸い込まれた。ぎりぎりと喰い締められてる
ような感じが凄くイイ。
少尉が顔をしかめ眉根を寄せているので本当はつらいんじゃないかと心配になったが、でも俺を押しのけるわけでは
ないし、激しい息遣いの合間に上がる声はとてもかわいいし……。
「あっ…うあっ…は、入ってる……入ってる……」裏返って情けない声になってしまうのがとても恥かしい、でも
自分を抑えることができなくて。「少尉……少尉ィ……気持ちいいっ、ぃぃ、…っ…お、お願いもう動かないで、
……で、出そう」
まだほんの先端しか入ってないが、残念ながら限界だった。目を硬く閉じて必死で耐えていたけど、急にしなやかな
脚が腰に絡みつき、圧迫感が増した。少尉はさっきからたまに善がる以外はずっと無言で、ただ、吐息だけが荒くて。
記憶が戻ったのかな……でも、少尉が自分からこんなことをするなんて絶対おかしい、一体どうし……あ、イイ……
凄い、イキそうイッちゃう……こら馬鹿、俺はもっと考えなきゃならないことがあるだろ!……ああん、でも……
あ…あぁ…うぁあぁ、はぁっはぁっ、……考えないと……ぁぁぁああ、もうどうでもいいっ、少尉大好きですっ!
「はぁ……はぁ…少尉、そんな、締めないで、駄目、で、出るっ……あ、あ、あ、中で出していいですかっ」
あんまり息が激しくて体をかがめていると苦しい。俺は顔を正面に向けたままだらしなく口を開けて喘いだ。
ほんのちょっとの刺激でも出してしまいそうで、石のようにじっとしたけど、腰は快楽を求めるように勝手に動いて
しまって。あ、もう駄目……ほ、本当に出ちゃう……少尉、中で出してもいいの?本当にいいの?あ、あ、あ、イク、
イク、あ、あ、あああぁ……。
「痴れもの!」
怒られた。きっとビンタがとんでくる、ご、ごめんなさい少尉。
俺は馬鹿みたいに腰を揺すりながら、あのよく効くビンタが飛んでくるのをドキドキしながら待った。
「痴れものどもが!」
……ども、って?
「我が体、蹂躙したくばすればよい……だが心までものにできると思うなよ」
「少尉?!」
驚いて、淫らな気分などすっかり吹き飛んだ。慌てて体を離すと、熱く震える白い体を揺り動かす。顔は火照り、
欲情で赤らんだような頬をしていたが、目は半開きなものの、鋭く険しく、ここにはいない誰かを睨みつけている。
「知らぬ……あの女の行方など、知らぬわ……いくら薬を盛ろうと、知らぬものは答えられぬ!愚かな下衆ども!」
俺は愕然とした。
少尉は今、娼館での出来事を再現してる。
俺も、901に所属し戦闘に参加したばかりの頃、無事生還し日常を送っているのに、ほんの些細なきっかけで 心が
戦場にとんでしまい、突然叫んだり、暴れたり……逆に体が動かなくなったり口がきけなくなったりしたものだ。
終わったはずの戦闘が突然目の前によみがえってきて、その時の音が、体感が、においが、そして感情が、繰り返し
繰り返し現れて……現在は、そんな感覚は夢の中だけになったけど。
「さっさと拷問にでもかければいいものを、馬鹿者どもがうれしそうに……このようなことで私が屈服するとでも
思うか……我が体に溺れ……目的を見失うがいい……」
「少尉、しっかりして! 俺がわかりますかっ」答えはない。荒い呼吸だけが続く。「俺です、ランデル・
オーランド 伍長です! ……助けにきたんです!」
少尉が俺を見た。行方不明になって以来、初めて俺の目を見たような気がした。
「少尉!……終わりました、みんな終わったんです!……セシルさんは無事ですよ、協力者から暗号で連絡が
あったそうです……」
「終わった」
「そうです、終わったんです。……もう、いいんです!」
「終わったか」
言い終わると少尉は唇をかみ締め、顔をそむけた。肩や喉が小刻みに震えている。この人は決して誰かに
すがりついたりしないのだと思ったが、でも、俺はほんの少しでも支えになりたかった。
「少尉……。つらい時、悲しい時、痛い時、苦しい時は、泣いていいんですよ」俺は母さんの言葉を繰り
返した。「少尉が泣いたら悲しいけど……少尉が独りきりで苦しんでいるほうが、俺にはもっと悲しい」
相変わらず横を向いたままだったけど、やがて、すすり泣く声が聞こえてきた。
泣き声がしゃくりあげる声に変わって、またすすり泣く声に変わった頃には、だいぶ落ち着いたらしく寝入り
ばなの子供のように大人しくなっていた。このままゆっくり眠らせてあげよう。
俺は少尉を毛布でくるむと、少し考えてから……起き上がり、服装をきっちりと整え、上着を着た。そんな外出
する時のような恰好で毛布の上に横たわると、暖かい布地の下で丸くなっている少尉に寄り添った。
記憶、戻ったんだろうか。明日は伍長って呼んでくれるといいな。
金色の髪からとてもいい匂いがしたけど、俺は気分を戒めて眠りについた。
暗闇の中、鈍い金属音がして眼が覚めた。
しっかり鍵をかけたはずだったが、確かにそれは鍵の外れる音だった。
室内に靴音が響く。複数だ。
俺が飛び起きたのと、何か固いもので頭を殴られたのはほぼ同時だった。
「アリスさま!!どうせこんなことだろうと思っておったわ。この不埒者め!」
この声は……食事のマナーがなってないと俺を怒鳴りつけたあの怖い執事さんの声?
床に倒れたところに毛布がかぶせられる。
分厚い布地の下で身動きが取れない俺を、革靴を履いたいくつもの足が蹴り上げた。
何が何だかわからない内に気が遠くなる。
やがて男たちの怒声も何もかも、聞こえなくなった。
……この場所に来て、何日たったんだろう。
俺は薄暗い橋の下で埃や塵の垂れ下がる橋桁の裏側を眺めた。通行人が行き交うたびにポロポロ砂が落ちてくる。
またこんなところに舞い戻ってきてしまった。しかしここには浮浪者たちはいないし、どういうわけか猫も
いなくて、ネズミばかりが暗がりを走り回っている。
ここがどこの橋の下なのか俺は知らない。なじみの場所には戻りたくなくて、いつの間にかこんなところ
にいた。下水の臭気がひどい上じめじめしていて薄暗く、こんなところに寝泊りしたいと思う浮浪者なんて
いないだろう。
宿の一室で、頭の痛みに目が覚めると、すでに日は高かく少尉の姿は部屋のどこにもなかった。
少尉の荷物も俺の背嚢もそのままで、ベッドの上に分厚い封筒が置いてあった。中身は金で、俺の給料一月分
の何倍もの額だった。
慌てて部屋の外に飛び出すと廊下に待ちかねていたかのように宿屋の親父がいた。俺はひどく怖い顔をして
いたのかもしれない。ハゲ頭の親父は驚いたネズミのように退くと、弁解がましく言った。
「合鍵渡したのは確かに悪かったがよ、貴族と揉めるのはごめんだぜ。しっかしでっかい兄さんも隅に置けねぇな、
貴族のお姫様さらってくるなんざ……」
体のあちこちが痛かったが、俺は大祖父の屋敷へ急いだ。少尉を連れて帰るつもりだったことを説明
したかったし、封筒の中身――少尉と過ごした休職期間と同じちょうど五ヶ月分の給料と同額だった――
がどういうわけなのかも知りたかったし、何より記憶が戻ったかどうかが気がかりたったから。
しかし、少尉との面会は叶わず、屋敷内にも入れてもらえず、台所の使用人用出入り口に出てきたのは
あの怖い執事さんだった
「思った通り、やはり無心にきたか。カエルの子はカエルというわけだな。まぁ何度でも来るがいい」
老執事はそう言うと、ベッドの上にあったのと同じ封筒を俺に渡した。厚みも同じだった。
「カ、カエルの子って……少尉は元気なのですか? 記憶は戻ったのですか? お願いです、
会わせて下 さい!」
執事さんはメイドになにやら耳打ちし、やがて彼女は例の封筒をいくつも抱えて戻ってきた。
「さあ、好きなだけくれてやるからさっさと立ち去れ!」
「俺、こんなもの欲しくてきたんじゃ……」
「お前のような下賎の者のお目通りが叶うお人だと思っておるのか、この不埒者め!先代さまが生きて
おられたら切り捨てられておるわ、当代さまは手ぬるくてまことに歯がゆい……アリスさまは、
お前のような不埒な下衆には会いたくないとおっしゃられておる」
「会いたくないって……記憶が、戻ったのですか」
もし少尉が全ての記憶を取り戻しているなら……娼館の出来事も全て思い出したのなら、俺に会いたく
なくて当然だ。
「……とにかく、会いたくないとおっしゃられておる」
頭の痛みがさらに増したような気がして、俺は立ちすくんだ。
「そういうことだ。わかったならばさっさと消えろ」
少尉は俺に会いたくない……よろめきながらきびすを返すと俺は歩き出した。金はいらんのか、
という声が後ろから響いたが、振り返りもせずその場を立ち去った。どこをどう歩いたのか、
何時間、いや何日間歩いたのかもわからない。
しかし、少尉との面会は叶わず、屋敷内にも入れてもらえず、台所の使用人用出入り口に出てきたのは
気がつくとこの薄汚い橋の下にいた。寝袋も出さず食事の用意もせず、まるで行き倒れのように。
何か食べようにも体が受け付けず、昨日ぐらいから……喉がカラカラに渇いているのに水を飲もうと
すると吐いてしまう。
見捨てられてしまった、ということだけが頭の中をぐるぐる回っていた。
お願いです少尉、信じてください。本当の俺はあんな男じゃない……。
『あれもお前だ。それが証拠に人殺しの夢を見るのはお前じゃないか』
蒼い光の中で誰かが話しかけてきた。俺にそっくりな声。鼻の上を横になぎるように、大きな傷跡が
ある。右手には針金でくくりつけられたドアノッカー。ジャケット型の旧式の軍服に鉄製の額あて
つき戦闘帽をかぶり、瞳が蒼い。……俺は、夢を見ているのか? それとも幻覚?
『ランタンをつけていたってお前であることには変わりない。ランデル・オーランド』
違う。ランタンなしじゃ俺は何もできない。違う。
『よく言うぜ。二度めはランタンなしで犯ろうとしたくせに』
あ、あれは……あれは……。お、俺だって男だし。
『そうだ、男だ!お前はそのでかい図体と力でなんでも破壊しちまう凶暴な男だ!』
そんなのは、ランタンを点けている時だけだ。普段の俺は、臆病ででかいだけの役立たずで……
俺はお前じゃない。お前なんか嫌いだ、人殺しだって戦争だったからだ。戦争がなかったら……。
『では何故ランタンを捨てない。もう戦争が終わって何年になる。……後生大事にいつまで持っている
気だ?』
俺はやっとのことで身を起こすと、背嚢を探った。忌まわしいランタンを取り出し、川へ投げ込もうと
したが、また吐き気が襲ってくる。
『教えてやろうか? ランタンはお前の半身だから。……そんなこと、言われなくてもよくわかって
いるだろう』
違う。俺は、人を殺したいとか、女を犯りたいとか思ったりしない。違う、違う。少尉を抱いたのは、
好きだから……。
『憎いからだ。あの女も母親と同類だったから。哀れだな、ランデル・オーランド』
うるさい、黙れ。少尉はセシルさんを守るために体を張って頑張ったんだ。男だったらもっとひどい
拷問にかけられて手足や指の一部を失ってたかもしれないのに、とっくに殺されてたかも
しれないのに。あいつら、少尉の体が惜しくなってあれ以上のことができなくて……。
俺はそんな少尉を一番理解して、支えなきゃいけなかったのに。だのにあんなことして。現実を見るのが
恐ろしくて、ただただ恐ろしくて、ランタンに逃げてしまった……。
少尉、もう一度会いたい。そして心の底から謝りたい。それから、いつもフラフラしている俺を導いて
欲しい。
『そうだ、奪い取りに行け! あの女が欲しいんだろ? もう一度組み敷いて犯してやれ。男ならだれ
だってそう思うぜ』
違う、そんなこと思うもんか。母さんだって言ってた。俺は臆病で気が優しいって。そんなことできや
しない。……ランタンでもつけなきゃ、無理だ。
『いい気なもんだ。嫌な事、したくない事ははなんでもランタンに押し付けて、俺は優しくて無力な
ランデル・オーランドか』
ああそうだ。俺は根っから優しくて無力で臆病なんだ。
だって母さんを買いにくる男たちとは違うから。俺はあんなやつらとは違う。あんな奴らなんかに
これっぽちも似ていない。
暴力なんて振るえない、人を傷つけたり、痛めつけたり、そんなことできない。
ランタンなしではそんなことできない。できないんだ!!
『結局そうなるのか。またしても当分ランタンは手放せそうにないな。臆病者の優しいランデル・
オーランド』
俺は吐いた。胃液しか残ってないのに、何度も吐いた。そのまま酸っぱい吐しゃ物の上に倒れこむ。
……こんなどぶ川のほとりで、俺は死ぬんだろうか。
(つづく)
今日はこれまで。
次回で完結予定です。長々と失礼いたしました。
投稿ミスってます(汗
バーサーク伍長23の一行目、違う部分の行が入ってるので、
無視して読み進めてください(すみません)
>>57 おおお急展開!は、早く続きをっ!
伍長ぼろぼろ悲しいよ伍長
揺らいでるのが人間くさくて切なくなるです
>>バーサクの人
もう最後の方では
伍長が蛍の墓の主人公みたいな事になっちゃってますね
伍長の葛藤が泣けるね
>>57 いよいよクライマックスですね!
伍長と少尉のラストが気になって仕方がないですよ
62 :
保管庫の人:2007/02/28(水) 06:48:03 ID:???
>>バーサークの人乙です。
なんか"くんくんしてごめんなさい"を思い出す伍長可愛いよ伍長
>>1スレ目読めなかったPCユーザーの皆様
PC用だけで申し訳ないですが男体の人さんの若獅子×伍長をうpってキマスタ。
他にも色々作業した気がするが細かな数値変更とかそんなのばっかりで
全然SS上げられない…
でもこれでソースのテンプレが固まったので、あとは早いです。多分。
追伸
>保管庫の人
お疲れ様です
65 :
保管庫の人:2007/03/01(木) 06:27:20 ID:???
>62-63
どうもです。
そのアヌメは…ビンゴですw
もちろんオナってる声は映像を伍長に脳内変換する方向で。
>>皆様
PC用ですがSSちょこちょこアップしてます。
どうしようか悩んでた901准尉の手紙はあんな具合にしてみました。
携帯用でもあんな感じにしようかと。
作者の方、いかがでしょうか。
何かご希望があれば可能な限り沿うようにしたい所存です。
66 :
保管庫の人:2007/03/01(木) 06:28:29 ID:???
67 :
シャワーの人:2007/03/01(木) 16:16:27 ID:???
保管庫の人、毎度乙です!くんくんしてごめんなさい!
保管庫の人のお陰で、また過去の名作を拝む事が出来ました。
ありがとうございます!いろいろ大変かと思いますが、
よろしくお願いします。
バーサークの人もGJです!
ダークでシリアスで泣ける伍長が書けてイカすです!
自分には書けないorzふざけ過ぎちゃって。
ちょっと長めですが、投下します。
※内容は「青春のバカ騒ぎ」「飲み会の三次会ぐらいのノリ」です。
※オレルド×伍長でエロ有り。
※伍長が誘ってます。ちょっと淫乱かも。
ゆるいです。肩の力を抜いてご覧下さい。冒頭は前スレとかぶってますが、
若干書き直しました。
「誰かぁーーーっ!!助けてぇーーーっ!!」
寝静まった夜の町に、助けを求める声が響き渡る。数人の悪漢に追われている巨躯の男が、目に涙を浮かべ
ながら、息も絶え絶え逃げ惑っていた。しかし巨躯の男は袋小路に追い詰められ、逃げ場を失ってしまった。
「へっへっへっ。もう逃げられねぇぜ!観念しな!」
「大人しくしてりゃぁ、可愛がってやるからよぉ!」
「こいつ、怯える姿もそそるじゃねぇか!」
悪漢達がじりじりと間合いを詰めて来た。巨躯の男は恐怖に震え、その場にしゃがみ込んで自分の肩を抱き
しめた。悪漢達が舌舐めずりをしながら笑っていた。
「いやあああああっ!!」
悪漢達の魔の手が、まさに襲い掛かろうとした、その時、
「待てえええええぇぇぇい!!」
威勢の良い声が響き渡った。悪漢達が一斉に声のする方に振り向くと、そこには逆光に照らされた男が一人
ファイティングポーズを決めながら立っていた。
「誰だ?!てめぇは?!」
「やかましい!!お前らに名乗る名前などない!!だがどうしても聞きたいって言うなら教えてやる!
只今人気急上昇中!帝国一のベリナイスガイ!陸軍情報部第一課のダブル・ショーテル!ラーン様だ!!」
「…ラーン准尉…?!」
巨躯の男が顔を上げて、その救世主を心酔の眼差しで見つめた。
「やっちまえぇっ!!」
悪漢達が一斉にラーンに殴り掛かった。
「奥義!!無敵曲剣ダイナマイトパンチ16連射!!」
ラーンはヒラリヒラリと蝶が舞うがごとく悪漢の拳をかわし、蜂のごとくパンチをその顔面にお見舞いして
やった。
「おっ、覚えてろよーっ!!」
ボコボコにされた悪漢達が、お決まりの捨て台詞を吐きながら逃げて行った。
「ベッドの下に隠したエロ本をママに発見されないうちに、さっさと失せやがれ!!」
「ラーン准尉…、あ、ありがとうございました!」
ラーンが振り返ると、そこには感極まった顔の巨躯の男が、胸の前で手を組んで目に涙を浮かべていた。
「なぁに、礼にはおよばないぜ。それより、怪我はなかったか?」
「はい…。お陰で助かりました」
ラーンは巨躯の男に歩み寄ると、ハンカチを取り出して差し出した。
「ほら、涙を拭きな。お前に涙は似合わねぇぜ」
「ラーン准尉…!」
巨躯の男が感激の余りラーンに抱き着いて来た。ラーンの顔がだらしなくニヤけた。
「今まで誤解してました!ラーン准尉がこんなにも強くてカッコ良くて優しい人だったなんて!…俺、
ラーン准尉の事を…」
ラーンから身体を離した巨漢が、顔を真っ赤にさせて恥じらっていた。ラーンはその蠱惑的な表情を見て
喉を鳴らした。
「ラーン准尉…。俺、ラーン准尉にだったら…何されてもいい…」
その言葉を聞いたラーンの体中の血液が、一気に沸騰した。心臓が早鐘のように鼓動し、膝がガクガクと
笑い出した。
「キスして下さい…。ラーン准尉…」
巨漢がそっと目をつぶり、その魅惑的な唇をラーンに差し出した。ラーンは巨漢の両肩を抱き、震えながら
その唇に自分の唇を近付けて行った。
「…オーランド伍長…!!」
次の瞬間、ラーンの全身を衝撃が襲った。
「痛でっ!!!」
毛布を抱き締めたまま、ラーンはベッドから転げ落ち、強かに則頭部を強打した。しばらく状況が理解
出来ないラーンは、冷たい床の上で茫然としていたが、やがてゆっくりと上半身を起こした。
「…夢…?」
急激に現実に引き戻されたラーンは、鈍痛の走る身体を起こし、がっくりと肩を落として項垂れた。
「あともう少しで…、もう少しだったのに………!」
ラーンの全身がブルブルと震え出した。
「どチクショーーーーーーーーーーーっっっ!!!!!」
清清しい朝の青空に、ラーンの悲痛な叫びがこだました。
* * * * * *
朝からラーンは機嫌が悪かった。かと思えば、たまに顔の筋肉が崩壊し、薄気味悪い笑みを浮かべて
いた。いつもラーンを取り巻いていた同僚も、迂闊に近付く事が出来ず、遠巻きにラーンを見ていた。
「どうしたんだ?ラーンのやつ」
「知るかよ。朝からずっとあの調子だぜ」
「誰かラーンを怒らせるような事したのか?」
「え?怒ってるの?俺、今朝ラーンが廊下でスキップしてるの見かけたぜ」
「うそ!俺なんかバック転してるとこ見たぜ!」
そんな同僚のヒソヒソ話など気にも止めず、ラーンは上の空で机に座っていた。
昼になり、食事を取っている間も、ラーンは相変わらずだった。ラーンのプレートの上の料理は一向に
減らず、フォークで時折つつくだけだった。
「俺が思うに、ラーンのやつは恋をしてるんじゃないかと思うんだが」
「そうだよなぁ。機嫌が悪いかと思えばニヤニヤしたり、1分に3回はため息ついてるし」
「これで食欲もなかったら、完璧じゃないか。恋煩いとしか言い様がないな」
そんな話など耳にも入らないラーンが、ふと顔をあげた。その視線に、食堂に入って来る三課の面々の姿が
飛び込んで来た。伍長が笑いながらオレルドと話をしている。その笑顔が、ゆうべラーンが見た夢の中の
伍長の笑顔と重なり、心臓がドキリと高鳴った。
一課の姿に気が付いたオレルドが、余計なもめ事を起こすのも面倒臭いので、なるべく離れた場所の席に
伍長を促した。さり気なく伍長の腰に手を回すオレルドの仕草が、ラーンの気持を逆撫でした。
『オレルドの野郎〜!手癖の悪さは帝国一だぜ!』
歯ぎしりをしながら恨めしそうに三課を睨むラーンの視線に、一瞬伍長が気が付いた。困ったように
はにかむと、小さく会釈をした。その笑顔にラーンは息を呑んだ。
『か…!可愛い…!!』
伍長はオレルドとマーチスに視線を戻すと、再び笑いながら話を再開した。ラーンには、伍長のバックに
沢山のバラの花とキラキラの透過光が幻となって見えていた。
『俺…、もしかしたらマジであのウスノロに…?!』
しかし、そんなラーンの心中など知る由もない仲間達が、三課の噂話をし始めた。
「あのでっかいの、何でもオレルドとデキてるらしいぜ」
「マジぃ?オレルドのやつ、男にまで手ぇ出してるのか?」
「しかしあのウスノロ、妙な色気があるからなぁ。そんな噂が流れてもおかしくはないよなぁ」
ラーンは顔面蒼白になった。そうだ。二人の噂は耳にした事はある。しかし良くあるゴシップだと思って
いた。男ばかりの組織には有りがちな噂話だと。しかし今のラーンには、そんな噂さえ心を掻き乱す物で
あった。そしてラーンは一大決心をした。マジで恋する5秒前であった。
「…で、話って何?」
資料室に用事のあったマーチスが、半ば強引にラーンに資料室の奥まった場所へと連れて来られた。
「実はオレルドとオーランド伍長の事なんだが…」
「あの二人?二人がどうかしたの?」
マーチスはなかなか切り出さないラーンの顔色を見て、まさかと思った。マーチスは二人が「良い仲」なの
は承知している。しかしあまり公に出来るような仲ではないので、マーチスも二人の事は秘密にしていた。
しかし、そんなマーチスの心遣いを他所に、オレルドが所かまわず恥じらう伍長にセクハラ射撃を敢行する
ので、周囲が疑いと嫉妬の目で見るのは当然だった。開けっ広げなオレルドの性格には、ほとほとマーチス
も呆れていた。
「あの二人が公衆の面前でイチャイチャしてるのは周知の事だ。しかし、それはそれとしてだ」
そこまで知っているなら、わざわざ聞く事ないじゃないか?と半ば面倒臭いと思いながら、それでもマーチス
は、ラーンにどんな質問をされても二人の関係をぐらかそうと心に決めていた。
「あの二人は…、手を繋いだ事は…あるのか?」
真剣な眼差しのラーンの質問に、マーチスの口角がヒクリと吊り上がった。
「…なんでそんな遠い所から質問するんだい?もっと確信に迫った事聞かないの?」
「う、うるせーっ!俺の心はメレンゲ菓子で出来てるんだ!大体運動する時だって、まずはアキレス腱を
伸ばすだろうが!!」
訳の分からない持論を語るラーンに、マーチスは呆れた顔をして見せた。
「そりゃぁ任務上、手を繋ぐ事ぐらはあるんじゃないの?僕だってあるし」
「任務上…!そ、そうだよな!任務上なら有り得るよな」
お前は中学生か?とマーチスは心の中でツッコミを入れた。
「マーチス!探したぞ!追加の資料を隊長に頼まれて…、げ。ラーン!」
そこへオレルドと伍長がマーチスを探しにやって来た。そして意外な人物がいる事に、オレルドはあからさま
にイヤな顔をして見せた。
「オレルド!丁度良い!お前に聞きたい事があったんだ!」
ラーンはマーチスを押し退け、オレルドに詰め寄った。伍長は二人の険悪な雰囲気にオドオドしながら
オレルドの後ろに回った。
「何だよ。改まって」
「お前…、オーランド伍長とデキてるって噂が流れてるが、それは本当なのか?」
ラーンの殺意剥き出しの視線に、オレルドは怯む事なく余裕の態度で構えていたが、伍長は顔を真っ赤にして
狼狽えていた。マーチスもここまで言われて今さら弁護する事も出来なかった。
「噂ぁ?ふん。噂どころか、事実であり現実であり真実だ!」
「な゛っ?!」
ラーンがその受け入れ難い言葉を聞いて愕然とした。マーチスも同様に慌てた。
「ちょっと!オレルド!!そんな事白状しちゃっていいの?!」
「構うもんか。それにこいつは噂の真相を聞きたかった訳だろう?ちゃんと現実を直視してもらわねぇと
変に期待を持たせる方が酷じゃないか」
がっくりと項垂れていたラーンの肩が震えていた。
「ふっ…ふっ…ふっ…、ふざけるな!!」
ラーンが半泣きで声を荒げた。
「てめぇは中央管理局の女の子に粗方手ぇ付けたくせに!その上オーランド伍長まで弄ぶ気か?!」
余りに真剣に怒っているラーンに、どこかでボタンをかけ違えたような違和感を抱いた三人が茫然と佇んだ。
「人聞きの悪い事言うなよ。誰が弄んでるんだよ」
そう言いながら、オレルドはいきなり伍長の胸を鷲掴みにすると、乱暴に揉みしだいた。
「ひゃあっ!!やっ…やめっ…ん!!」
「それが弄んでるんだよ!!オレルド!!」
マーチスがオレルドの胸に手の甲でツッコんだ。伍長が恥じらいながら自分の胸を抱き締めると、オレルド
を涙目で睨み返した。しかしオレルドはしたり顔でラーンを見下していたので、その傍若無人な態度に、
ラーンはついに怒髪衝天の勢いで怒鳴った。
「こっ…、この…!ワイセツ軍人ーーーーーっっっ!!!!」
捨て台詞を吐き、目の幅の涙を流しながらラーンはその場を走り去って行った。
「ーって!前傾姿勢で股間押さえながら逃げるなーーーーっっっ!!!!」
胸を揉まれた伍長の嬌艶な表情に、不覚にもラーンの愚息が天に向かって拳を突き立てていた。
中庭に飛び出したラーンが石に蹴躓いて派手に転けた。雑草を握り締めて、暗澹たる表情で起き上がった。
そして軍服に付いた土を払うと、肩を落とし溜め息をついた。
「ラーン准尉!」
その声に振り返ると、伍長が息を切らせて駆け寄って来た。ラーンは蹴躓いた醜態を伍長に見られたのでは
ないかと思い、その場を取り繕おうと狼狽えた。
「な…っ!何だよ!俺を笑いに来たのか?!」
精一杯虚勢を張るが、増々惨めな気分になって来たラーンに、伍長は申し訳なさ気な顔をして歩み寄った。
「さっきはごめんなさい。オレルド准尉も少し悪ふざけし過ぎました」
「何でお前が謝るんだよ。悪いのはオレルドだろう?大体アイツは昔からそうなんだ。いっつも適当に
あしらってその場しのぎのやり逃げだ。俺はアイツのそんな所が大っ嫌いなんだよ」
ラーンの拗ねた顔を見て、伍長が少し困った顔をして微笑んだ。が、ラーンの右手を見てはっとした。
「ラーン准尉。血が…」
先刻派手に転けた時に付いた傷に、ラーンは言われて気が付いた。伍長がポケットからハンカチを取り出す
とラーンの右手を取り、掌に滲んでいる血を優しく拭った。
ドキドキしながら伍長の手当を受けていたラーンは顔を真っ赤にするだけで、緊張の余り身体を動かす
事が出来なかった。ハンカチを手に結ぶと、伍長は優しく微笑んだ。その慈愛に満ちた笑顔に、ラーンは
戸惑うばかりだった。
「…俺は立派な軍人になりたくて、どうしても一課に配属されたくて必死に頑張ったんだ。オレルドみたい
に適当に仕事をこなして適当に給料貰ってる奴とは違うんだって…、誇りを持ってやって来たんだ」
ベンチに座りながら、ラーンは隣に座る伍長に淡々と話していた。こんな事を素直に喋っている自分に
驚きながらも、黙って聞いている伍長の優しさが不思議と心地良かった。
「俺はどんな課目でもアイツより高成績を収めていた。でもそれは精一杯頑張って収めた結果だ。所が
アイツと来たら、それほど頑張ってもいないのにいっつも俺にピッタリと付いて来やがってた。まるで
バカにされてるみたいだったんだ…」
ラーンはチラリと伍長を盗み見た。伍長は相変わらず静かに、穏やかな顔でラーンの話を聞いていた。
「俺は一人で勝手にアイツに勝ったつもりでいただけで…、実の所は鼻っからアイツは俺を相手になんか
してなかったんだ。…とんだ道化だぜ」
ラーンが膝の上に置いていた拳をぎゅっと握った。
「…ラーン准尉は、道化なんかじゃないです」
穏和な声音がラーンの耳に優しく届いた。その声にラーンが顔を上げると、伍長は子供のような顔で
微笑んでいた。
「…上手く言えないけど、一生懸命頑張ってる人は、決して道化なんかじゃありません。オレルド准尉は
あんな人ですから誤解され易いんですけど、本当は人の見ていない所ではすごく努力してるんですよ。
ただ、あの人も素直じゃないから、努力なんてしてないフリをして強がってるんです。ラーン准尉も
オレルド准尉も、同じぐらい頑張ってると思います。ただ、やり方が違うだけで向かっている所は同じ
なんだと思います」
伍長の遠慮がちな言葉に、ラーンは何も言えなかった。この天使のような微笑みに、心の中のわだかまりが
消えて行くような思いがした。
伍長は照れくさそうに笑うと、ベンチから立ち上がった。そして会釈をするとその場を後にした。
ラーンはいつまでも伍長の後ろ姿を見えなくなるまで見つめていた。
* * * * * *
「あれは絶対にオレルド准尉が悪いと思います!」
ロッカールームで着替えをしていたオレルドに、珍しく伍長は怒っていた。怒ると言っても、ラーンほど
激昂する訳でもなく、少し上目遣いで睨む程度の、むしろ可愛さを増長させる仕草だった。バツの悪そうな
顔をするオレルドが、シャツに袖を通しながら少し唇を尖らせて反論した。
「だってよぉ!ラーンの奴、お前に気があるんだぜ?!大体、タダでさえお前に色目使ってる奴がそこら中
にいるんだ!俺がどんなに周囲に気を配ってるか、お前には分からないだろう?!」
「ラーン准尉が?…そんな事ないと思いますけど…」
「あーあ。これだからお前は放っておけないんだよ!お前、自覚が無さ過ぎるぞ!」
この純真無垢な可愛い巨躯の男は、自分がどれだけ人の欲念をくすぐっているか全く意に介していない。
それがオレルドの心配の種であり、だからこそわざと噂が立つような行動をしてしまうのである。
とにかく『伍長は俺の物だ』と言う予防線を張っておかなければ、隙あらば伍長とねんごろになろうと
する輩が有象無象といるのだ。トンビに油揚げを持って行かれては一大事である。しかし、そんなオレルド
の杞憂など知らない伍長は、滅多に見ないオレルドの拗ねる姿にクスリと笑ってしまった。
「…何が可笑しいんだよ」
「いえ、オレルド准尉って可愛いなぁと思って。まるで子供みたいに口を尖らせてるから…」
「お前に子供みたいって言われたくねぇよ。大体お前こそまだ…」
そう言いかけて、オレルドが口籠ってしまった。そして気まずそうな顔をして俯いた。
「悪い…。言い過ぎた…」
素っ気無く謝るオレルドに、伍長は柔らかい笑みを浮かべるとオレルド傍らに歩み寄った。そしてオレルド
の顔を覗き込むように近付いて来た。
「オレルド准尉は…、もう俺の事が嫌いになりましたか?」
突拍子もない伍長の質問に、オレルドが真顔になって反論した。
「何言ってるんだ!そんな事ある訳ないないだろう!」
伍長はまるで春の日だまりのような温和な笑顔をしていた。余りにも穢れのない顔をするので、オレルドは
思わず赤くなって顔を逸らしてしまった。
「もう、俺の事…抱き締めてはくれないんですか?」
「そんな事…ない」
伍長の顔が次第に近付いて来た。
「もう…、キスはしてくれないんですか?」
「……………」
「俺は…したいです。…オレルドさんと…」
伍長の唇が、触れるようにオレルドの唇に重なった。唇を離すと、再び伍長はオレルドを見つめた。
「…デカブツ…!」
困惑するオレルドに、ブルーグレーの瞳が妖しい光を灯しながら瞬いた。
三課が関わった「赤ずきん事件」、児童売春組織の摘発で、捜査の最中オレルドは思いがけなく伍長の
過去を知る事となった。彼自身も「赤ずきん」であった事、カウプラン機関に送られ兵器となるべく急成長
を強いられ、本来の年齢を偽っている事。体は成人同様だが、伍長は未成年である事…。
事件から半月程が経ち、普段と変わりなく接しているつもりだったオレルドだったが、事実を知ってしまっ
てから、伍長と肌を重ねる事に罪悪感を抱いていた。自分は子供を金で買う男達と同類なのではないか?
子供の心を持った伍長は、自分の事を軽蔑しているのではないか?そんな思いが胸裏を過り、困惑した手が
伍長に触れる事を躊躇っていた。
何より、年端も行かぬ子供に危険な役回りをさせている自分の非力さが悔しかった。本来なら守ってやる
べき子供なのに、いつも満身創痍になって三課を守っているのは伍長だった。だからと言って、この事実を
隊長やマーチス、三課のメンバーに告白する事にはためらいを感じていた。それは伍長の望んでいる事では
ないとオレルドは感じていたからだ。伍長にとっては、三課はやっと見つけた「居場所」なのだ。その居場
所を奪う事が伍長にとって良い筈がない。オレルドは承服し難いダブルバインドに陥っていた。
伍長はそんなオレルドの心中を知ってか知らずか、夢中になって唇に吸い付いて来た。時折唇を放しては
オレルドの顔色を伺うように瞳を覗き込む。両手をオレルドの頬に添えて小さく笑うと、唾液で濡れた自分
の唇をペロリと舌舐めずりした。その蠱惑的な表情に、オレルドの心臓が高鳴った。
『こいつ…!誘ってるのか?』
トロリとした視線、朱に染まった目元、赤く肉感的な唇、その唇から微かに漏れ出す濡れた吐息。それら
すべてが男を誘う仕草だった。この感覚は、オレルドには馴染みのある物だった。サロンで相手をする女
と同じ匂い立つような色香だった。ただ少し違うのは、彼女達は心のどかに常に「ビジネスライク」な
理性が働いているが、目の前の伍長にはまるでその警戒心がない。殉情な媚態が、オレルドの欲念を直に
愛撫しているかのようだった。オレルドの中で葛藤が生まれ、本能と理性がせめぎあっていた。
「…お前…、無理してないか?」
唇が離れた隙を見て、オレルドが伍長に問いかけた。伍長は惚けた顔をして見せたが、オレルドの質問に
小首を傾げただけだった。
「つまり…その…、こういう事するのは、イヤじゃないのか?」
「オレルドさん…?」
伍長が身を引いて真顔でオレルドを見つめた。その瞳は、怒っているような、泣いているような、悄然と
した色をしていた。
「さっき言いました。俺はオレルドさんとしたいって。…でも、オレルドさんがイヤなら…もう止めます」
「イヤじゃない!イヤじゃないんだ!お前の事がとても大切だから…!つまりだな…!」
「俺が…、コドモだからですか?」
オレルドが濁していた言葉を、伍長が躊躇う事なく口にした。
「…そうだ。そりゃぁ、お前にしてみれば今更かも知れない。知らなかったとは言え、俺はお前を抱いて
しまった事は取り消す事は出来ない。だからって、事実を知ってしまった以上、自分を誤魔化してまで
お前を傷付けるような事をして良い訳ないじゃないか…!」
オレルドは疑心のない伍長の視線に耐えられないのか、顔を逸らせ、奥歯を噛み締めた。
* * * * * *
「おおかみは もう いないと みんな おもっていますが
ほんとうは いっぴきだけ いきのこって いたのです…」
「こどもの おおかみでした ひとりぽっちの おおかみは
なかまを さがして まいにち うろついています」
「どこかに だれか いないかな
なかまが ほしいな でも うさぎなんか ごめんだ
みんな なかまが いるから いいな すごく にぎやかで たのしそうだ
もしかして しかに なれたら あそこで たのしく あそぶのに
おれに にたこは いないかな おれに にたこは いないんだ」
「やっぱり おれは おおかみだもんな おおかみとして いきるしかないよ
そうおもうと なんだかふしぎに ゆかいな きもちに なってきました」
何気なく本屋に立ち寄ったオレルドが、一冊の絵本を手にしてパラパラとページをめくった。アパートに
戻り、買った絵本をベッドに放り投げた。
本当は伍長を部屋に招きたかった。ロッカールームではあんな事を言ってはいたが、本当は伍長が欲しく
て堪らなかった。別れ際に見せた伍長の寂しそうなブルーグレーの瞳を思い出しながら、オレルドは買った
絵本を手に取ると、ベッドに座り読み始めた。絵本の中の狼が、どうしても伍長と重なって見えた。
「…狼は狼としか生きられない…か。そうか…。そうだよな…」
伍長は伍長でしかない。それは伍長が当の昔に覚悟した事だった。そしてそれを覚悟したからこそ、あんな
に優しい笑顔が出来るんだ、と。覚悟が出来たから、少なくとも今は不幸せではない筈だ。オレルドは心に
わだかまっていた物が、すっと消えたような気がした。
「俺は…何を迷ってたんだ?覚悟してなかったのは…俺の方じゃないか。あいつは俺が思っているような
コドモじゃない。デカブツはデカブツなんだ。それだけの話じゃないか」
オレルドはベッドに横になると、少し笑ったような顔をして天井を見上げた。明日は遅刻しないで行こう。
早く伍長の顔を見たい、そして素直に謝ろうとオレルドは思った。こんなに明日が待ち遠しいと思った事は、
しばらくなかった感覚だった。
勇んで出勤したオレルドは、執務室に入るなりガックリと肩を落とした。
「伍長さんはアリスさんと一緒に慰問先の孤児院に打ち合せに行っちゃいましたよぉ」
ステッキンの明るい声が、オレルドには無性に腹立たしく感じた。
「…で、いつ帰って来るんだ?」
「さぁ…、ちょっと遠い町ですから、もしかしたら一泊して来るかもいたたたたたたたたたたた!!!」
急にオレルドがステッキンのこめかみに握り拳を押し付けてグリグリと力を込めた。
「何するんでか?!私何も悪い事してないじゃないですかぁ?!」
「何となくムカついたから」
「もーっ!オレルドさん最低ですぅ!!」
涙目で抗議するステッキンを無視して、オレルドは席に着いた。
「おいてけぼり食らって、寂しいんだろう?オレルド」
マーチスがからかい混じりに言った。その言葉に溜め息を一つついたオレルドは、苦笑いした。
「神様はよっぽど気紛れが好きなんだなぁ…」
食堂で男が二人、同時に溜め息をついた。プレートの上の料理をフォークでたまに突くだけで、一向に
食が進まない。離れた場所のテーブルで、オレルドとラーンが上の空でまた一つ溜め息を漏らした。
「今生の別れみたいな顔しないでよ。オレルド。明日には帰って来るんだから」
意外な程のオレルドの凹み具合に、気の毒に思ったマーチスが慰めの言葉をかけた。
「おいラーン、いい加減ちゃんと食わないと体がもたないぜ」
さすがに連日食欲がないラーンを、同僚が心配して気遣った。
「ごちそうさん」
オレルドとラーンは席を立つと、プレートを片付けようとカウンターに向かった。そしてばったりとはち合
わせになった二人が、お互いを静かに牽制した。
「よう、ワイセツ軍人。今日はオーランド伍長と一緒じゃねぇのかよ。さては見限られたんじゃねぇか?」
「何だよ童貞野郎。生憎デカブツは隊長と出張だ。残念だったなぁ」
同時にプレートを片付けると、お互いの額が擦れる程にガンを飛ばしあった。
「ホンット可愛げのねぇ野郎だぜ、てめぇは」
「てめぇこそ、その変な前髪どーにかしろよ。自分でカッコいいと思ってんのかよ」
「うるせぇ!万年発情男!!」
「んだとこらぁ!素人童貞のくせに!!」
「強姦魔!!ウナチン!!歩く猥褻物陳列罪!!」
「真性包茎!!イ○ポ!!粗チン野郎!!」
「×××!!ピ−−−ッ!××××野郎のクセしやがって!!」
「てめぇなんかピ−−−ッ!のピ−−−ッ!でピ−−−ッ!じゃねぇかぁ!!」
あまりにも低次元な口喧嘩に、マーチスとラーンの同僚達は仲裁する気も起こらなかった。男二人の見苦
しい木っ端喧嘩は保安課に通報された後、各課長に懇々と教育的指導を受けたのは言う間でもなかった。
* * * * * *
「お土産買って来ましたよ。ダルトワ名物の温泉まんじゅうです」
「お帰りなさーい!わーい!おいしそー!」
ステッキンがはしゃぎながら伍長からお土産を受け取った。
「名物に旨いもの無しっていうぜ」
アリスが不機嫌そうに座っているオレルドに気が付いた。
「何をふて腐れているのだ?オレルド。おいていかれた事を根に持っているのか?どのみちお前も慰問に
行くのだからそう拗ねるな。…所で私がいない間に何か変わった事はなかったか?」
その言葉に、マーチスとステッキンは一瞬ドキリとしたが、ブンブンと顔を横に降った。オレルドだけは
相変わらず机に肘を付いて頬杖を付いていた。その姿に、伍長は内心戸惑っていた。
「あの…、この前はごめんなさい。俺も言い過ぎました。それに出張の事だって、黙って出掛けてしまっ
て…本当にごめんなさい」
仕事も終わり、ロッカールームで着替えをするオレルドに、伍長が躊躇いがちに話し掛けた。
「…お前はちっとも悪くないよ。悪いのは俺の方だ。済まなかった」
オレルドが照れくさそうに笑って見せた。伍長の笑顔は相変わらず優しくて、その笑顔を見るだけでオレル
ドは心の中が満たされる思いだった。たった一日顔を見なかっただけでこんなにも寂しい思いをする物なの
かと、その笑顔をみて改めて思い知らされた。
「それより…、今日は俺の部屋に来ないか?」
笑顔から一変して真顔になった伍長の姿がしおらしい程に恐縮した。
「ごめんなさい。今日は橋の下に戻らないと…。猫達が待ってますから…」
「そうか…。仕方ない、それならまた今度な」
一日振りに会った自分より、猫を優先された事に些かショックを覚えたオレルドが、それでも平静を保とう
と無理に笑顔を作ってみせた。伍長は申し訳なさそうな顔をすると、躊躇いがちにオレルドの頬に手を添え
た。そしてオレルドが何かを言おうとするよりも早く、そっとオレルドの唇に自分の唇を重ねて来た。背を
丸めて屈むようにキスをする伍長の唇の温かさに、オレルドはうっとりと目を閉じて為すが侭になっていた。
「俺だって…、本当は寂しかったんですよ」
照れながら言う伍長の可愛さに、オレルドは完全に舞い上がってしまった。今すぐにでもこの場で押し倒し
て体中にキスをしたいと思った。オレルドが伍長の首に腕をまわし、思いっきり抱き締めた。
「なんて可愛いんだよ!お前って奴はーっ!!」
「ごほんっ!ごほっ!」
その咳払いに我に返った二人が慌てて体を離した。マーチスが呆れた顔で側に立っていた。
「マーチス!い…いつからそこに?」
「もうずーっと前から。まったく!周りが見えなくなるぐらいイチャイチャするのもいい加減にしないと、
僕ももう庇い切れないからね!」
恐縮する二人に、マーチスは思わず吹き出してしまった。
「何だかんだ言って、みんなまだまだ子供だねぇ!オレルドも伍長もラーンも…」
* * * * * *
ラーンはメモを片手に町の狭い路地を歩いていた。人事課で聞いた伍長の住処を探して回っているが、
それらしき住宅が見つからないでいた。
「間違って教えたのかなぁ。誰かに聞こうにも、浮浪者ばっかりじゃないか」
ぼやきながら歩いていると、次第に道は狭く暗くなって来た。心細くなったラーンが引き返そうとした
その時、
「お願いです…っ!や…、やめて下さい!!」
曲り角の向こうから良く知った声が聞こえて来た。
「…オーランド伍長?!」
伍長は三人の男に追い詰められ、壁に背を押し付けて怯えていた。男達はニヤニヤと下卑た笑いを浮かべ、
少しずつ伍長との間合いを詰めて来た。
「俺は…、猫を追い掛けて来ただけなんです…!お金なんて持ってません…!」
「金がないなら体で払ってくれても構わねぇんだぜ、兄ちゃん。ガタイはデカいがなかなか可愛い顔してる
じゃねぇか。そこいらの女より色気あるぜ」
その言葉に他の男達も嘲笑した。伍長は男達の舌舐めずりに戦慄した。
「待てえええええぇぇぇい!!」
威勢の良い声が響き渡った。男達が一斉に声のする方に振り向くと、そこには逆光に照らされた男が一人
ファイティングポーズを決めながら立っていた。
「何だ?!てめぇは?!」
「そいつは俺の知り合いだ!痛い目に会いたくなかったらとっとと失せろ!」
「ラーン准尉?!」
「准尉ぃ?てめぇ、軍人か?!面白れぇ!俺達の流儀ってやつを教えてやるぜ!」
取り分け体格の良い男がラーンに向かって拳を構えた。ラーンもマーシャル・アーツの基本の形を構え、
男の攻撃に備えた。
「逃げて下さい!ラ−ン准尉!!あなたが巻き込まれる事なんてないんです!!」
伍長が駆け寄ろうとしたが、二人の男に取り押さえられ、再び壁に背中を押し付けられた。
「俺は…、誇り高い一課のダブル・ショーテルだ!!尻尾巻いて逃げる訳にはいかねぇんだよ!!」
先に飛び出したのは、ラーンだった。それが敗因だった。ラーンは強かに顔面を殴打された。しかし、腰を
ぐっと落とし、横転だけは免れた。ラーンの形通りの戦法では、ストリートファイトのランダムな攻撃には
通用しなかった。
「さっきの威勢はどうした?軍人さんよぉ!ほら、掛かって来いよ!」
すっかり頭に血が昇ったラーンは、男の挑発にいとも容易く乗ってしまった。しかしラーンもやられる
だけではなかった。徐々に相手の動きを見定め、反撃の回数が次第に増えて来た。形勢が不利になって来た
男に、伍長を抑えていた男達が加勢した。さすがにラーンも三人を一度には相手に出来なかった。
「がはっ!!」
壁に叩き付けられ、強かに後頭部を強打したラーンが、ズルズルと倒れ込んだ。
「ケッ!畜生!やってくれたじゃねぇか!」
「もう面倒臭えから、さっさとバラして金目のもん頂いちまおうぜ!」
その言葉に、ラーンと格闘していた男がポケットからナイフを出した。ラーンは動かない体で必死に抵抗
しようとした。こんな筈じゃない、夢の中ではもっとカッコ良く伍長を助ける筈だったのに、ラーンは自分
の不甲斐無さが悔しくて、奥歯を噛み締めた。
ゴギイイイイイインッ!!
重い轟音が静かな路地に響き渡った。ナイフを持った男の足下に、大きな銃孔が口を開け、微かに煙を
上げていた。男達が振り返ると、見た事もない大きな銃を構えた、死神の形相をした伍長がゆっくりと
近付いて来た。ランタンは灯されていなかったが、ラーンは初めて見る伍長の姿に、畏怖の念を抱いた。
「痛ってぇ…」
橋の下で手当を受けるラーンが、辺りを見回した。まさか伍長が橋の下で生活していたなんて夢にも思って
いなかったラーンは、当初抱いていた期待をことごとく粉砕させていた。
「あの…、助けてくれてありがとうございました。俺のせいでこんな事になってしまって…すいません」
恐縮しながら手当をする伍長に、ラーンは苦笑まじりに鼻で笑った。
「ホント、カッコ悪いよなぁ。お前に礼を言われるような立場じゃない。助けられたのは俺じゃないか。
一課のダブル・ショーテルが聞いて呆れるぜ。本当に俺って、何をしても詰めが甘いんだよなぁ…」
「ラーン准尉…」
ラーンは力無く項垂れると、乱れた前髪をクシャリと掴んだ。
「カッコ良かったですよ。ラーン准尉。…俺を助けようとしてくれた勇気があります。あなたは実のある人
です。あなたにはその価値があります。いつかその価値を分かってくれる人ときっと会えます。…だから
自信を持って下さい」
その言葉にラーンは顔を上げた。伍長は静かに微笑んでいた。いつかベンチで黙って自分の話を聞いて
くれていた時と同じ、天使のような微笑みだった。そしてラーンは気が付いた。今の言葉の中に、自分を
分かってくれる人間は伍長ではなく他の誰かなんだと言う事に。ラーンは失恋に似た切なさを感じていた。
「…お前…、何であのでっかい銃を最初っから使わなかったんだよ」
ラーンが躊躇いがちに聞いて来た。
「最初っからぶっ放してりゃぁ、あんな目に遇わずに済んだのに…」
伍長の見た事もない形相が脳裏に焼き付いて離れなかった。多分、それが伍長の本来の姿であり、戦場を
生き抜いた兵士の顔なんだとラーンは思った。
「…自分のために銃を使うのは、やめたんです」
伍長は川面を見つめながら静かに答えた。
「この銃で、沢山の人を殺して来ました。敵を倒すために、自分の命を守るために…。でも戦争が終わって
人を殺さないで済むようになっても、相変わらずこの銃は人を撃っています。でも俺は自分の大切な仲間や
罪のない人を守る時だけに使おうと誓いました。…本当は、誰も撃ちたくはないんですけど…」
ラーンは少し寂しそうな伍長の横顔に魅入っていた。そして自分の計り知れない過去を持つ伍長には、
自分はまったく器の小さい男だと痛感した。
「まだまだ俺もガキだなぁ…」
独り言のように呟いたラーンの言葉に、伍長が優しく微笑んだ。
「そうだ、これ…」
ラーンが内ポケットから少し形の崩れた綺麗にラッピングされた小袋を取り出すと、伍長に差し出した。
「俺に…ですか?」
受け取った伍長がリボンを解くと、綺麗なレースの刺繍があしらわれた白いハンカチが入っていた。
「この前怪我した時にハンカチ巻いてくれただろう?洗濯しても血が取れなかったから、その変わりだよ」
「こんな綺麗なハンカチを…わざわざ俺のために…?なんだかもったいない…」
女性にプレゼントするようなハンカチを、伍長は目の前に広げて嬉しそうに眺めていた。
「ありがとうございます!ラーン准尉」
子供のような綺麗な笑顔に、ラーンもつられて微笑んだ。
* * * * * *
食堂で顔中を痣だらけにしたラーンを見かけたオレルドが、一瞬たじろいだ。伍長が優しく微笑んで小さ
く会釈すると、ラーンも苦笑混じりに微笑んだ。
「あいつも他所でケンカする事があるんだ」
ラーンの意外な一面に、オレルドが一驚した。
「名誉の負傷ですよ」
意味ありげに微笑む伍長に、オレルドが訝しんだ。そして再びラーンに目をやると、包帯の巻かれた手で
たどたどしくフォークを持ちながらも、旺盛な食欲でプレートの上の料理をたいらげていた。
午後になって市街に出た三課のメンバーが、市民から受けた苦情の調査をしていた。隣人同士の些細な
トラブルの仲裁から、命を掛けた大事件まで、伍長が配属されてから随分と三課の仕事は許容範囲が広く
なったものだと、車で待機していたオレルドはぼんやりと考えていた。
「わーい!こっちこっちーっ!」
「待ってよーっ!」
子供達が通りをはしゃぎながら走って来た。オレルドは目を細めてその軽やかな子供達の足取りを見つめて
いた。自分もあのぐらいの歳の頃には、良くマーチスと町の中を走り回っていたと思いを馳せながら、ふと
伍長の事を思い出した。
『あいつは…、同じ年頃の子供達と遊んだりしたんだろうか…?』
陽が傾きかけた町の路地裏で、子供達の歓声が響き渡っていた。
その晩、伍長はオレルドの部屋に招かれた。食事を済ませ、コーヒーを飲みながら静かな時間を過ごして
いた。伍長がベッドに腰掛けると、サイドテーブルの上に置いてあった絵本に気がつき、それを手にとって
パラパラとページをめくった。そして読み終わると、オレルドに微笑みかけた。
「この中の狼は…、何だか俺みたいですね」
「そうだな。お前はお前だもんな。たったそれだけの事なのに、俺は考え過ぎちまったよ」
オレルドはコーヒーカップをテーブルに置くと伍長に歩み寄り、優しくその黒髪を撫でた。そして体を
屈めると、伍長の両の頬に手を添えて鼻が触れるくらいに顔を近付けて来た。
「もっとも、俺にはお前が狼じゃなくて子ウサギちゃんに見えるけどな」
その言葉に伍長は顔を真っ赤にさせた。オレルドは優しく伍長の唇に自分の唇を重ねた。
伍長はオレルドに負担が掛からないように、注意しながら伸し掛かった。首筋に顔を埋め、舌で舐め上
げたり、耳許に吐息を吹き掛けながら唇で愛撫した。オレルドは伍長の愛撫が、自分がいつもしてやって
いるのと同じやり方だと気が付いた。伍長が自分の体に刻み込まれたオレルドの手技を一生懸命思い出し
て自分に施していた。その気持が、堪らなく嬉しかった。
首筋を彷徨っていた唇が、次第に胸へと移動した。引き締まった滑らかな肌を丹念に舌が這う。そして
すでに硬く尖った乳首に吸い付くと、舌で優しく転がした。
「…っく!」
オレルドがぴくりと反応した。構わず伍長は愛撫を続け、次第に仔犬がミルクを飲むような水音を立て
始めた。オレルドはゆらゆらと揺れる伍長の黒髪をぼんやりと見つめていた。
「…気持ち…、良いですか?」
伍長が顔を上げてオレルドを伺い見た。ブルーグレーの瞳が妖しく光った。
「あぁ…、気持ちいいよ」
その言葉に満足した伍長が、再び乳首を口に含んだ。舌で転がし、歯で軽く噛み、オレルドが自分にそう
したように、丹念に愛おしそうに愛撫をした。オレルドは伍長の髪に指を差し入れると、優しく撫でるよう
にその艶のある綺麗な黒髪の感触を楽しんだ。
伍長の唇が、ゆっくりと移動した。オレルドの腹を舐め、臍をくすぐり、陰毛に鼻先を埋めた。そして
半ば屹立したオレルドの陰茎をやんわりと手で包み込みと、伍長はオレルドの顔を再び見た。その表情に、
オレルドは息を呑んだ。少年の面立の中に見隠れする妖艶な色香。その二つを合わせ持った官能的な伍長の
仕草が扇情的で、禁忌的な淫欲を掻き立てさせた。
伍長はふわり、と唇を開いた。オレルドは自分の陰茎を口に含む伍長に視線が釘付けになってしまった。
目を細めて恍惚の表情で咥える伍長は、ゆるゆると舌先でオレルドの形をなぞった。先端を吸い上げたり、
指を使ったり、どうすればオレルドが喜んでくれるかと思案しながら、伍長は様々な愛撫を施した。
「んっ…む、…ふぅん…っ、あむ…っ」
次第に夢中になって来た伍長が、我を忘れてむしゃぶりついて来た。オレルドも下腹に性急に意識が集中し
始め、息が荒くなって来た。
「デ…デカブツぅ…!もう、イく…!」
伍長は口の周りを唾液でベタベタにしながらも、オレルドが吐き出すのを待っていた。オレルドの身体が
一瞬跳ね上がった。そして喉の奥に叩き付けるように射精された体液を一雫も逃すまいと、口をすぼめて
飲み干した。
「はぁっ…、はぁっ…、平気か?デカブツ…?」
オレルドが息を荒げながら顔を起こして伍長を見た。伍長はオレルドの陰茎から口を離すと、ゆっくりと
上を向いた。濡れた唇から、飲み干せなかったオレルドの体液が僅かにこぼれている。その表情は愉悦に
火照り、まるで惚けていた。
「美味しいです…。オレルドさんの…」
うわ言のような伍長の艶を含んだ声が、吐き出したばかりのオレルドを再び熱くさせた。一向に萎える
気配を見せないオレルドに、伍長が嬌笑して見せた。
「すごい…、出したばっかりなのに、もうこんなに硬くなってます…」
伍長はうっとりとオレルドの陰茎を見つめていたが、やおら起き上がって、オレルドの身体を跨いだ。
驚いたオレルドが聞くよりも早く、伍長はオレルドの硬くて熱い陰茎を手に取ると、その先端を自分の
尻にあてがった。
「おいっ!デカブツ!何するんだ…!」
慣らす事もなくいきなりオレルドを体内に埋め込んだ伍長が、苦痛に顔を歪ませた。ゆっくりと尻を
沈めると、オレルドの負担にならないように注意しながら腰を降ろした。
「あっ…!くぅ…!」
「無理するなって!いいからやめろ!デカブツ!」
オレルドが上体を起こして伍長を退かそうとした。しかし、伍長はやんわりとオレルドの胸を抑え、無理
して笑顔を作って見せた。
「大丈夫です…!大丈夫ですから…、腰…、動かして下さい…!」
懇願するその瞳に、オレルドは抗えなかった。このブルーグレーの瞳に見つめられたら、どんな鉄壁の
理性も容易く倒壊してしまう。そして伍長を心配する心とは裏腹に、オレルドの腰が別の意思を持った
かのようにゆるゆると動き始めた。
「あんっ!あっ!んんっ…!いいっ…!オレルドさんっ、もっと突いて…ぇ!」
苦痛に歪んでいた顔が、次第に快楽に翻弄されて夢心地の表情に変わった。伍長は自分の胸に手を添える
と、その肉感的な胸を撫で回し、揉みしだき、硬くなった乳首を指で弄んだ。
「あぁんっ!はぁっ…!ふあぁ…っ、気持ち…、いいっ…!オレルドさんっ…!すご…いぃ!」
時折、舌舐めずりをしながら伍長はオレルドを見下ろした。オレルドは麻薬の海に脳みそを漂わせている
ような感覚を覚えた。妖艶に腰をくねらせながら自分の胸を愛撫する、オレルドが見た事もない伍長の
甘美な艶姿に、次第に腰の動きが力強くなって来た。
「あっ!あんっ!奥まで、あたってるぅ…!オレルドさんで、俺の中…、一杯になってる…っ!」
ガクガクと揺さぶられる伍長の躯が、快感に耐えられずに、ガクンとオレルドに胸に倒れ込んだ。伍長は
オレルドの首に腕を絡ませ、甘えるように頬擦りをした。そして切ない吐息をオレルドの耳許で吐き続けた。
「はぁっ…、ぅあ…っ、んんっ…、オレルドさん…!俺の事…、嫌いですか?ぁあっ!…こんなイヤらしい
俺に…、失望しました…か?」
伍長が吐息混じりにオレルドに囁いた。一瞬、オレルドの動きが止まった。
「デカブツ…!」
「俺…、オレルドさんだけです。こんなにセックスが気持ちいいって思えたのは…。セックスって…一つに
なれるって事なんですね…」
オレルドは伍長の背中に腕をまわすと、力一杯抱き締めた。
「愛してるって言葉だけじゃぁ、足りない!ランデル…!お前が俺の身体の一部だったら、どんなにか
良いのに…!お前無しで生きて行けないぐらい大事な…!」
オレルドの身体の震えが、伍長にも伝わって来た。オレルドは抱き締めていた腕を緩めると起き上がり、
伍長の身体を組み敷いた。顔を赤らめる伍長の頬を撫でながら、オレルドはこれ以上ないくらいの優しい
微笑みをして見せた。
「お前はサイコーだぜ…!ランデル…!」
オレルドが伍長に貪るような濃厚なキスをした。いくらしてもし足りないような渇望がオレルドを支配し、
乱暴になりがちな愛撫が、一層伍長の嬌声を煽った。
「ひゃぁ…ん!オ…オレルドさん…!そんな、慌てないで…ぇ!」
「ダメだ…!身体が勝手に動いちまう!もう我慢出来ねぇ…!」
オレルドはまるで余裕がなかった。ずっと抱き締めていなければ、今にも伍長が幻の様に消えてしまうの
ではないかと思えるほど、言い様のない焦燥感がオレルドを掻き立てていた。
オレルドは伍長の脚を大きく開脚させると、左脚を高々と持ち上げて自分の右肩に引っ掛けた。先程まで
オレルドを受け入れていた秘処が露になり、妖しく濡れそぼっている。オレルドは自身の先端をその秘処に
あてがうと、一気に伍長の中に埋め込んだ。
「ひぃあああぁっ!あぁーっ!い…、いぃ!オレルドさ…ぁんっ!」
「ランデル…!すっげーお前の中、温ったけぇ…!」
オレルドが徐々に力強く腰を揺らし始めた。伍長は惚けた顔をして快感に溺れていた。口元からだらしなく
唾液をこぼし、オレルドが腰を叩き付ける度に肺から空気が漏れ出して嬌声をあげた。
「あぁっ!はぁんっ!はぁ…っ!もう…っ!ダメぇ…!」
伍長は目に涙を溜めていた。それがさらなる要求なのか、この快楽からの解放を訴えているのか、オレルド
には理解出来なかった。ただ夢中で伍長の体内に自身をより深く埋め込んだ。まるで本能だけで身体が動い
ているかのような感覚になっていた。
「いぃっ…!オレルドさんっ!…いっちゃうぅ!俺…、もういっちゃう…っ!」
伍長が一層オレルドを締め付けて来た。
「あっ!あっ…いく…っ、いく…うぅ…っ!!」
一瞬、伍長の体が硬直した。そしてビクビクと痙攣しながら体液を吐き出した。自分の腹の上に、オレルド
の胸に、たっぷりと注ぎながら伍長は脱力した。少し遅れてオレルドも伍長の体内に精を注ぎ込んだ。
過敏になった伍長の体に覆い被さると、大きく深呼吸しながらその心地い虚脱感に身を漂わせていた。
顔をあげると、放心した伍長も荒い息をしていた。体を起こし、伍長の髪を優しく撫でながらオレルドは
優しく伍長にキスをした。唇を離すと、二人は照れくさそうに見つめ合った。
「オレルドさん…。大好き…」
照れながらも、真直ぐに見つめて来る伍長の瞳に、オレルドは束の間魅入ってしまった。
「…お前…、卑怯なぐらい可愛い過ぎるなぁ。一晩で何回俺にヤラせる気だ?」
「え?えっ?えぇっ?」
伍長は自分の下腹に、再び硬さを取り戻したオレルドの熱さを感じ取った。
「待って…、待って下さい!オレルドさん…っ!」
「一分一秒たりとも待てねぇ!」
「い…、いやあああぁ…んっ!!」
狼は伍長ではなく、実はオレルドの方だった。
* * * * * *
「おい、ラーン!」
その声に振り返ったラーンは、出来れば会いたくない人物を嫌悪の目で睨んだ。オレルドがニヤニヤしなが
ら、立ち止まったラーンに歩み寄って来た。こういう時は絶対に何か企んでいると、過去の経験から嫌と言
う程思い知らされていたラーンは、警戒しながらオレルドと対峙した。
「何だよ、オレルド。お前と絡むとロクな事ないんだよ!」
「今日の昼休みに4、5人集めて中庭に来い。決着付けようぜ」
「決着ぅ?」
日頃の鬱憤も溜まっていたし、何より伍長の事もあるラーンはチャンスとばかりに不敵な笑みを浮かべた。
「面白れぇ。受けて立とうじゃねぇか。メンバーは誰でもいいんだな?」
「おおよ。とびっきり強い奴を連れて来い!」
そう言ってオレルドはその場を後にした。
中庭にやって来たラーンと三人の精鋭は、そこで待っていた三課のメンバーと向かい合った。しかし、
オレルド、マーチス、伍長は理解出来るが、なぜ隊長のアリスまで駆り出されたいるのか、ラーンは
あからさまに訝しがった。
「おい、オレルド。てめぇの所のメンバーが少ないのは承知の事だが、アリス少尉まで連れ出す事は
ないだろうが?」
「何?私では役不足か?私は今回のオレルドの提案には、はばかりばがら賛同しているのだ。容赦はせぬぞ」
妙なテンションで鼻息を荒くしているアリスに、ラーンは些か困惑していた。
「で、どんな方法で決着を付けるってんだ?」
気を取り直してラーンがオレルドに言った。
「方法か?…そいつは…、これだぁ!!」
オレルドが背中に隠していた物をラーンの目の前に突き出した。ラーンとその仲間達はそれを見て唖然と
した。そして震える指先でそれを刺した。
「…それ、空き缶…」
「そうよ!『缶けり』で勝負だ!!!」
カァーーーーーンッ!
オレルドが力任せに缶を蹴ると、それと同時に先攻の三課チームが一斉に散らばった。
「ノーマン!リース!ジェラルド!フォーメーションAだ!!」
ラーンがすかさず仲間に指示を出すと缶を拾い上げ、直系2メートル程の円の中心に缶を設置した。
缶を見せられた時は、あまりの馬鹿らしさにラ−ン達は激憤して帰ろうとした。しかし、またもやオレルド
の口車に乗せられてしまった。
『勝った方には伍長から祝福のキッスをプレゼントだ!』
その言葉に速攻で踵を返したラーン達が、実戦さながらのやる気で挑んで来た。
「オレルド准尉!俺をダシに使うのはもうやめて下さい!」
走りながら抗議する伍長を後目に、オレルドは脱兎のごとく建物の影に隠れた。マーチスとアリスも各々
隠れると、独り取り残された伍長が右往左往しながら慌てて物陰に隠れた。
「…8、9、10!!ィ良しゃぁあっ!!どっからでもかかって来い!!」
<ルールの説明>
1,二手に別れて先攻、後攻を決める。
2,直系2メートルの円の中心に缶を置く。円の中には誰も三秒以上入ってないけない。
3,先攻はただひたすら缶を蹴る事に専念。蹴ったら1ポイント加算。
4,後攻はただひたすら缶を守る事に専念。出て来た敵を全力で拘束する。
5,先攻が全員拘束されたら、チェンジ。制限時間内により多くのポイントを獲得した方の勝ち。
(帝国公認国際缶けり推進委員会 公式ルールによる)
まず最初に仕掛けて来たのはマーチスだった。明らかに揺動作戦だと分かったラーンは円の周囲を警戒した。
「わあぁぁぁっっっ!!!」
「行くぞ!ジェットストリームアターーーック!!」
マーチスの行手を三人の男達が阻んだ。華麗な連携プレイに、マーチスは呆気無く拘束された。
「何だ?!あの者達のあの技は?!」
アリスが息を飲んだ。そこへオレルドと伍長がアリスに駆け寄った。
「ノーマン、リース、ジェラルドの三人は別名『黒い三等星』と呼ばれてるんです!奴らの繰り出す
ジェットストリームアタックを突破出来た奴は過去に一人もいねぇ!」
「黒い三等星とはまた随分ぼんやりとしたネーミングだな。それにあのジェットストリームアタックとやら、
一体何のためにどこで活用出来るのか、皆目見当も付かん」
呆れながらもアリスは闘志を燃やした。
「ならば私が討って出る!オレルド!伍長!耳を貸せ!」
拘束されたマーチスがしょんぼりしながらラーンに羽交い締めにされていた。
「たあーっはっはっはっはぁっ!!マーチス!とんだ噛ませ犬っぷりだなぁ!」
「気を付けてよー!みんなー!!思った以上に手強いよー!!」
そこへ伍長が目に涙を浮かべながら悲壮な顔で全力疾走して来た。
「ぅわあああああああああんっっっ!!!」
それは半ば強制的にやらされていると言う感があからさまに見て取れて、見る者の涙を誘う光景だった。
「何度来ても同じだぁ!ジェットストリームアターーーック!!!」
ノーマン、リース、ジェラルドが一列に並んで攻撃に出ようとしたその時、伍長が急に蹴躓いた。と言うか、
後ろから乱暴に張り倒された。
「ふぎゃっ!」
伍長の後ろに隠れていたアリスが、地面に強かに顔面を強打して突っ伏した伍長の背中を跳び箱のロイタ−
板のごとく踏み付けて軽やかに跳躍した。
「何ぃ?!」
呆気に取られた先頭のノーマンの顔面に、アリスの軍靴がヒットした。
「俺を踏み台にしたぁ?!!」
優美さすら漂うアリスの飛翔に見蕩れたリースとジェラルドが、何処からともなく湧いて出たオレルドの
不意打ちラリアットを食らった。倒れ込む男達をかわし、アリスが缶を蹴った。
カコーーーーーンッ!!
「ジェットストリームアタック破れたり!!」
アリスが得意満面に胸を張った。
「ジェットストリームアタック弱っっっ!!!」
ラーンの顎がカクンと落ちた。
1ポイント先取されながらも次のゲームで何とか全員を拘束し、今度はラ−ン達の攻撃となった。物陰に
隠れ、攻撃の機会を伺いながらラ−ン達は息を潜めていた。円の回りには三課が防衛線を張った。
「いつまで泣いているのだ!伍長!それぐらいの事でメソメソするな!肉を切らせて骨を断つと言うでは
ないか?!伍長の犠牲でポイントが取れたのだ!誉れに思え!」
擦りむいて真っ赤になった鼻先を撫でながら涙ぐむ伍長に、アリスが一喝した。
「一番真剣になってるの、実は隊長じゃない?オレルド」
「あぁ、遊びだろうが実戦だろうが、手を抜くって事を知らないからな、隊長は」
「どうした!ダブル・ショーテル!臆さぬならば、かかって来い!!」
アリスが威勢良く啖呵を切った直後、ラ−ン達が一斉に飛び出して来た。
「うわーっ!!なり振り構わず出て来やがったぁっ!!」
「こーなりゃガチンコで勝負だ!小細工無しの一騎討ちだ!行くぜ!オレルドぉ!!」
「おうよ!!返り打ちにしてやるぜ!!」
ノーマン、リース、ジェラルドの援護を受け、ラーンはオレルドに突進して行った。卑怯喧嘩なら常勝無敗
のオレルドにラーンは真っ向勝負を挑んだ。
「伍長のキッスとか、ダブル・ショーテルの誇りとか、そんなの関係ねぇんだ!!これは俺自身のケジメな
んだよおおおっ!!!」
ラーンの叫びに、オレルドが一瞬たじろいだ。それを見逃さなかったラーンはオレルドの頬に一発パンチを
お見舞いした。よろめくオレルドをかわし、ラーンは目前の缶を思いっきり蹴り上げた。
カコオォーーーーンッ!!
それは改心の一蹴りだった。空高く舞った缶が放物線を描き、陽の光に照らされて光った。取っ組み合って
いた一同がその缶を目で追った。誰もがまるで子供のようにその缶を見守っていた。あまりの見事な飛距離に、オレルドとラーンも胸が踊るような感覚を思い出した。子供の頃、無心で遊んでいたあのワクワクする
ような感情を。遠い記憶の中にいつの間にか置き忘れた純粋な高揚感が、その場に居合わせたみんなの心に
満ちていた。
ガシャーーーーンッ!!!
ガラスの割れるけたたましい音が、一同を現実に引き戻した。
「誰だあーっ!!缶を投げ込んだ奴はーっ!!!ここを一課の執務室と知っての狼藉かあーーーっ!!!」
コネリー少佐が額から血を吹き出しながら、憤怒の形相で窓から身を乗り出して激昂した。
「やべぇ!!逃げろ!!」
一番に逃げ出したのはオレルドだった。それに続いて反射的に走り出した一同が、オレルドの後に付いて
行った。
「ホンットーにてめぇと絡むとロクな事がねぇ!!!」
走りながらラーンが悪態をついた。
「なんだとぉ?!大体てめぇが蹴った缶のせいでこうなったんだろうが!!」
「どーでもいいけどこの試合、ドローだよねぇ!」
「後日改めて執り行っても私は一向に構わぬぞ!!」
「もう勘弁してくれぇ!!これ以上三課と関わるのは御免だぜ!!」
中庭を全力疾走しながら、オレルドは伍長が気になって振り返った。一瞬、オレルドは我が目を疑った。
後方ながらもみんなにしっかりとついて走る伍長が、小さな痩せっぽちの少年の姿に見えた。満面の笑み
で笑い声を上げながら、無邪気に走る少年がオレルドを見ていた。オレルドは少年に叫んだ。
「楽しいかぁ?!ランデルーっ!」
「うんっ!すっごく楽しかったよ!また遊ぼうね!!」
それは一瞬の幻だったのかも知れない。少年の姿は消え去り、でも笑顔はそのままの伍長が必死に走って
ついて来た。オレルドは前を向くと、何故か可笑しくなって大笑いをし始めた。それにつられて、ラーンも
笑い出してしまった。
中庭での賑やかな昼休みはあっという間に過ぎて行った。それはまるでいつかその時が終わるなどと疑い
もせず、夢中になって遊んでいた子供の時のように。そして気がつけば、取り戻す事の出来ない遠い思い出
となってしまうように…。
後日。「缶蹴り事件」の首謀者と実行犯を検挙したコネリーが、両名を懲罰房送りに処した事を付け加え
ておく。
<END>
83 :
男体の人:2007/03/01(木) 19:11:10 ID:???
>>バーサークの人
可哀相伍長にモエスw
本当に螢の墓の主人公みたいになってる〜(泣)
バーサークの人の伍長はすごく人間臭くて、自分も色々と共感できるとこが
あるので読んでてつらいんだけど、反面とても興味深くて楽しいです。
続きお待ちしてます!
>>保管庫の人
乙です!
901准尉の手紙、私的にはGJでした〜!
自分で言うのも何ですが、映画のエンディングロールのあとに
流れてくるオマケ映像みたいな感じで、素敵な演出だなぁと思いました。
素敵演出、ありがとうございました!
>>シャワーの人
いつもながらGJ過ぎます!もうネ申だ…!!
ラーンの話でハッピーエンドなんてありえるのか?と思ってましたが
爽やか青春ストーリーのようなハッピーエンド展開
見事なお手前でした〜!
>>シャワーの人
GJです!積極的な伍長のエロさがたまりません!
85 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/01(木) 23:30:22 ID:etTh0J1g
>保管庫の人
自分2スレ目から見始めたので作って頂いてホント感謝です!
男体の人の若獅子…恐杉(||゚д゚)ガクブル
でも何だろ…伍長をもっとイジメたくな(ry
兎に角乙です!
ありがとうございます!
>シャワーの人
読み終わった後いつも何かこう穏やかな気持ちになれる
作品素晴らしく思います!
そして伍長の性的さときたら…俺ルドがウラヤマシスww
きっと伍長も思春期だから色々とアレなんだと…ww
ここはネ申が多すぎる…(´∀`).。*・+゚*・。+
>シャワーの人
何!?この読み終わった後の妙な爽快感
一気に読んでしまった!
ラーンのおばかっぷりが面白くて
オレルドの後ろに隠れる伍長が可愛い過ぎる
ハンカチで手当てとは、正にヒロインの王道ですね
誘う伍長もエロかった〜
細かいところまで芸が細かくて読み応えアリの一本!
とにかくGJの一言に尽きます
87 :
シャワーの人:2007/03/02(金) 09:34:58 ID:???
暖かいレスをありがとうございます!orz
ここのスレは、色んな人の作品が読めるから、素敵なんですよね。
自分は主に「お笑い」担当かと…。あ、あと自分は特別ラーンが好きな
訳ではないです。ものすごくイジりやすいキャラなので。すまん。ラーン。
それから「おおかみ」の話は、本当にある絵本から引用しました。
>>男体の人
ぐはーっ!!ネ申にそのようなお誉めの言葉をいただけるなど、
もったいのうございます!こちらこそ、男体の人さんのSSを
毎回楽しみにしながら全裸で待っております!ヘベレケ汁を垂れ流して。
>>84 ありがとうございます!ちょっと度が過ぎたかと心配しつつ、
たまにはこんな伍長もアリかと。
>>85 本当にここはネ申のスレですよね。八百万のネ申。やおいよろずのネ申。
自分の伍長は、世が世なら二年前までランドセルにリコーダー刺して
登校してたので、もう自分が犯罪者です。orz
中○生はほら、色々アレな時期ですから。辞書でいやらしい単語とか
夢中で調べちゃうぐらい。
>>86 一服の清涼剤になってもらえれば、何よりです。ありがとうございます!
自分の中ではヒロイン伍長が確立しているので、むしろもう男気溢れる
伍長が書けなくなってしまいました。ヤンキー座りする伍長とか、
釘バット持って暴走族に挑む伍長とか、番長な伍長とか(以下略)
88 :
戦隊の人:2007/03/02(金) 13:18:55 ID:???
お久しぶりです。
シャワーの人の素晴らしいSSの後に出すのは気が引けるのですが、新しいSSが出来た
ので、投下してみます。
※基本的な内容は前回と同じです。
※全編ギャグで微エロありです。
※触手ネタあります。
触手に関しては前スレのほうで書いている人がいたみたいですが、かぶってしまって
スイマセン…でもどうしても書きたかったのでやってしまいました。
それでは、よろしくお願いいたします。
帝国に悪栄えるとき、彼らが現れる…
ぼくらの平和を守る、無敵の戦士たち!
彼らの名前は……復興戦隊、パンプキン・シザーズ!
*
ガララッ バタン
少尉「司令官!今度はどうしたのですか?」
大尉「うむ、街中にてまたもや銀の車輪が暴れているとの情報が入った。奴らはどうやら
新兵器を開発したらしい。直ちに行って処理してこい」
少尉「了解しました!皆、変身して行くぞ!」
一同「おう!」
伍長「あの、少尉、それですが…」
少尉「何だ?伍長。変身したら色で呼び合うことか?」
伍長「いやそれはわかっていますが…あの、変身中なんで俺だけ裸になる仕様になってい
るんですか?もう恥ずかしすぎて…」
少尉「“さーびずしーん”がないと視聴者が見てくれないからな」
伍長「サービスって誰に見せるんですか!それに俺みたいなごつい男よりも少尉や曹長の
ような女性の方が…」
曹長「ひど〜い伍長さん!私にそんなセクハラまがいのことしろっていうの〜!」
オレルド「セクハラしゃらすめんとはダメだぞデカブツ」
伍長「いや俺こそセクハラ受けてるんじゃ」
大尉「お前たち、さっさと行かないと被害が拡大するぞ」
少尉「伍長、話は後だ。まずは変身して行くぞ!」
伍長「は、はい…」
「変身!」
他の3課のメンバーが普通に変身しているのに対し、伍長だけは全裸になり、光を纏わ
せて回転しながら変身していくのであった!
伍長(ハァ…俺どんどん変になりそう)
大尉(フフフ…イイ体つきしてるな伍長)
*
銀シャリ「フハハハハ〜わが銀の車輪結社の手にかかればこんな街などひとひねりだ〜!」
民衆「あ〜ん助けて〜!パンプキンシザーズ〜!」
銀シャリ「パンプキンなど来ても追い払ってやるわ!今回は秘密兵器があるからな〜」
民衆「うわ〜ん!」
少尉「そこまでだ悪党ども!」
銀シャリ「フフフ…来たか」
少尉「帝国の戦災復興を脅かすものは、我らが退治する!臆さぬならば、かかって…って
ピンク!何を遅れているのだ!ちゃんと走れ!」
伍長「す、すいません少…いやレッド、この服ミニスカートだから走るとずり上がって前
が見えてしまうんで…」
少尉「スカートなど飾りだ!さっさと走らんか!」
伍長「いやでも中見えたら…」
銀シャリ「フハハハハ〜一人のろまなやつがいるようだな〜、よし!新兵器の出番だ!あ
の間抜けなピンク野郎をとっちめてやれ〜」
銀の車輪軍団が合図を慣らすと、地下から異様な姿をした怪人が現れた!
怪人は体中がドロドロの体液で覆われ、あちこちから長い触手を出しているグロテスク
なものであった!
オレルド「な、何だぁあの変な怪物は!」
銀シャリ「ハハハ〜、これぞ我が銀の車輪軍団とカウプラン機関が実験の末に開発に成功
した触手怪人、名づけて801 Tentacle Tactics Trooperだ!さあ触手怪人、その
ピンクを捕まえてしまえ〜!」
マーチス「ピンク!危ない避けて!」
怪人の攻撃にあわててマーチスが注意を出したが、スカートを直そうとしていた伍長は
とっさの出来事に対応できず、捕まってしまった!
伍長「へ?…ってうわぁ何ですか!この変な生き物は〜!な、何かヌメヌメするし…あぁ、
ちょっとスカートの中に入らないで…!」
曹長「あぁ〜ピンクさんがヌメヌメの触手怪人に捕まっちゃったよ〜」
少尉「ご、伍長ピンク!感じてる暇があったらさっさと逃げ出さんか!」
伍長「す、すいませんレッド…でもヌルヌルしててうまく抜け出せな…あ、スカートめく
りあげないで〜!こ、擦り付けないで…」
銀シャリ「フ〜ハハハハ〜801TTTは一度捕まえた奴は絶対に放さないのだ!よーし、この
間抜けなピンクは貰っていくぞ〜ハハハハ〜」
伍長「しょ、少尉〜じゃなくてレッド〜助けて〜〜!」
少尉「伍長ピィィーンク!サービスシーンだけ披露して行くなー!」
こうして、伍長ピンクは銀の車輪軍団に捕まってしまった!
*
伍長「う、う〜ん………ハッ、こ、ここは?」
「気がついたようだね」
伍長「え、えーと…う、うわぁ!何だこれ!?」
目を覚ますと、伍長は鉄格子の檻に入れられ、手と足は手錠で繋がれてて身動きが取れ
ない状態になっていた!
「悪いけど動けないように縛っておいたよ」
伍長「な、何なんですかあなたは!解いてください!」
「フフフ…僕だよ、伍長さん」
男はそう言うと、暗闇の中から姿を現した!長い金髪を靡かせるその姿に、伍長の表情
は大きく歪んだ!そう、彼は伍長の知る人物だったのだ!
伍長「あ、あなたは…レオニール殿!あなたも銀の車輪のメンバーだったんですか!」
レオ「まぁ、そういうことだね」
伍長「しょ、少尉の婚約者でありながらこんなことしてていいんですか!?」
レオ「ま、それはそれ。それより伍長さん…いや、ピンクの方がいいかな?フフフ…」
そう言うとレオニールは伍長のほうにゆっくりと近づき、伍長の体を触ってきた!
伍長「ヒッ!な、何なんですか!ど、どうして、何で俺をさらったりしたんですか…?」
レオ「アリスはパンプキンシザーズのことについてあまり喋ってくれなかったんでね…。
しょうがないからキミに無理やり吐かせようと思ってさ。ま、それに僕自身前から
キミを可愛がってみたくてねぇ…フフフ」
伍長「は、吐かせるって…やめてください!お、俺は喋りませんよ…」
レオ「ふーん…大人しく喋ってくれないのなら、実力で訴えるしかないねぇ」
伍長「じ、実力って……ま、まさか拷問、とかですか…?」
レオ「ま、そういう感じかな」
レオニールが合図すると、伍長の背後の暗闇の中から奇妙に蠢くものが現れた!
伍長「こ、これは…さっきの触手怪人!」
レオ「今ならまだ間に合うよ。さあ、どうする?」
伍長「も、もちろん喋りませんよ!俺は絶対…って、ちょっと、イヤ…」
レオ「フフ…まずは上半身からじっくりと責めようかな」
触手怪人は伍長の体を嘗め回すように触手を嘗め回し、服のうえから胸のところを弄っ
てきた!
伍長「あ、あぁん!…ち、乳首は…や、やめっ、あぁっ」
レオ「どう?喋る気になった?」
伍長「う…、お、俺は…は、はぁっ!あん…くすぐったい…です…よ!」
服の上からとはいえ、触手に執拗に弄られ、伍長は既に息も絶え絶えになっている!
レオ「ふーん、胸だけでイクかと思ったけど、結構しぶといねぇ。じゃ、次の手に移るか。」
そう言うと、今度は触手怪人の触手から白い液体が溢れ出してきた!
伍長「は、はぁん!な、何ですか、この液体は…!う、うわっ!ふ、服が溶けてく…!」
レオ「その801TTTの出す体液は繊維を溶かす効果があるんだよ。あ、皮膚のほうには影
響ないから安心してね」
伍長「あ、安心って…、い、いやぁ…ス、スカートが…」
レオ「ほら、さっさと喋らないとどんどん恥ずかしい格好になっちゃうよ…。どうする?」
触手怪人の出す体液で制服はどんどん溶けてしまい、伍長は白濁液にまみれた、全裸よ
りも恥ずかしいあられもない格好になってしまった!
伍長「や、止めてください…お、男の裸なんか見ても面白くないでしょ…はうっ!」
レオ「まあヒロインは脱がせなきゃ数字稼げないからね…。ま、それはともかく、ここま
でやっても喋ってくれないとは驚いたよ。じゃあ、最終手段に移るとするか…」
なかなか口を割らない伍長に対して、触手怪人はついに伍長の下半身をねっとりと弄り
始めた!
伍長「最終手段って…イ、イヤッ、ソコは触らないで!あ、あ…し、下が見えちゃう…」
「こ、擦らないで!い、いやあ…そんなに激しくしたら…俺…あうっ!」
「ちょっと、お尻のほうも…や…め…、は、はぁん!な、中に挿れないで!…あ、あ
あああん!ダメェェッ!」
「はうぅっ!ぐ…も、もう、イヤ…。レ、レオニールさん…も、もう止めて…」
レオ「止めて欲しいなら喋ってくれなきゃねぇ。ま、僕としては、君がそうやって弄られ
ているのをもっと見ていたいんだけどさ…フフフ…」
伍長「なっ!……ヒ、ヒドイです…!…ア、アァン!ダメッ、動かさないで…!」
レオ「さぁどうする?どうするの伍長さん」
伍長「お、俺は…」
スパーン!
伍長の貞操が奪われようとしていたその時、鋭い光が一閃!触手怪人の体を走り抜け
た!
触手はバラバラにされ、伍長の体は拘束から解き放たれた!
伍長「へっ?……あ、しょ、少尉!」
レオ「あ、ア、アリス!」
伍長とレオニールが光の走った方向を見ると、そこにはメーネを持った少尉がいた!
少尉「レオニール殿…やっぱりあなたも絡んでいたのか!」
レオ「クッ…き、気づいていたのか!」
少尉「わが婚約者といえども、伍長をこのようにしたことを許すわけにはいかぬ!」
レオ「フ、フン…、だが、見たところたった一人で乗り込んできたようだな!一人だけで
私に勝つことなど出来るとでも思ったのか!」
少尉「確かにそれはそうだ…。だが、私は一人ではない!伍長、これを使え!」
そう言うと少尉は、伍長に向かってあるものを投げつけた!
伍長「こ、これは…開発中の、あの新型兵器!」
少尉「これを使って、奴らを叩くんだ!」
伍長「し、しかし、これは…」
少尉「今は迷っているときではない!さぁ伍長、早く使うのだ!」
伍長「は、はい…」
少尉が投げたものとは、伍長が普段使っているものとは違うランタンであった!
新兵器、ピンクのランタンを腰につけ、伍長はスイッチを入れた!
ヂキキキキッ
ボゥ…
伍長の腰からピンク色の光が溢れ、伍長の体をオーラのように包み込んだ!
レオ「フン、な、何だ!新型兵器って、ただのランタンじゃ…って、何だあれは?ピンク
色の光…?うっ、こ、これは…!」
ランタン伍長「…コッチヲ…見ロ…」
レオ「な、何だ…この不思議な気持ちは…!この僕が…いや、まさか!で、でも…」
ランタン伍長「モット…来イ…近クヘ…」
レオ「く、くぅっ!足が勝手に…な、なぜ僕が君なんかに…!」
説明しよう!このピンクのランタンをつけた伍長を見た人は、伍長の虜になってしまい、
ムラムラと欲情してしまうのだ!さらにこのピンクのランタンは、伍長の露出度に応じ
て威力が倍増していくのだ!今の伍長の白濁液まみれのあられもない姿では、その効果
は絶大だ!
ランタン伍長「…オマエニ…俺ノ…全テヲ…見セテヤル……チョット…恥ズカシイケド…」
レオ「あ、ああ…いい、いいよ、伍長…!もっと、もっと僕に…、ハッ!」
レオニールが伍長に見とれている隙に、少尉は彼の後方に回りこんでいた!
少尉「レオニール殿…、いや、レオニール!よくも伍長を好き勝手にいたぶってくれたな!」
レオ「ま、待ってくれアリス!」
少尉「私なぞ今まで伍長を一回も弄ったことないのに…いや!それはともかく、ここまでされた以上許すわけにはいかない!」
レオ「ア、アリ…」
少尉「マーキュリー号!この不埒な痴れ物を懲らしめてやれ!」
マー君「アオーン!」
レオ「ギャー!」
ドガーン!
*
少尉「だ、大丈夫か、伍長!?」
伍長「え、ええ…何とか…そ、それよりも少尉、助けていただいて有難うございます」
少尉「気にするな。伍長に触れていいのは私だ…い、いや!ゲフンゲフン」
伍長「?どうしたのですか少尉?」
少尉「な、何でもない!…さ、さぁ、皆が心配しているぞ!早く帰るとするか!」
伍長「はい!少尉!」
今日も悪の手からぼくらとぼくらの伍長を守ってくれたパンプキン・シザーズ!
だが、銀の車輪軍団はいつまたぼくたちと伍長を襲ってくるのかわからない!
ゆけ、パンプキン・シザーズ! 負けるな!伍長!
いつか戦災復興を果たすその日まで……!
伍長「ところであのピンクのランタン、兵器として意味あるのでしょうか…」
―おしまい―
95 :
戦隊の人:2007/03/02(金) 13:29:32 ID:???
ギャグとエロの組み合わせがこれほど難しいとは思いませんでした…。
今更ながら職人さん達の文章能力の高さに感嘆しています。
触手に関してはもっとねっとりとやりたかったのですが、自分の文章能力では
これが限界でした…。次の触手職人さん、もっともっと伍長を苛めてやってください!
>95
戦隊の人
パンシザで触手ネタ読んだのはこれが初めて
弄ばれる伍長のあられも無い姿を想像して濡れたw
ピンクランタンでバーサク状態だけど
ちょっと照れる伍長かわいいよ
サービスシーン満載ですね。ごちそうさまです。
>95
戦隊の人GJ!!!
ハァハァしつつ激しくワロタwww
キャラが全員ハマリ役ですな
99 :
男体の人:2007/03/02(金) 19:02:31 ID:???
>>戦隊の人
ワオー!待ってました!このシリーズ大好きだぁ〜。
ランタンモードで「ちょっと恥ずかしい」言う伍長にバロスw
時たま本音を暴露してしまう少尉がとてもカワユスw
触手の素敵技に嬲られる伍長を想像してハァハァしつつ
笑い死にしそうになりながら、とても楽しませて頂きました。
ありがとうございます!
>>戦隊の人
ピンクランタンキターーーッ!
しかも触手ネタ!戦隊の人乙です!GJ!
伍長のサービスシーンに視聴者は前傾姿勢必至!
Hな深夜番組を親に隠れてこっそり見てる心境に…ハァハァ。
今の自分には、伍長のエロスは中坊にエロ本見せるより性的ですorz
ステキSSに満腹です!
すみません、なかなかこれなくて、また感想のお礼がまとめレスですみません。
>続きが楽しみと書いてくださった方々
今回で終わりです。今までありがとうございました。みなさんのおかげで
完結まで頑張れました。ひどい目にあわせた少尉にも償いができますように…。
>蛍の墓
原作も映画も絶対見たら泣くような気がして恐ろしくて、まだ未見です。
…こんな感じなんですか。当分見れそうにないです。
感想ありがとうございました。
>シャワーの人
伍長に萌え、缶けりに燃えました!!GJ!!
ダークでシリアスがいい、とのことですが
最終話でコケると思いますwごめんなさいですorz
>戦隊の人
マー君「アオーン!」
で マーキュリー×レオ 連想してしまいました、すみません〜w GJ!!
では、戦隊の人が投下した直後で申し訳ないのですが、土日これないので
最終話投下していきます。
注意書きは特にないです。
右肩の辺りに鈍い痛みを感じた。
石ころでも下敷きにしたかと思ったが、そちら側を上に、横向きに倒れていたのだった。
今度は肩甲骨の間が痛んだ。棒の先でつつかれているような感触。
死んだか、と誰かの声がした。聞いたことのある声……あの怖い執事さんに似ている。
「おい、ランデル・オーランド。こんな真昼間だというのに、いい若いモンが何を寝ておる」
昼間だって? とても暗いんだけど。確かめようと思って、俺は身動きした。
「お前、野垂れ死んでいるのかと思ったぞ。アリスさまがお呼びだ」
アリスさま……少尉が?! 俺は飛び起き振り向いた。とたんに視界がぐらぐら揺れたので慌てて頭を押さえ、
こみ上げてきた吐き気が収まるまでそのままじっとした。まぶしい……確かに昼間だ。
ようやく光に慣れてきて薄目を開けてみると、ステッキを抱えた執事さんの姿が見えた。石突が俺の膝小僧を突付く。
「アリスさまがお呼びだ、ランデル・オーランド。しかしなんという様だ! 一体今まで何をしておった?」
そう言えば宿を飛び出してから風呂にも入ってないし着替えもしていない。そんな状態でどれほど過ぎたのか頬や
顎が無精ひげで覆われていた。
「少尉が……俺を?」
「そうだ。どうする、来るか?」
少尉が俺を呼んでいる。
そう思ったとたん腹が大きな音を立て、自分がひどく空腹なことに気がついた。
「いずれにせよ、身なりを整え飯を食ってからでないとお目通りさせるわけにはいかんな。とにかく、後について 来い」
「は、はい……」
「早くこんか」
俺がよろよろとやっとのことで階段を上がって橋の上につくと、執事さんが辻馬車を呼んでいる。お屋敷の御者は
俺を乗せたくないらしく、鼻を押さえ、露骨に汚いものを見る目つきでじろじろ眺めていた。
それが四日前の出来事で。
橋の下で死にかけていた俺は今、信じられないくらい豪奢なベッドで寝起きしている。
こんな図体の人間が楽に横たわれるサイズであることだけでも驚きだが、なぜかこのベッドには外でもないのに
屋根がついていて、それは天蓋というらしい。おまけに、なんて名前か知らないけどタオルの毛をもっと細かくし
たような、布地に苔をはやしたみたいな生地のカーテンが垂れている。そんなもののついたベッドなんて今まで
見たことがない。さらに驚くのは五人ぐらいは楽に眠れそうなこのベッドが一人用だということだ。
その上こんなに巨大なベッドを収容しても部屋にはまだゆとりがあり、三課より広くて天井も高く、日当たりも
素晴らしい。
以前少尉の……アリスちゃんのお守りをしていた時は庭の掘っ立て小屋で過ごし使用人の食事をしていたのだが、
現在あてがわれているこの部屋は、なんと大祖父さんが使っていた寝室で、三度の食事は恐ろしく立派なものだ。
俺はパンをくすねておいて橋の下のあいつらに持っていってやろうかと計画している(クローゼットなんかに隠す
といいかもしれない)。
とにかく橋の下が恋しくて、帰りたくて仕方なかった。俺みたいな人間には、やっぱりこんなところは居心地が悪い。
執事さんは物腰が優しくなった分、不気味でますます怖いし、メイドさんたちは……前より親切になったんだけど何か
隠しているみたいで気持ち悪い。単に俺が体を壊しているからかな?……それにしても少尉はどうしてるのだろう。
いたせりつくせりの世話を受けているものの、もう四日目の夜になったというのに俺はまだ少尉には合わせてもらえずにいる。
会わせてもらえると思っているから我慢しているのに、もうこんなところ逃げ出してやろうか……眠れなくなった俺は
ぜんぜん軋まない立派なベッドから抜け出ると、ふかふかの椅子に腰掛けた。大祖父さんゆかりの寝台は俺が今まで寝た
中で最も広いものだったが、世界一居心地が悪いと思う。
椅子は刺繍のしてあるみたいな布が張ってあり繊細なのにとても頑丈な作りだったけど、座面は
やはり窮屈だ。
ベッドは俺が寝ても余るくらいでっかいから、大祖父さんとはどんなに大きな人だったのだろうと
思ったけど、椅子が普通サイズなのが不思議だ。
手持ち無沙汰でぼんやりしていると、突然小さなノックの音がした。これってどうやって返事を
すればいいんだっけ、間違えたらまた執事さんに怒られると悩んでいるうちにそっとドアが開き、
クリーム色のガウンが滑り込んでくる。
少尉だった。
見たこともない部屋着みたいな服を着ている。いつもの子供服みたいなワンピースよりは大人っ
ぽい。その色合いはなんとなく、あの舞踏会の夜会服を思わせた。
あんまり出し抜けだったので、唖然として見つめることしかできない。
近づいてきた少尉は俺のこわばった顔をちらっと見た後、なんだか怒ったような顔をしてそっぽを
向いたが、やがて片手に抱えていたものをテーブルの上に置いた。
「眠れないから一緒にチェスをしようと思いまして。……おじいさま」
「お、おじいさま?……」
そんな、てっきり記憶が戻ったと思っていたのに。執事さんだってそんなふうに……そういえば会い
たくないと言っているの一点張りで記憶の話はなかったっけ?
俺がうろたえているのにまるで気づかないのか、少尉は無言のまま向かいの席につくと折り畳み式の
チェス盤を広げ始めた。
高価そうなテーブルの向かいで駒を並べている白い指先。顔を伏せ気味に視線をチェス盤に落してい
るので、表情がまるでわからない。
本当に記憶が戻っていないんだろうか。
頭が混乱し、聞きたいことが山のようにあったけど、もし少尉がアリスちゃんのままならあれこれ聞くわ
けにはいかないし……仕方無しに自分も駒を並べ始める。“おじいさま”をやっている時に一通り執事さん
から教わったが、結局覚えられなかったのだけど。
しばらく沈黙が続いた。俺の手には小さすぎて持ちにくい駒を不器用につまんだまま、並べ方を思い出
そうと市松柄を睨んでいると、不意にアリスちゃんが口を開いた。
「おじいさまのおっしゃってた少尉って、パンプキン・シザーズの少尉さんのこと?」
「え?」
「前、少尉と言って涙ぐまれたことがあったでしょう?」
「あ……」まだ歩けなかったアリスちゃんを抱っこしていたら不意にキスされて。思わず『少尉』と
口走ってしまった、あの時の事を言っているんだと気づいた。「ああ、うん……そうだよ」
「……おじいさまは、少尉さんのこと好きなの?」
アリスちゃんはうつむいたままさせっせと手際よく白い駒を並べている。俺は質問で頭が一杯になって
手が止まった。どうしてこんなこと聞くんだろ。女の子らしい好奇心?……ぜんぜん少尉らしくない。
「おじいさまは……」俺はおじいさまじゃないのに何を答えろと言うんだ、またあの生活に逆戻り
なのか?と思うと声が震えそうになる。大祖父さんはアリスちゃんが少尉になるずっと以前に亡くなった
から、成長した孫娘の姿など知るよしもないのに……。「違うよ。好きなんかじゃない」
「ふーん。そうなんだ」
一瞬手を止めた後、もうその話には興味がないというようにアリスちゃんは再び駒を並べ初め、やがて
白い駒はすっかりきれいに整列した。俺の黒い駒はまだ半分も終わっていない。
「おじいさま、並べるお手伝いしましょうか?」
白い手が伸びてきて黒い駒をつまんだ。この小さいのは一番下っ端で、たしか歩兵だったはず。
俺はしなやかな指に挟まれた黒い歩兵を眺めながら、小声でつぶやいた。
「少尉さんのことが好きなのは、パンプキン・シザーズの伍長だよ」
「えっ、とナイトはこちら、ビショップはこっち」
こんな話どうでもいいのか、アリスちゃんは顔を伏せたままチェス盤から目を離さない。でも、俺は続けた。
少尉に、聞いて欲しかった。
「少尉さんはね……とても大きな広い心と、どこまでも高い理想を持った人なんだ……でも体も力も小さくて、
無茶ばかり……そばにいる人はいつもハラハラしなきゃなんない困った人……」
「おじいさま。ポーンは最初一マス進んでも二マス進んでもいいの。先の手をよく考えてね」
「でも伍長は、そんな少尉さんのことが大好き」俺の目はもうアリスちゃんを見ていなかった。思い浮かべて
いるのは、カーキ色の軍服に身を包んだ後ろ姿。いつも気持ちがいいほど背筋が真っ直ぐで、頭をぐっと上げていて。
俺は幻の背中に向かって無意識につぶやいていた。「……心から愛してる」
「…………あらおじいさま。クィーンとキングが反対よ」
ささやくようなアリスちゃんの声がしたが、テーブルに視線を落したまま酔ったように俺は話し続けた。 堰き止めて
いたものが外れてしまったような感じだった。
「伍長の好きな少尉さんは……理想のためなら何者も恐れない、真っ直ぐで、とても純粋で、とても気高い人……
何者にも……どんなものにも、決して汚されない。決して負けない。……高潔で高貴で、どこまでも清らかで……」
「それは、買いかぶりすぎというものだ」
俺は、はっとして顔を上げた。
アリスちゃんの手が黒のキングとクィーンの場所を入れ替えている。「まぁ、今後その買いかぶりに負けぬだけの
上官となるべく勤めよう」
えっ、今。
上官って、言わなかったか?
俺はうつむいている金色の頭をまじまじと見た。黒の女王から手が引っ込むと、頭はさらに深々と、許しでも
請うようにチェス盤の上に覆いかぶさってしまった。
「その……なんだ、お前を試したみたいで誠に申し訳ない!すまぬ!騙すなどとまったくもって卑怯なマネを してしまった!」
「しょ……少尉?」
「伍長」やっと顔を上げたがとても怒ったように顔を赤らめ、ぷいと横を向き俺と目を合わそうともとしない。
「だがな、私にも知りたいことがあったのだ……ま、まさかお前があんなこと言い出すは思ってもみなかったし……いやま、
こんな回りくどいことをしなくても上官命令で聞き出したほうが合理的であったのだがな、しかしなんだかな、うむ」
少尉のしどろもどろの弁明が、ぼんやりと聞こえてくる。
俺は頭が真っ白になった。
今さっき、何かとんでもないことを口走ってしまったのではないだろうか。
な、何をどんな風にしゃべったっけ?
なんか聞いてないみたいだったし、聞いててもどうせわからないだろうと思いつくままにべらべら……。
回想を拒否した頭を抱えて、テーブルの下に潜り込みたい気分になった。顔が火のように熱くなり、真っ赤に
なっているのではと思うと、ますます温度が上昇し、足の先から頭のてっぺんまで汗が吹き出た。
少尉の弁解はどぎまぎと続いている。
「なに、情欲にかられた末の行動だったとしてもどうってことはないぞ」少尉はそこでわざとらしく咳き込むと、
お前優しかったし、と小さな声で忙しく言った後、「私も士官学校時代から数えれば計六年間男性社会にいるから、
男の生理などよくわかっている。……べ、別にあのような愛の言葉など期待していたわけではないからな!
ゆめゆめ勘違いするでないぞ!!」
少尉は、今、優しかったと言った。何を、どこまで思い出したのだろう?
「あの、少尉は……何を覚えているんですか」
「ほとんど覚えている」照れたようにそういうと急に不安な目をして探るように俺を見た。「ただ、三度目の麻薬を
打たれた前後のことはあやふやだ。あの辺りのことは断片的にしか覚えていない。薬で脳細胞がやられたのかもしれ
ないと医者が言っていた。その時、私はどうやらひどい拷問を受けていたようだな。体がバラバラになりそうな
ほどの痛みと、……お前が涙を流していたのはぼんやり覚えている……」
それは、俺の犯した罪として覚えていないということなのか。……喜ぶべきことなんだろうか。
「何故そんな暗い顔をしている?」
少尉が小首をかしげた。そのしぐさは無邪気なアリスちゃんを思い出させた。
「あの……いや、その」
ごめんなさい、少尉。ごめんなさい。大好きなのに、とても大切に思ってるのに、あんなひどい事をしてごめんなさい。
俺は思わず涙をこぼしてしまった。
「おい、伍長どうした?……すまない。お前はとてもひどいものを見てしまったのではないか。私が不甲斐ないばかりに。
……打ち明けてくれてもいいのだぞ。私だって、人生に空白の時間があるのはなんとも落ち着かない」
あの時も少尉はほとんど意識がなかったのに、俺を正気づけてくれた。
今俺が告白したら……きっと『ランタンをつけていたから仕方がない』と慰めてくれるだろう。
お前はそんなヤツじゃない、そんなことができるヤツじゃないと。
でも、それは駄目だ。
少尉にあんなつらいこと思い出させちゃいけない。俺が悪いのに、慰めてもらってどうする!
あれは俺がやったことだから。
理由がどうであれ、俺がやったことに変わりないから。
自分でやったことには自分で責任をとらないと。……また、あんなことをしてしまわないように。
俺は手の甲で涙を拭い、鼻をすすった。
「少尉が死んでるんじゃないかと思ったんです……だから、びっくりして泣いてしまって。俺が館に踏み込んだ
時にはもう終わってたみたいで、少尉はシーツかなんかをかけられて横たわってました。真っ青な顔してぜんぜん
動かないから……本当にびっくりした」
「そうか」
少尉がぽつりとつぶやいた。感情の抜け落ちたような顔に、本当に断片的な記憶しかないのだろうかと疑問が
わいた。そうではないような気がしてきたが、今はまだ話せる時期ではないのかもしれない。そのうち、時が
くれば。俺は必要とされるまでずっと待っていよう。
「お前には本当にすまぬことをした。ただ、理解してくれ。私は……婦人の名誉のために死ぬような潔い女では
ない。そんなことで死んでたまるか。まだ戦災復興は何も終わってはおらぬのに!」
言い終わると少尉は真っ直ぐに俺の目を見た。俺も顔を上げてしっかりと見つめ返した。少尉、もう謝らないで
ください。あなたは何も悪いことなんてしていない。悪いのは俺です……本当に大丈夫。自分の面倒は自分で
みれるから。そんなに心配しないでください……。
わかってくれたのだろうか。少尉はやがて安心したような微笑を浮かべると、きっぱりと言った。
「私はこれしきのことでへこたれているわけにはいかんのだ。なぜなら、パンプキン・シザーズの 少尉だから」
「そして俺は、伍長です」自分も言い返した。「だから気にしないでください。ちゃんと理解して います」
「ありがとう」
……やがて少尉は急に照れたように目をそらすと、そそくさと並べたばかりのチェスを片付けはじめた。
視線を合わせたくないのか、テーブルに向かって話しかけた。
「お前には子供のように惚けた姿もしっかり見られてしまったし、恥かしくて穴があったら入りたい
くらいだ。その……アリスが長いこと迷惑をかけた。申し訳ない」
「そ、そんな、少尉、さっきから謝ってばっかりじゃないですが。気兼ねしないでください。俺も……
一緒にいられて楽しかったし」
アリスちゃんと過ごした日々が脳裏に浮かんだ。特にあの夢のような八日間が。
『行ってらっしゃい』と送り出してくれた少し寂しそうな微笑と『お帰りなさい』と飛びついてきた時の
待ちかねた笑顔。
もうあんな日々は二度とこないだろう。……少尉は、覚えてるんだろうか。
不意に手を取られて、物思いから引き戻された。俺が無造作にテーブルに載せていた左手を、
少尉の両手が包んでいた。
小さな手は両手でやっと、俺の片手を覆うのが精一杯だった。
「私も楽しかったぞ。……おかげで自分が使った食器の後片付けはできるようになったしな」
俺は右手を小さな両手に重ねた。少尉、覚えててくれたんですね。俺は一生忘れません……ままごとごっこの
ような毎日だったけれど……。
少尉がぎゅっと俺の左手を包んだ。俺も右手に……力を込めると痛いだろうと思ったので、優しく白い両手を
撫でた。武人の手だから美しくはないぞ、と以前言っていたのを思い出したが、俺にしてみればそのの手は十分過ぎるくらい白くてすべすべしていて……もっとすべすべした肌を思い出した。そして同時にぬくもりを、ラインを、感触を。
右手が勝手に小さな手のくぼみや指の隙間をなぞり始め、やがてもっとやわらかい肌を求めて手首を
たどると、ゆったりした部屋着の袖口に滑り込んだ。
あんな日々はもう二度とないかもしれないけど、あんな夜は……。
突然、右手が跳ね除けられ、軽快な音とともに頬に激痛が走る。
本当によく効くビンタだ。きっと赤い指の後がついているに違いない。俺は頭を垂れ、涙目になって痺れる
頬を押さえた。
「少尉ぃ。なんで?」
「お前の右手に聞けっ、まったく油断も隙もない!今回の一件で、私は後片付け以外にも学んだことがあるぞ。
それはお前がオレルド准尉と同類ということだ。婦人の隙さえあらば付け入ろうなどと、少しはマーチス准尉
を見習え!!!」
「マ、マーチス准尉?何故あの人の名前が出てくるんです?」
「あれは真面目な常識人だからな。マーキュリー号と同類のケダモノのようなお前たちとはまるで違う」
俺は驚愕した。
「何を言ってるんですか!准尉のロッカー開けてみて下さい!!」
「ロッカーを開けてみろだと?あいつのことだから、さぞや美しく生理整頓なされているであろう」
「ええ、そりゃなされてますよ、いついかなる時でも、必要なモノがすぐに取り出せるよう……」
「ほら見ろ!やはりマーチス准尉は清潔な人物だ」
「清潔ですって?は、はっきり言います、少尉はまるで男を見る目がないです!!!」
目の前を火花が走り、俺はもう片方の頬も押さえる破目になった。
「ああ、私には男を見る目はない!!そんなことエリス姉上に何度も何度も言われておるわ。
……この大馬鹿者め!!!」
少尉はぷんぷん怒りながら立ち上がり、チェス盤を小脇に抱えた。何であんなに怒り出したのかさっぱり
わからない。
「私は明日、三課に復帰するからもう休むことにする。お前はここに残ってしばらく養生しろ」
俺は頬の痛みも忘れ、少尉に懇願した。
「そ、そんな、俺こんなところに一人でいるのは嫌です、一緒に連れて行ってください!」
「駄目だ、その痩せた体が元に戻ってからにしろ。無理して倒れたりしたらどうするのだ? 私をこれ以上
後ろめたい気分にさせないでくれ……その、記憶が戻った後はお前を探すことよりもハンクス大尉に連絡
するほうに忙殺されてしまってな。あの娼館は末端に過ぎぬ、裏に婦女誘拐シンジケートが広がっているのだ」
俺は両手で頬を押さえたまま恨みがましく少尉を見上げた。さっきからやけに申し訳なさそうだったのは
そんな理由があったからなのか。パンプキン・シザーズの少尉だから仕方がないと理解するけど……でもなぁ。
「……ひど……いです……俺、死んでたかもしれないのに」
「すまない!しかし決して忘れていたわけではない、いつも気にかけておったのだ!だが執事はお前は家に
帰ったと言ってたし、ソリス姉上が怪しまれるまで、あのような無礼なことをお前に働いたことも知らなかった
のだ……いや、申し訳ない、上司として失格なのは認める……そんな……そんな悲しそうな目で見るな、
私だって心配してたんだぞ……」
少尉は困ったように俺の顔を見て、目をそらし、また顔を見るとため息をついた。「わかったわかった!
だが足手まといになるようなら連れ戻すぞ。明日は早く出る予定だが、よいな」
「は、はい」
やれやれ、と言った表情を浮かべると少尉はドアへ向かい、俺は後を追った。
もう扉が閉じる瞬間になって、金色の頭が振りかえり、青い瞳が俺を見上げた。
「おやすみ、伍長」
「はい、少尉。……おやすみなさい」
ドアは静かに閉まり、後には廊下を遠ざかっていく足音だけが響いた。
明日の朝には、カーキの指揮官服に身を包んだ颯爽としたあの人に会えるだろう。
俺の服は……三課のロッカーに入れっぱなしかな?
それにしても結局。
いろんなことがあったけど、俺たちの関係は変わらなかったみたいだ。
パンプキン・シザーズの少尉と伍長。
ちっとも甘くないけど、色あせたり冷めることもない。
『はい、少尉』
閉じた扉の前でまだジンジン痛む頬を押さえながら、かみ締めるように俺は繰り返した。
(終了)
これで終わりです。
思ったよりも長くなってしまい、本当にもうしわけありません。
優しく見守ってくださったスレのみなさんに深く感謝しております。
本当にありがとうございました。
>バーサクの人
凄い!今までお疲れさまでした
途中で色々ありましたが、最後まで伍長と少尉の行く末を読むことができて本当によかったです
最初の凄い鬱話からこんな結末になろうとは思いもしませんでしたよ
110 :
保管庫の人:2007/03/03(土) 05:07:10 ID:???
>>67シャワーの人さん
乙です。そしてGJ。笑いあり涙あり、ええ話やないか(ノД`)
>>83男体の人さん
手紙、あの表示方法で気に入っていただけたようでよかったです。
いやいや、照れるやら恐縮やら(;´Д`)ゞ
読み終わった後の余韻を大事にするのは大事ですね…はい。
>>85 どうもです。
>伍長をもっとイジメたくな(ry
それは恋です。遠慮せずイジメ(ry
>>88戦隊の人
「復興戦隊」でしたね。帝国戦隊って書いてもうた。すみません修正しときます。
それはそうと乙&GJ。ピンクランタンは平和的な武器なのでおおいに結構な事ですよねぇw
>>101バーサークの人
GJそして長丁場お疲れ様でした。ちゃんと保管庫に入れますよ〜。
フォモが苦手なばっかりにこのスレに来れないエロパロスレ住人にも
ぜひ読ませてあげたい一作なので、早めに保管庫に入れるかもです。
予定は未定ですが。もし良かったらまたの投下をお待ちしております。
111 :
保管庫の人:2007/03/03(土) 05:13:19 ID:???
んぎゃ。
戦隊の人さん、バーサークの人さん、さん書くの忘れてたです。
何度も書いちゃ消ししてるうちにアフォな事に。
すみません申し訳ない以後気をつけますorz
毎回なんかミスってる自分にプゲラ
112 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/03(土) 05:32:07 ID:XJzDm5Pw
>戦隊の人
ピンクーww
触手ネタGJ過ぎます萌えをありがとう!
カウプランならパロじゃあなくても触手怪人の1匹や2匹飼っていそうだな…
と、普通に思いました
つ、次は是非液体×伍長なんかを(ry
>バーサークの人
…よかった
ホントよかった…(T∀T)
ハッピーエンドお疲れ様でしたww
まさかこんな終りを向かえるとは…
2人にはこれから幸せになって欲しいと
心から願います!
こんにちは
>バーサークの人
大変お疲れ様でした!超絶GJの言葉を贈らせて頂きます
エロゲヒロインみたいな伍長より野郎している伍長の方が萌えなので
すごく楽しませて頂きました
イイヨー、スゴクイイヨー
毎日投下を心待ちにしていた甲斐が有りました(´∀`)
115 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/03(土) 12:00:54 ID:J38heHL2
エロゲヒロインな伍長も、ムッツリで野郎な伍長も
どっちも大好きだっww
ここは神職人さだらけで天国だなぁ・・〃´△`)-3ハゥー
116 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/03(土) 12:02:05 ID:J38heHL2
神職人さだらけ→神職人さんだらけ
エロゲヒロイン伍長萌え
118 :
戦隊の人:2007/03/03(土) 14:54:29 ID:???
皆様コメント有難うございます。
>>96 初めての触手ネタで不安でしたけど、濡れていただけたみたいでwやった甲斐がありました!
>>97 あの照れるシーンは入れるかどうか悩んだのですが、入れて正解みたいでしたね。
ここまで好評とはびっくりです。
>>98 キャラの役割は自然に決まったんですが、違和感ないのなら良かったです!
>>男体の人
このスレの重鎮にも楽しんだと言ってもらえて嬉しいです!
エロシーンは苦手なんですが、努力した甲斐がありました。
自分も男体の人にように、エロエロな伍長をもっと開発していきたいです。
>>シャワーの人
こんな戦隊番組深夜でも放送できませんよねw
性的な伍長を楽しんでいただけたみたいでこちらも嬉しいです!
自分もシャワーの人みたいな面白くてエロいSS書けるように頑張っていきたいです!
>>バーサークの人
マー君×レオ…全く想像つきませんw
それとバーサーク伍長完結おめでとうございます!最初のシーンからどういう結末になる
のかハラハラしてましたが、ほのぼのとしたハッピーエンドで終わって、見てるこっちも
幸せになりました。GJです!
>>保管庫の人
自分もよくタイトル間違えるので構いませんよ〜。さん付けしなくてもいいですし。
伍長にはもっとピンクランタン使って欲しいですねw
>>112 萌えていただいたようで有難うございます!
液体ネタは書いていて楽しかったので、機会があればやってみたいですね。
自分文章書くの遅いのでなかなか投下できないんですが、
これからも頑張っていきたいので、皆様これからもよろしくお願いします!
>バーサークの人
お疲れ様でした!!
もう最初から最後まで涙止まらなかったです!
ありがとうございました!!GJです!
>>120 どんな指導だよ!
春画伍長.*:.。.:*・゚(n‘∀‘)η゚・*:.。.:*!!☆ キタワア
絡まれた伍長キタコレ
ああかわいそうだけど凄く萌えるよ…
吸盤でちゅっちゅされればいい。
触手祭りに便乗して
前スレで触手触手と喚いてた不逞の輩が通りますよ
「触手×伍長でがっつりエロ」です。
触手に嬲られる伍長が書きたかっただけなので、
それなんてエロゲ設定も展開も笑って流していただければ幸いです。
とりあえずさわりの部分だけ…
ヘボいですが少しでも皆様の伍長萌えの足しになりますよう。
耳に纏わりつく不快な音で目が覚めた。
金属が擦れあう音が頭上から僅かに聞こえる。
視線を上へやれば、手枷で括られた自分の両手が見えた。
(…ああ、これの音だったのか)
試しに腕をもぞもぞと揺すってみれば、鉄の枷がちいさく鳴る。
「……って、え!?」
ぼやけた意識がはっきりするにつれ、ようやくこの状況の
異常性に気が付いた。
記憶が混濁しているのか、気を失う前のことが思い出せない。
何故自分は拘束されている、そもそもここは何処なのか。
薄暗い、灰色の無機質な空間。見覚えがあった。
思い出したくもないけれど、忘れられないほど強くこの身に刻まれた場所。
ここは。ここは。
「カウ、プラン――…」
掠れた声しか、出せなかった。
――――――――――――――――――――――――
今回はここまでです。本当ちょこっとでスンマセンOTZ
次回は遅くなると思うので、
神職人様がた気にせずドンドン投下してください。スレ汚し失礼ッ!
>120
一足遅かった…orz
春画伍長見たかった
>126
乙です!こりゃたまらん
129 :
戦隊の人:2007/03/04(日) 22:11:44 ID:???
>>120>>126 うわー有難うございます!GJです!
自分あまりイメージしないで書いたんですけど、こう映像化すると
触手ってホントいやらしいですねぇ。堪能させていただきました!
>>123 自分のとは違った切り口でとても楽しみです!これからどう伍長が料理されていくのか…
コテハン名はやっぱり「触手の人」でしょうか。
>>123 カウプランの餌食になっちゃてまあ
なにこの実験!
131 :
保管庫の人:2007/03/05(月) 06:08:09 ID:???
>>124 >>126 触手祭り…これはめでたい(*´д`)
>>PCユーザーの皆様
うp情報です。
・オレルド×伍長/伍長風邪ネタ(前編)
・マーチス×伍長/酔っ払いマーチス、マーチスvs天然伍長
・その他/マー君×伍長、ノーマルな3課の面々×伍長
携帯用を追い越しました。
PC用については、1スレ目のSSは残すところ男体の人さんの
クリスマスの話の前半だけになりました。
それをうpしたら再び携帯用の更新に戻ります。
やっとこれましたので。お礼レスです。
>109さん
早速の感想ありがとうございます。
当初からこういう結末の予定だったので、
「こんな鬱のままで不幸せな伍長のままにしておくなんてイヤー!」
だと投下しておりました。スレのみなさんにはご迷惑かけて申し訳ないです。
>保管庫の人
いつも本当にお疲れ様です、SS入れていただけるそうで凄く嬉しいです(泣
遅くなってもぜんぜんかまわないですよ〜
>112さん
よかったと言っていただけてとても嬉しいです。
自分も本当に幸せになって欲しいと願ってます!!原作者さまお願い〜〜
>>114さん
ま、毎日ですか!色々と遅くなってすみません、すごいお褒めの言葉を頂いて
物凄く嬉しいです、ありがとうございました。
自分は野郎な伍長しか書けないもんで、スレのみなさまにはご迷惑おかけしました。
>>115さん
自分もどっちも好物です、エロゲな伍長さんは自分が書けないだけに、純粋に萌えキャラ
として読めるんでムハムハーですv 職人さんが多い幸せなスレです〜〜
>戦隊の人
行間ではマー×レオだとてっきりwへんな電波だったようですねw
読了後は幸せになっていただけたようでうれしいです、そういうSSを
目指していたので、凄く嬉しい感想です!
>119さん
泣いたなんて感想いただいたの初めてです〜〜!こっちが泣きそうになりました、
読んでいただいて本当にありがとうございました!
最後まで投下できたのは、このスレのみなさんの優しさのおかげだと感謝してます。
本当にありがとうございました。
>124
わわわっ次弾が楽しみです!!やっぱカウプランときましたか!
タコ伍長見損ねた…orz
>>133 ぎゃー見れました〜〜!!
ご親切痛み入ります!!!
伍長の「とっても不快なんですけどーっ……あふんv」
な顔といい、タコ師匠?のやけに冷静な顔つき(?)といい、
お腹いっぱいゴチ、です〜(いやー自分も祭りに参加しそうです〜)
ありがとうございました!
展開グダグダ過ぎる…もっと伍長に萌えさせて!
136 :
保管庫の人:2007/03/06(火) 06:45:25 ID:???
>>皆様
保管庫PC用に1スレ目のSSアップ完了しました。
出来れば今週中には携帯用も完了させるつもりです。
容量を気にしながらのためPC用ほどさくさく進められずもどかしい…
検索除けの呪文だけで2k近くも使っちゃってるせいだけど(゚ε゚ )キニシナイ!!
2スレ目以降はPC用を先に作ってから携帯用に取り掛かります。
で、PC用のリストを元に携帯用を作ります。
段々と要領を得て来てその方が早いと気付いたので…
1スレ目の分もちょっと作り直したいけどそれは後回しに。
携帯ユーザーの皆様しばしお待ちを。
137 :
触手の人:2007/03/06(火) 17:09:19 ID:???
早速触手の人と名乗らせていただきます。
蛸プレイで思い出したんだけど、女性に対する拷問で実在したとかしないとか。
ナカに吸盤が吸い付いたりして発狂しそうなほどイイらしいですよ。
…伍長にしてやりたい。
>>135 良い子にして全裸で正座して待っていれば、きっと神は降臨する!
今暫く待とうぜ!
>>保管庫の人
毎度乙です!3スレがとうとうお蔵入りしてしまったので、
もう頼みの綱は保管庫の人のみ。お手数かけます!
>>触手の人
ナイスすぎる!是非伍長を次弾で!
140 :
135:2007/03/06(火) 21:39:32 ID:???
ごめん、アニメの感想…
誤爆ドンマイ
※「HELLSING四巻の少佐の名演説より」あくまでも洒落なので、軽くスルーしてね。
諸君 私は伍長受けが好きだ。
諸君 私は伍長受けが好きだ。
諸君 私は伍長受けが大好きだ。
少尉×伍長が好きだ。
オレルド×伍長が好きだ。
マーチス×伍長が好きだ。
副長×伍長が好きだ。
レオニール×伍長が好きだ。
マーくん×伍長が好きだ。
触手×伍長が好きだ。
この地上で行われるありとあらゆる伍長受けが大好きだ。
酒に酔っぱらって「らめぇ!」と言ってしまう伍長が好きだ。
901部隊に輪姦されて完膚なきまでに犯される姿など、胸が踊る。
焦れったい程のドンデレな伍長が好きだ。
悲鳴を上げて許しを乞う伍長が強姦される姿など、胸がすくような気持だった。
イチモツをそろえた歩兵の横隊が伍長の体を蹂躙するのが好きだ。
絶頂状態の伍長が何度も何度も突き刺されている様など感動すら覚える。
イかされまくった伍長を吊るし上げて行く様などは、もうたまらない。
泣叫ぶ伍長が言葉責めにあって、どんどん淫乱になって行く様など最高だ。
哀れな伍長が最後の力を振り絞って、健気にも立ち上がって来たのを容赦なく縛り上げ、残った理性を
木っ端微塵に粉砕した時など、絶頂すら覚える。
敵兵の捕虜になり、無茶苦茶にされるのが好きだ。
必死に守る筈だった貞操が蹂躙され、まるで便所のように扱われる様はとてもとても悲しいものだ。
果てのないテクニックに押し潰されて精神的に殲滅されるのが好きだ。
荒くれ者に追い回され、メス豚のように地面を這い回るのは屈辱の極みだ。
諸君 私は伍長受けを 萌えるような伍長受けを望んでいる。
諸君 私に付き従う大隊戦友諸君 君達は一体何を望んでいる?
単なる伍長受けを望むか?情け容赦のない糞のような伍長受けを望むか?
鉄風雷火の限りを尽くし 三千世界の腐女子を萌やす嵐のような伍長受けを望むか?
「伍長萌え!!」「伍長萌え!!」「伍長萌え!!」
よろしい。ならば伍長萌えだ。
我々は満身の力を込めて今まさに降り降ろさんとする握り拳だ。
だがこの暗い闇の底で数年もの間耐え続けて来た我々に ただの伍長萌えではもやは足りない!!
大萌えを!!一心不乱の伍長萌えを!!
我らはわずかに一個大隊千に満たぬ敗残兵にすぎない。
だが諸君は一騎当千の古強者だと私は信仰している。
ならば我らは諸君と私で総兵力100万と1人の萌え集団となる。
伍長の真の萌えっぷりを、それに気付かず眠りこけている連中を叩き起こそう。
コミックを突き付けて眼を開かせ思い出させよう。
連中に伍長萌えの味を思い出させてやる。連中に我々の熱い思いを思い出させてやる。
天と地のはざまには奴らの哲学では思いもよらない事がある事を思い出させてやる。
一千人の伍長萌えの戦闘集団(カンプグルッペ)で 世界を萌やし尽くしてやる
今一度唱えよっ!我々のあるべき姿をーっ!
全員復唱っ!!さん、はいっ!
我々はっ、オッパイだっ!!
144 :
男体の人:2007/03/06(火) 23:15:41 ID:???
オッパイだ!
素晴らしい演説をありがとうございます
>>143!
マジで感動したw
さて、大変長らくお待たせしました。
男体化少尉×伍長2『Unripe Lover』その5。
これで完結となります〜。
これ以上長引かせてスレを無駄に消費するのも申し訳ないので
かなりはしょりました。それでも長いけど…orz
※男体化少尉×伍長(エロシーンあり)
※男×男
※ヒロイン度200%伍長
※最後の最後まで少尉が無…(ry
少尉の一人称で進めてきましたが、今回あえて
他キャラの視点を混在させています。
途中読みにくい所が多々あるかと存じます。すみませんorz
最後の最後まで…いや
最後の最後に猛烈なgdgdっぷりですが、どぞー。
Agnus Dei, qui tollis peccata mundi:
miserere nobis……
世の罪を除き給われる、神の小羊
私達を哀んで下さい……
街のみんなは、あたしのことを気違いだって言う。
結婚して五年、やっと授かった一人娘を失って、気がふれてしまったんだ、って。
愛し合って一緒になったはずの夫でさえ、あたしと娘を捨てて出て行った。
でも、あたしからすれば、狂っているのはみんなのほう。
どうしてみんなには、今も街を焼いているこの炎が見えないんだろう。
四年前のあの日、街に共和国の軍人がやってきた。
戦車がたくさんいた。
銃を持った兵隊たちも、たくさんいた。
戦車が家を壊して、芋虫みたいな大きな足で、街の人を轢き殺した。
兵隊たちはまるで鹿でも撃つように、みんなを撃ち殺した。
街に火を放たれ、畑をめちゃくちゃにされ、あたしたちは住処を追われた。
だけど領主さまは、この地と街の人たちを守るために、共和国の軍隊に必死で抵抗した。
銃も剣もほとんどない、あるのはツルハシや鍬や斧ぐらいだったけど、あたしたちは頑張れた。
だって領主さまが、帝国に援軍を求めていて、その答えがすぐに返ってきたから。
領主さまが出した電信に、帝国軍からすぐに返事がきた。
正規の援軍を寄越すには一週間ほどかかる。
でも、この近くを行軍する帝国軍の特殊部隊が街に向かってきてくれてるって。
援軍が到着するまで、彼らが街を守ってくれるだろうって。
あたしたちは喜んだ。
援軍さえ来れば、共和国の連中なんか蹴散らしてくれるだろうって。
そしたら、また平和な元通りの街に戻るって。
だからあたしたちは頑張れた。
彼らが到着したのは、電信を受け取ってから二日後だった。
その二日間は短いようで、とっても長く感じられたけど、みんな希望を捨てないで頑張った。
そして、待ちに待っていた彼らが来た。
傷だらけで、誰もほとんど喋ろうとはしなかった。
大きくて逞しい体つきの男が多かったけれど、でもみんな、すごく疲れているように見えた。
何かに絶望しているようにも見えた。目はどんよりと濁ってて、光がなかった。
まるで誰からも必要とされていないことを自覚している、可哀相な野良犬みたいだった。
あんな疲弊しきったような連中に、共和国の連中が追い返せるんだろうかって、みんな心配してた。
でも、彼らはあたしたちが一番怖れてた共和国の戦車を、いとも簡単に破壊した。
まるですべての感情を忘れさったかのように、彼らは蒼い鬼火をまとい戦った。
普通の人なら両手でも撃てないような巨大な銃。
戦車の装甲さえも切り裂く、大きな鋏。
いくつもの手榴弾。
彼らはそういう武器を使って、共和国の連中が誇る戦車部隊を壊滅状態に陥らせた。
彼らの何人かが戦車に殺されてしまったけど、共和国軍も大勢死んで、逃げてった。
みんなは喜んだ。神の奇跡が起きた、彼らは神の使いだ! って。
でもまた、共和国の奴らが新しい兵隊を引き連れて戻ってくるかもしれない。
だから帝国からの援軍が到着するまで、彼らがこの街に留まってくれることになった。
それが、悪夢の始まりだった……。
彼らは神の使いじゃなく、悪魔の使いだったことを知ったのは、それからすぐだった。
ああ、どうしてみんなには、今でもこの街を燃やす蒼い鬼火が見えないんだろう……──。
*
降りしきる雨の中、私はザーラに差し出されたランタンを目の前に、凍りついたように立ち尽くして
いた。このブルースチールの使い古されたランタンが、伍長の物であることには間違いないだろう。
「みんなが悪魔を殺すよ……」
夢を見ているような口調のザーラの声に、私はやっと我に返った。
着ていたレインコートを脱いだ。ずぶ濡れの痩せ細ったザーラの肩にかけると同時に二の腕を握りし
めた。
「教えてくれザーラ! これを持っていた男はどこに居るのだ?」
「あんたには見えるかい……?」
「なに?」
「この街を燃やし続ける蒼い鬼火が、見えるかい……?」
ザーラは私を見つめながら、ぼんやりと垂れ流すようにつぶやく。
いや、ザーラの目は私を見てはいなかった。大粒の雨が目の中に降り込んでも、ザーラは瞬きもせず、
私を通り越した遠くの世界を見ていた。
ザーラだけが見える世界では、未だに戦渦の炎が燃え続けているのか……。
私は答えるべき言葉を見つけることができなかった。戦争で傷ついた弱者を見るたび、私は自分の無
力さを思い知らされる。戦災復興に懸ける我が信念が、ひどく滑稽に、子供のままごとのようにさえ思
えてしまう。それは私が、本物の戦争を知らないという負い目に他ならなかった。
差し出されたままのランタンを、そっと受け取った。“カロン”と空虚な音が聞こえた。ずっしりと
重いのかと思ったが、それは頑強な見た目に比べ存外軽く、また思った以上に小さいと感じた。
まるで伍長そのものだと思った。見た目は誰よりも大きくて屈強なのに、全身に傷まみれになって戦
う、本当はとても小さくて誰よりも優しく繊細な男……。
──俺、少尉のことが好きです。それだけは、忘れないで下さい。
すまない……伍長……っ!
私は伍長を守ると誓ったのではないか。
伍長を悲しませぬと、伍長を幸せにすると誓ったのではないか。
そのくせ、私は伍長に何をした。
傷つけるばかりで、己の欲望を満たそうとするばかりで、あげくの果ては伍長から逃げた。
ここでも尻尾を巻いて逃げ出すのか……?
愚問だ。
私は伍長がそうしているように、ランタンを腰のベルトに引っ掛けた。
そしてもう一度、少しでも力を込めれば折れてしまいそうなほど細いザーラの二の腕を掴んだ。
「ザーラ、よく聞いてくれ。私は帝国陸軍情報部第三課、パンプキン・シザーズの隊長、アリス・レイ
・マルヴィン。戦争で傷ついた街や人々を救うために設立された部隊の隊長だ。
だが……私は戦争を知らぬ。お前が見えているこの街を燃やし続ける炎も、私には見えぬ。戦争で傷
ついてしまったお前たちの心の痛みも、まことの意味では理解しておらぬやもしれん。いや、私などに
は到底理解できぬだろう。
だが、傷ついている者の姿は見える。苦しんでいる者の声は聞こえる。傷ついた者に手を貸し、声に
耳を傾けることはできる。軍人だからではない。任務だからではない。私は一人の人間として、自分が
成せることを成したいだけなのだ」
ザーラがゆっくりと目を瞬かせた。私の顔の上でフラフラと泳いだ視線は、私の視線と絡まった。
「助ける……」
「そうだ、私はお前たちを助けたい。今すぐは無理かもしれん。だが何年後か、そう遠くない未来には、
誰もが平等に平穏に暮らせる社会を作りたい。お前が見えている、街を燃やす炎が消える日を。そのた
めにはこのランタンを持っていた男が……伍長が必要なのだ!」
夢見心地のザーラの惚けた顔に、不意にふわりと柔らかい笑みが浮いた。
そしてザーラは胸に抱いたミリィに頬ずりをした。
「あの日、ランタンを持った兵隊がたくさん街にやってきた。狂った悪魔たちだったよ。子供の肉をね、
食うんだ。特に生まれたばかりの赤ん坊の肉を、好んで食べてたよ。柔らかくて美味しいって……」
その言葉に、私は絶句した。
戦場は常に食糧難に晒されている。死んだ仲間の肉を食らい、人の肉の味を覚えた兵士が獣のように
生きた人間を殺し、肉を食っていたという話は耳にしたことがある。
戦争は何も生み出さない。人を傷つけ、狂わせてしまう。それが例えどんな善人であろうとも。
肉を食えないと言っていた伍長のことを思い出した。ベジタリアンならば、卵や乳製品、魚介類も口
にしないはずだが、伍長はそうではない。いつぞや捨て子を拾って来たときは脱脂粉乳を飲んでいたし、
パンにはバターをつけて食べているのを見たことがあるし、魚介類は食べていた。
私の脳裏に嫌な光景が閃いた。空腹に耐えかね、泣きながら赤子の肉を食っている伍長の姿が。
そんなことあるはずがない! 伍長に限って……そんなこと……。
いや、例えそれが事実であろうと、それがなんなのだ。悪いのは人ではない。戦争だ……!
ミリィに頬ずりをするザーラの痩せこけた頬に、雨ではなく涙が伝っていた。
「あの人は、ミリィを助けてくれたんだ……」
「えっ?」
「悪魔たちに追いつめられたあたしの亭主はね、ミリィを悪魔たちに差し出したんだよ。自分の命惜し
さに。ミリィを食わせる代わりに、俺の命は助けてくれ……って。“子供ならまた作ればいいじゃない
か”……そう言ったんだよ。ミリィはたった一人なのに……ミリィは……」
ザーラの夢見心地のぼんやりした双眸に、あきらかな怒りの炎と、初めて私が目にする正気の光が見
えた。ミリィの頭蓋骨に頬ずりをしながら歯を食いしばり、憎悪の瞳を宙に向け、肩を震わせていた。
「悪魔たちは、ミリィをあたしの目の前で……殺した。ミリィの細い首に手をかけて……まるで……鶏
の首をひねって殺すみたいに、いとも簡単に……」
私の耳に、そのときのザーラの声がありありと聞こえてきたような気がした。聞く者の心に一生残る
ような、痛切なあの絶叫が──。
「だけどあの人が、ミリィを助けてくれたんだ……。ミリィをあたしのところに連れてきてくれた。傷
だらけになって痣だらけになって、泣きながら“ごめんなさい、ごめんなさい”って何度も謝りながら。
ミリィはどこも食べられてなかった。あの人が必死で守ってくれたんだ……」
「伍長が……」
「だけどあたしは……あの人を助けられなかった。怖くてたまらなかった。目の前であの人が、ミリィ
を奪われて怒り狂った悪魔たちに犯されるのを、黙って見てることしかできなかったんだ……」
な……んだと……──?
「街中で、大勢の人間が見てる目の前で、あたしの目の前で、あの人はレイプされたんだ……。仲間た
ちに……。あれは、まるで“共食い”だった」
*
我をも救いし くしき恵み
迷いし身も今 立ち帰りぬ
おそれを信仰に 変え給いし
我が主の御恵みげに尊し
苦しみ悩みも くしき恵み
今日まで守りし 主にぞ任せん
我が主の御誓い 永久に固し
主こそは我が盾 我が命ぞ
この身は衰え 世を去るとき
喜びあふるる 御国に生きん
昔、母さんが俺に教えてくれた言葉があった。
それは、母さんが唯一知っている、神さまへの祈りの言葉だった。
神さまはいつでも見ているんだよ、ランデル。正しい行いをすれば、そのご褒美を必ず貰える。だか
ら、いつもいい子でいるんだよ。
母さんはそう言って、俺の頭を撫でてくれた。
つらいときや苦しいとき、悲しいときや誰かを憎みそうになったとき、俺はその祈りの言葉を唱えた。
言葉が難し過ぎて、学校もろくに行っていなかった俺には、そこに込められた本当の意味は分からなか
ったけど。
それでも、母さんが教えてくれたその祈りは、いつだって俺に勇気を与えてくれた。
まるで、魔法の呪文のように。
だけど大人になって行くうちに、この世に神さまなんていないって俺は知った。
例えいたとしても、神さまってのは天の頂からちっぽけな人間を、ただ見ているだけの存在なんだと。
人間が困っていても神さまは、手なんか差し伸べてくれない。とっても冷たいひとだってことを。
部隊の仲間が虫けらみたいに戦車に轢き潰されても、砲弾でバラバラにされても、神さまは知らんふ
りをしていた。即死すればまだいい。ランタンの光を失い、正気に戻った仲間がもがれた手足の痛みに
のたうちまわる姿がそこにあるのに、はらわたを引きずりながら殺してくれと涙を流す声が聞こえてる
はずなのに、神さまは何もしてはくれなかった。俺にだって、みんなにだって、神さまはご褒美なんか
くれやしなかった。
正しくあろうとした。でも、何が正しくて何が悪いことなのか、分からなくなった。
だから、母さんが教えてくれたあの言葉も、いつか唱えなくなって、思い出すこともなくなった。
そして俺は、色んなことを忘れるようになった。
嫌なことから目を背け、つらいことから逃げて、いつしか記憶の奥底に悲しくてつらい思い出を閉じ
込めてしまう癖がついた。そのほうが楽だったから。そうでもしないと生きて行けなかったから。
でも俺……どうして生きてるんだろう……。
「おい、起きろ! まだまだ済んじゃいねぇぞ!」
いきなり冷たい水をかけられて、心臓が停まりそうなショックで俺は跳ね起きた。
だけど腕が動かなかった。頭が重くて意識がハッキリしない目で、頭の上に伸ばされた腕の先を見た。
そうか、俺……ロープで柱に縛られてたんだ。
ここがどこかは、相変わらず分からなかった。
少尉の帰りを待って、宿の部屋で待っていたら、いきなり男たちが数人押し入ってきて……。
頭を殴られた記憶があった。そこから先は覚えていない……。
気がついたときには、この倉庫みたいな部屋の中にいた。
「図体はでかいくせに堪え性のねぇ奴だな。こんな奴が売れるのかよ?」
「労働奴隷としちゃ心もとないが、衆道趣味の変態貴族にゃ高く売れるさ。こいつの中ぁ天国だぜ」
「おら、起きろよ。しっかり目を覚ませ! こっから出る頃には、男の味を知り尽くした体になっても
らうぜ」
俺を覗き込んで、男たちが嗤ってる。
こんな光景、前にもあった。
役立たず、ウスノロと罵りながら、901の仲間たちが俺の上に伸しかかってきた。
殴られて、蹴られて、口に無理やり突っ込まれて、飲まされて、尻に挿れられて、中に出されて。
俺はそのこと、すっかり忘れてた……──。
「腑抜けてんじゃねぇ。ほら、さっき教えた通りに銜えろ。歯を立てたら……分かってるな?」
髪の毛を引っ掴まれて口の中に、あれをねじ込まれた。
鼻をつく独特の臭いと、喉の奥を突かれる衝撃に吐きそうになる。
「じゃあ、俺は尻のほうに教え込んでくか」
両脚を大きく開かされて、その間に跪いた男が、尻に無理やり挿れてきた。
「だいぶほぐれてきたな。俺たちが出したザーメンで、いい具合にトロトロになってるぜ」
もう何も感じなかった。痛みも、少尉に抱かれたときのような幸せな感覚も。
「そう言えば、ザーラはどこに行った? こいつから何か盗ってっただろ」
「知るか、あんな気違い放っとけ。どうせ金目の物じゃねぇさ」
少尉……──。
遠くから雨の音が聞こえるような気がする。
少尉……ちゃんとレインコート使ってくれたかな……。この土地の天気はとても変わりやすくて、9
01の仲間たちがいつもぼやいてたのを思い出して、駅に行く前に三課に寄ってレインコートを借りて
たら遅刻して、少尉を怒らせちゃったけど……。
俺、少尉に嫌われたのかな。でも、嫌われて、当然だよな……。
だって俺は、少尉に嘘をついてた。初めてです、なんて嘘をついてた。
本当は俺、とっくに他の男たちに汚されてたのを、すっかり忘れてたなんて……。
俺……バカすぎだ……。
「うっ……ふぐッ……、んッ……んぐぅ……ッ」
「おいおい、泣くほどいいのか?」
「おら、もっと舌を使え! そんなんじゃ変態貴族を喜ばせる奴隷にゃなれねぇぞ」
「そうだ、お前はな、これから肉奴隷として生きて行くんだ。お前ら軍人を売った金が、俺たちの生活
を豊かにするんだよ。お前らがめちゃくちゃにした街が、お前らを売った金で綺麗になってくんだ。罪
滅ぼしにはもってこいだよな、おい」
そうだ……俺たちがこの街をめちゃくちゃにして、この人たちの心を壊したんだ……。
俺たちは知っていた。自分たちが“捨て駒”にされていることを。
人としても見てもらえず、ただの実験材料としてしか見てもらえてなかったことを。
身寄りのない奴らが多かった。
家族が居ても、様々な理由で家に帰れない奴らばっかりだった。俺もそのうちの一人だった。
帰る家もない、待っていてくれる家族もいない、生きて国に帰っても誰も労ってくれることはない。
どうせ未来はない。明日は死ぬかもしれない。
だから、部隊のほとんどの連中は、人の心を捨てた。欲望に忠実になって、寂しさや飢えを満たすこ
とに“生き甲斐”を見出してた。
──どうして、人は生きたいと思うんだろう……。
仲間たちはケダモノのように死んだ仲間の肉を食らい、装備品を奪い、敵を殺しまくって、男だろう
が女だろうが子供だろうがレイプしまくった。
最初に出会った頃は、優しかった普通の仲間たちでさえも、人の心を失って別人のようになった。
その中でも、俺を含めたほんの何人かは、人であろうとした。理性を保っていた数人は、仲間の暴悪
を見るに見かねて諌めようとしたけど、逆に殺されたり乱暴を受けたりした。
“援軍が来れば、この街から離れられる。数日の辛抱だ……”
誰かがそう言い出して、俺たちは目を閉じて、耳を塞いだ。
何がいいことで、何が悪いことだったんだろう。
俺は……俺たちは、ただ生きていたかった。
──どうして、俺は生きたいって思うんだろう。
神さまなんていないよ、母さん……。母さんが教えてくれたあのお祈りも、俺は忘れてしまった。
母さんがくれた大切な思い出も、ほとんど忘れちゃった……。
それとも、俺が悪い子だったから、神さまは俺のことを助けてくれないのかな。
母さんを置いて家を出て、軍隊に入って、人ではないものに変えられて、家に戻れなくなってしまっ
た。そして戦場で、たくさん殺したから……だから、俺、神さまに嫌われちゃったのかな……。
喉の奥で青臭い臭いとねばりのある液体が弾けた。飲み損なってむせた。気管に入って窒息しかけた。
「ヘタクソが、ちゃんと飲めよ。三度の飯より、これが美味いと思えなきゃ、ご主人様に可愛がっても
らえねぇぞ」
呼吸困難になって、涙と鼻水とよだれまみれになって無様にむせる俺の髪を引っ掴んで、男が嗤った。
もう一人に乱暴に腰を打ちつけられて、中を掻き回されるのは、まだ続いてる。
「んあ……ッ! あ……ッ! はっく……ぅ! あぁ……!」
何も感じないはずなのに、声だけが勝手に漏れる。そのほうが楽だって、俺の体はちゃんと覚えてた。
頭のほうは忘れてしまっていたけど、どうすればこれ以上ひどいことをされないのかは、体に染みつい
ていた。
「色っぽい声出すじゃねぇか。その顔も最高だぜ。こいつぁ上玉だぜ、なぁ」
「ああ、久々に高く売れそうだ。領主さまもお喜びになる」
「フロストに行ったら、せいぜい可愛がってもらえよ。ぼろぼろになるまで働かされた挙げ句、最後は
殺人愛好者に譲られて切り刻まれて殺される労働奴隷よりゃ、性奴隷のほうが長生きできるんだからよ」
──生きていられる……? でも俺、どうして生きていたいんだろう……。
もう何も感じなくなった頭の片隅に、誰かの声が響いた気がした。
凛と通る、透き通った力強い声……。
──伍長……。
……少尉? これは、少尉の声だ。
ああ、そうか、俺……。
ずっと生きたいと思ってたわけじゃない。生きてるから、生きてただけだった。
でも、少尉と出会って、心の底から、生きたいと思うようになったんだ……。
神さま……俺のことを嫌ってるのは分かります……。だけど、叶うならば、もう一度だけでいいから、
少尉に会わせて下さい。少尉に、謝りたいこと、言いたいこと、たくさんあるんです……──。
*
雨はまだ降り続いていた。先ほどよりも雨脚が強くなったような気がする。
春はまだ遠い、凍てつくような冷たさの雨が、肌を打って隊服を濡らしていた。
私はザーラに手を引かれるままに、街を歩いていた。本当は伍長の元へ駆けて行きたい気分だったが、
伍長の居場所を知っているのはザーラだけで、案内役は彼女だけだ。それにザーラは痩せ細り、走る体
力などないように見えた。
私はザーラのことを気がふれてしまった気の毒な女性だと思っていた。
だが、それは違った。ザーラだけが、この街で唯一、正気を保っている人間だったのだ。
「領主さまには会ったの……?」
レインコートを着てミリィを抱いた、私の少し前を歩くザーラが訊いた。
「ああ、とても立派な方だな。この街がこれほどまでに美しくなったのも分かるような気がする」
伍長のことが気がかりでたまらず、上の空で私は答えた。
「領主さまのお姿を見た……?」
「ああ、見た。気の毒だったな……。共和国の連中にやられたのだろう? ひどいことをする……」
「やったのは、帝国軍だよ」
無感情に漏らしたザーラの言葉に、私の心は伍長から一気にザーラへと引き戻された。
「なん……だと?」
「共和国の連中が執拗にこの街を占領したがったのはね、この土地に大きな金脈があるから」
私は伯爵邸へ向かう際に見た、あのトラックを思い出した。石炭を積んでいると思っていた荷台から
見えたあの金塊は、やはり……。
「鬼火の悪魔たちが去ったあと、帝国軍の正規部隊がこの街へやってきた。だけどそいつらも、あたし
たちを助けるために来たわけじゃなく、金が狙いだったんだ。今度は帝国軍に、この街は占領された。
鬼火の悪魔たちよりは遥かにマシだったけど、そいつらは共和国の連中と何一つ変わらなかった。
だから領主さまは占領された土地を返してもらうように頼んだんだ。でもダメだった。領主さまはこ
の土地を守るために、街の人たちと一緒に帝国軍と戦った。でも捕えられて拷問されたんだ。暴動を沈
静化させろ、さもなくば皆殺しにするぞって脅されたんだ。それからここで採れる金の収益の半分を軍
に寄付しろとも言われた」
私は二の句が継げなかった。伯爵は味方である自軍に、あのような体にされたのか……。
伯爵が私に言った『心も体も軍に捧げている』と言う言葉が、重く胸に沈んだ。
「だから……領主さまも狂った。領主さまは軍人全てを憎んでる。この街にやってきた軍人は、共和国
軍であろうと帝国軍であろうと容赦なく、他国へ売るんだ。奴隷として……」
「なんということを……」
「金塊を売るお金の半分は軍に持って行かれているけど、残りの半分と軍人を売ってるお金で、この街
は元通りになったんだ。表向きはね……」
では、すでに軍人の何人かが行方不明になっている事実があるのか。
しかしここへ来る前に調べた書類には、そのようなことは一言も書かれていなかった。
そのとき不意に、大尉がひとりごちた言葉を思い出した。
──あそこは厄介な土地だしな……。
大尉はご存知だったのだろうか。知らなかったとしても、あの人のことだ。この土地がきな臭いこと
は、すでに勘づいていらっしゃったはず。だから、私たちを視察へ向かわせたのか。
終戦後、このハーラルト領は表向き帝国側に属した国土を装っており、帝国軍人の要請にも快く応じ
る。しかし、実際のハーラルト領はいわば独立国家だったのだな。
伯爵本人が言っていた。最初から、国からの支援は当てにしていないと。
領民たちは自分たちの力で街を復興させてきた。金塊を売る資金と、軍人たちの人身売買で。
軍の上層部とて、自軍の人間が行方不明になったことを知らぬはずがない。だが、この土地は軍にと
ってはまさに“金の成る木”。そのためには、たった数人の軍人の命を生け贄に捧げたところで、何も
惜しくはないということか。つまり見て見ぬふりをしてきたというわけだ。
これは紛れも無い、人為戦災だ……!
だが裁かれるべきは、この街の民でもなく、ハーラルト伯爵でもない……!
「少尉さん……、あんたはこの街を救うって言ったよね」
「ああ、言った」
「約束してくれるかい。何年か先には、子供たちが安心して笑える世の中にするって……」
ザーラが立ち止まり、私を振り返った。
その顔は相変わらず無表情だったが、目には正気の光が宿っていた。
私はザーラの深い悲しみをたたえた緑の瞳を正面から見つめ、うなずいた。
「約束しよう。そのために我がパンプキン・シザーズは在るのだから」
少しの間があり、ザーラが淡く微笑んだ。
「あの悪魔の集団の中にも、天使はいた……。軍隊の中にも、あんたらのように正しいことを行う人た
ちも、いるんだね……。ありがとう、この街に来てくれて……」
そしてザーラは、前方にある町外れに位置した小屋とも納屋ともつかぬ建物を指差した。
「助けてあげて……。ミリィを助けてくれた、あの人を。今なら、まだ間に合う」
私はザーラの指差す先の建物を見つめ、それからザーラに向かってうなずいた。
「持っていてくれ。これはな、お前の希望を叶える、とても大事なものなのだ」
そう言って私は、腰に下げた伍長のランタンを、ザーラの手に握らせた。
*
私は確かに戦争を知らぬ。
そのくせに帝国軍人の将校の肩書きを持つ青二才だ。
戦争で傷ついた者の痛みも、心の苦しみも本当の意味では理解できぬ。
そのくせに傷ついた民と社会を救うための戦災復興を唱えている。
私はまだまだ未熟だ。幼稚で、浅はかだ。
だが、今は自分の信じた道を突き進むしか無い。戦争を知らぬから、戦争で傷ついた者たちを救うこ
とができぬとは思えないし、思いたくもない。
戦争を知らぬからこそ救える何かがあるのではないか。戦争を知らぬからこそ、戦災に病んだ人の心
を正せることがあるのではないか。
愚鈍だと罵られるかもしれない。無知だと蔑まれるかもしれない。
だが、愚鈍だからこそ、無知であるからこそ、貫ける信念と正義もあるはずだ。
ザーラに案内された小屋の前に立ち、私は入口の傍に立てかけてあった鍬を手に取った。刃物の部分
を片足で押さえ、私の身長ほどもある長い柄を引っこ抜くと、柄を手にして扉を開けた。
扉を開けると、すぐ目の前は居間になっていた。とは言っても、簡素な木製のテーブルと椅子が置い
てあるだけだった。
二人の男たちが、テーブルに座り酒を呑んでいた。
「な、なんだお前……!」
男たちは私を見て驚き、椅子から立ち上がった。
「私の命よりも大事な者を、返してもらうぞ」
「あの軍人の仲間か」
「飛んで火にいる夏の虫てな、このことだな。ちょうどいい、探す手間が省けたぜ」
男たちは怯えた内心を下卑た嗤いで覆い隠した。
「可愛い顔してるな、軍人さんよ」
「ああ、あいつといい。こいつも高く売れそうだな」
テーブルの上に置いてあったナイフを手にして、二人は私へ歩み寄ってきた。
私の女のような外見を見て、弱いと判断しているらしい。油断しているのか、男たちはナイフをちら
つかせながら、無防備なほどに迂闊に私の前に出た。
「傷つけられた立場だからと、何をしても許されると思うなよ」
言い終わる間もなく、私は大きく脚を踏み込んだ。姿勢を低くして、男たちの間に滑り込む。鍬の柄
の真ん中あたりを持ち、メーネを使う要領で棒を振るった。
全体重と反動を乗せた柄の先端が、右の男の顎を砕いた。男は折れた歯と血を巻き散らしながら、仰
向けに倒れて行く。その男が倒れ終わる間もなく、体を反転させて素早く左側の男の背後へまわると、
首の後ろを殴りつけた。
悲鳴を上げる隙も与えず、もがく容赦すら与えず、私は二人の男を地に沈めた。
奥にドアが見えた。
私は少しの躊躇もなく、ドアを開け放った。
その途端、むせ返るような青臭さが鼻を打ち、ほんの一瞬だけ吐き気を催した。
部屋の中央に大きな柱が一本立っていた。その根元に、三人の男がうずくまっている。
こちらに尻を向けた男の腰の両側から、長く伸びる二本の脚が見えた。筋肉質で、傷に覆われた脚が。
「や……ッ! あ……ぃ、や……だ! いやぁ……!」
涙に震える、苦痛を宿した伍長の悲鳴混じりの嗚咽が、私の耳を刺し、胸をえぐった。
伍長が何をされているのか、考えずとも理解できた。
「なんだこいつ、急に暴れ出したぞ!」
「しっかり押さえてろ! 暴れるんじゃねぇ!」
「ちくしょう、このクソ軍人が! おら、口を開けろ! しゃぶるんだよ!」
「いや……! んんッぐ……い……やぁ…! しょう……っ、少尉……! 少尉ぃっ…!」
頭で考えるよりも、体が先に動いていた。
伍長の脚の間にいる男の背後から、その首を思いっきり打ちつけた。悲鳴を上げ、首の後ろを押さえ
た男が、伍長から離れて転がった。
伍長の右側で髪をひっつかみ、己のペニスを伍長の口にねじ込もうとしている男。
左側には、男たちの精にまみれた伍長の体を押さえつけている男。
その二人が立ち上がる隙も与えなかった。容赦するつもりもなかった。
柄を回転させ、体重と反動を乗せ、袈裟懸けに棒の先端を振り下ろした。右側の男の肩を打つと同時
に鎖骨が砕ける音が聞こえ、手応えを感じた。
「ぐああぁぁぁッ!」
肩を押さえて仰向けに倒れる男を見届けることもせず、そのまま体重を左に移動させ、突き出した棒
の先で立ち上がりかけた左の男のみぞおちを突いた。
「がはあっ!」
男が体をくの字に折り曲げ、突かれた衝撃で三歩ほど後退した直後、血の混じった吐瀉物を巻き散ら
しながらうつ伏せに倒れ伏した。
私の目の前に、伍長がいた。
両腕を高く、柱に括りつけられている。かなりもがいたのか、ロープで縛られた手首はすり切れ、血
が流れていた。
髪も顔も、体中の至るところが、男たちの精液で汚されていた。そして伍長の秘処は、ありありと蹂
躙された痕が見えた。
「しょう……い……」
朦朧とした眼差しと、泣き腫らした顔で、伍長が私を呼んだ。
その瞬間、男たちを叩きのめした残酷なまでの冷静さは掻き消えた。例えようもない深い後悔と、己
への怒りで、私の全身はブルブルと震え出した。
私は伍長の傍へ駆け寄った。腰の剣を引き抜き、伍長の腕を吊るすロープを切る。手首に食い込んだ
ロープも切り落とした。
私は隊服のコートを脱ぎ、一糸まとわぬ伍長の体にかけた。
「少尉……」
また伍長が私を呼んだ。その声は、これが夢なのではないかと疑うような朦朧としたものだった。
「遅くなって……すまなかった……」
無様にも、私の声は震えた。伍長の髪にこびりついた精液を取って行くうちにも視界が涙に滲んだ。
その瞬間、朦朧とした伍長の目が大きく見開かれた。刹那、泣き顔に歪め大粒の涙を零した。
「少尉……、少尉……っ、少尉……ぃ」
伍長がしゃくり上げながら、何度も何度も私を呼んだ。
「待たせてすまなかったな、伍長……っ、本当に……っ、すまなかった……」
伍長が男たちの精で汚れていることも忘れ、私たちはどちらからともなく抱き合っていた。
「少尉…ッえっ…く、しょう……ぅう、ひっく、少尉ぃ……ッ」
「伍長……、伍長……ッ、すまない……、すまない…! 許してくれ……ッ! 許せ……!」
「少……ッ、うっあ……、うわあぁぁぁッ! あああぁぁぁ…!」
伍長は私に抱きつき、大声で泣いた。子供のように、私にすがりついて。
「もう絶対に離さぬと誓う……! もう二度とお前を一人にしないと……寂しい思いはさせぬと誓う」
私は泣きじゃくる伍長の頭を胸に抱き、そう心に誓った。
今まで私は何を悩んでいたのだろう。
そう、それが答えであり、全てだったのではないか。
「よくもやりやがったな……! このクソ軍人が!」
背後から飛んできた罵声に、伍長がビクッと肩を揺らして顔を上げ、私の肩越しに目を向けた。
私もゆっくりと振り返った。
そこには、一番最初に首の後ろを打った男が立っていた。憎悪に血走った目が、私に向けられていた。
その手には一丁の拳銃が握られている。
私は床に置いていた鍬の柄を握り、再び立ち上がろうとした。
だがしかし、伍長が私の前に腕を突き出し、それを阻止してきた。
「ダメです! お願いです! 俺はどうなってもいい! だけど少尉だけは傷つけないで下さい!」
涙を零しながら、必死の形相で伍長は懇願したが、怒り狂った男には何の効果もなかった。
「うるせえ! 軍人なんて皆同じだ! 力で何もかもを支配しようとしやがる! 軍人なんて皆死んじ
まえばいいんだ!」
「違う! この人は違う! 関係ないんです! 悪いのは俺だけだから……だから!」
「黙れ! 黙れ黙れ黙れ!! お前ら軍人のせいで俺は女房と子供を亡くしたんだぞ! 俺だけじゃねぇ、
ここにいる全員が、この街の奴ら全てが、軍人のせいで何もかもをなくしちまったんだ!」
「やかましい!」
私の一喝に、男と伍長がビクリと肩を揺らして、口をつぐんだ。
やんわりと伍長の腕を除けると、私はメーネ代わりの棒を手に立ち上がった。
「だからお前も奪うのか」
私は男に向かって言った。
「軍人に全てを奪われたからと、今度はお前たちが奪う立場になるのか。軍人とて人だ。家族がいて、
愛する者がいて、守るべきものがある。軍人にだって、善人はいる」
「うるせぇ! お前なんかに俺たちの何が分かるってんだ!」
「分からぬ!」
私の怒鳴り声に、男が顔を引き攣らせて肩を揺らした。そして歪んだ嗤いを浮かべ、放心したように
笑い出した。
「は……ははっ……、ひ、開き直りかよ……」
「違う。お前の言うことは正しいからだ。確かに私は、戦争で家族を失った者の悲しみや苦しみは分か
らぬ。だがこれだけは分かる。復讐は何も生み出さん。お前たちがその身に受けた苦しみが、免罪符に
なるとは私には思えぬ。そしてこれだけは言える。私はお前たちの苦しみを知りたい。声を聞きたい。
その上で、お前たちの手助けをしたいのだ」
「手助けだと……? 軍が……俺たちの生活をめちゃくちゃにした軍人が、どの面下げて言ってんだ! 本当に俺たちを救いたいと思うなら、今すぐに返せよ! 俺の女房と子供を……! 死んじまった家
族を、全部返せよ!」
震える手で銃を構えた男が泣きながら、血を吐くように絶叫した。
「それはできぬ。死んでしまった者は、もう戻っては来ない……」
「ほら見ろ! 何が俺たちを助けるだ! 口先だけならな、何とでも言えんだよ! お前ら軍人は、何
もかもを壊して奪って行く! 生み出すとしたら、永久に消えない憎しみだけだ!」
私は棒の先で床を打った。ドン! と言う地響きに、男がビクリと身を引いた。
「聞け! 我が名はアリス・レイ・マルヴィン! 帝国陸軍情報部第三課、パンプキン・シザーズ小隊
の隊長だ! 我が部隊は戦災復興のために生み出された、道を切り開き未来を創造する部隊だ!」
男がぽかんとした顔で私を凝視した。
私は声を落とし、男に話し続けた。
「戦争はもう終わった。人は前を見て歩いて行かねばならぬ。生きている者は、現実を受け止め、過去
を振り返らず、前に進まねばならん。生きている者は未来を担う役目があり、幸せになる義務がある。
いったいいつまで、お前は憎しみを糧に生きて行くつもりだ。憎しみは消えないかもしれない。家族
を失った悲しみも消えないかもしれぬ。だが、お前が前に目を向けたときに生まれる何かもあるのでは
ないか?
己が身に受けた悲劇は決して免罪符などにはならぬ。お前たちが軍人を一人抹殺するごとに、お前た
ちもお前たちから全てを奪った軍人と同じになるだけだ。お前たちが国外へ売り飛ばした彼らは、お前
たちの家族を殺した張本人だったのか? お前たちに命乞いをしなかったか? 許しを乞わなかったか? だがお前たちはそれを無視した。ならばお前たちも、全てを奪った軍人となんら変わらぬ地獄に落ち
るだけだ」
「う……うるせぇよ……」
男の見開いた目から涙が零れ落ちる。私に向けられたままの銃口が小刻みに震える。
私は男に向かって一歩を踏み出した。
「少尉……!」
引き止めようとした伍長を見下ろし微笑んで、私は伍長を制した。
男に顔を向けて、私は言った。
「戦争は終わった。戦争が残した傷痕は必ず私たちが復興する。約束しよう。今この場で」
「約束だと……? 軍人なんか……軍人なんか信じられるか!」
「ならば、私を撃つがいい」
男を真っすぐに見据えて、私はゆっくりと男に近寄る。
「よ……寄るな……! ほ、本当に撃つぞ!」
「撃て。このまま憎しみだけを抱えて生きて行きたいと本気で思うのなら、今すぐに私を撃ってみろ」
「寄るな……ッ! 寄るなぁ!!」
「少尉!」
男と伍長が、同時に絶叫した、そのときだった。
「そこまでだ……」
男の背後の開け放たれたドアから、何者かの声がした。木枯らしが吹きすさぶような、声帯をひどく
痛めたこの声は……。
男がハッとした顔で振り返った。
「領主さま……!」
そこにいたのは、執事が引く車椅子に乗っているハーラルト伯爵だった。
*
なぜあの場所にタイミングよく伯爵が現れたのか、私には分からない。ザーラが伯爵を呼びに行った
のだろうか。あの小屋を出たとき、ザーラの姿はどこにもなかった。しかし女の足では、あの短時間で
伯爵邸へ行くのは無理だ。
久しぶりに捕えた獲物の様子を見に、たまたまあの場所へ現れただけなのだろうか。それとも、私に
助言をしてくれた伯爵のこと。もしかしたら、伍長が捕えられている可能性を推測し、助けに来てくれ
たのだろうか。
だが、私はそのことを追求しなかった。
伍長を連れてあの小屋を出て、執事が運転する車に乗り、宿から荷物を持ってきたあと、再びこのハ
ーラルト邸へ連れてこられる間、誰も一言も口を利かなかった。
「ここなら、安全だ。今日はもう遅い、ゆっくり休みなさい」
軽い食事と入浴を済ませた私に、伯爵はそう言い、客室を用意してくれた。
伍長は私よりも先に体を洗い、すでに寝室で横になっていた。食事も用意されたが、伍長はそれを断
り、まるで気を失うように眠りに落ちた。
伍長の体がすっぽり収まるほどの大きなベッドで眠っている伍長の寝顔を見ながら、私は窓を打つ雨
の音を聴いていた。子供のように安らかな寝顔だった。ひどく安心しきっているように見えるのは、私
が傍にいるからだろうか……。そう思いたかった。
いつも物静かで、めったに感情を剥き出しにすることのなかった伍長のあのときの号泣は、私の心を
打ちのめすと同時に、確信の喜びで満たしていた。伍長をあんな目に遭わせてしまったのに喜び……な
どとは、随分不謹慎な話であるが。
明日になったら……伍長が元気になったら、たくさん話をしよう。
そう思い、座っていた椅子から腰を上げ、伍長の額に軽くキスしたとき……
「少尉……」
伍長が薄目を開けて私を見た。
「す、すまぬ……起こしてしまったか……?」
「いえ……」
「まだ夜明けには遠い。ゆっくり眠れ……」
そう言って伍長の髪を撫でたとき、伍長の目から涙が零れた。
私はギョッとして手を引っ込めた。
「ど、どうした? 私に触られたくなかったか……?」
伍長は手を口を覆い、目をギュッと瞑ると、激しく顔を横に振った。
「……め、なさい……っ、ごめんなさい……っ」
伍長は嗚咽に咽びながら、そう繰り返した。
「何を謝る……。悪いのは私のほうだ。すまない、伍長……」
「違います……、少尉は悪くない……っ。俺、少尉に……嘘ついてました……」
「嘘?」
「俺……少尉が初めてじゃなかった……。俺もうとっくに……──」
だが私は、嗚咽を堪える口を塞ぐ伍長の手を握りしめ、その言葉を遮った。
「分かっている……。だからもういいのだ」
「少尉……」
「それに私は、お前がなんであれ、お前を想う私の気持ちに変わりはない。だが、ひとつ……聞かせて
くれないか? 私と初めて結ばれたあの日から、なぜ私を避けるようになったのだ? その……私との
……セ、セックスがあまり良くなかったからか……?」
伍長は目を丸くして、ぽかんとした顔で私を見た。しかし次の瞬間、伍長はガバッと身を起こして、
真っ赤にした顔を激しく横に振った。
「ち、違います! 少尉のせいじゃありません!」
「だったら、なぜだ?」
遠慮しながら訊くと、伍長は顔を私から目を逸らしうつむいた。
「俺……前にいた部隊のこと、あまり覚えてないんです……。いえ、思い出すことから逃げていました。
でも……少尉と……ひとつになったあの日から、俺の中で忘れてた昔のことが、どんどん甦ってくるよ
うになったんです」
背中を丸め、太股の上で組んだ手に、伍長の涙がパタパタと落ちた。
「少尉に嘘をついていたこと……それから俺が……少尉に愛される資格なんてない人間だってこと……。
こんな汚い俺に触れたら……少尉まで汚れてしまうと思ったんです……」
私はそっと、伍長に手を伸ばした。涙に濡れた頬に触れたとき、伍長がビクリと肩を揺らした。だが、
逃げなかった。身を硬くしながらも、伍長は私の手を払い除けようともしなかった。
そのことに私は安心した。
「お前が汚れていると言うのなら、私なんかとっくに汚れまくりだぞ」
「そんな……、少尉は俺なんかと違います……!」
「どこが違う?」
私は伍長の頬に手を添えたまま、ベッドに腰を下ろした。伍長の顔を正面から見つめ、頬をそっと撫
でた。
「お前は私に触れられるのが嫌か?」
頬をそっと撫でながら問えば、伍長は涙に潤んだ瞳でうっとりと私を見つめてくる。
「嫌なわけ……ないです……」
「私のことが嫌いか?」
「嫌いなわけ……ないです。好きです……、俺、少尉のこと大好きです……!」
ボロボロと涙を零し、伍長は声を震わせながら言った。
私の胸にジンとした熱いものがドッと押し寄せてきた。愛しさと切なさが混ざり合う。
伍長の顔に少しずつ、自分の顔を近づけた。唇が触れ合っても、伍長は逃げなかった。
「キスされるのは嫌か?」
伍長は唇を噛み締めて、顔を横に振った。
私は微笑んだ。
「なら、何も違わない。私はお前を愛している。お前もそうだな……?」
「少尉……、っく…、少尉……ひっ、えぅっ……」
流れる涙を拳で拭いながら、伍長は何度も何度もうなずいた。
溢れてくる愛おしさにたまらず、私は伍長を抱き締めた。私の胸に顔を埋めた伍長が、私を抱き締め
返してくる。私は伍長の髪を撫でながら、言った。
「春になったらピクニックへ行こう。ピーロも連れてくるぞ。ピーロもきっとお前を気に入るだろう」
私の胸でしゃくり上げながら、伍長はうなずいた。何度も、何度も。
「夏になったら海へ行こう。秋になったら紅葉を見に行こう。冬になったら雪山へ行こう。そして来年
の春もまたピクニックだ。次の春も、その次の春も、夏も、秋も、冬も、その先もだ」
伍長の嗚咽が大きくなって行く。私のシャツの背中を握りしめる手に、力がこもって行く。私の胸を
熱い涙で濡らし、嗚咽に震える声で伍長は言った。
「ずっと……ずっと……俺……ずっと、少尉と一緒に……いたいです……っ。いて下さい……ッ!」
涙が溢れてきそうになった。私は伍長の頭を胸に掻き抱いた。
「ああ……ずっと一緒だ……! もう絶対にお前を離さないぞ、伍長……!」
お互いの心が重なっているのを証明するかのように、私たちは同時に見つめ合った。そして、キスを
した。軽く触れ合うだけのキスを。
唇を少しだけ離し、伍長の顔を間近に見ると、催促をするように伏せた目蓋の奥の潤んだ瞳が、私の
唇を見つめていた。
もう一度、キスをした。さっきよりも深く。長く。
伍長の舌先が遠慮がちに私の唇に触れてきた。体の芯が熱く、ゾクリと蠢いた。
私は我慢ができずに、伍長の腰を抱き寄せ、唇を舌先で割りそれを絡めた。
「ふっ…ん……」
伍長が腰をしならせ、鼻に抜ける甘い声を漏らした。
窓を打つ雨の音が響く寝室に、激しくお互いの舌を貪る水音が、小さく響いた。
だが、今宵伍長の身に起きたことを思いだした私は、理性を総動員させて伍長から唇を離した。
「っは……、伍長……いかん……」
「はぁっ…はぁ…っ、少尉……?」
私は伍長の頭を抱き寄せた。伍長は私の首筋に顔を埋め、私のシャツの背中をギュッと握ってくる。
「お前の体に負担がかかってしまう……。これ以上は、駄目だ……」
心にも無いことを必死で言い、名残惜しさも全開で、私は伍長から離れようとした。
だが、伍長は私を離そうとしなかった。
「こら、伍長……」
そんなにされると、私は我慢できなくなってしまう。もう二度と、己の欲望で伍長を傷つけるのは、
ごめんだ……。
だが伍長は、いつもよりも少し我侭な素振りを見せた。
「嫌です……。俺、少尉から離れたくない……。少尉を……離したくない……」
「伍長……」
頭に一気に血が昇った。感動と喜びで目に涙が滲む。同時に、私の股間のものがハッキリと目覚め始
めた。
「い、いかん。これ以上は本当にまずい。今だって必死に我慢しているんだぞ?」
「我慢なんて、しないで下さい……」
「伍長……!」
ああ、まずい。本当にまずい……。
理性と欲望の激しい攻防戦が脳内で繰り広げられた。
「よせ、伍長。私は……私は未熟者だ。頭ではもっとスマートにお前を愛そうと思うのに、実際の私は
子供じみた醜い欲望に翻弄されてしまう。お願いだ伍長……これ以上、お前に無理をさせたくない」
伍長が離れることを拒むかのように、腕に少しだけ力をこめてくる。
「だったら……二人で大人になって行きましょう」
「伍長……?」
「俺だって……未熟者です……。少尉に心配ばかりかけてる。少尉こそ、無理ばっかりしてる……。だ
から一緒に……少尉、俺と一緒にゆっくり大人になって行きましょう……」
伍長が胸に埋めていた顔を上げて、私を見た。涙に潤んだ瞳が赤く染まった顔で臆病そうに、そして
大胆に誘うように──。
「少尉……抱いて下さい……。俺の中、少尉でいっぱいにして……下さい……」
欲望が理性を一刀両断した。
私は伍長をベッドの上に押し倒し、伍長の上に伸しかかった。
食いつくように唇を貪れば、伍長は甘く濡れた吐息を漏らし、私の首に腕を絡めてきた。
「んっ……あ、少尉……っ、少尉……」
伍長の首筋に吸いつき、伍長の体のラインを手で楽しみながらシャツをたくし上げた。あらわになっ
た胸の突起に吸いついた途端、
「ひゃっん!」
伍長が声を上げて体をビクンと浮かした。
その反応のあまりの可愛さに思わず顔を上げて伍長を見ると同時に、伍長自身も自分の声の大きさに
驚いたのか、顔を真っ赤にして手で口を塞いだ。
湧き上がってくる歓びを抑えることができない。顔がにやけてしまうのが自分でも分かる。
私は伍長の反応を目で楽しみながら、舌先で淡い色の乳首を転がした。
「んッ…、んふ……ッ……」
乳首はすぐにしこってきて、私の舌の上でコロコロと転がる。全体に吸いつき、吸いながら先端を舌
先でくじると、伍長は背筋をしならせ、反応はより大きくなった。
「んぅーッ……! ふっ……! んっ…ん…!」
「伍長……手をどけろ」
指で乳首を捏ねながら、もう片方の手を伍長の口を塞いだ手に添えると、伍長は赤く染まった顔で嫌
々をした。私は伍長の手を握りしめ、少しだけ強引にそれを取り除いた。
「ふ……はぁッ……、少尉ぃ……」
「声を聞かせてくれ。お前の声を……」
「やだ……ダメです……っ、変な声……でちゃ……っく」
「変ではない、可愛いと……前にも言っただろう?」
「だって……恥ずかし……ッあ!」
伍長のそこに自分のそこを擦りつけた。私のはもとより、伍長のものもすでに硬く張りつめていた。
「お前の声も表情も、私にとっては全てが歓びなのだ。ほら、分かるか? お前に触れるだけで、私の
ここはもう、こんなになっているんだぞ……」
「あっ……、あ……、少尉……ッ」
「今しばらく……お前の体が万全になるまで我慢しようと思っていたのだ……。責任をとれ、伍長」
冗談めかして少し笑いながら私が言うと、伍長は目を潤ませながらコクンとうなずいた。
逸る気持ちを必死で抑えながら、私は一旦、伍長から身を離した。自ら着ている物を脱ぎ捨て、伍長
の服も脱がせた。
生まれたままの姿で、私たちはもう一度抱き合った。素肌が直に触れ合い、伍長の体温が私の皮膚を
通して内部にまで染み渡り、心の底から暖かいと感じた。
少し体を下へずらし、伍長のペニスと自分のそれの位置が合うように調整すると、ちょうど私の顔は
伍長の胸のあたりにくる。ペニスを擦り合せるように腰を動かし、ちょうどいい高さになった乳首を口
で味わった。
「ひっ……ぁ、少尉……! あっ……、あっ…んッ!」
私と伍長のペニスは、お互いが漏らす先走りですぐにぬるぬるになった。
伍長も私と触れ合い興奮しているのだ。そのことが私を歓びに満たし、ますます興奮させた。
「伍長、脚を開け」
私が囁くと、伍長はおずおずながらも、素直に脚を開いた。
街の者に蹂躙され、少しだけ赤く腫れている秘処を目にしたとき、少しだけ理性が舞い戻ってきた。
伍長が痛がるのではなかろうか。つらくはないだろうか。
そんな不安に駆られながらも、欲望に突き動かされるままに、指先でそこに触れた。
「あッ…!」
触れた途端、伍長がビクリと体を揺らした。
様子を見ながら、指先を少し強くそこへ押しつけた。すると蹂躙された余韻が残っていたのだろう。
そこは思った以上に柔らかくほぐれており、私の指をやすやすと呑み込んだ。
「痛いか……?」
興奮に息を荒げながら伍長のそこに指を出し入れし、私は訊いた。
「だい……じょ…ぶです……、んっ…んぁ……っ」
無理をしているのではないことは、熱に浮かされたような表情と、漏れ出す甘い吐息で分かった。
私は指を二本に増やし、さらに伍長の中を探った。
前に見つけた、伍長の良い所を探り当てると、伍長が腰を大きく揺らした。
「ひゃっ…! あっ、あ! しょぅ……あっん、あぁ!」
伍長の大きくなった先端からとめどなく液が溢れる。私が探る内部も熱く湿り、無数の襞が私の指に
絡みついて蠕動していた。
辛抱できなかった。もっとゆっくり長く時間をかけて伍長を愛したいのに、一刻も早く伍長とひとつ
になりたくてたまらなかった。
そんな私の切羽詰まった思いが伍長に通じたのか、それとも伍長も私と同じ気持ちだったのか。
伍長の蕾の内部を摩擦していた私の手に、伍長がそっと手を添えてきた。
「少尉……もぅ……、もう、いいから……、来て下さい……っ」
息を荒くし胸を大きく上下させ、伍長が潤んだ顔で私を誘った。
それだけで、ゾクゾクした快感が私の腰から這い上がってきた。前がまた一段と大きく膨らみ、今に
も弾けんばかりになったのが分かった。
伍長のそこから指を引き抜き、私は伍長の体の横に手をついて、上から伍長を覗き込んだ。
「本当に……いいのだな、伍長?」
私が念を押すと、伍長はベッドに上についた私の肘を握りしめ、涙に潤んだ顔でうなずいた。
「少尉……来て……」
意識的なのか、それとも無意識の媚態なのか……。伍長の表情に我知らず、ごくりと私の喉が鳴った。
伍長の脚を高く上げさせた状態で、伍長が少しでも楽になるように、枕を腰の下にあてがった。
ペニスの先端を伍長の蕾に押しつけた。
「行くぞ……伍長」
「はい……少尉……」
少し力をこめて腰を進めると、わずかな抵抗を感じた。だが、伍長の秘処は楽に私のものを呑み込ん
だ。ぬるつく内壁の甘美な感触が背筋を震わせ、私はたまらず感嘆の声を上げていた。
「あ……あぁッ、伍長……っ」
だが伍長のほうは、私ほどは快感を覚えていないらしかった。
痛みを訴えるようなことはなかったが、漏れる吐息は苦しげで、声は内臓を圧迫されることで自然に
漏れる呻きに近いものでしかなかった。
「んっ…! あ……! あぅ……っ! く……!」
「すまない……伍長……」
欲望と理性の狭間で謝る私の腕を、伍長がきつく握りしめてきた。
「お……れ、嬉し……っく! 少尉……俺、少尉のこと……好きです……」
伍長の苦しげな顔に、思いもかけず穏やかな微笑が広がった。赤く染まった目尻から涙を零し、伍長
は幸せそうに笑っていた。
「俺……少尉がいるから……、生きていたいって、思えるようになった……。少尉が俺に……生きる希
望……与えてくれたんです……。だから少尉……もっと、俺の中で…気持ち良く……なって……」
「伍長……!」
激しい愛おしさが私の中で爆発した。理性を手放し、私は燃え上がるような深く激しい愛情に突き動
かれるままに腰を動かした。
「ッあ! 少尉……っ! あっあ…少尉ッ……!」
すがるように私の肩に、伍長の腕が巻き付いてくる。
欲望に翻弄されながらも、わずかに残った理性の片隅、私は伍長にも気持ち良くなってもらいたいと
いう一心で、先ほど見つけた伍長の前立腺めがけて先端を打ち続けた。
そして、それは唐突に、なんの前触れもなくやってきた。
伍長の様子があきらかに変わった。
「あッ……? はぁッ……、しょ、少尉……! ま、待って………! あッ!」
体をビクビクと揺らし、伍長は私に行為の中断を求めるように、私の肩を強く握ってきた。
私は腰の動きを弱め、汗にまみれた伍長の顔を覗きこんだ。
「どうした……? つらいのか?」
「あ……っ、あ……俺……、尻の中……おかしい……っんぁ! なに……これ……?」
焦点の定まらない視線を泳がせる伍長の戸惑った様子に、私は深く安堵し、大きく喜んだ。
伍長の内部をさらに深くえぐるように腰を動かし始めたとき、私は確信した。
「ひ…あッ! ダ…ダメ……ッ、あ、あっ、あ! 少尉……ダメぇ……!」
「伍長、お前は感じているのだ、私と共に歓びを感じているのだ…!」
「やぁ…ッ! やだ……! あぁッ、あッアッ……! 少尉ぃ…! 少尉ぃぃ…!」
「ああ……嬉しいぞ伍長……、伍長……っ!」
私は伍長をきつく抱き締めた。体をくの字に折り曲げた体勢から、伍長も私にすがりついてくる。
顔を真っ赤に染め、明らかな快感の歓びを表情に宿し、伍長は何度も「少尉、少尉」と私の名を呼び
ながら、歓喜の涙を零した。
「ハァ、う…! はァッ! 少尉…! アッあ…、俺……も、もッぅ……!」
乱れ狂う伍長の姿に心底からの歓びを噛み締め、私は終わりに向けて腰の動きを早めた。
「伍長……愛してる……! お前を、誰よりも、愛している……!」
「しょぅ……ぃアッア…! しょうッ、イッ……、あ! 俺もぉ……アッアァアーーーッ!」
私が伍長の中に放つと同時だった。
私にきつくすがりつき、全身を歓喜に震わせて、伍長もまた、果てた……──。
*
翌日、昨夜までの大雨が嘘のように、空は青く澄み切っていた。
三課への帰還の朝、ハーラルト邸を出ようとした私に、伯爵があるものを渡してきた。
それは黒塗りにされた一冊のファイルだった。
「これは……?」
私が訊くと、伯爵は淡い笑みを浮かべ、もう何も映さなくなった双眸を空に向けた。
「そのファイルは、私が街の者に指示を出し、国外へ売り渡した軍人たちの人身売買の記録が全て納め
てあるリストだ。まだ生きている者もいよう。できることなら救ってやって欲しい……」
私はハッとして、渡されたファイルを見た。
「私はね……君に賭けてみようと思うのだ、マルヴィン少尉。君が唱える戦災復興が、どこまでこの世
界を安息で満たせるのか。どこまで病んだ人々の心を癒せるのか。どこまで私たちの心に巣食った憎し
みを忘れさせてくれるのかをね……」
感動に打ち震えるあまり言葉をなくす私の肩を、後ろにいた伍長がそっと撫でてきた。
振り返ると、伍長がニッコリと微笑んでいた。
「私が民たちに……憎しみを植えつけていたのだ……」
深い悔恨と悲しみに満ちた、木枯らしが泣くような伯爵の声に顔を戻した。
「マルヴィン少尉、全ての元凶は、この私だ。いかなる処罰も受ける所存だ。民たちに罪はない」
伍長が不安げに私を見る。
私はひどく疲れきった様子の伯爵の姿を見て、きっぱりと言い放った。
「いいえ、悪いのはこの世の中です、ハーラルト伯爵。咎められるべき人間は、あなたではない。根本
から立て直さねばならぬ場所は、ここではない。あなたは昔も今も立派な方だ」
伯爵が驚いたように私を見て、それから敗北を認めるように苦笑した。しかしその微笑は、すがすが
しくもあった。
「私の目はもう何も映さないが……見えるような気がするよ。君が唱える戦災復興を全て成し終えた、
この世界が……。今、私の中での戦争が……ようやく、終わった……──」
*
三課へ戻るために駅へ向かった私たちを、一人の女性が待っていた。
こぎれいなワンピースに身を包み、長いブルネットの髪をきちんと結い上げた痩せた女性だった。
「帰るんだね、少尉さん」
声を聞いて、私はやっとそれが誰だか思い当たった。
「ザーラか……!?」
驚いた。病的な印象だった顔つきがすっかり変わっていた。そして私は、そのとき初めて、ザーラが
ミリィを抱いていないことに気がついた。
「ミリィは……家に置いてきたのか……?」
しかし、ザーラはゆっくりと顔を横に振った。
「埋葬してきたんだ。丘の上に花畑があるから、そこに……。あそこなら鹿やリスやウサギたちがたく
さん来るから、ミリィも寂しくないだろうと思ってね」
よかった……と思った。だが、掛ける言葉が見つけられない私にザーラは微笑んで、頭を下げた。
「ありがとう、少尉さん……」
それからザーラは伍長に向き直り、私があのとき預けたランタンを差し出した。
「これ、返しとくよ……。少尉さんが言ったんだ。これは私が見えてる街を燃やす炎を消すために必要
な大事な物だって」
伍長が戸惑いながら、黙ってランタンを受け取った。そして伍長はつらそうに唇を噛み締め、ザーラ
に向かって深く頭を下げた。
ザーラは微笑みながら、伍長の頭をポンポンと撫でた。
「ミリィを助けてくれて……嬉しかったよ。ありがとう……」
そう言って、ザーラは私たちの前から立ち去った。人混みの中へ消えて行く彼女の足取りは、もう夢
の中にいるようなフワフワしたものではなく、大地にしっかりと足をつけ、前に向かって歩いて行く者
のそれだった。
今でもまだ、ザーラの目にはこの街を、世界を燃やし続ける炎が見えているかもしれない。
だが、その炎は永遠に燃え続けるものではない。
戦争を知っている者も知らぬ者も、全ての者が協力し合えば消せる炎だと私は思いたい。
私たちは列車に乗り込んだ。
席に座り、車窓から構内の様子を見ているとき、向かい合わせに座った伍長が口を開いた。
「全ての人の中の戦争を、終わらせることができるでしょうか……」
伍長は窓の外を、遠い目で見つめていた。
「できる」
私はキッパリと言った。
伍長が少し驚いたような顔で、私を見た。そして、少しだけ悲しそうに目を伏せた。
「でも少尉……人は争います。歴史だって戦争の繰り返しです……」
「そうだな。これから先、遠い未来の先でも、人は争いを続けるかもしれぬ。だが、争いの中にも平和
を愛し、人の命を尊ぶことを忘れぬ人も、またいると信じている。そのような者たちが、荒れた世界を
変え、誰もが当たり前のように幸せになれる世界を築いて行くと、私は信じる。だが今は……」
私は少し前に身を乗り出し、伍長の顔を覗きこんだ。
「遠くを見ずに前を見よう、伍長。私たちが成せることから少しずつ、成し遂げて行こう」
「はい……少尉!」
伍長が眩しいものを見るように目を細めて、心の底から嬉しそうにフワリと笑った。
発車ベルが構内に鳴り響き、どこまでも青く澄み切った空の下、私たちを乗せた列車は走り出した。
【終】
161 :
男体の人:2007/03/06(火) 23:35:28 ID:???
読んで下さった方、ありがとうございました。
突然ですが、私はこの作品を最後に萌えスレSS職人を引退させて頂きます。
ちょっと以上長居しすぎてしまったため、不快に思っている方も
いらっしゃることでしょうし…orz
コテハンに恥じぬ男体化少尉がまた投下できたのを
ちょうど良い区切りとします。SSの質は最後まで恥まくりでしたがorz
このスレでたくさんの伍長萌え仲間に出会えたこと
稚拙な私のSSとイラストにまで暖かいレスを下さったこと
このスレの住人として過ごせたこと
皆さんの素晴らしいSSやイラストを拝見できたこと
その全てが本当にとても、とても幸せでした。
こんな楽しい時間を与えて下さった皆様には、感謝してもしきれないぐらいです。
皆さん、今まで大変お世話になりました。
そして心の底から、ありがとうございました…!。・゚・(ノД`)・゚・。
>>バーサークの人
長丁場、本当にお疲れ様でございました。
途中色々とつらいこともおありでしたが、最後まで書き上げて下さって
本当にありがとうございました!
伍長と少尉が幸せになれて、本当によかった…。・゚・(ノД`)・゚・。
リアルタイムでこの作品を拝見できたこと、嬉しかったです。
次回作のご予定ございましたら、楽しみにしておりますね。
>>保管庫の人
毎度乙です〜。
このスレの作品として保管庫に拙作を納めて下さったのは
大変名誉なことです。
本当に、いい思い出が出来ました。
無駄に長いSSばかりですので編集作業のほう大変でしょうが
なにとぞご無理なさらずお体ご自愛つつ頑張って下さいね!
最後となりますこのSSの保管庫納入作業も
お手数おかけしますが、なにとぞよろしくお願い致します。
>>133 蛸師匠素敵すぎ…!(*´Д`)
「嫌なのに感じちゃう…!」な、お顔の伍長とヌラヌラ感に
とってもハァハァさせて頂きました。
ミラクルGJ!であります!
>> 触手の人
触手キター!
続き楽しみにしております!
それでは皆さん、お元気で。
伍長萌えは永久に不滅です…!(*´Д`)ノシ
162 :
戦隊の人:2007/03/07(水) 00:08:27 ID:???
>>143 少佐演説GJです!余すところ無く伍長萌え改変になってて凄いですね。
>>男体の人
男体化少尉完結おめでとうございます!ストーリーも綺麗に終わって
伍長と少尉もラブラブで、とても素晴らしかったです。
1スレ目からのSS職人さんが引退してしまうのはとても残念なんですが、
また伍長萌えをやりたくなったら、いつでも戻ってきてください。待ってます!
>>143 伍長へ向ける凄まじい思いにに魂抜けた
心のモヤモヤをずばっと代弁してくれてスッキリ爽快でしたw
>>男体の人
リアルタイムで読んでました
少尉のメーネさばきカッコいい
ぐちゃぐちゃに犯されちゃう伍長はかわいそうなんだけど
妙に心が躍ってしまった
少尉との珠玉のラブシーンに酔いました
男体化の人の突然の引退宣言
自分では、山口ももえが引退した時ぐらいショック
今まで楽しませて貰ってありがとうございました
これが最後と言わずに、またの復活を心待ちにしてますよ
164 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/07(水) 00:43:08 ID:0k35d8Of
>>143 おっぱい!おっぱい!
え、と…演説の人ですかww
なんか勇気が湧いてくる、そんな演説でした!
まさかあの台詞をこんなおいしいものにして下さるなんて…ッ!
これからまともにヘルシング読めそうにありませんww
他の場所でもドア・ノッカーの精ネタがあったものなので、
ヘルシングと相性いいのかなぁ…なんて思ってみ た り…
>>男体の人
アトガキに目の黒い部分に針突き刺される思いをしましたが、
まるで本編にあってもおかしくない作品を仕上げて下さって
乙パイ! GJ! ありがとうございます!
伍長が可哀想で可哀想で可愛くて涙出てきましたよ(T▽T)ノシノシノシ
兎に角長い間お疲れ様でした!
あなたが残していった伍長萌えは決して忘れません!
(…密かに帰りを心待にしています)
俺達の信じるネ申は、決して俺達を裏切りはしない!
ふぎゅ…っ。ひっく、えぐっ…、うわああああああんっ!!。・゚・(ノД`)・゚・。
心底泣いてしまいました。モニタの前で大泣きをしてしまいました。
涙が滲んで、書き込みもままなりません。色んな感情の涙が溢れています。
男体の人さんの素晴らしいSSと、ラストの清々しさに感極まって、
その後の「引退宣言」にショックでさらに涙が…。
このスレを支えてくれた男体の人さん。本当にありがとうございました。
でも、出来る事ならすぐにでも「引退撤回宣言」を出していただければ
これ以上の幸せはありません。どうか、たまにでも投下して下さい。
このスレの住人はいつまでも男体の人さんを待っております。
>>143 すいません。これ投下したの自分です。orzコテハン書かないで
書き逃げしてしまいました。すいません。いやホントすいません。
>>男体の人
ねぎらいのお言葉ありがとうございます。
SS、急展開の後どんな結末になるのかハラハラしてましたが、男たちにメチャメチャに
されても、どこまでも自分の優しさを貫く、一見弱そうに見えて、実は
と っ て も 『強い』 伍 長
に感動しました。
それに答えて強くなっていく少尉も!
てっきりクロかと思っていた伯爵もそれだけの人ではなかったようだし、
何といってもザーラさんが希望を取り戻したことがとても嬉しかったです。
(901と伍長をいじめる男たちの残虐描写や少尉の戦闘シーンは迫力満点、
少伍の濡れ場もvvvvv…GJ!でした。)
引退されるとのことですが(泣 またこちらでもお目にかかる機会があれば嬉しいです。
>>143 某製作会社のアニメみて原作読む気も失せてしまった漫画ですがw
方々の意見聞いていると原作は凄く面白しろそうですね…
こんな楽しそうな演説あるなら読んでみようかな?(インテグラさんがスゲー
漢前で気にはなってるんですが)
>>バーサークの人
原作クラッシャーのGO○ZOには、アニメ版ヘルシングの体たらく振りに
泣かされましたヨ。・゚・(ノД`)・゚・。
原作はすげーイカす漫画です。機会があったら、一読を。
インテグラは少尉と同じぐらい「漢前」です!伍長はセラスかなぁ…。
バーサークの人も、どんどん次弾を投下して下さい!
楽しみにしてます!
168 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/07(水) 15:28:32 ID:0k35d8Of
>>シャワーの人
インテグラ─少尉
セラス─伍長
あの血を飲ませる場面を思い出して悶えました///
普段優しいけどキレると恐い
…一緒だ…
>>168 萌えますねぇ!
セラスのコスプレしたミニスカ伍長もアリですか?
ハルコンネン抱えて走る伍長に萌える。
オレルドはベルナドットですね。女好きなところが。
170 :
保管庫の人:2007/03/09(金) 01:37:08 ID:???
規制解除キタ!!
>>143シャワーの人さん
全てに激しく同意したい名演説w
保管庫行き検討しますw
あと私もゴソゾの原作クラッシャーぶりに泣かされた一人ですorz
パンシザは実際に作ってるのはAICだから無事だったようなものの、
ゴソゾって聞いた時にはもうだめぽと思ったものです。
>>161男体の人さん
まずは完結乙です。
紆余曲折ありましたが、伍長が気持ちよくなれてよかったw
そして、このスレのエースが引退宣言、普通に素で凹むんだぜ?
初期の頃からの職人さんがいなくなってしまうのは、本当に寂しいです。
こちらこそ、まぁ説明ベタで上手く言えませんが、保管庫の管理人になって
よかったなぁと思ってます。
男体の人さんのSSはもちろん最後まできっちり、責任もって収めさせていただきます。
数々の名SSをありがとうございました。
でも気が向いたらいつでも復帰して下さい。
未完のものもあった気がしますしw、よかったら、ぜひ。
お待ちしてます〜ヽ(・∀・)ノ
171 :
保管庫の人:2007/03/09(金) 05:38:58 ID:???
連投失礼
>>携帯ユーザーの皆様
お待たせしました。SSを3本と901准尉の手紙をアップしました。
一応お知らせまでに。
>>保管庫の人
乙です!保管庫入り、検討ありがとうございます。でも小ネタなので、
保管庫に入れてもらって良いのやら…。パンプキンはむしろアニメから
入ったので、良し!って事で。
男体の人さんの後に投下するのを、正直躊躇っております。orz
このスレの人達は、今はきっと「引退宣言」に心を痛めている事と思います。
自分も傷心の最中にあり、そんな状況で投下するのも心苦しく思っています。
でも、このスレが過疎るのはもっと寂しいです。せっかく出来た素晴らしい
スレなので、他の職人さんにもどんどんSSを投下して欲しいと思います。
生意気発言、ごめんなさい。orz
※伍長の放浪時代を捏造。
※内容は「不思議の国の伍長」って感じです。
※やんわり「拷問シーン」あり。ご注意を。
帝国とフロスト共和国との間に停戦が結ばれてから、ニ年―――――。
荷馬車の後ろで山のように積まれた干し草に埋もれながら、ランデル・オーランド伍長はぼんやりと空を
眺めていた。暖かい陽射しの穏やかな午後。大きな雲がゆったりと青い空に漂っていた。遠くで鳥がさえず
り、川沿いに続く道を馬に引かれていると、せせらぎの音が心地よく伍長の眠気を誘った。
「ここまでだ、兄ちゃん!」
伍長は荷台から降りると、礼を言った。そしてその先を行こうと歩いた時、荷馬車の男に呼び止められた。
「兄ちゃん、この先は行かない方がいいよ!」
伍長は首を傾げた。
「この先に小さな町があるんだけどよ、その町に入ったら2度と出て来られないって噂があるんだよ。
とっくに廃虚になった町なんだが、コソ泥やら盗賊やらが金目の物を探しに入ったっきり出て来ないんだ。
悪い事は言わないから、その町に入るのはやめときな」
伍長は途方に暮れていた。川辺の傾斜に腰を降ろし、ぼんやりと川面を見つめていた。別段、行く当てが
ある訳でもない。先刻の忠告を聞いて元来た道を引き返そうかとも思った。ごろり、と体を横たえて、伍長
は両手を頭の下に敷き、青空を見上げた。
無防備になっていた伍長の顔に、陽射しを遮る影が出来た。
「うわぁっ!!」
伍長の上体が跳ね上がった。後ずさりする伍長に、一人の少女が微笑みながら顔を近付けて来た。
「あら、まぁ、ごめんなさい。驚かせてしまったかしら?」
色素の薄いプラチナブロンドの長い髪が、まるで絹糸のように輝いていた。アメジストの瞳が印象的な、
10を少し過ぎたぐらいの年齢の少女が、真直ぐに伍長を見つめた。
「私、カミーユと言うの。あなたは?」
「ランデル…オーランド」
まるで少女のペースに乗ってしまい、伍長はつい名前を言ってしまった。
「そう、ランデル!良い名前だわ。ねぇ、ランデル。お願いがあるのだけど、聞いてもらえないかしら?」
少女の屈託のない笑顔が、何故か断る事を許さなかった。
先刻「行くな」と忠告された町に続く一本道を、伍長は少女について歩いていた。くるぶしまである薄水
色のドレスの裾が軽やかに風に揺れる様が、伍長にはどこか浮き世離れな感じに見えていた。
「ねぇ、カミーユ。どうしてその町に行くんだい?その町には入ってはいけないって言われてるんだろう?」
カミーユは振り返る事なく伍長の質問に答えた。
「そうよ。でもどうしても行かなければならないの。だからランデルにお願いしたのよ」
「どうして…俺に?」
「あなた…戦場帰りでしょう?それも901部隊、ゲシュペンスト・イェーガーと呼ばれた…」
伍長は立ち止まった。数歩歩いたカミーユも立ち止まり、ゆっくりと振り返った。
「どうして…俺が以前所属していた部隊を知ってるんだ…?」
伍長は戸惑いと疑心の目でカミーユを見つめた。カミーユは少し寂しそうな顔をした。
「そのランタンが教えてくれたわ。あなたはとても辛い思いをして来たのね、ランデル…。まだ子供なのに」
「カミーユ…!君は…」
「お願いよ、ランデル。あなたにしか出来ないの。あの町でずっと眠っている『いばら姫』を起こせるのは
あなたしかいないの」
「いばら…姫?」
傾きかけた日の光に、二人は照らされていた。
その町は、高い防壁に囲まれた要塞のようであった。カミーユに促され、町に入った伍長は辺りを伺い
ながら奥へと進んで行った。まるで迷路のように四方に細い路地がはり巡らされ、同じような作りの建物が
一層記憶を混乱させた。カミーユは迷う事なく目指す方向へ歩いて行った。
「この町は…、言わば人の記憶の澱みたいな物よ。町を取り囲む高い壁は、他人と自分を隔てる、無意識の
防御壁。外界と触れ合う事を自ら拒んだ結果の産物が、この町なのよ」
伍長にはカミーユの言っている事が理解出来なかった。しかし、伍長はその疑問をカミーユに聞く事が
出来なかった。そもそも何をどう何処から質問して良いのか、頭の中が混乱して声に出す事すら出来なかっ
た。黙ってカミーユについて行くと、雑貨店らしき建物の前を通りかかった。ふと、ショーウィンドウを
覗き込むと、ポートレートが飾ってあった。伍長は立ち止まり、ガラス越しにそのポートレートを凝視した。
「…これは…、まさか…?!」
その写真に写っていたのは、まだ幼い自分と母親だった。顔に大きな傷を付けた少年は、明らかに自分だ。
椅子に座る母親が、少年の肩に手を添えて優しく微笑んでいる。それは母親と別れる真際に撮られた写真
だった。
「何で…、どうしてこの写真が…!カミーユ…!カミーユ?!」
振り返った伍長の視界から、カミーユの姿は消えていた。
「どうしよう…!はぐれてしまった…!」
辺りを見回し、路地を駆け抜け、伍長はカミーユを捜し回った。伍長は次第に心細くなって来た。まるで
母親とはぐれ迷子になった子供のように、伍長は必死にカミーユの名を叫びながら細い路地を走っていた。
ガシャーーーン!!
何処かでガラスの割れる音が聞こえて来た。伍長は音のした方に向かった。明かりの付いた家の窓から、
人陰が過るのが見えた。その家から誰かが言い争っているような叫び声が聞こえて来た。
「アンタぁ!やめて!!」
「うるせぇ!!どいつもこいつも俺の事を馬鹿にしやがってぇ!!」
伍長はその家の窓を覗き込むと、息を呑んだ。歳若い母親が、酒に酔った男に殴られていた。男が割れた
酒瓶を振り上げ、母親に切り掛かろうとした。そこへ少年が飛び出して来た。
『そうだ、あれは俺が顔を斬られた晩だ!母さんを庇おうとして、斬られたんだ!!』
「やめてえぇぇぇっ!!」
「やめろおおおおおっ!!!」
伍長と少年はほぼ同時に叫んでいた。直後、少年は顔が酒瓶の割れた切っ先で大きく斬られた。
「ぎゃああああああっ!!」
「ランデルーーーっ!!」
母親が悲痛な叫び声を上げた。伍長は家の入口に回り、勢い良くドアを開けた。
「母さぁん!!」
伍長がそこに見たのは、先程までの喧騒が嘘のような閑散とした部屋だった。誰もいない、もう何年も
人の生活の気配が消えた、薄暗い粗末な部屋だった。伍長の荒く乱れた呼吸だけが部屋に響いていた。
ぽつり、ぽつりと街灯が灯り始めた。石畳に響く自分の足音が、伍長の気持を一層不安にさせた。伍長は
街灯の脇にあるベンチに座り込むと、両手で頭を抱え込んだ。
「おかしい…、この町はおかしい。俺は夢を見てるんじゃないのか?」
「この世界が、夢と言う可能性と同じだけ、現実でもあるのよ。良く考えなさい」
その声に、伍長は顔を上げた。そして驚愕の表情で自分の傍らに立っている人物を見上げた。
「…ミュゼ?!」
「ランデル!リドリーを殺しなさい!」
ミュゼが指差した方向に視線をやると、その先には返り血を浴び、羅刹の形相で佇むリドリーが伍長を
見据えていた。
「リドリー…!!」
リドリーは伍長と共にカウプランの施設で実験体として扱われた子供だった。様々な薬物投与や施術により、
急激な成長を遂げ、実験の最中に精神崩壊を起こした。施設の関係者を数人殺害し、脱走後、町の住人を
無差別に殺戮して行った。
「リドリー!!やめて!!町の人を殺さないで!!正気に戻ってくれ!!」
伍長はリドリーに向かって叫んだ。しかしリドリーは握っていた短銃を伍長に向けると、まるで無表情で
伍長に近付いて来た。それは伍長がランタンを灯して敵陣に盲進する様と同じだった。
「躊躇ってはダメ!!ランデル!殺しなさい!!」
「…コロセ…!コロセ…!コロセ…!」
「うわああああああああああああーーーーーーーっっっ!!!!!」
伍長はドア・ノッカーを抜こうとした。しかし、それよりも早くリドリーが疾風のごとく伍長に詰め寄り、
驚異的な早さで伍長を押し倒した。慄然とする伍長は間近にあるリドリーの無慈悲な悪魔のような形相を
固唾を呑んで見つめた。すると、リドリーの瞳が一瞬正気を取り戻したかのように光った。
「…ランデル…、俺達…どうして生まれて来たんだろうな…。ショーンも、パティも、…グレイスも…」
「…リドリー…!」
「お前はこれから俺以上に沢山人を殺しに行くんだ。だからお前は生きてちゃいけないんだよ。ランデル」
その言葉に、伍長は目を見開いた。何かを言おうとした口がわななき、体中が震えた。
「俺達は…産まれて来てはいけなかったんだよ…!ランデル…!!」
リドリーが銃口を伍長の額に押し付けた。ガチン、と撃鉄が起こされ、伍長はぎゅっと目を閉じた。
『死ヌノハイヤ。死ヌノハイヤ。死ヌノハイヤ。死ヌノハイヤ。…死ヌノハ…、イヤだああああっっっ!!』
ゴギイイイイインッ!!
聞き慣れた重い轟音が響き渡った。押し掛かっていたリドリーの重さから解放された伍長がゆっくりと
目を開けた。伍長の傍らに、頭部を粉々に砕かれて血の海に身を横たえているリドリーがいた。
「リドリー…!!」
上体を起こした伍長は暗闇に浮かぶ人陰に気が付き、息を呑んだ。
そこには、軍服を着てランタンを灯した自分自身がドア・ノッカーを構えて立っていた。ランタンと同じ
蒼い鬼火の瞳が、地獄からの使者のように伍長を見つめていた。
「…どうして…!!どうしてリドリーを殺したんだ?!」
伍長は自分自身に問いつめた。
「どうして私が子供を選んで実験したか分かる?子供の方が生きようとする本能が強いからよ」
ミュゼが冷たい声で伍長に話し掛けた。
「窮地に追い込まれた時、子供の持つ自己防衛本能が生死を別ける。生きる事への純粋で貪欲な本能よ」
「そんな…!俺は人を殺してまで生きようとなんて思わない!!」
「嘘つき。今さっき死ぬのはイヤだって、そう言ったじゃない?」
それは少年の声だった。その声に振り返った伍長はその直後、強かに頬を殴られて地面に倒れ込んだ。
「あぐっ!」
「殺されたくなかったら、言う事を聞けよ!新入りぃ!!」
伍長が体を起こし目を開けると、周りには数人の男達が伍長を取り囲んでいた。男達は901部隊の軍服を
着ていた。そして自分自身も同じ軍服を着ている事に気が付いた伍長は、混乱した記憶のままその場から
逃げようと後ずさった。しかし、後方にも男がいて、伍長は軍靴で背中を小突かれた。
「お前のために用意した歓迎会なんだぜ。主賓が逃げちゃあ話にならねぇだろう?」
怯える伍長に1人の男がしゃがんで言った。ニヤニヤと笑うその顔は、獣欲を滲ませていた。伍長は
恐る恐る周りを見回したが、そこに居合わせた男の誰もがその男と同じ欲念を抱いていた。
「今日は幸いな事に支給された食料の中に油が入っていた。この貴重な油を、お前の為に使おうってんだ。
ありがたく思えよ」
伍長は男の言っている意味が分からなかった。
「アレをやるのか?」
別の男が興味津々に聞いて来た。
「そうだ。今宵の余興は『靴磨き』だ」
その言葉に男達が満面に下卑た笑いを浮かべた。伍長はその光景に全身に怖気が走る思いだった。
「痛っ…!!や、やめて!やめて下さい!!」
数人の男に取り押さえられた伍長が身を捩りながら抵抗した。しかし、屈強な男達はいとも容易く伍長を
拘束し、後ろ手に縛り上げた。荒々しく軍服を左右に引きちぎられ、胸が露になった。ベルトを緩ませ、
下着ごと膝まで降ろされた伍長は、左右の腕を二人の男に抱えられ、惨めな格好で立たされていた。
「靴ヒモで縛れ」
その命令に、靴ヒモを持った男が伍長の前に近付いた。そして恐怖に畏縮した伍長の陰茎を乱暴に引っ張ると
根元から縛り上げて行った。
「痛いっ!や…!やだっ…!やめてぇっ!!」
「立派な割にはキレイなもんだぜ。お前童貞か?げはははっ!!」
「童貞で処女かよ!こいつは良いぜ!」
陰嚢から亀頭にかけて縛られた伍長の陰茎は、痛々しいほどに締め付けられていた。苦痛に顔を歪ませた
伍長を、両脇の男は部屋の中央に置かれたテーブルまで歩かせた。よたよたと歩く伍長は、テーブルに脚を
押し付けられた。
「こいつ、背が高いから足りねぇなぁ。台になる物を適当に持って来い」
奥から男が一辺が30センチほどの木箱を持って来た。それを伍長の前に設置すると、伍長の陰茎をその
木箱の側面に乗せた。
「ヒュウっ!ぴったりだぜ」
伍長はこれから何をされるのかまったく分からず、兢々とするばかりだった。そんな伍長に構わず、男達は
着々と伍長を責める準備を進めていた。
「お願いです…!やめて下さい…!ぐすっ…お願いします…!」
伍長が涙声で懇願した。しかしそれすらも今の男達には、猛り狂った肉欲をさらに増長させる物でしかな
かった。
「しっかり抑えてろよ」
男の合図に、左右で伍長を押さえ付けていた男達の腕に力がこもる。粗末なアルミの洗面器に注がれた
油にタオル程の長さの布を浸すと、その布を伍長の陰茎に被せた。そして、靴を磨くようにその布を左右に
往復させた。
「いやああああああっっっ!!!あ゛っ!あぐぅっ!!うわあああああああっっっ!!!」
喉が張り裂けんばかりに伍長が叫んだ。まるで獣のような悲鳴に、男達が嘲笑した。
「すげぇイイってよ!もっと早く磨いてやれよ!」
その声に、布を往復させていた男が一層素早くその手を動かした。
「あ゛ああああああっ!!!いやあああっ!!!いやああああーーーっ!!!」
縛られた陰茎に走る激痛とそれ以上の快楽に、伍長は顔を左右に激しく振った。涙が溢れ、唾液を飲み込む
事も忘れ、口の端からだらしなくこぼれ落ち、喉を伝った。
「良い声で啼くじゃねぇか。股ぐらがいきり立つぜ!」
靴磨きと称される責めから逃れようと、伍長は腰を引いた。しかし両脇を押さえ込んでいた男の1人が
伍長の秘処に中指を差し込み、引っ張り上げた。
「あうぅっ!!」
「こうやってケツの穴をフックしてやると、イヤでも姿勢良くなるんだ。おらぁ!しっかり立てよ!」
強引に立たされ、逃げる事も出来ない伍長の下半身に、次第に腹の底から沸き上がるような淫靡な感覚が
押し寄せて来た。膝がガクガクと震え、立っているのがやっとだった。
「はあぁんっ!あふぅ…!あぁっん!…」
伍長の叫び声の中に、艶めいた声音が混じり始めた。強制的な絶頂感が、自然に伍長の腰を艶かしくくねら
せた。しかし根元をきつく縛られているので、伍長は思いを遂げる事が出来なかった。
「いやあっ!!いやあぁっ!!お、お願いです…!ヒモを解いて下さいぃ…っ!!」
「何だ?もうイクってのか?まだまだこれからだってのに、まったく近頃の新入りは礼儀がなってねぇなぁ」
永遠に続くのではないかと思える程の絶頂感が、伍長の理性をまるで波に削られる砂山のように徐々に
崩して行った。相変わらず責められる陰茎ははち切れんばかりに膨張し、結ばれた靴ヒモがさらに食い込む
事となった。指を入れられた伍長の秘処がぎゅっと締まった。
「いいケツの締まり具合だぜ!見ろよ!尿道がパクパク言ってるぜ!こいつ、相当な淫乱だなぁ!」
男の揶揄など、もはや伍長の耳には入っていなかった。この地獄のような絶頂感から、一刻も早く解放
されたい一心だった。
「そろそろ俺達にも楽しませてくれよ!もう我慢出来ねぇよ!」
「まぁ待てよ。夜は長いんだ。おい、誰か空の酒瓶持って来い」
その言葉に、男が少し酒の残った瓶を持って来た。すると靴磨きを中断され、伍長はテーブルの上に突っ伏
すように体を押し付けられた。責め苦から解放され、大きく深呼吸しながら、伍長は解き放つ事の出来ない
快楽にゆるゆると尻を振った。
「けはははっ!こいつ、おねだりしてるぜ!淫乱なメス豚め!」
「慌てるなよ。今良い物をくれてやるからよぉ」
伍長の脇に立っていた男が両手で伍長の尻を乱暴に掴むと、外に押し広げた。露になった秘処がヒクヒクと
痙攣した。瓶を持った男が、淡く色付く綺麗なそこに酒瓶をねじ込んだ。
「あっ!いあああああああっ!!!ひぃあああああああっっっ!!!」
「誰か懐中電灯で照らせ」
5センチ、10センチと埋め込まれると、瓶は伍長の秘処の内部を露にした。瓶を押し出そうと必死に蠢く
肉色の内壁が、ライトに照らされ妖しい光を放っていた。そこはまるで女のヴァギナを連想させ、男達は
増々己の股間を熱くさせた。
「酒が少し残ってるじゃないか。下の口に飲ませてやる」
そう言って、男が瓶を傾けた。残った酒が伍長の体内に流し込まれ、すべてを注ぐと瓶を引き抜いた。
「あっぐ!!あふぅ…!あああああ…ん…っ!!」
アルコール度数の高いウィスキーを直接粘膜に注がれ、伍長は焼け付くような熱さに身を捩らせた。
「いやぁ…!やめてぇ…っ!もう、やめてぇ…!!」
テーブルに、伍長の涙とよだれがこぼれ落ちた。伍長の頭の方にいた男が、いきなり髪を掴み、乱暴に
引っ張り上げた。
「ぎゃあぎゃあうるせぇんだよ」
そう言われた伍長は一瞬息を飲んだ。目の前には男の怒張した陰茎があった。その凶器のように猛った
様に、伍長は戦慄した。男は伍長の顎を掴むと、痛い程に締め付けて無理矢理口を開けさせた。
「いいか?歯ぁ立てんじゃねぇぞ」
何の躊躇いもなく口にねじ込まれた陰茎に、伍長は息をつめた。舌で押し返そうとするが、それが返って
男に快感を与えてしまった。
「上手いじゃねぇか!お前本当に初めてかぁ?」
異臭が鼻に突き、伍長は吐き気を催した。しかしその吐き気すら凌駕する激痛が、伍長の下半身を襲った。
「うううーーーっ!!むぐぅ!!ふんんんーーーっ!!」
伍長の秘処に、男の猛った陰茎が侵入して来た。暴れる伍長の体を、誰かが押さえ付けた。押し掛かられ、
呼吸が困難になり、思わず伍長は口の中の陰茎を吐き出した。
「ぷぁっ!!ああああああっ!!!いああああああああっっっ!!!!」
首を左右に激しく振り、とめどなく涙を流した。そんな伍長の顔面を、口から吐き出された男が一発殴り
付けた。
「口を離していいって、誰が言った?!勝手な事するなよ!」
再び伍長は口にねじ込まれた。涙と鼻水とよだれでベタベタになった表情が、苦痛と快楽の狭間で揺れ動い
ていた。尻に容赦無く叩き付けられる男の腰が、肉のぶつかる音をたてる度に伍長の嬌声が上がった。
「いぁっ!あっく!あぁっ!はぁっ!…」
何人もの男の精液と自分の血が混じった物が、伍長の内股を伝って行った。時折体を痙攣させ、胃液が逆流
して嘔吐感が襲って来て意識が朦朧としていた。いっそ気絶が出来れば良いのにと思ったが、縛られた陰茎
がいつまでも絶頂感を保っているので、それすらも許されなかった。
「…キモチワルイ…」
大勢の男達に輪姦される伍長を、部屋の隅で膝を抱えて見守っている痩せっぽちの少年がいた。
「…キモチワルイ…」
その囁くような小さな声に、犯されている伍長が気が付き、声のする方に顔を向けた。
「…キモチワルイ…」
顔に自分と同じ傷を持つ少年を、伍長は涙を流しながら見つめた。
「…殺して…」
伍長が声に出した。すると、少年がその顔に薄ら笑いを浮かべた。そしてゆっくりと立ち上がると、伍長に
近付いて来た。男達には少年の姿が見えないのか、相変わらず伍長を犯し続けていた。少年の右手には
ドア・ノッカーが握られていた。ゆっくりと伍長の顔に銃口が向けられると、伍長は一瞬躊躇ったが、
小さく笑ってその銃口を口に含んだ。まるで男根を咥えるように、妖艶に舌を這わせ、その時を待っていた。
「ずるいよ。いつも僕にこんな役を押し付けて。お前なんか死んじゃえ」
ゴギイイイイイイインッ!!
「………」
「嫌い…。大っ嫌い」
「…お前なんか、いらない」「気持悪い。何で生きてるんだよ」「人殺し。死臭がするから傍に来ないで」
「バケモノ」「ちょっと優しくしてやれば付け上がって。バカじゃない?」「勘違いするなよ。誰がお前
なんか仲間なもんかよ」「うっとおしいなぁ!あっち行けよ!」「自分がどれだけ偽善者か、分かって
ないの?」「さっさと死ねば?」「汚いから触らないで!」「死ね!死んじゃえ!!」「この世から
消えろ!!」「生きる価値もないクセに!!」「お前なんか、産まれなければ良かったんだ」
「うわあああああああああああああっっっ!!!!!!」
「ランデル!!ランデルぅ!!!」
誰かが体を揺さぶっていた。目を見開くと、カミーユが伍長の顔を覗き込んでいた。茫然としながら体を
横たえていた伍長が、重い体をゆっくりと起こした。
「…カミーユ…」
「ごめんなさいね。ランデル。私がちゃんとはぐれないようにしていればこんな事には…」
「夢…だったの?」
「今の私達には、夢と現実の定義が不確定だから、何とも言えないわ」
伍長は立ち上がると、辺りを見回した。そこは先程伍長がショーウィンドウで立ち止まった雑貨店の前だ
った。伍長は先刻の夢の余韻に苦渋の表情を浮かべ、拳をぎゅっと握った。
「ランデル…。あなたが夢の中で聞いた言葉のすべては、実はあなた自身が言っている言葉なのよ」
カミーユが握られた拳にそっと触れた。
「誰もあなたを憎んではいない。あなたのした事を憎んでいる人はいるかも知れないけど、それでもあなた
は生きなければならない。あなたには自分のした事を償う機会が与えられているのだから。自分で自分を責
めるのは、あなたが優しいからなのよ。まだ良心があるから、あなたは苦しんでいるの。それだけは忘れ
ないでね。ランデル…」
カミーユのアメジストの瞳が優しく伍長を見上げた。その言葉に、伍長は少し安堵の表情をして見せた。
再び歩き出した二人の前に、大きな屋敷が見えて来た。廃虚となったその屋敷には、無尽蔵にいばらが
絡まり合い、まるで来る者の侵入を拒むかのようだった。
「ここに…、いばら姫がいるわ。もうずっとずっと眠り続けて、自らが見る悪夢を紡ぎ出しているのよ」
「カミーユ。いばら姫って、一体誰なんだい?」
「いいわ。ランデル。…こっちよ」
カミーユに促され、伍長はいばらを掻き分けながら屋敷の中へ入って行った。大きなドアを開て大広間に
入った伍長が、正面に飾られている大きな肖像画に気が付いた。そこにはカミーユの姿が描かれていた。
「あれは…!カミーユ?!」
カミーユは振り返ると、悲しい瞳で伍長を見返した。
「あれは…、もう1人の私よ。哀れで可哀想な、狂ったもう1人の私…」
「昔…、この町の領主には二人の兄妹がいたの。二人は血の繋がりがあるにも関わらず、愛し合っていた。
そして越えてはいけない一線を侵し、妹は兄の子を身籠ってしまった。領主は怒り、すぐに子供を堕ろせと
命令した。泣く泣く子供を堕胎したのだけれど、実は宿っていたのは双児だったの。片方だけの子供を堕ろ
しただけで、もう1人はまだお腹に宿ったままだった。それに気が付いた時にはもう遅く、堕ろす事が出来
ないぐらいに成長していたの。仕方なく子供を産んだのだけれど、血が濃過ぎたのか、産まれて来た女の子
は心に病を持っていた。物心が付いた時には、飼っていた猫の首を斬り、十歳にもならないうちに女の子は
領主の水差しに毒を盛り、殺してしまった。きつく叱られた事の腹いせだったの。女の子の両親は、次第に
わが子が恐ろしくなって、避けるようになったの。女の子は寂しかった。誰も遊んでくれない。誰も話し掛
けてくれない。誰も優しくしてくれない。そのうち、女の子は自分の皮膚の外側はすべて敵だと思うように
なったの。十二歳の誕生日の時に、女の子は厨房に忍び込み、すべての料理に毒を盛った。屋敷に仕えてい
た者、女の子の両親までもがみんな死んでしまった。そして女の子は町に出ると、公共の井戸すべてに毒を
投げ込み、町の人達も次々と死んで行ったの。…この町で生き残ったのは、女の子独りだけだった…」
カミーユと伍長が入って行った寝室の奥に、大きなベッドがあった。そのベッドには誰かが眠っている
ようだった。二人はゆっくりとベッドに近付いて行った。
「この子がいばら姫。もう1人のカミーユよ」
そこに眠っていたのは、すでに白骨化した少女の遺体だった。色素の薄いプラチナブロンドだけが、生前の
まま綺麗にベッドに広がっていた。
「さぁ、ランデル。この子の悪夢を醒ましてあげて。あなたの銃でこの子を悪夢から解放してあげて」
伍長がホルスターからドア・ノッカーを抜いたその時、
「やめて!お願い!撃たないで!」
ベッドに横たわっていた筈のミイラがいつの間にかカミーユの姿に変わっていた。しかし違うのは彼女の
瞳はアメジストではではなく、サファイアだった。起き上がったカミーユが涙を浮かべて伍長に命乞いを
した。
「寂しかったの!仕方なかったの!誰も私の事を愛してくれなかったから…!あなたなら、分かるでしょ
う?私の気持を。だってあなたと私は同じなんだもの…!」
「ダメよランデル!彼女の口車に乗ってはダメ!またあなたを悪夢の迷路に迷い込ませる気よ!」
伍長は躊躇った。今目の前にいるのは、幼気な少女の姿をしているのだ。銃口を向けると、戦場での凄惨な
記憶が蘇り、銃を持つ手が震えてしまう。
「あなたはまだ殺し足りないの?女子供を殺してもまだ気が済まないの?どれだけあなたの銃は人の命を
奪えば満足するの?人殺し!悪魔!あなたは人間じゃないわ!!」
「あ、あぁ…!!俺は…!俺…は…ぁ!!」
「ランデル!お願い!肉体を持っていない私には、その銃には触れないの!あなたしか撃てないの!!」
二人のカミーユの言葉に、伍長の身は引き裂かれる思いだった。自分が銃を撃つ事で、この世界の危うい
均衡が倒壊して、取り返しの付かない事になってしまったらと言う恐怖感が、引き金を引く事を躊躇わせ
た。
「あなただってずっと悲しい思いをして来たんでしょう?私にはあなたの辛さが良く分かるわ!私だけが
あなたの理解者になれるのよ!」
大粒の涙を浮かべたサファイアの瞳が、伍長を見つめた。この閉ざされた世界で誰にも愛されずに独りぼっ
ちで夢を見続けているカミーユが、伍長には可哀想でならなかった。その姿が、どこか自分と重なって見え
たような気がした。
「お願い!ランデル!悪夢を終わらせてえぇっ!!!」
『ずるいよ。いつも僕にこんな役を押し付けて』
一瞬、少年の声が聞こえた。それは悪夢で男達に犯されていた時に聞いた、少年の声だった。
伍長はすうっと静かに深呼吸した。そして引き金に掛かった指に力を込めた。
『そうだ…。俺…、いつも逃げてばかりいたっけ…。イヤな事はみんなランタンに押し付けて…』
『…ごめんね…』
ゴギイイイイイイインッ!!
粉々に砕けた少女の頭蓋骨が、辺りに弾け飛んだ。壁が、天井が、柱が砕け、目も開けられない程の閃光が
走った。音のない、静かな崩壊の中、伍長ははっきりとその声を聞いた。
「ありがとう。やっと…、永い私の夜が終わる…」
「ここまでだ、兄ちゃん!」
はっと起き上がり、伍長は辺りを見回した。干し草の山に埋もれ、そこが荷馬車の上だと気が付いた伍長は
しばらく放心してした。
「夢…?」
伍長が荷台から降りようとした時、ふとホルスターの中の銃が僅かに熱を持っている事に気が付いた。
まさかと思った伍長は、右腕に仕込まれた弾帯を確認すると、一発だけ弾が無くなっていた。
伍長は荷台から降りると、礼を言った。そしてその先を行こうと歩いた時、荷馬車の男に呼び止められた。
「兄ちゃん、この先は行かない方がいいよ!」
伍長はこの言葉にデジャヴを感じた。しかし、記憶がぼんやりしていて明確に思い出す事が出来なかった。
「この先に小さな町があるんだけどよ、その町に入ったら2度と出て来られないって噂があるんだよ。
とっくに廃虚になった町なんだが、コソ泥やら盗賊やらが金目の物を探しに入ったっきり出て来ないんだ。
悪い事は言わないから、その町に入るのはやめときな」
心配する男に、伍長はハッキリと答えた。
「多分…、もう大丈夫だと思いますよ。夢から醒めましたから…」
伍長の言葉に、男は首を傾げた。
穏やかな陽射しの午後。伍長は川沿いの一本道を力強い足取りで歩いていた。ふと、伍長は立ち止まった。
そして独り言のように呟いた。
「…一緒に行こう」
伍長が振り返ると、少し後ろに少年が立っていた。顔に自分と同じ傷を持つ少年が、静かに伍長を見上げて
いた。伍長は優しく微笑んだ。
「一緒に行こう。俺はお前を受け入れる。…もう大丈夫。もう恐くないよ」
「嘘つき」
「嘘じゃない。俺はもう嘘はつかないよ」
伍長は少年に歩み寄り、しゃがんで目線を同じにした。自分と同じブルーグレーの瞳が真直ぐに伍長を
見つめた。
「俺がこれからこの世界の為に何か出来るなんて…自惚れかも知れないけど、もしそれが出来るならそうし
たい。善い人には幸せになって欲しいし、愛を知る人には強くなって欲しい。強くなるには試練が必要だ。
…だから、俺はお前を受け入れる…。そして強くなりたい」
伍長はそっと少年を抱き寄せた。
「これからも…、悪夢にうなされるとしても?」
少年が伍長に聞いた。
「あぁ。それでも構わない」
「誰も言う事に耳を貸さなくても?誰も受け入れてくれなくても?」
「あぁ。それでも俺は…、生きて行きたい」
少年が、伍長の胸の中でそっと目を閉じた。
伍長が立ち上がると、少年の姿は何処にもなかった。変わりにランタンがカロン、と音を立てた。
再び一本道を歩き始めた伍長は、大きな手で腰のランタンをそっと撫でた。
次第に薄れ行く夢の記憶の中に、一つだけ思い出せた言葉があった。名前も思い出せないアメジストの
瞳の少女が優しく微笑んでいる記憶の断片が、脳裏を過った。
「それでもあなたは生きなければならない。あなたには自分のした事を償う機会が与えられているのだか
ら。自分で自分を責めるのは、あなたが優しいからなのよ。まだ良心があるから、あなたは苦しんでいる
の。それだけは忘れないでね。ランデル…」
夕焼けの綺麗なオレンジ色の光の中を行く伍長の歩みに、迷いは無かった。
《 終 》
>>シャワーの人
こういうファンタジーを織り交ぜたようなのもいいなあ
不思議の国のアリスの世界観と
とある分野で言わずと知れた田亀源五郎の作品
大友克弘の「MEMORIES 」を混ぜあわせたような独特な感じ
読み終えた後にじわ〜っときました
>>シャワーの人
いつもながら緻密な情景描写と拷問シーンに禿萌えた!
ただ痛がらせるだけじゃなく
伍長がちゃんと気持ち良くなってる所がいいね、いいね〜!
ああ、伍長可哀相萌え…超GJでした〜!!
シャワーの人も他の職人さん達も
これからも伍長萌えSSをよろしくお願いします。
自分は応援する事しか出来ないけど頑張って下さい!><
遅くなっちゃったけど男体の人お疲れ様でした。
1スレから居る人間だけど沢山萌え萌えさせてもらいました。オレ伍に目覚めたのもあなたのおかげです。
あっちの方は通わせてもらいます。
それにしても今更だけどこのスレ神職人が増えてよかったなぁ〜。
皆GJ!
184 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/10(土) 16:13:17 ID:UHf36Lce
>>シャワーの人
初日からそんなんじゃ伍長一体どれだけ
仕込まれたんだろう(*´д`)´`ァ´`ァ´`ァ´`ァ…
それにもしかしたら伍長はその時11歳ですか?
そう考えると物凄く辛痛いのに萌え上がってしまう…
ゴメン伍長可愛すぎる///
そしてラストへのもっていきかた
いつもながらGJです!
こんな拷問初めて知りました
素敵な性的虐待骨身に染みました
いい夢見れそうです
お疲れ様でした!
sageようぜ
186 :
戦隊の人:2007/03/10(土) 23:31:57 ID:???
シャワーの人有難うございます!
こういうファンタジー系が入ったSSってパンプキンでは珍しいですし、
しっかりとお話がまとまっていて素晴らしかったです。
拷問シーンでは色んな方法があるんだなぁということを教えてもらいましたw
スレの雰囲気を明るくしてくれてGJです!
。・゚・(ノД`)・゚・。 ありがとうございます!。・゚・(ノД`)・゚・。
正直、捨て鉢でSSを投下したので、本当に嬉しいです。・゚・(ノД`)・゚・。
しかも、拷問シーンなんて、えげつない物を書いてしまって、皆さんに
ドン引きされたらどうしようかと…。いえ、引いてる人もいますね。orz
田亀源五郎の世界もろくすっぽ知らず、ネットで調べたら何とディープな
世界…!ステキ過ぎて、今後のネタの参考にしようかと思いました!
パンプキンの世界観で、ファンタジーって無理っぽいかなぁと、思いましたが、
すでに伍長は悪夢でエロティックなほどのファンタジー(?)を展開してるので、
原作のエロさには負けますorz今月号、エロ過ぎです。
まとめてのレスで大変失礼かと思いますが、皆さん、本当にありがとう
ございます!こらからも他の職人さん達の投下を心待ちにしています!
>>187 毎度乙&GJです!
何も捨て鉢にならなくても…w
自分は拷問シーン、楽しめましたよww
というか、このスレの主旨にはピッタリだったと思いますし。
今このスレ、ただでさえ過疎ってるのに
男体さんを失って落ち込む気持ちは解らなくもないが
始まりがあれば終わりもあるんだから仕方のない事だ。
男体さんだって色々と思う事があって去ってしまったんだろう。
それにもう二度と男体さんのSSが読めなくなった訳ではないんだし
お通夜ムードはこれぐらいにしとこうぜw
残った職人さん達と、これから誕生する職人さん達で
今まで通り、このスレを盛り上げてくれたら嬉しいな〜。
職人さん達のやる気を持続させる為にも、
感想はやっぱ大事だよな……
>>187 目が覚めた。そして反省したよ。
今まで、ここでSSを投下してくれる職人さん達の好意に甘えてた。
読めるのが当たり前、みたいな感じになってた自分に反省。
投下してくれる職人さん達は、好きで書いているにしても、一生懸命書いて
くれたんだ。このスレの住人のために。それに対する感謝の言葉を
今まで忘れていたよ。
男体の人さんのSSだって、これからもちゃんと読めるんだから、
みんな、笑顔で見送ってあげようよ。「ありがとう」の気持を込めて。
ゴメン。上の書き込み、
>>188 さんにでしたorz
191 :
保管庫の人:2007/03/11(日) 03:46:57 ID:???
ども。保管庫の人です…ちょっと通りますよ…
>>187シャワーの人さん乙です。
ちらっと忍ばせてあるヒラコー節(ですよね?)に吹きますたw
いばら姫の正体は伍長だと思った自分の脊髄反射にも乙w
荷馬車に揺られてうたた寝する姿がこれほど似合う巨漢もおるまいて…
あ、私個人は拷問程度じゃ引かないのでモーマンタイです。
>>皆様
携帯用も1スレ目のSSアップ完了しました。
明日からPC用に2スレ目SSをアップ開始します。
1スレ目の時よりは早く進められると思うます。
あと僭越ながら、SS投下後には乙とかGJのひとことでもいいので
何か書き込んであげると職人さんはほっとするかと…
私も説明ベタの筆不精なので毎回そんなんでお茶濁して申し訳ないが
心のへぇボタン?なら押しまくってます。
…濡れ場を見られてへぇ〜って言われる伍長もどうなんだ…説明ベタはつらいよorz
保管庫の人さん、いつも乙です!
ヒラコー節、気が付きました?最近、伍長=セラスがマイブームです。
荷馬車に揺られる伍長が、まっ先に思い浮かんでこの話を書きました。
本当に、ほのぼのも拷問も似合うキャラなんて、伍長しかいないですね。
>>188さんも、ありがとうございます!これからの投下の励みになります!
他の職人さん達にも、きっと励みになっていると思います!
このスレの皆さんも、沸き上がる伍長萌えの熱い気持をどんどん
ぶちまけて欲しいと思います。
お久しぶりです。
話の流れ豚切って投下します。
注意点は特にありません。
相変わらずアホです。
それではドゾー。
アイビーの絡まるレンガ造りの塀。
その塀に沿って奥に進むとマホガニーの扉が姿を見せる。
呼び鈴を鳴らし、静かに時を待つ。
「──お帰りなさいませ。お姫様」
◆
「伍長、いつまでむくれておるのだ!?」
少尉が怒ってます。
別に俺、ランデル・オーランドはむくれてる訳でも拗ねてる訳でもないのです。
……ただ恥ずかしいだけなんです。
「きょ、今日は……ちょっ……と前、に……比べ…て……」
「ご、ちょ、おっ」
いきなり少尉が俺の両手を掴み、そのまま下に降ろしました。
むんっ、と俺を見上げ、睨みつけます。コワいです……。
「手で胸を隠さない!猫背になってるぞっ!シャキっとしろ、シャキっと」
無意識の内に両手で胸を隠していたようです。だって、だって……。
「自信を持て、伍長。今回の衣装は庶務課会心の作なんだぞ」
そんなこと力説されても……。
「今回のはな、生地から凄いのだ」
何が凄いのです?
「春らしい花柄のジャガード生地の上に、リボンで束ねられたブーケをあしらったプリントなのだ。
しかもわざわざテキスタイルからオリジナルで生地を作成したのだぞ!喜べ伍長!!」
どの辺りを喜べは良いのかさっぱりわかりません、少尉。
「伍長はオフ白地にブルーベース、私はオフ白地にピンクベースのプリント柄」
日に焼けたお前の肌には白が映えると思ってな、とはにかむようにそう言うと、
先生が生徒に教えを説くように、本日の衣装について説明を始めてしまいました。
「お前が着ているジャンパースカートだが、胸元は最近帝都で流行ってるリボン型になっている。
肩紐は細身だから、サンドレスとして着用しても良い。
ということで、お前にはサンドレスとして素肌に着て貰ってる」
このリボン型が胸元を更に強調させて恥ずかしいのです、と言いたい……です。
「私のは半袖ワンピース。上身頃は総シャーリングなのでサイズに少しゆとりがある。うん、実に着易い」
で、俺は素肌で少尉はブラウスを下に着ている訳なのですね。
「うん。まだ春とはいえ寒いし。ブラウスを着ると丁度良い」
で、俺は素肌なんですよね。
「むっ。お前はボレロを着ているであろう。あとレースの手袋もしてるし。ちっとも素肌じゃないじゃないか」
いや、上に羽織ってるだけとガッツリ着こんでるのとは訳が違いますから。って、人の話聞いてないでしょ、少尉……。
聞いてかいないでか、お揃いでアクセサリーも作ったのだー、と息巻いています。
それって、俺の首からぶら下ってるこのリボンモチーフのネックレスのことでしょうか?
「そうだ。私はゴールドにピンクの薔薇モチーフ、伍長のはシルバーにブルーの薔薇モチーフ」
少尉は俺の胸元のネックレスに手を伸ばし、位置を直しました。
「衣装の色に合わせて作ったのだそうだ。庶務課は本当に良い仕事をしてくれる」
俺は自分の髪、もとい鬘に手を伸ばしました。ロングヘアの髪を緩くまとめて髪留めで留めてあります。
この髪留めも、あと俺の中指に嵌めてる指輪もお揃いなのだそうです。
ついでに今日履いてるソックスにも同じ柄が使われています。
「ほら伍長、そろそろ見えてきたぞ。今日のターゲットがいる場所だ」
◆
アイビーの絡まるレンガ造りの塀。
その塀に沿って奥に進むとマホガニーの扉が姿を見せる。
呼び鈴を鳴らし、静かに時を待つ。
「──お帰りなさいませ。お姫様」
「──って、貴方はクレイモア・ワンの……」
慌てて少尉を見ると、少尉はすました顔をしています。
顔にそう古くない傷をつけた副長がそこにはいました。
「本日お姫様方を担当致します執事です。こちらはフットマン」
ぺこり、とお辞儀をする小柄な人。頬に小さな傷があります。あれ?この人って男の人だったっけ?
「……私は女だ」
小さいけど地獄の底から響いてきたような声で窘められてしまいました。
「お荷物をお預かりしましょう」
副長、もとい担当の執事が少尉のバッグを受け取りました。今日の少尉のバッグは大きい気がします。
「……見た目だけでなく、本当に重いんですね」
フットマンの案内で席に向かいます。お店の奥にあるL字型のソファ席です。
少尉と俺は斜向かいに座る形になりました。
俺の横には扉があり、どうやら非常口のようです。お店の雰囲気を損なわないようにうまくカモフラージュしてあります。
席に着くと執事がやってきて膝の上にナフキンを掛けてくれ……
「ひゃっ」
「どうした、伍長?」
隣に立ってる副長もとい執事を見上げると口の端でニヤリと笑われました。
「……なんでもないです」
膝の感触。故意に撫でられたものだと思います。ワザとやってるに違いない、と確信しました。
なんで俺なんだ??
「伍長」
少尉が1点を見つめています。その視線の先にいるのはは男女ペアのお客さん。
「ターゲットのお出ましだ」
◆
──帝国陸軍内に間者がいる。
極秘に内偵を行って調査した結果、情報部資料課の女性に絞り込まれた。
どんな情報をやり取りしているのか俺たちは聞かされなかったけど、
相手は共和国の諜報機関の人間である、ということだけ教えてもらえた。
今日がその密会の日。こうして2人で潜入している訳なのです。
なのですが……。
「……見えません」
そう、俺の位置からだとレンガ造りの柱が邪魔して、ターゲットが見えないのです。
「もう少しこっちに寄れ」
少尉が身体を横にずらし、俺は少尉が座ってた位置に座ります。
情報部の女性は長めの髪の毛をサイドに垂らしているので顔が良く見えない。
男性は大きめの色眼鏡をしており、顔が判断し辛い。
「うーん、良く判りませんが本当にあの二人がターゲットなのですか?」
「勿論。ひと月も前から予約しているのだ。あの席に通すという軍からの事前情報がある」
今日は特別な日なのでな、と少尉は呟きました。
「特別な日?」
「ん?お前知らないのか?今日はこの執事喫茶のプリンセスデーなんだぞ」
ぷりんせす???
「ああ、桃の節句に合わせたスペシャルメニューが登場するのだそうだ」
もも?せっく……す??
「性別か?ああ、桃の節句とは東洋の慣わしでな。女の子のお祭りなのだそうだ。
それに因んで女の子をもてなすイベントを開催しているらしい」
はあ、女の子のお祭りですか。俺がいるのは場違いではないでしょか?
「まあ、そんな日に予約を入れたターゲットの心情に些か疑問を覚えるけどな」
ふぅ、と息を吐くと俺に目配せをして席に戻るよう促しました。
「それにしてもあの役をよく引き受けたものだな、1課は」
「あの役?」
身体をずらしながら訊ねます。
「給仕だ。フロアにいるのは全員『第1の大剣』だ」
ぇぇぇえええええ!ぅもんぐっんんんん……。
「こら、驚くな。客だってターゲット以外は陸軍情報部の人間しかいないぞ」
少尉に口を抑えられ息苦しくなった俺は大きく息を吐く。
「それって、やっぱりターゲットが予約を入れた時から決まっていたことなんですか?」
「いや、最初はこちらの店に協力を要請したのだが……何分、要請したのが陸情1課だからな」
「断られたのですか?」
「店自体は開ける、けれど従業員の安全を考えて当日のサポートは一切できない、という回答だったそうだ」
まあ、今までのことを考えれば至極当然な意見だと思われます。
「仕方ないので当日までの1ヶ月間、陸情1課の面子を執事に仕立て上げたらしい」
仕立て上げたらしい、というか目の前にその仕立て上げた方がいらっしゃるんですけど……
「お水をお持ちしました、お姫様」
◆
目の前に水の入ったボトルを手にした執事(副長)がいます。
少尉の前に置かれたグラスに音を立てずに優雅にお水を注いでいきます。
次に俺のグラスに注ごうとして……
「失礼致しました、お姫様」
グラスに注がれたお水が撥ねてしまい、俺の頬と胸元に掛かってしまいました。
「大丈夫ですから」
俺は自分で拭こうとハンカチを取り出しましたが、
それよりも早く執事(副長)が胸元からハンカチを取り出し、俺の頬の水滴を拭き取ります。
次に胸元も拭いてくれるのですが……そこまでお水撥ねてないと思うんですけどっ!
なんか拭くというよりも、どんどん揉まれてる感じがして…きて……。
やだっ、なん、っで。こんなこと……されな、くちゃ…。
「んっ、や……っあ」
変な感じが止まりました。見ると少尉が執事(副長)の手を制してくれてます。
「失礼」
執事(副長)はフッと笑うと無言で立ち去りました。
続いてあの小さなフットマンがメニューを持ってきて、
そこから桜と桃の各のスウィーツセットをオーダーしました。
「すまない、変な任務に同行させてしまって」
フットマンがメニューを下げた後、少尉がぽつりと漏らしました。
「本当は私ひとりで潜入しようとしたのだが……。3課から2名選出するようにと上からの要請でな」
すまない、伍長……と唇を噛み締める少尉。
沈黙が辛いです。何かお話しなくちゃ。
「あの、少尉。ターゲットの様子はどうです?」
よし、任務のことだし不自然じゃない。
「あ、ああ。特に変わった様子はないようだ」
良かった。いつもの少尉に戻ったみたいです。
「それにしても、席に着いたのが向こうの方が遅かったのに、もう紅茶が出されているではないか」
ごめんなさいごめんなさい。良く解らないけど俺がちょっかい出されてた間に先を越されたようです。
その後も食い入るようにターゲットを見つめています。
俺の場所からは柱の影で全く見えないので少尉頼みなのですが、そんなに見てたら不信に思われちゃいますって。
眉根を寄せてるところを見るとちょっとご立腹みたいです。食べ物の恨みは恐ろしい……。
ふと、少尉の眉根の皺の数が減ったと思うと、今度は頬を染めて俯いてしまいました。
「どうかしましたか、少尉?」
「なっ、なんでもないっ!」
テーブルの上で拳を握り締めてる人がなんでもないわけないのですが。
「むこうは注文の品が出揃ってるというのに、こちらはまだなのか!?」
なんか怒りの矛先が俺になってるんですけど……。
◆
ぷりぷりしてる少尉を宥めていると、銀のワゴンを押した執事がやってきました。
「お……待ち致しま…した。お姫……様」
なんかたどたどしい執事だなぁ…と見上げると、そこにいたのはクレイモア・ワンの隊長さん。
俺と目が合うと、気まずそうに視線をそらしつつ少尉の前にデザートプレートを並べました。
「こちらが桃をメインとしたスウィーツでございます。黄桃のショートケーキ、白桃のタルト、ピーチジュレです」
顔を真っ赤にしていても仕事は素早いです。次に俺の前にプレートを並べます。
「こちらは桜をメインとしたものです。桜のムースケーキ、チェリータルト、桜のジュレとなっております」
可愛らしくて春らしい色合いでとても美味しそう。
「お口直しとして、桜のアイスクリームと赤ピーチのシャーベットを後ほどお持ち致します」
隊長さんは一礼すると、そそくさと席を離れていきました。
それから先ほどとは違うフットマンが紅茶を持ってきました。
少尉はピーチティー、俺はカモミールアッサムです。少尉は桃尽くしですね。
「早速頂くとしよう」
さっきまでとは打って変わって御機嫌モードになったようです。
なんだかんだ云っても、少尉も女の子なんだな。タルトを口に入れてうんうん頷いてます。
「なかなかうまいぞ!どうだ、伍長も早く味わうと良い」
「はい、少尉」
それではまずムースケーキから。控えめな甘さと滑らかな舌触りでとても美味しい。
タルトはしっとりしていて味わい深く、ジュレはほんのりと桜の香りが漂います。
すぐに食べちゃうのは勿体無い。折角だから少尉にも食べてもらいたいな。
「桜のジュレ食べてみます?」
フォークを口にくわえたまま、こくん、と頷いたので少尉の分をスプーンで掬う。
「はい、少尉。あーん」
添え手をして差し出す。あれ?きょとんとしてる。
「お、お前までそんな、ことっ……を…」
ん?俺おかしなことしたかなぁ?なんか少尉のお顔が真っ赤です。
「少尉?…あまり好きではないですか、ジュレは」
「そっ、そんなことは…」
わかった!
「あっ、すみません。多かったのでしょう?」
少尉のお口には多すぎたようです。少し量を減らしましょう。
「いや、良い。そのままで。……頂こう」
良かった。添え手をしてお口にスプーンを近づけます。少尉は大きく口を開け、近付くスプーンをぱくっと咥えました。
少尉、強く咥え過ぎです。唇の隙間からスプーンをうまく引き抜けないので、顎を少し抑えて引き抜くことに成功。
暫くもきゅもきゅしてから飲み込みました。でも苦虫を噛み潰したような顔してるんですけど……。
「あの……。お気に召しませんか?」
思わず少尉を覗き込んでしまいました。
「……おいしい」
なんだか心ここにあらず、といった様子ですが、美味しく頂けたようで何よりです。
「良かった。少尉も気に入って頂けて。ほんのり桜の香りが広がりますよね」
また一匙ジュレを掬うと、今度は自分の口に運ぶ。味わう。うん、美味しい。
あら?少尉の様子が益々変です。俺をじっと見ています。見られても困ってしまいます。
視線を逸らした先には黄桃のショートケーキがありました。
「少尉のも美味しそうですね」
「へっ?」
少尉らしからぬ素っ頓狂な声。
「それです」
桃のショートケーキを指差しました。
「食べてみたいのか?」
「頂いてもよろしいですか?」
「ああ、いいぞ」
じゃあ遠慮なく、と俺は口を開けて。少尉はフォークと睨めっこして。このままずっと待ってるのって間抜けだなぁ。
「伍長、あーん、だ」
ケーキが口に突っ込まれました。もぐもぐ咀嚼してから飲み込みます。
「さっぱりとして甘さ控え目で美味しいです」
「もっと欲しいか?」
え、もっと食べて良いのですか?
「はい、欲しいです。……少尉」
◆
お互いがオーダーしたスウィーツを食べ比べしているうちに、時間が来たようです。
「お姫様、そろそろお出掛けの時間で御座います」
執事(副長)が席にやって来ました。
結局ターゲットが不穏な動きを見せることなく、任務完了になってしまうんですけど。
「それではご案内致します」
促されて席を立った瞬間……。
女性の悲鳴。
椅子が倒れる大きな音。
誰かが走ってくる音。
「伍長!止めろおおおおおっ!!!!!」
俺は咄嗟に飛び出し、突進してくる人影を待ち構えました。
人影は勢い余って俺の胸に飛び込む形になり……
ぼよ〜ん
「豊満な……おっ…ぱい……」
俺の胸にバウンドしてそのまま真後ろに倒れてしまいました。
そこを少尉が組み伏せ、後ろ手を縛り上げました。
あの少尉、もういいですよ。なんかその人顔真っ青になってますよ。
「止めて下さい!彼が何をしたと言うのです!?」
資料課の女性が駆け寄ってきました。
「何をって、お前たちは通じ合っておったのであろう?」
少尉はストレートに言い放ちます。
「ええ、私たちは愛し合ってますわ!」
あ……
「愛だとぅっ!!!!!???」
クレイモア・ワンの方々が全員彼女を取り囲みました。
「お前たちは暗号化した文書のやり取りをしていたではないか!」
隊長さんは手紙を装ったと思われる文書を彼女に突きつけました。
「それはっ!恥ずかしいっ。恋文です!!」
「恋文となっ!?」
つまり、陸軍情報部が得た情報はなんてことはない、ただ愛の言葉の羅列だった、ということでした
「──で済むと思うかっ!内容だって、ルールに則って解読すれば機密情報と思しきものが……」
「それは帝国の暗号ルールでしょう。私たちのルールで解読すると……」
その内容を聞いて隊長さんは顔を真っ赤にし、耳を塞いでしまいました。
「それで、馴れ初めは?」
「副長っ!!!」
◆
「伍長、帰るぞ」
情報部の勘違いで事が大きくなってしまいましたが、
『実際、こちらも誤解されるようなことをしていた訳ですから』
と、訴えることはしないとのことでした。
「何はともあれ、疲れたな」
少尉は執事に連れられることなく、勝手に外に出てしまいました。
「お荷物お忘れですよ」
眼鏡をかけたクレイモア・ワンの方がクロークからバッグを出してくれます。
少尉のバッグです。なんか重いです。
「本日は19時から晩餐会の予定です。お早めにご帰宅されるよう願います」
少尉を追いかけなきゃ。
「──お姫様のお帰りをお待ちしております」
少尉のバッグを片手に小さな背中を追いかけます。
「少尉!待ってください」
くるん、と振り向くと慌ててこちらに駆け寄ってきました。
「ああ、すまん。バッグを持たせてしまって」
「いえ。それより何入ってるんです?重いんですけど」
俺からバッグを受け取ると、中から紙の手提げ袋を取り出しました。
「やる」
「へっ?」
「お前にやる。正確にはちょっと違うけどな」
手提げ袋の中を覗くと、見慣れたものが……
「猫缶?」
ひとつひとつリボンが巻いてあります。
「バレンタインのお返しだ。ほら、そろそろホワイトデーだからなっ」
数えてみると12個。1ダースありました。
「お前がどんな時に嬉しいか考えたら、猫に餌あげてる時しか思い浮かばなかったんだ」
栄養のバランスも考えて頂いてるみたいです。
「いろいろ考えてみたのだぞ。いろいろとな……」
「ありがとうございます、少尉。あいつらも喜ぶと思います」
「そうか、良かった!」
それではこれから庁舎に帰って着替えましょう。
「何!?まだ着替えちゃダメだ!」
何故??
「折角色ち双子なのに、写真を撮らないでどうする!?」
色ち?ああ、色違いってことですか……。
「でも、写真を撮るにしても庁舎に帰りましょうね、少尉」
後日。
現像に出したフィルムが秘密裏に焼き増しされ、
執事喫茶で隠し撮りされた写真と共に1課内に配布されたことを、
3課はまだ知らない
おしまい
↑の執事喫茶イベントは期間限定で実際に行われてました。
「お姫様」もちゃんと言ってましたよw
なんだか伍長がだんだんヒロインではなくお母さんになってきてるorz
食べるシーンばかりだったけど、後悔はしてない。
リアルタイム遭遇ktkr
副長になりたいくらいGJでした!
ああ、でもあの格好のまま猫に缶詰あげてる伍長も見てみたい…
可愛い!伍長、可愛いよ!GJです!
庶務課も然る事ながら、1課も良い仕事するなぁ!副長!イカすです!
任務の最中にも伍長へのセクハラを忘れない副長に、惚れました。
スウィーツの描写が細かくて、旨そうです。食いたい。
ドロワーズの人GJ!
それにしても、庶務課の人たちの裁縫の腕スゴいよ!
伍長のと少尉の華やかなドレス姿が眼に浮かぶようだ
さり気なく伍長にセクハラをする副長
節句をセックスと言ってしまう伍長
顔を赤らめる隊長も可愛い
そういうちょっとした所も楽しませてもらいました
セクハラしゃらすめんと副長GJw
関節キスしてることに気づかない鈍感伍長
でも体は敏感…(*´Д`)ハァン
ドロワーズの人さんのは毎回絵付きで見たいと思ってしまう
誰か映像化してくれ!
連投ゴメソ。書き忘れた。
無理してる感ありありのスナブノーズ隊長にも禿萌えた
さすが伍長と肩を並べる総受けだけの事はありますねw
ソリスさまの旦那と並べて総受け三羽ガラスですな。
208 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/13(火) 00:19:42 ID:xMajYwAN
みんなゴツイってのが岩永先生のいいところだと思います。
209 :
戦隊の人:2007/03/13(火) 01:08:45 ID:???
ドロワーズの人GJです!
少尉と伍長のあーんには思わずニヤニヤしてしまいましたw
クレイモア・ワンの執事喫茶もいいけど、伍長の執事も見てみたいかも…
ドロワーズの人のロマンチックなSSの後で気が引けるのですが、
新しいSSが出来たので投下してみます。
※戦隊シリーズではありません
※非エロです
人工伍長で遊んでて思いついた小ネタですので、ちょっと短いのですが、よろしくお願いします
「ただいま帰ったぞ!」
「あ、アリスさんお帰りなさい!」
家族と旅行に行っていたアリスが、3課に久しぶりに帰ってきた。
「旅行のほうはどうでした?何でもローデリアのビーチリゾートに行ってきたとか」
「うむ、びっくりするくらい暑かったが、景色は綺麗だし、食べ物は美味しいし、とても
いいところだったぞ。だが、皆に仕事を押し付けてしまって申し訳なかったな」
「いえ…少尉がちゃんと楽しんでいただけたみたいで、俺、よかったです」
「そうか…だが、ただ遊んできたわけではないぞ。皆が仕事している間遊んでしまったお
詫びといっては何だが、プレゼントを用意してある」
「わぁ、何ですか?」
アリスは、手に持っていた大きな袋をテーブルの上で広げて見せた。中には帝国では見た
ことが無いような南国のフルーツがいっぱい入っており、3課のメンバーは驚いた。
「おー見たことも無い食い物がいっぱいあるじゃないか!」
「これ全部帝国じゃ高級食品ですよ。少尉こんなに持ってきていいんですか?」
「いや、ローデリアのほうでは意外と安かったぞ。帝国には暖かい地域が少ないからきっ
と高いのだろう」
皆が色とりどりのフルーツを嬉々とした表情で見ていたとき、ふいにステッキンがある果
物を発見した。
「あ、バナナもあるじゃないですか!これ帝国じゃなかなか食べられないんですよね〜」
「バナナ…」
「あれ、デカブツバナナが好きなのか?」
伍長がバナナを優しい表情で見つめているところを、オレルドが尋ねてきた。
「あまり食べたことは無いんですけど…。昔、俺が小さい頃、風邪引いて寝込んでいたと
き、母が奮発して買ってきてくれたことがあったんですよ。そのときのバナナがとても美
味しかったのを思い出して…」
伍長が遠くを見るように昔のことを話していたとき、アリスが伍長のそばに寄ってきた。
「そうか、いいお母様だったのだな…。よし、そういうことなら、伍長にはこのバナナを
やろう!」
「え、いいですよ少尉!バナナなんて高級品、俺なんかより他の皆さんに分けた方が…」
伍長が両手を前に出してバナナの受け取りを拒否しようとしているところに、何かを懐に
抱えたような、ニヤニヤとした表情のオレルドが近寄ってきた。
「気にすんなってデカブツ!俺たちのことはいいからさ。お母さんとの思い出のバナナだ
ろ?ありがたく受け取っておけよ」
「え…い、いいんですか?」
「果物なら他にも色々あるしな。な、マーチス?」
オレルドがニヤニヤしながら束ねた指を口に咥えるジェスチャーをマーチスに見せたとき、
マーチスはオレルドの企みに気付き、慌てて伍長に近寄ってきた。
「そ、そうだよ伍長!バナナなんてめったに食べられるものじゃないんだしさ!他にも果
物はいっぱいあるんだから、僕たちのことは気にしないで受け取りなよ!そ、そうだ!せ
っかくだからここで食べれば?」
「お、おいマーチス!ちょっと慌てすぎだ!」
「お前たち何をやっているのだ?ま、ともかく伍長、バナナはお前が食べるがよい」
「そうですよ伍長さん!」
「じゃあ、皆さんがそういうのなら…、ありがたく頂きます」
オレルドとマーチスの企みなど全くわからない伍長は、照れ笑いを浮かべながらバナナを
受け取った。
そしてバナナの一つをもいで食べようと手をかけたとき、今後はオレルドが慌てて伍長の
そばに駆け寄ってきた。
「な、なぁデカブツ!せっかくだからこの一番でかいバナナにしろよ!」
そう言ってオレルドが指したのは、長さが30センチ、直径が5センチもある、房の中で一
番大きいバナナだった。
「そうですね…せっかくだからこれを食べますか」
伍長はその大きいバナナを取り、ゆっくりとした手つきで皮を剥いでいった。白くつるん
としたバナナの中身が現れ、伍長はそれをうっとりとした表情で眺める。
「うわぁ…太くて大きくて美味しそう…」
伍長がバナナを顔に近づけ、食べようとする姿を、オレルドとマーチスは固唾を呑んで見
守っている。伍長はしばらく食べるのを躊躇った後、ゆっくりと口をあけ、バナナの先端
部を飲み込んでいった。
あーん
ぱくり
むしゃむしゃ
ごくん
色っぽい表情で、ゆっくりと、じっくりとバナナを貪り食べるその姿に、オレルドとマー
チスは見とれてしまっていた。ハッとオレルドが我に帰り、伍長に話しかける。
「ど、どうだ…デカブツ、美味いか?」
「あ、はい、とても美味しいです!このバナナ!」
バナナの白い食べかすを口の周りに付け、それを指と舌で舐め取りながら、伍長は嬉しそ
うに話した。
「久しぶりにバナナ食べたんですけど、こんなに甘いバナナは初めて食べました!美味し
いなぁ…あ、もう食べ終わっちゃいました」
自然ににじみ出る伍長のエロいバナナの食べ方に、オレルドもマーチスも頭の中が完全に
沸騰した。
…やばい、エロ過ぎる……もっと食わせてみたい!
伍長が皮だけになったバナナを寂しそうに見つめていたとき、オレルドが残りのバナナを
持って近寄ってきた。
「な、なぁ、デカブツ、まだバナナはいっぱいあるんだから、もう一つ食べたらどうだ?」
「そ、そうだよ伍長!なま物なんだから早めに食べなきゃね!」
「え、えと、そうですね…じゃ、もう一つ食べようかな」
「お前たち、食べるのはいいがその後でちゃんと仕事しろよ」
「あ、すいません少尉!じゃ、次はこの太いのを…」
あーん むしゃむしゃ ごくり
その後、伍長はオレルド達に無理やり勧められるままバナナを3本も食べ、満足した表情
で仕事をこなした。一方、伍長のバナナ食いを堪能したオレルドとマーチスは、仕事も手
につかず、ぼんやりとした表情のままでアリスに怒られるのであった。
その日の夕方、仕事が終わったオレルドとマーチスは、市場で大量のバナナを買い、全て
伍長にプレゼントしたという。
(デカブツ…いつか絶対俺のバナナを咥えさせてやる!)
(伍長をバナナで餌付けして、いつかは僕のバナナを…)
―おしまい―
213 :
戦隊の人:2007/03/13(火) 01:16:44 ID:???
短いうえに非エロでスイマセン…エロ書くの難しいよorz
本当は戦隊シリーズ書きたいんですが、
なかなか伍長の対戦相手が思い浮かばないんですよね。
誰か良いネタあったら教えてくださいw
伍長 ほのぼのしたv
GJです!
想像力が膨らみました!!
215 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/13(火) 02:13:30 ID:Id9DfgfC
>ドロワーズの人
和みました!
伍長も少尉も第1の大剣の方々も皆可愛いですw
副長がますます好きになってきました
何故名前が出ないのか不思議で仕様がない…orz
しかしオシャレを気にしない自分には知らない単語が多すぎました(うдT)
ググって勉強してきます!
いい機会を与えて下さって本当に感謝です!
>戦隊の人
あわわわww
非エロだなんてとんでもない!
普通にエロいですよ性的ですよ伍長ホントいい仕事!
伍長がいらないって言っても無理矢理口に
突っ込みたい気分になりました
いちご、きゅうり、ナス、にんじん、ゴーヤ、大根
アイスクリーム、蜂蜜ところてん……
人工伍長創ってくれた人も皆ネ申です…ww
>>戦隊の人
十分エロいです!!力いっぱいエロいです!!自分が読んでいる間
オレルドになってました。orzちっくしょー!エロ過ぎるぜ!伍長!
そこはかとないチラリズムがGJで、ステキです。
モロ出し過ぎる自分にはマネの出来ないネ申技!和み系ブーム到来です。
皆さん感想ありがとうございます。
皆さんのカキコを見て、あれ?こんなん書いてたっけ?と見返す阿呆です。
さっきメモ帳を確認して「ポロリもあるでよ」とのサブタイトルをつけてたことを思い出しました。
ポロリさせるつもりだったんだ、自分。。。
ついでにひと言。携帯から読むと
>>194>>195が連投しているように見える罠w
>>202 リアルタイムありがとうです。
実は猫缶あげるエピソードもあったのですが、gdgdになり過ぎたので省きました。スマソ
>>シャワーの人
副長はカワイコちゃんを見ると手を出さずにはいられないイタリア人のイメージがして仕方ありません。
スウィーツの描写は実際に私が食べたときの感想だったりします。
>>204 庶務課の人たちは日夜努力を怠りません。
毎日運針をしたり、たまにお針子修行に出向いているのかもしれません。
そういった努力の賜物なのでしょうね。きっと。
>>205 絵なら自分で描く、と言いたいところですが時間がなく。。。
帰宅するとリアルタイムでパンプキン見られちゃう感じです。
実はそろそろ自ブログにまとめようと思ってるのでそのうち描くかもです。
つか、誰か描いて〜
>>戦隊の人
バナナGJ!!もっと他の果物もプリーズ!!!
戦隊の人がロマンティックなんて言うものだから、そうだったかしら?と調べてみました。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ロマンティック:(形動)現実離れしていて空想的で甘美なさま
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
そんなこと言ったら、ここのスレに投下してる作品みんなロマンティックやわ〜w
>>215 本当に副長のお名前が出てこないのが不思議ですよね。あんなに大活躍なのに。
ああ、知らない単語多すぎましたか。すんません。
あまり細かく書くと服SSになっちゃいそうなのでこれでも自粛してたりするんですよ。
長文失礼しました。
(ノдT)ウワーモウコンナジカンダー
>>戦隊の人
このスレ神職人大杉
必死なオレルドとマーチスに禿ワロタwww
しかし必死になる気持ちも痛い程分かるw
自分なら間違いなく「最初は噛まずに舐めて味わえ!」と言います
>戦隊の人
こういうノリも凄く好きです!
バナナを食べる時の伍長のセリフと仕草にノックアウト
お次は是非、准尉達のバナナを食べて欲しいですなw
220 :
保管庫の人:2007/03/13(火) 06:51:25 ID:???
>>ドロワーズの人
いつもながら華のあるSS乙です。
食べさせっことかカワエエ…伍長のボレロがラッパ袖(姫袖?)なら尚の事カワエエw
にしてもシャーリングを絵にするのは難しそうですぞ…
>>戦隊の人
乙です、なんか芸風幅広いですな。
バナナエロいよバナナ。
>218氏ではないですが私なら「冷凍バナナ美味しいよ!(゚∀゚)」と必死で勧めて
凍って硬くなったモノをねぶるように食う伍長のエロい様子を堪能いたしますw
ついでに業務連絡。
>>PCユーザーの皆様
保管庫PC用に2スレ目SS何本かうpしますた。
あと2日くらいあれば2スレ目完了できそう。
>>220保管庫の人
乙です!
続々と更新される神SSの数々に楽しませて貰ってます
しかし冷凍バナナ…
その手があったかw
222 :
戦隊の人:2007/03/13(火) 18:41:51 ID:???
皆様コメント有り難うございます!よくよく考えるとバナナを食うだけのSSなんですけどね…
>>214 想像力を働かせてエロ伍長を楽しんで下さってこちらも嬉しいです!
>>215 エロいと言ってくれて嬉しいです!伍長にはエロい食い物いっぱい食わせたいですね。
人工伍長には本当に感謝しています!
>>シャワーの人
チラリズムですかw自分はストレートなエロは書けないのでいつも誤魔化しているんですけどね。
力強いコメントに勇気付けられました!
>>ドロワーズの人
バナナ以外にエロい果物あるかな…難しいですね。出来ても多分ロマンチックじゃないしw
ドロワーズの人のロマンチックさには敵いませんorz
>>218 神職人認定有り難うございます!
本当は舐めるシーン入れたかったんですけど、不自然になるから諦めたんですよね…。
>>219 バナナ食うシーンは苦労したので、喜んでもらえて嬉しいです!でもこの調子じゃ、
オレルド達のバナナ食うようになるのは当分先のことなんだろうなぁ。
>>保管庫の人
冷凍バナナ…その手がありましたか!早速使わさせて頂きましたw
皆様のコメントを参考に、ちょっとしたオマケを書いてみました。
よろしかったらどうぞ。
「や、やぁ伍長。この前あげたバナナはどうだった?」
「あ、マーチス准尉、美味しく頂いていますよ。でも、量が多いので、何か別の食べ方が
あればいいんですけど…」
「そ、そういうことなら僕いい方法知ってるよ!ちょっと待ってて!」
勢いよく飛び出したマーチスは、しばらくすると何かを抱えたまま息を切らして戻ってきた。
「お、お帰りなさい…、あの、持ってきたものは何ですか?」
「ああ、これ?ヨーグルトだよ。伍長、ちょっとバナナを一本持ってきて」
マーチスは伍長が持ってきたバナナを剥くと、先端部のほうをヨーグルトの中に突っ込ん
で、しばらくしてからドロドロの白い液体に浸かったバナナを伍長に差し出した。
「バナナ単体で食べるのもいいけど、こうするととっても美味しくなるんだよね!ハイ、
どうぞ!」
「へぇ…ヨーグルトがいっぱいかかっていてとても美味しそうですね。じゃあ、頂きます」
伍長は液体まみれのバナナを、こぼさないようにゆっくりと口の中に含んでいった。
ばくり
じゅるじゅる
ちゅーちゅー
ごっくん
一生懸命白いドロドロのバナナを食べるその姿を、マーチスは鼻息を荒くしながら見ていた。
「ど、どう?伍長…美味しい?」
マーチスが恐る恐る訊ねる。
伍長は口の周りに白い液体をいっぱい付け、それを舌なめずりしている。
「バナナの甘みとヨーグルトの酸っぱさって、とても相性がいいんですね。美味しいです!」
「そ、そっか〜!それは良かった!」
「でも、バナナは切ってからヨーグルトに入れた方がいいんじゃないですか?これだと口
の回りが汚れちゃいますし…」
「いや、汚れた方が…じゃなくて!や、やっぱり、バナナはそのままの棒状で食べた方が
いいからね〜、ア、アハハ…」
「? えっと、とりあえず、教えてくれて有難うございます」
マーチスのエロバナナを伍長が楽しそうに頬張っているとき、今度はオレルドが乱入して
きた。
「よ〜うマーチス、抜け駆けはよくないぜ〜」
「オ、オレルド!僕は別に…」
「あれ、オレルド准尉、今度はどうしたんです?」
「ようデカブツ。バナナヨーグルトもいいけど、イイ食べ方なら俺も知ってるぜ」
「へぇ、どんなのですか?」
「ちょうど持ってきたんだよ。えっと…これだこれ」
そう言ってオレルドが差し出したのは、剥いたバナナに棒を挿してカチカチに凍らせたも
のだった。
「これは…バナナのアイスですか?」
「ま、そんなもんかな。結構固いから、歯を立てずに舐めるように食べた方がいいぜ。さ
さ、溶けないうちにどうぞ」
オレルドから貰ったバナナアイスを、伍長はまじまじと見た後、口を近づけゆっくりとし
ゃぶり始めた。
ぺろぺろ
ちゅるちゅる
べろべろ
ちゅーちゅー
口の周りをよだれとバナナアイスでべちょべちょになりながら、伍長は顔を赤らめ、バナ
ナを丹念にねぶり舐め回している。その姿を、オレルドもマーチスも興奮して見つめてい
た。
「どうだ、デカブツ?美味いだろ?」
「はい、冷たくて甘くてとっても美味しいです!でも、ちょっと固いかな…」
「そりゃ固くないと舐めてくれないからな」
「え、どういうことですか?」
「い、いや、こっちの話さ…。そ、そうだ、デカブツ。こんなのもあるぜ」
オレルドは、今度はさっきのバナナアイスにチョコレートをかけたものを差し出した。
「バナナとチョコレートも相性がいいからな。さ、早く食ってみろよ」
「え、いいんですか?有り難うございます。うわ、黒くてとてもおっきいですね…」
ぺろぺろ
れろれろ
じゅるじゅる
その後も、オレルドとマーチスがあれこれ考えたエロバナナ料理を、伍長は喜びながら全
て頬張ったという…。
(マーチス…意外とやるじゃないか)
(オレルドもね…)
―おしまい―
ちょwマーチスにオレルド……www
この場合、マーチスとオレルドにGJ!と言うべきか
戦隊の人さんに言うべきか悩んでしまいますなw
とにかくどっちもGJ!でした
オマケが読めるなんて、なんて豪華なんだろう!
うは〜俺も伍長に丸ごとヨーグルバナナ食わせてぇ〜(;´Д`)ハァハァ
ブフォッ!!!(鼻血噴出)
戦隊の人ったら…。なんてGJなのですか?!
帰って来てパソ立ち上げたら、こんなステキなSSが…!至福!!
オレルド!マーチス!良い仕事をありがとう!いや、戦隊の人、ありがとう!
しかし、エロい!ヨーグルトに冷凍バナナにチョコバナナと来たかぁ!
いやー、オジサン一本抜かれた…いや、取られたなぁ!
オマケGJ!
内容は全然エロくないのになぜか凄くエロ
バナナをほうばる伍長がやばいぐらい可愛い
バナナのバリエーションにいま電車の中で噴いてしまいましたよ!GJっす
ヨーグルトがいいなら冷たいバニラアイスクリームもあるよ、伍長♪
ヨーグルバナナktkr!!w
マーチスとオレルドの煩悩にまみれたハァハァ顔がとってもGJ!
伍長は言わずもがなエロGJ!!
ごちになりましたー
バナナの房部分を手で隠して絵を堪能したのは自分だけじゃないはずだw
>>229 うほw
下心無くバナナを美味しそうに食べる伍長カワ
ヨーグルトがどう見てもアレにしか見えない自分が嫌だw
しかも
バナナの部分を手で隠すとエロ!
密かな楽しみを教えてくれた
>>230さんもありがとう
遅くなりましたが、前回絵の感想をくださった方々、ありがとうございました。
今回はドンデレオレ伍の続きを投下致します。
相変わらず進歩の無い二人です。
また長いです。すいません、毎度毎度。
前提
(ノンケ)オレルド×伍長
ホワイトデー前のお話。
ベタです。少女漫画テイスト。ちょいエロ。
じれったいのは嫌よ、と言う方はご注意。
ではどうぞ。
女というのは、何かとイベントや記念日にこだわる生き物だ。
自分にとってはどうでもいいようなことでも、覚えていなければヒステリーを起こす女性が少な
からずこの世には存在する。
初めて会った日、一緒にご飯を食べた日、靴を買って貰った日、髪の毛を切った日。
なんでも記念にしたがるというのは、考えようである。
甘ったるい匂いを纏わせるイベント・バレンタインデーは、軍内部でも当然あった。
表向きでは行事に関わる行動は一切禁止とされているが、それを守れるほどの人間は数少
ない。
持って来たらダメだと口では言う上層部の人間も、少なからず胸に心躍らせ持ってきてくれ
るのを待っている。それが本音だ。
そのイベントがもっとも似合う男だと囁かれるオレルドは案の定、その日は大いにモテていた。
部署へやって来て渡す者、一人で歩いているところを見計らって渡しに来る者、少しでもオ
レルドの印象に残るように女性陣は試行錯誤しながら渡しにやって来ていた。
「今年も大量だね」
満杯になったダンボール箱を見ながら、マーチスが呟く。
「こんなにあったら、チョコレートケーキいくつ作れちゃうんでしょうか」
美味しそうなチョコが入っている魅惑の宝石箱に、目をキラキラと輝かせながらステッキンも
便乗する。
「毎年貰ってみろ。ウンザリするぞ」
また一つ、部署にやって来た女性から受け取ったチョコを片手にオレルドが自分の席へ戻る。
手に持っているチョコはどうやら有名な店のチョコらしく、それに気づいたステッキンは『いい
なー』と少し涎を垂らしながら羨ましがった。
チョコをダンボール箱に投げ入れ、イスの背もたれに体重をかけて背伸びをしながらオレル
ドは溜息を漏らす。
「これからしばらくメシは食えそうに無いな。菓子の生活か。はぁ〜」
「いつも大変だね。全部食べるのって」
僕はそんなに貰わないからと自虐的なことを言って笑うマーチスに、嫌味なのか羨ましいの
かわかりにくい言い方をされてオレルドは返答に困った。
「全部食べるんですか!?・・・食べずに捨てそうなのに」
「・・・チビッコ・・・お前が俺をどんな風に見てるのかよくわかった」
「あわわっ。聞こえてました?」
聞こえないように小さな声で言ったつもりがオレルドにはしっかり聴こえていたようで、ステッ
キンは慌てて口を紡ぐ。
「そんなこと言って。前まではロクに食べてなかったじゃないか」
「余計なこと言うなよ」
「女性に好かれるのって本当に大変だね」
「・・・なんか今日ヤケに突っかかってきてないか?」
いつもより言葉に棘を感じたオレルドへ、更にステッキンが追い討ちをかけた。
「あ!わかりました!後で女性にチョコの感想を聞かれたけど答えられなくて、オレルドさん
、怒られたんじゃないですか!?」
「・・・・・・お前はそういうところだけ頭が回るな。単純計算は間違えてばっかのクセに」
オレルドは顔を引き攣らせながらも笑顔でステッキンの頭へ両拳をぐりぐりと擦り付ける。
「きゃあああっ!痛いですー!」
ステッキンの推理は合っていた。
酒好きの辛党であるオレルドにとって甘いものとは、もっとも苦手とする部類。
だからと言って女性の好意を無碍にはできず、今までは笑顔で受け取りつつもあまり口に含
むことは無かった。
処分しきれないチョコは馴染みの店に行って、その場で飲んでいる客達に渡すことでなんと
か事なきを終えていた。
それでも処分出来ないものがある。
それは手作りチョコだ。
既製品とは違って相手の愛情がフルに詰め込まれているそれを食べずに処分は出来ない。
積まれているチョコの中の約三割が手作りで、ただでさえ甘いものを食べたくは無いオレル
ドにとってはその三割が辛い。
過去に一度オレルドは耐えられず、挫折した経験がある。しかもその年は運悪く手作りチョコ
を渡した女性から感想を求められたことがあった。
一口も食べていないチョコの感想を言えるハズもなく、とりあえず当たり障りの無い感想を言
ってみたが、どうやらその女性はチョコではなくクッキーをプレゼントしていたそうで、当然彼女
は大激怒。
その経験も踏まえ、次の年からのバレンタインデーに備えてオレルドはなるべく食べれるよ
うに自分を鍛えた。
興味の無い女性のためにそこまでする必要も無かったが、今まで女性にはマメな人で通し
た男だ。律儀にそれを守ろうとするオレルドはやはり根からマメな性格なのだろう。
それから数週間が経った。
年々鍛えている成果はあって順調にチョコは減っていった。しかしオレルドの体は確実に衰
弱しきっている。
それもそうだろう。毎日三食チョコ漬けだ。体がおかしくならない方が変である。
自分のデスクの上でオレルドはごろごろと体を寝転がしていると、太るどころか痩せていく上
官の体が心配になったランデルが声をかけた。
「大丈夫ですか・・・?」
「んー・・・ま、後一個だからな」
最後の最後に残していたチョコは今まで食べてきたものよりも特大の手作りで、食べるのが
億劫だったオレルドは今まで部屋に転がしていたそれを今日持ってきて、ロッカーに入れて置
いていた。
残すところ後一個ながらも大きいチョコにオレルドは元気の無い声で空笑いをする。
ヤケ気味に笑うオレルドにランデルは余計に心配になった。
「少し休まれたほうが・・・」
「・・・・・・お前、くれなかったよな」
「へ?・・・あ・・・」
オレルドが何を指して言っているのかわかったランデルは黙り込んだ。
バレンタンデーは勇気を持って異性に告白しようという風潮のあるイベント。
異性とは勿論自分の好きな相手で、普段は言葉に出来ないことを形で伝えられるなんて滅
多に無い大事な日。
オレルドは期待をしていないわけがなかった。
恥ずかしがって自分からなかなか話そうとしないこの男の性格は知っていたし、そんなところ
も可愛いと思えるからあえて求めることはなかった。
ただ特別な日ならば、便乗して何か気持ちを伝えてくれるのではないかと、男なら誰だって
淡い期待を持ってしまうものだ。
しかしオレルドが思った以上に、ランデルはそういったイベントにはてんで疎かった。
ランデルもバレンタインデーにはそこそこ女性からチョコを受け取っていたのにも関わらず
、『色んな人からチョコを貰いました』程度にしか認識していなかった。
それについては相手を異性として見ていないとしてホッとする部分もあったが、寂しい気持ち
も否めない。
物が欲しいわけではなくランデル自身の気持ちを聴きたいのは我侭なのだろうか、と、オレ
ルドは悩んでいた。それもあってか、冷たく接してしまう時もあった。
子供じみた態度にオレルドは自分へ呆れるばかりだ。
「別にいいけどよ」
素っ気無い言い方に、ランデルは背中を丸めてしょんぼりと立ち竦んだ。
「あ、あの、准尉・・・」
何か言い出そうとしたランデルの手をぎゅっと握る。
驚いてランデルは目を大きくしたが、次には恥ずかしそうに目を細めて周りをキョロキョロと
見回した。
「・・・怒ってます・・・よね・・・」
手を強く握ったためにランデルは怒っていると勘違いをして申し訳なさそうな顔をする。
ランデルはステッキンにバレンタンデーとはどういうイベントなのかを後日教えてもらい、しば
らくの間オレルドが少し自分に対して冷たいような、妙な壁を感じていた理由がわかって後悔
した。
その態度から、おこがましいかもしれないがもしかして自分からのチョコを待っていてくれて
いたのではないのかとランデルは思った。
振り返れば、自分に好意をよせてくれている彼に対して自分は何も返していない。
けれど今更チョコを渡すのも変な気がした上、今はもう普通に接してくれているオレルドにそ
の話題をどう話していいかもわからず、おざなりになっていた。
「なにが?」
握る手を放すと、今度はランデルが着ている軍服の袖の間に手を滑り込ませた。中の裾を
捲り上げ、露になった腕を掴んで指先で擦る。
「・・・!・・・っ」
優しく撫でるその指使いに、ランデルは顔を赤くして俯く。
その顔を見ていると許したくなるオレルドは自分でも重症だと思った。
「怒ってねぇよ」
子供をあやすような優しい声で言って手を放し、その指でランデルの鼻をぐいっと上げる。
「ハハッ、豚っ面」
ちゃかされたランデルは益々顔を赤くして、困り気味な表情を浮かべながらオレルドの指を
払った。
その日の定時時刻。
ランデルは一人、帰り支度をしていた。
オレルドには気にしていないようなことを言われたが、ランデルにはまだしこりが若干残って
いた。
何も咎めないオレルドに甘えているままではいけない。
気づいていながらも今まで行動しなかった自分を情けなく思い、備え付けの鏡で自分を見て
ぐっと顔を強張らせる。
勇気を出して素の自分をオレルドに曝け出してもうしばらく経つ。
ランデルはあれから何も変わり映えのしない日々を悪いとは思っていなかった。
急速に何かが変化していくには自分の頭じゃ追いつけはしないし、なによりそんな態度でオ
レルドと接する事が不器用すぎて出来はしなかった。
しかしオレルドからは手を繋がれたり、体に触れられたり、スキンシップを取られる事が少な
からずもあった。
それでもその行為はほんの数秒だったり、誰にも気づかれないような二人にしかわからない
行動だ。
ランデルを傷つけないように配慮したスキンシップは、今のこの現状を壊したくないと思って
いるランデルの気持ちを汲んだものだったのだろう。
それを証拠に、決してオレルドは無理強いをしてこなかった。
オレルドはランデルが喜ぶことを思いつき、それを実行する。
ランデルはそんな自分は相手が喜びそうなことを考えてみた事がなかったと振り返る。
考えれば考えるほど自分の身勝手さに自己嫌悪しながらも、オレルドを喜ばせてあげられる
ことを想像しながら着替えていると、コトンと物音をたてて何かが落ちて足下に転がった。
「なんだろう、これ・・・」
拾い上げたそれは薄い茶色の色の大きな箱に、落ち着いた赤のリボンで包まれた物だった。
どうして自分のロッカーの中にこんな物が入っているのかわからず、その箱を開けてみる。
開けた瞬間、顔を覆うほどの甘ったるい匂いが伍長の鼻をかすめた。
中身はホール半分ほどの大きさのケーキだった。
そのケーキはスポンジやクリーム、飾りなど全てがチョコレートでコーティングされた作りにな
っている。
ケーキを眺めていると、急にランデルの腹の虫が鳴った。
誰かに聴かれたわけではないが、つい恥ずかしくなって顔を赤らめる。
そしてふっとオレルドのことが頭をよぎった。
これはもしかしてオレルドが自分宛てに贈ってくれたものではないだろうか。
もうすぐホワイトデーというものがあるのをステッキンに聞いたことをランデルは思い出す。
バレンタインデーには互いに何もしなかったから、ホワイトデーという日に合わせてオレルド
が自分へサプライズをしてくれたのではないかと考えた。
(ダメだよな。俺、貰ってばっかじゃ)
自分へ想いやってくれる相手に何もしないのは最低だとランデルは再び考えつつ、汚れを避
けるために手袋を外してからそのチョコを口にした。
同じく定時刻が過ぎた頃、オレルドは浮き足でロッカー室へ向かっていた。
なんといっても最後のチョコだ、それが終われば好きなだけ酒が飲める。
今まで食べてきたチョコの味は全て個別で完璧に覚えているオレルドに怖いものなどない。
酒が飲める興奮が治まらないままロッカー室の扉を開けると、そこには部下の姿が。
「おおっ、お前も帰るところかデカブツ」
「オレルド准尉もお帰りですか?なんだかゴキゲンですね」
「いや〜今夜飲みに行こうと思ってよ・・・って、え?」
目を疑うとはこういった時に用いる言葉なのかとオレルドは寒心する。
今ランデルが持っている箱はオレルドには見覚えのある箱で、それは開封されていた。
更にはその中身食べたと思われる形跡として、ランデルの手にはチョコレートらしき茶色い
物体が見える。
「それ・・・どこで見つけた?」
聞きたくはないが、聞かなければ始まらない質問をオレルドが出す。
「これでですか?俺のロッカーに入ってました」
「なに!?」
それを聞いてオレルドは今日の朝の出来事を遡ってみた。
思えばいつものように遅刻してきたオレルドは今までのチョコ地獄もあってか、体調がとにか
く悪かった。
朝ということもあるが、脳が上手く回らないまま出勤してロッカー室へ行って急いで着替え、
一旦部屋から出たものの、持ってきたチョコをロッカーに入れ忘れたのを思い出してまた部屋
に入り、チョコをロッカーにしまってから部署へ向かったところまで覚えている。
しかしオレルドは自分のロッカーにしまえていたのか、そこの記憶が曖昧だ。
大概盗まれるような私物を置かないので、マーチス以外はロッカーに鍵をかけていない。
オレルドは間違えてランデルのロッカーにしまっていたという結論に達した。
「もしかして・・・これオレルドさんのだったんですか?」
「・・・」
大きな溜息をつかれ、ランデルはオロオロとするしかない。
「メッセージカード確認してなかったのか」
ランデルは再度箱を開けてみると、上箱からハラリと落ちた一枚のメッセージカードを見つ
ける。
どうやら少し溶けたチョコがカードにつき、それが上箱面にもくっついてしまっていたようだ。
そこには『for オレルド』と書かれていて、ランデルの顔は真っ青になった。
「ごめんなさい・・・」
謝ると同時にランデルの腹の虫が急に鳴り、その音に恥ずかしくなって今度は顔を赤くした。
お腹が減っていたから確認もせずに食べたというのがわかり、オレルドはさっきとは違う意
味の溜息をつく。
(間違えてあいつのロッカーに入れた俺も悪いからな)
そうなるとどうしたらいいだろうかとオレルドは考える。手作りだから同じものは売っていない。
食べられてしまったチョコは跡形も無く、唯一ランデルの手にべったりと溶けたチョコがつい
ているだけだ。
(そうだ!俺が食べなくてもコイツに聞けばいいじゃねぇか)
無理に似たようなものを探して食べなくとも、食べた本人に感想を求めて参考にすればいい。
その僅かな希望をランデルに託す。
「デカブツ、それ美味かったか?」
「はいっ」
「どう美味かった?」
「えっと・・・すっごく美味しかったです」
ランデルの返答にオレルドには絶望が見えた。これでは確実に怒られることに間違いない。
しばらくオレルドは考えたポーズをとっていると、間が持たないランデルはチョコがついたま
まの指を気持ち悪く感じてそれを舐めた。
「・・・!」
それを見たオレルドは何か閃いた様子でランデルに近づくと、こう言った。
「動くなよ」
「えっ?」
オレルドはランデルの手を取り、その指を自分の口に含んで舐めだした。
「・・・っえ?アッ!」
思わず短い声が漏れ、それが聴こえたオレルドはハッとする。
舐めた指から口を離し、オレルドは少し頬を赤らめながら気まずそうに視線を逸らした。
「わ、わりぃ」
切羽詰っていたとは言え、人の指まで咥えてチョコの味を分析しようとした自分が情けない
気持ちと、あれほど今まで保とうとしていたランデルとの距離を一気に縮めてしまうようなこと
をしてしまった焦りの気持ちが交錯していく。
ランデルも驚いて声が出てしまったのが恥ずかしくて目が合わせられなくなっていた。
オレルドに舐められた指を熱く感じ、頭もなにやら熱くなっていく。
「ははは・・・チョコの味がわかんねぇと、後々困るからよ。でも、悪かったな」
指の余韻に浸っていたランデルへ、オレルドがつとめて明るく振舞う。
気まずい雰囲気を持ち直そうとするオレルドに、ランデルはまた自分は何も出来ていないこ
とに胸が痛んだ。
何か自分に出来ることはないか。
考え付いた結論は、ランデルにとって勇気以外のなにものでもない言葉だった。
「舐めて・・・いいですよ」
おずおずと手を差し出し、ランデルは微笑む。
一瞬何を言っているのかオレルドは理解できていなかったが、ランデルに近づけられた手を
見てその意味がわかると口の筋肉が緩んで少し開いた。
「俺のせいですから・・・どうぞ・・・」
もっと近づけられた腕は少しだけ震えていたが、ランデルが嫌々そうしたわけではないことを
オレルドはわかっている。
それでも自分から進んで発言したことには驚いた。
きっと彼なりに自分のことを考えてくれたのだろうと思えば、嬉しくないわけがない。
優しく腕を掴み、自分の顔へ手を近づける。そっと舌を出して、指先についたチョコを薄く舐
めてみた。
「んっ・・・!」
舌の感触にランデルは身じろぎ、反射的に腕を引く。しかしそれをオレルドが許すはずもなく
、その勢いで人差し指と中指の二本を咥えた。
「あっ!」
ランデルは驚いてその口から指を引き抜こうとしたが、オレルドの歯で指が引っかかる。
「じっとしてろって」
人差し指と中指を口に含んで舌で転がされる。ぬるりとした唾液が皮膚に伝わり、ランデル
は肩を竦めた。
「ん・・・ぁ、ハッ・・・!」
チョコを舐めとる舌が指の付け根に滑り込む。
その舌が時折チラリと見えると、ランデルは胸が熱くなるのを感じた。
「あっ・・・准尉・・・」
こんなことをしていること自体がおかしいと感じているのにも関わらず、ランデルはその行為
に変な気分になっている自分が怖くなった。
心拍数が上がり、少し荒い自分の息に顔も熱くなり、なによりオレルドに触れられていること
に胸が苦しい。
自分が冷静でいられなく恐怖がじわじわと足下から這いずって来た。
指先から胸にかけて巡る熱さと、足の先から腿にかけてしがみつかれる冷たさに、ランデル
は驚愕する。
集中してチョコの味を分析するオレルドはそれに気づくことも無くもっと深く口の中に指を含
むと、ランデルは唇を歯で噛んで声を押し殺した。
「はっ・・・!ふ・・・んん・・・っ」
口から放された指はチョコが丁寧に舐めとられ、代わりにたっぷりとついた唾液が肌を照ら
している。
逸らすことの出来ないその情景に見とれつつ、治まらないどころか乱れる呼吸を必死に喉で
押さえるランデルに、オレルドがクスリと笑った。
「もういいぞ。ありがとな」
そう言って、ランデルの頭を撫でる。
ランデルはお礼の言葉を言われても、自分はオレルドに何か出来ていただろうかとそれだ
けが気になるが、上昇する熱のせいで意識が朦朧としていて上手く気持ちがまとまらない。
オレルドといえば、ぽやんと放心状態にいるランデルが可愛くてじっと眺めていた。
そして眺めている内にあることに気がつく。
「顔にもチョコついてるぞ」
「え・・・?」
「ほら、ここ」
オレルドの指が頬を掠ると、ランデルは小さく息を吐いた。
初めてオレルドとキスをしてからそれ以降していない。
あのときの幸せとしか表現できなかった想いが蘇り、それに次いで期待も高まっていった。
まだ慣れない緊張と少しの恐怖に挟まりながら、ランデルはオレルドの唇が来るのを待つ。
その期待に、オレルドも気づいた。
ランデルのしっとりとした眼つきに小さく喉を鳴らし、自分の顔をもっと近づける。
近づいたことで、ランデルはさっきまでされていたことを思い出して反射的に目を瞑った。
オレルドの気配を息で感じ、ランデルの期待はぐんぐん胸の中で膨らんでいく。
しかしやってきたのは唇ではなく、布の感触。
「まったくでかいガキだな」
目を開けると、オレルドはポケットからハンカチを取り出してランデルの顔を拭っていた。
「今度からは確認してから食えよ」
ふき取り終わり、オレルドがまた頭を撫でる。
撫でられてから、ランデルはキスをされると勘違いしていたことに顔から湯気が出そうなくら
いの恥ずかしさが込み上がっていった。
しかし恥ずかしかったのはランデルだけではなかった。
オレルドもまた、あのままキスをしたら自分を抑えられない気がしてぐっと堪えたが、その場
の雰囲気にのまれても良かったんじゃないだろうかと悩んでしまう自分が、内心恥ずかしくて
仕方ない。
「・・・帰るか・・・」
「はい・・・」
不完全燃焼のまま、互いに帰り支度をさっさと済ませ始めた。
「俺、先に歩いてるからな」
気恥ずかしい気持ちが治まらないオレルドは、早々と着替えて先に部屋を出る。
ランデルもついて行こうと慌てて手袋を装着しようとするが、そこでなんとなく自分の手をじっ
と見た。
さっきまでオレルドが触れて舐めた指にランデルの唇がくいっと上がる。
何か考えたわけじゃない。
ただ自然にその指をパクリと口に含んだ。
含んだそれはじんわりと唾液の味を感じた。
そしてランデルは我に返る。
(・・・浅ましくないか、俺・・・)
自分で自分をなじりながらも赤くなっていく自分の頬をぺちぺちと叩く。
少し大胆になればこれだけ変わっていける。
ランデルはまた一つ利口になった。
それに抵抗を感じなくなれば、加速していくのも時間の問題だろう。
二人の距離がなくなるまで後一歩。
終
また寸止めですよ。ちゅうくらいしろよ。じれったいったらありゃしない。
男体の人に続いてですが、私も今回このお話をもって引退致します。
みなさんが明るく盛り上げていこうとしている所へ水を差してしまう話ですいません。
私は人の作品を読むと満たされて自分の作品が書けなくなってしまう傾向があるため、辛く感
じる前に線引きをしようと思っていました。
今、たくさんの職人さんが現れて嬉しいです。
とても満たされています。色んな作品が拝見できて幸せです。
そこで決意が固まりました。
少ない投下にも関わらず、その度に暖かい感想やコテハンを頂けた時は涙が出るほど嬉しか
ったです。
まだまだいびつでしがない書き手ではありますが、ここに来てから小説で表現する自分なりの
形というものを持つことが出来てとても感謝しております。
投下しないのはとっても寂しくて、できればしたくない気持ちが強いのですが、上記の通り、辛
くなるような作品だけは作りたくないので引退致します。
(ドンデレオレ伍の完結を望んでおられた方もいらっしゃるかもしれませんが、「なかなか進ま
ない二人」が私にとっては「ドンデレ」かな、と)
今まで付き合ってくださってありがとうございました。
楽しい時間をみなさんと過ごせたことは、感謝の言葉を述べるだけでは足りないほどの気持
ちでいっぱいです。
>>男体の人
最後の投下お疲れ様でした。
ここへ私が投下しようと思ったのも、あなたの作品を拝見してからです。
説得力のある文体に、読み進みたくなるストーリー性。全てが魅力です。
ここで男体の人にお会いできたことが、私にとってのターニングポイントでした。
たくさんの作品と萌えを本当にありがとうございました。
>>保管庫の人
いつも乙カレーさまです。
私の拙いSSを納めて頂けて大変感謝しております。
私はここで終わりますが、これからも素敵なSSが投下されると思うので、作業は大変ですが
頑張ってください。
何卒ご無理はなさらなように。
体調にはお気をつけ下さいませ。
>>(´・ω・`)の人
こう書き込めるのも最後なので思い切って言いますが、ものすごく私ファンなのですよ。
投下される度いつも萌え萌えしておりました。
(´・ω・`)さん自身に一番萌えてましたがw
>>投下されている職人さま方
個別じゃなくてすいません。
書いたらものすごく膨大な量になるので、泣く泣く割愛させていただきます。
作品を拝見して、毎回たくさんの萌えと癒しを頂いております。
又、皆さんの文章力に気圧されつつ『自分も頑張るぞ!』といつも刺激を受けてます。
ここの住人は暖かい人たちばかりなので、とても住みやすい場所だと思います。
これからも色んな伍長を拝見させてください。
>>初めに「ドンデレ」でコメントくださった方
この言葉、私のツボです。今でも。
おかげでコテハンまで「ドンデレの人」と言われて嬉しかったです。
そのおかげもあり、ドンデレシリーズが書けました。
中途半端な終わりですいません。
こんなオレ伍でも気に入っていただけたら幸いです。
嬉しさのあまりによく使っておりましたが、最後にもう一度この言葉を。
ここの住人さんみんな大好きだ。
>>ドンデレの人さん。
男体の人さんに続き、ドンデレの人さんまで引退と知り、本当に残念で
なりません。しかし、ドンデレの人さんにも理由があっての事。ここは
「お疲れ様でした」の言葉を送りたいと思います。
今まで素敵なSSをありがとうございました。自分もドンデレの人さんの
作品が大好きでした。ミーハーな気持でファンと言ってしまうのも、
申し訳ないのですが、ドンデレの人さんの優しくてセンシティブな内容には
いつも心をときめかせていました。こんな繊細な心理描写が書けるなんて
ステキだなぁ、と感激していました。
本当に今までありがとうございました。感動を、萌えをありがとうございました!
私もドンデレの人さんが、大好きです!
244 :
戦隊の人:2007/03/14(水) 23:44:31 ID:???
オマケに対しての皆さんのコメント有り難うございます!
スレの容量あまり削っちゃいけないのでまとめてのレスにします。スイマセン…
自分のなかでもこういう話もアリなんだということを教えていただき、大変勉強になりました。
>>229 バナナ絵有り難うございます!嬉しくて思わずパソコンの前で奇声発してしまいましたよ。
自分ではあまりエロく書いたつもりは無いのに、映像化するとやっぱりエロいですね…流石伍長。
准尉たちのニヤニヤとした表情もマッチしてて素晴らしいです!
>>ドンデレの人
バレンタインオレ伍素晴らしかったです!伍長の「舐めていいですよ」発言に
自分の頭のなかが沸騰してしまいました。
ドンデレの人さんの作品は自分も大好きだったので、引退についてはかなりのショックです…
オレルドと伍長のいじらしい関係はドンデレの人ならではという感じでしたし。
本当に残念でならないんですが、これまで多くの萌えSSを投下していただき有り難うございました。
これからも一緒に伍長を愛でていきましょう!
245 :
保管庫の人:2007/03/15(木) 06:16:31 ID:???
>>223戦隊の人
ぎゃ。冷凍バナナ採用されとるw
どっかのブロガーがやってたのですが串に刺したバナナの先端にイチゴも刺して
その上からチョコレートでコーティングすると、もう笑うしかない卑猥な形状になります。
でもそこまでやったらさすがに伍長も気付くだろうから使えないな…w
>>229氏のイラストもGJ!背後の二人にワロスw
>>232ドンデレの人
まずは乙&GJです。
この後オレルドは、伍長が食べてしまったケーキの作り主に「チョコ美味しかったよ」と言って
怒られるんじゃないかと…いや、ケーキだった事を知らなかった場合の話w
そして引退話にまたしても普通にショックなんだぜ?
ドンデレな二人の話、上手く言えませんがとにかく好きです。
これからもこのじれったく微笑ましい二人の物語を読みたかったですが、
書いてる本人さんが楽しくないのはよろしくありませんですしな。
ほのぼのと萌えるSSをありがとうございました。
しかしまぁこういうのは萌えに任せて好きにやればいいと個人的に思ってますので、
気が向いたらいつでも戻って来て下さいまし(´ー`)
業務連絡。
>>皆様
すんまそん…2スレ目終わらなかったですよorz
あとは男体の人さんのオレルド+マーチス×伍長だけなんですが
力尽きたので今日はここまでに。
ちなみにちんすこうは、元々は「チールンコウ」と言い、清の国の食べ物で、
蒸しケーキみたいなものだったそうでつ。
王侯貴族しか食えない宮廷料理の一種だったそうな。しかし琉球は高温多湿で
蒸しケーキなんざすぐに腐れてしまうので、固く焼いて今のちんすこうになったそうな。
通年低温そうな帝国なら、蒸しケーキのままでもいけそうですな。
やわらかくて甘い、伍長が喜びそうです。ウフフ。
明日と言わず今日から使える無駄知識でした。
>>242、ドンデレの人
二人の絶妙な距離感と一線上で傾く二人の情熱がなんとも言えないもどかしさ!
前スレからあと一歩の二人の関係に、ハラハラドキドキしながら読ませて貰いました
ロッカールームでの二人のやりとりには魂をゆさぶられました(馬路w
引退との事で自分としても残念な話ですが最後に言わせて下さい
ドンデレの人含め、自分もこのスレのみんなが大好きだー!
>>保管庫の人
毎度保管お疲れ様です
これってトリビア!?
ちなみに自分は黒砂糖のちんすこうが好きです
18ヘェー
ドンデレの人去ってしまわれるのですね…。
今までありがとうございました。
男体の人さんに引き続きドンデレの人さんまで…!
おろろーん。寂しくなりますね。(´;ω;`)
感想は恥ずかしくて書き込んで無かったんですがいつも萌えさせてもらってました…。
Σっていうか最後になに恥ずかしいこと言ってるんすか!!笑
…
……
お…俺頑張ろう…!!
とりあえず流れはチョコ?っていうか保管庫の人エロ杉ww
っていうか流れはバナナかww
うわっエロ書くの苦手な俺には荷が思いやw
はじめまして。楽しんで読ませてもらってます。
このアニメ最近知ったんですけど伍長いいですよね〜。久々にアニメで萌えました。
なんかもう頭の中でオープニング曲がぐるぐる回ってる〜
>>保管庫の人
すみません、私PCからなんですが
リンクが切れてて読めないページが結構あるんです。
お時間のあるときでいいので確認して再UPお願いできないでしょうか?
よろしくお願いします。
>>250 保管庫は最近出来たばっかりなので、まだうpしていないSSがたくさんあるみたいです。
保管庫の人も忙しいでしょうし、ここは気長に待ちましょう。
アニメのOPで伍長にハマッた人は多いみたいですね。
すぎちゃった…まぁ気にしないで下さい(何を)
またまた久しぶりに駄作投下
このスレの癌とは俺のことよ。
・ちょっとズレちゃったけどホワイトデーネタ
・ズレてんのはテメェの頭だっていう言葉は禁句
・俺式脳内関係図としてはこのスレでは特殊な オレ→伍→←少尉です
・エロ?そんなもんあるわけないじゃないか
ちょっと眺めですが暇な方だけ読んでください…(´・ω・`)
253 :
【白日】:2007/03/16(金) 00:07:35 ID:???
今日も今日とて平和な陸上三課
もちろん俺様はいつもどおりの重役出勤
挨拶もそこそこに机につくと少々(正直な話かなり)落ち込み気味の伍長が目に入った
「ど…どうしたよデカブツ…?変なもんでも食ったのか…?」
デカブツは俺の呼びかけに一寸ビクつくと涙を流しながら俺に抱きついてきた
「じゅ…准尉っ…!!ひっく…助けて…くだ…さい…っ!!うぅ…。・゚・(ノД`)・゚・。」
いきなり抱きつかれ俺はドギマギしながら伍長をなだめる。
顔…赤くなってないだろうな…
「で…デカブツ…!ちょ…ちょっと落ち着け!どうしたっつーんだよ?」
「ふぇ…、ひっく…実は…」
うなだれた姿はまるでお預けを喰らった犬のようである
あまりの可愛さに俺は話の半分も聞いちゃいなかったが、大筋は理解できた。
本日は3/15
いつものようにコイツは出勤してきたのだがどうも今朝の少尉の様子がおかしいらしい
声をかけても無視されまるで自分を避けるかのような振る舞い
いきなりのことで理解なんて出来る筈もなくしょうがないので小娘(ステッキン)に助けを求めたそうな
254 :
【白日】:2007/03/16(金) 00:08:47 ID:???
伍長さん…昨日なんの日かご存知でしたか??
え…?知らない?…ですよねぇ…私もお返し貰ってないし…
へっ?詳しく教えて欲しい?もう〜、しょうがないですね〜。
このステッキン曹長がしっかりきっかりお教えしましょう!
昨日は3/14いわゆるホワイトデーって言う日なんですよ。
ホワイトデーって言うのはですね、簡単に言うとバレンタインデーのお返しする日なんですよ。
伍長さん、アリスさんからチョコレート貰いましたよね?
え?何で知ってるかですって?んふふ〜このステッキンの目は誤魔化せませんよぉ〜。
多分アリスさんは昨日お返しがもらえなくてショックだったんだと思いますよ?
あぁ、私のほうはいいんですよ〜。バレンタインのチョコだって日ごろの感謝の気持ちを表したものってだけですから
でも三課でお返しくれなかったのはオレルドさんと伍長さんだけですねぇ
え?参考程度に何貰ったか教えて欲しい?
えっとですねぇ〜、ハンクス大尉はガラス製のテディベアをモチーフにした置物で
マーチスさんはマー君用の首輪のタグをプレゼントしてくれました!
255 :
【白日3】:2007/03/16(金) 00:11:30 ID:???
話し終わるとデカブツはさらに落ち込んだみたいだ
「ま…まぁ何だ、つまりバレンタインのお返しすりゃいいって事だろ?
隊長だって人の子なんだから一日ぐらい遅れたってきちんとあやまりゃ許してもらえるって!」
根拠のない慰めにも今のデカブツには効果がない様子
「そんなこと…分かってるんですけど…俺…その…予算がなくて…
それに…何をプレゼントしていいのか…分からなくて…」
説明するまでもなく、コイツは橋の下で大量の猫を放飼いしている。その餌代は凄まじく
給料の大半をそれに当てている、というのを昔聞いた事がある。
…って俺はいったい誰に説明してるんだ
「で、女遊びしまくってる俺に助言を求めた…と」
言ってて自分で悲しくなってきた
「准尉〜…(´;ω;`)」
そんな目で見るな
「しょうがない…値段を抑えられかつ。女性に喜ばれるものといえば、やっぱり手作りのもんだろ
甘いものならさらに得点増しだな」
「そんな事いっても…俺…料理なんて作ったことないのに…」
「大丈夫。この俺が居るんだ。しっかり指導してやるって。ホワイトデーといえば…やっぱりマシュマロだな」
「……ましゅ…まろ?」
…コイツは本当に物を知らなさすぎる。
まぁそこが可愛いんだが
「マシュマロというのはだな〜。まるで女の胸のように柔らかく。そして白く甘い食べ物なんだぜ」
下品な表現をすると赤くなる様が又可愛らしい
「まぁ、冗談はさておいて、デカブツ。コレ買って来い」
そういうと俺は一枚のメモ切れを渡し買い物に行かせた。
◆◇◆◇◆◇
「准尉、買って来ました…」
「ん〜…よしよし、ちゃんと言われたもんは全部買ってきてるみたいだな。それじゃ早速はじめるか。」
「あの…准尉…」
「ん?どうした?」
「やっぱり、俺からのプレゼントですし。俺1人の力で作りたいんですが…
そりゃ准尉が手伝ってくれれば上手に出来るでしょうが…」
…ま、そうだわな。
「…んじゃコレ、作り方のメモ。意外と簡単だからお前1人だけでもできるだろ」
ありがとうございます。
そういうとデカブツはそそくさと作業に取り掛かった。
あ〜…俺もあのチビにお返しに何か作った方がいいんだろうか…。
数時間後、なにやら怪しい音や煙がしていたようだが何とか完成したようだ
「じゅ…准尉…何とかできました…」
俺の助言の書いたメモどおりピンクと白の二色、形はクッキー型で整形したハート型
見た目はなかなかだな…ちょっと不恰好だけど
一つつまんでみる
…少し甘すぎる気がするが…まぁ許容範囲だろ
256 :
【白日4】:2007/03/16(金) 00:13:23 ID:???
ど…どうですか…?
心配そうな顔してデカブツは俺の顔を見る
「…初めてにしちゃ上出来だな。70点ってとこか」
良かった…
ほっとしたようでその場で座り込む
「そういえば…准尉は何してたんですか?」
そういうとデカブツは奥のテーブルを覗き込む
「…うわぁ…おいしそうですね…チーズケーキですか?」
「あ〜、チビ用にな、俺だけなんもなしじゃあいつ絶対根に持ってマーキュリー号をけしかけそうでな…」
軍の厨房に忍び込んで作っているのだからそこまで専門的な機材もない
そんな環境の中よく俺はコレだけのものを作れたと思う。
やはり俺は天才だな…。
「二つありますけど、もう一つは少尉にですか?」
「隊長が俺にチョコくれるタマかよ。コレは…
お前用だ」
いかん…顔が赤くなってる気がする
「へ…?でも俺、チョコあげてませんよ?
むしろ准尉の方がチョコバナナ喰べさせてくれたじゃないですか」
「いいんだよ!あまりあまり!…ホワイトデーは本当は誰にでもやっていいんだよ!」
いくらデカブツがホワイトデーをよく理解してないとはいえ
設定が無理やりすぎたかな…
「…」
「……。」
数刻の沈黙
先に動いたのはデカブツの方だった
「それじゃ、俺もこれ…」
そういうとさっき作ったマシュマロを数個俺に渡してきた
「デカブツ…」
「感謝の気持ちです。今日は本当に有難う御座いました」
「お…おう…さんきゅ…」
あー…俺…今本当に幸せだ…
「そ…それじゃ、綺麗にラッピングして隊長に渡して来い」
はい!
そういうとデカブツはてきぱきとラッピング用に買ってきた袋に詰めリボンをかけると
小走りに厨房から出て行った
隊長の機嫌は戻ったようで
その後いつもと変わらぬ隊長の掛け声が聞こえてきた
――――――――数日後
軍の厨房に忍び込み勝手に材料(ステッキン用のお返し作るため)を使ったのがバレ
俺だけ隊長にこってりしぼられたのはいうまでもない
ニホンゴオカシイネ。
ワタシアンマリズニノラセルトイイコトナイヨ(´;ω;`)
>>(´・ω・`;)さん
可愛いです!伍長の不器用さが可愛いです!GJです!
少尉にラブな伍長に横恋慕するオレルドの優しさが、ちょっぴり切ない。
でもこの切なさがまたいいっす。オレルドって本当に良い人だなぁ。
優しくて料理が出来て頭が良いなんて、サイコーの男だ。
伍長は少尉にラブだけど、がんばれオレルド!と応援したくなる。
>>(´・ω・`;)の人
少尉の為に、一生懸命お菓子作りに励む伍長も可愛いですね
料理ができる男はポイント高いですぞ
260 :
保管庫の人:2007/03/16(金) 06:55:36 ID:???
>246
黒砂糖いいっすね〜。
楽天市場の「Plus!」という店のちんすこうが最高っすよ。
トリビアもそこで仕入れましたw
この店のちんすこうならスタジオの隅に居残る事もないのに…w
>>250 >251氏が答えて下さってる通りです。
あと、もちついてスレのログとか保管庫のお知らせとかを一通り読んでみて下さい。
でもあれですよ、PCユーザーさんなら保管庫見なくても過去スレがまだ生きてますよ。
そっち読んだ方が絶対早いと思います。
SSが投下された後の住人のはっちゃけっぷりとかも読めるしw
SS未満のため保管庫には入れていない小ネタの数々も読めますから。
ちなみに過去スレは>1に書いてあります。
>>252(´・ω・`)の人
乙です。
ホワイトデーもマシュマロも知らない伍長可愛いよ伍長。
困ったらオレルドに泣きつくのは罪作りだよ伍長。
私も伍長の作ったマシュマロ食いたいであります。
手ぇ忙しいから食わせてってあーんするであります。
あ、実は保管庫の人はエロイ人でもあったのです。
ミュゼにエロい機械で攻められる伍長をムッツリと妄想し、ウヒヒとか
ムヒヒとか妙な笑い声を立てて人工伍長に不安がられる今日この頃ですw
261 :
保管庫の人:2007/03/16(金) 07:02:33 ID:???
連投失礼。業務連絡です。
>>皆様
PC用に2スレ目SS全てアップ完了しました。
明日以降、携帯用に2スレ目のSSを上げにかかります。
262 :
戦隊の人:2007/03/16(金) 09:30:01 ID:???
>>(´・ω・`)の人
GJです!何か初々しい関係の2人が可愛らしいですね。
恋愛上手なくせに伍長に対してはウブになるオレルドがステキですし、
伍長の鈍感さもらしくていいですね。
さり気なくチョコバナナとかも入っていますしw
>>保管庫の人
いつも有り難うございます!冷凍バナナは勝手に使ってスイマセン…。
保管庫の人のエロ妄想は本当に参考になりますね。ちんすこうもですがw
実はSS書きに向いているんじゃないでしょうか?
263 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/16(金) 09:32:53 ID:zxwhW22s
>(´・ω・`;)の人
まずあなたに萌え
白い日だって分かってるのにどうしてこう
伍長はこんな乙女なんでしょうねww
可愛すぎて鼻血で赤い日になりそうです
あとかなり罪作り(^ー^)
きっとその内オレルドがキレそうな気がしないでもないない気が
するようなないような…?
兎に角伍長が可愛いです最高でした!
>保管庫の人
お疲れ様です!
ただ見てるだけの自分は月並みの事しか言えませんが、
PCの使い方も分からない自分にとって
過去スレが読めるなんて奇跡以外のなにものでもないです!
人工伍長にグヘへ、ニヤニヤ自分もしてます///
もーーー!!
ここのスレの人達
皆いい人杉!。゚(゚´Д`゚)゚。
>>シャワーの人
原作の雰囲気(なんとなく伍長と少尉がラブいとこ)が好きなのに
うっかりオレ伍にはまってしまった結果がコレですよ
可愛そうなオレルド…応援してやってあげてください。笑
オレルドさんの優しさの99%は伍長に向けて発信されるものです
>>259 伍長は不器用だけど何事も一生懸命に取り組む姿が可愛すぎですよ
…可愛すぎですよ!!(*´Д`*)<ハァハァ
>>料理ができる男はポイント高いですぞ
自分内オレルドさんは実はそこに目をつけてたり。笑
>>保管庫の人
もー保管庫の人は本当にエロいんだからぁ(褒め言葉)
物を知らないのが伍長のいいところ。(え
だから何も考えずにオレルドに泣きつくことができるのだ!!涙はオトメの命。笑
あ〜ん良いなぁ…想像したら悶えそうだ(´・ω・`)
追記:作業お疲れ様です。自分の名前見ると噴出しそうになりますがww
体に気をつけて作業してくださいね〜
>>戦隊の人
>>何か初々しい関係の2人が可愛らしいですね。
フフっ…読んでて恥ずかしくなるようなのが好きなんです。
書いてる最中が一番恥ずかしいんですがww
>>チョコバナナ
よし!流れに乗れた…!!笑
>>263 皆萌える萌える言ってくれるけど皆どこに萌えてくれてるんだろう…笑
お褒めの言葉ありがたく頂戴します〜。
伍長はものごっついピュアだからコレだけオトメで可愛いんですよ!!
>>オレルドがキレそう
怒ったり泣いたりしながら伍長に好きと伝えるイベントを書きたいんですが…
さぁどうなるでしょうw
>>保管庫の人
本当に助かります!ありがとうございます〜。
>>(´・ω・`)の人
不器用でも、伍長パワーにかかれば卵白なんてあっという間に泡立つだろうな
と思い、大きな手で小さなボールと泡立て器を持ってる姿を想像して和みましたw
オレルド天才だよ!!
GJ!でした!!
>>保管庫の人
いつもいつも乙です。過去の萌えSSが読めるのは、保管庫の人のお陰です。
改めてありがとうです!
ほのぼの和み系の雰囲気を豚切って申し訳ないのですが、投下します。
※マーチス×伍長ですが、ベースはオレ伍です。エロはこっそり。
※伍長が子供に退行してます。まるっきり白○です。
※だもんで、そんな伍長は見たくない!と言う方は、スルーして下さい。
スレ消費、すいませんorz
『マーチス准尉は…休日は何をして過ごしているんですか?』
休日の穏やかな午後、マーチスはイスに座って読書をしていた。いつか伍長に質問された言葉を思い出し
たマーチスは、読みかけの本をテーブルの上に置いた。
『そうだなぁ、部屋の掃除したり、洗濯したり、たまには街に出掛けてブラブラするとか…。特別何かを
してるって訳でもないよ』
在り来たりな答えに、伍長は存外感心したらしく、真剣な眼差しで聞いていた顔がどこか可愛くて、マーチス
は思い出し笑いをしてしまった。しかし、すぐに溜め息を一つついた。
「伍長は今頃オレルドと一緒に何処かに出掛けているんだろうなぁ…」
少し悔しくて、切ない気持が込み上げて来たマーチスは、窓の外に視線を向けた。青い空が綺麗で、部屋の
中で過ごすのが勿体無いぐらいだった。マーチスは上着を取り、沈んだ気持を振り払おうと部屋を出た。
伍長がオレルドと「良い仲」なのは公然の秘密みたいな物だった。しかし秘密に「公然」なんて矛盾した
発想である。秘密を守っているマーチスはふと疑問に思った。そもそも、秘密を守るとは何だ?秘密は守っ
たり守られたりする物なのか?公然の秘密なんて、そんなもの秘密でも何でもない。秘密とは誰か1人でも
知らないからこそ秘密は秘密であり得る。そして、秘密が秘密であるためには、それを知らない人間が1人
は絶対に必要である。もしかしたら、知らない振りをして、秘密を守っている自分自身が、実の所何も
知らないのではないか?そんな思いがマーチスの頭の中をループしていた。
街に出る途中で、伍長がいつも寝泊まりしている橋の下を通りかかった。マーチスが何気なく視線を
橋の下に向けると、そこには数匹の猫に囲まれた伍長が座っていた。
「…伍長ぉ?!」
良く知ったその声に伍長が振り返り、一瞬驚いた顔をしたものの、いつもの柔らかい笑顔でマーチスに
微笑んだ。
「マーチス准尉、こんにちわ。お出かけですか?」
「うん。天気が良いから街に出ようかと思って」
マーチスが階段を降りて来た。一匹の猫を抱きながら、伍長も立ち上がった。珍しい客人を、まるで尻尾を
振って喜ぶ大型犬のような顔をして向かえた。
「それより…、君、今日はオレルドと一緒じゃなかったの?」
マーチスの言葉に伍長は少し俯いて躊躇いがちに答えた。
「今日は…、あの…、本当はオレルド准尉と郊外までドライブする予定だったんですけど、…この猫が少し
元気がなくて…それで、オレルド准尉には申し訳ないんですけど、ドライブを中止にして貰って…」
マーチスはどんどん畏縮していく伍長の姿に、ピンと来た。
「分かった。オレルドの奴、『俺と猫とどっちが大事なんだよ!』とか言って、怒ったんでしょう?」
図星だったのか、伍長は顔を上げて目を見開いた。
「オレルドの言いそうな事ぐらい察しが付くよ。あいつも案外大人気ない所があるからね。大丈夫!気に
しなくていいよ」
「でも…、俺、オレルド准尉を怒られてしまって…」
泣きそうな顔をして肩を落とす伍長に、マーチスがポンポンと伍長の猫背を優しく叩いた。
「たまには怒らせればいいんだよ。それに…こんな事ぐらいで君の事を嫌いになったりはしないよ。
オレルドは君に心底惚れてるんだから」
マーチスは満面の笑みで伍長を見上げた。伍長はマーチスの言葉に照れて口籠ってしまったが、その笑顔に
安堵の表情を浮かべた。
「マーチス准尉…。ありがとうございます。准尉は本当に優しい方ですね」
『…そう。結局僕は“優しい人”止まりなんだよね…』
三課の執務室で机に向かうマーチスは、隣の席に座る伍長の横顔を盗み見た。真剣に書類作成に励む伍長は
慣れない仕事に戸惑いながら、一生懸命に書類に書き込んでいた。ふと伍長がマーチスの方に顔を向けた。
ドキリとしたマーチスが慌てて自分の書類に視線を戻した。
「あの…」
伍長が申し訳無さそうにマーチスに話し掛けた。
「何?伍長」
「ここは…、どうやって書けば良いんでしょうか?」
平静を装いながら、マーチスは伍長に体を近付けて書類を覗き込んだ。
「どれ?…あぁ、これね。これは書式が決まってるから、簡単だよ」
伍長の肩と自分の肩が触れ合い、マーチスは増々心臓の鼓動を早めた。伍長の顔が間近にある。綺麗な黒髪
から、ふんわりと伍長の香りがして鼻腔をくすぐった。暖かい陽射しを受けた風のような匂い、濡れて輝く
ブルーグレーの瞳、長めの睫毛、適度な厚みの柔かそうな唇…。説明するマーチスとは別の自分が、伍長の
放つ穏やかな空気に陶酔していた。
「分かりました!ありがとうございます。マーチス准尉!」
伍長が笑顔でマーチスに振り向くと、鼻が擦れる程にお互いの顔を突き合わせる事となった。一瞬、マーチ
スは硬直した。
「ぅわっ…!」
慌てて体を離すと、マーチスは顔を真っ赤にして後ずさった。きょとんとした伍長は小首を傾げてマーチス
を見つめた。
「どうしたんですか?准尉。顔が赤いようですけど…」
後ずさるマーチスを追い掛けるように、伍長が座ったまま体を前に倒して来た。
「な、何でもないよ!…それよりその書類、これから何度も同じ事書く事があるから、一枚は自分で持って
おいた方がいいよ」
「はい。…マーチス准尉って、やっぱりすごいですね。教え方も上手だし、優しいし…。頭が良くて羨まし
いです」
マーチスに対して、微塵も警戒心を抱いていない伍長の無垢な笑顔が、一層マーチスの心を切なくさせた。
沸き上がる思慕を燻らせながら、マーチスはその気持を無理矢理封印した。
そんな彼を神様は哀れに思ったのか、それともさらなる試練なのか、マーチスにとっては千載一遇の機会
が訪れる事となった。
しかし、それは両手放しで喜べる物ではなく、伍長が入院を余儀無くされた事件から端を発していた。
盗賊に悩まされているとある村に三課が討伐に向かったものの、質の悪い事に戦車(もちろん盗品)を所有
していると言う最悪の事態の中、アリスは伍長に戦車殲滅と言う苦渋の命令を下した。戦車に対抗出来るの
は伍長しかいない。伍長は果敢にも単身、戦車に立ち向かった。それは三課の全員が知る、伍長の悲しくも
恐ろしい実相だった。戦車は生身の人間たった1人に破壊され、盗賊は縛についた。しかし、その代償に
伍長は負傷する事となった。
「デカブツっ!!」
オレルドが血相を変えて病室に駆け込むと、そこにはすでにアリスがいた。伍長は頭に包帯を巻かれ、顔や
体にガーゼを張られていた。アリスと対面するようにベッドに座っていた伍長が、オレルドに視線を向けた。
「隊長!デカブツの怪我は…!」
「うむ。幸い大事には至っていない。あれ程の爆風に巻き込まれながら、奇跡としか言い様がないな。…
ところで、マーチスは?」
「車を停めに行ってます。すぐに来ますよ」
アリスが少し困惑した顔をしている事に、オレルドが気が付いた。
「どうしたんですか?隊長。デカブツに何か…?」
アリスが瞳を曇らせてオレルドから視線を伍長に移した。オレルドも伍長を見ると、伍長は静かに視線を
落として黙っていた。オレルドは伍長の前に回り、しゃがみ込んでその顔を覗き込んだ。
「どうした?デカブツ。どこか具合でも悪いのか?」
優しく語りかけるオレルドの顔に、伍長はゆっくりと視線を向けた。
「…おじさん…、だぁれ?」
「おじっ…?!」
オレルドはカチンと来た。お兄さんと呼ばれても、この歳でおじさん呼ばわりとは心外だったオレルドは
伍長に詰め寄った。
「おい、デカブツ!何をふざけた事言ってやがるんだ?!どれだけ俺が心配して駆け付けて来たと思って
るんだよ!それともこの前のドライブの事、まだ根に持ってるのか?!」
捲し立てるような言葉に驚いた伍長は、オレルドから逃げるようにアリスの背中に回った。自分の半分程し
かない小柄なアリスに伍長の巨躯が隠れる筈もないのだが、それでも伍長は精一杯身を小さくしてアリスの
背中にしがみついた。
「お姉ちゃん!怖い!」
「オレルド!そう声を荒げるな!これには訳があるのだ!」
「訳ぇ?一体どんな訳なんですか?!」
憤慨するオレルドをアリスが制止したその時、
「伍長!!大丈夫かい?!」
マーチスが病室に駆け込んで来た。しかし、その病室で展開されている光景に、マーチスは戸惑った。
「…どうしたの?みんな…」
茫然と佇むマーチスを見た伍長の顔が、見る間に豹変した。
「…シュテファン…?!シュテファーンっ!!」
「へ?」
目に大粒の涙を浮かべた伍長が、マーチスに抱き着いた。遠慮のない力加減に、マーチスの肺から一気に
空気が抜けるようだった。狼狽えるマーチスが空気を求めるように、伍長の胸から顔を出した。
「伍長?!どうしたの?!隊長!オレルド!一体これはどう言う事?!」
混乱するマーチス同様、アリスとオレルドも伍長の変貌に驚くばかりだった。
医者は、過度の衝撃による一時的な記憶の混乱から来る退行現象だとアリス達に説明した。身体的な
怪我は軽度で済んだので入院する必要もないと、半ば追い出される形で伍長はその日のうちに退院した。
片手に特注の溲瓶を持ちながら舌打ちをするロゼッタに見送られ、アリス達は病院を後にした。
三課の執務室に戻り、伍長をソファに座らせると、良く知っている筈の執務室を伍長は珍しそうに見回し
ていた。窓際のハンクスの机の前では、アリス達が今後の伍長の処遇を検討していた。
「そのうち記憶も戻るだろうから、それまでは焦る事なくみんなで優しくしてやってくれや」
切迫感のないハンクスの言葉に、一同は肩透かしをくらった。
「取りあえず、しばらくは俺のアパートで面倒を見る事にするよ」
オレルドが振り返ってソファに座る伍長を見た。すると衝立てから顔を覗かせていた伍長が、少しふて腐れ
たような顔をしていので、オレルドは引きつった笑顔をして見せた。
「…ヤダ」
伍長が小さい声で反抗した。
「シュテファンと一緒じゃなきゃ、ヤダ」
伍長は立ち上がると、マーチスに駆け寄り腕を掴んだ。病室でもそうだったが、伍長はマーチスの事をシュ
テファンと呼んでいる。
「なぁ、ランデル。シュテファンってのは、お前さんの友達かい?」
ハンクスが子供に話し掛けるような、優しい声音で伍長に聞いた。
「シュテファンはねぇ、カウプランの研究員なんだよ。すごいでしょ?とっても頭が良いんだよ。それに
いつも僕達と遊んでくれたりお菓子をくれるの。とっても優しいんだよ!」
恐らくマーチスは、シュテファンと言うカウプランの研究員と似ているのだろう。これほどまでに懐いてい
る所を見ると、カウプラン時代の伍長はよほどその人物を信頼していたのであろうと推測をしたハンクスは、
マーチスに言った。
「マーチス。お前がしばらく伍長の面倒みてやれや」
「え?えぇっ?…それは構いませんが…」
マーチスが横目でチラリとオレルドを見た。殺意すら感じるオレルドの痛い程の視線に射されつつ、それでも
マーチスは嫌味な程の優越感でオレルドを見返した。
「仕方ないよねぇ。怖いおじさんより僕と一緒にいたいって言うんだから」
「ぬぅおおおおっ!!可愛くねぇー!!マーチス!分かってるだろうが、間違いだけは起こすなよ!」
「間違いって、何だい?僕はオレルドと違って紳士だから間違いって意味が分からないなぁー」
「間違いは間違いだろうが!!何だったら今ここでハッキリと具体的かつ明確な注意事項を言明しても構わ
ないんだぜ!」
「言える物なら言ってごらんよ!どうせまた伏せ字にされるのがオチなんだから!」
「ぃやかましいいいいいっっっ!!!!」
アリスの怒号が三課に轟いた。
「全くもって実に見苦しいぞ!!女々しい罵詈讒謗を吐く間があったら、今後の進展を考えたらどうだ!!」
一喝するアリスの気迫に、硬直していた伍長が大粒の涙を目に浮かべた。ふるふると体が震え、次第に顔を
歪ませるとしゃくり上げ始めた。
「…ひっく、ぐす…っ、えぐ…っ」
その直後、三課の執務室から子供のような号泣が廊下まで響き渡った。
「…購買部によくそんな物が売ってたな…」
車の後部座席で、伍長はカラフルな色の大きなロリポップキャンディーをご機嫌な顔で舐めていた。その隣
で呆れながら見守るオレルドが、溜め息をついた。助手席に座っているアリスが伍長に振り返った。
「良いか?伍長…ではなく、ランデル。言う事を聞いたらまた買ってあげるから、大人しくしておるのだぞ」
「はーい!」
しかし、顔に傷を持つ巨漢がロリポップキャンディーを頬張る姿は、嫌でも人目を惹いてしまう。さすがに
軍の威信に関わる光景に、アリスは泣いて抗う伍長をなだめながらキャンディーを奪い取った。代わりに
小さなキャンディーを口に入れてやると、承服したのか、涙目のまま黙ってキャンディーを口の中で転がし
ていた。
「デカブツを連れて来たのはまずかったんじゃないですか?」
「何を言う!オレルド!伍長は三課の隊員だぞ!それに通常の任務を目の当たりにすれば、記憶が戻るかも
知れないではないか?!何より伍長がどうしてもマーチスに付いて行きたいと言うのだから、仕方がないで
あろう」
「隊長。しばらくは僕の名前はシュテファンって事でお願いします」
「分かった。これも伍長のためだ。オレルドもよいな?!」
「はいはい、分かりました。…デカブツぅ。早く記憶を取り戻してくれよなぁ」
泣きたいのは自分の方だと言わんばかりの情けない声で、オレルドが言った。
河川の補強工事の為に専門科に同行してもらうため、建築会社を尋ねた三課は、応接室に通された。
会社の社長は三人の技術者を斡旋すると快諾し、終始和やかな雰囲気で話し合いは進んでいた。が、今の
伍長には大人の難しい会話など面白い筈もなく、すぐに飽きてしまい、部屋のあちこちをうろつき始めた。
その度にマーチスは席に戻して座らせたり、キャンディーを口に放り込んでやったりと、ミーティング
どころではなかった。
「…シュテファン」
「今度は何だい?ランデル」
「おしっこ…」
結局、マーチスと伍長はその場を中座する事となった。
三課に戻ったアリス達がハンクスに報告してしている間にも、伍長はステッキンとパンプキンダンスを
踊っていた。間の抜けた歌声を耳にしながら、それでも平静を保とうと、アリス、オレルド、マーチスは
必死に笑いを堪えていた。
「いいですかぁ?右足はこうです!そうそう!上手ですよぉ!」
「こう?パ・パ・パ、パンプキ〜ン!」
「はい、一緒に!ラ・ラ・ラ、パンプキ〜ン!」
「パンプキ〜ン!」
「ステッキン!」
とうとう耐えかねたアリスが頬を膨らま、体を震わせながら二人に振り返った。
「済まぬが踊りは向こうでやってくれぬか?今大事な話をしているのだ。ランデルも分かったな?」
「はぁーい!」
二人が執務室を渋々出て行った。パタンとドアが締まり、執務室に静寂が戻った。
「…つまり、会社側から協力は得られたんだな?…ククッ」
「はい。…クスっ…!技術者を三人紹介してくれる手筈になっています。…ぷぷっ…!」
「着工は、来週からの予定なんですが、現地の村人の了解も得てますし、クスッ…!くっ…」
「資材を調達する事が出来れば、後は問題ないかと思います。…くくくっ…!!」
耐えていた笑いが綻び始めた一同が、全身を震わせた。直後、三課の執務室から大爆笑の声が響き渡り、
廊下を通っていた者達を後ずさりさせた。
「ほら、ちゃんと髪を拭かないと風邪をひいてしまうよ。まだビショビショじゃないか」
風呂から上がった伍長をイスへ座らせ、マーチスは乾いたタオルで伍長の濡れた髪の毛を優しく拭いた。
目をつぶり、黙って言う事を聞いていた伍長がぽつりと呟いた。
「シュテファン…。みんなは、どこ?」
「みんなって?オレルドや隊長の事?」
「うぅん、リドリーとショーンとパティと…グレイス」
それはマーチスの知らない名前だった。おそらく、カウプランの施設で一緒だった人物だろうと憶測は
出来るが、それ以上の事は想像の域だった。マーチスは伍長の過去を知りたいと思っていた。901部隊の
事を聞きたいと思っていた。しかし、伍長を仲間と認めた時、その思いは無意味だと悟った。だから、今も
伍長に詮索するのはやめようと思っていた。喋りたくない事を根掘り葉掘り聞く事が、愚行以外の何物でも
ない事を、マーチスは自覚していた。
「しばらくはね、僕とランデルの二人でお泊まりするんだよ」
「ミュゼは良いって言ったの?」
「あぁ。だから心配しないで。明日もオレルドとアリス隊長と出かけるよ」
「ドライブ?!僕ドライブ大好き!…でも難しい話するのは、つまんない」
「はは…、そうだね。でも大人しくしてれば、今度はクッキーを買ってあげるよ」
「ホント?!約束だよ!だからシュテファン大好き!!」
子供の様に目を輝かせて、伍長はマーチスを見上げた。屈託のない笑顔が、マーチスの心の奥を切なくさせ
た。例え今の伍長が自分の事をシュテファンだと思い込んでいたとしても、臆面もなく好きだと言っている
時の顔は、以前の伍長と変わらない。警戒心の微塵もない笑顔が、いつしかマーチスにとって心を傷つけら
れる物にすり変わっていた。
翌日、伍長を伴い出勤したマーチスは、午前中に書類の整理を済ませようと思った。その間はステッキン
に伍長のお守をさせていたが、マーキュリー号を追い掛け回し、オレルドにちょっかいを出し、ハンクスに
じゃれ付くなどをして執務室は一時たりとも静まる事はなかった。
「ランデル。こちらにおいで。キャンディーをあげよう」
堪りかねたアリスが伍長に手招きした。伍長は嬉々としてアリスの傍に駆け寄り、体を屈めた。
「はい、あ〜ん」
アリスが大きな口を開けて見せると、伍長も真似て口を開けた。
「あ〜ん」
キャンディーを放り込んでやると、伍長は嬉しそうに頬張った。まるで餌をねだる雛のような伍長の姿は、
微笑ましくもあった。
「良いな?ランデル。少し静かにしているのだぞ。そうすればまたキャンディーをあげよう」
「分かった!アリスお姉ちゃん!」
伍長は衝立ての向こうのソファに座ると、大人しくキャンディーを舐めていた。
「隊長、子供をあやすの上手だね」
マーチスがオレルドの机に近付いて、アリスに聞こえないように耳打ちした。
「子供ってよりは、犬のしつけに似てるな。トップブリーダーになれるぜ」
内心まんざら悪い気もしていないアリスは、机の引き出しに山のようにキャンディーを隠し持っていた。
「…あれ?伍長は?」
いつの間にか姿の見えない伍長に気が付き、マーチスがステッキンに聞いた。
「さっきまでここにいたんですけど…。トイレにでも行ったんでしょうか?」
しかしマーチスは今し方トイレから戻ったばかりで、そこには伍長はいなかった。
「探してくる」
マーチスは執務室を出て行った。食堂にも、中庭にも、資料室にも伍長の姿はなかった。マーチスは次第に
不安になって来た。最悪の事態まで考えていた。自分の監督不行届きで、伍長に何かあったらどうしようと、
マーチスの心は千々に乱れた。
肩を落として廊下を歩いていたマーチスは、会議室の前を通りかかった。
「遠慮しないで沢山食べなさいね。伍長ちゃん!」
その言葉に反射的に反応したマーチスが立ち止まった。ドアの向こうから、数人の女性の声が聞こえ、
何やら楽しそうに会話をしていた。
「本当に伍長ちゃんって、カワイイわよねぇ。イヤらしさが全然ないもの」
「伍長ちゃんが更衣室に入って来ても、私全然驚かないわぁ!」
「いやーねぇ!それって、伍長ちゃんの事男と認めてないって事ぉ?」
「きゃははははっ!」
華やかな声と会話に、マーチスは全身を震わせた。先刻までの危惧がやり場のない怒りに変わり、マーチス
は勢い良くドアを開けた。
「伍長!!…じゃない!ランデル!!何をしてるんだい?!」
会議室でささやかなお茶会を開いていた女性達は、いきなり飛び込んで来たマーチスに驚き、一斉に振り向
いた。そこには女性達に囲まれ、クッキーを頬張っている伍長がいた。誰が付けたのか、クッキーをラッ
ピングしていた赤いリボンを頭に結わかれ、きょとんとしながら伍長はマーチスを見つめた。
「怒らないでマーチス!私達が伍長ちゃんを誘ったんだから」
一課のミレイユが申し訳なさそうにマーチスに言った。
「そうよ、マーチス!クッキーを沢山もらってしまって、食べ切れなかったの。だから伍長ちゃんに食べて
もらおうと思って…」
伍長を庇う女性達に根負けして、マーチスは溜め息をついた。
「分かりました。でも黙って出て行くのは良くないよ、ランデル。みんなが心配してるから、帰ろう」
女性達に手を振って別れを告げると、伍長はマーチスに手を引かれながら廊下を歩いた。
「…シュテファン…怒ってる?」
「…怒ってないよ」
「うそ。怒ってるでしょう?」
「怒ってないってば」
マーチスは溜め息をつくと、振り返って伍長を見上げた。
「…本当は怒ってるよ。うぅん、心配したんだからね。黙って出ていったりしたらダメじゃないか。他の
みんなもとっても心配してるんだよ。君にもしもの事があったら…」
マーチスはその後の言葉を呑んだ。伍長が顔を歪ませ、俯き、大粒の涙を目に浮かべてしゃくり上げた。
「…ごめんなさい。ごめんなさい、ひっく…!」
「泣かなくてもいいから、…ほら、良い子だから」
ポケットからハンカチを取り出したマーチスは伍長の涙を拭ってあげた。
「本当に、みんな君の事が大好きなんだよ。だから心配してるんだ。分かるね?ランデル…」
伍長は小さくコクリと頷いた。
「何だぁ?そのリボンは?」
執務室に戻った伍長を見て、オレルドは苦笑した。アリスも、伍長の半泣きする姿と頭のリボンを見て
今まで沸き上がっていた怒りと心配が一瞬で消えてしまった。
午後から出かける筈だった『ドライブ』を、伍長は大人しく執務室で待っている事にした。窓から手を
振ってアリス達を見送り、それからずっと窓辺にもたれてみんなの帰りを待っていた。夜になって、やっと
帰って来た頃には、伍長はソファで静かな寝息を立てていた。
「伍長さんは大人しく良い子でお留守番をしてましたよ」
ステッキンの言葉に、マーチスは小さく笑って伍長の寝顔を覗き込んだ。
寝ぼけ眼の伍長を連れて、マーチスはロッカールームへ向かった。私服に着替え、伍長の軍服を脱がせる
と、セーターを頭から通してあげた。その様子をオレルドが目を細めて見ていた。
「このまま…」
オレルドがぽつりと呟いた。
「このままデカブツが記憶を取り戻さない方が良いんじゃないかって…、俺、時々思っちまうんだ」
「オレルド…」
「いや、何でもねぇ。早く元のデカブツに戻ってくれよな!頼んだぜ!マーチス。じゃぁな、お先ぃ」
そう言って、オレルドは振り向き様に手を振った。
「バイバイ!オレルドさん!」
伍長も笑顔で手を振った。ロッカールームに残された二人は、しばらく黙り込んでしまった。
『伍長にとっての幸せって…、一体何だろう?』
マーチスは邪心のない伍長の顔を見つめていると、オレルドの言う通りこのまま記憶が戻らない方がもしか
したら伍長にとっては幸いな事かも知れないと、ふとそんな思いが胸中を過った。
アパートに戻り、食事を済ませ、風呂に伍長を入れると体を洗ってあげた。バスタブに浸かりながら、
湯に浮かぶアヒルのオモチャを見つめている伍長が静かにマーチスに言った。
「シュテファン…。もう傷は大丈夫なの?」
「傷?…僕はどこも怪我なんかしてないよ」
「だって…シュテファン、リドリーに撃たれて一杯血が出てたでしょう?」
マーチスは伍長の言葉からシュテファンは何らかの事故により、リドリーと言う人物に撃たれたのだろうと
推測した。そしてもしかしたら既に故人であるかも知れないと、マーチスは直感した。
「…大丈夫だよ。すぐに病院で手当してもらったから、もうどこも痛くないよ」
「良かった。…ごめんなさい。僕がもう少し早くリドリーを撃っていれば良かったのに…」
伍長から「撃つ」と言う言葉を聞いた時、マーチスはその静かな口調に一層切なさを感じた。
「君のせいじゃないよ。…だってリドリーは君の友達なんだろう?友達を撃つなんて、君に出来る訳ない
じゃないか」
伍長がふいに顔を上げてマーチスを見つめた。その瞳には悲愴感すら漂い、ブルーグレーが一層暗く濃い色
をしているように見えた。
「…撃ったよ」
マーチスの笑顔が一瞬凍り付いた。
「僕、撃ったよ。リドリーを撃ったよ。頭の半分が無くなってしまって、死んじゃったよ。僕が殺したんだよ。…だって、リドリーが沢山人を殺したから…」
「もう、いいよ。ランデル。分かった…」
「リドリーだってシュテファンの事が大好きだったのに、シュテファンを撃って…、町に出て一杯町の人を
撃ったんだ。僕、本当は撃ちたくなかったんだけど、リドリーは僕も撃とうとしたんだ。…だから…!」
「もうよせ!ランデル!もういいんだ!」
思わずマーチスは伍長の頭を胸に抱いた。
「シュテファンは言ったよね!リドリーを救えるのはランデルだけだって!…でも、僕…!リドリーを
助けられなかったよんだよ!」
「ランデル…!」
マーチスは考えるよりも早く伍長の唇に自分の唇を重ねていた。その奇行に驚いた伍長は、しばらく体を
硬直させていたが、マーチスが唇を割って舌を忍ばせようとした時に、初めて抵抗した。
「シュテファン…!ヤダ…っ!…」
「僕は…シュテファンじゃない…!僕はマーチスだ!」
その顔は怒っているようにも、泣いているようにも見えた。見た事もないマーチスの顔に、伍長は体を震わ
せた。マーチスは乱暴に伍長の顔を両手で押さえると、再び唇を重ねて来た。無理矢理舌をねじ込み、伍長
の怯える舌先を絡め取り、濃厚なキスを続けた。
「つっ…!」
咄嗟にマーチスが唇を離した。伍長が噛んだ唇の端から血が滲んで来た。マーチスは手の甲で拭うと、茫然
としてその血を見つめていた。その隙に伍長がバスタブから飛び出し、濡れた体のまま寝室へと逃げ込んだ。
灯りの消えた薄暗い部屋のベッドに、毛布を頭から被った伍長が体を丸めて震えていた。しかしその毛布が
乱暴に剥ぎ取られ、裸の伍長が一層身を小さくして戦慄した。
「怖いよ…!シュテファン!怖いよぉ!」
「僕は…、マーチスだ!…そして君はランデル・オーランド伍長。陸軍情報部第三課、パンプキン・シザ
ーズの隊員だ!」
マーチスは怯える伍長に構わず、伸し掛かった。手首をとらえ、ベッドに押し付け、下半身に自分の体重を
掛けて動きを封じた。伍長ほどの体格なら、小柄なマーチスなど容易く押し退けられる筈なのだが、怯えて
混乱している今の伍長には、震えて身を強張らせる事しか出来なかった。マーチスはゆっくりと伍長の顔に
自分の顔を近付け、今にも唇が触れそうな程に迫った。唇を震わせ、涙を浮かべる伍長に、マーチスは怖い
程静かな声で囁いた。
「僕は…、ずっと前から君とこうしたいと思っていたんだよ…」
掠めるようなキスをして、また離れた。
「僕は、ずっと自分の気持に嘘を付いて、誤魔化して…、君が僕に優しく笑う度に、僕の心は傷付いていた
んだ。でもその事にすら僕は気付かない振りをしていた…。分かるかい?伍長。僕は君が思っているような
優しい男ではないんだよ」
再び、ついばむようなキスをした。
「僕は、君の幸せなんかこれっぽっちも考えてなんかいない…傲慢な男なんだよ」
マーチスの目から、涙がこぼれた。その涙が、伍長の頬にぽとり、と落ちた。その瞬間、押さえ付けられて
いた伍長の腕から力が抜けて行った。
「苦しかったんだ。君の事が好きで好きでたまらない。でも君にとって僕は単なる優しい人でしかなくて…
オレルドに抱かれる君を想像するだけで、僕の心は錯乱しそうになるんだ。僕は…、もうどうして良いか
分からないんだ…!」
マーチスの独白は、いつしか涙声に掻き消されてしまった。肩を震わせ、嗚咽し、哀れな程に涙を流した。
「…魂は、嘘を付かないって…シュテファンが言ってました…」
マーチスは伍長の言葉が一瞬理解出来なかった。目を見開いて、伍長の顔を見下ろしたマーチスは、何かを
言おうとしたが何故か言葉が喉の奥でつかえてしまって、喋る事が出来なかった。
「どんなに悩んでも、苦しんでも、魂はちゃんと答えを知っている…。どうすれば良いのかを魂はちゃんと
教えてくれる…。だから泣かなくてもいいんだよって…、シュテファンは教えてくれました」
「伍長…?」
「あなたは、決して傲慢な人ではありません。…マーチス准尉」
それは優しく、力強く、そして暖かい声音だった。伍長を解放し、体を起こしたマーチスに向かい合うように
上体を起こした伍長が優しく微笑んだ。
「伍長…、記憶が戻ったんだね…?」
伍長は照れくさそうにして小さく頷いた。
「正確に言えば、もう1人の…子供の自分にこの体を貸していたような感じでした。俺自身は意識もはっき
りしてたんですが、まるでガラスの壁に阻まれているみたいで…。やっとその壁を壊せたみたいです」
「ごめん!伍長!僕は…、君に酷い事をしてしまって…!」
我に帰ったマーチスは、慌てて床に落ちていた毛布を拾い上げ、伍長に掛けた。そして慚愧の念に肩を落と
し、ベッドに座って項垂れた頭を抱え込んだ。
「マーチス准尉は…、俺のせいで苦しんでいたんですね?」
その言葉に、マーチスは顔を上げて伍長を見た。
「違うよ!悪いのは君じゃない!僕が…、僕がもう少し大人になっていれば…」
「大人だって、悩みます」
「伍長…?」
「マーチス准尉は、どうしたいんですか?…本当に准尉の望んでいる事は…何ですか?」
真直ぐに見つめるブルーグレーの瞳に、マーチスは自分の姿が映っているように見えた。その姿が、本当の
自分の姿なのだと、マーチスは思った。
「…僕が、望んでいる事は…」
マーチスは自分の体がゆっくりと伍長に近付いているのに気が付いた。自分の意思に反して、伍長の魅惑的
な引力にマーチスは次第に惹かれて行った。心臓が早鐘のように高鳴り、掌が汗でじっとりと湿って来た。
心の何処かで警鐘がなっている。オレルドの顔が脳裏に浮かび、一瞬マーチスは躊躇った。伍長の唇が、
すぐそこにあった。あと数ミリで触れる所まで接近していた。すると、伍長が僅かに顔を傾けて目を閉じた。
それがマーチスの理性を揺るがせた。
「…ん…」
マーチスが唇を覆うように優しく唇を重ねると、伍長が鼻にかかった吐息を漏らした。先程とはうって
変わって優しい口付けに、伍長はうっとりと目を閉じてマーチスに身を任せた。唇を離し、角度を変えて
再びキスをする。今度は優しく頬に手を添えて、マーチスがそっと舌を忍ばせた。伍長はマーチスの舌を
招き入れ、自らもその舌に自分の舌を絡ませた。口付けは次第に熱を帯び、鼻からもれる艶めいた吐息と
淫猥な水音が薄暗い部屋に響き渡った。
「う…ん、む…、…ふぁ…っ」
激しさを増した口付けに、二人は陶酔していた。互いの唇は濡れて離れる度に糸を引き、呑み切れなかった
唾液が顎を伝う。時折マーチスは伍長の唇を甘噛みしたり、舌で舐めたりした。伍長はマーチスの舌を
自分の舌で追い掛けたり、ねだるように甘えた声を漏らした。
「ごめんなさい…。傷…、しみませんか?」
唇が離れた時、伍長がそっとマーチスの唇の傷を指でなぞった。トロリとした視線でマーチスを見る伍長の
甘露な色香に、マーチスは理性を手放しそうになった。
「…伍長っ!」
再びマーチスは伍長に口付けた。少し乱暴に貪るように深く、マーチスの舌が伍長の口の中で暴れ回った。
「んっ…!んぅっ!あ…うん!…」
焦るマーチスを、それでも必死に受け入れようとする伍長の吐息が、少し上擦った。口付けから解放した
マーチスは、その唇を伍長の首筋に移し、舌を這わせた。ぴくりと反応した伍長が、肩をすくめた。その
ままマーチスは鎖骨にキスをしながら伍長の肉感的な胸に触れた。優しく撫で回しながら、掌に引っ掛かる
固い乳首を探り、指先で転がした。
「あっん…、ひぁ…っ!あ…くぅ!…」
伍長の嬌声にマーチスはすっかり舞い上がってしまった。その可愛い声をもっと聞きたくて、マーチスは
もう片方の乳首に唇を寄せた。舌で転がし、軽く歯を立て、わざと音を立てながらその綺麗な色をした
乳首を愛撫した。夢にまで見た伍長の体、柔らかい唇、妖艶な声、いつか嗅いだ伍長の匂い…、焦がれて
いた想いが現実となった事に、微かな疑いを抱いたマーチスが、確認するよに伍長の顔を覗き込んだ。
そんなマーチスに、伍長は優しく微笑んだ。
「大丈夫です。…俺は平気ですから…。マーチス准尉…」
その言葉に、マーチスは我に帰った。最後に残されていた理性の欠片が、マーチスに冷静さを取り戻させた。
「伍長…、君は…僕に同情してこんな事をしてるんじゃないか…?」
伍長から体を離し、躊躇いながらマーチスは聞いた。
「本当は…、我慢してるんじゃないのかい?僕の願を受け入れようとして、無理してこんな事を…」
「マーチス准尉」
その言葉を遮るように、伍長の指がマーチスの唇に触れた。
「俺は…、マーチス准尉が好きです。同情なんかじゃありません。好きでもない人と、こんな事はしません」
「だって、君にはオレルドが…!」
「もちろん、オレルド准尉も好きです。…でも、マーチス准尉が苦しんでいるのに…、俺には何も力になれ
ません。だから…俺、自分に出来る事で准尉の助けになりたいんです」
その瞳は、先程の妖艶な色とはまるで違う、真剣な物だった。伍長なりに考えた、マーチスへの恩返しの
つもりだった。
「マーチス准尉は、俺の事を一所懸命世話してくれました。俺の事を邪魔者扱いしないで、とても大事に
してくれました。…だから、…だから…!」
「伍長…。ありがとう…」
涙をこぼす伍長の顔を、マーチスは優しく抱き寄せた。
「君は本当に優しい子だね。ありがとう。…君の言った『魂は嘘を付かない』って意味が、今分かったよ。
僕が本当に望んでいる事は…、君が幸せになる事だ。君が幸せになる事が、僕にとっても幸せな事なんだよ」
「准尉…?」
伍長が涙で濡れた顔を上げ、マーチスを見つめた。
「僕は君と出会えてとっても幸せだよ。伍長。心からそう言える。君と出会えた事を、神様に感謝してるよ」
そう言ったマーチスの表情は、いつもの優しい、聡明な笑顔だった。その笑顔につられて、伍長も涙ながら
にも、微笑み返した。
「君は本当に…まるで子供みたいだよ。記憶が戻っても、何だかまだ子供の君と一緒にいるみたいだ」
マーチスが照れ笑いをしながら伍長の頭を優しく撫でた。伍長は気持良さそうに目を閉じて、うっとりと
マーチスの掌の温もりを感じていた。そんな伍長を見て、ふと、マーチスは疑問に思った。
「…あれ?そう言えば、君って何歳だったっけ?」
何気なく聞いたマーチスの質問に、伍長は僅かに頬を赤らめて俯いてしまった。戸惑ったようにモジモジ
する伍長の姿に、マーチスは何かまずい事でも聞いてしまったのかと思った。しかし伍長は決心したかの
ようにマーチスに近付くと、耳に口を近付けて囁くように耳打ちした。
「………うそ」
マーチスの顔が硬直した。しかし伍長は真剣な面持ちでじっとマーチスの顔を見つめていた。
「ホント…?」
再度確認するマーチスに、伍長はコクリ、と頷いた。
「それって…、オレルドは知ってるの…?」
再び伍長は頷いた。
「………それって…、それって、は、反則だよおおおおっ!!!」
伍長の新たな真実を知ったマーチスは、まるで奈落の底に突き落とされたような気持だった。
翌日、いつも通りに出勤して来たマーチスに促され、正気を取り戻した伍長が照れくさそうに挨拶をした。
涙ぐむステッキンや、わざと悪態をつくオレルド、そして心から安堵の表情で喜ぶアリスやハンクスに、
伍長は改めて三課に配属された事を心から幸せに思った。こんな自分でも、みんなが心配してくれる。大事
にしてくれる。伍長は胸一杯の嬉しさを噛み締めていた。
ロッカールームでオレルド、マーチス、伍長が資材の点検をしていた。
「デカブツ。マーチスに何か変な事されなかったか?」
オレルドが不審の目をマーチスに向けながら、嫌味混じりに言った。伍長とマーチスはお互いに顔を見合わ
せた。困った顔をするマーチスに、伍長は優しく笑った。
「マーチス准尉はとても親切にしてくれましたよ」
その言葉に助けられたマーチスは、意真剣な眼差しをしてオレルドに言った。
「聞いたよ。昔の伍長の事を。…酷いよ。仲間の僕に秘密にしていたなんて」
オレルドは驚いた顔をして、マーチスを見つめた。伍長も気まずい空気に、その場に佇む事しか出来なかった。
少しの間、三人は何も喋る事が出来ず、黙り込んでしまった。
「これからは僕を蚊帳の外にするのはやめてよね。僕だって、伍長の事が大好きなんだから!」
苦笑混じりの溜め息を一つついて、オレルドがマーチスの肩を叩いた。
「済まねぇ。俺らしくなかったぜ。何だかんだ言っても、お前は俺の大事な親友だもんなぁ」
その言葉に、やっとマーチスも笑顔を見せた。
「親友って…、ステキな響きですね」
伍長ののんびりした声に、二人が振り返った。
「何言ってんだよ、デカブツぅ!お前は俺達の大事な仲間だろうが!いや、仲間って言うより俺の恋人って
言った方が正しいよなぁ!」
「オレルド…。よくそんな恥ずかしい事を臆面もなく言えるよね」
「恋人が不満なら嫁でもいいぞ!いっそのこと結婚するか?デカブツ!」
「えっ?えええぇぇぇっ?!!」
伍長が真っ赤になって戸惑った。嬉しいような、恥ずかしいような、こそばゆい気持だった。
「ダメ!!それだけは絶対にダメ!!いい?伍長。オレルドと結婚なんかしたら、絶対に浮気に泣かされる
のがオチだよ。その点僕は浮気なんかしないから安心してお嫁においでよ」
「浮気と本気は根本的に違うんだよ!俺だってデカブツ一筋なんだからな!基本姿勢は!」
「その基本姿勢ってのが、そもそもおかしいっての!」
「あの〜〜〜〜…」
伍長に制止された二人が、やっともう1人の存在に気が付いた。
「貴様達は、ここを学校か寄宿舎と勘違いしているようだな。いい加減学生気分から卒業したらどうだ?」
アリスが腰に手を当てて、仁王立ちしていた。オレルドとマーチスはイヤな汗を額から流した。
「いつまで資材の点検に時間を掛けているのだ?!これではいつまで経っても出発出来ぬではないかぁ!!」
アリスの怒号に、三人は慌てて荷物を持って外に飛び出して行った。
「僕もね、オレルドと同じように君の記憶が戻らない方が幸せかも知れないって…思ったんだ」
車の運転席に着いたマーチスが告白をした。
「でも君の子供時代は僕達の想像を超えるような辛くて悲しい過去だって事が分かった。そんな時代の君の
心を、引き止めておく方が酷だよね…。だから君が正気を取り戻してくれて、本当に良かった」
マーチスの言葉に、アリスとオレルドも同感だった。伍長は優しく微笑んだ。
「俺…、今が一番幸せです。三課に配属されて、本当に良かったと思っています」
伍長の優しくも力強い言葉に、アリス達は感無量の気持だった。その言葉こそが、みんなにとっての一番の
戦災復興への力となるものだった。
「よし、行くぞ!戦災復興を目指して!いざ、出陣!!」
アリスの凛とした声に背筋を伸ばしたオレルド、マーチス、伍長が新たな復興の地へと赴いた。どんなに
困難な事に遭遇しても、どんなに辛い目に遭っても、この仲間とならきっと乗り越えられると、伍長は心の
中で確信していた。それはそこにいる誰もが同じく抱いていた、揺るぎない思いだった。
バックミラーを覗いたマーチスは、一瞬自分の顔が見た事もないシュテファンの顔と重なって見えたよう
な気がしたが、すぐにそれは自分の顔に戻っていた。マーチスは小さく微笑むと、心の中で語りかけた。
『シュテファン。安心して下さい。伍長は僕達の掛け替えのない仲間ですから。きっと幸せにします…』
サイドミラーに映る伍長の視線が、マーチスと合った。伍長は子供のような優しい顔をして微笑んでいた。
《 終 》
>>シャワーの人
休日の過ごし方がマーチスと同じだw
キャンディーで喜んだり、頭にリボンを付けられたり
パンプキン音頭を踊る伍長と、それを教えるステッキンに和みました
以前からのストーリーが絶妙に絡んでいるのもミソですね
シャワーの人GJ!!!!
ジーンときちゃいました・・・
ふて腐れたり、踊ったり、ニコニコ顔で飴舐めたりな幼伍長に萌えたw
>>シャワーの人
>>278さんではありませんが、私も休日の過ごし方が悲しい程にマーチスと
同じだったw
いつもながらGJ!もう萌え過ぎて、どこを突っ込んでいいか分からない…!
パンプキン音頭踊ったり頭にリボン巻かれたり飴を頬張ってご満悦の伍長はもちろん
おじさん言われてブチ切れるオレルドや「はい、あ〜ん」言う少尉も可愛いかった!
萌えどころ満載の素敵SSを有り難うございました!
いつのながらここの職人さんたちは凄いよ!次から次によく萌えを思いつくなぁ。
>>保管庫の人
いつもお世話になっております。UPの方がんがってください。
冷凍バナナ採用されて良かったですねw
ボレロは薄手のニット素材で袖口は鍵針編みモチーフがあるですよ。
姫袖まではいかなくてもふりふりしてる感じです。
シャーリングよりも寧ろ柄のほうが大変なんじゃないかとorz
>>ドンデレの人
少女漫画GJGJ!! ちゅうを寸止めで止めちゃうとこもよかですたい!
舐めるというか舐るって感じのオレルドがまたいやらしくて良いです。
ドンデレの人さんがいなくなってしまうのはさびしいです。
気が向いたらいつでも投下しにきてくださいね。
>>(´・ω・`)の人
伍長があうあうしてる様が目に浮かぶようです。なんとも可愛らしか!
それより気になるステッキン。
あの子が得意顔でレクチャーする様が容易に想像できました。
このスレの癌だなんて。スレの癒し系ですよ♪
>>シャワーの人
いつもGJなお話楽しみにしています。ちゅうシーンがエロス!!
オレルドは乱暴そうに見えて優しさが垣間見えるけど、
マーチスは優しそうに見えて強引なところがあると見受けました。
そんなお婿候補が2人もいて、伍長に軽く嫉妬。
可愛すぎるでおまぁ…!!
伍長…愛の力で記憶が戻ったんだね。素敵です
子供伍長にパンプキン音頭布教されててワロタ
一応本体の意識があったということは…ハッ!
>片手に特注の溲瓶を持ちながら舌打ちをするロゼッタに見送られ
何考えてんだロゼッタww
>>265 ランタン仕様の伍長なら一瞬でしょうが
ドジっ子伍長なので手を滑らせたりしてなかなか泡立ちませんw
>大きな手で小さなボールと泡立て器
そこまで考え付かなかった…!
も…萌える…!!
>>ドロワーズの人
ステッキンは教えることが出来るのは伍長だけなので喜んでレクチャーしますが
間違った内容も教えるので注意が必要です。笑
ん?最後が良く見えません、このスレのいやらしい系…ですか?笑
283 :
戦隊の人:2007/03/18(日) 12:30:50 ID:???
見た目は大人で中身は子供な伍長かわいいですね〜
自分も伍長にお菓子あげて餌付けしたいよw
強引なキスシーンとかもエロエロですし、
小ネタもいっぱいで読んでて面白かったです!
濃いSSを有り難うございました。GJ!
つまんない事だけど、前から気になってたんで
ちょっと意見を言わせて下さい
コテハン付きの職人さん方は自分のSSの感想に対しての
レスをする時以外(感想だけを書き込む場合)は
コテハン解除して名無しで書き込んだらどうかなと……
職人同士の馴れ合いスレっぽくなってきてる雰囲気があって
正直言ってただの住人である自分がなかなか感想を
書き込みづらくなってるんだ
職人さん方のSSには楽しませて貰ってるし
こんな事気にしてるのは自分だけかもしれないけど……
空気嫁てない発言だったらスマン
その場合は華麗にスルーで頼む
ごめん…名前のとこクリアしないで書き込んでしまうこともあるんだ。
これからは名前欄注意してから書き込むことにするね
確かにコテハンばっかりだと色々と入りづらい雰囲気になっちゃいますしね。
すいません、これからは気を付けて書き込むことにします。
一応自分は今までコテハンはずして感想してたんだけど…
ごめん調子に乗りすぎた(´・ω・`)
288 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 23:29:11 ID:RfmAeJ3I
自分はコテハンに関しては基本的に本人の自由で良いと思うけど・・。
皆このスレを本当に大事にしているんだね。その事に感動☆
289 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/18(日) 23:30:40 ID:RfmAeJ3I
皆良い人ばかりだなぁ・・。
最終回の伍長可愛すぎだろ
常識的に考えて…
読んで頂いた皆さん。本当にありがとうございました!
毎回の事ですが、正直、投下した後とても不安になります。
「今回は図に乗り過ぎたかな?」とか…orz 他の職人さん達も、
もしかしたらそう思っていらっしゃるのでしょうか…?
そんな不安を払拭してくれるような、温かなレスをありがとうございます!
まとめてのレス、本当に申し訳ありません!しかし、皆さん1人1人の
レスは心に深く刻んでおります!
ちなみに、マーチスの休日の過ごし方は、私も同じですorz
あと、これからはSS投下とレス以外は、私も「名無し」で感想などを
書き込みますので、どうかご了承下さいませ。
でも、個人的な意見を言わせてもらえれば、なれ合いとまでは行かなくても
前から好きだったコテハンの人から感想をいただけると、書き手としては
とても嬉しいものです。もちろん名無しさんからいただける感想も同じ
ぐらい嬉しいです!だからこっそり分かるぐらいの書き込みはどうでしょうか?
>>(´・ω・`) さんみたいに書き込みの最後に(シャワ)とか…。
ダメですかね?レスの時はコテハンじゃなくて番号でレスしますから。
とにかく、ここのスレ住人さんは、みんな優しい人です。だから
なれ合って他の人を仲間はずれとかにしないので、名無しさんもどんどん
萌えな書き込みをして欲しいと思います。大丈夫ですよ!怖くないですから!
私も最初は怖かったですけど、皆さんの優しさに投下する勇気を頂きましたから。
またまた生意気発言すいません…orz
294 :
284:2007/03/19(月) 01:44:54 ID:???
やっぱり書かなきゃよかったな…
皆で楽しくやってる所にスレの雰囲気ブチ壊してゴメン
職人同士で和気藹々やってる輪の中に名無しですら
入り込めなかったチキンな俺が全部悪い
無責任で申し訳ないが、自分のカキコはスルーしてくれ
勝手言ってすまない……
>>294 そこまで気にしなくてもいいと思いますよ。
確かにコテハンが増えることでの弊害もありますし、
284氏のような意見が出てきても当然かもしれません。
とりあえずコテハンは基本控えめで、
後は各職人の自由に…ってのがいいのかな?
>>294 全然気にしないで下さい!そういう貴重な意見を言って下さっただけでも
意義がありますから。294さんのような考えを持っている人だって少なからず
いると思います。私も「名無し」の頃はチキンでしたからorz
逆に
>>294さんの気持も考えないで書き込みしてしまって、ごめんなさいorz
私もきっと投下してなければ、294さんと同じ事を思っていたかもしれません。
>>295さんの言う通り、控えめで、職人さんの判断にお任せって事で。
>>294 同じくよくぞ言ってくれた。その勇気にGJ
ROMっている人達で同じ様に感じた人は多いと思う。
上質なSSを投下してくれる神には本当に申し訳ない話なんだけど
ここは2ch内のスレなんだし交流サイトじゃないんだから
過度な馴れ合いレスし合いっこはほどほどにお願いしたいよ
線引きは重要って事で
それじゃまたROMに戻るわノシ
自分はコテ名乗るの恥かしくてずっとナナシで感想カキコしてたんですが、
「あいつ、投下するだけしといて他の職人さんへの感想は無しかよ?」
って思われてないか、不安でいました…
>>294さんの勇気のおかげで救われました。
感想の時はナナシのコテハンもいます。投下した後は知らん振りではないので。
またみなさんの素敵な作品待ってます。
スレを長く続けてくると、今回のことに限らず色々な問題が出てくると思うので、
このスレの皆さんがもっと楽しめるように、今後気になることは
思い切って言ったほうがいいかもしれませんね。
>>299 そうなのよ俺も凄いそれ感じてた。
自分が投下した後書き込みが急に少なくなって…
っていう被害妄想とかものすごいしてたス
みんな同じ事考えてたんだと思うと、俺もちょっと安心したよ。
シャワーの人さんが、
「毎回の事ですが、正直、投下した後とても不安になります。 」って
書いてただろ?それって、俺も毎回思ってた。この人も俺と同じ事に
悩んでいたんだなぁと。
>>301さんとも同じ。俺のせいでこの場を
しらけさせちゃったよー、と投下する度落ち込むよ。
コテハンもってる人だって、決して馴れ合ってるわけじゃなくて、
同じように一喜一憂してるんだよ。コテハンもってる人達が特別じゃない。
立場は名無しさんと同じなんだよ。
そうだね。慣れ合っていた訳ではなく、「投下後の不安」をよく理解している
職人さん同士だからこそ、ついついコテハン晒したままの交流を
しちゃってたんだと思う。私も職人やっていたので、気持ちはよく分かります。
でもコテハンの有無に関わらず、感想を頂けるのは本当に嬉しいことだし
何より「よし、次も頑張ろう」って言う励みになる。
アニメが終わっちゃって、これからどんどん伍長のこと忘れられるんじゃないか
って不安や寂しさがある。それは仕方のないことですが。
だから今は、このスレと、職人さんたちが投下してくれるSSと
名無しさんたちの書き込みが、自分の中ですごく励みになってます。
「ああ、このスレすごく素敵だなぁ、あったかいなぁ」
「伍長、こんないい人たちに好かれて幸せ者だよ!」って思いますw
SSを投下したいんだけど、今の流れでは投下しにくいと思っている職人さんが
いないとも限らないので、僭越ながらまとめさせて頂きますと……
・SS投下時、自分のSSへの感想への返信→コテハン使用OK
・それ以外(他の職人さんたちのSSへの感想カキコ時)→職人さんたちの任意
・職人さんたちは不安でいっぱい。そんな職人さんたちにこれからも伍長萌えSSを
投下してもらう元気を与えるために、名無しもなるべくGJを贈る(強制ではない)
こんな感じで可決致したいと思いますが、どうでしょう?w
他にご意見があれば、どぞー。
ここは匿名掲示板だしやっぱりコテ付いてると特別に見えるよ。
正直作品投下ではないのにコテが続くとちょっともやもやする。
ROMと立場が同じと言うなら別につける必要なくね?って思う。
名無しでばんばん感想書けばいいじゃないか
まぁそれが正しいんだけど、感想も書かなくて作品を投下するなんてでしゃばりすぎ
って思われてるんじゃないかって思っちゃうんだよ。
ここは匿名掲示板ですし、サイトで交流するのとはちょっと毛色が違うんですよね。
感想云々まで気になるのであれば、サイトでも作ってみたらどうですか?
ここに誘導URLでもおいてさ。
>>306 読み手の反応が気になるのは書き手なら当たり前の事だろう
色んな事情でサイトを持たない人だっている
感想が欲しいならサイトでやれ、此処には感想を求めない職人だけに
投下して欲しいと、そういうつもりで言ってるのか?
感想は送りたいヤシが送ればいい
送りたくないヤシはROMに徹しておけばいい
それは読み手の自由だ
だけど、職人が一生懸命書いてくれたSSに楽しませて貰ったら
せめてもの礼にGJの2文字を送っても罰は当たらんぞ
それに2chに自サイトのURLを曝す危険性ってのを
もう少し考えて欲しい
すまん。ちと感情的になった
そもそも職人自らコテを名乗ったわけでなく、
名無しで投下後に住人がつけるパターンが多か
ったわけで
住人命名な流れだと、職人さんもコテ外すタイ
ミングが難しいんじゃね?
名付けておきながら名乗るなってのもどうかと
思う
なら命名止めるのが先じゃんとも思う
任意でいいよ任意で
いつまでも引っ張ってたら神職人が離れるぞ
>>306 >感想が欲しいならサイトでやれ、此処には感想を求めない職人だけに
>投下して欲しいと、そういうつもりで言ってるのか?
そういう意味じゃないんだけどな…
サイト持てないのもわかるよ、自分もそうだし。
言いたいのは
>>305の
>感想も書かなくて作品を投下するなんてでしゃばりすぎ
>って思われてるんじゃないかって思っちゃうんだよ。
ってところ。
そんなに気にしなくても良いのに。
誰だって感想もらったら嬉しいし、それがコテ付きでも付いてなくても
自分作ったSSへの感想には変わりない。とてもありがたいことです。
サイトのURLのところは失言した。スマソ。
>感想も書かなくて作品を投下するなんてでしゃばりすぎ
>って思われてるんじゃないかって思っちゃうんだよ。
こういう発想が全く無かった
むしろコテで書いてるほうがでしゃばってるように見える
2ちゃんって必要な時以外でコテ名乗るほうが煙たがられる傾向にあると思うんだが
ここはそうじゃないのか
そう、実は自分が一番危惧してたのはまさにそこだったんだ
作品投下やレス以外でのコテ使用で、自分が好きな職人が煙たがられたりしないかって
いっそコテ命名を廃止すべきなんだろうか?
でもシリーズ物を投下してくれる場合はコテがあった方が
あの職人か〜って判別しやすくなっていいんだけどね
保管庫でも見易くなるだろうし
しかしこんな流れじゃ間違いなく職人は離れて行くぞ…?
とりあえず後は各職人の判断に任せる事にして
この話題を蒸し返すのはそろそろやめにしないか?
もともとコテハンってのはSS書いた人をわかるようにするためにやったことだから、
でしゃばるって意味合いは全くないんだよね。
このスレは職人ごとの毛色がかなり違うし。
あと、もちろん名無しの人に感想貰うのもうれしいけど、
コテハンの人に感想貰うのもうれしいから、意図的ではなくても
ついつい馴れ合ってしまうのかもしれません。
いいからSS投下しろ、スレがもったいない
>>314 SS一つ書くのもものすごく大変なことなのに、そういう言い方はどうかと思います。
書いている人の気持ちも萎えますし。
スレ進んでいて新作投下か!?と思ったらまだ続いていたのか
もう
>>303のレスのルールでいいんじゃないか?
次スレからテンプレにルール入れればいいし
ただ最後のなるべくGJを送れとか言うのはいらんと思うが
それこそオーランド伍長萌えスレじゃなくて
オーランド伍長SS職人と慣れ合わせてア・ゲ・ルミャハ☆スレになってしまうし
変に脅迫観念に捕われてしまう人が出るかもしれん
>>311 そうなんだよな、俺もこのスレだけ空気違うなと思うよ
妙にまったりしているし
ここ2chのスレか?って伍長じゃないけどアウアウする時有る
まぁまぁ荒らしは華麗にスルー
正直言って
>>305みたいな意見はあれだ、周りの人がコテ使って感想かいてるから
自分も使わなきゃ勘違いされるんじゃ…っていう思いからじゃない??
まぁこの話題はコレで終わりにしようぜ。大まかなルールは303でOK?
いい加減投下しないとこの話題は終わらなさそうだけど
自分内のメモ帳にあるのはちょっと暗めだからな…だ…ダメだ…
はよう投下しておくれ!
暗いの好きだー。
えええ…ま…マジか…
ちょっと待て。悪あがきにちょっと推敲して来る(´・ω・`)
待ってるよー
先に謝っておこう。それならきっと大丈夫(?)
えーっと実験的に書いてたもんだから期待しないで下さい。本気で
・ほんのーーーーーりマチ伍風味(お茶に牛乳混ぜてコーヒー牛乳って言い張るレベル)
・書いてる本人にとって暗いというのはキャラが変にウジウジしてる話ということだから
そんな猟奇的とかそういうのでは…ないのでうん…うん。
・だからエッチなんてないってば
ではいっきまーす
323 :
『無題』:2007/03/20(火) 20:37:21 ID:???
今日は朝から伍長の元気がなかった
見た目は普段と変わらないけれどなんと言えばいいだろう…
今にも泣き出しそうな―――――
そんな雰囲気が漂っているのを僕は感じていた
とはいっても、僕が心配してどうかした?と声をかけても伍長は何でもありませんよと笑顔で返すだけだ。
仕事が終わって少し後、少し気にしすぎなのかもしれないけれど
僕はオレルドから聞いた伍長が寝泊りしているという橋の下に足を運んでみた
◇◆◇◆◇◆
どこかで犬が月に向かってほえている、今夜は満月だ
雲ひとつなく、たくさんの星が深い闇の中で輝いている
月明かりで道は明るかったが橋の下は少し薄暗い
その暗闇の中に大きな黒いものがある、おそらく伍長であろう
近くに寄って彼を見たときに予感は確信に変わった
何が起こったかはわからないけれど確かに伍長に何かがあった
伍長は―――――泣いていた
「伍長」
今まで気付かなかったのだろうか
名前を呼ぶと伍長は一瞬ビクッとして慌てて涙を拭き僕の方を見た
「准尉…どうしたんですか?こんなところに?」
何事もなかったように伍長は返事をした
いつもの笑顔と一緒に
「うん…ちょっとね、伍長がちょっと元気がなかったからさ…心配で」
「そうですか?ここのところ忙しかったですから疲れが溜まってたのかもしれませんね…。すみません、ご心配おかけしちゃって」
嘘だ
確かに伍長はいつだって人一倍戦災復興の為に頑張っていた
ここ2・3日は特に忙しかったが伍長はいままでどんなに忙しくても疲れた顔は一切したことがない。
第一疲れていて涙を流すなんてどう考えても有り得ない
なんだか…ものすごく気持ちが悪かった
伍長が嘘をついていることは確かに気持ちが悪い
が―――――それ以上に、同じ三課の『仲間』として、『友人』として信用してもらえていないことが一番気持ちが悪かった
『仲間を疑うにはまず仲間にならないと!』
…僕はまだ…伍長に『仲間』として認められていないのだろうか?
324 :
『無題』2:2007/03/20(火) 20:40:27 ID:???
「伍長、上官命令だよ。何があったか正直に話しなさい。
このままじゃ僕も心配で仕事に手を付けられないしそれに…『友人』として見過ごせない」
少し怒気を強く含みすぎたかもしれない
伍長はしゅんとなりまるでしかられた犬のように俯いてしまった
数分の沈黙の後伍長はやっと口を開いた
猫が死んだんです…
ぽつりと言うと伍長は再び泣きそうな顔になった
「猫?猫って伍長が餌をあげてるあの野良猫たちのこと?」
一度こくりと頷くと大粒の涙を流しながら話始めた
死んだのは真っ白くて毛並みのいいふわふわした大きな猫だそうだ
伍長がオレルド関係で橋の下に帰れないとき何度か餌をやるのを頼まれたことがあるからよく知っている
ノラ猫のクセにやけに警戒心がなくて初めて僕が餌をやりに来たときも他の猫が近寄りすらしなかったのに真っ先に食いついてきたから良く覚えている
「今でこそ三課のみんながいますがこの橋に住み始めたころ…、俺は職もなくて一人ぼっちで…毎日寂しくて死にそうでした。
仲間もみんな戦死して唯一の生きる理由だった戦争も停戦で終わって…本当に生きるのが辛かったとき
あの猫はやってきたんです…。しばらく餌をやっていると何日かして、数匹の仲間を連れてきてくれました。
あの猫は俺に生きる目的と仲間を与えてくれました」
「近頃、餌もそんなに食べないしちょっと様子が変だったんですけど俺…何もしなかったんです。
結構年も食ってて、もう少し心配すべきだったのに。忙しくて…時間がないし後で大丈夫だろうって…たかをくくってたんです
そしたら今日朝、目が覚めたら…動かなくなってて…触ってみたら…冷たくなって…て…っ…すぐ俺…病院に連れて行ったんですけど
『手遅れだ』っていわれて…も…もし…あの時…っに…ひっく…連れて行ってたら…もしかしたら……う゛ッ…!助かってたかも…しれなかったのに…!!」
伍長は再び声を上げて泣き始めた
僕は優しく抱きしめる
壊れ物を扱うように
そっと
「おれッ…!俺…!!あの猫に何もしてやれなかったんです…!俺をっ…うっく…救ってくれたの゛に…!!」
僕は伍長が満足するまで泣かせてあげた。
まるで子どものように泣きじゃくる伍長に僕がしてあげられることは
口惜しいけれどそれ位しかなかったから。
オレルドならどうしてあげたんだろう?
オレルドならなんて言葉をかけてあげたんだろう?
オレルドなら伍長を慰められたのだろうか?
それとも――――?
僕はなんて――――なんて無力なのだろう
◆◇◆◇◆
325 :
『無題』3:2007/03/20(火) 20:41:17 ID:???
ひとしきり泣きだいぶ落ち着いてきたようだ
「あ…その…准尉…もう大丈夫です…」
伍長は恥ずかしそうに顔を真っ赤にして僕から離れた
しばらくの沈黙の後、僕は口を開いた
「ねぇ伍長?猫の習性でさ…猫って死期を悟ると飼い主の所から去っていっちゃうんだっていうの…知ってる?」
伍長は不思議そうな顔で僕の方を見た
「猫ってさ、結構プライドが高い生き物なんだよ。だから死体なんて無様なものを人目にさらして逝くことはない
にもかかわらず、あの子は君のそばで眠りにつくことを選んだ。苦しくて痛くても…最後の一秒も君のそばに居たかった
伍長に出会って、沢山笑って、沢山可愛がってもらって、餌をもらって一緒に眠って…」
「本当に幸せだったんだと思うよ?僕は。
もし…もし僕がその猫だったら・・・。いつまでも自分の為に涙を流してもらいたくないなぁ。
幸せにしてもらったんだもん、笑って貰いたい。笑って…送り出してもらいたい」
「そう…ですね…俺……また忘れてました…。901の仲間の言葉…『誰か1人でも生き残ったら、泣き顔じゃなくて立派な顔で送り出してくれ』…って」
伍長が笑った、朝のような作り笑いではなく
穏やかな顔で笑った。たったそれだけのことだけど、僕は救われた気がした
「俺…少し元気が出てきました。准尉、ありがとうございました」
「えっ!?いやいや!こちらこそどういたしまして!」
伍長が礼をすると釣られて僕も礼をしてしまった
本当、伍長といるとペースが乱れてしまう
326 :
『無題』3:2007/03/20(火) 20:41:54 ID:???
「あ…」
しばらく僕が余韻に浸っていると。急に伍長が橋の下から飛び出す
「准尉、雪ですよ雪!ほら、…初雪ですね」
後に続いて僕も外に出てみる
「本当だ…珍しいねこんな時期に……もしかして…あの猫が降らしてくれたのかもね」
「……准尉って…意外とロマンチストなんですね」
心底意外そうな顔で僕の方を見る
自分でも驚いた
「ふふ…あはははは」
僕が笑い出すと伍長も笑顔になる
―――――月が明るく輝く
いつの間にか
犬の声は聞こえなくなっていた
…終われ終われ!!
改行多いって怒られた…
しかも番号間違ってたり本当にごめんなさい。氏ね俺
ところで普通投下する際何行を目安に投下すればいいのかな…
うpありがとー。
ぬこ可愛いよ猫。
伍長いつまで橋の下に住んでるんだろうねー
今の時期寒そうだな…
精神的に弱っている時に優しくされると、人の親切が身に染みるんだよね
あわよくば、そこから恋愛に発展したり
マーチスのポジションが美味しすぎるぞ!
ほんのり心温まるお話ありがとう。
オレルド関係がとっっっても気になるYO!
>>327 > ところで普通投下する際何行を目安に投下すればいいのかな…
俺jane使ってるけど、限界が何行までとか何バイトまでとか解るみたい
自分がどれくらい投下してるかも解る
良ければそういうのを使ってみるのも手かなと思う
伍長も准尉も優しい子だなー
むしろほっこりしたよ
実験的に書いたものであんまり面白みも萌えもないSSですみません…
いつものことか。笑
>>328 寒い季節でもぬこが寝袋の中に入って一緒に寝てるのでぬくぬくしてる説に一票!
っていうか伍長あんな橋の下に住んでて給料とかの管理どうしてるんですかね?
銀行ってあるのかな…?笑
>>329 マーチスは部下思いのいい人なんです。
恋愛に発展かぁ〜、マーチスは恋愛に関しては鈍感そう…
っていうか姫がいますからww
>>330 >オレルド関係
もちろん…ねぇ?
オレルドさん家でえt(ry
>>331 最初「泣かせるSSとは何か」という名目で書いたものですから
ほっこりとか言ってくださると嬉しいです
もっとうまくなりたぁ〜い
>俺jane使ってるけど、限界が何行までとか何バイトまでとか解るみたい
Janeか…速報のときにしか使わないから今一度見直してみようかな
基本はp2なんだけど
拙いSS読んでくださってありがとう御座いました!
(´・ω・`)の人>読後に幸せな気持ちになれるSS、ありがとう。
拙いなんてとんでもない!キスの話も白日の話も、
胸がキュンキュンして大好きです。
後ろ(過ぎた事)を見るな、前(これから)を見ろ!
そこには有る!素敵伍長萌えSSの数々が!!
これから鞄ひとつ(アニメ2クールと月1の原作他)でどうやって萌えを供給していけば良いのか?
と途方に暮れてる自分に、潤いを与えてくれてるのがこのスレです。
これから職人さん達も名無しさん達もROM専門の人も、
ちょっと気を付けていけば良いじゃない?
毎度、パン(素敵SS)が自分に振る舞われるのが当然って思わずに、
GJ(ありがとう)の気持ちを持って、皆で盛り上げれば良いじゃない?
食べる(読む)のは一瞬でも、作る(創作)のは大変な事だと思います。
前スレでここを知り、拙いながらも創作に目覚めた自分には、
その苦労がほんのちょっとだけ解るから。
過疎る方が悲しいもの。
いつか、自分も投下できるようなSSが出来たらなって、
目標にしながら頑張っております。
スレ消費、すいません。今迄ROM専門だったけど、思わず。
>>334 SSが読める事が当然と思っちゃいけないんだよね
投稿で板が潤っていると忘れがちな感謝の気持ち
SSを投稿してくれる職人さん達には本当に感謝しています
>>334も頑張って、いつでも投稿待ってるよ
>>334 創作頑張ってください!
SS書くのはとても大変なことですが、投稿した後に
皆さんから様々なコメントがもらえるのは、
とても嬉しく楽しく、格別の喜びが味わえますよ。
>>334 幸せになるなんて言葉、恐れ多いです。有難う御座います
なんか俺のせいで失速した感が…ごめん…エロとかかけなくて
もうちょっと食いつきがいいのだったら良かったのかな…
ごめんよ、一言言わせてくれないかな?
作品はGJなんだけど誘い受けするのはちょっと……
何故腐女子が他板で婦女子カエレとか言われるの考えて欲しいな
ま、自己主張もほどほどにしといたほうがいいってことだな
次の方どうぞー
340 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/24(土) 19:58:27 ID:mnOMEcDR
話豚切るけど、言いたくて。
暇だからベルセルク読んでたら28巻で『ランデル独立戦争』って
言ってるヤツがいたんだ
俺はどうしたらいい?
しらんがな
なんかすっかりこのスレも落ちたな。
303で大まかなルールまとめられてさあこれからって時に変なもんは沸いてくるし
乞食は出てくるわ
もう職人も居なくなったみたいだしな
結構好きだったのに残念だな
別に職人さんがいなくなった訳ではないとオモ。
お仕事してる人だったら年度末で忙しいと思うし。
それぞれ生活ってもんがあるんだから、
いつでも投下してもらえると思うのはイクナイ。
気長に待とうぜ。
>>343 ちょ…wwwバロスwwwww
伍長と少尉の色が逆だったら
戦隊の人さんのSSそのまんまだったのにねw
内股伍長カワユス(*´Д`)
マーチスが普通に萌えキャラになってるw
このスレに活気が戻るお手伝いになればと思い
生意気にもSSを投下させてもらいます。
猟奇でもグロでもない少尉×伍長なので、
もしかしてエロパロ向けかな……とも悩んだのですが、
伍長がギャルゲ風にアンアン喘ぐ予定なので、
様子見にひとまず前編だけ…。
※注意事項
・少尉×伍長(冒頭は一応、伍長×少尉)
・伍長が乙女かも
・少尉が漢でバカかも
・ソリス姉上がマニアな人かも
反対意見が多いようなら、続きの投下は自粛しますので
遠慮なく言って下さい。
スレ汚しすみません。
まるで深い海の底に、私たちが身を寄せ合うベッドだけが漂っている錯覚を覚える。汗ばんだ肌を密
着させてお互いの熱を貪る吐息と、耳を塞ぎたくなるような恥ずかしい水音だけが、闇夜に包まれた室
内に響いている。
「ん…っあ、ご……ちょぅ……」
大きく広げられた私の足の間に伍長がいた。伍長は私のそこを丹念に、まるで壊れ物を扱うかのよう
にとても大切に、そして丁寧に愛撫してくれる。自分でもろくに見たことのない秘処を伍長に見られて
いる。そう思うと羞恥心が体中を駆け巡り、思わず張り手を飛ばして逃げ出したい気分になってしまう。
けれど……、無骨な太い指が私の内部をそっと掻き回し、熱く湿った舌に花粒を舐められ時おりきつ
く吸われると、私の中の羞恥心はだんだんと溶けていき、何も分からなくなってしまう。
私のそこはシーツを濡らしそうなぐらいの熱い液を零し続け、伍長の指ではない、もっと力強い明確
な存在を求めてひくついているのを、自分でも感じた。
「伍長……っ、も……もう…──」
私は高熱に浮かされたように胸を激しく上下させながら、股間に顔を埋める伍長の髪に指を入れた。
伍長が顔を上げて、私を仰ぎ見る。月明かりに照らされた伍長の口元が、私の愛液でぬらぬらと濡れ
光っているのが見えた。伍長が体を起こし、濡れた口元を掌で拭って、舌で舐めとった。
私から出たものを舐めてくれる伍長の姿に、私の子宮はキュンと疼き、背筋がゾクゾクした。
「伍長……」
私が手を伸ばすと、伍長は私の手を握り締めた。大きな手が、私の手をすっぽりと包み込んだ。伍長
が私の上に四つん這いになった。
熱に浮かされたような潤んだ瞳で私を見つめる。上気した顔に浮かべる、普段の伍長からは大きくか
け離れた雄を感じさせる表情と、興奮で大きく上下する逞しい胸に、私はうっとりと見蕩れた。
「少尉……」
伍長が不安げに、そして乞うように震える声で囁き、私の顔の上で視線を彷徨わせた。
私はうなずいて、伍長の岩のように盛り上がった胸に触れた。
「大丈夫だ……。来い」
少しの戸惑いと不安が伍長の顔をよぎった。だが、伍長は意を決したように、少し体をずらした。開
かれた私の足の間に座り、片掌をペロリと舐めて、自分のそれに丹念に唾液を塗りつけた。
私のそこはもう充分に潤っているのに、それでも念入りに自分のものまで濡らすのは、伍長の優しさ
だ。それとも、不安の現れなのだろうか。
伍長は自身の根元をしっかりと支え、ゆっくりと腰を進めてきた。伍長の先端が私のそこを割り開き、
中に入ってこようとしているのが分かる。充分に満たされた潤滑液が、私たちがひとつになる行為を助
けてくれている。私はさらに伍長の進入をスムーズにすべく、興奮のあまりつい締めそうになるそこか
ら力を抜いて、リラックスするように努めた。
ぬるつく熱い硬い肉のそれの感触に、私は酔い痴れた。だが心地良い感触は突如、激痛へと変貌した。
鼻の穴に腕を突っ込まれたほうが、まだマシだと思える。凄まじい圧迫感と引き裂かれそうになる激痛
が全身を貫いた。
「うぅッ……!」
絶対に出すまいと心に誓っていた苦痛の悲鳴を、私はかろうじて堪えた。だがその途端、伍長の動き
が止まった。私の太股の内側に添えられていた手が、熱い物に触れたかのようにビクリと離された。激
痛が少しだけ和らいだことで、私はまた伍長が諦めたのを察した。
「駄目だ、伍長……!」
私は腰を引いて離れようとした伍長の腕を、とっさに掴んだ。伍長が今にも泣きそうな顔で、嫌々を
するように顔を横に振った。
「無理です……少尉……。やっぱり俺のを受け入れるなんて……無茶です……」
「無理なものか! 無茶なことなどあるものか! いいから来い!」
「ダメですっ、嫌です……! 俺、少尉を傷つけたくない……っ」
「やかましい! その台詞はもう聞き飽きた! 私がいいと言っているのだ! 私を犯し、壊すぐらい
の勢いで突撃しろ、伍長!」
我ながら必死なうえに色気もこっけもない。だが、それだけ私は切望していた。
伍長に対する自分の気持ちを素直に認め、それが不誠実なものではないと知り、私と伍長はお互い結
ばれた。だが、それは心の話で、肝心の肉体のほうはまだ一度も本当の意味では繋がっていなかったか
らだ。
ソリス姉上が言っていた。愛する男とひとつになる歓びは、世界中のありとあらゆる言葉を駆使して
も到底言い表せないほど、とても幸せなことだと。そして歓びによって、さらに相手のことを愛しいと
思う気持ちが大きくなると。
私もその幸せを感じたい。伍長のことを、もっと愛したい。
だが、私たちの前に立ち塞がるものがあった。それは──体格差だ。ステッキンほどではないが、私
は女性としては小柄なほうだ。対して伍長は誰よりも大きい。男性のシンボルも体に見合った大きさだ。
小柄な私と常人以上の巨躯の伍長が本当の意味でひとつになるには、それこそ人並み以上の努力が必
要であり、困難がつきまとっていた。
どれだけ伍長が丹念に時間をかけて私のそこを慣らしてくれたとしても、私のそこは到底伍長のもの
を受け入れるまでには広がってくれない。いや、赤ん坊の頭が出てくる場所なのだから、それぐらいの
大きさまでには開くはずだ。そして伍長のもいくら太くて長いとは言え、さすがに赤ん坊の頭並みの大
きさはない。
……馬並みだが。しかし馬並みがなんだ。子を産めるようにできている女の体が、馬程度のものに屈
するはずがあるものか!
「伍長来るんだ! いつまでも逃げてばかりでは、これ以上先には進めんではないか!」
私が必死になればなるほど、伍長のほうはどんどん冷めていくようだった。私のそこにあてがわれた
ままの先端が硬さを失い、伍長自身も完全に諦めているかのように大きな背中を丸めて、顔を振る。
「無理です……」
「無理ではない! 少々の無理は承知の上で強引に突貫するんだ伍長!」
「そんなことをしたら……少尉が……死んじゃいます……」
伍長の唇がかすかに震えていた。うつむいているため長い前髪に隠されて目は見えなかったが、涙を
溜めているのはすぐに分かった。
私は苛立って膝立ちになり、伍長の肩をつかんだ。
「何度も言うようだが、赤ん坊が出てくるほどに伸縮性のある部位なんだ。死んだりはしない」
だが伍長はやはり諦めたように頭を横に振った。
「俺も……何度も言うようですが……。男を相手に商売して慣れてる女の人たちでさえ、俺のを受け入
れられた人は……いないんです。赤ちゃんが出て来れるのは、骨盤が開くから、そこも開くんであって
……そうじゃない状態じゃ、絶対無理です」
伍長の声が段々涙声になり、ついには「ひっく、ひっく」としゃくり上げ始めた。私の中の必死さは
そのすすり泣く声にたちまち掻き消された。私が無理難題を押しつけ、伍長を泣かせてしまったかのよ
うな罪悪感に囚われた。
「な……泣くな、伍長……」
「うっ…え……、ごめんなさい…っ、俺がこんなだから……ごめんなさいっ、少尉……ひっく」
伍長はボロボロと涙を零して、子供のように拳で涙を拭い続けた。その涙に感化されたのか、私もま
た鼻を刺す熱いものを感じた。
「な……泣くな、馬鹿者……っ。だいたい、俺がこんなだから……とは、なんだっ。自分をそんな風に
卑下した物言いはやめんか……!」
「だって……そのせいで少尉を満足させてあげることができません……っ、ひっく、うっ……えっ」
「お……お互い様ではないか……っ。私がお前と同じぐらい大きな女だったら、お前を易々と受け入れ
られただろう……。さすれば、お前のことを満足させてやれた……ものをっ、うっ……く」
「それは……ちょっと怖いです……」
「贅沢を言うなっ!」
「ふぐっ!」
わけの分からない苛立ちを押さえることができず、私は思わず伍長にビンタをしてしまった。
伍長がぶたれたほうの頬を押さえ、茫然と私を見つめた。その顔がたちまちくしゃくしゃに歪んだ。
「ふ……ぇっ……、ご、ごめんなさい……ごめんなさ……うえっ…ふええぇぇ〜ん」
「ええぃ、泣くなと言うに馬鹿者! 男がそう簡単に泣くでない! お、お前が泣くと……私まで悲し
く……、私…までっ……、うっ…ひっく、うぅ……うわああぁぁぁーーーん!」
結局……──、その日も私たちはひとつにはなれなかった。ダダをこねる子供のように二人して涙を
流し、泣き疲れた私たちはベッドに潜り込み、ただ抱き合って眠った。
このままでは欲求不満で死にそうだ!
い、いや私ではなく、伍長がだ。伍長とて男だ。それに私とて無知ではない。ソリス姉上にありがた
い薫陶を賜り、男の生理は少なからず理解しているつもりだ。それによると、男の性欲は女のそれより
も何倍も強いらしく、定期的に精液を放出せねば気が狂って死んでしまうらしい。
それはとても困る。私は絶対に伍長に死んで欲しくない。伍長死んだら悲しいし……どうしてよいか、
分からなくなってしまう。世界は闇で覆われてしまう……。
そんなことになる前に、なんとか手を打たねばなるまい。伍長との関係すら成就させることができぬ
私に、どうして戦災復興と言う大業が成し遂げられようか!
そうだ、こんなときこそ、ソリス姉上だ……! 姉上はお美しいだけではなく、聡明なお方だ。義兄
上とも夫婦円満でいらっしゃる。その秘訣を今こそ伝授して頂くときではないか!
姉上ならば、私と伍長が抱える問題も、あっさりと解決してくれそうな気がする。うん、そうだ。よ
し、希望が見えてきたぞ!
***
数日後、非番を利用して私はソリス姉上の屋敷を訪れた。
いつものように黒いドレスに身を包んだ美しい姉上が、突然訪問した無礼にも関わらず、暖かく私を
迎えてくれた。
「いきなり来るなんて、驚いたわ。その顔は……何か悩み事かしら、アリスちゃん?」
姉上は私の顔を見るなり、一発で私の目的を見抜かれた。私は努めて顔に出さぬように心がけていた
のに。さすがは我がマルヴィン三姉妹の中で、もっとも聡明なる知恵者、ソリス姉上だ。
「姉上に隠し事するつもりは毛頭ありません。実は……──」
私は意を決して、伍長との問題を打ち明けた。
「まぁ、あなたたちったら、いつの間にそんな関係に?」
言葉とは裏腹に、姉上はちっとも驚いていない様子だ。聡明なる姉上のこと、私たちの仲など、とっ
くに気づいておられたのだろう。
姉上は大輪のバラがほころぶかのごとき笑顔を、私に向けてこられた。
「でも……そうねぇ。あなたと伍長さんなら、きっと上手くやれると思っていたわ。伍長さんは不器用
そうだけど、とっても優しい方みたいだから」
そう、その優しさが仇になっているとしか言えないのだ。伍長がもっと冷酷で残忍で身勝手な男だっ
たら、私たちはとっくにひとつになれていたかもしれないのに……。
「全ては私と伍長の体格差が原因なのです。どうしたらよいのでしょうか姉上」
「それはまぎれもなく性の不一致と言うものね」
「性の……不一致……」
嫌な響きだ……。まるでこれから先、永遠に伍長とは結ばれないのだと太鼓判を押された気分になる。
「それはどうやったら解決できるのでしょうか?」
姉上と対面するようにソファに腰掛けた私は、固唾を呑んで姉上の答えを待った。
姉上はゆっくりと落ち着いた、優雅な仕草でテーブルの上のローズティーを一口飲んだあと、春風が
囁くような優しい声で、ズバッと申された。
「解決も何も、元から合わないサイズを合わせることなんてできないのよ、アリスちゃん」
「……──!!」
ショックのあまり、私の頭は真っ白になった。
「残念だけど、伍長さんの馬並みサイズが、アリスちゃんの小さいサイズに合うことは永久にないわ。
それが性の不一致と言うものなの。アリスちゃんだって、伍長さんとセックスするたびに死ぬ程痛い思
いをするのなんて嫌でしょう? 伍長さんだって、アリスちゃんに痛い思いをさせるなんて、きっと嫌
に決まっているわ」
私を気遣うように優しく淡々と話す姉上の言葉は、私を地獄のどん底へ突き落とした。
「そ……それでは、私と伍長は……永久に結ばれないと……?」
震え出しそうになる体を、膝をきつく掴むことでなんとか制し、私は絶望のまま姉上を見た。聞く前
から姉上の答えは分かっていた……。私と伍長は……永久に……──
「方法がないこともないけれど」
予期していなかった姉上の言葉に、私は仰天して目を見開いた。テーブルを乗り越える勢いで、私は
姉上に向かって体を乗り出した。
「そ、それはどんな方法ですか! お教え下さい、姉上!」
しかし姉上はわずかに躊躇った様子で、私からそっと視線を逸らした。滑らかな陶器のような美しい
頬に、白魚のような指をそっとあてた。
「でも……これは諸刃の剣よ、アリスちゃん。あなたが私とエリス、どちらに似ているかによって、結
果は大きく異なる、とても危険な行為なの」
姉上の深刻な物言いに、私は少しだけ躊躇した。姉上は続ける。
「あなたがエリスに似ているのなら、あなたにはこの方法はとてもじゃないけど無理。聞いた瞬間に即
死するわね。だから諦めるしかないわ。でも私に似ているのなら、この方法を使えばきっとあなたも伍
長さんも満足できるはずよ」
最後の一言に、私は意を決した。
「ならば、ぜひその方法をご指導下さい、姉上! 伍長のためならば、たとえ火の中水の中、どんな苦
行にも私は耐えてみせます!」
「あらあら……」
私の答えが思い通りのものだったのか、それとも予想外だったのかは分からないが、姉上は楽しそう
にコロコロと鈴が転がるかのごとき耳に心地良い笑い声を上げられた。
「分かったわ、アリスちゃん。あなたがそれほどまでに願うのなら、教えてあげる。その前に……ひと
つだけ私に教えてちょうだい」
「はい、なんでしょう」
「伍長さんは戦場の経験がおありよね?」
「は……? はい、伍長は戦場帰りですが……」
なんだろう……。戦争を知らぬ私と、戦争を知っている伍長とでは、問題解決がより一層困難になる
とでも仰るのだろうか。
しかし姉上は私の答えを聞くや否や、ニッコリと……いや、ニヤリと微笑まれた。姉上の目が一瞬だ
けキラリと光り、まるでヘビが舌なめずりするように見えたのは、私の目の錯覚だろうか。
「そう……。ならきっと、伍長さんはあちらの経験はおありね。あんなに愛らしい方ですもの。きっと
引く手数多だったかもしれないわね」
「あちらと言うと?」
「それはね……──」
姉上がそっと身を乗り出した。私も身を乗り出し、姉上が私に何やら耳打ちをしようとしたとき、威
勢のいい声が屋敷中に響き渡った。
「今戻ったぞぉー!」
「あら、旦那様だわ」
姉上が立ち上がりドアに顔を向けた瞬間、応接室の扉が豪快に開け放たれ、義兄上が顔を見せた。
「ソリス、聞いてくれ! 今日は──、おおっ、アリス殿! いらしていたのか!」
「ご無沙汰しております。お元気そうで何よりです、義兄上」
私が立ち上がり、片手を差し出すと、義兄上が快くその手を握り返してくれた。力強い握手だ。
「お帰りなさいませ、旦那様。なんの知らせもなくいきなり訪ねてくる無作法な妹を、お許し下さいま
せね」
「何を言うか。アリス殿は多忙の身なのだろう。たまの休日にこうして訪ねて来てくれて、お前も嬉し
かろう。無作法結構! 私のことなど気にせず、これからもソリスに会いに来てやってくれ!」
義兄上は、ガッハッハと豪快に笑った。私はこの義兄がとても好きだ。
少々乱暴そうで、物静かな姉上には似つかわしくないような気もする。だが、それでも見ているだけ
で、こちらの背筋がピンと伸びて自然と顔が綻ぶ。人を良い気持ちにさせる真っすぐで快活な素晴らし
い義兄だと思う。
「ありがとうございます、義兄上!」
「うむ。今日は泊まって行けるのか? 遠慮せず、今日は一日姉妹水入らずで過ごされるといい」
「いえ 私は……──」
「旦那様」
私の言葉を遮り、姉上が静かに口を開かれた。
「アリスちゃんは、今日は相談事があって参りましたの。とてもとても心を悩ませていますの」
「む、そうか、それはいかん! 私も可愛い義妹が悩む顔を見るのは心苦しい。アリス殿、いったい何
を苦悩されているのだ? 戦災復興と言う大業を抱える御身。私などでは到底理解できぬ苦悩もおあり
になろう。しかしこのミハエル・ブランバルト、愛しい我妻の妹御であるアリス殿のためなら、一肌で
も二肌でも脱ぐ覚悟はできておりますぞ」
「その言葉……まことですわね、旦那様?」
あ、まただ。また姉上の微笑が、ヘビが舌なめずりするそれに見えた。しかし義兄上は、そのことに
は気づかなかったらしい。
「嘘など申すものか! 私でできることなら、なんでもしよう!」
義兄上がそう言った次の瞬間には、姉上は大輪の薔薇が綻ぶような美しい、優しい笑顔を見せた。や
はり、さっきのは私の目の錯覚だったのだろうか……?
「ありがとうございます、旦那様。まずはお疲れでしょう。食事と湯浴みを済ませてきて下さいな」
「湯浴み?」
義理上は、健在なほうの目をきょとんと見開いて、姉上を見た。
「少々、汗臭うございますゆえ」
姉上がにこやかに、それでいてキッパリと言った。私は、そのように不快な臭いなど感じないが。
しかし義兄上は嫌な顔ひとつ見せずに、自らの袖の匂いをクンと嗅いだ。
「む、そうか。今日は暑かったからな。分かった、湯浴みもしてこよう。ではアリス殿、のちほど!」
義兄上は颯爽と応接室を出て行かれた。
そうか……私が義兄上に好感を抱いている理由が、今はっきりと分かった。義兄上は伍長に、よく似
ているのだ。傷だらけの顔だからという外見的特徴が要因ではない。性格は正反対だが、その根底にあ
る純粋さと言うか素直さが、伍長にとても似ているのだ。
「よかったわね、アリスちゃん。旦那様が協力して下さるのなら、私も教えやすいもの」
「は……? はぁ……?」
姉上の言葉の意味が理解できず、ポカンとしてしまった。そんな私を気にする風もなく、姉上は応接
室にある小物箪笥に歩み寄られた。
「アリスちゃん、あなた運がいいわ。これ昨日届いたばかりで、まだ一度も使ってないのよ。新品で練
習できるなんて、本当……運がいいわ」
振り返った姉上は、満足げに微笑んでいた。姉上のその手には、私が今までに見たことのない……こ
れは、何かの道具だろうか……物が握られていた。
それは一見すると、女性ものの下着のように見えた。しかしそれは革でできた丈夫なものだった。ち
ょうど股間にあたる部分には、何やら棒のようなものがついている。内側にも同じようなものがあった。
しかもその棒は、何やらそこはかとなく卑猥な形状をしているのだが……。
「旦那様も戦場経験がおありなの。だから……旦那様は後ろのほうがお好みなのよ。私には絶対にそう
は仰らないけれど」
姉上が何かを思い出したようにクスクスと、しかしながらとても楽しそうに笑った。
「後ろ……?」
意味が分からない……。戦場経験があれば、後ろが好み……? 伍長もそうなのだろうか?
「旦那様を歓ばせてあげるのは、妻としての務めですものね。アリスちゃん、あなたも伍長さんのため
に頑張らないとね」
「はっ……はい! 姉上!」
姉上が私に何を教えようとしているのか、私にはまったく予想もつかなかった。しかし、姉上のやる
ことに間違いはないと、私は信じていた。
「楽しい夜に、なりそうね」
背筋を伸ばし声を張り上げる私を見て、姉上はとても満足そうに微笑んだ。その微笑がまた、ヘビの
それに見えた。しかしそのヘビの微笑が決して錯覚ではなかったことを、この数時間後に私は知ること
となった。姉夫婦しか知らぬ閨の中で、何が行われていたのかも。それは、私に衝撃を与えるとともに、
また、希望の光をも与えてくれることになったのだった。
後編、ソリス×ミハエルのエロシーンはありません。
えーと、そのあたりは後編で少尉が伍長に何をするかでご想像して頂ければと。
ソリミハのエロ、期待してらっしゃる方がいらっしゃったら、すみません。
うわ、すみません。
ミハエルの一人称「私」じゃなく「俺」でしたね。
各自脳内変換で読んで下されば…すみませんorz
>(´・ω・`)の人さん
あの流れの中、SSを投下して下さった勇気に感謝です。
エロなくても、伍長の泣き顔想像してめちゃ萌えましたよ〜☆
少尉×伍長を投下して下さっている職人さんにも大感謝!!
こういうの、大好物ですw
ソリミハのエロを脳内補完しつつ、続きを全裸でお待ちしております!
>>353 GJ!
ペニバンキタw
さすがはソリスお姉さま、経験が豊富っすな
大佐と伍長は掘られ済みなのに吹きましたw
夫婦で愛し合っている場面も想像して萌えてしまった
続き楽しみに待ってます
356 :
名無しさん@ピンキー:2007/03/25(日) 12:28:22 ID:Mxy/s98o
抜いた
たぶん
GJ!
まさにこのスレならではのものがついにキター!!
って感じでわくわくです。
少尉ほんと漢前だー!続きを待ってます〜。
マニアな人キター!豊満ちょっと怖いよw
続き楽しみにしてます!
359 :
保管庫の人:2007/03/26(月) 04:40:37 ID:???
一週間と二日ぶりにこんばんは…規制解除キタコレ…でも地震のせいなので微妙に不本意。
いつ再規制されるかわかりませんので今のうちに書き込んでおきます。
>>266 亀ですがシャワーの人さん乙。
お菓子好き伍長カワエエですな…(*´д`)
マーチスは大抵誰のSSでもママンな役回りですねぇ。
それがまた似合うしw
>>(´・ω・`)の人さん乙です。
やはり猫と伍長って切っても切れないですな。
そのうち伍長は猫の王国にご招待されるがいいさ。
猫王子とオレルドさんが伍長を巡って火花を散(ry
>>346さん乙です。
ソリス姐さんw
少尉は漢だし伍長可愛いし、続き楽しみにマターリとお待ちしております。
>>皆様へ業務連絡
既にお気付きの方もいらっしゃるかとは思いますが、保管庫にBBS用意しました。
コテ持ちの職人さん達の控え室 兼 保管庫にある過去スレのSSへの感想を叫びたい住人さん用です。
規制が長引いて先行き不透明だったため、ここで相談せず勝手に借りてしまいました。
あまり需要なければひっそりさくっと消しますので、あまり深く考えずお気軽にどうぞ。
URLは保管庫にあります。コピペして飛んで下さい。
携帯ユーザーさんは携帯用の方に書いておきます。
SSアップの方ちょっとペースダウンしてしまって申し訳ない。
またテンション上げて頑張るです。
DVDのおまけの資料が…やっぱり伍長の笑顔はたまらん。テラウフフ。
暖かいレスを下さった皆さんに感謝です。
少尉×伍長『Secret Lily』中編、投下しに参りました。
中編なのは……終わらなかったんだ…スマソ_ト ̄|○
※注意事項
・少尉×伍長
・少尉のキャラが壊れ気味…
・伍長はすでに掘られ済み(戦場で)
・クレイモア副長×伍長のエロシーン有
誤字脱字あったら生暖かい目で嗤って済ませて下され。
ソリス姉上とミハエル義兄上の暖かい協力によって、私は伍長との関係に新たな道を切り拓いた。
姉上には感謝しても、したりないぐらいだ。義兄上には……少々気の毒なことをしてしまっただろう
か。本気で泣きじゃくる中年男性の姿は初めて見たぞ。
しかしそんな義兄上の姿に、ちょっと以上興奮してしまった私は、ソリス姉上の血を色濃く引いてい
るようだ。姉上からも「素質あるわよ、アリスちゃん♪」と大層、褒めて頂いた。
その際使用した道具も……ペニスバンドと言うらしい。世の中には便利な物があったのだな!……、
姉上から餞別としてお譲り頂いた。姉上曰く、こういった道具には女性器の柔軟度を拡張できるのに一
役買う物もあるらしい。今回お譲り頂いたのは標準サイズらしいが、これを徐々に太いサイズに変えて
いけば、私もいずれは伍長のものを受け入れられるようになるかもしれないとのことだ。
それまでは私が男役として、伍長を歓ばせねばならんのだな。うむ、頑張ろう。それに……伍長も義
兄上のように乱れてくれるのなら、むしろ一生私が男役でもいいかもしれん……。
しかし、問題はある。それは伍長が本当に、姉上が仰るところの"経験済み"かどうかだ。姉上は「伍
長さんは可愛いから、きっと戦場でもモテモテだったに違いないわ」と確信されておられたが、実際の
ところはどうだろう。伍長がもし未経験だったら、義兄上のときのようにはいくまい。その場合は、ま
た姉上のご指導を賜らねばなるまい。
まずは、伍長に確認を取らねばならんな。うむ。
「伍長お前、女役の経験はあるか」
「ぶふぅーっ!」
私が訊いた途端、伍長は飲んでいたスープを盛大に噴き出した。共に昼食をとりながら和気あいあい
と話していたオレルドもマーチスもステッキンも、瞬時に言葉を失い凍りついた。それはこいつらだけ
ではなく、周りにいた他の課の連中までもが同じように言葉を失い、食堂は一瞬だけ静寂に包まれた。
「む? なんだ?」
私が周りを見ていると、隣に座っていたオレルドが疲れきった溜息を吐きながら言った。
「隊長……いきなり何を訊いてるんすか……」
「何か悪いことでも訊いたか? そうか、今の尋ね方では今イチ要点がハッキリせぬか。確かに」
「いや、あの……──」
「伍長、すまなかった。もう一度訊くぞ。男のペニスをお前自身のアナルに受け入れたことがあ──」
「すっすみません、俺、失礼します!!」
私が最後まで言い終わらぬうちに、伍長はこれ以上はないぐらい顔を真っ赤にして立ち上がった。
「あっ、こら伍長! ちゃんと答えぬか!」
引き止める声も聞かず、伍長は皿の乗ったトレーを持つと、逃げるように私の前から早足で去って行
った。なんだ、まだ半分も食べ終わっていないではないか。それになぜ逃げる必要があるのだ?
「隊長〜……」
オレルドが再び重い溜め息を吐いた。頭痛を堪えているかのように、こめかみに手を当てている。
「質問の仕方ではなく、質問する時と場所を考えて下さい……」
そう口を挟んできたのは、オレルド同様、疲れたような愛想笑いを浮かべたマーチスだった。ステッ
キンは無言だったが、食事の手は完全に止まり、伍長に負けず劣らず顔を赤くしてうつむいていた。
「何を恥じることがある。これは夫婦間では重要な問題なんだぞ」
「まだ夫婦じゃないでしょ……」
うんざりしたような溜息を吐いたマーチスのあとを、オレルドが続けた。
「高貴な方はどうか知りませんけどね、下々の者はそういう夫婦間のことは、もっと隠して話すもんな
んすよ、隊長。あんまりオープン過ぎると、デカブツがビビっちまいますよ」
「そうだねぇ、伍長はただでさえウブだから」
マーチスが納得したように深くうなずくのを見て、私は自分が失敗をやらかしたことに気づいた。
「そ……そうか。言われてみれば確かにそうだな、伍長はシャイだからな。悪いことをした……」
私たち貴族は、夫婦や恋人同士の営みに関しては、確かにオレルドの言うように庶民に比べれば開放
的かもしれない。子孫繁栄においてとても神聖な行為であり、またお互いの愛を深めるためにも切り離
せない大切な行為であると認識しているからだ。夫人たちは自分たちが夜にどんなやり方で愛し合って
いるか、また友人たちはどのようなプレイを楽しんでいるのかなど、自分たちの夜を楽しく有意義なも
のにするための情報収集は欠かさない。
しかし庶民たちは違うようだな。愛し合っている者ならば当然の行為だと言うのに、何を恥じている
のか私にはさっぱり理解できぬが、それが一般社会の規則と言うものなのだろう。やはり住む世界が違
うと言うことだろうか。伍長とこういう関係になってしまったのだから、私ももう少し庶民の世界の規
則と言うものを学ばねばならぬようだ。というわけで、少し反省した。
伍長から明確な答えは得ることができなかった。しかし、先ほどの伍長の反応は、ある意味、私に答
えを与えていた。もし経験がないとすれば、はっきりと「ありません」と断言できよう。それがないと
いうことは、やはり伍長は……。よし、いける。
一人ひそかに胸の前で勝利の拳を握りしめ、伍長の姿を探して視線を巡らせたとき、私は奇妙な光景
を目にした。トレーをカウンターに返している伍長に話しかけている者がいた。それは一課の"第一の大
剣"の副長だった。副長は馴れ馴れしくも伍長の肩に手を置き、背中を丸めた伍長の耳元で何やら囁いて
いる。伍長はこちらに背を向けているので、どんな顔をしているのか私からは見えない。だが、副長が
手を置いているほうの肩がわずかに上がり、緊張に強張っていること。それからうつむけた頭が副長か
らは逸らされたほうを向いていることで、伍長が快く思っていない様子は見て取れた。
副長はポケットから懐中時計を取り出して時間を確認したあと、もう一度伍長の耳元で何か囁いた。
それから伍長の肩から手を離し、出口に向かって歩き出した。
伍長がそんな副長の姿を目で追った。その横顔は、今まで私が見たこともない表情をたたえていた。
嫌悪と期待がないまぜになった、とても複雑なものだった。それからしばらく伍長は悩んでいるのか、
その場から動かなかった。
副長がドアのところに立って、伍長を見ている。クイッと顎を少し上げて、伍長を促した。やがて伍
長は意を決したように、ゆっくりと歩き出した。ドアのところで待っていた副長が満足げにニヤリと笑
い、傍にやってきた伍長の尻を軽く叩いた。伍長が怯えたように小さく肩を揺らした。やがて二人は、
一緒に食堂から出て行った。
そんな奇妙な光景を見守っていた私の胸に、何か嫌なものがこみ上げていた。そもそもなぜクレイモ
アの副長が伍長と知り合いなのだろう。伍長はあの下水道の一件以来、どちらかと言えば一課を毛嫌い
しているふしがあると言うのに。二人が一緒にいるという光景が、自分の中で繋がらない。
なんだか嫌な気分だ。そんな不快感に突き動かされ、伍長のあとを追おうと席を立ったときだった。
オレルドが私の行く手を阻むように、きつく腕を握ってきたのは。
「なんだ、オレルド。用があるなら後にしてくれ」
しかしオレルドは私の目を見ようとせず、ぶっきらぼうに答えた。
「ちょっと話があるんす。来て下さい」
言うなり、オレルドは私の腕を握ったまま立ち上がり、マーチスに言った。
「マーチス、すまねぇ。後片付け頼むわ」
「あ、うん……」
不安げに微笑むマーチスと、心配そうな視線をよこすステッキンに見守られながら、オレルドは強引
に私の二の腕を掴んで歩き出した。
「おっ、おいオレルド? 放せ、放さんか!」
きつく握られたままの二の腕の痛みに顔をしかめながら私は抗議した。だが、オレルドは私の訴えを
無視した。いつもの軽薄そうな軟派男の仮面も外した深刻な顔に、私も本気で抗えなかった。
***
オレルドから連れてこられたのは、中庭の薔薇園が見える廊下の一角だった。休憩所にもなっていて、
ベンチと灰皿が設けてある。人通りはあまりない場所だ。
「なんだいったい。こんな所に連れてきて」
私は訊いた。オレルドはもう私の腕を握ってはいなかったが、こちらに背を向けたままだった。話が
あると強引にこんな所まで連れてきたくせに、背を向けたままとはなんたる礼儀知らずだろう。そのこ
とを咎めようと息を吸った瞬間、オレルドが唐突に口を開いた。
「隊長は、どこまでデカブツを受け入れる気でいるんすか」
いきなりの質問の意味が理解できず、私は口をあんぐり開けたまま固まった。答えぬ私に苛立ったの
か、オレルドが振り返った。その顔は、私が今までに見たこともないぐらい真剣な表情だった。
「デカブツの全てを受け入れる覚悟はできてますか」
オレルドがもう一度私に問うた。なぜいきなりこんな質問をしてきたのか、その真意は分からない。
だが私は口を閉じ、うなずいた。
「むろんだ」
「隊長はちっとも分かってなんかいやしねぇ」
きっぱりと断言された。私はムッとした。
「なんだと?」
「戦争があいつの心と体につけた目に見えない深い傷痕を、隊長は知ってますか。本人の意思には関係
なく、そういう風に変えられちまったあいつを、それでも隊長は受け入れられますか」
「何が言いたいのだ。質問の意味がさっぱり分からん!」
「あいつは……隊長が思ってるほど、純粋でもウブでもないってことです」
オレルドは私を睨みつけたまま、廊下の先を指差した。
「この廊下の先の、角を曲がった突き当たりの空き部屋です。自分の目で確かめたほうが早いっすよ」
そう言ってオレルドは腕を下ろすと、嫌悪に満ちた顔で私から視線を逸らした。私はオレルドが提示
した、突き当たりの空き部屋へ向かった。
少し進んで角を曲がると、日陰になっていることに加えて滅多に人が通らぬからか、随分埃っぽい廊
下だった。薄暗い天井を見上げると、所々に小さなクモの巣が張っていた。陰鬱な空気が沈む廊下には、
私の足音だけが虚ろに響いている。
と……、目の前にオレルドが言っていた突き当たりの空き部屋が見えた。何やら人の気配がする。
埃っぽいドアの向こうから漏れ聞こえてくるのは、話し声ともうめき声ともつかぬ、囁き声。他のド
アのノブが埃を被って白くなっているにも関わらず、突き当たりのその部屋のノブは綺麗だ。人が何度
も出入りしている証拠だった。こんな所に伍長がいるのだろうか?
私は無意識に気配を殺し、足音を忍ばせていた。ドアにそっと片方の耳を押しつけ、中の様子を伺っ
てみた。やはり誰かいる。話し声がする。あまりにも小さい音だったので、それが伍長の声かどうかは
判然としなかったが。
オレルドはいったい、私に何を見せたがっていたのか……。首の後ろがムズムズした。嫌な予感。
しばらく躊躇っていたが、私は意を決した。なるべく物音を立てぬように、静かにドアノブを回し、
少しだけドアを開いた。分厚いドアに遮られていた内部の声が、隙間を通してより明瞭に私の耳に届く。
「ひっ…! あ…くッ…! い、やぁ……! あぁっ……ん!」
それは、鼻にかかった、細く甲高い濡れたあえぎ声だった。最初は誰のものか分からなかったが、そ
の声質はまぎれもなく男のものであり、その声の持ち主は伍長であると確信した。
おそるおそる、ドアの隙間から中を覗いた。カーテンが閉まったままの薄暗い室内だった。物はほと
んどない。開封されないままの段ボールが数個、無造作に放置されていた。
そしてドアの正面の壁に窓があり、その前にソファが一脚だけ置いてあった。そのソファの上に伍長
はいた。こちらに背を向けたまま、ソファの上に膝立ちになり、激しく腰を上下に動かしていた。伍長
の体重を支えて、ソファのスプリングがギシギシと悲鳴を上げていた。
最初私は、伍長が何をやっているのか理解できなかった。だが、伍長の脚の間から、もう一人別の男
の脚が伸びていることに気づいた。伍長は誰かの膝の上を跨いでいるのだ。よく見れば、ふたつの手が
伍長の腰を支えていた。
「嫌じゃないだろ、ん? さっきから俺のものをグイグイ締めつけてくるぞ」
伍長の向こうから、聞き覚えのある声がした。人を小馬鹿にしたような印象を与える、低い冷めた声。
「よっぽど溜まっていたようだな。前もヌルヌルじゃないか」
男が言って、伍長の腰を支えていた片方の手を外した。その瞬間、伍長がビクリと肩を揺らし、背中
を丸めた。
「あぅっ…! あっ、さ、触らな…で……っ! でちゃ……ぅ……! んあっ…!」
「おっと、そりゃまずいな。もう少し楽しませてもらわんとな。お前も楽しみたいだろう」
「んっ! あっ……んンッ…!」
しかし男の言葉を否定するかのように、伍長は声を押し殺して激しく頭を横に振った。だが、伍長の
腰はずっと上下に動き続けていた。そのたびに、伍長の荒い息に混じり、ジュプジュプと言う大きな水
音が聞こえた。
刹那、伍長がビクリと体を揺らし、上体を捻った。その瞬間、もう一人の男の姿が見えた。男はシャ
ツをたくし上げてあらわになった伍長の乳首に吸いついていた。それは副長だった……。
「あっ、嫌…だっ! あっ、あっ…! そこ…ダメ……ぇ! 感じ……はぁっ、ん!」
ダメと言う言葉とは裏腹に、伍長はさらなる刺激をねだるように、乳首を貪る副長の頭を胸に掻き抱
いた。かろうじて横顔だけが見えた。顔を真っ赤に染めて、だらしなく開いたままの口の端からは涎を
零し、泣きながら腰を振る伍長の顔が。
そのときだった。副長が私のほうを見た気がしたのは。いや、それは気のせいなどではなかった。
副長は、伍長の尻を覆い隠したままの隊服の長い裾をたくし上げた。引き締まった、それでいてボリ
ュームのある伍長の臀部があらわになった。副長は汗ばんで薄桃色に染まった双丘を鷲掴みにし、尻を
割り開いた。伍長のアナルに深々と、太く黒々とした副長のペニスが突き刺さっているのが見えた。
副長が私に向かって、挑戦的にニヤリと嗤った。あいつ……──!
「ほら、おっかなびっくり動くんじゃない。そんなんじゃいつまで経ってもイケんぞ。昼休みが終わっ
ちまう。それとも午後の仕事は放棄して、日暮れまでここでやり続けるか?」
「んっ…! や…あっ……、やだ……ぁっ」
副長がからかうように言うと、伍長は涙を零しながら必死に顔を横に振って拒絶した。
だが副長はさらに伍長を……いや、私を煽るように言った。
「嘘をつけ。いくらやってもやっても物足りんくせに。男のチ○ポ無しじゃ生きて行けんのだろう。そ
の証拠に……ほら!」
それまで一切動かなかった副長が、激しく腰を突き上げた。伍長の体は電流が流されたかのように、
ビクンと仰け反り、一段と大きな嬌声が喉から放たれた。
「ひああァァァッ! あぅッ! あっあん! そ、そこぉ…! あーっ…! もっと…もっとぉ!」
「もっと、どうして欲しい?」
「んあァアッ! 突いて…! もっと突いてぇ…! ふあッ、あぁんンッ!」
副長が伍長から全ての主導権を奪い去り、強打するように激しく腰を打ち込んだ。伍長は体をくねら
せ、嫌々と頭を横に振りながら、自らもまた腰を蠢かせていた。
副長が荒い息の下で、「くくくっ」と可笑しそうに、そして満足げに含み笑いを漏らした。
「とんでもない淫乱だな、お前は。自分でもこのスケベな体を持て余してるんだろう、うん?」
「ふぅぅ…! あ、んうぅ…ん! ふうぅぅん!」
伍長が涙を零しながら、小刻みに顔を縦に振りたくった。副長がニヤリと嗤った。
「そうだろうなぁ。お前はチ○ポ無しじゃ生きて行けないド淫乱だもんなぁ。美味いか、俺のチ○ポは」
「う…あ! おいし…っ、チ○ポ…っ、美味いです…っ! あぁっ、いいぃぃ…! いいよ…ぉ!」
「そうだな。女ごときでは、到底お前を満足させてやることなど、できまいよ……」
そう言って静かに嗤う副長の挑戦的な目が、私の目と合った。
***
私が最初にオレルドに連れてこられた場所へ戻ると、オレルドはまだそこにいた。背中を丸めてベン
チに腰掛け、両脚の間で力なく手を組んだまま、項垂れていた。
「すんません……」
私が戻ってきた気配を察したのか、オレルドは顔も上げずにそう呟いた。
「いつからだ。伍長と副長があのような関係にあったのは、いつからだ」
私が問うと、オレルドは項垂れたまま答えた。
「いつからかは……分かりません。けど、隊長と付き合う前からなのは、確かです」
「それで、お前は私にどうして欲しいのだ、オレルド。私に伍長と別れて欲しいか」
オレルドは答えなかった。ただ唇を噛み締めて、手の甲が白くなるほどきつく手を握りしめた。
「あれがお前が私に見せたかった"戦場が残した伍長の癒せぬ傷痕"だったのだな。伍長は戦場で女代わ
りにされていた。そのときに体を作り替えられてしまった。伍長の意志に関係なく、男の身でありなが
ら男無しでは生きて行けぬ哀れな肉体にな」
あまりにも淡々と事実を突きつける私に面食らったのだろうか。オレルドが少し驚いた顔を、私に向
けた。
「隊長は……平気なんすか? 本当のデカブツを知っても……」
「あれが本当の伍長だとして、だから、どうした」
私はきっぱりと言った。
「私を舐めるなよ、オレルド。私は貴族、伍長は庶民。私が己の気持ちを認め、伍長に受け入れてもら
おうとしたとき、どれほどの覚悟が必要だったのかお前は分かるか。伍長の過去がなんであれ、そして
今がどうあれ、私はありのままの伍長を受け入れ、愛するだけだ」
「だ……だけどデカブツは──」
「副長と肉体関係を持っていることか? それがどうした。私とて男の生理は少なからず理解している
ぞ。男は下半身が独立した生き物なのだろう? 性欲が溜まれば好きでもない相手とだって寝ることが
できる。それはお前が一番分かっているのではないか? 愛のないセックスなど、数のうちには入らぬ」
その瞬間、オレルドは目を見開いた。強張っていた顔から不意に力が抜け、オレルドは笑い出した。
うつむいたひたいに手を押し当てた、今にも泣きそうな情けない笑顔ではあったが。
「隊長には、敵わねぇや……」
私はオレルドの傍に歩み寄り、肩に手を置いた。オレルドが顔を上げて私を見た。私は微笑んだ。
「お前は私と伍長との関係を思いやってくれていたのだな。心配してくれて、感謝するぞ。だが案ずる
な。私がきっと、伍長を救ってみせよう」
そう言うと、オレルドは口元に淡い笑みを浮かべ、そっと目を閉じた。そして再びうつむいて、何度
も何度も深くうなずいて、ポツリと言った。
「なんだかなぁ……。心地いい敗北感って、あるもんなんすね」
「どういう意味だ?」
私が首を傾げると、オレルドはいつもどおりの軟派男の顔で笑って「いや、別に」と答えた。
「デカブツのこと、よろしく頼んます、隊長」
「うむ! 言われるまでもない!」
伍長の秘密を知ってしまって、ショックでなかったと言ったら嘘になる。私ではない別の人間、しか
も男と肉体関係を持っている場面を目撃したのだから。
だが、私はオレルドに強がっていたわけでも、見栄を張っていたわけでもなかった。伍長がなんであ
れ、伍長への私の想いは少しも揺らぐことはなかった。それが真実であり、私に絶対的な自信を持たせ
てくれた。
──女ごときでは、到底お前を満足させてやることなど、できまいよ。
副長が挑戦的に私に言い放った言葉だ。
ふん、そんなものは真に女性の強さを知らぬ、哀れな男だから言えることだ。あんな挑発は私にとっ
ては屁でもない。出したらそれで終わりの男と、体力が続く限り終わりのない女の持久力を舐めてもら
っては困るな。
経験の違いからテクニックでは副長には劣るかもしれぬ。だが、姉上にも褒めて頂き、しまいには義
兄上を失神させるに至った、私のこの鍛え抜いた足腰の強靭さでは負ける気などしないからな。借り物
のペニスではあるが、そこは愛の力でカバーしよう。
そもそも伍長を満足させてやることができず、副長との関係をずるずる引きずらせていたのは、私の
責任でもあろう。伍長を欲求不満にしていた償いを、今こそすべきだ。うん。
よし、燃えてきた。待っていろよ、伍長。お前に私の愛の深さと、女の良さを失神するまで教え込ん
でやるからな。
<続く>
──────────────────────
無駄に長くなってすみません、次回完結です。
副長とのエロシーン良すぎる。伍長の屈辱的な状況に興奮した
あと少尉が燃え少尉で素敵だ
最後こっちまで燃えてきた
よしいけ!少尉がんばれ!って気持ちになったよ
>365
GJ!
少尉の、大佐を失神させる程のテクニックバロスw
大佐の乱れる姿も見たかった!
少尉のデリカシーの無さにも吹いたw
さり気なく伍長を思っていたオレルドも切ないな〜
そっと身を引くオレルドに涙
男の中の男や!
伍長を失神させる程少尉には頑張って欲しいっすな
自分にとって
>>365は失神の人ですw
GJ!!!!!
少尉が漢前で格好エエー!
そして伍長ってばエッロース・・・(*´д`)ハァハァ
続き楽しみにしてます!
自分の妄想が形になったのかと思うほどツボ♪
後編に期待しちゃいます!!
GJ!GJ!
いいよいいよ〜!!
少尉、漢だしそっと身を引くオレルドの大人なところも素敵だー!!
キチク副長に淫らな伍長もv
続き待ってます〜!
ちょ、少尉が男前!
激しく少尉を応援する
伍長をエロ幸せにするのだ、頑張れ!
少尉×伍長『Secret Lily』後編、投下しに参りました。
お待たせし過ぎちゃってごめんなさい。
前回レスを下さった皆さん、ありがとうございます。
一時はどうなることかと思いましたが
このスレの暖かさは相変わらず健在で嬉しいです。
遅くなりましたが、後編お楽しみ頂けたら嬉しいです。
※注意事項
・ペニバン少尉×伍長
・少尉キャラぶっ壊れ。微妙に鬼畜
・むしろ百合カポーかもw
・書いてる本人が、書いている最中にふと我に返ったとき
自分が何を書いているのか分からなくなって途方に暮れたほどカオスなSS
・勢いで書いた。推敲なんてしてないさ。でも反省はしていない。
午後の仕事は滞りなく進み、陽が傾いて終業時間を告げていた。お互いに労いの言葉を掛け合い、部
下たちは帰宅の途へ着き出す。独り身である部下たちは、この庁舎で食事と風呂を済ませて、それぞれ
の家へ帰って行くことにしているようだった。マーチスは寄宿舎、オレルドはアパート、そして伍長は
相変わらずの橋の下だ。
私はロッカールームの外で待ち構えていた。私服姿に着替えたオレルドとマーチスと伍長が姿を現す
と同時に、開口一番に私は言った。
「伍長、話がある。少し残ってくれ。オレルド、マーチス、ご苦労だった。気をつけて帰れよ」
三人は目を丸くしてお互いの顔を見合わせていた。だがオレルドが一番早く理解したのか、ぽかんと
しているマーチスの腕を強引に引っ掴んだ。
「じゃっ、俺たちこれで! お疲れっした隊長! じゃあなデカブツ!」
「えっ? ちょっとオレルド?」
オロオロするマーチスを引きずりながら、オレルドは執務室から飛び出して行った。
一人残された伍長は、ぽかんと口を開けて私を見下ろしていた。
「あの……」
「とりあえず、席に着け、伍長」
「は……はい」
伍長は戸惑いをあらわにしながらも、言われた通りに自分の席へ向かって歩き出した。私もその後ろ
を着いて歩き、出入り口の前に来るとドアに鍵をかけた。少し前を行っていた伍長が振り返った。
「少尉……どうして鍵を?」
「誰にも邪魔されたくないのでな。早く席に座れ」
少し強い口調で言うと、伍長はそれ以上は何も訊いてこなかった。納得いかなそうな表情ではあった
が、素直に自分の机の前に来ると、持っていた鞄を床に下ろし、椅子に腰掛けた。
私も伍長の隣のマーチスの机に歩み寄り、椅子に腰を下ろした。伍長と向かい合うような形になった。
腕を組んで、黙って伍長の顔を見つめた。どうやって話を切り出したものか、少し悩む。
伍長もしばらく私の顔を見ていたが、やがてじっと見られていることに耐え切れなくなったのか、う
つむいてモジモジし始めた。なんとも愛らしい。……と、そんなことを言っている場合ではないな。私
は意を決すると同時に腕を解き、ウホンとひとつ咳払いをして、言った。
「伍長、お前は私のことを愛しているか?」
伍長は少し驚いたように目を見開き、だが私の目を真っすぐに見つめたまま、こくりと頷いた。
「はい、もちろんです」
淀みのないその答えに私は安心した。
「では、私には何も隠し事をせぬと、今この場で誓って欲しい」
「少尉……?」
不安そうに私の顔の上で視線が泳ぐ。私は伍長の目を見つめたまま続けた。
「伍長……いや、ランデル。私はお前を愛している。身分の違いはあれど、私はお前と幸せになりたい
と願っているし、いずれは共に暮らせたら良いと思っている。お前と共に人生を送れたら良いと思って
いる。私は自分の綺麗な部分も汚い部分もお前に全てさらけ出し、私の全てを理解した上で、お前に愛
して欲しいと願っている。だからお前も全てを私に見せて欲しい。隠し事は一切せぬと誓って欲しい」
伍長の顔に、不安の色が濃くなって行った。ブルーグレーの瞳は視線定まらず、戸惑いと怯えをあら
わにしている。ついに伍長は私から目を逸らし、うつむいた。膝の上に置かれた手が少し震えていた。
「しょ……少尉、俺……っ──」
「お前、クレイモア・ワンの副長と肉体関係を持っているな」
言った瞬間、伍長が弾かれたように顔を上げた。零れそうなほどに両の目は開かれ、唇はわなわなと
震えて、顔色はみるみるうちに血の気を失って行った。私は怒るでもなく悲しむでもなく、ただ黙って
伍長を見つめていた。そもそもどちらの感情もない。だが伍長は責められていると感じてしまったのだ
ろう。私から目を逸らしてうつむいた。膝を握りしめる手の震えは、今や全身に広がっている。
「ご……めんなさ……ぃ……」
伍長は言い訳するでも弁解するでもなく、ただ一言だけ、消え入りそうな声でそう零した。零れたの
はそれだけではなかった。頬を伝う涙も同時に零れ落ち、震える太股の上にパタパタと落ちて行った。
「お前は男色なのか?」
「いいえ! 男なんか……男なんか嫌いだ…ッ! 俺が本当に好きなのは少尉だけです!」
伍長は必死に頭を横に振り、震えてところどころ裏返る涙声で訴えた。
「そうか、それを聞いて安心した」
心底ホッとして嬉しさを隠せずに私が言うと、伍長は驚いたように顔を上げた。
「まったく……男がすぐに泣くなと言っているだろう。お前はどうしてそう泣き虫なのだ? アレンよ
りも泣き虫だぞ、お前」
手袋をしたままの指で伍長の涙を拭ってやった。こみ上げてくる愛おしさを抑えきれず、ついクスク
ス笑いが漏れてしまう。伍長は呆気に取られた顔で私を見ていた。
「少尉……俺のこと、責めないんですか……?」
「責める? そんな気は毛頭ないが?」
「で……でも俺っ、最低なことしてました…! 少尉のこと本当に好きなのに、他の人と……しかも男
と…! 俺っ、少尉のこと裏切ってたのに、少尉に…嫌われるの怖くてっ、でも、抑えられなくて……」
話しているうちに、また伍長の声は震え、大粒の涙が溢れ出した。
「我慢…できなくて……、空き部屋で俺…ひとりで……。そしたら、あの人が入ってきて、見られたん
です。たまに昼寝するのに、あの部屋を使ってたらしくて……。戦争に行って俺みたいになる奴は珍し
くないって、男が欲しいなら相手してやる……って」
伍長は嗚咽をのみこみ、肩を震わせて泣いた。私は伍長と副長の馴れ初めなど興味はなかったが、そ
れでも遮るのはやめて黙って聞いていた。伍長はきっと懺悔をしたいのだろうと思ったからだ。
「戦場で……っく、部隊の連中から、女代わりにされて……ひっく。調教……されたんです……っ。三
日と明けずにやらないと……我慢できなくなるんです……。嫌なのに、すごく嫌なのに、欲しくて欲し
くてたまらなくなって……自分を抑えること、できないんです……っ。俺……っ最低なんです……!」
「最低なのはお前ではなく、お前の一生を考えずに己の欲望のままにお前を弄んだ者たちだ」
私はきっぱりと本心からの言葉を口にしたが、それでも伍長は否定するように顔を振った。
「戦争が終わってからも、俺、体を売ってきました……! 仕事がなくて、食い物買う金もなくて、だ
から体を売った金で食い物を買うことも、数えきれないぐらいあって! 食うためだから仕方ないって、
自分に言い訳してたけど、本当は俺が……一番欲しかったのは……!」
伍長は顔をくしゃくしゃにして涙を流し、両手で顔を覆うと背中を丸めてすすり泣いた。必死に抑え
る嗚咽の合間から「ごめんなさい、ごめんなさい」と何度も謝る声が、小さく途切れ途切れに聞こえて
きた。
副長との情事の現場を目撃しても、少しも湧いてこなかった怒りの感情が、今初めて私の中に芽生え
ていた。伍長が私を裏切っていたからではない。そもそも私は伍長がいくら他の男と寝た過去を打ち明
けられたところで、それを裏切り行為だとは思ってはいない。私が怒りの矛先を向けていたのは、伍長
をこんな風に変えてしまった男たちだった。伍長の体を好き勝手に弄び、心に深い傷を負わせた奴らが
許せなかった。
私はヒックヒックと涙に咽ぶ伍長の震える腕をきつく握りしめた。
「自分を責めることはない。恥じることなど何もない。詫びることもない。不安になるな。怯えるな。
本当のお前を知ったからとて、私のお前への愛は、少しも揺るいでなどいないぞ」
「少…尉……ッ、うっ、ひぐっ…! うっ…ううッ!」
「私のほうこそ済まなかったな伍長。お前が安心して全てを打ち明けられなかったのは、全て私の不甲
斐なさが招いたことだ。今まで苦しかっただろう、つらかっただろう……。私を許してくれ、伍長」
「しょ……うえっ…、少尉ぃ……ッ!」
伍長がガバッと私に抱きついてきた。私の頭を胸に掻き抱き、伍長は涙をボロボロ零して、まるで子
供のように大きな声で泣いた。
「ああぁぁぁっ……! 少…う…わあぁぁん…! ごめ……さいッ! ごめんなさいぃぃ……!」
愛おしいと思った。体の奥底から伍長への愛がほとばしり、全身が震えそうになるほど。私などより
もずっとずっと大きくて強いのに、その中身は私よりもずっとずっと小さくて脆い。守ってやらねばと
強く思う。今までたくさん傷つき、ひとりで耐え忍んできた伍長を、慈しみ愛してやりたいと思った。
「よしよし……。もう大丈夫だぞ。私がいるからな。ずっと、そばにいるからな、ランデル……」
私は伍長の背中に腕を回し、広くて大きくて、けれど本当は小さい背中を何度もさすってやった。遠
い記憶の中で、母上が泣きじゃくる私にそうしてくれたように。そうしていると、伍長は少しずつ落ち
着いてきた。号泣の声は小さくしゃくり上げるだけになり、私にすがりつく腕の力も柔らかくなった。
私はそっと体を離した。伍長がヒックヒックと肩を震わせながら、鼻をグスグス鳴らして、拳で涙を
拭っている。大の男が身も世もなく泣く、そんな姿に、これが他の男であったなら私はたちまち激怒し、
『男のくせにメソメソするな』と継承器を鼻先に突きつけるだろう。だが、これが伍長となると話は別
だ。もう何もかもが愛おしくて、可愛らしくてたまらぬ。これが愛の力と言うものか。
私は伍長の顔を手で挟み、そっと口づけた。伍長は黙って私のキスを受け入れていた。うっとりと目
を閉じて、私が進入しやすいようにわずかに唇を開いた。が、その刹那、伍長はハッとしたように顔を
背け、私を優しくではあったが押し退けた。
「ダッ…ダメです……っ!」
「なぜだ?」
「だって……俺、少尉に触れると……──」
だがその先がどうしても言えないらしく、伍長は顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。
「我慢できなくなる……か?」
私が言うと、伍長は戸惑いながら、しかし素直にコクリと頷いた。そして震える唇に拳をあて、また
涙に潤みだした目を伏せて、伍長は言った。
「俺、もう……少尉のこと裏切りたくない…です」
なるほど、確かに今までのパターンで言うならば、伍長の太すぎるものを私が受け入れられずに不完
全燃焼のまま終わり、悶々とした欲求不満に耐えねばならなかっただろう。だが、今は違うぞ。
「案ずるな。ちゃんと手は考えている」
「でも……」
失敗を確信している伍長が不安げに私を見やる。私は伍長の頬に手をあて、ひたいを密着させた。
「今まではお前にリードしてもらってばかりだったが、今日は全てを私に任せてくれぬか」
「ダ……ダメですよ……。無理して……俺のを挿れるのだけは絶対にダメです…っ。少尉が壊れ──」
「誰がお前のを私に挿れると言った」
「えっ?」
伍長がギョッとして私から顔を放した。私はきっぱりと言い放った。
「今日は私が、お前に挿れるのだ」
「どういう……──」
意味だ、と伍長が言い終わらぬうちに、私は隊服の下に隠し持っていたペニスバンドと、ローション
を取り出した。
「これなら、お前も私も気持ち良くなれるぞ♪」
伍長が喜んでくれることを確信して、満面の笑みで言ったものの。伍長は逆に全身を硬直させ、引き
攣った顔を青ざめさせた。なんだ、嫌なのか? いや、そんなはずはあるまい。そうか照れているのか。
「照れるな伍長。私はこれの使い方を姉上にみっちりとご指導賜ったのだ。ご協力して頂いた義兄上に
も大層悦んで頂けた。スジが良いと褒められたのだぞ。さっ、やろう!」
「そっ……そんなの嫌ですーーーーッ!」
伍長が顔を真っ赤にして、やおら立ち上がった。逃げようとしたのを察した私も素早く椅子から立ち
上がり、伍長の片足を内側から払いながら、胸を押して机の上に押し倒した。倒れた伍長の上に覆い被
さり、私は鼻先も触れ合わんばかりに顔を接近させて怒鳴った。
「なぜ逃げるか!」
「す…すみません……じゃなくて、いっ、嫌です! そんなの絶対に嫌です! お…俺だって男ですよ!? なのに、女性の少尉から…そんなもので……なんてッ! 絶対に嫌ですぅぅぅぅ!!」
伍長は私を押し退けるようなことはしなかったものの、真っ赤な顔を嫌々と横に振って涙を振り飛ば
して、全身で拒絶を表した。
なぜだ、なぜなのだ……! 私はてっきり伍長が喜ぶだろうと思っていたの…に……。……そうか。
「伍長、お前は今までに、このような道具を使ったことはないのだな?」
「あ……あるわけないじゃないですか!」
それもそうだな。このような特注品を平民が容易く買うことはできまい。
「お前は初めて目にする性具に未知の恐怖を感じているのだな? なるほど分かった、しかし案ずるな
! もとよりこのディルドのサイズは標準だ。副長のものより一周りほど細いように見受けられる。副
長のペニスを楽々呑み込めていたお前なら、これぐらい屁でもなかろう。多少物足りぬかもしれぬが、
そこは私の足腰でカバーしよう! と言うわけで、やるぞ!」
「ちょっ……! ちょっと待って下さ……、少尉! 怖いとか物足りないとか本物がいいとかじゃなく
て、ああっ、少尉ぃ嫌ぁぁぁ!」
「どさくさにまぎれて何を本音を漏らしておるか! 私には本物のペニスはないが、愛はある! 私の
愛が宿れば偽者のペニスも本物になるのだ! いい加減に観念して、お前の尻に挿れさせろッ!!」
「やだやだやだーーーーッ! 少尉のバカぁ! 変態ぃ! うわあぁぁーーーーん!」
「ええい、ウブな生娘ではあるまいし、勿体ぶるな! どりゃあっ!」
「うわああぁぁッ!?」
往生際悪く無駄な抵抗を繰り返す伍長のズボンを、私は下着ごと一気に足首まで引きずり下ろした。
伍長はズボンを上げようと思ったのか、慌てて体を起こしかけたが、しかし私がそれを許さなかった。
伍長の腹の上にドスンと乗り、再び伍長を押し倒した。しかし伍長が本気で抵抗すれば、私は容易く押
し退けられてしまうだろう。気は進まなかったが、伍長を大人しくさせるために私は嘘をついた。
「もし私を押し退けるようなことがあれば、私はお前のことを嫌いになるからな」
効果は覿面だった。伍長はショックに顔を引き攣らせた。そしてまた泣き出した。
「ふ……えっ……。やだ…、嫌です……。嫌いにならないで……っ、ふっ…えっく……」
ああ、可愛い! 可愛い! 可愛すぎるぞ伍長!
子宮のあたり……いや、陰核のあたりがツキンと疼いた。同時にその下の部分も熱く湿りだした。男
が勃起する気持ちが分かったような気がする。
クスンクスンと小さくすすり泣く伍長の額や頬に口づけながら、私は言った。
「私は身も心も、お前とひとつになりたいのだ、ランデル……。副長とお前の肉交の場を目にして、私
が何も感じなかったと思うか? とても悔しかったんだぞ……。お前があんな顔をして、あんな声を出
すなど、私は知らなかったのだから」
「お…俺は……少尉に、あんな姿を見られるのは……嫌です」
「どうしてだ? 副長になら見せているのに、か?」
「あの人がどうこうの問題じゃなくて……。あんな……情けない姿、少尉には見られたくないんです。
あ……あんなの、俺じゃない……」
「だが、あれもお前だろう? 私が今まで知らなかった、もうひとりのお前だ。私にも見せてくれ」
伍長の頭を両腕で抱え込み、そっと深く口づけた。今までは私が常にリードされる側で、全く余裕も
なかったのだが、今日は私が優位な立場に回ったからだろうか。いつもはじっくり感じることのできな
い伍長の唇の感触を、心ゆくまで味わえた。意外にも、ふっくらと柔らかで、しっとりと湿っていた。
唇を割り、舌を口内へ進入させると、伍長が鼻から甘えたような声を漏らした。
「んっ……ふ…」
たったそれだけのことなのに、背筋にゾクッとした熱さが這い、鳥肌が立った。舌同士を絡ませ合い、
わざと大きな音を立てて舌を吸うと、伍長の息が段々と荒くなって行った。伍長がいつしか、自らも舌
を絡ませてきて、私の腰に手を回していた。愛おしげに、でも遠慮がちに、大きな手が私の背中を撫で
さすっている。
私はいつしか我を忘れて、欲望の赴くままに伍長の唇を貪っていた。そうしながら手は伍長の鋼のよ
うな筋肉に覆われた腕や上半身を無遠慮に撫で回した。最初は衣服の上からだったが、直に触れてみた
くなって手袋を外した。セーターの下からその手を差し入れ、肌に触れた。傷の部分は肉が盛り上がっ
ていてゴツゴツしているが、肌そのものはとても滑らかで、しっとりと吸いつくような手触りに、私は
うっとりした。ちょうど傷のある部分に指が触れたとき、伍長が「んっ!」と鼻にかかった甘い声を一
瞬だけ漏らした。
またゾクッとした。その声をもっと聞きたくて、私はキスをやめて、手のほうに集中した。義兄上も
傷痕の部分が敏感だったが、伍長もそうらしい。
縫い傷に添って指先を滑らせ、肉の盛り上がった傷は爪で軽く引っ掻くようにしてくすぐった。大き
くえぐれた傷痕は、親指以外の全部の指をバラバラに動かして、触れるか触れないかの軽い刺激を与え
た。
「ふ…ぅっ…、んっ…! は…あっ……」
私の愛撫に、伍長は打てば響くように反応した。大きく盛り上がった胸筋に触れた。伍長がいつも私
にそうするように、掌全体を使って優しくそっと揉んでみた。伍長の胸も意外と弾力があった。女の胸
のようにフニフニと柔らか過ぎる頼りない感触ではなく、しっかりとした筋肉の厚さと重みがある。
妙に楽しい。これは義兄上相手では味わえなかった、初めての感触だ。しつこいぐらいに揉んで行く
うちに、なんだか少しだけ柔らかくなってきたようにも思え、私の手にどんどん馴染んでくる。
「ん…っ、はっ…、少尉……。や……やだ……、も……揉み過ぎ……っ」
伍長が顔を真っ赤にして、涙目でセーターの下で動く私の手を非難がましく見つめていた。
「私はお前にこうされると気持ちがいいのだが、お前は違うのか?」
「な……なんだか、変な感じで……。女の人に、胸揉まれるなんて……なかったから……」
「男になら、たくさん揉まれてきたのか?」
私のちょっと意地悪な質問に、しかし伍長は恥ずかしそうに顔を逸らすばかりで答えなかった。
「けしからんな、伍長のオッパイは。女の私にオッパイを揉まれて、感じているのだな?」
「オ……オッパイなんかじゃ…ありませんっ。ただの……筋肉です…っ」
「でも感じるのだろう? ただの筋肉のくせに、こんなに大きくて柔らかくて、いやらしいオッパイが」
「そ……そんな風に…言わないで……下さいっ……」
伍長は震える唇に拳をあて、目をギュッとつぶった。真っ赤になった目元に光るものが見えた。
背筋をゾクゾクが走り抜けると共に、私のあそこが湿って行く。愛液が秘裂を伝って、下着にまで染
みているのが見なくても分かった。
伍長をもっともっと感じさせたい。伍長が感じれば感じるほど、私の体もどんどん火照っていく。欲
望に突き動かされ、私は興奮でドキドキしながら、伍長の胸の突起に触れた。
「ふぅ……っん!」
少し指先で先端を軽く擦っただけなのに、伍長はビクリと腰を揺らした。なんと敏感なことか……。
私は嬉しくなった。伍長の乱れる姿をもっともっと見たくて、伍長の両方の突起を指で弄った。先端
を指の腹で擦り、爪の先で軽く弾き、指先で摘み、クリクリと捏ねる。
「ふあ…っ! や……やぁ…っ。そ…こ、弱いんです……っ。ダメ……っ、あっん…!」
「ダメということは、イイということだろう? 私よりも感じやすいな、伍長は」
「そ……んな、ことっ……な…。あっ…。いや…っ、いやぁ…ぁ。おかしくなりそ……っ」
伍長の敏感な突起を直接口で味わいたくなった私は、そうすべく、体を下にずらした。そのとき、私
の尻に当たるものがあった。
「んっ?」
振り返ると、それはすっかり屹立して天を衝くようにして勃っている伍長のペニスだった。先端から
は、すでに透明な汁が滴っている。私はニヤッとした。伍長のペニスに尻をあてがい、腰を上下に動か
した。伍長の体がビクビクと跳ねた。
「うっ…あぁ! 少尉…ッ!」
「もうこんなになっているではないか。オッパイを揉まれたり、乳首を弄られたりするのが好きなのだ
な、伍長は」
「ち…ちがっ…、あっ…うあっ…! こすらな……で…! 出ちゃう……ッ!」
「なにっ?」
驚いて腰を引いたが、遅かった。伍長は激しく体を痙攣させて、射精してしまった。勢いよく飛び出
した精が宙を舞い、私の尻の上に降り注いだ。
「おおっと……」
こんなに早くイカせるつもりはなかったのだが……。調子に乗り過ぎたことを反省し、射精の余韻に
たゆたい、肩で息をする伍長を眺めた。赤く染まった汗ばんだ頬、トロンとした半開きの無防備な目と
口元が、可愛くてたまらない。我ながら不気味なぐらいニヤニヤしながら、伍長のそんな艶態を眺めて
いると、伍長の目に段々と正気の色が戻ってきた。私と目が合うなり、伍長はガバッと起き上がった。
「す、すみません! あ、ああっ、隊服が……! ごめんなさいッ…!」
「うん?」
伍長がオロオロと見やる背後に目を向けると、隊服の尻の部分に、伍長の吐き出した白濁液が飛び散
っていた。
「案ずるな。洗濯をすれば済むことだ」
「で、でも……」
「気持ち良いから出してしまったのだろう? 本望だ。なんなら私の隊服を全身精液まみれにしてもら
っても一向に構わんが」
そう言って私が笑うと、伍長は逆に顔を真っ赤にして「あうあう」言い出した。私は満面の笑みで、
真っ赤になっている伍長の頬を撫でた。
「伍長は可愛いな」
「……少尉は、余裕ですね」
「うむ。私はこっちのタチ役のほうが性に合っているようだな。楽しいぞ♪」
「お…俺はさっきから恥ずかしくて死にそうです……」
「まぁ良いではないか。この世に存在する恋人の数ほど、愛し方の数もあると姉上が仰っていた。型に
はまる必要はないであろう? 私たちは私たちに合ったやり方で愛し合えば良いではないか」
「でも……やっぱり、恥ずかしいです……」
「ふむ……」
私は少し考えた。羞恥心や緊張があってはオーガズムの妨げになると姉上は仰っていた。確かに自分
ばかりが半裸なのは恥ずかしいだろう。そういう結論に達し、私は服を脱ぎ始めた。身に着けていた全
ての衣服を床の上に脱ぎ捨てた。
「これならお前も恥ずかしくないだろう?」
伍長は目のやり場に困ったように視線を泳がせた。だが、顔は赤かったものの、わずかではあるが、
ようやく笑顔を見せてくれた。私はホッとした。
「さっ、お前も脱げ。生まれたままの姿で愛し合おう」
「やっぱり……ここで……するんですか……?」
「当たり前ではないか。私の屋敷に行くには時間がかかるし、その間にお前の気持ちが冷めぬとも限ら
ん。善は急げだ。脱げっ!」
「わっ…分かりました! 分かりましたから……っ! じ…自分で脱ぎます……」
伍長は渋々な様子ながらも、服を脱ぎ始めた。ジャケットを脱ぎ捨て、セーターを頭から抜いて、す
でに膝下まで下りていたズボンを脚から抜き去った。
窓から差し込む夕日に照らされた伍長の裸体に、私はうっとりと見蕩れてしまった。そう言えば、こ
んな明るいところで伍長の全裸を見たことなど、今までにはなかった。それは伍長も同じだったのだろ
う。眩しいものを見るように目を細め、潤んだ瞳で私の裸を見ていた。
私が手を伸ばすと、伍長もそっと手を伸ばしてきた。私たちはどちらからともなく抱き合い、どちら
からともなくキスしていた。しばらくお互いの唇を貪って、またどちらからともなく唇を離す。見つめ
合って私は言う。
「場所を変えるか。机の上では背中が痛かろう」
「えっ……?」
目を丸くする伍長の腕を引いて机から下ろすと、衝立の向こうに設置してある応接スペースに連れて
行った。長ソファの上をポンポンと叩いて、伍長を促した。
「脚をこっちに向けて、頭を肘掛けの上に乗せて、横になれ」
伍長はやっぱり恥ずかしそうにモジモジしながらも、素直に奥の肘掛けに頭を乗せて、横になった。
伍長の身長では、長ソファ全体を使っても上半身が収まるのがやっとだった。横にそろえて投げ出され
た片方の脚を、私は持ち上げた。
「重いな。よいしょっと……!」
「わわっ!」
伍長が悲鳴を上げるのにも構わず、抱えた脚をソファの背掛けにドサッと乗せた。伍長が慌てて、両
手で股間を覆うが、半勃ち状態のペニスは隠し切れていない。
「今更隠さずともよいのに……。まぁ、いい。これで少しは楽な体勢でやれるだろう」
「や……やるって。やっぱり……本気なんですか……?」
「何を今更。私が冗談を言っていたと思うのか」
「いえ……」
怖じ気づいたのか泣きそうな顔になる伍長を無視し、私は伍長の股の間に屈み込んだ。未だ伍長自身
の手でそこは隠されたままだったが、私が手を添えて動かしても、伍長は抵抗しなかった。明るい場所
で見る伍長のペニスはやっぱり凄かった。圧倒された。子供の腕ぐらいはありそうだ。これを自分の中
に招き入れるとなると、やはり相当な修練が必要となりそうだ……。もうずっと私がタチでよくないか?
とりあえず、そんな凶器のような(でも愛らしいと私は思うが)ペニスに、今は用はない。用がある
のは……さらにその下の部分。そう言えば、ここも初めて見るな。ドキドキしてきた。
横に投げ出されたままの、もう片方の脚を持ち上げた。赤ん坊のおむつを替えるときのような格好を
させた。伍長は恥ずかしそうに顔を逸らしたが、抵抗はしなかった。
伍長は体毛が薄いと思っていた。私が羨ましくなるぐらい、腕にも脚にも胸にも全然生えていない。
だが、秘めたる部分は意外や意外……。子供のようにあどけない顔をしているくせに、ここは濃かった
のだな。そのギャップがますます私を興奮させた。伍長の蕾はまるで伍長自身のように、人目につくこ
とを恥じらっている貞淑な乙女のようではないか。薄く生えた柔らかい陰毛を指先で掻き分けると、慎
ましい蕾が現れた。ごくりと私の喉が鳴った。
「少尉……恥ずかしいです……」
消え入りそうな声が頭の上から届いた。
「大丈夫だ」
何が大丈夫なのか私自身、意味がよく分からないが、上の空でとりあえずそう答えた。私はなんの躊
躇もなく、伍長の蕾に舌先で触れた。
「うわ…っ!」
伍長がビクリと腰を引いた。逃がすものかと、私は伍長の大きな尻の下に両腕を差し込み、太股の付
け根をがっちりと掴んだ。
「やッ……あ! 汚い……ですよっ! ダメです……ッ!」
「濡ららぬろ、いらいらろう」
「ひぃッ! しゃ…喋りながら、舐めるの……やめて下さいッ! だ、だいたい……ローション持って
きてるじゃないですかぁ……ッ! それ使えば……あぅっ…あん!」
「ろれもろうらら。らら、わらりは、ろっりのろうら、らのりい♪」
「ふひぁッ! な、なんて言ってるか、分かりませんよ……ぅっ! はうっ…! い…いやぁん…」
「りりゃぁん、らんれ、ららりいら〜、ろりょう〜♪ れるれる♪」
「ひぅ…ん! わ、わざと…やってるでしょ……ッ! あっ、いやッ…! あん…っ!」
伍長の嬌態を心の底から楽しみながら蕾を攻めていると、そこがヒクヒクと蠢き出してきた。さらな
る愛撫を乞うように、パクパクと口を開けている。指先でそっと蕾を割り開くと、まるで女の愛液のよ
うに淫水がトロトロと零れ、伍長の尻の割れ目を伝い落ちた。新鮮な果実を思わせる薄桃色の内部が、
艶やかに濡れ光り、淫らに蠢いていた。好奇心に突き動かされて、少し舌に力を入れて差し込むと、私
の舌は簡単に伍長の中へ入ってしまった。
「ふあ…っ! や、やぁ…っ、しょ…少尉の舌……入ってる……っ、はぁっ……ん」
快感か羞恥かは分からぬが、伍長がブルブル震えた。
「るろる……濡れれるろ……。ろんろん、溢れれるる……、んちゅ…」
「ひぃ……ッ! あぁ、それ……ダメぇ…! あっ、あっん…! いいぃ……」
私が舌で内部を刺激するごとに、伍長は快楽に身をよじった。自らゆるゆると腰を突き上げ、我を忘
れ始めて上げる嬌声の合間に、喉が渇くのかしきりに唇を舐めていた。舌のゆるい刺激では足りなくな
ったのか、伍長の蕾が私の舌を食い締めるように蠢き出す。淫水はとめどなく零れ落ち、ソファに濃い
染みを作っているほどだ。
私は舌を引き抜き、今度は掌を上にして、人差し指と中指を挿れた。舌よりも確かな質感に、伍長の
体が快感にブルルッと震え、子犬が鳴くような鼻にかかった切なげな声を漏らした。
「くぅぅぅん……っ」
二本の指で内部を探り、姉上にご教示頂いた『男のGスポット』やらを探る。義兄上のときは見つけ
るのに少々手こずったが、伍長のは体に見合った大きさだったのか、それは思った以上に簡単に発見す
ることができた。
「ひゃ…っあ…! あっ…くぅ、少尉……、あ…っあぁん!」
「ここがいいのだな?」
「ダメ……っ! ダメぇ…! あっあ! そ、そんなに……突いちゃ……、あふぁぁ…!」
「ここをこうすると、もっと良くなるぞ」
「うわっ…! あぁぁあああッ! しょ…少尉…! ひぃいっあ! ああぁあッ!」
言って、私は親指の腹で、陰嚢と肛門の中間の会陰を押した。内と外から前立腺をグリグリと捏ねら
れて、伍長はビクビクと体を揺らした。伍長のペニスは半勃ちのままではあったが、私が前立腺を突く
ごとに、別の生き物のようにビクビクと跳ねて、まるで射精するかのように無色透明な液体が零れた。
伍長の何もかもが愛おしいと感じた。女のように涙を流しながら善がり狂う顔も、細く甲高い嬌声も、
私の指を食い締めてくるアナルも、歓びに打ち震えるペニスも何もかもが。
伍長の嬌態を見るにつけ、私の陰部もしとどに濡れそぼる。愛液が太股を伝い、流れ落ちる。私は右
手で伍長のアナルを攻め、伍長のペニスの先端から漏れ出る淫水を舌で舐めとりながら、左手で手淫に
耽った。
「ぷあっ、ごひょう……っ。あっん、む…。いっふぁい……出てるろ……」
「んンッ! 少尉……っ! 少尉ぃ…! あっあん! あーッあぁ…!」
一刻も早く、伍長とひとつになりたかった。私は伍長のアナルから指を引き抜き、手淫の手を止めて、
体を起こした。傍にあったペニスバンドを手に取った。
「しょう……い……」
伍長が涙に濡れた虚ろな顔で私を見ている。戸惑いと羞恥と、それでいて期待に潤む瞳で。
「いいな?」
私が問うと、伍長はコクリと頷いた。そして、そっと体を起こし、私が持つペニスバンドに手を添え
てきた。私は逆らわず、伍長が促すまま、それを委ねた。
伍長は潤んだ目で、ペニスバンドを見る。それは革製のパンティのようで、股の部分に男のペニスを
模した張り型が取りつけてあった。張り型は内側と外側について、双頭になっている。
伍長は私の腰に手を回し、そっと私を抱き寄せた。そして内側に突出した張り型を、ゆっくりと口に
運んだ。男のものにそうするように、伍長は張り型を口に含んだ。
その姿はとても卑猥で、私はドキドキしながらうっとりと眺めた。何度か口に出し入れした後、たっ
ぷりと唾が塗りつけられた張り型が伍長の口から引き抜かれると、唾液が糸を引いて落ちた。
伍長が熱に浮かされたような目で私を見た。自然と顔が寄せられて、私は唇を奪われた。私は逆らわ
ず、伍長が望むままにディープキスを受け入れた。私の舌に、舌を絡ませながら、先ほどたっぷりと濡
らした張り型の先端で、私の胸から腰にかけてなぞって行く。
「んっ…ふ、伍長……」
内側の張り型で、伍長は私の恥毛を掻き分け、先端をそっと膣口にあてがった。
「これは……俺のです……」
荒い息の下で、伍長が切なげに囁いた。私は伍長の頬を手で挟み、鼻先を擦り合せながら言う。
「ああ、これはお前のだ……。私の中に入ってきてくれ……」
伍長は探るように張り型の先端で、私の花びらを開いて行く。そして張り型は伍長が充分に湿してく
れた効果と私自身の愛液で、あっけないぐらいすんなりと私の中へ入った。
「んあぁぁっ…!」
腰の奥から突き上げてくるような快感に、私は伍長の肩にしがみつきながら背筋を仰け反らせた。私
自身の内部がヒクヒクと物欲しげに蠢いた。伍長がベルトの部分をしっかりと私の腰に固定した。私は
男根を生やした女になった。
伍長が先ほどよりも上気した顔で、私の股間から突き出した張り型をうっとりと見つめている。そし
て私の足元に跪くと、先ほどそうしたように、外に突き出た張り型も丹念に濡らし始めた。だが、その
行為には先ほどよりも熱がこもっているように見えた。まるで本物の男根にそうするように、裏スジに
舌を這わせ、喉の奥深くまで全体を銜えこんだ。
「んっ…、んっ……」
伍長が夢中になって張り型を口から出し入れするごとに、その震動が私の内部の張り型にも伝わり、
私の奥を刺激した。
「はっ…あぁ、伍長……っ、あ……、感じる……っ。それは……私のだぞ、伍長……」
伍長が震える息を吐きながら、張り型を口から引き抜いた。期待に潤んだ顔が、私を見上げてくる。
「はい……これは少尉のです…。俺の中に……入ってきて下さい……」
私はうなずいた。伍長もうなずき返した。
伍長はもう一度ソファの上に横になった。肩甲骨のあたりを肘掛けに凭れさせ、自ら片足を背掛けの
上に乗せた。もう片方の脚を自分で抱えて、開いたほうの指で伍長は自分の蕾を割り開いた。
「少尉……挿れて……っ。来て下さい……、俺の中に……」
パックリと口を開いた蕾の奥で、艶やかに濡れた淫靡な内部が私を誘う。私は伍長の脚の間に腰を進
め、張り型の先端をあてがった。伍長が私を促すように、肩に腕を置いた。私は腰を進めた。さしたる
抵抗も感じないほぐれた蕾の感触に誘われるまま、一気に根元まで張り型を突き入れた。
「くあッ…! あっあぁ…ん!」
伍長が背中をしならせ、一段と甘い声を発しながら喉を反らせた。
「行くぞ、伍長……」
伍長の返事を待たぬまま、私は腰を動かした。伍長の内部を傷つけてはならぬと、申し訳程度に残っ
た理性で自分を必死で制しながら。できるだけ優しく伍長の内部を突いた。
「はぁっ…! あっんん! 少尉…っ、少尉が…俺の中に…いるぅ…! ああっ、気持ちい……っ!」
私の突くリズムに合わせて伍長もまた自ら腰を突き上げた。そのおかげで私の中に埋まっている張り
型もまた、私の内部を突き上げてくる。全身を揺さぶられるような熱い快感に、頭の中がどろどろに溶
けたようになっていった。
「ああっ、伍長っ! 伍長……ぅっ! あっ、あぁぁっ、私もいいっ……!」
私の中に伍長がいる。伍長の中に私がいる。お互いがお互いを快感に包んで行く。作り物の張り型で
繋がっているのに、私はまさに伍長とひとつになれたような一体感を感じていた。
私はもっともっと伍長を感じたいと思った。もっともっと伍長にも私を感じて欲しいと思った。自ら
の絶頂を求めるように、私の腰は貪欲に動きを速めて行った。
「あっ! あっ…、や! 激し……ッ! 少尉……っ、ひ、あぁぁッん! いいぃぃ…!」
「伍長っ…! 伍長……っ! んっあ…!」
私は善がり狂う伍長の腰にひしと抱きつき、夢中で腰を振った。
「少尉ぃ! あっアッア! 尻の中…すごい…! きもちぃい…! 少尉ぃ、いいよぅ…っ!」
「あっ、伍長…ッ、私も、すごくいいぞ…! 奥…熱い…! んあぅ…!」
伍長が抱えた脚を自分の胸にギュッと抱き締めて、背中を丸めた。ソファの背掛けに乗った脚が、ビ
クビクと震え出している。
「ふあっ…! 俺、もう……イッちゃう…! あっあぁん! 尻で……イッちゃうぅ…!」
刹那、伍長の全身が激しく痙攣した。私の腹の間に挟まれていた伍長のペニスは勃ってはいなかった
が、先端からは半透明の液体がドロドロと流れ出した。
「ひゃぁん…! ご、伍長っ! あ、私もっ……イクゥ…ッ!」
断続的にイク伍長のビクビクと突き上げる腰の動きが、私の最奥を激しく突き、私もまた達した。
オーガズムの余韻が私たちを色濃く包みこむ。私たちはしばらく重なり合ったまま、放心状態で肩で
息をするだけだった。だが、これで終わる気など、私には更々なかった。絶頂感の余韻が去ると、私は
再び腰を動かした。
「ヒッ!」
伍長が驚愕に目を見開き、ビクンと全身を大きく揺らした。
「まだだぞ、伍長」
「あっ…! ま、待って…! まだ……っ! 少尉…待って、待って!」
伍長が慌てたように私の肩を押さえ込んできたが、肩を押さえられたところで腰の動きに支障はない。
「男よりも女のほうが何倍も素晴らしいことを、嫌と言うほどお前の体に教えこんでやるからな」
私はニヤリと笑い、伍長の最奥に届かんばかりの勢いで腰を突き入れた。
「ひぐぅッ! あ…! あっ! い、や…っ! イッた…ばっか、なのにィッ…! ひど…っいぃ!」
「私もイッたばかりだぞ。酷いことなどあるまい。フェアだろう?」
射精をしないオーガズム(ドライ・オーガズムと言うらしい)に達すると、女よりも男のほうが敏感
になるらしい。私はそのことをすでに知っていながら、そう言った。
「うあッ…! ああぁぁッ! 少尉…やめ…っ! ひぃっ…! し…死んじゃ…うっあぁ!」
「そうか、死ぬほどいいか?」
「んうぅッ! 良すぎ……るッ! はぁん! ダメ…ダメぇ…! おかしくなる…ッ! 死ぬぅ…!」
刹那、伍長はまた達した。私の肩に指を食い込ませ、涙を零し、だらしなく開いた口から涎を零しな
がら。絶頂の波が去り、小康状態に戻るまで私は腰を休める。だが、頃合いを見計らいまた律動を開始
した。
「ひぐぅぅ! あッあ…! あああぁぁッ! もう、ダメっ…! 狂うぅ…! 死んじゃうッ!」
伍長の目はすでに焦点など合わず、理性も抜け落ちた顔で、善がり泣いた。嬌声とともに放たれる言
葉は次第に意味を失い、伍長はもはや雌の獣じみた悲鳴に近い喘ぎ声を漏らすばかりになった。
私も何度か達したが、出して終わりの男とは違い、絶頂の波が去ればまた伍長を攻め立てた。
「あーーッ! あぁーーッ! いい…! いいぃ…! はうぅん! 死ぬぅぅぅ…!」
「くっ、はっ…。どうだ伍長、男よりも女のほうが、私のほうが何倍もいいだろう?」
「いいぃ! 少尉がっ、いいぃぃぃ…! あっあ…頭、ぶっ飛ぶぅ…ッ! うあっ、あっあああぁぁ!」
一段と大きな絶叫を放ったあと、伍長は背中を弓なりに逸らせた。ガクガクと激しく何度も痙攣した
あと、伍長は動かなくなった。
「はぁっ…はぁっ…ご、伍長?」
ぐったりと動かなくなった伍長の顔を覗き込んだ。伍長は、失神していた──。
***
すっかり陽も暮れた外の世界は夜の闇に覆われていたが、執務室には優しい明かりが灯っていた。私
はストーブに火を入れて、裸のまま伍長が横たわるソファの開いたスペースに腰掛けていた。涙の痕が
残る憔悴しきった、それでいて満足げな伍長の寝顔を、私もまた満足な思いで眺めていた。
満たされた幸福感と充実感に身を委ねながら、伍長の前髪を指先で弄んでいると、伍長がふと目を覚
ました。
「起きたか、伍長?」
「少…尉……?」
最初、伍長は自分が今どこにいるのか、今まで何をしていたのかしばらく思い出せない様子だった。
だが裸のままの私の姿を見て、そして自分もまた全裸であることで全てを思い出したのか、伍長は慌て
て起き上がった。
「おっ、俺……!?」
「うむ、失神していたのだ」
「し……しっしん……!?」
伍長は自分の頬を手で挟み、青ざめた。だが次の瞬間には、茹で蛸顔負けに真っ赤になった。青くな
ったり赤くなったり、忙しい奴だ。だが、そんな所も可愛いのだが。
「失神したのは初めてか?」
「は……はい……」
伍長が消え入りそうに言った答えに、私は大満足だった。
「うむ! さすが私だ!」
「死ぬかと思いました……って、少尉、とりあえず服、着て下さい……」
真っ裸のままで腰に手を当てて高らかに笑う私から、伍長は赤くなって顔を逸らした。
「服? また脱がねばならぬのにか」
「え……ッ?」
「まさかこれで終わりだと思っているのではあるまいな?」
ニヤリと笑い、腰に装着したままのペニスバンドを突き出して、私は言った。
伍長の顔がみるみる青くなって行く。私は伍長に歩み寄り、またソファの上に押し倒した。私は言う。
「お前は三日と明けずにやりたくなるのだろう? それはな、お前が当分セックスはお腹いっぱいです、
というぐらいに満足していなかったからだ。二日に一回の割合でも私は一向に構わぬのだが、出張もあ
るし四六時中お前の傍にいられない日もあるだろう。そんなときにまた副長と関係を持たれてしまって
は困る。そんなわけでな、今日は一晩中やりまくるぞ、伍長」
「う……嘘でしょ……?」
「嘘なものか」
「おっ…! 俺もうお腹いっぱいです! 本当です! もう充分です!」
必死な形相で起き上がろうとした伍長だったが、関節をきめつつ、また押し倒した。
「嘘はいかんぞ、嘘は。たかがあれしきでお前が満足したとは到底思えぬ」
「ほ、本当です! 俺、満足してます! あの人とも二度と寝ませんから……だからもう今日は…!」
涙目になって嫌々と顔を振る伍長。そんな怯えた小動物のような仕草も、私にとっては性欲を掻き立
てるだけだ。
「遠慮するな〜♪ なぁに、夕飯を食べるぐらいのインターバルは取ってやるから安心しろ。庁舎の食
堂はもう閉まっているからな、外に食べに行こう。だが、その前に、もう一回……いや三回ほど失神し
てみるか、伍長♪」
「い、嫌です! お、俺、これ以上やられたら……狂っちゃいます! 死んじゃいますよぅぅ!」
「さっきも死ぬとか狂うとか叫んでおったが、なんともなかろう? セックスごときで人は狂ったり死
んだりはせぬ。安心しろ。さあ、伍長、夜はまだまだ長いぞ♪」
顔面蒼白になり、涙をちょちょ切らせる伍長の悲鳴が、誰もいなくなった庁舎内に響き渡った。
ほらな、男などよりも、女のほうが、私のほうがずっとずっと、いいだろう、伍長──?
<The End>
ラブラブなのか、伍長がひたすら哀れなのか、よく分かんないw
最後まで読んで下さった方、感謝です。
ノロノロ投下でスレ占領状態になっちゃってすいませんでした。
他の職人さんたちのSS、心から楽しみにしています。
これからも頑張って下さい。応援しています。
最高です〜〜〜☆ムフフ、GJ^m^!!!
副長とのエロがあまりにも良かったので、少尉とのは
どうかな〜と思っていたんですが、予想を上回る素晴らしさ!!
リアルタイムで投下に遭遇出来て幸せです♪
何かもうGJすぎてよくわかりません…!
伍長と少尉でこんなにアブノーマルなのは初めて見たかもしれません。
エロすぎて最高です!失神の人有り難うございました!
これはキタ…!
ノマカプは生々しくて苦手だったんだが
新たな扉を開いちまったよw
伍長の異常なぐらいのエロ可愛さ
少尉の物凄い男前っぷり
エロシーンの濃さ…
何もかもがGJですた!
失神の人、有り難う!!
少尉ってばなんて男らしいのー!
クリボッキするS嬢少尉w
ゼツリンファイアーな少尉の持久力が凄い
その体力分けて欲しいぐらいだわ!
少尉無理矢理!Yes!
伍長失神!Yes!
いいぞー素晴らしい
「うむ! さすが私だ!」
名言ですよ少尉!!
伍長ご愁傷さまです……(チーン)
ソリス×ミハも連想すると愉快、ロジャーはエリスでよかったね♪
GJ!GJ!
391 :
保管庫の人:2007/04/03(火) 06:02:46 ID:???
>>384 亀ですが激しく乙ですた!
少尉の腰テラオソロシスwww伍長の前立腺の中の人が大変な事にw
ペニバンの素晴らしさに開眼いたしましたw
>>スレ住人の皆様
業務連絡です。
保管庫携帯用に、2スレ目のSS全てアップ完了しました。
これからぼちぼちPC用に3スレ目アップしにかかります。
三月中にここに追い付くつもりだったのに出来なかったので
気合入れて頑張ります。
392 :
保管庫の人:2007/04/05(木) 05:57:53 ID:???
連投になってしまいますが…業務連絡です。
保管庫PC用に6本ほどSS上げて来ましたので、お知らせまでに。
保管庫の人さん乙です!
なんだかすっかり過疎ってしまいましたね…
まだここ見てる人いるのかなあ…
いるよっノシ
ノシ
まあ気長に待とうじゃないか
保管庫の人さんいつもありがとう
保管庫の人さん有り難うございます!
自分の書いたSSが載っているのは見てて嬉しいですね。
今忙しくてなかなか書けないんですが、
また投下するつもりなのでその時は皆さんよろしくお願いします。
397 :
保管庫の人:2007/04/06(金) 04:14:19 ID:???
業務連絡。PC用に3本上げて来ました。
伍長のおっぱい争奪戦を読み返して吹き出しつつw
>>393-396あたり(アバウト
どういたましてです。
ここが過疎ってると、保管庫ももう需要ないのかなと思ってしまって
作業してても私の一人相撲なのかと妙に寂しくなるんですが、
まだ乙とか言って下さる方がいてありがたいです。
>>396氏、投下お待ちしてます。
もちろん他の職人さんもご新規さんも。
11日過ぎたらドラマCDの話題で賑わいが戻るといいんですけどねぇ。
温泉ネタだと聞きましたが…伍長と温泉…伍長と温泉…(*´д`)
保管庫の人さん、乙です〜☆
自分はSSが書けないので、アップされた作品に対してGJを
送ることくらいしかこのスレで出来ることがなく
もどかしい思いをしているのですが、
ここと保管庫とセットで毎日のぞいておりますよ〜。
3スレ目の終わりくらいからの閲覧なので、
過去の名作SSが読めるのは本当に有難いです☆
温泉ネタのドラマCD、楽しみですね。
どんな破壊力のあるネタが飛び出してくることやらww
書いてるんだけどなかなか仕上がらないよ!
職人さんたちの凄さを思い知らされる
保守ってみる
職人さん来ないけどどうしたのだろうか
頑張って書いてるけどなかなか仕上がらないんだよ。
ちょっと待ってくれ。
萌えがなくなったわけではないんだ。
>>402 そんな時は自分で書いてみることをオススメ
新年度明けだから、みんな色々忙しいのよ。
そんな自分も書き途中のものを放置中。
書く時間がなかなかとれない…
職人引退宣言して、舌の根も乾かぬうちに投下ですか。
クズが。
過疎ってる間はひたすら誰かの投下を待つのではなく、
エロパロスレみたく萌え話で盛り上がりませんか?
以前の触手ネタの時みたいにね。触発される人がいるかもしれないし、
リクまで行くと行きすぎだけと、ネタ投下ならいいんでない?
これだけではなんなので、
ミュセ×伍で妄想すると、漏れなく
『射精回数実験』だの
『拡張実験』だの
思いついてしまう自分がいる。こんなSやろうは自分だけでしょうかw
仕事前に頑張ってエロネタ振ったんでみんな食いついてくれー(誘い受け上等)
このまま放置プレイはいやよんv
私はやっぱりピンクランタン系だな
ランタンの性質上、向精神的な実験されてると思うんだ
正気を失って暴れようとしても拘束具で身動きできないところに
ミュゼがいろいろやっちゃうといい
その時はOPで出てきたうつろな目をしてるといいな
ピンクランタンとか使って、うつろな目で
淫乱なことする伍長とか、想像するだけでお腹いっぱいですよ
それで色々ないやらしい実験とかしていたらもうたまらん…
やばい、ちょっと創作意欲湧いてきた
漏れはピンクランタンモードで誘い受けがいい。ティムポ無しで生きられないティムポ漁りの淫乱伍長モエス!操を無視された兵士なのさ!
男なのに、操って言葉が妙にハマる伍長に萌え♪
411 :
名無しさん@ピンキー:2007/04/13(金) 01:47:01 ID:ywe72OJ+
共和国の捕虜になって(性的)拷問だか尋問だかされるネタを思い付いたが…
自分に文才はない
絶望した
二次創作は文才より萌えのほうが大事だよ。
少々文が不自由でも萌え萌えなら自分は喜んで読むな。
どんな拷問されたのか詳細にネタふれば、誰か触発される人がウマーに
書いてくれるかもしれんし。
>>411 捕虜になる伍長に萌え
拷問の内容が気になる…
414 :
保管庫の人:2007/04/16(月) 03:50:32 ID:???
業務連絡どす。
PC用の方は3スレ目SSうp完了しました。
遅くなってスマソかった。
言い訳すると、某所に日帰り弾丸花見に行ったら体調崩したっぽくて、
疲れがすぐに抜けない歳になったのを改めて実感しますた…orz
ドラマCDも発売日に届いたのに未だに聞けてないよウワーンヽ(`Д´)ノ
とりあえずガーっと作業したい気持ちはあるのでしばしお待ちを。
>411
「絶望した!もう死にます、止めても無駄ですよ!」
自殺しようとする某先生を伍長が発見。
「だ、ダメですよ、自殺なんてやめてください〜!」
ぎゅむっ
「ぐえっ…って、死んだらどーする!」
「うわ!?え??ご、ごめんなさい(あうあう」
…という妄想。自分乙。
しかし捕虜になってもランタンのカラクリについては901の人も誰も
本当の事を教えてもらってないでしょう。
何も話せることがないと知れたら、やっぱり大人のおもちゃにされるか伍長。
そしてふざけた誰かがマジカルランタンを点灯させてしまいキルゼムオール。
保管庫の人毎度乙。
重宝してるよノシ
イベント近いせいか過疎る一方なので、何かネタはないかとガサゴソしてみるが見つからないorz
そう思えば職人さんってすごいよ。
保管庫の人さん乙!
ドラマCDまだ買ってない
温泉ネタ良さそうなんだけどな
保管庫さん、乙、でもってありがとうー!!
これだけではなんなので投下に来ました。
正直出来は微妙で躊躇してるのですが、過疎っている時の暇つぶしにでもなれば。
触手×伍長
O・ウェルズの『火星人襲来』のダブルパロのつもり。
伍長はアホな上にぜんぜん役立たずです(ごめんなさい
ギャグのつもりですがすべってるし大してエロくもないですが、
生温かく見守ってやってください(泣
無駄に長いので分けて投下します。
『音楽番組の途中ですが、ここで帝国ラジオニュースからの臨時速報をお伝えします……』
マリエルは夕食の皿洗いの手を休め、訝しげにテーブルのラジオを振り返った。新聞を片手に食後の
コーヒーを楽しんでいた父親もカップを持ったまま、続きを聞こうと身構えている。国営農場での
暮らしもようやく落ち着いてきた今日この頃、平穏な日常が破られるのは久しぶりであった。
『只今、帝立カウプラン宇宙研究所付属エッサン天文台より発表がありました。本日8時20分
、火星の 表面にて発光を伴う爆発が数回起こり、この光が現在、非常な速度で地球に向かって
おります。……えーこの件については続報が入り次第、引き続いてご報告します。それでは音楽を
お楽しみください』
ラジオからは再び陽気な曲が流れ出し、父親は何事もなかったのかのようにコーヒーを一口すすった。
「火星から光だと? つまらん。共和国ならいざ知らず、あんな遠くの星がなんだってんだ。驚かせる
なよまったく」
「あら、でも隕石が落ちてきたら大変よ」
しかし心配そうな口調とは裏腹に、マリエルは再び流しに向かった。遠い惑星での出来事より、当面は
目の前の焦げ付いたシチュー鍋のほうが懸案事項である。父親の言うとおり、共和国ならいざ知らず、
であった。
やがて彼女が鍋をピカピカに磨き上げ残りの食器もあらかた洗い終り、新聞を読み終わった父親が
タバコに火をつけくつろいでいた頃、音楽がまた中断した。
『再び臨時ニュースをお伝えします。只今、帝国治安警察隊からの発表によりますと、本日午後8時
50分に 隕石とおぼしき炎に包まれた巨大な物体が建国記念広場近くの林の中に落下した模様です。
火災が発生しており、現在、消防と警察および軍が現場に向かっております』
父親は唖然とした顔で唇からタバコを離した。
「おいおい、お前がヘンなことをいうから本当に落ちてきたぞ!」
「もう、お父さんったら」マリエルはタオルで濡れた手を拭きながら、もっとしっかり聴こうと
ラジオのそばに近づいた。
「ねえ、あの林、確か陸軍情報部の目と鼻の先だったわよね。軍が出動したって言ってたけど……
オレルドさんたち、ひょっとしたら現場に向かってるんじゃないかしら」
復興部隊が隕石調査なんかしないだろ、という父親の言葉に耳を傾けながらも、マリエルはなにかしら
不安を感じ思わず胸の前で祈るように手を組んだのあった。
前日、雨が降ったのが幸いし、林は当初こそ炎を上げたものの、現在はいぶすような黒煙を上げ続ける
だけである。消防隊は任を解かれ、警察とともに進入禁止のロープをはる手伝いに追われていた。カウプ
ラン機関の科学班が到着するまで、誰も落下地点に近づいてはならないとの命令を受けている。
かつて先帝がウサギ狩りを楽しんだ風光明媚なその場所は、落下の中心地から外に向かって同心円上に
木々がなぎ倒され、無残な姿を晒していた。
「あーったく。なんで俺らが警備の手伝いなんかしなきゃならないんだ」
「仕方ないだろ、オレルド。警察の手が足りないんだから……あ、そこそこ、立入禁止区域ですよ!
ロープより先には出ないでください!」
押し寄せる野次馬に両手を広げながら、マーチス准尉はオレルド准尉に向かって苦笑いを浮かべた。
「共和国の爆撃飛行船でも墜落したんならわかるけどよ……だいたい一課は現場にも来てないのになんで三課は
こき使われるんだか……はいはい、そこもっと下がらないと火星人に喰われても知りませんよー」
ものの焼ける厭な臭いがあたりに立ち込めている。
三課のオレルド・マーチス両准尉とオーランド伍長が警察から任されたのは、落下地点からいくらも離れて
いない場所であった。肝心の隕石らしきものは煙のためぜんぜん見えないが、仕事熱心な新聞記者たちは
スクープをものにしようと、押し合いへしあいの大騒ぎを演じている。
419 :
触手×伍長:2007/04/19(木) 12:37:10 ID:???
「オレルド、そんなデマ流してパニックが起きたらどうするの……そう腐るなよ、一課では今頃ダブル・ショーテルが
てんてこ舞いしてるさ。それにさっきアリス少尉が本部に呼ばれたから、手伝い以外の仕事を任されるよきっと……
……そこ、フラッシュ焚かないで、撮影許可はまだ下りていないはずですよ? 規則ですからね、フィルムは没収します、
うわっととと……ああもう、隕石は逃げも隠れもしませんよ、押さないで押さないで!!」
「おい、そういやデカブツはどこ行った?こんな時こそ役立つヤツの図体だろ、壁にはぴったりだ」
「あれ、ついさっきまでそこにいたのにどこに行ったんだろ? 風邪気味だって言ってたけど、伍長、どこか具合が
悪くなったんじゃ……」
マーチス・オレルド両准尉が野次馬の対応に四苦八苦している頃。
当の巨体は時折垂れてくる鼻水をすすりながら、不器用そうに焼け焦げ傾いた木々の間をウロウロしていた。
「おーい、出ておいで、怖くないから。そっちは駄目だよ、危ないよ」
二メートル以上の長身にがっちりした筋肉質の身体。顔には派手なサンマ傷。
見た目のゴツさのおかげかオーランド伍長の警備は准尉たちよりもずっとスムーズで、そんなわけで木々の陰から動物の
断末魔のような鳴き声が上がるのを聞きつけた時、少しくらい大丈夫だろうと思わず持ち場を離れたのであった。
あれは、猫の悲鳴だったような気がする。
近づいてみると案の定まだ煙を上げている倒木の向こうから、しなやかな黒い影が飛び出し、ブーツの足元をすり抜け
ロープのあちら側……倒れた木々の同心円の中心に向かって走り去った。
あんな声を出すなんてどこか怪我しているのかもしれない、
伍長は思わず影の後姿を眼で追い、ロープを乗り越えると林へ向かった。
どこまでも続く黒焦げの残骸、鼻を突く臭気……まわりの異様な光景にだんだん怖くなってきたオーランド伍長が
あきらめて持ち場に帰ろうとするたびに、黒猫は金色の目を輝かせ誘うように振り返る。ちょっとしたいたちごっこが
続いて、気がついたときには思ったよりもずっと中心部に近づいていた。
炭化した木々の間から、円筒形のものすごく巨大な――2階建ての建物ほどもある物体が半ば地面に埋まっているのが
見える。
これが隕石だろうか? ……人工物みたいだ。
伍長は何故か背中に冷たいものを感じ、ガクガクと引き返そうとした時。
猫は一声鳴き声を上げると、走りよってきた。
「よしおいで。こんな怖いとこからは早く逃げよう」
鼻をすすると伍長は黒猫を抱き上げた。手袋越しに伝わる毛並みの奇妙な感触。獣毛というよりブヨブヨした生温かい
水風船にでも触っているような……こいつ……猫じゃない!?
「う……うわぁぁ……」
小さな猫の体は伍長の手の中で緑に変色すると膨れ上がり変形し、無数の触手と化したそれが彼の全身に絡みつく。
眼も口もふさがれ全く抵抗できないまま、やがて意識が途絶えた。
また、あの悪夢を見ているようだ。
全身をまとわり突く、手、手、手。
指先が、口の中に侵入してくる。指にしては太すぎる。苦いような厭な味。
思わず噛み締めると吐き気を催す液体が滲み出し、オーランド伍長はえずきながら口を開ける。
『ぴききぃ』
金属めいた不快な音とともに、そいつは口の中からずるりと逃げて行った。
目を開けると、自然界には存在しないような嫌な緑色をした触手状のものが、今しがた彼がつけたものらしい歯型から
黄色い体液を垂らし後退していくところだった。
ねばねばした嫌らしい感触が全身でのたうっている。裸の体を覆う無数の触手。手足は絡め取られ、身動きすら叶わない。
緑の触手……手の中で変形した猫。
「これは……夢じゃない!」
420 :
触手×伍長:2007/04/19(木) 12:41:16 ID:???
ここはどこだ。金属の壁で閉鎖された空間。どこもかしこも緑の触手でいっぱいで。
オーランド伍長は必至で絡め取られた手足を動かしたが、思うように力が入らない。自分の乳首が
立っているのを感じた。股間が熱く……たぎっている。
ぬめぬめした緑の触手は変幻自在なのか、筋肉の硬く盛り上がった胸の、濃いベージュ色の小さな乳首に
絡みついたそれは紐のように細い。巻き付き締め上げながら、尖った先端はチロチロとつつくようにベージュの
突端を刺激している。
こんな気持ちの悪い触手に……伍長は不快さに眉をひそめたが、胸のじれったいような感覚はむしろ
気持ちがよくて彼を戸惑わせた。
「くはっ」
不意にもっと強い快感が下腹部から沸き起こり、伍長はのけぞった。触手が陰茎に巻き付いている。その端は
平らに変形し、赤くはれ上がった先端を舐め上げるように動いている。猫の舌のようなざらついた感触は未知の
もので、伍長は恐ろしくなって下腹部に目をやった。赤みを帯びた自分のモノと蛍光がかった緑の触手のコント
ラストは実に気持ち悪い。
「い……厭だぁっ、この離れろっ、離れ」
絶叫は突然滑り込んできた触手にふさがれた。それは口内で大きく膨らみ、伍長は再びえずくと涙を流した。
下腹部の刺激がさらに強くなる。舐め上げるように動いていた触手はさらに変形すると、今度は吸い上げる
ような動きを開始した。大量の我慢汁を垂らし続ける尿道口をえぐるようにこすられ、破裂しそうなぐらい膨れ
上がった先端は痣の残りそうな勢いで吸い、幹の部分の触手はじわじわ握るように動き続ける。馴染みの不器用な
手遊びとはまるで違う巧みな刺激に、伍長は射精しそうな自分を感じた。
『気持ち悪くて仕方がないのに……厭だ、こんなの厭だ!』
嫌らしい触手にまみれた肉棒がビクビク痙攣し、汁がさらに溢れた。電流の流れたようま快感に思わず硬く目を
閉じてしまう。眉間に皺がよる。腹筋が震え、尻が引き締まり、体がのけぞる。
物凄く不快なのに。物凄く厭なのに。どうしても、どうしても我慢できなくて。
「むぐぅ……ぐふっ、うっ、ンッ」
金属の床に白い糊状の液体が飛び散るのを、伍長は荒い息を吐きながら涙にかすんだ景色の中で、惨めな気分で眺めた。
不意に口の中の触手がよだれとともにずるりと落下し、床の上で見る見るうちに変形していく。金色の目のついた
緑色のタコを思わせる生物になると、V字型の口から延びた突起が床上にこぼれ落ちた白い体液をべちゃべちゃと舐めはじめた。
「何……やってんだ?」
不快感に背筋がゾッとする。
渾身の力をこめ、触手から逃れようともがいてみる。だが、胸の触手も下腹部の触手もさらに刺激を強めただけで、
その上別の触手が尻の割れ目を開くように這い、囲むようにまばらに生えた体毛をかき分け、引き締まった穴の
周辺をうかがいはじめる。
床に垂れた体液はあらかた無くなったが、緑のタコの金色の眼はまだ足りないといわんばかりに伍長の下腹部へ動いた。
「まだ欲しいのか?」愕然として、今度は背中に冷たいものが流れるのを感じる。俺はこいつらの食糧製造機に……。
「ひぃっ……だ、誰か助けて!!」
伍長は頭を振り逃れようとめちゃくちゃに体を動かしたが、射精後のくすぐったさは、情け容赦なく快感に変わっていった。
421 :
触手×伍長:2007/04/19(木) 12:43:00 ID:???
とりあえずここまで。
無駄が多くてどうもすみません。
久しぶりのSSキター!有り難うございます!
いやー相変わらず触手と伍長は相性がホントいいですねぇ
続き期待してます!
GJです!もうエロすきです!
なすがままの伍長に萌えてしまいましたよ
みんな気付いていないのかな…
??何に?
>>424 感想の投稿が少ないってこと?(違ったらゴメソ)
スレの残り容量少ないからみんな感想の投稿控えてるだけかも?
私も最近ROM専になってるけど毎日見てるよ
触手×伍長の人GJ!
続きをwktkして全裸で待ってます
427 :
触手×伍長:2007/04/23(月) 23:04:21 ID:???
すみません、遅くなりました。
スレの容量が少ないということなので、まとめレスでごめんなさい。
読んでいただき本当にありがとうございました。
続きを投下します。
内容は変わらず、次回終了の予定です(スレ持つかなー?)
残量とか考えず投下して申し訳ないです。
後、番号つけるの忘れてました。触手×伍長(4)から行きます。
『えー、こちら建国記念広場前からの中継です。林の中に落下した円筒形の隕石ですが、煙が晴れてきたのでこちらかも
見えるようになりました……』
広場から遠く離れた国営農業に暮らすマリエルと父親だが、今はただ固唾を飲んでラジオを聞き入るばかりである。
『ところで隕石ですが……おや? 物体の端が……外れようとしています、まるで扉のように……あ、……中から何か
出てきました……緑色の……巨大な土ぐものような、タコのような生き物?……ああ! い、今、生き物の触手が
白衣の人物を捕らえました!!カウプランの研究者のようですっ……うわぁっ、緑のタコが手当たり次第に周囲の
人々を捕まえています!!た、大変なことになりましたっ……生物はぞくぞくと物体の内部から出てきます……
只今警官隊が発砲しました!……駄目だっ、ぜんぜんびくともしない……』
「お父さん!!」
マリエルが父親にすがりついた瞬間、外の方で雷でも落ちたかのような音が響き、家の中が激しく揺れた。
「ま……まさか」
揺れが収まった後、引きつった顔つきで父親が窓を開けると、広大な農地の真ん中に円筒形の物体が炎をあげながら
畑の 土に半ば埋もれているのが見えた。
「に、逃げろっマリエル!」
「お父さんっ」
『大変です!!只今情報が入りました。帝都の……あちらこちらに円筒形の物体が飛来している模様です!!
……国民の みなさま、軍が非常事態宣言を発令しました、戦時中を思い出して落ち着いて行動してください……』
誰もいない部屋の中で、テーブルのラジオだけが空しく叫び続けている。
「そうだ。……どうしてもあの円筒形の物体の中に入れなかった。緑のタコに囲まれた副長が、私に向かって手を伸ばして
いたのに!何か見えない壁のようなものがあって、どんなにやっても、手を差し伸べることさえできなかったんだ……」
左の頬に目立つ傷跡のある若い女は、そういうと歯を食いしばり悔しそうに涙を流した。
陸軍情報部は混乱を極め、医療室も満員状態なので、負傷して戻ってきたフランシスカの世話をしたのは陸情3課だった。
林に落下した火星生物の乗り物を急襲したクレイモア・ワンだったが、ただ一人女性隊員のみを残し、緑のタコに
全員拉致され、物体の中に取り込まれてしまったという。
「あ、あのそれで、顔に目立つサンマ傷のある男の人が中にいたのは確かなんですか?」
痣の残る腕に湿布しながらステッキン曹長が尋ねるのを、アリス少尉は難しい顔で聞いている。その横でオレルド・
マーチス両准尉は唇を噛み締めた。かつては脱獄魔の異名をとったオレルドのすばらしい危機回避能力のおかげで、
なんとか緑のタコどもの魔手を逃れてきた二人だったが、オーランド伍長とははぐれたままだったのである。
「ああ、一番奥にやたらデカイ傷だらけの男がいたのは確かだ。……ただ意識はないようだった……体中緑の触手で
覆われて……生きてはいるみたいだったけど。物体の内部が見えたのは副長が取り込まれるほんの一瞬だけだったから、
人相を言われてもそのオーランド伍長かどうかははっきりわからない」
フランシスカの言葉をつくねんと聞いていたアリス少尉が突然顔を上げた。
「女は入れないか……曹長、ここは任せた。私はメーネを取ってくる。オレルド、マーチス、お前たちは囮になれ!
やつらがお前たちを取り込む瞬間、私も物体の中に潜り込んでやる!このまま火星人どもの好きにさせてたまるか」
「ひえぇぇっ、ア、アリスさん!」
「た、隊長、そんな無茶な」
「ならば私も行く!副長を放っておけるものか!おいそこの眼鏡、車を出せ」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
マーチスが焦った声を上げたとき。
「そうね、お待ちなさい。アイデアは悪くないけど、女はあの物体の中には入れないのよ」
聞きなれない声に全員が驚いてドアの方へ向くと、断髪眼鏡の白衣の女が立っていた。
「私はミュゼ・カウプラン。こちらのハンクス大尉とは知り合いよ」
スレ残量不安だけど一言
副長!副長ー!そしてクレイモア・ワン! 想像するとカオスだ
そして触手×副長想像して変に興奮した
昨夜は規制くらって続き投下できなかった、スマン。
>>429さん 感想ありがとうです(涙
では続きいきますー!!
「カウプラン……帝立科学研究所?」
「あら、私が何者か知ってるのね眼鏡くん。なら話は早いわ」
帝国随一の科学機関の登場に一同がざわめいた。その反応に女史は満足げに微笑む。
「では……とりあえず火星生物の講義から始めるわね。あの生物は他所の環境に適応するために、まず
そこの生物の細胞を取り込み擬似進化するみたいなのだけど……そのためには半減細胞、つまり
生殖細胞でないと駄目らしいのよ。で、最初に取り込んだのがどうやらヒトのオスの精子だったみたいで
……まったくどこのマヌケかは知らないけど」
「な、なんと!男とは下半身の神経が独立している生物と聞いていたが、タコとも交接できる仕様
だったとは!!」
どこかカン違いしたまま驚いているアリス少尉に、ミュゼは苦笑する。
「色々推測した結果、連中は蟻や蜂のような生物らしいわ。つまり女王がいる。それを押さえない限り、
末端をいくらやっつけても意味がないの。そして女王はあの円筒形の物体の中に潜んでいる。外の
やつらはこれを死守しているわ、特に女性からは。なぜなら精子を奪うライバルだからね。でも男性なら
フリーパスで受け入れてくれる……なぜだかわかるでしょ?」
「……はい」
両准尉は、気持ち悪そうにそろって答えた。
「でも、なんの装備も無しにただ潜入しても一課の二の舞。で、こういうこともあろうかと」女史は白衣の
影から印籠よろしくあるものを取り出した。伍長の私物に酷似したそれは、スイッチを入れるとピンク色の
光を発する。「開発したのがコレよ!!」
「あ、それ知ってますぅ! ピンクランタン!! 過去スレで読みましたぁ、ミュゼさんったらもう、
やらしーもの作ってぇ、ドキドキしちゃいましたよぉ」
素っ頓狂な声を上げるステッキンを女史はにらみつけた。
「お黙りネラー、フェロモン迷彩と呼んでちょうだい!! 周囲をインランにする器械じゃなくて受精直後の
卵がこれ以上の精子の侵入を防ぐために作り出す物質を応用して精子と同化しているやつらを追い払うために
カウプラン機関最高の技術を総動員して作った自信作よ!!!」
長ゼリフの一気読みにミュゼがハァハァと息をついているとマーチスが小首をかしげた。
「あれれぇ、でもそもそも迷彩服の開発って、今から八年後のローデリア侵攻ブッシュ戦からじゃなかったけ?
時間軸が合わないよぉ」
「黙れ探偵小僧、考証無用!考察無用!!でもって問答無用!!! とにかくあんたら准尉ズはコレもって
乗り物の中に潜入して、火星人の腕だか足だが、できれば本体丸ごとがいいんだけどね、採取して
くりゃいいのよ!でないと話が進まないでしょうが、さっさといけ!!」
「ああ俺、突然眩暈が……」
「僕はメバチコが……」
急にヨロヨロし始めた准尉たちに、デスクのハンクス大尉はキセルをくゆらせ、穏やかに言った。
「なーに、お前らコンビなら今度も危機回避できるさ。俺だって“こういうこともあろうかと”懲罰房の脱獄魔を
わざわざ課にスカウトしたわけだからな。だから頑張れやオレルド。マーチス、フォローは頼んだぜ」
「そ、そんなぁボス!!」
「ハンクス大尉!」
「さあ、私はもうメーネの準備は整ったぞ!!貴様ら、伍長が火星人に蹂躙されているのを放っておく気か!」
「じゅ、蹂躙……触手×副長キター!!!……ハッ、萌えている場合ではない、さ、さあ行くぞ!!」
脚甲を身につけたアリス少尉と片手持ち斧を装備したフランシスカはやる気満々である。
「そうそう、かわいいマルタちゃん、じゃない、ランデル・オーランド伍長もしっかり回収してきてね」
「みなさーん、元気出せ元気出せー、ご武運を祈ってますぅー」
「わふんわふん!」
尻尾を振るマーキュリー号とハンカチを振るステッキン曹長を後に、4人は颯爽と(そのうち二人は引きづられ
ながら)3課を後にしたのであった。
「むぐぅ……ぐふ……うぅう………」
オーランド伍長の眉根に皺がよった。相変わらず触手に手足を絡め取られたまま、身動きも出来ない。大小無数の
傷痕の残る巨体は赤らみ、汗にまみれている。群がる触手はその筋肉質の重々しい体を軽々と支え、手足を広げた
状態で彼は仰向けに固定されていた。
口中、脇腹、首筋、果ては耳の穴まで、ありとあらゆる感じやすい部分で触手がのたうっている。初めて尻穴に
触手が侵入した時伍長は苦痛に眉をひそめ、なんとかぬるぬるした気持ち悪い太いものを排泄しようと腰を
よじったが、今は腸壁越しに前立腺をノックする触手の動きにあわせ、快楽の呻き声を漏らしながら自ら腰を
振っていた。それにあわせ子供の腕をほどもある肉棒が、腹筋の見事に割れた腹の上で一つ目から涙を流し
ユラユラ揺れている。
不意に、腹筋に緊張が走り、その反動のように尻の筋肉が引き締まりビクついた。締め付けられたせいか尻穴から
尻尾のように生えた緑色の触手は痛がるようにブルブル震えたが、抜け落ちる気配はなく、動きに乗じてさらに
ずるりとさらに奥にはまり込む。
伍長の苦しげな呼吸を感じたのか、口を塞いでいた触手が、唾液を糸のように引きながら離れた。赤らんだ顔、
粗い呼吸、硬く寄せられた眉……どれも“達した”印だったが、強張りはそのままで萎える気配もない。
見れば床には汗が滴るばかりで、真っ赤に張り切った子供の握りこぶしほどもある部分の小さな裂け目の
ような穴 からは、ごく少量透明な液体が分泌しているだけだった。
「イかせてくれ……いや……もう疲れたイきたくない……ぁぁ……俺……わけ……わかん…ない…………」
伍長が泣きながらつぶやいた。黒い縮れ毛の密集した根元には、細い触手がキツク巻き付き、射精を阻害している。
睾丸は痛々しくにキンキンに張り詰めているが、手足を戒められた彼にはどうしようもなかった。
もう何時間こんな状態が続いているのか……今が昼なのか夜なのか、そして自分が何回イッたのか、彼にはわからない。
手足が痺れるくらい疲れ果て、明らかに一回の精液の量が減ってきたが、触手はなおも貧欲に搾り取ろうと体への
刺激をやめなかった。
緑の触手をくわえ込んだままなおも震え続けている伍長の尻に、同じぐらいの太さの触手が迫る。人間の男の
モノ並みのそれは怪物と伍長それぞれの分泌物にまみれると、狭隘な部分を押し広げるように無理やりねじりこんだ。
「うぐぁっ……ああ……ぅあ……あぐ……」
度重なる刺激に疲れ鈍感になった体は、拡張という強烈な刺激を快感と受け取ったらしい。再び汁を垂らしながら
強張りが脈打ちだすと、根元に巻き付いていた触手は今度はひゅるりと外れた。
「ひっ……あ、あ、ンッンッンッ」
まだこんなに残っていたのかと思うほど大量の白濁液を吐きながら、伍長の体は痙攣を続け、やがて縫合痕の残る顎が
がっくりとのけぞった。腹や胸に飛び散った精液に気持ちの悪い生物たちがべちゃべちゃと群がったが、彼にはもう
目を向ける気力もない。
「やめて……くれ……」
しかし尻の二本の触手は抜ける気配もなく、執拗にうごめき続ける。
「いやっ……も、もうイキたいくない!……厭だぁ、もうイクのは厭だぁ! 出ない、もう何も出るもんかっ」
触手は体中に巻き付き刺激を繰り返しているが、さすがに汁を垂らし萎えたものはもう立ち上がる気配を見せなかった。
「もう出ないから……勘弁してくれ」
突如、涙と鼻水でぐしょぐしょになった伍長の顔が歪み、驚愕で眼が見開かれる。細い触手が赤く膨れた先端で汁を垂れ流している
小さな穴に滑り込んだのだ。
「痛っ……そんなとこ入らな……チクショウ、やめろぉぉ!!」
排出のみの器官をずるずる逆行していく細い触手。狭い尿道が拡張されていくなどと、耐えられないほど不快なはず……だったのだが。
「……あ?……あぁ?! そ、そんな!!……ぁぁぁ……あ……ああンッ、ぐはっ、あがぁ」
まったく未知の、前立腺に直に加わる強烈な刺激。萎えていた物が見る見るうちに硬たくなる。
膀胱に溜まった尿が触手を伝って流れ出す頃には、伍長は頭の痺れるような快感に身を任せ、悦びの涙を流していた。
432 :
触手×伍長:2007/04/24(火) 12:12:11 ID:???
とりあえず今日はここまでですが、続きは次スレ立てないとまずいですかねー?
(よくわからなくてすみません)
次回で終わりです。長くて申し訳ないです。