【パンプキン】オーランド伍長萌えスレ 3【シザーズ】
1 :
名無しさん@ピンキー:
1乙!!
我々は
乙ぱいだ!
>>1さん、乙です。
ありがとうございます〜。
でも一応、先に前スレから消費するようにしましょうか。
>>1乙
とりあえずここをホッシュして前スレに戻ろう
1乙であります、サー!
前スレ527
要領オーバーするからこっちのほうがいいよ。
8 :
前スレ527:2007/01/21(日) 21:23:31 ID:???
前スレ
>>528-530殿、
>>7殿
アドバイスありがとうございます
こちらへ投下させていただきます
先達とネタが被りますが、オレルド×伍長で
ベッドに寝そべったオレルドは、複雑な表情で室内を見渡した。
普段、彼は部屋を必要以上に散らかさないようにしている。最初に連れ込んだ女が、惨状に呆れ
掃除をしただけで帰ってしまった為だ。逃した魚は大きかった。以来、整理整頓、とまではいかな
いが、見苦しくない程度に室内を整えている。
彼は部屋の隅に目をやった。厚手の紙箱が二つ並べられている。片方には破れた毛布が、もう片
方には砂と細かい瓦礫が敷きつめられている。
部屋の中央、テーブルを動かしてスペースを作った床の上には、巨大な寝袋が長々と横たわって
いる。その上に座り込んだオーランドが、数度目の謝罪を口にした。
「本当に済みません」
「だからいいって」
「はあ」
広い背を丸め、オーランドは申し訳なさそうに頷いた。頭と右肩の上に、一匹ずつ猫がうずくま
ってゴロゴロと喉を鳴らしている。さらに一匹がセーターの左胸辺りにぶら下がって「なー」と甘
えるような声で鳴き、別の三匹が膝の上でじゃれ合っていた。
:::
日も暮れた頃、カフェで美女を捕まえたオレルドは、普段より多い荷物を抱えて右往左往するオ
ーランドを見つけた。そして、この純朴な大男は、女連れの上官に向かって無粋極まる挨拶を投げ
かけた。
「あ、准尉、お疲れ様です」
女は明らかに気分を害した色を顔に現すと、嫌みを込めてオレルドに言った。
「私程度の女じゃ、相手にするのも『お疲れ様』でしょうね」
「いや違う。俺は君と今夜甘い夜を」
「気が変わったわ」
女は腰に回されたオレルドの腕を外し、無慈悲に連れの男の言葉を遮った。そのまま振り返りも
せずに、一人で歩み去って行く。
「…悪いこと言っちゃいました?」
他の男が相手なら怒鳴りつけているであろう。が、眉尻を下げ、優しい瞳に情けない色を浮かべ
た傷だらけの大男に対して、オレルドは怒りではなく脱力感を抱いた。
「こんな所で大荷物を抱えて何している?」
オーランドは簡単に説明した。
ここ数日、帝都の美観を取り戻すために警察が路上生活者の取り締まりをしていること。犯罪者
には刑務所が、職を求める者には一定期間の収容施設が準備されていること。ただし、食料難であ
るこの時世、刑務所と収容施設の違いはといえば、鉄格子が付いているか否かぐらいでしかないこ
と。施設を出た後は福祉機関が仕事の斡旋をすると言われているが、実際に都合良く職にありつけ
る可能性は低いこと。そして、取り締まりが橋の下にも及び、オーランドは施設入りはともかく、
強制退去だけは免れなかったこと。
オレルドはため息をついた。
「おまえ、仮にも給料もらってんだから部屋ぐらい借りろよ」
「はあ、でも」
オーランドが言いかけたとき、なー、と甲高い鳴き声があがった。オレルドが声の聞こえた方を
見ると、オーランドのジャケットのポケットから小猫が顔を覗かせている。
「猫を何匹も飼える部屋、家賃が高いですし」
「…」
オレルドは額を押さえた。
「橋の下の猫を全部引き取るつもりか?」
「全部で何匹いるかは分からないですが、駆除されたら可哀相なので…准尉?」
背を向け歩き出すオレルドを、オーランドが呼び止める。オレルドは振り返りもせずに応えた。
「どうせ今夜行く宛もないんだろ?」
ついて来い、と手で促すオレルドに、オーランドは慌てて付き随った。
「は、はい!」
:::
低い呻きが聞こえる。
それが自分のものではないのを確認し、オレルドはサイドテーブルのライトを小さく灯した。
寝袋の中のオーランドが、目を閉じたまま苦悶の表情を浮かべている。
部下の夢見が必ずしも良くないことを、オレルドは知っている。マーチスも同様だ。あの舞踏会
の夜、暴漢に襲われ昏倒したときだけではない。泊まりがけの出張査察で同行し、夜を共に過ごし
たことがある者なら誰でも知っている。
にしても、今夜はひでえな。
起こした方が良いだろうと、オレルドは小声で呼びかけた。
「デカブツ」
反応がない。
代わりに、寝袋の生地の下で何かがうごめいた。
「おいおい」
オレルドは呟いてベッドから降り、ためらいもせずに寝袋のジッパーを下げる。
オーランドの胸と腹の上に、三対の光る瞳が現れた。
悪びれた様子もなく、いや、むしろ邪魔者を見るような目つきで猫たちはオレルドを睨み上げた。
「おまえら…」
就寝前、オーランドが六匹の猫を、毛布を敷きつめた箱の中に四苦八苦して入れているのを、オ
レルドは確かに見た。
「いつの間に潜り込んだ?」
言いながら彼は、素早く猫の首根っ子を掴むと、部屋の隅に置かれた猫専用の寝床の方へ放り投
げた。二匹排除。三匹目はオーランドの脇で立ち上がり、フーッと背中の毛を逆立てている。オレ
ルドが手を伸ばすと、鋭い爪で彼の手の甲に傷を走らせた。
オレルドは顔をしかめて三匹目の猫もたやすく引っ掴み、投げ飛ばす。ついでとばかりに寝袋の
ジッパーを全開にする。
オーランドの脚の間に、小猫と二匹の猫がうずくまっていた。やはりそこにいるのが当然、とい
う顔をしている。
オレルドのこめかみが一瞬痙攣した。
猛烈な苛立たしさが込み上げる。
己の飼い主(?)が悪夢にうなされているというのに、こいつらは。
猫とはそういう動物だと分かっているものの、苛立ちは収まらない。
ふと、以前交わしたマーチスとの遣り取りが脳裏に蘇った。
「ここから先は−−−伍長から聞きたい」
「…ああ、俺もだ」
あの時のマーチスへの同意は、確かに本心だった。
それがどうだ。
気付けば、オレルドの視線は眼前に掲げた書類を通り越し、要領の悪い巨躯を追っている。
軍用車で移動する際、常に定位置−−−後部座席、彼の右隣にある圧倒的な重量感に意識を捕われ
がちになる。
三匹の猫を見下ろしたまま、オレルドは唐突に自覚した。
全てを知りたいのか?
否。
欲しいのだ。
己の感情に気付いたオレルドの行動は早かった。
彼は三匹の猫の首根っ子を掴むと、やはり次々に放り投げた。猫たちは抗議の鳴き声をあげるが、
彼の耳には入らない。
ここはおまえらの場所じゃない。
俺の場所だ。
「デカブツ」
オレルドは未だうなされているオーランドの頬を軽く叩いた。
目覚めない。
彼はオーランドのセーターの裾をめくり上げ、傷だらけの肌に手を這わせた。心臓の真上でぴた
りと動きを止める。応じるように、巨大な、火傷の跡に覆われた掌がオレルドの手首を握る。
彼はオーランドの耳元に口を寄せて囁いた。
「いい加減、悪夢から目覚めやがれ」
:::
闇の中、暗い水面が広がっている。
冷たく淀んだ水に半身を浸けたオーランドは、恐怖と無感動という矛盾した感情に支配され、
ただ思った。
ああ…またこの夢か…。
右手に銃。針金で括り付けられ、決して手放すことができない。
ちゃぷん、と微かな水音がした。
背後から迫る無数の手が、オーランドを水の中へ引き摺り込む。抵抗しようと全身に力をこめた
拍子に、肺の中の空気が全て口から漏れた。代わりに、異臭のする冷たい水が体内を満たす。
オーランドは手をはねのけ、かろうじて首だけを水上へ突き出した。激しく咳き込む間もない。
幾つもの手が彼の髪や耳に手をかけ、再度水中へ沈めようとする。
不意に彼は気付いた。無数の冷たい手のうち、一つだけが温かく彼の胸に触れていることに。
彼は必死で温かい手首を握りしめた。
耳元で、聞き慣れた声が優しく響いた。
「いい加減、悪夢から目覚めやがれ」
:::
「悪夢を見続けたって構わないです。俺の全部で少尉を守るって決めたから」
低い呟きに、オレルドが顔を上げる。
目を覚ましたオーランドが、真っ直ぐオレルドを見上げていた。傷だらけの顔が穏やかに微笑む。
「でも、ありがとうございます。今、助けてくれたのは准尉ですね」
オレルドは答える代わりに口付けた。唇が触れ合うが早いか、強い衝撃で後方へ突き飛ばされる。
「んだよ」
オレルドが睨むと、オーランドは既に自身も後退し、寝袋から抜け出して壁に背中を貼り付け腰
を抜かしていた。驚愕に目を見開き、上官を指差してあうあうしている。しばらく口をぱくぱくと
開閉させてから、ようやく彼は言った。
「あの、俺、男ですが…」
「今更何を?」
「今は戦時中でもないですし、ここは前線でもないですよ?」
口に出してから、オーランドの顔が薄明りの下でもそれと分かるほど赤くなり、そして見る間に
蒼白になった。
その言葉と表情の変化で、オレルドはこの大男の過去をおぼろげながら察知した。思わず絶句する。
この巨躯の持ち主が?
オーランドは外見に違わぬ腕力を持ち合わせている。対峙した場合、本人の合意なしで行為に及ぶ
のは不可能だ。
そう、一対一ならば。
だが、複数で襲えば?あるいは戦友として信頼させておいて、背後から後頭部を一撃すれば?
それとも階級を盾に迫れば? 確かに、ある種の男を引きつける「何か」をこの朴訥な男は漂わせて
いる。
次々に浮かぶ考えをオレルドは振り払い、立ち上がった。壁に貼り付いたままのオーランドがびく
りと巨体を震わせる。
オレルドは薄く笑った。
「冗談だよ、バーカ」
そのままオーランドから視線を逸らせ、彼はベッドへ戻った。逞しい胸に触れた右の掌と、握り締
められた手首が熱い。
気まずい沈黙を破るべく、オレルドはサイドテーブルに手を伸ばしながら言った。
「明かり消すからな」
「准尉」
黙っていたオーランドが、壁際に座り込んだまま口を開いた。
「怖いです」
「安心しろ、俺は嫌がる奴に手は出さねえ主義だ」
「さっきも言ったように、俺、少尉の背中を守れるなら悪夢を見続けても構わないと思ってます。
でも、今みたいに目が覚めたのは初めてでした」
とつとつと話す口調は穏やかで抑揚に乏しい。
「情けないですよね、俺。少尉を守るって決めたのに、さっき准尉に起こされて凄く安心しました。
少尉が夢に現れなくても構わないと思ったのに、これから先、准尉に頼ってしまうかもしれない。
それが怖い」
「頼ればいい」
オレルドの言葉に、オーランドが伏せていた目を上げた。
「隊長の背中をおまえが守る。おまえが夢にうなされたら、俺が容赦なくぶっ叩く。毎晩は無理
だけどな」
「どうして准尉は、そこまで親切なんですか?」
「あー」
オレルドは数秒迷った末に、呆気なく答えた。
「惚れちまったみたいなんだわ、おまえに」
傷だらけの顔が、再び朱色に染まる。耳まで赤くなった。
巨躯がよろりと立ち上がった。巨大な手が口元を覆う。ふらふらとベッドの脇まで移動してくる
と、オーランドはぺたりと座り込んだ。さきほどオレルドが言った言葉を繰り返す。
「冗談でしょう?」
「残念ながら本気だ。ただ、さっきも言ったように、俺は嫌がる奴を無理にどうこうするつもりは
ない」
オーランドの優しげな瞳が、ひとしきり逡巡の色を浮かべた。
やがてそこに決意を湛えると、大男はそっと半身を乗り出してオレルドの唇に口付けた。オレル
ドは黒い短い髪に指を差し込み、自分より大きい部下の頭を引き寄せる。舌できれいに生え揃った
歯列を撫でた。奥からオーランドの舌が恐る恐る現れ、不慣れながらも懸命にオレルドに応える。
「う…」
息苦しそうに呻くオーランドをオレルドは解放した。額をこつんと突き合わせ、短く問う。
「本当にいいのか?」
息を整えながら、傷だらけの顔が頷いた。まだ僅かに赤面している。
「…正直、女の人に不自由しない准尉が、俺なんかを好きになってくれた理由が分からないです。
それに俺、自分でも自分が分からない。いつも准尉はふざけてるようで、でも本当はしっかりと
した考えを持っていて、少尉とはもちろん違うんですが、俺が間違ったこと言うと叱ってくれる。
で、俺の意思も尊重してくれてます。
「准尉のこと尊敬してますけど、好きかっていうと違う気もします。夢から救ってくれたから、
それに縋り付こうとしてるだけなのかなって。そう考えるとなんだか准尉を利用しているみたい
で申し訳ないと思うんですが、でも、尊敬してる人が惚れてくれてるなら、その人とするのもい
いかと…」
オレルドは再び唇を塞いだ。両腕で広い背を引き寄せる。その動きにつられるようにオーラン
ドの下半身もベッドへ乗った。甘く舌を絡ませながら、オレルドはいともた易く二人の上下位置
を逆転させた。
再び空気を求めたオーランドの唇から逸れ、オレルドはグリーンのタートルネックをずり下げ
て大きな傷跡の走る首筋を強く吸い上げる。
「は…」
オーランドが身体を微かに竦める。もう片方の手でセーターを下かまくり上げたオレルドは、
灰色とも紫色ともつかない不思議な色の瞳を見下ろした。
「デカブツ、話が長ぇぞ。要は、俺ならおまえの御眼鏡に叶う訳だ」
オーランドの紡ぎ出した話を要約しながら、オレルドは胸の突起周辺をそろりと撫で、突起を
指の腹で押してこねまわした。
「そう…で…す…」
軽い快感にオーランドは声を乱して答える。
身体を無数に走る傷跡のひとつひとつに、オレルドは指先と唇、舌を這わせて愛撫した。その
度に、オーランドは巨躯を震わせ、肌を上気させていったが、ベルトを外され自分のものが出さ
れようとしていることに気付くや否や、激しく狼狽して飛び起きた。
「ちょっと待って下さい、そこはまずいです!」
「は?」
勢いにつられ、面食らったオレルドも動きを止める。
「俺の…男の人に嫌な思いさせるみたいで…」
「デカいから…か?」
「そうみたいです」
オレルドは二度目のため息をついた。
「それじゃ、先へ進めねぇぞ」
「大抵の相手は、尻に用があっただけなので」
ムードも何もない口調でオーランドが応える。
オレルドは眉間に皺を寄せた。
「ふざけんな」
瞬時に、端整な顔に怒りが広がる。ひっ、とオーランドは悲鳴を上げて後ずさり、ヘッドボード
際へ逃げた。間を開けずにオレルドが詰め寄る。
「俺を、前線で女代わりにおまえの尻だけを使ってた連中と一緒にするな!」
「駄目です」
オーランドは首を振った。外されかけたベルトとズボンを死守し、全身を縮こまらせ、上目使い
にオレルドを見つめている。その目尻に涙が浮かんでいるのを見て、オレルドは幾分表情を和らげた。
「なあ、デカブツ。こういうことは、お互いが気持ち良くならなきゃ意味がねえ。分かるな」
「前にも同じことを言われました」
固くなったままオーランドは答えた。瞳の奥に怯えが見える。
「…何をされた」
オレルドは敢えて尋ねた。相手が心底嫌がる行為はしない、と彼は既に決めている。たとえそれが
オレルドの常識の範疇にあるものだとしても。
怯えた瞳が、オレルドから逸らされた。
束の間、沈黙が流れる。
「あの」
オーランドが思い切って口を開く。ああ、とオレルドは頷いた。
「跡が付くほどロープで強く縛られたり、軍靴で踏まれたりしました…ホントに痛くて、やめるよう
に頼むんですけど『感じてるんだろう?』って笑われるだけで…あとナイフの刃で薄く皮を切られた
り…」
「分かった」
オレルドは途中で遮った。
「もういい。悪かった」
大きな黒い頭を引き寄せて撫でる。オーランドに聞こえないよう、三度ため息をついた。
戦地でサディストの巣にでも放り込まれていたのか?
これでは、己の分身を相手に晒すことに対して過度の恐怖を抱くのも無理はない。
「いいか、デカブツ」
オレルドはオーランドの頭を抱いたまま、命令に近い口調で言った。
「痛かったら言え、怖いときもだ」
「はい」
オーランドはオレルドの腕の中で素直に頷く。
オレルドがズボンに手をかける。繊細な大男を脅かさないように。静かに。そして時間をかけて。
「准尉、怖いです」
早速オーランドの泣きが入り、オレルドは苦笑した。
「バカか、まだほとんど脱いでねえだろ。ちょっと腰上げろ」
「はい」
巨躯が腰を浮かした僅かの隙に、オレルドは衣類をオーランドの太股まで下げた。重量感のある
長い両脚を片方ずつ曲げさせ、重い布地を下半身から取り去る。
「なんか俺、子供みたいですね」
微かに笑いを含んだ声が、穏やかに降ってくる。オレルドが見上げると、オーランドは恥ずかし
そうな笑顔を一瞬見せ、赤面して俯いた。と、自分の性器が目に入ったらしく耳どころか髪の間か
ら覗く首までが赤く染まる。
オレルドは我知らず笑みを浮かべ、自分のシャツを脱ぎ捨てた。オーランドの両脚の間に割って
入る。大きく傷跡の走る赤い顔を下から覗き込んだ。
「なんですか?」
「いや」
オレルドは人の悪い笑顔で、オーランドの顔と硬くなりつつある雄渾なそれを見比べた。
「元気そうで、何より」
「…」
涙こそないものの、泣きそうな顔でオーランドは目を逸らせた。羞恥心が輪をかけたのだろう、
彼のそれがさらに硬度と体積を増す。
オレルドは笑みを押さえることができない。
よりによって、身長二メートルを超える筋骨逞しい男が愛らしくてならない。
半ば自嘲しながら、彼はオーランドの中心へ頭を沈めた。分身へは触れない。すぐ脇の、脚の
付け根を強く吸った。頭上で、鋭く息を吸い込む気配がする。
幾つもの痕跡を内股へ残してから、オレルドは張りつめつつある袋の縫い目に沿って舌先を滑
らせた。
「う…」
触れるか触れないかの刺激に、オーランドは敏感に反応した。怯えではない、別の感覚にびくり
と身体を震わせる。常人より巨大なそれは完全に屹立し、先端から透明な液体を流していた。オレ
ルドは指で滴りを拭いながら身を起こす。呼吸を乱したオーランドが、乞うような眼差しでオレル
ドを見上げた。
オレルドは何も言わない。微かな笑みを浮かべてオーランドと見つめあったまま、焦らすように
あるかなしかの刺激を与え続ける。
オーランドは呆気なく陥落した。
「…お願い、します」
低く艶みを帯びた声で呟く。傷だらけの赤い顔が、さらに赤味を増した。
もはやそこに恐怖がないのを確認し、オレルドは行為を再開した。が、堂々と脈打つその先端を
口に含んだ途端、凄まじい力で両肩を掴まれ彼は引き剥がされた。
「駄目です」
オーランドは首を振った。嫌がっている訳ではない。むしろ悲愴ともいえる表情でオレルドに言う。
「こういうことは…俺がするべきですから」
「はあ?」
一瞬オレルドは相手の意図を図りかねたが、言葉の意味を悟るや否や、二度目の怒りと共にオーラ
ンドの頭を軽く小突いた。
「このバカが。何が『俺がするべき』だ?誰が決めた、そんなことを」
言うまでもない。この素直で臆病な大男を「調教」した連中だ。目の前にいない、生死さえ定かで
ない者たちに対してオレルドは憎悪を抱いた。
「いいか。俺たちゃ互いに納得してこうなってんだよな?」
「は、はい」
気圧された様子でオーランドが頷く。
「なら、その奴隷根性を捨てろ。おまえは、俺が義務でおまえに奉仕しているとでも言いたいのか?」
微かな刺激を与え続けている手に、オレルドは覚えず力を入れた。オーランドの呼吸が乱れる。
「いえ…」
「分かりゃ、いい」
「でも」
オレルドは続きを言わせなかった。鈴口に舌をねじこみ強く吸い上げ、逞しい竿を容赦なく両手で
しごく。
「あっ…准尉…」
突然の快楽にオーランドは巨躯を悶えさせた。
「やめ……はぁ…ん…だ…め…」
オレルドは追求を止めない。普段は緩急を付けて女を悦ばせるが、今の彼にその余裕はなかった。
何も考えるな。
オレルドは声に出さずオーランドにじた。
何も考えなくていい。
無骨な長い指が、オレルドの髪に差し込まれた。くしゃり念、と力強く金髪を掴む。
「…も…いく…准尉…っ」
切実な訴えと同時にオーランドは果てた。放たれた精をオレルドが飲み下す。強い雄の匂いがする
それを全て受け止めたつもりだったが、適わず幾分かが口から漏れた。
呼吸を整えながら口を拭うオレルドの耳に、しゃくり上げる声が届いた。
「…すみま…せん」
オーランドが片腕で目の上を覆い、途切れ途切れに言う。
オレルドは身を起こして、オーランドの顔を覆う腕をどかせた。潤んだ瞳と上気した目尻が現れる。
涙の流れ落ちた跡が見えた。
「何謝ってんだよ」
オレルドは優しく罵り、短い黒髪をくしゃくしゃとかきまぜた。
「だって俺、准尉の口に」
最後まで言えずにオーランドは口を閉ざす。オレルドの唇に視線を移すと、目尻だけ染めていた顔が
見る間に赤くなった。
「そりゃ、そうなるようにしたからな…こいつも脱いじまえ」
オレルドは半ば放心しているオーランドからセーターを脱がせた。片方の胸の突起をついばみ舌で転
がす一方で、もう片方のそれを爪で軽くひっかく。
「はい…あ…えっ?」
一度逐情した身体は過敏ともいえる反応を示した。茫然と返事をしたオーランドは、背をのけ反らせ
て愛撫に応えてから困惑気味に尋ねた。
「…准尉…まだ?」
オレルドは自らの昂ぶりをズボンの生地越しにオーランドのそれに押し付けた。果てた筈のオーラン
ドも自分と同様の状態になりつつあることを確かめ、にやりと笑う。
「もう満足したか?」
「…いえ」
下半身を晒してから一向に消える気配のない羞恥心を滲ませ、オーランドは短く答えた。がっしりし
た両腕を恐ろしく穏やかにオレルドの首へ回し「あの…」と呼びかける。オレルドは軽く口付けて無言
で促した。オーランドは遠慮がちに、しかし、しっかりとした口調で言った。
「オレルド准尉の、下さい。俺、准尉とひとつになりたい」
言い終えるが早いか、全身に無数の傷跡を走らせた巨漢は、耳から首筋までを鮮やかな朱色に染めた。
至近距離で相手を見つめていた視線が逸れ、行く宛もなく束の間彷徨う。が、終着地はやはりオレルド
の目だった。
おずおずと見上げられ、オレルドの頭の中が空白になる。
あり得ない。
何だコイツは。
鏡で確認しなくても、自分の顔が火を吹いているであろうことは容易に想像がついた。
見てるこっちが恥ずかしくなるくらい可愛いじゃねえか!
オレルドは黙ってオーランドの腕を解いた。
無防備で優しげな瞳が不安を浮かべる。
ああ、分かってるさ。デカブツ。
オレルドの意識のみが、愛する男に話しかけた。
ここで俺はおまえに「もちろん、俺もだ」と答えて、そのでかいサンマ傷を撫でてやって、
おまえの至る所にキスをして…。
思考とは裏腹に、オレルドは一言も発せずサイドテーブルの引き出しを開けて潤滑剤を取り出した。
ベッドに戻り、まだ着用していた衣類を全て無造作に脱ぎ捨てる。
「…准尉?」
呼ばれても返事ができない。オーランドの顔から赤味が薄れる。瞳から覗かせていた不安が、怯え
へと変化しようとする。
まずいな、とオレルドの残り少ない理性が判断した。が、行動が伴わない。膨張を止めたオーラン
ド自身や蕾のある一帯に、乱暴に潤滑剤を塗りたくる。
これからされるであろう行為を悟ったオーランドの全身に緊張が走った。それでも抗う素振りがな
い。体内に強引に指が差し込まれても、慣れているかのように痛みをやり過ごしている。
俺を殴り飛ばせ、デカブツ。
意識の片隅に追いやられた理性が叫ぶ一方で、オレルドは衝動的に強く締め付けられた指を曲げた。
巨躯が一度痙攣し、オーランドの喉から低く引き攣れた声が漏れる。どこか甘い響きを帯びた悲鳴を
耳にし、オレルドの背筋にぞくりと快感が走った。
彼は理性を手放した。
:::
ゆったりとした、規則正しい鼓動が響いている。
かぎ馴れた石鹸の匂いと心地良いぬくもりに包まれ、オレルドは眠りに付こうとした。
が、済んでのところで我に返る。
「デカブツ…?」
「おはようございます」
聞き慣れた声が、深いところから落ち着いた鼓動と共に響いた。
まだ夜は明けていない。
オレルドはオーランドの身体に折り重なったまま身じろぎした。一人用の狭いベッドである、
ほとんど動けない。
「俺、降りましょうか」
「いや、いい」
オレルドは群青の闇の中で呟いた。
「…済まなかった」
短い沈黙を経て、オーランドが答えた。
「准尉、少し怖かったです」
「だろうな」
オレルドがため息混じりに応じる。ひどく腰が重い。
いや、腰よりも気が重い。
おざなりに内部をほぐしただけで、飽きることなく幾度も力任せにオーランドの中へ侵入した。
しかも、陵辱紛いの行為に、オレルドは明らかに我を忘れて没頭した。途中から記憶がない程に。
最後まで優しくしてやるつもりだったんだがなあ。
「でも、途中からまた優しくしてくれました」
オレルドの心を読んだかのように、オーランドが言った。はあ? とオレルド。
「覚えてない」
「そうですか」
声に残念そうな響きを乗せて、オーランドは黙り込んだ。
しばらくの静寂の後、オレルドが再び口を開いた。
「俺、おまえに何かしたか? 最初に御託を並べた以外に」
今度はオーランドが身じろぎした。
「…名前を呼んでくれました」
ランデル。
オレルドは口の中でその固有名詞を転がした。妙に舌に馴染んでいる。
うわ言のように繰り返していたのかもしれない。
それもいい、と思いながらオレルドは促した。
「それから?」
「シャワーの使い方を教えてもらいました」
全く記憶にない。オレルドは嫌な予感に襲われた。
「後は?」
「ベッドのシーツを交換したいと言ったら、替えのある場所を」
「待て」
オレルドが遮る。自分がこれだけの疲労感に苛まれているのだ。行為でオーランドの身体に与え
た負担は計り知れない。
「おまえ、そんな動ける状態か?」
「はあ、腰の辺りは少し痛いですが」
普段通りの朴訥な声に、オレルドは畏怖を抱いた。
「なあ、デカブツ」
恐る恐る尋ねる。
「俺たち、何回やったかな」
オーランドが再び身じろぎした。おそらく首をひねって思い出しているのだろう。
「ちゃんと数えてなかったので正確じゃないですが、准尉は…」
回数を聞いたオレルドの頭から血の気が引いた。
いやいやいやいや。
発情した種馬じゃあるまいし、いくら俺が絶倫だからってそれはないから。
「おまえは?」
「…俺のことは、どうでもいいじゃないですか」
照れた声で反抗するオーランドに対して、オレルドは一つの単語を思い浮かべた。
化物。
それから、と凄まじく頑健な身体の持ち主は、オレルドの心を知る由もなく続けた。
「シーツを替えたベッドに准尉を置いたら、俺を呼んでくれました」
チビッコじゃあるまいし、そんなに俺は体重が軽いのか?
オレルドは心の中で激しく突っ込みを入れた。
「あと、猫が上がってきても追い払わずにいてくれました」
そのときになってようやく彼は、すぐ傍らに光る一対の目に気付いた。足を少し動かしてみると
柔らかい毛皮に当たる。が、毛皮の持ち主はすぐに気配を消した。おそらく、六匹全部がベッドの
上、もしくはオーランドの上に乗っているに違いない。
俺は、猫並の扱いを受けているんですか?
ここまで考えたオレルドは、もう一つの単語を思い浮かべた。
負け戦。
「デカブツ…」
彼は疲弊しきった声で、愛する男を呼んだ。
「はい?」
ホントごめんな。次はちゃんとするから…。
何故か打ちのめされた気分で声にならない謝罪を述べ、オレルドは眠りに落ちた。
《了》
19 :
前スレ527:2007/01/21(日) 21:37:52 ID:???
以上であります。お目汚し失礼いたしました
お付き合いありがとうございました
妄想書いてるだけなのに、何故10日もかかる、俺
職人さんやサイト主さんSUGEEEE!!!
20 :
男体の人:2007/01/21(日) 21:51:37 ID:???
>>1さん乙です!
前スレの自分の試し投下SS、
続きはまだ出せないので、忘れて下さいw
スレは504kbで打ち止めらしいです。
>>19 GJですた!! 萌えつきた……(*´Д`)
伍長が乙女なのに、芯は肝っ玉母ちゃんみたいな強さを
垣間見せて素敵すぎますw
オレルド、何気に尻に敷かれる予感ww
次回作もあるなら楽しみにしております!
>19
伍長も准尉もねこもみんなで幸せになるがいい!!
思わずふるふるしてしまうほどえろくて幸せ世界でした。みんな可愛すぎる。
朝になったらオレルドさんは猫たちに小さな意地悪されてしまうに違いない
>>19 GJ!
これからへの第一歩って感じですね
それにしても伍長の言う事一つ一つが可愛過ぎです!
ここは801がデフォなのか・・・?
テンプレに
>相手が、女でも、男でも、獣、戦車、薬物、拘束具、拷問具でも可
とあるのでなんでもアリなんじゃないかと
男女ものはエロパロにたくさんあった
過去ログ辿ってみたけど801が多いな。
そもそもこのスレが誕生したきっかけはエロパロスレの方で
男×伍長を読んでみたい(もしくは投下したい)とか
伍長のオッパイ話でやたら盛り上がってしまったために
ノンケの男性方が嫌悪感を示し
住み分けが必要とされて生まれたスレなんだな。
よって801率が高くなるのは仕方がないのかもしれない。
ただ、テンプレにもあるように
801じゃないとダメだというルールはない。
現在の神職人達がたまたま801神だから
そういう流れになってるだけ。
伍長×女でも「グロすぎるし、鬱すぎるし、マニア向け過ぎるから
エロパロの方では引かれるかもしれん」と言う不安のあるSSなら
なんでも投下したらいいと思うよ。
長文スマンカッタ
伍長に関してより敷居が低い方がこっち。
そう言う意味ではエロパロより変態度は高い…気もする。
男女エロ物なら向こうで事足りるし、より伍長を愛でたいとなると、
伍長の特殊性能wwww的に受け身やネコ化が多いのも解る。
また伍長を食えそうなのがカウプラン女史やくらいしか見当たらないしなあ。
そういえば前スレで途中までだった男体の人さんのSS、
続きはどうなったんでしょう…
>>30 見逃していました…スイマセン
教えてくれて有難うございます
前スレ男体化の人
愛のあるセクースktkrGJ!
伍長愛されまくってて良かったよ。
好き好き言ってる伍長に禿萌えた。
>>19 GJ!GJ!
めっさ伍長男前。なのに何この癒し(*´Д`)
ヘタレっぽいオレルド攻めもいいなぁ。
萌えを費やすことに時間なんて関係無いさ。
十分伍長への愛が伝わってるよ!
伍長のチンコ測定って過去にやった?
今ふと思いついて考察してみたんだけど
通常時 → 極太バイブ並・直径6.5cm
エレクトロ時 → 金属バット並・直径7cm
5mm増で尿瓶割れるかね?
萌え
少林寺拳法みたく気合で割った
エロパロ板に投稿しようととしていたものですが、ちょっと趣旨から外れてしまったので、
代わりに何でもアリ?なこちらの方に投稿させていただきます。
初めてのSSなので、至らぬ点も多々あると思いますが、よろしくお願いします。
あ、内容は非エロなうえに全編ギャグなのでご了承ください。
帝国に悪栄えるとき、彼らが現れる…
ぼくらの平和を守る、無敵の戦士たち!
彼らの名前は……復興戦隊、パンプキン・シザーズ!
*
少尉「指令!どうしたのですか!」
大尉「うむ、帝都駅前に銀の車輪軍団が現れたとの情報が入った。至急、奴らを退治して
こい」
少尉「ラジャー!では皆のもの、行くぞ!」
一同「おう!」
*
銀シャリ「たった今からこの街は俺たち銀の車輪軍団が占拠した!おとなしく言うことを
聞けぇ〜!」
人質「ひぇ〜お助け〜!」
銀シャリ「フハハハハ〜もはや俺たちを止めるものは誰もいな〜い!」
「待て待て〜い!」
銀シャリ「む!何者!?」
「お、お前らは?!」
「帝国の戦災復興を脅かすものは、我らが退治する!」
少尉「臆さぬならば、かかってこい!帝都に咲くノーブル・フランム!パンプキーン・レ
ッド!」
オレルド「路地裏の卑怯喧嘩なら常勝無敗!懲罰房からの脱獄魔!パンプキーン・ブラッ
ク!」
マーチス「ドライブテクなら誰にも負けない!帝国一の一人上手!パンプキーン・ブラッ
ク!」
曹長「コーヒー配りならお手の物!暗号解読は超一流!パンプキ〜ン・イエロー☆」
伍長「え、えーと、戦場の無敵のヒロイン、ゲシュペンスト・イエーガー、パ、パンプキ
〜ン、ピ、ピ、ピ〜ンク」
少尉「5人そろって!」
一同「復興戦隊・パンプキン・シザーズ!」
ドカーン!
伍長「あ、あの、少尉」
少尉「何だピンク!任務の最中はレッドと呼べ!」
伍長「あ、すいませんレッド…あの、何で俺がピンクなんでしょうか…」
少尉「何だ、ピンクは普通ヒロインがやるものだと聞いたぞ?」
伍長「いや俺男だし!…そ、それに、何で隊服が全身タイツでミニスカなんですか!動き
づらいし恥ずかしいですよ!中見えそうだし…」
少尉「ヒロインキャラはミニスカートを穿くのがお約束らしいからな」
曹長「そうですよ伍…じゃなくてピンク!女の子の衣装は可愛いものじゃないといけない
んです!」
伍長「いやだから俺男…」
銀シャリ「くそ〜お前ら勝手に登場して仲間内で勝手に喧嘩始めやがって〜!少しは待っ
てる俺たちのことも考えろ!」
少尉「ム、そうだった、みんな、行くぞ!」
一同「お、おう!」
こうして、パンプキン・シザーズのメンバーは銀の車輪軍団の下級兵をバッサバッサとな
ぎ倒していくのであった!
少尉「どうした、もうお終いか?」
銀シャリ「よくもやってくれたな〜、こうなったら奥の手だ!ムクムクムク…」
マーチス「大変ですレッド!敵が巨大化して襲ってきました!」
オレルド「こうなったらこちらも奥の手を出すしかないか」
少尉「ウム、そうだな。マーキュリー号、発進!」
ゴゴゴゴゴ…
少尉の声とともに、陸軍情報部の地下から、パンプキン・シザーズの秘密兵器、巨大ロボッ
ト、マーキュリー号がやってきた!
少尉「さあ行けマーキュリー号!奴らに噛みつけ!」
マー君「グルルルル…ワオーン!ワン!ワン!ワン!………ハッハッ、ワ、ワフンワフン」
銀シャリ「なっ!?こ、こら、こいつ、じゃれるな!」
マー君「ワフ、ワフン、ヘッヘッヘッ」
少尉「こ、こらマーキュリー号!そいつは敵だ!欲情しちゃダメだ!」
銀シャリ「や、やめろ〜襲わないでくれ〜!」
マー君「ハッハッハッ、ワフン、ワフン、アオーン!(絶倫ファイヤー!)」
銀シャリ「ギャー!」
ちゅどーん
*
少尉「ま、まぁ、色々あったが、今日も帝国の平和を守ることが出来た!さぁみんな、帰
るぞ!」
一同「了解!」
ちびっ子「ありがとう、パンプキン・シザーズ!」
今日も悪の手からぼくらを守ってくれたパンプキン・シザーズ!
だが、銀の車輪軍団はいつまた襲ってくるのかわからない!
ゆけ、パンプキン・シザーズ! 負けるな!パンプキン・シザーズ!
いつか戦災復興が終わるその日まで……!
伍長「あの、だからピンクは嫌なんですって…って一人で置いていかないでください〜!」
はっきり言って勢いだけで書いてしまったので
ちょっと内容がアレになってしまいました…。
次はもっとエロくて萌えられるようなSSを書けるよう頑張っていきます!
ピンクかよ!禿ワロタGJ!!
次もこのネタで、ぜひピンク危うし的なエロをやって頂きたいですw
>>40 ピンクな伍長かわいいよ伍長!!
みえそで見えないミニスカ(*´Д`)
准尉二人は黒いんですかww?
ヒロイン認定ワロタwwwww
サー!
ピンクが触手怪獣になぶられるとかそういう展開を妄想しました
>40
和み笑ったよGJ!
前スレにはランタン変身魔女っこ伍長もいたし
戦隊モノも無問題!
二つ名が誰より凄惨なピンクにウケたwww
貴公のコテハンは戦隊の人ですなあ
Wブラック准尉……色決定時に揉めたのかなー
二人ともブラック希望で、ブルーとグリーンを押しつけあって
伍長がどっちか取ろうとしたら「君はピンクだろ?」「お前はピンクだろ!」「うむ、伍長はピンクだ」「じゃあピンクは決まりですね」
とかだったのかな
>>46 なにその具体的妄想。
台詞だけで誰の発言か分かるよ。
つーかオーランドの呼び方って、みんな違うんだな。
>>40 配役がみんな凄くぴったり
登場シーンの決まり文句は凄いの一言
なんか新感覚、GJ!
49 :
戦隊の人:2007/01/25(木) 00:35:51 ID:???
皆様コメント有難うございます!コテハン名まで頂けるとは…。
ブラックが2人なのは単純に間違えただけです…スイマセン。
本当はオレルドがブルーでマーチスがブラックだったんですけどね。(このスレのせいでマーチスはブラックにしか見えない)
でも
>>46さんのようなエピソードがあってもいいかもしれませんね。
正直このネタはこれが限界だと思っていましたけど、
皆さんのコメントで狙われピンク的な話もアリだということを教えてもらいました。
次ネタがまとまったら書いてみようと思います。
>>40 くそう、乗り遅れた
非常にGJ!!! ブラック2人かよwww
激しく笑わせてもらいました
ピンク伍長テラかわいす
前スレ
>>415です。
前回、前々回の小説や絵のコメントをくださった方ありがとうございました。
しつこくもドンデレオレ伍の続きを投下しにきました。
今回はちょっと長くなってしまうので前編を投下。ドンデレ二人に進展有。
相変わらずじれったいですが、長い目で見ていただけると幸いです。
前提
オレルド(ノンケ)×伍長 続編
少女漫画的展開はむず痒くてダメな方はご注意(書いてる本人が痒くて仕方なかった)
可哀想な伍長が見たくない人も注意
上官として、部下に頼られるのは嬉しくないはずがない。
ましてや、それがプライベートならば尚更こっちも興味がある。
ヘタな相槌で終わらせてはいけない。向こうは真剣に、自分へ悩みを打ち明けようとしているのだから。
「マーチス准尉。ちょっとお聞きしたいことがあるんですが、お時間ありますか?」
午後を過ぎ、あともうひと踏ん張りという頃に伍長に話しかけられた。
彼から話を持ち出されることはあまりないから、その珍しさに僕はちょっと驚いた。
「いいよ。じゃあ向こうで話そうか」
わざわざ時間を聞いてきたということは、仕事の話ではないのだろう。それならば周囲に極力聞かれたく
ないはずだ。
キリのいい所でペンを置いた僕は大尉に『休憩に行ってきます』と告げて、伍長と一緒に部署を出た。
休憩室へ行こうとしていたが変な横槍が入っては困るので、まだ寒いけど中庭のベンチへ行くことにした。
中庭に出ると、天気はいいが白い息が吐けるほどまだ空気は冷えている。
空いているベンチに座り、ここにくる途中で買ったコーヒーを手渡して二人でしばらく黙ったまま飲んでいた。
「それで、僕に聞きたいことって?」
先に飲み終わった僕は、空になった紙コップを横に置いて伍長に尋ねる。
「自分のことであまり誰かに相談したことがないので、とても緊張するのですが・・・」
彼はなんだか恥ずかしそうな表情をしたかと思うと、少し眉間に皺を寄せて僕に聞いてきた。
「マーチス准尉は誰かのことを、その、・・・複雑な感情で見てしまうことはありますか?」
言っていることを解釈しようとしても、意味の範囲が広すぎてハテナマークが浮かんだ。
「・・・うーん、ちょっとわかりづらい質問だなぁ。複雑っていうのは例えばどんなこと?」
「あ、すいません・・・。どういう言葉で言えばいいかわからなくて・・・」
「そうかぁ・・・複雑ってことは、普段とは違う感情ってことだよね。この人が憎いとか、好きだ、とか」
「好き・・・」
「好きな人がいるの?」
「いえ!そうでは・・・」
即答で返されたが、どうも彼を見ているとなにやら引っかかる。
「じゃあ、気になる人がいるとか」
言葉としてはオブラートに包んでいるが、恋愛感情抜きにしたとしても成り立つ言葉だ。
「あ・・・そうかも、しれません・・・」
まるで人事のように言っているがこれは本人に自覚がないだけなのだろうか。
しかしそのほうがしっくりきたのか、伍長は自分で納得して頷いた。
「僕にもいないことはないよ。全員同じ気持ちで見れるほど出来た人間じゃないからね」
それが本当に出来た人間かどうかは、言ってる自分としても確かなものではないけど。
「どうやったら、その感情は抑えることができるんでしょうか」
感情を抑える?
真剣な声で聞かれ、僕まで眉間に皺が寄ってしまった。
「どうして抑えたいの?」
痛いところを突いてしまったようで、伍長の眉間の皺がもっと深くなる。
「・・・俺じゃないみたいで・・・」
なんとなくその気持ちはわかる気がした。
好きな人の前では上手くしゃべれなかったり、緊張してまぬけな姿見せちゃったり。
しかし彼の場合、その普段とは違う自分が嫌だというわけではなくそれが『怖い』ように聞こえた。
でも・・・
「それも君だよ」
その答えに伍長の眉間の皺が少し緩む。
「こんなの自分じゃない!って、上手くいかない自分を責めたり怒ったりするものだよ、誰だってさ。伍長だ
けじゃない」
「・・・そう、でしょうか・・・」
「何かキッカケがあればわかるかもしれないね」
「キッカケ、ですか?」
「例えば気になる人の笑顔を見たら癒される、とかさ」
わからなくもないが、ランデルはそれを想像してみてもいまいちピンとこなかった。
「伍長にとって決定的な何かが起きたとき、何もかもが変わって見えるよ。きっと」
こればっかりは、それが自身の身に起きなければわからない。
それもまた、人と関わっていくことでしか味わえない醍醐味とも言える。
「他に質問は?」
「あ、いえ。ありがとうございました」
腰を上げ、ランデルはお礼と共にお辞儀をした。
うん。僕も少し君のことが知れて嬉しいよ。
言うと照れくさいのであえて言わず、僕はそれに対してにっこりと微笑み返した。
思い切って相談をしてみてよかった。
仕事が終わり、更衣室で一人着替えながら俺はマーチス准尉の言葉を頭の中で繰り返すことで覚えようと、
何度も思い出していた。
准尉は聞かないでくれたが、俺が気になっているのはオレルド准尉のことだ。
何も変わらない通常通りの日々を過ごしているのに、俺はどこか変だ。
自分でもおかしいと思うくらいだ。三課の皆にもおかしく映っているかもしれない。
あのクリスマスの日、仕事が終わらない俺がオレルド准尉に迷惑かけて助けられて、でも優しくされたのが嬉し
くて、前の部隊のような兵器としての自分ではなく、個人として見てもらえることの喜びを知れた。
それがあってか、その喜びを教えてくれたオレルド准尉をあれから目で追いかける数が増えた。
見ているだけなのに、なぜか俺は心臓の鼓動を強く感じて胸が痛い。
苦しいほどでもないけれど、なんだろう、この感じ・・・。
「お、なんだ。先客いたのか」
ノックもせずにドアを開けてきたのはオレルド准尉だった。
「お、お疲れさまです」
考えていた人が急に現れたことで少し上擦った声で挨拶をした。
「お疲れさん。もう帰るだけか?」
准尉も自分のロッカーを開け、私服に着替える。
「はい。腹を空かしたあいつらが待っているので」
仮眠室での寝泊りは悪くはなかったけどやはり猫たちの心配で寝にくかったのもあったし、あのころに比
べたら冬の時期は過ぎたので、俺は橋の下の生活に戻った。
寒さはまだまだあるので油断はできないが、オレルド准尉から貰ったいらない衣類を寝袋に詰めて寝ている
ので、前ほど寒くは無い。
「そうか。・・・なぁ、明日お前も休みだろ。ちょっと俺に付き合わないか?」
突然のお誘いに俺は驚いた。だっていつも休みの日はデートの約束があるってよく言ってたから・・・。
「予定あるのか?」
「いえ、ありません」
「じゃあいいな。朝、迎えに行ってやるから準備してろよ。お先」
「は、はい。さようなら」
どこか俺、具合が悪いのかな。
部屋を出る姿に小さくお辞儀しつつ、また胸が痛くなった。
次の日、なかなか寝付けなかった俺はやっと眠りにつけた頃にはぐっすりと眠ってしまったようで、約束の
時間になっても起きない俺を、痺れを切らしたオレルド准尉によって叩き起こされた。
「俺を待たせるなんて、いい根性してんじゃねぇか」
まだ仰向けに寝転んでいる体勢でいる俺に上から思い切りエルボーが襲い掛かる。
短く呻いて起き上がった俺の両腕を後ろにホールドすると、そのままの状態で背中を膝で強く前へ押された
ことで腕の骨がギシギシと悲鳴をあげた。
「ご、ごめんなさい!ごめんなさい!」
「色男を待たせるほど念入りに化粧でもしてたってかぁ?」
怒りながらもどこか笑いを含んだ口調で言われたことで、本気で怒ってはいないと気づいたが、それでも
次々と技をかけられていくので俺は何度も謝った。
ようやく許された頃には、もう街には人だかりが出来ていた。
休みの日といっても俺はあまり出歩かないので、こうやって街へ出たのは久々で新鮮だった。
准尉はきょろきょろとメモを見ながら店の看板を見ている。そして目当てのお店があったのか、そこに入ろう
とすると『お前はここで待ってろ』と言われ、断る理由も無いので店先に座ってじっと待つ。
店の向かい側は露店が並んでいる。俺が座っている位置の前にある露店には大きな服や靴が置いてあ
るのが見えたので、待っている間なんとなくその店を覗いた。
「いらっしゃい。兄ちゃんでかいねぇ」
売られている品物は規格外の大きさのものばかりが置いてあり、もちろん値段もそれなりに高い。服はま
だあるから欲しくはない。靴も支給されたもので間に合ってるし・・・。
置かれている商品を端から順に見ていると、焦げ茶色の手袋が目に留まった。
そうだ、今使っている手袋もうボロボロなんだよなぁ。今はめている手袋は、指の先の繊維が薄くなって中
の指が見えそうなほど使い込まれている。
新しいのを買わなきゃと思うものの、もったいなくてずっと騙し騙し使っていた。
値段は手が出せるものじゃない。本より、給料日前でお金なんて無かった。しかし露店のおじさんの目が
やけに優しく、何か買わないと申し訳ないような罪悪感が芽生えてしまう。
どうしよう・・・。
「これが欲しいのか?」
「ぅわぁあ!」
耳元で囁く様に呟かれ、一瞬にして鳥肌が立つ。振り向くと、買い物を済ませたオレルド准尉が立っていた。
「おっさん、これ頂戴。ついでにマケてくれねぇ?」
「男ならちゃっちいこと、気にしてちゃなんねぇなぁ」
「ほぉ。言うね、おっさん」
「そんな。俺、別にいりませんから准尉!」
「なんだ。あんたら軍人さんか。じゃあ尚更値引きはできないねぇ」
明日の飯を食うために生きている露店の商人が、のうのうと生活していられる軍人のために良い思いを
させる必要は無い。
これ以上の交渉は無理だとわかると、オレルドはすぐにおれた。
「わかったよ。アンタの値段で買ってやる」
「男前だねぇ、兄ちゃん」
「当然だろ」
准尉も店の人も笑い、そして俺は手袋を手渡された。
「准尉、俺が払います!」
支払いを終えた准尉に、俺は取りあえず今持っているお金を全て渡そうとポケットを探る。
「いらねーよ。どうせお前また猫たちの餌代で金なんてねぇだろ」
「で、でも」
「でももしかしもねーの。俺から男にやるのは珍しいんだ。有難く受け取っとけ」
「じゅ・・・」
「あともう二つ。今は休みだ。准尉って呼ぶなって言っただろ。それと、俺は謝られるためにお前にやった
んじゃねぇよ」
「・・・オレルドさん、ありがとうございます」
「よし」
満足げに微笑まれ、俺は頬が少し赤くなるのを感じながら俯く。
また胸が、痛い。
買い物はそのお店だけだったのか、今度は朝食と昼食をかけて飲食店へ行くことにした。
「ここにお前を連れてきたかったんだよ」
にやにやと笑ってオレルドさんは店の入り口に貼られたチラシに指を差す。
そこには標準サイズより十倍の大きさと思われるベーグルの写真。その下には『三十分以内に完食したら食
事(付き添いの人も含む)タダ』と書かれていた。
ま、まさか・・・。
「お前も俺のためにプレゼントしてくれよ」
今すぐ店から飛び出したいランデルの腕を捕まえて、オレルドは店の中へと入った。
目の前に置かれた実物は、予想以上にでかい。
俺は確かに人と比べたら大食いな方だけど、早食いってわけじゃないんだけどなぁ・・・。
そんなランデルの心配をよそにオレルドはタダメシにありつけるのも一つの望みでもあったが、それは単なるお
まけで、それよりもランデルの食べ方が見たくてここに連れて来たというのが本音だった。
クリスマスの日に一緒にケーキを食べたとき、小ぶりのケーキとはいえ一口でぺろりと平らげたあの姿が、どうや
ら気に入ってしまったようだ。
フォークで食べやすいサイズに切り分け、店員が時計の針を見て「開始!」と合図する。
とりあえず頑張ろうと大きな口で頬張るランデルを見て、オレルドはそれを嬉しそうに眺めていた。
結局時間内に食べ終わることが出来ず、勘定は全てオレルドが支払った。
何度もランデルが謝るが、オレルドは特に気にした様子もなく、代わりに色んな所へランデルを引きずり回した。
行ったことのない場所を次々と案内され、その度にランデルは感激して喜びの声を上げる。それを見てオレ
ルドも自慢げな態度でその場所の見所を紹介していった。
楽しい時間が過ぎるのは早い。
陽が暮れ始め、そろそろお開きというところでランデルはオレルドにお礼を言う。
「今日はありがとうございました」
「おう。そう言ってくれりゃ、俺も誘った甲斐があった」
「あの・・・」
「なんだよ」
「今度の給料日が来たら、俺から誘ってもいいですか?」
「ん?ああ、別にいいぞ」
今日はたくさん俺に色んなところを見せてくれたり、ご馳走してくれた。俺も何か返したい。
「よかったぁ・・・」
良い返事が貰えてランデルは明るく微笑んだ。
その笑顔を見ると、オレルドは別れの挨拶をしようとした言葉を飲み込み、少し考えるような仕草をする。
すると何か閃いたように目を見開き、一人で頷く。
「気が変わった。よし。これから飲みに行くぞ、付き合え!」
「ええ!?」
「心配すんな。それも俺が奢ってやるよ。今日の俺は羽振りがいいんだ」
「でも明日仕事が・・・」
言いかけたランデルの鼻をぎゅっと摘む。
「あぅっ」
「明日遅刻したら、俺とお前は共犯だ。腰が砕けるまでとことん行くぞ」
挟んだ鼻をぐりぐりとこねくりまわされ、あうあうと困った声を出すランデルにオレルドは悔しいかな、可愛い反
応をするやつだと気持ちが暖かくなった。
勢いをつけたオレルドをランデルが止めることは出来るはずもなく、二人は酒場へ姿を消した。
それは朝方まで続いたという。
自分でも酒が強い部類に入っていると思うが、ランデルはそれ以上のザルだと昨日判明した。
「あいつは化物だ・・・」
酔ってはいたようだが、飲んでも飲んでもペースは一向に落ちないどころか、度数の高い酒をストレートで飲み
干すところを見せ付けられた。
オレルドも負けじと飲み続けたが、いつもは自分の用量を分かったほどしか飲まないのに、無理やりキツイ酒
を飲んだせいで途中から記憶がぷっつりと途絶えた。
気づけば自分の部屋で寝ていたが、起きたてに襲ってきたのは急激な吐き気と頭痛。
完璧に二日酔いになった。
それでも遅刻はせずに済んだが、吐きまくったせいでの気持ちの悪さと空っぽになった胃では仕事に手
がつかず、ただ机に体を預けて無心の状態でいた。
「オレルド、また飲んだの?すごく酒臭いよ」
小声でマーチスがオレルドの体を心配する。
「飲みすぎた。気持ちわりぃ」
介抱しようにも今オレルドの体を擦ったら吐いてしまいそうで怖い。
マーチスは溜息をついてオレルドの頭に響かないように小さく話しかける。
「今日飲みに行こうって約束してたけど中止だね」
「いや、行く」
「無理するなよ。そんな体調で行っても美味しくないって」
「これからリハビリ行ってくるから大丈夫だ」
ふらふらになりながらもオレルドは立ち上がる。
「なに、リハビリって」
病人らしい動きは確かにしてるけど、と冗談交じりにマーチスが言うと、オレルドは顔色を悪くしながらも急に真
剣な目つきになって言った。
「俺、変なんだよな」
その声は少し重みを帯びている。
「だからお前に聞いて欲しいことがあるからよ。頼むわ」
そう言ってオレルドは部署から出て行った。
その様子にあいつが自分から言ってくるほどだからややこしいことになりそうだと、マーチスは深い溜息をつ
いた。
「少尉。やっぱり俺が持ちますよ」
「これ位、鍛錬用の武具より軽い」
前に戦災復興のために訪れた村から、感謝の意を込めて寄贈された物が今日三課宛てに届いた。
あまりに大きいものなので庶務課から取りに来るように言われ、少尉と取りに行ってみるとそれは大きな
世界地図と村の蔵に眠っていた古い書物だった。
本はともかく世界地図はここにもあるものだし、どうしていいやら少尉が悩んでいると、たまたま庶務課に
来ていた情報部の人間が『世界地図でもこれはかなり昔に作られたものだ。使う用途がないならこっちに回
してくれ』とお願いされ、特に断る理由も無かったのでその足で情報部へ向かうことにした。
地図の高さは一メートル五十センチ位はあり、俺の背の高さからいってこっちを持つのがいいだろう。
しかし庶務の人に渡されるときに『女性には重たいから』と付け加えた言葉に少尉は過敏に反応した。
「女だから、男だからというものはない。それ以前に私は上官だ。部下より楽をしてどうする」
そう言って地図を抱えて歩き出した。その後ろを俺は本を抱えて追いかける。
単純に俺の背が高いから言った言葉だと思うんだけど。意外と少尉、負けず嫌いなんだなぁ・・・。
確かに少尉の言う通り日々の鍛錬の賜物なのか、バランスは崩れないどころか安定はしているが、長さの
せいかすぐに足下へずり落ちてしまいそうでハラハラする。
そしてその心配は現実となった。向かいからやってきた人を避けようと少尉が体を少し傾けると拍子に手
から地図が離れてしまい、前に地図が倒れてしまう。
その衝撃でまとめていた金具が外れ、廊下に丸まった地図が転がり、広がった。しまった、と少尉は自分
の頭を小突く。
広がった地図を丸めなおす少尉に近づいて本を床に置き、手伝おうとしたが制止された。
「いや、いい。大丈夫だから先に行ってくれ。すぐに追いつく」
気を使われないようにやんわりと落ち着いた声で命令され、俺はそれに従って先に情報部へ向かった。
ただ、ちょっとだけ歩くペースを抑えながら。
これを渡し終わったら次は何の仕事に取り掛かろう。
今日はたくさん雑用が溜まっているから、帰るのは遅くなりそうだ。
あ、まだ今日もオレルドさんに手袋のお礼を言ってないな。部署に戻ったら改めてお礼を言わないと。
普段は気づけばぼーっとすることが多くて少尉によく叱られる俺が、なんだか気持ちが軽くて先の先まで
考えている。新しいものを身に着けているからだろうか。じっと今はめている手袋を見る。
なんだっていい。こんな幸せなことなんて滅多にないんだ。
あまり深く考えるのをやめ、俺は素直にその胸の暖かみを感じることにした。
廊下のT字路に出ると、左側に人の気配を感じたので自然に左を向いた。
人がいれば挨拶をする。それが基本だと小さい頃から教え込まれてきた。
だからいつものように挨拶をしようと口を開いてみたが、その視界に映ったものがなんなのか認識したと
き、さっきまで軽やかだった体は頭と一緒に硬直し、声も出なかった。
重なり合った男性と女性。
女性は背の高い男性の肩に腕を回し、男性は女性の細い腰をしっかり抱きしめていた。
その後ろ姿は見覚えのある人。
心の中で「オレルドさん」と呟いた。
オレルド准尉が女性と廊下でキスをしている。
文章のようにそれが頭の中に入り、急に足が重くなって動けなくなっていた。
動けずにその現場を見続けていると、視線に気づいたのか目を開けた女性と視線が合い、俺の存在に
気づいた女性は准尉から慌てて離れ、背を向けて少し乱れた着衣を整えた。
女性が離れたことで准尉も俺に気づき、一瞬目を見開いたものの薄い笑みを浮かべて見せた。
「オレルド!貴様職務中にここで何をしているっ!」
後ろから遅れてやってきた少尉が准尉を見るなり怒号を浴びせた。
准尉は彼女の肩を掴んで俺たちと向かい合わせにさせると、いつもの笑顔になって言った。
「油なんて売ってませんって。この人事課の方に今度行われる研修についての詳細を聞いてたんですよ。
ほら、マーチスの代わりに俺が行くことになったって隊長もご存知でしょう?」
「ムムッ・・・」
口の上手さが転じてか、納得できかねない呻き声を上げたものの、それ以上責めることをやめたアリスにオ
レルドは心中ホッとし、今度は彼女の肩に手を置いたまま反対の手を二人に向けて紹介を始めた。
「会うのは初めてだよな。この子は人事課のミレイユちゃん。可愛いだろ?」
「・・・初めまして、ランデル・オーランドと言います」
「初めまして・・・」
さっきの現場が恥ずかしかったのか、彼女は頬を赤らめて軽く会釈をした。
ランデルはこの女性を見るのは実は初めてではない。勤務中に二人で歩いているところを何度か見かけた
ことがある。
とても仲よさそうに歩いていて、結構目立っていたことを覚えていた。
「いつまでも婦女子の体に気安く触っているんじゃない。職務中だということを忘れるな!」
肩に置いていた手はいつの間にか腰に周り、べったりと体を密着させている。それがアリスには怒りの素と
なったようで、荒げた声が段々大きくなっていた。
「あの、それじゃあ俺は、これで」
アリスをなだめる事も無く、オレルドのフォローに回ることも無く、挨拶だけ済ませるとオレルドを見ないようにあえて
視線を避けてランデルはその場から立ち去った。
「お、おい。伍長!」
せっかく追いついたというのに、部下はどんどん先へ進んでいくのでその後ろをアリスは慌てて追いかけ
た。
廊下の角を曲がって二人からは見えない場所に出ると足早に廊下を突き進んで行く。
後ろのほうから少尉の声が聞こえるが、何を叫んでいるのか耳に入らない。
なぜあの場から逃げたくなったんだろう。
ああいった現場は何度も思わず見てしまったことがある。あの人はとても女性に好かれる人だから。
その度に俺はオレルド准尉に気づかれる前に避けて通っていたじゃないか。
今日はたまたま気づかれただけで、動揺するようなことじゃない。
でも俺は動揺している。どうしてだろう。
あのときマーチス准尉に言われた言葉が耳の中に酷く響く。
『伍長にとって決定的な何かが起きたとき、何もかもが変わって見えるよ。きっと』
それがこれなのか。
何が変わったんだ。
・・・わからない。
ふと立ち止まり、俺は自分の首に何か伝うものを感じて手で拭った。
怪我なんてしてないのに。
どこも痛くなんてないのに。
ましてや嬉しくもないのに。
もしかして俺、悲しいのか?
「なんだ、これ・・・」
感情と関係なく俺は涙を流していた。
続
人間は涙を流してから自分は悲しいんだと認識して更に泣くと言いますが、伍長は他人の痛みを自分の痛
みとして共有しつつ悲しむ傾向があるので、自分の痛みにはかなり鈍感じゃないかなぁと思ったり。
可哀想なところですがここで一旦切ります。続きはまた後日。
毎度毎度長くなってしまって申し訳ありません。
待ちに待ってたドンデレktkr!
切ない心理描写で読んでるこっちも切なくなりました。
力の限りGJ!です。
伍長が早く幸せになるのを祈りつつ、続きを全裸で待ってます!
ドンデレ伍長可愛いです!GJ!!!
デートが微笑ましくて、最後は切なくてたまりません。
にぶにぶちんな伍長がどうなっていくのか楽しみです。
も、萌えた……
GJです!
下心のないデートが可愛くて幸せそうで
読んでてほわーって感じでした
少女漫画も大オッケー! 続き頑張って下さい!
ついに自分の気持ちに気がつくか!?
伍長の恋路のゆくへを見守る
ギャー萌え死ぬ
GJGJGJGJ!!!!!!!
何この細やかな心理描写
可愛らしいオレルドと伍長のデート
可哀相な伍長の恋の行方は如何に?
続き待ってます。私も全裸で。
激しくGJです!
このハラハラやきもき感がたまりません
ドンデレの人、感謝感激雨霰霙猛烈吹雪でございます!
ドンデレなオレルドと伍長が素晴らしく可愛いーっw
>>51です。
前編のコメントをくださった方々ありがとうございました。
立て続けで申し訳ありませんが、続々オレルド(ノンケ)×伍長の後編を投下に参りました。
前編でも書き込みましたが、じれったくて甘ったるい二人です。
それでも『どんとこい!』と言う男前な方々、最後までお付き合い下さい。
ではどうぞ。
夢を見た。
俺は裸で立っていた。
どこを見ても何も無くて、だから何もしない。
急に一人誰かが現れた。
靄がかかって顔は見えないけれど、俺はなぜだか嬉しくなってその人に近づいた。
声をかけようとしたら、俺はその人にいきなり抱きしめられた。
俺はそれを拒むどころか受け入れて、俺もその人を抱きしめた。
ふわふわと空に浮かんでいるような気持ちになって、鼓動も少し速くなった。
その人は俺を仰向けに寝かせ、覆いかぶさってきた。
何をされるのか、俺はわかっているようなわからないような、そんな風に頭はひどく鈍い。
抱きしめられているだけで気持ちいい。
その人の手が俺の色んな場所に触れてくる。
くすぐったいような、どう表現したらいいのかわからない感覚が声として漏れていく。
「怖いか?」
優しい声でその人が耳元で呟く。
その声で相手が男の人だとわかった。男の人に抱きしめられているのに、そして自分が今まで経験がない
ことをされているのに、不思議と怖くは無かった。
相手の首に両腕を巻きつけ、小さく首を横に振る。
俺の返事に小さく笑い、その人は俺にもっと触れてきた。
「ランデル・・・ランデル・・・」
俺の名前を何度も呼ばれる。それすら耳に心地良い。
熱でもあるのか意識が朦朧としてきた最中、ふと彼の体を見ると所々が泥で汚れているのに気づいた。
自分の体には戦争中にできた傷があっても、そんな汚れは一切ついていない。
体を触れ合わせているのにも関わらず、俺の体が汚れることは無かった。
それがとても不快に感じ、触れてくる相手の手を掴んで俺の顔に触れさせてこう言った。
「・・・俺も汚してください」
同じになりたかった。
その手で俺も汚れてしまわないと気持ち悪いと思った。
しかしその人は俺の手を離し、困った口調で言い放った。
「お前はもう汚れているじゃないか」
その言葉から一転、その人の体についていた汚れは無くなり、代わりに俺の体が赤く染まった。
覚えのある臭気が鼻の粘膜に纏わりつき、どす黒くも赤いその液体はまぎれもなく血だった。
痛みは無い。だってこれは俺の血じゃないから。
足下から水が湧き上がり、そこから無数の手が現れると俺の体を捉えて放そうとしない。
結局、またあの夢だ。
水の中に引きずり込まれ、抱きしめてくれた人が全体に霞んで見えなくなる。
溺れる俺を見て、この人はどう思っているのだろう。
いつもならば覚めて欲しいと思うこの夢が、もっと続けばいいのにと思った。
目が覚めたら、きっと俺はあの光景から逃げられなくて苦しい気持ちでいっぱいになる。
どうせなら、この悪夢に居たままのほうが楽なのかもしれない。
この夢は俺のせいだから。
苦痛に耐えながらそんなことをぼんやりと考え、俺は悪夢を見続けた。
頼まれたから買ったプレゼント。
それをポケットに忍ばせて、俺はそれをねだった彼女のいる人事課に向かう。
二日酔いで正直歩きたくはなかったが、それもこれもその大事な彼女のためだ。
大切?自分で言って疑問形になる。
それは何事も先手を打つ俺が『頼まれて』買うなんてらしくないからだ。
人事課のドアをノックして中へ入る。そこにはタイミングよく彼女しかいなかった。
「オレルド?駄目じゃない。仕事しないと」
ここに来るのは彼女目当てでは特に立ち寄らない場所。別件で来るとしてもその場合は大体誰かと一緒
に来る。一人で来たということは、つまりそういうことだ。
言葉とは裏腹に彼女は俺が来たことが嬉しそうだ。顔でわかる。
「顔を見たくなったのさ」
いつものようにまずは周りに誰もいないのを確認して、抱擁する。
そうすると彼女は仕事中であることで少し拒んだ態度をするが、俺が強引に抱きしめ続けると諦めて背
中に腕を回してくれる。
女性特有の甘い香りが漂う。この瞬間がセックスよりも何より好きな行為。
「これ、プレゼント」
手の平に可愛い箱を乗せて差し出す。
彼女はウキウキとした態度でその箱を開けた。
「わぁ・・・嬉しい!覚えててくれたのね」
「欲しいって言ってたろ?俺が忘れるわけないじゃないか」
中身は彼女に似合う爽やかな匂いのする香水。
さっそく彼女は匂いを嗅いで、少しだけ身に付けてみる。
俺の見立てに間違いは無い。俺も彼女なら合うだろうと思っていた。
「オレルド、ありがとう・・・」
彼女の表情が熱っぽく変わる。嫌も嫌も好きのうち。職場では嫌だと毎回嫌がる彼女だが、回数を重ね
るうちにここでなければ物足りないほどに、俺に抱かれたい体になっていた。
でも彼女からは絶対に欲しいと口にしない。ねだるばかりの女が嫌いだと知っているからだ。
合図を受け取り、彼女の肩に触れてさぁこれからという時に手が止まる。
「・・・どうしたの?」
なぜだか俺は気持ちが急速に冷めていった。
そのつもりで俺はここに来たはずだったのに、彼女を抱く気になれなくなっている。
そこにデカブツが思い浮かび、脱がそうとしていた指は余計に動かなくなった。
あいつが出てきたからって、なんだっつーんだ。
「たまには社内デートしようか」
気分転換のつもりで俺は彼女を誘う。行為を中断されたことで彼女は不機嫌な表情になったが、俺が手
を繋げると素直に頷き、俺たちは散歩に出かけた。
散歩しているからといって何かあったかと言えばそうでもない。
他愛のない会話。所々に彼女が喜びそうなセリフを囁く俺。
嘘をついているわけじゃないのに、どこか俺の気持ちは置いていっているように思えた。
気持ちがここにない。話しながらそれをずっと気にしてる。
釈然としない自分に苛立ち、T字路の廊下を歩いている頃に彼女を急に抱きしめた。
もしかしたら周りに誰かが歩いていたかもしれなかったが、そんなことはどうでもよくなった。
「ちょっと、オレルド・・・!」
抱きしめながら器用にブラウスのボタンを外し、隙間に手を挿し入れて下着の上から乳房に触れる。
その行為をどの角度からにも見えない位置に体を動かし、嫌がる彼女の声に耳を貸さずに続ける。
柔らくて、気持ちがいい。
俺はやっぱり女が好きだ。
感じて息が漏れ始めた彼女の唇に食らいつく。激しく舌を相手の口内にねじ込むと、彼女も俺の舌に吸
い付いてきた。
息をするのを忘れるほど彼女に深く食いつく自分に余裕が無い。
なんで俺はこんなに焦ってんだよ。
苛立ちは治まらない。
「・・・あっ・・・!」
唇が離れ、彼女の視線が俺ではなくその後ろに向けられる。俺もその視線に沿って後ろを振り向くとそこ
にデカブツが立っていた。
あいつは呆然としていたが、俺は見られたぐらいで何も感じなかった。
それどころか自然と薄く笑いが込み上げてくる。まぁ、何が可笑しいのか俺にもわからない。
後から少尉もやってきて俺が仕事中に女性といたことで説教が始まったが、慣れているので上手く誤魔
化す。
その一連の行動を見てからデカブツはそそくさとその場から去ると、ついでに少尉もデカブツの後に追いか
けて去っていった。
そりゃあ逃げたくもなるわな。偶然とはいえ、上官の情意を目撃しちまったんだからよ。
彼女は人に見られたことで興醒めし、俺もさすがに続きが出来るほど馬鹿ではないのでなんとか彼女の
ご機嫌を取って、今日はそのままお別れした。
行きつけのお店のカウンターに座る男二人。
バーテンダーは俺らの飲む順を把握しているので注文せずとも酒が差し出され、しばらくその酒を味わうた
めに互いに無言のまま飲む。
「そろそろ話してくれてもいいんじゃない?」
話を切り出したのはマーチスからだった。
俺は話す前に水割りを飲み干し、バーテンダーにいつもは飲まない酒を要求する。
俺はいつもより酒のペースを上げていた。
「このごろ理由もなくイライラしてんだよ」
何に腹が立っているのかわからない。それが近頃急速に膨らんでいくのが気持ち悪い。
女と遊んでも治まらないから重症だ。
マーチスは俺の方に向くと、急に伍長の話を持ち出した。
「去年、伍長が熱出してしばらく仮眠室に寝泊りしてた時期があっただろ?」
「何だよ急に」
「まぁ聞きなよ」
俺の疑問には答えずに話を続ける。
「あの頃から伍長に何だか不自然さがあって気になってたんだ、僕」
真剣に話したくなったのか、俺と違ってマーチスは飲むペースを落とす。
それが伝染して俺も飲む手を止めた。
「迷惑をかけられないって彼は考えてるみたいだけど、それが違う方向に向かってる気がするんだよね」
「わかりづれぇ言い方だな」
「・・・仲間になりたいって言ってる彼が、それをあえて避けてるように見えるってこと」
避ける?あいつが?
「『同僚として見てくれてた』って嬉しがってたじゃねぇか」
デカブツが対戦車でマーチスを助けるために重傷を負って入院したとき、同じ病室で自殺しようとした男に言
われた言葉。
「あのときはね。あれが嘘とは僕だって思ってないよ」
それが嘘じゃないのなら、あれから今までの間に何か妨げてしまうものがあいつの中で出来たとでも言う
のだろうか。
「・・・けど、伍長だけじゃない。君も、そうじゃないの?」
「俺が?なんでだよ」
俺まで同じに見られ、怪訝な顔になる。
「保安課に捕まったとき、僕が言ったこと覚えてない?」
デカブツに熱が出た原因が第一課の『ダブル・シヨーテル』の奴らだとわかり、俺は食堂内で暴れて保安課に捕
まった。そのときに巻き添えで捕まったマーチスと軽く衝突した。
そんなこともあったなと、ぼんやり思い出す。
「俺が『後先考えずに行動してる』、だっけ?」
「そう。伍長の前だと余裕ないよ。まるで伍長に怯えてるみたいだ」
俺が怯えてるだって?益々怪訝な顔になる。
意味がわからずにいる俺に、マーチスは溜息をつく。
「八つ当たりしてるんだよ、君は。表面では先輩風吹かしてるように見えるけど、実際は伍長を小さく傷つ
けてる。伍長が避けてるのに気づいてわざとそんな態度なのかとも思ってたけど、そうでもないようだし」
「そんなつもりはねぇよ」
思い当たる節もないので否定するが、マーチスは片眉をつりあげた。
「それに気づいてる伍長はオレルドに気を使って、あんな態度になってるのかもね」
大人気ない、と言われたような気がして俺の眉もつりあがる。
「そのイライラは今に始まったことじゃなくて、ずっと前からあったものが溜まってやっと自分でも気づいたん
だよ。原因はかなり前にあるんじゃない?」
言いたい事が言えてスッキリしたのか、マーチスは酒のペースを飲み戻した。
「・・・くそっ」
俺は後頭部を掻き毟り、唸りながら飲み潰れるまでずっと考えたが、結局原因は出てはこなかった。
さすがに二日連続の二日酔いはキツイ。
限界を超えるまで飲んではいなかったマーチスに自業自得だと怒られ、顔色も土色で死んでしまうのではな
いかとステッキンに心配された。
・・・チビッコにまで心配されるとは。
喉を昇る胃液を堪えつつ、医務室に酔い止めの薬を貰いに行く。
ついでに仮眠を取らせてもらい、少し頭がスッキリしたところで部署に戻る。
その途中、大きな塊が部署前の廊下を塞いでいるのが見えた。
そこにはデカブツと、別の部署の女性が談笑している。
なかなか可愛い女性だ。なんだ、あいつもやるじゃねぇか。
感心したのも束の間、俺は段々とまた苛立ちが強くなる。なんでだ、おい。
女性はデカブツに手を振り、俺の横を通り過ぎる。女性を見送ったことでデカブツは俺に気づいた。
「お前もやるじゃねぇか」
「はい?」
近づくなり、俺は肘でぐりぐりとデカブツの腕を突付く。
「いつのまに彼女作ったんだ?」
「へ?えぇ!?いや、違いますよ!」
「デカブツにもついに春が来たか。よかったなぁ」
「いえ、本当に・・・」
「照れんな、照れんな」
「違います!!」
力強く否定され、そのあまりに大きな声に俺は驚いた。
「あっ、す、すみません・・・」
すぐにいつもの気弱な声に戻ると謝られた。
「彼女は俺が猫をたくさん飼ってるって人づてで聞いたみたいで、それで一匹欲しいって話を持ちかけら
れたんです・・・」
「なんだ、そうか。いや、俺も悪かったな。からかって」
「いえ・・・」
「なんだよ、そんな顔すんなよ。悪かったって」
落ち込むデカブツの顔に触れようとすると、思い切り振り払われた。
その瞬間の表情はまるで腫れ物のような眼で俺を見る。
「・・・!!ごめんなさい・・・!」
デカブツはハッとして、払った自分の手をもう片方の手で握り締める。
「・・・どうかしたのか?」
答えづらいのか、デカブツは話そうとしない。
また手をかけようと思ったが、触れられなかった。
「・・・俺に触れたら汚れます・・・」
「・・・は?」
声が小さすぎて聞こえなかったので聞き返そうとしたが、デカブツは無言になって部署へ戻っていってしま
った。
「なんだ、あいつ・・・」
払いのけられた指がジンジンと痺れ、同時に胸も重く痛い痺れが俺を刺激する。
あれほど苦しかった苛立ちは治まっていた。
なんだよ、これじゃあまるで・・・。
感じたことが脳裏によぎったとき、あれほどぐちゃぐちゃだったパズルが全て綺麗に当てはまっていった。
「・・・ん?」
なんだ、こんな簡単な理由かよ。
何もかもが理解出来たことで、思い切り笑いが込み上げる。
「あっはっはっはっはっ!!・・・・・・うわ俺、ダセェ・・・」
自分に叱咤しながらも、俺はこれからどうすべきかわかっていた。
思い立ったら行動なんて吶喊少尉の真似だけど、散々待たせちまったんだ。もう逃げるなんてらしくない
ことはやめよう。
吹っ切れるとこれ以降、苛立ちは起きなかった。
「ちょっといいか」
帰る時間を見計らい、更衣室にいたランデルにオレルドが声をかける。
「はい、なんでしょうか」
「俺のこと好きだろ」
前置きもなく聞いた。
まどろっこしいのはもう無しだ。
回りくどいことを言っても上手く伝わないのならば、直球で聞けばいい。
他のやつらが聞けば吹き出して笑って大概冗談で済まされる。
でもこいつは鈍い。冗談として受け取らないだろう。
「はい」
躊躇いもなく返事が返ってきたので一瞬間が空く。
これはもしかして・・・と、質問を変えた。
「少尉のことも好きか」
「はい、皆好きです」
ありがちな展開でオレルドに空笑いが起きる。
間違ったことは言ってないはずなのに笑われ、ランデルは戸惑った。
「昨日、俺が女とキスしてたところ見たろ」
「・・・え・・・ぁ・・・」
言葉に詰まり、困った顔でオレルドを見つめる。
そこで彼の気持ちにオレルドは確信が持てた。
「すげぇ嫌な気分になったんじゃねぇか?」
「・・・っ・・・はい・・・」
そう思うことがいけないことのように、ランデルの声は小さい。
「俺のこと好きか」
「・・・はい」
「他の女に渡したくないくらい?」
「・・・」
また黙り込んでしまう。
自分に流れる感情が一体なんなのか理解できずに苦しんでいるように見えた。
「俺はお前が他の奴と仲良くしてるところを見ると苛立つし、寂しい気持ちになっちまう」
どうしてこんなにイライラしていたのか、オレルドはこうやって話すまでずっとわからなかった。
今ならわかる。
「わかるか?嫉妬だよ」
「・・・っそれ、は・・・」
わからないわけがない。
あれほど自分でもわだかまっていた感情がどういう意味だったのか、オレルドに言われたことによってランデ
ルにもわかってしまった。
俺は、この人のことが・・・。
「お前はどうだ?」
一歩前に踏み出してきたオレルドに自分との距離を縮められ、反射的にランデルも一歩後ずさると背中が壁
にぶつかり、寄りかかった。
しかし気が抜けた風船のように体に力が入らず、ずるずると下がって尻餅をつき、恥ずかしさのあまり
顔を腕で隠した。
オレルドも膝をついて姿勢を低くし、一定の距離を保ってランデルの言葉を待つ。
「俺に触れたらオレルドさんまで汚れるって思ってました」
「デカブツ・・・?」
「・・・・・・オレルドさんのこと、気づいたら見てることが多くなりました・・・どうして自分がこんなに気になるよう
になったのかわからくて」
泣いてしまいそうで、何度も唾を飲み込む。
「何をしてもずっと気になってて、意識してる自分が怖くて・・・。仲間だって思ってくれてるのを、裏切って
るんじゃないかって、でもオレルドさんに仲間だって思われてるって考えたら胸が痛くて・・・」
仲間だって思われてあんなに嬉しかったのに、どうして今はこんなに辛く感じるのだろう。
「こんなにどろどろした気持ちがあるなんて知らなかった。これが溢れたら、きっとオレルドさんを汚してしま
う。そんなの俺、耐えれないって・・・」
あの夢のように手に届かないのなら、自分だけ汚れていればいい。ずっとそうあるべきだと思っていた。
「特別になりたいのか」
真っ直ぐな言葉にランデルの喉仏がぐっと上がる。
口をパクパクと動かしてもその奥から声は出ず、そのまま唇は閉じて答えは出なかった。
混乱が治まらないランデルに無理に聞く事ができないならば、自分の気持ちだけでも素直に伝えればいい。
息をつき、オレルドは話を続けた。
「お前だけが汚いわけじゃねぇよ」
ランデルの気持ちに気づいていて、オレルドはそれを黙っていた。
本人が気づいていないことをいいことに、それを隠すことで関係の安定を保とうとした。
それを自分自身も気づかなかったように、胸の奥にしまい続けた。
自分の保身のためにランデルの気持ちを利用した自分も汚い以上に卑怯だと心の中で罵る。
でも今は違う。
包み隠さずに今なら自分をさらけ出せる。
「俺もお前と変わんねぇ。俺も同じ立場に立ったら耐えられねぇと思う」
「オレルドさ・・・」
「ただ正直わかんねぇんだ、まだ。これが恋愛感情ってやつなのか、それとも同情でほっとけないだけな
のか」
本気じゃなくても、今まで自分に好意を寄せる女には平気で嘘をつけた。それで事が円滑に進むなら胸
が痛むことはなかった。
でもこいつに嘘はつけそうにないようだ。それは自分の胸が痛むのを想像できてしまったから。
「だけどお前の傍にいてやりてぇ」
優しい、暖かみのあるその声にランデルは顔を上げると抑え込んでいた感情がはらりと解け、体の奥から
込み上げてきたものを抑えきれずにぼろぼろと涙が零れだした。
「あ・・・ぅ・・・あうっ、オレ・・・ひっく、っく・・・ふっ・・・ううぅっ、ぅあぁ・・・・・・っ!」
伝えたい言葉がたくさん浮かんだが、声にならない。
嬉しい。嬉しい。嬉しい。
心の中で叫ぶように繰り返し呟き、止まらない涙を何度も手で拭った。
子供のように泣きじゃくるランデルの頭をゆっくり、そしてしっかりと撫でる。
「ごめんな。こんな中途半端な気持ちでよ」
ランデルは思い切り強く首を横に振った。
「気持ちに踏ん切りつくまで、待っててくれるか?」
視線がぶつかり、切なげに見るオレルドの眼にランデルは涙や漏れる声を必死に抑えながら頷く。
ふっ、とほくそ笑み、ランデルの頭を抱えて抱きしめた。
抱きしめられたことでランデルの瞳は幸せのあまり潤みが増し、オレルドの胸に頭を預けて深く深呼吸をす
る。
あ・・・オレルドさんの心臓の音が速い・・・。
耳に伝わる鼓動の心地良さに、相手も自分と同じくらい緊張していたのだと嬉しい気持ちも湧いてきた。
頭を擦り付ける仕草をして、もっと強く抱きついてきたランデルにオレルドも嬉しくなる。
その上でむくむくと、オレルドに欲望の芽が顔を覗かせた。
「・・・デカブツの気持ちに付け込んでるみたいで嫌なんだけどなぁ・・・」
「・・・ぅ?」
オレルドはどれだけ本能に忠実な人間なのかと少々自分にウンザリしながらも、ランデルに上目遣いで見られ
たことで抑制することは出来なくなった。
「今のお前すげぇ可愛い。キスしたい」
見る見るうちにランデルの顔は耳まで赤くなり、潤んでいる瞳が更に霞んでまた涙が零れ落ちそうになる。
自分の気持ちさえまだはっきりとしていないと言ったばかりだというのに、自分を気持ち良く生きている人
間だとステッキンに言われたことを思い出す。
嫌われちまったかな、とランデルの様子を見ると、少し俯いてしまいながらもオレルドを抱きしめている指に力
を入れてきた。
「・・・俺で、よければ・・・」
恥ずかしげに言う態度の可愛いさにオレルドは微笑み、ランデルの顎を掴んで自分へ引き寄せる。
「目、閉じとけ」
素直に目を閉じたその表情を意地悪ながらも観察していると、触れられるであろう唇が緊張で少し震え
ているのに気づく。
何もかもが初々しくて、大事にしてやりたいと本気で思う。
前髪を掻きあげ、額に優しくキスをすると驚いたのかランデルの顔が少し離れた。
逃がさないようにそのままこめかみにもキスをして、ゆるゆると流れるように頬まで唇を落とした。
「んっ・・・」
そして待っているランデルの唇にそっと口付ける。
思ったよりも男の唇は柔らかく、気持ちよさは女としている時とさほど変わらない。
ただ相手が伍長だという特別な想いが快感を増幅させていった。
「ぅん・・・っ」
ランデルも不思議な感覚に自然と身を捩じらせた。
怖いような、でも気持ちいい。そんな不安定な気持ちが胸を躍らせていた。
時間を忘れてしまいそうなほどの心地いい行為から名残惜しく唇を離すと、ランデルにとろんとした表情で
見上げられた。
「・・・ランデル」
初めて名前を呼んだ。
込み上げて来る気持ちを表すのは、愛の言葉や作られたようなセリフより、名前を呼ぶことで十分伝わる
ような気がしたからだ。
名前を呼ぶことで、自分の気持ちをも縛りつけたいのかもしれない。
こんな緊張なんて今まで感じたことなんてなかったんだ。
緊張が今のオレルドには怖くて、どうしようもないこの気持ちをランデルに押し付けているだけにも見れる。
もう一度頭を抱えるように抱きしめると、名前を呼ばれた方は相手の体を倒して上からかぶさり、今度は
自分からキスをしてきた。
「おいっ・・・!んッ・・・」
決して激しいものではないが、不器用ながらも熱っぽい唇が何度も重なる。強い意思を込めたものを貰
ったことでオレルドは不意に笑いが込み上げてきた。
ああ、そうか。わりぃ。お前も不安で仕方なかったんだよな。
「ん・・・あっ!・・・お、俺・・・ッ・・・」
唇を離してから自分がした痴態に恥ずかしそうに俯く。
そんな顔すんなよ、ばか。
「お前まで焦らなくてもいい。どうせこれから長いんだ。じっくり考えていけばいい」
卑怯な言葉だ。そんな保証はどこにもないくせに。
それでも信じたい。信じてもらいたい。
もしかしたら、明日戦争が起きてわからないまま死んでしまうかもしれなくても。
後悔しないように、背中を丸めたランデルの体を力いっぱい抱きしめる。
「オレルドさん・・・」
気持ちを伝えるように、ランデルも手を伸ばしてオレルドの体を抱きしめた。
互いに体が震えた。喜びを感じあえたことでの震えなのか、それはとても心地よかった。
眩しいくらいに雲一つ無い晴天日和。
今日は嘆願書を送ってきた村の視察のために、三課は出かけることとなった。
ジープに乗り込み、村についての大まかな説明をマーチスが運転しながら皆に説明を行う。
「おっと」
話しながらの運転の上、足場の悪い道のために車が揺れた。
体も横に揺れ、その拍子でランデルの手がオレルドの手に触れる。
「あっ・・・すいません」
触れた手を慌てて自分の膝の上に置く。しかしオレルドがその手を引き戻してぎゅっと握った。
ランデルの頬は赤くなってしどろもどろな声を出すが、オレルドはいたって平然としている。
「なに?」
当然だろ?と言わんばかりの顔をされ、顔を見られないように横を向くことでしかランデルは抵抗できなかっ
た。
きっと俺はからかわれているんだ。
顔の火照りを落ち着かせようとするがそれをわかってか、オレルドはランデルの指を爪で軽く掻いたり、優しく
揉んでくるものだから赤みは一向に増していく。
「逃げんなよ?」
風の音に紛らせながら言い、オレルドはにやにやと笑う。
村に着くまであと四十分。逃げ場なんて無い。
とんでもない人に惚れてしまったと少し後悔しながらも、決してそれは嫌じゃない自分がいた。
終
というわけで、ハッピーエンドになんとか辿りつけました。
結局お互い「好き」だと言ってませんが、まぁオレルドが決めるのも時間の問題でしょう。
もう少し深いところを書き加えたかったのですが、ダラダラ文になりそうだったので結構省いてます。
読みづらい箇所や違和感があったらそのせいです。すいません。
皆さんの感想と応援があって書けました。
そしてコテハンもいただきました。本当にありがとうございます。
皆さんの目に、ドンデレの名に恥じない仕上がりになっていれば幸いです。
お……おいしすぎる……orz
萌の涙を振り絞ってしまう甘さにどうにかなってしまいそうですよw
ドンデレの人GJ!!
続きキタコレ!
胸がきゅーんとなったり甘さにほんわりなったりして
たまらないですね。ドンデレ伍長最高です。
ドンデレのひとGJでしたー。
ほのぼの胸きゅん幸せストーリーだ・・・
あと視点の移動すこし分かりやすくしてもらうともっと読みやすいかも
GJ!最高のドンデレでした!
甘酸っぱい萌えはいいもんだー
ドンデレの人超GJ!
読んでてきゅんきゅんしちゃったよ
ドンデレの人乙&GJ!
たまらん…(*´д`)
ドンデレっていざ自分が書こうと思うと難しいので
こういうの書ける職人は貴重。ガチで。
※伍長変身魔女っこモノの続きです
※少尉→伍長要素あります
※どこを切っても馬鹿ネタです
※伍長ファンと少尉ファンに先に陳謝します
素敵なドンデレ職人さんの後にごめんなさい
86 :
阿呆ネタ1:2007/01/30(火) 00:25:15 ID:???
「一矢でも構わんっ! 誇りのために撃てッ!!」
メイドたちを鼓舞しつつ、私は小剣を鞘走らせた。
元より、小口径の銃弾で戦車の装甲を貫けるとは思わない。
射撃訓練をしたことのない彼女たちは、子爵の戦車に向けて撃つだけで必死だ。
ただ、人間としての尊厳のために彼女たちは引き金を引く。
私はただ、三人の部下が逃げる隙を作るのに必死だった。
なにか細工をしていたのか、オレルド准尉が次々に三人分の手枷を外していく。
定石通り、オレルド准尉とマーチス准尉は、左右に割れるように走り出し──。
私は、目を疑った。走りながら振り返った准尉たちも、また。
自由になったオーランド伍長は、その場を動かなかった。
まるで自分を狙えと言わんばかりに。
砲身の転回と砲射の瞬間が、やけにゆっくりと目に焼き付いた。
着弾の寸前に、腰のランタンに手をやった伍長の──予想圏外のポーズは、前半しか焼き付けられなかった。
今。
私はなにを見たのだろう。
ランタンが青く光ったのは、あれは知っている。
ダムで、見た。
じゃない。
そうじゃなくて。
ええと。
……目の、錯覚だろうか。
ランタンから青い光が、こう、ぱーっと、その。
伍長がなんだかその、その筋の女性のように、腰を。
てゆーか! ふ、服は何処に消えた! ああやっぱり伍長はがっちりと男らしい筋肉がじゃないじゃないじゃないむ胸なんか見てないここここ股間なんか私は断じてじゃなくてああっ煙がっって……煙?
「「「伍長ォッ!!」」」
腹の底に響く爆音と、煽られて吹き飛ぶ伍長の姿に、私は長すぎた一瞬を忘れ、絶叫していた。
87 :
阿呆ネタ2:2007/01/30(火) 00:57:30 ID:???
自身の叫び声で、私は正気を取り戻した。恐怖にうずくまるメイドたちをかき分け、階下へと急ぐ。
こんな高みから、伍長を助けることはできない。
私を取り押さえようとする者はいなかった。
バルコニーの真下、格納庫と化した車庫の扉に体当たりをする。なんでもいい、伍長を助けるためのモノは──。
「少尉!」
薄暗い周囲を見渡すより早く、光源からオレルド准尉の声が届いた。
正面口から、淡い逆光になった長身が駆け入ってくる。
「無事か、准尉!」
「俺とマーチスは! それよりデカブツが──」
「分かっている!」
私たちは二種類の砲音と、鉄塊が奏でる地響きの方を見やった。立ちこめる土煙と黒煙、かいま見える炎の中に、微かな青い光があった。
「急げ! 助けに行くぞ」
「って言っても……どうやって」
格納庫を見渡したオレルド准尉は、焦った声を返してきた。
戦車は、子爵が繰るあの一台きりだった。周囲にあるのは弾薬在庫や燃料、整備関連が大半だ。
大砲とは言わないが、せめて、なにか。
「こっちです! 少尉」
と、軍用車のブレーキ音と同時に、必死に叫ぶマーチス准尉の声が聞こえた。
邸宅を半周して車に乗り込んできたのだろう、マーチス准尉は肩で息をしている。
「とにかく、伍長を助けないと!」
言いながら私は、助手席に飛び乗った。空手で突っ込むのは無謀だ。理性が囁いた気もしたが、無視した。
日頃、慎重論を唱えているマーチスは無言でクラッチを入れ直し。
いつになく真剣な顔のオレルドが後部シートに潜り込むや否や、ジープは急発進した。
みるみるうちに、戦車の後ろ姿が近づいてくる。その周囲に伍長の姿を探した私たちは、またしても目を疑った。
伍長は、生きていた。
ちらちらとした青い光を纏い、巨大な銃を片手に──戦車の上に、立っていた。
88 :
阿呆ネタ3:2007/01/30(火) 01:28:47 ID:???
伍長は、特注の軍用コートを着ていなかった。見たことのないボロボロの外套に、額宛が割れた革の制帽。三課のものではない軍服。
そのすべてが、ズタズタだった。
……伍長の乳首は、私より濃い色だった。じゃないじゃない!
腰が引き締まってるとか、今はそんな場合じゃない!
「まさか……『魔女っこ』?」
私は声に出さず呟き、瞬時に高揚した。べ、別に半裸の伍長にときめいたとかではない。
──戦中、様々な娯楽が国策で禁じられていた。そんな中、密かに地下出版物として出回っていた漫画があったのだ。
内容はありふれた勧善懲悪ものだった。他とは違ったのは、主人公が利口な少年でも、どこぞの王子でもなく。
天使や精霊の加護を得た、美少女ということだった。
神聖な力で彼女たちは姿を変え、巨大な敵に正義の鉄槌を下していた。
彼女たちに憧れ、継承器で変身ごっこをして、父にガッチリ怒られたこともあった。冬の廊下でバケツ持ちは辛かった。
やがて、自分が変身できないと知り、私は泣いた。姉たちは慰めてくれた。
じゃあアリスちゃんは、魔女っこの友達になればいいのよ。
そう言ったエリス姉様には、後光がさして見えた。
それから私は、それまでより剣術の鍛錬に力を注いだ。いつか魔女っこの友達になれた時、足手まといにはなりたくなかったからだ──。
長年、密かに憧れ続けた存在に出会えた私は、ときめきを抑えることができなかった。助手席から身を乗り出し、叫ぶ。
「伍長ォオーッ!!」
あ、こっち向いた。うわーっ目が虚ろでカワイイーっ!
「無事かっ!? 心配するなッ」
うわうわうわ、魔女っこに言ってみたかった台詞第五位が言えた!
「今助けるからなっ!」
うわーっ、第二位を現実で……あ痛、振動で舌噛んだ。
こら、しっかり運転しないか!
「マーチス! 前に回り込んで押さえ込めッ」
89 :
阿呆ネタ4:2007/01/30(火) 01:58:32 ID:???
「無理ですッ! 相手は時速50kmで走る20tの鉄塊ですよ!?」
ええい根性なしッ! 貴官は魔女っこを前にええかっこしーしたくないのか!!
般若の形相になりかけた私の右腕を、オレルド准尉が痛いほど掴んでいる。
じ、邪魔をするなーッ! 魔女っこまであと5mないんだあとちょっと!
私の内心の絶叫に、伍長の銃声が重なった。真下に撃ち下ろされた弾丸は、非常識なくらいあっけなく、戦車の装甲を破る。
かかか格好いい〜! そうだ、魔女っこの武器はそうでなくては! 万歳……って。
「──!」
独り特等席で興奮していた私の背中を、冷たいものが流れた。
魔女っこ……もとい、半裸流血状態の伍長が、急にぐらついたのだ。
「ヤベェ、落ちるッ!」
オレルド准尉の声を聞くまでもない。私は全身を緊張させた。
「寄せろっ、マーチス!」
「少尉!?」
覚悟は、一秒もかからなかった。
「死なせんッ!」
だって、伍長は。
「ばッ!」
紙の上じゃない。やっと私が見つけた、本物の──魔女っこだ!
オレルド准尉の制止の声がした気が、した。
私はためらうことなく、車体を蹴った。
力なく戦車から落ちる伍長の下に、抱き込むように飛べば。
「……もう、らめぇ……見ないれ、くらさい……」
無表情で恥じらう伍長の声が、微かに耳に届いて。
反応に迷っている刹那、伍長の全身は青い光に包まれていた。
そして、元の制服に戻った伍長の右腕が、逆に私を抱え込んできた。
子爵邸の後処理を済ませ、重傷の伍長を医者に引き渡しながら。
私は、努めて今まで通りの振る舞いをしようと決意していた。
何故って?
魔女っこは、周囲に正体を知られてはいけないのだ。
そして、正体を知りつつ黙って支える相手の「お嫁さん」になるのが、お決まりのラスト。
「──二人には箝口令を敷くか……」
私は腕組をしたまま、一人頷いた。
†††
毎回書き逃げで済みません……。
90 :
戦隊の人:2007/01/30(火) 02:30:38 ID:???
笑わせていただきました。GJ!
もう伍長の性別がよくわかりません…
>>ドンデレの人
最後は無事結ばれてホッ
これから愛を深め合うってわけね
伍長の夢の場面では平井賢の最近の曲
ロッカールームでのやりとりに
山口百恵の「ひと夏の経験」を連想してしまった
>>89 少尉のおバカな暴走っぷりがよかった!
笑わせていただきましたw
GJ!!!
おなかいたい・・・
途中まではギザシリアスなのになんでやねん・・・
なんでバケツやねん・・・
次は衛生兵バージョン楽しみにしてます。衛生兵/魔女っこの人
>91
哀歌(エレジー)?
あれを伍長が歌ったら血迷う人間多そう
山口百恵は古すぎるってw分かるけどww
ぴったりすぎるけどwww
>魔女っこの人
悪いこと言わないからコミケで本出して下さいお願いしますこのとおり
暴走少尉が何故がむっちゃ可愛くてツボっすwww
おおー衛生兵さんだ!また読めて嬉しいよ
なんかいちいち少尉に萌えた
>目が虚ろでカワイイーっ!
にハゲワロス
このスレの書き手や絵描き達が手を組んで本を出したら最強
YOUコミケ進出しちゃいなYO!
曲を聴いたら激しくそのシーンの映像化がみたくなったじゃないか!バカバカ!
orz
バカバカ!が一瞬ガバガバに見え、
伍長が男達にガバガバになるまで凌辱される想像をした自分はもう戻れない
哀歌、伍長が歌ってるの想像したら顔が赤くなった
スゴイ
萌える
>>99 PVで裸で歌っている平井賢を伍長に置き換えると・・・・
男が歌うエロソング(M系や女性視点)は
軒並み伍長に歌わせたい。強制で
ちょい古だが、福山のGANG★歌わせたら、その場で襲われそう
>魔女っこの職人さん
注意書きはあれだったけど、実は少尉大好きですね?
男前さと乙女さの両立に萌え感動しました
伍長といいカップルになりそうでwktkしてます
>>101 >男が歌うエロソング(M系や女性視点)は
>軒並み伍長に歌わせたい。強制で
>ちょい古だが、福山のGANG★歌わせたら、その場で襲われそう
同意w
最後の3行目は想像したらものすごい萌えた。
俺は襲う前に悶絶して狂いそうだ。
>>90 伍長は男ですが何か
ちょっと中身がヒロインなだけで
現段階で職人さんって何人だっけ?
マジでアンソロお願いしたい
104 :
男体の人:2007/01/31(水) 00:41:28 ID:???
お久しぶりです。神職人がわんさか増えて嬉しいです!
ドンデレの人のコテハン獲得記念(?)と、
ドンデレオレ伍ソングのあまりのシンクロっぷりに感動して
厚かましくも映像化させて頂きました。
SSの映像化…と言うよりは、曲のPV風?;
イメージ貧困な出来になってしまいましたが
よろしかったらドゾー。
ttp://deaikei.biz/up/up/4326.jpg.html DLパスは「901」です。
※今回、体毛は自粛していますw
あと著作権うんぬんは…この際、見逃して下さい…!(;><)
ドンデレの人、イメージ崩壊させちゃった方、すみません…orz
男体の人超GJ!
鬼塚ちひろの「私とワルツを」に次ぐ
伍長にぴったりの伍長ソングの発見ですな
>男体の人
御 馳 走 になりました
マッチョ萌えに目覚めたのは貴方のおかげです
うちのPCに保存されている伍長は、ゲイサイト画像並です
彼女に知られたらどうすんべ‥‥
男体の人いつもGJですありがとうです!
自分は2の途中からここに来てるんで
職人さんを全把握できてないかもな...
男体の人(萌え絵萌え文両刀)
じらしの人
衛生兵の人(魔女っこと両刀)
ドンデレの人
戦隊の人
えーと...補完頼みます
焦らしの人、じゃなかったか?
しかし確かに職人作品一覧は欲しいな
うっかり前スレ保存を忘れたんで、4Pや副長の書き手確認ができんorz
くそう、力になれなくてすまない…
あとイカの人と獣姦の人?もいたような
>>104 GJ!!
儚いです伍長…(ノД`)
イカの人
獣姦の人
あとコテハンはなかったけど
名前のところに顔文字入れてた人もいたよ
風邪ひいた伍長をオレルドが看病する話を書いた人
コテハンなしで投下した人がまだ他にいたかも
自分も全部は把握できてない。ごめん
自分の閲覧用にまとめサイト作りたいくらいだな
1の時は見に来てなくて、ログが見辛くて…
112 :
110:2007/01/31(水) 02:03:06 ID:???
作品は言われれば思い出せるが、確かに職人さんは思い出せん
自己申告がなければ、複数投下神かどうかも分からないってのも
住人としては悔しいしちょと情けないな
とりあえず、一回でも作品発表した職人さん。次回からは名乗って下さい
顔文字でもなんでもいいから
自分は今まで見た職人さん、全員に楽しませてもらってるよ〜ノシ
確かにまとめサイト欲しい。自分、新参で携帯なんで2も知らないんだ
自分的まとめ
男体の人→副長×伍長・伍長萌え絵
焦らしの人→4P
イカの人→?
獣姦の人→?(マー君?)
顔文字の人→オレルド×風邪伍長
衛生兵の人→?
魔女っこの人→少尉×変身伍長
ドンデレの人→ノンケオレルド×伍長
戦隊の人→三課とピンク伍長
115 :
114:2007/01/31(水) 02:30:20 ID:???
ごめんなさい。このスレ冒頭の
前スレ527さん(コテハン無し?)→オレルド×伍長
追加で
男体の人は、確か最初に少尉男体化を書いたからそのコテハン
あと、衛生兵の人と魔女っこの人は同一人物。暗くてシリアスな901部隊を2で書かれてたよ
>>111
是非
このスレで過去に執筆されたSSの保管庫があったらいいな〜
と、思っていた所です
途中からこのスレを知った人にもありがたいですね
自分全スレ保存してるのでSSだけまとめてみました。
絵については保存してないので把握し切れていません…
1スレ目
男体の人
「男体化少尉×伍長」
「伍長おっぱい」
「オレルド×伍長」
「若獅子×伍長」
「オレルド×伍長2」
「オレルド×伍長3」
「オレルド×伍長4」
「マー君×伍長」
「マーチス×伍長」
イカの人
「一人上手伍長」
「マーチス×伍長」
(´・ω・`)の人
「風邪ネタ前半」
焦らしの人
「マーチスvs天然伍長」
ドンデレの人
「伍長総受オッパイ」
不明
「オレルド×伍長2」追加エピソード
2スレ目
男体の人
「マーチス×伍長」(1スレ目の続き)
「副長×酔っぱ伍長」
「オレルド×伍長5」
「オレルド+マーチス×伍長」
「マーチス×伍長2」(途中)
焦らしの人
「狙われ伍長」
「ある浮浪者の話」
ドンデレの人
「マーチス×オレルド×伍長」
「オレルド(ノンケ)×伍長」
「続 オレルド(ノンケ)×伍長」
(´・ω・`)の人
「風邪ネタ後半」
「どー○ー伍長×ヤリ○ンオレルド物語」
衛生兵の人
「901部隊」
「魔女っ子伍長」
イカの人
「浮浪者×伍長」
不明
「若獅子×伍長小ネタ」
「ちんすこう小ネタ」
3スレ目
まだ名無しさん
「オレ×伍」
戦隊の人
「帝国戦隊パンプキンシザーズ」
ドンデレの人
「続々 オレルド(ノンケ)×伍長」
衛生兵の人
「魔女っ子伍長2」
間違ってたり抜けていたりしたらスイマセン
朝から覗きますよ、おはようございます。
みなさん暖かいコメントありがとうございます。
イメージ曲までつけてもらえて。そこからさらに萌えてもらって。
私も萌えました。皆大好き。・゚・(ノ∀`)・゚・。
私が伍長になれるなら皆にちゅうして周りたい位だ。
そして男体化の人ありがとうございます。
うほっwwwと喜びながら光速で保存しました。
純な表情なのがむしろいやらしいよ伍長。
体毛なくてもいやらしいよ。そうか、伍長自身がいやらしいからだ。
>>118-119 乙です。
そういや2の時には保存庫の話をしてませんでしたね。
どこかいいところがあればいいのですが・・・。
保管庫作るとしたらアダルトOKな鯖の方がいいのかな
A52段にしたら何ページの本になるんだろう。欲しいです・・・
男体の人さんの投下量に今更驚いた
他の職人さんたちも、複数レス費やしてらっしゃるわけで
つくづく皆様、ありがとうございます
しかしあらゆる相手がおりますなあ。頑張れ伍長
ちょっと思いついたので書いてみます。
特に注意はありません。おバカな話です。
仕事中&携帯からなのでさわりの部分だけです
こんにちは。ランデル・オーランドです。
戦災復興のため日夜努力しています。
所属している陸情3課の方々はとてもいい人ばかりです。
今日もお仕事頑張ろう。
気持ちを引き締め3課の部屋のドアを開けました。
「おはようございま…」
目に飛び込んできたのはフリルとレースの衣装に包まれたアリス少尉でした。頭から爪先まで完璧に着こなしています。
うわーっ、可愛いです。少尉。
「おはようございます伍長さん。アリスさん可愛らしいですよねぇ」
ステッキン曹長の言葉に心で相槌を打ってると、少尉がこちらを振り向いた。
「ああ、おはよう伍長。これから出掛けるぞ。」
その恰好でですか?
「そうだ。お前の分も用意してある。」はっ?俺がそれを着るのでしょうか?
「一応、庶務課に2着用意するようたのんだのだが、何故か1着は余りにもサイズが大きくてだな…。」
******************
すみません。また来ます
ゴ…ゴスロリペアルック?
お早くお帰りをお待ちしてます!wktk!
∧_∧ +
(0゜・∀・) ワクワクテカテカ
(0゜∪ ∪ +
と__)__) +
激しく気になるww
あと亀で悪いがこの場所を知ったのが2スレ目からなのでぜひ保管庫を、と
渇望してまつ
ふわあ!!
ROM専に戻ってたのに名前が挙がってて驚いた…
神の前で空気嫁このピザ野郎としか思われてないと思ってたのに。ありがとうございます。
ちなみに1スレ目で901准尉の遺言(?)的なもんを書いたのも自分です…
保管庫に期待。
>>129 「オレルド×伍長2」追加エピソードってやつですね。
>>125さんもですけど、また素晴らしいSSを書いてくれることを期待してます!
あ、訂正ですが、戦隊の人は「復興戦隊パンプキンシザーズ」ですね。
自分で書いたものなのに間違えた…
保管庫は作って欲しいですが、エロパロの保管庫はダメなのかなぁ…。
エロパロ保管庫はエロパロスレのもんだしなぁ〜…。
どっかでしたらば借りてくるかwiki形式でいくとか
ROM的に保管庫は大賛成だ
だって職人さんたちみんな高レベルだし
うっかり職人さんにも萌えてしまうがw
言っちゃイカンのかもだが女性多いよな…
すんません。おとなしく伍長に萌えときます
>133
職人萌えワロスwでも気持ちは分からんでもないw
保管庫、ログはメモ帳で取ってあるしサイトを作る技術もあるので
作れないでもないが、問題は鯖だ。
どっかいい所あればな。
135 :
男体の人:2007/02/01(木) 04:58:40 ID:???
感想下さった皆様、ありがとうございます。
>>106 す…すみません。あなたの人生を狂わせてしまったようでww
えーと、彼女にバレてフラれたら、もういっそのこと諦めて
伍長そっくりの彼氏を捜す…と言う手も…。
つか、そんな男がおったら俺が欲しいわwww
>>ドンデレの人
コテハンおめでとうございます〜。
そして拙作をお受け取り下さり、ありがとうございました!
本当にこのイメージ曲、ドンデレさんのオレ伍にピッタリですね!
これからもドンデレオレ伍、楽しみにしてます。
SSの保管庫の話が出てるんですね。
>>118-119さん、まとめ乙です!
我ながら、よくここまで投下したもんですね…w
2作投下した時点で「ネタ切れだ」と言っていたのが嘘のよう。
保管庫は、いっそ↓みたいにブログでやったらどうでしょうか?
ttp://blog.livedoor.jp/gachimuchi_6shaku/ ブログなら手軽だし無料だし、管理もしやすいんじゃないかと。
問題はカテゴリー(アーカイブ)をカップリングで分けるか
職人名で分けるか…ですが、
私や、焦らしの人、ドンデレの人のように
一人で何作も投下してくれてて
しかもそのほとんどがシリーズ物になってる場合は
職人名で分類されてた方が読みやすいかなぁ…?
あと私以外のサイト持ちの職人さんで、
ここに投下したSSをサイトの方に更新してる人に対しては
許可を取らなくてもいいのでしょうか?
ああ、長文になっちゃった…。ウザくてすみません。あうあう…。
え?
2に投下したものを自サイトに……ってのは、流石にないのでは
匿名での発表ということですから
(書き手の特定ができない以上、自作を公言することは危険。
あと2では、レス内容に著作権が発生しない・転載ありという前提のはず)
自サイト発表→2に転載、ならこの限りではないですが
ぶっちゃけ、勢いで投下したヤツは修正したいのが本音ですが
恥はさらしてナンボでしょうか、と呟いてみたりする
>134です。鯖あったけどどうしよう。
他に立候補者いなければ、なんか作ってみましょうか。
ブログのシステムは確かに管理しやすいからぶっとびのアダルト鯖も
捨て難いわけですが、でも分類とかの事を考えると、HTMLの方が
融通利くかな、とも…CSS苦手で。
あと携帯からも見れるようにしてあげたい。
>>136 確かにそうなんですが。
男体さんは絵もうpされてるので同一人物なのは確認可能ですし。
書き手への感謝の念があるが故に、義務はなくとも尽くせるだけの礼は
尽くしたい人情というものでしょうか。
さて…徹夜組の私はこれから寝ますよ。
伍長の瞳色のゼリー食って寝ますよ。
葡萄味ですよ(*´д`)
138 :
焦らしの人:2007/02/01(木) 08:05:33 ID:???
すげー久々でスミマセン……。orz
なんか前スレ流れててはやっ!とか思いますた。
すごいー新しい方たちもたくさんいらしてすげー!
伍長、男も女も萌やしてしまうといいよw!
ごめんなさい調子に乗りましたすいません。orz
SSをと思ったんですが…絵で支援です。
ttp://kossie.run.buttobi.net/cgi-bin/up/src/kos0077.jpg.html pass:5cho
※筋肉・汁・局部・とか駄目な人は見ちゃいけません…。
※ごめんなさい汁好きなんです。
まとめてくださった方すげー!文章の数ハンパじゃない…。
個人的に以前の文は直したい気持ちでいっぱいですけどね…。
まさに恥の書き捨てw。
orz
139 :
男体の人:2007/02/01(木) 08:15:47 ID:???
>>136 レスありがとうございます。
>2に投下したものを自サイトに……ってのは、流石にないのでは
すみません、私はやってます…(汗)
こちらに投下したSSを(もちろん自分の作品だけですが)
新たに挿絵をつけてサイトの方にアップしています。
でも確かに書き手の特定という部分においては不明瞭ですよね。
サイトのほうで「自分が書いた」と偽って他人のSSを更新する人も
いないとも限りませんし、サイト管理人である私のほうが
そう思われても仕方なかったかもしれない。
私は絵のほうもやっているので、
絵柄で『男体の人は私ですよ』という証明になるかなぁと思い、
書き手を特定しやすいようにと、あえて絵のほうも晒していました。
自作に限り、著作権うんぬんにはこだわってませんし
転載当たり前の2のルールも承知しています。
こちらで投下したSSを、自サイトに掲載するのは
今考えればかなり危険だったのですね…(汗)
これからはまずサイトで発表してから、このスレに転載したほうが
いいのかしら?
それはともかく、確かに、恥はさらしてナンボですw
修正したいとか、私のSSだけは保管庫に入れないでとか、
そんなことは微塵も思ってませんので(むしろ『入れて!』って勢いです)、
その辺りは誤解しないで下さいませ。
サイト持ちの方で「自作SSを保管庫に入れられるのは嫌だ」と
思っている方がいるのではないかな、もしそうなら
「保管庫に入れられるんなら、もうこのスレには投下しないで
サイトの方だけで更新しよう」と思われると困る(私がw)。
だからサイト持ちの方に対しては、迷惑をかけないためにも
最初から転載許可か不許可かを伺ったほうがいいんじゃないか、
そう思って出た疑問でした。変なこと言って、すみませんでした。
>>137 心の底から、お疲れさまです!
そうですね、ブログは分類の点でちょっと見づらそうですもんね(;^^)
自分がPC閲覧だから、携帯の人のこと忘れちゃってました。すみません(汗)
他力本願で申し訳ありませんが、保管庫制作頑張って下さいね。
よろしくお願い致します。
死ぬほど美味そうなゼリーですね……w
>>焦らしの人
おおっ、久々の焦らしさんの絵だぁ!
汁だく伍長エロすぎる!力一杯GJ!!です!
豊満なオッパイに目が釘付けですよw
これは確実にパイズリもやらされちゃいましたね、伍長…?(*´Д`)
140 :
136:2007/02/01(木) 12:55:08 ID:???
なんだか公開交換書簡みたいで済みません
>男体の方様(なんか妙な……)
匿名掲示板→自サイト云々に関して、神経質になって済みませんでした
文字だけの場合、本人立証が難しいのと
現実に見知らぬ人に自作扱いされたことや、当方を騙られたこと
キャラ名すげ替えで転載……といった事象を経験して
(2に限らずサイトやオフラインでも)
勝手に「危険行為に当たるのでは」と危惧しておりました
失礼致しました
書き逃げ・ログ流れだからこそかませた暴挙でした
今までの投稿分は、保管庫管理人様の裁量にお任せ致します
(ああでも帝国・共和国のミスだけはなんとか……済みません済みません)
↑修正します
×・2に限らず→○・2ではなく、でした
ひょっとしたあるのかもしれませんが、未確認です
なんだかえげつない話で済みませんでした
うわあああ、済みませんなんか大事なこと忘れてました
ええと、自分捏造901と魔女っこ書いたはずです済みません
( ゚д゚)<・・・
(゚д゚;)<なんかスゲー話を聞いてしまった・・・
けど絵のタッチみたく文にも癖とかあるだろーに・・・
ドンマイだ。衛生兵の人
伍長を愛する者はんなことしない!
>>138 焦らしの人GJ!
コラーゲン補給ですなw
145 :
男体の人:2007/02/01(木) 16:58:59 ID:???
>>136 衛生兵の人でしたか。
『方様』なんてやめて下さいw 『人』でいいですよ。
そんな思いをされていたのなら、転載に関して
多少神経質になってたとしても仕方ないですよ…。
別に謝ることはありませんし、むしろご意見頂けたこと
可能性に気づかせて下さったことに感謝しております。
それに、私もオリジナル作品をパクられたという
最高に嫌な経験がありますので、心中お察し致します…。
本当にさぞつらく、悔しい思いをされたことでしょう。
にも拘らず、またここにこうして伍長萌えSSを投下して
下さって、本当に嬉しいです。
これからの作品も楽しみにしております!
特に魔女っ子w 最高ですw
>>137(保管庫制作者さん?)
えーとえーと、衛生兵の人に便乗して、私からもお願いが…。
前スレ最後に投下していた『マーチス×伍長2』の途中のヤツ。
あれ、とんでもミスをやらかしているので
(ショルダー背嚢てなんだw)、
これだけ保管庫行きから除外して下さいませんか?
いずれ完結させたものを投下しますので、
よろしくお願い致します。
あー、SSでもないのに、一人で貴重なスレを消費しすぎですね。
すみません…。しばらく戦車の中にこもってます…orz
146 :
戦隊の人:2007/02/01(木) 23:45:38 ID:???
転載とかに関しては住民の方々の良心を信じるしかないですね。
でもこのスレは今までいい雰囲気でやってこれたし、多分大丈夫かな?
あと、私はサイトも持っていませんし、保管庫は是非とも欲しいので、
他力本願ではありますが
>>137さん、よろしくお願いします!
その際はオレルドをブルーに…
>>焦らしの人
うををを、濃い潤い補給GJでした!
いい顔だ〜vv
>>144 いや、タンパク質でしょうwww
短期間に神職人が集結してて、本音や裏が聞けて少し嬉しい
みなさま無理はされないように〜
>>焦らしの人
お久しぶりです。久々の伍長絵に萌えさせていただきました。
汁だくは大好きなのでバッチコイ。
コラーゲンでもタンパク質でもそれで伍長がもっと美人になるならなんでもいいw
自分も表明だけでもしておこうと思います。
サイトは今現在持ってません。
持ったとしても、サイトにここへ投下した小説を載せることはまずありません。
>>137さん、大変だと思いますが保管庫を作っていただけると有難いです。
よろしくお願いします。
自分の小説は読み直さないに限るな。
誤字脱字がイパーイorz
初投下します!
神職人の皆さんと素敵過ぎるスレに感謝です。
※ラーンと伍長です。でもラーン×伍長ではありません。
※ベースはオレルド×伍長。
※過去の神職人のSSと背景がかぶっている所もありますが、
あくまでもリスペクトです。
※伍長の過去を若干捏造。
初心者なので、読みずらい、過去のどこかのSSとネタがかぶってる、
原作を勘違いしてる、その他諸々、お見苦しい点が多々あると
思います。ネタはなるべくかぶらないように注意しましたが、
それでもかぶっていたらすいません…orz
「願い事は、叶った事などなかった。
探している物は、一度も見つかった事はなかった。
年をとった兵隊さんが言っていた。
戦争が始まる前も、戦争が終わった後も、
ただ、空が青くそこにあった、と。
だから、俺がどこか知らない所で独りで死んでも、
きっといつもと同じように、空がそこにあるんだ」
三課に配属されて、どれほどの月日が経ったのか、ランデル・オーランド伍長はぼんやりと考えていた。
自分を仲間と認めてくれた、新しい居場所。命を掛けても守りたい仲間。しかし…。
この心の片隅にある、空虚感はなんだろう?伍長はいつしかそんな思いに捕われていた。
この感情をどう表現したら良いのか、伍長は自分が知る言葉を全て思い返しながら今の気持に
当てはめてみた。
寂しい、悲しい、苦しい、怖い、そうであるような気もするが、ぴたりと当てはまる物でもなかった。
仲間と一緒にいる時も、何故かそこに自分がいないような錯覚を時々してしまう。
もしかしたら、自分はどかこの戦場の薄暗い塹壕の中で、夢を見ているんじゃないか?そんな思いに
伍長は時折囚われていた。
「よお、ウスノロ。仕事終わりにシャワーかい?」
いつものように仕事が終わってシャワーを浴びていた。しかしぼんやりと考え事をしていたので、
聞き馴れない声にも、数人の男に囲まれていた事にも、今の今まで気が付かなかった。
一課のダブル・ショーテル、ラーンとその仲間達が下卑た笑いを浮かべながら伍長を取り囲んだ。
「ロクな仕事もしねーでちゃっかりシャワー使おうっての?お湯がもったいねーんだよ」
明らかに悪意を含んだ男達の笑い顔に、伍長は戦慄した。しかも一糸まとわぬ姿なので、心細さは一層
恐怖心を煽った。左右には仕切りがあるので逃げる事は出来ない。伍長は無意識に後ずさったが、
冷たい壁に体を押し付ける事が精一杯だった。
「俺達が特別にお前を洗ってやるぜ」
ラーンが合図すると、仲間の数人が水道のホースを伍長に向けて蛇口を全開にした。
「ひっあ!冷たい…!や、やめて下さい!!」
強烈な水圧の冷水を浴びせられ、伍長は身を捩りながら逃れようとした。それに合わせて冷水が執拗に
追い詰め、とうとう伍長は両手で自分の肩を抱きながらその場にしゃがみ込んだ。
無抵抗な伍長に尚も冷水を浴びせるラーン達は、伍長の惨めな姿を嘲笑した。
「よーし、もういいだろう」
ラーンが再び合図を出して、やっと冷水が止まった。
ずぶ濡れの伍長が小刻みに震えながら恐る恐るラーン達を見た。濡れた髪の隙間から覗く青みがかった
灰色の瞳が、おののきながら瞬きをする。
「な…なんで、こんな事するんですか?お願いです…っ、や、やめて下さいっ…」
「はははっ!やめて下さい、だってよ!こいつ全然弱いじゃねーか」
「三課に配属されるぐらいだ。その程度のデクノボウなのよ!」
「威勢がいいのはあのちっこい隊長だけじゃねーか!女の尻に敷かれた腑抜け野郎!」
浴びせられる罵詈雑言を、伍長は震えながら耐えていた。伍長にはある癖があった。
その場をやり過ごすために、黙って息を殺して立ち去るのを待つ、と言う癖だった。
以前所属していた「場所」でもそうだった。そうする事で自分が傷付く事を最小限に留めていた。
それが自分を守るために自然に身に付いた処世術だった。
しかし、それが返って状況を悪化させる事もあった。その姿が、自分でも気が付かないうちに
魔性の妖しさを滲ませている事に伍長は気が付いていなかった。
一瞬、ラーンがその瞳の妖しい光に魅入ってしまった。こんなに大きくて傷だらけで、決して
女の代わりになどならないであろう巨漢に、心の奥底でゾクリと得体の知れない感情が疼いた。
それはその場に居合わせた仲間達も同様だった。誰かがゴクリと喉をならした。
「…おい、たまには趣向を変えたお遊びってのもいいんじゃないか?」
「まぁ、女には不自由してねぇけどさ、こういうのもたまにはアリだよな?」
男達の言葉に、伍長は鳥肌を立てた。そして心の奥底で「やはり」と思った。忌わしい過去の記憶が
膿のようにじくり、と滲み出た。殴られ、蹴られ、下半身を犯された痛みが嫌でも蘇って来た。
「上官に奉仕するのも、部下の仕事だぜ。なぁ、伍長殿」
ラーンの言葉を合図としたように、数人の男に伍長は取り押さえられた。
「それ絶対に直らないぜ。捨てちまえよ。そんなボロカメラ」
「資材課に見てもらえば直るかもしれないだろう?フラッシュはまだ生きてるんだから」
大事そうにカメラを抱えたマーチスと、呆れた口調のオレルドがちょうどシャワー室の前を通り過ぎよう
とした時だった。不自然な物音と、数人の男の声が聞こえて来た。
「あっ…!やっ!やめて下さい!お願いです!やめて…っ!」
シャワー室の奥から聞こえて来たその良く知った声に、オレルドとマーチスは顔を見合わせた。
「伍長だ!」
二人は慌ててシャワー室に駆け込んだ。
「お前イヤだって言ってるくせに俺達のこと誘ってんじゃねーかよ!」
「すげー胸。以外と柔らかいじゃねぇか」
「バージンみてーに怖がってやがるぜ」
床に押し倒された伍長が泣きながら抵抗する。しかしその仕草がかえって男達の欲情を掻き立てた。
「パシャッ!」
一瞬シャワー室に閃光が走った。驚いた男達が一斉に光源に目を向けると、そこにはカメラをもった
オレルドが仁王立ちしていた。
「お前ら、証拠写真はバッチリ撮らせてもらったぜ。この始末、どうおとしまえ着けてくれるんだ?」
慌てて伍長から離れた男達をすり抜けて駆け寄ったマーチスが、自分のコートを脱ぐと伍長を包み込んだ。
「大丈夫?伍長!どこかケガしてないかい?」
「マーチス准尉…!ひっ…ふぐっ…大丈夫、です…」
伍長に触れるマーチスの手に、コート越しに震えているのが伝わった。
「な…なんだよ!俺達はただこいつとふざけてただけじゃねーか」
「何そんなに怒ってんの?バッカじゃねー?」
オレルドに凄まれ、ラ−ン達は顔を引きつらせながらそれでも悪態をついた。
「写真を現像されたくなかったら、後で伍長に詫び入れに来いよ。分かったな?!」
静かな口調ではあるはが、憎悪と怒りに満ちた形相のオレルドにそう言われて、ラ−ン達は退散するしか
なかった。
「ふー、このカメラ、役にたったぜ。サンキュー、マーチス」
逃げ去る男達を見送ると、オレルドはいつもの優しい顔になって二人に歩み寄った。
「どうせ中身はフィルム入ってないけど、案外騙せるもんだね」
ふっと安堵の笑みを漏らした二人だったが、伍長の震える泣き声に再び険しい表情をした。
「大丈夫か?デカブツ。まったくひでー事しやがって」
「はい…っひっく、大丈夫です。危ない所で…助けてもらいました…」
「立てるかい?とにかく早く体を温めないと。このままじゃ風邪をひいてしまうよ」
自分よりもずっと華奢で小さなマーチスに支えられて、伍長はよろめきながら立ち上がった。
オレルドとマーチスは冷静を装いながらも、激しく動揺していた。よりにもよって伍長が数人の男に
レイプされようとした事実を、どう受け止めて良いのか分からなかった。未遂にしろ、伍長は相当な
精神的ダメージを受けているであろうことは理解出来る。二人に支えられながら歩く伍長はもう泣き止んで
いたが、体の震えはいまだに止まらないでいた。
三課の執務室には幸い誰もいなかった。
すっかり暗くなった窓の外を、木枯らしが吹き抜ける音を聞きながら、オレルドは黙って見つめていた。
ソファには、毛布にくるまれた伍長が俯いたままやはり黙り込んでいた。
マーチスが食堂から戻って来た。
「はい、伍長。暖かいミルクだよ。砂糖をオマケで入れてもらったから、美味しいよ」
「…すいません…」
カップを受け取る伍長の手が、微かに震えていた。
「あの…」
絞り出すように伍長が話し始めた。
「さっきの事…、他のみんなには黙っていて下さい。余計な心配かけたくないし…」
「分かってるよ、伍長。心配しないで」
マーチスが優しく微笑んで、震える伍長の肩をそっと撫でた。
男がレイプされそうになったなどと、言える訳がない。仮に報告した所でさらに傷付くのは伍長の方だ。
しかしオレルドは何故か別の怒りを燻らせていた。この怒りを、当の伍長にぶつけてやりたい気持と
今はそっとしておきたい気持がない交ぜになって、黙る事しか出来なかった。
「ちくしょう…!」
ラーンは行き付けの酒場で、カウンターの隅でウィスキーの入ったコップを握り締めながら、低く唸る
ように吐き捨てた。
「何だい?荒れてるねぇ。ラーン」
カウンターの中からバーテンダーが話しかけた。しかしラーンは気が付かないのか、バーテンダーの言葉には
反応しなかった。バーテンダーは肩をすくめると、ラーンから離れた。
『何だよ、アイツ!何で本気で抵抗しなかったんだ?俺だってバカじゃねぇ。あの傷見ただけで、
どれほどの戦場を渡り歩いて来たか想像が付く!それにあの筋肉の付き方だってそうだ。あれはただの
お飾り筋肉なんかじゃない、実戦向きの筋肉だ。あの体格だったら俺達なんか訳なく倒せるはずだ!
それなのに何でアイツは…!』
ラーンの脳裏には怯えるブルーグレーの瞳の輝きが、いつまでもこびり付いていた。震える唇、濡れた髪、
扇情的な美しい腰のライン。まるで魔性の妖しさを称えた伍長の色香に、ラーンは戸惑っていた。
その気持を振り払うように、ラーンは残りのウィスキーを一気に飲み干した。
翌日。いつもと変わらぬ素振りを見せる伍長に、オレルドとマーチスは安堵していた。しかしそれが
返って痛々しくもあり、二人は慰めの言葉を見つけられないままでいた。
「伍長、済まないがこの資料を資料室に戻して来てくれないか?」
アリスの指示に笑顔で答えた伍長は、大量の本や資料を軽々と抱えると執務室を出て行った。
資料室の前まで来て、伍長は狼狽えた。両手が塞がってドアが開けられない事に気が付いた。
仕方なく、一度床に本を置こうと思ったその時、誰かがドアを開けてくれた。
「あ、すいません!助かります」
その人物を見た時、伍長は驚いた。
「話がある。ウスノロ」
ラーンがこちらに来いと言うように顎を振った。
伍長がいない執務室で、オレルドがため息をついた。
「ちょっと伍長の手伝いに行って来るか」
席を立ってドアに向かって歩いて行く後ろ姿を、マーチスは黙って見送った。
「オレルド」
アリスが席を立ち、オレルドを呼び止めた。
「分かってますよ。サボったりしませんって。すぐに戻って来ますから」
また怒鳴られるんじゃないかと、オレルドはニヤけた表情でアリスに振り返った。しかし、アリスは
怒るどころか神妙な面持ちでオレルドを見ていた。
「オレルド…、伍長は…何かあったのか?」
一瞬オレルドとマーチスは緊張した。昨日の事がアリスに知れたのかとも思ったが、「何かあったのか?」
と聞く所を見ると、詳細までは分かってはいないのだと、取りあえずは安心した。
「何かって…どうしてですか?」
「どうも伍長の様子が変だ。元気がないような気がするのだ。何か心当たりはないか?」
こういう感の鋭さはただ者ではない、オレルドとマーチスは改めて感心した。しかし、本当の事を言う
事は出来ない。マーチスはオレルドに困惑の視線を送った。
「あぁ、そう言えば猫がどうとかって言ってたっけなぁ」
「猫?」
オレルドの間の抜けた声に、アリスが首を傾げた。
「いやぁ、橋の下で餌をあげてる猫の一匹が具合が悪いそうなんですよ。それで心配なんだって、
アイツ言ってましたよ」
「そうか…。だから伍長は元気がないのだな」
アリスは納得したのか、再び席に着いた。マーチスはオレルドの咄嗟のウソに胸を撫で下ろした。
オレルドは平静を装いながら、執務室を出て行った。
『まったく、俺に嘘をつかせやがって!この借りは後で返してもらうからな、デカブツめ!』
心の中でオレルドは悪態をついた。
『本当にアイツは嘘の付けないヤツなんだなぁ。…まぁ、仕方ないか。アイツはそう言うヤツなんだ。
純粋で人懐っこくて猜疑心ってモンがない。弱虫で泣き虫で、いつもどこかおっかなびっくりしながら
俺達の後をついて来る。大体そんなヤツが…』
オレルドがふと立ち止まった。
「そんなヤツが…、なんで兵隊になったんだ?」
資料室の奥まった薄暗い一画まで、本を抱えた伍長はラーンに黙って付いて行った。
「何故だ。答えろ。どうしてあの時本気で抵抗しなかったんだ」
振り返りもせず、ラーンは伍長に質問した。
「お前は戦場返りだろう?傷を見て分かったよ。あんな傷作っても生きてるなんて、お前は俺が
想像している以上に強い筈だ。そんなお前が、どうして抵抗しなかったんだ!」
振り返ったラーンが見たのは、悲しく光るあのブルーグレーの瞳だった。
しばらく沈黙が続き、やっと蚊の鳴くような、弱々しい声で伍長が答えた。
「戦場で…、人を殺した事はありますか?」
予想外の答えに、ラーンは一瞬面喰らった。しかし伍長の悲しみに満ちた瞳から目を逸らす事が出来ない。
「い、いや、俺は一度も戦場には行っていない。…それがどうしたってんだよ!」
「良かった。まだ人殺しをしていないんですね」
初めて伍長の笑顔を見たラーンは、一瞬怒りを忘れてしまった。見る者に温もりを与えるような、
優しい、慈愛に満ち溢れた笑顔だった。しかし、その笑顔はすぐに曇って伍長は俯いてしまった。
「…最前線で…、俺は何人もの同僚や上官にレイプされました。最初は、本当にイヤでした。
でも、死んで行く仲間を見て行くうちに…抵抗する事が出来なくなって来ました。明日にも
死んでしまうかもしれない仲間に、俺が出来る事って、何だろう、そう思うようになったんです。
体を半分吹き飛ばされた人、戦車に轢き潰された人、泥水の中でもがき苦しんで死んだ人…、
辺りには死臭と硝煙と肉の焼ける匂いが充満してました。ついさっきまで生きていた人が、次の瞬間
肉の塊になっていたんです。それを見ていたら、今俺を抱いている人も明日はそうなってしまうかも
しれない…だったら、少しだけ我慢しよう。…そう思えるようになったんです」
抑揚のない話し声に、ラーンは寒気すら感じた。そして伍長の話を想像して、吐き気がして来た。
自分の知らない戦場。屍をゴミのように踏みつけながら前進を止めない兵隊の姿。生きながらにして
地獄絵図を見て来たこのブルーグレーの瞳が、静かに、そして悲しくラーンを見つめた。
「…だからって…、今はもう戦時下じゃない!我慢して俺達にいいように遊ばれる理由は無いじゃないか!」
ラーンは泣きそうになる気持を必死に抑えて、伍長に怒鳴った。
「…他人を…傷つけるのは、もうイヤなんです。俺が我慢すれば済む事だったら、俺はそっちを
選びます。それに…」
伍長がラーンから目をそらした。
「今さらレイプされても…、もう数の内には入りませんから…」
ラーンはそれ以上言葉が出なかった。この男がどれほどの体験をして来たか、自分の想像を超える
惨たらしい世界をその瞳で見て来たのかと思うと、もう何も言えなかった。
会釈をして去って行く伍長の後ろ姿が、涙で滲んで見えなくなったラーンは独り言を呟いた。
「…ちくしょう…!!何だってンだよ!お前は…!」
その一部始終を、物陰からオレルドが聞いていた。
オレルドが抱いていた怒り、それはラーンと同じだった。何故本気で抵抗しなかったのか。
それを伍長に問いつめたいと思っていたオレルドは、先刻の伍長の話を聞いて自分の浅はかさに
舌打ちをした。
「デカブツ!」
資料室から戻る伍長の後をオレルドが追って来た。
「オレルド准尉…」
きょとんとした表情で振り返った伍長は、いつもの柔らかい表情だった。
「水臭ぇんだよ!お前は!」
いきなり怒られたような気がして、伍長は思わず謝ってしまった。
「ご…ごめんなさい!」
「何で謝るんだよ!」
「だって…、俺また何かオレルド准尉の気に障る事したんじゃ…」
「ばーか。別に怒った訳じゃねぇよ。大体おめぇは何でもかんでも謝り過ぎなんだよ!そのヘタレ根性
いい加減捨てろ!」
「すいません…」
「ほら!また!」
オレルドに注意されて、思わず伍長は口に手をあてて顔を真っ赤にした。
「…さっきの話…、聞いちまった」
急に神妙になったオレルドから、意外な言葉を聞いた伍長は、心臓が止まる思いがした。
「お前を責める積もりもなければバカにする気もない。むしろそんなお前の気持に気が付かなかった事を
俺は悔やんでるんだ。俺だって…ラーンと同じだ。戦場なんて別世界の話さ」
伍長は見た事もないオレルドの切ない表情に戸惑った。いつも明るくて飄々とした伊達男が、伍長に
見せる微かな弱さだった。
伍長はどうしていいか分からず、何とか話をしようと色々と考えを巡らせた。こんな時はどんな事を
言えばいいのか、気の利いたセリフなんて一つも思い浮かばなかった。
「…あの…」
顔を真っ赤にした伍長がやっとの思いで声を出した。それに気が付き、オレルドが伍長の顔を見上げた。
「俺の体の傷…ほとんどが戦場で怪我した物です…。でも一つだけ戦争で付けた傷じゃないのがあります」
オレルドは伍長がゆっくりと動かす指先を目で追った。伍長は顔の中心を横断する大きな縫い目の傷を
指差すと、いつもの人懐っこい顔で笑った。
「俺が小さい時、父に付けられたんです。でもその人は本当のお父さんじゃなくて、母の再婚相手
でした。本当のお父さんは知りません。母も誰かは分からないって。そう言う商売してたから、仕方ない
んですけど…」
まるで楽しかった思い出を語るような口ぶりに、オレルドは切なさが込み上げて来た。
「その父は酔って暴れたり、母を殴ったりしました。ある日、酒瓶を割ってそれを母に振り上げた時、
母を庇おうとしてその酒瓶で顔を斬られました」
照れた顔で傷を撫でる伍長は、話を続けた。
「俺、子供の頃いつも父に殴られてばっかりで、ごめんなさい、ごめんなさい、ってそればっかり
言ってました。だから、ついごめんなさいがクセになっちゃったんです」
その笑顔は、子供のそれだった。屈託のない顔が、澄んだ瞳が、オレルドの切なさを更に掻き立てた。
伍長は何とか話を変えようと咄嗟に思い出して話しただけの、ただの昔話のつもりだったかも
知れないが、オレルドには伍長の凄惨な過去の話が一つ増えただけだった。
「…デカブツ…、お前…」
オレルドが何かを言おうとしたが、何故かそれ以上言葉が出なかった。ただ、伍長を見つめる目が
悲哀に満ちていた。オレルドは無意識に右手を動かして、伍長に触れようとした。その時、
「あ、あの!変な話をして、すいませんでした!どうか気を悪くしないで下さい…」
顔を真っ赤にして狼狽える伍長は、その場に居る事がいたたまれないのか、頭を下げると慌てて
立ち去った。
独り取り残されたオレルドは、ぎこちない早歩きで遠離る伍長の後ろ姿を見つめた。
『俺は…何を言おうとしたんだ?今のアイツにはどんな慰めの言葉も無意味じゃないか!生半可な
言葉は、むしろアイツを傷つけるだけなのに。なのに…、なんでアイツはあんなに優しく笑う事が
出来るんだよ!』
伍長に触れようとした右手が、所在なく空を掴む。それに気が付いたオレルドは右手を見つめた。
『俺は…アイツに何をしようとしたんだ?』
その真意に気が付かない振りをして、オレルドはため息を一つついた。
夕方からの曇り空が、仕事を終えた頃には小雨に変わっていた。
「デカブツ。今夜は俺の部屋に泊めてやる。いくら橋の下でも横風で雨が吹き込むだろ?」
「え?…でも…。俺なら平気ですよ、これぐらいの雨なら」
遠慮する伍長の背中に、マーチスが声をかけた。
「遠慮することないよ、伍長!オレルドが自分の部屋に女の子以外の人を泊めるなんて珍しいんだから」
「余計な事言うんじゃねーよ!」
「そうだ、伍長。オレルドもお前を思っての事だ。世話になるといい」
アリスがもじもじする伍長の大きな猫背を軽く叩いた。その一言に決心したのか、小さく「はい」と頷いた。
「この忙しい時に風邪でもひかれたら困るのは俺達なんだからな!別に気にしてるとかそんなんじゃ…」
「もーっ!オレルドさんったら素直じゃないんだからぁ。本当は伍長さんを一番心配してるのは
オレルドさんじゃないですかぁ!いつだったかも伍長さんが怪我した時…」
その言葉を中断するようにオレルドはステッキンのこめかみに思いっきり握りこぶしを押し付けて
グリグリと力を込めた。
「いたああぁい!!やめて下さい!オレルドさん!」
「お前も余計な事言うんじゃねーぞ。分かったな!」
半泣きしながら抗議するステッキンを、伍長はオロオロしながらなだめた。
伍長はオレルドの後をおずおずと付いて行き、ロッカールームに入って行った。無言で着替えるオレルド
をチラリと見ながら、伍長は先程のステッキンの言葉を思い出していた。
『伍長さんを一番心配してるのはオレルドさんじゃないですかぁ!』
その言葉が気になって仕方がなかった。オレルドが自分を心配してくれる。もしそれが本当だったら、
そう思うと嬉しさが込み上げて来た。しかし、それと同時にどうして自分なんかを心配してくれるのだ
ろうと疑問も浮かんで来た。
着替えをしながら伍長は遠慮がちにオレルドに声を掛けた。
「あの…」
「なんだ?」
「さっきステッキン曹長が言ってた事って…」
「あーあ!傘が一本しかねーや。仕方ねぇ、相々傘で帰るか。デカブツ!お前が傘持てよ。お前の方が
デカイんだからな」
「え?えぇ?!あいあいがさって…。いいですよ!俺傘いりませんから!」
「バカヤロー!それじゃぁお前を一晩泊める意味がねーだろうが!風邪ひかれたら困るのは俺達だって
さっきも言ったばっかりだろう?物覚えが悪いぞ!デカブツ!」
「…すいません…」
一喝されてしゅんとした伍長は、先ほどのオレルドへの質問を言い出せないまま、男二人の相々傘を決行
する事となった。
巨漢と色男の相々傘は、どうしても人目を惹いてしまう。道を歩いていると誰もが振り返って行った。
伍長は顔を真っ赤にさせながら、少しでもオレルドが雨に濡れないように、傘を多めに傾けた。照れる
伍長とは正反対のオレルドは、そんな好奇の目など意に介さず、堂々と歩いていた。伍長は横目で
チラリとオレルドの横顔を盗み見た。あまり人の顔をじっくりと見た事がない伍長は、オレルドの
整った顔立ちに視線が釘付けになっていた。
端正な甘いマスク、深い森のような綺麗な瞳、美しいストロベリーブロンドの髪。まるで人気の
舞台俳優のようだと、伍長は思った。それに比べて自分はどうしてこうもさえないんだろうかと、逆に
自己嫌悪に陥った。
『オレルド准尉はどうしてこんなに堂々と生きていられるのかなぁ?カッコイイし、いつも自信に満ちて、
女の人にもモテるし…。きつい事たまに言うけど、何故だかそれが嫌味じゃない。それにすごく…
優しい…』
そう思った瞬間、オレルドが伍長の顔を見上げた。
「わっ!」
「何だよデカブツ。顔が赤いぞ?まさか風邪ひいたんじゃねぇだろうな?」
「ちっ、違います!あの…っ、あぅ…」
「風邪じゃないならいいけどよ。着いたぞ。ここだ」
オレルドが先にアパートのドアを開けて入って行った。傘をたたみながら、心臓の鼓動がいつまでも
治まらない伍長は、オレルドの後に付いて行った。
初めて見るオレルドの部屋はきれいに整頓されたシンプルな物だったが、橋の下で寝泊まりしている
伍長には全てが快適に見えた。
「荷物は奥に置いておけ」
「あの…オレルド准尉。…ありがとうございます」
オレルドの背中に、顔を赤くして伍長が照れながら言った。
「なぁんだ。ありがとうって、ちゃんと言えるじゃないか」
伍長が今までに見た事がないような、優しい笑顔でオレルドが振り返った。その笑顔に伍長の心臓は
また鼓動を早くさせた。
オレルドは帰り道の途中で買って来た惣菜をテーブルに並べると、手際良くパンをナイフで切って
伍長の惣菜の皿に添えてやった。その優雅さすら漂う一連の所作に、またも伍長は見蕩れてしまった。
「ここの露店のラタトゥイユは絶品なんだ。肉は入ってないから、お前も食べられるだろう?」
「はい。いただきます」
伍長はオレルドの心配りが嬉しかった。苦手な食べ物をちゃんと分かっていたんだ、自分の事を
考えてくれているんだと思うと、とても幸せな気分になった。
「旨いか?」
「ふぁい!おいふぃいでふ!」
口一杯に頬張る伍長の食べっぷりを、オレルドは優しい眼差しで見つめていた。その視線に気が付き、
伍長が顔を上げた。
「どうしたんですか?准尉。食べないんですか?」
「お前…、可愛いなぁ」
優しい笑顔のままで言うオレルドの言葉に、伍長は一瞬硬直した。
「なっ…、なっ!何を言って…!」
「飯食ってるところが、なんて言うか、草食動物みたいで。馬みたいだ」
「う…、馬?」
アリスに初めて会った時、「馬のピーロに目が似ている」と言われた事を伍長は思い出した。
「お前って、からかうとリアクションいいから面白ろいなぁ、ホント」
「や、止めて下さい!…俺、そんな面白い人間じゃないですから…」
顔を真っ赤にして伍長は俯いてしまった。
「あれ?怒った?」
黙ったままの伍長に、オレルドは少し心配になって顔を覗き込んだ。
「俺…、冗談も言えないし、他人の気を引くような話も出来ないし…、オレルド准尉みたいな気配りも
出来ません…」
消え入りそうな声にオレルドは眉をひそめた。伍長を傷つけてしまったのではないかと、良心が痛んだ。
「どうすれば准尉みたいに自信をもって生きていけるんでしょうか?…どうすれば…、俺に付きまとう
不安が無くなるんでしょうか…?」
オレルドは、伍長の言葉の最後の方が少し涙声になっている事に気が付いた。
「…不安?」
オレルドが訝しがる。
「夢を…見るんです」
伍長は俯いたまま独り言のように、静かに喋り始めた。
「冷たくて暗い淀んだ水たまりに、無数の屍体が浮かんでいるんです。俺は腰まで水たまりに浸かりながら
銃を握り締めているんです。すると、水に浮かんでいる屍体が俺を水の中に引きずり込もうとするんです。
…時々思うんです。本当はまだ戦争は終わってなくて、まだ俺は戦場で人を殺し続けているんじゃない
かって…。三課のみんながいるこの世界が、実は夢なんじゃないかって、…そんな気がする時があります」
オレルドは目の前にいる巨漢が、とても小さな子供に見えた。微かに震える肩が、今にも泣きそうな声音が、
自分の目の前から消えてしまうのではないかと不安にさせた。しかし…。
「ばーか」
いつもの揶揄するようなオレルドの声に伍長は顔を上げた。
「お前なぁ、そんなくだらない事考えてたのか?夢とか現実とか、俺にはこれっぽちも興味はねぇよ。
いいかデカブツ。この世界が夢なのか現実なのか、そんな事、実は誰にも分からないんだよ。むしろ
そんな事は大して重要じゃないんだ。良く聞けよ。大事なのはお前がお前らしく生きて行ける世界が
お前にとって現実の世界なんだ。分かったか?ばかやろう」
一気にまくしたてるオレルドの言葉に、伍長は呆気に取られてきょとんとしていた。
「俺の言ってる事分からないかもしれないけどよ、誰だって不安なんだよ。みんながみんな、器用に
生きてる訳じゃない。俺だって、不安になる時はあるさ」
「オレルド准尉も…ですか?」
意外な言葉に伍長は目を丸くして驚いた。少し照れくさそうに笑うと、オレルドは惣菜を口に運んだ。
「早く食べちまえ。すっかり冷めちまった」
それっきり黙って食事をするオレルドに、伍長はそれ以上声をかける事が出来なかった。そして伍長も
残りの惣菜を食べ始めた。
「お前はこっちのベッドで寝ろ」
奥から毛布を持って来たオレルドは、ソファに自分が寝る準備をし始めた。
「いえ!俺は床でも大丈夫です!寝袋も持って来てますし…」
「お前なぁ、部屋の中まで来て寝袋はねぇだろう?滅多にベッドで寝れないんだから、たまには寝てみろ」
そう言うとオレルドは灯りを消してソファに横になった。ベッドサイドの小さな灯りに照らされながら、
伍長はしばらく困惑していたが、諦めてベッドに潜り込んだ。
毛布を顔の半分まで掛けると、ふんわりとオレルドの匂いがした。心臓がトクトクと鼓動を早め、
しばらく眠れなかった。伍長は自分に背を向けて眠っているオレルドをチラリと見ると、すでに
静かな寝息を立てていた。安心した伍長は大きく深呼吸をすると、そのまま深い眠りに落ちて行った。
『…おい…』
誰かが強引に深い眠りを覚醒させようとしていた。
『おい、起きろ』
ぼんやりとしていると、誰かが足を小突いた。
「さっさと起きろよ!順番があるんだ!」
目を醒ますと、逆光に照らされて顔の良く見えない男が伍長を見下ろしていた。
伍長はほころびた軍服のまま薄汚れた毛布を被って膝を抱えていた。周りを見渡すと、簡素な作りの
ベースキャンプに数人の男達がいた。自分と同じ軍服を着て、自分と同じランタンを腰に下げていた。
「早くしろって!いつまで寝ぼけてやがるんだ!」
焦れた男が伍長の腕を掴んでその場から引っぱり出した。伍長はただ驚くばかりで抵抗する余裕もなかった。
「おい!俺達の番に回すまで痛めつけんじゃねぇぞ!」
「さぁなぁ!それはこいつ次第だぜ。言う事聞かなけりゃぁ、肋の一本でも折ってやるさ」
伍長はその言葉に戦慄した。そしてこれから自分の身に何が起こるのか、やっと理解出来た。
ベースキャンプから少し離れた草むらに連れて来られた伍長は、荒々しくその場に投げ倒された。
「あっ!」
微かな月明かりで朧げながら見える男が、性急に自分のズボンのジッパーを降ろすのを伍長は見た。
「銜えろ。歯ぁ立てんじゃねぇぞ」
伍長は先程のこの男が言った言葉を思い出した。殴られたくない、酷い仕打ちを受けたくない、そう
直感的に思った伍長は、恐る恐る男の股間に手を伸ばした。
すでに男のそこは硬く勃起していた。イヤな臭いに嫌悪しながら、伍長は先端を口に含んだ。
「へっへへ…。上手いじゃねぇか。お前、今まで何人の男を銜えたんだ?」
下卑た声が伍長をあざ笑う。男は乱暴に伍長の髪を掴んで、もっと奥まで銜えろと催促した。
「ぐっ…、うぐ…っはぷっ…!」
息苦しさに、伍長の目から涙が滲んだ。顎が痛くて口を離そうとするが、男がそれを許さない。
力一杯に押さえ込まれると、喉まで押し込められた。
「あぐっ…!む…!」
男の腰がガクガクと震えて来た。伍長はもうすぐ自分の口内に吐き出されるあの味を思い出し、
口を離そうとした。
「いいか?全部飲めよ!」
そう言うと、男は伍長の口内に射精した。
『やっぱり…夢だったのかな?』
伍長は咽せながらも精液を受け止めた。喉に絡み付くイヤな味。吐き気を覚えながら、それでも
我慢して飲み込んだ。
『もう、分からない…。何もかも分からない…』
男が伍長を四つん這いにさせた。ズボンが引きずり降ろされ、伍長の秘所に射精したばかりの自分の
物をねじ込んだ。地面に顔を押し付けられた伍長の顔には、表情はなかった。ただ、涙ばかりが
止めど泣く溢れていた。
『助けて…。誰か…、助けて』
『ばーか』
一瞬、伍長の瞳に光が蘇った。
『良く聞けよ。大事なのはお前がお前らしく生きて行ける世界がお前にとって現実の世界なんだ。
分かったか?ばかやろう』
「オレルド准尉…?」
男が激しく腰を打ち付けていた。ゆさゆさと体を揺さぶられていた伍長が、男から逃れようと、
手を伸ばした。息も絶え絶えに、空にある「何か」を掴もうと、力の限りその手を伸ばした。
「オレルド准尉…!オレルド准尉…!!」
伍長は喉が張り裂けんばかりにその名を叫んだ。
「オレルド准尉ぃ!!助けてええぇぇぇ!!!」
「デカブツ!!」
伍長が我に返ったとき、自分の頭が誰かに抱き締められている事に気が付いた。
「大丈夫か?デカブツ…!」
「…准尉…?」
自分を抱き締めているのがオレルドだと気が付いた伍長は、放心した顔をしていた。涙でベタベタに
なった顔を、オレルドは優しく手で拭った。
「怖い夢でも見たか?」
子供をあやすかのような優しい声音でオレルドは伍長の髪を撫でた。
「夢…。これも…夢ですか?」
「夢じゃねぇよ。安心しろ」
カモミールティーを煎れたカップを差し出された伍長は、大きな手で包み込むようにしてそのカップの
温もりを確かめていた。そして一口すすって安堵のため息を一つついた。
上体を起こしてベッドに座る伍長の横にオレルドが座ると、落ち着きを取り戻した伍長がオレルドに
視線を向けた。
「その…、すいません。俺…、何かうわ言を言ってましたか?」
「うわ言どころじゃねぇよ。急に叫ばれてびっくりしたぜ」
「え?!」
「オレルド准尉!助けて!!ってな」
伍長は先刻見ていた夢を思い出した。薄ら寒い草むらで、顔も良く分からない男に犯されていた夢を。
その瞬間、寒気と嫌悪感に襲われた伍長は小刻みに震えだした。顔面蒼白の伍長の変化に、オレルドは
伍長の顔を覗き込んだ。
「…お前…、本当はすごく傷付いているんだろう?」
オレルドの言葉に、伍長は顔を上げた。
「ラーンのヤツに、今更レイプされても数の内には入らないなんて言ってたけどよ、…本当は今も
苦しんだろう?」
伍長の体が増々震えだした。オレルドは伍長の持っているカップをそっと取り上げると、サイドテーブルの
上に置いた。そしてそっと伍長の震える手に自分の手を重ねた。一瞬、伍長がビクリと反応した。
「辛いなら、辛いって言えばいいんだ。悲しいなら、泣いたっていいんだ。イヤならイヤだって、
怒ればいいんだよ」
伍長の目から涙が溢れ出て来た。そして子供のように顔をクシャクシャにしてしゃくり上げた。
「助けてほしかったら、叫べばいいんだよ。さっきみたいに」
「ひっく…オレルド准尉…!ぐすっ」
伍長は吸い込まれるようにオレルドの肩に自分の額を預けた。オレルドも伍長の頭を優しく抱き寄せて、
その髪を撫でてやった。泣きじゃくる大きな子供を、その時オレルドは愛しいと思った。
「俺だって…、不安になるんだよ。お前が急にどこかに消えちまうんじゃないかってな…」
「え…?」
伍長はオレルドから体を離すと、その濡れた瞳でオレルドを見返した。オレルドは優しい、しかし
真剣な眼差しで伍長を見つめると、涙で濡れた頬を優しく撫でた。
「お前を不安にさせている物が何かは俺には分からない。お前の苦しみを肩代わりしてやる事も出来ない。
そんな歯がゆさが、俺を不安にさせるんだ。どうすれば良いか分からないまま、何もしてやれないまま
お前がふっとどこかに行ってしまったら、どうしようって…、心のどこかでいつも焦っていたんだ」
「オレルド准尉…?」
「まだ分かんねぇのか?ばかやろう」
オレルドはくすっと笑って伍長の頬を軽くつねって引っ張った。
「ふぁっ」
「ほんっとーに鈍いヤツだなぁ、お前って。俺に言わせる気か?」
「あの…っ、え…っと…。何を…」
しどろもどろする伍長の首に腕を回して、オレルドは耳許に唇を近付けて優しく囁いた。
「…好きだ…。ランデル…」
伍長は一瞬自分の名前だと思えなかった。いつもは伍長とかデカブツとかで呼ばれていたので、
聞き慣れない自分の名前に困惑していた。しかももっと聞き慣れない言葉を名前の前に言われたのだ。
目を丸くしてオレルドの顔を凝視した伍長の唇が、何か言いたげにわなないた。
「好きだ、お前が大好きだ。…愛してる。ランデル…!」
オレルドは伍長の肩を抱き締めると、耳許でさらに優しく囁いた。
「好きだ…、大好きだ…ランデル…、愛してる…ランデル…ランデル…!」
まるで福音のように繰り返されるオレルドの魅惑的な声音に、伍長は体を硬直させていた。
信じられなかった。また夢を見ているかも知れないと伍長は思った。しかし伍長の胸にぴったりと
密着しているオレルドの鼓動が伝わって来る。これは現実なんだと、伍長は確信した。
「俺…、今すげードキドキしてるんだ。こんな事、今までなかったのになぁ。どんな女の子とだって
スマートにデートして来た筈なのに、どうしてお前に触れてると、こんなにドキドキするんだろうなぁ?」
オレルドの顔が照れていた。まるで初めてのデートで緊張しているような、初々しい顔だった。
しかし、オレルドの顔が一瞬曇った。伍長は下を向いて肩を震わせていた。
「…迷惑だったか?」
オレルドは、困惑しながら伍長顔を覗き込んだ。
「いえ…、いえ、そうじゃないんです。嬉しいです。准尉にそんな事いってもらえて、俺…、すごく
嬉しいです。…でも…、俺は准尉に好いてもらう資格なんてないんです…」
「どうしてだよ」
オレルドはさらに伍長の顔に自分の顔を近付けた。
「俺は…、汚い人間です。人を沢山殺して来ました。血にまみれた汚れた体なんです。それに…」
伍長はその先を言う事を躊躇った。オレルドはすぐに察した。どれだけの男に陵辱されたかを。それを
思うと、伍長にその先を言わせるのは酷だと思った。
「…そうかも、な」
その言葉に伍長は顔を上げた。
「でもな、俺だってお前と同じぐらい汚い人間なんだよ」
「そ…っ、そんな事ないです!オレルド准尉は…!」
「この世に生きてる人間は、みんな生まれたその日からどんどん汚れて行くんだよ。それは人間の
宿命みたいなもんだ。誰もキレイなままでなんて生きて行けないんだよ」
オレルドはこつり、と伍長の額に自分の額を押し当てた。
「俺だけじゃない、隊長だって、マーチスだって、あのチビッコだってそうだ。純白の心のままでなんて
いられないんだ」
「そんな…」
「いいか、良く聞けよ。大事なのはその汚れた心をどうにかしてキレイに洗おうとする努力なんだ。
汚さは千差万別だ。だけど、汚れても汚れてもその度に洗い流せるかどうかはそいつの努力次第だ。
お前は沢山汚れて来た。でも、誰よりもキレイにしようって努力してるじゃないか」
「オレルド准尉…」
「世の中の色を全部混ぜたら、何色になると思う?」
オレルドの質問に伍長は戸惑った。
「え…?わ…分かりません…」
「灰色だよ。どんなにキレイな色だって、混ざってしまえば灰色だ。いや、もしかしたら今のこの時代は
限り無く黒に近い灰色かもな。だけどよ、少しでも白に近付けるように努力すれば、真っ白とは行かなく
ても明るい灰色になれるんじゃないか?今、お前は俺達とそう言う努力をしてるんじゃないか?」
伍長の目から、再び涙が溢れ出して来た。しかしそれは悲しみの涙ではなかった。
「オレルド…准尉…!」
「だからもう自分を責めるな。分かったな?」
「…はい…!」
オレルドの唇が、伍長の唇に優しく重なって来た。
オレルドは伍長の唇を交互甘噛みし、歯列を割って舌を忍ばせた。伍長の舌を絡め取り、歯の裏や
上顎をなぞった。
オレルドの濃厚なキスに、伍長は鼻から艶めいた甘い吐息を漏らし始めた。最初は、小犬のクンクンと
言う鳴き声のような吐息だったが、次第に息も絶え絶えの妖艶な喘ぎに変わった。
「む…っうん、は…ぁ、ふぁ…っ、んんっ!」
オレルドはゆっくりと伍長の体を押し倒すと、シャツのボタンを一つずつ外し始めた。すべてが外し
終わると、今度は自分もシャツを脱いだ。優しくシャツをはだけさせ伍長の胸が露になると、その胸を
掌で優しく包み込むように撫で擦った。
「んあっ!はぁ…っ、あんっ、あぅっ…」
肉感的な伍長の胸を強弱を付けて揉みしだく。そのオレルドの手に伍長の手が重なって来た。
オレルドは伍長が嫌がっているのかと思ったが、ただその手は添えられただけで、拒んでいる様子では
なかった。オレルドは安心すると、胸を摘まみ上げた。その先端に、固く屹立した乳首が淡く色付いていた。オレルドは乳首を口に含み、舌で転がした。
「ひ!いぁっ!…いや、あっあっ、そこ…っ、ダメぇっ…、気持…いぃっ…!」
伍長の腰が、オレルドの腰の下で妖しくくねっていた。オレルドは伍長の敏感過ぎる反応に舞い上がっ
ていた。
「ここ…、感じるのか?」
「は…ぁい、んぁっ!」
爪でコリコリと乳首を掻かれ、伍長の体がビクビクと反応した。オレルドは伍長の股間が硬く盛り上がって
いる事に気が付いた。
「かなりキテるみたいだな」
嬉しそうにオレルドが笑うと、伍長の股間に手を伸ばして、ズボンの上かやんわりと撫で擦った。
「あんっ!そこ…は、いや…っ…恥ずかしい…っ」
そう言って、伍長は両腕で自分の顔を隠してしまった。オレルドはゆっくりとズボンを降ろすと、
待ちわびていたかの様に、伍長のそこが勢い良く反り返った。
オレルドは濡れた先端を舌で突いた。
「ひゃっぁ…!ダメです…!准尉!ダメっ…!」
腰をくねらせて伍長が逃れようとする。しかし、オレルドに腰を押さえ込まれ、伍長は顔を真っ赤にして
上半身を起こした。するとオレルドが自分の屹立した陰茎を舌でなぞっている様が目に飛び込んで来た。
「准尉…!そんな事、やめて下さい!」
「うるさい。俺はしたいからしてんだ。それから准尉じゃなくてオレルドだ。言ってみろ」
「あ…ぅ、オ…オレルド…さん」
照れながら言う伍長に満足したのか、オレルドは再び愛撫を再開した。
「あっく…!はぁ、いぃ…!オレルドさん…!い…ぃ…!」
「気持いいか?」
「はい…っそこ…、気持いい…です…っ」
オレルドは舌先を尿道にねじ込みながら、指で陰茎を擦り上げた。上半身を起こしていた伍長は
その快感に耐え切れなくなり、再びベッドに身を倒した。そしてイヤイヤをするように顔を振った。
「もう…、もう、ダメですっ、…オレルドさん…!イヤっ…あ…あぁ…っ、イヤぁっ…!!」
ぶるり、と伍長が全身を震わせた。
「オレルドさんっ…口、は…離してぇ!出ちゃう、出る…ぅ!!」
その瞬間、伍長はオレルドの口の中に射精した。オレルドは全てを受け止め、飲み込んだ。口の中で
萎えて行く伍長の陰茎を感じながら、しばらく舌で愛撫を続けていた。いったばかりの伍長の体が
ビクビクと小刻みに跳ね上がった。大きく胸で息を吸い、達した後の余韻に放心していた。
股間から顔を上げたオレルドが手の甲で口を拭った。
「気持よかったか?デカブツ」
「…はい…、でも、あの…、すいません…。口の中に…出してしまって…」
「俺も精液なんて初めて飲んじまったよ。あんまり旨いもんじゃねぇなぁ」
屈託なく笑うオレルドに、伍長もつられて笑ってしまった。
伍長はゆっくりと起き上がると、まだズボンを脱いでいないオレルドの股間に手を伸ばした。
「いいよ、無理すんな」
「でも…、オレルドさんが…」
「痛いの…イヤだろう?」
伍長は恥じらいながら何かを躊躇っていた。その言葉を言うのが恥ずかしくてもじもじしていた。が、
やっと意を決して喋った。
「あの…オレルドさんの…俺…、ほ…ほしい…です…」
顔を真っ赤にして伍長が俯いてしまった。オレルドはその言葉に硬直した。その恥じらう姿が、
真っ赤に照れる顔が、消え入りそうな声が、オレルドの最後の理性を木っ端微塵に粉砕した。
『ダメだ…!こいつ可愛過ぎる…!なんなんだ?この可愛さは!ありえねぇ!絶対ありえねぇ!
いくら何でもこの可愛さは…、犯罪だ!!』
オレルドは震える手をゆっくりと伍長の顔に伸ばした。俯いた伍長の顔を上に向かせると、潤んだ瞳が
オレルドを見返した。朱に染まった目元、濡れた唇、そこから漏れる艶かしい吐息。全てがオレルドの
欲情を掻き立てた。ブルーグレーの瞳の奥底で、妖しい光がチラチラと揺らめいていた。その光に
オレルドは束の間魅入ってしまった。これが…、この魔性の光こそが魅入る者すべてを虜にする伍長の
秘密だった。
「デカブツ…!」
吸い込まれるようにオレルドは伍長を抱き寄せた。そしてゆっくりとベッドに押し倒し、口付けをする。
伍長もオレルドの背中に腕を回して抱き着いて来た。二人の汗ばむ胸がぴったりと密着した。
オレルドは自分のズボンをずり下げると、腰を浮かせて脱いだ。それからサイドテーブルの引き出しを
開けると、軟膏の入った小さな缶を取り出した。怪我をした時の塗り薬だったが、これなら伍長の
痛みを和らげる事が出来るかも知れないと、オレルドは思い付いた。
「ちょっと待ってろ。これ、塗ってやるから」
オレルドは指に多めにすくい取ると、伍長の秘所に塗り込めた。
「ひぁっ…!あ…!」
「痛いか?」
「いえ…、大丈夫です…」
「これ、しみねぇヤツだから、少しは楽になるだろう」
「あ…ありがとう…ございます」
オレルドの指が伍長の秘所の襞をほぐすように動き回った。その度にヒクヒクと力がこもり、
怯えるように括約筋を収縮させていた。時間をかけて愛撫したお陰で、指が一本すんなりと入って行った。
「はくっ…!うんっ!」
オレルドの指に、内壁がねっとりと吸い付いて来た。続けて二本目の指を差し入れた。きつく締め付ける
感覚を確かめながら、オレルドの指は蠢きながら奥深くに侵入して行った。
「あっ…ん!はぁっ…オ…オレルド…さん…!気持…いい…!」
抱き着く伍長の腕に力がこもった。二本の指が収まりきって、オレルドはその指先を曲げて内壁を擦った。
「ひゃんっ!!」
伍長の体が急に跳ね上がった。オレルドはびっくりして慌てて指を引き抜いた。
「悪い!痛かったか?」
戸惑うオレルドに、伍長が薄く目を開けて恍惚とした表情で首を振った。
「そこ…気持いい所です…」
オレルドはゾクリ、とした。今まで抱いて来たどんな女より扇情的だった。こんな傷だらけの自分より
体格の良い大男が、どうしてこんなにもそそるのか、自分のこの気持が理解出来なかった。
オレルドは再び指を差し入れて、先ほどの場所を探り当て、指の腹で強く捏ね回した。
「ひぁっ!!あっ!あふっ…!いいっ、あ…そこっ…いいっ…!!」
よがり狂う伍長の様が、オレルドの股間をさらに熱くさせた。涙を浮かべて嬌声をあげる伍長の乱れる
姿を、もっと見たいと渇望した。
「オレルドさん…!お願い…!もう、来てぇ…!挿れて…下さい…!」
ブルーグレーの瞳が、オレルドを捕らえた。オレルドは理性を放棄した。
オレルドは限界にまで膨張した自分の物を伍長の秘所に押し当てた。軟膏のぬめりと、自分の先走りの
お陰で、易々と挿入出来た。しかし締め付けて来る内壁の快感に、オレルドは今にも達しそうだった。
「あくっ、オ…オレルドさんの…!太…い…!」
「くっ…!デカブツ…!お前の中、すんげー気持がいいぜ。イっちまいそうだ」
苦笑するオレルドの腰に、伍長は自分の脚を絡めて来た。その仕草が愛しくて、オレルドは力一杯伍長を
抱き締めた。そしてゆっくりと腰を動かし始めた。
「ランデル…!ランデル…!!」
「あーっ!あぁーっ!はぁっ!オレルドさん…っ!いいっ…!あ…いいっ!」
オレルドの背中に伍長が爪をたてた。しかし、夢中になっているオレルドには、その痛みはまったく
感じなかった。全神経が自分の股間一点に集中しているかのような錯覚が、全身を支配していた。
「気持いいっ…!オレルドさん…っ、俺…っ、こんなの初めて…っ!」
「ランデル…!俺もだ…!俺もサイコーに気持いい…!」
「好き…っ!オレルドさん…っ!好きぃ…っ!大好き…!」
伍長がオレルドの首に腕をまわし、縋り付いて来た。顔を擦り寄せるように甘える伍長に、オレルドは
我を忘れてさらに激しく腰を動かして来た。
「もうっ…!いく…!いっちゃうぅ!ダメ…、ダメぇ!いやっ…!」
「俺も…!いきそうだぜ…!いっちゃえ!ランデル…!」
「い…っくぅ…!!」
オレルドの腰に絡まっていた脚に力がこもる。一瞬動きが止まり、ぶるり、と体が震えた。
二人の腹の間で、伍長が射精した。勢い余って飛沫が伍長の顔とオレルドの胸に降り掛かった。
オレルドも息を詰めて、伍長を力強く抱き締めた。がくがくっと腰が震え、絶頂と共に吐き出した
精液を、伍長の体内に流し込んだ。
心地よい虚脱感の中、二人は抱き合っていた。オレルドは自分の胸に耳を当てながら眠る伍長の髪を
撫でていた。そうしていると、自然に笑みがこぼれてしまっていた。
『さぁて、これからどうするかなぁ。誰にも言えない秘めた恋ってのも、いいか。俺らしくないけど』
そう思ったオレルドだったが、一瞬眉をひそめた。
『心配なのはコイツの方だ。ほんっとーにウソが付けないからなぁ…。いつかはバレちまうな。絶対』
それでもいいとオレルドは思った。静かな寝息をたてる伍長の温もりを、今は全身で感じていたかった。
夜明けまであとわずかだった。それまで一時の幸せに微睡んでいたかった。
その朝、アリスの怒号が三課の執務室に轟いた。
「オレルド!!伍長!!二人して遅刻とは何事か!!オレルド!!大体何のために伍長をお前の部屋に
泊めたのだ!どちらかが起こしてやれなかったのか?!」
直立する伍長と、上の空のオレルドがアリスの激昂に晒されている所に、マーチスが両手一杯の紙袋を
抱えて執務室に入って来た。
「マーチス。何だそりゃ?」
アリスの説教を軽くスルーしたオレルドがその紙袋を指差した。
「オレルド!!人の話を聞かんか!」
オレルドの傍若無人に、アリスはとうとう剣を抜いた。慌てて伍長がアリスを羽交い締めにして
取り押さえた。
「伍長。これ、見てごらん」
笑顔のマーチスが伍長を呼んだ。暴れるアリスを抱えながらその紙袋を覗き込むと、大量の缶詰めが
入っていた。
「何ですか?これ…」
「ラーン達が君にって、猫の餌にしてくれってさ」
「え?ラーン准尉が…ですか?」
伍長は暴れるアリスを解放すると、おずおずと缶詰めを一つ手に取った。
「何ゆえ一課の者がお前に缶詰めをよこしたのだ?」
冷静さを取り戻したアリスが訝しがる。オレルドとマーチスは顔を見合わせた。今度はどんなウソを
付こうかと思案していたその時、
「…優しいんですよ。あの人達、本当は」
伍長は三人に振り返ると、いつもの温和な笑みを満面に浮かべた。
「デカブツ…」
オレルドはその笑顔に安堵した。その笑顔が、少なくとも自分との関係を後ろめたくは思っていない
のだと、内心嬉しかった。
「とにかくだ!遅刻した事実は事実だ!今日は粉骨砕身働いてもらうぞ!いいな?!オレルド!伍長!!」
アリスは側に居た伍長の腰を思いっきり叩いた。
「ぅあ痛ってあぁっ!!!!」
その場に崩れるように倒れ込んで腰を擦る伍長の姿に、一同は驚いた。
「伍長!!どうした?!大丈夫か?私はそんなに強くは叩いていないぞ!」
「伍長!しっかり!!どうしたの?!」
涙目になりながら、伍長は引きつった笑顔で答えた。
「いえ、大丈夫です!何でもないですから…」
アリスとマーチスに介抱されながら立ち上がる伍長の姿を見て、オレルドはイヤな汗をかいた。
『やべぇ。ゆうべは夢中になり過ぎちまった』
尚もアリスとマーチスに追求される伍長は、顔を真っ赤にしながら口籠っていた。オレルドはそろそろ
伍長に助け舟を出さないと危険だと思った。これ以上追求されたら、うっかり本当の事を白状しそうだと
戦慄した。
「さぁて!それじゃぁ本日も粉骨砕身働きますかぁ!おいデカブツ!まずは銃器の点検からだ!行くぞ!」
「は…、はい!オレルド准尉!」
「ま、待ってよ!二人とも!」
執務室を出て行くオレルドと伍長の後を、慌ててマーチスが追い掛けて行った。
「まったく!オレルドのやつめ。いつものらりくらりと逃げおって!」
鼻息粗くため息をついたアリスだったが、ふっと笑みをもらした。
「本当に…、良い仲間を得たな。伍長…」
「オレルドさん…」
「何だ?デカブツ」
「俺…この世界が、いつか本当に白くて明るい世界になれそうな気がして来ました」
「…そうか。うん、そうだな」
END
言い訳しないで立ち去ります!失礼しました。
165 :
戦隊の人:2007/02/02(金) 02:31:13 ID:???
もう素晴らしすぎます!夜中にいいもの見させていただきました!
パンプキンのSSでラーンを混ぜたのは初めてではないでしょうか?
自分もそれくらい書けるようになりたいな…
あと遅れましたが焦らしの人さんもGJです!
ぐをを、自分も鼻血吹きかけた…!
シャワーの人(勝手に呼ぶな)、エロ切ない作品ありがとう!
GJでした!
途中でうるっと来てしまった
夜遅いのにもかかわらず、時間を忘れて読みふけってしまいました
とにもかくにも、GJの一言に尽きます!
百恵ファンである自分は、作品の随所に山口百恵の曲とと場面が重なってしまったw
シャワーの人、GJ!!
夢中で読んでたらカモミール入りのほうじ茶を
床にぶちまけちゃいました…orz
これから絨毯の染みを見るたびに、
切なさと甘さに満ちたシャワーの人のお話を思い出すことにしますw
169 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/02(金) 03:34:20 ID:sJBRj0x4
作品が投下された後に書くのは気が引けますがちょっとだけ
>149 ♂x♂は苦手なので感想も書けずに申し訳ないです
匿名な場なので、みなさんある程度の覚悟をして
発表されているかと思いますが。
>136
著作権は、作者が「書いた時点」から発生するもので
どこに投下しようと著作権はアリマス。
著作者が自作品を自サイトにも置くことは、非難される行為ではないです。
もちろん自サイトで先に発表するほうがより安全でしょう。
第三者が勝手に転載するのは、侵害にあたります。
んで投稿確認のみを読んだかぎりでは、
投稿時に「掲示板運営者に対してはコピーなどの複製を許す」ことに同意している
ことになっていますので「掲示板運営者」が、まとめを作成することは可能。
・・・ですが、たいていのまとめは運営者ではナイですよね?
この辺はグレーだけど、まとめなどに保管されることは
暗黙のうちに了解している風土なのだと感じています。
何言ってるか分かんなくなってきたケド
ようするに、保管庫待ってますっ(*´Д`)
寝る前にのぞいたら凄いのキテター!
ものごっさGJです。
初心者でこの完成度ってマジデスカ?
>169
それは衛生兵の人もわかった上でいってるとオモ
ただ2ちゃんに最初に投下すると、匿名性から著作者が立証しにくい
↓
あれこれあるって言いたかったんだろう
保管庫の人はそこらへんまで考慮しててえらいじゃないか
やっぱりあれさね
伍長スキーに悪い人はいないんだよ
念のためにトリップつけときましょうかねぇ…。
今さら…って感じもしますが。
>>164(シャワーの人?)
素晴らしくGJ!!
完成度の高さと濃厚な萌え、伍長の魔性の色気に
ノックアウトされました。・゚・(ノ∀`)・゚・。
ラーン絡みの×伍長が今一番読みたかったので
めっちゃ嬉しかったです。ああ、面白かった!
>>169 参考になりました、ありがとうございます。
でも…ここの保管庫は9割が男×伍長ばかりになること
間違いなしになりそうなんですけども…(;^^)
シャワーの人GJ!!!
真昼間から非常に良いもの読ませていただきました。
>顔を擦り寄せるように甘える伍長
ここで鼻血噴いたYO!
切な萌え炸裂
初心者さんとはシンジラレマセン
あああああ!!!
皆さんありがとうございます!!ここの掲示板の書き込みの仕方すら
分からなかった、本当にチキンな人間です。
このスレは素敵過ぎます!みんなが幸せになれるスレです!
>戦隊の人
いつも楽しく拝見させてもらっていました!神職人さんに
そんな事を言われたら、恥ずかし過ぎます!あの軽快な文章と笑いのセンス
はとてもとてもマネ出来ません!伍長カワイ過ぎです!
>166
「シャワーの人」命名ありがとうございました!!
この名に恥じぬ様、これからも日々エロに精進したします!
>167
好きな曲で盛り上がって頂けて何よりです!
ちなみに自分は宇多田ヒカル聞いてました。
>168
あぁっ!お茶をこぼさせてしまってすいません!!
でもこぼすほど夢中に読んでいただけて、すごく幸せです!
>170
ありがとうございます!何か勢いだけで書いちゃったって感じなので、
文体が空回り気味なのは否めませんorz
>男体の人
ぐはーっ!か…神職人さんにこんなに誉められて、感激です!!
もう、死んでもいい…。でももっと伍長受け書きたいのでまだ死ねない!
>173
ありがとうございます!本当にいまだにここの掲示板のシステムが
分かっていない、おのぼりさんです。鼻血で失血死させるほどの
破壊力を持ったエロを書きたいです!
いつか、伍長の「カウプラン時代」とか、「放浪の三年間」のネタを
書きたいと思っています。その時はどうぞゆるーい気持で読んでやって
下さい。
175 :
137:2007/02/02(金) 21:44:12 ID:???
規制解除されてるかな…
うちのプロバはdionです。最近規制が多いので、急にいなくなったら
ああまた規制の巻き添え食ってるなプゲラとスルーして下さい…orz
保管庫、他に候補者さんいらっしゃらないみたいなので、
僭越ながらアテクシが作ってみます。
皆様、こちらこそよろしくお願いします。
鯖の方なんですが、どうやらサブドメイン型のようです。
で、名前をどうしましょう。
候補は以下の通り…他に何かあればそれも含めて。
willowisp
lantern
bluesteel
saladbowl
個人的には最後のが幸せそうでいいかなと思ってますが、
皆さんのご意見も伺いたく。
運良く誰かの意見が拾えたら御の字。
>>職人の皆さん
イェッサー!修正希望箇所了解しましたサー!
他の職人さんも何かあればどうぞ。
>>174 素敵作品GJです!
誘い顔伍長想像してハァハァしました。
>>175 個人的に後者2つのどっちかがいいなと思います!
保管庫、楽しみにしております
>>175 乙です、サー
俺もdionなんでよく弾かれるw
無責任にbluesteelがカッコいいと言ってみる
自分も後者の2つがいいですね〜
saladbowlなんか職人SSの詰め合わせって感じでいいですし。
自分はsaladbowlに一票かな、伍長の笑顔が浮かぶv
発芽米ならぬ発芽芋のサラダをしげしげ観察してた伍長が可愛いもんw
わーいわーい
自分もsaladbowlに一票! 伍長らしいのと原作単語アタッカーから微妙に逸れてる
頑張ってください保管庫の人
シャワーの人、新作期待してますテラウフフ
皆様ご意見どうもです。
bluesteelとsaladbowlが好評のようですな。
実は何も考えず条件反射のようにwillowispにしようとしてました…
踏み止まって候補考えてよかったw
しかしながら申し訳ないことにsaladbowlは先客がいたようで
取得不可でしたorz
というわけでもう一度アンケートにご協力おながいします…
1/二番人気のbluesteelでいいじゃん!
2/いっそbluesteelandsaladbowlで伍長の裏も表も愛す!
3/伍長の好きなもの組み合わせてcatandsaladbowlはどうよ!
自分で決められない子ですみません。
これさえ決まれば、保管庫の中身の方は、順調に行けば来週中には
そこそこ構築できる予定。
あと、自分は仕事の勤務時間帯の都合で基本的に昼夜逆転してます。
ネットに繋いで本格的にいじれるのが深夜〜早朝なので、皆さんとは
入れ違いになることが多いかと思います。
故に多少レス遅れますがご了承を。
今夜はここまで。早ければ22時ごろまた来ます。
保管庫の人乙 自分は3で
伍長のほのぼの成分がにじみ出ててる感じがするんで
保管庫の人、乙です!
アンケートを取ってらっしゃるのは、ドメイン名候補ですよね?
個人的には3が好きですが、あまりにも長過ぎるのがネックです。
出先から手入力するのが大変そうで…(;^^)
なので『willowisp』がいいんじゃないかと自分は思います。
まさしく我々は、伍長が灯す蒼い鬼火に導かれて
伍長萌えの死沼に導かれてしまったわけですしw
保管庫の人、ありがとう
自分も3に一票です
長すぎるという意見が多ければ、1のbluesteelでどうでしょう
保管庫の人、お手数かけます。
私は短いものがいいと思うのですが、それほど特殊な単語ではないので
既に他の人に取られているのではないかと心配です。
だから、短いものの中で取れるものがあったらそれがいい、という意見です。
catandsaladbowlもいいと思いますけど、猫サラダっていう不吉なものと勘違いされるかも…
自分はbluesteelかwillowispがいいかなぁ。短い方がわかりやすいですしね。
再び投下します。
伍長の戦争中の話です。エロはありません。すいません…orz
いつか見た映画(題名も分からない)のワンシーンを
ベースにしました。
硝煙燻る焼け野原を、赤いストールを被った女がおぼつかない足取りで彷徨っていた。
ゆうべまでのし烈な戦闘が幕を降ろし、所々ではまだ炎が小さく揺らめいていた。そして良く見れば、
辺りにはおびただしい数の屍が散乱していた。敵の兵も味方の兵も全てが千錯万綜し、その鼻に息の
ある者は皆無だった。
しかし、女はその地獄の釜の底のような世界にはまるで感心がないように、時折屈み込んでは
屍体を物色していた。兵隊が所持している金目の物、指輪、闇市で売れそうな銃器、それらを集めて
廻ってはその日の糧を得ていたのだった。
「…えっく…、ひっく…」
微かな声に女が顔を上げた。声のする方へ視線を向けると、今し方拾った拳銃を握り締め、立ち上がった。
女は銃を構えながら、ゆっくりと声のした場所に向かった。煙幕にまかれたような視界が、少しずつ
晴れて来た。女は緊張した。
「えっ…、うっく…、お母さん…、お母さん…」
いくつもの屍体に埋もれるようにして横たえている一際大きな体の兵隊が、まるで子供のように泣いていた。
「お母さん…、痛いよ…。おうちに帰りたいよぉ…。お母さん…ひっく、痛いよぉ…」
女は銃を降ろすと、兵隊の横に膝を着いた。
901部隊が全滅したとの報告を軍が受けたのは、それから間もなくの事だった。
ランデル・オーランド伍長は料理の匂いに気が付き目を醒ました。
鈍痛の走る体をゆっくりと起こすと、辺りを見回した。粗末な作りの小屋の土間に、毛布を敷いただけの
寝床に寝かされたいた伍長は、自分の体に包帯が巻かれ手当されている事に気が付いた。ドアのない
部屋の外から微かな光が射していた。
誰かが部屋に入って来た気配に、伍長は顔を上げた。薄明かりの逆光に照らされた女が、皿を抱えて
立っていた。伍長はその女の体型に気が付いた。女は大きな腹をした妊婦だった。
「…あの…、あなたが助けてくれたんですか?」
声を掛けたが、女は何も答えなかった。ゆっくりと歩み寄ると、伍長に皿を差し出した。伍長は皿と
女に交互に視線を向けた。女は無表情で伍長が皿を受け取るのを待っていた。
「あ…、ありがとうございます…」
皿を受け取ると、温かなスープが湯気をたてていた。添えてあったスプーンを取ると、一口すすってみた。
「…うまいです」
伍長が笑って見せると、女が初めて小さく笑った。
「…Венра…」
「え…?」
「ワタシ、名前、ヴィニエーラ」
「あなたは…!フロスト共和国の…!」
その女は敵国の人間だった。伍長は緊張した面持ちで、その女を見つめた。
「アナタの言葉は大体わかるわ。私、以前は外国語の教師だったの」
伍長は今自分がいる場所が敵の領内である事に気が付いた。国境の最前線に赴き、そこでの交戦を
思い返した。戦車の軍勢に真直ぐに前進し、零距離射撃を敢行していた。打ち抜いた戦車の爆風に
吹き飛ばされたのが、伍長の最後の記憶だった。
「どうして…、俺を助けてくれたんですか?敵である俺を…」
「アナタ…、泣いてた」
「え?」
「お母さん、お母さんって…、泣いてた」
少し寂しそうな顔をした女から、伍長は視線を逸らした。伍長にはそんな記憶はないが、女の顔を見て
それが本当だったんだろうと思った。押し黙った伍長に女は食べなさい、と促した。
「アナタ…、名前は?」
「…ランデル…オーランド…」
ヴィニエーラと名乗る女は、伍長に自分の素性を話し始めた。
「みんなはワタシの事を“упырь”って呼んでるわ」
「ウプイーリ…?」
「吸血鬼よ。屍体を漁って金品を集めるなんて、正気の沙汰じゃないからね。」
「どうして…そんなことを」
「この子のためよ」
ヴィニエーラは自分の大きな腹を撫で擦った。長くたっぷりとしたプラチナブロンドの彼女は
歳若く見えた。
「その…旦那さんは、戦地に?」
「結婚はしてないの。この子はね、知らない男にレイプされて出来た子よ」
伍長は言葉を詰まらせた。
「でもいいのよ。だって半分はワタシの血で出来てるんだもの。それにね、ワタシは復讐するために
この子を産むのよ」
「復讐…?」
訝しがる伍長に、ヴィニエーラは微笑みながら答えた。
「ワタシ子供をいっぱい産むの。それで戦争が終わったらワタシの子供達と一緒にこの国を作り直すの。
男はただ壊すだけ。何も生めない。でも女は違う。産む事が出来るのは女だけよ。戦争で壊したこの国
を戦争のない国にして、戦争出来ないようにしてやるの。それがワタシの復讐よ」
伍長は呆気に取られたが、話を聞き終わって優しく笑った。
「…それは素敵な復讐ですね」
その言葉に、ヴィニエーラも微笑んだ。
伍長の体は驚異的な早さで回復して行った。ヴィニエーラが闇市から調達して来た伍長に合うサイズの
服を着て、僅かずつではあるが彼女の手伝いをするようになった。もう臨月なので、戦場に行く事を
止めさせた伍長が、せめてものお礼にと子供が産まれるまでは身の回りの世話をすると願い出た。
伍長は諜報活動も想定して、敵国の言語を日常会話程度には習得していた。町に出ても黙っていれば
怪しまれないと思い、ヴィニエーラと共に闇市に赴き、畑や山で取れた野菜や果実を売って金に変えた。
「おいおい、ヴィニエーラ!もう新しい男をくわえこんだのかよ!」
ニヤけた顔の男が伍長とヴィニエーラに近付き見下ろしていた。あからさまに嫌悪感をむき出しにした
ヴィニエーラがその男を睨み付けた。伍長は固唾を飲んで俯いた。
「相変わらず戦場で屍体漁りでもやってるのか?えぇ?」
「商売の邪魔だよ!イヴァン。どいてちょうだい!」
「つれねぇなぁ。これでも俺はお前を気に掛けてやってるんだぜ。だからここのショバ代だって免除して
やってるんじゃないか」
二人の会話を聞いていた伍長は、この男がここの闇市を取り仕切るチンピラのような存在なのだと思った。
「なぁ、ヴィニエーラ。そんな男さっさと捨てちまって、俺んとこに来いよ」
男は強引にヴィニエ−ラの腕を掴むと、無理矢理抱き寄せようとした。
「やめてよ!何すんのよ!触らないで!」
居たたまれなくなった伍長がやおら立ち上がった。
「…やめて下さい!」
男は、伍長のあまりの大きさに一瞬たじろいだ。そして伍長の顔の中心を横断する大きな傷に初めて
気が付き、顔を強張らせながら僅かに後ずさった。
「あはははははは!!」
オレンジに染まる夕日の中、荷車にビニエーラを乗せて引っ張る伍長は、彼女の笑い声に振り返った。
「あのイヴァンの顔、思い出しただけでも可笑しいよ!いつもは何人かの取り巻きを連れて歩いてるけど、
あいつは一人じゃ何も出来ないのよ」
屈託なく笑うその顔は、少女のようだった。
「ヴィニエーラさんは…強いんですね」
「そうよ。でもワタシが強いんじゃない。この子が強くさせるのよ」
お腹にそっと手を添えて、ヴィニエーラは伍長に微笑みかけた。
「見て、ランデル」
ヴィニエーラが西の方を指差して言った。伍長がつられてその方角を見ると、オレンジと紫のグラデーション
の美しい夕空に、一際輝く大きな星が瞬いていた。
「ヴィニエーラってね、金星、明星って意味なのよ」
どの星よりも一番に輝きはじめる、大きな星。伍長はその星を見つめながら一本道を歩いて行った。
その夜、ヴィニエーラの陣痛が始まった。伍長はおろおろするばかりだったが、陣痛に顔を歪めながらも
ヴィニエーラは伍長に指示を出した。湯を湧かし、毛布やタオルをあるだけかき集め、苦しむ彼女の手を
取って伍長はしっかりとその手を握り締めた。
獣のような悲鳴をあげるヴィニエーラに、伍長は動揺するばかりだった。出産に立ち会うなど、初めての
経験だった伍長は、このまま彼女が死んでしまうのかと心配になった。
「ランデル…!っはぁっ!頭が出て来た…!アナタが取り出すのよ…!!」
「え?えぇ?!で、でもどうやって…!」
「ゆっくり引っ張るのよ…!赤ちゃんの動きに合わせて…、あぁっ!!」
「ヴィニエーラさん!!」
意を決した伍長は、大きく開かれたヴィニエーラの脚の間に回り込んだ。
伍長が手にしたその小さな命は、大きな産声を上げて泣き出した。伍長は自分の服が羊水と血液に
濡れるのもかまわず、恐る恐る抱き寄せた。ヴィニエーラが安堵の表情を向ける。その視線に気が付いた
伍長は急に顔を歪め、大粒の涙を流し始めた。
「…ふっ、ふぐっ…、えっく…、うわあああああああんっ…!!」
「バカだねぇ、なんでアンタまで泣くんだい?本当にアンタは泣き虫だねぇ」
呆れ顔でヴィニエーラが笑った。
その子は女の子だった。元気良く乳を吸う子供を、ヴィニエーラは優しく見つめた。その顔を、伍長は
聖母のようだと思いながらいつまでも飽きる事なく凝視していた。
「ありがとう…ランデル。アンタは不思議な人ね。何か他の男とは違うような気がする…」
その言葉に、伍長はきょちんとした。
「アンタはまるで子供なのよ。見掛けは大きな男だけど、中身は…、心は子供なのよ」
微笑むヴィニエーラに、伍長は顔を真っ赤にしてしまった。
「こっちにおいで」
ヴィニエーラが伍長を呼ぶ。おずおずと近付くと、ヴィニエーラの脇に膝を着いた。
「手、出して。ほら、触ってごらん」
ヴィニエーラが差し出された伍長の手を取ると、空いている片方の乳房にそっと添えさせた。
「え?!な…!何を…!」
狼狽える伍長にかまわず、ヴィニエーラは微笑みながら自分の乳房を触らせた。
「アンタも…、産まれた時はこうやってお母さんのお乳を飲んでいたのよ。アンタだけじゃない。
戦争で死んだ男達も、人を殺して生き長らえた男達も…、みんなお母さんにオッパイをもらってたのよ」
優しく、諭すようにヴィニエーラは言った。
「…どうして…、みんなそれを忘れてしまうんだろうね…」
少し寂しそう顔をしたヴィニエーラの言葉に、伍長は何も言えなかった。
出産直後のその乳房は、大きく張り、とても温かかった。その温もりは、伍長の遠い記憶の中に
ぼんやりと浮かぶ母親の顔を思い起こさせた。
どこかで鳥が啼いている。母さん恋しと啼いている。
母鳥今日も帰らない。恋し恋しと啼いている。
ゆうべ猟師に撃たれて死んだ。猟師の子供が胸を病み
その子に母鳥食べさせた。
だから啼くのはもうおやめ。お前も撃たれてしまうから。
ヴィニエーラは哀調を帯びた旋律の子守唄を歌っていた。畑で鍬を振るいながら、伍長はその歌に聞き
入っていた。伍長は青くて高い空を見上げ、静かなひとときを幸せに思った。
「ランデルー!そろそろお昼にしましょう」
小屋の中から赤ちゃんを抱えたヴィニエーラが出て来た。
「さぁ、食事の準備をするから、この子を抱いててね」
「え?あの、どうやってだっこすれば…」
すやすやと眠る赤ちゃんを、伍長はこわごわと胸に抱いた。少し触れただけでも壊れてしまいそうな
感触に、伍長は戸惑った。
「あら、上手よ。…そうだ。ランデル。アンタこの子に名前付けてちょうだいな」
「えぇ?!名前…ですか?」
「素敵な名前を考えてちょうだい。お願いね」
ヴィニエーラは少し悪戯っぽく笑って見せた。困惑する伍長は断る事も出来ず、どうしたものかと思案した。
その時、急にヴィニエーラの表情が険しくなった。何かの気配に気が付き、その方向に振り返る。
「どうしたんですか?」
ヴィニエーラの豹変に、伍長は緊張した。
「…逃げて」
「え?」
「あいつらが来る。ランデル。この子を連れて逃げて。あそこにトラックの廃車が見えるでしょう?
あそこに隠れていなさい!」
「でも…ヴィニエーラさんは…」
「早く!!」
毅然とした態度のヴィニエーラに、伍長は言う事を聞くしかなかった。子供を抱いて急いでトラックまで
駆け出した。車体の下に潜り込み、側にあった廃材を寄せ集め、身を隠した。そこからヴィニエーラの
姿が小さく見えた。伍長は息を殺してその成り行きを見守った。
しばらくして、車に乗り込んだ数人の男と、市場で見たイヴァンがヴィニエーラに近付いて来た。
「ヴィニエーラ!お前、敵の兵隊をかくまってやがるだろう?」
男達の中のリーダー格の一人がヴィニエーラに詰め寄った。
「この前イヴァンがお前と一緒に市場でいるのを見かけたって言ってるんだ。どうなんだ?」
「知らないね」
「ヴィニエーラ…。お前、子供はどうした?もう産んじまったか?」
「そうさ。産んですぐに売っちまったよ。こんなご時世に、子供の面倒なんて見られないからね」
「やっぱりお前は吸血鬼だなぁ、собака(サバーカ:雌犬)め!」
男達が小屋の中を探し始めた。小さな小屋は隠れる場所など何処にもない。一人の男がトラックの廃車に
気が付き、ゆっくりと歩き出した。
ヴィニエーラは緊張した。そしてそれは、そこに隠れていた伍長も同じだった。伍長は武器を持っていない。
所持していた武器やランタンは、小屋の床下に隠してある。伍長の頬を冷たい汗が流れた。
「おおい!!見ろよ!敵の軍服があったぜ!」
小屋で物色していた男が外に出て来て伍長の着ていた軍服を掲げた。その声に気が付いて、トラックに
近付いていた男が踵を返す。
「こんな大きなサイズの軍服なんて見た事ないぜ。やっぱり市場で会ったあの大男の物じゃないか!」
イヴァンが勝ち誇ったようにヴィニエーラに詰め寄った。
「お前、敵をかくまったら重罪になる事ぐらい知らねぇ訳じゃねぇだろう?言え!男はどこだ!!」
ヴィニエーラは赤いストールの下の脇腹に隠し持っていた拳銃を男達に向けた。しかし、多勢に無勢。
そんな脅しに動じる事なく、男達は薄ら笑いすら浮かべていた。
「お前には何の得にもならねぇんだぞ!分かってんのか?ヴィニエーラ!」
少し情けない顔でイヴァンが言った。それを見て、ヴィニエーラは一瞬笑ったような顔をした。
その様子をトラックから見ていた伍長に緊張が走る。このまま正体を明かし、男達に連行されれば
彼女が助かるかも知れない、伍長は覚悟して立ち上がろうとした。その時…。
「…どこかで鳥が啼いている。母さん恋しと啼いている…」
静かに、ヴィニエーラはあの子守唄を歌い始めた。
「母鳥今日も帰らない。恋し恋しと啼いている。ゆうべ猟師に撃たれて死んだ。猟師の子供が胸を病み
その子に母鳥食べさせた…」
少し震えた声で、ヴィニエーラは力強く歌った。
「…だから啼くのはもうおやめ。お前も撃たれてしまうから…!」
それはまるで伍長に「そこから出るな」と言っているかのようだった。伍長の体が震えた。何も出来ない
自分が悔しくて、歯の根も合わないほど体を震わせた。
「…やれ」
乾いた男の声が合図した。
その細い体に、何発もの銃弾が打ち込まれた。糸の切れた人形のようにヴィニエーラの体はその場に
倒れた。一人の男が、倒れた彼女の体を踏み付けて、とどめの一発を顔面に撃ち放った。
「こ…殺す事ないじゃねぇか!!おい!!」
イヴァンがリーダー格の男に詰め寄った。イヴァンの抗議に、男は言葉の代わりに銃弾を一発額に返した。
青い空の下、あの美しいプラチナブロンドが血を滲ませながら輝いていた。風にふわふわと揺らめき、
若草色の新芽と戯れているようだった。
子供はまだ伍長の胸の中で安らかな寝息をたてている。大粒の涙と鼻水でベタベタになった顔が、
クシャクシャに歪んでいた。横たわるヴィニエーラの側でただ立ち尽くす事しか出来なかった。
静かな世界で、伍長の嗚咽だけが聞こえていた。
その夜、ヴィニエーラを殺した男達が目にしたのは、蒼い鬼火だった。
「聞いた事があるぞ…!戦場での噂話だ。あれは…!」
『ジャガッ!』銃弾を装填する音が無慈悲に暗闇に響き渡った。
「ウィル・オー・ウィスプ…!!」
重い轟音が響く度に、命がひとつ、またひとつと死沼へと引きずり込まれた逝った。
翌朝。伍長は町にやって来た。孤児院の前まで来ると、中にいた一人の女が伍長に気が付いた。
女はそこの寮母で、伍長の話を聞くと、快く子供を受け入れた。
「この子の名前は?」
寮母が訪ねると、伍長は少し笑って、力強く答えた。
「ヴィニエーラ」
再び伍長は戦場に戻った。
その一ヶ月後に両国の間に停戦条約が結ばれた。
END
うわーー!!!
誤字脱字、すいません!恥ずかしい…orz
「きょちん」てなによ。きょちんって。
そりゃ、伍長はきょちんだけどさぁ。
脳内変換よろしくお願いします。orz
うおおっ、リアルタイム初遭遇。
シャワーの人すっごくGJ!
とっても切なくなって、今凄く泣きそう。
原作にあってもおかしくない内容で違和感なく拝読できました。
その文章力凄いなぁ。
>>193 GJ!切なくてしみじみしてしまいました
母親ってでかいんだなあ…
きょちんwwwなんか可愛い響きだと思ってたww
そういわれてみればきょちんでしたねww
コテハン消すの忘れてた。
恥ずかしい・・・orz
うおおGJ!シャワーの人はいろいろ書けてすごいですねぇ。
キャラクターが生き生きしてて素晴らしかったです!
リアルで映画を見てるようでした。シャワーの人、GJ!!
しかしシャワーの人が先にこの話を投下していたら今頃
コテハンが「きょちんの人」だったかも?って思うと…
すみません、シャワーの人に萌だw
あうあうあう〜!!!
本当にありがとうございます!ありがとうございます!!
エロないけど、どうかなぁと心配しておりました。しかし、こんな
遅い時間に読んでいただけて…。涙がとまりません。
>ドンデレの人
うっはー!!あああのドンデレに人に、コメントいただけるなんて…。
どうしよう、こんな素晴らしい神職人にコメントを…死ぬです。
ありがとうございます!!
>195
投下してから気が付きました。orzでも伍長だからいいですよね。
可愛い伍長だからオールオッケーなんですよね。
>197
ありがとうございます!!実はパンシザにハマったのが、今年になって
からです。本当に新参者です。そい言っていただけて嬉しいです。
>198
ほんっとーにこの話を先に出さないで良かったです。
でもきょちんの人でもアリかもしれませんねぇ。えへへ。
映画のようだと言っていただけて、すごく嬉しいです!!
ありがとうございました!!
あと、余談ながら、子守唄のイメージなんですが
溝口肇のサイト
ttp://www.archcello.com/ で試聴出来ます。
サイト内のGallery→Othersの中の「人狼」と言う所をクリック
すると、聞けます。
これを書いてる時にずっと聞いてました。
すいません、立続けの書き込み失礼しますorz
「人狼」の中のgraceです。
201 :
保管庫の人:2007/02/05(月) 22:08:22 ID:???
ぶるぁああー!!やっと規制解除されたよチクショーorz
規制原因は出会い系の業者の書き込みで、今週末も来るのではと
言われてるので、今週末にまた書き込みできなくなるかもです…凹むわー
それはそうとアンケートにご協力ありがとうございました。
意見が割れたみたいなので、ちょっと強引ですがsaladxbowlで取得してきました。
聞いといてすみません…一番意見がまとまってたのがsaladbowlだったので
やっぱり何とかこれで行けないかなと思いまして。
間に入ってるのはアルファベットのエックスの小文字です。
記号のバツじゃないです。入力時にお間違いなきよう…
ご意見下さった皆様ありがとうございました。
他の候補のbluesteel、willowispも何かネーミングの必要に迫られたら
使うと思います。
とりあえずこれから晩メシ食って深夜頃に大まかな骨組みだけでもこさえて
URL晒しに来ます。
度々お騒がせしました。
>シャワーの人
乙です。
ショーンパトリックフラナリー(処刑人のコナーの中の人)の映画に
こんな感じのあったような気がします、確か南北戦争の頃が舞台で。
でも日本では劇場未公開らしいから違うかな…
>>192 なんか凄くよかった
その場面の情景が頭に浮かんでくるようなそんな感じ
204 :
イカの人:2007/02/06(火) 00:29:41 ID:???
うわぁ!お久しぶりな方はお久しぶりです!初めての方はこんにちは!
以前何度かSSを書かせてもらった者です。
家の都合で全くPC触れてなかったのですが、これからはちょくちょく顔をだしてSSを書いていけたらいいなと思います。
それでは!私情で申し訳ありませんでした!
>保管庫の人
乙です!映画の事、教えていただきましてありがとうございます!
私が見たのは深夜のテレビでやってた映画だったんです。途中から見たんですが、
最近の映画っぽいです。背景は「イラクに駐屯するアメリカ兵」っぽい話でした。
現地の身籠った女性をアメリカ兵(?)が助けるんですが、女性は反勢力軍に
殺されてしまいます。アメリカ兵と子供をかくまうために、子守唄を歌って。
最後にその兵隊は子供に母親と同じ名前を付けるって感じでしたが、うろ覚えです。
すいません。orz
>202
>203
ありがとうございます!!そうです!あの「人狼」です!
あんまりメジャーなアニメ映画じゃないから、気が付いていただけて
嬉しいです!アニメとかマンガをあんまり見ないんですが、以前に何気に
見たら、すごく面白くて感動しました。世界観も何となくパンシザと
共通点がありますよね。ドイツっぽいとか。
伍長がプロテクトギア装着しても、何か似合いそうだし。
206 :
125:2007/02/06(火) 02:16:54 ID:???
話豚切すみません。
以前途中まで投下した
>>125の続きです。
すばらしいシャワーの人の後なのでとても恐縮ですが・・・。
読んで頂けると嬉しいです。
特に注意はないのですが、少し百合っぽくなってるのは気のせい?
少尉の衣装は、少尉のために用意しました、と言っても過言でないくらい良く似合ってます。
ワイン色のドレス。ドレスは肩が出るタイプで、その下に白いブラウスを着ています。
ドレスの至る所に刺繍が施され、裾にはレースが縫いつけられてます。
ブラウスの袖口は幅広になっており、レースがフリル状に幾重にも重ねられて。
こんな衣装を俺のような図体のデカい男が着たら、世間が怒ります。
「伍長さんの衣装はこちらでーっす!」
と、見知らぬ女性がいきなり踊り出ました。
「伍長。こちらは庶務課の方だ。本日の任務のための衣装提供をお願いしたのだ」
「伍長さんに似合うと思いますよ!是非着てみてくださいっ」
「ちょっ、待ってください!似合うって・・・・・・これ女性用じゃ・・・・・・」
オロオロ戸惑っている俺に「はい、どうぞ」と、ニコニコしながら俺に衣装を手渡す庶務課さん。
「夜なべして作ってみました!庶務課総動員で!」
──おい、3課から衣装の依頼を受けたのはいいんだが・・・・・・。
──どう考えても1着は男が着るんだよな。3課だし。
──でも男が着られるものなんて、すぐに用意できないぞ?
──作るしかないか・・・・・・。ここに採寸データあるし。
──ああ!いつも軍服ボロボロにする規格外サイズの奴のデータか!
・・・・・・こんな感じで俺の衣装は作られたらしいのです。
そんな庶務課さんたちの発想に突っ込みたい気持ちでいっぱいです。
3課内のロッカールームを無言で指差す少尉。
もう、着るしかないんですね・・・・・・。
肩を落としてロッカールームに向かう俺に、更に何か手渡します。
「こちらがコルセットです。ウェストをぎゅうって絞ってくださいね。あとはドロワーズとパニエです」
「どろわ??ぱにえ??」
聞いたこともない単語が出てきましたよ。
「このかぼちゃぱんつがドロワーズ。淑女の嗜みです。パニエはボリュームを持たせるため、スカートの下に穿くんですよ」
ソックスとブーツも渡され、ロッカールームに押し込まれました。
「ひとりで着られなかったら、呼んでくださいねー!」
まさか。いくらなんでも洋服ぐらいひとりで着られますよ。
女性用だからってビビることはありません。
この別珍って云うんですか?起毛素材のものだってやさしく扱えば・・・。
胸元や袖口に付いてる繊細なレースだって・・・。
背中のファスナーだって、ゆっくり下ろせば・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・。
「あのぅ・・・・・・。コレどうやって着ればいいのでしょう?」
207 :
125:2007/02/06(火) 02:17:50 ID:???
庶務課さんに手伝ってもらってなんとか身支度を整えることができました。
ここに辿り着くまでにいろいろありましたが。
『伍長さんの腰細ーい!コルセットいらないかも』
『ど、どこ触ってるんですか!??』
『身体つきの割にお尻小さいんですね。もっとボリュームのあるパニエにしないと』
『あっ・・・やぁ・・・っ・・・・・・触っちゃダメぇ〜』
軽くセクハラを受けた気がします。
「伍長さんとてもお似合いですよっ!鏡見ます?」
そこには黒いドレスを着た俺がいました。
「伍長さんのテーマは『貴婦人』なんですよ。因みに少尉さんは『深窓の令嬢』です」
襟から胸元にかけて白くて繊細なレースで飾られています。
袖は長袖。袖口には胸元と同じようにレースが施され、肩口は少し盛り上がっています。
「パフスリーブって云うんです」
と、庶務課さんが教えてくれました。
腰から脹脛にかけてふんだんに布を使ったロングドレス。
お尻のところに布を弛ませ、腰のリボンで引き上げてボリュームを持たせています。
「バッスルスタイルって云います。伍長さん背が大きいから映えますね!」
けれど鏡の中の自分はとても女性には見えません。それどころかゴツくて衣装と不釣合いです。
もう脱いでしまいたい、そう思ったときです。
「こんなに似合うなんてみんなで頑張った甲斐がありました」
とても嬉しそうに庶務課さんは言いました。
「本日の任務頑張って下さいね」
そうだ、これは任務なんだ。恥ずかしがってる場合じゃない。
少尉と共に戦災復興のために頑張ろうって、いつも思ってることじゃないか。
気持ちを切換え、ロッカールームを後にしました。
「伍長さーん!貴婦人はガニ股で歩いちゃダメですよぅ」
208 :
125:2007/02/06(火) 02:19:01 ID:???
ロッカールームを出て皆さんの前に進みます。
「き、着替え終わりました!」
勢い良く敬礼するものの、反応が怖くて目を瞑ってしまいました。
・・・・・・あれ?反応がない。
そうですよね。やっぱりおかしいですよね。
さっきは頑張ろうって思いましたが、恥ずかしさのほうが気持ちを占めて・・・・・・。
「伍長さんってばキレー・・・・・・」
うっとりとした目でこちらを見ている曹長。
「意外と悪くないね。良く似合ってるよ」
ぽんっ、と俺の肩を叩くのは、開発班のお手伝いから帰ってきたマーチス准尉。
「うまく化けたもんだなぁ。早速任務に行ってくれや」
指定席で煙草を燻らせるハンクス大尉。
お世辞でもそう言って頂けると嬉しいやら、くすぐったいやら。
なんだか皆さんに背中を押してもらったような気がしました。
そういえば少尉の反応はどうなのでしょう?
少尉を見ると一瞬はっとしたようにこちらを見上げ、すぐ横を向いてしまいました。
なんだか不機嫌です。怒ってるのでしょうか?
「少尉、今日の任務は・・・・・・」
「伍長!まだ着替えは済んでおらぬぞ!」
ええっ?これで終わりじゃないんですか?まだ何か着るんですか??
「仕上げが残っている。いいからそこに座れ」
応接用テーブルの上にボトルやら何か入ったケースを並べる少尉。
ソファに座らされ、両頬を手で抑えられました。
「し、しょ、少尉?一体何を??」
無言で手に持った脱脂綿にボトルから液体を注ぎ、俺の顔に宛てます。
「メイクに決まっておろうが。まさか素顔で外に出ようとしていたのか、その恰好で?」
「でもっ!俺、男ですし・・・・・・」
「黙れ」
短く言って俺を睨む少尉。
さっきまでわからなかったけど、良く見ると少尉はお化粧をしていました。
衣装に合わせて目元を少し強調させて、唇も少し色付いてます。
やっぱり美人さんなんだなー、と呆けているうちに作業が終わったようです。
鏡を見せてもらいましたが、やはり不釣合いだし、顔は傷だらけでお世辞にも美人とは云えません。
そのまま鏡を眺めていると、俺の頭に何か乗せられました。
肩ぐらいの長さでウェーブのかかった黒髪の鬘です。更につばの広い帽子も。
「余り顔が出ないほうがいいだろう。髪とボンネットでうまくカバーできれば良いのだが」
この帽子はボンネットと云うそうです。幅広のつば部分にはレースが層状に重ねられ、後頭部を包むような形です。
顎の下でリボンを結んで固定します。
「伍長に言ってなかったが、今日の任務はパーティーの潜入捜査だ。詳しくはあとで話す」
潜入捜査?
「そうだ。なるべく身元がバレないようにしたい」
そう言うと少尉は頭に長髪の鬘を載せ、ドレスと同色の布に白いレースが施された飾りを頭に乗せました。
「アリスさん、ヘッドドレスとってもお似合いですよ!」
曹長は「うわ〜」とか「はぁ〜」とか言いながら、少尉と俺の間を行ったり来たり。
「そろそろ出たほうが良さそうですよ、少尉。会場まで少し距離がありますし」
マーチス准尉が忙しなく動いていた曹長をやんわり抑えました。
「うむ、そうだな。行くぞ、伍長!」
「はいっ、少尉!」
209 :
125:2007/02/06(火) 02:20:06 ID:???
庁舎を出る途中、私服のオレルド准尉に会いました。どうやらまた遅刻したようです。
「オレルド!また、お前は遅刻して」
いつものようにご立腹の少尉。
それに対していつものように襟を広げるのかと思ったら、オレルド准尉は黙ったまま少尉を見つめています。
視線を俺に移し、そして何かを思いついたようにぽんっ、と手を叩きました。
「あ、おはようございます。少尉殿。今日でしたよね、任務。一瞬誰だか判りませんでしたよ〜」
「・・・・・・調子のいいことを言って。これから出掛ける。留守中頼んだぞ!」
敬礼をして笑顔を見せるオレルド准尉。
「了解しました。いってらっしゃいませ」
「俺も行ってきます」
敬礼をしてそのまま通り過ぎようとしたとき、オレルド准尉が不意に声を掛けました。
「似合ってるじゃねぇか。頑張ってこいよ、デカブツ」
任務のため、ということで用意された馬車に乗り込み、パーティー会場に向かいます。
「今日の任務はだな、麻薬取引の現場を抑えることが目的だ」
「パーティー会場で麻薬取引が行われるのですか?」
「以前から情報部で内偵を進めていてな。今日がその取引の日らしい」
その大事な任務に俺たちだけで大丈夫なのでしょうか?
「会場の外に情報部の人間が張ってるのと、警護の人間の中に数名、情報部が潜入済みだ」
「俺たちが現場を抑えるんですね」
「あくまでも現行犯逮捕が目的なのだ。くれぐれも慎重に」
ここで疑問に思ったことがあります。水道局の一件で麻薬売買のルートは絶たれたのでは?
「地下水道の帝国ではな。貴賎問わず麻薬に溺れるものはいくらでもいる。
どうやらミヨンを潰しただけでは根絶やしにすることはできなかったようだ。
黒幕がどこかにいるかもな」
もうひとつ疑問に思ったことが・・・・・・
「あの・・・少尉。今日のパーティーって、どんなパーティーなんですか?」
「ああ、パーティーといっても小さなお茶会だ。良家の子女が集まる他愛のないものだ」
「そんな女性ばかりが集まるパーティーで、麻薬の取引なんてあるんですか?」
「このパーティーの特徴として話さなければならないのだが・・・・・・」
じっ、と俺の目を見つめて真剣に慎重に言葉を発しました。
「このパーティーは、女装大歓迎、なのだ」
210 :
125:2007/02/06(火) 02:20:43 ID:???
会場に着くと受付を済ませ、広間に案内されました。
広場では綺麗に着飾った女性たちがお喋りに興じてます。
良く見ると女装した方もちらほら・・・・・・。
「伍長はあちらを探ってくれ。私はこちらを捜索する」
ボソボソと囁くと、そのまま左の女性たちの輪に入ろうとします。
「まっ、待ってください」
思わず少尉の腕を掴んでしまいました。
「あっ、あの・・・すみません・・・・・・」
「何を情けないことを言っているのだ」
少し困った顔をしてそれから、ふっ、と微笑みました。
腕を掴まれた俺の手に、少尉はそっと手を添えてくれます。
「私はこの会場にいるのだ。お前のことを見ているからな。心配するな」
それから俺の手をやさしく取り、そのまま俺の身体を反転させ背中をトン、と押しました。
「任せたぞ。伍長」
小さな背中を見送り、俺は少尉と反対側の円卓に着きました。
このパーティーは特に席が決められてないので、空いている席に座りました。
しばらく様子を伺っていると、どうやらこちら側は女装した男性のグループが幾つかあるようです。
・・・・・・怪しいのはこの人たちかな?
少尉に期待されたのだ。気を引き締めないと。
給仕された紅茶をひと口啜り、周囲に注意していました。しているつもりでした。
「ごきげんよう。美しい人」
不意に耳元で囁かれたので、思わず椅子から転がりそうになりました。
「これは、失敬。綺麗な方がひとりでお茶をしているものですから」
注意していたはずなのに。俺ってそんなに散漫なのか?というか、俺のことキレイって・・・?
「こちらは空いてますでしょうか?」
「えっ、あ、はい。どうぞ・・・・・・」
俺を吃驚させた人は隣に座った。この人も女装の男性だ。
でも、すごくキレイ・・・・・・。
「こちらのお茶会は初めてなのかしら?」
「はい。初めてです。緊張しちゃって」
「ふふ。そのうち慣れますわ。ここのメンバの方はとても良い方たちですもの」
あちらの公爵様は楽しい方で、こちらの子爵様はとても気さくな方。
そんな説明を受けたのですが、捜査に専念しなくちゃいけないという気持ちと、
隣の人がキレイで顔を合わせられないのとでドキドキして、殆ど聞いていませんでした。
「貴方、とても可愛らしい」
そう言うと隣の人は俺の手をとって自分の両手で包みました。
「な、何でしょう・・・か・・・・・・」
見つめられて顔を合わせられなくなり、目で少尉を探しました。
あ、見つけた!少尉、助けてー!
目で訴えたものの、少尉は物凄く険しい顔でこちらを見ています。
怒ってる??
違う。
もしかして、この人が麻薬の取引を?
そうだとしたら、現行犯逮捕のチャンスです。
まずは様子を伺わないと・・・・・・。
「初対面で驚くかもしれないけど・・・・・・」
そう言うと隣の人は、腕に掛けていたハンドバッグの中から何やら紙包みのようなものを取り出しました。
「コレ。受け取ってくださる?」
俺の手に握らせ、その手を両手で包みます。
これって、やっぱり!
211 :
125:2007/02/06(火) 02:22:57 ID:???
ピイィィィィィィィィィーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!
そのときけたたましい笛の音が鳴り響きました。
それと同時に会場出入口の扉が全て開かれ、警備員が突入してきました。
「我々は帝国陸軍情報部だ!麻薬取引捜査を行う。全員そこを動くな!!」
笛の音の正体は少尉でした。左手に笛を持ち、右手は女性の手を掴んでいます。
少尉が潜入した方で取引が行われていたようです。
後から聞いた話ですと、良家の子女の間で密かに流行していたのだとか。
「あーあ、折角のお茶会が台無しね。もし良かったらこれで連絡して頂戴ね」
手をひらひらさせて、隣の人は俺の傍を離れて行きました。
手に握らされた包みを見ると、住所と電話番号が記されたメモでした。
「やれやれ。一件落着だな。帰るぞ、伍長」
小さくも凛々しい少尉は大きく伸びをしています。
任務終了とのことなので、もう着替えてもいいのかなぁ?
「何を言ってる、伍長。これから写真撮影だぞ」
「ぇええええ!!!!???写真って!?」
「折角キレイに着こなしているのだ。印画紙に是非とも焼き付けておかねばだ」
まだこんな姿を世間に曝していないといけないんですね・・・とほほ。
「それはそうと伍長。お前はスキが多すぎる!もっとどっしりと構えてないとだな」
それは御尤もです。本日改めてそう思いましたし。
御立腹中でほっぺを膨らませている少尉は、何かぼそぼそ呟いていますし。
「それに手など握られおって・・・・・・」
「少尉?何か言いましたか?」
「なんでもないっ!」
なんだかすっごく怒ってる。
俺怒らせるようなこと言っちゃったかなぁ?
よくわかんないけど、少尉と一緒に写真を撮って御機嫌を直してもらおう。
おわり
********************************************
くだらない話なのにスレたくさん使ってしまいました。
エロないですし・・・。
伍長がさっさと服着てくれればもう少し短くなったのですが。
では、書き逃げ失礼します。
リアルタイムキタコレ!
ドレスと潜入捜査と迷いましたが、
やっぱりここは「ドロワーズの人」でしょうか
スミマセン。なんか最近職人さんに勝手な呼び方連続で
ドロワーズの人GJ!長いようならドレスの人でもいいかな?
女装した伍長見てみたいな…激しく萌えました!
もうレスついてる!
恐縮です。
>>212さん
コテハンつけて頂きありがとうございます!
タイトルはズバリ潜入捜査でメモ帳に書いてました。
私自身いつもドロワ穿いてるので嬉しいコテハンですw
>>213さん
女装ネタは結構思いつくので次弾ありますよ。
季節に合わせて可愛く着せ替えしたいです。
服の描写が詳しくて、目に浮かぶようでよかったです。
そっち方面の洋服好きなのでさらにw
すねる少尉、写真取りたがる少尉かわいいよ
そして結局は女装子さんに好かれる伍長かわいいよ
書き忘れた
>>204 またの投下をおまちしています
ここはほんと投下多くてうれしいです。
女装した伍長って絶対美女にはなれないが、一歩間違えればバケモンだが
化粧などはしないでそのままの伍長がヒラヒラの可愛らしい服着させられて
顔真っ赤にしてアウアウしてたらもう我慢できん。
その場で押し倒してはだけさせて(完全には脱がさない)ガッチュンしながら言葉責め。
「似合ってるよ…ランデル。」「ふふ、可愛い…。」
「こんな格好でされて興奮してるの?いやらしいね…ランデルは。」「ひぐ…やだ…そんな事言わないでくだ…さ…っ。」
囁かれる度に恥ずかしくて真っ赤な顔を隠す伍長。
だけど、くやしい…恥ずかしいのに感じちゃう!ビクビクッ
うわぁ…伍長は本格的なのより伍長がそのまま残ってるのが萌えると
書き込もうとしただけなのに妄想炸裂してしまった。伍長恐るべし。
相手はマーチスか…?
218 :
保管庫の人:2007/02/06(火) 09:02:26 ID:???
>伍長萌えスレ住人の皆様
夜が明けてしまった上にぼろぼろの未完成ですがURL晒しに来ました。
saladxbowl.web.fc2.com/index.html
です。
頭に
http://を付けて飛んで下さい。
現在、閲覧できるのは携帯からの閲覧用の目次のようなものだけ、です。
しかも1スレ目の分だけ。
SSはまだアップできてないので閲覧できません。
携帯から見てる人いたら、一応の動作確認をお願いします。
私自身はテレホ時代からのPCネットユーザーなので携帯は使用頻度が低く、
よくわかりません…読み込めるのは確認しました(ドコモ505。901がテラウラヤマシスw)。
>職人の皆様
携帯用ですがhtmlなので当然PCから閲覧可能です。
そちらを見ていただいて、作者が「不詳」となっている部分で
これは私が書きましたと自己申告あればコテに書き直します。
あとタイトルも「UNTITLED」となっているもので、タイトルつけたい
または修正したいと思われた場合も自己申告下されば直します。
規制で書き込めない間に作り始めていたのに、ログを整理するのと
カテゴリの分け方で悩んで時間かかってしまいました、申し訳ないorz
カテゴリ分けはあんな感じでいいでしょうか…?
>シャワーの人
イラクですか、結構新しいネタですね。
南北戦争って自分w古いww
>女装の人?ドロワーズの人?乙です。
そして>217氏も乙ですw
心理学上、服を贈る男はそれを脱がせたい願望があるのだそうで。
このスレでは少尉が衣装調達係ですが、脱がせたいのも着せたいのも両方でしょうねw
>>217 モエーモエーモエー
きっちり女衣装着込まれてれば着込まれてるほど
半脱げくらいにさせてニヤニヤ意地悪しがいがあるな
まあ女の人しか着ないだろって服(コルセットとかブラとか)
とかを「これなあに?」とか「男なのにこんなのしてるの?」とか
意地悪したいなあ。なんでこんな意地悪心をそそらられるんだろう…
>>218 激しく乙です!
SBのSH705ですがちゃんと見れました。
続き物があったりするので、そういう場合は
どうするのかなーとちょっと思います
スレまたいで続いてるお話もあるみたいだし…
単発物だったらカプごとで全然問題ないと思いました
>保管庫の人
激しく乙です!
自分はauの古機種(A5405SA)でしたが大丈夫でさたよ
あんまり無理はなさらないで下さいね
>>保管庫の人
GJです!auのWIN(neon)でしたが普通に見られましたよ。
あと、自分
>>118-119でまとめたものですけど、1スレ目の
「マーチスvs天然伍長」
「伍長総受け」
は、それぞれ焦らしの人、ドンデレの人だったと思います。
その頃はコテハン名がなかったので推測もありますが…。
保管庫の人、どうもありがとう。お疲れ様です。
auのCDMA1XWIN(PENCK)問題なく見られます。
保管庫の人、乙です
DoCoMoSH903i問題ありません
サー!イエス、サー!
>462
どれも美味しいシュチュエーションですな
>>204 イカの人
ど〜んと待ってます
>>211 ドロワーズの人
少尉のドレス姿を想像したら凄くよく似合ってる
伍長の女装姿が破壊力凄すぎ!
これもある意味似合ってますなw
パーティーで伍長に目を付けた麗人も御目が高い
>>保管庫の人
GJ!
完成待ってます
>>204 イカの人
ど〜んと待ってます
>>211 ドロワーズの人
少尉のドレス姿を想像したら凄くよく似合ってる
伍長の女装姿が破壊力凄すぎ!
これもある意味似合ってますなw
パーティーで伍長に目を付けた麗人も御目が高い
>>保管庫の人
GJ!
完成待ってます
ドロワーズの人 GJ!
萌え死にしました。ドレスの説明が詳しくて、その世界が
分からない自分にも目に浮かぶようでした。伍長可愛い過ぎる…。
そらから保管庫の人、激しく乙です!
1スレ見られなかったから、夢のようです。ご苦労おかけします。
>>ドロワーズの人
萌えました!
伍長の言動や反応が可愛くて可愛くて……。
>>保管庫の人
お疲れさまです。
auのWIN31Sも問題なく見れました。
このスレは最近知ったので、保管庫の存在は本当に嬉しいです。
ありがとうございます。
保管庫の人、乙です〜。自分の作品数、無駄に多いし
スレまたいでるのもあるし、お手数かけます…orz
シャワーの人も、ドロワーズの人も激しくGJ!!
素敵な職人さんたちがたくさん増えてきて、もう本当に幸せっす…(*><*)
んで、私も久々のSS投下です。
今までの投下物がコテハンに恥じまくりだったので、コテハンに恥じぬよう
※男体化少尉×伍長
でございます。
1スレ目に投下したものの、続編なんですが……。
男体化…と言っても、女少尉にチ○コついてるだけって感じです。
むしろ原作の女少尉のほうが、はるかに男らしいです。
あと、続いてます。どこまで続くか自分でもわかりません;
書け次第ボチボチ投下していくので、よろしくお付き合い下さると幸いです。
そもそも恋と言うものは、弾むような喜びに満たされる、とても幸福なものだと、私──アリス
・レイ・マルヴィン──は思っていた。
相手を大切にしたいと想い、慈しみ、愛する。
なるほど、それが恋であり、愛であろう。
私は貴族として生まれ、武門の誉れたるマルヴィン家の嫡子として育ち、敬愛する大祖父に憧れ
て軍人となった。
徹底した英才教育を施された私は、文武ともにそれなりの自負を持っている。それは私自身が、
血のにじむような努力を続けてきて手に入れたものだからだ。
しかし私は、この世に生を受けて、まだたった十八年の若輩者だ。拝命十三貴族を賜る王子であ
ろうが、少尉と言う階級を持っていようが、パンプキン・シザーズの隊長であろうが、世間一般で
言われるところは“世間知らずの青臭い若造”である。
確かに私は世間知らずだった。市井の者たちが犯されている戦災という名の病が、この国に落と
した暗い影を、本当の意味では理解していなかった。
そして私が、無知な青臭い若造であることを認めざるを得ない事実が、もうひとつあった。
「少尉、昨日の報告書、できました」
事務作業に没頭していた私は、ふとかけられた声に顔を上げた。
首が痛くなるほど見上げねばならぬ、長身の男が私のすぐ傍に立っていた。
彼の名前はランデル・オーランド。階級は伍長で、つまりは私の部下であり……恋人でもある。
「どれ……」
私は伍長から報告書を受け取り、書かれた内容をチェックする。
伍長は事務作業など、ほとんどしたことがないのだろう。いや、もしかすると三課にやってくる
まで、まったく経験がなかったのかもしれない。
そんな伍長の書く書類は間違いだらけで、また、たった一枚の書類作成にも、他の者の三倍は時
間がかかっていた。
今では最初の頃に比べてだいぶ早く作業ができるようになっていたし、間違いもほとんどなくな
っている。
だが、そんな最初の頃の癖が未だに抜けないのか、大尉に直接提出すればいい書類を、伍長は必
ず私にチェックしてもらいにくる。
そんな他愛もないことなのに、妙に嬉しい。
「うむ、よく書けているぞ。間違いもないし、大丈夫だ」
「ありがとうございます」
私が報告書を返すと、伍長はそれをまた両手で受け取り、ニコッと笑った。テストで満点を取っ
たことを親に褒められて喜んでいる、小さな子供のような笑顔だった。
私も口の端で笑って返す。
そのとき、伍長の隊服の胸のところに何かついているのに気づいた。
「伍長、ここ……──」
汚れてるぞ。そう言って、そこを指差そうと手を伸ばそうとしたとき、伍長が急に私の手の届か
ない距離まで飛び退った。
──またか……。そして、なぜだ。
頭の中にそんな疑問が、またグルグル回り出す。
一瞬の沈黙のあと、伍長がハッとした顔を見せた。そして行き場を失って途中で止まったままの
私の指が力なく示す方向を見た伍長は、あわあわしだした。
「これさっき……掃除してたときに汚れちゃって……あの、す…すみません……っ」
隊服を汚してしまったことを謝っているのではない。それぐらい、私にもわかる。
だが、なぜだ。なぜお前は、私に謝らねばならんような態度を取るのだ……?
しかしそのことを追求する気にはなれず、そもそも今はまだ職務中ということもあり、私は机に
顔を戻して言った。
「仕事に戻れ」
「は……はい」
視界の端に、伍長がペコリと頭を下げる姿が映った。見捨てられた子犬のように、ションボリし
ている気配が伝わってきた。
それでも私はあえて、伍長の姿を目で追うようなことはしなかったし、つい向きそうになってし
まう意識すら、無理やり引き戻した。
マルヴィン家の跡取りとして、その名に恥じぬよう、武術の腕を磨くことに生涯を捧げてきた私
は、恋などろくにしたことがなかった。伍長が初恋だと言っても、過言ではないだろう。
だが性行為の経験は、伍長が初めてではない。
貴族と言うものは、市井の者たちが目を背けたがるような暗部も多く抱えている。私が初めて女
性を知ったのも、その一部だ。
父上は、私に様々な女を買い与えた。むろん全て、男に体を提供することを生業とする女性ばか
りで、貴族の相手を専門としている娼婦たちだった。私たちは合意のもとで体を重ねてきたし、同
じ女性とは二度と寝ることもなかった。
女のような外見をしているとは言え、私だって男だ。性欲だって、むろんある。父上が私に女を
買い与えた理由は、単純に性欲を発散させるためと、将来迎えるべく我が妻との夫婦生活のための
“勉強”も兼ねていたのだろう。
だがしかし、同性で肌を重ねたのは、伍長が初めてだった。
そして、心を揺るがされ理性を失い、獣のように劣情を剥き出しにして、己の欲望を叩きつける
ように激しく抱いたのも、伍長が初めてだった。
しかし、それも一度きりだ。
私と伍長が初めて肌を重ねたあの夜から、すでに二週間ほどが経っていた。
もうどんな素晴らしい女性でも、私のこの飢えを満たすことはできなかった。
伍長に触れたい。口づけを交わしたい。あの大きな体を抱き締めて、意外にも滑らかだった肌を
味わいたい。甘い声を聴きたい。潤んだ顔を見たい。そして、伍長の中で果てたい。
日に日に、その思いは強くなる。
だけど、伍長はあれ以来、私に指一本たりとも触れさせてくれようとはしなかった。
恋をすれば、毎日が弾むような喜びと、相手を慈しみ愛するおだやかな気持ちで満たされると思
っていた。
だが、それが大きな間違いであったことを、世間知らずだった私はいま身をもって痛感している。
*
「……はあっ?」
誰もいなくなった執務室の中、オレルドが私の目の前で思いっきり間抜け面をさらして放った第
一声が、それだった。
私がオレルドに向かって言った台詞が、こいつにとっては耳を疑うことだったらしい。
顔が熱くなり、なんだかわけの分からない屈辱的な思いに支配されたままの私は、間抜け面をさ
らすオレルドを睨みつけて返した。
「二度も……言わせる気か?」
「よく聞こえなかったもので。すんません、もう一回言ってもらえます?」
表面上は謙虚に取り繕った笑顔を、嫌味なほど端整な顔に浮かべているが、その笑顔の裏に、そ
こはかとなくこいつの優越感のようなものを、私は感じ取った。
「そ……相談に乗って欲しいと、言ったのだ……っ!」
くっ……屈辱だ!
そもそもこれは個人的なことであり、隊長として部下に相談すべきことではない。そのことは重
々承知している。
できるならば、私とてひとりで解決したいと思っている。
だがもう、どうしようもないのだ。
あれから私はことあるごとに伍長に近づくチャンスを待った。思いつく限りの手を使い、言葉を
使い、時間と場所を狙い、なんとか伍長と二人きりになれはしまいかと策を練った。
隊長権限を乱用すれば、伍長と二人きりになることぐらいは容易い。共に昼食をとるのはむろん
のこと。本来なら別の隊員と赴くはずの巡回や視察を、伍長と二人で行ったりもした。
そこまでして必死になっている己の姿に、少々の罪悪感と不甲斐なさを感じたが……。
だが、どれもこれも全てが不発に終わった。
“隊長”として“少尉”として伍長に接している分には、伍長は至って普通だった。忠誠心を全
身で現す従順な大型犬のような、屈託ない笑顔を見せて、私に接してくる。
だが、そこに少しでも私が個人的な欲望を滲ませると、伍長は瞬く間に逃げてしまう。
手を握ろうとすれば、慌てて手を引っ込める。熱い視線を送れば、顔を背ける。抱き締めようと
手を伸ばせば、さっと距離を空ける。恋人として本音で語ろうとすれば、不自然に話題を変える。
わ……私とて健康な青少年なのだぞ! やりたい盛りの十八歳なのだぞ!
なぜ伍長は私を避けるのだ! その理由すらわからんは、指一本触れさせて貰えないはでは欲求
不満も溜まる一方ではないかッ!!
そんなこんなで眠れない日々が続き、もうどうしようもなくなった私は部下に相談することを決
意した。それが、オレルド准尉だった。
「珍しいっすねぇ、隊長が俺に相談を持ちかけるなんて」
案の定、オレルドはまるで鬼の首をとったかのようなニヤニヤ笑いを浮かべている。
「お……お前しか、頼る者がいないのだ……」
私は屈辱に震える拳を握りしめた。
とかく、このオレルドという男は、遅刻常習犯、懲罰房からの脱獄魔、サボリ魔、女好き……数
え上げればきりがないぐらいに悪名高い男だ。
私も隊長として不良隊員のオレルドに、何度となく懲罰を与えてきた。
叱り飛ばしこそすれ、こんな風に個人的な悩みを打ち明けるなど、考えもしなかった。
だが、こいつは女の経験だけは豊富だ。私のように父上からお膳立てをされて、女を抱いている
わけではない。つまりオレルドは何度も実戦を経験し、なおかつ勝利を納めているのだ。
しかしオレルドとて、口煩く叱ってばかりの私に対して、良い感情など抱いていないだろう。
今さら頼ったからとて、オレルドが素直に応じてくれるとは思えなかった。
「いいっすよ、俺でいいなら」
「……え?」
オレルドからのあっさりした返事に、私は思わず耳を疑った。
「なに面食らった顔してるんすか。俺に相談したいんでしょ? どこで話します?」
「オ……オレルド……」
なんて男前なのだろう、こいつは。なるほど、モテるわけだ。
「では……なるべくなら人気のないところで」
「人気のないところなら、任せて下さいっ」
その得意げな一言に、なぜこいつが人気のない場所を熟知しているのかを、私は察した。
こんな不埒なヤツを頼らねばならんとは、つくづく自分が情けない……!
*
私がオレルドに連れてこられた場所は、棟ひとつ向こうの廊下であった。
中庭のバラ庭園が見渡せる廊下ではあったが、その先は倉庫や空室になっているからか、なるほ
ど確かに人気はなかった。
「どうぞ、隊長」
「う、うむ、すまんな……」
壁際に設けられた長椅子に座る私に、オレルドがにこやかにコーヒーを差し出してきた。
いい加減で不真面目で女好きで不埒な男ではあるが、細やかな気遣いに長けているのは確かだ。
「で、相談ってなんですか」
オレルドは椅子には座らず、壁に体を預けている。コーヒーを啜りながら、私に訊いた。
──ここまで来たのだ。今さら恥じたって仕方があるまい。
「じ……実は……伍長のことなのだ」
「デカブツっすか? あいつがなんかやらかしたんすか?」
やらかしたと言うよりは、やらせてもらえないのが問題なのだが……。
「な……なあ、オレルド。お前は女性経験は豊富なのだろう?」
「は? はぁ、まぁ……」
「意中の女性を口説き、デートにこぎつけ、その……ふ、深い関係になるとする」
「ええ」
「自分では……その……、身も心も結ばれたと思っていたのに、関係を結んだ後日に、相手の態度
が豹変したという経験は……あるか?」
オレルドの顔を見ることができなかった。窓の向こうに咲く美しいバラも目に入らぬ。
私はただひたすらうつむき、両手で包み持つカップの中の液体を凝視していた。
「豹変って、例えばどんな風に?」
「た、例えば……手を握ろうとしても、さっと手を引っ込められたり……、甘い会話を交わしたい
と思っても、話を逸らされたり……つまり、その……」
「ああ、全然やらせてくれなくなったってわけですね」
「……っオ、オレルド!」
私は思わず、あまりにも言葉を選ばないオレルドを見上げた。
オレルドはニヤッと笑った。
「隊長もやることやってんすね〜。なんか俺、安心しましたよ。隊長もやっぱ男なんだなぁ」
「げ……下品な物言いはやめんか! 言葉を選べ、馬鹿者っ!」
「言葉を選んだって、意味は同じっすよ。つまり隊長は、その子とセックスしたいけど、一度きり
でその後なかなかやらせてもらえないことで欲求不満になって悩んでるんでしょ」
「う……っ、く……!」
私はオレルドから顔を背けた。顔から火が出そうだ。あまりの恥ずかしさに手が震える。
「いやぁ、なんか俺嬉しいっすよ。隊長のこと、身近に感じるなぁ」
オレルドは私が屈辱に耐えていることなど、まったく知らぬ様子で上機嫌だ。
「俺の経験から考えれば、ぶっちゃけ、セックスでいい思いをできなかったから……かな」
「な……に?」
背中に、ひやりとしたものが走った。
私の表情が強張るのを察したのか、オレルドがハッとした顔で私を見た。それから慌てた様子で
愛想笑いを浮かべて、顔の前で片手を振った。
「あっ、いえいえ! 隊長が下手とか、そういう意味じゃなくてですね。もしかして彼女、初めて
だったんじゃないっすか?」
……彼女?
「そうじゃなくても経験が浅いなら、性感もまだ未発達ですから、セックスがいいもんだなんて思
えなくても仕方ないんすよ。隊長のテクに拘らず」
私は必死で、伍長と一度だけ結ばれた、あの日の夜のことを思い返していた。
「う……うむ。確かに、初めてだと言っていた……」
「ああ、だったらなおさらっすよ。さぞ痛い思いをさせたんじゃないっすか?」
背筋に冷たい汗が流れるのを感じた。
確かに……、あのときの私は夢中だった。
伍長への想いを理性で抑えることができず、ロッカールームで伍長のセーターの匂いを嗅ぎなが
ら自慰に耽ると言う、まことに恥ずべき行為にまで及んだ私だ。
それを伍長に目撃された。そのショックで当たって砕けろと開き直れた私は、伍長の元へ押し掛
けて想いの丈を伝えた。結果的に、私たちは両想いだったと判明し、結ばれたわけだが……。
問題は、そのあとだ。
伍長と結ばれる歓びで興奮状態だった私は、初めてだと言う伍長への思いやりも忘れ、ずいぶん
強引に、そして身勝手に事を押し進めたように記憶している。
伍長の苦痛に歪んだ涙に濡れた顔、嗚咽を堪えた震えるうめき声……。
それを今更ながらに思い出した。
「彼女、イケなかったんでしょ」
オレルドの言葉に、私は血の気が引いた。
確かに、繋がった状態では伍長は達さなかった。私だけが、伍長の中に出したのだ……。
「原因は……それか? 私が痛い思いをさせたから、避けているのか? 私のせいかっ?」
「誰のせいでもありませんよ。原因があるとすれば、コミュニケーション不足っすね」
「コミュニケーション……」
「彼女から避けられることを悩んでるみたいですが、隊長のほうも彼女を避けてるんじゃ?」
「う……うむ。確かに……そうだな。だがしかし、それはあいつが私を避けているからだぞ? 私
と話すのが嫌ならば、無理に話しかけるのも悪い……ではないか」
いや、それは言い訳だ……。
無理に話しかけて、嫌われるのが怖いのだ。私は伍長の嫌がるようなことはしたくない。
「どうしたらよいのだ……? こんなふうに誰かと身も心も結ばれたこと自体、初めてでな。後に
なって、このような試練が待ち受けているなど思いもしなかった。どうしてよいのか、わからぬの
だ。まったく不甲斐ない話だが……」
「ぷっ! あっははははは! 試練って、大袈裟っすよ、隊長〜」
オレルドの馬鹿笑いに、私はムッとした。こっちは真剣に悩んでいると言うのに!
「笑うな! 私にとっては世界が崩壊するかどうかにも等しい試練なのだ!」
「す……すんません、くっ…くくく……っ」
「何が可笑しい!」
「あ〜いやいや、すんません。いえ、ね。俺にもこんなときがあったなぁ……なんて思い出して」
オレルドは懐かしそうに目を細めて、満面の笑みを浮かべて私を見つめてきた。
その経験の豊富さを物語る態度が、やけに苛ついた。
どうせ私は……経験不足の青臭い若造だ……!
オレルドならば相手が初めてだろうが、今まで培ってきた技術で満足させてやることができるだ
ろう。その余裕が憎らしい。
憎らしいが、しかし、いま頼れるのはオレルドしかいないのだ……。
ああ、腹が立つ。
「それで……! どうしたらよいのだっ? 経験豊富なお前なら、子供っぽい私の悩みなど瞬く間
に解決できよう?」
「なに怒ってるんすか。誰もンなこと言ってないでしょ」
オレルドが苦笑混じりの微笑を浮かべた。
「恋愛に大人も子供も関係ありませんよ。本気で人を好きになっちまったら、余裕もなくなるし、
他人の目から見たら些細なことでも、本人にしてみりゃ世界の終わりが迫ってるような勢いで悩ん
じまう。カッコイイとこ見せようと思ってもテンパっちまって、逆に情けないとこばっか見せちま
う。いくつになっても、それは変わらないんです。俺ぁ正直言って、隊長が羨ましいっすよ」
私のことが羨ましいだと?
私こそ……どんな事態にもスマートに対処できるであろう、こいつが羨ましいと言うのに。
「何が羨ましいと言うのだ?」
「確かに俺ぁ経験だけは豊富っすけどね、それは単に抱いた女の数の上での問題なんすよ。隊長み
たいに身を焦がすぐらい誰かを好きになったことなんて、一度きりしかないんすよ。それももう、
ずいぶん昔に」
信じられない思いで、私は目を丸くした。
オレルドが肩をすくめて、自嘲するように笑った。
「あんときの気持ちを思い出したくて、女から女に渡り歩くようになっちまったんですけど、なか
なか、ねぇ。体の欲求は満たせても、心の欲求は満たせなくて虚しいもんす」
「オレルド……お前……」
こいつは軽薄で女好きで、一度に複数の女性と交際することに対しても罪悪感など微塵も感じな
い、不埒な奴だとばかり思っていたのだが……。
「す……すまない。私はお前のことを、誤解していたようだ……」
オレルドの外面ばかりを見て、こいつの人間性に判断を下していた自分の傲慢さに、恥ずかしく
なった。隊長であるくせに、私は部下のことを何一つ理解していなかったのだな……。
慚愧に堪えない私に、オレルドはあっさりした笑顔を向けてきた。
「いえいえ、俺が女好きだってのは本当の話ですから」
そんなオレルドのことを、私は素直に格好いいヤツだと思えた。
「で、隊長と彼女のことですけど……とりあえず話してみましょうよ」
「……なに?」
あまりにも呆気ない答えだった。
藁にも縋る思いでオレルドに相談を持ちかけたと言うのに、こんなアドバイスがあるか?
「そ、それができないから、こうして悩んでいるのではないか!」
「隊長、隊長ぉ〜。よぉく考えてご覧なさいよ。彼女に告白したとき、余裕ありましたか? 当た
って砕けろの精神で特攻してったんじゃないんすか?」
「う……っ、それは、そうだが……」
「臆病になる気持ちもわかりますけどね。彼女のことが本当に好きなら、絶対に放したくないと思
うなら、まずは理解し合わねぇと。それには話すしか手はないでしょ。一人で悶々悩んでたって、
答えは出ない。だから俺に相談したんでしょ。このまま黙ったままで、彼女が離れてってもいいん
すか? 彼女だって隊長と話したいと思ってるはずです。でもきっと、そのチャンスを逃しちまっ
て、どんどん話せなくなってるのかもしれねぇ。だったら、隊長から話しかけてあげないと」
「だがしかし……、あいつは逃げようとするのだぞ?」
「だったら捕まえりゃいい。捕まえて抱き締めて、逃がさないようにすればいいんす」
オレルドはあっさりと、なんでもないことのような口ぶりで話した。
そのせいだろうか。私の中であんなに悩んで怯えていた気持ちが、少し軽くなった気がした。
「そんなことをして……嫌われぬだろうか?」
「このまま黙ってシカトしてるほうが、余計に嫌われちまいますよ」
その一言で、私は覚悟を決めることができた。
「よし……わかった! あいつと話してみよう。逃げようとしたら今度こそ捕まえて、私を避けて
いる理由を問いただそう。そして、身勝手に振る舞った己の愚行を詫びよう!」
「そうです! それでこそ隊長っすよ!」
「うむ! なんだかお前に話してスッキリしたぞ!」
「そりゃよかった」
オレルドがニッコリと私に微笑みかけた。いつもの自分を偽った軽薄なそれとは違う、この男の
本質であろう懐の深さを感じさせる微笑だった。
私の中に初めてこの男に対する尊敬の念が芽生えた。このような男を部下に持てたことを、誇り
に思った。
だがその刹那、オレルドの顔にいつものあの、見慣れた軽薄なニヤニヤ笑いが浮かんだ。
「で、隊長。隊長ほどのお方の心を射止めた子って、どんな子なんすか? 痩せ型か豊満か、どっ
ちっすか? 美人? それとも可愛い系っすか? 髪と瞳の色は?」
なんだか妙なことを訊いてくるヤツだ。
「背が高くて、痩せてはいないから豊満だな。顔はあどけなくて、実際の年齢よりも幼く見える」
伍長の特徴をオレルドに伝えているうちに、私の胸の中に暖かいものがこみあげてきた。
ただ、私なりに感じている伍長の身体的特徴を羅列しているだけなのに、心が浮き立つ。
「顔の造りは悪くはないが、美人と言うわけではないと思う。しかし、とにかく可愛い。うん……
健気でな、可愛いくてたまらぬ。髪の色は黒で、瞳はブルーグレーだ」
「巨乳、いいっすね! しかも神秘的な黒髪のカワイ子ちゃん! さしずめ黒鳥の姫君……と言っ
たところっすかね。さすが隊長、お目が高い! やっぱ貴族のご令嬢っすか? それとも軍人?
意外なところで一般市民とか? 勿体ぶってねぇで教えて下さいよぉ〜♪」
「……お前は私の話を聞いていなかったのか?」
これほど身も心もパーフェクトな者など、伍長以外の誰に当てはまると言うのだ。
そう言えば、こいつはさっきから“彼女”と言っていたな。
「私は伍長のことで相談があると言ったであろう。なにか誤解しているようだが、私が悩んでいる
のは伍長のことだぞ」
その瞬間、オレルドの笑顔が固まった。手にしていたコーヒーカップがするりと落ちて、床に熱
い液体をぶちまけた。
「おっ、おいコラ! 何をやっている! ああっ、廊下がコーヒー浸しではないか!」
私が慌てて椅子から立ち上がると同時に、オレルドが逆にその場にガクリと崩れ折れた。四つん
這いの姿勢になったオレルドは、震える声でぼそりと呟いた。
「は……はは、そりゃ……とんでもないカワイ子ちゃんだ……」
うむ、伍長が可愛いということに関しては、私も大いに賛同する。
が、それにしてもオレルドは顔面蒼白にして、何を震えているのだろう──?
【つづく】
エロはまだ先になりそうです…すみませんorz
あと少尉がなんだか下品&へタレ大爆発で、重ね重ねすみませんorz
>>234 リアルタイムで読ませていただきました!GJ!
恋煩う少尉が可愛いです。べたぼれですねw
この後吶喊少尉がどう出るのか楽しみです。
連続リアルタイムキタコレ〜!
あああありがとうございます男体の人!
壁にぶち当たってる少尉、GJです!
自分もオレルド株が急上昇っす!
このスレの黎明期を支えた男体化少尉SSキター!もうGJです!
続きを楽しみにしてます!
男体の人降臨に感涙です!!
男体化少尉の切なさと苦悩がひしひしと伝わって来ました!
キャラクターの心の機微、細やかな文面、どれをとってもGJです!
最初から最後まで、息付く暇なく読んでしまいました。
SSの世界に引き込まれました!って言うか、オレルドカッコ良過ぎです!
自分もオレルド株が急上昇しました!
続きを刮目して待っております!!
239 :
保管庫の人:2007/02/07(水) 07:21:40 ID:???
ウホッ!いいタイミング
ちょうど保管庫の携帯用に男体化少尉のSS(だけですが)アップしたところでした。
未読の皆様どうぞです。
目次のようなindexページもちょっといじりました。
携帯用のフォルダはファイル1つにつき5kまでと決められてるので、
5k以内になるようアンカーを飛び飛びにしました。
今後SSを投下される職人の皆様、できれば1レスにつき4kくらいで
収めてもらえると、保管庫に入れるときにそのまま格納できてありがたいです。
オーバーしたらこちらで適当に区切らないといけなくて心苦しいですし。
>>219-228辺りのレス下さった皆様、携帯動作確認の報告下さった皆様
ありがとうございます。問題なく読めるようでよかったです。
続き物に関しては、追々ちゃんとアンカー(リンク)を用意して、
スレをまたいでいてもすぐに続きが読めるようにします。
できるだけ閲覧者が自由に動き回れる?ようにしたいと考えてます。
>>221さん、まとめを活用させていただきます、ありがとうございます。
>男体の人
乙そしていつもながらGJ!です。
男体さんの所はとにかく伍長が愛されてて和みます(*´д`)
ログ整理してたら本当にダントツで投下量が多く、頭が下がる思いです。
男体化少尉の続きお待ちしております。
伍長が気持ちよくなれる事を祈ってw
待ってました
超GJです
こっちのオレルドは、伍長要らないのかな?
続き楽しみです
後、イランツッコミですが、男体化一本目冒頭、少尉の知ってる伍長情報に、『橋の下でホームレス』が入っておりますが…
皆さん、暖かいレスをありがとうございます。
スレを消費するのを避けるために、個別レスは割愛させて頂きます;
すみません。
続きがんばりますー。
>>保管庫の人
乙です!
ホント、グッドタイミングですね〜!
SSアップありがとうございました。
>>240 言われて初めて、今やっと気づきました。
恥ずかちぃ〜!www
いやいや、とても重要なツッコミをありがとうございました!
SS楽しませていただいております…
ところであの、質問ですが、こちらでノーマル投下してもよろしいでしょうか?
男声向けで多い、
少尉リンカーン→ランタンモード伍長突入→敵を殺戮後そのままレイープ
というイタイタしいネタをどシリアスに伍長心理描写中心に書いたら、
すんげー暗い切ない(というか重い)話になったんで…
前半は上記のとおりアレですが、後半は伍長が幸せになれるように心を砕いて
いるんですが。
いいんじゃないでしょうか?
ここはそういうのもアリなスレなので^^
注意書きさえしっかりしておけば
そういうの苦手な人はスルーすればいいだけだし。
個人的にはここには今までにないタイプのSSなので
楽しみにしてます!
244 :
243:2007/02/07(水) 23:42:13 ID:???
>>242 連投すみません。
一応エロパロの方でも質問されてみてはいかがでしょう?
数字苦手でこっちに来れないエロパロ住人もいるだろうし
その中にそういうのを読みたいという人がいないとも限りません。
かなりハードなSMネタで盛り上がってたから
そういうのも受け入れられそうですよ?
あくまで伍長スレで801スレではないんだから、問題ないのでは
まあ、スレの雰囲気からすればあっちだけど、過疎ってますからねぇ
間を置かずの投下、失礼いたします。
小ネタですが、男体の人さんの続きが投下されるまでの
箸休めだと思って下さい。
内容は「バカ」です。エロはないですが、ゆるーき気持で
読んでやって下さい。
その日、陸軍情報部中央管理局は異様な熱気に包まれていた。
誰もがその内に秘める高揚感を抑えつつ「その時」を肅然と待っていた。それは三課の執務室でも例外
ではなかった。
「あのぅ…」
しかし、一人釈然としない伍長が、銃を点検するオレルドとマーチスの妙なテンションに取り残され
ていた。
「なんだよ、デカブツ」
「ですから、これは一体どう言う事なんでしょうか?」
茫然と佇む伍長に、点検していた銃を机に置いたオレルドがつかつかと近付いて来た。
「お前はまだは三課に配属されて間もないから、この俺様がイマイチ頭のゆるーいお前に分かりやすく
説明してあげるとだな、今日は年に一回催される陸軍情報部中央管理局の一大イベントの日な訳だ」
「はぁ…それは分かっています。俺が知りたいのはですね…」
「まぁ聞け」
オレルドはぽんっと伍長の肩を叩いた。
「この一大イベントは、言わば俺達軍人のモチベーションを高めるために陸軍上層部が直々に推奨して
いるとの噂が水面下でまことしやかに囁かれているが、そのイベントに賭ける我々の意気込みたるや、
回を重ねる度に苛烈を極め、もはや土石流のごとき内紛を危惧した上層部が禁圧を試みるも、それに抗議
した軍人によるストライキが暴動を誘発し、苦渋の選択を余儀無くされた結果、このイベントの存続が
許された訳だ」
「あの…、余計に回りくどく説明してませんか?」
頭の上にいくつもの?マークを並べて伍長が困惑していた。
「オレルドー。鎮圧用のゴム弾とペイント弾、これで足りるかなぁ?」
マーチスがオレルドに問いかけた。
「そうだなぁ、今年は去年の三倍は準備した方がいいかもな。今回は初参戦の伍長がいるから」
「…初…参戦?」
さらに伍長の疑問が深まった。
「そうだ、今年は今まで以上に戦局が悪化しそうだ。何せお前が足手纏いになるのは必至だからな」
「すいません…」
伍長は少しも悪くないのに、何故か謝ってしまった。
「俺はな、今でこそこうやって平静を保っているが、先日の上層部の発表には心底憤慨しているんだよ。
よりにもよって何故お前が選出されたのか…!」
オレルドはクッと涙を飲み、握りこぶしを作った。その涙声につられ、マーチスも俯き肩を震わせた。
「何で今年のお題目が、
『オーランド伍長の豊満な胸を制限時間内に鷲掴み出来たら、オーランド伍長と行く
夢のロマンチック街道二泊三日の旅に御招待』なんだよお!!!!」
イベント開催まで5分を切った。三課執務室に揃った一同に、ハンクス大尉が今までにない真剣な
面持ちで席を立った。一同に緊張が走った。
「これは戦争だ。いてこましたれ!」
「サー!イエッサー!!」
アリスが一歩出て振り返った。
「良いか!背水の陣で事に臨め!伍長の胸を死守するため!三課の威信に賭けてパンプキン・シザーズ
の腕章に恥じぬよう、心してかかれ!」
「イエッサー!!」
伍長は呆気に取られて口をぱくぱくさせる事しか出来なかった。
「伍長!気を抜くな!少しでも隙を見せれば撫で斬りにされるぞ!!」
「あのー…、俺は一体何をすればいいんでしょうか?」
その時、全棟内にサイレンが鳴り響いた。びっくりした伍長は慌てふためいた。
「説明している暇はねぇ!おいおい教えてやるから、取りあえず俺達に付いて来い!早速来やがったぜ!」
サイレンが鳴り止むと同時に、地面から沸き上がるような地響きが聞こえて来た。四人は銃を構えた。
「いざ!吶喊!!」
アリスの凛とした鬨の声が響き渡り、四人は執務室を威勢良く飛び出して行った。
「みなさーん!!ご武運を〜〜〜〜っ!!」
ステッキンが涙を流しながら手を振った。
廊下に飛び出した四人を待ち受けていたのは、千万無量の半ば野獣と化した男達だった。その怒濤の
ごとく大挙して襲って来る光景に、伍長は顔面蒼白になった。
「ひっ…!ひいいいいいぃぃぃ!!!!」
聞いた事のない悲鳴をあげる伍長の腕を、オレルドが引っ張った。
「ばかやろう!何ビビってんだ!こっちに来い!」
廊下を曲がり、食堂へ向かった。そこで篭城すれば時間稼ぎが出来ると言う、三課の作戦だった。
「何で?!どうして?!俺が一体何したって言うんですかぁ?!」
半ベソの伍長の悲痛な訴えなど、誰も聞いてはくれなかった。
食堂に駆け込むや否や、伍長を乱暴に奥に追いやると、テーブルをドアの前に立て掛け始めた。
「バリケードなど所詮一時しのぎに過ぎん!私が討って出る!」
「隊長!!」
アリスの英姿颯爽な風貌に、伍長は頼もしさすら感じた。
「そもそも守りに入るなど、私の性に合わん!干戈を交えてこそ軍人!先手必勝!見敵必殺!!」
双剣メーネをぐるりと回し、勇ましくドアを開け放った。そして振り返ると、此の世の別れのごとく
視線を伍長に向けた。
「…伍長…!息災であれよ!」
「少尉…!」
「た…、隊長〜〜〜〜〜っ!!」
ピシャリとドアが閉じられた。残された三人は涙を流してその場に佇んだ。
「ぬおおおおおりゃあああああああ!!!」
猛勇な雄叫びを轟かせ、アリスはメーネを振りかざした。その鬼気迫る気迫に大勢の男達がたじろいだ。
「臆さぬならば、かかって来い!!伍長の豊満で実にけしからんオッパイには、なんぴとたりとも
指一本触れさせぬ!!」
メーネが空を斬った。
「あー、つまりだな、今年のお題目である『伍長の豊満な胸を制限時間内に鷲掴み出来たら、オーランド
伍長と行く夢のロマンチック街道二泊三日の旅に御招待』を目指してみんな奮起してる訳だよ」
オレルドの説明に、伍長の顎ががくんと落ちた。
「なっなっなっ…!何で俺なんですか?!」
「そんな事知るか。上層部の決定事項なんだから。あのカウプラン機関も協賛してるらしーぜ」
「そうじゃなくて!何でみんな目の色を変えて俺を追っかけてくるんですか?!」
「そりゃ、お前…」
オレルドとマーチスが顔を見合わせてニヤリと笑った。
「伍長のそのDカップの魅惑的な胸に憧れてるからだよ」
ぱきゅーん。
「あれ?伍長、どうしたの?」
その場に憤死した伍長がガックリと項垂れて四つん這いになった。
「みんなはイベントと言う名目に便乗して、伍長のその魅惑的なEカップの巨乳を公然と揉みしだく
事が出来るんだもの。日頃の抑圧された感情が堰を切って本能が剥き出しになるのは必然だね」
マーチスが食堂のテーブルを倒してバリケードを作りながら淡々と語った。
「なお、俺達三課が制限時間内にお前のFカップを無事に死守する事が出来た暁にはだ、三課全員が
ロマンチック街道二泊三日の旅に御招待と言う訳だ」
伍長はぶるぶると震えながら、顔を上げた。その顔は口は笑っていたが目は腐った魚のようにドロンと
していた。そして不条理とも言えるこの仕打ちに、己の運命を呪った。
「大丈夫だって!お前の実にけしからんGカップは俺達が守ってやるから!なんたって今回は特別に
ハンデが与えられているんだ。俺達には武装許可が出ているが、奴らは丸腰で勝負だ。楽勝だぜ」
「でもオレルド、今年の盛り上がり様は前例がないよ!いや、異常と言ってもいい。これこそが、伍長の
無自覚フェロモンの恐ろしさなんだ」
オレルドは心配するマーチスに向かってチッチッチと人指し指を振って見せた。
「勝算はあるぜ!なんせこっちには『最終兵器』があるからな」
その顔は何かを企んでいるかのような、胡散臭さを滲ませていた。
「…オレルド准尉…、マーチス准尉…」
地を這うような覇気のない声が聞こえた。
「なんだよ、デカブツ」
「俺の胸のカップはDでもEでもFでもGでもありません…。ただの胸筋です…」
「まぁ、細かい事は気にすんな。何にしろお前の胸がけしからん事は、誰もが認める曲げ難い事実だ。
もっと現実を直視しろよ。大体だなぁ、ステッキン曹長に申し訳ないとは思わないか?お前はチビッコが
お前の胸を時折恨めしそうに遠望している事に気が付いているか?それどころか最近ではその目に怨色さえ
見隠れしているんだ。ありゃぁ、いつかコーヒーに一服盛ろうと画策している目だな」
オレルドの脅しとも言える言葉に、伍長が震撼したその時、ついに脆弱なバリケードが撃砕された。
「オレルド!マーチス!敵陣が行ったぞ!!」
アリスがメーネで数人の男達を抑えながら叫んだ。
オレルドとマーチスは立ち上がると、ライフルのコッキングレバーを引いた。
「暴動鎮圧用の非致死性ゴム弾だ!死にゃぁしねぇが、食らうと痛えぞ!!」
「伍長は奥に隠れて!!」
もう伍長にはその現状を理解する気力は無かった。と言うか、放棄した。目の前で繰り広げられるその様は
白兵戦の様相を呈していた。
「伍長殿ーーーっ!!!自分とロマンチック街道にゴハっ!!」
「オーランド伍長ーーーっ!!!自分は前から伍長のことがグハァッ!!」
「何でそんなに可愛いんだ!ちくしょーーー?!のわぁっ!!」
「可愛いよ!可愛いよ、伍長ーーーーっ!!げはぁっ!!」
次々と襲い掛かるケダモノが、まるで殺虫剤を撒かれた蚊のように撃ち落とされた。
「鴨撃ちだぜ!」
「って言うか、こんな告白タイム、壮絶過ぎる…」
余りにも切なく馬鹿馬鹿しい男達の阿鼻叫喚に、伍長は頭を抱え込んでその場にうずくまった。
「ちくしょう!撃っても撃っても湧いて出て来やがる!!こいつらみんなガチだぜ!」
「でも所詮は烏合の衆だよ!みんなは先着一名って条件に冷静さを欠いていて、協調性ってやつがない
から虱潰しで撃って行けば何とかなるよ!!」
「まるで一個の卵子に群がる精子みたいじゃないかよ!これじゃぁ!!」
そんなオレルドとマーチスの会話など伍長の耳には入らなかった。一刻も早くこの常軌を逸したイベントが
終わってほしいと神様に祈るばかりだった。
「オーランド伍長おおおおっっ!!君のためなら死ねるどわはぁっ!!!」
「おっちねーーっ!!」
オレルドもいい加減腹が立って来た。よくもこんなになり振り構わず捨て身になれると呆れて来た。
それもこれもこの伍長が振りまくフェロモンのせいだ。今だってまるで怯える小ウサギちゃんの
ように目をうるうるさせて、シナを作って床にへたり込んでいる。そんなコケティッシュな艶姿は、
猛り狂った男達の心臓を百発百中の命中率で撃ち抜く、フェロモンのガトリング砲だった。
「どけどけどけえぇぇい!!」
そこへ男達を掻き分けて、一課のダブル・ショーテル、ラーンが勇往邁進と現れた。
「勝負だ!!オレルド!!」
「何だぁ?お前まで参戦してるとは意外だったぜ!」
「勘違いするなよ!俺は伍長とロマンチック街道を二泊三日したい訳じゃないんだからな!本命は
貴様との因縁の勝負だ!いつぞやの食堂でのケンカ、まだ決着はついていねぇんだ!!」
何故か顔を赤らめて言い訳がましく啖呵を切ったラーンが、一瞬、奥で怯える伍長に視線が釘付けになった。潤んだ瞳、赤く染まった頬、震える唇がラ−ンの脳みそを一瞬にして真っ白、いや、ピンク色にさせた。
「キ…、キュート…っ!!」
「てめぇもおっちねーっ!!」
ぱんっ!とラーンの額にゴム弾が命中し、白目を剥きながら大の字になって倒れてしまった。伍長の
色香に惑わされた、ラーンの呆気無くも恥ずかしい最後だった。
ゴム弾を受けて床でのたうち回る者、尚も湧いて来る者、伍長の色香に股間にテントを張る者、
食堂内は凄惨極まりない状況に陥っていた。伍長はこの事態を一刻も早く打破しなければと思った。
持ち前の正義感と慈愛の精神が、伍長の体をゆっくりと奮い立たせた。
「あ!伍長!!」
「こら!デカブツ!!前へ出るな!!」
伍長はオレルドとマーチスの間に立ちはだかり、男達に向かって意を決して叫んだ。
「お願いです!!もう…もう止めて下さい!!こんな事して何になるんですか?!俺達は同じ軍人じゃ
ないですか?!お互いに強力し合って行かなければ、いつまで経ってもこの国は復興出来ません!!
こんな事している間にも、町では沢山の人が飢えや病気で苦しんでいます!!もう止めましょう!」
「伍長…!」
「デカブツ…!!」
食堂がしんと静まり返った。男達はその場から動けなくなった。そして伍長の姿を固唾を飲んで凝視した。
伍長は胸の前で両手を組み、瞳をウルウルさせながら小首を傾げた。顔を朱に染めて、乙女モード全開の
伍長のバックに神々しい光と花が見えた。さらにキラキラの透過光が一層伍長の可愛さに拍車を掛けた。
「そんなに…そんなに俺の胸が見たいんだったら…!」
「…何ぃ?!」
オレルドとマーチスは凍り付いた。
「見ればいいじゃないですかあぁーーーっ!!」
伍長がコートを掴んで思いっきり全開にした。バリュンっ!と勢い良く飛び出した美乳が露になった。
伍長は真っ赤になった顔を逸らせ、ぎゅっと目をつぶって震えながらこの屈辱を耐えていた。
「あーあ…。やっちまった」
オレルドが万事休すと言わんばかりにため息をついた。
次の瞬間、割れんばかりの咆哮が食堂内に轟き、そこかしこで鼻血が天井高く噴出した。そして我を
忘れた闘牛のように、男達が一斉に伍長目掛けて猛進して来た。
「うおおおおお!!!伍長の胸!俺が貰ったあああっ!!」
「させるかああああっ!!!」
「我が人生に悔い無ーーーーし!!!」
伍長の上に瞬く間に男達がうずたかく折り重なって行った。
「いやあああああああああっ!!!」
「伍長ーーーーーっ!!!」
「デカブツーーーーっ!!!」
オレルドとマーチスが男の山に駆け寄ったその時、
ヂキキキッ!!
人山の隙間から蒼い光が放たれた。その直後、うずたかく積もった男達が強力な力によって四散した。
「…蒼い…鬼火…?」
その場にうずくまっていた伍長が、ゆっくりと立ち上がるとこちらに振り返った。無表情なその顔、
死神のような目、ランタンの蒼い光に包まれた伍長は、コートの下に手を差し入れるとずるりと
ドア・ノッカーを引きずり出した。
「ダメだよ…!ダメだよ伍長!!それだけは撃ってはダメだ!!」
マーチスは驚愕した。伍長は弾丸を装填すると、腰を抜かした男達に照準を合わせた。
「ダメええええええ!!!」
ゴギイィィン!!
重い轟音が響き渡った。
「…へ?」
マーチスはその光景を見て、メガネがずり落ちた。撃たれた男の胸にべったりとペイント弾の緑色の液体
が付着していた。
「これが最終兵器だ!マーチス!」
誇らしげにオレルドが言った。
「どう言う事…?」
「こんな事もあろうかと、デカブツの弾丸をみんなペイント弾と摺り替えておいたのよ!」
高らかに笑うオレルドに、マーチスはやり場のない怒りに体を震わせた。
「バーサーカーと化したデカブツに勝てる奴なんていないからなぁ。この勝負、もらったぜ!!」
次々と男達に零距離射撃を敢行する伍長の姿に、マーチスは目頭を熱くした。
伍長に零距離で撃たれながらも、その豊満な美乳とピンクに色付く乳頭を目の当たりに出来た男達が
至福と恍惚の表情を浮かべていたからである。
「…と、言う訳でだ。今回の懸賞であるロマンチック街道二泊三日の旅宿泊券だが、一番の功労者
である伍長から提案を受けている」
「なんでしょうか?その提案とは」
アリスがハンクスに問いかけた。
「この券を換金して、募金をしたいと言っている」
「え〜〜〜〜〜〜〜っ?!」
一同のブーイングに、伍長はおどおどした。
「嘘だろう?!どれだけ俺が苦労してお前を守ったと思ってやがるんだ!!それもこれもみーんな
お前と一緒にロマンチック街道を観光して、甘〜い夜を二人っきりで過ごすためだったんだぞ!」
「オレルド…、貴様『お前と一緒に』とは聞き捨てならんな!『我々と』の間違いではないのか?!
それに何だ?甘〜い夜を二人っきりで過ごすと言うのは!」
「あ、いえ、言葉のアヤですよ。やだなぁ、そんなに睨まないで下さいよ。隊長〜っ」
般若のような形相のアリスに、オレルドは殺意を感じ戦慄した。
「あの、すいません。我が儘言ってしまって…」
消え入りそうな伍長の声に一同がきゅんとした。
「いいんだよ!伍長!!君のその優しい気持に僕は感銘を受けたよ!」
「そうですよ!伍長さんの考えは正しいです!気にする事ないですよ!!」
「うむ!その心意気こそが戦災復興を志す者の本懐である!よくぞ言った!伍長!」
恐縮する伍長を取り囲み、無理矢理自分を納得させようとするアリス達を横目に、オレルドがぼやいた。
「何だよ。さっきは思いっきりブーイングしたくせに…」
「異存はあるまいな!オレルド」
きっと射すようなアリスの視線を感じたオレルドは咄嗟に後ずさった。
年に一度の大イベントは三課の勝利と言う結果で幕を降ろした。しかし、伍長に注がれる熱っぽい
視線は今だ継続中であった。その魔の手から伍長を守るため、三課のメンバーに心休まる日は無かった。
戦士に休息はない。戦え!パンプキン・シザーズ!伍長の貞操を守れるのは君たちだけだ!
<陸軍情報部中央管理局・総務課からのお知らせ>
―来年度における陸軍情報部中央管理局内恒例の催物の題目―
「オーランド伍長の全身の傷の数を正確に数える事が出来たら、
オーランド伍長にメイドとして一週間奉仕してもらう権利」
(なお、衣装、小道具は陸軍監修の元、すべて準備済み)
協賛:カウプラン機関
END
シャワーの人GJです!レパートリー広くて羨ましいです
このスレの住民が多数このSSに参加してるみたいだ
俺も伍長の胸鷲掴みにしたい…
夜中に笑わせていただきました!
シャワーの人超GJです!
伍長0距離射撃してもらいたいよ伍長
カウプラン機関遊びすぎですねw!
お乳鷲づかみはもちろん、傷を数えるのもいいですね。
執拗に数えながら舐めたい。
メイド姿の伍長みたいよ伍長 執事でもいい
255 :
保管庫の人:2007/02/08(木) 03:26:13 ID:???
>シャワーの人
バロスwwGJです。
影でほくそ笑むミュゼの姿が浮かぶようですw
>男体の人
橋の下のくだり削除しましょうか?私も気付かなくてすみませんorz
「そして今は」から「ということ、」までの一節。
別な文に差し替えもOKなので何かあればどうぞ。
今日は8時くらいまでにもうちょっとSSアップできたらします。
伍長おっぱいと橋の下のうp完了が目標。
スレ賑わってますね。
これも伍長の萌えオーラの為せる業なのでしょうか
感想頂いた方々ありがとうございます。
まとめてレスしてしまってすみません。
自分お洋服好きなので、描写を誉めて頂けて光栄です。
因みに伍長が着ていたドレスの元ネタは某ロリブラのワンピースだったり。
一応いま2本ほど書いてまして、1本は早ければ今晩うぷできるかもです。
もう1本は執事モノ。上で話題にあったのでびっくりしました。
>男体の人
GJです。続き気になります!
>保管庫の人
お疲れさまです。
4K内に収めるように書きますね。
>シャワーの人
伍長のおっぱいサイズがどんどん大きくなって、どこまで巨乳になるんだろうと余計な心配をしてしまいましたw
来年の商品早く見たいです
>>251 シャワーの人
読んでいる間中笑いが絶えませんでした
恥じらいながらおっぱお出す伍長エロス!
258 :
名無しさん@ピンキー:2007/02/08(木) 11:32:03 ID:YPR7xBek
>シャワーの人
禿げしくGJ過ぎて涙出ましたw
それを読んで二度寝したのがいけなかったのか……
伍長を集団レイプする夢を見てしまいました。
物凄くけしからんオッパイでした//
自分の頭の暴走が止まりません
誰か対処法を教えて下さいww
少尉と伍長に萌えるあまり、
今まで好きじゃなかったふたなりに手を染めそうだ…
伍長フェロモンテラオソロシス
>>シャワーの人
笑い死ぬかと思いました…。GJ!です〜!!
作中には間違いなく俺がいたw
箸休めなんてとんでもない…畏れ多い…;
>>255 保管庫の人
レスが遅くなってすみません!珍しく早く寝たもので…;
SSの間違いの件ですが、ただでさえ大量のSSを編集されているのですから
これ以上のお手数かけてしまうのは心苦しいです。
なので、どうぞそのまま手を加えなくても構いませんので。
辻褄合ってない部分も誤字脱字もまた一興ってことで(;^^ゞ
お心遣いありがとうございました。
伍長おっぱいのほうのアップも、お疲れ様でした!
>>258 これは奇遇
今朝自分も夢に伍長が出てきた
あまり内容は覚えてないけど
確か、オレルドとマーチスと伍長が出てきてなんかやってた
その夢の状況をSSなり絵にするなりしてぶちまけちゃいな!
みなさん、ありがとうございました!
ちょっとでも笑っていただけて、何よりです。まとめてのレス、
失礼いたします。orz
>男体の人
伍長のけしからんおっぱいは、男体の人の描く伍長をイメージ
しました!「けしからん」が褒め言葉なのは、伍長だけです!
>258
なんて素敵な夢を…!!うらやますぃ!
対処法ですが、自分も知りたいぐらいです!初号機並みの暴走っぷりに
体と心が崩壊寸前です。恐るべし、伍長のエロス!
次弾こそは、カウプラン時代を…。こっそりと。
今読んだ
シャワーの人GJ!!!
腹筋が痛い……バロスwww
皆様お疲れ様です。
時節ネタなので腐る前に投下します。
伍長女装第二弾です。
特に注意はありません。
ではドゾー。
こっ、これは……。
私、アリス・L・マルヴィンは自分を失いそうになった。
「ねぇ、可愛いですよね。きっとお似合いだと思いますよ」
力いっぱい頷く。
これを着た姿を想像しただけでくらくらするのだから、実際目の前に立たれたら卒倒するかもしれない。
任務に必要な衣装を庶務課に依頼して、今その衣装を受け取ったところなのに。
それだけなのに、こんな気持ちになろうとは。
狼狽える私の姿は、傍目からはさぞかし可笑しく映ってることだろう。
ちらり、と庶務課の人を見る。
「お召しになったところ、是非見せてくださいね!」
◆
3課に戻ると、三角巾とエプロンを付けた曹長と伍長が何やら給湯室で作業をしていた。
覗こうとしたら曹長に制止されたので、大人しく自分の席に着く。
「衣装を取りに行ったのか……」
ハンクス大尉が煙管を片手に訊ねてきた。
「はい。昨日のうちに完成していたようです」
「去年まではこんなモン必要なかったのになぁ……」
呆れたように溜め息を吐く大尉。
これから任務で向かう施設からの要望なのだ。どんなに小さな事でも、民からの願いを疎かにはできない。
紫煙を燻らせる大尉。
「これも戦災復興って奴か」
しばらくするとオレルドとマーチスが部屋に入ってきた。
「隊長、荷物の準備してきましたよ」
「少尉。依頼を受けた施設に十分行き渡る数を用意しました」
「2人ともご苦労。作戦時間まで待機してくれ」
2人の報告を受けていると、曹長と伍長が給湯室から出てきた。
伍長がこちらに近づいて来る。
「少尉。さっきはごめんなさい。何か用事でしょうか?」
猫背気味の上背を更に丸め、申し訳なさそうに訊ねてきた。
三角巾とエプロンが余りにも可愛く、思わず顔を近づけたところで気づいた。
「お前、鼻に何か付いてるぞ」
「?傷、ですか?」
鼻に触れようとして手を伸ばすが、届かない。すると相手は屈んで私の前に顔を突き出した。
至近距離で温厚な顔を見せられ内心ドキドキしていたが、上官らしく振る舞わねばならない、と努めて冷静を装う。
「粉だな。給湯室で何していたのだ、2人で?」
ハンカチで鼻を拭いてやると伍長は慌てて首を振った。
「あのっ、その……少尉にはまだ……内緒な……んで……」
「内緒だと!?上官に対して隠し事があるのかっ!」
気になるじゃないかっ。私には話せなくて、曹長とは共有できるその内容が!とっても!!
「こればかりは……幾ら少尉でも、まだお話する訳にはいきません」
曹長に助け船を求めるのか、チラチラ彼女を見ている。
そういえばコイツ、意外と頑固だった。
「分かった。これ以上の追及は止めておく」
伍長の顔から緊張が解け、安堵した面持ちになった。
「本当にごめんなさい、少尉。後で必ずお話ししますから」
「謝るくらいなら、サッサとこれを着ろ」
先程、庶務課から受け取った衣装が入ってる紙袋を渡す。
「えっ?着ろって……。また衣装を着るんですか?」
「つべこべ言わず着ろ」
「あっ……うーっ……」
「じゃあ、さっき何があったか話せ」
「……わかりました」
着替えた伍長は想像よりも可愛いらしかった。
白い丸襟とカフス袖の水色のふんわりとしたワンピース。
その上にフリルが施された白いエプロン。ソックスも白で靴は黒のワンストラップシューズ。
まるでお伽話から飛び出したようである。
「カチューシャはどうした?伍長」
「……このリボンのことですか?」
黒のリボンカチューシャを頭に付けた。
……完璧過ぎる。
感激に震え涙が出そうになったとき、ぽんっ、と肩を叩かれた。
「そろそろ隊長も着替えないと。昼前にここを出ますからね」
……人が余韻に浸ってるというのに。
手早くお揃いの衣装に着替え、自分と伍長の顔を作って、そのまま早めの昼食を摂った。
庁舎内の食堂では軍施設には似つかわしくない恰好の為か、ジロジロ見られていたようだ。
しかしそんなのは気にしない。
伍長とお揃いってことで少し舞い上がってたのかも知れない。
◆
出発の時間になったので我々2人はトラックの荷台に乗り込んだ。
「今日の任務は施設の慈善事業って聞いてますけど……」
「なんだ?」
「この恰好でですか?」
伍長はそう言ってワンピースの裾を摘んで広げた。
「先方からの希望なのだ。仕方あるまい」
本当は微妙に違うのだが。方向性は間違っていないと思う。
「これから向かうのは戦災孤児が生活している施設だ。大勢の子供がいる」
「いたいけなお子さんたちに、こんな姿を見せてしまって良いのでしょうか……」
今度はエプロンの裾を摘み、左右にひらひらさせた。
その姿が愛らしく、微笑ましくなって笑みが零れたのだろうか。
「少尉、なんだか嬉しそうですよ?」
「へっ?あぁ……何でもない。」
ニヤけてはいなかったようだ。
「大体、お前は自信が無さ過ぎる!もっと堂々しろ」
私にそう言われて、伍長の背筋がピンっと伸びた。
「はいっ、少尉!本日の任務頑張ります!」
「うむ!」
トラックに揺られて1時間。町外れにある施設に到着した。
エンジンの音を聞きつけ、施設の職員が数名外に出てきた。
「ご苦労様です。子供たちとても楽しみにしているんですよ」
トラックから荷物を下ろし、施設の入口まで運ぶ。
「オレルドとマーチスはトラックへ戻ってくれ。後は我々がやる」
「僕達がいなくても大丈夫ですか?」
「ああ、心配ない。嵩はあるが重さは大したことないしな。それに……」
准尉2人は来ない方がいいだろう。職員も2人を訝しんでしる。
「わかりました。何かあったら呼びに来てください。待機しています」
荷物を中に運び込み、広間に向かった。
広間ではたくさんの子供たちに出迎えられた。
「今日はお姉さんたちが遊びに来てくれましたよー。みんな仲良くしてね」
はーい!と元気に返事をする子供たち。
「その前にプレゼントがありまーす!」
わーい!と近づく子供たちに順番に箱を手渡す。中身は焼き菓子のセット。
「みんな、座って頂きましょうね」
菓子を食べ終わった子供たちは早速遊んでもらおうと、我先に飛びついた。
……伍長に。
大柄な伍長は大人気で、最初は服や腕を引っ張られたり、脚をよじ登られたりした。
が、その内打ち解けたようで、床に座ってごっこ遊びを始めた。
「らんでるちゃんは、おかーさんね。あたしはおとーさん!」
「ぼくがおとーさんやるよっ!」
伍長の夫役でもめていたものの、暫くすると各々の配役が決まったようだ。
絵本の読み聞かせをしていた私はそちらが気になって仕方がない。
……私が夫役に立候補したい。
夕暮れを告げるチャイムが鳴ったのを機に、子供たちとお別れした。
「今日はありがとうございました。こちらの我が儘まで訊いて頂いて……」
施設長が見送りに来てくれた。
「我々の任務ですから。それに、昨年はこちらの配慮が足りず、申し訳ありません」
「いえ……私たちこそ気付くべきでした。あの子たちのことを……」
……子供たちの中ではまだ戦争が終わっていないことを
◆
帰りのトラックの荷台で、伍長がおずおずと質問してきた。
「あのー、少尉?去年って、何かあったのでしょうか?」
「ああ、お前は知らなかったな」
毎年この時期に、本日の任務のような依頼が施設から来る。
こういった内容のものは3課に振られるのが定石であり、いつもと同じように任務をこなしていった。
しかし、昨年は少し事情が違っていたのだ。
お菓子を準備し、トラックに乗り込み、施設へ向かう。
到着して子供たちと対面したとき、事件は起こった。
──コワイ!コナイデ!!
1人の少女が我々を見るなり、そう叫んだのだ。
泣きじゃくる少女に感化されたのか、周りの子供たちも泣き出してしまった。
どうやら我々が着ていた軍服にトラウマがあったらしい。
帝国陸軍という看板を背負って任務を遂行していると思っていた。
けれど、市井の民にとって我々は畏怖の対象に他ならないのだ。
軍服が相手にどんな印象を与えているかなんて、考えたこともなかった。
「……そんなことが。それでこの衣装だったのですね」
少し憂いを帯びた目を伏目がちにし、伍長は呟いた。
「あのときは本当にどうして良いのか判らなかった」
ただ施設を足早に去ることしか出来なかったのだ。
「でも、今年も依頼がありましたよね」
過ぎ去る風景をぼんやりと眺めていた私に、伍長はやさしく声を掛けてくれた。
「それって必要とされてるからでしょう?」
子供たちが楽しそうに笑っていた顔を思い浮かべた。
「今年は誰も泣きませんでしたよ。みんな笑顔でした」
「うむ、そうだな」
小さなことかも知れない。
そんな小さなことでも戦災復興への大きな一歩となる。
小さな願いでも全力で応えるのがパンプキン・シザーズなのだ。
「そうだ。これっ、その……っ。少尉へ!」
伍長はエプロンのポッケからゴソゴソと何かを取り出し、私の前に差し出した。
ファンシーなラッピングペーパーとリボンで包まれた小さな包み。
「私に……か?今日は誕生日でもないし。なんだ?」
「少尉、きょ、今日はバ、バレンタインデーなんです……よ」
真っ赤になって俯いたかと思うと、上目遣いで私の様子を伺っている。
……家に持って帰って、そのまま部屋に飾っておきたい!!!
逸る気持ちを抑え、冷静を装う。
「バレンタインデー?伍長、それは女性が男性へ気持ちを伝えるための手段ではないのか?」
「俺、いつもみんなに迷惑掛けてるから……。どんな風に感謝の気持ちを伝えたらよいかなって」
両手を胸の前で合わせ、もじもじしている。
「曹長に相談したら、『バレンタインデーに贈り物をしましょう』ということになりまして……」
だから2人でコソコソしていたのか。
「少尉には一番に食べて頂きたくて、ここに持ってきちゃいました」
「そうか。ありがとう」
努めて上官らしく振舞う私。
『少尉には一番に』
『少尉には一番に』
『少尉には一番に』
……このフレーズがぐるぐる回ってるが。
「伍長、頂いてもいいのか?」
「はい、どうぞ。……でも、俺、初めてお料理したので自信ないです。お口に合うかどうか……」
初めてのお料理!!!
そ、そんな貴重なものを食したら私はどうなってしまうのだろうか!?
折角伍長が作ってくれたものだ。
私が隅々まで味わって完食するとしようじゃないか!!
「たいちょー。もう着いたんでサッサと降りてくれませんかねぇ」
◆
3課の部屋。
伍長の初めてのお料理をじっくり味わっていた。
しっとりとしたブラウニー。ナッツが入って食感がしっかり伝わる。
甘さはしつこくなく、チョコレートのほろ苦さが相俟って絶妙なハーモニーを生み出している。
うまい!うますぎる!!
感激しているとロッカールームから呼ばれた。
「少尉ぃ〜。後ろのファスナーが下ろせません。」
やれやれ、とファスナーを下ろしてやる。
傷だらけの背中がそこにはあった。
無駄のない筋肉。
首筋から肩にかけてのラインはなだらかな曲線を描いている。
触れてみたくなって、手を伸ばしたときにふと気付いた。
「伍長、そういえば今朝これを着たときはどうやって着たのだ?」
「……今朝は曹長にお願いしてファスナーを上げてもらいました」
リリ・ステッキン……。許すまじ!
拳を握り締め、決意した。
「伍長!今後は着替えで困ったことがあれば私を呼ぶように!!」
「えっ?えっ?ど、どうしてですか!?」
「いいか、これは上官命令だ!」
「サー……いえす・さー……」
おしまい
*********************************************************************
スレ汚しすみません。
ただ、伍長がおままごとしてるのとか、
お料理してるのとか書いてみたかっただけです。
今回の衣装は、言わずと知れたふしぎの国のあの人が着てるエプロンドレスです。
次回は潜入!!執事喫茶?をお送りします。
リアルタイムで楽しませていただきました。GJ!
>いたいけなお子さんたちに、こんな姿を見せてしまって良いのでしょうか……
ワロタww女装伍長は諸刃の剣かもわからんねww
だがそれがいい。
曹長と頑張ってケーキ作ってたのかと思うと萌えた
やきもち焼く少尉も可愛かったです。
272 :
保管庫の人:2007/02/09(金) 06:54:23 ID:???
>スレ住人の皆様
携帯用SS集その1の上から順に、「私とワルツを」の2までうp完了しました。
雪原パロ以下はまだです。明日以降です。
個人的に、ワルツシリーズは私の中では殿堂入りしてるので、ただの読み手で
終わらなかったのはなんかちょっと役得かも知れんと呟いてみるテスト。
そもそも伍長のエロス満載のログの保管庫の管理人ってよく考えたら美味し(ry
えー、何故か広告が表示されてない不具合があったり、そろそろPC閲覧用にも
手を付けたかったりしますが地道にコツコツ作りますのでよろしくです。
>男体の人
どうもです。
直さなくていいですか?削除くらいならすぐに対応できますので
もしも後々気が変わったらお気軽にどうぞ。
>ドロワーズの人
乙です!容量の件お気遣い感謝です。
実は私もちょっと前まで某ブランドの13cmヒールのエナメル靴なぞ履いて
イベント会場を闊歩しておりましたwので、どんな服だかすぐに想像付いて
つい笑いがこみ上げますw 隊長は普通に似合って可愛いですね。
>ドロワーズの人
GJ! とても微笑ましかったです
何の違和感もなく伍長をお母さん役にできる
子供たち、テラオソロシスwww
ていうか、俺らの仲間www
>>270 ドロワーズの人
伍長の初めてを貰っちゃう少尉が羨ましすぎる
ドロワーズの人GJです!
少尉の独占欲の強さに笑ってしまいました
でも伍長見たら絶対そうなっちゃうだろうなぁ…
ドロワーズの人GJ!!
可愛い!可愛過ぎる!もう伍長のコスプレは
限定解除です。自分の中で。って言うか、少尉に嫉妬。
・オレ×伍
・本番未満。お触り程度
・オレルドは乳フェチ
短いですが投下します。
妄想だけで書いてしまった初心者なので
色々おかしなところがあると思います。すみません。
俺とデカブツが、いわゆるお付き合いをするようになってから、
橋の下に住んでいるアイツを時々家に連れて帰り、飯を食い、二人で眠るようになった。
その日も、一緒に食事をし、シャワーを浴び、ベッドに滑り込む。
先に入っていたデカブツの身体を柔らかく抱きしめた。
何度か体を重ねてはいるがまだ慣れないようで、腕の中で少し身体が強張るのを感じた。
緊張をほぐすようにやさしく唇を重ね、身体のラインそってに手を這わせる。
徐々に鼻から抜ける吐息に艶が混じっていく。
「んっ……んぅ…ふっ……」
夢中になって舌を絡ませてくるのを確認し、手をずらし胸に触れた。
「ん!」
服の上から胸全体をやわやわともみこむ。存外柔らかく、俺はここに触れるのが好きだ。
飽きずに強弱をつけて揉み、軽く撫でさすってやる。
キスをしていた唇も、首筋から鎖骨を経てそっと胸元に口付けた。
「あ…やっ……」
少しぼんやりとした目で声を漏らすデカブツが愛しくなる。
筋肉のラインを指でたどるとくすぐったそうに身をよじりながら吐息をもらした。
ふっと口元笑みを浮かべ、さわり心地に酔いしれる。
心臓あたりに耳をつけると、ドキドキと少し早い心臓の音が聞こえ
どこかほっと落ち着くような気持ちになる。
そっと服をまくりあげ、あらわになった胸元を吸い上げ、赤い痕を残す。
何箇所も何箇所も飽きずに吸っていると、みるまに痕だらけになった。
「ダメ…です…あんまり痕は…っ」
すがる様な、少し悲しさを含んだ目でデカブツが言う。
「ああ、すまん。つい夢中になってな」
素直に謝った俺は吸い上げるのをやめ、痕を舌で辿る。
唾液の筋が光って、卑猥な眺めに満足げにため息をついた。
撫で回しながらなおも舌を這わせていると焦れたように声があがる。
「はっ…オレルドさんっ……も…」
「どうしたデカブツ」
「ん…やだぁ………ひゃっ」
ぺろりと肌を舐めあげると声が跳ね上がった。もっとその声が聞きたく舐め、吸い付き、時折息を吹きかけてやる。
「あ…あぁ……やぁ…」
声に甘さが混じり、組み敷いた下で腰を揺すりだした。
少し意地悪な気持ちになった俺は、足は押さえつけたまま腰を少し浮かして摺れないようにしてやる。
「ん…オレルドさぁん…」
少し不満げにそうもらしたデカブツの表情がとろけ始めている。
それを見た俺はそっと乳輪の周りをくるくると強く、弱くなぞる。
「…んぁっ…オレルドさん…やだ……やだぁ…」
かぶりを振るのを尻目にそっと乳首に触れると、反応が顕著になった。
「んんっ…!あぁ、いや、やだ…やっ…」
デカブツの腕が、俺を胸から引き離そうと肩にかかる。
指でそっと、羽のように軽やかに触れる。ぴくぴくする身体を楽しむように
なでてやったり、ぐりぐりと押しつぶすようにしたり、やさしく摘んでやる。
胸にうもれていた乳首が固く色づいていく。
肩にかかっていた手からはいつの間にか力が抜け、もはや置かれただけの状態になっている。
「エロい色してんなぁ…お前のココ…もう固くなってる」
いじりながらささやいてやると泣きそうな顔になった。
「もっ…ほん…とっ、…嫌ですっ…いや…っ」
嫌がる言葉を聞き流し、口を寄せる。
すっかり立ち上がって赤くなった片方の乳首を舐めた。
軽く舐めあげ口付ける。べっとりと押し付けるように舐めたと思えば
唾液を啜るように吸ってやる。軽く歯を立て、甘噛みする。
今まで女にしていたように、丹念に性感を引き出そうとする。
その時、肩に置かれていた手に力が入り、ぐっと押し返される。
「も、いやです、……やめてくださいっ…」
急に行為を中断された俺は少し不機嫌な声で聞き返した。
「っ…なんだ、ほんとに嫌なのか?こっちのほうはそうは言ってなさそうだけどな」
そういってゆるく立ち上がった下半身に触れる。
しかし、少し泣き出したデカブツは目線を合わそうとせず、顔をそらした。
様子がおかしいと気づいた俺は、手で顔を包みそっと自分のほうに向かせる。
「どうした…?なんか嫌だったか?言ってくんなきゃわかんねーぞ…?」
素直にこちらは向いたものの、目線は合わせずしゃくりあげる。
「ん…だ、だって……ぐすっ………――――――――からっ…うっ…」
「ほら、落ち着けよ。声もちいせぇしから聞こえねえしよ」
気持ちが落ち着くように頭を撫でてやる。
「…ひっく…だって、オレルドさん…胸、うっ、ばっかり…触るから……ぐすっ」
「あぁ??胸?触られるの、嫌なのか?嫌いなのか?」
「俺っ…、女の人、っく、…みたいに、胸があるわけじゃ、ないし…っ
ずっと、そこ…ばっかり、弄るからっ…んっく…」
「…お前、バッカだなあ」
「だって……っ…う、オレルドさんっ、モテるし…女の人の、代わりにっ……ひっく…」
「ホントにそんな事考えてたのか?」
「うっ……くっ…ごめ…っなさい…」
「謝んじゃねーよ。誤解させて悪かった。今まで女相手しかしてなかったからな。
それにお前が好きで、気持ちよくさせたいから一杯弄ってるんだぜ?」
そう言えばデカブツの顔がみるみる赤く染まり、口をぱくぱくさせている。可愛い奴だ。
「それじゃ、誤解も解けたところで続き、しようぜ…」
耳元で、艶を乗せて囁いてやるとデカブツは身体をふるりと震わせた。
終
乳フェチゆえ、伍長のお乳が弄りたかった
反省はしていない
この量でも纏めるの大変でした。
長編書いてる方々の凄さを実感しますね、これ…
リアルタイムktkr
gjでした!
>277
おおGJです!もしかしてこのスレの最初でオレ×伍書いた人ですか?
コテハン名は…乳フェチの人?下品かなぁ
まあ兎に角伍長の乳いじり楽しませて頂きました!
これからが本番という時に終わるなんて心憎いね!
GJ!