漫画キャラバトルロワイアル Part13

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1Classical名無しさん
このスレは漫画キャラバトルロワイアルのスレです。
SSの投下も、ここで行ってください 、支援はばいばい猿があるので多めに

前スレ
漫画キャラバトルロワイアル Part12
ttp://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1201441207/l50
【外部リンク】
漫画キャラバトルロワイアル掲示板(したらば)
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/9318/
まとめサイト
ttp://www32.atwiki.jp/comicroyale
漫画キャラバトルロワイアル毒吐き2
ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/8882/1200415345/l50

1/4 【アカギ】○赤木しげる/●市川/●平山幸雄/●鷲巣巌
1/2 【覚悟のススメ】○葉隠覚悟/●葉隠散
1/3 【仮面ライダーSPIRITS】 ●本郷猛/●三影英介/○村雨良
1/4 【からくりサーカス】●加藤鳴海/○才賀エレオノール(しろがね)/●才賀勝/●白金(フェイスレス指令)
1/4 【銀魂】 ●坂田銀時/○神楽/●桂小太郎/●志村新八
2/4 【グラップラー刃牙】○愚地独歩/●花山薫/●範馬刃牙/○範馬勇次郎
1/4 【ジョジョの奇妙な冒険 】●吉良吉影/●空条承太郎/○ジョセフ・ジョースター/●DIO
2/4 【スクライド】●カズマ/●シェリス・アジャーニ/○マーティン・ジグマール/○劉鳳
0/4 【ゼロの使い魔】●キュルケ(略)/●タバサ/●平賀才人/●ルイズ(略)
3/4 【ハヤテのごとく】○綾崎ハヤテ/○桂ヒナギク/○三千院ナギ/●マリア
0/3 【HELLSING】●アーカード/●アレクサンド・アンデルセン/●セラス・ヴィクトリア
2/4 【北斗の拳】●アミバ/○ケンシロウ/●ジャギ/○ラオウ
2/4 【武装錬金】●防人衛/○蝶野攻爵/○津村斗貴子/●武藤カズキ
2/4 【漫画版バトルロワイアル】○川田章吾/●桐山和雄/●杉村弘樹/○三村信史
2/4 【名探偵コナン】 ○江戸川コナン/●灰原哀/○服部平次/●毛利小五郎
2/4 【らき☆すた】○泉こなた/●高良みゆき/○柊かがみ/●柊つかさ
計 23人 / 60人
2Classical名無しさん:08/02/14 01:30 ID:HcpI3xW2
【NGについて】
・修正(NG)要望は、名前欄か一行目にはっきりとその旨を記述してください。
・協議となった場面は協議が終わるまで凍結とする。凍結中はその場面を進行させることはできない。
・どんなに長引いても48時間以内に結論を出す。
『投稿した話を取り消す場合は、派生する話が発生する前に』

NG協議の対象となる基準
1.ストーリーの体をなしていない文章。(あまりにも酷い駄文等)
2.原作設定からみて明らかに有り得ない展開で、それがストーリーに大きく影響を与えてしまっている場合。
3.前のストーリーとの間で重大な矛盾が生じてしまっている場合(死んだキャラが普通に登場している等)
4.イベントルールに違反してしまっている場合。
5.荒し目的の投稿。
6.時間の進み方が異常。
7.雑談スレで決められた事柄に違反している(凍結中パートを勝手に動かす等)
8.その他、イベントのバランスを崩してしまう可能性のある内容。

上記の基準を満たしていない訴えは門前払いとします。
例.「このキャラがここで死ぬのは理不尽だ」「この後の展開を俺なりに考えていたのに」など
  ストーリーに関係ない細かい部分の揚げ足取りも×

例.「このキャラがここで死ぬのは理不尽だ」「この後の展開を俺なりに考えていたのに」など
  ストーリーに関係ない細かい部分の揚げ足取りも×
3Classical名無しさん:08/02/14 01:32 ID:HcpI3xW2
・批判も意見の一つです。臆せずに言いましょう。
 ただし、上記の修正要望要件を満たしていない場合は
 修正してほしいと主張しても、実際に修正される可能性は0だと思って下さい。
・修正要求ではない批判意見などを元にSSを修正するかどうかは書き手の自由です。
・誤字などは本スレで指摘してかまいませんが、内容議論については「問題議論用スレ」で行いましょう。
・「問題議論用スレ」は毒吐きではありません。議論に際しては、冷静に言葉を選んで客観的な意見を述べましょう。
・内容について本スレで議論する人がいたら、「問題議論用スレ」へ誘導しましょう。
・修正議論自体が行われなかった場合において自主的に修正するかどうかは、書き手の判断に委ねられます。
ただし、このような修正を行う際には問題議論用スレに一報することを強く推奨します

・展開予想、ネガティブな感想、主観的な意見は「毒吐きスレ」でお願いします。毒は溜め込まずに発散しましょう。
・議論スレと正式に分離したことで毒吐きでの感想は過激化している恐れがあります。見る必要性もないので、書き手は見ないことを推奨します。
4Classical名無しさん:08/02/14 01:32 ID:HcpI3xW2
【能力制限】

◆禁止
・アーカードの零号開放
・武藤カズキのヴィクター化
・吉良吉影の“第三の爆弾バイツァ・ダスト”
・ギャランドゥ(ジグマールのアルター)の自立行動(可否は議論中?)

◆威力制限
・ゼロ勢の魔法
・空条承太郎、DIOの時止め
・スクライドキャラのアルター(発動は問題なし、支給品のアルター化はNG)
・アーカードの吸血鬼としての能力
・仮面ライダーの戦闘能力
・シルバースキンの防御力
・北斗神拳の経絡秘孔の効果
・激戦の再生力、再生条件

◆やや制限?
・グラップラー刃牙勢、北斗の拳勢、仮面ライダー勢、覚悟のススメ勢の肉体的戦闘力
・ジョジョのスタンド(攻撃力が減少、一般人でも視認や接触が可能)
・からくりサーカス勢の解体能力

◆恐らく問題なし
・銀魂キャラ、戦闘経験キャラなどの、「一般人よりは強い」レベルのキャラの肉体的戦闘力

【支給品について】
・動物、使い魔、自動人形などの自立行動が可能な支給品は禁止です。(自立行動を行わないならば意思持ちでも可)
・麻薬、惚れ薬、石仮面などの人格を改変するおそれのある支給品や水の精霊の指輪、アヌビス神などの人格乗っ取り支給品は禁止です。
・核金によって発現する武装錬金は、原作の持ち主の武装錬金に固定されています。
5Classical名無しさん:08/02/14 01:33 ID:HcpI3xW2
【基本ルール】
 全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
 勝者のみ元の世界に帰ることができる。
 ゲームに参加するプレイヤー間でのやりとりに反則はない。
 プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。

【スタート時の持ち物】
 プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は全て没収。
 ただし、義手など体と一体化している武器、装置はその限りではない。
 また、衣服とポケットに入るくらいの雑貨(武器は除く)は持ち込みを許される。
 ゲーム開始直前にプレイヤーは開催側から以下の物を支給され、「デイパック」にまとめられている。
 「地図」「コンパス」「筆記用具」「水と食料」「名簿」「時計」「ランタン」「ランダムアイテム」
 「デイパック」→他の荷物を運ぶための小さいリュック。詳しくは別項参照。
 「地図」 → MAP-Cのあの図と、禁止エリアを判別するための境界線と座標が記されている。
 「コンパス」 → 安っぽい普通のコンパス。東西南北がわかる。
 「筆記用具」 → 普通の鉛筆と紙。
 「水と食料」 → 通常の成人男性で二日分。
 「名簿」→全ての参加キャラの名前のみが羅列されている。写真はなし。
 「時計」 → 普通の時計。時刻がわかる。開催者側が指定する時刻はこの時計で確認する。
 「ランタン」 → 暗闇を照らすことができる。
 「ランダムアイテム」 → 何かのアイテムが1〜3個入っている。内容はランダム。
6Classical名無しさん:08/02/14 01:34 ID:HcpI3xW2
書き手の心得その1(心構え)
・この物語はリレー小説です。 みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
・知らないキャラを書くときは、綿密な下調べをしてください。
 二次創作で口調や言動に違和感を感じるのは致命的です。
・みんなの迷惑にならないように、連投規制にひっかかりそうであればしたらばの一時投下スレにうpしてください。
・自信がなかったら先に一時投下スレにうpしてもかまいません。 爆弾でも本スレにうpされた時より楽です。
・本スレにUPされてない一時投下スレや没スレの作品は、続きを書かないようにしてください。
・本スレにUPされた作品は、原則的に修正は禁止です。うpする前に推敲してください。
   ただしちょっとした誤字などはwikiに収録されてからの修正が認められています。
   その際はかならずしたらばの修正報告スレに修正点を書き込みましょう。
・巧い文章はではなく、キャラへの愛情と物語への情熱をもって、自分のもてる力すべてをふり絞って書け!
・叩かれても泣かない。
・来るのが辛いだろうけど、ものいいがついたらできる限り顔を出す事。
 作品を撤回するときは自分でトリップをつけて本スレに書き込み、作品をNGにしましょう。
7Classical名無しさん:08/02/14 01:38 ID:BCxzXg4k
書き手の心得その2(実際に書いてみる)
・…を使うのが基本です。・・・や...はお勧めしません。また、リズムを崩すので多用は禁物。
・適切なところに句読点をうちましょう。特に文末は油断しているとつけわすれが多いです。
 ただし、かぎかっこ「 」の文末にはつけなくてよいようです。
・適切なところで改行をしましょう。
 改行のしすぎは文のリズムを崩しますが、ないと読みづらかったり、煩雑な印象を与えます。
・かぎかっこ「 」などの間は、二行目、三行目など、冒頭にスペースをあけてください。
・人物背景はできるだけ把握しておく事。
・過去ログ、マップはできるだけよんでおくこと。
 特に自分の書くキャラの位置、周辺の情報は絶対にチェックしてください。
・一人称と三人称は区別してください。
・ご都合主義にならないよう配慮してください。露骨にやられると萎えます。
・「なぜ、どうしてこうなったのか」をはっきりとさせましょう。
・状況はきちんと描写することが大切です。また、会話の連続は控えたほうが吉。
 ひとつの基準として、内容の多い会話は3つ以上連続させないなど。
・フラグは大事にする事。キャラの持ち味を殺さないように。ベタすぎる展開は避けてください。
・ライトノベルのような萌え要素などは両刃の剣。
・位置は誰にでもわかるよう、明確に書きましょう。
8Classical名無しさん:08/02/14 01:38 ID:BCxzXg4k
書き手の心得3(一歩踏み込んでみる)
・経過時間はできるだけ『多め』に見ておきましょう。
 自分では駆け足すれば間に合うと思っても、他の人が納得してくれるとは限りません。
 また、ギリギリ進行が何度も続くと、辻褄合わせが大変になってしまいます。
・キャラクターの回復スピードを早めすぎないようにしましょう。
・戦闘以外で、出番が多いキャラを何度も動かすのは、できるだけ控えましょう。
 あまり同じキャラばかり動き続けていると、読み手もお腹いっぱいな気分になってきます。
 それに出番の少ないキャラ達が、あなたの愛の手を待っています。
・キャラの現在地や時間軸、凍結中のパートなど、スレには色々な情報があります。
・『展開のための展開』はNG
 キャラクターはチェスの駒ではありません、各々の思考や移動経路などをしっかりと考えてあげてください。
・書きあがったら、投下前に一度しっかり見直してみましょう。
 誤字脱字をぐっと減らせるし、話の問題点や矛盾点を見つけることができます。
 一時間以上(理想は半日以上)間を空けてから見返すと一層効果的。
 紙に印刷するなど、媒体を変えるのも有効
 携帯からPCに変えるだけでも違います
9Classical名無しさん:08/02/14 01:38 ID:BCxzXg4k
【読み手の心得】
・好きなキャラがピンチになっても騒がない、愚痴らない。
・好きなキャラが死んでも泣かない、絡まない。
・荒らしは透明あぼーん推奨。
・批判意見に対する過度な擁護は、事態を泥沼化させる元です。
 同じ意見に基づいた擁護レスを見つけたら、書き込むのを止めましょう。
・擁護レスに対する噛み付きは、事態を泥沼化させる元です。
 修正要望を満たしていない場合、自分の意見を押し通そうとするのは止めましょう。
・嫌な気分になったら、ドラえもん(クレヨンしんちゃんも可)を見てマターリしてください。
・「空気嫁」は、言っている本人が一番空気を読めていない諸刃の剣。玄人でもお勧めしません。
・「フラグ潰し」はNGワード。2chのリレー小説に完璧なクオリティなんてものは存在しません。
 やり場のない気持ちや怒りをぶつける前に、TVを付けてラジオ体操でもしてみましょう。
 冷たい牛乳を飲んでカルシウムを摂取したり、一旦眠ったりするのも効果的です。
・感想は書き手の心の糧です。指摘は書き手の腕の研ぎ石です。
 丁寧な感想や鋭い指摘は、書き手のモチベーションを上げ、引いては作品の質の向上に繋がります。
・ロワスレの繁栄や良作を望むなら、書き手のモチベーションを下げるような行動は極力慎みましょう。

【議論の時の心得】
・作品の指摘をする場合は相手を煽らないで冷静に気になったところを述べましょう。
・ただし、キャラが被ったりした場合のフォロー&指摘はしてやって下さい。
・議論が紛糾すると、新作や感想があっても投下しづらくなってしまいます。
 意見が纏まらずに議論が長引くようならば、したらばにスレを立ててそちらで話し合って下さい。
・『問題意識の暴走の先にあるものは、自分と相容れない意見を「悪」と決め付け、
  強制的に排除しようとする「狂気」です。気をつけましょう』
・これはリレー小説です、一人で話を進める事だけは止めましょう。
10Classical名無しさん:08/02/14 01:38 ID:BCxzXg4k
【禁止事項】
・一度死亡が確定したキャラの復活
・大勢の参加者の動きを制限し過ぎる行動を取らせる
 程度によっては雑談スレで審議の対象。
・時間軸を遡った話の投下
 例えば話と話の間にキャラの位置等の状態が突然変わっている。
 この矛盾を解決する為に、他人に辻褄合わせとして空白時間の描写を依頼するのは禁止。
 こうした時間軸等の矛盾が発生しないよう初めから注意する。
・話の丸投げ
 後から修正する事を念頭に置き、はじめから適当な話の骨子だけを投下する事等。
 特別な事情があった場合を除き、悪質な場合は審議の後破棄。

【予約に関してのルール】

・したらばの予約スレにてトリップ付で予約を行います
・初トリップでの予約作品の投下の場合は予約必須(5日)
 ただし、予約せずに投下できなら、別に初トリでもかまわない

・予約時間延長(最大3日)を申請する場合はその旨を雑談スレで報告
・申請する権利を持つのは「過去に3作以上の作品が”採用された”」書き手
・修正期間は審議結果の修正要求から最大三日(ただし、議論による反論も可とする)
・予約時にはトリップ必須です。また、トリップは本人確認の唯一の手段となります。トリップが漏れた場合は本人の責任です。
・予約破棄は、必ず予約スレでも行ってください。

【MAP】
http://www32.atwiki.jp/comicroyale/pages/34.html
http://www32.atwiki.jp/comicroyale/pages/330.html (登場人物の位置あり)
11Classical名無しさん:08/02/14 01:47 ID:duSccGzM
o2
12Mushroom Hunting Samba ◇代理投下:08/02/14 01:48 ID:HcpI3xW2
渋々だが劉鳳も矛を収める。
「どんな犯罪者も殺さんのか?」
「そうや」
「……正気を疑うな。その施設の中で暴れたりはせんのか?」
「厳しく管理してるからな。延々閉じ込めておけるんなら問題は無いやろ」
「ふむ、アルターが無いのならそれも手ではあるが……やはり納得はいかんな」
色んな所を端折った説明だが、要点は伝わっている。
神楽は頭の後ろで両手を組み、壁によっかかりながら訊ねる。
「で、コナンはどうするアルか? 何処か隠れるネ?」
「いいや、服部にゃ悪いがそんな気は欠片もねえよ」
頷く神楽。
「そうアル。このまま黙って引っ込んでるなんてありえないアル。だからこの神楽様が一緒に行ってやるネ」
「何?」
驚くコナン、服部はその真意を確かめるべく神楽に問いただす。
「なんでそう思ったん?」
神楽の瞳は、服部をまっすぐに映す。
「私はこっちが良いアル」
服部はそれ以上何も聞かなかった

暗がりの中、神楽とコナンの二人は並んで歩道を歩いていく。
銀時の死、新八の死、そして信頼していた吉良の裏切りとその死。
逆境続きの彼女であるはずなのだが、そんな素振りは見られない。
コナンは気になっていた事を訊ねる。
「なあ、神楽は何で俺についてきてくれたんだ?」
すぐさま鉄拳が頭の上に叩き落された。
「いてっ!!」
「年上の相手には敬語使うアル」
「年上って、お前大して年変わらねえじゃ……」
再度の鉄拳。あまりの痛さに蹲るコナン。
声だけじゃなくやる事まで誰かさんに似ている。凶暴さは比べるべくもないが。
同じ事を言って優しくコナンの額を小突いてくれた彼女は、もう居ない。
13Mushroom Hunting Samba ◇代理投下:08/02/14 01:48 ID:HcpI3xW2
「聞き分けの無い子供にはおしおきアル」
「……それはいいから、質問に答えろよ」
神楽は足を止めない。コナンも慌ててその後を追う。
「私は派手な喧嘩は好きアルが、人殺しだの陰気臭いのは嫌いアルよ」
一瞬コナンの目に、神楽と銀時がダブって見えた。
「だから、私はこっちが良いアル」
ふざけてるんだか真面目なんだか良くわからない。
それでも彼女は自分を持っていて、それは骨太な一本の柱のように神楽を支えているように見えた。
「……ありがとよ」
「ふん」
つくづく、自分はたくさんの人に守られてきたと思う。
それは小学生並のこの体のせいなのか、人を殺す覚悟を決めていないせいなのか。
そんな取り止めの無い事をコナンは考えていた。


「いいのか?」
劉鳳の問いかけに、服部は曖昧に小首をかしげる。
吉良の遺体を調べ、核金と何処かのコインロッカーの鍵、それに点滴用パックを二人は手に入れる。
証拠品のディスクはコナンに持っていかせた。
一通りの整理を終え、デイバックに仕舞うと劉鳳が再度服部に言う。
「服部、お前は類稀なる知恵者であり、悪と戦う勇気を持った男だ。俺が保証する。よくぞアミバの無念を晴らしてくれた」
それこそが落ち込んでいる理由なのだが、と内心苦笑する。
「年上の相手には敬語使うアル」
「年上って、お前大して年変わらねえじゃ……」
再度の鉄拳。あまりの痛さに蹲るコナン。
声だけじゃなくやる事まで誰かさんに似ている。凶暴さは比べるべくもないが。
同じ事を言って優しくコナンの額を小突いてくれた彼女は、もう居ない。
「聞き分けの無い子供にはおしおきアル」
「……それはいいから、質問に答えろよ」
14Classical名無しさん:08/02/14 01:48 ID:M0YDiauo
  
15Mushroom Hunting Samba ◇代理投下:08/02/14 01:49 ID:HcpI3xW2
神楽は足を止めない。コナンも慌ててその後を追う。
「私は派手な喧嘩は好きアルが、人殺しだの陰気臭いのは嫌いアルよ」
一瞬コナンの目に、神楽と銀時がダブって見えた。
「だから、私はこっちが良いアル」
ふざけてるんだか真面目なんだか良くわからない。
それでも彼女は自分を持っていて、それは骨太な一本の柱のように神楽を支えているように見えた。
「……ありがとよ」
「ふん」
つくづく、自分はたくさんの人に守られてきたと思う。
それは小学生並のこの体のせいなのか、人を殺す覚悟を決めていないせいなのか。
そんな取り止めの無い事をコナンは考えていた。


「いいのか?」
劉鳳の問いかけに、服部は曖昧に小首をかしげる。
吉良の遺体を調べ、核金と何処かのコインロッカーの鍵、それに点滴用パックを二人は手に入れる。
証拠品のディスクはコナンに持っていかせた。
一通りの整理を終え、デイバックに仕舞うと劉鳳が再度服部に言う。
「服部、お前は類稀なる知恵者であり、悪と戦う勇気を持った男だ。俺が保証する。よくぞアミバの無念を晴らしてくれた」
それこそが落ち込んでいる理由なのだが、と内心苦笑する。
(ホンマ不器用なやっちゃで。これで慰めてるつもりなんやからな……)
鋭く尖った刃は脆く壊れやすい。
劉鳳への服部の第一印象であったが、どうもこの男、そんな可愛げのある刃ではないらしい。
幾度も理不尽や悲しみに打ちひしがれながら、それでも、彼の持つ正義は揺るがない。
アミバが言っていた強い信念を持つカズマという男も、きっとこんな男だったのだろう。
過剰と言える程の正義への思いと信念は、おそらく彼を取り巻く環境がそれを必要としていたのだろう。
翻って自分を省みる。
16Mushroom Hunting Samba ◇代理投下:08/02/14 01:50 ID:HcpI3xW2
吉良の遺体はベッドに寝かせてある。
埋葬しないのは、検死の必要が出てくるかもしれないからという、何ともバカバカしい理由だ。
殺人は良くて死体遺棄は駄目だなどと、腰の据わらないこと甚だしい。
自分が殺した遺体を、隠す事に抵抗があるせいだ。どうしようもないとはこの事か。
「神楽がついてるから、コナンの方も大丈夫やろ」
劉鳳が心配しそうな事を先に言っておいてやる。
すると劉鳳は彼にしては珍しくはっきりしない、中途半端な表情をする。
「俺はあの二人が良くわからん。見た目は子供なのだが、片やあの頭脳、片やあの力、一体何なんだあの二人は?」
神楽が持つ黒い巨大な拳銃を、いらないから誰かにやる、そう言った時、誰一人あの銃をまともに扱える者は居なかったのだ。
それを神楽は易々と片手で持ち、調子に乗ったのか指でくるくる回してみせてきた。
「コナンはともかく、神楽は俺にもわからん。子供っぽいかと思えば、妙に大人びた態度も取るし。ただ……」
「ただ?」
「ええ仲間とおったんやろな。人を信じて裏切られても、またすぐ信じられるいうんは凄い事やで」
喜怒哀楽の激しい彼女の表情を思い出したのか、微かに笑みを漏らす劉鳳。
「そうだな、凄い事だ」
服部は後ろに劉鳳を乗せ、バイクに跨ると次の目的地を言い渡す。
「とりあえず人の多そうな繁華街でも目指そか」
「わかった」
二人を乗せたバイクは夜の闇へと消えて行った。


暗い、周りが良く見えない。
ここは何処だ? 私は何をしている?
少し記憶の混乱があるようだ。しかし、こうまで真っ暗だと何を確認する事も出来ない。何処かに明かりは……

「…………吉…………こ…………」
17Classical名無しさん:08/02/14 01:51 ID:duSccGzM
sieN
18Mushroom Hunting Samba ◇代理投下:08/02/14 01:51 ID:HcpI3xW2
声? 何処かから声が聞こえる。
居た! 人だ! いや、あれは……

坂田! それに隣に居るのはマリアさん!

そうだ思い出したぞ。私は殺し合いをしろとか抜かすふざけた奴に連れてこられ、病院に来たのだ。
坂田はまあどうでもいいが、マリアさんが居るのには心底安心した。
ここは危険な場所だ。もし万が一マリアさんの手に何かあったら……
待て、良く見ろ吉良吉影! 何という事だ! あのマリアさんには手が無いではないか!?
どうしたというのだマリアさん! 至宝とも言うべきあの手が両方とも失われているぞ!
二人共何を慌てている! それよりもマリアさんの手の方が大事だろう! 一体どうしたというのだ!
何をしている坂田? そんな必死の形相で手を伸ばして、お前の手などどうでもいい。
相変わらず意味不明な行動をする男だ。
っと、そんな事はいい! それよりもマリアさんの手が……

「吉良さん」

不意に真後ろから声が聞こえた。
驚いて振り向くと、何とすぐそこにマリアさんが居るではないか!
しかもしかもしかも……こちらのマリアさんには手が付いている! 良かった、本当に良かった。マリアさんの手は失われた訳ではなかったのだな。
マリアさんは私に手を差し伸べる。
その手を取ろうと私は手を伸ばし……

「吉良あああああああぁぁぁぁ!!」

絶叫、これは坂田の声か?
しかたがないので、一度だけ振り返ってやる。
相変わらず不細工な格好で手を伸ばしている。だから、何がしたいのだお前は。
19Classical名無しさん:08/02/14 01:51 ID:BCxzXg4k
                             
20Mushroom Hunting Samba ◇代理投下:08/02/14 01:51 ID:HcpI3xW2
まだ何やら叫んでいるようだが、何故かその声は聞こえてこない。
隣に居る手の無いマリアさんは、悲しそうにこちらを見ている。
ん? マリアさんもゆっくりとこちらに腕を、そう手が無いので腕で正しい、伸ばしてきている。

私は……苦笑を二人に返し、後ろのマリアさんの手を取った。

声が聞こえた。記憶に無い声だ。
(貴方はこんな所で終わっていい人間じゃない……消えてゆくのなら、帰るべき場所で……私の魂と引き換えにしてでも)
マリアさんの姿が、見知らぬ女に変わってしまったように見えたのは、きっと私の目の錯覚だろう。

吉良が消え、年若い女性が消滅するのが見えた。
座り込んで肩を落とす銀時の背中に、その筋の専門家すら唸らせる白く美しい手で、そっと触れるマリア。
「銀時さんは全てを知った上でも、吉良さんに手を差し伸べられるんですね」
その表情はマリアからは見えない。
「……ここに居るって事は、マリアさんだってそうなんだろ」
寂しそうに笑うマリア。
「私の手は、吉良さんには見えていなかったようですけどね」
顔は見えずとも、気配は伝わる。
銀時は、マリアにそんな声を出させる為に、ここに来たわけじゃない。
「あーあ、まあしゃあねえか。別にあっち行ったからって悪くなるって決まったわけでもねえし」
銀時はあるはずの無い埃を払いながら立ち上がる。
「逝くとすっか」
「はい」
二人は光に包まれ、消えていった。


こうして私は平穏な生活を手に入れた。
21Classical名無しさん:08/02/14 01:52 ID:BCxzXg4k
                           
22Mushroom Hunting Samba ◇代理投下:08/02/14 01:52 ID:HcpI3xW2
ここは杜王町ではない。私が見た事もない町並みだからそれは間違いないのだろう。
不思議な事に、この町の道路を進むといつのまにか元の道に戻ってしまうのだ。
永遠に抜け出せない、だが私はそれでも構わなかった。
私を煩わせる何者もここには存在しない。心穏やかな日々があるだけだ。
ここに居ると空腹も感じないし、汚れも付かない。私の身だしなみは常に完璧であり、私はいつでも何かを不足と感じる事も無い。
時々ふと思い出す、マリアさんの手、あれは何処へ行ってしまったのだろう。
そんな時だけだ、私の心がかき乱されるのは。
ここには私しか居ないので、代用品を調達する事も出来ない。
いや、代用品などでは決して満足出来ないだろう。

……驚いた。こんな場所に侵入者が現れるとは。

何者だ? いいだろう、私の領域を侵す者に、殺意の女王による裁きをくれてやろう。
複数か、構わない。私の無敵のスタンドが破れる事などあるはずが無いのだから。
何故、私は、こんな事を、忘れていたのか……何故……思い出させるのだ…………ヒドイ奴等だ…………私が何をしたと…………



【吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険:死亡確認】


【F-2 民家/一日目 夜中】
【江戸川コナン@名探偵コナン】
[状態]:全身打撲。疲労大。左肩と全身に湿布と包帯。強い決意。
[装備]:ハート様気絶用棍棒@北斗の拳 、懐中電灯@現地調達 包帯と湿布@現地調達 スーパーエイジャ@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品(食料一食消費)、鷲巣麻雀セット@アカギ、 空条承太郎の記憶DISC@ジョジョの奇妙な冒険
[思考] 基本:この殺し合いを止める
1:ルイズの最後の願いを叶えたい。
23Classical名無しさん:08/02/14 01:52 ID:M0YDiauo
     
24Mushroom Hunting Samba ◇代理投下:08/02/14 01:53 ID:HcpI3xW2
2:覚悟さん達と合流
3:ゲームからの脱出
4:ジグマールを警戒
5:範馬勇次郎以外の光成の旧知の人物を探り、情報を得たい。
[備考]
※メガネ、蝶ネクタイ、シューズは全て何の効力もない普通のグッズを装備しています。
※自分達の世界以外の人間が連れてこられていることに気付きました
※川田、ヒナギク、つかさ、服部、劉鳳、アミバの情報を手に入れました。
※平次と二人で立てた仮説、「光成の他の主催者の可能性」「光成による反抗の呼びかけの可能性」「盗聴器を利用した光成への呼びかけの策」 等については、まだ3人に話していません。又、話す機会を慎重にすべきとも考えています。
※スーパーエイジャが、「光を集めてレーザーとして発射する」 事に気づきました。
【神楽@銀魂】
[状態] 軽度の疲労
[装備] 神楽の仕込み傘(強化型)@銀魂 、ジャッカル・13mm炸裂徹鋼弾予備弾倉(25.30)@HELLSING
[道具]支給品一式×2(食料一食消費) 陵桜学園高等部のセーラー服@らき☆すた 首輪
[思考・状況]
基本: 殺し合いに乗っていない人は守る、乗っている人は倒す。
1:コナンに付き合う
2:マダオ達を助けに行きアフロ(ジグマール)をぶっ飛ばす
3:銀ちゃんとを殺した奴は許さない

[備考]
※原作18巻終了後から参戦。
※他の五人が行った情報交換の内容も正確には知りません。
※キュルケとケンシロウについては細かいことをまだ四人に話していません。

【服部平次@名探偵コナン】
[状態]:健康。両頬が少し腫れている。
[装備]:スーパー光線銃@スクライド、木刀正宗@ハヤテのごとく、携帯電話 核鉄ニアデ
25Mushroom Hunting Samba ◇代理投下:08/02/14 01:54 ID:HcpI3xW2
ス・ハピネス@武装練金
[道具]:支給品一式(食料一食消費)、首輪、「ざわ……ざわ……」とかかれた紙@アカギ(裏面をメモ代わりにしている)、
    色々と記入された名簿、ノート数冊、ノートパソコン@BATTLE ROYALE、
    ジャギのショットガン@北斗の拳(弾は装填されていない)、綾崎ハヤテ御用達ママチャリ@ハヤテのごとく(未開封)、
    ギーシュの造花@ゼロの使い魔、スティッキィ・フィンガーズのDISC@ジョジョの奇妙な冒険 (内容、使用方法不明)、
    キュルケの杖、拡声器、 核鉄ソードサムライX@武装錬金包帯・消毒薬等の治療薬、点滴用セット(十パック)
    病院内ロッカーの鍵(中に千切れた吉良の左手首あり)才人のデイパック(内容は支給品一式、バヨネット×2@HELLSING、
     紫外線照射装置@ジョジョの奇妙な冒険(残り使用回数一回)未確認)  
[思考・状況]
基本:江戸川コナンよりも早く首輪のトリック、事件の謎を解除する。
1:繁華街方面へ向かう
2:ルイズの最後の願いについてはどうするか。
3:シェリスを発見し、真実を明らかにする。
4:範馬勇次郎以外の光成の旧知の人物を探り、情報を得たい。
5:自分自身にバトルロワイアル脱出の能力があると偽り、仲間を集める(一時的に保留)

[備考]
※劉鳳と情報交換を行い、シェリスの名前を知りました。
※劉鳳、コナンの事は全面的に信用しています。吉良、神楽に対してはまだ保留しています。
※自分自身にバトルロワイアル脱出の特殊能力があると偽る策を考えています。
※バトルロワイアル脱出の特殊能力は10人集まらないと発動しません。(現時点での服部設定)
※脱出作戦を行うかはどうかは考え中。
※バトルロワイアル脱出の特殊能力についてはまだ吉良に言っていません。そのうち時期を見て言うかは保留です。
※銀髪銀眼の人物が殺し合いに乗った事を知りました。
26Mushroom Hunting Samba ◇代理投下:08/02/14 01:54 ID:HcpI3xW2
※バイクCB1000(現地調達品)は、民家から少し離れた路地に、シートを被せて隠しています。
※コナンと二人で立てた仮説、「光成の他の主催者の可能性」「光成による反抗の呼びかけの可能性」「盗聴器を利用した光成への呼びかけの策」 等については、まだ3人に話していません。又、話す機会を慎重にすべきとも考えています。
※スーパーエイジャが、「光を集めてレーザーとして発射する」 事に気づきました。

【劉鳳@スクライド】
[状態]:疲労中、全身に小程度のダメージ、左肩と腹部にダメージ中、右拳骨折治癒途中(包帯が巻いてある)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(食料一食消費)、4色ボールペン、色々と記入された名簿、スタングレネード×2 、タバサの眼鏡
    タバサのデイパック(内容は液体窒素(一瓶、紙状態)、タバサの支給品一式 、色々と記入された名簿
[思考・状況]
基本:正義を全うし、ゲームとその主催者を断罪する。
1:アミバの遺志を背負い、正義をなす。
2:ルイズの最後の願いについてどうするか。
3:悪(主催者・ジグマール・DIO・アーカード・村雨)は断罪、弱者(シェリス、キュルケ、神楽)は保護。
4:シェリス・防人の知り合い・桐山の知り合い・核鉄を探す。
5:シェリスに事の真相を聞きだす。
[備考]
※絶影にかけられた制限に気付きました。
※桐山・防人・服部・タバサ・吉良・コナンと情報交換しました。
※平次の策に乗る気はありません。
※銀髪銀眼の顔に傷のある人物が殺し合いに乗った事を知りました。
※液体窒素の瓶(紙状態)、スタングレネードなどは、仲間の誰かに渡しても構わないと思っています。
27Mushroom Hunting Samba ◇代理投下:08/02/14 01:55 ID:HcpI3xW2
[共通備考]
※劉鳳、服部、アーカードの持つ名簿には以下の内容が記載されています。
 名簿に青い丸印が付けられているのは、カズマ・劉鳳・シェリス・桐山・杉村・三村・川田・才人・
 ルイズ・防人・カズキ・斗貴子・タバサ・キュルケ・コナン・服部 ・灰原
 赤い丸印が付けられているのは、ジグマール・DIO・アーカード・散・村雨
 緑色の丸印が付けられているのは、蝶野
※劉鳳、服部、コナン、神楽は吉良がスタンド使いということを知りました。
※ルイズをF-3の川岸に埋葬しました。折れた軍刀は墓標として刺してあり、キュルケの杖、拡声器は服部が所持しています。
※ルイズの最後の願いについてはまだ話し合っていません。
※アミバの持っていた支給品一式×3 (食料一食消費) は、F−2民家の中にあります。
※アミバの持っていたノートパソコンには、大東亜共和国謹製のOSが組み込まれています。
28Classical名無しさん:08/02/14 02:02 ID:M0YDiauo
投下乙&代理投下乙!
吉良が意外とあっけないけど、それが原作であっさり死んだ場面を思い出しました。
コナンの理想と服部のバトロワで得た認識、それぞれの信念があるゆえ、ぶつかり合うのもまた面白かったです。
マリアさんと銀さんのゲスト出演も良かった。
吉良と仲良さげだったですし。
GJ!!
29Classical名無しさん:08/02/14 02:08 ID:HcpI3xW2
>>27
◆1qmjaShGfE 氏本当に申し訳ありませんでした。
題名を間違えて投稿してしまって……。
謹んで謝罪いたします。

それはともかく、つくづくGJ! な作品でした。
ここまで「推理」ってものを見せてくれるとは思いませんでした。
コナンの推理にニヤニヤしちまいました。
そして服部とコナンの対立もまた、興味深かったです。
信念の対立ってのはいいもんだな……。

それと、最後の銀時とマリアを吉良が拒絶してしまう所はつくづくよかった・・・。
殺人鬼には救いようのない死がよく似合うw
銀時とマリアの切ない台詞もすごくよかったです。もう一度GJ!!
30Classical名無しさん:08/02/14 02:08 ID:dPktvH8U
 震えるほど GJ!
31Classical名無しさん:08/02/14 02:09 ID:3Qe3.zvo
これは吉良的にはハッピーエンドかなw
苦しい人生より安らぎの死後を好むタイプだし。
32Classical名無しさん:08/02/14 02:13 ID:BCxzXg4k
投下乙。
超人バトルの連続で感覚が麻痺してましたが、コナンのいう正義が正常なのかもしれませんね。
正解というものがないから難しいんですよね。そこにスポットを当てるとは流石です。
ステルス殺しもGJでした。作戦、鮮やかでしたよ。

ところで、時間は前回のSSと同じ「夜中」でいいんですか?
33Classical名無しさん:08/02/14 02:43 ID:mXsW5Jt2
投下乙です。
ようやくコナンがコナンになれたか…
34 ◆1qmjaShGfE :08/02/14 02:50 ID:0hACfM..
まずはスレ立て乙と言わざるをえない。すみません、スレの残り見忘れてて
>>29
お気になさらず、代理投下ありがとうございました

>>32
スミマセン、そこ書き直してませんでした。真夜中でお願いします
35Classical名無しさん:08/02/14 02:50 ID:vS7uM3GU
投下乙です。
吉良があっさり死んでいったのが凄く良かったです。
この人、最後までバイツァ・ダストが制限で使えないことを知らなかったのか。
自分が死んだことを自覚して無さそうなことも併せて、ちょっと滑稽。
殺人鬼の末路は悲惨だなぁと。

吉良の死から服部・コナンの意見の相違がはっきりしたのも面白かったです。
コナンも服部も間違ってないだけに辛い。

銀さんとマリアさんをみて、表面上だけとは言え平和だった時の病院を思い出してしんみりしてしまった。
36Classical名無しさん:08/02/14 05:00 ID:axI0AODI
投下乙と言わざるをえない

吉良が死んだらシアーハートアタックも消えるのか?正直本体よりかき回してた気がするが・・・
37Classical名無しさん:08/02/14 09:14 ID:FyNh2wGY
GJ! 久々の対主催勝利話。
劉鳳が暴走しなくてよかった、神楽の小生意気さも戻ってきてるし
割と順調で胸なでおろしたぜ。
吉良は最後まで吉良なんだよな……死者スレでデッドマンQ化したりして
38Classical名無しさん:08/02/14 14:09 ID:hc/i1rfI
>>1さん乙!スレ立てありがとうございます。
そして投下乙&代理投下乙!
GJです!
コナンと平次の正義に対する思いは本物で、
どちらも正しいが故に、今回の意見の対立は辛い……。
二人の心情がよく表れていたと思います。
劉鳳の正義に対する信念もますます強くなっていると思います。
神楽も辛かっただろうけれど、それを乗り越える強さを持っていて安心しました。
マリアさんと銀さんのゲスト出演もうれしかったです。ほろりときたよ。
そして吉良ああぁ!……逝ってしまったか。
今までのステルスぶり、堪能させてもらいました。
吉良ならどんなところでも平穏な生活を手に入れられると信じてるよ。
長くなりましたが重ねてGJです!
39Classical名無しさん:08/02/14 19:49 ID:QXeHsw2w
投下乙ッ!!
吉良があっけなく死んだのにも驚いたが、
四人が別れたのにも驚いた。
劉鳳と服部は誰と遭遇するのか?
コナンと神楽はマーダーと遭遇したらどうするのか?
非常に続きが気になるゥウッ!!
40Classical名無しさん:08/02/14 23:03 ID:eq3LRzbY
GJ。
吉良にはやっぱり、呆気ない死が似合ってますな。
原作でも、救急車に轢き殺されるっていうまさかの最後だったし……
そしてここに来て、コナンと服部が離れ離れに。
対主催の頭脳といえる二人が分かれたのは、吉と出るか凶と出るか……
果たしてどうなることか。

>>36
シアーハートアタックは、これで消滅かと。
……全キャラが、夜中に無事移行できたのなら。
吉良が死亡する前の時間帯なら、バリバリ活動中だから……
41Classical名無しさん:08/02/14 23:28 ID:/Pq1l3Ds
投下乙です!!
吉良あああああああああああああああ
あっけなく逝った〜〜〜〜!!!!
しかも四人が別れてしまった。。
ブラボーの言い方を借りれば、信念の相違ぅて奴なのかな。
犯人でも殺してはいけないというコナンがやっぱり月影島の事が尾を引いてるのかな〜。
GJでした。
後、残り人数を忘れてますよ。
【吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険:死亡確認】
【残り23人】
42Classical名無しさん:08/02/14 23:37 ID:SOQjFK4s
劉鳳って原作終了後からの参加らしいから、やろうと思ったらs.CRY.edで進化できるんだよな
正直対主催がピンチすぎてそろそろ強化しなきゃまずかろうに
43Classical名無しさん:08/02/15 00:46 ID:FFf1HMtI
シェリスなしだと進化できないんじゃね?
44Classical名無しさん:08/02/15 00:48 ID:qSMNbDHs
>>43
エピローグ後だから可能。
エピローグでシェリス無しで使用してる。
45Classical名無しさん:08/02/15 15:56 ID:E.0Uiduo
>>42
ロワは優勝エンドとか全滅エンドとかもあるんだぜ
46Classical名無しさん:08/02/15 20:51 ID:xk922ssw
>>45
逆に考えるんだ。「脱出しちゃってもいいさ」と考えるんだ
47Classical名無しさん:08/02/15 20:53 ID:P5nORMww
纏めサイトが見るたびに七変化してやがる、何を言ってるかわからねぇと思うが俺も頭がどうにか成りそうだった
前回見た時は白かったとか、今回見たらピンクになってたとかそんなチャチなもんじゃねえ
もっと「GJ!編集お疲れw」の片鱗を見たぜ……
48Classical名無しさん:08/02/15 21:08 ID:rksS9a2Y
地味にMANGAって書いてあるんだな……
49Classical名無しさん:08/02/15 22:49 ID:nU4KvrUI
テスト書き込み
50 ◆ctWQeRff.I :08/02/15 22:50 ID:nU4KvrUI
コナン、神楽を投下します。
51Classical名無しさん:08/02/15 22:51 ID:nU4KvrUI
 友と反する道を選んだ、そのことは決して軽いものではない。
 けれど、江戸川コナンの決断は早かった。
 理由は簡単だ。彼が持つ殺人忌避の信念は、それだけ重いから、たったそれだけなのだ。
 服部平次とは、コナンにとってある意味で、唯一の友人と言っていい。
 級友なら、歩美や元太、光彦たちがいる。
 同じ幼児化を経験した人間なら灰原がいる。
 同じ屋根の下に眠る毛利蘭にいたっては、恋心すら抱く幼馴染だ。
 けれど、対等な立場で肩を並べて推理できる男は服部しかいない。
 自分と同等の知力、推理力、事件解決実績。
 それがある男は、服部平次をおいて他にいない。
 その服部と違う道を歩むことが、コナンにとってどれ程苦渋の決断であったかは想像も出来ない。
 まして、知力を発揮すべき相手は並行世界横断技術を持つ得体の知れないモノ。
 2人で頭を寄せ合ったところで、なお、及ばないかも知れない。
(でも、だからってよ……)
 全て分かっている。
 服部と共に策を練らなければ、太刀打ちできる相手ではない。
 服部のとった行動に何一つ間違いはない。
 そもそも、殺した相手は異世界の住人吉良吉影だ。
 服部が元世界に戻った後も、彼を裁く法律は存在しないし、
仮に同じ世界の住人であったとしても、この場では正当防衛が主張できる。
 実際、あそこで殺したのは正当防衛以外の何ものでもない。
 要するに、服部の正しいのは分かっているし、
 それを認め、服部と共に行動する方がよほどメリットがあるのだ。
 けれど、コナンは理性的ではあるけど、無感情というわけではない。
 自分の信念と服部が違う手段をとった。そんな男と、どうして同じ道を進めようか。


52その暴力に賭ける:08/02/15 22:51 ID:nU4KvrUI
 江戸川コナンという少年は、このバトルロワイアルの中では異質である。
 実を言うと、彼以外の全ての者は緊急避難という言葉で括られる行為を、コナンに比べれば積極的にとる。
 先ほどの服部がいい例だ。
 コナンはまだ、緊急避難を取らなかった。
 吉良という殺人鬼が目の前にいるにもかかわらず、相手はスタンドと言う未知に近い力を持つにもかかわらず、
それでもなお、コナンは殺さずに無力化する道を模索していた。
 だが、服部は違う。というより、服部だけでなく他の参加者の全員が違う。
 迫り来る脅威からごく自然に、避難するという行動。結果として殺人を犯してしまったが、それでもなお当たり前の行為だ。
 その行為が、仕方ない事だなんて、コナンも頭では理解している。
 だが、魂が認めていない。
 信念、たった漢字2つのそれではあるが、コナンにとって何より重い。

 コナンがなぜ、このように重い信念を抱くに至ったのか、定かではない。
 本人いわく、一度犯人を追い詰めて自殺させてしまったから、らしいがその一回だけでは説明がつかないだろう。
 月影島での連続殺人事件、確かにあの事件は大きなものだったに違いない。
 けれど、どれほど大きな事件であったとしてもコナンにとっては100を超える事件経験の中のたった一つに過ぎない。
 その事件が、果たしてどれ程の影響を与えたのか、正直、軽いのではないかと思う。
 恐らく、江戸川コナン、あるいはそう呼ばれる前の工藤新一時代から、この信念の原型は出来ていたのではなかろうか。
 無論、推測に過ぎない。
 そして、恐らく本人も知らないだろう。
 信念とは、正義とは、理屈ではないのだから……

53その暴力に賭ける:08/02/15 22:51 ID:nU4KvrUI
 さて、ここで江戸川コナンという人間が持つ信念の重みをもう少し掘り下げて見てみよう。
 いつの日だったか、服部平次が幼馴染の遠山和葉と共に東京見物に来た日のことだ。
 色々な経緯があって、服部の知人重松明男に再会。
 そこから、彼が執事を勤める森園家へとお邪魔することになった。
 そこでいつものように殺人事件が起こり ─ いつものようにと言うのもおかしな話だが ─ コナンは、服部と共に推理するわけだ。
 だが、ここで起こった事件は、これまでの事件と少し違った。
 密室殺人。
 コナンにとってはありふれた ─ これもおかしな話だが ─ 殺人手法のはずが、何とこの時、彼はその謎を解くことが出来なかった。
 正確に言えば、密室殺人の証拠を掴むことが出来なかったのである。
 一応、犯人は状況証拠の面から推測することが出来た。
 けれど、類まれな知恵者である犯人・森園菊人を前に物的証拠を掴むことが出来なかったのである。
 そんな中、コナンと服部は事件を解決させるために一つの策をうつ。
 その策とは、全く無実の人間桜庭を犯人に仕立て上げ、真犯人森園をはめてしまうと言うもの。
 倫理無視にも程があるこの作戦を実行し、コナンと服部はみごと犯人の物的証拠を掴みとり、森園逮捕へのきっかけとなった。

 この事件から窺えることは、コナンの持つ殺人忌避の信念は恐らく全ての倫理に優先すると言うことであろう。
 そもそも、コナンが工藤新一だった時代高校生探偵と言われて責任のない状態で推理をしていたこと自体倫理的には許されないことだ。
 当時、彼を頼っていた目暮警部などは、新一が推理ミスをした場合責任を取らされることになる。
 逆に、推理ミスを犯した新一は未成年であるため、責任は目暮ほど問われない。
 もちろん、新一は理解していた。そんな事、当たり前のように。
 だが、それでもなお、推理する。
 それでもなお、犯人を指摘する。
 それが江戸川コナンであり、工藤新一だ。
 要するに、彼にとってあらゆる事に優先するのである、殺人阻止と言うものは。

54その暴力に賭ける:08/02/15 22:53 ID:nU4KvrUI
 これをもっと別の観点から見てみよう。
 先ほど服部が言っていたアーカード。彼曰く、どうやって殺したらいいのかも分からない化け物。
 つまりは、人間でない存在なのだが、これを殺すことをコナンはどう考えるだろうか。
 恐らく、あまり良しとしない。
 別に倫理や人殺しと言ったものが、化け物にも適用できるとコナンは考えているわけではない。
 彼とて、日ごろ牛肉や豚肉を食しているのだから、人以外を殺すことに抵抗はない。
 それが人間にあだなす存在であるならなおさらと言えよう。
 けれど、それでも、殺すことに否定的になる。
 それはなぜか。
 単純だ、アーカードを殺すために残ったブラボー、つまり防人衛が死んだからである。
『犯人を推理で追い詰めて、みすみす自殺させちまう探偵は殺人者とかわんねーよ』
 とは、江戸川コナンの台詞であるが、これがそのままアーカードvs防人にも当てはめられる。
 つまり、準備の揃わない状態で化け物に挑んでいってみすみす人間を殺してしまえば、殺人者と変わらないのである。
 だから、コナンはアーカードを殺すか否かと聞かれれば、答えに困る。
 もちろん、実際にアーカードに会ってみなければ、正確な答えなど出せない。
 自分と対等の知恵者である服部が、あれで正解だったと言うのだから、上で言ったことは机上の空論。
 けれどやはり、江戸川コナンは化け物退治さえもあまり良しとしない。
 逃げを打てるのなら、逃げるのが彼にとっての正解だ。

55その暴力に賭ける:08/02/15 22:53 ID:nU4KvrUI
 さらに奥深くまで踏み込んで考えてみよう。
 アーカードのような人外とコナンが対決する場合、最も望ましいのは人外打倒の準備を整えてから対決することである。
 整っていない場合は、仲間を殺さないように撤退することが正しい。
 しかし、考えて欲しい。
 相手は夜の王アーカードだ。
 準備を整えることが果たして可能か。整わない状態で出会って逃げ出すことが果たして可能か。
 どちらも、不可能と言わざるを得ない。
 これは別にアーカードだけでなく、DIOに対しても同じ事が言える。
 それに仮に逃げ出すことが出来たとしても、逃げ出してしまえば周りに被害を拡大させる。
 要するにそのような化け物と戦うこと自体、無理難題な訳である。
 最初からどうしたって、誰かが死ぬように出来ているのだ。

 まとめてみよう。
 コナンには殺人忌避の絶対信念があり、それは全ての倫理に優先される。
 この場では、どうしたって殺人が起きるようになっており、コナンにはそれを防ぐ武力がない。
 知力を補い合える男とは自分から縁を切ってしまった。
 あの男が切り札と称する男とも別れてしまった。
 残された手段はもう、ある種裏技的なものしかないという事になる。
 この殺し合いを仕組んだものが、『そんなやり方ねぇだろ』とあきれ返るような裏技しか、殺人阻止の手段はない。
(無理だろうなぁ……)
 実を言えば、その裏技に一つ心当たりがある。
 その裏技は人が宇宙服なしで月面までジャンプするぐらいの無茶を前提にしている。
 その裏技は殺人を犯した服部を否定する自分の行動に矛盾するものである。
 その裏技は兆に一つの確率で成功すれば、これ以上ないほど殺人防止に役立つ。
(馬鹿なのは俺だって百も承知だ……)
 だが、これまでの現実が嫌というほどコナンに見せ付けていた。
 ここでは殺人を回避する方法などないと。
 回避するためには、絶対的裏技を使うしかないと。

56その暴力に賭ける:08/02/15 22:54 ID:nU4KvrUI

「ねぇ、神楽おねぇちゃん」
「やっと敬語を使えるようになったアルカ」
(敬語じゃねーよ……ま、満足してるみたいだけどな)

 裏技を使うのはいいとして、問題は神楽だ。
 元々、一日で猿が人に進化するぐらいの不可能が前提の裏技。
 力があるとは言え、少女を連れて行く場合、そんな無茶は出来ない。
 今は神楽の方が年上だが、実年齢で言えば工藤新一よりも下になる少女。
 コナンから見れば守る対象に他ならない。

「あのさ、これからどこに行こうか……」

 ルイズの遺言、覚悟との合流、バトルロワイアルの打破。人殺しの阻止、裏技の実行。
 やらなければならないことは山ほどあるわけだが、どこに行けばいいかは分からない。

「マダオを探すアル」
「マダオ? あぁ、キュルケさんのこと?」
「あぁ、親から貰った名前を捨てる不孝者アル」
(ははッ……、本名がキュルケじゃねぇのかよ)
「あとついでに、筋肉眉毛も探してやらないとかわいそうネ」
(ケンシロウさんの事だな)

 少しだけとは言え、情報交換をしていて良かった。
 全く聞いてなかったら、何を言ってるのかサッパリ分からなかったろう。

「んじゃ、その2人はどこにいるのか分かる?」
「病院に行くって言ってたアル」

57その暴力に賭ける:08/02/15 22:55 ID:nU4KvrUI
 なるほど……
 だが、数時間前の情報となると、今はあてにならないと思ったほうがいい。
 とりあえず、確認程度に病院に行ってその後で繁華街に向かった方がよさそうだ。



 そう、裏技のキーとなる人物も恐らく繁華街にいる。
 ケンシロウやキュルケが生き残っているのなら、神楽を2人に預けて自分はその人物を探す。
 覚悟が見つかれば覚悟に預けてもいい。そして自分はキーを捜す。
 彼を見つければ、裏技実行のチャンスが得られる。
 その人物の名は範馬勇次郎。

 元々、奇麗事だけで人殺しが阻止できるなんて思っちゃいない。
 通常の殺人犯に蘭の空手や、キック力増強シューズが必要になるように。
 人外に近い化け物になら、それ相応の武力が必要になる。
 この殺し合いにおいて、最狂の暴力範馬勇次郎。
 彼を説得し、仲間に引き入れ、抑止力として使う。
 無茶なのは百も承知。
 理屈で言えば、0%も勝率なんてない。
 あれが人殺しとか、化け物とか、そんな生易しい言葉で語れる生き物でないことぐらいコナンも十分承知している。
 たとえるなら、地上最強の生物。
 人間でありながら、人間でなく、この地上にいながら最強を当たり前と思っている男。
 あれは交渉が成立するような生き物ではない。

(でもよ……これ以上、誰かを殺すことなんて出来るわけがねぇ……)

 賭けに出る。
 無謀でも……
58その暴力に賭ける:08/02/15 22:56 ID:nU4KvrUI
【F-3 中央/一日目 真夜中】
【江戸川コナン@名探偵コナン】
[状態]:全身打撲。疲労大。左肩と全身に湿布と包帯。強い決意。
[装備]:ハート様気絶用棍棒@北斗の拳 、懐中電灯@現地調達 包帯と湿布@現地調達 スーパーエイジャ@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品(食料一食消費)、鷲巣麻雀セット@アカギ、 空条承太郎の記憶DISC@ジョジョの奇妙な冒険
[思考] 基本:この殺し合いを止める。
1:病院→繁華街と進んでいく。その過程でキュルケ、ケンシロウ、覚悟、範馬勇次郎を捜索。
2:ルイズの最後の願いを叶えたい。
3:信頼できる人物(ケンシロウ、キュルケ、覚悟など)に神楽を預ける。
4:ゲームからの脱出。
5:ジグマールを警戒。
6:範馬勇次郎以外の光成の旧知の人物を探り、情報を得たい。
7:範馬勇次郎を仲間に引き入れる。
[備考]
※メガネ、蝶ネクタイ、シューズは全て何の効力もない普通のグッズを装備しています。
※自分達の世界以外の人間が連れてこられていることに気付きました
※川田、ヒナギク、つかさ、服部、劉鳳、アミバの情報を手に入れました。
※平次と二人で立てた仮説、「光成の他の主催者の可能性」「光成による反抗の呼びかけの可能性」「盗聴器を利用した光成への呼びかけの策」 等については、まだ平次以外に話していません。又、話す機会を慎重にすべきとも考えています。
※スーパーエイジャが、「光を集めてレーザーとして発射する」 事に気づきました。
59その暴力に賭ける:08/02/15 22:56 ID:nU4KvrUI
【神楽@銀魂】
[状態] 軽度の疲労
[装備] 神楽の仕込み傘(強化型)@銀魂 、ジャッカル・13mm炸裂徹鋼弾予備弾倉(25.30)@HELLSING
[道具]支給品一式×2(食料一食消費) 陵桜学園高等部のセーラー服@らき☆すた 首輪
[思考・状況]
基本: 殺し合いに乗っていない人は守る、乗っている人は倒す。
1:コナンに付き合う。(病院→繁華街と進んでいく)
2:マダオ達を助けに行きアフロ(ジグマール)をぶっ飛ばす。
3:銀ちゃんとを殺した奴は許さない。

[備考]
※原作18巻終了後から参戦。
※キュルケとケンシロウについては細かいことをまだ服部、劉鳳、コナンに話していません。
60Classical名無しさん:08/02/15 22:58 ID:nU4KvrUI
投下終わりました。


61Classical名無しさん:08/02/15 23:07 ID:4HLcHwHk
はや! 支援が間に合わなかった。
投下乙!
コナンの信念を軸にキャラの掘り下げ、読み応えがありました。
たとえ自分の考えが枷だと分かっても、進むのがコナンなんだよな。
GJ!
62Classical名無しさん:08/02/15 23:47 ID:XLJQD4Eg
投下乙!
コナン冒険しすぎwww 未来少年もびっくりだww
死ぬまで変わらないだろうって信念はある意味尊敬ものだw

ところで神楽の状態表の思考の3で新八の存在がガオンされてるであります…
63Classical名無しさん:08/02/16 00:02 ID:7ykTeHgc
く、狂ってる……。
狂ってるぞ、江戸川コナン!
勇次郎とは別方向に狂ってるw
しかしその無謀に挑戦しようとする信念と行動力!
僕は敬意を表する!!
64Classical名無しさん:08/02/16 00:03 ID:hQlhkgNk
投下乙です!
コナンの信念についての深い掘り下げが論理的でよかったです。
これからの動向が気になる!
>>62
新八を殺した吉良については前回のSSで一応の決着がついたので、
この表記でよいと思います。
前回のSSの状態表でも、この表記でしたし。
65Classical名無しさん:08/02/16 00:14 ID:J7RCmEoQ
速筆っぷりに惚れた
66 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 01:10 ID:vTU/HiBA
誠に申し訳ないんですが、予約延長申請します。
67Classical名無しさん:08/02/16 03:02 ID:2yiyHEHQ
乙!
コナンの死亡フラグ立ちすぎだろw
どうみても詰んでます、本当にありがとうござい…バーローw
68 ◆vPecc.HKxU :08/02/16 05:23 ID:FmG/nY5E
今日締め切りまでに帰れるかわからないのでパピヨン・三村・ジョセフ一時投下しておきました。
通ったら少し時間過ぎても認められますかね…orz
69Classical名無しさん:08/02/16 08:40 ID:BhUwDdTg
乙です!
駄目だこいつ……早く何とかしないと……
ほんと来るとこまで来ちゃったって感じだなw
70Classical名無しさん:08/02/16 09:08 ID:8WQnA7Uk
>>68
乙です。
たぶんそう細かいこと気にしなくていいと思いますよw 一時投下のお陰で「次」を考え始められますし。
正式な感想は正規の投下の時にでも。
71Classical名無しさん:08/02/16 11:11 ID:Hr9NOWRU
一時投下乙です
ちゃんとした感想は正式な投下の後に取っておきましょう
ただ、一言だけ
三村…お前…馬鹿だろ…?
72Classical名無しさん:08/02/16 12:08 ID:4ypWT4Bw
三村…ひぐらし参戦してたらL5発症してそうだけど素でこれか。
悪い意味でのクレイジーだ
73Classical名無しさん:08/02/16 12:12 ID:af3QkxWA
三村よ、お前はホントに痛い子だな、これはもう精神病と言っていいレベルだろ、
74Classical名無しさん:08/02/16 12:34 ID:d8PMgOko
三村…はもう取り返しがつかなくなっているからいいや
パピヨン、あんたがこの場に残っていてくれれば
どうにかなったのだろうけどな…
75Classical名無しさん:08/02/16 17:18 ID:E5dsFIMw
しかし彼の中のかがみん像はどうなっているんだろう?
マーダー四天王を超融合してエイジャの宝石で進化させたような超人になってないかw
76Classical名無しさん:08/02/16 17:23 ID:5yFAUr06
乙です。
三村……FOOL以上のレベルはないかと思ったのに。
ここで、想像の斜め上を行くかお前は……w
77Classical名無しさん:08/02/16 18:07 ID:LbJ9yjt6
>>75
自由に姿を変えられる
短時間で他人から絶対の信用を得られるほどの魔力と演技力を持つ
無尽の再生力

うわー、化け物だー
78Classical名無しさん:08/02/16 18:16 ID:OyDy3yjg
究極馬鹿『CRAZY・MITUMURA』の誕生だァーーーーーー!!!
79Classical名無しさん:08/02/16 18:18 ID:NkskWmLc
乙です。
少し予想はしてたんだよなあ・・・ジョセフのマジシャンズレッド。かがみをフリークス認定してる三村。
誤解フラグは僅かながら生きてたけどまさかこうはなれないだろうと思ってたのに。
新マーダー四天王
川田(つかさ)
TQN(カズキ)
エレオノール(鳴海)
ジグマール(ギャランドゥ)
ジグマールは厳密には違うがここに今奉仕マーダー四天王が誕生した。
80Classical名無しさん:08/02/16 18:59 ID:8tVNqrxQ
そーいやクレイジーダイヤモンドはジョセフの息子のスタンドなんだよな。奇縁ってやつか
てゆーか三村、自分もスタンドディスク頭に入れて使えるようになったのに他人がそうする可能性ガン無視かw

81 ◆vPecc.HKxU :08/02/16 19:18 ID:FmG/nY5E
えっと、ただいま戻りました。
時間をまたオーバーしてしまい申し訳ありません。

このまま矛盾点の指摘がないようでしたら細部修正したものを8時に投下したいと思います。
その際は支援をよろしくお願いします。
82Classical名無しさん:08/02/16 19:28 ID:R6PFXQiU
三村はあれだな、好きな子にほど意地悪したくなるっていう年頃の少年によく見られる病気なんだよきっと
83 ◆vPecc.HKxU :08/02/16 19:59 ID:FmG/nY5E
それでは投下します
今一度勇者三村をその目に焼き付けてください。


「ひでえなこりゃ」

S8駅で綾崎ハヤテと別れた後、
波紋の戦士、ジョセフ・ジョースターは彼に遅れてS7駅に降り立つ。
電車が過ぎ去り、そこに広がる光景はジョセフの言うとおり酷いものであった。
天井はまるで大砲をぶち当てたかのように崩れ、瓦礫がホームに散乱している。
ホームもまた、爆弾魔がやりたい放題やっていったかのように穴だらけだ。
誰かに手榴弾でも大量に支給されたんじゃないか、と疑いたくなるそんな場所にジョセフはいた。

(瓦礫は新しい。ちょっと前までここに爆弾野郎がいたってことだな)

ジョセフの予想は的確で、少し前までこの場所は
マーティン・ジグマールとシアー・ハートアタックの戦場となっていた場所だった。
その際ギャラン=ドゥが電車内に押し込んだシアー・ハートアタックが
そのままどこへ行ってしまったかは定かではない。
だが、少し前まで戦場になった場所に居続けるというのはあまり利口な行いではないことは確かだ。

(爆弾野郎が帰ってきて、おれの炎で点火してドッギャ―――ン……なんてのはゴメンだぜ)

そう思い、ジョセフはそそくさと駅の捜索を始めるのであった。



……………
………
結論を先に言うと、ジョセフが特に新たな発見をすることはなかった。
強いて言うならば、ペットボトルのゴミ箱からまだ中身が半分以上残った炭酸飲料を見つけたくらいである。

ジョセフがハヤテと約束を交わした時間は11時30分。
時計が指し示す時刻は、このペースなら間に合うということを指していた。
そのため、駅の周辺を探索しても余裕……のはずだったのだが。


(メンドクセェー………)

かがみと交わした約束はどこへやら。
3駅目の探索にして、既にジョセフは飽きを示していた。
もちろんかがみと共に探索をするのであれば、イヤイヤながらもしごかれながらも最後までやり通しただろう。
だが、かがみがいない今、皆様が愛すべきスカタン野郎の作業はだんだん雑になりつつあったのだ。

「ンーッ」

ジョセフが手を額に当てて辺りを伺う。
いい加減なりに探索はした駅だ。誰もいないのは当然である。

(サボっちゃおうかナー。どうしよォっかナー)


…一応本人のために補足しておくと、ジョセフは単純に「サボりたい」というだけの目的で
この場を離れたいわけではない。

1つは今後不測の事態が起こり、ハヤテと合流できなくなる可能性を考慮して急ぐべきであること。
そしてもう1つはS7駅という場所の危険性である。
ジョセフという心臓に剛毛が生えた人物だからこそ平然としているが、
幾度となくシアー・ハートアタックの爆発にさらされたS7駅はかなり脆くなっている。
86Classical名無しさん:08/02/16 20:01 ID:8WQnA7Uk
 
さすがに誰かが暴れたりした程度で崩壊する恐れはないが、
もう一度規模の大きい爆発があれば駅全体が崩れかねない。
そして駅が崩れれば電車の運行に支障が生じ、ハヤテとの時間の約束が間に合わなくなる恐れがある。
それどころか生き埋めの可能性すらあるのだ。

無論ジョセフに約束をきっちり守ろうと言う様な律儀な精神は欠片もない。
だが、この場から早く離れたいのは事実である。
しかし、もしこの近辺に桂小太郎や高良みゆき、灰原哀の死体があったらと考えれば……


プヮン……

電車の警笛が地下の駅に鳴り響く。
この電車を逃しても約束の時間に間に合わせることは可能だ。


そしてジョセフが出した結論は……


(次はの駅はボロくなきゃイイんだけどなァ)


カーズよりも早く考えるのを止めたジョセフは早々と電車に乗り込むのであった。




 ◇  ◆  ◇



88Classical名無しさん:08/02/16 20:01 ID:8WQnA7Uk
  
(さて……どうするか)


パピヨンは手の甲を顎に当て、悩んでいた。
彼の悩みの種。それはパピヨンの視線の先にいる少年、三村信史。

本来の彼の目的は才賀勝の首輪の回収であり、
そのために仲間である独歩、こなた、ナギと別行動を取っているはずであった。
だが、彼の興味の対象は今、三村――正確には三村が出したスタンドにあった。

(空承やDIOのスタンドと似ている……だが、殴った物が直るというのはどういうことだ?)

パピヨンはデイバックの中からプロフィール付き名簿を取り出し、改めて見直す。
名簿に書かれているスタンドは『ザ・ワールド』『スタープラチナ』『キラー・クイーン』『シアー・ハートアタック』の4体。
このうち二つとパピヨンは遭遇し、いずれとも戦闘をしている。
それらの経験から得たのは『スタンドは人型で宿主の意の赴くままに攻撃をし、且つ圧倒的なパワーを持っている』という推測。
パピヨンはそのことから、今現在も所持している『猫草』がスタンドの中では特殊なのか? と考えていた。

だが、それらの考えはプロフィール付き名簿を入手してからがらりと変わった。
空条承太郎の『スタープラチナ』、DIOの『ザ・ワールド』の『時を止める能力』。
吉良吉影という殺人鬼の能力『キラー・クイーン』の『触れたものを爆弾に変える能力』。
同じく吉良の『シアー・ハートアタック』の『自動追尾能力』。

それらは総合され、『スタンドには様々な種類が存在し、何らかの能力を持っている』という推測に昇華された。


(なるほど…スタンドも武装錬金と同じくただ力でねじ伏せればいいというものではないらしい。
 そしてあのスタンドの能力は……)

物を「なおす」能力。一見戦闘用の能力ではないが、状況によって応用は効きそうである。

そこでパピヨンはパピヨンは考える。
90Classical名無しさん:08/02/16 20:01 ID:8WQnA7Uk
   
「なおす」、という言葉は漢字で「直す」、「治す」と書くことができる。
前者は命を持たぬ物体、後者は生命溢れる生き物に対して使われる言葉だ。

そのうち前者ができることをパピヨンは目撃している。
現に原付は殴った衝撃で壊れたものの、一瞬にして傷も全くない元通りとなった。

問題は後者の治す――治癒ができるか、ということである。

「直す」だけならばともかく、「治す」ことができるとなると優先度は大きく変わってくる。
色々な能力が制限された現状、パピヨン達にある回復手段は核鉄による治癒能力の向上だけである。
だが、その力は決して強くはない。
戦闘中に重傷を負えば核鉄による自然治癒では間に合わず、
そのままトドメを指されてしまうのは火を見るよりも明らかだ。

だが、もしも瞬時に何度も人体を治療することができる能力があれば………

手持ちの知識で考えた一般人ならばそうなるだろう。
だが、パピヨンは……


≪何度でもあの"臨死の恍惚"を味わうことができる…!≫


などとは考えない。そもそも何度もやっては意味がないと本人も言うだろう。
ではどう考えるか、というと。


(…考えるだけ無駄だな)


ただの人間には考えられないくらいあっさりとパピヨンはその考えを切り捨てた。
まず、主催の目的は優勝者を決めることである。
その点からまずは殺し合いを促進させるためになることをするだろうと考えられる。
第三回放送のご褒美から見てももそれは明らかだ。今後も主催者の間接的介入がある可能性もある。
その逆を言えば、殺し合いを停滞させるような真似は極力避けるはずである。

(つまり、核鉄以上の回復手段はないと考えたほうがいい。それに……)

万が一人体を治す能力を持っていたとして、相手は一般の中学生である。
ホムンクルスにも引けを取らないパワーを持ち、自分の身体をいくらでも治し放題という状況。
この時間まで生き残っているという事実からも、武藤カズキ並の正義漢でもなければ殺し合いに乗っている可能性は高い。


(……ふん。中々便利な能力だが、今すぐ必要という程のものでもない)

費やす時間に見合うリスクがない。
そう判断したパピヨンは三村のいる方へ背を向け、立ち去ろうとした、その時だった。


「……ん? お前さん誰でぇ? いつの間に夜になっちまったんだぁ?」

(剣が喋っただと……? 俺が知らない武装錬金かスタンドかっ?)




 ◇  ◆  ◇




93Classical名無しさん:08/02/16 20:02 ID:8WQnA7Uk
    
「…っ!! 誰だっ!?」
(チッ、気付かれたか……っ)

原付の前でしゃがみこんでいた三村が立ち上がり、パピヨンのいる方へと声をあげる。

「今の声はお前か…?」
「いや、俺ではない…と言っても信じてもらえるか分からんがな」

内心でパピヨンは「俺がそんな蝶下品な声を出すか」、と三村を罵りたいと思っていた。
だが、剣は先ほどの一言の後は喋る気配を見せない。
呑気にお喋りをするような状況ではないと空気を呼んだのかもしれないが、一言喋って黙るというのもタチが悪い。
おかげで接触する気のなかった三村と接触するハメになってしまったのだから。

(仕方ない…適当にあしらって退散させてもらうとしよう)


パピヨンは屋根の上から優雅に飛び降りると数メートル離れて三村と対峙した。

「俺の名前は三村信史」
「パピッ! ヨンッ! だ。以後お見知りおきを」
「パピヨン……?」

三村が訝しげな表情をし、デイバッグを漁る。
その中から参加者名簿を取り出すとパピヨンの顔と交互に見た。

「名簿にはない名前だが……」
「名簿には別の名前で載っている。不名誉なことだと思っているけどね」
「そうか……けど、そんなことはどうでもいい! 聞いてくれっ!!
 まず俺は殺し合いに乗っちゃいないっ!!」

名前のことをどうでもいいと言われ、パピヨンがカチンとくる。
これで殺し合いに乗っている、というのであれば蝶瞬殺してやろうと思う程に。
だが、パピヨンは無駄な時間を取らせないためにも自分を抑え、一応程度に話を聞くことにした。

「柊かがみという女と会ったか?」
「会ってはいないが……その女がどうした?」
「よしっ……!」

(ようやく会えたぜっ……仲間にできそうなやつに!!
 柊に操られていないやつに!!)

思わず三村が拳をグッと固める。
何が嬉しいのだろう? とパピヨンが疑念の視線を投げかけた。


「もしかしたら俺が残した留守電を聞いているかもしれないが――柊かがみは、殺し合いに乗っている」
「ほう?」

柊かがみといえばこなたの知り合いであり、その存在はパピヨンも認識している。
だが、運悪くかがみ自身やかがみを知る者と接触できなかったため、現在の彼女の情報は全くと言っていいほどない。
そう考えれば三村の情報は貴重とも言える。
こなたと同行することを考えればかがみとの邂逅は彼女らが生きている限り避けられないだろう。
その瞬間までにかがみの情報があったかないかでは対応の厄介さに雲泥の差が生じる。

全く関係のない人物ならば、はいそうですか、と退散していたパピヨンだったが、
少し三村の声に耳を傾ける気になった。


それから少しの間、三村はこれまでの経緯を簡潔に説明した。
内容の途中までは覚悟とヒナギクに聞かせたものとほぼ同じだった。
96Classical名無しさん:08/02/16 20:03 ID:8WQnA7Uk
         
(ようやく会えたぜっ……仲間にできそうなやつに!!
 柊に操られていないやつに!!)

思わず三村が拳をグッと固める。
何が嬉しいのだろう? とパピヨンが疑念の視線を投げかけた。


「もしかしたら俺が残した留守電を聞いているかもしれないが――柊かがみは、殺し合いに乗っている」
「ほう?」

柊かがみといえばこなたの知り合いであり、その存在はパピヨンも認識している。
だが、運悪くかがみ自身やかがみを知る者と接触できなかったため、現在の彼女の情報は全くと言っていいほどない。
そう考えれば三村の情報は貴重とも言える。
こなたと同行することを考えればかがみとの邂逅は彼女らが生きている限り避けられないだろう。
その瞬間までにかがみの情報があったかないかでは対応の厄介さに雲泥の差が生じる。

全く関係のない人物ならば、はいそうですか、と退散していたパピヨンだったが、
少し三村の声に耳を傾ける気になった。


それから少しの間、三村はこれまでの経緯を簡潔に説明した。
内容の途中までは覚悟とヒナギクに聞かせたものとほぼ同じだった。

「―――そして、ついさっきようやく柊を見つけたんだっ!
 だが、柊は3人を…さっき爺さんに食って掛かった男とピンク髪の女、そして川田という俺のクラスメートを騙して……」

そこで三村は言葉を区切る。

―――騙して。それは表現として合っているのだろうか?
相手は魔性の女。残忍にして狡猾、炎の魔鳥を従える不死身の魔女。
98Classical名無しさん:08/02/16 20:04 ID:8WQnA7Uk
   .
そう、先程考えたように3人は騙されているというよりも操られているという方が正解なのかもしれない。
そう三村は考え

「……いや、操られている。そうに決まっているんだ。
 アイツは……柊かがみは俺達が生き残るために最大の障害になる"誤り(バグ)"なんだっ!!」

――力一杯にパピヨンに言葉を叩き付けた。



「ふむ……」

1つため息を吐くと、パピヨンは再び目線をプロフィールつき名簿に落とす。


「1つ、質問がある」
「…なんだ?」



「ジョセフ・ジョースターというのは……
 お前の後ろにいるマヌケ面のことか?」



「なに………」

本来ならば初めて会った相手に背を向けるのは愚かな行為に違いない。
だが、三村が振り向こうとしたその瞬間。
100Classical名無しさん:08/02/16 20:05 ID:8WQnA7Uk
,
「へへへへ、だあ〜〜〜れだ?」

三村の目に大きな手が目隠しをした。




「よお! 探したぜシンちゃぁ〜〜〜〜んッ!!(ほんとはちがうけどシンジがうれしがるならこういってやるぜ)
 コイツはお土産だッ!」




(――なん………だってっ………?)




咄嗟に後ろにいた人物から手渡される物体。
三村がそれに目を下ろすとそこには一本のペットボトルがあった。


(―――まさかっ………そんな………ありえねぇ)




三村が振り返ると、目の前の男はニンマリ笑いながら何かを捻るような動作をしている。
どうやらペットボトルを捻れということらしい。
「へへへへ だあ〜〜〜れだ?」

三村の目に大きな手が目隠しをした。




「よお! 探したぜシンちゃぁ〜〜〜〜んッ!!(ほんとはちがうけどシンジがうれしがるならこういってやるぜ)
 コイツはお土産だッ!」




(――なん………だってっ………?)




咄嗟に後ろにいた人物から手渡される物体。
三村がそれに目を下ろすとそこには一本のペットボトルがあった。


(―――まさかっ………そんな………ありえねぇ)




三村が振り返ると、目の前の男はニンマリ笑いながら何かを捻るような動作をしている。
どうやらペットボトルを捻れということらしい。




(――――死んだはずだ………確かにっ…………)



ほとんど無意識にその指示に従い、三村がペットボトルを捻る。




(―――――俺は確かに見たんだっ…………あるとしたらそれはバ……)



ブシュウゥウゥウゥ――――ッ!



「………………」

次の瞬間、そこには炭酸飲料まみれになった三村の姿があった。


「……………ジョ」


「ジョジョォォ―――ッ!! うわあああっっっ、ジョジョが生きてるぅ―――ッ!!!?」
「Yes! で、なんのお話?」


尻餅をついて思い切り驚く三村を無視してジョセフがパピヨンに問う。


「たった今の今までお前が死んだという話をその男から聞いていた」
「ギャにィィーッ!? オイコラッ!! シンジ、テメーどういうことだッ!」

ジョセフが三村に掴みかかる。だが、そこに殺意はない。むしろちょっと過激なスキンシップにすら見えるだろう。
その光景を見て、パピヨンは2人に背を向けた。

「お〜〜〜ッとォ! どこに行くんだテメーはよォ?」
「こちらにも都合というものがあってな。お前達の茶番に付き合ってられん」
「野郎ッ俺の話を聞いてけ……」

ジョセフの言葉を最後まで聞くことなく、パピヨンは勢いよく跳躍し、夜空を飛ぶ一匹の蝶となった。



 ◇  ◆  ◇



(ふん………トンだ無駄足だったな)
105Classical名無しさん:08/02/16 20:07 ID:8WQnA7Uk
   . 

三村の話に付き合い、心底損をした。
そんな表情をしながらパピヨンは屋根伝いに跳ぶ。

三村の話の途中、柊かがみが殺し合いに乗っていて車が炎上した。
そこまではまだ信用のできる話であった。
だが、ジョセフが死んだというあたりの件からはもはや戯言だった。

確かにこの殺し合いという環境下、殺人鬼を仕立て上げ、扇動し、謀殺するという戦法は有効だろう。
だが、人が死んだという誤報を流す場合には放送までにケリをつけることができる、という前提がなければいけない。

それなのに三村はジョセフが第三回放送前に死んだ、という賞味期限切れのネタを持ち出した。
情報こそが命綱となるこの状況で放送を聞き逃すような阿呆がどこに……
そこまで考え、パピヨンはふとある可能性にたどり着いた

(……なるほど。放送を聞き逃したのか)

それはそれで間抜けな話である。

(さて、当面の問題は泉たちとの合流、うやむやにしていたが首輪の件……そして)

パピヨンは手に持つ剣に一瞥すると、再び前方に目を向けた。

「今さら喋る剣があっても驚かん。お前は何者だ?」


『おでれーたなぁ……ちぃと寝てる間に持ち主が変わっちまうんだからよぉ……』




【D-3/北東部 1日目 真夜中】
【パピヨン@武装錬金】
[状態]:疲労。全身に打撲。
[装備]:猫草inランドセル@ジョジョの奇妙な冒険、デルフリンガー@ゼロの使い魔
[道具]:地下鉄管理センターの位置がわかる地図、地下鉄システム仕様書
    ルイズの杖、参加者顔写真&詳細プロフィール付き名簿、
    支給品一式、小さな懐中電灯
[思考・状況]
基本:首輪を外し『元の世界の武藤カズキ』と決着をつける。
1:デルフリンガーと移動しながら話す。邪魔なようならば破棄する。
2:才賀勝の首輪を回収しておくべきか?
3:喫茶店で、こなた・独歩・ナギと合流し、学校へ行きアカギと会う予定。
4:エレオノールに警戒。
5:核鉄の謎を解く。
6:二アデスハピネスを手に入れる。
7:首輪の解体にマジックハンドを使用出来る工場等の施設を探す。
[備考]
※参戦時期はヴィクター戦、カズキに白い核鉄を渡した直後です
※スタンド、矢の存在に興味を持っています。
※猫草の『ストレイ・キャット』は、他の参加者のスタンドと同様に制限を受けているものと思われます
※独歩・シェリスと情報交換をしました。
※逃げられてしまったゼクロスにさほど執着はないようです
※詳細名簿を入手しました。DIOの能力については「時を止める能力」と一言記載があるだけのようです。
※三村の話を聞きましたが、ほとんど信用していません。クレイジー・ダイヤモンドの存在を知りました。
108Classical名無しさん:08/02/16 20:07 ID:8WQnA7Uk
..


 ◇  ◆  ◇



(冷静だ、冷静に……クールになれ、"第三の男"三村信史)

三村はジョセフにつるし上げをくらいながらもずっと呆然としていた。

(ジョジョが生きているわけがないっ……哀しいが、認めなきゃいけないんだっ)
(だが…なら、目の前のこの男は何者だっ!? 俺があの男を見間違えるわけなんてないっ……)

「それでよォー。ひでえんだぜ、かがみんは。俺をコキ使いやがって……」

ジョセフが三村を下ろし、何か愚痴を垂れているが、三村の耳には届かない。

(ジョジョじゃないだとしたら――偽者!? 目の前のコイツが偽者だとしたら、誰がっ!?」
(ジョジョはここに知り合いはいないと言っていた……そしてジョジョを今知っているのは俺と……!!!)

「でも波紋探知に反応したから着てよかったぜ。見つかったのは目的のものじゃなかったケドな
 仲間にできそうなやつは逃がしちまったが……」

(……冷静になれ、冷静になれ、冷静、冷静に……冷静にっ・・・・)

(ハッ!?)


「ココで会えたのもおれ達の相性がバッチグーってことだッ。これから一緒に……」
「――それ以上! 喋るなっ!!!」
突然三村が叫び、ジョセフが視線をやる。
そこにはジョセフが見たことがない、純粋に怒りの表情を浮かべた三村がいた。

「クレイジー・ダイヤモンドっ!!」
「ッ!?」

怒りが照準を狂わせたのとジョセフの反射神経があったため、
振り下ろされたクレイジー・ダイヤモンドの拳が空を切った。

「シンジッ!!?」


「―――まさかな。思いもよらなかったぜっ……お前が直接しかけてくるなんてな」
「オーイ、シンちゃ〜〜〜ん。もしもぉ〜し」

ジョセフの呼びかけに聞く耳ももたず、三村は冷静な表情でジョセフを見つめだした。

「まさか『変身する能力』まであるなんて思いもしなかったぜっ!!」


唖然とするジョセフを無視して三村は語る。

「人の心を操り、炎で相手を燃やして、その上化ける!!
 俺の前に出るに当たってジョジョに化けたってところはさすがだと言いたい。だがな!」

言葉を言い切る前に三村がクレイジー・ダイヤモンドを出し、ジョセフに向かって打ち込む。

「赤熱の波紋疾走ッ!!」
111Classical名無しさん:08/02/16 20:08 ID:8WQnA7Uk
 . .
だが、それに反応したジョセフが反撃とばかりに
マジシャンズ・レッドの拳をクレイジー・ダイヤモンドの拳にぶつけた。

「Oh No!!」
「ぐあぁっ!!」

搗ち合いのダメージがジョセフに行き、ジョセフの拳がピキピキと嫌な音を立てる。
しかし、パワーでは押し勝った三村も同じく拳を押さえていた。

拳がぶつかり合う瞬間、ジョセフはクレイジー・ダイヤモンドに対し軽い火傷で済む程度の「火」を叩き込んでいた。
ジョセフの姿をする者がマジシャンズ・レッドを出すとは予想していなかった三村は、
一時後退することを余儀なくされた。

「くっ……だがこれではっきりしたぜ!! その鳥を従えているのが何よりの証拠だ!!」
「さっきからナニ言ってやがるシンジ!」

「――偽者とはいえ、ジョジョが何の罪もないやつを殺すところなんて見たくねぇ。
 ここで"バグ"は取り除く!! お前を殺してな…………」



                 「柊かがみ!!」



「な…………」

「ぬわんだァってェ―――――ッ!!!!?」
【E-2/一日目/真夜中】
【三村信史@BATTLE ROYALE】
[状態]:精神疲労(中)、鼻の骨を骨折、顎にダメージ有り(大) 、炭酸飲料まみれ
[装備]:トランプ銃@名探偵コナン、クレイジーダイヤモンドのDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:七原秋也のギター@BATTLE ROYALE(紙状態)支給品一式×2
[思考・状況]
基本:老人の野望を打ち砕く。かがみはどんな手段を使ってでも殺す。
1:目の前の「柊かがみ」をぶっ殺し、バグを取り除く。
2:再度ハッキングを挑む為、携帯電話を探す。
3:集められた人間の「共通点」を探す。
4:他参加者と接触し、情報を得る。「DIO」は警戒する。
5:『ハッキング』について考える。
6:アーカードは殺す。
[備考]
※かがみは、人を操る能力、変身する能力、
 身体を再生する能力を持っているのではないのだろうかとほぼ確信しています。
 また、かがみはジョセフに化け、ジョセフの振りをしていると考えて、
 マジシャンズ・レッドについても譲渡の可能性は考慮していません。
※つかさ、覚悟、ヒナギク、川田が柊かがみに、完全に騙されている。
 もしくは、操られていると思っています(説得不能だと考えています)。
※覚悟、ヒナギクの名前を知りません。
114Classical名無しさん:08/02/16 20:08 ID:8WQnA7Uk
   ...



※本編開始前から連れて来られています。
※クレイジーダイヤモンドは物を直す能力のみ使用可能です。
 復元には復元するものの大きさに比例して体力を消費します。
 戦闘する事も可能ですが、大きく体力を消費します。
※ジョセフは死亡したと思っています。
※マップの外に何かがある、と考えています。
※彼が留守番電話にメッセージを残したのは、以下13ヶ所です。なお、メッセージは全て同一です。
 老人ホーム(A−1)、市役所(D−3)、病院(F−4)、消防署(D−4)、学校(C−4)
 総合体育館(D−5)、ホームセンター事務室(H−5)、総合スーパー事務室(D−6)
 変電所(A−8)、汚水処理場(B−8)、ホテル(D−8)、パブ(F−8)、ボーリング場(G−8)
※第三放送を聞き逃しました。
※ジョセフの話(波紋、吸血鬼、柱の男 etc)を信じることにしました。(どの程度まで詳しく話したかは任せます)



 ◇  ◆  ◇



変身する、人の心を操る……
実は三村の推測はまるっきり的を外しているわけではない。
116Classical名無しさん:08/02/16 20:09 ID:8WQnA7Uk
,. .
確かにかつてDIOという吸血鬼がとある格闘家と恋する少女を操り、アーカードという吸血鬼がその身を変えた。

だが、三村の前に立つジョセフは波紋の戦士。
波紋とは太陽のエネルギーであり、人の心を操ることも、ましてや変身する力など持たない。


(シンジ………何があったかは知らねェが、テメーの行動はFOOLってレベルじゃねえ。CRAZYだ)


ジョセフは正直なところ、シンジをボコボコにしてやりたいと思っている。
だが、目の前のクレイジーな少年はジョジョにとって貴重な仲間であり、情報要員だ。
殺すわけにはいかない。しかし、力でねじ伏せたとしても、ギャーギャー暴れられてはかなわない。

(おれがかがみだァ? 冗談じゃねえ。おれはかがみみたいに細かいことは気にしない大らかな人間だぜ)

ならばジョセフが取るべき行動は1つ。
自分がジョセフ・ジョースターであることを証明すること。
そうすれば三村はジョセフの話に耳を傾け、かがみ救出に一役買ってくれることだろう。


だが、クレイジー・ダイヤモンドは使用者の精神状態による作用が非常に強いスタンドである。
果たして"キレる"三村が"キレた"この状況を、ジョセフはなんとかしてかがみを助け出すことができるのだろうか!?


("偉大なるジョセフ・ジョースター様とはナニか"っていうのを今一度たっぷり教えてやるぜ!!)




118Classical名無しさん:08/02/16 20:10 ID:8WQnA7Uk
.. ...
【ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康、顔面にマジシャンズ・レッドの拳によるダメージ、左手の骨にヒビ、精神疲労(微小)
[装備]:ハイパーヨーヨー×2(ハイパーミレニアム、ファイヤーボール)、
     マジシャンズレッド(魔術師の赤)のDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:支給品一式(食料を2食分消費)、食用油1L(現地調達)
[思考・状況]
基本:目の前の三村をどうにかする。その後、BADANとかいうボケ共を一発ぶん殴る。
1:三村に「自分がジョセフであること」を証明する。あと、隙あらば三村からクレイジー・ダイヤモンドを取り上げる。
2:S3駅、S1駅周辺を探し、かがみ救出のための仲間を探す
3:かがみを助け、村雨は殺す。
4:三村とそのうち合流。
5:マップの端を見に行く。
6:一応赤石も探しとくか……無いと思うけど。


[備考]
※ハヤテ+零が出合った人間のうち、生き残っている人物及び知り合いの情報を得ました
(こなた、パピヨン、ナギ、鳴海、エレオノール、ヒナギク、覚悟)
※二部終了から連れてこられていますが、義手ではありません。
※吉良の名前に何か引っかかっているようです。
※水を使うことで、波紋探知が可能です。
※三村の留守電を聞き逃しました。
※主催者は目的は強者を決めることであり、その中にはイレギュラーもいると考えています。
※少なくともかがみとは別の時代の人間であるということを認識しました。
※波紋の力を使うことで対象のディスクを頭部を傷つけることなく強制排出することができます。
 ただし、かなりの集中力を要求します。
※マジシャンズレッドの火力は使用者の集中力によって比例します。
 鉄を溶かすほどの高温の炎の使用は強い集中力を要します。
 火力センサーは使用可能ですが精神力を大きく消耗します
 また、ジョセフのマジシャンズ・レッドは通常の炎の威力の調節が極端に難しい状態です。
 ただし、対象に直接マジシャンズ・レッドの手を当てて炎を出した場合に限り調節が可能です。
 修練をすれば通常の炎の精度が上がる可能性があります。
※S7駅がかなり脆くなっていることを発見しました。


※ジョセフとハヤテの約束。
ハヤテはナギと会った後、ジョセフは仲間を募った後、必ず11時30分にS1駅に集合。
その後、かがみ救出のために神社へ攻め込む。


【ジョジョとハヤテのBADANに関する考察及び知識】

このゲームの主催者はBADANである。
BADANが『暗闇大使』という男を使って、参加者を積極的に殺し合わせるべく動いている可能性が高い。
BADANの科学は並行世界一ィィィ(失われた右手の復活。時間操作。改造人間。etc)
主催者は脅威の技術を用いてある人物にとって”都合がイイ”状態に仕立てあげている可能性がある
だが、人物によっては”どーでもイイ”状態で参戦させられている可能性がある。
ホログラムでカモフラージュされた雷雲をエリア外にある。放電している。
 1.以上のことから、零は雷雲の向こうにバダンの本拠地があると考えています。
 2.雷雲から放たれている稲妻は迎撃装置の一種だと判断。くぐり抜けるにはかなりのスピードを要すると判断しています。
※雷雲については、仮面ライダーSPIRITS10巻参照。
以上で投下を終了します。

前回に続き投下数3にも満たない自分が期日を過ぎてしまい、すみませんでした。次回からはきつく自重したいと思います。

あと、筆者は三村が大好きです。
122Classical名無しさん:08/02/16 20:16 ID:8WQnA7Uk
投下乙。
三村……お前って奴は、本当に……!
しかしこうも思い込んじゃった奴の相手するの大変だろうなぁ。
時間ないのにどーすんだろ、ジョセフ。
書き手の歪んだ愛情が伝わってくるような怪作乙ですw
123 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 20:59 ID:vTU/HiBA
投下乙!
三村……なんてイジリ甲斐のあるキャラに成長しちゃって……
こんな面白い暴走、好きです。
GJ!

さて、自分も投下を開始します。
124弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:00 ID:vTU/HiBA
 ガタンゴトン……
 電車の揺れにハヤテは身を任せ、外を見つめる。
 次々と電柱が通り過ぎ、夜の街を映す。電車の窓に映る自分の顔は憂鬱そうだった。
 それもそうだろう。ジョセフとの約束どおり、ナギと合流して村雨を止めることができるのか、不安でたまらないからだ。
 ハヤテとしては、村雨に幾らか感情移入していることもあり、できれば助けてやりたい相手でもある。
 かがみに関しても、こなたを知っている身としては、どうしても助けてあげたい。
 村雨を悪者にしない。
 かがみを助け出す。
 二つを叶えるのは都合がよすぎるのかもしれない。
 しかし、ハヤテには『覚悟』がある。己が命をも厭わないほど、強烈な覚悟が。
 もともとはガモンに対する怒りだった。
 仲間を失った村雨に対する同情であった。
 アーカードに対する、大切な人を失うかもしれないという恐怖だった。
 それらを、自分だけの力ではないとはいえ、ハヤテは乗り越えて覚悟に変えていったのだ。
 拳をぎゅっと握って、村雨がいるだろう方向を見つめる。
(承太郎さんなら、村雨さんを有無を言わさずぶん殴って、気絶した状態で引きずるんだろうな)
 容易に想像ができ、ついぷっと吹き出す。
 かがみを誘拐するときの村雨を承太郎が見たのなら、確実にオラオラの対象だ。
 血縁であるジョセフと同様に怒りを示しただろう。もっとも、承太郎ならジョセフと違い、表面上は静かだろうが。
(けど、死なせるわけにはいかないよな……)
 ジョセフにも言ったように、なぜ自分が村雨に感情移入するのか分からない。
 自分にキスを迫ったため、嫌悪感を抱いてもおかしくないのに、不思議と村雨を嫌う気にはなれなかった。

 ―― 理解したいと思う。

 村雨の言葉がハヤテの耳に蘇る。
125弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:02 ID:vTU/HiBA
 羨ましそうに、寂しそうに呟いた彼の言葉をハヤテは信じたい。
 いや――――
(僕は裏切らない。たとえ百回騙されたとしても、百回裏切られたとしても――)
 自分を救ってくれて、共に戦った村雨を、ハヤテは裏切れるはずがなかった。
 パピヨンが知れば、偽善者と呼ばれたかもしれない。
 それでも構わないとハヤテは思って――前方にヒナギクと、一人の少年がいるのを目撃する。
 最初、光成に宣戦布告を行った少年、零の盟友葉隠覚悟。
 完璧超人にして、正義感の強い生徒会長、桂ヒナギク。
 駅の前に佇む二人を目撃して、電車は駅へと近寄る。
 ハヤテは慌ててドアの前に立ち、一刻も早くドアが開かないか祈る。
 やがて、電車の揺れは小さくなっていき、プシューという音と共にドアが開いた。
 ハヤテは焦る気持ちのまま、ドアに身体をぶつけながらヒナギクの下へと駆けていく。



 覚悟は地面に俯き、その身を震わせていた。
 本来なら、見るもの全てに本来の身長を超え、大きく広く見せていた背中は、年相応の広さへと変化して見えた。
 隣にいるヒナギクも、涙を流しながら無言。時々聞こえる嗚咽は覚悟自身を責めているように錯覚していた。
 ルイズの意思を汚し、川田やつかさ、ヒナギクを守ることを選択した。
 己の弱さだと思ったが、覚悟はその弱さを受け入れるつもりであった。
 しかし、結果はどうだ?
 つかさは殺され、川田は殺し合いに乗った。自分が選んだ選択は悪手以外何物でもない。
 守りたかった友。
 それを汚したのは、覚悟自身に他ならない。
 ルイズの意思を汚し、つかさの死を汚し、川田の誇り高き精神まで汚した。
126弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:03 ID:vTU/HiBA
 最早、自分を許せる範囲を超えている。
 覚悟は怒りを他人に向けることはない。
 常にその怒りは自分に向け、無力な人の牙となることに専念していた。
 それが――ただの一度、友のための牙となっただけで、全てを失う羽目になった。
(俺は未熟だ。どうしようもなく、愚かだ!!
己の願いを優先した結果、心を繋いだ友を失っただけではないか!!
すまぬ、零……。今の俺には、お前を纏う資格など…………ない!!)
 コンクリートの道路を覚悟の爪が削り、指先から血が滲み出る。
 葉隠覚悟、心も身体も、真の敗北が訪れようとしていた。


(つかさ……ごめん)
 力なく心のうちで呟くのは、桂ヒナギク。
 マリアが死んだ時も、本郷が死んだ時も、どうにか気丈に保っていた精神が今、打ちのめされていた。
(力に……なれなかった。つかさが死んで、一番辛いのは川田くんのはずなのに、私は何の力にもなれなかった……)
 この殺し合いで、心を許せる友達がいた。
 この殺し合いで、共に反逆を決意した友達がいた。
 今はもう、一人は死んで、一人は殺し合いに乗ることになった。
 何よりも辛いのは、
(川田くんの気持ちが、よく分かる。つかさ、いい子だったから――)
 涙が止まらない。想いが溢れる。
 共に過ごした時間は短くても、その関わりはとても濃く、変えがたいものであった。
 つかさの笑顔はもう見られない。
 本郷を失って、つかさが悲しい顔をした顔をもう見れない。
 川田と初々しい付き合いで見せた、可愛らしい恥じらいの顔はもう見れない。
127弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:05 ID:vTU/HiBA
 主催者の狙いを知った時、友達が弱者として死んだと知って、怒りを見せたつかさの顔はもう見れない。
 こんな時に限って、つかさとの思い出が鮮明に蘇り、胸が痛む。
 こんな思いをするのなら、いっそのこと死んだ方がマシかもしれない。
 自分でさえそう思うのだ。川田の心境は、もっと重い。
 簡単に理解ができる。それが何よりも、ヒナギクを苦しめていた。


 絶望を抱え、膝を折る二人。
 やがてぽつぽつと雨が落ちる。勢いは弱く、ただの通り雨だ。
 すぐに収まるであろう雨。しかし、二人を打つ冷たさは、身体の熱血を奪っていく。
 あんなに、打倒主催者に燃えていたのに。あんなに、悪を許せぬと吠えていたのに。
 ただ一人、友を失い、ただ一人、友が殺し合いに乗り、二人の心は折れかかっていた。
 しかし、風は吹く。
 二人に希望を乗せるかのように。


「ヒナギクさん!!」
 駅から飛ぶように駆け、ハヤテは声を弾ませながら、ヒナギクに声をかけた。
 思わず、声に喜色が浮かぶ。知人との再会はハヤテに心の余裕を持たせていた。
 なにせ、マリアが無残なことになったのだ。
 無事な姿を確認できたことは素直に嬉しい。
 そう思った。思っていたのだが…………
「ハヤ……テ…………くん?」
 振り向いたヒナギクは、泣いていた。
 いつもなら他人に涙を見せることを恥じ、すぐに拭うような少女だ。
 そのヒナギクが、ただ雨に打たれるまま、涙を流し続けていた。
 そして、彼女の隣にいる少年、葉隠覚悟。
 強化外骨格『零』から聞いた話から、正義感に溢れる頼もしい人だと思った。
128弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:06 ID:vTU/HiBA
 事実、光成に向かって殺されるかもしれないのに、恐れもせず反逆の意を真っ先に見せていた。
 しかし、今の覚悟の姿はどうだろう。
 最初に見かけた正義に溢れる姿とは違い、今は自分と違わない、年相応の少年がいるだけのように見えた。
 いったい何があったのか? ハヤテの脳裏に疑問が浮かぶ。
 その疑問を口にするのは、多大な勇気が必要であった。
 ハヤテは、唾を飲み込みながらも、二人に疑問をぶつけた。
「いったい、何があったんですか? 二人とも……」


 ヒナギクが力のない声でいきさつを全て話した。
 毛利小五郎という人に助けてもらったことを。
 本郷という正義の味方がいたことを。
 そして、川田とつかさと出会ったことを。
 本郷がラオウという男に負け、悲しかったことを。
 覚悟と出会い、安心したことを。
 四人で主催者について考察していたことを。
 その言葉を一つ一つ聞いて、かがみの妹でこなたの友達のつかさと、自分の友人であるヒナギクが出会っていたことにハヤテは世間は狭いと思った。
 無論、零とのことも。
 ヒナギクの話が進み、やがては川田とつかさが付き合ったことをハヤテは知る。
 嫌な予感がする。つかさらしき人物が、川田らしき人物がここにいないからだ。
 ヒナギクは拒否するかのように押し黙る。
 覚悟がやがて、低い声で後を継いだ。
「つかささんは……死んだ。俺の……俺の油断のせいでッ!」
 覚悟の拳がコンクリートにヒビを入れる。全身を震わせる覚悟の背中は、耐え難い痛みに耐えているように見えた。
 いや、事実そうなのだろう。ただし、痛いのは身体ではなく、心なのだろうが。
129弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:07 ID:vTU/HiBA
「そして川田は……つかささんを生き返らせるために……俺に愛想をつかしたのだ…………」
「違うッ! 川田くんは……本当に……つかさのことが好きなだけよ…………」
 二人の言葉が止まる。続きをいうのも辛いのだろう。
 ハヤテは少し前、刃牙が襲ってくる前の自分が居たところを思い出す。
 カズキ、承太郎、ナギ、自分。本当に僅かの間だけだったが、四人でいたころはよかったと思う。
 カズキを失っても、まだ承太郎やナギがいた。しかし、刃牙の襲撃でハヤテは二人に別れを告げる羽目になったのだ。
 承太郎とは死を通して、永遠の別れを。
 ナギとは、人殺しとなった負い目から、自ら別れの道を選んだ。
 そのおかげで村雨や零に出会えたことは幸運だとは思うが。

「俺の……俺のせいでッ!」

 一際大きく覚悟が叫んだ瞬間、ハヤテは地面を蹴った。
 考えた行動ではない。後で考えると、なぜ自分がそういう行動に出たのか疑問を持つ。
 それでも、その行為は間違いじゃないと信じ続けていた。
 ハヤテは覚悟を――――殴った。


 借金取りに追われ、それなり以上に身体を鍛えているハヤテの拳は、覚悟を吹き飛ばし、尻餅をつかせた。
 その行動にヒナギクの瞳に怒りが宿し、ハヤテをキッと睨む。
「何をするのよッ! ハヤテくん!!」
「……ふざけないでください!!」
 ヒナギクに負けない声量で、ハヤテは怒鳴る。
130弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:09 ID:vTU/HiBA
 その瞳には、彼には珍しいほど怒りに溢れていた。

「全力で頑張って……それでも想いが届かなかったのはあなただけじゃないんです!
誰もが全力で……全力で、頑張って、それでも、出来ないことや悔しいことがあったんです。
お嬢様を守って死んでしまったカズキさん……。 
僕たちを守るために、身体を張って死んでしまった承太郎さん……。
マリアさんだって、僕の前に……。
それに、あなたのお兄さん、葉隠散さんも、アーカードに無残に殺されて……それで村雨さんが傷ついて……。
誰だって、傷ついてきたんです」

 いつの間にか、ハヤテの目にも涙がたまる。
 自分は村雨や、目の前の覚悟とは違う。
 一般人より少し鍛えているだけの、ただの執事。
 他人から見ればハヤテの身体能力も並ではないが、少なくとも自分自身ではそう思う。
 その自分が、まだ折れていない。
 なのに、目の前の覚悟は折れかけている。
 今ハヤテが感じる怒りは理不尽かもしれない。でも、覚悟が折れてしまえば、他の無力な人たちはどうなる?
 たとえば、柊かがみ。たとえば、三千院ナギ。たとえば、泉こなた。
 ただ虚しく死んでいくしかないのか?
 ハヤテはそれをふざけていると考えている。

「僕は諦めません! たしかに、承太郎さんは僕のせいで死んだかもしれないけど……それでも!
諦めて、主催者に屈して、彼らが残したものを僕は無駄したくない!
覚悟さん……僕は進みます。今は休んでいても構いませんが……いつか、立ち上がってください」

 踵を返し、再び駅へとハヤテは足を向ける。
131Classical名無しさん:08/02/16 21:11 ID:t435bNlQ
b 
132弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:11 ID:vTU/HiBA
 ハヤテの気持ちは変わっていた。もう一刻の猶予も許されない。
 ナギとの合流ではなく、ジョセフを待つのでもなく、とっとと村雨の元にいき、無理矢理にでも仲間に引き戻す。
 ハヤテの興奮した頭は幾らか短絡的な結論を導き出した。
 そのハヤテに、覚悟の声がかかる。
「いや、休む必要はない」
「覚悟くん……?」
 ハヤテが再び振り返ると、そこには清々しい顔ですくっと立ち上がる覚悟の姿があった。
 ハヤテを射抜く視線には、感謝の情が浮かんでいる。


 ハヤテの拳が覚悟の頬を貫き、言葉が心を揺さぶった。
 怒りは冷えていった覚悟の血に、熱血を取り戻させていく。
 覚悟は正面からハヤテを見つめ、力強い笑みを浮かべる。
「数多の英雄が、志半ばで散っていた中で、まだ希望のある私が膝をついている場合ではない。
すまない、ヒナギクさん。すまない、ハヤテ。すまない、つかささん」
 覚悟は右腕を天に向け、月に微笑むつかさを重ねる。
 覚悟の表情が歪み、悲しみを一瞬だけ浮かばせるが、すぐに元の顔に戻る。
(川田……お前の身体と心に、引き裂くような痛みが走っているのだろう。
心を繋いだのだ。それくらい、俺にも分かる。されど――――)
 つかさは川田の行動を喜ばない。つかさは川田の行動を悲しむ。
 そんな言葉では川田を制止することは不可能。
 ただ、覚悟はつかさがそう思うと信じている。
 だから、自分の全力を持って、つかさを悲しませない。川田を堕とさせない。
 川田がその言葉に耳を貸さないなら、自分達以外その真実を持って行動する人間はいない。
(つかささんの、あの笑顔を汚すことだけは、友といえど許すわけにはいかない。
俺には零式防衛術しかない。だから――――俺は宣言しよう。俺の零式防衛術を持って、川田を救うと)
133Classical名無しさん:08/02/16 21:12 ID:WHKtVDa6

134Classical名無しさん:08/02/16 21:13 ID:G7tC74G.
xxxxxx
135Classical名無しさん:08/02/16 21:13 ID:t435bNlQ
 
136弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:13 ID:vTU/HiBA
 決意と共に、息を大きく吸い込む。
 覚悟の瞳に宿る不退転の意思。

「当方に……川田の救済の用意あり!!」

 宣言は覚悟の意思を鋼に変え、拳をあらん限りの力で握る。
 天を見つめる覚悟の瞳に、光が取り戻されていく。

 ―― 覚悟完了

 万感を込めて、宣言がなされる。
 その覚悟の想いに答えるように、小雨はいつの間にか止んでいた。


 覚悟の宣言を耳にして、ヒナギクは立ち上がる。
 右手に握ったメモリーキューブを見つめると、本郷の優しい笑顔を思い出した。
 自分は小五郎、本郷に続いて、つかさを失ってしまった。
 いつもそうだ。核鉄を使いこなし、戦いに挑もうと思っても、手が届かない。
 目の前のハヤテも、多くの者を失ってきたみたいだ。
 だから、彼は叫んだのだろう。
 もう二度と、そんなことはごめんだと。
(つかさ、私はあなたを失って、とっても悲しい。でも――――)
 つかさの死からは逃げない。
 おそらく自分は一生彼女の死を引きずるだろう。
 だけど、立ち止まってしまっては、死んでいった彼らに失礼だ。
137Classical名無しさん:08/02/16 21:14 ID:G7tC74G.
xcxcxcxcxcxc
138弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:14 ID:vTU/HiBA
 それに、
(絶対に許さない。この殺し合いを仕組んだ主催者も、乗ってつかさを殺したあの女も、あのラオウって人も――――)
 自分が、命に代えても殺す。
 ヒナギクの瞳に、復讐の炎が宿り始めた。



 ハヤテはあらためて覚悟に自己紹介し、各々の状況を説明し始める。
 強化外骨格に関する考察と、BADANに関する情報を筆談で伝え、それぞれ驚き始めた。
 情報を整理しつつ、ついにお互いの接触した人物の話となる。
「そういえば……ハヤテくん。村雨さんとさっき言った?」
「ええ。僕はここに来る前、村雨さんと零さんと一緒だったんですよ」
「! 零……」
「それに村雨さんも……ねえ、その村雨さんがどこにいるか知らない?
届けないといけないものがあるの!」
 ハヤテの両肩を掴み、ヒナギクは揺さぶる。
 鬼気迫るヒナギクの表情にハヤテは押された。覚悟はヒナギクを宥め、揺さぶりから開放されたハヤテは一息つく。
「届けものですか?」
「このキューブ……本郷さんから託された、大切なものなの!
村雨さんという人に渡して……ベルトにセットすれば、私達の仲間になってくれるって……」
 ヒナギクの言葉を聞き、ハヤテは高速の反応を見せ、キューブをまじまじと見つめる。
 緊張をした表情のまま、キューブに恐る恐る触る。
「もしかして……それが村雨さんの記憶?
ヒナギクさんがそんなものを持っていたなんて……」
 ハヤテは徐々に興奮して、右手を握る。
139Classical名無しさん:08/02/16 21:16 ID:G7tC74G.
sssssssssxsxssxxxxxsaa
140弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:16 ID:vTU/HiBA
 顔には喜色が浮かんでいた。
「これで村雨さんを問題なく連れ戻せる! 主催者の連中に一矢報いれる。
村雨さんと覚悟さん、それに零さんやジョセフさんがいれば、あいつらだって……」
「そうよ。あいつら、絶対に許さない。
私を、つかさを、みんなをこんな目に遭わせて……絶対に!」
 主催者の目的の考察と本拠地の情報を得、二人は反逆の芽が出てきたことに興奮を隠せない。
 二人の瞳に希望が宿る中、覚悟が声をかけてくる。
「探し人の居場所は分かった。ならば……ヒナギクさんはメモリーキューブを村雨さんに渡しに向かってくれ。
私は川田を説得に行く」
「覚悟くん!」
 ヒナギクの非難するような視線を受けても、覚悟は微塵も揺らがなかった。
 ここは譲れない。穏やかな表情であったが、たしかにそう主張していた。
「村雨さんにこれを届けてからじゃ駄目なんですか?
向こうには零さんもいますし……」
「それでは川田を見失うかもしれない。
探している間に川田に人を殺させるような真似はさせられない。
もう二度と、救済が間に合わないということは避けたいのだ。それに……」
「……それに?」
 ヒナギクが鸚鵡返しのように言い、一旦言葉を切った覚悟を見つめる。
「今の私に、零をまとう資格はない」
「なによ、それ!」
「そうですよ、零さんなら、覚悟さんの力に……」
「だからだ。ハヤテ」
 覚悟の声は、あくまでも穏やか。
 自虐の暗い雰囲気も、自戒ゆえの焦りも見られない。
141Classical名無しさん:08/02/16 21:16 ID:G7tC74G.
axaaaaaaaaa
xax axasasa
142弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:17 ID:vTU/HiBA
「私がどんな状況でも、零は力を貸してくれる。だが、それでは私と零を友といえない。私は零と心繋いだ。
私が零の力となり、零が私の力となる。それが戦友という、私と零を繋ぐ絆。
私が零の力になるために、川田を、友を取り戻す。そのための戦いに向かう。
ハヤテ、君を戦士と見込んで頼みがある。村雨さんの記憶を取り戻す戦いは、ヒナギクさんと共に君が向かってくれ。
こちらは、私に任せて欲しい」
 しっかりと目を見据えられ、覚悟の力強い視線がハヤテを貫く。
 託されたものの大きさにハヤテは震えた。しかし表情に恐怖は無い。
 これは、武者震い。ハヤテは迷わず覚悟の手を取り、胸を張って答える。
「任せてください」
 新たな友と、覚悟は心を繋いだ。


 駅のホームで電車を待つハヤテとヒナギク。
 別れる予定の覚悟に、ヒナギクは不満を露にする。
「二人とも……私を置いて勝手に決めちゃって……」
「ああ、すいません! でもこれは……」
「大丈夫だ、ヒナギクさん。必ず、川田と共に戻る」
 どこかずれた、それでいて真剣な覚悟の答えに、ヒナギクは諦めたかのようなため息を吐く。
 眉を寄せた、厳しい表情のままゆっくりと覚悟に向き直る。
「一つ約束して。絶対、無茶はしないこと」
 覚悟はああ、と頷いて、正面を見つめている。
 もはや、頭の中は川田を説得することで一杯なのだろう。
 ヒナギクは覚悟が無茶をしなければいいのだがと心配をする。できれば覚悟についていきたかった。
 だが、本郷の想いを無駄にするわけにはいかない。
 ハヤテに任せようか、とも思ったが、ヒナギクは却下をする。
143Classical名無しさん:08/02/16 21:17 ID:G7tC74G.
支援
支援支援
支援支援支援
支援支援支援支援
144Classical名無しさん:08/02/16 21:18 ID:G7tC74G.
xxxx
xxxx
xxxx
145Classical名無しさん:08/02/16 21:19 ID:G7tC74G.
しえんしえんx支援
146Classical名無しさん:08/02/16 21:19 ID:WHKtVDa6
sien
147弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:19 ID:vTU/HiBA
 できれば、本郷の遺志は自分が叶えたい。それに、村雨に会ってみたい。
 本郷が願いを託す相手。どういう人物なのか、知りたかった。
「覚悟くん、失敗しても、成功してもまたここで会いましょう。
時間は……放送前後でいいかしら?」
「問題ない」
 そっけなく答えているが、内心は暖かい人物だとヒナギクは知っている。
 だからこそ、無茶をしないか心配なのだが。
 やがて、電車が見えてきて、三人の前に停車する。
 ハヤテと共に電車に乗り込み、見送る覚悟を名残惜しそうに見つめる。
 そのヒナギクの表情に気づいたのだろうか。覚悟が微笑を浮かべる。
「別に仔細なし。我々は必ず再会できる。村雨さんともな」
 根拠はない。それでも、必ず再会できると信じる。
 覚悟の力強い言葉。それでも、ヒナギクの胸に不安は消えない。
 無情にも、ドアは閉まり二人を隔てる。
 電車が加速していき、笑顔で敬礼する覚悟が遠ざかる。
 たまらず、ヒナギクは窓から顔を出し叫んだ。
「絶対に! 絶対に再会するんだからね!! 覚悟くん!!」
「了解! それまでのしばしの間――去らば!!」
 徐々に覚悟の姿は小さくなり、やがては見えなくなった。
 希望を乗せた電車進む。二人の戦士を乗せ。


 去っていく電車を見送りながら、覚悟は名残惜しげに敬礼を解く。
 村雨と零と再会できるなら、彼らの危機はある程度回避可能だと判断した。
 それよりも問題は、川田の方だ。一人でいて、つかさを失って暴走する川田を救うため、覚悟は踵を返し進む。
148Classical名無しさん:08/02/16 21:20 ID:G7tC74G.
しえしえんん
149弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:20 ID:vTU/HiBA
 そして覚悟はハヤテが啖呵を吐いた時に、カズキという名前が含まれているのを聞き逃していなかった。
 ハヤテより、カズキがどんな人物か、先ほど尋ねてみた。答えは、覚悟の予想していた通りだ。

『勇敢で、お嬢様を守るために死んでしまった……優しい人です。
この殺し合いが行われているのを、怒っていた人です』

 斗貴子を通して知ったルイズの遺言が覚悟の耳に蘇る。
 許して、救う。覚悟はにやり、と笑った。
(さすがはルイズさんだ。零式防衛術は己を殺す技!
俺の説明を聞くまでも無く、偉大なる勇気で零式防衛術の技を実行したのだ。
すまない、一時でも、あなたの慈悲を無駄にしようとしたことを。
だから、俺は宣言をする。川田を説得する。津村さんを救う。
両方をやり遂げることこそ、俺の使命。あなたの遺志。覚悟――――完了!)
 そして、覚悟の思考は兄・葉隠散に移る。彼は村雨と共にし、彼の精神に影響を与えたそうだ。
 僅かな時間では詳しいことを知ることはなかったが、兄は誰かの心の支えとなった。
 さすがは、零式防衛術において自分の先を行く男。
 彼が村雨と出会っていて、よかったと思う。
(いつか、村雨さんとは兄のことで語り合いたい)
 そして、覚悟の瞳に炎が宿る。
 殺し合いに参加させ、つかさやヒナギクに苦痛を要求する悪鬼の群れ。
 その名は――――BADAN。
(悪鬼として、彼らを苦しめたBADAN!
お前たちは、俺たちが倒す。覚悟しておけ!!)
 力強く一歩一歩進める覚悟の瞳に、迷いはなかった。
 その一歩、ただの一歩ではない。
150弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:21 ID:vTU/HiBA
 正義を行う、白き光の軌跡なのだ。



【E-4 駅付近/1日目 真夜中】
【葉隠覚悟@覚悟のススメ】
[状態]:全身に火傷(治療済み) 胸に火傷、腹部に軽い裂傷
    胴体部分に銃撃によるダメージ(治療済み) 頭部にダメージ、
    両腕の骨にひびあり。
[装備]:滝のライダースーツ@仮面ライダーSPIRITS(ヘルメットは破壊、背中部分に亀裂あり)
[道具]:大阪名物ハリセンちょっぷ
[思考]
基本:牙無き人の剣となる。この戦いの首謀者BADANを必ず倒し、彼らの持つ強化外骨格を破壊する。
1:川田を説得する。
2:ルイズの遺言を叶え、斗貴子を救う。
3:全てを終えて、S7駅でヒナギクたちを待つ。
151Classical名無しさん:08/02/16 21:21 ID:G7tC74G.
しえええんしえn
152Classical名無しさん:08/02/16 21:22 ID:G7tC74G.
テスト支援
153Classical名無しさん:08/02/16 21:23 ID:WHKtVDa6
sien
154弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:23 ID:vTU/HiBA
【備考】
※神社、寺のどちらかに強化外骨格があるかもしれないと考えています。
※主催者の目的に関する考察
主催者の目的は、
@殺し合いで何らかの「経験」をした魂の収集、
A最強の人間の選発、
の両方が目的。
強化外骨格は魂を一時的に保管しておくために用意された。
強化外骨格が零や霞と同じ作りならば、魂を込めても機能しない。
※2人の首輪に関する考察及び知識
首輪には発信機と盗聴器が取り付けられている。
首2には、魔法などでも解除できないように仕掛けがなされている
※2人の強化外骨格に関する考察。
霊を呼ぶには『場』が必要。
よって神社か寺に強化外骨格が隠されているのではないかと推論
※三村とかがみについて
三村の吹き込んだ留守禄の内容を共有しています。
かがみと三村に対してはニュートラルなら姿勢です。
とにかくトラブルがあって、三村がかがみを恨んでいると事実がある、
とだけ認識しています。

※ハヤテのDIOの能力についての知識と考察の情報を得ました。
目から弾丸を発射する能力(空裂眼刺驚)を持っている。
血を吸って仲間を増やすことができる(肉の芽については知りません。
一度DIOの仲間にされてしまった者は、救えないと考えています)
155Classical名無しさん:08/02/16 21:24 ID:G7tC74G.
支 援 支  援
156弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:24 ID:vTU/HiBA

@時を操作する A超スピードで動く+超高速の麻酔針発射装置、Bその場にいる全員に集団幻覚を見せる。
DIOの力は、@~Bのどれか、特に@が有力だと考えています。



※BADANに関する情報を得ました。
【BADANに関する考察及び知識】

このゲームの主催者はBADANである。
BADANが『暗闇大使』という男を使って、参加者を積極的に殺し合わせるべく動いている可能性が高い。
BADANの科学は並行世界一ィィィ(失われた右手の復活。時間操作。改造人間。etc)
主催者は脅威の技術を用いてある人物にとって”都合がイイ”状態に仕立てあげている可能性がある
だが、人物によっては”どーでもイイ”状態で参戦させられている可能性がある。
ホログラムでカモフラージュされた雷雲をエリア外にある。放電している。
 1.以上のことから、零は雷雲の向こうにバダンの本拠地があると考えています。
 2.雷雲から放たれている稲妻は迎撃装置の一種だと判断。くぐり抜けるにはかなりのスピードを要すると判断しています。
※雷雲については、仮面ライダーSPIRITS10巻参照。




「あそこに、村雨さんがいるのね」
「ええ」
 ハヤテたちはS1駅を降り、神社の階段を前にして立っていた。
157Classical名無しさん:08/02/16 21:24 ID:G7tC74G.
全力支援、そろそろ投稿規制
158Classical名無しさん:08/02/16 21:25 ID:G7tC74G.
神社付近まで来たわけだが支援
159弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:25 ID:vTU/HiBA
 本来なら、ジョセフを待ち、村雨の元へと向かう予定だったのだが、それを無視して二人はここにいる。
 理由は……
「一刻も早く、村雨さんにこれを渡さないと……ごめんなさい、ジョセフさん。
でも、仲間になった村雨さんと一緒に迎えに行きますから」
「一応、書置き残してきたから大丈夫よ」
 さっぱりとした様子でヒナギクが告げ、階段を昇る。
 ハヤテは慌てて後に続く。
「それに……つかさのお姉さんがいるなら、あってみたいじゃない。
ハヤテくんの言うとおりなら、あの三村って奴が言っていたように、殺し合いに乗ってないみたいだし」
 つかさの名を出した瞬間、ヒナギクは痛みに耐えるかのように表情を歪める。
 かがみに辛い知らせを届けなければならないことと、つかさとの思い出が蘇って喪失感が強調されたことが同時に襲ってきたのだ。
 それを振り払うかのように、ヒナギクは階段を昇る速さを上げる。
 こつこつと足音をたてて昇っていると、階段の中ごろに倒れている黒いカバンを発見する。
 いったいあのカバンはなんだろうか?と、ヒナギクが疑問を浮かべるが、答えはすぐ後ろからやってきた。
「零さん!」
『おお! ハヤテよ!』
 あれが零か。ヒナギクは始めてみる強化外骨格のカバン状態に、僅かに驚いた。


 時間は少し遡る。
 怒りに燃える零は、神社の様子が気になってしょうがなかった。
 あの婦女子は無事だろうか? 悪鬼となった村雨に暴行をされていないだろうか?
 業火のごとくの怒りが零に駆け巡る。村雨自身を弄んだ、BADANと変わらぬ所業。
 零にとって村雨はもう許せぬ相手となっている。
(とはいえ、どうしたものか)
160Classical名無しさん:08/02/16 21:25 ID:WHKtVDa6
sien
161Classical名無しさん:08/02/16 21:26 ID:G7tC74G.

援支援支援支援支援支
162弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:27 ID:vTU/HiBA
 零が思考を村雨への怒りから、これから来るであろう正義の仲間のことへと移る。
 たとえ正義に燃える戦士が何人揃おうとも、首輪が行動を抑制している。
 あの雷雲に突っ込もうにも、どうしようもない理由の一つである。
 逆に首輪さえどうにかすれば、逆転は容易くなる。
 零は参加者の首にはまっている首輪の外装を回想する。
 繋ぎ目すら見当たらない首輪は一見解除が不可能にも思える。
 しかし、一つ、二つ首輪のサンプルがあり、分解して零が解析することさえできれば、参加者の首輪を外すことも可能だ。
 そして、予想される首輪の機能は、

 1・生死の判定。
 2・禁止エリアの察知。
 3・主催者による遠隔装置。
 4・盗聴器。
 5・能力の制限装置。

 1〜4は比較的、零の知る技術力でも可能だ。
 それに、今までは首輪を考察する機会を逃して考えもしなかったが、主催者が参加者を管理しないはずがない。
 ハヤテに伝えてなかったのは迂闊だと思った。BADANに近いハヤテを警戒するのは、主催者側からすれば当然だ。
 とにかく、首輪を分解し、情報が筒抜けな状態と、命を握られている状況から仲間を救わねばならない。
 問題は、5だ。正直、零にはどのようにして多種多様な参加者の力を、BADANの都合のいい状態にしているか、皆目検討もつかない。
 村雨からヒントを得られるのかとも思ったが、村雨はそんな能力は持ち合わせてはいない。
(つまり、5を解くことが、我々の急務だ。そのからくりが、首輪の解除に繋がるかもしれないという、曖昧なものだが、追求して損は無かろう)
 まずは首輪を解体する手段を手に入れなければ。零がそう考えている中、誰かが近寄る気配を感知する。
 数は二。階段を上がっていくたびに、誰であるか零は分かり、不気味なドクロの顔を喜びの感情で満たす。
「零さん!」
163Classical名無しさん:08/02/16 21:28 ID:G7tC74G.
ssあああああああああああssss
164Classical名無しさん:08/02/16 21:28 ID:WHKtVDa6
sien
165弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:29 ID:vTU/HiBA
『おお! ハヤテよ!』
 零とハヤテ、早い再会であった。


「これが……覚悟くんの言っていた零?」
『おお! 覚悟と出会っていたか! して、奴はどこに!?』
「覚悟さんは、仲間を救いに向かいました。ここは僕に任せる。そう言って」
『む! それはいささか仕方ないが……ハヤテだけではあの悪鬼、村雨を退治することは……』
 零の言葉が最後にまで告げられる前に、ヒナギクの蹴りが叩き込まれた。
 神速の蹴りに、零は微塵も揺らがず、逆にヒナギクは反動で来た痛みに足を抱えた。
『な、何をするか! 我々は超鋼で出来た身体。蹴ればお主の足がひとたまりも……』
「……しなさいよ」
 ヒナギクから立ち上る、黒いオーラにハヤテは思わず後ろに退く。
 本気で怒っているときのヒナギクであることに気づいたからだ。
「訂正しなさいよ! 本郷さんの仲間を、悪鬼といったことを!!」
『あの者がしでかしたことを知らぬから、そういえるのだ!』
「村雨さんは記憶がないから、少し間違えちゃっただけじゃない!
きっと、記憶さえ戻れば、本郷さんみたいに……正義の味方として…………戦って……つかさの仇も……」
 最後は嗚咽交じりのヒナギクを前に、零は焦る。
 婦女子を泣かせることは、零の本意でないためだ。
『だとしてもだ、あやつの記憶を取り戻す手段がないことには……』
「零さん、ありますよ。村雨さんの記憶」
 ハヤテが告げた瞬間、零は数秒沈黙する。
 おそらく、人間なら物凄く驚いた表情をしているのだろう。
『ど、どこにあるのだ!?』
166Classical名無しさん:08/02/16 21:30 ID:G7tC74G.

援支援

167弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:31 ID:vTU/HiBA
「これよ! 目を見開いて、よく見なさい!」
「目はないんですけどね」
 ヒナギクはキューブを零に突き出したまま、怒りを交えた視線でハヤテをねめつけ、ハヤテがビクッと反応する。
 屁理屈で和ませようとした作戦は、失敗に終わったようだ。
『むう、たしかに未知の物質だが……』
「本郷さんが言っていたもの。たしかよ」
 自信満々に告げるヒナギクに、本郷がどれほどの人物だったか、読み取る。
 ハヤテはヒナギクの人物を見る目を信頼している。
 それに、村雨の仲間だといったのだ。ハヤテが信頼しないはずがない。
 ハヤテは零を掴み、階段を上ろうとする。ズシッと重さがのしかかり、思わず手放しそうになった。
(よく村雨さんは軽々と持てたな)
『ハヤテ、無理はしていないか? 我々は九十キロあるぞ』
「だ、大丈夫ですよ。これくらい。さあ、早く村雨さんに記憶を取り戻させてあげないと」
 そうハヤテが力を込めたときだった。
 村雨の、叫び声が響いてきたのは。



「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
 村雨は助けを求めるように、虚空に手を突き出す。
 頭痛から逃れるように、胸の痛みから逃げるように。
 だが、痛みは構わず村雨の全てを蹂躙する。
 逃れられない苦痛。しかも、外部から襲うような痛みでなく、内側から湧き上がるような痛みだ。
 身が引き裂かれる。助けてくれ。
 救いを求めた手は、誰かが握ることを期待した右手は、誰も握ることがなかった。いや、握ることはないはずだった。
168Classical名無しさん:08/02/16 21:31 ID:G7tC74G.
支援したい支援する
169弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:32 ID:vTU/HiBA
 村雨の手が、温もりに包まれる。
 体温が、手から伝わり身体に広がる。懐かしい感覚。
(いつか、同じことがあったはず。いつか? それはいったい、いつの記憶――――?)
「大丈夫だから……安心して」
 この声は聞き覚えがある。ジョセフをおびき寄せるために連れてきた、柊かがみの声。
 その声が、懐かしい声色と重なって――――


 苦しむ村雨を前に、かがみが取った行動はとりあえず、手を握ること。
 なぜかは分からない。それでも、苦しむ村雨を放っておけなかったのだ。
(ジョジョが知ったら、呆れるだろうな)
 そう思いつつも、村雨を宥め続ける。
 今の村雨の長身は、まるで子供のように小さく見えた。
 やがて、村雨の震えがだんだん収まってくる。逃げれなくなるかもしれないのに、何をやっているんだろうとも思ったが、後悔はしていない。
 なんとなく、こいつは悪い奴じゃない。
 その想いが、ジョセフと戦って欲しくないという欲求を強くしていった。
「……ねえ、大丈夫」
 声をかけても、村雨は頭を振るうだけ。
 仕方なく、そのままの姿勢でいてやる。
(まあ、しょうがないよね)
 内心そう呟いた彼女の耳に、階段を駆け上ってくる足音が聞こえてきた。
 慌てて手を振り解こうとするが、間に合わない。
「村雨さん! いったい、何が……」
170Classical名無しさん:08/02/16 21:32 ID:WHKtVDa6

171Classical名無しさん:08/02/16 21:33 ID:wxRQr.fQ
                        
172弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:34 ID:vTU/HiBA
 結局、かがみはうずくまる村雨の手を握るという、微妙に見られたくない姿を見られてしまった。


 ヒナギクは、かがみの姿を見た瞬間、思わずつかさ、と小さく呟いてしまった。
 やはり、双子だからだろうか。まとう雰囲気は違うが、姿形は似ている。
「これは……」
「か、勘違いしないでよ! 急に苦しんだから、放って置けなく……」
「ハヤテ…………」
 慌てて釈明するかがみを無視して、村雨はゆらりと幽鬼のごとく立ち上がる。
 その瞳に、ハヤテを映して。
「村雨さん……?」
「ちょうどいいところに来た……。俺と、戦え!!」
 村雨が叫んだ瞬間、その身体がZXへと変わる。
 まるで、痛みを振り払うかのように。
「あんた、やめなさいよ!」
「そうよ。村雨さんが、戦う理由は……」
「頭が、痛む。この痛み、戦って忘れるしかない!
戦いこそが、俺に記憶を与える! 戦いこそが、俺に安息をくれる!
だから戦え! ハヤテ!!」
 渇望するかのように叫ぶZX。その姿に、ヒナギクは僅かな落胆を見せる。
 だが、そんな状況にも構わず、ハヤテは一歩前に出た。
「いいですよ。やりましょう。村雨さん」
「ハヤテくん!!」
 ヒナギクが非難の意味を込めて名前を呼ぶが、今度はハヤテが黒いオーラを纏っていた。
『ハヤテ……?』
173Classical名無しさん:08/02/16 21:34 ID:wxRQr.fQ
                          
174弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:35 ID:vTU/HiBA
「みんな、大変な時に何をやっているんですか。
かがみさんに危害を加えていないと信頼はしていましたが、心配して来てみれば……戦え?
いいですよ、村雨さん。一発殴って、絶対このキューブをはめて、記憶を取り戻させます!」
 パンと、左手の平に右拳を叩き込みながら、血管を額に浮かばせ、ZXの前に出る。
 核鉄を持ったまま、ハヤテは叫んだ。

「武装錬金!!」

 六角形の金属片が内部の機械を剥き出しにしながら、右篭手の武装錬金を再構成する。
 右手にピーキーガリバーを構えたハヤテは恐れも見せずにZXと対峙した。
「やめなさい! ハヤテくん。村雨さんはきっと、本郷さん並に……」
「強くないですよ。なんせ、アーカードを逃がしたんですからね」
「!! ハヤテ、キサマァァァ!!」
 ZXが地面を蹴り、ハヤテに突進する。そのまま拳は石畳を砕き、粉塵が舞い上がる。
「ハヤテくん!」
「いやぁぁぁぁぁぁ!!」
 絹を裂くような叫び声があがる。
 しかし、ハヤテの無残な姿はそこにはなかった。
 と、思った瞬間、ZXが右腕を振るって銃弾を弾く。
 ZXの右側にいるだろうか?と思い、視線を移動すると、左手だけがおみくじを巻きつける紐を伝って存在していた。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
 ハヤテの叫び声と共に、ZXの右脇に上半身のみで現れ、切った紐の上を移動しながら巨大化する右拳を振る。
 奇襲じみた攻撃をZXの身体に叩き込むのが成功し、狛犬のところまで吹っ飛ばす。
「くっ……」
「どうしました? 僕のスタンドの力、忘れたわけじゃないですよね?」
 ZXは無言で立ち上がる。
 ハヤテと睨み合い、やがてお互いを目指して駆けていく。
175Classical名無しさん:08/02/16 21:36 ID:wxRQr.fQ
                              
176弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:37 ID:vTU/HiBA
 ZXの拳とピーキーガリバーが激突し、空気を震わせた。



 S3駅を探索していたラオウは、ここにはケンシロウはいないと悟り、更に北上していく。
 黒王号があれば、楽にケンシロウを探し出せるかもしれないのにとも思うが、ふっと笑って頭を振る。
 焦ることはない。ただ、己が信じる道を進めばいいのだ。
 それは覇道。それは天への道。
 遮るものは、全て破壊する。たとえ、最愛の弟トキであっても。
 駅沿いの北上する中、石造りの階段を発見する。地図を堪忍して照らし合わせれば、神社があるのだろう。
 神や神聖なものなど、拳王には興味はない。
 しかし、その耳に、戦闘音を捉えたのだ。
(ケンシロウがいるのかもしれない)
 そう思い、階段を一歩昇る。激闘音は激しい。
 たとえ、ケンシロウでなくても、そうとうの強者が待っている可能性がある。
 獰猛な笑みを浮かべて、ラオウは再度階段を踏む。
(上にいるのは覚悟か勇次郎か……いずれにしても、愛を否定する相手として、不足はない!)
 ラオウは天。神を恐れず、ひたすら昇る。



 ZXの攻撃を紙一重でかわしつつ、ピーキーガリバーと454カスールで牽制をして距離を一定に保つ。
 最初ZXに奇襲を仕掛けて、成功したのは幸運だった。
 死人を貶めるのは心が痛んだが、わざと頭に血が昇るように挑発して、一撃を決めたのはZXの戦闘能力をよく知っていたからだ。
 まともにやっては敵わない。たとえ、神社におみくじを巻きつける紐を切って、境内中に張り巡らして、地の利がハヤテにあり、痛みでZXの動きのキレが悪くても、圧倒的にハヤテが不利に違いなかった。
177Classical名無しさん:08/02/16 21:37 ID:G7tC74G.
sien sien
178弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:38 ID:vTU/HiBA
 伊達にアーカードとの戦いで背中を預けたわけじゃない。
 だからこそ、ハヤテは慎重に動き、かつ攻撃的になる。
 一撃でももらえば、ハヤテの負けは確定しているからだ。
 正直、記憶のことを話せばZXを倒す必要などないのだろう。
 だが、このままでは零と、ハヤテと、かがみの間にしこりが残る。
 ジョセフは記憶を取り戻したときにどうにかすることにして、まずは目の前で今のZXが間違っていることを示す。
 負けたくない。負けられない。
 男の意地がハヤテを駆り立てる。
「おぉぉぉぉぉぉおぉぉおぉぉぉぉっっ!!」
 ZXの拳を避けきれず、ピーキーガリバーで防御する。
 衝撃がハヤテの身体を駆け巡り、身体が浮く。ZXはその隙を見計らって、追撃をかけてくる。
 しかし、ハヤテも考えもなしに拳を受けていたわけではない。
 左手の454カスールが火を吹いて、ZXの身体を跳ねる。
 ZXが痛みに呻き、動きを鈍るのを確認して紐を握る。
 本来なら、ZXの身体は銃弾を弾くほどの強度を持つ。
 今回、銃弾でダメージを受けた理由は、最初にハヤテが拳を打ち込んだ場所に銃弾が命中したからだ。
 いつか、アーカードが霞を纏う散に使った戦法。
 もちろん、ハヤテが、ZXがそれを知ることは永久にないのだが。


 バラバラになって逃げるハヤテに、ZXは舌打ちをする。
 単純だが、パワーのある武装錬金、ピーキーガリバー。
 力は無いが、条件さえ揃えばトリッキーで先の読めないスタンド『オー! ロンサム・ミー』。
 そして、使い手は綾崎ハヤテ。
 ZXや多くの参加者に比べ、それなりにしか修羅場に慣れていない彼がここまで戦えるのは、三度も戦闘経験を積んだのが大きい。
179Classical名無しさん:08/02/16 21:38 ID:WHKtVDa6

180Classical名無しさん:08/02/16 21:38 ID:wxRQr.fQ
しえn
181Classical名無しさん:08/02/16 21:38 ID:G7tC74G.
あいうえお
182弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:39 ID:vTU/HiBA
 しかも、戦ってきた相手は刃牙、ガモン、アーカードといまだに生きているのが不思議なくらい、強者揃いだ。
 そして、ZXが背中を預けようと判断したほどの、頭の回転の早さ。
 相性が良すぎた。戦う相手としては不足ないほど。
 ただ、並みの人間の防御力しかないのが惜しい。
 ZXの攻撃を一撃でも受ければ、ハヤテは終わりだ。
 多少冷えてきた頭で計算を導き出し、肩より霧を吹き出して己が虚像を三人作る。
「無駄ですよ、村雨さん。僕は分身の術に対抗する技を編み出しました」
「ほう……見せてみろ」
「ええ! こいつが、僕の分身破りです!」
 ハヤテが告げると同時に、右手のピーキーガリバーが巨大化していく。
 それのどこが、分身を破ることに繋がるのだろうか? ZXは疑問を持つ。
「くらえ! まとめて叩き潰す!!」
 そのまま、ハヤテは巨大な手の平を振り下ろした。
 まるで蝿叩きのように、三人のZXが潰される。
「まとめて潰せば、分身なんて意味がない!」
「…………真面目にやれ」
 分身にハヤテが気を取られている隙に、ZXは後ろに回りこんでいた。
 ハッとして後ろを振り向くハヤテへと、回し蹴りを放つ。
 とっさにマトリックス風にのけぞったハヤテの前髪を数本千切り、退こうとするハヤテに追撃をかける。
 一度捕まえたからには逃がさない。紐を掴む隙も与えない。
 ZXはそう思考しながら地面を蹴る。ハヤテの顔に焦燥の色が浮かんできた。
 ZXの拳の連打が、巨大化して盾になっているピーキーガリバーにヒビを作る。
 拳の衝撃を足を踏ん張ってこらえるハヤテだが、ついに身体が浮いて、吹き飛ばされた。
 地面に叩きつけられ、転がっていくハヤテを冷たい目で見つめるZXに声がかかる。
「もうやめて! これ以上、ハヤテくんとあなたが戦う必要はないでしょ!!」
183Classical名無しさん:08/02/16 21:39 ID:G7tC74G.

   え
184Classical名無しさん:08/02/16 21:39 ID:G7tC74G.

  え

                ん
185Classical名無しさん:08/02/16 21:40 ID:G7tC74G.
       し
 え

                                      ん
186弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:40 ID:vTU/HiBA
「そうよ、あんた、その子と仲間だったんでしょ? もう戦う必要なんて……」
 ヒナギクとかがみの声を受け、ZXの動きが止まる。
 たしかに、これ以上痛めつけてもしょうがない。もともとハヤテを殺すつもりはなかった。
 適当に拘束して、ジョセフが来るのを待てばいい。
 だが、ハヤテは震える身体に活を入れて、立ち上がってくる。
「勝手に……ギブアップさせないでください……」
 ハヤテの目は死んでいない。ZXは不思議に思う。
「ハヤテ、一体何が、お前をそこまで駆り立てる?」
「色々ありますよ。全部説明するのが面倒なくらい。ですが……そうですね。まとめると……」
 ハヤテの瞳に宿る炎が、ZXを射抜く。
 理不尽に抗う者だけがもてる、正義の炎。
 いつか戦った、仮面ライダー1号の赤い瞳を思い出す。

「僕の身体はあなたには敵わない。だからせめて、『魂』だけはあなたに負けないと、証明します」

 その言葉にZXは呆気にとられる。
 なぜ、ここまで自分に気をかけてくれるのか、疑問が絶えない。
 急に頭痛が、胸の痛みが蘇ってきた。
「さあ、いきますよ! 村雨さん!」
「クッ……」
 再び、ZXとハヤテが交差する。
 『魂』の激突。神を祭る神社に、気高き魂と空っぽを抱える魂の奏でる音が響いた。


「凄い……ハヤテくん、いつの間に……」
187Classical名無しさん:08/02/16 21:41 ID:G7tC74G.
支援支援
188弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:41 ID:vTU/HiBA
 ヒナギクはZXと渡り合うハヤテの姿に、素直に驚いていた。
 ラオウやアンデルセンに大してなす術も無かった自分と違って、ちゃんと戦えている。
 身体をバラバラにする妙な能力や、核鉄を持っているが、それだけで戦えないことをヒナギクは知っている。
 ZXは決して弱くはない。むしろ、覚悟やラオウ、本郷に負けないくらいの戦闘力を持つ。
 なのにだ。ハヤテはまるで歴戦の戦士のように、ZXを翻弄していた。
『三度、戦闘を経験したことが幸いしたな。良の体調が万全でないことも味方しているが……あの二人……』
「まるで、兄弟喧嘩みたいよね。なんか、微笑ましい」
 ヒナギクと零の傍でかがみが少しだけ笑みを浮かべて告げる。
『……無事か? 少女よ』
「喋るカバン……。あの人、約束は守る人みたい。実際、何もしてこなかったし」
『なら、あの悲鳴は?』
「き、気にしないでよ。ただの勘違いだから」
 あーとか、うーとか呻くかがみを、ヒナギクは見つめる。
 やはり、つかさと似てはいるが、別人だ。
 悲しみがヒナギクの胸に満ちて、かがみから眼を逸らす。
 そのヒナギクを、かがみは恥ずかしそうに見る。
「す、好きでこんな格好しているんじゃないからね! それに、私は……」
「そ、そんなつもりじゃないの。柊かがみさん……よね?」
「え? うん。何で私の名前を知っているの?」
「後で……そのことを話していい? 私は桂ヒナギク」
「いいけど……桂……」
「どうしたの?」
「ううん。気にしないで」
 二人がそれぞれ、死人に思いを馳せて、再び激突する二人を見つめる。
 轟音が響き、地面が揺れた。一人が立ち、一人が地に伏せている。
189弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:42 ID:vTU/HiBA
 勝ったのは…………


 ZXは銃弾を叩き落しながら、バラバラになったハヤテを追う。
 目標が分けられ混乱するような状況だが、冷静に見つめれば、最後には全部の身体のパーツを一つにしなければならないという特質上、身体の重要部分さえ追えば対処は可能だ。
 事実、ハヤテに攻撃がかするようになってきた。
 とはいえ、埒が明かない。ZXは勝負に出る。
「トゥ!!」
 ZXは跳躍して、ハヤテへと目掛けて落下する。
「ゼクロスパァンチ!!」
 拳は石畳を砕き、地面が隆起する。ハヤテは土砂を被り、視界が遮られる。紐がある境内と、ハヤテを断って逃げ道をなくす。
 紐のある後方へハヤテは跳ぼうとして、そうはさせるかとZXはマイクロチェーンで紐を切る。
 ハヤテに逃げ道はない。後は土砂に埋まり、ZXが捕らえるだけ。
 そのはずだった。
「まだ、逃げ道はある!」
「なに!?」
 ハヤテは迷いなく、マイクロチェーンを掴み、その上を移動してくる。
 高圧電流を流せることを知ってなお、ハヤテはマイクロチェーンを移動してきた。
 馬鹿だと思い、死なない程度の電流を流そうしたZXの脳裏に、一瞬だけ電流で焼かれる女性の姿が映る。
 顔は分からず、ただただ電気椅子で苦痛を受ける女性。
 苦しむ女性の姿を見て、ZXの頭痛が増し、身体が硬直する。
 そのZXに、

「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 ハヤテの『魂』のこもった拳が、直撃する。
190Classical名無しさん:08/02/16 21:43 ID:G7tC74G.
支援+支援
191Classical名無しさん:08/02/16 21:43 ID:WHKtVDa6

192弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:44 ID:vTU/HiBA
 ZXの身体が神速の勢いで吹き飛び、地面を抉った。

 肩で息をするハヤテが、まだ地面に伏している村雨に近付く。
 変身は解いており、黒髪パーマの青年となった村雨は起き上がる気にもならなかった。
「……なぜ、マイクロチェーンを掴んだ?」
「信じていました。村雨さんは、僕を殺すために電撃を流さないって」
「…………馬鹿だ。お前は」
 馬鹿といわれて落ち込むハヤテに、村雨は脱力したまま告げる。
「ハヤテ。お前の勝ちだ」
 え?と戸惑うハヤテに、村雨はため息を吐いて上半身を起こす。
 さすがに、二度も口にするのは悔しい。いつの間にか、村雨は『悔しい』という感情を取り戻していた。
 そして、取り戻したのはそれだけではない。
「もう一度いう。ハヤテ、お前の勝ちだ。姉さんがいたことも思い出せた。負けて悔いはない」
「僕の……勝ち……。ってか、記憶ぅぅ!!」
「……いたということしか分からない。それだけだが、たしかに思い出した」
「よかったぁ。そのお姉さんがどうなったか、思い出せますよ。記憶を持ってきたんですから」
 相変わらず、他人のことを心配するお人好しだと思った。しかも、記憶を持ってきているなど。
 頭痛やハヤテと戦うことに関心がいっていたため、最初のハヤテの宣言を本気に聞いていなかったとぼんやりと考える。
 共にきた少女にハヤテは声をかけている。おそらく、村雨の記憶に関連する道具をあの少女は持っているのだろう。
 自分の拠り所が得れることに安堵するが、以前のような執着がない。
 なぜだろうか?
 村雨は知らないが、かがみと出会い、姉のキーワードを得て、記憶を取り戻すことに恐怖しているのだ。
 その記憶は、村雨本人が忌避するもの。しかし、それを今の村雨が知ることはない。
 そのことに疑問を持つ村雨は、いち早く異変に気づいた。
「ハヤテ……何か来るぞ!」
193Classical名無しさん:08/02/16 21:44 ID:G7tC74G.
そろそろ支援
194弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:45 ID:vTU/HiBA
『……良の言うとおりだ。こやつ……』
 村雨の言葉に零が同意し、階段の方向を全員が見つめる。
 やがて、姿を見せたのは……
「!? あれは……本郷さんを殺した!?」
 ヒナギクの怒りの声が、相手に向けられる。
 筋骨隆々の巨体。金の短髪。
 溢れる闘気は居合わせたもの全てを威圧する。
 天の道を目指す覇王。拳王が姿を見せた。


 ラオウが階段を上りきり、見つけた相手は今までであったことのない男たちだ。
 女の方は一人見覚えがあるが、だからといってラオウの興味をそそるわけがない。
 男二人、一人は女顔であるが、それなりに腕が立つのかもしれない。
 しかし、それだけだ。
 もう一人の男はやれるのだろう。だが、どういうわけか今は地に伏している。
(見当違いか)
 そう思い、踵を返そうとする。
 怪我人を相手にする趣味は拳王にないし、弱い相手を一方的に虐殺することも興味がない。
 しかし、ラオウに立ち向かう影が現れる。

「武装錬金!!」

 ヒナギクが地面を蹴って、バルキリースカートの刃を煌かせる。
 ラオウはあっさりと刃を掴んだ。
「ほう、この拳王に挑むか」
195Classical名無しさん:08/02/16 21:45 ID:G7tC74G.
ラオウ支援
196Classical名無しさん:08/02/16 21:46 ID:G7tC74G.
sien
197弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:46 ID:vTU/HiBA
「あんたを行かせるわけには……いかないのよ!」
 ヒナギクの瞳を覗き込み、ラオウは笑う。
「本郷の仇か?」
「それに、あんたみたいな奴を……野放しにして、覚悟くんみたいな人たちを犠牲には出来ない!」
 ヒナギクはバルキリースカートのロボットアームで跳躍して、ラオウから五メートルほど離れた地点に着地する。
 その隣に、ハヤテと村雨が並ぶ。
「ヒナギクさん、キューブを村雨さんに」
「ハヤテ……?」
「さっさと記憶を取り戻して、パワーアップしてください。
あいつはしばらくの間、僕が足止めしておきますから」
「あいつ、強いぞ」
「知っているわよ! だから、あなたの力が必要なの!!」
 ヒナギクはメモリーキューブを渡しながら、ラオウを睨みつける。
 その胆力にラオウは感心しながらも、闘気を開放する。
 神社が震え、空気が震え、人が震えた。
「いったはずだ、小娘。この拳王に立ち向かうなら……容赦せんと!」
 恐怖を振り払うかのように迫るハヤテとヒナギクを前に、拳王は仁王立ちをして向かえる。


 メモリーキューブを手に、村雨は戸惑う。
 たしか、ベルトにセットしろといっていたな……と考える。
「早くそいつを入れなさいよ!」
『その娘の言うとおりだ。この場で奴にまともに対抗できるのは、お前しかおらん!』
「かける言葉も無かったんじゃないのか?」
『今はそういっている場合ではないだろう!』
198弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:47 ID:vTU/HiBA
「分かっている」
 ベルトのバックルがスライドすると、ちょうどメモリーキューブをはめるところが現れる。
 こういう仕掛けになっているのか、と自分の身体ながら感心する。
 ハヤテやヒナギクでは、一分も持たない。それは、なぜか嫌な気分だった。
 散を失ったときのような。
 村雨は記憶を取り戻し、強さを得るためにメモリーキューブをはめ込んだ。



 突然の事故だった。
 幼い村雨は、両親の死に涙を流した。
 今と違い、身体も小さく、よく虐められて泣いていた。
 自転車に乗れないことを馬鹿にされ、泣いていた。
 そんな自分の手を、いつも姉は優しく包んでくれた。
 葬式の帰りもそうだ。姉は優しく手を握って、自分を守ると宣言してくれた。

 ―― 姉さんを守って見せるから

 幼く、非力な頃の村雨はそう誓った。
 唯一の家族となり、慕っていた姉。
 全てをかけて、男の自分が守ると。
 現実は無情で、村雨に優しくはない。
199Classical名無しさん:08/02/16 21:47 ID:G7tC74G.
さしすせそ支援
200弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:48 ID:vTU/HiBA
 姉は――――



 記憶が戻るのは一瞬だった。
 苦しみも、痛みもない。先ほどまでの頭痛が嘘のように軽い。
 だが、それ以上に抱えるものが重くなった。
「ねえ、大丈夫?」
「ああ、もう心配は要らない。かがみは零とここにてくれ。
零、何かあったら教えてくれ。頼む」
『……承知した』
 安心させるためにかがみの肩に手を起き、零にラオウ以外の敵の接近を知らせるように告げて、戦場へ向かう。
 その村雨の袖を、かがみが掴む。
「本当にあんた、大丈夫?」
「全て、俺が決着をつける。だから君はここで待っていてくれ。
あの男も、バダンも……俺が倒す」
 おそらく、自分の胸中を察したのだろう。表情に出していないのに、鋭い娘だと思う。
(散、すまない。お前の『星義』は俺は引き継げない。だが、お前のことは感謝している。
だから、俺はあのアーカードを倒す。目の前の男を倒す。バダンを――倒す!!)
 村雨の瞳に、倒すべき敵、BADANを怒りを持って映していた。


「クッ……」
「無駄だ、小僧。キサマの攻撃、かすりもしない」
 ハヤテとヒナギクは、ラオウとの間に広がる戦闘力の差に、絶望していた。
201Classical名無しさん:08/02/16 21:48 ID:G7tC74G.
ぁぁぁぁぁ支援ぁぁぁ
202Classical名無しさん:08/02/16 21:49 ID:G7tC74G.
かきっくっけっこ
203弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:50 ID:vTU/HiBA
 数度、攻撃を仕掛けるが、その攻撃はことごとく外れ、掠るだけで致命傷になる拳を『オー! ロンサム・ミー』を使って回避するのがやっとだった。
 まだ一分も時間を稼いでいない。村雨が記憶を取り戻すのに、どれほど時間がかかるか分からないが、ハヤテたちに絶望がのしかかる。

 ―― 殺される

 しかし、ハヤテとヒナギクは頭を振るってその考えを振り払う。
 彼らは多くの犠牲を払った。失くしたものが多すぎた。
 すぐに希望は絶望へと変わることを知っている。
 だからこそ、足掻くのだ。今を失わないために。
 ハヤテは地面を蹴って、ピーキーガリバーの拳を巨大化させながら突進する。
 ラオウは片腕で巨大な拳を受け止め、ハヤテを目掛けて拳を振るう。
 身を捻ってどうにか避けるが、拳圧で身体が吹き飛ばされる。
 地面を転がり、切れた紐を掴んだハヤテに、ラオウが迫る。
 だが、その背後に……

「臓物をブチ撒けろぉぉぉぉぉぉ!!」

 身体をバラバラにし、再構成するヒナギクが迫る。
 ヒナギクの身体の一部が紐に引っかかっているのを目撃したため、ハヤテはヒナギクをバラバラにしたのだ。
 突然のことで驚いたヒナギクだったが、ラオウの背を眼にしたとたん、思考を切り替える。
 チャンスだと。
 四本の刃が、ラオウを切り裂かんと迫る。
 十メートル以上はあろうかと錯覚する身体を、四つに引き裂いた。
 ただし、それは幻影だ。
「妙な術を使う……その小僧の術か。間は良かった。だが、殺気を放ちすぎだ」
204Classical名無しさん:08/02/16 21:50 ID:WHKtVDa6
震えるほど支援ッ!!
燃え尽きるほど支援ッ!!
205Classical名無しさん:08/02/16 21:50 ID:.2AeIlPc
支援!
206Classical名無しさん:08/02/16 21:50 ID:G7tC74G.
テスト書き込sみ
207Classical名無しさん:08/02/16 21:50 ID:wxRQr.fQ
                         
208弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:51 ID:vTU/HiBA
 ヒナギクの背後で、ラオウが拳を構える。
「ヒナギクさん!!」
 ハヤテは咽が裂けんばかりに声を張り上げる。
 無慈悲にも振るわれる、拳王の拳。
 風を裂いて、音を裂いて、空間を裂いて、女を貫かんと迫った。
 轟音が響き、地面に拳が当たり石畳が砕ける。
 そこにヒナギクの姿は無かった。
「無事か?」
「あ、ありがとう……」
「村雨さん!」
 ハヤテが喜色を浮かばせ、仲間を呼ぶ。
 前座は終わりだ。そう言わんばかりにラオウは獰猛な笑みを村雨に向けた。


 村雨はヒナギクを降ろし、二人に背中を見せながらラオウと対峙する。
「村雨さん、ここは一気に……」
「いや、俺一人でいい」
「!? 相手は……」
 ハヤテの言葉を無視して、村雨は一歩前に出る。
 ハヤテからは表情が見えないだろう。おそらく、今の自分は酷い表情をしている。
「見られたくないんだ……俺の、怒っている顔を」
 ゆっくりと、ラオウにあと十歩ほどの距離まで歩いて、止まる。
 その声は静かだが、溢れんばかりの怒りが込められていた。
「ほう……先ほどとは、まとう闘気が違うな」
209Classical名無しさん:08/02/16 21:51 ID:.2AeIlPc
支援支援支援
210弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:52 ID:vTU/HiBA
「思い出した……やっと……。そして、もう二度と忘れん……」
 村雨が、怒りを持って右腕を右上へと真っ直ぐ伸ばす。
「バダンの無情」
 悲しみを込めて、左腕を右下へと真っ直ぐ伸ばす。
「そして俺の……」
 ポタッと地面に赤い雫が落ちる。
 それは村雨の瞳から流れ出る、血涙。
「無力を……」
 怒り、悲しみ、無念、喪失感、取り戻した感情を全て混ぜ、村雨の身体を粒子が纏わりつく。

「変んん…………身!!!」

 粒子が赤い強化スーツを精製し、白いボディーアーマーをその上に装着する。
 首から緑のマフラーが風を受けてなびく。
 カミキリムシを模した、触角を持つ赤い仮面へと怒りの表情の村雨の顔を変質させていく。
 緑の複眼が闇に光り、涙が一筋、流れ落ちる。
 その背中から漂う悲壮感に、ハヤテとヒナギクは圧倒される。
 村雨良、ZXは、大首領の身体として生まれ変わり、大切な者の命を糧に異形の力を得てしまった男だった。


「ほう……仮面ライダー……本郷と同じ力を持つ男か。その力、とくとみせい」
 ラオウが言うや否か、ZXは両腕をラオウに向け、シャッター部を開く。
「マイクロチェーン!!」
 ZXから放たれた鎖が、ラオウの両手首に巻きつかれる。
 眉を顰め、不快を露にするラオウがZXに言い放つ。
211Classical名無しさん:08/02/16 21:52 ID:wxRQr.fQ
                               
212Classical名無しさん:08/02/16 21:52 ID:7ykTeHgc
支援!
213Classical名無しさん:08/02/16 21:52 ID:G7tC74G.
raou
214Classical名無しさん:08/02/16 21:53 ID:WHKtVDa6
支援ッ!!
215弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:53 ID:vTU/HiBA
「この拳王を拘束しようなど、愚の骨頂!」
「トゥ!!」
 力の限り引き寄せるラオウの力を利用し、ZXは一瞬で距離を縮める。
 もっとも、ラオウもこのことは予測済み。
「ゼクロス……パンチ!!」
「ぬぅ!!」
 ZXが拳を弾丸のごとく打ち込む。
 ラオウはその拳目掛けて、剛拳を振るう。
 剛と剛のぶつかり合い。お互い、全力の拳の激突が、衝撃を生み石畳を、狛犬を破壊しつくす。
 心地よい力のぶつかりに、ラオウが不遜な笑みを浮かべ、回し蹴りを放つ。
 丸太のような太さの蹴りが、神速でZXに迫る。
 フワッと、体重を感じさせない跳躍で回避するZXにラオウは感心する。
 ZXが神社の屋根縁を蹴って、勢いを得る。
 蹴りを右腕で受けとめ、ギシギシと骨を軋ませるほどの重さを感じる。そのままの姿勢でラオウはZXと瞳を交わす。
 怒りに燃える、破壊の意思。その意思が、この重さを生んでいる。
 愛を持たずとも、強い敵がいる。ゆえにラオウは拳を振るう。
 目の前の男を、強敵と認めたがために。


 ラオウとZXの激闘が繰り広げられ、その余波が後退したヒナギクたちにも届く。
 渡り合う二人を目の前に、三人は呆然とする。
「凄い……これなら、本郷さんの仇を……」
「まずいですよ……これは」
『ああ、ハヤテの言うとおりだ』
 ZXの優勢を否定するハヤテと零に、かがみとヒナギクは振り向く。
「結構いいところまで渡り合っているじゃない」
216Classical名無しさん:08/02/16 21:54 ID:wxRQr.fQ
                                 
217Classical名無しさん:08/02/16 21:54 ID:.2AeIlPc
熱いぜ!支援!
218弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:54 ID:vTU/HiBA
「いいえ、かがみさん。見てください。
徐々に、村雨さんの攻撃が当たらなくなってきてます」
 ハヤテの言葉に、二人が振り向く。その言葉どおり、ZXの拳が、蹴りが空を切り始める。
 何故? 疑問を口にするヒナギクに、零が答える。
『理由は二つ。ラオウなる男が良の拳を見切ってきたこと。
怒りに任せて全力疾走を続けてきた良が、息切れを起こしてきたこと。
その二つが重なり、良の拳が避けられてきたのだ』
「そして、村雨さんは僕が始めて見るくらいの激しい怒りで周りが見えなくなっている。
たぶん……自分の状況に気づいていない。焦っている……」
 とたんに、不安がヒナギクたちを襲った。


 ZXの拳がラオウに受け止められ続け、ラオウの拳がZXに当たるようになっていく。
 ZXは焦る。しかし、怒りを抱えているZXにはそのことを分析する力を放棄している。
 苛立ちのままに、ZXはマイクロチェーンに電撃を流す。
「ぬ……うぉぉぉぉ!!」
 ラオウが電撃に身体を焼かれながらも、咆哮とともにマイクロチェーンを掴み、ZXを地面に叩きつける。
 バラバラになりそうな衝撃がZXに駆け巡り、マイクロチェーンが解ける。
「それがうぬの限界か!? 本郷は、仮面ライダーはもっと信念を見せたぞ!」
「クッ……トォォォォォォォ!!」
 ZXはラオウの挑発に乗るように天に跳び、右腕を右上へ、左腕を右下へ、真っ直ぐ伸ばす。
 すぐに、赤いオーラをZXは発し、右脚をラオウに向ける。
 対抗するように、ラオウは右掌をZXに向けて放つ。

「ゼクロスキィィィィィィィィック!」
「北斗剛掌波!」

 気弾と赤い弾丸が激突し、衝撃に神社へとヒビが入る。
 数秒続いた衝撃が収まる頃に、ZXは地面へと不時着した。
219Classical名無しさん:08/02/16 21:54 ID:7ykTeHgc
ZX!今こそ受け取ってくれ!支援!
220Classical名無しさん:08/02/16 21:55 ID:wxRQr.fQ
                            
221弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:55 ID:vTU/HiBA
「く…………」
「やはり、本郷ほどの男にはまだ出会えぬか。敗者の結末を、受け入れるがいい」
 ラオウがZXの頭を砕かんと、右拳を振り下ろす。
 もう終わりか。ZXの脳裏に、悲しむ姉の姿が蘇る。瞬間、彼の前に風が舞い踊る。
 拳が激突し、金属の跳ね飛ばされた音が響いた。


「ぬ……」
「ハ、ハヤテぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
 ZXの叫びが、彼を庇うハヤテに向けられる。
 とっさに出たのは、考えがあってのことではない。単純に、ZXが危ない。
 そう思うと、身体が勝手に動いた。
 盾代わりに使ったピーキーガリバーを腕ごと上に跳ね飛ばされ、ラオウの拳がハヤテの右胸を砕いている。
 致命傷だ。偶然、右腕に絡まる紐を見つけて、とっさにアイディアが浮かぶ。死に間際のアイディアかと、自嘲する。
 ハヤテは、血反吐を吐きながら紐をラオウに結びつけた。
「……これが、僕の最後のスタンドだ!」
 宣言と同時に、ラオウの身体が分解され、紐を使って移動される。
 ハヤテは瀕死の身体で、ZXへと向く。
「あそこの、紐の端で再構成されます。そこを目掛けて走ってください!」
「く……」
 ZXはハヤテの決意の瞳を受け、地面を蹴る。
 再構成されるラオウの身体を掴み、上半身を捻る。

「ライダーきりもみシュゥゥゥゥゥゥトォォォォォォ!!」

 竜巻が巻き起こり、風へと向けてラオウを投げ飛ばす。
222Classical名無しさん:08/02/16 21:56 ID:G7tC74G.
拳王は負けぬ
223Classical名無しさん:08/02/16 21:56 ID:WHKtVDa6
意外ッ!!それは支援ッ!!
224弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:56 ID:vTU/HiBA
 さすがのラオウも、本郷の技に翻弄され、天へと舞い上がる。
 すかさず、ゼクロスキックを決めようとするが、身体が光らない。
 理由は分からないが、ZXは最大の技が使えない。そう考えて、ハヤテはZXの傍に立った。
「行きましょう、村雨さん!!」
 一人では、ラオウに敵わなかった。一人では、アーカードに敵わなかった。
 だが、二人なら……
 そう考えた瞬間、ハヤテはZXと肩を組んで、ラオウ目掛けて跳躍する。
 右腕のピーキーガリバーが突進力を得て、ハヤテの身体を加速させていく。
 ZXの両脚からジェット噴射が吹き出て、ZXの身体を加速させていく。
 ハヤテが右拳を振りかぶり、ZXが左拳を振りかぶる。

「「ゼクロォォォォス!!」」

 咽が裂ける程の声量。血が抜けていくが、力は抜かない。

「「ダァァブゥゥゥル!」」

 胸が痛む。体温が抜けて、寒い。
 それでも、ハヤテの『魂』だけは熱を持ってZXと並んでいた。

「「パァァァァンチ!!!」」

 だから、いつかの未来、滝と仮面ライダー2号が行ったように、ハヤテとZXもダブルパンチを繰り出す。
 タイミング、速さ、威力、全てを合わせて、滝と仮面ライダー2号のダブルパンチと遜色のない威力を生み出す。
 両腕を交差して防御するラオウに、二人の拳が『魂』をこめて貫いた。
225Classical名無しさん:08/02/16 21:57 ID:wxRQr.fQ
                                 
226Classical名無しさん:08/02/16 21:58 ID:G7tC74G.
やっちまったか……
227弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:58 ID:vTU/HiBA
「ぬ……おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
 ラオウは、階段の下へと落下していく。
 轟音が響き、地面が揺らぐと同時に、ハヤテの身体が崩れた。


 崩れたハヤテの身体を抱え、ZXはクルーザーを呼び出す。
 電子頭脳で呼び出されたクルーザーはライトを光らせ、姿を見せる。
「かがみ、ヒナギク、ハヤテを治療する。早く乗れ!」
「ええ! 無茶をしすぎよ……ハヤテくん!」
「で、でもあいつは倒したよね!?」
「……まだ、死んでいない」
 ZXがクルーザーに零をくくりつけ、無理矢理クルーザーに四人で乗る。
 ズシンという地響きをたて、ラオウが姿を現した。
「逃げるのか?」
「……ハヤテを治療したら戻る。お前は……俺が倒す!」
「なら、うぬの名を名乗るがいい。我が名はラオウ! 世紀末の覇者なり!!」
「村雨良……ZXだ!」
 宣言と同時に、クルーザーが空を駆ける。
 ラオウとZX、お互いに敵として認めた瞳が交差する。
 やがて、残されたラオウは不敵に天を見つめた。
 


 ハヤテが目を覚ますと、白い天井が見えた。
 包帯が巻かれ、止血の用意がされているものの、血が止まらない。
 僅かな目覚め。残された時間は少ない。だが、自分の望みを伝えることは可能だ。
 誰か、いないか。上半身を起こそうとして、叶わないハヤテに声がかかる。
228Classical名無しさん:08/02/16 21:58 ID:WHKtVDa6
うおおお支援
229Classical名無しさん:08/02/16 21:58 ID:7ykTeHgc
ハヤテ……
230Classical名無しさん:08/02/16 21:59 ID:G7tC74G.
支援
231Classical名無しさん:08/02/16 21:59 ID:G7tC74G.
test……
232弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 21:59 ID:vTU/HiBA
「無理するな。一命は取り留めたらしい」
「……村雨さん」
 ハヤテは笑う。表情を取り戻し微笑む村雨は、以前の無機質さを捨てていた。
 同時に、悲しくも思う。
「記憶を……取り戻したら、嘘もつけるようになったんですね……」
 村雨は無言。その態度が、何よりもの証明となった。
 やがて、廊下を駆け抜ける足音が響いて、ドアが開かれる。
 現れたヒナギクとかがみの無事を確認して、ハヤテは安堵のため息を吐く。
「どうして……無茶をするのよ!」
「そうしなければ……みんな死んでいましたから。……ヒナギクさん、僕に兄がいたんです…………」
 突如語りだすハヤテにヒナギクは戸惑う。
 ハヤテがここまで踏み込んだ話はをしたのは、初めてだからだ。
「年が随分はなれて……似てもいないのに……勝手に村雨さんを重ねちゃって……」
 だんだん声が小さくなるハヤテの様子に、かがみが耐え切れず嗚咽を漏らす。
 彼女は一度、激戦の特殊能力を話した上で核鉄を試そうと提案した。
 しかし、激戦の力を使うには、ある程度ハヤテに体力が残っていないといけない。
 ハヤテに意識がなければならない。結果、激戦でハヤテを救うことは無理だという結論になった。
「村雨さん……お願いがあります。お嬢様を……守って……」
「何で諦めるのよ! あなたが、自分の手でナギを守りなさいよ!!」
「出来れば……僕もそうしたかった……」
 涙を流すハヤテは右手を天井へと伸ばす。
 声には、悔しさに満ちていた。身体にまとい、治癒力を増幅している核鉄三つのうち、ピーキーガリバーの核鉄を村雨に向ける。
「村雨さん。お嬢様を……守ってください! BADANを潰してください!
お願いです……僕の代わりに……戦って…………」
 痛みに呻きながらも、搾り出すように願いを村雨へと告げる。
233Classical名無しさん:08/02/16 22:00 ID:wxRQr.fQ
                               
234弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 22:00 ID:vTU/HiBA
 村雨は、迷わずその右手を握った。
「後は任せろ」
「はい……よかった。あなたに……託せ……て」
 ハヤテの脳裏に、ナギとであった雪景色の公園が蘇る。
 あの日から、自分の輝かしい日々が始まった。マリアが死に、絶望を抱えながらも抗うことをやめなかった。
 承太郎がいれば、ハヤテに宿るもの、黄金の意思だと答えただろう。
 その思い、村雨は無駄にしないと右手を強く握る。
「これで……お嬢様は……大丈……夫」
 ハヤテの意識が闇に落ちる。
 自分の名を呼ぶ声がいくつも聞こえ、応えれないのが悔しい。
 承太郎も、同じ考えだっただろうか?
 答えは知らない。ただ、ハヤテの顔にはやり遂げた男の、笑みが浮かんでいた。


 ハヤテの死を確認して、重苦しい雰囲気が民家に訪れる。
 かがみが、ヒナギクが力なく嗚咽を漏らす。零がヴヴヴと友の死を悼むように、唸る。
 村雨は……
「見ているんだろ?」
 虚空に話しかける。一体どうしたのか?
 零が疑問に持ち、探知しようとするが、その必要はなかった。
 そいつは、村雨たちの前に姿を見せる。

『何を悲しむ。我が器よ』

 黄金のZXに似た怪人。その姿を認め、零は叫ぶ。
235Classical名無しさん:08/02/16 22:01 ID:wxRQr.fQ
                                  
236Classical名無しさん:08/02/16 22:01 ID:7ykTeHgc
さらばハヤテ!
237弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 22:01 ID:vTU/HiBA
『キサマ! 何奴!!』
『我が名はJUDO。全ての生命の長』
 その言葉に、寝室に集まる全員の視線がJUDOに注がれる。
 構わず、村雨はZXへと姿を変えて、拳を放つ。
『無駄だ。ここに、我の実体はない』
「黙れ……」
『何を悲しむ? たかが、虫(ワーム)が一匹死んだだけではないか。村雨よ』
「黙れぇぇぇぇ!」
 ZXの拳が、ピーキーガリバーをまとって、JUDOを壁ごと殴り、破壊する。
 もっとも、実体のないJUDOはすり抜けるだけだが。
「聞こえるか……バダン! 俺を……『村雨良』と呼ぶな……」
『ほう……』
「キサマらは、俺の名を…………」
 ZXの腕が横凪に払われ、JUDOの幻影が消える。
 それを確認したZXは天に叫ぶ。

「お前ら、バダンは……俺を……『仮面ライダー』と呼べ!!」

 ZXの宣言が天を貫く。完全なる、バダンへの宣戦布告。
『バダンに服従した時期から連れてきて、与えてやったチャンスを無碍にする気か?』
「お前らは……姉さんを奪い、散を、ハヤテを、俺から奪った。
もはや、許しはしない。聞け、俺は……」
 復讐心が蠢き、ZXの胸に渦巻く。
 復讐の闇に身を任せることも考えた。それも悪くはない。
238弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 22:03 ID:vTU/HiBA
 だが……それではハヤテに申し訳ない。美を第一とする、村雨の中の散が復讐を醜いと否定する。
 だからこそ……

「俺の、ハヤテの、『正義』を貫く!」

 虚空に響く、戦士の決意。
 十人目の仮面ライダーが、本来の歴史と違うが、たしかに生まれた瞬間だった。
『ククク……なら駆け上がれ。優勝でも、ここから抜け出してでもどちらでも構わない。
我の前に現れよ。もしも、そうなることが出来たのなら……褒美に相手をしてやろう』
『一体、何がしたい! キサマの目的は……』
『ただの余興だ。強化外骨格『零』よ……。何なら、『仮面ライダー』以外の、誰でも連れてきていいぞ?』
 そう高笑いを残して、JUDOの気配は遠のいていく。
 ZXへの変身を解き、村雨は怒りを宿した瞳でJUDOの存在した場所を睨みつける。
 怒りを、悲しみを、正義を、力を、全てを仮面に放り込む。
 仮面ライダーという名の、仮面へと。



 星を見つめるラオウの瞳に、流れ星が映る。
 また一つ、死が訪れた。
 あの少年だろうか? ラオウの興味は尽きない。
 怒りを持って戦っている時点でも村雨はたしかに強かった。
 しかし、あの少年が乱入したとたん、その強さが何倍にも膨れ上がった。
 少年自体の戦闘能力は、ラオウにとっては歯牙にもかける必要もなかったはずだ。
 二人揃ったとたん、ラオウを退けるほどの爆発力を見せる。
239Classical名無しさん:08/02/16 22:04 ID:G7tC74G.
test
240弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 22:04 ID:vTU/HiBA
(やはり、愛を持って力を得たのか?)
 考えられるのは、それだけ。
 やはり、村雨は本郷と同じく、愛を持って強くなる男。
 ならば、
「今度こそ、見極めよう。愛を持っての力が、いかなる程か。
早く来い、村雨良。この拳王に、愛の力を見せてみろ! それを、拳王が打ち砕いてみせる!」
 拳王は、戦う。
 そこに天への道があるゆえに。



【綾崎ハヤテ@ハヤテのごとく!:死亡確認】
【残り22人】
241Classical名無しさん:08/02/16 22:04 ID:wxRQr.fQ
                               
242弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 22:05 ID:vTU/HiBA
【D-1 神社/1日目 真夜中】
【ラオウ@北斗の拳】
[状態]内臓に小ダメージ 、鼻の骨を骨折、 胴体に刀傷 限界に近い程の全身フルボッコ(強がって気にしないフリをしている)
[装備]無し 核鉄(モーターギア)@武装錬金
[道具]支給品一式
[思考・状況]
1:村雨良を待つ。
2:強敵を倒しながら優勝を目指す。
3:覚悟の迷いがなくなればまた戦いたい。
4:赤木が気に入った。
5:愛などいらぬ!が、他人の愛によって得る力は、知りたい。
[備考]
※自分の体力とスピードに若干の制限が加えられたことを感じ取りました。又、秘孔を破られやすくなっている事にも
※ラオウ・勇次郎・DIO・ケンシロウの全開バトルをその目で見ました
※自らが認めた相手に敬意を払いその生き方をも認める事をしました
※コーラに対する耐性がつきました
※誰か猛者が逝ったの感じました。
※さらに強くなるにはもしかしたら愛が必要なのかもしれないと思っていますが、表面上では愛を否定しています。
243弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 22:05 ID:vTU/HiBA

【D-2 中央民家/1日目 真夜中】
【桂ヒナギク@ハヤテのごとく!】
[状態] 顔と手に軽い火傷と軽い裂傷。つかさに続き、ハヤテの死に精神的ダメージ
[装備] ボウガン@北斗の拳、核鉄(バルキリースカート)@武装錬金
[道具] 支給品一式。ボウガンの矢18@北斗の拳
[思考・状況]
基本:ナギたちとの合流。BADANを倒す。
1:ハヤテの遺言どおり、ナギを探して守る。
2:ラオウ、斗貴子に復讐する。
3:かがみにつかさの死を伝えづらい。
[備考]
※参戦時期はサンデーコミックス9巻の最終話からです
※桂ヒナギクのデイパック(不明支給品1〜3品)は【H-4 林】のどこかに落ちています
※ロードローラー@ジョジョの奇妙な冒険と捕獲網@グラップラー刃牙は【H-4 林】に落ちています
※核鉄に治癒効果があることは覚悟から聞きました
※バルキリースカートが扱えるようになりました。しかし精密かつ高速な動きは出来ません。
 空中から地上に叩きつける戦い方をするつもりですが、足にかなりの負担がかかります。
244弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 22:06 ID:vTU/HiBA

【村雨良@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]全身に無数の打撲。ダメージ(大)。疲労(大) ハヤテの死に精神的ダメージ。
[装備]クルーザー(全体に焦げ有り)、十字手裏剣(0/2)、衝撃集中爆弾 (0/2) 、マイクロチェーン(2/2)
    核鉄(ピーキーガリバー)@武装錬金
[道具]地図、時計、コンパス 、強化外骨格「零」(カバン状態)@覚悟のススメ
    454カスール カスタムオート(0/7)@HELLSING、13mm爆裂鉄鋼弾(35発)、ニードルナイフ(15本)@北斗の拳 女装服
    音響手榴弾・催涙手榴弾・黄燐手榴弾、ベレッタM92(弾丸数8/15)
[思考]
基本:バダンを潰す!
1:ハヤテの遺志を継ぎ、ナギを守る。
2:ナギ、かがみ、ヒナギクの安全の確保後、ラオウを倒しに行く。
3:アーカードを倒し散の仇を討つ。
4:DIOを倒す。
5:ジョセフ、劉鳳に謝罪。場合によっては断罪されても文句はない。
6:覚悟、パピヨンとの合流。
[備考]
※傷は全て現在進行形で再生中です
※参戦時期は原作4巻からです。
※村雨静(幽体)はいません。
※連続でシンクロができない状態です。
※再生時間はいつも(原作4巻)の倍程度時間がかかります。
※D-1、D-2の境界付近に列車が地上と地下に出入りするトンネルがあるのを確認しました。
※また、零の探知範囲は制限により数百メートルです。
※零はパピヨンを危険人物と認識しました。
※零は解体のため、首輪を解析したいと考えています。
245弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 22:07 ID:vTU/HiBA

【柊かがみ@らき☆すた】
[状態]:左肩、左脇腹に打撲、精神消耗(大)
[装備]:核鉄「激戦」@武装錬金、
    巫女服
[道具]:
[思考・状況]
基本:生きる
1:ハヤテの死にショック。
2:仲間と共にジョセフと合流。
3:さっき見た首輪の異変について、考えてみる。
4:神社の中にある、もう一つの社殿が気になる。
5:ジョセフが心配。
6:こなた、つかさと合流する。
7:三村に謝りたい。
[備考]
※少しZXに心を許しました。
※アーカードを不死身の化け物と思っています。
※「激戦」は槍を手から離した状態で死んだ場合は修復せずに死にます。
 持っている状態では粉々に吹き飛んでも死にませんが体の修復に体力を激しく消耗します。
 常人では短時間で三回以上連続で致命傷を回復すると意識が飛ぶ危険があります。
 負傷して五分以上経過した患部、及び再生途中で激戦を奪われ五分以上経過した場合の該当患部は修復出来ません。
 全身を再生した場合首輪も再生されます。
 自己修復を利用しての首輪解除は出来ません
 禁止エリア等に接触し首輪が爆破した場合自動修復は発動しません。
※三村の留守電を聞き逃しました。
※ボウリング場にかがみのメモを張っています。
※主催者は目的は強者を決めることであり、その中にはイレギュラーもいると考えています。
※波紋、ジョセフが知る吸血鬼の能力について知りました
246弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 22:07 ID:vTU/HiBA
【備考】
※神社、寺のどちらかに強化外骨格があるかもしれないと考えています。
※主催者の目的に関する考察
主催者の目的は、
@殺し合いで何らかの「経験」をした魂の収集、
A最強の人間の選発、
の両方が目的。
強化外骨格は魂を一時的に保管しておくために用意された。
強化外骨格が零や霞と同じ作りならば、魂を込めても機能しない。
※2人の首輪に関する考察及び知識
首輪には発信機と盗聴器が取り付けられている。
首2には、魔法などでも解除できないように仕掛けがなされている
※2人の強化外骨格に関する考察。
霊を呼ぶには『場』が必要。
よって神社か寺に強化外骨格が隠されているのではないかと推論
※三村とかがみについて
三村の吹き込んだ留守禄の内容を共有しています。
かがみと三村に対してはニュートラルなら姿勢です。
とにかくトラブルがあって、三村がかがみを恨んでいると事実がある、
とだけ認識しています。

※ハヤテのDIOの能力についての知識と考察の情報を得ました。
目から弾丸を発射する能力(空裂眼刺驚)を持っている。
血を吸って仲間を増やすことができる(肉の芽については知りません。
一度DIOの仲間にされてしまった者は、救えないと考えています)
247弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 22:07 ID:vTU/HiBA

@時を操作する A超スピードで動く+超高速の麻酔針発射装置、Bその場にいる全員に集団幻覚を見せる。
DIOの力は、@~Bのどれか、特に@が有力だと考えています。

※『オー! ロンサム・ミー』のDISCはハヤテの死に引きずられました。


※BADANに関する情報を得ました。
【BADANに関する考察及び知識】

このゲームの主催者はBADANである。
BADANが『暗闇大使』という男を使って、参加者を積極的に殺し合わせるべく動いている可能性が高い。
BADANの科学は並行世界一ィィィ(失われた右手の復活。時間操作。改造人間。etc)
主催者は脅威の技術を用いてある人物にとって”都合がイイ”状態に仕立てあげている可能性がある
だが、人物によっては”どーでもイイ”状態で参戦させられている可能性がある。
ホログラムでカモフラージュされた雷雲をエリア外にある。放電している。
 1.以上のことから、零は雷雲の向こうにバダンの本拠地があると考えています。
 2.雷雲から放たれている稲妻は迎撃装置の一種だと判断。くぐり抜けるにはかなりのスピードを要すると判断しています。
※雷雲については、仮面ライダーSPIRITS10巻参照。
248弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 22:08 ID:vTU/HiBA

※かがみの主催者に対する見解。
@主催者は腕を完璧に再生する程度の医療技術を持っている
A主催者は時を越える"何か"を持っている
B主催者は@・Aの技術を用いてある人物にとって"都合がイイ"状態に仕立てあげている可能性がある
Cだが、人物によっては"どーでもイイ"状態で参戦させられている可能性がある。


※首輪の「ステルス機能」および「制限機能」の麻痺について
かがみがやった手順でやれば、誰でも同じことができます。
ただし、かがみよりも「自己を清める」ことに時間を費やす必要があります。
清め方の程度で、機能の麻痺する時間は増減します。
神社の手水ではなく、他の手段や道具でも同じことが、それ以上のことも可能かもしれません。


※ステルス機能について
漫画版BRで川田が外したような首輪の表面を、承太郎のスタープラチナですら、
解除へのとっかかりが見つからないような表面に 偽装してしまう機能のことです。
ステルス機能によって、首輪の凹凸、ゲームの最中にできた傷などが隠蔽されています。

※S1駅にハヤテのジョセフに対する書置きが残っています。
249弟 ◆WXWUmT8KJE :08/02/16 22:08 ID:vTU/HiBA
投下終了。
誤字、脱字、矛盾などの指摘をお願いします。
250Classical名無しさん:08/02/16 22:15 ID:wxRQr.fQ
投下乙! ハヤテも逝ったか……これで生存者3/4の作品はなくなったか。
しかぁし! 駄々っ子村雨さんが見事にイケメンに覚醒したぜ!
……あれこれ本来は川田の役目じゃ……川田氏ねw
ラオウもやっとこさ殺害2人目でやっぱり強マーダーでしたね。
熱い展開てんこ盛りで漫画ロワらしいSSでした。GJ!
251Classical名無しさん:08/02/16 22:19 ID:NkskWmLc
乙です!!
ハヤテエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ
熱い散り際だったぞ・・・お前は・・・・・お前の遺志は仲間達が継いでくれるよ・・・
そしてゼクロス、  完  全  覚  醒  これからに期待大!!
GJでした!!
252Classical名無しさん:08/02/16 22:19 ID:7ykTeHgc
投下乙!さあ、状況が熱くなってきた。
覚悟は川田説得か。しかし同行者もいるし、正直、難しいよな……。
この大理不尽を生き抜いて、零と再開できることを願わずいられない。

しかし、状態表のダメージを負ってなおこの強さか。
ラオウつえーな。
こんな奴に勝てるのか、村雨は。
ハヤテがいれば勝てたかも知れんが……。
復活の祝辞を述べるのは生き延びてからにしよう……。

最後に、ハヤテに敬礼!
253Classical名無しさん:08/02/16 22:23 ID:PClSOBvE
ハヤテエエエエエエエ!!
いや、お前がこんな格好よく散るとは……
そして、村雨、とにかく超頑張れ!
覚悟の説得は、うまくいくのか……

しかし、ラオウつえええええええ!!
254Classical名無しさん:08/02/16 22:23 ID:X/p/CNKw
 震えるほどヒートGJ!
 
255Classical名無しさん:08/02/16 22:35 ID:WHKtVDa6
覚悟、それは死亡フラグです…

村雨が覚醒したにもかかわらずこの強さッ!!
さすがラオウ!!俺たちにできないことを平然とやってのけるッ!!
そこに痺れる、憧れるゥ!!

遭遇、約束、闘い、激闘、そして別れ
漫画ロワらしい「熱い」話でした!!
最高にGJ!!
256Classical名無しさん:08/02/16 22:43 ID:.2AeIlPc
投下乙
ハヤテええええええええええ!!!!
逝ってしまったか…でも、お前はよくやったよ
ってかZXがかっこよすぎる…
覚悟も川田のために茨の道に行きやがるし
あーもう、熱すぎるぞGJ!!
257Classical名無しさん:08/02/16 22:43 ID:ZQM.D5EY
投下乙!
ハヤテ……お前の魂は間違いなくZXに引き継がれたぞ!
お前の最後の輝きに俺が泣いた!!
記憶を取り戻したZXの活躍には期待せざるを得ない!是非ヒナギクとかがみを守り通してくれ!
そして大首領初登場……もう終盤なんだよな。熱い演出がニクイ!
投下GJでした!!!


258Classical名無しさん:08/02/16 22:45 ID:FmG/nY5E
投下乙!
ハ、ハヤテ……とうとう逝ってしまったのか
奮戦してたからまさかと思ったよ……ある意味同作キャラのジンクス発動なのか?
貴重なガモン&ホワイトスネイク目撃情報は失われたけど、ようやく記憶を取り戻したZXに期待!
259Classical名無しさん:08/02/16 22:51 ID:oLCJKxmU
久々に燃えたぜえええええええ
ハヤテとヒナギクが合流したが、ハヤテ死亡か
一時はどうなることかと思いきや熱い漢気を見せたじゃないか

そして村雨にも記憶が!ここも燃えた
村雨も対主催を貫いてマジにいい展開だ
260Classical名無しさん:08/02/16 22:51 ID:NkskWmLc
さて、あとは◆14m5Do64HQ氏だけか。
今夜は投下ラッシュだな。
261Classical名無しさん:08/02/16 23:07 ID:Hr9NOWRU
乙!
ハヤテエエエエエエエエエエ!!!!!
俺はむしろヒナギク辺りがヤバイと思ってたんだ…
ラオウへの復讐フラグがあったから…お前が逝っちまったか…
だが!!お前の正義は!!確かにZXに引き継がれた!!!
頑張れZX…かがみを…ヒナギクを…ナギを護ってやってくれ!!
本当にGJでした!!!
262Classical名無しさん:08/02/16 23:14 ID:RolKIS1Q
投下乙です。

覚悟、正直その二人は手遅れだから見捨てたほうがいいと思う。
とうとうゼクロス覚醒か。
ハヤテは良く頑張った、お疲れ様。
何気にかがみが死んだらどうしようってはらはらしてた。
263Classical名無しさん:08/02/16 23:17 ID:xkSsgfVk
投下乙です
つか…かがみの周りが増えてきてますますfoolが勘違いしやすそうな形になってきたなw
264Classical名無しさん:08/02/16 23:33 ID:AkogK45k
ハヤテええええええええええええ
お前はよく頑張ったよ。ガモンと戦い、アーカード戦はZXと共同戦線したり、ZXの覚醒を手伝ったり、最後はラオウにZXとの合体攻撃まで…
ZXよ、ハヤテ分まで生き残ってBADANを倒してくれ。
衝撃的な内容でしたが、凄くGJな作品でした。
265Classical名無しさん:08/02/17 11:28 ID:paYfgG/k
無言で立ち去ろうとしたラオウに攻撃したヒナギクのせいでハヤテが・・・・
対主催側って何でこんなにも無力でアホなんだろう、しかしそれが人間か。
266Classical名無しさん:08/02/17 14:24 ID:tEeIffJE
KYなだけだ。
267Classical名無しさん:08/02/17 14:40 ID:tEeIffJE
ってか読んだら別に馬鹿じゃないな。

庇って死んだんだから偉いもんだわ。
268Classical名無しさん:08/02/17 17:01 ID:.DDvRT9Q
仇を目の前にしてスルーするようなキャラじゃないからね
269Classical名無しさん:08/02/17 18:12 ID:77DojzG6
>>投下乙です。

ただ、JUDOについての説明が欲しいです。突然出てきていきなり語られても何のことかサッパリ分かりません。
出展やその他細かいことの説明をよろしくお願いします。
270Classical名無しさん:08/02/17 18:45 ID:Ih86Psxs
>真の主催者
>ご存知、仮面ライダーシリーズのZXまでラスボスである。
>砂場で遊ぶ幼児の砂山崩しから、ダム爆破、薬物密売、火山の噴火まで幅広く悪事をこなす。
>スピリッツでは四国消滅、全世界の軍隊壊滅、全世界に宣戦布告などやることなすことスケールがでかい。

>異次元で見せる姿はZXと似ているが、本人は十人ライダー全員の能力を持つ。

ZXはこの大首領が失った体の代わりに作られた。歴代ライダー達はそのプロトタイプってかんじ。
271Classical名無しさん:08/02/17 19:16 ID:YbwbpcS6
厳密に言えば、ライダーマンだけは大首領にとってイレギュラーな存在らしい。
272Classical名無しさん:08/02/17 19:40 ID:BkQAf126
>>270
ようは大首領の別名って解釈でおk?
273Classical名無しさん:08/02/17 19:49 ID:drP4C5ZM
>本人は十人ライダー全員の能力を持つ

勝てるか……!こんなもん……!
274269:08/02/17 19:53 ID:77DojzG6
加えて、把握するための媒体もお願いします。
275Classical名無しさん:08/02/17 20:11 ID:Ih86Psxs
ライダーていう時点で仮面ライダーspritsしかないだろjk

>>273
でも大首領はライダー達のスペック通りの力しか発揮できないから、特訓とかで得た技とかチャージアップはできなかったりする
村雨が言うには姿を真似ても「魂」がない限り仮面ライダーではない、らしい
276Classical名無しさん:08/02/17 21:12 ID:77DojzG6
前例があったので、特撮を見ろと言われるかと思って確認しただけです。
どうも、ありがとうございました。
277Classical名無しさん:08/02/17 22:22 ID:hgCsYIqA
特撮版見るよりグラビア版のがいいけどな
JUDOは原作の大総統と色々違ってるから特撮は把握にはむかない
278Classical名無しさん:08/02/17 22:59 ID:dglXjfH6
>>273
あと、ライダー同時発動は出来ない……できないよね?
本編ではあくまで一号から順に一人ずつにしか変身しなかったし。
279Classical名無しさん:08/02/17 23:32 ID:ebfZKA3I
>>278
多分ね
ただ、変身中に別のライダーの技を使えたりとかはわかんない
例えばセイリングジャンプ中に電チョップとかわかんない

つかスーパー1ってなんでJUDOと関係あるんだろ
あれって完全に人間による改造だろ?
280Classical名無しさん:08/02/18 00:12 ID:THMJQG.w
JUDO「それも私だ」
281Classical名無しさん:08/02/18 15:43 ID:wQJQrjyQ
JUDO「スーパー1はわしが育てた」
282Classical名無しさん:08/02/18 16:01 ID:ooLmLnQM
「ショッカー!」
「ゲルショッカー!」
「デストロン!」
「GOD!」
「ゲドン!」
「ガランダー!」
「ブラックサタン!」
「デルザー!」
つーのを素でやるのを大首領

「ネオショッカー!」
「ドグマ!」
「ジンドグマ!」
「バダン!」
というのもやった。ならば他に
「国際宇宙開発局!」
「ゴルゴム!」
「クライシス!」
「財団!」
「フォッグ!」
「グロンギ!」
「闇の力!」
「神崎士郎!」
「スマートブレイン!」
「ボード!」
「魔化魍!」
「ZECT!」
「ネイティブ!」
「イマジン!」
「ファンガイア!」
というのをやっても不思議ではない!
283Classical名無しさん:08/02/18 16:29 ID:DT6mHdlc
>>282
そんな化け物てつをじゃないと太刀打ちできないw
284 ◆14m5Do64HQ :08/02/18 20:09 ID:mpaMvoUk
すいません。予約延長を申請します。
急遽用事が入ってしまいました……本当に申し訳ないです。
285Classical名無しさん:08/02/18 23:36 ID:BOYNpnyY
>>282
ちょwwww
一人個人名wwww
286Classical名無しさん:08/02/19 00:07 ID:gqcoes1c
>>282
この間のサンデーかwww
思わず笑っちまったけどなアレwww
287Classical名無しさん:08/02/19 03:17 ID:nwWtW3Wo
>>275
さらにいうと旧1号2号だしXはセタップで変身だ
ほんと改造直後の第一話ぐらいの性能しかないかもしれん
288Classical名無しさん:08/02/20 03:40 ID:llXUYk/s
上でも出てたが、ライダーマンはイレギュラーだから変身できないらしい。

まあ、確かにライダーマンは十人ライダーの中でも異質といえば異質だ。
289Classical名無しさん:08/02/20 13:53 ID:Y1HVp43s
アマゾンに変身できるのもようわからん
腕輪が首領由来のものってことか?
290Classical名無しさん:08/02/20 18:20 ID:Dir0N7wc
V3、X、アマゾン、スーパー1は悪の組織と関係ないしねぇ
291Classical名無しさん:08/02/20 18:42 ID:fe5wKfFI
JUDOによればV3は
「過去デストロンを使って窮地に追い込み、
 仮面ライダー1号・2号によって作らせた第三の実験体」らしい。

……ガチで「それも私だ」のようだ。
292Classical名無しさん:08/02/20 21:29 ID:rAF5SW/2
一方ゴルゴムはバダンと無関係で地球を狙った
293Classical名無しさん:08/02/20 21:35 ID:NgyUTCfE
一方神崎 士郎はライダーでバトロワをさせていた
294Classical名無しさん:08/02/20 22:06 ID:rQlCrxbc
一方葉隠四郎はいつの間にか主催者の座から降ろされていた

あるいは強化外骨格『凄』の提供者として、協力関係にあるのかな?
295Classical名無しさん:08/02/20 22:13 ID:MzFDupTI
>>292
BLACK世代でない俺としては創世王=大首領と言われてもたやすく納得できるぜ
296Classical名無しさん:08/02/20 22:28 ID:SGRmWt.A
>>293
 神崎士郎を裏から操っていた、影の黒幕であったとしても不思議じゃないわなぁ。昭和ライダー見てるとそう思う。

>>282、286
 サンデー? 元ネタがわからんです。
297Classical名無しさん:08/02/20 22:31 ID:l8u9BckI
しかし生存者も密集してきたなあ。神社で待機中のツンデレ拳王様除けば
全生存者がE-3を中心に周囲8マスに固まってるぞ。
298Classical名無しさん:08/02/20 22:55 ID:kl5HzU6o
ハヤテえええええええぇぇぇぇぇ!

ヒナと会ったらどっちか死ぬんじゃないかと思ってたが・・・
やはりハヤテは駄目だったか・・・(つД`)・゚・

となるとお嬢様がいろいろと危ないな
ナギがハヤテの死を乗り越えられるかどうか
男連中よりヒナとかがみにかかってる気がするぜ
299Classical名無しさん:08/02/21 03:41 ID:yAJwTFDs
ZXが仮面ライダー宣言したのはいいが、漫画だとV3に
「お前は仮面ライダーを名のることで弱くなった」ってはっきり言われてるんだよな
穿孔キックを会得できるのかどうか
300Classical名無しさん:08/02/21 08:58 ID:9hCD4w9k
>>292
ゴルゴムはなあ……
創世王が代替わりするたびに力が上昇し、次のてつを世代が創世王になると宇宙を支配するレベルになるんだってさ。
流石唯一日本侵略を成功させた秘密結社。規模が全宇宙規模www
301Classical名無しさん:08/02/21 12:25 ID:sgVSv/1s
宇宙規模の支配力持つのに、なぜ“わざわざ”日本を狙うんだ、
というのは特撮に関して言ってはいけないことだな

ライスピは世界規模だったからまァいいけど、拠点が日本だったよね?
302Classical名無しさん:08/02/21 13:12 ID:G97Womyg
スパロボで先に主人公達がいないとこから制圧してけばいいのにわざわざ主人公達を狙うのと同じ心理
303Classical名無しさん:08/02/21 17:44 ID:0BA40Auc
>>288
 ライダーマンはなぁ、仮面ライダーの歌でも不遇なんだ。
『ライダー賛歌』では『1号、2号、V3、続けカイゾーグXライダー』で無視されてる。
『俺は立花藤兵ェだ』はおやっさんが仮面ライダーの先生と名乗って、アマゾンまでのライダーを紹介していく歌なんだが、ここでもライダーマンは紹介されないんだ。
 ストロンガーの『戦え! 七人ライダー』で、ついに『おれの兄弟 ライダーマン』『四号結城』『カセットアームで悪を切る』と、歴代ライダーに入ったんだ。

>>301
 ライスピは日本が、大首領が太古に降り立った、バダンの聖地だったからという理由づけがされていたな。
304Classical名無しさん:08/02/21 17:57 ID:yPgVw.DI
>>296 あいつは現実への自身の干渉力は無いに等しいが、何度でも思い通りに
なるまで時空をやり直しし続けることが可能+過去の歴史の書き換えも出来るという
化け物じみた能力持ち
305Classical名無しさん:08/02/21 18:24 ID:5p0QZAPc
>>296
サンデーの「魔王」という漫画。結構面白い。
306Classical名無しさん:08/02/21 19:34 ID:niaem1KE
>>301
ゴルゴムの場合創世王候補が日本人だったからじゃ
307 ◆14m5Do64HQ :08/02/21 19:45 ID:nbiNcbuI
分量が長いので今から投下を。
お待たせしました。ナギ、独歩、エレオノール、ジグマール、ケンシロウ、こなた、アカギ投下します。
雨が降りしきる。
大雨とはいえない、小雨の雨が降りしきる。
その雨がこの殺し合いに集められた参加者の髪を、衣服を濡らしていく。
しかし、その事に気を掛けている参加者は数える程しかいないだろう。
それは何故か? 一つには参加者の人数が減ってきた事が挙げられる。
だが、それは決定的な理由ではない。
彼ら参加者には雨が降っているという、そんな些細な事には気を回せないのだ。
彼らにはやるべき事が、演じるべき役割が、喜劇を演じなければならない舞台があるから。
そこに己の命を賭けてまでの価値がある限り。

「だいたいの事情はわかった。そしてその銀髪女には俺も借りがある」

お互いの名前などの、おおまかな情報交換を終えた三人組の内の一人、ケンシロウが口を開く。
先刻合流し、今は黒王号から降りた、三千院ナギと泉こなたの話をケンシロウは真剣な表情で聞き入っていた。
自分が一番初めに出会った参加者、愚地独歩が窮地に立たされている現実。
また、キュルケを殺したエレオノール、そして以前自分と行動していたジグマールの二人組の仕業という事をケンシロウは知った。
ケンシロウは思わず険しい表情を浮かべる事になる。

「後は俺に任せろ。お前達は早く逃げてくれ」
「でもケンは眼が見えないんだよね? だったら私達も一緒に行った方がいいと思うけど」
「そうなのだ! 盲目のお前一人だけには任せてられん! わざわざ殺されにいくようなものだ!」

自分一人だけで独歩の救援に向う事を決意するケンシロウ。
強き決意と共に浮き出た、岩石のように固いケンシロウの表情がナギとこなたを睨む。
武装解除を行っており、エンゼル御前は居ないため、ケンシロウは四つの瞳を見つめる。
だが、ナギもこなたもその表情に多少の威圧感を覚えたものの、反論する。
両眼を失明した人間が二人組、しかもワープなどデタラメな力を使う人間に勝てるわけがない。
闘いに関して素人であるナギとこなたがそう思うのは無理もない。
両眼が見えないという事は当然相手の位置も分からず、距離感も掴めず、闘いのやりようがないのだ。
だが、ナギとこなたには知らない事がある。
「問題ない。両眼が見えずとも、俺には信じ続けた北斗神拳がある。奴等の放つ闘気で位置を探るのは容易だ」

そう。ナギとこなたはケンシロウの実力を知らない。
伝説とも謳われる暗殺拳。北斗神拳正当伝承者であるケンシロウ。
そんなケンシロウにはこの殺し合いに呼び出されるまでに、積み重ねた闘いがある。
両眼を失ったくらいで目の前の闘いを放棄する。
そのような脆弱な考えを持ってしまっては、北斗神拳正当伝承者という肩書きは背負えない。

「けど……私達にも黙って逃げる事なんて出来ないよ」
「私達にも……私達にもやらなきゃいけないコトがあるんだ! なんと言われようと付いていってやるぞ!」
「むぅ……」

だが、ナギとこなたは一歩も引かない。
彼女達にも独歩は大切な仲間であり、彼を見捨てて自分達だけ逃げるような事はしたくないからだ。
彼女達の言葉を受け、ケンシロウの表情が曇る。
正直、ケンシロウにとって彼女達は無力な存在であり、足を引っ張られ事になるだろう。
だが、年少と思われる身でありながら、自分のように決意の瞳を輝かせる彼女達。
そんな彼女達を前にして、「足手纏いになるから来るな!」とケンシロウは言い放つ事は出来なかった。
彼女達の表情があまりにも真剣なもので、傷つけたくはないとケンシロウは考えたからだ。

(どうする? なんとかしてこの少女達に納得して逃げてもらわなければ……)

しかし、だからといって、ナギとこなたの二人をケンシロウは連れて行く考えはない。
一人ならまだしも、守るべき存在が二人も自分と共に居れば、闘いに支障が出てしまうからだ。
更に悪い事に二人組の敵には、エレオノールも含まれている。
エレオノールなら卑劣な手段を使ってまでも、ナギとこなたを狙ってくる可能性は十分に高い。
先刻、騙し討ちという手段を使ってまでもキュルケを殺害したエレオノールが、いまさら手段を選ぶ事もない筈。
そう考え、ナギとこなたを連れて行く事は危険だとケンシロウは判断を下す。
しかし、このままではナギとこなたが自分の後を追ってくる可能性があるのも事実。
自分に付いて来れば戦闘の巻き添えになる可能性もまた、当然存在する。
ナギとこなたを危険に晒すような真似はしたくなく、思考が纏まらないケンシロウは更に表情を歪めた。

「……よぉ。なにかの……パーティかい……それなら……俺も混ぜてはもらえないか……?」

そんな時、彼ら三人の後方で低い声が響く。
低い声に、なにかを秘めた男性の声が三人の鼓膜を震わせる。
三人が振り返った先には、奇妙なコートに身を包み、テンガロンハットを握った男が立っていた。

「えーっと……どちらさま?」
「ま! まさかジョジョとハヤテが言っていた……」
「その声、確か以前に……」

警戒心を見せながらも、三人は各々、返事を返す。
その声の持ち主の正体を掴めてはいなく、信用に足る人物であるかどうかもわからない。
そんな彼らの返事に、特に反応を見せずに男は再度口を開く。
老人のような銀髪を持つ男。

「俺は赤木しげる……初めてではない相手も居るが……一応初めましてといっておこうか。
率直に言うと……情報だ……情報交換を行いたい……」

シルバースキンを纏った男、赤木しげるが口を開いた。

◇  ◆  ◇

311Classical名無しさん:08/02/21 19:51 ID:Sn4OFTDo
 
「なるほど……そういうコトか。情報ありがとうよ……」
「お前こそ、あの時はよくラオウを抑えてくれた。礼を言わせてくれ」
「そっかー私、あの時寝てたもんね。どうりで顔に覚えがないわけだよ」
「私は名前しか聞いてないから初対面だな。よろしく頼むぞアカギ!」

独歩が未だ取り残されている状況であるため、かなり大雑把な情報交換を行った四人。
だが、以前ケンシロウとアカギはS7駅で。
こなたとアカギは喫茶店で、そしてナギとアカギは承太郎とハヤテを通して関係がある。
そのため、0からの情報交換ではなく、断片的な情報だけでもアカギには十分といえる内容であった。

「こちらこそよろしく……だが、今は……仲良しごっこをやっている時じゃあない……」
「そ! そんなコトはわかっているのだ! 只、こういうコトはちゃんとしないといけないと思っただけで……」
「そうだよね。今は一刻も早く独歩さんを助けにいかないと!」
「そのコトだがアカギ、お前に頼みがある」

だが、彼ら四人にはゆっくり話している時間はない。
今この時にも、孤軍奮闘していると思われる独歩への手助けという目的がある。
また、たった今、行った情報交換で、独歩が友好的な人物であると知ったアカギにも同様の事が言える。
四人共通の目的ともいえる独歩に対する支援。
その目的を完遂させるため、ケンシロウは口を開いた。
恐らくこの状況で最善の策とも言える、自分達が行うべき行動を提示するために。

313Classical名無しさん:08/02/21 19:53 ID:Sn4OFTDo
  
314Classical名無しさん:08/02/21 19:53 ID:Q4Uu0Li.

「わかっている……俺がこのお嬢ちゃん達を学校まで連れて行く……そしてあんたが一人で向う……これがベストな手だ……そうだろう……?」
「え!? 私とナギも独歩さんを助けに行きたいんだけど……?」
「……お前達では足手纏いだ……勝てる勝負も勝てなくなる……邪魔にしかならない……」
「アカギ……! すまない二人とも。俺は一人で十分だ。だから俺一人に任せて欲しい」

ケンシロウが考えていた最善の策とは、奇しくもアカギが考えていたそれと同じものであった。
そして、あくまでも自分達も付いて行こうと発言したこなたを、アカギは却下する。
事実、無力な存在であるナギとこなたに対して、なんの躊躇いもなく足手纏いとまで言ってのけたアカギ。
そんなアカギの発言にケンシロウは若干の憤りを覚える。
だが、同時にアカギが言っている事もまた真実であり、彼を強く戒める事などケンシロウには出来ない。
また、自分でも足手纏いになる可能性を感じていたのだろう。
先程発言したこなたも黙り込んでしまい、アカギへの反論は出ずに終わった。
そんな彼女達の様子を観察し、悪いと思いながらもケンシロウは黒王号へ向う。

「……嫌だ!」
「……なんだって……?」

そんな時、ナギが俯きながら声を漏らす。
思わずナギの方へ視線を向ける残りの三人の内、アカギが口を開く。
アカギの表情にはさしたる驚きはないが、全くないというわけではない。
だが、ナギにはそんな事は関係がない事だ。

「足手纏いになるもんか……私は……独歩さんだけを助けたいわけじゃない! 私はしろがねも……エレオノールも止めたいのだ!
この二つだけは譲るつもりはない!!」

『オレはどういうわけかこの殺し合いに乗っちまったエレオノールを……しろがねを止めてみせるぜ!
きっと勝もオレにずっとその事をオレに伝えたかったにちがいねぇ! それだけは譲るつもりなんざ……あるわけがねぇんだよッ!!』

ナギは以前、鳴海の決意を聞いた。
ある民家で鳴海が力強く叫んだ言葉は、今もナギの胸に残っている。
鳴海が志半ばで倒れ、独歩が危険な状態に陥っているこの状況。
どうして、自分だけがおめおめと逃げる事は出来るだろうか?
そんな事はナギのプライドが許す事は出来ない。
たとえ、自分自身に力が不足している事を実感していても。

「……どうしてもかい……?」
「どうしてもなのだ!」
「……ならいいさ……俺は口を出さない……」

顔を上げ、ナギが叫ぶ。
危険地帯にわざわざ戻る事で、多少の恐怖はあるだろう。
だが、それよりも自分のやるべき事を為す事への執着が強い。
その事がナギの意志を支え、アカギも了承の意志を示す。
アカギに反応を見終わったナギに、こなたが近づく。

「ナギ、『もし、独歩さんとしろがねさんを助ける事が出来たら私は……』ってコトは言っちゃあ駄目だよ? だってそれは……」
「わかっているさ、こなた。それは凄い死亡フラグだからな! それに『助ける事が出来たら』じゃない。正しくは『助ける』なのだ!
何も心配はない!」
「ふふふ……やっぱりナギは私と考えが合うなぁ。じゃあ、気を付けてねナギ!」
「もちろんだ!」

似たような思考回路を持つ少女達の短い会話。
会話が終わり、一段落着いた時、こなたはナギにあるものを差し出した。
こなたの小さな手に握られていたものはエンゼル御前の核鉄。
これから自分より危険地帯に向うナギの身を案じた行為。
こなたの意を察したナギは、しっかりと核鉄を握り締め、全身に力が行き渡るのを感じる。
そして、こなたとの短い会話を終え、ナギは黒王号の元へ向っていたケンシロウに近づく。

317Classical名無しさん:08/02/21 19:56 ID:Sn4OFTDo
   
「ケン……お前にもエレオノールに用があるのは知っている。でも、その前に……私にエレオノールと話をさせてくれないか? お願いだ……」

先程の二人とは違い、少し勢いが落ちた様子でナギが口を開く。
ケンシロウが同行者であるキュルケを、エレオノールに殺されている事を知っているからだ。
そのため、ケンシロウは一刻も早くエレオノールと会い、因縁にケリを付けたいと思っているのだろう。
ナギはそう思い、ケンシロウにはあまり力強く言い出す事は出来なかった。

「いいだろう……お前のその意志には光るものがある。だが、闘いは俺に任せろ。」
「わ! わかったのだ! どうもありがとう、ケン!」

だが、ケンシロウはナギの願いを了承した。
ナギが鳴海から聞いた情報によると、以前エレオノールは突然、鳴海や独歩、そして才賀勝に襲い掛かってきたという。
その事からケンシロウはエレオノールの事をジャギやアミバのように、根っからの危険人物ではないと感想を抱いた。
何かどうしようもない事情が、たとえば優勝者の褒美を得るために、半ば仕方なしに乗ったのではないか?
そのような疑問がケンシロウの思考を走る。
勿論、エレオノールのやった事を完全に許すはずもない事はいうまでもない。

しかし、エレオノールの実力は定かではないが、なんの拳法も習得している様子もなく、正面からの闘いでは、あまり脅威ではないと思えた。
しかもエレオノールと組んでいる相手は、ワープや衝撃波を使えるらしいが一度行動を共にした事もあり、大した人物でないとわかるジグマール。
加えてこれから自分と肩を並べる相手は、以前出会い、自分と同じ志を持った男、独歩。
この戦力差なら、ナギ一人くらい守る事は出来るだろう。
そして、ナギのあまりにも固い意志は最早どうする事も出来ない。
ケンシロウはそう考え、ナギの提案を受け入れる事にした。
そして、二人を乗せて黒王号が走り出す。

「それとこれは俺のデイパックだ。何か使えるものがあれば使ってくれ。俺には必要がないからな」
「ああ! ありがたく使わせてもらうのだ! それとあと、もう少し頼みがあるのだが……」

二人分、いや二人分以上の想いを乗せて。

◇  ◆  ◇
「ん? これは……」

エリアD-3の道端で、ジグマールが小さな声で呟く。
今、ジグマールは道に散乱した、独歩の支給品を漁っている。
使い慣れたスーパー光線銃も、そして相棒とも言えるアルター、ギャラン=ドゥさえもないジグマール。
頼るべき主な能力は人間ワープと衝撃波二つのジグマールにとって、武器の調達は極めて重要な事だ。
いつ、襲撃されてもおかしくはない、この殺し合いの会場でジグマールは腰を落とし、作業を進めていた。
だが、ジグマールには焦った様子もなく、手に取った一枚の紙をしげしげと眺めながら観察する。

「おい、勝手にオレの持ち物に手を触れるんじゃねェ!」
「動くな! 動くと貴方の命はないと思って貰おう!」

ジグマールが独歩の支給品を安心して、漁る事が出来た理由。
それは同行者エレオノール、自称フランシーヌが銃を構え、独歩の方へ向けていたからだ
独歩は先程、ジグマールに脅迫じみた提案をされたが、断固として拒んだ。
そのため、今はジグマールが独歩の支給品を漁る時間を稼ぐために、動きを封じられていた。
フランシーヌの持つ銃の銃口は真っ直ぐ、独歩の頭部に向けられ、エレオノールには人形破壊者(しろがね)としての力もある。
独歩がいくら早く動こうと、即座に照準を構える技術は、当然持ち合わせている。
その事を、今までエレオノールと二度も闘った独歩もわかっているのだろう。
苦虫を潰したような表情を浮かべながら、動く事もままならない。

「なになに……自動人形……」
「自動人形? ジグマール、その紙を私にみせてくれ」

ジグマールが呟いた自動人形という言葉に、エレオノールは反応を見せ、彼の元へ近づく。
依然、銃口を独歩に向けるのは忘れずに。
そんな彼ら二人を独歩は忌々しく見つめる事しか出来ない。
独歩と彼ら二人の距離は10m以上の距離がある。
迂闊に、突撃する事は無謀とも言える行為だろう。
だが、無謀といえども独歩がこのまま黙っているわけはない。

320Classical名無しさん:08/02/21 20:00 ID:Q4Uu0Li.

321Classical名無しさん:08/02/21 20:00 ID:FiWnvZDo
    
「こ、これは!?」
「なに! そんなにいいものなのかフランシーヌ!? 私にはイマイチ理解出来なかったのだがね」
「ぬぅんッ!」

エレオノールがその白い紙に目を通し、全ての文を読み終わった時。
独歩が突然地を蹴り、駆け出す。
元より銃弾を受けてしまう事を独歩は覚悟していた。
そのため、隙が出来れば、いつでも飛び出す準備を整えていた独歩。
今まで独歩が二人のいう事を聞いていたのは、そのタイミングの見極め。
そして先程、荒くなった呼吸を整える意味もあった。

「くそ! フランシーヌ、私に銃を貸すんだ!」

半ば強引にジグマールはエレオノールから銃を手に取り、彼女は後方へ跳ぶ。
そして、今もなお猛獣のように自分達に向ってくる独歩に、ジグマールは銃口を向ける。
倒すべき標的に対して、何の躊躇もなく、ジグマールが引き金を絞った。
――ぱらららら
銃口から撃ちだされた、無数の銃弾が空を切って独歩の元へ向う。
その銃弾に対し、独歩は身体を捻り、身を屈めながらの体勢を保つ事で避ける。
だが、全ての銃弾を避けきったわけではない。
何発かは独歩のスーツに穴を空け、赤い鮮血を滴らせる結果となった。

「どけぇ! ウオオオォォォッッッ!!」

だが、独歩の勢いは止まらない。
銃弾による負傷など気にならない様子で、ジグマールに近づき、右腕を横に薙ぎ払う。
独歩の異常なタフネスに驚き、回避が遅れたジグマールに彼の右腕が音をたてて迫る。
寸前のところで、人間ワープを発動させたジグマールの姿が独歩の右方向に出現する。
しかし、何度か拳を交えた事から人間ワープの存在を知っていた独歩は、更に駆け出す。

「悪いなお嬢ちゃん。暫く休憩してもらうぜッ!!」

独歩が駆け出した方向はジグマールではなく、エレオノールの方だった。
自分の後ろで慌てて、銃を構えなおしているジグマールになど、最早独歩の視線は向いていない。
以前、闘った時とは違い、オリンピアもないエレオノール。
ジグマールとの二人組では厄介な相手ではあるが、一対一では負けるつもりはない。
そう考え、先ずはエレオノールを沈黙させようと独歩は判断した。
事実、今のエレオノールには武器もなく、素手同士の闘いで彼女が独歩に勝てる道理はない。

「それは私の台詞だ……勇敢な戦士よ!」

銃弾の雨を省みない独歩に対し、エレオノールは敬意を示す。
だが、その行動はほんの一瞬で終わりを告げた。
そして、エレオノールは極めて冷静に、先程目を通していた一枚の紙を開く。
現れたのは、黒い、重厚なスーツケース。
独歩から約十メートルの位置に立つ、エレオノールがそのスーツケースを勢いよく開いた。

「なっ! そいつは……!?」

スーツケースから飛び出た物を見て、独歩は驚く。
更に独歩が見ぬ間に、エレオノールの両の指、計十本の指に指輪のようなものが嵌められている。
そしてその指輪から細い、銀色に煌く糸が伸びていた。
四本の長い髪の毛を伸ばし、両腕、両足から鋭利な刃物が伸びた人形。
たった今、スーツケースから飛び出た人形に向けて、十本の糸が伸びる。

324Classical名無しさん:08/02/21 20:02 ID:Sn4OFTDo
 
「 LES ARTS MARTIAUX! (闘いのアート!) 聖ジョージの剣!」

独歩とエレオノールの間に突然現れた、懸糸傀儡(マリオネット)の腕が独歩に振り下ろされる。
予想外の攻撃に対し、咄嗟に回避しようとする独歩。
だが、ここに来て先程の戦闘、そしてジグマールの銃弾による負傷が独歩の肉体を蝕む。
一瞬の硬直を起こした、独歩の左肩から焼けるような熱い痛みが走った。
何事かと思い、独歩は左に視線を向けるが、左肩に鋭利な刃物を突き刺さっている事に気付く。
辛うじて筋肉で受けて止めているが、血の流出が止む気配はない。

「グッ! ぬおおおおォォォッッッ!!」

反撃のため、独歩は左肩を刃物から強引に引き抜き、右拳を振り上げる。
絶妙な頃合いで打ち出された筋肉の拳。
その拳が人形の顎に向って打ち出される。

「ガッ…………」

だが、それよりも速く、人形の拳が独歩の脳天を大きく揺らす。
度重なる負傷により、独歩の意識が遠のき、遂に独歩はうつ伏せの体勢に倒れる結果となった。

「よくやった。あるるかん」

薄れ行く意識の中で独歩は、どことなく冷めたエレオノールの声を聞く。
“あるるかん”
それが独歩に刃を、いや、聖ジョルジュの剣と拳を食らわせた人形の名であった。

◇  ◆  ◇
326Classical名無しさん:08/02/21 20:04 ID:FiWnvZDo
     
「白金という名になにか引っかかるが……このあるるかんは素晴らしい。これで私は闘える……」

エレオノールが開いた一枚の紙。
自動人形という文字から説明文が始まっていたため、勝によって開封を控えられており、独歩も確認していなかった一枚の紙。
そしてその紙には以下のような記述が記されていた。
『自動人形の創始者、白金が自分用に製作した懸糸傀儡・あるるかん』。
白金、またの名をフェイスレスが自分用に製作した懸糸傀儡であり、エレオノールが使っていたそれよりも高性能な人形。
自動人形の創始者という言葉にエレオノールは引っかかったが、彼女は考える事を止めた。
あるるかんの出所を考えるよりも、エレオノールにはやる事があるからだ。
あるるかんをスーツケースに仕舞い終えた、エレオノールが立ち上がる。

「いや〜私も嬉しいぞフランシーヌ! これで私達の戦力が増えたというコトだな!」

そう言ってジグマールは機嫌良く口を開く。
この殺し合いには様々な技能を持つ参加者が存在している事を、ジグマールは身を持って体験している。
今更エレオノールが奇妙な人形を操る事など、ジグマールにとって何も驚く事はない。
寧ろ自分自身が使うアルターや、DIOの使うアルターらしきものの方がよっぽど異常な代物である。
そのため、ジグマールは只、純粋に喜びを見せた。
エレオノールに新たな力が手に入った事に対して。

「それでこの男はどうする? 私としては、この男はかなりの実力者であるから、今殺しても構わないと思うのだが?」
「そうだな……確かにその意見はもっともだ」

そう言って、気絶してしまった独歩をエレオノールは見つめる。
普段の独歩ならいくら強烈な懸糸傀儡の拳といっても、それだけで気絶する事はないだろう。
だが、今まで碌な睡眠も取ってない事による、若干の睡眠不足。
そしてエレオノールとジグマールの闘いで負った負傷が要因していたからだ。
328Classical名無しさん:08/02/21 20:05 ID:FiWnvZDo
    
「フランシーヌ、やはり君もそう思うか。では速攻で……」

装備が不十分ながらも、エレオノールとジグマールの二人を相手に互角以上の闘いを見せた独歩。
銃で脅されていたとしても、あくまでも自分達に反抗する強い意思。
とても自分達では利用しきれないとジグマールは考えていた。
そしてジグマールは、エレオノールの賛同を得られたと思い、銃を構える。
“強者とは積極的に闘わない、だが強者は殺せる時に殺しておく”。
それが互いに弱者同士で結んだ、仮初の同盟の方針であるからだ。
いくら独歩の肉体が優れていようが、零距離の頭部への射撃で殺す事は出来る。
冷静に、かつ冷酷な判断をジグマールは下した。

「いや、それはやめておこう。それにどうやら私達にお客様が来たようだからな」

思いがけないエレオノールの言葉に、ジグマールは疑問を覚える。
その言葉の真意を辿るため、ジグマールはエレオノールが視線を向けている方へ眼をやった。
先程、少女二人を乗せ、自分達の元を去っていた大馬。
新たに二人の人物を乗せた黒王号が、ジグマールの視界に入った。

◇  ◆  ◇

「お!お前たち! 独歩さんに何をしたのだ!?」
「闘っただけだ。残念な事にまだ息はあるが」

黒王号から飛び降りた、ナギが悲痛な声を上げる。
その声に何も感情を見せずに、エレオノールが答えた。
そもそもエレオノールはナギの方すらも見てはいない。
ナギが空条承太郎と執事服の男の知り合い、三千院ナギであるという予想は付く。
だが、所詮それだけの事であり、エレオノールにはナギに対して興味は湧いていない。
どうみても弱者であるナギなど、エレオノールにとっていつでも殺せる存在であり、どうでもいいからだ。
それにエレオノールの興味は別の方向に向いている。
330Classical名無しさん:08/02/21 20:06 ID:FiWnvZDo
   
「久しぶりだな……」
「ああ、私はあまり会いたくはなかったがな……」

エレオノールの興味が向いている方向は、ケンシロウ一点のみ。
とても真正面からぶつかっては、勝機など見えない事は以前の接触で経験済みだ。
しろがねとして70年も闘い続けた自分さえも畏怖させる、ケンシロウの闘気。
あるるかんとジグマールという協力者を得ても、完全な勝利が得られる確証はない。
予想外の強敵の出現に、エレオノールは表情を変えずに考えを練る。
だが、その心境は冷静とは言えず、その事はエレオノールの傍に居るジグマールにも言えた。
咄嗟にジグマールの方を向き、合図を送り、ジグマールが小さく頷く。

「動かないで貰おうか。動けばこの男を殺す事になる……私達が逃げるまでの間な」
「そ! そうだ……私達は本気だぞ!」

エレオノールの声と共に、ジグマールが気絶した独歩に向けて銃を向ける。
彼らが取った行動は、この場からの逃走。
結局一人も殺す事は出来なかったが、様々な支給品を手に入れる事は出来た。
特にあるるかんは貴重であり、結果はまずまずのものともいえる。
だが、このままこの場に留まっていれば、パピヨンを始めとする仲間達が駆けつけてくる可能性もあった。
ケンシロウが居る状況で、更に多くの敵を相手にする事は自殺行為とも言える。
それならば独歩を盾にして、この場を切り抜け、その後独歩が目を覚ます前に殺害すればいい。
彼ら二人は奇しくも、同じ考えを持ち、それゆえに行動も早かったという事だ。

「……クズどもが」

ケンシロウが心底、憎たらしげに声を漏らす。
実際ケンシロウには彼ら二人組みが取った行動は、予想以上に効果があった。
悪には情け容赦なく、拳を揮うケンシロウ。
しかし、弱者や仲間、己と同じ志を持つ者の命を散らせるような事は、ケンシロウには出来ない。
独歩を助けるべきには、自分が何をするべきかをケンシロウは必死に考える。

「では、その立派な馬もいただこうか」

そんなケンシロウの葛藤をエレオノールは察しているのだろう。
更に自分達の逃走に役立つ黒王号の引渡しを迫る。
黒王号が乗り手を選ぶ名馬であるという事を、当然エレオノールは知らないからだ。

「いい加減にしろよ、しろがね!」
「何故、その名前を……?」

そんな時、ナギが叫んだ言葉にエレオノールは驚く。
それは自分の事をしろがねと呼んだナギの言動について。
今まで自分の事をしろがねと言った事がなく、知っている人物は才賀勝しか居ないからだ。
何故目の前の少女、ナギが自分のもう一つの名を知っているのか?
エレオノールの思考に小さな疑問が浮かぶ。

「そんなコトは簡単だ! 私は鳴海からお前のコトを聞いているからな」
「ナルミからだと? 彼は、彼は今どうしている!?」

ナギの口から出た加藤鳴海という言葉。
鳴海は勝から自分の事を何か聞いたのだろうか?
疑問は完全には解消されず、更にもう一つ疑問が湧いた。
今現在の鳴海の行動。
この場に居ない事から、別行動を取っているのだと思っていたが気になる事ではある。
湧き上った疑問が大きかったせいで、一瞬ナギが悲しそうに俯いた事をエレオノールは気付かない。

「独歩さんを解放してくれ。そうしたら……」
「断る」
「だったら、私と話をさせてくれ……鳴海やお前のコトについてな!」
333Classical名無しさん:08/02/21 20:09 ID:FiWnvZDo
       
独歩の開放を却下したエレオノールにまたしても、予想外な提案が飛び込む。
自分と話をしたいという、何の変哲もない少女、ナギ。
今までナギに対して全く興味が湧いて来なかったが、エレオノールの中で確かな興味が湧き立つ。

「いいだろう。だが、私達二人きりで話そう。すまないが数分だけ待っていてくれ、ジグマール」
「なっ!? りょ……了解した」

エレオノールはナギの提案を受け入れ、ジグマールが焦りながらも受け入れる。
ナギのような無力な存在に、自分が劣るとはエレオノールは夢に思っていない。
そのため、数分で事を済ませば、自分達の逃走に支障がないと考えた。
それに鳴海の情報を聞き出した後、殺すのもよし、生け捕りにして、更に人質を増やす事も出来る。
そのため、エレオノールはナギに二人きりで話しを行おうと、逆に持ちかけた。
独歩を人質に取っているといえども、ケンシロウが邪魔をするとは限らず、仲間がやってくるとも限らない。
ならば、自分一人だけでもこの場を離れておけば、最悪な事態は回避できる。
あるるかんという自分にとって、最高な力を手に入れたエレオノールにはジグマールを見限るという手もあるからだ。

(卑しいな……自分でさえも卑しい考えに思える)

思わず自分の卑怯じみた考えに、エレオノールは少し表情をしかめる。
だが、それも一瞬の事。
卑怯な手段を用いる事は、なにも初めてのわけでもなく、既にキュルケを殺害した時に用いている。
今更後悔する事もない。

「ナギ! 二人きりでは危険だ。ここはやはり俺に!」
「それ以上口を開かないで貰おうか。私はその少女に言っている」

エレオノールの言葉と共にジグマールが再度、大げさな動きで銃を構えなおす。
ケンシロウがこれ以上口を開けば、独歩を殺すという意思表示なのだろう。
ジグマールの行動、ケンシロウの様子を確認し、エレオノールは満足げな表情を浮かべる。
そしてエレオノールはスーツケースを持ち、どこともなく駆け出す。
自分を追ってこなければ、話はできないとナギにいわんばかりのエレオノールの行動。
335Classical名無しさん:08/02/21 20:11 ID:G97Womyg
 
「私なら、大丈夫だケン! 独歩さんを頼むぞ!」

ナギもエレオノールと話をしないわけにもいかず、彼女の後を追う。
核鉄による治癒力、そして黒王号に乗っている時、ケンシロウに秘孔を突いてもらい、疲労は殆ど抜けている。
そう。ナギがケンシロウに頼んだ事は、己の疲労を取って貰う事だった。
秘孔を突くケンシロウの技能を、疲労回復にも効くのではないかとナギは思ったからだ。
必死にエレオノールの後を追うナギを、ケンシロウは只、見つめる事だけしか出来なかった。

◇  ◆  ◇

一台の消防車がある目的地に向って走り続けている。
その目的地は学校。
仲間達と合流の約束を交わした地。
その消防車の助手席では泉こなたが眠っている。
シェリスの死を始め、様々な出来事がこなたの身の周りで起きた。
こなたの日常には、あまりにも不釣合いな事が重なってしまい、精神的な疲労が溜まってしまったのだろう。
だが、運転席に座り、消防車を運転している赤木しげるにはあまり関心がない事であった。
火事を見つけた事で、ナギ、こなた、ケンシロウと合流できたアカギにとっては。
337Classical名無しさん:08/02/21 20:13 ID:Q4Uu0Li.

338Classical名無しさん:08/02/21 20:14 ID:FiWnvZDo
      
「……鳴海が死んだか……手痛いな……」

先程、ナギ、こなた、ケンシロウの三人と行った情報交換。
その情報交換でアカギが特に興味を引かれた情報は鳴海の死亡の事だった。
この会場では最古の仲間であり、間違いなく自分達の中核となるハズであった人物。
戦力はもとより、そして自分の命を省みすに、他者を思いやる鳴海の人柄は自分達にとって重要であった。
そう考え、鳴海を失った事による損失を、アカギは実感する。

「だが……あのDIOが死んだとなると……これは幸運なコトだ……間違いなくな……」

以前、奇妙な人形を使って、闘いを繰り広げていたDIO。
あの時の言動からしてみて、DIOが自分達の仲間になる可能性は限りなく低い。
いずれ自分達の障害となる存在が消え去った事については間違いなくプラスな事だろう。

「エレオノールとジグマールが乗ったか……くくく……なるほどな……」

そしてエレオノールとジグマールが同盟を組み、他の参加者を襲撃した事実。
アカギは未だ、ナギ達とは大まかな情報交換しかしていなく、エレオノールが何故、鳴海と決別した理由は聞いていない。
また、彼ら二人が自分達と道を違えた事について、アカギには残念がる様子はなかった。

「きっとあいつらはモノにできたんだな……自分のツキを。
範馬刃牙、奇妙な戦車……こいつらが流れを変えたか……俺達とは違う流れに……」

所詮、元々友好的でなく、優勝を目指しても可笑しくなかったエレオノールとジグマール。
鳴海の時とは勝手が違い、元より期待は低かったため、落胆する要素がない。
それよりも優勝への覚悟を決め、同盟を組んだ二人に対して興味が湧いた。
恐らく同盟を組み、優勝を目指す理由となったには、範馬勇次郎を親父と呼んでいた青年、範馬刃牙。
そして奇妙な戦車、シアーハートアタックが彼ら二人を変えたのだとアカギは考える。
340Classical名無しさん:08/02/21 20:16 ID:FiWnvZDo
          
「エレオノールはあの後、鳴海と共に刃牙と闘い……鳴海はきっと止めを刺さなかった
に違いない……そしてエレオノールがそれを受け入れなかったから、決別した……。
ジグマールはあの戦車から逃げる途中で吹っ切れた……優勝を目指す程の決意を誓わせるほどの……大きな経験を経てな……」

以前、鳴海は有無を言わさずに襲ってきた自分に止めを刺そうとはしなかった事実がある。
更に一対一の闘いならまだしも、鳴海にはその時点ではエレオノールという協力者が居たので、戦力的には余裕があった。
余裕がある状況では、鳴海の人格的な面を考えて、刃牙を生け捕りにしたのではないかとアカギは考えた。
だが、エレオノールにとって、鳴海の考えは理解出来なかっただろう。
才賀勝の事を気にかけていたエレオノールが、危険人物の命を野放しにしておく理由はない。
その事で鳴海と対立し、口論を行い、いや戦闘さえも行ったかもしれない。
兎に角、鳴海と決別し、エレオノールは優勝者の褒美の話に乗る事を決めたのだろう。
事実、キュルケを殺した事が、エレオノールの決意の表れを示しているからだ。

ジグマールの場合は至極簡単だ。
時間的に考え、自分と別れ、あの奇妙な戦車を切り抜けて、優勝の道を選んだ。
そして、エレオノールと出会い、互いに同盟を結んだのだろう。
アカギの考察は依然、続く。

「こっちの流れに引き込むコトは無理だな……もう、あいつらの決意に突け入る隙はない……くくく……おもしろい。
これで張り合いがある……俺にも命を賭ける価値が出て来るというもの……!」

二人で同盟を組むという事は一人で優勝を目指すよりも負担は軽く、三人以上で目指すよりも裏切りの恐れも小さい。
二人だけなら最後に相方を殺害するだけで、優勝する事が出来る。
という事は生半可な覚悟がなければ、同盟を結び、最後の二人まで生き残ろうとはしない。
生き延びる事を優先するなら、誇りを捨て、他の集団に保護して貰えばいいからだ。
それをせずに、敢えて二人での同盟を組んだエレオノールとジグマール。
最早、アカギは彼ら二人を引き込む考えなど捨て去った。
自分と運比べを行うのに相応しい相手。そのような認識しかない。
342Classical名無しさん:08/02/21 20:17 ID:Sn4OFTDo
     
「さて……疫病神で終わるか、それとも更なる高みに昇るか……楽しみだな。
ケンシロウという賭け札は大きい……大きすぎるんだよ……三千院ナギ……」

そしてアカギはナギの事を考える。
武藤カズキ、空条承太郎、更には加藤鳴海の三人の死を見届けたと思われる少女、三千院ナギ。
最早、運がないと言う言葉では足らず、疫病神とし言いようがない程の経歴。
しかし、ナギはその事に落ち込んでいる様子はなく、立ち直っていた。
当初はケンシロウがナギを庇って死ぬ事がないように、自分が連れて行こうとアカギは考えていた。
だが、自分から仲間を救いに行くという、年少の少女らしからぬ決意を誓ったナギ。
アカギはそんなナギに少し驚きながらも、彼女に対しても興味が湧いた。
エレオノールと独歩の両方を助けるという、一見無謀な行為。
冷静に今後の事を考えればエレオノールは切り捨て、ケンシロウ一人に任せるべきといえる状況。
だが、アカギはあえてあれ以上口を出す事はしなかった。

「しかし……だからだ……だから面白いのさ……ギリギリの極限にまで賭け札を増やす……生きている意味を噛み締められる……こんなにも面白い勝負はない……。
お前の勝負を見せてみろ……三千院ナギ……! もし負ければ……お前はその程度の存在……それだけのコトだ……!」

アカギはナギがどこまでやれるかが知りたかった。
エレオノールと独歩を救うか、それとも無残にもその命を散らすか。
その思考には倫理や理性などという文字は存在しない。
狂気ともいえる興味がアカギの思考を支配していた。
344Classical名無しさん:08/02/21 20:18 ID:FiWnvZDo
     
【D-4 西部/1日目 真夜中】
【赤木しげる@アカギ】
[状態]:脇腹に裂傷、眠気 核鉄で自己治癒中、消防車を運転中
[装備]:シルバースキン 基本支給品、 ヴィルマの投げナイフ@からくりサーカス (残り9本)
[道具]:傷薬、包帯、消毒用アルコール(学校の保健室内で手に入れたもの)
 始祖の祈祷書@ゼロの使い魔(水に濡れふやけてます) キック力増強シューズ@名探偵コナン
 水のルビー@ゼロの使い魔、工具一式、医療具一式 沖田のバズーカ@銀魂(弾切れ)
[思考]
基本:対主催・ゲーム転覆を成功させることを最優先
1:学校に向かって、仲間を待つ。 。
2:対主催を全員説得できるような、脱出や主催者、首輪について考察する
3:強敵を打ち破る策を考えておく
4:このバトルロワイアルに関する情報を把握する
(各施設の意味、首輪の機能、支給品の技術 や種類など。)
[備考]
※マーティン・ジグマールと情報交換しました、またエレオノールとジグマールはもう仲間に引き込むのは無理だと思っています。
※光成を、自分達同様に呼び出されたものであると認識しています。
※参加者をここに集めた方法に、
 スタンド・核鉄・人形のいずれかが関係していると思っています。
※参加者の中に、主催者の天敵たる存在がいると思っています(その天敵が死亡している可能性も、考慮しています)
 そして、マーティン・ジグマールの『人間ワープ』は主催者にとって、重要な位置づけにいると認識しました。
※主催者のアジトは200メートル以内にあると考察しています
※ルイズと吉良吉影、覚悟、DIO、ラオウ、ケンシロウ、キュルケ、ジグマールはアルター使いと認識しました
※吉良吉影の能力は追尾爆弾を作る能力者(他にも能力があると考えています)だと認識しました。
※DIOの能力は時を止める能力者だと認識しました。
※ジグマールは『人間ワープ』、衝撃波以外に能力持っていると考えています
※斗貴子は、主催者側の用意したジョーカーであると認識しています
※三千院ナギは疫病神だと考えています、また彼女の動向に興味があります。
※川田、ヒナギク、つかさの3人を半ツキの状態にあると考えています。
※ナギ、こなた、ケンシロウと大まかな情報交換をし、鳴海、DIO、キュルケの死を知りました。

【泉こなた@らき☆すた】
[状態]:軽い打撲 、睡眠中
[装備]:時計型麻酔銃(1/1)麻酔銃の予備針8本、
[道具]:支給品一式、フレイム・ボール@ゼロの使い魔(紙状態)、んまい棒@銀魂、
    綾崎ハヤテの女装時の服@ハヤテのごとく
[思考・状況]
基本:みんなで力を合わせ、首輪を外し脱出。
1:学校へ行き、仲間を待つ。
2:独歩、ナギ、ケンシロウが心配。
3:かがみ、つかさを探して携帯を借りて家に電話。
[備考]
※ナギ、独歩、ケンシロウ、アカギ等と大まかな情報交換をしました。(しかし、つかさ達の事は未だ何も聞いていません)
※オリンピアが懸糸の切れた状態で消防車の助手席の後ろに座っています。
347Classical名無しさん:08/02/21 20:21 ID:Sn4OFTDo
 
ジグマール、独歩、ケンシロウから僅かに離れた、エリアD-3の西部。
そこに一人の女性と少女が対峙している。
銀色の髪の毛を生やす女性は才賀エレオノール。
金色の髪の毛を生やす少女は三千院ナギ。
背丈も、身の上も違う二人には共通点などはない。
性別、そして加藤鳴海と一時の交流があった事を除いては。

「さぁ、ナルミのコトを聞かせてもらおうか。抵抗すれば……わかっているな」

そういうや否や、エレオノールはスーツケースからあるるかんを取り出す。
力ずくで、即急にナギから話を聞き出すためなのだろう。
慣れ親しんだその動作に一切の無駄は見受けられない。
瞬く間に、あるるかんがナギとエレオノールの間に立ちそびえる。
見たこともないあるるかんの出現に、ナギの身体が僅かに身震いを起こす。
だが、震える身体を無理やり押さえつけ、ナギが口を開く。

「わかっているさ……だが! 生憎、私はそんなに素直じゃないんだ! やれるものならやってみるがいい!!」

そう言ってナギはスパイスガールを発現する。
ナギの目的はエレオノールと話をする事。
それと同時に、独歩の意識が戻るまで、仲間があの場にやってくるまでの時間を稼ぐ事もあった。
そしてスパイスガールの出現に、今度はエレオノールの表情が驚きに染まる。
幸か不幸か、エレオノールには今までスタンド使いが実際にスタンドを使う姿を見た事はなかった。
懸糸傀儡よりも更に、生物的な人形であるスタンド、スパイスガールの出現にエレオノールは身構える。

「武装錬金!!」
「おっせーぜナギリン!」
続けて、ナギはエンゼル御前の武装錬金を発動する。
パールピンクの右の小手、そして左手には奇妙な弓が瞬く間に形成される。
以前は重量の関係ゆえに、よろめいたナギだったが今は違う。
自分の目的を果たすためにも、倒れまいとナギは必死に踏ん張る。
そして同じくパールピンクの不細工な人形がエレオノールの注意を引いた。

「人形が二体……だが、あなたには私のあるるかんに勝つ手段はない!」
「そんな事はやってみなければわからん、それに言っておく! 私達はかなり強いぞ! そうだろう? スパイスガール! エンゼル御前!」
「ソノトウリデス、ナギ!」
「ラジャー! オレは最初からクライマックスだぜ!」

エレオノールの繰り手を受け、あるるかんが走り出す。
その動きに対応するかのように、スパイスガールがナギの前方で拳を構え、臨戦体勢を取る。
後方には、弓を構えるナギの傍に、ふよふよと漂うエンゼル御前の姿が映る。
やがて、あるるかんとスパイスガールの距離が極限まで近づく。
その瞬間、エンゼル御前が精製した無数の矢が、ナギの持つ弓から飛び出す。
二人の女と三体の人形の闘いの幕が今、開かれた。


「答えろ、しろがね! お前はあの優勝者の褒美とやらのために私達を襲ったのか!?」

一度目のエンゼル御前による掃射は、ことごとくあるるかんによって弾かれた。
そのため、スパイスガールに当たらないように、ナギはもう一度弓を構える。
武装錬金、エンゼル御前の特性は御前様による精密射撃。
弓を構える必要はあるものの、精密な狙いは御前様によって行われるため、スパイスガールを避けて、射つ事は容易である。
先ずはあるるかんを沈黙させるためにも、ナギは二度目の掃射を行う。
一瞬の間を置かず、空を切り、無数の矢があるるかんを襲う。
350Classical名無しさん:08/02/21 20:22 ID:FiWnvZDo
   
「あんな話はまやかしに過ぎない。そんなコトは私にもわかっている!」

だが、先程と同じく、矢はあるるかんの身体に一本も刺さる事はない。
‘70年もの年月を人形繰りに費やし、その腕で自動人形を破壊し続けてきたエレオノール。
最早、懸糸傀儡を操る事は、自分の身体を動かす事と等しい程に慣れ親しんでいる。
あるるかんの左腕を上下左右に奮う事で、左腕に備え付けられた聖ジョルジュの剣によって矢を弾き落とす。
いくら精密射撃といえども、矢が放たれる箇所は一箇所であり、左腕一本で十分に対応は出来る。
だが、あるるかんの空いた右腕がナギの身体に届く事はない。

「だったら! だったら、なんでこんなコトをするのだ!?」
「ウッシャア!」

何故ならナギとあるるかんの間に、スパイガールが健在であるからだ。
豪快な叫び声を上げて、スパイスガールが右腕をあるるかんに向けて突き出す。
あるるかんの顔面を側面からえぐるように、突き進む右拳。
エレオノールの指が動き、あるるかんの頭部が右へ傾く。
勢い余って、そのまま空を切りながら、スパイスガールの右腕があるるかんの左肩の上を通り過ぎた。
すかさず、右腕を戻しながら、スパイスガールが左腕を下方から振り上げる。
あるるかんの腹部に迫り来る、スパイスガールの左拳。
その左拳の侵攻を阻止せんと、あるるかんの右腕がスパイスガールの左腕に振り下ろされる。
銀色の鋭い、光沢を放つ聖ジョルジュの剣が一閃の軌跡を描く。

「そんなコトは……あなたには関係がない」

だが、スパイスガールが咄嗟に左腕を引っ込めたコトにより、聖ジョルジュの剣は対象を見失う。
お返しといわんばかりに、あるるかんの右脚が左斜め上に振り上がる。
今度は、右脚のふくらはぎに備えられた聖ジョルジュの剣が、スパイスガールの身体を引き裂くために迫る。
咄嗟にスパイスガールは後ろに重心を傾け、聖ジョルジュの剣から遠のく。
しかし、エレオノールの人形繰りの技術は、鍛錬と実戦によって裏付けられたもの。
完全には回避する事は叶わず、スパイスガールの右肩に裂傷が走る。
だが、ナギも、スパイスガールも只で終わるつもりはない。
「くっ! 戻れスパイスガールッ!!」

スタンドのダメージを伝達したナギの右肩に、赤い線が走る。
その痛みに、唇を噛み締めながらも、ナギは即座にスパイスガールを戻した。
ナギの行動に対して、エレオノールは訝しげな表情を浮かべる。
その表情は一瞬で、苦虫を噛み潰したような、苦々しいものと変わる。
スパイスガールに姿が消える瞬間に、エンゼル御前によって再び無数の矢が放たれた。
いつの間にか、スパイスガールの真後ろの方向に移動していたナギ。
スパイスガールの姿にナギの小さな身体が隠れた形となり、死角からの掃射があるるかんを襲う。
今度は両腕を使い、あるるかんは迎撃を行うが、予想外の攻撃に反応が遅れてしまう。
数本の矢があるるかんの身体を掠り、更に一本の矢が右肩に突き刺さる。
一旦距離を取るために、エレオノールはあるるかんを後方へ飛び立たせ、矢を引き抜く。

「なかなかやる……しかし、疲労が伴うようだ」
「バカ言うな……このくらい、なんともない! それよりも何故だ!? 優勝者の褒美とやらを信じていないのに、何故私達を襲った!?
お前が闘う理由はなんなのだ!?」

睨みあう二人が言葉を交わす。
エレオノールの言うように、スタンドDISC、そして慣れない核鉄の使用にナギの疲労は、今もなお溜まっている。
また、エレオノールにとって人形繰りは慣れ親しんだ動作であり、ナギよりは疲労は少ない。
だが、ナギにとってそんな事はどうでもよく、それよりもエレオノールが自分達を襲う理由が気になった。
自分の方をあまりにも、冷ややかな眼で見つめるエレオノールに対して、真っ直ぐ立ち尽くす。

「物分りが悪いな。私がどんな理由で闘おうとそれは私の自由。あなたが気にするコトではない」
「ッ!」

唐突に、あるるかんと共にエレオノールが駆け出す。
その予想以上の速さにナギは驚きながらも、スパイスガールを再び発現。
スパイスガールがナギの傍に現れ、両腕を構え、あるるかんの攻撃に備える。
そんなスパイスガールに向ってあるるかんの腕が突くように、肉迫してくる。
あるるかんを操る、特別製の懸糸がキリキリと軋む音を立てた。
353Classical名無しさん:08/02/21 20:25 ID:FiWnvZDo
       
354Classical名無しさん:08/02/21 20:26 ID:FiWnvZDo
          
「LES ARTS MARTIAUX! (闘いのアート!) Fleche enflammee! (炎の矢!)」
「頼む! スパイスガールッ!!」
「WAAAAAAAAAAANNNABEEEEEEEEEEEE!!」

本来はオリンピアの腕を武器代わりに行う、連続突きである炎の矢。
その代わりに、あるるかんの両腕による手刀を使う事で攻め立てる。
対して、ナギはスパイスガールの両拳のラッシュで打ち合う。
並大抵の速度の攻撃では、その拳速を持ってすれば十分にスパイスガールは対抗できる。
だが、その事実に反し、スパイスガールの拳速が徐々に遅れ始めた。

「くそ……こんな時に……」
「だ! 大丈夫かナギリン!?」

原因は至極単純。
先程から感じていた肉体的、精神的疲労が無視出来ない域まで到達したせいである。
弓を構えていたナギの右膝が地に着き、エンゼル御前が心配そうな声を上げた。
元々碌に運動もせずに、引き篭もり同然の生活をしていたナギ。
この殺し合いで三度目の闘いといえども、やはりナギには闘いの空気に慣れる事は出来ない。
だが、諦めるつもりは毛頭ないナギは、すぐさま立ち上がる。

「それよりもスパイスガールの援護を――――がっ!!」

そんな時、ナギが唐突に苦しそうな声を漏らす。
開いた小さな口からは赤い鮮血が、声と共に飛び出る。
何事かと思い、ナギがスパイスガールの方へ視線を向けた。
「よく頑張ったと褒めてやる。しかし、これで終わりだ!」

吐血が起きた理由。
それはスパイスガールが完全にあるるかんに押し負け、手刀による一撃を貰っていた事。
一度押し負け、完全に体勢が崩れたスパイスガールに迫る、あるるかんの両腕。
ナギはスパイスガールの全身にあるるかんの手刀が、幾度も叩き込まれるのを見ている事しか出来ない。
伝達されたスタンドのダメージが、ナギの全身を駆け巡る。
そして、度重なるダメージにより、スパイスガールの姿が消え、エンゼル御前も核鉄の状態に戻る。
やがて、ナギの小さな身体が前のめりに倒れた。
そのナギに対して、エレオノールは確実に一歩ずつ距離を詰めていく。
最早、ナギとエレオノールの間に存在するものは何もない。

◇  ◆  ◇

ナギとエレオノールが居なくなり、男三人が居る事となったエリアD-3、中部。
気絶している独歩を除き、二人の男が睨みあう。

「失望したぞジグマール……貴様がこれ程の外道だったとはな」

低い声でケンシロウがジグマールを威圧する。
ジグマールと一対一の正面からの闘いならば、負けるつもりはない。
だが、現状は独歩を人質にされてはケンシロウも手を打てない。
そのため、ケンシロウはジグマールに揺さ振りをかけていた。
この最悪ともいえる現状を打破し、一刻も早く独歩とナギを助ける。
これらの事を踏まえて、ジグマールの怒りを自分に向け、彼から油断を誘おうとしていた。

357Classical名無しさん:08/02/21 20:28 ID:FiWnvZDo
           
358Classical名無しさん:08/02/21 20:29 ID:FiWnvZDo
              
「エレオノールが本当に戻ってくるとも限らない。それなのにお前はこうして飼い犬のように待っている……滑稽だな。
お前も戦士であるならば己の道は己の拳で決めてみせろ! マーティン・ジグマール!!」

ナギを誘い出すために、走り去ったエレオノールへの疑念をケンシロウは問う。
ジグマール自身も感じているであろう疑念。
疑問と共に、ケンシロウは右の人差し指をジグマールに突き立てる。
そんなケンシロウの行動を、ジグマールは只、無言のまま見つめていた。

◇  ◆  ◇

『失望したぞジグマール……貴様がこれ程の外道だったとはな』

何とでも言えばいい。それがジグマールの本音だ。
手段など選んでいては、自分のような者に優勝はない。
その事はもう、嫌という程、実感している。
それに卑怯な手段など、ロスト=グラウンドでも何度もお世話になっている。
ケンシロウの言葉など気にする事はない。

『エレオノールが本当に戻ってくるとも限らない。それなのにお前はこうして飼い犬のように待っている……滑稽だな。
お前も戦士であるならば己の道は己の拳で決めてみせろ! マーティン・ジグマール!!』

確かに、エレオノールが戻ってくる保障はない。
所詮自分達の同盟は力を持たない者同士のものであり、力を手に入れたエレオノールが戻るとは限らない。
ナギという少女を殺すか、生け捕りにした後自分を見捨てて、逃走を図る。
十分考えられる事であり、恐らく自分なら見捨てる方を選ぶだろう。
ならば、さっさと独歩を盾にして逃げるべきなのだろうか?
あの時、シアーハートアタックから闇雲に逃げ回っていたように。
HOLY部隊長としての、全宇宙支配の夢を持つ者としての誇りを捨て去って逃げたあの時のように。
あんな惨めな思いを再び嫌という程噛み締めなければならないというのだろうか?
360Classical名無しさん:08/02/21 20:31 ID:FiWnvZDo
           
「……ノゥだ。絶対にノゥだ」

気が付いたら言葉が出ていた。
何も言わず、沈黙を守りエレオノールを待つ、もしくは独歩を盾にし、この場から逃げ切る。
どう考えても、ジグマールが取るべき行動はこの内の二つどちらかである。
何故なら、人質の独歩の存在があれば、ケンシロウや彼の仲間から攻撃を受ける可能性は低いからだ。
だが、ジグマールはその考えに反逆した。
理屈ではとても考えられない暴挙にジグマールは身を任せる。

「私はもう飼い犬なんかじゃない……私は必ず、ギャラン=ドゥにもう一度会うんだ!」

いずれケンシロウは自分を追いかけ、恐らく自分と闘うハメになるだろう。
それまで、ケンシロウの力に脅えながら逃げ回る真似はしたくない。
ならば、かなり危険すぎる行為だが、今この場でなんとしてでもケンシロウを倒す。
ジグマールの脳裏に、ふとそんな考えが浮かんだ。
己の戦力が増強された今なら、やり遂げる事ができるかもしれない。
淡い希望が徐々に濃密なものになっていくのをジグマールは、確かに感じる。
気が付けば、ジグマールの顔は変わっていた。
HOLY部隊長として、威厳を保つために行っていた偽りの表情。

「何故なら私はまだ闘える! 私の誇りは未だ折れていない!!」

独歩から奪ったエニグマの紙を開き、ジグマールの手に一つの瓶が握られる。
その瓶に入っているものは、透明な液体。
ある料理人、更にスタンド使いでもある料理人がこしらえた特別な水。
身体中の疲労を瞬く間に吹き飛ばす、特製な水をジグマールは一気に飲み干す。
362Classical名無しさん:08/02/21 20:32 ID:gRuFzC5Q
363Classical名無しさん:08/02/21 20:32 ID:G97Womyg
 
364Classical名無しさん:08/02/21 20:33 ID:FiWnvZDo
         
「さぁ侵攻の始まりだ! 全宇宙支配の夢、そしてギャラン=ドゥとの再会のためにも貴様という壁を乗り越える必要がある!
そう! ここが貴様の墓場となるのだケンシロウ!!」

イングラムを独歩からケンシロウの方へ向け、ジグマールが宣言する。
更に独歩から奪ったライドルを片手に持つ。
未だ確認はしていないが、ジグマールは他にも支給品を持っている。
その事実が彼の自信を後押していく。
そんなジグマールにケンシロウが静かに答えた。

「ならば俺はお前を敵として認めよう……お前の死に様を、この拳に刻むコトによってな」

二人の男の闘いの幕が今、上がりつつあった。

【D-3 中部 1日目 真夜中】
【マーティン・ジグマール@スクライド】
[状態]:全身に負傷中(傷がいくつか開きました)、顎に打撲、HOLY部隊長状態、
意気軒昂、疲労全回復
[装備]:
 アラミド繊維内蔵ライター@グラップラー刃牙
 法儀礼済みボールベアリングのクレイモア地雷(リモコン付き)@HELLSING(未開封)
イングラムM10+予備マガジン×6、道化のマスク@からくりサーカス)、
ライドル@仮面ライダーSPIRITS、
[道具]:支給品一式 、不明支給品1〜4(未確認)、首輪×2(フェイスレス、シェリス)、首輪探知機@BATTLE ROYALE、光の剣(ただのナイフ)@BATTLE ROYALE、
輸血パック(AB型)@ヘルシング、グリース缶@グラップラー刃牙、
[思考・状況]
基本:アカギを越える
1:エレオノール(名前は知らない)と共に行動し、強敵を減らす。
2:可能ならば独歩を利用して強者を減らす。不可能ならすぐ殺す。
3:優勝を目指す。
4:ケンシロウを倒す。その後エレオノールを待つ、もしくは逃走する。
366Classical名無しさん:08/02/21 20:35 ID:FiWnvZDo
             
[備考]
※エレオノール、アカギと情報交換しました。また、彼女本人の名前を知りました。
※人間ワープにけっこうな制限(半径1〜2mほどしか動けない)が掛かっています。
連続ワープは可能ですが、疲労はどんどんと累乗されていきます。
(例、二連続ワープをすれば四回分の疲労、参連続は九回分の疲労)
※ルイズと吉良吉影、覚悟、DIO、ラオウ、ケンシロウ、キュルケはアルター使いと認識しました。
※吉良吉影の能力は追尾爆弾を作る能力者(他にも能力があると考えています)だと認識しました。
※DIOの能力は時を止める能力者だと認識しました。
※ギャラン=ドゥはエネルギー不足で外には出てこられなくなりました。
 ですがジグマールは、人間ワープの能力を問題なく使えます。
※エレオノールが戻ってくるかどうかは半信半疑です
※ジグマールが飲んだものはトニオさんの水@ジョジョの奇妙な冒険です(効果は疲労回復のみ)
※独歩の支給品を全て手に入れました(不明支給品はエニグマの紙状態で所持)


【ケンシロウ@北斗の拳】
[状態]:カズマのシェルブリット一発分のダメージ有り(痩せ我慢は必要だが、行動制限は無い)全身各所に打撲傷
    キング・クリムゾンにより肩に裂傷 両目損失。吐き気はほぼ、おさまりました(気合で我慢できる程度)
[装備]:
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム(般若心境と書かれた紙(エニグマ/開かれていません)
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない、乗った相手には容赦しない。
1:ジグマールを倒し、独歩、ナギを助ける。
2:エレオノールを倒し、キュルケの仇を討つ。
3:1、2が終わった後、学校へ行く
4:アミバを捜索、事と次第によれば殺害。
5:ラオウ・勇次郎他殺し合いに乗った参加者を倒す。
6:助けられる人はできるだけ助ける。
7:乗ってない人間に独歩・アミバ・ラオウ・勇次郎・エレオノールの情報を伝える。
368Classical名無しさん:08/02/21 20:36 ID:G97Womyg
 xx
369Classical名無しさん:08/02/21 20:37 ID:FiWnvZDo
          
[備考]
※参戦時期はラオウとの最終戦後です。
※ラオウ・勇次郎・DIO・ケンシロウの全開バトルをその目で見ました 。
※秘孔の制限に気付きました。
※ラオウが無想転生を使えないことに気付きました。(ラオウは自分より過去の時代から連れて来られたと思っています)
※黒王号はケンシロウの傍で、彼を見守っています
<首輪についての考察と知識>
※首輪から出ている力によって秘孔や錬金が制限されていることに気付きました。
首輪の内部に力を発生させる装置が搭載されていると思っています。
※ナギ、こなた、アカギと大まかな情報交換をしました。またジグマールの能力、人間ワープ、衝撃波についても簡単に聞いています


ジグマールとケンシロウの闘いが今、始まらんとする時、新しい流れが起きた。

(まだだ……まだ……寝るわけにはいかねェ……)
ナギが今も稼いでいる時間、その時間に一人の男の意識が舞い戻る。
男の視界には銃を構え、剣のようなものを握ったジグマール、そしてケンシロウが睨みあう姿が入った。
(負けっぱなしのまま、引き下がる程、オレは聞き分けはよくねぇッ……)
徐々に身体を動かせる事を確認した、男は顔を上げる。
筋肉で包まれた身体に生えた、隻眼の頭部。
青い痣が男の受けた打撃の大きさを物語るが、男はそんな事は気にしていない。
神心会館長の肩書きを持ち、“武神”“人食いオロチ”“虎殺し”の様々な異名を持つ男。
そして幾多の仲間の思いをその背中に刻んだ男が、動き出す
(さぁて、愚地独歩の出番だ……、目にもの見せてやるぜッッッ!)
愚地独歩が完全に意識を取り戻す。
その両眼に映る意志は敵への勝利のみ。
牙を取り戻し、一人の空手家が再び、復活を果たした。
371Classical名無しさん:08/02/21 20:39 ID:FiWnvZDo
     
372Classical名無しさん:08/02/21 20:39 ID:G97Womyg
 
373Classical名無しさん:08/02/21 20:40 ID:Q4Uu0Li.

【愚地独歩@グラップラー刃牙】
[状態]:体にいくつかの銃創、頭部に中程度のダメージ、左肩に大きな裂傷(出血中)、うつ伏せに倒れている状態
[装備]:キツめのスーツ
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:闘うことより他の参加者 (女、子供、弱者) を守ることを優先する
1:目の前のケンシロウと協力し、ジグマールを倒す。その後エレオノールを捜す
2:学校へ行き、アカギと合流。鳴海のことを伝える。
3:ゲームに乗っていない参加者に、勇次郎の事を知らせ、勇次郎はどんな手段をもってでも倒す。
4:その他、アミバ・ラオウ・ジグマール・平次(名前は知らない)、危険/ゲームに乗っていると思われる人物に注意。
5:乗っていない人間に、ケンシロウ、及び上記の人間の情報を伝える。
6:可能なら、光成と会って話をしたい。
7:可能ならばエレオノールを説得する。
8:手に入れた首輪は、パピヨンか首輪解析の出来そうな相手に渡す。

[備考]
※パピヨン・勝・こなた・鳴海と情報交換をしました。
※刃牙、光成の変貌に疑問を感じています。
※こなたとおおまかな情報交換をしました。
※独歩の支給品にあった携帯電話からアミバの方に着信履歴が残りました。
※ジグマールとケンシロウは独歩の意識が戻った事について、未だ知りません
※ジグマールから数メートル付近にうつ伏せになっています
375Classical名無しさん:08/02/21 20:43 ID:ThiCFyHU
エレオノールが歩く。
念のため、あるるかんは仕舞わずに、己の斜め前方に立たせる。
エレオノールの視線の先には、小刻みに身体を震わせるナギの姿。
年端もいかぬ少女に、予想以上に時間をかけられた事にエレオノールは腹立たしく思う。
だが、それと同時に別の感情もあった。
それはナギに対しての一種の敬意ともいえる感情。
一人だけの力ではないものの、自分を相手に奮戦したナギの意地は賞賛に値する。

「あなたは何故、私が闘うのかと訊いたな?
どうせあなたが私に勝てる見込みはない。ならばあなたへのせめての礼として、教えてやろう。
私の闘いの理由を」

そう考え、エレオノールはナギに、自分の闘いの理由について話す事を決めた。
その瞬間、うつ伏せに倒れていたナギの身体が、大きく揺れた事には気付いていない。

「あの記憶の中で見た、人形。彼女は人間になった後でも、人が無残に死んで行く惨状に顔を背けていなかった……。
きっと彼女はそれを望んでいたのだろう。人形の私にはわからないが、人間は他の人間が死ねば喜ぶものに違いない。
だからきっとナルミは笑ってくれる……私が人間を殺し回れば笑顔を見せてくれる……そのために私は闘っている!」

以前見た、フランシーヌ人形の記憶。
本来、フランシーヌ人形は人間が死ぬ惨状を見て、その後人間となった。
未だ幼い赤子である、エレオノールに笑ってもらい、彼女自身も心の底から笑えた事によって。
記憶を見た順番の違いにより、生じてしまったエレオノールの思い込み。
だが、エレオノールはその事になんら疑いは持っていない。
元々、人形繰りだけを学び、自動人形の破壊のみに費やしてきたエレオノール。
更に、笑う事が出来ない自分を、人形と思い込む彼女は一般の常識とは逸脱している。
377Classical名無しさん:08/02/21 20:44 ID:G97Womyg
 
378Classical名無しさん:08/02/21 20:45 ID:FiWnvZDo
       
379Classical名無しさん:08/02/21 20:46 ID:Dh0XB4.g
「あなたの知りたいコトは話した。さぁ、そろそろナルミのコトを――――なっ!?」

鳴海が自分の行為を褒めてくれる未来。
そんな未来を思い浮かべ、つい気持ちが昂ったエレオノールが驚く。
エレオノールの視線の先にはナギの身体が映る。
但し、先程のようにうつ伏せに倒れているのではない。
懸命に身体を動かし、頭を上げ、エレオノールの方を向いている。
そのナギの表情にエレオノールは驚きを隠せない。

「ふざけるな……しろがね! お前のその言葉、鳴海への侮蔑にも等しいぞ!」

最早別人とも思えるかのような、ナギの怒りの表情。
確実な怒りをエレオノールは感じる。
何故、ナギがこんなにも怒っているのか?何故、自分の言葉が出てこないのか?
答えの出ない疑問が彼女の脳裏を駆け巡る。

「あの鳴海が、人が死んで嬉しがるわけがないだろう! 他人のために命を張って……
自分の命が燃え尽きてしまいそうな男が……嬉しがるわけがない!!」

ナギの全身には疲労は勿論として、痛みも未だ残り続けている。
だが、その痛みよりもナギには我慢できない事がある。
それは、意味不明ともいえる戯言を漏らすエレオノールへの怒り。
エレオノールが言っていた、記憶や人形などの話には興味がない。
只、鳴海のために殺人を行っている。 エレオノールがそう言った事に対しての怒りだけだ。
唖然するエレオノールを尻目に、ナギは二枚の紙を取り出す。

「そんな事もわからんお前には、鳴海のコトを口に出す資格はない!」

一枚目の紙を開き、一本の、何の変哲もない白のハチマキが出現する。
才賀善冶によって勝が誘拐された時に、鳴海が巻いた一本のハチマキをナギが己の頭に巻く。

(私にお前の力をかしてくれ鳴海……お前の大事な存在、しろがねの眼を覚ますためにも!)
381Classical名無しさん:08/02/21 20:46 ID:Q4Uu0Li.

382Classical名無しさん:08/02/21 20:46 ID:ThiCFyHU
383Classical名無しさん:08/02/21 20:47 ID:FiWnvZDo
        
鳴海が使っていたハチマキを巻いた瞬間、ナギは不思議な感覚に囚われる。
身体の奥底から、心地よい熱が全身に行き通っていく。
その感覚にナギは僅かに両眼を細め、勢い良く開く
続いて、二枚目の紙をナギは開いた。
現れた小さな瓶のようなものをナギは手に取り、一気に飲み干す。

「私が……私が鳴海に代わってお前を叩きなおしてやる! お前達と同じ存在になった……この私がなッ!!」

その瓶の中に入っていたものは、生命の水(アクア・ウィタエ)。
昔、才賀正二がアンジェリーナから半ば強引に奪い、摂取したもの。
みるみる内に、ナギの毛髪、両眼が銀色に染まっていくのをエレオノールは、驚愕の表情で見つめた。
身体を最適な状態に適応させる生命の水により、ナギが遂に、前屈みにもならず、立ち上がる。
続けて、スパイスガールを発現し、武装錬金を発動させ、弓を構えるナギ。
今、再び二人の闘いが始まった。二人のしろがねによる闘争の舞台が。


「あるるかぁん! LES ARTS MARTIAUX! (闘いのアート!) 聖ジョージの剣!」

あるるかんが動く。
右腕の、聖ジョルジュの剣を横方向に振りぬく。
先程スパイスガールの肩に裂傷を与えた聖ジョルジュの剣が、スパイスガールに迫る。
だが、当たることなく虚しく空を切る結果となった。
バックステップをし、距離を取った事で攻撃を回避したスパイスガール。
先程より速い反応に違和感を覚えたエレオノールだが、構わずあるるかんを直進させる。
今度は左腕の聖ジョルジュの剣による、斬撃の一閃が切り裂かんと唸りを上げた。
385Classical名無しさん:08/02/21 20:48 ID:G97Womyg
 
「甘い!」
「なっ!?」

だが、聖ジョルジュの剣が切り裂く前に、スパイスガールの拳がそれを殴りつける。
瞬く間に軟体化し、不格好な音をたてて、スパイスガールの身体にぶつかる聖ジョルジュの剣。
当然切れ味などなくなっているため、スパイスガールにはなんのダメージもない。
何をされたのか皆目見当が付かないが、エレオノールは即座に次の行動に移る。
踏み込んだあるるかんの左脚を踏ん張り、そのままの勢いで右脚の動作繰りを行う。

「ナルミがお前のやっているコトを知ったら、きっと悲しむ! なんでそんな簡単なコトもわからんのだ!!」

振り上げられたあるるかんの右脚よりも早く、スパイスガールの拳が叩き込まれる。
顔面を殴りつけられた事により、あるるかんが後方へ吹っ飛ぶ。
苦い表情を浮かべながら、エレオノールは同じように後方へ距離を取った。
先程の戦闘で、スパイスガールがナギの近くしか行動できない事は既に知っている。
完全に崩れた、あるるかんの体勢を整えるためにも、エレオノールは一旦距離を取る事を選んだ。
だが、エレオノールの表情が再び驚愕の色に染まる。

「こ! これは!?」
「お前も知っているはずだ! あいつの強さを……あいつのバカみたいなお人良しさをッ!!」

スパイスガールがエレオノールの想像以上の速さ、行動距離を見せた。
朧気に感じていた、先程の動きとの違い。
それが最早、気のせいではないとエレオノールは判断する。
事実、ナギのスパイスガールは成長し、拳速、行動距離など、全ての能力が向上していた。
ジャン・ピエール・ポルナレフがヴァニラ・アイスと闘った時のように。
譲れない想いが、スパイスガールの成長を誘発していたという事だ。
射程外だと思っていたため反応が間に合わず、エレオノールはスパイスガールの拳を腹部にもらう。
あるるかんの繰りを行う指輪が外れるのを防ぎながら、エレオノールは後方へ吹き飛ぶ。
いや、空中であるるかんの右脚を繰り、聖ジョルジュの剣で攻撃を仕掛けた。
拳を合わせるタイミングが取れず、ナギの元へ戻ろうとしたスパイスガールの頬に切傷が生まれる。
387Classical名無しさん:08/02/21 20:50 ID:FiWnvZDo
        
388Classical名無しさん:08/02/21 20:50 ID:Q4Uu0Li.

「確かにそうかもしれない……ならば、確かめるまでだ!」

以前、自分と共に花火を打ち上げた人物の様子を見にいった鳴海。
そして、誇り高く範馬刃牙と闘った鳴海の姿に、一時は羨ましさを覚えた。
だが、刃牙に核鉄を渡し、不信感もあり、自分の師匠、ギイとも関係があるかもしれない鳴海。
あまりに鳴海に関する事が重なりすぎたため、エレオノールはもう一度彼に会い、話をする事に決めた。

「そのためにも私はナルミにもう一度会う必要がある……答えろ! ナルミは今どこで、なにをしている!?」

頬の血を拭っていたナギに、荒々しくエレオノールが叫ぶ。
そもそも自分の目的である、鳴海の情報を求め、エレオノールは駆け出す。
あるるかんと共に、走り来るエレオノール。
そんなエレオノールをナギは黙って見つめていた。

「――――だよ」

先程とは打って変わって、あまりに小さい声でナギは呟く。
何か様子がおかしい。そう思いエレオノールがナギの様子を観察する。
今すぐにでも泣き出しそうで、必死に涙を堪えているナギの顔が見えた。

「死んだよ……鳴海は……私達に後を任せてな。死んじゃったんだよ……鳴海は……」

ナギがポツリ、ポツリと呟く言葉。
駆け出していたエレオノールの、足の動きがピタリと止まる。
俯きながら、必死に涙を堪えるナギ。
だが、そんなナギを見る人物は一人も居ない。
どこを向いているかもわからない程、エレオノールの目線は泳いでいる。
ナギの言った内容が、エレオノールは直ぐには理解できなかった。
390Classical名無しさん:08/02/21 20:51 ID:FiWnvZDo
                
391Classical名無しさん:08/02/21 20:52 ID:G97Womyg
 
「嘘だ……ナルミが死んだなど……嘘だッ!!」

才賀勝を失い、優勝者の褒美の話もいま一つ信用性に欠ける話である。
そのため、鳴海を笑わせる事だけを目的としてエレオノールは闘ってきた。
だが、鳴海が死んでしまえば、自分の目的は無くなってしまう。
目的がない人形など最早人形ともいえない。言うなれば、ジャンク(欠陥品)だ。
碌に自分の役も演じられず、ジャンクとして人生を終える事になる自分。

「ああああああああああああぁぁぁぁぁぁッッッッッ!!」

その事実を振り解くかのように、エレオノールが走り続ける。
浮かべる表情は怒り、疑念など様々なものが入り混じったもの。
両腕の繰りによって、同じように疾走するあるるかんの動きは荒い。
自分の目的を失い、冷静さを失ったエレオノールの人形繰りは、最早、鮮やかなものとはいえない。
只、目の前のナギを叩きのめし、先程の言葉を撤回させるためにあるるかんを操る。
これまでにない変則的な動きで、あるるかんの両腕がナギとスパイスガールに迫った。

「嘘じゃない! そんな悪趣味な嘘を言うもんか……。鳴海は最後まで、痛いのを我慢して
闘って……死んじゃったんだ!!」

悲痛な叫びを上げるエレオノールに対し、ナギが顔を上げ、力強く叫ぶ。
咄嗟にスパイスガールの左腕で大地を殴り、ナギがその地点に足を踏み込む。
軟化し、柔軟性に優れる大地を蹴り、ナギが跳躍する。
しろがねになる事によって、得る事が出来た身体能力を存分に引き出す。
更に、後方へ飛びながらエンゼル御前の矢を掃射する。
地上で打ち合うスパイスガールとあるるかんから、
少し離れた位置でナギを見上げていたエレオノールは、咄嗟に横に飛びのく。
だが、完全には避け切れず、左ふくらはぎ、左腰、右肩それぞれに一本の矢が突き刺さり、赤い鮮血が噴き出す。
負傷の事実に構わず、エレオノールはあるるかんを操り、右腕の聖ジョルジュの剣が斜め上に振り上がる。
両腕を伸ばしていたスパイスガールの腹部から肩までに、深く、そして長い亀裂が走った。
亀裂が入った部位から、砂のようなものが大気に向って昇っていく。
「ぐっ! まだだあああぁぁぁぁぁッッッ!!」

スパイスガールと同じ傷を受け、赤い鮮血を撒き散らしながらナギが大地に降り立つ。
以前のナギならとっくに致命傷となる程の負傷。
だが、今の彼女にはしろがねとしての生命力がある。
何より、こんなところで終わるわけにはいかない気持ちが、抑えきれない程強い。
少し色が薄くなったスパイスガール一点に、再び精神を集中させる。
今までより更に速い速度で、あるるかんに迫るスパイスガール。
大きく振りかぶり、前方に突き出した右の拳を胸部に受け、あるるかんが破片を散らしながら吹っ飛ぶ。

「では、ナルミが死んでしまったら……私はどうすればいい! 私はナルミを笑わせるために闘ったというのに……。
目的がない人形である私は……この先何をすればいいのだ!?
それになんだ……? 胸が張り裂けそうな、この奇妙な感覚は一体……?」

あるるかんと共に、後方へ跳んだエレオノールが両手を自らの胸に当てる。
鳴海が死んだという事を聞かされた後、馬鹿みたいに鼓動が早くなっている。
今までにない、不自然な感覚にエレオノールは動揺を隠せない。
鳴海にもう二度と会う事が出来ない。
その事実が何故か、エレオノールの心をがんじがらめに縛り付けている。

「しろがね……お前はきっと鳴海が死んだコトを認めたくないんだ……。
理屈じゃないんだ……お前もきっと鳴海のコトが大事な存在だと感じているハズだ……。
だから、あんなに怖い顔も出来た……鳴海を深く想っているからこそな……」

スパイスガールを依然発現したままのナギが、苦しそうに呟く。
しろがねといえども決して、不死の存在ではない。
出血が多ければ、常人と同じように死んでしまう。
頬と腹部から肩までに出来た裂傷は完全には修復していなく、未だ血は流れ続けている。
ナギの命が磨り減っている事は、最早明確な事だ。

「ナルミが私の大事な存在……? 私が……ナルミに想いを寄せているだと……人形であるこの私が……この私が……?」
心底不思議そうな顔で、エレオノールは言葉を繰り返す。
この殺し合いに呼び出される前には、人を想うなどという感情は持った事がない。
そのためナギの言う言葉通り、自分が鳴海を大切な存在であるかどうかすらわからない。
只、自分に笑顔を向けてくれた鳴海の姿を思い出すと、不思議な感覚には囚われる。
その事だけしか、今のエレオノールにはわからなかった。
そんなエレオノールに向って、ナギが決心したような表情で口を開いた。
ここ一番の大声を伴って、ナギが叫ぶ。

「バカもん! お前は人形なんかじゃない! 人形が……人形がそんな風に悩んだり、さっきみたいに怒ったりできるもんか!
お前も私や鳴海と同じで正真正銘の人間なんだ! 転んだり、迷ったりするけど自分一人で道を切り開ける……。
私達となにも変わらない……この世でたった一人の人間なんだよ! しろがね……いや、エレオノールッ!!」

ナギの言葉が何度も、何度もエレオノールの脳裏を揺さ振る。
自分が人形ではない?
とても信じられない事を叫ぶナギに、疑問が生じる。
だが、自分が捨て去った名前を呼ばれた瞬間、何か奇妙な感覚が走った。

「私達とこの殺し合いを潰そうエレオノール! 私達と鳴海もそれを望んでいる! 皆でここから抜け出す事が出来れば……お前もきっと笑顔になれるさ!
きっと……きっと鳴海が見惚れるくらいの笑顔が出来る……絶対にだッ!!」

エンゼル御前の矢を放ちながら、スパイスガールと共にナギが走り出す。
自分の言葉をエレオノールがどこまで、受け入れてくれるかはわからない。
そのため、力付くでもわからせるためにナギは仕掛ける。

「私は……私はッ!!」

長きに渡る闘いの癖で、半ば無意識的にエレオノールはあるるかんを繰る。
ナギを自分に危害をなす存在、敵と判断し、迎撃を行う。
エレオノールの闘志は未だ、折れてはいないからだ。
スパイスガールとあるるかんの、二体の人形が肉迫する。
395Classical名無しさん:08/02/21 20:58 ID:XLO.Qdlw
 
――スパイスガールの右の拳が叩き込まれた衝撃により、あるるかんの顔が大げさに揺れる。
――体勢が崩れたあるるかんの左脚が上がり、聖ジョルジュの剣がスパイスガールの右脇を下方から上方へ向って突き刺さる。
――開いていた右脇を閉じ、あるるかんの左脚を固定し、スパイスガールの左腕が腹部に振り下ろされる。
――あるるかんの右腕がスパイスガールの左手首を掴み、動きをしっかりと抑えた

「エレオノールーーーーーッッッ!!」

先程スパイスガールを使い、柔らかくさせておいた地面を蹴り、ナギが両手を振りかぶる。
右脇に走った激痛、出血に表情を歪ませながらナギは跳んでいた。
その両手に握られたものは核鉄。
スパイスガール、そしてあるるかんを飛び越え、核鉄による打撃でナギはエレオノールの沈黙を狙う。
スパイスガールとあるるかんは互いに組み合い、行動は難しい。
ナギとエレオノールを邪魔立てするものはなにもない。

「なっ!?」

だがそんな時、ナギは驚きの声を上げ、急に身体の動きが鈍くなる。
ナギの視界に、身体中が砂のようなものとなり、消えていくスパイスガールの姿が入る。
いくらしろがねになったといえども、スタンドを操るナギの体力、特に精神力は底を付いていた。
完全に消えたスパイスガールから、抜け出したあるるかんがナギに向って飛び上がる。
武装錬金を発動する暇もなく、そのまま核鉄をあるるかんにぶつけようとナギは両腕に力を込めた。

「……おしまいだ」

だが、核鉄はあるるかんにぶつかる事なく、あっけなく地に落ちた。
あるるかんの、右腕の聖ジョルジュの剣にはべっとりと赤い鮮血が張り付いている。
ドラゴン殺しの英雄の名を取った、聖ジョルジュの剣の切れ味は凄まじく、容易に物体を切断できる。
たとえ、しろがねになった人間の身体でさえも。
全身に、真っ赤な鮮血を浴びた、エレオノールの姿がそこにあった。

◇  ◆  ◇
397Classical名無しさん:08/02/21 20:59 ID:FiWnvZDo
        
398Classical名無しさん:08/02/21 21:00 ID:XLO.Qdlw

399Classical名無しさん:08/02/21 21:00 ID:FiWnvZDo
          
400Classical名無しさん:08/02/21 21:00 ID:G97Womyg
 
「私を人間と言ってくれたコトは嬉しく思う……だが、私には実感が湧かない。私が人間であるというコトも……ナルミが死んでしまったというあなたの話も……」

核鉄を回収し、エレオノールが呟く。
生身の身でありながら、とてつもない強さを誇った鳴海。
エレオノールにはそんな鳴海が死んでしまったという事実がとても信じられなかった。
いや、信じたくなかったかもしれない。
ナギが自分の事を惑わすために付いた嘘だと、思いたかったのかもしれない。

(でも本当にナルミが死んでいたら……私は……私は……どうすればいい……?)

心に疑念を持ちながら、エレオノールは走り出した。
仮初の同盟を組んだ相手、マーティン・ジグマールの元へ戻るために。
一人ぼっちではどうしようもなく、不安で自分自身を見失いそうな錯覚に脅えながら。
エレオノールは走り去った。
ナギの真っ赤な返り血を全身に浴びたままの姿で。
胴体を切断され、二つに分かれる事となったナギを残して。

【D-3 西部 1日目 真夜中】

【才賀エレオノール@からくりサーカス】
[状態]:全身に打撲と裂傷、腹部に中程度のダメージ、左ふくらはぎ、左腰、右肩に矢による傷(しろがねの再生力、核鉄の治癒力で再生中)、精神不安定 、血まみれ
[装備]:本部の鎖鎌@グラップラー刃牙、あるるかん(白金)@からくりサーカス(頭部半壊、胸部、腹部に大きな損傷、全身にへこみと損傷あり)、エンゼル御前の核鉄@武装錬金(核鉄状態)
[道具]:青汁DX@武装錬金、ピエロの衣装@からくりサーカス、支給品一式
[思考・状況]
基本:???????
1:取り合えずジグマールの元に戻る。
2:ナルミが本当に死んでいたら……
3:強い者とは無理に戦わないが、勝機を逃すつもりはない。
4:ジグマールと共に行動し、強敵を減らす。
[備考]
※ジグマールと情報交換をしました。
※参戦時期は1巻。才賀勝と出会う前です。
※夢の内容はハッキリと覚えていますが、あまり意識していません。
※エレオノールが着ている服は原作42巻の表紙のものと同じです。
※ギイと鳴海の関係に疑問を感じています。
※メイクは落としました。
※フランシーヌの記憶を断片的に取得しています。
※「願いを叶える権利」は嘘だと思っています。
※制限についての知識を得ましたが、細かいことはどうでもいいと思っています。
※ケンシロウとキュルケを恋人同士だと思っています。
※鳴海の死亡を嘘だと信じたい節があります
※エンゼル御前は使用者から十メートル以上離れられません。 それ以上離れると核鉄に戻ります。
403Classical名無しさん:08/02/21 21:01 ID:XLO.Qdlw
 
『私――――――ト――――――――ない。が――――――う――――――ナル――――――たと――――――話も……』
(なにを……なにをいっているの……だ、エレオ……ノール……?)

エレオノールが何か言っているようだが、ナギにはよく聞こえない。
身体をしろがね化させたといっても、無理やりに動かしていた分疲労は大きかった。
最早碌に言葉を出す気力も、腕一本も動かす力もない。
腹部に走る焼けるような痛みがナギの力を、気力を奪っていた。
しろがねの強靭な生命力により、なんとか生きている事が出来ている状態。
うつ伏せの状態で、自分の下半身を見る力もないナギだが、自分の身体に起きた事はわかる。
空中であるるかんに胴体を切断され、地に落ちていく自分の下半身を見届けたからだ。
エレオノールに声をかけようとしたが、彼女が立ち去る音が彼女の気配が消えたのでナギは諦めた。

(まぁ……十分に……時間は稼いださ……あとは独歩さんや……ケン、こなた達に任せて…………ちょっとだけ……寝ようかな…………。
……カズキ……ジョジョ……マリア……鳴海……私は……私なりに…………頑張ったぞ………………だから……もうすこし…………待ってく…………れ……)

今まで出会った仲間、知人達の顔を思い浮かべ、ナギが両眼を細める。
皆、いい人達で自分をお金持ちのご令嬢としてではなく、一人の少女として見てくれた掛替えのない仲間。
何故か彼らの事を思い浮かべると、心地よい気持ちになってくる。
もうすぐ、自分の命が尽きようとしているというのに。
その不自然さに、いいようのないナギは可笑しさを覚え、同時に悲しくなってきた。
自分の愛する人、そして尊敬する人である二人に会いたくなってしまったから。
405Classical名無しさん:08/02/21 21:03 ID:FiWnvZDo
            
406Classical名無しさん:08/02/21 21:04 ID:XLO.Qdlw

(ハヤテ………………ヒナギク…………もっと…………遊びた……かったんだぞ
…………私は…………いっぱい……いっ……ぱい……だ。
でも……………………悔いはない…………やれるだ…………けのコトは
…………やったから……な……………………。
しろがね…………のコト…………が…………すこし気に…………なるが…………)

身体が段々と固くなり、全身のコントロールが効かなくなるのがわかる。
以前、鳴海が死んだ時のように、自分の身体にひびが走っていくのをナギは確認した。
それはしろがねがこの世を去る印。
ナギの両頬に涙がポロポロと滴る。

(ごめんよ…………ハヤテ…………お前を…………残して……………………
死んでしま…………う…………私を…………ゆるし…………てくれ……。
…………こんな私だが…………ハヤテ…………最後に…………もう一つ
……………………おねがいして…………もいいか…………)

運命の人、ハヤテと過ごした日常をナギは振り返る。
――クリスマス・イブの日、暴漢に襲われた自分を助け、情熱的な告白をしてくれたハヤテ。
――自分の我侭を聞き、自転車を漕いで一緒に初日の出を見に行ってくれたハヤテ。
――狂言誘拐で誘拐され、東京の地下で暴走したロボットから自分を助けてくれたハヤテ。
――秘密のダンジョンを探索中に、悪霊がついたロボットの囚われた自分を助けてくれたハヤテ。
数え切れない程の、大切な思い出を思い出す度に、ナギは涙を零す。
408Classical名無しさん:08/02/21 21:05 ID:G97Womyg
 
409Classical名無しさん:08/02/21 21:06 ID:FiWnvZDo
        
(もし私が…………うまれ…………かわるコトが…………できて…………ハヤ……テ…………の前に……あらわれた……ら……。
その時は…………ま…………た……私…………の…………)

だが、その表情は決して暗いものではない。
それどころか、どことなくナギは嬉しそうな表情を浮かべていた。

(執事を…………やらない…………か……? ずっと…………ずっ……と……
私の執事を………やってくれ…………。
私の…………一番…………大切な……人……大好きな…………ハヤテ…………)

その瞬間、バリンと、何かが割れるような音が辺り一面に響いた。
その音を聞いた者は誰一人として、居ない。
只、赤い鮮血に塗れた一本のハチマキ。
そして、以前三千院ナギであったモノが辺り一面に散らばっていた。
粉々に砕け散った、破片が。
だが、彼女の顔の破片はどこか満足げなものであった。
実際には、心の中で呟いただけであったが、ナギは綾崎ハヤテに最後の言葉を言う事が出来た。
その事がナギを満足させる事が出来たのかもしれない。

君にこの言葉が届きますように――――――そんな願いを込めた言葉を、言う事が出来たから。




【三千院ナギ@ハヤテのごとく!:死亡確認】
【残り21人】
411Classical名無しさん:08/02/21 21:07 ID:XLO.Qdlw
412 ◆14m5Do64HQ :08/02/21 21:08 ID:nbiNcbuI
投下終了しました。
ご指摘や感想などお待ちしています。
それでは失礼。
413Classical名無しさん:08/02/21 21:13 ID:G97Womyg
投下乙!
ナギが…ナギが死んじまった。ちょっと前ハヤテがこれでお嬢様は大丈夫って言ってたのに…死者スレで賑やかにやってくれよ
タイトルはナギからエレオノールじゃなくてハヤテへの言葉だったのね
つかアカギてめぇw

ケンシロウはケンシロウでちょっとした因縁対決だし、ジグは覚醒、独歩も起きてる。
次の話の予想がつけられない見事な展開運びでした。お見事!
414Classical名無しさん:08/02/21 21:13 ID:hCsXwmjk
投下乙です
ナギーーーー!?まさかお前がここまでかっこよく散ってくれるとは…
エレオノールにはでかい楔が打ち込まれ、どうなるかわからなくなってきた
しかしハヤテ勢連続死…これもまたパロロワか
よき話でした、GJ!

しかしアカギ。お前いい加減に覚醒製造機っぷりを自重しろw
415Classical名無しさん:08/02/21 21:15 ID:Dh0XB4.g
投下乙
何なんだこのロワは!釘宮のジンクス何それおいしいのな活躍だったな、ナギ
エレオノールはこの先どうなるのか
そして愚地独歩復活ッッ!!愚地独歩復活ッッ!!愚地独歩復活ッッ!!愚地独歩復活ッッ!!愚地独歩復活ッッ!!愚地独歩復活ッッ!!
してぇ〜闘いに参加してぇ〜な感じですね
そしてケンシロウ対ジグマール!ハンデはあるもののあなどれない戦いだ!

416Classical名無しさん:08/02/21 21:16 ID:FfnqWz8o
また一人対主催が散って行ったか……。
厄病神ではあったが、死んでみるとさびしいなあ。
残った21人でもマーダーたちはまだまだ元気だし、どうなることやら。
あとアカギ、お前、頭いいけど微妙に対主催の足も引っ張ってるよな。
せめてジグマール何とかしろよw
417Classical名無しさん:08/02/21 21:21 ID:FiWnvZDo
投下乙!
ナギが……女の意地を……みせた!
しろがねを説得しようと必死で頑張るナギに俺が泣いた。
死者スレでハヤテと仲良くな!
ジグマールとケンシロウの対決……独歩の復活ッッ!!
気になる展開ばかり。燃える展開ばかり。
GJ!
418Classical名無しさん:08/02/21 21:22 ID:KH6/Km/g
投下乙!
ああ、疫病神ついに堕ちるか……。
ジグマールも隊長モードに戻ったし、戦闘途中の男達も先が読めない。

それにしてもアカギ、こいつはさりげなくこなたゲットして激戦区脱出かw
419Classical名無しさん:08/02/21 21:22 ID:XLO.Qdlw
投下乙です
熱い、熱過ぎる
ナギの散り様が素晴らしかった
エレオノールを改心させるには至らなかったものの、鳴海が思っているであろう事をキッチリと伝えてくれましたね
ケンシロウ対ジグマールっていう美味しい状況を作った手法も、お見事でした
420Classical名無しさん:08/02/21 21:35 ID:Q4Uu0Li.
投下乙ッ!!
アカギ・・・だめだ、こいつ・・・なんとかしないと・・・

ナギィィイイ――――ッ!!
お前の熱い魂は確かに伝わった!安らかに眠れ・・・
これでエネオノールも対主催者に心変わりか?
421Classical名無しさん:08/02/21 21:52 ID:uZzVoCH.
乙です!
ナギイイイイイイイイイイイイ!!!
…まさかお前がこんな熱い散り方を見せてくれるとは…目頭が…
しかしこれでTQNに会う、もしくは救う気を持つ人物が覚悟のみになったか?
何気に状態表でずっとカズキの死をTQNに伝えるってのがあったんだよな
エレオノールも次の放送を聞けば否が応でも知ることになる鳴海の死を知ったなぁ
ナギを倒したとはいえこっから巻き返しはあるのか?

けどさ…
おまいら皆ナギのことを疫病神疫病神言うが
…真の疫病神はアカギじゃないか?
…絶対、他の対主催の運吸ってるだろ…覚醒したの殆どマーダーで
接触した対主催殆ど惨事に合ってるじゃねえか…
422Classical名無しさん:08/02/21 22:39 ID:SaS6lK6Y
投下乙。ナギが……ナギが逝ったか。
そしてエレにも何かしら影響を与えたと期待。
上手く3集団に分割もしてGJ。
423Classical名無しさん:08/02/21 22:54 ID:hSs/waaw
しかしこのロワトリーズナーが一人はいるな。ついに隊長までNOとしかいわない男に。
たしかジグマールが覚醒したのってアミバが死んだのと同時期だよね。
424Classical名無しさん:08/02/21 23:19 ID:5KYcK4W2
最近まとめスレで読み始めたんだが
桐山死亡話の頃って何スレ目くらい?
読んでて桐山に違和感を感じたから当時リアルタイムで読んでた人がどんな風に感じてたかを知りたいんだが。
425Classical名無しさん:08/02/21 23:43 ID:E1D32.JE
なんつーか……
アカギ、オマエこそがジョーカーじゃねーの?
426Classical名無しさん:08/02/21 23:58 ID:40euDcA6
>>412
投下GJでした、非常に些細な指摘ですが
ジグマールの状態表で、エレオノールの名前を知っているのか知らないのか、どっちなのかよくわからないです
427Classical名無しさん:08/02/22 00:01 ID:lLId8/PY
>>424
桐山死亡はパート5だ
桐山はコイン投げて表が出たから対主催になった上にマンガ版特有のパクリ能力
あるからな。小説版とか映画版のイメージを念頭においておくと違和感を感じてしまうかもな
http://www32.atwiki.jp/comicroyale/archive/20071018/e2d792092f0df1fbdd42c5f7660878a6
428Classical名無しさん:08/02/22 00:13 ID:HtXw05EI
なんか皆触れてないけど「あるるかん」て銀時に支給されたはずだよな。
いいの?同じ支給品とかあって。
429Classical名無しさん:08/02/22 00:18 ID:IQJ0wp8c
う〜む。ラーニングは・・・・原作で杉村の拳法を短時間で真似てみせた所が強調されたのかな?
430Classical名無しさん:08/02/22 00:20 ID:iZN.Y3cE
>>428
あるるかんは二体ある。
431Classical名無しさん:08/02/22 00:20 ID:9JODrcZg
>>428
今回出てきたには原作の最後の方に出てきた白金の使ってる白い「あるるかん」だとおもう
白黒逆転してるだけでオリジナルと性能は変わらんかったはず
432 ◆CCMRMQVVWQ :08/02/22 01:24 ID:15.nI1GQ
予約スレにも書き込みますが、服部、劉鳳、三村、ジョセフの予約を破棄させてください。
色々粘ったのですが、中々かけませんでした。機会があったら、またチャレンジしたいと思います。
433Classical名無しさん:08/02/22 01:32 ID:eNp6/kMk
>>432
楽しみにしていたのですが…お疲れさまでした。次のチャレンジをお待ちしています
434Classical名無しさん:08/02/22 01:34 ID:x.5jHAy2
まぁ、なんだ。

ぶっちゃけ疫病神が死んだから脂肪フラグ製造器が1つ減ったな
435Classical名無しさん:08/02/22 01:53 ID:y9hHd3ZI
実際ずっと製造してたのはアカギな気がするが……
436Classical名無しさん:08/02/22 03:17 ID:.ONkK6Lk
ケンシロウは一度アカギに助けられてるがこの場を切り抜けられるのか・・・
アカギ的に一番欲しいタイプの対主催ってもうケンシロウだけじゃね?
劉鳳は頭堅いし探偵二人は戦闘力ないし覚悟はマーダー救済する気だし三村はあり得ないしで。
ハヤテが死んだのは結構大きいな
437Classical名無しさん:08/02/22 09:08 ID:6ToVz1uc
それでもパピヨンなら……
438 ◆14m5Do64HQ :08/02/22 13:25 ID:dX.iiRVY
皆さん、感想どうも有り難うございました!
それと支援して貰ってお礼を言ってませんでしたね。申し訳ない。

>>426
ご指摘どうもです!
消し忘れてました……wikiに収録され次第、エレオノールの名前は知らない方向に修正しときます。
439Classical名無しさん:08/02/22 14:47 ID:It4Re8bY
>>436
村雨は?
440Classical名無しさん:08/02/22 18:50 ID:iXnW9aIA
劉鳳、ジョセフにものっそい敵対されるだろ。特に劉鳳がヤバい
鳴海や承太郎みたいな黄金の精神とはまたなんか違う感じがする。
441Classical名無しさん:08/02/22 20:48 ID:YMIzB34k
トニオの水すげーーー 独歩の目が萎んだりしたあとに10時間熟睡したみたいにすっきり
したのかな
442Classical名無しさん:08/02/23 03:07 ID:91PVxrQ.
思ったんだがs.CRY.edで進化できるのってアルターだけ?
スタンドの成長とかできたりしないかな。ゴールドエクスペリエンスをレクイエムとかに
443Classical名無しさん:08/02/23 09:03 ID:9MFdzqz.
できるかもしれんが完全なオリジナルスタンドになってしまうぞ。
レクイエムは本来の持ち主のジョルノならできるかもしれんが借り物のスタンドじゃ無理だろ。
スタンド=本人の精神のあり方みたいなもんだし。
444Classical名無しさん:08/02/23 11:32 ID:JjqvtFaI
レクイエム化は無理でも
ヴァニラ戦のポルナレフみたいに
一時的なパワーアップはできるんじゃない?
445Classical名無しさん:08/02/23 11:46 ID:rjPVhkf6
s.CRY.edでスタンドは進化しないだろう。
s.CRY.edと叫んで士気を高めて精神力アップ→スタンドパワーアップ
ならあるかもしれんが
446Classical名無しさん:08/02/23 16:31 ID:dd6Ee6VA
ジグマールあたりがs.CRY.edしたらどうなるんだろうな?
最終進化でギャランドゥ復活とかだろうか?
447Classical名無しさん:08/02/23 16:41 ID:P91MaNs6
>>446
ギャランドゥ曰く自立するアルターが最終進化なんじゃなかったっけ?
448Classical名無しさん:08/02/23 16:43 ID:aTOK0rAI
あれ?何で独歩が生き返ってんの?
449Classical名無しさん:08/02/23 16:55 ID:7CkrrD6E
>>448
上の方読め
450Classical名無しさん:08/02/23 20:32 ID:2c6CGjqg
正直スタンドが原作以上のスペックに成長するのはおかしいと思うんだ
原作でだって持ち主の生きるか死ぬかの過酷な経験や
実践と研鑽の積み重ねでようやくあの強さになってる訳だし
まあ適性関係なく無理矢理使ってるから使用者に合わせて変化したともとれなくはないが
451Classical名無しさん:08/02/23 20:49 ID:7CkrrD6E
>>450
全ては「勢い」と「凄み」で説明できます

というのは冗談にしても、ノリが重要かと
452Classical名無しさん:08/02/23 23:47 ID:qeesXryM
ノリですね。
逆にナギのスパイスガールにしろ、トリッシュよりは勿論扱い下手だったけど
ノリで成長したことによってやっとこさトリッシュレベルまで扱えたとも考えられる。

文章中にトリッシュを越えたとは言われてないし。
トリッシュレベルとも書かれてないが。

453Classical名無しさん:08/02/23 23:56 ID:P91MaNs6
wikiの死亡者の最後の言葉切ないな
ハヤテのあの台詞のすぐ下がナギとか泣けてくらぁ
454 ◆6YD2p5BHYs :08/02/24 00:29 ID:m/xGRlqY
予約していた2名、投下します。
455Classical名無しさん:08/02/24 00:31 ID:OIdkrZTo
           

……薄暗い部屋の中、その「卓」だけが明かりに照らされていた。
静かである。そして清潔である。
視界が曇るほどに吹かされるタバコの煙もない。酒の匂いもしない。食べ物の匂いもしない。
こういう場には付き物の、ジャラジャラと鳴らされる点棒や牌の音も聞こえてこない。
恐ろしいほど静かで清潔な雀卓を囲んでいるのは、4人の人物。
1人は、若さの割に鋭くも落ち着いた空気を纏った銀髪の青年、赤木しげる。
1人は、一見すると小学生ほどの外見の少女、泉こなた。
残る2人は……これは、「顔が無い」。全身タイツのような奇怪な服に身を包み、表情も覆面に隠されている。

「……さて……リーチだよ……!」

ざわ……! ざわ……!
んふっ、と自慢げに鼻を鳴らす少女に、場の空気が張り詰める。
半荘勝負の南場一局目、親はトップを独走する泉こなた。2位につけるのは北家の赤木しげる。
点差は実に3万点。東場3局目に地和を上がられたのは痛かった。
とはいえ、まだ後半戦の南場は始まったばかり。役満でも来れば逆転できる範囲だ。勝機はある。
むしろ問題は凡庸な手ばかり打っている覆面2人。既に点棒が危うい段階に来ている。
どちらかがハコになってしまえば半荘終了、そんな局面でのこなたのリーチ。流石のアカギも見守るしかない。

1人目が牌を切る……七索(チーソウ)。こなた、沈黙のまま。
2人目が牌を切る……北(ペー)。こなた、やはり沈黙のまま。
幸運にも、リーチ1発を振り込んで3位以下が脱落、という終局は免れた。が、次はアカギの番。
ツモってきた牌は、念願のニ筒(リャンピン)。これでアカギもテンパイとなる。悪くない展開だ。

  三三四四五五(1)(2)(3)(4)2267  ドラ表示牌:四

が……ここに来て切らねばならない牌が、まさに危険牌の匂い濃厚な筒子(ピンズ)である。
現物即降りは論外として、さて、一筒(イーピン)を切るか、それとも四筒(スーピン)を切るか。

卓上を見渡す限り、危険度はほぼ同等と思える。
ここで一筒を切っておけばアカギの役にタンヤオがつく。リーチ・タンヤオ・ピンフ・ドラ2で6飜、跳満は確定。
さらにツモや一発、裏ドラが重なれば倍満にも届きうる。今現在の点差の半分ほどが一気に埋められる。
もしもこなたから倍満の直撃が取れれば、それだけで逆転である。普通なら行かない理由がない。

(が……しかし。そこまで欲を出せる流れじゃぁないな……!)

頭の片隅に浮かんだ甘い皮算用、しかし彼はその「都合の良さ」にこそ嫌な気配を感じ取る。
論理的に見てリスクは同等。ならばリターンが大きい方を選ぶのが自然な判断。
しかしアカギは冷徹に「流れ」を読む。あえて非論理的思考の不条理に身を委ねる。
こちらの流れは悪くないが……それ以上に、相手の流れが良過ぎるのだ。
決して逃げてはいけない。降りたり手を変えたりしている場合ではない。だが、欲張り過ぎては身を滅ぼす。

「クククッ……こっちもリーチだ」

考えを巡らせていたのは一瞬。いつも通りの熱のない笑みを浮かべ、四筒を切る。
こなたは……動かない。こなたの待ちではなかった。リーチ一発の直撃は免れた。
しかし、ここで安心できないのが辛い所。次は、他ならぬこなたのツモ巡。
新たな牌が山から運ばれ、そして。

「追っかけリーチか、流石だね〜。でも……そんなお前がスロウリィ!
  ツ  モ  だ  ッ  !  ! 」

喜色満面の宣言と共に、こなたの手元の牌が倒される。同時に示される裏ドラ表示牌。
アカギはそして、己の命運がとうに尽きていたことを知る。

  ニ三四五六七(1)(1)(5)(5)中中中 (1)  ドラ表示牌:四  裏ドラ表示牌:(9)

「ありゃりゃ……こりゃ済まないねぇ。満貫にも届かないかもな〜、とか思ってたんだけどさ」
「中のみドラ1からのリーチ……そんな手がそこまで化ける……!
 これだからギャンブルというのは分からない……!」
458Classical名無しさん:08/02/24 00:32 ID:OIdkrZTo
    

リーチ一発ツモ、役牌にドラ4。これで8飜まで行って親の倍満。8000点オール。
これでアカギの対面に座っていた「戦闘員1」がハコワレ、終了である。
さりとて、アカギが振り込んでいたなら、彼自身が残りの点棒を全部持っていかれて沈んでたわけで。

振り込んでもだめ、振込みを回避してもだめ。
鳴いてツモ巡を変える手立ても無かった。ここまでの打ち筋でもミスらしいミスは何も無かった。
一筒が危険、という直感は正しかった。ただ、気付いても間に合わない状況でもあった。
つまりは。

「クククッ……つまり、俺が迷っていたときには、既に終わっていたということ……!
 なんたる幸運……! なんたる豪運……! 生半可な技術など軽く凌駕する程の、圧倒的な運気……!」

言い訳ならいくらでも出来る。
半荘1回で取り返しのつかなくなるような取り決めは交わしていない。大したものは賭けていない。
だから、この半荘はあえてくれてやったのだ、と言い張ってみてもいい。
アカギが本気を出してないのも確かだ。彼の本領とも言える、精神的な駆け引きは意図して控えていた。
普通の雀卓ではなく、アカギにとって生まれて初めて触る「機械」越しのゲームだったのもキツかった。
それでも……それらの理由は、どれも些細なこと。彼は改めて認識する。

泉こなたの強運を。そして、その強運に素直に乗れてしまうカンの良さ、筋の良さを。
そして――この「運」こそが、アカギが最も欲していたもので――!

 オンライン雀荘『場団荘』
 南一局
 立直・一発・門前清自摸和・役牌1・ドラ4    倍満  24000点
   東家 こなた 52000+24000+2000=78000
   南家 戦闘員1(CPU) 6000−8000=−2000
   西家 戦闘員2(CPU) 18000−8000=10000
   北家 アカギ 22000−8000=14000
 半荘終了
460Classical名無しさん:08/02/24 00:33 ID:OIdkrZTo
         
461Classical名無しさん:08/02/24 00:34 ID:OIdkrZTo
   

        *    *    *

「――だからさ、あれは『最高』とは呼べないけど、『最善』の判断ではあったと思うんだよね」

……時間は少し遡る。
ケンシロウたちと別れたアカギとこなたは、そのまま学校に向かって――しかし何しろ、足は消防車。
地図上で1マス分の距離などさほどの時間も掛らない。すぐに到着してしまった。
外は雨が降っている。いつまでも車内にいる理由もない。
2人は校庭に消防車を止めると、そのまま校舎に走りこんだ。
夜の学校には、しかし人の気配はなく。どうやらアカギたちが一番乗りのようだった。
で、学校のどこで皆の到着を待つことにしようか、と考えながら歩き始めた所で、こなたの上の発言である。

「ふふ……『最善』、か」
「そりゃ、シェリスや鳴海のことは残念だし、悔しいんだけどね。
 独歩さんや、ナギとケンシロウのことも気になるんだけどね。
 じゃあ他に何が出来たかなー? って考えると、何も思い浮かばないんだよねぇ」

誰もいない校舎。湿った空気が2人の足音をやんわりと吸い取っていく。
特に目的もなく歩きながら、こなたは考える。

DIOとの戦いで、半ばパニックになりながら逃げ出したこと。
その時にシェリスとはぐれ、結果的に彼女がDIOの手下と化してしまったこと。
喫茶店に助けを求めに行って、でもこなたが人質になって、DIOと1対1で戦った鳴海が死んでしまったこと。
そして、つい先ほど。独歩を残して逃げ出し、ケンシロウとアカギと出会い、そして――
思い返せば、それぞれの場で別の判断もありえたはずだ。他にも取れた選択肢はあったはずだ。
しかし。

「シェリスも、最初っから何か企んでる雰囲気はあったしねぇ……。
 あそこでDIOと2人きりにならなくても、結局どっかで似たような結果になってた気がするんだ」
「クククッ……確かに、自ら死地に飛び込もうとする奴を止めるのは難しい……」
463Classical名無しさん:08/02/24 00:35 ID:OIdkrZTo
              

「鳴海もね……これはカンでしかないんだけど、DIOって何人かで掛っても仕方ない相手だったと思うんだ。
 一斉にに襲い掛かっても、適当にはぐらかされて結局は1対1になっちゃうイメージ、ってのかな……?
 う〜〜ん、我ながら上手く言えないんだけどね。格闘技経験者の直感としてさ」
「その直感、分からんでもない……。
 奴は『時間を止める』能力を持っていたらしいからな……。複数で囲んでも、すぐに優位は崩れ去る……。
 各個撃破され、囲みを抜かれて終わり……下手をすれば、味方を『利用』され、相討ちを強要されうる……。
 捨て身で単身飛び込んだ方が、まだ勝機を見出せるはず……あくまで鳴海ほどの力があればこそ、だが」

始めから破滅への道を進んでいたシェリス。どうやっても犠牲無しには倒せなかったであろうDIO。
そう考えれば、こなたの取った行動は確かに『最善』だ。
誰もが笑って満足だ、と言えるような『最高』の結果ではないにせよ、『最善』ではある。
無理にその結末を曲げれば、もっと被害が大きくなっていたような、そんな予感もある。

「まーなんつーか、カンは悪くないんだよね、私って。
 普段は勉強とかしないけど、テストは大抵一夜漬けでなんとかなっちゃうし。いつもヤマ張ったとこ出るし。
 ネトゲとかでも、まー要領よくやれちゃうんだよねー」

試験勉強やネットゲームの経験を、この殺し合いと同列に扱うのは問題かもしれない。
けれど、いつも「なんとなく」上手く行く。いつも「なんとなく」幸せでいられる。
心地よいぬるま湯の中で、いつまでもふわふわと漂い続けているようなイメージ。
その「なんとなく」な普段の調子を、今でもこなたは崩してはいない。パニックになったのも僅かな間だけだ。
そしてその、「なんとなく」な感覚が、今までの選択が『最善』であることを告げている。
あれ以上の結果は無かったのだと言っている。

いや――あるいは、自分でもそう思いこみたいだけなのか。

だからこの一連の会話は、こなたの感覚としてはアカギに「説明」しているのではない。
こなたが自分の気持ちの整理をつけるために、ただ話を聞いて貰っている格好。
そんな彼女の内心を知ってか知らずか、隣を歩く青年は小さな含み笑いを漏らす。
465Classical名無しさん:08/02/24 00:36 ID:OIdkrZTo
     

「……カンは悪くない、か……。ならばその自慢のカン、見せて欲しいものだな」
「見せるって……どーやって?」
「誰かが学校に来るまで、ただボーッと待っているのもヒマだろう……。
 かと言って、今俺たちだけでできる事はさほど無い……。
 ここは1つ、気分転換でも図っておくべきだ……そう、適当なゲームか何かで」

……意外だった。思わずこなたはアカギの顔を見上げる。
そこにあるのは、相変わらず底の知れない薄笑い。
どこまで本気でどこからが戯れなのか、まるで分からない。ただ、不思議と不快ではない。

「とはいえ、ここは学校。花札もトランプもないだろうというのは、痛いな……」
「ん〜、この学校、将棋部とか囲碁部とかあるのかな〜。
 挟み将棋とか五目並べ程度なら、私でも出来そうだけど」
「そういうゲームも悪くはないが……たぶん、それでは『俺の見たいもの』が十分には見れない……!
 挟み将棋にも五目並べにも、運の要素は介在しない……純粋な判断力勝負になる……。
 できれば、運と判断力の双方が問われる種類のゲームが望ましい……例えばそう、麻雀のような……!」
「麻雀?」

アカギの何気ない呟きに、ピクン、とこなたの毛が揺れる。 
麻雀ならばこなたも知っている。将棋や囲碁は打てずとも、麻雀ならばそれなりに出来る。
雀荘に行ったことも雀卓を囲んだこともなく、実際に牌に触ったことすらないが、それでも出来る。
何故なら、こなたは『オタク』だから。
なんと言っても脱衣麻雀は基本中の基本である。脱衣麻雀のために麻雀ルールを覚えた者は少なくない。
そしてその記憶が、彼女に1つの「いい手段」を思いつかせる。
学校で麻雀をしたいという、通常ではあり得ない要求への最適解をすぐに見出す。

「そーゆーことなら、いいものがあると思うよ〜。ついてきて!」

アカギを引っ張るようにしてこなたは歩き出す。
目指す部屋すぐに見つかった。『コンピューター室』と掲示されている部屋。PCが何十台も並んでいる部屋。
それはPCを使った授業や調べ物のための部屋であり、ネットにも繋がっており、ということは、当然……!
467Classical名無しさん:08/02/24 00:37 ID:.FOelhDg
 
468Classical名無しさん:08/02/24 00:37 ID:OIdkrZTo
          

        *    *    *

技術の進歩は凄いものだ、と感心する一方で、時代が変わってもヒトの愚かさは変わらないな、とも思う。

高性能な演算装置を複数使ってネットワークを作り、それでやるのが結局のところ『ただの麻雀』。
いや麻雀ゲームなど、その情報網本来の目的でもないのだろう。余力で作ったようなおまけの機能のはず。
それでも、これだけの技術と材料を使って麻雀ゲームを作るという発想自体が、アカギの目には面白い。
まさに、狂気の沙汰と言う他ない。

こなたの説明によれば、この端末を通して世界中の人間と情報をやり取りすることもできるという。
適当に検索をかけて出てきた無料のオンライン麻雀のサイトを通じれば、遥か遠くの人間とも卓を囲める。
人数の都合が合わなければ、足りない面子はやや頭の足りない人工知能が補ってもくれる。
こなたと2人、情報学習室で2台のPCを立ち上げ、同じ卓にログインすれば即席の雀荘の出来上がりだ。

マウスもキーボードも生まれて初めて触る彼ではあったが、それでもすぐに理解は出来た。
あくまで麻雀ゲームをやる上の機能に限って、ではあるが。
面倒な設定は全部こなたが済ませてくれたし、麻雀そのもののルールにはほとんど変化はない。
それに麻雀ゲームというのは、かなり感覚的な操作が可能なように出来ている。
ツモる時は左クリック、捨て牌を選んで左クリック、鳴ける時には自動でメニューが飛び出す……簡単だ。
付属しているチャット機能も、指1本・平仮名のみのタイピングではあるが、使えないこともない。
元々飲み込みの良いアカギのこと、すぐにゲームを始めることが出来た。
……そんなことよりも。

(それにしても……コイツのツキは尋常じゃない……! 手を合わせてみて確信した……!
 こいつは数万人に1人……いや、五十億に1人にも匹敵するラッキー・ガール……!)

例えば愚地独歩が誰かの力を計りたいと思ったら、友好的な相手であっても模擬戦を試みるだろう。
合意の上かもしれないし、寸止めかもしれないが、それでも持てる技術の全てを投入し組み手を行うはずだ。
そして、先ほど彼がやったのも同じこと。
博徒・赤木しげるとして、泉こなたとの「組み手」を試み、彼女の実力を計ったのだ。そして、その結果は。
470Classical名無しさん:08/02/24 00:37 ID:OIdkrZTo
                  

天中殺のいわば逆。幸運の極み。
そもそも、東場で見せた地和からして、運任せでしかない。
配牌の時点で既にテンパイ、1つめのツモで上がり。そこに本人の技術などは関係してこない。
ただ、凄まじい運だけがある。
その後、南場に入り親になり、慌てて安目を拾いに行ったような手に裏ドラ3つ……これも信じがたい流れ。
並大抵の運では、あんな打ち方をした時点で手の中から零れ落ちる。
幸運が不運にひっくり返り、アカギの方に風が吹き始める。
逆に言えば……泉こなたに宿った「ツキ」の程度は、そんな並大抵のものではないということ。

(先ほどの話でも、その片鱗は見えていた……。
 そもそも、コイツは始まってから一時たりとて『真の危険』には直面していない……!
 危機に瀕しても、紙一重のところでかわしている……紙一重の所で助けが間に合っている……!)

麻雀の勝負を進めつつ、雑談がてらに聞き出したこなたの1日の動向。
始まってすぐに綾崎ハヤテと出会い、呑気に女装やら何やらを楽しみ。
武藤カズキと出会い、パピヨンと出会い、喫茶店の大集団に発展し……
喫茶店に集まったメンバーが1人欠け、2人欠け、どんどん脱落していく中、彼女はまだ残っている。
彼女より頭が回り、彼女より力のあるものがどんどん死んでいく中、彼女は大した傷さえ負っていない。
数多の修羅場を潜ってきたはずの者が正気を失い、自分を見失う中、彼女はマイペースを崩してもいない。
冷静に考えると、信じがたい話である。

幸運の星(ラッキー・スター)の光の下、とてつもない幸運に恵まれた存在。
恐らくは全参加者の中でも、最も「ツイている」存在。
それだけでもアカギの興味を引くには十分だが、さらに加えて。

(さらにこいつは、その自分の「運」に乗る方法を「本能的に」理解している……。
 普通なら、崩れるビルから跳躍など出来ない。
 普通なら、あの局面で本屋に逃げ込んだりはしない。
 普通はなら、大声でパピヨンを呼んだりできない。
 しかし、「結果的に」上手く行っている。「なんとなく」選んだ行動が、全てイイ方向に噛み合っている……!)
472Classical名無しさん:08/02/24 00:38 ID:OIdkrZTo
          
473Classical名無しさん:08/02/24 00:40 ID:OIdkrZTo
    
474Classical名無しさん:08/02/24 00:40 ID:.FOelhDg
 

単にツキがあるだけでは、ギャンブラーとしては二流である。
一流のギャンブラーは、いかにしてその「波」に乗るかを知っている。理屈ではなく、直感として知っている。
そういう意味で泉こなたは、この段階を既に十分にクリアしているのだ。
特に、この殺し合いの緊張の中、喫茶店や消防車の車中で睡眠を取れる神経の太さは素晴らしい。
休める時に休んでこそ、攻めに転じることも出来る。そのことを理解している。

ちなみに……さらに高度な戦いともなると、いかに相手に「波に乗らせないか」が重要になってくる。
心理戦によって自分のツキを誤認させ、実際には幸運が来ているのに弱気になって降りるように仕組む。
あるいは、自分がまさに不幸のドン底にあるのに、ハッタリによって幸運の波が来ているように見せかける。
先の麻雀対決において、アカギはこの手のテクニックはあえて使っていない。
なにしろ彼の目的は「泉こなたの実力を見極め、利用すること」。
その後の計画も考えれば、ここで彼女の直感に疑念を差し挟んでやるわけにはいかなかった。
アカギの勘が正しければ、こなたの持つ豪運は、いずれ主催者との対決で活きてくるはずなのだ。

(もっとも……コイツの運「だけ」があっても、どこにも届きようが無いがな……!
 コイツには欠けているものがある。どうしようもなく欠けているものがある……!)

アカギが舌を巻くほどの豪運を持っていてなお、それが人目を引かなかった理由。
それは彼女に「目的がない」ためだ。
「目的」で分かり辛ければ、「信念」、あるいは「狂気」と言い換えてもいい。
泉こなたには、加藤鳴海が抱えていた「焼けつくような想い」がない。
泉こなたには、パピヨンの奥底に淀んでいた「深い闇」もない。
才賀勝が垣間見せた「輝き」も、空条承太郎の芯にあった「揺るぎのなさ」もない。

泉こなたには、誰にも譲れないようなものが無いからこそ……
あるいは、もしあったとしても、この殺し合いの場と全く縁のないものだからこそ。
それだけの幸運を持っていながら、「彼女自身の安全」しか確保できていない。
目の前にいた仲間の命も、遠くにいた親友の命も、共に守りきれていない。
それどころか、運良く火の粉が飛んでこないことをいいことに、傍観者を決め込んでいるような節すらある。

(そういう意味では……まだあの疫病神な三千院ナギの方が見込みがあるとも言える……!
 あれと比べてもなお、コイツは「ヌルい」。やる気が無さ過ぎる。
 幸運に恵まれているがゆえの「平和ボケ」……クククッ、本当に世の中というのはままならない……!)

この先、主催との戦いを進めていくとして、いつかどこかで必ず壁にブチ当たるだろう。
知性や技術、戦闘能力を結集しても、突き崩せない状況というのは必ず出てくる。
こなたの持つ「運の良さ」というのは、まさにそういう時のための「武器」に成りうる。貴重な突破点に成りうる。
この無気力な少女に上手く「熱」を持たせ、自ら事態に関わるように仕向ければ、きっと……!

(ただ、そうやって「打ち方」を変えた途端に「運」に見放される奴というのも、ザラにいる……。
 これだけの圧倒的な幸運、万が一反転してしまえば、とてつもない不幸にも転じうる……!
 こいつの扱いは、本当に分からない……! 扱いを間違えれば猛毒にもなる、まさに劇薬……!)

麻雀勝負で見極めた末の結論は、結局のところ「しばらく保留」。
今は積極的にこなたを「変えよう」とすべき状況ではない。角を矯めて牛を殺す結果になっては堪らない。
ただ、将来のため、彼女は守るだけの価値がある。
下手な知恵者や戦闘巧者よりも優先し、守るだけの価値がある。
長い間こなたと行動を共にしていたパピヨンの眼力も、なかなか大したものだと言えるだろう。
ただ生憎なことに、彼はなまじ知恵が回る分、「ギャンブラー」に徹しきることは出来なかったようだが。
解析用の予備の首輪など、これほどの「幸運の女神」とは比較にもならないだろうに……!

(しかし、そのパピヨンとも合流できれば、これで手札がかなり揃うことになる……!
 パピヨンが勝利への流れから外れていなければ、こなたとの再会はおそらく必定……。
 欠けてしまった人間のことは惜しいが、それでもまだ、逆転は可能な範囲……!
 それに……)

それに。
これだけ「ツイて」いるこなたと共にいるのだ。
焦らず待っているだけでも、何か、先に繋がるような「幸運」が転がってきてもおかしくはない――!
477Classical名無しさん:08/02/24 00:42 ID:OIdkrZTo
               
478Classical名無しさん:08/02/24 00:42 ID:ZuOGHStM
 

        *    *    *

「さてさて、私が勝ったからには、早速脱いでもらおうかね、アカギくん……♪」
「……クククッ、そうじゃないだろう。その『脱衣ルール』は却下したはずだ……!」

賭けるものが無ければ、ギャンブルは盛り上がらない。失うものが無ければ、真の実力は計れない。
と言っても、この殺し合いの場で金を賭けるのもナンセンス。
こなたが冗談交じりに提案していた脱衣ルールも論外だ。
いつ他の者が現れるか分からぬ状況での脱衣は、流石に悪ふざけが過ぎる。妙な誤解は避けておきたい。
そこで、賭けの対象にしたのが……

「……ほら、何でも好きなものを持っていけ……!
 なんなら、今傷に当てているこの核鉄でも、懐にある投げナイフでもいい……!」
「ん〜、流石にそれは悪いしな〜。
 白紙の本に宝石、それに弾切れのバズーカ……どれにしよっかな〜♪」

賭けの対象にしたのは、互いが抱えていた支給品。どちらも数の上では余裕がある。
半荘勝負で順位の高かった方が、低かった方から1品奪ってもいい約束だ。
勝者のこなたは楽しそうにアカギのデイパックを漁り、中の品物を吟味する。

「……じゃ、この靴にしとく。『キック力増強シューズ』……ん〜、ちょっと私でもキツいかな?
 ま、他に欲しいものもないしさ。とりあえず、これでいいよ」

元々、小学生並みの体格のこなただ。無理をすれば使えないこともなさそうではある。
戦利品を自分のデイパックに詰め替え、こなたはアカギに向き直る。

「で……どうする? もう1戦する? リベンジするかね?」
「思うところがあったにせよ、負けっぱなしというのも性分ではないしな……。
 悪くない提案だ……と、言いたいところだが」
480Classical名無しさん:08/02/24 00:44 ID:OIdkrZTo
            

こなたの挑発に、アカギはチラリと時計を見る。
窓の外、校庭には誰の姿もない。まだ他の仲間が学校に来る気配はない。
だからもうちょっと遊んでも構わない、とは言えるのだが。

「これからもう半荘ともなれば、ほぼ確実に次の放送にかかってしまう……。
 間違っても、放送を聞き逃すような真似はしたくない……流石にそれは、愚の骨頂……!」
「あーそっか。もうそんな時間なんだ」

時刻は既に深夜近く。遠からず4回目の定期放送が始まる時間。
戯れの勝負の続きをするにせよ、放送が終わってからの方がいいだろう……
そう判断しかけたアカギは、ふと画面の変化に気付く。

「……ところで……何か表示が変わったな……? これはなんだ……?」
「おや、これはどっかの誰かが卓に加わりたい、ってことみたいだね。どうする? 断っとく?」

面子が足りないからこそ、コンピューターで補っていたのだ。
言ってみれば雀荘での数合わせのため、従業員が席に座ったようなもの。
新たな客がたった1人でやってきて、ちょうど勝負が一段落した卓があれば、そりゃ誘導されるだろう。
もちろん、拒む権利はある。望まぬ相手と卓を囲まねばならない義務はない。
さて、どうするか。
新たな面子を加えて勝負に波乱とスリルを織り込むか、それともこなたとの対決を重視するか。

そんなこなたの問い掛けに、アカギは即答せず――ただじっと、新たな参戦希望者の名前を見る。
見覚えのない名前。名簿には載っていない名前。

『Dr.伊藤』。
画面には、その名前だけが表示されていた。

        *    *    *
482Classical名無しさん:08/02/24 00:45 ID:.FOelhDg
 
483Classical名無しさん:08/02/24 00:45 ID:OIdkrZTo
      

「答えてくれ……繋がってくれっ……頼むからっ……!」

同時刻。
脂汗を流しながら、薄暗い部屋でモニタに向かう1人の男がいた。
伊藤博士。BADANの協力者にして、反抗を夢見る無力な1人。
彼とて、徳川光成を煽ってばかりではない。彼に出来ることを、出来る範囲でやってきている。

例えば、ネット上の主催者側の防壁を「ほんの少しだけ」弱めておいたり。
例えば、一度侵入すれば多くの情報にアクセスできるような、脆弱なシステムを用意しておいたり
例えば、検索すればすぐにヒットする、使い勝手の良いハッキングツールを作って放流しておいたり。
例えば、会場に配置されることになっているPCに、あえてキャッシュを残しておいたり。

いずれも、発覚してもいくらでも誤魔化せる範囲の行動だ。
ほんの僅かな「うっかりミス」、ほんの僅かな「不注意」。
1つ1つを取ってみれば、そう言い逃れできる程度の「手抜き」処置。
ただしそれらが上手く合わさりさえすれば、組織側の様々な情報に手が届くようになっている。
参加者の誰かがハッキングを試み、辿り着いてくれることを願って用意した細い細い抜け穴――!

――だが、どうにも彼は「やり過ぎてしまった」らしい。
せっかくそれに気付き辿り着いてくれた参加者は、盗聴に気付いた途端、自らラインを断ち切ってしまった。
あまりの都合の良い展開に、罠である可能性を疑ってしまったらしい。
向こうの立場に立ってみれば無理もないと思う。これが逆の立場だったなら、確かに伊藤博士もそう考える。

ともあれ、これで希望の1つが潰えてしまった。
どうやら伊藤博士への責任追及の動きは無いらしい。
いやそれ以前に、まだ侵入の裏事情はバレてないようだ。偽装に手間をかけた甲斐があった。

しかし、これでもう自分にやれることはない、後は光成にでも任せるか、と思っていたのだが……。
諦め悪くも可能性を探っているうちに、こうして思いもかけず接点を見つけ出すことが出来た。
流石の伊藤博士も、この殺し合いの現場で麻雀ゲームに興じる参加者がいるとは思わなかったのだ。
こうして見つけることができたのも、偶然に近い。
485Classical名無しさん:08/02/24 00:45 ID:.FOelhDg
 
486Classical名無しさん:08/02/24 00:46 ID:OIdkrZTo
                

運の良いことに、チャット機能のあるこのオンライン雀荘ならば直接参加者と「会話」することも出来る。
彼の知る限りの情報を放出することも出来る。様々な内部情報をリークできる。
その特大のチャンスを目の前に、しかし伊藤博士は逡巡する。この期に及んで、躊躇いを覚える。

(でも……ここでこちらの内情を語ってしまっていいのか?! 本当に大丈夫なのか?!)

今現在、こうして麻雀サイトにアクセスしていること自体は問題ない。
ちょうど博士は休憩時間に当たっている。休み時間にちょっと遊ぼうと思ったんだ、とでも言えばいい。

が……ここでチャット越しに具体的な情報を流してしまうと、話は変わってくる。
その場合、見つかってしまえば申し開きは出来ない。
チャットのログなども残ってしまうだろうし、見つかればほぼ確実に「処分」される。
幸い、今は定期放送の直前。その準備に組織全体が慌しく、博士への注意は向けられていない。
現行犯で捕まる危険はかなり低いと言っていいだろう――だが。

(だが……本当に彼らは気付いてないのか? ハッキングの手引きのことも、気付いていないのか?
 もしかしたら、気付いた上で「泳がせている」だけなのでは?)

内部にいる伊藤博士にとっても、BADANというものはその全貌が見えにくい。
特に理解し難いのは、彼らが復活させようとしている『大首領』。そして『暗闇大使』こと『ガモン大佐』。
今こうしている間にも、振り返れば歪んだ笑みを浮かべたガモンが背後に立っているような気がする。
オカルトじみた『大首領』の神秘の力で、全て見通されているような気がする。
誰もいないと分かっているのに、何度も自分の背後を確かめてしまう。

このまま黙って麻雀ゲームを楽しむだけなら、何の問題もない。言い訳が効く。誤魔化しが効く。
しかし一言でもBADANの内情を語ってしまえば、もう戻れない。
いや、もし何ならば自分は「処分」されても構わない。それだけの罪は感じているし、覚悟も出来ている。
だが最悪なのは、情報を受け取った参加者までもが処分されてしまう可能性。
そうなったら、自分の犠牲も情報も、全て無駄になる。参加者までも巻き込んでしまう。
488Classical名無しさん:08/02/24 00:49 ID:ZuOGHStM
>普通はなら、大声でパピヨンを呼んだりできない。
とりあえず誤字発見

伊藤博士は苦悩する。
情報を流すならば定期放送のドサクサ紛れしかない。それは間違いないのだが。

果たして自分たちに、BADANを出し抜けるだけの幸運があるのだろうか?
果たして彼らに、BADANに見逃してもらえるだけの幸運があるのだろうか?

伊藤博士はギャンブラーではない。だから読めない。「流れ」が見えない、「波」に乗れない。
彼はだから、迷い続ける。答えの出ない思考の迷宮で、迷い続ける……。

        *    *    *

「……クククッ……! そうか……そう来たか……!」
「???」

アカギは笑う。大きな疑問符を頭の上に浮かべるこなたをよそに、乾いた笑いを微かに漏らす。
画面に表示された『Dr.伊藤』、たったそれだけの名前から、ある程度の状況を把握する。

伊藤なんて名前は、参加者の名簿の中には載っていなかった。
この名前では、根も葉もない偽名ということも無いだろう。
あだ名のようなものなら本名代わりに打ち込む者もいるだろうが、『Dr.伊藤』とはまたあだ名らしくもない。
ハンドルネームの概念も知らぬアカギだが、その目は人間心理の真実を見通している。

この殺し合いとは無縁な外部の人間、という線も薄い。
技術的なことはてんで分からぬアカギだが、まずもってそんな可能性を主催者側が許すはずがない。
それが可能なら、参加者が簡単に助けを求められてしまう。外部からの介入を許してしまう。
主催者側の用意周到さから見ても、こんな所で全くの部外者と偶然繋がる、なんてことはありえない。
490Classical名無しさん:08/02/24 00:49 ID:OIdkrZTo
         
491Classical名無しさん:08/02/24 00:49 ID:t7ai.0go

つまりは。
この、画面の向こう、どこかで似たような機械に向き合っているはずの『伊藤博士』という人物は……
参加者でもなく、また、この殺し合いに無縁の人物でもない。
おそらく、主催者側に所属する人間の1人。
その技術力を考えても、主催者側に博士号持ちの人間が居てもおかしくはない。
そして主催者陣営の人間がこうして出てくる理由は、大雑把に考えて3つ。

  主催者側の裏切り者、光成のように協力を強制されてた人物か。
  あるいは、それを演じようとする主催者側の罠か。
  さもなければ、仕事もしないで遊び呆けている、ただの馬鹿か。

(何にせよ……想像すらしていなかったこの展開……!
 やはり、泉こなたのツキは、信じられないものがある……! 確実に「流れ」は来ている……!)

3つのうちどれであっても、何らかの情報を引き出せる望みはある。
とはいえこの流れ、非常に不安定な所に差し掛かっているのも事実。
誰かがどこかでミスをすれば一気に破滅。そんな破局の匂いも漂って来る。
そして、そういった匂いこそ、彼の好む所なわけで。

(ここで知略の限りを尽くしても、勝てないかもしれない……ミスが無くとも、不条理に死ぬかもしれない……。
 先ほどのリーチの時のように、選択するまでもなく既に詰んでいる可能性すらある……。
 そして負ければ全てを失う……まさに全てを……だが、だからこそ面白い……!

 ギャンブルは、狂気の沙汰ほど面白い…………ッ!)

定期放送を目前に控え、アカギはそして、心底楽しそうに唇の端を持ち上げた。

【C-4 学校・コンピューター室/1日目 真夜中】

【赤木しげる@アカギ】
[状態]:脇腹に裂傷、眠気 核鉄で自己治癒中、消防車を運転中
[装備]:シルバースキン 基本支給品、 ヴィルマの投げナイフ@からくりサーカス (残り9本)
[道具]:傷薬、包帯、消毒用アルコール(学校の保健室内で手に入れたもの)
 始祖の祈祷書@ゼロの使い魔(水に濡れふやけてます)、
 水のルビー@ゼロの使い魔、工具一式、医療具一式 沖田のバズーカ@銀魂(弾切れ)
[思考]
基本:対主催・ゲーム転覆を成功させることを最優先
1:オンライン麻雀ゲーム越しに接触してきた『Dr.伊藤』への対処を考える。
2:学校で仲間を待つ。
3:対主催を全員説得できるような、脱出や主催者、首輪について考察する
4:強敵を打ち破る策を考えておく
5:こなたのツキを利用。当面は彼女を守る。
[備考]
※マーティン・ジグマールと情報交換しました。
 またエレオノールとジグマールはもう仲間に引き込むのは無理だと思っています。
※光成を、自分達同様に呼び出されたものであると認識しています。
※参加者をここに集めた方法は、スタンド・核鉄・人形のいずれかが関係していると思っています。
※参加者の中に、主催者の天敵がいると思っています(その天敵が死亡している可能性も考慮しています)
 そして、マーティン・ジグマールの『人間ワープ』は主催者にとって、重要なにあると認識しました。
※主催者のアジトは200メートル以内にあると考察しています
※ジグマールは『人間ワープ』、衝撃波以外に能力持っていると考えています
※斗貴子は、主催者側の用意したジョーカーであると認識しています
※三千院ナギは疫病神だと考えています、また彼女の動向に興味があります。
※川田、ヒナギク、つかさの3人を半ツキの状態にあると考えています。
※ナギ、ケンシロウと大まかな情報交換をし、鳴海、DIO、キュルケの死を知りました。
※こなたのこれまでの経緯を、かなり詳しく聞きだしました。こなたに大きなツキがあると見ています。
※『Dr.伊藤』の正体は主催側の人間だろうと推測しています。
494Classical名無しさん:08/02/24 00:51 ID:ZuOGHStM
 

【泉こなた@らき☆すた】
[状態]:軽い打撲 、睡眠中
[装備]:時計型麻酔銃(1/1)、麻酔銃の予備針8本
[道具]:支給品一式、んまい棒@銀魂、フレイム・ボール@ゼロの使い魔(紙状態)、
    キック力増強シューズ@名探偵コナン、綾崎ハヤテの女装時の服@ハヤテのごとく
[思考・状況]
基本:みんなで力を合わせ、首輪を外し脱出。
1:もう1回、アカギと麻雀をするかどうか、するなら『Dr.伊藤』を加えるかどうか思案中
2:学校で仲間を待つ。
3:独歩、ナギ、ケンシロウが心配。
4:かがみ、つかさを探して携帯を借りて家に電話。
[備考]
※ナギ、独歩、ケンシロウ、アカギ等と大まかな情報交換をしました。
 (しかし、つかさ達の事は未だ何も聞いていません)
※キック力増強シューズが足に合うかどうかは不明です。

※学校の校庭に 消防車@現地調達 が1台停止しています。
※オリンピア@からくりサーカス が懸糸の切れた状態で消防車の助手席の後ろに座っています。
496Classical名無しさん:08/02/24 00:51 ID:OIdkrZTo
   

以上、投下完了。支援感謝です。
ちょっとチキンな伊藤博士がどう動くのか、BADANがどう動くかは後の書き手さんにお任せします。
なんなら簡単にライン切っちゃってもいいですし。

収録の際に分割が必要なら、>>479から後半ということにして下さい。
伊藤博士が問題だ、という意見が多いようなら、後半部分の修正も考えます。

>>488
おっと失礼。wikiででも直しておきます。
498Classical名無しさん:08/02/24 00:53 ID:OIdkrZTo
 
499Classical名無しさん:08/02/24 00:54 ID:OIdkrZTo
投下乙!
こなたSUGEEEE
利用する気満々なアカギもSUGEEEEE
幸運を利用する事を計算に入れるとは……
GJ!!
500Classical名無しさん:08/02/24 00:55 ID:9hXVc13o
 
501Classical名無しさん:08/02/24 01:04 ID:ZuOGHStM
投下GJでした
赤木に勝つなんてこなた恐ろしい娘
麻雀からこんな話に進んでいくとは意表を突かれましたお見事です
伊藤博士も接触してくるし、徳川さんも次回放送あるしいろいろ主催側も動いてるなぁ

それと些細な指摘をもう一つ二人の状態表の
睡眠中と消防車を運転中の二つは消した方が良いかと思います
502 ◆6YD2p5BHYs :08/02/24 01:05 ID:m/xGRlqY
>>501
あうっ。指摘感謝です。素で見落としてました……。消しておきます。
503Classical名無しさん:08/02/24 01:10 ID:FPincYsE
投下乙!
そういやこなたは最初からツイてたよなぁ〜。
これまでのこなたの流れを豪運に収束させたのは見事です!
そしてアカギの考察もいつものように冴えている!
次の動向もすごく気になりますね。
GJです!
504Classical名無しさん:08/02/24 01:24 ID:Tx6J7ijc
投下乙
こなたとアカギ、ネット麻雀でのアカギの考察や
伊藤博士の来訪!予想のできない、かつおもしろい展開になってきたな
505Classical名無しさん:08/02/24 01:38 ID:LiHNc9FA
投下乙。
明らかに持ち腐れていた靴がついに活躍するのか?w
こなたのツキとアカギの判断力が合わさったらとんでもないことになりそうですね。
それに加えて伊藤博士ですかw
これなら、今まで対主催の邪魔しかしてこなかったアカギも活躍できるか?
506Classical名無しさん:08/02/24 02:15 ID:klguC42c
おお……これはいいこなたの有効利用
アカギがまさかオンライン麻雀とはいえ負けるとはw
麻雀の描写も「いかにも」って感じでGOOD! 俺ならイーピン切ってるw
ラッキースターのこなたと勝負に出た伊藤博士の動向が気になりすぎる…!
507Classical名無しさん:08/02/24 02:36 ID:Cc2aZ8vY
投下乙です。
オンラインとはいえ、アカギを麻雀で破りやがった……!!
確かにこなたはこのロワにおいて、最大の幸運の持ち主かも。
そして、思いもよらぬ伊藤博士の接触。
首輪なりロワの目的なり、確実に主催に近づいている……こいつらのツキは半端じゃねぇ。

GJっす
508Classical名無しさん:08/02/24 02:39 ID:AIUS7Yco
このツキに、果たしてどこまで乗れるのかが楽しみだ!
GJ!!
509Classical名無しさん:08/02/24 03:24 ID:i2vf.qhk
なるほど、こなたの強運か。
疫病神のナギがこなたと別れた瞬間に死んだのも納得できるな。
510Classical名無しさん :08/02/24 19:12 ID:sgnxEqNo
投下乙
局面が動いて面白かったGJ!

こなたは本当に運が良かったからな。
それにしても、没ネタでの死亡率の高さを考えると
こなたはリアルにラッキースターかもしれない…
511Classical名無しさん:08/02/24 19:26 ID:zWMyA6RY
こなたは世界を一巡するとポコロコになるわけだ
512 ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 21:34 ID:Dv.HSYoo
ジョセフ、服部、三村、劉鳳 を投下します
513Classical名無しさん:08/02/24 21:34 ID:OIdkrZTo
514Shine On You Crazy Diamond ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 21:35 ID:Dv.HSYoo
 
 ――Shine on You Crazy Diamond
   Remember when you were young, you shone like the sun. 
 
 さて、三村信史に自分を証明するといっても、だ。
(ど〜〜〜〜〜すっかなぁ……っと)
 それなのだ。問題は。
 何故だかわからないが、三村信史は極端な疑心暗鬼に陥ってしまっている。
 冷静(COOL)というより、病気(KOOL)、もしくは愚物(FOOL)。いや、それすらを通り越して致命的(CRAZY)だ。
 自分と別れていた間に、三村信史に何があったのか? あれ程までに冷静でいようとした彼はどこへ行ってしまったのか?
(しかも俺のことをかがみんと間違えるしよ〜〜〜〜〜〜ッ!!!!)
 柊かがみ。問題だ。三村の態度に関して、という事ではなく、自分達にとって。
 赤ムシ野郎。とっととその元から助け出さなくてはいけない。彼女が無事な間に。
 ハヤテから聞いた処では、奴がかがみに危害を加えるとは思えない。それにしても、あまり時間をかけるとどうなるかわからない。
 それにハヤテもだ。何となく、一人で何かやってしまいそうな危うさがある。早く合流するに越した事はないのだ。
 証明する。何とかして。まあ、一番手っ取り早いのは――アレだ。

「〜〜〜〜〜〜〜ッてワケでよ。シンジッ! ちょっと手荒にいくぜェェェーーーーッ!!!!」
「“バグ”め……取り除いてやるッ!」
 『クレイジー・ダイヤモンド』が拳を構える。振りかぶる。見え見えの動作。
 飛び退く。振り下ろす。虚空を斬る一撃、ジョセフは無事、彼の居た場所が砕ける。
「力みすぎだぜェ……シンジく〜〜ん」
「チッ! 『クレイジー・ダイヤモンドッ!!!!』」
 舌打ちひとつ。砕いた破片をジョセフへと。さながら弾丸、猛スピード。『マジシャンズレッド』、何とか逸らす。肩を掠める。血が滲む。街灯――ランプを砕く。
 炎は使えた。さっきも使った。欠片の蒸発も可能だった。が、それをしないのは火力調節が今ひとつだから。下手を打って信史を黒こげにしては冗談ですまない。
 三村は大切な――今は少し錯乱しているものの――仲間、なのだから。
515Classical名無しさん:08/02/24 21:37 ID:Tx6J7ijc
支援
516Shine On You Crazy Diamond ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 21:38 ID:Dv.HSYoo
 
 ――Shine on you crazy diamond.
   Now there's a look in your eyes, like black holes in the sky.
  
「おいおいシンちゃ〜〜ん? どうしたのかなァァァ〜〜〜?」
「黙れ! 魔女めッ! よくもジョジョの顔で! そんなことをッ! ぬけぬけとッ!」
 言葉と共に、信史のスタンドが攻撃を繰り出す。しかし、荒い。無意味に道路を叩く。その精密さ、あえて言い表すならE。だだ腕を振り回しているだけにしか過ぎない。
 必然。それがジョセフの作戦なのだから。
 ――怒らせて、これを乱す。
 このまま消耗させていけば、時期に片が付く。
(ちょ〜〜〜っと卑怯かもねん。だが……まあ、仕方ねえぜ)
 お互い無事で済ますには、これが一番いい。興奮する事で、スタンドの力が増すかもしれない。余計に時間がかかるかもしれない。
 しかしそれでも、見失った相手は術中に陥れやすい。そして何よりも、矢張り無事の方がお互いにとっても良い、というものだ。
 事実、三村の顔にも披露の色が出始めた。
 当然だ。スタンドを操るのには精神力……それにこの場では体力も多く消費する。過剰な程に激昂した三村では、その消耗も激しい。
 
(でもよォォォ〜〜〜〜っちょっと激しすぎやしないか?)
 眼前の三村は、一ラウンドをぶっ続けで走っていたボクサーの様にふらついている。
 踏鞴を踏む。膝が折れる、その瞬間。
「それじゃあシンジ! お休みだぜ!」
「クッ!」
 『マジシャンズレッド』が拳を振る。フック。頭部への一撃。波紋を流し、DISCを取り出す、或いは気絶。
 とりあえず沈黙させる。時間は有限。
 苦しげに息を漏らす三村。しかし、笑う。罠だと、嘘だと、嗤う。
 しかし消耗は本気。演技は若干。故に真実味が増す。
「かかったな! 魔女めッ!」
517Classical名無しさん:08/02/24 21:38 ID:OIdkrZTo
518Shine On You Crazy Diamond ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 21:40 ID:Dv.HSYoo
 迫る『マジシャンズレッド』の拳を打ち払う。攻撃中断。フィードバックするダメージ。苦痛に顔を歪めるジョセフ。音を立てる、曲がる、血飛沫。
 すかさず一発。殺意をこめて。スタンドの胴体、中心へ。しかしジョセフは、空いた腕で防ぐ。辛うじて危機を脱する。
 否。弾け飛ぶガード。パワーの違い、勢いの違い、精神の違い。
 殺す意思と、不殺の覚悟。どちらが優れているかは無い。
 ただし――この場では、殺す漆黒の意思の方が強い。
519Classical名無しさん:08/02/24 21:40 ID:OIdkrZTo
520Shine On You Crazy Diamond ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 21:41 ID:Dv.HSYoo
 
 ――Shine on you crazy diamond.
   You were caught on the crossfire of childhood and stardom, blown on the steel breeze.
 
「とどめだッ!」
 『クレイジー・ダイヤモンド』、必死の一撃。一発。一閃。
 回避する術、無し。命中、漏れる苦痛。歪む顔。飛ぶ身体。呻き。双方の。
「うぐぅッ!!!!」
「うおおお……ッ!!!」
 体勢を立て直す。三村の方が早い。だが片膝。まだ痺れ。立ち上がれない。
 ゆっくりと身体を起こすジョセフ。口からは紅。こちらの方が、負傷は深刻。
「てめぇ……何をしやがった……ッ!」
 憎憎しげ、怒り、憎悪。未知への恐怖――無し。心底――振り絞る様に、地の底からわきあがる黒きマグマ。
 対する、笑い、やせ我慢、虚勢、平静。或いは本当に――愉快なのか。
「何って……波紋だぜ。お前も知っている、な。スタンドが当たった瞬間に流させてもらった。
 伝導体が無いから伝わりはイマイチだけどよォォーーッ! それでも、十分だよなァァーーーーッ!」
 
 直撃の一瞬に、『マジシャンズレッド』から『クレイジー・ダイヤモンド』へ――繋がる信史へと波紋を流した。
 弾く波紋。飛ぶ体。おかげで信史の一撃はジョセフの体を貫くには至らず、加えて流した波紋は信史への攻撃も兼ねる。
 攻撃、いや。証明として。
 自分は、波紋の戦士、ジョセフ・ジョースターなのだと。
 自分は、三村信史が出会った、ジョセフ・ジョースターなのだと。
 何を勘違いしているのか知らないが、自分は、確かにここに居るのだ、と。
「まさか……本当に、ジョジョ…………なのか?」
 崩れる顔。三村、ジョセフ。
 伝わった。そうなのだ、と。
「そうだぜシンジ……大方放送を聞き逃したりでもしたのかァ〜〜〜? このジョセフ様がそんな簡単に死ぬと思ったァ〜〜〜〜?」
521Classical名無しさん:08/02/24 21:42 ID:OIdkrZTo
522Classical名無しさん:08/02/24 21:42 ID:OIdkrZTo
523Shine On You Crazy Diamond ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 21:43 ID:Dv.HSYoo
 
 ――Come on you target faraway laughter, come on you stranger, you legend, you martyr, and shine!
   You reached for the secret too soon, you cried for the moon.
 
 膝を伸ばす三村。若干痺れがあるが、辛うじて立てる。傍らに立つスタンド。
 歩み寄るジョセフ。少し痛みはあるが、それ程気にはならない。傍らには何も居ない。
「やれやれ……意外に薄情なのねん。ま、わかったら、とっととそいつをしまっていくぞ。かがみが危ねえんだ」
「……………………………………を」
「ん?」
 呟き。独白。蚊の鳴くような声――否定、静かに燃えるアルコールの火。
「お前がジョジョなどと……嘘をつくなァーーーーーーーーーーーーーーッ!!」
 咆哮。燃え上がる――炎。怒りの言葉と共に打ち上げ。呼応する『クレイジー・ダイヤモンド』。
 不意。予想外。命中。クリーンヒット。足が地から離れる。
 蹴り上げられたボール。地面を跳ねる。転がり、止まる。
「よくも……俺の前で……よりにもよって、貴様が殺した人間の、ジョジョの事を…………ッ!!!!
 柊かがみ…………お前だけは、てめぇだけは許さないッ!!!!! 然るべき報いを受けさせてやるッ!!!!!!!!!」
 紅蓮、漆黒、獄炎。信史の胸中に渦巻くどす黒い念。
 復讐。いや、もう復讐などでは足りない。
(死者をも弄ぶ……てめぇを許しちゃおけないッ!!!!!!)
 灯る炎、暗黒の炎、怒りの炎。コールタールよりも重く、ガスバーナーよりも激しく、太陽よりも紅く、宵闇よりも黒く、それは心を覆う。
「柊かがみ、てめぇは俺が裁くッ!!!!!!」
 
 三村信史。彼の頭の中で、柊かがみはもう既にその原型を留めていない。
 人心をたやすく掌握し、操り、スタンドを操作し、体を自在に構築し、姿を自由に変形する。
 今のは波紋ではない。何か別の力なのだ。アーカードだのなんだのとおかしな連中がいる以上、そんな能力があっても不思議はない。
 支給品という可能性もある。そして何よりも――相手は『あの』柊かがみなのだ。
524Shine On You Crazy Diamond ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 21:44 ID:Dv.HSYoo
「立てよ、柊かがみ。てめぇはこんな事で終わる筈が無いッ! 俺もこんな事じゃあ済まさないッ!」
 魔女狩り。夢にまで見た、ようやくの死劇。これでようやくジョセフの敵が取れる。仇が討てる。この殺し合いで、人々が傷つかないで済む。
 その為にも、ここで、こいつを――殺す。
 オーケー、だけどあわてちゃあいけない。あくまでも、クールに、だ。
「落ち着け……クールになれ、三村信史。落ち着くんだ。クールになれ」
 繰り返し、繰り返し、呪文の様にクールになれと口にする。
 ……素数を数えてもいいかもしれない。
 素数は一とそれ自身でしか割れない数と聞いた覚えがある。誰も味方が居ないこの状況、孤独な数は自分の心を癒してくれるかも知れない。
 孤独――だが、このバグを取り除けば、皆の反抗の助けになる。ジョセフの無念も救われる。
 そう信じて。
 
 ――Shine on you crazy diamond.
   Threatened by shadows at night, and exposed in the light.
 
「ぐ……シンジ…………てめえ……」
 ようやく柊かがみ――ジョセフ・ジョースターの顔をした=そう信史が思い込む――が置きあがった。
 それを見て、三村信史は拳を強く握り締める。
「まだ、ジョジョを侮辱するつもりかァーーーーーーーッ!!!!!!」
 咆哮、共に『クレイジー・ダイヤモンド』が飛び出す。
「このスカタンッ!」
 拳を繰り出す信史のスタンドより早く、波紋の力で飛び上がる。一先ず後退。体勢を立て直す。
 誤解を解くためにも、いったん信史と戦闘を――黙らせる必要がある。こうも錯乱されちゃ、話しても伝わらない。事実、伝わっていない。
 実際にかがみに会わせる必要があるだろう。それにかがみの身も心配だ。その為にも、こんな処で暴れられて、時間を浪費するわけにもいかない。
 とっとと終わらせる。故に、全力で仕掛ける。その為にも、準備を整え――
「逃がすか……柊ィィィィィィィィ!!!!!!」
 ――られない。
525Classical名無しさん:08/02/24 21:45 ID:Tx6J7ijc
支援するんだよォ〜〜ッ!
526Shine On You Crazy Diamond ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 21:45 ID:Dv.HSYoo
 
 射程外、想定外。信史の、そのスタンド『クレイジー・ダイヤモンド』は、本体から大きく距離を離し、ジョセフまで詰め寄る。
 予想していなかったそれに、滞空状態のジョセフは……。
「グッ!!!」
 一撃をお見舞いされ、地に墜ちる。
 そこへ追撃。『マジシャンズレッド』、片手では裁ききれない。拳のラッシュ。掃射。弾幕。不可避。
 耐え切れない。体が飛ぶ。電柱に激突。折る。止まる。血を吹く。
 如何に波紋で体を強化したとて耐えられない攻撃はある。
「ゴホッ……! このパワー、つ、強い……ッ!」
 スタンドは本体の精神に比例する。今燃え滾る信史の心に呼応する『クレイジー・ダイヤモンド』は、その本来の持ち主が使用するかのごとく、力に溢れていた。
 『スタープラチナ』すら圧倒する、その力に。
 

 ――Shine on you crazy diamond.
   Well you wore out your welcome with random precision, rode on the steel breeze.
 
 苦しげに息を吐くジョセフを見て、信史は唇を噛む。
 目の前の者は『柊かがみ』とはいえ、ジョセフ・ジョースターの姿をしている。それを痛めつける事が、信史の心をも苦しめていた。
 さっさとその姿を止めろ!
 そう叫びたくなる衝動を必死に押さえつける。柊かがみは、自分の心を乱す為にジョセフの姿をとっているのだ。それに乗ってしまっては、ジョセフの仇が討てない。
「落ち着け……素数を数えるんだ。素数は孤独な数。今の俺に勇気をくれる」
 二、三、五、と素数を数えだす。意外にもそれは信史の心を落ち着けた。
「オーケー、クールに、だ」
 口癖。決意。両方。
 落ち着き払った動作で、『クレイジー・ダイヤモンド』を自分の元へ、自分が『クレイジー・ダイヤモンド』の元へ、総じて――ジョセフ=柊かがみの元へ。
 止めを刺す。
「トドメだッ! 柊かがみッ!」
 狂った悪夢を、熱狂の金剛石で、破壊する。破壊する為の、一撃。
 狂った様に輝くダイヤモンドが、黒く禍々しい瘴悪を払う。払う為の、一死。
 狂ったプログラムを、輝く意思を持って打ち砕く。砕く為の、一殺。
 それを決める。
527Classical名無しさん:08/02/24 21:47 ID:OIdkrZTo
528Shine On You Crazy Diamond ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 21:47 ID:Dv.HSYoo
 
「トドメ……? 違うぜ。喰らったんだ。敢えて、な」
 笑う。嗤う。考慮内の一撃、逃走の一撃、距離をとる為の一撃。敢えて。
「黙れッ! 喰らいやがれッ! 『クレイジー・ダイヤモンドッ!!!!!!』」
 既に射程圏。一撃、一死、一殺の一打。それを放つ。
 ジョセフ、動かず。されど、届かず。種明かし――ヨーヨーの紐が二つ。片方は『クレイジー・ダイヤモンド』の腕に。他方は、もう一方と――加えて、電柱に。
「てめぇ……いつの間に……ッ!」
「仕掛けさせてもらったぜ。スデにな」
 巻きついた糸、頭はもう一方の頭とかみ合い、先端に何かぶら下がる。重り。もう一方は滑車の様に電柱に絡む。ただし三村には視認できず。理由――信史の背後。
 闇に紛れた糸。布石――街灯の粉砕、三村の攻撃、ジョセフの移動。
 怒り心頭。力任せに引きちぎる。不可。圧力にヨーヨーが解ける。動き出すスタンド、同時、影からヨーヨー。三村の死角、後頭部。
 死角、されど不意にあらず。頭を避ける。回避、否。ヨーヨーの先にはデイパック。中身あり。重量十分。即席ハンマー。
 迫る。何とか他の腕で粉砕。容器が破砕。入口から飛び散る破片と液体。油、切片。三村の顔へ――目へ。反射的、目を閉じる。
 体にかかる。半身にかかる。頭にかかる。瞼にかかる。目に入る。ただし破片は当たらず――無事。
 不適格。三村信史、視界封鎖、敵に背を向ける――隙だらけ。無事にあらず。
 適当。ジョセフ・ジョースター、歴戦の勇士、姦計の主――好機を逃さない。
529Shine On You Crazy Diamond ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 21:49 ID:Dv.HSYoo
 
 ――Come on you raver, you seer of visions, come on you painter, you piper, you prisoner, and shine!
   Nobody knows where you are, how near or how far.

「それじゃあシンジィ〜〜〜〜〜〜ちょっと痺れるけど……喰らえよッ!!!!」
 接近。波紋を流す。油を伝わり、頭部へと。恐らくは信史の頭にあるであろうDISCを弾き出す為。全身油まみれ。そのどこかに触れられれば、
「おおおおおおーーーーーーーーーーーッ!」
 しかし、その触れられればが実行できない。信史が闇雲に腕を振り回す。狙いは無いが危なくて近づけない。
 否。ジョセフの体がぴくりと動く。三村へと。
 不本意。ジョセフは望んでいない。原因――ヨーヨー。絡まった紐。腕を目標なく振り回す。そう見せかけて、釣る。
「柊……てめぇがどこにいるか手に取るように分かるぞッ!」
 信史の瞼は開いていない。紐を伝わる振動か。或いは、スゴ味。
「喰らえッ! 柊かがみィィィィィィィ!!!!!!!!!」
 腰を捻る。腕を引く。ジョセフの体が浮く。だがそこで、ジョセフは、逆に強く地面を蹴ったッ! 勢い良く、三村へと向かう。
 お互い激突必至。そこへ信史は逆を突きだす。単純なパンチ。一直線。輝く一筋の矢。ジョセフも手を突き出す。
 若干、ジョセフが早い。その差――ヨーヨー、残りの。これで僅かに先行する。一撃。たった一撃といっても大きい。それは相手の攻撃を挫く。
530Classical名無しさん:08/02/24 21:49 ID:Tx6J7ijc
支援=理解!
531Shine On You Crazy Diamond ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 21:50 ID:Dv.HSYoo
 
「そう来ると思っていたッ!」
 目が半開きの信史。片手にはヨーヨーが、逆はジョセフ=柊かがみへ向けた。自分を守るものはない。或いは、突き出した腕で防ぐ。
 しかしそれは出来ない。ジョセフの背後には鳥の頭を持つヴィジョン――『マジシャンズレッド』。
 弾けばスタンドの、弾かなくてはヨーヨーとスタンドの、攻撃を受ける。――必然。決定。運命。
 それを覆す。螺旋曲がった輝きで、運命を覆す。
 『クレイジー・ダイヤモンド』、叫び一つ。時の逆行ともとれる物体の動き。復元。
 三村の前で破片が再生。過程でヨーヨーの糸を切断する。
 ジョセフのアドバンテージ――消滅(ネガティブ)。あとは単純。スタンドの力。それぞれの意地。
「うおおおおおおおおおおおおッ!」
「うおおおおおおおおおおおおッ!」
 叫ぶ二体。繰り出す力。交差する拳。交錯する思い。―― 
 
 ――Shine on you crazy diamond.
   Pile on many more layers and I'll be joining you there.
 
「うごぉぉ……ッ!」
 呻き。叩き込まれた一撃。脇腹へ。攻撃を決めたのは裸、『マジシャンズレッド』。崩れるは三村。
 ジョセフは波紋を流すのを諦めた。そしてその分、集中をただの一発へと回した。故に、辛くも先んじる。紙一重。だが、勝利。
 膝をついたのは復讐に燃える男。それを見下ろすは仲間を取り戻す男。
 勝ちを得た男は、地に崩れる男へと手を伸ばす。
「さーて、とっととやるとしますかねェ〜〜〜〜っと」
 頭部へと波紋を流す。集中が必要。それが為に強引な展開となってしまった。だが、致し方ない。
 自分の側頭部へと手を伸ばす柊かがみ=ジョセフ・ジョースターを見る三村信史。
 その顔に、不気味な笑みを浮かべて。
532Classical名無しさん:08/02/24 21:50 ID:OIdkrZTo
533Shine On You Crazy Diamond ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 21:51 ID:Dv.HSYoo
 
「シンジ……何がおかしいんだ? どっか悪いのか?」
 とびっきりの笑顔。
「悪い? ……実にイイぜッ! お前のその位置がスゴクイイッ!」
 急。ジョセフの体勢が崩れる。前に、信史の方へと大きくよろめる。そこへ下から『クレイジー・ダイヤモンド』の蹴撃。
 不意に注意を散漫した体に、強烈な一発が襲来。為す術――無しッ!
 宙を舞うジョセフの体。通り越し、信史の背後へ。今度は空中で反転、着地完了。
「シンジ……テメー今、何をしやがったッ!」
「破片を『元に戻した』……クールに、な。そしてやれやれ……どうやら乾いた血は、既に『もの』なんだな」
 肩にめり込む道路の欠片。最初に三村が投げ、ジョセフの肩を掠めたもの。
 それの、それに付いた『血液』を、元に戻した。猛烈な勢いで戻るそれは、視角外からジョセフを急襲、そして出来た一瞬の隙にスタンドで打撃。
 一枚、ほんの薄皮一枚程、信史が上を行ったのだ。
 しかしその差、絶大ッ! 地に着いたジョセフが片膝をつく。片膝――両膝。 
 
 
534Shine On You Crazy Diamond ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 21:52 ID:Dv.HSYoo
 
 ――Shine on you crazy diamond.
   And we'll bask in the shadow of yesterday's triumph, and sail on the steel breeze. 
 
 ジョセフの体が崩れる。それほどの。
「クールになれと思ったなら……その時スデにクールになっている。ブッ殺すと思ったなら……」
 動けない。スタンドも出せない。疲労、ダメージ。それほどの。
 スタンド『クレイジー・ダイヤモンド』――殺意の黒きダイヤ。拳を握る。激しい疲労。限界。されど尚も輝く。
 拙い。やられる。
(なんて思うワケねーだろよォォォォォーーーーーッ! このジョセフ・ジョースターがッ!)
 体は動かない。――ワケがない。波紋で痛みを和らげればかろうじて行動可能。
 戦闘可能? ――判別不能。

 スタンドは出せない。――波紋は使える。厳しい修業のおかげ。
 戦闘可能? ――判定不能。
(何かあるッ! まだ、何かッ!)

 水音。破壊痕。足音。乱れた呼吸。見上げる。三村信史。射程圏。
「その時スデに行動は終わっているッ!」
 振り下ろされる拳。『クレイジー・ダイヤモンド』。

「柊かがみ、ぶっ殺『した』ッ!」

 怨嗟、憤怒、悲壮、歓喜、全てを孕んだ――終焉の鐘。
 
535Classical名無しさん:08/02/24 21:52 ID:OIdkrZTo
536Classical名無しさん:08/02/24 21:52 ID:RiZPkU7E
 
537Classical名無しさん:08/02/24 21:53 ID:Tx6J7ijc
支援するだーーッ!
538Classical名無しさん:08/02/24 21:53 ID:4ToiBvlA

539Shine On You Crazy Diamond ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 21:53 ID:Dv.HSYoo
 
「違うぜ、シンジッ!」
 水音――音源:コールタール。
 破壊痕――理由:戦い始めの場所。
 信史の精神に呼応して、『クレイジー・ダイヤモンド』は、道路を原料まで『戻し』ていた。疲労は、それ故。
 怒りからの暴走か、関係の修復を願う心か、どちらから来るものかはわからない。しかし、
(これはチャンスだぜッ!)
 吸う。集める。蓄積する。練る。刻む――生命のほとばしり。
「刻むぜ、波紋のビート!」
 流れる力。油を伝わり、三村の元へ。
「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」
 叫び。苦痛の。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」
 叫び。命の。
 全力。全ての力をふり絞る、ふり注ぐ。仲間を取り戻す為に、自分を伝える為に。
「『波紋疾走(オーバードライブ)』ッ!!」
 流れる太陽のエネルギー。油を通して、信史の体へ。
 温かい波動。
(この波動は……)
 流れるエネルギー。
(ジョジョだ。何故だかわからない。でも、俺にはそんな気がしてならないッ!)
 命の力、波紋。力=愛。
「ジョジョ……お前なのか!?」
 愛=理解。
「だから何度もそう言っとるだろうがァー! このスカタンシンジッ!」
 
  
 ――Come on you boy child, you winner and loser,come ony you miner for truth and delusion,and shine!
540Classical名無しさん:08/02/24 21:54 ID:RiZPkU7E
  
541Classical名無しさん:08/02/24 21:54 ID:OIdkrZTo
542Classical名無しさん:08/02/24 21:54 ID:4ToiBvlA

543Shine On You Crazy Diamond ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 21:54 ID:Dv.HSYoo
 
「ジョジョ、すまないッ!」
 頭を下げる信史。その先には横たわるジョセフ。
「本当だぜ〜〜〜シンちゃんよォ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!」
 憎まれ口を叩くジョセフ。しかし、その顔は笑顔だ。
「何度言っても攻撃やめねえし、ありゃ『クレイジー・シンジ』だぜ」
 誤解は解けた。しかし代償は大きい。ジョセフはほぼ満身創痍。体力を使いすぎたせいでスタンドも出せない。
「本当に、ジョジョ………………すまなかった……」
「まあ、とりあえずよしとするけどよ〜〜〜、後で一発殴らせろよな」
 俯いていた信史も、それには「ああ」と明るく応じた。
「ところで……なんでお前が柊のスタンドを持っているんだ?」
 信史の問いかけに、ジョセフは頭からDISCを取り出し渡す。
 ――なるほど、ジョジョも『あいつ』もこれで力を得ていたのか。
 ようやく納得した。しかし、まだわからない事も多い。
「ジョジョ……何でお前がこれを持ってるんだ? どうやって手に入れた? 前の持ち主は、やつはどうした?」
 立て続けの質問。最後に加える。
 
「どうやって助かったんだ……あの炎の中から」
 一番大事な事。生きているの嬉しい。だからと言って、手放しでは喜べない。それには疑問が多すぎる。
 しかし、そんな信史の問いかけを、ジョセフは手で制す。
「悪いけどよォ〜〜今時間がないんだ。時間までに駅に行かなきゃあならねえ。待っている人間がいるんだ」
 待っている人間。恐らくはこの企みを潰す為の、仲間。待ち合わせ。ならば急いでそこへ向かわなくてはならない。
「オーケー、ジョジョ。質問は後回しだ」
 信史の言葉。疑問は後――ジョセフを信用する。
 ジョセフは頷き、立ち上がろうとする。洩れる苦声。軋む体。起き上がり――困難。一時的であるが波紋が尽きた。痛みを抑える事が難しい。
 戸惑う信史。後、思案顔。何か思いついた。可能? 甚だしく疑問。
「もしかしたら、治せるかもしれない」
 期待。確信。戦闘の最中、スタンドは三村の思う通りに動いた。ならば思えば、或いは生者の治療も可能かも知れない。
 横たわるジョセフ。目を瞑る。信史、手を伸ばす。スタンド。
 触れた瞬間、炎が彼を覆った。
544Classical名無しさん:08/02/24 21:54 ID:4ToiBvlA

545Classical名無しさん:08/02/24 21:56 ID:4ToiBvlA

546Classical名無しさん:08/02/24 21:56 ID:Tx6J7ijc
支援
547Classical名無しさん:08/02/24 21:56 ID:4ToiBvlA

548Shine On You Crazy Diamond ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 21:56 ID:Dv.HSYoo
 
■ 
 劉鳳と服部。歩く二人、急に立ち止まる。
「劉鳳はん……今の」
「間違いない! 戦闘が行われている!」
 戦闘音。その元へ、二人は走り出した。
 戦闘を止める為に。これ以上死者を出さない為に――。
 
 服部と劉鳳が到着した時にはもう、戦いは終了している様だった。
 横たわる一人の男。その男の前にかがむ少年。そしてその少年の背後、倒れ伏す男へと手を伸ばす――『スタンド』。
 反射的、と言っていい程だった。服部は赤き宝石、スーパーエイジャを取り出し、少年に向けると、懐中電灯/拳銃の、スイッチ/引き金を、押した/引いた。
 放つ光を、赤石が収束。レーザーと化し、少年へ。
 何故エイジャ。そう聞かれれば、こう答える。光線銃では殺しかねない。一先ず通告する事が目的だった、と。
 何故撃った。そう聞かれれば、こう答える。少年の様子が尋常じゃなく、また、スタンドを持つ者に、持つ者への苦い思いがあったから、と。
 少年が殺人者かどうかわからない。しかし、この場で戦闘があった。どちらにせよ警告が必要。その為に撃った。
 今は、ベストな選択だったのだ、と。

 助ける為の、殺しあいに反逆する為の行動。しかし、現実は非情である。
 服部の放った光線は、着弾と同時に爆発。飛ぶ炎が信史の元で燃え上がった。
 衣服に染み込んだ油は容易く炎の勢いを強める。何が起きたのかわからない信史。それでもわかることがある。
 それは――ジョジョが、危ないということ。
 考えるよりも先に、声を発するよりも先に、ジョセフの体を自分から放す。コールタール。その中に倒れるジョセフは自分より危ない。
 取りあえずジョセフを、余裕が無いから殴り飛ばし――心の中でスマンと謝りつつ、最大限に加減、それでいて遠くへ行ける様に調節し――、自分が火を消す。
 それがベストな手段、選択なのだ、と。
 
 しかし現実は非情である。
 服部は追い詰められた殺人者が、道連れにしようと拳を振るったと考え、発射。第二射は、三村の足で爆ぜる。
 ジョセフの元へ行かせない為に機動力の要を撃った。ジョセフの命を考えての決断。助ける為の攻撃。
 
 しかし現実は非情である。
549Classical名無しさん:08/02/24 21:56 ID:OIdkrZTo
550Classical名無しさん:08/02/24 21:56 ID:4ToiBvlA

551Classical名無しさん:08/02/24 21:57 ID:4ToiBvlA

552Shine On You Crazy Diamond ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 21:58 ID:Dv.HSYoo
 

 灼熱。痛み。自分の足が吹き飛んだ。どうやら襲撃者は自分を逃がすつもりも、生かすつもりもないらしい。
 炎に包まれる中、信史は考える。
 それに加え、この襲撃者は、目の前の――ジョセフまでも殺すつもりだろう。
 ジョセフは反抗の要。彼には類い希なる能力がある、経験もある、時間で待つ仲間もいる。それに何より――自分の、大切な仲間なのだ。
(へへ……二度もジョジョを殺させたりは…………しないぜ)
 力を振り絞り、『クレイジー・ダイヤモンド』。道路を砕く。爆発。片腕が吹き飛ぶ。
 それでも止めない。自分の肩に、ジョセフの命がかかっているのだから。
 もう片方の腕で、コンクリートを砕く。そして再生。コンクリートの壁をジョセフと自分の間に作る。
 第四射。背中。恐らく致命傷。それでも、この攻撃がジョセフへと届く事は無いだろう。その為の壁だ。ジョセフの為の壁だ。
 壁が、壁の隙間から、ジョセフの顔が覗く。
 
「シンジッ! その壁をどかしやがれッ! そんな炎、俺が波紋で何とかしてやるッ!」
 叫び。悲壮な、仲間を失いたくないという、絶叫。
「無理だぜ……てめぇは、今、ほとんど波紋が使えないだろ……」
 声、かろうじての、か細い声。
「いいからその壁をどけやがれッ! 今からそっちに行くッ!」
 痛む体を、何とか起こそうとするジョセフ。無理だ。三村は思う。
(へ……なんて顔してやがる)
 ジョセフはこんなにも「仁」の男だ。こんな男が、柊かがみに操られている筈がないだろう。
 先程、かがみが危ないと言っていた。ならば、かがみは、この殺し合いに乗った、化け物ではないのだろう。
(そう思うと、ひどい事しちまったな…………)
 一言謝りたいと思う。でももう、それも叶わないだろう。
「シンシッ! 今すぐに行くッ! 少しだけ待ってろッ!」
(おいおいジョジョ……無理だぜ。それは)
 無理やり体を起こそうと――崩れるジョセフ。
 今ジョセフは、戦える――それどころか、動ける体ではないのだ。自分のせいで。
553Classical名無しさん:08/02/24 21:59 ID:4ToiBvlA

554Classical名無しさん:08/02/24 21:59 ID:4ToiBvlA

555Shine On You Crazy Diamond ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 22:00 ID:Dv.HSYoo
 
「ジョジョ……俺はいい、いいからかがみの所に行ってやれ…………それに、待たせているやつもいるんだろ…………?」
「だまってろッ! くだらねえこと話すんじゃねえッ!」
「へへ……」
 さらに一発。弾ける体。叫ぶジョセフ。
「シンジィィィィィィィィィィィッ!」
 ――おいおい……なんて顔してやかるんだ。スゴイ汗かいてて、ひどい面になっているぜ。
「ジョジョ…………クールに、だ」
 炎の中に崩れおちる。
 だが最後の力を振り絞り、『クレイジー・ダイヤモンド』のDISCを投げる。使いこなせるかもわからない。それでも、信じて。
 
「このクソッたれたプログラム…………潰してくれ、よ…………頼んだぜ…………………………」
 
 炸裂。
 
【三村信史@BATTLE ROYALE 死亡確認】
 【残り人数:20人】
 
[備考]
※三村が留守番電話にメッセージを残したのは、以下13ヶ所です。なお、メッセージは全て同一です。
 老人ホーム(A−1)、市役所(D−3)、病院(F−4)、消防署(D−4)、学校(C−4)
 総合体育館(D−5)、ホームセンター事務室(H−5)、総合スーパー事務室(D−6)
 変電所(A−8)、汚水処理場(B−8)、ホテル(D−8)、パブ(F−8)、ボーリング場(G−8)
※三村の死体の傍に マジシャンズレッド(魔術師の赤)のDISC@ジョジョの奇妙な冒険 、
 七原秋也のギター@BATTLE ROYALE(紙状態)支給品一式×2 があります
※ジョセフの近くに、クレイジーダイヤモンドのDISC@ジョジョの奇妙な冒険 があります 
※ジョセフと三村の間に幅数メートルの壁があります。
556Classical名無しさん:08/02/24 22:00 ID:Tx6J7ijc
シエン・・・・・・これはペロ!
557Classical名無しさん:08/02/24 22:00 ID:OIdkrZTo
558Classical名無しさん:08/02/24 22:00 ID:4ToiBvlA

559Classical名無しさん:08/02/24 22:01 ID:4ToiBvlA

560Classical名無しさん:08/02/24 22:01 ID:4ToiBvlA

561Classical名無しさん:08/02/24 22:02 ID:4ToiBvlA

562Classical名無しさん:08/02/24 22:02 ID:OIdkrZTo
563Classical名無しさん:08/02/24 22:02 ID:4ToiBvlA

564Shine On You Crazy Diamond ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 22:02 ID:Dv.HSYoo

 
【E-2/一日目/真夜中】
【ジョセフ・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:健康、左手骨折、全身打撲、精神疲労(大)、体力消費(大)、深い悲しみ
[装備]:ハイパーヨーヨー×1(ハイパーミレニアム)、
    
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:BADANとかいうボケ共を一発ぶん殴る。
1:????????????????
2:S3駅、S1駅周辺を探し、かがみ救出のための仲間を探す
3:かがみを助け、村雨は殺す。
4:マップの端を見に行く。
5:一応赤石も探しとくか……無いと思うけど。




[備考]
※ハヤテ+零が出合った人間のうち、生き残っている人物及び知り合いの情報を得ました
(こなた、パピヨン、ナギ、鳴海、エレオノール、ヒナギク、覚悟)
※二部終了から連れてこられていますが、義手ではありません。
※吉良の名前に何か引っかかっているようです。
※水を使うことで、波紋探知が可能です。
※三村の留守電を聞き逃しました。
※主催者は目的は強者を決めることであり、その中にはイレギュラーもいると考えています。
※少なくともかがみとは別の時代の人間であるということを認識しました。

565Classical名無しさん:08/02/24 22:03 ID:4ToiBvlA

566Classical名無しさん:08/02/24 22:04 ID:4ToiBvlA

567Classical名無しさん:08/02/24 22:04 ID:4ToiBvlA

568Shine On You Crazy Diamond ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 22:04 ID:Dv.HSYoo
※波紋の力を使うことで対象のディスクを頭部を傷つけることなく強制排出することができます。
 ただし、かなりの集中力を要求します。
※マジシャンズレッドの火力は使用者の集中力によって比例します。
 鉄を溶かすほどの高温の炎の使用は強い集中力を要します。
 火力センサーは使用可能ですが精神力を大きく消耗します
 また、ジョセフのマジシャンズ・レッドは通常の炎の威力の調節が極端に難しい状態です。
 ただし、対象に直接マジシャンズ・レッドの手を当てて炎を出した場合に限り調節が可能です。
 修練をすれば通常の炎の精度が上がる可能性があります。
※S7駅がかなり脆くなっていることを発見しました。
※ジョセフとハヤテの約束。
ハヤテはナギと会った後、ジョセフは仲間を募った後、必ず11時30分にS1駅に集合。
その後、かがみ救出のために神社へ攻め込む。




【ジョジョとハヤテのBADANに関する考察及び知識】



このゲームの主催者はBADANである。
BADANが『暗闇大使』という男を使って、参加者を積極的に殺し合わせるべく動いている可能性が高い。
BADANの科学は並行世界一ィィィ(失われた右手の復活。時間操作。改造人間。etc)
主催者は脅威の技術を用いてある人物にとって”都合がイイ”状態に仕立てあげている可能性がある
だが、人物によっては”どーでもイイ”状態で参戦させられている可能性がある。
ホログラムでカモフラージュされた雷雲をエリア外にある。放電している。
 1.以上のことから、零は雷雲の向こうにバダンの本拠地があると考えています。
 2.雷雲から放たれている稲妻は迎撃装置の一種だと判断。くぐり抜けるにはかなりのスピードを要すると判断しています。
※雷雲については、仮面ライダーSPIRITS10巻参照。
569Classical名無しさん:08/02/24 22:05 ID:4ToiBvlA

570Classical名無しさん:08/02/24 22:05 ID:Tx6J7ijc
  
571Classical名無しさん:08/02/24 22:05 ID:4ToiBvlA

572Classical名無しさん:08/02/24 22:06 ID:4ToiBvlA

573Classical名無しさん:08/02/24 22:06 ID:4ToiBvlA

574Shine On You Crazy Diamond ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 22:06 ID:Dv.HSYoo
 

 ジョセフを助ける為の壁、それを見て服部は、その力で、壁で、ジョセフを押しつぶすつもりととった。
 故に、片腕を吹き飛ばした。やめろ、止まれ、と。
 しかし少年は止まらない。まだ腕を振るい、破片で壁を形成する。
 それほどまでに、それほどまでに道連れが欲しいかと、服部は少年狙いを定め、撃つ。
 まだ見ぬ男を助ける為に。
 それでも止まらない男を撃つ。撃つ。撃つ。
 
 そこに悪など存在しなく、あるのはただ善意だけだった。
 
 狂った輝きに魅せられて――Shine On You Crazy Diamond.
575Classical名無しさん:08/02/24 22:07 ID:4ToiBvlA

576Classical名無しさん:08/02/24 22:07 ID:OIdkrZTo
577Classical名無しさん:08/02/24 22:07 ID:4ToiBvlA

578Classical名無しさん:08/02/24 22:08 ID:4ToiBvlA

579Shine On You Crazy Diamond ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 22:08 ID:Dv.HSYoo

【服部平次@名探偵コナン】
[状態]:健康。両頬が少し腫れている。
[装備]:スーパー光線銃@スクライド、木刀正宗@ハヤテのごとく、携帯電話 核鉄ニアデス・ハピネス@武装練金
[道具]:支給品一式(食料一食消費)、首輪、「ざわ……ざわ……」とかかれた紙@アカギ(裏面をメモ代わりにしている)、
    色々と記入された名簿、ノート数冊、ノートパソコン@BATTLE ROYALE、
    ジャギのショットガン@北斗の拳(弾は装填されていない)、綾崎ハヤテ御用達ママチャリ@ハヤテのごとく(未開封)、
    ギーシュの造花@ゼロの使い魔、スティッキィ・フィンガーズのDISC@ジョジョの奇妙な冒険 (内容、使用方法不明)、
    キュルケの杖、拡声器、 核鉄ソードサムライX@武装錬金包帯・消毒薬等の治療薬、点滴用セット(十パック)
    病院内ロッカーの鍵(中に千切れた吉良の左手首あり)才人のデイパック(内容は支給品一式、バヨネット×2@HELLSING、
     紫外線照射装置@ジョジョの奇妙な冒険(残り使用回数一回)未確認)  
[思考・状況]
基本:江戸川コナンよりも早く首輪のトリック、事件の謎を解除する。
1:壁の向こうの男に接触を図る
2:ルイズの最後の願いについてはどうするか。
3:シェリスを発見し、真実を明らかにする。
4:範馬勇次郎以外の光成の旧知の人物を探り、情報を得たい。
5:自分自身にバトルロワイアル脱出の能力があると偽り、仲間を集める(一時的に保留)

580Shine On You Crazy Diamond ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 22:10 ID:Dv.HSYoo
[備考]
※劉鳳と情報交換を行い、シェリスの名前を知りました。
※劉鳳、コナンの事は全面的に信用しています。吉良、神楽に対してはまだ保留しています。
※自分自身にバトルロワイアル脱出の特殊能力があると偽る策を考えています。
※バトルロワイアル脱出の特殊能力は10人集まらないと発動しません。(現時点での服部設定)
※脱出作戦を行うかはどうかは考え中。
※バトルロワイアル脱出の特殊能力についてはまだ吉良に言っていません。そのうち時期を見て言うかは保留です。
※銀髪銀眼の人物が殺し合いに乗った事を知りました。
26 名前: Mushroom Hunting Samba ◇代理投下 [sage] 投稿日: 08/02/14 01:54 ID:HcpI3xW2
※バイクCB1000(現地調達品)は、民家から少し離れた路地に、シートを被せて隠しています。
※コナンと二人で立てた仮説、「光成の他の主催者の可能性」「光成による反抗の呼びかけの可能性」「盗聴器を利用した光成への呼びかけの策」 等について
 は、まだ3人に話していません。又、話す機会を慎重にすべきとも考えています。
※スーパーエイジャが、「光を集めてレーザーとして発射する」 事に気づきました。

581Classical名無しさん:08/02/24 22:11 ID:4ToiBvlA
支援する…投下された作品も読む…2つの事をやらなきゃいけないのが読み手の辛いとこだな…
覚悟はいいか?俺はできている。
582Shine On You Crazy Diamond ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 22:11 ID:Dv.HSYoo


【劉鳳@スクライド】
[状態]:疲労中、全身に小程度のダメージ、左肩と腹部にダメージ中、右拳骨折治癒途中(包帯が巻いてある)
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(食料一食消費)、4色ボールペン、色々と記入された名簿、スタングレネード×2 、タバサの眼鏡
    タバサのデイパック(内容は液体窒素(一瓶、紙状態)、タバサの支給品一式 、色々と記入された名簿
[思考・状況]
基本:正義を全うし、ゲームとその主催者を断罪する。
1:アミバの遺志を背負い、正義をなす。
2:ルイズの最後の願いについてどうするか。
3:悪(主催者・ジグマール・DIO・アーカード・村雨)は断罪、弱者(シェリス、キュルケ、神楽)は保護。
4:シェリス・防人の知り合い・桐山の知り合い・核鉄を探す。
5:シェリスに事の真相を聞きだす。
[備考]
※絶影にかけられた制限に気付きました。
※桐山・防人・服部・タバサ・吉良・コナンと情報交換しました。
※平次の策に乗る気はありません。
※銀髪銀眼の顔に傷のある人物が殺し合いに乗った事を知りました。
※液体窒素の瓶(紙状態)、スタングレネードなどは、仲間の誰かに渡しても構わないと思っています
583Shine On You Crazy Diamond ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 22:12 ID:Dv.HSYoo
[共通備考]
※劉鳳、服部、アーカードの持つ名簿には以下の内容が記載されています。
 名簿に青い丸印が付けられているのは、カズマ・劉鳳・シェリス・桐山・杉村・三村・川田・才人・
 ルイズ・防人・カズキ・斗貴子・タバサ・キュルケ・コナン・服部 ・灰原
 赤い丸印が付けられているのは、ジグマール・DIO・アーカード・散・村雨
 緑色の丸印が付けられているのは、蝶野
※劉鳳、服部、コナン、神楽は吉良がスタンド使いということを知りました。
※ルイズをF-3の川岸に埋葬しました。折れた軍刀は墓標として刺してあり、キュルケの杖、拡声器は服部が所持しています。
※ルイズの最後の願いについてはまだ話し合っていません。
※アミバの持っていた支給品一式×3 (食料一食消費) は、F−2民家の中にあります。
※アミバの持っていたノートパソコンには、大東亜共和国謹製のOSが組み込まれています。

584Classical名無しさん:08/02/24 22:12 ID:OIdkrZTo
     
585 ◆VACHiMDUA6 :08/02/24 22:14 ID:Dv.HSYoo
以上で投下終了です。支援有難うございました
指摘、感想などお待ちしております
タイトルは「Shine On You Crazy Diamond――狂った輝きに魅せられて――」です
586Classical名無しさん:08/02/24 22:17 ID:4ToiBvlA
投下乙です。
三村が逝ったか…しかも服部の勘違いで…
悲しいけどこれぞロワって感じがして作者GJ!
587Classical名無しさん:08/02/24 22:19 ID:Tx6J7ijc
投下乙
シンちゃああああん!!
馬鹿は死ななきゃ治んないけどさ、ホントに死ぬってのはないだろうがぁ!
まぁ、あれだけKOOLになってた報いかもしれんがな
しかし、ジョセフと三村の戦いは凄かった。ジョジョのスタンドバトルを彷彿とさせるぜ
そして服部劉鳳やっちゃったなぁ〜……「スタンド使い」だったとはいえ
某ロワのサイボーグ並みな対主催殺しぷりじゃないっすか
3人が共闘できるか、不安だな

ところで、あの英語ってクレイジー・ダイヤモンド原曲なの?
588Classical名無しさん:08/02/24 22:21 ID:EmAoRLIg
投下乙です!
まさかCRAZYがこんな逝き方をするとは…
しかし服部と劉鳳やっちまったな…
589Classical名無しさん:08/02/24 22:24 ID:m/xGRlqY
投下乙。
……とことんまで……とことんまで裏目ッ……!
これは服部劉鳳組にFOOL継承ってことか……!?
590Classical名無しさん:08/02/24 22:27 ID:ZuOGHStM
投下乙

これでジョセフ、服部劉鳳、村雨による対主催三国志が開戦するのか
何とか和解出来るのか続きが気になる
591Classical名無しさん:08/02/24 22:27 ID:oSguSJZs

 まさに、『全てがF(OOL) になる』 ……。

592Classical名無しさん:08/02/24 22:31 ID:LiHNc9FA
投下乙。
三村……残念だが、お前は馬鹿すぎた……。
服部の行動は仕方ないってか当然だよなぁ……うん。
しかし、今度はジョセフに誤解の予感が……マジGJw
593Classical名無しさん:08/02/24 22:31 ID:OIdkrZTo
投下乙
三村……最後はまさしく……輝いていたぜ!
誤解が解けてめでたしめでた氏となるほどロワは甘くない。
しかも発端は劉鳳組。
続きが凄く気になる良作でした。GJ!!
594Classical名無しさん:08/02/24 22:53 ID:7xuFcB6k
しかし劉鳳もはたから見ればスタンド使いと変わりない。
エイジャ持ってるしカーズの同類とか思われなきゃいいけど。
595Classical名無しさん:08/02/24 22:56 ID:GiRxj3KU
投下乙ッ!!
誤解が解けて、さあ昔の三人に元通りと思ったら…
信史ィ――――ッ!!
せっかくCRAZYが解けたのに…嘘だろ、ジョセフ…

そのうえ殺っちまったのが服部とはキツイ
吉良を殺しただけであんなに苦しんだのに…
続きがきになるゥウ!!
GJ!!
596Classical名無しさん :08/02/24 23:39 ID:K1qWfmcY
ロワって・・・悲しいな・・・
だがGJ!
597Classical名無しさん:08/02/25 00:02 ID:jjWtzHlQ
投下乙!!
三村あああああああああああああああああああああああああああああ
そんなそんなそんなそんなそんなそんなそんなそんなそんな
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ
そんな、せっかく誤解が解けたのに・・・あっけなさすぎる。
GJなんですけど少し疑問が、スーパーエイジャってコナン・神楽組が持ってるんじゃありませんでしたっけ?
598Classical名無しさん:08/02/25 00:08 ID:pmLdWDxA
>>597
 確かに。
 『二人の探偵』 、『その暴力に賭ける』 ともに、スーパーエイジャと懐中電灯はコナンの所持品だね。
599 ◆VACHiMDUA6 :08/02/25 00:12 ID:av1DmYKs
>>597ー598
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ
 
すみません勘違いしていました。あれ? すみません
すみません。上のSSを修正させてください。なんてこった……すみません
600Classical名無しさん:08/02/25 00:20 ID:pmLdWDxA
 問題なく 「書き直す」 !
 がんばれ。
601Classical名無しさん:08/02/25 00:25 ID:jjWtzHlQ
がんばってください。あとついさっき誤字を見つけたので報告を。
ようやく柊かがみ――ジョセフ・ジョースターの顔をした=そう信史が思い込む――が置きあがった
ようやく柊かがみ――ジョセフ・ジョースターの顔をした=そう信史が思い込む――が起きあがった
だと思います・
602Classical名無しさん:08/02/25 00:31 ID:RCH54g.M
マジだwwww
まあニアデス・ハピネスか絶影の鞭で代用できるんじゃね?
603Classical名無しさん:08/02/25 00:58 ID:jjWtzHlQ
>>602
頼むよ、そんなこと言わないでくれよ・・・・おれは独歩の奇跡に僅かながら希望を持ってるんだぜ。
604Classical名無しさん:08/02/25 01:20 ID:I2SbZuqA
>>603
そういう事言うの止めようぜ。
基本的に一度死んだ者の生き返りは無しなんだぜ。
少し修正すれば済む話だから書き手さんの修正を待とうぜ。
605Classical名無しさん:08/02/25 01:29 ID:oiHdrxVA
>>603
前回の修正は作者氏がそのほうが作品としての出来がよくなると判断した結果
既に指摘されてるがそういうこと書き込んで本当にそれで結果変わったらいくない
606Classical名無しさん:08/02/25 01:37 ID:cpqSWnoI
何という不快感
これを狙ってやってるのだとしたら作者は恐ろしい。
三村のアホさ加減にイラつき、あっさり服部に殺される結末とかもうね。
出来が良いほどに気分が悪くなるロワの真髄を見た!
607Classical名無しさん:08/02/25 01:55 ID:yFK9q/es
投下乙
服部のいきなりの凶行も、吉良の射殺にコナンの別離と、きっちりした推移があっただけに納得できる展開。
「殺しても仕方ない」と覚悟したことが誤殺を招いたってのは…皮肉な話だな。

とはいえ目が曇ったまま死ぬことなく、親友ジョセフを庇って逝けたのは三村にとっては幸い…だったのかな?
目の前で死なれたジョセフにとってはたまったもんじゃあないがなw ハヤテも死んじゃってるし。
修正頑張ってください。
608Classical名無しさん:08/02/25 02:01 ID:RCH54g.M
どのみちまた対主催が追い詰められてるw
もはやマーダーの方が総数多いくらいじゃないか?
609Classical名無しさん:08/02/25 02:27 ID:g4WTweFI
マーダーは確かTQN&川田、エレ(?)&美形、ラオウ、勇次郎くらいか?
一個一個が強いからな、まだ分からないかもね
610Classical名無しさん:08/02/25 02:28 ID:oiHdrxVA
>>608
一応まだ対主催のが上回ってるけどきついなww
優勝エンドも脱出エンドもどっちもありそうww
611Classical名無しさん:08/02/25 02:39 ID:dD4.GsSY
投下乙です。
ここで三村退場か………。
しかし世の中うまいこといかんなぁ、と。
修正がんばってください。

夢想転生習得前のラオウはまだしも、勇次郎を一体どうやって倒したものやら。
612Classical名無しさん:08/02/25 03:06 ID:c2Fsev7k
某ロワの旦那のときよりきつそうだ>勇次郎殲滅
613Classical名無しさん:08/02/25 03:45 ID:C2b5qO7M
つ【ラオウと相討ち】
614Classical名無しさん:08/02/25 08:07 ID:cWK007Rg
つ【禁止エリアに相打ち覚悟で連れ込む】
615Classical名無しさん:08/02/25 12:11 ID:y4LIjP4M
つ【バーローに期待】
616Classical名無しさん:08/02/25 12:14 ID:ZCFbOAg6
パピヨンあたりなら倒せるんじゃないだろうか。ホムンクルスの能力で。
勇次郎も生物学的には一応人間にかろうじて引っかからなくもないし喰えないかな。
たしかあれって触るだけでよかったよね?
617Classical名無しさん:08/02/25 12:22 ID:ZkEis2Os
勇次郎とまともに戦いそうなマーダーってもうラオウしかいないもんな
618Classical名無しさん:08/02/25 12:25 ID:y4LIjP4M
>>616
パピがホムの捕食能力を使おうとするかだよなぁ…
原作でもホム化した直後以外使ってないし
普段はロワ内でもあったように普通の食い物を馬鹿食いして食欲満たしてるし
ましてや、一応和解出来たとはいえこなたをホムの人食いの習性で怖がらせたばかりだし
619Classical名無しさん:08/02/25 12:39 ID:U7nBSgp.
>>611
現実に勇次郎の生命力ってどれほどなんだろう
例えば火の中にい続けても行きてられそうな雰囲気があったりするわ
620Classical名無しさん:08/02/25 13:14 ID:O5MMSHgs
全裸で宇宙遊泳できそう
621Classical名無しさん:08/02/25 13:48 ID:c2Fsev7k
セツ子、それオーガやない! EDAJIMAや!
622Classical名無しさん:08/02/25 14:01 ID:jjWtzHlQ
みんな違うよ。
まず独歩が爆薬を口の中に入れて勇次郎に特攻、一緒に爆発して道連れになるんだ。
そしてその時
『この世には完璧な物が一つだけある・・・それは、漫画ロワ住人の友情さ・・・』
と言った後に爆発、他のみんなが独歩の遺志を受け継ぐ野のさ。
623Classical名無しさん:08/02/25 14:56 ID:Z5fXlUiQ
喧嘩男はかえれ
624Classical名無しさん:08/02/25 15:13 ID:y7tRumMw
本人の生命力以上に、シャレにならない局面に陥らないカンの良さが強みな気はするな。
攻撃欲求が昂ぶってる時には最大トーナメントの時の麻酔銃みたく隙も出来るが。
肉体そのものは、麻酔で一度は沈むくらいには生き物。
625 ◆d4asqdtPw2 :08/02/25 18:57 ID:4qrnLB4k
第4回放送案を一時投下しました。
主催者側のかなり深いところまで話を進めたので、その部分は議論する必要があると思います。
あと、放送以外の部分が結構長いので見づらいかったら言ってください。
626Classical名無しさん:08/02/25 19:41 ID:k52DMJTs
>>625
乙です。
特に問題はないと思います。
神父の思考がまとまってわかりやすかったです。
627Classical名無しさん:08/02/25 21:01 ID:V7zF/9ZI
仮投下乙!
問題ないと思いますよ。
シエスタの支給品の活用の仕方には驚きました。
628Classical名無しさん:08/02/26 01:55 ID:2/UTtENc
暗黒大使じゃなくて暗闇大使な
629 ◆d4asqdtPw2 :08/02/26 20:15 ID:qdtYhmmg
>>628
あ、すいません間違えてました。

他にも何か問題あったら言って下さい。
主催側の描写なので、ミスがあると痛いんですよね。
630Classical名無しさん:08/02/26 20:52 ID:x1XzxHl.
ある意味どこか抜けていてこその仮面ライダーの悪役
631 ◆VACHiMDUA6 :08/02/27 23:09 ID:1P1Av4jI
一時投下スレに、「Shine On You Crazy Diamond――狂った輝きに魅せられて――」の修正版を投下しました
 
ご一覧下さい
632 ◆05fuEvC33. :08/02/28 01:20 ID:3AmLFgQo
投下します。
633Classical名無しさん:08/02/28 01:20 ID:WSSgU6.Y
             
634運命の罠 ◆05fuEvC33. :08/02/28 01:21 ID:3AmLFgQo
「武装錬金」
全く感情のこもらない声が響く。
「オレ参上…………ってえええええええ!! 何でお前が居るの!? ナギリンは!?」
「私があなたの持ち主だからだ」
核鉄から練成された、エンゼル御前は
自身の持ち主が三千院ナギから、敵対していた才賀エレオノールに替わっていた事に驚きを隠せない。
エンゼル御前とは対照的に、エレオノールは淡々と答える。
エレオノールはエンゼル御前の矢で、前方の木の枝を3つ撃ち落した。
(自動照準による精密射撃…………やはりそれがこの武器の特性か)
「武装解除」
騒ぐエンゼル御前を無視して核鉄に戻し、足早に出発する。
ナギとの戦いで、エンゼル御前に意思が有る事を知っていたエレオノールは
自分にもエンゼル御前が扱えるか性能テストを兼ねて試したのが、今の射撃実験。
(問題無い。これとあるるかんを併用すれば、相当な戦力になる……)
望んでいた有力な武器が集まるのを実感し、エレオノールは少しだが落ち着きを取り戻していた。
エレオノールは幼い頃から、自分を人形だと思い込まされてきた。
人生を自動人形の破壊のみに費やしてきた。
感情を押し殺す事には慣れている。
少なくとも表面上は。
(……ナルミが死んか否かは、次の放送で確認出来る。少なくとも三千院ナギの話より確実な情報として…………)
ナギから聞かされた加藤鳴海の死。
もしそれが本当なら、才賀勝を失い優勝者の褒美も信用できない今
いよいよエレオノールは人間になる方法を、完全に失う事となる。
そうなれば積み重ねてきた過去は無為となり、残された未来には虚無だけとなる。
想像だに出来ない絶望。
それへの恐怖ゆえ、エレオノールは答えを先送りにし
そして一応の同盟相手、マーティン・ジグマールの元へ急ぐ。
不意に背後の闇に追われている錯覚を、意識の外に退け
エレオノールは夜の中を、走り抜けていった。
 
635運命の罠 ◆05fuEvC33. :08/02/28 01:22 ID:3AmLFgQo
 
 ◇  ◆  ◇
 
マーティン・ジグマールは、自身の身の内から込み上げる恐怖と戦っていた。
 
『ならば俺はお前を敵として認めよう……お前の死に様を、この拳に刻むコトによってな』
 
そう言い放った瞬間、ケンシロウから受ける闘気が何倍にも膨れ上がったからだ。
ジグマールの経験や能力以前に、生物としての本能に直接訴えかけるケンシロウの威圧感。
(…………それでいい。それ位の相手で無いと、全宇宙を支配する私の試練にはならん!)
ジグマールはイングラムM10の銃口をケンシロウに向けながら、銃身を顔の高さまで持ち上げる。
ケンシロウは目を潰されている為視線を追えないが、意識がイングラムに向くのは読み取れる。
(視覚以外でもこちらの動きをかなりの精度で見取っているな……フフン、それならそれなりの戦い方をするまでだ)
銃口を向けたまま、ケンシロウに向かって走る。
ケンシロウを目前まで迫ったジグマールの、周囲の空間が揺らぐ。
次の瞬間にジグマールは、ケンシロウの背後に立っていた。
時空間に途中過程を持たない、物理法則を超えた瞬間移動。
それが今ジグマールが使った、アルター能力『人間ワープ』。
ケンシロウの無防備な背が、イングラムの銃口の20cm程先にあるのを確認し
後は引き金を引けばケンシロウとの勝負を決する事が出来ると、ジグマールは心中ほくそ笑む。
「あたっ!!」
その次の瞬間には、ケンシロウの声を聞きながらジグマールは後方に飛ばされていた。
腹部を強打された痛みと、ケンシロウが足を上げているのを見て
ジグマールはようやく、自分が蹴り飛ばされたという理解に到る。
(私が銃の狙いを定めてから引き金を引く間に、ケンシロウは背後への蹴りを放ったのか
 …………早業っていうレベルじゃねぇぞ!)
 
636運命の罠 ◆05fuEvC33. :08/02/28 01:23 ID:3AmLFgQo
 
立ち上がりながらライドルを仕舞う。
ジグマールは唯一撃を交えただけで、思い知らされた。
ライドルが使える程の近間の戦いでは、ケンシロウには太刀打ち出来ない事を。
ケンシロウがジグマールの想像を絶する精度で技を鍛えた、武の達人で有る事を。
(駅で奴の戦いを見てはいたが……実際に敵として対すれば、こうまで違うとは!)
ジグマールは横に走りながら、イングラムを掃射。
イングラムの銃弾を、ケンシロウは必要最小限の動きで避ける。
ケンシロウに、銃弾より速い動きが有る訳ではない。
目が見えずともケンシロウは、気配と僅かな空気の流れだけでジグマールの動きが分かる。
ジグマールの動きから射線と発射のタイミングを、読み取っていた。
ケンシロウが銃弾を掻い潜り間を詰めようとするも、人間ワープで距離を離す。
(このままの調子で戦っていては、ジリ貧だな……)
ケンシロウにはS7駅の戦いで見た、北斗剛掌波が有る。
距離を取っていても、ジグマールが動きを止めればそれで狙われる。
弾幕と人間ワープで距離を取りつつ、常に動きながらの戦いを強いられているジグマールは
遠からず体力と銃弾が尽きる。
そうなればケンシロウを倒すどころか、逃げる事も適わない。
(やはりイングラムだけを武器にしていては、埒が明かん。
 衝撃波―――否、奴には北斗剛掌波が有る。撃ち合いになれば、恐らく威力でこちらが負ける。
 アラミド繊維内蔵ライター―――否、間合いを詰めなければ使えない。
 確かスタングレネードが有った―――否、目に頼らない相手には効果が薄い。下手に使えば自滅する。
 待てよ、目が見えないならあれを使えば…………)


637運命の罠 ◆05fuEvC33. :08/02/28 01:24 ID:3AmLFgQo

戦いを優位に進めているかに見えるケンシロウだが、内心勝負を焦っていた。
ジグマールを倒すだけなら、長期戦に持ち込む方が磐石であるが
今は一刻も早く独歩を救出し、ナギを助けに行かなくてはならない。
しかし要所で人間ワープを駆使するジグマールを捉えるのは、ケンシロウにも容易では無い。
ケンシロウが手刀を振り上げると、見えざる刃が地面を裂きながらジグマールへ向かう。
北斗神拳奥義水影心により体得した、南斗紅鶴拳 伝衝裂波。
ジグマールはそれを回避する様に、人間ワープでケンシロウの左横手に移動した。
「あた!」
鳩尾にケンシロウの蹴りが入り、ジグマールの動きが一瞬止まる。
「あたたたたたたたたたたたたたたたたたっ!!!」
無数の蹴りがジグマールの全身に、ほとんど同時に打ち込まれ
ジグマールはコンビニエンスストアに、ガラス壁を突き破って叩き込まれた。
破壊や転落の音で、しばらくジグマールを見失ったケンシロウだが
コンビニエンスストアの床に、倒れているのを捉える。
息も絶え絶えといった様子で、店の奥へ這って逃げていくジグマールを追う為
ケンシロウは、割れたガラス壁から店内に入り
気配と音から、ジグマールの状態を探る。
(右手に持つ短機関銃は、こちらに向ける様子は無い。……左手に持っている物は何だ?)
ジグマールの姿が消える。ケンシロウにも予測不能な、移動方法『人間ワープ』。
即座にジグマールの気配を捉える。ケンシロウ頭一つ低い、商品の陳列棚の向こう側。
不意に足下からの、急激な空気の膨張。高熱の放射。
(爆弾!!?)
爆発源の反対方向に飛び、筋肉の緊張と闘気(オーラ)で防護体勢を取る。
それでも爆発は防ぎ切れず、流し切れない。
店外まで飛ばされ、受身も取れず地面を転がる。
全身を覆う甚大な損傷。すぐには起き上がれない。
聴覚と触覚もノイズが酷い。すぐにはジグマールを捉えられない。
ジグマールは見る影も無く破壊された店内で立ち上がり、短機関銃のマガジンを入れ替え始めた。
彼我の戦力とダメージを分析して、ケンシロウが立てた戦術は―――逃走。
ケンシロウは痛みを押し殺し、コンビニエンスストアの隣に有る民家へ駆け込んだ。
 
638Classical名無しさん:08/02/28 01:25 ID:WSSgU6.Y
           
639Classical名無しさん:08/02/28 01:25 ID:WSSgU6.Y
          
640運命の罠 ◆05fuEvC33. :08/02/28 01:25 ID:3AmLFgQo
 
 
 
ジグマールの作戦はほとんど成功していた。
ケンシロウの蹴りを受け、コンビニエンスストアに入る。
その際の破壊に紛れ、法儀礼済みボールベアリングのクレイモア地雷を床に設置。
予想通りケンシロウが、止めを刺しに来た所をリモコンで爆破。
自分に降りかかる爆風は、衝撃波で相殺する。
(フン。流石のケンシロウも目が見えなくては、殺気も心も動きも無い地雷の爆発を避わし切れまい)
ジグマールは左手に持っていたリモコンを投げ捨て、コンビニエンスストアから出る。
(しかしパニックに陥ってもおかしくないあの状態で、すぐに屋内へ逃げ込む判断が出来るとは
 やはりケンシロウは相当戦い慣れている様だ、手負いとは言え油断ならんな……)
ケンシロウにダメージを与えた事で、ジグマールは戦力の優劣を覆したと見たが
死角の多い屋内戦となれば、まだ気配を捉えられるケンシロウに有利と思えた。
(せっかくダメージを与えたのに、逃げ回られて回復されては千載一遇のチャンスを逃す事になる。
 …………やれやれ、出来れば人質は使いたくなかったが…………)
うつ伏せに倒れたままの、愚地独歩の下へ行き
独歩の頭にイングラムの銃口を突きつける。
「こそこそ隠れていないで、出て来て貰おうか。さもないと、どうなるか分かるな?」
やがて民家のドアから、ケンシロウが姿を現した。
「フ……お利口だ……」
「ケンシロウッッ!!!」
突如ジグマールの足下から響く、独歩の怒声。
「よくも俺の前に姿を現せたもんだな、アア!!」
641運命の罠 ◆05fuEvC33. :08/02/28 01:26 ID:3AmLFgQo
独歩に意識が有った事。独歩が起き上がろうとしている事
独歩がケンシロウを知り、ケンシロウに怒りを向けている事。
それらの情報が一度に与えられ、一瞬ジグマールは途方に暮れる。
「てめえがその手に持った武器で殺したのは、とっくに知ってるんだよッ!!」
(武器を持っただと!?)
先程まで無手で戦っていたケンシロウが、今更武器を持つ可能性は低い。
頭でそう考えるより先に、ジグマールの視線は独歩が指差す方向に自然に誘導される。
ジグマールの腹部に刃物で刺された様な激痛。
独歩の蹴りが、腹に刺さったものと分かる。
すかさずイングラムを向けるも、独歩に捻り取られた。
 
 
 
「悪いなケンシロウ、俺の勘違いみたいだったわ」
悪びれた様子も無く、独歩はケンシロウに笑い掛ける。
「意識が有ったのは気付いていたが……」
僅かに呆れを交えて、ケンシロウは苦笑を返す。
卑怯と言っても良い不意打ちをした独歩だったが、不思議と不快感は感じない。
むしろ不意打ちの、手際の良さに感心していた。
ジグマールの呼吸を読み、意識の虚を絶妙の間で衝く。
一朝一夕の実戦経験で出来るものではない、対人に特化した技術。
(おそらく独歩は、相当な修羅場を潜ってきたのだろう。
 他愛無い日常会話と、命のやり取りの明確の区別が無い様な実戦を……)
 
「さてどうしようか、こいつ……」
腹を抑えて蹲るジグマールに、独歩はイングラムを突きつける。
「何時までも大袈裟に芝居してんじゃねェよ。とっくに痛みは引いてんだろ」
「クッ……」
「その男はこの場で殺しておけ」
「……ま、そうするのが妥当だわな」
「ま、待て! 話せば分かるって!! そうだ、私もキミ達に力を貸そうではないか! な!
642Classical名無しさん:08/02/28 01:27 ID:dwKTzpgk
                    
643運命の罠 ◆05fuEvC33. :08/02/28 01:27 ID:3AmLFgQo
独歩とケンシロウは、ジグマールを無視した反応。
ジグマールとは反対方向からの敵意、殺意、殺気に。
独歩が振り返った時には、目前まで矢が飛来していた。
「北斗神拳 二指真空把!!」
ケンシロウがその矢を、人差し指と中指で掴む。
次の瞬間には、矢は先程までとは逆方向に向いて飛んでいた。
矢の先には、篭手をつけ傍らに人形を立たせた銀髪の女―――エレオノール。
「聖ジョージの剣」
人形の腕から生えた刃が、矢を弾き飛ばす。
ジグマールの気配が消える。
無人の空間にジグマールが再び現れ、エレオノールへと駆け寄っていった。
 
「そこの人形」
「誰が人形だ!」
ケンシロウは、エレオノールの傍らに浮遊するエンゼル御前を指す。
「三千院ナギはどうなった」
「ナギの事が知りたいなら……」
「きさまには聞いていない!!」
ケンシロウの一喝に、エレオノールの言葉は止まり
ジグマールと、味方である独歩ですらが息を飲んだ。
「…………」
大粒の汗を流しながら、沈黙するエンゼル御前。
それを見てケンシロウと独歩は、ナギの死を理解した。
「…………外道が!」
ケンシロウの怒髪が闘気よって天を衝き、傷つき損耗した筈の肉体が見る間に膨れ上がった。
「エレオノール! きさまの髪の毛一本もこの世には残さぬ」
 
 
 
644Classical名無しさん:08/02/28 01:28 ID:WSSgU6.Y
        
645運命の罠 ◆05fuEvC33. :08/02/28 01:28 ID:3AmLFgQo
 
隣に立つジグマールが、微かに震えているのが分かった。
しろがねとして自動人形との戦いを70年潜り抜けてきた、エレオノールですら恐怖を表に出さないのに精一杯だ。
ケンシロウの怒気が、圧倒的な質量を持ったかの如くに叩きつけられている。
ジグマールが、さり気無く腕を振るう。
それは『お互いが反対方向へ逃げる』のサイン。
エレオノールに動揺が走る。
不安から逃れる為ジグマールの下へ戻ったのに、また一人にならないのかと。
だがぐずぐずしている暇は無い。
そして他に良策も考え当たらないのだ。
エレオノールは静かに頷いた。
 
 
 
並び立っていたジグマールとエレオノールが、同時に反対方向へ駆け出す。
「逃がすかよ」
独歩がケンシロウの傍に居た黒王号に、飛び乗ろうとする。
そこへ向けてエレオノールから放たれる1本の矢。
それは黒王号の額から、脳を射抜いた。
「黒王!!」
ケンシロウが黒王号に駆け寄る間に、ジグマールとエレオノールの姿は見えなくなっていた。
 
「黒王……」
ケンシロウは頭を打ち抜かれ横倒しになった、黒王号の瞼を閉ざす。
「すまぬ、今はお前を弔う事も出来ぬ。だが……お前の仇は必ず取る」
立ち上がり、ジグマールとエレオノールが逃げた方角を見据える。
ジグマールが逃げた方角は、真っ直ぐに北。
エレオノールが逃げた方角は、およそ南南西。
(不味いな、エレオノールの逃げる先には学校がある……)
見えずともケンシロウの方向感覚は、現在地からの学校の方角を割り出せる。
646Classical名無しさん:08/02/28 01:29 ID:WSSgU6.Y
      
647運命の罠 ◆05fuEvC33. :08/02/28 01:29 ID:3AmLFgQo
「独歩、エレオノールは学校の有る方へ向かった。俺は先に学校に行く。お前は……」
「じゃ、俺は男の方を追いかけるとするわ。今から追っかけても、見付かるかは運次第だがな」
「一人で行くのは無茶だ」
「へっ、それはお互い様って奴だろ」
ケンシロウは独歩の言葉に少し驚きを見せ、やがて微笑みながら答えた。
「独歩…………お互い生き延びよう」
自分が以前ケンシロウに掛けたのと、同じ言葉だと思い出し
独歩も笑い返す。
迷う事無く学校の方向へ駆け出した、ケンシロウを見送った後
独歩も北へ向けて出発した。
 
 
 
ケンシロウがエレオノールを追って、学校へ向かうと決めた理由。
それは学校で待ち合わせている、赤木しげると泉こなたを心配してというのも有る。
だがそれ以上に、エレオノールへの強烈な怒りが有った。
エレオノールはキュルケのみならず、ナギと黒王号も殺した。
幼いながら確固たる思いで、命を賭してエレオノールを救おうとしたナギ。
ラオウとの強い繋がりを感じ取れた黒王号。
それらを省みず無慈悲に殺したエレオノールは
もはやケンシロウにとって、どうあっても生かして置く訳には行かない敵となった。
(エレオノール、きさまには地獄すら生温い!!)
拳を強く握り締め、アスファルトに跡がつくほどに強く地を蹴り学校へ急いだ。
 
 
 
648運命の罠 ◆05fuEvC33. :08/02/28 01:30 ID:3AmLFgQo
 
(……ナギが殺されちまったか)
独歩は北へ向かいながら、考えに耽る。
誰かが殺されたからと言って、過去を振り返って繰言を言っても何ら益する所は無い。
そう分かっていても、独歩はどうして考えざるを得ない。
もし最初から武器を使っていたら、それを奪われる事もナギが死ぬ事も無かったのではないかと。
独歩が武器を使わなかったのは、空手かとしての美意識故。
それは独歩にとって命より大事なもの。
例え望まぬ理不尽な戦いの中であろうと、例え如何に強大な敵であろうと
美意識に沿って死ぬならば本望と、独歩は考えていた。
(……けどよ、今は俺一人の命の問題じゃねぇんだよな
 これを使えばより多くの命を、助ける事だって出来るかも知れねぇ)
手中のイングラムを強く握り締める。
(……だったら、これを使うのを躊躇っている場合じゃねぇよな)
北へ向かいながら、独歩は一人自分だけの覚悟を決めていた。
 
649運命の罠 ◆05fuEvC33. :08/02/28 01:31 ID:3AmLFgQo
 
【D-3 中部 1日目 真夜中】
【ケンシロウ@北斗の拳】
[状態]:全身各所に打撲傷と火傷。肩に裂傷 両目損失。
[装備]:
[道具]:支給品一式、ランダムアイテム(般若心境と書かれた紙(エニグマ/開かれていません)
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない、乗った相手には容赦しない。
1:学校へ行く。
2:エレオノールを倒しキュルケ、ナギ、黒王号の仇を討つ。
3:アミバを捜索、事と次第によれば殺害。
4:ラオウ・勇次郎他殺し合いに乗った参加者を倒す。
5:助けられる人はできるだけ助ける。
6:乗ってない人間に独歩・アミバ・ラオウ・勇次郎・エレオノール・ジグマールの情報を伝える。
[備考]
※参戦時期はラオウとの最終戦後です。
※ラオウ・勇次郎・DIO・ケンシロウの全開バトルをその目で見ました 。
※秘孔の制限に気付きました。
※ラオウが無想転生を使えないことに気付きました。(ラオウは自分より過去の時代から連れて来られたと思っています)
<首輪についての考察と知識>
※首輪から出ている力によって秘孔や錬金が制限されていることに気付きました。
首輪の内部に力を発生させる装置が搭載されていると思っています。
※ナギ、こなた、アカギと大まかな情報交換をしました。またジグマールの能力、人間ワープ、衝撃波についても簡単に聞いています
 
650Classical名無しさん:08/02/28 01:31 ID:WSSgU6.Y
    
651運命の罠 ◆05fuEvC33. :08/02/28 01:32 ID:3AmLFgQo
 
【D-3 北部 1日目 真夜中】
【愚地独歩@グラップラー刃牙】
[状態]:体にいくつかの銃創、頭部に中程度のダメージ、左肩に大きな裂傷(出血中)
[装備]:キツめのスーツ、イングラムM10
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:闘うことより他の参加者 (女、子供、弱者) を守ることを優先する
1:ジグマールを見付け出し倒す。
2:学校へ行き、アカギと合流。鳴海のことを伝える。
3:ゲームに乗っていない参加者に、勇次郎の事を知らせ、勇次郎はどんな手段をもってでも倒す。
4:その他、アミバ・ラオウ・ジグマール・平次(名前は知らない)、危険/ゲームに乗っていると思われる人物に注意。
5:乗っていない人間に、ケンシロウ、及び上記の人間の情報を伝える。
6:可能なら、光成と会って話をしたい。
7:可能ならばエレオノールを説得する。
8:手に入れた首輪は、パピヨンか首輪解析の出来そうな相手に渡す。
[備考]
※パピヨン・勝・こなた・鳴海と情報交換をしました。
※刃牙、光成の変貌に疑問を感じています。
※こなたとおおまかな情報交換をしました。
※独歩の支給品にあった携帯電話からアミバの方に着信履歴が残りました。
 
652Classical名無しさん:08/02/28 01:32 ID:dwKTzpgk
                
653運命の罠 ◆05fuEvC33. :08/02/28 01:33 ID:3AmLFgQo
 
【D-3 南西部 1日目 真夜中】
【才賀エレオノール@からくりサーカス】
[状態]:全身に打撲と裂傷、腹部に中程度のダメージ、左ふくらはぎ、左腰、右肩に矢による傷(しろがねの再生力、核鉄の治癒力で再生中)、精神不安定 、血まみれ
[装備]:本部の鎖鎌@グラップラー刃牙、あるるかん(白金)@からくりサーカス(頭部半壊、胸部、腹部に大きな損傷、全身にへこみと損傷あり)、エンゼル御前@武装錬金
[道具]:青汁DX@武装錬金、ピエロの衣装@からくりサーカス、支給品一式
[思考・状況]
基本:???????
1:ケンシロウと独歩から逃げる。
2:ナルミが本当に死んでいたら……
3:強い者とは無理に戦わないが、勝機を逃すつもりはない。
[備考]
※ジグマールと情報交換をしました。
※参戦時期は1巻。才賀勝と出会う前です。
※夢の内容はハッキリと覚えていますが、あまり意識していません。
※エレオノールが着ている服は原作42巻の表紙のものと同じです。
※ギイと鳴海の関係に疑問を感じています。
※フランシーヌの記憶を断片的に取得しています。
※「願いを叶える権利」は嘘だと思っています。
※制限についての知識を得ましたが、細かいことはどうでもいいと思っています。
※鳴海の死亡を嘘だと信じたい節があります
※エンゼル御前は使用者から十メートル以上離れられません。 それ以上離れると核鉄に戻ります。
 
654Classical名無しさん:08/02/28 01:33 ID:WSSgU6.Y
       
655Classical名無しさん:08/02/28 01:34 ID:dwKTzpgk
                     
656運命の罠 ◆05fuEvC33. :08/02/28 01:35 ID:3AmLFgQo
 
【D-3 北部 1日目 真夜中】
【マーティン・ジグマール@スクライド】
[状態]:全身に負傷中(傷がいくつか開きました)、顎に打撲、HOLY部隊長状態、中度の疲労
[装備]:アラミド繊維内蔵ライター@グラップラー刃牙
    道化のマスク@からくりサーカス)、
[道具]:支給品一式 、不明支給品0〜3(未確認)、首輪×2(フェイスレス、シェリス)、首輪探知機@BATTLE ROYALE、光の剣(ただのナイフ)@BATTLE ROYALE、
輸血パック(AB型)@ヘルシング、グリース缶@グラップラー刃牙、イングラムM10の予備マガジン×5、スタングレネード×1、ライドル@仮面ライダーSPIRITS
[思考・状況]
基本:アカギを越える
1:ケンシロウと独歩から逃げる。
2:優勝を目指す。
[備考]
※エレオノール、アカギと情報交換しました。また、彼女本人の名前を知りました。
※人間ワープにけっこうな制限(半径1〜2mほどしか動けない)が掛かっています。
連続ワープは可能ですが、疲労はどんどんと累乗されていきます。
(例、二連続ワープをすれば四回分の疲労、参連続は九回分の疲労)
※ルイズと吉良吉影、覚悟、DIO、ラオウ、ケンシロウ、キュルケはアルター使いと認識しました。
※吉良吉影の能力は追尾爆弾を作る能力者(他にも能力があると考えています)だと認識しました。
※DIOの能力は時を止める能力者だと認識しました。
※ギャラン=ドゥはエネルギー不足で外には出てこられなくなりました。
 ですがジグマールは、人間ワープの能力を問題なく使えます。
※独歩の支給品を全て手に入れました(不明支給品はエニグマの紙状態で所持)
657Classical名無しさん:08/02/28 01:35 ID:dwKTzpgk
                      
658 ◆05fuEvC33. :08/02/28 01:36 ID:3AmLFgQo
投下終了しました。
支援ありがとうございます。
問題点等があれば、指摘お願いします。
659Classical名無しさん:08/02/28 01:45 ID:dwKTzpgk
>>631
修正乙です。これなら問題ないでしょう。
特殊な文体ですが、慣れるともの凄く臨場感が感じられますね。
三村がまさかこんなカッコいい死に方をするとはねぇ……。

>>658
投下乙。
逃げるときには逃げるマーダーってのはやっかいですよね。
サインプレーも完璧で、意外といいコンビだったのかもw
ジグマールや独歩の頭脳プレーもお見事。流石に戦闘が上手いです。
660Classical名無しさん:08/02/28 02:30 ID:WSSgU6.Y
投下乙!
コンビプレーをさせるとは。
ケンシロウの凄みの描写が凄い。
相変わらずの戦闘描写、面白かったです。
GJ!
661Classical名無しさん:08/02/28 03:33 ID:cbouJpZc
傷の手当もせず、合流地である学校の事も告げずに単独行動するのに違和感が・・・
662Classical名無しさん:08/02/28 08:29 ID:jU4dWps6
しかしパッピーも運がないな、もう少し様子を見てればニアデスハピネスが手に入ったのに。
663Classical名無しさん:08/02/28 08:44 ID:MX/7N9Eo
>>631
修正乙。
結局そうなるか、服部……。

>>658
投下乙。
黒王号逝ったか……片目潰すとはまた原作に沿った傷を。
しかし独歩ちゃんその思考はたぶんダメだー!
664 ◆d4asqdtPw2 :08/02/28 20:02 ID:dwKTzpgk
では放送投下します。
665第四回放送 ◆d4asqdtPw2 :08/02/28 20:02 ID:dwKTzpgk
『彼』が逝ったか……。
隣に座る暗闇大使に気づかれないように、私は小さく溜め息を吐いた。
……それだけ。たったそれだけだ。
悔しさのあまり歯軋りをすることも、地団太を踏むこともない。

勿論、残念な気持ちもある。
『彼』と共に天国へ辿り着くという『結果』を『運命』が拒絶したのだから。
『彼』を優勝させ、共に天国を目指すという目論みは失敗に終わった。
暗闇大使の眼を盗んで、『死神13』で彼の夢へ進入したことも無駄になってしまった。
だがそれ以上に、『彼』のあんな無様な死に様など……見たくもなかった。

しかし私がこんなにも落ち着いていられるのは、それと同時に諦めの気持ちも持ち合わせていたからだ。
この『プログラム』とやらが開始してから、『彼』は幾度となく敗戦を経験していた。
中でも不死王、アーカードとやらには、吸血鬼としての明らかな格の違いを見せ付けられていた。
『彼』にとって、この『プログラム』で優勝することは、決して難易度の低いものなどではなかったのは分かっている。
だから、いつ『彼』が死んでもおかしくはない。私はその時のための覚悟を十分してあった。
それに、そのアーカードも死んだとなれば諦めがつくというものだ。
この参加者の中には、我々の理解を超えた強者が何人も存在している。
アーカードを殺した範馬勇次郎を始め、ラオウや葉隠散、その他にも『彼』を殺し得る参加者は少なくない。
そして、『彼』が優勝できたとしても、我々が生還できる可能性はゼロに等しかった。

BADANの『目的』は優勝者の肉体なのだから。

おっと、『目的の1つは』、だったな。
BADANがこの『プログラム』を開催する目的は3つある。
そしてこの3つの目的とは別に、私がこの『プログラム』に協力する目的が幾つかある。
『彼』の生還はそのうちの1つにすぎない。
『彼』と共に天国へ行ければこの上なかったのだが、それが全てではない。
だから、彼が死んだと知っても、BADAN相手に暴れまわるような真似はしない。
ただ大人しく『プログラム』の成り行きを見守るだけだ。
ここで全てを台無しにするわけにはいかない。
666第四回放送 ◆d4asqdtPw2 :08/02/28 20:03 ID:dwKTzpgk

しかし、BADANを上手く騙し通せるのだろうか。
このBADAN、特にその長である大首領とやらはとてつもない力を持つ。
私も最初は驚いた。
複数の異なる世界に干渉するほどの力を持つ者がいるなんて。
それにしても、それだけの力を持った者が、いったい何のためにこんな殺し合いを開催しなくてはならなかったのだろうか。
その最も大きい目的は、大首領の肉体を探す事だそうだ。

・BADANの目的その1 大首領の肉体の選別

これだけ強大な力を持っている大首領だが、どうやら自由に動ける肉体を持っていないらしい。
何者かによって封印された大首領は、自分のいる世界に直接君臨することが出来ないでいた。
そこで、大首領はZX(村雨良)の肉体を自らの器として作らせた。
そして、自らの精神と村雨良の精神を入れ替えることによって、その世界に再び舞い降りようとしていたらしい。
しかし……ここでアクシデントが起こる。
いや、大首領が『起こしてしまった』。
詳しくは聞かされてはいないが、何かの弾みで大首領が異世界への扉を開いてしまったらしい。
異世界というものを認知したその瞬間から、BADANの野望がその範囲を大きく広げた。
『世界征服』から『全並行世界征服』へと。

さて、最終目標が変更されたことによって、BADANの計画も見直さなければいけない問題が出てきた。
それが、大首領の肉体だ。
無限にも思える世界と戦うのに、ZXの肉体が適切かどうかが疑問視された。
異世界には『自分たちの世界』での最終進化であるZX以上に強い肉体が存在するのではないか。
いや、存在する確率の方が高い。
だが、全ての世界を見て回ることなど不可能に近い。
そこで、大首領がランダムに繋いだ世界から強者を選出し、ZXや仮面ライダーを含めた内で最も強い肉体を決めることにした。
我々の住む『スタンドが存在する世界』もその1つだったのは言うまでもない。
そして大首領が、繋いだ世界の1つに『プログラム』なるものを発見してしまった事。それがこの悲劇の引き金であった。
667第四回放送 ◆d4asqdtPw2 :08/02/28 20:03 ID:dwKTzpgk

しかし、ここで新たな問題が浮上する。
たとえスペックでZXを上回る肉体が存在したとて、その肉体が大首領の魂と同調する可能性は低い。
ZXと違って、もともと大首領用に用意された肉体ではないのだから、それは仕方のないことなのだが。
そこでBADANは『ある世界』の『ある者』に目をつけた。

・BADANの目的その2 強化外骨格に込める魂の収集

大首領が繋いだ世界の中の1つに、強化外骨格なるものが存在していた。
これは魂を込めることで、その怨念を力へと変ずる鎧である。
この鎧の存在が、大首領が抱える複数の問題を一気に解消したのだ。
強化外骨格がどのような力となるかは、その中に込められた魂によって決まるらしい。
『零』は3千もの魂が、葉隠覚悟に協力するとの意思の下で力を生み出した。だから零は葉隠覚悟の意のままに力を振るう。
だが、『霞』はたった1人の女の怨念が葉隠散を殺し、その肉体を支配した。
このことからも分かるように、強化外骨格に込められた魂は、それを纏った肉体すらも我が物にする権利を持つ。
つまり、選別された肉体が大首領と同調する必要などないのだ。
優勝者を殺し、その死体に大首領の魂を込めた強化外骨格を纏わせればよいのだから。
あれほどの力を持つ大首領だ。その支配力は『霞』に込められた女の怨念など遥かに超えるだろう。

それは、大首領が既に死者の魂を支配していることからも分かることだ。

魂の器として存在している強化外骨格は、封印された大首領の魂の影響を強く受けていた。
そのため、限定的ながらも大首領は強化外骨格を通じることで、その力を使用することが出来る。
この『プログラム』で死んだものの魂は、あの強化外骨格に幽閉される。
これは大首領が、強化外骨格を通じて死者の魂を捕らえて支配しているからだ。
大首領に支配された魂は、封印された大首領の代わりに参加者たちの首輪に憑依し、力の制限などを行っている。
そして最後には、その敗者たちの魂を生贄に大首領が強化外骨格へ降臨するということだ。
668第四回放送 ◆d4asqdtPw2 :08/02/28 20:04 ID:dwKTzpgk
しかしここで疑問が残る。
以上の理由では、例えば泉こなたのような弱者、彼らが召還された理由が見当たらない。
生贄要員が必要なら強者を増やせばいいだけの話で、優勝の見込みもない弱者をわざわざ召還する必要などない。
それには、大首領の復活とは別の新たな理由が存在した。

・BADANの目的その3 完璧な『ビジョン』の作成

弱者を召還した理由、それはBADANが『プログラム』を開催した最後の目的にあった。
大首領さえ復活してしまえば、世界征服など容易いものだろう。
しかし、『全並行世界征服』となるとそう簡単にいくとは限らない。
どこかの世界で『仮面ライダー』たちのような力を持った反乱分子が生まれてくるかもしれない。
それどころか、この『プログラム』中にも反乱分子が生まれる可能性は大いにある。
そこで必要になるのが『ビジョン』だ。
BADANは人類に『破壊のビジョン』を見せることで、彼らをBADAN症候群へと陥れることが出来るらしい。
しかし、この『破壊のビジョン』は7割の人間にしか効果がなく、残り3割の人間はBADAN症候群にもかからずに反乱を続ける。
しかも、精神が強いものほど、この『破壊のビジョン』に対する抵抗力が強い。
つまり『破壊のビジョン』は、BADANにとって脅威となり得る存在には効果がないといっていい。
BADANは全ての人間を例外なくBADAN症候群に陥れる『ビジョン』を作りたかった。

そこで、この『プログラム』に弱者を参加させることを思いついた。
複数の世界から選りすぐった強者の殺し合いの中に、平和な日常を歩んできたはずの人間が放り込まれる。
その人間が感じる恐怖は全ての世界中の恐怖を超える一番の恐怖ではないか。
その『弱者の恐怖』をもとに作り出した『ビジョン』を脳に直接叩き込めば、全ての人間をBADAN症候群に陥れることができる。

……そのはずだった。

結論から言うと、この目論見は失敗に終わった。
BADANも馬鹿ではない。この本番の『プログラム』の以前に、『制限』の必要がないものを拉致して同じように殺し合いの予行練習を数回行っていた。
そこでの参加者たちの魂は強化外骨格に眠っていることだろう。
そのときには確かに良質の恐怖が確認された。
669第四回放送 ◆d4asqdtPw2 :08/02/28 20:05 ID:dwKTzpgk
ならば今回は、それらを遥かに凌ぐ最良の恐怖が採取できるはずであった。
だが、蓋を開けてみると、最も弱いはずの少女は死ぬ寸前まで戦い抜き、幼い少年は命を賭して怪物を説得し続けた。
結局、死者たちから得られた恐怖など予行練習で得られたソレを下回るものばかり。
本番になって何かが狂ったのだ。
何かが弱者たちの恐怖を軽減させている。
BADANの知り得ない何かが弱者の支えとなっている。

この手違いは大きい。
BADANはここにきて『保険』を失ったのだ。
異世界を支配するときに思わぬ反乱分子が生まれた時のための『保険』。
参加者たちに『プログラム』を破壊された瞬間に、彼らを服従させる『保険』。
その『保険』を失った。
……いや、おそらく、それ以上に悪い結果をもたらした。
今後、残った参加者が『プログラム』の破壊に成功して、BADANの噛み付く可能性はないとはいえない。
そのとき、既存の『破壊のビジョン』を見せても、もはや効果はないかもしれないのだ。
なぜなら、この殺し合いの中で、参加者たちは絶望に対する『抗体』を身につけている可能性がある。
何かによって軽減された恐怖は、参加者に恐怖に対する『予防接種』をしてしまったのではないか?
もしそうだとすると、反乱分子がこの『プログラム』の破壊にまで辿り着いたとき、BADANはその反乱分子と直接戦わなくてはならなくなる。
それは、BADANが史上最大のピンチになるときではないか?

とはいえ、参加者の最大の弱みである首輪は未だ健在で、それを解除する手段を持った参加者はいない。
……いや1人、いるにはいたか。
柊かがみという女。元々は弱者として適当に召還された女の1人。
だが、暗闇大使が言うにはこいつは首輪の中の怨念を祓ってしまうことが出来るらしい。
これはBADANにとってはこれ以上ない誤算。
だが、それが首輪の完全な解除に繋がるわけでもなく、参加者がこの城へと辿り着くことが出来ない以上『プログラム』は安泰であるのだが。
それに柊かがみが、妹の柊つかさのようにあっけなく死んでしまう可能性は高い。

しかし、私はなにか『運命』を感じるのだ。
偶然紛れ込んでいたアマテラスに愛されし姉妹。
そして弱者の恐怖を軽減させる『何か』。
670Classical名無しさん:08/02/28 20:05 ID:Yd6jxzvQ
 
671第四回放送 ◆d4asqdtPw2 :08/02/28 20:10 ID:dwKTzpgk
まさか『大いなる意思』がこの『プログラム』の破壊を望んでいるのでは?

そうだとしても、私はこの『プログラム』を最後まで見届けなくてはならない。
たとえ『プログラム』がどういう結果に終わろうとも、私は傍観者でいなければならない。
私の目的は……まだ終わってはいないのだから。


……と、不意に立ち上がった暗闇大使によって、私の思考は中断させられることとなる。
「……どこへ?」
「貴様には関係のないことだ」
モニタを見ると、そこには神社で戦う人々が。
ZXがメモリーキューブによって、記憶を取り戻してしまったらしい。
なるほど、暗闇大使は相当焦っているようだ。
大方、大首領様とやらに報告でもしに行くのだろう。
それとも悔しいのか?
自分に手傷を負わせた綾崎ハヤテが、呆気なくラオウに殺されたのが。

暗闇大使がここまで狼狽した様を初めて見た。
今の私の口の端はニヤリと釣りあがっていることだろう。
「……失礼します」
そこへ、ノックと共に入ってきたのは名もなきBADANの構成員だ。
「……暗闇大使なら今は席を外しているが?」
「そう……ですか。失礼致しました」
礼儀正しく頭を下げ扉の後ろに消えていく構成員。
その顔つきは険しい……というより困惑しているように見える。
「待ってくれ。伝言なら承ろう」
「はぁ……それでは……」
先ほど綾崎ハヤテと戦闘を始めた暗闇大使を『大首領のため』と偽って止めたが、それがここにきて利いてきた。
私はBADANに対してある程度の信頼を勝ち得たと言っていい。
この構成員も、私に対して大きな警戒心は抱いていないようだ。
672Classical名無しさん:08/02/28 20:11 ID:Yd6jxzvQ
支援
673第四回放送 ◆d4asqdtPw2 :08/02/28 20:11 ID:dwKTzpgk

「私は、支給品の配布を担当していたものなのですが、
 暗闇大使様が、見せしめである『シエスタの支給品』を持ってらっしゃったことに疑問を抱いておりまして……」
シエスタとは、『プログラム』開始前の参加者への説明時に、見せしめとして首輪を爆破された少女のことか。
「確か、彼女に渡るはずだった支給品を暗闇大使が所有していたんだったな」
暗闇大使が津村斗貴子に渡した生命の水と、綾崎ハヤテに渡したスタンドDISC。
これらは本来はシエスタという少女に渡るはずだったものだ。

「それが変なんです」
「……どういうことだ?」
「参加者に『プログラム』の説明を行った徳川光成は、台本を強制されていたに過ぎません」
確か、あの老人はBADANの存在を隠すための隠れ蓑として、進行を強制されただけのピエロだったな。
あそこでの説明も、少女の首輪を爆破したのも、彼の意思ではなく台本に従わされただけだ。
「……それがどうした?」
「ですから、あそこでシエスタという少女の首輪が爆破されることは、あらかじめ決められていたことなんです」
それはそうだ。あの老人が自由に見せしめを決めてよいならアーカードや勇次郎のような危険人物を減らすことを選択するはずだ。
老人が少女を選択したのは、そうしろと台本に書いてあったからだ。
「何が言いたいんだ?」
「つまり、『シエスタに渡るはずだった支給品』なんてものは初めから存在してはいなかったんです」
「……なんだと?」
だが、そう言われてみればおかしい。
見せしめとして殺されるために呼ばれた少女のための支給品枠など、あるはずがない。
「しかし、私は確かにマウンテン・ティムからスタンドDISCを抜き取ったはずだ」
そうだ。大首領の力で飛ばされた先で私は確かにマウンテン・ティムからスタンドを奪い取った。
その記憶はちゃんと残っているし、私以外にスタンドDISCを抜き取れる人物など存在しないはず……。

「はい。それは確認しています。ですから、『他の参加者に支給されるはずだったもの』が数点、『シエスタの支給品』として除外されていたのです。
 尤も、私どもも支給品の配布はランダムに行っておりまして、元々誰に支給されるはずだったのかまでは把握しておりませんが……」
どうなっている?
誰が……なんのために……。
674第四回放送 ◆d4asqdtPw2 :08/02/28 20:12 ID:dwKTzpgk
その支給品が『プログラム』に支障をきたすものだったのか?
いや、あのスタンドは至極平凡なものであった。特に大きな影響などないはず……。
第一、もう一つの生命の水は普通に支給されていたはずだ。
片方だけ除外しなければならない理由など、考えにくい。
ただの手違いか……?

「……取り合えず、暗闇大使に伝えておこう」
「はい、よろしくお願いいたします」

それだけ告げると、失礼しますと礼儀正しく頭を下げ、退出していった。
数分後、それと入れ違いになる形で暗闇大使と、徳川の老人がつれて来られていた。
どうやら放送の時間らしい。
マイクの前に座らされ、禁止エリアと死亡者リストが老人の前に置かれた。
それを確認すると、老人はマイクのスイッチを自分で入れた。
もはや抵抗する気力すらも残っていないようだ。


◆     ◆     ◆


さて諸君、頑張っておるかのう?
この殺し合いが始まってから、ついに24時間が経過したぞ。
よくぞここまで生き残ったものだ。しかし、油断などしておると、ズガンと殺されてしまうかも知れぬからの!
それでは午前12時、4回目の定時放送じゃ。

まずは禁止エリアの発表じゃ。
午前1時からF-8
午前3時からE-3
午前5時からB-5

続いて、この6時間で死んでいった者たちの発表じゃ。
諸君の思い人の名前など呼ばれなかったらいいがの。
675第四回放送 ◆d4asqdtPw2 :08/02/28 20:13 ID:dwKTzpgk
アミバ
アーカード
キュルケ
シェリス・アジャーニ
DIO
加藤鳴海
柊つかさ
吉良吉影
綾崎ハヤテ
三千院ナギ
三村信史
以上11名。

ほう、全くペースが衰えんのは大したものじゃ!
余程この殺し合いを満喫しとるように見えるぞ。
しかし、この期に及んで未だ殺しを嫌っておる不届き者がいるようじゃ。
安心せい。ちゃんと弱いものにも優勝のチャンスが巡るように工夫されておるぞ。
そこで、殺し合いに乗れない臆病者のために、ワシがちょっとしたアドバイスを送ってやろう。
支給品をよくチェックすることじゃ!
意外な支給品が武器になるやもしれんぞ! ハズレだと思って安易に捨てるとえらい事になるかも知れん!
それでも駄目なら……まぁ『神に祈る』しかないかの。
順調に参加者も減って、もう終盤戦じゃ。
優勝者は誰になるのか、楽しみで仕方ないわい!
それでは、また6時間後の放送が無事に聞けるといいの。


◆     ◆     ◆
676Classical名無しさん:08/02/28 20:13 ID:Yd6jxzvQ
 
677第四回放送 ◆d4asqdtPw2 :08/02/28 20:13 ID:dwKTzpgk


……そうか、そういうことか。
老人の『アドリブ』が私に確信を与えてくれた。
『シエスタの支給品』枠が用意された目的。
それは『新たに混入された』支給品を誤魔化すためだ。
不自然に増えた支給品に違和感を持たせないため。
そう、参加者に配布された支給品の中に『BADANの意図していない支給品』が混入されている。

その支給品はおそらく、私が杜王町から『エニグマのDISC』を持ち帰ってから、暗闇大使に『エニグマのDISC』が渡るまでの間に集められたもの。
暗闇大使以外のものが『エニグマの紙』に支給品を詰めるとしたら……そのタイミングしかあり得ない。
そしてそれが可能なのはBADAN内部の人間……!
つまり、BADAN内部に裏切り者がいる……!
そして徳川光成はその裏切り者と通じている。
だから、支給品のことを今更告げたのだ。
参加者に『混入した支給品』を見つけて欲しいから。

なるほど、『運命』はBADANに味方してはいない。

暗闇大使よ、早くこの『裏切り者』に気づかないと、大変なことになるぞ。
悪いが、私はこのことをお前に知らせたりはしない。
私はどちらの味方でもないのだから。

私は私の目的のために動かせてもらおう。
小さく笑うと、私はモニタへと向き直った。
視界の隅に映った老人から微量の覚悟が感じられたのは、私だけであろう。
678第四回放送 ◆d4asqdtPw2 :08/02/28 20:14 ID:dwKTzpgk




さて、ここにエンリコ・プッチが見逃している事が1つある。
『裏切り者』がエニグマを持ち出して使ったとして、その人物がスタンドに『適性』を持つとは限らないのだ。
つまり、『裏切り者』は首輪をしてエニグマを使った可能性が高い。
その場合、『裏切り者』は既に首輪を解除したことになる。
『裏切り者』は『首輪を解除できる人物』である可能性。
この可能性に気づかなかったのは、エンリコ・プッチにとって致命的なミスになるのかもしれない。
679Classical名無しさん:08/02/28 20:14 ID:Yd6jxzvQ
    
680 ◆d4asqdtPw2 :08/02/28 20:14 ID:dwKTzpgk
以上、投下終了です。支援ありがとうございました。
禁止エリア、問題あったら言ってください。
681Classical名無しさん:08/02/28 21:27 ID:P7ysj/KU
>>631
修正乙!
三村、安らかに眠れ……お前はよく頑張ったさ!
服部が事の真相を知ってしまったらショックだろうな……。
ジョセフに渡ったクレイジーダイヤモンドの今後も気になる!

>>658
投下乙!
ジグマールが生き残ったのはびっくり!
エレオノールの手助けがあったといえども、ケンシロウと独歩から逃げれた事は凄いぞw
そしてエレオノールが学校に行く事になったか……また血の雨が降りそうで怖いw

>>680
放送乙!
神父目立ってきたな!
神父の考察も違和感なく、いい感じだと思います。
禁止エリアも問題ないかと。

ところで、後二時間半後くらいに予約合戦開始?
682Classical名無しさん:08/02/29 03:00 ID:d4VLNEqo
tp://chat2.whocares.jp/chat/cr.jsp?rn=CCBR

使うかどうかはお任せいたします。
トリップ使用可能なチャットです。
683Classical名無しさん:08/03/01 12:14 ID:xJYVMaps
>>682
どうも乙です!
という事はいずれこのチャットを使う時が来るのかな?
終盤という実感を再認識してしまった。
684死亡者名鑑の守人 ◆vPecc.HKxU :08/03/02 08:02 ID:wlovRgh2
死亡者名鑑の方に4人ほど上げておいたので、投下までの暇つぶしがてらにご覧になっていただけるとありがたいです。
てか、名鑑のスレは無駄っぽいなぁ……あのままageずに沈めておくかな
685Classical名無しさん:08/03/02 08:24 ID:VSRxvEb2
>>684
乙!
マダオAAがww
いつも楽しませてもらっています。GJ!
686Classical名無しさん:08/03/02 18:26 ID:l1BCBw6Q
マダオと言われてロリカードが浮かんでくる俺はあのロワの見過ぎw
687Classical名無しさん:08/03/03 08:07 ID:lOKjGABs
どこのロワだよww
詳細希望
688Classical名無しさん:08/03/03 10:33 ID:fl28UqZE
死亡者名鑑乙!
文章が上手く纏められてて、もう一度読み返そうと興味が引き立つ!
GJ!
689Classical名無しさん:08/03/03 18:48 ID:9Lx6//.c
690 ◆bnuNxUeVnw :08/03/03 22:19 ID:QBqgKX/A
一時投下スレに 範馬勇次郎、江戸川コナン、神楽を投下しました。
誤字、脱字、修正点、矛盾点、ご意見があればぜひ指摘ください。
よろしくお願いします。
691Classical名無しさん:08/03/03 22:21 ID:yKREhbBo
>>690
乙!
感想は本投下時に

特に問題はないかと。
692Classical名無しさん:08/03/03 22:38 ID:tMzUEfRk
>>690
投下乙です。
同じく特に問題はないと思いますが、勇次郎の状態表が「熟睡中」のままになっているので、修正をお願いします。
693 ◆14m5Do64HQ :08/03/04 20:57 ID:Q562HYA6
仮投下乙です!
問題ないと思いますよ。

それでは一足先に村雨、かがみ、ヒナギク、ラオウ投下します。
694Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 20:59 ID:Q562HYA6
「ハヤテ君……安らかに眠りなさいよ……」

エリアD-2に位置する中央民家。
桃色の長髪を生やした少女、桂ヒナギクが居間に仰向けに寝転びながらそう呟く。
その表情はハッキリ言って、暗い。
何事にも毅然とした態度で挑み、活発なヒナギクにとってはあまりにも似つかわしくない。
それほどまでにも、ヒナギクに衝撃を与えてしまったのだろう。
綾崎ハヤテ、ヒナギクがいいようのない気持ちを寄せていた相手。
そんなハヤテがヒナギクの目の前で死んでしまい、ついさっき埋葬を終えてしまったから。
何も出来なかった自分の目の前で、胸にポッカリと穴を空けられ、殺されたハヤテ。
ハヤテと彼を殺した金の短髪男、ラオウ。
そしてハヤテの主人、三千院ナギの事を考えると、思わず拳に力が入ってしまう。

(私が……私が絶対にあなたの仇を取って、ナギも守ってみせるわ……。村雨さんだけじゃない。私も……私も、黙っているわけにはいかないもの。
私があの男を………………!)

とても小さな声で、ヒナギクが心の中で呟く。
両眼に宿る光は鈍く、只、天井の一点を見つめているだけ。
浮かべる表情は更に重く、いいようのない不気味ささえも感じ取れるものだ。
ヒナギクとて、知人の死は初めてではない。
過ごした時間は短いながらも大切な仲間である、毛利小五郎、本郷猛、志村新ハ、柊つかさ。
直接的な関わりは少ないながらも、元の世界での知人であるマリア。
彼らの死はなんとか乗り越える事は出来たが、ハヤテの死には未だ立ち直る事は出来なかった。
馬鹿みたいにタフで、いつもナギを守るために身を削って、走り続けていたハヤテ。
そんなハヤテが死んだ事実を、自分で確認したにも関わらず、どうにも信じる事が出来ない。
自分がどんな表情をしているのかと、考える事も出来ない程に。

「ねぇ? 大丈夫、桂……?」
「えっ!? だ! 大丈夫よ! なんだかボーッとしちゃって」
695Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:01 ID:Q562HYA6
そんな時、自分に投げ掛けられた言葉に、ヒナギクが慌てて身体を起こした。
今まで浮かべていた考えを振り払い、精一杯の笑顔を向ける。
自分の胸に渦を巻いていた、暴力的な感情を押し殺し、口を開く。
自分に対して、心底心配そうな表情を向けている少女が、彼女の視線の先にあった。

「そう? だったらいいけど。ちょっと気になったからね……」

ヒナギクの向かい側に腰を下ろし、座り込んでいる、紫の長髪の少女。
柊かがみが少し心配そうな表情でヒナギクを覗き込む。
ヒナギクの悲しみを痛い程わかっており、彼女を心配しているためだ。
勿論、かがみにもハヤテが死んだ事へのショックはある。
だが、ヒナギクが感じた衝撃とは比べ物にはならない。
なんとかヒナギクを慰めようにも、
出会ったばかりの自分は余計な事を言うべきではないのだろうか?
そんな考えがかがみの口の動きを鈍くさせてしまう。
誰も一言も口を開くなり、重苦しい空気が流れる。

「……と! ところで柊つかさって子知らない? この子、私の妹なんだけどね。
凄くのんびりしてるから、傍から見てて凄い危なっかしいのよ!」

慰めようにも、気の利いた言葉など直ぐには思いつかない。
だが、このまま沈んだ空気を維持するのは良くない。
そのため、せめて話題だけでも明るいものにしよう。
自分の妹、柊つかさの惚気た話ならいくらでも出来る。
それにもし、ヒナギクがつかさの情報を知っていたら、彼女との合流も近づく。
そう考え、かがみは口を開いてしまった。
今のヒナギクにとって、不適格とも言える話を。

「つかさ……」
696Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:02 ID:Q562HYA6
かがみの言葉に思わず、反応を示したヒナギク。
つかさの名前を聞いた途端、ヒナギクの表情が再び沈み込む。
そんな彼女が見せた予想外な表情に、かがみは驚きを見せる。
何故、再びヒナギクが悲しそうな表情を浮かべるのか?
かがみにはその疑問を解く事が出来ない。
今まで、ヒナギクと碌に情報交換を行っていなかったかがみには。

「え? もしかして、つかさのコトを……?」

その疑問を解くために、かがみが口を開く。
胸の奥底から湧き上る、いいようのない不安感を噛み締めながら。
ヒナギクが抱いた感情の正体を確かめようと試みる。
ヒナギクがつかさと何らかの関係があれば、知っておきたかったから。

『静かに二人共! そろそろ時間だ!』

だが、そんな時、テーブルに置かれた一つの鞄から声が響く。
その鞄の正体は強化外骨格『零』。
装着者、葉隠覚悟と同じくこの殺し合いを潰す事を誓った英霊。
別に零にかがみとヒナギクの話を邪魔するつもりは毛頭ない。
寧ろ、同士としての絆を強めるためにも、存分に話し合いをして貰いたいとも思っている。
そのため自分は口を出さず、彼女達の会話を黙って聞いていた。
ならば何故零は彼女達の会話を中断させたのか?
答えは単純で、尚且つとても納得がいく。

――さて諸君、頑張っておるかのう?

四回目の定時放送が始まりを告げたからだ。

◇  ◆  ◇
697Classical名無しさん:08/03/04 21:03 ID:DCceY74A
698Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:04 ID:Q562HYA6
――それでは、また6時間後の放送が無事に聞けるといいの。

『おのれ外道どもが! この零! 断じて貴様らを許しはせん!
しかし、なんというコトだ……我らにはあまりにも残酷過ぎる……!』

数分に満たない放送が終了し、零が声を荒げ、憤慨する。
終止、どことなく他人事のように、放送の司会を執り行った徳川光成。
BADANの一員と考えられる、光成に対し零は怒りを隠しきれない。
僅か六時間の余り、悪鬼であるDIO、アーカードを除けば九人の命が散ってしまった。
とても喜んでいる状況ではなく、ある意味最悪の状況とも言える。
そう。たった今呼ばれた名前の中に、ハヤテより後を任された名前が存在していたから。

「そんな……ナギ……どうしてよ……」

力なく、ヒナギクが声を上げる。
必ず守る。そう誓った筈の元の世界の友人でもある、三千院ナギ。
ハヤテが死の淵まで、気に掛けていた少女の名が呼ばれてしまったからだ。

「うそ……うそでしょ……?」

そして、もう一つ。柊かがみにとって馴染みが深すぎる名前があった。
どこか抜けていて、自分が傍に居てやらないと不安になる。
だが、それでいて一緒に居ると、とても心地よく、自分の半身とも言える存在。

「うそと言いなさいよ……つかさ……」

柊つかさ。かがみのたった一人の妹の名前もまた、存在していた。
二人の少女の頬から徐々に流れ始める涙。
その涙の流れを、零は黙って見つめる事しか出来なかった。
彼女達の浮かべる表情を前にして、何も言葉が浮かばなかったから。
また、ヒナギク、かがみ、零から少し離れた位置に存在する椅子に、腰掛ける男。
699Classical名無しさん:08/03/04 21:04 ID:EaSvBl6A
700Classical名無しさん:08/03/04 21:04 ID:DCceY74A
701Classical名無しさん:08/03/04 21:04 ID:EaSvBl6A
.
702Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:05 ID:Q562HYA6
「…………クッ!」

BADANによって奪われた記憶を取り戻した青年、村雨良
彼もまた零と同じく、彼女達に掛ける言葉を見つけられないでいた。
そして口を開く者が一人も居なくなり、再び静寂が彼らを襲う事となった。

◇  ◆  ◇

どれくらいの時間が経っただろうか。
一分? それとも五分? もしかして十分も経ったかもしれない。
だが、誰一人として確認を行おうとはしない。
今、彼らが欲している行動は時間の確認などではないからだ。
先程の放送により、各々の心に生じたどうしようもない困惑、悲しみ。
それらを必死にかき消す事に集中する。
そうしなければ、冷静に自分を保つ事が出来ない。
きっと、彼らはそう考えただろうから。

『むむむ……DIOとアーカードが倒れた事だけでも幸運と取るべきか……奴らは真の悪鬼!百の害はあれど一の得もなし!
何も希望がないわけではない。いつまでも我らは悲しみに暮れているわけには……。』

ナギとつかさの死亡は勿論悲しむべき事だったが、彼らの中で比較的衝撃が少なかった零が言葉を発する。
三千の軍人の英霊というべき存在であり、人の死の悲しみは人一倍馴染み深い零。
一足早く立ち直り、冷静に状況を考察する事は至極当然とも言えるかもしれない。
実際、どう考えても自分達にとって害悪にしかならないDIOとアーカードの死はプラスな事だろう。
その事を踏まえて、村雨達の気を立ち直らせようとするが、誰一人として反応する者は居ない。

『ん? 一体どうしたのだ!?』

そんな時、行動を起こした者が一人居た。
テーブルの上、零の横に集められたデイパックから自分の分を担ぐ。
そして数歩、足を歩ませて、ある人物に近づき口を開いた。
703Classical名無しさん:08/03/04 21:05 ID:R.nNvuO.
 
704Classical名無しさん:08/03/04 21:05 ID:EaSvBl6A
.
705Classical名無しさん:08/03/04 21:05 ID:ZMA50S/g
 
706Classical名無しさん:08/03/04 21:06 ID:Qo5B68LM
支援
707Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:06 ID:Q562HYA6
「ねえ……ちょっとだけ核鉄を貸してくれないかしら? 直ぐに終わるから…………」

おもむろに立ち上がり、そう口を開いた人物はヒナギクであった。
右肩にデイパックを掛け、右手には自分の分の核鉄を握り締めている。
ヒナギクの視線の先にはそっぽを向き、頭をうなだれた少女が居た。

「……何に使うのよ……?」

ヒナギクの問いに、質問で返す少女の名はかがみ。
かがみもまた、つかさの死を知ったため表情は重い。
ヒナギクの問いにも、どことなくあまり興味は見えていないように見える程だ。
かがみは別にヒナギクの事が気にいらないわけではない。
寧ろ自分と同じような年代、性格と思えるヒナギクには良い印象さえ抱いている。
きっとかがみにはつかさの死を受け入れる事に専念したかったに違いない。

「つかさも死んじゃって……ナギって子も死んじゃって……今更、核鉄なんて何に使うのよ……?」

だが、ヒナギクの質問に全く興味がないわけではない。
再び、質問の意図を読み取るために口を開く。
自分と同じように、悲しみに沈んでいると思われたヒナギク。
そんなヒナギクが突然、核鉄を貸せと言って来た意図がかがみにはわからなかったからだ。
核鉄は唯一無二の武器、武装錬金を生成する代物。
当然、核鉄を必要とする時は、敵と闘う時であるという事はかがみにもわかっている。
だが、記憶を取り戻し、BADANと闘う決意を立てた村雨をヒナギクが襲う理由などない。
ならば、ヒナギクが狙う相手は一体?

(桂、もしかしてあんた……!?)
708Classical名無しさん:08/03/04 21:06 ID:DCceY74A
709Classical名無しさん:08/03/04 21:07 ID:R.nNvuO.
 
710Classical名無しさん:08/03/04 21:08 ID:ZMA50S/g
   
711Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:08 ID:Q562HYA6
ふと、かがみの脳裏に一つの答えが浮かぶ。
その考えはあまりにも無謀なもので、リスクしかない行動。
だが、かがみはいいようのない不気味な不安に駆られる。
そっぽを向いていたため視線は合わなかったが、先程からずっと自分の方を凝視しているヒナギク。
ヒナギクが自分に対し突き刺してくる視線が、とても異質なものに感じられたから。
そう考え、かがみは急いで顔を動かし、ヒナギクと顔を合わせる。

――その瞬間、かがみは思わず、自分の眼を疑ってしまった。

「今だからよ……今だからこそ、核鉄が必要なのよ……。ナギが死んじゃったのよ……
私の友達で、ハヤテ君が私達に託したナギが死んじゃった……。
これじゃあハヤテ君の望みが叶えられないじゃない……あんなに痛い思いをして、
頑張ったのに……可笑しいわよ、こんなコト……」

――ヒナギクが浮かべる表情。その表情を見て、かがみの身体は強張り、何も声が出なくなってしまう。

「けど私はそんなコト、納得がいかないわ……。そんな不公平な話があってたまるもんですか……」

――同年代、しかも同じ女の子から、こんな感情をこれほどまでに感じた経験はない。

「だから、決めたの。私がやらなきゃいけないコトをやり通そうって……ね」

――恐怖。それが、ヒナギクが浮かべた表情から、かがみが感じ取った感情であった。

生気さえも感じさせない程に虚ろな瞳。
そんな両の瞳で、ヒナギクはかがみを見下ろしていた。
まるで何かにとり憑かれたような様子を漂わせながら。
ナギの死、ハヤテの望みの喪失。これら二つの出来事がヒナギクにそこまでの衝撃を与えたから。
712Classical名無しさん:08/03/04 21:09 ID:DCceY74A
713Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:09 ID:Q562HYA6
桂ヒナギクは生真面目で責任感が強く、誰からも頼りにされていた。
勉強もできて、運動もこなし、容姿端麗、性格良しの良い事尽くし。
決して、自分に完璧な自信を持っていたわけではないが、それなりの自信は兼ね備えていた。
この殺し合いに呼び出される前、白皇学園で生徒会長を務めていた時までは。

「別にいいでしょ? 勿論、私一人でやるから……あなたには迷惑も掛けない……私が勝手にやるコトだから……」

――自分に力があれば。
この殺し合いに呼び出され、ヒナギクは何度も何度も自分の力のなさを痛感した。
毛利小五郎、本郷猛の死の件は勿論の事、三千院家のメイド、マリアの死についても彼女は責任を感じていた。
元々、今は別行動を取っている葉隠覚悟が彼女達と行動を共にした理由は、彼女達に碌な戦力がなかったためである。
自分に力があれば、あの時覚悟は病院へ戻り、マリアだけでなく、坂田銀時、志村新八、ルイズも死ぬ事はなかったかもしれない。
所詮、結果論に過ぎないが彼女はその事を無視出来ないでいた。
だが、そんな心の闇というべきものを抱えていたにも関わらず彼女は決して、挫けずに進み続けていた。

「つかさのお姉さんであるあなたには……生きて欲しいもの。あの子の分も。そうよ……だから私は……」

そう。今までずっと自分と共に行動を共にしてきた柊つかさの存在があったから。
互いに励まし、共に自分達の出来る事をやっていこうと誓い合った掛け替えのない友達。
つかさが本郷の死から逃げようとした時、毅然とした態度で諭し、逆に教えられる事もあった。
そして、つかさが居たからヒナギクは自分を奮い立たせる事が出来たともいえる。
自分よりもか弱く、それでいて今のご時世、天然記念物ともいえる人の良さ。
そんなつかさの存在をこんな馬鹿みたいな場所で失わせるわけにはいかない。
必ず最後まで守り通し、共に此処から脱出する。
それが鉄の意志で塗り固め、強固にさせた彼女の決意。
だが、現実は彼女にとって残酷であった。
714Classical名無しさん:08/03/04 21:09 ID:EaSvBl6A
715Classical名無しさん:08/03/04 21:09 ID:DCceY74A
716Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:10 ID:Q562HYA6
「ラオウとあの斗貴子っていう銀髪女に会う必要があるの……だから、だから……」

狂気のしろがね、津村斗貴子によってつかさが殺され、川田章吾が自分達から離反した。
大切な仲間である、つかさの喪失と川田との決別。
しかも、つかさの死因には自分の不注意が関係していた。

『死なないで……。つかさ……お願いだから死なないで……。私なんかのせいで、しなないで……』

人一倍、責任感が強い彼女が受けた衝撃は計り知れない。
だが、彼女は必死に冷静を保ち、つかさのためにも自分がやるべき事をやろうと決めた。
そう。やるべき事はつかさの姉のかがみとの合流。
その目的は達成されたが、新たにもう一つ目的が出来てしまった。

『これで……お嬢様は……大丈……夫』

それは彼女がほのかに想いを寄せていた綾崎ハヤテの最期の言葉を実現させる事。
しかし先程の放送でナギの死を知った彼女は絶望を抱いてしまった。
――何故自分の前には、何度も何度もこんな認めたくないような事が起きるのか?
――これではあの人の願いを叶える事は出来ない。
――そんなコトは絶対に嫌だ! あの人の想いを無駄にはしたくない!
――ならば自分はどうすればいいのか!?
思考を張り巡らせ、やがてヒナギクの脳裏に恐ろしい考えが浮かんだ。
以前の彼女なら真っ向から否定した考え。
だが、つかさ、ハヤテ、ナギと親しい者が立て続けに死んでしまった事実が彼女の判断を鈍らせた。
そう。今更、改めて言う事ではない。
彼女が下した決断は諸悪の元を断ち切るというコト。
717Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:12 ID:Q562HYA6
「核鉄ちょうだい? 私が絶対にあいつらを殺してくるから――――ね?」

その目的はラオウと斗貴子の抹殺。
決して消す事が出来なかった復讐心をヒナギクは歪んだ形で再燃させてしまった。
乾ききった微笑さえも浮かべ、首を少し無邪気そうにかしげるヒナギク。
そんなヒナギクをかがみは黙って見つめていた。


『いかん、良よ! 即急に彼女を落ち着かせるのだ! 早まらせたコトをさせてはならん!』
「……ああ!」

そしてそんなヒナギクを見つめていたのはかがみだけではない。
零と村雨もヒナギクの変貌に驚き、彼女を制止させようと村雨が席を立つ。
無論、村雨にはヒナギクを力づくで押さえつけようとはしたくなかった。
何故なら、ヒナギクもまた村雨にとってBADANによる被害者の一人。
守るべき存在であるからだ。

(だが、どうする? どうやってヒナギクを救う? 俺にそんなコトが出来るのか!?)

以前の村雨なら足の一本でも潰し、ヒナギクを沈黙させようとしたかもしれない。
だが記憶を取り戻し、BADANの無常、人間の尊さを思い出した村雨にはそんなコトは出来ない。
しかし、ヒナギクにどんな行動を取れば良いのかも村雨にはわからなかった。
何故なら今の村雨には他人に気を掛ける余裕は殆どなかったからだ。

(三千院ナギを守るコトが出来なかった俺が……こんな殺し合いを仕組み、俺の記憶を奪い、姉さんを殺したBADANが憎くてたまらない俺が……。
何も守れない、憎むコトしか出来ない俺が……本当に彼女を救えるのか?)

ハヤテより託されたナギの保護の失敗に、村雨は未だ立ち直れてはいなかった。
718Classical名無しさん:08/03/04 21:12 ID:DCceY74A
719Classical名無しさん:08/03/04 21:13 ID:DCceY74A
720Classical名無しさん:08/03/04 21:13 ID:R.nNvuO.
 
721Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:13 ID:Q562HYA6
(すまないハヤテ、俺は無力だ……本当にすまない……俺に力があればヒナギクもこんなコトには……)

命を賭して自分と共に闘い続け、自分に様々な事を教えてくれたハヤテへの申し訳なさに心を痛ませる。
更に、目的には賛同出来ないものの、自分に大きな影響を与えた葉隠散の仇、アーカード。
彼の死もまた、村雨にとっては微妙な出来事であった。
確かにアーカードの死は喜ばしい事だったが、自分の手でトドメを刺したかったという気持ちもあったからだ。
更にDIOを除けば、それ以外に八人の参加者が命を落とした事になる。
悲しみや怒りなど様々な感情が潜めた村雨もまた、冷静といえる状況ではなかった。

「大丈夫です、村雨さん。あなたにも迷惑はかけませんから……」

だが、ヒナギクはその場に立ち尽くしたままチラリと村雨の方を向く。
自分自身の迷い、そしてヒナギクの虚ろな表情が目に入り、村雨は思わず立ち止まる。
そして、ヒナギクは直ぐにかがみの方へ頭を動かした。

「だから、お願いね? 私に力をちょうだい……」

そういってヒナギクはしゃがみこみ、かがみと目線を合わし手を伸ばす。
その行動は核鉄を譲ってくれというサイン。
かがみが持つ激戦の核鉄があれば、ラオウと斗貴子に少なくとも一矢は報いる事が出来ると思ったから。
そう考えヒナギクは手を伸ばし、かがみの反応を待っていた。

「――え?」

だが、そんな時軽快な音が響いた。
何が起こったのだろう?ヒナギクは思い、直ぐに自分の右頬に熱がともった事を感じ取る。
次第に鮮明に感じ始めた痛みにヒナギクは、自分に何が起こったのかを理解した。
722Classical名無しさん:08/03/04 21:14 ID:R.nNvuO.

723Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:14 ID:Q562HYA6
「バカ! 何言ってるのよ、あんたは!!」

それはヒナギクの頬に、平手打ちが叩き込まれたという事。
ヒナギクの目の前に座っていたかがみが、彼女の頬を叩き、立ち上がっていた。
只、何かを決意した瞳でヒナギクの両の瞳を真っ直ぐと射抜くように。



かがみの心に少しやりすぎてしまったのではないかという感情が浮かぶ。
だが、その感情は直ぐにどこかに消え去った。
つい先程合流し、放送を聞き終え、様子が変わってしまったヒナギク。
――今は一刻も早く彼女を止めなければ!
そう思いを募らせていたら自然に手が伸びてしまった。
だが、自分の行動にかがみは最早一片の後悔を抱いていない。

「あのラオウってヤツにあんたが勝てるわけないじゃない! ヤケクソになってるんじゃないわよ!!」

頬に手を当て、唖然とした様子でかがみを見上げるヒナギク。
かがみの突然の行動に、村雨と零も驚きを隠す事は出来ない。
そんな彼らの視線をかがみは一点に集め、腕を組みながらヒナギクを見下ろし続ける。

「もっと落ち着きなさいよ! 村雨さんと綾崎君が二人がかりでも倒しきれなかったのに……あんたが勝てるわけないじゃない! 分が悪いにも程があるわ!!」

決して、ヒナギクと目線を逸らさずに、強い調子でかがみは口を開く。
実際、かがみの言い分はもっともである。
幾ら身体を動かす事に自信があるといっても、ヒナギクの身体能力は常人の域を出てない。
対して彼女の第一の目標は、常人の域を遥かに超えた存在であるラオウ。
ラオウの強さは先程の闘いで証明済みであり、たとえ核鉄を複数使用しても勝ち目はない。
724Classical名無しさん:08/03/04 21:15 ID:DCceY74A
725Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:16 ID:Q562HYA6
「何よ……何よ……何よ、何よ、何よ、何よ、何よ、何よッ!」

だが、表情に強烈な怒りを浮かべながら、ヒナギクがかがみを睨みつけ、立ち上がる。
勿論、かがみが言った事はヒナギクにも理解している。
よってかがみが自分に言った事を、ヒナギクには否定する気はない。
だが、ヒナギクには口に出さずにはいられない疑問が出来てしまった。
自分の目の前に立っているかがみに対しての疑問が。

「なんで……あなたは落ち着いていられるの?
つかさが死んじゃったのを知って……どうしてそこまで落ち着いていられるの!?」

たった一人の妹を失った事実にも関わらず、気丈に振舞うかがみをヒナギクは理解できなかったからだ。
生前のつかさの話からすれば、彼女達姉妹の仲は良好だったはず。
だが、かがみはつかさの死に自分を見失う事なく、それどころか自分を諭そうとしている。
かがみのその行動にヒナギクは嬉しさを覚えたが、違和感の方が強い。
そのため、ヒナギクは思わず言ってしまった。

「あなたもしかして……つかさが死んじゃってもなんとも思ってないわけ!?
あの子のコトが好きじゃなかったの!?」

放送を聞くまでのヒナギクにはとても考えられない言葉。
だが、今のヒナギクは正常に自分を保つ事が出来なく、一種の混乱状態に陥っている。
さも真剣な表情でヒナギクはかがみに問いかけた。
その両眼の焦点はどこか不安定であり、ヒナギクの混乱を示しているようにも見える。

「ヒナギク! お前は……!」

ヒナギクの無神経な言葉に村雨が語気を強める。
以前、村雨は神社でかがみから、彼女の妹であるつかさの存在は聞かされている。
その時のかがみの話ぶりから、彼女がつかさを愛していないわけはない。
そう考え、村雨はヒナギクを落ち着かせるためにも、彼女の元へ近づこうとする。
村雨の気配を感じ、ヒナギクが顔を彼の方へ、左へ向けようとするが――
726Classical名無しさん:08/03/04 21:17 ID:DCceY74A
727Classical名無しさん:08/03/04 21:18 ID:R.nNvuO.
 
728Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:18 ID:Q562HYA6
「なっ――?」

パァン!
そんな時、二度目の平手打ちが、ヒナギクの右頬に叩き込まれる。
先程よりも、大きな音を響かせ、痛みを帯びた平手打ちをかがみは行っていた。

「なに……? もしかして図星だった――」
「このバカッ!言って良いコトと悪いコトがあるわ!!」

ヒナギクが言いかけた言葉に割り込み、かがみが怒鳴り声を上げる。
その表情には確かな怒りが浮かんでおり、あまりにも険しい。
強気な性格であるヒナギクでさえも、そのかがみの口調の勢いには驚きを隠せない。
だが、ヒナギクもそのまま口を閉ざそうとはしなかった。
未だ、ヒナギクには悶々とした感情があったから。
かがみの不自然な落ち着きに対して、未だ疑問は解けていない。

「だったらなんでそこまで落ち着いていられ――――えっ?」

だが、ヒナギクの言葉は途中で止まり、拍子抜けした声が響く事になった。
唖然とした表情を浮かべ、只一点を見つめ続けるヒナギク。
その視線の先に立ち尽くす人物は勿論、ヒナギクと言葉を交わしていたかがみ。

「落ち着いていられるわけないでしょ……あの子が、つかさが死んじゃって……落ち着ける方がおかしいわよ…………ひっ……」
「泣いてるの? あなた…………」

但し、怒りなどではなく悲しみを顔に浮かばせ、必死に涙を落としまいと奮闘するかがみの姿があった。
729Classical名無しさん:08/03/04 21:18 ID:DCceY74A
730Classical名無しさん:08/03/04 21:18 ID:95FcBwH.
731Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:19 ID:Q562HYA6
「そうよ……泣いてるのよ! 何か可笑しい!? だってつかさが死んじゃったのよ!
今泣かなかったら、私は……いつ泣けるっていうのよッ!!」

いつも幼い時から一緒に遊び、笑い、成長してきたかがみとつかさ。
双子の姉妹である二人は強く、温かい絆で結ばれている。
そんな絆で結ばれているかがみがつかさの死にショックを受けないわけはない。
実際、かがみは今すぐにでも思いっきり、泣き出してしまいたいくらいだった。
だが、その溢れ出る思いを必死に塞き止め、かがみはその行動に反抗の意を示した。

「でも、私はここで泣き続けているわけにはいかないの! だってそんなコトしたら桂さんや灰原さん、みゆきやつかさにきっと怒られるわ!
今私が本当にやらなきゃいけないコト……それはBADANを叩き潰すコトよ! きっとつかさ達もそれを望んでいるハズだわ!」

――こんところでは立ち止まらない。立ち止まってたまるもんか!
かがみにはこの殺し合いを仕組んだBADANへの怒りの方が強い。
自分の死んでいった大切な仲間達の思いを無駄にさせないためにも。
自分はこの殺し合いを潰すために一歩を踏み出さなければならない。

「それに私にはあんたの気持ちは痛いほどわかる! だって私も以前、あんたと同じようにヤケになって……バカなコトをしたわ。
さっき放送で呼ばれた三村にも酷いコトを……。
でも私はあの時、ジョジョに救われた。生きろってこんな私に言ってくれたのよ!だから私は……私は……」

涙を振り払い、かがみが言葉を続ける。
実際、かがみには桂小太郎、灰原哀、高良みゆきの死を知り、自己嫌悪に陥り文字通り暴走した過去がある。
共に行動していたジョセフ・ジョースターと三村信史を、乗車していた車ごと焼き払った暗い過去。
そんな時ジョセフと村雨によって助けられ、生きる気力を取り戻す事が出来た。
だが、その分三村との離散という悲しい出来事が起きたのも事実。
また、そんなかがみは見つける事が出来た。
自分が今この場で本当にやらなくてはいけない事を。あの時の出来事も繰り返さないためにも。
732Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:20 ID:Q562HYA6
「私はあんたを止めたい! あんたには私のようなバカなコトを絶対にやって欲しくない! これ以上、自分一人で背負い込んで、傷ついて欲しくないのよ!
でも、それでも、それでも核鉄が欲しいって言うのなら……」

――ヒナギクの行動を制止し、これ以上彼女が傷つくのを見たくない。
それがかがみの見つける事が出来た、自分のやるべき事。
自分と同じように友人を失い、同じように冷静さを失ったヒナギク。
かがみにはどうしてもヒナギクを放って置くわけにはいかなかった。
以前の自分を見ているような気がして、ヒナギクには自分が犯した過ちをして欲しくない。

「私から力ずくで奪いなさい! 但し、絶対に抵抗してみせるから……絶対に渡すつもりはないから! あんたにはもう後悔して欲しくないから!!」

一段と強くなったかがみの声が想いと比例して大きくなる。
そんなかがみの言葉と視線を受け、ヒナギクの肩がピクンと震えた。
真っ直ぐと自分を見つめる、決意を宿した眼に思わず引き込まれそうになる感覚をヒナギクは覚える。
それと同時に、ヒナギクはある感情を覚えた。

「さぁ! 私は覚悟を決めたわ! 後はあんた次第よ……つかさや綾崎君、ナギって子が今のあんたを見たらどう思うか。
それをよく考えて決めなさいッ!!」
733Classical名無しさん:08/03/04 21:21 ID:DCceY74A
734Classical名無しさん:08/03/04 21:21 ID:ZMA50S/g
735Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:21 ID:Q562HYA6
ヒナギクの胸の奥底から温かい気持ちが湧き上る。
仲間が居る事の嬉しさを再び噛み締める事が出来、ヒナギクの思考に冷静さが戻り始めた。

「ごめん、ちょっとどうかしてたわ……。本当に、本当に……ごめんなさい」

ポツリ、ポツリとヒナギクは言葉を零す。
一気に迫った悲しみによって荒れたった心の波。
自分と同年代の少女の一つ一つの言葉がヒナギクの心に染み渡っていく。
――自分もしっかりしなければ!
徐々に落ち着いてくる中でヒナギクが感じた想い。

「わ! 私だって偉そうなコト言って悪かったわ。それと私、未だ聞きたいコトがあるの……」

落ち着きを取り戻し、謝罪の言葉を口にするヒナギクにかがみが返答する。
自分が出過ぎた事を言ってしまったかと少し不安になっていたからだ。
少し表情を緩ませ、申し訳なさそうな表情を浮かべるかがみ。
やがて、かがみは再度口を開く事になる。
放送を聞き、ヒナギクの話を聞いて、ずっと知りたかった事を。

「つかさのコト、話してくれない? あの子が……あの子がどんな風に生きて、死んじゃったのか……教えて……ひっ……うぇ……」

両肩を震わせながら、かがみが嗚咽を漏らしながら言葉を呟く。
ヒナギクの話しぶりから、彼女がつかさと深く関わっていた事は見当が付いていたから。
ずっと聞きたくて、一刻も早く知りたかったつかさの生前の行動、最期の時。
その疑問をやっと口に出せた時、今まで溜め込んでいた悲しみがかがみを襲った。
溜まりきっていた涙を流しながら、かがみの足取りがフラフラと不安定なものになる。
736Classical名無しさん:08/03/04 21:22 ID:LcU.Mog2
 
737Classical名無しさん:08/03/04 21:24 ID:95FcBwH.
738Classical名無しさん:08/03/04 21:24 ID:DCceY74A
739Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:25 ID:Q562HYA6
「勿論よ。こんなに無理させて……もっと早く知りたかったでしょうに……ごめんね。つかさのコトなんでも話すわ。だって……」

倒れこむかがみの身体をしっかりと抱きしめ、ヒナギクが優しく言葉を発する。
普段のかがみなら顔を赤らめて、ヒナギクから離れようとしたかもしれない。
だが、今のかがみにはそんな余裕もなく、逆にヒナギクの温もりに安心さを覚え、良い心地がしていた

(やっぱり、つかさと似てるわね。凄い暖かい……こんな子を私は傷つけるコトなんて、出来ないわ。絶対に……)

そしてそれはヒナギクにも同じ事が言え、彼女も心地よさを感じていた。
一瞬でも冷静さを失い、みすみすと命を投げ出すような真似を行いそうになった自分。
つかさの死に対する悲しみを我慢して、自分を必死に止めてくれたかがみに対して、感謝の念で一杯だった。
そんな考えを抱きながら、ヒナギクが口を開く。

「つかさもあなたのコトが大好きだって言ってたわ……つかさが大好きなあなたに、あの子のコトを言わないわけないでしょ……つかさのコトを……ひっ」
「つかさ……つかさ……何言ってるのよ。そんなコト、言われなくても……わかってるわよ……私だって大好きよ。何があっても、私の大切な妹よ……」

かがみの様子を見て、思わずヒナギクも悲しさを覚え、涙が流れ始める。
つかさの死以外にも、当然彼女には未だハヤテとナギの死にも立ち直ってはいない。
三人の友人の死への悲しみの波に身を任せる。
肩を抱き合い、只、ありのままに涙を流し続けるヒナギクとかがみ。
そんな彼女達を零と村雨は見つめていた。
740Classical名無しさん:08/03/04 21:25 ID:DCceY74A
741Classical名無しさん:08/03/04 21:26 ID:LcU.Mog2
  
742Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:26 ID:Q562HYA6
『良よ。彼女達の涙を決して忘れるな。しかと心にとどめておけ……BADANに渾身の一撃をぶちこむ、その時がくるまでな』
「ああ、勿論だ。決して忘れはしない。そうだ、これが、俺が今まで忘れていたもの――」

涙を抑える事が出来ず、泣き続けるヒナギクとかがみ。
二人の様子を村雨は、顔を強張らせ、両の握り拳を握り締めながら口を開く。
怒りの感情がこれでもかと詰まった声で。

「『本当の悲しみ』だ」

低く呟いた。

◇  ◆  ◇

「フン。DIOが死んだか……まぁいい。この拳王の天の道にあやつの居場所はなかったというコトか」

エリアD-1の神社で世紀末覇者、ラオウが口を開く。
放送で呼ばれた名前の中で、ラオウが知っている名前はアミバ、DIOの二名。
奇妙な人形遣いであるDIOは兎も角、アミバにはラオウは全く興味がなかった。
所詮、小物であるがために何処ぞでケンシロウのような者に討たれたのだろう。
そのような考えしか湧かず、正直どうでもいい事であった。
それよりも、今のラオウには興味が引き立てられる事がある。

「さて、あの男は来るか。それともこの拳王を前にして逃げ行くか……」

先程、自分と闘い、本郷猛と同じ存在であると思われる村雨良。
自分との闘いを放棄し、瀕死の仲間の治療に帰った男。
彼が本当に戻ってくるかどうかに多少興味があった。
戻って来なければ、違う相手を求めて移動するだけ。
そう思っていたため、村雨が戻ってこなくともラオウにはそれ程失望感はない。
だが、先程の戦闘の中、急に強さを爆発的に加速させた村雨を見逃すのも惜しい気がする事も事実。
743Classical名無しさん:08/03/04 21:28 ID:DCceY74A
744Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:28 ID:Q562HYA6
(やはり、愛の力をわしは気にかけているのか? この拳王が……そんな脆弱なものに)

柄にもなく、悶々とした感情で気晴らし程度に、ラオウが天を見上げた。
そんな時、ラオウの両耳に爆音が届く。

「来たか」

神社へと続く、階段を飛び越え、クルーザーがラオウの視界に入る。
零を括り付けたクルーザーを運転する男は勿論、村雨。
そして村雨の後ろには二人の少女、ヒナギクとかがみが乗っている。
クルーザーを停止させ、村雨がヒナギクとかがみの二人に待つように指示し、一人クルーザーから降り立つ。

「待たせたな」

ラオウから数メートル離れた地点に立ち、村雨がそう口を開く。
目の前に居る、ラオウに対し、ある決意を抱きながら立ち尽くしていた。


「村雨さん、どうするつもりかしら。『用がある』って言って……もしかしてもう一度ラオウと闘う気?」
「大丈夫よ、ヒナギク。『お前達の安全を確保するまで無茶はしない』って言ってくれたわ。それに悪い人じゃないもの……」
『うむ! 良を信じよ!』

村雨、かがみ、ヒナギク、零の三人と一つは彼女達二人の涙が止まった後、互いの話をした。
ハヤテの遺体を埋葬するために、碌に話す時間がなかったからだ。
勿論、その中でかがみはつかさの今までの行動を知ってしまった。
だが、かがみは悲しみに潰れる事をなんとか避け、その事にヒナギクは安心した。
また、今では二人は互いに下の名で呼び合える程打ち解け、零もほっと息をついた。
そして、ヒナギクの同行者、葉隠覚悟ともう一度合流するために移動しよう。
首輪や強化外骨格、BADANのついての考察は覚悟と合流してからでも遅くはない。
そう考えていたが、突如村雨がここに寄りたいと言い出したので、彼らはこの場に居るという事だ。
745Classical名無しさん:08/03/04 21:29 ID:DCceY74A
746Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:30 ID:Q562HYA6
「悪いが、今は闘えない。俺にはやるコトが増えたからな……」

村雨が口を開く。そんな彼の言葉にラオウは不機嫌そうに眉を顰めた。
村雨には未だ、ヒナギクとかがみの安全が確保出来ていないため、闘うつもりはない。
だが、村雨にはラオウに言っておきたい事があった。

「俺はこの殺し合いを仕組んだ奴ら、BADANに全てを奪われた。身体も、記憶も、感情も、姉さんも、何もかもだ……だが……俺はもう失いたくない。
いや、失わせたくない……!」

今まで忘れていた、大切なものたち。
それらの存在を只、何も出来ずに奪われるだけだった自分。
そんな自分に怒りを覚えながら村雨が呟き続ける。

「俺はもうBADANやお前に何も奪わせはしない!かがみの、ヒナギクの、彼女達の大切なものはもう奪わせん……!
BADANとお前は俺が倒してみせる、たとえ俺が全てを失ってでも……!」
「その脆弱な者達のためにこの拳王とあの主催者どもと闘う。たとえうぬが死ぬ事になってもか?」

かがみとヒナギクの泣きあう様子を見て、燃え上がった想い。
全てを奪われた憎しみ、怒りが更に強まる事になった。
だが、それは自分自身だけの怒りではない。
この会場に呼び出され、死んでしまった者達の無念さ。
残された者の悲しみを知り、自分だけがBADANに怒りを募らせているわけではない事を村雨は知った。

「当たり前だ……! 俺は闘う、俺とハヤテの正義が力を与え続けてくれる限り……俺はなんどでも立ち上がってみせる!!」

自分とハヤテの正義を糧にし、闘い続ける事を村雨はラオウに宣言する。
これこそがラオウにもう一度言いたかった言葉であった。
747Classical名無しさん:08/03/04 21:32 ID:95FcBwH.
748Classical名無しさん:08/03/04 21:32 ID:DCceY74A
749Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:32 ID:Q562HYA6
「……よかろう。ならばこれを持ってゆけ。」
「む……これは」

村雨の言葉を聞いていた、ラオウは唐突にあるものを村雨に投げつける。
村雨の片手に握られたもの、それはモーターギアの核鉄。
武器を必要とはしないラオウにとって核鉄は治療用にしか使えず、既にラオウの身体は戦闘に支障がないほどに治癒されている。
それにラオウは核鉄のような、労をせずに得をえるようなものを好ましく思っていなかったからだ。
そして、ラオウにはもう一つ目的があった。
普段のラオウでは、特に思い立つ事はないと思われる目的が。

「代わりというわけでないが、もう一度うぬの姿をこの拳王にみせい! 本郷が名乗っていたあの名を持つ戦士の姿を!」

何故なら、ラオウはもう一度見たくなったのだ。
この殺し合いで一番の好敵手とも言えた相手、仮面ライダー1号。
彼と同じような姿を持つ村雨の姿をもう一度、己の眼に焼き付けるために。
真の愛の力を手にし、いつか再び自分と対峙するであろう村雨の魂を。

「望むところだ……!」

別に村雨には問題はない。
ハヤテを殺した憎い相手ではあるが、変身するだけなら村雨にもデメリットはないからだ。
そのため、村雨は覚悟との早期の合流もあるため、直ぐにでも変身を行おうとする。

「待って村雨さん!」
「どうした、ヒナギク?」

だが、そんな村雨の行動をヒナギクが制止する。
予想外の言葉に村雨は心底不思議そうな表情を浮かべ、振り向いた。
――もしやラオウに襲い掛かろうとしているのか?
自分も今すぐにでも、ラオウと闘いたいが今は葉隠覚悟との合流が先決。
そう思い、村雨はヒナギクが早まった行動を起こさないかどうか不安に駆られる。
だが、そんな村雨の心配は杞憂に終わる事となった。
750Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:33 ID:Q562HYA6
「スイッチよ! 本郷さんは変身する時、気合を引き出すための動きがあったわ! どうせ変身するなら、気合入れて、あいつに見せつけてやりなさい!
絶対に忘れられない、あなたの変身をね! 」

それは遠くない未来、滝和也という男が村雨に言った言葉とどことなく似ていた。
そのヒナギクの言葉に村雨は驚き、一瞬動きが止まる。
だが、コクリと頷き、再びラオウの方へ村雨は振り向く。

「ラオウ、俺はお前を許しはない。だから刻んでもらうぞ。俺の名を、俺の変身を……!」

村雨が低く呟き、構えを取る。

――両脚を少し開き、右腕を右肩より少し上方へ伸ばし、左腕は右脇腹より少し下方へ伸ばす。

「ねぇ、かがみ。私思うコトがあるの……」
「何を?」

――右腕を村雨の方から見て時計回りに、左腕を反時計回りに回し、伸びきった左腕が一直線に天を向く。

「神様は居ないかもしれないってコトよ。だってこんな殺し合い、ふざけてるもの」
「そうね。神様なんて居ないかもね。でもそれが?」

――斜め下へ伸びた右腕と平行になるように、左腕を回し続ける。

「でも、これだけは言えるわ。たとえ神様は居なくても……」

――腰の高さまで左腕を落とし、拳を握りながら左腰の横へ引く。
751Classical名無しさん:08/03/04 21:33 ID:OxbvFA3I
752Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:35 ID:Q562HYA6
「私達の傍には、この殺し合いに集められた人達の傍には……」

――右腕を左斜め上へ思いっきり突き出し、村雨の腰に十字のような模様も模したベルトが現れる。

「変んんんっっっっっ――――――身!」

――ベルトから眼が覚めるような真紅の閃光が巻き起こり、村雨の身体が赤く光る。
――村雨の身体から大量の蒸気が湧き上がり、計り知れない程の粒子が放出される。
――白と赤、そして所々黒色が混じったボディ。緑色のマフラー。カミキリムシを模した、赤い仮面に白のクラッシャー。
――緑色の複眼で真っ直ぐラオウを射抜く影が、村雨が立っていた場所に出現する。

「正義の味方が、私達に希望をくれる……とても凄い人が!」

甲高い声で、歓喜の表情で叫ぶヒナギク。
ヒナギクにとってこの殺し合いで馴染み深い人物が名乗っていた名前。
狂気に囚われた神父からヒナギクを助けた男と同じコードネームを持つ男。
隣に居るかがみも嬉しそうな表情で、ヒナギクと同じ方向を見つめている。
二度も自分を襲いかかってきた存在。だが、記憶を取り戻し、彼女達を守ると誓った男。

「仮面ライダーが居るのよ! 私達の大切な仲間がッ!!」

「そうだ、俺は……俺は仮面ライダー……ゼクロス! 仮面ライダーゼクロスッ!!」

少女の叫びを受け、男が吼える。
仮面ライダーZX。仮面ライダー十号の資格を得た男がラオウに向って吼える。
ラオウの何かを認めたような瞳に受けながら。

◇  ◆  ◇
753Classical名無しさん:08/03/04 21:35 ID:yQWH1gWM
754Classical名無しさん:08/03/04 21:35 ID:95FcBwH.
 
755Classical名無しさん:08/03/04 21:36 ID:DCceY74A
756Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:36 ID:Q562HYA6
ラオウの元から離れクルーザーが駅を目指している。
クルーザーの後部座席に座ったかがみが、思考を張り巡らす。
村雨の咆哮はかがみにも勇気を与えてくれた。
そのため、かがみはもう少し考える余裕が出来てきた。

(つかさを殺した津村斗貴子……。それにつかさを生き返らすために殺し合いに乗った川田章吾……放って置くわけにはいかないわね)

ヒナギクの話から聞いた、つかさと関係が深い人物。
斗貴子と川田の事をかがみは考える。
出来るならば、人殺しはしたくないがこれ以上犠牲者が出る事を避けたい。
板ばさみになる気持ちにかがみは苦悩する。

(つかさ……あんたが望むコトを私はやってみるわ)

今のところ、かがみには斗貴子を許す事は出来ない。
だが、斗貴子を殺しても、あの心優しいつかさが喜ぶとはとても思えないのも事実。
そもそも自分に、本当に人を殺す覚悟もわからないのに、斗貴子に立ち向かうのは無茶だとかがみは思った。
それよりも、かがみはやるべきだと思った事は他にある。

(つかさと両思いになった川田って男の子。彼の方が先よ! 彼が殺し合いに乗ったなんてつかさは悲しむ。だったら……)

つかさと両思いの仲となった川田。
つかさが僅か一日も経たない内に、愛の告白を行った事には思わず耳を疑った。
そして、その川田がつかさのためにこの殺し合いに乗ったという話は衝撃的なものであった。
ならば、自分がやるべき事は何か?只、村雨やジョセフに守られるだけでいいのか?
その疑問のすえ、かがみが出した答え。

(私が川田君の眼を覚ませてやるわ! 安心しなさい、つかさ。私が絶対にやってみせる……あなたの姉として!)

それは川田を説得する事。
それがかがみが出した答え。本当にやるべき事。
地下鉄の駅が見え始めた地点でかがみが出した答えだった。
757Classical名無しさん:08/03/04 21:37 ID:95FcBwH.
 
758Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:37 ID:Q562HYA6
(そういえば、さっきの放送でなんか気になるコト言ってたわね。『神に祈れ』か……気休めの言葉だったのかしら)

そして、かがみの脳裏に浮かんだ疑問。
その疑問が今後どのような影響を及ぼすか。
それは誰にもわからない。


【D-1 神社/2日目 深夜】
【ラオウ@北斗の拳】
[状態]内臓に小ダメージ 、鼻の骨を骨折、 胴体に刀傷、全身フルボッコ(強がって気にしないフリをしている)
[装備]無し
[道具]支給品一式
[思考・状況]
1:村雨良を待つ。但し、必要があれば動き他の参加者と闘う
2:強敵を倒しながら優勝を目指す。
3:覚悟の迷いがなくなればまた戦いたい。
4:赤木が気に入った。
5:愛などいらぬ!が、他人の愛によって得る力は、知りたい。
[備考]
※自分の体力とスピードに若干の制限が加えられたことを感じ取りました。又、秘孔を破られやすくなっている事にも
※ラオウ・勇次郎・DIO・ケンシロウの全開バトルをその目で見ました
※自らが認めた相手に敬意を払いその生き方をも認める事をしました
※コーラに対する耐性がつきました。
※さらに強くなるにはもしかしたら愛が必要なのかもしれないと思っていますが、表面上では愛を否定しています。
※村雨との闘いを切に願っていますが、移動し、別の参加者とも闘おうという気もあります。
※BADANの存在を知りました
759Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:38 ID:Q562HYA6
【D-2 S-8駅周辺/2日目 深夜】
【桂ヒナギク@ハヤテのごとく!】
[状態] 顔と手に軽い火傷と軽い裂傷。右頬に赤みあり。つかさ、ハヤテ、ナギの死に精神的ダメージ(大分収まり、行動には支障なし)
[装備] ボウガン@北斗の拳、核鉄(バルキリースカート)@武装錬金
[道具] 支給品一式。ボウガンの矢18@北斗の拳
[思考・状況]
基本:BADANを倒す。
1:村雨、かがみと共にS8駅で覚悟と合流する。その後、首輪、BADAN、強化外骨格について考察する。
2:ラオウ、斗貴子に復讐する。(但し、仲間との連携を重視)
[備考]
※参戦時期はサンデーコミックス9巻の最終話からです
※桂ヒナギクのデイパック(不明支給品1〜3品)は【H-4 林】のどこかに落ちています
※ロードローラー@ジョジョの奇妙な冒険と捕獲網@グラップラー刃牙は【H-4 林】に落ちています
※核鉄に治癒効果があることは覚悟から聞きました
※バルキリースカートが扱えるようになりました。しかし精密かつ高速な動きは出来ません。
 空中から地上に叩きつける戦い方をするつもりですが、足にかなりの負担がかかります。


【村雨良@仮面ライダーSPIRITS】
[状態]全身に無数の打撲。ダメージ(少)。疲労(少) ハヤテの死に精神的ダメージ(大分収まり、行動には支障なし)
[装備]クルーザー(全体に焦げ有り)、十字手裏剣(0/2)、衝撃集中爆弾 (0/2) 、マイクロチェーン(2/2) 核鉄(ピーキーガリバー)@武装錬金
核鉄(モーターギア)@武装錬金
[道具]地図、時計、コンパス 、強化外骨格「零」(カバン状態)@覚悟のススメ
    454カスール カスタムオート(0/7)@HELLSING、13mm爆裂鉄鋼弾(35発)、ニードルナイフ(15本)@北斗の拳 女装服
    音響手榴弾・催涙手榴弾・黄燐手榴弾、ベレッタM92(弾丸数8/15)
[思考]
基本:BADANを潰す!
1:ハヤテの遺志を継ぎ、BADANに反抗する参加者を守る
2:かがみ、ヒナギクの安全の確保後、ラオウを倒しに行く。
3:ヒナギク、かがみと共にS8駅で覚悟と合流する。
4:ジョセフ、劉鳳に謝罪。場合によっては断罪されても文句はない。
5:パピヨンとの合流。
760Classical名無しさん:08/03/04 21:39 ID:DCceY74A
761Classical名無しさん:08/03/04 21:39 ID:95FcBwH.
  
762Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:39 ID:Q562HYA6
[備考]
※傷は全て現在進行形で再生中です
※参戦時期は原作4巻からです。
※村雨静(幽体)はいません。
※連続でシンクロができない状態です。
※再生時間はいつも(原作4巻)の倍程度時間がかかります。
※D-1、D-2の境界付近に列車が地上と地下に出入りするトンネルがあるのを確認しました。
※また、零の探知範囲は制限により数百メートルです。
※零はパピヨンを危険人物と認識しました。
※零は解体のため、首輪を解析したいと考えています。
※記憶を取り戻しました

【柊かがみ@らき☆すた】
[状態]:左肩、左脇腹に打撲、精神消耗(中)
[装備]:核鉄「激戦」@武装錬金、巫女服
[道具]:
[思考・状況]
基本:BADANを倒す
1:村雨、かがみと共にS8駅で覚悟と合流する。その後、首輪、BADAN、強化外骨格について考察する。
2:仲間と共にジョセフと合流。
3:さっき見た首輪の異変について、考えてみる。
4:神社の中にある、もう一つの社殿が気になる。
5:ジョセフが心配。
6:こなたと合流する。
7:つかさとハヤテ、ナギの死にショック(大分収まり、行動には支障なし)
763Classical名無しさん:08/03/04 21:39 ID:DCceY74A
764Classical名無しさん:08/03/04 21:40 ID:95FcBwH.
765Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:41 ID:Q562HYA6
【三人の備考】
※一通りの情報交換は終えています
※神社、寺のどちらかに強化外骨格があるかもしれないと考えています。
※主催者の目的に関する考察
主催者の目的は、
@殺し合いで何らかの「経験」をした魂の収集、
A最強の人間の選発、
の両方が目的。
強化外骨格は魂を一時的に保管しておくために用意された。
強化外骨格が零や霞と同じ作りならば、魂を込めても機能しない。
※3人の首輪に関する考察及び知識
首輪には発信機と盗聴器が取り付けられている。
首2には、魔法などでも解除できないように仕掛けがなされている
※3人の強化外骨格に関する考察。
霊を呼ぶには『場』が必要。
よって神社か寺に強化外骨格が隠されているのではないかと推論
※BADANに関する情報を得ました。
766Real-Action ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:42 ID:Q562HYA6
【BADANに関する考察及び知識】
このゲームの主催者はBADANである。
BADANが『暗闇大使』という男を使って、参加者を積極的に殺し合わせるべく動いている可能性が高い。
BADANの科学は並行世界一ィィィ(失われた右手の復活。時間操作。改造人間。etc)
主催者は脅威の技術を用いてある人物にとって”都合がイイ”状態に仕立てあげている可能性がある
だが、人物によっては”どーでもイイ”状態で参戦させられている可能性がある。
ホログラムでカモフラージュされた雷雲をエリア外にある。放電している。
 1.以上のことから、零は雷雲の向こうにバダンの本拠地があると考えています。
 2.雷雲から放たれている稲妻は迎撃装置の一種だと判断。くぐり抜けるにはかなりのスピードを要すると判断しています。
※雷雲については、仮面ライダーSPIRITS10巻参照。

※かがみの主催者に対する見解。
@主催者は腕を完璧に再生する程度の医療技術を持っている
A主催者は時を越える"何か"を持っている
B主催者は@・Aの技術を用いてある人物にとって"都合がイイ"状態に仕立てあげている可能性がある
Cだが、人物によっては"どーでもイイ"状態で参戦させられている可能性がある。

※首輪の「ステルス機能」および「制限機能」の麻痺について
かがみがやった手順でやれば、誰でも同じことができます。
ただし、かがみよりも「自己を清める」ことに時間を費やす必要があります。
清め方の程度で、機能の麻痺する時間は増減します。
神社の手水ではなく、他の手段や道具でも同じことが、それ以上のことも可能かもしれません。

※ステルス機能について
漫画版BRで川田が外したような首輪の表面を、承太郎のスタープラチナですら、
解除へのとっかかりが見つからないような表面に 偽装してしまう機能のことです。
ステルス機能によって、首輪の凹凸、ゲームの最中にできた傷などが隠蔽されています。

※S1駅にハヤテのジョセフに対する書置きが残っています。
※エリアD-2民家周辺にハヤテの墓があります
767Classical名無しさん:08/03/04 21:44 ID:95FcBwH.
カニ食べたい
768 ◆14m5Do64HQ :08/03/04 21:44 ID:Q562HYA6
投下終了しました。多くの支援、どうも有難うございます!
矛盾、誤字の指摘や感想などお待ちしています。

769Classical名無しさん:08/03/04 21:46 ID:95FcBwH.
>(やはり、愛の力をわしは気にかけているのか? この拳王が……そんな脆弱なものに)

ラオウの一人称「わし」かなあ…。
違うような。
770Classical名無しさん:08/03/04 21:47 ID:DCceY74A
投下乙!
相変わらず燃えさせてくれる!
立ち直った村雨に、まさか二号編のあの名台詞を組み込むとは、意外でした。
拳王も村雨を敵と定め、今後の活躍に期待が出来る!
GJ!
771Classical名無しさん:08/03/04 21:49 ID:DCceY74A
>>769
初期は「おれ」と「わし」を両方使っていました。
後期は「おれ」がメインになってきます。
別に、間違いではないかと
772Classical名無しさん:08/03/04 21:49 ID:yQWH1gWM
投下乙
登場人物のらしさがでて、とてもいいと思いました
特にヒナギク、お前は何も分かってないッ!

ラオウとの対峙はすごく燃えた
773 ◆bnuNxUeVnw :08/03/04 22:04 ID:FOqE9gPM
投下乙ッ!!
かがみがジョセフや三村のおかげでこんなにも強くなったんだなぁ
と思うと、熱いものがこみ上げてきましたよ。

ラオウもさすが拳王。
村雨とのやりとりにはブラボーと拍手を送りたいですね。

それでは 範馬勇次郎、江戸川コナン、神楽 投下します。
774The show must go on ◆bnuNxUeVnw :08/03/04 22:05 ID:FOqE9gPM
参加者は知らないことだが、この6時間でゲームは大きく動き、終息へと加速している。
六時間の間に脱出を試みるもの、優勝を狙うもの、平穏を望んだものなど合わせて11人もの参加者がこのゲームから去っていった。
だが彼らの意思は引き継がれていく。生き残ったものたちに。
去ってしまった者たちから受け継いだものはさらに「先」に進めなくてはならないのだ。
吸血鬼の身体能力と拘束制御術式『クロムウェル』の解放で大暴れしたアーカード。
彼の意思も受け継がれていた。
一人の男と、そして…

775The show must go on ◆bnuNxUeVnw :08/03/04 22:06 ID:FOqE9gPM
『さて諸君、頑張っておるかのう? この殺し合いが始まってから、ついに24時間が経過したぞ。』
どこらともなく聞こえた声で目を覚ました。
彼が眠りより覚めるだけで世界は変わる、怯える。今まで食物連鎖の頂上にいた生物は本来の位置に戻ろうとあわてて下がり、文字通り地上最強の生物が頂上に立つ。
『午前1時からF-8 、午前3時からE-3 、午前5時からB-5』
まだしっかりと覚醒していない頭をぼりぼりと掻きながら大きなあくびをひとつ。どことなく放送を流す老人の声も恐怖に荷怯え、放送を急いでいるように聞こえる。
『続いて、この6時間で死んでいった者たちの発表じゃ。 諸君の思い人の名前など呼ばれなかったらいいがの。』
だが次に聞こえた声にピタリと手を止める。
『アミバ、アーカード、キュルケ、シェリス・アジャーニ、DIO、加藤鳴海、柊つかさ、吉良吉影、綾崎ハヤテ、三千院ナギ、三村信史 以上11名。』
沈黙に、彼を包んでいる民家はない顔を青冷める。彼の下のベッドはだすはずのない小さな.恐怖の悲鳴をあげる。男は何事か考え込んでいるようである。
『それでは、また6時間後の放送が無事に聞けるといいの。』
こうして放送は無事に終わった。

776Classical名無しさん:08/03/04 22:08 ID:DCceY74A
  
777The show must go on ◆bnuNxUeVnw :08/03/04 22:08 ID:FOqE9gPM
勇次郎は歓喜していた。まだアーカードが認めた戦士たちが死んでいないからだ。いくつかは死んだもののそれは自分にかかるまでもないものだったということなのだろう、そう勇次郎は思った。
必ず自分の手で借りを返し、殺すと誓ったDIOが死んでしまったのは心残りだが、裏を返せば彼を殺すほどの猛者がこのゲームにはいるということだ。なにも落胆することはない。
再び沸いてきた闘争に勇次郎は体を起こし、近くにあった荷物をもち外へと向かう。
(花火でも打ち上げりゃ誰かやってくるだろ)
そう思い乱暴に扉を蹴破り外に出ると、

目の前に一匹の梟がいた。

このゲームが始まってまだ犬一匹見ていなかったこともあり、違和感を覚えながらもかまわず花火を打ち上げようと近づいたが不思議と梟は動かない。
じっと鋭い目で勇次郎を見続けている。まるで自分について来い、というかのような態度の鳥に勇次郎は興味を持った。花火を打ち上げるのはまだ後でいいだろう、と思わせるほどの強い意思がこの梟にはあった。
(面白ぇ…、楽しませてくれるんだろうな?)

夜空に飛び立った梟の背中を見つめ、ゆっくりと後を追う。
闘争を求めた男によって生まれた者たち。
彼らが向かう先、それは――――北。

778Classical名無しさん:08/03/04 22:09 ID:DCceY74A
     
779The show must go on ◆bnuNxUeVnw :08/03/04 22:09 ID:FOqE9gPM
江戸川コナンは焦っていた。
(どうする…、どうすれば…!?)
彼が範馬勇次郎を引き込むことを決意し、そのために神楽を誰かに預けようと病院に向かっていたときだった。第四回放送が流れた。いくつか知った名前が流れ悲しみと同時にこの趣味の悪いゲームを行う主催者に怒りが沸いてきた。そして一刻も早くこのゲームを終わらせたいと。
そしてその放送で神楽の知り合いであるキュルケが死んでしまい、当初の目的地の病院から繁華街へ目的地を変え、向かっていたときコナンは見つけてしまったのだ。
まさかこんなに早くこの人物にあえるとは思ってもいなかった。遠くからでもはっきりとわかった。一度対峙したからわかった。あの恐怖、プレッシャー。まちがいなく範馬勇次郎だ。
ものかげから姿を見ているとどうやら鳥を追いかけているようだ。どこへ向かっていくかわからないが、この場を離れていくのは間違いないようだ。
780The show must go on ◆bnuNxUeVnw :08/03/04 22:10 ID:FOqE9gPM
「どうしたアル?はやく逃げたほうがいいアルよ!」
隣からコナンの腕を引っ張りこの場から去ろうとする神楽の声にも緊張の色がうかがえる。わかっているのだ、あの男の強さが。
コナンにもわかっていた。今ここで接触するにしても範馬勇次郎を説得する策がない。
見たところ、体中に生傷を負っていることからごく最近どこかで戦闘を行ったようだ。そんな男を今の自分が説得できるだろうか?いや、できない。
そのうえ神楽がいる。先ほどの放送でキュルケの死を知ったとき、彼女は一時はショックでその場で立ち止まってしまった。
が、なにごともなかったかのようにコナンの手を握り、歩いてきたのだ。コナンに心配を掛けまいと必死で平静を装って。
(神楽を巻き込むわけにはいかねーよな…。でもよ、これ以上死者を出すわけにもいかねーしよ…!!)
放送で11人もの人が死んだ。人数が減りつつあるにもかかわらず死亡者が減らないのはつまり、積極的に殺しまわっている輩がいるからだ。
このままでは主催者に背いていたものも追い詰められ、心変わりを起こしさらに殺し合いが加速するしかない。
これを止めるためには…しかし…
(くそッ、どうすればいいんだ…!?)



781Classical名無しさん:08/03/04 22:10 ID:DCceY74A
      
782The show must go on ◆bnuNxUeVnw :08/03/04 22:11 ID:FOqE9gPM
【E-3南部 /2日目 真夜中】
【江戸川コナン@名探偵コナン】
[状態]:全身打撲。疲労大。左肩と全身に湿布と包帯。強い決意。
[装備]:ハート様気絶用棍棒@北斗の拳 、懐中電灯@現地調達 包帯と湿布@現地調達 スーパーエイジャ@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品(食料一食消費)、鷲巣麻雀セット@アカギ、 空条承太郎の記憶DISC@ジョジョの奇妙な冒険
[思考] 基本:この殺し合いを止める。
1:範馬勇次郎に接触すべきか、どうか。
2: 信頼できる人物(ケンシロウ、覚悟など)に神楽を預ける。
3:範馬勇次郎を仲間に引き入れる。
4: 範馬勇次郎以外の光成の旧知の人物を探り、情報を得たい。
5: ルイズの最後の願いを叶えたい。
6: ゲームからの脱出。
7: ジグマールを警戒。
[備考]
※メガネ、蝶ネクタイ、シューズは全て何の効力もない普通のグッズを装備しています。
※自分達の世界以外の人間が連れてこられていることに気付きました
※川田、ヒナギク、つかさ、服部、劉鳳、アミバの情報を手に入れました。
※平次と二人で立てた仮説、「光成の他の主催者の可能性」「光成による反抗の呼びかけの可能性」「盗聴器を利用した光成への呼びかけの策」 等については、まだ平次以外に話していません。又、話す機会を慎重にすべきとも考えています。
※スーパーエイジャが、「光を集めてレーザーとして発射する」 事に気づきました。

783The show must go on ◆bnuNxUeVnw :08/03/04 22:12 ID:FOqE9gPM
【神楽@銀魂】
[状態] 軽度の疲労  悲しみ
[装備] 神楽の仕込み傘(強化型)@銀魂 、ジャッカル・13mm炸裂徹鋼弾予備弾倉(25.30)@HELLSING
[道具]支給品一式×2(食料一食消費) 陵桜学園高等部のセーラー服@らき☆すた 首輪
[思考・状況]
基本: 殺し合いに乗っていない人は守る、乗っている人は倒す。
1:コナンを守ってやりたい。だからこの場は早く去りたい。
2:キュルケ…
3:筋肉眉毛(ケンシロウ)に会い、話を聞く。
4:銀ちゃんとキュルケを殺した奴は許さない。
[備考]
※原作18巻終了後から参戦。
※キュルケとケンシロウについては細かいことをまだ服部、劉鳳、コナンに話していません。

※コナンと神楽は範馬勇次郎を200mほど離れた位置から尾行しています。

784Classical名無しさん:08/03/04 22:12 ID:DCceY74A
              
785The show must go on ◆bnuNxUeVnw :08/03/04 22:12 ID:FOqE9gPM
【範馬勇次郎@グラップラー刃牙】
[状態]右手に中度の火傷、左手に大きな噛み傷。
   全身の至るところの肉を抉られており、幾つかの内臓器官にも損傷あり。
[装備]ライター
[道具]支給品一式、打ち上げ花火2発、フェイファー ツェリザカ(0/5) 、レミントンM31(2/4)
   色々と記入された名簿×2、レミントン M31の予備弾22、 お茶葉(残り100g)、スタングレネード×4
[思考] 基本:闘争を楽しみつつ優勝し主催者を殺す
1:梟についていく
2:アーカードが名を残した戦士達と、闘争を楽しみたい。
  ただし、斗貴子に対してのみ微妙な所です。
3:首輪を外したい
4:S7駅へ向かいラオウ、ケンシロウを探す。(1が終わるまで保留)
5:未だ見ぬ参加者との闘争に、強い欲求
[備考]
※シルバー・スキンの弱点に気付きました。
※自分の体力とスピードに若干の制限が加えられたことを感じ取りました。
※ラオウ・DIO・ケンシロウの全開バトルをその目で見ました。
※生命の水(アクア・ウィタエ)を摂取し、身体能力が向上しています。
※再生中だった左手は、戦闘が可能なレベルに修復されています。
※アーカードより、DIO、かがみ、劉鳳、アミバ、服部、三村、ハヤテ、覚悟、ジョセフ、パピヨンの簡単な情報を得ました。
ただし、三村とかがみの名前は知りません。
是非とも彼等とは闘ってみたいと感じていますが、既に闘っている斗貴子に関しては微妙な所です。
※出血は止まりました

※梟は勇次郎に闘争を届けるため、ほかの参加者の下へ飛んでいます。今のところは北に向かっています。
※梟が持っているDISCに勇次郎は気づいていますが、興味はありません。
786The show must go on ◆bnuNxUeVnw :08/03/04 22:15 ID:FOqE9gPM
投下完了しました。
誤字、脱字、修正点、矛盾点があれば指摘お願いします。

>>692
ご指摘ありがとうございました。
787Classical名無しさん:08/03/04 22:17 ID:DCceY74A
投下乙
強者を求める勇次郎、その勇次郎を前に恐怖する神楽コナン。
今後の決断が楽しみになる話でした。
GJ!
788Classical名無しさん:08/03/04 22:38 ID:k0l.Q5bY
ヒナギクはつかさを諭し、
かがみがヒナギクを諭した。

なんか……かなしいな
789Classical名無しさん:08/03/04 23:13 ID:CBc0cHZQ
ラオウの身体は戦闘に支障がないほどに治癒されている。
ってあるからラオウの状態表の全身フルボッコは削除していいのでは?
790Classical名無しさん:08/03/04 23:44 ID:ZMA50S/g
投下乙!
村雨さん記憶戻ったら早速仮面ライダーやっちゃってるし…もうラオウと全開バトルフラグ立ちまくりだなぁ
ヒナギクとかがみがなんとか乗り切ったみたいでこちらは一安心。てジョセフ一時放置カワイソスw

バーローと神楽はとうとう銀さんの敵討ちか…? でも相手は食後のデザートもいけちゃう男だぞ?
手持ちの武器が鍵となりうるかはたまたバーローがまた伝説を作るのか、どちらも先が気になる話でした!
791Classical名無しさん:08/03/05 01:49 ID:HGu2BfW.
>>768
GJ、ヒナ暴走、かがみの説得は嬉しい展開だ
何よりかがみの強さに心打たれたよ
そして村雨さんがかっこよすぎる
強気に見えて繊細なツンデレコンビをうまく導いてやってほしいな

ところでかがみ→ヒナの呼び方は「桂」なのかな?
普通に考えればそうだろうし、つかさとの比較としてもいい味が出てるんだけど
桂小太郎の存在がある分混乱しないかなと思って

>>786
投下乙、いいつなぎです
普通に考えれば逃げるべき場面だけどこのロワじゃそんな展開はなさそうだから困るw
どこからかヒーローが現れるのかな?
792Classical名無しさん:08/03/05 09:47 ID:z6rrAp.g
>>768
GJ!!
ヒナの暴走がまた悲しい結果を引き寄せるようなことにならず良かった…
かがみも辛いだろうに…強くなったなぁ…
そして何より村雨がカッコよすぎるよ
頼んだぞ村雨…二人を守ってやってくれ…

>>786
乙!
バーロー、神楽、逃げろー!
そいつは勝でも説得出来なかったような相手なんだって!
無茶以外の何者でもないぞー!

>>791
今までかがみが出会ったらきすた出典以外のキャラは
皆名字呼び(見た目小学生の灰原相手でも)だし
会って間もない状態なら名字で呼ぶことは別におかしくないんじゃない?
それにその後、>>744で情報交換後は名前呼びするくらいに打ち解けたってあるし
793 ◆14m5Do64HQ :08/03/05 10:56 ID:0Tke5rq6
>>786
投下乙!
や!やっぱり出会ってしまったかー!w
鉄の信念を持つコナンと神楽が勇次郎と遭遇……神楽が銀時の最期を知ったらどうなるでしょうかね?
今後の展開が気になる引き方でした。梟が久々に出てきた事に少し嬉しかったりしてw


感想&指摘どうもありがとうございます!

>>789
これ少しミスりました。ハヤテ&村雨戦の傷が完治というのも少し違和感がありますので地の文を
×既にラオウの身体は戦闘に支障がないほどに治癒されている
○完全にとはいかないまでも、ラオウの身体は戦闘に別段支障がないほどに治癒されている

これでフルボッコの欄を残す方向で考えています。

>>791
個人的には打ち解けるまでは「桂」打ち解けた後は「ヒナギク」を想定しています。
小太郎の事は「桂さん」と敬称を付けて呼んでいたのでそれ程混乱はなかったかな?と思っていました。
なのでこのまま行こうかと思います。
794Classical名無しさん:08/03/05 19:50 ID:6P60C5kI
ん……?

>>過ごした時間は短いながらも大切な仲間である、毛利小五郎、本郷猛、志村新ハ、柊つかさ。

新ハっていったいなんのミスw
795Classical名無しさん:08/03/05 21:10 ID:0Tke5rq6
>>794
あれ?ご指摘どうもです。これは恥ずかしいw
796Classical名無しさん:08/03/05 21:40 ID:2/Y6yuBs
>>794>>795
ヒナギクは新八と短いながらも会ったことはあるので
間違いではないと思いますよ。
797Classical名無しさん:08/03/05 21:50 ID:eo6g/WlQ
漢字の「八」じゃなくてカタカナの「ハ」になってるって事言いたんちゃう?
798Classical名無しさん:08/03/05 21:50 ID:LD5Zo55c
新八とは会ったことはあるが新ハとは会ってはいない
799 ◆14m5Do64HQ :08/03/05 22:33 ID:pVHxf.So
誤字の方です。
一応新八とヒナギクが出会ったSSは自分が書いたものですので。
800 ◆ctWQeRff.I :08/03/06 01:32 ID:IYvgkU/Y
地図が禁止エリア対応バージョンになりました。
ついでに、FireFoxやOperaにも対応しました。
801Classical名無しさん:08/03/06 01:34 ID:IYvgkU/Y
あと、例によって例のごとくデータは適当なので直してください。
802Classical名無しさん:08/03/06 01:35 ID:.qgQ8DwA
>>800
乙です。超乙です!
すげええ!!
803Classical名無しさん:08/03/06 10:21 ID:l.3EU4Ww
>>768
今更気づいたのですが、三人の現在位置が【D-2 S-8駅前】になっています。
座標と地名、どちらが正しいのでしょうか。
804 ◆14m5Do64HQ :08/03/06 15:31 ID:tOkyw9hc
>>803
申し訳ない。S-3駅の間違いです、ご指摘どうも。

>>800
GJです!いや、本当に凄い地図ですよ……どうもご苦労様でした!!
805 ◆1qmjaShGfE :08/03/07 10:22 ID:.vBT0H5k
申し訳ありませんが、赤木、こなた、パピヨン、川田、斗貴子、覚悟の延長をお願いします
806Classical名無しさん:08/03/07 14:33 ID:WJKsb4I6
>>805
把握しました!
楽しみにしてます
807 ◆4mAn6272GA :08/03/08 00:29 ID:kA9GhEB6
エレオノールの予約ですが、送れそうです。
明日までに仕上げますので、お待ちください。
808 ◆4mAn6272GA :08/03/09 22:09 ID:LPudyb0g
すいません、どうにも間に合いそうにないので破棄させてください。
予約スレのほうにも書いておきます。
809Classical名無しさん:08/03/09 23:40 ID:IPQft6yk
そうですか、残念です……。
またの予約をいつでもお待ちしてます。
810Classical名無しさん:08/03/10 00:09 ID:wK9K7iqY
破棄、了解です
811 ◆1qmjaShGfE :08/03/10 19:56 ID:Qs3m7MhA
……しまった。また期日間違えてた……死ね私
これって、一度破棄しないとイカンよね
んで、書き上げたら予約と同時に投下。その間に予約入ったら諦めるって感じで

……前にもやったし、このぐらいのペナルティ必要じゃない? とか思うのですが……
812Classical名無しさん:08/03/10 20:19 ID:vUzzVgS6
難しい問題ですね。
氏は大きな実績もあるし、個人的にはもう少し延長してもいいと思うのですが……。
やはりルールには沿って貰った方がいいかなとも思ったり……。
813Classical名無しさん:08/03/10 20:29 ID:iXCeG.gw
今の完成度によると思いますが
今日明日に投下できるのならかまわないのではないでしょうか
それ以上になると氏のおっしゃるようにするべきだと思いますが
814 ◆1qmjaShGfE :08/03/10 20:43 ID:Qs3m7MhA
ありがたいお言葉いただき感謝に耐えませんが、やはりルールに沿うのが筋でしょう
大変申し訳ありませんが、予約を破棄させていただきます
長時間キャラを拘束していて申し訳ありませんでした
815 ◆14m5Do64HQ :08/03/10 22:04 ID:VKH.Q.rY
>>814
お疲れ様です。
とても残念ですが……またの投下を心待ちにしています。

したらばの議論スレに主催関係のSSについて告示したい事がございますので、是非目を通してみてください。
どうかお願いします。
816Classical名無しさん:08/03/11 14:57 ID:wsGWk7AI
>>814
おつかれです。
次の機会を楽しみにしてますぜ。

>>815
読みました。
うーん、ついに主催者側かあ……wkwkするな……
予定があいているか分かりませんが、チャットの方もいくつもりです。
817 ◆14m5Do64HQ :08/03/12 20:38 ID:nWEB/2zo
>>816
有難うございます。実は一人も集まらなかったらどうしようと少し危惧していましたw

それで今日のチャットの件なのですが、少々伝える事が多すぎて恐らくスムーズにチャットが進行しません。
という事で勝手ながら議論スレの方で、予め問題点、相談したい事を載せておきます。
お手間をかけますが、今日のチャットに参加してくれる方は目を通して欲しいです。
ネタばれ満載なのでネタばれを気にする人はご注意を。

それでは載せにいってきます。
818 ◆L9juq0uMuo :08/03/12 20:44 ID:kqN36Yb.
大変申し訳ありません。
現在書いてる話に致命的なミスを発見してしまったので服部、劉鳳、ジョセフの予約を破棄させていただきます。
重ね重ね申し訳ありません。
819Classical名無しさん:08/03/12 21:52 ID:dHLOzzDQ
破棄ばっかじゃねぇかテメェら!
どうした?ビビっちまったのか?
俺はこの流れに反逆する!
820Classical名無しさん:08/03/12 21:58 ID:PzEPHBmM
ということで>>819のSS予約に期待
821 ◆c7qzxSVMQs :08/03/12 22:05 ID:kqN36Yb.
L9です。チャットで間違えて鳥割れしちゃったんで以後この鳥で
822Classical名無しさん:08/03/12 22:51 ID:oHIZQzbw
>>818
お疲れ様です。
次の予約を待ってます。

上の方で書き進めていた主催SS側ですが、今は未だ書くべきではないと考え撤回します。
期待していた方々には申し訳ないです。
勿論、今後絶対に主催側SSを書く!というわけではないのでご了承願います。
823 ◆14m5Do64HQ :08/03/12 22:54 ID:oHIZQzbw
鳥忘れ失礼。
824 ◆1qmjaShGfE :08/03/14 21:03 ID:84UG2Z22
川田、斗貴子、覚悟、パピヨン、こなた、赤木、伊藤博士、投下します
825交差する運命 ◆1qmjaShGfE :08/03/14 21:04 ID:84UG2Z22
川田章吾は彼の考えを同行者である津村斗貴子へと語った。
「俺達が相手にすべきは、自分を弱者だと思ってる連中だ」
川田の真意がわからない斗貴子は怪訝そうな顔をする。
「自分が強いと思ってる奴は、勝手に強い奴相手に勝負を挑んで潰しあってくれる。そんな奴をわざわざ相手にする必要は無いって事さ」
自分が肩に担いでいる巨大なライフルをコンと指で弾く。
「道具と戦う意思があれば、どんな奴だって戦える。そいつに気付く前に殺すんだ」
その言葉に深く頷く斗貴子。
見るからに弱者としか思えない者達の足掻きには、何度か苦汁を嘗めさせられている。
「だが、自分を弱いと思っているのなら、何処かに隠れるなり何なりしているのではないのか? これだけ広い中に隠れられたら見つけるなんて不可能だぞ」
斗貴子の至極もっともな言葉を、川田は鼻で笑う。
「そいつを見つけるんだよ。支給された地図を覚えているか?」
人を馬鹿にしたような物言いには腹が立つが、そもそも好意とは程遠い間柄だ。
不愉快そうに川田を睨みつける斗貴子。
「ああ」
「今の時点まで生き残ってる奴は恐らく二種類に分かれるだろう。守る者と守られる者。単独で何処かに隠れ続けてる可能性も否定出来ないが、それは実はあまり無いだろうと俺は踏んでいる」
「何故だ?」
「隠れ続けるって選択肢を選ぶには、このプログラムがどんなものか予め知っているという前提が必要だ」
やはり川田の言う事はわかりずらいのか、斗貴子は口をへの字に曲げる。
それだけで意図が通じたのか、川田はよりわかりやすく説明してやる。
「いきなり見知らぬ場所に連れてこられて、とりあえず誰とも会わないように隠れようなんて考える奴居るか? 普通はどういう事なのか確認しようとするだろう?」
殺し合いをしろ、と言われたからといって、はいそうですかと殺し合いをする方がおかしいのだ。
川田の言葉は納得出来る。
「そうやってふらふら出歩いた者達が淘汰され、その上で生き残っているのが今居る連中というわけか」
手馴れた仕草でタバコに火をつける川田。
826Classical名無しさん:08/03/14 21:05 ID:KXHn9Cdc
何というタイミングの良さ
支援
827Classical名無しさん:08/03/14 21:05 ID:E.jadq5c
支援 開始!
828交差する運命 ◆1qmjaShGfE :08/03/14 21:05 ID:84UG2Z22
「偶然出会ったのが葉隠みたいな奴だった幸運な弱者。だが、強いと思ってる連中からすりゃ明らかに足手まといなそんな連中を、さて何処に隠そうかって話だ」
斗貴子は言われるままに想像してみるが、まるで思いつかない。
静かにしているのなら、何処に隠れていようと一緒ではないか。
そう、思うままに口にしたらまた川田に馬鹿にされそうなので何も言わなかったが。
「地図の端はダメだ、距離が離れすぎると不安になる。その上で誰も寄り付く事すらしなさそうな、何の役にも立たなそうな場所」
まだわからない顔をしている斗貴子に、川田は最後のヒントを提示した。
「弱者にはどんな連中が多い? 大人も子供も一緒くたに放り込まれてんだ。なら子供の方が弱いに決まってる。そんな子供にとって馴染みも深い、部屋数も多く、敵を迎え撃つ為の仕掛けもしやすい。外から見れば極めて単純な造りだが、実際は案外複雑に出来てる建物」
何かを思いついたのか、地図を引っ張り出してそれを見直す斗貴子。
「地図に描かれてる場所なら、場所を忘れる心配も無い。地図に印なんてつけたら、万が一殺しを考える奴に奪われた時最悪だからな」
じっと地図を見つめる斗貴子。
確かにある。川田の言う条件にぴったりの場所が。
災害時の緊急避難先にすら指定されるような、こんな時の為の最高の避難場所。
「学校……だな。確かに、あそこは避難場所としては最高だ。それと気付いてなければ全く無意味でわざわざ行こうとも思わないしな」
ようやく理解が得られた所で川田は次の話にうつる。
「あくまで予想だがね。それでだ、もし人が居るのがわかったなら、そこに居る奴を完璧に殺す。いいか、パーフェクトにだ。一切の反撃を許さず、一瞬でカタをつける。その為に必要な事は?」
事が戦闘に関わるならば斗貴子は極めて優秀だ。
「敵の情報。誰を見つけてもまずはそれを見極めてから判断しろ、そう言いたいんだな」
だが、川田にとってその答えではまだ不足だったらしい。
「それだけじゃ完璧には殺せない。こちら側が一方的に相手の情報を得られる状況を立ち上げないとな」
肩に背負ったライフルを担ぎなおす川田。
「主道を避け、裏道を使い走って移動する。都度休憩を取り疲労を溜めない。当然だが移動中は無駄口を叩かない。休憩のタイミングは俺が指示する。何か質問は?」
829Classical名無しさん:08/03/14 21:05 ID:eVRAj.l6
830Classical名無しさん:08/03/14 21:06 ID:E.jadq5c
 
831Classical名無しさん:08/03/14 21:06 ID:BV.etQ3Q
                            
832Classical名無しさん:08/03/14 21:06 ID:E.jadq5c
何人潜んでたんだw 支援
833交差する運命 ◆1qmjaShGfE :08/03/14 21:06 ID:84UG2Z22
さりげなく指揮を自分がやると川田は言っているのだが、その役割分担を斗貴子は自然に受け入れた。
「索敵は基本的には私の役目だな」
あっさりとした斗貴子の返答に、僅かだが意外そうな顔をする川田だったが、静かに頷く。
「そこまでわかってるならこれ以上の説明は不要だな。行くぜ」
二人は第一攻撃目標である学校を目指して夜の街へと走り出した。



赤木シゲルと泉こなたの二人は食い入るようにパソコンのモニターに見入っていた。
【Dr.伊藤】を名乗る何者かからのオンライン麻雀を介したコンタクト。
「どうする?」
こなたの問い。答えは決まっている。
「OKだ。新しい参加者を加えて麻雀を楽しむとしよう」
ぴろーん。
許可の合図を送ると【Dr.伊藤】が卓を囲むメンツに加わる。
「クククッ、泉、俺の言う通りにちゃっととやらで会話を試みてくれ」
「了解。……ねえ、これもしかして物凄く危ない橋なんじゃないかな?」
「そうだな。なら止めるか?」
少し考えた後、こなたは真顔で言った。
「渡るなって言われてる橋を渡る時は、端をこそこそと通るんじゃなくて、真ん中を堂々と通るもんなんだって。一休さんが言ってたよ」
赤木は歯を見せ愉快そうに笑う。
「うまい事を言うな……まずは『少ししたら用があるから、ゲームが止まるがそれでも構わないか?』と言ってみてくれ。出来るか?」
「お安い御用♪」
こなたが言われた通りに画面に打ち込むと【Dr.伊藤】からの返事が返ってくる。
『もちろんだ、大事な事だからな』
こなたが赤木の方に振り返る。
大きく頷く赤木。
834交差する運命 ◆1qmjaShGfE :08/03/14 21:07 ID:84UG2Z22
これでこの【Dr.伊藤】が放送の存在を知っている事がわかった。
無関係な第三者ではない、モニターの向こう側の人間は、おそらくこの件に関わりのある人間だ。
そしてそれを隠そうとしていない事も。
赤木は次々とこなたに指示をしていく。
『時間も遅いが、明日仕事は大丈夫なのか?』
『例のイベントの真っ最中だよ? 大丈夫な訳あるもんか。実は今も仕事の合間だよ』
『いいのかい?』
『実は今うまい事仕事が空いてね。こんな機会はもう二度と無いだろうから、せいぜい楽しむとするよ。チャットも大歓迎さ、何でも話してくれていいよ』
『イベントね。アンタは何をやってるんだい?』
『主軸を担っている自覚あるよ。何なら少しぐらい特秘事項リークしてやろうか? 何、どうせ幹部は私達のこんな遊びサイトまでチェックはしてないだろうさ』
お互いそれと気付いていないが、双方の利害は一致している。
驚く程スムーズに話は進んだ。
『そいつは凄い! 不思議でならなかったんだが、首輪なんてちょっと詳しい奴がいじればアレ簡単に外れないか?』
『ははっ、それは無理だよ。あの首輪は霊的に守護されている。まずはそいつを祓うなり何なりしない事にはね』
あんまりなお返事に天を仰ぐこなた。
霊だのなんだのと平然と言ってくるとは思わなかった。
御祓いなんて、どうやって……とそこまで考えてこなたははたと気付く。
慌てて紙とペンを取り出してそこに文字を書き記す。
『友達のかがみとつかさが実家が神社で巫女さんやってるって。もしかしたら御祓いのやり方知ってるかも。二人共参加させられてるから、何処かに居るはずだよ』
赤木は静かにこなたの肩を叩く。
「良い手が来た時程冷静に……だ」
【Dr.伊藤】との会話は続く。
『なんだよそれ、もっとテクニカルに守られてるんじゃないのかよ?』
『付け外しの技術だけなら大した事はしてないよ。霊的防御さえなければ、継ぎ目に鋭利な金属でも当てて押し込んでやるだけで、
割れるように開く程度のものさ。それで爆発するような事も無いしね。大体、他の機能山盛詰め込んでるんだ。
そんな所に割く余分なスペースは残って無いさ』
835Classical名無しさん:08/03/14 21:08 ID:E.jadq5c
 
836交差する運命 ◆1qmjaShGfE :08/03/14 21:08 ID:84UG2Z22
『他の機能?』
『スタンド適正の付与、エネルギー抑制機能、この二つをあのサイズに詰め込むのに、どれだけ苦労したと思ってるんだ。盗聴機能外せればもっと楽出来たってのにねえ』
今一理解しずらい単語であったが、重要な事に思えたので二人はこの言葉を一字一句間違いのないよう記憶した。
『盗聴なんてするぐらいだったら、会場のそこら中に隠しカメラでも仕掛けておけばいいんじゃない?』
『二十四時間体制で無いと意味無いんだぞ? 誰がその無数の隠しカメラ監視するんだよ。人数分の盗聴器ってだけで既に手一杯どころか人足りてないって』
『もしかして、盗聴も二十四時間体制維持出来てない?』
『内緒だぜ。録音はしてるけど内容確認は要所要所だけさ。全部チェックなんてしてないよ。ちょうど開始から二十四時間。生存者分だけでも確認するのに全部で五百時間近くかかるんだから、やってられないって』
何とも人間臭い返答に、こなたは苦笑する。
『大変だねぇ』
『そりゃ戦闘員は多いさ。だけど低級の改造人間は判断能力に乏しいからねえ、機転もきかないし。この手の監視作業は改造前の人間に頼るしかない。BADANの構造的欠陥の一つだよこれ』
『そんなんじゃ参加者にやり返されないか? めちゃくちゃヤバイ奴集めたって聞いたぜ?』
『確かに首輪さえ外せれば城のある、地図外へはいける。でもそいつは例の雷雲の中だ。あれを雷の直撃食らわずに抜けるにはそれこそ時速六百キロは出るマシン使わないと不可能だよ。やれるもんならやってみろって』
こなたは少々投げやりになりながら呟く。
「竜の巣だー」
『だとしても、首輪外されたらマズイだろ。参加者でそういう事してる奴って居るの?』
『居るねぇ。骨のある奴ばかりで鬱陶しいったらない。一人、霊的防御突破した奴居るしな』
『マジ!?』
『ま、他に大した力も無い女の子だから心配は要らないだろうがね。手強いのに守られてはいるが、放っておけばすぐに殺されるさ』
そこまで話した所で赤木が時計を確認すると、もう放送一分前になっていた。
「泉、時間だ。一度引くぞ」
「うん」
放送の時間が近い旨を【Dr伊藤】に伝えると、彼も了承して麻雀はお開きとなった。
837Classical名無しさん:08/03/14 21:08 ID:E.jadq5c
  
838交差する運命 ◆1qmjaShGfE :08/03/14 21:09 ID:84UG2Z22



パピヨンは勝の死体があると思しき場所まで戻りながら、口を利く剣、デルフリンガーと会話をしていた。
『……おでれーた。あんた人間じゃないんだ』
どうやらこの剣は持ち主がどんな存在なのかわかるらしい。
話が早くて助かる。
「人間じゃ無いのはお前もだろ」
パピヨンの返事が愉快だったのか、鞘の飾りをかたかたと鳴らして笑うデルフリンガー。
『で、DIOはどうした?』
「死んだ」
『なんだってーーーー!? 何てこった、良い奴だったのに。冥福をお祈りするぜ……んで、アンタは?』
「パピヨンだ。お前にはこの場で知っている事を話してもらおうか。どんな時でも情報は貴重なんでな」
横柄な言い方だったが、ただのインテリジェンスソードと馬鹿にせずに、すぐにパピヨンが名乗り返してくれた事でデルフリンガーはこいつを許してやる事にした。
デルフリンガーが元居た世界ではしゃべる剣の存在自体はあまり珍しくなく、デルフリンガーが今の主人に出会う前までは武器屋で小汚い粗大ゴミ扱いされていたのだ。
『知ってるも何もほとんど鞘の中だったからなあ。そういやサイトって俺っちの相棒知らないかい? ああ、後ルイズって娘っこも居るみたいなんだが』
パピヨンが記憶を辿ると、どちらもその名前に聞き覚えがあった。
「聞いた名だな。どちらも既に死んでいるらしいが」
今度はDIOのそれを知った時の比ではない。
とんでもない大声で叫ぶデルフリンガー。
『何だとーーーーーーーーーーーーーーーー!! 相棒も娘っ子も死んじまったってのか!? 冗談だろ! 相棒はガンダールブなんだぜ!? どうやってそんな奴殺すってんだよ!』
「やかましい。がんだるだかカンタムロボだか知らんが、死んだものは死んだんだろう。俺がやった訳じゃあるまいに文句を言うな」
デルフリンガーは刀身を震わせて嘆き悲しむ。
『ちくしょう、なんてこった……相棒よう、お前は強情で見栄っ張りでガキ丸出しだったが、俺は気に入ってたんだぜ……成仏しろよな』
どうやら大して役に立つ事を知ってそうではない。
839交差する運命 ◆1qmjaShGfE :08/03/14 21:09 ID:84UG2Z22
騒々しい分マイナスだ。
しゃべる道具に使える物は無いのか。と、先ほど出会ったしゃべる鞄を思い出してそんな事を呟くパピヨン。
『ちっと目を離した隙によう。きっと武器も無い状態で殺し合いさせられたんだろうなぁ、俺が側に居てやれりゃこんな事には……』
愚痴愚痴と溢すデルフリンガー。
何故だろう。何故だか無性に泉の顔が見たくなってきた気がする。
バカバカしいとそんな感傷を一笑に付すが、それでもどうしてだか落ち着かない。
デルフリンガーが鬱陶しく愚痴っているのも気にならなくなった。
それよりも、妙に胸がざわつくこの感覚の方がよっぽど気になる。
そこで、パピヨンの耳に定時の放送が聞こえてきた。



ビルの屋上、見通しの良いそこで動く人影を探していた覚悟は、絶望的な放送を聞いてその場に俯いていた。
つい先ほど別れたばかりの綾崎ハヤテ。
ヒナギクを託した彼の訃報は、完膚なきまでに覚悟を打ちのめした。
そして、病院組で生き残っている二人の内の一人、吉良も亡くなったという。
目の前に居ても守れず、目を離してもまた守れず。

それでも、それでも尚!

覚悟の膝は折れてくれなかった。
その背中をまっすぐに伸ばして前を見る。

それでも守り、救うのだ!

自らに厳しく生きてきた半生が、零式防衛術への誇りがここで立ち止まる事を覚悟に許さない。
やるべき事、やらなければならない事は多く、そして達成は困難を極める。
840交差する運命 ◆1qmjaShGfE :08/03/14 21:10 ID:84UG2Z22
絶望的な勝率に挑み、敗れる都度深く傷つき、後悔と自責に苛まれる事がわかっていても。

『倒れていった皆が見ている。その前で、戦う事を諦めるなど出来ようはずがあるか!』

悲しみを、怒りを、前へと進む足に込める。
父より零式防衛術を学び、その言葉通りに生きてきたが、覚悟はその父より賜った言葉の重みを、真の意味で理解しえた気がした。

そうして前を向き続ける者のみに、勝利の光明は差し込んでくるものなのかもしれない。
頭を上げた覚悟の視界の片隅に、僅かに動く人影が見えた気がした。
距離がありすぎる為、何者かはわからないが、その向かった方角はわかる。
覚悟は、一心不乱にそちらに向かって駆け出した。



放送を聞き終わると、パピヨンは気難しそうに小首をかしげる。
ナギが死んだ。しかし独歩も泉も生きている。そしてついさっき出会った三村が死に、一緒に居たジョセフは生きている。
綾崎ハヤテは行方不明になったまま死んだ。DIOは倒れたが、彼のような殺しに乗った凶悪な能力を持つ人物はどうやら他にも複数居そうである。
ついでに、泉の知り合いである柊つかさも死んだらしい。
「…………。」
やかましいデルフリンガーは鞘に入れて紐で縛ってある。散々文句を言ってきたが、また三村の時のように無駄口に邪魔されては敵わない。
小首を傾げたまま、うろうろとその辺を歩き回り、ふんっと鼻を鳴らして行くべき道を行こうとするが、その足が止まってしまう。
何度も何度も、行ったり来たりを繰り返し続けるパピヨン。
「あーっ! くそっ! 気になる!」
ぐだぐだ考えてるぐらいだったら、確認した方が早い。
パピヨンは近くの民家に押し入り、中にある電話機の前に立つ。
受話器を手に取り耳に当てると、どうやら繋がっているらしく、例のつーという音が聞こえた。
841交差する運命 ◆1qmjaShGfE :08/03/14 21:11 ID:84UG2Z22
すぐに電話機を置いてある台の所にあった電話帳を引っ張り出し、微かに名前を覚えていた喫茶店と、この地図上にある学校の電話番号を調べた。
まずは喫茶店にかける。
数分待つも、誰も出ない。
ナギが死んだ事から考えるに、何者かの襲撃を受けたか。
ならばと今度は学校に電話をかける。
おそらくかかるのは職員室だろう。ならば気付かない可能性も高い。
それでもパピヨンは、かけずにはいられなかったのだ。



放送が終わると、泉こなたは椅子に座って呆けた顔で彼方を見ていた。
つかさ、そしてたった今別れたばかりのナギ、行方をくらましていたハヤテも死んだという。
信じられない。こんなにあっさりと人の命が失われていいものなのだろうか。
せっかく首輪を外す希望が見えてきたというのに、一緒に帰るべき人間が次々と死んでいく。
隣に居る赤木は、こなたの様子を見て確認の為に問いかける。
「状況の確認をしたいんだが……出来るか?」
「…………ごめん、ちょっと無理」
赤木はその部屋の正面にある黒板にチョークで文字を書き始める。
「泉、言っておくがお前のそれは、時間が経てば落ち着くなんて類の症状じゃないぞ。そいつを期待してるんなら……諦める事だな」
ぎこちなく顔を上げるこなた。
「そ、そうかな?」
赤木はこなたの方を見ようともせずに黒板に文字を書き続ける。
「それが出来るのは、自らが寄って立つ何かを持った心に芯のある人間だけだ。そうでないあやふやな立ち位置の人間がそんな事したら、余計落ち込んで何も出来なくなるだけだ」
思いやりの欠片も感じられない赤木の言葉に、さすがのこなたも非難じみた声をあげる。
「じゃ、じゃあどうすればいいのさ」
手を止め、振り向く赤木。
842Classical名無しさん:08/03/14 21:11 ID:E.jadq5c
843Classical名無しさん:08/03/14 21:11 ID:eVRAj.l6
844交差する運命 ◆1qmjaShGfE :08/03/14 21:12 ID:84UG2Z22
「生き残るのに必要な事だけ考えて、他は全て無視しろ。ベストでないにしても、お前にとってはベターな選択肢ではあるさ」
何ともやるせなさそうな顔になるこなた。
「……そんなの、つかさやナギちゃんやハヤテの事無視するなんて出来ないよ」
「クククッ……今のお前が、知人の死を正確に受け止めてその上で自分を見失わない方が、よっぽど難しいだろう?」
引き続き黒板への記入を始める赤木。
「一番大事なのは、お前がお前である事をいかに見失わないか……どんな時でも、何が起ころうとも。そうでないと、あの女みたいになる……」
硬く握り締めた震える両手を見下ろすこなた。
「ずっと……誤魔化して……色んな事考えないようにして……そうやってきたけど……本当にそれでいいの?」
「ククククッ、駄目に決まってる」
驚く程素早く即答する赤木に、こなたもすぐさま聞き返す。
「どっちさ」
「良い悪いだの、善悪だのはお前がうまくやる事とはまるで別の問題……そこを履き違えるな。さて、状況の説明だが……」
赤木のこの場での目的は、こなたの気を紛らわせ、少しでも早く状況に立ち向かわせる事。
それには第三者との会話が一番。
話の内容は実は赤木がどうしてもこなたに伝えたいと思った事柄でもなんでもない。
ただ、彼女が返事せずにいられないような、そんな話を振っていただけだ。
だからといって嘘を言ったつもりもない。
つまるところ、赤木は落ち込むこなたを励まそうとしたという事だが、それはあまりに赤木的すぎてその意図がこなたに伝わる事は無かった。
しかし、赤木の目的は果たされたようで、あまり乗り気でないながらもこなたは赤木の話を聞こうとしていた。
そこに、遠くで鈴虫が鳴くようなか細い音で、りーんという古めかしい電話の鳴る音が聞こえてきた。



イライラしながら受話器を握り締めるパピヨン。
845交差する運命 ◆1qmjaShGfE :08/03/14 21:12 ID:84UG2Z22
こんな真似をするぐらいだったら、素直に喫茶店なり学校なりに行った方が早いのではないか、などと後悔しながら電話機の台を忙しなくトントン叩く。
結構な時間そうしていたパピヨンは、ついに苛立ちが頂点に達したのか、持っていた受話器を電話機に叩きつけてやろうと振り上げる。
『……誰だ?』
高らかと掲げた受話器から、そんな声が漏れ聞こえてきた。
驚いてそのまま落っことしそうになるも、何とか持ち直すパピヨン。
「そこは学校だな? 俺の名はパピヨン、お前は?」
『クククッ……赤木シゲル。喫茶店では世話になったな』
「大した世話した覚えは無い。お前だけか? 他の連中は?」
『居るが……わかった、わかったから袖を引っ張るな。待て、今代わる』
何やら揉めているらしいが、少しすると今度は女性の、電話越しでもわかるあの声に代わった。
『はろー! ぱぴよん元気ー!』
嬉しそうな泉の声。
「ああ、そっちも大事無いようで何よりだ」
『あー、まあ色々あったけど、私は元気だよ。パピヨンは? 怪我とかしてない?』
心配されるのが、鬱陶しいと感じない。それより、何というか、少し、嬉しい、かも、しれ、ない。
「誰に言っている。蝶人パピヨン様をどうこう出来る奴が居るものか」
『うわ、言い切ったよこの人。それでも早くこっちにおいでよ。実はさ、すっごい重要な事がわかったんだ』
目的は既に果たされた。それでもまだ話し足りない。
「ほう、それはここで話せないような事なのか?」
『ふふふふふ、合流してのお楽しみだよ』
イカン、本気で楽しみになってきた。
「そうか、じゃあそれを楽しみに戻るとしよう。そこには赤木だけか?」
『うん。追々独歩さんとかも来ると思う』
泉の口調が変わった。やはり何か嫌な事があったのだろう。
「何か土産でも持っていくか? そこらのスーパーにでも寄って適当に何か持っていくぞ?」
『え? いいの?』
846Classical名無しさん:08/03/14 21:13 ID:E.jadq5c
847交差する運命 ◆1qmjaShGfE :08/03/14 21:13 ID:84UG2Z22
そんな声聞きたくない。お前は何時でも嬉しそうにしていろ。
「蝶特急便だ。滅多に無い事だからありがたくオーダーしろ」
『えーっと、じゃあポテチと炭酸なんでもいい。それとアイスー』
食事より菓子か、まったく、仕方の無い奴だ。
「適当に見繕っておいてやる。他に注文はあるか?」
『うーんとね、待ってね。今考えるから、えっと……』
別に焦らんでもいい。お前は、ただそうやって話してくれているだけで、充分なんだ。
『そうだ! 一つ注文!』
「なんだ?」
またどうせ下らんものなのだろう。まあいい、もののついでだ。何でも持っていってやるさ。
『えっとね、仲良い友達は私の事泉じゃなくて、こなたって呼ぶんだ。だからパピヨンもそうしてよ』
「何?」
何?
『そのほうが何か収まりが良いっていうかね、何かそんな感じなんだ』
お、おいおい。何が仲が良いだ。お前、何言ってるんだ。
「別にその程度構わんが……確か、下の名前は……」
知ってる。泉こなただ。
『あー! もしかして忘れた?』
「こなた。泉こなただな」
忘れるものか。この天才がそんな簡単な事忘れるはずなかろうが。

『ちっちっち、違うよパピヨン。こなたっ♪ もっと愛を込めて!』

噴き出してしまった。
「お前……それが言いたかっただけだろ」
楽しそうに笑う泉、いや、その、こなたの声が聞こえてくる。
何だ、何故こんなに顔がにやける?
848交差する運命 ◆1qmjaShGfE :08/03/14 21:14 ID:84UG2Z22
くそっ、くそっ、何なんだ。俺は一体どうしたというんだ。


『バカンッ!! ッザーーーーーー!!』


不意にそんな轟音が受話器から轟いたかと思うと、通話の切れた合図であるモールス信号のような規則正しいツー音が聞こえてきた。
「おいっ! 何だ今のは! おいこら泉! 返事しろ!」
通話の状態がこうなっては、向こうに聞こえるはずがない。
それでもそう言わずにはおれない。
「泉! 何があった泉! あー、もうこなたでも何でもいいから返事しろ!」
冗談でやってるのでは?
「答えろと言っている! いい加減にしないと怒るぞ!」
泉はこんな状況を弁えないような真似はしない。
ならば、本当に向こうで何かが起こったのだ。
「クソッ!」
受話器を電話機に叩きつけると、家から飛び出す。
周りの物が目に入らない。
とにかく一秒でも早く学校へ、それしか考えられなかった。



川田章吾は予想以上の轟音に、顔をしかめていた。
「何だこれ? ライフルにしちゃゴツすぎるとは思っていたが……」
学校を一望出来るビルの一角に陣取り、長大なライフル、ハルコンネンを使って狙撃を試みた川田は、再度スコープを覗き込む。
「……壁まで崩れ落ちてるじゃねえか。おーおー、煙まで噴いて。ひでぇな、これじゃ当たったかどうか何てわかりゃしねえよ」
とにかく賽は投げられたのだ。後はフロントの斗貴子に任せて、川田は川田のやるべき事をやるだけだ。
849Classical名無しさん:08/03/14 21:14 ID:E.jadq5c
850交差する運命 ◆1qmjaShGfE :08/03/14 21:15 ID:84UG2Z22
川田の狙撃成功率はお世辞にも良いとは言えない。
だが、遠距離からの狙撃があると相手に知らしめる事でその行動を制限する事が出来る。
だからまずは川田の狙撃から、そしてその後狙撃を避ける動きをするであろう目標を斗貴子がしとめる。
斗貴子は自分に狙撃が飛んで来ないのがわかっているのだから、好き放題動けるのだ。これだけ有利な状況そうは無かろう。
ターゲットは二人、男と少女。
今のでしとめられなかったとしても、怪我の一つぐらいはしてるだろう。
というか、自分の存在意義をあの女に知らしめる意味でも最低限、怪我ぐらいはしていて欲しい。
戦況を確認すべくスコープを覗き込んで狙撃地点周辺を探る。
「瞬殺で頼むぜ津村……って待て。あれは……まさか」
学校の校庭に見覚えのある姿が見える。
驚いてる暇は無い。あの男が出てきたらこれだけ有利な状況でも簡単に引っくり返される。
「葉隠れえええええええ!!」
川田は迷わずに再び引き金を引いた。



覚悟が人影を見失って少し経つ。
人影の向かったと思しき方向に走ってきてはみたが、完全に見失ってしまったようだ。
そんな覚悟の耳に、爆音が聞こえてきた。
場所は近い。そちらに向かって走ると、そこは学校のようで、教室の一角から煙が上がっていた。
正門から校庭を突っ切ってその場所へと向かう覚悟。
校庭の半ばまで来た所で、学校からだろう、大声が聞こえてきた。
「狙撃がある! すぐに物陰に走れ!」
言い終わるか否かの間に、覚悟の居る場所から数メートル離れた場所に大砲か何かの弾が着弾する。
走っていたのが幸いしたようだ。
校舎に向かって駆け出す覚悟。
その側にもう一発弾が撃ち込まれるが、それはやはり素早く走る覚悟に当たる事は無かった。
851Classical名無しさん:08/03/14 21:15 ID:E.jadq5c
852交差する運命 ◆1qmjaShGfE :08/03/14 21:16 ID:84UG2Z22
窓ガラスを突き破りながら教室に飛び込むなり、声の主を探す覚悟。
「葉隠覚悟だ! 先ほどの声の主は何処か!?」
声の主の居ると思われる場所に向かったのだ。果たして声の主、赤木シゲルはその教室から出てすぐの廊下に居た。
「こっちだ。教室側に居ると狙われるぞ」
二人は廊下に出ると簡単に自己紹介を済ませる。
「赤木、シゲルだ……」
「葉隠覚悟。この殺し合いを止めんと欲する者だ」
こんな状況なのに、赤木は何時もどおり、あの含み笑いを覚悟に見せる。
「クククッ、だろうな。最初のアレは、参加者全員が覚えている」
「恐縮だ。敵は何者か? そして貴方の目的を聞きたい」
馬鹿正直にそう問いかけてくるその姿勢に、葉隠覚悟という人物を見た気がする。
「敵さんの正体はわからん。俺の目的もアンタと同じさ」
「ありがたい。では俺は迎撃に出る。赤木殿はここで待っておられよ」
さらっとそんな事を言う覚悟に、赤木は探るようにその目を見つめる。
「……出来るのかい?」
「狙撃手の位置は確認した。そして俺の走る速度ならば彼奴の狙撃は当たらぬ事も。ならば正面より討って出て、逃げる暇すら与えずこれを粉砕する」
例え十中八九それが確かだとわかっていても、狙撃手に狙われているのがわかっている中、平然と迎撃に出るなどとそうそう言えるものではない。
赤木はそれが言える覚悟を、ラオウや勇次郎、そしてケンシロウや鳴海といった猛者達と同じ類の人間と断定した。
「なら頼む。気をつけろ、おそらく敵はこの一手以外にも何かを用意している。奴は、こっちが動き出すのを待っている」
狙撃は相手の動きを止めるのが目的の一つだ。
にも関わらず、赤木は狙撃手の目的はこちらを動かす事だと言う。
その矛盾を問いただす覚悟に、赤木はやはり人が悪そうに笑って言った。
「長時間の戦闘は思わぬ介入者を招く、アンタのようにな。自分に味方が少ないと自覚してる奴が……時間をかけるようなやり方を好むとは、俺には思えない。トドメの一手を用意してると見たが……」
赤木の読みに驚く覚悟。
「それはここに残った貴方も危険だという事か? ならば守りに回って時間を稼ぐべきか……」
853Classical名無しさん:08/03/14 21:17 ID:E.jadq5c
854交差する運命 ◆1qmjaShGfE :08/03/14 21:16 ID:84UG2Z22
「いいや……確かにこちらに増援のアテはあるが……それでもアンタは今すぐ迎撃に出るべきだ」
赤木のこの話し方に全く慣れていない覚悟は、不思議そうに問い返す。
「何故だ?」
「奴は今攻撃に出ている。だが、それは同時に守りに回すべき力がそちらに割かれていると見るべきだ。ならば、奴の攻撃プランのイレギュラーであるはずのアンタを使って反撃に出れば、その隙を突く事も出来るはず」
敵は最初の狙撃の後、引き続きこちらを狙い続けている。
成功失敗に関わらず、狙撃という攻撃手段から考えればすぐさま撤退すべきなのにも関わらずだ。
罠は、狙撃を逃れるべく動いた先にある。
覚悟はその狙撃に向かって行くという。ならばその罠にかかる事もあるまい。
自分はこの場でそれが終わるのを待ち、狙撃のせいで通れないはずの場所を通って脱出する。
赤木のプランを覚悟は了承すると、何を言う間も無く飛び込んできた窓ガラスから飛び出し、一直線に校庭を駆け抜けていく。
こうしてみると、覚悟の走る速さが異常な事がわかる。
放送でも、ナギは死んだがケンシロウも独歩という男も生きているという。
次々揃う強力な手牌。
流れは、完全に赤木の物であった。

「ようやく行ったか。やっと、カズキの仇が討てる……」

いや、どうもそれだけでは無いようだ。
覚悟が去るなり、津村斗貴子がその姿を現した。
「お前は……そうか、仲間を見つけたか……クククククッ、なるほど。それがもう一手か」
「仲間? この狙撃は私の知った事ではないな。良い機会ではあるがな」
更に深く笑う赤木。
「よせよせ、誤魔化した所で意味は無い。どうせ狙撃から逃げ出そうとする場所、校舎裏辺りに潜んでいたんだろう。この狙撃は俺には当たるがお前には当たらない。だが、それでもお前は俺には勝てない……」

855Classical名無しさん:08/03/14 21:17 ID:eVRAj.l6
856交差する運命 ◆1qmjaShGfE :08/03/14 21:17 ID:84UG2Z22

覚悟の考えた通り、数発の弾が覚悟に向けて飛んでくるも、覚悟にそれが当たる事は無かった。
すぐに一番狙いやすい校庭を抜けると、目標であるビルを目指す覚悟。
最後に銃撃を受けてから、そのビルに辿り着くまで、ものの数分も経っていない。
これなら確実に捉えられる。
覚悟は確信を持って大きく跳躍すると、ビルの側面を蹴り、狙撃を仕掛けてきたと思われる窓に直接飛び込んだ。
「遠間からの攻撃とは卑怯極まりなし! 外道! この葉隠覚悟が相手だ!」
相手は部屋を飛び出した後、だが、走り去る音がまだ聞こえてくる。
逃がさんとばかりに常人離れした速度で追いかける覚悟。
あっという間に、相手は一つの部屋へと追い詰められてしまった。
「卑怯者め! 最後ぐらい力の限り足掻いてみせたらどうだ!」
そう怒鳴りつけながら部屋へと入る。
不注意ととられかねないが、覚悟はこの至近距離で相手の手元が見えるのならば、銃など喰らわない自信があったのだ。
そこには、覚悟に背を向けて立つ川田の姿があった。
長大なライフルを抱える川田。
そうだ、川田ならばあの狙撃も可能なのではないだろうか。
にも関わらず迂闊にもその可能性を失念していた。
いや、川田がそんな真似をすると、信じたくなかったからなのかもしれない。
「……川田」
川田は何も言わない。
「川田!」
大声でそう叫び、彼に歩み寄る。
何と言って彼を説得すればいい。こちらに背を向けたままの今の川田の姿が、彼の意思ではないのか。
「どうかもう一度考え直して欲しい。短い時間ではあったが、我等四人は心を繋いだ真の仲間だったと私は信じている。お前は違うのか?」
やはり川田からの返事は無い。
「共にこの企みを打ち砕こう。俺達なら、どんなに辛い事でもきっと乗り越えられる。だから、俺と一緒に……」
857Classical名無しさん:08/03/14 21:18 ID:E.jadq5c
858交差する運命 ◆1qmjaShGfE :08/03/14 21:18 ID:84UG2Z22
何故か視界がぼやける。
足元がふらつき、立っている事もおぼつかない。
たまらず膝を付く。呼吸が苦しい。息が、出来、無い。
覚悟に向かって、ようやく振り返った川田は、口元にホースのようなものを咥えていた。
身動きの取れなくなった覚悟にハルコンネンを向ける川田。
川田は何も語らない。
ただ、確実に覚悟を殺すべく、その額に狙いを定め、引き金を引いた。



川田の切り札の一つ、強力無比と思われる相手と戦う時の為に考えていた策。
密封した室内にドライアイスを大量に放り込んでおく。
それが気化し、室内は過剰な二酸化炭素でいっぱいになる。
過剰な二酸化炭素は、それを吸ってしまうと呼吸中枢に毒性を示す為、自発呼吸が停止してしまうのだ。
相手が息をする人間であるのなら、川田は何者だろうとこれでしとめる自信があった。
『お前も人間みたいで安心したよ。まあ一息吸っただけで呼吸困難になる程の濃度を、あれだけの間平然としてたのはちと人間離れしてるがな』
今時ドライアイスならそこらのスーパーにすら置いてある。
それを大量に用意し、気化させておいた部屋を用意してあったのだ。
今回の敵が無茶な力を持った相手だった場合、校舎裏に待ち構える斗貴子の前ではなく、狙撃をする自分を迎撃に出てくると踏んで。
『まさか葉隠が出てくるとは思わなかったが……いや、仮想敵はいつだってお前だったな』
川田の知る一番身近で非常識な力の持ち主。
彼に通用するのなら誰にでも通用する。
そんな事を考えていた。
『悪く思うな……なんて事ぁ言えねえな。いいぜ、悪く思っても。それでも、俺は……』
劣化ウラン弾を詰めたハルコンネンによる至近距離からの一撃を頭部へ。
入ってきたドアが砕け散り、その破片に埋もれる覚悟は、ドア同様に砕け散ると思ったのだが、驚くべき事に原形をとどめている。
859Classical名無しさん:08/03/14 21:19 ID:E.jadq5c
860Classical名無しさん:08/03/14 21:20 ID:E.jadq5c
861Classical名無しさん:08/03/14 21:20 ID:BV.etQ3Q
                     
862交差する運命 ◆1qmjaShGfE :08/03/14 21:20 ID:84UG2Z22
チアノーゼの症状が顔中に広がっている。
にも関わらず、覚悟は震えながら立ち上がろうとしている。
その頭部は金属で覆われ、弾の直撃を防いでいる。
『……前言撤回だ。やっぱりお前人類じゃねえわ』
既に気化した二酸化炭素は散ってしまっただろう。
吸い続けなければ危険なのではなく、吸ってしまったら危険なので、充分な注意が必要だ。
ホースを離して息をしても大丈夫とは思ったが、念のため呼吸だけは止めておく。
この弾込は両手を使わなければならない。

息を止めたまま、弾を詰め、放つ。
息を止めたまま、弾を詰め、放つ。
息を止めたまま、弾を詰め、放つ。
息を止めたまま、弾を詰め、放つ。
息を止めたまま、弾を詰め、放つ。

撃ち込む度に背後の壁ごと大きく跳ねる覚悟の体。
覚悟がぴくりとも動かなくなったのを確認すると、川田は部屋を後にする。
危うくこちらの息が持たなくなる所だ。
ここまで周到に準備しておきながら、こんなに追い詰められるとは思わなかった。
それに覚悟を殺すのは、自分で思ってた以上にあっさりとやれた。
どうやら、クラスメイトを皆殺しにした第一回の経験がこんな形で活きているらしい。
『こりゃ、俺がヒナギクさんに殺されそうだ』
暢気にそんな事を考えながら、川田はビルを後にした。



これが逃げ道を塞ぐ手だと見切った赤木は、今度は校舎内を走り回りながら校舎裏へと向かって逃げていた。
863交差する運命 ◆1qmjaShGfE :08/03/14 21:21 ID:84UG2Z22
斗貴子の怒りに任せた初撃、これさえかわせば斗貴子は体勢を崩すはず。
それを何とか成し遂げた赤木は、既に失ったモーターギアにて反撃する素振りを見せながら逃げ回る。
何故それを使わないのか?
そう斗貴子が一瞬でも思ったのなら、それは持っているのと同じぐらい効果的な行為となる。
以前に出会った時と違って、随分と落ち着きを取り戻している。
ならばこそ、この策が通用する。
あの時のように衝動のみで猛然と襲いかかられていたら、あっという間に殺されていただろう。
時間さえ稼げば覚悟が狙撃手をしとめて戻ってくる。
よしんばそれが何らかの問題が発生して出来なくなったとしても、今の赤木には増援のアテが幾つかあったのだ。
だが、そんな幾つものアテよりも先に、一番遠くに居たはずのか細いアテが赤木の下へと辿り着いた。

「何処だ泉!」

あの酔狂な仮面を付けた男、パピヨンと名乗る彼が校舎内でそう叫ぶ声が聞こえてきた。
すぐさま大声で応える。
「こっちだ! 敵が居る! 外に狙撃手もだ!」
舌打ちしながらこちらに槍を向ける斗貴子に、もう何度目になるかモーターギアを振るうフリを見せてその足を止める。
彼女が踏み込みきれない間に、パピヨンが赤木の居る場所まで駆け寄ってきた。
「赤木か!? 泉は何処だ!」
「怪我を負ってはいるが、心配するな。しっかり五体満足だ。寝かせてあるからまずはコイツを何とかしないとな……」
よっぽど心配だったのか、喫茶店で見た時からは想像も付かない程に取り乱していた。
しかし、無事だと聞くとようやく本来のパピヨンの姿を取り戻せたようだ。
「そうか……ん? お前……津村斗貴子か? 何をしてるんだこんな所で。そのイカレた髪は何だ? 全く似合ってないから今すぐ止めた方がいいぞ」
思わぬ知人の乱入に、苦い顔をする斗貴子。
「パピヨンか。お前のような人殺しのホムンクルスが、正義の味方の真似事か?」
彼が最も嫌がる言葉を並べたつもりだったが、パピヨンはそんな斗貴子に冷笑で返した。
864交差する運命 ◆1qmjaShGfE
「そういうお前こそ、少し見ない間に随分と無様な顔をするようになったな。髪の色まで抜け落ちて、武藤が死んだのがそんなにショックだったか?」
明らかにこの手のやりとりはパピヨンに一日の長があるようだ。
すぐさま激昂する斗貴子。
「黙れ! 貴様がカズキを語るな!」
こなたの無事を聞き、完全に自分を取り戻したパピヨンは、余裕の表情で両腕を組む。
「おおかた、武藤を生き返らせるために皆殺しを決意したといった所だろう。お前らしい、愚かで惨めな選択だな」
見透かされて口ごもる斗貴子に、パピヨンは畳み掛けるように言い放つ。
「武藤を語るなだと? ふざけるな、今のお前が武藤を語る方がよっぽど奴への冒涜だ。皆殺し? あいつがそれを最も嫌がる人間だと一番知っているのはお前じゃないのか?」
「うるさい! カズキには生き返ってから私が説明する! きっとカズキならわかってくれる!」
斗貴子の答えに、どうやら笑いが止まらないらしく、腹を抱えながらパピヨンは赤木に言う。
「狙撃手とやらは、何処に居るかわかるか?」
「葉隠覚悟という男が迎撃に向かった。お前がここに来る時狙撃を受けなかったというのなら、奴が何とかしたんだろう」
笑い転げるパピヨンを斗貴子は怒鳴りつけているが、それを無視してパピヨンは赤木と会話を続ける。
「なら、津村斗貴子は俺がヤる。お前は泉の所にでも行っていろ」
「わかった……だが、一人でいいのか?」
「見物は自由だ、好きにしろ。だが、絶対に手は出すな」
そう言ったパピヨンの目が、笑い転げながらも怒りに満ちている事に気付いた赤木は、パピヨンの好きにさせる事にした。

「津村、武藤はお前こそ自分の一番の理解者だと思っていた。そう信じていたはずだ。違うか?」
突然猫を撫でるような物静かな口調でそう言うパピヨンに、斗貴子は大きく頷く。
「もちろんだ。そう自負している」
「なら、何故武藤が嫌がる事をする? それも決して武藤が許さない類の事を、その様を見たら絶望で世界が終わったかのような顔をするであろう事を」
やはりそこは斗貴子にとっての急所である。
何度言われても言われ慣れたりはしない。
「仕方が無い事だ! 他に手は無い!」