スクールランブルIF23【脳内補完】

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1Classical名無しさん
週刊少年マガジンとマガジンSPECIALで連載中の「スクールランブル」は
毎週12ページの週刊少年漫画です。
物足りない、もっとキャラのサイドストーリー・ショートストーリーが見たい人もいる事でしょう。
また、こんな隠されたストーリーがあっても良いのでは?
有り得そうな展開を考察して、こんな話思いついたんだけど…といった方もいるはずです。
このスレッドは、そんな“スクランSSを書きたい”と、思っている人のためのスレッドです。
【要はスクールランブルSSスレッドです】

SS書き限定の心構えとして「叩かれても泣かない」位の気概で。
的確な感想・アドバイスレスをしてくれた人の意見を取り入れ、更なる作品を目指しましょう。

≪執拗な荒らし行為厳禁です≫≪荒らしはスルーしてください。削除依頼を通しやすくするためです≫
≪他の漫画のキャラを出すSSは認められていません≫≪エロやヤオイなど性描写は禁止です≫
2Classical名無しさん:05/04/28 00:05 ID:yL5UPRQs
↓テンプレサイト、過去ログ、スクランAA、SS保管庫。関連スレもこちらからどうぞ。
ttp://tenma.web.infoseek.co.jp/

SS保管庫(仮)
ttp://mikochin.hp.infoseek.co.jp/

SS保管庫
ttp://www.geocities.jp/ss_hokan/index.htm

SS投稿避難所 
ttp://web2.poporo.net/%7Ereason/bbs/bbs.php
一度投下した作品を修正したものなどはここに投下してください。
SSの書き方について話合ったり質問したりもできるので一度目を通すことをお勧めします


■前スレ
スクールランブルIF22【脳内補完】
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1112779012/

■関連
エロパロスレ:スクランスレ@エロパロ板 7話目
http://sakura03.bbspink.com/test/read.cgi/eroparo/1112377106/l50
スクールランブル二次創作批評・支援スレ 2
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1114072908/
3Classical名無しさん:05/04/28 00:15 ID:08QF0wLc
>>1 乙かれりん
4Classical名無しさん:05/04/28 00:33 ID:G57uP3P2
>>1
5Classical名無しさん:05/04/28 01:17 ID:caVBmeTk
↓のSS化キボリ


877名前:名無しかわいいよ名無しsage [sage]投稿日:2005/04/28(木) 00:16:46 ID:g94eufPm
>873
「なぁさがのん…」
「パス。なんだか知らないけど」
「おいっ!聞けよさがのん!」
「その渾名やめてよ。…何よ?」
「…俺ン家のナス漬け、毎日食いたくないか?」
「りゅ、柳平クン、それって…///」

6Classical名無しさん:05/04/28 09:03 ID:lqRMsgqw
                   ____
             , ' ´    ` 丶、
            /           \
.           /   /       ,   ヽ
          /   / /// //|ト、 ヽヽニニヽ、
        __/_  ///_/_∠/ ||_|」、│l        オトコノコの思春期って
.     ",,─‐"′ |/ ///,≠=   リr=ル | | |          タイヘン!
   / / //  〈〃ル| イ_lソ    i_トj'》|//リ
  〃∠//   / `ー、  ー '   il ´// |        うぇっと・がーど で
―イ〃/ / /  _ /l| \  r ‐ァ ///l |            夜も安心!
 ̄// 〃 ィ-‐イ´  | l  `>-/‐、//ノノ
イ 〃〆 // l  /,--亠、 ><´ / ∠-‐ヽ'、       ぐっすり オヤスミ♪
´// / /  ! / `ー--イ7_ `</^〉´   l
//   ト、ヽ/  // | |入/_∠ニ-、   |
/ ///  /  |/l メ /_l,ノ´-、 \ ヽヽ /     男の子用 夢精パッド [DRYDREAM SOFTY]
  // 〉、 l    !<二、_  _ 〉 | |ヽl_lノ        for naughty boys 24P \480
〃/  / / lニ |   /     ̄<∠ィ_ノ
/  / / / | |   |        /,/              烏丸君も愛用
   / /〃/  |  │  _, -   //
  / / 〃/  /_-ナ ̄    /ハ |
 ヽ l 〈 |/ / ̄ ,/      / ハl |
   ヽ'_レイ , イ´|     //ヘ | | |
   /  // | |    // |  V/                SHISEIDO
 / /〆 /│|   // | | 〈
7ギーガp ◆PopGDGnCZ6 :05/04/28 14:50 ID:tyYnRcok
新スレおめ、そして>>1乙。
ゼロからやり直すつもりで投下します。
8ズ○○イン・ツンデレ:05/04/28 14:50 ID:tyYnRcok
「ヒゲ」
「……あん?」
「…………何よ、その間は」
「………………おめーこそ何だよ」

―――面白い。

今、教室で微妙な会話を続けている沢近さんと播磨君を寝たふりをしながら見る。

―――本当に、面白い。

「………………べっつに?なんでもないわよ?」
「……………………なんでもねーなら呼びかけねーべ?ふつー」
「…………………………何でもないったら」

何時もはもっと激しい喧嘩なのだが、今日はやたら静か―――というか、見る人によってはイチャイチャしてるように見える。―――何故か?

何故なら……二人の傍らで、塚本天満その人が寝ているからだ。うん。―――本当にぐっすりと。
可愛いなぁ……っと、違う、違う。

沢近さんは塚本の親友だ。そして播磨君は……彼女にゾッコン☆ラブだ。
そんな二人が、ベクトルは違っても彼女のことを大事に思っている二人が、こんな場所で大声で喧嘩できるわけがない。もしも出来たら、二人の持っている辞書にはTPOという文字がない事になる。―――播磨君はリアルで持ってない気がするけど、きっとそうだ。
9ズ○○イン・ツンデレ:05/04/28 14:51 ID:tyYnRcok
なので。

「…………………………何だよ、人の顔ジロジロ見やがって」
「………………………………サングラス、外しなさい」
「……………………………………何でだよ」
「…………………………………………そっちの方が―――」
「………………………………………………あん?」

このように、喧嘩と言うよりツンデレが一方的にデレデレしてる状況が出来るわけです。
と言うか、君達、他の人達がニヤニヤしながら見てるけど? ―――眼中にないか、そうですか。

「…………………………………」
「…………………………………」
「………………………………………」
「…………………………………………ゎ、わかったよ、ったく」

目を潤ませながらじっと見つめる沢近さんに、播磨君陥落。
ゆっくりとサングラスを外します。―――結構、イケメン? いや、思ったより良かったからそう思えるのか。

沢近さんは―――案の定というか、半ば予想できていましたが―――魅入ってます。
正直、沢近さんに言い寄って来る男の方の方が余程かっこいいんだけど……。
惚れた弱みって言うんだろうな、こーいうの。

「……………………………もういいだろ?」
「………………………………………ううん、だめ」
「………………………………………ゴメンナサイ、マジでこれ以上はやめて」
「……………………………………………だめだからね、絶対」
10ズ○○イン・ツンデレ:05/04/28 14:51 ID:tyYnRcok
段々良い雰囲気になってきます。―――違うか。
沢近さんが一方的にそんな雰囲気になってるだけか。
あー、でも播磨君も段々その気に? 流されやすいなぁ。

「―――ふぁああ〜良く寝た!―――あれ?皆どうしたの?」

良い雰囲気を一瞬で打ち壊した我らが鈍感天使塚本天満。
周りを見て、他の皆の視線の先にある二人を見ます。

「あれ?愛理ちゃんに―――え?」
「………………………!!!」





「―――へんたいさん?」




その後の出来事は推して知るべし。
以上!奈良健太郎が実況生中継でお伝えしました〜!
11ギーガp ◆PopGDGnCZ6 :05/04/28 14:53 ID:tyYnRcok
以上です。
ウホッ!変な播磨。

そして奈良は使うべきでなかったろうか……。
12Classical名無しさん:05/04/28 21:15 ID:fkCDe80k
テンプレサイトのトップ絵の天満やべぇぇぇぇぇぇ!!!!
13Classical名無しさん:05/04/28 22:49 ID:AE/Ts91Q
>>11
一発目乙。
個人的に奈良って奴の存在はよくわかんないから
そのへんの面白みはわかんないな。誰視点だ?とは思ったけど。
14Classical名無しさん:05/04/28 23:12 ID:e2hqq/x2
俺は絃子先生かと思ってたよ。奈良はあんま本編でてないからシラネ。
15Classical名無しさん:05/04/29 01:46 ID:hQbnv5kM
>>11
一発目乙。
隣子視点かとおもた。あとオチがよめなかった。
16Classical名無しさん:05/04/29 01:59 ID:tUuXH546
視点で思ったけど、〜視点で語る面白さって意味では
天満から見た旗
美琴から見た旗
はどうなんだろ?ってのなら比較的なんかありそうな気がします。
17Classical名無しさん:05/04/29 02:54 ID:fO7303D6
天満の思考法はエミュレーションできん
美琴はイイかもね。なんだかんだいってもマブダチ(死語)だし。
18Classical名無しさん:05/04/29 02:59 ID:XAjvH9h6
>>16
違うキャラが客観的に見た視点は確かに面白そうだね

>>17
確かに天満の思考は読めないなw
19Classical名無しさん:05/04/29 06:15 ID:lnSf156s
>10-11
消えてる
20Classical名無しさん:05/04/29 09:43 ID:GTRG8owE
天満から見るとお猿さん or LOVELOVEなんだよねっ?
美琴から見るとあいからわず素直じゃねーな(苦笑)
ってな感じになるのかな。

まあ俺の中でも天満は天真爛漫勘違い突撃少女なんで思考は読めないw
21Classical名無しさん:05/04/29 15:13 ID:r.qRovjI
オチ担当の思考は状況によって改変されてしまうからねえ
22Classical名無しさん:05/04/29 21:44 ID:zVOxm2cI
なんか予定以上に時間がかかってしまったorz
というわけでMind change[沢近編]投下します。
23Classical名無しさん:05/04/29 21:45 ID:zVOxm2cI
 人々が活動をしだす朝の時間。人々は会社に出勤したり、閉じていた店の扉を
開けたりしている。そして学生たちも、自分の行くべき学校へと足を運び出す。
 そんな中、道行く学生たちの中で、一際注目を浴びている女がいた。
「おい、あの娘?」
「あぁ、やっぱ綺麗だよな」
 宙に靡くその美しい黒髪、和風な雰囲気を醸し出して、いかにも日本の女性を思わせる容姿。
道行く男女が彼女を見るたびに、心を引かれ、人々の視線を釘付けにする。
 そんな彼女を見て、一人の軽そうな男子が、俺にまかせろ、と回りの連中に伝えて彼女に歩み寄ってくる。
「ねぇねぇ?キミ、塚本八雲さんだろ?良かったら俺と一緒にがっこぅ・・・」

バキッ!

 男が彼女の肩に手を差しのばそうとしたとき、彼の顔に彼女からの
強力な顔面パンチが襲ってきた。
 鈍い音を立てて、そのまま地面に仰向けに倒れ落ちる。
な、なんで・・・、と最後に言い残してその場に気絶する男。
24Classical名無しさん:05/04/29 21:46 ID:zVOxm2cI

(お、おいおい!近づいただけなのにあいつ殴られたぞ!?)
(男子を撃退するときって、眠っていたところを襲うときぐらいだよな?)
(てか、彼女ってあんな娘だったか?前までは近づいても何も言わなかったのに)

 殴られた彼の仲間たちは、ただ呆然と立ちつくし、彼女が立ち去る
姿を見ることしかできなかった。

(朝からこの私に触れようなんて、千年早いのよ。)

 立ちつくす男子を後にして、ため息を付きながら愚痴をこぼす愛理。
 昨日の高野との徹夜の練習のせいで、彼女はろくに睡眠も
とることができなかった。
 そのせいでイライラしていた彼女は、さっきの近づいてきた男子に
ストレスを解消するかのように撃退してしまったのだ。

(まったく・・・この娘、いつも男子からこんなことされてるのかしらね・・・)

 いつも彼女があのようなことに出会っていると考えると、八雲に
同情してしまう愛理。そして外野の男子たちは、さっきの彼女の出来事を見て
愛理に怯えをなし、彼女を避けるように通っていく。
25Classical名無しさん:05/04/29 21:46 ID:zVOxm2cI

「おっはよー八雲ー!」

 すると、後ろから自分を呼ぶ大きな声が耳に入った。
愛理が後ろを振り向くと、金色の輝く髪が自分の目に入る。
 その人物は、八雲の大親友である彼女、サラ・アディエマスだ。

(えっと・・・確かあの娘は、八雲の友達よね・・・)

 ここで一つ、大きな問題ができてしまった。愛理は、彼女については
何一つ知らないのだ。愛理が彼女について唯一知ってると言えば名前ぐらいだ。
 何が問題かと言うと、普段から八雲と接しているサラなら、八雲のことを知り尽くして
いるはずで、もし今の自分と話せば、ボロが出て彼女に自分の正体がばれてしまうことだ。

(それはまずいわ・・・。とりあえず無視しとけばいいわよね。)

 少し早歩きにして、サラから逃げるように歩きだす愛理。しかし、呼びかけを彼女から
無視されたサラは、ムッとした表情をして、愛理のところまで走りよってきた。

「はぁはぁ・・・ちょっと、無視しないでよ八雲ー?」

 少し息を切らして話しかけるサラ。そして結局、サラと遭遇してしまった愛理。
ここで彼女が、サラにどう対応するかが問題となる。愛理の脳裏に緊張が走る。

(結局こうなるのね・・・。えっと、こういうときはどんな反応を示せば・・・)
26Classical名無しさん:05/04/29 21:47 ID:zVOxm2cI

 一つ一つ、慎重に言葉を選ぶ愛理。油断をすれば、相手に入れ替わったことがバレて
しまう。昨日、高野から教わった八雲の行動パターンを頭のなかで思い出す。
 そして、ぎこちない笑顔を見せ、ごめん・・・、と一言サラに謝る。そしてサラも、彼女に無視したことは
許してくれた。
 
「ところで八雲、さっきのあれ、すごかったじゃない?」

 愛理をうれしそうな顔で見つめるサラ。

「あ、あれって?」
「とぼけちゃってー。さっき男子が八雲に近寄ったとき、その男をノックアウトしたじゃない?」

 実は後ろから、さっきの愛理の行動を目撃していたサラ。
いつもはあんなことするはずない八雲だと思っていたので、驚いていた。

「でもどうしちゃったの八雲?いつもならあんなことしないのに?」

 彼女のもっともな意見に、愛理は焦った表情をしながら「き、気のせいよ・・・」と答える。

「ねぇねぇ、それより八雲、昨日どこいってたの?」
「な、何が?」
「だって八雲、昨日沢近先輩と車にのってどっかいったじゃない?」
27Classical名無しさん:05/04/29 21:48 ID:zVOxm2cI

 へっ?と間の抜けた声を出す。なんと、彼女は昨日、自分が八雲を
つれて自宅へ連れていく場面まで目撃していたのだ。

「そ、それは・・・」
「あ!もしかして、播磨先輩のことで呼び出されたとか?」

 サラは意地の悪い表情をして、彼女を見つめる。

「ち、違うわよっ!」
「えっ?」
「あっ・・・」

 自分の開いた口を、両手でふさぐ愛理。焦っていたためか、
思わず素のままで口にだしてしまった。サラの表情は、石のように固まってしまった。

「や、八雲・・・?」
「あ、あのね!さ、さっきのは・・・」

 慌ててさっきの発言を誤魔化そうとする愛理。

「なるほど・・・わかったわ八雲」

 何かを悟ったように、真剣な表情で語りだすサラ。
愛理は観念したのか、終わった・・・、と心のなかで呟いた。

「八雲、あなたもしかして・・・」

 口からあふれ出るつばを、無理矢理ごくんと飲み込む愛理。
28Classical名無しさん:05/04/29 21:48 ID:zVOxm2cI

「沢近先輩に影響された?」

 その言葉を聞いて、愛理の中から空気が抜けるように、緊張が解れていく。

「そ、その通りなのよ!な、なんでばれちゃったんだろうな、あはは・・・」

 わざとらしく話す愛理。どうやらサラは、彼女が入れ替わったことに
はまだ気づいてなかったようだ。

(ハァー、よかったわ。バレてなかったみたいね・・・・)

 まさに、九死に一生を得た愛理であった。口からほっと一息をつく。

「やっぱりね!なんか今日の八雲、沢近先輩に似てたからもしかして、って思ったのよ。」
「そ、そう。サラは鋭いね・・・」

 しかし、いくら自分の正体に気づいてないとはいえ、核心をついてくる彼女。
愛理にとっては、それが心臓に負担を掛ける。しかし、そんなことはお構いなしに、
話をすすめて行くサラ。

「それでねー、昨日テレビで・・・あ!」
「えっ?」

 何かに気づいたのか、声を出すサラ。愛理も後ろを振り向くと、姿こそは見えないが、爆音のような音が
地面を通じてこっちに近づいてくるのがわかった。

(この音・・・バイクの音かしら?)

「ねぇサラ・・・・」
29Classical名無しさん:05/04/29 21:49 ID:zVOxm2cI

 愛理が彼女に声を掛けようとしたとき、すでにサラはその場に居なかった。
ぽつんと一人取り残された愛理は、首を傾げてその場に立ち止まった。

「・・・もう、何なのよいったい?」

 愛理がその場にたちぼうけになっていると、自分の近くに
何かが近づいてくるのに気が付いた。それはボゥボゥと音を立てて、自分の
すぐ近くで停止した。

(だ、だれ!?)

 彼女が素早く首を後ろに動かす。そこには、バイクに乗った男の姿があった。
そしてその男は、バイクに乗ったまま、自分に話しかけてきた。

「お、妹さんじゃねぇか?」

 その男の声を聞いて、愛理の頬は、赤く染まっていく。

(ひ、ヒゲ!?)

 サングラスをしていて、カチューシャでオールバックの姿をしている男。
そんな珍しい格好をしている男子は、愛理の記憶の中では
たった一人しかいない。ヒゲこと、播磨拳児だ。

「そういえば、学校行く道で、妹さんと出会うことはなかったな。」
「そ、そうですね・・・」

 下を俯いたまま答える彼女。愛理は突然の出来事に、緊張して
播磨の顔をまともにみることができなかった。
30Classical名無しさん:05/04/29 21:50 ID:zVOxm2cI

(ど、どうしよう・・・いきなり朝っぱらからヒゲと出会うなんて、予定にないわよ・・・)

「お、おい?大丈夫か?」

 下を俯いて顔を赤くしている彼女を見て、播磨は心配になりバイク
から降りてきて、彼女の側へ歩み寄る。

(ひ、ヒゲ・・・・・・。)

 愛理は今、自分のすぐ目の前にいる播磨を見て、愛理の心臓の鼓動が高まっていく。
それを反映するかのように、彼女の顔は耳元まで真っ赤に染まっていく。

「お、おい・・・妹さ・・・」
「な、なんでもありません!」

 その場の空気に耐えられなかったのか、叫ぶように声を出し、側に居た播磨を愛理はドン!と
突き放して、逃げるように走り去っていく彼女。

「・・・俺、なんか変なことしたっけ?」

 一人取り残された播磨は首を傾げて、妙な罪悪感にみまわれた。
・・・まぁいっか、彼は乗ってきたバイクに再び乗り、アクセルを動かす。

31Classical名無しさん:05/04/29 21:51 ID:zVOxm2cI

(はぁはぁ・・・何やってんのよ私は・・・。)

 あの場から逃げ出して、全力疾走で廊下を走ってきた彼女。
汗を流し、息を切らしながらも、自分の教室の前まで来た。

(そ、それより問題はこれからよね。クラスのみんなにばれないように行動しないと・・・)

 彼女は落ち着くように、すーはー、と深呼吸をする。そして自分の手を伸ばして、教室の扉を開ける。
2−Cの教室は、なんとなしにけだるさを醸し出しつつも、いつも通りの活力に満ちていた。 

「八雲っ!?」

 一人の少女が、教室に入ってきた愛理に向かって叫ぶ。
彼女の名前は、塚本八雲の姉であり、愛理の親友でもある、塚本天満だ。
彼女は驚いた表情を見せ、扉のところに立っている愛理のところまで歩み寄ってきた。

「なんで八雲がこのクラスに来たの!?」
「なんでって・・・(あー!!!)」

 声にならない声で叫ぶ彼女。本来なら彼女は、八雲のクラスである1-Dに行かなければ
いけなかったのだが、彼女は播磨から逃げることしか頭の中になかったため、
本能のままに、自分のクラスである2-Cへと来てしまったのだ。

(ま、まずいわ!天満はあの娘の姉だから、私の違いなんてすぐ気づくはず!)

「ご、ごめんてん、じゃなくて姉さん!く、クラス間違えたみたい・・・」
32Classical名無しさん:05/04/29 21:51 ID:zVOxm2cI

 なんとか必死に誤魔化そうとする愛理。
だが、それとは裏腹に、天満はうれしそうな顔をしながら彼女に話しかける。

「わかってるよー八雲!お姉ちゃんはなんでもお見通しなんだから!」

 肩に手を当て、愛理の目をまじまじと見つめる天満。
まずい、また朝のような状況になってきたた、彼女の脳裏に再び緊張が走る。

(も、もう私の正体に気づくなんて・・・いつもの鈍い天満はどうしたのよ!)

 て、天満!これには深いわけが・・・、そう言いだそうとしたとき、愛理より先に
天満の方が口を開く。

「播磨君に会いにきたんでしょ?」
「えっ?」
「わかってるよ!私は応援してるからね!」

 ばんばん!と背中を、力強く叩く天満。鈍感王の天満に、
愛理が入れ替わるなどと気づけるはずがなかった。
天満はてっきり、八雲が播磨に会いにきたと勘違いをしていたのだ。

(まったく、天満のやつ、鋭いのか鈍いのかわからないわ・・・・)

 胸に手を当てて、息をつく彼女。だが、そんな愛理に追い打ちを掛けるように
彼女の耳元で、小さな声でぼそぼそと呟く。

「でもね・・・あんまり大胆なことしちゃだめだよ。会うなら人目のつかないところでするのよ?」

 そう言うと、天満は耳から口を離し、ニヤニヤした表情で愛理を見つめる。
33Classical名無しさん:05/04/29 21:53 ID:zVOxm2cI
(こ、このバカ天満・・・・)

 愛理の顔が、みるみるうちに紅色に染まっていく。
「わ、私はヒゲのことなんて・・・!」

 賑やかで満ちていたクラスが、一瞬のうちに静寂で満ちてしまった。
そしてクラス全員の視線が、愛理へと向けられた。

(し、しまったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!)

 周囲にいるみんなは、自分を見ている、目の前にいる天満は、口をへの字に
したまま硬直している。まさに最悪の状況だ。一人だけ、彼女の正体を知っている
高野は、駄目だこりゃ、とため息をついた。

「や、八雲?」
「ごめんてん、じゃなくて姉さん!私これで失礼するね!」

 まるで韋駄天を思わせるかのような早さで、教室をでて行く愛理。

(八雲、もう気安く名前を呼べる関係になったなんて・・・)

 別のことで固まっていた天満だった。

「・・・・」
「あれ、いつもは激しく反応すんのに、今日はおちついてんな花井?」
「いや、なんというか、今日の八雲君は八雲君の魅力じゃないような・・・」
「は?何いってんだお前は?」

 沈黙していたクラスが、再び騒がしくなりはじめた。
34Classical名無しさん:05/04/29 21:54 ID:zVOxm2cI


(ハァハァ・・・こ、ここが一年D組ね・・・)

 本日二度目の全力疾走に、流石の愛理も根をあげる。
クラスのプレートを見ると、間違いなく、1-Dである。

(こ、今度こそ・・・・)

 扉を開けて、教室に入る愛理。すると、先に教室に戻っていたサラが声を掛ける。

「あら、遅かったじゃない八雲?」

 愛理が入ってきたことに気づき、彼女に歩み寄るサラ。少し顔をニヤリとしながら、愛理に話しかける。

「播磨先輩とはうまくいったの?」
「えっ?」

 あんたのせいで、それどころじゃなかったのよ!、声にならない声で叫ぶ愛理。
 サラは、自分の質問に答えない愛理に口からはぁ、とため息が漏れる。

「もー、せっかく気を遣って立ち去ったのに。」
「ご、ごめんなさい・・・」
「沢近先輩なら、もっと積極的になってるわよ?」

なんで私が怒られてるのよ!、と心の中でつっこむ愛理。

キーンコーンカーンコーン

 すると、1時間目の始まりを告げるチャイムが鳴り出した。
サラは教室の前にある時計を見て、げっ!と叫び、表情を引きつらせた。
35Classical名無しさん:05/04/29 21:54 ID:zVOxm2cI

「あ、やばい!もうこんな時間!今日はゴリ山の授業なのよ、急いで行かなくちゃ!」
「え、ちょ、ちょっと待ってよ!」

 あわてて教室を出て行くサラの後ろを、追いかけるように後を追う愛理。
そして体育があるなど知らず、体操服を忘れた愛理は、ゴリ山からグラウンドを五周走らされてしまった。

(な、なんで私がこんな目に・・・・)


キーンコーンカーンコーン

 四時間目の終わりを告げるチャイムが鳴る。そしてクラスのみんなが、友達同士
で机を付け始め、自分の持ってきた弁当箱を空け始める。学校で唯一の
安らぎの時間とも言える昼食の時間が始まる。

(はぁ・・・今日は最悪な一日だったわ・・・)

 そう呟きながら、机に顔を横にあて、グダーと倒れ込んでいる愛理。実は、愛理は八雲と入れ替わることを最優先で
考えていたため、彼女の今日の予定などを聞き忘れていたのだ。
 おかげで、一時間目から四時間目まで、すべて廊下で立たされることになった。

(だいたい入れ替わったとしても、いつヒゲに合いにいけばいいかわからないし・・・)

 はぁと息をつき、さらに落ち込む彼女。すると隣でその様子をみていたサラが、愛理に声を掛ける。
36Classical名無しさん:05/04/29 21:55 ID:zVOxm2cI

「あれ?八雲、今日は播磨さんのところにいかないの?」

 サラの言葉に、思わずぶっ!と口を吹いてしまった愛理。

「な、何のこと?」
「え?だっていつもこの時間、播磨先輩のところにいって、昼ご飯食べてるんじゃないの?」

 八雲は最近、昼食の時間になると、屋上にいる播磨のところにいって漫画を見てもらっているのが日課になっていた。
 それを何となくわかっていたサラは、いつも八雲が播磨と一緒に昼食をしていると思いこんでいた。

(い、いつも!?あの娘、私のしらない間にヒゲと・・・)

 ヒゲと八雲が一緒に昼ご飯を・・・、そんなことは全然知らなかった愛理は、サラの言葉に動揺を隠せなかった。

「もしかして今日は一緒に食べないの?」
「え、そ、それは・・・」

ピリリリリリ ピリリリリリリ

 すると、二人の会話を中断するかのように愛理のポケットから音が鳴り出す。どうやら携帯の音のようだ。

「あ、もしかして播磨先輩かもよ?」
「ち、ちがうわよ・・・」

 そう言って、愛理を冷やかすサラ。実は入れ替わるときのみ、八雲と愛理はお互いに携帯を交換していたのだ。

(ヒゲなわけないでしょ・・・だいたいあの娘がヒゲのアドレスしってるとは思えないし・・・)

 サラの言葉を軽く流して、自分のポケットから携帯を取り出す愛理。そして携帯の液晶を見て、送り主を確認する。
37Classical名無しさん:05/04/29 21:56 ID:zVOxm2cI

(えっと、送り主は・・・・播磨さん?あの娘、ヒゲとメールまでしてたの!?)

 机をばん!!と叩き、驚愕する愛理。その姿をみて、呆気にとられるサラ。

「ど、どうしたの八雲?」
「え!あ、な、何でもないよ!」

(どういうことよ!?あの二人、メールまでしてたの!?)

 播磨とメールをしていたことに驚きを隠せない愛理。
そして、期待と不安を持ちながら、携帯のボタンを操作して送られたメールを見てみる。


──────────────────────
件名 Re:原稿について

内容

この前妹さんに指摘された漫画の場所を修正したので、
よかったら今から見に来てくれないか?
──────────────────────

38Classical名無しさん:05/04/29 21:57 ID:zVOxm2cI

(原稿?漫画の場所?どういう意味かしら?)

 播磨が漫画を書いていることを知らない愛理は、どういう意味なのかさっぱりわからなかった。

(も、もしかしてあいつ、漫画書いてるの!?)

 漫画を書いている播磨を想像して、思わずぷっ!と笑ってしまう。
 携帯を持ったまま、いきなり笑い出す彼女を見て、サラは不思議でたまらなかった。

「ど、どうしたの八雲?そんなにおもしろいメールなの?」

 顔を出してきて、携帯の液晶をのぞき込もうとするサラに、愛理は
 うわっ!と叫び、慌てて持っている携帯を後ろに隠す。

「もしかして、私には見せれないメール?」
「そ、そうじゃないけど・・・ただ、ヒ、じゃなくて播磨さんから・・・」
「播磨先輩からきたの?きっと八雲がこないから心配してるのよ?」

 あの娘がこないから・・・・、愛理は複雑な気持ちで満たされる。

「いってやんなよ八雲?私は大丈夫だから。」

 笑顔を見せて、彼女に気をつかうように話すサラ。
39Classical名無しさん:05/04/29 21:58 ID:zVOxm2cI

「・・・ありがとう」

 彼女にそう言って、愛理は席を立ち、1-Dの教室を後にした。

「・・・がんばってね八雲」

 一人残ったサラは、心のなかで、そっと彼女を応援する。

(いい友達もってるわね、あの娘・・・)

 そして愛理はメールで言われた通り、彼女は播磨のいる屋上へと足を運ぶ。



(妹さん、おせーな・・・)

 すでに屋上で、彼女が来るのを待機している播磨。すでに彼女に
メールを送って、十分以上立っている。

(もしかして妹さんに何かあったんじゃ・・・)

 いつもは時間厳守な八雲なので、時間通りにこない彼女に、不安になってきた播磨。
少し様子を見てくるか、と立ち上がり、階段の扉に歩き出す。
40Classical名無しさん:05/04/29 21:58 ID:zVOxm2cI

(あ、開けれない・・・・)

 すでにこの場所にきて、五分以上は立っているだろうか。
ドアノブに手を当てたまま、ずっと固まっている。

(な、何やってんのよ私!た、たかがヒゲごときで・・・)

 顔を赤くしながらも、否定をする彼女。この扉の向こうにヒゲがいる、そう考えると
何故か扉を開けることができなかった。

(は、早くしないとヒゲがいっちゃうかもしれないわ!)

 勇気を振り絞って、ドアノブを動かそうとする。すると、自分は開いてもいないのに、勝手にドアが開き出す。
いきなり開いたドアに、彼女はバランスを崩して床に倒れ込む。

「い、妹さん!?」
「ひ、じゃなくて播磨さん・・・」

 その扉の向こうにいたのは、何で妹さんが倒れてるんだ?という顔をして固まっている播磨の姿だった。
 播磨は、倒れている彼女を見て、大丈夫か!?と声を掛け、彼女に手を差し伸べる。

「は、はい、大丈夫よ、じゃなくて大丈夫です・・・」
「そ、そうか。ならいいんだけどよ。」

 彼の腕をつかんで立ち上がる愛理。

「でもよ、どうしたんだ?来るの遅かったじゃねぇか?」
41Classical名無しさん:05/04/29 21:59 ID:zVOxm2cI
 恥ずかしくてドアを開けることができなかった、などと彼に言えるはずがなかった。
(え、えっと、こう言うときは・・・)
「ちょ、ちょっとトイレが長くて・・・」
「そ、そっか。ならしょうがねぇな!」

 顔を赤くしながら、なわけないでしょ、と心の中で呟く愛理。そして納得する播磨もバカである。

「じゃあ、早速だけど、原稿見てくんねぇか?」

 そう言うと、茶色の封筒から原稿を取り出し、それを愛理に手渡す。

(ヒゲ、本当に漫画書いてたんだ・・・。どんな漫画なのかしら?)

 少し期待しながら、原稿を読み始める愛理。
そしてどんな反応をするのか緊張している播磨。

(・・・なによこれ?めちゃめちゃベタな話じゃない?)

 それは、主人公とヒロインとの付き合いを書いた話。しかも登場するのは
ほとんどが主人公とヒロインだけ。しかし、どことなく引き込まれる感じがする彼の漫画。
愛理は複雑な気持ちでページを読んでいく。

(おれはいままでキミのことが好きだったんだ・・・だから俺とつきあってくれ・・・・)

 そして彼の漫画のストーリーがクライマックスを迎えるシーンまで来た。
それに連れて、愛理のページをめくる指が、だんだんと重くなってきた。

(私もずっと前から・・・貴方のことが・・・・す・・・・)

 最後のヒロインのセリフを見ようとした瞬間、愛理の動きが止まった。
それは、主人公の願いがヒロインに届く瞬間の場面だった。
42Classical名無しさん:05/04/29 22:00 ID:zVOxm2cI

(ど、どうなんだ、妹さん!?)

 彼女の指の動きが止まったことに、少し焦りを感じる播磨。

(この主人公は・・・言うまでもなくヒゲよね。でも、このヒロインって・・・・)

 その紙に書かれている人物に、愛理は見覚えがあった。
自分と同じ髪を両側しばっている彼女。その姿は、まぎれもなく、塚本天満だ。
 そして愛理の頭に、ある一つの結論が浮かび上がった。

(もしかしてヒゲ、天満のことが・・・)

 その結論が出た瞬間、愛理のなかで、何かが吹っ切れた。

──そっか、ヒゲのやつ、最初から私たちのことなんて────

 彼女は最後のページを見らずに、原稿を閉じようとした。

「妹さん、なんで最後のページまでみねぇんだ?」

 それを阻止するかのように、播磨が声を掛ける。もはや愛理にとって
彼などどうでもよい存在になってきた。

(まぁどうせ結果はわかってるし、見ても損はないわよね・・・)

 彼の言葉を聞いて、再び原稿を読み始める愛理。そして読み止めた、最後のページをめくってみる。
すると、その先には、思いもがけない展開が書かれていた。
43Classical名無しさん:05/04/29 22:01 ID:zVOxm2cI

 主人公とヒロインが、最後のクライマックスになろうとしたとき、一人の少女がそれを
阻止するかのように現れた。その少女は、「ヒゲは渡さないわ!」と一言書かれている。
 その少女の姿は、言動といい、姿といい、まさにそれは、沢近愛理の何者でもなかった。
そして漫画の話はそこで終わっていた。
 

「どうだ、妹さんにライバルが必要って言われたから、ちょっとお嬢のやつを参考に・・・・」

 播磨が気づいたときには、彼女の目からポタポタと、原稿に流れ落ちるように
涙が流れていた。
 
  愛理は嬉しかった。彼が、たとえ漫画の世界でとはいえ、自分を想っていたことに。
それが、彼の好きな人物が描かれている世界だとしても。
 そしてさっきまでの絶望感はどこへやら。今の彼女は、希望で満ちあふれている。

「い、妹さん!?どうしちまったんだ!?」

 いきなり泣き出した彼女に、慌てて声を掛ける播磨。

「なんでもないわよ・・・バカ」

 彼に聞こえないぐらい、小さな声でボソリと呟いた。

「え、なんだって?」
「何でもないです・・・」

 制服で自分の目を拭い、そして持っていた原稿を彼に返す愛理。

「とても、いい作品だったわ・・・」
「そ、そうか?そう言ってくれるとうれしいぜ。」
44Classical名無しさん:05/04/29 22:02 ID:zVOxm2cI

 彼女に褒められて、顔をにやけてしまう播磨。

「じゃあ私は戻るから・・・。」

 そう彼に言い残して、その場を立ち去る愛理。

「おう、気を付けてな・・・。」

 彼女から返してもらった原稿を見て、自分の顔を指でぽりぽりといじる。

「気のせいかもしれねーけど、今日の妹さん、なんだかお嬢みてぇだったな・・・」

 なわけねーか、と言って原稿をしまい、彼も屋上を後にした。

45Classical名無しさん:05/04/29 22:03 ID:zVOxm2cI


「あ、八雲!」

 教室に戻ってきた愛理を、迎えるように声を掛けてくれるサラ。

「あれ、なんか八雲、うれしそうじゃない?」
「そ、そんなことないよ・・・」
「照れない照れない!なんか良いことあったんでしょ?」

 愛理は顔を赤くしながら、うん、と首を小さく頷いた。

「やっぱりー!播磨先輩と付き合えたとか!?」
「ち、ちがうわよ・・・」


──確かに今は違うけど・・・いつか必ず・・・・───



 キーンコーンカーンコーン

 午後の授業のはじまりを告げるチャイムが鳴り出した.......


46Mind change[沢近編]:05/04/29 22:05 ID:zVOxm2cI
以上です。なんかすっげー長くなった、すいません。
ていうか八雲と愛理のお互いの呼び名がわからなかったから混乱したorz
愛理が全然愛理っぽくないところはご愛敬。
47Classical名無しさん:05/04/29 22:59 ID:agJyRGQk
>>46
乙カレー

なんつーか話としては、上手くまとめたとは思うんだけど、
この内容だったら八雲拉致って成り済ますだけで良かったんじゃ…
八雲が協力した意味がないし、漫画の件は当然秘密にしようと潰しにかかるでしょう

旗系お子様ランチによくあるいつの間にか八雲が消えてる展開は
お互いに成り代るというネタである以上大きなマイナスポイントだと思った
48Classical名無しさん:05/04/29 23:16 ID:wG04C5qM
>>46
毎回思うんだけど、この種の創作の場合って
播磨→天満の設定はどうなってんですか?
49Classical名無しさん:05/04/29 23:27 ID:6moqbBho
>>48
しょうがないじゃん
旗成就しようと思ったら天満の存在を無視しないと絶対成り立たないんだから。
50Classical名無しさん:05/04/29 23:29 ID:6moqbBho
ああ、おにぎりもか
51Classical名無しさん:05/04/29 23:28 ID:5IDKFT8s
散々非難されてたハーレムとどこが違うんですか?
52Classical名無しさん:05/04/29 23:31 ID:SiGOOtN.
過程の理由付け、とか。
53Classical名無しさん:05/04/30 00:46 ID:tsHC2fJM
>>48
漫画描いてて、ヒロインは天満
踏み台としての沢近ってことでしょ
別に播天の設定は変わっていないと思うが

つか、特殊メイクで入れ替わりって設定が無茶だと思う、ハリウッドもビックリって感じ
或いはアレか、電脳ハックってやつ? 笑い男かっつうの
54Classical名無しさん:05/04/30 01:00 ID:DugCPVxY
>49
じゃあ旗って目がねぇんじゃん。
55Classical名無しさん:05/04/30 01:11 ID:sIfrrFx.
>>49
別に天満の存在を無視する必要はないんじゃない?
播天の設定、変わんないままのやつだってあると思うし。
56Classical名無しさん:05/04/30 01:15 ID:fdGwQolw
播磨→天満を残しつつでも、他とのカラミは描けると思う。本編が描けてるんだし。
完全に播天を消した世界設定でも面白いなら可。そこは過程を描くか、まるっきり異世界かで。
どっちつかずが一番気持ち悪いのでは。
57Classical名無しさん:05/04/30 01:17 ID:HmFyGZXQ
これ以上の雑談は支援スレで
58Classical名無しさん:05/04/30 01:24 ID:sADewmJE
>53
二人で抱き合ったまま神社の階段を転げ落ちるだけでよかったのになあ・・・
59Classical名無しさん:05/04/30 05:30 ID:gaM1l.7k
下校途中に落雷に遭うでもよかったのになあ…
と思う俺は観月ありさ世代
60Classical名無しさん:05/04/30 08:56 ID:OzXOV7ME
前スレに全部書き込めなかった………orz

http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1112779012/976-977
の続き

──────────────────────────────────


「どうした、拳児くん? 手が止まって…………おわっ、何だコレは!? ………血?
 け、拳児くん、鼻血を吹いているのか!? だ、大丈夫か、しっかりしろ!?
 ヤバイ………やりすぎたか………?」



 数日後。

「兄貴ぃ、遊びにきたぜ!」
「おう修治、良く来たな」

(………そういえば、こいつとも兄弟らしいコト何もしてねぇな………たまには兄として
兄弟のスキンシップをしてやらなきゃならんな………)

「よし修治、一緒に風呂に入るか」



 終わり
61Classical名無しさん:05/04/30 10:06 ID:XowdQii2
萌えた。

そしてオチにワロスw
62Mindchange[沢近編]:05/04/30 10:26 ID:sqpyGvcc
>>47
八雲を自分の力ではうまく絡めさせることができませんですたorz
入れ替わりもやっぱりぶつかってやったほうが自然か・・・。
>>53
無茶ですたか(´・ω・`)
63Classical名無しさん:05/04/30 11:31 ID:FkRDnKD6
>>60
すごく面白かったです。
短編ながらオチまでの持って行き方が上手いですな。

やはり埋めの空気は人の心を自由にするというヤツでしょうか。
形式や評判を気にしない作者さんの色が素直に出ている良作に出会うことがよくあると思います。
高みを目指す帝国の950以前のSSもいいですが、それとは違った雰囲気の埋めSSはやはりいいものですな。
64ギーガp ◆PopGDGnCZ6 :05/04/30 11:36 ID:G3Qz5oSs
投下します。
海編の、もしかしたらパラレルかも知れません。苦手な方はスルー推奨。
65ギーガp ◆PopGDGnCZ6 :05/04/30 11:37 ID:G3Qz5oSs
海へ旅行に出かけたスクラン女性陣。
勿論、馬鹿たる播磨、花井、今鳥がそれを知ってバイクで追いかけるのは当然であり。

―――そして。

「―――おい」
「―――メガネ、言いたい事は分かるから何も言うんじゃねえ」

「―――なぁ」
「今鳥……聞いてなかったか?さっきの播磨の言葉を」
「言いたい事は分かるから何も言うなって?」
「ああ。甚だ理不尽且つ勝手な言葉だが、優しい我々は言う事に従ってやろうではないか」
「……まあ、口に出すと更に絶望的になるからな、ハハハハハ……」

そう言って浮かべた笑みも、今は虚しい。
播磨は、暗い顔で空を仰ぎ、溜息をつき、呟いた。

「―――ここ何処だよ!っていうか、迷子かよ……」
「言うなよ!折角気を使ってやってんのに!!」
「キサマ、人を嘗めてるのか!よ〜しいいだろう、その腐った性根叩きなおしてくれる!!」
「……なに怒ってんだよ、てめーら。つーか何か気ぃ使ってたっけ?」

「―――怒る気力も無いな。本当に、此処は何処だ―――」

花井の呟きは、暗い山道に響いては散った。
66微妙にテンポの悪い三人:05/04/30 11:39 ID:G3Qz5oSs
「―――あ、地図だ」
「よっしゃあああああああ!あれ見るぞアレ!!」
「分かったから飛ばすな播磨!ただでさえ乗りにくいのに……!」
「むしろよく此処まで三ケツで辿り着けたと思うよ、ホント」

今鳥の感心したような呟きが花井の耳に入った。―――冗談ではないと、花井は憤る。
そもそも、地図位は持っていろと。お前仮にもバイクを使ってるんだろうと言いたくなる。
―――多分、届く事は無いが。

今鳥も今鳥で、結構苛立っている。愛しのDはまだか?と。
しかし苛立ちをぶつけた所で、何がどうなる訳でも無い、そう思って苛立ちを押し殺している。
―――そういった所では、今鳥は確かに三人の中で一番大人であると言えた。

播磨は―――彼が、全ての事象の中心にいる事に、花井と今鳥が気付かなかったのがそもそもの間違いであると言えるが―――未だに能天気である。
彼の脳内には、海と言うヴァルハラへ辿り着いた後の青春ピンク色の妄想しか存在していない。
辿り着いたら、彼女が笑顔で出迎えてくれる。―――そんな、ほぼ確実にありえない妄想で空を越えて月まで辿り着いてしまえるのが、播磨拳児という男であった。

三人は、互いに(播磨は除くが)苛立ちを抱えている。そして奇妙な連帯感が生まれている事に、妙に楽しさを感じている。―――きっと、こういうのも青春なのだと、彼らは思った。
67微妙にテンポの悪い三人:05/04/30 11:40 ID:G3Qz5oSs
―――だが、こんな綺麗なシメで終わるはずも無く。







「うお!?―――え?秋田?俺ら何処目指してたっけ」
「馬鹿、全然違うし!!―――で、何処目指してたっけ」
「―――何処だったか?」






少なくとも、播磨と関わっている限りはこんな目にあうだろう、二人の命運が偲ばれるのであった。
68ギーガp ◆PopGDGnCZ6 :05/04/30 11:41 ID:G3Qz5oSs
以上です。未だにタイトルにミスがorz
ギャグ短編。全5レス。
投下します。
70ピアノ全開!沢近愛理!@:05/04/30 16:22 ID:FkRDnKD6

私「えっと、何々?ゴンベンにケンギョウノウカのケン?
  あ〜、も〜!なんで漢字ってなんでこんなにややこしいのよ!」

私は手紙を書いていた。
最初は道端に落ちている石コロだった。ただ目障りなだけ。
でもいつからだろう、その石コロが黄銅鉱になり、翡翠石になり、
あげくの果てにヘリウム3(超希少!有用!)になったのは。

だから私は苦手な漢字で文を書く。
だって、あいつは馬鹿だから。英語なんてもっての他。
それに、漢字の部位には様々な想いが込められてるって聞いたから。
だから私は漢字でこう書いた。

           スキ

徹夜で書いたけど間に合わなかった、さっき図書館で完成させた文。
いわゆる出来たてのホヤホヤというヤツだ。
漢字製だから、時間がかかる。想いも募る。
それをあいつの下駄箱に入れてやる。
いや、もう入れた。
後は屋上で待つのみだ。
私は一足先に屋上へ行き、あいつを待ち伏せることにした。
71ピアノ全開!沢近愛理!A:05/04/30 16:25 ID:FkRDnKD6

―予定時刻
あいつはやってきた。
播磨「お嬢…。手紙、読んだぜ。」
いよいよこの時が来た。
私はいったい、どうなってしまうんだろう。
播磨「お嬢…あのな、」
砕けろ!私!
播磨「俺もお前と同じ気持ちだよ、お嬢」

えっ?そ、それってもしかして…
ドクドクドクドク…
私の心臓はエギゾーストノート。
高らかに唸りを上げ、もう加速を止めることを知らない。

ゴゴゴゴゴ…
長年封印され続け錆ついていた乙女の蓋が、音を立てて開きだした。

次のコマ、私は潤みを抑えられない瞳を閉じて、背伸びをしていた。
だって、私と同じ気持ちって言ってくれたから。だから、次は…ね?
播磨「俺もお前が嫌いだよ、お嬢」
カクッ
前のめりに犬のように頭をたれる私。自慢のおさげもタレ耳みたい。
ああ、意識が…。
額に怒りの青筋を立てたあいつは、親切にも今の私でも読めるよう、その文を示して見せた。
あいつの指先に書いてあった文字はこうだった。

播磨君…嫌…

ま〜ち〜が〜え〜た〜。
か、漢字…送り仮名!
その日、私の中のユニオンジャックは、あいつの日の丸の前に屈したのだった。
72ピアノ全開!沢近愛理!B:05/04/30 16:25 ID:FkRDnKD6

―同日、夕方

いかに郊外といえど、あまりにも大き過ぎる洋館。
ドドドドドド…
そこに地響きを立てて何かが近づいてきた。
バタンッ、ドドドドド…

中村「お嬢様。おかえりなさ…」

それは乱暴に扉を開くと、砂煙を撒き上げながら階上へ駆け上がっていった。

…シーン…

急に静かになったと思ったのも束の間、

ゴゴゴゴゴ…
長年封印され続け錆ついていたピアノの蓋が、音を立てて開きだした。

中村「あ、あの音は、まさか!?
   …そうですか。ついに決心されましたか。
   思えばお嬢様がピアノの道を諦めて幾年月。
   お嬢様はご自分の才能の限界を認めておられましたなぁ。
   しかし、このの中村。そうは思えなませんでした。
   それは誰もが経験する、ほんの一時の挫折なのではないか、と。
   お嬢様、羽ばたきなされ。
   この中村、どこまでもついていきますぞぉ〜!」

一人言を捲くし立てる変態執事の脳裏には、
暗闇に閉ざされた扉を自ら開き、光り溢れる世界へ旅立とうとする、金色の幼子の姿が見えていた。

その夜、その豪邸に苦情の電話が殺到した。
73ピアノ全開!沢近愛理!C:05/04/30 16:26 ID:FkRDnKD6

―10年後

ザワ ザワ
会場を埋め尽くす、老若男女はもちろん、職業、人種、国籍、全てを越えた様々な人々。
「第18回 S・アイリーン ピアノ演奏会」
会場案内パンフレットにはそう書かれていた。

司会者の言葉の後。透き通るようなドレスに身を包んだ金髪女性が姿を現した。
そのあまりに神々しさに、会場はシン、と静まりかえる。

そして、その純白の指先が純白の鍵盤を奏ではじめ時、
会場は神の国へ誘われ、かつて人々が追われ恋い焦がれ続けた楽園へと戻っていく。

その中に、羨望を超えた眼差しで女神を見守る人物がいた。
播磨拳児。かつて女神が愛した恋の奴隷である。
演奏はなおも続いている。

播磨「なあ、お嬢。
   俺な、思ったんだ。
   好きだの嫌いだのなんて、ただの言葉だったんだなって。
   言葉を導き出す人間こそが、本当の言葉なんだって。
   あの時、お前が学校に来なくなり、挙句の果てイギリスに行っちまったと聞いたとき、俺は気付いちまった。
   そうさ。俺は、あの時既に、お前を…。」

時にはズッコケ、時にはおさげ髪を逆立たせてプリプリし、挙句の果てにはもへ、などと言う。
そんな間抜けで、乱暴で、本当にどうしようもないお嬢と呼んだ女。
しかし、俺は不良だと生きがって、俺は俺だと見栄張って生きてきた自分が、本当の自分を出せた時。
その時、傍らには誰がいたか?俺にとって本当の意味で一番大きかったヤツは?
…かつて自分が取った行動。その罪が播磨の顔を歪ませる。
その時、何かが、播磨の右手をそっと包んだ。
74ピアノ全開!沢近愛理!D:05/04/30 16:27 ID:FkRDnKD6
播磨「…天満?」
天満「だいじょうぶだよ。私が、ずっと支えるから…」
播磨は穏やかに微笑み、繋がれた手を握り返した。

あれから10年。播磨は塚本天満を手に入れていた。

播磨「お前は今、幸せか?お
   嬢。俺は幸せになったぞ。
   見渡してみなよ、この会場を。
   お前を知ってるヤツ。あいつも、あいつも…。」

惚れた男、優秀な成績を褒め称えた教師、そして…虐められた続けた妹。
かつて、彼女と時を共にした者は皆、彼女の虜になっていた。

播磨「たった数ヶ月の共同生活が、10年もの年月を経てなおヤツ等を繋ぎ止めてる。
   そして俺も…。」

演奏は続き、モノクロ化していた想い出に、色が宿り始める。
咲き始める草花。囀る小鳥達。そして、坂道に溢れる桜の花びら。
動き始めた心の情景と共に、観衆のアイリーン・コールも勢いよく反響していく。

嗚呼、沢近愛理。なんて素敵な子。

10年前、彼女が奏でていった4部音符。彼等の心の中で今なお飛び跳ね続けている。
愛しい、愛しい、女童のように。ずっと、ずっと…。
                                   【完】
75Classical名無しさん:05/04/30 16:41 ID:WAQ12.ZA
どの辺がギャグなの?

>会場は神の国へ誘われ、かつて人々が追われ恋い焦がれ続けた楽園へと戻っていく。
>播磨拳児。かつて女神が愛した恋の奴隷である。
>嗚呼、沢近愛理。なんて素敵な子。
この辺?

思春期の少年が徹夜で書いたラブレターを、こっそり見てしまった母親な気分です。
76FF1:05/04/30 18:36 ID:00u7usrY
はじめてSSに挑戦してみました。どんなものでしょ。

FILLING FEELING
( 八雲×播磨)

後から思い出して、胸がドキドキするのも、変な話だ。
 けれど、八雲にとって、あのときの出来事──花嫁の役を頼まれ
たときに、乱入してきた播磨のたくましい腕に抱かれたことは、い
ま思い出すと、顔が火照りそうになるくらい、ドキドキする出来事
だった。
(……播磨さん)
(……あのときどういうつもりだったんだろう)
 八雲にとって、播磨は、唯一心を楽にして話せる異性だ。と同時
に、その心がつかめない謎に満ちた存在でもある。
(……播磨さんは)
(……私のこと、どう思っているんだろう)
 泊り込みで漫画原稿を手伝って以来、播磨は八雲にとって、単な
る友人以上の男性だ。自分のことをどう思っているかが気になる異
性として、意識するようになった男性だ。
 八雲は、自分に好意をもっている人の心を視ることができる。生
まれついてのこの能力のために、男性とまともに接することができ
なくなった。この能力は、八雲にとって、は、望んだものでもなけ
れば、幸福をもたらすものでもなかった。せいぜい、男の危険な欲
望を事前に察して、身を守るときに役立ってくれるくらいだ。
(……だけど)
77FF2:05/04/30 18:37 ID:00u7usrY
 皮肉なことに、八雲が唯一人、この能力を使いたいと願う男性こ
そ、八雲が能力を使うことができない親しい唯一の男性だった。播
磨拳児。
 彼の心が、八雲に読めないということは、彼が八雲を思ってくれ
ていないことを意味する。
 だが──少なくとも、播磨が八雲のことを嫌ってはいないことは
確からしい。なにかと親切にしてくれるし、自分には好意以上のも
のを抱いてくれる気がする。自分に対する播磨の行動を見れば、播
磨で自分を好いてくれているとみなしてもよさそうな気がする。で
もそれならなぜ、播磨の心が八雲には読めないのだろう。
(……姉さん)
 やはり、播磨が思っている相手は、八雲の姉、塚本天満なのだろ
うか。彼が描いている漫画を手伝っているうちに、それはなんとな
く八雲にもわかってきたことだった。要するに、播磨が自分に好意
を示しているのは、自分の好きな女性の妹であることからくるにす
ぎないということか。
(……でも)
 それならなぜ、あの教会で八雲が花嫁をやっているときに、花婿
役を花井から奪い取ろうとしに来たのだろうか。あんなことは、自
分に好意以上の感情を持っていなければできないことではないか。
(……やはり)
 もしかしたら、播磨は自分のことを思っていてくれるのかもしれ
ない。そう思うと、ちょっとだけ胸がしめつけられ、うれしい気持
ちがする。姉のことを思っているのが本当でも、播磨の気持ちは、
自分にも向けられているのではなかろうか。
 しかし、播磨は、早とちりで勘違いなところがある。あのときも
もしかしたら、なにか誤解か勘違いが起こっていたのかもしれない。
(……塚本)
78FF3:05/04/30 18:39 ID:00u7usrY
 八雲はふと、自分と天満が、当然ながら同じ姓をしていることに
気づいた。あのとき播磨は、花嫁役が「塚本」であると聞かされ、
それが天満であると思い込んで、教会に乱入してきたのではなかろ
うか。
(……でも)
 それなら、ヴェールをかぶっていたとは言え、背も体型も違う自
分を抱いたときに、天満とは違うと気づきそうなものではないか。
それとも、播磨は、そんな違いにも気づかないニブい男なのか。
 八雲は、サラに声をかける。
「あのね、ちょっと聞きたいことがあるんだけど……」
「なぁに、八雲?」
「前に私が花嫁役のバイトをしたときね」
「うん?」
「私が、あの花嫁役をするってこと、学校の誰かに言った? クラ
スメートとか、花井さんのクラスの人とか……」
「うーん。たしか最初に頼んだ麻生先輩以外には言ってないけど?」
「そのとき私がするっていうのは、ちゃんと伝えた?」
「どういうこと?」
「えっと、つまり、塚本八雲って、ちゃんと名前まで言ってくれた? 
塚本っていうだけだと、もしかして、姉さんと誤解されるよう
な言い方をしたのかなって……」
「そんなことないわよ。ちゃんと八雲って伝えておいたから」
「そう」
 心のどこかで少しだけホッとした気持ちが流れる。
 男の人は苦手だ。今もそれは変わりない。
 でも、今度は──。
 ほんの少しだけ前に進んでみよう。
 播磨から手伝いを求めるメールが来たのを見て、八雲はそう思った。
79Classical名無しさん:05/04/30 20:55 ID:YEgD24Ck
前スレ埋めSSの続きキボン
80Classical名無しさん:05/04/30 20:55 ID:YEgD24Ck
ageちまった…吊ってくる
81Classical名無しさん:05/04/30 20:59 ID:p1ufRQ76
82Classical名無しさん:05/04/30 21:12 ID:G2gVZPw6
  ,:':´ ̄`ヽ
  i: .レリリリリ)   
⌒゚i::::リTヮTリ゚⌒
私だって時にはS3やIFスレで
シリアス系やラブラブ系の長編SSで主役にされたいと思うときもあるよ。
でも、それは望まないんだ。悔しい気もするけど。
みんなが私に求めているのは、そんな役じゃないから。
私の役目は「ピコピコ」だけでいいんだ。
それがマスコットキャラとしての私の誇りであり、
私のすべてなんだ。それでいいんだ。
83Classical名無しさん:05/04/30 21:16 ID:fdGwQolw
>>69
漢字ネタの辺りが面白いっぽいんだけど、意味がわかんなかったので判断できず。
読めてないだけならスマソ

>>76
文章はいいと思う。こういうモノローグなSSはよくあるんだけど、
個人的にはなんかイベントがあってキャラが動かないと物足りないです。
84Classical名無しさん:05/04/30 21:28 ID:K9lO01gw
>>76
花井先輩じゃなかったっけ? 呼び方
85Classical名無しさん:05/04/30 21:32 ID:00u7usrY
>83
次はもっと動きのあるものにチャレンジしてみます。どーゆーさじ加減が
いいんでしょうね。
>84
間違えました。
86Classical名無しさん:05/04/30 21:41 ID:fdGwQolw
>>85
前半で「主人公が行動せざるを得ないような」事件を起こしてみると
その後が書きやすいし読みやすいんじゃないかと思います。
加減で言えば、強め強めで。
87Classical名無しさん:05/04/30 21:49 ID:fdGwQolw
いやしかし>>86はありがちなセオリーみたいなもんであって、
各人の目指す面白さによってはこだわる必要はない、かもしれないから参考程度に。
8879:05/05/01 00:19 ID:CKPOKkCs
>>81
10レス前も見逃すような俺に指摘dです。

そしてもう一回吊ってくる。
89Classical名無しさん:05/05/01 01:31 ID:s97oj9Z2
俺は好きだなこーゆーの。少し感動したし←大袈裟な(笑

―――――――――――――――――――――――――――
【題名】隣から108ポンド砲(簡易ver)
【著者】Classical名無しさん
------------------------------------------------------
【ジャンル】ギャグ短編
【出演】不明女6、不明女3、不明女4、モブ
------------------------------------------------------
【総レス数】7レス (+まえがき1レス +あとがき1レス )
【容量】10.4kB
【備考】正式verを、このスレの助言に基づき簡略化。
    元々は埋め用SSだった。    
―――――――――――――――――――――――――――
最近連続既成にひかかりました。
投下が止まって入た場合、支援していただけると幸いです。

それでは投下します。

なんみょ〜ほ〜れんそうげんきょう〜 天のお寺〜。

ぽくっぽくっ、と軽快な音を立てる木の魚。
ここは矢神のお寺。
精進を重ねる敬謙な修行僧たち。
その中に明らかに不釣合いな制服少女の姿があった。

少女「仏様。お許しください。私はふしだらな女です。」

スッ。少女の前に、中年住職が現われた。
落ち付いた物腰。これが聖職者の貫禄か。
彼女の懺悔を一通り聞き終えた後、彼は言う。

あなたを悩ませているのは人間一〇八煩悩。
貪、瞋、癡、慢、疑、見。九十八随眠、十纏合わせて一〇八。
あなたの業は色界悪見の業。覗き見てはいけません。
強烈なまでの異性への関心。あなたの年頃にはよくあることです。
何も恥じることはありません。ただ修行に励みなさい。
そして欲から解放されなさい。御仏は見ておられます。

住職はそう告げると、再び御仏の御前へと戻っていった。

ところでこの少女には名が無い。ついでに鼻もない。
どこにでもいる平凡な高校生女子である。
例え騒動が起こっても、それを遠巻きに眺める野次馬A。
そういった位置付けの娘である。
このまま”少女”では不便なので”小林尽子(仮)”と呼ぶことにする。

ところで、彼女は何に迷って寺などに来ているのだろうか。
その原因を探るため、過去に遡ってみることにした。

あれは今年の春のこと。
新クラス2年C組。
尽子は播磨の右隣になった。
案の定、不良で有名な播磨は次々と問題を起こしていった。
播磨の問題行動の中でも、特に尽子を惑わせるものがあった。
戦闘。
吉田山、天王寺、花井。播磨は次々と屈強の男達と拳を交えていった。

今までほわわんと安穏な生活をしてきた尽子は衝撃を受ける。
飛び散る汗。流れ出る血。野生を思わせる雄叫びと筋肉の張り。
安全という名のハリボテに隠された、本当の自分が姿を見せ始める。
あの野獣の前で自分は無力だ。
もしあの力で襲われたら…。
しかし戦闘が起こるたびに自ら進んで覗き見に行く自分がいる。

そして今も。
口に手をあて、頬を上気させて、

    イヤらしい目つきで男達を眺める自分がいるのだ

自分の異常性に気付き始めた尽子。
今日も播磨を眺め続ける。彼が戦闘を起こすその時まで。
案の定、怒りの形相をした天王寺がやってきた。

天王寺「播磨ぁ、ちょっとツラ貸せやぁ」

播磨は余裕の笑みを浮かべ、天王寺と共に校舎裏へ消えて行った。
そして少し間を置き、後を追うように尽子も校舎裏へ消えた。

………

決闘を見終えた尽子は思う。
もう天王寺ではダメだ。播磨との実力差がありすぎる。
持続力がないし、何よりも美しくない。
やはり…。
尽子の脳裏に花井の顔が浮かぶ。

ハッ。突然我に返る。自分は一体何を考えていたのだろうか。
恐ろしくなり、最近の自分の行動を振り返ってみる。
思い出されたのは、淫らな欲望を満足させるため、
より上等なおかずを探し徘徊する己の姿であった。

自分はこのままではダメになる。
お寺に行こう。
淫れてしまった自分を、清め直してくれるであろう、お寺に。


尽子はその日を境に、寺に通いはじめた。
これが、この物語の冒頭でお話しした、尽子が寺にいた理由である。
ひたすら仏門の前で修行に励む日々。もう秋も半ばを過ぎていた。
結局、異常行動が直ることもなく、ますます悩みを深めていく尽子。

そんな尽子に転機が訪れる。
ある日の朝、日直の仕事で職員室へ赴いた時のことである。

谷「うわぁ」

ガタン、ゴトン。
何もしてないのに、担任の谷先生がいきなり前のめりに倒れた。

キュッ キユ キュー キュ キユキユー

音を立てて床に散らばる谷先生の恐竜フィギア達。
それを、慌てもせず拾い上げていく谷先生。

プニッ
その中の一体が尽子の心を捉えた。
その姿が自分の通う寺の坊主に似ていたからだ。
尽子はその恐竜について尋ねることにした。
谷「ああ、これ?これはね、パキケファロサウルスっていう恐竜なんだ」
楽しそうに恐竜のウンチクを始める谷。
その恐竜の頭がハゲているのは、外敵を撃退するためらしい。
しかしそこではない、続きの言葉に尽子は衝撃を受けた。
オスはお互いに頭をぶつけ合い、メスを勝ち取るために同じ種族同士で戦った。
そしてメスは、

谷先生「メスは、オス同士の戦う姿を見てドキドキしたもんさ」

その時だった。
パアァァァ。
尽子の胸に何かが突き抜けていった。

さっきの感じはなんだったのだろう。
疑問に思いつつ、教室に戻った時のことだった。

…ヒソヒソ……エー……ウッソー……やっだー…
何やら女子が集まって騒いでいる。
自然にできた女子の円陣。
その中心にある何かの話題で盛り上がっているようだ。

不明女4「あっ、尽子(仮)。いたいた〜」
不明女3「ちょっとこっち来てみなよ。おもしろいモノが見れるから。」

普段尽子と仲の良い、名も無い二人組が呼びかけてくる。
友人までも慎ましやかな尽子であった。

尽子は、呼びかけに応じるまま、その場に行く。
そこで尽子は、今の自分にとって無関係だとは思えないシロモノに出会った。
やおい本。
文化祭演劇ボツシナリオの一つに、それはあった。しかも絵付きで。

さえこ「ケンジ!」
恵「は、花井…」

冴子と嵯峨野恵が、ふざけながらその台本の役を演じると、
周りの女子はキャーと奇声を上げ、益々ヒートアップした。

それを見た瞬間、再び尽子の胸で何かが弾けた。
パアァァァァァァ。

何かが…、大事な何かが尽子の中で繋がろうとしていた。
96Classical名無しさん:05/05/01 08:13 ID:otw.Ny5Q
わかりやすくすると
不明3=ハネ子
不明4=かおり
不明6=隣子
ttp://www.hp.infoseek.co.jp/s/c/h/schl-rumble/cgi-bin/img-box/img20050319082904.jpg
ドックン ドックン
聖職者「…あなたの年頃にはよくあることです…」

ドックン ドックン
師父「…メスは、オス同士の戦う姿を見てドキドキしたもんさ…」

ドックン ドックン
腐女子「…ケンジ! は、花井…。キャー!…」

ドックン ドックン
仏「…こちらに来てはいけない…もう…戻れなくなる…ダ…ス…」

             ド ッ ク ン !

その瞬間。
ピカッ、ドドーン、パアァァァァァァ。

物凄い勢いで全てが繋がっていく。
尽子は悟ったのだ。
男同士の戦いに興奮を覚えるのは何も自分だけではない。
みんな、みんなそうなのだ。
年頃の女子だけではない。
男も、女も、老いも若きも、オケラやアメンボだって。

お釈迦様は男の人で108本能。そして自分は女で801本の脳。

108も801も3000世界の内なんだ。
全てが…全てが繋がっていて…一つなんだ。
無為自然。
世界、即ち自分を否定せず、全てを受け入れて生きよう。

そう決意した瞬間、尽子の迷いはすっかり無くなっていた。
彼女は第二次成長を果たしていた。心の第二次成長を。
そこには迷いを立ち切った、生命感溢れる花のような乙女があった。
もう寺の助けは必要ない。
一人立ちする時が来たのだ。
そして今日も明日も明後日も、戦闘観察を楽しみ続けるのだ。

廊下をトコトコ歩いていると、体格の良い男子生徒とすれ違った。
最近お気に入りの闘士・花井春樹である。
尽子は振り返り、ただ見つめる。

ジー。

花井「…グハァ!?こ、この【恋人に隣からタックルされたような】甘酸っぱい感覚は。まさか!」
                ※高校女子平均体重約51kg ≒ 48.6kg = 108ポンド

グワァッ
花井はもの凄い勢いで旧校舎の方向に振り返った。…左に。
その視線は網膜を通し、メガネ、校舎の窓2つ、そして旧校舎の窓を越え、想いの君「塚本八雲」の姿を捉えた。
彼女は茶を優雅にすすっていた。英国の友人サラの入れてくれた伊西園の緑茶を。
やくもくふぅぅ〜ん、と悶え波打つ花井。

それを見て尽子は思った。
彼にも悩みがあるんだろうな、と。
しかし…

花井「しかしこの花井春樹。遥か200m離れた視線に気付くとは。これも愛の成せる技か。」

…彼も、すぐ右隣にいる尽子に気付くことはなかった。

そしてその後も、尽子の存在に気付く者はなかった。
尽子は安心して右隣で見つめる行為を謳歌し続けたのだった。
                                     【完】
おしまいです。以下は簡略化でボツになった本編Gの部分です。
読んでくれた方、ありがとうございました。
                        >>96 さん助かりました。連登既成受けてたので。
――次回予告(嘘)【そして仏to戦国生徒時代へ…】――――――――――――――――――――
季節は冬になっていた。二年生もいよいよ終盤に向けて加速していく。そして物語も。
数ある事件を経て、男女各々の思惑は複雑に絡み合い、その不協和音は臨界点へ達していた。

麻生「花井。俺はお前を信じてたんだぜ?なのに…、なのに!」
梅津「ゆるさねえ。俺は円を奪った学園祭携帯メガネをゆるさねえ。」
東郷「ハリー。俺がすっかり落ちぶれたのもお前のせいだ。俺はお前を倒して自分を取り戻す。」

あちこちで不気味なオーラがどよめく校内。
ザッ。そこに一人の仏が舞い降りた。決して自惚れではない、自他共に認める仏の中の仏が。
仏「…時化が来るダス」
吉田山「よう、西本。どうしたんだ?むずかしい顔して」
仏「まさか、ワス以外にも”かの世界”へ到達しようとする者がいようとは」
奈良「西本…君…?」
仏「うるさい黙れ。※1【一〇八煩悩砲】にさえ到達できない下っ端が」
ヒッと一声、下っ端の顔が恐怖に歪む。 ※1(必殺技。上級に八〇一煩悩砲、三千世界など)
しかし、西本の顔はいつもの仏の顔だった。…気のせいだったのだろうか。
西本は踵を返すと、二人の手下に呼びかけた。

西本「いくダスよ。水着、すもう。」
吉田山&奈良「ちょっと待て!それって、ひょっとして俺(僕)達のことか!?」

こじれてしまった想い。もう戻れないかつての学園。学園という名の楽園。
今、愛が必要とされていた。全てを許せる、そんな愛が。
その激動に乗じるかのように、仏という名の覇者は降臨した。

一方、そのころ…
後に救世主と呼ばれる娘「今日の晩ごはんはなにかな〜。ほわわ〜ん。」
―まだ、彼女に自覚はなかった。――――――――――――――――――【なんちてな】――――
100Classical名無しさん:05/05/01 10:13 ID:vZNNyWNs
                       _,. -─ ─- 、.
                     , '          \
                     / / //,ィ l l     ヽ
                   // ////_イ_/ l i !ヽ __l  l .ハ
                     // //////!/` ヽlハ´ヽ ト、 li l
                 i/l/lイ ! /レ'1ミ   ヽv' ニ.ヽl l i  |  __
       _,._        _lィヒ!f! N { ト:ッ::l     ト:ッ::! トl ィヽl"´ ̄``ヽ、
      /  }        /'"´! ヽ{lヾヽヒ::リ     ヒ::リ ' レト. }!       ヽ
       {   /     /        N     _'__     ん 'イ|
  ,-'´ ̄`ヽ. {            |i lヽ.  {    }  ,.イT´| |
  { ___,..  )!          ,. -─-くi l l`>、.` ー '  / ll l l l
 /     `〈 }___    /      ヽ⊥へ|` ー ' |_l  l l  ! l
 {  ─--- ノ !   ``ー'-=ニ、       } ヽ   \   レト、 l l  l  l
. !  __,ノノ        ヽ ヽ    ij  ヽ    ヽ/ ! ヽレ'´ ̄\
  \_   _ノ         |  l    j  r`ニニテ木ニ_┐il    ヽ
     ̄ ̄` ‐、_      _/ /   /   ` ! //l ト.ヽ ` ! /    i
           ̄ ̄` 弋ー '    ,イ!     V/ l l l l   l'      }
                ` ーr< l     /ハ. l l .∧〉   }  _,  ノ
                  |iヽ ! .:..:.:.:.:.:.:.:.ヽl l/..:..:..:..:..j,∠ニリ
                  | ! V    .:.:.:.:.:.:∨.:.:.:.:.:.:.:/, -─ |
101Classical名無しさん:05/05/01 11:30 ID:Bx1IUrNY
隣子(*´Д`)
102Classical名無しさん:05/05/01 13:36 ID:8dMCjcu2
作品の投下などしてみます。受け付けない人もいると思うので、
「駄目だこりゃ」という人はスルーしてくれて結構です。

では・・・
103エネミーオブ:05/05/01 13:39 ID:8dMCjcu2
如降って来た大雨に沢近愛理はバックを傘代わりにしながら一生懸命走っていた。
 「も〜、天気予報は晴れって言ってたのに!!なによ、この大雨」
ふっと視界に『林道内チカン多発』の看板が飛び込む。
この林道は矢神市の痴漢発生件数の実に8割を占める痴漢多発地帯。
ちらりと横を見ると林道が見えた。ここの林道を通れば家まですぐだ。悩んでいる暇など無い。
愛理は躊躇なく林道の中へと駆け出していく。だが林道に入ってからちょっぴり後悔し始めた。
 「失敗したかな…でもこんな大雨の日にチカンなんかいないわよね」
だがその思惑は外れていた。ギリースーツを身にまとい、フェイスペイントまでしたチカンがいた。
チカンは以前播磨に播拳蹴を食らってからというもの、手作りのギリースーツ
を身にまとい痴漢行為をするようになったのだ。
「キヒヒ、今日は外人か…」
不敵な笑みを浮かべるチカン。チカンは愛理が近くまで来たのを見計らい、愛理に襲い掛かる。
 「きゃあああああ!!」
雨の林道に悲鳴が響き渡った。
104エネミーオブツインテール:05/05/01 13:40 ID:8dMCjcu2
数日後…沢近家に一同があつまりお茶をしていると
 「まったく…本当にふざけてるとしか言いようがないわ!!」
まるで真っ赤に熱したスチームポットの如く怒り狂いながら愛理が天満達にこう切り出した。
 「信じられる?チカンが私に襲い掛かってきたのよ!?」
皆は口をぽかんと開けながら、愛理にその時の様子を聞き始めた。 
 「ふえー愛理チャン大変だったね〜」
 「ふてぇ野朗だな。でソイツは?」 
 「愛理の事だから半殺しにしたんでしょ?」
 「晶…私の事勘違いしてない?まぁそれはともかく覚えたてのダイナマイトニーリフトかけて逃げてきたのよ」
その後、ダイナマイトニーリフトをかけられたチカンの末路や技の修得方法、プロレス談義に入りわいわい騒いでいる脇で
愛理以上に怒りを煮えたぎらせている男が一人。沢近家執事ナカムラである。

ナカムラは執事室に急ぎ足で向かい、あるところへ電話をかけた。
 「ナカムラだが」
 「おぉ!!ナカムラ!!久しぶりだな。パナマの作戦以来か?この番号は?軍を退役し…」
 「すまないが雑談は後だ。警察のデータにハッキングする事は?」
 「そんなもの簡単さ。何が欲しい?犯罪者のデータか?それとも首相官邸の警備配置…」
 「矢神市でのチカンのデータが欲しい」
 「そんなもんでいいのか?まぁ、わかった。じゃ明日」
 「ありがとう」
105エネミーオブツインテール:05/05/01 13:40 ID:8dMCjcu2
本棚の後ろには梯子があり、梯子を降りていくとガンオイルの臭いが立ち込める部屋がある。
その部屋には22口径のルガーMkUから、1km離れた所から40cmの鉄板をぶち抜くステアーIWS2000対物狙撃ライフル
まで、西側東側の区別なしにありとあらゆる銃が所狭しと並んでいる。ナカムラは近くにあった
Val消音自動小銃を手に取り、射撃場でマンターゲットを撃った。カチカチとボールペンをノックする
ような音がしばらく響いたかと思うと、マンターゲットの紙が蜂の巣に変身。
ナカムラは怒りの炎をたぎらせながらぼろくずと化したターゲットペーパーを睨んだ。

翌日、待合場所である駅前の喫茶店で昨日の電話の相手と落ち合った。
約束の矢神市内でのチカン発生現場を事細かに記した書類を満足げに眺めながら
「さすがだ。アンクル・サムの住人は仕事が速い」
と笑う。相手の初老の男はコーヒーをすすりながらこう返した。
 「せかしたのはお前だろうが、ナカムラ」
 「そういえばそうだったな、ラングレーは最近どうかね?」
 「この間の民間ヘリ撃墜でいろいろ忙しくてな。俺も現地入りしそうだ」
「大変だな」
 「何、気にするな。ルビヤンカの連中を追い回してた頃が懐かしい。」
 「今じゃ閉鎖都市も開放されてるぐらいだからな…時代も変わった」
 「まったくだ…さて時間のようだ。最近警備の野朗が煩くてな」
 「駐在武官は忙しいな、だが助けて欲しい事があったんだが…」
ナカムラの一言を聞き初老の男はメモに何か書き、ナカムラの元に投げて渡した。 
 「矢神沖に同僚が来ている。困った時はそこに電話しろ。ではまた会おう」
 「あぁ、いつもすまない。今度何か驕るよ」
初老の男は嬉しそうに笑い、手を上げながら青ナンバーのベンツに乗り去っていった。
106エネミーオブツインテール:05/05/01 13:40 ID:8dMCjcu2
沢近にかけられたダイナマイトニーリフトのお陰で泡を吹いてぶっ倒れたチカンは
沢近にバレた原因はカムフラージュにあると考え、徹底したマニュアルを作り上げた。
そして警察に捕まらないように催涙スプレーや鳥をも落とせるゴム銃で武装しギリースーツも作り
公園や駅前の植え込みなどでカムフラージュ実験を重ねとうとうチカンは気配すら絶てるように進化した。
警察は姿も気配も見えないチカンにお手上げ状態。
だがそのチカンはこの矢神市で最も恐ろしい男を相手にした事を未だ知らない。

ナカムラはチカン現場データと矢神市内の地図を比べある事に気づいた。それはある一点を中心とした
半径500m圏内に集中、特に林道や植え込みが多く見受けられる道路などで多発している点。
また、ラングレーの友人からの資料の中にビデオテープがありそのテープには監視カメラが偶然撮影した
チカンが写っていた。チカンがギリースーツのようなものを着ている事に着目したナカムラは海兵隊岩国基地の
第十五海兵航空軍戦術偵察飛行隊分遣隊に分析してもらい、その結果ギリースーツは恐らく手作りであろう
ということ、麻布や染めたフェルト生地、そしてバーラップロールという普通の店では
売っていないテープの使用を確認、と書いてあった。ナカムラはバーラップロールを販売している
店に片っ端から電話し、矢神市への配送記録のある店を捜した。結果7人がナカムラの捜査線上に浮上。
しかしナカムラは7人を片っ端から襲うのではなく、矢神市を中心とした半径10km圏内のサバゲチーム名簿
を洗いざらい調べ上げる。ギリースーツなんぞ自作するのはサバゲ野朗かもしくはチカンしかいない。
ナカムラの考えは当たり、一人だけサバゲチームに所属していない人間を見つけた。
さらにその一人はかつてチカンの罪で警察に拘留された経歴のある人間。線が繋がった。
107エネミーオブツインテール:05/05/01 13:41 ID:8dMCjcu2
数日後…愛理に夜間外出の許可を得たナカムラはチカン退治に乗り出した。例の女装をして。
その頃チカンはというと…本日三人目の痴漢行為を終えて何かやりとげた顔をしていた。
それはまるでオリンピックで金メダルを取った選手の様な、そんな表情。感慨深く物思いにふけっていると
金髪の女がやってくるのが見えた。それを見たチカンは沢近だと直感した。
 「キヒヒ…この間のようにはいかないよ…お嬢さん」
不敵な笑みを上げるチカン。ゆっくり一歩一歩近づいてくる金髪の女。頃合を見計らってチカンは襲い掛かった。
―――――かしゅっ
軽い咳をしたような音がしたかと思うとチカンの頬肉が切れていた。
何がなんだか訳が分からず呆然と立ち尽くすチカンに軽い咳の音の雨が降り注ぐ。
―――――しゅかしゅかしゅかしゅか
その音はナカムラが持っていた中国製の67式消音拳銃の発砲音。拳銃から発射された弾丸は
ギリースーツのカムフラージュを次々と奪い取る。ナカムラが実弾を放っている事に
気づいたチカンはゴム銃を取り出すが、ゴム銃を構えた瞬間ゴム銃は粉々になってしまった。
手元の護身用武器が塵と同化するのを見たチカンは怯え、叫び声を上げながら必死に逃げる。
「あ、か、あ、うわあああああ!!」
手製のギリースーツを落としたのにも気づかずチカンは走った。
全速力で林道の中を逃げ回ったチカンは息を切らしながら後を振り返った。
もうあのオカマ野朗はいない…早く家に帰ろう、そう思った矢先の事だった。
聞きなれない爆音が夜の林道に響きわたる。前を向くとホバリングしているMH60Kブラックホークが目の前にいた。
108エネミーオブツインテール:05/05/01 13:41 ID:8dMCjcu2
タラワ級強襲揚陸艦ナッソーから発艦した3機のブラックホークはゆっくりとチカンにサーチライトを当てた後
ミニガンを足元にむけて威嚇射撃した。チカンが頭を抱えながら木立の中に逃げようとすると全身に
レーザーポインターの赤い点が体中に蠢いた。それは特殊部隊員たちのライフルから発せられたものだった。
ホンモノのギリースーツを着込んだ特殊部隊員を見たチカンは腰が抜けてしまい、立ち上がれなくなった。彼の頭の中では
 「俺は単なるチカンなんだぞ?なんで外国の軍隊が出てくるの?お巡りさんタスケテ」
がぐるぐる回っていた。ゆっくり背後に近づいてくる足音。虚ろな目で見上げるとそこには
女装したナカムラの姿がそこにあった。ナカムラは優しい口調で
 「君はやってはいけない事をやってしまいましたね。少し頭を冷やしていらっしゃいませ」
と言い、指をパチン!と鳴らした。第160特殊作戦航空連隊の人間達がチカンにわっと襲い掛かる。
粘着テープで目と口をふさぎ、手錠をかけて麻袋の中に頭からチカンを突っ込んだ。
こうしてチカンは速やかに拘束され、ヘリのキャビンに放り込まれた。モゴモゴと麻袋は動いていたが
隊員の一人が注射を刺すと麻袋は動かなくなった。
109エネミーオブツインテール:05/05/01 13:42 ID:8dMCjcu2
その日を境に矢神市におけるチカン発生件数は激減した。いや、無くなったと言った方が正解かもしれない。
町に平和が訪れた。ただ警察や役所などは平和でなかったと言えるだろう。
昨夜林道に軍人が現れたという通報が警察に殺到し、ヘリコプターで何を演習してるのかという苦情が
市役所に殺到し、営林局はヘリのホバリングの影響で散りまくった木の葉の掃除に1週間かかった。
さて、騒ぎがおさまってから数日後。英国陸軍特殊空挺部隊SASのキャンプ地ヘリフォードにて…
 「おい、なんか新人が入ってないか?」
 「大佐殿、なんでもサー・ナカムラが連れてきたそうです。根性を鍛えなおせと」
 「へぇ…根性を鍛えなおせか。なら俺が叩きなおしてやろう。名前は?」
 「大佐殿、Sexual molesterという名前だそうです」
 「日本人なのに変わった…というよりかなり変な名前だな」
「まったくです」
110Classical名無しさん:05/05/01 13:47 ID:ZdPCywYA
支援
111Classical名無しさん:05/05/01 14:38 ID:oLfe1BeM
野朗→野郎です。 !よりも!。大文字でお願いします。
112Classical名無しさん:05/05/01 17:41 ID:FaZIeFaU
ふぁぁ゛ぁ゛〜ん〜たしゅ〜てぃぽ〜♪                    
     ∧_∧  ミ     ∧_∧  ミ 
    ( ´∀`)○    ( ´∀`)○  
  〃○    イ   〃○    イ   
     ノ  γヽ     ノ  γヽ   
    (__丿\__ノ    (__丿\__ノ   
       せつ〜な〜い〜ま〜ばゆ〜さで〜♪
        ∧ ∧ ))        ∧ ∧ )) 
    (( ('(´∀` )     (( ('(´∀` ) 
       ヽ    ちゅ       ヽ    ちゅ
        )  (⌒)) ゛       )  (⌒)) ゛
        (,__,ノ゙´´         (,__,ノ゙´´

がんばれ天満
113Classical名無しさん:05/05/01 19:48 ID:Bx1IUrNY
>109
おつかれ
軍事ネタが書きたかっただけちゃうんかと(ry
114Classical名無しさん:05/05/01 21:07 ID:JrGaX/2M
実弾撃ってくる相手にゴム銃構える痴漢の勇気に乾杯
115Classical名無しさん:05/05/02 01:08 ID:4VmzXmiQ
ちょっと長いかもしれませんが投下します
116風になる:05/05/02 01:10 ID:4VmzXmiQ
 「ヒゲ」
 「あ?」
 
 携帯ゲームをピコピコいじくっていた播磨は声に反応して顔を上げる。
 見ればブロンドが眩しい女生徒が一人、目の前に立っている。
 何やら言い出しにくい様子の彼女――沢近愛理はゆっくりと口を開いた。

 「その、バイクだけど弁償・・・」

 どうやら先日の事故で壊れたバイクを弁償しようという殊勝な心がけらしい。
 実際、何を言われるかヒヤヒヤしていた播磨はほっと胸をなでおろす。
 
 「ああ、いーよ別に。元々買い換えるつもりだったし」

 本来なら弁償金プラス慰謝料でももらうところだが、本気で反省しているような顔をされては男としてそんなことは言えない。
 自分の度量の広さに、心の中で拍手を贈っていると、愛理は一瞬驚いた顔をする。
 予想外の答えだったらしい。
117風になる:05/05/02 01:11 ID:4VmzXmiQ
 「でも・・・思い入れとかあるんじゃ」

 意外と食い下がってくる。
 正直、あのバイクは借り物だったので特に思い入れもない。
 しかし、それを説明すると余計な事まで言ってしまいそうだったので他の言い訳を考える。
 少ない脳みそをフル回転させて、播磨は最高の答えを導きだした。

 「ふっ、俺も進化してもう一段階速くなる段階にあるのサ・・・」

 決まった。
 これ以上ないというぐらい渋い決め台詞に、心の中でガッツポーズをとる。
 尊敬する万石に匹敵するかのようなこの渋さ、と勝手に悦にはいっていると、

 「・・・は?馬鹿じゃないの?」

 あっさり斬り捨てられた。
118風になる:05/05/02 01:13 ID:4VmzXmiQ
 それはもう見事な斬られっぷりに、心の中でふつふつと怒りが込み上げる。

 「じゃかあしい!とにかくいらねえって言ったらいらねえ!そもそも・・・」
 「なに?」

 怒りが沸点に達した播磨が反撃に転じるも、お嬢様の目が冷たい光を放ち播磨を睨み付ける。
 喧嘩では負け知らずの男も、なぜかこの目には抵抗できずにすごすごと白旗をあげる。

 「・・・トイレいってこよーっと」

 腹が立つやら情けないやらで、涙目になりながら席をたつ。
 その手の中ではさっきまでやっていたゲームが粉々になっていた。

 「はあ・・・何でこうなるんだろ」

 そんな播磨の後ろ姿を見送りながら、素直になれない女の子がため息をついていた。
119風になる:05/05/02 01:14 ID:4VmzXmiQ




 「絃子、帰ったぞ」
 「おう、おかえり拳児くん。あ、ついでに冷蔵庫からビール取ってくれ。」

 ここは播磨の住むマンションの一室。
 帰った早々播磨にビールを取るように命令しているのは、ここの主である刑部絃子。
 彼女は播磨の学校の先生なのだが、なぜか生徒である播磨よりも帰宅が早い。

 「は?自分で取れよ。なんでわざわざ俺が・・・」
 「ほう・・・時に拳児くん、私のバイク・・・」
 「ビールだな!すぐに持ってくるぜ!」

 大慌てで言葉を遮り、冷蔵庫へダッシュで向かう。
120風になる:05/05/02 01:16 ID:4VmzXmiQ
 (あ、危ねえ。バイクが壊れたなんてバレたら何されるか)

 今までの経験から従姉弟である絃子(ややこしい)が、バイクの事を知ったらどうするかを播磨は理解している。
 なので、何とかその話題にならないように努力することにした。

 「ほらよ」
 「悪いね。あ、あとツマミ買ってきてくれる?」
 「あ、あのな・・・!」
 「そういえば拳児くん、今日はバイクで登校・・・」
 「分かったぜ!いつものでいいんだな!」

 そう言うか早いか財布を片手に家を飛び出していく。
 それを見送りながら、美人教師はビールをぐいっと飲みながら微笑む。

 「・・・しばらく使えるな」

 もちろんバイクが壊れていることは既にお見通しだったりする。
 絃子はつまみに手を伸ばしながら、播磨をどうやってこき使うかを考えていた。
121風になる:05/05/02 01:17 ID:4VmzXmiQ
 翌日。

 (くそー、このままじゃ体がもたねえ。絃子の野郎、気づいてんじゃねーのか?
どうすっかなー、何とかバイク直さねえと・・・)

 歩いて学校に登校する播磨は苦悩していた。
 昨日はツマミを買って帰ってくるやいなや、

 「肩もめ」
 「風呂掃除」
 「夕飯」

 と、散々にこき使われていた。
 もちろん我慢にも限界があり、言い返そうとすると、

 「バイク・・・」

 ピンポイントで攻撃してくる。
 どう考えてもバレているのだが、思考能力に若干の難がある播磨はそれに気づかない。
122マイケルがハードゲイになる日:05/05/02 01:17 ID:JJt4cuno





 ――おしマイケル――
123風になる:05/05/02 01:18 ID:4VmzXmiQ
 これからどうしようかと頭を悩ませている播磨に後ろから声がかかる。

 「おはよう!播磨君」

 聞き覚えのあるこの声は、愛しい愛しい塚本天満である。
 ただ播磨から一方的に愛しいだけであって、彼女には他に好きな人がいる。
 そんな事は気にせずに、播磨は振り返るとぎこちない笑みを浮かべながら、

 「オ、オウ。オハヨウ」

 手を振り答えるが、その隣にいる金髪を見つけ硬直する。

 「・・・フン」

 愛理はそっけなく目もあわせず、通り過ぎていく。
 播磨は例のごとく、ふつふつと怒りが込み上げるも、
 
 「愛理ちゃん、冷たいよ〜。あ、播磨君急がないと遅刻するよ!」
 
 天満の声に全てを忘れる。
 なかなか都合のいい脳みそを持っているらしく、頭の中は天満のことで一杯になっていた。
 
 (フッ、今日はいい日になりそうだぜ)
 
 悩みも全て吹き飛んだ播磨は、ウキウキしながら始業ベルの鳴る校舎へと急いでいった。
124風になる:05/05/02 01:19 ID:4VmzXmiQ
 昼休み。
 騒がしい教室の中で、頭を抱える馬鹿が一人いる。
 その馬鹿こと播磨は、前の授業で朝のいい気分から急速に現実へと引き戻されていた。

 「じゃあここを、播磨君」
 「播磨君、答えを黒板に書いて」
 「全然違うぞ、播磨君」
 「播磨君、物理に徳川幕府は関係ない」

 なんの陰謀かは知らないが、絃子先生による集中攻撃を受けていた。
 明らかにからかっているとしか思えないが、バイクの件がありサボる事も出来ずに羞恥に耐えつづけていた。
125風になる:05/05/02 01:21 ID:4VmzXmiQ
 (マズイ。やはりどうにかしなくては・・・。でも貯金は新車買うためのやつだし。やっぱお嬢に弁償してもらえばよかったかなー)

 ちらっと愛理のほうを見てみる。
 友人である天満たちと楽しそうに喋っている。
 不意に愛理が播磨の視線に気づいて目が合う。
 播磨は慌てて視線をはずし、窓の外を眺めている振りをしてやりそごそうとする。
 彼女は何か考える素振りをした後、少しためらいながら席を立ち播磨の席の前にやってきた。

 「ヒゲ」
 「・・・何か用か?」

 ただ目が合っただけだが、なぜか播磨は警戒した面持ちで答える。
 愛理はちょっとムッとした表情をするが、すぐに気を取り直し、

 「その、昨日言ってたバイクの事だけど」

 どうやら、まだ弁償の件を気にしているらしい。
 まさに今の播磨には渡りに舟という話であるが、口にでた言葉は、

 「いいって言っただろうが。必要ねえよ」

 本心とは裏腹に、男としての見栄が勝ってしまった。
 そんな男らしい答えに、播磨は内心では悲しみの涙を流していた。
126Classical名無しさん:05/05/02 01:21 ID:blCQOb9E
支援
127風になる:05/05/02 01:22 ID:4VmzXmiQ
 「・・・それじゃ、私の気がすまないのよ。いい?今日の帰りに私についてきなさい」
 「え?いや、だから・・・」
 「そうそう、もうバイクはこっちで預かっているから拒否できないわよ」

 呆然としている播磨を置いて愛理は友人たちのところへ戻る。
 その顔は心なし赤くなっているようにも見えた。


 放課後。
 律儀に言う事を聞いて愛理とともにリムジンに乗り込んだ播磨は、自分が何処に連れて行かれるのかを気にしていた。
 外の景色を見る限り、町にあるバイクの修理屋に行くわけではないらしい。
128風になる:05/05/02 01:23 ID:4VmzXmiQ
 見慣れない景色が続き、徐々に不安になってきた播磨は聞いてみた。

 「お嬢、何処に連れて行くつもりだ」
 「何よ、その言い方は。着けば分かるわよ」
 
 フン、と顔を背ける仕草がなんとも可愛いが、播磨にはそんな事はどうでもいい。
 そんなこんなで、車が停まりドアが開く。

 「到着いたしました」

 車を運転していた執事が愛理の手を引き、車から降ろす。
 播磨もそれに続いて降りると、目の前の光景に固まってしまう。

 「どこの国だ、ここは」
 「何言ってるの。私の家よ、ここ」

 どう見ても大きさがおかしい豪邸を、そこにいる同い年の女子高生が自分の家だという。
 庶民である彼の頭がパニックに陥っていると、執事が中に入るよう促す。

 「どうぞ中へ。私は修理の方をしてくるので終わるまでおくつろぎくださいませ」
129風になる:05/05/02 01:25 ID:4VmzXmiQ
 まだ現実がよく飲み込めない播磨は、応接室のようなところへ通された。
 従姉弟のマンションよりも格段に広い部屋に萎縮してしまい、だされた紅茶にも手をつけずにソファの隅に縮こまっていた。
 膝を抱えながら。

 「・・・なにしてるのよ」

 少しして部屋着に着替えた愛理がやってきた。
 播磨もようやく現実を受け入れはじめ、気を持ち直していた。

 「お、おう。いや、なんでもねえ」

 愛理は播磨の向かいに座ると、メイドを呼び紅茶を持ってこさせる。
 その自然な感じに播磨は敗北感を感じるが、気を取り直して質問した。

 「と、ところでよ、俺のバイクは・・・」
 「さっき中村が言ったでしょ。今修理してるわ」

 中村、という名前を聞き先ほどの執事の顔を思い浮かべる。

 (あのおっさんか・・・)

 彼に任せて大丈夫なのかという疑問も湧くが、なんとなく大丈夫なんだろうと納得してようやく紅茶を飲み始める。
 既に冷めていたが。
130風になる:05/05/02 01:27 ID:4VmzXmiQ
 沈黙が続く。
 播磨としては部屋の中をちらちら見てるだけでも特に退屈しなかったので気にしてなかった。
 しかし、愛理のほうは沈黙に耐え切れず、色々と思いを巡らせる。

 (なんで黙ってるのよ・・・どうしよう、何か話したほうがいいかしら。ええと・・・)

 「ねえ、ヒゲ」
 「あん?」
 「その、八雲と付き合ってるの?」

 播磨が天満の妹である八雲と付き合っているという噂がある。
 いきなりする質問としてはおかしいが、変に緊張しているお嬢様はそれに気づかない。
131風になる:05/05/02 01:28 ID:4VmzXmiQ
 「・・・お嬢」
 「な、なによ?」
 「よく聞いてくれた。俺は妹さんとは付き合ってねえ!色々と事情があってな。ちょっと手伝ってもらってるだけだ」

 ここにも疑問に思わない馬鹿が一人いた。
 逆に突然の質問を、チャンスとばかりに熱弁を振るう。

 「どういうわけか付き合ってるなんて噂になっちまってよ。いやー参っちまったぜ」

 わはは、と笑い声をあげる。
 播磨としては、あわよくば彼女から誤解を解いてもらおうと期待してのことである。
 ただ、その噂自体は実は愛理から発信されたものでもある。

 「ふ、ふーん。まぁあなたじゃ釣り合わないものね・・・」

 憎まれ口を叩きながらも、その顔は赤くなっている。
 自分がその噂の言い出しっぺという事も忘れて、次の質問をする。
132風になる:05/05/02 01:29 ID:4VmzXmiQ
 「じゃあ、その、好きな人とか・・・いるの?」

 二球目もど真ん中の直球を投げる。
 ここにもし第三者がいれば、この質問の流れが何を意味するのかすぐに分かるだろう。
 しかし、この二人ではどちらも気づく気配すらない。

 「そ、そりゃあ、い、い、いるぜ」

 馬鹿は相変わらず気づく様子もなく、にやにやと笑っている。
 頭の中では天満の顔が所狭しと浮かんできているのだろう。

 一方、愛理はさっきまでの表情とは一転して硬いものになっている。

 (やっぱりいるんだ・・・別に全然気にならないけど。全然関係ないもの)

 「それって、同じクラス、とか?」

 全然気にならない人がする質問ではない。
 が、そのことに気づく余裕はどうやら愛理にはないらしい。
 じっと播磨を見つめて答えを待つ。
133風になる:05/05/02 01:31 ID:4VmzXmiQ
 「お?お、あ、まあ・・・でへへ」

 浮かれている播磨は深く考えもせずに答える。
 中学生でもないのに顔を真っ赤にして恥ずかしがる姿は、不良のそれとは思えない。

 そしてもう一人、顔を真っ赤にしている人がいる。

 (そ、それってヒゲの好きな人がうちのクラスってことーーー!?だ、誰かしら・・・全然、一切気にもならないけど・・・・・・)

 軽いパニックになりながら、空になった紅茶のカップを口に運ぶ。
 二人の間に流れる空気はもはや異常ともいえる。
134風になる:05/05/02 01:32 ID:4VmzXmiQ
 流れで言えば次は誰が好きなのかを聞くところだが、流石にそれはマズイと思ったのか愛理は少し違う質問をする。

 「じゃ、じゃあ・・・私とか、は?」

 流れを無視しながらもど真ん中の直球を持ってくるあたり、どれだけ暴走してるかがうかがえる。
 彼女としては軽い気持ちで聞いている感じで言ったつもりだが、その言い方はどう見ても本気である。

 「あ?」
 (お嬢?いや、どうって言われてもなー。正直に言うべきか?うーん・・・よし)
135風になる:05/05/02 01:33 ID:4VmzXmiQ
 「決まってんじゃねえか」
 「え?」
 (それって・・・・・・)

 「俺は」
 「あ、いや」

 「お嬢が」
 「・・・・・・ゴクッ」

 「す・・・」
 「お嬢様」
 「ひゃあ!!?」

 急に現れた執事に愛理はびっくりしてひっくり返ってしまう。
 実際には普通に入ってきただけだが、周囲に気がつかないほどに愛理の意識は一点に集中していた。
136風になる:05/05/02 01:34 ID:4VmzXmiQ
 「大丈夫ですか?お嬢様」
 「・・・ええ」

 中村は手を差し伸べて愛理を助け起こすが、彼女の視線はとても冷たい。
 有能な執事はそれを気にする様子もなく、播磨に向き直り、

 「修理のほうが終わりました。こちらへどうぞ」
 「そうっすか!ありかとうございます!」

 修理が終わったと聞き嬉しそうな播磨を見ると、さっきの言葉の続きは期待できなかった。
 それでも先ほどのどきどきはまだ収まらずに顔は赤くなったままだ。

 (「す・・・」ってなによ!?す、す、すき・・・てこと?ていうか中村、邪魔!もう、なんなのよー!!)

 真実はといえば、あの時播磨は「好きでも嫌いでもない」と言おうとしただけである。
 幸か不幸か微妙なところで遮られてしまった。
137風になる:05/05/02 01:35 ID:4VmzXmiQ
 沢近家ガレージ。
 中央にぴかぴかになった播磨のバイクが置いてある。
 足回りなどもキレイになっており、まるで新品のようだ。

 「す、すげー!ありがとうございます!」

 播磨は何度も中村に頭を下げてお礼を言っていた。
 愛理はそれを見て、ちょっとつまらない感じがしたのでバイクの方に近づく。

 「全く、こんなものドコがいいのかしら。野蛮な乗り物じゃない」

 播磨はそれを聞き、耳をぴくぴく動かす。
 そして彼女の肩を力強く掴み、

 「お嬢」
 「え?あ、ごめ」
 「・・・乗れ」
 「へ?」
138風になる:05/05/02 01:36 ID:4VmzXmiQ
 ポカンとしている愛理にヘルメットを渡し、エンジンをかけハンドルを握る。
 播磨は、バイクを馬鹿にされて頭にきたので、身をもってその素晴らしさを分からせようという思いからきた行動だった。
 しかし、彼女からすれば、

 (何?何なの?これって、ふ、二人のり!?どうして・・・)

 正しく伝わっていないようだ。
 完全に二人の間の理解にすれ違いがおきているが、当事者はこの二人だけなので修正のしようがない。

 一層どきどきがひどくなりながら、愛理はヘルメットを被り播磨の後ろに乗る。
 何も律儀に乗らなくてもいいのだが、この状況で拒否する理由が彼女にない。

 「おい」
 「な、なによ」
 「もっとしっかり掴め。落ちるぞ」

 さりげない優しさを見せる播磨。
 また事故ったらマズイと思っているだけだが、やはり後ろの同乗者には正しく伝わらない。
 自分のことを心配してくれていると信じて疑わない。
 しかも播磨と密着するこの状態に頭も体もパニックになっている。
139風になる:05/05/02 01:37 ID:4VmzXmiQ
 「行くぞ!」

 エンジンの唸りとともに、二人を乗せたバイクは勢いよくガレージから飛び出していった。
 そして、中村はただそれを微笑みながら見送っていた。


 バイクはぐんぐんスピードを上げて風を切っていく。
 播磨は生き返ったこのマシンに満足そうな顔を浮かべている。
 それに引き換え愛理のほうは目をつぶって播磨にしがみついていた。

 「どうよ!気持ちいいだろうが!!」
 「ふ、ふざけないでよ!!怖くて目も開けられないんだから!!」

 さっきまでのどきどきは、今間違いなく恐怖からくる胸の高鳴りへと変貌していた。
 こんな風に引っ張り出してきた播磨を恨みがましく思っているところへ、

 「お嬢!左!左のほう見ろ!!海だ!!」
140風になる:05/05/02 01:39 ID:4VmzXmiQ
 つい声につられて目を開け、思わず息をのむ。
 そこには見たこともない光景が広がっていた。
 いつも車の中から見ていた景色が、全然違って見える。
 夕日が空と海を真っ赤に染めている。
 特別なものはどこにも見当たらない。
 見たことがあるはずなのに、見たことがないような感覚が愛理を襲う。

 「・・・綺麗」
 「どーよ!凄いだろうが!わーっはっはっは!!」

 後ろから微かに聞こえた言葉から、この景色に感動しているのだと判断し播磨は嬉しそうにはしゃぐ。。

 二人はそのまま海岸近くにバイクを停めて、夕陽を見ながら一服することにした。
 播磨が自販機でお茶を買ってくると、愛理がボーっと夕日を眺めている。
141風になる:05/05/02 01:40 ID:4VmzXmiQ
 「ほれ」
 「あ、ありがと」

 缶を渡されて、恥ずかしがりながらも礼を言う。
 二人とも黙ったままお茶を飲んでいたが、播磨が口を開く。

 「どーよ?いいもんだろうが?」
 「・・・まあまあ、ね」

 強がり言いやがって、とボヤキながら播磨は心の中で勝利の雄叫びをあげる。
 事実、愛理は播磨の後ろでみた夕日に心を奪われていた。
 でも、今見える景色にはさっき程の感動はない。

 ふと愛理が播磨の方をみると、驚きの光景が見えた。
 播磨がサングラスをはずして夕日を見ている。
 別に驚くほどのことではないが、この男に限っては違った。
 いつもは絶対にはずさないサングラスをはずしている。
 いや、驚くべきはその瞳だった。
 力強い意志をもった瞳が、夕日の燃えるような赤色を反射させている。
142風になる:05/05/02 01:43 ID:4VmzXmiQ
 「・・・綺麗」
 「何二回も言ってんだよ」

 播磨は見られていることに気づかずにサングラスをかけ直す。
 はずしたのは、せっかくの夕日を生で見たかっただけで他意はなかった。

 「さて帰るか。調子に乗って飛ばしすぎたぜ」

 そういって播磨はバイクの方へ戻っていく。
 愛理が来る気配がないので、播磨が振り返って呼びかける。

 「おい、さっさと帰・・・・・・」

 播磨は振り返って見た景色に言葉を失う。
 愛理はじっと播磨のほうを見ていた。
 その後ろには夕日が赤々と燃えている。
 夕陽を浴びた金髪の髪はみたこともない程美しい色を放ち、潤んだ瞳で播磨の方を見る愛理はまるで神話に出てくる女神のようだ。
143風になる:05/05/02 01:44 ID:4VmzXmiQ
 (すげえ・・・)

 両者とも互いの目を見つめたまま動こうとしない。
 二人の間の時が止まったようだった。
 そしてそのまま二人は・・・・・・日が落ちるまで見つめあったまま立っていた。

 「「はっくしゅ!!」」
144風になる:05/05/02 01:45 ID:4VmzXmiQ
 翌日の放課後。

 「沢近、帰ろうぜ」

 友人の周防美琴が愛理に声をかけてくる。
 しかし、愛理は少し考えてから、

 「ごめん、今日はちょっと用事があって…先に帰るわね」
 「用事?何だ、またデートか〜?」
 「愛理ちゃん、どうしたの?」
 「違うわよ。ちょっとね」
 
 じゃあ、と言い残して理由を告げずに教室から出て行った。
145風になる:05/05/02 01:45 ID:4VmzXmiQ
 後に残された友人たちは、その挙動を不審に思う。
 
 「何か変じゃねえか?沢近のやつ」
 「いつもならデートだってちゃんと言うのにね!」
 「愛理も年頃だからね」
 「「はあ・・・・・・?」」
 
 そんなやりとりがあるとは知らずに愛理は、ある場所へ向かっていた。
 帰宅していく生徒たちから、やや離れたところに停まっている一台のバイク。
 そして、
 
 「ヒゲ」
 「おわ!?」
 
 播磨が丁度エンジンをかけ、帰ろうとしているところだった。
146風になる:05/05/02 01:46 ID:4VmzXmiQ
 声をかけたものの、続きを言えないでいる愛理。
 声をかけられて、何の用があるのかと警戒する播磨。
 そして二人とも昨日のことがあって、どこか恥ずかしい。
 
 「…なんだよ?これから帰るんだよ」
 「……」
 
 愛理は無言で近づいていくと、バイクの後ろに乗りヘルメットを被る。
 播磨は頭に?マークが浮かんでしまう。
 
 「え?いや、だから帰」
 「乗せてってよ、家まで」
 
 顔を真っ赤にしながら、強気に言葉を返す。
 本当はもっと自然な感じで切り出すつもりだったが、恥ずかしさと緊張の余り大胆な行動に出てしまっている。
147風になる:05/05/02 01:47 ID:4VmzXmiQ
 無論、播磨はそんな様子には全く気づくこともなく声を荒げる。

 「アホか!なんで俺がお嬢を送らなきゃならんのだ!車で帰れ、車で!」

 しかし、愛理は動こうともせずに目を逸らしながら言う。

 「あら、今日は迎えにこないのよ。電話してキャンセルしちゃったから」
 「だから知ら…」
 「バイク」
 「あ?」
 「バイク、まあまあ気に入っちゃったから・・・うちにはないんだからヒゲに乗せてもらうしかないじゃない。・・・・・・私だって本当は嫌なのよ!」
 「いや、だったら」
 「あーもう!男だったらうじうじ言わないの!早くしないと天満達に見つかっちゃうでしょ!?」
148風になる:05/05/02 01:48 ID:4VmzXmiQ
 躊躇っている播磨に、とうとうイライラが爆発してしまう。
 しかし、播磨は最後の言葉が言い終わらないうちにバイクに跨る。

 「飛ばすぞ、しっかり掴まってろ」
 「へ?きゃっ」

 言うが早いか一気にアクセルを開けバイクを発進させる。
 先ほどまでの態度と違う様に愛理は疑問に思うが、結果オーライだったので気にしないことにした。

 (危ねえ・・・・・・天満ちゃんに見つかったらマズイだろ)

 もちろん播磨は「天満」というキーワードに反応してこの様な行動を取っている。
 そんな事を知る由もない後ろの少女は、しっかりと播磨に掴まって考えていた。

 (何やってるのかしら私。この馬鹿は頭は悪いし、学も品もないし、男としてというか人として最低なんだから別にそういう目的でないことは確かなんだけど)

 ヘルメットの中から播磨の背中を見つめる。

 (そりゃあ、ちょっと優しいかもしれないけど、ちょっと背中広くて温かいけど・・・・・・別に、ねえ?)
149風になる:05/05/02 01:49 ID:4VmzXmiQ
 「何ぶつぶつ言ってんだ!?」
 「な、なんでもないわよ!」

 どうやら途中から口に出ていたらしい。
 聞こえていない事に安心しつつ、掴まる力を強める。

 「ヒゲ!また海行きたい!」
 「ふ、ふざけんな!これ以上わがまま・・・」
 「大声だすわよ!」
 「・・・・・・く、くっそーー!!」

 播磨は涙目になりながら、後ろから聞こえる声に逆らえない自分の性格を呪った。
 そして「今日だけだ、今日だけだ」と自分に言い聞かして、海へと向かう。
 そんな播磨の様子に気づき、愛理はクスッと笑った。
150風になる:05/05/02 01:49 ID:4VmzXmiQ
 (面白いかもね。別に付き合う気なんてないけど、でも・・・)

 彼女は考えるのをやめた。
 考えないで接してみようと決めた。
 その結果がどうなるかは予想もできないが、きっと楽しいと分かるから。

 今はもう怖くもなんともないバイクの後部席で、愛理は自分が風になるのを感じていた。
 しっかりと、父親のように広い背中にしがみつきながら・・・・・・
151風になる:05/05/02 01:50 ID:4VmzXmiQ
 「中村?」

 なんですか、お嬢様?

 「何さっきからぶつぶつ言ってるの?」

 なんでもございません。それよりお嬢様、何かよいことでも?

 「別にないわよ。あ、それと明日も迎えはいいわ」

 かしこまりました。お嬢様・・・・・・


    FIN
152Classical名無しさん:05/05/02 01:52 ID:DQ8FLwKQ
良かったよん。
沢近のDQN具合がよくでてる。
153Classical名無しさん:05/05/02 01:53 ID:4VmzXmiQ
以上でした。
S3と迷いましたが、感想や批評が欲しいのでこちらに。
向こうにも一つ長編書いてますが、感想がないからやる気おきません(笑)
 
それではお粗末でした・・・
154Classical名無しさん:05/05/02 02:01 ID:Hr.9cEkY
GJ!
いいねえ。やっぱお嬢はツンデレっぷりがイイな。
GWの谷間におおいに和ませてもらいますた。
155Classical名無しさん:05/05/02 02:12 ID:lydgX9sc
GJ!
海のシーンで、播磨がお嬢を長い時間凝視するかどうかは疑問だが…余り不自然な感じがしない。
中村が良い味出してるよ。
ある意味ネ申だね。
別のキャラでのSSもキボン。
156Classical名無しさん:05/05/02 02:35 ID:L5LEquIw
核心に触れそうで触れないって感じのところが自分は良いと思いました
GJ!
157Classical名無しさん:05/05/02 03:30 ID:PYCwahWE
GJ
あまり不満はないが強いて挙げるなら播磨がとる行動の動機についての説明が不足気味かも。
そのせいか播磨の行動に説得力がないっつうかちょっと唐突な印象を受けた。
まあ原作もそうだからあんま気にしなくてもいいんだろうけど強いて挙げるならって事で。
それよりも、バイクで海へ→夕日を見る→ジュースを買って戻って来る途中で沢近に見惚れる
播磨って流れはどっかで見たことあるんだが・・・。
偶然だったらすまん。
158Classical名無しさん:05/05/02 03:43 ID:uphelX2M
>なんで俺がお嬢を送らなきゃならんのだ!

>夕陽を浴びた金髪の髪はみたこともない程美しい色を放ち、
>潤んだ瞳で播磨の方を見る愛理はまるで神話に出てくる女神のようだ。

…と・・・が混在している。

この辺がちょっと気になった。
あと、日が落ちるまで見詰め合う場面もちょっとやり過ぎに感じた。
キャラのらしさが出ていて面白かった。
ラストの中村のオチは笑った。
159Classical名無しさん:05/05/02 04:23 ID:b2LLmg6E
中村オチはどこを笑えばいいんだ?
160Classical名無しさん:05/05/02 06:00 ID:IBmJXlEA
  ,:':´ ̄`ヽ
  i: .レリリリリ)   
⌒゚i::::リTヮTリ゚⌒
私だって時にはS3やIFスレで
シリアス系やラブラブ系の長編SSで主役にされたいと思うときもあるよ。
でも、それは望まないんだ。悔しい気もするけど。
みんなが私に求めているのは、そんな役じゃないから。
私の役目は「ピコピコ」だけでいいんだ。
それがマスコットキャラとしての私の誇りであり、
私のすべてなんだ。それでいいんだ。
161Classical名無しさん:05/05/02 10:52 ID:2SkuFH1I
大抵のSSが播磨→天満を黒歴史(なかったこと?)にしてるのは何故ですか
162Classical名無しさん:05/05/02 11:20 ID:blCQOb9E
>>159
地の文がナカムラのナレーションでした、ってところじゃないかな。
ちょっとおもしろかった。
163Classical名無しさん:05/05/02 11:27 ID:52jAIyq.
播天中心でSS作っても成立は期待できんぞ
播磨が振られるのが見たいなら他の派閥のSSでも代用可能だし
天満メインが見たいなら別だが
164Classical名無しさん:05/05/02 12:31 ID:HkHZryQQ
いったい今までSS中で何回天満に振られたんだろ播磨…
不幸な男だw
165Classical名無しさん:05/05/02 14:26 ID:IBRfu6eo
播磨→天満はスープの出汁のようなモノ
土台として存在はしていても、具として表面に出す必要はない
166Classical名無しさん:05/05/02 16:43 ID:VNCVDx2E
>>160
>>161
いつもの人乙
167播磨☆チャット道:05/05/02 20:58 ID:9WMTUGi6
SS投下します。ちょっと話が長いので、スルーしてもらってもかまいません。
タイトルは、「播磨☆チャット道」です
168播磨☆チャット道:05/05/02 20:59 ID:9WMTUGi6

「えっと・・・・なんでお前がここにいんだ?」
「それはこっちのセリフよ」

矢神公園の噴水で立っている二人の男女。沢近愛理と播磨拳児。



なぜこのような状況になったかというと、話はさかのぼること24時間前────




「──こ、これを俺に?」
「うん!播磨君にどうしても見てもらいたくって!」

 て、天満ちゃんから俺に手紙!?そ、それってもしかして、天満ちゃんからのラブレター!?
 そうか!とうとう天満ちゃんも俺の気持ちに気づいてくれたのか!よし、男、播磨拳児!
今こそ彼女の気持ちを受け取ってやるぜ!!

「つ、塚本!じ、実は俺も・・・」
「じゃあこれ、私のホームページのアドレス!播磨君も絶対来てね!」
169播磨☆チャット道:05/05/02 20:59 ID:9WMTUGi6
 ほ、ホームページのアドレス?な、なんだそりゃ?直訳すると家の住所?天満ちゃんの家の住所
なんてだいぶ前から知ってるのに、今更何でそんなものを・・・?

「な、なんだそりゃ?」
「私ね、この前懸賞で応募したら、なんと!パソコンが当たったんだ!」
「へ、へぇ。そ、そりゃ良かったな。」

 パソコン?なんだそりゃ?食べ物か何かか?さっぱりわからねぇ!

「でね、そのパソコンで、八雲に教えてもらって私のホームページ作ったの!」
「そ、そうか。」
「それで今日、愛理ちゃんたちと私のホームページにあるチャットで話し合おうってことになったんだけどね?」
「ちゃ、チャット?」
「しらないの播磨君?チャットってのは、みんなでインターネットで話し合えるものなんだよ?」
「そ、そんなの常識だぜ!しらねぇわけねぇだろ!!」
「そっか、よかったぁ!だから播磨くんも誘おうと思ったんだけど、播磨君パソコン持ってる?」
「え!?も、持ってるに決まってんじゃねぇか!」
「じゃあ決定だね!今日の夜の八時にするってことになってるから、忘れないでね!」
「お、おう。任せとけ!」
「じゃあ今日の夜、チャットでね、播磨君!」
170播磨☆チャット道:05/05/02 21:00 ID:9WMTUGi6

 お、おう・・・・、っていっちまった・・・・。
なんだか勢い任せにいっちまったが、なんか大変なことになってきたような・・・。
とりあえず、この天満ちゃんからもらった紙にはなんて書いてあるんだ?


「えっと・・・えいちてぃーてぃーぴーだぶりゅーだぶりゅーだびりゅーよこぼうよこぼうてんまねっとえぬいーじぇーぴー・・・」


 ・・・さっぱりわかんねぇ、何かの暗号かこりゃ?これがちゃっとってやつに必要なのか?
と、とりあえず、インターネットにホームページにパソコンとこの暗号みたいなやつ、
天満ちゃんとチャットってやつをするのに必要なものはわかった。
あとは絃子にでも聞けばわかるはずだぜ。今の時間ならもうあいつ、家に帰ってるはずだから
今から速攻で帰って聞き出すか。


ギャギャギャギャ!ブオーーン!!


バタン!!!


「おぅ、拳児君じゃないか?今日は早・・・」
「チャットだ!!」
「・・・は?」
「絃子、パソコンってやつもってないのか!?」
「ぱ、パソコンか?パソコンなら、借り物のやつが机の上にあるが?」
171播磨☆チャット道:05/05/02 21:01 ID:9WMTUGi6
「それっていんたーねっとってできんのか!?」
「あぁ、無線LANが内蔵だから、でいつでも高速インターネットができるぞ?、っていきなりどうしたんだい?」

 パソコンにインターネット!よし、条件は揃った!!

「すまねぇけど、今日だけパソコン貸しといてくれ!」
「それはいいが、使い方わかるのか?」
「あぁ!野生の感ですぐわかる!!」



 ・・・行ってしまった。しかしどうしたんだ、いきなりチャットがしたいなど。
それより、さっき拳児君、野生の感とか言っていたな。・・・野生の感?感だよりってことは、もしかして・・・・


ドガシャーン!!!


 ・・・どうやら私の感のほうが当たってたようだ。


「け、拳児君!?」


 そこには、真っ黒になった彼と、まっぷたつに割れた借り物のノートパソコンがあった。
172播磨☆チャット道:05/05/02 21:02 ID:9WMTUGi6

「き、キミはいったい何をしようとしたんだね?」
「いや、スイッチ入れようとしたら、どこにもねぇから叩きまくってたうちに、煙あげてボンって・・・」



パパパパパパパパパパパパーン!!



「・・・なるほど、塚本さんとチャットをする約束をして、彼女と今夜チャットがしたい
から、パソコンを使いたいわけか。
「・・・そうだよ。」
「それで、使い方もしらないで、私の借りてきたノートパソコンを、あげくのはてに爆発させ、
たたき壊した。」
「う・・・、そ、そうだよ。」
「まぁ、壊れたノートパソコンの代金、18万はキミが弁償するからいいとして。」
「じゅ、18万!?あの不良品、そんなにすんのか!?」

パーン!

「痛ぅ!!な、なにしやがんだよ!?」
「まぁそんなことより、キミは塚本さんとチャットがしたいんだろ?」
「おう、そうだよ。」
「だが、その前に、キミにはチャットをする以前に重大な問題がある。」
「何だよ?その問題って?」
「キミはひょっとして、パソコンを今まで使ったことがないのか?」
「ああ!まったくねぇ!てかパソコンって何だ?」
173播磨☆チャット道:05/05/02 21:03 ID:9WMTUGi6

 ・・・なんだよ、その時代に取り残された哀れな猿を見るような冷たい目は!?


「はぁ・・・。拳児君、キミはチャットをする以前に、根本的な問題から解決しなければいけないようだな。」
「根本的な問題?」
「まずはそれを読みたまえ、これの意味を全部理解できたら、私のパソコンを貸してあげよう。」


 ん、なんだこのとてつもなく分厚い本は?何々、「windowsの初心者講座」?なんだこりゃ?


「おい絃子?なんだ、うぃんどーずってのは?うまいのか?」


スパーン!(本日三発目)


「まったく・・・。キミは本当にすごい人間だな、この時代にwindowsも知らないのか?」
「バカにすんじゃねぇ!!俺だってwindowsぐらいしってらぁ!」
「ほう、じゃあ聞かせてもらおうか?」
「簡単だぜ、windowsってのはな、英語で窓って・・・」


スパーン!(四発目)


「い、痛ぇ!!」
「もういい、キミの答えに期待した私がバカだった。早くその本を読んで勉強したまえ。」

174播磨☆チャット道:05/05/02 21:03 ID:9WMTUGi6
 まったく、何しやがんだ。売れ残りの分際で・・・ブツブツ

スパーン!(五発目)


「何か言ったかね?」
「い、いえ・・・ナンデモゴザイマセン」


 くそっ、絃子の野郎、いつか絶対ぶっころしてやるからな・・・。
えっと・・・何々、マウスを動かして、スタートボタンを押します・・・。


「あー!!!こんなんやってたら一生かかっても天満ちゃんとチャットできねぇよ!!
こうなったら、ちょっと気に入らねぇが・・・。」


キィ・・・・


「どうした拳児君?もう読み終わったのか?」
「絃子さん、お願いがあります。」
「なんだ、めずらしく「さん」づけで?」
「頼む!!俺にパソコンの使い方を教えてくれ!!」

 拳児君、キミはこの私に土下座までしてチャットをしたいのかね・・・。

「・・・わかった。この私に任せたまえ。」
「ほ、本当か!?」
175播磨☆チャット道:05/05/02 21:04 ID:9WMTUGi6
「ほ、本当か!?」
「ただし、無料では教えれない。授業料として、時給一万円もらおうか。」
「い、一万!?高すぎやねぇか!?」
「そうか、せっかく私が教えてやろうと思ったのに、塚本さんと
チャットができなくて残念なことだなぁ」
「く、くそぉ・・・人の足下ばっか見やがって・・・」
「ふふふ、交渉成立だな、拳児君?」
「ちっ・・・わかったよ。」
「時間まではたっぷりとある、じゃあ早速はじめようか?」



───こうして、私と拳児くんとの、壮絶なる戦いが始まった───
       だが、彼の機械音痴は予想以上に酷かった。



おい、「ヤホー」ってやつがでたんだけど、同じように叫べばいいのか?やほ・・・


スパーン!


おい、「ゴーグル」って(ry


スパーン!
176播磨☆チャット道:05/05/02 21:05 ID:9WMTUGi6

おい、「て」って文字を入れようとしたらWがでたぞ?壊れてんじゃねぇのかこれ?


スパーン!


うわぁ!!なんか変なの押したら、緑色の顔がぶわーって出てきてうごかねぇぞ!?


スパーン!


「○○日までに、使用料金50000円を講座に払ってください。貴方の住所は
IPによってわかっています。」・・。や、やべぇよ絃子!?俺五万なんてもって・・・


スパーン!




「──よし、文字を打つことができれば十分だ。」
「そ、そうか。こ、これでやっと天満ちゃんと・・・」

 彼の体には、私がモデルガンで撃った弾の後が無数にある。
 彼に教えるのに費やした時間の、ほぼ八割は文字を打たせるのに費やしてしまった、しかもひらがなで。
というかキミは、ローマ字というものもしらなかったのか、よく高校を受かったな。

177播磨☆チャット道:05/05/02 21:06 ID:9WMTUGi6

「あとは、その紙に書かれたアドレスを打ち込めば、OKだよ。」
「よっしゃ!じゃああとは俺一人で出来るから、絃子はあっちにいってくれ!」
「くれぐれも、壊すんじゃないぞ?それは仕事用なんだからな。」
「わかってるわかってる!まかせとけ!」

 そう言うと、彼は自信満々に私のノートパソコンを持って、自室にこもる。
まったく、彼の機械音痴には困ったものだな、おかげで目が充血してしまったよ・・・。


カタカタカタ......

「てんまねっとえどっとえぬいーどっとじぇーぴー、っと。」

 ったく、チャットをするだけで三万(絃子から習った授業料)も取られるなんて思いもしなかったぜ・・・。
だが、天満ちゃんとチャットできるなら、三万なんて安いもんだぜ!


カリカリ......


「おー、出た出た・・・」

 うひょー、天満ちゃんのホームページ、やっぱかわえぇ・・・・。
クマのアイコンにハートで飾られているタイトル・・・流石は俺の見込んだ(?)女だぜ!!

「なんて感想はおいといて、えっと、チャット部屋ってやつはどれだ・・?」

 ん?「天満のチャット部屋」、もしかしてこれか?よし、クリックっと。
178播磨☆チャット道:05/05/02 21:07 ID:9WMTUGi6

カチッ


───────────────────────────
現在の参加者<0人
               ______
あなたのハンドルネーム|______|

───────────────────────────


「なんだよ、参加者ゼロ人じゃねぇか・・・・。」

 パソコンの右下にある時計を見ると、時間はまだ7時55分だ。
約束の時間まであと五分はある。

「なんか早く来すぎたみてーだな。まぁさきにまっとくか。」

 ・・・ところでハンドルネームってなんだ?車についてるアレか?
 ネームってついてっからきっと名前のことだよな?

「じゃあ俺は・・・ハリケン、でいっか。」


カタカタ.....
179播磨☆チャット道:05/05/02 21:07 ID:9WMTUGi6

───────────────────────────
現在の参加者<0人
               ______
あなたのハンドルネーム|はりけん   |
               ──────
───────────────────────────

 あれ、カタカナにならねぇ?まぁいっか。えんたーっと。


カタッ!

───────────────────────────
現在の参加者<1人
───────────────────────────
>7時55分はりけんが入室しました。



───────────────────────────


「あとはまつだけか・・・。早くこねーかな、天満ちゃん。」


 そして、待ち続けて五分。時刻は8時ちょうどになった。
さて、そろそろ誰か来た頃だろう。
180播磨☆チャット道:05/05/02 21:09 ID:9WMTUGi6
「おっ?誰かきたみてーだな?」

───────────────────────────
現在の参加者<2人
───────────────────────────
>8時00時 Love Reasonが入室しました。
>7時55分 はりけんが入室しました。



───────────────────────────


 ラブれあそん?誰だそりゃ?聞いたことねぇぞ?
いやまてよ、ラブって英語で書かれてるんだから、これはもしかして、
天満ちゃんじゃねぇのか!?いや、きっとそうだ!!とりあえず話しかけないと・・・。


カタカタ.....

───────────────────────────
現在の参加者<2人
───────────────────────────
はりけん<6f94bxejr
>8時00時 Love Reasonが入室しました。
>7時55分 はりけんが入室しました。


───────────────────────────
181播磨☆チャット道:05/05/02 21:10 ID:9WMTUGi6
ああ!!日本語にすんの忘れてた!しかも夜だから
おはようございます、じゃねぇし!!!これじゃ意味不明なことを
言ってるただのバカじゃねぇか!はやく訂正しねぇと!!

───────────────────────────
現在の参加者<2人
───────────────────────────
はりけん<こんばんみ
はりけん<6f94bxejr
>8時00時 Love Reasonが入室しました。
>7時55分 はりけんが入室しました。


───────────────────────────

 またやってしもぉぅたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
なんだよこんばんみ、って!これじゃ恥さらしだぜ・・・あぁ、きっと
天満ちゃん、おかしいやつって思ってるんだろうな・・・・。


パッ

───────────────────────────
現在の参加者<2人
───────────────────────────
Love Reason<おもしろい人ですね(笑)
はりけん<こんばんみ
はりけん<6f94bxejr
>8時00時 Love Reasonが入室しました。
>7時55分 はりけんが入室しました。

───────────────────────────
182播磨☆チャット道:05/05/02 21:11 ID:9WMTUGi6
 かぁー、やっぱ笑われたじゃねぇかよ!俺の馬鹿野郎!!
ん、いやまてよ?おもしろいひとですね、ってことは、俺のことを
好印象に思ってるってことじゃねぇのか?なるほど、俺を傷つけないように、
わざわざそんなことを書いてくれたんだな、天満ちゃん・・・、流石だぜ・・・。

カタカタ....

───────────────────────────
現在の参加者<2人
───────────────────────────
はりけん<おほめのことばありがとうございます
Love Reason<おもしろい人ですね(笑)
はりけん<こんばんみ
はりけん<6f94bxejr
>8時00時 Love Reasonが入室しました。
───────────────────────────

パッ

───────────────────────────
現在の参加者<2人
───────────────────────────
Love Reason<別に褒めたつもりじゃ・・・(笑)他の人きませんね?
はりけん<おほめのことばありがとうございます
Love Reason<おもしろい人ですね(笑)
はりけん<こんばんみ
はりけん<6f94bxejr
>8時00時 Love Reasonが入室しました。
───────────────────────────
183播磨☆チャット道:05/05/02 21:12 ID:9WMTUGi6
 そういやそうだな、もう八時すぎてんのに、俺と天満ちゃんだけとは・・・。
できればこのまま二人でいたいんだけどなー。誰もくんなよー。


カタカタ.....

───────────────────────────
現在の参加者<2人
───────────────────────────
はりけん<おれはきみといっしょにいれればだれもひつようないぜ
Love Reason<別に褒めたつもりじゃ・・・(笑)他の人きませんね?
はりけん<おほめのことばありがとうございます
Love Reason<おもしろい人ですね(笑)
はりけん<こんばんみ
はりけん<6f94bxejr

───────────────────────────


 んー、我ながらくさい言葉だぜ。これなら天満ちゃんのハートも一撃だぜ!


パッ

184播磨☆チャット道:05/05/02 21:13 ID:9WMTUGi6

───────────────────────────
現在の参加者<2人
───────────────────────────
Love Reason<え、それってどういう意味?(?_?)
はりけん<おれはきみといっしょにいれればだれもひつようないぜ
Love Reason<別に褒めたつもりじゃ・・・(笑)他の人きませんね?
はりけん<おほめのことばありがとうございます
Love Reason<おもしろい人ですね(笑)
はりけん<こんばんみ

───────────────────────────


 おっ!どうやら手応えありってやつか?よし、このまま良いムードに
もっていくぜ!!


カタカタ....

───────────────────────────
現在の参加者<2人
───────────────────────────
はりけん<おれはまえからきみのことしかあたまになかったんだ
Love Reason<え、それってどういう意味?(?_?)
はりけん<おれはきみといっしょにいれればだれもひつようないぜ
Love Reason<別に褒めたつもりじゃ・・・(笑)他の人きませんね?
はりけん<おほめのことばありがとうございます
Love Reason<おもしろい人ですね(笑)

───────────────────────────
185播磨☆チャット道:05/05/02 21:15 ID:9WMTUGi6
パッ

───────────────────────────
現在の参加者<2人
───────────────────────────
Love Reason<い、いきなりそんなこと言われても・・・(////)
はりけん<おれはまえからきみのことしかあたまになかったんだ
Love Reason<え、それってどういう意味?(?_?)
はりけん<おれはきみといっしょにいれればだれもひつようないぜ
Love Reason<別に褒めたつもりじゃ・・・(笑)他の人きませんね?
はりけん<おほめのことばありがとうございます

───────────────────────────

 よし!!だいぶ戸惑ってるな?顔が赤くなった天満ちゃん・・・はぁh(ry
このまま、天満ちゃんに思いを伝えるぜ!!!


 カタカタ.....

───────────────────────────
現在の参加者<2人
───────────────────────────
はりけん<おれは・・・きみのことがすきだ!!!!
Love Reason<い、いきなりそんなこと言われても・・・(////)
はりけん<おれはまえからきみのことしかあたまになかったんだ
Love Reason<え、それってどういう意味?(?_?)
はりけん<おれはきみといっしょにいれればだれもひつようないぜ
Love Reason<別に褒めたつもりじゃ・・・(笑)他の人きませんね?

───────────────────────────
186播磨☆チャット道:05/05/02 21:16 ID:9WMTUGi6
 頼む、「私も・・・前から貴方のことが・・・」とか書いてくれ、天満ちゃん!!!!


パッ


───────────────────────────
現在の参加者<2人
───────────────────────────
Love Reason<そ、それに、お互いに誰だってわからないし・・・
Love Reason<ちょ、ちょっとまって、わ、私だって心の準備が・・・
はりけん<おれは・・・きみのことが、すきだ!!!!
Love Reason<い、いきなりそんなこと言われても・・・(////)
はりけん<おれはまえからきみのことしかあたまになかったんだ
Love Reason<え、それってどういう意味?(?_?)

───────────────────────────



 お互いのことがわからない?いや、天満ちゃんのことだ。きっといきなりの
俺からの告白に照れて、とぼけてるんだな?かー、かわいすぎだぜー!
なら、天満ちゃんの気持ちを気遣ってやんねーとな・・・。


カタカタ.....

187播磨☆チャット道:05/05/02 21:16 ID:9WMTUGi6
───────────────────────────
現在の参加者<2人
───────────────────────────
はりけん<なら、あしたの10じに、やがみこうえんのふんすいのまえでまっている。そのときに
       きみのへんじをききたい。
Love Reason<そ、それに、お互いに誰だってわからないし・・・
Love Reason<ちょ、ちょっとまって、わ、私だって心の準備が・・・
はりけん<おれは・・・きみのことが、すきだ!!!!
Love Reason<い、いきなりそんなこと言われても・・・(////)

───────────────────────────


 つ、ついに書いたぞ!!天満ちゃん、なんて答えるんだ!?



 ブツン!


「・・・・あれ?」


 なんだ、いきなり切れやがったぞ?おいおい、まだ天満ちゃんからの返事聞いてねぇぞ!?
おいこら、もう一度つきやがれ!!この不良品が!!!


 バキッ!!!


188播磨☆チャット道:05/05/02 21:17 ID:9WMTUGi6
(そういえば、明日のプレゼンテーションで必要な資料を書き忘れていたな。
そろそろ拳児君も、チャットを満喫できたころだろう。返してもらうか。)


ガチャ


「おーい、拳児君、そろそろパソコンを・・・・?」


 !!!


「・・・一つ聞きたい拳児君。その、キミの手にある、元は一つだっただろう
二つに割れたものは何だ?」
「・・・絃子さんから借りたノートパ・・・」



 
パパパパパパパパパパパパーン!!
189播磨☆チャット道:05/05/02 21:17 ID:9WMTUGi6


────────────────

        請求書

 学校の備品であるノートパソコン
         代金 180000円

 刑部絃子のノートパソコン
         代金 320000円

          計 500000円

  私、播磨拳児はこの金額を、一ヶ月以内
     に払うことを誓います。
                  
                播磨拳児◎
────────────────


190播磨☆チャット道:05/05/02 21:19 ID:9WMTUGi6
─── 一方某豪邸では ────

(・・・何よこいつ、いきなりこの私に告って、しかも返事を聞かずに落ちるなんて・・・)

「でも、何かこいつ、知ってるような気がするんだけど・・・。気のせいかしら?」


 中村ー、明日は出かけるから着替えを用意しておいて。

 どこかへお出かけになられるのですか、お嬢様?

 えっ?ちょ、ちょっとね・・・。



───そして次の日の朝。


 んー、なんて清々しい天気なんだ。これなら、天満ちゃんと会う絶好の日だぜ!


「拳児君、なんか今日は気合いが入ってるな?誰かとデートでもするのかい?」
「そ、そんなんじゃねぇよ!ちょっと用事があるだけだ!」
「ふーん・・・。ならいいんだがね。」
「そうそう、絃子はいつも通り家でごろごろと・・・」
「弁償代・・・」
「い、絃子様は、今日も家で平和に過ごしていればよいと思います!!」
「そうか、なら今日も平和に過ごさせてもらおうか」
191播磨☆チャット道:05/05/02 21:20 ID:9WMTUGi6
 ちくしょー、絃子のやつ・・・、俺の今月の財布きついこと知ってて五十万も
請求しやがって・・・。だが、それと引き替えに手に入れた、人生最大のチャンスがある!
天満ちゃんと付き合えるなら、五十万なんて安いもんだ!!


「じゃあ絃子、ちょっと出かけてくるぜ。あと、今日の夜は遅くなると思うから、飯は自分で作ってくれ。」
「わかった。気を付けていくがいい。」
「あぁ、じゃあ後は頼むぜ」


 ギャギャギャギャ!!!ブオーン!!!



「ふう・・・。我ながら緊張するぜ・・・」


 時刻は10時少し前、天満ちゃんとの約束の時間は十時だ。
少し早めにきちまったかな?

「しかし、この展開、どこかであったような・・・デジャヴってやつか?」

 ・・・まさかな、そんなわけあるはずねぇよな。それより、天満ちゃんは・・・。
192播磨☆チャット道:05/05/02 21:20 ID:9WMTUGi6
「あっ!!あ、あの噴水の前に立っている少女は・・・」

 光が逆境して、姿がよく見えんが、両髪を結んでるのはなんとか確認できた。

「あの髪型、もしや天満ちゃん!?」

 俺は足を進めようとする。が、何故か俺の野生の感か、足が動かない。
おかしい、前にもあの姿を見たような気がする。気のせいか?そのせいで前に酷い目に
あったような気がする。しかしここまで来て、引き返すことなんてできねぇ。!

「よし・・・。天満ちゃーん!!好きだぁぁ!!!」

 俺は勇気を振り絞って、彼女の元へ走り、後ろから抱きついた。
これで俺の長い、彼女への思いが終わりを告げる。はずだった。

「ヒゲ!?」



 !!!!!!




「えっと・・・・、なんでお前がここにいんだ?」
「・・・それはこっちのセリフよ」
193播磨☆チャット道:05/05/02 21:22 ID:9WMTUGi6
 おかしい、この状況はなんなんだ?
俺はどこで道を誤ったんだ?なんでお嬢がここに?
本来ならここには、俺と天満ちゃんがいて、それでハッピーエンドが・・・。


「もしかして、昨日のはりけんって・・・あんた?」
「あ、あぁ・・・」


 やめてくれ、お嬢。顔を赤くしないでくれ。
まずい、まずいまずいまずいまずいマズイマズイマズイマズイ。
 昨日のLoveReasonってやつは、お嬢だったのか・・・。それを俺は勘違い
して、告白しちまったってことか・・・。そうか、そういうことか・・・。
わかったぜ、神様。俺も男だ、覚悟を決める。


「あ、あのね、あんたから昨日言われたことだけど・・・」


 俺はこのまま、この超わがまま金髪お嬢様と一生つきあうのか・・・。
さようなら、天満ちゃん。さようなら、俺の青春の漫画。


「その・・・、いきなりのことだから、もう少し考える時間を」
「ハリオー!」

194播磨☆チャット道:05/05/02 21:23 ID:9WMTUGi6
 !?、こ、この聞き覚えのある声は・・・うわっ!


「ハリオーみーつけたー。こんな休みに何してるのかなー?」
「お、お姉さん!?」

 なんでこの場所に!?てか、後ろから抱きつくのやめてください!


「私ねー、今日休みだから暇だったのよー。だからハリオ、今日は私と一緒にあそぼーね☆」


 そういうと、ずるずる俺を引っ張っていくお姉さん。ていうか、俺は何しにここに来たんだっけ?


「・・・まって、播磨君!」


 なんだ?お嬢が俺を涙目で追いかけてくる。
気のせいか?彼女は思いっきりジャンプをして、俺の顔面にヒザ蹴りをひでぶっ!!


「・・・最低!!」


 意識がトンで逝く中、俺は確かに空の上から、羽の生えた天満ちゃんを見た。そうか、これが天国
ってやつか───
195播磨☆チャット道:05/05/02 21:24 ID:9WMTUGi6
── 時は遡り、同時刻、塚本家。────


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現在の参加者<5人
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美琴<え!?てことは今あの二人は・・・
アキラ<見事な失敗だね。
テンマン☆<あー!!!あの二人のアドレス、私が前に作った古い
        ほうのサイトのアドレスだった!(TдT)
ドジビロンレッド<((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
美琴<ちょっとうるさいから隣に本投げたらお隣の人に当たったみたい。
ドジビロンレッド<おいおいどうした?
フラワータイガー<今鳥、そんなに欲しいのなら僕が
ドジビロンレッド<( ゚∀゚)彡D!D!D!
テンマン☆<おかしいなー。播磨君と愛理ちゃんに渡したアドレス見てみるね。
フラワータイガー<(´-`).。oO(僕は八雲くんがこないことが恋しい・・・)
アキラ<天満、ちゃんとアドレスは教えたのか?
美琴<帰れ。それより、愛理と播磨、まだこないのか?
ドジビロンレッド<みこちーん、胸の生画像うpしてよー

───────────────────────────
196Classical名無しさん:05/05/02 21:34 ID:HkHZryQQ
ワロタw特に沢近のハンドルネームw
197Classical名無しさん:05/05/02 22:35 ID:w6jsEmRw
最後のチャットがおもろかった
198Classical名無しさん:05/05/02 22:59 ID:qgnHwj1c
GJ!

最後のチャットでワロタ
199Classical名無しさん:05/05/02 23:06 ID:geBD2t.U
最後の今鳥が最高
IFスレでないと味が出ない面白い構成でした
200Classical名無しさん:05/05/02 23:13 ID:L5LEquIw
お約束のパターンなんだけど、チャットってゆー所がスゴくヨカッタ!
201Classical名無しさん:05/05/02 23:17 ID:v6jdKlLY
けなげな播磨に感動しました
202Classical名無しさん:05/05/03 00:13 ID:q8p8pJYA
今までにない、チャットを使ったストーリー形式には驚いた。
その斬新なアイディアに、座布団を4枚あげたいぜ。
展開的には、アリがちな展開だが、そのアイディアを考え付いた所がスゴイ。
GJ!!
203Classical名無しさん:05/05/03 01:29 ID:/f5gEvk6
>>202
いや、色々なアニメのSS読んでる人ならチャットネタは結構既出。
204Classical名無しさん:05/05/03 02:05 ID:FqZbaFt6
誰もいない…投下するなら今のうち?
初投下です。タイトル……別にないや

  麻生広義はまた大きくため息をついた。
すると、隣から心配そうな声が聞こえた。
「先輩、どうしたんですか?」
 きれいな金髪の子である。名をサラ・アディエマスという。
 たまたまバイト先が一緒で、麻生のどこが良いのか分からないが懐いているようだった。
 もっともサラはみんなともそれ以上に仲良くしており、麻生に近づいてくる者のなかでは、という
但し書きが必要だが。
 二人はバイトの帰りだった。
 さすがに夜は暗くなるし危険なので送っていってください、と以前サラに言われそれももっともだ
と思った麻生はバイト帰りはサラを送っていくようにしていた。
 今はまた違った思いがあってだが。

「いやなに 知り合いに紹介してほしい女性がいるって言われてな」
「へー、どんな子ですか?」
 サラはなぜか興味津々と言った様子で聞いてきた。
 その様子を不思議に思いながらも麻生は答えた。
「ああ、バスケ部の後輩でな結構筋が良いんだ。
それなりに目をかけてるし、出来ればそいつの希望に沿ってやりたいんだが」
「…先輩。誰の事言ってます?」
 なぜ口調が険悪になったかわからないまま麻生は答えた。
「誰ってその知り合いだが?お前が聞いたんだろ」
 なぜだか麻生は殴られた。
205Classical名無しさん:05/05/03 02:05 ID:FqZbaFt6
「痛いな。いきなり何をする」
 多少不機嫌になりながら麻生が文句を言うと
「そんな人、殴られて当然です!」
 と更に殴られた。
「どうしてこの話の流れでその後輩さんの事を聞かなければならないんですか。
普通は紹介してほしい女性に決まってるじゃないですか!!」
 効果音が聞こえるような動きでサラは麻生を指差した。
 普通どっちか分からないし、それだったら両方とも聞かないと言う構造が出来そうなものだが、と
思いつつもそれを言う程麻生は愚かではなかった。
 しかし困ったな。指を差すな、指を、とサラにいいつつ麻生は思った。
 先程からため息をついていた理由がその"女性"だからである。
「さ、先輩、教えてください」
 サラはにこやかに言った。が、だからこそか逆らってはいけないというオーラが出ていた。
 仕方なく麻生は多少の情報を与える事にした。

「で、誰なんですか?その女性は。先輩に頼むんですから2−Cの誰かなんですよね」
「言っとくがプライバシーの問題上、双方の名前は教えられないぞ」
 麻生がそう言うとサラは少しむくれた。が
「まあ、くっついたらすぐにわかるしそこは妥協しましょう」
 と納得したようだった。
 しかし、
「で、その女性って誰なんですか?」
 麻生は何度目か分からないため息を吐きつつ言った。
「だから教えられないって言ってるだろう」
「はい、ですから両方の事を知ろうとはしませんよ」
 言いながら隣を見ると満面の笑みでそう言われてしまった。
 少し前までならその笑みも振り切れただろうが今の麻生には難しかった。
206Classical名無しさん:05/05/03 02:06 ID:FqZbaFt6
「―――なぜ俺がこんな事で悩んでいるかというt」
「そんなのでごまかそうとしたってダメですよ」
 人差し指をビシッと伸ばし麻生を指差してくるサラ。
 危うく負けそうになったが、麻生は何とかこらえて続けようとする。
「まあ聞け。現在状況を把握させてやるといってるんだ」
「うーーーーん」
 長い事悩んでいたが、麻生の態度からこれ以上は聞き出せないという結論に達したのだろう。
 サラは妥協してきた。
「今回の所は退いてあげますけど、もし嘘を吐いていたりしたら…」
「わかったわかった」
 そう言いつつも、多少殺気を感じたのは気のせいだろうか。
「それで、どうして先輩は悩んでいるんですか?」
 サラは聞いてきた。
「いつもの先輩で、その後輩さんのこと、後輩後輩って言うのもなんですからAさんって呼びますけど、そのAさんのこと気に入っているなら、すぐ紹介してあげるんじゃないですか?」
「まあな」
 麻生自身も普段ならそうしただろうと思う。しかし……

「で、どうして先輩は紹介してあげないんですか?」
 サラは聞いてくる。
 麻生は無意識のうちにため息を吐きつつ言った。
「まぁあいつの好きな事の奴の事を知ってるんだが、どうもあいつ勘違いしてるみたいでな」
「勘違い?」
「そう。あいつ相手の事を大きく勘違いしているんだ」
  言ってまた自分の言葉を確かめるように、麻生はもう一度言った。
「そう、アレこそ勘違いだ。でなきゃあんな事を言わないしな」
よりにもよって彼女の事を優しいと思うとは…
「どんな勘違いなんです?」
 やや自分の世界に入りつつあった麻生を、サラは現実へと引き戻した。
「あいつはな、優しいと思ってるんだよ、"彼女"の事をな」
 半ば投げやりになりつつ麻生は言った。事実そう見えるから直の事困る。
207Classical名無しさん:05/05/03 02:07 ID:FqZbaFt6
「Aさんがですか」
 サラが相槌を入れる。
「なんだ?」
 そのややふくみのあるの言い方に麻生が訊ねると
「いやなんか先輩の態度を見ている限り、先輩もその人の事を好きなんじゃないかなと…」
 言葉にならない悲鳴が出た。幸いその瞬間はサラに見られなかったので、麻生は動揺を隠しつつ聞いた。
「―――なぜそう思うんだ?」
 すると、
「あれ、否定しないんですか」
 瞬間麻生は自分がはめられた事に気づいた。
 しかしとき既に遅し。サラは笑みを浮かべながら再度聞いてくる。
「やっぱり好きなんですね」
 ああ、怖い。氷点下を大きく過ぎた笑みがこちらに向いている。
 どうしてこんなやつが優しく見えるんだ。
 一体どんな事をさせられるのだろう。いやでも待てよ。まだ俺が誰を好きかサラは分かってないんじゃないか。いやいやこいつのことだ。俺の後輩の事なんてすぐ調べやがるだろう。もしそうなったら…
 そんなあての無い旅に出てしまった麻生を、サラは現実の恐怖へと引きずり戻す。
「で、誰なんですか?麻生先輩が好きなその人は?」
 い、今ここで言えというのか、こいつは。
 黒い!こいつの本性間違いなく黒いぞ!

 麻生は何とかしてこの状況から抜け出そうと考えたが、サラの住む教会までは幸か不幸かまだまだかかりそうだった。というかこの時確実に麻生にとっては不幸であった。 
 サラは笑顔を浮かべたまま、さぁさぁと脅してくる。
 麻生は覚悟を決めた―――
208Classical名無しさん:05/05/03 02:18 ID:kQHGPJC2
指示代名詞が多くてよくわからん('A`)
209Classical名無しさん:05/05/03 02:18 ID:5A9A/b3U
支援?
210Classical名無しさん:05/05/03 03:01 ID:XYMaMoh2
Aさん:名も無きモブ
Aさんが紹介して欲しい人:サラ?

これでOK?
211Classical名無しさん:05/05/03 03:32 ID:qNB8M9xw
支援?
寝落ち?
212Classical名無しさん:05/05/03 03:50 ID:KyZVuCm2
もっと分かりやすく書けや、ハゲ!
213Classical名無しさん:05/05/03 03:54 ID:5A9A/b3U

      / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
    /              \       ☆
   /                    ヽ    /
    l                 |             
    |::  ,-っ))(●)    (●)  .| ,-っ))  呼んだ?  
   |:: / _)    \___/    |(っ)  
    ヽ        \/     ノ
214Classical名無しさん:05/05/03 06:07 ID:zpK9NHdI
>208
同じく。わざとやってんのかなーと思ったが
しかしこの会話ならアソサラでなくても成り立つなぁ
215Classical名無しさん:05/05/03 06:29 ID:zpK9NHdI
>213
2軍落ち乙(ノД`、)
216Classical名無しさん:05/05/03 09:38 ID:org0nfjA
さあ、疾く書き上げるのじゃ。
217Classical名無しさん:05/05/03 12:24 ID:OokPo/1E
>>210
Aは俵屋で紹介して欲しい相手がサラじゃないの?
麻生がどんな子と質問されて後輩の説明に入ってるんだから、
後輩が男でどんな子といわれたら麻生も普通に紹介して欲しい女性のことを答えただろう
どっちも女だから麻生は最初勘違いしたんじゃないか
218Classical名無しさん:05/05/03 13:02 ID:VxRcoTT6
まあ麻生とかはどうでも良いよ
219Classical名無しさん:05/05/03 13:05 ID:org0nfjA
だよねえ。
播磨以外の男キャラなんて要らないよね。
花井厨だけでもウザイのにさ。
220207:05/05/03 14:11 ID:FqZbaFt6
アレで終わりです。
ええと、最初はアソサラでくっつけようと思ったのですが、まとめられなくなったので
麻生が好きな子が誰だかわからなくしようという逃げに入りました。
お目汚しすみません。あとレス下さった方々ありがとうございます。
221Classical名無しさん:05/05/03 14:19 ID:org0nfjA
麻生なんか書いてお目汚しと本当に思ってるならばおにぎりを書いてください。
222Classical名無しさん:05/05/03 14:28 ID:IgN0n2ms
IDがもう少しでorzの分際で偉そうに…
223207:05/05/03 14:30 ID:FqZbaFt6
おにぎりというと某少女マンガの主人公ですか?

とかいうネタはほっておいて
書けるのならば私も書きたいですが、いかんせん妄想できない。
224Classical名無しさん:05/05/03 17:07 ID:f17yBITA
>>223
個人的にはアソサラでもオッケー
只いきなり例え話されても何を何にたとえてるのかわかりにくいんで
麻生がサラに質問する経緯とか書くとわかりやすかったかも
225VC1:05/05/03 17:26 ID:MecDAVJU
バレンタイン・セレモニー(烏丸、沢近、天満、播磨)

 2月14日、バレイタインデー。男女ともにチョコを渡す儀式で
浮足立つ日である。
 放課後の校舎のかげに隠れるように坐っている人影があった。
「烏丸くーん。どこー」
 元気な天満の声が響きわたる。この日のために丹精こめてつくっ
たチョコレートを烏丸に渡そうとしているのだが、肝心の烏丸が見
当たらない。放課後すぐに烏丸にチョコを渡すつもりだったのに、
ベルが鳴るやいなや、烏丸の姿は煙のように消え失せてしまった。
バタバタと足音をたてて、校庭を走り回る天満の姿は、隅の植え込
みの陰からも見ることができた。
「あんたを探しているわよ」植え込みの陰に背を丸めて坐る烏丸を
見下ろしながら、沢近愛理がそう言った。「出て行ってあげなくっ
ていいの?」
「ぼくは……行くわけにはいかない」沢近を顔を向けず、抑揚のな
い声で烏丸がこたえた。
 やれやれという仕種で沢近が肩をすくめた。
「一年間一緒のクラスにいても、あんたの考えることだけは、いま
だにさっぱりね」長い髪をなであげながら沢近が続ける。「ちょっ
と鈍くてトロいところもあるけれど、あんなかわいい子にあれだけ
一途に思われたら、男冥利につきるってものじゃないの?」
「……」烏丸は無表情のまま沈黙している。
226VC2:05/05/03 17:27 ID:MecDAVJU
「でなければ、はっきり言ってあげるべきじゃない? ぼくは君の
気持ちにこたえることはできないって。なんかあなたたちの関係見
てるとちょっとイライラする。どうして出て行ってはっきり言って
あげないの」
「それは……君もじゃないのか」
 烏丸がぽつりとそう言うと、沢近はびくっとした。
「な、なによ、なにが……」と言いかけて、沢近は、肩からさげて
いる小物入れに、チョコレートの包みが顔を覗かせているのに気づ
いた。「こ、これは……」
「君は出て行けるのか。行って白黒つけられるのか」
「わ、私は……」沢近は目を伏せて口ごもった。
 烏丸がすっと顔の向きを変えた。その先には、肩をいからせて歩
いている播磨拳児の姿が見えた。
(ヒゲ……)
 その姿を見て、愛理の心はちくっと痛んだ。
(天満をさがしてるのね……)
(今までいろいろ勘違いしたけど、ヒゲ……)
(結局あなたの好きなのは、天満だったのね……)
 もの思いに沈みかけた愛理の耳に、烏丸の声が響いた。
「行って渡せるのか」
「わ、私……」沢近は追い詰められたように、「だめ、行けない……」
 烏丸は沢近にすっと手をさしのべた。
「なによ、その手は?」
「ぼくで練習すればいい。ぼくがそれをもらう役になってあげよう」
「なによ、あなた。私からチョコもらいたいわけ?」
 その問いに烏丸はこたえず無言のまま、沢近の目を見つめ続ける。
227VC3:05/05/03 17:28 ID:MecDAVJU
「いいわよ。ほしければあげる。義理用に持ってきたのがあるから
」そう言って沢近は、小物入れから別のチョコの包みを取り出した
。「はい、これをどうぞ」
「ありがとう」表情を変えないまま烏丸がそれを受け取る。
「なによ、こんなのちっとも練習にならないじゃない」
「そんなこと、ない。君は一歩進んだ」
「どういうことよ」
「思われるのと、自分が思っているのと、君はどっちがいい?」
「なによそれ?」
「ぼくは、思っている方がいいと思う」
 そう言って烏丸は、静かに立ち上がってすっと背を向けた。
「あ、烏丸く……」
 沢近の呼び止めにも反応せず、烏丸はすたすたと歩き去って行っ
た。
「なによ、あれは?」
 沢近も立ち上がって、戻ろうとしたとき、目の前に人影がいるの
に気づいた。
 半分泣きそうで、同時に鬼のような形相をした塚本天満である。
「天満……!?」
「愛理ちゃん、どういうこと?」
「なによ?」
「どうして愛理ちゃんが、烏丸くんにチョコを渡すの!?」
「えっ、あ、あれは……」
 たじろいだ愛理は、とっさに場をつくろう言い訳をさがしたが、
うまく言葉にすることができない。
 天満の大きな瞳からポタポタと大粒の涙がこぼれ出る。
「そうだよね、烏丸くん、とっても素敵な人だから、烏丸くんを好
きな人って、私だけじゃなかったんだよね……」
 体を震わせながら、途切れ途切れに天満が声をしぼりだす。
「待って。これは誤解……」
228VC4:05/05/03 17:29 ID:MecDAVJU
「愛理ちゃん、愛理ちゃんはお金持ちで、みんながうらやましがる
ほどスタイルがよくって、とっても美人で、学業優秀で、英語もペ
ラペラで、私のないものみんな持ってる! その上……烏丸くんま
で、……私の一番大事な……」
 天満のその言葉に愛理が今度はびくっと反応した。
「なによ!」甲高い愛理の叫びが響いた。「そんなもの、私はなに
もほしくない! 全然、ちっとも! そんなに言うなら、代わって
あげる! 私をあなたとかえてよ、今すぐ!」
「愛理ちゃん……?」涙をふかずに天満がきょとんとして訊きかえ
す。
「私がほしいのは……私がほしいのは……こんなに人が憎らしいと
思ったことはないわ……」
「えっ……?」
「私が一番ほしいのは、天満、あなたに向けられている人の……」
 涙声で言いかけて、うつむいて愛理は駆けだした。

   *
229VC5:05/05/03 17:30 ID:MecDAVJU
 肩をいからせて歩いている播磨が、烏丸に気づいて足を止めた。
その手に包みに入ったチョコレートがあるのに気づき、播磨は烏丸
に詰め寄った。
「それは……まさか、天……」
 無言で烏丸は、その包みのチョコを播磨に差し出した。
「なんだこれは?」
「君のものだ。君にあげる」烏丸の声は相変わらず抑揚がない。
「待て、それは天……いや、おまえにあげた女の子の気持ちがこめ
られたものだろう。そんなものを俺がもらえるか」
 烏丸は首を振り、包みの中を見るように、播磨に動作で指示した。
 播磨は不審に思いながらも、烏丸に促されたので、その包みを受
け取り、添えられたメッセージカードを開けた。そこには「TO
播磨 WITH LOVE」の文字が書かれていた。
「こ……これは……俺にあてられたメッセージ……。これは、俺に
あてられたもの……?」
 烏丸はこくりと頷いた。
「それをなぜおまえが?」
「中途媒介人」
「流通の問屋のようなものか? じゃあ、天……ちゃんが恥ずかし
くて直接渡せないから、おまえにことづけた……そういうことか」
 烏丸は播磨の問いを無視して、つかつかと歩き去った。
「ちょっと待て。烏丸! ちゃんと説明しろ!」
 かげでぞの様子を天満が覗き見ている。
「か……烏丸くんが、播磨くんにチョコを……!? もしかして、烏
丸くんの好きな人って播磨くん……!? もうなにがなんだか……」
230Classical名無しさん:05/05/03 17:32 ID:f17yBITA
支援?
231VC6:05/05/03 17:32 ID:MecDAVJU
   *

 一人きりになって、愛理は、バッグからチョコの包みを取り出し
た。
「結局渡せなかった……。自分で食べるか……」
 包みを開けて、愛理は、その中に、同封したはずのメッセージカ
ードが入っていないことに気づいた。
「あれ、なんでないの?」
 愛理ははっとした。あのとき……。
(もしかして烏丸くんに渡した方の中に……!?)
 まーちーがーえーたー。
 沢近愛理は奈落の底に沈んでいった。(了)

filling feelingについで二作目です。今度は沢近×烏丸カップル
願望をこめて書いてみました。どんなもんでしょ。
232Classical名無しさん:05/05/03 17:36 ID:f17yBITA
烏丸がちゃんと出ていていいな
天満の沢烏誤解も面白い
233Classical名無しさん:05/05/03 18:37 ID:5CeIHXzQ
沢烏のからみと播天の誤解
このネタは生かしやすそうなのにあまり見ないな

>>231
烏丸がいいキャラしてるね
ある意味自由がきくキャラだけに扱いづらいと俺は思ってるけど
言動に烏丸らしさがあるように思う
個人的には続きを期待したいかな〜
234Classical名無しさん:05/05/03 18:58 ID:org0nfjA
烏丸がいらないな。
235Classical名無しさん:05/05/03 20:22 ID:th8m3ir6
そろそろメール欄に釣りって書いたら?
236VC:05/05/03 23:24 ID:MecDAVJU
>232 >233
レスどうもです。
他の方のSSを見てると、烏丸書く人あまりいなくて、特に沢近×烏丸が少ない
ので、それにチャレンジしてみました。続き期待されてるなら、また
やるかも です。
237Classical名無しさん:05/05/03 23:34 ID:q8p8pJYA
おおう、なかなか面白いじゃないの。
沢近が播天化していく様が目に浮かぶぜw
勘違いと思い込みあってのスクランだと、つくづく思うぜ。
GJ!
238Classical名無しさん:05/05/03 23:41 ID:zpK9NHdI
烏丸の言葉使い「〜のか」がちょっとキツいかな
他人に興味なさそうだから問い詰める様子が想像できないんだが
239Classical名無しさん:05/05/04 00:40 ID:p.W0hLsc
>>231
烏丸の言葉使いに>>238と同様に違和感感じた。
あと、一行あたりの文字数をもう少し増やしたほうが読みやすいと思う。
改行もちょっとおかしなところもあるし。

内容はシリアスっぽい展開と思わせて、あんまりそうじゃないってのが
スクランっぽい感じで楽しめた。この後どうなったのかちょい気になるな〜
240Classical名無しさん:05/05/04 00:52 ID:6S6FfP6g
おにぎりって某メーカーの原画家のことですよね?
241Classical名無しさん:05/05/04 22:53 ID:0pAtdaVw
スレ違いかもしれないが
播磨の両親はスクラン本編ではすでに亡くなっている。
弦子サンの初恋は播磨の父親。
というのが思いついたんだがどうだろうか。

242Classical名無しさん:05/05/04 22:56 ID:fg5wX3Zw
前にそういうSSあったよ。あと絃子ね。
243Classical名無しさん:05/05/04 23:11 ID:SMCDA//E
PFに両親生存とあった気がするがそんなことは気にしないで
面白ければそれでいいと思う。
244Classical名無しさん:05/05/05 09:35 ID:0BeKPORM
播磨と両親の関係はどういう状態か一切不明?
不良になって見限られたとか放任主義だとか、2ch説ではどうなってんだ
245Classical名無しさん:05/05/05 10:09 ID:eeAzTRh2
 平穏な日々と争乱の日々。
 そのどちらがいいか、と訊かれると実はなかなか難しい。一見すると前者が正しいようにも
思えるけれど、世の中には待っているだけでは得られないものもまた多い。果敢な、ときに
愚かとも評されるような挑戦も必要だ。石橋は渡るものであって叩くものではない、とは
ある友人の言葉だけれど、あながち間違ってはいない、と思う。橋がなくても渡っちゃうのは
どうかと思うけど。
 さておき、この問。本当はそもそも前提に問題ありだったりもする。なんとなれば、この世に
生き方がたった二つだけ、なんてことはないからだ。平穏も争乱も、どちらかだけでは成り立たない。
その両者が、そしてここに挙げていないいくつものことが絡み合い、日常は作り上げられる。いわば、
複雑怪奇にして精巧緻密なタペストリー。
 だから、というわけではないと思うけれど、そう訊かれたならば大抵の人はこう答える。普通が一番、と。
やっかいごとに巻き込まれるのはごめんだけど、なにもないのはそれはそれでつまらない。適度に
騒がしく、度を越したバカ騒ぎは望まず、総じて平均の取れた平々凡々たる日常。そんなものを求める人は
意外に――かどうかはともかく――多いのだ。
 さて。
 唐突にそんな前置きを長々として、結局なにが言いたかったかといえば。

「うん、決めた」
 一体なにを決めたんだろうと、私こと結城つむぎがその疑問を口にする前に。
「よろしくね、マネージャー」
 まったくもっていつも通りに、理不尽な友人は理不尽にそう言ってのけ、そしてこちらもやっぱり
まったくもっていつも通りに、私はそれを断り切れなかったのだった。

 と、そういう次第。
 ごく当たり前の日常を望む人が多いのは、裏を返せばそれがなかなか得られない、というただそれだけの
ことだと言いたかったわけで――
246Classical名無しさん:05/05/05 10:09 ID:eeAzTRh2
 かくして、私の目の前ではバスケの練習が行われている。意外に、なんて言ったら悪いんだけど、急造の
メンバーにしてはレベルが高い、というのが素人目にも分かる。それはもちろん、集ったメンバーがメンバーだ、
っていうこともある――正直反則じゃないかと思わないこともない――んだけど、要は違う。
 俵屋さつき。
 彼女が中心にいるからだと私は思う。ともすればバスケに向いてないんじゃ、そう思わせる小柄な身体が、
一度ボールを手にすると、目まぐるしく動き回る。そのテクニックももちろんだけど、なにより『バスケが
好きだ』という気持ち、そこに嘘も気負いも、一点の曇りもない。小さいけれど大きな背中、それが中心に
あるからこそ、なのだ。きっと。
 それとなく訊いてみたところ、その辺りのことはみんなも同じような認識らしい。あのララさんでさえ認めて
いるんだから、推して知るべし、といったところだろう。実際、そういう精神的なところ以外でも、練習の
計画やらなにやら、実務的な部分でも彼女の果たしている役割は大きい。
 さて、そうなると。マネージャーとは名ばかりで、そんなにバスケに詳しいわけでもない私は当然ながら
手持ちぶさたになってしまう。細々とやることはあるものの、ありがたいやら申し訳ないやらの複雑な心境。
 とはいうものの。その状況が分かっている上で、なおあの嵯峨野が頼んできた、ということは、どう考えても
私にやってほしい、やらせたいことがあるに違いない。この二、三日でその見当もだいたいついたので、最後に
無駄だろうなとは思いつつ、一応当人に訊いてみると。
「それで?」
「ん? なにが?」
「なにが、って……どうして私なのか、ってこと」
「結城なら分かると思うんだけど?」
 んじゃ、と意味深な笑顔だけを残して去っていく。それが単なる無責任なのか、それとも。
「全部分かってて言ってるのかが問題なんだよね……」
 そのどちらもありえるから厄介なのだ。見てないようで見ているし、カマかけからブラフまでなんでも
ござれ。これで引き際の見極めが出来ていないならただのどうしようもない相手なのに、一線はちゃんと
弁えている。まったく、厄介なことこの上のない――そして、代えなんて絶対に利かない友人だ。
247Classical名無しさん:05/05/05 10:10 ID:eeAzTRh2
「さて、と」
 その彼女が任せてくれたのだから、当然裏切るわけにはいかない。乗せられてるなあ、なんて毎度の感想を
抱きつつ、私は歩き出す。
 こんな関係にも慣れてしまったせいか、不思議と気分は悪くない。それがいいか悪いかは、また別として。



「ちょっといいかな」
「え? あ、はい」
 練習の合間、休憩に出てきた彼女――俵屋さんに声をかける。一瞬きょとんとした顔を見せたものの、すぐに
普段通りのあの人のよさそうな笑顔に戻って返事をしてくる。そんなところにもお世辞抜きで好感が持てたりして、
なんだかこちらまで嬉しくなってきてしまう……と、違う違う。
 そう、本題はここから、なのだ。
 私の『マネージャー』としての仕事であり、嵯峨野が意図していただろうことであり、そしてなにより、
ようやく見つけた私に出来ること。
「……あの、結城先輩?」
 と、そんな私自身のことに気を取られていたせいで、当の俵屋さんから意識が離れていたらしい。小首を傾げる彼女に、
ちょっと考えごとしてて、と慌てて取り繕う。いけないいけない。
「どう? 練習の方」
「すっごく順調です!」
 軌道修正のために訊いたその一言に、ぎゅっと拳を握って答える俵屋さん。そこにあるのは、やっぱり掛け値なしに
熱意と呼べるものだ。もちろん、そうじゃなきゃゼロから部活動を始めよう、なんて思いもしないし、ましてそれを
実現させるなんて夢のまた夢だ。
「皆さん飲み込みも早いですし、それに一生懸命やって下さってますし……本当にありがとうございます」
 言葉に続いて深々と下げられる頭。その気持ちは十分すぎるくらいに伝わってくるけれど、それほど貢献している
自信のない私としてはちょっとこそばゆい。苦笑い気味にそう口にしてみると。
「そんなことありません」
 意外にも、否定の言葉が返ってきた。
「結城先輩は全体をしっかり見てるし、ちゃんとみなさんのこと分かってくれてます。そういうのってやっぱり
大事なことです」
「そう、かな」
「そうです」
248Classical名無しさん:05/05/05 10:10 ID:eeAzTRh2
 そもそもメンバーのほとんどが同じクラスの上、一条と嵯峨野にいたってはそれ以前からの付き合い。私としては
なにも特別なことをしている、という意識はほとんどなし。最低限の出来ることを、と考えているんだけど……まあ、
彼女はお世辞を言うタイプでもなさそうだし、褒められたことは素直に嬉しく思って受け取っておく。だから
返すのは、ありがとうの言葉と笑顔だ。
「でも、本当によかったです」
 それに安心したのか、ほう、と小さく息をつきながら、空を見上げて呟く俵屋さん。
「私一人じゃなにも出来なかったけど、みなさんにこんなによくしていただいて。……それに」
 一人じゃなにも出来ない――それはむしろ事実の正反対で、彼女がいるからこそ全部がうまく動いてる……んだけど、
あえてそこには触れず、わずかに言い淀んだその言葉尻を繋ぐ。
「麻生君もいるし、ね」
 途端、びくんと分かりやす過ぎるほどに分かりやすく彼女の全身が震え、かと思ったらすぐさまなんでもなかったかの
ように、素知らぬ態度を取る。
「そうですね。麻生先輩もです」
 必要以上にそっけない口調が、かえってなにより雄弁にその気持ちを代弁していたりする。端から見れば微笑ましい、
そして本人にとっては笑いごとなんかじゃない恋心――それこそが、ことの本題だ。
 別に、今すぐ諦めろだとかその逆だとか、極端な結果を求める、なんてことじゃない。むしろそれだったら簡単だ、
この場で諭してしまうなり、すぐさま彼の前にでも連れて行けばすむ。でも、それじゃきっとなにも変わらない。
問題にするべきは、彼女が抱えているもの。
 不安、だ。
 手が届くくらいに近くにいる相手と、でも届けられない想い。加えて、第三者には知られたくないという気持ち。
その三つが形作るのは、小さな棘のような不安。一応断っておくならば、世の中なにもかもが思い通りにうまく
いくわけもなくて、そんな不安は多かれ少なかれ誰しも持っている。
 けれど。
 ときに人はそれを自分の内に溜め込んでしまうことがある。ともすれば、自分自身でさえ無意識のうちに。もちろん、
それは私の単なる取り越し苦労で余計なお世話、なのかもしれない。だけど、彼女がいつも前向きで明るいからこそ、
余計に考えてしまうのだ。濁った思いの行く先を。
249Classical名無しさん:05/05/05 10:11 ID:eeAzTRh2
 ――とんでもなく限定してしまうなら、たとえば。
 そう、まったく関係のないゲームに乗じて、八つ当たりめいた行為をしてしまうだとか、そんな。
「私もね、」
 だから、私は。
「好きな人がいるんだ」
「……え?」
 自分でも驚くほどすんなりと、その言葉を口にしていた。恐らくは、嵯峨野が私に言わせたかった言葉を。
「その人はね、私が言うのもなんだけどすっごく変な人で、かっこいいところなんて全然ないの」
 きっと嵯峨野は気づいていたんだと思う。じゃなきゃ、やり方はともかく面倒見のいい彼女のことだ、
俵屋さんを放っておくはずもない。それを任せたということは。
「おまけに好きな人がいて、私よりずっとお似合いの人までいる」
 私にも自覚してほしい、ということだ。
 私自身の思いを。
「それでも……それでもね。やっぱり私は――」
 だから、私はそれを言葉にし続ける。一見するとなんの意味もないこの行為は、けれど確かに意味を持っている。
形のないものに名を付け、音にしてつむぐ。ただそれだけで、そこには『なにか』が生まれる。言霊、というのは
嘘じゃない。
「好きなんだ、その人のこと」
 そんなことを考えながら、告げた。ずいぶん長い時間がかかったような気がしたけれど、実際のところは数十秒。
辺りの景色は変わっておらず、ただこちらを見上げるようにしている俵屋さんの姿があるだけ。
 さて、これで私自身についてのことはおしまいだ。あとは本来やるべき、彼女についての事柄のみ。
「……なんて言ってもね、私はいつも見てるだけ。なんにも出来ない意気地なし」
「先輩……」
「そんな私から見るとね、俵屋さんはすっごくがんばってると思う」
 そう、彼女はいつだって一生懸命で、まっすぐだ。決して逃げてるわけじゃない。だから必要なのは。
「だから、大丈夫。もっと自信持っていいと思うよ」
 ほんの少し、軽く背中を支えてあげるだけの言葉。それだけで十分。どうかな、と軽く首を傾げて見せた私に、
ありがとうございます、とやっぱり深々と頭を下げる彼女。その声のトーンが、ほんのわずかだけさっきより明るい
ことに、安堵を覚える。
250Classical名無しさん:05/05/05 10:11 ID:eeAzTRh2
「それじゃ練習に戻ります」
「ごめんね、変な話で引き留めちゃって」
「そんなことありません」
 ありがとうございます、そうもう一度言ってから、その去り際に。
「あの、先輩」
「ん? なに?」
「その……先輩も、がんばって下さいね!」
 そんな一言と笑顔を残し、勢いよく駆け出していく。リズミカルな足音を残す後ろ姿が、体育館の中に消えるまで見送って
――気を引き締め直す。ここからもう一山、私にはあるのだ。
「――こんなところ、かな」
「さすが結城。期待通り」
 姿は見えないけれど、確実にいるであろう相手に向けて呟いた言葉。それに反応して現れたのは嵯峨野。
お膳立てだけしておいて結果は知らない、なんて性格じゃないからいるんだろうとは思っていたけど、やっぱりだ。
「これで全部うまくいく、なんていうのは都合よすぎるけどね」
「でも悪くはならないでしょ。だったらそれでいいじゃない」
 ぼやきに似た私の言葉を、先のことなんて分かんないしね、と彼女はあっさり笑い飛ばす。なにも考えてないんじゃ
なくて、考えても仕方がないから考えない。前を向いて、私が叩いてからじゃなきゃ渡らない石橋を、颯爽と
渡っていくその姿は、うらやましくもあり、眩しくもある。
「でもさ」
「……ん?」
「あの台詞は私が一番に聞きたかったんだけど」
 俵屋さんの話題はそれですんだのか、今度は一転して拗ねたような口振り。そして口にするのは、先の私の台詞――
『好きな人がいるんだ』。
「ちょっと寂しかったかな」
 そうやって、ほんの一瞬憂いの色を見せてから。
「で、お相手は誰なのかな? つむぎちゃん」
「……嵯峨野」
 思わず脱力してしまった私に、冗談冗談とぱたぱた手を振る。……こういうヤツ、なのだ。嵯峨野恵は。
「まあいいや。それじゃさ」
 ちらとこちらに視線を投げて。
251Classical名無しさん:05/05/05 10:15 ID:eeAzTRh2
「がんばってね、結城」
 さらりとそう言い残し、去っていく。残された私はといえば、彼女の姿が見えなくなってから、ずるいなあ、と
呟くのが精一杯。あんなふうに言われたら、そうしなきゃいけないじゃないか。もちろん、私もこのまま諦めようとは
思ってないけれど。
「ありがと、嵯峨野」
 面と向かってはなかなか言いづらいその言葉。おまけにこういう付き合い方に慣れてしまった相手だとなおさら
なんだよね、なんて言い訳じみたことを思いつつそう言ってから。
「もう出てきていいと思うよ」
 さっき嵯峨野が見やった先、私の背後の茂みに声をかける。
「――塚本さん」
 ほんの一拍間を置いて。
「えへへ……」
 ばつが悪そうにしながら彼女が姿を見せた。ばれてた、というその問に、うん、と頷く私。
「嵯峨野も気づいてたみたいだけど……でもなにしてたの? そんなところで」
 みんな練習してるよ、そう言うと何故かうつむいてしまう塚本さん。どうもまずいことを言ってしまったらしい。
「あの、塚本さん?」
「あ、うん。なんでもないよ、なんでも」
 どこからどう見たって、なんでもあります、としか書いていないような顔でそんなことを言われても、
説得力なんてどこにもない。
「私でよかったら話聞くけど……ダメかな」
 ちょっとずるいかなと思いながらも選んだその言い方に、しばらく迷う様子を見せていた塚本さんがゆっくりと口を開く。
「えっとね――」


「……それは」
 話を聞き終えた私は、絶句してしまった。それはあまりにもあんまりな話で、でもあの先生の
ことだから、きっと悪気があったわけじゃないんだろうな、とか、本当にもうなんといっていいやら。
「それでね、コレ八雲が作ってくれたお弁当なんだけど、せっかくだからみんなに渡してくれないかな」
「それはいいけど……」
「ありがとう、つむぎちゃん」
 それじゃ、と寂しげ笑みを見せてどこかに歩き出そうとする塚本さん。彼女のそんな顔を見たのは初めてだった。
252Classical名無しさん:05/05/05 10:15 ID:eeAzTRh2
私の記憶の中にあるのは、いつだって元気一杯で笑顔を振りまいている姿。そのせいで空回りをすることはあっても、
勢いを保ったままくるりと一回り、気づけば元の場所に戻っている。そんなあっけらかんとした、太陽にも似た輝きが
彼女の魅力だと私は思う。
 だから。
「待って、塚本さん」
 去りかけたその背中を、自然と呼び止めていた。
「行こう、姉ヶ崎先生のところ」
「……え?」
 でも、という顔をしている彼女に、私は手を差し出す。
「大丈夫」
 それは、いつも橋の向こうから嵯峨野が差し出していてくれた手と同じだ。塚本さんにはどんなふうに見えているか
分からないけど。
「俵屋さんもそうだけど、塚本さんだって同じだよ。部員の面倒をみるのがマネージャーの仕事」
 でも、それだけじゃない。
 だって。
「友達だから当然、だよ」
 気恥ずかしさを覚えながら、どうにか最後まで言い切った私に。
「ありがとう、つむぎちゃんっ!」
 さっきの数倍増しの勢いでそう言って、飛びつくように抱きついてくる塚本さん。ちょっとオーバーすぎる
んじゃないか、なんて思ったりしないでもないけれど、こっちの方が断然彼女らしい。うん。
「それじゃ行こっか」
「うん!」
 その笑顔につられるようにして、私までなんとはなしに嬉しくなりながら歩き出す。気分は悪く――じゃない、
こういうときに言うべき言葉は。
「最高、かな」



「――ということなんですけど」
 直談判……なんていうほど大袈裟でもない。ただ単に、塚本さんも部員なんだから練習に参加してもいいですよね、
とそれだけの話を終え、どうですか、と姉ヶ崎先生に伺いを立てる。
253Classical名無しさん:05/05/05 10:16 ID:eeAzTRh2
「そうよね。やっぱりそっちの方がいいわよね」
 そして、わりとあっさり下りる許可。サブの
メンバーも必要よね、などと呟くその姿は、思っていた通りあんまりなにも考えてなかった様子。……まあ、詮索した
ところでどうしようもないのでそれはそれ。
「よかったね、塚本さん」
「うん!」
 今大事なのは、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら喜ぶ塚本さんの姿、そっちの方だ。
 本当のところは許可なんて必要なくて、彼女がやってきたならみんな普通に受け入れていたとは思う。でも、
それじゃ塚本さん自身が納得出来なかっただろうし、これはそれなりにベストの結果のはずだ。いずれは誰かが気づいて
解決する問題だった――実際、みんなおかしいとは思っていたのだ――としても、私がやったことにまったく
意味がなかったわけじゃない。
 ともあれ。
「これで一安心、と」
 なんだかいろいろと、妙に張りつめっぱなしの朝だったけど、それももうおしまい。ふう、と一息ついてから、
いつものように雑務に戻ろうと――
「あ、結城さん」
 ――したところを、姉ヶ崎先生に呼び止められた。
「あのね、私もいろいろ考えたんだけど」
 一体なにを考えたんですか、などと失礼極まりない思考が一瞬浮かぶけれど、即座に退場してもらう。いくらなんでも
それはあんまりだ。
「結城さんも参加してみたらどうかしら」
「……はい?」
 一瞬その意味が分からず、思わず訊き返す。
 参加?
 私が?
「だから、練習。見てるばっかりじゃつまらないでしょう?」
254Classical名無しさん:05/05/05 10:16 ID:eeAzTRh2
 やっぱりサブのメンバーも必要よね、とついさっき聞いたばかりの台詞を繰り返すその姿に、正直私は面食らって
しまった。とっさに、私はマネージャーですだとか、運動は苦手ですだとか、そんな言いわけが浮かび、助けを
求めるように泳がせた視線の先で。
「あ……」
 嵯峨野が、私を見ていた。
 出来るか出来ないかじゃなくて、ただ一緒にこっちに来ないか、そう問いかけるように。
 ――参った。
 心の底からそう思った。
 まるで、最初から最後まで完璧に彼女に踊らされていたようで……と、ちょっと待て。だとすると、今日まで塚本さんの
フォローをしなかったことさえその中に入ってるんじゃないだろうか。それともこれは単なるイレギュラーで、
なにか他の方法で私を巻き込もうとしていたのか。そこのところはちゃんと訊いておかないと、なんて思いながら。
「お願いします」
 そう、私は答えていた――
255Classical名無しさん:05/05/05 10:26 ID:pSMlfGNA
終了?

マガスペ掲載キボリw
256Classical名無しさん:05/05/05 10:59 ID:ui7NvWUs
GJ
本編もこんな感じでいきゃきれいなのにな
257Classical名無しさん:05/05/05 11:24 ID:wuEMSb/c
本編のバスケ編もこういう展開だったら良かったのに。
ともあれ上手いIFだと思う。
258Classical名無しさん:05/05/05 11:42 ID:dpP6TUMM
GJ
マガスペ向きの綺麗な話だ。素直に読めた。
259Classical名無しさん:05/05/05 13:35 ID:Ik7hfySw
GJ。非常にスクランらしい良質な話でした。
嵯峨野とつむぎの友情が格好良くて素敵過ぎ。
260THE FOOL:05/05/06 00:46 ID:EPbUBfnc


ある土曜日の放課後……女生徒が二人、会話に花を咲かせていた。
と言っても、その話題はもっぱら先ほど播磨との約束で帰った八雲のことに関してなのだが。


「八雲、播磨先輩とうまくやってるかな」
「八雲なら大丈夫よ。…これでさっさとあのバカも諦めればいいんだけど」
「花井先輩ですか…、いい人だと思うんですけど」
「ただのバカよ、それ以上でもそれ以下でもないわ」

吐き捨てるかのように言う。普段めったに感情を出さない、彼女らしからぬ発言である。

「そんなこと無いと思いますよ、この間の文化祭で周防先輩と麻生先輩のダンスを
 プロデュースしたの花井先輩らしいですし。部長、花井先輩部室に入れてあげましょうよ」
「ダメ」
「うう、バッサリと…」
「あいつがいると、うるさいからね。それにいいの? 
 サラが好きなのは麻生君じゃなかったっけ?」
「え、何でそうなるんですか? 麻生先輩はいい人ですけど…」

心底意外だったのだろう、目をパチクリとさせてサラは答えた。

261THE FOOL:05/05/06 00:47 ID:EPbUBfnc


「結婚式の時とか結構あいつにきつくなかった?」
「そーなんです! 聞いて下さいよ、部長! あの時、『花井先輩、どうですか、この格好?』
 って聞いたら先輩なんて答えたと思います!?」
「そういえば、あの時シスターの服着てたね。それで、何て言ったの?」
「酷いんですよ、花井さんったら! 
『やあ、サラ君! それより八雲君はまだかね!?』ですよ! 
『それより』って何ですか、全くもー! 意地悪の一つもしたくなります!」

プンスカ、という擬音が出てきそうな怒りかたである。
もちろん彼女なりには結構本気で怒ってるのであろう。

「あの色ボケ…、じゃあ体育祭のは?」
「あのときですか、ハァ…」

一転して表情を曇らせ、ため息をつく。コロコロと変わる表情が愛らしい。

「また何かあったの?」
「あのとき、花井先輩と麻生先輩近くにいたじゃないですか」
「ええ」
「だから目の前で麻生先輩応援したら、花井先輩どんな反応するかな〜って思いまして」
「なるほど。で、結果は…」
「八雲のほう見てにやけてました。わけ分かりません」
「どうせ都合の良い妄想してたんだろうね。…と、噂をすれば、か」
262THE FOOL:05/05/06 00:48 ID:EPbUBfnc


廊下から誰かが爆走してくる音が聞こえてくる。
放課後には似つかわしくない騒音、そして程なくそれが止み、話し声へと変わった。

『おお、結城君に稲葉君ではないか』
『そんなに急いでどこに行くの?』
『うむ、実は今から八雲君のところへ行くところなのだ!』
『塚本さんの妹ならもう帰ったみたいだけど』
『私もさっき見ましたよ、もう帰るところでした。
 そうだ! 先輩、私達と一緒に帰りましょうよ、どこか寄ってきませんか?』

「ところでサラ、小泉…八雲! ってどう思う?」

サラに話を振る晶。しかしあまりにも突然かつ突拍子もない話題である。
普通なら面食らってしまうだろう。

「えっと、確か『怪談』を書いた人でしたっけ。でもどうして急にその人の話に…」
『今、八雲、という声が聞こえなかったかね!』
『気のせいだと思うけど…』
『そうですよ、花井先輩、気のせいに決まってます、さっき私帰るの見たんですから。
 それよりも、先輩ワスバーガー寄ってきましょうよぉ〜!』
『むう、聞こえたと思ったのだが』

「…ち。(仕方ないわね)あ、あー」
「ぶ、部長、どうしたんですか。いきなり発声練習みたいなことしだして」
『ねえ、サラ、花井先輩のこと、どう思う?』
「わ…、すごい。(八雲そっくり…)」

263THE FOOL:05/05/06 00:49 ID:EPbUBfnc


廊下から一際大きい声が響く。

『おお!! 今、聞こえた声は間違いなく八雲君のものだ! あの清らかさ! 
 聞き惚れるような美しさ! 間違いない! 今行くぞ、八雲君!』
『それ、いくらなんでも言いすぎだから』
『ですよね…』

「…おや? 八雲君がいないようだが」

「だから言ったじゃない。高野さんもここにいたんだ」
「こう見えても、茶道部の部長だからね。結城さんもどう? 少しゆっくりしてく?」
「うーん、どうしようかな」

「やっぱり見間違いじゃありませんでしたね。あっ、サラだ」
「えっと、稲葉さん。どうしたの、花井先輩と一緒に…」
「えへへ、これからちょっとね…」


「それにしても、大した耳だこと…」
「む、何か言ったかね?」
「別に…」

「ちょうどいいところだったわ。今、サラと二人じゃ少しさみしいって話してたところなの。
 二人とも一緒にお茶でもどうかしら。
 …花井君は、まぁ今回だけは特別に入室を許可してあげるわ」
「いや、今回は遠慮しておこう、八雲君もいないようだし」

普段なら泣いて喜ぶ提案も、八雲抜きでは意味が無い、そういう男なのだ、彼は。
264THE FOOL:05/05/06 00:50 ID:EPbUBfnc


(…こいつはっ…!)「そう、なら永久に立ち入り禁止ね」
「なぜそうなるっ!」
「人の好意を素直に受け取らない罰よ」
「くっ、それならばあの張り紙は剥がしてくれるのか?」
「気が向いたらね」「なるべく早く気が向いて欲しいのだが」
「それは無いわね」「それでは八雲君に会えんではないか!!」
「そう…、残念ね」「他人事のように言うなーー!!!」

ほとんど漫才にしか聞こえないやりとりである。

「あの、花井先輩も少し落ち着いて…。紅茶でもいかがですか」
「む、かたじけない、サラ君。……これは、おいしいな」
「…あ、ありがとうございます」
「それはサラが炒れたのよ」

「そうか。これなら他のお茶も一度ご馳走になりたいものだな」
「い、いつでも来て下さい! なんだったら修道院のほうに来てもらっても構いませんし」

(私も料理やったほうがいいかな…)
(いいなーサラ)

珍しく気の利いたことを言う花井、予測していなかった攻撃は
サラの頬をそめるにはあまりにも十分だった。

「しかしこれなら八雲君の炒れたお茶はさらに美味いに違いない!!
 早く飲んでみたいものだ!! 」

全てが台無しにする一言。目に見えて落ち込む少女が一人。
…そして静かに怒りを燃やす少女が一人。
265THE FOOL:05/05/06 00:51 ID:EPbUBfnc


「ああ、八雲君!! 僕はいつ君とここで出会えるのだろうか!!」
「うるさい、黙れ」

ごふっ、と声を上げ晶の強烈な一撃に崩れ落ちる花井。
その拍子に眼鏡が外れる。
渡そうとしたのか、ひょいとそれを拾い上げるが、そのまま固まる稲葉。
そのままたっぷり三十秒ほど見つめ合う二人。
やがて耐え切れなくなった花井が声を掛けると、ようやく彼女は元に戻った。

「…カッコイイ」

そうぽそっとつぶやいた後、彼女はマシンガンのようにまくし立てた。

「先輩はメガネを外した方がいいです!それに髪型も変えたらきっとすっごいモテますよ、
 絶対です! やっぱり私の目に狂いは無かったんだー!」
「そうかな、そんなに劇的に変わらないと思うけど」
「甘いです、結城先輩! 先輩は花井先輩の魅力に気づいてないだけです!」
「…魅力って?(悪いけどあなたよりは知ってるつもりだけど)」

ちょこっとカチンと来るものがあったのだろうか、微妙に声のトーンも低めに答える。

「そんなもの元から無いわね」
「何だと!」
「ぶ、部長。それはちょっと…」

先ほどの発言にイラついているのか、いつにも増してキツイ意見である。
266THE FOOL:05/05/06 00:52 ID:EPbUBfnc


「先輩、先輩、今から私がよく行く美容院に行きましょう。
 髪型変えて、ちょっと染めて、それから服も買いに行きましょう。
 名付けて『花井春樹改造計画』!!」

興奮しっぱなしで提案する稲葉。
はたから聞けばほとんどデートと変わらない、むしろそれが狙いのようだ。
ネーミングのセンスはひとまず置いておく。

「正直なところ、別に僕は八雲君以外の女性にもてなくとも良いのだが」

かなりムカッと来る言葉だが、今の彼女には通用しなかった。
他の三人はストレスがたまったようだが…。

「先輩も甘いですね〜、いいですか他の女の子にカッコよく映るってことは、
 塚本さんも例外じゃないってことですよ」
「そ、そうか! そうすれば八雲君も僕のことを…」
「惚れちゃうかもしれませんよ。行くのけってーい! 早く行きましょう先輩」

見事な話術、彼女のペースで全てが運んでいる。
その場にいる全ての女性がそう思った瞬間、荒々しくドアが開かれた。
267THE FOOL:05/05/06 00:53 ID:EPbUBfnc


「うらぁっ! 花井、お前ここで何してやがる!」
「す、周防か。いきなりどうした。びっくりしたじゃないか」
「今日、放課後付き合えって言ってただろーが。教室で待ってたんだぞ。
 いつまでも来ないし…、でここに来てみたら何デレデレしてんだ、この色ボケ!」
「何だと周防! 聞き捨てならんぞ! 僕が八雲君以外の女性などに惹かれることなど
 あり得るはずもないだろう!」

真っ直ぐに自分の本心を語る花井、人はそれをバカ正直という。

「へぇ…、そうかい」
「『など』、とはね…」
「花井先輩も、もう少し女の子のこと分からないといけませんね! ほんっとにもう!」
「花井くん…、いい加減にしないとそろそろ刺されるよ。…後ろから、ね」

失礼に失礼を重ねられれば、怒るのも当然だ。
…がそれに気づく人間ではないのだ、彼は。

「皆なにを怒っているのかね?」
「お前、本気で言ってるのか? 自分の言ったこともう一度考えてみろ」
「考えるも何も思ったことを発言しただけだぞ。何もおかしなことは言っていないと思うが」

人間には我慢の限界というものがある。彼女達はよく耐えているほうであろう。
268THE FOOL:05/05/06 00:54 ID:EPbUBfnc


「あー、とりあえずこいつは私たちに喧嘩売ってるってことでいいよな?」
「ついでに自殺願望もあるみたいだし、手伝ってあげようか」
「そうみたいね。ふふ、腕が鳴るわ」

三人の目が血走ってきたようだ。無理もない。

「は、花井先輩、早く謝ったほうがいいです」
「そ、そうですよー、早く謝らないとやばいです」
「…しかし、そうは言うものの何を謝ればいいんだい。皆目見当も付かないんだが」

危険を察知し、謝罪をすすめる二人。
そしてその意図をまったく汲み取らず地雷地帯に全裸で飛び込んでいく男が一人。

一人がストレッチを始める、体は十分ほぐれたようだ。『いつでもいける!』らしい。

一人はスリングショットを調節している。そこらの空き缶なら三つは貫通できそうだ。

一人はモデルガンを調整している。モデルなのか怪しい、ここが生死の分かれ目であろう。

とりあえず、三人に共通しているのは妙にイキイキとしている、という点に尽きる。

269THE FOOL:05/05/06 00:55 ID:EPbUBfnc


「先輩謝ってくださいよう! 死んじゃいますよう! 嫌ですよう!」
「そんなのイヤー! 先輩早く謝ってよぉー!」

半狂乱になりながらも花井を救おうとする二人。だがその願いは無残にも打ち砕かれる。

「はっはっは、大丈夫だとも! 何故死ぬのかわからんが、僕は普段から鍛えているからな! 
 なにかあったとしても男、花井春樹! 二人とも守ってあげるとも!」

『こんなところで漢を上げてどーする?』というつっこみが聞こえてきそうである。

「頑丈だってよ、良かったな二人とも」
「おもちゃはやはり頑丈じゃないとね、…クスクス」
「全くね。で、花井君、何か言い残すことはあるかしら」

「ふむ、言い残すことか…、僕は八雲君と結ばれるまでは死ねないのだがな…。
 そうだ! 『そんなことより』聞きたいことがある。
 八雲君は普段いつ茶道部に来るのか教えてくれないか」

三人の血管がとある強い感情により、計六本ほどプチ切れた。
もはや彼女達に理性は残されていない。ただ目の前の肉を潰すのみである。
270THE FOOL:05/05/06 00:55 ID:EPbUBfnc


「「いい加減に……しろー!!!」」 


ここからは音声のみでお楽しみ下さい。

ゴッ メキャ ズドッ グチャ ドガガガガ ギュイーン ガーーー キャアアア 

ウリィィィ ギャガガガガ ぎにゅうあああああ ぉfhdfjh………… 


―――花井春樹、茶道部室から転落。三時間後病院で死亡―――





……などということは流石に無かったが、彼は全身打撲で入院することとなった。
271THE FOOL:05/05/06 00:56 ID:EPbUBfnc


翌日矢神病院にて。
見舞いに来たサラと花井は病室で談笑していた。
その表情から彼女がとても上機嫌であることがうかがい知れる。
理由は言うまでも無いだろう。

「どうぞ、先輩」
「すまないな、サラ君」
「どういたしまして。それよりも先輩…、体のほうは大丈夫なんですか」
「はっはっは! 鍛えていると言ったろう、あと3日もすれば退院できるさ!
 しかし気になる……彼女達は何故あんなに怒ったのだろうか、サラ君心当たりはあるかい?」
「えーと、先輩はもっと女の子への接し方を考えたほうがいいと思います。
 ちょっとデリカシーが無さすぎですよ」

「そう言われてもな、……ふう」

明らかに気落ちした表情で息を吐く。

「先輩、ため息なんかつかないで下さい。少しずつ気をつければいいんですから」

言い過ぎたのだろうか、そう思いすかさずフォローを入れる。
…もっともすぐに後悔することになるが。

「いやそれもあるが、なかなか八雲君が見舞いに来てくれないのが気になってな」

最早何も言うまい。
272THE FOOL:05/05/06 00:56 ID:EPbUBfnc


「…だからっ! そういうところがデリカシーが無いって言ってるんです!!!」

そんなこと言うのはこの口ですかー、と言いながらつかみかかる彼女。

「花井せんぱーい! お見舞いに来ましたよー、ってあー! 
 何してるのサラ! 抜け駆けだ!」

なにか勘違いをしているようだ。

「えっ、ち、違うよっ!!」
「むう、八雲君ではなかったのか、残念だ」

またしても自分にしょーじきな発言をかます花井。

「「いい加減にして下さい!!!」」
「さっきから言っているように先輩は……」
「てゆーか先輩さっさと塚本さんを……」



病室がキャアキャアと喚き声に埋め尽くされる。
穏やかな日曜の午後、その声は隣室、いやその隣の部屋にまで聞こえていた。
彼女達が追い出されるのは、このすぐ後のこと……。
273Classical名無しさん:05/05/06 00:56 ID:LEkC4vHQ
ガンガレ。

一応責任取って、全部読むから。
274THE FOOL:05/05/06 00:57 ID:EPbUBfnc


その頃他の三人はというと………



「あー、どーすっかなー。自分で入院させといて見舞いに行くのもなんか変だし…、
 そもそもあいつが約束忘れてんのが悪いんだよ!」

実は買い物を楽しみにしていた彼女、すっぽかされた上に他の女にデレデレしてれば
頭にくるというものである。…いささか誤解があるが。
ふと、その顔に笑みが浮かんだ。
そうだ、だったら今回の埋め合わせにどこかに連れてってもらえばいい、もちろん
あいつのオゴリだ。これはデート、だよなと自己完結。
きししっ、と笑いながらベッドの上に飛び乗る。
その止まらぬ笑みを隠そうともせず、嬉しさからか転がり続けるのだった。
275THE FOOL:05/05/06 00:58 ID:EPbUBfnc


「困ったわね…」

椅子にもたれかかりながら、つぶやく。
彼女にはわかったのだ。ライバルの存在、そしてその多さを。

「稲葉さんも、よけいな事を言ってくれたものね。……でも今は感謝してるよ」

今まで足踏みしていた自分の背を押してくれた、そんな彼女に感謝する。

あの時の花井の態度から彼女は悟った、たしかに彼にとって塚本八雲以外は
恋愛対象になりえない。
…だが隙をつけば女としては見ることもある、ということが。

「メガネを外して、髪型を変える、か…」

いきなり惚れてくれるはずなどない。だがそれで良いのだ、彼女には。
最後に自分が彼の側にいる、そのために最大限の努力をする、その心構えを持つことが出来た。
だから感謝する、彼女に、ライバルに。
少しは彼の自分を見る目が変わってくれるかもしれない。
…そんな期待を胸に彼女は一日を過ごした。

276THE FOOL:05/05/06 00:58 ID:EPbUBfnc


「なんか今日は調子が良いわね。…あのバカをからかったせいかしら。サラのこともあるし、
 立ち入りを許可してみるか、…八雲のいない日だけ」

花井の落ち込む姿を想像したのであろう、頬を緩ませる。地味に花井にいかれてるようだ。
次はどんな手でからかってやろうか、そんなことを考えながら彼女の日曜は過ぎていく。




「「「楽しみ(ね、だな)…」」」

三人の言葉が重なる。



花井春樹が塚本八雲を諦めない限り、彼に平穏の日々は来ることはないようである。


277Classical名無しさん:05/05/06 00:58 ID:LEkC4vHQ
つかID変わってたか。

向こうの318な、一応。
278THE FOOLの中身:05/05/06 01:01 ID:EPbUBfnc
えーとこれで終わりです。
正直SS書くのは初めてなので、文章作法から表現までいろいろ
つっこみどころがあると思いますので、厳しい指摘、お待ちしてます。
批判、批評もあると嬉しいっす。よろしくお願いします。
279Classical名無しさん:05/05/06 01:09 ID:Z7jtnHJ6
花井モテモテキングだな。ちょっと珍しい。
280Classical名無しさん:05/05/06 01:16 ID:LEkC4vHQ
だな。花井のハーレム物は珍しくて新鮮だった。

俺の個人的な手法なのかもしれないが、会話のみの行が何行も続くのはよくない気がする。

言いながら花井は視線を宙に泳がせる。
軽くうつむいてサラは言葉を続けた。

みたいな表現を間に挟むと、誰がどのセリフ喋ってるのかわかりやすいし、見栄えはすると思う。
今後の成長に期待しとく。
281Classical名無しさん:05/05/06 01:47 ID:AY6nGpBs
>>278
会話シーンが本当にセリフだけで構成されているのが大きなマイナス。
これが最も気になった。
勢いで押し切るようなコントなどでない限り、きちんと地の文を入れたほうが良い。
読み応えが出るし、読み手も場面を想像しやすくなるしね。

で、展開のほうだけど、晶と美琴が前振りなく花井に惚れてるってのはいささか唐突。
特に晶は本編でも心理描写が皆無なキャラだし。

花井は花井らしかったと思う。モテる花井ってのは意外ではあったけど。
282Classical名無しさん:05/05/06 02:45 ID:QvygX3Lk
凄く新鮮な話だったよ。しかも新鮮なんだけど違和感もそんなにはない。
ケチをつけるなら、もう指摘あったけど、台詞が誰のかわかり辛い点。

全体的には実に楽しく読ませてもらいますた。新鮮だから、
先を読みたい読みたいって気持ちになるんですわな。
283Classical名無しさん:05/05/06 02:58 ID:QvygX3Lk
あとそうだな・・・最近氾濫気味のお約束がそんなに多くなかった点とか
スムーズに読めた理由かな?
この話に関して言うなら、晶が完璧じゃない点とサラが言うほどは
黒くはない点。本編にそういう描写は確かにあるけど、SSでそこを
誇張しまくった設定とかは馴染めないもんで。
どっちも「もしかしたらいるかもしれない生徒」に納まってると
思ったし、だからよかったのかも。
284Classical名無しさん:05/05/06 10:02 ID:VOscHvOk
黒キュア(*´Д`)ハァハァ
285Classical名無しさん:05/05/06 10:14 ID:7PAnJHnk
素直で黒くないキャラって貴重だな因幡さん。
286Classical名無しさん:05/05/06 13:25 ID:BPh9B1Io
>>278
なんか久しぶりに花井メインをよんだような……
何はともあれ、初めてなのに良く出来てると思いました。
あとは、様々な表現やキャラクターの心理描写を入れるともっと良くなると思いました。
何はともあれGJです。これからも頑張ってドンドン書いて欲しいなぁ。

あと、揚げ足を取りに聞こえるかもしれないが
>>261 にてサラが一瞬だけ花井の事を
「花井先輩」ではなくて「花井さん」と言っているのが気になったかな。

しかし、普段サラがメインを張るアソ皿だと、サラが麻生を振り回しているから
その分、今回の花井に振り回されるサラが新鮮で凄く可愛いく思えた。
愚痴を言う白サラ (*´Д`)ハァハァ
287Classical名無しさん:05/05/06 18:39 ID:1cILl2lo
スルー
288Classical名無しさん:05/05/06 19:34 ID:fmZfJn32
>278
おまいが麻生を嫌いで花井を大好きなことはよくわかった。
内容的には特に語ることないな。
289Classical名無しさん:05/05/06 20:31 ID:LVPpRNQ6
新鮮だっていうだけで色々甘くなってて笑える
やっぱり鮮度が一番大事だなw
290Classical名無しさん:05/05/06 20:44 ID:WhiPFxOo
新鮮か?
世に腐るほどに溢れてる播磨ハーレムの焼き直しにしか見えんが。
って言うか播磨ハーレムは親の仇みたいに批判しといて主人公が花井になっただけで手のひらを返すってのは感心しないな。
291Classical名無しさん:05/05/06 21:00 ID:vbotQ9EU
そろそろ「花井厨ウザい」ってレスが来る頃だろうか?
292Classical名無しさん:05/05/06 21:00 ID:BOTBXZ92
>>278
一作目からハーレムってのは無理があったかもね。

これからも書いていくならだんだんわかってくると思うけど
原作の曲解(解釈の違いとは似て非)や他のキャラを貶める描写は
嫌われるから注意してね。
293Classical名無しさん:05/05/06 21:17 ID:7PAnJHnk
他のキャラを貶めるようなのは無かったでしょ別に。
周防と高野が蛇足だったかもね。
294Classical名無しさん:05/05/06 21:34 ID:fmZfJn32
>293
あったと言えなくもないような…?

オブラートで包んであるから受け取る人によってかな

なんにせよ、実際あったなら本人はわかるでしょう
295Classical名無しさん:05/05/06 21:37 ID:1cILl2lo
麻生って誰だ?
296Classical名無しさん:05/05/06 21:38 ID:UtnmKdSc
 がちゃり、とドアを開け、
「……」
 無人の室内を見て、晶は小さく小さく――あるいは自分さえ気づかないほど――溜息をつく。
 八雲は播磨と一緒にいることが増え、サラはサラで教会の方が少し慌ただしいらしい。そんなわけで、
こういう日が少しだけ、けれど確かに多くなった。
 もともと部活とは名ばかり、時間のあるときに他愛のない話に花を咲かせる場である。いついつは
来なければならない、そんな規則はどこにも存在しないし、自らの都合を優先させることになんの
問題もない。
 けれど。
 彼女が部長になってから、今年に入ってからの一年間を振り返ってみれば、にぎやかな日々が
多かったこともまた事実だ。いつもどこか遠慮がちの八雲と、かいがいしくその世話を焼くサラ。
他にも部員はいるものの、記憶の大半を占めるのは彼女たちの話し声と笑い声。その姿を思い
起こそうと、晶は瞳を閉じ――
 がちゃり、と音がした。
 部屋のドアが開く音だ。
 彼女にしては珍しく、弾かれたようにして反射的に目を向けた先にいたのは。
「……愛理」
 ドアの影から遠慮がちに顔をのぞかせる愛理の姿だった。
「もう、ノックしても返事がないからいないかと思ったじゃない」
 室内に晶の姿を認めてほっとしたのか、お邪魔するわよ、と言うその顔は既に普段通りの彼女の
それ。窓くらい開けなさいよ、そんな台詞をぼやいてから実行に移す愛理。開け放たれたそこから
吹いてくるのは、涼しさを乗せた秋の風だ。
「まったく、閉めきってるからそんな辛気くさい顔になるのよ」
 どこか早口でそう言って、晶の正面に腰掛ける愛理。その視線はわずかに彼女からそらされている。
そんな彼女の姿を見て。
「ありがとう」
 晶は小さく笑った。
297Classical名無しさん:05/05/06 21:39 ID:UtnmKdSc
「っ……な、なにがよ」
「私のために来てくれたのよね、わざわざ」
 図星をつかれたように口籠もる愛理、そしてそれとは対照的に晶は調子を取り戻す。全部お見通しと
でもいうように、さらに言葉を続ける。
「サラ辺りの入れ知恵かしら」
「……そうよ」
 ここまで来るとシラの切りようもないと思ったのか、さばさばと答える愛理。
「あの子が『お暇があれば、高野先輩の様子をちょっと見てきてほしいんですけど』ってね」
 あんたね、と今度は開き直ったせいか、愛理の方が言葉を重ねていく。
「『先輩って、あんまり自分のこと考えない人ですから』なんて言われてたわよ? 周りのこと考える
 のもいいけど、後輩にまで心配かけてどうするのよ」
「分かるかしら、やっぱり」
「分かるわよ、そんな顔してたら。とにかく、だからさっきのありがとうはあの子に言っときなさいよね」
 まったく、もう一度呟いてから。
「もう少し他人を信用しなさいよ。あなたのこと見てる人だってちゃんといるんだから」
 ほんの少し顔を赤らめて、明後日の方に向かってそう言った。
 それに対して晶は。
「そうね。愛理だっているんだし」
 しれっとそんなことを口にした。な、とその愛理が言葉に詰まると。
「でも心配してくれたんでしょう?」
 さらに追い打ち。
298Classical名無しさん:05/05/06 21:40 ID:UtnmKdSc
「わ、私は別に……ただね、その、頼まれたから……」
「ふうん。じゃあ愛理は友達のことなんて考えない冷たい人なんだ」
「なんでそうなるのよっ!」
 思わず声を荒げたところに、冗談よ冗談、といつものように言ってから。
「……晶?」
 晶は声をあげて笑っていた。それは、長い付き合いである愛理でさえほとんど見たことのない光景で。
「ごめん。いろんなことを考えすぎて、一番大事なことを忘れてたのね、きっと」
 だからありがとう――晴れやかな笑顔のままで言って立ち上がる晶。
「それじゃ行きましょうか」
「行くって……どこに?」
「あら、こんなところにいたら辛気くさくてしょうがないんでしょう?」
「そこまで言ってないじゃない……」
 呆れたような口振りの愛理は、けれど小さく肩をすくめながらも立ち上がる。
「まあいいわ、どこにでも付き合ってあげるわよ」
 勝ち気な笑顔でそう言って、窓際に立って外を眺める。広がるのは秋晴れの空、絶好の行楽日和だ――




空気を読まんですまんねというかまたーりいきませんかだめですかそうですかぎゃふん。
299Classical名無しさん:05/05/06 22:02 ID:LVPpRNQ6
>>290
紛らわしかったね
>>289は嫌味だ。俺も同じ様な事思ったよ

>>298
マターリ( ´∀`)
この2人の過去っていつか出てくるのかねえ
300Classical名無しさん:05/05/06 22:21 ID:VOscHvOk
作品の批評のみならず
感想の批評もしてくれるスレはここですか?
301Classical名無しさん:05/05/06 22:41 ID:LVPpRNQ6
ここですよ
302Classical名無しさん:05/05/06 22:49 ID:HH3kOCzU
えーっと……
このスレではサラが麻生を好きじゃない、「いい人」とは思っていても恋愛感情はないと描写しただけで
麻生を貶めたことになるんでしょうか?
303Classical名無しさん:05/05/06 22:49 ID:VOscHvOk
わかった!ヽ(´ー`)ノ感想もバンバン投下するぞ!
304Classical名無しさん:05/05/06 23:21 ID:7PAnJHnk
>>302
キャラ貶めたってまさかそのことだったのか・・・。
305Classical名無しさん:05/05/06 23:45 ID:3u0cvg7I
まあ二次モノだとアソサラはほとんどライバル派閥がない分ガチっぽいし
その情報も出典はPFだからそう思う人がいてもおかしくないかも

288は明らかに嫌味が混じってるが
306Classical名無しさん:05/05/06 23:52 ID:nBOh5LAs
アソサラ派は怖えな…
307Classical名無しさん:05/05/07 00:01 ID:RQcX/3X2
アソスガや満腹やアソミコじゃライバル派閥にならんか・・・。
308305:05/05/07 01:00 ID:FR53/2.M
ああスマン、誤解を招くような書き方をしてしまった

本スレでアソミコや満腹などがあるのはもちろん知ってるが
SSや絵に起こされている度合いに限ってしまえば
麻生関連はサラが相手のがダントツで多いだろ?ってこと


あと、俺はアソサラじゃないので
むしろ麻生が余り好きじゃ(ry
309Classical名無しさん:05/05/07 03:30 ID:.WO0h2ao
麻生にだけ過剰反応するあたりが腐っぽくて嫌だ
310Classical名無しさん:05/05/07 09:29 ID:8H5sLUZo
てゆーより、あの表現で麻生を落としたことになるって感性がどう見ても腐女子だろ。

確かに体育祭のあれが花井に見せ付けるためだったってのは無理っぽいとは思っ
たが、SSには力技は付き物さ。

>>278にはくだらない嫌がらせにはめげずにがんがって欲しい。
311Classical名無しさん:05/05/07 10:26 ID:y6wMIvvw
SSには力技は付き物なら、何で播磨ハーレムは駄目なんだ?あれも力技が多いだろ。
程度問題なのか?
312Classical名無しさん:05/05/07 12:03 ID:dBFctFak
ふと思ったが、播磨の漫画は、あの世界では超写実的な絵だったりするんだろうか。
例えるなら、ろくでなしブルースやバガボンドみたいに。適切な例なのか、分からんが。
目の形とか輪郭とか、実物と全く同じだし。
313Classical名無しさん:05/05/07 12:04 ID:dBFctFak
すまん。本スレと間違えて誤爆してしまった。
埋まってくる。
314Classical名無しさん:05/05/07 12:32 ID:CegH1av.
播磨だろうが花井だろうが麻生だろうがハーレムだろうが面白ければそれでいい。
どんとこい。
315Classical名無しさん:05/05/07 13:07 ID:Fq42kvFU
IF
[接続詞]
@
(a)もし〜ならば
(b)もし〜する気があれば
A
仮に〜だとすれば
B
〜ならば…ではないか(ry

ってことだし無所属の俺とすれば面白ければ良いんだけどな
長々とスマソ
316Classical名無しさん:05/05/07 13:24 ID:5XRBeSHo
播磨ハーレム激しくキボンヌ
317Classical名無しさん:05/05/07 13:31 ID:OSsua9Q.
   ,:':´ ̄`ヽ
   i: .レリリリリ)  
 ⌒゚i:::リ´ ワ`リ゚⌒  ∫ 私もいる播磨ハーレム激しくキボンヌ
_⊂[i:/|<ネ>)]つ━・
    /_.,l_/~)  ━┳━
 ̄ ̄ ̄ ̄ .し'J ̄ ̄┃
318Classical名無しさん:05/05/07 13:59 ID:agp9mSmM
>>317
それはむりぽ。
319Classical名無しさん:05/05/07 14:04 ID:XBA2YIRE
>>317
夢落ちか漫画落ちになるな
320Classical名無しさん:05/05/07 15:02 ID:2MDpYTcg
つーか天満の想いが播磨に向いたら
王道エンド一直線でハーレムになりようがないだろ(w
上の花井ハーレムでも八雲だけは花井争奪戦に参加させられないわけだし
これはもうキャラの立ち位置が一人だけ違うんだからしょうがない

二人を両片想い状態で引っ張ったり天満が烏丸と播磨の間で揺れ動いたりとかなら
「天満も参加した播磨ハーレム」っぽい状況も一応作れないではないけど
どうしたってハーレムの中の一人として完全にワンノブゼムな存在になりきれるわけじゃないからね
321Classical名無しさん:05/05/07 17:31 ID:Ro9WZjLw
ほんとに
>原作の曲解(解釈の違いとは似て非)や他のキャラを貶める描写
=>サラが麻生を好きじゃない、「いい人」とは思っていても恋愛感情はないと描写

なのか!?
おっそろしいな……

>>311
みんな自分の好きなものには甘く、嫌いなものにはきつく、だからね
322Classical名無しさん:05/05/07 17:39 ID:60eRgJk.
播磨ハーレムにせよ、花井ハーレムにせよ、実はハーレムではないというところが
みそだもんね。
323Classical名無しさん:05/05/07 17:45 ID:awpwJcdo
NGワード:ハーレム
324Classical名無しさん:05/05/07 18:34 ID:3AKj9VNk
つか、無駄話はいい加減にしたら
325Classical名無しさん:05/05/07 18:36 ID:fKO4yoPo
なんだこの流れは
326Classical名無しさん:05/05/07 18:50 ID:awpwJcdo
S3がハーレムまみれで没落しつつあるから警戒してるのでは
327292:05/05/07 20:35 ID:GAnEYXmg
なんだかおかしなことになってしまいました……すみません。

少なくとも私が言っていたのは『ハーレムSS』についてです。
ちょっとイライラしたので言葉にトゲがあったことは認めますが、
『特定のキャラ』(この場合は花井)を高い位置に置くために女の子達を
“読者から見て”アクセサリー扱いするのは貶めるとは言わないんですか……?
つまり、貶められたのは『花井・八雲以外の全員』という意味だったんですが、
今更どうでもいいことですね。
感性が違うと言ってしまえばそれまでですし、私の作品は現在いる皆さんには
受け入れられないと思いますのでここにはもう投下しないことにします。
このスレでSSの書き方を教えてもらったので、ちょっと寂しいですけれど……
今まで本当にお世話になりました。

最後に、できればこの書き込みはスルーしていただけると幸いに思います。
328Classical名無しさん:05/05/07 20:37 ID:RQcX/3X2
ようわからん。
329Classical名無しさん:05/05/07 20:55 ID:Svz7msfk
言わんとする所はわかるけど、
なんでそれが投下しなくなるに繋がるのかが
皆目わからん。
330Classical名無しさん:05/05/07 21:04 ID:aaNDMdBg
>>327
シンプルに言えば、作者に読者の気持ちを考えろって言いたいだろ?
無理だよ。
受け取る側の偏った連想、思想的傾斜にまで配慮できないから。
331Classical名無しさん:05/05/07 21:19 ID:agp9mSmM
>>327
>最後に、できればこの書き込みはスルーしていただけると幸いに思います。

なら最初から書くなよどあほう。
332THE FOOLの中身:05/05/07 22:37 ID:mVlaBnRY
なんか自分のせいで荒れてしまったかも…。

みなさん色々と指摘ありがとうございました、参考にさせてもらいます。
誰が話しているか分かりづらい、というのは自分としては意外でした。
出来る限り分かりやすくしたつもりだったのですが。
やはり地の文が必要だ、ということですね、勉強になりました。

このSSでは
@花井の八雲ラブを書く。(この頃本編で見られないので)
Aサラを黒くしない、晶を超人にしない。
Bできるだけキャラの性格を本編通りに。
Cつーか花井ハーレムが書きたい、でも花井は能動的にしたい。
 周りの女性陣も均一でただいるだけにせず、そこにいる意味があるようにする。

の4つの目標があったんです。
@、B、Cがうまくいってればいいんですけど、…失敗みたい。

あと特定にキャラを貶めるつもりは全くなかったのですが、不快にさせて
しまったら申し訳ありません。表現を考えなければなりませんね。
できればその場所を指摘してもらえないでしょうか、自分としては思いも
よらなかったのです。

最後になりますが、読んでくださった皆さんありがとうございました。
333Classical名無しさん:05/05/07 22:59 ID:4uz5wZEQ
>>327
書きたい物を書くという2次創作の原点をまず理解してくれ。
読者に受け入れられるものを書くという考え方自体が間違っている。

だから、『私の作品は現在いる皆さんには
受け入れられないと思いますのでここにはもう投下しないことにします。』
という一文も、ここにいるほとんどの人間には理解されないぞ。
334Classical名無しさん:05/05/07 23:30 ID:MTwNOSvs
 ぱさり、と。
 ページをめくると音がする。でもその内容は、読んでいる当人こと私――結城つむぎの頭の中には
まるで入ってこない。機械的に字面を追って、最後まで辿り着けばページを繰る。延々と繰り返される、
そんなルーチンワーク。理由はまあ、分からないでもない。きっと。
「……この季節のせいなんだ」
 誰にともなく――と、言うよりこの場にいるのは私だけなんだけど――呟いてみる。
 この季節。
 秋。
 それはつまり、物思う季節、ということで。
 考えないようにしよう、そう思うほどに余計なことを考えてしまって、舞ちゃんには『最近調子
悪いの?』なんて訊かれちゃうし、あげく嵯峨野には『へーふーんへー』とか意味深なにやにや笑いを
頂戴する始末。まずいなあとは思うものの、なにに急かされてるんだかブレーキの利かない心は勝手に
暴走中。仕方なしに、逃げるようにして部室にやってきて、一人本を開いてみるものの、という次第。
「はぁ……」
 おまけに誰が悪いかとなると、考えるまでもなく自分なわけで、そりゃ溜息の一つだってつきたくなる、
というものだ。ついたってどうしようもないんだけど。
「……帰ろ」
 投げやりにそう言って、ぱたん、と手にした本を閉じて立ち上がろうとしたとき。
「ん?」
 どすん、と鈍い音がした。廊下でなにかが倒れた音……のはずだけど、さてそこに倒れるような物が
あったかとなると、さっぱり思い当たらない。なんだろう、訝しみながらも恐る恐る引いた戸の向こう、
ちょうど正面の廊下に。
「――花井、君?」
 私の悩みの種が、落ちていた。


「……」
 よっぽどなにも見なかったことにしようかと思ったけれど、さすがにそうもいかない。とりあえずなんとか
ぐったりしているその身体を部室に運び込み、壁にもたれかかるようにして椅子に座らせて――そこではたと
気がついた。
 なにをやってるんだ、私は。
335Classical名無しさん:05/05/07 23:31 ID:MTwNOSvs
 そう、こんなことしたってなんにもならないのだ、実際のところ。大体、もし本当に彼がどこか調子が悪くて
倒れていたのなら、連絡するべきも運び込むべきも保健室だ。まあ、そこは、八雲君八雲君、なんてうわごとを
言ってる時点で大丈夫だということにして。……大丈夫、だよね?
 ともあれそのうわごとからして、また塚本さん――もちろん妹さんの方だ――絡みでなにかがあったんだろう、
という見当はつく。ここのところ、以前にも増して彼女のことで浮き沈みの激しい彼だ。気合十分で教室を飛び
出していったかと思えば、ひどくげんなりした様子で戻ってきたり、えとせとらえとせとら。その様子は、私が
言っちゃいけないんだろうけど、やっぱり滑稽だ。
 でも。
「ホント、どうしてかな」
 諦めないのだ、この人は。全然まったく、これっぽっちも。
 実際、塚本さんが彼に対してどんな態度を取っているのかを私は知らない。でも、OKの返事を出していない
ことだけはさすがに分かる。もしそうだったらこんな大騒ぎが続くわけもないし、ついでにいうなら塚本さんは
播磨君と付き合ってるとかなんとか。これは私自身が確認したことじゃないからなんともいえないんだけど。
 とにかく、だ。
 そんな騒動を散々繰り返し、それでもめげない彼が。たとえば当の塚本さんの気持ちだとか、周囲に与える
迷惑だとか、他に考えなきゃいけないことがあるとしても。素直にすごいと、私はそう思う。そこまで人を
好きになれることが、そこまで自分の想いを信じられることが。
 そしてまた、だからこそ同時に二の足を踏んでしまう。こんな人の背に、私は手を伸ばしていいんだろうかと。
恋をするのに資格なんていらないはずなのに、果たして自分にそんな資格があるんだろうかと考えてしまう。
「全部あなたのせいにしちゃってるだけかもしれないけど」
 どうなんだろう。分からない。
 答をくれるかもしれない彼は、まだ瞳を閉じたままで、だから私はその顔を真正面から覗き込んで――
「失礼しまーす!」
「っ!?」
 そのとき、唐突に部室の戸が開いた。いつもの二人だ。なんだかんだで入り浸りの日は続いていて、そろそろ
部員になってくれると嬉しいんだけど……じゃなくって。
「……え、と」
「先輩……?」
336Classical名無しさん:05/05/07 23:32 ID:MTwNOSvs
 固まってる。
 分かりやすいくらい固まってる。
 うん、その気持ちはよく分かるよ。私だって、部室に入っていきなり見つめ合う男女なんて見せられた日には
びっくりするはず。絶対。
「その、お邪魔しました」
「……先輩の、先輩の、裏切りものーっ!」
「あ、コラ稲葉なに言ってるの! ちょっと待ちなさいって!」
 反論どころか口を開く前に、嵐のように二人は――というか稲葉さんは――飛び出していった。
 そして。
「……結城君、なにがどうなっているのか説明してくれるとありがたいんだが」
「あはは……」
 ようやく意識を取り戻したらしい彼を前に、私は乾いた笑いを浮かべるしかなかった。いやもう本当に。


「そうか。それは迷惑をかけた」
「あー……いいよ、別に」
 困ったときはお互い様だしね、なんて微妙にピントのずれた返事を返す自分を心の中でバカバカと罵りつつ、
どうにか私は笑ってみせた。今度は普通に笑えている……はず。
「しかし、彼女――稲葉君、だったか――には余計な誤解を与えてしまったようだな」
「それはまあ、その、いいんじゃないかな」
 煮え切らないというかはっきりしないというか、そんな言葉を口にした私に花井君は眉をひそめる。
「いや、よくはないだろう。それにそもそも僕が好」
「ああそうそう、よくないよくない、うん」
 あまり聞きたくないことをさ言われそうになり、思わず割り込んでしまった。というか、そんなマジメな
顔してさらっと言わないでほしい。そういうことは。
「……結城君?」
「ん? なに?」
「いや……」
 まだ首を捻りながらも、結局納得してくれたのか席を立つ彼。今更ながら、二人きりだったんだ、なんて
気づいたりして少し寂しくなる、そんな現金な自分をたしなめつつ、気をつけてねとその背を見送る。
337Classical名無しさん:05/05/07 23:33 ID:MTwNOSvs
 と。
「ああ、そうだ」
 戸に手をかけたところで、なにかを思い出したように振り返ってくる。
「肝心なことを忘れていた、まったく僕もどうかしている」
「えっと……なに?」
 問い返した私に、決まってるじゃないか、そう言って。
「ありがとう、結城君」
 礼も言わずに帰ってしまうところだった、と彼は笑った。
「……ど、どうも」
 そして、わずかにひっくり返ってしまった私の声にも突っ込むことなく、ではな、と出ていく。今度こそ、
そこに残されたのは私一人だ。知らず入っていた肩の力が、ふっと抜ける。
「もう、ホントに――」
 続く言葉を探そうとして、でも見つからず、結局。
「帰ろっと」
 呟いて、私も席を立った。
 どういうわけか少しだけ軽くなった、そんな心と一緒に――




……いやだからまたーりいこうよと思いつつのお茶濁しなので適当にスルーして下さい。げふ。
338Classical名無しさん:05/05/07 23:39 ID:PhajvzKI
スルーできるか!

こんな素晴らしいもん
いや俺が虹SS好きなだけだがGJ
339Classical名無しさん:05/05/07 23:54 ID:awpwJcdo
> あげく嵯峨野には『へーふーんへー』とか意味深なにやにや笑い

イトコヌード回の顔が浮かんで嵯峨野かわいいよ嵯峨野(*´Д`)
340Classical名無しさん:05/05/07 23:59 ID:fKO4yoPo
いやいやいやお茶濁しだなんてそんなとんでもない。
お茶濁しでコレだというのなら自信なくす人続出。
ということでGJ!
341Classical名無しさん:05/05/08 00:01 ID:wNAqti3s
>>337
気配り乙! GJ!
マターリ( ´∀`)

>>333
おまいさんも極端だな
それじゃここに投下しないで、チラ……いや、大学ノートにでも書いてればいいってことになる
読み手がいるのが前提なんだから、ある程度のガイドラインは必要でしょ?

で、>>327に限ったことじゃないが、自分の嗜好と合わないSSはスルー
間違って読んでしまったとしても気づいた時点で止めなかったのは
自分の責任なんだから我慢してくれ……ってのは、ダメ?
342Classical名無しさん:05/05/08 00:47 ID:QBfQYNmk
>>341
>自分の嗜好と合わないSSはスルー
いいんじゃないかそれで
まあスルーしやすいようにSSの最初にでも誰が主役かとか設定改変とかクロスとか
簡単な内容説明があればスルーしやすくていいと思うけど。
343Classical名無しさん:05/05/08 09:55 ID:sC3yX2/E
>>327
つかさ、ハーレムSSがイヤでたまらないなら、それに相反する素晴ら
しいSSを投下すればいい話だろ。

俺は今回の花井SSを擁護してきたわけだが、属性は旗原理主義だし、
これが受け入れられたから他がダメだとかってのは変だろ。

まあ、別に引き留める気もないから、ここに投下するのやめたければ
やめればいいさ。

しかし、自分が肌に合わなかったSSが支持されたら投下止めるって
相当痛いな。おにぎりが支持されたS3やここには、俺はSS投下でき
ないらしいw

344Classical名無しさん:05/05/08 10:34 ID:9i45wAWw
>334
虹SSお疲れ―。
花井好きな俺としては楽しめた。

稲葉がなんかいい。
345Classical名無しさん:05/05/08 12:18 ID:f6npTFxM
>>343
随所に皮肉をちりばめるお前も相当痛い
346Classical名無しさん:05/05/08 12:30 ID:b/VzM032
俺は麻生と花井関連のSSは完全にスルーしてるから投下してもかまわんよ
347Classical名無しさん:05/05/08 12:51 ID:t6tl93YE
文章、ストーリーが下手とか糞とかそういうのじゃなくて、そのキャラ、その派閥が許せないってだけならスルーだよなあ。
俺は旗とおにぎりはスルー。
348Classical名無しさん:05/05/08 13:03 ID:Il3GjvPQ
お前等の好みとかどうでも良いから
そろそろ書き手が投下しやすい空気に戻せ。
349Classical名無しさん:05/05/08 13:09 ID:THhoY722
無理っす
350Classical名無しさん:05/05/08 14:00 ID:U09BFVpI
>>337
これもマガスペ向きなSSだな、GJ。
またまたーり書いて。
351Classical名無しさん:05/05/08 14:53 ID:pIXvLcAU
 よし!じゃあオイラがバカっぽいの投下するからギスギスした空気を吹っ飛ばしてくれ。
↓ただし!ちょっとエロいから、そういうのが嫌いな奴は『スルー』してくれたまえ(w
****************************************************************************

はない「ついに ねんがんの つかもとくんの パンツ を てにいれたぞ!」

はりま「 そう かんけいないね
      ゆずってくれ たのむ!!
     →ころしてでも うばいとる」
   ピッ!

はない「 な なにをする きさまー!」




「覚えとけメガネ…!悪は必ず滅びるのだ…!」
天満のこととなると尋常でない力を出す播磨くんだった(勿論、これについては勘違いだが)。

「待て、播磨…!貴様がそれを持っていても意味がない…!」
「シャラップ!貴様のような奴に、神聖な女神様を汚されてたまるか!止めの播拳蹴!」

播磨のパンチ(キック言うたやん!)が花井を直撃した。
「ぐふっ…」
それがガラハd……もとい、花井の最期だった。

「……。」
(しかし、手に入れたはいいが、どうやって天満チャンに返せばいいんだ?
あの激鈍女のことだから直接手渡しなんてした日にゃ、ぜってー誤解される…)

愛するものの下着を目の前にし、沈黙する播磨だった。
352Classical名無しさん:05/05/08 14:53 ID:pIXvLcAU
はりま「→しらべる
      そうびする 」
   ピッ!

はりま「→においを しらべる
      なめて しらべる
      はいて しらべる    」

「って!ちょっと待て!何でこんな変態チックな選択肢しか出ねー!?」

播磨が下着を見つめながら、考え込んでいると後ろから声をかける者があった。
「あ、あの…」
「ん?」
播磨が振り返ると、そこには春の女神=八雲が立っていた。

「それ、私のです…」



「ヒソヒソ…播磨が塚本宅に盗みに入ったらしいぞ」
「ヒソヒソ…うは!流石不良だな!」
「ヒソヒソ…しかし彼女とは公認の関係だったらしく、お咎めなしだそうだ。」
『うらやましいやつ!』(←合唱)

「もう絶対入れねー…」

教室の前で膝から崩れる播磨くんであった――


           ――BAD END――
 
353Classical名無しさん:05/05/08 14:58 ID:Il3GjvPQ
ミンサガでは
・力ずくでも奪いとる
に変わってるけどな……。
354Classical名無しさん:05/05/08 16:32 ID:vjBNgdBw
  ∧,,∧
 ( `・ω・) ウーム・・・>>351-352
 / ∽ |
 しー-J
355Classical名無しさん:05/05/08 18:40 ID:LBTCq3oA
ふと、播磨を脅迫する黒八雲が頭をよぎった。
356Classical名無しさん:05/05/08 19:40 ID:U2UdVQ06
むしろ頭からかぶって○○仮面に目覚めてしまうハリーオ

 「それは私のおにぎりさんだ」

  ・・・クロスオバーは駄目ですたm
357Classical名無しさん:05/05/08 19:41 ID:JC4/BOBw
>>355
下着のことを天満に言うと脅してそのままゲットって寸法か。
358Classical名無しさん:05/05/09 00:21 ID:duqYTFkk
>357
セックスの時に天満のことを考えてる播磨を咎める八雲(*´Д`)
359Classical名無しさん:05/05/09 00:40 ID:ik.CRikI
花井、盗みに入ったのか…?そこまで堕ちたのか…?
360Classical名無しさん:05/05/09 04:16 ID:ewYS7B2I
花井は多分、一度変○仮面に変身したと見た。

花井「こ、これは塚本君のパンティ!!
   い、いかん、引き寄せられる…
   コレでは変態ではないか…
   う、う…フオオオオオオオオオ!!」

そして、我に帰った所で播磨にぶちのめされた…間違い無い!
361Classical名無しさん:05/05/09 08:51 ID:JN4oqr2I
つうか播磨は何故居たのだろうか。
単にはないに先を越されたってだけなのか。
362Classical名無しさん:05/05/09 12:10 ID:n4m41xB6
お前らこの手の作品でそんなことを論議するのは野暮だと思うぞ。
笑えた笑えなかったでいいじゃん。
363Classical名無しさん:05/05/09 15:09 ID:duqYTFkk
ロマサガ知らない世代なのでは
神様をチェーンソーで一撃とか
364Classical名無しさん:05/05/09 15:31 ID:Hh.5Q8iM
・・・・・サガだよな・・・・?
365アライのメット:05/05/09 22:49 ID:4dcAswv.
魔界塔士あげ
366Classical名無しさん:05/05/10 00:04 ID:H8FJpZ1M
ああ、ギャラクシアンエクスプロージョンね。
367Classical名無しさん:05/05/10 00:52 ID:n14oisCI
なにその黄金聖闘士
368Classical名無しさん:05/05/10 01:25 ID:a1kYqsQw
         _
.    , '  ̄`´<
   i 〈ノリリリハ〉
    | i(l ゚ヮ゚ノ|
   ノ⊂|l介l|つ ・・・・・・
  ' ' ' く/j_|>'
     しソ
369Classical名無しさん:05/05/11 00:26 ID:eEAnI7.E
S3で久々に、ハル氏の例のアレが。
あーゆーのは中々見られないから、それなりに楽しめる。
370Classical名無しさん:05/05/11 16:36 ID:EGjF0Nic
「君と見た海」の改定版まだでしかーー?
371sage:05/05/11 22:35 ID:G4zzEKq.
だ、誰か麻生を殺してくれ…
今週見て、スクランが終わったと思った
弱点が自分に向けられている好意に鈍いってそんなお約束な…orz
いや、他人に任せるよりはいっそ俺が殺るk(ry
372Classical名無しさん:05/05/11 22:40 ID:h/dhZeRE
>>371
本スレからの誤爆かな?
それとも、そういうSSを作ってもらいたいというのなら、私怨で特定キャラを迫害する物は荒れる元だから、
出来ればご遠慮願いたい。

あと、「sage」はメール欄に入れてね。
373Classical名無しさん:05/05/12 07:56 ID:BxVpdDKc
殺すのはどうかと思うが、しかし「何でもそつなくこなすが恋愛には鈍感」ってのは
U−1みたいでなんか嫌だ。
374Classical名無しさん:05/05/12 08:28 ID:iq7UaR0w
花井と麻生はいらん
375Classical名無しさん:05/05/12 09:08 ID:4vVQAKBM
そこでサラの逆襲SSを書くデスヨ。白サラでも黒サラでもOK!>373
376Classical名無しさん:05/05/12 10:10 ID:3UsTJFqE
だ、誰か播磨を殺してくれ…
弱点が自分に向けられている好意に鈍いってそんなお約束な…orz
いや、他人に任せるよりはいっそ俺が殺るk(ry
377Classical名無しさん:05/05/12 10:16 ID:ngrVg5sA
だ、誰か天満を殺しry
378Classical名無しさん:05/05/12 10:37 ID:uKCzPNuU
>>376
その好意の表れはシャイニングウィザードだがなw
379Classical名無しさん:05/05/12 11:03 ID:Qj61Y/bs
>373
同意


播磨天満は好きな子いるから他が眼中にないってのはなんとなく分かる
麻生はバスケ>>>>女子なのかもしれんが
そうだとすると「日々是苦戦ラブコメディ」のメインになる意味が…
まだまだこれからかもしれんけど
さつきが告白してもフーンとしか思わんのがなぁ
380Classical名無しさん:05/05/12 11:10 ID:LYvBDgk2
>>379
烏丸と同じじゃないか。
381Classical名無しさん:05/05/12 11:40 ID:qTs5dAV2
サラ「麻生先輩には教育の必要がありそうですね(はーと)」
382Classical名無しさん:05/05/12 12:33 ID:xPW5WAwU
天満の相手は当初は麻生みたいなキャラだったが
ダメ出しされて今の烏丸になったんじゃなかったか?
383Classical名無しさん:05/05/12 13:55 ID:Qj61Y/bs
>380
ということは、いなくていいよね
だ、誰か麻生を(ry
384Classical名無しさん:05/05/12 14:41 ID:yfoIYyU.
前々から思ってたんだけど、播磨が鈍いってのはFAなのか?
沢近は播磨の前ではツンのみ、八雲は彼女自身に自覚がないのでなにもしてない
姉ヶ崎の好意には気づいてるようだし鈍いってのはどこからきてるの?
385Classical名無しさん:05/05/12 15:45 ID:ktt3n83Y
頭を剃るような人間が自分のことを好きなのかもと考えるのもどうかと思うが。
386Classical名無しさん:05/05/12 17:14 ID:qAC1g3Ok
たしかにあれは本人にしちゃ好意の裏返しと取るには過激すぎることだろうな
387Classical名無しさん:05/05/12 17:47 ID:/gCW7qMk
だから播磨が沢近に好意を持つようになる展開はかなり難しいんだよな。
八雲が花井を好きになるより難しいんじゃないか?
388Classical名無しさん:05/05/12 18:44 ID:ziljLKDo
はああ?
八雲が花井を好きになるより難しいとか、頭悪そうな意見ですねw
389Classical名無しさん:05/05/12 18:51 ID:uYox6kD.
そこまで酷くはなくても似たようなものだろ
つか、これ以上は本スレでやれよ

ここで持論を展開したいならSSでやれ
390Classical名無しさん:05/05/12 19:01 ID:CMQfi3uM
>>388
本当のことだと思うが
391Classical名無しさん:05/05/12 19:31 ID:D0xdSOpA
>384
確かになぁ。
「こういうラブコメの主人公だから鈍いに違いない」って思い込みみたいなのはあるかも。
あと鈍感にしたほうがハーレム展開に持っていきやすいってのもあるな。

392Classical名無しさん:05/05/12 19:36 ID:ssi3J1YA
それこそ沢近さンは播磨を意識してこそいるだろうが
滅裂なあの言動がツンデレ分の発露なのかどうか・・・
393Classical名無しさん:05/05/12 21:04 ID:oiNSA/wg
沢近の行動はツンではなく、単なるDQNに見える。
394Classical名無しさん:05/05/12 21:30 ID:OUNcYvIk
うーん、頭剃ったり、ヒゲきったり播磨から嫌われる要素満載だからどうしても
播磨が沢近に気が向いたり動いたりというのが想像できない。

漫画編以降は大分おとなしくなったが、今度は播磨が沢近を落としてるような・・・
金髪が大嫌いと言ったり、舞台で恥かかせても謝らなかったり。
395Classical名無しさん:05/05/12 21:49 ID:FT9/8lj6
二次創作における女尊男卑は既に基本思想となっているってことだろう
「野郎には試練を、ヒロインにはラブラブを!」

ということで、雑談は程々にしとこうぜ
396Classical名無しさん:05/05/12 22:30 ID:dWSEPJrw
俵屋「(苦労して手に入れた○○のコンサートチケット・・・
     麻生先輩、一緒に行ってくれるかな・・・)」
麻生「・・・俵屋?ああ、丁度良かった。」
俵屋「あ、麻生先輩!!」
麻生「今日俺バイト入っててコーチ行けないからさ、みんなによろしく言っといて・・・」
俵屋「先輩、今日暇ですか?暇でしょう?暇ですよね?暇じゃないと嫌です!」
麻生「・・・あの・・・いや・・・だから・・・」
俵屋「だからその・・・あの・・・これ!一緒に行って下さい!」

ララ「・・・何だかワカランけど、ワタシはヒマだから一緒に行ってやってもいいぞ」
俵屋「・・・あれ?・・・あの・・・麻生先輩?・・・何でララさん?」

サラ「先輩、今日はコーチのほうはいいんですか?可愛い子達に懇切指導」
麻生「茶化すなよ。仕事と部活のメリハリくらいつけてるさ」

ララ「ガー―ッ ゴーーーッ スピ――――ッ」
俵屋「うう・・・全然曲に集中できないよ・・・・」


俵屋ってこんな感じのキャラ・・・だよな?
397Classical名無しさん:05/05/12 22:50 ID:2qweNg96
>394
それがどうした!
萌えるためには山でさえ動かすのが漢!
398Classical名無しさん:05/05/12 22:50 ID:XOMIoEX.
なんか女子版の播磨みたい…
399Classical名無しさん:05/05/12 23:07 ID:xPW5WAwU
播磨は鈍くは無いがバカ。天満は鈍い上にバカ。
つまり、播磨が天満を振り向かせる事こそがスクランのカップルの中で一番難しいってこった。
400Classical名無しさん:05/05/12 23:49 ID:JHJ459Vk
振り向かす必要性がわからん
くっ付いたラブコメおもろいか?
振り向いてもらう為に頑張る事がおもろいと思うんだが
401Classical名無しさん:05/05/12 23:57 ID:xPW5WAwU
あからさまに無理なのが見えてると萎える場合もある
痛々しくて
402Classical名無しさん:05/05/13 00:04 ID:Foz/lM46
そこは好みの問題だ。
つーかこのやり取り飽きた。
どこまでが好みの問題でどこから他人に口出ししていいかぐらい判断できるようになれ。
403:05/05/13 00:05 ID:Foz/lM46
>>400にね
404Classical名無しさん:05/05/13 01:29 ID:jAT2irIU
>>395
男尊女卑の間違いだろ
405Classical名無しさん:05/05/13 02:32 ID:ZJFVkN4c
ファミコンキタ━━━━(゚∀゚)━━━━ッ!!
406Classical名無しさん:05/05/13 07:40 ID:covTzOxM
原作じゃ天満沢近はかなり播磨と絡めなくなっていってるからSS書くのが難しくなってる。
播磨はケーキ潰しとおまえじゃないで二人をどん底に落とすからなあ。
天満沢近がいくら落とされ要員とはいえ…
407Classical名無しさん:05/05/13 10:27 ID:q8nMUePU
一応ケーキ潰しも「お前じゃない」もいつものギャグなんだけどな。
最近はギャグがギャグにならなくなって来てるから、片方をあげて片方を下げる
いつもの対比ギャグも、今では思いっきり悪印象にしかなってなかったりするんだな。
408Classical名無しさん:05/05/13 11:02 ID:A/tDy/u6
ケーキ潰しはともかく、「お前じゃない」は十分ギャグとして見れたけど。
普通にこれまで通りの反応じゃん播磨としては。
409Classical名無しさん:05/05/13 11:24 ID:MZNAOkik
おまえじゃないは旗としてはムカついたけど、ああいうこと言えるのも
播磨にとっての沢近が気の置けない相手だってことだなと前向きに
考えている。
410Classical名無しさん:05/05/13 12:26 ID:v3Zo4slQ
ケーキ潰しは王道(ry
411Classical名無しさん:05/05/13 12:27 ID:covTzOxM
本編の漫画描くしか存在意義のない播磨にはもう期待できん。
SSに期待しよう。
最近はSSの方が楽しみだ。
412Classical名無しさん:05/05/13 12:53 ID:raQcJAtg
お前じゃないとケーキ潰しって何巻?
413Classical名無しさん:05/05/13 13:02 ID:nQLkNwog
作品来ないからって雑談し過ぎ。本スレ池。
414Classical名無しさん:05/05/13 13:02 ID:BaTfK/zg
全部十巻
415Classical名無しさん:05/05/13 20:41 ID:cCiN4U46
S3におにぎり神が降臨されてるねぇ
416Classical名無しさん:05/05/14 18:05 ID:xb2Z2T66
   姉ヶ崎
    ↓
沢近→播磨→天満→烏丸→カレー
    ↑
   八雲
    ↑
   花井(←)周防←今鳥←一条
417Classical名無しさん:05/05/14 19:20 ID:u1z6dJ42
   姉ヶ崎
    ↓
沢近→播磨→天満→烏丸→八雲
    ↑
   八雲
    ↑
   花井(←)周防←今鳥←一条
418Classical名無しさん:05/05/14 22:23 ID:FXbrYmqs
>416-417
要するにカレー=八雲と言う事だな。
419Classical名無しさん:05/05/14 22:37 ID:6RbHEztk
ってことは

   姉ヶ崎
    ↓
沢近→播磨→天満→烏丸→八雲
    ↑
   カレー
    ↑
   花井(←)周防←今鳥←一条
420Classical名無しさん:05/05/14 22:40 ID:g.MTgZRA
播磨はカレーにも好かれてるのか
421Classical名無しさん:05/05/14 23:39 ID:15qMy56c
播磨もカレー好きだからこの図の中で唯一の両想い成立なのか
422Classical名無しさん:05/05/14 23:41 ID:.FoOSMW.
意味わからん
423Classical名無しさん:05/05/14 23:48 ID:Gr8uwurQ
つまり

   黒サラ
    ↓
俵屋→麻生→菅→ラーメン
    ↑
    菅

が、

   黒サラ
    ↓
俵屋→ラーメン→菅→麻生
    ↑
    菅

になるということか。
424Classical名無しさん:05/05/15 00:07 ID:R31oiGoQ
   黒サラ
    ↓
俵屋→麻生→ぬか漬

菅→ラーメン

がぬか漬けラーメンぬかだくで一つの線になるということだな
425Classical名無しさん:05/05/15 00:25 ID:zPIXBgv6
          ラーメン
            ↑
嵯峨野→ぬか漬→菅→麻生→ぬか漬
            ↑
           麻生

が、こうなるわけだ。

          麻生
           ↑
嵯峨野→菅→ぬか漬→ラーメン→菅
           ↑
         ラーメン

もう、なにがなにやら…。
426Classical名無しさん:05/05/15 00:43 ID:3voz4OjI
嵯峨野→ブラ
427Classical名無しさん:05/05/15 01:36 ID:MrI6oBAA
>>423
上は普通に菅と麻生が両想いじゃねーかw
428Classical名無しさん:05/05/15 09:08 ID:KZ0ymO4Y
要するに
          ラーメン
           ↑
ブラ→ぬか漬→ぬか漬→ラーメン→ぬか漬
           ↑
         ラーメン
429Classical名無しさん:05/05/15 11:03 ID:7fqstDZI
ここ最近のスクランはキャラ崩壊が激しいので、SSを描くにもイメージが定まらない。
「播磨ならこうする」「天満なら」「八雲なら」「沢近なら」

そうした読者の認識したキャラ像が回を進めるごとにコロコロ変わっていくから
脳内修正が間に合わない。姉ヶ崎先生も、ここの神SS群の中では天然を装っていても
内心では大人なカッコいいお姉さんだったのに・・・。原作ではもう見る影も無いし。
430Classical名無しさん:05/05/15 12:56 ID:TmGdVOfg
はいはい。
自己主張と雑談してるヒマがあったら作品投下してね。
以下投下待ちな。
431Classical名無しさん:05/05/15 13:04 ID:KlDoi6hM
   ,:':´ ̄`ヽ
   i: .レリリリリ)  
 ⌒゚i:::リ´ ワ`リ゚⌒  ∫ 二条の正体を知った姉ヶ崎と私の対決キボンヌ
_⊂[i:/|<ネ>)]つ━・
    /_.,l_/~)  ━┳━
 ̄ ̄ ̄ ̄ .し'J ̄ ̄┃
432Classical名無しさん:05/05/15 13:17 ID:I.MwyHy6
      ,:':´ ̄`ヽ
    ⌒゚i: .レリリリリ)゚⌒ 
 ⊂二二i:::リ ^ω^リ二⊃
      |    /       ブーン
       ( ヽノ
       ノ>ノ 
   三  レレ
433Classical名無しさん:05/05/15 22:11 ID:BUh9rjkI
>428
人間がいないぞ。
434Classical名無しさん:05/05/15 23:42 ID:ju4KJLiQ
>>431
それなかなか良さそうだ。
435Classical名無しさん:05/05/16 11:17 ID:FtRiDXWA
  ,j;;;;;j,. ---一、 `  ―--‐、_ l;;;;;;
 {;;;;;;ゝ T辷iフ i    f'辷jァ  !i;;;;;  播磨のマンガネタで、八雲vs姉ヶ崎がある!
  ヾ;;;ハ    ノ       .::!lリ;;r゙
   `Z;i   〈.,_..,.      ノ;;;;;;;;>  そんなふうに考えていた時期が
   ,;ぇハ、 、_,.ー-、_',.    ,f゙: Y;;f.   俺にもありました
   ~''戈ヽ   `二´    r'´:::. `!
436Classical名無しさん:05/05/16 11:34 ID:G3lkL1aE
   ,:':´ ̄`ヽ
   i: .レリリリリ)  
 ⌒゚i:::リ´ ワ`リ゚⌒  ∫ 播磨君の本心を確信した八雲の私への嫉妬キボンヌ
_⊂[i:/|<ネ>)]つ━・
    /_.,l_/~)  ━┳━
 ̄ ̄ ̄ ̄ .し'J ̄ ̄┃
437Classical名無しさん:05/05/17 15:57 ID:wdeQlxW6
さがのんSSきぼん
438Classical名無しさん:05/05/17 20:53 ID:5bGHdnjQ
「恵、はじめてのブラ」というタイトルでどうだ?
439Classical名無しさん:05/05/17 21:09 ID:JOL3yiCQ
本スレより支援スレの方が伸びてる件について
440Classical名無しさん:05/05/17 21:44 ID:S9sNZXh.
本スレとバレスレみたいなもんだと解釈汁
441Classical名無しさん:05/05/17 22:08 ID:SjJSNiRI
>>438
すごい楽しみです
442Classical名無しさん:05/05/17 23:10 ID:bh8e4zjo
前スレの神々再臨キボン
443Classical名無しさん:05/05/17 23:42 ID:p8MBVKtM
さっさとSS書けや、ハゲども!
444Classical名無しさん:05/05/18 01:04 ID:Z1H4mkUo
>>442
具体的に指名してお願いすれば現れるんじゃね?
誰を神扱いしてるかしらんが
445キンカラ:05/05/18 17:00 ID:svRY2th6
じゃあギーガp氏を
446Classical名無しさん:05/05/18 17:03 ID:Y1q2HvuA
名前消し忘れ…orz
447Classical名無しさん:05/05/18 17:11 ID:8O5KncI6
しばらく作品が投下されていないようなので、投下を。
隣子モノで、16に分けました。
気軽に読み流していただけると嬉しいです。
もし合いませんでしたら、スルーお願いします。
448Songbird:05/05/18 17:11 ID:8O5KncI6


 私は2−Cというクラスに在籍していて、名前は隣子といいます。
 名前は、まだ無い。
 って、皆さんに知られていないだけなんですけれどね。
 今日は、私が体験したお話をしたいと思います。
 これは、実際に起こった事なんですよ。
 美奈や朱鷺にこの事を話してみたのだけれど、真面目に取り合ってくれなくて。
『隣子は可愛いねー』なんて言ったりして!
 私は二人の言葉に怒ったのに伝わっていなかったのか、パックの林檎ジュースをくれたの。
『ごめん、ごめんって。ほら、これあげるから』とか言って。
 ……正直、嬉しかった。
 この話は今日日記に書いたものなんですけれど、日記って怖いですね。書かなくていいものまで書いちゃったりして。
壁に耳あり障子に目ありと昔から言いますからね。おいそれと人の悪口や愚痴なんて書けませんし、言えません。
 体育の先生とか、数学の先生とか、化学の――シャーペンの芯が切れてしまったのでこれくらいにしておきましょうか。
 ずいぶんと話が逸れてしまいましたが、私のお話始めてもいいですか?
 コホン。
 では、始めたいと思います。
449Songbird:05/05/18 17:12 ID:8O5KncI6


 くう。

 授業中の出来事。
 お腹が鳴っちゃったー!?
 知らん振りをしながらも私は、授業をしている刑部先生の顔を逃さなかった。
 隅っこの方の女子が、クスって笑っているのが分かった。
 私のほうを見てる……美奈だ。この後の昼休み、何を言われるか分かったものではないわ。

『あらあらー、お腹が鳴った隣子ちゃん。お弁当一緒に食べてあげましょうか?』

 とか言われるに違いない。
 きっとそーだ!
 あのニンマリとした顔はからかう気満々だもん。
 がっくりと俯いてノートを見ても、自分で何を書いているのか分からない公式や図が載っている。
 これ、私が書いたのかなー?
 現実逃避は良くないって分かっているけど、いいよね。
 授業は、後五分も無いし。塚本さんと播磨君は、こくこくと舟をこいでいるしね。
 シャーペンの芯を変えるフリをして、教科書を捲ってみたりして、ノートに公式を写したりして。
 ……経たない。……時間が経たない。
 やばいの。
 一通り終わったのに、まだ一分と経っていないのー。
450Songbird:05/05/18 17:12 ID:8O5KncI6

 私が残り五分の悪魔と戦っていると、刑部先生がこちらにやってくるのが見えた。
 私と播磨君の席の間に立って、そこで止まった。
 刑部先生の方から、良い匂いがしてくる。
 爽やかな感じの香水。
 大人な香水。
 ぜんぜん嫌味っぽくなくて、刑部先生はやはり素敵な女性だなって思えてきて。
 私がそんな風にぼんやりしていると、刑部先生の眉が引き締まった。
「お腹を鳴らした上に、居眠りとはね」
 え…?
 お腹を鳴らしたのは、私。でも居眠りなんてしていません、刑部先生!
 誤解です! 物理はあまり出来ないけれど、居眠りなんてしません!
 刑部先生は手に持っていた、私達のより厚い教師用の教科書を頭の上まで持っていって、振り下ろしてきた!
 

 ズゥン…!!


 お腹に響いてくる、凄く重たい重低音。
 目を開けてみると先生の下ろした教科書の角は播磨君の脳天にめり込んでいて、播磨君は
声にならない叫びを上げていて、クラスメート達はみんな「うわ、ひどっ」って顔をしていたの。
451Songbird:05/05/18 17:12 ID:8O5KncI6

「―――――!!」
 播磨君は尚も頭を、教科書の角がめり込んでいた所を掻き毟っている。
「何だね、何か言いたいことがあるようだが?」
 播磨君はサングラスをしているのに、先生は何で播磨君の表情が分かるのかな?
 播磨君と刑部先生のやり取りは、しんと静まり返った先生の授業の中、全ての生徒の注目を浴びていた。
「……別に、ねえ」
「そうか? まあ、居眠りしない事。分かったね?」
「…分かった」
 何時も思うのだが播磨君は刑部先生の言う事、素直に聞いているんだよね。
 不思議と刑部先生も播磨君には優しい――気がする。
 何というか、身内に対する優しさ? (よく分からない例えでごめんなさい!)
 そして、先生が黒板に向かおうとした次の瞬間!
 

 ぐぅ…。


 お腹の音。
 わ、私のじゃないの、本当に!
 隣から聞こえてきたって事は、播磨君の?
 播磨君は、しまった! といった感じで「…ゲ」と息を吐いて先生を見たの。
452Songbird:05/05/18 17:13 ID:8O5KncI6

 ゆっくり振り返った刑部先生はまったく表情が無くて。いや笑っているのだけれど、
なんと言うか美女の凄艶な笑みというか、すごく綺麗で、すごく怖くて。
 真横から播磨君を見たからよく分かったんだけど、目をこれでもかっていう感じで開いていて、
ちょっと震えていたような。
「……君は」
 刑部先生、怖いです。
 私と播磨君が怯えていると、先生は溜息をつくと開いていた教科書を閉じて、教壇の方へと帰っていってしまった。


「もういい、ここまでにしようか。日直!」
「起立、礼! 着席!」
 今日は委員長の舞ちゃんが日直で、ハキハキとした声で言った。
 私も播磨君も、刑部先生が教室を出るまですごく緊張してた。教室を出る瞬間、先生は播磨君の方を見てちょっと目を細めたの。
すると、なぜか播磨君は動かなくなって、真っ白になっちゃった!
「大丈夫だったみたいね、隣子」
 案の定ニヤニヤしながらやってきたのは美奈。
「私、怖かった」
「だろうね。すっごく緊張してたもん。遠くから見てて分かったよ」
 私と美奈が喋っていると朱鷺もやって来て、私たちは何時ものようにお弁当箱を寄せ合って食べ始めようとしていたの。

「あんた、またお昼無いの?」
 そんな沢近さんの声が、私の隣の席からしてきた。
 私が播磨君のほうを見たら、こちらも何時もと同じように塚本さんの机に、
沢近さん周防さん高野さんが集まってお昼を始めようとしていました。
453Songbird:05/05/18 17:13 ID:8O5KncI6

「…別にいいだろ」
「何よ、その言い草は」
 またいつもの様に口喧嘩が始まって。
 でも、私には分かるの。これが播磨君と沢近さんのコミュニケーションだって。
 クラスの女子達も、播磨君と沢近さんがいい感じだって分かっているんだから。
(これは、女子達の共通の認識なんですよ)
 他の男の子には絶対見せないような顔しているもんね、沢近さん。
「また水でお腹を膨らませに行くんでしょ? 椅子、貸してよね」
「勝手にしろ」
 両手を腰に当てて胸を張っている沢近さんを気だるげに見ている播磨君。
沢近さんにこんな態度を取る男子も、播磨君しかいないもんね。
 播磨君は沢近さんに向かってそう言うと、教室を出て行ってしまう。
 美奈や朱鷺は気付いていないんだけど、沢近さん播磨君が出て行くまで見送っているんだよね。
表情は何時ものように自信満々って感じだけど、播磨君の椅子に手を置いていてそれを支えに
やっと立っているように私は感じました。

「ねえ、隣子。食べないの?」
「あ、うん。食べるよ。その前に…」
 私は、とにかく播磨君を追っかけようと教室を出たの。
 だって、私のせいで播磨君怒られたようなものだもん。
 私がお腹を鳴らさなかったら、播磨君の居眠りが見つかる事も無かった?
 ……そうでもないかも。
 けど、これは気持ちの問題!
 私が謝りたいんだから、それでいいよね?
454Songbird:05/05/18 17:14 ID:8O5KncI6

 一階の中庭…いない。

 昇降口…いない。

 保健室…いない。
 姉ヶ崎先生がお昼に学食のランチを食べていて、「いる?」って聞かれたけれど、
私はしょうがなく四分の一に切られていたゆで卵だけもらっておいた。
 先生がせっかく上げるって言うんだから、貰っておく事にしたの。

 一年生の階…いない。
 塚本さんの妹さんのクラスは調理実習だったみたいで、八雲ちゃんのエプロン姿がチラリと見えたがとても可愛かった。
そして、横にいた外人の子に目が行ってしまった。サラ…ちゃんとか言ったっけ? この子も、すごく可愛かった!


 私は最後に、体育館近くの水飲み場に行ったの。
(なんと言うか、忘れていたわけじゃないんだよ?)
 とにかく、そこに行ってみると播磨君がいたの。
 寒空の下、冷たーい水をがぶがぶと飲んでる。
 私だったら間違いなくお腹壊しちゃうような量の水を飲んで、播磨君は水のみ場近くの気の近くに座った。

 い、言わなきゃ。

 私が一歩前に出ようとすると、何処からとも無く数羽の鳥が播磨君のほうへと飛んできたの。
455Songbird:05/05/18 17:14 ID:8O5KncI6

 小さな黒色の鳥達は播磨君の周りを飛んでいて、そして彼の回りに降り立った。
鳥達は播磨君を囲むようにして歩いていて、時々頭を傾げたりする。
 邪魔をしてはいけないような気がした私がその様子を覗いていると、鳥達に気がついた播磨君は鳥達を見始めた。
鳥達が短くキュウキュウと鳴くと、播磨君はぶつぶつと呟いている。
 何をしているのか分からずにそんな様子を見ていると、播磨君は鳥達を置いて校舎の方に入っていってしまう。
 鳥達は毛繕いしたり、その場てぴょんぴょん飛び跳ねたりして、それでも播磨君の消えていった方を見ている気がした。
鳥にそんな感情があるのか分からないけど、私はそんな光景を覗いたままでいたの。


 やがて播磨君は、片手に紙袋を持って帰ってきた。
 70円で売られているラスクを持って来た播磨君は、幾つか取り出すと手で粉々にして鳥達のほうに撒いてやった。
鳥達もお行儀よく待っていて、粉々になったラスクを食べている。しばらくそんな鳥達を見ている播磨君は穏やかでいて、
私は胸がドキドキしてしまった。
 不良で怖いと思っていた播磨君にも優しい一面があるんだ、って思ったの。
 もちろん女の子には手を上げたりしない事は分かっている。
 吉田山君はちょっとした事で怒っちゃうけど、播磨君はそんな事は無いもの。
 これが男の、器の大きさって奴なのかな?
 そうこうしていると鳥達が、急に飛び立ってしまった。
 私が覗いている事が、ばれちゃったのかな!?
456Songbird:05/05/18 17:15 ID:8O5KncI6


「何やってんだ?」

 播磨君の声。
 私はここにはいませんよー、って隠れようとしたんだけど鳥が飛んできて私の頭の上を
旋回し始めて気付かれちゃって、結局播磨君のところまで行く事になっちゃった。
(鳥は、播磨君に指示を受けたみたいに統率が取れていたようーな?)
 私が播磨君の前まで行くと「何だ?」って、面と向かってお喋りするなんて無かったから、
なんだか目が回りそうになっちゃった。
「あ、あの……播磨君」
 言いよどんでいると、播磨君は鳥達に視線をやっちゃった。
 助かったって気持ちと、ちょっとした残念って気持ち。
 播磨君は黙ったまま、ずっと鳥達が餌を食べている様子を見ているの。
 鳥達も播磨君を時々見上げては、餌を食べていて。なんだかお話しているみたい。

「お喋りしてるみたい…」

 何となく出た言葉。
 思い返してみると変な子だよね、こんな事突然言うなんて。
 けれど播磨君は私を馬鹿に何てしなくて、「まぁ、座れよ」なんて言ってくれて。
 私が座る頃には鳥達も食べ終わっていたみたいで、播磨君の出した人指し指に一匹とまったの!
 すごく慣れているのかな? 座っている私のスカートの上にもとまって来て、びっくりしちゃった!
457Songbird:05/05/18 17:17 ID:8O5KncI6

 しばらくそんな感じでいたんだけど、言わなきゃならない事があったから播磨君を探していたんだよね。
「あのね、播磨君」
「…んぁ?」
 播磨君は指に鳥を止めたままでいて返事を返してくるから、思わず笑っちゃった。
「さっきの時間、お腹鳴ったでしょ?」
「……」
「あれ、私だったの。二回目は播磨君だったけど。私がお腹鳴らさなかったら、
 播磨君も怒られなかったかもしれないから。だから、謝りたくて」
 播磨君は私の方を見ない。
 怒ってるのかな?
 やっぱり、怒ってるよね。
 私の指に乗ってきてくれた鳥が首を傾げて、『何、してるの?』と言っているような気がした。

「別に、俺も寝てたし気にしてねーよ。ま、どの道バレてただろーし」

 播磨君、優しい。
 辺りには、鳥達のチーチーっていう鳴き声だけ流れていて。
 私はホッとした気持ちで一杯だったの。
 播磨君は背が大きいから当然なんだけど手も足も長くて、ポンと足を投げ出して座っていてもとても長く感じてしまう。
周防さんや沢近さん、隣のクラスのララさんも背が高いけど違うのよね。
 体格が違うの。 (それは、当然だけどね)
 投げ出した足の上に鳥がとまって、遊んでいる。
 播磨君も遊ばせたまま追い払おうともしなくて、私の指に止まっていた鳥も播磨君のほうに行っちゃった。
458Songbird:05/05/18 17:17 ID:8O5KncI6


「好きか?」


「ひやっ……え?」
 今なんて言ったの? 私の頭の中、ぐるぐる回ってる!
「…いいよな、動物はよ」

 なあんだ。

 ……そうだよね。動物の事、鳥のことだよね。
 何考えてるんだよ、私って。
「そうだね!」
 誤魔化す様に大声を出しちゃった。そんな私なんてお構い無しに、播磨君は鳥達を見たままでいる。
「こいつらは嘘はつかねーし、俺もつけねぇ」
 何かあったのかな? 播磨君はそんな事を呟いたんだ。
「播磨君はこの子達のこと、好きなんだ」
「…さーな。よく、ワカンネーな」
「けど遊んでるよ、この子達と」
「遊んでねえよ、一緒にいるだけだ。たまたま、な」
 播磨君はそう言うと、足の上で遊んでいる鳥達を一羽一羽地面に下ろし終わると立ち上がった。
 すごく大きいな。立ち上がった播磨君は、すごく大きかった。
 見上げる私は、太陽が遮られてしまったから。見上げていて、そう思ったんだ。
459Songbird:05/05/18 17:18 ID:8O5KncI6

「寒ぃからよ、気をつけな」
 そう一言言うと校舎の方へ向かっていってしまう。
 私と置き去りにされた鳥達は、播磨君の背中を見送るしかなかったの。
 校舎の中に入って廊下を歩いていこうとする播磨君は急に立ち止まって、そして急に屈みこんだ。
沢近さんが膝蹴りみたいにして飛び込んできたの!
 私がびっくりして息をのんでその後の様子を見ていると、播磨君と沢近さんがまた口げんかを
始めてしまったみたいだった。
 二人は身長差があるから、沢近さんはチョット背伸びしながら播磨君の顔に近づけて捲くし立てている。
 遠くから見ていると、まるでキスをしているみたい!
 鳥達は私の周りに集まってくると、播磨君を応援するように鳴いている。
 ドキドキしながら私が見ていると、何か声がしてきた。播磨君と沢近さんの声じゃない、別の声。
 私が耳をすませてみると、その声がはっきりとしてきたの。


『また喧嘩してるよ、飽きないなー』

460Songbird:05/05/18 17:18 ID:8O5KncI6

 ん?
 何?
『ケンカー。ケンカー』
 私が周りを見回しても誰もいない。
 誰が喋っているの?
『いいじゃん、好きでやってるんだからよー』
 私の肩に一羽、鳥がとまったの。
『そう思うよねー、お姉ちゃん』
 ……?
『聞こえないのかなー?』
「私に言ってるの?」
『そーだよ、あの二人いっつもケンカしてサー』
 私が周りを見ると、ケンカを見て騒いでいる鳥と私の方を見ている鳥がいる。
 鳥が喋っている、の? 
『あのお姉―ちゃんだって、ご主人の事好きなのにねー』
『『『ねー』』』
 一斉に私の耳に飛び込んでくる。
「好きって?」
『時々ご主人の事見てるしねー、僕らにも言ってくるしねー』
「そーなんだ」
 鳥とお話してるー。
 何故かその時は疑問に思わなかったけど、すごい事をしているよね!
461Songbird:05/05/18 17:18 ID:8O5KncI6

『けど、あのお姉ーちゃん嫌いだなー。ご主人みたいにパン屑くれないもんナー』
『あの髪がキラキラして眩しいのー。だからキラーイ』
『一人で喋っていて、一人で真っ赤になってるもんね。あの子、恥ずかしくないのかしら』
 鳥達がこんな話をしてるなんて。
『私は好きだわ。箒で追い回してくる男から助けてくれたもの』
 素直な彼らの感想。
 その真っ直ぐな言い方に、私も素直に声が出てきてしまったの。
「何時も見ているの、私達の事?」
『見てるよー。皆、部屋に集まって勉強してるよねー』
『ご主人は、たまに居ない時あるけどね』
『お姉ちゃんは時々外を見て、ボケーっとしてるよねー』
 見てる。間違いなく見てるよー。
 私と鳥達がそうこう言い合っていると、播磨君と沢近さんは並んで教室の方へと帰っていってしまいました。
『仲いーなー』
『いーなー』
「やっぱり、いいんだ」
『そーだよ。仲良いんだよ』
『『『良いんだよー』』』
 鳥達の大合唱。
 そんな彼らに、私も思わずニコニコしてしまった。
 だって、すっごく可愛いかったんだから!
462Songbird:05/05/18 17:19 ID:8O5KncI6


「おーい、隣子ー! お昼休み終わっちゃうよー!」

 美奈の声。
 鳥達は、美奈の声に驚いて飛び立って行ってしまった。
 私が立ち上がって二階から声をかけてくる美奈の方を見た。
 朱鷺も横にいて私に手を振ってくる。
 腕時計を見てみると、もう十五分くらいしか昼休みが残っていない。
「今行くよー」って返してスカートについた砂を落とした。
 すると一羽の鳥が私の傍を飛んでいって、

『ご主人はね、「隣子ー、早くおいでー」が好きなんだよ』
「え!?」

 美奈の声と鳥の声が重なってしまって、そのまま鳥は空へ飛んで行っちゃった。
「隣子ー」
 私は鳥に聞き返したかったけれど、美奈と朱鷺はきっとお弁当を食べずに待っていてくれているのだろう。
 そう思った私は、「すぐに行くよー」と言うと勢いよく校舎の中へ入っていきました。
463Songbird:05/05/18 17:20 ID:8O5KncI6


 その後、私は美奈と朱鷺に話したのだけれど信じてくれなかったの。
 始めにお話したみたいに、『隣子は可愛いねー』とか言っちゃって。
 でも、今こうやって話している私も、よくよく考えてみると信じてもらえないような気がしないわけでもないの。
学校から帰ってくる途中、鳥のいる方に耳をやってみても声なんて聞こえないし。
 あれは、私の幻聴だったのかな?
 信じられないなら信じてくれなくてもいいです。
 けれど、こんなお話を最後まで聞いてくれて、ありがとうございました。
 え?
 播磨君が誰を好きか、って?
 聞こえませんでしたよ、美奈の声が被さっちゃって。
 本当ですってば!
 あっ、もうこんな時間。
 このまま起きていると明日の授業中に居眠りしちゃいますから、もう寝ますね。

 えーと、コホン。聞いてくれた人全員に、最後に私から一言言っておきたい事があります。
 鳥や猫やワンちゃんも、あなたを見てますから。悪戯とかしないでくださいね。
 ちゃんと誰かが見ているんですから、悪い事なんて出来ないんです。
 なにより、かわいそうじゃないですか。
 それでは、おやすみなさい。


 おわり
464Songbirdを書いた人:05/05/18 17:24 ID:8O5KncI6
 いかがでしたか?
 隣子の可愛らしさが少しでも伝われば嬉しいです。
 読んで下さってありがとうございました。

 一人称って、こういう風でいいのかな?
 もし宜しければご意見をお聞かせくださいませ。
465Classical名無しさん:05/05/18 19:29 ID:iaFXV7Fs
播磨ってばやっぱ沢近が好きなんだな。
466Classical名無しさん:05/05/18 19:57 ID:XRzvKSmc
>>465
鬱だ死のう…
鬱だ死のう…
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鬱だ死のう…
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鬱だ死のう…
鬱だ死のう…鬱だ死のう…
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鬱だ死のう…鬱だ死のう…
鬱だ死のう…
鬱だ死のう…
467Classical名無しさん:05/05/18 20:19 ID:sh/4t/Gg
>>465>>466
久しぶりの投下作品をあっさりスルーしてて不覚にもワラタ
468Classical名無しさん:05/05/18 20:39 ID:iaFXV7Fs
俺は>>461-462辺りを受けての感想レスのつもりだったんだが。
469Classical名無しさん:05/05/18 20:43 ID:.cMwCSuA
>464
これはよいS(すこし)F(ふしぎ)隣子譚でつね
470Classical名無しさん:05/05/18 21:24 ID:kyZIqbJ2
播磨が沢近を好きになったら天満の存在理由は完全になくなる
471Classical名無しさん:05/05/18 21:26 ID:fp2T1FkQ
鳥にパン屑あげるのってあまり良くないんだって
パンに含まれてる油が身体に悪いんだと
472Classical名無しさん:05/05/18 21:32 ID:EsXfHKFc
原作の播磨っててきとーなキャラになったな・・・
ただの脇役じゃん

こんなんでカプとか期待してる人いるの?
473Classical名無しさん:05/05/18 21:38 ID:iaFXV7Fs
原作以上に適当だからSSの中の播磨は。
474Classical名無しさん:05/05/18 22:17 ID:fp2T1FkQ
つか、バスケ編の最後は夢ヲチでしょ?
475Classical名無しさん:05/05/18 23:13 ID:xJdtF9fA
>464

隣子かわいいよ隣子

あと微妙な旗成分もイイ感じー。
476Classical名無しさん:05/05/18 23:55 ID:fZF/UGqM
播磨の人格とか考慮に入れちゃったらSSなんて書けん
奴は空っぽじゃなくちゃいけないんだ
477Classical名無しさん:05/05/19 00:16 ID:Q12NQHf2
>>476
>播磨の人格とか考慮に入れちゃったらSSなんて書けん
お前は、ね
478Classical名無しさん:05/05/19 01:27 ID:iE9x2DHc
原作の播磨はてきとうなキャラにはなったが、天満と漫画以外の事や他の人間
なんてどうでもいいという設定は変わってないからSS書こうと思ったら本当に
人格を大改造するしかない。

いかに天満以外の人間に興味を持たすか、旗とか鉛筆を書く場合天満もあるけど
いかに播磨に漫画止めさすかも重要だと思う。
479Classical名無しさん:05/05/19 02:35 ID:7gqAMhw2
>464
隣子口調は微妙にむずかしいよな
可愛らしさは伝わるんだが
「〜の。」は使いすぎると頭の弱い子っぽく感じる
480Classical名無しさん:05/05/19 08:21 ID:QCjLJHoQ
>>470
くどい。最近荒らしのせいで、天満がウザくなってきた。もう出なくていいわ。
481Classical名無しさん:05/05/19 09:46 ID:L5kxRaIw
   ,:':´ ̄`ヽ
   i: .レリリリリ)       物事を1つの視点からしか見ないのは
 ⌒゚i:::リ´ ワ`リ゚⌒  ∫ いけないと思うんだ 
_⊂[i:/|<ネ>)]つ━・
    /_.,l_/~)  ━┳━
 ̄ ̄ ̄ ̄ .し'J ̄ ̄┃
482Classical名無しさん:05/05/19 21:35 ID:Uvd2bxPw
隣子口調ってんなもんあるのか。
483Classical名無しさん:05/05/19 23:26 ID:iLbfMPq2
>>482
一応ある。「…の」は原作でもやってる。
484Songbirdを書いた人:05/05/20 02:09 ID:Cd36NH22
>>475
 はじめは沢近視点の、完全な旗で書いていたのですけど、
478さんの仰る様に播磨の動かし方が気になるんですよね。書いていて「播磨じゃないな、こいつは」と思っちゃって。
何かクッションを挟んだ方がいいかなと思ったので、こういう形になりました。
>>478
 普段の播磨や他のキャラの生活を想像してみると、そこにヒントがあるように感じます。
良い作品は、その作品の中に生活感が感じ取れるように思いますから。キャラを動かすのは本当に難しいです。

>>479
「――の」は多すぎましたか? すみません、あまり引き出しが無くて。
以後、注意が必要ですね。

>>471
朝公園に歩きに行くと、鳩に沢山パン屑をやっているお婆ちゃんがいるんですけど……
これは市が派遣した、鳩対策の工作員なんでしょうかね?
485Classical名無しさん:05/05/20 13:05 ID:xRlTGcKU
鳥に毒餌やって大量に殺したら何かの罪に問われるのかな?
刑法的には他人の飼い犬とかでなけりゃ器物損壊にはならんだろうが、動物保護条例とかあったよな確か?
うちの実家の方だと、田畑のネズミやカラスを毒殺してたようなきがするけど、どうなんだろ…
486Classical名無しさん:05/05/20 13:26 ID:YTZbqK.U
487Classical名無しさん:05/05/20 15:58 ID:xZDwOxDw
>445
名前出す前におまいもなにか書け
488Classical名無しさん:05/05/20 18:42 ID:GaJbrv5Y
vinny
489吉田山ブルース:05/05/20 22:17 ID:Z3TbtVdo
吉田山は決意した。播磨を倒しナンバー1になると。
街中でケンカを繰り返し、体を鍛えることも欠かさなかった。
不思議なものである、気迫に後押しされたのか彼の身長はドンドン伸びていき
175センチまでいった。髪型も変えた、ルックスは実のところ元々悪くはない。
それにケンカで身に付いた野性味が彼をより魅力的にしていた。
そして3年の秋…

「こんな程度かよ、魔王が聞いてあきれるぜ」
「く、くそっ、てめぇなんかに」「遅えよ」
避ける瞬間カウンターをいれる吉田山。
「が、はっ」
「…こんな奴のために鍛えるのは時間の無駄だったな」

彼は播磨に勝利した。
その噂はすぐに全校に広まったらしく、彼のまわりは急に
にぎやかになっていった。
女性陣は彼に惹かれる者も多く、アプローチをかけてくる者も当然いた。
特に8人の女性(沢近、八雲、美琴、晶、一条、ララ、絃子、妙、葉子)

沢近は偶然不良に絡まれてるところを助けられ、
八雲は心が見えず、また優しい心を持つ彼に徐々に惹かれていた。
他の者も彼と接しているうちに、その魅力の虜となっていたのだった。
既に彼女達の眼にに他の男は映らなくなっていた。
490吉田山ブルース:05/05/20 22:17 ID:Z3TbtVdo
彼はもはやそういったことには興味がなくなっていたが、邪険にもできない
といった状況。
そして播磨は…

「拳児君、話がある。…ここから出て行ってくれないか?」
「な、なんでだよ、いきなり。家賃なら払ってるじゃねーか!」
「君がいるとな、家に人も呼べんのだ(次郎君以外呼ぶ気は無いが)
 まあ、そういうことだ。…一週間以内には出て行け。わかったな?」

「お姉さん、すまねぇ、家に泊めてくれないか」
「あら、ハリオ。ごめんねぇ、もう次郎君以外の男を泊める気は無いの。
 キャッ、言っちゃった,恥ずかし〜」

「妹さん…、頼みがあるんだ」
「すみません、播磨さん。今、吉田山先輩が来ているんです」


491吉田山ブルース:05/05/20 22:18 ID:Z3TbtVdo
その頃、

「なんでだサラ! なんであいつなんかに!」
「すいません麻生先輩、でも私はやっぱり吉田山先輩のことが」
「あいつは不良だぞ!」
「悪く言うのは止めて下さい!あの人はあなたの言うような人じゃない!」

「もうやめとけよ麻生。なんだかしらねーが女の子相手に大声出すモンじゃねーぜ」
「吉田山、…お前には関係ないだろう」
「そんなんだから、ふられんだよ。それとも、…俺とやるか?」
「くっ!」
「ふん、女々しい奴だ。大丈夫か、サラ」
「あ、ありがとうございます、吉田山先輩」
「なんか嫌だから次郎でいいぞ」
「えっ…、本当です………

こうしてまた一人の女性が彼に惹かれてゆく
492吉田山ブルース:05/05/20 22:18 ID:Z3TbtVdo
そしてある放課後…

「てめえぇぇぇ!!」
「なんだ、お前か播磨」

「何コイツ、次郎に勝てると思ってんのかしら」
「身の程をわきまえない奴は不憫ね…」
「あーあ、全く何やってんだ播磨は」
「オオ! やはりジロウは最強だ!!」

「悪い、バカの相手に時間くった」
「正確には一分十五秒ね」
「それより勉強しなきゃな。私たちも次郎も」
「わかってるって。行こうぜ」


彼は大学に行く気などなかった。
しかし彼女達のたっての希望により行くことに決めたのだ。
家庭教師役は教師陣がつとめることになった。

彼、吉田山次郎を中心とした恋愛物語はこれから始まるのであった。

【後書き】
いやーどうでしたでしょうか吉田山の活躍は
僕すきなんですよ彼。まあ播磨も麻生もどうでもいいというかw
ま、嫌なら読まないでくださいね。
書くのに苦労しましたから。それでは次回作ご期待下さい!
493Classical名無しさん:05/05/20 22:19 ID:y4HxGyxM
一ヶ月前の支援スレで住民の反応を見るためわざと書かれたSSコピペされてもねぇ…
494Classical名無しさん:05/05/20 22:21 ID:ldCMkHHM
>>492
『注意書き』は後書きにじゃなくて、先に書いとけや
495Classical名無しさん:05/05/20 22:24 ID:fqt1JL9Q
だからコピペだって。
496Classical名無しさん:05/05/21 02:09 ID:c1BTKk2s
>493
反応はどうだった?
497Classical名無しさん:05/05/21 03:08 ID:Gk0sbH2.
>>496
投下中に割り込んで一言の批判レスがあって、全部投下し終えたあと筆者がネタ晴らし。
S3作者への批判みたいなものらしい。
住民の反応はここは詳しく覚えてないけどここで書くべきではないって感じだったような。
498Classical名無しさん:05/05/21 03:53 ID:Jx8f3LLU
吉田山の妄想かと思った。
499Classical名無しさん:05/05/21 12:18 ID:jRf57S4U
最後読むまで吉田山の描いた漫画だと思ってた
500Classical名無しさん:05/05/21 12:29 ID:pCb/2vaA
まぁ、でもSS自体妄想みたいなもんだしなぁ。
501Classical名無しさん:05/05/21 12:42 ID:qVJOqdXE
確実に妄想だろう
502Classical名無しさん:05/05/21 15:44 ID:MjShaYLg
ケンカが強いから惹かれるって感じで、吉田山だけじゃなく
女の人たちもなんか嫌になりそうだよ、これ見てると・・・
503矢君:05/05/21 16:20 ID:MRnQoByI
え〜と、すいません初投下です。
今更ながら播磨×八雲です。
・矢神市は北関東のどこか
・7巻♯96の原稿完成後、播磨と八雲の二人で原稿を届けに行った
…という設定です。18禁にはしません。
504Classical名無しさん:05/05/21 16:20 ID:TlaybPDM
これはS3作者への批判というより、皮肉でなかったか?
505shelter from the rain:05/05/21 16:25 ID:MRnQoByI
あらすじ
談講社に原稿を届けた播磨と八雲は、疲労のため帰りの電車の中で寝てしまう。
目を覚ますと、東北地方N市郊外の駅にいた。
さらに運が悪いことに、大雨で線路が冠水し電車はストップ、帰れなくなる二人。
鉄道会社の計らいにより、二人はタクシーでN駅までは送ってもらった。とりあえず駅の向かいにあるラーメン屋で腹ごしらえをした二人だが…
*   *   *
N駅は100メートル四方のターミナルを囲い込むような、コの字形をしていた。
コの字形の内側は、建物に沿うようなアーケードとなっている。
地方の駅ではあるものの、市内ということもあり、それなりの大きさはある。
しかし大雨のうえ夜中とあっては、人影はほとんどない。
アーケードの下で、雨などまったく意に介さない様子の少年グループがいくつか騒いでいるぐらいだ。
「畜生畜生! 何だよ、この雨! …ホントすまねえ妹さん、あんたをここまで巻き込んじまって…」
「…いえ。雨はどうしようもありませんから…」
頭を下げて謝罪する播磨の前で、八雲は普段どおり両手を身体の前で重ねて立っていた。
播磨と八雲は、ラーメン屋を出て再びN駅に戻り、アーケードの下で雨宿りをしている。
「まいったな…」
顔を上げた播磨は頭を掻きながら雨のほうに向き直り、改めて現在の状況を整理してみた。
大雨。夜中の駅前。二人が吐く息の白さから、気温の低さが伺える。
そして、周りにはいくつかの少年グループ。
少年たちのうち何人かは煙草を吸っており、時折播磨たちの方を伺っては、何事かひそひそと話している。
播磨は、少年らにかつての自分と同じにおいを感じた。
「不良グループ」。播磨にとって、少年らを表現するのにもっとも適している言葉だった。
播磨一人ならば別段気にするほどの状況ではない。
万一周囲の少年らが悪意を持って襲い掛かってきたとしても、播磨一人ならば何の問題なく一蹴できるはずだ。
しかし今は、一人ではない。彼の隣には一人の少女がいる。
彼が体験してきたような修羅場とはまったく無縁な、ごく普通の大人しい少女が。
もしかしたらカップルと見なされ、少年らが絡んでくるかもしれない…
506shelter from the rain:05/05/21 16:26 ID:MRnQoByI
そういった邪推を巡らすうち、播磨の頭に急速に浮上してくる感覚があった。
それはこの少女を守らねば、という責任感にも似た感覚である。
そしてその責任感は、手伝ってもらった人間をこのような目に会わせてしまっているという罪悪感に
裏打ちされ、さらに大きくなっていた。
「…くしゅん」
播磨の横で、八雲が小さいくしゃみを一つして、軽く身体を振るわせる。
それは、八雲の姿をより一層か弱く見せた。
播磨は安全かつ暖かい場所を求め、周囲を見渡した。すると、一軒の建物が目に入る。
これだ! 播磨は急いで自分の財布の中身を確認すると、5日前に受け取ったバイト代1万円札が
丸々入っていた。
ここ3日間は学校と自宅の往復だけで無駄遣いをしていなかったことが幸いした。よし、これなら…
「妹さん、ちょっと濡れるが我慢してくれ! あそこまで走るぞ!」
「え? は、はい…!」
二人はアーケードから飛び出し、頭を抑えつつ播磨が指差した建物まで走った。
「あ…ここは…」
建物の前まで来ると、八雲は目を見開いた。それは駅前でよく見かけるビジネスホテルであった。
何を思い浮かべたのか、八雲の血液が顔に集まり、頬がうっすらと赤くなる。
そんな八雲の様子に気づくことなく、播磨は迷わず入り口の自動ドアをくぐり、フロントへと向かう。
外と違ってホテルの中は空調が効いており、暖かい。ロビーの床には赤い絨毯が敷き詰められている。
八雲は慌てて播磨の後を追い、二人はフロントのカウンター前に立った。
507shelter from the rain:05/05/21 16:27 ID:MRnQoByI
「いらっしゃいませ」
フロント係の中年男性は二人が入ってくると同時に恭しく頭を下げたが、顔を上げたところで
学生服に気づくと、案の定詰問してきた。
軽くうろたえる八雲の横で播磨が事情を説明する。
フロント係は、本来はだめなのですが…と宿泊を承諾した。
「どのお部屋になさいますか」
フロント係が示した料金表には、シングル、ダブル、ツインという3種類の料金が載っていた。
えっと、シングルとダブルってベッド一つの部屋のことよね…
播磨さんがシングルかダブルを選んだら私はどうすれば…
でも播磨さんは姉さんが好きだから…そんなことは…
あ、そういえば姉さんに電話してない…
テストが終わったのにサラの家に泊まるのは変だから、心配してるかも…
眼前で展開する状況についていくことが出来ず、八雲の思考回路は完全に混乱していた。
「えっと、ベッド二つの部屋ってツインっすよね? じゃあツインで」
播磨は当然のごとくツインの部屋を選んで料金と引き換えにルームキーを受け取ると、
行くぞ妹さん、とエレベーターに乗り込んだ。
「いやあ、部屋が空いてて良かったな。手伝ってくれたお礼に宿代は俺が出すから、ゆっくり寝てくれ!」
「…はい…ありがとうございます」
「いやいや、『ありがとう』はこっちのセリフだぜ」
エレベーターの壁に寄りかかりつつ発した播磨の言葉に、とりあえず頷く八雲。
しかし頭の中はこの後に対する不安で占められていた。
昨日までは播磨さんの家だったけど…今度は違う。
今度は、ホ、ホテ…
「お、着いたな」
チン、という音とともにエレベーターは目的の8階に到達した。
播磨が扉のほうを向いたため、八雲の赤面は悟られずに済んだ。
508Classical名無しさん:05/05/21 16:28 ID:c1BTKk2s
>504
良い皮肉だと思うんだが、通じるんだろうか
神経逆撫でするだけのような気も
509矢君 :05/05/21 16:30 ID:MRnQoByI
すいません空気を読んでませんでした。
今日はこのくらいにしておきます。
510Classical名無しさん:05/05/21 16:31 ID:nafsLTPc
マジかよ・・・。まじめに読んでたのに・・・。

空気読んでないのは作品投下中にどうでもいい話してる奴らだろ…。
511Classical名無しさん:05/05/21 16:33 ID:VMbLXp2c
初投下であらすじかよ、とツッコみたい以外は特に気になる点はないな。
悪いのは雑談厨だから気にするな。
512Classical名無しさん:05/05/21 16:36 ID:nafsLTPc
あらすじは厨っぽく見えるからやめといた方がいいと俺も思った。
本文に組み込める程度の文章力はありそうだし。

今からでも後からでもいいが、続き投下よろってことで。
513Classical名無しさん:05/05/21 17:06 ID:eBmOePfQ
>>509
一度投下しだしたら、周りは気にせず最後まで書いていいよ。
作品が来てるなんて知らないまま他のレスしてしまう事は2chではよくある事だし。
今はあまり投下頻度が高くないからいいけど、続きはまた後で…ってされると、他の人が投下し辛くなったりもするしね

というわけで、続きドゾー
514Classical名無しさん:05/05/21 17:27 ID:RMmTfTfc
めずらしく?おにぎりのSSだ。早く投下したまえ↓
515Classical名無しさん:05/05/21 17:49 ID:d1XyLhYI
珍しいも何もさ、SSも絵も八雲か沢近ばっかじゃん。
516Classical名無しさん:05/05/21 18:07 ID:YxCU9qFM
>509
>504や>508はあなたとは関係ないよ。
 さっき上の方に貼られた下らんコピペについてぐだぐだゆってるだけだから
 
キニシナイ!
せっかく書いたんだからうpしたらいいとおもうよ
 あと、ageずにsageのまま投稿して、さいご(まとめとかあとがきの項で)ageれば
間でアフォな書き込みに割り込まれずすむんじゃないのかな
連続投稿のチェックに引っ掛かったら暫く待たなきゃいけないけど……
517Classical名無しさん:05/05/21 18:09 ID:ZHo0ZFxk
めずらしく?王道のSSだ。早く投下したまえ↓
518矢君:05/05/21 18:09 ID:MRnQoByI
みなさん有難うございます。
初心者で右も左もわからないもので、思わず尻込みしてしまいました。
あらすじは止めたほうがいいんですね…
続き、投下します。
519shelter from the rain:05/05/21 18:10 ID:MRnQoByI
「808…ここだな」
ルームキーを差し込んで部屋のドアを開けると、播磨は八雲を先に通し、後ろ手にドアを閉めた。
と、突然播磨の内側に広がる違和感。播磨の頭は冷静に現状を分析し始めた。
あれ、何してんだ俺…女の子と二人で、ホテルに入ってる…
ちょっと待て…普通ホテルに男女が二人で泊まるってことは…
ここまでの播磨の行動は全て責任感、罪悪感、そして親切心から行われたものだった。
妹さんを安全な場所へ! 妹さんを暖かい場所へ!
ファミレスなんかじゃ駄目だ、風呂とかベッドとか、出来る限り快適な状況を…!
挙句辿り着いたのが、このビジネスホテルであった。
だが見方を変えれば…いやむしろ客観的に見てみれば、女の子をホテルに誘ったという状況に他ならない。
八雲にはそのことがわかっていた。
そして同時に、播磨の心が視えないことから、播磨の行動が自分のためのものだということもわかっていた。
だから、緊張しつつも播磨について来たのだ。
「まずいな…」
そうつぶやきつつ、播磨は八雲に続いて部屋の奥へ向かった。
部屋の中は3・5メートル四方くらいの広さで、二つ並んだベッドの間にはサイドテーブルがある。
八雲は奥のベッドに腰掛けると、バッグを脇に置いた。
ふう、と一息ついた後で、サイドテーブルに置いてあるお茶道具一式に気づき、緑茶を淹れる。
「どうぞ」
「お、おう。サンキュな!」
八雲はベッドに腰掛けたり立ち上がったり、所在無い様子で部屋をうろつく播磨に緑茶を手渡すと、
自分も一口目を口に含んだ。
播磨も八雲に向かい合ってベッドに腰掛けると、しばらくお茶をすする音だけが部屋のなかに響いた。
二人とも何を話してよいかわからず、話題を探してあれこれと思考を巡らせてみる。
先に口を開いたのは播磨だった。
「妹さん、先にシャワー浴びてきな!」
520shelter from the rain:05/05/21 18:12 ID:MRnQoByI
それは誰が聞いても「そういう意味」としか受け取れないセリフであった。
再三、八雲の頬が朱に染まる。
「え…」
「いや、明日も一応学校あるし…妹さんは行くんだろ?
こっからでも始発で行けば2限くらいには間に合うだろうから、シャワー浴びて、早く寝ねーと」
「は、はい!」
八雲は赤面を悟られないように俯きながら返事をすると、クローゼットの中に用意してあった浴衣を手に取り、
そそくさとバスルームに入っていった。
程無くして水が跳ねる音が聞こえてくる。
「…っふう!」
播磨はベッドに仰向けになり、サングラスを外す。
「何なんだよ、俺…」
先程部屋に入ったあたりから、形を成さない感情が播磨を支配している。
「女の子と二人きりで、ホテル、か」
改めて口にしてみると、このシチュエーションの特異性が明らかになってくる。
確かにキャンプのときに天満と二人きりで雨宿りしたこともあった。
だが、あの時とは孤立の度合いが違う。
「あの時は…周りにアイツらがいたが…」
今回は―少なくともチェックアウトまでは―誰に邪魔されることもない完全な「二人きり」なのである。
果たして朝まで無事に…
そして今回の相手は、あろうことか、思い人の妹なのだ。
間違っても間違いは起こせない。
「くそっ、マジで何してんだ、俺…!」
自らの行動を悔やんでみても、時既に遅し。播磨はベッドの上で悶えるしかなかった。
521shelter from the rain:05/05/21 19:11 ID:MRnQoByI
「あの、播磨さんシャワーどうぞ…?」
浴衣に着替えてシャワー室を出た八雲は、ベッドの上で苦虫を噛み潰したような顔をしている播磨を見て、
少し驚いた顔をした。
八雲の声で我に返った播磨は、動揺を悟られないように平静を装いつつ返事する。
「お、おう」
「すいません、先に使ってしまって…あっ…!」
何かに気づいたのか、八雲が慌てて浴衣の胸元を押さえる。
「どうした、妹さん?」
「あの、その…シャツの用意がないので…」
しどろもどろに話す八雲の顔が赤いのは、湯上りのせいだけではなかった。
八雲が着ている浴衣は男女兼用であり、胸元が開きやすいので、
シャツを着なければすぐに下着が見えてしまう。
播磨もその事を理解し、顔を赤くする。
「ちょ、ちょっと待ってな、妹さん! すぐにコンビニで買ってくるからよ!」
言うが早いか播磨は踵を返すと、八雲に断る間も与えずすさまじい速さで部屋を出た。
オートロックのドアは播磨を送り出すとガチャンと閉まる。
残された八雲は呆気に取られてしばらく硬直していた。
播磨がホテルを出ると、先程までの大雨が嘘のように、雨は止んでいた。
「おいおい、今更遅えよ・・・」
一言愚痴ると、コンビニを求めて一歩を踏み出す播磨。
雨上がり後の冷たい風に吹かれて、火照りが静まっていく。
3分ほど走ったところでコンビニを発見しTシャツを購入する。
ホテルに戻る頃には播磨の中のもやもやした感情はかなり落ち着いていた。
部屋に戻って八雲にTシャツを渡すと、八雲が礼を述べる。
気にすんな、と言いつつベッドに腰掛けると、播磨は走ったことで乱れた呼吸を整えに入った。
八雲はというと、受け取ったコンビニの袋を胸の前に抱えて視線を彷徨わせている。
「どうした? 妹さん」
「あの、播磨さん、着替えるので後ろを向いてて貰えませんか?」
522Classical名無しさん:05/05/21 19:53 ID:XJM03ef2
続きまだ〜?
523Classical名無しさん:05/05/21 20:19 ID:u9wiRLSA
まさか今頃エロパロスレと間違えたという落ちじゃないよな
524shelter from the rain:05/05/21 20:19 ID:MRnQoByI
ちょっと待て妹さん…それは…そのセリフは…!
八雲はまったく意識していないが、その一言は冷静になりかけていた播磨の頭を揺さぶるのに十分なものだった。
「あ、ああ、そうだな! ていうか俺、風呂に入るから!」
播磨は八雲の顔を見ないようにして、ガクランと靴下を脱ぎ、バスルームに入る。
そしてバスルームのドアを少しだけ開き、隙間からTシャツを放り投げた。
「キャッ」
ふわりと宙を舞った大きなTシャツが頭にかかったため、八雲は思わず声を上げた。
男がTシャツを投げ捨てる光景が、八雲に以前見たテレビドラマのワンシーンを想起させる。
「あ、すまねえ!」
「い、いえ! 大丈夫です!」
バスルームのドアが閉じられると、播磨がシャワーを使う音が聞こえ始めた。
八雲はゆっくりと頭にかかった播磨のTシャツを手に取った。
…播磨さんの…
Tシャツを握る手に少しだけ力が入る。
が、次の瞬間何事もなかったようにTシャツをベッドの上に置き、丁寧に畳む。
今度は播磨が買ってきた代えのTシャツを手に取り、袖を通した。
そしてベッドに顔を埋めると、先程の播磨よろしくあれこれと考えを巡らす。
動悸の激しさは相変わらずだが、播磨の顔が見えなくなったお蔭で頭は幾分冷静になった。
…何か、変な状況…
男のコの…播磨さんのTシャツ、大きい…
播磨さんの素顔、始めて見た…
先程までの目まぐるしい展開がつぎつぎとフラッシュバックする。
でも、やっぱり…心は視えない…
いつもどおりその考えに辿り着くと、何故か少しだけ憂鬱な気分になる。
八雲自身はその理由はおろか、憂鬱になっていることすら自覚したことはないのだが。
実は何度か心が視える機会はあったのだが、お互いに顔を見ようとしないために見送られたのである。
525自然食品:05/05/21 20:27 ID:HMi9g7pk
    /∵∴∵∴∵∴\      /         \          ___
   /∵∴∴,(・)(・)∴|     /\   ⌒  ⌒  |           /     \
   |∵∵/   ○ \|     |||||||   (・)  (・) |         ./   ∧ ∧ \
   |∵ /  三 | 三 |      (6-------◯⌒つ |       .|     ・ ・   |
   |∵ |   __|__  |     |    _||||||||| |       |     )●(  |
    \|   \_/ /       .\ / \_/ /          \     ー   ノ
.     \____/         \____/          \____/
     /    ヽ             /    ヽ            /    ヽ
    ./| |   | |           /| |   | |            /| |   | |
   ./ \ヽ/| |          ./ \ヽ/| |           / \ヽ/| |
   /   \\| |         /   \\| |          /   \\| |
   / /⌒\ し(メ         / /⌒\ し(メ         / /⌒\ し(メ
 / /    > ) \     / /    > ) \        / /    > ) \
/ /     / /    .\_  / /     / /    \_.  / /     / /    .\_
し'     (_つ   /:::::/::...し'     (_つ   /:::::/::...し'     (_つ   /:::::/::...
            ノ・ ./∴:・:           ノ・ ./∴:・:            ノ・ ./∴:・:
           ''""~~"''             ''""~~"''             ''""~~"''
526Classical名無しさん:05/05/21 20:43 ID:VrrD/BdA
おいおい。

マジで続きはエロパロかよw
527Classical名無しさん:05/05/21 20:46 ID:PckDGfyA
528shelter from the rain:05/05/21 21:47 ID:MRnQoByI
「ふうー、サッパリしたぜ」
頭を拭きつつ、シャワールームから出てくると、播磨はもうひとつのベッドの縁に腰を下ろした。
八雲は弾かれたように身を起こすと、播磨と向かい合うようにベッドの上に「お嬢さん座り」をした。
「お疲れさまです」
「ああ」
八雲が手際よくお茶を用意し播磨に差し出すと、播磨は礼を言いつつ受け取った。
またもや沈黙が訪れる。何故か会話が続かない。
漫画を描いているときは問題なく話せたはずなのに。
「あの…播磨さん」
今度は八雲が沈黙を破る。どうしたと答える播磨に、八雲は続けた。
「漫画、賞を取れるといいですね」
「そうだな」
「そういえば、あのペン軸ってお父様から貰ったものなんですか?」
「ああ、あれはだな…」
他愛もない会話で盛り上がる二人。話を続けるうち、段々と緊張も解けてくる。
「…んでその時、ものすんげー大波がこう、ガーッと…て、熱!」
話に夢中になるあまり動作が大きくなってしまった播磨が、お茶をこぼしてしまった。
幸いにも浴衣はあまり濡れなかったが、お茶は播磨の足先を掠め、ベッドとベッドの間に染みを作った。
「あ、私が拭きますから」
と、咄嗟に身を乗り出す八雲だが、ベッドの上での「お嬢さん座り」状態から身を乗り出そうとしたため、
バランスを崩し頭からベッドの間に落ちそうになってしまう。
「キャッ」
「危ねえ!」
播磨は八雲に向かって両手を差し出し、固く抱きかかえる。
「あ、ありがとうございます…」
「いや…」
529shelter from the rain:05/05/21 21:48 ID:MRnQoByI
すぐに離れればいいところを、一時停止ボタンでも押されたかのように動けない二人。
奇妙な空気が流れ、またもや沈黙があたりを支配する。
そんな中、二人の鼓動と呼吸音だけが部屋に響く。
薄い布越しに、互いの体温が伝わってくる。
「あ…!」
全力を振り絞って頭を動かし、播磨の顔を見た八雲が小さな声をあげた。
視える。播磨さんの心が…視える…!
それは常日頃八雲に向けられる男たちの感想・欲情と大差無いものだった。
違う点といえば、触感や匂いに対する感想が混じっているくらいか。
聞き慣れた言葉のはずなのに、発信源が違うせいで八雲には特別な言葉のように思えた。
播磨さんに、播磨さんに、そんなことを思われている…!
心を視るうち、何故か逆に自分の奥底を覗かれているような感覚に襲われ、
八雲の顔が破裂してしまうのではないかというくらい赤くなる。
播磨のほうも、完全に混乱していた。
播磨の中で、本能と、それを制しようとする理性が激しくせめぎ合う。
勿論その葛藤は全て八雲に筒抜けである。
気恥ずかしさに耐えかねて、八雲が声を振り絞った。
「な、何か変な状況ですよね。こういうことって、普通はつきあっている二人が…」
「か、かもな!」
上擦った声で答える播磨。
「それに、播磨さんは姉さんのことが」
姉さんのことが好きなのに、と言いかけたところで、播磨が八雲から手を離し、言葉を遮る。
「うおーっと、もうこんな時間か! もう寝なくちゃ明日起きらんないな、うん! じゃあ寝るか!
おやすみ妹さん!」
酷く狼狽しながら播磨はシーツをめくり上げ、その中に滑り込む。
そして八雲に背を向けると明らかに嘘とわかるイビキをかき始めた。
姉さん、という言葉を聞いた直後から、播磨の心は視えなくなっていた。
530shelter from the rain:05/05/21 22:17 ID:MRnQoByI
八雲は自らの失言を激しく後悔しつつも、とりあえず答えることしかできなかった。
「はい、おやすみなさい播磨さん…」
八雲も着衣の乱れを整えると、自分のベッドに入って目を閉じた。
全身が心臓になってしまったのではというほど動悸が激しく、しばらくは眠れそうにない。
率直に言えば、八雲は播磨がシャツを投げ捨てた時点で覚悟はしていた。
このまま事態が進めば、「そういうこと」になるであろう、と。それなのに。
私はなぜ、あの場面で姉さんのことを…
無意識のうちに、八雲は確認が欲しかったのかもしれない。
「そういうこと」になるからには、自分のことだけを見ていて欲しい。
だからこそ、姉のことを引き合いに出して播磨を試さずにはいられなかったのだ。
播磨が並の男だったならば、たとえ意中の女のコがいたとしても、本能に流され
君だけさ、と答えたろう。
しかし播磨はそれを良しとしなかった。
それは八雲にとって悲しいことではあるが、そんな播磨だからこそ八雲がここまで心を許したということも
否定できない。
八雲が眠れずにいると、播磨が八雲から顔を背けたまま話しかけてきた。
「…妹さん」
「はい?」
仰向けのまま、顔だけを播磨のほうに向けて答える八雲。
「明日、6時半起きな。学校、あんまり遅くなったら妹さんに申し訳ねえ」
「はい、わかりました」
それだけのやり取りの後は、また沈黙。
いつもの調子に戻った播磨の声に安心した八雲は、穏やかな決意を胸に秘めつつ眠りについた。
531shelter from the rain:05/05/21 22:18 ID:MRnQoByI
翌朝、6時半に起きてホテルをチェックアウトした二人は、近くのファミリーレストランで朝食を済ませた後、
N駅へと歩いていた。
昨晩の雨によってところどころに水たまりが出来、朝日を反射して輝いている。
「ホント済まねえ、妹さん! 『6時半起きな』とか自分で言っといて、妹さんに起こしてもらうなんて…」
「いえ、いいんです…」
播磨の謝罪に答える八雲の胸中は、昨晩のことを考えていた。
少しだけど…播磨さんの心は視えた…
だったら、私にも…私にもまだ…
ふと前を見遣ると、水たまりの反射光がまともに目に入り、八雲は思わず目をしかめた。
「キャッ」
「大丈夫か、妹さん?」
目を開けると、播磨が心配そうに八雲の顔を覗き込んでいる。
サングラス越しに見つめられ、八雲の動悸は高まる。
「播磨さん…」
「ん?」
口をついて自然と出そうになる言葉をぐっと飲み込む。
「播磨さん、急がないと、電車が…」
「おう、そうだな! 急ぐか!」
八雲に促され、駆け出す播磨。
私にもまだ、この人を追いかけるチャンスは…
播磨の背中を見つめながら、八雲はそんなことを考えた。
「どうしたー? 置いてかれるぞー、妹さん!」
数メートル進んだところで播磨が振り返り、八雲に声をかける。
「は、はい!」
心地よい朝の空気の中、播磨に追いつくように、八雲は播磨のもとへ駆け出した…

END
532矢君:05/05/21 22:21 ID:MRnQoByI
とりあえず以上です。
拙作失礼致しました。
SSを書く、というのは予想以上に難しい作業でした。
技術面もそうですけど、八雲の「心が視える」という設定が
かなり厄介でした。
ご意見・ご感想・批評などいただけたら幸いです。
それでは失礼致します。
533Classical名無しさん:05/05/21 23:53 ID:YyTuZCeA
>>532
乙。
八雲が少し積極的すぎる気もするが
丁重な描写が良かった。 何はともあれGJ
534Classical名無しさん:05/05/21 23:59 ID:u9wiRLSA
>>532
このままエロパロ展開か?と思わせて寸止めか
それもまたGJ

八雲がちょっと積極的すぎる気はするので、例えば他のカップルを見て
播磨もこうしたいのかな、と思わせる方が自然かな

でも初SSとは思えない文章力だったので、次回作も期待しています
535Classical名無しさん:05/05/22 00:26 ID:b.k7KxuM
>532
普通に「あらすじ」の部分も書けばいいのに、前の話が無いにもかかわらず
あらすじがから始めるのも当然として、乗り過ごしたあとで何故わざわざ
タクシーで移動せねばならないのかも分からないな。周りに宿泊できる施設が
ないからなどの理由があるなら、一文加えるべきだった。それにこの場合、
鉄道会社は周辺に宿泊施設があるかどうかの紹介程度はしても、流石に
タクシーを出してくれるまではしないと思うのだが。乗り過ごしたのは単に
播磨側の過失だし、タクシー代を出すのも播磨側だろう。

話自体は悪くないだけに粗が目立つ。それも量を書いていけば自然と
矯正されていくだろう。これからに期待。
536矢君:05/05/22 00:44 ID:qzyH2jRI
>533,534
誉めていただき有難うございます。
八雲の積極性ですか。
出来るだけ抑えたつもりではあったのですが、確かにそう言われてみると
いくつか八雲として「ありえない」セリフ、心情がありますね。
キャラクターの性格への理解がまだまだ足りていませんでした。

>535
ご指摘有難うございます。
改めて「あらすじ」を付してある自分の文章を見ると、かなり痛いものが
ありますね…
また、設定に矛盾点があると読者が萎えるので、今後はより練った設定、
シチュエーションをつくるよう心掛けたいと思います。
537小ネタ:05/05/22 02:03 ID:ybigM30Q
ここで投稿してもいいんだろうか?
まあ、小ネタなので、以下スルーして矢君さんへの感想をどうぞ
538小ネタ:05/05/22 02:04 ID:ybigM30Q
小ネタ投下

もし播磨が派閥を知らなかったら(自分的に名前がメジャーな派閥から順番に)

「おー、これがスクランのファンサイトか、人気のカップリングは・・・(もちろん俺×天満ちゃん、に決まってるよな、W主人公なんだし)」

おにぎり・・・「おにぎり?なぜカップリングがおにぎり?ワッショイワッショイって、ちがーう!
そうか、これはあのときの」
播磨の脳裏に、天満のオニギリを食べたときの苦悩が甦った!
「そうか・・・みんな、あの俺の心意気に感動してくれたんだな!やっぱりみんな俺と天満ちゃんの幸せを祈ってくれているんだ、ありがてー・・・次は?」

539小ネタ:05/05/22 02:07 ID:ybigM30Q
旗・・・「旗?スクランに旗なんて出てきたか?うぉー、わからん・・・(小一時間経過)」
(播磨の脳内イメージ)
おれたちはとんでもない思い違いをしていたようだ。これを見てみろ。
まず俺と天満ちゃんの名前、「播磨拳児、塚本天満」をアルファベットで表記する
『harimakenji,tukamototemma』
この中から、同じアルファベットを消していくと、
『hrnjtu』
しかし、ここでuとnは点対称の関係にあるので当然消す対象となる。
よって残りは
 『hrjt』
ここで、もともとは行の発音が、fになっていたこと、日本語ではrとlとの区別がないこと、
現代のイタリア風ラテン語ではgiはジと呼ぶことを考慮すると、
 『flgt』
ここで、遺伝子の核酸塩基ではtがaと結合を成していることを考え、その上で並び替える.

するとできあがる言葉は・・・・・・『flag』

540小ネタ:05/05/22 02:08 ID:ybigM30Q
しかしこれだけでは偶然の一致かもしれない。そこでもう一度『hrjt』にもどる。
もともと、jというアルファベットは、iだった。よって
『hrit』
これらのアルファベットをフランス語で発音すると、hは無音のため、アッシュのaで代用し、
rは「ほー、ほー、ほっちゃーん!」のような感じなのでhで表記し、iはどちらかというとアと
きこえるので、aで代用するのが自然だろう。
よって、これらを置き換えて、並び替える。
するとできあがる言葉は・・・『hata』!
つまり!「旗」や「フラッグ」とは、「播磨拳児、塚本天満」を表す言葉だったのだ!!

 ナ、ナンダッテー!!!

「やったー、やったぞ天満ちゃん、やっぱり俺たちは結ばれる運命だったんだー・・・
読者がアナグラム、ダブルミーニングまで使って、俺たちの仲を祝福してくれている
なんて・・・くそっ、泣けてきたぜ・・・」
541小ネタ:05/05/22 02:10 ID:ybigM30Q
お子様ランチ・・・「お子様ランチ?そんなもん食ってねーぞ?待てよ、スクランの中でお子様
といえるくらい幼児体形の女といえば・・・やっぱ、天満ちゃんしかいねえよな。しかも、
「播磨拳児」と「お子様ランチ」って、マとンとヂ(チ)、半分くらいが一緒じゃねーか!やっぱ
、俺たちの仲を言っているんだ!イヤー、やっぱり俺×天満ちゃんの派閥って、多いんだなー

鉛筆・・・「鉛筆?きっとテストのときに名前を書き換えようとしたときのことだな。それとも、
オヤジにあのペンをもらったとき、つまり俺と天満ちゃんとのラブストーリーを書くよう諭された
ときのことか?どっちにしても俺×天満ちゃんの派閥だ、間違いない。」

携帯・・・「携帯か・・・俺の番号知っているやつといえば・・・絃子、
お姉さん、妹さん、・・・この3人はぜってー違うな、フラグなんか立って
ねえし、・・・そうだ、天満ちゃんも俺の番号知ってんじゃねーか!携帯番号
知っているなら、もう恋人も同然だな!」
542小ネタ:05/05/22 02:12 ID:ybigM30Q
超姉・・・「ふふふ、これは簡単だぜ、スクランで姉といったら、妹さんにとっての姉しか
いねえ。しかも天満ちゃんは超とつくにふさわしい言動をとるからな」

肉じゃが・・・「肉じゃが、肉じゃが・・・お嬢にそんなこと言われたような・・・お姉さん
にも作ってもらったよな・・・でもこの二人とは恋仲になるようなことはしてねえし・・・
待てよ、肉じゃがの創始者といえば、確か東郷平八郎、でもうちの学校に東郷なんていね
えし、ゴルゴに命狙われるようなこともしてねえし・・・東郷?そういえば、原宿に行った
とき、東郷平八郎を祀った神社があったはず・・・そうか!読者の中で、原宿の隠語を
「肉じゃが」というのがはやってんだな!つまり、これは俺と天満ちゃんの、原宿での
ラブラブデートをさしているんだ!」

漫画・・・「これは簡単だ。天満ちゃんのために漫画を描いているんだからな」

さくらんぼ・・・「俺がチェリーだと馬鹿にしや・・・いやいや、おそらく歌だろう。大塚愛が
歌って・・・学級委員長がそんな名前だったような?いや、あいつとは接点がねえし。そうか!
と・な・り・ど・う・し、つまり、俺と天満ちゃんの席が隣だってことをわざわざ派閥の名前
にしているんだな!」

「ふー、まさか俺と天満ちゃんとの仲をこんなにみんな思ってくれているとは・・・
ん?まだ一つ残ってンな。といってもほとんど支持者がいねえようだが・・・
王道?ま、わざわざ考える必要もねえだろ、さあ寝よ寝よ。」
543小ネタ:05/05/22 02:20 ID:ybigM30Q
以上です。矢君さんのおにぎりの流れに水を差したかもしれません。
544Classical名無しさん:05/05/22 04:08 ID:4JWWi/l6
>>536
結構好きな文体で、俺的には問題は無かったよ。GJ
初SSは緊張するよね。
535さんの言っているように、どんどん書いていけば自然と力は付くと思います。
現文の読み取りや小論文の構成の仕方と同じ事で磨かなきゃ光らないからね。
これからもどんどん投下してください。楽しみにしています。

>>543
これはずいぶんと頭の回る播磨ですね
ナ、ナンダッテー!!!
というAAを見るだけで噴出してしまうので、もしキーボードが使えなくなったら弁償して下さいね。
でも実際に播磨の頭の回路ってこうなってるんだろうなぁ。GJでした!
545Classical名無しさん:05/05/22 04:30 ID:eMT6jO0Q
ss投下します。
初書きです。
ジャンルはおにぎり、時期的には学校祭準備期間です。
キタンなき意見お願いします。


546masquerade :05/05/22 04:32 ID:eMT6jO0Q
ある秋の日曜日──

 八雲は、久々に動物園に来ていた。
しばらく、あの動物たちを見に行っていなかったから。
サラは用事があって来られなかったので、八雲は一人で動物たちの様子を見て回っていた。
久しぶりに見た彼らは、以前と同じ。人々の視線を浴びながらもゆったりと生活していた。
一匹一匹を見て回りながら、次にキリンのピョートルのいる場所に向かった時、
その長い首が確認できた辺りで八雲は見知った人影を見つけた。
一人の青年が、ピョートルの目の前に佇んでいたのだ。
彼らの視線は絡み合っているように見えたが、青年の方はどこか上の空のように八雲の眼には映った。
547masquerade :05/05/22 04:32 ID:eMT6jO0Q
「播磨さん。」
八雲は物思いに耽るその青年に声をかけた。
少し驚いた表情で、青年──播磨拳児──は八雲の方に振り向いた。
「……おう、妹さんか。コイツらに会いに来たのか?」
「はい。…播磨さんも、ですか?」
「ああ、しばらく会いに行ってなかったからなあ。」
 そう言うと、播磨は再びピョートルの方に向き直った。そして再び物思いに耽る。
二人はしばらく黙ってそこに佇んでいた。
(播磨さん、何か悩みがあるのかな…………。)
聞こうか聞くまいか悩んでいた八雲が、やっぱり聞こうと思い声を掛けようとした時、
「…やっぱり思いつかねえなあ。」と小さく呟き、んじゃなと片手をあげて歩き出した。
「あ……。」声を掛けそびれた八雲を置いて歩き出した播磨だが、ふと思い出したように立ち止まり、
「そうだ。妹さん、どうせだから一緒に見て回るか?せっかく会ったんだしな。」と八雲に提案した。
「あ、はい…、そうですね。」
声を掛けそびれ、さらにここで別れると思った矢先に話しかけられ、
いささか戸惑いながらも八雲は肯定の返事をした。
548masquerade :05/05/22 04:33 ID:eMT6jO0Q
播磨は悩んでいた。
最近、漫画を描こうとしてもなかなか話が思い浮かばないのだ。
ジンマガに応募した後も、播磨はつらつらと描いていたのだが、
どうも自分の描きたいものとは違う気がしたのだ。
描き終えたものの、結局八雲に見てもらうのを断念したものもある。
何より、あれほど溢れていた漫画への情熱が薄れていた。
ここに来れば、何か新しい話が思い浮かぶかも、と半分は気分転換でここへ来た。
動物達は皆播磨の様子を気にし、心配気な視線を向けた。
彼らが気になってここに通っていたはずなのに、何時の間にか彼らに心配されている。
(へっ、アイツらにまで心配されるとはよ。)
播磨は少し情けない気分になったが、
(まっ、話ってのは考えたからって思い浮かぶもんでもねえしな。)
と頭を切り替えた。
アイツらに心配させるわけにはいかない。自分はアイツらの「ご主人様」なんだから。
「あの……。」と隣にいる八雲が話しかけてきた。心配気にこちらを見て。
(やっぱり気付くよな。このコは勘がいいしな。)
八雲に対して、別に大したことじゃねえよ、と言おうとした時、ふと視界に見覚えのある姿が目に入った。
549masquerade :05/05/22 04:34 ID:eMT6jO0Q
遠目に見えたのは、いつも天満ちゃんのそばにいる、目立つ金髪、背の高い女、影の薄い女の3人だった。
「な、何でアイツらが!?」
播磨は今の自分の状況を確認し、背筋が寒くなるのを感じた。
動物園で連れ立って歩く噂の男女。それをあの3人はどう見るか。
周防はまだいい、話せば聞いてくれる気がする。
しかしお嬢はあの「天満、それはこのコよ」発言がある。
そもそもあの女は事あるごとに突っかかってくる。
俺に何の恨みがあるんだ!と言いたいが、考えてみると心当たりが山のようにあるので少し鬱になった。
そして影の薄い女。あの女ははっきりいってよくわからん。
しかし、あの女は自分が面白そうだと思う方向に話を混乱させようとする、サバゲの時みたいに。
もし見つかってしまったらろくな事態になりそうに無い。
ある意味では幸運だった。
天満ちゃんを追いかけ出してからというもの、他愛の無い事でもとんでもない方向へずれていく。
いつもなら確実にこちらが先に見つけられ、相手は確実に誤解するだろう。
それを今回は先にこちらが見つけた。
播磨は八雲の手を掴むと、
「ここから離れるぞ、妹さん!」
「え、あ、あの」
とりあえず3人の視界から離れようと走り出した。
550masquerade :05/05/22 04:35 ID:eMT6jO0Q
「ふぃー、取り敢えずは撒いたか?」
「はっ…、はっ…」
お客たちを掻い潜りながら一分ほど走り続け、ようやく播磨は立ち止まった。
「ふぅ……、播磨さん、あの、何があったんですか?」呼吸を整えながら八雲が訊ねる。
男子トップクラスを誇る播磨のスピードには、八雲でもついていくので精一杯だった。
女の子を引き摺り回していたことに気付き、しかも手を強くつかんだままだったので、
「あ、すまねえ妹さん!大丈夫か!?」とあわてて手を離した。
そして「実はよ……」と状況を説明する。
「先輩たちが……。」また誤解されるかもしれない、という播磨の言葉に八雲は納得した。
播磨は天満のことをとても強く想っている。それが天満が烏丸を想う気持ちと同じ物なのかは
恋愛に疎い八雲にはわからない。しかし大切な人に勘違いされたままではつらいだろうとはわかる。
播磨と八雲は何とかして誤解を解こうとしているのだが、最も鈍感な天満が最も強く誤解しているため、
事態は一向に改善されていなかった。
最も八雲はそれほど困っているわけではない。
からかわれるのは恥ずかしいが、それだけといえばそれだけなのだ。
しかし播磨にとっては洒落になっていない。
たたでさえ妹の彼氏と認識されて絶望的な状態なのに、
ここで休日に動物園デートしてましたなどと天満の耳に入ろうものなら
もはや二人の関係は彼女の脳内で鉄板となってしまう。
それだけは何としても避けなければならない。
播磨が苦悩しているのを見て、
(このまま…、一緒にいたら迷惑かな?)
そう考えた八雲は、
「あの、私、帰りましょうか…?」と播磨に言った。
551masquerade :05/05/22 04:36 ID:eMT6jO0Q
播磨は一瞬、それがいいと考えたが、すぐにその考えを頭から追い払う。
「イヤイヤイヤ、妹さんは自分でここに来たんだろ?俺の都合で帰る必要はねえよ。」
それなら自分が、と言おうとしたが、まだ動物たち全員と顔を合わせていない事に気付く。
義理堅い播磨には、途中で帰るという選択肢は選べなかった。アイツの扱いに差はつけたくない。
それにここで別れたとしても、別々に見つかってしまえばそれを繋げられてしまう気がする。
というかきっとそうなる。
ならどうするか。3人に見つからないように動物たちの残り全員に会いに行く。
そんな方法が果たしてあるのだろうか?
ウンウンと唸りながら悩む播磨を見かね、
「あの、私やっぱり…」
と言ったところで、播磨が、
「待てよ…?」と何かを思いついたように呟いた。
今までの自分の経験からして、絶対に3人には見つかる気がする。
しかし、見つかっても正体がばれなければいいのだ。
そして彼女たちは3人、そう3人なのだ。4人じゃない。
今は天満ちゃんがいないのだ。
本来は悲しむべきことなのに、今回だけはガッツポーズを取りたくなった。
そして思いついたことを実行に移す。
552masquerade :05/05/22 04:37 ID:eMT6jO0Q
「妹さん!」といいながら八雲の肩をガシッと掴む。
鬼気迫る表情の播磨の威圧感に少し怯えの色を見せる八雲。
そしてそのまま播磨はおもむろにサングラスを外した。
初めて播磨の素顔をはっきり見て、八雲が目を見開く。
そして播磨が「ちょっとこれを掛けてくれ。」と八雲にサングラスを掛けた。
そして今度はカチューシャを取ると、八雲の髪に指を通しすっ、とかき上げる。
八雲は僅かに胸が熱くなるのを感じた。
頬を薄く染める八雲に全く気付かず八雲の頭にカチューシャを付け、
今度は自分の髪をクシャクシャにする。
全てが終了した時、播磨の前には見たことの無い格好をした八雲が、
そして八雲の前には見た目は全く知らない人が立っていた。
「よし、これでOKだ。」
そう、俺の素顔を見た人間は学校には姉ヶ崎先生、絃子、笹倉先生そして天満ちゃんの4人しかいない。
自分が素顔をさらけ出せば、それは普段学校で自分を見ている人間には別人以外の何者でも無くなる。
さらに、外したサングラスとカチューシャを妹さんに装着させれば、妹さんも姿を変えられる。
(この窮地にこんな手段を思いつくとは。完璧だ、俺は今、最高に完璧だ!)
「あの、播磨さん、これは……?」
事態を飲み込めていない八雲が播磨に訊ねる。
「ああ、すまねえな妹さん、いきなり。でもこれなら大丈夫だ、絶対にばれねえ。」
と言ったところで、再び3人組の姿を見つけた。
「やっぱり来たか。念のため顔向けないでおこうぜ。」
と八雲に言い、播磨は3人に背中を向けた。
変装しても背中を向けたらあまり意味ないことに気付かぬまま。
553masquerade :05/05/22 04:38 ID:eMT6jO0Q

少し離れた場所で──
「あら、あそこに見えるは八雲と播磨君かな。」
高野は少し離れた場所にいる男女の後姿を指差した。
八雲と播磨、という言葉にピクッと反応した愛理が高野の指差す方向に目を向け、眉根を寄せる。
「お、そうかも。動物園でデートか?あの二人。」
美琴も二人の姿を確認し、相槌を打つ。
のほほんとした二人と違い、愛理の心中は穏やかではなかった。

──貴方様には今、交際している女性はいるのですか?

               いたらこんな苦労してねっスよ。──

播磨があの夜言っていた事が思い出される。
(何よアイツ、八雲とは付き合ってないって言ってたのに……!)
それともサバゲーの前後に何かがあったのだろうか。
何時の間にか愛理は二人に向かって歩き出していた。
一体どういうことなのか問いたださねば気がすまなかった。
そして二人に近づくと未だ背中を向けている男に向かい、
「ヒゲ、こんな所で何してるのよ?」と声を掛けた。
しかし、男は返事どころか振り向きもしない。
その態度に沢近はさらに頭に血が登り、
「ちょっと、返事ぐらいしなさいよ!」
言いながら肩を掴んで無理矢理振り向かせた。
554masquerade :05/05/22 04:43 ID:eMT6jO0Q


      …………………………………………あれ?

振り向いた男は愛理の知らないひとだった。
後姿はそっくりなものの、この男はサングラスを掛けていないし、前から見ると髪形も違う。
無造作にまとめたやや長めの髪、そして前髪の隙間から覗く瞳は鋭いが、
しかしどこか純真さが感じられる気がする。
もしデートに誘われたら取り敢えずはOKしそうだ。
(あのヒゲがこんなまともな顔してるわけがないわね)
そこまで考えた所で、自分が勘違いで他人を怒鳴りつけていたことに気付き、
愛理は羞恥で顔を真っ赤に染めた。
もし、愛理が冷静だったなら、その男の額にうっすらと浮かぶ脂汗にも、
隣にいるサイズの合わない男物のサングラスを掛けた微妙に不自然な少女にも気付いただろう。
しかし、パニックになった愛理にはとてもそこまで気は回らなかった。
きょとんとした(ように見えた)二人に向かい、
「すいません!知り合いと間違えました!」と頭を下げ、脱兎のごとく走り去った。
555masquerade :05/05/22 04:44 ID:eMT6jO0Q
そして高野達の所に戻ると、
「あ、アキラァァーーーーッ!別人じゃないのぉ!」と半泣きで喰ってかかった。
「私は別に断言したわけじゃないけど。」毛程も動揺せずに応える高野。
「いやー、あれは恥ずかしいな。突っかかったら別人だもんな。」笑いながら美琴が言う。
「美琴!笑いごとじゃないわよぉ!」
これほどの赤っ恥は生まれて初めてだった。
「ああっもう最低!」と愛理は頭を抱えた。
「…あのよ、沢近。」ひとしきり笑った後、美琴が少し真顔になって話しかけてくる。
「何よ?」
「そんなに気になるんなら、自分の気持ちに正直になった方がいいと思うぞ。後悔する前に、さ。」
「べ、別に私は……。」気になんてしてない、と言おうとしたが、そんなのは言い訳にもならないと気付く。
事あるごとに、私はヒゲに突っかかってしまう。別に喧嘩がしたい訳じゃないのに。
そして、他の女と一緒にいると思っただけでこんなにも周りが見えなくなる。
(素直に、か…。)今まで受身の恋愛しかした事のない愛理にとって、とてつもなく高いハードルだった。
そもそも自分の気持ちを認めることさえ出来ていないのだから。
「あーもう!いいわ、気を取り直して他の所見に行くわよ!」
強引に頭の中からその考えを追い払って愛理が歩き出した。
高野も、そして美琴もそれ以上は言わずに、何事も無かったようについて行く。
結局、迷うのも決断するのも自分自身であり、他人が答えを持っている問題ではないから。
556masquerade :05/05/22 04:45 ID:eMT6jO0Q
3人がいなくなってからも暫くの間、播磨は強張った表情で檻の方を見つめていた。
播磨がずっと黙っているので、八雲が、
「あの、先輩達行きましたよ……。」と声を掛けた時、播磨が体を小刻みに震わせているのに気付いた。
そして、
「………クッ………ククッ……ハハハッ…ブワッハハハハハ!!」腹を抱えて盛大に笑い出した。
八雲が突然笑い出した播磨に戸惑っていると、播磨が笑いながら八雲の方に振り向き、
堪えきれないかのように八雲の肩をバンバンと叩く。
痛みに僅かに眉をひそめた八雲に、
「……ハッハッハッハッ……い、いやすまねえ妹さんっ……
   ……ちょっとツボに入っちまってよっ……ヒッヒッヒッ……」
言って、肩に手を掛けたまま腹を押さえてまた笑いだす。
ひとしきり笑ってやっと落ち着いた播磨に対し、八雲が、
「あの、何でそんなに……?」と爆笑の理由を訊ねる。
「いや、だってよ……素顔さらしてる本人目の前にして「間違えました」だぜ?
 こっちが変装してるってんならともかくよ……いや妹さんはしてるけど。」
ととても楽しそうに話す播磨。
八雲はここで初めて播磨の素顔をはっきりと見た。
楽しそうに話す播磨の瞳は、まるで悪戯好きの子供のようだ。
その時ふと、初見のはずの播磨の顔がどこかで見たことがあるような気がした。
少し考えて、すぐ心当たりに辿りつく。
「播磨さんの顔って、修治君に似てますね。」
557masquerade :05/05/22 04:46 ID:eMT6jO0Q
その言葉に、播磨は一瞬きょとんとしたが、すぐにふっと頬を緩めた。
「似てるか?自分じゃよくわかんねえけど、まあ兄弟だからな。
 ん?この場合は俺が修治に似てるのか?それとも修治が俺に似てるのか?」
「あ、そうですね。修治君が播磨さんに似てるの方が正しいかも……。」
「まっ、どっちでもいいけどな。そういや塚本と妹さんは見た目はあんま似てないよな。」
「やっぱり、そうですか?」
今までにも何度もそう言われたことがある。
八雲が姉で、天満が妹と間違われることもしょっちゅうだからだ。
だから、
「まあ、見た目はともかくとしても根っこの部分は似てるよな。」
「え?」と播磨が続けたその言葉に八雲は少し驚いた。
見た目もそうだが、性格も似ているとは自分でも思っていなかったからだ。
その言葉に興味をそそられ、八雲は播磨に訊ねる。
「根っこの部分、ですか?」
「ああ、なんて言うかよ、その、「柔らかさ」ってゆーか、
 人を和ませるような、安心させるような雰囲気だな。うまく説明できねーけど。」
(私が、人を和ませる……?)
そんなことを言われたのは初めてだった。
むしろ、自分では逆だと思っていたのに。
558masquerade :05/05/22 04:48 ID:eMT6jO0Q
「私、表情が硬いと思うんです…。」
八雲が言った言葉に、播磨は八雲の顔を見て、
「うーん、確かにころころ表情が変わるわけじゃねえけどよ、硬いとは思わねえなあ。
 第一、表情なんて感情によって出るもんだろ。
 楽しいこと、嬉しいことがありゃあ笑顔が出る。
 考えてどうにかなったりはしねえよ。様は自分の気持ちに正直になればいいのさ。
 それに俺の言ってるのは雰囲気だよ。顔じゃねえ。
 まあ俺なんか顔でも雰囲気でも周りを威圧しまくってるけどな。」
そう言って播磨は軽く笑った。
嬉しかった。自分のことをそういう風に見ている人がいるとは思わなかった。
「あ、でも……」
「え?」やっぱり違うのだろうか。そう思ったら、
「お姉さんの方は和ませる雰囲気はあるけどよ、何か行動が人を不安にさせるよな。」
と言って笑った。といっても心の中では(だから俺が守ってやるぜ、天満ちゃん!)とか考えていたのだが。
八雲がその笑顔につられるように、小さく、だが確かに微笑んだ。
その表情を見て播磨が、
「ほら、笑えるじゃねーか。」
「あ……。」
「だから言ったろ?笑えるって。楽しいことがありゃあな。」
そう言うと播磨は歩き出し、
「さ、そろそろ行くか。妹さん、一緒に行こーぜ。迷惑かけたから茶でも奢るよ。」
他の人に見つかりかけた事もとうに忘れ、八雲を誘った。
559masquerade :05/05/22 04:48 ID:eMT6jO0Q

動物園を出て、播磨と八雲は近くにある喫茶店に入った。
播磨はコーヒーを、八雲は紅茶を頼んで向かい合って座り、動物達の話題に花を咲かせる。
ちなみに二人の格好は未だ先程のままである。
播磨の方は単にそこまで気が回らなかっただけだが、
八雲は目を見て話せたほうが安心するのであえて言わなかったのだ。
やがて互いに話すこともなくなり、静かにカップを傾ける。
しかしその沈黙は気まずいものではなく、
茶道部の部室にいる時のように、穏やかに時間が流れていく。
ふと、八雲は出会ったときに播磨が何か悩んでいたことを思い出す。
先程はうやむやになってしまったが、やはり気になって改めてそのことを訊ねた。
播磨ははぐらかそうかとも思ったが、心配してくれる相手にそれは失礼だと思い直し、
思い切って相談してみることにした。
「実はよ、漫画の事なんだけどよ…、最近いまいちいい話が浮かんでこなくてなあ…。」
それを聞いて八雲は、この前漫画の事で会う予定が中止になったことを思い出していた。
播磨もそれを思い出し、八雲に頭を下げた。
「すまねえなあ妹さん。あの時も自分で描いたものに納得がいかなくなってよ。」
妹さんに見てもらうような出来じゃない、と取り止めたことを打ち明けた。
560masquerade :05/05/22 04:52 ID:eMT6jO0Q
それを聞いて八雲は少し寂しい気持ちになった。
たとえあまりいい出来ではなくても、自分に見せて、相談して欲しかったと思う。
しかし、気に入らない作品を他人に見せるのは播磨にとってつらいことだろう。
「燃え尽きちまったのかなあ……。」
「え……?」
「ジンマガに応募してからよ、何か中ぶらりんになってなあ。
結果がまだ出てないって事もあるかもしれねえけど。
前はいくらでも話が思い浮かんだもんだけどなあ……。」
そういってため息をつく。
八雲は、何も言うことが出来ない自分に歯がゆさを感じた。
(こんな時にこそ、何かアドバイス出来なきゃいけないのに……。)
自分はなんて無力なんだろう、と思う。
沈んだ表情になった八雲を見て、播磨は申し訳ない気持ちになる。
「ワリィ、愚痴みてえなこと言っちまって。気にしねえでくれ」
そろそろ出ようぜ、と八雲に声をかけ、立ち上がる。
先に歩いてゆく播磨の背中を見つめながら、八雲は、自分に何が出来るのかを考えていた。
561masquerade :05/05/22 04:53 ID:eMT6jO0Q
店を出て、二人で連れ立って歩いてゆく。
今度は八雲が物思いに耽る番だった。
しかし、妙案は浮かばない。
励ましの言葉も、慰めの言葉も、意味を成さないように思う。
かといって、自分に何か話が作れるわけでもない。
そもそも播磨自身が描けるようにならないと根本的な解決にはならない。
そんな事を考えながら歩いていた八雲は、
目の前で播磨が立ち止まったことに気付かずに背中に顔をぶつけてしまった。
「あ、す、すみません……!」
あわてて八雲は頭を下げたが、播磨の視線は前を向いたままだった。
つられて前を見る八雲。
少し先の方で、先程離れたはずの愛理達がいたのだ。
しかし何やら様子がおかしい。
ナンパでもされているようだが、相手が随分しつこい。
どうもタチの悪い連中に引っかかったようだ。
播磨は暫く悩んでいたが、
「ま、大丈夫か。」
と呟きそこの角で曲がろうと言った。
562masquerade :05/05/22 04:54 ID:eMT6jO0Q
「助けなくていいんですか?」
少し驚いて八雲が訊ねる。てっきり助けに行くのだと思っていた。
「ま、大丈夫だろ3人程度なら。無理矢理何かしようとしても痛い目見るのがオチだ。」
周防なら一人でも十分片付けられるし、影の薄い女も只者じゃない。
お嬢も脚が速いから逃げられる。そう結論付けたのだ。
「下手に手ェ出したら正体バレちまうからな。せっかくさっきはごまかせたのに。」
「でも…」
「ん?」
「やっぱり、困っている人を見て見ぬふりをするのは、良くないと思います。」
「………う、うーむ……!」
播磨は再び悩む。
確かに困っている女を見捨てるのは自分の主義にも反する。
「よし、助けるか。考えてみりゃあちょっとそこの角に入って格好を元に戻せば……」
「おい、何見てやがんだよ。」
向こうの男の一人がこっちに向き直る。
「……って、出来なくなっちまったじゃねえか。
仕方ねえ。妹さん、そこで待っててくれ。」
「あの、気をつけて下さい。」
「ああ、心配ねえってあんな連中。」
そういって前に進んでいく。
愛理達が播磨の姿を見て、
「あの人、さっきの……」
と互いに顔を見合わせた。
563masquerade :05/05/22 04:55 ID:eMT6jO0Q
やがて播磨は男達の前に立つと、
「いい加減にしとけよ、迷惑してんじゃねーか。」
とバレにくいように声色を少し変えて言い放った。
「おいおい、女の前だからってカッコつけてんのか?」
「無理しちゃ駄目だよヒーローさん。」
と口々に嘲笑う。
3人の動きを観察して、
(真ん中のがリーダーだな。)
と判断すると、播磨は愛理達に離れるよう視線で促したが、
相手の視線から外れた美琴と高野は狙い澄ますかのように立ち位置を変える。
播磨はそれ以上は構わず、相手全員の姿を視野に入れられるよう僅かに下がった。
それを怯えと勘違いした男達は、播磨の後方にいる八雲に目を向け、
「こんな口だけの奴じゃなくて、俺たちと遊ぼーぜ。」
と言い、左右の男が播磨の脇を通り過ぎ、八雲の方へ向かおうとする。
もっとも真の狙いは、播磨を囲むことだったのだが。
その瞬間、美琴と高野が動いた。二人に対して疾風の如く奇襲をかける。
しかしそれよりも速く、だらりと下げていた播磨の両腕が閃いた。
横を通り過ぎようとした二人に、左右同時に拳を突き出したのだ。
明らかに手打ちなはずのその一撃で二人は吹っ飛び、あっさりと動かなくなる。
美琴はあっけにとられ、高野は全て終わったと判断し行動を止める。
「な……!」
リーダー格の男が驚いて後ずさろうとするが、
あっさりと間合いを詰めてその頭をアイアンクローのように引っ掴んだ。
564masquerade :05/05/22 04:56 ID:eMT6jO0Q
万力のように締め上げられ、男が悶絶する。
安心しきった愛理が播磨に礼を言おうとその顔を見て
「ひっ」
と小さく悲鳴を上げた。
先程まで普通の青年だったその顔が、今は同じ人間とは思えないような殺気の塊だった。
野獣のような、陳腐なこの表現がぴったり当てはまる。
罪の意識も、ためらいも無く、相手を叩き潰せる目だ。
美琴ですら背中に冷たいものが流れる。高野はいつも通りだったが。
八雲は、この時の播磨の顔を見なくて良かったかもしれない。
「どうする?絞め殺されるか?殴り殺されるか?」
と空いてる右拳を固めた播磨に、
「おい、もう十分だろ。」
と見かねて美琴が声をかける。
美琴に僅かに視線を向け、やがて興味を無くしたかのように男を放り捨てた。
男は失神している二人には脇目も振らずに逃げ出した。
「仲間見捨てて行きやがった。最低なヤローだな。」
すでに播磨の表情は憑き物が落ちたかのように元に戻っていた。
くんっ、と肘のあたりが引っ張られる。振り向くと、何時の間にか八雲が傍に来ていた。
声を出さなかったのは、3人に気付かれないようにするためだ。
心配そうにこちらを見る八雲に、
「大丈夫だ、かすり傷ひとつついてねーよ。」
と安心するように声を掛けた。
565masquerade :05/05/22 04:59 ID:eMT6jO0Q
「あの、ありがとうございました。」
落ち着いた愛理が播磨に頭を下げた。
普段の愛理とは違うしおらしい態度に、播磨は背中が痒くなりそうだった。
「いいってことよ。」
とやはり声色を変えて返事をする。出来れば早くこの場から退散したかった。
その時、
「ちょっと。後ろの人も。」
と高野が声を掛けてきた。
「……?」
「何だ?」
と高野の方を向いた二人に、
「はい、チーズ。」
とカメラを構える。
半ば反射的にVサインをする播磨と八雲。
パシャ
「…っておい、勝手に撮んなよ!」
「いいから。今日という日の記念に。」
「ちっ、全く…。おい行こーぜいも……子」
妹さん、と言いそうになり咄嗟に取り繕う播磨。
「………?……あ、はい。」
一瞬わからなかったがすぐに気付いて合わせる八雲。

連れ立って歩いていく二人を、愛理達はその姿が見えなくなるまで見送っていた。
566masquerade :05/05/22 05:12 ID:eMT6jO0Q
「いやー、しかし強かったなあいつ。」
「そうだね。」
帰り道、美琴が感心して言い、高野が相槌を打つ。
「多分あたしじゃ勝てねーな。花井や播磨とどっちが強えーかな。」
「ヒゲなんかより強いでしょ、あの人。」
愛理が当然のように言う。
「いや、わかんねーぞ。そういや播磨に似てるよなあいつ。」
「ちょ、ちょっと止めてよ!」
動物園での出来事を思い出し、愛理が顔を真っ赤にする。
「体格もほぼ同じだし、声も似てたな?ま、おめーが間違うのも無理ねーって。」
「う、うるさいわね。大体こんな時にヒゲの話題出さないでよ。
せっかく王子様にに助けられるお姫様の気分に浸ってたのに。」
「愛理。王子様は案外近くにいるかもよ。」
「え?」
「そう、例えば同じクラスのヒゲだったりハゲだったりする人とか……」
「だからヒゲの話題は止めてって言ってるじゃない!」

……こんな感じで三人は帰途についた。
567masquerade :05/05/22 05:13 ID:eMT6jO0Q
「じゃあな、妹さん。」
「はい。」
分かれ道で二人が向き合う。ちなみに格好は元に戻している。
「今日は悪かったな。何か妙な事に巻き込んじまって。」
「いえ、楽しかったですから…。」
「そうか?それなら良かったんだけどよ。」
そう、八雲は楽しかった。トラブルはあったものの、新鮮な驚きを感じられた。
ただ、漫画の事だけが心残りだった。
じゃ、と手を上げて歩き出した播磨に、
「播磨さん。」
八雲は思わず声を掛けていた。
「ん?」
と播磨が振り向く。咄嗟に声を掛けた八雲は何を言えばいいか迷ったが、
「播磨さん……、その……、頑張って下さい。」
取り敢えず自分の気持ちのままの言葉を口にした。
播磨はその言葉に僅かに視線を逸らしたが、すぐに向き直り、
「ああ。」
と答えた。
568masquerade :05/05/22 05:18 ID:eMT6jO0Q

家に帰り、八雲は布団の中で今日の出来事を反芻していた。
漫画の事、動物の事、変装の事……
ふと、播磨に髪を触られた事を思い出す。
(男の人に、髪の毛を触られたのは、いつ以来だろう……。)
ずっと昔、父が頭を撫でてくれた、あの時と同じような、大きな、温かい手だった。
播磨が指を通した部分に触れる。
あの時の感触を思い出し、また胸が熱くなるのを感じながら、ゆったりと眠りに沈んでいった。



おしまい



本編はこれで終了です
このあとはエピローグです。
569masquerade :05/05/22 05:20 ID:eMT6jO0Q
エピローグ

翌日、教室で

「……はぁ。」
「何だよ、人の顔見てため息つきやがって。」
「何でもないわ。ただ私の周りにはロクな男がいないって思っただけよ。」
「別にお前に好かれよーとは思ってねーよ。」
「あーあ。昨日会った人は良かったわ。強くて優しくてかっこよくて。」
ガシャーン、と播磨が盛大にこける。
「な、なんだそりゃ!?」
「あら、気になるの?」
挑発するように微笑む愛理にとう対応していいか分からず、
「……別にそんなんじゃねーよ。」
「そうね、あなたより数段かっこよくて、はるかに頭良さそうだったわね。」
「……わからねーほうが幸せな事もあるよな。」
「何か言った?」
「いや別に。」

茶道部部室で

「八雲」
「はい、何ですか高野先輩?」
「写真、出来たから。はい。」
そう言って、昨日撮った写真を手渡す。
「……えっと。」
「大丈夫。皆には黙っておくから、変装デートのこと。」
「いえ、あの、デートじゃないです……」
「デート?何、その写真?」
「サ、サラ、見ちゃ駄目。」
570Classical名無しさん:05/05/22 05:22 ID:eMT6jO0Q
以上で終了です。お目汚し失礼いたしました。
571Classical名無しさん:05/05/22 05:30 ID:9AvcHm2o
ぜひアフォな漫画のアイデアを思い付いてほしい播磨でした
八雲+グラサンというのは面白そうデスな。かちゅで髪型も変えて・・か
572Classical名無しさん:05/05/22 06:57 ID:4JWWi/l6
昨日今日と次々と投下されてますね
この流れなら投下できるっ
スルーして、矢君さん、eMT6jO0Qさんの感想を続けてください
573Classical名無しさん:05/05/22 06:57 ID:4JWWi/l6

サラ「準備できましたよ〜」
絃子「ありがとう、サラ君」
晶 「…いい香り。何て名前?」
サラ「えーと、和三盆とか。すーっとして、ミントのようですって」
晶 「私が入れるわ。先生は何t程?」
絃子「5cc程入れてもらおうか」
晶 サラ「「大人ですねー」」
サラ「部長には私が。どれだけ入れますか?」
晶 「そうね、3cc程お願い」
サラ「はい、分かりました」
八雲「………」
晶 「サラ、あなたは?」
サラ「私は入れなくて結構です。そのままストレートで」
八雲「!」
絃子「さすがは甘党のサラ君」
サラ「いやぁー、砂糖はストレートに限りますなぁ〜」
八雲「…………」
サラ「どうしたの、八雲?」
八雲「チョット、胸焼けがして…」
サラ「大丈夫? あっ、そうだ。八雲は紅茶はどのくらい入れる?」
八雲「…体壊すよ、サラ。部長に先生も」

愛理「どうしたの? せっかく取り寄せたのに」
美琴「おいしーな、これ。飲まないのか、高野」
晶 「……止め時の見極めに失敗したわ。まさか八雲が止めてくれないなんて!」
574Classical名無しさん:05/05/22 06:57 ID:4JWWi/l6

絃子「遅いね八雲君は」
晶 「サラ、何か聞いていない?」
サラ「ふふっ。八雲なら播磨先輩に呼ばれて行っちゃいましたよ」
絃子「まったく、あの子も物好きだね」
晶 「何か共通する物があるのかしら」
サラ「ちゃんと部室には顔を出してから帰るって言っていましたから」
晶 「約束を破る子ではないから…心配する必要は無いわね」

   ドアの開く音

八雲「遅れてすみませんでした」
晶 「気にする事は無いわ」
八雲「すみません、部長、サラ……、ねえさん…あっ」

絃子 晶 サラ「「「…………」」」
八雲「い、今のは。その……なんと言うか、その…」

絃子「一寸そこまで行って、従姉弟を締め上げてくる!」
晶 「…あっ、愛理? これはもう駄目かもしれんね」
八雲「だから、違って……」
サラ「二人とも慌てて出ていちゃった。どうしたの、八雲?」
八雲「今日、『三匹に斬られる! 万石大回転スペシャル』があるの。この後、姉さんの携帯にかけて教えてあげようとして…」
サラ「それで?」
八雲「いつもと始まる時間が違うよって、姉さんに教えてあげなきゃって。それだけが頭にあったから。
    先生の事を、姉さんだとか言ってしまって…」
サラ「私も小さい頃あったよ。女の先生を『お母さん』とか呼んじゃったりするの」
サラ「それ、結構恥ずかしいんだよね。周りのクラスメートにばれちゃうと、特に」
八雲「……うん、恥ずかしいよ」
575Classical名無しさん:05/05/22 06:58 ID:4JWWi/l6

ナカムラ(以下ナ)「お嬢様、食事の準備が整いました」
愛理(以下愛) 「今日は一緒に食べない?」
ナ「しかし…」
愛「さぁ、行きましょ」

愛「まあまあね」
ナ「……」
愛「食べないの?」
ナ「はっ。では、頂かせてもらいます」
愛:黙々と食べている。
ナ「………!!」(小川 悦司調の)
愛:黙々と食べ続けている。
ナ「………っ!!」(寺沢大介風に)
愛:黙々と(ry
ナ「……! こ、これは!!」(花咲アキラスタイルで)

愛「普通に食べなさい!」
ナ「ssでは辛いものがありますな……」
愛「それは言わない約束でしょ?」
576Classical名無しさん:05/05/22 06:58 ID:4JWWi/l6

愛「やっとお父様が帰ってくるのね」
ナ「はい、お嬢様」(稲妻の効果)
愛「…会いたいわ、早く」
ナ「お忙しいお方ですからなぁ」(ナカムラに向かって集中線)
愛:じっとナカムラを見る
ナ「いかがなさいました?」(ナカムラ、点描で描かれている)
愛:ため息をついて庭を見ている。
ナ「きっと、お嬢様にお会いしたいと思われているはずですよ」(白黒反転)
愛:中村に向かって、微笑。
ナ「ずいぶんと涼しくなりましたなぁ」(ナカムラだけフルカラー)
愛「そうね」
ナ「では、お茶の用意を」 (スピード感ある横方向の効果線)
愛「……」
ナ「お待たせしました」(背景が英字新聞のコラージュ)
愛「……」
ナ「お嬢様、どうぞ」(見開きでナカムラのアップ)

愛「普通に出来んのか、お前は!」
ナ「ssでは(ry」
愛「それは言わ(ry」
577Classical名無しさん:05/05/22 07:01 ID:4JWWi/l6
>>576
9行目
×中村→○ナカムラで
578Classical名無しさん:05/05/22 07:03 ID:3//ZsTic
>>543
王道支持者って鉛筆や携帯やさくらんぼや肉じゃがや超姉よりも少ないんすか?orz
579Classical名無しさん:05/05/22 08:42 ID:6XCGGLhI
>>570
GJ

自然な感じが上手く出ていて良かった
でも、播磨の漫画への悩みが放置なのはどうなんだろうな
本編で手塚本先生やるからここで解決してはいけないけど、
八雲の心境変化をもうちょっと強く匂わせられればもっと良かったと思う

あと段落を分けた方が読みやすい
580Classical名無しさん:05/05/22 08:45 ID:6XCGGLhI
>>578
支持者は間違いなくそれらより多いはず
ただし、SSを書くとなると逆転する
ただ、それだけの話だ
理由は自分でSS考えてみれば分かると思う
581Classical名無しさん:05/05/22 10:23 ID:HumB6VwA
天満は烏丸に振られる・・・しかし播磨と八雲の関係は自分の誤解であったこと、そして播磨の本当の気持ち・・・極々自然な流れで大円団じゃん。
582Classical名無しさん:05/05/22 12:59 ID:l.ir/cx2
>>532
GJ。見ていて、エロパロスレのモノじゃないのか?と思わせるぐらい爽快なSSでした。
583Classical名無しさん:05/05/22 14:37 ID:9AvcHm2o
>577
ショートコントだなあ画面効果ネタとかは
(とっつきにくい加茂なので)微妙だが、おもしろいとおもた
584Classical名無しさん:05/05/22 16:04 ID:8.rwEwJk
すまん、肉じゃがとさくらんぼってのは初めて聞いたがどれなんだ?
585Classical名無しさん:05/05/22 16:11 ID:Xb5uQ1NA
肉じゃが 播磨 妙
さくらんぼ 播磨 隣子
586masqueradeの中の人:05/05/22 16:32 ID:hvwzCcKQ
感想ありがとうございます。

>>579
段落・・・
後で直すつもりだったのに初めて書き上げられた感動にチェック無しで投稿してしまったorz
これも含めて次回はもっと見やすいように工夫してきます。

八雲の心情変化や漫画への悩みの解決が、
この後の手塚本先生に縛られてしまってうまく書ききることができませんでした。
元々それが書きたかったのにorz 実力不足でした。
今度はもっとキャラの深く掘り下げたいです。

ところで、次に書こうとしていた作品が、S3に投稿されたネタと題材がモロかぶりで、
書こうかどうか迷っているのですが、パクリと罵られようとも書くべきでしょうか。
587小ネタ:05/05/22 16:53 ID:ybigM30Q
>>584 さくらんぼ:別名「錯乱坊」S3の錯乱氏のSSを熱狂に愛する派閥
もしくは、「うる星」での彼の姪、さくら先生に姿が似ている刑部絃子、
職業が同じ保健室の先生である姉ヶ崎妙、名字がさ「さくら」である笹倉葉子
の三人の美人教師と播磨とのカップリングのこと

(これはフィクションであり、既存の漫画、物理法則とは一切関係ありません。)
588Classical名無しさん:05/05/22 17:00 ID:9AvcHm2o
>585
「ほわわん」とさくらんぼはどうちがうのですか
589Classical名無しさん:05/05/22 17:01 ID:hpQV2oHM
>>586
ネタが被ろうが、少なくとも私は気にしないから頑張って。
590Classical名無しさん:05/05/22 17:02 ID:hpQV2oHM
sage忘れた。すまんorz
591Classical名無しさん:05/05/22 17:22 ID:AymRKV9w
マガスペの表紙はネタにするのにちょうどいいな
592Classical名無しさん:05/05/22 18:06 ID:KapXmkqk
>>448「Songbird」
ケンカするほど仲が良いですな。
この諺、現実で適用できることが実はあまりないのが残念です。
動物と隣の子を関連付けて温かみを出してるのが隣子表現として上手いと思いました。
何気に観察癖もこなしてるし、日常的な会話に癒されました。
あくまで個人的な意見ですが、隣の人が少々幼すぎる感じを受けました。
でも本当にこういう娘かもしれない、という範囲内だと思いました。
最後に…GっっっっっJ!!!!!

>>490「吉田山ブルース」
吉田山好きなんでスカッとしました。
たまにこういう作品が必要とされてると思います。
播磨がやられるのはかわいそうでしたが、麻生がサラに捨てられるのは
面白かったです。やはり真面目男キャラもバリエーション的に必要だと感じました。
吉田山にありがとう、そして…GJ!!!

>>505「shelter from the rain」by.矢君殿
忠実に描写されていて読みやすい文も手伝い、普段読みあぐねがちな当方でも夢中で読んでましたよ。
決して駄文のレベルではないです。語威力、文章力も更に高みを目指す要素はあっても決して卑下する水準ではないかと。
誠実で汎用性の高そうな文章は(個人的に)とても好感を持ちながら先が気になる文章だったと思います。作風も好きですしね。
批評とやらをするならば、SS(short story)の宿命たる期間の短さからくる八雲の行動の性急さでしょうか。
個人的にはあなた様の文体で長編ぎみのシリアス系話が呼んでみたいです。
なにはともあれ、もう少し自信を持って。今後スクランSS界を盛り上げていってくだされ。
パラソルGっっOっっっっOっっっDっJOBぃ!!!!!!!
593Classical名無しさん:05/05/22 18:06 ID:KapXmkqk
>>537「小ネタ」
理屈づけが強引なことと播磨にしては知識が豊富すぎるのに違和感を感じました。
ネタが2ch系なのでそこに播磨が結び付くまでの理由付けも欲しかったです。
読者が読みやすいよう、読みたくなるよう表現できたらもっと良くなるのではないかと思いました。
小ネタですし、その大胆な発想たるや重要視ってことで…GJ


>>546「masquerade」
八雲を後ろに播磨を前面に、あくまで脇役であろう三人娘で引き立てる。あくまで途中の日常話、オチも無理する
ことなく少しの心の変化と今後に繋がっていく自然さがいいですな。変装のアイデアもその変化の三人娘の解釈
のし方もそれぞれのキャラの味を出せてたと思います。本編とのリンクがいいというか、
デラ・べ…ぐっじょぶ!!!!!!!であります。


>>573 作品名なし(ギャグ王で連載されてたんだけど)
少し分かり難いネタがありましたな。
作品中でもいわれているSSだか(ryですかな。
ナ「 ←これがなんか面白かったです。GJ
594Classical名無しさん:05/05/22 18:48 ID:U4/xmvkU
  ,:':´ ̄`ヽ
  i: .レリリリリ)  
⌒゚i::::リ ゚ _ ゚リ゚⌒ >>546私はどこ?
595Classical名無しさん:05/05/22 19:15 ID:Xb5uQ1NA
>>588
さくらんぼは播磨×隣子に萌える
ほわわんは隣子本人に萌える
596Classical名無しさん:05/05/22 20:24 ID:wFIh1DVw
>>592
コピペにレスしてるのに言うのもなんだけど
>麻生がサラに捨てられるのは面白かったです。
こんな事いうと恐い人が来るぞw
凄いからなあの派閥は
597masqueradeの中の人:05/05/22 22:05 ID:.Ffscw3c
>>589
ありがとうございます。現スレには間に合わなさそうですが次スレの間には。

>>593
お褒めの言葉ありがとうございます。さらに精進します。

>>594
実は、最初は天満を含めた4人で来てたけど
烏丸と遭遇して他の3人が気を利かせて2人きりにしたという設定でした。
で、それを聞いた播磨が射殺されるというエピソードもあったのですが
話の流れ上入れることが出来ませんでした。
天満がいない理由は入れておくべきでしたね。申し訳ございません。
598Classical名無しさん:05/05/22 22:13 ID:8.rwEwJk
小ネタ投下

ぺたぺたぺた…
「全く君は毎回毎回派手にやらかしてくれるね…」
またまた傷だらけで帰ってきた息子に絆創膏を貼りながら言う。
「しゃあねえだろ、絵描いてんのをおもいっきり邪魔しやがったんだから!大体アイツらが…」
「解ったけど、次またケンカして傷だらけで帰ってきたらどうなるか、解ってるね?」
「ハイワカリマシタワカクテキレイデヤサシイオカアサン」
「よろしい」
そう言うとまた息子は外へと駆け出して行く。 「やれやれ、本当に父親そっくりだな」
フッと笑って、いつものように原稿が上がり、死んだように眠る夫を起こす。
「さぁ、昼飯にしよう…」


終わり
599598:05/05/22 22:16 ID:8.rwEwJk
↑すまん、改行ミスった…
600Classical名無しさん:05/05/22 22:26 ID:oTk4e4DY
大塚愛と舞ちゃんの関係に気付かされた
601Classical名無しさん:05/05/22 23:57 ID:Szett1TM
>>570
面白かった。

サングラスを八雲にかけさせて正体を隠すアイデア、ナイスです。
素顔の播磨にお嬢が惹かれる展開もかなりいいというか、SS書きの端くれとしては、
やられたとさえ思う。

またいいのができたら投下よろしこ。
602矢君:05/05/23 01:38 ID:aiN/yQ86
>544,582,592
素直に嬉しいです!
自分の文章がこんなにも高評価をいただけるなんて…
機会があればもう少し長めのものにも挑戦してみたいと思います。
読んでくださって本当に有難うございました!
603Classical名無しさん:05/05/23 01:38 ID:J/3Hcx7w
>>601
素顔晒し→ウホッ イイオトコ
ってのは結構見かけるネタだけどね
604Classical名無しさん:05/05/23 01:58 ID:YTywr5BI
関係ありそうでないけど
2巻のヒゲそろうかなって言ってる
カチューシャ無しグラサン無し播磨のデザインけっこういいとおもうんだが
SSとかであの播磨は書かれないよな
まあヒゲは現在無いけど
605小ネタ:05/05/23 04:01 ID:dTvsv1/o
文体がいまいちだけど、小ネタだから許して・・・
というわけで、懲りずにまた投下

すべては天満のこの一言から始まった。
「ねえ、愛理ちゃんのお父さんは外国人なのに、どうして名字が沢近なの?」

「ねえ、ナカムラ。ちょっと、尋ねたいことがあるんだけど。」
「何なりと、お嬢様」
沢近は少しの間ためらったが、ついに意を決した。
「その・・・どうしてお父様は私をちゃんとした子として認めてくださらないの?」
「・・・お嬢様、お嬢様は自分の愛理という名について考えたことがおありですか?」
「え、それとどう関係があるの?」
「エリ、もしくはエリー、は日本でも西欧でも通じる名です。」
「たしかに都合のいい名前ではあるわね。」
「しかし、それならば普通に絵里や恵理でもいいはず。愛理の中国語での発音をご存知ですか?お嬢様。」
「何なの?」
「アイリ、つまり日本語と同じ読み方の漢字をお父上は使われたのです。」
「なるほどね。日、中、欧米、すべてに通用する名前ってこと・・・でもそれじゃ、なぜ
普通の発音のアイリ、じゃダメなの?欧米にも、アイリスとかアイリーンとかあるじゃない。」
606小ネタ:05/05/23 04:03 ID:dTvsv1/o
「お父上は、韓国とも貿易をなさっておいでです。韓国ではお嬢様の名は日本と同じエリ、という発音でございます。」
「なるほど・・・便利な名前ね・・・ところで、それとお父様が私を認めてくださらないのと、どういう関係が?」
「お父上は、タイでも仕事をなさっておいでです。」
「タイ?」
「ええ、タイの挨拶をご存知ですか?」
「何なの?」
「サワディーカ」
「・・・ちょっと、もしかして」
「そうです。お父上は沢近・・・サワディーカ、なんちてな!と受けをとりたいために
お嬢様をご自身のお子様としては・・・お嬢様?」
そのときナカムラは、鬼気迫る勢いでわけのわからないおにぎりを握っている愛理の姿を見た。

「お父様・・・今度お帰りになったときが、命日ですわ」

以上、スレ汚しすいません。
607小ネタ:05/05/23 04:04 ID:dTvsv1/o
改行するのを忘れてました。すいません。
608Classical名無しさん:05/05/23 05:21 ID:OWxtU3Jw
沢近父危ないよ沢近父
609Classical名無しさん:05/05/23 10:45 ID:uK5GOr0A
なんつー小ネタだよw
610Classical名無しさん:05/05/23 12:21 ID:v9kHBl32
とりあえず小ネタにも全部感想とアドバイス入れようぜ。小ネタから超神が生まれることもある。折れからは…考え中。
611小ネタ:05/05/23 20:38 ID:dTvsv1/o
よかった・・・前の二つの評判があまり悪くなくて

というわけで性懲りもなく第三弾、投下します。
ちなみに、中国語の発音ですが、わざとジやチをごまかしています。
ほとんど言葉遊びですので、内容には期待しないでください。
612小ネタ:05/05/23 20:39 ID:dTvsv1/o
「こんにちはー!ネギミソチャーシュー6つ!」
「姉さん、自分の分忘れてない?」
「ってゆーか、勝手に人の分まで注文すんなよな。」

「え?八雲に八雲のお姉さん、高野先輩、沢近先輩、周防先輩?」
「播磨に花井?」

「えへっ、サラちゃんと麻生君がここでバイトしてるって聞いたから、食べに来たの。」 
「サラちゃんたちのお友達かい?」
「あ、店長。」
「では、料理は私に任せて、二人は友達と話でもしてはどうだい?」
「いえ、俺は別にかまいません。」
「しかし、せっかく友人が来ているというのに」
「大丈夫ですよ店長、それにラーメンは麻生先輩のほうが上手ですし」
613小ネタ:05/05/23 20:40 ID:dTvsv1/o
「店閉めようかなぁ・・・」
「店長ったら、冗談ですよ。そんなに気を落とさないでください」
「はぁー」
「・・・・・・」
「(気まずい雰囲気ね・・・何か話題を)そ、そうだ。この前聞いたんだけどね。私の愛理
って言う名前、中国語ではアイリ、て発音するんですって。日本語と同じなのね・・・」
「ん?当たり前だろお嬢、音読みって中国の発音なんだろ?」
「そうだよ愛理ちゃん、当然じゃない。」
(((こいつら本当の馬鹿だ・・・)))
「コホン、それじゃあ店長、私の名前はどう発音するのかしら?」
「水晶の晶?チンかな?」
「・・・・・・」
614小ネタ:05/05/23 20:42 ID:dTvsv1/o
「(ま、まずい、ちょっと墓穴掘ったかしら?)じゃ、じゃあ、天満はどうかしら?」
「えーと、ティエンマン?かな」
「えー、あまりかわらないよー、それなら私の名字の塚本は?」
「塚本?ジョンベン?」
「ジョンベン?もっと面白いのならいいのに。」
「(よし、天満ちゃんのためにここで何かフォローを)まあまあて・・・いや、塚本、ションベン
じゃなくてよかったじゃねーか!ハハハ・・・」
(播磨、自爆)
「わーん、最低だよ!播磨君」
「(ふふふ、播磨め自滅しおって、ここは僕が八雲君にいいところを)えーっと、そういえば
誰か忘れたけどジョンベネとかいう美人がいたような?」
「確か6歳くらいで殺されたアメリカの美少女だったかしら?」
(花井も自爆)
「花井・・・お前、そんな趣味があったのか?」
「花井先輩・・・まさか」
「わー、違うんだ!周防!八雲君!僕はロリコンなんかじゃ・・・」

「(・・・私の発案とはいえ、やばくなってきたわ)じゃ、じゃあ、美琴はどうなの?」
「美琴?うーん、メイジンかな?」
「わぁー、ミコちゃん、名人だって、よっ!名人!」
「(あーよかった、まともで)よせよ、照れるじゃねーか!」
615小ネタ:05/05/23 20:43 ID:dTvsv1/o
そうこうしているうちにラーメンが出来上がった。
「おまちどうさま」
「なんだか楽しそうですね。店長、私の名前はどうです?」
「サラちゃん?サラはそのままだけど」
「そうじゃなくて、漢字で書いたらどうなるか、です」
「そうだね・・・菩薩様の薩に拉麺の拉かな?」
「ちょうどチベットのラサ(拉薩)をひっくり返した形ね」
「高野先輩・・・そこってチベット仏教の聖地じゃ?」
「へー、チベット仏教か・・・私って、誕生日もお釈迦様と同じだし、仏教に縁があるんですかね?」
「・・・おい、お前シスターじゃなかったのか?」
「いいじゃないですか先輩、日本でそんな堅苦しいことはいいっこなしですよ。
それに私、メルカドで巫女衣装でバイトしたこともあるんですから(注作者の妄想)」
「み、巫女衣装?」
「麻生君、一枚五千円でどう?」
「た、高野、写真を売りつける気か?」
616小ネタ:05/05/23 20:45 ID:dTvsv1/o
「いいじゃない、このごろ「皿うどん」が不調なんだし。そうだ、いっそのことカップリングの名前を変えたら?」
「何にですか?」
「何だ?その皿うどんって言うのは?」
「麻生君、ほんとに知らないのね。たとえば・・・二人の名前プラスめん、ってことで、
薩摩(麻)拉麺(さつまラーメン)なんてどう?サラのあいだに麻生君が挟まれているわよ」
「おい、どういう意味だ?」
「それはちょっと・・・今の皿うどんでさえあまりなじまれていないのに、余計にマイナーすぎる名前は・・・」
「じゃあ、妹さんの友達さん、シスターってことで薩麻妹(さつまいも)なんてのはどうだ?」
「播磨さん・・・それはちょっと・・・(でも、薩磨妹なら、サラが私と播磨さんとの間を
取り持っているようにも思えていいかも・・・)」
「待て、播磨、ここは麻生の生もつけて、生薩麻妹(なまさつまいも)という手もあるぞ。」
「花井・・・播磨にそこまで対抗しなくてもいいだろ」
(生に妹・・・なんか卑猥なネーミングね・・・もしかしてヒゲもロリコン?妹さんとか呼んでるし)
(なんかみんな楽しそう、連れてきてよかった、うんうん。)
617小ネタ:05/05/23 20:50 ID:dTvsv1/o
「・・・播磨先輩、花井先輩?夜一人でいるときは、魔よけのお守りを持つことをお勧めしますね。」
「「えっ?」」

「こうしてその夜から、播磨先輩と花井先輩は、原因不明の高熱のために三日三晩のた打ち
回ることになったのでした。ちゃんちゃん」
「・・・サラ、お前播磨と花井に何をした?」

以上、小ネタですので、著しく評価が分かれるかもしれませんが、機会があれば
こんな言葉遊び的ネタを投稿したいと思います。
618Classical名無しさん:05/05/23 21:06 ID:.fA7S9sI
>>617 いやいや、結構楽しめるのでこれからもぜひたのむ
619Classical名無しさん:05/05/23 21:07 ID:c3.XkdZY
まあやめろとは言わんぞ。
620Classical名無しさん:05/05/23 23:07 ID:YuTvayWo
こむずかしいな
621Classical名無しさん:05/05/24 00:06 ID:AOWdB9W6
キーコ…   キーコ… 公園のブランコで黄昏ていたのは、播磨だった。
今日、播磨は告白した。 
そして、玉砕した。
天満は烏丸が好きなのは、解っていた。
でも、諦め切れなかった。
悩みぬいた末に、告白した。
でも、返事はごめんなさいだった。
一つだけ、良い点があった。 
誤解が解けたこと。
告白の過程で、播磨は説明した。 
中学生の時の出会いと誤解、海に行った時の事、そして八雲との事に、漫画の事…
天満は最初戸惑っていたが、播磨の真剣な説明に最後は何とか納得した。
「播磨君、ありがとう…これからも友達でいてくれるかな?」
天満の問いに、播磨は勿論だと答えた。
(でもよ、明日からどんなツラして天満ちゃんに会えばいいんだよ?)
辺りはすっかり夕暮れになっても、播磨は悶々と悩んでいた。
天満に振られた今となっては、学校に行く事も意味がない。 
漫画も意味がなくなってしまった。
「学校、辞めよっかな…」
俯いて呟く播磨に、近づく影があった。
622Classical名無しさん:05/05/24 00:26 ID:AOWdB9W6
「今の言葉、本当ですか播磨さん?」
播磨が顔を上げると、目の前に八雲の姿があった。
「妹さん…聞かれちまったか。ああ、辞めようと思ってるんだ」
自嘲気味に話す播磨に、八雲は訪ねた。
「では、漫画はどうするんですか? それも、辞めてしまうんですか?」
播磨はうっと返答に詰まった。
「今まで妹さんには世話になったな。 でも、天満ちゃんに振られちゃな…」
元々、天満ちゃんに告白するために描いていたんだしなと言う播磨に八雲は更に訊ねた。
「じゃ、文化祭のアレは嘘だったんですか? 頑張るぞって…嘘だったんですか?」
八雲の目には、涙が浮かんでいた。
「私は、嫌です。辞めないでください、播磨さん」
とうとう泣き出してしまった八雲。 播磨はブランコから立ち上がって八雲を見つめた。
(妹さん…こんなにまでなってまで俺を…なのに俺は…こんな良い子を泣かして…よし!)
播磨は八雲をそっと抱きしめた。
「すまねえ。すぐには無理だがよ、ちゃんと描くぜ。その時は手伝ってくれるか、八雲ちゃん」
八雲はハッと顔を上げた。
「今、八雲って…」
「ああ、天満ちゃんに振られちまった今じゃ、妹さんてのもな。まずかったか?」
八雲は首をぶんぶんと振った。
「いいえ、そんな事ありません。うれしいです」
再び八雲の目に涙が浮かぶ。
「ど、どうした? 大丈夫か?」
「違うんです。 嬉し涙です。 播磨さんから名前で呼ばれるのが、嬉しいんです」
「そ、そうか。 これから宜しくな、八雲ちゃん」
抱きしめ合う二人を、夕日が見つめていた。

623Classical名無しさん:05/05/24 00:27 ID:kMgFhZCc
>>621
おい、そこでやめるなよ。旗なのかおにぎりなのか全然別派閥なのかだけでも
はっきりせんかい。
624Classical名無しさん:05/05/24 00:34 ID:.3gp6Pp6
何故だ…この手の作品は見飽きた。
そう思ってたのに……
何故……っ!!
625Classical名無しさん:05/05/24 00:43 ID:kMgFhZCc
変なタイミングで突っ込んだのは謝るが、なんで貼り付けにこんな
時間かかるんだよ・・・
626Classical名無しさん:05/05/24 00:52 ID:AqCdXSP6
バーカ
627Classical名無しさん:05/05/24 00:56 ID:L4ZdBpio
勝手に>>622の続き


抱きしめ合う二人を、夕日が見つめていた。
ついでに花井も見つめていた…。

キーコ…   キーコ… 公園のブランコで黄昏ていたのは、花井だった。
今日、花井は目撃した。 
そして、玉砕した。
八雲は播磨が好きなんじゃないかと疑っていた。
でも、信じられなかった。
悩みぬいた末に、尾行した。
でも、現実は残酷だった。
一つだけ、良い点があった。 
八雲の笑顔が見れたこと。
八雲の告白の過程で花井は悟った、自分はただの道化だったと。
それでも、八雲が幸せならばよいと考えた。
(だが、明日からどんな顔をして八雲君に会えばいいのだろう?)
辺りはすっかり夕暮れになっても、花井は悶々と悩んでいた。
八雲が播磨と正式に交際を始めた今となっては、学校でそれを見るのは辛すぎる。
茶道部も意味がなくなってしまった。
「学校、辞めよっかな…」
俯いて呟く花井に、近づく影があった。


↓続きを頼む
628Classical名無しさん:05/05/24 01:14 ID:R4hrwjAI
「そんなさびしい事言ってくれるなよ、花井」
花井が顔を上げると、目の前に東郷の姿があった。
「お前、東郷…」
「そう構えるな。俺達は色々あったが、今となってはお互いが唯一の理解者なのサ」
「何?まさかお前も…!?」
肩をすくめるような仕草をして話す東郷に、花井は思わず訪ねた。
「おっと、これ以上は野暮ってもんさ。とにかく俺達は同士さ。
悲しみは分かち合おうじゃないか。今夜は俺の行きつけのバーへ招待するぜ」
花井の目に涙が浮かぶ。
「東郷!」
抱きしめ合う二人を、夕日が見つめていた。


↓限界。続きよろしく。
629Classical名無しさん:05/05/24 01:36 ID:w1rToXME
師匠が出てこない・・・


|彡サッ

↓ 次おながい
630Classical名無しさん:05/05/24 02:19 ID:/3RDI1vQ
勝手に627の続き

「みんなには悪いと思う。 しかし、この先播磨と八雲君を見ていくのは…」
八雲の笑顔が見れるのはうれしい、しかしその笑顔を自分では作ってあげることができないのはそれを上回るくらいつらい
そう続ける花井に美琴はただ黙っていることしかできなかった。
「結局全部僕の一人相撲だったんだよ…文化祭でのできごとを考えれば八雲君の気持ちに…」
無表情という仮面はとうに剥がれ落ち、花井の目には涙が浮かんでいた。
「あの時播磨の気持ちを知っただけで…有頂天に…大事なのは…八雲君がどう思っているかということなのに…」
目に浮かんでいた涙は一筋の川になり彼のほほを留まることなく流れていく… 
「結局僕はわかってたけど認めたくなくて逃げ…「もういい、何も言うな…」…周防…」
美琴は花井の言葉を遮ると、まるで赤ん坊を抱くかのようにそっと抱きしめた。
(…!?アタシなにやって…でもこうするのが当たり前っていうか、今こう考えてるの方がおかしいって言うか…そんな感じがする…)
自分の腕の中ですっかり泣き止み少し恥ずかしそうにしている花井を見て、彼女の想いはある結論へと加速していく。
(そうだ、アタシはずっとコイツのことが…幼馴染っていう心地よい関係を壊したくなくて今まで気づかないふりしてたんだな。)
「アタシ、お前のこと好きだよ、花井。」
花井はハッと顔を上げた。
「今、周防何を…?」
631Classical名無しさん:05/05/24 02:20 ID:/3RDI1vQ
「ああ、八雲ちゃんに振られちまった今じゃ、ちょっと卑怯だったか?」
花井は首をぶんぶんと振った。
「いや、そんな事は…だが…」
花井の表情に再び浮か苦悩の色に、美琴が凍りつく。
「ど、どうした?やっぱまずかったか? 」
「いや、違うんだ。今ミコちゃんに言われて気づいたんだ、僕もミコちゃんのことが好きだったってこと。 」
その言葉で美琴の表情に輝きが戻る。
「だが…まだ心のどこかで八雲君のこと…」
そこまで言って再び花井の言葉は遮られる…もっとも今回は言葉ではなく、唇でだが。
「わかってるって、これでもお前のことは誰よりよくわかってるつもりなんだがな」
「…いいのか、それで?」
「あぁ、悔しいけどそういう一生懸命で一途なとこも好きなんだよな。」
再び花井に近づき、美琴はささやく。
「今は無理でも八雲ちゃんに向けてたぶんも絶対アタシにむかせてやるから覚悟しとけよ、春樹!」
抱きしめ合い再び唇を交わす二人を、夕日が見つめていた。

ついでに今鳥も見つめていた

↓つづ(ry
632Classical名無しさん:05/05/24 02:21 ID:/3RDI1vQ
くそ、勢いで書いてたらリロードするのすっかり忘れちまったorz
633Classical名無しさん:05/05/24 02:49 ID:w1rToXME
>632
(>627の最後に)パラグラフ分岐つけよう。 >628の後は
 東郷とウホッやしっちゃかめっちゃかの展開でもいいし
 家に行ったら東郷の妹にホれられる奇想天外でもいいし

 >630-631はよくまとまってるとおもうのよ。
634Classical名無しさん:05/05/24 03:49 ID:fCmur/nI
ドミノ式にカップル成立だな
635Classical名無しさん:05/05/24 08:17 ID:AOWdB9W6
抱きしめ合う二人を、夕日が見つめていた。
ついでに今鳥も見つめていた…。

キーコ…   キーコ… 公園のブランコで黄昏ていたのは、今鳥だった。
今日、今鳥は目撃した。 
そして、玉砕した。
美琴は花井が好きなんじゃないかと疑っていた。
でも、信じられなかった。
悩みぬいた末に、尾行した。
でも、現実は残酷だった。
一つだけ、良い点があった。 
美琴の笑顔が見れたこと。
美琴の告白の過程で今鳥は悟った、自分はただの道化だったと。
それでも、美琴が幸せならばよいと考えた。
(けど、明日からどんな顔をしてミコチンに会えばいいんだろう?)
辺りはすっかり夕暮れになっても、今鳥は悶々と悩んでいた。
美琴が花井と正式に交際を始めた今となっては、学校でそれを見るのは辛すぎる。
いつものスキンシップも意味がなくなってしまった。
「学校、辞めよっかな…」
俯いて呟く今鳥に、近づく影があった。
636Classical名無しさん:05/05/24 08:41 ID:Gf4Yr5eY
「え、え〜と、今鳥さん?デュワッ!」
「何やってんだよイチさん…」

ネタ投下で

|彡サッ

↓ 次おながい
637Classical名無しさん:05/05/24 09:34 ID:HODuS6Ws
消費税5パーセント賛成
638Classical名無しさん:05/05/24 09:54 ID:JkTg8msU
おにぎり→縦笛連鎖っていい加減出尽くした感がある。
639Classical名無しさん:05/05/24 10:01 ID:C2DLUhYM
>>636
「え、え〜と、今鳥さん?デュワッ!」
「何やってんだよイチさん…」
 真顔で問い返されて一条は赤面した。
「いえ・・・その・・・ドジビロンのマネなんですけど・・・」
「いや、わかるって」
「あと、イチさんはやめてください」
「んじゃ、どう呼べばいいのよ?」
 そう問い返されて、一条は真顔で考え込む。そして、意を決したように言う。
「た、例えば、か、か、か・・・」
「カラス?」
 今鳥の言葉に一条は反射的に返す。
「す、す、ストーブ」
今鳥「ブリ」 一条「リス」 今鳥「スイカ」
 そこまで言ったところで一条は目をつぶって叫んだ。
「かれん!!」
「いや、それ終わっちゃうだろ。それに人の名前は反則だ」
「そ、そうじゃなくって・・・」
 一条は、真っ赤に染まった顔をうつむけて必死に言う。
「で、できれば、かれんって呼んで欲しいなって」
「一条・・・」
「ダメ・・・でしょうか」
「ダメじゃねえよ。かれん」
「い、今鳥さん!」
 思わず叫んだ一条の唇を、今鳥は人差し指で押さえた。
「俺のことは恭介でいい」
 どちらからともなく抱きしめあった二人を夕日が見つめていた。
640Classical名無しさん:05/05/24 10:33 ID:sCNL6UcE
>>638
真王道含むこの3つは相性が良いからしょうがないだろ
641Classical名無しさん:05/05/24 10:44 ID:HODuS6Ws
播磨と花井が諦めれば万事解決って訳ね
642Classical名無しさん:05/05/24 11:11 ID:JkTg8msU
男の思いが優先される事も有って欲しいな。
つうことで播磨×天満、花井×八雲、今鳥×美琴を希望、っつうかそのうちどっかで書くね。
643Classical名無しさん:05/05/24 12:45 ID:.3gp6Pp6
播天はともかくDは死んだも同然だし、袴は八雲が不憫すぎる……
644Classical名無しさん:05/05/24 13:46 ID:rhh9aVMI
ガイドラインを使った物を書いたんだけど、
そういうものは投下していいの?
645Classical名無しさん:05/05/24 14:04 ID:s3w9lVos
>>643
Dもまだ死んでないだろ
646Classical名無しさん:05/05/24 15:11 ID:tSqY/Imc
>>638
俺の気のせいだといいんだが、ここ最近縦笛SSを見かけたことが無いんだが
647Classical名無しさん:05/05/24 16:33 ID:R4hrwjAI
>>628描いてみたがさすがにこれはSSとかSSSの類じゃないよな。
ネタにならないと、初SSがあれになってしまう。
しかも飛ばされてるし。
648Classical名無しさん :05/05/24 17:31 ID:o5zwVjAk
>>643
八雲は花井嫌いじゃないのになぜ不憫と決め付けるんだ?
649Classical名無しさん:05/05/24 17:53 ID:.3gp6Pp6
主観に決まってるだろ(エー
650ギーガp ◆PopGDGnCZ6 :05/05/24 18:22 ID:prunFQjw
久しぶりに投下しようと思ってるんですが、少し問題が。
他作品のキャラだと推測される描写があるんですが、そんなのはアウトでしょうか、セーフでしょうか。
≪他の漫画のキャラを出すSSは認められていません≫とあるのですが、話だけ出て実際動くキャラとして出てはいません。
どうでしょうか。
651Classical名無しさん:05/05/24 18:46 ID:iJYI2eHY
いいとおもうよ
652Classical名無しさん:05/05/24 18:46 ID:.o1//Cs2
>>650
削っても問題ない箇所なら削るべきだと思います。

ただ、「推測される」ということは固有名詞が出るわけでなく噂等で登場、
表現される程度だと私は推測しました、この場合は問題ないと思います。
伏字でゲームネタとか仮○ライダーネタ等は許容されてますしね。
653ギーガp ◆PopGDGnCZ6 :05/05/24 18:53 ID:prunFQjw
ありがとうございます。
それでは投下します。ややピンチのアソサラです。
654:05/05/24 18:54 ID:prunFQjw

「何時ものお礼に、遊びに誘ってみたらどうですか? 」
「おっ!それだ!!」

その時の播磨には、きっとコイツの魂胆なんて分からなかったろう、と軽く同情する。

「妹さん!今度の日曜日、暇か?」
「え……はい。」
「よっし!じゃあ一緒にどっか行こうぜ!いや、別に疚しい気持ちとかは無くて、何時ものお礼にな!」
「は―――はい!」

隠れて聞いていたコイツは、さぞかし「イイ笑顔」だったのだろう。
確かに、塚本八雲が播磨拳児に好意を持ってるのは間違いないだろう。そしてその恋を実らせてやりたい、という考えも、親友として誠に良い事だと思う。

とは言え。

「何で尾行するんだ……しかも俺まで」
「何言ってるんですか麻生先輩!八雲が人生の選択をする日なんですよ!!」
「ああ……もうそこら辺は何も言えない」

言ったらきっと「君が泣くまでッ!殴るのを止めないッ!!」みたいな事になりそうだ。
だけど何で俺まで……。

さりげなく鬱に入ってる俺の隣から、歌が聞こえる。―――いや、歌?

「しょ〜せんこの世は〜いちれ〜んたくしょ〜」
「即興で作ってるな……」

「じゃくに〜くきょうしょ〜く、かくご〜」
「お前は本当にシスターかと小一時間問い詰めたいけどそれをするとエライ目に遭いそうだから止めとく」

若干自分を見失っている気がするコイツ―――サラ・アディエマスを尻目に、俺こと麻生広義は少し離れた所で寄り添っている二人を見る。
655黒(ここが問題の部分です):05/05/24 18:55 ID:prunFQjw
「しかし、動物園、とは……」
「やっぱり意外ですよね」
「まあな。特に播磨」

学校一の不良と学年一の美少女は何故か知り合いだ。―――いや、何故か、じゃないか。
確か播磨は……

「あ!動き出しましたよ、追いましょう!!」
「あ、もうこんな時間だ俺もう帰るわじゃなバイバ―――!?」

折角の休日をデバガメなんかで潰してられないので、急いでその場から緊急離脱……しようとしたのだが。

首筋に―――何だ、コレは。黒い……剣?

「だめですよ、麻生先輩?」

窘めるような、声。
振り返ると、案の定―――笑っている。所謂「死ナス笑み」或いは「殺ス笑み」だ。

「どっからこんなモン出した……」
「えへへ、知り合いの人から貰っちゃいました」
「何て物騒な知り合いだ……」
「優しいですよー?マーボーとカレーで一も二もなくくれましたし」

そういって首筋から黒い剣を離す。

「さ、いきましょう!」

その元気な声と笑みに、底知れない恐怖を感じ、結局デバガメを開始したのだ。
656:05/05/24 18:56 ID:prunFQjw

お二人さんは動物を見て周っている―――そりゃもう、イチャイチャと。
例えばこの光景を沢近が見た途端にシャイニングウィザードを放ちそうなほど。

「あー、もう!八雲もですけど播磨先輩ももっとくっ付いて!!」
「…………」

完全にデバガメおばさんになっているサラ。―――何故、俺はコイツに?
とにかく、言っておくべき事を言っておかなくては、と思い、話し掛ける。

「おい……あのな」
「?……あ、先輩羨ましいんでしょ」
「何をいきなりトンデモな事を言い出す!―――俺が言いたいのは、播磨の事だ」
「播磨先輩の?―――ま、まさか!?」

急に顔を蒼褪めさせて俺から少し離れるサラ。

「な、何だ、急に……」
「まさか、播磨さんの事が好―――ああごめんなさい冗談ですから睨むの止めてください」
「馬鹿な事言うなよ、全く」

男の趣味は無いんだ。それに俺は……。

「ま、とにかくだ。播磨なんだが」
「はい」
「気付いてるだろ?アイツがあの娘に別に特別な好意を抱いてないのが」
「…………はい」
「だったら、こんな事はやるべきじゃなかったな。俺達が無理矢理くっ付けたって、そんな関係はすぐに崩壊する。―――早計だったな」
「でも!でも、八雲は」
「好きだろうな、多分。尤も、本人は気付いて無いようだが」
657:05/05/24 18:57 ID:prunFQjw
播磨と居る時の彼女は、目線の先には常に播磨が居る。―――播磨も播磨だが、彼女も彼女だ。
揃いも揃って、何て鈍感な連中だ、全く。

「とにかくだ。無理強いはいけないだろ、やっぱり」
「…………」

かなり落ち込んで居るようだ。―――言い過ぎた、のか。
突っ走りすぎたとはいえ、親友を想っての行動なのだから、それを全て否定する事はしてはいけない。
しかしどうフォローすればいいのかも分からない。

結局、うやむやにする事を選んでしまった。

「―――サラ」
「…………なん、ですか?」
「趣旨変えだ」
「え?」
「趣旨を変更する。デバガメは止めて、今からデートだ」
「え?え?―――ええええええええ!?」
「ついてこい。……映画でも観に行こう」
「は、はい!」

……いや、随分と思い切った事を言ったもんだ。でもまあ、笑顔になったからいいかもな。

播磨と塚本の妹を見る。播磨……悪いが俺も彼女を応援させて貰う。お前の日常でのアタックとスルーされっぷりは見てて応援したくなるが、今回は俺にも事情があるんでな。―――頑張れよ、これから。塚本の妹もな。
658:05/05/24 18:57 ID:prunFQjw
後から聞いた話では、結局進展は無かったらしいが、何処から見ていたのか、クラスメートの高野が播磨と塚本の妹のデートを写真に撮って挙句の果てに学校中にばら撒いていた。結果、播磨の恋はまたも挫折に直面し、尚且つ沢近から一方的な虐待に見まわれたそうだ。


ご愁傷様。



追記

ばら撒かれたのは播磨達だけじゃなかった。―――俺とサラもだ。
しかしサラはかなり機嫌が良かったらしい。俺は、まあ、バスケ部及びクラスメート(数名除く)の面々から追求を喰らい、結構機嫌が悪い。

もう二度と御免だ―――!
659ギーガp ◆PopGDGnCZ6 :05/05/24 18:59 ID:prunFQjw
以上です。麻生って案外難しい。
660Classical名無しさん:05/05/24 19:29 ID:sCNL6UcE
>>648
人間として嫌いじゃないけど、気には病んでる
661Classical名無しさん:05/05/24 19:48 ID:8sGvD4r.
播磨とは全く逆の意味で気になってるから
播磨への気持ちを好意にすると、ますます嫌悪になっていきます
662Classical名無しさん:05/05/24 20:06 ID:o5zwVjAk
>>660
俺にはそんな風には見えないけどな。
663Classical名無しさん:05/05/24 20:30 ID:bvywFOP.
花井のことを気に病んでるってのは、PFの記述にあったな
664Classical名無しさん:05/05/24 20:43 ID:JkTg8msU
病むってアレだろ、恋の病。
665Classical名無しさん:05/05/24 20:43 ID:/uXg7Suk
思ったように好きなに書けばいいじゃん
どうせ全派閥は妄想なんだから
666Classical名無しさん:05/05/24 21:17 ID:fCmur/nI
>659
>「君が泣くまでッ!殴るのを止めないッ!!」

>「えへへ、知り合いの人から貰っちゃいました」
が書きたかっただけちゃうんかと小一時間(ry
667Classical名無しさん:05/05/24 21:17 ID:1g35Wiq.
ギガぽん、GS美神にも手を出しちゃったのかYooooooooooo!!
668Classical名無しさん:05/05/24 21:25 ID:.o1//Cs2
>659
乙です

マーボーとカレーでまるで固有名詞のように誰かわかってしまう自分が悲しい…
669Classical名無しさん:05/05/24 21:55 ID:CCM9J1h.
>598
超姉だよな…?
670Classical名無しさん:05/05/24 22:21 ID:nS8yF2Mk
マーボーとカレーってことは、二人とも知り合いのなのだろうか?
671Classical名無しさん:05/05/24 22:26 ID:fCmur/nI
マーボーは言峰?
672Classical名無しさん:05/05/24 22:49 ID:/3h8O7w6
つまらねえSS
ネタを披露したかっただけって感じだ
余所からの使い回しが見苦しい
673Classical名無しさん:05/05/24 23:36 ID:0ideCzsA
>>664
日本語勉強汁
674Classical名無しさん:05/05/24 23:58 ID:TiVdmmFY
パクリばっかじゃねーか、ハゲ
675Classical名無しさん:05/05/25 00:51 ID:mMFke5Hg
>646
残念ながら気のせいではない。
憂慮すべき事態だな。

俺も縦笛SSを書こうと思って書き始めたが書いてるうちにだんだん花井ハーレムに話が脱線してしまったのでやめた。

676Classical名無しさん:05/05/25 00:52 ID:z5Nbd0KU
ちょwwwwwwwおまえら叩きすぎwwwwwwwwwww
677Classical名無しさん:05/05/25 17:34 ID:qVNijTuQ
誰か、旧S3のURL教えてください。

と、流れも読まずに投下してみるテスト
678Classical名無しさん:05/05/25 17:44 ID:z5Nbd0KU
679Classical名無しさん:05/05/25 18:23 ID:d23wrIP6
たまには肉じゃが希望。
680Classical名無しさん:05/05/25 18:25 ID:OevxrdaI
旧S3って現S3から堂々とリンクされてるだろ。
681Classical名無しさん:05/05/25 22:02 ID:ZWOS2.Q.
>>675
頼む。それを見せてくれ。
682Classical名無しさん:05/05/25 22:25 ID:Nx6nHCT6
美琴ハーレムとかどう。
683Classical名無しさん:05/05/26 11:14 ID:khXdqaY6
美琴四面楚歌とか見たい
684Classical名無しさん:05/05/26 19:08 ID:miJtJ85I
≫678 激しく遅レスですがどうもサンクス。
685天満が……1:05/05/27 12:12 ID:.P3NP5LQ
このスレで3作目のSS投下してみます。「天満がもうちょっと賢かったら」

5巻25頁から分岐するストーリーです。

愛理「やってらんない。私帰るわ!」
天満「待って、愛理ちゃん」(愛理の手をにぎる)
愛理「なによ、はなしてよ」
天満「私、播磨くんが好きなのは美琴ちゃんだと思い込んでたけど、もしかしたら、それ
、私の勘違いかも……」
愛理「どういうことよ?」
天満「播磨くんね、こないだの海の旅行のときに、一緒に行く女の子の中に好きな人がい
るって言ってたの、私、聞いたんだ。それで、あの夕食のとき、播磨くんがすごく不機嫌
そうにしてたから、あのとき今鳥くんと美琴ちゃんがなかよくしてたせいで機嫌悪くして
るんだって思ったんだけど、もしかしたら、それは私の勘違いだったのかなって、いま気
づいたの」
愛理「でも、あのとき行った女の子って私たち四人でしょ。美琴じゃないとすれば……」
天満「ずばり! 愛理ちゃんか晶ちゃんのどちらか……」
愛理「それと、天満もいるでしょ」
天満「それはない。播磨くん、告白する勇気がないから、私を相手に練習したいって言っ
てたから」
愛理「あなたたち、そんなことしてたのー?」
686天満が……2:05/05/27 12:13 ID:.P3NP5LQ
天満「でも、いまの美琴ちゃんの話聞いてわかったよ。播磨くんが好きな相手は、愛理ち
ゃんだったんだ。だってじかに告白されたんでしょ?」
愛理「そ、それは……」
天満「あの夕食のとき不機嫌そうにしてたのも、別の原因があったんだ。きっと播磨くん
、愛理ちゃんに近づこうとして、冷たくされたりしたせいで落ち込んでたんじゃない?」
美琴「そういえば、播磨が水泳教えようとしてたのに、沢近が拒絶してたのを目撃したぞ」
愛理「あ、あれは……」
天満「そうだ。そのせいで播磨くん、機嫌が悪かったんだ。あの水泳レッスンのくじ、つ
くったのも播磨くんでしょ。それで播磨くんが最初に自分の場所えらんでたよね。播磨く
んが愛理ちゃんと組むことになったのは、最初から播磨くん、愛理ちゃんと組みたくてそ
うしてたからだよ」
愛理「えっ、えっ、そうなの……」
晶「部屋では播磨くんに後ろから抱きつかれてたしね」
天満・美琴「ええーっ。そんなことが!?」
愛理「あ、あれは……」
天満「どうして? どうしてそんなことがあったのに、皆に言わなかったの!?」
愛理「そんなこと、恥ずかしくて言えるわけないじゃない!」
天満「ふーん。じゃあ、愛理ちゃんは、その気がないんだ」
愛理「当たり前じゃない!」
美琴「どうだか、わからんぞ」
687天満が……3:05/05/27 12:14 ID:.P3NP5LQ
愛理「なによ?」
美琴「さっき私の悪口言ってたのも、天満から、播磨の好きなのが私だと聞かされたから
だろ? 女の嫉妬大爆発ってやつ?」
愛理「ち、違うわよ!」
美琴「播磨に告白されたとき、断ったのか、きっぱりと?」
愛理「そ、それは……」
美琴「してないだろ。まんざらでもないってやつ?」
愛理、顔を赤らめてうつむく。
天満、愛理の肩に手を置く。
天満「愛理ちゃん、意地をはるのもいいけど、あまりそんなんだと、播磨くん悲しむよ?」
愛理「天満……」
天満「播磨くん、すごく真剣そうだった。一途に思いつめてる感じだったよ。愛理ちゃん
のこと、すごく思ってるんだと思う。愛理ちゃんが好きでないならしょうがないけど、も
しそうでないなら……」
愛理「だって、あいつ、あの後、ふざけた態度で……」
天満「男の子って、好きな女の子のこといじめたくなるって聞いたことあるよ。素直に気
持ちを表せないときもあるから、女の子は、そこをわかってあげなくちゃっ」
愛理「そ、そうなの……?」
688Classical名無しさん:05/05/27 13:05 ID:vlKF8.q6
支援?
689Classical名無しさん:05/05/27 16:27 ID:.P3NP5LQ
天満が…… なんか結末にいたってませんね。そのうち後編書きます(かも?)
690Classical名無しさん:05/05/27 16:57 ID:MjqP0m8Q
書け。書きやがれ。
裸で正座して待ってるぜ
691Classical名無しさん:05/05/27 17:01 ID:FMQOovtI
肛門にマウス突っ込んで待ってますよー
692小ネタ:05/05/27 17:24 ID:z5/eIF6k
またまた投下。スペイン語の有名なネタ?
今週号より。

「お前の靴だ、返すゾ」
「ひもだけじゃねーか、うわぁーん」
「そ、それじゃ、アディオス」
「待て!ララ・ゴンザレス。お前は大変な過ちを犯した。」
「ナンダ?」
「この俺の手下となれ」
「手下?何ダそれハ?情婦?」
「違ーう、子分のことだ・・・とりあえず茶、買ってこい!」
「・・・・・・」
「聞こえないのか!茶、買ってこい!」
「アー、ワタシニホンゴワカリマセン」
「さっきまで話してたじゃねえか!」
693小ネタ:05/05/27 17:26 ID:z5/eIF6k
翌日、ララと一条が弁当を食べているところに乱入
「(ふふふ、ちゃんとスペイン語のものの頼み方勉強してきたぜ。)おい、ララ・ゴンザレス!
今度こそ子分になってもらうぞ!」
「ワタシニホンゴワカリマセーン」
「さっきまで一条と話してたくせに・・・しかし!スペイン語で言ったらシラ切れねえだろ!
(えーと茶がテで、欲しい、がキエロだから・・・)あー、テキエロ!」注:テには君、の意味あり
「テキエロ!?(ポッ)」
「(えっどうしていきなり顔を赤くしてるんだ?)き、聞こえねえのか?テキエロって言ってんだろ!」
「エ、イヤソノ・・・いきなり言われてもナ、それにイチジョーにも悪イシ・・・」
「な、何言ってんだ?」
「(テキエロって・・・よく歌で出てくるけど、確か意味はアイ・ラブ・ユー、つまり今鳥さん、
ララさんに・・・)ひどいです!わざわざ私の前で告白なんて!今鳥さんのバカバカ!」
「え?告白?って一条、お前いったい何をす・・・グフッ・・・ガクッ」

今鳥恭介・・・全治1ヶ月
694Classical名無しさん:05/05/27 18:06 ID:.P3NP5LQ
>690 >691 このスレで初めてSS書いてるもので、うまい先達が多々おられるので、
スルーされるかと思ってました。あんなのでも続き読みたい
方がおられるんでしたら、続きやってみようかと思います。
695Classical名無しさん:05/05/27 18:38 ID:al86kEhg
スマイルネタもいいなあGJ
696Classical名無しさん:05/05/27 18:39 ID:vioRMcjg
ちゃんとしたSSもいいけど、そういうのはS3行けばいいんだし、
こういう小ネタっぽいのもいいよね。
697小ネタ:05/05/27 18:47 ID:z5/eIF6k
>695 >696 ほめてくださってありがとうございます。
これからも小ネタ一本でやっていこうと思います。
698Classical名無しさん:05/05/27 18:59 ID:cHG0wR/6
今ララは初めて見た気がす
699Classical名無しさん:05/05/28 00:32 ID:dbblVuFA
肛門にマウス突っ込んでるような男に律儀にレス返してくれてワロタヨw
俺も、こういう小ネタがあった方が箸休め的にも、スレにメリハリを与えるという意味でも
いいと思うんで、これからもがんがってちょんまげ ノシ
700小ネタ:05/05/28 14:18 ID:6OvP6xOU
>699 ありがとうございます。
ついでに7(て)0(ん)0(ま)get・・・むりあるな
701Classical名無しさん:05/05/28 18:31 ID:VZ3tCm02
なんとなく投下。
702Classical名無しさん:05/05/28 18:33 ID:VZ3tCm02
「一緒に帰ろーぜ」
俗に云う幼馴染み。
これは結構、めんどうな存在だったりする。
「すまない、文化祭の予算委員会があってな」
あたしは脇の鞄を抱え直した。
こいつは学級委員だ、そう言う時だってある。
「そっか、まあがんばれよ!!」
あいつが手を振る、あたしも軽く振り返す。
「付き合ってるの?」
長いこと幼馴染みをしていればこう聞かれる事も多い。
「そりゃないな」
あたしは返事をいつもそう返す。
冷たい?
そりゃあ結構だ。
優しくしてやる必要もない。
「で?ホントのトコはどうなの?」
「おい、しつこいぞ」
「どう思ってるわけ?」
それにしてもなんでこいつはこんなにからんでくるんだ?
あたしがアイツをどう思っているかなんて関係ないだろ?
「別に何とも」
「あーあ、カレ、可哀想に……」
可哀想?
意味が解らない。
あたしにとって奴はプルトップみたいな存在だ。
703Classical名無しさん:05/05/28 18:34 ID:VZ3tCm02
「プルトップって………缶の?」
そう、缶のプルトップ。
「あると邪魔だけど、無かったら不自然」
飲むとき微妙に邪魔なんだよな、あれ。
「でもさぁ」
ニヤニヤと嫌な笑いを浮かべながら続ける、
「プルトップを欲しがる人だっているでしょ?」
車椅子が作れるんだっけ?
ボランティア活動の基本。
――正確には換金後、購入――
「恵んでやるさ、ボランティアだからな」
「それはカレとプルトップ、どっちを言ってるの?」
もちろん、
「どっちもだね」
溜め息をひとつ、
美しい金の髪を揺らしながら、
少々の皮肉を込めて、
「プルトップ…か、まぁ……あんたらしいわ」
気づいてるのかしら?
プルトップがなければ缶は開かないのよ。

―了―
704Classical名無しさん:05/05/28 19:08 ID:1K01XVbU
>>702
心を開くために必要か。
邪推すると少女からおん…ゲフンゲフン。
ちょっと頭をひねって考えてしまった。
GJ。
705Classical名無しさん:05/05/28 20:14 ID:.MrGzEiQ
>>702
比喩が効果的。この短さなのに上手くまとまってるし、いいと思う。GJ

しつこく聞いてくる相手をさがのんかと思ったことは秘密だ。
706Classical名無しさん:05/05/28 20:21 ID:XeBxYfFc
>>705
お嬢なら、付き合ってるかどうかぐらいは知ってるはずだからな。

それはそれとして、このあとは美琴の播磨がらみの反撃期待。
707Classical名無しさん:05/05/28 20:33 ID:lRFtqA2Q
プルトップだけの回収なんてやってるか今時?
708Classical名無しさん:05/05/28 20:45 ID:XeBxYfFc
つ[http://www.aa.alpha-net.ne.jp/oskriyo/bulletin/puru/puru.htm]


ソース出しといて言うのもなんだが、プルトップって禁止されてなかったかと
思った。プルタブとプルトップって別ものだよな?
709702:05/05/28 20:53 ID:VZ3tCm02
>>708さん
あやふやな記憶で申し訳ない
多分プルタブが正解です
あと、皆様レスありがとうございます
710Classical名無しさん:05/05/28 21:47 ID:bpVzRu2E
「ん?いや、こうか?」
「は、播磨さん?一体何を・・・・」

時計は午前3時を回っている。
八雲は彼の部屋で漫画を手伝っていたのだが
いきなり播磨が自分の体に腕回し妙な動きをし始めた。

「いやな、ここで俺とて・・・・じゃなくて主人公とヒロインが抱き合うシーンあるだろ?
 腕がどうなってるんだかイマイチよく分からなくてよ。」
「何か参考資料はないんですか?」
「うーん・・・・思いあたらねえなー。仕方ねえ、明日恋愛映画でも借りてくっか。
 そういうシーンはいくらでもあるだろ。それを観ながら描くぜ。」
「そうですね・・・・」

(漫画の中だけど・・・・姉さんと播磨さんが・・・・)

ネームを見せられた時もそのシーンで胸が苦しくなった。

(播磨さん、このシーンを描きながら姉さんのこと色々想像してたんだろうな・・・・
 って私こそ何想像してるんだろう)

「・・・・あ!」
「へ?どうした?妹さん。」

(どうしよう・・・・変なこと思いついちゃった・・・・
 でも漫画のことなんだからきっと・・・・変に思われないよね)
711Classical名無しさん:05/05/28 21:49 ID:bpVzRu2E
八雲は思いついたことを実行に移すことにした。
自分の携帯を出して播磨の机の上に置く。

「??妹さん?」
「私の携帯のカメラはセルフタイマーが付いてますから・・・・その、ここに立ってください。」
「え?ああ・・・・」

何が何だかよくわからないまま播磨は八雲の言うとおりにした。
八雲はカメラのタイマーをセットする。

「あの・・・・では失礼します!」
「どぅわ!!い、いも、いも、いもうとさん!!」

いきなり八雲に抱きつかれどもる播磨。

「早く・・・・私に腕をまわしてください。あのシーンの資料になりますから・・・・」
「え?ああ!そうか!さすが妹さん!!・・・・
 ってなあ、い、妹さんいくらなんでもこれはその・・・・」

パシャ

「・・・・」
「・・・・」

(播磨さん・・・・そんなに嫌なのかな・・・・)

八雲は播磨からそっと離れ、その顔を播磨に向ける。
712Classical名無しさん:05/05/28 21:50 ID:bpVzRu2E
(!!やべえ、妹さんなんか泣きそうな顔してるぜ・・・・くっ・・・・
 そうだよな、恥を捨ててまで俺の漫画のためにしてくれたっていうのに!俺は何をやってんだ!)

「妹さん!すまねえ!もう一回、いいか!?」
「!!あ、はい!」

八雲はまたタイマーをセットする。

「よし!妹さん悪いが少しの間我慢してくれ!」
「え?そんな・・・・我慢だなん・・・・あ」

播磨が八雲を抱きしめる。
八雲も播磨に腕を回す。

(播磨さん・・・・このままずっと・・・・)
(や、やべえ・・・・すげえいい匂いがするしやわらかくて・・・・じゃねえ!
 しっかりしろ俺!あ!天満ちゃん!これは違うんだ!俺はお猿さんじゃないからな!)

パシャ
713Classical名無しさん:05/05/28 21:51 ID:bpVzRu2E
「い、妹さん。どうかな、ちゃんと撮れたか?」
「あ・・・・はい。い、今見てみます。」

うまい具合に撮れていたのだが

(・・・・どうしよう・・・・えーい!)

八雲はその画像を消してしまった。

「あの・・・・ちゃんと撮れてなかったみたいです・・・・だからもう一度・・・・」
「な!?」


15分後


「い、妹さん・・・・ぜってーその携帯壊れてるって・・・・もう何回目だよ・・・・」
「え?」

終わり
714Classical名無しさん:05/05/28 21:53 ID:KZGDipTA
15分も続けるなんて八雲らしくないけど萌えたそしてワロタ
715702:05/05/28 22:05 ID:VZ3tCm02
>美琴の播磨がらみの反撃期待。
をうけてつらつらと書いてみた
投下開始
716702:05/05/28 22:06 ID:VZ3tCm02
――帰途

さっきは楽しかったわね、そう思いながら帰途へつく

「アタシの事はいいからあんたはどうなんだ?」

突然の口撃

「ワ、ワタシ?なんのこと?」
「とぼけんなってのアイツのことだよ」
「な、な、ヒゲのことなんて別に何とも思ってないわよ!!」
「んー?アイツとは言ったがヒゲとは言ってないぞ?」

にやにやと意地の悪い笑顔が向けられる

―――しまった

分かり易い誘導に引っかかったことに対する恥ずかしさと怒りが込み上げてくる

「第一アイツはデリカシーもなけりゃ頭も悪いし何一ついいとこなんかないじゃない!!」

そうなのだ、私がアイツに惹かれる要素などは全く全然完璧に無い、はずだ
落ち着きを次第にとりもどしつつ、アイツに対する認識を再確認する
717702:05/05/28 22:07 ID:VZ3tCm02
んー?そーでもないんじゃないか?アイツ結構やさしいトコもあると思うけどな?」
「そう、私以外の子にはやさしいんだ」

何だかわからないが余りいい気分はしない、が

「いやいや、アタシが言ってんのは体育祭の時のことなんだけど」

この一言でそんな事など吹っ飛んでしまった

「%$#=*!!!」

み、見られてた?

「まさか、あいつがあんたの足をかばいながらダンスするとはねぇ」

あぁ、それのことか…ってそれでも十分マズイ、反撃をするヒマもなく畳み掛けられる

「ま、よくケンカもしてるけどあんたがそんなとこ見せるのってアイツだけじゃないのか?」

「そ、それはアイツが…」

「まあアタシから見ればあんたにとって、アイツは鏡みたいなもんじゃないか?」

「鏡?」

鏡って手鏡とかの鏡よね?

「そ、鏡の前じゃ虚勢を張ってもしょうがない、ありのままの素直な自分が映っちまうからな」

ありのままの…素直な自分…?
718702:05/05/28 22:08 ID:VZ3tCm02
「……」

「図星、だったか?」

うれしそうな笑顔が向けられる

「な、何言ってんのよ」

「あーあ、素直じゃない女は嫌われるぞ」

「だから、そんなんじゃないって…」

「じゃっまた明日なー!」

「ちょっちょっと待ちなさいよぉー」

やられた、分かれ道で元気に手を振り駆けていく彼女を見ながらそう考える
まんまと学校の仕返しをされてしまった

彼女の言葉を心の中で反芻する、

鏡…か

でも、映る人間がいなきゃ鏡なんて意味がないしね
しばらくは鏡に映る自分を見て楽しむことにしよう

「ま、しょーがない、かな」

――了――
719702:05/05/28 22:47 ID:VZ3tCm02
>>705,706
サバゲ後、文化祭前の設定なのでお嬢でもいいかな、と
それでは翌日編、投下しますが
続きが思い浮かばんorz
誰か書いてくれ、頼む
720702:05/05/28 22:48 ID:VZ3tCm02
――翌日、朝

SHRが始まる三分ほど前に教室に入る
いわゆる滑り込みセーフ、というには余裕があるが

「ふうっ、間に合ったか」

一息つく間もなく声を掛けられる

「昨日はすまなかったな」

一体何の事だろう

「何の事だ?」
「帰りに誘ったろう、何か用があったのか、と思ってな」

そうか、そういえばそうだった
この男は馬鹿みたいに真面目なのだ

「なんでもないよ、気にすんな」
「そうか、話は変わるが今日の放課後少し時間あけられるか?」

そんなことを皆の前で平気で口にするから周りに冷やかされるのだ
しかしこいつはそんなこと何も考えてないんだろうな、と少し呆れつつも答える

「何の用だ?」
「いや、週末の道場の芋煮会のことなんだが、買い物に付き合って貰えないかと思って、な」
721702:05/05/28 22:49 ID:VZ3tCm02
ういえばこないだ師範がそんなこと言ってたな
っていうか何でこいつが食材の調達をするんだ?
どうせ安請け合いをしたんだろうが
あの大人数の胃袋を満たす為には相当の量の食材になることは予想に難くない
一人では少々どころか無理なのではないか、と本人も気づいたのだろう

「ああ、別にかまわないよ」
「そうか、では頼んだぞ」

そんなやり取りのあと、背中に軽い悪寒を感じる
振り向くと案の定、金の髪の親友が満面の笑顔を湛えていた

「あら、今日はデートなの?」

無邪気な笑顔でもう一人、

「へぇーらぶらぶなんだねー」
「そんなんじゃねぇよ」
「昨日はなんでもないって言ってたのにね」

クールな表情のままもう一人の親友が言い放つ

「なっ」

こいつ、あの時いなかったんじゃないのか?

「秘密」
722702:05/05/28 22:50 ID:VZ3tCm02
人の頭ん中を覗くんじゃねえ!!
まあ、アタシも昨日の今日でちっとは軽率だったかもしれないが
それにしてもこのままじゃヤバイ、会話の流れを変えないといけないな

「道場の芋煮会の食材を買いに行くだけだよ」
「そういえば彼の家、道場やってたんだっけ?」

ここだ、流れを変えるにはここしかない!!

「ああ、小さい子も沢山いるからな、おまえらも来るか?」

整った彼女の顔が少し歪む

「えっと…、子供たちだけ?」

よし、変わったぞ
心の中でガッツポーズのまま答える

「いや、門下生みんなに声かけてるらしいから大人も結構来るんじゃないか?」
「そう…悪いけど今回は遠慮させてもらうわ」

何かいやな思い出でもあるんだろうか?
723702:05/05/28 22:51 ID:VZ3tCm02
「その日はバイト」
「その日は一緒にカレー食べに行くんだー♪」

誰とだよ、主語が抜けていることに心の中で突っ込みを入れつつ

「そっか、じゃあまた機会があったら誘うから」

と会話を終わらせる

よっしゃ、やりすごした!!
自分の席に着き、担任が教室へと入ってくるのを待った

724702:05/05/28 22:53 ID:VZ3tCm02
以上です
いや、ほんとに誰か書いてください
まあ放置でも構わないのですが出来ればよろしくお願いします
725Classical名無しさん:05/05/28 23:14 ID:lKbj5eTo
よっしゃ任せろ!



……と思ったけど、書くのめちゃんこ遅いからやめとく。
普通に一週間ぐらいかかりそうだ、俺なら。
726Classical名無しさん:05/05/28 23:17 ID:KZGDipTA
702乙
萌えたぞ
しかも原作にありそうな展開で違和感なくて良い。
727702:05/05/28 23:17 ID:VZ3tCm02
一応自分の中の縛りでキャラの名前、呼称を出さない、という事で書いてたんですが
――帰途 の「ヒゲ」は出さないと話が進まなかったので挫折orz
まあ、続きを書いたやろう!と言われる奇特な方がいらっしゃっても
この縛りは無視して頂いてもかまいませんので
728702:05/05/28 23:31 ID:VZ3tCm02
>>725
最近この板はまったり進行なので遅くても大丈夫だと
ガンガって下さい
>>756
SSは初書きなのでそんなに褒められるとモニタの前で小一時間ほど小躍りを
してしまいますのですよ
729Classical名無しさん:05/05/28 23:34 ID:UgyBYvlk
>>702乙。

最近と言うかここしばらくと言うかずっとと言うか、本編はあんな感じで
すっげえ欲求不満なんだが、ここんとこS3もここもいい感じで、俺的
には十分幸せだ。

俺も負けてらんねえから、自分の新作に取り掛かるかな。
730Classical名無しさん:05/05/28 23:40 ID:E88q/g/c
>>702
乙。なんかまったりしていい感じだったよ。

>>729
期待してるからガンガレ。
731Classical名無しさん:05/05/29 01:01 ID:2DHAOwPY
そして>756 がんがれ。おもろいSS若しくはネタレスをひとつ、頼む

(>728(702氏)≫756は>726じゃね。たぶん)
732Classical名無しさん:05/05/29 01:44 ID:U91c8yDE
旗ネタはイイなあ。お嬢かわいいよお嬢ー
733702:05/05/29 02:25 ID:L2l/Qg46
orz
731さんの指摘の通り756ではなく726です
と、言う訳で756の人ほめて下さいorz
734702:05/05/29 02:26 ID:L2l/Qg46
sage忘れスマソ
735Classical名無しさん:05/05/29 15:39 ID:EnEv0nxY
どうもお久しぶりです。MARKです。
・・・って言っても殆ど忘れ去られてると思いますがw
最近になってやっと時間に余裕が出てきたので、また少しずつですがssを書いていこうと思っています。

それでIF21スレに投下した『THE HAPPY BIRTHDAY to YAKUMO』の事なんですが、
結構前に投下したものだし、八雲の誕生日はもう2ヶ月以上前orzですし・・・・・
やっぱり全部出来てから一気に投下したほうが良いですか?
それとも少しずつでも出来た分を投下するべきか・・・正直迷ってます。
736Classical名無しさん:05/05/29 16:09 ID:sgykpbpw
覚えてますとも。鉛筆気味のおにぎり。

投下の手段は好きなようにすればいいと思う。
737702:05/05/29 16:18 ID:L2l/Qg46
>>735=MARK氏
正直一気に読みたいとは思うんですが自分の事があるんでorz
できた分から投下しても構わないんじゃないでしょうか
738702:05/05/29 17:00 ID:L2l/Qg46
なんか続きを思いついたので投下してもよろしいでしょうか?
あんな事(714.729)を言いつつ投下するのは心苦しいのですが…
MARK氏も投下をためらっていらっしゃる様なので…
でも…私は縦笛ではないんですがねorz
なんか書き易いんですよあの二人っていうかミコちんが
739702:05/05/29 17:04 ID:L2l/Qg46
↑の(714.729)→(724.719)ですorz
だれかが許可してくれれば投下します
740Classical名無しさん:05/05/29 17:15 ID:xYqMWv1I
>>739
特に許可を得る必要はないんじゃない?
自分の好きなように投下していいと思うけど。
741Classical名無しさん:05/05/29 17:17 ID:QFFIpgsI
>>739
許可
742702:05/05/29 17:17 ID:L2l/Qg46
いや、続きを書いてくれ、と頼んだ手前
投下し辛くて…
それでは、投下開始します
743702:05/05/29 17:18 ID:L2l/Qg46
――放課後

一旦帰宅し、着替えを済ませてから彼女の家の門をくぐる
幼い頃より隣同士なので、特に気にする事も無い
「ピンポーン」
呼び鈴を鳴らし、家人が出てくるまで待つ

「おう!やーっと来たか」

と、元気な声で、僕の一番大切なひと
――と、言っても異性として、では無いのだが
が、顔を見せる

「うむ、準備は出来ているようだな」
「ああ、さっさと済ませちまおうぜ」

会話だけを聞くと、まるで男同士の様な印象を受けるが、
彼女はとても女らしい面も持っている、
まあ、僕には特に関わりの無い事なのだろうが、
744702:05/05/29 17:19 ID:L2l/Qg46

「おい、何ボケッとしてんだ?置いてくぞ!」
「ああ、少し考え事をしていてな」

今日は週末の芋煮会の買出しに、彼女に付き合って貰うのだ
師範に頼まれ、引き受けたのはいいのだがよくよく考えてみると
相当の量になるのではないか? と思い
彼女に助力を願った、という訳だ

「やっぱ田中商店かな」
「まあ、妥当なところだな」

この辺りで買い物をする、と言うことになると、
田中商店ということになるだろう
多少の距離はあるが、彼女は全く気にする様子も無く
歩みを進めていく
その後姿を見ながら、やはり彼女は「あの頃」と変わらないのだ
などと考えていると、ふとこの間の「サバイバルゲーム」のことに
思い当たる、
745702:05/05/29 17:22 ID:L2l/Qg46
そう、あの「絶叫」だ

幾ら無意識だったとは言え、今日の事も含め、僕は彼女に
迷惑を掛けすぎているのでは無いのか?
そんな事をとりとめも無く考えている内に周囲の景色が変化していく

「矢上銀座、か」

そうつぶやいた後、ある一つの考えが浮かんだ

「おい、少し寄り道しても構わないか?」
「ん?すぐに終わるのか?」
「いや、少しかかかるかも知れんが」
「じゃあ、先に行ってるから」
「ああ、済まないな」
「ま、あんたにゃ食材の見立てなんか出来ないだろうしな
 アタシが見繕っておいてやるよ」

返す言葉も無い
746702:05/05/29 17:22 ID:L2l/Qg46
「ああ、では頼む」

彼女と別れ、暫く迷いながらもあるものを購入する

「彼女へのプレゼントですか?」

店員が人懐っこい笑顔で聞いてくる

「い、いえ、日頃世話になっている人への感謝の品です」

僕は何を狼狽しているのだろうか?
そんなことを気にする様子も無く店員は包装を済ませ

「どうぞ、頑張って下さいね」

と、包みを渡す
ここは何を言っても無駄だろう、そう判断し、
ありがとう、と一言残し、店から退散する
買うべき物も買った、彼女と合流するとしよう
田中商店へと急ぐ
747702:05/05/29 17:23 ID:L2l/Qg46

僕が彼女を見つけたと同時に向こうもこちらを見つける
既に大半の食材を選定していたらしく
一杯になったカゴを両腕に下げながら、恨みがましい視線をこちらに投げかけている

「おっせーよ」
「悪かった、荷物は僕が持とう」

当然、と言いたげなその視線から回避するべく、
その手からカゴを受け取ると、彼女の背後へと移動する

「えーっと、イモはあるだろ、人参、ネギも入れたし、あとは…」
「大根が無い様だが?」
「ああ、大根は重いから最後にしようと思っててね、忘れてたよ」

大根をカゴの中へと入れる

「ふむ、これで食材は完璧だな」
「アンタは途中から参加の上、荷物持ってただけだろ」
「ム…」
748702:05/05/29 17:25 ID:L2l/Qg46
大根の事は僕がいなければ忘れていたろう、
と言いたいのを我慢するここは黙っていた方が得策だろう
わざわざ藪をつつく事は無い

会計を済ませ、外へと出る
もう随分と日も傾いてきた、暗くなる前に道場へと急いだ方がいいだろう

「そいうや、さっきお前何買いに行ってたんだ?」
「ああ、コレだ」

そう言いながら僕は小さな包みを彼女に渡す

「何だ、コレ?」
「ああ、今日の謝礼とこの前のサバゲーの時の謝罪のつもりだ、
 受け取ってくれ」
「あぁ?ンな事気にしなくっても良かったのに」
「まあ、僕の気持ちの問題だからな」
「ま、くれるってんならもらってくけどな」
「そうしてくれると有り難い」
749702:05/05/29 17:26 ID:L2l/Qg46
こう言うところがクソ真面目だ、と彼女に言われる所以なのだろう
しかし、こればかりは性分なので仕方が無い
そうこうしているうちに、道場へと帰り着く

「今日は済まなかったな、無理に付き合わせてしまって」
「だーかーら、気にすんなって言ってんだろ」

背中を向け、ひらひらと手を振りながら
いつもと変わらぬ軽口を叩きつつ彼女は自宅へと入っていく

「プレゼント、気に入ってくれるだろうか?」

そんな事を考えながら僕も道場へと帰る
750702:05/05/29 17:27 ID:L2l/Qg46


自室でプレゼントの包みを解きながら、誰ともなしに呟く

「アイツ、何くれたんだ?」

包みの中から現れたのは、口紅、色はシャイニスト・ピンク
ゴールドとピンクのラメが入っている、
悪いが正直アタシの趣味じゃ無い

「あのバカ、口紅って何考えてんだ?」

そう、愚痴りながらも彼女は思いを巡らせる
アイツ、コレをどんな顔して買ったんだろうか?
口紅をくれたってことは少しは女として見てくれてんのか?

「ま、機会があったら使ってやるか」

そう、呟きながら、机の引出しの中へと
大事な宝物をしまうように収め、
「かちり」
鍵をかける

誰にも見せたことの無いような、穏やかな笑顔を浮かべながら


―――了
751Classical名無しさん:05/05/29 17:28 ID:5WZe6lEM
GJ!リアルタイム初めて!なので興奮しました。
752702:05/05/29 17:29 ID:L2l/Qg46
以上です
まあ続きは考えてないんで、次がいつになるかわかりませんが
こんな雰囲気でまったりと各キャラの日常を書いていければいいかな、と
753Classical名無しさん:05/05/29 17:35 ID:QFFIpgsI
>>752
賞賛しかできないけどGJ
754Classical名無しさん:05/05/29 17:41 ID:EnEv0nxY
こういうほのぼのした感じのssは良いですね。
花井は美琴みたいな最高の幼馴染がいる時点で人生の勝ち組ですね。
八雲みたいな妹を持ってる天満もですけどねw
755Classical名無しさん:05/05/29 17:59 ID:entTUkcg
天満みたいな姉を持ってる八雲もですけどねw


の間違いだろ
756Classical名無しさん:05/05/29 18:15 ID:4Sjr5CDM
それは両方じゃね?w
757702:05/05/29 18:28 ID:L2l/Qg46
第一絵板のNo5857 いるめさんの「大根」を見て発想が出てきました
なので大根は別扱いw
そんな感じの雰囲気なので一度見て頂けると
更にいい感じになるのでは、と思います
758Classical名無しさん:05/05/29 19:09 ID:EnEv0nxY
>>755>>756
確かにw
お互いがお互いを必要とし合える関係って本当に魅力的ですよね。

>>757もとい702氏
普段第2の方しか出入りしてなかったんですが
久しぶりに第1の方を覗いたら非常にクォリティの高い絵がたくさんあって感動した。
自分ももっと頑張らないとなぁ・・・。

ところで、いるめさんにレスででもssの事伝えたらどうでしょうか?
きっと喜ばれると思いますよ。
759702:05/05/29 19:50 ID:L2l/Qg46
>>758
そうですね
喜ばれるかは分かりませんが相手方に失礼に当たる、
という可能性もあったので許可を得てから投下するべきでした
早速宣伝しつつレスに書き込んできましたw
760Classical名無しさん:05/05/29 21:47 ID:ffSim82c
 一歩踏み出すと、ぎしぎしとわずかに軋む床。気にしなければどうということもない、
しかし気にしてしまえばどこか気のめいるような、そんな音を引き連れて愛理は木目の続く
廊下を歩いていた。
 引き返そうか、という思考がほんの一瞬その脳裏をかすめ、
「……どうしてよ」
 呟きとともに即座に打ち消される。自分は用事があってここに来ているのだから、どこに
逃げるようなまねをする必要があるのか、と。
 逃げる。
 そう、逃げる。
 今この場で百八十度向きを変え、元来た方へと歩き出すのは、彼女にとって敗北にも似た
ものに感じられるのだ。だからこそ、なにを馬鹿なと彼女は進む。その程度にお嬢様は負けず
嫌いで、そして臆病だ。
 だから。
「……」
 目的の部屋の前で扉に手をかけようとして、わずかにためらった。臆することなどない、
自分はただ友人を訪ねてきただけなのだから、問題なんてどこにもない。
 ――ない、はずなのに。
 もしもまた、あのときのようにそこに『彼女』しかいなかったら。
「ああ、もう」
 考えないようにしようと思うあまりに考えてしまう、そんな光景がことここに及んで像を
結ぶのを頭を振って追いやって、ようやく手を伸ばしかけたその矢先。
「どちらさまですか……っと、沢近先輩」
 機先を制するように部屋の中から顔を出してきたのはサラだった。珍しいですね、とちょっと
笑ってみせてから、高野先輩ですか、と訊いてくる。
「ええ、そうだけど……」
「ごめんなさい、今日は私一人なんです」
 あの子はいないのね――安堵にも似た感情に、虚をつかれたような恰好も重なって、思わず
表情をゆるめてしまいそうになるのを慌てて押し止める。
「そう。それじゃ仕方ないわね」
 あてが外れたのだからここは残念がるところ、思い直して取り繕い、その場を立ち去ろうと
したのだが。
761Classical名無しさん:05/05/29 21:47 ID:ffSim82c
「あ、先輩。わざわざこんなところまでいらっしゃったんですし、せっかくですから少し
 寄っていきませんか?」
 予想もしていなかった提案に、え、と聞き返してしまう。確かにここまで足を伸ばして
おいて、空振りですませるのは骨折り損といえないこともない……などと迷っているうちに。
「私も一人でちょっと退屈だったんです。お茶もお菓子もありますよ」
 どうですか、と。にこやかに、けれどどこか畳みかけるようなその雰囲気に飲まれ。
「うん」
 そう、彼女は頷いていた。


「……ホント、用意がいいのよね」
 愛理の目の前にあるのは、断られたらどうしようなんて思っちゃいました、と笑いながら
サラが並べた菓子の数々。よりどりみどりのそれは、一介の部室にあるものとしてはいささか
限度を超している気がしないでもない。
「いつ誰が来てもいいように、っていうことらしいんですけど」
 そこで少し声をひそめて。
「刑部先生のおかげじゃないかな、なんて私は思ってます」
「なるほど、ね」
 あの人ならそういうこともあるかもしれない、と思う愛理。授業中はさておき、それ以外の
場面で絃子がときおり見せる態度は、教師としての節度を守りつつもその枠にとらわれていない
ように受け取れるからだ。
「甘いものがいっぱいあるのも、女の子としてはちょっと困りものですけどね」
 そんなことを言いつつ、ひょいと手近なクッキーを口に放り込むサラの姿に小さく苦笑してから、
ところで、と切り出す愛理。
「お邪魔させてもらっておいてなんだけど、なにをすればいいのかしら」
「別にこれといってなにを、っていうことじゃないです。お話でもなんでも、ちょっと付き合って
 もらえたらいいかな、って思っただけですから」
「お話、ねえ……」
762Classical名無しさん:05/05/29 21:48 ID:ffSim82c
 そうはいったところで、互いの間に共通する話題はあまりない。
 たとえば。
「そうですね。たとえばほら、高野先輩の話とか、」
「――それにしましょう」
「はい?」
 ほとんど即答に近いその返事に、あっけにとられた、という様子のサラ。彼女からしてみれば
さっぱり理由の分からないところだが、愛理からすれば当然である。
 何故なら、そのあとに続くだろう名前が容易に連想出来たからだ。
 そう、たとえばあのいろいろと――本当にいろいろといけ好かないヒゲの名前だとか、こちらも
なにかと気になる友人の妹の名前だとか。
 晶の話ならどんなものでも構わない、などというわけでもないが、どう考えたところでその二人の
話をするよりははるかにまし、そんな判断の結果が先の即答。とはいえ、さすがに不自然すぎたかと
内心戦々恐々の愛理。けれど、一拍の間を置いてから気を取り直したらしいサラは、すぐにいい
ですよと頷く。
「でも高野先輩の話、っていうのもなかなか難しいですね」
「あら、どうして?」
「面倒見もいいし、言うことはちゃんと言ってくれるし、いい人です。でも……」
 うーん、と苦笑い。
「よく分からない人です。こういう言い方しちゃうのもあれなんですけど」
 申し訳なさそうなサラの様子に、しかし愛理はそれでいいのよと肩をすくめる。
「私だって未だに分からないもの、晶のこと」
「そう……なんですか?」
 そうよ、と答える愛理もまた苦笑い。
「つきあいももうずいぶんになるけど、じゃああの子がなに考えてるか分かるか、って訊かれたら
 さっぱりよ、実際。ああ見えて、他人にそういうトコ見せるの苦手なのよ、きっと」
 悪いヤツじゃないんだけどね――そう口にしてから、ん、と首を捻る愛理。はて自分はどうして
こんなことを話してしまっているのだろう、という思い。今まで誰にも言ったことはなかったのに。
763Classical名無しさん:05/05/29 21:49 ID:ffSim82c
「不思議ね。あなたと話してるとなんでもしゃべっちゃいそうな気がするわ」
「お話を聞くのは本職ですから」
 ふふ、といたずらっぽく笑うサラに、そういえば、と愛理も思い出す。
「教会でシスターをしてる……んだったかしら」
「まだまだマネごとですけど。高野先輩から聞いたんですか?」
「ええ。他人の話なんてそんなにしない晶が、自分にはもったいないくらいの出来すぎな後輩が
 出来た、ってね。そこまで言うなんて、本当のところはどうだろうと思ってたんだけど」
 確かにその通りね、そう返す笑みは先と同様、サラが浮かべたそれと鏡映し。
「そんな、おおげさですよ」
「あら、別に誇ったっていいと思うけど? それにこういうのは素直に受け取っておくべきよ」
 なにを当たり前のことを、とでも言いたげなその口調に、そうします、と微笑みながらサラ。
「それじゃお返しに――内緒って言われてるんですけど――高野先輩が言ってた沢近先輩のこと、
 お話しますね」
「……晶が、私のことを?」
「はい。さっき沢近先輩も言ってましたけど、高野先輩ってそういう話ほとんどしませんから、
 よーく覚えてます」
 そのまま言いますからね、そこで一度間を置いて。
「気を悪くしないで下さいね?」
 そんな不穏な前置き。そして、どういう意味、と愛理が聞き返す間は与えずすぐに続ける。
「『見栄っ張りで、ひねくれてて、負けず嫌いで、そのくせちょっと臆病で』」
 並べられるのはネガティブな単語。さすがに抗議の声をあげようとしたところを、でも、という
言葉がさえぎる。
「『でも。――そう、でも私の大切な友人よ』、だそうです。ホント、素直じゃありませんよね」
「……そう」
 どう返したものかと考えて、でも相応しい言葉は見つからず、結局小さく呟くだけ。そんな愛理の
姿を見ながら、サラはまだ言葉を紡ぐ。
「一年生の間でも、二年生にお嬢様がいる、なんて話、ときどき話題になるんですよ。いろんな話が
 聞こえてきますけど、でもやっぱりそれはその本人を知ってる人の話じゃないんです」
 だから私は、と。それこそシスターのような、慈愛の表情で告げる。
「高野先輩の言葉が一番正しい、って思います」
 見栄っ張りとかその辺は別にしてですよ、そう笑った。
764Classical名無しさん:05/05/29 21:49 ID:ffSim82c
「まったく……」
 しっかりとそれを最後まで聞いてから、降参よ、と肩をすくめる愛理。ありがとう、と素直な
言葉を口にする。
 それから。
「にしても、あなた、変わってるって言われない?」
 悪い意味ではなく、けれどいろいろな意味を込めた問いかけ。
 その問に。
「ええ、よく言われます」
 でもそれって。
「別に悪いことじゃないですよね」
 なんでもないようにサラは応えて見せた。
「そうね」
 予想と違わなかった答に、愛理も笑顔を返す。


 ――そこからは、それこそ他愛のない世間話に花が咲いた。
 このやりとりで打ち解けられたのか、それともサラの人柄のせいか、彼女にしては珍しく終始
笑顔で長時間話し込んだ愛理も、日が傾いてきたのを頃合に席を立つ。
「なんだかずいぶん引き留めちゃいましたね」
「いいわよ、私も楽しかったし」
「そうですか? それならよかったです」
 ほっとしたように微笑んで。
「よければまた来て下さいね。今度は高野先輩や八雲もいるときに」
 八雲、という名前。
 その響きに一瞬痛みを覚える。
765Classical名無しさん:05/05/29 21:49 ID:ffSim82c
 ――が。
「そうね。そうするわ」
 愛理はそう答えていた。
 すぐに折り合いがつけられるとも思えないし、思わない。
 だとしても、まだ自分はあまりに彼女自身のことを知らなすぎる、そう思ったからだ。
 サラと並べて晶が評し、そしてそのサラが友人と誇る彼女。
 なら、きっと悪い人間ではないはずなのだ。
 わだかまりはいろいろとあるとしても。
 その解決にまだ時間がかかるとしても。
 だから、そう答えていた。
「それじゃ、晶によろしく」
「はい、分かりました」
 そんな葛藤を押し込め、笑顔で別れの言葉。対するサラも気づいているのかいないのか、
どちらにせよその返事は笑顔だ。
 そして、ぱたんと音を立てて愛理の背後で扉は閉じる。廊下にあるのは静寂だけだ。
「……ふう」
 その中で、小さく一つ溜息。
 これからのなにかを変えていくかもしれない、そんな今日の会話を思い起こしつつも、
とりあえずは。
「帰ろう」
 そう呟いて。
 足下に、もう不快ではない軋む音を、口元には小さな笑みを引き連れて。
 愛理はゆっくりと、柔らかな茜色の射し込む廊下を歩き出した――
766Classical名無しさん:05/05/29 21:55 ID:IqaKXTlA
支援?
767Classical名無しさん:05/05/29 22:05 ID:hgR2Zf8w
つまんない。
768Classical名無しさん:05/05/29 22:12 ID:mXvEhsWQ
どうせだから八雲か播磨と絡ませればいいのにね。
769Classical名無しさん:05/05/29 22:14 ID:QZS2V1.2
文章自体はそこそこいいけど、内容に張りがないのがなぁ。
たまにはこういう、他愛もない話ってのもありなのかもしれないがね。
770Classical名無しさん:05/05/29 22:30 ID:dCm84Qlg
>>702
GJ、。こういうの本誌でも見たいな。

>>760
沢近とサラの会話がなんか新鮮だった。
まったりした話もいいな。
771Classical名無しさん:05/05/29 22:35 ID:IqaKXTlA
>>765お疲れ
こういう話はけっこう好きだったりする。
なんていうか、なんでもない日常の雰囲気を感じ取れるところが。
772Classical名無しさん:05/05/29 23:27 ID:ZN5hTBl.
>>760
 綺麗に纏まっているし、文章も上手。いい出来だと思います。
 ただ、これから先を期待するという意味でいくつか苦言を。
 原稿作法を守っているなら、段落のことも気をつけた方がいいですね。句点ごとに改行しては、
折角の効果も意味がなくなります。
 あと「〜〜する愛理。〜〜のサラ」。こういった表現は便利な反面、小説を陳腐にします。体言止めは
控えめにした方がよろしいかと。 
 それと関連し、文章の語尾に「〜〜だ」の多用も文章の繋がりを悪くしますから、連続での使用は
控えた方がいいです。
 例えば>>765の一部を改変すると――

 愛理はそう答えていた。
 すぐには折り合いがつけられるとも思いないし、思わない。だとしても、自分はあまりに彼女のことを
知らなさすぎる、そう思ったからだ。
 サラと並べて晶が評し、そしてそのサラが友人と誇る彼女。なら、きっと悪い人間ではないのだろう。
わだかまりは色々あるとしても、解決にはまだ時間がかかるとしても。
 だから沸き立つ痛みを押し殺し、そう答えた。
「それじゃ、晶によろしく」
「はい、分かりました」
 葛藤を封じ込め、笑顔で別れの言葉を口にする。対するサラも気づいているのかいないのか、
どちらにせよその返事は笑顔だった。

 私自身にも色々ツッコミどころはあるかもしれませんが、何かの参考になればと思います。
773Classical名無しさん:05/05/30 02:02 ID:iXXVe7K2
>>765
よかったよ。

こういう斬新な組み合わせってすっげーいいよ。
次も期待。
774Classical名無しさん:05/05/30 03:26 ID:vYvLVcK2
 
んー、つまんないと言ってしまえばそれまでなんだけど、
それは結果としてのカップリングを期待してのことだと思うので。

すごく綺麗な構成。文体論やら修辞法やらは>>772に譲るとしてさておき、
私は好きだな、この雰囲気。
明快な起承転結もいいけど、こういう、内省的なものもいいと思う。
日常的なやりとりの中で、ほのかに光がさし込んでくる感じ。

775Classical名無しさん:05/05/30 06:33 ID:NAdgIAb6
こういう沢近だったら嫌いじゃないんだがなあ。
沢近が八雲か播磨と絡むときのDQNっぷりが鼻について最近は旗お子様ランチ完全スルーなんだよなあ…
愚痴スマソ

>>765
むしろ沢近が出演する作品の中では個人的にトップクラスでした。サラかわいいよサラ
776Classical名無しさん:05/05/30 19:28 ID:ZZtKChDE
旗のSSを16に分けて投下します。
旗がダメな方、旗は好きだけどこんなのは合わないよと思う方はスルーしてください。
よろしくお願いします。
777nature and nurture:05/05/30 19:29 ID:ZZtKChDE

 その日、この広々とした大きな退屈な屋敷に変化がおきていた。
朝から使用人たちが慌しく動いていて、私は自分の髪を梳いてくれるメイドに尋ねようとしたのだが、
それでは面白くない。これから大きくなる予定の体を精一杯動かして、この慌しさの原因を突き止めることにしたのだ。



 使用人たちの部屋はすでに誰も居なくなっていて、閑散として広々とした部屋の様子があった。
いつも遊んでいるメイドもいない。共用の化粧台の椅子の蓋が開いていて、その隙間から
メイド達が衣類のほつれに使う裁縫箱が見え隠れしている。
 私も、私のお母様も裁縫は苦手である。
 学校で裁縫の時間が来るのが、唯一憂鬱になる時間だ。家ではメイドが全てやってくれるから
習っていてもしょうがないのだが、お母様は自分の事を棚に上げては私にこう言ってくるのである。

「いい? 好きな人のジャージくらい縫えないとね」

 お母様の言葉に私が、「お母様は縫えたの?」って聞くと決まって、「ええ、もちろんよ。綺麗に縫えたわ」って。
 私は知っているもの、お母様は裁縫が苦手だって。
 ナカムラは私が引き下がらないものだから、「いいですかな、お嬢様。愛理様にはこのナカムラめが言ったとは……」
とか言って教えてくれたもの。ナカムラも結局言うのなら始めから教えてくれればいいのに。

 私がそんなことを思い返していると大きな鏡のあるダンスホールにやってきていた。
 自分の家だもの、目をつぶったって走り回れるわ。
 鏡の前に立ち、服に乱れが無いかチェックする。こういう普段からの身だしなみが大切だっておじい様から言われるけれど、
それには私も頷くしかない。私は、自分で自分が美しく整った顔立ちとスタイルをしていると思っている。
 それにこの美しさはお母様が私にくれたものだもの。当然といえば、当然よね。
778nature and nurture:05/05/30 19:31 ID:ZZtKChDE


 私にお父様は、いない。


 そうお母様は仰っていた。
 悲しそうに、そしてそれを私に知られないように。
 お母様は美しいと思う。子供の私から見ても、時々この人の子供なのかしらと思う時がある。
昔の写真を眺めている時の、遠く日本という国の方角の空を眺めている時の横顔。
肖像画の中のお母様は優しく微笑んでいるが、本当の実体あるお母様のお顔には敵わない。
私はよく色々な人に『お母様にそっくりだね』だと言われるが、それはおかしい。
だって私はまだ、お母様ほど背も高くないし、手足も長くない。髪の色と顔の造形が同じくらいだ。

「瞳は、お父様の……」

 鏡に近づいてじっと自分の瞳を見る。
私の瞳の色はお父様譲りの黒。お母様の愛した、ただ一人の男性。
今でもお母様にはたくさんの男に言い寄られているし、私が始めてパーティーに出席した時には、
私がいるにも関わらずお母様を口説いてきた男もいたほどだ。
 もちろん、お母様はそんな男に引っかかるような女性ではないので、お母様なりの丁重なお断りを入れていたけれど。
 お母様のお父様に対する愛情は美しいとは思う。けれど、私を産んでもまだ美しく若いお母様は素敵な人を
探せばいいのではないか、そう思う事が度々ある。
 おじい様が帰っていくのを見送る時、昔のお友達が尋ねてきた時、お母様の何ともいえないような寂しそうな笑顔を見ると、
思わず抱きしめてあげたくなってしまう。
 そんな顔をしないで、お母様!
 何度、そう心の中で叫んだだろう。
 この瞳はお父様の残してくれた大切なモノで、お母様を苦しめる嫌なモノでもあった。
779nature and nurture:05/05/30 19:31 ID:ZZtKChDE


「如何なされました、お嬢様」

 ナカムラが遠くに見える。すでに私は食堂までやってきていた。
 ナカムラは、お母様が日本のハイスクールに通う前から仕えている有能な執事なの。
少し怪しいのが惜しまれるけれど、私もお母様もナカムラの事は好きだわ。
 背の高いナカムラはわざわざ膝をついて私の目線に合わせてくれる。クラスメートの男子達は
この気配りが無いのよね。私を一人前のレディーとして扱ってくれるナカムラだからこそ、私も気が許せるもの。

「何かあったの?」
「はて、何のことでしょうかな」

 知らんフリの下手なナカムラの耳元に口を当ててこう言ってやったわ。「ありがとう。または乾草を」って。
ナカムラは不意をつかれたのか鳩が豆鉄砲を食らったような顔でいて、その表情を緩めていった。

「参りましたなぁ。……では、お茶の時間と致しましょう」
「ええ、ちゃんと話してよね」
「あい分かっております」

 ナカムラの前を、胸を張って歩く。
 中村のコンパスの方が長いのだけれど、私もナカムラもそれが当然なのだから、この規律が変わる事は無い。
私が前を歩いて、ナカムラは私の後ろを歩く。コレはお客様がいらっしゃった時、
私が外へ出かける時はナカムラが前を歩くのだけれどね。
780nature and nurture:05/05/30 19:32 ID:ZZtKChDE

 そうこう言っている内に長いテーブルのある部屋へとやってきた。
ここは私とお母様、時々いらっしゃったおじい様と一緒に食事をする時だけに使うテーブルなの。
私が椅子に座ってナカムラは私の横に立ってお茶を入れている。
「いい香りね」そう感想を述べると何も言わずに私の前にカップを置いた。

「愛理様がお取り寄せになったものです。何でもご学友であった高野様からの勧めらしいのですが。
お気に召されたのなら愛理様もお喜びになられます」
「どうして?」
「愛理様はそのためにお取り寄せになったのですから」

 じっとカップに揺れている自分の顔を見ていると、胸の奥が暖かくなっていくようだ。
私はゆっくり味わってこの一杯の紅茶を飲み干した。

「それで、何で慌しいの?」
「はい、それではお話いたしましょうか」

 ナカムラは眼帯を少しあげてハンカチで拭くと、私に向かって穏やかな口調で話し始めた。


「お嬢様。お嬢様は愛理様のお相手。つまりお嬢様のお父様について何か知っておいででしょうかな?」
「いいえ。お父様は、ただ……死んでしまわれたと」
「愛理様は今でもお父様を愛しておいでだと?」
「……怒るわよ、お母様を侮辱するのなら」
「私は反対でございました。愛理様とあのお方が結ばれるのは」
781nature and nurture:05/05/30 19:32 ID:ZZtKChDE

「……」
「お嬢様のおじい様とおばあ様も、イギリス人と日本人でございました。
愛理様はなかなかおじい様とお会いになるチャンスがなく、寂しい思いをされていらっしゃいました。
日本の高校へと行かれる様になられた頃からでしょうか、愛理様はご学友の中から今でも親交のある
御友達を手に入れたのです。周防様。高野様、塚本様。愛理様はこの御三方の前では本来のご自分を出す事ができ、
私も嬉しく思っておりました」
「晶さんや美琴さんはともかく、天満さんとお母様は合わない気もするけれど」
「ああいうお方こそが一番必要とされるのですよ、お嬢様。まあ、お嬢様の仰る事も分かりますけれども」
「とにかく、話を続けて!」
「はい。高校生活を過ごされるうちに一人の男性をお嬢様は気になり始めました」
「それがお父様?」
「そうでございます。なんと言ってよいのか分かりませんが、とにかく真っ直ぐなお方でございました」
「真っ直ぐ……」
「何事にも。ご自分の夢にも、お嬢様の事にも……」

 ナカムラは再びカップに紅茶を注ぐと私の方へとやってきた。

「いらないわ、それより……」
「お嬢様、喉が渇いておいででしょう?」
「……! どうして……」
「お口を開けておいででしたもので。乾燥しておりますからな、近頃は」

 恥ずかしさなど無かった。ナカムラは私の執事なのだ。裸を見せても恥ずかしくは無い。
私と同じ世界に生きる者ではないのだ。何の感情が起こるものか。
 そのままぐっと一気に飲み干すと、私はナカムラに催促の視線を送った。
782nature and nurture:05/05/30 19:33 ID:ZZtKChDE

「お嬢様のお父様は愛理様と一緒に住むつもりでおられたようですが、
高校を卒業したばかりのお父様には荷が重かったのでしょうな。無理をなされて体を壊されてしまって。
おじい様は、愛理様とすでにお腹の中におられたお嬢様を連れてここへとお戻りになられました。
すでにお腹も大きくなられておられた愛理様にもしもの事があってはならないと、そうお考えになられたのです。
おじい様はそれから、愛理様とお父様が連絡を取り合うことを禁止なされました。
大事な一人娘を奪って行かれたのですからな。愛理様の心も体も」
「……お父様は、悪い人だったの? パーティーにいるような、そんな人だったの?」
「いいえ、男性としても魅力的なお方でございましたよ。ただ、夢ばかりでは生活がなっていくはずもございません。
清貧という言葉がございますが、それは生活が成り立っていて始めて使うことのできる言葉ですから。
愛理様もおじい様からの申し出にも応えようとせず、お二人はひたすらに働かれていたようでした」
「ナカムラはどうししていたのよ」
「私めはお嬢様のお傍にはおりませんでした。お嬢様とお父様と三人で話しをして、そのようにしたのです。
また、若いお二人のお邪魔になるのも悪いと思いまして」
「……そして、私が生まれたって事ね」
「お嬢様が愛理様の生き写しのように成長なされていって、おじい様もお喜びになられております。
写真に撮ってみれば、複写したのかと思わせるほどでございますから、お嬢様と愛理様は」
「悪い気はしないわ。お母様の事は好きだもの。あんな女性になれたらって思っているわ」
「なれますとも。私めが保証いたします」
「別にナカムラの保証をもらったって何が変わるという訳ではないわ」
「これは厳しいですな」
「それで、この慌しさは何なの? 私はそれが聞きたかったのだけれど」

 ここで言いくるめられればいつもと同じではないか。私は多少苛立ちを含んだ言い方で命令した。
この行為がものすごく格好の悪い事だというのは分かっていたが、何故か私は聞いておかなければならない事だと、そう思ったのだ。
783nature and nurture:05/05/30 19:34 ID:ZZtKChDE


「言いなさい。なぜこんな事になっているのか」


 私の決意の変わり様も無い顔を見て、ナカムラは一息休みを入れた。ナカムラが
ポットの中の葉をスプーンで少しかき回して、葉を捨てやすくしているのをじっと見ていた。
我ながら子供っぽいと感じてしまうのだが、ナカムラは観念したように私のほうを向いて、膝まついて、
「愛理様からの言いつけでございましたが……。愛理様、申し訳ございません」
 私は勝利の美酒に酔うレーサーの如く、ナカムラの懺悔を心地よく聞いていた。私に解けない謎などあろうものか。
次のナカムラの言葉が出るまでの僅かの間、私はそれまでの私の世界で高らかに笑い声を上げていたのだ。


「今夜、いらっしゃいます。お嬢様の……お父様が」


 そして新しい私の道が出来上がっていくのを、この目ははっきりと見ていた。それは今まで感じた事の無い、
体の芯から凍えるような、沸騰するような、激しい興奮と絶望と、地響きの音と福音と。全てのものが壊れて、
新しい私の為にそれらが復元していくのが分かった。
 10年間もの私の人生は霧散していき、この時から私を取り巻く全てのものがまったく変わってしまったのだ。
784nature and nurture:05/05/30 19:35 ID:ZZtKChDE


 すでに夜も十一時を過ぎていた。ナカムラがお父様という男を迎えに行って、すでに四時間以上が経っている。
近くの駅ならば三十分もあれば余裕を持って往復できるのだし、空港ならば二時間が標準的なタイムだろうか。
 私はお母様の部屋の横、ウォーキングクローゼットの中に潜みこんでいた。二十畳近くあるらしいクローゼットには
色とりどりのドレスや靴やバッグがあるのだが、お母様の部屋から入ってくる光だけがあるのみなので、
暗々としていて良く分からない。明日も変わらずに授業があるのだから、さっさとこんな馬鹿げた事を終わらせてしまいたかった。
 お母様はじっと窓の外を見ている。日が落ちる前からだから、もう五・六時間になるのかと、指折り数えてみた。
お父様はこの世には居ないと仰っていたじゃない。私はまったく納得がいかないままでいて、だからこそこの様な
馬鹿らしい行為にまで手を染めたわけである。

「早く……。ナカムラ、早く帰ってきてよ」

 私は暗くて寒くて心細くて、そんなことを呟いていたりした。



ぼーん。ぼーん。



 十二時を告げる音が鳴っているのが聞こえてきた。何も音を発するものの無いお母様の部屋にそんな音がやって来て、
うとうとと仕掛けていた私は慌てて目を覚ました。
少しの惰眠が良かったのか、先程までよりも頭の中がはっきりと明瞭になっていると感じられた。
785nature and nurture:05/05/30 19:36 ID:ZZtKChDE


「あっ……」


 短い叫び。
 本当に短い叫びだった。
 はっきりとした頭でなければ分からない、そんな呟きだった。

 私は少しだけ開いたクローゼットの隙間から注意深く部屋の中を見ていると、お母様の様子が
慌しくなっていくのがありありと見て取れた。その様子は私達の年代と代わらないほどにキュートで、
改めてお母様に対する思いを改めたほどだ。化粧台の方に行ってはアクセサリーを選んでみたり、
髪を整えてみたり、服のしわを一生懸命伸ばしていたりする。どれだけの時間があったのだろうか。
その間に準備できたのではないのか。私はそんな思いと、お母様の知らない一面を知った事とあって、
お父様と言うらしい男の事は最早どうでもよくなってきていた。
 これほどお母様が取り乱す相手なのだ。よほど素晴らしい人なのだろう。私は少しだけ不安が取り除かれて、
クローゼットの隙間を大きくしていった。


コンコン…。


 ドアをノックする音とお母様が息をのむ音。 
 私も身を乗り出すようにして、お父様だと名乗る男の登場を待った。

「はい」

「愛理様、お連れ致しました」
786nature and nurture:05/05/30 19:36 ID:ZZtKChDE


「入って頂戴」

 お母様のお顔が緊張しているのが分かる。
 私も握りしめた左の手がうっすらと汗をかいていることに気付いていた。
 どんな人なのだろう。私の中でお父様だと名乗る男は、まるっきりその姿を変えていた。
お母様を騙そうとする悪い男というものから、お母様をこれほど惹きつけてしまう素敵な男性に。
きっと立派な紳士に違いない。日本で成功したからお母様を迎えに来たに違いない。私の頭の中では、
すでにお父様を何て呼ぼうかといった会議まで開かれていたのだ。

「はっ」



 ガチャリ……。



 金属の擦れ合う音と共にドアが開いていく。私の見ている範囲では分からないのだが、お母様が
顔色を変えていくのと、頭にあるこの部屋のつくりによってわかる事なのだ。
 お母様は驚いたような不思議なものを見るような顔をして、そして男へと抱きついていった。私のいる所から、
男の後姿が辛うじて見える。安物のスーツを着て、靴もそれほどいいものではない。お母様を
すっぽり包み込むほどの背の高さだけがとりえの様なこの男に、私はすっかり落ち込んでいた。
おじい様のとった行動は正しい。正義の行動でしかない。私はこの男の後姿を睨みつけていた。
 いや、待てよ。私は呪い殺さんばかりの視線を止めて、考えを改めてみる。この男はきっと偽者なのだ。
お父様はやはり死んでしまって、この男はお父様に化けてこの家の財産を奪いに来た悪人なのだ、と。
 それならばこの悪人からお母様を取り返さなければならない。私の近くの棚にあった高い所のドレスを
取るための棒を持つと、勢いよくクローゼットから飛び出していくのだった。
787nature and nurture:05/05/30 19:37 ID:ZZtKChDE


「お母様を放して!!」


 私の叫びに男はお母様を抱いたままゆっくりと振り返る。お母様は酷く驚いているようで
声すら出ていないようだ。ナカムラもこの男に騙されているようで動こうとしない。

「聞こえないの? お母様を放して!」

 私は震える手を何とか止めようとするけど、誰かに向かって暴力を働こうとも思った事も無く、
どうしていいのか分からない。しかし、お母様の顔に隠れていた男の顔は何故か冷静に見ることができた。
男はサングラスをしていて、私にはその感情を知る事はできない。男はお母様を解放して私と向かい合った。
横にいるお母様は私に何か言いたそうだったけれど、男が制すると押し黙ってしまう。
この男の一切の行動が、私の神経に触れてくる。

「おい、こいつは……もしかして」
「ええ、そうよ」

 男とお母様のやり取りは、一瞬誰の話題なのか分からなかった。それが私の事だと気がついた時には、
男の姿は私の視界一杯に迫ってきていたのだった。助けて、お母様。そう言いたいのに、言えない。
それは男の手が伸びてきて、私の腰を掴んで持ち上げたから。

「ひゃっ……」

 声が出たというより、漏れ出していった。
788nature and nurture:05/05/30 19:38 ID:ZZtKChDE

 私は男に抱えあげられてしまったのだ。男の腕を椅子にするようにして抱えられ、
子供のように扱われた。不思議と恐怖はなく、それよりも変にしっくりきてしまうその体勢に驚いていた。
私はこの男の腕に収まっている。ぴったりと。お母様が抱きしめられていたこの腕に。
知らず知らずの内に私は、この男を食い入るように見つめてしまっていた。お母様はくすくすと笑っていて、
ナカムラはドアを閉めて部屋を出て行ってしまった。

「でかくなったな、お前。ま、俺も写真でしか見てねえんだけどよ」


「……え?」


「あなたの写真送っていたのよ、この人に」
「…けど、おじい様に禁じられているって」
「……ナカムラ、それで逃げたわね。時々友達が訪ねてきていたでしょ。その時に―――」
「届けてもらってたわけだ。仕方ねえわな、俺も稼げなかったしな」
「ホントよ! 私を幸せにしなさいよって、言ったのに!」
「待てよ、お嬢が押し掛けて来たんだろ?」
「だいたいねぇ、あんたがさっさと売れる漫画を描いてればこんな事には……」
「しょっちゅう台所を散らかして、わんわん泣いてたのはどこのどいつだぁ?」
「ちょっ、あんたねぇ!」
「何だよ!」

 私はそんなやり取りをただ見ていた。何も言えなかった。だって、お母様は私の知らないような言葉使いで
この男の人と喋っているし、男の人に関しては私の頭の図書館に登録すらされていない。お母様の影響で日本語を習ってはいたが、
それは学校での話だ。私は意味が分からずに、けれど楽しそうに話す二人の様子に嬉しくなってしまっていた。
789nature and nurture:05/05/30 19:39 ID:ZZtKChDE

「ん、どうした?」
「どうしたの?」

 私の左右からお母様とお父様が見てくれている。泣き出さないように精一杯の笑顔で私はいた。

「……それ」

 私がサングラスを指差すと、お父様は不思議そうにしている。「それを外しなさいって言ってるのよ。まだそれを
していたなんて、私がまだ気にしていると思ってるの? 臆病な男ね」お母様の言葉にお父様は反論しているが、
私には何を言っているのか分からない。
 しぶしぶといった様子でサングラスを外すと、私と同じ真っ黒の瞳が出てきた。
その瞬間、ずっと嫌いだった自分の瞳の色が気にならなくなって、それよりもこの世で一番好きなものになった。
私の顔がお父様の瞳の中にあって、私を見ている。吸い込まれそうになるほどに真っ黒で、そんな瞳で私を見てくる。

「…どーした?」
「お父様、あのね……」

 もっと近くで私を見てもらたくて、顔を寄せてもらう。お母様は私とお父様を見守っていてくれて。でも、ごめんなさい、お母様。



 チュッ。



 お父様の唇に私の唇が触れた、それだけのキス。
 私の気持ちを精一杯込めた、キス。
 親子になるための、私からの誓いのキス。
790nature and nurture:05/05/30 19:40 ID:ZZtKChDE

 お父様は照れくさそうに笑っていたが、お母様はそうはいかなかった。

「あんたねえ、まさか自分の娘まで!?」
「……なんだよ、まさかって?」
「この子はいくら私に似て美人だからって、そこまで………!」
「待てよ、お嬢。オメーは誰に嫉妬してんだ」
「嫉妬って……!!」
「あのな……!!」
「……!」
「……!!」

 二人は何か言い争っているが、もう限界だった。
 緊張の疲れと安堵からくる睡魔に私は勝てなかった。
 ぼんやりと思い出されるのは遠くに聞こえる二人のやり取り。
 私はずっと誰かの指を握っているようで、そのごつごつした指ははっきりと覚えている。
髪はお母様の細い指が撫でていてくれて、気持ちがいいものだった。夢なのか現実なのか分からなかったけれど、
それだけははっきりと記憶に残っていた。

「今度はいつ来れるの?」
「わかんねえな、親父さんの許しがもらえて……」
「そう、お父様が。私はいつでも日本に……」
「親父さんには感謝してるんだぜ、これでも。こいつがこんなに……」
「……うん、そうね。私たちも大人に……」


 記憶があいまいだが、このような事を話していたと思う。自信はないが。
 次の日、私は学校を初めて休んだ。病欠などもしたこと無い私が、ずる休みをしたのだ。
791nature and nurture:05/05/30 19:41 ID:ZZtKChDE

私とお父様とお母様の三人でおじい様の経営する遊園地に行った。
すっかりお父様に夢中になっていた私はお母様とアトラクションの度に取り合いをして、
それにお父様は文句一つ言わずに付き合ってくれていた。
 観覧車に二人で乗って、私が、「大人になったらお父様と結婚する」というと、
「お、俺はお嬢がいるし……その」なんて慌てちゃって。誰かを好きになったことなど無かったが、
これほど胸が高鳴った事も無い。
 恋愛ではなくて、親愛。10歳の頃の私の言葉を借りるなら、「お父様、大好きっ」
 その日は私にとって大切な日になった。私とお父様とお母様の、三人で出かけた最初の日。
私はお父様とお母様の間を歩いて、手をつないでもらっていた。他の子がそうしているのを
覚めた目で見ていたこの私が、信じられないほどにはしゃいで。
 



 そして今、私はお母様と厨房に立っている。
 ドアの隙間からかつての私がそうしていたように、コック達が私とお母様を見ている。
私もお母様も料理はからっきしだが(この言葉はお父様に教えてもらったの)、この程度の料理は作れる。
電話でお父様に聞いたのだ。肉じゃがとカレー、どちらがいいですか? って。
もう分かっているわよね? お父様が何て言ったのか。
 
「熱っ」

 お母様の綺麗な指を水で冷やしてやりながら、私たちは笑った。
おじい様はお父様の事を認めてくれたのだけれども、お父様は一度として一緒に暮らそうとは言わなかった。
私とお母様が日本に行ってしまったら、おじい様は一人きりになってしまうからだ。
792nature and nurture:05/05/30 19:42 ID:ZZtKChDE

 お母様はわたしがその事について聞くと決まって、「そういう男なのよ、あいつって」と、
嬉しそうな顔を隠さずにいて、私は小さな頃から好きな琥珀色の宝石が隠れていく様をうっとりと見つめていた。

「ねえ。お母様はお父様の事、好き?」

 鍋の中のぼこぼこと浮き出てくるカレーの泡を眺めながら、私はそう尋ねてみる。

「そうねぇ。好きじゃない……かな」

 何も言わず鍋をかき回していると、お母様はじっと押し黙ったままでいる。私はお母様の代わりにこう言ってやるのが決まりだった。

「愛している、でしょ?」
「ええ、そうね」


 今夜、お父様が帰ってくる。
 だから私とお母様はカレーを作って待っているのだ。
「ただいま」そう言うお父様を、「お帰りなさい」と言って迎え入れるため。
 お母様はおじい様とこういった会話をする事が余り無かったようで、お父様を満面の笑顔で迎えるのだ。

 お父様とお母様は今でも籍を入れてはいない。
 ナカムラによれば、それはおじい様とおばあ様の関係に似ているらしい。
 お父様との親子関係は歪なのだが、今の関係を変えるつもりは無い。
 愛する両親が幸せであって、私も幸せなのだから。
『お帰りなさい』そう言って『ただいま』と返してくれるお父様がいるのだから。
 そして、おじい様とおばあ様を愛しているお母様のように、私もお父様とお母様の事を愛しているのだから。



END
793Classical名無しさん:05/05/30 19:42 ID:ZZtKChDE
 nature and nurture いかがだったでしょうか?
 このSSは、こうなるだろうなといった妄想から来ているので、突っ込みどころはたくさんあると思っています。
 小さなことでも構いませんので、ぜひ教えてください。

 最後に、読んで下さった皆さん、ありがとうございました。
794Classical名無しさん:05/05/30 20:42 ID:bPTwQmD2
読んだ。>793 けっこうよかった。
自分はSSで読みたいのは旗かおにぎりにかぎられるので、こういう作風は歓迎です。
795Classical名無しさん:05/05/30 20:54 ID:5SDyippI
>>793
なるほどそういう設定か、途中でなんだこれと思ってしまったw
取りあえず面白かった、読んでて途中で妙に恥ずかしくなり、部屋で転がりまわりそうになったが
796Classical名無しさん:05/05/30 21:07 ID:JihUxNfE
>>793
未来系SSは最近見てなかったので久しぶりに良い物を見せてもらいました。GJ!
797Classical名無しさん:05/05/30 21:08 ID:ekdHm1xk
珍しい作風というか設定というか・・・
でも面白かったよ。GJ。
798Classical名無しさん:05/05/30 21:10 ID:lSIcsrig
>>793
旗にも次世代SSの波が押し寄せたのか
でもまあ、社交界で上品に振る舞う播磨や漫画の手伝いをする沢近は想像不能だし、
播磨の生活水準に合わせられるとも思えないので旗が成立したら、としてはリアリティがあって良いかな

でも親子仲良く暮らす、という一つの幸せの形がない未来は旗を支持できない大きな理由
あとは心情表現が平坦に感じたので、起伏がつくともっと引き込まれる文章になると思う
799Classical名無しさん:05/05/30 21:13 ID:ZZtKChDE
<訂正>
>>780の8行目 そのために→お嬢様のために
>>781の2行目 おばあ様も→おばあ様は
>>790の4行目 この子はいくら私に似て美人だからって→いくら私に似てこの子が美人だからって

 播磨と沢近とが一緒になったら。という事を妄想したら、このようなSSができてしまいました。
 ツンデレの娘もツンデレと、どこかの板で見かけましてぜひ取り組んでみようと思い立ち、
その結果、Songbirdで変化球を投げたのに、またこんな変化球を投げてしまいました。
 もし、こういったものに興味の無い方がおられましたら、スミマセンと先に謝っておきます。

 S3でもお馬鹿なものばかり投稿しているので、シリアスなSS、ほのぼのなSSを書いてみたいです。
 皆さんのお暇な時間を少しでも潰せたのなら嬉しく思います。
800Classical名無しさん:05/05/30 22:34 ID:NtEpKLZI
>>799
GJ。いい旗だ
こういう未来系のSSは大好物だ
次も期待していい?
801Classical名無しさん:05/05/30 23:01 ID:ylKL0L4U
未来系のSSとは…ヤルな!
これも一種の形としてみれば、面白いです。
GJ!
802Classical名無しさん:05/05/31 01:43 ID:QgtQVuus
大変ステキな旗をありがd!
803702:05/05/31 01:55 ID:JEJLX/x2
743のSIDE-B
が出来ましたので投下します
本編の続き思い浮かばないYO orz
804702:05/05/31 01:55 ID:JEJLX/x2
――放課後―SIDE-B

喫茶メルカドに姦しい声が響く、普段と変わらぬ光景だ

「全く、アンタはいつもいつも…」
「えーっ?ちょっとそれどーゆーことー?」

普段と違うことがある、とすれば構成されるメンバーが一人少ない、
ということだが、ただそれだけの事だ

「…ふうっ」
「あら?どうしたのよ溜息なんか吐いちゃって」

知らずのうちに溜息を吐いていた様だ

「何でも無いわ」
「あっそーいえばねー溜息って一つつく度に幸せが一つ消えてくって
 聞いたこと有るけどホントなのかなー?」

ああ、そんな話も聞いた事があるな、と思いつつ
ここにはいないもう一人のことを考える

彼女、上手くやっているかしら?
805702:05/05/31 01:57 ID:JEJLX/x2
正直な話、私は他人の恋愛沙汰には関心が無い
全く無いとは言わないがそんな事は当人同士に任せておけばいいのだ、と考えている
しかし、大切な親友達の事となれば話は別である
彼女たちには幸せでいて欲しいし、最悪、その恋が破れた時も笑顔でいて欲しいと思っている
現実問題そんなことは難しいが、できるだけそうであって欲しい、と考えている

目の前の友人達との会話を上の空で聞きながらふと、窓の外に目をやると
一組の見覚えのある男女が歩いているのが目に止まる

「ゴメン」
「えっ?どうしたの?」
「ちょっと用事を思い出して」

我ながら陳腐な言い訳だ

「えーっ?そーなんだー残念だねー」

人の言う事を何の疑問もなく素直に受け入れる、と言うのは果たして
美徳なのか、それとも欠点と言うべきだろうか
まあ、この子の場合はその両方があてはまるのだろう
806702:05/05/31 01:58 ID:JEJLX/x2
「で、何の用なの?」

こちらは人並みに疑念を抱いている

「知りたい?」
「ま、どうしても、ってんならね」
「ひみつ」
「なによ、それ!!」

しかし彼女の方も分かり易い、少しからかっただけですぐに冷静さを失う

「まぁいいわ、急いでるんでしょ?」

どうやら追及するのは諦めたようだ

「ゴメンね」

自分の分の会計を済ませ、急いで店を出る
まだそんなには離されてはいない筈だ

暫く急ぎ足で歩くと件の二人の姿が見えてきた
二人とも勘は鋭い方なのでこれ以上接近するのは諦めたほうがいいだろう
807702:05/05/31 01:59 ID:JEJLX/x2
「―――――――」
「―――――」

何かを話しているようだ
聞き耳を立ててみる

「――――――受け取ってくれ」

どうやらプレゼントを渡している様だ

「――そんな――良かった―――もらってく――――」

彼女も受け取っている
遠目で見ても二人ともとてもいい顔をしているのが分かる

―――カシャッ―――

思わずシャッターを切ってしまう
夕日に映える一組の男女、画像は確認していないが
自分の今まで撮ってきた中でも最高の部類に入る一枚だろう事は難くない
808702:05/05/31 01:59 ID:JEJLX/x2
今日の所はこれだけで充分だろう

「いい写真も撮れたし、ね」

そう一人呟き家路へとつく

自室で今日撮った一枚を見返す
二人の穏やかな笑顔とそれを取り巻く暖かな空気、
これを彼女に見せればそれは面白い反応が見られるだろう

しかし、と考え直す
その場合、確かに面白い事にはなるだろうが結局ただの一過性の
騒ぎで終わってしまう可能性が高いだろう
私の見立てでは彼女たちは余りにも身近な存在過ぎていて、互いの気持ちに
気づいていないだけなのだ
ならば、その気持ちに二人が気付いたとき、
その時こそがこの一枚の写真が本当の価値を示すときだろう

それまでは私が、そう、この私が責任を持って所有しておいてあげよう

「貸し、ひとつね」

誰も気付かないような薄い微笑を浮かべながら、
私はデジカメの電源をOFFにした

――――了
809702:05/05/31 02:01 ID:JEJLX/x2
以上です
本編も書かずに何書いてんだ漏れorz
810Classical名無しさん:05/05/31 13:28 ID:3/zxaLms
なんかぱっとしねーなー
811Classical名無しさん:05/05/31 16:40 ID:1BSJznTA
旗SS以外だと最初に叩かれるスレはここですか?
812Classical名無しさん:05/05/31 17:47 ID:7U/s1.Kw
旗厨は攻撃的、おにぎりは陰湿だからな。
本スレバレスレの旗厨の播磨のキャラを完全にぶっ壊した
妄想や暴れっぷりを見ろよ…
813Classical名無しさん:05/05/31 18:20 ID:XYz3D6ho
天満厨の被害妄想ぶりも見ちゃいられないがな
814Classical名無しさん:05/05/31 18:22 ID:uZYYdoQs
おいおい、ここでもバレスレヲチ厨が愚痴ってんのかよ。
いいかげんヲチスレ立ててそこに籠もってろよな。
815Classical名無しさん:05/05/31 18:37 ID:AtG3pJG2
旗ならなんでもありかよ。
未来物とか噴飯物だと思ったがマンセーのあらし・・・。
まあそんなものか。
816Classical名無しさん:05/05/31 18:54 ID:NLJkm4xQ
なんせ奴らは飢えてるからな
生暖かくスルーしよう
817Classical名無しさん:05/05/31 19:26 ID:hJcg7EYw
負け旗の遠吠え(笑
818Classical名無しさん:05/05/31 22:26 ID:cG2EXWKw
おまいらな…職人さんが投下しにくい空気作んな

と釣られてみる

↓以下、何事も無かったかのように再開
819Classical名無しさん:05/05/31 22:38 ID:JtDbO9.s
というか叩くのは二次創作批評スレでここはそもそもあまり叩かれないって
820Classical名無しさん:05/05/31 22:38 ID:YsYMAllo
お、俺は… 携帯派だ〜!
821Classical名無しさん:05/05/31 23:35 ID:ucDKhSEw
>>793
お疲れさま。全体通して雰囲気が優しい感じで好きですねこういうの。
というかお母様カワエエw

>>809
晶エエ子や。GJとりあえず、気になった事あげるなら、句読点が気になったかな。
まぁ、そうめげずに頑張ってくれ。

>>820
ナント素敵デ……ナント面白い組み合わせだ……
デモ携帯派ヲキクト……レスシチマウンダ…
イツダッテ………「Hanai and Akira」
822Classical名無しさん:05/06/01 00:45 ID:civ1O5E.
>>813
だって天満SS無いんだもん
823Classical名無しさん:05/06/01 00:57 ID:Tk7VZeys
そこで自分で書く、という選択肢が何故出てこないのか
旗やおにぎり、お子様SSが多いのは、元はそういった派閥に属した人達が一念発起して書いてるからだろ
それなのに「天満が出てこない、もっと出せ!」とか発言するのはどうかと思うぞ
おまいだって天満をこよなく愛するなら、播磨や烏丸と「こんな展開になってほしい」という願望は持ってるはず
それを文章化するだけでいいんだよ


誰だって最初は下手なんだから最初から「俺には無理だ」と諦めるんじゃない

実際、俺が今まで書いた作品は、俺自身が属する派閥モノだが、IFスレでもS3でもほとんど見ることが出来ない
本スレでは「もう終わった」だとか「恋愛じゃないほうがいい」とか言われることも時々あるけど
俺自身は二人が恋人になって欲しかったりするから足掻きまくって書いたりしている
昔投下した時にマンセーレスを貰った時は本当に嬉しかったしな


それが出来ずに文句を言うことしか出来ないなら、おまいはこのスレをもう見ない方がいい
職人さんだって最初は読み手だったんだ


824Classical名無しさん:05/06/01 00:59 ID:Ny8WWhas
>>823
その長文に感銘を受けた
俺も頑張ってみるか
825Classical名無しさん:05/06/01 01:16 ID:EWzYLggE
823が良い事言った!俺も感銘を受けたわ。
826Classical名無しさん:05/06/01 03:17 ID:E6m3fx9o
麻生がウザくて仕方がないギャハ
827Classical名無しさん:05/06/01 06:50 ID:23X37EQw
>>798
>でも親子仲良く暮らす、という一つの幸せの形がない未来は旗を支持できない大きな理由

 そこまで悲観的な未来というわけではなく、現在の沢近と沢近父の関係とを照らし合わせてみながら書いていました。
原作中の沢近は彼女なりに父親との距離を考えていて、彼女の娘も播磨との距離を娘なりに考えて生きていくのだろうと。
 今の沢近は親子仲良く暮らすといった点から見れば不幸せでしょうが、天満達と出会うことができ、
素晴らしい学園生活を送っているのだろうな、などと想像したのです。幸せと不幸せは、決して相殺されるものではないのでしょうが。
 この娘も沢近みたいに、天満達のような親友を見つけてくれるものだと思っています。
 短いですが、その様に考えました。

>心情表現が平坦に感じたので、起伏がつくともっと引き込まれる文章になると思う 。

 今後の課題ですね。どうにかしないと、とは思っていて色んな作風にチャレンジしているんですけれど、一向に……。
 これから投稿した際にはどんどん感想を書き込んでください。よろしくお願いします。


 題名に『生まれと育ち』とありますが、『Nature via Nurture』(生まれは育ちを通して)から拝借したものです。
 この娘にとって、生まれと育ちがどんな風に関わっていって成長していったのか、表現できていたでしょうか?
 ただ単に、播磨と沢近との間に生まれたこの娘の様子を書きたかっただけなのですけれどね。

 私自身、特定の派閥はなく、また違ったカップリングを書いてみたいと思っています。
その時は、また感想をいただけると嬉しいです。朝っぱらからの長文、すみませんでした。
828Classical名無しさん:05/06/01 09:03 ID:jsW2US0M
>>827
おれとしては、GJとしか言いようのないツボをついた作品でしたよ。
現在進行形の話は原作で読めるから、過去&未来の話は好きだ。
829Classical名無しさん:05/06/01 09:37 ID:fTw1ylZI
>>827
亀レスだけど、俺にもGJと言わせてください。

旗派の俺は、夜勤明けに酒飲みながら飲んで、少し泣きましたよ。
で、少しくだらない突っ込み。
>>周防様。高野様、塚本様。愛理様はこの御三方の前では本来のご自分を出す事ができ、
>>私も嬉しく思っておりました」

美琴も晶も天満も結婚してないってことですかと聞いてみる。
830Classical名無しさん:05/06/01 12:13 ID:XCEmmAo2
>>822
まあ待て、王道は本編で成就するからいいじゃないか。
旗とかおにぎりなんてのは本編で成就する見込みなんてないからみんな妄想で補ってるんだよ。
831Classical名無しさん:05/06/01 21:09 ID:aXvMU8fU
>>830
おにぎりは普通にありえると思うぞ。
なかなか心を開けない少女の初恋、なんて結構ありきたりなパターンだし。
旗は明らかに厳しいが、もしも万が一ジャンプで連載しはじめた
アレみたいになったならば、戦況が一気にひっくり返る可能性はある。
ここ最近はツンデレブームっぽいから、それに乗るか否か、だろうな。
832Classical名無しさん:05/06/01 21:15 ID:PvlhOYN.
ブームってか、原点回帰みたいなモンだけどね。
833Classical名無しさん:05/06/01 21:31 ID:23X37EQw
>>829
 現在連載中の沢近と同じ年齢で16歳の娘が、昔(10歳)を思い返している未来系SS。というのが設定です。

『小さい頃の沢近の娘に語るナカムラ』という場面で、『天満達の名字が変わった→その相手も描写しなければならない』
となってしまい、ここは会話のやり取りだけで進めたかった場面だったので、スマートにまとめる為と話の焦点を分散させないように
あえてそのままの『塚本・周防・高野』と書かせていただきました。
 それと、特に天満達の結婚相手は考えていません。
 
 こういう答えでよろしいですか?
834Classical名無しさん:05/06/01 23:35 ID:IGjDUWBc
オナニーで絶頂に達すると

足の指を丸めて 肛門がきゅっとしまるんだけど

これってトリビアになりませんかね?
835Classical名無しさん:05/06/02 01:43 ID:PJf9HoVo
それは、素敵なエロビアですね。
836702:05/06/02 02:06 ID:CL4O1wzY
懲りずに投下してみる
つむぎがちょいと黒くて壊れ気味
837702:05/06/02 02:07 ID:CL4O1wzY
―――土曜、朝
「うーん……っ、はぁっ」

伸びを一つ、まだ眠ったままの体に喝を入れる。
今日は土曜日、学校は休みだ。
起きたばかりなのに疲れている、まあ先週はいろいろとあったしね、と思い返してみる。

文化祭の出し物で演劇派と出店派が真っ二つに分かれて決まらなかったこと、
決着を付けるためにサバイバルゲーム行ったこと、
決着は付いたが結局両方ともすることになってしまったこと、

そこまで思い出したところで軽い頭痛を覚える。
文化祭までいくらも無い、一つだけならなんとかなるだろう、
しかし、いくらなんでも二つは無理だ、準備期間が短すぎる。
必ずどちらかが、最悪の場合は両方とも失敗する。
そうは言っても演劇の方は大丈夫だろう、シナリオを高野さんに依頼した(押し付けた)のでそれほど心配していない。
特に根拠は無いのだが彼女に任せておけば大丈夫、そんな気にさせる空気を彼女は持っている。
問題は喫茶店の方だ、幸いウチのクラスは美人が多い。
沢近さんを筆頭に周防さん、一条に冴ちゃんまでいる、塚本さん…は美人、よりもかわいい、と言う方が適切だろうか。
ビジュアル面でははっきり言って校内最強だ、黙っていても客は入る。
問題となるのはメニュー、つまりは料理。
いくら嵯峨野が料理が上手いからといっても一人に負担を集中させる訳にはいかない。

838702:05/06/02 02:11 ID:CL4O1wzY

「あと一人…」

誰か、いないかな?
まあ、一人で考えていても埒があかない、こう言う時の為に友達がいるのだ。
時計を見る、九時半、この時間なら大丈夫だろう。
携帯を取り出し今回の件の一番の被害者と思われるに人間に電話をする。

「もしもーし、舞ちゃん?」
「もしもし、結城?おはよー」
「おはよー」
「で、どうしたの?こんな朝から」

用件を伝えると共に誰か心当たりが無いか聞いてみる。

「で、誰かいい人いないかな?」
「ごめん、思いつかないや」

彼女も心当たりは無いようだ
ちっ役に立たない奴
そう言いたいがぐっと抑える

「そっかぁ、ごめんねー変なこと聞いて」
「でもさぁ、休みの日までそんな事考えてるなんてねー」

私だって好きでしている訳じゃない、どう考えてもコレはあんたの仕事だろう
これも言えない

「じゃ、また来週学校でね」
「またね」
839702:05/06/02 02:13 ID:CL4O1wzY
電話を切る。
まあ、彼女の言うことにも一理ある。
なにも休みの日までこんな事を考えることは無い。

ふと窓から外を見る。
天気は上々、雲ひとつ無い見事な秋晴れ、ついでに予定も真っ白だ。
こんな日に家の中でくすぶっているのは勿体無い。

「よし、出かけよう」

服を着替えて顔を洗う、化粧水を叩き込み髪を整えて家を出る。
化粧はしない。出来ないのではない、しないのだ。
朝食はどこかのコンビニで買うことにしよう。
自転車にまたがり走り出す、目的地は特に決めない。
途中で何処か思いつくだろう。

しばらくの間朝の清清しい空気と景色を楽しみながら走る。
どこからか賑やかしい声が聞こえてきた、何かしらいい匂いもしてくる。
何処かでお祭りでもやってるのかな?

840702:05/06/02 02:15 ID:CL4O1wzY
「ちょっと見てみよっかな」

声のする方へとペダルを漕ぐ。
基本的にお祭りの様な騒ぎは嫌いじゃない、この間のサバゲーの様な余りに度が過ぎるものはどうか、とは思うけど。

「やあ、結城君ではないか」
「へ?」

不意に声を掛けられ、間の抜けた返事をしてしまった。
声の主は花井春樹、クラスメイトであり我がクラスの学級委員である。
周囲を見回し納得する。なるほど、目の前には花井道場と書かれた看板歴史を感じさせる。
ふうん、ここが花井君の家なんだ、と思うと同時に質問が飛んでくる。

「こんなところで何をしているんだ?」
「自転車でそこらを見てただけよ」
「暇なのか?君は」
「……」

以前にも聞かれた覚えのある質問である。
ただし今回はその通りなので何も言えない。

「そうか、ならば君も一緒にどうだ?」
「は?」

なにが「ならば、」なのか、質問の意味がわからない。

「えっ…と、何を?」

質問を質問で返す。
841702:05/06/02 02:16 ID:CL4O1wzY

「えっ…と、何を?」

質問を質問で返す。

「実はな、今日は家の道場の芋煮会なのだ。それで、暇ならば一緒にどうか?と思ってな。
 それに、こういうことは大人数の方が盛り上がるからな」
「え?でも知らない人ばかりだし…」

暇ならば、という一言も気に入らない。
それに少しお酒臭い、よく見ると彼の顔も赤みが差している。
まさか朝から飲んでいるのだろうか?

「そうでもないぞ、おーい周防、ちょっと来い」

周防さん?確かこの二人は幼馴染だったっけ?以前、誰かが言っていたことを思い出す。
そういえば向かいには周防工務店とある、こちらも立派な構えだ。
「何の用だ?って結城さん?」

彼女の頬も赤みが差している、そのせいだろうか?普段よりも色っぽく見える。

「おはよう。周防さん」
「おはようって何で結城さんが?」
「偶然通りかかったらしくてな、ちょうど暇だと言うので誘っていた、という訳だ」
842702:05/06/02 02:18 ID:CL4O1wzY
また暇、って言った。

「ふうん、で、どうすんの?」
「ふむ、僕としては是非参加してほしいのだが」
「アンタにゃ聞いてないよ」
「む…」

二人の掛け合いは傍で見ているとまるで長年連れ添った夫婦の様に見える。
周防さんがこちらを見てもう一度聞いてきた。

「で、結城さんはどうしたい?」

まあ、周防さんもいるしね、

「…ちょっとだけなら」
「よし、決まりだ」

と言うと同時に周防さんは私の手をとって門の中へと突き進む。
私はこの時の返事を後悔することになる。

「まずは皆に紹介しないとな」
「えぇ?いいよ別にそんなことしなくても!」

お酒が入ってるせいか今日の周防さんは強引だ、必死の(周防にとっては小さな)抵抗も空しく皆の前に連れ出された。

843702:05/06/02 02:19 ID:CL4O1wzY

「おうミコちゃん、誰だその子?」

周防さんが一見してがっしりした体格の角刈りの男に話しかけられる。

「アタシのクラスメイトだよ、さっきソコで偶然会ってね、結城さんってんだ」
「いやー、前来た金髪のコもかわいかったがこの子もなかなかかわいい子じゃねぇか」
「え…その…ええと…」

かわいいって言われてしまった。

「よっしゃ、じゃあ俺と付き合ってみねえか?」
「はぁ?」
「まだまだ俺だってイケるぜ?な?」

はい?
付き合うって?
この人と?
そういうことはもっとお互いをよく知ってからって、そんなことじゃなくて…
こういうことにはあまり免疫が無い、軽いパニックに陥る。

「え…ス…スミマセン!!」

「「あっはっはっ」」
周囲が一気に盛り上がる。

「テツがまーた振られやがった」
「だーから、アンタにゃ二十年若返っても無理だって前も言ったろ−が」

844702:05/06/02 02:20 ID:CL4O1wzY

「金髪の子」って沢近さんだろうか?それに「前にも」ということはこの人は沢近さんにも同じことを言ったのだろうか?
と言うより沢近さんがこの集まりに参加していた、という事の方が驚きだ。

「悪かったね、あいつらも悪気があるわけじゃあないからさ」
「それよりも聞きたいんだけど、沢近さんもこれに参加したことがあるの?」
「うーん、ちっと違うかな?アイツだ来たのはウチの芋鍋ん時だしね。今回は花井ん家の芋煮会だ。
 ま、ウチの連中も参加してっからおんなじようなモンだけどね。」
「ふぅん、そうなんだ」

沢近さんに対するイメージが少し変わってしまった。
ついでにもう一つ聞いてみる。

「周防さんって花井君と付き合ってるの?」

学校中に響いたあの絶叫、あれはつまり、そういう事ではないのか?

「はぁ…」

力なくため息をつきながら答える。

「結城さんの言ってんのはサバゲー時のあれだろ?
 あれから皆にも言ってるけどアタシとあいつは唯の幼馴染だよ、それ以上の関係は全く無い」

彼女もアレ以来苦労しているようだ、と思いながらも何故かほっとしている自分もいる。

845702:05/06/02 02:21 ID:CL4O1wzY
「そんなことよりさ、結城さんまだ何にも食べてないだろ?」
「え?うん」

そんなこと、で済まされてしまった。
確かにまだ何も口にしていない、と言うよりは何かを口にする暇も無かった、と言うほうが正しいか。
両親もまだ寝ていたので朝食もとっていなかったことを思い出す。
くぅ、とお腹が鳴ったような気がした。
彼女は一人、鍋に向かって歩みを進める。

「へっへー、今回の鍋は自信作なんだ。とにかく一口食べてみてよ」

器によそった鍋を受け取る、おいしそうな匂いが鼻をくすぐる。
器に口をつけ、だしをすすって…………イケる、ってゆうか物凄く美味しい。
一気に具を掻き込む、全ての具にだしがの旨みがしみ込んでいてどれもとても美味しい。

「周防さん!コレすっごく美味しい!!
 これ、周防さんが作ったの?」

素直な感想を述べる。いや、これはマジで美味い、ウチの母親より間違いなく腕は上だ。
幸せな料理って言うのはまさにこれの様なもののことをいうのだろう。

「まあね、いや、自信はあったけどそこまで褒められるたぁ思いもしなかったなぁ」

少し照れながらも嬉しそうにしている周防さんを見ながらあることに思い当たる。

846702:05/06/02 02:22 ID:CL4O1wzY
「そうだ!周防さん、一つお願いしてもいい?」
「ん?何の事?」
「実はね…」

朝、電話で舞に話した事と同じ事を話す。

「どう?引き受けてくれないかな?」
「よし、引き受けた!」

即答だ。少しは考えるだろうと思っていた私は少し拍子抜けしてしまった。

「え?」
「だから、やってやるよって言ったの」
「あ、ありがとう」

彼女の力があれば喫茶店も成功間違いなしだ。
後の細かい仕事や段取りは花井君が勝手に仕切ってくれるだろう。
これで文化祭への心配は無くなった、実際私には何の責任も無いのだが肩の荷が下りた気分だ。
安心したら何だか喉が渇いてしまった、近くのコップに注がれていた水を飲み干す。

「あっ…結城さんソレ違…」
「っぷはぁ」

そうそう、この喉越し…ってコレお酒じゃない?
やっちまったかぁ…そんな周防さんの視線が少し痛い。

「お?姉ちゃんイケる口だな?」
847702:05/06/02 02:22 ID:CL4O1wzY
どこからか一升瓶を持ってテツさんがやってくる
こうなったら一杯も二杯も同じだ、アルコールが入ったせいかだんだんテンションが上がってくる。

「だいたいねー、初対面の人間にいきなり付き合えって人がどこにいるんですかー?」
「はぁ、すんません」

周りは大喜びだ、なにせ大の男が女子高生を前に小さくなってしまっている。
一升瓶もいつの間にか私の手に移動している。
絶好調!! 誰も私を止めることはできない。
周防さんは少し離れた場所で諦めたような表情をしている。
花井君もいつの間にか近くに来ていたようだ、こちらも周防さんと同じような表情だ。

「なーにやってんのよ?すおーさんもはないクンも飲まなきゃでしょ?」
「いや、アタシはいいから…」
「なにぃ?わたしの酒がのめにゃいってゆーの?」
「結城君、ちょっと飲みすぎじゃあないか?」
「なーにいってんおよ、これくらいじゃちっともよいませんよ−だ。
 よーし、分かった。二人ともそこにすわりなさ−い!!」
「花井、ここは黙って言うことをきいたほうが…」
「ウ、ウム…そうしよう」

酔っ払いほど理屈の通じない相手もいない。
二人揃って正座をさせられる。

848702:05/06/02 02:24 ID:CL4O1wzY

「だいたいねー、すおーさんもはないクンもはっきりしなさすぎなんだよぉ?
 ただの幼馴染らってふたりは言ってるけどねぇ。まわりはそう見ないじゃない?なんでかーって言うとねぇ?
 例えば今日のこの会もそう、すおーさんも休みの日まではないクンと一緒にいるれしょ?
 そーゆーこととかって誤解されるとかって考えないの?はい、すおーさん答えて!!」

「いや、これは年中行事って言うか習慣みたいなモンだし…」

「しゃらーっぷ!!言い訳はしなーい!!」
「いい訳すんなってそっちが聞いてきたんじゃ…」

―――――酔っ払いは人の話を聞きません―――――

「さーて、はないクン、次はあなたにしつもんれす。こないだのサバゲーの時の学校中に響いた『美コちゃーん』発言、
 アレの説明をしてもらおーじゃないの?」
「あ、それはアタシも聞きたいな…」
「はいはーい!!すおーさんはちょーっと黙っててねー」
「………」
「アレは…僕自身も正直なところはっきりとは覚えてはいないのだが……って結城君?」
「お、おい、結城さん?」

ほへ?ふたりとも顔がゆがんでるよ?
こんどは真っ赤だー
おーけーおーけー、なんでもいーよ
あはははははーーーー
849702:05/06/02 02:25 ID:CL4O1wzY
「痛っ…」

目が覚める、頭が痛い。
ここはどこだろう?見たことのない天井だ。

「ここは……?」
「お、目が覚めたみたいだな。大丈夫か?」

ドアが開き、聞き覚えのある声がする。

「周防…さん?ここ?どうして…?」
「ここはアタシの部屋、ったく、なんも覚えてねーのか?」

少しづつ記憶を辿る。
家を出て、
花井君に会って、
周防さんに連れられて、
テツさんを振って、
出店のことを了解してもらって…
ああ、あの料理すごく美味しかったなぁ…
ってちっが−う!!
とにかくその辺りから記憶が定かではない。

「ま、ただの飲み過ぎだから今日明日おとなしくしてれば大丈夫だと思うよ」
「わ、私、何か変なことしなかった?」

周防さんは目を合わせてくれない、何かやらかしてしまった様だ。

「まあ、知らないことがいいって事も世の中にはあるし、ね。
 あ、そういやテツが謝っておいてくれってさ、調子に乗りすぎたって」

850702:05/06/02 02:25 ID:CL4O1wzY
ま、アタシからもよく言っといたから、とからからと笑う。
結局何をしたのかは教えてもらえなかった。
それから暫く、二人で文化祭のことや取り留めのない話に花を咲かせる。
少し頭痛も楽になってきた、時計を見ると短針が5の所にさしかかっている。

「じゃあ私、そろそろ帰るね。今日は迷惑掛けて本当にごめんなさい」
「気にしないでいいよ、今日のことは誰にも言わないし」
「……ありがと」

周防さんに見送ってもらって家路へとつく。
周防さんは誰にも言わないって言ってたが、やはり自分のしてしまった事くらいは知っておきたい。
彼女はおそらく口を割らないだろう、しかしもう一人いる。
よし、来週になったら花井君を問い詰めよう。言わない様だったら一升瓶を片手に、
彼は学級委員だし、私は書記だ。理由を付ければ二人きりになる事など造作もない。

「覚悟してなさい」

ちょっぴり歪んだ笑顔を浮かべ、彼女はペダルを漕ぎ出した。


――――了
851702:05/06/02 02:29 ID:CL4O1wzY
以上です
いや、書いてて思ったんですがつむぎってそこそこうごかしやすいキャラだなーって
ええ、ぶっ壊したからって言う意見は聞きませんが
852Classical名無しさん:05/06/02 02:34 ID:3RLNrTCc
虹と縦笛が絡んだSSって初めてなのかな、リアルタイムだったけどサクサク読めて面白かった
一人称だから表現も軽めで読みやすかったです
自分から意見を聞いてるのに「言い訳するな」というつむぎにワロスw
853702:05/06/02 02:52 ID:CL4O1wzY
レスありがとうございます
一応これで702から始まるSSシリーズ終了です。
「芋煮会」と自分の脳内で題されたこれらの拙作達、楽しんで頂けたのなら幸いです
これからも何か思いついたらちょくちょく書いていこうかな、と思っておりますので
その時にはまた宜しくお願いします
854Classical名無しさん:05/06/02 02:55 ID:Kq6W9Z9s
句読点がおかしいと思う、1行ごとに句点で止めるなら、全行句点と?で
統一すべきでは?
単に間違えただけかもしれないが。

このような文体は短編には向いてるかもしれないがある程度話しが長いと
くどいような気もする。最もこれは私個人の主観だから気にする必要ない
かもしれんが…
855702:05/06/02 03:11 ID:CL4O1wzY
>>854さん
837と849の読点は回想として意図的に、あとは仰る通りミスです。
構成も校正も甘い…次回作(あるのか?)を書く時は気をつけたいと思います
ご指摘有難うございました
856Classical名無しさん:05/06/02 17:01 ID:K/5s07PI
こりゃ今度も1000行きそうにないな
857Classical名無しさん:05/06/02 17:20 ID:K/5s07PI
>>702
GJ
希少な虹SSをありがとう
個人的には酔った勢いでつい自分の気持ちを言ってしまうつむぎも見たかった
858Classical名無しさん:05/06/02 18:02 ID:5awIhLh.
>>856

ここではそれが普通じゃん
859Classical名無しさん:05/06/02 18:36 ID:rUoYcT5A
>>858
うんそうだね
19〜21辺り1000で埋まってたから埋まるものと思ってたorz
860Classical名無しさん:05/06/02 21:03 ID:M8F64AWM
つむぎん流行ってるな。
861Classical名無しさん:05/06/02 23:50 ID:cME7pwVs
何なんだつむぎん。
怪獣の名前みたいだぞ。

それはそうとて702よありがとう。
最近S3の方で縦笛も虹も読めなかったので久々に楽しめた。

>彼は学級委員だし、私は書記だ。理由を付ければ二人きりになる事など造作もない。
ここに訳も無く萌えた。
 
862Classical名無しさん:05/06/03 01:01 ID:0G1OYE4Q
>>861
S3に縦笛や虹、Dを求めるのはお門違いジャマイカ。
あそこは播磨ハーレム・おにぎり・旗・アソサラが多数を占めているのが現状だからな
(あと、携帯・超姉も多いかな)
863Classical名無しさん:05/06/03 01:23 ID:x35BULNA
>702氏Gj! もうちょっと盛り上がる(結城サンの内心だけでも)マヤ場が欲しかったけど
坦々ほのぼのしてて、これはこれで味のある文章やとおもうで。

>861
そして天文部では稲葉・松本(仮)組に妙なとこ突っ込まれてあたふたするんだ。
黒い、というよりつむぎんカワイイと思ってしまう漏れはもう年寄りなのか・・・
864Classical名無しさん:05/06/03 07:58 ID:r1MAyewc
>そして天文部では稲葉・松本(仮)組に妙なとこ突っ込まれてあたふたするんだ。

微妙にエロイな
865702:05/06/03 10:31 ID:Iu6OE/tQ
>>863
848のセリフ中に「ホントはわらしらって…はないクンと…」とかも入れようと思ったんですが、
今回は本編のサイドストーリーとして書いたので出来るだけキャラの人間関係をいじらないように、と
思い、こんな感じに。
心情だけでも表現したほうが良かったですね。
個人的には 絶好調!!〜(某スタンド使い)と ほへ?ふたりとも〜 (某破壊王)
の二つに無反応だったのが寂しい限り(馬鹿
皆さんレスと感想サンクスです
866Classical名無しさん:05/06/03 16:30 ID:oe22XxFg
気にするな、十分楽しめた、また頼む。
867Classical名無しさん:05/06/03 17:32 ID:wLe0A7/A
>>821
ジュニア…
868Classical名無しさん:05/06/04 02:05 ID:uUU6H7wQ
>865
>「ホントはわらしらって…はないクンと…」

童等?
869Classical名無しさん:05/06/04 03:50 ID:ki78JkLE
>868
いや道程。
ぼくのまへにみちわない ぼくのあとにみちわでける〜

gfゲフn酔っぱらって舌が回らないのでせう
870Classical名無しさん:05/06/04 20:44 ID:sTVG.6a6
続きマダー?
871Classical名無しさん:05/06/05 22:20 ID:avTQT3mg
>>793
亀レスだがGJ
旗SSの中でもかなり好きかもしれん

個人的にはこの続き、
沢近&娘が播磨と日本で暮らすことになるエピソードが読みたい
(沢近父との別れ〜イギリス出発〜日本着〜日本での生活)
を描いた話を妄想で書いてもらいたいです
そうなったらナカムラは当然付いてくるだろうし、
親子3人であの旧沢近邸にでも住むんだろうか
娘タンの異国への戸惑いとかその辺も興味深い
872Classical名無しさん:05/06/06 12:27 ID:wE4d1yjI
とんでもない遅レスだが
>>573 作品名なし(ギャグ王で連載されてたんだけど)
俺は知ってるぞうめ謎。単行本が2巻まで家にある
俺的にはストレートと言うよりホワイトって言って欲しかった
執事Kのパロは演出効果バージョンより効果音バージョンの方が再現しやすかったのでは?
などということは思ったが
うめ謎を知る仲間がこんなところで見つけられて嬉しい。GJ。
873Classical名無しさん:05/06/06 20:27 ID:PS/6o0Zo
 播磨・刑部センセ・笹倉センセもののSSを14に分けました。
 合わないようでしたらスルーお願いします。
874Blue Sunshine:05/06/06 20:27 ID:PS/6o0Zo


 すっと通った鼻筋に前髪がかかり人差し指でそれを払った。部屋には発泡酒の空き缶が二つあったが
この部屋に誰と居る訳ではなく彼女が片付けたもので、リビングに広げられたポテトチップスの袋も空となっている。
彼女はポテトチップスを扱っていない方の手で長い髪の毛をかき上げると、床に転がり酒気を帯びて熱を持った頬を
床につけ、その冷やりとした固い感触を楽しむ。誰も居ないからこそできる事で、同居人の従姉弟には
とてもではないが見せる事などできなかった。

「はぁ、まったくこの世の天国というものだね。ポテチにビール。同居人は半分も家賃を納めてくれるし。
これでその同居人が料理の一つでもできればね、言う事無いのだが…」

 ポテチ分を補給しようと袋に手をやるが先程の一枚が最後だったようで、手首は空の袋の中でスナップをきかせるのみ。
しばらく目の前の空の袋と台所のテーブルの上にあるポテチの入っている袋を交互に見て、寝転がった体勢のまま
従姉弟が帰ってくるまで待とうとテレビへと顔を向けた。
 全く以って、だらけの化身のような彼女だったが、それも彼女の携帯が鳴るまでの事だった。長い間同じ体勢でいた事によって
すっかり痺れた手を、少し遠くに置いた携帯を取ろうとして起き上がる際の支えとして使ってしまった彼女は、うつ伏せになって
滑り込んだようになってしまっていた。携帯の着信音が部屋に響く中、丁度帰ってきた彼女の従姉弟である播磨拳児は、
リビングの床でヘッドスライディングを決めた格好の彼女を目撃してしまう。播磨が帰って来た事に気付き顔を上げた彼女と
それを発見した播磨はじっと見つめあい、播磨の爆笑でその夜の惨劇が幕を上げた。

「ぶわっはははー!! 何やってんだ、絃子ォ。最近食い過ぎだったからなー、ヨガかよ?」
「……!!」

 激しいBB弾の雨を受けてぐったりと大人しくなってしまった播磨は、先程の彼女と同じ様にうつ伏せになっていて、絃子は
彼の背中の上に座り足を組んで携帯の着信履歴に目をやっている。
 播磨はぶつぶつと文句を言いつつも強引に絃子を振り落とすことなくされるがままになっていて、絃子は無様な体勢を
見られた原因を作った相手へと回線を繋ぐ為に電話のマークのあるボタンを親指で強く押し込んでいった。

875Blue Sunshine:05/06/06 20:28 ID:PS/6o0Zo


 彼女の髪はご機嫌な気分と同じように浮かれている。ずんずんと進んで行く彼女を重々しい足取りで
付いて行く姿が二つあった。袖に花の刺繍のあるカッターシャツと黒のパンツの格好の絃子と、
白無地のカッターシャツにズボンの播磨は神妙な顔のまま彼女の後姿を見ていた。
 日曜の朝。
 空に広がる青空と同じく爽やかな顔の笹倉葉子と、まったく合わせる気の無い表情の従姉弟達がここに居る。
葉子のスカートは浮かれた足取り同様に左右に揺れていた。

「何でこんな事になってんだ絃子?」
「私に聞いてくれるな、拳児君。昔から葉子に敵わない事くらい知っているだろう?」
「けどよ、何で俺まで誘ってきたんだ?」
「葉子の考えることまで分からんよ。拳児君も来たくなければ来なくても良かったのだぞ」
「……絃子も同じ事言えるのかよ」
「言えんな」

 二人がそんな会話をしながら悩みの原因の後ろを歩いていくと、いつもと同じ駐車場の前で止まった。
絃子と播磨は、葉子が鍵を差し込んで開けようとしている乗用車を眺めながら違和感に包まれていた。どこか違う。
色も車体も同じように見えるが、どこまでも拭えない違和感。絃子は葉子の上機嫌な原因がそこにあるのではと予想し、
播磨はエンブレムに目がいった。
 葉子はニコニコとした顔で怪しがる従姉弟達を見ている。絃子に比べ薄い胸に手をやって「早く正解を教えてくださいなー」
と替え歌を歌っていたりする。

「まさかだと思うが……葉子」
「何です、絃子さん?」
「君はまた…」
876Blue Sunshine:05/06/06 20:28 ID:PS/6o0Zo

 播磨も絃子の言いたい事を察したようで、自分達人間とは違う生命体を見るような目で葉子を見ていた。

「車を換えたね」
「正解です、絃子さん。正解した絃子さんと拳児君には、私と一緒にドライブに行く権利が――」
「帰るか、絃子」
「そうだね。それと拳児君、さんをつけないか」

 息のあった従姉弟達のやり取りに臆することなく葉子は笑顔を止めない。絃子も播磨もそんな彼女の顔を見ずに
足早に駐車場から遠ざかろうとして、やはり彼女には勝てず、車に乗ってしまうのだった。
 


 信号停止のために止まった車の車内。絃子は助手席で、播磨は後部座席でわざとらしく欠伸をするが、葉子は
横断歩道を渡っている小学生に手を振ってやっていた。小学生は黄色の帽子をかぶって一生懸命歩いていて、
葉子の笑顔ににっこりと返してきた。

「ほらほら、絃子さん。手を振ってますよ、可愛いですねー」
「ああ、そうだね」

 投げやりに返してやりながらも小さく子供達に手を振ってやっている絃子は、どうやっても上手い事手の上で
踊らされてしまう長年来の親友に頭を悩ませていた。高校は同じで大学に入って別れてからも懐いてきて、
挙句の果てには同じ高校で教師をやっているのだ。休日には時々思いついたように遊びに誘われ、絃子は
特別言い訳も無く葉子に付いて行く。特定の男がいない事に対して何とも思ったことなど無いが、居ませんよ
と答える年齢でもないのだがなぁと考える事もあった。
 バックミラーに従姉弟である播磨の退屈そうな顔がある。絃子も葉子も同じようにクラスメートと遊んでくれば
いいのにと思ってみてから、彼にはそんな友達はいないのだろうなとも思い返してみる。基本的に一匹狼な
性格の彼が、自分から積極的に誰かと仲良く付き合う訳が無いのだ。日曜の午前中。車内から見た感じでは、
道を歩く人はまばらだった。
877Blue Sunshine:05/06/06 20:29 ID:PS/6o0Zo

「ねえ、拳児君」
「…ん? なんだよ、笹倉センセ」
「んもぅ、学校じゃないんだから葉子お姉ちゃんでいいのよ?」
「……」
「お昼も近いからどこかでお弁当でも買っていきましょうか。絃子さんも拳児君もそれでいいよね?」
「待て、葉子。君はこれからどこに行くんだい? それすらもまだ聞いていないのだが」

 葉子はハンドルを右手で持っていて、もう片方の手で膝の上に置いていた鞄を絃子に渡してくる。

「鞄の中に写真とカメラがあるでしょう」
「ああ、あるね。……下書きかい、これは?」
「新しく描いているんですけれど……これがなかなか難産なんですよ」
「……何を描いてんだ?」

 播磨が興味を示してくれた事が思いのほか葉子のツボにはまったらしく、声を上げた。

「あはっ、拳児君も興味あるんだ」
「…い、いや。別にキョーミって程じゃないんだけどよ」
「見たいなら……ほらっ」

 絃子は鞄ごと後部座席の播磨へ渡し、播磨は受け取った鞄の中を探ろうと手を突っ込む。

「あらあら拳児君。あんまり女性の鞄の中を詮索するものじゃないわよ?」
「まったくスケベだな、拳児君は。色気づいてきたか、このガキンチョも」

 播磨が真っ赤になって鞄を横の座席に投げる様を見て二人の姉があははと笑っている。してやられたと
思った時にはすで遅い事を昔から身をもって体験してきた播磨だったが、この時は美術教師のデッサンが
見られると思って油断をしていたのだった。
878Blue Sunshine:05/06/06 20:30 ID:PS/6o0Zo

「拳児君も大人になったんですねー絃子さん」
「まったく体ばかり大きくなってしまって、肝心の頭の方は入学当時の方がいいんじゃないのか?
私の努力を……まったく」
「うっ、うるせーな絃子!」

 播磨は窓を全開にして風を浴びて顔を冷やしている。そんな弟を見て、二人はケラケラと笑った。
葉子の新しく買い換えたらしい車は三人を乗せ日曜の矢神の街を走っていくのだった。



 夏の熱を失った寂しさを感じさせる風が葉を揺らしている。
 播磨が二人の姉の後を、お菓子やらサンドイッチやらジュースのペットボトルで一杯になっているビニル袋を
持って歩いていた。文句など言っても口で敵う訳も無い姉達に無駄な抵抗など見せず、従順な姿を見せて
着いて行っていた。
 三人がやってきた公園は中央に大きな池があって、その周りをウオーキングコースが囲んでいる。
ところどころ芝生が広がっていて、家族連れがボール遊びをしていたり恋人が手をつないで座っていたり、
休憩所のベンチには文庫本を読んでいる老人の姿が見える。
 教室くらいの広さの芝生の上で葉子が止まり絃子となにやら話している。播磨はようやく休めると、彼女達の
下まで早足で行った。

「この辺で食べましょうか」
「そうだな。拳児君、準備を」
「わーってる。ったく、人使いの荒い……」
「聞こえているよ。ちゃんとシートを敷き忘れないように」
「へいへい」

 播磨に指示を出す絃子。葉子は池の方へと顔を向けると日光に光る水面があった。芸術家の端くれでもある
葉子は堪らず鞄の中からデッサンの写真を取り出した。
879Blue Sunshine:05/06/06 20:30 ID:PS/6o0Zo

「何をやっているんだい?」
「ん……なんか違うんですよねー」

 葉子の言っている傍で用意を進めていた播磨も水面の方を見ている。「手が止まっているよ」
そう言いながらも絃子は袋の中からお菓子の袋を取り出していた。
 昼食の準備ができはしたが、三人はすぐに食べ始めなかった。播磨と絃子が池をバックに並んで
座らされているからだ。葉子は手帳ほどのサイズのノートにペンでざっくりとしたデッサンを取っている。
風が吹き絃子と葉子の長い髪が揺れて、播磨はサングラス越しにそんな二人を見ている。従姉弟である
自分から見ても絃子は美人であるし、葉子も絃子と同じ位の女性であると播磨は考えた。

「はーい、いいですよー。お疲れ様でした」
「……どうした、拳児君」

 コンビニで買った小さなシートの上に広げられた軽食に手をやる絃子は、腹が減っているのだろうと
卵サンドの袋を投げてくる。葉子からお茶のペットボトルを渡された播磨は思いっきり足を伸ばして
芝生の上に投げ出した。葉子も同じように伸ばすが、どこか格好がつかない。絃子は犬の散歩をしている
お婆さんを見ていて、葉子は二人の様子を見て微笑んでいる。
 風は冷たくも無く熱くも無く公園に植えられた木々を揺らしていて、色が変わろうとしている葉はさわさわと
歌っていた。あちらこちらから話し声が聞こえてくるが、それは不快ではなく、公園に流れる自然の音楽の一部
として播磨達に受け止められた。

 小さなシート一杯に広げられた軽食も葉子が片付けてしまい、ビニル袋の中に押し込められていた。満腹には程遠い
物足りなさと昼食自体の満足感の中でゆっくりと時間が過ぎていく。絃子も葉子も播磨も特にこれと言って
話すことなど無かったが、無理に話す事が必要なのではない。
 ごろんと寝転んだ播磨を見て絃子も葉子も続く。一つ二つと薄い雲が漂っていて、夏の色を残した空が青かった。
日差しは強くなく僅かに肌を焼くのみ。三人はしばらくの間、そんなゆっくりとした時間に身を委ねるのだった。
880Blue Sunshine:05/06/06 20:31 ID:PS/6o0Zo

「いいですねぇ、こういうのも」
「……ああ」
「忘れてしまいますねぇ、日頃の嫌な事も」
「君にあるのかい、嫌な事なんて」
「ありますよ、たっくさん。誰も言いませんよ、相手まで嫌な気分にさせてしまいますから」
「顔に出す者もいるけどね」
「いろんな人がいますから。拳児君は、どう?」
「どうって、何が」
「嫌な事、悩み事があったら聞いてあげるわよ?」
「別に……ねーべ。相談したってしょうがない事だしよ」

 絃子も葉子も黙ったままでいて、播磨は寝転んだまま腕を頭の方にやり、足を組んだ格好で空を
見上げている。どこかで鳥が飛び立つ音がしたが、それは遠く、池の対岸の方からだろうか。その鳥は
絃子の目には見えなかった。



 絃子と共に住んでいるマンションの前で播磨は車を降りた。
 慎ましい努力の甲斐も無く、財布の中は一足早く冬に入っているのだから仕方が無い。公園近くの駅で
車を無理やり降りた播磨が切符を買おうとした瞬間、切符代で何日間の昼飯が食べられるのかと思い返し、
播磨は財布とプライドとで三者会談を開き、悩んだ末に財布と結託しプライドを打ち倒したのだ。
 絃子も葉子も車を発進させずに播磨が悩んでいる姿を酒の肴にして昔話に花を咲かせていて、恥ずかしげに
帰ってきた播磨を拍手で迎えた。播磨はこの姉達に対して、また一つ逆らえない手札を与えてしまった事に
すっかりいじけてしまっていた。
881Blue Sunshine:05/06/06 20:32 ID:PS/6o0Zo

「今日は付き合ってくれてありがとう。バイト頑張ってね」
「家賃のためだ拳児君。私も応援しているよー」
「うっせえな、早く行けよ!!」
「……怪我や事故には気をつけるのよ?」
「おう、分かった」

 車のサイドミラーに映る播磨がどんどん小さくなっていく。車内にはラジオが流れていて、渋滞情報の
時間らしくこれから入っていこうとしている道が渋滞になっていると教えてくれている。そのまま裏通りへと
ハンドルを切りながら葉子は鼻歌を歌っていた。

「夜はどこで食べましょうか?」
「任せるよ。それに聞きたい事があるのだが」
「何でしょう、絃子さん」

 歩行者と車の通るタイミングがずれている信号で車を止めるとラジオは次のコーナーに入っていて、DJがやたらと
早口で喋っている。葉子の趣味ではない車内のインテリアに絃子は鼻を鳴らした。車からやけに柔らかな感じを受けたのだ。

「この車は本当に買ったのかい? 葉子にしてはずいぶん大人しいものじゃないか」
「これ、私のじゃないんです。少し事故っちゃって、今は修理に」
「事故か、葉子らしくないな」
「私だけしっかりしていても事故は起こるものですよ。向こうが不注意だったみたいで、すごく謝ってくれたんですけど…。
しっかりと警察に届けさせてもらいました」
「それがいい。個人でやると後々不安だからね。しかし……なるほど、他人の車に乗せれば君は大人しくなるんだね」

 信号機はなかなか青に変わらず、歩行者のいない横断歩道を目の前にしていた。
882Blue Sunshine:05/06/06 20:32 ID:PS/6o0Zo

「あーそういえば、よく言われたなぁ。葉子さんを独り占めにしないでくださいって」
「なんです、それ」
「葉子は人気があったと言ったろ? 私はお邪魔虫だったんだよ」
「そんな事無いですよ、絃子さん。子供には判らないんです、絃子さんの魅力は」
「結婚式の時も、結局は学生のノリで。どれだけ大人のフリをしてもそんなものだと思ったよ」
「私達も子供だって言うんですか?」
「子供がどうやって大人になると思うんだ…私には分からないよ。私らよりずっと年上の人間でも子供だと
思うことはあるし、生徒の中にも大人だなと思うヤツもいる」
「拳児君は大人になっていっていると思いますよ、私は」
「どんな所がそう思わせるんだい? あれは子供も子供だと思うのだが」

 信号がようやく青に変わり、葉子は慣れない感触のアクセルを踏んだ。ラジオはNHKに替えてあって、
クラシックがかかっている。ラジオの司会者は『序奏、主題と変奏』とか何だと説明しているが、ただ聞き流している
二人には関係が無かった。

「子供だっていつかは大人になるって、そう思っているわけじゃないんです。私は美術教師として生徒の絵を
見ていますけれど、上手い下手ではないんですよ見ている所は。まあ、成績を出す際には点数をつけないといけませんけれど」
「その点物理は単純なものだ。マルかバツか、それしかない」
「私は理系に明るくないので分からないですけど、絵にはその子の生きてきた歴史が反映されるんです。テーマが
単純であればあるほどに。塚本さんっているでしょう、絃子さんのクラスの。あの子と二年のお姉さんの絵、対称的なんです。
太陽と月のように。別にそれが悲劇的だなんて思いません。そんな風に表現した下地があるって事なんです。
私が言いたいのは。拳児君だって何時までも子供のような絵を描いている訳じゃないんですよ。自分の想いを込めたものを
私に見せてくれます。それが、妙に嬉しいんです」

「……彼なりに頑張っているのかもね。とても叶うような恋愛ではないように思えるが、私には」
「諦める事が大人だという訳ではないですよ。一つだけを追っかけているなんて彼らしいし。要領のいい、クールな
拳児君だなんて想像つきませんもの」
883Blue Sunshine:05/06/06 20:33 ID:PS/6o0Zo

「まったくだ。ああやって、馬鹿なりに突っ走っているというのも大人の一つの形なのかもな」
「ふふっ。私達がおねーさんなのに、教えられてしまいましたね」
「親だって子供と共に成長するものだと聞く。何もかも私達の方が知っていて優っているという訳ではないさ。
もちろん追い抜かせるつもりも無いがな」
「けど、拳児君の方が先に結婚しちゃったりしてー?」
「あははっ。子供も作っちゃうかもしれないな!」
「やだぁ、絃子さんったら不潔っ」
「あんまり笑わせるな葉子! この、カマトトぶりやがって!」

 対向車の運転手の若い男は笑い転げている二人を見てぎょっとした顔で通り過ぎていって、それを
気にすることなく渋滞を避けた車は並木道の通りを気持ちよく走っていく。
 涙が出るほど笑いあって、ラジオの曲も聞こえなかった。絃子は睫についた涙を手の甲で拭う。
夕方にはまだ遠く、昼間のような青空かといえばそうでもない。時間もどっちつかずの曖昧でいて、しかし二人は
気にも留めずにドライブを楽しんでいた。


「……家に戻るぞ、葉子」
「どうしてです? 美味しいお店、見つけておいたんですけど」
「また別の日に行けばいいさ、拳児君も連れて。今日は私の家で飲むぞ。明日は二限しか授業無いし」
「私は三限もあるんですよ。絃子さんはずるいでーす」
「ずるいも何も時間割に行ってくれよ、そんな事は。ほらほら、コンビニに寄って帰るぞ」
「絃子さんが負けたら、だらしなーい姿をスケッチしてあげますから」
「そういう事は勝ってから言うんだね。まあ私が勝つに決まっているが。…そうだ、負けた方が全払いにしよう。
あのゴチになりますってヤツ」
「飲み比べなんて、いつやったかしらー」
「結婚式の時やったろ? アレは、男が弱かったけどさ」
「ちょっとお冷を頂いただけなのに……お酒ダメな人達なのかしら?」
「自分に酔ったんだろ、きっと。そういえば拳児君も弱いな」
「酔わせるほどの男になったりして!」
「ならないよ、アレは。好きな女からキスでもされたら、爆発して死んでしまうよ!」
884Blue Sunshine:05/06/06 20:34 ID:PS/6o0Zo

「爆発って、そんな事。ふふふっ、お腹が……イタイ」
「しっかり運転してくれ。借り物だろう、この車は」
「ちょっと脇に止めますね。あはははっ。あー、お腹が痛い」
「葉子っ、笑いすぎだよ。拳児君に失礼だろう……あははっ」



 結局何とか家まで戻った絃子達は、疲れ果てた体をリビングの床に投げ出した。一度つぼに入った笑いは
なかなか取れず、浮かれた気分のまま左手でビールを煽り右手で甘栗をパクつく。テレビもつけずに
ひたすら昔の話に明け暮れて空き缶の数を増やしていった。
 ようやく帰ってきた播磨はバイトの疲れをとる事も許されず、絡まれてしまう。少しだからと飲まされた
最初の一缶で酔ってしまった播磨から天満への思いを根掘り葉掘り聞き出し、これはいい酒の肴が
出来たモノだと二人はペースを上げて残りの缶ビールを開けていくのだった。
 ふと葉子が目を覚ますとリビングの明かりも落ちていた。自分や播磨の体には毛布がかけられていて、
リビングには残り一人の姿が見えなかった。葉子は皺にならないようにと畳んで脇に寄せていた上着を
肩にかけると、開いたカーテンと窓の向こう、ベランダへと歩いていく。
 ベランダにはすでに先客がいて、葉子を迎える。長年来の親友達は並んで夜が明ける様を見ていた。
 空は黒く、そして頭を出した陽に向かってミッドナイトブルーからバーミエアーへと色を明るくしていった。
青のグラデーションは刻々と変わっていって思わず魅入られてしまうようである。絃子も葉子もそうしていると
欠伸をしながら彼女達の弟もやってきた。

「何やってんだ、朝っぱらから……」

 その言葉の途中で播磨も朝日が昇り始める様を見た。播磨は葉子と違い詳しく技法や知識を
習った訳でもない漫画描きなれど、その風景に心を奪われる。昨日の葉子の言葉が絃子の中で思い返され、
その裏付けるような様子に素直に感心した。

「綺麗ね、拳児君」
「ああ、そうだな」
885Blue Sunshine:05/06/06 20:34 ID:PS/6o0Zo

「こういう感動が解る様になったんだね、嬉しいよ拳児君」
「大人に近づいたのかなー?」
「子供だ、葉子。拳児君はこんなものだよ」
「いちいち棒読みするくらいなら、初めから言うな!」
「あははっ。二人とも子供なんだからー」
「一緒にするな!」

 口を揃えた播磨と絃子は気分が悪そうに咳をした。
 いっそう陽は昇り、空はこのまま真っ白になってしまうのではないかと三人に思わせた。

「で、なんだよ。その……大人とか子供とかってよ」
「拳児君は私達のこと大人だって思う?」
「そりゃあ、まぁ」
「自分の事は?」
「……ワカンネェよ」
「私も絃子さんも分からないよ、自分が大人だなんて事」
「別に分かったから大人って訳でもないし、分からないから大人じゃないって事も無いがね」
「この空のグラデーションみたいなのかもね、案外。いつまでもその色を保てる訳じゃなく、
気がついたら同じ色に戻っていたりしていて。見上げる場所が違えばその色もまた違うし」
「……シャワー浴びてくる。むずかしー事考えたら頭が痛くなっちまった」

 そう言ってさっさと話を切り上げた播磨が部屋の中に入っていく。
 葉子はマンションから見える景色全てに陽の光が落ちていく様を眺めていた。絃子は光線の屈折によって
色が変わっていくのを知っていた。二人が空の青さについて考える内容は決して相容れぬものではなかった。
しかし長年にわたって培われた理解はそれを越えていく。

「こうやって何時までもいられるのかな」
「分からないよ。結婚で変わるかもしれないしなァ。葉子の天然も」
「それより、拳児君が包容力のある男になっているかもしれませんよ?」
886Blue Sunshine:05/06/06 20:36 ID:PS/6o0Zo

 二人は笑い声をかみ殺しながらを見ると朝のランニングをしている学生がいた。隣のマンションにも
明かりが灯り始めている。信号で止まっているのは新聞配達のバイクだろうか。すでに矢神の街が
動き始めていた。
 昨日ほどの濃さも無い青空が現れていた。絃子も葉子も大きく欠伸をする。二人の中にこのまま部屋に
戻ってしまうのは勿体無いという気持ちと、早く入って支度をしないといけないといった気持ちとが交錯する。

「…準備をするかなぁ。葉子は帰って着替えて来ないといけないだろう?」
「そうですね。それじゃあ、また学校で」
「私らも結局のところ、何も分かっていないんだな」
「いいんですよ、きっとそれで。絃子さんがいて、拳児君がいて。何時でもそこにいるのに、忘れやすいんですね、私達」

 葉子は両手の親指と人差し指で枠を作り朝の空を切り取り、絃子もそれに習って同じようにやってみる。

「また思い出せばいいさ。けれど…あいつの従姉弟をやるのも骨が折れるんだが」
「でも、嫌じゃないから一緒に住んでいるんでしょ?」
「そうだといいがね」
「またー照れちゃって!」
「あー、そーだよ。照れてるよ!」
「あははっ」

 葉子は手早く荷物をまとめると玄関へと向かった。シャワーを浴びて湯気の上がる拳児とその隣に絃子が並んで
立ってそれを見送る。「それじゃあ、学校でね」と言うと、葉子は振り返ることなく出て行ってしまった。

「なんか飲むか?」
「コーヒー入れておいてくれ。シャワー浴びてくるから」
「笹倉センセ、間に合うのか?」
「今日の一限、授業なんだろ拳児君は。間に合えば居るし、間に合わなかったら居ないよ」
「そーだな」
887Blue Sunshine:05/06/06 20:37 ID:PS/6o0Zo

「何か上に着たまえ。風邪引くよ」
「うるせぇな。着ればいいんだろーが」

 そのまま播磨は自分の部屋に戻り、絃子はシャワーへと向かった。いつもと変わらない風景だった。


 一階の駐車場へ降りてみると、思ったより陽は昇っていなかった。代わりに使ってくれと言われた車は
一晩中葉子を待ち、それに近づくと昨日と変らずに違和感を与えてくるが構わずに鍵を差し込む。葉子は開けたドアを
軽く開けたり閉じたりして遊んでみた。
 絃子の住んでいる部屋のベランダを見上げてみて、そこにいた自分を思い返してみる。車が小さく震えた気がして
葉子はドアから手を離し、鞄を助手席にやった。

「急かさないで。分かっているわ、遅れちゃうものね」

 走り出した車は、まだ仕事に向かう車で賑わう前の道路を行く。事故にあった現実は無くならないけど
怪我も無かったし、お金も保険でなんとかなるし。そう考えると、急に思った通りに動いてくれるようになった車と
同じように心も軽快になっていった。
 他に友人がいないわけではない。それでも絃子と播磨を選んだ事は良い判断だと葉子は思った。
ラジオは朝の渋滞を知らせていて、葉子が今通ってきた道は渋滞が起きているらしかった。ハンドルを一度叩いてやって
ありがとうと労いの言葉をかけると、それに答えるように車は進んでいく。
 ラジオが言うには今日は一日晴れらしい。天気が崩れる事は無いだろう、と。
 葉子は水面に使う青の色が決まらなかったのだが、今の空の色にしようと思った。播磨が昨日やっていたように
窓を全開にすると風が思いっきり吹きつける。髪が乱れるのかもしれないが、それでも良かった。
 水面の色について美術家の頭では、相応しくないのではないのかと疑問を呈してくるが、それが一番なのだと思ったのだ。
 違うのならいくらでも変えればいい。目の前の大きなパレットには無限の色彩が広がっている。
 そこには絃子と播磨と共に見た空が広がっていた。



 END
888Classical名無しさん:05/06/06 20:38 ID:PS/6o0Zo
Blue Sunshine、いかがでしたか?
よろしければ気付かれた事を教えてください。
読んで下さった皆さん、ありがとうございました。
889Classical名無しさん:05/06/06 20:49 ID:bEzBQTZA
こういうほのぼのSSも良い物ですね。
特に悪いところは見あたらないと思います、GJ!
890Classical名無しさん:05/06/06 20:55 ID:cPDn0VrI
上手なside-Bですね
7つ目の5行目に脱字?かと思われますが(誰も言いませんよ?)
話としては非常にきれいな印象を受けます

更に次の作品を期待します
GJでした
891Classical名無しさん:05/06/06 22:02 ID:kUQ8.sMw
只今473kb
480kb到達で誰か宣言or指名で立てることにしては
892Classical名無しさん:05/06/06 22:04 ID:PS/6o0Zo
このSSは支援スレ2の832さんのレスから広げてみました。
自分もそんなSSを読んでみたくなり書き始めたら、このSSとなりました。
832さん、こういう三人の一コマを想像しましたが、いかがでしょうか?
また感想を下さった889さん、890さんありがとうございました。

≫871
私自身、このSSで完結した話として投稿しましたから続きは何も考えていません。
未来形SSはかなり無理をして考えなければならず、安易に様々な設定の改変しない様注意を払いました。
大変ありがたいと思っていますが、これ以上書くということは多くのキャラを変えていかなければならず、
私にはその力があるとは思えません。
ご期待に添えられず、すみません。

≫872
うめぼしの謎は、何故かはまったんですよ。
あの頃はボンボン坂高校とかマキバオーとか王様はロバとか、面白いギャグ漫画がありましたね。
893Classical名無しさん:05/06/07 01:36 ID:PnjO8pYQ
>>890
わざわざそんなこと誰も言いませんよ
という意味だと思われ
ほのぼのした日常のひとコマ、GJですた
894Classical名無しさん:05/06/07 12:59 ID:2IHHLvZ6
つーか、いつの間にか470k越えてるじゃねーか。
新スレはどうするよ? キリがいいとこで900か?
895小ネタ:05/06/07 23:17 ID:RRvcy5ic
埋めには早いですが、久しぶりにMMRネタ投下


おれたちはとんでもない思い違いをしていたようだ。これを見てみろ。
まず播磨拳児をアルファベットで表記する
『harimakenji』
これを並び替えると、出来上がる言葉は・・・
『harem ikanji』すなわち、『ハーレム、いい感じ』!
つまり!「播磨拳児」とはもともと播磨ハーレム万歳!という言葉だったのだ!!

 ナ、ナンダッテー!!!


おれたちはとんでもない思い違いをしていたようだ。これを見てみろ。
まず花井をひらがなで表記する
『はない』
これを逆から読むと、出来上がる言葉は・・・
『いなは』すなわち、『稲葉』!
つまり!「稲葉」はもともと、花井好きの女を出すためだけに作られたキャラクターだったのだ!!

 ナ、ナンダッテー!!!・・・いや、そうだろ!!!
896小ネタ:05/06/07 23:18 ID:RRvcy5ic
おれたちはとんでもない思い違いをしていたようだ。これを見てみろ。
まず麻生をアルファベットで表記する
『aso』
これを並び替えると、『s,oa』・・・ス、オウ・・・周防!
つまり!アソミコフラッグは既に名前の時点でできていたのだ!!

 ナ、ナンダッテー!!!


おれたちはとんでもない思い違いをしていたようだ。これを見てみろ。
まず刑部を二重にアルファベットで表記する
『osakabeosakabe』
これを並び替えると、出来上がる言葉は・・・
『osakabe aso abek』・・・『刑部、麻生、アベック』!
つまり!人気投票で刑部×麻生が10位にランキングされていたのは、作者の意図の表れだったのだ!!

 ナ、ナンダッテー!!!
897Classical名無しさん:05/06/07 23:19 ID:NdLJuLyQ
支援?
898小ネタ:05/06/07 23:19 ID:RRvcy5ic
「へぇ・・・ところで麻生先輩のカップリングをネタにしていますけど、なぜアソサラが
ないんでしょうか?キバヤシさん?」
「え?なぜMMRの会合にサラが・・・」
「それは作者の都合です。そんなことより、わたしが黒化してもよろしいんですか?」
「う・・・よし、やってみよう。あ・・・」


おれたちはとんでもない思い違いをしていたようだ。これを見てみろ。
まずサラ・アディエマスをアルファベットで表記する
『sarah adiemas』
これを並び替えると、出来上がる言葉は・・・
『arashi,sadame』すなわち、『荒らし、運命』!
つまり!「サラ・アディエマス」とはもともと荒らしになる運命という言葉だったのだ!!

 ナ、ナンダ・・・「・・・ご自分の状況がよくわかっていないようですね。」

『う、今のは取り消しだ。えーと・・・』


おれたちはとんでもない思い違いをしていたようだ。これを見てみろ。
まず黒サラ・アディエマスをアルファベットで表記する
『kuro sarah adiemas』
これを並び替えると、出来上がる言葉は・・・
『aso harima dark resu』すなわち、『麻生、播磨、ダーク、レス』!

つまり!「黒サラ・アディエマス」とはもともと麻生にとっても播磨にとってもろくなレス
にならないという言葉だったのだ!!

ナ、ナン・・・「・・・神へのお祈りはできましたか?」
899Classical名無しさん:05/06/07 23:21 ID:kO0I7R3M
くだらねぇwwwよくおもいつくなwwwww
900小ネタ:05/06/07 23:21 ID:RRvcy5ic
「あ・・・これはサラ黒化反対という意味だったのだが・・・それなら白で」


おれたちはとんでもない思い違いをしていたようだ。これを見てみろ。
まず白サラ・アディエマスをアルファベットで表記する
『shiro sarah adiemas』
これを並び替えると、出来上がる言葉は・・・
『aso harem hasiridas』すなわち、『麻生ハーレム走り出す』!
つまり!「白サラ」はもともと麻生ハーレム推奨!という言葉だったのだ!!

 ナ、・・・「・・・ご自分の状況がよくわかっていないようですね。」



俺たちは知った・・・アングルモアの大王は、6年降臨が遅れたことを・・・



以上です。また埋めにきます。
901ばばーん♪:05/06/07 23:26 ID:ZJL2lfg.
>900
英国教会の(なぜか)赤い法衣を着たサラさんが
キバヤシ達を安楽椅子の刑に処してくれるよ。ゆっくりと茶道部特製○○入り茶を飲みんしゃい
902小ネタ:05/06/08 00:08 ID:v4riK/dg
よく考えたら、クロスオーバーは禁止だった・・・
ネタということでならいいですか?
903Classical名無しさん:05/06/08 00:18 ID:.R.c1Utc
つまりこれは今鳥、花井、麻生、播磨、サラなんかが話しているという設定にしてしまえばいいわけだ
904Classical名無しさん:05/06/08 00:21 ID:.xizwNac
ギャグだからある程度許容されるだろうし問題ないかと
笑わせたもん勝ちだし

余りの強引ぶりに楽しませてもらったよw
905Classical名無しさん:05/06/08 00:25 ID:nF./AY1.
>900
新スレよろしく
906Classical名無しさん:05/06/08 01:32 ID:l8bcXiq6
>900
>俺たちは知った・・・アングルモアの大王は、6年降臨が遅れたことを・・・

遅れすぎだ。
親戚の法事でもあったのか。
907Classical名無しさん:05/06/08 09:44 ID:5OFYkfmI
480kb行ってからではどうかと
908Classical名無しさん:05/06/08 09:47 ID:5OFYkfmI
>>902
全然問題ないと思う
小ネタシリーズ期待してます
909Classical名無しさん:05/06/08 10:47 ID:vpBTXJMY
ザンブロフスキ
910Classical名無しさん:05/06/08 13:29 ID:m7N.KabQ
今479KBか
そろそろ立てるか?
911Classical名無しさん:05/06/08 14:25 ID:fdfm74co
メモ帳でいろいろ必死こいて
アナグラム考えたであろうRRvcy5icに少し萌えた
912Classical名無しさん:05/06/08 14:40 ID:iiNbusbY
480kb到達
とりあえずいってみるか
913Classical名無しさん:05/06/08 14:46 ID:iiNbusbY
スクールランブルIF24【脳内補完】
http://sports2.2ch.net/test/read.cgi/entrance2/1118209410/

後は思う存分埋めるがよい
914Classical名無しさん:05/06/08 16:19 ID:K4dZc/TQ
天満ちゃんはとっても
キュート♥
915Classical名無しさん:05/06/08 19:40 ID:QaNqDF8U
埋めだからって嘘はいかんと思う
916Classical名無しさん:05/06/08 20:06 ID:ms9XiGDk
>>915
周りが標準より上過ぎるだけだよ。
天満ちゃんはラブリーだよ。(播磨アイがいるけど)
と、言ってみる。

>>902
このネタは、どれくらいかかったんですか?
『並び替えたら〜』とか『〜だったのだ!』とか全然思いつかないよ。
すごいなぁと思うと同時に、頭の回転もいいなぁとも思う。 GJでした。
917702:05/06/08 22:25 ID:8XT2y2nc
一応完結したものの後日談なので埋めに使用
918702:05/06/08 22:27 ID:8XT2y2nc
――――後日、昼休み

「あー、結城」

廊下で誰かに呼び止められる。
担任の谷先生だ。

「朝のSHRの時は忘れててな、悪いけど次の授業に必要な資料を
 取ってきて欲しいんだけど…」
「あ、はい」
「すまないな、少し重いかも知れんから気をつけてな」

そんな物、私みたいなか弱い女子生徒に運ばせるんじゃないわよ。
いや、これはあの日の事を問い質すチャンスかもしれない。
なにしろ『理由』が向こうからやってきてくれたのだ。

「分かりました」
「じゃ、これ持って来てもらう物のリスト」

919702:05/06/08 22:28 ID:8XT2y2nc
先生からメモを受け取り教室へと急ぐ。

「花井君、ちょっとイイ?」
「むう、な、何だ? 結城君」

あからさまに不審感を感じさせる返事が返ってくる。

「先生に頼まれて資料室に行くんだけど、持って来る物が多すぎて、
 手伝ってくれない?」

彼の性格を考えれば、まず断る事は無いだろう。

「うむ、よかろう。この花井春樹、学級委員として皆の役に立てるならばな」

実に予想通り過ぎる答えに力が抜ける、学級委員は関係ないだろう。
それにしてもその口調、あんたは一体何時代の人間だ?
まあいい、とにかくこれで邪魔は入らないだろう。
920702:05/06/08 22:29 ID:8XT2y2nc
「では、早速資料室に向かうとしよう」
「え、うん」

どうやって問い詰めようか、そんな事を考えている内に資料室につく。

「で、何を持って行けばいいんだ?」
「ああ、コレにかいてあるから」

先生から預かったメモを彼に渡す。

「コレとコレは僕が持っていくとして…コレとコレは結城君だな」

彼は一人で淡々と仕事をこなしていく、このままじゃダメだ。
当たって砕けろ、いや、砕けてどうする。
921702:05/06/08 22:30 ID:8XT2y2nc
「あ…あの、花井君、ちょっと聞きたい事があるんだけど…」

まずは軽いジャブから。

「周防さんとは付き合ってないって聞いたけど、ホントに?」

間髪入れず返事が来る。

「はっはっは、僕が周防と付き合う?そんなことなど有り得ないな、
 なぜならば僕には八雲君と言う素晴らしい女(ひと)がいるのだから」

流石と言うかなんと言うか…言い切りやがったこの男。
しかも聞いてないことまで。だけど…

「塚本さんの妹さんって確か播磨君と付き合ってるんじゃなかったっけ?」

疑問をそのまま口にする。

「ふっ、全く問題は無い。八雲君には以前確認済みだし、
 播磨には別に好きな女性がいるらしいからな」

ふぅん、そーなんだ。播磨君の好きな人って一体だれなんだろ?
見たところ一番親しそうなのは沢近さんだけど…ってそれどころじゃない。
今回の目的を果たさなければ。
922Classical名無しさん:05/06/08 22:33 ID:QaNqDF8U
虹支援
923702:05/06/08 22:33 ID:8XT2y2nc

「もうひとつ、いい?」
「僕に答えられる事ならば、な」
「土曜日の事、なんだけど」

言うと同時に彼は私との距離を取る。

「な、なんのことかな?」

明らかに何かに怯えている。私は一歩づつ彼との距離を縮め、
彼の顔を両手で掴み、ぐいっと引き寄せてから尋問を再開する。

「何が、あったの?」
「は?」

互いの呼吸が聞こえるほどの距離での間の抜けた声。

「何もおぼえてないのよ」
「あれを、か?」

信じられない、といった表情を見せる。

「だから教えて欲しいって言ってるのよ」
「成程、ならば僕よりも周防に聞いた方が良いのではないか?」

それが出来ていればこんな事などしない。
924702:05/06/08 22:34 ID:8XT2y2nc

「教えて貰えなかったのよ」
「そうだったのか、しかし周防が教えなかった事を僕が教える、というのもな。
 それに世の中には知らぬ方が良いことも……」
「それも周防さんに言われたわ、
 だけど自分のした事くらい知っておきたいじゃない? それに、ね」

彼の言葉を途中でさえぎり、にっこりと笑いながら。

「貴方には拒否権は無いのよ、花井君。
 この状況を誰かに見たらどう思うかしら、ね」

間違いなく誤解されるだろう。
それは私も望むところだ。

「なっ……仕方が無い、白状するしかないか…。その前に…」

まだ何かあるのか?往生際の悪い男だ。

「この手をどけてくれないか?」
「イヤ、離したら逃げるでしょ?」

当然の要求と拒否、彼も私も必死だ。
925702:05/06/08 22:35 ID:8XT2y2nc
彼は諦めたように話をはじめる。

「恐らく何かの弾みで酒を飲んだのだろうな、
 僕が見たのは途中からだが、一升瓶を持って暫く周囲の人間に
 絡んでいたのを見たな。その後は…」

そこまで話すと彼は顔をしかめる。
ここまで聞いたら最後まで聞かなければ私の気が済まない。

「で、その後は?」
「うむ、その後に僕と周防に絡んできてな、僕達の関係や行動について、
 そのほかにもいろいろな事を好き勝手にわめき散らした上、意識を失ってしまった。
 細かい事は省くが概ねそんな感じだったな」

顔からサーッと血の気が引いていく。
いつもと変わらぬ口調で彼が言う。

「だから言ったろう、知らぬ方が良い、とな。
 ところで、そろそろ手を離してはくれないか?」

え?手?ああ、離してあげないとね。
926702:05/06/08 22:37 ID:8XT2y2nc
と思った刹那、勢いよく扉が開く。

「あ、結城ここにいたんだ。って花井君も?」

声の主は嵯峨野恵、一応私の親友だ、ついでにかなりのゴシップ好き。

「え?ふーん、そーゆーコトだったんだ、ごめんねーお邪魔しちゃって」

ニヤニヤしながら扉を閉める、花井君は固まってしまっている。
マズイ、確かにさっきはこの状況になることも少しは望んでいた、が。
やはりマズイ、特に嵯峨野に見られた、というあたりが。
脳をフル回転させて今すべき事を考える。

一つ、嵯峨野を説き伏せる
一つ、花井君を元に戻す
一つ、資料を教室に持っていく

とりあえずは花井君だ、彼のほほを二、三回はたく。
927702:05/06/08 22:38 ID:8XT2y2nc

「……はっ、僕は……」

うん、正気に戻った様だ。

「ごめん、花井君、資料運んどいて!!」
「え?ゆ、結城君?」

よし、残る問題はあと一つ。
ダッシュで教室にもどり、嵯峨野を探す。

「ねーねー聞いてよ一条、さっき結k「わーわーww」

良かった、どうやら間一髪間に合った様だ。

「ちぇーっもう来ちゃったんだ結城、つまんないの。
 で? さっきのあれ、どーゆーコトなのかな? おねーさんに話してごらん」
「だーかーら、あれはちがうんだって……」

嵯峨野への説得で昼休みの残り時間全てを費やす事になってしまった。

「うんうん、結局結城はアレは誤解だって言いたい訳ね、
 仕方ないなぁ、結城がそう言うんならそーゆーコトにしといてあげよう」
928702:05/06/08 22:40 ID:8XT2y2nc
結局嵯峨野への説得で昼休みの残り時間全てを費やす事になってしまった。

「うんうん、結局結城はアレは誤解だって言いたい訳ね、
 仕方ないなぁ、結城がそう言うんならそーゆーコトにしといてあげよう」

意地の悪い笑顔でそう言って来る。
これから暫くの間はからかわれ続けるのだろう。
ひとつ問題が解決したら必ず次の問題が現れる。
何で私ばかりが……最近よくそう思う。
答えなんかきっと無い、ひとつずつ解決していく他はないだろう。

「考えても仕方ない、か」

今日の所はそう結論付けて、授業に意識を集中させる。
荷物運びを一人でこなし、ぐったりしている花井君を目の端に止めつつ。


――――了
929702:05/06/08 22:41 ID:8XT2y2nc
以上、お粗末様でした
930Classical名無しさん:05/06/08 22:44 ID:QaNqDF8U
残り2KB…この残量なら言える!

さがのん(*´Д`)ハァハァ
931小ネタ:05/06/08 22:57 ID:/N6axV8.
>>916
正味一時間ってとこですかね・・・何やってんだ俺
W杯日本勝利万歳!
ついでにネタ投下(今、いいんでしょうか?)

「ミコちーん、デートしよ」
「またかよ今鳥、あっち行ってろ」
「それじゃあ、喧嘩で麻生や花井に勝ったら、デートしてくれるか?」
「は?・・・本気で言ってるのか?」
「よし、麻生、花井勝負だ!」
「今鳥、お前何を考えてるんだ?」
「腕の折れたお前に勝ち目はないぞ」
「うるさい、くらえ!ドジビロンパンチ!ドジビロンキック!」
「二人とも一発で!何だあの技は?少林寺拳法の猛者である花井を・・・」
「見切ったわ今鳥君、ショウリンジン拳法ね」
「ショウリンジン拳法?」
932小ネタ:05/06/08 22:58 ID:/N6axV8.
『ショウリンジン拳法(小林尽拳法) 』

辛亥革命から九十年ごろ、透乱(すくらん)なる連環画が流行っていた。
ショウリンジン拳法とはその連環画中、最強の拳法であり、これを用いるものは
ほぼ無敵の力が得られるという。例えば初代の達人たるある少女は運動能力零で
ありながら匙を念力のみで曲げ、公共汽車上から矢を射、厠用の吸盤を用いて垂
直の壁を降りるなど、既存の物理学を超越した力が得られたという。
ただし、達人であってもその能力を保持する期間は短く、太上老君シャオリンチン
(小林尽)によって選ばれたもののみが達人として能力を発現させることができる。


( 民明書房刊 「DNAに刻まれた中國 現代人の行動のルーツを探る」 より )

「というわけだ。仁丹を監禁している今の俺は最強だぜ!」
「・・・今鳥君、あなた大変な過ちを犯しているわ?」
「な、何だと?俺の計画に見落としはないはずだ・・・」
「ここはIFスレよ、監禁してもなにもおこらないわ」
「え?・・・」

今鳥恭介・・・このあと麻生、花井、周防にぼこぼこ
933小ネタ:05/06/08 23:00 ID:/N6axV8.
全部は無理か・・・投下!

「・・・というわけで、修学旅行は京都に決まった。誰か実行委員になるものはいないか?」
「ワスら、西本会議のメンバーがやるダス」
「「「「えーっ!!!!」」」」

「西本、何で俺たちがそんな面倒なことやらねーといけないんだよ!」
「僕もそんなに興味ないし・・・」
「まあまあ落ち着くダス。実はこれは修学旅行を隠れ蓑とした、女生徒の写真販売なのダス。」
「「「「?」」」」
「つまりダスな・・・ごにょごにょ
934小ネタ:05/06/08 23:00 ID:/N6axV8.
一週間後
「ねえ、近頃の男子、変じゃない」
「そうね。なんかみんな修学旅行の行き先やお土産について話してるみたい」
「西本願寺とか、奈良県、吉野山、柊とか鶺鴒・・・」
「スサオウノミコトに近況やら
八百万の神出
雲大社。一条通り、高野山、天満宮、沙羅双樹、因幡国とか嵯峨天皇」
「あと言い方が何か、おおさかへ・・・とか、さ、さくらが・・・とか、あと尼崎前」
「「いったい何のことかしら?」」

放課後
「だいぶうまく行っているようダスな」
「ああ、嵐(ハリケーン)山、花椿、烏丸大通り・・・魔性以外の男子の予約は一応できたぜ」
「・・・なんか最後だけ、恨みこもってない?」
「気のせいだろ(チクショー、俺のミコちゃんに手を出しやがって)」
「でも、人気の高かった近況、八(省略)雲大社、一条通りがちょっとね・・・やっぱり
フリーじゃないって言ううわさが出たから・・・その層が代わりに先生方に向かっているみたい。
せっかく撮ったのになあ」
「責任の一端は鶺「鴒」にあるようダスな」
「え・・・ま、待て、それより八(省略)雲大社と付き合っている、嵐山だろ」
「そうだ、しかもあこがれの近況さんを奪い取り」
「僕を天満宮に近づかないように脅すし・・・」
「高野山姐さんの唇も奪ったダス・・・策が必要ダスな」
935小ネタ:05/06/08 23:01 ID:/N6axV8.
翌日放課後、西本会議+男子モブたち
「・・・というわけで、播磨が忘れた携帯を手に入れたダス。これで弱みを握るダス。」
「「「・・・て、唐突だろ!!!」」」
「ちなみにアドレス帳には「イトコ」「妹さん」「お姉さん」「葉子姉ちゃん」の四人のみダス」
「「「ぷっ、友達がいないからって、家族だけかよwww」」」
「わざと電波の状態を悪くして、本人に成りすますダス・・・(ピポパ)もしもし、イトコか?」
「・・・拳児くん、学校にいるときはかけるなと、あれほど言っただろう?それはそうと、今日は何時に帰ってくるん(ツーツーツー)」
(しーん)ついでになぜか刑部先生のそばにいたゴリ山死亡
「「「刑部先生が・・・播磨と同棲?」」」
「お、落ち着くダス・・・(ピポパ)もしもし、妹さん?」
「・・・播磨さん?あの、今週の週末も播磨さんの家に泊まるんで(ツーツーツー)」
(男子の半分石化)ついでになぜか八雲のそばにいた花井死亡
「「「塚本八雲が・・・やっぱり播磨とそこまで・・・」」」
「き、気を取り直してかけるダス・・・(ピポパ)もしもし、お姉さん?」
「あ、ハリオー!ひさしぶりだね!一緒に暮らしていたとき以来じゃないの(ツーツーツー)」
(男子全員石化)ついでになぜかお姉さんのそばにいた谷先生死亡
「「「姉ヶ崎先生まで・・・播磨と」」」
「次は・・・またいやな予感がするダス・・・(ピポパ)もしもし、葉子姉ちゃん?」
「あ、拳児君?この前のドライブ、どうして断ったの?」
(男子全員崩れ落ちる)ついでになぜかお姉さんのそばにいた謎のゴルゴ似の男死亡
「か、完敗ダス・・・男として完全にワスラは・・・」
ガラガラッ「いっけねー、携帯忘れるとこだったぜ・・・んっ?どうしてみんな崩れてるんだ?」
「「「・・・播磨様ー!!!」」」
「へっ?」
「「「どうかわれわれにそのお力をお貸しくださいー!!!」
936小ネタ:05/06/08 23:03 ID:/N6axV8.
「・・・安請け合いはするもんじゃねえな・・・イトコや妹さんたちの写真を撮れだと?ふざけるな!
・・・とはいえここんとこ金欠だし・・・限定物の天満ちゃんの写真ただでくれるって言うし・・・」
「手伝ってあげようかしら」
「ん?」

数日後、「八雲の微笑」「顔を赤らめる沢近」「驚いてポテチを落とす刑部先生」(注:すべて播磨がらみ、撮影者:高野)
など、普段見られない写真に男子たちは大枚をはたいた。
こうして播磨は矢神高校の富の三分の一を手に入れた・・・が

「高野山から嵐山へ、天満宮の絵100枚」

・・・すべてをある目的のために費やしたという。

以上、埋め用終わり。
937Classical名無しさん:05/06/08 23:07 ID:QaNqDF8U
>935
ワロスw
小ネタ氏のおかげでまた新しい流れが来たっぽい
938Classical名無しさん:05/06/08 23:26 ID:MfnYczYk
>>929
いい感じだった。基本縦笛だけど虹も捨てがたい俺にとっては。
939Classical名無しさん:05/06/08 23:49 ID:jStCwy4U
702氏も小ネタ氏も共に乙。

縦笛、虹どっとも捨てがたいな。
940小ネタ:05/06/08 23:54 ID:/N6axV8.
898で黒サラのrが一つ多かった・・・
dark→dak(ダーク)か、harima→hamai(きっとmとnを誰かがまちがえたんだ)
ってことで・・・
>>909 ザンブロフスキって何ですか?
zanbrofusuki→sukuran if 902(pozをそれぞれさかさま)
つまり私の>>902をさしているんでしょうか?
>>906 元ネタ:ケロロ軍曹
941Classical名無しさん:05/06/09 00:38 ID:HrF39Q7M
どうでもいいが、
  DARK(暗闇、邪悪、無知)
  DPRK(北朝鮮)
って、似てるよな。
942Classical名無しさん:05/06/09 00:42 ID:eLbOjQBc
どうでもいいな
943小ネタ:05/06/09 02:29 ID:iDjFa8LA
>>941無理やり
「Democratic People's Republic of Korea」
→「Dark force comes to pure cib(v)il people」
944Classical名無しさん:05/06/09 03:43 ID:VSZfK2PM
晶「みなさん、私は飽きました」
愛理「は?」
美琴「どうした高野?」
晶「王道だ旗だおにぎりだといつまでも・・・!」
天満「晶ちゃんどうしちゃったの?」
美琴「さあ?」
晶「そこで私は考えました。そしてある答えに辿り着いたのです!」
愛理「答え?」
晶「私のハーレムを作ればいいと」
三人「・・・・・・は?」
晶「携帯、利き茶、写真、マフィア・・・勝てる!勝てるぞ!!ハハハハハハ!!」
天満「愛理ちゃんのお弁当おいしそー」
愛理「あげないわよ」
美琴「ケチケチすんなよ。もーらい」
愛理「あっ!美琴!」
晶「ハハハハハハハハハ!!」
矢神は今日も平和だ・・
945Classical名無しさん:05/06/09 07:30 ID:UHSJsQhg
>>915
本当だもん
946Classical名無しさん:05/06/09 07:46 ID:On36T5vI
後4kb
947Classical名無しさん:05/06/09 09:47 ID:WVz4vF6o
埋めついでに
おれは辞書ネタが好きだ
948Classical名無しさん:05/06/09 15:37 ID:8UdbS30s
                 |   !. l    ヽ.     ヽ
  /        i   l  | |    ',    ゙、
/       i  |   !  ,1 l     l     ',
     ,'    !  !   ,'  ,'.l ハ     l     i
   /    ,'  ,'  /  / ! ,' | l |,   l  l   |
.  /    / 、._/_/_/,,j./-‐1V|   !.  !  !
  /    /  /,' // , ' /,'   !j l    ,'  ,'  /
. /   ,.'  //,〃/  /'   ,リ!,'  /  / ,.'
'   , '  〃∠'______ / リ  , ' ,/ /
 /  / '´    ̄ ̄ヾl|||l厂 / -''}_,〃'´
-、_,.‐'´                 /
ヽ.`                 ヽ
 r'                  ',
、             ,、     /    ぬるぽ
.`7           /   >   , '
. /ヽ          ヽ-'  ,/
/    \  ,、 ..___..  -‐'
丶    `'ーヽ
   \    / \
     \ ^ヽ  \
949Classical名無しさん:05/06/09 15:41 ID:WVz4vF6o

  ( ・∀・)   | | ガッ
 と    )    | |
   Y /ノ    人
    / )    <  >__∧∩
  _/し' //. V`Д´)/ ←>>948
 (_フ彡        /

950Classical名無しさん:05/06/09 16:16 ID:b8cAbpq.
そんなつまらんもんで埋めるな
後2kb
951Classical名無しさん:05/06/09 19:57 ID:Xl5mDqzc
でも2kbってコネタしかできないか
952Classical名無しさん:05/06/09 19:58 ID:Xl5mDqzc
ということで埋めコネタキボン
953小ネタ:05/06/09 20:12 ID:iDjFa8LA
どうでもいいが、女偏ネタ 
妹 姉 姐 妙 嬢 姫 
それぞれ誰でしょう?
954Classical名無しさん:05/06/09 20:37 ID:ohxiULlE
>>953
妹→妹さん、つまり「塚本 八雲」
姉→お姉さん… と見せかけて実は「塚本 天満」
姐→姐さんといえば「高野 晶」
妙→名前そのまんま「姉ヶ崎 妙」
嬢→やっぱりお嬢だろうな「沢近 愛理」
姫→文化祭にてお姫様役を演じた「播磨 拳児」
かな?
955小ネタ:05/06/09 20:43 ID:iDjFa8LA
ついでに投下
2月14日
「烏丸君・・・ずっと好きでした」
「僕もだよ、塚本さん」

こうして俺の初恋は終わった・・・が
「ハリオー!」「ヒゲ・・・」「播磨さん・・・」
なぜか3人一緒に付き合うことになってしまった

2月28日
「バイト代が入ったぜ!」
「ヒゲ、実は今日・・・」
沢近へ誕生日プレゼント

3月3日
「お嬢へ少し奮発しちまったな・・・今月は出費を抑えねえと」
「ハリオ!今日は私の・・・」
お姉さんへプレゼント

3月14日
「お嬢より少ねえと悪いと思ったが・・・今月は昼飯抜きだな」
「ヒゲ!」「ハリオ!」「播磨さん・・・」
3人へホワイトデーのお返し

3月23日
「何が三倍返しだチクショー!あと一週間、あと一週間、この水とパンだけの生活に耐えれば・・・」
「あの・・・播磨さん、実は今日は・・・」

後はご想像にお任せを

956小ネタ:05/06/09 20:46 ID:iDjFa8LA
>>954 姉は天満か刑部先生
女づくしで、姫は一応姫役の周防を考えてました
957954
>>956
無念! 裏読みし過ぎちまったようだぜぃ……