>1サン乙
3 :
Classical名無しさん:05/04/06 18:19 ID:kLVMrYQk
日 凸 ▽ ∇ U
≡≡≡≡≡≡≡ ∧_∧
U ∩ [] % 曰 (´・ω・`)
_________|つ∽と)
 ̄ ̄ ̄ ̄
―――――――――――
━┳━ ━┳━
 ̄ ┻  ̄ ̄ ̄┻ ̄ ̄ ̄ ̄
やあ (´・ω・`)
ようこそ、バーボンハウスへ。
このテキーラはオープンサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。
うん、ついに念願の開店なんだ。済まない。
あれだけひどい事をしてしまった君に、いまさら祝ってもらおうとも思っていない。
でも、このスレタイを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
「なつかしさ」みたいなものを感じてくれたと思う。
殺伐とした世の中でも、時には楽しかったあの頃を思い出し、思いをはせよう。
そう思って このスレを立てたんだ。
じゃあ、注文を聞こうか。
6 :
ギーガp:05/04/06 18:35 ID:szh93BjU
超姉シリーズと題しまして、第一作目、落とします。
8月23日 晴れ
今日からペットが家に住む事になった。名前を「播磨拳児」君と言う。
相当の不良になったと聞いていたが、実際はそうでもない。ただの脳足りんだ。
幼い頃から「女性にはみだりに手を出すな」と脳髄の先まで刻み込んでいる。
……万が一にも、拳児君が私に何かをする事は無いはずだ。
―――だが。ふむ。
念のためだ。何時でも対応できるように、ついでに彼の馬鹿な行動へのツッコミ用にモデルガンは常備しておこう。
8月24日 曇り
今日から天気は崩れ始めるようだ。
そして拳児君を高校に入れる……という私の意気込みも、崩れ落ちそうだ。
今日からあの忌々しい駄犬の成果を書きこもうと思う。
国語
これについては問題は無い。ただ新しい漢字を作り出すのはやめてくれ。
対応として一ヶ月以内に漢字字典の文字全てを覚えるように命令しておいた。
国語はこれで問題なかろう。拳児君の顔は引きつっていたが。
数学
まあこれに関しては最初から期待してはいなかった。
していなかったが……予想を裏切る馬鹿パワーだった。何で九九を完璧に覚えて無いんだ、君は。
中学からだろう?荒れだしたのは!
とりあえず九九の暗記、中一の教科書の公式丸暗記を一ヶ月間させる。
そろそろ拳児君の顔が青ざめてきた。
英語
頼むからローマ字読みは止めてくれ。というか止めろ。
まずは英単語からなので、英単語帳を一冊与え、一ヶ月間に全て覚えろと言っておいた。
拳児君の顔から生気が抜け落ちてきた。
理科
案外出来ていたことに驚く。やはり私のように理系なのか…?
いや、コイツは根っからの体育会系だ。
これも偶然だと思い、問題集を渡し、一ヶ月間に終らせろと言っておいた。
拳児君は真っ白に燃え尽きていた。どうでも良いが、私はとっつぁんではない。今度言ってみろ、血の雨が降るぞ。
社会
まさかこれが一番駄目だとは思わなかった。
地理……なんで神戸が横浜の県庁所在地なんだ!君は今まで何やっていたんだ!!……何もやってなかったよな
歴史……何でそんなに人名だけは達者なんだ……。高校レベルの人名まで……。
まず日本地図渡して都道府県と県庁所在地を明日までに覚えろ、と言っておいた。
そして歴史の年表を渡し、一週間以内に全て覚えろ、とも言っておいた。
拳児君は「けんじがない。ただのはりまのようだ」などと言っていた。妙なところでパロディをやるな。しかも意味不明。
正直、コイツを高校に上げるのは無理かもしれない…
「そういえばこんな事もあった……」
パタン、と日記を閉じて呟く。私もまだまだ子供だった。
「絃子、メシだぞー」
3年前よりは幾分マシになった男の声が聞こえる。
まあ、この男が来て、家事を全部押し付けられるようになったのは幸いか……。
「今行くよ。それより”さん”を付けないか」
そして私はまた引き金を引く。
自分が、穏やかな顔をしている事を自覚しながら―――。
支援?
12 :
ギーガp:05/04/06 18:41 ID:szh93BjU
以上です。
シリーズ物なので、監察日記ではありませんが、超姉もう少し書きます。
いつになるかは分かりませんが…。
前スレ後ろのほう読んでて思ったんだが何であれだけ設定だの低質化だの
議論しておきながら、ちょっと作品が投下されただけで
一気にマンセームードになるわけ?
議論してる人とマンセーしてる人はきっちり住み分けてるとしか考えられないんだが
みんな絃子が大好きなんだよ。
S3に入れないぜ
そんなこたぁないぜ
観察ではなく監察なのは何らかの伏線?それとも単に間違えたのか?
>>15 みんなご都合主義的作品が好きじゃないってだけだよ。
キャラとちゃんと捉えてて、無理のない展開で、過不足なく描写されてれば文句などあろう筈が無い。
>>20 うむ。ただ、職人の芽を潰したくないって意識は働いてるかもしれん。
その分ちと評価が甘くなってる雰囲気はする。
もちっと突っ込めるとこは突っ込んだ方が職人のためにはなる、と個人的には思う。
>>21 無理に突っ込むと、その作品の評価なのか、単に自分の好みを作者に押し付けてるだけなのか、
そのへんがかなり微妙になる。(単に俺の国語力の問題かもしれんが)
だから添削するような感覚で評価を書くようなことは個人的には控えてる。
大丈夫だろう。指摘はされてるし、作者もその情報の取捨が出来てるし。
量ではなく質さえあれば十分にスレは成り立つはず。
なるほどねー まあスレの雰囲気が微妙になっていたし、
ギーガp氏はマジで救世主だったな
25 :
ギーガp:05/04/06 22:21 ID:eEFsPqUI
>>19 言われてから気が付く。正直スマンカッタ。監察→観察です。
漏れが天満を書くとナチュラルに嫌な奴になる件について。
嫌いなんじゃないよ。ホント。隣子の次に愛してるのに…
>>1乙(・∀・)
監察でもあってる気がしなくもないw
28 :
Classical名無しさん:05/04/06 23:29 ID:/4fpKYb.
>>25 監察だと播磨の行動を取り締まるような感じだな
27同様それはそれで合ってるような…
>>26 おいおいw
隣子の次って微妙ジャマイカw
>>1乙
もう22か・・・思えば遠くまで来たもんだ。
そこが天満は難しいと言われる所以なのかな…。
個人的には無理矢理に近い勘違いさせるよりも人工で天然っぽく見せるのに神経を使うが。
33 :
nb:05/04/07 03:43 ID:s2LOWOF6
おにぎり(?)投下してみまス。
当方スクランのSSは初挑戦…
是非キタンの無いご意見・ご指摘・ツッコミをばお聞かせ下さい。
では…題名『CAT PEAPLE』
伊織が抱かれている…播磨さんの腕の中に…
私が想いを寄せている…彼の胸に抱かれている…
カラダをグリグリこすり付けて、いっぱいいっぱい甘えてる…
播磨さんもそれに応えて、あっちこっち撫でてあげてる…
…あぁ…何だかとっても気持良さそう…
ニャ〜♪
だってあんなに嬉しそうに、甘えた声で鳴いてる…
…羨ましい…ちょっと悔しい…
「………いいな……伊織………」
そんな伊織を見つめながら…私は思わず呟いた。
『CAT PEAPLE』(題名)
高野先輩…そしてサラが言ってた…
『“ご主人さま”に擦り寄って、『可愛がって』と甘える“ネコ”程、可愛くてそれが様になってるペットは他に存在しない』って…
「や…ちょ…ちょっと妹さん!?何やって…」
昼休みの屋上…播磨さんとのいつもの密会…でも…今日の私は少し“違う“…
黒いネコミミ付のカチューシャ。赤の首輪に金の鈴。手には肉球のついたのグローブ。ついでにスカートの裾からは、ぴこぴこシッポが覗いてる。
「にゃ…にゃお…」
鼻にかかった甘い鳴声…伊織のそれを真似てみる。
ネコ…今日の私はペットの子ネコ。甘えんぼで寂しがり屋の…ご主人さまは播磨さん。
「…に…にゃぁ…」
恥しくって顔が熱い…眼が潤んでいるのが解る。でも頑張る。鳴声と、懇願の視線に精一杯の想いを籠める…
私のコトをみて下さいと…甘えさせてくださいと…私にかまってくださいと…
…可愛がって下さいと…
「い……妹さん…?」
「…にゃぁ……」
呆然として、固まってしまった播磨さん…私は彼に近づいて、胸にそっとしな垂れかかる…
思わずよろけてしまった彼……私、それほど重くは無いつもりなんだけど……そのまま一緒に倒れこむ…
でも播磨さん、私が転げ無い様にって、きゅうっと抱きしめてくれた。
播磨さんの腕の中…温もりを感じる…鼓動を感じる…息遣いを感じる…
あぁ…やっぱり…とってもとってもキモチイイ…
ご主人さまの腕の中…それはペットの子ネコにとって、このセカイのどの場所よりも、落ち着き安心できる場所…
「…い…イモウトさん…?」
「………にゃぁ〜♪…」
私はとても幸せだ…意識が蕩けてしまう位…
「…………………はっ?……」
目が醒めると其処は何時もの場所…そう…ここは…私の部屋のベッドの中…
「……今の…夢…?」
…あれ…夢…?昼休み、何時もの学校の屋上で、何故か自分はネコの“こすぷれ”をして…播磨さんに迫って甘えて…しっかり抱っこしてもらって…
…え?……私…播磨さん…抱っ…
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!?」(赤)
…わ……私…なんて夢を……頭が顔がカラダ中が…燃えてるように熱くなる…まるで火がついたみたいだ。
「………ご…ゴメンなさい…播磨さ………ぁぅ…」(真っ赤)
本当に恥しい。まさかあんな夢を見るなんて…播磨さんに抱っこされた伊織にヤキモチ焼いて…自分もそうして貰いたいって…
私も…ペットの“子ネコ”になって播磨さんに可愛がって貰いたい…そんな夢まで見てしまうなんて…
ごめんなさい…播磨さん…
「…ぁ……で…でも……」
…夢だった…夢だった……けど…あの播磨さんにきゅって抱っこしてもらえた…甘えられた…恥しいけれど…それはとてもキモチが良いコトだった…
あの場所は…播磨さんの腕の中は…私にとって本当に本当に心地の良い場所だった。だから…
「………嬉しかった……かな…」(赤)
とても嬉しい夢だった…私はいま…とっても幸せ…
38 :
nb:05/04/07 03:56 ID:s2LOWOF6
以上で『CAT PEAPLE』終了です。
…短い上に拙い出来、ありがちなネタで恐縮ですが…
ご意見お聞かせ願えると幸いです。
心が萌えた。とにかく萌えた!
GJ!としか自分は言えない。スマン
忌憚の無い意見ということですので一言。
八雲のポエムとして読むとなかなか面白いと感じたが
SSとしては三点リーダーの多用や句読点の根絶が目につく。
あと八雲が猫耳姿で甘えるところがこの話の要点だろうから
そこへの導入にもう一ひねりあればさらに良くなると思った。
>>40でも漫画でもあるように、八雲って三点リーダが特徴じゃ…?
まぁ批判できない人間だがこれだけは言ってみた。
結局、天満にはヒロインとしての魅力が決定的に欠けてるんだよな。
池沼な行動を延々と繰り返すだけで、読者にも作者にもどうでもいい存在なんだろう。
小林はこれ以上みじめな末路をたどる前に引導を渡してやるべきだな。
44 :
ギーガp:05/04/07 09:43 ID:uTBrQtNg
超姉シリーズ第2弾、と言う事で投下いたします。
多少キャラが黒くなっているので注意。
何時ものように、漫画を書いていただけだった。
だと言うのに、何故こんな事になっているのか。
「あの……播磨さん?このヒロインって、もしかして……」
「い、言うなぁっ!頼むから……頼むから、何も言わず、黙って読んでくれ!!」
「は、はい!」
そう言って、妹さんはまた漫画を読み出す。ヒロインは―――刑部絃子。
笑える事に、恋愛物だ……俺との!!
アレは……確か、一週間まえだったか?
俺は何時もの通り部屋で漫画を書いていた。愛しの天満ちゃんがヒロインの、素晴らしい恋愛ストーリーを。
今度のは自信があった。筆の滑りも、ストーリーも。
ぶっちゃけ、今までで一番かも知れなかった。
「―――へぇ。君はそんな風に漫画を書くのか」
あの、憎たらしい従姉が登場するまでは。
あの女、何を思ったかいきなり原稿を取ってじっくり品定めした挙句
「ふむ……。独りよがりで見るに絶えないストーリーだが、まあ画力はあるな」
「これなら……ふむ。拳児君、これは命令だ。私を―――ヒロインにしろ」
―――ハァッ?ってなモンだ。
正直にそんな反応返したから、銃弾の雨が降り注いだけどな。
「いいから黙って書け!!」
「ぐぅっ……畜生、分かりましたよ!!たく…そんなんだからうれのこ―――」
言葉が最後まで出る前に俺が最期を迎えそうになったぜ。
まあ、何はともあれ、書きたくもないヒロインで、書きたくもない漫画書くことになっちまった。
「ああそれから、出来上がった物はまず塚本君に見せる事」
「なっ……それだけは出来ねえ!!なんだって天満ちゃんに」
「姉じゃない、妹だ馬鹿者」
ってな感じで、なぜか妹さんにも見せる事になった。何がしたいんだ?あの従姉は……。
何時も通りの、穏やかな時間―――の、はずだった。
何時も通り、漫画を見せてもらって、感想を述べて、播磨さんと一緒に居られる時間。
なのに、今日渡された漫画が、それを打ち壊した。
「あの……播磨さん?このヒロインって、もしかして……」
―――刑部先生?
「い、言うなぁっ!頼むから……頼むから、何も言わず、黙って読んでくれ!!」
「は、はい!」
播磨さんの気迫に押されてつい頷いてしまった。
とりあえず、じっくり読んで見る。
―――本当に、刑部先生だ。誰が見ても、100%。
胸の奥に、黒い感情が吹き上がってきていることを自覚します。
播磨さん……姉さんが好きなんじゃ、なかったんですか?
私は……姉さんならば、烏丸先輩が好きな姉さんなら、良かった。
播磨さんの想いは通じないから。―――私にも勝機があるから。
なんて、浅ましい女なんだろう、私……。
48 :
Classical名無しさん:05/04/07 09:46 ID:tgu17JBE
結局、何のアドバイスも出来ませんでしたが、昼休みも終りました。
教室へ戻る途中―――刑部先生がこちらへ向かっていました。
その目は……愉悦と余裕を含んで、こちらを射抜いています。
すれ違う様、刑部先生が―――囁いたんです。
「彼は私の物だ。私は彼の物だ。渡しはしない、絶対に―――な」
……。
…………?
………………!?
渡さない。渡せない。渡したくない!
あの人は、播磨さんは、私が、私が―――!
今日一日で、私が随分と「女」だった事に気付かされました。
「これは命令だ。私を―――ヒロインにしろ」
幾ら酒で意識が朦朧としていたとは言え、とんでもない事を言ったと、翌日になって思い悩んだ。
しかも塚本君に見せろ、などと―――。
でも―――自然と、頬が緩む。
彼はどんな風に私を書くのだろう。どんな風に―――彼に、愛の言葉を囁くのだろう。
最初は……私は、彼の創作活動を馬鹿にしていた。何を現実逃避しているのか、と。
今までの彼からは予想も出来ない。いったい誰が、あの不良で、馬鹿で、鈍感で、それでも心根は優しい拳児君が漫画など書くと予想出来たろう。
案の定、漫画はどうしようもない出来だった。―――最初は。
馬鹿な設定。ご都合主義過ぎるストーリー。そして、あまりにも彼女に似たヒロイン。
何度罵りそうになった事か、あの臆病者を。
何故、告白しない?何故、逃げ回っている?何故―――私を書いてくれない?
でも……最近は、違ってきた。
設定、ヒロインは相変わらず馬鹿げているが……ストーリーが、説得力を帯びてきた。
原因は、彼の想い人の妹。
彼と付き合っていると誤解され、それでも彼の傍から離れようとしない、月のような少女。
恐らく、彼女も拳児君に惹かれているのだろう。何しろ、傍に居れば居るほどその良さが分かる、まさしくスルメのような男だ。
気付かない内にもう戻れない所まで来てしまったのだろう―――私のように。
気付けばもう昼休みも終わる。確か……次は2−Cか。
最低限の準備をして、職員室を出る。途中……塚本君が見えた。
根は優しくて素直な拳児君だ。私の言を聞いて塚本君に見せたようだ。
彼女が私を見る。その目は動揺と嫉妬が渦巻いていた。
フフフ……なかなか「女」の表情も上手いじゃないか。
私は彼女に近づき、呟く―――。
「彼は私の物だ。私は彼の物だ。渡しはしない、絶対に―――な」
私も……「女」なんだよ。
52 :
ギーガp:05/04/07 09:51 ID:uTBrQtNg
妙に途切れていますが、これで一応終了です。
全く持って未熟さばっかり。連投規制にポンポン引っかかったり…。
正直、この二人はこの位黒くても良いんじゃないかと思った。
反省はしていない。また書きつづけるだろう。そこに超姉がある限り。
53 :
ギーガp:05/04/07 09:53 ID:uTBrQtNg
>>50の題名は八雲じゃなくて絃子です、間違えました。すみません。
>>48 俺は現状みたいなのがこれからも続くんなら
作者は天満を完全に消すべきだと思うのだが…
私的には天満にヒロインとしての魅力が無いとは思えんし、仮に無かったとしても何か問題あんのか?
そもそも天満はヒロインじゃなくてヒーローとして作られてるキャラだから、天満視点で物語を眺めれば十分面白いと思う。
それに天満がストーリーから消えたら播磨の魅力も半減するだろ。
だから、そこで皆がお望みの播磨ハーレムにすりゃいいじゃん
オリキャラきた
IDのところにきた
>>53 黒いな…、なかなかよかたよ。
>>48 しかしそれに負ける他のキャラはどうすれば…
>>56 露骨にそうなると人気減るんじゃないか?
なんだ、クロスオーバーか
_ ∩
( ゚∀゚)彡 超姉!超姉!
( ⊂彡
| |
し ⌒J
_ ∩
( ゚∀゚)彡 黒絃子!黒八雲!
( ⊂彡
| |
し ⌒J
もう人気、魅力、さらに金づるとしての価値すらない天満をすっぱり切るべきだろうな。
それでループ展開から脱却できる。天満が死ぬのもなかなか面白いかもな。
高野の名前シリーズにワロタ
空気を読まずに投下。
初作品なので、ちょっとぐだぐだしたとこがあるかもしれません。
「・・・でよ、ここをどっかーん!と」
「・・・あ、あの・・恋のお話でどっかーんと言うのは・・・」
ここは矢神高校の屋上。その上で話しているのは播磨拳児とおなじみ塚本八雲だ。
二人はいつも通り、漫画のことについて話している。
「いや!妹さん!オレはこれがいいんだ!」
「は、はぁ・・・」
いつもと雰囲気が違う播磨に、八雲は少しとまどっていた。
(変だな・・・いつもならこんなこと言わないのに・・・)
「・・・・やっぱり変?」
「えっ!あ、いえ、私は・・・おもしろいと思います・・・」
「でも、制作段階の楽しさと、読む人のおもしろさはちょっと違うと思います・・・もう少しわかりやすくしたほうが・・」
「そ、そうか!・・・うーん、こっちのが好きなんだけどな・・・それを言われると・・・」
ピリリリリ ピリリリリ
二人の会話を邪魔するかのように、播磨の携帯にメールが届く。
「ちっ!なんだよこんなときに・・・げっ!!」
携帯の液晶に写された文字は刑部絃子の文字だった。そして
播磨は嫌々ながらメールを見ると
(播磨君へ ちょっと授業態度について話があるから、すぐ職員室にくるように。
PS 逃げると新型の改造銃の実験台になってもらう)
「ちくしょー、絃子のやつ・・・何もこんなときに・・・」
「あの・・・私のことはいいですから、行ったほうが良いと思います・・・」
そういうと八雲は持っていた原稿を播磨に渡した。
「すまねぇ妹さん!せっかく見てもらってたっていうのに!」
「いえ・・・私の好きでやってることですから・・・。それより早くいったほうが・・」
「おっとそうだった!早くしねぇと絃子に殺されるからな!じゃあまたあとで頼むぜ妹さん!」
「あ・・・はい」
そういうと播磨は急いで階段を降りようとした。ところが、
「おっ・・・うわぁああぁあぁあ!!!」
ドンガラドーン!!!
播磨の悲鳴が聞こえると共に何かものが落ちていくような音がした。
「播磨さん!!」
八雲がその音に気づき、急いで播磨の元にむかった。そこを見ると、階段から足を滑って
下で頭に星が回っている播磨を見つけた。
「大丈夫ですか播磨さん!」
しかし、頭からダイビングよろしく壁にぶつかったので、流石の播磨も気絶してしまったようだ。
「どうしよう・・・私のせいで・・・・早く保健室へ・・・!」
そう思うと、一瞬八雲の中の黒い心が動いた。
>>33 ホントほわ〜んとしてて良かったです。
萌え萌えですね。ネコミミ八雲・・・鼻血もんです(゜o゜グハ!
このまま保健室へ行かせたら、きっと姉ヶ崎先生に播磨さんを取られちゃう
私が行かせたせいで、播磨さんは転んでしまった
責任は私にあるんだ・・・。そうだ、私が播磨さんを治療しないといけないんだ
そうよ、私が播磨さんを・・・・
そして数時間後。
(うーん・・・天満ちゃーん、愛してる・・・・)
・・・・まさん・・・・
(誰だ・・・オレを呼んでるのは・・・もしかして天満ちゃん!)
・・・りまさん・・・・
(おぉ、今オレの気持ちに気づいてくれたのか!天満ちゃん!オレも愛してるぜ!!)
は り ま さ ん ! !
(うおーー!!!好きだーー!!!)
がばっ!
「きゃっ!」
きゃ?
「あの・・・は、播磨さん?」
するとそこには、塚本天満ではなく、妹こと塚本八雲がいた。しかも自分に抱かれて。
(あれ? オレどこでどう道を間違えたんだ?ダレカオシエテクダサイ
ていうかなんで妹さんがここに?何で抱いてるんだ?たしか、屋上で絃子に呼ばれて・・・それから・・・・)
!!!
(そうだ、たしかオレは妹さんから漫画を読んでもらって、それから絃子に呼ばれて、全速力でとばしたら
階段から落ちてそのまま・・・・じゃあここは!?)
播磨が回りを見渡すと、紛れもなく自分の部屋だと気づいた。
しかし、驚いてる暇もなく、自分の前で赤くなっている少女が言葉をいった。
「あ・・・あの、播磨さん・・・ちょっと痛いです・・・・」
「え?ああ!!妹さん!!」
彼はやっと状況を理解することができた。そう、気絶した彼をこの部屋につれてきてくれた人は
まぎれもなく彼女なのだ。そして、自分をここにつれてきてくれた少女を、今自分が抱いていることにも気づいた。
「すっすまねぇ妹さん!!」
そういうと彼は素早く手を離した。
「い、いえ・・・私は全然・・・というかそのまましてほしk・・・」
「え?」
「い、いや、何でもないです!」
彼女は顔を真っ赤にしてそういった。
「しかし、妹さん。オレをどうやってここに?」
「あ・・・それは・・・私がおんぶしてここにつれて来たんです・・。」
「え?妹さんがオレを!?」
「あ・・・はい。今にも天国にいきそうでしたので・・・。」
「そ、そうか。すまねぇ妹さん!気絶したオレをここまでつれてきた上に
看病までしてくれるなんて!」
「いえ・・・私が勝手にやったことですから・・・」
「でも、何も妹さんがしなくても、保健室にオレをつれていってくれればよかったんじゃないのか?」
「え?・・・」
彼がその発言を言うと、昼に頭に浮かんだことを思い出してしまった。
そうよ・・・私が播磨さんを・・・・
「妹さん?」
「あ!は、はい!」
「どうしたんだいきなりぼーっとして?」
「いえ、何でもありません!というか何も考えてません!」
「そ、そうか。ならいいんだけどよ。」
彼女は思った。なぜ自分がこのようなことをしたのだろうかと。自分ではなく姉ヶ崎先生に任せればよかったのにと。
そして彼女はなぜ自分が播磨を誰にも渡したくないと思ったのだろうと。
わたしは別に、播磨さんから何とも思われてはいない・・・
だって、私は播磨さんの心を見えないから・・・・
播磨さんは私ではなく姉である塚本天満が好きだということも知っている。
なのになぜ・・・私は・・・播磨さんのことを・・・・・何とも・・・・
渡 し た く な い !
その言葉だけが、頭に大きく浮かんだ。彼女は播磨拳児を渡したくないと。
その言葉が思いついた瞬間、彼女は超えてはいけない線を越えようと思った。
「あの・・・播磨さん・・・」
「ん?何だ妹さん?お礼なら何でもするぜ!」
「いえ・・・礼なんて入らないです。ただ・・・」
「ただ?」
「こんなこと言って変かもしれませんが・・・播磨さん、まだ頭を打ったところ痛いですよね?」
「え、いや、もうだいじょう・・・」
その言葉を言おうとしたとき、播磨には彼女からすごい悲しみが伝わってくることがわかった。
「・・・・ぶじゃないな!うん!まだいてぇよ!」
とっさに思いついた言葉をはなつと、八雲は決心した。
「・・・じゃあ痛みが引くまで・・・」
「・・・私が播磨さんの様子、泊まりがけでみてあげます。」
いきなりの彼女からの申し出に、流石に播磨は驚いた。
「い、いや妹さん!それはあまりにも迷惑をかける!そ、それにもう0時になるし、早く帰ったほうが・・・」
「・・・どうしてですか?」
またもや彼女の言葉に彼は驚いた。
(あ、あれ?妹さんってこんなこと言う娘だっけ?)
「いや、どうしてって・・・・だって、よぉ。い、妹さんだって、年頃だし、そんな人が泊まるなんて・・・」
「・・・いやなんですか?」
「え、い、いやって訳じゃ」
「じゃあ良いじゃないですか。前にも播磨さんの家には泊まりましたし・・・」
「あ、あれは、漫画が間に合わないから止めただけで」
「漫画のことがないと私は泊めてはくれないんですか?」
「い、いや・・・だって、妹さんだってもう疲れてるだろうし」
「私の好きでやりますから、心配しなくても大丈夫です」
「いや・・・だから・・・」
どうして?なんで播磨さんはいやがってるの?
私が女として見ていられないから?
塚本天満の妹として見てるから?
八雲の心は今にも崩壊しそうでいた。その崩壊の前兆は彼女の顔で現れていた。
彼女の顔はいまにも泣きそうで、今にも壊れそうな顔になっていた。
「きらい・・・」
「え?」
「嫌い・・・なんですか?私のこと?」
「だから、そういうことじゃなくてだな・・・」
「私が塚本天満の妹、だからですか?」
「そうでもねぇけど・・・」
「じゃあ・・・・なんで播磨さんは私が泊まるのを嫌うんですか?」
その言葉がでたとき、播磨は何も答えることができなかった。
「・・・・・」
「・・・・・」
「・・・やっぱり・・・」
彼女が沈黙を破って言葉を言った。
「やっぱり私は・・・播磨さんにとって・・・ただのどうでもいい人間なんですね。」
「!!・・・そんなわけねぇ!」
「私は播磨さんにとってどうでもいい存在、消えても気がかりになってくれない存在なんですね。」
「そうじゃねぇ!!」
「じゃあなんで!!」
「・・・・なんで私を・・・私を側に置いてくれないんですか・・・」
そういうと、彼女は泣き出した。目にたまっていた水のしずくを流して。
「いつもそうです、私はただ播磨さんの原稿を書いたり手伝ったりで・・・」
「・・・」
「どんなときも距離を置いているようで・・・私の気持ちに気づいてくれなかった・・・」
「妹さん・・・」
「・・・播磨さん、知ってましたか。私がどんな思いで播磨さんと接してきたか・・・」
「・・・・」
「・・・私はいつも播磨さんを想っていました。原稿を書くのを手伝うときも・・・授業中のときも・・キャンプにいったときも・・・」
「・・・」
「播磨さんが、姉さんのことを好きだと知ったときも、私は播磨さんのことを想っていました。」
「・・・」
「話してくれましたよね、播磨さん?つきあうってどういうことか・・・」
「・・・」
「そういう瞬間を一緒に感じたい、お互いにそう想える人がいる、そういう時間を積み重ねていくことが「つきあう」ってことじゃないかなって・・・」
「・・・」
「播磨さん笑ってましたけど、私、それを聞いて、とてもうれしかったです。」
「・・・」
「だから私も、播磨さんとそういう瞬間を一緒に感じたい・・・そう想いました」
「・・・」
「それで言いましたよね。姉さんが屋上にきたとき、「必ず妹さんを幸せにします!」って・・・」
「・・・」
「私、それを聞いて、たとえ本気で言ったことじゃなくてもとてもうれしかったです・・・」
「・・・妹さん・・・」
「・・・播磨さん。前に「心を読めるんだな?」って言いましたよね」
「ああ・・」
そして、彼女がもっとも秘密にしていることを、彼に言った。
「あのことなんですけど、私、本当に人の心が見えるんです・・・」
「え?・・・」
「笑うかもしれませんけど・・・これは本当なんです」
「・・・」
「でも、みんなの心が見えるわけじゃないんです・・・私を異性として見ている人の心だけ見えるんです」
「・・・」
「人が聞くと、便利だなって思うかもしれません・・・。でも私にとっては入らない力でした・・・・」
「・・・」
「知りたくもないこと・・・人が自分をどんな目で見ていること・・・」
「・・・」
「でも、姉さんだけは別でした。姉さんは心から私を想ってくれてました。」
「・・・」
「でも・・・この力のせいで、一時期不登校になったこともありました・・・」
「・・・」
「人を・・・姉さん以外の人を信じることもできなくなりました・・・」
「・・・」
「でも、そんなとき、私の前に、播磨さんがいました・・・」
「・・・」
「初めて出会ったときを覚えていますか?播磨さん?」
「いや・・・」
「そう・・・ですか。でも・・・私は百年たっても、たとえ死んで生まれ変わっても忘れないと思います・・・」
「・・・」
「・・・私がけがした伊織を連れ戻そうとしてたとき、播磨さん、あなたと出会いました・・・」
「・・・」
「なぜか伊織は、初対面なはずの播磨さんに、抵抗せずあなたになついて・・・」
「・・・」
「そしてそのときに・・・見えるはずの心が、播磨さんだけは見えないことも知りました・・・」
「・・・」
「私は不思議でした・・・なんで播磨さんだけが心が見えないのだろうかと・・・」
「・・・」
「そのときからです。私が播磨さんを意識し始めたのは・・・・」
「・・・」
「それから・・・播磨さんと漫画を書いたり、動物について話してもらったりして・・・私は気付きました・・・」
「・・・」
「私が播磨さんに・・・・好意を持っているということに・・・」
「・・・」
「いつも優しく接してくれる播磨さんに・・・なぜか心が見えない播磨さんに・・・」
「・・・」
「私は初めて恨みました・・・自分の力を・・・」
「・・・」
「・・・なんで播磨さんの心は見えないのだろうと・・・」
「・・・」
「私は悲しみました・・・播磨さんの心が見えないことに・・・」
「・・・」
「播磨さんの心が見えないことは・・・私のことを何とも思ってないということ・・・」
「・・・」
「播磨さんは私のことをどう想っているのだろう・・・どうみているのだろう・・・と」
「・・・」
「・・・そのせいで・・・私は初めて姉さんを恨みました・・・」
「・・・」
「なんで私じゃないの?なぜ姉さんなの?と・・・」
「・・・」
「自分の感情を自分でも抑えられなくなるぐらい・・・播磨さんのことを想ってしまいました・・・」
「・・・」
「それで私は想いました。「播磨さんの側にいよう」 と・・・」
「・・・」
「心が見えないなら・・・私のことを何とも想ってないなら・・・私が振り向かせればいい!・・・と」
「・・・」
「それで沢近先輩が播磨さんとつきあってるってことを言ったときも・・・解けるはずの誤解も解きませんでした・・・」
「・・・」
「播磨さんにとっては迷惑だったかもしれません・・・・。でも私はうれしかったです・・・」
「・・・」
「誤解でも、播磨さんとつきあってるということになっていただけで・・・」
「・・・」
「でも現実は違います・・・。播磨さんは私ではなく姉さんを好きだということは・・・」
「・・・」
「播磨さんは・・・たとえ姉さんに好きな人がいたとしてもそれを追いかけようとしてました・・・」
「・・・」
「だから私は、今日決心しました・・・。播磨さんの家に泊まろう。泊まらせてくれなければあきらめよう。と・・・」
「・・・」
「おかしい話ですよね・・・別にとまったぐらいで・・・播磨さんの気持ちは変わるわけじゃないですけど・・・
「・・・」
「・・・それでも私は・・・」
「もういい妹さん」
ついに、黙っていた播磨が言葉をあげた。そして、彼女を、思いっきり、ギュッと抱きしめた。
「は、播磨さん・・・」
「たしかに・・・オレは妹さんといて、正直、天満ちゃんといるより楽しいと思った。」
「それに一度だけ、・・・オレはキミが天満ちゃんに見えたときもあった」
「あ・・・」
そう、そのことに八雲は覚えがあった。
たった一度だけ、播磨の心が見えたときのことだ。
「それでオレは・・・いつのまにか妹さんと一緒に「つきあいたい」、そう思うようになった」
「・・・」
「だが・・・・オレはそんな妹さんを知らずに悲しませてしまっていた・・・。だからこんなオレにつきあう価値はないと思う・・・」
「そんなことありません!!」
八雲は叫んだ。人生で一番と言うぐらい大声でいった。
そして、播磨の頭の後ろに手を伸ばし、自分から播磨の顔を近づけ、そして唇を交わした。
「いっ!妹さん!」
「・・・そんなことありません・・・」
「だって・・・私にとって播磨さんは・・・「つきあいたい」人ですから・・・」
「妹さん・・・」
「あの・・・名前で呼んでくれませんか・・・?」
「あ、ああ。や、八雲・・・」
「はい、播磨さん。・・・・愛してます。」
そしてまた二人は唇を交わした。いつまでも、いつまでも・・・・時を忘れるぐらいに・・・・。
「播磨さん」
「お、おう。何だ?」
「いつまでも私は・・・播磨さんの側にいますから・・・」
「だから・・・今日は・・・その・・・泊まってもいいですか・・・?」
「ああ、オレからもお願いするぜ。」
「播磨さん・・・」
「妹さんのおいしいスパゲッティ、また食べたいしな。」
「八雲です、播磨さん・・・」
END
(おまけ)
「そういえば播磨さん・・・」
「ん、なんだ?」
「何か忘れてませんか?」
「え?そうか・・・そういえば何かあったような・・・」
そしてここは矢神高校の職員室
「拳児君・・・拳児くん・・・拳児・・・けぇんじぃぃぃ!!!」
そして次の日、播磨が意識不明の重体で病院に入院したということはいうまでもない。
紫煙?
GJ!!
終わりです。ROMしてて書き方はだいぶわかったと思ったのですが、やっぱりいざ書くとなると
難しいですねSSはOTL。
93 :
ギーガp:05/04/07 18:37 ID:WkoWs2sI
GJ!!
負けてられませんので俺も投下します。
超姉シリーズ第3弾。
94 :
超姉3:05/04/07 18:38 ID:WkoWs2sI
夕暮れに染まるリビングに、拳児君はフラフラになって戻って来た。
目には生気は無く、ただひたすらに虚ろ。
ブツブツと「天満ちゃん……」などと喋っている。
ふん……どうせまた、勘違いからショックを受けているんだろう。
幾つになっても、「学習」という言葉を脳に入れないからな、この馬鹿は。
「お帰り……またかね」
「……また、天満ちゃんが、烏丸と……」
ああ……最近仲良しらしいからな、あの二人。
仲良し子良しなところを目撃して、それでそんなに落ち込んでるわけか。
私は手に持っていたビール缶をテーブルに置き、彼に近づいた。
「……それで?また、出て行くつもりかね?―――あの時の、ように」
記憶に浮かぶのは、少し前。
今と同じような理由で家を飛び出した彼は、保健医の姉ヶ崎先生の所で暫く暮らしたらしい。
彼は姉ヶ崎先生の励ましで力を取り戻し、また学校にやってきた。
95 :
超姉3:05/04/07 18:38 ID:WkoWs2sI
―――でも、君がいなかった間、私はどうしていたと思っている?
「―――いや、出ていかねえ。まだ……まだ、決まったわけじゃねえ!」
その目には、強い希望の光。
今度は―――大丈夫のようだな。どうやら君は、強くなったらしい。
拳児君……。
「―――その意気、だよ」
「おう!」
拳児君。
もし君がまた、出て行きたくなったら―――。
その時は、私も連れて行け。きっと、私も出て行きたくなっていると思うよ。
でも、もし―――私に何も告げず、勝手に一人で出て行ってしまったら。
もう、何も言わない。君とは絶交だ。
許して欲しければ―――必ず戻って来い。どんな時でも、どんな所からでも、待っている。
―――此処に……私の所に、戻って来い。
96 :
ギーガp:05/04/07 18:39 ID:WkoWs2sI
以上です。短い…。
ちょっと思ったんだが、
天王寺って播磨の家とか絃子との関係とか知ってるっぽいよな?(2巻#25参照)
これに修治や天王寺の妹をからめて何かできんかな?
…俺は何も思いつかなかったがorz
>>96 前の人が投下してすぐに投下するのは控えた方がいいかもしれない。
以前話題になったことがあってな…前の作品から一時間くらいは間隔をあけた方がいいって話になってた。
次の作品が来てしまうと、どうしても前の作品の感想が書き辛くなるから
でも、創作意欲旺盛なのは好感。
これからも頑張って下さい
天満がいない
>92
10分間ほど問い詰めそうな八雲ですね
>92
GJ、といいたいところだが、苦言を一つ。
「・・・」使いすぎで間が悪い。
場合によっては、読点(、)でも十分通用するので、使うタイミングを選ぼう。
セリフだけで話をすすめるのは難しいから、三点リーダに頼る気持ちもわかるんだけどね。
102 :
92:05/04/07 20:48 ID:te7XRpEw
>>101 指摘ありがとうございます。やっぱり「・・・」は使いすぎるとだめですね。
次からはなるべく使わないようにしていきたいと思います。
>>92 GJ。八雲熱いね。熱すぎるとこもあるけど、
セリフ回しはオリジナルの雰囲気を保っててよい感じ。
書き方に関して、行間を頻繁に空けるのはどうなんだろう?
常に1行あけの人も見かけるけど。
個人的にはどうしても間隔あけたい時にのみ空けた方が威力ある気がする。
,:':´ ̄`ヽ
i: .レリリリリ)
⌒゚i::::リTヮTリ゚⌒
私だって時にはS3やIFスレで
シリアス系やラブラブ系の長編SSで主役にされたいと思うときもあるよ。
でも、それは望まないんだ。悔しい気もするけど。
みんなが私に求めているのは、そんな役じゃないから。
私の役目は「ピコピコ」だけでいいんだ。
それがマスコットキャラとしての私の誇りであり、
私のすべてなんだ。それでいいんだ。
|д゚)誰もいない……と思ったら人がいる。
|д゚)でもやっぱり投下しとく。♭風味なので合わない人はスルー推奨。
静かな部屋に小さな電子音が鳴り始める。
初めは弱々しく、だが徐々にその勢いを増し最後には無視できない音量まで至り、耐えかねたのか
ベッドの上から腕が伸びた。かちりと機械音。義務づけられた仕事を全うした目覚まし時計は、
再び沈黙に沈んだ。
その時計の主たる男は騒音の元を駆除したことに安堵してか、はたまた抗いきれぬ睡眠欲に
負けてか目覚まし時計を止めた姿勢そのままに微睡みの中へと意識をたゆたわせる。
日曜の朝、清々しい青空、営業を前に忙しく動き始めた階下も、隣室の物音や階段を下りていく
足音も今の彼には心地よい安眠へのリズムとなり、かくして男はそこが自らのテリトリーだと言わん
ばかりに寝返り、体を丸め、体から離れてかけていた掛け布団を呼び戻したのだった。
「……その代償がこれかよ」
昼時になり、ようやく床からでてきた短髪にピアスの男、菅柳平は既にもぬけの殻となっている
台所に一人佇んでいた。
目の前には家族皆が滅多に席を同じにすることがなくなり縮小化の一途をたどるテーブル、その上
に美しく隊列を作る一組のお椀、箸、皿、等々。そして一枚の紙切れ。
満たされた睡眠への欲求と、満たしたい空腹への欲求が満場一致で彼の体を動かして、いつも通り
に一階へと足を運んだまでは良かったが、朝の儀式を一通り済ませた彼の目に飛び込んだ紙片には
以下の文章だった。
配達お願いね。――母。
↑任せた。あたしはデート。麗しの姉。
↑よろしく柳平、私はバイト。多忙な姉。
そういえば、と思い出す。昨日、深夜にも関わらず居間でTV――普段は見ない番組だがラーメン
特集と言うなら見なければなるまい――を見ていると、簿記を付けていた母が素っ頓狂な声を
上げていた。害虫の類かとその時は気にしなかったが、どうやら配達忘れが一つあったらしい。
日曜と言えば卸している店の殆どが稼ぎ時のはずなのだが、メモを残して通常営業をしているという
ことはさほど急を要する物でもなかったんだろう。
「ま、今日は特に予定もないしな」
面倒ではあるが指示に従うことにする。
そうと決まれば腹ごしらえ。コンロに火を入れ、鎮座する鍋を暖めながら、炊飯器から茶碗へ
ご飯をよそう。冷蔵庫を開ければ、豆腐と納豆が目に入る。テーブルにおいてある薬味と醤油の
方向性が決まった。ラップで封をしてある筑前煮が入ったお椀をレンジに突っ込み、タイマーを
ひねる。これで一通り完成。
ぱたぱたと台所を動き回ったせいか、先程目を通した紙がテーブルから落ちていたことに気付く。
何の気なくそれを拾い、裏側に書いてあった詳細を見て柳平は本日二度目の後悔をした。
「……漬け物臭くなるからって、逃げやがったな姉貴達」
そこにはキロ単位のキムチと紅ショウガ、福神漬けを下記の住所へ届けるよう念を押してある
一文が記載されていたのだった。
ベッドタウンである矢神市にはラーメンの店舗もそれなりにある。東京などと比べるとその数は
霞んでしまうが、それはあくまで日本一の都市が相手であるからで、未だ矢神市全てのラーメン屋を
網羅できていない現状は決して柳平の探求心が無いというわけではない。それにあれこれと店を
食べ歩くよりも美味い店に腰を落ち着け、じっくりとその味を堪能するスタイルこそが彼の
ラーメン道なのだから別に焦る必要はないのだが、それでも友人らからどの店が美味いかと
尋ねられれば蘊蓄の一つも語りたくなるものだ。
という経緯があることも災いして昨夜の夜更かしがあったわけだが、重いペダルを踏みしめながら
埋まる彼の胸中は愚痴と不満、そして決意だった。
「くそっ……、絶対…免許……取ってやるっ!」
配達用にカスタマイズされた自転車――とはいえ大型のキャリアーとステーが付いているだけの
ママチャリ――はさすがに頑丈で年季も入っているが、だからといって坂の多い矢神市では
目指す商店街へはただ辛いだけ。本来なら運搬用の軽トラックを使用するのが妥当なのだが
既に両親のどちらか、おそらく親父だろうが利用しているようだし、何より免許がない。バイクの
免許ぐらい良いだろうと打診したことも過去あったが事故が怖いから口を揃えてダメと、とりつく
島もない。既に足を持っている姉たちは車内が匂いに犯されることを嫌がって早々に逃亡。となると
あとは眼下で車体をふらつかせているコイツだけだ。
大体から店で漬ける物とそうでない物を分けることが間違っている。臭いの強い種類の漬け物は
風味が削がれるという理由で店で直接漬けずに家の方で作っているため、こういった運搬作業が
必要になってくるわけだが、キムチや紅ショウガ、ガリなんて基本的に業者用なのだから店で
作った方が近くて合理的なはずだ。再度進言する必要性を感じる。
「つーか、親父が運んでいけば良かったんだよ」
長い長い坂道を上りきり、あとは平坦もしくは下るだけの道。ダンシングをやめてサドルに腰を
落とす。嫌がらせのような勾配を越えれば目指す店まで残り僅かなのが良いところでもあり
辛いところでもある。柳平の目指す店はそんな場所にある中華料理の店だった。
「ちわー、漬物の菅でーす」
勝手知ったるタイアップ店。自転車を裏口に停め、積んできた数キロにも及ぶ漬け物類を
コンテナごと取り外し、柳平は厨房へと足を踏み入れた。
中華料理店らしく、厨房は清潔感よりも所狭しと置かれている食材や食器、調理器の類が
目に付く。そのどれもが違和感なく鎮座し、使いこなされた雰囲気のある調理器はここが日々
鉄火場であることを証明している。
しかし奇妙なところが二点。
飲食店がピークを迎える時間だというのに厨房には人っ子一人おらず、また誰かが動いている
気配もない。そしてここからだと奥になるが、フロアの方も客の声一つ無く飲食店の猥雑さが
微塵も感じられない。日曜の昼下がり、余程流行っていない店でもこんな事は考えられない。
「すんませーん、誰かいませんかー」
声量を上げ無人にしか見えない店内に呼びかけてみる。周囲の音源は冷蔵庫のコンプレッサーと
壁にかけてある大きな時計のみ。これで聞こえなければ職務怠慢か事件か、どちらにしろこの店に
明日はない。
待つこと僅か、フロアの方で物音が聞こえた。男の声のようだ。
「……がう、厨房の方で声が聞こえたんだよ」
足音と徐々に大きくなる声、こちらに向かいながら誰かに喋っているようだが、この口調と
声色には聞き覚えが――。
果たして柳平の目の前に現れた男は黒髪、無愛想の美丈夫で校内でも半数の性別に有名な男。
麻生広義、その人だった。
「お。麻生。オマエ今日はシフトだったのか」
「……ったく、あの店長は。いい加減愛想が尽きてきた」
こちらを見た途端、ため息をつく広義。いくら友人とはいえ、いや友人だからこそ顔を合わせた
瞬間にげんなりされては不愉快になる。多少語気が荒くなることを自覚しながら口を開いた。
「おいおい、なんだよご挨拶だな。それが休日を惜しんで荷物を届けに来た親友に対する態度か?」
「ん、ああ、すまん。今のは独り言だ、忘れてくれ」
「まぁ、オマエの無愛想ぶりは今に始まった事じゃねーからな。ほれ、注文の品だ」
どかっとコンテナを床に置く。派手な音がするだけあって重量はなかなかのものだ。自転車に
備え付けるコンテナそのものはプラスチック製のシンプルなものだが、何せ積載物が尋常な量じゃ
ない。胸焼け、いや舌の感覚が無くなりそうなほどの量のキムチと福神漬け、醤蘿蔔、酸白菜、
糖醋蒜、等どれもこれも臭いのきつい、いや独特なものばかり。
いい加減嗅ぎ慣れて鼻が麻痺している柳平はともかく、眼前にこんな刺激臭の固まりを出されては
さすがの広義も顔をしかめた。
「っく、これは……きついな」
「だろー? ちったー俺の苦労を知りやがれ。もう今だったら何を嗅いでも感じない自信があるぜ」
「ああ……、ご苦労さん。ケースごとこっちで預かっていいのか?」
「ここは月1ぐらいだろウチに注文するの。だったらまた後で親父あたりが回収に来るはず」
「そうか。食材の仕入れは店長任せだからな、勝手がよくわからんがオマエが言うなら
そうなんだろう。これは全部冷蔵庫に入れた方がいいのか?」
瓶と袋に詰められた各種漬け物を確認しながら業務用の馬鹿でかい冷蔵庫をあごで差す広義。
概して漬け物という物は痛みにくく保存の利く食品であり、臭いの強い物はその傾向もまた強い。
それに風味が豊かと言えば聞こえは良いが、他の食材の香りを殺しかねないこれらの漬け物は
下手に冷蔵庫などに入れようものなら一日を置かずして、あらゆる物を同じ臭いにさせてしまう。
そうなってしまってはもう四川風に辛みで誤魔化していくしか手段はない。キムチ臭い北京ダック
など誰が食べるだろうか。
有名ラーメン店の通販で買ったラーメンを他の誰かに食べられることのないよう、わざと冷蔵庫
ではなく家の仕事場の一角、冷暗所に保管していて全く違う種類の食べ物になった苦い記憶が蘇る。
「いや、冷蔵庫はやめとけ。とりあえず日の当たらない所においておけば腐ったりはしねーから」
「そういや漬け物はいっつもテーブルの下とかにあったな」
ぐいっとコンテナを持ち上げて混沌とした食材置き場(?)のテーブルの下に突っ込む広義の姿
を見つめながら柳平は先程から疑問に思っていることをぶつけてみた。
「なぁ、今日って店は休みなのか。全然やってるようには見えねぇけど」
「……イヤ。一応やってた」
過去形で口を閉じる広義の顔は苛立ちと諦観の色が強い。マジメなこの男が言いよどむ
と言うことはおそらく想定外の、それもかなり馬鹿馬鹿しいことか、あるいは本当に腹立たしいこと
が起きたということだろう。付き合いの長さがこういうときに役に立つ。
「アレか。前に言ってた店長が突然病院に行ったとかいうやつ。今回もそんな感じか?」
「……あぁ」
ここの店長はよく知っている。背が低く鼻の大きな愛嬌のある顔がぱっと頭に思い描かれた。
店の雰囲気を体現したような店長は他の店員がフロアにいるというのに自ら接客をする。こじんまり
とした小さな飲食店では当たり前であるが、テーブルの数と店舗の大きさから見てそうやって賄える
レベルではないことぐらい素人でもわかる。というよりも店長自ら鍋を振るう店のはずなのに厨房を
空けてまで接客するそのスタイルは屋台か何かをやっていたときの名残だろうか。
常連客や商店街の人々を始め、金に苦しい学生にも親しまれている理由は味以上にそこら辺に
あるのかも知れない。
だがフロアへの入り口に手を付き、ため息を漏らす男にとっては良くも悪くもいい加減な営業方針
に付いていけないところがあった。
「……店長の友人が役者やってて、でかい舞台の主演に抜擢された――」
苦渋に満ちたその言葉はしかし、最後まで紡がれることはなかった。
「――そうなんです。それで公演日が今日だということをすっかり忘れていた陳店長が……」
「おい、なにやってる」
壁に手を付き、より掛かっていた広義の脇下から突如顔を出す人物が一人。
金髪、碧眼、白い肌。結わえた髪がチャームポイント、留学生や帰国子女が多いことでも有名な
矢神学院高校を代表する女生徒、サラ・アディエマスは同僚であり先輩でもある広義の脇の下から
何故かひょっこり顔だけ出していた。
「え? 説明ですよ説明。麻生先輩イヤそうだったから私が続きの説明を――」
「そんなことじゃねぇ、なんでわざわざそんな狭いところから顔を出しているか聞いているんだ」
「可愛くないですか?」
無表情な広義と相対するように微笑みを浮かべるサラ。
その拮抗は入り口を封鎖していた男のため息と移動により崩れ去った。
何も悩みの種は店長の商業姿勢だけではない、目の前で無邪気にニコニコしている同僚にも
広義は得も言われぬ感情を抱かされることが多い。
あれはいつの日だったか。店長不在の二人きりという絶望的な営業状態でなんとか店を回して
予約客から常連客まで不満の声無く看板を下ろした日以降、この一つ年下の後輩は徐々にその本性を
現してきた。
それは例えば、教会のボランティアのお願いだったり、体育祭での応援だったり、なんて事のない
ものばかりだがどうにも何かを狙っているような気がしてならない。こちらの気分を害するわけでも
誰かに迷惑をかけるわけでもない。だが何となく釈然としないものがいつもある。
ただの同僚から油断のできない後輩へのシフト。不器用なこの男にとってはすぐに馴染めるもの
でもなかった。
しばしの思考時間、だがそれも唐突に乱される。原因は彼の視界の淵。そこでわかりにくいが
懸命にアピールしている友人の手招きだった。
質問に窮していたわけではないが、なんと答えても厄介そうな質問だったので渡りに船とばかりに
広義はいつも以上に穏やかな顔の柳平の元へ近づく。
すぐさま彼の態度は変わった。
手招きの時の顔そのままに、腕を首に回してきてアームロック。そのままサラを背にする形で
小さいがはっきりと聞き取れる声量で話し出す。
「てめぇ……、何バイト先に連れ込んでやがんだよぉ!」
「……は?」
「は、じゃねぇよ! 畜生ぅ、あんな可愛い娘にここのチャイナ服まで着せやがって。さっきまで
静かだったのは客席でいちゃついていたからかーっ!」
「ち、ちげぇーっつーの! 大体アイツもここのバイトだ」
「この期に及んで、んな嘘まで付くのか!? 見たことねーよ、あんな娘! くそぉ、オマエと俺で
何が違うってんだよぉぉ」
「いいから放せ! あと落ち着け」
喋りながらも興奮していたせいか、粗めの息を吐く柳平の目はまるで親の敵を見るもののようだ。
広義は呆れながらも乱れた首元を正し、疲れた顔で
「あー、紹介が遅れたがこいつは菅。ただのクラスメイトだ。で、こっちがサラ。ただの同僚だ」
当たり障りのない紹介をした。それがまずかった。
「初めまして菅先輩。”ただの”同僚のサラ・アディエマスです。2-Cの人達の武勇伝はよく聞きま
すよー。あ、でも菅先輩と話すのはこれが初めてですよね」
「ああ、直接話すのは初めてかもな。”ただの”クラスメイトの菅柳平だ。サラちゃんの噂は二年に
も届いてるよ。一年に可愛い留学生がいるってな」
「あらら、そんな話があるんですか? 麻生先輩そう言うこと全然言ってくれないから初耳です」
「あー、こいつはほら妙なところで頑固っつーか、わかってねーからさ。そう言う話も全然しねぇ
ヤツなんだよ。そのくせやたらとモテやがる質の悪ぃヤツでさぁ」
第三者が聞く分には穏やかな会話のようにも聞こえるが、サラの口から広義の名前が出るたびに
彼女から見えない位置での小突き合いが行われる。それも徐々に加熱を帯びてくる。
それだけ激しく接触プレーを行っていては楽しげに話す彼女に気付かれないわけがないはずだが
何故かサラもそれに言及してくる様子はない。見て見ぬ振りと言ってもいいだろう。
続いていく談笑の中ようやく広義も気が付いた。
「わかった、勘弁してくれ。俺が悪かった」
視線を落とし低頭しながら、大きく息を吐く。
普段から冷静な男のそんな姿を見る二人は、思わず顔を見合わせて、してやったりと手をたたき
合う。さっきまで挨拶もしたことのない間柄とは思えない気の合いようだ。
一頻り喜び合う二人、その様子が当然面白くないと思っていた広義だがまるで心を読まれたかの
ように、笑いあっていたサラが振り向いた。
じゃあ、もう一度紹介し直してくださいねと。それは追い打ち以外の何物でもなかった。
「で、結局何してたんだ?」
親友への羞恥プレーに大いに賑わったところで――もっともその親友はさっきからふて腐れている
が――柳平は感じていた疑問を口にした。
店長不在で開店休業中の店にいたところで時給が上がるわけでも、ましてやバイト代が増額される
わけでもあるまい。そう考えると勢いで言っただけの「いちゃつき」に真実みが帯びてくる。
「そうそう、それですよ。さっきからその事について麻生先輩と話していたんです。ね、先輩」
心なしかさっきよりも肌に張りの見えるサラが思い出したように手を打って、そっぽを向いていた
広義に話を振る。ここら辺の手慣れた感じは相手が広義だからなのか、それとも彼女自身の能力
だからなのか、殆ど初対面の柳平には判断が難しい所だ。
「……話すもなにも店長は不在、他のバイトは早々に離脱、残るはオマエと俺だけ。結論は出たも
同然じゃねぇか」
「でも休日ですよ? 折角楽しみにしてきてくれた大勢のお客さん達を帰しちゃうってあんまりじゃ
ありません?」
「日曜日だからだ。昼のピークは終わったがこれから夕方、夜にかけてどれだけの客が来ると
思ってんだ。知らない訳じゃないだろ。無理だよ」
「そう言いながら、この前はなんとかなったじゃないですか。今日は菅先輩も応援に駆けつけて
来たことだし、きっと大ジョブですよ」
「えっ!? 俺?」
それまで成り行きを見守っていた柳平に思わぬ方向から白羽の矢が飛んできた。
料理とは食べるものであり作るものではないと常々思っている彼にとって、飲食店のバイトなど
冗談以外の何物でもない。それも広義のようにスキルを既に持っているならまだしも、わかることと
言えばラーメンと漬け物。一瞬、それでも手伝う自分の姿を想像するがすぐにうち払った。
「無理無理、ここにはそれなりに来るけど何があるか全然覚えてねぇし……ってサラちゃんその服は
なに?」
「ここの制服です」
「…………」
きちんと折り畳まれた白いシャツと蝶ネクタイ、黒のズボンが柳平の目の前へずずっと
突き出される。それは驚くほどに綺麗で清潔感に満ちあふれていた。まるでおろし立てのもの
のように。
「何故かそこのテーブルに用意されていました」
「いや、『何故か』って……。おい、アソ。オマエからも何か言ってやってくれ」
「…………さっきまではそんなもの無かったはずだが。それにその制服。新品だな?」
「みたいですね。でもきっとこれは中華の神様のメッセージなんですよ!」
元気に鼓舞するサラとは対照的にあまりにもスムーズすぎる流れに引いていく男性陣。
片やため息混じりに、片や苦笑いで答えながらも見解は一致していた。
「と言われても、やっぱり無理だから」
「無理だろ。諦めろ」
「……うーん、無理ですかねぇ」
残念そうに、しかし笑顔を絶やさず手に持っていた制服をテーブルに置くと彼女はフロアの方へ
引っ込んでいった。柳平からは何をやっているかサッパリわからなかったが、広義の「外の照明
付けてやがったのか」という一言から察するに、本格的に閉店作業をしているようだ。
「つーわけで、わざわざ運んできてくれてすまなかったが今日は閉店だ」
「んじゃ仕方ねーな。帰ぇるべ、帰ぇるべ」
もしかすると、この大量の荷物は誰もいない店に届けられていたのかもしれない。たまたま
アルバイトである二人が残っていたから受け取ることができたが、その可能性は大いにあった。
もし、骨折り損だったらまさしく草臥れ儲け。そんなことを想像しないわけでもないだろう。
それなのにフロアを眺めているこの男は文句の一つも言わない。
こういうときに柳平の良さが現れる。広義は口には出さないがそう感じていた。
「ところでよ。サラちゃん、この後予定とかあんのかな?」
「……そんなこと俺がしるか」
「お、知らないのか。そりゃ都合いいな」
何が都合がいいのかさっぱりな広義を気にもとめず、ぱたぱたとフロアを動き回っているサラに
柳平は声をかけた。
「なぁ、サラちゃん。この後どっかに遊びに行かないか?」
「えっ? この後ですか」
「そうそう、俺も暇だし。バイト入れてたってことはサラちゃんもこの後空いてるってことだろ?」
「そうですねぇ……、麻生先輩はどうします?」
考える仕草から一転、同じように店を閉まっていた広義にサラは話を振ってくる。もちろん他意は
ないのだろう。三人の人間が同じ空間にいるのだ。普通に考えてもおかしくない。おかしくないが
その一言で柳平からの猛烈な視線を感じる。いや、視線と言うよりもオーラ。気配と言うべきか。
ひしひしと伝わってくる合わせることのないアイコンタクトを直訳するしてみる。
「おまえは来るな」
「断れ、断れ、断れ」
「何でもいいから用事を作れ」
ため息が出ることを咎められる人間がいるだろうか。いや、いるはずがない。
広義は本日三度目となる盛大に大きなため息をついた。
「俺はいいよ。閉めはこっちでやっとくから、もう上がっていいぞ」
「え、そんなの悪いですよ」
「いいから。俺のためと思ってさっさと行ってくれ」
「? なんだかよくわかりませんが、じゃ菅先輩。ちょっと待っててくださいね」
「おう、ここでゆっくりしてるな」
不思議そうな顔で厨房横のスタッフルームに引っ込んでいくサラを見る限り、この一連の流れが
一体何によって行われたのか全く身に覚えがない様子。今日知り合った人間にいきなりデートを
申し込まれたとも思えない。こういう話に興味のないとはいえ、やはり彼女の行動は腑に落ちない。
「おし、よし!」
「……なんかそうやってると今鳥みたいに見えるぞ」
「ん? 今鳥か…………よしっ!」
「…………変なヤツだ」
こちらも何が良しなのかサッパリわからない。広義としては今鳥と同列に語られるなんて
御免被りたいところだが、ガッツポーズを取る男はむしろ喜んでいるように見える。理由を聞いても
おそらくぞんざいに扱われるだけだろう。何度か似たような場面があったが、そのたびに悲喜交々の
愚痴と怨嗟らしきものを浴びせられている。よって広義はこういう事に突っ込まないようになって
いた。
暫しの時間が過ぎ戸締まりの確認とガス、水回りのチェックが終わった頃、おまたせしましたと
いう柔らかな声がフロアで聞こえた。直接は見えないが彼女の身支度は終わったようだ。
広義も厨房から顔だけ出して確認してみる。そこには制服姿のサラと妙にテンションが上がって
いる柳平の姿があった。
「あ、菅先輩。ここにはなんで来たんですか?」
「いや、そりゃ配達だけど……ああ、移動手段ね。チャリ、チャリ。本当はバイク欲しいんだけど
なぁ。原付でもいいから」
「えっと、じゃあ一度家に送ってくれませんか? さすがに制服だとちょっと……」
「それはいいけど、なんで日曜に制服なんか着てここに?」
「ちょっと、学校に寄るつもりだったんですよ」
「ふーん、ま、いっか。おっし、じゃ後ろに乗りな。かっ飛ばすぜぇ」
話ながら移動し始める二人。戸締まりはほぼ済ませてあるので、当然厨房の勝手口からの帰宅
となる。てきぱきと片づけをしている広義に親指を突き立てて笑顔を贈ってくる友人と労いと
別れの挨拶を告げる同僚に相槌を打ち、生真面目なこの男は作業に没頭していった。
平穏な日常は実は絶妙なバランスによって成り立っている。
彼は本日それを目の当たりにした。
きんこーん、とドアベルが鳴る。時間は昼時と言うには少し遅く、夕方と言うには早すぎる
休日でなければ家人などいなくても不思議ではない時間帯。がちゃりと開けたドアの向こうには
人影が一つ、優雅かつ鮮明に存在していた。
「せ、先輩……」
「やっと……見つけたわよ。散々手間取らせてくれたわね」
いつも伴侶から外を確認してからドアを開けるように、と注意されていた台詞が一言一句
思い出される。今になってそれを怠ったことを悔やむが、後の祭り。ドアは既に開かれてしまった
のだ。彼女が逃げ続け、頑なに閉ざし続けた過去への因縁と連鎖の扉が。
「……彼はどこ?」
「えっ?」
「この期に及んでしらばっくれるつもり!? 彼はどこかと聞いているのよ」
突然の闖入者の言葉は明確な主語が欠けている。それもそのはず、この二人の女性にとって『彼』
というキーワードで思い浮かぶ人物は一人しかいない。
「今は……ウチにいません」
「嘘ね」
視線をふせがちに呟いた言葉は一蹴される。示し合わせていたようなタイミングの否定は全てを
見通していると言うよりも、未だ隠し通せると信じている愚者に対する全否定のように聞こえた。
おそらく今の彼女がこのツインテールの女性に何を言っても無駄なのだろう。相手は全て決めて
かかっているのだから。それ故に彼女の行動力は濁流のごとき勢いだった。
「奥にいるんでしょ? それともそっちの部屋? あぁ、もういいわ。そこをどきなさい!」
「キャッ!」
土足のまま遠慮無く玄関口から上がり込む彼女を取り押さえる術はなかった。自然と体が動いて
彼女の進路を妨害していたが、そんなことで止まるようなヤワな性格であるはずもなく、黒髪の
女性は荒ぶる侵入者に突き飛ばされてしまう。
「やっぱり傷跡が残ったのね。あのまま大人しく病院にいればよかったものを」
「…………」
しりもちを付いたせいでやや長めの前髪が横に流れた。そこから覗く顔の一部には決して小さい
とはいえない醜い傷跡。彼女の髪型が学生の頃から変わった理由の一つだった。そしてその痕
こそ彼をつなぎ止める楔でもあった。
「今思い出しても自分の間抜けさとアンタの狡猾さに腹が立つわ。まさかあんな大胆な真似をする
なんてね。おかげでこの半年間、情報収集だけは上手くなったわ。その点には礼を言ってあげる」
「…………」
睨みつける眼差しは烈火。逸らす視線は愴然。すっかり癖になってしまった傷跡隠しを無意識に
行う彼女の姿は丘を目指して歩む聖人のよう。他者からの叱責を受け、それを享受し、而して
目指す先を変えることはない。例えそれが偽りの安寧だとしても。
「連れ去ったときはすぐに戻ってくると思ってた。でもまさか記憶障害だったなんてね。どうりで
一向に連絡がないわけだわ。前例もあることからそういう体質だったみたいだけど……。でもあんた
みたいな大人しい娘がまさか誘拐拉致軟禁とは、恐れ入ったわ」
「そ、そんなんじゃ! そんなんじゃありません……。私は、ただ……」
彼女自身は十分に押さえているつもりだった。言いたいこと、言ってやりたいことはこの半年間
積もる一方だったがそこを冷静に押さえ込み、あくまでも大儀故の行動として今日の家宅捜査へ
踏み切ったつもりだった。それもここで潰えた。
最後まで非を認めない一つ年下の彼女に我慢の限界は散り散りと霧散していた。
「ただ何! 前後不覚のけが人を自分のわがままで病院から引きずり出して、誰にも連絡を
取ることなく半年間隠匿生活を続けさせることが、略取誘拐罪じゃなくてなんなのよっ!!」
「…………」
余人でも気圧されるその迫力は、内向的と評されることの多い彼女を言葉のみで殺しかねない
程である。が、罵声を浴びる彼女の瞳は揺るがなかった。この半年間で培われたものは何も目の前で
猛り狂うスーツの女性の能力だけではない。一人の女性として、そして母となる身として、見違える
程今の彼女は強くなっていた。
「あんたね、わかってんの!? 彼には心から……その身をかけるほど愛している人がいるのよ!
それはあんたでもなく……私でもなく――」
「わかっています……姉さん、ですよね」
「あのよー、俺いらねーんじゃねぇのこれ」
柳平の野暮な一言は対峙する二人の女の子以外から一斉に咎めの視線を受ける。いくら年下――と
言うよりも小学生の低学年ぐらいの子供達なのだからまさしくお子様達――でも総勢10人程度から
睨まれると流石にちょっと引く。急遽、旦那役としてオママゴトに参加させられている柳平もそれは
同じだ。
経緯は単純だ。一度家に帰るというサラを自転車で送って着いた先がこの教会。シスターだと自己
紹介されて息つく間もなく通された先が付属の児童施設。準備してくるからそれまで子供達と一緒に
いてくれというラストメッセージを置いて、なすがままに今この椅子に座っているという状態だ。
それにしてもストーリーが凄まじい。一人の男を巡る二人の女の闘いが中核をなしていることは
すぐにわかったが、事故編からの途中参加だというのに二人の女の子とナレーション、他にも
医者や看護婦、執事など様々なキャスティングがあり、その豪華さというか年端に見合わない
妙にこった内容は奥様方御用達の昼ドラよりも、泥臭く、細部にこだわりが見える。
「つーか、お前ら、これわかってやってるのか?」
目の前で寝た寝ないの論争へ移っていく子供達を見ればそんな疑問も出てくるものだが、今度は
揃いも揃って唇に指を当てて静かにしろというジェスチャー。苦笑いで見ていた柳平もそろそろ
根を上げ始めた。
「サラちゃーん、実は隠れて見てたりするんだろ? もう勘弁してくれよぉ」
「――!! 記憶が」
「……戻った?」
どんどん泥濘にはまっていく目の前のオママゴトに耐えられなくなり声を発したが最後だった。
ヒロインの二人による熾烈を極める闘いは柳平の泣き言でよいよ三つ巴編へと突入。舞台と化した
児童施設はその興奮を最高潮まで高める。だがここで同時に異常事態も起きた。旦那役となった
柳平の想い人役を巡って女の子同士でいざこざが始まりだしたのだ。詰め寄る二人の女の子と
言い争う残りの女の子。子供の扱いになれていない柳平にはもうどうすることもできなかった。
「……やっぱりこうなってたか」
「ふふふ、そういう先輩こそやっぱり来てくれたんですね」
あきれ顔で子供達と戯れる柳平を見る。店での会話を聞いた瞬間、この事態は容易に予想できた。
なんといっても経験者なのだからその予想が外れるはずがない。
「昼前からだったろ、今日のシフト。材料だけだが賄いを持ってきたんだよ」
「ありがとうございます。こういう優しいところが先輩のいいところですよねー」
「つ、ついでだついで! 帰る途中に寄っただけだ!」
「照れている先輩も可愛いですよっ」
「…………」
こうなってはお手上げだ。面識を持ってからそれなりに経っているがこういう流れになった
彼女を止める手だてを未だ広義は知らない。彼の選択肢は二つに一つ。沈黙か話題を変えるか。
普段なら前者だ。わいわいと騒ぐ子供達を見つめながらゆっくりと時が経つのを待てばいい。
現に今、そうなりつつある。隣に立つ彼女もそれを知ってか言及してこない。
しかし、今回は後者を選んだ。
「お前…………本当に来ると思っていたのか?」
「……え?」
今までの和気の見える雰囲気とは異なり、急遽あたりの空気は静けさをはらむ。
それはタンポポのように笑っていた彼女から笑顔が消えたことに寄るところが大きいが、それだけ
広義の問いは真摯でもあったからだ。普段のぶっきらぼうな態度でもなく、先程の照れ隠しでもない
凛々しくも思いを詰めた、けれどもどこか遠くを見るような目で広義は続ける。
「来ないかもしれない、待っていても無駄かもしれない。お前はそう考えたことはないのか?」
「…………」
「人ってヤツは簡単に心変わりをする、そうじゃなくても突然何か事情ができることもある。今日の
店長みたいにな。それでもお前は待ち続けることができるのか?」
質問に温度はなかった。ぶつけてくるような勢いも、追い込むような鋭利さも存在しない。
語調は荒くもなく、か細くもない普段のトーンだが万感の思いがそこにはある。今まで様々な
人間と出会ってきたが、広義にとってサラはその誰とも違う存在だった。本人を前にして
『変わったヤツ』と評したこともある。しかし、最近の彼女の行動はその一形容だけで収める
ことができなくなってきている。人間ができているとか義理堅いとかそんなレベルではない。
頑なに人を信じ続ける姿に、広義は一種の恐れすら感じてしまっていた。
「……信じることに、疲れたりしないのか?」
「…………」
それはあたかも懺悔のようだった。視線は変わらず子供達と組んずほぐれつ絡み合っている柳平
を射しながら、心はここにあらず。路頭を迷い街頭を目指す幼い子供のように弱々しく、辿々しく
それでも暗中の歩みをやめない、まるでそんな光景が黙って話を聞いていたサラの頭に浮かび
上がってくる。
「人を……人を信じたり、待っていたりする事は誰にでもできて、だけど時々とても疲れることだと
思います」
「だったら――」
「でもですね、待っている人や信じ続ける人との想い出が、ここにいっぱいあればあるほど
人は頑張ることができると思っています」
漆黒のシスター服の胸元を押さえる様子が直接見ずとも伝わってくる。しかし、表情が読めない。
横に並んで立っているこの小柄なシスターは果たして今、笑っているだろうか、それとも困っている
だろうか、引き締まった顔をしているかもしれない。どれもが正しいようでどれもあっていない
気がした。
「当たり前のように出会えなくなったとき、やっと人は失ったその大切さをわかる。なんていう人も
います。けどそれは逆です」
「……逆?」
「何かを失ったことがない人はいません。だから人は人を、そして出会いを、想いを大切にするん
です。そうすると、ほら。先輩が来てくれたじゃないですか」
「…………」
「それに、神様だって言っています。『信じるものは救われる』って」
「……おまえ、いいシスターになるわ」
ステンドグラスから光が差し込む。途端に二人が立っていた空間は様々な色で着色されていった。
それを眩しそうに眺めるサラの頭をぽん、ぽんと撫でると広義は既にぐったりとして一方的に呵責を
受けるだけの柳平の元へと歩き出した。三年片頬を崩させたシスターに見つめられながら。
と、まぁこんなかんじで、菅の先駆け奮闘記でした。(´Д⊂)
書いているときは気付きませんでしたが、なにやら明日はサラ嬢の生誕日とか。
タイムリーな投下ができてよかったです。
それでは皆様よしなにお取り計らいくださいな。
128 :
92:05/04/07 21:51 ID:te7XRpEw
>>127 リアルタイムで見てました。やっぱり職人は腕がちがいますね・・・。
とりあえずグッジョブです!
すばらしいー。
ここ最近のSSで一番よかった。
この感じで、モブを書いてほしいな。
GJ!!!
良い作品だった。
ところで菅が途中から凄い勢いでフェードアウトしちゃったよーw
これも菅のサガか……
マガスペ主役張る日も近いな、ガースー。
でもできればその前にポジションがめっさ微妙な舞ちゃんを。
うーむ、素直にすげー、と感心。
久しぶりに、魅入っちゃったよ。
すごく良かったです。
うまい人は描写がしっかりしているんだなと再確認しました。
ぐんぐん引き込まれていくのが自分でも分かりました。
自分もこんな風に書けたらなぁ。
とんでもないドロドロ劇だな……しかもどっかで聞いたことある二人だしw
136 :
ギーガp:05/04/07 22:44 ID:qi01ItCg
たぶん天満はスクランという便器に残った大便みたいな物なんだろうな。
もはやなんの価値もないにもかかわらずいつまでも処理されないので異臭を放つ。
スクランという便器から大便(=天満)を流してこそ、多少はましな話になるんだろう。
前スレでお昼寝書いた者です
スレが埋まってしまったのでこちらでお礼を
描写というより説明くさい文章だったり、
1人称でないとまともなものが書けそうにない
未熟者ですが、評判良かったようで何よりです。
>>26 八雲が大好きなのに、企画中のプロット全てで
泣かせたり、酷い目にあわせたり…orz
そのせいなのか、筆も進まない
最後はハッピーエンドだけど、こうでもしないと
話の起伏を作れない実力せいなのか、そういう嗜好なのか…
>>127 俺はこれ位の距離感が好みだなー
麻生とサラっていうとやたら熱烈なのが多くて正直ちょっと敬遠してた
俺は本誌と既出単行本しか持ってないんでわからないんだが
増刊とかではサラは麻生にあからさまに恋してアプローチしてるのか?
それならまあいいかとも思うんだけどさ
まあ天満が完全にフェードアウトされてる下呂甘旗SSみたいなもんだろ。
>>140 またあんたかよ……と言いたいとこだがこっちで議論はやめとく
>>98 確かに。テンプレにも書いといた方が良いかも。
>>127 読んでいるうちにぐいぐい引き込まれていった。
とてもGJ。
(つД`)カワイソウナ菅。
作風が秋田禎信ぽかった(ホメ言葉)
>>145 勝手に自分が命名してるだけだけど、この方のSSのタイトルが
ジョジョのスタンド名ということ。
>>145 ありがと。分校に行って作品読んでくる。
>>145 っても、元ネタは70'sソウル・グループの元祖でもある
「アース・ウインド&ファイアー」だけどな。聴いたことないから知らんけど。
>>148 アンカー間違ってる。自分にレスしてるよ。
今日はサラの誕生日か・・・。
播磨×サラって需要あるだろうか?一度はやってみたい組み合わせなんだけど・・・。
151 :
148:05/04/08 05:08 ID:Bh2VyhcY
>>150 ホントだ。自分にアンカーしてる。ハズカシー。
>播磨×サラって需要あるんだろうか?
面白ければどんなカップリングでもどんとこい。
152 :
ギーガp:05/04/08 13:20 ID:T.I5E1jw
真昼間から何やっとるんだと思うかもしれませんがw投下します。
「監察日記」第2弾。
……監察のままにしておきます。ややこしいので。
153 :
ギーガp:05/04/08 13:20 ID:T.I5E1jw
9月14日 曇り
今日も拳児君は馬鹿だった。―――正直、この一文で済ませたい。
今まで拳児君の五教科の進み具合を書いてきたが、この一ヶ月にも満たない時間で既に諦めかけている。
―――それでも、何とか進み具合を書こうとする私の努力と健気さは、きっと神様が認めてくれる……と思う。
国語
漢字はマシになって来たが、今度は古典か。
古典は範囲は狭いが、やはり重要な所である事には間違いない。
だから―――頼むから、源氏物語の名前位は覚えておいてくれ。もはや常識の範囲だ……。
数学
公式を必死に覚えている模様。
九九は―――まだマスター出来ていない。正直、別の意味でも心配になってくる。
文章問題はまあ出来ているが、やはり計算が駄目か。
という訳で計算集を一冊、一週間以内にやれ、と言っておいた。
拳児君は「初めて神に祈ります、この売れ残りに天罰を……」と言っていた。
そんな彼には勿論、人誅が下った。
英語
未だにローマ字読みは続く模様。
単語力は付いて来ている。ただ―――文法がなっていない。
今さら「『be動詞』って何だ?」なんて聞くな。眩暈がする。
文法書を与え、じっくり読めといっておいた。そろそろこの遣り取りも疲れてくる……。
拳児君も疲れているようで、もはや何も言わない。―――人誅を恐れているようだ。
理科
理科は―――何故だろう、よく出来ている。やはり血筋か?
特に問題は無かったが、ふとした拍子に手と手が触れ合ってしまい、何故か赤面してしまったので撃っておいた。
最近、この手の事が妙に多い。彼は悪くないのだが、何故だ?
社会
これこそあの駄犬が抱える爆弾だ。
地理―――何で東京に奥羽山脈がある?東京に山々がそびえ立っているかね?
歴史―――やはり人名だけは異常に覚えている。しかし何をした人物なのかは分からない模様。
なので地理の要点だけまとめたノートを渡して暗記させる。もう時間は無い。
―――以上なのだが、本当に不可解だ。
何故、私はあの時赤面した?あの時だけでなく、この頃妙に拳児君が気になる。
まさか―――これは。
いやいやいやいやいや。ちょっと待て、ありえない。
私が?あの馬鹿を?まさか、まさかまさか。
これは一時的な物だ。何かの拍子だ。そうだ、風邪でも引いてるんだろう、そうに違いない。
という訳で―――今日はこれで寝る事にする。
155 :
ギーガp:05/04/08 13:23 ID:T.I5E1jw
以上です。
正直、未熟な文章でかったるいシリアスもどきされても皆さんが困るだけだと気付く。
なので、これから「監察日記」とその番外編なので逝ってみたいと思います。
数学ワロタw
っつーか体育祭で神に祈ったのは初めてじゃないのかw
>っつーか体育祭で神に祈ったのは初めてじゃないのかw
ほら、良くいるじゃん。
「一生のお願い」を何度もする人。
英語のbe動詞にちょっと色気を感じました。
数学が面白かったです。GJ。
>127
乙
上の人も言ってたが、俺も麻生とサラの距離感はこのくらいな希ガス
菅が漬け物を『割烹さがの』に届けると期待してた俺は嵯峨野スレ住人orz
>155
売れ残りワロタ
ちょっと黒いヤクモン投下します。
そんなヤクモン嫌だ!と言う人はスルーしてください。
タイトルは「Envied mind」
「あ、妹さん。そこは22番のトーンで」
「はい」
今は夜中の三時を回ろうとしている。塚本八雲と、播磨拳児。
彼女は試験前にも関わらず、彼の漫画を手伝っている。
「本当、すまねぇな妹さん、泊まりがけで、しかもこんな時間まで」
「いえ・・・あそこまで頼まれたら断れませんから・・・」
「それに、早く播磨さんの作品みたいですし・・・」
「くぅー流石は妹さん!てん・・・じゃなくて塚本の妹だけのことはあるぜ!」
また姉さんか・・・・
塚本八雲は、今微妙な立場にある。自分の姉が好きな播磨、そしてその男に好意をいだいている八雲。
そしてその好きな人のために漫画を書いてくれと頼まれている自分。しかし、普通の男なら興味どころか
退いてしまう彼女が、なぜ彼を手伝っているのか。それは彼女の能力にある。
(やっぱり心が見えない・・・)
そう、「播磨拳児の心が見えない」。これが八雲にとって今一番引っかかっていることなのだ。
(どうしてだろう・・・。これだけ一緒にいるのに、私のこと何とも思ってないのかな・・・)
彼女は人の心が読み取れる。しかし、読み取れるのは自分を女として見ている人だけなのだ。
彼女は幾度となく人の心を読んでいた。自分をどう見ているのか、どういう人と思っているのか。
ときにそれは彼女を悲しみ、絶望、人間不信へと陥れるほどの能力でもある。それも今こそは大丈夫だが、子供時代
のときは最悪だった。何度も学校へ行くことも嫌った。そのたびに姉の手を借りた。もちろん姉は心を
読めることをしらない。しかし、姉だけは、心が読める人で本気で彼女に向き合ってくれたただ一人の人物だ。
しかし、昔は必要ない、むしろ入らないと思った能力を、今は使いたいと思っている。
(なんでこの人は読めないのだろう・・・ほかの人は読めるのに・・・)
初めて自分の力を使いたいと思わせる人物こそまさに彼、播磨拳児なのだ。
彼は八雲の常識を、唯一打ち破る人物なのだ。自分をどう見ているのかすらわからない。
つまり自分に好意を、はたまた嫌悪を抱いているのかすらわからないのだ。
今まではどんな男でも、すぐに自分をどうみているかわかった。その能力で彼女が悲しむ理由の一つ
は「行動と思っていること」が違いということだ。いくら表面ではいい人に見えても、心では、自分を性的な目でしか見ていない、など
そういうことが八雲にとって人間不信を起こす理由でもあるのだ。しかし、今自分の前にいる人はわからない。
自分をどういう目で見ているのかわからない。
(私は播磨さんにとってどんな人として想われてるんだろう・・・)
だが、すくなくとも彼女は播磨を「嫌い」とは想っていない。無論播磨もだ。
彼は偽りはしてない。それは、初めて彼と出会ったときから考えは変わっていない。
自分に動物について教えてくれたり、誰にも秘密にしていた漫画を手伝わせてくれたり、彼女はまちがいなく
彼にとって特別な人である。そう思うと、八雲にとって優越感を浸らせてくれる。
(私は播磨さんにとって特別な人・・・。)
しかし、その優越感はすぐに壊された。
ハ リ マ ケ ン ジ ハ ツ カ モ ト テ ン マ ガ ス キ
そのことを知った瞬間、八雲はショックを受けた。
ワ タ シ ハ カ レ ニ ト ッ テ ト ク ベ ツ ナ ヒ ト ジ ャ ナ イ ノ ?
もちろんそれは八雲の思いこみだ。しかし、彼女は悩んだ。彼は自分じゃなく自分の姉に目をむけていることに。
(あの人の心が読めれば・・・本当のことがわかるのに・・・)
八雲は憎んだ、今まで自分を陥れてきた力を。なぜ、彼の心はわからないのかと。
同時にそれは、八雲が自分の姉に対して絶対にすることのないだろうことも生み出した。
「 嫉 妬 」
彼女は姉を愛している。もちろん恋とかじゃなく人間として愛している。自分を絶望から何度も立ち上がらせてくれた姉。
彼女は姉に数え切れないほど感謝している。しかし、今の彼女はちがう。あきらかに塚本天満に「嫉妬」している。
ナンデネエサンナノ?ナンデワタシジャナイノ?
その感情は、今にもあふれ出てきそうなぐらいな感じだった。
ユルサナイ。ワタシノハリマサンヲ・・・
カエシテ・・・カエシテ・・・カエシテ!!!
「おーい、妹さん?」
「!」
不意をついてきたので思わず驚いてしまった。
そして自分が姉を憎んでいたことにも驚いている。
(私今、姉さんを憎んだ・・・。)
彼女は姉に対しての感情が変わっていくことに焦った。
(なんで私が姉さんを・・・。そんなわけないじゃない・・・だって姉さんは私の・・・)
「大丈夫か、なんか眠そうだから休んでもいいんだぞ?」
「いえ・・・大丈夫です・・・」
彼女は播磨にそのことを悟られないように平常を保とうとする。
だが、彼女の顔は真っ青で、汗もかき始めている。
あきらかに以上な様子に播磨も少し不安を抱いていた。
「そうか?でも顔が青いぞ?腹でも痛いのか?」
「いえ、本当に大丈夫です・・・。」
「そうか・・・ならいいんだけど」
しかし、彼女の心はもう限界だった。その証拠は体でも出ていた。震えている。
それは、まるで触れると割れるガラスのような感じである。
「・・・なぁ、やっぱ休んだほうがいいんじゃねぇのか?」
「・・さっきのはぼーっとしてただけです。だから大丈夫・・・」
しかし、やはり様子がおかしい。いつもの妹さんじゃない、そう思った
播磨は、これ以上自分のせいで負担をかけるわけにはいかない、と思った。
「いや、やっぱ休んでくれ妹さん」
「でも・・・」
「もうあと少しなんだ、あとはオレ一人で大丈夫だから」
「・・・わかりました。でも必要なときは起こしていいですから・・・。」
「大丈夫だって!この播磨拳児!自分の仕事はちゃんと守るぜ!」
「クスッ・・・じゃあお休みなさい」
彼女がよろよろと立ち上がって、リビングへ行こうとしたとき、
後ろから播磨が呼び止めた。
「あ、妹さん。いま絃子もいねぇしリビングで寝るのは寂しいだろ?」
「え?」
「だから今はオレのベッドで寝てくれ。」
その言葉を聞いた瞬間、彼女の心臓の心拍数が上がっていく。
ハ リ マ サ ン ノ ベ ッ ド デ ・ ・ ・
彼女は胸に手を当てて、自分の興奮を抑えようとした。
「寝るときはオレがあっちで寝ればいいから。」
「でも・・・」
「オレのことは心配しないでくれ。いまは妹さんのほうが大切だからな!」
(大切・・・)
その言葉が彼女の脳で響いた。そして再びその言葉が、彼女に優越感を与える。
同時に思った。ここで勇気を出さなければ、播磨を自分のものにできない、と。
「わかりました・・・そこまで言うんでしたら・・・」
「おう、妹さんはぐっすり寝てくれ!」
そして彼女の心にある決意ができた。それは今まで自分がしてきたことが
ないものだった。
「あ・・・でもそのかわり・・・」
そして八雲は勇気を振り絞って言う。自分のものにするために。
自分の気持ちに気づいてもらうために。
「ん?」
「私のお願い・・・聞いてくれませんか?」
その言葉に播磨はとまどった。
(初めてだな、妹さんから頼んでくるなんて・・・)
しかし播磨は自分が苦労をかけている立場なので、断る権利はない。
たぶん腹でも減ったんだろう、と思った播磨。
「なんだ、おなかでも減ったのか?減ったんならそのあたりのコンビニで買ってくるけど?」
「そ、そんなのじゃないです・・・」
「え?」
そして言う。顔をちょっと赤くして。そして小さな声で。自分の気持ちを確かめるために・・・
「あの・・・その・・・一緒に寝てくれませんか?」
「えっ?」
カチャン
その言葉を聞いて、播磨は持っているペンを落とした。
トービーコンティニュー・・・
以上です。とりあえず続きも考えてますが、最後は天満チャン(;´Д`)ハァハァな人には
ちょっと向かないかもしれません。感想などあったら書いてみてください。
ヤクモン!ヤクモン!
独占欲全開八雲キター。GJ。
技術的なツッコミは出来んが、続きもガンガレ。
GJ!GJ!GJ!
173 :
キンカラ:05/04/08 16:49 ID:kQgNY1NQ
とある日のホームルーム………。
いつぞやと同じくソフトボール、恙無く仕合が進んでいる中、それは起きた。
「じゃ、ピッチャーやらして貰うわ」
「…………今鳥君、ベンチで携帯いじってたんじゃなかったの?」
沢近愛理率いるチームが守りなる回、それまでやる気の無かった今鳥が急にマウンドに上がってきた。
当然メンバーが多くなるのでその分一人を抜かす、ということで今鳥のかわりに抜けたのは……。
「頑張れ〜!」
「やっぱり天満なのね?」
174 :
キンカラ:05/04/08 16:52 ID:kQgNY1NQ
あきれる沢近、気にせず今鳥はグラウンドへと向かっていった。
投球練習、パンパンとグローブを叩き、自信満々の今鳥、全回はなんだかんだで活躍しなかったが、今年の俺は違うぜ!な勢いで猛然と振りかぶった。
「見ろよミコちん!この豪速球を!」
「止って見えるぜ、そんなヒョロ球!」
175 :
キンカラ:05/04/08 16:52 ID:kQgNY1NQ
何かの因縁か、バッターボックスに立っていた播磨にあっさり打ち返され、弾道はしっかりと今鳥の顔にクリーンヒット、予想は出来ていたのか、「やっぱり……」と息を吐くクラスの面々、
この日、二人の名も無き男子が初のタンカ持ちを体験することになる。
「ま、自業自得ね」
そんな事を誰かが呟いたその時、播磨に向かっていく少女が一人。
「あの、播磨さん、なんてことを……」
密かに今鳥に恋心を寄せる我らがイチさんこと一条かれん、愛しの今鳥が倒されたとなっちゃ彼女が黙っちゃいない。
「え、え〜と、あのだな」
まさか言われると思っていなかったのであせる播磨、まさか天満ちゃんをベンチ入りさせてむかついたからなどとは言えずに、困りはててしまう。
「そのだな……、!そうだ、いやさ、俺ってなんかボールを上手く飛ばせなくてよ…」
咄嗟に思い付いた言い訳をする、そんな小学生がいいそうな言い訳が通じるか?と何人かが呆れたが……。
「そうなんですか……」
あっさり信じるイチさん、その目には疑いの欠片もない。
「あの、だったらこの部分にボールが当たるようにしてみてくだい、多分すごくボールが飛びますから」
と、こんどはボールの飛ばしかたを播磨に手取り足取り腰取り教えはじめる、播磨は何がなんだかわからないまま素直に一条の教えを受けた。
「ここの真芯で捕らえるんです、目指せホームランです!」
「お、おう!」
そして数分後、矢神学園に一つの伝説を作った播磨とそれを喜ぶ一条の姿があったという。
『何やってんだか………』
すっかり取り残された他の人物は皆そろってため息をついたという………。
おわり。
え〜と………、その、すまん。
とてつもなく描きたかったのでで作ってしまいました、ごめんなさい。
ああ、あとメチャGJ!!!でしたよ。
>173
「sege」になってるよ。専用ブラウザ入れたら?
>>159 >菅が漬け物を『割烹さがの』に届けると期待してた俺は嵯峨野スレ住人orz
俺もその展開を確信して読んでたよw
>>169 お言葉に甘えて感想
また天満ヘイト系か…orz
181 :
ギーガp:05/04/08 18:10 ID:vl4GIm.k
今日二回目の投下。
「監察日記」です。
182 :
ギーガp:05/04/08 18:11 ID:vl4GIm.k
10月7日 晴れ
そろそろ秋も本格化して来た。あの馬鹿は―――やっぱり馬鹿のままだ。
しかも一ヶ月前から全く風邪が治らない。やはり拳児君と触れ合ったりすると赤面するし、妙に彼のやる事が気になったままだ。
ああもう。それもこれも全て拳児君が悪いんだ。私に迷惑ばかりかけて。
オマケにあれ程注意しているのに、まだ呼び捨てだ。―――風邪が、酷くなってしまった。
まあ、何はともあれ今日も馬鹿の足跡を記録しようと思う。
国語
まあそれなりに点数は取れてきている。だが、まあ6割程度か。
だが未だに芥川龍之介の事を知らないのは勘弁して欲しい。まあ彼の無知は元々からだが。
数学
公式も中2の範囲に突入したのだが……このペースでは、ギリギリだ。
なので一気に中2、中3の公式をまとめたプリントを渡し、一ヶ月以内に一字一句暗記するよう言った。
この頃拳児君は調子が出ているようで、何も不平を言わずに黙って頷いた。
何故かその表情に思わず心臓が跳ねてしまうような衝撃を受けてしまったので、撃っておいた。
拳児君は何時も通り不平を言っていた。―――それでこそ君だ。
183 :
ギーガp:05/04/08 18:11 ID:vl4GIm.k
英語
未だ文法マスターせず。まあ、中1の範囲を終えたのは偉いと思う。
だがやはり時間が足らない。至急対策が必要だ。
理科
これに関してはもはや何も言うまい。
拳児君に何故そこまで出来るのか聞いてみたら、覚えるのは得意だと言っていた。
―――その調子で社会も頑張って欲しい物だな。
社会
ワレ、撃沈セリ。―――そんなノリだ。
地理―――オーストラリアは国じゃない、大陸だ。ちなみにオーストリアはヨーロッパにある。オーストラリアの首都ではないぞ。
歴史―――鎌倉までは詰め込んだ模様。なかなか進歩している……が、農業の仕組みにてこずっている。
一層の努力が必要だな。だが、まあ、よくやったと誉めておいてやる。
以上。始めた当初に比べると冥王星と太陽ほど差がある。
ふふふ。やはり……やれば出来る男なんだよ、彼は。何て言ったって私の従弟だからな。
今日は気分が良いから、君が私が入っている風呂場に乱入して来た事は……まあ、12分の11殺しで勘弁してやろう。
では、おやすみ拳児君……。
184 :
ギーガp:05/04/08 18:14 ID:vl4GIm.k
また題名付け忘れ…orz 一応「10月編・前進」がサブタイでした。
続きがあと2作仕上がってますが、明日以降に落としたいと思います。
てか職人の皆さん上手すぎ……orz
11/12殺し ワロス
−−−オーストラリアは国じゃない?
× オーストラリア大陸
○ オセアニア大陸
○ オーストラリア
○ オーストラリア大陸
○ オセアニア
188 :
ギーガp:05/04/08 18:24 ID:vl4GIm.k
うはw思わぬ所で無知晒しww
すんませんでした。すんませんでしたぁ!!
イキロ
ヨーロッパ=国と思ってるだけで十分馬鹿晒せると思う。
つーか、小1の時に俺も国と思ってたっけ……
小学校の頃に「オーストラリアとオーストリアってちがうの?」って質問に「一緒だよ」って答えてた先生がいた。
>190
ヨーロッパとは何か?
国とは何か?
となると、それっぽい学部にいる大学生でも今は答えづらいけどな
まぁオーストラリアに関してはイトコさん(*´Д`)ハァハァ
あとまあ、ありがちといえばありがちだが、
アメリカの首都をニューヨークだと思ってたりな。
194 :
ギーガp:05/04/08 20:21 ID:9cd50pnU
釈明として言わせて貰うと、ヨーロッパが国だなんて全く思っておりません。
少年時代にオーストラリアとオーストリアが混同してたので、それをネタとして使ってみました。
なので「ヨーロッパ=国」なんて事は考えておりませんよ!
これ以上無知晒したらどうなる事やら……orz
ケーブルで首吊って桜の下に埋められてきます。小一時間ほど。
夏休み明けの九月一日。
天満 「へー。愛理ちゃんオーストラリアの別荘に行ってたんだ」
愛理 「違うわ。オーストリアよ」
天満 「南のほうの島でしょ?」
愛理 「だからそれはオーストラリア。うちの別荘があるのはヨーロッパのオーストリアよ」
天満 「カンガルー見た? コアラは? 抱っこした?」
愛理 「………天満にぴったりのお土産があるわ」
天満 「うわーTシャツだー。愛理ちゃんありがとう!」
美琴 「なんか書いてあるな」
晶 「"No Kangaloo in Austria!!"……オーストリア人も相当頭に来てるみたいね」
注:このシャツは実在する
196 :
Classical名無しさん:05/04/08 20:52 ID:bAvfp4lk
オーストリア 東の国
オーストラリア 南の国
って聞いた事がある(ホントか?)。
ソースは忘れた。
197 :
ギーガp:05/04/08 20:54 ID:9cd50pnU
調べてみますた。
オーストラリアは「国」でも「大陸」でも通用するみたいっス。
やった!冤罪!冤罪!セーフ!セーフ!
じゃ、首吊り生首埋めつづけてきます!
,:':´ ̄`ヽ
i: .レリリリリ)
⌒゚i::::リTヮTリ゚⌒
私だって時にはS3やIFスレで
シリアス系やラブラブ系の長編SSで主役にされたいと思うときもあるよ。
でも、それは望まないんだ。悔しい気もするけど。
みんなが私に求めているのは、そんな役じゃないから。
私の役目は「ピコピコ」だけでいいんだ。
それがマスコットキャラとしての私の誇りであり、
私のすべてなんだ。それでいいんだ。
>196
そうでつ。
アウストラロピテクス(南の猿人)とかの南が「アウストラル」。
イーストがドイツで訛って「オスト」で東。
ここはとてもオーストラリアなスレですね。
というのは置いておいて、続き投下します。ちょっとエロい表現?が入ってるかもしれませんが、
どうかスルーしてください。
その言葉を聞いて、播磨は持っているペンを落とした。
彼女のいきなりの言葉に、播磨は焦ってしまった。
(え、なんだこの状況は?何かできすぎてるぞ?まて、オレ。落ち着くんだオレ。)
少し沈黙ができてしまったが、播磨が最初に口を
動かす。
「い、妹さん、そ、それって、も、もしかして・・・」
彼女は顔をさらに赤くして言った。
「あの・・・別に・・・いやらしいことで言ってるわけじゃないんですけど・・・」
「あ、え?あ、ああ!そ、そうだよな、なはは!(一瞬想像しちまったじゃねぇか○| ̄|_ )
播磨はどうやらいやらしいことを考えていたようだ。
「ただ・・・一緒に寝たいだけなんです、播磨さんと・・・」
「妹さん・・・?」
顔を真っ赤にして八雲は続ける。
「決して、・・・悪い、というか変なことはしませんから・・・お願いします・・・」
播磨は迷った。どれだけ彼女に借りがあろうと、彼女は自分の愛する人の妹。(一応つきあっていることになるが)
いきなり「一緒に寝てください」と言われれば、それは誰でも迷う。
(お、おいおい!おちつけオレ!いくら天満ちゃんの妹さんとはいえ一応女だぜ?流石に駄目だろ!
というかここで寝たら天満ちゃんにあわせる顔がねぇ!ここは断っとかないと・・・)
やはり、無理だ。そう思った播磨は、断ろうと決めた。妹さんには悪い気がするがそれだけは無理があるぜ、と。
そして、すこし咳き込み、彼女に言う。
「あ、あのよー妹さん、それはちょっと無理があるんじゃねぇーか・・・」
その言葉を吐いた途端、八雲の顔に焦りと怒りがでてきた。
顔が再び青くなり、今にも泣き出しそうな顔へと変化してきた。
その変化を播磨は見逃さなかった。
(え!!お、おれ何か悪いこと言ったっけ!?)
ハ リ マ サ ン カ ラ コ ト ワ ラ レ タ ・ ・ ・
また彼女の心は姉を憎んだ。
ソ レ ハ ワ タ シ ガ ツ カ モ ト テ ン マ ノ イ モ ウ ト ダ カ ラ ?
ソ レ ハ ツ マ リ ワ タ シ ヲ ・ ・ ・
八雲は一つの結論をだそうとしている。だが、その結論に納得できない。
彼女は必死に心で抵抗した。
イ ヤ ダ ! イ ヤ ダ !
ハ リ マ サ ン ハ ワ タ シ ノ モ ノ ! ダ レ ノ モ ノ デ モ ナ イ !
彼女の心に初めて、自分のものにしたい、という欲求が生まれた。
タ ト エ ネ エ サ ン デ モ ワ タ サ ナ イ ! ハ リ マ サ ン ハ ・ ・ ・ ハ リ マ サ ン ハ ! !
彼女の口が無意識に動く。彼を自分のためにするために。
「駄目・・・なんですか?」
オ ネ ガ イ 、 ハ リ マ サ ン ・ ・ ・ ワ タ シ ト ・ ・ ・
彼女は賭にでたのだ。播磨が自分をどう想っているのかを知るために。
「え。えっとな・・・その・・・」
彼女の以外な言葉に、また播磨は悩んだ。彼女をどうするべきか、彼女の願いを叶えるべきか・・・。
(ど、どうすれば良いんだオレは!?このまま断ったら妹さん泣きそうだし・・・このことが天満ちゃんに
しれたらきっと「妹を泣かせるなんて最低だよお猿さんだよ」になっちまう!そうしたらまた誤解より酷くなっちまう!
・・・しょ、しょうがねぇ!ここは天満ちゃんのためだ!ただ寝るだけだ!妹さんの隣で!そうだ、別に変なことをするわけじゃない!)
そして播磨は、自分の重い口を開いた。
「さ、さっきのは冗談だから!いいね、一緒に睡眠!睡眠最高!」
少し壊れかけている播磨だったが、結局彼女の願いを了承した。
しかし賭にかった八雲は、満面の笑みをだし、顔をまた真っ赤にしている。
カ ッ タ ・ ・ ・ ワ タ シ ハ カ ケ ニ カ ッ タ ン ダ ・ ・ ・
「ほ、本当ですか・・・」
「あ、ああ・・・。でも本当にいいのか、こんなオレと寝るなんて?」
「いえ・・・は、播磨さんと寝れるなんて・・・むしろ・・・光栄です・・・」
彼女は顔を赤にして言った。同時に播磨の顔もすこし赤になった。
「そ、そうか?そう言われると少し照れんな・・・」
「い、いえ・・・」
(播磨さんと一緒に寝れる・・・こんなこと姉さんじゃできないよね・・・フフフ・・)
そして無意識に、姉を超えたという考えがでている。自分が彼のなかで一番なのだ。そう
思うと彼女の黒い心が騒ぎ出す。
「ま、まぁ先に寝てくれよ妹さん」
「そ、そうですね・・・、じゃあお先に・・・」
そういうと播磨は電気を消して、机の上にある小さい電気をつけて、原稿を書き始めた。
「・・・おやすみなさい、播磨さん・・・」
「あ、ああ」
そういうと彼女は、播磨拳児のベッドに潜りこんだ。そして初めて経験する男のベッドに、
少し心臓がドキドキしている。なにせ、男の家に泊まったのも、この男の家が初めてなのだ。
その男が自分の好意を抱いている男、そして今はその男のベッドの中。その事実が彼女を
さらに優越感に浸す。そして、ベッドに染みついている、播磨拳児のにおいをかいでいる。
すこし汗くさいが、それが男ということを彼女に認識させる。
(これが・・・播磨さんのにおい・・・とてもおちつく・・・)
(なんだか変態みたいだけど・・・こんなことしたのは私が初めてなんだろうな・・・)
彼女が味わったことのない不思議な気持ちに、八雲はどんどんおぼれていった。
そして、自分の黒い心が大きくなっていくこともしらずに・・・。
そして彼女が彼のベッドに入って1時間ぐらい立とうとしていた。未だに彼女は寝ていない、というか
寝付けなかった。自分が初めて受け入れた異性の家に、その異性のベッドで寝ていて、その異性が自分のすぐ目の前にいるのだ。
男について経験がない八雲が寝付けるはずなどなかった。そのシチュエーションが逆に、八雲を興奮させた。
(どうしよう・・・私どうしちゃったんだろ・・・)
(えーい、寝ろ、寝るんだ、塚本八雲・・・)
しかし、彼女は不安も抱いていた。いくら自分の気持ちが抑えられなかったといって、とっさに「寝てください」
といった自分を変なやつなんて思ってないだろうか、と。考えてみれば、いきなり寝てくださいなんて言う女の子はそうそういない。
(勢いであんなこといっちゃったけど・・・やっぱり播磨さん、私のこと変だと思ってるのかな・・・)
しかも、いくら自分になれてるとはいえ、彼は男。しかも鬼もおそれる不良なのだ。
彼女は彼を信頼している、が、自分をもしかしたら襲ってきてしまう可能性もあるのが事実なのだ。
(私が播磨さんはそんなことしないと思うけど・・・たとえもし・・・きたとしても、播磨さんなら・・・)
ガタンッ!!
いきなりの音に八雲はビクッっと震えた。その音は、播磨が原稿を書き終えて、机を揺らした音だった。
「よっしゃー!!!!ついに書き終えたぞ!!!」
播磨の喜びの言葉に、八雲も思わず喜んだ。
(よかったですね、播磨さん・・・)
そして播磨は、彼女のほうをみてこうつぶやいた。
「これも全部妹さんのおかげだよな・・・」
そういうと播磨は八雲のちかくによって、自分の手を彼女の額に当てた。
思わず八雲は心のなかで驚いてしまった。耳まで赤くなるぐらい彼女はうれしかった。
(は、ははは播磨さんののの手、手が・・・・)
「妹さんにはいくら感謝しても足りねぇぐらいだよ」
そして、自分の手で彼女の額をなでなでした。
それは、とても大きく、ごついが、暖かい感じのする手だった。
(これが・・・播磨さんの手・・・・)
八雲が幸せの絶頂に浸っている。
だが、播磨の言葉によって、その幸せは崩される。
「だが、これでやっと、天満ちゃんに思いを伝えることができる!」
テ ン マ ?
その言葉が、彼女にスイッチを入れた。
・・・そして再び、彼女の黒い心が動き始めた。
ヤ ッ パ リ ワ タ シ ハ ・ ・ ・ ハ リ マ サ ン ニ ト ッ テ ハ ・ ・ ・
ナ ン デ ハ リ マ サ ン ハ ワ タ シ ヲ ス キ ニ ナ ッ テ ク レ ナ イ ノ ?
(それは姉さんのせい・・・)
コ ノ マ マ ダ ト ネ エ サ ン ニ ハ リ マ サ ン ヲ ト ラ レ ル
(それはいや!播磨さんは私のものよ!)
ナ ラ ド ウ ス ル ノ ?
(え?・・・どうするって・・・?)
コ ノ マ マ ダ ト ハ リ マ サ ン ハ ア ナ タ ヲ ス テ テ シ マ ウ
(!!・・・)
ソ レ デ モ イ イ ノ ?
(・・・いや・・絶対に嫌!!)
ナ ラ ウ バ ウ ノ ヨ
(奪う・・・?)
ソ ウ 、 ネ エ サ ン ヨ リ サ キ ニ ウ バ ウ ノ ヨ
(奪う・・・播磨さんを・・・)
カ ン タ ン ナ コ ト ヨ ・ ・ ・ ワ タ シ ニ マ カ セ テ ・ ・ ・
「さて・・・じゃあ寝るかなー。アーまったくつかれちまったぜ。」
「・・・播磨さん・・・」
いきなりのことに、播磨は驚いてしまった。
体をビクッっとはね、彼女のほうを見る。
「い、妹さん!まだ起きてたのか!?」
「はい・・その・・・播磨さんのことを考えてると・・・寝れなくて・・・」
「え・・?」
彼女の言った言葉を、播磨は一瞬理解できなかった。
「そ、それってどういう・・・ムグッ!」
そして彼女は行動にでた。ベッドから手を伸ばし、
彼の頭の後ろにあて、その頭を自分に近づけ、彼の唇と唇を交わした。
ソ ウ ヨ ・ ・ ・ ソ レ デ イ イ ノ ・ ・ ・
(わたさない・・・播磨さんは・・・絶対に・・・)
しばらくして、彼女は唇を播磨から離した。そして、
いきなりの出来事から、我に返った播磨が叫んだ。
「お、おい!妹さん、何を・・・」
しかし、彼に反論の暇すら与えない気か、八雲はベッドから乗り出し、
播磨を地面に押し倒し、上から彼を押さえた。
コ ノ ヒ ト ハ ワ タ サ ナ イ ・ ・ ・
「播磨さんは渡しません・・・誰にも・・・・」
彼女の異常な行動に、流石の播磨も黙ってはいない。
「い、妹さん、何があったかしらねぇが、とりあえず落ち着け!」
しかし、彼女の耳にもはや彼の声は聞こえない。彼女の精神は
感情によって支配されているのだから・・・。
(ど、どうしちまったんだ妹さん!?と、とにかくやべぇ!!)
必死になって抜けだそうとする播磨。だが、それを押さえる八雲。
彼女の細い体からは考えられないほどの力がでている。それは播磨ですら
抜けることができないぐらいの力だった。
「駄目です・・・播磨さん・・・私以外の人をみちゃ・・あなたは私の・・」
そしてもう一度、彼の唇に唇を交わそうとした・・・
トービーコンティニュー・・・
>210
乙
とりあえず八雲さんのためにバールのようなもの置いておきますね
「
(´ー`)ノ
以上です。おかしい・・・黒ヤク作ろうと思ったのに、なんか全然ちがってきたような・・・
しかも後半エロ含んでるしOTL
とりあえず勢いで書いた、今は反省している。
天満が余りにも可哀想だ。
カタカナ表記が多すぎる。
技法と言うものは、基本的に使うべき時だけに使った方が効果が大きい。
倒置が連続した文章は読みやすいかな?
三点リーダと同様に、使いすぎは良くない。
これだけではなんなので、ちょっとした別の表現方法を紹介。
内心の変化を行動で表すと、その感情がいっそう強く表せる場合がある。
逆に、勘定をストレートに書いている場面の意味合いが強くもなる。
また、セリフで感情を表現するのも一つの手ではあるが、そのセリフにもって行くまでの
段階を表記する必要はある。
EX
彼は怒った→彼は眦を釣りあがらせ、強く唇を噛み締めた。
彼女は落胆した→彼女はわずかに肩を落とし、大きく一つ息を吐いた。
エロパロなら制約なくエロが書けまつよ
と、言ってみる。
>>214 指摘ありがとうございます。なるほど、表現にはいろんなやり方があるのですね。
勉強になりました。
>>215 最初はそっち方面で書こうとしたのですが、あくまで黒ヤクねらいだったのでこっちにしました。
>>215 漏れはエロがすくねーなー、これならIFスレでいいんじゃないかと思ってしまった
両方開いてるからなーorz
まあ、生殺し(・A・)イクナイ!!ということを言いたかっただけなんだけどな。
しかし、エロパロになるとどうしてもエロばっかに目が行って
SSそのものを軽視される傾向にあるな……少し嘆かわしい。
>>210 カタカナ表記が多すぎて読みづらいかな。
あと↓がキャラ違い過ぎる気が…
(えーい、寝ろ、寝るんだ、塚本八雲・・・)
>>211 じゃあ俺はラムダを置いていきますね。
(´ー`)ノ λ...
>>216 まあ黒ヤクモと言ってる時点で「ああキャラが違うんだな」と身構えてるので大丈夫です。
ぜひ続きをおねがいしますよ。
奈良が小学校のときの話。
奈良は、少し内股気味に家路を急いでいた。
実は、4時間目から尿意を我慢している。学校で用を足せば良かったのだけれど、
奈良は学校のトイレがあまり好きではない。別に何かあるわけではないが、
基本的に学校のトイレは使ったことはない。
奈良の足取りは、自然と早まっていく。
家まで、あと半分ほどの距離になったところで、下腹部から尿道への圧迫感が強まり、
奈良は立ち止まった。
(漏れる〜! あとちょっとで家なのに……)
とりあえずそろり、そろりと歩き出す。しかしもう今にも出てしまいそうだ。
焦った奈良だったが、すぐ近くに公衆便所のある公園があることを思い出し、そこへ
向かった。
もう我慢の限界で、トイレを目指して走り出す奈良。
ほんの少しだけ漏らしてしまったかもしれない。だが今はそんなことを気にしている
余裕などない。
公衆便所へ駆け込むと、焦りで上手く開かないファスナーを半ばこじ開け、小さな
性器を取り出した。
「はぁーーー……」
じょろろろろ、という音と共に排泄の快感が広がる。尿を出し終えると、雫を切った。
奈良は一心地つき、安堵の溜め息を吐く。
性器をしまおうとして、さっき走ったときに下着を濡らしたことを思い出し、ズボンを下した。
(思ったより漏らしちゃったなぁ……)
数センチの円を描いてブリーフに黄色い染みが広がっていた。
しかし、放っておいても気になる程ではない。
ズボンを上げようとした。その時、背後に人の気配を感じて、奈良は後ろを振り向いた。
「……ボク、おしっこ漏らしちゃったの?」
三十歳前後の男が、笑いながら奈良を見つめている。
奈良は知らない人におもらしを見られた恥ずかしさで、耳まで真っ赤になってしまった。
くすくす笑う男の声に居たたまれなくなり、奈良はズボンをさっと上げ、公衆便所から
出ようとした。
「あ、待ってよ、別に君を笑ってるわけじゃないからさ」
待って、と言われて反射的に足を止めてしまった。
奈良は振り返ってその男に何か用か、という視線を送る。
「ふふ……実はね、おじさんもおしっこ漏らしたんだ」
奈良は目を丸くした。
「……そうなの?」
「うん。ホラ、こんなになっちゃった」
男はおもむろにズボンを下ろす。奈良は自分の親とそう変わらないような大人が
おもらしをしたなんて聞いたことがあるはずもなく、妙な好奇心が湧いてきて、
その部分を注視する。
しかし、それは普通のおもらしではなかった。
何やら白い粘着質の液体がこびりついている。奈良は思わず言った。
「おじさん……これ、おしっこじゃないよ」
男は楽しそうに応える。
「うん、でもおもらしだよ。この白いの、何か知ってる?」
奈良は無言で頭を振った。
「そーか、知らないか……君は出したことないんだ」
今度は頷く奈良。
「ところで、おしっこすると気持ちいいよね。この白いのも、出すとすごく気持ちいいんだよ」
奈良は興味深げに男の話を聞いている。男は更に続ける。
「この白いのね、自分の好きなときに出すことができるんだ。おじさん、今もまた出そうだよ」
「……おじさんのちんちん、なんか変だよ」
奈良は男の性器が異様に膨らんでいることに気付き指摘する。
男は自らの性器を握りしめ、上下に扱き出した。
「え、何してるの……?」
奈良はそこで初めて得体の知れない気味悪さを感じた。
「ハッ、ハッ、白いのを出そうとしてるんだよ……う、出るっ」
男の性器から、白濁した液体が放出される。男は荒い呼吸で、奈良を舐めまわすように
見つめる。
奈良は急に恐ろしくなって、弾かれたように駆け出す。
一度も振り返らず、家まで全力疾走した。
それ以来、奈良は高校生になった今でも一人で公衆便所に行かないようにしている。
しかしあれだな。もうスクランSSはGS美神SSぐらいにはなったと思うな。
流石にカノンやナデには及ばんが。
「…」
「…」
八雲が播磨邸(刑部邸)に来ることが、習慣になってきていた。
二人で漫画の作成をしている。
隣の部屋では、絃子が“可愛い自分の(生徒+部員)と従弟のために知る義務がある”
と、自分に言い聞かせながら二人の様子を盗聴してたのだった。
(相変わらず長いな…しかし、二人ともよく声をもらさないものだな)
当然であるが、勘違いをしているのである。
「ふぅ、今日の所はこんなもんだな。少し休むか。」
「あ…はい。そうですね…」
(ふむ、46分38秒か。拳児君に体力があることはわかるが塚本君もなかなか…
しかも、声を抑えてでか…塚本君はまぐ…)
『俺を男にしてくれ』発言によって、八雲が何しにここに来てるのか全く別のことを
想像(妄想)しているのである。
「いつも悪いな、妹さん。疲れるだろ?」
「いえ…好きでやってることだから大丈夫です…」
(好きでやってる!?)
「それに…慣れましたから…」
(慣れた!?塚本君…君はそこまでいってたか…)
何ともいいようのない気持ちがこみ上げてくる、簡単に言えば自分のクラスの生徒、しかも優等生
の八雲に先をこされたと(女として)
「妹さん、上手だよな。初めてのときも結構うまかったしな」
(しかも、うまいのか…)
「いえ…播磨さんが、丁寧に教えてくれたからです…」
(拳児君め、こーゆーことにはとみに優しくしてるのか)
「そんなことねぇよ。おっと、もうこんな時間か。お姉さんが心配するだろ送ってくよ」
「ありがとうございます…」
(かえるのか…盗聴のことを隠さなければ…)
播磨たちが出てくる前にそそくさと盗聴をやめ、ポテトチップスを食べながらテレビを
見ているポーズをとる。
ガタッと播磨の部屋のドアが開く。
「絃子、俺、妹さん送ってくから。すぐもどってくるわ」
「刑部先生、おじゃましました。」
「あ、あぁ…」
二人が家から出た瞬間、鍵を閉め、播磨の部屋で捜索をする。
幸いにも(?)漫画などはしっかり片付けてあったため気付かれなかった。
(ゴミ箱にティッシュ…見る気にはなれんがあれだろう…)
インクなどはねたりした時に拭くのに使ってたものだった。が、
間違いなく別のことを考えているであろう。
(いままで、拳児君の部屋で見たこと無いのだが。ちゃんと彼は使っているのか?
塚本君に子供ができたら…真面目な塚本君のはずだ、使ってるにちがいない…
でもゴミ箱にはそれらしきものが見当たらないのだが…まさかな。帰ったら、何気なく聞いてみるとしよう)
播磨が帰ってきて。
「拳児君。君は、保健体育のじゅぎょうは必要だと思うかい?」
「あん?なんだよ、いきなり…体育はまぁおもしれぇけど、保体なんか聞く意味なくねぇか?」
「そうか…そんなんじゃ。君は避妊なんてしらないだろう…」
「それぐらい分かるぞ。馬鹿にするな!まぁ俺みたいなのには、必要ねえけどな…
あー…今日は疲れたから寝るわ。」
「そうか…」
その時の絃子の顔は青ざめていたとか…
229 :
Classical名無しさん:05/04/09 10:13 ID:T6osFUow
つまんね
230 :
ギーガp:05/04/09 10:18 ID:LhYJZCz.
投下します。
監察日記・11月編。
今日は緊急職員会議があった為遅くなってしまった。
家に帰ると―――やはり拳児君は遊んでいた。君はアレかね?猿か何かかね?
私が居ないと何も出来ないのだな。君には私が必要―――って、違う!私は何を考えてる?
やはり風邪か。風邪の所為なのか。―――それはつまり、拳児君の所為でもある。
よって、勉強を開始する前に人誅を行う。もちろん勉強できる程度に体力は残す。
―――別にサドだから彼を虐めるとか、そんな事ではない。調教だよ、調教……。
そんな大変な状況下でも勉強をやり遂げた駄犬の足跡を、今日も記録する。
国語
此処に来て新たな問題が発生。―――字を読めない。
まあ、幾ら辞書で調べさせた所で、細かい所まで読めるほど彼の脳みそは優れてない。
仕方ないので、アダム=スミス著「国富論」を読ませる。社会の勉強も出来て一石二鳥だな……って、経済だしな……。
数学
公式も、まあ一通りは覚えてさあ計算だ。―――やはり出来ていない。
というかまだ七の段覚えてないのか。君の頭は余程特別製に仕上がっているようだ。
まあ、まあ―――これからだと思いたい。
計算プリントを山の如く与えて一週間後の宿題とする。勿論調べても可。
一問間違えるたびに彼の寿命を縮めていく。これなら否応無しにもやるだろう。
英語
文法もそれなりに様になってきた。発音もほんの少しだが良くなってきている。
ふむ―――まあ、良いだろう。
最近、妥協だらけな気もするが、そんなのは必死にやる彼の姿に比べればどうでも良い筈だ。
理科
完璧かと思われた理科にも、やはり弱点はあった。
数学と同じく、計算問題である。やり方は合っているものの、計算で間違ってしまっている。
これもやはり数学と同じだな。計算プリント。
―――流石に拳児君も半泣きになっていた。しかしこの位でなければ、君の行きたいと言う所へは行けないと思う。
社会
来たよ、ラスボス。
地理―――今までの努力が報われてきたのか、段々良くなって来ている。だが、カナダはアメリカの首都じゃないぞ?
歴史―――江戸の長い歴史に辟易しているようだ。そんな彼には図書館で借りてきた漫画「日本の歴史」シリーズを読ませる。
例え猿並みの頭でも絵が付けばどうにかなる。
以上。まあ、受験までにはギリギリ全過程終了と言ったところか。
やはり鍵は社会だな。社会の伸び如何で彼の人生が決まると言っても過言ではない。
そう言えば、来月はクリスマスだな。まあ、クリスマスと正月ぐらいは息抜きさせてやっても良かろう。
ただし―――存分に付き合って貰うがな。
来月のクリスマスを楽しみにしてみる。―――おやすみ、拳児君。
234 :
ギーガp:05/04/09 10:21 ID:LhYJZCz.
以上です。
235 :
Classical名無しさん:05/04/09 10:26 ID:G2smQ1Fo
>>232 来たよ、ラスボスって。
すげぇ笑っちゃたよ。
>>224 じゃあ何か、そのうち誰か時間逆行とかすんのか?
>>234 GJ
しかし、一問間違えるたびに寿命縮められたら、三日で死んでしまいそうな気がするw
>>228 出だしからめっちゃワロタ
凄まじい勘違い振りがイイ!
>>237 たぶんそのうち断罪モノやオリキャラヒロインも出てくるだろう。
設定改変は既に出てるし。
>>228 誤解しすぎだから! ワロスw
>>234 やはりラスボスでわらた
はじめまして、バンターといいます。
IFスレには初投下です。
18に分けていますで、合いませんでしたらスルーしてくださいね。
部屋にメイドが慌てた様子で駆け込んできたのは、お嬢様が眠りにつこうとする正にそのときであった。
彼女から報告を聞き眠気も一気に吹き飛んでしまったお嬢様は、部屋を飛び出すと執事から受話器を受け取り、
その向こうにいる人物と幾つか言葉を交わすと電話をそっと切る。
お嬢様が楽しみにしていたその日が来る事は永遠に無くなり、執事は肩を落として部屋へと戻っていく主人に
かける言葉を持たなかった。
冷たくなってしまったベッドに入り寝転がってみるが、眠気を吹き飛ばしてしまった所為かなかなか眠たくならない。
そうすると先程の電話の内容ばかりが頭について、さらに眠られなくなってしまう。お嬢様は携帯を手に取り、
時間を確認してアドレスを開いた。キーを操作する長い指がサの行で止まり、その行から電話をかけたい相手を探していく。
目当ての相手にカーソルを合わせるのだが、結局長い指は決定のボタンを押す事は無かった。
その日、お嬢様はある夢を見た。
大切な友達が、二人の秘密にしていた崖で今にも泣きそうになっている夢。
昨年の夏の話だろうか、二人とも薄着で、空から花火の音が聞こえてきていた。
落ち込んでいて、それを顔に出していないと思わせる友達の笑顔に腹が立ってしまう。
「アンタをフる方が馬鹿なのよ…」
お嬢様の声にそれっきり花火の光も音も消え、真っ暗な闇だけが彼女の周りに残るのだった。
「ねぇ、美琴」
昼休みも半ばに差し掛かり、すでに昼食をとっている生徒の姿など見られずに楽しく雑談している姿がある。
周防美琴は腹が膨れて満たされた感情のまま、ぼんやりとそんな生徒達をぼんやりと眺めていた。
そして同じようにして美琴の前の席に座って眺めていた鮮やかな金髪を両側二つに結っている少女、
沢近愛理にそう切り出されたのだった。
「なんだ?」欠伸をするかのような気軽な応答を美琴は返す。教室の教壇の周りに西本や冬木を中心として
五人ほどの男子生徒が固まっていて、なにやら不穏な内容の話をしている姿が美琴の目に捉えられていた。
「デート、しない?」
愛理も同じ光景を見ているようで、イスの背に片肘をついて呆れたようにしている。
「はぁ?」愛理のものとはまた違う、呆れたという表情で美琴は返した。「塚本と高野は……」言い終わらないうちに
愛理の真っ直ぐ横に伸ばしてきた腕に美琴は口を止める。彼女が指した方を見てみると、天満が烏丸と必死に
話している姿があった。「へぇ」短く息を吐くように呟く美琴に、愛理は肩を上げて大げさにため息をついた。
「天満なりに頑張っているみたい。休日も時々一緒にいるみたいだし」
「付き合っていたんだ、塚本」
「そんなんじゃないわよ、まだ。あれは恋人って言うより、烏丸君とお出かけって所かしら」
「それって、どう違うんだ?」
「違うわよ、まったく」
愛理の強い調子の口調に美琴は、そういうものかと変に納得してしまう。
「じゃあ、高野は?」
「晶は外せないバイトがあるって。何のバイトか知らないけど」
「何でそんなにバイトする必要があるんだ?」
「知らないわよ、そんなの。で、暇なのはあなただけってこと」
二人は依然として昼休みの喧騒の中にいた。いくら整った顔立ちをしていようと、
標準以上のプロポーションを持っていようとも、今の彼女達には何の力にもならない。
他の生徒達にとっていつも愛理や美琴が特別な注目を浴びる存在ではなく、
彼女達といえど高校生活での昼休みの光景の一部になってしまう。そういう意味では2―Cは健全なクラスだといえた。
「あのなぁ、それって沢近。おまえも暇だって言うのと同じだぞ」
「……暇よ、悪い?」
相変わらず強い口調の愛理に美琴は、先程の愛理がしたようにわざとらしく大げさにため息をついた。
「分かったよ、何時だ?」机に突っ伏すようにして降参してみせると、愛理の顔を下から見上げるようになる。
沢近って睫まで金色なんだな。美琴は瞼を閉じては、どうでもいい事だな、とそんな感想をくしゃくしゃに丸めて
ゴミ箱の中に投げ入れてしまった。
休日の繁華街は人通りも多く、美琴はそんな人ごみの中、愛理を待っていた。
友達同士やカップル同士、アスファルトを踏み歩く音や会話している音、
彼女を取り囲む雑踏は昼が近い事もあって大きくなる一方だった。
誰かと一緒にいて、自分もそんな雑踏の一部になっている時には感じない事なのだが、
ただ一人待つしかない美琴にはより大きく聞こえてしまう。
「待った、美琴?」
人ごみが自然と割れてその中から現われた愛理の姿に、なぜか安堵の息をついてしまう。
流石にお嬢様は違うな、美琴はそう真剣に感心していた。
「遅いな」「何よ、時間より三分も早いわ」
言葉は刺々しいのだが、それを発する彼女達には笑顔しかない。子供とは違い、
手をつないだりする肌に直接触れ合うようなスキンシップはなかったが、そうやって言葉で
遊べるようになった彼女達は、さっそくお目当てのセレクトショップへと向かうことにしたのだった。
日曜の快晴が、繁華街を照らしていた。
二月の珍しい陽気に道を歩く人たちの足取りも軽く、二人の歩幅も自然とリズムよくなってしまう。
雑誌に載っていない穴場のセレクトショップを冷やかした二人は、凝った外観の喫茶店に入ることにした。
外の陽気に当てられ二人の高まった気分は、店内の落ち着いた雰囲気に次第に冷やされていった。
すっかり日差しの熱も抜けた頃、周りがよく見え出すとそこは自分達には酷く場違いではないかと
思わせるような、落ち着いた店内に合う女性が多かった。
二十代後半か三十台始めくらいの上品に会話を楽しんでいる女性達が、二人を温かい目で見ているのが分かり、
いかに自分達が大人ぶって見えるようにしているのか思い知らされるその光景に、思わず萎縮してしまう。
こんな時に晶がいたら、高野がいたら、そう思う二人なのだが、ここに居ない者を思ってみてもしょうがないのである。
そんな二人のもとに、メニューを持ったウエートレスが穏やかな笑顔でやってきた。
「お決まりになられましたら、どうぞお呼び下さい」
「「は、はい」」
指導の行き届いたウエートレスが去った後、ようやく気が抜けたのかお互いに見合って
緊張していた顔を緩ませる。それからの二人はやはりいつも通りに戻ってしまうのだった。
「なによ、さっきの」
「それはお前もだろ、沢近?」
「美琴だって」
それほど声が大きくはない会話でも静かな店内ではよく聞こえて、いつも行くような店では味わうことがない、
また違った雰囲気を二人は感じていた。また、とりあえずと頼んだコーヒーの味に驚いてしまう。
すっと口の中に広がって、そのまま消えていく感触。愛理は屋敷でもめったに飲んだ事ない味わいに、
美琴にいたっては初めて飲んだその感触に再び顔を見合わせるのだった。
それからしばらくすると、愛理や美琴と同じように場違いだと気付かされるべき少女達が入ってきて、
彼女らは周りを気にせずに普段通りの声量を持って話し始めてしまったのだ。
店内の雰囲気などお構いなしの彼女らに、愛理は不機嫌な事を隠さない視線をもって睨みつける。
彼女らの中の一人がそんな視線に気付くと途端に静かになり、愛理は「ふんっ」と小さく鼻を鳴らし、
美琴はすっかり機嫌のよくなったお嬢様を再び感心して見ていた。
十二時をずいぶん過ぎた頃、大人な女性たちに代わって大学生なのかその辺りの女性たちへと客層が変わり、
店内の雰囲気もずいぶんと明るくなっていった。愛理は、先程の彼女達も店の特徴を知っていてそれで明るく
していたのかなと思ってはみるが、自分が不快感を覚えたのだから何の問題があるのだろう。そう結論付けると
速やかに記憶を端に寄せてしまうのだった。
「これからどうする、美琴?」
愛理はぼんやりと窓の外、通りを行きかう人の様子を見ている美琴に声をかける。
しかし彼女は、ぼんやりとした表情で窓の外を見たままであった。
「ねぇ、聞いてるの?」
「あのさぁ、沢近」
「何よ」
愛理は急に自分をまじまじと見てくる美琴に気圧される。
身を乗り出さんとしていた姿勢も一歩引いてしまったのか、愛理の背中にイスの背がくっついてしまっていた。
「何で誘ったんだ?」
「……」
黙ってしまったお嬢様は目を閉じてしまい、彼女の瞼が、睫が、微かに震えている。
美琴は、「別に、なんとなく気になってさ」と言うと、コーヒーのゆっくり飲んでみるという時間稼ぎには無理のある行動に逃げてしまう。
騒がしい訳でもない店内の中、二人のいるテーブルの周りは特に静かだった。
「……今月だったの」
「何が?」
短い言葉の中に含まれる愛理の感情に、美琴は窓の外から一緒にいるお嬢様へと顔を向ける。
「お父様が、帰ってくるのが」美琴はそんな愛理の台詞に眉を顰める。
「お父様って、それであたしに?」思わず笑ってしまい――愛理の睨みに美琴は「……悪ぃ」と謝った。
「けどよ、沢近。あたしじゃないだろ。付き合っている男に慰めてもらえよ。いっぱいいるだろ、呼べば来てくれるのが」
そう言っている間に美琴の頭の中には、覚えているだけで数人の男の顔が浮かんでくる。選び放題じゃないか。
自分の考えとはどこか違うのだろうか、美琴は目の前で俯いてしまった愛理をそんな考えで見ていた。
「……呼べば飛んでくるようなのには、知られたくない」
「はぁ?」
「私が呼んで、ほいほい来るようなヤツなんか信用ならないもの。それに、晶も来れないって言うし。天満は烏丸君と……」
「……で、残ったあたしって訳か」
「違うわ」
美琴が言い終わらないうちに、愛理はそう言い切った。
「美琴は来てくれるって、そう思っていたから」
愛理の顔は美琴がそうしていたように、窓の外のエキストラへと向いている。
付き合いの長いこのお嬢様の、こんなにも寂しそうな横顔は、今までに見たことは無かった。
「あのさ、沢近」
「なによ」
そっけない返事、意識は窓の向こうに彷徨ったまま。
「さっき笑ったのはごめん。あたしには、家に親父も母さんもいるから分かんなくてさ。それで――」
「いいわよ、そんな事。気にしてもしょうがないし」
気がつくと愛理は美琴と向き合っていた。
綺麗な笑顔だと周りの客達は思ったのだろう、美琴は自分に周りのそんな視線が集まっている様な気さえした。
けれども、美琴には愛理の笑顔が痛々しく、今にも泣きそうな子供のように見えてしょうがなかった。
「誕生日を一緒に祝えないのは仕方ないもの。お父様は世界を飛び回っているのだから」
「けど、いいのか。沢近が頼んだらきっと……」
美琴はさり気ない振りを装うためにカップに手を伸ばし口をつけるのだが、
すでにカップにコーヒーは残っておらず愛理の失笑を買ってしまう。
「ごめんなさい。けど、きっとお父様は帰っては来れないわ。それに、私もお父様の足を引っ張りたくないもの」
「あんたがそう思ってるんなら、あたしは何も言わないよ」
木彫りのメニュー立ての、古くなってしまった所を右手の人差し指で弄りながらそう言うと、
愛理は何も言わずに少しだけ頭を縦に上下させる。
「あのさ、気分転換にあたしを誘ったんだろ?」
美琴の明るい声に、愛理はそっと瞼を開いた。
それまでの貼り付けた様な笑顔をやめて、目の前の、時にはけんかもする胸の大きい友達の顔をまじまじと見つめる。
「違うのか沢近?」
「えっ。う、うん」
からかい半分で聞いてくる美琴に愛理は慌てて答えた。
「ったく、これだからお嬢様はよー」
「なっ、何よ急に! 私は別にあなたなんかに――、え?」
興奮しかける愛理の前には微笑んでいる美琴がいた。
自分を分かってくれて、受け入れてくれる優しく温かな笑みに思わず涙が出そうになる。
真っ白な愛理の頬が真っ赤に染まって、彼女が照れている事に美琴は気付かない振りをしてあげることにした。
「じゃあ、楽しまないとな。親父さんの事も、それでチャラにしよう!」
この言葉に愛理はしばらくの間呆然としていたのだが、「女に祝ってもらっても嬉しいわけないじゃないっ」
そう言ってそっぽを向くのだが満面の笑みまでは隠す事は出来ずに、美琴の意地悪な突っ込みに晒される事になるのだった。
喫茶店を出ると二人は、映画館でつまらない短編の恋愛映画を見て、
ゲームセンターで美琴の出したパンチングマシンのスコアに愛理が何回も挑戦して、
カラオケでは一時間で何曲歌えるかなんて馬鹿な事をして、そうやって瞬く間に時間が過ぎていった。
「あー、疲れたわ」
「あたしも」
待ち合わせをしていた繁華街まで戻る頃には、すでに辺りは暗くなっていた。
散々遊びまわって声を枯らした二人は近くの自販機でジュースを買い、早くもシャッター下ろして
しまっている店の前でそのジュースを飲んでいた。二月の空は不純物の無い澄んだ空で、けれども
繁華街の光の方が星たちの光よりも強く、わずかに欠けた月しか二人には見えなかった。
「そろそろ帰るか」美琴の声に「そうね」とそれだけを返す。
昼間の陽気が嘘のように気温は下がり、二人は温かいコーヒーがありがたかった。
愛理も美琴も疲れたような顔ではあったが、表情は明るく充実している。
「じゃあな、沢近」
「うん、……ありがと、美琴」
簡単に別れの言葉を交わした後、美琴の背中はどんどん小さくなろうとしていた。
愛理は、自分に持ち合わせていない魅力で一杯のこの大切な友人がなぜモテないのか、
そんな疑問がふつふつと沸いてくるのを止められなかった。
そして、肩幅に両足を開くと大きく息を吸って、「美琴―!!」突然の少女の大声に、
美琴も周りを歩く者も愛理の方へと振り返った。
「何でモテないのよ! あなたはこんなに良い娘なのに!!」
「うっ、うるさいな!! あたしが知るかっ!!」
十数メートルは離れたであろう道の両端に、すらりとした体型の金色の髪を両端で結った少女と
整ったプロポーションを隠せない髪がさらさらとした少女がいて、大声で話をしている光景が見られた。
夕食をコンビニに買出しに来ていた母親は物珍しそうに見ている女の子に、「ああなっちゃうから、見たら駄目よ」
そう叱るのだった。
キラキラとした繁華街の中を一人、大通りまで歩く。
愛理は執事のナカムラを迎えに寄越したが、細やかな道の多い繁華街より大通りに
いたほうが早く到着できると言われ、特別何も無かったので言われるままに大通りに向かっていた。
声をかけてくる男がいなかったわけではなかったが、愛理はそんな男達を無視してやる事にした。
いま自分はとても気分がいいのだ。大切な友達の与えてくれたこの気持ちを味わっていたいの。
愛理が無言の瞳にそう宿らせると、男達はよく分からない言い訳を残して立ち去っていくのだった。
大通りまで意外に時間がかかってしまった愛理の前に、リムジンがその存在を仰々しく主張している姿が現われ、
行きかう人々は物珍しさに気になってしまうのかそれを横目にしていた。
「お待たせいたしました、お嬢様」
「ええ」
執事は、自分の歳の半分にも満たない愛理を恭しくドアの前まで案内すると、主人が車に
乗り込むまで頭を下げている。いつものやり取りを済ませると執事は、沢近の屋敷へと向かうために
車を出発させるのだった。
高級車だというだけではなく、執事の運転技術が優れていて、まったく振動の無いままにリムジンは
沢近邸に向かって走っている。時々執事は、バックミラーで愛理の様子を覗いた。
車に乗ってからずっと車外の流れていく景色を見ている愛理の表情に、彼の目尻も思わず下がる。
良いお友達を持たれて……、よう御座いました、お嬢様」信号で止まった時、再び若き主人を見るために
ミラーを見ると愛理もミラーを見ていた。
「何か、お嬢様?」
「聞こえているわよ、ナカムラ」
愛理はナカムラを叱ってみるが、いまいち迫力が無い。
きっと美琴のせいだ。
そう思うと、幾分か愛理の気持ちは楽になるのだった。
「何か曲をかけましょうか」
「……うるさいわ、ナカムラ」
「はっ、申し訳ございません、お嬢様」
信号が青になり車が発進していく。
愛理は、窓の外の今日美琴と歩いた通りが流れていくその様子に寂しさを感じていた。
高校を卒業したら美琴と、晶や天満と離れ離れになるのだろうか。
今、流れていく風景と同じように取り残されていってしまうのだろうか。
ふと、鞄の中に入れた携帯を取り出し目をやると、三件のメールが受信してあった。
名前を見なくても、愛理は大切な友達からという事が分かった。
『行けなくてご免なさい 晶』
『ごめんねー愛理ちゃん! 今度はちゃんと行くからね、誘ってね! 天満』
『二度とあんな事大声で言うんじゃないぞ。言ったら口も利かないからな! 美琴』
携帯をバックに戻して、愛理は高級なシートに思いっきり体を埋める。
メール一つで体の疲れが吹き飛ぶなんて。いや……三つ、か。
ふっと唇をゆがめると愛理は、両足を思いっきり伸ばすのだった。
「ナカムラ」
「はっ」
「あの曲をかけて。私の好きな、曲を」
「もう用意しておりました、お嬢様」
時々しか揺れない黒塗りのリムジンは、夜の矢神の街を走っていた。
そのリムジンの中には忠実な執事とお嬢様が乗っている。
最高級のスピーカーからはお嬢様のお気に入りの曲が流れていて、執事は気持ちよく眠るお嬢様の穏やかな顔に、
若かりし頃は持ち得なかった表情になってしまっていることに気付いた。
誕生会はいかがなさいますか、お嬢様?
高校に入って様々な表情を、感情を出すようになったお嬢様を嬉しく思い、お嬢様を変えた友人達へどういった
もてなしをするべきか、執事はこれから迎える事になる誕生日の準備に、あれこれと頭を悩ませることになった。
相変わらず殆ど揺れを感じること無い車の中、お嬢様は穏やかに眠ったままでいた。
そしてリムジンはお嬢様の御屋敷へ入っていくのだった。
お嬢様は、ある友達の夢を見ていた。
お嬢様より背が少しだけ高くプロポーションの良いその友人は、お嬢様と楽しそうに笑っていた。
豪快に口を開けて、しかしそれでも彼女の可愛らしさは損なわれてはいない。
少し恋愛に臆病になっている大切な友人に対して、お嬢様は笑顔でこう言うのだ。
「あなたを振るなんて、どんなバカな男がいたのよ。美琴は可愛いんだから、この私が言うのよ!」
その夜のお嬢様の楽しい夢は、ある男に起こされるまで続くことになる。
急にスケジュールが空いたために日本へとやって来た、めったに会うことの出来ない最愛の父の登場に、
お嬢様の笑顔が屋敷の中に溢れかえったというのは、また別のお話し。
そんな娘の様子に、父親と執事が自分達の企みが成功した事を確信したのは、さらにまた別のお話し。
END
Just Friends、いかがでしたでしょうか?
皆さんの意見を栄養に出来たらいいな、と思っています。
良い点、悪い点などありましたらぜひお聞かせくださいな。
それでは、失礼しました。
GJ!
愛理×美琴か、新鮮な組み合わせだなぁ。
お父様ワロスw 根性曲がってるw
GJ!凄く良かった。
GJ!というかエクセレント!
いいですなあ。愛理と美琴とのやりとりがとてもいい。
播磨が出てこない沢近のSSって結構珍しくていいね
264 :
ギーガp:05/04/09 17:46 ID:RE4/I9pw
|A゚)ダレモイナイヤ…
今のうちだ?投下します。
12月23日 晴れ
明日はクリスマス。拳児君に買い物に付き合って貰う事にする。
―――デートではない。買い物だ。正真正銘、混じりっ気無しの100%純血「買い物」だ。
かといって、学業を疎かにする訳にもいかない。ましてや、あの駄犬は自覚がないようだが、後三ヶ月で受験だ。
着実に成績は伸びているが、それでもまだ油断は出来ない。彼が何処に行きたいかはまだ聞いてないが、油断しないに越した事は無い。
なので―――今日は、2日分して貰う事にする。
国語
人物の心情を読み取るのが異常に上手い。コイツ、創作関係で大成するんじゃないだろうか……?
ただ相変わらず物は読めない。書けても読めない。普通は逆なのだが……。
漢字読み取りプリントを5枚程手渡す。期限は、そうだな―――大晦日までだ。
拳児君は明日はやらなくて良いので張り切っていた―――最初は。
数学
徐々に計算が合って来ている。九九を覚えたおかげだな。
文章問題は問題ない。だが図形になると途端にヘタレる。
図形問題と計算問題をそれぞれ6枚ずつ渡す。
拳児君はまだ元気が有り余っている。
英語
やはりコイツは創作関係が天職なのではないだろうか。
選択文はグダグダな事になっているが、英作文の問題は上手い。
とりあえず、選択文中心のプリントを13枚程手渡す。やはり期限は大晦日だ。
拳児君はまだまだ元気だ―――少し、目が虚ろになっているが。
理科
そろそろ疲れてきているのか、やたら眠たそうにしている。まあ寝そうになる度に撃っているが。
内容に関しては、やはり言う事も無い。
拳児君は此処ですこし体力を回復したようだ。
社会
疲れの所為で元々酷い物が更に輪をかけて酷くなってしまった。
やはり2日分は無理があったようだ。だが後一教科なので励ましておいた―――銃弾で。
地理―――世界の形と日本の都道府県は覚えた模様。ただやはり地形で迷っている。
歴史―――江戸編攻略。次は近世編。やはり人名は凄い。「津田三蔵」なんて中学で習ったか……?
以上。終った後、拳児君はへろへろになっていた。
グダ〜っとなっている彼に「明日の買い物、荷物持ちは頼んだぞ」なんて言ったら、「あ……うぅ……ぅあ……」なんてツンツン頭が魔洸中毒になったみたいな事を口走っていた。
明日までには自分を取り戻してくれ。以上。お休み拳児君―――。
268 :
ギーガp:05/04/09 17:49 ID:RE4/I9pw
以上。
明日に番外編を投下します。クリスマス編。
魔洸中毒ワロスw
懐かしいw
>>268 クックック、クリスマス
最終的に播磨の志望高校を知って妨害しようとして失敗するドジッ娘絃子がくることを期待
272 :
バンター:05/04/09 20:00 ID:Ssh04S22
>>252 訂正 7、8行目の
× ジュース は
↓
○ コーヒー でした。
よく見直しているつもりですが、見落としていました。すみませんでした。
>>226 素晴らしき誤解にGJ!
>>231 凄い創作意欲だな…
面白いし、ガンバレ
>>241 なんつーか、良い意味で凄いね
長いのでちょっと平坦すぎるかな、とも思ったけど
女同士の友情物に+αが新鮮
描写に気を使ってるのもGJ
ちなみに
× 魔洸
○ 魔晄
参考までに。
275 :
バンター:05/04/09 21:40 ID:Ssh04S22
>>273 >長いのでちょっと平坦すぎるかな、とも思ったけど
この辺の舵取りが難しいですよね。
描写をどこまで取るのか、要らない説明は無いのか、などの『どこまで』という決まりが無いので、
つい要らないものを描写したり必要な事を書き忘れたりしてしまい、投稿した後で気付くのですよ、いつも。
この事と、凹凸のある流れを意識してはいるのですが、うまくいかないものですね。
そうやって指摘されて初めて確認できる事なので、次の機会も何かありましたら私に教えてやってくださいませ。
GJ!と言ってくれた皆さん、いいなと言ってくれた263さんありがとうございました。
初めてこちらに投下したがってる者です。
というか投下自体初。空気嫁なくて。
今書いてるのがやたら長い(20KB超)んですが、
1レスにどれくらい詰めこんでいいんでしょうか?レス数少ない方が良いですよね?
長杉の場合はS3ってとこのほうがいいんでしょうか?
>>241 感想忘れてた。心あったまりました。GJ!
>241
ほのぼのといい関係ですね。愛理と美琴。GJですた!
>276
一レスは32行まで。
気にせず投下してくれ。
>>278 32行!
20レス以内に収まるかな。
ありがとうございます。聞いといて良かった。
では、推敲の後に。
>>276 このスレでも18レス使った職人がいるし、
作品でスレが埋まる分には誰も文句言わないはず
S3は発表の場として確かに優れてるけど、初心者ならこっちの方が良いと思う
ななしで投稿できるし、忌憚ない意見がもらえるのは間違いなくこのスレ
S3で感想もらいたいなら、実質スレ建ててもらわないと無理だろ
……そんなの無理ぽな新米からのアドバイス
>>280 > 作品でスレが埋まる分には誰も文句言わないはず
あとは質ですかね。がんがります。
> 初心者ならこっちの方が良いと思う
やはりそうでしたか。ありがとうございます。ではこちらにぜひ。
>18レス使った職人
ジョジョの人か!? ジョジョの人だな!
ちなみに容量で言えば27kbぐらいだ。コピペして調べたんだから間違いない。
>>226 ワラタw
スクランの誤解という料理の味がとても上手く出ていて面白かったです。
>>231 何気に博学なイトコ先生に納得です。
がんばってください。
>>241 ナカムライイ!
何やら新しい人も来店して、また活気が出てきて嬉しいですな。
>228
ワロタ
強いて言えばオチが弱いか
285 :
バンター:05/04/09 22:41 ID:Ssh04S22
>>282 >ジョジョの人か!? ジョジョの人だな!
……ジョジョの人?
すみません、違うと思います。私は先月からS3に投稿し始めましたので。
まだ四つしか投稿した事はありませんし、IFスレには今回が初めてです。
ご期待に応えられずに申し訳ありません。
287 :
バンター:05/04/09 23:06 ID:Ssh04S22
>>286 ありがとうございました。
134が私で、この作品を読んで是が非でも何か書いてみたいと思ったのですよ。
この素敵な作品が無かったら、ここには投稿していなかったと思います。
288 :
Classical名無しさん:05/04/09 23:12 ID:jUolPvxA
S3ってどこいけば見れるのでしょう?
検索してもみつからないので…
>>276 その昔80kb弱、70レスくらいのヤツを放り込んだ自分が言うんだから間違いない。
何レスでもウェルカム。
しかし、最近はまた賑やかになってきて嬉しい限り。
駄レスはこれくらいにして、近いうちに手土産に持ってうかがえれば、と思いつつ。
>>127 いつもながら大好きですよ先生。
今更だけど、作品に込められた意味は受け取ったつもり、とかなんとか。
>288
ためしに検索してみたら一番上に出てきたがなあ。
293 :
餡:05/04/10 02:15 ID:Zw7KSP6E
276です。先刻はどうも。初めて投下させていただきます。
長いので、退屈された方にはあらかじめごめんなさい。
『Looking for Love』 おにぎり風味の19レスです。
とある土曜の午後。
ドドドド……。黄色信号をぶっちぎってバイクを駆る播磨拳児である。
「やっべえ! ネーム直すのに手間取っちまった!妹さんもう待ってんだろうなー」
携帯電話で時刻を確認する。ちょうど、メールで強引にとりつけた約束の時間だ。
「バイトの合間に無理矢理時間作ってもらったんだ、遅れるわけにゃいかねえッ!」
既に遅れているのだが。ぎゅるんっとスピードを上げる。
と、そこへ出番だとばかりに、一匹の白い猫が車道に飛び出した。
「うぉッ!?」
運命(お約束)に逆らえず、トップスピードのバイクはバランスを崩し――
持ち直した。アスファルトを焼き削るような強烈なドライブで白い猫を避けきった。
「……フッ、なめンな! そんなバナナの皮クラスのお約束で死ねるほど俺の不幸は浅くねぇん」
「はい烏丸君、あーん」
「あーん……はぐ」
「きゃ! た、食べてくれたぁっ! ……幸せ!!」
「塚本さんも……あーん」
「えええっ!? うっ、嬉しい!」
ドキャキャキャキャ! ズガン! ドゴォォォ!
お、おい、事故だ!
バイクがすごいスピードでバキュームカーに突っ込んだぞ!?
なんでブレーキかけなかったんだ!?
ぴぽー、ぴーぽー、ぴーぽー……
「……なんというか、例によって説明いらずの不幸っぷりだな……」
刑部絃子は今年何度目かの病院からの報せを受けて病室にやってきていた。
爆発炎上したバイク、しかし乗り手は奇跡的に無数のかすり傷で済んだ。
「んんむ……」
ベッドの上、身じろぎした包帯まみれの播磨を、絃子はやれやれと覗き込む。
「…………み荷……積み荷は……っ」 なにやらどこかで見たようなうなされ方。
「? なんだかわからんが積み荷は全部燃えたぞ?」
「……よ……かった……」
って何がだ? そのままがくっとまた眠りそうだった額をぺしっと叩く。
「っっ! ってええ!!」
ちょうど怪我した箇所だったらしい。跳ね起きた播磨拳児は涙目。
「何しやがんだ絃子っ! っ……? なんだここ!?俺ぁなんでこんなとこに!?」
「憶えてないのか? 君はバキュ…バイクで事故ったんだ」
時には思いやりも必要だ。
「あぁ? 俺がそんなヘマするわけ……ってなんで絃子がいるんだよ?」
「以前にも世話になった病院だからな。学校まですぐ連絡が来たぞ」
「?? 学校〜? だからなんで絃子の学校に?」
「何を言ってる? 私の学校は君の学校に決まって…」
……拳児君? 絃子はそこで初めて、絆創膏だらけの従兄弟の顔をまじまじと見た。
「ときに拳児君。君の名前は?」
「……ふざけてんのか?」
「歳はいくつだい?」
「んだよ、今さら説教か? 15で悪りぃか。俺ぁ走りたい時に…って、何してんだ?」
「ああ、いや。ナースコールというやつだ」
びー。
「この俺が、高校生だぁ……?」
殺風景な自室に戻ると、壁には高校の制服らしき学ラン。カレンダーの日付は2005年。
そのすべてに混乱する、彼の記憶は中3どまり。ここ2年間の記憶がすっぽり無いのだ。
「ああ。君はしっかり勉強してちゃっかり進学した」
うそだああああ! 悶える播磨。魔王と恐れられたこの俺が!? と、その様子に絃子は嫌な予感。
「もしかして拳児君……好きな女の子とか、いないのかい?」
「はァ!? バカか、んなもんいるわけねぇだろ! なんだいきなり!」
絃子はたらりと汗を滲ませた。……これは、厄介かもな。
「あー、えーと、拳児君? どうする? 明日から学校などは……」
「行ってられっかンなもん! ちっくしょお……イライラすんぜ!」
やっぱり……と思案顔の絃子。これは、まず記憶を戻さんことには……
「そうだな……あの日、何があったか思い出せないか? バイクで急いでいたんだろう? ほら、携帯に手がかりとか」
携帯ぃ? と病院で渡された傷だらけの電話を取り出す。メールボックスを開くと、なるほど日頃から誰かとメールをやりとりしている様子。
「事故の日ってぇと……五日前か…………んっ? あるぞ!」
五日前の正午、誰かに送っている。相手は……アドレス表示だけで誰だかわからない。
「どれどれ……いったいどん……な…………っっ!?」
自筆のメールを開いて読み進んだ播磨拳児、氷結。
数十秒待っても再起動しないので、絃子は肩越しに携帯を覗き込んだ。
『いつも迷惑かけてすまねえ・・・しかし俺は君なしじゃどうにもならねーんだ!俺には君しかいない!命を賭けてつづったこの想い、受け止めてくれ!!m(_ _)m ハリマ☆』
「ここここれは……」
「……ラブレター、だな」
いうなああああああああ!!と少年悶絶。
「狼狽えるな。相手は誰なんだ?」
「し、知るかっ!! 俺がこんなもの書くわけねえッ!!」
「いいからそのアドレスを」「うるせーー! さわん」
ぱきゃ。
「「あ」」
翌朝。ひそひそ声と畏怖の視線が飛び交う通学路の真ん中を播磨拳児は歩いていた。
……播磨だ……見ろよあの傷跡……ケンカ、いや、戦争してきたんだぜありゃ……
「けっ……高校つってもガッコなんざどこも同じだな……」(←バイクでコケた)(←内心ドッキドキ)
「え。登校させたんですか?」
美術準備室。モーニングティーに口を付けた笹倉葉子は、向かいの絃子の話に驚いた。
「本人の意志だよ。一晩うんうん唸ってたと思ったら、朝になっていきなりな……」
――……決めたぜ、絃子。俺は、あのメール相手(たぶん女)を捜し出す!!
「と来た」
「なんでそうなるんです?」葉子が首を傾げる。
――携帯ぶっ壊しちまう前に、受信メールを見たんだ。相手の女から返事が来てた。“待ってます”ってな……
「まあ」
――俺は……てめえがあーまでマジに頼み込んだ相手との約束をぶっちぎっちまった! 恋だ愛だは知らねえが、男としてそんな不義理は許せねえ!
「はあ?」
――一言詫びを入れねーと寝覚めが悪すぎるぜ。だからよ、その高校に行って俺はそいつを探す!
「拳児君……律儀というか……」
「バカだろう? しかし本心なんだ彼の場合。昔からこうだからな。最近はそのへんの思考回路が塚本天満で詰まってたわけだが……」
「そう、塚本さんだって教えてあげないんですか?」
「メールの相手は彼女じゃない。アドレスから調べようにも携帯が壊れてな……」
キーンコーンカーン……と始業のチャイム。
「授業、大丈夫かしら? だって彼、中学生のまま高校に来てるようなものでしょう?」
「ん? ああ、その点は問題ない」
支援?
支援
「……くぁ……んー……zzzzzz……」
だってどうせいつも授業受けてないし。播磨拳児、寝つきのよさは乳幼児並み。
……ぷるぷるぷる……ベキィッ! 鉛筆を握りつぶし、椅子を蹴って立ち上がったのは学級委員長。
「播磨ァ!! 貴様、授業開始7秒でイビキとはどういう了見だッ!!」
いつものことじゃん、と教師を含めた全員が思う。ただいつもよりイビキが大きいだけだ。花井が播磨につかつか詰め寄るのもよくある光景。だが、しかし。
「……るっせえな……」
ズゴゴ……と教室の空気を不穏に震わせる播磨の声。いつになくガチンコ。
「居直るか。よかろう……一週間の無断欠席、後で問いただしてやろうと思ったが今すぐ吐かせてやる!」
「あ゛ァ……? なんだテメー……やってみろやメガネ……!」
ゆらりと立ち上がった播磨は、ゴシッ!と花井の額に頭突き。教室の空気が瞬時にキナ臭くなる。
「……おい、花井のバカはいつものこととして」と美琴が違和感を覚えて訝る。
「うん、キレてるね。播磨君」
晶が首を傾げたちょうどその瞬間、空気を裂く音が走った。カシッ! と乾いた音を立てて花井のメガネが宙に舞う。播磨の右拳が花井の頬をかすめ、花井はその拳の下をくぐらせるように掌底を……
バンッ!! 響いたのは、両手で机を叩く音だった。
「鬱陶しいわねっ! ケンカするなら外でやりなさいよ!!」
沢近愛理だ。スイッチの入っていた花井春樹が我に返ったように拳を止めていた。収まらないのは播磨拳児(15・魔王)、生意気女をギロンッと睨みつけようとする。
が、誰かに袖を引っ張られた。どこのどいつだ!?
「播磨くん……めっ!」
…………子供?
髪がピコピコはねてる小学生(注:運命の女)が隣の席から見上げていた。何だこいつ!?
「は、はなせっ」何であれ女の手の感触に動揺した少年は、乱暴に振り払う。
「きゃ!」
「っ、おいハリマ!」
次に立ち上がったのは周防美琴。女に乱暴するのは見過ごせない。
「……ぐっ」舌打ちする播磨拳児、焦る。
なっ、なんで女ばっかカラんできやがんだ!? パツキンといいピコ頭といいこのデカ女もなぜ俺にビビらねえ!? あとあそこでビデオ回してる女はなんなんだ!
「はぁ……」
屋上で一人転がってため息。ダメなOLのような魔王・播磨拳児。早くも挫折していた。
学校そのものに縁遠く、女子と話したことすらない播磨拳児にはあの包囲網の突破口は見えない。形勢不利のまま、教室から逃げ出すしかなかった。
「くそっ、人が多すぎんぜ……何も思い出せねーのにどーやって探すんだよ……」
「探すって誰を?」
「そりゃおめー、だから、俺が事故る前にメールした相手だよ」
「それって女?」
「ったりめーだ! 男にあんな気色悪いメールってのわああっ!?」
見ればいつの間にか隣に女が腰掛けている。魔王、金魚のように口をぱくぱく。
「高野晶よ。もしかして私も思い出せない?」
「ななな、なんのことかな?」
「とぼけても無駄。だいたいの事情は読めたわ」
「なッ――!? たったこれだけのやりとりでこの俺が記憶喪失だってことを!? しかも俺がどこかの女にゾッコン惚れてたらしいということまでッ!?」
「ゾッコン?」
「ああゾッコン!」
………………
「…………あれ?」
以後数分間の後悔と自己嫌悪の悶えは割愛。
「――ヒント、あげましょうか」
「っ!?」
結局事情の一部始終を吐かされた播磨拳児、もはや丸裸。冗談か本気かわからない晶の言葉に反応してしまう。
「なんか知ってんのか!? いや、しかしなぜっ」
「信じないの? 私と播磨君は義姉弟の契りを交わすほど親しかったのよ?」
「………っ! 義兄妹……!? そ、そーだったのか……!」
力関係と腹黒さからして、どSな姉と弟の関係にほかならない。しかも嘘である。
「播磨君の近くにいた女たち…………よぉく知ってるわ」
その1――周防美琴
「ああ、あのデカ女か」
「その昔、播磨君が告白しようとした女」
「はぬっ!?」
いきなり顎が外れる播磨拳児。晶がゆっくり押し戻す。
「落ち着いて。未遂よ」
「な、な……じゃあ俺ぁアイツに惚れてたってことじゃねーか!」
思い出してみると、きっつい眼光が印象的だった。気の強い女か……アリうる。
「それはわからない」
「そう、わからない……ってオイ! なんでわかんねーんだよ!決まりだろ!」
その2――沢近愛理
「……パツキン? なんだ日本人なのかよ」
「その昔、播磨君が告白した女」
「へえ? そーなにイィィィィィィィィッッ!!」
脳みそシェイク状態。告白した!? したのか!?
「さっ、さっきの周防ってのはどうなったんだよ!?」
「わからない。けどこれは事実よ」
「じゃ、じゃあ……オレはあの金髪女に……」
た、確かに派手な顔だったし、このオレを怒鳴りつける度胸はなかなか……
「飛び膝蹴り食らってたわ」
「……は?」
その3――塚本天満
「ちょっと待て、質問に答えやがれ! 告白して蹴りってなんなんだよ!?」
「3人目の女、塚本天満はあなたの隣の子」
「あのピコピコか? ありゃホントにタメか? あいつってことはねーだろ」
「…………そうね。該当する既成事実は無いわ」
「あれは無い。絶対無い。消していいだろ。それよりオレは周防ってのと沢近ってのと」
「どっちがいいの?」
逆に晶に睨まれて、「へ?」と播磨は固まった。
「今の播磨君は、どっちがいいの?」
「なっ! そんな」
そんなこと関係ね……いや! 待てよ……記憶を失っているとは言え同じ自分じゃねーか。今の自分の感覚に頼るのも一つの方法か……?
珍しく冷静な播磨拳児、悪魔の手玉。
「うーーん…………いや、ちょっと待ってくれ。よく考えるから」
「うん……よっっっく考えた方がいいと思う」
「ん? あ、ああ。わかってるぜ」
なぜなら、ちょうど今さっきから怖い人達が覗いてるから……
播磨の背中の向こう、屋上の扉の裏に二人。
わかってて訊く高野晶、面白ければ何でもいい。
頭を抱えて唸っている播磨拳児、その背後で、愛理と美琴は顔を見合わせて狼狽えていた。
「ど、どういう話だ? ありゃあ」
既に顔が赤い周防美琴。『周防と沢近のどっちがいいか』というところだけ聞き取れたのだが、話の始まりは聞こえていない。
「し、知らないわよっ」
かたや心拍数が上がっているのは沢近愛理。ときめきと殺気が同居する女。
播磨の返答次第では…………
二人の間を分かつように走る一筋の(無駄な)緊張。
数分の苦悩の後。播磨はぎゅっと拳を握って口を開いた。
「……オレは……」
ごくんっ。
「…………………………………………わからん」
がたーん。
「ん?」背後で何か物音がしたような……と振り返るが誰も見えない。
危機を逃れた獲物にちっと舌打つ高野晶。
「…………よ、よくわからねーけど、二人とも、その、いい女だと思うぜ?」
扉の向こうで転げた二人が、意外な男の意外なセリフに不覚にも頬を赤くする。妙なところで点数を稼いでしまう不良である。
「でもよ、付き合うとか惚れるとか……そういうのはオレ経験なくて……いくら考えてもわかんねーよ」
播磨拳児15歳、魂の愚痴。うなだれる悪ガキに、晶はふっと微笑んだ。
「正解よ播磨君」
「え?」
「軽々しく二人のどちらかを選んでも……そこに答えはなかった。私はあなたの心を試していたの」
「な……」
なんのために??? 覗いている二人がごく当たり前の疑問に顔を引きつらせる。が。
「そうだったのか……!!」
「やはり貴方は私が見込んだとおりの漢……」
「高野……いや、姐サン!」
バカは雰囲気に流されていた。
支援
『貴方の探し人はこの3人の中にはいない』
高野晶は預言者のごとくそう告げた。なぜなら、
『3人とも播磨君のメアドを知らないから』
じゃあ最初からそう言え。と普通ならキレるところだが、そこはそれバカである。親身な(フリをして楽しんでいる)晶にすがった。
『これから、どうすりゃいいんだ!?』
『……3人目の女……塚本天満を訪ねなさい』
『!? ピコピコを?』
『彼女は、彼女ならあなたに恋とは何かを教えてくれるはずよ……!』
びしぃっと、神の啓示に打たれたように信じ切ったバカ。昼休みに塚本天満を探していた。
さっきはガキくせえとナメてたが、姐さんがその道の達人と認めるほどの器。タダもんじゃねえ……お、いた!
「はい、あーん烏丸君」
「ぱく………………………………甘じょっぱい」
「えへへっ、今日はねー、たらこカレーにガトーショコラをトッピングしてみましたあっ♪」
昼休みの中庭のベンチで、奇怪なレシピを口ずさむ女。
……い、いや、人は見かけによらねーモンだ。その証拠に隣の男は涼しい顔してやがる。と、それはまあいいとして……しかし……なんだ、胃がねじきれそうな勢いで痛むのはナゼ???
脂汗をダリダリと流しながら本能に逆らって前に進む裸の王様・播磨拳児。
「……あっ、播磨君」
「よ、よう……つ、塚本、だよな? その、すまねえけどちょっとツラ貸してくんねーか?」
「え……うん……でも……」
と天満は烏丸の方をちらりと見る。
「あ!いや、カレシに心配かけるような話じゃねーんだ!ホントに!ちょっと相談がブふぉッ!?」
ばちこーん! と背中を叩かれた。ものすごい力で。
「や、やだ播磨君たらっ! カレシだなんて、どーしよーっ!!」
ぐりんぐりんと全身をよじって歓喜のダンスの塚本天満。見かけ通りでないのは確かだった。
「そーだったの……」
中庭にて、烏丸に席を外してもらって事情を聞いた天満は、深く深く頷いた。
「その子に会えれば、失った記憶も戻るかも知れないんだね……」
「ああ……そーなりゃ一番……っ?」
がしっ、と不意に手を握られて播磨が目を白黒させる。
「そんなことになってたなんて……すぐ相談してくれれば良かったのに……」
「え……」
「私たち友達でしょ? 力になるよ播磨クン!」
…………じ〜ん。
播磨拳児、感動。
中学時代(彼にとっては今現在)播磨拳児は孤独だった。孤独を辛いと感じることもないほど友を知らない。こんなに彼を心配してくれる他人がいようとは夢にも思わなかった。
「まっかせといて! 名案があるの! すぐそのメールの相手を見つけてあげるわ!」
「どうして……どうして俺にそんなによくしてくれるんだ?」
「そんなの……決まってるよ……」
天満は播磨の肩にそっと手を置いて、天使のように微笑んだ。
「友達の恋はうまくいってほしいに決まってるじゃない……!」
「塚本ッ……!」
嬉しい……のだが、胃がいよいよねじれそうなくらい痛いのはナゼ? why?
真っ青な顔で無意識に自爆し続ける播磨拳児の救いとなるか。塚本天満は「待ってて!」と言い残して駆けだしていった。
その数分後。播磨拳児は、地獄を知る。
《――えー、テステス……緊急放送ですっ!!》
昼休みも終わる寸前、突如として全校舎に響き渡る大音量。声の主はもちろん。
「塚本…………サン?」
かちちこ、と固まる中庭の播磨拳児。まさか。まさか。まさかっ!
《えー……皆さんにおねがいですっ! 実は今、人を捜してます!》
待て、待ってくれ……あうあうと手で宙をかく。
《じ、つ、は……2Cの播磨拳児君のカノジョさんを探しているんですっ!》
がたがたがたがた……小刻みに痙攣して2つの意味で道行く生徒達の視線を集める播磨拳児。
「おー……」と感嘆の声を上げたのは教員室の刑部絃子。やや呆然。
「それを思いついても実行するかなあ……」
君もすごい娘に惚れたものだな、拳児君……
初めて従兄弟に同情していた。
《――とゆーわけでで、播磨君のラブラブラブレターを受け取った人に是非出てきてもらいたいの! かわいそーな播磨君の記憶を取り戻すために! 愛のためにッ!! お願いしますっ!》
「……そーゆーこと。あのバカ……」
「かわいそーになぁ……ハリマ」
教室にて、危うく巻き込まれかけた愛理と美琴がそれぞれ呟く。
「でも……」「しっかし……」
…………あの播磨が、『ラブラブラブレター』…………?
教室中のクラスメイト全員の心が一つになった瞬間。魔王は真っ白に燃え尽きていた。
さらにまた別の教室では。
「ね! これってお姉さん?」
「え……う、うん……そうみたい……」
放送を聞いてわくわく顔のサラに、八雲はぼんやりと頷いた。
……播磨さんが、記憶喪失……?
「どわっはっはっは!! てめえも地に墜ちたもんだな! え、播磨ぁ!」
中庭で豪快な笑い声を上げたのは放送を聞きつけた播磨の宿敵(自称)・天王寺。
「ラ・ブ・レ・タ・アだあ? 気色悪いぜ! てめーもう男やめちまえ! 引導渡してやる!!」
播磨はベンチに腰掛けたまま漂白済みのやつれた顔を持ち上げて天王寺を見る。次の瞬間、横っ面を吹っ飛ばされていた。続けて天王寺のケンカキックが次々と腹に突き刺さる。
「はっはっはっはぁ!
(……あぁ……なんだ……俺……こんなにケンカ)
「弱ぇわけねーだろ」
「はぐボ!?」
瞬殺。蹴られたダメージなど微塵もなく、反撃の回し蹴り一閃で天王寺の巨体を彼方にふっとばす。
「っ……?」
ふと周りを見回すと、遠巻きに人垣に囲まれていた。放送を聞き、乱闘を見ていた生徒達は播磨拳児の支離滅裂なキャラクターにとりあえずありったけの距離を置く。当然である。
突き刺さる異物を見るような視線、視線。やっぱり播磨だ。怖い。やばい。近寄るな。
ひそひそ話すならもっと声小さくしやがれ。播磨は疲れ切った笑みを浮かべて、とぼとぼとその場を離れた。
屋上。バカと煙は何とやら、行き場のない少年は再びここで寝転がっていた。
「………はっ」
……そーだよ。俺にゃストリートファイトがお似合いなんだ。学校なんてよ……人とくっちゃべったのも久々で疲れたぜ……もういいやどーでも。そもそも、いるわきゃねーんだよ。この俺に近づく女なんか……
「あ、あの……」
「……あ?」
目を開けると、太陽を背負って、ほっそりとした人影が播磨を見下ろしていた。
「播磨……さん?」
寝ころんだ播磨の傍らにかがみ込む、おとなしそうな女の子だ。
「ん……? あぁ、わりーけど……どちらさん?」
知り合いなのかもしれねーけど……と身を起こしながら播磨が頭をかく。
「あ……わかってます。記憶が…………あの、大丈夫ですか……?」
「いや、まぁ……あんたは」
「あ……わたし、塚本八雲です」
つかもと?
「天満の妹です…………あの、すみません。もしかして姉がご迷惑を……」
一瞬ぞぞぞっと悪夢がよみがえる播磨だったが、八雲の申し訳なさそうな顔を見て、力が抜けた。
「……いーんだ。お姉さんも俺のためにやってくれたんだろうしな(たぶん)」
ぽろっとこぼれた素直なセリフに自分で愕然とした。しかし本心だ。
そーだよ、心配してくれるヤツはいたんだよな……
ねじくれたワルのハートが今はなぜかまっすぐで。それはきっとあの塚本天満や、目の前のこの娘の視線がまっすぐだったりするからだと、播磨は思った。
「播磨さん……」
久々に登校した播磨拳児が荒れに荒れて暴れていた――そんな噂を耳にしていた八雲。実際いつもとどこか違う播磨を見ても、記憶を失っていると知っても、安心する。
――……やっぱり……播磨さんはいい人……
「あーあ……しかしどーすっかなあ」
「あの……探してる人ですか……?」
「ん? ああ……恥ずかしいんだけどよ」
どうせ何百人にも知られちまったわけだし、と開き直る。
「信じられねーんだが……いたみてーなんだ。この俺が命賭けて惚れぬいた女が」
「…………播磨さんが……」
男の真剣な横顔に目を奪われつつ、八雲は納得していた。播磨さんには好きな人が…………だから私には全然視えなかったんだ。納得して、なぜか少し力が抜けてしまう。
「……播磨さんに、そんなに思われるなんて……すごい……ですね」
「? そーか?」
「っあ、いえ……その、播磨さんはあんまりそういう話はしないから……」
漫画には書いてますけど。
「! ……もしかして……あんたと俺って結構よく会ってたりしたのか?」
にわかに播磨拳児の顔が輝いて、がばっと身を乗り出した。
「え? ええ……まぁ」
「じゃあ、知ってんじゃねーか!?」
俺が好きだった女を! がしっと肩を掴む。が。
「え……えと……わかり、ません……」
「……………………………そっか」
がくん、と。あまりの落胆振りに八雲が焦ってしまう。
「は、播磨さん…………」
「……どんなヤツなんだろうな…………そいつ」
「え?」
「俺みたいなクズが……高校なんてとこまで通ってよ。必死こいてメールなんか…………ま、どーせ片思いなんだろうけどな、迷惑がられてたのかも」
皮肉っぽく口を歪めた自嘲の笑みは、今まで見たこともない寂しい横顔で。八雲の胸はざわついた。
「播磨さん、そんな……」
「……悪かったな、つきあわせて」
ふらりと立ち上がって、屋上の出口へと歩き出す不良、教室に戻る気は無い。いや、もう学校にも……
「は、播磨さん……っ!」
鉄扉のノブに手をかけたとき、背後から呼び止められた。振り返ると、八雲は頬をはっきり赤らめていて。
「ど……どうし」
「わたしじゃだめですか」
メキョ、ベキィッ!
握ったドアノブをねじ取ってしまいました。
……こ、これはっ! ま、まさか、『その女の人の代わりに、わたしと…』っていう
「一緒に探しますから」
「へ?」
「播磨さんの、好きな人……探すの手伝いますから…………えと、播磨さん?」
そ、そーゆーことですか……と跳ねる心臓を押さえて恥ずかしさに耐える魔王。もう全然魔王じゃない。
「だから…………学校に、来てください……」
「……え」
うつむく八雲の小さな声に、耳を疑った。聞き間違いじゃ、ない?
「播磨さんは播磨さんですから…………そのままで、いてほしい、です……」
クズなんかじゃ、ないです。
「…………」
最後の消え入るような一言も聞こえた。届いた。響いた。震えた。
「………ありがとよ」ぐすっ、と鼻水は隠しつつ。
「……あと、漫画も」
「まんが?」なにいってるの? ときょとんとするがそれはおいといて。
播磨拳児、復活。がばっと天に拳を突き上げた。
「俺、探すぜ!きっと見つけ出す!! ありがとな! 八雲!」
「…………え」
八雲、硬直。
「? どした?」
「あ、あのっ……名前……っ」
「え、あっ? ヤクモじゃなかったっけか?」
「や……八雲です……」
「だろ? ほら、姉貴も塚本だからまざるかと思って……あ゛、呼び捨ては嫌か!?」
し、しかし『ちゃん』は抵抗が……『さん』だとカタいし……とぶつぶつ。
「あ……いえ……呼び捨てでいいです……」
うつむいて、ぽー……っと赤くなってしまっている八雲に、播磨は気付かない。八雲自身もわけがわからないのだ。……なんで? どうして? 男の人に呼び捨てにされる……この感覚って……なんなんだろう……
「よし! そーと決まったら八雲、さっそくつきあってくれ! 手がかりはやっぱメールだ!」
「? メール、ですか?」
「事故る直前にそいつに送ったメールな、メルカドってとこで待ち合わせしてたみてーなんだが……」
「は……」
それ……って?
「あの……」
「その店に行ったらもしかして手がかりあるかもしれねえ! さっ、行」
駆け出しつつ、重たいドアを押し開けようと力強くノブに手をかけた。
つもりだったが。ノブは既に無く(ねじ切りました)
「お?」
頼りにしていた支えに巡り会えなかったバカの体はくるりと一回転。踊り場を踊るように転げて、
「は、播磨さん!?」
手を伸ばすが、もちろん届かず。
「おおおおおおおおおおおおおおおお!!!?↓」
計12回転。
「なんというか……」
バカだなあ、という他に感想もない。刑部絃子、三度目のお見舞い。
「バカとか言うな! 怪我人に向かって」
「うるさい」
パンパンパン!と。悲鳴は省略。
階段から転げてから一夜明け、打ち身擦り傷ムチウチ捻挫とありったけの軽傷でベッドに横たわる播磨拳児。
「ッくそう!なぜに天満ちゃんはお見舞いに来てくれない!?俺の有様を知らないのか!?」
記憶は戻っていたりした。
「階段からダイヴして入院だなんて有様を知られたいのか君は?」
「つーかよ! 俺なんで階段から落ちてんだ??」
全然思い出せない。というか。
「俺、確か書き上げたネーム持ってバイクで……猫が……あれ?今日何曜だ?」
それが最後の記憶だ。そこから先はなぜか胃が痛くて思い出せない。
「面倒くさいから教えん」
「はあ!? なぁおい、せめて俺のネー…荷物はどこ行ったか」
「知らん。それより拳児君、退院したら真っ先に塚本八雲君に礼をしろ」
「? 妹さんに?」
「彼女が第一発見者だからな」
「そーなのか……」覚えてねーけど。打ち合わせでもしてたのか?
「……ときに……彼女と何かあったのか?」
「ん? なんだそれ?」
「覚えていないか……ならいいんだが……」
そこへがちゃっ!と病室のドアが病院らしからぬ勢いで開き。
「播磨くん!」
「てっ……塚本!」
嬉しい衝撃炸裂。愛しい塚本天満が抱えるほどの花束を持って。
「おめでとう! 播磨くん!」
祝福していた。
「お……おめ……?」
「わたし、全然知らなかったよ! でも……嬉しかったな……播磨君の……」
ぬなっ!? バカの全身を貫く幸せの予感。
まさかっ!! 記憶が飛んでる間に俺の気持ちが天満ちゃんにッ!?
「ラブラブの相手が………………八雲だったなんてっ!」
いやんいやん、と恥じらいのツイストダンス。
…………えええ?
「おまけに播磨君たら、救急車に乗せられるときにまで“八雲……つきあってくれ八雲……”なんてもーっ!! きゃー!!」
「ちなみに今回に限っては誤解も誇張もないぞ? 拳児君」
「播磨君、わたし……応援するよ! あれだけ、記憶を無くしてても八雲のこと思ってくれる播磨君だもん! きっと八雲を幸せにしてくれるよね! って、播磨君? 大丈夫? 顔白いよ?」
ここはどこ? わたしはだあれ? 知らねぇよ 【播磨拳児・心の俳句】
同刻、八雲は自宅で自分の携帯をじーっと見つめながら、思案していた。
「ラブラブラブメール……………………じゃないよね……これは」
事故の日に播磨から届いたメールは、何度読み返してもネームの打ち合わせの話だけだ。例によって大げさな文面だけれど……件名が『Re:Re:トーン処理』だし。
「ふぅ……」と息をついて携帯をたたんだ。
いけない、と頬を押さえて、播磨を頭から追い出す。
「……なおさなきゃ…………顔赤くなる癖」
FIN
316 :
餡:05/04/10 02:47 ID:Zw7KSP6E
以上です。いろいろ失敗してしまいました……orz
初心者とは言え、ご迷惑になってなきゃいいんですが。
長々失礼しました。怖いけど批評・感想なんでもお願いします。
こんぐらいぶっ飛んだ作品も割と好き。
間の使い方が初めてとは思えんくらい巧かった。
318 :
餡:05/04/10 03:41 ID:Zw7KSP6E
>>317 ありがとうございます。
レスを区切るところには気を遣ったんですが文は読みにくかったんじゃないかと心配。
遅れましたが、支援してくださった皆さん、ありがとうございました。
もう投稿してる最中ドキドキでした。
いいね。天満もいい感じにぶっ飛んでるし播磨と絃子の掛け合いもイイ感じ。
それになによりおにぎりGJ!ですた。
>>295 積荷、燃えたって…何にも良くないYO!
と叫ばざるを得ねえんですが。
くそ、でも俺も烏丸の出番には胃が痛んだぜw
まあ姐さん含めGJ!ですた。
321 :
ギーガp:05/04/10 09:09 ID:P8xMid5E
だぁれもいないぞ!
よし、投下しよう!!
超姉シリーズ番外編っス。
12月24日
8時35分
「雲行きが怪しいな……」
部屋から窓の外を見て、思わず嘆息一つ。クリスマスなのだから、雪の一つも降ればいい物を……。
今日は拳児君と買い物に出かける予定だったが、これでは無理かもな……。
「ふぁ〜あ。おはよーさん」
「ああ、おはよう、拳児君」
何とか自分を取り戻したらしい従弟が起きてきた。(監察日記12月編参照)
―――まあ、いいか。傘でも差して行けばいい。
「なあ、拳児君―――」
「…………………ヤだぜ、俺」
おや?どうした事だろう。
何時の間にやら手にはモデルガン。あれれ?銃口が拳児君に向いているぞ?
「かなり改造したからなー……死んでしまうかもな。」
「ワカリマシタナンデモオッシャッテクダサイイトコサン……」
うむ。やはり従弟は従順に限る。そんな私は違いの分かる女だ。
10時45分
「ようやく着いたか」
駐車場から出た先には多くの若者―――特にカップルで溢れかえっている。
ここは東京だ。家の近くで拳児君と居ると矢神高の生徒に見つかってしまう恐れがある。
「では―――エスコートは頼むぞ、拳児君」
「エスコート云々言うんならまず懐のモン全部出してから言え」
むむ。流石に不良か……上手く隠していたはずなんだがな。
―――拳児君が見抜いた通り、懐には私のお気に入りのモデルガンを十丁ほど隠してある。
流石にこの物騒な世の中で何の装備も無しに出歩く程、私は無邪気では無いのでね。
「いいから行け。ほら、まずはあの店だ」
「フン……って、『まずは』?他にも周るのか?」
「当たり前だ。何のために来たと思っている?」
まず向かう先は―――。
10時55分
「ふむ……。こんな所に来るのは始めてかね?」
「ぅ……あぅ……お、俺……待っとくわ、外で。ンジャアナ」
「待ちたまえ」
すかさず拳児君の首筋を掴む。丁度頚動脈の辺りか。―――力を込める。
「ちょ、ちょと待って死ぬ死ぬ死ぬからコレ何かキマッてるから激烈に」
「荷物持ちは逃げない。これは刑部家の家訓だ」
そう言って離してやると、激しく咳をしながらも頷いたようだった。
「では行こうか?」
「はい……」
もうお気づきだろう?―――誰に言ってるんだろうか。
まあいい。ここは―――女性下着店だよ。
だが今日は何かを買うつもりなどない。ただ単にこの馬鹿をからかってやろうと思っただけだ。
案の定、この馬鹿は正しく馬鹿のように焦ってくれた。
さて―――次は何処へ向かうかな?
「え?もう終りかよってか何にも買ってねーんじゃ俺やっぱり待っておいて良かったんじゃないのかよ」
「あれあれ?何でだろうか懐に手が行ってしまいそうだよ。所で拳児君、私の懐には何がどっさりあったっけ?」
「すいません次の場所へ行きましょうさあ早く!!」
よろしい。―――次は、そうだな。
11時15分
「今度こそ本当に何か買うのか?」
「ああ。そろそろコートが痛んできてね」
そう行ってコートの置いてある方へ向かう。ここは女性用服の売場だ。
「ふむ。コレなんかどうだい?」
そう行って手に持ったコートを見せてみる。なかなか装飾も凝っている。
結構良いと思ったのだが、拳児君は首を横に振った。
「……もーちっと落ち着いた色の方が良いんじゃねえのか?―――ほら、コレなんかどうだよ」
そう言って彼が見せてきたのはグレーのコート。
特に凝った装飾も無いが落ち着いて見え、中々趣味が良い。
私はそのコートを手に取り、呟く。
「―――うん、コレは良いな。コレにするよ。ありがとう、拳児君」
「うぇっ!?いや、何もすぐさま変えなくても……」
随分と不可解そうにしている拳児君。ふふ……。
君にとっては「適当に選んだコート」で価値は無いかもしれないが、私には「君が選んだコート」だから、値打ちは十二分にある。
本当に……ありがとう。
12時05分
もうそろそろ昼時なのでレストランへ入る。
洋風の中々洒落たレストランだ。そこで私はオムライスを、拳児君はスパゲッティを注文した。
座って待っている時間と言うのも中々楽しい物だ―――そう言えば。
「気になっていたんだが―――」
「あん?」
おしぼりで顔を拭こうとするなよ、恥ずかしい。
「君は何処の高校へ行こうと思ってるんだ?」
「へ?知らねえのかよ。矢神だよ」
「―――なに?」
「いや……だから、矢神だよ」
「や・・・・・・矢神」
なんて事だ。まさか私が働いてる学校にドンピシャビンゴとは。
そもそも予想すらしていなかった。あそこは近くでも中々レベルの高い学校だ。何故彼が?
「な、な……何で、矢神なんだ、君は!」
「な、何怒ってんだよ、いきなり。……理由か」
そう言って拳児君は突然悲しそうに、切なそうに遠くを見るような眼をした。
何か、人に言えない理由でもあるのだろうか。
「言えねえ。―――悪いけど、コレだけは言えねえ」
「いや、いいよ。……何時かは、話してくれるんだろ?」
「ああ。絶対に話す」
「ご注文のオムライスとスパゲッティになります」
丁度話が途切れたところで店員さんが注文したものを持ってきた。
まあ……何時かは話すと言っているのならば、私も何も言うまい。
今まで通り、君の勉強を手伝わせて貰う。―――矢神に入るという事については、多少の妨害があるかもしれないが、な。
13時12分
昼食も済ませ、今度は拳児君の為に男性用服を買ってやる事にする。
本人は全く無頓着だが、彼の持っている服はどれもこれも皆血で汚れている。
喧嘩に明け暮れていた頃からの服らしいので仕方は無いが、正直血で汚れた服を着ている拳児君など私は見たくない。
「絃子、もうコレでいいぜ」
「どれどれ。―――って、馬鹿。真面目に選べ」
特撮ヒーローの刺繍が施された服を叩き返すと、彼はバツが悪そうに服を戻しに言った。
全く……。興味が無い事には本当に適当な男だ。
文句を言いながらも次々に服を選び、彼に試着室で着替えさせる。
元は良いからな。どの服もかなり似合っている。
今日は本当にいい買い物が出来た。―――そろそろ帰るか。
15時33分
ようやく我が家へご帰還だ。正直疲れた。
拳児君もかなり疲れた様子だ。まあかなり荷物があったからな。
さて、葉子を呼ぶか。今日の夕食を彼女が作ってくれるらしい。
……それにしても、朝から曇りだったのに雨は降らなかったな。まあ、良くある事か。
17時28分
葉子が作るのかと思ったら、市販のケーキと宅配のピザだった。まあ良いけどね。
葉子は久しぶりに拳児君と会えた事に喜んでいた。拳児君も然り。
どうでも良いけど、何で彼を撃ちたくなったんだろうか。やはり風邪の所為だな。
途中から酒が入ってきた。私も含め、三人ともグビグビ飲んでいる。
これは―――明日が心配だな。酔い止めは、あったっけ…………。
そのまま―――暗転―――。
12月25日
深夜2時25分
妙な時間に目が覚めた。全く―――まさか三人で宴会する羽目になるとはな。
ふと、ベランダに出てみる。―――雪だ。
「ああ、そうか―――雪雲、だったのか」
地上では誰もがホワイトクリスマスを祝っている事だろう。
私も、例にならって祝おうかな?
だが―――誰に祝う?誰かいたか?……いたな。
馬鹿で、駄犬で、どうしようもない阿呆で。
―――愛すべき、従弟。
「メリークリスマス―――拳児君」
雪よ、深々と降れ―――誰の元にも、幸せが届くように。
オマケ
「メリークリスマス―――拳児君」
「うぅぅ〜。私にはメリークリスマスって言ってくれないんですかぁ?」
実は起きてた葉子さんでした まる
おはれ。
332 :
ギーガp:05/04/10 09:18 ID:P8xMid5E
以上。
超時期外れだが書いた。反省などしない。
ぶっちゃけ、監察日記シリーズを超姉派の全ての人達に捧げたい。
まだ続きそうだ。どうかスルーしないで。
>>316 確かにぶっ飛んでいるけど、物語に起伏があって上手い
それに人物の行動なんかはそれっぽいし、GJGJ!
舞台設定は、原作より烏丸との関係が進んだ体育祭前かな?
天満がすぐに八雲の名前を出さない辺りで、あれ?って感じた
落ちの八雲の恋愛音痴っぷりが最高!
>>316 普通に面白かった。GJ! 展開のさせ方が上手いと思った。
ただ、天満がすぐに八雲に行きつかないあたりがちょっと違和感。
時間軸が交際発覚前ってことかな。
>316
神!
始めから終わりまで全部笑えました
また書いてくだちぃ
>>316 激しく良かった。
ニヤニヤしながら読ませてもらいました
一つだけ文句をつけるとすれば、所々にある改行忘れ(?)かな。
意図してやっているのであれば、ごめん。
なんか職人さん光臨しまくってますね・・・。
以前書いたEnviedmind2ですが、自分でも見直してみるとすごく駄作ってよくわかりましたorz
というわけで全部1から指摘されたことも入れて作り直しました。展開も変わってます。ていうかもう黒ヤクちがうかも。
また全部スレに書くのは迷惑と思うので、テキストでうpします。どっちもあんまり変わらないかも
しませんので、スルーしてもかまいません。
http://www.uplo.net/www/vip4874.txt
前半ちょっと長いかな。八雲→播磨を読者に印象付ける為とはいえ。
339 :
ギーガp:05/04/10 18:22 ID:eYozXC1U
投下します
12月31日 晴れ
いよいよ今年も今日で終わる。結構長かったようで短かった。
特に拳児君が来てからは、本当に短く感じられた。
まあ……少なくとも来年の3月までは短いままなのだろうな。
さて、例え大晦日でもあの駄犬は勉学に励まなければならない。
矢神か……どうした物か。流石に学校でまであの馬鹿と一緒なのは御免だ。
少しづつ、ゆっくりと説得するか。―――脅迫では無いよ。説得だよ?
拳児君のたっての希望より紅白を見ながら勉強する事にする。まあ今日ぐらいは……。
私も見たかったしな。
国語
今回から作文をさせる。―――いっそ清々しい程にズタボロだ。
改行できない、漢字分からない、そもそも作文のテーマを理解出来ていない。
携帯電話についての考えを述べる作文で「どーでもいいですよ」なんて消えそうで消えない芸人のネタを使うな。
どうでもいいが、最近の紅白はどうも変だな。芸人が出たり、バカ殿が出たり……。
数学
後もう少しで全過程を終了する。計算も出来てきている。
うん、OKだ。―――この調子なら矢神の試験も合格してしまいそうだ。
本気でどうした物か……。
紅白には最近良く言われる「イケメン」とやらが出ていた。―――この程度なら、拳児君も負けてはいないと思う。
英語
こちらも後少しで全過程が終る。英作も出来ている。なのに何故日本語作文が出来ないのかが不思議だ。
単語、文法も甘い部分がちらほら見える。だがまあ、これなら矢神でも合格で来てしまうだろう。
テレビには昔から出演している演歌歌手が出てきた。毎年思うのだが、この人は毎年何か歌を出しているのだろうか?
理科
言う事は無い。―――完璧だ。
どうしたんだね、君は?こんなのは君の柄じゃないだろう?
最近、腕が鈍っているんだ。撃たせてくれ―――っていや嘘だよ?嘘だから部屋の隅で縮こまってガタガタ震えながら命乞いしないでくれ。
紅白では去年までは大トリだった豪華衣装の歌手が歌っている。今年の大トリはあれだ。超人気グループ。
社会
君はあれだね。世界を目指せる物持ってるよ。大空へ羽ばたいてみようぜ?この高さなら死ねるよ。
地理―――やはりズタボロのボロ。だがまあ、少しは賢くなってきている。
歴史―――ペレストロイカは政策だ。人名じゃない。
まあ間違いはこの程度か。全体的にレベルは上がってきているな。
紅白では超人気グループが歌っていた。どうでもいいが―――リーダー、音痴だな。
勉強が終った後に年越し蕎麦食べて「行く年来る年」見て―――。
除夜の鐘が鳴り、新年が訪れた。……明けましておめでとう、拳児君。
さて、初詣にでも行こうか。勿論拒否権は無いぞ、拳児君。
さ、行こう―――?
343 :
ギーガp:05/04/10 18:25 ID:eYozXC1U
以上です。萌える絃子が書けない……。
ってか萌えってなに?
萌え=心の叫び
いや、本能だ。
いや、本能だ。
やべ、↑ミスった。
蝶スンマセン。
348 :
ギーガp:05/04/10 18:39 ID:eYozXC1U
本能で書いていたつもり……だったんだ!
なのに、何時の間にか本当の心を見失っていて……!
(´・ω・`)ゴメンネ…
いや、まだ間に合う!これから今のを越えたゲロ甘の超姉をk(ry
いや、まだ間に合う!これからゲロ甘の超姉を書k(ry
351 :
ギーガp:05/04/10 18:47 ID:eYozXC1U
ゲロ甘……。そうか、ゲロ甘か……。
「日記」終ったら書いてみようかな……。「日記」の絃子では誰も萌えそうに無いし……。
>>316 おもすれー
続きが読みたくなる作品でした。GJ!
各キャラクター(播磨15歳の方も)の味が出てて良いと思います
胃がよじれる播磨萌え……ないけどワロタw
下呂甘のD
>「どーでもいいですよ」なんて消えそうで消えない芸人のネタ
ところどころに本音忍ばすなw
まぁ、トークの下手な芸人も、そもそも芸になってない芸人はイラネと思うのはある種必然。
356 :
Classical名無しさん:05/04/10 20:07 ID:A/GQ7amA
播磨×沢近の同棲編シリーズ化して欲しい
>>356 その手の作品はS3で言った方がいいかもしれん
>357
前スレの同棲物語のコトでは?
それなら、こっちでいいだろう。つか、オレも読みたい。
359 :
餡:05/04/11 00:56 ID:Ne0FiAlk
>>319,320,333-336,352
『Looking for Love』にレスありがとうございます。感激。
>舞台設定
八雲が漫画を手伝い始めた直後、ですね。だから天満はおにぎりを知らない。
スクランは人間関係が動くから、時期を示さないといけないんですね。盲点。
>改行忘れ
わざとですが、意味はないです。行数減らしたくて(泣
読みにくかったらごめんなさい。
>笑い
漫画を彷彿とさせたかったんですよね。ニヤニヤしながら読むような。
味は全然違うと思うんですけど、笑ってくれたなら心底嬉しいです。
>萌え
心底萌やしたいです。むしろ播磨で。
ぶっ飛んでる、という感想が意外でした。
キャラのらしさまで壊してないといいんですけど、今のところ大丈夫かな。
あとは、甘味が足りないなあ、と。
皆さんのレスでテンション上げて勉強します(`・ω・´)
以前フジテレビの「奇跡体験アンビリーバボー」で記憶喪失についてのエピソードが
あったんだが、性格まで変容してしまうようなモノはなかなか無いらしいね。
よくあるのが、数ヶ月前や数年前まで記憶が戻ってしまうというもの。
あとは、まるで赤ん坊のように、モノの意味が分からなくなるものとか。
後者はガラッと性格が変わることもあるそうで。
>316
話の組み立て方が上手い!
キャラの動きも原作でも同じように動きそう。
細かいミスなどはあるけど、気にならない。
ウホッ、良い作品だ。
GJ!
362 :
餡:05/04/11 02:06 ID:Ne0FiAlk
>>360 播磨に関しては天満を忘れるというだけで劇的に変わりそうですよね。
超硬派にしてしまうのも考えたけど、それだと動いてくれない……
ちょっとどっちつかずだったかも。
>>361 原作でも同じように、ってのは嬉しいなあ。
次があったら細かいミスもがんがんつっこんでやってください。thx!
363 :
Classical名無しさん:05/04/11 16:37 ID:CR.3x1es
誰か塚本天満の数少ない特技?のスプーン曲げについて書いてください
・Fantasy Rumble (画:zone氏)
さんの絵を見て書いたファンタジーSSあるけど
流石にここじゃ投下できないかな・・・
zone氏の意見が聞きたい
S3なら大丈夫っぽいからそっちで投下した方が確実。
>>餡氏
天満が八雲と播磨のことを誤解してなかったことは確かに一瞬つまりましたが
起承転結もうまくまとまったオリジナルですごい楽しめました。
記憶喪失ネタは安易なハーレムによく使われたりするんですが
播磨が自分が好きだった女を捜すっていうのにセンスを感じました。
乙です。
367 :
バンター:05/04/11 18:24 ID:bfaxC9qg
>誰か塚本天満の数少ない特技?のスプーン曲げについて書いてください
そのご希望に沿うことは出来ませんが、SSを投下したいと思います。
捏造(にあたるのか分からない)とオリキャラが入っているので、合いませんでしたらスルーお願いします。
店内には安っぽいスピーカーから有線が流れている。
若いバイトの女は、高校か中学かといった感じの若い学生の集団にお冷を配っていた。
「ねー、お姉さん。なんて名前?カレシとか、いんの?」キャハハと金切り声を上げて笑う子供に、
女はトレイを胸の前で支えて「メニューがお決まりになられましたら、お呼び下さい」そう言って店の奥へと帰っていく。
キッチンへと戻った女は子供達の馬鹿笑いにため息をつくと、真剣な面持ちでカレンダーへと目を向けるのだった。
「……彼が、来るのに」
そんな女の呟きに、答えるものはいなかった。
からんからん。
ドアに取り付けたベルの音によって店内の雰囲気が、がらっと変わる。
レジの前でバカ騒ぎをしていた子供達は、店内に入って来た禿の目立ってきている中年男の視線に黙ってしまった。
「ありがとうございましたー」ひょろ長い背の男にそう言われると、子供達は我先にと逃げるように
店を出て行くのだった。
そんな光景を黙って見ていた中年の男は、ひょろ長い背の男を睨みつける。
「まだ来ていないのか、彼は?」
「ひゃいっ、店長!」
「……そうか」
裏返った声を出す男など気にも留めずに、店長と呼ばれた男は一歩一歩を踏みしめながら店の奥へと
消えていくのだった。
未だに動悸の治まらない男に、女が恐る恐る近づいていく。
「いっ、いよいよね」
「ああ、アレならきっと…!」
二人の視線は、店長の消えていったキッチンへと向けられていた。
ぐつぐつと煮える鍋の中には選び抜かれた具。
表面ではじける泡からは、香ばしい香辛料の香り。
男が辿り着いた、一つの答えが鍋の中にあった。
思えば奴が来たのはもう二年前か、男の頭の中にそのときの光景が思い起こされる。
二年前の桜が舞い散る中、男は立ち尽くすしかなかった。零れ落ちる涙が鍋の中に入らないように、
ハンカチで拭き取る。男はまた、そのハンカチを見て涙ぐんでしまう。
『思えば…F子には苦労ばかりかけた。
俺みたいな男と子供なんて作らなければ、もっといい男と暮らせたはずだ。
再び俺のところに帰ってきてくれたF子と子供のためにも、俺はやらんといかんのだ!
必ず勝たねばならんのだ!!』
男は仕上げに家から持ってきたタッパーを開けると、その中のペースト状になったモノを
迷わず全て鍋の中にぶち込んだ。
そして鍋をかき混ぜる。
ただただかき混ぜる。
魂を込めて、男はかき混ぜ尽くすのだった。
「フフフンまわーる、フッフフンまわーる―――っと、これぐらいでいいかな」
店長の目の前には、理想の果てに辿り着いたものがある。
研究に研究を重ねた鍋が、すでに匂いで自己主張していた。
「勝てる、勝てるぞ! あの小僧に旨いと言わせてみせる!!」
目頭が熱くなるのを何とか抑え、店長は鍋を店のカウンターキッチンまでひょろ長い背の男と運ぶ。
不安げな男とは対照的に店長の顔には自信しかなかった。
彼の中ではすでに勝つことが決まっていたのだ。
鍋をかき混ぜ続ける手は止めないまま、調子はずれな鼻歌を歌いながら決戦は今かと待ち続けるのだった。
「何時ごろ来ますかね、店長?」
「ドンと構えてりゃあいいんだ。俺達の勝ちは決まったようなもんだからな」
ガハハと笑う店長に、しだいに男の顔も和らいでいくのが分かっていった。
からん、からんからん。
ドアに取り付けたベルの音に、店内にいた三人の従業員の顔が向けられる。
すたすたと音も無くカウンター席に座るその男の姿に、一同はごくりとつばを飲み込むのだった。
男と表現するにはまだ早い黒ずめの学生服を来た男子生徒は、メニューを手に取ると何も言わずにページを
めくっている。ひょろ長い男が「お、お冷です」とコップを差し出した震える手を押さえきれずにいると、
非情なほどに感情の無い眼光が男を襲った。
「ありがとう」
学生の声に魔法が解けたかのようにコップをテーブルに置くと、ひょろ長い男は逃げるように
客席の片付けをしている女の手伝いに向かう。女はそんな男の態度に悪態をつこうとするが、
店内を包み始めた雰囲気に押し黙ってしまうのだった。
「何に致しますか」穏やかな店長の声に学生の顔がメニューから離れて声の方に向く。
「カレー。トッピングは……「カレー、ですか?」学生の声を遮る店長の顔は、すでに営業スマイルではなかった。
酸いも甘いもかぎ分けてきた中年の意地、それしかなかった。目の前の若造にやられる俺ではない、
何も言わずとも彼の顔はそう学生に告げていた。
「カレー。トッピングは……つけなくて、いい」
学生の言葉に片付けをしていた二人は、思わず声を上げそうになる。
(いける。店長、いけますよ!!)
二人の目には淡々とカレーの準備をしている店長の姿が、高笑いしているように見えるのだった。
カタン。
完璧な計算の下、絶妙なバランスのライスとルー。
研究し尽くした馨しい香り。
味の方は言うまでも無く、旨い。
店長は心の中、そう繰り返しながら学生の前に二年間かけて作り上げた傑作を、そっと置くのだった。
彼の自信に満ちた視線が学生と皿の上のカレーに注がれる。
(さあ、言え! それを食って俺のカレーは旨ぇと言え、小僧!!)
学生は出されたカレーをすぐには食べずに、じっと見つめている。
そんな様子に三人はヤキモキするのだった。
あっという間の事だった。
少なくとも店長はそう感じた。
あっという間の時間の中で、永遠ともとれる回想が流れる。
五年前の、寂れたこの店に流れてきた時。
突然妻と子供がいなくなっていた我が家。
従業員との研究の日々。
自費だった為にバイトもした事。
あの時完成したカレーは、涙と鼻水で味が分からなかった。
今、目の前にいる子供は何だ?
俺の、なんだ?
店長の前には空の皿と、ルーの残っていない綺麗に舐めとられたスプーン。
学生は顔色一つ変えずに食べきったのだ。
旨い。その一言を発さずに。
席に着いた時と同じように音も無く立ち上がった学生に、店長は搾り出すようにして呟いた。
「何故だ、…何故………」
店長の声は学生に届いてはいたが彼は振り返ることは無く、
「玉ねぎが苦い。炒めるのもいいけれど、合わせるときに一瞬タイミングを間違えたんだ。そこだけだった。美味しかったよ、店長」
そう言うだけだった。
からん、からんからん。
学生が店から出て行った後、店内には歌姫と呼ばれる女性歌手の新曲を流す有線と静寂だけがあった。
誰も動けず、皆そのまま立ち尽くしていた。
「くそっ、…くそ!」
そう言ってテーブルを叩く店長は、学生が置いていった千円札を握っていた。その手の中でくしゃくしゃになった千円札は、
店長の手の汗で濡れてしまっている。店長の涙ではないのか、そう突っ込みを入れる者など、この店にいるはずも無かった。
バイトの女は、ひょろ長い男におずおずと尋ねてみる。
「彼と店長って…」
「もう二年前だよ、それから時々食べに来るようになったんだ。店長のカレーを食べても、顔色一つ変えずにいるんだ」
「他のお客さんは、美味しいって言ってくれるのにね」
「……烏丸」
「え!?」
「彼は、烏丸大路。いろいろなカレー屋で聞く名前さ。こだわりのある職人ほど堕ちていく。彼に一言旨いと言わせたいが為に、
皆カレー道へ堕ちていくのさ」
バイトの男と女は千円札を握ったまま動かない店長を、何時までも見ているのだった。
その、二人の店長を見る眼差しの中には敗者への哀れみなど何処にも無い、人生の先輩への尊敬の眼差しそれしかなかった。
(私、他のバイト探そっかなー。碌な男いないし、客も最悪だし……)
張り詰めた静寂の中で女は口には出さずに、明日辞めてやろう、そう思うのだった。
終わる
376 :
バンター:05/04/11 18:44 ID:bfaxC9qg
まず始めに、すみません! と謝っておきます。
370、371、374に前の作品の題名で投稿してしまいました。
そこはスルーしないで叱ってやって下さいませ、皆様。
その他、作品の中で何かありましたらぜひ書き込んでくださいな。
誰か塚本天満について書いてください
_ ∩
( ゚∀゚)彡 カレー!カレー!
⊂彡
>>376 カレー食いたくなったんでカレーを作る事を要求します。
カレー食ってきた。
381 :
バンター:05/04/11 20:35 ID:bfaxC9qg
親が、
_ ∩
( ゚∀゚)彡 カレー!カレー!
⊂彡
って騒ぐから土曜にカレー作ったのに、今ようやく鍋の中のカレーを食べ終わった私が来ましたよ。
それはともかく、オリキャラってこの程度までは良いんですかね。
加減がよく掴めないので、皆さんのご意見を伺いたいのですが。
今回は他者との接点がほとんどない烏丸を引き立たせるためのオリキャラだったからよかった。
個人的にオリキャラは本編のキャラの踏み台の役割までしか許せん。
383 :
ギーガp:05/04/11 20:42 ID:nBDWUP/s
その程度なら問題無し……だと思います。まあ俺の趣向でモノ言ってるからアテにはなりませんがw
駄目なのは「元キャラ喰っちゃってる」オリキャラじゃないかと。
オリキャラについては某二次創作見れば十分にお分かりいただけると思います。
さて、名作の後で非常に恐縮なのですが、「監察日記」を投稿させていただきます。
1月27日
いよいよ―――私立受験の時期が来た。
……流石に、矢神一本は余りにも危険すぎる。
矢神に落ちた時の保健と言う意味で拳児君に説明した。
私も気合が入っている。―――矢神に入りたいというのならば、入れ。
私に彼の想い―――それが何なのかはまだ分からないが、それを個人的な感情で否定して良い筈が無い。
子供の頃から決めているのだ。―――例え何があろうと、私だけでも彼の味方であってやろうと。
なので、気合を入れたまま勉強を開始する。拳児君も勿論気合120%だ。
最近は受験対策に過去問を解かせている。
今日も彼の努力の跡を記録していきたい。
国語
作文もそれなりに部分点を取れるようになってきている。
漢字もまあ読めているし、まあまあ矢神の合格ラインは突破している。
うん。―――合格。
数学
この頃は計算も合ってきている。彼の努力は立派に実を結んだのだ。
やはり、彼は理系なのだ。私のように。―――合格。
英語
英作、単語、文法。―――半年前とは雲泥の差だよ。
たった半年で……良く此処までやれたね。―――合格。
理科
これに関しては、やはり言う事も無い。―――合格。
今年に入ってから、拳児君はとても集中して取り組んでいる。
きっと、この調子なら社会も―――。
社会
―――やはりこれだけは何時もの君か。
最近になって「公民」の存在を思い出し、急いでやらせて見たが―――やはり、急すぎたな。
地理と歴史はもはや問題も無い。合格―――なのだが。
公民―――日本国憲法第九条くらいは覚えていて欲しい。何時もニュースでやってるだろう?
第九条を覚えて無いのに何故「人権擁護法案」を知っているのかが激しく疑問だ。
公民が最後の問題か。―――冗談で「ラスボス」なんて少し前は言った物だったが、まさか本当にラスボスになるとは。
―――私からはもはや何も言えない。そもそも、理科以外は専門外だったのだ。此処まで手伝えてやれたのは私でも驚いている。
最後に―――いや、私立受験の後にまだ公立があるけど。むしろ拳児君にとってはそちらの方が本命だけど。
この日記に励ましの言葉を書いておこうと思う。―――どうも、言葉にすると想いが霧散しそうで怖いんだ。
拳児君。君はやれる。君ならやれる。―――私はそう信じている。
君は自分が思う程バカじゃないんだ。もっと、自分に誇りを持っていけば、きっとやれるよ。
だから頑張れ。頑張れ、頑張れ、頑張れ……!
―――ふう……。拳児君……。
私立受験まで―――あと、5日。
388 :
ギーガp:05/04/11 20:46 ID:nBDWUP/s
以上です。もはや萌えでもコメディでもない。なんなんだろうか…?
次は明日以降に播磨視点「私立受験編」なんか投下します。
389 :
餡:05/04/11 20:59 ID:Ne0FiAlk
>>376 乙です。烏丸ものは初めて読んだので新鮮でした。
個人的には烏丸が印象あったのでオリキャラは気になりませんでした。
バランスの問題じゃないでしょうか。
脇役に関して、気になった点を一つ。
「男」みたいな抽象的な呼び方が多いと、時々誰のことだか迷うことがありました。
「ひょろ長い」といった形容もアリですが、ちょくちょく出てきて名前がないなら、
「店員」、「ウェイター」、「バイト君」、あるいは短い名前など、
シンプルな記号だともっと読みやすいかと思いました。「店長」みたいな。
自分の趣味ですが。
>>366 ありがとうございます。
舞台の明示は次回から気を付けます。
記憶喪失はやっぱりベタベタなんですねw
似たような話がなかったのならよかったです。
結構選択肢が多い出だしで、途中で旗や鉛筆にしてもいいなーと迷ったりもしましたw
390 :
餡:05/04/11 21:06 ID:Ne0FiAlk
>>388 乙です。あぶな。割り込まなくてよかった……
もう合格なのかーと読み進んで、社会で笑わされました。
一生懸命な中にユーモア、っていうノリがいいと思います。
391 :
バンター:05/04/11 21:19 ID:bfaxC9qg
382さん、ギーガpさん、 餡さん、大変参考になりました。これから注意していきます。
>「男」みたいな抽象的な呼び方が多いと、時々誰のことだか迷うことがありました。
「ひょろ長い」といった形容もアリですが、ちょくちょく出てきて名前がないなら、
「店員」、「ウェイター」、「バイト君」、あるいは短い名前など、 シンプルな記号だともっと読みやすいかと思いました。
気にはなっていたのですが、やはり仰られるとおりですね。気をつけていきたい点です。
遅くなりましたが、『Looking for Love』の感想を。
スクランはお馬鹿な天満と播磨の活躍があってこそだと思っているんで、どんどん読めてしまいました。
初期の頃のスピードのある感じが出ていて面白かったです。いい作品をありがとうございました。
>>388 いつも楽しみにさせてもらってます
GJです
気づいてると思いますが保健→保険
393 :
ギーガp:05/04/11 21:32 ID:sW98zQiM
>>392 ありがとうございます。これからもどうか見捨てないで下さい。
>保健→保険
あははははははははははははははは………………………すんません、首吊ってきます!
大作いっぱいでGJ!
クズリ氏がそのうち投下してくれるようなニュアンスのようなことをちらほらと
そんな空気を醸し出しているような感じをなんとなく感じるよ
>ギーガpさん
ちなみに播磨が人権擁護法案を知ってる訳って…
人間扱いして欲しいという主張の表れでしょうかね?
ちょっと遅くなりましたが、数々のご意見拝聴させてもらいました。
>ドロドロ劇
プロモ結婚式の子供達ならアリかなと。ほら、ツインテールも黒髪の娘もいますし。
>菅
まず菅が書きたいと思って書いていたのですが、見事に麻生達に食われてしまいました。(´Д⊂)
ゲームブック風に言うとサラをデートに誘った時点でBADEND見えたぞ、と。
>割烹さがの
お前らは俺(ry
デートの選択肢を外すとこっち側考えていました。文章量が増える&菅が幸せになる
という理由で闇へと葬られました。文化祭バンド組の話とかやってもよかったかも。
個人的にはサラの出てくるお話なのに、白いとか黒いとか言われなくて不思議に思ったり。
あと、作品に込められた思いがきちんと伝わったようなので、そこは安心しました。
では長々と書きましたが、読んでくださって本当にありがとうございました。
398 :
ギーガp:05/04/12 16:11 ID:r7on0uac
>>396 そんな裏事情があるわけじゃないっすよw
たまたま見たニュースで人権擁護法案について流れてて
「コイツはテストに出るぞ!―――多分」
ってなノリで覚えてただけっす。
うーん、播磨は好きな子を追いかけるためだけに勉強をしてるんだから
保険に私立を受験したりはしないような気がする。
仮に私立だけ受かっても入学しないんじゃないかな。通う理由がないし。
絃子さん目線で書かれているから気にはならなかったよ。
播磨を矢神高校に受からせるために教えていて、実力がついているかどうか私立を受けさせてみるっていうのも考えていると思うし。
「私立が受かっていれば矢神高校を受ける際に安心感もあるだろう、拳児君?」
とか言いくるめそうな気がしますけれど。
401 :
ギーガp:05/04/12 17:49 ID:0sAnSUP2
>>399 播磨自身はそう思ってますが、実際「日記」内の描写でもありますように矢神一本と言うのは余りにも危険過ぎる…と思ったんで。
絃子は何故播磨が矢神に行きたいのかはまだ知らないわけですし、播磨が公立に落ちても私立に入るつもりがないと言うのは考えもしていないわけです。
>>400 良い言い訳キタ―――――――!!……ってのは嘘で。
先に述べた「絃子はまだ播磨が矢神に行こうと思った理由を知らない」の通り、絃子は播磨に私立を受けるよう説得するのにはやはり保険です。
まあ、説得にはやはり何時もの如く銃弾の嵐が巻き起こりましたが。
感想スレの話題が出たけど、作者としての質問
スレに投下された感想に対する作者のレスってもんは必要かな?
いちおう、感想スレがあって、それなりの感想数があるんだけど、基本的にレスしてない
やっぱり反応したほうが嬉しいorいいのかな
もっとも、「面白かった」「笑った」とか短い感想が多くて反応しづらいんですが _| ̄|○
↑ は誤爆です _| ̄|○
404 :
ギーガp:05/04/12 19:32 ID:PIObD3yI
短いですが投下します。
「監察日記」番外編。播磨・私立受験編です。
えー…早速だが、かなりヤバイ。
何か、スゲェ心臓バクバク言ってやがる。―――ぶっちゃけ、ちょっとビビッてる。
まさか、まさか受験ってのがこれ程辛いモンだなんて思いもしちゃいなかった。
このプレッシャーを乗り越えて合格して行った奴らがスゲエと思っちまう。
だが。負けちゃいられねえ。―――俺は、神だ。
それだけじゃねえ。あの子が、待ってる。絃子だって、信じてくれてるはずだ。
―――うっしゃああああ!……行くぜッ!!
うっしゃあああああ!―――わっかんねえ!!
って、ちょっと待て!……わからなく感じるのは、プレッシャーに負けてるのと問題読んでないからだ。
昨日、絃子に言われた事を思い出せ!えー、なんだったけ?
―――えー、夢とは如何な
違う!何でレスラーなんだよ!!
―――感動し
だから違う!感動出来ねえよこの状況じゃ!!
―――オンドゥルルラ
んあ?何だそれ?―――マジで考えろ、なんだっけ……。
―――拳児君、重圧なんて物は実は大半は虚構、簡単に振り払える物だ。しっかり自分を持つ事、いいね?
―――大丈夫。何時もの馬鹿さで突っ込んで行け。そうすれば嫌でも受かるよ。
これだ。この言葉だ。
思い出した途端、今までのプレッシャーが消えて無くなっちまった。
代わりに、何故か絃子が近くで俺を応援しているような気がしてきた。―――これなら、やれる。
「お帰り、拳児君。どうだった?」
「ああ……」
絃子が聞いてくるが、正直出来たかどうかわかんねぇ。
絃子の言葉を思い出して緊張から解放され、そっからは浮かれっ放しだったからな……。
「駄目、だったのか?」
「いや、まあ、実際、良くわかんねぇ。発表を待つしかねえよ」
「そうか……」
一瞬、喉から出そうになった言葉を飲み込む。こんな事言ったら、調子に乗って何かとんでもねぇ事言い出しそうだからな。
だから、心の中だけでも言っておくぜ?絃子。
―――ありがとう。絃子のお陰で最後まで諦めずに済んだ。
矢神の時も頼むわ。―――きっと、合格するからよ。あの子の為にも―――!!
409 :
ギーガp:05/04/12 19:36 ID:PIObD3yI
以上です。
412 :
ギーガp:05/04/12 20:09 ID:G2vojr9g
(´ω`)σ)0M0)
騙りはやっちゃいけない。
415 :
ギーガp:05/04/12 20:45 ID:QYTuhngU
騙って無いよ…。
なんか事ある毎にID変わってる。いやマジで。
どうすりゃ良いんでしょう……?
つ トリップ
>>416 やってみますた。初。出来てるかな?
でも俺みたいな駄SS書きの騙りする人もいない事実w
418 :
ギーガp:05/04/12 20:52 ID:QYTuhngU
できてないしorz
#は半角でね
コレで良いかな?
おっしゃ出来たァ!
でもやはり俺の騙りはでないと思う。
>>416さん
>>419さん
ありがとうございましたッ!
#の後ろは超姉スキーと分かってしまったわけだが…w
423 :
――春に:05/04/12 22:31 ID:pwy3JPl.
白く煙る青がある。
霞がかった春の空だ。
低く垂れ込める様相を見せることが多かった冬は既に遠く、暦も四月に入ればそこにあるのは
重しをどけられ果てない広がりを持ったそれ。夏ほどに高くはなく、秋ほどに遠くもなく、ただ
空が空としてある、そんな光景。
そして、その蒼天を。
開け放った部室の窓から、晶は一人見上げていた。時折、どこからか吹かれてきた桜の舞う
景色を見ている彼女の姿は、心なしか普段よりも無防備な様子にも思える。
「――」
その口元がわずかに動き、何か言葉を紡ごうとしたのと同時、
「こんにちは」
いつも変わらぬ笑顔とともに現れたのはサラだった。ほんの一拍、注意深く見ていても気づくか
どうかという間を置いて、いらっしゃい、と振り向く晶。こちらもまた、普段と変わらぬ空気を
その身にまとい直している。
が。
「……あれ、お邪魔でしたか?」
わずかにしまった、という顔になって彼女の方をうかがうサラ。さすがに一年も付き合っていると、
細かな機微も読み取れるようになるらしい――とはいっても、この場合は彼女自身がもともとその手の
ことに聡い、というだけかもしれないが。
「そんなことないよ。ただちょっと」
そこで少し考えてから。
「そうね、呆けていたから、かしら」
「呆けて、ですか? 先輩が?」
その言葉に、信じられないといった様子で驚くサラ。確かに、ある意味で完全無欠、一切の隙がない
ともいえる晶が気を緩めているところなど、そうそう見られるものでもない。
「変かしら」
「うーん、でも先輩って心配事とかって全然なさそうじゃないですか」
悪い意味じゃないですよ、と断ってから小首を傾げると、
「あら、私だって心配事くらいあるわ」
「たとえば?」
「――今日の晩御飯?」
わずかな時間差を以て返ってきた、ある意味でらしい答に苦笑しつつ、足を進めて窓際に立つサラ。
424 :
――春に:05/04/12 22:32 ID:pwy3JPl.
「あー、でもなんだか分かる気がします」
言葉とともに見上げるのは同じ光景。白の溶け込んだ春の青空。取り立てて特別ではないかもしれない、
だとしても見る人を惹きつけて止まないものがそこにはあった。
「―― 一年前は気がつきませんでした」
その向こうにぽつりと呟くサラ。翳りとまではいかないが、わずかばかりの憂いの色が顔に浮かぶ。
「右も左も、なんてことはなかったですけど、まずは自分の居場所を見つけるのが大変で。あんまり
余裕、なかったのかもしれません」
あはは、と苦笑い。
「あれからもう一年経っちゃったんですね」
「まだ一年、よ」
遮るように晶が言う。
「まだ一年。この先時間の流れはもっと早くなるかもしれないけれど、『これから』は『今まで』より
ずっと長いものよ。歩いている最中は見えにくいものだけど」
立ち上がり、サラの隣に並んで立つ。
「だから忘れないこと。あなたの居場所は確かにあって、それを絶対に手放してはいけないことを」
あるいは自分自身に言い聞かせるように、晶は静かに言葉をつづり、ふっと小さく笑った。
「……先輩」
何を言うべきか、少しだけ迷ってから。
「ありがとうございます」
一番シンプルな言葉をサラは選んだ。それ故に、自分の心に最も正直なフレーズを。
――それから。
「ありがたいお言葉をいただいちゃったので、何かお礼をしないといけませんね」
冗談めかして笑った。いつもの彼女だ。晶もまた、そうね、といつも通りに真顔で答える。
「それじゃ特製の紅茶でも淹れてもらうわ」
「はい、分かりました」
その返事が返ってくると分かっていたように、既にシンクに足を向けているサラ。小さく鼻歌混じりの
後ろ姿に、一度表情を崩して微笑んでから、再び外に目をやる晶。口にするのは、先刻言いかけた一言。
「――もう、春ね」
当然すぎるその言葉は、けれどこの光景に相応しい。
薄水色の空。
舞う桜。
季節は確かに、もう春だ――
>>381 いいんじゃないすかね>オリキャラ
烏丸をメインに据える為のキャラって事はわかるし
個人的にはオチがあったのが良かったです
基本的に皆SSでは「スクランキャラの」活躍する所が見たいんだと思うし
「オリキャラが」スクランの世界で活躍する作品は求められてない……わけでもないみたいなんだよなあ
他作品のSS見てると
播磨とかの皮を被ったオリキャラやまんまオリキャラが好き勝手する作品ってニーズがあるっぽいですよ?
俺は嫌いだけどね
>>421 幾ら俺でも一度割れたパスは二度と使いませんよw
超姉スキーじゃないッス。
手前にレス付けちまった…orz
>>422さんへのレスです!
GJ!
レベル高ぇ〜!!
このスレとは関係ないけどさ。
ハーレムものって同じパターン、同じ性格、同じ文体なんだよなあ。
430 :
Classical名無しさん:05/04/12 23:37 ID:OKbf6qJ2
春に紅茶って…でもGJ。紅茶の美味しい喫茶店に行きたくなりました。
>>423 『――春に』を読んでいて、2レスと言う短い間に『――』と言う表現が多いのが気にはなりました。
もし、それが題名に掛けた事なのでしたらゴメンナサイ。
いきなり暑くなったり寒くなったりと変な春ですが、和やかなる春の様子が伝わってくるようです。
こういう距離感で二人はいるんだろうなぁ、と思ったり。
425さん、ありがとうございます。
オリキャラって使い方が難しいと感じました。本来ならもっとでしゃばる感じだったので、短くして正解だな、と。
投下します。
「監察日記」2月編。
2月14日
私立受験からもうじき二週間。
今日が、発表の日だ。拳児君が直接見に行った。
もし落ちていた時、そのまま何処かへ逃げてしまうかと、ありえない事を考えたが。
―――帰ってきた拳児君の顔に、逃げる理由はなかった。
合格。―――合格だ。
まだ、公立が残っていて。拳児君にとってはむしろそちらが本命だけど。
不覚にも、泣きそうになってしまった。安心と、感動で。
拳児君も嬉しそうにしていた。
本当に……よくやってくれたよ。
だが、拳児君は発表の直後にもまだ勉強を希望してきた。
―――自分が受験を嘗めている事に悟ったそうだ。
私としては、断る理由がない。
だから今日も私は―――彼の足跡を記録する。
国語
公立の過去問をさせる。かなり慣れてきたようで、6割は取れていた。
数学
こちらも過去問をやらせる。
複雑な物になると考え込んでいる。まだまだ改良の余地はありそうだ。
英語
やはり過去問。
7割近く取れている。―――本当に矢神へ来れるぞ、これは。
理科
完璧。ざっつ・ぱーふぇくと!!―――という事さ。
もはや記録するのも馬鹿馬鹿しい。
社会
過去問をさせる。
地理―――やはり辛い物があったか、4割。
歴史―――こちらは完全に克服してるな。7割。
公民―――うん。地理よりは望みがあるよ。6割。
総合して―――大体6割か。すこし微妙だな。
明日から社会をメインに持ってくるか。
以上。
拳児君は安心したのか、勉強が終った途端その場で眠りこけてしまった。
まあ良いか。頑張ったからな、君は……。
そうだ、市販のでもいいのなら、チョコがあるから食べてみてくれ。ほら、今日はバレンタインだろ―――?
寝ている拳児君の傍にそっと、チョコレートを置く。
お返しは、そうだな。
矢神に入ってから返してくれ―――。
以上です。
「ほのぼの」って事で手を打って貰えませんかorz
残念ながら矢神は私立高校なのですが・・・・
なんとなく、しばらく更新が止まっているが続きを期待している作品を挙げてみないか?
感想ですがほのぼのいいですね
今度社会メインってことは絃子さんの突っ込み満載なのか・・・
Nice to meet you.の続き読むまで死ねん。
この一ヶ月、花粉に耐え、寒さから来る風邪にも耐えてきた。
あぁ…あれ?天国がミエルヨ…。
公立が難関だという認識のギーガ氏は地方の人か
>>437 orz orz orz
駄目ジャン俺orz
ヤバイな……。設定を悉く無視してしまったorz
……ここで打ち切りにしちまうか?
原作を愛する人に思いっきり怒られるorz
>>441 大きな水溜りがある県の者なんで、まあ地方ッス。
……滋賀?
止め刺すと播磨が絃子邸に寄生し始めたのは入学後なんだけどな。
まあ何だ。気にせず突っ込め。
444 :
Classical名無しさん:05/04/13 22:49 ID:fzVA9Hl.
ここまできたんだしもうチョイだから完成させりゃーええやん
445 :
Classical名無しさん:05/04/13 22:50 ID:fzVA9Hl.
そこはIFなんだし
orz
―――ぶっちゃけパラレルになってしまった……。
でもまあ、途中まで書いた以上は終了させるのがモノ書きの最低限のルールだと思うので、このまま突貫します。
ぶっちゃけ、叩け。叩け。叩け。たた(ry
萌え無し笑い無しオマケに設定無視って何その三重苦orz
447 :
Classical名無しさん:05/04/13 22:53 ID:fzVA9Hl.
ガンバ
頑張ってくださいな
なんか凄い罪悪感……完結してから言うべきだったな…(エー
設定なんかシリアス系なら厳格なまでに拘るべきだと思うけど、
そうでなきゃ気楽でおk。
何にせよ、スマンかった。
>>449 いや、こちらこそ礼を言わせて頂きます。
正直、ツッコミが無かったら以降の作品も皆アレで通してたかも知れません。
お陰で以降の作品に恥晒しな設定付けずに済みそうです。
ありがとうございました。
最後に突っ込む楽しみが無くなってしまったのか
どうせならさらに死体に鞭打つとしよう
播磨が天満と会ったのが記憶では初冬とあるのですよ。これが
しかしその散様しっかりと目に焼き付けさせていただきますよ
楽しみにしております
PFってどこに売ってるんだろう。
もともとの部数自体出ていのかな?
SS書くには持っていたほうがいいだろうし。
復刊してくれるのを待つしかないのかな。
オクで諭吉さんだして買うのもアレだしね。
復刊してくれないかなぁ
転売とか、要らなくなったからとか、あるんだろうけど
万単位のお金を出す気には、少しもなりませんからね。
復刊した際には、またオマケをつけてくるんでしょうかねぇ。
>452
出た当初は結構冊数あると思ったけどね。東北の田舎モノのオレが予約無しでサクッと
買えたし(ちなみに5巻限定は売ってるのすら見たことない)。
実は買うとき結構悩んだんだよね。どう考えてもゴミでしかないゴム人形がついてるから・・・
>>455-456 オマケ無しの通常版と有りの特別版を発売すれば――って、一方に需要が偏っちゃいますね。
お人形さんが素晴らしい出来ならいいと思うのですが、魔人形さんではね。
播磨が絃子の所に転がり込んだ時期はPFに載ってるの?
載ってるのなら教えて欲しい
横浜の書店にまだあるなら俺が買ってきて
有望なSS職人に差し上げたいところだが
言ってみただけw
これでPFが復刊したらヤフオクで買った俺の諭吉さんは・・・
出すならもっとストーリーが進んでから増補版でしょ。
ていうか確実に出すと思わ。
冴子は4P枠だな。
>>458高校入学後行く宛もないので頼みこんで住ませてもらったとある
>>451 orz鬱だ氏のう……
しかし、それでも投下します!
設定知らなかった馬鹿だと叩けば良いさ!
監察日記・特別編。―――社会激闘編。
ギャグっぽいけど、多分笑えない。
―――もうじき矢神の入試という頃だ。
拳児君はもうバリバリに頑張っている。それは従姉として嬉しい限りだが―――。
たった一教科、伸びが遅い物がある。
―――社会科。
そう、社会。地理、歴史、公民の三つからなる教科。
―――拳児君が最も苦手とし、私の教え方ではどうにもならないかも知れない教科。
つまりは、ラスボスだ。
シリーズ最新作のあの太っちょ暗黒神どころじゃない。回復呪文でダメージを与えられる、信者からやたら神扱いされているあのボスだ。
いきなり出てきてやられていく空気みたいな闇どころじゃない。銀髪の、奇形物体を母と呼ぶ変態ボスだ。
倒すためにはレベル上げが必要だ。あと50くらいは上げないと。
つまりは。
「―――ええい!明日は一日中社会だ!いいな、拳児君!!」
「うえええ!?どういうこったおいてめぇ!」
「分かりました、分かりましたから手に持った物騒なモノをしまってください」
「うむよろしい」
―――こういう事さ。
地理
「まずは復習だ」
「おう」
気合は入っているが、さて……。
「日本アルプスを形成している三つの山脈、知ってるかい?」
「―――アルプス?日本に?」
「……………」
そこからなのか!
出来るだけ丁寧に教える。
「あるんだよ。―――飛騨山脈、木曽山脈、赤石山脈の三つを総称して、日本アルプスと呼ぶ。本州の中央部にある」
「おお!じゃあアレか!?ハイジとかいるんだな?ペーターとか、ネロとかあの犬とかってうわああああああああ!!」
思わず撃ってしまった。許してくれよ、拳児君。―――こっちは許すつもりはないがな。
ボロ雑巾になった駄犬を見下ろし、告げる。
「君が言ってるのはヨーロッパにあるアルプス山脈だ。日本のは日本のアルプスだから『日本アルプス』に過ぎない」
大体、ネロはアルプスにはいない。しかも、犬って―――。
パトラッシュか?ヨーゼフか?どっちだい。
以降、こんな遣り取りが数時間続き、歴史へ移る。
歴史
「織田信長が武田氏を鉄砲隊を用いて打ち破った戦いは何かね?」
「サウスマウンドトップ―――嘘です、すんません」
2か。あのシナリオは辛いな。結局私は放棄したよ。
「徳川吉宗が行った改革の名は?」
「―――えー、IT改革」
……してどうする、馬鹿者。そもそも革命だ。
「ヨーロッパの大部分を征服した皇帝の名は?」
「よゆーだな!ナポレオン=ボナパルトだ!!」
相変わらずそんな所だけは秀でているな。全く……。
―――以降数時間こんな問答が続いて、私は余りの馬鹿さに迷わず家のモデルガン全部ぶっ放す事を決めた。
公民
―――する前に銃弾の嵐を何時もより多めに喰らった拳児君がリタイア。
全く腹が立つが、今日はコレでお開きにする。
以上です。
もう今週中には終わるんじゃないかと思います。
それまでスルーせずに生暖かくこの馬鹿めを見守ってやってください。
ゲームネタ多いなw
じゃあ、知らない人の為に頑張って元ネタバラしちゃうぞー。
暗黒神:ドラクエ8、ラプソーン。やってないから知らん。
信者から神扱い:ドラクエ3、ゾーマ。但し、光の玉使用後は弱い。個人的にはシドーのほうが…
空気みたいな闇:FF9、永遠の闇。何の脈略も伏線もなく最後に湧いて出るのが空気たる所以。結構強いよ?
銀髪:FF7、セフィロス。イカ。
サウスマウンドトップ:俺的至高の名作、サガフロンティア2、ギュスターヴ編最後の砦。
草伏せと弓兵の支援フル活用しても勝てるかは微妙。鋼鉄兵の攻撃は防御で凌ぐが吉。
……こういうのをスレ汚しって言うんだろうな。
>>470 解説してくださった―――――――!!
ありがとうございます。正直やりすぎた感もありましたので……。
スレ汚し?それを言うなら俺の数々の駄作やレスの方が余程(ry
472 :
バンター:05/04/14 18:41 ID:3TsrpbHE
桜はまだ蕾のまま。二人はサヨナラを言う為、そこに居た。
転校する貴方に、言いたいことがあるの。
まだまだ先だと思ってた。でも、いつか言わないと、って思っていたの、烏丸君。
ちがう、私はカレーより下じゃない。レトルトでもないわ! えっ、気付いてくれてた!?
矢神に来たのは貴方に会う為。運命だったの、私にとって。
ん、んとね。ちょっと待って、えーっと、……(コホン)す、鋤です! そうじゃないのー。……好きです!!
カールしてたお髭も、好きになります!
わたし、お料理も頑張ります、カレーも辛いの食べれるようになります!
えー! か、烏丸君も私のこと……、好きなの?
絵で分かった? あの時書いた絵が、私と烏丸君を繋いでくれてたの!?
なんでもないよぉ、愛理ちゃん。美コちゃんもー。これは、別に……あーん見ないでよー。
ありえないって、そんなー。晶ちゃんに言われたとおりに書いたのにー。えっ、違うの?
――こんなストーリーでは、文化祭の出し物に使われる筈がなかった。
……終わり
そりゃ、辛いよ。中には斜め読みの職人作もあるみたいだが。
>「ヨーロッパの大部分を征服した皇帝の名は?」
カール大帝、じゃ駄目?
あまりの恥ずかしさで顔から火が出るかもしれん。
間が開くことなくバイトが見つかって浮かれていた、今は反省している。
一本頑張って書いてみることにします。
播今で誕生SS希望
数字的なものじゃなく
>>474 ご指摘ありがとうございます。
そちらでも構わないと思いますが、より一般に知られている方を選ばさせていただきました。
ご了承いただければ幸いです。
上の方で天満の存在意義について熱い議論がされているが
作者がインタビューにたいして天満の設定について以下のように語ったらしい。
天満の設定なんですけど、少年漫画のヒロインがここまでバカっていうのは、
あんまりないと思うんです。勉強が全然できないっていう設定で、
女子で一人だけ追試受けていますから。男の子は「バカっぽい女の子」は好きですけど、
「本当にバカな女の子」はさすがにヒロインにはあまりいませんよね。
そこも賭けでした。
って、勝っているのか分かりませんけど
天満の存在意義がほしい
>479
じゃあ聞くが、お前の存在意義って何よ?
やっぱ天満ちゃんかわええな(*´Д`)
一巻の体重計に乗る前のところとかヒロイン系にしては十分な魅力ではないか?
初期のころの一話完結ショーとストーリーなら大いに活躍の場面はあったはずだ
正直ちょっと飽きてきた
「あっれー、みんな何してるの?」
「あ、姉さんと、…播磨…さん…!」
「ヒゲ! なんで天満と…」
「ハリオ、仲良さそうだね、腕まで組んで」
「ふん、ぬか喜びにならなければいいがね」
(ふーん…、この四人…)
「ね、播磨君、ちょっとあっちで待っててくれるかな。
女の子同士の秘密のお話だから、お願い。
あ、でも私のことずっと見てくれてなきゃやだよ」
「お、おう、わかったぜ」
「何があったのよ天満。あんな馬鹿と一緒に…」
「まあまあ、沢近さん」
「それより塚本君、どうしたのかね」
「姉さん、話って…」
「くすくすくす…」
「塚本さん、なに笑ってるのかな」
「みんなバカだよねー、って思っちゃって」
「…どういう意味かね」
「播磨君を彼氏にしようと必死に頑張ってるんだもん。
どんなに頑張っても、私が『播磨君、好きだよ』って言えば
全部無駄になっちゃうのに。」
「ね、姉さん…」
「そろそろ言っちゃおうかな?
じゃあね〜、愛理ちゃん、刑部先生、姉ヶ崎先生…、やっくも!」
「ま、待ちなさいよ! 天満!」
「ん、なに愛理ちゃん? もう話すことないよ、うるさいしね…」
「な…、このっ!」
「あれ、いいの? 愛理ちゃん。…播磨君見てるよ」
「くっ!」
「くやしいよねー、自分よりもかわいくない娘に好きな人取られて
なにも出来ない、…ぶつこともね」
「テンマァ…」
「でもね、簡単だよ愛理ちゃん。こう言えばいいんだよ…播磨君なんて
どうでもいい、ってね」
「言っちゃだめよ! 沢近さん!」「先輩、いけません…」「よせ! 沢近君!」
「播磨君なんて…」「ん? なに、愛理ちゃん、聞こえないよ」
播磨拳児なんてあたしにはどうでもいいのよ!!!!!
あーあ…、やっちゃった…
「天満ちゃん!!!!!!」
「え、…あ、あたし今なにを…、あ、あぁあぁぁ!! か、らだが…」
「…播磨君を好きになるためだけにいる愛理ちゃんが、それを否定して
どうして生きていけるのかなぁ?」
「お嬢っ…!! てめぇ!!」
「…ヒゲェェ!! これは、…これはちがうのぉぉ!! 今のは
ちがうのよぉ…」
「…いいよ播磨君、大丈夫だから。それよりデートの続きしようっ!」
「…わかったよ、行こうか」
「おさかべせんせぇぇぇ…!!! 何とか言ってぇぇぇ…!!!」」
「君は…、今自分の存在意義を否定した…。拳児君は…君を一生許さない
だろう、…君はもう…おしまいだ」
(´ー`)
前にも見たことあるな
何だっけ?
カラクリサーカスだっけ?
途中からからくりサーカス
いや全部だわ
いや途中から。
なにを混乱しとるんだおまいらw
荒れてんな
ここでコネタを1つ
播「ここは…これで…」
八「ここはこれのほうが…」
絃「いつも二人で何やってるのかと思えば漫画を描いていたのかね?」
播「うるせーなー絃子ー!!」
八「刑部先生…お邪魔してます…」
絃「どれ私も見てやろう…」
播「なんで…」
カチャ
播「どうぞ…」
フムフム〜
播「で、どうだ?」
絃「よくできているがなぜ八雲君はいるのに、私は居ないんだ?」
播「?…何で?」
絃「書いたほうが面白くなると思うがね?それとも何か?私は書きたくないのか?」
播「…それもそうか…ちょっと待てろよ…」
八「播磨さん…」
スラスラスラ〜出来た
絃「早っ!!普通この八雲君のように下書きから書かないか?いきなりペン入れとは…スクリーントーンだって」
播「別にいいだろ…書けたんだしよ…それとも何か書いて欲しい理由でもあるのか?」
パン
播「ぐおおおぉ」
絃「うるさい!黙れ!!…すまない八雲君邪魔したね」
八「いえ、そんな…」
バタン
八(………私の絵より似てる…)
終り
生み落とされる少女 罪の意識の無い小林と担当 落とされ
計画も無い話の展開 何故主役にされたのかさえ 解らないけれど
たった数ヶ月の命とも知らず・・・・
私は愛されたい 私は活躍したい この作品の中見つめて
愛理ちゃんが主役を張った時から数話目 何かが早いと感じた
もう何も出来ない そのうち八雲が本誌に・・・・
不完全な私は 掻き落とされた 痛みが体を突き抜ける
作者の見放した声 耳鳴りが止まない 講談社の大人達 私を投げ棄てた
冷血に満ち溢れた瞳に 血塗れの 出番の無い私が写る
そのまま白い背景に包まれた
だんだん意識が薄れる中私は考える 静かに
a deformed childの私をこのまま愛せるならそれでいい 許せず
愛されない私はこのまま死んだ方がいい
だから台詞を発さず 静かに眠りましょう
一度だけ作者の愛 この手で感じてみたい
これが愛なのかもしれない ありがとう
二度と戻れない主役 播磨君に占められていた
でもね私はきっと未来の○○だから
本当にこれでいいんですね?
はい
貴方は何回目(の連載)ですか?
初めてです
僕は、数え切れない漫画を打ち切りにしています
貴方は許せますか?
もう一度訊きます。本当にこれでいいんですね?
はい
用意はいいですか?
はい
では、始めましょう
ラララ・・・・
体焼き尽くされ骨が無くなるまで焼き尽くす
さよなら・・・・
497 :
839:05/04/16 00:42 ID:8H1iT9iY
播磨×一条or播磨×晶 支援
一条は今鳥にぞっこん(死後)じゃんかー
晶は正直ワカンネ
晶は花井のほうがなんかありそうだが…
>>500 これでも読んでな、つーかPFで晶の欄に出てる男は花井なんだがな
播磨ハーレムテンプレ
一、グラサンを外したら超美形、クラスの女子も一発さ!
二、俺は魔王! 花井なんぞ本気を出せばただの雑魚
三、天満ちゃんには振られました、もしくは気づいてもらえませんでした
四、女を襲うチンピラは許せん! あれ? なんか助けたら惚れられた?
五、成績は勉強しなかったから低いだけ、やる気を出せば成績優秀
もちろん頭の回転も速いぜ!
六、とりあえず過去に女を助けたことがあるらしい、覚えてないけど
七、なんか女に追いかけられて逃げてばっかな気がする
八、知らない間に口説いてました、憎いぜ女殺し
>>498 そこを好き勝手妄想するのだ二次創作ですよ
ほどほどにな。
天満は未だファンが増えないのが可愛そうだな。
あんな個性的なキャラって中々いないのに。
沢近八雲主義者で「天満もまあ好き」というのはかなりいそうだけど。
投下します。
監察日記の続き。
いよいよ―――明日だ。
拳児君は明日に備えて既に寝ている。―――まだ7時だというのに。君は遠足前日の小学1年生かね?
私は―――ベランダで、ビール片手に黄昏ていた。
「―――ふぅ……」
何となく、溜息一つ。ついでに冷えたビールを胃に流し込む。
―――思い出すのは、半年以上も前。あの馬鹿が突然押し掛けて来た時の事。
びっくりした物だった。―――彼の名前は、ここいら一帯で響き渡っていたからな。
曰く、暴走族潰しただの、ヤクザと親交が深いだの……。
正直、従姉としては聞いていて気分が悪い物も多々あった。―――本当にそうなってるのではないかと言う不安もあったが。
だから、いきなり「勉強教えてくれ!」なんて言い出した時には、本当に驚いた。
それ以上に嬉しかった。どれ程悪くなったとしても、やはり彼は彼なんだな、と……。
それからは、激闘の日々だった。拳児君にとっても、私にとっても。
猿以下の知能。羊以下の記憶力。総合して麒麟以下とされるその頭脳を人様並みに改善するのに、どれ程骨が折れた事か……。
まあ、その努力のお陰で彼は私立に合格。そして明日に公立受験を控えている。
拳児君も拳児君で苦労した事だろう。最初はとにかく暗記させてたからな。
―――しかし未だに聞いていないのだが、いったい何故彼は矢神に入りたくなったのだろうか。
―――勉学心に目覚めた?まさかまさか。ビオランテが光合成する位有り得ない。
―――好きな人を追いかけて?ハハハハハ……!有り得ないな。ダイヤライダーがまともに活躍する位ありえない。
じゃあ、他には何がある?
―――私に逢う口実に
無い。絶対無い。間違いなく無い。
天に誓ってない。神に誓ってない。―――信じて無いけど。
「まったく……」
馬鹿な事は考える物じゃない。あの男が恋などと……。鯉か濃いの間違いじゃないのか?
こんな美人が半年以上も傍に居て見向きもしなかった男だぞ。
―――まさか、アッチ系の趣味でもあるのか?
いや……無い―――と、信じたい。でももしソッチの人だったら……。
「ぅぅぅ……」
気持ち悪くなってきてしまった。オノレ拳児君、受験が終ったら覚悟しておけ。
その捻子くれ曲がった性癖を矯正してくれる。
「―――寒くなってきたな。戻るか」
明日は私も授業があるしな。―――そう言えば、私が矢神の教員だって教えて無かったな。
……まあ、良いか。
拳児君の部屋を覗いてみると、拳児君は思い切り寝ていた。
まだ七時……というツッコミは置いといて。
私は部屋へ入りそっと拳児君に近づいた。―――子供の頃とは全く違う、男の顔をしている。
私はそっと耳元で呟く。せめて―――彼の夢の中に届くように。
「拳児君、頑張りなよ。―――きっと受かると信じている。応援してるからね……」
「んあ……」
返事?―――いや、寝言か……。
全く、そこまで爆睡できる胆力があれば大丈夫だよ。
拳児君の夢に届いている事を願いつつ―――。
私は、部屋を出た。
以上です。
なるほど、何回かはダイヤライダーまともに活躍したもんな。
動物の「きりん」はキリンと書きましょう
麒麟は神獣で知性の高い獣です・・・・・・と十二国記派の俺が言ってみる
,:':´ ̄`ヽ
i: .レリリリリ)
⌒゚i::::リTヮTリ゚⌒
私だって時にはS3やIFスレで
シリアス系やラブラブ系の長編SSで主役にされたいと思うときもあるよ。
でも、それは望まないんだ。悔しい気もするけど。
みんなが私に求めているのは、そんな役じゃないから。
私の役目は「ピコピコ」だけでいいんだ。
それがマスコットキャラとしての私の誇りであり、
私のすべてなんだ。それでいいんだ
>>510 たまたま伊坂戦見て「ギャレンスゲ」と思ってたのに、その後が……orz
まあギラファ戦での零距離射撃も燃えましたがw
>>511 ご指摘ありがとうございます。気を付けます。
>>509 絃子さん、微笑ましいですな。
播磨の出番を抑えると、絃子さん自身が前面に出てますな。
見守る愛もある、というヤツですな。
なんか流れを壊しそうですが、投下します。
タイトルは「Mind change(下準備)」
どこか遠くで部活に励む人たちの声が聞こえる。夕日が顔を出して、茶色のグラウンドを赤に染めている。
そんな時間に、ここ2年C組のクラスで一人黄昏れている少女がいた。
日本人とは思えない色白な肌、風になびかれサラリと靡くブロンド色の髪、そしてその両髪をリボンで結んでいる彼女。
まさにそれは、我らが矢神高校のマドンナ、沢近愛理だ。彼女は頬に手をあて肘でささえ、、いかにも退屈そうな顔で外を見つめている。
(はー、暇ねぇ・・・)
窓越しに空を見上げる彼女。なぜか今日は、いつも周りに居る親友たちがいない。
いつも騒いでいる彼女たちだが、それが欠けると、とても静かになる。
「すまない、今日は大事な用事があるんだ」
「私も花井と組み手やる約束してんだ、ごめんな愛理」
「ごめーん愛理ちゃん、今日は烏丸君と一緒にカレー食べにいくんだー♪」
(まったく、何がカレーよ、天満のやつ)
自分一人だけが取り残され、何もすることのない彼女。空白のような時が流れていく教室。憂鬱な気分だ。
愛理の口から思わずはぁ、と漏れるため息。まるで世界には自分しか居ないような気分だ。
(帰っても何もすることないけど・・・そろそろ帰ろうかしら)
自分の席を立ち、横についているバッグを持ち教室を出ようとしたとき。
誰も来るはずのない教室の扉が、音を立てて開いた。こんな時間に誰かくるとは思っていなかったので
その扉の人物が誰か少し気になった。
(誰、こんな時間に?もしかしてヒゲのやつ?)
なぜか少し期待をもち、開いた扉に近づこうとする。が、その人物が見えた瞬間、愛理の期待は破られた。
その人物は、黒髪で、赤い瞳をもち、その落ち着いた容姿から、学校の「春の女神」と称えられている彼女。
そう、塚本八雲だ。同時に、播磨拳児の恋人として話題を呼んでいる人物である。(それは愛理がつくった誤解だが)
(何でこの娘がこのクラスに?)
いきなりきた彼女に疑問を持つ愛理。そして、愛理の存在に気づいた八雲。
(あれ・・・なんで沢近先輩が・・・)
八雲もまた、誰もいないはずのクラスにいた彼女に驚いた。実は、八雲は播磨から教室に忘れた原稿を取りに行かされたのだ。
誰もいないから大丈夫と播磨から言われていた彼女なので、この状況にどう対処すればいいのかわからなかった。
すると愛理が口を開き、強張った声で八雲に話しかける。
「あら、こんな時間にどうしたの?何かこのクラスで待ち合わせでもしていたのかしら?」
彼女の顔を睨めつけるように、そして皮肉を込めた言葉に、八雲は少し怯えてしまった。
愛理には、八雲がこのクラスに来た理由がだいたいわかっていた。播磨に関係することで来たのだろう、と。
(沢近先輩・・・私のこと怒ってる?)
彼女のあきらかに苛立ちを思わせる顔に、八雲は戸惑ってしまった。そして小さな声で答える。
「そ、その・・・播磨さんに頼まれて・・・」
───やっぱり───
その言葉を聞いた愛理は、何故か肩を落とし、さっきまでの苛立ちはどこへやら、彼女の心は一気に悲しみに覆い尽くされた。
いつものお嬢様のような雰囲気が、一気に無くなってしまい、触れると今にも壊れそうな感じだ。
「そう・・・何を頼まれたの?」
ぼそりとつぶやくように八雲に尋ねる愛理。しかし、漫画のことは言えない、八雲はどう答えていいのかわからず、
ただ立ちつくすしかなかった。そんな彼女の様子をみて、自分には言えないことなのだろう、そう理解した。
「私には言えないことなのね・・・わかったわ。」
違う、と否定しようとした八雲だが、内容が内容なので、否定しようがなかった。
そして彼女は元いた席に座り、その席で八雲を誘うように手を動かした。
「ちょっと話がしたいんだけど、いいかしら?」
呼ばれた八雲は、やっぱり怒っているんだろうか・・・、などと考えながらも、恐る恐る足をすすめ、彼女のいる
席へと動き、彼女から一つ前の席に座った。何を言われるのだろう、などと心配をしていた八雲。
すると愛理が、八雲の顔をのぞき込むように彼女の瞳を真剣に見始める。まじまじと見つめる彼女に八雲は少し恥ずかしく、顔を少し赤に染めた。
「あ、あの、沢近先輩?」
「こんなこと言うのも変かもしれないけど、似てるわよね、私たちって?」
似てるって、どういう意味?私が先輩と?
その言葉の意味がよくわからなかった八雲は、少し頭で考え、口を開く。
「に、似てるって・・・?」
「だから、私とあなたよ。」
そして愛理が顔を前に出し、自分との顔の差が10cmも満たない距離まで近づいてきた。
女性でも、男を思わせるキリッとした瞳に、思わず八雲はドキッと心臓が震えた。
「髪型と目の色さえ変えたら、誰から見てもわからないかもね。」
「そ、そうですか?」
確かに似ていると言えば似ている。その上品な雰囲気、すらりとしたモデルスタイル、そしてぱっちりとしたつり目に、色白な肌。
目の色とその対照的な性格、髪の色さえなければ、たしかにそっくりである。
「それに・・・播磨君に対して好意をもっているとこも似てるかもね」
「さ、沢近先輩・・・」
「冗談よ、冗談。」
とっさに本音がでてしまった愛理。彼女は少し笑ってごまかしてはいたが、その内面には少し複雑な顔が出ていた。
そしてそんなことを言われた八雲も、少し複雑な気分になった。そして彼女が八雲から顔を離し、思いがけない言葉を彼女に言い出した。
「ねぇ、私たち、入れ替わってみない?」
───いれかわる・・・?────
彼女のその言葉に、八雲はぽかんとハの字に口を開けたままになってしまった。
再び彼女の発したその言葉の意味を頭で考え、八雲は自分の口を動かす。
「い、入れ替わるって、どういう・・・」
「簡単なことよ。明日、一日だけ私たちが入れ替わるの。つまり、貴方が沢近愛理で、私は塚本八雲ってとこね」
「で、でも、どうやって入れ替わるんですか?」
「そんなの簡単よ。今日、貴方が私の家に泊まって、そのときにカツラと変声機を貴方にわたす。それで次の日学校にいけばいいの」
そう、入れ替わることなど、彼女の財力を使えば簡単なことなのだ。だが、八雲は疑問に思うことがあった。
それは、なぜいきなり彼女が自分と入れ替わりたいなどと申し出てきたのかだ。八雲は、愛理が自分のことをよく想っていないことは
何となくわかっていた、だがそんな彼女が入れ替わりたいと言ってきた。何か理由があるはず、そう考えた八雲は、愛理に問いただす。
「で、でも・・・」
「あら、まだ何か質問がある?」
「その・・・なんで先輩は、私と入れ替わりたいと思ったのですか?」
「!」
八雲の口から発せられた言葉に、愛理は一瞬眉をピクッと引きつらせた。が、すぐに元の顔に戻った。
そして何かが彼女の心から吹っ切れたのか。彼女から目をそらし、夕日が照らす窓側をみて、彼女の質問に答える。
「・・・気まぐれ。って言ったらウソになるのかな。」
「え?」
そして、今まで自分が、播磨に対して思っていた感情を八雲に話す。そしてそのことを知った八雲は動揺を隠せなかった。
自分以外に播磨に好意を抱いている、しかも目の前の女性が。自分は彼女にどうすればいいのかわからなくなってきた。
そして愛理はさらに自分の口をすすめる。
「だから、確かめたいの。彼が、播磨君が私のことどう思っているか。」
「先輩・・・」
「だけど彼にそんなこといっても答えてくれるはずがないと思うの。だから、貴方になって聞けば、本当のことが聞けるかなって思ってね。」
そう、彼女は普段播磨と接している八雲なら、自分のことをどう思ってるのか聞き出せると考えたからだ。
自分と違う人物から自分のことを聞けば、普段彼が自分のことをどう思ってるのか知ることができるからだ。
考えてみれば、播磨と対等の立場でいる女性は、愛理と八雲と絃子先生ぐらいしかいない。
だから彼女は、もっとも自分と似ている、塚本八雲を選んだのだ。
「貴方だって、播磨君の気持ち、知りたいでしょ。」
そして八雲も、同じようなことを考えていた。確かに私は播磨さんのことが好きだ、だがそれは恋なのかどうかはわからない。
彼も自分のことをどう思っているのかわからない。色々な思いが八雲の頭のなかで交差している。
だが、この機会を逃したら一生このさき後悔してしまいそうだ。彼女に入れ替われば、普段知ることのできない播磨の姿を知ることができる。
「えっと、その、やってみたい・・・です。」
「じゃあ、交渉成立ね。」
八雲が小さな声だが、ぼそぼそと入れ替わることに同意すると、愛理は自分のバッグから携帯を取り出した。
もちろん電話先の相手は、八雲の姉、塚本天満だ。
「それじゃあ貴方のお姉さんにいっとかなくちゃね。今日は私の家に泊まるって。」
「あ、はい。お願いします・・・」
そして電話に天満がでて、愛理が今日八雲が自分の家に泊まることを告げると、喜んでOKしてくれた。
その後二人は、期待と不安を抱えながら学校をでて、中村が用意していたリムジンで、彼女の家にいくことになる....
おまけ
「拳児君、キミは何をやってるんだい?」
「何って妹さん待ってるんだよ?」
「ほう、こんな夜遅くに何をする気だ?」
「別に、俺は妹さんに大事なものを持ってきてもらってるだけだよ」
「大事なもの・・・ゴホンッ!」
「ん、どうした絃子?」
「さんをつけろさんを、それよりこんなところするとは、その、大胆になったなキミも」
「はぁ?何言ってんだお前?」
「どうでもいいが、こんな野外でするんじゃなくて、目立たないとこでしてくれよ。」
「あぁ、そんなの当たり前じゃねぇか!」
「あたりまえ・・・君たちは本当すごいところまで進んでるな。」
「おい、何か勘違いしてないかお前?」
「何もしてないよ拳児君。じゃあ私はお邪魔みたいなので帰ることにするよ。」
「おう、気をつけて帰れよ・・・って何がしたかったんだあいつ?」
結局播磨は太陽が顔を見せるまで屋上で待っていたという・・・
「あら先輩、どうしたんですかこんな時間に?」
「いや、拳児君も大人になったものだなと。」
「へっ?」
「それより、そろそろ拳児君に育児の本とかを読ませたほうがいいかな?」
「先輩、それってまだ気が早すぎると思いますよ・・・」
以上です。展開が無理矢理かもしれません。
なんとなく入れ替わったらおもしろそうだなぁと思って書いてみました。
なんか感想とかあればお願いします。
>>524 ええと非常に展開に無理があると思います
が、とても面白そうだとも思います
さすがに八雲と沢近と、変態執事ナカムラ(変装の技術はアレです)だけで入れ替わりを
成功させるのは無理だと思うので、多分他にも協力者が出ると思いますが…
無理な展開を無理に読者に納得させることにこだわらず、続編を構想して欲しいです
期待してますね
>>514 むしろクローバーのライダーの方がまともな活躍は少なかったような…
>>525 つタランチュラ戦
つ虎姐戦
つスパイダー戦
つケルベロスUでのブリザードベノム
つジョーカー戦
つゴキブリと素手戦
そしてなにより俺はレンゲル好き。
以上によりギャレンを選ばさせていただきました。ご了承ください。
>>524 ,:':´ ̄`ヽ
i: .レリリリリ)
⌒゚i::::リTдTリ゚⌒ <私の出番はー?
>>524 展開が無理矢理だなーと思う。
けど、それ以上に面白そうだ。
続きを期待してます。
> 524
カツラってのもなー
幽霊とか猫とか、「フシギナチカラ」で入れ替わったんならともかくなあー
ちょいと引っ掛かる。
いいんですよ 細かいことは
>>495 とても面白いコネタですな。上手いなぁ。
テンポの良さとか見習いたいです。
>>524 あまり気にしない方なので、楽しめましたよ。
今度は沢近が出てるので楽しみですな。
投下はいつごろしていいものでしょうか?
なんか長めになってしまった(18レス分)ので、一気に投下してしまいたいのですが。
ぜひ投稿をお願いします。今すぐにでも
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大切な人を得ることは良い。
だが、大切な人を失うことは、その次に良い。
…決して言い訳などではないぞ。
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麻生へ【矢神高校2年C組 花井春樹】
絃子「…拳児君。もう出るのか?」
播磨「…………」
少年は、何も言わず、ただそのピンク色の紙を握り締め、走り出した。
そこはお馴染みの道場。
掛合い、励まし、高め合う、ある意味聖地といえようか。
今、その地が、別の意味での聖地と化していた。
イゾクと名乗る黒ずくめの集団。
白黒の、日常では見られない装飾品。
会場全体を包み込む陰鬱な雰囲気。
決して天気のせいでも寒さのせいでもない。
男衆、女衆、教師陣。およそ2−C関係者とみられる者はそこにいた。
しかし、彼らは皆俯き、すすり泣き、中には気を失う女生徒までいた。
そしてお馴染みの面々。天満、沢近、晶。
しかし、そこに彼女の姿はなかった。
「南無妙法蓮華経〜日本的少林寺〜 南無妙法蓮華経〜中国的寺林少〜」
ぽくっ、ぽくっ、と独特の韻律を奏で混じり合う公徳の印。
しかし、空気を読めない無礼者は何処にでもいるもので。
ガタンッ
播磨「うぉーーーっ!メガネぇぇぇーーーーーーっ!」
会場は騒然とする。
播磨「俺はなぁ!お前なんっかなぁっ!大っ嫌いだったぜぇー!!!」
天満「播磨君!?」
播磨「お前の書いたこの恥ずかしい紙切れをなーーーー!!!」
天満「やめて!播磨君!」
播磨「皆の前で読み上げてやるよぉ!ああ!バラ蒔いてやるともさぁ!!!」
天満「やめてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」
…ヤメテー…メテー…テー…………………………ザワ…ザワ………テンマ………ヒゲ…
播磨「だからよぉ、オメェよ、奪い返してみろ…よぉ……」
再び沈黙に包まれた。
晶「…ところでその紙、何が書いてあるの?」
沈黙の長さを見かねたのか、晶が助け船を出す。
さりげなく紙を抜き取る。
播磨に奪い返す気配は感じられない。
周りには、いつの間にかクラスメイトやイゾクまでもが集まっていた。
そして、紙に書かれた文字を凝視していた。
花井の詩(うた)。
>>533 言い訳ではないと言いながら、言い訳そのもの。
人生に食い無しといいながら、無念を感じさせる本文。
宛先も見当違い。
だが、笑う者など誰一人といない。
それは花井の国語の成績が自分達より優れていたからではない。
皆、知っていたから。
彼女と、彼と、花井春樹の物語を。
……そして、時は遡る………
………
…
支援
………………ハァ………ハァ………………
キラッ
……………………だれか……………………
…………だれか………………助けて………
キラッ キラッ
………気にしてないなんて…ウソだ………
……逃げても、逃げても、追ってくる……
……………「あの人」への想い……………
キラッ キラッ
………それは、あまりに眩しすぎて………
…気がつくと足を留めて振り返っている自分がいる…
キラッ
…………これは……………………涙…?…
…そっか…………あたし…泣いてるんだ…
キラッ キラッ
…………もう…疲れてしまった……………
………流されてしまおう…このまま………
『光りの洪水に』
そう思った瞬間、足元が崩壊する。
上も下も体温さえも失われ、奇妙な開放感に見舞われる。
既に崩壊し、散開し始めていたあたしの心の破片。
その各々が、その激流に翻弄され、紛失と再編成を繰返し、
分断された古びた映画フィルムのように、あたしの脳裏をかけめぐる。
…………………そう、あれは…………………
夏。
そこであたしは、恋を失った。
その時、あいつは、メガネをかけ直しながらこう言ってくれた。
花井「(クイッ)…キラッ、『モヤモヤした気持ちのままなんてお前らしくもない』」
……………そうか、そうだよな………………
秋。
自分が解らなくなった。
恋とともに、生きる目的さえ失っていたのかもしれない。
花井「(クイッ)…キラッ、『知らない世界に飛び込むのも悪くないぞ』」
………………そ…そうだよな…………………
(そう…)
(苦しい時にはいつもあいつがそばにいてくれて…)
(いつの間にか、あいつの言葉に逆らえない自分がいて…)
……………そして刻は流れていって………………
………
…
(クイッ)…キラッ
花井「『ここでキスしちゃってもいいかな?』」
美琴「………は………い……」
メガネは濁りきっていた。
美琴「………ふ………ぅ……」
若々しく重なり合う男女の身体。
教室に響く、擦りつけ合う制服の音。
弾ける瑞々しくも豊満な肉体。それを包み込む北米山脈を想わせる隆々とした上腕筋。
青葉ゆえの生命力が生み出す種の源泉は、
その体躯とは裏腹な稚拙な戯れでしかない睦み合いに、圧倒的な美を添える。
ただ、ただ、熱く、強く、激しく口づけを交わす。
しばらくすると、その情景に、新緑には相応しいとは言い難い、
暗く、そして妖々しい艶が見え隠れし始める。
恋人の抱擁というものがあるならば、既にそれはそれではなかった。
それはまるで、暗闇の誘蛾灯に光を求めさまよう蝶ツガイのようであり、
迫害者から必死にお互い身を寄せ合う、小さな子供であった。
女の瞳から光は失われ、その視線は男を通り越し、ただ虚ろに宙を漂っている。
激しさを増す行為にも関わらず、その瞼が閉じられることはなかった。
そして、その漆黒の瞳からは涙が溢れ、その頬に一線の支流を残していた。
……そう………「あの人」はあいつで……あいつは「あの人」…で……
その様子に気付いたのか。いや、抑えることが出来なかったと言い換えるべきか。
男は、女の身体には相応しくない力で引き寄せ、その背中を制服ごと握り締め、抱きしめた。
ただ、ひたすら何かに耐えるように。
ただ、ひたすら必死に繋ぎ止めるように。
花井「周防」
美琴「…はい」
花井「お前が好きな男は、誰だ?」
美琴「それは、もちろん、ハナイ、です」
美琴「中学の頃から、ずっと、ハナイ、です」
花井「僕もだ。お前よりもずっとずっと昔から、な」
花井「だがな、周防」
美琴「はい?」
花井「敬語は使わなくてもいいんだ。いや、使わないでくれ。…お頼いだ。」
美琴「はい。わかりました。」
しかし、美琴はこの願いを聞き入れることはなかった。
美琴にとって花井はかけがいのない存在である。
恐らく本人も気付かぬほど深く、そして以前から。
しかし、いつからか美琴は花井に敬語を使い始める。
辛辣ながら大切で眩しい思い出が、花井色に塗り尽くされたあの日。
それまで続いてきた、幼馴染としての関係は変質してしまっていた。
コトッ
教室の外でもの音がした。
夕日に映される見覚えのあるシルエット。
花井はそれが誰か知っていた。
とうとうこの日が来た。
花井にとって、奴と二人きりになる必要があった。
美琴に席を外してもらうため、「いつもの儀式」を施すことにする。
(クイッ)
メガネを右手中指で軽く持ち上げ、かけ直す。
…キラッ
レンズにより太陽光が反射される。
季節、時間、緯度経度、光のスペクトル。
緻密に計算され精錬された特殊な光は、美琴の網膜を通し信号化され、脳へと到達する。
美琴の瞳の闇色が増していく。
……さあ…紡ぐのだ…いつもの…「言霊」を……
花井 「『教室後ろの扉から、振り帰ることなく、下校してくれ』」
美琴 「…はい。………?…。…あ、あのさ、花井。」
花井 「どうした?」
美琴 「さっきの質問だけどな。私…本当はお前のことが…好きかも…知れない」
花井 「!!!」
花井 「…ああ、…ぼくも…ぅ…だ…」
花井は確かに見た。
照れながら歯に噛む美琴の瞳に、かつて幼馴染であった頃の光が戻っているのを。
そして、それがほんの一瞬の出来事で、最後に見る本当の笑顔であることを。
美琴が去った教室で、
花井は、ただひたすら、叫ぶように、吐き出すように、
泣いた
…
………
…………………
全てを吐き出した。
教室に静寂が戻る。
それも束の間。
突然、烏達が羽ばたき四散する音が沈黙を破った。
あいつだ。
あいつがやってくる。
先ほどの音の主だ。
全て「コト」が終るまで待っていたのだ。
圧倒的威圧感を醸し出しながら、
あいつが立っていた。
教室の前に立っていた。
麻生広義が立っていた。
麻生「…ちょっと、そこまでいいか?」
親指で校庭を差す。
花井「ああ…」
ああ、要件はわかっているさ。
罵るがいい、血ヘド吐くまで。
壊すがいい、形無くなるまで。
例え殺されてもかまわない。
いや、殺されてしまえ。
一つの大きな宝物が手に出来ないと気付き始めた夏。
その苦痛に耐えきれず、ただその穴を埋めたいが為に、
ひたすら自分勝手な理由で、
大切な、本当に大切な、全世界よりも大切な、
あいつの人生を狂わせたこの俺を。
だがな、麻生。
その前に、一つだけ、頼みがある。
お前を自満という穢れた内燃機関の歯車として利用し、
お前をお前として見なさず、最悪の形で裏切ったこんな俺でも、
今となっては、もう、お前にしか頼めないから。
俺の心も、いや、全てが、
あいつがあいつでなくなった時点で終っていたのだから。
だから、
……周防……あいつを、いつか幸せに導いてやってくれ…………
そして、
二人の男は、靜かに、夕日の校庭へ消えていった。
教室では、女と男、そしてもう一人の雫が交じり合い、悲しい光を立てていた。
…
………
……時は再び葬儀場
「南無妙法蓮んん〜〜的寺林少ぃ〜」
ぽくっ、ぽくっ、と独特の韻律を奏でる音と混じり合う公徳律。
その音は、絃子を回想から呼び覚ました。
絃子は考える。
この事件は、しがない自分の雑談が発端なのではなかろうか、と。
夏休み前。生物実験の合間に話した、犬の条件反射の話。
そういえば、あの頃から、既に花井の様子はおかしかった。
表面的には馬鹿を装ってはいるが、彼の顔からは日に日に精気が失われていった。
その頃からだ。サブリミナル効果、マインドコントロール、そして、パブロフの犬。
妖しい質問を私に繰り返すようになったのは。
そして、同じ頃から本格化する周防美琴の変調。
初冬から始まった、唐突な麻生広義との交際。
これらの行動は支離滅裂であり、一貫性を感じられない。
しかし、私には見えるのだ。
彼の苦しみがこれらを紡ぎ、悲劇に至らしめたその道筋が。
ふぅ…しかし…
絃子「パブロフの犬は、シュレディンガーの猫よりも残酷だった…か。」
笑えぬ冗談だ、と自嘲の笑みを浮かべた。
その時、
ウ〜ゥウ〜 ウ〜ゥウ〜 ウ〜ゥウ〜
ピーポー ピーポー ピーポー ピーポー
再び騒然とする会場。
それはそうだろう。
ただでさえ葬儀場。そこに救急車にパトカーのサイレンである。
挙句に、任務をジャマされた住職が木魚で対抗していた。ポクポク。
ウゥ〜ゥウ〜ピーポーポクッポクッウゥ〜ポクッピーポーポクッポクッ…ピポッ…プペッ…プゥ-…
「…プッ…」
会場のどこかで笑いが漏れた。
「誰だ?全く不謹慎な………プッ……あれ?」
気まずくなり周りを見渡す。どうやら会場の様子がおかしい。
…クスクス…ダッテェ〜…エム、ダゼ?…プププ……オッカシーノ…
笑ってるのは自分だけではない。
みんな、みんな笑ってる。
その勢いは次第に大きくなっていき、ある時点に到達したその瞬間。
先ほど皆の脳裏に刻まれた、花井の詩(うた)が爆発する。
「ぶっ!ブハハハァハーーーっ!ハル房ぉーーー!お前ってやつぁーー!ブハ!ブハハハ!」
「あ!あんたー!ワラ!笑っちゃいけな!でもおかしーーーーーっ!」
「花井君って、アハハハハハ、ホント、最後まで、アハハハ、何考えてんだろうねーーーっ」
「花井ぃぃぃ〜〜〜〜〜〜!お前は最高だぁぁぁぁ〜〜〜〜〜グホォホォッ!オホッ!?オホホ!」
会場は笑いの渦に包まれていた。
中には涙を浮かべている者も多くいた。
でも、それでも笑った。
いつの間にかサイレンの音は止んでいたけど、気付かないほど、笑った。
天満「アハハハ…………あれ?」
ふと、天満が、こちらに近づいてくる人影に気付く。
あれは…まさか………まさか!
?男「よう。なんか賑やかそうだな」
?女「ま、だいたい想像はつくけどな」
視界が涙で歪む。
天満「来て…くれたんだ…」
二人に気付いてかけつけるクラスメイトも出てきた。
二人は、ひとしきりその様子を見て、満足したのか、
本来計画していた、いや、あいつから指示されていた行動に移る。
麻生「さて、やるか」
美琴「ああ」
二人が持ってきた籠。
中にはピンクの大小、沢山の紙キレが入っている。
おもむろにその籠を掴む。そして…
せ〜のっ
麻生&美琴「みんな!花井からの贈り物だ!受け取れっ!」
籠の中身をぶちまける。
風に乗って、部屋中に花吹雪が咲き乱れる。
絶景。
ませに百花繚乱である。
その花びら一枚一枚が、一人一人に宛てられた手書きの手紙。
そのマメさが花井らしかった。
「あれは…私宛てか?」
ポツポツと、自分宛ての手紙を見付ける者も出始めていた。
刑部絃子「…フッ。もう、私の出番はないようだぞ?よかったな、本当に…」
本来の微笑みを取り戻しつつある周防美琴を見て、そう呟いた。
播磨拳児「…あいつ…何言ってやがるんだ?」
心底意味が解らないご様子。
塚本八雲「…花井先輩。ゴメンナサイ、ゴメンナサイ」
花井の真意が彼女に伝わる日は来るのだろうか。
高野晶「…私もだけどね。でも、やっぱり…ね…」
堪えていた憂いが表に出た。
麻生広義「…俺も大切な人を得るために、大切なヤツを失ったよ」
相変わらずキザな男、麻生広義。
そして、周防美琴。
みんな笑え、わっはっは
笑う角には福きたる、だぞわはっは
花井の声が聞えてくるようだった。
葬儀は笑いの中終り、花井は煙となり天の登っていった。
その過程で、曇りきった空も、軽やかな青天と化していった。
その煙は、まるで花井のようだな、と誰かが言った。
皆納得していた。
とても悲しくて、でも笑いが止まらなくて。
そんな奇妙で、だけど皆の心に大きなの足跡を残していったあの男。
その華麗で豪快な生き様を、後世の人々は、こう称えた。
フラワー伝説
それは、小さな町の、大きな男の物語。
【完】
以下、作中で各々に贈られた、花井の詩(うた)です。
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無理を承知で、先生のお力を見込んで、お頼み申す。
周防を、どうか、助けてやって下さい。お願いします。お願いします。
刑部先生へ【矢神高校2年C組 花井春樹】
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お前を大切に思う人は、いつも側にいる(ヒント:ちょっと日本人離れ)
ボクのライバルと認めてやろう、播磨へ【矢神高校2年C組 花井春樹】
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八雲君。真実は一つではなかった。一つは君に。そしてもう一つは周防に。
今のボクはあいつへの真実を追うことにするよ。でも…八雲くぅ〜ん。
今なら言える…「ヤクモン」へ【矢神高校2年C組 花井春樹】
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世には、喧嘩するほど仲が良い、ということわざがある。もしかしてボクも?
そう思い一晩念じてみた。…全然ダメだった。やはりお前は嫌いだ。
高野へ【矢神高校2年C組 花井春樹】
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周防の手紙。
美琴は手紙の中身を思い返していた。
美琴「あれからもう半年か」
美琴「あたし、あれから麻生とは分かれたよ」
美琴「まったく、勝手なことばかり書きやがって」
美琴「おまえのせいで、彼氏の一人もできないぞ」
美琴「来年も、再来年も、お婆さんになっても、ここに来てるかもな」
美琴「………」
美琴「ん〜。なんか辛気臭くなちまったな〜。さて、帰るか。」
花井家の墓。
その墓前に線香と花を添え終た美琴は、その場を後にした。
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…………………(;´Д`)なにこれ?
いや、最初は十数行程度(Dのみ)の単発ギャグだったのです。
それがどうしてこうなるかな〜?
今迄は、少なくとも(読み手はともかく)自分自身は読んでて楽しかったのですが、
今回は、自分で読んでみても…………………ナニコレ?です。はい。
普段勢いだけの素人が、無理して技巧に走ろうとするとこうなっちゃうんだぞ〜
との教訓にお役立てれば、幸いです。
【敗因】アイデアも 抑え効かねば 自己満足
はぁ…勢い流に戻ろっと…
補足
※作中で、花井が二度「俺」と言ってますが、誤弊ではありません。
※ちなみにキスしかしてません。紛らわしい表現ですみません。
※パブロフの犬…繰返し同じ刺激を与えたりして条件反射を植付ける。お手。警察犬など。
※シュレディンガーの猫…実験で毒ガスの餌食になった可愛そうなネコ。極めて残酷。
お し ま い (↓次いってください)
わかってても書かずにいられなかったんだな。
乙。
乙。
ギャグとはいえ台本はやめておいたほうがいい。
ガンガレ
乙。灰汁の濃い話だ……評価に困るな……。
555 :
餡:05/04/17 01:34 ID:ZBGm4JpA
>>516 面白いアイディアだと思います。
展開が苦しくても、続きが盛り上がれば無問題かと。オリジナルもそんな感じだしw
>>551 直接的でないモノローグが個人的に苦手で、理解するのに時間が要りました(狙いだったらスマソ)
二度読んで理解したら、随所に妬けるアイディアを感じました。
自分も台本形式にしないでストレートに書いてみては、と思います。
流れに乗って(?)時間をおいて投下を画策しています。
ところで、連投エラーを避ける方法って、投稿間隔を空ける以外にあるんでしょうか?
素人でスミマセン
そのための支援。ただ、頻繁に入れると読みにくいから…。
557 :
餡:05/04/17 01:40 ID:ZBGm4JpA
>>556 やっぱり。支援ってそうなんですね。ありがたいです。
って訳で遠慮なくかもん。
559 :
餡:05/04/17 02:36 ID:ZBGm4JpA
二度目の投下になります。
『Ticket to Ride』播磨とサラの17レスです。コメディのつもりです。
文化祭を間近に控えた某日――白い日射しがまぶしい、よく晴れた日曜の朝。
「やぁ、遅くなってすまない。集まってるな」
青のコンパクトワゴンが校門前に停車する。窓を開いて運転席から顔を出したのは茶道部顧問・刑部絃子。
「はーい!」
元気よく手を挙げたのは制服姿のサラ・アディエマス。
「おはようございます……」
同じく、眠そうにお辞儀する塚本八雲。
「荷物、これで全部です」
部長・高野晶が、足下に置いた3つばかりの紙袋を絃子に示す。
「……少ないですねー」と呆れたようなサラ。
「ポットとカップと……ほとんどお茶菓子だから……」と買い出し担当の八雲。
「こんなものだろう。うちはよそと違って茶器だの花瓶だの大層なものはないからな」
ふむ、と頷く刑部絃子。休日だてらに引率らしくスーツである。
「でも楽しみですねー! 他校との合同お茶会なんて!」
「簡単なブースでお茶を出すだけだけどね」
例のごとく鉄仮面な部長に対し、楽しみですよーとわくわく顔のサラ。
「去年も誘いは来てたんだが部員が高野君一人ではな。今年は三人もいれば様になるだろう?」
「ところが先生」
晶のつぶやきに、ん?と絃子が脇を見ると、
「顧問ともあろうお方が何を仰いますやら!? 部員はこの僕を含めて 四 人 ではないですか!!」
はっはっはっはー
と紋付き袴姿のメガネが仁王立ち。
爽やかな朝がたちまち微妙。
「えーと……彼への連絡は、忘れたことにするんじゃなかったか?」
「それはぬかりなく」
「甘いぞ高野! そう何度も僕を欺けるものか! どれだけ嫌がられようと逃しはせん!!」
嫌がられてる自覚あるんだ……と八雲とサラ。憐れんだものか呆れたものか。
「……まぁ、来てしまったものは仕方がないとしても……」
ぽりぽりと後ろ頭をかく刑部絃子。運転席から後部座席をちらりと見た。
「このコルトは四人乗りなんだが」
「なら一人残りましょじゃあね花井君」
「異議アリ!!!」
1秒弱で問題を消化しようとした晶にすかさず食らいつく花井春樹、反射神経◎。
「後部座席を詰めればもう一人くらい座れるはず! むしろ懇親を深めるいい機会ではないか!?」
八雲君と密着八雲君と密着八雲君と密着八雲君と密着八雲君と密着八雲君と密
「ど、どうしたの八雲っ?」
「う……うん、ちょっと、めまい……」
彼女が何を見て頭痛を催したかは省略するとして。
「うーん。まずいなぁ……」
「? 絃子先生?」
珍しく困り顔の絃子にサラは首を傾げる。先生から『君は電車で行け』と一言言えば真面目な花井先輩なら聞かざるを得ないだろうに。
「いや、彼のことじゃなく…………実はもう遅刻しそうな時刻なんだよ」
他校の校舎を使うことから、入場管理や会場設営の関係で、遅刻すると先方に迷惑がかかる。
「大変!」
「寝過ごした私のミスなんだがな……」
……もとはと言えばあの居候が『またごかいされたああ』などと愚痴るのに付き合って深酒したのがもとで……まったく……とこれはぼそぼそ独り言。
「……刑部先生?」
怪訝な顔の八雲。そんな八雲を見て、刑部絃子ポンと手を打った。
「一石二鳥のいい手がある」
『件名:無題
茶道部の移動に足が足りない。塚 本 君達を安全かつ迅速に運んでくれる腕のいいライダー求む』
ドルルンッ!!
「ぶひっ?」
「すまねえなナポレオン……メシの途中だが俺ぁ行かなきゃならねえ……」
校舎裏の秘密の飼育箱の脇でバイクにまたがる男が一人、携帯電話をそっと閉じた。
「運命が……愛が俺を呼んでいる……ッ!!」
「ッ!? 貴様、播磨ッ! 何しに現れた!?」
「……は、播磨さん?」
「あ、播磨先輩だー」
………。ひぃふぅみぃ、よ……? きょろきょろ。…………? …………………っ!!
「ハメやがったな絃子ッ!?」
「先生をつけろ」
パァン! 眉間に突き刺さる体罰。
校門前にまんまとおびき出された播磨拳児を待っていたのは確かに運命(お約束)。目当ての塚本(天満)はどこにもいない。
「ぬぁんで俺が茶道部の手伝いなんかしなきゃならねーんだ!!」
「この中の一人を後ろに乗せて一足先に会場へ行って準備してくれ」
「当然のように無視すんじゃねェ……!」
「メールに嘘はないだろう? 『塚本君』のために一肌脱いでくれと言ってるんだ」
バチッ!と播磨と絃子の間に火花が散って。以下はひそひそ口喧嘩。
(世話になってるんだろう?八雲君に。真心というものを示したらどうだい?)
(ぐッ、てめぇのいいように利用してーだけだろが!)
(フッ……だとしたらどうだと?)
(その態度で人に真心を語んのかテメーは! ぜってー協力なんかしねぇ!!)
(八雲にいいとこ見せたら天満も惚れ直すでしょうね……)
「乗れや……!」
ドッドッドッドッ……と今にも走り出しそうなバイク、ほとばしるバカ。
「播磨先輩急に……高野先輩、何言ったんですか?」と手品を見たようなサラ。
「秘密」
「よし。彼のバイクならギリギリ間に合うだろう。じゃあ、塚本君……」
「は……」
私が乗るんですか? と一瞬驚き顔の八雲。しかし確かに播磨のバイクなら前にも乗ったことがある。思い出してみる。怖くない。
「はい……わかりま」
「異議アーーーーリ!!」
これもパターン。
「なにゆえ播磨のバイクに八雲君が乗らねばならない!? 危険だ! あらゆる意味で危険だ!!」
叫ぶ花井に、サラは「あれ?」と言い返す。
「だって八雲と播磨先輩はつきあっムグ」
んーっんーっ、ともがくサラの口を押さえているのは塚本八雲。顔が赤いのは照れているのと、花井の反応が心底怖いからだ。
「っせーなー、事故るわきゃねーだろー」
と播磨はどうでもいいので論点もズレる。しょーがないな……、と事を早く進めたい顧問はほかのメンツを見回すが、高野はそっぽを向きサラは戸惑い顔。
「メガネ以外だったら誰でも快適に送ってやらぁ」
「貴様の下品なバイクなどこっちこそ願い下げだッ!」
ンだとてめェ!この不良が! と、バカども無駄に衝突したりしている。
「先生……時間が……」
「ふー……やれやれ。バカが寄るとこうも厄介とは」
「くじ引きで決めましょ」
鶴の一声担当・高野晶。
くじ引き?? と説明を求める必要もないくらいシンプルな提案である。お茶請け用の楊枝が4本、当たり一本の端を赤く塗って茶道部員4人で引く。
「っ、待ったッ! これ作ったの高野だろう!? 手癖の悪い君が細工をしてないわけがない!!」
「今回は何もしてない。どーでもいいから」
花井春樹の言いがかりをさらりと受け流す晶、手癖の悪さは否定しない。
時間もないことだし、と皆いっせいに楊枝を引き抜いた。お約束は重なるのか、播磨の後ろに座るのは――
――サラ・アディエマス。
「……です。えと、よろしく」
丁寧にぺこりと頭を下げられて、播磨も「あ、よろしくー」と頭を下げ返した。
「ふむ……なんというか……」
「微妙な組み合わせね」
とは絃子と晶。
「てめーらが仕組んだくせに何言ってやがる。まーいーや、行くぜ?」
播磨は乗りな、とバイクの尻をくいっと指さす。
「え、あ、はい!」
返事をしたサラだが心中複雑である。ちらちらと窺ってしまうのは親友の顔。
い、いーのかな……播磨先輩、八雲のカレシなのに……
「……き、気にしないでサラ……」
「え」
サラが言い出す前に、八雲はぶんぶん首を振る。サラの誤解が明朝体でくっきり視えたから。
「で、でも八雲……」
「何してんだ? ほらっ、かぶれよ」
ぐいっと播磨に黒いヘルメットを差し出され、受け取ってしまうサラ。後ろにまたがりながらまだ八雲が心配。ところが播磨はお構いなしにエンジンをかける。
「つかまんな」
「え? ……きゃっ!」
発進したGに驚いて播磨にしがみつくサラ。バイクは轟音を残し猛スピードで遠ざかっていった。
「ふぅ……これでよし! さあさ、八雲君! 僕と一緒に後部座席」
へ?
花井が見れば後部シートは荷物の紙袋と、それらを落ちないように押さえる八雲だけで満杯。
「あれ? えーと……荷物は後ろへ……」
「荷物は割れ物があるからトランクはダメ」と晶は既に助手席に乗り込んでいる。
「じゃあ僕は」
「花井君は割れないでしょ?」
と、晶はトランクをあごで指し、花井のあごがはずれた。
ドドドド、と車両の隙間を軽快に縫って進むバイク。ノーヘル学ランの少年と、色白な太股もたおやかな女子高生の二人乗りという見るも羨ましい青春絵図。
「よう、えーと、妹さんの友達さん? この先の交差点から道わかんねーんだけど……」
「…………」
ところが見た目ほど羨ましい関係ではなかった。
「……? あの、妹さんの友」
「サラです」
背中から帰ってきたのはなんだかカタい声。「???」と播磨。
「あ、あのー……」
「わたし、怒ってますよ。播磨先輩」
ぷんすか、とセリフ通りのとがった声。
「ナ、ナゼ」
「八雲、かわいそーじゃないですか」
(先輩カレシなのに……八雲になんの言い訳もしないで他の女を後ろに乗せるなんて……デリカシーなさすぎ!)
(い、妹さんがカワイソウ?? な、なんでだ!? 茶道部に貢献すれば妹さんの、ひいては天満ちゃんの好感度もアップするのが道理のハズ……!)
両者の隔たりは大きい。
「傷つくと思うな…………好きなコ以外の女の子をバイクに乗せたりなんかしたら……」
ドギャギャギャギャギャ!!
「!? きゃあっ!!」
突如、タイヤを煙らせて路肩でブレーキターンをキメる播磨拳児。振り落とされそうになったサラが必死にしがみつく。
もしかして怒らせちゃった!? とサラは播磨の見かけ通りのイメージを思い出し、さっと青ざめた。
「せ、せんぱ」
「な、な、な…………」
「? な?」
………なんてこった――――!! 天満ちゃん以外の女をバイクに乗せたとこ妹さんに見られちまった――――!!!
バカはもっと青ざめていた。
妹さんには俺が天満ちゃんLOVEなのは既にバレている!(エスパーだから)となれば、俺が妹さんの友達(♀)をケツに乗せたということは妹さんから見れば……
『……フケツです……播磨さん』
『は、播磨君がフタマタ……? ホントなの? 八雲……』
『ごめん…………でも……播磨さんを想う姉さんのこと見てたら、黙ってられなくて……』
『……そんな……播磨君………………ヒドいよ!!』
「 誤 解 な ん だ !!」
「はいっ!?」
突如奇声を発するバカにサラがおののく。公道の路肩で肩を震わせながら稚拙なシミュレーションにふける播磨拳児。軽く故障しちゃった。
「NO! ヒドくないYO!」
「は、播磨先輩!? 播磨先輩!!」
数分後。
テケテケテケ……とバイクはなんとか前に進んでいた。何しろ時間がない。ここで遅刻なんて失態を重ねれば事態は悪くなるばかり。
「あ……次の信号を右だと、思います」
「………ふぁい」
播磨拳児、心なしか痩せた。
「……っ……」
サラもちょっと気まずい。
「先輩……つまり、その、先輩は反省、してるんですよね……?」
「…………」
「いい加減な気持ちじゃ、ないんですよね?」
「ッ!……もちろんだ!」
天満ちゃん以外の女になんかミジンコほどのキョーミもねえ!と脊椎反射。
「……なら、いいです。私も、八雲にフォローいれときま…」
ギキキッ!
またも急停車。しかしサラ、今度は読んで見事な重心移動。趣味は乗馬。
「ほ……本当か!? 妹さんのともだ」
「サラです」 サラ・アディエマス。って言ってるでしょう、と笑顔で圧迫。
「ア……アリエマス」
「サ・ラ・です」
女を名前で!? い、異文化コミュニケーションってやつか! 中坊並みの羞恥心が邪魔をしてうまく呼べない。
「さ、サ……、いやとにかく! 本当に弁護してくれるのか!?」
「……まぁ、今度から先輩が八雲を気遣ってくれるなら……」
「ま、まかしとけ!」
あんた、いいヤツだなっ!と自己中心的に友情が発生。
「よーし! そうとなったら遅刻はできねー! 飛ばすぜ!」
……もー……調子いい人だなあ…………八雲、苦労してないかな……
ため息が漏れるサラ。より一層不信感は増していたりするのだが、播磨拳児は気が付かない。
調子に乗って再発進した播磨号。順調に進み、幹線道路をはずれてからもサラの正確なナビのおかげで迷うこともなく。
「えと、もうすぐです。……すごい、こんなに早く着くなんて」
「フッ、尊敬しろ」
「先輩って浮気するんですか?」
「ま、俺のテクならチョロいぜ!」
ぜ?
「せっ、先輩!? 赤、赤!」
キキーッ!とまたも煙を上げての急ブレーキ。目の前の横断歩道を幼稚園児がぞろぞろと行く。危うく夕刊の一面記事。
「な、なな何を!?」
「あ……その、男の人ってそーなのかなーって……」
「するわきゃねーだろ! ンなもん、男のクズがやるこった!」
脳細胞の裏側までめくっても塚本天満以外の女は見えない。細胞レベルで愛を誓う男。
「はあ……」意外、と目を丸くするサラ。男って生き物はそーゆーもんだ! とかなんとか居直るのかと思っていた。
「そこらへんの男の一般論で俺を語るんじゃ」
「てゆーか播磨先輩って前科持ちじゃないですか」
………………エ?
「八雲のほかに……沢近先輩でしょ? 姉ヶ崎先生でしょ? あと」
「ちょほおおおっと待ったあああ!!」
ぐりんっと播磨の首が可動範囲を超えて後ろを向き、びくぅっ!と怯えるサラの鼻先に迫った。
「偏見や噂は忘れて聞いてくれや……! この俺は、決して、好きな女を裏切るようなマネはしちゃいねえ!」
「せ……せんぱい……っ」
ねーねーあれなにやってんのー?しゅらばっていうんだぜーおとこはみんなああいうのよねーほらみんな見ちゃダメ!早く渡って!
「すべては誤解……俺の愛を妬む運命の嫌がらせだ……俺にやましいところは一切ねえ!」
……ホントに……そうなのかも。道行く幼稚園児の誤解まで余さず受けるこの天性の間の悪さ。近すぎる顔の距離と通行人の視線に頬を赤らめつつ、サラはちょっとだけ納得してしまう。けれど。
「でも火のないところに煙は立た……っきゃ!」
「……一度っきりしか言わねーから心して聞け…………いいか……」
気がつくと播磨はバイクを降りて、サラの両肩をがっしりと掴んで引き寄せていた。
「は、播磨先輩っ? ひ、人が見て」
パッパーン! と背後の車からクラクションを鳴らされても、バカの愛は止まらない。
「この俺の愛する人は…………古今東西、ただ一人だけなんだ――!!」
県道の中心で愛を(他人に)叫ぶバカ。
「は……」
明らかに必要以上な播磨の気迫に、しばしサラの耳と神経が痺れてしまう。あとほんの少しだけ胸も鳴った。なんか、すごい、かも。
そこへ、パァン! と攻撃的なクラクション。我に返る二人。背後の車がいつの間にか隣につけていた。怒っているであろう車の主がウィンドウを開き、
「…………………………………ヒゲ?」
「「え」」
「「「………………………………」」」
二人と一人のにらめっこ。信号が青から黄、黄から赤に変わり、また青に。時が動き出す。
「お嬢、これはちが」
「あらこんにちは播磨君今日も相変わらずおさかんなのねそれじゃごきげんよう永遠に」
「待て―――!!」
さりげなく永久に別れを告げられた、のはともかく! 人を発情期のヒヒを見るような目でッ……!
「これはそんなんじゃねえ! 頼むから妙な噂をたてんじゃって聞けえぇぇぇぇぁ!」
リムジン、黄色で発車。追いかけようにもすぐに赤。
「行っちゃった……」とサラ。すごい目で睨まれちゃった……
「ぜぇ……ぜぇ…………どーして俺の周りの女は人の話を聞きやがらねぇ……!?」
惚れた女がその筆頭。
「……でも先輩……なんでアセッてるんですか? 沢近先輩に誤解されちゃ困るとか……」
「!? ちげーって! アイツに誤解されんのはかまやしねーが」
アイツは絶対言う、天満ちゃんに言う、その他にも言う。
「ふぅん……でも、だいじょぶですよ。八雲が誤解するわけないし」
「そ、そーか……妹さんは事情わかってるもんな……」
天満ちゃんに説明してくれるか。と、ホッと胸をなでおろす。そんな播磨にサラは吹き出してしまう。
「……わかりました。結局、先輩ってものすごーく運が悪い人なんですね?」
コクコクコクコク(涙目)
「誤解されやすいっていうのは、信じます」
「……っありがとよ! 妹さんのと」
「サラです」
一方的に深まる友情、とはいえサラも、先刻よりは口元が緩んでいた。
悪い人じゃ、ないのかも……………………でも、
「やっぱり、播磨先輩は罪な人だと思う」
再び走り出したバイクの背で、サラはそっと漏らした。んぁ? と風の音で播磨には聞こえない。
「だって……沢近先輩って……」
女の子の気持ち、わかってるのかな?と鈍感男の背を睨む。細身なのに背中は驚くほど広い。こんなに広い背中なのに、独占できるのはたった一人なんだ。沢近先輩みたいに漫画の主人公のような人でも……
「…………漫画のようにはいかないんだな。恋愛って」
サラの独り言に、播磨の肩がぴくりと震えた。
「……あぁ…………マッタクだ」
漫画みたくいかねえ……いってくれねぇな…………。なにやら心に響いたらしい。
「え?」
「もしかして……アンタも悩んでるのか?」
妹さんの友達さんも恋を? 名前は呼べないが今や友人ランク上位の彼女が物憂げな様子。漢として無視はできない。
「え、いえ、私は別に」
「気になるオトコがいるんだろ? 隠すなって。俺らはもうマブだ!」
まぶ? よくわかんないけど…………でも、自分の恋なんて考えたことなかったな……
「そーですねえ……」
気になるオトコ、と聞いてサラの脳裏には……
知ってる男が全員浮かんだ。教会の子供達でしょ、果てはバイト先の店長まで……ってこれ絶対趣旨違う。誰もいないってこと? と苦笑い。先輩、私はやっぱりまだ……
「ソイツ、いい男か?」
いい男?
「麻生先輩」
該当一件。ピカッとひらめいて、反射的に口に出していた。あれ?
「? アソー?」
「あ、ほら、先輩と同じクラスですよ? 麻生広義先輩。バイト先が一緒なんです」
「知らねぇ」
えー。そんなバカな。
「顔は見てるかもしんねーが……………あそー……??」
あーそういえばこの人不良だったんだ、と笑ってしまうサラ。女たらしってイメージは強烈なんだけど。
「そいつどんなツラしてんだ?」
「どんなって…………」
うーん……特徴がないと言えばない………………っ、あ!?
ちょうど信号待ちで停車した時、思案していたサラの視界にちょうどいいものが飛び込んできた。
「播磨先輩あれあれ! あんな感じです」と歩道を指さす。
「あん?」と播磨が見ると、通行人の一人と目があった。
「…………播磨? ……と、お前は……」
通行人が呟いた。というか麻生広義、ここで何してる。
「せんぱーい、おはようございまーす」
「おお……って、妙な組み合わせだな」
「あー。おめーがアソーか」
播磨の背にしがみついたまま元気に手を振るサラ。そーいやいたいた、と頷く播磨。はあ? とわけのわからない麻生広義。いろんな意味でかみ合わない三人。
「麻生先輩、何してるんですか?」
「ん? ああ、部活の練習試合の申し込みに」
そこの学校へな、とそれは播磨達の目的地。
「私も今からそこに行くんですよ? 播磨先輩に送ってもらって」
「ふーん。お前ら知り合いだったのか」
ぴくっ。釣り針にひっかかったように播磨の眉が跳ねた。
「お、青だぜ? んじゃな」
「あ、はい! それじゃ」
……って播磨先輩? 発進せずに固まっている播磨に首をひねるサラ。
おーいアソ早く来いよー、と誰かが呼ぶのが聞こえると、麻生広義は振り返りもせずに声の方へ走り去った。その背中をなんとなく見送るサラ……を凝視する播磨。どうやら何か考えちゃった。
「? あの……播磨先輩? 信号が」
「……マズいんじゃねーのか?」
「え、いやまだ青だから大丈」
「違う! あいつに俺たちのこと誤解されちまったろーが!」
はあ? とサラ。目を丸くしつつ、くるくると頭を回した。麻生先輩が、私たちを、誤解?
「それは……つまり」
「俺たちがデキてると思われたに決まってるじゃねーか」
えええ?
「そんな馬鹿な」
「人の誤解をナメちゃいけねえ……俺は痛いほど経験してるからわかる……人の噂は七日もほっときゃ本当にされちまうんだ……!」
血を吐くような体験談。
「は、はあ……」そんな大げさな……とサラは言おうとして、
「アイツのこと、好きなんだろ!?」
ギクリとさせられた。
「え……えーと……」
好き、と言われても。気にもしてない、していなかった、はず。
「いーか……ほんっっの少しのすれ違いが、結ばれるべき二人をこれでもかっつーくらい引き裂いちまうもんなんだ。 誤解が誤解を生み、しまいにゃある日突然“播磨君最低だよ……!”ってなことに…………くッ!」 何か思い出したらしい。
「せ、先輩? そんな、私は別に……」
「最初は気付かねー……けど、一度っきりの恋だ。あとからそれを取り戻すのがどんなにキツいかって思い知るんだ!」
……そう、なのかな。そうなのかも、しれない。わからない。私ったらいつも人の恋を噂してるだけだもの。わかったようなこと言って、本当は何もわかってないんだ。
「……っ」
いつかは、私も恋をする。誰かに……麻生先輩に? 誰にもとられたくない……うまくいかない……振り向いて欲しい……せつない……そんな気持ちになる。
「……好き……?」
とくん、と小さな胸がうずいた。
「しっかりつかまんな……」
「はい……え?」
ガオォォォンッ!!
「っ、きゃああ!!?」
バイクが吠えて、踊った。唸りを上げて持ち上がった前輪が植え込みを跨ぎ、歩道のタイルに噛みつく。と、すかさずギュルッ!と後輪を滑らせて90度ターンし、逆方向へ走り出す――
通行人の悲鳴とすれ違いながら。 (※危険なので絶対にマネしちゃダメです)
「せせせせせんぱーい!!」
死にます死にます殺しちゃいますそのあと死にます
「舌かむぜ! ぅらッ!」
どががががっ、とバイクは歩道橋の階段を駆け上がった。か、駆け上がれるものなんですかあっ!?と、サラが必死にしがみつきながら目を白黒青。がくんっと最上段を登り切ってまたターン、息もつかずにバイクは歩道橋の中程に滑り込んだ。
「……? なっ!?」
ブレーキ音に驚いて振りかえった麻生広義に、播磨は殺気に満ちたまなざしでビタァッと人差し指を突きつけた。
「ウェイト プリィィズ……!」
……丁寧語?
「あ、麻生先輩〜〜」
へなへなと、播磨の背中の陰からサラが手を振る。
「な、何やってんだ……? 播磨、こりゃいったい」
「てめーに一つ言っとくことがある……!」
「は?」
「俺ぁ今この人をケツに乗せちゃいるが、誤解すんな! 何らやましい関係じゃねえ!! なぜならっ、この俺には生涯愛すると心に決めた」
「塚本だろ?」
「そう! つか」
もおおぉぉぉぉ!? 播磨拳児、ムンク風に叫ぶ。なぜバレてなぜバレてなぜバ(以下略)
「―――つーか、茶道部かなんかのイベントで足が足りなくて、播磨が助っ人頼まれたんだろ? おおかた、遅刻しそうだからバイクでかっ飛ばしてくれとかなんとか」
こくこく、とうなずくサラ。麻生広義、分析力◎。
「……用それだけか? お前ら、そんなことのために……」
いくつ法律犯してんだよ?と常識人の顔は引きつる。
「あっ、いえ、なんてゆーか……」
と勿論サラには答える用意がない。だってバカの暴走だから。
「えと……あ! こ、これから合同お茶会があるんです! だから麻生先輩もどうかなー、って」
「……いや、これから練習だし」
「そ、そーですよね! あはははっ」
わかってました、と笑ってごまかすしかないサラ。あの麻生が、部活がなくても誘いに乗るはずがないのだ。また変なヤツと言われるのは心外だけれど、真犯人(現在パニック状態)に喋られるともっと厄介なのでむしろこのままで。
「あはははっ、そ、それじゃ失礼しますねっ……は、播磨先輩っ」
退却ですよっ、と背中を叩くが「もぉぉ」とか唸って反応が鈍い。もーっ、とさらにぽかぽか叩いていると、
「あ、おい」と麻生がサラに声をかけた。
「は、はいっ?」
「えーと……なんだ。悪いな。また今度、な」
「え…………?」
頭をかいてちょっとはにかむように改まる麻生、を見るのは初めてで。思いっきり初めてで。
「あ…………はいっ」
なんだか、ちょっと、少しだけ。得した気分がした。
「おい〜、アソにしちゃ珍しくやさしーじゃん! また今度なっ、なんてよ」
歩道橋を降りたところで待っていた菅柳平はニヤケ顔。
「べつに……」
「あのコかわいーしなー。マジで平気なのかよ? あの播磨と一緒で」
保険医を押し倒した男だぜ? とここでも播磨の受難は続いている。
「平気だろ。播磨と一緒なんだから」
「はあ? や、だからアブねーっつってんじゃんか」
「俺、播磨のことは結構買ってんだよ」
「っへー!? それこそめずらしーなオイ」
と菅は歩き出した麻生のあとを追った。反対側の歩道で不審な二人乗りバイクがお巡りさんとチェイスを始めるのが見えた。
「――――――なるほど。道に迷った、と」
「「スミマセン」」
周辺を駆けめぐること三十分あまり。某私立高校の門前には既に青のコルトが停まっていて。播磨とサラは車に向かって深々とお辞儀中。
「まぁ……妙にサイレンがやかましくて嫌な予感はしてたがね。ときに……播磨君?」
怖いお姉さんが播磨の耳に口を寄せて、ぼそっと。
「……きっちりマいてきたんだろうね?」
こくこくこくっ、と拳児君。
「ならよし。さ、みんな。先方には遅れると謝っておいたから。急いで準備するぞ」
はーい、と茶道部員が動き出す。そのどさくさで絃子が播磨の肩をぽんと叩く。
「……あとで話があるから逃げないように」
怖い追伸。
「…………っ」
青ざめる播磨を置いて。絃子たちは昇降口に向かう。八雲はちらちらと播磨を気遣わしげに見ながら。その後ろからなぜか首を寝違えたように妙な角度に固めた花井+荷物が続く(泣きながら)
「……はああああああ……」
と播磨拳児、その場にぐったりしゃがみ込んでうつむいた。
絃子のヤツありゃー相当キテるなー……しかも妹さんにはふがいないところを…………あぁ……
「……あの、先輩?」
声をかけたのはサラ。巻き添え食った人。
「あっ…………す、すまねえ!」
すかさず立ち上がった播磨は90度のお辞儀。
「遅刻させちまった……なんか俺アツくなっちまって、つい」
今ちょうどバイクで恋人を追いかけるシーンを描いてるとこだったから、つい。とは言えない。
「ホント、悪かった!」
「…………」
深々頭を下げられて、戸惑い顔でその後ろ頭を見つめていたサラ。ふふっ、と笑みがこぼれた。
「先輩? わたし、怒ってませんよ? というか…………ちょっと見直してます」
「へっ?」
噂を聞いた限りでは、どうしようもないダメ男だった。彼が八雲の彼氏だなんて信じられない、と。
でも噂なんかじゃ何もわからない。遠くから見てるだけじゃ何も、相手のことも自分のことも、ぶつかってみないとわからない。
ぶつかれば、いつも近くにいた麻生先輩ですら、新しい表情を見せてくれる。
「播磨先輩は、すごいです」
ぶつかるのを全然怖がらないんだもん。
「スゴイ??」
本当はものすごくビビりなため目をつぶってぶつかって(さらに相手を間違えて)いるだけなのだが。けれどその勢いにこそ、サラは憧れるのだ。
「先輩は……どこに惹かれたんですか?」
八雲の。と、20メートル先を行く友人の背中をちらりと見て目配せするサラ。だが。
バカにそんな機微が拾えるはずがない。
「天……彼女のどこに……!?」
難……いや、いや、否!至極簡単な問いじゃねぇか……! オレの漢を試そうってわけか……答えられないとでも思ったか? 笑止!!
「ふっ…………決まってンじゃねぇか…………彼女の す べ て だ!!」
「〜〜っ」
恥ずかしげもなく宣言する播磨に、サラは思わず赤面。
「そんなに……」
「おうよ!」
「そんなにまで……八雲のことを」
「おう……………………よ?」
またこのパターン。
>551
日本語が時々変なのは天然だったのかw
ノリだけ楽しむSSなのか…?
・花井が周防を調教?
・花井が麻生から周防を寝取った?
・花井×麻生でウホッ?
・死因は不明?
この辺がよくわからん
「あ、あの、ちょっと妹」
「サラですっ。まかせてくださいっ、約束通りびしっと八雲にフォロー入れときますから!」
ねっ?と人差し指を立ててウィンク。そして、やっくもー、と駆け出す。放たれた矢のように。とても誤射。
「ちょ、ちょっと」
――またっ、またなのか!? バカな、誤解されるような会話はなかったハズ!畜生いったい、いったいどこで間違えたってンだ――!!(←最初から)
「待っ、ちょ、妹さんの…」
「八雲ー!」
遠ざかるサラの背中に焦る焦る。なにせあの集団は刑部絃子・花井春樹・高野晶と想像しうる最悪のメンツ。まさに歩く爆薬庫。これ以上の火種は致命的である。そして導火線が振り返った。
「……? なに、サラ」
「八雲あのね、ハリ…」
ぬぁっ!? まっ、まま
「待ってくれサラっっ!!」
……………………………………
「「「「…………サラ……?」」」」
「あ゛」
別の自爆スイッチを自ら押したことを知る播磨拳児。それも一つの死に様。
「えっと、なんですか? 先輩?」
にっこりぱたぱた播磨に駆け寄るサラ。状況にもまったく違和感を覚えず。
「先輩? 泣いてるんですか?」
花粉ですか?という無邪気な笑顔がまぶしくて、播磨の目にしみた。
これ以後、塚本八雲は新たにみんなから『正妻さん』と呼ばれるようになり、姉に意味を尋ねてみたところ「お猿さん許すまじっ!」との意味不明な回答。
茶道部室前に『色魔立ち入り禁止』との貼り紙が貼られた頃、播磨拳児はなぜか「俺はインターナショナル」とこれ見よがしに英会話教室に通い始め、ある時沢近のことを「エリ〜?」と呼んでアゴを砕かれた。
サラ・アディエマスは青春を謳歌すべく理想の『いい男』を見つけてやろうと周りを見回してみたところまったくヒットせず、「私って男運ないのかなー」と10年早い独り言を漏らしている。今のところ、該当二件。
Fin
578 :
餡:05/04/17 02:54 ID:ZBGm4JpA
以上です。やっぱりハラハラしました……
前回よりダラダラしてるような。ご感想あればよろしくお願いします。
>578
スマンorz
580 :
餡:05/04/17 03:15 ID:ZBGm4JpA
>>559 GJです。
読んでてダラダラ感もなかったし、長さもこれぐらいでいいのではないかと。
あとは改行ぐらいかな。
前作といい、キャラが自然な感じが好きなので今後も期待してます。
>>578 神様お疲れ様です。キャラが活き活きしてて、読んで凄く楽しかったです。
一言で言うと、GJ!
二言なら、すッごく面白かった!
正直、自分では出す事などできない作風に憧れますよ。
播磨は全然マジなのにまったく報われいのなw
>>578 とってもGJ!
自然な感じでキャラが生き生きしていて面白かった
俺もこんなコメディ書きたいなぁ…
無理して詰めるより、改行や余白をちゃんと取ったほうが見やすいと思う
ダラダラしていると感じている部分があるのは確かに分かったが、
話の展開上仕方ないというか、直す方法が思いつきません
こ、これで二作目ですか?
すげえな天才ってやつはいるんだ。
練習しよorz
大型新人の予感か!?
一気に読ませていただきました。体言止めを多用するところは作風なのか
少し気になりました。あとエンジンをかける前にアイドリングしているシーンや
展開の移り変わりに対する描写不足などに引っ掛かりを感じましたが
それを補ってあまりあるキャラの存在感と緩急のあるストーリーは見事!
次の作品も期待しています。
>>528 やっぱり無理矢理ですよねorz
とりあえず泥船にのったつもりで(ry
>>529 最初は二人がぶつかって入れ替わるって設定にしようと思ったんですけど、
それもなんか不自然かと思って、結局見た目だけ入れ替えるってことにしました。
無理なところは脳内補充でおながいします○| ̄|_
>>555 お褒めいただきありがとうございまする。餡さんの作品も毎回楽しく読ませていただいているので
がんばってください。
>>578 スクランらしさがかなり出てるコメディだなぁ
かなり面白かったよ
でもサラは播磨をどうしようもないダメ男なんて思ってないんじゃないかな
茶道部と動物関連で接点あったわけだし
神作品が投下されたスレはここですか?
これ以上の神作品が出て今以上に投下しにくい雰囲気になる前に俺の駄作で空気止めます。
監察日記。最終回。―――いきなり入学式なのは聞かないでw
風が頬を優しく撫で、目の前には桜が舞い散っている。
私は矢神高校の門前で新入生を観察していた。
―――今日は入学式。
まだ中学気分の抜けない新一年生が、高校という小規模な社会へその一歩を踏み出す日。
……だと、言うのに。
響く音。大きくなっていく、エンジン音。
新入生でこんな馬鹿な事をするのは、やはりあの馬鹿しかいない。
カチューシャ。……サングラス。―――ヒゲ。
そう。―――播磨拳児……拳児君だ。
「な、なんであんなのが矢神にくるんだよ……」
新入生はいきなり希望を打ち砕かれたようだった。
あんな格好で、しかも単車に乗ってご入学だ。―――おめでたいな。何様かね。
と、言いたくなるが、如何せんあの単車は私が預けた物だ。文句を言えない。
「こらこら待てぇっ!」
「―――んだよ」
体育の郡山先生(生徒からはよくゴリ山と言われている)が拳児君を呼び止める。
「何でバイクに乗ってるんだお前は!降りろ!没収だ!!」
「はぁ?てめぇ何なんだよ……って、先公か」
「いいから降りろ!全く!!」
拳児君。一応言っておくが、郡山先生は結構強いそうだぞ。逆らうのはよした方が良いと思うがね。
あと、これは言っても仕方ないが……態度、悪いぞ。
「あ〜〜っ。―――やってられっか」
「だあっ!いいから降りろ!!」
「―――うるせえ」
段々険悪になってきたな。割って入った方が良さそうかな?―――止めとこう。
私が矢神で働いている事は知らせ、学校では極力先生と生徒でいようと言ったが……馬鹿だからな。信用できない。
「グダグダ抜かしやがって……うるっせえ!!」
あ、殴った。―――あ、殴られた。―――あ、何か喧嘩し始めた。
にしても強いな、拳児君。半年ずっと動いてないのに。……しかも押してるし。
―――少しだけ、拳児君の中学時代の数々の伝説を信じそうになってしまった。
「てめぇが播磨か!勝負―――って、うお!早速かよ!?クッ……うおおおお!!」
妙に叫びながら、図体のやたら大きな、スキンヘッドが二人の取っ組み合いの中に入っていく。
誰だったか?―――ああ、そうだ。天王寺……だったか。
拳児君ほどではないが、かなりの不良だと聞いている。―――拳児君を追って来てたりしてな。
「―――ってか、何でこんな事になってんだ!てめえら、誰だ!?」
「体育教師の郡山だ馬鹿者!」
「ヤクザじゃねえか!?先公とヤクザは紙一重ってのは本当らしいな!!」
「カチューシャにグラサンまでしてる奴に言われてたまるか馬鹿たれ!!」
「俺は天王寺―――」
「聞いてねえ!!」
「じゃあ”てめえら”なんて言うなボケ!!」
「どうでもいいから頼むから新入生っぽくしろ阿呆ども!」
「言われちまったな、ハゲ!デブだからだ、普段何食って生きてんだ!!」
「てめえだ馬鹿野郎!ヒゲなんぞしやがって、てめえハードボイルド気取ってんのか!」
「ふざけんな!諸葛亮なんちゃらだボケ!」
「二人ともだぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「だったらてめえも足洗って先公っぽくなれやコラァァァ!!」
「ヤクザじゃねええええええ!!!」
「嘘付けぇぇぇぇお前ぇぇぇぇぇ!!」
「贔屓目でみても8:2でヤクザだ!いやむしろ9:1!?」
何をコントしているのかと問いたい。と言うか、案外仲良しだな。
他の先生方は呆気に取られてるし、新入生は脅えているし―――。
「全く……」
退屈だけはせずに済みそうだ。拳児君?
未だ続く三流以下のコントをバックミュージックに……。
矢神高校は新学期を迎える。
以上です。
これまでスルーせずに見て下さいました心の優しい方々、ありがとうございました。
ずっとスルーしてた方々、コレで終わりなので大丈夫です。
また何か投下するかも知れません。
その時は「あー、春だなぁ」とか「あー、夏だなぁ」とか「あー、秋(ry」とか「あー、冬(ry」なんて感じで諦めてください。
>>578 面白い、GJ!
テンポが良いと思います。各キャラの雰囲気が出てるし
ああ、スクランだって感じがして違和感が無い
少し気になる所っていうか確認なんだけど
・晶→天満って名前で呼ぶのはアニメ版の設定だよね?
・八雲が心が見える同性って天満だけじゃなかったっけ?
5巻で晶が天満って呼んでる、一応。
>578
読みました
神!バスケ編よりスクランらしいなw
>594
今の流れを作ったのはおまいさんですよ
大感謝。おつかれ
>>598 そうか、ありがとう
見逃してた
って事は時期によっては正しいのか
>>594 お疲れさまですた。いつも楽しみにして読んでましたので、グッジョブです。
もうちょっと高校に受かったところを作ってほしかったぐらいで、あとは最高です。
絃子先生乙!
>>594 ショート枠の連載系は感想が貰いにくいものだが
それにもめげずにキチンと完結、あなたを職人と言わずになんという。
夏だろうが秋だろうがガンガン投下してくださいよ。
IFスレはあなたのような人材を心待ちにしているのです。
PF持ってる人に質問。
沢近って母親はいるの?父親が英国人で母親は日本人?
>>578 神ですた。
そして、そういや麻生って弦子・晶・八雲・奈良以外で唯一播磨→天満に気付いてる
っぽい描写があったんだよなー、っと改めて思い出したり。
>>595 >>596 >>599 >>601 >>602 ありがとうございます!
その言葉を頂けて「書いて良かった」って思いました。
で。
えー、何か奇妙なSS書いてるんですが……。
「播磨と天王寺とゴリ山の仲良し談議」
―――また今度にでも一号投下して、それで反応見て続き投下できるか判断したいと思います。
……やたらハイテンションで叫びまくってて、播磨と天王寺にやり込められているゴリ山は好きですか?
キャラ壊しでせうが、何か?
台詞の少ないサブは扱いが難しい……でもおまいなら出来そうだ。期待。
期待。
男オンリーの馬鹿話は面白そうだ。
>>607 期待されても困るorz…けど頑張る。
ハッキリ言って、「日記」最終回のあの三人でのコントをそのまま短編連作したモンなんで。
俺を見捨てないで下さった方々も見捨てそうだw
―――明日投下します。それで皆さんの反応を見たいなと。
,:':´ ̄`ヽ
i: .レリリリリ)
⌒゚i::::リTдTリ゚⌒出番ください…
>603
母親は日本人。
で、PFで判った最大の設定として、沢近は父親とは戸籍上は親子ではないってのがある。
あの父親の本当の子供でないのか? 本物の親子だが認知されてないのか? は不明。
とりあえず、沢近の母親は正妻でない可能性が高い。
沢近はお嬢様とはいえ、かなり不安定な立場と想像される。
実は世界中に兄弟がいて、アテナの為に闘っていたりするかも知れない。
え〜少し時間があるようなので次の作品を待つ間愛のスクランコネタ劇場をお楽しみください
ダダダダダ ガラ
播「妹さんいるか?えっと…妹さんの友達の…」
皿「サラです…先輩どうかしました?」
播「すまねえ…妹さんいるか?最近捕まんなくてな」
皿「いません…けど…喧嘩でもしたんですか?」
播「いや…そうじゃねえけどな…邪魔したな…」
ガラガラガラ ピチャ ダダダダダ
皿「八雲行ったよ…」
八「うん…ありがとう」
皿「どうしたの…最近先輩を避けているみたいだけど…喧嘩でもしたの?」
八「ううん…違うの…」
皿「じゃあどうしたの?私にも言えないこと?」
八「漫画…」
皿「えっ?」
八「播磨さんと漫画かいているんだけど…」
皿「それがどうかしたの?」
八「その漫画に姉さんと私が書かれているんだけど…」
皿「フンフン」
八「姉さんの絵だけが輝いて見えるの…私の絵だけは薄っぺらなまま…
どんなに修正しても私の絵は輝かない…姉さんの絵はどんなに下手でも
輝いて見える。それは、播磨さんが姉さんのことが好きだから…私がど
んなに頑張っても私は姉さんに勝てないから…でも播磨さんのことドン
ドン好きになる自分がいるから…だから漫画も手伝わないし、もう会わ
ないことにしたの…」
皿「なにそんなことくらいで悩んでいたんだ?八雲は可愛いね」
八「サラ…」
皿「その漫画持っている?」
八「うん…前に失敗してしまったやつだけど…」
皿「貸して…確かにこのお姉さんらしいキャラはひときわ輝いているね
いい?見ているのよ八雲…この輝きの消し方はね…
こうやるのよ!!!」
サササ〜
八「あの…サラ…?」
皿「出来た!!」
八「ホントに消えてる…どうやったの?」
皿「いい八雲こういうものわね、想いなの想いが輝かせて見せるの
だからね…『逆に私以外の人を綺麗に書かないで〜』って念じて修正するの
基本よ!!(何の?)だからね逆に…」
サササ〜
皿「こうやって八雲を輝かせる事も可能なの」
八「サラ…ありがとう…でも私…」
皿「いい八雲…恋は戦争なの…勝つために手段を選んじゃだめ…」
八「サラ…ほんとに…いいのもう…」
皿「八雲…言い忘れたけどさっきの絵にはもうひとつの効果があるの…
やり方教えてあげるから試して見なさい…やるだけやってから次のことを
考えるのよ。」
八「うん…」
こうして数週間の努力の結果やり方を覚えた八雲は…試してみることになり
さらに数日が過ぎた…
播「いや〜助かったよ…また妹さんが手伝ってくれる様になったおかげで
漫画が完成したぜ、また頼むぜ!!」
八「…」
播磨自宅にて…
播「妹さんのおかげで助かったぜ…うん?漫画の妹さんに…
引き込まれる感じがする。逆に…天満ちゃんには何も感じねえ…
どうしちまったんだ!!」
こうしてさらに数日が過ぎ…すっかり播磨は八雲にのめり込んだとさ
めでたしめでたし!!
,:':´ ̄`ヽ
i: .レリリリリ)
⌒゚i::::リTдTリ゚⌒私が消える…
>>611 ,:':´ ̄`ヽ
i: .レリリリリ)
⌒゚i::::リ ゚_゚リ゚⌒出番くれるなら一緒に行くわよ
618 :
餡:05/04/17 21:49 ID:ZBGm4JpA
>>606 乙でした。流れに乗っからせてもらいました。
筆が速くて脱帽。サブキャラの味付けに期待してます。
>>613 輝きをホワイトで修正って、ちょっとポエムな感じ。
619 :
餡:05/04/17 21:49 ID:ZBGm4JpA
>>581-589?
>>597,599,604
レスありがとうございます。読んでくれた皆さんも。
皆さんの感想が励みのすべてだったりします。書いてよかった……でも神っていうのはちょっと……畏れ多くて………
>改行余白・描写不足
前回頂いたご意見を踏まえて無理に詰めるのは控えたんですが、どうやら基本的に急ぎすぎみたいです。
ギリギリ必要最小限の描写を意識してるので、ダイエットしすぎたのかな。
展開の節目とか場面の移り変わりですね。そのへん意識して説明増やしてみます。
ていうか全部情景がっつり描け、って話でしょうか?
>ダラダラ感
展開上仕方ない、っていうのは事件が起こってないからですよね。関心事がないから読み手が集中できない。短くするしかないんですが、長くなっちゃって……
緩急やテンポで補おうとしたつもりです。退屈されてなかったならひとまずセーフ。
>エンジンをかける前にアイドリング
(ノ∀`)
>体言止め
クセです。ダイエットの弊害? 続けて使わないようには気をつけてたんですが、自分でもやりすぎを発見しました。文章としては下手なんでしょうかね。
>ダメ男なんて思ってないんじゃ
あー。言われてみればそうかもしれません。勝手に妄想してましたw サラのイメージと合わなかった人がいたらスルーで頼みます。
>キャラ
生き生きしてる、スクランらしい、っていう感想がすごく嬉しいです。目標達成。
前回同様漫画の雰囲気を目指してるので。もちろん文章ならではの笑いも目指しつつ。
>八雲が心が見える同性って天満だけじゃ
1巻読んだら「男のみ」「天満は」ってありますね…………やっちゃった。
サラも八雲が好きなんだから、って妄想が働いたようですm(_ _)m
細かいツッコミ嬉しかったです。文章への指摘も特に。長レス失礼しました。
そういや、S3が近い内に移転するそうってよ。
管理人も変わるみたい。
思い返せばあそこもイロイロあったからなぁ…
621 :
バンター:05/04/17 22:18 ID:0grt/bkc
SS投下してもいいのかな?
空気読めてなかったりするかな?
多分問題ない。
彼女はいつも変わらない。
「おはようございます、先輩」
雲一つない晴天のような笑顔、誰とでも親しくなれる明るさ。
「……ん」
だからこそ、気づく者は少ない。
「もう、朝から元気ないですよ。挨拶はちゃんと『おはよう』です」
そんな印象とは裏腹に、彼女が自身のことをほとんど語ることはないと。
「……おはよう」
故に、その日も何事もないかのように幕を開けた。
「はい、よくできました」
普段とまるで変わらない、ごく普通の一日として――
「お待たせしました」
「おう兄ちゃん、こっちもちゃっちゃと頼むぜ!」
「分かりました……っと」
活気に満ちた店内、今日も今日とて店は大繁盛である……というのには語弊がある。良くも悪くも取り立てて
特別なところがあるわけでもなく、平々凡々たる中華料理店は、普段ならば客の入りもまた同様だ。
そう、普段なら。
これが時々舞い込んでくる大口の予約となると、様相は一変する。店がまわらない、などということは
決してないが、当然ながらそれなりに忙しい。こういうときに限って例によってバイトはサラと麻生の二人だけ、
さすがにもう少し人手が欲しい、と思う。が、店の売り上げやら何やらを考えればそうも言えない、と同業種の親を
持つ身として要求を口に出したことはない。実際、やってやれないことはないのだから別に構わないとも思っている。
いるのだが。
「……何もアイツが厨房に入る必要はないだろ」
「ん? なんか言ったか、兄ちゃん」
「いえ、別に」
やれやれ、そう胸の内で嘆息する原因は、今頃中華鍋と格闘しているであろう少女のことである。先日の一件に
味を占めたわけでもないだろうが――とりあえず、そういう打算とは縁のない店主だと麻生は思っている――料理の
手ほどきも兼ねつつ、何かと二人を厨房に立たせようとするのだ。
あのときのことは純然たるイレギュラーであり、そもそもそれはいろいろとまずいはずなのだが、この街の風土か
気質か、今のところ誰一人それを気にする者はいない。むしろ、ある種の物珍しさで客足が伸びていたりもする。
それでいいのか、と麻生としては思ったりもするのだが。
『心配しすぎですよ』
彼がそんなグチめいたことを口にする度、サラはいつもそう言って笑ってみせる。
『この間みたいに一人じゃありませんし』
確かに、一応は店主がついているのだから、不始末が生じる心配は少ない。
『私だってだいぶ上手になったんですよ』
それを認めるのは、彼としてもやぶさかではない。
『そのうち先輩にご馳走してあげますね』
だが何故そうなるのか、とまあ、最後のそれは置いておくとして、また無理してるんじゃないだろうな、そんな
不安が彼の中にある。鍋を取り落としながら、それでも笑っていた姿はそうそう忘れられるものではない。あの一件
以来、麻生は麻生なりに気をつけてサラのことを見ている。
一見するとオープンな性格をしているようで、その実クローズドな自分の領域を持っている、後者の点でどこか自身と
通じる部分が多少なりともある彼女。手のかかる妹にも似た感覚を抱いている麻生である。もちろん、そんな思いを口に
出したことはないが。
と。
「……ん?」
取り留めのない思考をストップさせたのは、店の扉が開く音。今日は貸し切り故に他の客は来ないはず、とそこまで
考えてから、その貸し切りの札を出しておくのを忘れていたことに気がつく。参ったなと内心思いつつも、席はすべて
埋まっているし事情を説明して帰ってもらう他にない。すみません、そう言おうとして。
「あの……」
その客が見知った相手だと今更ながら分かる。奥で鍋と格闘しているであろう少女の友人であり、加えてクラスメイト
の妹でもある塚本八雲だ。そしてよくよく見れば、どうも客としてやってきたふうではない。となると、用件は一つだ。
「あいつに何か用か?」
「あ、はい」
どうも、と小さく頭を下げる八雲だったが、周囲を見回して、お忙しそうですね、と申し訳なさそうに付け加える。
「まあ、そうだけど……」
その様子に、逆に悪いような気がしてくる麻生。サラがバイトだと知った上でここまで来ている以上、それなりに
大事な用件のはず。そうなれば、無下に追い返してしまうのは気が引けるのだが。
「ああ、こっちは気にしなくていいぜ」
懸念の種であるところの相手が、思いもかけない言葉を発したのに眉をひそめる。それはそうだ、いくら常連で
融通が利くとしても、放っておいてくれて構わない、と言う客は普通いない。
「俺たちゃあのお嬢ちゃんの料理が食えれば満足だからな」
「……そうですか」
冗談とも本気とも判断出来ない台詞に虚脱感を覚える。対して男は構わず、その代わり、と続けてくる。
「ちゃんと話は聞いてやるんだぜ? そっちのお嬢ちゃんもなんか直接話しづらそうだしな」
「え……」
どうして、という八雲の様子からすれば、その言葉は事実なのだろう。あっさりとそれを言い当てて見せた相手に、
先程までとは少し異なった印象を抱く麻生だったが。
「あの、それじゃ……」
「ん、ああ」
まずは八雲の話に集中するのが先、とそちらに耳を傾ける。
そして。
「実は、今日――」
――話はすぐに終わり、八雲の姿は既にない。残されたのは相変わらずの喧騒とも呼べる活気だけだ。
「ったく、あいつは……」
ただし、終わったのはあくまで話だけ、だ。
「で、どうすんだい兄ちゃん」
ぼやいたその横でにやにやとしているのは、結局ちゃっかりと話まで聞いていたあの男である。
「どうもこうもないでしょう」
はあ、と溜息。
「……俺と店長の料理で勘弁してもらいますよ」
「ったりめぇだろ?」
それ以外の返事だったらどうしてくれようか、そんな様子の男に何か言葉を返そうとして、結局うまい具合に見つからず。
「ありがとうございます」
その言葉だけを口にして、麻生は厨房へと向かった。
「――サラ」
「あ、先輩。こっちがさっきの注文で、今から」
こんなとき――そう、こんなとき、だ――でも変わらぬ笑顔で鍋に油をしこうとした彼女の手を止める麻生。
「あとは俺と店長でやるから、もういいよ」
「え?」
きょとんとした顔の彼女をよそに、ゆっくりと口を開く。
「お前、今日誕生日なんだってな」
「……」
わずかに息を呑む音。けれど、構わず続ける。
「さっき塚本の妹が来たんだよ。たまたま遊びに行ったらシスターが教えてくれたらしい」
そこで一度言葉を切り、わずかに迷ってから。
「誰にも言ってなかったみたいだな。……教会のあの連中にも」
何度か引っ張られるようにして連れて行かれた教会。そこで見た子供たちの姿を思い返す麻生。少なくとも、彼の
目から見て彼女と話すときの彼らは楽しそうだった。間違いなく『サラ姉ちゃん』を慕っていたと断言出来る。
それなのに、そんな彼らにさえサラは何も告げてはいなかった。八雲が偶然教会を訪れ、彼女のことを尋ねたところ
から、当然皆は知っているはずと思いこんでいたシスターはその間違いに気づき、今は総出でてんやわんやの状態らしい。
「お前らしいよ、まったく」
普段はそれほど大きく表情を動かすことのない麻生が、どこか苦笑いめいた様子で明後日の方向に向かってそれだけを
言う。八雲は理由を訊いてほしいとは言わなかった。知りたくないかと言われたならきっと嘘になるのだろう、だとしても
何も語らなかったのはサラの判断だ。
『サラはいつも周りの人のことを考えてますから』
そう言った八雲の瞳にあったのは、信頼の色だ。事を荒立てたくないという逃げではない。
だから、訊かない。
「代わるぞ」
表情を戻し、ぶっきらぼうに言った麻生の手を、
「……おい」
けれど、サラは避けた。
そして。
「でもですね、先輩」
ちょっと困ったような、でもいつもと同じ笑顔で。
「――お金がないと、生活出来ませんよ?」
世界を軋ませる一言を放った。
嘘だと直感する麻生。本当なら、本当だからこそ絶対にそうは言わないはず、そんな根拠のない確信がある。むしろ
問題は、何故そこまでして彼女が逃げるのか、その理由。もしそれが、あの決定的な部分で踏み込んでこない、近くて
遠い距離に由来するのなら。
――お前は。
「お前は、独りじゃない」
「――え」
その言葉に、今度こそサラの表情が固まる。それを見ながら、やはり、という思いと、らしくない、という思いと、
二つを抱えながら話し続ける。
「塚本の妹がいる、教会に来てる子供だってそうだ。俺は知らないけど、他にもいろいろいるんだろ、友達」
常時は不言実行、行動を以て意思を見せる彼だが、それはつまり言葉がなくても通じるものがあると知っている
からこそ。そして、逆を言えば言葉にしなければ伝わらないことがあるのも知っている。
だから。
「遠慮するな。お前はもっと図々しいくらいでいい」
だから、らしくないと思いながらも最後まで言い切った。無愛想なようで、結局誰より面倒見のいい、そんな一面。
「……今でも十分図々しいって時々言われますけど」
「それはお前をちゃんと見てないヤツの台詞だ」
「そう、ですか」
じゃあ、と言ったその顔は。
「先輩は私をちゃんと見てくれてるんですね」
「……あのな」
掛け値なしにいつもの彼女だった。ついでながら、その冗談だかなんだか、未だに麻生には分からない口調まで。
「妙なこと言ってないで代われよ」
嘆息気味の麻生の言葉に従って、ようやく中華鍋から手を放したサラは――
「……おい」
――その麻生の手を取った。
「さっきの先輩のお話ですけど」
今度は彼女の方が、たとえ何を以てしても止められはしない、というように話し続ける。
「もう一人大事な人、忘れてます」
ねえ先輩、と。
彼女は笑う。
掛け値なしに本物の笑顔で。
「先輩だって、私の周りにいてくれる人の一人ですよ」
そう言って、答えられない麻生を見上げて。
「だから一緒に着てくれますよね?」
「いやちょっと待て」
だからなんでそうなる、と言おうにも、異性に対して強く出られない麻生。救いの主を辺りに捜したところで。
「いいよ、うん。イイ話聞かせてもらったしね」
今の今まで口を挟んでこなかった店主は、ハンカチで目尻を拭いさえしていて。
「でもお客をそのままには……」
そんな正論も。
「構わねぇよ、兄ちゃん」
「な……」
そのお客当人に打ち砕かれる。
「飯はいつだって食える。でもな、今日って日は今日一日しかないんだぜ?」
笑いながら、それによ、と何かを投げてよこしてくる男。
「兄ちゃんにゃ、ウチの跳ねっ返りが世話になってるみてぇだし、な」
「は……?」
何を、と思いながらも受け取ったそれ――名刺に目を落とす麻生。そこにあった文字は。
「周防工務店……すお、う?」
「おう。美琴は俺の娘だ」
予約は若いモンが取ってるから今まで気づかなかったみてぇだけどな、と男――周防父はにやりとする。
「壁に耳ありなんとやら、ってな。いろんな話は黙ってても入ってくるもんだ。でもな、結局最後は自分の目だ。
こいつで見なきゃ何も分からねぇ。それを今日はちゃんと見させてもらった」
兄ちゃんになら、と意味深に間を持たせて。
「美琴を任せられる」
「ちょっ……!?」
「って言いてぇとこなんだけどな」
タチの悪い冗談か、と麻生が気を抜こうとすると。
「こんな可愛いお嬢さんがいらっしゃるんだ。そうは言えねぇよな」
「……あのですね」
どっと疲れが増した。
「別に俺とこいつはなんでもありません。……だろ」
「ええ。そうですね、まあ」
まあってなんだよ、まあって。そんなことを思いつつも、ほら、と肩をすくめてみせる麻生。そのやりとりに、
んじゃそういうことにしとくか、とにやにやしてから、ほらよ、と道を空ける。
「ここで止めるのは野暮ってもんだろ。行ってきな、さっきの嬢ちゃんにもよろしくな」
「ありがとうございます」
深々と頭を下げるサラ。複雑な気分になりながらも麻生も頭を下げる。
「それじゃ行きましょうか」
一呼吸置いて歩き出すサラ。
「……俺もか?」
一応確認する麻生。
「先輩も、です」
返事はにべもない。これは逃げられるはずもない、そう観念して歩き出した背中に。
「なあ、兄ちゃん」
投げかけられたのは。
「一応言っとくが、美琴を泣かせでもしたら――分かってるよな」
そんな、疲れを更に三倍増しにするような言葉だった。
「……はい」
「先輩は何をプレゼントしてくれるんですか?」
店を出て並んで歩く二人、しばらくしてサラが発したのはそんな台詞。
「……おい」
さっきの今で何が出来る、と半ば呆れた視線の麻生に、冗談です、とサラ。
「もうちゃんともらいましたよ、プレゼント」
さっきのあの言葉――呟いて、彼女にしては珍しくはにかんだような顔を見せる。
「嬉しかったです。だからあれだけでもう合格点、ですよ」
「……そうか」
どう返していいか分からず、ぽつりと一言だけ呟く麻生。
それきり、なんとなく黙ったまま歩き続ける二人。どことなく据わりの悪いような、けれど決して気まずくは
ない沈黙。しかし、それも教会が見えてくると空気に溶け込むようにして消えていく。原因は――そう、この距離
からでも分かる、出迎えに既に走り出している子供たちだ。入り口にたたずむ八雲の姿も見える。
「行きましょう、先輩」
言って走り出すサラ。
その姿は間違いなく楽しそうで、遠く子供たちの声も聞こえ始め、さらにその向こう、ぺこりと頭を下げた八雲
の姿も見えたりして。
「悪くない、か」
何が、というわけではない。
ただなんとなくそう思い、彼もまた、歩く足をほんの少しだけ早めた――
おわった?
633 :
バンター:05/04/17 23:14 ID:0grt/bkc
お疲れ様でした。
サラ、可愛いなぁ。マガジンじゃなかなか出番がないけど。
私のは、十二時くらいに投下すればいいのかな?
お疲れ様でした。期待しております
俺もアソ皿作ってみるかな…作ったこと無いで…
635 :
バンター:05/04/17 23:58 ID:0grt/bkc
では投下したいと思います。
8レスの、晶ものです。
>619
>でも神っていうのはちょっと……畏れ多くて………
一条かよw
体言止めの方がリズム感は出るから生き生きするんじゃないかな
読者に対して放り投げられたようにも受け取れるけど
まぁその辺は作者の表現スタイルだと思う
637 :
風の憧憬:05/04/18 00:06 ID:LnEw.2So
或る夏の夢を、私は見ていた。
きっと、昨日までとは違う何かを求めていた。
ライフラインの常備に慣れた体。ぬるま湯の生活が嫌だったのか。
葉と葉の擦れ合う音が小さく囁いて、下の階から聞こえる声は日本の言葉ではなく、異国の言葉。
暮す人々をそして私を、潮の香りを含む風が優しく撫でて、そんな瞬きの合間に眠りに落ちていくのだった。
すずやかな、風。朝の日陰で冷やされた風は、僅かに湿気を含んでいた。
出足は早かった。慣れたもので二日目の朝は時差の影響も無く、頭脳に何時も通りの感覚を与えてくれる。
モノトーンな青いルビー色した瞳の黒猫が、私を案内するように前を歩いていた。
生まれた国である日本の湿度の多くじめじめした夏とは違い、しばらく体験する事などなかった乾燥した気候の中、
ふいに突き刺さるような太陽の光が私と地面を焼いている。
絶えずクーラーを使わなくてもいいように、熱の籠らない白塗りの壁の家が連なっている通りに私は歩いていた。
そんな町中は計画通りにラインが引かれ整然と家同士がくっ付きあって建っていて、地面には等間隔に光と影の
アングルによっては芸術にも見えるかもしれない趣向ある縞模様が連なっていた。
638 :
風の憧憬:05/04/18 00:09 ID:LnEw.2So
「在庫なんだろ? スイカとレモンと――オレンジが痛んでんなぁ。ちゃんと仕入れてんのか?」
ダイエットでもするのだろうか。黒の格子柄の薄っぺらな安物のスーツを着た太った男が、店を出している恰幅のよいおばさんに
苦労をしてまで値切ろうとしている姿が確認できた。
けれど、そんな言いがかりにも近い男の言い様に周りの馴染らしい客達は笑っているので、普段からある事なのだろう。
レモンの様な色した髪の男に今度はおばさんが金を催促していたその時、男の隠していた果物が落ちた。
どうしてくれようかと追い詰められる男の横を――私はそんな人達の合間を潜り抜けていく。
下に吊り下げられた枯れた花が舞い散り、男は小銭を払うと逃げるように走っていった。舞い上がった花びらは千一夜物語の
今我と満都の軌跡のようで、驚いた猫が飛び上がって花びらを掴もうとしていた。
手を伸ばした先は、暮らしも人も何もかもが全てが異国のものだった。賑わう文字も、この身を冷やす風も。
いつもと同じにべらべらと喋くる人達から、自分が日本人だと強烈に意識させられる世界の中を歩く。
ルーチンワークで培われた生温い機微が鋭利になっていく感覚。
洋梨に似た形の小さな鞄へ手をやり、もう一方は帽子のつばに。
似たもの同士、身軽な足取りは猫と同じく軽やかでいて、音も無く町の中を進んでいく。
重たい旅行鞄など要らない。当然の事だ、私はこういう旅を選んだのだから。
639 :
風の憧憬:05/04/18 00:12 ID:LnEw.2So
うん。いつだったか私が決めたのは、それを思い出させてくれるのは日差しから体を守るドレス。足のバネ飛び上がったのは、
今。今まで私を見ているだけの猫は興味がなくなったのか、すでに近くの家のベランダで休んでいる。私が着ていた大胆なカットの
サマードレスは頭上に浮いている雲のように真っ白で、陽に焼け黄ばんだ壁には溶けなかった。
「あれだよ――ああテレビの方じゃなくてよ。ほらあいつ、日本人だろ? こんな町へ何をしに来たんだ?」
蜂蜜色の壁のもうすぐ潰れそうな、カフェといえば聞こえのいい、所謂立ち飲みのバーは昼間だというのに賑わっていて、さんざん
履かれて潰されたズボンにくたびれたシャツの男達が私を見ていた。ニヤニヤと彼らの視線は下からゆっくりと嘗め回すようにいたが、
こんな私の顔を見ると興味を失ったようで再び雑談へと戻っていく。
ノーマルな感覚ならば仕方が無い。アジア人は幼く見える、誰もがそう思うのだが妙に悔しい。
表面では表さなくとも、私にもそんな感情はあるのだ。
しばらくはなんてことの無い町角の様子。
はぐれた時間と町並みが広がっていて、私はそんな光景が掠れて見えた。
飾りの無い言葉を使えば、寂れていた。不景気の風は厳しいと改めて気付かされる。
レイアウトの悪い朝の新聞がそう伝えていたのが、やけに頭に残っていた。
640 :
風の憧憬:05/04/18 00:15 ID:LnEw.2So
ナビゲーションは、頭に入れた地図のみ。
買い物は必要なものだけでいい。観光で来た訳ではないのだから。
蔦の絡まった古い壁の間を、石畳の回廊を抜けて行くと、足元の感触が石から土に変わった。
景色が色づいた。鮮やかに。世界が、光が、風が変わったのだ。
どんな小細工も入る余地のない、完璧な絵画。町から少し離れて、一面に葡萄畑が広がっていて。
綺麗。そんな言葉では表せない程の生命力で葉が一枚一枚輝きを放っている。
郵便葉書にも使われた事のある景色。それは、私の視界一杯に、いや零れそうなほどにあった。
勘を頼りにかなりの広さを持つ畑の中を歩いていく。無断なのだろうか、立て札も無く、それは分からなかった。
飲み込んだ水の温さを忘れつつ鞄にボトルを戻し、暑さの割りには涼しい風にドレスがはためいた。
ひらひらと風と遊ぶドレスを抑えつけて周りを見わたすと、沢山の青々とした葡萄達が私を見ている。
「よくも見たわね。……スケベな子達」
うんと叱ってやると、風に揺れている葉が音を立てて反論しているよう聞こえた。
しんと静まるまで抗議を聴いてやると、満足したのかそれっきり黙ってしまう。きっと、遊び疲れたのね。
641 :
風の憧憬:05/04/18 00:18 ID:LnEw.2So
葉は健気に日差しを返していて、私は葡萄の子供達に見送られながら歩いていた。
きっと、手入れを惜しみなくしているのだろう。雑草の少ない軟らかな土が足元に続いている。遠く丘の向こうには、
ぱっと開けた大都会へと、そして駅へと続く道があるはず。そう頭の中の地図と相談をして、私は決める。
兎に角、と息を吐き遠くに見える丘へ向かって歩き出す私へ、その丘の向こうから一台のトラックがやって来るのが見えた。
明かにトラックは私の横で止まり、窓から乗り出してきた陽気なおじさんが雰囲気そのままに話しかけてくる。
「がははっ、どうしたんだい? 迷子にでもなったのかい、日本人のお嬢ちゃん!」
かなり使い込まれたトラックなのだが、このおじさんの手が入っていて軽快なエンジン音がする。
座席をパンパンと叩いている。乗れ、という事なのかしら? しばらく考え、私はおじさんの好意に甘える事にした。
(ルールなど旅には無いわ。使えるものは、使わないと)
そんな思いをトラックのスピードが出した人工の風に流しながら、駅のある都会まで運んでもらう。
上手く感情を伝える事のできないこと等気にしていないおじさんは駅までずっと喋り続けていて、愛想良く相槌だけを打っておいた。
重たい荷物を置いた宿のある都会まで通る道。そして駅へと向かう道。三叉路でトラックを降りた私はお礼を言って別れる。
運が良かった、良い人でよかったと素直にそう思える。おかげで陽はまだまだ落ちずに、私も道も何もかもを睨みつけていたのだった。
支援?
643 :
風の憧憬:05/04/18 00:19 ID:LnEw.2So
読み終えた本をテーブルに置いてマンハッタンを頼む。私は都会のカフェにいた。順調にスケジュールを消化していく事に、
どこか軽い不満を持っていて、私のひと夏の旅はこのまま終わってしまうのか、そんな考えが頭を支配している。
のどかな都会の風景を見下ろせるカフェに、柔らかい風が吹いた。
まだあどけない金色の風は、私の目の前でぴたりと止まる。
まぁ、こんなものかしら? 私はこの風に向かって手を差し出す事にしたのだ。
「あの…僕を……助け――」
「ねぇ、誰に追われているの?」
燦々と照りつける太陽は、私も目の前の風も風追い人も平等に照らしていて、そしてその時間を焦がして焼き付けていく。
「でっ、でも、迷惑に「いいから。助けてあげるわ、私が」
「名前、貴女の名前は?」
「いいわ。私は、晶よ。高野晶。あなたは――――
644 :
風の憧憬:05/04/18 00:21 ID:LnEw.2So
「何、黄昏てるのよ。晶」
照り返した夕焼けが矢神の町並みを照らしていた。私は放課後の校庭にいて、いつもの三人とつるんでいた。
断わっておくけれど今のは妄想ではなく、現実にあったこと。私のひと夏の夢。
「なーにー? エルカド行かないの、晶ちゃん?」
行こう、行こう! と塚本さんが美琴さんの背中を押しているのが見える。おー、揺れる揺れる。何てエロいチチだ。
よく見ると周りの男子生徒も美琴さんの胸に釘付けになっている。
「寝る子は育つって言うけど、天満は育たないわね、晶」 腰に手を当てて愛理が、そう言った。
「人生は長いようで、短いわ。大きい小さいなんて意味があるのかしら?」 私の言葉に、「けれど…」と笑って、
「短所だとは言わないわよ。天満は可愛いし、ちょっと勉強はできないけど、それが頭の良し悪しにはならないわよ」
「!……愛理がそんな風に見ていたなんて」 私の言葉に照れてしまう。やっぱり、照れた愛理は可愛いわ。
645 :
風の憧憬:05/04/18 00:24 ID:LnEw.2So
後には秋の匂いが混じる風が吹いて。
黒い髪と金色の髪が夕日に照らされて輝く。私と愛理は、前でじゃれあっている友達へと駆け足で行った。
野花のように、上に向かって伸びていくだけの時間。
のんびりとしているようで、案外とそんな時間は短い。
温度が下がれば凍えるように、当たり前のことを学ぶ時間なのだから。
学生であるのは、それを知るためなのだから。
「やめろって。もう、沢近まで!」
「つめたいわねー、いいじゃないのよ減るモノでも無いんだしー。むしろ、増える?」
パニックになっている美琴さんと、相変らずじゃれついている二人を置いて私は走った。
理由など無かった。一つだけ理由を言うとするならば、それは風のせいなのだ。
異国の地で吹く風も、
いま私が、私の友達が感じている風も、
名前の無いただの風だからこそ、風への憧憬を感じて。記憶と思い出を運ぶ風がそんな事を思い出させてくれた、
あるひと夏の私のお話し。
おわり
646 :
バンター:05/04/18 00:27 ID:LnEw.2So
これを読んでくださった皆さん、ありがとうございました。
のんびりやっていても神作品が出てくると何か急いじゃって、これじゃ脳内もいいところですよね。
SSを書くのが楽しいのですが、私のレベルはまったく上がりませんね。
SSの中で何かありましたら、ぜひとも指摘してやって下さい。
足りない所や、ここはこうした方がいいんじゃないか? といった所などありましたら、そちらの方もお願いします。
手を出すにはまだ早かったような気もしますが、今の晶への気持ちを込めて書きました。
九巻、いつ頃出るんだろうなぁ。
>472の分を取り返せたかな?
>>619 多少文章の区切れが悪くても適度に改行し方が宜しいかと。
横に長い方が、断然読みづらいものです。
思い切って、L30〜40くらいでぶった切ってみては?
あと普段PCの解像度いくつに設定していますか?
UXGA? WSXGA+? WUXGA?
>>631 アソサラ最高!
>>646 良いお話をありがとうございます。
ただ、ジョルジュの部分は急ぎ過ぎてるなって感がありました。
>646
ミコちんの乳描写はヨカッタ
650 :
バンター:05/04/18 01:02 ID:LnEw.2So
>>648 ただただすみませんとしか。この間に入る言葉を探せなくて、つい妥協してしまいました。
反省しています。
>>649 D(E?)の女性をよく見るんですが、揺れるなあと感じたものですから。
つい描写をいれてしまいました。今も反省していません。
>>631 まず文章がとても綺麗だと思いました。流れるように読み進めてあっという間に
終わってしまったように感じました。オリキャラかと思いきや周防父だったり話の展開も
メリハリがあり読みやすかったです。偏見ですが名のある職人の方とお見受けしますが
いかがでしょうか?
>>650 イタリアの情景がよく描かれていただけにジョルノの登場が惜しいと思いました。
ストーリーに山場が存在しないタイプの雰囲気で読ませる作品だと感じましたので。
あと夏休み後は天満達への呼称が変わっているはずなのでそこが気になりました。
シリアス短編として上手な作品だと思いますのでもう少し自信を持たれては?
654 :
バンター:05/04/18 09:33 ID:LnEw.2So
>>644 「何、黄昏て〜」 → 「何で黄昏て〜」 です。
>>652 そう言って頂けると嬉しいです。
呼称は、そうですね。5巻で『…天満は私に〜』と言っていました。
ご指摘ありがとうございます。
>>614 さすがサラだ、キャラクターに違和感が
まったく無いぜ。
昨日言っていた通り、投下します。
ただ、やはりキャラが壊れてるんで、ここで連載するに値するかどうかの判断を仰ぎたいです。
「よぉ……お前らよぉ……」
「んだよ、ヤクザ」
「どうかしたのか?ヤクザ」
「ヤクザじゃねええええええええんだよ、俺は!!」
そう言って手にした竹刀に力を込めているのは体育教師の郡山先生。通称ゴリ山。
「何言ってんだよ、そんなにヤクザなのに」
「おうよ。そこまでヤクザな野郎見た事ねえよ」
「て言うかお前ら的にはヤクザは形容詞か」
ゴリ山先生の悲痛な願いを切って捨てるのは、矢神高校の不良、播磨拳児と天王寺昇。
傍から見てかなり険悪そうな三人ですが、実は何気に仲が良かったりします。
「どうしてこんな所で雑談してるんだ、しかも2学期の始業式だぞ……」
「俺不良だし」
「俺も」
「おめーはハゲだろ、もしくはデブ」
「んだとコラァ!!」
「だからてめーはもてねーんだよ」
「言えた義理か、テメェ!!」
太陽が三人に笑いかけているような気がします。―――ここは屋上。
矢神では不良の溜まり場(と言っても数人しかいませんが)になってます。
「待たんか。下らない事で喧嘩するんじゃない」
「うるせえよヤクザ」
「一番もてそうに無い奴が」
「んだとぉぉぉこらぁぁぁ!!」
「ヤクザ」よりも「一番もてそうに無い」の所で過剰反応したゴリ山先生。
必死ですね。―――太陽が哀れみの視線を浮かべてそうです。
「チッ……どっちにしろ、播磨にゃ関係ねーか。お前ずっと彼女に夢中みてーだからな」
「お前が”夢中”なんて言葉使うと気持ち悪いぞ、天王寺。―――で、播磨は誰が好きなんだ?」
ずずいっ!―――と身を乗りだすゴリ山先生。かなり興味津々です。
「んだよ、いきなり」
「いやな、先生にこういう事を相談してみるのもいいんじゃないか?」
「絶対嘘だな。てめー俺をダシにして遊びたいだけだろ」
「いやいやまさか。俺も学生時代に―――」
「嘘だ」
「嘘だな」
「即否定かコラァァ!!」
中々テンションが高いゴリ山先生。―――やはり人の痴話話は聞いていて楽しい物です。
尚も執拗に追求を続けてきます。
「で。誰なんだ、実際?」
「いや、だから―――」
「2−Cの塚本天満ですぜ、先生」
「うぇっ!?天王寺!?」
唐突な天王寺の裏切りに播磨撃沈。
密かに二人ともを殺る気になってきます。
「おお!塚本か!まさかお前がアイツを好きだったとはな!!」
「覚えてんのかよ!え、お前ウチの授業持ってたっけ?」
「持って無くても全校生徒の顔と名前を覚えとる!!」
「―――え、誰この超熱血ぶった教師」
「あれあれ?お前何時の時代の人間?ていうか人間?教えてくれよなあ播磨」
「人間否定するんじゃねぇぇぇぇ!!」
意外な熱血教師っぷりを発揮したゴリ山先生。
播磨と天王寺は某ハヌマーンを見たような形相でゴリ山を見ています。
「―――で!今現在何処まで行ってるんだ?」
「いや、あ〜」
「素直に吐けよ。”私は告白も出来ないヤムチャも真っ青のヘタレっぷりです”ってな」
「してないのか!意外だな……こういう事にかけては速いと思ったんだが」
「うるっせえ!―――色々あったんだよ」
まさか「色々」の中身が告白誤爆から始まる愛と憎しみのフラグ立てだとは、ゴリ山先生も、天王寺も、当の本人でさえ気付いていません。
「その分、俺は告白出来ただけまだマシだな!」
「まだ振られてねーだけ俺の方が万倍マシだ!」
「――――――」
「でもきっと振られる」……その一言をどうしても言えない、案外心優しいゴリ山先生。
「でもきっと振られる」……その一言をどうしても言いたい、実は性悪な天王寺。
「でもきっと振られる」……その一言がどうしても頭に浮かばない、Mr.能天気こと播磨。
案外、こんな三人の方が仲が良い物です。
「……なんでそんな哀れみの視線で俺を見てんだ、ヤクザ!ハゲデブ!」
「誰がヤクザだァァァァァ!!」
「誰がハゲデブだァァァァァ!!」
多分。
以上です。
正直、誰?ってな感じですね。
ご意見お待ちしておりますので、よろしくお願いいたします。
「でもきっと振られる」……その一言をどうしても言えない、案外心優しいゴリ山先生。
「でもきっと振られる」……その一言をどうしても言いたい、実は性悪な天王寺。
「でもきっと振られる」……その一言がどうしても頭に浮かばない、Mr.能天気こと播磨。
この三行が最高でしたGJ
よく、エルカドという言葉をみるんだが、メルカドじゃなかったっけ?
ヤクザは元々形容動詞(ry
>>662 ありがとうございます。
>>664 ΩΩΩ<ナ、ナンダ(ry
名詞の方が有名だからなぁ……orz
>>663 アニメだとエルカドだったかな?
どっちがどっちだかわからん
>>666 正解。漫画では天満がはっきりメルカドと言ってる(嵯峨野の部活の前科?があるが)上に看板もメルカドだけど、
アニメではカタカナでエルカド。
668 :
Classical名無しさん:05/04/18 19:59 ID:Ds4b/M/Y
>>661 ヤクザにワラタw
えっと・・皆様文章力すげぇorz
スレ汚しみたいなんですが、続き投下します。
「さ、ついたわよ。」
彼女がそう言うと、中村の運転するリムジンがブレーキを掛け、少しずつ停止する。
中村がリムジンのドアをあけ、八雲を外に下ろすと、その先には八雲が見たことのないような景色が広がって見える。
自分の身長の何倍もでかい玄関、入ってすぐ横にある、樹齢100年はあるだろうか、貫禄を思わせる樹木、
テニスコートが10面は入りそうなぐらいの広さを持つお庭、そして漫画でしか見ることのないだろうその家、いや屋敷だろうか。
あきらかに、自分の家とは格がちがうことを思い知らされた。
「すごい・・・」
八雲はその広大さに呆気にとられ、口をぽかんと開いたまんまになっている。
その後からでてきた愛理が、彼女の肩を叩き、八雲を正気に戻す。
「ちょっと、何ぼーっとしてんのよ?」
「あ、す、すいません。あまりにも家が大きいものですから・・・」
「あぁ、気にしないで。これなんてまだ小さいぐらいだから」
こ、これで小さいか・・・やっぱ先輩ってすごいな・・・
何故か顔を下に向け、悄げる八雲。そんな彼女を見て愛理は不思議に思う。
「何してんの?さっさと行くわよ?」
「す、すいません・・・」
愛理に連れられ、彼女の屋敷に足を運んでいく。玄関をがちゃとあけ、八雲は丁寧におじゃまします、と挨拶をして入るが、またもや驚かされてしまう。
彼女が挨拶をすると、五人ぐらいの召使いが自分に挨拶を返してくれた。
「ようこそ、沢近邸に。お嬢様のお友達様でございますか?」
綺麗なメイド服を着た女性から訪ねられて、八雲は戸惑ってしまった。答えられない八雲に替わって愛理がそうよ、と彼女たちに説明する。
事情を聞くとメイドは八雲に、ではごゆっくり、と言うと奥の部屋に消えていった。まだ混乱している八雲を、愛理は彼女の手を引っ張って、目の前にある階段を上り自分の自室へと連れて行く。
そして部屋にたどり着くと、愛理が部屋をあけ、八雲をそのなかにいれると、扉横にあるインターホンで誰かに連絡を入れている。どうやら相手は執事の中村のようだ。
何かを持ってくるようにと伝えたあと、愛理は電話を切った。
「じゃあここでまってて。私は中村に道具を持ってこさせるから」
はぁ・・・と軽く返事をして、そのまま八雲は愛理の部屋に置いてけぼりにされてしまった。
八雲は回りを見渡して、大きなソファーに腰を下ろす。
「ふぅ・・・」
なんだか落ち着かない彼女。何せ他人の家に行ったことなどほとんどないから、緊張してしまう。
その緊張を解そうと、八雲が窓を見上げると、その大きなステンドガラスから空に存在する大きな月が見える。
綺麗・・・家から見るお月様と全然ちがう・・・
その美しい景色に見とれているうちに、愛理が中村を連れて部屋にはいる。
「ごめんなさい、待たせちゃって。道具を探すのに苦労しちゃって」
後ろには愛理が持ってこさせたのか、でかいタンスを一人で抱えている中村。
愛理からもう良いわよ、と言われると、タンスをふん!とかけ声と共に床に置く。その際にドスンと言う大きな音が響く。
持ってきたタンスを彼女が開くと、中には色々な化粧道具、そして黒と金色のかつらに、何か小さな機械のようなものが二つ。
その中にあった、黄金色のサラサラとしたカツラを八雲に渡す。
「はいこれ、私の髪の毛の材質をそのままコピーしたカツラ。あと、貴方の髪を調べて、早速作らせたカツラよ。」
い、いつのまに、なんて驚いている八雲だが、そんなことは置いといておく。
すると愛理が指をパチンッと鳴らせた。その途端、後ろのドアを開いて、さっき八雲が玄関で会ったメイドたちが入ってきた。
「およびですか、お嬢様」
「ええ、ちょっとあなた達にも手伝ってもらおうと思って。」
いきなり現れた彼女たちに、また八雲は混乱してしまった。愛理が、彼女たちに持ってきた化粧道具を渡す。
「実は彼女たち、私の専属のメイクさんなのよね。この娘たちが、貴方と私をそっくりにメイクしてくれるわ。」
さらりと、何気にすごいことを話す彼女。もう八雲は自分の感覚が麻痺してきた。
そんな八雲に一人のメイドが近づいてきた。そして何かをチェックするように彼女を見回す。
「なるほど、確かに顔つきは似てますね。」
そう言うと八雲の腕をつかんで、いつの間にか用意されていた化粧台へと座らせる。戸惑う八雲を後に、いきますよ、と言うかけ声と共に、化粧道具
を持ち、神業を思わせるメイドさんのメイク技が始まった。
素早い手つきで道具を持ち、八雲の顔をどんどんメイクしていく。そして十分ぐらいたっただろうか。これで終わりですわ、と告げ、八雲へのメイクが終わった。
そして最後の仕上げに、金色のカツラを八雲の頭にかぶせ、両側を紅いリボンで結ぶ。
どうなってるんだろう・・・、何せずっと目を瞑っていたため、八雲には今自分がどんな姿かわからないのだ。
するとメイドが、彼女の肩をぽんと叩いて、目を開けてもいいですよ、と告げる。八雲は恐る恐る目を開け、前に鏡をのぞき込む───
あ・・・・
自分の姿に驚愕してしまった。目の前の鏡に、映るはずの自分。のはずなのに、映っているのは、自分ではなく、
紛れもなく沢近愛理という人間だ。ちょっと色が薄すぎたかしら、などとメイドが言う声など聞こえない。
開いた口が塞がらない、そんな言葉どうり、八雲は口を開いたまま固まり、自分の姿に、八雲はじーっと見とれるばかりだった。
「さ、次は私の出番ね。」
そういうと愛理はもう一つの化粧台に座る。そして愛理も同様に、神技メイクで八雲に変身していく。
再び十分ぐらいたち、彼女へのメイクが完了すると、メイドが愛理に確認をする。
「どうですかお嬢様?」
訪ねられた愛理が、自分の顔を鏡で確認しようとする。そして彼女もまた、自分の姿に驚愕する。
「これが私・・・?」
周りのメイドたちからは、すごいくらいそっくりですよ、二人とも、などと言葉を言われている。中村も、お嬢様が二人おらっしゃる、などと
感動している。愛理が、あとは声だけね、と八雲に話すと、中村に持ってこさせた特殊な変声機を彼女に渡す。
「これをつけると、私と貴方の声が入れ替わるって代物よ。試しに私からやらせてもらうわね。」
そういうと、手に持っていた機械を喉元につけ始めた。そして確認のために、あーあー、などと喋り、声が変わっているか確かめている。
「どう、替わってるかしら?」
訪ねられた八雲は、自分の声ってこんな感じなんだ、なんて思っていた。そして、いつもの強い口調の声ではなく、
か弱い感じを思わせる八雲の声に、しっかりと替わっていた。
「大丈夫、だと思います・・・」
そのことを確認して返事をすると、愛理は八雲に次は貴方が付ける番よ、と言われたので
八雲もその機械を自分の喉元につけた。そして愛理に話しかける。
「どう・・・ですか?」
愛理はその口調に背筋がぞくっとなった。いつもお嬢様口調の彼女なので、
いきなり八雲のようなおとなしめ系を感じさせる口調になると、流石に違和感を感じた。(中村は「こんなお嬢様なら・・・」などと感動していたが)
「やっぱりしゃべり方に問題があるわね・・・」
姿形は完璧だが、中身はやはりどうにもならない。その後二人で、どうすればいいのかと色々な案を考え始めた。
天満は駄目ね、あの娘じゃ練習にならないだろうし・・・美琴なら、いや、こんなこと言えないわね・・・。
刑部先生は・・・論外だわ。だいたいこんな夜に来てくれる人物なんて限られてるし・・・。
愛理が頭のなかで色々と考えていたとき、八雲が考えた案を愛理に話す。
「あ、あの・・・高野先輩に教えてもらえばいいと思います・・・」
その言葉を聞いて、愛理の頭に昔よく漫画であった電球のアイコンが浮かび出す。
「そうよ、晶に教えてもらえばいいんだわ!」
愛理がつるんでいる仲間の中で、唯一頭が切れる彼女。彼女なら自分たちのことをよく知っているし、
教えてもらうにはちょうど良い人物だからだ。八雲もその案に納得し、早速携帯で電話を掛けることにした。
「──それで私をこんな時間に呼び出したのか?」
何気なく不満な表情を出している晶。真夜中の丑三つ時の時間に、しかも理由が「口調を変えてくれ」、なんて言われたのだから、
普通なら断って帰るところである。しかし、すっかり入れ替わった彼女たちを見て、晶はこれはネタになるな・・・、なんて考えていたので、
おもしろ半分で来てみたのだ。
「すいません、高野先輩・・・いきなりこんなこと頼んでしまって・・・」
彼女に謝る八雲。高野としては興味本位として来てみたので、別に悪い気はしなかった。
「いいってことよ、後輩と友達の願いは聞いてあげるのが良い人間だからね・・・」
そういうと、ちらっと八雲の姿の愛理の方を見つめる高野。目線に気づいた愛理は照れながらも、借りはいつか返すわよ、とつぶやいた。
「しかし、なんでいきなり入れ替わるなんて言い出したんだ?」
さりげなく理由を聞き出そうとする高野。しかし、その理由が自分の好きな人の気持ちを確かめるため、だなんて言えるはずがなかった。
訪ねられた愛理は、黙って答えようとはしなかった。だが、何となく理由がわかっていた高野には別にどうでもいいことだった。
ふぅ、と息をつくと、彼女は愛理のところに近づいていった。
「な、なによ?」
「いや、馬子にも衣装だと思って。」
彼女の言葉に愛理は顔を真っ赤にして、な、なんですってー!!、などと怒っていたが、ジョークジョークなどと言われ軽く流された。
怒っている愛理を後に、次は八雲のところに足を運んできた。
「あ、あの・・・」
「こういうお嬢様の姿も、キミにはお似合いだな。」
そ、そんな・・・、と頬を紅くして照れてしまう八雲。後ろで愛理が、私は似合わなくて悪かったわね、などと拗ねている。
「そんなことより早く練習しましょうよ、もう夜遅いのよ?」
「わかってるよ、愛理。じゃあ早速しましょうか」
そう言うと、晶が二人をいすに座らせ、バッグから何かのメモ帳のようなものをだしてきた。
「じゃあまずは発音の練習ね。はい、「あっぽー」。続けて」
・・・・はぁ?と思わず愛理が口を開く。
「な・ん・で!英語の練習なのよ!」
愛理が立ち上がり、机をバンッと強くたたきつける。そんな愛理をよそに、隣では晶の言ったとおり、あっぽーと繰り返す八雲。
「あんたねぇ・・・なんでそんなに素直なの?」
「え?」
はぁ、とあきれ果てる愛理。こんな調子で大丈夫なのかしら、頭を抱え少し不安になってきた。
「はい、愛理も続けて。」
こうして三人の夜は更けていく・・・。
終わりです。協力者がいると言う指摘を受けたので、高野姉さんを入れてみました。
とりあえず次は八雲編と愛理編を作る予定。指摘などあればばんばんどうぞ。
>>677 晶の口調が変じゃないかな? これじゃ刑部先生だ。
いつでも笑顔、というのは極論すればアンバランスの極みであり、なればこそそれは弱みでもあり、
同時それを自覚してなお笑う強さでもある、という偏見に満ちたお話でした。たぶん。
書き手としては、アソサラというよりは、むしろサラ個人と周囲の関わり方、という辺りに重きを置いた
つもりだったんですが、なかなかどうして難しい。
とりあえず、これっぽっちもスクランっぽくなかったので、次があればスラップスティックに行きたい次第。
>>651 歯牙ない(しがないをこう書くと本当にどうしようもない感じが)一名無しです、そんなたいしたもんじゃありません。
にしても、やはりここが賑やかなのは素直に嬉しい、と思いつつ。
680 :
餡:05/04/18 21:17 ID:.sn/2DUM
>>631 サラかわいいなあ。そういえばけなげなイメージなんですよね。
>>646 丹念な描写が魅力的なだけに、漂う情感や機微を一人称的に語るだけではもったいないな、と。
キャラの気持ちを、小さくても何かエピソードを通じて出していけば、読み手がぐっと共感しやすいというか
「脳内」というのからは脱することが出来るんじゃないかと思います。
と、偉い人が言ってたような。自分も勉強中です。
>>656 自分も三行の最後に笑いましたw
>>677 盛り上がってきましたね。個人的には細かい辻褄よりこの先の騒動(?)を楽しみにしてます。
高野の口調は同感。
681 :
餡:05/04/18 21:18 ID:.sn/2DUM
>>636 > 読者に対して放り投げられたように
Σそういう印象ありますか。
あんまり続くと飽きるな、っていう自覚はあったんですが。
ただでさえ多いので、使わなくてもいいところはないか意識してみます。
> 一条かよw
さすが同志w
,:':´ ̄`ヽ
i: .レリリリリ)
⌒゚i::::リTдTリ゚⌒・・・・・・
683 :
バンター:05/04/18 22:34 ID:LnEw.2So
風の憧憬は、
たまんないね!
てんしのようだよ、天満ちゃん!
よくよく考えてみたらお嬢も妹さんも綺麗だな!
みんなで仲良くやれねえか
?
ってことなんだけど、やっぱレベルが低いからだよね。私の。
それとは別に、この読みに対する私の理解が足りない事もまた事実。
これからも精進していきますので、どうか見捨てないでやってくださいな。
>661
スクランというよりクロマティだな
良い悪いは別にして
>612
ていうか、沢近のお母さんって生きてるのかな?
死別?
戸籍上は親子じゃない、ってことはお妾さんの娘ってことなのかな?
その可能性もあるが
親父さんの仕事がデンジャラスで
書類上では家族がいないことになっている可能性もある。
軍属だったナカムラが敬服しているみたいだし。
>661
銀魂のノリが頭をよぎった。(他誌だそれは)
>>677 高野姐さんの口調は
誰がしゃべっているかわかりやすい
ので自分は良いと思います
新S3の主要キャラクタ表示の例が(播磨、沢近、八雲)から(天満、播磨、八雲)になってる。
よかった…(つД`)
別に天満オタじゃないけどこういう扱いはひどいと思たよorz
でもどーせ天満登場頻度は少ないままだろorz
>>678 あ、あれ、なんだ、高野姉さんと絃子先生ってかb(ry
>>680 応援ありがとうございます。なんだかプレッシャーがきてるよ(;´Д`)
>>689 ん、立て読み?(爆)じゃなくてそういってくれるとよかったです。
もうすぐで沢近編できるので首を天井につけるまでまってくださいorz
,:':´ ̄`ヽ
i: .レリリリリ)
⌒゚i::::リTдTリ゚⌒・・・・・・
そのAAもうイイヨ…とか言ってみたり
天満、頑張れ!
アソ皿がアソVに見えた…
ザクV
>695
×そのAA
○天満
ハッキリ言っといてやったぞ
S3に書き込んでる通りすがりとかいう奴ウゼー。気にいらないなら読まなきゃいいだけだろ。場の空気悪くするんじゃねーよ。
禿同。
あっさり論破されてなんか意見が後退してるしwww
天満天満天満〜
>>701,702
二次創作支援スレってとこで書こうぜ
播磨って姉ヶ崎妙のことをなんて呼んでたっけ?
「お姉さん」でよかった?
むしろ「お姉さん」が良い。
>>677 なかなか面白い話だと思いました。
続きが気になりますね。
と言うか愛理の姿をして八雲っぽい言動と行動されたら萌え死ぬかも。
気の強そうなお嬢様がおどおどってつぼです。
でも晶の口調には違和感を感じました。
彼女はあくまでぶっきらぼうであって男っぽい口調ではないんで。
淡々と、それでいて含みを持たせたり、ちょっと突き放すような言動をさせるのが適当かと。
なんだ今週の天満はorz
>710
「ファイト………………私」
ギィ
ブランコが乾いた音を立てる。
天満は必死に目尻から溢れ出ようとする涙を耐えながら、一人悔しさを噛みしめていた。
「悔しいな………私、一人で何もできないのかな………」
「一人じゃないわ」
ザシャアァァァァ
「あ、あなた達は!?」
不思議な擬音を響かせて、天満の前に立った二人の少女………
「晶ちゃん! 愛理ちゃん!!」
「話は聞かせて貰ったわ………天満、私達が手を貸してあげる」
「酷いじゃない、天満……… 私達が貴方を見捨てると思って?」
「二人ともありがとう……… で、でも愛理ちゃんは今月は………?」
「私には友情の方が大切だった………それだけのコトよ」
「愛理ちゃん………」
「それに、私達だけじゃないようよ」
「え?」
晶が指さす方に顔を向ければ、吹きすさぶ風の中を歩いてくる二人の少女がいた。
「八雲! それにサラちゃんまで………」
「彼女達も、思いは私達と同じみたいね………」
「姉さん……… 姉さんを泣かせる人間は私が許さない」
「先輩、私も協力しますよ。私の場合、他に目的もありますけどね………」
「おっと、オレも忘れて貰っちゃ困るぜ!」
「播磨くん!」
太陽を背に突然現れる長身の男。口元に浮かべたシニカルな笑みがとことん似合ってない。
「連れてきたぜ、高田」
「高野よ………、わざわざすいません、刑部先生」
播磨の背後から現れたのは、矢神高校きっての美人教師、刑部絃子であった。
「やれやれ、け……播磨くんから土下座までされて呼び出されてみれば………で、私に何の用かね?
私が出る幕はないように思えるが………」
「先生には顧問をお願いします」
「顧問?」
「はい……… 私達は本日、第二バスケ部を新設。そして、姉ヶ崎先生率いるバスケ部に挑戦します」
「ほう………」
絃子はちらりと播磨を見る。
「キミはそれでいいのかね? 播磨くん」
「ああ、塚本を泣かすヤツは、誰であろうと許せねぇ。たとえそれがお姉さんでも………」
「………そうか、ならばいいだろう。何、私も姉ヶ崎先生には少々含むところがある。
だが高野君、勝算はあるのかね?」
「ええ……… 向こうは個々の技量は高いかもしれませんが、所詮は烏合の衆。私達のような絆は
存在しません」
「チームワークのスキを突くのか?」
「ええ、ですがそれだけではありません。私の技術、愛理のパワー、八雲の洞察力、サラの腹黒さ、
勝てる要素はたくさんあります。そして、それを統率してくれる刑部先生がいれば………」
「勝てる………か?」
「必ず」
フッ………
絃子の口元が歪む……… ならばやることは一つ。
「ではやろう。私達は一週間後、バスケ部に戦いを挑む。みんな覚悟はいいな?」
不敵な笑みを浮かべつつ、5人の戦士が頷いた。
一週間後。
体育館は異様な熱気に包まれていた。
突如発足した女子バスケ部、それに対抗して発足した第二バスケ部が挑戦してきたという。
更に、周防美琴や沢近愛理ら、矢神高きっての美少女達が絡んでいるとなれば、話題にならない
はずがない。すでに体育館はギャラリーで溢れかえっている。
体育館の真ん中に据え付けられたリング。そのコーナーの一角では、すでに女子バスケ部の面々が
スタンバっていた。
「でもよー、沢近達も何考えてんだ? 突然第二バスケ部なんか作りやがって」
「そうですね………バスケがやりたいなら、一緒にやればいいのに」
「ちょうど5人しか居ないからね。沢近さんや高野さんなら大歓迎だったんだけどなぁ」
バスケ部の面々には、すでに天満のコトは頭にないらしい。
「でもアイツら遅いな。自分から挑戦しておいて逃げたのか?」
「フッ、情ケナイ奴ラダッ!」
そのとき、体育館の入り口から歓声が上がった。
「到着したみたいですね………」
「ああ………、いや待て、沢近しかいないぞ?」
入り口からリングまでの人垣が割れ、そこを悠然と進んできたのは、沢近愛理一人だった。
リングを挟んで、バスケ部の面々と向かい合う。
「久しぶりね、美琴………」
「よう………どうした、一人で? 他の連中は逃げちまったのか?」
愛理は方をすくめて、苦笑いを浮かべる。
「ごめんね、グズな連中で。特訓がまだ終わってないのよ。追って来るわ。ま、アンタら如き、
私が一人で相手してもいいんだけどね………」
「言ってくれるじゃないか…………」
「ま、心配は無用よすぐに来るわ。先鋒は私がやるわ。さあ、相手は誰?」
美琴がチラリと後ろを見る。
敵で最大の攻撃力を持っているのは愛理だろう。これを先鋒に持ってくるとは………
さて、誰を当てる…………
「私ガヤロウ」
「オ、オマエは!?」
───ララ・ゴンザレス!!
「金髪ノジェット機………一度戦ッテミタイト思ッテイタ!!」
ぶわっ
一飛びでコーナーポストまで飛び上がるララ!!
「………、いいわ、遊んであげる」
笑みを浮かべつつ、愛理がリンングに入った。
「これより、女子バスケ部対第二バスケ部の対抗試合を始めるッ!!
勝負は1on1の5本勝負! 第一試合、バスケ部ララ・ゴンザレス!!
第二バスケ部、沢近愛理!!」
ウオオオオオオオオオオオ
体育館が歓声に包まれる。
リング上で対峙する二人の美獣………緊張感を背景に、今ゴングがなった!
ゴングと同時に放り込まれたボールを奪取したのはララだった。
「終ワリダ…………」
「!?」
「ブラックスクリューーーーー!!」
捻り回転を加えたボールが愛理に襲いかかった!
それをマトモに受けてしまう愛理。愛理の華奢な体が宙に浮き、顔面から落下する。
「フッ………他愛ナイ………」
勝利を確信し、リングから立ち去ろうとするララ。
だが………
「フッ………、な、なかなかやるじゃない………」
「ナ、ナニィ!?」
「ば、ばかな………アレを食らって立ち上がるなんて………」
「見てなかったの嵯峨野さん? 沢近はインパクトの瞬間、自分から後ろに下がっていたよ」
リング上では、愛理がララを前にドリブルで牽制している。
「グ………」
「今度はこちらから行かせてもらうわ」
フオォォォォォォォ
沢近愛理の体が光に包まれ、宙に浮く。
「トラベリングウィザード!!」
ドッギャァァァァァァァァァァァァン!!!!
愛理の膝蹴り三連発がララを襲う!!
ズッキューーーーーーーーン
擬音を発しながら、リング外に吹っ飛ぶララ。戦闘不能は誰の目にも明らかであった。
「まず一勝………」
沢近愛理はバスケ部の面々を見下ろしながら、口元を歪めた。
ここで飽きた。
一体どこから突っ込めばいいのやらw
GJ
救われたぜ
イイね!これぞ少年まんがダネ!つか面白いんで続きキボン。
↓以下、関係ありません↓
姉「つ…次、次鋒行け!」
嵯「次鋒 嵯峨パルドン、行きます! グオゴゴゴ!」
シュッ
沢「ツインテール・フェンシングーッ!!」
グサ
嵯「ギャアーーーーッ!!」
姉「……!!」
ワロタ
名門第三野球部を思い出したよ(w
しかしここから天満のために播磨が絡んでくる展開は本編でも案外ありえるかも
本編があんなにもあからさまに麻生、周防、俵屋の三角関係やってんのに
このスレじゃ少しもあの三人に触れるSSが来ないんだな。てか俵屋自体が
普通のレスにすら触れられない。ここの住人的にも今のバスケ編は不満なのだろうか。
麻生はサラ以外では認められません。
麻生はいい男過ぎて主人公的魅力がないのだ。
>>717 天満を救えてないよ〜。
っていうか単にのけ者同士が出たいけどそれは言えないって中で
天満を利用しているだけのような飢餓sうわやめろ
なにはともあれGJ!
>725
うむ、>713で高野自ら天満は戦力外と言ってるしなw
SSに書かれる=人気がある、ってもんでもないだろ
それに麻生美琴さつきの三角関係なんて動き出したばっかなんだから
今この三人を書こうと思ったらそれこそ話を一から組み立てる力が要る
既に本編や過去の名作SSによってパターンが確立されてて
それを各自の味付けでアレンジするだけでいい既出カップリングのSSとは
職人に求められるハードルの高さがあまりに違いすぎる
この三角関係をうまく料理した神SSが投下されたら
それを基本パターンとした様々なバリエーションが出てくるんじゃないかと思う
>>インパクトの瞬間、自分から後ろに下がっていたよ
なんてタイムリーな…。
しかし俵屋は第2の播磨となり麻生以外の男のフラグを立てまくるだった
第2の、つーか女版播磨は周防だろ。今までどれだけの男性キャラと
接点を繋いできたことか。俵屋はバスケ編のみの一発キャラだよ。つかそうであってくれ。
それは俵谷好きの俺に対する宣戦布告だな?
そうなんだな?
かかってこいやああぁぁぁぁ。と、銀魂風に言ってみる。
まあ普通に考えたらバスケ編以降に頻繁に出てくる事はまずないだろうね。
うーむ残念。
>>717 >サラの腹黒さw
とか書こうと思って読んでたらそれどころじゃなくなっててワロタ
考えたら女子バスケ部って軍神が3人揃ってるんだよな
恐ろしい戦闘能力……バスケには関係無いけどw
本編の天満には播磨か烏丸辺りが絡んでくるといいとか思ってるんだけど(練習付き合ってやるとか)
二人ともバイトとかで無理なんだろか
>>722 あれは三角になってるのか?
美琴の気持ちがさっぱりわからん
腐ーん
「フン………」
バスケ部顧問、姉ヶ崎妙が忌々しげに鼻を鳴らす。
ララの不甲斐ない戦いにご立腹らしい。
「やっぱりワスバーガーなんか喰ってるヤツはダメね……… 次!」
「私が行きます………」
美琴の横で鬱蒼と立ち上がったのは………俵屋さつき!
「おい、俵屋大丈夫か?」
バスケ部のセコンドに着いていた麻生が心配そうに声を掛ける。
「先輩………大丈夫です。
バスケ部創設は私の夢………あんな人たちに邪魔はさせません」
「そうか………頑張れよ」
「おい、お嬢」
リング上の愛理に向かって声を掛ける者がいた。
長身にグラサンとカチューシャ、そんな男は矢神高校には一人しかいない。
「ヒゲ、来てくれたの?」
「ああ………、それより大丈夫か? さっきの一撃、ダメージあるんじゃないか?」
「あら、心配してくれるの?」
「い、いや、そういうワケじゃ………」
「ふん………、でも大丈夫よ。………大丈夫じゃなくても天満達が来るまでは持たせなきゃね」
反対側のコーナーに立つ、俵屋さつきを睨みながら、自分に言い聞かせるように呟く。
正直に言えば、少々キツイ……… 威力はかなり散らしたはずなのに、やはりララ・ゴンザレスは
『武神』と称されるに相応しい女だ。
「あ、それなら心配いらねえ」
リング下で愛理に話しかけていた播磨拳児がニッと笑いかけた。
「もう一人、すでに来てるぜ。相手があの嬢ちゃんなら丁度いい」
「! ………そう、あの娘が来てるの。なら私の出番はないわね」
笑みを浮かべながら、さつきに目を向ける。
「俵屋さんだったかしら? 悪いけど、私はここで引かせて貰うわ」
「え………?」
「どうしても貴方の相手をしたいって娘がいるのよ……… ここはその娘に任すわ」
そう言い残し、リングを降りる。
「別の相手………? 誰………? まさか!?」
その時、
突然リングに何かが降ってきた!
バァァァァァン
矢神神社の扉が勢いよく開かれた。
奥から現れたのは、塚本天満その人であった。
何をしていたのか、服も体もボロボロである。だが、瞳だけは爛々と輝いていた。
「天満………」
「姉さん………」
外では高野晶と塚本八雲が天満を迎えていた。
二人とも、天満同様ボロボロである。天満の特訓に付き合ってこうなったのだ。
だが、やはり二人とも目だけは生気に溢れていた。
「完成したの? 天満」
「うん………、出来たよ、私の………私だけの必殺シュート………」
「そう………良かった………」
「ありがとう、晶ちゃん………」
瞳を潤ませる天満。親友達の協力を得て、ついに自分は生まれ変われたのだ。
「君たち、喜んでいるヒマはないぞ。急げ」
「刑部先生………」
「すでに沢近君とサラ君が闘っているはずだ。喜ぶのは勝ってからにしたまえ」
「………はい」
天満は決意を込めた瞳で頷いた。
それを、晶と八雲が満足気に見守っていた。
ガシャァァァン
突如リングに降ってきた物体。これは………
「か、棺桶?」
さつきは呆然と目の前に降ってきた西洋風の棺桶を見つめていた。何故こんなモノが………
「あなたの為に用意したんですよ? 気に入っていただけたかしら?」
ハッと顔を上げると、いつの間にかリング上に一人の少女が佇んでいた。
黒衣の聖女…………サラ・アディエマス!!
「ちゃんと貴方のサイズに合わせていますよ………俵屋さつきさん?」
天使のような柔らかい微笑み。だがそれは、さつきに言いようのない恐怖を感じさせた。
「あら? 麻生先輩じゃありませんか」
サラがバスケ部のコーナーでセコンドをしている麻生を見つけたらしい。
「お、おう、久しぶりだな………」
「本当に久しぶりですねぇ………何をやっていたんですか?」
「あ、ああ、バスケ部のコーチをだな…………」
「そうですかぁ………、それはそれは大変ですねぇ」
サラの笑顔は第三者的にはどこまでも柔らかく魅惑的だ。
だが、対する麻生の顔はみるみる青ざめていっている。
「サ、サラ!」
「はい?」
「お、怒ってる…………のか?」
「あら?」
サラが可愛らしく小首を傾げる。
「先輩、私を怒らせるような事、何かしたんですか?」
「い、いや、何もしてない…………」
「そうですよねぇ。それじゃ私が怒る理由は何もありませんねぇ」
ニッコリ。
まさしく天使の微笑み。
会場中の人間が暖かい感情に包まれる。
だが、当の麻生広義はガクガク震えている。顔色は青を通り越して真っ白だ。倒れないのが
不思議だ。
そのサラの視線を遮るように、俵屋さつきが立った。
「あら?」
「先輩………、先輩は私が守りますから」
「………そうね。私の相手は貴方だったわね」
カーン
二戦目のゴングが鳴った。
いい加減ウザがられそうなんで、ここらへんでやめときます。つーか、この先考えてませんし。
>740
乙
バスケ編を面白おかしくするスレはここですかw
誤爆してしまった…
スマソ
>>740 か、棺桶!?
ネタは北斗ネタなのか!?
面白い、続きキボン
>>740 うはw さっち〜かよΣ( ̄□ ̄;)
盲点でした。そういえば名前一緒なんだよねぇ。
とりあえず黒サラ萌え(;´Д`)ハァハァ
ブラックスクリューと聞くと
リングにかけろを思い出す
>747
つか、基本リンかけだろ、コレw
>738なんか、モロにテリオス完成シーンだし。
>745
天井から棺桶で『プロレススターウオーズ』を思い出したオレはどうすればいいでしょう?
俺は棺桶で関羽と戦った人思い出した
黒サラも・…モ・・・萌・・・!
やっぱり言えない!
うぅ、今回のマガスペで更に黒サラ疑惑が浮上するし・・・。
白サラよ、帰ってこい!!
>>749 まて、ホウ徳は棺桶を武器にしていたわけではない(w
あの馬鹿コントとは全く関係の無い、シリアス物を投下します。
人が居ない教室と言う物は、酷く感傷的で、憧憬を煽る。
そんな事を思いながら、播磨拳児は、先程の光景を思い出して泣いた。
「―――烏丸君。ス、ススススス」
「スルメ?」
「そうそう!カレーに入れると美味しいんだ……って、じゃなくてじゃなくて」
響く、愛する人の声。
たまたま教室の前を通りかかった播磨は、緊張しながらそっとドアに耳を当てた。
「その、あの、ええと。―――好き、です。付き合って、下さい」
「―――うん。良いよ」
「――――――!!」
声にならない歓喜の声が、播磨の耳に入った気がした。
きっと―――ドアの向こうでは、彼女は顔を真っ赤にして狂喜に打ち震えていて。
烏丸は―――そんな彼女を見て、笑ってる……に、違いない。
そして、その笑顔を見て、彼女は、彼女は、彼女、彼女、彼女、彼女―――彼女も。
天満ちゃんも、笑っている。
播磨にとっての世界が、音を立てて、静かに、そして絶望感のみを残して崩れ去った。
結局、全てが無駄だった訳だと、播磨は悟った。
―――それは、随分と前に悟ったはずだった。あの時は、それでも構わない、彼女の視線を変えてみせる、と意気込んだ物だが―――。
もはや終ったこの恋の中で、いったい何の為に意気込めばいい?―――播磨は、自問と自答を繰り返す。
「播磨?」
播磨の、奥深くまで沈み込んだ意識を一瞬で引き上げた声。
「……周防、か」
「どうしたんだよ、その顔!―――涙で、グシャグシャ……」
「何でもねー」
「訳ないだろ!」
声の主―――周防美琴は播磨の顔を掴み、持っていたハンカチで顔を拭く。
「……いいっつってんだろ」
「お前は良くてもあたしは良くない。―――何があった?」
「…………」
「…………天満、か」
「!」
サングラスの奥で、播磨の目が見開かれた。
バッと顔を上げ、見上げた周防は困った笑みを浮かべ、
「『何で知ってんだ?』―――って顔してるな」
「……誰から聞いた」
「……見てれば気付くよ。現に何人かは気付いてる。晶はもちろん、麻生、西本、奈良、今鳥に一条」
それにあたしもな。―――と、悪戯が成功したような笑みを浮かべる周防。
播磨は最初愕然としていたが、やがてフッと笑い、
「だったら分かるだろ。俺が」
「その先は言わなくて良い。辛いだろ?」
「…………」
「あたしもさ、経験あるから」
「……!」
「だからさ。―――溜め込んでる物、全部吐き出しちまえよ。誰かに愚痴るだけでも、結構変わるよ?」
「……!!―――俺は!俺は、俺は、俺は、俺は、俺は!!俺は―――」
気付けば全てを話していた。
話し終わった後の、異常なほどの安らぎに奇妙な物を覚えつつも、播磨は最後を締め括った。
「―――笑えるだろ?必死になって、勉強して、高校入って」
「…………」
「何回も伝えようと思ったのに全然上手く行かなくて、終いにゃ誤解が誤解を呼んで」
「…………」
「色んな人に迷惑掛けて、自分にもケリがつかなくて、結局こうなっちまった」
「…………播磨?」
言っている内にまた涙が出てきそうになった播磨に、優しく語り掛ける周防。
播磨の気持ちが分かるから。―――痛いほどに、理解できるから。
だから、精一杯の気持ちを込めて、播磨と……引いては自分自身をも癒す。
「……辛いよな、恋とか、愛って」
「……ああ」
「でも……止められないんだ。知ってたか?」
「……俺にはもう無い」
「ある!」
いきなり強い口調で断言する周防に、少し驚く播磨。
「どんなに傷ついても、どんなに辛くてもな」
「それでも止められないんだよ、人を好きになるのは」
「理屈じゃないんだ、きっと。―――それが人って物なんだよ」
「今、また他の誰かを好きにならなくたって良いんだよ。そんなに軽い想いじゃないだろ?」
「お前が今抱いてる気持ちを整理して、今までの傷を癒して」
「それからまた好きになれば良いんだよ。きっと、そうしないと、生きていけない……」
後半からは、もはや自分自身に言い聞かせているように播磨には聞こえた。
―――胸に突っ掛かった何かが、少しだけでも、取れた気がした。
「……天満ちゃんの事が好きだ」
「…………」
「そいつは今まで変わらなかったし、きっとこれからも変わらねえ」
「……ああ」
「でも、だ。もしもお前の言う通り、また人を好きなる時が来るんなら―――」
「……」
「お前みたいな奴に惚れてるかもな」
「―――!!な、ななな」
「……冗談だよ」
冗談の返事に正拳突きが返ってきた。―――播磨はギリギリの所で受け止める。
「げ、元気になったかと思ったらいきなり!お前は今鳥か!!」
「あいつと一緒にするんじゃねえ!」
「いーや、一緒だね!全く……心配して―――」
ふと黙り込んだ周防に訝しがる播磨。
少し俯いて、また顔を上げる。
―――向日葵のような笑顔と共に。
「―――得したよ!!」
「何を得したんだよ、一体」
「秘密だ、秘密!」
周防は思う。救われたのは、救ったのは、自分自身だ。
播磨に自分を重ねていた。―――あの夏の自分と。
播磨は立ち上がった。―――自分は立ち上がった。
二人は校舎を抜け、空を見上げた。
春の陽気が高まってきている。何時でも、何処からでも生命の息吹が聞こえてくる。
春は、もうすぐだ。
以上です。
何故シリアスになると播磨が振られる?
そして何故俺は鉛筆書いてる?
鉛筆が好きだからさ!これからは「節操無し」と呼べぇい!!
―――冗談ですよ?
やっぱおまいさん凄いわ。キャラが活きてるよ。
>>758 お疲れ様です。周防らしさが出ていて
素晴らしいです。
>758
乙
惜しい
台詞が連続するのはコメディではテンポが出て良いんだが
「タメ」がきかないのでシリアスだと流れてしまってもったいない
>756あたりでは地の文増やした方が良かった希ガス
逆に>755はツッコミの鋭さが表現されてて良い
まぁ要するに、鉛筆ヽ(´ー`)ノマンセー
>>759 ピチピチしたのが書きたいっす!ありがとうございます!
>>760 初めて書いた周防なんでそう言って貰えるとうれしいっす。ありがとうございます!
>>761 青春ってどんなモンだ(ry ありがとうございます!
>>762 ありがとうございます!
台詞が連続……と言うか、むしろキャラとキャラとの関わりを強調したくて。
やっぱりコメディって言うかあの馬鹿コントみたいかw
次回シリアスには「タメ」を考えてみます。ありがとうございました。
>763
ま!
どーせ俺の言うことなんて間違ってると思うけどな!
>>763 ミコちん描く時は乳描写も加えるとなお良いよ。
>>765 まあ……ソイツはコメディでw
シリアス一辺倒の中にいきなり「おっぱい!おっぱい!」なんて出てきても……ねぇ?
シリアスな中にさりげなくオパーイを紛れ込ませるのも作者の実力のウチなのですよ!!!!111
まあともかく、ミコちんコメディ期待してますね。
無理を言いすぎw
無駄を省ききった短篇に乳強調した描写しろって……
まあ、出来るものならやってほしいけどな……
,:':´ ̄`ヽ
i: .レリリリリ)
⌒゚i::::リTヮTリ゚⌒
私だって時にはS3やIFスレで
シリアス系やラブラブ系の長編SSで主役にされたいと思うときもあるよ。
でも、それは望まないんだ。悔しい気もするけど。
みんなが私に求めているのは、そんな役じゃないから。
私の役目は「ピコピコ」だけでいいんだ。
それがマスコットキャラとしての私の誇りであり、
私のすべてなんだ。それでいいんだ。
>>758 短いから淡々とした印象もあるけど、面白かった。読後感も良いな。
これだけ短いにも関わらず、キャラが活きた話作れるのってすごいな、と。
天満の扱いがひどすぎ
単発IDで何度も言うな、ボケ。
>>767 そこまでする技量と執念が俺にはありませんorz
>>768 出来ませんorz やる気もありませんorz すみませんorz
>>771 ありがとうございます!
キャラが「活きる」ってのは正直余り実感とか無いんですが、今以上のクオリティを求めて頑張ります。
>>772 この話を書いていて、気付いたんすよ。
播磨って、天満がいないとシリアス書きにくい―――って。
天満も天満で、SS書くのなら播磨と違って動かせる範囲広くて扱いやすいし。
まあつまり。
天満はメインで引っ張っていく必要が無くて、むしろ刺身のツマとか、そんな感じで。
いるのが当然と思って普段は歯牙にも掛けないけど、いないと妙に物足りないキャラ。
,:':´ ̄`ヽ
i: .レリリリリ)
⌒゚i::::リTヮTリ゚⌒
刺身のツマ…
前にどっかのスレで誰かが言ってたけど、例えとしては刺身のツマというよりご飯のほうがしっくりくる(w
まあ、完全に食べ物の好みの話ですわなw
ツマってうまいし立場的にもいいと思うんだけど。
>758
鉛筆だよ。久々の鉛筆だよ。周防がかわいいよ。
>776
あるけど存在を忘れられてしまうというやつですな。
郵便屋さんみたい…
__ __ __ __ __ __ __
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投下します。レース派の話ではないですが笹倉先生と播磨が中心で刑部先生も。
播磨が小学生の頃のわりとシリアスな話なのでダメだったら読み飛ばしてください
『二人だけの一年』
白い雪は透明な水へと皆姿を変え、人々が春の足音を感じとる頃――矢神駅。
列車の走行音や行きかう人々の話し声が交じる中、そこに一つの別れがあった。
定刻まで動くことのない鉄の塊のすぐそばに、幼い子供を含めた数名の人影が見える。
「拳児君、元気でやるんだよ。…そんな顔するな。何度も言ったろう?また会えるさ」
「…………」
刑部絃子は荷物の詰まった鞄を地面に置いて屈みこみ、諭すように目の前の少年に話しかけた。
彼女は今日この矢神の地を離れ、四月から都会の大学へ通い始める。
目の前の彼(といっても小学生だが)、播磨拳児は彼女に対し何も話さずただ黙ってうなずいた。
その表情は決して明るくなく、まだ現実に納得できないような、認めたくないような顔をしていた。
今ここで彼を喜ばせる手段などあるはずもなく、絃子は仕方ないなといった顔つきで彼以外との会話に移る。
「絃子、しっかりね。あなたのことだから大丈夫だと思うけれど、都会は危険も多いから」
「ありがとう。母さんのほうも、気をつけて」
「先輩頑張ってくださいね。…(拳児君のこと、私がなんとかしますから。安心してください)」
「…そうか。すまないね、葉子。君も今年は受験生なんだ。頑張んなよ」
一人暮らしになる母や、無二の親友笹倉葉子との簡単な話を済ませた後
絃子は最後にもう一度播磨に話しかけた。けれど彼は相変わらず何も喋ろうとはしない。
そんな彼に『今度会うときを楽しみにしているよ』と前向きな言葉をかけて、絃子は列車に乗り込んだ。
見送りに来た三人に背を向けて、絃子が入口の階段に足をかけた時後ろから声がした。
それはこれまでずっと沈黙を保っていた彼が、意を決して紡いだものであった。
「姉ちゃん。…がんばれ」
最後にようやく喋ってくれた事に安堵して、絃子はゆっくりと片手を挙げながら左右に振った。
顔を見られたくないであろう彼を気遣い、振り向こうとはしなかった。
車内を突き進んで切符に記されたとおりの席に座る。窓の隅に、泣きじゃくる彼と
困ったような顔をする母、そして彼を励ましハンカチで顔を拭く親友の姿が映っていた。
――――あらあら、困ったわね。ほらほら拳児君、元気だして
――――最後にちゃんと挨拶できたのね。偉いわ、拳児君
そんな事でも話しているのかと考えながら列車が動き出し三人が視界の外に消えるまで、
絃子はじっとその様子を眺めていた。
播磨拳児と刑部絃子。播磨は歳が十近くも離れた彼女が大好きだった。
彼女は強く、厳しく、優しく、頼れ、何でも知っている、何でもできる憧れの存在であった。
両親や教師、級友らよりも彼は絃子を慕っており、共にいるときが一番だった。
絃子も自分を純粋な眼差しで見る彼を気に入らないわけでもなく、従姉というよりは
彼の思う理想の姉として接していた。そんな二人の関係に笹倉葉子は特に割って入るわけでもなく
一歩離れた位置から微笑ましく眺めていた。しかしその絃子が遠くへいってしまうことにより、
葉子と播磨の間柄に変化が訪れることになる。
絃子が出発した日から初の週末。葉子は播磨の自宅を訪れた。
絃子がいないということと、外からでも感じ取れた活気がないことがこれまでとは違っている。
播磨の両親に挨拶をし、葉子はすっかり元気をなくしてしまった彼の隣に座り込み話しかけた。
「拳児君、いい天気よ?お友達と遊びにいかないの?」
「…いい。あいつらといても、楽しくないし」
「春休みの宿題はないの?私でも、教えてあげれると思うんだけど」
「…絃子姉ちゃんといっしょに、もう終わらせた」
「やることもなくて、退屈なの?」
「…うん。姉ちゃんもいないし…」
何を話しても興味を示そうにない彼に対し、葉子は一つの行動に出た。
目を覚ますように大げさに両手を叩きあわせ、大きな音を鳴らす。
「よかったあ。よし!それじゃあ私と遊びにいきましょう」
「……え?」
困惑する播磨をよそに、葉子は立ち上がると強く彼の手を引いた。両親に一緒に遊びに行きますと
話して強引に家の外に連れて行く。そのまま自分のバイクにすとんと乗せて、播磨が落ちないよう
気を払いながらゆっくりと何処かへと向かっていった。
「うわっスゲー…魚がいっぱい…」
「船の上から見たことはなかった?水族館とはまた違って、海底が見えて綺麗でしょう?」
「こいつら変な顔してんなあ…親の親のずーっと親が人間と同じってマジ?」
「うふふ。遠い遠いご先祖様は、皆一緒なの。私と拳児君も、きっとね」
「…ダメだ。ゲージュツってわかんねえ…目ん玉や鼻が顔より大きいなんて、おかしくねえ?」
「うーん、これは拳児君にはわからないかなあ…立派だと思うわよ」
葉子は播磨に様々な場所を案内した。海で観光用の船に乗り、動物達を見せ、美術館を歩いて回る。
視覚からの刺激と小学生に心地よいスピード感が、次第に播磨の笑顔を呼び起こしていた。
播磨にとって笹倉葉子とは、憧れの絃子とよく一緒にいるいつも笑顔の大人という
漠然とした存在でしかなかった。しかし今日この日、彼の葉子を見る目は一転する。
絃子とは全く違う性格であるはずなのに同じように優しく、同じように自分を楽しませてしまう。
その笑顔で見つめられるたびに、なんとも表現しがたい恥ずかしさに包まれる。
思いもよらぬ刺激を満喫しているうちにいつの間にか日は既に西に傾いていた。
「どう?今日は楽しかった?」
「スッゲー楽しかった!ありがとう、……葉子、さん」
「どういたしまして。拳児君、今度は拳児君が喜ぶ物持ってきてあげる。だから、元気だしてくれる?」
播磨は笑顔ではい、と叫んだ。その表情に安心し、葉子は播磨を家に送り届けて帰っていった。
その日をきっかけとして、播磨と葉子に交流が生まれはじめた。春休みが終わってからも、時間を作っては
葉子は播磨の家を訪れていた。絃子がいなくなり播磨にできた隙間は、葉子によって次第に埋められていった。
――うわっスゲー絃子姉ちゃんだ!葉子さん、絵が上手いんだな。宝物にする!
――ほらほら!オレも絵、書いてみた。葉子さん、よかったら…
――葉子姉ちゃん!…え?だって絃子姉ちゃんみたいだから…
はじめに葉子を動かしていたものは半ば義務感に似たものであった。
大学へ行く日が迫るにつれ、絃子は世話の焼ける彼について口にする事が多くなっていった。
クールでそれほど人と深く関わろうとしない先輩が何故そこまで気にかけるのか。
正直なところ葉子には分からなかった。
いなくなった後を憂う先輩のため――そのために、葉子は播磨に近づいたのである。
しかし播磨と機会を重ねるうちに、葉子にも絃子の気持ちが次第に理解できるようになっていった。
自分に向けられる思慕の念、同年代の男性のそれとは違った純粋な好奇心に満ちた視線、
影響を受け成長していく姿。葉子にとってもそれは新鮮で心地よく、飽きる事のない喜びとなっていった。
(…これは、ちょっと手放すのはつらいですよね。先輩)
播磨が葉子の影響を受け絵を描きはじめてからは、二人の『遊び』はその形を変えていった。
遠くへ出かけることは次第に減り、代わりに播磨の知る矢神の街を散策することに時間が費やされる。
「今日は何を描こうか?」
初夏に木々が生い茂りはじめれば一本の若い樹木を、星が綺麗に瞬く夜には空の景色を、
家族旅行をした日には両親や弟の修二を播磨は選ぶ。
「久しぶり。元気にしていたかい、拳児君?」
そしてもちろん、大好きな絃子が帰省してくれば彼女を描いた。絵を習っていた事に驚きながらも、
絃子は喜んで彼のモデルとなった。彼の大きなキャンパスに描かれた自分の姿を絃子はありがたく頂戴する。
葉子から少しだけ助言を与えられ、播磨はそこから自らの絵というものを少しずつ見出していった。
子供らしい乱雑な筆遣いはほんの少しずつ鋭さと正確さをおび、光や色の明暗が絵に現れてきた。
二人の『遊び』が共に絵を描く時間となり、葉子は自らの初めての教え子が伸びる様に
一喜一憂し続けていた。
そして、夢のような楽しい時は過ぎ去っていった。
「大学!?」
久しぶりに二人で絵を描いた帰り道。葉子が美大に合格したことが彼女自身の口から告げられる。
そこは絃子が通う大学よりも更に遠く離れた所にあるという。
まもなく播磨の顔に驚きの表情が浮かび、悲しみや落胆といった負の感情が次々と交じり合っていく。
「…そっか…葉子姉ちゃんも、行っちゃうのか…」
「ええ……四月から…」
「………おめでとう……」
二人はいつものような笑顔ではなく、どこかお互いに影を残しながら別れの挨拶を終えた。
以降二人の『遊び』はなくなりはしなかったものの、播磨は新たな場所を探そうとはせずに
葉子と共に訪れた事のある場所ばかりを選んで描くようになっていった。
そして葉子は播磨の言動から、自分のしたことが過ちであったと考えることになる。
別れは分かっていたはずなのに何故ここまで来てしまったのだろうか、彼女は後悔した。
「そうか……拳児君がな。君といるときは本当に楽しそうにしていたよ。これまでありがとう」
「先輩…私が間違っていたんでしょうか。結局また悲しませる事になっただけのような気がします。
拳児君と、関わりすぎたんじゃないでしょうか」
いよいよ二人の別れが目前に迫ったある日、絃子は葉子から電話で相談を受けていた。
話によると播磨が一年前と同じ状態に戻ってしまったということらしい。
どこにも出かけようとせず、なかなか会おうともしてくれないとか。
一年前の自分と後輩を重ね、その経験から絃子は安心させる単語を選び話しかける。
「拳児君には私からよく言っておくよ。あまり困らせるなってね。大丈夫、あの単純な彼のことだから
君がいないならいないでなんとかなるさ」
「でも、彼は友達もほとんどいませんし…私のしたことは何の解決にもなってなかったと
今更ながら思います。…遅すぎました、ね」
「おいおい、御両親だっているさ。考え込むな。君は間違っていなかったし、拳児君は十分救われたよ」
自分のしたことは逆に播磨のためにならなかったのでは、と考える葉子に励ましと感謝の言葉を送る。
小一時間ほど話し込んだ後、ようやく受話器を降ろす事ができた。
(まあ…彼もいいかげん姉離れをしなくてはな。丁度いい機会だ)
久しく顔を合わせていない従弟と、もしかしたら自分の時より深刻かもしれない友人の顔を
思い浮かべながら、その別れが後味の悪いものにならないよう絃子はそっと願った。
そして別れの日――葉子の足取りは重かった。どうしても、播磨のことが気に掛かってしまう。
彼女は播磨との離別よりも、その後彼がどうなるかということのほうが気がかりであった。
友人をつくり、楽しい学校生活を送れればいいがその逆になってしまったら。
彼は不器用であるから、同い年の子供では彼の良さを知ることができないのでは?
両親に見送られてからまず播磨の家を訪れてみたが、朝からどこかに出かけてしまったらしい。
自分が来る事を恐れていたのだろうか。仕方なく、彼女は駅にそのまま向かった。
「拳児君!?」
ふと駅の改札口を見ると、そこにはよく見知った顔の少年がいた。
驚いた事に自分が来るより早く駅に来ていたらしい。傍に駆け寄って彼の顔を確かめる。
播磨は一年前とは違う、子供なりの決意を秘めた顔つきをしていた。
「拳児君……ありがとう。来てくれたんだ」
「うん。あのさ」
葉子の顔を見据えながら、少年は物怖じせずに話を続ける。
「オレ、頑張るよ。葉子姉ちゃんは心配しないで」
「え…?」
「絃子姉ちゃんにさ、言われたんだ。私みたいな思いを葉子姉ちゃんにさせるんじゃないって。
一年間お世話になって、成長したんなら言いたいことを言って笑顔で見送れって」
拳児の言葉に、葉子は驚いた。彼はそんな大人の理屈で納得するような子供ではないと思っていたからである。
なおも彼の話は続く。
「オレ…一年前、絃子姉ちゃんとほとんど何も話せずに別れたのが嫌だった。話そうとしても
悲しくなってそのせいで話せなくて、悔しかった……んだと思う、きっと。だから今度は
一杯話そうって決めたんだ。……昨日…絃子姉ちゃんに言われてから、だけど…」
「拳児君…」
言っている事がややつながらないが、目の前の彼は一年前の自分を克服しにいまここにいる。
そう葉子は解釈した。
「絵、教えてくれてありがとう。色んなところ連れてってもらって、ありがとう。
んっと…宿題教えてくれたり、絃子姉ちゃんの昔の話を聞かせてくれてありがとう。ええと…」
「…もういいわ。こちらこそありがとう。楽しかったわ」
必死に感謝の言葉を口にする播磨の姿を見て、葉子は先程まで胸の中で渦巻いていた不安が
安らいでいく事を感じていた。目の前の少年のさみしさを隠した勇気に元気づけられ、彼女にも笑顔が戻っていく。
その後、列車が出発する瞬間まで二人はベンチに座り話し続けた。
何を話していたかはよく覚えていない。確か思い出話に花を咲かせていたような――と葉子は苦笑する。
列車に揺られてから既に一時間ほどが経過していた。
(…私がここに戻ってくる時、拳児君は中学生か…)
もしかしたらカッコいい男の子に成長してるかもしれないその姿を想像し顔がほころんでしまう。
葉子はいつもとどこかが違う笑顔を浮かべながら、彼との『遊び』の日々をもう一度思い返していた。
そして笹倉葉子が矢神高校に赴任したとき、彼女は再び耳にすることとなる。
矢神一の問題児――播磨拳児の名を。
「ん……」
眩しい日の光が顔に差し朦朧とする意識を刺激する。窓のほうを眺めてみると、
雲の間から少しだけ太陽がその姿をさらけ出している様子が見えた。
日光が溶け出した雪に反射して、その輝きが数多の宝石を連想させる。
「あ、いけない…!」
先程まで寝入っていたことに気がついて笹倉葉子は慌てて机に向きなおした。
さほど広くもない美術室備えの個室にお気に入りの大型ヒーターを持ち込んだのが
まずかったのだろうかと反省する。換気のために窓を少し開き、念のためにと鞄から手鏡を取り出す。
そこに映った自分の顔には、枕代わりにしていた服のシワの跡が残っていた。
職員室でなかったことに安堵して、すぐさま三学期の成績をつける作業にとりかかる。
既に大半は終了しており、残すは最後まで課題の提出が遅れていた数名のみとなっていた。
あるテーマに沿って描かれた生徒達の力作をじっくりと眺めながら、先程まで見ていた夢を振り返る。
(……あんなに小さかった拳児君ももう卒業…か……)
理想の絵を描き表す以上に現実は厳しくて、その後播磨は不良と呼ばれるタイプに属してしまった。
彼を厚生させたいという姉としての責任感か、悲しみをより深くした一年間を与えてしまった罪悪感か。
新米の美術教師という身分で警察沙汰の事件に関わり、危険な目にあったことを思い出す。
我ながら無茶なことをしたものだと少しだけ頬が熱くなった。
支援
笹倉葉子の三学期最後の課題は、全学年で共通している。『一番大事な人』の絵を描くこと。
過去の絵を保管しておいて、一年・二年・三年と見比べることが彼女の密かな楽しみであった。
彼女の手にある絵は残すことあと二枚。今眺めている絵は名前を見なくともすぐに作者が分かってしまう。
彼の――播磨拳児の描く人はこの三年間全く変わっていない。
自分のようなゴマカシではなく、彼を本当に変える事の出来た唯一の少女塚本天満。
その絵に込められた思いは決して偽りのものではない。インクの跡が全く見受けられない判を取り出して、
力を込め朱肉に押し付ける。十分に染み渡ったことを確認し、『美術』の欄を目標に軽く叩く。
そこには『龍』のイラストが燦然と写っていた。
「…え…?」
播磨の採点が終わり最後の一枚に目を通したとき。葉子は思わず目を疑ってしまった。
最後の絵の作者は彼女もよく知る人物である。過去の作品を急いで取り出して見比べる。
過去のものと、今年の絵にいる人物は明らかに別人である。絵の中の人物が変わること自体は
珍しい事ではない。しかし、今回ばかりは事情が異なった。
昨年や一昨年に対象となっていたのは、葉子にさえよくわからない絵を描く不思議な少年。
なのに今年描かれているのは、教職についてはじめての『龍』を与えた先程の彼。
特徴のサングラスやカチューシャをつけていない彼を描いた生徒の名は―――――――塚本天満
全ての事情を理解した後、先程の播磨の絵を取り出して二つを並べてみる。
二人とも画家を志さないのがもったいないくらいの逸材だと葉子は思った。
とはいえ、今この二枚の絵があるのは彼ら自身の積み重ねがあったからである。
塚本天満の、そして播磨拳児のこれまでの人生があったから。
(それなら――)
それならば、あの二人だけの一年にも十分価値があったのでは。改めて彼女はそう信じることができた。
彼の絵に手を加えるのは忍びないと思い、付箋をとりだし一言だけ書きこみ隅に貼り付ける。
最後の成績表に先程と同じ判をつけ、全ての作業が。期限も迫っており急いで提出しなくてはならない。
葉子は鞄の中に成績表をいれて席を立ち、美術室の外から鍵をかける。
職員室への移動中に窓が開けたままであることに気がついた。
(……まあいいわよね。すぐに戻るし)
無人となった美術室の窓がガタガタと音を鳴らす。
すきま風の直撃を受け、貼り付けられた付箋がひらひらと揺れる。
そこには彼女の文字でただ一言だけ『おめでとう』と書かれていた。
おしまい
あとがき
刑部先生が笹倉先生より年上なら播磨と笹倉先生だけの時間があったかもしれないと
妄想したのがきっかけでした。中学編も書いたのですがかなり長くなってしまったのと
笹倉先生が一昔前の不良漫画のヒロインみたいになってしまったのでお蔵入り。
読んでくださった方々、支援してくれた方ありがとうございました。
よいね!
やはりIFスレは神がいるぜ。
>>795 心理や背景の描写が丁寧で良かったです。
♭でこういう話があっても、違和感ないかも。
あったかいラストです。GJ
>>795 GJ!
丁寧な描写のお陰で、ちょっと重めの話だけど、すんなり読めました
無理に恋愛に持っていかなかったのも高ポイント
>>795 すんなりよめて、とてもおもしろかったです
まあ、俺が超姉スキーってこともあるとおもいますが…
今までS3にいて、最近このスレを見始めたんですが、
今のS3には正直読むのが苦痛な作品が多いように感じますね。
ここのはとても読みやすいのばっかりでホントすごいと思います
すみません 794にミスがありました。
最後の成績表に先程と同じ判をつけ、全ての作業が。
↓
最後の成績表に先程と同じ判をつけ、全ての作業が完了する。
でした。orz...
感想くれた方ありがとうございます
802 :
夕凪:05/04/23 02:06 ID:tsntfZK6
海が見える。
青から橙へと染まりつつある黄昏の海だ。同じ青である空の青とさえ混じりあおう
とはしない――それは逆もまた然りだが――その色も、すべてを染める夕陽には敵う
べくもなく、ゆるゆると色彩を変化させていく。
そんな景色を前にして。
「……」
播磨は一人溜息をついていた。サングラス越しにも分かるはずの刻々と変わりゆく
グラデーションも、彼の瞳には映っていない。
そもそも、別に景色を見ようとベランダに出てきたわけではなかった。ただ、部屋の
中にいる、というそのことに圧迫感にも似たものを覚え、ふらりと足を踏み出しただけ。
なにもかもがどうでもいい。
ある意味で、それが彼の今の本音だった。
「たそがれてるな」
なんだ、ちっとも似合いやしない。
そう声をかけてきたのは、当然ながら。
「……なんだ、イトコか」
「なんだはないだろう。大体な、ウチには君と私しかいないんだから当たり前だ」
「……そうかよ」
なにを言い返す気力もないのか、投げやりなその一言だけを返してよこす播磨。それを
見て小さく肩をすくめてから、手にした缶ビールのプルトップを引き抜く絃子。カシュ、
という小さな音が響く。
「……んだよ、昼間っから酒かよ」
と、気怠そうにしながらも播磨がそこに反応を見せる。内心でやれやれと呟きつつ、
いつもと変わらぬ調子で絃子が口を開く。
「昼間? 寝ぼけてるんじゃないのか、よく見てみろ。もうとっくに夕方だ」
「……」
言われて初めて気がついた、とでもいうかのように辺りを見回す播磨。その黒と白だけで
構成されたモノクロの視界に、唐突に単色ながら鮮やかな色彩が飛び込んでくる。
夕凪の橙。
「それにな、仕事はきっちり片付けてあるし、明日は休みだ。別に何の問題もない」
違うか、という問に対する答は、けっ、と小さく吐き捨てるような声のみ。それでも、
返答があっただけましだとでも思ったか、絃子は話し続ける。
803 :
夕凪:05/04/23 02:06 ID:tsntfZK6
「さて、君がまったくらしくもなく悩んでるようだから、内容を当ててやろうか」
「うるせぇよ……」
「ズバリ塚本君のことだな」
播磨は答えない、が逆にそれがなにより雄弁な回答だ。
「まあそうだよな。君が勉強のことで悩んでいたりしたら一大事だ、学校中に触れ回って
やりたくなるよ」
そこまで言ってから、意外と面白いかもな、と頷く絃子。
「よし、今度やってみるか」
「テメェ」
ほんのわずかだが、遮光ガラスの向こうの瞳に覇気が戻る。直接見えはしないが、彼女は
そう思った。故に続ける。
「それは冗談として、だ。バカがバカらしくもなく、バカみたいに悩んでる、というのは
紛れもなく事実だろう? しかもオンナのことで、だ」
「バカバカバカバカ言うんじゃねぇ」
だってバカじゃないか、そう言ってビールをあおる。残りは半分ほど。
「彼女の気持ちをだとかなんとか、どうせまたそんなことを考えてるんだろう? 別にそれが
駄目だとは言わないさ、むしろ正しいくらいだ。余計なことをするくらいなら身を引く、
うん、ご立派ご立派」
言葉そのものとは裏腹に、その物言いは挑発的。事実、徐々に播磨からも腑抜けた部分が
消えていく。
「だけどね」
しかし、そこに絃子が一撃を打ち込む。
「それじゃ君の気持ちはどうなるのかな」
く、と一瞬播磨の息が詰まる。
「なにもしないのが一番丸く収まる。誰にとってもそうだろうな、この場合。ただし君は別だ。
それを理解出来ても納得は出来ないんだろう? だからここでこうしている」
ふん、と小さく笑い飛ばしてから残ったビールを再びあおる。缶はほとんど空だ。
「あいにくと、私は君の心配をいちいちしてやるほど心は広くない。だけどね、家の中に
辛気くさいのが一緒だと気が滅入るんだよ、どうにも」
別に今すぐどうこうしろとは言わないけどね、そんな言葉を放つ絃子の視線は、けれど
彼ではなく彼方に向けられている。黄昏に覆われる、街と海。
804 :
夕凪:05/04/23 02:07 ID:tsntfZK6
「どちらにせよ、そこでいじけていてもなにも変わらない。バカはバカなりに、出来ること
でもやってみたらどうかな、と私は思うわけなんだが」
「……」
説教でもなければ忠告とも違う、そんな絃子の話にも播磨は答えない。
が、やがて黙ったままで部屋に戻ろうとする。
「ん? どうするんだ?」
「ちょっとひとっ走りしてくる」
「そしてそのまま彼女の家に押しかけて告白、か。大胆に出たな」
「……んなワケねぇだろ」
返すげんなりした顔に、それでも前向きな色を認めて、そうか、と絃子。
「じゃあ夕飯の材料でも頼もうか」
「お前な……って材料? なんか作るのか?」
「そうだ、たまにはいいだろう。……なんだその顔は」
「……別に」
これ以上ないくらいに不審そうな顔をして、それでもきっちり買物の内容だけは聞いてから
出ていく播磨。結局のところ、居候は家主に逆らえないのである。
「ここから放り出して家に帰すのが一番の気もするんだけどね……」
一人になってぼやく絃子。溜息混じりに外に目をやる。
「あと一年くらいは面倒見てあげるよ、拳児君」
せいぜい手間をかけさせないでくれ――そう言った顔は、決して彼本人の前では見せること
のない、穏やかなもの。やれやれ、ともう一度だけ呟いて、残り少ないビールを飲み干す。
視線の先、夕凪の海と街がただ静かにそこにあった――
支援
確かIFスレは作者のために辛口で、というはずだったのだが。
>795みたいに典型的な設定厨と天満hateが受け入れられてるようじゃ
ここもS3と同じになるぞ
>>806 ???
795のどの辺りが天満hateになるんだ?
俺にはさっぱり分からないんだが。
>806
俺は作者の希望通り読み飛ばしておいたぞ
>確かIFスレは作者のために辛口で、というはずだったのだが。
そういう呼びかけがあって、その場の住人がその時点で大方同意してたとしても、
全ての住人がその姿勢に従うワケではないだろうし。
結局、色々な考え方の人間が出入りする以上、治安呼びかけても自分と嗜好の違う一部の意見としか映らないもの。
混沌としたり、一方的雰囲気に染まるのは仕方ない。
大方
>>808 みたいな読み方が気楽で固定化しなくていい。
部分的な洗練はされにくいかもしれないけど。
投下します。
最近、愛しの彼女に悪い輩が憑いている。―――何と言う事だと、彼は目に怒りの炎を滾らせた。
あの男は、自分の欲望の為だけに彼女に付きまとっているに違いない。
何と言う悪漢だ。何と言う鬼畜だ。……絶対に、許すわけにはいかない。
そんな事を考え、彼は。
花井春樹は、打倒播磨拳児に乗り出した。
「……あん?」
「?……どうか、しましたか?播磨さん」
肌寒い風の吹く屋上に二人―――塚本八雲と播磨拳児はいた。
「いや……。何か変な気配が……」
「……?」
「ああ、いや。なんでもねえ。……それより妹さん、どうだ?渾身の出来なんだが」
「は、はい。ここはもう少し―――」
「あ、なるほど。でもよ、ここは―――」
二人は校内公認のカップルと言われているが、実際はそうでもない。
播磨拳児が塚本八雲に、書いた漫画を見て貰っているだけだ。
少なくとも播磨にはそれ以上の意味は無い。―――八雲にとってはまた別だが。
―――さて。この二人、かなり距離が近い。傍から見れば、仲睦まじいカップルに見える。
だからこそ。―――だからこそ、それが屋上の隅から覗いている彼には憎いのであり。
「――――――!誰だ!!」
「は……播磨さん?」
「さっきからビシビシ殺気飛ばしやがって!出て来い!!」
流石校内一の不良である。―――殺気なんてどう感じるのだろうか。
さてはともかく、気配を感じ取られた彼は二人にその姿を見せる。
その姿は、言うまでもなく。
「―――メガネ?」
「―――花井先輩?」
「……オノレ播磨!我が女神を誑かしおって!成敗ッ!!」
いきなり播磨に飛び掛ってくる花井。
―――コイツ、殺る気だ!
花井が本気で仕掛けてくる事に気付き、咄嗟に横に飛んで逃げる。
「何故避ける!」
「避けるわ馬鹿たれ!!何のつもりだ、テメェ!!」
「貴様……知らぬとは言わさん!他の皆も、貴様に恨みがあるのだ!!」
「何……!?」
「ヘイ!皆、カモン!!」
明らかにキャラの壊れた花井の呼び声に、何処からか―――言い方は悪いけどまるでゴキブリのように、と八雲は後に語る―――大量の男子生徒が現れ、播磨を包囲する。
「お前ら何なんだ!」
「皆お前が憎い奴等さ!!」
「ハァ?―――って言うか、こいつら殆どウチのクラスの面子じゃねーか!」
「正味な話、お前を恨んでいる人間が余りにも多いからひとまずウチのクラスの皆を代表とした」
「だから、恨まれる理由がわかんねえ!!」
「まだ言うか!!」
殺気が膨れ上がる面々。―――播磨と八雲には、訳が分からない。
八雲がひとまず聞いてみる。
「あ、あの……花井……先輩……?」
「―――ん?何かね八雲君」
播磨に見せた鬼のような形相と打って変わって藤田和日郎のマンガにでてくる「イイ笑顔」で対応する花井と、その愉快な仲間達。
八雲は、彼らの心を見ないように播磨に擦り寄った。―――何時の時代も、本能で生きる男の心は放送禁止炸裂な物である。
播磨と、彼に縋っている八雲を見て更に殺気が膨れ上がる面々。
いよいよ、断罪を行う。
支援?
「播磨拳児」
「だから何だよ!―――いい加減、イラついてんだ!!」
「―――塚本八雲」
「……私?」
「―――沢近愛理」
「お嬢?」
「―――姉ヶ崎妙先生、刑部絃子先生、笹倉葉子先生!」
「なんだそりゃ」
「場合によっては高野晶、周防美琴、一条晶、果ては嵯峨野まで!!」
「だからなんなんだよ!!」
「―――お前に好意を寄せる女達だ!!」
「―――ハァ!?」
呆気に取られる播磨。―――そりゃそうだ。彼には本当に身に覚えが無い。
そもそも高野、周防、一条とは余り接点が無いし、嵯峨野って誰?見たいなレベルだ。
八雲も呆気に取られていたが、やがて意味を理解するとリンゴよりも真っ赤に染まった顔を手で隠した。
そしてその後、彼に想いを寄せる面々の数に思わず播磨を非難の目で見た。
「分かったか。―――これが、貴様が断罪される理由だ!」
「分かるか、バカタレェェェェェェ!!」
「皆、かかれ!―――八雲君はこっちへ」
「え?…………嫌、です」
いきなり話を振られて驚いた八雲だが、拒否の意を示す。
このままでは播磨が危険と判断したらしい。
「おい、妹さん!ここはアイツの言う通りにした方が―――」
「……嫌です。嫌です、嫌です!―――ここが……私の場所です」
「ちょっ!冗談いってる場合じゃないぞ―――」
「冗談なんかじゃありません!……いさせて……下さい」
「う、うううえええ?」
「―――やくも、くん」
花井の、呆然とした声。―――泣いている。
八雲は少し罪悪感が湧いたが、それでもこの想いだけは譲れないとばかりに播磨に引っ付く。
「―――皆、撤収だ」
「な、何だってー!……いやいや、ちょっと待てよ花井!!」
「今日はコイツに天罰を喰らわせるんじゃなかったのかよ!」
「俺ら死ぬ覚悟できたんだぜ!遺書だって書いた!!」
「俺なんか彼女と涙の別れをしたんだぜ!!」
「―――いいから、撤収だ!!……あと、彼女持ちが来るな!―――彼女が悲しむだろう、あとで処罰だ!!」
「うええええええ!?」
血涙のでる思いで撤収命令をだす花井。
あっという間に、帰る時もゴキブリのようなスピードで撤収する面々。
そして後には、播磨と八雲、そして花井が残された。
「メガネ…………」
「花井先輩………」
「…………播磨、彼女を幸せにな」
「え?―――いや、ちょっと待て、オイコラ」
「さらばだ、愛しの女神!!」
凄いスピードで去っていく花井。
播磨と八雲は顔を見合わせる。
「な、なんだったんだ、今のは……」
「あ……あの」
「ん?」
「その……さっきは……その」
「さっき?……ああ、アレか」
「……!」
「いやぁ、俺なんか庇ってくれなくても良かったんだぜ?あの程度の数なら余裕だ」
「……!?い……いえその……そういう意味じゃ」
「しっかし優しいなぁ、妹さんは。俺なんか庇ってくれて!」
―――これは、駄目だ。
八雲は、播磨のあまりの鈍さに頭を抱えたくなってしまった。
「でもよ、あいつら馬鹿だよなぁ。俺を好きな奴なんているわきゃねーだろーに」
「…………」
ここに一人います。―――そう心の中で叫ぶ。
しかし播磨には届くはずも無く、八雲はこれからだと気合を入れた。
そうしてまた、何時もの日々が続く。
おまけ
―――また何かややこしい事になるんじゃねーのか!?
そう気付いた播磨は、二日後に愛しの彼女から祝福を言い渡されまたヘコむ事になる。
以上です。すいません、メシ食ってました。
支援してくださった方に感謝。
誰だ、一条晶w
かれんです。すんませんorz
三作同時に見ました。グッジョブですた!
ところでそろそろ次スレの予感?
釣りですか?w
/''⌒\
,,..' -‐==''"フ /
(n´・ω・)η あと58KBあるがなー
( ノ \
(_)_)
~"''"""゛"゛""''・、
"”゛""''""“”゛゛""''' "j'
:::::ヘ :::::....ヽ :::;;;ノ ::(
:: ゝ :::::......ノ:;;..:::::::ヽ
GJ
SSかけるだけの文章力があるのはうらまやしかとです。こっちはコネタorz
いずれはお題を決め妄想力を競ってみたいものですな
GJ!一条晶
>804GJ!
絃子さんの気遣いがよかった。影から支えているという感じがはっきり伝わってきたよ
>819
こちらもGJ!
播磨の鈍感さがまたいいな。原作にもありそうですごくとっつきやすい。
>>819 GJ!!文の書き方とか参考になります。男子の面々が面白い
>>806 受け入れちゃいないよ。個々人が好きにレスしてるだけ。
おまいみたいな感想ももちろんアリ。作者に具体的に言ってあげては。
>>819 すがりつく八雲萌え(*´Д`*)
>>826 ありがとうございます!次も頑張ります。
>>827 俺の文は参考にしちゃいけない!!w
>>828 正直に言おう。―――超姉だけじゃない。
おにぎり、旗、鉛筆、携帯、お姉さん……皆好きd(ry
第三者視点から書けるなら十分参考になるよ。
……どーやったら台本みたいなSS書かずに済むんだろうか……。
>>831 そこは聞かない方が良いんじゃないかとか思ったり。
とりあえず王道マダー?チンチン(AA略
>>831 というか王道派の方々には悪いですが、王道の情景を想像できないw
あんまり徹底した一方通行ぶりですから……。
徹底した一方通行ならおにぎり、旗、超姉、お姉さんも皆同じだと思うけど
鉛筆、携帯は接点すらないしさ
>834
探せば大丈夫!!少なくとも超姉はそうしてきたし、私もコネタ氏としてそうしてきた
現実に限界はあるが妄想に限界など無いのだよ
探すって、王道を?
王道は探す必要が無いくらいねたがあるだろ、鉛筆とか携帯のほぼ描写ゼロ派閥だよ
鉛筆は見つけにくいほどではないが
妄想を出来る人もいれば出来ない人もいる。
ネタがあっても書けない人もいる。
自分が書けるものを書いていけばいいと思う。とか書けない自分が行ってみるテスト
>>819
八雲に胸キュン(*´Д`*)
おにぎりっぽいの投下してみまつ。
見てやってください。
「播磨くーん!遅れてごっめーん!待ったー?」
「い、いや、今来たところさ!」
校舎の屋上で、いかにも不良といった風体の男に、ピコピコ髪の女が声をかける。
そして、ここにもう一人・・・
「姉さん・・・」
「あれ?八雲もいるの?」
「あ!もしかして!」
天満はにやけながら二人を見る。
そうか、きっと二人はデートか何かだったのね!妬けちゃうなあ!
そんなことを考えて・・・
「あ!ところで、今日は何の話?」
「それなんだがよ・・・」
「実はよ・・・、俺、俺は塚本・・・いや天満チャンのことが・・・・!」
「え?」
「スキなんだああああぁぁぁぁーーー!!!」
突然の告白。
予想外の展開にまともに困惑する天満。
「え?え?え?何を言ってるの!?だ、だ、だって!播磨くんは八雲とつきあっ・・・」
「あのね、姉さん。それは違うんだ。」
困惑する天満をよそに、八雲が話に割って入った。
八雲はぽつりぽつりと語り始める、
ところどころ播磨に支えられながら。
そうして、少しずつ播磨と自分の誤解を解いていった。
こういうことに超がつくほど鈍感なくせに思い込みしやすい天満であったが、
八雲の珍しく真剣な語り口に、疑いは晴れていった。
「私が今日ここに呼ばれたのは、その誤解を解くためだったんだ・・・」
やっと肩の荷が下りた・・・
ほっと息をする八雲。
この思い込みしやすい姉に誤解を解こうとするのは難解であったろう。
だが、事は播磨の、大げさだが人生がかかっていること。
結構なプレッシャーを感じていたのかもしれない。
「そうだったんだ・・・?播磨くん、今まで誤解してゴメンね・・・」
「いや、そんなのはいいんだ・・・、それより・・・」
播磨は固唾を飲み込む。
「それより、どうなんだ?その、返事の方はよ・・・?」
「えーと、それなんだけどね・・・あのね・・・ごめんね、播磨くん・・・。私、つきあえないよ。」
ふっ・・・、やっぱりそう来たか・・・。
初恋は実らず、か・・・。よく言ったものだぜ・・・。
初めから覚悟していたとはいえ、播磨のショックは大きかった。
だが――
「いや、いいんだ・・・塚本・・・。こうなることは分かってたからな・・・」
「播磨くん・・・」
「そんな顔するなって!塚本は笑顔の方が似合うぜ?」
「播磨くん・・・、ごめんね・・・。ホント何て言ったらいいのか・・・。でも、私には好きな人が・・・」
「塚本さぁ・・・烏丸のこと好きなんだろ?」
「え?」
「ああ、いいんだ。わかっていたんだ。塚本が烏丸のこと、好きなこと・・・どれだけ愛してるかってこともさ・・・」
「播磨くん・・・」
「いや、その・・・何ちゅーか、結果はダメって分かっててもよ、やっぱケジメはつけねーといけねーと思うんだわ。」
「あの・・・」
「あ、いいんだ、俺のことはよ。今あったことは忘れてくれ。ってか、覚えたくないだろ?心が重くなるだけだもんな。
いやー、俺の方はよ、お陰でスッキリしたからさ!いいんだ、忘れてくれて。」
そして、播磨は踵を返すと、
「じゃ。」
と一言、屋上から後を去った。
後には塚本姉妹が、重い沈黙をかかえながら残された・・・
一連の出来事を、ただ傍観していた八雲。
そりゃ、播磨さんの告白がうまくいくとはちょっと思えなかったけど・・・
出て行くとき、播磨さんの顔ちらっと視えた。
播磨さん、泣いてた・・・
八雲の心の中に何か黒いものが渦巻いてくる
「姉さんヒドイよ!」
突然、沈黙を破り、八雲が声をあげる。
「八雲・・・?」
珍しく真剣に怒る妹を見て、まともに動揺する天満。
「播磨さんはあんなに姉さんのこと想ってたのに・・・」
八雲は天満につめよりながら言う。
「あんなに姉さんのために考えてくれる人、他にいないよ?それなのに!そんな優しい播磨さんの気持ちを踏みにじっ
て・・・!」
「八雲・・・」
八雲は泣いていた。
泣きながら困惑していた。
何で?何で私、涙が出ているの・・・?
播磨さんに同情・・・?
ううん、違う・・・。これは同情なんかじゃない・・・。
じゃあ一体・・・?
支援
「でもね、八雲・・・?それで、だからと言って同情みたいな形で播磨くんとつきあったとして、それで播磨くんが喜ぶと
思う?」
「え・・・?そ、それは・・・」
「それに、八雲?播磨くんには八雲がいるじゃない?」
「だから、それは誤解だって・・・」
そう言いかけると、天満は八雲の両肩を掴み、
八雲の目をじっと見て言う。
「ううん、やっぱり八雲は播磨くんのことが好きなんだよ・・・
だって、播磨くんのこと話してる八雲、恋する目をしてるんだもん。」
「え?」
言われて顔を赤らめる八雲。
そんな・・・まさか自分が恋を?
「それに、さっき播磨くんのこと語ってる八雲、真剣だった。好きじゃないとあんなことできないよ・・・」
「・・・。」
私が播磨さんのこと・・・
私のこの気持ち・・・
播磨さんが義理のお兄さんになるかもしれないから・・・だから身近に感じてるんだと思ってた・・・
「八雲?」
「え?あ・・・えっと、他のこと考えてた・・・」
「八雲ぉ〜(笑)」
にこにこと微笑む天満。
「よし、いつもの八雲だ!八雲、落ち着いたね?」
「え?うん・・・」
「じゃあ、播磨くんを追っかけて慰めてあげなさい!八雲!」
「え?」
姉の突然の物言いにたじろぐ八雲。
「でも、姉さん・・・。播磨さんは私のことなんて・・・」
「や〜く〜も!」
「・・・?」
天満は八雲に顔を近づけ・・・
「お姉ちゃんパワー!」
「!?」
八雲の額に自分の額をつける。
「八雲、失恋ってと〜〜〜っても辛いことなんだ。時には死んでしまいたくなるくらい・・・」
「ね、姉さん・・・」
姉さん、それはオーバーなんじゃ・・・と思う八雲。
でも、すぐに思い直す、
そうなのかも?
自分は恋愛のこと、まだよく分からないから。
「そういう人を一番よくわかって慰めてあげられるのは――いつも側で支えていた人――だよ。
播磨くんのいつも側にいた人は誰?例えそれが誤解だったとしても、だよ?」
「姉さん・・・」
八雲の顔に薄っすらと笑みが戻る・・・
「ありがとう・・・姉さん・・・」
言いながら、播磨を探しに駆けて行く八雲。
「ふう・・・」
天満はため息をつくと、
「さっきの播磨くん・・・、ちょっとカッコよかっなぁ・・・
八雲が惚れるのも分かるかも・・・」
言って、はっとする天満。
すぐに首をぶんぶんと横にふる。
「でも、やっぱり播磨くんには八雲がお似合いだよ・・・。
お互いの足りないところを支えあってていい感じだよ。
初々しいよね。
播磨くん・・・、八雲のこと、大切にしてあげてね?」
そして、天満は屋上を出て行き、後には静けさだけが残った。
* * *
「・・・って夢見たの!どう思う?八雲!」
「あの、姉さん・・・?」
「ありえないよね!播磨くんは八雲とラブラブなのに!」
「だ、だから、それは違・・・」
仲良く朝食をとる塚本姉妹を横に、伊織が欠伸をしていた。
――おちまい――
エロパロ用に書いてたら途中からエロい展開思いつかなくなったので
路線変更してこちらに書かせていただきました。
見てくれた人どうもありがとうございます。では。
ベタなオチに騙された……ちっくしょー……色々突っ込もうとしたこと全部どうでもよくなったGJ。
GJです!フぅぅぅぅぅ!
なんか原作でもありそうな展開と落ちだな。
GJ
正直キャラのセリフ回しとかちょっとクサいというか違和感が…
と思ったらオチで評価反転。GJです。
計算ずくだとしたらうますぎる。
いやほんとGJですがな。
これのエロバージョン…気になるよ〜
>>849 GJ
天満がこういうシリアス路線で主役をはれるのは夢の中だけか・・・
何か本気で可哀想に思えてきたw
なら文末にwなんて付けんなよバカ
うはw 夢オチとはやられたYO!クオリティ高スwwwww
投下します。
―――――――――――――――――――――――――――
【題名】フラワータイガーの戦い(BY播磨豚)
【著者】Classical名無しさん
【総レス数】15レス(+ まえがき1レス + あとがき1レス)
【備考】全3章
―――――――――――――――――――――――――――
もしよろしければ、
連続投下防止のため支援していただけると助かります。
【第一章 「私」】
パチパチパチ…
庭で枯れ木を燃やす音。
ほどよく乾燥した小枝が立てる音が心地良い。
パチッ パチッ パチッ…
そして私達が奏でる旋律も、きっと心地よい。
静かで、穏やかで、でもその中にも確かに魂があって。
そんなひとときが、私は嫌いではなかった。
そんなことを考えていると、彼が話かけてきた。
最近、だんだんと私の側にいる時間が多くなっている、彼が。
播磨「恋って何なんだろう」
私 「解らない。でも…」
播磨「でも…?」
私 「きっと、今、私達がしてることも、その1つの形…だと思う。」
彼がほんのり頬を赤らめるのが見えた。
――かわいい。
そう思いながら、私は閉ざされた世界に堕ちていく。
彼が追い続けた夢。
それに一歩近づいた「あの日」を想いながら…。
【第二章 「播磨拳児」】
―――――――――――――――――――――
好き――なんて不思議な言葉。
口にした瞬間、世界が変わる。魔法の言葉。
きっと言うから。キミが――。
―――――――――――――――――――――
…いやー。まいったぜ。本当に変わるとはなぁ。
え?何がって。それはな…ヒミツだ。
俺か?俺の名は――
――俺の名は播磨拳児。
あれは空も赤らみ始める秋の日のこと。
俺は念願の講談社新人漫画賞で佳作を授賞した。
残念ながら大賞は取れなかったが、俺は満足している。
なぜなら俺にとっての大賞は天満ちゃん、君だから。
…恋の大賞…恋の対象…。
フッ。我ながら上手いことを言う。
そうだ。
この気持ちを詩(ポエム)に乗せて、天満ちゃんに贈けたい。
俺は早速、詩の作成に取りかかった。
…大賞と佳作、か。
どうも、ポエムにするには語呂が悪い。
更に言い換えてみよう。
…銀賞と金賞。
小学校の作文コンクールにちなんでみた。
う〜ん。まだ使い難い。もう少し。
…銀と金。
なんかヤクザ臭いな。
もういっちょ。
……金銀。
これだ!
よし。金銀。いかにも黄金コンビ、もとい、恋人同士みたいだ。
俺は早速右手でGペン、左手でピンクの紙を取り出した。
そして、勢いよく想いの猛りを書き連ねていった。
――――――――――――――――――――――――――――
僕は銀 君は金 どちらもキラキラ マイエンジェル
でも 君の輝きの前で ぼくは無力さ灰色さ
だって 君の色は 太陽の色だから
天満ちゃん――僕は君が
「好き」
――――――――――――――――――――――――――――
そう、あの時は、本当に変わるとは思ってもみなかったんだよ。
スキ ラヴ リーベ ベイベ
好きだ 天満ちゃん ずっと、ずっと 君を…
抱 き し め る !
………
花井「…おやめください。王」
パリンッ
播磨「………………ウホッ!?」
播磨の目が黒メガネを突きぬけた。
スッ
一瞬の間も置くことなく、美しい影が現われた。
この神々しさ…天満ちゃんか!?
今鳥「どうぞ、王の心の赴くままに」
意外にたくましい肩をしている。
播磨「………………」
言葉も出ない。
そこには確かに金と銀があった。
【金】髪日本人と【銀】ぶちメガネであはあったが。
暫く不思議な沈黙が続いた。
播磨「…なんのつもりだテメーら。」
何とか切り出したのも束の間、嗅ぎなれない匂いに興奮が冷める。
周りはどこもかしこも海。海。海。
大地は木。整然と引かれた幾本もの黒線。
そして妙な服装をした馴染みあるクラスメイト達。
なぜか皆殺気立ち、喚いている。
何をそんなに殺気立っているのか。とりあえず耳を傾けてみる。
沢近「ちょっと!ヤク!何やってんの!さっさと助けなさいよ!」
八雲「あ、あの…ヤクじゃなくて【角】です。金崩れ…じゃなくて、【飛車】近先輩」
奈良「ブツブツ…ぼくもいつかあそこまで辿りついて…念願の奈良超進化(【と金】化)計画を…」
ララ「【香車】・ジョー!ワタシ達にはただ直進あるのみ!勝負するゾ!」
東郷「ハリーは【飛車】、俺は【歩】…。フッ…。華を持たせるのも委員長の器量。フフッ、フフ歩歩歩…」
気味の悪いモノを見た後はこうなるのだろうか。
トリハダと冷や汗が全身を包み込む。
播磨「…なんだこりゃ?」
播磨は、あまりに日常離れしたその光景に、ただ恐れ慄くのだった。
しばらくして、この世界には重要なものが欠けていることに気付く。
播磨「天満ちゃん…。天満ちゃんはどこだ!?」
嫌な予感が体をよぎり、必死に周囲を探す。
途中、両脇を固める【金】と【銀】が、
「王、危ないです。下がりませいっ。」
などと叫びながら、肉で鋏んできても、そのような些細なことを気にしている場合ではなかった。
…ピコンッ
潮風に乗って聞えてくるピコピコの音。
本来聞えるハズのないその効果音を、播磨は聞き逃さなかった。
これも愛故なのだろうか。
播磨「その音は…天満ちゃんっ!?」
その効果音の方向、「捕虜」と書かれた立て札の元に、天満はいた。
王、銀と金、飛車近、ヤ…角、<歩東郷>…そして捕虜。
播磨はだんだんとこの世界を理解し始めていた。
??「ようやく気づいたようだね」
この声。忘れるはずもない。
ヤツだ。
遥か彼方、しかしこの土地において、対極をなすその座。
そこにヤツはいた。
播磨「烏丸!」
そう。天満を捕らえて放さない者の名は烏丸だった。
播磨「天満ちゃんを…返せ!」
烏丸「それはできない。今のぼくには、塚本さんが必要だから。」
播磨の目が驚きの色に染まる。
今、烏丸はハッキリと言い切った。天満が必要だと。
しかし、その言い方に愛などははなく、王の立場ゆえの冷徹ささえ感じて取れた。
だから…許せない。
烏丸の天満に対する扱いに。
天満の気持ちを無視(?)した強引な手段に。
だから、播磨は猛る。
播磨「ならば!お前を倒して天満ちゃんを奪い取る!」
播磨王直々、烏丸王への道…王道(ロード・オブ・キングス)を駆け上がり始めた。
天満という一人の女に命を賭けて。
…が
両脇を【金】【銀】ズに抑え付けられた。
「王、危ないです。下がりませいっ。」
一字一句違わぬセリフ。2回言った。
でも実行力は以前と段違い。
猛ってはみたものの効果は上がらず、困り果てた播磨。
プライドを捨て、烏丸と取引きしてみることにした。
播磨「烏丸、おまえの【桂馬(捕虜)】と、こちら【成り飛車】。交換しないか?」
沢近「なっ!何言ってんのよ?このヒゲ!佳作…じゃなくて銅賞のくせに!」
そうだったのか…。佳作って銀賞じゃなくて銅賞だったんだな…。
密かに落胆するが、喚き散らす【成り飛車】を無視して交渉を続けることにした。
播磨「【桂馬】と【成り飛車】だぞ?この戦力の違い。お前にとっても悪くない話だろ。」
天満ちゃん。卑屈な俺を許してくれ。これも…君を助けるためなんだ。
沢近「〜〜む〜〜〜〜!ム〜〜〜〜〜〜むぅ〜〜〜〜〜♯!!」
しかし、播磨の願いも束の間、烏丸はあっさり言い切った。
烏丸「それはできない。あの【桂馬】…塚本さんは、僕にとってかけがいのない女性だから。」
ガーン、ガーン、ガーン…ガーン…
言い切られた。
さっきのは、勘違い、いや、自分の都合のいいように解釈しているだけだった。
烏丸は、いつからか、自分の知らぬ間、知らぬ場所で、天満を愛し初めていたのだ。
そして、捕虜所には目をハート型にして烏丸君にフワフワしてる天満。
悪夢。
まさに悪夢。
播磨「はは…これは夢…だ…」
うおぉぉぉ。
戦場を声にもならない嗚咽が響き渡る。
顔をあらゆる汁で汚して泣き崩れる。
ただ、泣く。泣いて、泣いて、泣きまくる王。
既に王の威厳(?)など失われ、味方の士気は冷め、戦場を去る者も出始めていた。
絶望。
まさに絶望。
でも、それでも。諦められない。
王は、ただ、惨めに、下々の者に、頭を下げ、あげくには土下座し、縋った。
播磨「なあ、誰か、頼むよ…。塚本を助けてくれよぉ。なぁ…メガネ。」
花井は気まずそうに目を逸らした。
播磨「なあ、お嬢…。」
沢近は、動かなかった、いや、動けなかった。激しい衝撃が彼女を襲っているようだ。
播磨「い、妹さん…」
播磨のつぶらな瞳が「私」に向けられる。
(播磨さん…)
視界を涙が溢れ出す。
播磨さんの涙じゃない。
これは私の涙。
私にできること…。播磨さんのためにできること…。
私の視界を涙が満たした瞬間、世界が闇に染まり始める。
(あ、この感じ…。私、また…。)
私は再び、閉ざされた世界に堕ちていった。
【第三章 「塚本八雲」】
播磨「…ちゃん。八雲姉ちゃん!」
…誰かの呼ぶ声がする…
…これは…あの人の声?…いや、もっと幼い…
播磨修治「びっくりしたよ。急に寝むっちゃうんだもん。」
状況がつかめない。意識も朦朧としている。
しばらく考えた末、ある1つの可能性に辿りついた。
八雲「私、ひょっとして…寝てた?」
修治「そうだよ。突然何も言わなくなったと思ったら眠ってるんだもん。ビックリしたよ。」
八雲「(そうか、私、また…。)…ごめんなさい。」
いいよいいよと言う修治。心配してくれている。優しい子だ。
あの人のみたいに…
八雲「あれ?これ…」
ふと対局中だった将棋板に目を向ける。
いかにも終局目前とばかりに散らばった駒の配置。
記憶が途絶える前、殆ど対局は進んでいなかったはずだ。
おそるおそる聞いてみる。
八雲「あの、修治君。私、いつから寝てた?」
修治「え、ついさっき、3分くらい前かな。急に手が止まったと思ったら…」
修治の話を最後まで聞き終える前に、時計を確認してみる。
対局時間は約1時間。
修治の話が本当だとすれば、50分以上無意識で打っていたことになる。
そのまま振り帰り、再び将棋板に目を向ける。
その時、先ほどは気がつかなかった事実が、さらに八雲を驚かせる。
八雲「……………ウソ…」
敵の歩に囲まれた【成り飛車】、見事にブレイクした【と金】、一気撃ちに負け失われた右端の【香車】
そして………敵の王を一直線に狙う【角】
そこには、先ほど夢で見た戦場が再現されていた。
八雲「えっと…次は私の番だよね?」
修治「そうそう、早く打ってよ」
ソワソワする修治。
なるほど、ここか。
ここに捕虜となった金を置けば、王手、つまり修治の勝ちになる。
でも…
八雲「王手」
意識を失った八雲にさえ、修治は勝てないのだった。
縁側には、主のいなくなった将棋板。
初勝利一歩手前での敗戦が堪えたのか、修治は降参してすぐに立ち去ってしまった。
だから、盤上はそのままに。
王の上に、兵が重ねられることはなく。
八雲はは、ただ、その光景を眺めて、夢の中の言葉思い出す。
「天満ちゃんを助けてくれ」
相手側には、寂しげに捕虜の桂馬が一枚。
八雲「……………」
……………リンリン……リンリン……
細い体が傾き、髪がなびく。
月夜に映された影が、夢の跡へと重なる。
白く美しい指先は、一人の若兵の元へ伸びてゆき、再び生命の息吹を与える。
八雲「…先手5七【歩】」
パチッ
相手側の歩で、味方の飛車を討ち取る。
夢の中では、ホウキ頭の少年と金髪少女が役を演じていたその駒。そのまま重ねておく。
八雲「後手2四【角】」
パチッ
続けてこちらの角で、相手の王を討ち取る。
これで捕虜の桂馬は自由だ。
八雲は、桂馬を拾い上げると、そっと味方の王に重ねた。
八雲「よかったですね…播磨さん」
少女は、優しく優しく微笑んで、その場を後にした。
すっかり暮れた秋の月夜。
主のいなくなった縁側に、涼しげな風がふき続けていた。
【完】
おしまいです。
佳作は銀賞か銅賞か?佳作は佳作、だと思ってます。
どうして銅賞の播磨が王になったのか。
銅(dou)→怒王(doou)→王(ou)
…寒っ!
121行にのぼる東郷×加藤先生の心温まる駆け合いは都合により1行に圧縮させていただきました。
ちなみに私は名無しです。播磨豚がペンネームではありません。
ありがとうございました。
初めは「はぁ?」だったが、最後はすっかり作者の世界に引き込まれてしまった俺ガイル。
とにかくGJ!
おもしろかった!将棋の世界とは思わなかったわ。GJ!
読解力がない俺が悪いのかもしれんが全体的に分かりづらいと感じた。
具体的には、1・2章とその後の文の繋がり
それと八雲の夢部分の状況が分かりづらいと感じた。
でもアイデアとしては面白かったからこれからもガンガン書いてifスレを盛り上げてくれ。
ネタは良いと思うが、文章が妙に読み辛かった。
なんか面白かった、新鮮でいいな。
>875
アイディアはとても良かった
だけど、場面転換の繋がりが強引で分かりにくいのが欠点
この辺をうまくやるともっと良い作品になるはず
ガンバレ
なんかバスケ編の脱力振りとか見てると真剣な恋愛SSとか
書いてる奴やその周辺との間のすさまじい距離を感じるな。
あっそ。
理想(SS)と現実(本誌)だいぶちがーう、夢から覚めなさいー♪
提督も2ちゃんねる覗いてるんだ
正直、S3は初心者増えすぎというか駄作が増えてきた。
このスレの方が作品の全体的なレベルが高い気がする。
IFスレだとちゃんと批評されたりアドバイスもらえたりするしな。
S3だとマンセーかドン無視されるだけだから
作者にとってあんまりいい環境じゃないような気がする。
厳しい環境だよな、S3って。
指摘なんか誤字くらいなもんだし、HNで先入観持たれるし。
だわな。S3ができた当初はこのスレがアレな事になってたのもあって
職人さんが流れちゃったけど、今は当時の逆の現象が起きてる感じ。
妄想妄想と繰り替えしてる内に余りにも作品とかけ離れて来た
一旦見直す必要があると思う、沢近や八雲、絃子などがハリマに
ほれてるのが決定事項のように見える
SSを見てSSを書く って感じじゃないのか
埋めるのは次スレできてからにしてくれ
念のため言っとくがスレ違い
そだね、二次創作支援スレで。
読数システム・専用感想スレッドシステムをべた褒めしてた人はどこへ行ったのやら
>>896 読話数なんてこまめに更新してたら面白くなくても勝手に伸びるし
専用感想スレシステムなんてそもそも手間がかかるからめんどくさがって書かない人が大勢いる。
みんなの感想見ても、一部の奴らが馴れ合いでお互いに感想書き合ってるのばっかりだし。
S3のスクランSSに対する貢献度の大きさは言うまでも無いがまだまだ改善の余地はありそうな気がする。
管理人さんがんがれ。
そうだなぁ……
・ジャンルに「批評歓迎」を追加
・スレッドごとへの感想書き込み機能
・感想は本スレッドからは直接は見えない
・"スレッド管理者のみ見れる感想書き込み"が選択できる(読者じゃなくて作者側が指定できても良いかも?)
こんな感じだと面白くなると思うんだけど……。
ジャンル追加はともかくそれ以外は掲示板のスクリプトがねぇ。
「批評歓迎」を加えるのはスレッド毎への感想機能の実装前提だし。
>898
投稿数で割るくらいの知恵はないのか
>>899 >・スレッドごとへの感想書き込み機能
前はこれで荒れたんじゃなかったか?
903 :
Classical名無しさん:05/04/26 08:24 ID:GM7TluOc
ちょっとSS投下します
サラ・麻生ですがなにぶん中学生が書いたもの故下手です
読んで指摘など下さるとまことにうれしゅうございます
904 :
Classical名無しさん:05/04/26 08:25 ID:GM7TluOc
いつものようにバイトを終え帰る支度をすませある少女を待つ男 ―――麻生広義
(遅いな あいつ・・・・)
あいつ とは一年年下の後輩 サラ・アディエマス
いい加減遅いので店内に戻りサラを呼びに行く
カラン カラン
店内に入り中を見回す と目的の少女は寝ていた
(まぁ無理もないか 今日はキツかったしな)
が 起こさないと帰れないので起こそうとする
「おい サラ 起きろ」
・・・・起きる気配はない
(仕方がないおぶっていくか)
クールに見えて実は優しい男である
「よ、っと」
(サラってあったかいな 意外と胸もあ って何考えてるんだ)
帰り道
麻生は考え事をしていた
(なんでコイツはオレのそばに居たがるんだ?
オレよりいい男はいくらでもいるだろ いやサラがそばにいてくれるのは嬉しいが じゃなくて
オレは不器用だし もし付き合ったとしても 何も出来ないし そもそもオレがそばにいていいのか・・・?)
「んぱい」
ビクッ
何だ 寝言か・・
「麻生先輩 ずっとそばにいてください・・・・ずっと」
(サラ・・・・サラが居たいと思うならそれでもいいか この先オレよりいい男が現れてそっちへ行くかもしれない
けどそれまでは それまでがすぐかずっと後かはわからないけど・・それまではそばにいてもいいかな)
「サラ、オレはお前のことが・・・
>904
乙
基本な部分では「説明」と「描写」の違いを意識するといい。
内容は結論を急ぎ過ぎかな。
言わせたかったセリフのみで構成されてるカンジ。
もっと言ってしまえば、これはまだプロットの段階で投下したようなもの。
いくらでも膨らませられるネタなのでちょっともったいない。
もう少し「間」を折り込んでみては?
ガンガレ。
>>904 なんというか、台本をそのまま棒読みした感じがなされますた。
「おい サラ 起きろ」
のところなど、いちいち区切らないほうが自然です。一瞬ドラクエ?と思った。
区切るときは句読点(、)で区切るとよろしいかと。
907 :
Classical名無しさん:05/04/26 19:12 ID:GM7TluOc
了解です
次(あるかな?)参考にさせて頂きます
長編にするコツってなんですかね?
>>907 とりあえず、今後は2chに書き込む時はメール欄にsageと書きましょう。
>>907 連レスすまんが、905の言うとおり、もう少し状況を詳しく書くといい。それだけで読み手がどんな状況なのか
わかりやすくなる。そして書く内容が増えるから、長文になる。
例
いつものようにバイトを終え帰る支度をすませある少女を待つ男 ―――麻生広義
(遅いな あいつ・・・・)
あいつ とは一年年下の後輩 サラ・アディエマス
いい加減遅いので店内に戻りサラを呼びに行く
●
いつものようにバイトを終え、帰る支度も早々と済ませ、店の外で立ち惚けている彼、麻生広義 。
(遅いな、あいつ・・・)
彼が言うあいつとは、自分と同じ高校に通い、そして自分の一年下の後輩であるサラ・アディエマスだ。
バイトを先に終えた彼は、まだ仕事が残っている彼女を、店の外で待っていた。
しかし、いつまで経っても彼女が現れないのに痺れを切らした彼は、店の扉を
開け、電気の付いていない暗い店内に足を踏み入れ、回りを見回す。
長文にするコツ?かどうかは知らないが、上に書いたことと、あとはストーリーとか展開を
考えて書けば自然と長文になるものかな?
作者じゃないけど、参考にさせていただきますね
俺は簡潔なのが好き
簡潔と描写不足は別物だぞ?
長い、というより、相手にわかりやすい文章を書くコツは、
口頭で目の前の人物に語ってやってるつもりで書くこと。
向かい合った誰かに話して聞かせるつもりで説明すれば、意味不明な独り言にはならない。
文章ではなく、口で喋るように、というのがポイント。
・くどくど喋ったら飽きられる
・大事なことははっきりと何回も言わないと
・一つの文は短くわかりやすく
・相手にとって興味なさそうなことは聞き流される
といったコミュニケーションの基本が文章でも同じだから。
読者を意識する、ってことの基本は読者と会話するってことだと思う。
>>913はただの持論なんで参考程度に。スレ違いならスマソ
気のせいだったら言ってくれ。
最近S3にある作品、全然面白くないと思うんだけど……
気付くの遅いしスレ違いだ。
そういう話は二次創作批評・支援スレで。
妹が私に今日こういっていたよ
作成者: 塚本天満
作成日: 2004/08/10 02:30 �(from:218.55.58.219)
友人らすべて呼んで私精神病院に閉じこめると..
∧_∧
<`Д´ > ・・・
O^ソ⌒とヽ
""""""""<_<_ノ、_ソ""""""""
力を出しなウい....お前ところで....
作成者: 沢近愛理
作成日: 2004/08/10 02:32 �(from:211.176.70.86)
勉強できないでしょう?
運動できないでしょう?
メインで活躍できないでしょう?
それでお前無視するの.....
人生が本当に嫌になる瞬間なの...
勉強できないでしょう? 運動できないでしょう? それでお前無視するの.....
∧_∧ ∧_∧ ∧_∧
γ(⌒)丶`∀´>. γ(⌒)丶`∀´>. γ(⌒)丶`∀´>.
(YYて)ノ ノ (YYて)ノ ノ (YYて)ノ ノ
どなたか分校に保管されてる烏丸と天満がくっつく→傷心播磨が王子役の代役をする
ってながれのSSのタイトルを教えていただけないでしょうか?
読み返したいけどタイトルだけ思い出せないorz
>>918 多分、分校じゃなくて臨時保管庫のほうだと思う。
タイトルは「FAREWELL, MY LOVELY」、続きの話が「TOMORROW MADE NEW」。
これのことかな?
ありがとうございます(ノД`)
さっそく読んできます!
あれは名作だな
某SSS職人氏もあれで泣いたらしい(w
あれは本当に名作だ。
播磨が天満への思いに決着をつけるところとか八雲との交流とか本気で感動した。
本編の播磨もあれくらいかっこ良ければ…
投下します。花井の話。
題名は「ソラヲコエテ」
もしも神様がいるのなら、どうか、神様。
彼女を、幸せに―――。
飛行機雲が青い空に一筋。―――屋上と言う場所は、何処もかしこも閉鎖的であるが、空だけは、どうしようも
ない程の開放感を秘める。
花井春樹は、そんな事を思い、先程の光景を脳裏に浮かべた。
愛しい人と、憎き恋敵。―――親しげに、話をしている。彼女の弁当など、つまみながら。
有る筈の無い事だ。―――そう思っていた。
彼女はあの男に付き纏われているだけだ。―――そう思っていた。
だが、そんな甘い考えは、あの男と談笑している彼女の、見た事のないような笑顔に打ち砕かれた。
分かってしまう……何時も彼女を見ているから。
アレは恋だ。間違いなく恋だ。―――恐らくは、もはや戻れない段階まで嵌ってしまっている。
あんな、嬉しそうな、優しそうな、愛しそうな笑顔……!
僕には、見せてくれなかった!ただの一度も、一瞬たりとも!!
花井の脳裏に、悪魔の考えがよぎった。
―――あの男を倒して彼女を己の物に。
無理だ。奴を倒しても、彼女は自分の物にはならない。
―――無理矢理
駄目だ、駄目だ駄目だ駄目だ駄目だ!!
彼女を傷つけて、それで何がどうなる?―――色々な事が、悲しみに覆われてしまう。
二人が、近づいてくる。―――ドア、花井の方へ。
何故か、花井の体は恐怖で縛られる。怖い、怖い、怖い!
結局、花井は隠れる事でやり過ごした。花井は気付かなかったが―――愛しの人は花井に気付いていたようだ
った。……心を読む能力。きっと―――彼女も傷つき、恐怖したはずだ。
花井は、二人が去った後の屋上に一人立ち竦む。
―――何を、している。僕は、僕の、想いは、そんな物だったか?
―――否。「そんな物」どころではない。きっと、僕はこの全宇宙の中で最も彼女を愛している。
―――ただ、届かなかっただけ。声が枯れるほど、血が出るほどに叫んだけれど、届きはしなかった。
静かに、涙が頬を伝う。
花井は悔しさが残るけれど、怨敵に向けて小さく呟いた。
「キサマが誰を好きか、等は気にはすまい。―――知りたくもない」
憎悪、嫉妬、僻み。様々な感情を込めて呟く。
「だが、覚えておけ。―――例え如何なる理由があろうと、彼女を泣かせたならば、この魂魄百万回生まれ変わ
ろうとキサマを八つ裂きにしてくれる……!」
様々な負の感情。―――後に残るのは、綺麗な物だけだ。
「だから、彼女を幸せにな。―――播磨。八雲君も……幸せに」
一陣の風が吹く。―――きっと、この想いを攫って行ってくれるようにと、花井は願った。
僕は神様など信じるつもりはないが、もしも、もしもだ。
もしも神様がいるのならば、どうか、神様―――
以上です。
まあ、ワンパターンだと。
と言うか、花井がハリー=オードになっているぞ、と。
まあ、感想よろしくお願いします。
ではご一緒に。
ユニヴァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァス!!!
そして何かがおかしいぞ、と。
―――ああ、なんか改行が変になってる。何ででしょうか。
見づらいとも思います、申し訳ありません。
BLEACHの読者?
マテ。
読んでるけど元ネタ違います。
魂魄云々は「ターンエーガンダム」より抜粋(朴理)です。
あ、そうなんだ。口語で魂魄なんか使わないな…って思ったから。
つーか、おまいパロばっかかいw
失礼な奴だなw「日記」以外は多分そんなにやってない……と思う。
まあ、次とかあれば今度こそ真の実力を(ry
パロは基本だ無問題
アソミコとかで新境地啓くとか。
>>934 アソサラ派の人達から怒涛の如く恨まれるからパスw
しかも俺自身アソサラ派だし。
>927
そんなにおにぎりが好きかァァァァー!? と(本来は無縁の)呼応する。 おちゅ
もうじき新スレか…
>>936 このおにぎり凄いよ、流石スクラン二大派閥!!
……だから言ってるだろ?俺は播磨に関するカップリングは王道以外なら何でもいけるってさ……w
>>937 よし、頼んだw
思ったんだが、二次創作支援スレでは文章力やらの議論が行えない。
何処でそんな話出来るんでしょう。S3?まさかまさか。―――ココ?SS書こうね。
マジでどっかで話し合えねーかな……俺の文、かなり荒いし。
語る場、ねぇ……俺の掲示板なら幾らでも提供してやれるが、人に見せられる状態じゃないし……。
流れと全く関係ないが、たまには設定があってないようなゲロ甘おにぎりが見たいと言ってみるテスツ。
……やっぱ自分で書いて誰にも見せずにニヤニヤしとく……。
∀大好きだよ。見た目でパスする人いるけど、話は最高に良いよね。
ちなみに「この」じゃなくて「我魂魄百万回生まれ変わろうと」だよ。
わざとそうしてたならすまん。
>>939 投下汁!と無責任な事を言って見るテスツ
>>940 流石にそのまんまはどーかと思ったので、多少は手を加えました。
そしてナカーマ!
>>938 真剣にSSの技術について話がしたいなら、
分校のリンクから蓮水氏のHPに行ってみればいい
「SSについて皆で勉強しませんか?」っていう企画ページがあったから
そこにSSを寄贈してみてはどうだろう
それに氏は絵茶にも行ったりしてるから、
もしかしたら他の職人さんとも交流が持てるかも知れんぞ
>>942 凄く申し訳ないんだけど、そこまで(2chを越えてまで)真剣に技術に対して論じ合いたいわけじゃない。
ぶっちゃけ馴れ合いたいだけ……かもしれないッス、恥ずかしながら。
このスレの職人様方に直に意見を聞いて、それで自分の書き方とかを模索してみたかった感じです。
それに自分はスクランSSに関しては2ch関連以外では書くつもりはないので……。
紹介してくださってとても有難いんですが、申し訳ない。
ギーガ氏よ、流石に一人で喋りすぎだ。
鬱陶しくなる前に辞めてくれ。
あんたのSSは楽しみにしてるので嫌いになりたくないんだ。
コテハンも節度を弁えないと駄目よん。
調子に乗りすぎて墜ちていったコテハンは星の数。
次スレの季節。でも、もう488kか。
ういっす。調子乗りすぎてました、すみません。
以後気を付けます。―――といっても今度はいつになるやら。
とにかく、すみませんでした。
>王道以外なら
(´・ω・`)ショボーン
↓次スレよろ
('A`) ウルセェ
ノヽノヽ =3 プゥ
くく
>>951 乙
しかし、そこは直リンにすべきじゃないかと
乙
晶「次スレが立ったわ」
愛理「どうしたの晶?」
晶「愛理・・・ここから先は危険よ」
愛理「は?」
晶「ここから先は埋めレスの地。特に意味のない小ネタが支配する場所」
愛理「???」
晶「わかりやすく言うと・・・」
愛理「言うと?」
晶「オナn」
愛理「あー!!あー!!あー!!」
炎の七日間がこのままフェードアウトしてしまうのは残念だ
もう作家さんの大半はS3を見限ったんだろう。
俺も今のあそこには投稿したくない。こっちの方がはるかに良い。
でも連載はきっちり終わらせてほしい。。。
960 :
埋め:05/04/28 14:56 ID:kr3tN80A
>955
よし、ならばオレのオナn(ryを見てくれ!
まあ、若い男と女が二人っきりで暮らしてるんだ、こういうコトは十分起こりえる。
もちろん、この生活を始めたときから当然予想していたし、ある程度は覚悟もして
いたし、実はこっそり期待もしていた。
1年半も手を出されなかったのは少々意外であったし、ちょっとばかり女としての
自尊心を傷つけられたが、この男の朴念仁ぶりと、妙な純情さを考えれば、それも
仕方なかったかもしれない。
さて───
刑部絃子は、起き抜けの寝ぼけた頭でボンヤリと考えていた。
窓のないリビングは明かりをつけないと昼間でも暗い。
それでも、体内時計と空気の匂いが、朝であることを伝えていた。
時計に目をやると、7時30分。今日は日曜なので、別に早起きする必要はない。
それでも絃子は気怠げに身を起こした。
リビングのカーペットの上に直接寝たせいか、体中が凝っている。乾いた汗が気持ち
悪い。口の中がいがいがする。
ついでに全裸だ。あのまま寝てしまったのだから当然だ。
ふと目をやると、夥しいビールの空き缶。脱ぎ散らかされた二人分の衣服。
カーペットに広がる怪しげな染み。そして、やはり全裸で、これまた幸せそうに
眠っている同居人。
961 :
埋め:05/04/28 14:56 ID:kr3tN80A
………シーツを敷くことにも頭が回らなかったのか………
カーペットの染みを見ながら頭を抱える。
ふと気づいて股間に手をやると、そこには白いモノがこびりついている。
………生でやってしまったか? 用意はしていたはずだが………
………私の部屋だったな。取りに行く余裕はなかったか。
………とりあえず、風呂に入るか。
立ち上がると、腿の内側に何かが垂れてきた。昨日はよほど激しかったらしい。
お互い、いろいろと溜まっていたのかもしれない。
962 :
埋め:05/04/28 14:57 ID:kr3tN80A
酔った勢い。
まあ、それもあった。
いつものように、二人で酒を飲み、いつものように絃子が同居人をからかって、
いつものように同居人が反発し………それがいつのまにか、いつもとは違う流れに
なって、こうなっていた。
別にこの事態に対してどうこう言う気はない。
そもそも好きでなければ、同居など許さない。同居中は常に貞操の危機に晒され
るし、恋人も作れない。当然だ。
問題は………
問題は今後のコトだ。
絃子は熱めの湯を浴びながら思いを巡らす。
彼には好きな娘がいる……… 果たして、私との関係を受け入れるだろうか?
受け入れられなければ、彼は当然出て行くだろう。
自分の許から彼が離れていく……… それはあまり考えたくない事態だ。
彼と体の関係を持つことは、起こるなら起これとも思っていたが、もしそのせいで
彼との関係が壊れるのならば、いっそ今までのぬるい関係でも構わなかった
963 :
埋め:05/04/28 14:57 ID:kr3tN80A
うん………?
播磨拳児はゆっくりと身を起こした。
朝………か? リビング? 何でオレはこんなトコロで寝てんだ?
おわっ、裸じゃねえか、オレ!
体に掛けられたシーツを捲れば下着すら付けていない。素っ裸で寝ていたらしい。
あれ? オレ昨日は絃子とビール飲んで………
「起きたか、拳児くん」
はっと顔を向けると、キッチンの方から絃子がこちらを見ていた。
「もうすぐ食事ができる。その前にシャワーを浴びてきたまえ」
そう言いながら、フライパンに卵を落とす。播磨が起きるまでに下ごしらえはすま
せていたのだろう。見ればキッチンのテーブルにはサラダの用意がすませてある。
964 :
埋め:05/04/28 14:57 ID:kr3tN80A
「どうしたんだよ………」
珍しいじゃねーか………の言葉を飲み込む。
「あ、あれ? 絃子、昨日は………」
「覚えていないのか?」
絃子の残念なような、それでいてホッとしたような不思議な顔。
その顔を見て、ようやく自分が昨晩何をしたのかを思い出す。
「いや………、思い出した………」
「そうか……… ならとりあえず、風呂に入ってこい。そしてさっさとその見苦しい
モノを仕舞いたまえ」
播磨は自分が全裸であることを思い出し、あわててバスルームに駆け込んだ。
965 :
埋め:05/04/28 14:57 ID:kr3tN80A
播磨は混乱した頭をなだめながら、トーストに齧り付く。
この事態にどう対処していいものか、判断が付かないらしい。絃子がいつも通り
平然としている風なのも、播磨の混乱に拍車を掛けている。
いっそ罵るなり泣くなりしてくれれば、対処のしようもあるのだが………
絃子は当然、播磨がちらちらと様子を窺ってきてるのに気づいていた。
何か聞きたそうな、だが迂闊に口を開けない、そんな感じ。
播磨は寝ていたときからサングラスを外している。脱ぎ捨てられた衣服と一緒に
転がっていたが、何故か付けるのを躊躇っていた。心を隠すようで後ろめたかったの
かも知れない。
だから絃子には、落ち着かず動き回る播磨の視線が丸見えであった。
「拳児くん」
だから絃子は助け船を出してやるコトにした。絃子の腹はもう決まっていた。
先に進もう。どんな結果が待っていても、進んだ結果ならば、それでいいじゃないか。
「お、おう」
慌てて播磨が顔を上げる。
「昨日のコトなんだがね」
ごきゅ
播磨がつばを飲み込む音がヤケに大きく響いた。
それに思わず笑い出しそうになりながら続ける。
966 :
埋め:05/04/28 15:08 ID:kr3tN80A
何も気にするコトはないんだ。そう、何も特別なコトはなかったんだよ」
「え………?」
「拳児くん、私は君が好きだ。愛している」
今度こそ、播磨拳児は固まった。
「だからね、昨日は私が好きな男に抱かれた。それだけなんだ。女が好きな男に
抱かれるのは当然のコトだろう?」
播磨は彫像のように固まったままだ。
「………聞いているか?」
カクンカクンと機械のように首を動かし始めた播磨を見て、絃子は今度こそ声を
上げて笑い出した。
───まあ、せいぜい悩むがいいさ。
───キミがどんな結論を出しても、私は受け止めてみせるよ。
おしまい。
ナイスなオナn(ryだった。グッジョブ!
残り5kb
ナイスだが軽く板違いだろ。
向こうでやってくれ。
埋 め ま す か ?
ヒゲが私にそうつぶやく。
あいつがくれたシャーペンの芯。
私の手垢が染み込んだシャーペン。
そっと、交換した。
お互いそっけなかったけど、
確かに、お互い分かり合っていて、
でも、照れくさいからそうしてるって。
埋 め ま す か ?
今はもういらなくなったシャーペンの芯。
だから、思い出と共に、埋め…
あの女「あ、あのっ、播磨さん…」
播磨「どうしたんだい、妹さん」
あの女「今日も泊まり込みで…あの…」
播磨「ああ、いつもすまないな」
あの女「…いえ…私も……ですから…」
埋 め ま す か ?
私は、指差し、
…そっと、うなずいた。
矢神新聞第一面【完】
>あいつがくれたシャーペンの芯。
>私の手垢が染み込んだシャーペン。
>そっと、交換した
クソワラタ
>957
いや、自サイトで続きは書くそうだ。
途中からかなり気に食わないため書き直して
(沢近はもっとちゃんとツンデレであるべきだったとか
まだ個性やデフォルメが把握し切れていない上に実力が足らないので
短編のギャグ・シリアスを数作書きながらになるそうだが)
掲載し直していくと言ってる。さっきメッセで聞いた。
最近忙しいのでなかなか手が出せないそうだが。
>972
ググルさんにサイト聞いてみるのでキーワードおくれ
しかしもっとちゃんとツンデレって何だよw
元のS3の感想掲示板にURL。
ググるなら「Atmosphere 道造」でいけるはずだ。
ツンデレは私もわかんないよw
アリガd
976 :
埋め:05/04/30 08:52 ID:OzXOV7ME
「唐突だが拳児くん、私たちは凄く危うい関係にある」
「はぁ? 突然何言ってんだ、絃子。ワケわかんねぇぞ」
「説明しよう。私たちは従姉弟なワケだが、二人だけで同居している」
「ああ」
「ついでに私は教師で、君は私の生徒でもある」
「そうだな」
「果たして世間一般にはそれがどう見えるかな? 結婚も出来る男女が一緒に暮らし、
しかも女教師と男子生徒………」
「む? もしかしてよこしまな関係と思われるとか?」
「その通りだ。珍しく回転が速いな」
「な、なるほど、言われてみればドラマか何かみたいだな………オレと絃子がそんな
関係になるなんてありえないのに」
「………」
「は、絃子! マズイじゃねえか! バレたらどうしよう!?」
「だからそれを言っている。君は塚本妹にアッサリばらしてしまった
からな……… 塚本姉にバレるのも時間の問題かもしれんぞ」
「マズイ! マズイぞ!! 絃子何か手はないか!?」
「まあ落ち着け、コレに関しては葉子からナイスでグッドなアイディアをいただいた」
「ほう、葉子姉ちゃんなら間違いねぇな」
「つまりは私たちが従姉弟だからマズイのだ。もし姉弟ならば、これは問題になるまい」
「ま、まあ、姉弟ならそうだろうな」
「葉子が言うには、私たちは昔から姉弟のようだったそうだ。この際従姉弟ではなく
姉弟として生きてみるのはどうだろう?」
「な、なるほど!」
「と言うわけで、私と君は今日から姉弟だ。今日から『お姉ちゃん』と呼ぶように」
「し、仕方ないな………」
977 :
埋め:
「い、絃子、ホントにこんなコトするのか!?」
「『お姉ちゃん』だ!」
「………絃子姉ちゃん、ホントにこんなコトするんデスか?」
「ふむ、姉弟ならば、当然することだと聞いている」
「で、でも、一緒にお風呂だなんて………」
「一緒に風呂に入って、洗っこをするのは、姉弟の大事なスキンシップなんだそうだ。
葉子が言っていた」
「そ、そうか、葉子姉ちゃんが………なら仕方ねぇな」
「さあ拳児くん、背中を洗ってやろう」
「お、おう」
「こらこら、後ろを向くんじゃない」
「へ、でもこうしないのと………」
「こうするのだ」
「おわっ、絃子、何抱きついてきてんだよ! む、胸がむにゅって! むにゅって!」
「落ち着けバカモノ。こうやって、背中に手を回して洗うのだ。こうすればお互い一緒に
洗えて丁度いいだろう?」
「で、でもよう!」
「世の中の姉弟はみんなこうやって洗っていると葉子が言っていたぞ。それとも君は姉の
体に欲情するような変態なのか?」
「そんなワケあるか!」
「ならサッサと洗いたまえ」
(ぐ………絃子の野郎………ちくしょう、ヤベェ、絃子の胸が………絃子が背中を磨くたびに
むにゅむにゅ動いて……… ほ、ほんとに世の中の姉弟はこんなコトやってんのか? そ、そう
言えば、天満ちゃんと妹さんも、随分仲が良かったな……… 二人ともこんなコトしてんのかな?
裸で向き合って「さあ八雲、お姉ちゃんが背中洗ってあげるよ」「う、うん姉さん………、でも
こうすれば二人一緒に洗えるよ」むにゅ「あ、八雲、あったまいい〜! じゃ、洗うね」むにゅ
「姉さん………」むにゅむにゅ「八雲………」むにゅむにゅ…………)