ここは地獄の一丁目

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487Carpaccio
>>344-345

ブツン・・・
当然にテレビの電源が入り、天気予報が流れ始める。毎朝の事だ。
1年前に時計のアラーム機能が壊れて以来、テレビのタイマーを利用している。
設定時刻は8時30分、身支度の時間を考慮しての一時間目に間に合うギリギリの時間。

カーテンを開けたが外は薄暗く、灰色の雲が空を覆う。
寝汗をかいていないなと思ったら、そういうことだったのか。
明け方は晴れていたので、余計に残念だ。

すっきりしない気分を抱えながら
歯でも磨こうかと洗面台に向かったとき、とんでもないことを思い出した。

ちぇ、また水曜日が来ちまったか・・・
まったく、くだらねぇ曜日も一週間の内にはあるもんだ。

水曜日の時間割はというと、経済学史総論の一時間だけ。
なんだよ、ずいぶん楽な内容じゃないかと言われそうだが、、、その一時間が問題なのだ。

経済学史は郷田という先生が担当しているが、それが毎週水曜日の憂鬱になっている。
この男、一癖も二癖もあることから学内では有名。
頑固で厳しく、そのくせ講義の内容は分かりづらい。
無論、履修せずにすんだなら選択しようはずも無いのだが、必修科目なのでしょうがない。

天気のことなど問題にならないくらい脱力したが、必修の単位を落とすわけにはいかない。
そう自分に言い聞かせるようにしながら観念の臍を固め、ほんの少しのやる気を搾り出す。

歯ブラシを5,6回ほど動かした後、適当に服を選び、靴を引っ掛けつつドアを開けた。
午前8時45分、いつもの時間に今日が始まった。