>>736の続き
「何だとっ?!」
西村はビル中央にある、一階への階段の踊り場で立ち止まった。
「被害状況はどうなってる?」
「サーバー監視所が完全に破壊されています。ガラスの破片が飛び散って
サーバールームも滅茶苦茶です。恐らく、すべてのサーバーがやられたかと…。」
「『夜勤』はどうしたんだ?そもそも、あの部屋に入れる人間は
限定されているはずだろ?」
「それが……。
『夜勤』さんは殺されています。拳銃を胸で撃ち抜かれています。
先ほどのキムといい、下手人は餅ではないかと…。
恐らく、キムのカードキーを奪ったのでは…。」
「くそっ!」
西村は吐き捨てるように言った。
「とりあえず、早急に餅を探せ。必ずヤツは脱走しようとするはずだ。
出口をしらみつぶしにあたるのだ。見つけ次第、射殺しろ。これは命令だ。
あと各部屋のプロ固定達に、今日は部屋に戻って休むように指示をしておけ。
とにかく、騒ぎを大きくするな。反乱分子がまだいないとも限らない。
頼んだぞ。」
「わかりました。他の連中も集めて餅の捜索にあたります。
プロ固定達には指示をしておきます。」
西村は的確な指示を部下に下すと、PHSを切った。
「糞ったれ。このビル管理にいくら金かけたと思っているんだ?
ただじゃすまさんぞ…。」
西村は珍しく感情をあらわにしていた。
階段を駆け上がりながら、西村は再度PHSを取り出し、ボタンを押し始めた。
6…1…2…
電話をせずとも、餅はもう目と鼻の先にいるとも気がつかずに…。