2 :
餅:2001/07/22(日) 08:11 ID:???
3 :
餅:2001/07/22(日) 08:12 ID:???
妄想の果てに・・・
4 :
餅:2001/07/22(日) 08:12 ID:???
○月×日
早朝漫画喫茶、最終日・・・
人の少ない早朝のラウンジで俺は遊んでいた。
「餅さんですね?」
ふと顔をあげると、そこに一人の男が立っていた。
「は?何の事でしょうか?」しらばっくれて俺は言った。
「そのサイトの名前欄の『餅』ってのは何ですか?隠さなくても結構ですよ」
男は笑いながらそう言った。
「いや突然で失礼しました。私はこういう者です。」
男は一枚の名刺を差し出した。
5 :
餅:2001/07/22(日) 08:12 ID:???
名刺にはこう書いてあった。
『東京アクセス 西村博之』
「ハハハハハ、不思議に思っているんでしょう?何故私がここに来たのか。
あなたのリモホを調べたら毎朝ここの漫画喫茶にいる事がわかりましたよ。
実はあなたにご相談がありましてね。ここでは何ですから本当の喫茶店でも
行きませんか?」
現状に戸惑う俺に向かって、快活に笑いながら西村はそう言った。
俺は漫画喫茶の清算をし、西村に言われるまま後をついていった。
そして、とある喫茶店に二人は入った。
6 :
餅:2001/07/22(日) 08:13 ID:???
「まさかひろゆきにリアルで会うとは思わなかったよ。」
「まあ、大抵の人は驚きますね。私が現れるのはいつも急ですから。」
「で、相談って何なんだ?俺は悪い事して遊んでないつもりだが?」
西村はコーヒーに手を伸ばし、一息ついてこう言いはじめた。
「餅さん、ラウンジでいつも遊んでますよね?固定歴も結構長いですね。」
「まあ、何となくラウンジはいついてしまったからね。俺は一番好きな板だよ。」
「プロ固定の噂は聞いた事ありますよね?」
「あれか。あれネタでしょ?ネタ的には面白いけどね。」
「ところがネタではないんですよ。」
西村はコーヒーをカチャリと置き、真面目な顔で俺に向かって言った。
7 :
餅:2001/07/22(日) 08:13 ID:???
「はあ?何それ?どういう事だよ」
「プロ固定の話は『追放されたプロ固定』が流した事実なんですよ。
まあネタに持っていく為に、かなり名無しで書き込みして誤魔化しましたがね。
率直に言いましょう。あなたにラウンジのプロ固定になってもらいたいんです。」
西村はそう言って俺の目を見つめ、書類を取り出した。
「ここにプロ固定の規約があります。目を通してください。」
プロ固定の仕事内容、給与体系、衣食住に関わる説明等が長々と書いてある。
「私のビルに来て頂ければ現場を実感できます。もしこの後時間があるようでしたら
来てみませんか?悪い話ではありませんよ。」
『プロ固定』・・・その言葉に惹かれた。
俺もプロ固定になれる。その気持ちが俺に有無を言わさずこう言わせた。
「是非、見学させて欲しい。」
8 :
餅:2001/07/22(日) 08:14 ID:???
二人は店を出た。
外に一台の黒塗りの車を待たせてあったようだ。
「お疲れさまです。」
黒いサングラスをかけた謎の男が西村に頭を下げた。
「ちょっと我慢してもらいますよ。」
西村はそう言って、俺にアイマスクとヘッドフォンを渡した。
「これじゃ電波少年じゃないか。」
「まあ、気を悪くなさらず。場所がバレルと何かと不都合がありましてね。」
俺は言われるまま、アイマスクとヘッドフォンを付けた。
「行ってくれ」
西村が運転手にそう言うと車は走り出した。
しばらくして夜勤疲れからか、俺は眠りに落ちた。
9 :
餅:2001/07/22(日) 08:14 ID:???
「餅さん、着きましたよ。降りてください。」
時計を見ると12:00をまわっていた。9:00くらいに喫茶店を出たはずだから
かれこれ3時間くらいは車で移動したようだ。
周りを見渡す限りでは、どうもここは山の中のようだ。遠くに富士山が見える。
目の前にどう考えても場にそぐわない近代的ビルがポツリとある。
「ここですよ。さあ入りましょう。」
入口はカードキーになっていた。かなり警備はしっかりしているようだ。
エレベーターに乗ると西村は10階のボタンを押した。最上階だ。
10 :
餅:2001/07/22(日) 08:14 ID:???
10階が社長室のようだ。
「どうぞお入り下さい。」
立派な机、書類棚、ソファーがある。
「ここが2chの本拠地なのですよ。まあ座ってください。」
笑いながら西村は言った。
「ここの2階から5階まで各板のプロ固定を集めています。
いわゆる仕事場ですね。書き込み作業はそこでやってもらっています。
板とフロアは同一です。寝泊まりは6階から9階の各部屋に
一人部屋を用意してあります。後で餅さんの部屋も案内しましょう。」
「こんな所があったとはねえ。」
俺はとりあえず煙草に火をつけ、落ち着く事にした。
11 :
餅:2001/07/22(日) 08:15 ID:???
「プロ固定は2ch創設時からいます。最初はロビーくらいでしたが
各板に安定した人口を保つ為、プロ固定を雇う板を拡大しました。
ラウンジもすでに数人雇っています。私が直々に各板の書き込みを見て
引き抜いた人達ですけどね。」
「あの、ちょっと質問していい?」
「どうぞ」
落ち着きはらって西村は言った。
「これだけの設備、運営ってバナー広告だけじゃ金追いつかないんじゃないの?」
このビルを見た時から不思議に思っていた事だ。
「ハハハハハ、普通はそう思いますよね。お金などいくらでも集まるのですよ。
ある板が広告の代わりになっていますからね。」
「ある板?」
まさか広告、CM板ではないだろうし、そんな板があっただろうか?
「そんな板あったっけ?」
12 :
餅:2001/07/22(日) 08:15 ID:???
「ちくり板ですよ。ちくり板」
ニヤリと笑いながら、西村は言った。
「何でちくり板が広告代わりに?」
「まあ、不思議に思うのも無理はないですね。
実はあそこでちくられているネタは企業側が意図的に
漏らしているものなのですよ。こちらからそういう話を仕掛けた
わけではないんですが、何せ日本一のアクセス数をほこる掲示板
ですから、そこに目をつけた頭のいい企業の広報部、宣伝部が
いたわけです。確かに会社の宣伝としては利用価値があるでしょう。
ほとんどは非難されるようなネタばかりですがね。
それでも会社名を売り込みたい企業はいくらでもいますよ。
こちらとしても悪い話ではないですしね。喜んで承諾しましたよ。」
なるほど、よくよく考えれば双方の利益につながる話かもしれない。
確かに納得できる話だ。
13 :
餅:2001/07/22(日) 08:15 ID:???
「もしかしてこの間の日本生命の話は・・・」
恐る恐る俺は聞いてみた。
「よく気がつきましたね。その通りですよ。
今までJOMOさんとかケンタッキーさんにもお世話になりましたよ。
日本生命さんはかなりのネームバリューがありますからね。
かなり話題になりましたよ。日本生命さんクラスの会社までが
話を持ち掛けてきましたから、今は積極的に各企業に働きかけてますよ。
ただ複数の会社のネタを一度にやると、効果が薄れますから
今は予約待ちの状態ですよ。まあ一般企業が投資してくれてるから
ここのビルが成り立っているわけです。」
西村はそう言って満足ぎみに再度ニヤリと笑った。
14 :
餅:2001/07/22(日) 08:16 ID:???
「さて、仕事場でも覗いてみるとしますか。どこ見てみますか?」
もちろん、答えは決まっている。
「『ラウンジ』を見せて欲しい。」
俺と西村はエレベーターに乗った。西村はスッと2階のボタンを押した。
『ラウンジ』は2階らしい。
2階へ着くと西村は左手に曲がりツカツカと歩きだした。
通路を歩きながら周りを見渡すと、「初心者・質問」「PC初心者」などの
表札がある。どうも2階はBBS一覧の上部の板が集まっている階のようだ。
「ここです。」
『ラウンジ』は通路の一番奥にあった。
「ここにラウンジのプロ固定が集まっているのか。」俺は期待を胸に膨らませた。
15 :
餅:2001/07/22(日) 08:17 ID:???
部屋はそう大きくなかった。
パソコンが備え付けになっているデスクが10台ほどある。
プロ固定と思われる人間は3人しかおらず、あとは空席になっていた。
一人女性がいた。その後ろ姿はどこかで見かけたような気がする。
「どうぞ御自由にご覧くださって結構ですよ。」
西村がそう言うか言わないかのうちに、俺はその女性の方向へ
歩き出していた。
俺の気配に気がつき、その女性がこちらを振り向いた。
「あっ!」
俺は思わず声をあげずにはいられなかった。
16 :
餅:2001/07/22(日) 08:17 ID:???
「うにじゃないか!何でここに?君、仙台じゃ?仕事はどうしたんだよ?」
うにはキーボードから手を離し、呆れ顔で俺を見ていた。
「ちょっと、久しぶりなのにいきなり質問責め?もうちょっと落ち着きなさいよ。
まったく親爺はこれだから・・・。あんまり早いと女の子に嫌われるわよ。」
軽い煽り口調でのお出迎え。相変わらずだ。
「あなたもスカウトされたのね。残念でした〜。私が一番乗りよ。
店はバイトにまかせてきたわ。だってネット遊びしながらお金もらえるのよ?
こんなオイシイ話ってある?速攻で来ちゃったわ。」
さすがうにだ。商売人という事もあるが、損得の計算が早いのには脱帽する。
17 :
餅:2001/07/22(日) 08:18 ID:???
「さすが画像晒し系固定。やる事なす事、自己顕示欲全開だな。」
俺も軽く煽りで挨拶をかわした。
「画像晒しは大きなお世話。あなたもやればいいのに。」
「俺はやらんよ。会社にバレルと何かとまずいしね。」
「ま、サラリーマンじゃしょうがないわね。私は自営だから気楽だけど。
ところで あなたはもうプロ固定になる決意はできたの?
まだ夜の人員が少ないからひろゆきも人探してんのよ。」
うにがプロ固定になっていたのを確認し安心したのか
俺はプロ固定になる決意をしていた。
18 :
餅:2001/07/22(日) 08:18 ID:???
「まあね。」
俺は照れ隠しであっさりと言い放った。
「またまた、スカウトされた時点でもう決めてたんじゃないの?」
「そんな事はないよ、うにタン。君みたいに自己顕示欲はないから。」
俺は軽くごまかした。
「まあ積もる話もあると思いますが、餅さんに他の人も紹介しておきましょう。」
後ろにいた西村がそう言うと、前方にいた別のプロ固定と思われる二人が
こちらを向いた。二人とも画像晒し系の固定ではないらしく
俺は見た事がなかった。この二人は誰なのだろう?
19 :
餅:2001/07/22(日) 08:19 ID:???
「やあ餅、会うのは初めてだね。」
一人の男がそう言って俺に右手をさし出してきた。
見たところ20代前半と思われる。結構ナイスガイだ。
俺も反射的に右手を差し出し握手をかわした。
「君は?」
「餅は昼にいないからよくわからないと思うけど、リフ・ラフだよ」
リフ・ラフ・・・HNは見た事がある。あまりよく知らない。
「確かうにに熱をあげている固定だったと思うが・・・」
「餅は余計な事まで知ってるんだね。ひろゆきが『うにがいる』って
ほのめかすもんだから、俺も速攻できちゃったよ。
まあ、うにと一緒にラウンジでリアルで遊べるなら、お金なんか
いらないよって言ったくらいだし。」
そう言って、リフ・ラフは照れ笑いした。
20 :
餅:2001/07/22(日) 08:19 ID:???
「やあ、はじめまして。君は?」
俺はもう一人の男に握手を求めた。
・・・・・・何のリアクションもない。
俺を上から下まで舐めるように観察すると、その男は自席に戻って
またキーボードに向かって一心不乱に打ち込み始めた。
何てつっけんどんな男だ。
うにが俺の耳元で囁いた。
「彼は名無しさんなのよ。『プロ名無し』なの。板でもそうだけど
彼、馴れ合い大っ嫌いだから。主に叩き専門でやってるわ。
ひろゆきがこういう人も必要だからって、スカウトしてきたらしいの。
黙々と馴れ合いを叩く書き込みばかりしてるわよ。」
なるほど、『プロ名無し』もいたのか。
どうも馴れ合い叩きは彼の専門分野らしい。
21 :
餅:2001/07/22(日) 08:19 ID:???
「そう言えば、本家なぐ★とかboxfondiryとかponは?
いかにもプロ固定って感じじゃん?」
素朴な疑問をうににぶつけてみた。
「なぐはね、ひろゆきが名古屋までスカウトいったらしいわ。
でもね、だめだったらしい。『俺はそんなヤラセみたいな事は
できない』って。その一点張りだったらしいわよ。
現実でも真面目なのね。」
「なるほど、そんな感じだな。何となくわかるわ。」
ネット上も現実もあまり変わらないものなのだなと思った。
「残りの二人は?」
22 :
餅:2001/07/22(日) 08:20 ID:???
「箱は素人。あれがプロ固定だと思って?
彼は天然よ。今、昼のラウンジで一番キーとなる素人キャラだけど。
彼をどううまく扱うかがプロ固定の見せ所ね。
煽りモードの時は煽ってあげる。塞ぎ込んでるときは慰めてあげる。
そうやって生かさず殺さずを続けて、ギャラリーを巻き込むのよ。
ponは遠距離という事と仕事が忙しいとかいう理由で断ったらしいわ。
あの人他の板とかでも色々遊んでるらしいから。」
しかし、うにはよく知ってる。よくキャラクターを見てるなあと
思わず感心させられた。
23 :
餅:2001/07/22(日) 08:20 ID:???
「うにさん、せっかくだから餅さんに色々システムの部分とか
教えてあげて下さい。私は色々と管理の仕事もあるので
部屋に戻ります。では餅さん、終わりましたらまた10階まで
来てくださいね。」
ひろゆきはそう言うと、俺に軽く会釈をして部屋から出ていった。
「うに先生、色々教えて下さい、ハァハァ」
「リアルでやんな、エロ親爺。いいからこっちこい。」
ふざけていると、うにに軽くごつかれた。
うには自席に戻り、俺はその横の席に座った。
24 :
餅:2001/07/22(日) 08:21 ID:???
モニタにはかちゅ〜しゃっぽいブラウザが開いてある。
「これね、かちゅ〜しゃを改良したものなの。
基本的に一つのスレを追いかけるから、スレが上位にあるとか
そういうのプロ固定には関係ないのよ。盛り上げる役しなきゃ
ならないんだから。通常のかちゅ〜しゃにはない独自の機能が
あるからそれを教えるわ。」
うにはそう言うと、ウインドウ上部のメニューの「作業」をクリックした。
何やら色々ある。
25 :
餅:2001/07/22(日) 08:21 ID:???
「作業」には次のようなものがあった。
レス削除
スレッド削除
板飛ばし
過去ログ削除
ID変更
自動自作自演
「まるで削除人の機能みたいだねえ。」
「何言ってるの?プロ固定が削除人を兼任してるのよ。
まあ、ラウンジでは滅多に使わないけどね。
試しに何かしてみる?板でも飛ばしてみよっか?」
うには子悪魔のような不敵な笑みをこぼし、『板飛ばし』を選択した。
「おおっ!板が真っ白。スレなくなっとる。」
「まあ、見てて。今に『dj』スレがすぐ立つわ。見てると面白いわよ。」
うにがリロードすると、目の前には『dj』スレが。
26 :
餅:2001/07/22(日) 08:21 ID:???
「ま、後で色々試してみるといいわ。わからない事があれば
遠慮なく聞いてね。」
「ああ。とりあえずひろゆきのところに戻るから、また後でな。」
うにに挨拶をして俺は『ラウンジ』を出た。
来た道を戻り、そそくさと10階の西村の部屋へと戻った。
「やあ餅さん、おかえりなさい。」
西村はそう言って、書斎机のところからソファーへと歩み寄り腰掛けた。
27 :
餅:2001/07/22(日) 08:22 ID:???
「さて問題なければ、契約書にサインを頂きたいのですが。」
「へっぽこだがラウンジのために頑張る事にするよ。よろしく。」
俺は西村と固く握手をかわし、その後契約書にサインをした。
「餅さんの会社のほうには、すでに話をつけてあります。
会社のほうは気にしなくても大丈夫ですよ。
かなり高くつきましたがね。あと衣類とかはネットで注文して
下さい。注文すれば次の日には自分の部屋に届きますから。
その代わり給与引きですよ。」
28 :
餅:2001/07/22(日) 08:22 ID:???
「これが餅さんの部屋の鍵です。612号室です。
あとこれが屋内専用のPHSです。基本的にこれで連絡をとります。」
西村は部屋の鍵とPHSを手渡した。
「地下一階にレストランとかバーとか娯楽施設が色々あります。
後で行ってみるといいでしょう。とりあえず餅さんには夜の部を
担当してもらいます。20:00に昼の人との引継ぎと夜の部のメンバーと
顔合わせしますから、また『ラウンジ』に来てください。
それまで一休みするといいでしょう。
ぐっすり眠れるようにおまけでもつけときましょうか。」
そう言うと西村はニヤリと笑い、PHSのボタンを押しはじめた。
「ああ、俺だ。612号室に手配をよろしく。」
29 :
餅:2001/07/22(日) 08:22 ID:???
「ん?何かあるのか?」
不思議そうに俺がたずねると、西村は俺を入口のほうへ追いやるように
背中を押した。
「まあまあ、部屋に帰ってのお楽しみですよ。じゃあ20:00にまた。」
「何だかよくわからないけど、じゃあとりあえず部屋に行くよ。
夜勤明けで眠いし、一眠りするわ。
20:00に『ラウンジ』でいいんだね。」
西村はコクリとうなずいた。何故かその顔は悪戯っ子のように笑っていた。
西村の部屋を後にし、俺はエレベーターに乗り6階へと降りた。
ちょうどエレベーターを降りた目の前が612号室だった。
30 :
餅:2001/07/22(日) 08:23 ID:???
部屋は普通のホテルと同じような作りで、ベッドと机、バスルームがあった。
「ふぅ。何が何だかよくわからないうちに連行されちまったな。」
とりあえずタバコに火をつけ、ゴロリとベッドに寝転がった。
「コンコン」
ドアをノックする音が聞こえた。誰だろう?
ドアのノブを引くと、そこには年の頃18〜20歳と思われる
女の子が立っていた。なかなか可愛い娘だ。
「何か?」
「あの・・・私、612号に行けって言われただけなんですけど・・・。
ひろゆきさんから何も聞いてないんでしょうか・・・。」
31 :
餅:2001/07/22(日) 08:23 ID:???
「特に何も聞いてないけど?」
何の事だろう?俺は首をかしげた。
「ひろゆきさん、何も言ってないんですね・・・
とりあえず中入っていいですか?」
「ああ、どうぞどうぞ。」
そう言って、その娘を部屋に迎え入れた。
「ひろゆきもちゃんと俺に言ってくればいいのにさあ。」
そう言いながら後ろを振り向くと、その娘は真っ赤な顔をして
何か言いたそうに立ちすくんでいた。
32 :
餅:2001/07/22(日) 08:23 ID:???
「・・・あの・・・シャワー借りますね・・・」
「はぁ?」
何が何だかよくわからない。
娘は隠れるようにバスルームに入りドアを閉めた。
「待てよ?ひろゆきが言ってた『ぐっすり眠れるようにおまけでも
つけときましょうか。』ってのはもしかして・・・。」
バスルームからシャワーの音が聞こえる。俺はすべてを悟った。
「ひろゆきめ。味なまねを。」
俺は西村の『おまけ』を存分に堪能し、深い眠りについた。
33 :
餅:2001/07/22(日) 08:24 ID:???
プルルルルル・・・・・・
夕方なのにモーニングコールで目を覚ました。19:00だ。
隣で寝ていた娘はすでに帰ったようだ。
シャワーを浴び目を覚まし、俺は地下のレストランで簡単な食事をとる事にした。
夕食の時間でレストランはごったがえしていた。
トーストとほおばり、コーヒーをすすりながら
「『ラウンジ』の夜のプロ固定は誰なのだろう」とうつろな目をして考えていた。
「そろそろ行くか」時計の針は19:45を差していた。
俺はエレベーターで再度2階に上がり、『ラウンジ』に向かった。
34 :
餅:2001/07/22(日) 08:24 ID:???
ドアを開けると西村はすでに『ラウンジ』にいた。
その脇で昼組とは違う男女が二人何やら話し込んでいた。
どちらも結構若い。20代前半くらいのようだ
「あ、餅さん来ましたか。じゃあ自己紹介でもしましょうか。」
西村は俺の隣に立ち、夜組の二人に俺を紹介した。
「今日から夜に入ってもらう事になった餅さんです。
初めて会うと思いますが、夜組の方、よろしくお願いしますね。」
「餅です。初めてなのでよくわかんないんだけどとりあえず宜しく。」
俺は二人に向かって軽く頭を下げ挨拶した。
35 :
餅:2001/07/22(日) 08:25 ID:???
「ああ、餅か。よく煽りあいしたもんだけど、まあこれからは
仲良くやろうや。開店寿司だ。」
「sage専門だけどヨロシクね、餅。サクラメントです。」
この二人は開店寿司とサクラメントだったのか。
挨拶をすませ、昼組と板の流れについての引継ぎを行なった。
「今日はあまり動きがないから、夜組の人たちはなるだけあばれてね。
不満そうな名無しさんがたくさんいるから。私も今日は張り合いが
なかったわ。じゃあ、頑張ってね。」
うにはそう言い残し『ラウンジ』から出ていった。
「待ってよ、うに〜」追いかけるようにリフ・ラフも出ていった。
36 :
餅:2001/07/22(日) 08:26 ID:???
「では餅さん、初仕事です。頑張って下さいね。」
西村は俺の肩をポンと叩いた。
「あれ?あの人は?」
俺はまだモニタに向かって座っている「プロ名無し」を指差した。
「ああ、彼ですか。彼は休みいらないそうで。自由にさせてますよ。
残業つくわけじゃないんですけどね。よっぽど叩きが好きなんですね。」
西村は苦笑いしていた。
「では頑張ってください。深夜枠であなたの知っている人がもう一人来ますから。」
「またドッキリかよ。昼はマジ焦ったぞ。有り難く頂戴したけどね。」
「ハハハハハ、では頼みますよ。」
西村はまた俺の肩を軽く叩き『ラウンジ』を出ていった。
37 :
餅:2001/07/22(日) 08:28 ID:???
あらかじめ指定された席につき、俺はモニタに向かった。
引継ぎにあったように、これといって盛り上がったスレもなく
とりあえずレスしやすいどうでもいいスレから書き込みを始めた。
「これじゃプロ固定でも何でもねえな。」
心の中でそう思いながら、俺に絡む名無しを相手にレスを続けた。
「どれ、暇だから板でも飛ばしてみるか。」
【板飛ばし】を選択すると、次の瞬間板は真っ白になった。
おお、これは楽しい。
「おいおい、あんま悪戯すんなよ。まだ人少ないからいいけどさ。」
回転寿司がこちらを向いて笑いながら言った。
「ごめんごめん、俺もやってみたくてね。まあ許せ。」
そう言って、リロードするとすでに「dj」スレが立っていた。
みんなdjスレでギャーギャーわめいている。
Kerberosが悪戯にスレを立てる名無しに向かって説教してるようだ。
38 :
餅:2001/07/22(日) 08:28 ID:???
とりあえず俺は目立ったレスをする事もなく、ROMしたり地下スレ覗いたり
していた。すでに日付は変わっていた。
「もっちー!」聞き覚えのある声だ。
もしやと思い、振り向くとやはりそこにはハピがいた。
「ゲゲッ、ハピまでプロ固定かよ。ひろゆきが言ってた『もう一人』ってのは
ハピの事だったのか。」
「おはよー!もっちーもスカウトされたんだね。
これから一緒にお仕事だね。私、癒し系キャラだから存分に癒してあげるね。」
「癒し系ね、はいはい。その通りでございます。こちらこそよろしくな。」
俺は半ば呆れた口調で言った。
「さあー!仕事するぞー!」
深夜だというのに、ハピは元気だ。そんなに気合入れてする仕事なんだろうか?
39 :
餅:2001/07/22(日) 08:28 ID:???
深夜枠はこれといって荒れる事もなく、そのままの流れで
マターリとした早朝を迎えた。
テレホも終わり、俺の初日の仕事は終りをつげた。
朝のプロ固定はまだ見つかってないようで、夜組から朝組への
引継ぎはないようだ。
「もっちー!朝ご飯食べに行こ!」
ハピと一緒に地下のレストランで朝食を食べ、二人は各自の部屋へ戻るため
5階に上がった。
「もっちー、おやすみ〜」そう言って、ハピは自分の部屋へ消えていった。
(俺はまだ寝ないけどね)
そう心の中でほくそ笑みながら、俺はPHSを取り出し昨日の娘の番号を押していた。
40 :
餅:2001/07/22(日) 08:29 ID:???
『プロ固定の館』(建物に名前があるかは知らない)は実に快適だった。
毎日定時に『ラウンジ』に入り、書き込みの仕事をした後、朝方に
バーで酒をひっかけて、部屋でSEXして寝るという夢のような生活を毎日続けた。
好きなだけ板で暴れ、気に食わないレスがあれば削除し『ラウンジ』に飽きたら酒と女。
何の不満もなかった。しかし不満がない事が逆に不満を増幅させたのだった。
楽しい生活は1ヶ月しか持たなかった。
41 :
餅:2001/07/22(日) 08:29 ID:???
義務として強いられた「2ch遊び」が実は面白くない事に気がついて
しまったのだった。いつしか俺は地上で書き込みするよりも
地下で独り言を書く事が多くなった。たまに来る名無しさんと遊んで
いるのが楽しかった。
「プロ固定」の給与はレス獲得数に応じて歩合性となっていた。
だが地上に出なくなってから、当然のようにレスは減り
給与格付けの目安となるプロ固定ランクでも、いつしか最下位まで
落ちていた。それでも俺は地上で暴れる気力を取り戻せないでいた。
42 :
餅:2001/07/22(日) 08:30 ID:???
ある日の夕方、いつも通りに仕事前に食事をとるために
レストランに行こうと思い部屋を出ようとしたところ、目の前に
一人の男が立っていた。
西村だった。
「餅さん、ちょっと一緒に社長室に来てもらえますか?」
寝ぼけまなこで俺は軽くあいづちをうち、後をついて10階に上がった。
部屋に入り二人はソファーに座った。
43 :
餅:2001/07/22(日) 08:30 ID:???
唐突に西村が切り出した。
「餅さんには今日から仕事場を変わってもらいます。」
その言葉で俺も目が覚めた。
「え?何で突然・・・。」
「最近、餅さん元気ありませんね。ちょっと気分転換でもしてもらおうと
思いましてね。専門板に行ってもらいます。」
「専門板って・・・俺、知識ないよ。雑談しかできんよ。どこに行けっていうんだよ。」
俺は焦っていた。専門板で通用するような知識など持ちあわせていなかった。
44 :
餅:2001/07/22(日) 08:31 ID:???
「寺社仏閣板に行ってもらいます。あそこを盛り上げて下さい。」
「寺社仏閣板〜?んなの見た事もないよ。っていうか、寺とか仏なんて
知識ないって。カンベンしてくれよ。」
「大丈夫です。あなたならできます。
寺社仏閣板は3階のエレベーターを降りて右手に曲がったところに
あります。あとラウンジのあなたの席には、今日から新しい人が
入りますから席はありませんからね。」
珍しく西村の顔には笑みすらなかった。
45 :
餅:2001/07/22(日) 08:31 ID:???
「では宜しくお願いしますね。ちょっと次の来客があるものでこのへんで。
俺に早く出て行けと言わんばかりの言い方だった。
「わかったよ。3階だな。」
しぶしぶ俺は社長室を出て、とりあえず食事をとるためにレストランへ
向かった。
※ ※ ※
「餅、大丈夫ですかね?」
サングラスをかけた黒服の側近が西村に問いかけた。
「フン。あそこで使い物にならなきゃ後は考えるさ。
ダメな奴は何やってもダメだからな。」
西村は吐き捨てるように言った。
「そうですね。使えない奴にはアノの手もありますからね。」
黒服の男はニヤリと笑った。
46 :
餅:2001/07/22(日) 08:31 ID:???
※ ※ ※
食事をすませ、俺は寺社仏閣板の部屋に向かっていた。
ドアを開けると、待っていたのは寝静まったようにシーンとした部屋だった。
部屋はラウンジと同じ作りだった。
ただ違ったのは、プロ固定らしき人間が誰一人としていなかった事だけだ。
「ちっ、俺しかいねえのかよ。」
あらかじめ西村に指定された席に座り、とりあえずスレッドを眺めた。
「くっ、この板このスレで何をどうしろっていうんだ。」
俺はやけくそでスレッドを立てまくった。
47 :
餅:2001/07/22(日) 08:32 ID:???
【仏様だけど何か質問ある?】
俺としては最高のボケネタだった。ラウンジあがりとしては
このネタからチャレンジしてみた。
・・・・・・全くスレッドに動きはない。
「くそったれ。じゃあ、これでどうだ。」
【マターリとみんなでお経となえようYO!】
参加しやすいようにマターリ系にふってみた。
・・・・・・全くスレッドに動きはない。
「俺のせいじゃない。人がいないんだ。人がいないだけなんだ。」
自分にそう言い聞かせるのが精一杯だった。
48 :
餅:2001/07/22(日) 08:32 ID:???
・・・・・・
寺社仏閣板に異動して1週間が過ぎた。
俺はすでに廃人と変わらなかった。
「ひろゆきめ、わざと俺をここに送り込みやがったな。」
寺社仏閣板は俺の狂ったような荒らしレスしか見当たらなくなっていた。
もうどうでもよかった。寺社仏閣板は廃墟と化していた。
※ ※ ※
「西村さん、餅もそろそろ限界のようですね。」
黒服の男が社長室のPCのモニタを見ながらそう言った。
「やはり無理だったか。根性なしが。フン。
いつも通りに処理してくれ。地下のアイツには連絡しておく。」
そう言って西村はPHSで誰かに電話をかけはじめた。
49 :
餅:2001/07/22(日) 08:33 ID:???
やっとの事で朝を迎え、つまらない仕事を終えた俺はそそくさと
部屋に向かっていた。部屋のドアにメモがはさんであった。
「本日夕方17:00より健康診断をします。地下一階の医務室まで来てください。
西村 」
メモにはそう書いてあった。
「何だ一斉健康診断か?」
メモをポケットに入れ、俺は部屋に入った。
そしていつもの通りに娘を電話で呼び、狂ったようにSEXをした。
これだけは変わらない習慣だった。
50 :
餅:2001/07/22(日) 08:33 ID:???
16:00のモーニングコールで目を覚まし、シャワーを浴び
準備を整えると、俺は地下一階の医務室に向かった。
医務室に入ると、医者らしき人間と助手がいた。
「あれ?俺だけ検査なの?」
「プロ固定も結構いますから、ちゃんと順番が決まってるのですよ。」
その医者は変な笑みをこぼしながらそう言った。
「じゃあこのベッドに横になってもらえますか?」
俺は医者に言われるままベッドに横たわった。
51 :
餅:2001/07/22(日) 08:34 ID:???
「それではちょっと麻酔しますので」
医者が俺に向かってそう言った。
「え?何で健康診断で麻酔すんの?」
「ちょっと脳波測定をしますから。はい、気を楽にして下さい。」
医者はニヤリと笑いながら、注射器を片手にそう言った。
チクリとした軽い痛みと共に、しびれるような感覚が全身をかけめぐった。
「もう麻酔効いた頃か・・・10分後くらいから始めるか」
医者が助手にそうつぶやくのが聞こえた。
「何だ?『10分後くらいから始めるか』って・・・」
悩む間もなく、俺は深い眠りに落ちていた。。。
52 :
餅:2001/07/22(日) 08:35 ID:???
※ ※ ※
「落ちたようだな。さあ運ぶぞ。」
医者はそう言って、助手と二人で餅を抱き上げ、車椅子に座らせた。
医務室を出て通路に出ると、たまたま夕食のためレストランに
向かっていたサクラメントと遭遇した。
「あれ?どうしたの餅、怪我でもしたの?」
「餅さんは今お休み中ですよ。体調崩したようで部屋まで送り届ける
ところなんですよ。」
医者がサクラメントに向かって言った。
「そうなんだ。寺社仏閣板に行ってからほとんど会ってなかったからなあ。」
そう言い残し、サクラメントはレストランの方向へ歩いていった。
53 :
餅:2001/07/22(日) 08:35 ID:???
車椅子に押された餅はエレベーター前に着いた。
医者がエレベーターのボタンを押した。餅の部屋がある6階ではなく
地下2階だった。
エレベーターを降り「医歯薬看護板特別研究室」と表札のある部屋の前で
車椅子は止められた。ドアには「関係者以外立入禁止」と書いてある。
医者はカードキー(この建物の鍵はすべてカードキーである)を取り出し
ロックを解除すると車椅子を押しながら部屋に入った。
54 :
餅:2001/07/22(日) 08:36 ID:???
部屋の真ん中に大きな手術台らしきものがあり、周りには様々な機具が
並んでいた。部屋の隅にある戸棚には恐らく薬品と思われる瓶がたくさん
あった。入口側にデスクがあり、そこに中国人もしくは韓国人らしき人物が
座って何か書き物をしていた。
「キム、仕事だ」
医者がその東洋人に向かって言った。「キム」という名前らしい。
「また仕事アルカ?さっきやったばかりアルヨ。」
「いいから黙ってやれ。西村さんの命令だ。
今回はAI実験のほうで処理しろとの事だ。外部には出さん。
わけのわからんもの作るなよ。いいな。」
「わかったアルヨ。AI実験のほうは順調に動いてるアルヨ。」
55 :
餅:2001/07/22(日) 08:36 ID:???
部屋の隅にある『あるもの』を見て医者が言った。
「またあんなもの作ったのか。悪趣味なヤツだ。さっさとそこに
ある『残り』も片づけとけ。」
「あれは西村がくれたアルヨ。もういらないからって。
好きに遊ばせてもらったアルヨ。」
キムは細い目をさらにいっそう細めて笑っていた。
「じゃあ頼んだぞ。」
そう言って医者は部屋を出ていった。
56 :
餅:2001/07/22(日) 08:36 ID:???
「また脳味噌ほじくり出すアルカ・・・
いい加減、嫌になってきたアルヨ。でもブラックジャックなみの
技術を持った天才外科医キムを拾ってくれた西村のためだから
頑張るアルヨ。」
キムは溜息をつきながら、手術台の上にある『残り』をとりあえず
床に下ろし、車椅子から餅の体を起こし手術台の上に乗せた。
「じゃあ、餅さんとやら、ツルッパゲにさせてもらうアルネ。」
キムはカミソリを取り出した。
57 :
餅:2001/07/22(日) 08:37 ID:???
キムが髪の毛を削ぎ落とそうとした瞬間、デスクにあるPHSが鳴った。
「もう何アルカ・・・これから忙しくなるところアルヨ。」
キムは電話をとった。
「俺だ。西村だ。警察がどうも不審な動きをしているようだ。
緊急会議を開くからキムも10階に至急来い。」
「今、手術するところアルヨ。後じゃ駄目アルカ?」
「それどころじゃない。そんなの後でやれ。わかったな。」
「ほいほい、わかったアルヨ。今行くアルヨ。」
そう言ってキムは電話を切った。
58 :
餅:2001/07/22(日) 08:37 ID:???
「餅さんとやら、もうちょっと髪生やさせておいてあげるアルヨ。」
キムはしぶしぶ部屋を出ていった。明かりの消えた真っ暗な部屋で
餅はそのまま深い眠りについていた。
※ ※ ※
ふと気がつくと、俺は真っ暗な闇の中にいた。
何も見えない……脳波のテストはどうなったのだ?
俺は起き上がりあたりを触ってみた。
どうもベッドらしきものの上に寝かされているようだ。
59 :
餅:2001/07/22(日) 08:37 ID:???
そろそろと足を下ろしてみると、果たして床に足がついたようだ。
ちょうど二本足でまだ立てない幼児のように、俺はあたりを
四つんばいになって這いはじめた。
ふと何だかわからないものにぶつかった。手探りで探ってみて
思わず俺は「うわっ!」っと声をあげた。
驚いて一瞬『それ』から手を離した。
俺は真っ暗闇なだけに、得体のしれない『それ』に恐怖を感じていた。
60 :
餅:2001/07/22(日) 08:37 ID:???
再度『それ』に恐る恐る再度手を伸ばしてみた。
ヒンヤリとした『それ』は動かなかった。
指先の感覚から『それ』は「人間の足首」らしきものと思われた。
「死体か?」
この死体らしきものは全裸だった。
感触を確かめながら、上半身の方に向かって手を伸ばしはじめた。
この体温から予想するとどうも死んでいるらしい。
その体の曲線からそれは女性と思われた。
61 :
餅:2001/07/22(日) 08:38 ID:???
腹部から胸部へ……やはり女性のようだ。
その乳房の張りは死後硬直していても、明らかに若い女性とわかる
ものだった。髪の長さがわかれば……
乳房からさらに首のほうへ手を伸ばす。
「ギャッ!」思わず後ろにのけぞった。
あるはずのものがない。
その体は首のところでプッツリと途絶えていた。
そう、首のない胴体なのだ。
62 :
餅:2001/07/22(日) 08:38 ID:???
恐ろしくて俺は身動きできなかった。
暗闇の中に一体の首のない死体があるという事だけが
今分かる精一杯の現実だった。
ふとあたりに何かが蠢く気配を感じた。
真っ暗な空中を手を振りかざしながら、あたりを探ると
足元に何か毛むくじゃらの物体が蠢いている。
……暖かい。この物体は生きているようだ。
犬?猫?どうも動物のようだ。
63 :
餅:2001/07/22(日) 08:38 ID:???
「ウウウウ……」
変な鳴き声のするその物体を、思い切って捕まえてみた。
確かに犬か猫のようだ。その毛並みから猫と思われた。
頭を撫でようとして一瞬手が止まった。
髪!
これは人間の頭ではないか!
64 :
餅:2001/07/22(日) 08:39 ID:???
手探りで輪郭をなぞってみるが、確かに人間の頭である。
しっとりとしたその肌の感触、長い髪の毛からそれは
女性の頭部であると思われた。
「ウウウウ……」
人間の頭を持ったそのへんてこりんな猫?は
また気味の悪い鳴き声をあげた。
まさか、さっきの死体の頭部では……
65 :
餅:2001/07/22(日) 08:39 ID:???
首のない死体。人間の頭がついた生き物……
暗闇の中で俺は状況把握できずに唖然としていた。
恐怖なんてどこかに飛んでいた。
この猫?(らしきものだから猫と呼ぶ事にしよう)は俺を怖がろうとしない。
妙にじゃれついてくる。それは暗闇の中でも十分感じられた。
本当にこの猫の頭が人間ならば、脳まで人間なのだろうから
こちらが人間だとわかれば安堵しているのかもしれない。
66 :
餅:2001/07/22(日) 08:39 ID:???
この猫の頭は妙な位置についている。
本来猫の頭がある場所よりももっと上、前足と同一直線上の胴体の上に
のっかっている感じなのだ。猫の胴体のサイズと人間の頭のサイズが不均衡な
ためそうなったのかもしれない。いずれにせよ、気狂いによる悪戯としか思えない……
67 :
餅:2001/07/22(日) 08:39 ID:???
猫が俺の顔を舐めてくる。といっても、人間の舌なのだが。
「ウウウウ」としか鳴き声をあげられないこの女は
意志伝達が動物と同じ方法しかとれないのだ。
同じ人間?がこの暗闇にいるのがわかっても、会話する事すらできない。
哀れに思い、顔を撫でてやろうとした時に、顔が濡れている事に気がついた。
泣いているのだ。
こんな不具者のような体になっても、心だけは人間のようだ。
この女は何故こんな変な物体に成り果てたのだろう?
68 :
餅:2001/07/22(日) 08:40 ID:???
ふと猫が俺の手元を離れ、どこかに消えていった。
あの猫はこの暗闇で目が利くのか?
冷静さを取り戻した俺は、ここからどうやって脱出するかという事だけを
考えていた。しかし周りも見えない真っ暗闇の中でどうすればいいと
いうのだ?
猫が帰ってきた。
「ウウウウ」とうなりながら、俺の手元に顔を近づけてくる。
何かを口にくわえているようだ。
69 :
餅:2001/07/22(日) 08:40 ID:???
口元からそれを取り出し、手探りで判断してみる。
小さな四角い物体だ。色々触っていると、その箱らしきものの
形が変わった。というよりも、箱の側面が押すと出てくるようになっている。
そうか!これはマッチだ。
手探りで中を触ってみると、棒状の物が数本入っている。
恐る恐る、暗闇の中でマッチ棒らしきものを取り出し
手探りで火をつけてみた……
70 :
餅:2001/07/22(日) 08:40 ID:???
※ ※ ※
10階の社長室には、西村と黒服の男が数名ソファーに腰掛け、医務室の医者と
助手そしてキムがその脇に立っていた。
西村が立ちあがり、窓の方に向かい歩くと外を眺めながらつぶやいた。
「どうも最近張られているようだ。アクセスログを調べるとここ最近
かなりの板に警察のIPが記録されている。どうも世の中で頻発する
怪しい事件がすべて2chが絡んでいると余計な詮索をしてるようだ。
まあ数々の交通違反を揉み消してきた俺からすれば
桜田門など取るに足りないがな。」
西村はニヤリと笑いながら部下のほうに向き直った。
71 :
餅:2001/07/22(日) 08:41 ID:???
「何か詮索されるような証拠でも残したんでしょうか?
『ネタ』放出には最新の注意を払っておりますが・・・。」
黒服の一人が脅えながら西村に尋ねた。
「いや今のところそれはない。お前らもよくやってくれている。
ただ気になる事が一つある・・・。キムちょっと来い。」
西村はそう言うと、デスクのPCに向かい何やらウィンドウを開いた。
キムはツカツカと西村のそばに近寄った。
「どうかしたアルカ?」
西村はキムの顔を覗き込むようにこう言った。
「これはお前の仕業か?
http://fnn.fujitv.co.jp/headlines/CONN00000965.html」
72 :
餅:2001/07/22(日) 08:41 ID:???
「そんな事あるわけナイヨ!ここ最近研究室から出てないアルヨ。
だいたい栃木まで行かないアルヨ。」
キムは慌てて言い返した。
「ならいいんだが。どうもお前のやる『クセ』と似てたものでな。
ちょっと気になっただけだ。こんな事件で桜田門に勘ぐられたのでは
たまったもんじゃないからな。」
西村は椅子に座り一息ついた。
「では各自変わった事がないか近況を報告してもらおうか。」
部下は各自の近況報告を伝え、西村は的確な指示を次々と出していった。
打ち合わせは2時間にも及んだ。
73 :
餅:2001/07/22(日) 08:41 ID:???
※ ※ ※
俺は手探りで一本のマッチを取り出しあたりをつけ擦った。
棒に塗布された赤リンがジッという摩擦音を立てて発火する。
視界が球の径を上げるカタチで急速に広がった。
その円内には薄明かりでもはっきりとわかるほどの
奇妙な生き物が映し出されていた。
人間の女性の頭部を持った猫・・・。
74 :
餅:2001/07/22(日) 08:42 ID:???
『猫』は泣き崩れていた。その女性は20歳前後と思われたが
恐怖のためか一層更けて見えた。ぼんやりとした赤茶けた円の中でも
その顔は青ざめているように見えた。
なんてアンバランスなのだろう。
実際の猫の頭と比較すると2倍もあろうかと思われる人間の頭部が
猫の胴体にくっついているのだ。
その異次元空間から抜け出すのに30秒とかからなかった。
マッチが燃え尽きたのだ。
もう一度明かりをつけようと、手探りで2本目を取りだそうとした時に
ふと手が止まった。この顔、どこかで見た事がある。
75 :
餅:2001/07/22(日) 08:42 ID:???
「どこで見たんだろう?」
俺は記憶を振り絞って辿ってみた。
思い出せそうで思い出せない。何故か『ラウンジ』という言葉だけが
頭の中をグルグルと回っていた。
「あっ!」
思わず俺は声をあげ、慌てて2本目のマッチを擦った。
間違いない。あそこで見たのだ。再び幻想世界が蘇る。
「も、もしかして君は……ま、まろん……」
76 :
餅:2001/07/22(日) 08:43 ID:???
間違いない。あれだけ騒がれたスレッドで晒した画像は
そうそう忘れていない。
「まろん、まろんなんだろ?どうしてこんな姿に…。」
「ウウウウウ…」
その『猫』は重たそうな頭を大きく上下に振りながら
また唸り声をあげた。やはり、まろんなのだ。
「誰が…誰がこんなひどい事を…。」
色の無くなった世界で俺はまろんの小さな体を抱きながら
そうつぶやいていた。
77 :
餅:2001/07/22(日) 08:44 ID:???
「そうだ。明かりを探そう。まろん、ちょっと待ってろよ。」
俺はまろんを床に下ろし、立ち上がって3本目のマッチを擦った。
視界範囲が狭くあまり周りが見渡せない。
そばには手術台らしきものがある。
マッチを数本擦り、数分にわたり部屋の中をうろうろしたあげく
やっとの事でドアのそばに部屋のスイッチがあるのを見つけた。
スイッチを押すと目の前に真っ白な世界が広がった。
眩しさに目を伏せながら、とりあえず何とか暗闇の世界からは脱出する事が
できた事に俺は安堵した。
78 :
餅:2001/07/22(日) 08:44 ID:???
ここは手術室のようだ。
部屋のど真ん中に手術台がある。そのまわりに機材がごちゃごちゃあり
壁際の戸棚には薬品関係の瓶がたくさん並んでいる。
手術台のそばの床に首のない女性の死体がある。
まろんはその死体の前で寂しそうな目をしながら、ちょこんと座っていた。
やはりこれがまろんの胴体なのだろうか。
「まろん、おいで」
俺はしゃがんでまろんを抱き上げた。
そして胸に抱きかかえながら聞いてみた。
「これはまろんの体なのかい?」
79 :
餅:2001/07/22(日) 08:45 ID:???
まろんはまた重たそうな頭を上下に振った。
明かりの下で見るまろんの顔は一層青ざめて見えた。
胴体と首の繋ぎめの生傷が痛々しい。猫の鼓動がドクドクと激しく脈打つ。
生きているのが不思議なくらいだ。
「そうか、猫の心臓で人間の脳味噌に十分な血液を循環できるだけの
能力があるはずがないな。だからなのか。」
俺は無造作に床に放置されたまろんの裸体を手術台に上げた。
まろんは俺の腕の中で遠い目をしながら自分の体をぼんやりと眺めていた。
80 :
餅:2001/07/22(日) 08:45 ID:???
まろんを手術台に乗せると、俺はとりあえず脱出路を確かめるため
部屋の入口に向かった。
そしてカードリーダーに自分のカードキーを差し込んでみた。
変化はない・・・。専用カードキーじゃないと開かないようだ。
「くそっ」
吐き捨てるように言うと、俺は部屋をもう一度見渡した。
入口と反対側にもう一つドアがある。
「ここから出られないのだろうか?」
その扉にはカードリーダーはなかった。ドアのすぐ脇のボタンを押すと
何の造作もなくドアは横にスーッと開いた。
81 :
餅:2001/07/22(日) 08:45 ID:???
もう一つの部屋がある。
部屋の入口にある電気のスイッチを押し、明るくなった部屋を見渡してみた。
2chの仕事場とほぼ同じ作りになっていた。
スクール形式でデスクが10台ほど並んでおり、そのデスクの上にはノート型の
PCがそれぞれ置かれていた。ただ俺が今まで見た『ラウンジ』と『神社仏閣』とは
異なる点が一つあった。ノートPCの脇にセットになって水槽が並んでいる。
水槽の中には、何やら丸い物体がそれぞれ入っている。
82 :
餅:2001/07/22(日) 08:46 ID:???
「何だろう?これは」
近くのデスクに近づいてその水槽を確かめてみた。
「これは人間の脳じゃないか!」
脳は恐らく培養液と思われる液体に浸されていた。水槽の中の台の上に
乗せられた形で脳は納まっていた。その水槽の後ろから配線らしきものが
伸びており、それはノートPCへと繋がっていた。
PCのモニタには2chの画面が表示されていた。不思議なのは、人もいないのに
淡々と文章が書き込みされ、自動でリロードされている事だ。
周りのPCを見渡しても同様に「書き込み」→「リロード」が繰り返されていた。
83 :
餅:2001/07/22(日) 08:46 ID:???
「ま、まさか、これは水槽の脳が書き込みしてるのでは・・・」
状況から判断するに、そうとしか思えなかった。
ふとPCのモニタの脇にテプラが張ってあるのを見つけた。
【#004:saki/lobby:○○○○】
「まさかこれが固定だというのか?」
俺は慌てて一つ一つのPCのテプラを調べた。
やはりあった・・・entrance
それにはこう書かれてあった。
【#008:corn/entrance:オルテガ】
84 :
餅:2001/07/22(日) 08:46 ID:???
「この脳があのオルテガだというのか!?」
俺の存在に気がついているのすらわからないだろうその『オルテガ』は
ただ淡々と書き込みとリロードを繰り返していた。
「なんなんだ?この部屋は!」
俺は唖然として再度あたりを見渡した。
この部屋で殺された(?)誰ともわからぬ固定達が2chをコントロールしている。
俺は『脳味噌だけになった人間』と遊んでたというのか?
ふと『オルテガ』の隣を見ると、モニタが映っていないPCがあった。
そしてそのPCを操作するであろうと思われる水槽の中には
何も入ってはいなかった。だがPCにはテプラがしっかりと張ってあった。
そこにはこう記載されていた。
【#009:corn/entrance:餅】
85 :
餅:2001/07/22(日) 08:47 ID:???
※ ※ ※
緊急会議の終わった社長室で西村は各サーバーへのアクセス状況をチェックしていた。
「むう…。日に日にアクセス数が少しずつ減ってきてるな。
それよりもアクセス数と書き込み数との乖離が大きくなってきている。
ROMが増えてきているのか…。何とかしないといけないな。」
西村はデスクの引き出しを開け「うまい棒」を取り出し、口に咥えたまま
腕組みをしながら空中を見つめ考えていた。
「ただ書き込み数を増やすだけの、空気的存在の『プロ名無し』でも雇うか。
なるべくクセのない奴を・・・。」
86 :
餅:2001/07/22(日) 08:47 ID:???
87 :
餅:2001/07/22(日) 08:48 ID:???
※ ※ ※
「これは俺用の棺桶…。死んでも2chに書き込み続けさせるための棺桶。
人間は機械じゃない!ひろゆきめっ!元々俺を殺す気でいやがったなっ!」
俺はその水槽を見つめながら狂人のように叫び、その俺の名前が刻印された
PCを床に投げつけ破壊した。
あの日、プロ固定にスカウトしてくれた西村を尊敬の眼差しで見ていた俺は
もうすでにいなかった。あるのは殺意にも近い憎悪だけだった。
「このビルは狂ってる…。絶対に潰してやる!」
いつのまにか、ドアの入口でまろんが悲しそうに俺を見つめていた。
88 :
餅:2001/07/22(日) 08:48 ID:???
「こんな風になってまで、2chに書き込みして楽しいかい?
そんなわけないよな………。」
返事など返ってくるはずもない『オルテガ』に俺は独り言をつぶやいていた。
『オルテガ』は画像晒し系スレッドで「もっと晒せぇえええ!」と
延々と書き続けていた。
ふと画面がピタリと止まり、書き込みが止まった。
「どうしたんだろう?」
書き込み欄に文字が入力されていく…。
『オルテガ』が脳味噌だけになっても生きている証がそこにはあった。
たった一言、"コロシテクレ"と…。
89 :
餅:2001/07/22(日) 08:48 ID:???
書き込みボタンが押される前の状態で画面は止まったままだった。
「そんな姿になっても俺がわかるのか?俺にお前を殺せというのか?」
画面に変化はなかった。『オルテガ』は待っていた。
「そうか、わかった。自分ではどうする事もできないんだな。
一生死ねないまま、このままなんて嫌だよな。
今、楽にしてやるから。もう安らかに眠れ。
できれば生身の人間でご対面したかったよ……。」
その水槽の『オルテガ』をじっと見つめながら、俺はそれでもまだ
実行できずに戸惑っていた。
90 :
餅:2001/07/22(日) 08:49 ID:???
しばらくして画面が動かないままのモニタを見つめ俺は決心した。
そしておもむろにPCの電源を強制的に落とし、水槽の後ろにある
生命維持装置らしき機械の電源を落とした。
「おやすみ、オルテガ……」
複雑な気分だった。まるで植物人間状態になった患者の生命維持装置を
止めてしまったかのような後ろめたい感情に俺は苛まされた。
俺はしばらくその場に立ちつくしていた。
91 :
餅:2001/07/22(日) 08:49 ID:???
ふんぎりをつけ、まろんのいる入口のほうに向かおうとして俺は足を止めた。
他のすべてのPCの画面がピタリと止まっており、その書き込み欄には
『オルテガ』と同様に、人間としての最後の意志が書かれてあった。
「そうか……。皆、同じ気持ちなのだな。」
俺は『オルテガ』対して行なったように、屍と変わらぬ固定一人一人に
同じ供養をしてまわった。そして最後に部屋の中央で両手を合わせ黙祷した。
「安らかに眠ってくれ。このビルは俺が必ず滅ぼす…。」
ふと足音に気がつき目を開けると、部屋の入口に一人の男が立っていた。
「見てしまったアルネ。餅さんとやら。」
92 :
餅:2001/07/22(日) 08:49 ID:???
ドアの入口には一人の東洋人が立っていた。
その顔立ちは日本人とは、やや違っていた。
その男は左手でまろんの首だけを無造作に捕まえていた。
「ウウウウウウ……。」
まろんは体をよじらせてバタバタともがいていた。
「何をそんなに驚いているアルカ。餅さんとやら。
よくもキムの実験の邪魔をしてくれたアルネ。」
「誰だ、貴様!まろんを放せ!」
「オマエにそんな事言う権利ないアルヨ。」
キムはそう言うと、黒光りする拳銃をポケットから取り出した。
93 :
餅:2001/07/22(日) 08:50 ID:???
「とりあえずここ出るアルヨ。
おっと、両手を頭の上に上げるアルネ。」
キムは右手に拳銃、左手にまろんを掴み
俺に銃口を向けたけたまま俺の背後に回り
手術室の方に歩くよう背中に銃口をつきつけた。
「そこの壁に向かって両手を挙げたまま立つアルヨ。」
俺は言われるままその異様な部屋を出て、両手を挙げたまま
手術室の壁にへばりついた。
キムはそのままデスクにある椅子に座ると、左手でまろんを掴んだまま
膝の上に乗せ、右手で拳銃を握り銃口を俺に合わせていた。
94 :
餅:2001/07/22(日) 08:50 ID:???
「西村さんがあんな事でキムを呼び出したりしなければ
今頃はオマエも水槽の中だったはずアルヨ。
ちょっとだけ長生きしたアルネ。」
「ひろゆきから俺を殺せと命令されたのか?
あの水槽の脳は何だ?今まで何人殺した?貴様。」
俺は壁に向かったまま首だけをひねる格好でキムに質問した。
「『殺す』ねえ…同じようなものアルけど。
脳味噌は死んでる事になるアルかね?クククッ」
キムはいやらしい笑いをこぼした。
95 :
餅:2001/07/22(日) 08:50 ID:???
「冥土の土産に教えてあげるアルヨ。
あれはオマエと同じで使えなくなったプロ固定の慣れの果てアルヨ。
わざわざ仕事場で書き込みさせるほどの価値もないから
脳だけ働かせてレスさせてるアルヨ。
まだ実験段階だったアルけどね。
人間と違ってタイプする必要もないから書き込み速いアルヨ。
連続投稿も下手なスクリプトよりも速いアルヨ。
餅さんとやらも競争してみるアルカ?アハハ。」
キムは声高々に笑った。
96 :
餅:2001/07/22(日) 08:50 ID:???
「まろんを何でそんな風にした?それもひろゆきの命令か?
気狂いめっ!貴様っ!地獄へ落ちろ!」
俺は怒りに震えていた。こめかみの血管が切れんばかりだった。
「んー、この女も元々水槽行きだったアルヨ。
ただキムがお気に召してしまったアルヨ。
ちょっと悪戯しようとしたら暴れるから、頭にきて
猫とくっつけてあげたアルヨ。そしたらおとなしくなったアルネ。
アハハハハ。可愛いまろんたん、アハハハハ。
そうだ、餅さんとやらにいいもの見せてあげるアルヨ。
そのままおとなしくこっち向くアル。」
言われるまま、俺は手を挙げたまま後ろに振り返った。
97 :
餅:2001/07/22(日) 08:51 ID:???
部屋の入口の隅のデスクの椅子にキムが座っている。
俺はちょうどその反対側の壁にひっついたように両手を挙げて立っていた。
キムは右手で拳銃を持ち俺に向けながら、まろんに話かけた。
「手を放すから逃げたら駄目アルヨ。
ちょっとでもおかしな動きしたら、あの男死ぬアルヨ。」
キムはそう言うと、まろんを一旦床に下ろした。
まろんはその場でじっと座り俺のほうを見つめていた。
その小さな体はブルブルと震えていた。
キムは右手で銃口を俺につきつけたまま、左手で自分のズボンを下ろしはじめた。
98 :
餅:2001/07/22(日) 08:51 ID:???
「まろんた〜ん、いつものお食事の時間アルヨ〜。」
そういうと、キムは下半身全裸のまま、まろんを拾い上げ
自分の膝の上に乗せた。そしてキムは俺にわざと見えるように
右肩を俺の方に向け、椅子を90度回転させた。
右手は拳銃を持ったまま、標的を変える事はなかった。
「貴様ァアッ!何をするっ!絶対殺すっ!死んでも殺してやるっ!」
俺はぶち切れていた。
「アハハハハ。どうぞ殺すアルヨ。その前にオマエが動けるアルカ?」
キムはそういいながら、俺の目を見て、再度銃口をつきつけた。
99 :
餅:2001/07/22(日) 08:51 ID:???
「そろそろ食べていいアルヨ。まろんたん。
怖がらなくてもいいアルヨ。いつも通りにすればいいアルヨ。」
キムは左手でまろんの頭を撫で回していた。
その異物の数センチ前で、まろんは石のように固まっていた。
まろんは、決して俺のほうを見ようとはしなかった。
「まろん!やめろ!何やってんだ!」
「餅さんとやら、何ならそこで自家発電してもいいアルヨ。
楽しいショータイムの始まりアルヨ。クククッ。」
100 :
餅:2001/07/22(日) 08:51 ID:???
……
まろんがその異物を口に含んだ。
体のサイズに合わない不均衡な頭が小刻みに揺れている。
「そうそう、うまくなったアルネ。教え込んだかいがあったアルヨ。
上手上手。後でまたお食事あげるアルネ。
これがほんとのオナペット。アハハハハ。
なかなかこれ便利あるよ。ちっちゃくて可愛いアルし。
餅さんとやら、何なら貸してあげるアルカ?アハハハハ。」
まろんは水飲み鳥のように、機械的な動きを繰り返していた。
101 :
餅:2001/07/22(日) 08:52 ID:???
「貴様!ぜってえ、ぶっ殺す!!!」
そう言いかけ、俺がキムに飛び掛かろうとした瞬間
ガァーーーーーン
弾丸が俺の右頬をかすめた。頬を血がツーッと流れるのがわかる。
「次は威嚇じゃないアルヨ。本当に殺すアルヨ。黙って見てるアルヨ。」
キムが険しい顔で俺を睨み、また俺の脳天に銃口を合わせた。
「餅さんとやら、そんなに死にたいアルカ?」
俺は反射的に壁際で立ち竦んでいた。
「くそっったれ!!!この気狂いがっ!」
102 :
餅:2001/07/22(日) 08:52 ID:???
……何かこの状況を打開する方法はないものか?
俺はそればかり考えていた。武器になるもの…何かないのか。
部屋を見渡し、手術台の脇のテーブルにキラリと光るものがある。
メス……あれさえ手に入れられれば。だがこの状況でどうやって…
「まろんた〜ん、そろそろ我慢できなくなってきたアルヨ。
準備はいいアルカ〜?。」
まろんの反復運動が大きくなりはじめた、その直後
「ギャアアアアアアッ!」
103 :
餅:2001/07/22(日) 08:55 ID:???
キムが叫び声をあげると同時に、俺は反射的に手術台脇のテーブルに
身をひるがえしていた。体が本能的に動いていた。
そしてメスを右手に握ると、一直線にキムに飛びかかっていった。
「このクソアマぁああっ!」
キムは拳銃を思わず離し、まろんの頭をを両手で掴むと、そのまま床に思いきり叩きつけた。
ゴンッ
その鈍い音がするかしないかのうちに、俺はキムの喉元にメスを突き刺した。
「貴様ァア!!!」
鮮血がほとばしる。噴水のようにキムの血潮が飛び散った。
「ギャァァアアアッ!!!」
俺は何度も何度も、キムの喉元をメスで刺しまくった。
真っ赤な鮮血が俺の顔面に振りかかる。赤いカーテンで視界を遮られながらも
俺の右手はキムの首を刺し続けていた。
わずか数秒の出来事だった。
キムは、もう、動かなくなっていた…
104 :
餅:2001/07/22(日) 08:55 ID:???
………
目の前に、動かなくなった男が一人。動かなくなった猫が一匹。
俺はその場にしゃがみこんでいた。
危機を脱出した安堵感など感じる余裕もなく、ただ自分が何をしていたのか
理解できず、呆然としているだけだった。
まるで、ついさっきまでの出来事が、作り物の映画のように感じられた。
「俺が殺したのか…?俺が?……」
俺は動かなくなったまろんを抱き上げた。
口から噛みきられた異物を取り出し、血でそまった唇でキスをした。
「まろん……俺のために……」
もう、まろんからうめき声すら返ってくる事はなかった。
それは、もう、ただの猫の死骸でしかなかった。
105 :
餅:2001/07/22(日) 08:55 ID:???
俺は立ちあがり、まろんを抱きかかえ、手術台に向かって歩き出した。
そして、手術台に乗っている『まろん』にその猫をそっと乗せた。
「自分の体だよ……。もうゆっくり休んでいいんだよ……。」
まろんを見つめながら、俺は赤い涙を流していた。
何故泣いているのか、自分でもわからなかった。
「まろん、さよなら……。」
冷静さを取り戻した俺は、近くにあったタオルで血染めの顔を拭いた。
「この館を滅ぼさねばならない。」
今、頭にあるのはそれしかなかった。
キムの胸元からカードキーを取り出し、難なくドアを開け
俺はその忌まわしい部屋を後にした。
106 :
餅:2001/07/22(日) 08:55 ID:???
エレベーターに向かおうと思ったが、ふと踏みとどまった。
「この格好で見つかったのでは、さすがにマズイ。」
いくら顔に飛び散った血を拭いたとはいえ、衣服にも相当の血が飛び散っている。
「階段で部屋まで戻ろう。フロアのどこかにあるはずだ。
そもそも、ここは何階なのだ?」
周りに気をつけながら、エレベーターとは逆の方向へそろそろと歩き出した。
人の気配は感じられない。ここは地下なのか?
通路を奥へ奥へと歩くと、階段へ続くと思われる扉にぶちあたった。
扉を開けると、果たして、階段があった。振りかえって扉を見ると「B2」と書いてある。
「ここは地下2階なのか。」
誰にも会わない事を祈りながら、俺は自分の部屋のある6階へと急いだ。
107 :
餅:2001/07/22(日) 08:56 ID:???
幸い、俺は誰にも会う事もなく、無事6階まで階段をあがる事ができた。
そうっと6階の階段の扉を開け、あたりをうかがった。
よしっ、誰もいない。
612号室はエレベーターの目前にある。誰に会うかもわからない。
俺は扉を開けると、全速力で自室まで戻り、鍵を開けると、すかさず部屋に飛びこんだ。
「ふうっ…」
ベッドの時計は22:00を表示していた。
とりあえず、俺はシャワーを浴び、ついさっきの悪夢を振り払うように
血のりを洗い流した。バスルームの床が赤く染まっていく。
シャワーを浴びながら、俺は考えていた。
「あの男を殺した事は、遅かれ速かれ、気づかれる。
動くなら、今しかない……。
俺、一人では無理だ。この計画を遂行するには仲間が必要だ。
ラウンジのみんななら、わかってくれるはずだ。
だてに俺もマジレスしてたわけじゃない。信じてくれるはずだ。
この館が狂っている事を……。」
108 :
餅:2001/07/22(日) 08:56 ID:???
俺はシャワーを出ると、椅子にどっかと座り、煙草をふかした。
目を閉じ、ここに来てから今までの事を回想していた。
「ひろゆきのやっている事は間違っている。
プロ固定はわかる。板の活性化にはやむを得ないとも言える。
だが、あの地下で見た脳味噌だけの固定は何だ?
人間としての存在すら剥奪してまで、2chの奴隷としたいのか?
そこまで2chの運営を合理化したいのか?人間を何だと思っている。」
紫の煙をくゆらせながら、俺は憤慨していた。
「ひろゆきを殺ろう。アイツさえ殺せば……。
二度とこのようなキチガイじみた掲示板を復活させてはならぬ。
サーバーもすべて破壊せねばならぬ。」
109 :
餅:2001/07/22(日) 08:56 ID:???
「まずはラウンジの有志を固めよう。」
俺は煙草を消すと、服を着て『ラウンジ』に向かう準備を始めた。
「今の時間なら、開店寿司やサクラメント、ハピがいるはずだ。
あいつらなら、俺の話も真面目に聞いてくれるだろう。
今こそ、ラウンジャーが蜂起せねばならん。
俺には頼る板はあそこしかないんだ。」
俺は何食わぬ顔で廊下に出た。周りには誰もいないようだ。
俺はエレベーターに乗りこみ、「2」のボタンを押し、扉を閉めた。
2階に着き、懐かしい『ラウンジ』へと向かった。
たかだか1週間なのに、遠い昔のように感じられた。
「ここしか頼るところはないんだ。」
そう胸に思い、懐かしいその部屋のドアを開けた。
110 :
餅:2001/07/22(日) 08:57 ID:???
ドアを開けると、何故か期待していたメンバーはそこにはいなかった。
「あれっ?夜組は?」
そう、そこにいたのは、うにとリフ・ラフだったのだ。
「あらっ?もっちー久しぶりね。どう?寺社仏閣板は?
なかなか楽しそうな環境でうらやましい事だわ。」
うにはPCを離れ、立ちあがりこちらに歩いてきた。
「ああ、おかげさまで元気だが……。
それより、何故昼組の君達がこんな時間に?
もう就業時間は終わってるんじゃないのか?」
「今、ラウンジも倦怠期に入っているから、昼夜のメンバーを逆転させられたのよ。
昼組、夜組で分けると、板が固まってしまうからって。ひろゆきの命令なのよ。
まあ、私もここに来る前は夜に来る事もほとんどなかったから
なかなか楽しいわよ。リフはどうも体が慣れないらしくて
ほとんど仕事してないに等しいようだけど。ウフフ。」
「そうだったのか。俺は全然知らなかったよ。」
「ところで、どうしたの?ラウンジが懐かしくなったわけ?」
うには、さも俺を蔑むようかに、いつもの言いまわしで俺に話しかけた。
111 :
餅:2001/07/22(日) 08:57 ID:???
「あれ?『プロ名無し』もいたのか。気がつかなかったよ。元気かい?」
『プロ名無し』は二人とは離れた席に座っており、俺は気がつかなかったようだ。
相変わらず無愛想な男だ。何の返事も返ってこない。
「まあまあ…。あの人はそうっとしておくのが一番いいんだから。」
うにが、なだめるように俺に言った。
「ところで真面目な話どうしたの?急にここに来るなんて。」
「実は………。」
俺は今まで俺に振りかかった悪夢をすべてうにに話した。
「あはははは。もっちーも寺社仏閣板に行って頭がおかしくなったのね。
そんな話が信じられて?猫の体に人間の首?それもまろん?
あはははは。頭大丈夫なの?」
「本当なんだよっ!信じてくれよ!ネタとマジの区別もつかないのかよ!」
112 :
餅:2001/07/22(日) 08:57 ID:???
「もっちーは癒しが足りないのね。疲れすぎてるのよ。
しょうがないわねえ。私が癒してあげるわ。
その代わり、給与天引きよ。」
うには笑いながらそう言うと、俺の首に両手をまわし、立ったままもたれかかってきた。
「何なら、あなたの部屋でお相手してもよくってよ?ウフフ。」
「おいおい、冗談はよせよ。こっちは真面目な話してんだぞ?信じてくれよ。」
「最近、女としてないんでしょ?無理しなくていいのよ。
もっちーは苛められるのとか、そういうの好きなんじゃないの?ねぇ?」
うにはそう言うと、両手で俺の首を握り締めた。
「うに、いいかげんオフザケはやめてくれ。」
俺はそう言って、うにの手を払いのけようとした。
が、女のか細いその手は一向に力を緩める気配はなかった。
何だ?この腕力は?普通じゃない。
113 :
餅:2001/07/22(日) 08:58 ID:???
「うに!やめろ!ふざけてんじゃない!」
「ふざけてんのはアンタでしょ?
2chをツブす?私の唯一の楽しみを奪う気?
アハハハハ。
気でも狂ったの?アンタにそんな事ができるわけ?
アンタねえ、暑苦しいのよ、昔から。ヘドが出るほど嫌いだったわ。
自己顕示欲、自己顕示欲、ウルサイのよ、アンタ。この私に向かって。
何様のつもり?
元々、アンタにプロ固定としての才能なんて、これっぽっちもないのよ。
ひろゆきにスカウトされて、浮かれちゃったわけ?
アハハハハ、馬鹿みたい。
ひろゆきに歯向かおうなんて、百万年早いわ。
死ぬがいいわ。私に殺されるだけでも有難いと思いなさい。この糞餅め。」
114 :
餅:2001/07/22(日) 08:58 ID:???
うには、さらに両手に力を入れ、俺の首を締めはじめた。
「うぐっ……うに、何……をす………る…。や…め………。」
うには、女とは思えない腕力で俺の首を締めつける。
「何故、うにが……」
俺はこのまま絞め殺されるのか。何故だ?
意識が遠のいていく………。
115 :
餅:2001/07/22(日) 08:58 ID:???
もう、だめだ…
全身の力が抜けていく感覚に陥ったその直後
急にうにの手が俺の首から離れた。何だ?どうしたんだ?
何が起こったのかと不思議に思い、薄っすらと目を開けると
そこには「プロ名無し」が立っていた。
足元には、うにがグッタリと倒れている。
「ちょいと落としただけだ。死んだわけじゃない。安心しろ。」
初めて聞く「プロ名無し」の声だった。
116 :
餅:2001/07/22(日) 08:59 ID:???
プロ名無しは年の頃、24〜5歳に見えた。
体育会系あがりと思わせるような、がっしりした体型だった。
とても、ネットジャンキーとは思えない。
「とりあえず、助けてくれて有難う。
しかし、何故、うには突然あんな事を…。」
俺は、まだ痛みの残る首を摩りながら、プロ名無しに礼を言った。
「これを見てみな。」
プロ名無しはそう言うと、グッタリと倒れているうにの左腕を
手に取り、俺に腕の内側を見せた。
無数の青い斑点…
「この女はヤク漬けだったのさ。
化粧でごまかしてるから、わからないかもしれないが
素顔は病人のそれと変わらん。俺は偶然一度見た事があるからな。
ひろゆきは、元々、この女を性奴隷にするつもりだったんだ。
プロ固定の座と純潔を天秤にかけさせたってわけだ。
ひろゆきの思惑通り、うにはプロ固定の座を選んだ。
後は薬漬けで、ひろゆきのやりたい放題ってわけだ。
馬鹿な女だよ。」
117 :
餅:2001/07/22(日) 08:59 ID:???
「あのキャラクターは嘘だったというのか?」
俺はプロ名無しの話に驚愕していた。
「薬でおかしくなっているのを、あえて電波なフリをしてただけだろ。
大方の住民は騙されていたようだがね。
ひろゆきは薬だけじゃなく、色々実験してたからね。この女に。
ほとんど、洗脳されきっていたようなもんだよ。
ハンドルに変な顔が付いただろ。
あの頃ちょうどスカウトされて、薬漬けにされ始めたんだよ。」
「てめえ、好き勝手な事言ってんじゃねえよ!」
後ろの自席で聞いていたリフ・ラフが、椅子から立ち上がり
プロ名無しの方に向かって歩いてきた。
今にも殴りかからんばかりの勢いだ。顔面が紅潮していた。
「ああ、お前は後からここに来たから知らないんだったな。
ま、俺もいちいち、お前にそんな事言わなかったしな。
この俺とやる気か?笑わせんなよ、小僧。」
プロ名無しはそう言うと、リフ・ラフを鋭い眼光で睨みつけた。
「怪我したくなかったら、うにを拾って部屋へ帰りな。」
リフ・ラフは挙げかかっていた拳を収め、うにを抱きかかえて
逃げるようにドアの方へと歩き出した。
「ひろゆきに言いつけてやるからな。覚えてろ!糞名無しめ。」
捨て台詞を吐くと、リフ・ラフは出ていった。
118 :
餅:2001/07/22(日) 08:59 ID:???
「さてと、餅。さっきの話は聞かせてもらったぞ。
それで…。」
「っていうかさ、お前の事、何て呼べばいいわけ?
プロの癖に名無しなんだろ?俺に質問する前にお前の事を
教えろよ。どこの誰だか、さっぱりわからんしな。」
俺はプロ名無しが話そうとするのを、遮って質問した。
「『名無し』でかまわんよ。名前なんてどうでもいいだろ。
じゃあ、簡単に自己紹介してやろう。
俺は2ちゃんねるは創設当初からいる。今はラウンジにいるが
昔はロビーでよく遊んでいた。そこで、ひろゆきにスカウトされた。
プロ固定としてな。実は俺はここに来るのは『二度目』なのだ。
プロ固定遊びは、半年も経たないうちに飽きた。
お前と同じで、ここでプロ固定としてやっていく事に疑問を
持ち初めてな。脱走したんだよ、ここを。
家に帰ってから、散々プロ固定の存在をバラしてやった。
ひろゆきに完全にネタとして誤魔化されてしまったがな。
ネタばらししたのが俺だというのが、完全にバレバレでな。
自宅に乗り込まれて、強制送還されたってわけだ。
口封じするためにな。
……まあ、座れよ。」
名無しはそう言うと、近くの椅子に腰をかけた。
俺も名無しに向かい合わせるように、椅子に座った。
119 :
餅:2001/07/22(日) 09:00 ID:???
「俺もさすがに強制送還されてからは、迂闊な発言ができなくなった。
その頃からだ。
プロ固定のレス内容が、いちいちチェックされるようになったのは。
プロ固定のレスっていうのはな、すべてデータベースに落ちるように
なってるんだよ。誰が、いつ、何を発言したかってのは
ひろゆきの側近がそのデータベースを毎日チェックしてるから
迂闊な事は書けないってわけだ。
お前が寺社仏閣板に回されたのは、そのせいだ。
……俺はな、ここに連れ戻された時から、ここを潰す計画をずっと
考えていたんだよ。ただ、さすがに一人では実行に移せなくてな。
お前のさっきの話を耳にして、カミングアウトしたってわけさ。」
あれだけ無表情だった名無しは、今では笑みさえこぼすようになっていた。
「そうだったのか…。お前がプロ固定の話を流した男だったとは。
なら話は早い。俺は地下のあの部屋での異常な実験を見て
ここを絶対に潰してやろうと決心していた。
俺と二人でここを潰そう。こんな掲示板はなくなったほうが
世のためだ。素人はみんな騙されてるんだ。表面上だけの2ちゃんねるに。
被害が大きくならないうちに、早く消滅させるべきだ。」
俺は興奮して名無しに語りかけていた。
「まあ、そう焦るな、餅よ。相変わらず血気盛んなヤツだ。
色々と俺も考えていた計画もある。すでに準備してる事もあるのだ。
事は慎重に進めないとな。
と言っても、お前のしでかした地下の惨劇がバレルのもすぐだろうから
早急に動かねばならんな。
よし、まず俺の部屋に移動しよう。見せたい物もあるしな。」
俺と名無しは立ち上がり、『ラウンジ』を後にした。
そして『ラウンジ』は、初めて、誰一人プロ固定のいない一晩を迎えた。
120 :
餅:2001/07/22(日) 09:00 ID:???
名無しの部屋は601号室だった。
ちょうど、6階の一番端の部屋だ。部屋の作りは全く同じだ。
「煙草いいか?ちょっと一服させてくれ。」
「かまわんよ、俺も吸うしな。」
俺は煙草を取り出し、口にくわえるとライターに火を灯した。
ふぅっ…
紫の煙を吐き出しながら、俺は窓を開け、闇夜を見つめていた。
虫の鳴き声だけが響きわたる。
こんな静かな森の中で、無数のプロ固定によるヤラセ書きこみ
それに伴う猟奇実験、そして、その破壊工作を企てている人間がいるとは
誰も想像できないだろう。
「お前はどんな計画を立てていたんだ?」
俺はゆっくりと振り返ると、名無しに問いかけた。
「本当は7月28日に実行しようと企てていた。
そう、2周年オフの日だ。
あれには、ここのプロ固定が総動員される。
サーバー監視所の数人以外は強制的に参加させられるからな。
もぬけの殻になるんだよ、この館が。
ただ、お前がやらかしちまったから、日程的には大きく変更を
余儀なくされてしまったがな。」
名無しは、煙草に火をつけながら、そう話した。
121 :
餅:2001/07/22(日) 09:00 ID:???
「ちょいと、乱暴な方法を取るしかないな。」
そう言うと、名無しは机の引出しから、何かを取り出した。
小さな箱のような物が数個とリモコン、そして鍵が机の上に置かれた。
「これは?」
俺が怪訝そうに覗き込むと、名無しが説明し始めた。
「これは小型プラスチック爆弾だ。
仕組はどうなっているのかわからんのだが、ここのプロ固定から貰ったのだよ。
地下のバーで、たまたま政治思想板の右翼と知り合ってな。
一緒に夢物語を語っていたら、意気投合しちまってな。
『イイモノくれてやる』とか言って、これを俺にくれたんだよ。
当初、その男と計画実行するつもりだったんだが
いつの間にかいなくなってな。恐らく、お前が見たという
地下の脳味噌にでもされたのだろう。アブナイ奴だったし。」
「これで何をしようと?」
「1階にサーバー監視所がある。お前も知っているだろう。
そこを吹っ飛ばす。
この小型プラスチック爆弾は、それほど威力はないらしいが
数個あれば一部屋くらいは余裕で吹っ飛ばせる。」
「物騒な物持ってやがるな。しかし。
で、その鍵は?」
「これはひろゆきがいつも乗っている車の合鍵だ。
1階の管理人室にあるものを、コッソリと盗んでおいたのだ。
ここから脱出するには、車は欠かせないからな。」
名無しは煙草をもみ消しながら、自慢げに言った。
122 :
餅:2001/07/22(日) 09:01 ID:???
「なんちゅう、準備の良さ…
そこまで進めていたのか。すげえな、お前。」
俺は名無しがここまで準備していた事に、かなり驚いていた。
というよりも、頭に血が上って「2ちゃんねるをつぶす」とか言いつつも
何も考えていなかった自分に、正直嫌気がさしていた。
冷静になっていたつもりが、少しも冷静になっていなかった自分が
恥ずかしかった。名無しの計画の準備の良さを見て、それを痛感したのだ。
「どういう計画でやるつもりだ?ひろゆきはどうする?」
俺は、ほとんど名無しに委ねてしまっていた。
「二手に分かれて事を進める。ひろゆき暗殺とサーバー破壊は
作業が1階と10階に分かれてしまう事になるから
どうしても二手に分かれなければならない。かつ、それらは
ほぼ、同時に行わなければならん。事が済んだら、即効で脱出するためだ。
お前はサーバー監視所をこれで破壊しろ。
そこには、今なら『夜勤』しかいないはずだ。
そいつを何とか始末しろ。一人くらいなんとかなるだろ。
ひろゆきは俺が殺る。
あいつは社長室にいるはずだ。
今、ちょうど23:15だ。計画実行は23:30にしよう。
お前は、23:30頃にサーバー監視所に進入し、爆弾をセット、
部屋の外に退避し、23:50には表玄関で待機しろ。
その頃までには、俺も表玄関に戻る。
何かあったら、PHSに電話しろ。601だ。
最悪、俺が遅れる事があった場合でも、0:00にはリモコンのスイッチを押せ。
サーバー監視所の騒動で、すぐに側近が駆けつけてくる。
余裕はないはずだ。いいな、タイムリミットは0:00だ。
お前『夜勤』を何とか始末できるか?」
「まぁ、こんな物も持ってるし…。」
123 :
餅:2001/07/22(日) 09:02 ID:???
俺はポケットから拳銃を取り出した。キムから奪ってきたものだ。
「お前も物騒な物持ってるじゃないか。まあ、脅しで十分だろ。」
「ああ、そうするよ。『夜勤』には何の恨みもないしな。
それより、お前こそ、どうやってひろゆきを?」
「フフフ…俺も物騒な物を持っているのだよ。」
名無しは机の引出しから、拳銃を取り出して俺に見せた。
「なんちゅう、準備の良い奴…どっから、そんなの仕入れてくるんだよ。」
「まあ、色々とな。お前の知らないところで、動き回ってたからな。
あと車の鍵は餅に預けておく事にしよう。
よし、準備は整った。後は成功を祈るだけだ。頼むぜ、餅。」
「ああ、お前こそな。」
俺と名無しは、ガッチリと握手を交わした。
まさか、名無しとこんな運命のめぐり合わせになるとは。
「もう一服するくらいの時間はあるな。」
二人はお互いの煙草に火をつけあった。
お互い何も話さず、黙って煙草をふかしていた。
紫の煙がユラユラと揺らめく部屋で、淡々と時は過ぎていった。
「さあ、行くか。」
名無しが煙草をもみ消し立ちあがった。俺も煙草を始末し立ちあがった。
『俺の仕事はサーバー監視所を破壊する事』
二人は601号室を後にし、0:00にこの館を脱出する事を夢見て
お互いに目でしばしの別れを告げた。
俺はエレベータへ、名無しは階段へと歩きだした。
短いようで長い夜は、たった今始まったばかりだった。
124 :
餅:2001/07/22(日) 09:02 ID:???
23:28
俺はエレベーターで1階に下り、サーバー監視所の前に立っていた。
部屋の前で、未だ実行に移せない俺がいた。
「何を躊躇ってるんだ?ここをつぶすって決めたんだろ?
目を覚ませ。名無しだって、もう行動に移ってるんだ。」
自分にそう言い聞かせ、作戦を実行に移す事にした。
「この部屋の奥に『夜勤』がいる…。」
この部屋のドアは、セキュリティがかけられており
ドアの壁の左側にカードリーダーとインターフォンが設置してある。
許可された者しか入室する事を許されていないのだ。
「とりあえず『夜勤』を呼び出して、何とかドアを開けさせるしかないな。
……ん、待てよ?」
俺はキムから奪い去ったカードキーを思い出した。
「あの男は限られた権限を持っていたはずだ。
このカードキーなら、このドアも開くのでは…。」
カードリーダーにキムのカードキーを通す。
カードリーダーのLEDが赤から緑へと変化し、音も無くドアは横に開いた。
すかさず、俺は部屋に踊りこんだ。
拳銃を持った右手を背中に廻したまま…。
125 :
餅:2001/07/22(日) 09:02 ID:???
※ ※ ※
23:30
名無しは10階の社長室の前に立っていた。
部屋の前に立つも、ドアは開かない。
「いないのか?ひろゆきは。」
ドア脇のインターフォンで呼び出してみる。
プルルルルル……
反応はなかった。
「くそっ、ここにはいないのか。あてが外れたぞ。」
名無しは、やや焦っていた。そう、タイムリミットは決まっているのだ。
ふと、人の気配に気づき、後ろを振り返ると
そこには、西村の側近である黒服の男が立っていた。
「そこで何をしている。」
黒服の男がツカツカと歩み寄ってきた。
126 :
餅:2001/07/22(日) 09:03 ID:???
「いや、西村さんにお願いがあったもので。
今、ラウンジに配属されているんだが、そろそろ飽きたもので。
配置替えが可能かどうか、交渉してみようかと思ったんですよ。」
名無しは、その機転の良さから難なく返答した。
「別に明日話せばいいではないか。何故、こんな時間に?」
「あ、キャラが無鉄砲なもので、思い立ったら行動に移さないと
気がすまないタチなんですよ。なんせ厨房ですから。
ところで、西村さんはどちらへ?」
「知らん。知っていたところでお前に教える筋合いもない。
むやみにこの階をウロウロするな。」
「はいはい、すみませんでした。厨房って事で許して下さいよ。」
名無しは、そそくさとエレベーターのほうへ歩き出した。
(くそっ、ひろゆきはどこへいやがる?)
名無しは点滅するエレベーターの数字を見ながら
無駄な時間を費やしてしまった事に腹を立てていた。
「あの男、何かおかしいな。西村さんに一報入れておいたほうがいいな。」
黒服の男はPHSを取り出し、西村の番号を押し始めた。
127 :
餅:2001/07/22(日) 09:03 ID:???
※ ※ ※
23:31
わずか四畳半くらいしかない小さな部屋が目の前に開けた。
実に質素な部屋で、簡単なデスクと一台のPCしかない部屋だった。
部屋の片隅にもう一つのドアがある。
そのドアと同じ一面はガラス張りになっており、ガラス越しに
何台もの機械が見えた。そこがサーバールームと思われた。
「誰?こんな時間に」
PCの前に座っていた『夜勤』と思しき人物が、こちらを振り向いた。
「おとなしく手をあげてくれ。」
俺は忍ばせていた拳銃を右手を挙げ、夜勤の胸元に標的を定めた。
「誰なのですか?あなたは?どうやってドアを開けたのですか?」
「細かい事に答えている暇はない。
とりあえず死にたくなければ、奥の部屋へ案内してくれないか?
黙って言う通りに行動してくれれば、俺も悪戯に人を殺さなくて済む。」
「誰だか知りませんが……。私は2ちゃんねるのサーバーを預かる守護神です。
サーバーを守る義務があります。殺したければ殺せばいいでしょう。」
夜勤は、サーバールームの扉の前に両手を広げて立ちふさがった。
凛として立ちふさがるその姿には、死をも恐れぬ意志がありありと見受けられた。
(くっ、罪もないこの男を殺せというのか?)
俺は悩んでいた。この男を殺さずに説得しなければ。
128 :
餅:2001/07/22(日) 09:03 ID:???
「お前、ひろゆきが裏でやっている事をしっているのか?
あの人間を人間とも思わぬ非情な人体実験を。」
「ネタですか?どうも2ちゃんねるに毒されてしまった
妄想人間のようですね、あなたは。
西村さんは素晴らしい人です。
私はこの仕事を授かった事を感謝しています。
この2ちゃんねるを守りぬく事が、今の私の生きがいなのです。
私は今まで2ちゃんねるに来てくれる皆さんから
感謝のレスをいくつもいくつも頂きました。
あなたのような横暴な人を、この部屋の奥へ通すことは
その人達への裏切り行為を意味します。
サーバーを守って死ねるなら本望です。
改心しなさい。あなたはちょっとだけ道を外してしまっただけなのです。
今なら、まだ間に合います。」
129 :
餅:2001/07/22(日) 09:04 ID:???
くっ…
俺は夜勤の言葉にぐらつきそうになっていた。
確かにそうだ。罪も無い人を殺すことも、2ちゃんねるに遊びに来ている
素人の遊び場を破壊する権利が俺にあるというのか?
夜勤に銃口を突きつけたまま、俺はしばらく固まっていた。
「楽になりましょう。その拳銃を捨て去ればいいだけの事です。
今なら、私の胸の内だけに留めておく事もできるのです。」
俺の右手が下がりかけた。
頭が真っ白になりかけたその時、頭にある文字が浮かび上がった。
"コロシテクレ"
オルテガをはじめとする、地下の脳だけになった固定達の叫び声だった。
ここで夜勤を殺さねば、もっと多くの人間の命が奪われる…。
「許せ、夜勤……」
ガァーーーーーン
夜勤はバッタリとその場に倒れた。
その守護神は、もう動く事はなかった…。
130 :
餅:2001/07/22(日) 09:04 ID:???
※ ※ ※
23:33
「あ、西村さんですか?私です。
今、社長室の前をウロウロする不審な男がいまして。
……ええ、念のためにと思いましてね。
確かラウンジのプロ固定と言っていましたが。
……はい、ええ、わかりました。
また見つけたら連絡入れます。」
黒服の男はそれだけ伝えると、エレベーターに向い歩き出した。
西村は地下のバーで、削除屋とグラスを傾けていた。
「まあ、念には念を入れておくか…。」
西村はそう言うと、PHSを取り出し、側近達に何やら指令を下した。
「最近のラウンジのプロ固定は、どうもおかしな事を行動をするな。
餅といい…。削除屋、どうなんだ?最近のラウンジは?」
「うーん、そうですねえ。
荒れているといえば荒れていますが、いつもの事ですし。
ただ、名無し連中の叩きもあってか、固定が激減してますね。
夏が来れば、また何らかの変化があるとは思いますけど…。
季節によって板の様相が変わりますし、ラウンジは。」
「むう、俺もあまりラウンジは覗いてないからな。
ただ、お前が要望した通りの機能は何とか果たしているようにも
見受けられるが。よかったじゃないか。」
「その点は西村さんに感謝してますよ。
私の要望を聞いていただいて。引き続き、頑張りますよ。
まあ、あまり削除人としての仕事もありませんし、こうやって
ゆっくりお酒を飲めるのも、ラウンジならではかもしれませんね。
だって削除依頼少ないんですから。」
削除屋はグラスを飲み干すと、陽気に笑ってそう言った。
131 :
餅:2001/07/22(日) 09:04 ID:???
※ ※ ※
23:32
エレベーターの扉が閉まっても、名無しは、しばらく目的の階のボタンを
押せずにいた。名無しは考えていた。
「この時間に社長室いないとなると…。
地下のバーか…。寝る前に一杯というところだな。」
名無しはB1のボタンを押した。
エレベーターは目的の階を目指し、ゆっくりと動き出した。
途中止まる事もなく、エレベーターはB1に到着した。
名無しはエレベーターを降り、目的のバーへと歩き出した。
送れる事、数分、黒服の男がエレベーターから降りた。
そして、名無しと同じ歩みを辿り、バーへと向かっていった。
「恐らく、ここにいるはずだ。」
名無しはバーのドアを押した。
…カラン
「いらっしゃいませ」
落着いたバーテンダーの声が、洒落た店内のジャズに溶け込む。
店内はテーブル席が3つと、カウンターが約10席ほどあり
目的の西村はカウンターの真中あたりに座っていた。
その左隣には削除屋が座っていた。カウンターには、その二人しかいなかった。
テーブル席には、一時の憩いの時間を過ごすプロ固定が数人いた。
「やあ、西村さん。お久しぶりです。『プロ名無し』です。」
名無しは西村の右側、入口側の席に腰をかけた。
132 :
餅:2001/07/22(日) 09:05 ID:???
※ ※ ※
23:40
目の前に胸から血を流している夜勤が倒れている。
俺が殺したのだ。この手で。
「うわぁああああ!!!」
俺は両手で頭を抱え、狂ったようにしゃがみこんだ。
「また…また、人間を殺してしまったっ!!!
ひろゆきが人体実験で人間をオモチャのように殺すのと
俺が破壊工作遂行のために、罪の無い夜勤を殺すとの
何の違いがあるんだっ!何の違いがっ!」
自分を責めても責めても、目の前の夜勤は再び目を覚ますことは無い。
タイムリミットがせまっているにもかかわらず
しばらく俺は、その場で動けずにしゃがみこんでいた。
静寂だけが時を刻んでいく。
133 :
餅:2001/07/22(日) 09:05 ID:???
※ ※ ※
23:40
「『プロ名無し』さんじゃないですか。久しぶりですね。
ラウンジも、もう慣れた頃かな?住めば都でしょ、あそこも。
影からラウンジに喝を入れるあなたの書きこみ、たまに見てますよ。
で、どうしたんです?あなたとバーで会うのは初めてですね?」
西村がニヤリと笑いながら、名無しに話しかけた。
カラン…
「いらっしゃいませ」
ちょうどその時、黒服の男がバーに入ってきた。
そして黒服の男は、名無しの席から一つ離れたカウンター席に座った。
そして妙な目配せを西村に飛ばした。
「ま、たまに酒でも飲んでみようかとね。いつも残業代の出ない
残業ばっかしてるからさ。ここに西村さんがいたなんて
ちょうどよかったさ。運命ってやつかねえ。」
名無しはそう言うと、拳銃をポケットから取り出し
右手で西村の脇腹につきつけた。
ちょうど、名無しの体と左腕の影になって
右手の拳銃は、周りからは見えないようになっていた。
西村は一瞬目線を腹部に落とし、それが何であるかを確認すると
何事もなかったように、名無しに対して笑みをこぼしながら言った。
「あらら、まだお酒も飲んでいないのに、もう酔っぱらってるですか。
お酒飲みながらの楽しいトークに、小道具は必要ありませんですよ。」
「じゃ、おつまみに小道具でも味わってみるかい?西村さん。」
名無しの顔も笑っていた。
これほど緊迫した状況でも、両者とも笑みをこぼしていた。
「なかなか、美味しそうなおつまみじゃないですか。」
「ゆっくりと味わってくださいね、西村さん。」
名無しの指がトリガーにかかる…。
134 :
餅:2001/07/22(日) 09:05 ID:???
23:45
カシンッ…
「はっはっは、さすが西村さんだ。
俺の迫真の演技のネタまで、見抜かれてるとはね。
さすがに、頭が上がりませんよ。
いやね、最近モデルガンに興味を持ち始めて、ネットで購入してみたんですよ。
ははははは。いやあ、ネタ失敗でした。
もうちょっと、修行しないと駄目ですね。」
名無しは、いかにも照れくさそうに笑って言った。
「私はこういうの慣れてますから。ハハハ。
あなたの目を見れば、本気かどうかわかるというもんです。
それより、どうです?一杯。奢りますよ。残業代の代わりに。」
西村は笑いながらそう言うと、バーテンダーに目で合図を送った。
何故か、その時だけ、西村は真剣な顔をしていた。
注文をするために振り返ったため、名無しにその顔は見えなかった。
(フン、わざと一発目は弾抜いてあるんだよ、このヴォケが。)
名無しは腹の中で、西村をあざ笑っていた。
「お待たせしました」
バーテンダーがグラスを二つ持ってきた。
そして一つを西村の前へ、もう一つを名無しの前へ置いた。
「まあ、大人の会話を楽しみましょうって事で
奮発してHennessyで乾杯といきましょうか。」
西村は笑いながら、グラスを手に持ち、名無しのほうへ突き出した。
「お、気が利くねえ。これで残業もうかばれるってもんですよ。」
名無しも目の前に置かれたグラスを手に持った。
「それでは、『プロ名無し』さんの今後のご活躍を祈って乾杯!」
「乾杯!」
カチン
ブランデーの満たされたグラスは軽くキスをしあった。
135 :
餅:2001/07/22(日) 09:06 ID:???
※ ※ ※
23:50
夜勤を殺してしまってから、すでに10分が経っていた。
俺は時計を見て、やっとの事で立ち上がった。
「ここで無駄な時間を過ごしても、結局、何も変わらないじゃないか。
殺人までして、さらに作戦失敗なんて愚者の出す結論だ…。」
俺はサーバールームへの扉を開けた。
たくさんのモニタとサーバーがある。
空調の効きすぎた部屋の寒さが、荒んだ心に更に染み渡った。
持ってきた小型プラスチック爆弾が3つ。
無意識のうちに、俺はcornサーバーを探していた。
数あるサーバーの中でも、そこには、しっかり取り付けたかったのだ。
あった…。【corn】と書かれたテプラが貼ってある。
「ここに、あのラウンジが…。」
cornサーバーに、セロハンテープでしっかりと爆弾の一つを取り付けた。
残りの二つの爆弾を、均等に距離があくように
ちょうどよいサーバーに取り付けた。
急いで部屋を出て、帰り際、深々と動かなくなった夜勤に頭を下げると
俺はサーバー監視所を後にした。
もう、約束の0:00まで10分もなかった。
136 :
餅:2001/07/22(日) 09:06 ID:???
※ ※ ※
23:50
(とりあえず、一口くらいは飲んでおかないとまずいな。
ここで酔っぱらってられるかってんだ。
ただでさえ、ロスタイムしてるってのに。
こいつをちょいと飲んだら、その後はズドンだな。)
名無しは心の中でそう思いながら、ブランデーに口をつけた。
「いやあ、こんな高い酒を飲むなんて久しぶりですよ。
ここで西村さんに会えてラッキーって感じ…
……
…うぐっ!…がっ、ひ、ひろゆき、お前…何を……。」
「え?どうかしましたか?『プロ名無し』さん。エヘヘ」
西村はニヤリと笑いながら、嘲るような目つきで名無しを見ていた。
「き、貴様……。ぐふッ……。」
名無しは、しばらくもがいたあげく、グッタリと動かなくなった。
「あなたごときにやられる、このひろゆきではありませんですよ。」
西村はそう言うと、黒服の男とバーテンダー、そして削除屋に笑いかけた。
「馬鹿な男もいたもんです。」
名無しは、毒を盛られて、あっけなく殺されたのだった。
137 :
餅:2001/07/22(日) 09:06 ID:???
※ ※ ※
23:52
サーバー避難所を後にした俺は、そそくさと玄関口に急いでいた。
「まずい、落ち合う約束の23:50は、もう過ぎている。
名無しはもう来てるだろうか?」
廊下を走りながら、俺は不安にかられていた。
同じ一階という事もあり、玄関口まではそれほど時間はかからなかった。
「まだ、来てないのか。大丈夫だろうか、名無しは。」
名無しはまだ到着していなかった。
23:55
数分待ったが、まだ名無しは現れない。
「ちと、遅いな。しくったんだろうか?
一応電話してみるか。こっちはもう準備できてるし。」
俺はPHSを取り出し、名無しに教えられた番号である601を押した。
プルルルルル…
出ない…。おかしい。どうかしたんだろうか?
この館はPHSアンテナが張り巡らされているから、地上も地下も関係ないはずだ。
138 :
餅:2001/07/22(日) 09:07 ID:???
※ ※ ※
23:55
プルルルルル…
「ん?何だ?」
名無しの死体の後処理を部下にまかせていた西村が
名無しのPHSが鳴っているのに気がついた。
着信を見ると「612」と出ている。
まもなく、PHSのコール音は切れた。
「おい、612号室は誰だ?」
西村は、おもむろに黒服の部下に尋ねた。
「ちょっと待って下さい。……612号室は餅ですね。」
黒服の男はPHSの電話帳を検索して、西村に報告した。
「何?餅だとっ?そんな馬鹿な事があるか。
アイツは地下でAI実験にまわされたはず…。」
そう言うやいなや、西村は自分のPHSを取り出し、キムの番号を押した。
プルルルルル…
「出ない…。おかしい。何故だ?
おい!急いで地下一階の『医歯薬看護板特別研究室』に行って
キムがいるかどうか確認してきてくれ。」
「わかりました。確認してきます。」
そう言うと、黒服の男はバーを出ていった。
139 :
餅:2001/07/22(日) 09:07 ID:???
※ ※ ※
23:58
「むう、まだか。名無しは。もしかして失敗したのでは…。」
約束時間を過ぎても、まだ現れない名無しに俺は不安を抱いていた。
玄関口も同様に、カードリーダーのセキュリティがかかっている。
この館は、昼間しか外出する許可を与えられていない。
昼の間は、プロ固定たちが自然に接して気分転換ができるように
玄関口はセキュリティはかけられておらず、自由に出入りできた。
夜間はセキュリティがかけられてあり、開かないようになっていた。
館の周りは半径500メートル範囲は自由行動できるようになっており
その境界線は、トラピスチヌ修道院さながらの壁があり
脱出できないようになっていた。
俺は念のため、ドアが開くかどうかの確認を行なう事にした。
「あの男のカードキーがサーバー監視所で通用したという事は…。」
キムのカードキーをカードリーダーに通す。
音もなく、ドアは開いた。
「よしっ、脱出路は完璧だ。後は名無しを待つだけだが…。」
0:00までもう1分を切っていた。
140 :
餅:2001/07/22(日) 09:07 ID:???
0:00
約束の時間が来た。
まだ、名無しは現れない。
「どうしたというんだ?」
俺は、リモコンの爆破ボタンを押していいのか迷っていた。
「まだ、0:00になったばかりだ。もう少し待ってみよう。」
刻一刻と時が過ぎていく…。
俺の時計は、0:00:50を既にまわっていた。
「おかしい。何か名無しに異変があったに違いない。
もし爆音を聞きつけたなら…。名無しは現れるかもしれない。」
俺は右手に持っていたリモコンの爆破ボタンに親指を重ねた。
「さようなら、2ちゃんねる…。」
俺はボタンを押した。
ドゴォオオーン
遠くで爆発音が聞こえた。爆破は成功したようだ。
141 :
餅:2001/07/22(日) 09:08 ID:???
※ ※ ※
0:00
プルルルルル…
「ああ、俺だ。何だとっ?キムが殺されている?
餅は?……何?餅がいない?」
西村が部下からの電話に驚いたその瞬間
ドゴォオオーン
「何だ?あの音は!」
餅がやったサーバー監視所爆破の音だ。
「上から聞こえたな。おい、お前も急いで原因を探れ。
とりあえずキムは後まわしだ。」
西村はそう言うと、PHSを切った。
「削除屋、こいつの処理を頼む。
俺は今の爆音の正体を確かめに行ってくる。
頼んだぞ。」
西村は、脇に倒れこんでいる名無しの処理を削除屋にまかせると
急いでバーを出ていった。
「さては、餅が何かしでかしたのでは……。」
西村は疑念を抱いていた。
プルルルルル…
「俺だ。何かわかったか?」
西村はPHSを取った。それは黒服からの電話だった。
「大変です!西村さん、サーバー監視所が爆破されています!」
142 :
餅:2001/07/22(日) 09:08 ID:???
「何だとっ?!」
西村はビル中央にある、一階への階段の踊り場で立ち止まった。
「被害状況はどうなってる?」
「サーバー監視所が完全に破壊されています。ガラスの破片が飛び散って
サーバールームも滅茶苦茶です。恐らく、すべてのサーバーがやられたかと…。」
「『夜勤』はどうしたんだ?そもそも、あの部屋に入れる人間は
限定されているはずだろ?」
「それが……。
『夜勤』さんは殺されています。拳銃を胸で撃ち抜かれています。
先ほどのキムといい、下手人は餅ではないかと…。
恐らく、キムのカードキーを奪ったのでは…。」
「くそっ!」
西村は吐き捨てるように言った。
「とりあえず、早急に餅を探せ。必ずヤツは脱走しようとするはずだ。
出口をしらみつぶしにあたるのだ。見つけ次第、射殺しろ。これは命令だ。
あと各部屋のプロ固定達に、今日は部屋に戻って休むように指示をしておけ。
とにかく、騒ぎを大きくするな。反乱分子がまだいないとも限らない。
頼んだぞ。」
「わかりました。他の連中も集めて餅の捜索にあたります。
プロ固定達には指示をしておきます。」
西村は的確な指示を部下に下すと、PHSを切った。
「糞ったれ。このビル管理にいくら金かけたと思っているんだ?
ただじゃすまさんぞ…。」
西村は珍しく感情をあらわにしていた。
階段を駆け上がりながら、西村は再度PHSを取り出し、ボタンを押し始めた。
6…1…2…
電話をせずとも、餅はもう目と鼻の先にいるとも気がつかずに…。
143 :
餅:2001/07/22(日) 09:09 ID:???
※ ※ ※
「おかしい…。あの爆発音すら気がつかないのだろうか?
やはり、ひろゆき暗殺に失敗したと思うのが妥当か…。」
既に時計は0:05を指していた。
「もう、逃げる準備をしなくては。」
そう思った矢先、PHSが鳴った。
「名無しか?」
着信番号1001。西村だ。
その瞬間、俺は青ざめた。暗殺計画は失敗に終わったのだ。
「まずい…。殺される。逃げなくては。」
おもむろにPHSの電源を切ると、再度、カードキーを通しドアを開けた。
「いたぞっ!止まれっ!餅っ!
西村さん!中央玄関口にいます!」
廊下から出てきた黒服の男が、階段を駆け上がってくる西村に叫んだ。
俺はその声に驚き、後ろを振り向いた。
たった今、階段を駆け上がってきた西村が見えた。
そして、その脇に拳銃を構えて立っている黒服の男が見える。
「まずいっ!殺されるっ!」
俺は慌てて、外に飛び出した。直後、ガラスの自動ドアが閉じる。
と同時に
ガシャァアーーーン
ガラスの自動ドアが粉々に砕け散った。黒服の男が発砲したのだ。
俺は息を切らしながら、車へと急いだ。
「殺されてたまるかっ!」
144 :
餅:2001/07/22(日) 09:12 ID:???
#出張休憩
疲れた…
加筆修正加えながらコピペしてたのだが、それでも最後の最後で
『医歯薬看護板特別研究室』×B1→○B2
×拳銃を胸で撃ち抜かれています。→○拳銃で胸を撃ち抜かれています。
やってしまった。ちょいと焦ってたもので。
なんかあっさりしたスレッドになってしまった。
ここ見つけた人内緒にしといて。続き書くからさ。
といいつつ、誰も見つけてくれずdat落ちの予感…空しい
おつかれ!がんばったなぁ、汗だくでオナニー。
内緒にしといてって言われてもさぁ・・・
餅×8でチラっと言っちゃったよ。
心配してくれてる人いるし。
147 :
:2001/07/22(日) 20:36 ID:???
>>145 あんまり的確すぎて笑えねぇよ。もう大好き。
149 :
厭きラヴ:2001/07/23(月) 02:39 ID:???
むふははははは
よかった・・・
書き続けられるんだね、ほんとに嬉しいっす
ラストスパートガンバッテな保守
151 :
餅:2001/07/23(月) 05:02 ID:???
#出張休憩
生きてたか…
当分、残りレスキャパが少ない事で焦る事はなくなったけど。
でも、実際長く書いていたようで、実際の文章は150弱レスしかなかったのな。
ってか、すげえ眠い。
気が向いたら、続き書いてみるか。。。
152 :
:2001/07/23(月) 06:16 ID:???
( ´∀`)
154 :
:2001/07/23(月) 13:06 ID:???
頑張れ餅ー期待してるぞー。
156 :
餅:2001/07/23(月) 18:17 ID:???
#出張休憩
おお、生きてる。保守ラーが…。
後で書くことにしよう。今、気合入らん。
157 :
名無し芋:2001/07/23(月) 18:29 ID:???
読んでます。
うにさん、教えてくれた人、ありがてふ。
最終保守。
ミツケタ。
続きが読める!教えてくれてサンクス!
やった、見つけた−。
と、いうわけで保守。
161 :
餅:2001/07/24(火) 00:45 ID:???
#出張休憩
あかん、酒のせいで書けるわけもない。
明日、起きたらひっそりと書こう。
162 :
餅:2001/07/24(火) 06:48 ID:???
寝る前に、一発保守しておくか。
そろそろ、ちゃんと書かないとな。
いいなぁ、休みの人は。
夜勤大変だね。
ゆっくり休め。
>>1にプレッシャーをかける為にハンドルチェンジ っと。
(´ー`)y-~~
落ちたりしたら死にかねないからな(*´Д`*)y-~~
167 :
:2001/07/24(火) 17:09 ID:???
新スレだし、無駄な書き込みでもするか。(´ー`)y-~~
マダネテルノカナ?
( ・∀・)y−~~~ ホシュシュ
ホチュピタル
こまめに保守
173 :
餅:2001/07/25(水) 09:59 ID:???
#出張休憩
保守どうも♪
いいかげん、戯言はやめて進めるか。どうもテンション落ちちゃったもので。
今日、寝る前に進めるよ。
174 :
餅:2001/07/25(水) 11:28 ID:???
#出張保守
書こうかと思ったが、友達とメッセンジャやってしまったのでダメダメ。
そうだ!夜勤暇だから、そこで俺宛にメール送ればいいのだ。
夜書いてみるか。バレないだろうか???
今日は幾分か涼しいね保守
保守。(´ー`)y-~~
保守るンです。
餅〜〜〜?(゚Д゚三゚Д゚)
まあ気長に待つからのんびり自分のペースでやってくれ保守
お仕事おつかれ〜
181 :
餅:2001/07/26(木) 09:02 ID:???
#出張休憩
このスレ、漫喫からだと、探すのに一苦労する…。
昨晩、シナリオ決めておいたので、これから書くよ。
一応、餅×10スレにリンク張っておくか。これじゃ、見つけられん。
前スレで読んでくれてた人で、ここわかんない人まだいるかなあ。
満喫でかちゅ落とせ(w
183 :
餅:2001/07/26(木) 09:58 ID:???
#出張休憩
さすがにそこまでは…(笑
どこの席につくかわからんし。
家に帰ってから、続き書く。では。
じゃあ、全部の席にインストールするってのはどう?
185 :
餅:2001/07/26(木) 13:26 ID:???
>>143の続き
俺は、表玄関を出てすぐに建物の左手にまわった。
そう、西村の車庫があるのだ。
右手に名無しから預かった車のキーを握り締め
俺は息を切らしながら、車に向かって走った。
「待てぇ!」という追っての声が遠くで聞こえる。
車庫には車が3台並んでいた。
一台は、ここに連れられて来た時に乗ってきた黒のセドリック。
その隣には、赤のRX−7。そして車庫の隣には大型バスが並んでいた。
いずれも、西村の車だ。大型バスは2周年に備えて購入したものらしい。
俺は、すかさず黒のセドリックの運転席に近寄り、キーを差し込んだ。
カチャカチャ…開かない。
「この車じゃないのか?まさかFDのキーなのか?」
俺は急いでRX−7に移ると、キーを差し込んでみた。
カチャカチャ…あ、開かない…。
「な、何で?名無しはひろゆきの車の鍵だって言ってたはずだが…。」
そうこうしてるうちに、二人の追っ手がすぐそこまで迫ってきていた。
「貴様ァ!逃がさんぞ!」
右手には拳銃らしきものが見える。
186 :
餅:2001/07/26(木) 13:41 ID:???
「ま、まさか、大型バスの鍵じゃあるまいな?」
念のため、大型バスのドアの鍵穴にキーを差し込んでみた。
カチャリ…
あっけなくドアは開いた。
「ん、んな馬鹿な…。なんちゅう車の鍵盗でんだよ、名無しは…。
俺、大型免許なんか持ってねえっつーの、ったく。」
心の中でそうぼやきつつ、俺は急いで運転席にかけあがった。
キーを差し込み、右にひねる。
ブロロロロロ……
「かかった!運転方法は同じだから、何とかなるだろ。
この際何でもいいや。ハデに逃げてやる!」
ライトを点灯すると、すぐ目前まで黒服の男が二人来ていた。
「餅を殺せェ!」
拳銃を構えた二人に向かってバスは走り出した。
「ひき殺すぞ!てめえら!」
187 :
餅:2001/07/26(木) 13:56 ID:???
ファァーン!!
俺は威嚇するために、ホーンを鳴らしまくった。
「まずいっ!餅は俺らをひき殺すつもりだぞっ!」
黒服の男二人は、とっさにバスの両脇に体をかわし、拳銃を連射した。
ダァアーーン、ダァアーーン
ガシャーァン、ガシャーァン
バス側部の窓ガラスの割れる音が聞こえる。
「待てぇ!糞餅がっ!」
俺はビルの玄関方向に車を走らせていた。
玄関口に西村の姿が見える。
「おまけにハデに破壊してやらぁ!」
俺はハンドルを左に切り、バスを玄関口に背を向ける形で止まった。
そこからアクセルをベタ踏みにし、玄関口に向かってバックした。
「うおォッ!こいつ、突っ込んでくる気か?」
西村は、慌てて館内内部へと逃げた。その直後
ドガシャァアアーン!
バスがガラス張りの玄関口を派手に突き破った。
車の半分が館内までめり込んでいる。
「これくらいでいいか。ざまあみろ、ひろゆきめ。」
俺は捨て台詞を吐くと、ギアを一速に入れ
もくもくとバスの排気ガスを浴びせながらフル加速した。
再開記念保守
189 :
餅:2001/07/26(木) 14:15 ID:???
※ ※ ※
「くそったれが!追うんだ!
バスの速度なら今からでも追いつく。」
西村は顔面を真っ赤にして、怒りをあらわにしていた。
今の騒動を聞きつけ、多数のプロ固定が一階の廊下に集まっていた。
「なんだ?なんだ?何が起こったんだ?」
「餅が脱走したらしいぜ。」
「えっ?!餅が脱走?」
「あいつもバカだな。」
「どうも寺社仏閣板にまわされてから、頭おかしくなったらしいよ。」
「まさに『逝ってよし』だな。」
「どうでもいいじゃん、たかが餅だろ?」
「餅って誰?どこの板の固定?」
そんな会話が飛び交っていた。
その中に、餅と入れ替わりで車板からラウンジに異動してきた
東金道妄想愚連隊がいた。
「なになに?どうしたの?何が起こったの?」
周りの人間に聞きまくっている東金の姿を西村が発見した。
「東金さんじゃないですか。ちょうどよかったです。
あなた、なかなかの走り屋だと聞いていますが。」
「まあ、そのへんの兄ちゃんには負けませんよ。
ところで、どうしたんです?この騒動は?」
「後で話します。ちょっと車の運転を頼みたいんですが。
急を要しますので、こちらに来てもらえませんか?」
「えっ?!車の運転させてもらえるんですか?」
東金の目が輝いた。
この館にいる限り、車を運転する事など皆無なのだ。
西村は東金の手を引いて入り口を出ると、車庫のほうへ走り出した。
190 :
餅:2001/07/26(木) 14:17 ID:???
#出張休憩
今日はこんなところ。
めずらしくリアルで間にレスが入りましたね(w
さて、寝ます...zzz
次回、「爆走!大型バスvsRX−7」
191 :
188:2001/07/26(木) 19:53 ID:???
横槍入れちってスマソヽ(;´Д`)ノ保守
( ・∀・)y−~~~ ここに来て東金が・・・ワクワクホシュ
193 :
:2001/07/26(木) 23:25 ID:???
次はカーチェイスか…。なんかハリウッド的展開になってきたな。
夢にまで出てきそうなくらい濃ゆい物語だ。
River
198 :
餅:2001/07/27(金) 12:58 ID:???
>>189の続き
二人は車庫についた。
「車はこれです。」
西村は東金にキーを渡しながら言った。
「えっ?FDなの?うわー、嬉しい〜、やったー。」
東金はドアを開け、運転席に乗り込んだ。
次いで、西村も助手席に乗り込んだ。
「見たところ、ドノーマルそうですね。」
シートベルトを締めながら、東金は言った。
「とりあえず買ってしまったようなもんですから。
私は車好きというほどのものでもないですし。
このへん高原なので、晴れの日に車流すにはちょうどいいかなと。
ほとんど一人で乗る事が多いですけどね。」
東金がキーをひねる。
キュルルルル、ブォオン
「さあて、じゃあ行きますか。って、どこ行けばいいんですか?」
「さっき、大型バスが出て行った。それを追いかけて欲しいんです。」
「わかりました。じゃあ、行きますよ。ちゃんとつかまってて下さいね。」
二人を乗せたRX-7は、車庫を出るとけたたましいホイールスピンを起こし
走り出した。
199 :
餅:2001/07/27(金) 13:14 ID:???
#出張休憩
ちょいと、地上でマジレスしてしまったので今日はここまで。
って、全然書いてねーじゃん!!!
ホチュホチュ
ホーダイ前保守
( ・∀・)y−~~~ ロータリーエンジンホシュ
203 :
初カキコ:2001/07/28(土) 04:49 ID:???
前スレの718なのですが、さっきやっと発見しました(嬉泣)
つーわけで記念捕手
204 :
:2001/07/28(土) 09:49 ID:???
205 :
餅:2001/07/28(土) 10:31 ID:???
#出張休憩
気合が入りません。だめだめでんがな。
保守ラー、スマソ
206 :
ギコ帽子:2001/07/28(土) 11:55 ID:???
お疲れさん。気長に待ってます。
207 :
:2001/07/28(土) 16:37 ID:???
208 :
:2001/07/28(土) 21:36 ID:???
期待はしてるが無理はするな保守
やっと見つけた…。記念保守。
217 :
初カキコ:2001/07/29(日) 06:03 ID:???
2ch祭りsage
218 :
餅:2001/07/29(日) 08:27 ID:???
#出張休憩
激しい保守どうも(w
気が向いたら、書くかも???
219 :
:2001/07/29(日) 09:07 ID:???
220 :
:2001/07/29(日) 12:13 ID:???
221 :
餅:2001/07/29(日) 13:10 ID:???
#出張休憩
ものの見事に暴れたので、ダメダメ。
最近、地上で遊んでなかったんだもの。
222 :
:2001/07/29(日) 20:44 ID:???
223 :
:2001/07/29(日) 23:36 ID:???
ホチュヽ( ´ー`)ノ
225 :
初カキコ:2001/07/30(月) 04:11 ID:???
参院選萎え〜
226 :
:2001/07/30(月) 06:38 ID:???
227 :
助教授:2001/07/30(月) 07:52 ID:???
保守。
228 :
餅:2001/07/30(月) 12:58 ID:???
#出張休憩
なんとなく保守っておいたほうがよさそうな気が…
いつも保守ラーすまそ。
ホ(*´▽`)
こまめにホチュらんといつ落下するかわからんしな保守
231 :
餅:2001/07/30(月) 16:28 ID:???
#出張休憩
あ、すまん。寝る。
ちゃんと書かないとなぁ…。駄レスばっかしてるし…。
捕手
233 :
:2001/07/30(月) 23:30 ID:???
( ・∀・)y−~~~ イソガシイモチオウエンホシュ
236 :
初カキコ:2001/07/31(火) 04:36 ID:???
237 :
:2001/07/31(火) 06:48 ID:???
238 :
大家:2001/07/31(火) 12:32 ID:???
(゚Д゚)がんばれもち
おれも頑張って書こう。
239 :
餅:2001/07/31(火) 13:46 ID:???
>>198の続き
※ ※ ※
玄関口から約500メートルほどバスを走らせると
俺はブレーキを踏んでバスを止め、車から降りた。
5メートルはあろうかと思われる、壁と壁の間に
鉄格子の扉が重々しく立ち構えていた。
横開きの扉と扉の接点には、鍵らしきものは見当たらない。
「これ、どうやって開けるんだよ…。」
バスのライトに照らされた扉を調べていると、扉の接点上部に
両扉とも黒い何かのセンサーが付いてるのを見つけた。
「これは赤外線のセンサーか…。という事は…。」
俺は、急いでバスの助手席に戻ると、車内灯をつけた。
そして、車の計器とは関係なさそうなボタンを探した。
「あった、きっとこれに違いない。」
右窓のそばに【GATE OPEN】と書いてある後付けしたと思われるボタンがある。
俺は、そのボタンを押してみた。
ガラガラガラガラ…
扉が左右に開いていく。
「よし、これで完全に脱出だ。」
門を抜けると、また扉はガラガラと音を立てて自動的に閉まった。
俺は狂人の館を後にし、バスのエギゾーストノートを響かせながら
真っ暗な森の中へと消えていった。
240 :
餅:2001/07/31(火) 13:48 ID:???
※ ※ ※
西村達が門の前に到着したのは、それから約5分後だった。
「門閉まってますけど…。どうやって開けるんですか?」
東金が西村に尋ねた。
「ああ、そのハザードランプの隣に、門をあけるボタンがありますから。」
東金がそのボタンを押すと、餅の時と同様に
ドアはガラガラと音を立てて左右に開いた。
「へぇ、すごいんですね。」
「赤外線システムなんですが、車にはすべて搭載してます。
あとはリモコンが別にあるんですけど、車以外でここ通る事って
ほとんどありませんからねえ。さ、行きましょう。」
西村がそう言うと、東金はまたアクセルを踏み込んだ。
そして、門を後にし、暗闇の森の中へと消えていった。
241 :
餅:2001/07/31(火) 13:48 ID:???
………
「うーん、テールランプ全然見当たりませんね。
まだ先にいるんでしょうか?」
「恐らく、逃亡してから約5分くらいは遅れてるはずですから
まだ先にいるんでしょう。でもバスの速度ですから
そのうち追いつきますよ。いくらなんでも。」
「じゃ、もうちょっとかっ飛ばしてみますか。」
東金はシフトダウンすると、さらにアクセルを踏み込んだ。
加速Gで体がシートに張り付く。
前方は緩やかな右コーナーだ。
「ちょ、ちょっと東金さん、ブ、ブレーキ……。」
猛スピードに言葉を失くしていた西村が、限界のあまり
慌てて口に出した直後、東金はシフトダウン、ブレーキを踏んだ。
荷重が、一気にリアからフロントへと移動する。
「ぐふっ…」
西村は、前のめりになりそうなのを、シートベルトに助けられつつ
必死にドア取っ手にしがみついた。
西村が、ふと横を見ると、忙しそうにステアリングをきる東金がいた。
RX-7は、斜めになったまま、コーナーを滑りぬけていく。
西村の目に映る光景が、すべて斜めに流れていく。
気がつくと、すでにコーナーを立ち上がっていた。
「これがドリフトってやつですか…。
お、恐ろしい人ですね…。あなたは。
私もちょっとやそっとの事じゃ、驚かないほうなんですが…。」
西村は心臓をバクバクさせながら、東金に言った。
「そうですか?私、今すごく楽しいんですよ。
何てったって、車乗るの久しぶりですし。」
東金は前方を見ながら、笑って西村に返事した。
242 :
餅:2001/07/31(火) 13:48 ID:???
※ ※ ※
「この道って一本道なんだろうか。
全然、交差点とかありそうにないな。」
観光バス運転手さながらの俺は、大きなステアリングを右に左に切りながら
闇夜を走り続けていた。
「とにかく、幹線道路っぽいところまで出ないと
まだ脱出した気分にはならないなあ。」
西村のビルからしばらくは、高原の中の森といった感じで
緩やかな道路が続いた。
5分もすると勾配もきつくなり始め、ステアリングを切る両手と
ブレーキを踏む右足が忙しくなり始めた。
「かぁ、バスの運転って大変だな。こりゃ。
特に、このでけぇハンドル。ろくろ回してんじゃないんだからさあ。
内輪差の感覚は、何とか馴染んできたけども。」
などと呑気な事を言っていると、サイドミラーに光るライトを確認した。
「ん?途中、枝分かれがなかったという事は…。
追ってか?やべぇ…。大型バスで逃げ切れるかよ…。」
俺はさらに右足を踏み込んだ。
243 :
餅:2001/07/31(火) 13:55 ID:???
#出張休憩
久々に進めました。
レス余裕ができたら、なんかサボっちゃって(苦笑
さて寝ます。
次回「大型バスでドリフト!?」(←なんかの漫画のパクリだな。ヤンサンだったかな?)
やっと進んで嬉しい〜
( ・∀・)y−~~~ ジコルナホシュ
50km/hを下回るとバスガスバクハツ・・・・・
補習
頑張れ餅保守
249 :
:2001/08/01(水) 06:16 ID:???
ホ。
251 :
餅:2001/08/01(水) 12:19 ID:???
#出張休憩
読み返してみたら…。
ブレーキ踏む前に、シフトダウンするかよ。
あほ。
さてと、書くかいのう…。
252 :
餅:2001/08/01(水) 13:31 ID:???
#出張休憩
またしても大嘘つきました…。
今日は睡眠優先という事で。
今ね、19:00〜7:00勤務なのよ。17:00には起きなきゃならんのよ。
アホやん、俺。
あ、そだ。忘れてた。
>保守ラー
いつも申し訳ない。さすがに、2chに四六時中いるわけじゃないので
君達がいないと、ここ進められない。
>>246 それ「スピード2」だったっけ?
ホシュホシュ
( ゚∀゚)ホチュ!
|
| ドロン
|(( ☆。 ))
アイヨー
実タン、ポエたん、ハァハァ、、
258 :
:2001/08/02(木) 06:09 ID:???
259 :
餅:2001/08/02(木) 10:54 ID:???
#出張休憩
一応、保守。今日は何とか書こう。
260 :
Gon:2001/08/02(木) 12:56 ID:???
避暑。
ホシュ
つ*´。`)つアツー
263 :
餅:2001/08/02(木) 17:28 ID:???
>>242の続き
※ ※ ※
「ひろゆきさん、いましたよ!あれですよ、きっと。」
遥か前方に、赤いテールランプが見える。
「いやあ、さすがにあっという間ですねえ。」
「ところで、そのバスの運転手って誰なんですか?
なんか、かなりビルを滅茶苦茶にして逃げていきましたけど…。」
東金がそう問いかけている間にも、RX-7は前の車のテールランプまで
約100メートルのところまで迫っていた。
なおも、RX-7はグングンバスに迫っていく。
「ラウンジにいた餅ですよ。
あの男に2ちゃんねるの大事なサーバー監視所を爆破されましてね。
ちょっと今回ばかりは、我慢なりませんねえ…。」
西村はそう言うと、上着に忍ばせていた拳銃を取り出した。
「ちょ、ちょっと、ひろゆきさん、何するつもりですか?
餅さん、殺す気なんですか?」
「ええ、あの男には死をもって償ってもらいます。
もう私の部下が二人も殺されてるのですから。
殺人者なのですよ?あの男は。」
「えっ?そうだったんですか?
餅さんが殺人を犯してたとは…。
一度、板上で絡んだ時には、そんな悪い人じゃなさそうだと
思ったんですけど。しかし、何故突然そんな事を…。」
東金は大きな溜息をついた。
すでにバスは約30メートル前方にいた。
ヘッドライトの明かりの中には、大型バスが映し出されている。
264 :
餅:2001/08/02(木) 17:30 ID:???
「もともと、あの男は精神的におかしかったのですよ。
部署異動したら、なおさらおかしくなりましてね。
念のため、地下の医務室でいろいろ調べたんですが
どうも精神異常者のような状態になっていました。
それで、地下に閉じ込めておいたんですが、何故か脱出されましてね。」
そう言いながら、西村は車の窓を開け始めた。
ゴォーという風が唸り声をあげている。
そして、その窓から拳銃を持った両手を出し、バスに狙いを定めようとした。
「ひろゆきさん、危ないですって。
こっちもスピード出して走ってるんですし。
どうも、さっきから曲がりくねった道ばかり続いてますから
もうちょっと平坦な道路になってからでも、大丈夫ですって。
それに、あのバスで簡単に逃げられっこないですよ。
とりあえず、窓閉めてください。」
東金は、慌てて左手で西村の肩をつかみ止めようとした。
「それもそうですね。
私とした事が、すっかり頭に血が上っていたようです。」
西村の顔には、笑み一つなかった。
265 :
餅:2001/08/02(木) 17:48 ID:???
※ ※ ※
「もう追いつかれてんのかよ。結構、時間差あったはずなのに。
さては、FDで追いかけてきたな。
ひろゆきってそんなに車の運転うまいのかよ?」
うねるコーナーに両手を忙しそうにしながら、俺はぼやいていた。
その時、すでに後ろの追っ手はミラーに大写しとなるほどの
距離まで迫っていた。
「くそっ!これじゃ追いつかれちまう。
何かいい手は……。」
俺は後ろの車に追い抜かれぬよう、道路のど真ん中を走っていた。
計器盤のスピードメーターの針は80キロを指している。
前方には、やや下りのRのきつそうな右コーナー。
ふと、路肩に目をやると、水掃け用に斜めに段差がついている。
「路肩の段差………。
一か八か、やるしかないな…。だめもとだ!」
俺はステアリングをがっしりと握ると、バスをイン側に寄せ始めた。
迫る右コーナー!
だが、俺の右足はブレーキペダルへ移動する事はなかった。
「とうふ屋にできるならっ、俺にもできるはずだっ!」
266 :
餅:2001/08/02(木) 18:14 ID:???
※ ※ ※
前方のバスが左側に寄っていく。
すかさず、東金は車を左に振り、追い抜きにかかった。
が、並びかけたところでアクセルを抜き、またバスの後ろに戻った。
(カーブミラーがある…。次は右コーナーだ…。
周囲の木々の状況からすると、今までとは違って、かなりきつそうなコーナー…。
それで何故イン側に?バスから先が見えないとでも言うの?
餅さんだって、コーナーのライン取りくらいはわかるはずでしょ?)
東金は周囲を見渡しながら、冷静にドライブしていた。
そして路肩を見て、ハッと気がついた。
(ま、まさか、餅さんは漫画の真似をしようとしてるんじゃ…。
この時点で、まだノーブレーキ…。本気なの???)
東金は危機を察知し、通常のコーナー侵入よりも早めのブレーキングに入った。
「餅さんは、きっとこの先で事故りますよ、ひろゆきさん。」
そう言いながら、東金はバスとの距離を置いた。
バスのテールランプは未だに点灯しない。
267 :
餅:2001/08/02(木) 18:43 ID:???
※ ※ ※
ドンッ
フロントの右タイヤが段差に落ちる。
その直後、俺は凍りついた。コーナーのRが予想以上にきついのだ。
「このRでは、リアタイヤは落とせない…。」
バスの全長に対して、Rがきつすぎるのだ。
「もう、だめだ…。」
俺は思わずコーナーリング中に、ブレーキを踏んでしまった。
フロントの右タイヤを基点に、大型バスは激しくテールスライド。
スピン状態に落ちかけ、コーナーを真横になって滑っていく。
「ああああああっ!」
慌てて俺はカウンターをあてた。
これでもかというくらいに、ステアリングを左に回しまくる。
ギャギャギャギャッ
大型バスはそのまま真横になったまま、数十メートルほどスライドし止まった。
「助かった……。」
ステアリングの上にぐったりと横たわった。
しかし、そんなつかの間の休息など許されてはいなかった。
後からゆっくりと停車したRX-7のサーチライトが脱獄者を照らし出していた。
268 :
餅:2001/08/02(木) 18:53 ID:???
#出張休憩
一旦、休憩だな。
今日中に書き上げてしまおう。
おおっ! 免許持ってないんで何のことかよくわからんが
すごい迫力は感じる! わくわく。
270 :
餅:2001/08/02(木) 20:26 ID:???
>>267の続き
西村がゆっくりとドアから降りた。
「餅!出てこいっ!」
ふと運転席の右窓に目をやると、RX-7のヘッドライトの逆光に照らし出された
真っ黒な人間が立っていた。西村だ。
両手でこちらに銃口を向けている。
「こ、殺される…。死ぬのはイヤだ…。」
俺は慌てて乗車口を開け、バスから飛び降りた。
その直後
ガァアーン、ガシャァアアーーン
バスの運転席に銃弾が打ち込まれた。
俺は死に物狂いで逃げた。
月に照らされたおぼろ明かりの中、ひたすら走った。
「俺は死なない。絶対に家に帰るんだ…。」
月だけが、変わらぬ位置から俺を照らしていた。
※ ※ ※
「ちぃっ!」
西村は不服そうに吐き捨てた。
「ひろゆきさん…。バスが道を塞いじゃって
これじゃあどうしようもないですよ。
一旦、帰りましょう。」
運転席から降りた東金が、まだ苛立っている西村に話しかけた。
「バスも引き上げなければないし…。
一旦、戻るしかないですね…。」
そう言うと、西村は車に戻り、助手席にぐったりと体を沈めた。
RX-7は派手なスピンターンを決めると、また森奥深くのビル目指し
スキール音を響かせながら闇夜に消えていった。
271 :
餅:2001/08/02(木) 20:58 ID:???
※ ※ ※
いったい、どのくらい走り続けていたのだろう…
クタクタになり、何度も道路を転げまわりながら
俺は追われる恐怖から逃げていた。
はぁはぁ…
「ここで、止まったら殺される…。」
その気持ちだけが、俺の両足を前に進めていた。
すでにバスを乗り捨てたあたりから続いていた坂は下りきっていた。
あたりに家など見当たらなかったが、遠くから車の音が聞こえる。
「もうちょっとだ。もうちょっと…。」
よろよろと歩きながら、やっとの事で幹線道路らしき交差点までたどり着いた。
「誰か…車に乗せてくれ…。」
車道脇でフラフラと両手を挙げる俺を見つけ、一台のトラックが止まった。
「おう、どうしたい、兄ちゃん。
そんなにぐったりして。深夜マラソンかい?」
「……すみません、とにかく行ける所まで乗せてって欲しいんです…。」
「俺は野菜積んで、○×青果市場に向かってるところだ。
何なら乗っけてってやるぜ、兄ちゃんよ。隣に乗りな。」
「有難う御座います…。」
俺は残された力でトラックの助手席に登り、シートに倒れこんだ。
「すみません、こんな時間に…。」
「まあ、いいって事よ。気にすんな。ガハハハハ。」
シートにグッタリと倒れ、ふと時計を見た。
すでに時計の針は3:00をまわっていた。
「ところで、どうしたんだい?兄ちゃん。
そんな汗かいてよ。ほら、タオル使いな。」
優しく対処してくれる運転手の声は、もう俺には届いていなかった。
俺は、すでに死んだように深い眠りに落ちていた……。
272 :
餅:2001/08/02(木) 21:13 ID:???
………
「兄ちゃん、着いたぞ。」
その声で、俺は深い眠りから覚めた。
「駅前なら、何とか帰れるだろ。
そろそろ始発も出るだろうしな。」
「すみません…。何のお礼もできず…。
有難うございました…。」
「おう!じゃあな。」
トラックは早朝の人気のない駅の前から消えていった。
○×駅…
「ここからなら、家までたどり着ける。」
俺は切符を買い、ホームの喫煙所で煙草をふかしていた。
何も考えられなかった。ただ、家に帰りたかった。
電車が到着し、俺は席に着くと、また死んだように眠りこけた。
………
やっとの思いで電車を乗り継ぎ、マンションの部屋の前までたどり着いた。
「やっと、やっと帰ってきた。」
俺は財布に入れっぱなしにしていた部屋の鍵を取り出すと
ドアを開け中に入った。
約一ヶ月ぶりの自宅だ。
猛暑のせいで、ほったらかしにしていた飲み物や食べ物が腐り
部屋中に嫌な匂いが立ち込めていた。
俺は腐ったものを捨てると、窓を開け換気をした。
「無事帰れた…。」
その安堵感からか、ベッドに寝転がると、俺はそのまま眠ってしまった。
自宅の時計の針は8:00前を指していた。
273 :
餅:2001/08/02(木) 21:41 ID:???
………
プルルルルル……
部屋の電話が鳴る音で目を覚ました。
「ん?なんだ?」
寝ぼけまなこで、俺は電話の受話器を取った。
ツーツーツー……
「何だよ、悪戯電話かよ、ったく。」
ぼーっとしながら、俺は煙草に火をつけた。
「今、何時なんだ?」
時計を見ると、もう20:00を過ぎていた。
半日寝てしまっていたようだ。
目が覚めるにつれ、昨日の悪夢がよみがえってきた。
「そうだ!2ちゃんはどうなったのだ?」
俺は急いでパソコンの電源を入れた。
「サーバーを破壊したのだから、もう存在しないはずだ。」
起動した後、IEを立ち上げると、俺はブックマークしている
http://corn.2ch.net/entrance/index2.htmlを開いた。
当然、「404」が来るものだと思っていた。
………
いつものラウンジの画面だ。
「あれ?何で?キャッシュじゃないよな?」
と疑問に思った瞬間、いきなり画面が真っ黒になった。
そして画面右から文字がスクロールしてきた。
「なんだなんだ?ブラクラか?」
274 :
餅:2001/08/02(木) 21:43 ID:???
『ニ・ゲ・ラ・レ・ル・ト・オ・モ・ッ・テ・イ・ル・ノ・カ』
真っ赤な文字で、ゆっくりとその文字列は流れてきた。
画面中央でその文字が止まると、突如ハードディスクが
ガガガガガガと音を立て始めた。
「ま、まずいっ。」
俺は慌ててパソコンの電源を落とした。
「何だったんだ?今のは?」
ピンポーン
唖然としていると、急に玄関のチャイムが鳴った。
「誰だろ?」
俺は部屋のインターフォンを取った。
「はい…。どなたですか?」
「………。」
「もしもし?」
「……あの、餅さんですか?私です……。」
「ってか、誰なんですか?」
「見てもらえばわかります…。」
俺は面倒臭そうに玄関に足を運んだ。
そしておもむろにドアの覗き穴を覗き込んだ。
あの娘だ!
俺は急いでドアを開けた。
「な、何故君がここに…。」
275 :
餅:2001/08/02(木) 21:44 ID:???
そう…
その娘はあの忌まわしき館で、俺が毎朝抱いていたあの娘だったのだ。
「何でここがわかったんだ?あのビルはどうなったんだ?」
「餅さんが、脱走したと聞いていてもたってもいられなくて…。
餅さんの知ってそうな人に住所を聞きまくって
やっと、やっと見つけたんです。さっき、一応電話しようと思って
かけてはみたんですけど、いなかったみたいだったので
直接来てしまいました…。」
「まあ、入りなよ。とりあえず。」
俺はその娘を部屋の中に入れ、またドアの鍵を閉めた。
俺はこの時気がつくべきだったのだ。
何故、あの脱出不可能な館から、この娘が難なく出られたのかを……。
276 :
餅:2001/08/02(木) 22:18 ID:???
※ ※ ※
キティーハニは、いつも通り職場につき、朝のコーヒーを飲みながら
パソコンの前に座っていた。
「また、俺のピリリと痺れるエロネタで、ラウンジャーを笑わせてやるか。」
そしていつも通りに、ラウンジのブックマークを開く。
目の前には、いつも通りの糞スレタイトルのオンパレード。
1: これ餅らしいぜ! (4) 2: ラウンジ落ちてるじゃねえかよっ! (897) 3: dj(82) 4: ラウンジか・・・ケッ (19)
5: ☆ ティンポのさわやかな呼び方を考えてね ☆ (71) 6: 一位になったら脱ぎます!! (263) 7: 最近見つけた
『気になる』スレッド5 (775) 8: ヒィー(((゚Д゚)))ガタガタ (68) 9: @高@ 高校生専用スレッド
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12: 「私の名はメーテル」〜ラウンジ編〜 (509) 13: 〓IDに「2CH」と出るまで頑張るスレ〓Part(15) (153)
14: ちぇ (546) 15: 無能屋でぇ〜す (108) 16: ★駄スレは徹底的に放置しろ★ (16) 17: ラウンジャのみんな
でAge of kings ヤローウヨ の3 (156) 18: のーん!高木 ブーだけど さっき、ゴミすてたべ? (11) 19: 高木
ブーだけど ウインナー貸して (33) 20: にゃんぽこりん ………
「ん?何だこれは?また餅叩きか?」
おもむろにキティーハニはスレトップをクリックした。
277 :
餅:2001/08/02(木) 22:21 ID:???
[1:4] これ餅らしいぜ!
1 名前:真夏の名無しさん 投稿日:2001/08/03(金) 08:07 ID:???
おい!この男、餅だってよ!
さっき、なぐちゃっと覗いたら、すげえ騒いでたぜ!!!
http://news.yahoo.co.jp/headlines/mai/010803/dom/xxxxxxxx_maidomm130.html 2001年8月3日(金) 7時25分
<バラバラ殺人?>○△市で首のない胴体だけの死体発見される 埼玉(毎日新聞)
3日午前6時15分ごろ、埼玉県○△市、会社員、○○○○さん(31)が自宅で首を切断されて
殺されているのが知人の通報により発見された。頭部がノコギリのようなもので切断されており
胴体だけが部屋に残されていた。部屋は荒らされておらず、また何かを盗まれた形跡も特にない事から
窃盗目的ではなく、人間関係のもつれではないかと埼玉県警は予想している。また、○○さんが抵抗した
様子が見られない事から、埼玉県警は○○さんに親しい者の犯行とみて、知人関係をあたる方針。
………
2 名前:真夏の名無しさん 投稿日:2001/08/03(金) 08:08 ID:???
死ねバーカ
3 名前:真夏の名無しさん 投稿日:2001/08/03(金) 08:08 ID:???
どうせネタだろ?
4 名前:真夏の名無しさん 投稿日:2001/08/03(金) 08:09 ID:???
〈 ̄ヽ
,、____| |____,、
〈 _________ ヽ,
| | | |
ヽ' 〈^ー―――^ 〉 |/
,、二二二二二_、
〈__ _ __〉
| | | |
/ / | | |\
___/ / | |___| ヽ
\__/ ヽ_____)
278 :
餅:2001/08/02(木) 22:21 ID:???
[1:4] これ餅らしいぜ!
1 名前:真夏の名無しさん 投稿日:2001/08/03(金) 08:07 ID:???
おい!この男、餅だってよ!
さっき、なぐちゃっと覗いたら、すげえ騒いでたぜ!!!
http://news.yahoo.co.jp/headlines/mai/010803/dom/xxxxxxxx_maidomm130.html 2001年8月3日(金) 7時25分
<バラバラ殺人?>○△市で首のない胴体だけの死体発見される 埼玉(毎日新聞)
3日午前6時15分ごろ、埼玉県○△市、会社員、○○○○さん(31)が自宅で首を切断されて
殺されているのが知人の通報により発見された。頭部がノコギリのようなもので切断されており
胴体だけが部屋に残されていた。部屋は荒らされておらず、また何かを盗まれた形跡も特にない事から
窃盗目的ではなく、人間関係のもつれではないかと埼玉県警は予想している。また、○○さんが抵抗した
様子が見られない事から、埼玉県警は○○さんに親しい者の犯行とみて、知人関係をあたる方針。
………
2 名前:真夏の名無しさん 投稿日:2001/08/03(金) 08:08 ID:???
死ねバーカ
3 名前:真夏の名無しさん 投稿日:2001/08/03(金) 08:08 ID:???
どうせネタだろ?
4 名前:真夏の名無しさん 投稿日:2001/08/03(金) 08:09 ID:???
〈 ̄ヽ
,、____| |____,、
〈 _________ ヽ,
| | | |
ヽ' 〈^ー―――^ 〉 |/
,、二二二二二_、
〈__ _ __〉
| | | |
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___/ / | |___| ヽ
\__/ ヽ_____)
279 :
餅:2001/08/02(木) 22:23 ID:???
最後二重カキコしちまった…(苦笑
Special Thanks to...
ひろゆき
うに
リフ・ラフ
「プロ名無し」
本家なぐ
boxfondiry
pon
開店寿司
サクラメント
ハピ
まろん
夜勤
削除屋
東金道妄想愚連隊
キティーハニ
280 :
餅:2001/08/02(木) 22:25 ID:???
and...
22世紀を目指す名無しさん(default)
1の知人です
名無しさん@最近ラウンジ好き
餅は
チーハクの餅に
informer
ジェイレグドス染色体
ゆきのふd027135.ap.plala.or.jp*`σ゚)ノ
名も無き放浪者
キティーハニ
boxfondiryadslosk2-p207.hi-ho.ne.jp
星を見るニケ
餅(俺より文章旨い方)
初代ちょんまげ
爺ヴォルト
代理餅
でぱす(散)
激烈爆人
いっち@pl008.nas911.maebashi.nttpc.ne.jp
本みりん
うに*´Д`*)PPP426.miyagi-ip.dti.ne.jp
逝け☆マーチ
別に終了でいいじゃん
281 :
餅:2001/08/02(木) 22:25 ID:???
クルトン
珍万
大家
ドリュfushianasan
ぱむ@
妄想
しおり
よいしょっと
Crow
電子キャラメル
ドリュ
暇食人
ガレリアン
坂崎太郎侍
カヒ飲料
<カメレオン◎>〜
助教授
sage
モンゴル
ぱむ@社会不適合者
暇職人
さおり
417
〜
相互リンク
282 :
餅:2001/08/02(木) 22:25 ID:???
ラウンコ
名無し?
リフ・ラフ
ぱむ@AirFixation
殺戮行脚
はぐ。☆←眩しい
_
パイパンクス
(・∀・)アハー
刺身☆ブーメラン
アイツと俺とリッケンバッカー210.69.25.137
ギコラ
うんこ
s@kurai
うに*´Д`*)<ヘンッテユーナ!
真夏の名無しさん(default)
※どんちゃん
初カキコ
なつぱむ@
ギコ帽子
うに*´Д`*)
厭きラヴ
いつぞやの5
名無し芋
22世紀を目指す名無しさん
188
Gon
283 :
餅:2001/08/02(木) 22:26 ID:???
□□□■■■■■□■□□□■□■■■■□□■■■■□■□□□■□■■■■□□□□
□□□□□■□□□■□□□■□■□□□□□■□□□□■■□□■□■□□□■□□□
□□□□□■□□□■■■■■□■■■■□□■■■■□■□■□■□■□□□■□□□
□□□□□■□□□■□□□■□■□□□□□■□□□□■□□■■□■□□□■□□□
□□□□□■□□□■□□□■□■■■■□□■■■■□■□□□■□■■■■□□□□
284 :
餅:2001/08/02(木) 22:27 ID:BiqRGUJg
【おまけ】
「あとがき」を最後に書いてみようかと…
風呂入ってきてからかな
やっと、終わりましたよ
285 :
:2001/08/02(木) 22:34 ID:???
286 :
名無し芋:2001/08/02(木) 22:34 ID:???
ほんとは、画面の向こうで・・・って考えたら・・・・・・・・・・・・・・
287 :
モンゴル:2001/08/02(木) 22:35 ID:???
うがっ!!
こんなスレでやってたのか!
しかも終わってんじゃん・・・
|
|ё`) バッドエンド・・・
|⊂)
|人|
伝え聞いてやってきました。
終わったようですね。
長い間お疲れ様でした。
最後がキティーハニと言うのは意外でしたが。
1000オマエモナー………。
合掌
290 :
餅:2001/08/02(木) 23:17 ID:???
ちゃんとした「あとがき」は後にとっておいて(w
もう、眠いんで…
とりあえず…
約2ヶ月半ではありましたが、懲りずに読み続けてくれた人
そして保守しまくってくれた人、本当にありがとうです。
>>289 キティは愛読してくれてたからねえ。
あれから見ないという事は、やっぱここ知らないんだろうか?
最後に親愛をこめて、登場させたよ(w
1000オマエモナー、ありがとさん。
疲れた、寝る…
291 :
名無し芋:2001/08/02(木) 23:22 ID:???
>>290 オヤシュミなさい。 わしも・・・グーグー・・・。
292 :
餅:2001/08/02(木) 23:29 ID:???
と思ったら…
>>266で>前方のバスが左側に〜
って、右側の間違いじゃねえかよっ!ぶつかるだろうがっ!
ああ…
>>291 おやすみ♪
■■■■■■■■■■ 祝・完結 ■■■■■■■■■■
ほんとにお疲れさまでした
あーんど
楽しませてくれてありがとう
読み始めた当初はこんなに長くなるとはオモテナカターヨ(*´▽`)
素直に、おもしろかったです
餅マンセー!!!!!!
295 :
ごーるど:2001/08/03(金) 02:54 ID:???
終わったか・・・小説は書き込むと
雰囲気を少し壊しそうだったからレスせんかったけど
すげーなもっちー、面白かったっす。
御苦労さんでしたー。
まさかそういうオチでくるとは思わなんだ(笑)。
297 :
:2001/08/03(金) 04:27 ID:???
298 :
:2001/08/03(金) 06:49 ID:???
299 :
真夏の名無しさん:2001/08/03(金) 07:06 ID:ewrS34HA
キティーハニあげ
300 :
真夏の名無しさん:2001/08/03(金) 07:08 ID:7Dp3J8IU
300
301 :
キティーハニ:2001/08/03(金) 07:28 ID:q5MZFW2A
>>299のおかげでこのスレ発見できた。アリガトウ299
続きから最後まで読んだがおそらく充電期間の後Part2があるのだろうな
前作を超えるクオリティになること間違いなしだ
恐らく2ちゃんねるの歴史に残る大作…さあ書け餅よ(ププ
書きにくいだろうなぁ
302 :
助教授:2001/08/03(金) 07:44 ID:???
いやあ、大作お疲れ様でした。
早速ですが「次回作」期待しています。(笑
わっしょい!
うまいなあ。
大変だろうけど次回作も読みたいなあ。
お疲れ様でした。 >餅
こっそりと楽しませてもらっていました。
餅マンセー。
306 :
ギコ帽子:2001/08/03(金) 09:12 ID:???
お疲れさまでした。っていうか、ありがと。
|
|_Å
ー゚*) <モッチーオツカレサマ、タノシンダヨ。デモバラバラ…。
⊂| コンドハレンアイモノカイテ、フフフ。
| 〇
|∪
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
アハーン、おつかれ。
オナニーしまくって労ってもらえるとは羨ましいかぎり(●´ー`●)
祭りのあとのなんとやら(*´ー`)
面白かったー。最後鳥肌立ったー。
餅ありがとー、おつかれ〜(*´ー`*)ノ
おもろかった。感動したっ!
312 :
暇職人:2001/08/03(金) 15:38 ID:???
はー(*´д`)溜息が出るよ。。本出せば売れるね。
面白かったです。有難う。
餅お疲れ様でした。有難う。
314 :
真夏の名無しさん:2001/08/03(金) 16:04 ID:7pozm62w
初めてこのスレ見た。
長いけど面白かった。
もっと早く気がついてればなー。
お疲れ〜。バッドエンドにちとヘコんだよ。
ともかく今まで感謝。
316 :
餅:2001/08/04(土) 00:45 ID:???
おうっおうっ!
すげえ、賛美レス、やっぱ嬉しいですよ。感謝感謝。
この妄想小説って何人くらい見ててくれたんだろ?
さて、あとがきでも書いて寝ようかなと。
で、後書きは……。
今から3時間以内に後書きは書かれる事が無い。に2000オマエモナー
319 :
餅:2001/08/04(土) 01:46 ID:???
2000オマエモナー、有難う御座います(w
最近、メモ帳でまとめて書く事が多いもので…。
320 :
餅:2001/08/04(土) 01:46 ID:???
【あとがき page.1】
国語は昔から苦手だった。
小学校の頃はそうでもなかったが、受験国語になるにしたがって
猛烈に国語が嫌いになった。不得意科目だった。
何故か?
個人個人の感受性は、それぞれ千差万別であり、もともと答えを一つに
絞ろうとする事がアホらしかったからだ(これは、はぐ。と同意見)。
古文、漢文は別としても、やはり現代文が苦手だった。
受験の現代文など「本文を読まずして、選択肢から答えを絞る」といった
受験テクニック的な参考書を使い、実際にそれで受験に挑んだ。
本文なんて、斜め読みしかしなかった。数学みたいで面白かった。
国語は逃げの姿勢でしかなかった。
そういう過去の背景もあり、このような文才のない小説ができあがったわけである。
321 :
餅:2001/08/04(土) 01:47 ID:???
【あとがき page.2】
純文学は、あまり好きではなかった。
もともと、厨房気質という事もあり、難しく考えながら本を読むのは
疲れるタチだった。それよりも、ドキドキワクワクのほうが好きだった。
小学校の時に、学校の図書館のポプラ社の江戸川乱歩の
「少年探偵団シリーズ」を鬼のように読んだ。
読み始めると、休む事なく、最後まで延々と読み続けたものだ。
それだけ、非現実的な妄想の世界に面白さを感じた。
その後、コナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズや
エラリー・クリーンのドルリー・レーンシリーズ
(「Yの悲劇」は意外な結末に感動した。洋物で一番好き。)など
様々な推理小説も読んだ。しかし、江戸川乱歩にはかなわなかった。
正統派の西洋の推理小説よりも、日本の何か怪しい雰囲気の漂う
推理小説というよりも、怪奇小説に近いほうが大好きだった。
江戸川乱歩の大人向けの小説(もともと、少年探偵団シリーズは
江戸川乱歩が子供向けに書き直したものである)を読んでから
その傾向はなおさら強くなった。
子供向けとは違う、猟奇と甘美な世界。
小学校の時にはない、また違う別の世界が俺を魅惑したものだ。
322 :
餅:2001/08/04(土) 01:47 ID:???
【あとがき page.3】
江戸川乱歩の小説で、「これはまいった」と思うものが二つある。
「孤島の鬼」と「芋虫」である。
前者は長編小説であるが、物語の途中に不具者製造の島の話が出てくる。
シャムの双子の気違いじみた内容が出てくる。
後者は短編小説であるが、そのインパクトはすごかった。
戦争で四肢を失った主人公が、奥さんに弄ばれながらも
それゆえ、その不恰好な姿を愛されるといった、非常に奇妙な小説であった。
その畳の上で、ゴロゴロと転がる姿を「芋虫」として著わしたのである。
「妄想の果てに…」は、これらの影響を多分に受けている。
それが、『猫まろん』であり、この前身となった「彼岸花」である。
(「彼岸花」
http://corn.2ch.net/entrance/kako/988/988388496.html )
もともと、未完結に終わった「彼岸花」は、非現実の世界を
表現してみたかったのである。単なるマスターベーションではあるが…。
323 :
餅:2001/08/04(土) 01:48 ID:???
【あとがき page.4】
漫画系の板には、色々な漫画をパクッた面白い小説がある。
その漫画を知っていて、共感できる人にはたいそう面白いものである。
「これをラウンジでできないか?」
これが、発端だった。
しかしながら、ラウンジは、もともとテーマなどない板である。
単なる雑談とネタの板である。
ならば、誰にでもわかるよう、使い古されたネタである
「プロ固定」と「コテハン」を絡ませたら、面白い話ができるのでは?
と、思ったわけである。
出だしは勢いで書いていた部分もあるが、「彼岸花」の話に移行する時点で
ほぼ、ラストまでのストーリーは頭の中でできあがっていた。
最後の部分は、昔からずっと温めていた終わり方だったのである。
「ドキドキ感を盛り込み、退屈させないような物語を」
これがコンセプトだった。
そのために、登場するコテハンは、ある種、際立った特徴のあるコテハンを
採用したつもりである。他の人には真似できないような強烈なインパクトのある
コテハンを盛り込んだ。
324 :
餅:2001/08/04(土) 01:48 ID:???
【あとがき page.5】
途中の細かい話の内容は、もともと考えていたわけではない。
おおまかな骨格に従って、肉付けしていくうちに、勝手に妄想が生んだ賜物である。
それゆえ、自分で書いていても楽しいものだったのである。
恐ろしいほどの自慰行為であったと言える。
ラウンジのスレdat落ちの速度が、ちょうど速くなりはじめた頃に書いたわけだが
それでも生き延びた事は奇跡としか思えない。
途中アクシデント(ワラ)もあったが、読者の皆様に支えられて、無事完結するに
至ったわけである。ここに深く感謝の意を記したい。
さて、せっかくレス余裕も残っている事なので
これを自ら紹介して反応を見てみたいと思っている。
どこかは、当然、秘密であったりする(w
最後に、この妄想小説を懇切丁寧にまとめあげてくれた「暇職人」に
感謝の意をこめてURLを貼り付けたい。
「妄想の果てに…」ノンストップバージョン
http://corn.2ch.net/test/read.cgi?bbs=entrance&key=990312708 本編は含みを残した終わり方だったが
もしかしたら、続きを書く日が来るかもしれない???
当分、そのつもりはないけど(w
では、またいつか、どこかで
そろそろage全開で逝くかい?
326 :
餅:2001/08/04(土) 01:54 ID:???
ああ(w
もう、終わったからどうでもいいよ。
このままsageっぱなしよりは多くの人に
見てもらった方が良いだろうよ。
どおだ?
328 :
餅:2001/08/04(土) 01:59 ID:b7KA9zTo
アイヨー(ワラ
329 :
22世紀を目指す名無しさん:2001/08/04(土) 02:02 ID:HR6Yb5w.
アイヨーアイヨー!
もち上がり
331 :
:2001/08/04(土) 02:06 ID:bSnvwj9c
揚げ餅はうまいからな
332 :
真夏の名無しさん:2001/08/04(土) 02:09 ID:1TzSQLEU
アイヨーアイヨー!
333 :
開店寿司@真ごち:2001/08/04(土) 02:11 ID:7IeRV.pY
オフで直接会って、激励してやりたかったよ(ワラ。
このまえの削除人座談会でプロ固定の話題がでたのは、餅の功績か?(笑。
334 :
餅:2001/08/04(土) 02:20 ID:???
某板で自己顕示欲全開モードに入りました(ワラ
厨房と変わりません。まあ、もともと厨房なんですが…。
ぜってえ、ここにひろゆきにレスさせてやる!
さて、寝るか
335 :
:2001/08/04(土) 02:30 ID:???
336 :
名無しのオプ:2001/08/04(土) 07:41 ID:B43JE79o
ミステリー板から来ました。(某ラウンジャさん、教えてくれてあんがと)
とりあえず足跡。
おいおいおい…
マルチポストされてるぞ。
前スレのsage荒らしか?(w
逆に本人だったら手叩いて笑えるが。
338 :
真夏の名無しさん:2001/08/04(土) 09:45 ID:fiKeBm3o
今日はお休みだから人が多いかと
読んだ人の感想が聞きたいage
スターファイヤーーーーーーーーー
がんばれほしゅ
341 :
:2001/08/04(土) 16:18 ID:???
>>319 トータル3000オマエモナーの負け………。
何時かこの借りはお返しいたします(笑
私はSETIスレと他幾つかの決まったスレしか見る事はないので。
このようなラウンジを題材とした読み物を書く事は非常に難しいですが。
今後もこのようなスレが新たに出来ることを望みます。
(お前が書けって言われそう……)
ラウンジ新分野とか言ってみたりして。
文章が綺麗とか其れ以前にネタ、わかりやすく其れでいてあれなネタ。
取り敢えず餅氏の次回作に期待ですね。
おれも頑張って書き溜めているけどここでやったら駄目かな。
それもアリかも。
今、読み返してみるとやっぱり雑な点や、かみ合わない点がが多く見受けられるなぁ、
と思いつつ保守。
>>344 他の場所をもう一度リサイクルするかもしれません。
ヤベェ、最後身震いしちまった。
取り合えず餅マンセー!!
348 :
:2001/08/05(日) 05:25 ID:???
349 :
:2001/08/05(日) 11:01 ID:???
350 :
餅:2001/08/05(日) 11:43 ID:???
お?2周年のじゃんけんで取得した★が(w
いいよ、ここ使っても。
まだ600近く余力あるし。
本編終わっちゃったから、うまくリンクするように
最初から加筆修正加えて書き直したらどうだろう?
俺も疲れたから、読者側に回らせてくれい。
351 :
餅:2001/08/05(日) 11:50 ID:???
ってか、Special Thanks toに「オルテガ」入れるの忘れてたんだよな。
人として見てなかったのかな(w
暇職人のまとめてくれたサイト、カウンタ1446もいってる。
結構、見てる人いたんだなあ。
353 :
:2001/08/05(日) 17:25 ID:???
354 :
:2001/08/05(日) 22:55 ID:???
餅さん、ありがとう。楽しかったです。
猫まろんさんの殺されるところ、餅さんの怒りの描写が最高です。
私も涙して、怒りました。
オセロ好きより。
餅も大家も頑張れー。
これからも負担にならない程度に何か書いてくれる事をキボソ
357 :
:2001/08/06(月) 06:30 ID:???
358 :
名無し芋:2001/08/06(月) 12:57 ID:???
昼。何気に。
test
361 :
:2001/08/07(火) 01:30 ID:???
362 :
餅:2001/08/07(火) 03:07 ID:???
363 :
:2001/08/07(火) 06:02 ID:???
364 :
名無し芋:2001/08/07(火) 12:35 ID:???
見てきたよ。
ほんとに作ったら売るのかな?
売りはしないんじゃないか?
昔あった2chのインベーダーとか、モーナーマリオみたいにフリーになると期待。
というか、ラウンコが書いてたやつは続かないのかなあ。
しかし餅、大暴れだなオイ(笑
モーナーマリオってどこにあるんですか?
( ・∀・)y−~~~ ダリーケドホシュ ゲンキゲンキ
368 :
餅:2001/08/07(火) 23:20 ID:???
ああ、ちゃんとレスしてなかったけど
避難所のオセロさんも見てたのか。オセロ楽しいね。
あそこ静かでいいし。
あのゲーム何気に期待してんだよねえ。
何か原作者としては、すげドキドキ。
ってか、あの文章そのまま使われるの猛烈に恥ずかしい。
今日は、はよ寝ないとな(←いつも嘘ばっかり)
昨日、地上で暴れちゃったしな。
369 :
:2001/08/08(水) 06:25 ID:???
>>366 俺も詳しい事は知らん。スマソ
一年くらい前に、どっかのスレで作ろうって話があって、そこで一応動くところまで
は出来てた筈。体験版みたいなのをやってみた記憶があるから。それからどうなった
のか解らんのだよー。あれから話が出てこないとこを見ると頓挫した可能性もあると
思うんだが・・・。
うむ、何か全然違う話してるな。すまん、餅。
372 :
366:2001/08/08(水) 17:24 ID:???
探してくださった皆さん、ありがとうございました。
373 :
:2001/08/08(水) 20:30 ID:???
374 :
:2001/08/09(木) 03:07 ID:???
375 :
:2001/08/09(木) 06:22 ID:???
376 :
:2001/08/09(木) 17:17 ID:???
377 :
:2001/08/09(木) 23:17 ID:???
378 :
:2001/08/10(金) 04:24 ID:???
379 :
:2001/08/10(金) 05:51 ID:???
380 :
:2001/08/10(金) 12:02 ID:???
381 :
:2001/08/10(金) 16:27 ID:???
382 :
sage:2001/08/10(金) 20:10 ID:???
sage
383 :
:2001/08/11(土) 01:41 ID:???
餅
なんだこれ?
387 :
真夏の名無しさん:2001/08/11(土) 02:21 ID:.gFT62II
このスレッドぶっ壊れてます。
388 :
:2001/08/11(土) 04:36 ID:???
389 :
:2001/08/11(土) 10:22 ID:???
390 :
カヒ飲料:2001/08/11(土) 12:18 ID:???
>>386 なぜそこで名前出されるのか…。
ちなみに本文無しsageレスはスレが落ちるのを防ぐためのもの。
でもやった事ないからやっぱり名前出される理由不明。
>>390 ブームなんだよ、お前が。
人気っぷりに嫉妬しちゃうわ♥
392 :
:2001/08/11(土) 16:17 ID:???
危険・・・・
394 :
餅:2001/08/12(日) 00:49 ID:???
しかし、この間をどうすればいいのだ?
くそっ!ひろゆき来ねえかな。
あっちで頑張るしかねえな。
何かカヒ飲料って、昔のrainみたいな感じで扱われてるな。
すんげえ似てる。遊ばれ方が。
「そのうちカヒ飲料をこきおろすスレッド」とか立ったりして(w
ゲラゲラ
395 :
:2001/08/12(日) 02:29 ID:???
さよならか。
どうしてさ
399 :
:2001/08/12(日) 20:16 ID:???
/  ̄ ⌒ 丶 / ̄ ̄ ̄ ̄
_ - / \ | ・・・・・・・!?
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401 :
:2001/08/12(日) 23:19 ID:???
あっちのスレストッパーがかかってんじゃん
チトわらっちったよ
403 :
:2001/08/13(月) 02:45 ID:???
あれ、は(w
404 :
: