1 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :
最果てのゴールドマン
第壱話 英雄の正体
夕闇が迫る東京のスカイライン。
遥かに紫色の雲の中に富士山が見える。
品川を最終防衛ラインにすることは予め決まっていた。
突然海から半身を現した、
全長50mほどもある怪獣は、黒い体を揺すって、
上陸を開始しようとしていた。
鳥のような、獣のような異常な鳴き声が
品川を揺さぶった。
私は赤外線レーダーで怪獣の体躯を把捉した。
「攻撃開始!」
私の命令で、都合6機の対巨大生物攻撃用特殊戦闘機
シグルド1号から6号までがミサイル攻撃を開始した。
地球環境の激変のためか、
次々と現れる巨大生物を処理するために結成された
国連軍特殊部隊、
AMT、対モンスタータスクフォース(Anti-Monster Taskforce)が
結成されて、2年になる。
2 :
名無しさん?:03/11/09 00:29 ID:HIFKnWiq
おうよ
市ね化す
4 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:29 ID:Wgu30THF
怪獣-後にベロクロスと正式に命名された-は、ミサイル攻撃には
びくともせず、突然火を吐いた。
天木隊員が操縦する4号機が被弾し、海へ墜落していった。
「天木!」
私は火を噴いて落ちていく天木機を見ながら、
彼の命だけでなく、予算の心配もしていた。
330億円というところだろうか。
あの戦闘機は、特殊仕様なので馬鹿高い。
ちなみに、今飛んでいる戦闘機だけで2000億円。
燃料費や弾薬費等も入れれば、2100億円程度の金が
空を飛んでいることになる。
今そのうちの330億円が消えたのだ。
5 :
名無しさん?:03/11/09 00:29 ID:ezEB4ZLQ
旺文社の編集者が・・・
6 :
@@@ ◆aaa3ZtH1Zw :03/11/09 00:29 ID:u4xQNR66
そして
肉片東京KITTYは朝を迎えた
7 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:29 ID:Wgu30THF
「隊長、駄目です、ミサイル攻撃は効きません!」
3号機の西村隊員が悲鳴を上げた。
怪獣は品川に上陸し、火を吐いて品川プリンスホテルを
炎上させた。
そのとき。
海の一隅が突然光った。
海の中から、体を黄金色に光らせる、体長50mほどの巨人が現れた。
「やった、ゴールドマンだ!」
隊員たちの安堵に満ちた声を聞きながら、
私は皮肉な思いを味わっていた。
これで今日の仕事は終りだ。
8 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:29 ID:Wgu30THF
ゴールドマンは、
言語とも掛け声ともつかない声をあげて、
怪獣に迫った。
怪獣はゴールドマンに気付き、火を放った。
ゴールドマンは火を浴びて海に投げ出されたが、
すぐに立ち上がって怪獣に飛び蹴りを加えた。
5号機の山本隊員が通信をしてきた。
「隊長、ゴールドマンを援護しましょう!」
「ん、ああそうだな」
私は怪獣の眼を狙ってレーザービームを発射するよう
各機に命令した。
だが、毎度のことだがゴールドマンがでてきたら
私たちの仕事はほとんど終わったようなものなのだ。
よみたいよ
10 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:30 ID:Wgu30THF
ゴールドマンが出現してから
きっかり2分53秒後、
ゴールドマンは両腕を交わして
必殺のニュートラル光線を怪獣に浴びせ、
怪獣は粉々になった。
ゴールドマンは、すっかり暮れた空を一旦見上げ、
空へと去っていった。
怪獣のバラバラになった血や肉片は、
品川だけでなく六本木や赤坂の方にまで大量に飛んでいった。
後で聞いたが、何十人かそれでまた死者が出たらしい。
だが、生命保険の約款で怪獣事件による死亡については
生命保険金は下りないことになっている。
死に損という奴だ。
11 :
@@@ ◆aaa3ZtH1Zw :03/11/09 00:30 ID:u4xQNR66
東大君死ね
12 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:30 ID:Wgu30THF
千葉県のディズニーランドの近くに、
AMTの洋上基地がある。
帰還した我々を待っていたのは、
藤原アイコ隊員が嬉しそうに述べた、
海上保安庁からの
天木隊員が助かったという報告だった。
「本当に運の強い奴だよなあ」
西村隊員が笑いながら言った。
本当に彼らは知らないのだろうか?
それとも知らないふりをしているのだろうか?
私はもはや確信している。
天木隊員がゴールドマンだということを。
つまんねえ小説は小学生の作文よりも劣る
14 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:31 ID:Wgu30THF
私は天木隊員が入院したという病院の名前を聞いた。
隊員たちに待機を命じて、
見舞いに行くことにした。
作戦室を出て、車両に乗るために一般区画に出ようとしたとき、
非戦闘隊員の一人が声を掛けてきた。
「あの・・・お待ちの方が・・・」
私は彼女が指し示す方を見た。
「今日はおめでとうございます。隊員の方も無事だったようで・・・」
四井重工のセールスマンだ。
「今日も売り込みかね」
「はあ・・・、あ、次期支援戦闘機についてですが・・・」
この前の入札で2機の枠を失ってしまった四井は必死だ。
戦闘機の機種および製造工事の入札については、
実戦部隊指揮官の意見も重視されるので
私に媚びを売りに来ている、ということだろう。
これは他のメーカーも同じだ。
15 :
名無しさん?:03/11/09 00:31 ID:JfXAgQwF
デブまだこんなつまんねーことしてるのかよw
死ぬまでやっとけ
16 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:31 ID:Wgu30THF
セールスマンの太宰は下卑た追従笑いを浮かべた。
「これから隊員のお見舞いで?その後お暇がございましたら、
一席設けたいのですが・・・」
私は首を横に振って申し出を断った。
「いいえ、少々まだ残務がありまして」
彼らには隙を見せないことだ。
はっきり言って、怪獣退治の方がずっと楽だ。
ほとんどゴールドマンがやってくれる。
17 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:32 ID:Wgu30THF
だが、ゴールドマンのお蔭で
ほとんど無用の長物と言われているAMTは
莫大な予算を掛けられているために、
周りに多くの魑魅魍魎が涌いてくる。
私たちが日々戦っている怪獣よりも手強くて恐ろしい相手だ。
それは人の形をしているから始末に悪い。
恥ずかしい大人だなあ
地味に面白そうな訳だが
20 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:32 ID:Wgu30THF
前隊長も、その魑魅魍魎に魅入られて失脚した。
どうということはない、せいぜい10億円程度の
対空特殊ミサイルの納入でワイロを取ったと
週刊誌に書かれ、
国会に喚問されて地位を失ったのだ。
まだ任務中に怪獣に殺された方が、
軍人としては気が利いている。
私は黒塗りの公用車に乗って、
運転手に行き先を指示した。
湾岸道路に入り、首都高速に乗る。
さきほど戦闘があった品川の方は、
まだ火災が起きているようだ。
病院の個室のベッドに、天木義彦隊員は体を横たえていた。
21 :
@@@ ◆aaa3ZtH1Zw :03/11/09 00:33 ID:u4xQNR66
てめぇ
ラウンジで認めてほしかったら
中島みかちゃんのサインもらってこい!
22 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:33 ID:Wgu30THF
私は天木隊員に話し掛けた。
「怪我の具合はどうだ」
天木は、ベッドから体を起こしてニコリと笑った。
「ええ、もう大丈夫です隊長」
「そうか」
私は、何から切り出せばいいのか少し迷った。
「天木」
「はい」
「お前が隊員になってから、どれくらいになる」
「・・・1年半、というところですか」
「そうだな。アークスクイドが出たときに、
お前が負傷した小泉隊員を救って
代わりにミサイルを発射してくれた
お蔭で倒すことが出来た」
私は天木の精悍な横顔を見た。
「だが、腑に落ちないことがあるんだ、天木」
「なんでしょう」
「お前がいなくなると、ゴールドマンが現れる」
23 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:33 ID:Wgu30THF
天木の顔が鞭のように引き締まった。
「そう、いつもそうだ。
ヒュゴイド、ジギスムント、バール、枚挙に暇が無いな。
お前の乗っている戦闘機が落とされたり、
お前がいなくなっているときに
ゴールドマンは現れるんだ」
私の言葉に天木は黙りこんでから急に笑い始めた。
「はははは・・・隊長、隊長は何がおっしゃりたいのです」
私は、間髪なく切り込んだ。
「天木、君がゴールドマンってことさ。
最近ますますそう思うようになっている。
君は今までシグルドで9回落とされている。
カネにすると、3000億円以上の損害になる。
だが、それはいい。
問題なのは、9回とも君が助かっている、ということだ。
これは運がいいなどということでは済む問題ではない。
そして、君が墜落したすぐ後に、その近くから
ゴールドマンがいつも現れるのだ」
24 :
名無しさん?:03/11/09 00:34 ID:Er6aS7t6
ry、 ∩_∩
/ / } (・x・ ) ノノ パンパン
_/ノ../、 _ / 入/ ,`ヽ, ノノ
/ r;ァ }''i" ̄.  ̄ ̄~r'_人 ) ―☆
{k_ _/,,.' ;. :. ト 〈 \
\ ` 、 ,i. .:, :, 'r'_/ ☆
,;ゝr;,;_二∠r;,_ェ=-ー'"
Disappear. Pig
27 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:35 ID:Wgu30THF
私は一旦言葉を止めて、天木を見た。
だが、その深い瞳は静かに私を見ているだけだ。
「天木、君が宇宙人だと私は思っている。
それも想像を絶する力を持ったね。
だから、ひょっとすると君は私の精神を操作して、
別の記憶や信念を植え付けることもできるかもしれないし、
私の考えなど本を見るように読み取ることができる
かもしれない。
それでも私は君にこの疑問をぶつけざるを得ないのだ。」
私は天木を真っ直ぐ見据えた。
「ゴールドマン、君が地球を守る利益は、一体何だ」
>>1 Your trivial text was tired.
Please die early.
>>1
最果てのゴールドマン
ドラクエ1でワールドマップの端のほうに行くと出てきて、初見のときはすっげー
強くてヒヤヒヤしながら戦うけどそのうち金稼ぎのカモになってくれる
31 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:36 ID:Wgu30THF
沈黙が部屋を覆った。
最初に沈黙に耐え切れず言葉を発したのは私だった。
「直截的すぎたかな。
では少し私のことを話そう。」
私は両手を組んで昔のことを語り始めた。
「まだ私が自衛隊にいたときのことだ。
イラクのナジャフという街で
復興支援に当っていたときのことさ。
突然私の部隊は、ゲリラたちに攻撃された。
私は何とか部隊をまとめ、ゲリラを撃退した。
私の部隊の戦死者は一人もいなかった。
当時、自衛隊を戦闘地域には送らないと政府は言っていたが、
ゲリラ戦で戦闘地域でない地域なんてないのさ。
私たちは結局政府の米国への追従と、
憲法改正のための足固めとしてイラクに送られたんだ。
帰ってきたら、
英雄どころか白い目で見られたよ。
戦死者が出た方が自衛隊の重要性が上がった、
血を流す貢献ができたのに、ってな。
それ以来、私は正義というものを
真正面から信じられなくなったのさ」
32 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:36 ID:Wgu30THF
「もっとも、君は宇宙人だ。
私たちのようにせいぜい100年しか生きられない人間とは
価値観も違うだろうし、
それが理解できないかもしれない。
だが、わざわざ遠くからやってきてこの赤の他人の星を
守ることによって得られる利益は何なんだ。
私たちは君のお蔭で怪獣退治は極めて楽だ。
にもかかわらず莫大な正面装備予算を組み、
カネ食い虫だの役立たずだの国民からは言われている。
それはいい。
国連軍という表面的名目はとにかく、
私たちは所詮日本の軍人だ。
国が守られているという結果さえ得ることができればいい。
それでも、共に闘う者の目的や意図する利益が
不明というのは、不安で仕方がないのさ」
Go away from here immediately now.
>>1
34 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:37 ID:Wgu30THF
天木は、私の言葉を聞いて、
一瞬天井を仰ぎ、
それから窓を見つめた。
「半分は、カネ、と言えばわかりやすいでしょうか」
私は、彼の口から意外に俗で理解しやすい動機が出てきたのに、
半分失望し、また半分安心した。
「もう3万年働いていますが、まだ惑星一つ買えません」
天木はニコリと笑って私の方を振り向いた。
35 :
ズッ:03/11/09 00:37 ID:???
はおおう
36 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:37 ID:Wgu30THF
それから天木は窓から空の方を眺めた。
「2万年ほど前、大熊座の方にとてもいい星を見つけました。
地球みたいな星で、まだ高度知的生命体は生まれていません。
せいぜい恐竜程度がいると思っていただければいいです。
私は、そこの赤道にある島で、
青い空の下で3つの月を見ながらのんびりするのが
好きでした。
いつかこの星を買ってみたいと思ったものです。」
そういって天木は布団を引き寄せた。
「でも、この前その島は沈んでしまったらしいですが」
37 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:38 ID:Wgu30THF
なるほど、
今さっき車から見てきた通勤帰りのサラリーマンたちと同じく、
マイホームのために一生懸命働いているわけか。
スケールは違うが、小市民的であることに代わりはない。
「わかった。気に入った住まいを求めるために働いている、
ということだな。だが、もう半分はどういうことなんだ?」
それを聞くと、天木はすこし考え深げな表情を浮かべて右上を見た。
「隊長、あなたがイラクに向かったとき、政府の命令に逆らいましたか?そして、政府の命令の本当の意図を理解しようとしていましたか?」
ちょっとおもしろいかも、このショートコント。
39 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:38 ID:Wgu30THF
なるほど、ゴールドマンも組織の者ということか。
だが、その組織とは一体何なのだろう。
最終的に地球を手に入れることを目的とする
星間国家ではないだろうか。
目的もなく
遠くまで公務員をわざわざ派遣する馬鹿な政府はない。
「それは君が属する組織が
地球にとって危険な目的を持っている可能性があるということを
意味しているのかね」
私は慎重に言葉を選んで尋ねた。
「わかりません。私は末端の者です。
ただ、この星を怪獣たちから守ること
が指令に含まれていることだけは確かです。
そういう意味で、通常の戦闘の際には私を信じていただいて
結構です」
∧
| |
,,----、,,,,,,,,,、、
/ ,,-‐―、ヽヽヽヽ
〔/ ))))ヾヽヽ
/.,,,,、、 ,ヽξ\Ξ/
/ ==/ .,==- レi!
〔、 ,(_,、ノ( "",,ノ:: 6)
λ:" ‐=‐^ン ...::::: |/
λ:::::. .::.. ::...::::::/ ─── 、 ⌒ヽ
\::::::::::::::// (___ノ( )
| | (ヽ / | /
| | [・][・]─-6 /
| | ⊂ ソ
(´`0 (!!!!_,_ /
!、__ ) ヽ、 `/
. ( `i`ー--iiー´`T ̄ !、
!、__, `ー‐┴―'`i~`ー'´´`ヽ
| |`ー―┬┬┤ _ .|
. | | `i ゛" ̄ ̄` .|
.. | | | |
| | | |
41 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:38 ID:Wgu30THF
天木の口調は極めて誠実だった。
だが、宇宙人でもあり、数万年以上生きている存在である
彼の「誠実」な口調を真正面から信じられるほど、
私は人生を見ていないわけではなかった。
100年にもなってないが。
「通常、か」
私は心の中でその言葉をそっと記憶の小箱に入れた。
First of all, you need to die and show a model.
43 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:39 ID:Wgu30THF
結局、天木と私は密約を結んだ。
彼の秘密は守る。
その代わり、彼も目立つ行動はせず、
作戦遂行上私の指令には従うということだ。
とりあえず彼としては自分がゴールドマンであることが
一番重要な秘密のようだった。
またAMTに所属することで、
怪獣の情報をいち早く掴むことができる。
そういう意味で私との関係を維持することは
彼にとっては価値があるのだろう。
記憶の小箱のあたりで噴出しました。
45 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:39 ID:Wgu30THF
私は病院を出て、電車で帰るので
公用車にそのまま戻るように言った。
駅のベンチで、私は手持ちのノートブックPCを開いて、
株式の売買の申込みをした。
今日倒れたビルの本社の株価は下がるだろうし、
建設会社やデベロッパーの株は上がるだろう。
ネットを見ればこれらの情報はいち早く手に入るわけで、
インサイダー取引というわけではない。
46 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:40 ID:Wgu30THF
私はノートブックPCを閉じ、プラットホームに滑りこんできた
電車に乗った。
車窓から品川の方を見ると、
怪獣によって起きた火事は
ようやく鎮火したようだった。
私は、目の前で居眠りをしているサラリーマンを見ているうちに、
自分も眠くなってきたのに気がついた。
何にせよ、今日は疲れる日だった。
(第壱話 英雄の正体 完)
>>46 Did business end? Disappear.
金曜日。今週もやっと仕事が終わり、帰りにコンビニに寄った。晩飯を買うためだ。
いつもは閉店間際のスーパーで割引になった惣菜を狙うのだが、
その日は帰りが遅かったために既に閉まっていた。このコンビニは初めて利用する。
そこには無愛想な女店員がいた。年の頃は22、3ぐらいか。
「いらっしゃいませ」の一言もなければ、仏頂面でレジに立ってる。
何なんだ、この店員。店長はどういう教育してんだ。俺は思った。
まあいい、バイトなんて所詮こんなもんだろ。
俺はさっさと買い物を済ませようと、オムライスとサラダとカップラーメンを持ってレジに並んだ。
「暖めますか?」お決まりの文句だ。
「お願いします。」俺もお決まりの返事をした。
「ありがとうございました。」何の感情もこもっていない台詞を背中に聞きながら俺は店を出た。
家に帰り着くと早速、袋からオムライスとサラダを取り出した。
その瞬間、俺はあることに気づいた。
袋の中には箸が二膳と先割れスプーンが一つ入っていた。
あの店員、俺がサラダを箸で食うと読んでいたのか。
さらには、カップラーメンは晩飯ではなく、明日の昼飯であることも。
俺は、何も言わずに箸を一膳余計につけてくれたあの店員の心遣いが妙に嬉しかった。
次の日、俺はまたあのコンビニにいた。
あの店員がレジに立っていた。相変わらず仏頂面だ。
俺は缶ビール2本とつまみを持ち、レジの前に立った。
淡々とバーコードが読み込まれていく。その間、店員は一言も喋らない。
1000円札を差し出し、お釣りを受け取った。
「どうもありがとう。」昨日のことがあってか、いつもは照れ臭くて言えない言葉が自然と口から出ていた。
「ありがとうございました!」
確かにあの店員の声だ。しかし、昨日とは感じが違う。
思わず振り返ると、にっこりと微笑を浮かべた彼女がいた。
俺はいつしかあのコンビニへ通うようになっていた。
がんばれキティーさん
第弐話 鳴
ら
な
い
、
電
話
51 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:45 ID:Wgu30THF
予告:
第弐話 命の値段
場面:衆議院予算委員会AMT問題集中審議
中泉首相:「適宜処理されているものと信じています」
場面:品川プリンス前
土元議員:「知っていてくださるとは光栄やわ」
場面:マック前
麻衣:「AMTのばかーーーーーーー!!!」
予告はええねん
53 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:47 ID:Wgu30THF
第弐話 命の値段
その日は特に出動の要請もなく、
私たちは待機態勢にあった。
丁度、国会でAMTに関する審議があり、
私たちの業務に関連することなので私は部下たちとテレビを
視聴することにした。
テレビをつけたのは、
丁度野党の社会大衆党の土元栄子衆議院議員の質問の後に、
首相が答弁するところだった。
中泉:「委員長!」
委員長:「中泉純一郎くん」
もう始まるのかよ
55 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:48 ID:Wgu30THF
中泉:「ええ、委員のご指摘のあった・・・AMTの予算ですが、
今年度は4兆5000億円、
内訳は
正面装備費、人員費等となっており、
詳細は委員に配布した目録の通りであります。
巨大生物災害特別法により、
AMTによる被害は免責となっておりますが・・・
ええ、同法126条7項の例外規定により、
112億円の損害賠償が支払われています。」
56 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:49 ID:Wgu30THF
土元:「総理、私お聞きしたいんですが、
AMTはいままで怪獣を倒すのに、
どんな役にたったいうんですか?
総理!総理!総理!逃げないでください!!
みんな、みんなゴールドマンがやったんとちがいますか?
AMTは無用の長物やないですか!!」
57 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:49 ID:Wgu30THF
委員長:「中泉純一郎くん」
中泉:「AMTの設立と運営は、
国連条約に基づく対怪獣攻撃特別部隊(Anti-Monster Taskforce)
設立法に基づくもので、
適宜合法的に処理されていると信じています。」
(役立たずの組織なぞいらんわ!!の野党の野次)
58 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:49 ID:Wgu30THF
中泉:「また、確かに怪獣を倒す際には
ゴールドマンの力に拠るところが大としても、
AMTの支援や援護が、
ゴールドマンの怪獣退治に大きく貢献していると
政府は考えており、またアークスクイド、
ヘプタゴン、イーバ星人等のようにAMTの力で
倒した怪獣もあります。」
(「自衛隊で十分だ!」という野党の野次)
名作の予感
60 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:52 ID:Wgu30THF
土元:「それからね、総理、私わからないのは、
AMTの戦闘機のシグルド号が
落ちすぎなんやないかということです。
総理、総理、聞いてください。
このフリップ・・・いいですか?いいですか?
今年に入ってシグルド1号機が13機、
2号機が5機落ちてるんですわ。
シグルド1号機、一機300億円ですやん?
普通の自衛隊の新鋭戦闘機一機100億円の
3倍もするの、
どうかという問題に加えてですよ、
ちょっと落ちすぎなんちゃいますか?」
61 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:52 ID:Wgu30THF
中泉:「シグルド号については、
全世界統一基準により、
各国企業がライセンス契約に基づき生産しており、
日本では三菱重工業が今年度は7機、またアメリカの
ロッキード社から5機納入されており、
適宜予算の範囲内で処理されております。
シグルド号については、
怪獣攻撃の際の特殊な使用法から、
普通の戦闘機とは違った性能が要求され、
そのため必要な経費がかかるのはやむを得ないことと、
政府は考えております。」
62 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:53 ID:Wgu30THF
中泉:「また、シグルド号が落ちすぎではないか、
というご意見に対しましては、
怪獣への攻撃の際、
避難誘導の遅れ等により、
十分に攻撃ができなかったり、
また予想できない怪獣の反撃により、
不覚をとって損害が生じることが主な原因と考えており、
これらについても適宜研究と調査を重ね、
使用効率を向上させることに着手しております。
国民の皆様の血税を大切に使うよう、
政府及びAMT隊員が一体となって取り組む所存です。」
63 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:53 ID:Wgu30THF
土元:「委員長!」
委員長:「土元委員。」
土元:「総理、あのですね、
これ以上やると時間がなくなるんで、
次の問題に移らせていただきます。
えぇ・・・
在日宇宙人の問題について、
総理はどんな見解をもっておられます?」
64 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 00:54 ID:Wgu30THF
中泉:「ええ・・・日本政府といたしましては、
他の星の政府と国連もしくは日本国政府と
条約等が締結されておらず、
在日宇宙人の外交的地位に関しては
未だ検討の段階にある状態です。」
1曲目 愛のメモリー
肌が白い。
2曲目 愛のメモリー
ちょっと黒くなってきた。
3曲目 愛のメモリー
結構黒くなってきた。
もう酒が飲みたくなってきた。
4曲目 愛のメモリー
すごく黒くなってきた。
5曲目 愛のメモリー
客席にカップルを見つけてそいつらの肩に手を置きながら熱唱するしげる。
顔は「いつまでもお幸せに。」というような表情。カップルは迷惑そう。
6曲目 愛のメモリー
めちゃめちゃ黒くなってきた。
毛穴から変な煙が出てる。
7曲目 愛のメモリー
もう真っ黒けっけ。
ただいま絶好調中。唾がよく飛んでる日は調子が良い証拠。
8曲目 愛のメモリー
黒すぎ。
ふと奥さんの事を考え、股間が膨らむ。
9曲目 愛のメモリー
身に余る黒。
股間が膨らみ過ぎてジッパーがジリジリと下がる。
10曲目 愛のメモリー
ジッパー下がりきり、中からご自慢の内蔵マイクがデロリ。
11曲目 ワンダフル・モーメント
最前列にいたガキが「ママ、チンポコ出てるよチンポコ。」とささやく。
12曲目 愛のメモリー
「ママー、やっぱりチンポコだよ。」
13曲目ラスト 愛のメモリー
「チンポコも黒〜い!」
アンコール1曲目 愛のメモリー
しげる、うるさいガキの目の前に現れ熱唱。内蔵マイクはギンギン。
「うー、つー、」でため、「くしい人生を〜限りない歓びをぉ〜!」
でチンポでガキを往復ビンタ。時々しぼむが、しごいてはまたビンタ。
先っちょ汁が出てそれが目に入った人の「ウッ!」「ヒッ!」の声が
たまに聞こえる。
アンコール2曲目 愛のメモリー
しげる再びステージへ。熱唱につぐ熱唱で服が溶け出し、ネクタイだけに。
最後は恒例、チンコがニョキニョキと伸び、床につく。そして両足をあげ、
いわゆる“チン立ちのポーズ”。観客大拍手。足をVの字のようにピーンと
張り、声「あ〜あ〜ああああぁ〜!!」でチンコを軸にしてコマのように
ゆっくりと回りだす。割れんばかりの大拍手。スピードを増して回るしげる。
途中、チンポがグニャグニャになる。観客「ああっ!!」しかし元に戻る。
(ここがプロとアマの違い)そしてチンコはドリルのようにステージを掘って
いき、そこで幕が降りる。と同時に地震がおき、天井が崩れ落ち始める。
「逃げろ!」観客が外に出た所でホテルが全壊。ぼう然とする人々。
しかし一番先に口を開いたのはさっきしげるにビンタの洗礼を受けたガキ。
彼は頬を腫らしながら言った。「しげるは…また帰ってくるよね、ママ!」
ママ「…そうね、貴方が立派に成長したら…ね。」
68 :
ぽ(^・ω・^) ◆/m0j/CRAxw :03/11/09 01:25 ID:zUGK7fb7
意外と面白かったけど、また全部読んでない。
句読点を固定ハンドルとは大馬鹿だな。
宇宙怪獣ペギャーゴン
ある腫れた日曜の朝、宇宙から宇宙怪獣ペギャーゴンがやってきた。
ペギャーゴンはウルトラマンなどに出てくるような、
典型的な怪獣の格好をしていた。
日本中がこのニュースに震撼した。
インターネットの2ちゃんねるなんかでは、
怪獣キタキタキタキタ━━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━━━!!!!!!!!!!
という書き込みで埋め尽くされ、サーバーが飛びまくっていた。
人々はベギャーゴンを恐れた。東京湾から上陸してきたため、
湾岸はパニックになり、悪魔のZやブラックバードが相次いでクラッシュした。
人々はペギャーゴンが町を破壊して回るだろうと想像した。
だが、人々の予想に反して、ペギャーゴンの目的は破壊活動ではなかった。
何とペギャーゴンは、就職を希望したのだ。
怪獣業界も不況のあおりを受け、みな、出稼ぎにでているらしい。
ペギャーゴンも故郷の惑星を離れ、外貨を獲得しに地球までやってきたのだ。
だが、身長50メートル近くもあるペギャーゴンを雇う度量のある会社はおらず、
名乗りをあげる企業は皆無だった。
ペギャーゴンの処遇を巡り、国会は荒れた。
そうして、その責任はすべて厚生労働省におしつけられた。
急遽立ち上げられる宇宙怪獣就職斡旋室。
その室長の後藤田敏明(56歳)は、ペギャーゴンを説得するよう厳命されていた。
順調に出世コースを歩んできたはずの後藤田だった。
本来ならこの役目は厚生労働大臣が行うべきではないのか?
息子夫婦の子供がもうじき生まれ、おじいちゃんになろうというのに、
何故自分にこんな役目が回ってきたのか、後藤田は己の不幸を呪った。
(@w荒を句読点という方が大バカのような気がするが
宇宙怪獣ペギャーゴン
六本木ヒルズの屋上で、決死の説得が開始された。
文部科学省より支給された翻訳機を装着し、専用のお立ち台に乗る後藤田室長。
その歩みは死刑台に昇る死刑囚同様にふらついていた。
「頼むぞ後藤田くん。君の説得に日本の、いや、世界の平和がかかっているのだ。」
厚生労働省の事務次官、沢田陰太郎がハッパをかけるが、
後藤田の耳にその言葉は届いていない。
後藤田が、手すりの付いたお立ち台に立つと、
ペギャーゴンがスジンズシンと近付いてきた。
ぬうっと後藤田を覗き込むペギャーゴン。その迫力の前に、
後藤田はへたり込んでしまった。
『わたしの就職先は決まったでしょうか?』
翻訳機を通してペギャーゴンがそう言った。
実際には「ペギャー!」と言ってるようにしか聞こえないのだが、
いまは翻訳機が正常に作動していることを祈るしかなかった。
「い、いま、探してる最中だ。」
後藤田は、手すりをつたって何とか立ち上がり、
インカムに向かってそう応える。
『早くしてください。時間が惜しいです。タイムイズマネー。この格言知ってますか?』
ペギャーゴンが「ベギャー! ペギャー!」と吼える。
「う、宇宙怪獣が就職を希望するなんて前例がないので、その…」
『これだから辺境惑星は嫌なんだ。いいですか? 私のスキルをもってすれば、
この国の科学技術はもちろん、産業、文化、全てにおいてブレイクスルーすることを約束しますよ。』
「し、しかし、君は見たところ怪獣のようだが…」
『それは酷い差別ですね。セクハラともとれる発言ですよ。
分かりました。とっておきをみせてあげましょう』
ペギャーゴンはそういうと、東京タワーに向かって怪光線を浴びせた。
すると、バリバリバリバリという音と共に、東京タワーが溶けてゆく。
宇宙怪獣ペギャーゴン
「あああっ! な、なんということを!」
『どうですか? こんなものは温泉宿での宴会芸みたいなものです。
私の本来のスキルはこんなものじゃ…』
「わかった。わかったから。もう、これ以上は止めてくれ。」
後藤田はカツラがズレてるのも忘れ、泣きながら叫んだ。
『さすがはこの惑星を代表するネゴシエーターですね。大変物分かりがよろしい。』
「と、とりあえず君の処遇だが、大手ゼネコンに働きかけてみよう。
君のその力を持ってすれば、解体作業などはかど…る…」
そこまで後藤田が言ったとき、ベギャーゴンは奇声を上げ、
唾を飛ばして抗議した。
『ふざけないでください! 私をなんだと思っているのですか!
土方なんて真っ平ごめんですよ。あんなもんは中卒か作家ワナビー、
売れないミュージシャンの仕事じゃないですか。私は知的労働がウリなんですよ。
勘違いしないでください!』
ベギャーゴンの放つ唾には溶解液が含まれているらしく、
飛び散った先でコンクリートや鉄筋が溶け出していた。
中には人間の犠牲者もおり、どろどろと醜く溶けていた。
まさに阿鼻叫喚の地獄絵図が、六本木ヒルズの屋上で展開されていた。
幸い後藤田にはその唾は当たらなかったものの、その惨状を前に、
彼は腰を抜かして失禁してしまった。
宇宙怪獣ペギャーゴン
「い、いったい君は、ど、どんな仕事がやりたいの、かね?」
正気を取り戻した後藤田は、半分ベソをかきながら尋ねた。
『そうですね。作家とか映画監督とかプロデューサー。
とにかくクリエイティブな仕事がやりたいですね。
宇宙怪獣の書いた本なんて絶対売れますよ。間違いないです。
映画はもちろん私が監督兼主演でやります。
すごいリアルな怪獣映画が撮れますよ!
あとはアレですね。在野に埋もれた美少女をアイドルとして発掘したいですね』
嬉々としてペギャーゴンは言い放った。
「さ、作家希望というのなら、さ、作品はあるのかね? 是非読ませて頂きたい」
だが、ペギャーゴンはその言葉に機嫌を悪くした様子で、後藤田を睨み付けた。
『作品はこれから書きますよ。別に完成原稿がなくったっていいでしょう!』
「そ、それはそうだが、読んでみないことには…」
『私の才能を疑うのですか?』
「そういうわけではないが、私は編集者じゃないので…」
宇宙怪獣ペギャーゴン
『そうですよ。
私の才能が貴方のような平凡な衆愚に分かるわけないじゃありませんか。
私の才能を見抜く人物は貴方じゃありません。
貴方じゃ役不足だ。役不足の意味くらい知ってますよ。
でもわざとそう言ってます。
時代に適応した使い方というものを実践しているのです。
馬鹿にしないでください。それはそうと…、そうですね。
この星で一番大きな出版社の社長を呼んでください。話はそれからです。』
後藤田はペギャーゴンの要求に呆れながらも、その旨を事務次官に伝えた。
事務次官は難色を示したが、それでもやってみようということになり、
しばらく時間を稼ぐことになった。
宇宙怪獣ペギャーゴン
一時間後。一台のヘリが、六本木ヒルズの屋上に現れた。
ヒュンヒュンヒュンヒュンとヘリが屋上に着陸すると、
中から小柄の美しい女性が姿を現わした。
「ま、麻衣タン…」
後藤田は突然現れた歌謡界のカリスマ、現在の歌姫と言われる少女を目の前にし、
その神々しさに平伏した。
つづく
78 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 09:51 ID:Wgu30THF
中泉:「在日宇宙人の権利に関しましては、
基本的に知的生命体については
人間と同様の基本的人権を認める、
という国連決議に基づき、
普遍的自然権を与える方向で
法務省とも検討をしておりますが、
自然権の付与におきましては、
何分にも地球とはまったく異なった文明や風土において
生きてきた彼らにとって、
どういった権利を与えるのが適当なのか、
また却って人間の権利を与えることが
彼らにとって不幸ではないのか、
ということも含めて検討中です。
いずれにしても、
現在の段階では、
発見された宇宙人で触法宇宙人でないものについては、
AMT宇宙ステーションを通じて
地球外に強制送還しております。」
79 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 09:52 ID:Wgu30THF
土元:「全部AMT宇宙ステーションから放逐するいうことですか?
政府は今後も
在日宇宙人には日本国籍を与える、つまり帰化とか
亡命を認めないいうことですか?」
中泉:「国連を含め、現在地球人と宇宙人の共存に関しては
コンセンサスが得られていない以上、
また彼らの生態、性質等についても不明な点が多い以上、
やむを得ない処置であると考えております。」
80 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 09:52 ID:Wgu30THF
土元:「あのですね、私がここでもっとも注目していることは、
ゴールドマンの法的地位なんです。
政府は、ゴールドマンの法的地位に関して、
どんな見解をもっておられるんですか?
また、AMTには巨大生物災害特別法で
損害賠償の免責がされてますが、
ゴールドマンが加えた損害についてはどうなんですか?」
中泉:「委員長!」
委員長:「中泉純一郎くん」
81 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 09:54 ID:Wgu30THF
中泉:「ゴールドマンは、
地球の平和を守るために戦ってくれているものであり、
日本国政府としても極めて感謝しております。
ゴールドマンが怪獣駆除中に発生させた
全損行為については、
民法698条の緊急事務管理に
基本的に該当するものと考えております。
82 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 09:55 ID:Wgu30THF
中泉:「怪獣の触法的行為による脅威は、
全国民、全人類にとって共通のものであり、
これを最小限に止めようとする
ゴールドマンの行為による損害は、
当然に甘受すべき損害であるという
内閣法制局の見解から、
やはりゴールドマンの怪獣駆除中の損害も、
AMT同様基本的には免責になるものと考えております。」
83 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 09:55 ID:Wgu30THF
土元:それでも結局ですね、
ゴールドマンとAMTは怪獣を退治する過程で
多くの人を死なせてるんですよ。
そして国民の税金も無駄使いしてるんです!
土元議員は色を成して首相に詰め寄った。
そこで、委員長は時間切れを通達し、審議は終わった。
84 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 09:56 ID:Wgu30THF
私は隊員を4人引き連れ、ベロクロスと戦ったときの品川での
作戦の検証に向かった。
私たちは品川駅から横断歩道を渡ったところにあるマックの前に
制服姿で立っていた。
85 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 09:57 ID:Wgu30THF
まだビルのガレキの撤去が続いてはいるが、
目の前の国道15号線は既に
車が走っている。
86 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 09:57 ID:Wgu30THF
「ベロクロスの吐いた火は・・・こんな軌道でビルに
当ったんだな」
天木隊員が空の一点から一点を指でなぞった。
私がかつてプリンスホテルのあった方に向かおうとしたとき、
「アムトのばか!!!」
という甲高い声が聞こえた。
私が声の方角を向くと、
そこには小学生高学年くらいの少女が立っていた。
私は、目から憎しみと怒りの火花を散らしている
少女に声を掛けた。
「AMTが何かしたのかね」
「あんたたちが・・・あんたたちがパパとママを殺したんだ!!」
そう言うと、少女は走り去っていった。
87 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 09:58 ID:Wgu30THF
私たちが呆然としていると、
中年の男女が彼女の後を追った。
「杏子、待ちなさい!」
「あ、ちょっとすみません」
私は男性の方に声を掛けた。
女性はそのまま少女を追いかけて行った。
男性は、呼び止められて少し居辛そうだったが、
私は有無を言わさず質問した。
「あの少女は・・・」
88 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 09:59 ID:Wgu30THF
「あの子の父母、これは私の弟夫婦ですが、それが
この前の怪獣の出現のときに死んだのです。
それで今は私があの子を引き取っているわけで・・・」
私は少女が消えた方を見た。
そこはプリンスホテルがあったところで、ガレキの撤去がまだ
済んでいなかった。
「我々AMTが父母を殺した、と言っていましたが」
89 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 10:01 ID:Wgu30THF
男性は俯いて辛そうに言った。
「AMTの戦闘機が怪獣に放ったミサイルの一つが外れて、
弟夫婦のいたビルに命中したのです。
二人は逃げ遅れて閉じ込められていたんです」
「そうだったんですか・・・」
私は男性に頭を下げた。
「誠に申し訳ございませんでした」
天木や他の隊員も頭を下げた。
「よ・・・よしてください。頭を下げてもらっても、
弟たちは帰ってきませんよ。それに・・・」
90 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 10:01 ID:Wgu30THF
彼が何を言いたいか私は理解できた。
それは、今日の国会審議でも問題になっていた
「巨大生物災害特別法」のことだ。
AMTが作戦遂行中に与えた被害については、
基本的には126条3項によって免責される。
だが、126条7項に
「AMTの巨大生物処理作戦遂行に於て、
重大な過失が認められる場合は、
3項を適用しない。但し・・・・」
と書かれているように、重い過失が存在する場合は
損害賠償を行う。
91 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 10:02 ID:Wgu30THF
今までの判例だと、避難命令が出ていたにも関わらず
逃げなかった場合は、不可抗力でも損害賠償は認められて
いないようだ。つまり、「重大な過失」が存在しないと
裁判所は解釈している。
従って、母の死について金が支払われることはない。
そのとき、私たちの後ろで声がした。
「偽善ね」
92 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 10:03 ID:Wgu30THF
私たちが振り向くと、そこには
先ほどテレビで見ていた土元議員の姿があった。
土元議員は2、3歩私たちの方に歩み寄った。
「私のこと、知ってるかしら隊長さん」
私は表情を動かさず答えた。
「土元議員ですね。お噂はかねがね」
それを聞いて、土元議員は関西弁のアクセントを交えて答えた。
「知っていただいているとは光栄やわ」
93 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 10:08 ID:Wgu30THF
土元議員は名刺を少女の伯父に差し出した。
「衆議院議員の土元と申します。AMTの問題を追及しています。
何かございましたら是非お力にならせてください」
そういって土元は頭を下げた。
少女の伯父は、一瞬土元を訝しげに見ていたが、
思い出したように、
「ああ、あの首相に質問していた議員さん!」
とうれしそうに言った。
「見てました見てました、こちらに来る前に」
そう言ってちらりと我々のことを
やや困惑と疑念と憎しみの混じった複雑な視線で見つめた後、
「本当に、本当によく言ってくださいました。
あれで少しだけ溜飲が下がりました・・・」
94 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 10:09 ID:Wgu30THF
そのとき、少女と伯母が向こうの方でこちらを見ていた。
「こんにちは!」
土元は明るい声を出して少女に手を振り、
少女もにこやかにそれに応えた。
その間、我々は一場の風景となって彼らを見ていた。
土元は、一瞬私たちを振り返った後、
少女たちと向こうへ消えて行った。
95 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/09 10:10 ID:Wgu30THF
「隊長!」
天木隊員が私に血相を変えて言った。
「あの子たちに何かしてやれないんでしょうか?」
彼の声には必死さが溢れていた。
もしかするとミサイルを撃ったのは
ゴールドマンでもある彼だったのかもしれない。
「・・・我々は国民の税金に基づいた予算で動いている。
人情においては忍びないが、
どのように国民の税金を用いるかは
政府と国会が決定することで、
我々が容喙すべきところではない」
「しかし!」
「まあ黙って聞け。
あの少女のような子は沢山いるし、
これからも出るだろう。
だが、我々が用いている武器や弾薬、設備の
費用は全て有限な税金で賄っていることを忘れるな」
俺は365戦365敗だから。
油age
98 :
苦 労 人(仮) ◆SSSSSSS.0k :03/11/12 23:44 ID:Gry2CNmh
キティーはこれをニヤニヤしながら書いてるんだろうな
もう飽きたのかな
∩ ∩
(・x・)イエーイ
101 :
◆h.blue.UaY :03/11/14 19:02 ID:4pdplEZR
キティとかね、
こういう人だんだん好きになってきたわ
油age
104 :
名無しさん?:03/11/15 16:41 ID:JAafM96d
「!」がたくさん出てくる小説は臭い
これあのおっさんが書いてんのか・・・涙でてきた
油age
107 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/15 23:46 ID:WeuAbBa0
あげておくか(@wぷ
続きマダー
110 :
コテハン興味無し ◆ZnBI2EKkq. :03/11/16 23:14 ID:mXdhPLTd
包茎マックスも皮被り反逆同盟とか言うのまだ書いてるのか
>>110 書いてるよ。
ノーギャラはいいんだけど、読者のリアクションがないんで張り合いがない。
つか書いてんだから読んでくれよ!!
112 :
コテハン興味無し ◆ZnBI2EKkq. :03/11/16 23:26 ID:mXdhPLTd
>>111 何か松茸だかシメジだか最期噛み切られるのだけは読んだ
オチにイメージを駆使してくれれば面白かったのに
113 :
苦 労 人(仮) ◆SSSSSSS.0k :03/11/16 23:30 ID:m4AuipQi
>>112 感想あんがとよ。考えオチはどうも苦手でな。
白黒はっきりさせないと気がすまない。
そろそろ巣に帰るわ。
115 :
コテハン興味無し ◆ZnBI2EKkq. :03/11/16 23:36 ID:mXdhPLTd
>>114 単刀直入に言うとお前そのネタ在り来たりじゃねーか
週刊誌→週間誌
俳句を詠む→俳句を歌う
ラムズフェルド国防長官→ラムズフェルト国務長官
東大出だけあって素晴らしい国語力と一般常識ですねw
>>115 ありきたりじゃないネタ書けたらもうとっくにプロになってるよ……。
つか他のも読んでくれよー。
「ボリボ〜リ」の2話はなんとか読むに耐えるとは思う。うん。
118 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/22 05:05 ID:mc7JTyUL
あげておくか(@wぷ
119 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/22 05:17 ID:mc7JTyUL
以後、テレビで土元議員は積極的に反AMTの論陣を張った。
そして、あの少女、真壁麻衣が画面に現れるようになった。
「私、AMTを許さない!!」
少女は、テレビの画面に現れて言った。
その影響か、全国でAMTの作戦遂行中の被害にあったとして、
数多くの損害賠償訴訟が起こされることになった。
「今月だけで既に2140件、金額にして3200億円です」
山本隊員が言った。
法的には、彼らの殆どの請求は認められることはない。
だが、これが土元議員が行っている反AMTのキャンペーンと
相俟って、AMTの予算削減や巨大生物災害特別法の改正に
つながったら、どうなるのだろうか。
120 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/22 05:30 ID:mc7JTyUL
私はテレビに見入った。
土元議員が、討論番組で与党の議員に食って掛かっている。
「AMTが地球を守っているからって、
死んだ人や遺族の人たちの気持ちが癒されるとでも
思ってるんですか?
何の保障もなく投げ出された子供たちがどんな苦しい思いで
生きているか、わかってるんですか?
これはAMTが起こした戦争です!」
その後、真壁麻衣があの憎しみに満ちた目で、
「私、AMTを許さない!!」と涙を流しながら訴える画面に変わった。
「これは演出も問題ありますねぇ」
山本隊員が言った。
「隊長、我々も何かできないのでしょうか!」
天木が必死な目をして言った。
データ解析の結果、ミサイルは天木隊員の搭乗していた
シグルド2号機から発射されたものであることが確認された。
そのためか、彼は真壁麻衣に対してかなりの責任を
感じているようだ。
121 :
東京kitty ◆OqjwUDc5w2 :03/11/23 15:42 ID:7/d4p2sD
あげておこう(@wぷ
腐臭のするスレあげんな
あげておこう(@wぷ
このスレ矢印に挟まれてたぞ
本人がこれを見るのが楽しみで仕方ないな
kittyさんこのスレ矢印ではさまれてるよw
127 :
名無しさん?:03/11/24 09:38 ID:c0QuKa29
>>48が一番おもろかった、もっと続き書いてくれ。
本人光臨か?
続きは