日本の経済や社会を良くする方策を議論するスレ

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423金持ち名無しさん、貧乏名無しさん
>>416-417, >>419

ゼロ金利政策解除の点検
−政策金利復活の意義と日銀の説明責任の観点から−
企画調整室(調査情報室) 鈴木 克洋
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h18pdf/20062811.pdf
3-2.政策金利0.25%の経済への影響は限定的
次に、政策金利を0%から0.25%へ引き上げることによって経済全体にどの
ような影響を与えるのかについて、試算を行った(図表4)17。
これによると政策金利の上昇は、内需を冷え込ませるため、最終的に実質G
DPを押し下げることになった。金融政策の変更による経済への波及経路につ
いては図表5のとおりと考えられる。まず、政策金利の上昇は、貸出金利を引
き上げ、民間設備投資及び民間住宅投資を抑制させることになる。逆に家計に
おいては、預貯金金利が上昇することで利子収入が増加するものの、ローンな
どの利子支払も増加して利子収入増の一部が減殺されてしまうほか、そもそも
貸出金利の上昇によって家計の借入自体が減少してしまうことなどによって、
全体としては消費への好影響はそれほど望めない18,19。こうしたことから、民間
最終消費、民間設備投資、民間住宅投資のいずれの項目も抑制されることにな
る。さらに、長期金利も上昇していることから、中長期的には国債費の増嵩に
よる財政への影響も考えられる。
424金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2011/04/22(金) 06:07:19.05
>>416-417, >>419, >>423

しかしながら、図表4からは、政策金利を0.25%に引き上げた場合の負の影
響は、それほど大きいものではないことがわかる。例えば、1年後の実質GD
P(07 年4-6 月期年率換算値)は、金利がゼロ%である場合に比べ、約6,400
億円押し下げられることになるが、現在の我が国の実質GDPが約500 兆円で
あることを考えると、その影響は0.12%程度にすぎない。
このように、政策金利の上昇は、景気全体を抑制する効果を持ってはいるが、
この試算結果を見る限り、少なくとも今回の政策金利0.25%への引上げは、経
済にそれほど大きなインパクトを与えるものではないことがわかる。

家計における利子のネット収入については、平成18 年度経済財政白書では金利1%上昇で
6.3 兆円(収入増8.8 兆、支払増2.5 兆)、熊野(2006a)では短期金利0.25%上昇で4,220 億円(収
入増5,567 億、支払増1,346 億)、日本総研(2006)では金利0.25%上昇で1兆円(収入増1.8 兆
円、支払増0.8 兆円)と試算している。家計の資産収入増が消費を刺激することは「資産効果」
と呼ばれる。なお、日本総研(2006)は、資産収入の増加分は、勤労所得の増加とは違って、貯
蓄に回されることが多く、消費へ向かう割合は小さいため、資産効果は小さいとしている。

日本総研調査部「ゼロ金利解除の実体経済へのインパクト」『日本総研リサーチ・アイ』、
日本総合研究所、2006 年7月14 日
http://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/research/pdf/2365.pdf
425金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2011/04/22(金) 06:08:29.23
政策金利ゼロ制約下における金融政策効果の抽出
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2006/wp06j13.htm/
2006年7月
鎌田康一郎,須合智広.

全文データダウンロード(PDF)
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2006/data/wp06j13.pdf

要旨
本稿では、政策金利ゼロ制約下における金融政策の効果を分析する新たな手法を提示し、
金融政策が資産バブル崩壊後のわが国経済の回復にどの程度寄与したのかを定量的に分析する。
本稿の手法は3つの柱から構成されている。
426金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2011/04/22(金) 06:11:12.53
>>416-417, >>419, >>423-425

第1に、政策金利ゼロ制約の影響を直接受けていない「中間変数」を用いて、
様々な施策を包含した総体としての金融政策を表す「政策代理変数」を定義する。
第2に、政策代理変数と為替相場に符号制約を課した構造VAR を用いて、
金融政策スタンスの変化を識別する。
第3に、マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いて、
金融政策の波及経路に生じた構造変化点を推定する。
実証分析によると、1990 年代以降、物価や生産に対する金融政策の効果が低下したのは、
政策金利のゼロ制約や不良債権によって銀行の金融仲介機能が有効に働かなかったことに原因の一端がある。
ただ、本稿の分析は、銀行の不良債権と表裏の関係にあるバランスシートの毀損が生じた企業や家計が低金利下でも投資や
消費を増やさなかったことや経済活動が次の経済活動を誘発する民間経済に内在するメカニズムが働かなかったことが、
さらに重要な原因であることを示している。

*推計期間は1978年2月から1995年12月です.

コメント:
経済政策の講義でこの論文の内容を教えれば,DSGEの代わりになるでしょう.
私の読み込みは現在一回だけなので,点検はこれからします.