日銀のゼロ金利政策解除後の金融政策 Part48

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【コラム】デフレではないと言い、お札を刷らない日銀(産経 田村秀男) [09/10/11]
http://anchorage.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1255259689/l50

≪カネの価値アップ 国民はダウン≫

おカネの価値には2つの尺度がある。まずは物価、もうひとつは他国のカネとの交換レートである。
物価が下がり続け、円高も進む日本のおカネはどちらの面からみても強い。これがデフレである。

一見すると結構だが、これで私たち日本人の暮らしはよくなるだろうか。答えは以下の通り。
おカネ持ちはますます豊かになり、持たざる者は一層困窮する。
カネの価値が上がると国民の大多数が不幸になり、社会は閉塞(へいそく)する。

あなたの地元もそうだろう。商店街で空き店舗が目立ち、ゴーストタウンになる寸前だ。
理由は、消費が減っているからである。
値打ちの上がるカネは使わないほうがよい。だから多くのかみさんが1円でも安いモノを買うために
遠くまで出かける。おかげでお小遣いも減らされた。居酒屋さんに運ぶ足がすっかり重くなった。

対照的に、知り合いの初老カップルは所有ビルの賃貸収入のおかげで、連日のように都内のすし屋や
高級レストランめぐり。2人とも輸入ブランドものをさりげなく身に着け、月に1度は海外ツアーに参加する。
そこまで行かなくても、金融資産を多少なりとも持っている退職者の多くは、デフレに不平を言わない。

こうして有権者の多数が現状を容認するのだから、政治家は自公政権時代から一貫してデフレに鈍感であり続けた。
ところが、あらゆる消費者の行動が合成される一国の経済全体で切り直すと、デフレは災厄をもたらす。

こうして有権者の多数が現状を容認するのだから、政治家は自公政権時代から一貫してデフレに鈍感であり続けた。
ところが、あらゆる消費者の行動が合成される一国の経済全体で切り直すと、デフレは災厄をもたらす。

消費が不振なのだから、企業は価格を下げ、雇用を減らし、賃金をカットする。
設備投資は先送りするので、雇用の場も生まれない。消費需要はますます減退する。
物価はさらに下がる負の循環になる。
1930年代の「大恐慌」からの脱出策を論じたJ・M・ケインズは「デフレは労働と企業の双方にとって
貧困化を意味する」と断じた。日本ではこのデフレがもう10年以上も続いている。
≪鳩山政権も脱出意識欠如≫

鳩山由紀夫政権も自公政権と同じくデフレについてほとんど言及しない。
代わりに育児支援、高速道路無料化など家計支援により個人消費を促し、おカネの裏付けのある需要
(経済学用語では「有効需要」と呼ぶ)を喚起するという。前例のない内需拡大実験である。
実施する価値は否定しないが、デフレ脱出という目的意識が欠如している。

カネの価値が経済実体から遊離して上がるデフレとは金融の錯乱である。中央銀行の役割が大きくなるのは当然だ。

グラフをみてもらいたい。
米国の中央銀行である連邦準備制度理事会(FRB)のドル資金と日銀の円資金の各供給量、
さらに円の対ドル相場動向である。世界の通貨の基軸であるドルに対して円の発行量がはるかに少なくなれば、
需給関係からみて円高になる。円高は輸出産業の収益を下げ、デフレをひどくする。
昨年9月の「リーマン・ショック」以降、FRBはドルの発行量を一挙に2倍以上も増やし、
米国経済が「金欠病」に陥るのを防ごうとしてきた。
平時なら悪性インフレを招く禁じ手なのだが、日本円換算で1000兆円相当の金額が金融市場から消えたのだから、
金融の最後のよりどころであるFRBがドル札を新規に大量発行してばらまくのは理にかなっている。

≪かたくなに量的緩和拒否≫
日銀は、平時の政策にちょっぴり味付けしただけだった。
資金繰りに困った企業からCP(コマーシャル・ペーパー)と呼ばれる債務証書を買い付けてきた。
ところが日銀資金の発行量は今年9月末で前年比5%強しか増やしていない。
余っている設備や労働を動かすためのカネが回らない。

カネの流れを仲介する銀行など金融機関は民間に貸そうとしないので、不況がひどくなる。
その金融機関に日銀が資金を流し込めば、金融機関は有り余るカネを放出せざるをえなくなる。
これが量的緩和と呼ばれる政策なのだが、日銀はかたくなに拒否する。

日銀の白川方明(まさあき)総裁は物価下落が激しくなっているのに、デフレではないと言い続ける。
揚げ句の果てにCP買い上げの打ち切りなど「出口戦略」までも口にする。
雇用に配慮するのも中央銀行の使命という国際常識が欠如している。

鳩山政権は財政と連動して日銀の金融政策を機能させない限り、公約通り国民生活をよくはできないだろう。
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/091011/fnc0910110846000-n1.htm
グラフ
http://sankei.jp.msn.com/photos/economy/finance/091011/fnc0910110846000-p1.jpg