1 :
トマホーク:
日本では行政による企業、業者、供給者側の保護が行われてきて、
一般消費者の方がないがしろにされがちであった。
しかし消費者主権こそが、自由市場経済の原則であり、
供給者保護では、物価が高くなり、サービスも改善されず、
消費者の方が我慢させられてしまう。
また、経済発展も完了した状態での企業、業界保護は、ついには
企業、供給者自体の国際競争力も衰退させてしまう。
今後は、より一般消費者優先の原則を確立していくべきである。
2 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:05/01/03 17:09:13
2 だったら、人気抜群。
3 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:05/01/03 17:35:53
日本では公務員主権。
難しい試験に合格した公務員様こそが主人。
4 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:05/01/03 17:42:18
勝ち組→ 政治家、官僚、財界人、公務員、
負け組→ 非上場企業経営者、自営業者、サラリーマン、一般市民、
5 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:05/01/03 17:48:29
日本はアメリカの召使。
アメリカ主権経済。
竹中がハゲタカ外資に日本を売り渡している。
6 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:05/01/03 17:53:40
勝ち組>アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国、
以下>負け組だよ。
7 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:05/01/03 17:55:30
,r==、、 ,.. ---- 、
:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ、.,.::'":::::::::::::::::::::::::`ー-、
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:::::::::::/γ、;;::::::::::::::::::ヽ
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ,/〃~`ーヽ::::::::::::::::::i
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l〃 ヽ:::::::;;::::::l
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l/ __,,...」::l;::l_;;::::!
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:lニ ''〒テ-l:l:::;'-ヽi ここは寄生虫が情報操作する場所じゃないのよ。
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l斗 , └'‐ '!l;;/).ノ:!
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l 〈! l l/-くト、! 寄生虫は組合活動でもしてなさい。
:,:,:,:.:.:.:.:.:.:.:,:,:.:ll:.l 、- ッ ノl //トl ヽ
:,:,:,:,:.:,:.:,:,:,:,:,:,!,l:l;`ヽ、 = ./// .lニー、
:,:,:,:,:,:,:,:,:,:,:,:,l=l;l‐^ヾニヽ二-ニ-' /`==`_ー-、、 ね!
:,:,:,:,:,:,:,:,:,:,:,:l l! \二ll二_/  ̄==、、ヽ
:,:,:/l:,:/!:,/l:l || / l l !
:,:/_l/-!/ l:l || / l l !
;/-l'-/'‐ヽl、 ,,.. -ー-、. || __ / l l !
' `/_ ,.. --‐''ヾ.l \/ i l' / l l l
.し'/ ,r--ーヽ-------―\ / l.l l
(_/ ,,.-r::-ヽ---、_ / / ll l
ヽ='‐''"__ lヽ `ヽ、_ ll l
l `ー'''" l ll=、、  ̄`ヽ. ll l
! l--くノ ``==、、 ヽ.
9 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:05/01/03 17:57:58
10 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:05/01/03 19:31:53
日本は、官僚主権の国家です。
11 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:05/01/06 23:02:14
先立つものがないから、消費もできないよ(グスン)。
12 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/01/08 18:38:26
13 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/01/08 18:43:44
/// まえがき 2 ////////////////
近ごろ流行っている紳士服の安売り店などは、その最たる例だろう。こうした店で
売られている「激安スーツ」は、もともと東南アジアや北朝鮮といった、労働コストが
低い国で造られているもの。安くて当然なのだ。
やはり、高いものを安く売ってこそ、本物のディスカウントである。
ちなみに私の城南電機では、日立、東芝、松下電器、ソニーといった一流メーカーの
新製品を定価の二五%引きで売っている。ほかのメーカーなら、定価の三〇〜四〇%
引きである。
もちろん、こんな値段で家電を売っている店は、秋葉原はおろか、日本中探してもない。
しかし、だからといって、私はほかのディスカウント店を非難するつもりは、さらさらない。
//////////// クレスト社発行 ///
14 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/01/09 18:38:20
/// まえがき 3 /////////////////////
なぜなら、今の日本では「高いものを安く売る」という当たり前のことが、いちばん
大変なことだからだ。本当の安売りを実行しようとすると、ほうぼうから妨害を受ける
のである。
安売りの敵と言うと、メーカーや同業者と想像する人がいるだろう。しかし、私から
言わせれば、彼らの妨害なんて、かわいいものである。
最大の敵は、役人や法律だ。「秩序を乱す者は許さない」とばかりに、彼らは法律を
持ち出して、あの手この手で安売り店をいじめようとする。実際、どんなやり方で
安売りを邪魔するかは、本文に譲るが、連中のおかげで日本の国民は高い買い物を
させられているのである。
/// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
15 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/01/10 20:25:46
/// まえがき 4 //////////////////////
だが、悲観することはない。ベルリンの壁だって二八年で崩れた。自民党政権だって、
今や連立内閣の世の中である。規制の壁、役人の壁だって、いつかかならず壊れる。
しかし、その日をのんびり待っているわけにはいかない。やはり、動かなければ事態は
いつまで経っても変わらない。そう思ったからこそ、私は法律違反を覚悟のうえで、
ヤミ米や輸入化粧品の安売りを実行し、役人たちに挑戦したのである。
本書は、こうした私の"闘い"の記録である。
いい物を安く買える日本が実現するために、本書が少しでも役に立てばと思い、一生懸命
執筆したつもりである。多くの人に読んでいただければ、これほど嬉しいことはない。
一九九四年五月 宮路年雄
・・・・・
////////////////////// 1994年刊 ///
16 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/01/12 21:43:25
/// 食料庁への挑戦状 1 /////////////
「役人といかに喧嘩するか―消費者の声にこそ、“正義”はある」
宮路 年雄著、クレスト社 1994年6月発行 より
・・・・・
第一章 食料庁への挑戦状
―― "長いものには巻かれろ"を許すな
三〇〇〇人の長蛇の列
「社長、あんたはエライ!!」
「どうもありがとうございます。おかげで助かりました」
「これからも頑張って安売りしてください」
レジのところで支払いをすませたお客さんが口々に、私に声をかけてくださる。
誰もが嬉しそうな顔をしている。
/////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
17 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/01/13 21:20:44
/// 食料庁への挑戦状 2 /////////////
長いこと商売をしてきた私だが、お客さんから、こんなお礼を言われたのは
生まれて初めての体験だ。
役人を敵に回してでも、ヤミ米を売ったのは、やっぱり正しかったんだ……。
一九九四年三月二十七日、日曜日。
この日の朝、東京・杉並区にある城南電機・西永福店の前には三〇〇〇人の
行列が出来た。その長さは一キロにも及んだようだ。
この人たちはみな、城南電機で売る五キロ三〇〇〇円のヤミ米を買うために
並んでいるのだ。行列の先頭の人に聞いてみると、前日の夜中から、えんえん
一〇時間も立ったまま、待ちつづけていたそうだ。
////////////////// クレスト社発行 ///
18 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/01/15 20:42:15
/// 食料庁への挑戦状 3 /////////////////
前年の不作の影響で、五キロ六〇〇〇円、いや場合によっては一万円近くも
していた国産米を三〇〇〇円で売るのだから、行列が出来ることは予想していた。
しかし、開店前に三〇〇〇人も並んでしまうとは思ってもみなかった。
これは大変なことになった。
当初の予定では、「お一人様二袋まで」ということで販売するつもりだった。店には
五キロ入りの袋が二四〇〇個。これでは一二〇〇人しか買えないことになる。
あわてて予定を変更して、一人一袋ということに決めた。
/////// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
19 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/01/16 09:15:51
/// 食料庁への挑戦状 4 /////////////
嫌がらせに対する懸念
警備会社に連絡を入れ、ガードマンを五〇人派遣してもらう。地元の高井戸警察
からは一〇人の警察官が来てくれることになった。
買える量が半分になったことで混乱が起きるのでは、という不安もある。しかし、
それよりも心配だったのは、この安売りを止めさせようとする"勢力"の出現だった。
それは、ヤミ米は一粒たりとも売らせないという食糧庁の役人だけではない。この
セールを発表してからは、店はもちろん、私の自宅にまで、嫌がらせや脅迫の電話が
かかっていた。消費者に高いコメを売りつけて、アブク銭を儲けている連中ではないか、
と私はにらんでいた。
////////////////////// 1994年刊 ///
20 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/01/18 21:08:35
/// 食料庁への挑戦状 5 /////////////
人間というのは不思議なもので、「コメ不足だ」と大騒ぎになれば、五キロ
一万円でも高いと思わなくなる。いわゆるパニック心理だ。
しかし、ここで五キロ三〇〇〇円という安いコメが売り出されると、そうした
気持ちが急に冷静になる。「いくら何でも、一万円は高い」ということに、いやでも
気がつく。
それを連中は恐れているのだ。せっかく、ここまで値を吊り上げていたのが、
水の泡になるというわけだ。
実際、城南電機の安売りを境に、ヤミ米の相場は五キロあたり一〇〇〇円も
下がったという。これは、取材に来たテレビ局の人が教えてくれた。
////////////////// クレスト社発行 ///
21 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/01/20 19:33:41
/// 食料庁への挑戦状 6 /////////////
だから、安売り当日も何らかの嫌がらせがあるかもしれない、と私は考えていた。
考えすぎだと思われるかもしれない。
しかし、これは充分ありうることなのだ。
今まで城南電機は何度、そうした妨害を受けてきたか分からないほどだ。電線を
切られたことも、放火されかかったこともある。店員がヤクザに襲われたことさえある。
けっして油断できない。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
22 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/01/22 19:50:12
/// 食料庁への挑戦状 7 /////////////
幸いなことに、この日は何も起きなかった。NHKをはじめとするテレビ局が、
城南電機のこのようすを取材するために集まっていたのが、よかったのかもしれない。
長蛇の列を映すために、ヘリコプターまでが店の上空を飛び回っていた。これでは、
何かやろうと企んでいた連中も手出しはできない。
前日、販売中止を求めにきた食糧庁の役人も姿を見せない。ヤミ米販売の現行犯
として摘発に来るかと"期待"していたのに、ガッカリした。
午後一時、開店からわずか三時間で一二トンのコメは、きれいさっぱりなくなった。
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
23 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/01/24 19:53:29
/// 食料庁への挑戦状 8 /////////////
大潟村からの「売込み」
全国のテレビや新聞で報道された城南電機のコメ安売りを、「あれは宮路の
売名目的で仕組んだことだ」と批判する方もおられるようだ。
しかし実際は、ほんの小さなきっかけから始まった話だった。正直なところ、
私自身、こんな騒ぎになるとは思わなかったのである。
そもそも、ことの起こりは、三月上旬のある日、私のところへかかってきた
一本の電話だった。
電話の主は、秋田県大潟村の農家の人だった。
////////////////// クレスト社発行 ///
24 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/01/26 20:53:16
/// 食料庁への挑戦状 9 /////////////
「私のところにある"あきたこまち"を、城南電機で売ってくれませんか」と言う。
お恥ずかしい話だが、このとき私は世間がそれほどコメ不足で大騒ぎしている
とは知らなかった。家では知人からいつもコメをお歳暮に送ってもらっているから、
コメを買う必要もなかった。
また、その前年から厚生省を相手に、輸入化粧品の安売りをめぐって大喧嘩
している最中だったので、そこまで注意が回らなかった。
だから、このコメを売るという電話も、普通の売込みの話かと思ったのである。
/// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
25 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/01/28 21:13:54
/// 食料庁への挑戦状 10 /////////////
私のところには、毎日、何十本もこうした売込みの電話がかかってくる。在庫を
抱えている問屋やメーカーの営業マン、あるいはバッタ屋などなど。その商品も、
電化製品、化粧品、ブランドのカバンなど、実にさまざまである。
城南電機は、食料品だって売る。九三年の暮れには、正月食品の新巻サケや
カズノコを安売りして、お客さんに喜んでいただいた。
だから、コメの売込みの電話があっても、けっして不思議ではないのである。
このときは、適当にあしらって電話を切った。
しかし、それでもコメの売込みは初めての体験だ。面白かったので、雑談ついでに
社員に、この話をした。
////////////////////// 1994年刊 ///
26 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/01/30 17:41:45
/// 食料庁への挑戦状 11 /////////////
すると、これを聞いた女子社員の目の色が変わった。
「社長、今、コメが買えないんで大変なんですよ。国産米どころか輸入米も売って
ないから、パンを食べるしかないって、社員みんなで話してるんですよ」
そんなにコメ不足で世間が困っているとは知らなかった。
元来、私はせっかちな男だ。一度決めたら、すぐに実行に移さなければ気がすまない。
早速、さっきの農家に電話した。
といっても、このときは社員用に買っておこうというつもりだった。第一、お客さんに
売るほど、その農家がコメを持っているとは思えなかったからだ。お客さんには
悪いが、まずは社員が大切だ。
////////////////// クレスト社発行 ///
27 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/02/01 19:30:11
/// 食料庁への挑戦状 12 /////////////
「ヤミ米の村」
ところが、実際に大潟村に行ってみて驚いた。
私は小さな農家を想像していたのだが、何とも規模が大きい。コメも蔵に
うずたかく積んである。いったいこれはどうしたことか。
コメが暴騰するのを見越して、今まで売らずに隠していたんだな―私はそう思った。
石油ショックのときにもトイレットペーパーや洗剤を売り惜しみした小賢しい連中がいた。
思わず不愉快な顔をしたら、あわてて農家の人が説明しはじめた。
「違うんですよ、宮路さん。私だって、このコメをみんなに食べてほしいんだ。都会じゃ
"あきたこまち"とか"ササニシキ"と称して、悪徳米屋がブレンド米を売ってると
言うじゃないですか。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
28 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/02/03 19:34:32
/// 食料庁への挑戦状 13 /////////////
そんなコメを国産米だと思われちゃ困る。だから、うちで作った本物の"あきたこまち"を
食べてほしいんだ。
でもね、社長。このコメを売ろうと思っても、売らせてもらえないんだ」
「そりゃ、どういうことなんや」
よくよく話を聞いてみて、事情が呑みこめた。
この大潟村は八郎潟を埋めたてて作った干拓地だという。国をあげての大プロジェクトで、
今から三〇年前に作られた村なのだ。その目的は、当時、深刻だったコメ不足を
解消するためであった。そこで、コメ作りに熱意を燃やす農民がこの大潟村に集まった。
ところが七〇年代に入ると、国が話を一八〇度変えて、突然、減反政策を始めた。
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
29 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/02/05 08:54:00
/// 食料庁への挑戦状 14 /////////////
これを聞いた大潟村の人は怒った。「せっかく一生懸命コメを作ろうと思って
入植したのに、今さらコメを作るなとは何ごとか」というわけだ。大潟村の人たちは、
減反を拒否した。
それ以来、大潟村は「ヤミ米の村」として全国的に有名になったのだという。
だが、それと同時に「国の方針に従わない農家のコメは売らせない」と言って、
国や農協が、いろんな手段で妨害しているのだと、その農家の人は言う。
「だから、都会の人に本当のコメを食べてもらおうと思っても、私たちだけの力では
無理なんです。そこで城南電機に電話したんですよ」
「よーし分かった。それじゃ五トンと言わず何トンでも買うたる。持ってこい」と
私は叫んだ。
////////////////// クレスト社発行 ///
30 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/02/07 21:04:24
/// 食料庁への挑戦状 15 /////////////
農水省への挑戦を決意
だいたい、商売に国やら役人が絡むとロクなことはない。これは長年の経験で
骨身に染みて知っていることだ。コメにかぎらず、どんな商品でもお上が口を出すと、
とたんに高くなる。あとでお話しするが、輸入化粧品も、その典型だ。
このコメ不足にしたって、世間は売り惜しみをする米屋やヤミ米屋ばかりを責めるが、
いちばん悪いのは役人であり、国の政策なのだ。
だから今回のコメ不足にしても、国が口出しせず、民間にまかせておけば、こんな
騒ぎにならなかったはずだ。公定価格で農家から買い上げたりするものだから、
ヤミで売ったほうが得だと考えて、売り惜しむ連中が出てくるのだ。
/// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
31 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/02/09 19:33:18
/// 食料庁への挑戦状 16 /////////////
また、外国から輸入したコメにしても、みんなが食べないのは国が高い値段で
売ろうとしているからだ。民間の業者が輸入し、いいものを適切な値段で売れば、
こんなことにはならなかった。
「よし、このコメを城南電機で派手に安売りしてやる」 − 私は、ただちに決断した。
このコメは、言ってみれば、筋金入りの「ヤミ米」だ。売り惜しみして農家の物置に
隠されていたようなコメとは違う。売ろうと思っても、お上や農協が許さないという
コメである。
////////////////////// 1994年刊 ///
32 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/02/11 19:57:15
/// 食料庁への挑戦状 17 /////////////
それを、販売免許を持っていない城南電機が安売りするのだ。役人どもはカンカンに
怒るだろう。農水省や食糧庁の役人がやってきて、販売を中止しろと言ってくるに
違いない。ひょっとしたら起訴されるかもしれない。
不謹慎と言われるかもしれないが、そう考えたら、面白くてワクワクしてきた。
いいものを安く売る―これは商売の基本だ。高値で売りつけて儲けてるのなら
いざ知らず、安売りするのを邪魔すれば、恥をかくのは役人のほうに決まっている。
////////////////// クレスト社発行 ///
33 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/02/13 18:32:43
/// 食料庁への挑戦状 18 /////////////
赤字覚悟で売る理由
「ありったけのコメを集めてくれ!」と叫んだ私に、農家の人もびっくりしたようだ
が、一生懸命、掻き集めてくれたおかげで二九トンのコメが集まった。約三三〇〇
万円の買い物である。
二九トンのコメといっても、これは玄米の重さ。ちゃんと精米すると目減りする。
聞くと、この量だと五キロ袋で五三四〇袋になるらしい。つまり二六.七トンで、
一袋あたり六一八〇円の仕入れ値ということだ。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
34 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/02/15 21:03:00
/// 食料庁への挑戦状 19 /////////////
私は、このコメを一袋三〇〇〇円で売ろうと、即座に決めた。仕入れの段階で、
すでに一五〇〇万円以上の赤字、これに運賃や人件費をたしたら二〇〇〇万円
以上の損になる。
おそらく五キロ六二〇〇円で売り出しても、お客さんは喜んでくれるだろう。
買おうと思っても売っていないわけだし、"ヤミ米"の相場から言えば、安いはずだ。
しかし、それではコメ行政のおかしさを告発するという私の目的からは外れること
になる。それに「市価よりも安く」というのが、城南電機のモットーだ。ここは、
損をしてでも安く売らねばならない。
幸い、城南電機はこの不況下、安い商品を求めるお客さんのおかげで業績好調だ。
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
35 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:05/02/15 22:45:49
開業医、歯科医の経費水増し税制と言うのがあって、
実際に掛かった必要経費より格段に多額の見なし控除をしている。
その差額がそっくり課税逃れされていて、それが国の財政の重い負担になっている。
この制度を廃止すると毎年国の増収は数千億から2兆円に達すると試算されている。
この制度が導入されてから48年間に国が得られなかった税収は、
利子も入れると丁度国の累積赤字と同じ600兆円程度になる。
開業医、歯科医の経費水増し税制がなければ、今程の財政赤字にはならなかったと言われている。
そのツケは、消費税値上げと言う形で回ってくる。
税金の無駄使いも含めて、不正一掃が必要な様だ。
36 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/02/17 19:06:16
/// 食料庁への挑戦状 20 /////////////
また、お客さんから"預かっている"消費税の運用益が約一五〇〇万円ぐらいある。
いつもの年は、この運用益でビデオなどの家電を大安売りしているのだが、それを
こちらに回せばいい。
これはあとでも説明するつもりだが、一九八九年に導入された消費税は、年二回に
分けて事業者が国に納めるきまりになっている。つまり、お客さんが商品を買ったときに
支払った消費税が国庫に入るまでに、タイムラグ(時間差)があるのである。
私のところでは、このタイムラグをフルに利用して、預かった消費税を資金運用し、
その利益をお客さんに還元する"消費税還元セール"を毎年やっているのである。
////////////////// クレスト社発行 ///
37 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/02/19 18:48:29
/// 食料庁への挑戦状 21 /////////////
消費税納入までの時間差を利用して、それを運用して利益を得るというのは、
おそらくどこでもやっていることだろう。というより、預かった税金をそのまま
眠らせておくようでは商売人失格である。
しかし、私が気にいらないのは、どの企業も、その運用益を消費者にビタ一文
返そうとしないところだ。
断わっておくが、私は消費税そのものを悪税とは思っていない。詳しい理屈は
分からないが、将来の日本のために必要な税金だと思っている。
許せないのは、こうした国のシステムの上にアグラをかいて小銭を儲けようという
連中である。いや、小銭というのは正確な表現ではない。ある銀行の試算によると、
一年間に納められる消費税の運用益は、何と数百億円にも上るのだという。
/// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
38 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/02/21 19:44:26
/// 食料庁への挑戦状 22 /////////////
「マスコミは困ります」
余談が長くなった。
五キロ六〇〇〇円強で仕入れたコメを、三〇〇〇円で売り出すという話に、
マスコミはたいへん驚いたようだが、以上のように私なりの計算があって、
この価格を決めたというわけだ。
もちろん、それでも損は出る。しかし、まあ本音を言えば、この安売りで
城南電機の知名度、信頼度がますます上がることを考えれば、一〇〇〇万円
ぐらいの損は安いものだ。
////////////////////// 1994年刊 ///
39 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/02/23 20:44:06
/// 食料庁への挑戦状 23 /////////////
「城南電機が五キロ三〇〇〇円のコメを発売!」マスコミでこれが発表されると、
わが城南電機は大騒ぎになった。日本国内のマスコミ各社はもとより、海外の
テレビ局までが取材に来た。電話も鳴りっぱなしである。
「よくぞ、やってくれた」というお客さんからの激励がほとんどだったが、中には
脅迫まがいの電話もある。前にも書いたように、おおかた、ヤミ米を高値で
売りつけている業者の嫌がらせだろう。
こうした電話の対応に追われていると、案の定、食糧庁からの電話が入ってきた。
ようやく来たか、という思いで受話器を取る。
////////////////// クレスト社発行 ///
40 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/02/25 20:32:44
/// 食料庁への挑戦状 24 /////////////
「マスコミの報道で知ったのですが、城南電機でコメをお売りになるそうですね」
「そうだ」と答えると、
「城南電機さんは販売免許をお持ちなんですか」
と言う。城南電機が無免許であるのを承知のうえで、こういう聞き方をする。
これが役人の嫌らしいところだ。
「もし、お持ちでないのなら、法に触れることになるんですよ。ご存じないかと
思いますが、食管法の規定では、コメの無許可販売は三年以下の懲役、
三〇〇万円以下の罰金ということになっています。一度、お会いして、
そこのところをゆっくりご説明したいんですがね」
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
41 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/02/27 21:07:24
/// 食料庁への挑戦状 25 /////////////
こういう口の利き方を称して、慇懃無礼と言うのだろう。
私は、即座にこう言った。
「それは結構ですよ。いつでも来てください。ただし、条件があります。その席には、
マスコミも立ち会ってもらいます」
この安売りは食管法など、お上の農業行政がいかに時代遅れなものであるかを
示すための「闘い」だ。だから、彼らの理屈がどんなものであるかも、きちんと
マスコミを通じて伝えたい。
ところが、これを聞いて、役人の口調が変わった。
「いや、それはできません。マスコミは困ります」
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
42 :
oha:05/02/28 00:23:04
43 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/03/01 19:25:17
/// 食料庁への挑戦状 26 /////////////
電話の向こうで慌てているようすが、手に取るように分かる。
「どうして、マスコミを呼んじゃいかんのですか」と聞いても、「いや、それは
困ります」の一点張り。
こんなことは言うまでもないが、お役人の給料は、私たちの税金から出ている。
税金を払っている以上、国民あっての役人である。
それなのに、マスコミの前に出て、ヤミ米を売る"悪人"宮路に対して、どのような
「行政指導」をしているかというのを見せたくないというのは、どう考えても理屈に
合わない。
「それじゃ話になりませんな。予定どおり、ヤミ米は売らせていただきます」
と、電話を切った。
////////////////// クレスト社発行 ///
44 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/03/03 21:01:23
/// 食料庁への挑戦状 27 //////////////
"お役人七人組"
さすがに、食糧庁もこのままで引き下がってはいない。三月二十六日、コメ売り出しを
翌日に控えて、テンヤワンヤの私の店(西永福店)に、彼らは現われた。
驚いたことに、大の大人が七人も雁首を揃えて、しかも黒塗りの車でのご登場である。
この日は土曜日。公務員も最近は週休二日制だから、みなさん休日出勤である。
休日手当は合計いくらになるのであろうか -。
頭にきたから、彼らの顔を見るなり、こう言ってやった。
「いったい、あの豪勢な車を誰のカネで乗り回しとるんや」
///// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
45 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:05/03/04 10:47:31
開業医、歯科医の経費水増し税制と言うのがあって、
実際に掛かった必要経費より格段に多額の見なし控除をしている。
その差額がそっくり課税逃れされていて、それが国の財政の重い負担になっている。
この制度を廃止すると毎年国の増収は数千億から2兆円に達すると試算されている。
この制度が導入されてから48年間に国が得られなかった税収は、
利子も入れると丁度国の累積赤字と同じ600兆円程度になる。
開業医、歯科医の経費水増し税制がなければ、今程の財政赤字にはならなかったと言われている。
そのツケは、消費税値上げと言う形で回ってくる。
46 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/03/05 22:43:54
/// 食料庁への挑戦状 28 /////////////
すると、彼らは平然と「自分のカネです」と答える。
よくもまあ、そんなことが言えるもんだ。百歩譲って、自費で車と運転手を
雇っているとしても、タクシーのほうが何ぼ安いか。こんな金銭感覚で、よくも
「庶民や農民の生活を守る」と言えたもんだ。
ご存じの方も多いだろうが、私はロールスロイスに乗っている。「宮路の
金銭感覚はどうなってるんだ」と言う人もおられよう。しかし、これはちゃんとした
計算があって乗っているのだ。
////////////////////// 1994年刊 ///
47 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/03/07 22:02:58
/// 食料庁への挑戦状 29 /////////////
まず、ロールスロイスに乗って便利なのは、車の中で眠れるということだ。
少しでも安い商品を仕入れようと、私はそれこそ全国を駆け回っている。
仕入れの交渉だけは他人にまかせられない。現地に自分で出向いて、
品物の数と質を確認して、価格を決める。もちろん、支払いは現金である。
そんな仕入れの交渉に行くのには、車で飛んでいくのがいちばんである、
悠長に飛行機の切符や宿の予約をしていたら、商品は別の店に行ってしまう。
////////////////// クレスト社発行 ///
48 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/03/09 20:42:31
/// 食料庁への挑戦状 30 /////////////
おまけに、こうした取引きは早朝とか深夜に行なわれることも多い。何も盗品を
扱っているわけではないのだが、手持ちの商品を一刻も早く現金にしたいという
裏には、それぞれ事情がある。他人には知られたくないということも、けっして
少なくないのである。
だから、商品の仕入れのために、車で、夜を過ごすこともある。そんなときに、
ロールスロイスはたいへん便利なのだ。しかも、これだけ馬鹿でかい車だと、
事故に遇う確率は少ない。周りの車も、追突しては一大事と安全運転してくれる。
私がロールスロイスに乗っているのは、けっして見栄からではないのだ。くだらない
見栄を張るとロクなことはないというのは、若い時分の体験で骨身に染みている
(この大失敗については、あとでゆっくり書く)。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
49 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/03/11 20:49:38
/// 食料庁への挑戦状 31 /////////////
「米びつを見せろ」
またまた話が脇道に逸れたが、自費だろうと公費だろうと、黒塗りの車に乗って
現われて平然としていられるとは、どうかしているとしか思えない。私の店は何も
地の果てにあるわけではない、都心から電車に乗っても、三、四〇分の場所である。
なぜ、電車を使って平日にやってこないのだろう。
まあ、こんなことを言っても、こういう人たちには「馬の耳に念仏」だ。もう、
これ以上、言う気が失せた。
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
50 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/03/13 18:37:14
/// 食料庁への挑戦状 32 /////////////
私が黙ったのを見て、役人の一人が、
「宮路さん、城南電機はコメの販売免許はお持ちではありませんね。それなのに
売ろうとすれば、食管法違反です。明日の販売は中止してください」
と、私に告げた。
「分かった。私は売出しを中止します。ただし、私にも条件がある。それを聞いて
くれるんやったら、止めてもええ」
突然、私が、販売中止を申し出たものだから、彼らはキョトンとしている。
「あんたらの家にある米びつを見せてくれ。あんたらがちゃんと外米を食っとるん
やったら、私も納得して、販売を止める」
////////////////// クレスト社発行 ///
51 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/03/15 21:34:38
/// 食料庁への挑戦状 33 //////////////////
これは、前々から考えていたアイデアだった。
もちろん、役人たちがウンと言うとは、私も、思っていない。どんな言い訳を
するかと思ったら、
「それは、私のプライバシーです」
とおっしゃる。しかし、何も私は家の中にまであがるつもりはない。
しばらく「見せてくれ」、「いや見せられない」という押し問答になった。
たまりかねたのか、七人の中でもいちばん若い人間が、「私のをお見せします」
と言いだした。
//////// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
52 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/03/17 19:22:17
/// 食料庁への挑戦状 34 /////////////
しかし、私が見たいのは、部課長クラスの役人の米びつである。だが、
こういうお偉い方は、
「絶対に見せない」と言う。
この話合いは、一五分ほどで"決裂"と相なった。
お役人七人組は怒りながら帰っていったが、私は「役人もヤミ米を食うとるんやな」と
分かったため、たいへん満足だった。この七人衆の誰一人として、翌日の販売現場に
現われなかったのは、冒頭に書いたとおりである。
////////////////////// 1994年刊 ///
53 :
◆eNpnZ5GHh6 :05/03/19 21:43:52
/// 食料庁への挑戦状 35 /////////////
コメ安売りを中止させた一本の電話
西永福店のヤミ米販売は、役人の妨害もなく、無事に終わった。
せっかく並んだのに買えなかった人がいたのは誤算だったが、また一週間後に、
今度は世田谷区の祖師谷店で残りのコメを売るから、それで許していただこう―そう
思っていたのだが、一本の電話で、この予定は急邊変更することになってしまった。
第一回販売の翌日、私のところに一人の女性から電話がかかってきた。電話だから、
相手の年齢は分からない。声の感じからすると、ずいぶん年配の人のように思った。
////////////////// クレスト社発行 ///
54 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:05/03/20 00:42:17
これ以上消費者主権を進めたら労働者は死ぬよ?
55 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:05/03/20 02:10:04
>>54 労働者も消費者だぞ。(つーか消費者の大部分が労働者だ。)
自分で自分の首を絞めてるのでは?
57 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/03/21(月) 20:38:34
/// 食料庁への挑戦状 36 /////////////
「城南電機でおコメの安売りをしてるのを、私もテレビで観ました。このコメ不足の
折に、ほんとうに素晴らしいことをされましたね」
「はあ、どうもありがとうございます」と、私。
「でもね、宮路さん。あの行列に並びたくても並べない人がいるのをご存じですか」
聞くと、このご婦人は現在、寝たきりの生活を送っている方であった。
実は、私のところに連絡する前に、東京都や食糧庁に抗議の電話をしたのだという。
役人と一時間半も話して、老人にもコメが行きわたるようにしてくれとかけあってい
たのだ。だが、いっこうに埒が明かなかったので、私のところに電話してきたという
ことらしい。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
58 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/03/23(水) 20:01:28
/// 食料庁への挑戦状 37 /////////////
これはあとで東京都に聞いて分かったのだが、都内には独り暮らしの老人が
二万人、さらに独り暮らしで寝たきりの老人が三〇〇〇人以上もいる。
このご婦人の話を聞いて、私は「しまった」と思った。私は長年、「弱い者には
味方せなあかん」と、安売りの道を突っ走ってきた。それなのに、今回、コメの
販売にあたって、こうした人たちがいることに思い至らなかった。
まず、こうした人たちに安いコメを売り、その後に店で販売すればよかったのだ。
そうすれば、食糧庁はもっと困ったに違いない。
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
59 :
アポロン:2005/03/23(水) 20:22:42
ダイエー、ヤマダ電器、マツモトキヨシ、吉野家なんかはまさに消費者
主権でやってきた企業でしょ?
すでにそうした会社は腐る程あるよ。
60 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/03/25(金) 20:01:04
/// 食料庁への挑戦状 38 /////////////
よし、今からでも遅くない。次の販売を中止して、まず都内の老人ホームに
寄付してしまおう。これが、世間をお騒がせした、老人ホーム寄付の発端である。
マスコミなどでは、「宮路は、ドタン場になって食糧庁に白旗を揚げた」と見る
向きもあるようだが、それはとんだ誤解である。
順序は逆になってしまったが、東京都に寄付することで、このヤミ米の存在を
当局に"認知"させてしまおうというのが、私の狙いだ。けっして、白旗を揚げた
のでも、退却したのでもない。
////////////////// クレスト社発行 ///
61 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/03/27(日) 20:43:52
/// 食料庁への挑戦状 39 /////////////////
食糧庁の"敗北"
早速、食糧庁に電話して、会って相談したいことがあると持ちかけた。
「あんたらの望みどおり、次の販売は中止する。ついては、残りのコメを都の
老人ホームに寄付したいんやが、手伝ってくれ」
私は食糧庁から来た役人たちに、こう切り出した。意外な展開に彼らが
仰天しているのは、顔色を見ただけで分かった。
もちろん、彼らも素直に「お手伝いしましょう」とは言わない。「あなたが
買ったコメはヤミ米であって……」とか「あなたは販売免許を持っていない」
などと繰り返すばかり。
//////// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
62 :
アポロン:2005/03/27(日) 20:51:39
消費者の幸せとは一体何だ?
例えば覚醒剤を10円で買えたら、それも消費者の幸せじゃないのか?
喜ぶ消費者は山といるだろう。
確かに経済発展には不可欠だが、そこに究極の正義などまったく無い。
63 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/03/29(火) 19:45:46
/// 食料庁への挑戦状 40 /////////////
「免許のないことも、ヤミ米だというのも、今さら説明されんでも、よく分かっとる。
要は手伝ってくれるのか、くれんのか、それを教えてくれ」と言ったら、役人の常で、
「この件は持ちかえって検討させていただきます」ということになった。
三時間後、私のところに食糧庁から電話がきた。
「私どもといたしましては、あなたの案に賛成するとも、反対するとも申しあげられ
ない。ただ、寄付をなさりたいというのであれば、その時点でヤミ米ではなくなると
解釈しますので、ご協力はできると思う」という、分かったような分からないような
玉虫色の答弁であった。
////////////////////// 1994年刊 ///
64 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/03/31(木) 21:38:08
/// 食料庁への挑戦状 41 /////////////
私としては、この城南電機のヤミ米を寄付するプロセスに、食糧庁というコメ行政の
大本山が関わってくれるのが狙いなのだから、あえて文句はつけないことにした。
早速、私と食糧庁、それに東京都の三者で記者会見を開かねばならない。
急なことだったので会場の手配に苦労したが、ある新聞社の協力で農水省の
記者クラブを使うことになった。
ところが、この期に及んで役人たちが「記者クラブは困る」と言い出した。
またまた役所で会議をした結果、「宮路と同席しないのであれば、記者会見に
応ずる」ということであった。
////////////////// クレスト社発行 ///
65 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/04/02(土) 20:31:03
/// 食料庁への挑戦状 42 /////////////
まったく馬鹿げた話だが、これ以上、会議を開かれて、時期を失してもいけないから、
それで了承した。
こうして開かれた三月三十日の記者会見で、食糧庁のお役人は「コメは現時点
においてヤミ米であるが、ひとたび食糧庁の手に渡った時点で政府米になったと
解釈する」という珍見解を堂々と発表していた。なるほど理屈のうえでは、そう言う
こともできるのだろう。
しかし、食糧庁に渡したからといって、コメの味が変わるわけではない。ヤミ米は、
どこまで行ってもヤミ米なのである。
それをいちばんよく知っているのは食糧庁の役人たちなのである。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
66 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/04/04(月) 19:02:06
/// 食料庁への挑戦状 43 //////////////
これは後日談になるが、いざコメを食糧庁に引き渡そうというところでも、
いろいろとトラブルがあった。
細かいことを挙げればきりがないが、当初は老人ホームに運びこむところに
立ち会いたい、という私の申し出さえ、とうとう聞いてもらえなかったほどである。
常識で考えても、寄付をするのだから、引渡しの現場に立ち会うのは当然の
ことだが、役人がこれを許さないのは、彼ら自身、心の奥底で「ヤミ米はヤミ米」
という思いがあったためだと、私は思っている。
それはさておき、記者会見の席で、苦しまぎれの彼らの答弁を聞いて、
「この勝負、ワシの勝ちやな」と私は、ひとりほくそ笑んだわけであるが、読者は
どう判定されるだろうか。・・・・・
////////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
67 :
.一言居士:2005/04/04(月) 20:38:46
消費者(生活者)本位の経済とは消費者も産業資本家になる事だ。即ち株主に
これ以上くどくど言わない。
68 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/04/04(月) 22:10:28
69 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/04/07(木) 21:56:39
/// 時代遅れの薬事法 1 /////////////
「役人といかに喧嘩するか―消費者の声にこそ、“正義”はある」
宮路 年雄著、クレスト社 1994年6月発行 より
・・・・・
第二章 時代遅れの薬事法 − "役人の壁"を破るテクニックとは
(1)なぜ、化粧品はこんなに高いのか
化粧品は、今や生活必需品
現在、城南電機は役人との喧嘩を二つ並行してやっている。ひとつが、
前の章で書いたヤミ米をめぐる食糧庁との闘い、もうひとつは輸入化粧品の
安売りをめぐる厚生省との闘いだ。
といっても、厚生省との喧嘩は、コメの場合とは、ちょっとだけ事情が違う。
ヤミ米は、最初から食糧行政のおかしさを暴くために始めたものだが、化粧品の
価格を破壊していた私の前に、突然、厚生省が立ち塞がったという形なのである。
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
70 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/04/09(土) 21:32:36
/// 時代遅れの薬事法 2 /////////////
城南電機三鷹店で国産・輸入化粧品の安売りを始めたのは、九三年六月のことだった。
メーカー優先の価格体系を根本から崩したい、というのが私の最初の狙いだった。
現代の若いOLたちが、一ヵ月に使う化粧品代がいくらか、ご存じだろうか?私が
独自の"市場調査"で調べたところでは、平均二〜三万円、多い人では月五万円も
化粧品にかけている。
この数字を見て、「今の若い女の子は賛沢だ」と思うのは、まったく見当外れだ。
まともな商売人なら、「なるほど、今の若い女の子にとって化粧品は、賛沢品ではなく、
日用品なのだ」と思わなければ、失格である。
つまり、OLたちにとって化粧品とはコメや魚と同じくらい、なくてはならない
必需品なのである。
それなのに、現実には化粧品は定価販売というのが、日本の"常識"になっている。
////////////////// クレスト社発行 ///
71 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/04/11(月) 19:26:57
/// 時代遅れの薬事法 3 /////////////
しかも、その定価というのが諸外国に比べて、おそろしく高く設定されている。
お役人の意識では、高級化粧品は依然として女優やタレント、"有閑マダム"
あるいは水商売の女性の専有物ということなのだろう。
私が安売りを始めた当時、シャネルの口紅は日本で買うと五〇〇〇円だったが、
同じものが海外ではその半分の二五〇〇円ぐらいで売られていたのだから、
これほど消費者を馬鹿にした話はない。
それで、「よし、化粧品業界の"常識"をひっくり返して、化粧品を日用品に
してやる」と安売りを始めたのである。
だから、私の意識の中では、化粧品とコメは同じなのだ。どちらも高くても
消費者は買わざるを得ない必需品なのである。
/// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
72 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2005/04/11(月) 20:03:02
ルイヴィトンの日本の価格は、始めっから40%上乗せ。
ブランド品はだいたいそう。
クロムハーツなんぞ、3万の品物も、銀の原価300円。
買う香具師がばか。そりゃもうかる。
73 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/04/13(水) 20:50:18
/// 時代遅れの薬事法 4 /////////////
宮路流・市場調査
今、「独自の"市場調査"によると、OLの化粧品は平均二万〜三万」という話を書いた。
ちょっと余談になるが、ここで私流の"市場調査"のやり方をお話ししよう。
多くの大会社では、消費者の動向を調べるのに、大枚のカネを払って専門の会社に
市場調査をやってもらっている。しかし、私から言えば、そんなのはカネの無駄使いだ。
こういうことをしているから、電化製品でも何でも、定価がますます高くなるのである。
////////////////////// 1994年刊 ///
74 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/04/15(金) 19:49:16
/// 時代遅れの薬事法 5 /////////////
私の市場調査は一銭もかからない。方法はカンタン。手当たりしだいに声をかけ、
話を聞く。城南電機で働いている女の子に聞くこともあれば、道を歩いているOLに
声をかけて「そのカバン、どこで買った?いくらやった」とたずねるのだ。もちろん、
店に来ているお客さんと、話をするのも役に立つ。
また、暇があれば近所のスーパーのレジ近くに立って、主婦が何を買っているかを
観察するということもやっている。
こんな原始的なやり方で、本当に役に立つのかと思う人もあるだろう。しかし、
カネをかけて調べたアンケート報告より、私の実感のほうがずっと正確だ。
////////////////// クレスト社発行 ///
75 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/04/17(日) 18:41:29
/// 時代遅れの薬事法 6 /////////////
たとえば、今の冷蔵庫では常識になっている「野菜室」にしても、これを
提案したのは、私が最初ではなかっただろうか。
私自身、肉や魚より野菜が好きなせいもあると思うが、店でお客さんたちと
話していて、「もっと野莱が入るスペースがほしい」という声がずいぶんあるのに、
あるとき気づいた。
早速、店に出入りしているメーカーの人間に、「野菜専用のボックスを付けた
冷蔵庫を出せば、絶対売れる」と会うたびに力説した。いわゆるニドア冷蔵庫
しかなかった頃の話である。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
76 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/04/19(火) 20:31:26
/// 時代遅れの薬事法 7 /////////////
ところが、これだけ言っているのに、どのメーカーの連中も反応が鈍い。おそらく、
電気屋のオヤジの話なんか当てになるか、というところだろう。
ただ一つ例外だったのがシャープで、すぐに野菜室を足した三ドア冷蔵庫を開発した。
結果は大ヒット。今や野莱室が常識になっているのは、皆さんご承知のとおりである。
これは別のところで触れるつもりだが、シャープには、私のような電気屋のオヤジの
声を真剣に聞いていこうという姿勢がある。最近も"液晶ビューカム"というビデオカメラが
ヒットしたりして、シャープは独り勢いがあるが、その秘密はこういうところにあると、
私は思っている。
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
77 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/04/21(木) 20:31:17
/// 時代遅れの薬事法 8 /////////////
なぜ、化粧品は安売りされないのか
余談が長くなった。
化粧品を安売りしようと思った最大の動機は、定価販売の常識のうえにアグラを
かいている化粧品業界に揺さぶりをかけたいということだったが、もちろん商売人
としての計算もある。
化粧品を扱うというのは、抜群の集客力を手に入れるということである。城南電機の
主力はご存じのとおり、電化製品。このほかにもブランドのカバンを扱っているが、
こうした商品は、日用品ではない。だから、同じお客さんが、毎月来てくれるわけ
ではない。
//////////////// クレスト社発行 ///
78 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/04/23(土) 19:03:54
/// 時代遅れの薬事法 9 /////////////
ところが、化粧品は日用品だから、同じお客さんがしょっちゅう来てくれる。
これほどありがたい話はない。
何はともあれ、思いついたら即、実行。まずは商品の確保をせねばならない。
シャネル、ディオールといった一流輸入化粧品はシンガポールと沖縄から
調達することになった。あまり知られていないが、沖縄には関税がかからない
フリーポート(自由貿易区)があって、そこに世界中の商品が集まるのである。
一方、資生堂、カネボウ、花王といった国産の化粧品は、問屋ルートから
仕入れる。
どこの業界でも、問屋というのはメーカーから大量の商品を押しつけられて
困っている。それを即金で買うと言えば、みんな喜んで売ってくれる(ただし、
「メーカーには秘密」という条件つきである)。
/// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
79 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/04/25(月) 21:01:51
/// 時代遅れの薬事法 10 /////////////
中には、どこで聞きつけたのか、「社長のところで売ってくださいよ」と、すぐに
頼みこんできたところもあった。
こうして準備を始めたとたん、化粧品メーカー一二社から圧力がかかった。
「ウチの商品は定価販売と決まっている。安売りを始めたら、すべて買い占めるぞ」
というわけだ。
しかし、こんな圧力など恐るるに足らず。
そもそも、「化粧品は定価販売」というのは、メーカーが作り上げた勝手な理屈
である。
これは知らない人が大勢いるのだが、化粧品を安売りしてはいけないという
法律は、どこにもないと言っていい。
////////////////////// 1994年刊 ///
80 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/04/27(水) 23:03:14
/// 時代遅れの薬事法 11 /////////////
たしかに定価一〇三〇円以下のクリームやシャンプーなどは、再販制度(再販売
維持契約制度)といって定価販売のみとされている。しかし、一〇三〇円を超える
商品については、小売店が自由に価格を決めても問題はないのだ。
なのに、なぜ実際には高額化粧品も定価で売られているのかこの秘密は、
メーカーと小売店の間に結ばれたチェーン契約にある。
化粧品店が高額化粧品を売ろうと思えば、メーカーと販売契約を結ばないかぎり、
事実上、品物を卸してもらうことができない仕組みになっている。
もちろん、この契約のどこにも「高額化粧品を定価で売れ」とは、書かれていない。
それは法律で禁じられている。しかし、だからといって、高額化粧品を安売りすると、
とたんにメーカーから出荷停を食らうことになる。
////////////////// クレスト社発行 ///
81 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/04/29(金) 18:28:05
/// 時代遅れの薬事法 12 /////////////
「魔除け」の知恵
城南電機とほぼ同時期に、国産化粧品の安売りを始めたディスカウント・ストアの
河内屋さん(東京都江戸川区)の場合も、そうだった。
メーカーの言い分はこうだ。
「河内屋との間に結んだ販売契約には、化粧品は対面販売で売ることになっている。
ところが、コスト削減のために、河内屋は販売員を置かずに売っている。また、
河内屋には一般客のほかに、安い化粧品を求めて同業者が来ている。ほかの業者に
卸売りしてはいけないという約束違反だ。だから、出荷停止にする」
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
82 :
アポロン:2005/04/29(金) 18:32:57
「消費者」の大半は「非常に貧乏」なはずである。
だから「ダイエー」などで「安いコメ、安い食パン、安いインスタントラーメン、
安いキャベツ、安いダイコン、安いモヤシ、安いニラ、安い卵、安い小魚、安いコーヒー、安い
牛乳」などを売ってあげるべきだ。
「安い小型テレビ」や「安い薬」なども喜ばれるだろう。
83 :
アポロン:2005/04/29(金) 18:38:43
「安さ」といっても何も「高級車フェラーリ」まで安くする必要はないのである。
あくまで「あまりおいしくないコメ」とか「消毒薬」とか文字通り「貧乏な
庶民の主食、生活必需品」だけだ。
こうした「貧乏庶民の主食的な商品」に関しては「消費税」を「撤廃」してもいいと思う。
例えば「乗り物」でも「庶民が近所のスーパーに買い物に行く程度のママチャリ」や
「ラーメン屋が出前で使うホンダスーパーカブ」なんかに限り「消費税ゼロ」にするのだ。
84 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/05/01(日) 19:52:40
/// 時代遅れの薬事法 13 /////////////
販売契約を盾にこういう手段に出られてはかなわないから、どこも化粧品の
安売りをしないのだ。
しかし、わが城南電機とメーカーの間には、販売契約などない。だから、
大手を振って安売りしていいのである。
とはいえ、せっかく苦労して仕入れた商品を買い占められるのも剛腹だ。
そこで私は一計を案じて、公正取引委員会に一札入れてもらって、これを
「魔除け」にすることにした。
早速、公取委に出向いて、「再販指定外の商品を安売りしようと思うのだが、
これは悪いことでありましょうか」と、担当者に確認した。
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
85 :
アポロン:2005/05/01(日) 20:04:45
「ダイエー」は昔は「主婦の友」とか言ってたじゃないか、
今こそ「負け組の友」という看板を掲げたスーパーよ出現せよと
言いたいぞ。
86 :
アポロン:2005/05/01(日) 20:15:06
将来「食料危機、資源危機」になったら、「消費者」に「食べれる草、クロレラ、
海草」なんかを「準主食」として提供する必要性も出てくるんじゃないかと思う。
さすがに馬じゃないから、草をそのまま食うことはできないだろうが、「オカズのり」
みたいにオカズになる味にしたり、お菓子味にして提供したらいいのではないか?
あと「コメとたくわん」があれば、とりあえず「餓死」からは多くの人が救われるはずだ。
87 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/05/03(火) 19:43:27
/// 時代遅れの薬事法 14 /////////////
もちろん、こんなことは公取委に行かずとも、分かりきったこと。公取委の
人も「何を今さら」という顔をしていたが、それでも「それは問題ありません」
と答えてくれた。
まあ、これは言ってみれば、お祓いの儀式のようなものである。こうして
公式見解を引き出すことで、安売りをしてもいいという公取委のお墨付きを
もらったようなものだし、また、メーカーの連中はこれを見て、「下手に城南電機を
いじめたら、すぐに公取委に訴えるに違いない」と震えあがったはずである。
こうした私の行動を見て、「宮路は、役人許すまじと公言しているのに、いざと
なったら役人に頼るのか」と言う人もいるが、そんな悪口など私は全然気にしない。
////////////////// クレスト社発行 ///
88 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/05/05(木) 20:33:25
/// 時代遅れの薬事法 15 ////////////////
私にとって、大事なのは、「どうしたら一円でも安く、いいものを消費者に
提供できるか」であって、そのためにこうして日夜、知恵を絞っているのだ。
だから、安売りのためだったら、役所でも何でも利用する。第一、ちゃんと
税金を納めている国民が、役所を利用して、どこが悪いというのだ。
公取委におもむいたときには、社会党の三重野栄子議員に同行していただいた。
これも似たような理由からである。
国会議員はわれわれの代表として選ばれた人たちである。困ったことに
なったとき、頼って悪い道理はない。しかも、どこかの談合組織のように議員に、
賄賂を贈って頼んでいるわけではない。
三重野議員は「化粧品の価格自由化は大いに賛成」と自主的に同行して
くれたのである。
/////// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
89 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/05/07(土) 19:23:25
/// 時代遅れの薬事法 16 /////////////
道はかならず拓ける
こうしたトラブルがあったせいで、予定より二ヵ月ほど遅れはしたが、九三年六月
一日より、城南電機三鷹店の四階で、化粧品の安売りがスタートした。資生堂、
カネボウ、コーセーといった国内ブランド品は、すべてメーカー希望小売り価格の
二二%引き、海外の有名ブランド品は、三〇〜五〇%引きである。
この安売りの意図を理解してもらうために、私は店頭にはこんな貼り紙をした。
〈消費者の皆様方へ
再販制度はメーカー保護のものであり、消費者には、何のメリットもありません。
自由な競争こそ、消費者利益につながります。
当社では、メーカーの圧力に屈する事なく薄利で販売いたします。
お客さまのご支援のほど、よろしくお願い申しあげます〉
////////////////////// 1994年刊 ///
90 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/05/09(月) 19:54:07
/// 時代遅れの薬事法 17 /////////////
新聞やテレビで大きく報道されたことも手伝って、消費者の反応は上々だった。
化粧品コーナーは、平日でも昼間から女性客があふれている。「やっぱり、みんな
安い化粧品を待っていたんだ」という思いを強くした。
当然、売上げも順調に伸び、最初の一ヵ月でおよそ一億円。家電が六店舗
合わせて九億五〇〇○万円だから、域南電機全体の売上げのうち、一割以上を
化粧品が占めることになったわけだ。
もちろん、城南電機ではデパートのようにイメージを重視した売り方はしていない。
きれいなショーケースにも入っていないし、対面販売による丁寧な説明もない。
城南電機で売る家電と同じように、たくさんの商品を無造作に並べてあるだけだ。
////////////////// クレスト社発行 ///
91 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/05/11(水) 20:30:13
/// 時代遅れの薬事法 18 /////////////
それでも女性は、喜んで安い化粧品を買い求めてくれる。やはり女性にとって
化粧品は賛沢品などではなく、なくてはならない生活必需品なのである。
安くてよい商品こそが求められていたのだ。
城南電機三鷹店で安売りが始まった数日後、前にも書いたように酒の
ディスカウントで有名な河内屋さんでも、化粧品の値引き販売が始まった。
これに対して、資生堂は河内屋さんに対して出荷停止をするという対抗策を
採ったが、河内屋さんも一歩も引かない。ただちに、公取委に訴えて、資生堂が
公取委の立入り検査を受けるということになった事件は、ご存じの方も多いだろう。
化粧品メーカーに追い打ちをかけるように、この年の九月、東京地裁で「安売りを
したからといって、販売契約を解除するのは独禁法に触れる」という判決が出た
(資生堂VS富士喜本店の訴訟)。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
92 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/05/13(金) 19:41:18
/// 時代遅れの薬事法 19 /////////////
化粧品メーカーの人たちは、ガラガラと自分の足元が崩れていくような
思いだったはずだ。
今や全国各地で化粧品を安売りしようという小売店が現れてきている。
この「安売りの輪」は、どんどん広がっていくだろう。私も微力ながら、それを
お手伝いしたいと思っている。場合によっては、城南電機で仕入れた商品を
回してもいい、と小売店さんに申しあげている。
ともあれ、「化粧品は定価で買うもの」という"常識"は、もう過去のものに
なったのだ。つねづね言っていることだが、あのベルリンの壁でさえ二八年で
崩れた。どんなに強固な壁でも、やろうと思えば、かならず突破する道は
拓けるのだ。
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
93 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/05/15(日) 20:33:57
/// 時代遅れの薬事法 20 /////////////
(2)シール一枚、一〇〇〇円?
高値を生み出す薬事法
三鷹店での好調な売行きを受けて、城南電機では、渋谷店でも化粧品の安売りを
始めることにした。渋谷・宮益坂にある店の八階を化粧品販売コーナーにして、
都心で働く多くの女性に安い化粧品を買ってもらおうというわけだ。
ところが、ここで思わぬ横ヤリが入った。厚生省の指示を受けた東京都衛生局が
「薬事監視指示書」という文書を送りつけてきて、輸入化粧品の販売と陳列を中止
するよう求めてきたのだ。私の売り方が薬事法に違反している、と言うのである。
厚生省が問題にしているのは、「売られている輸入化粧品に法律で決められた
シールが貼っていない」という点だった。これが薬事法違反になるという。
////////////////// クレスト社発行 ///
94 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/05/17(火) 19:36:58
/// 時代遅れの薬事法 21 /////////////
女性ならご存じだろうが、普通、デパートなどで売られている輸入化粧品の
パッケージには、製品の成分や輸入販売業者名を記した「法定ラベル」という
小さなシールが貼られている。
このシールは何のためにあるのかと言えば、「日本女性の肌を守るための
ものである」というのが厚生省の言い分である。人間の体に害のある物質が
入っていてはいけないというわけだ。まことにごもっともな話で、私もその趣旨には
賛成である。
しかし、このシールがあるために、日本の消費者はバカ高い化粧品を
買わなければならなくなっているのだ。世間で言う「非関税障壁」というやつだ。
なぜか。
この法定ラベルを貼ろうと思えば、厚生省に化粧品の成分や製造過程を
詳細に分析したデータを出して、OKをもらわなければならない。
/// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
95 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/05/19(木) 20:55:29
/// 時代遅れの薬事法 22 /////////////
しかし、メーカーにとって、商品の成分データや製造法というのはトップ・
シークレットである。かりに城南電機がパリのシャネル本社に「おたくの口紅の
材料を教えてくれ」とたずねても、おいそれと教えてくれるわけはない。
そこで結局、日本に輸入して厚生省の許可をもらえるのは、正規に契約を
交わしている代理店だけとなる。しかもその多くは、化粧品メーカーの日本法人だ。
もちろん、輸入業者も高価な分析機器を導入し、技術者を雇えば、成分データを
調べることはできるだろう。しかし、それではコストがかかりすぎて、とうてい
商売にならない。
つまり、安売り化粧品の輸入は、この薬事法のために事実上、不可能なのである。
////////////////////// 1994年刊 ///
96 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/05/21(土) 19:43:46
/// 時代遅れの薬事法 23 /////////////
ごくかぎられた代理店しか輸入できないのだから、価格競争など起きる
わけがないのも当然の話だろう。
それでも厚生省は「日本女性を守るためには、少々価格が高くなっても
やむを得ない」と言いはる。
だが、どの化粧品も、その国でちゃんと安全性の審査をパスしているから
製造されているのだ。フランス人が使って安全な化粧品ならば、日本人だって
大丈夫なはずだろう。
そんなに海外の化粧品に不安があるというなら、年間何百万人もいる
海外旅行客が買って持ちかえってくる化粧品も、すべて没収すればいい。
個人が買う化粧品はOKで、業者が輸入するのはダメというのは、実情に
適わない。
////////////////// クレスト社発行 ///
97 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/05/23(月) 21:02:49
/// 時代遅れの薬事法 24 /////////////
ちなみに、ある調査によるとOLの八五%が輸入ものの口紅を使っているというが
(「日本経済新聞」九三年八月二十四日)、日本全体の化粧品販売量のうち、
輸入化粧品のシェアはわずか六、七%。この二つの数字を見ても、いかに多くの
化粧品が、海外からの「お土産」として持ちこまれているかが分かろうというものだ。
この薬事法の規制は、作られた当時は意味があったかもしれないが、今や
「百害あって一利なし」である。日本人の健康を守るという建前のため、高いカネを
使わされていたのではかなわない。
結局、今やこの規定は、化粧品の高値安定のためだけに存在しているようなものだ。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
98 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/05/25(水) 20:11:36
/// 時代遅れの薬事法 25 /////////////
抗議用電話の設置
厚生省から販売中止勧告が届いたからと言って、そう簡単に安売りを
止めるつもりはなかった。
第一、法定ラベルを貼らずに売っていたのは城南電機が最初ではない。
今までも、ごくわずかではあるが、ラベルなしの化粧品が売られていたのは、
業界の常識である。これまで、厚生省はそれに対して、何の警告も発していない。
それが城南電機にだけ中止勧告が出るのは、明らかに「見せしめ」のためだ。
城南電機の化粧品安売りは大々的にマスコミでも報じられていたから、
いけにえとしては最適というわけだ。
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
99 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/05/27(金) 21:07:06
/// 時代遅れの薬事法 26 /////////////
ここで城南電機をいじめておけば、ほかの小売店も当分は輸人化粧品の
安売りを考えまいというのが、当局の狙いだろう。もし、ここで引き下がれば、
日本の消費者は高い輸入化粧品を買いつづけなければならなくなる。
そこで私は一計を案じた。
ひとまずは、販売を中止する。ただし、商品の陳列は止めない。
「クリスチャン・ディオール 二〇%OFF」とか「シャネル定価一万五五〇〇円
→ 九八○〇円」といった値札も貼ったまま。
さらに私は、輸入化粧品の陳列棚に次のような貼り紙をした。
////////////////// クレスト社発行 ///
100 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/05/29(日) 20:46:51
/// 時代遅れの薬事法 27 ////////////////
<この商品は販売いたしません。八月二十五日以降
厚生省薬務局から安売りしないよう通知がありました。
もしほしい方は、厚生省薬務局監視指導課長に電話してください。
TEL 三五〇三 − 一七×× カウンターの電話をお使いください>
市価よりずっと安い海外有名ブランドの化粧品が、目の前にズラリと並んで
いるのに、買うことができない。誰だって「え、どうして?」と困惑するだろう。
そこで、「売ってはいけない」と言う当事者の役人に電話して、直接その理由を
聞いてもらおうというわけだ。貼り紙の下には、店の電話機が置いてある。
もちろん、電話代などもらわない。
事情を知らないで化粧品を買いに来た女性たちは、その貼り紙を見て、
みんなびっくりしていた。
///// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
101 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/05/31(火) 20:40:14
/// 時代遅れの薬事法 28 /////////////
それはそうだろう。シール一枚ないために、化粧品を売ってはいけないというのは、
どう考えてもおかしな話だ。実際に受話器を取って、厚生省に電話する女性も多かった。
「どうして買えないんですか」と素朴な疑問をぶつける人もいれば、「私は化粧品が
安く買えればいいんで、そんなシールなんかいらないのよ!」と、憤懣やるかたない
という調子で文句を言う人もいた。聞いている私のほうが驚いたほどの剣幕だ。
予想していたより、ずっと多くのお客さんが電話をかけてくださったのには、私も
正直言って驚いた。
よくアメリカの政治家などは、「日本の消費者は大人しすぎる」と言うが、そんな
ことはない。ただ、その怒りをどこにぶつけていいのか分からないから、黙っている
だけだろう。
たった一枚のシールのために、高い化粧品を買わされていたのだと分かれば、
こうしてみんな進んで抗議してくれるのだ。
////////////////////// 1994年刊 ///
102 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/06/02(木) 19:23:29
/// 時代遅れの薬事法 29 /////////////
「日本の女性が役人を養っている」
こうした騒ぎを聞きつけて、城南電機を取材にマスコミが大勢来てくれた。
驚いたのは、海外のテレビ局や新聞・雑誌社がたくさんやってきたことだった。
世界中から、日本の非関税障壁が問題にされていた時期だったから、「たった
一枚のシールで発売中止」というニュースが注目されたのだろう。そんな中、
あるアメリカの雑誌記者が私に「日本の女性が官僚を養っているわけですね」
と言った。
「面白いこと言うなあ。それ、どういうことや」と聞くと、
「だってそうでしょう。城南電機で買うと二五〇〇円の口紅が、デパートでは
五〇〇〇円で売られている。その違いは小さなシール一枚だけ。つまり、
消費者はシール代に二五〇〇円も払ってることになりますわ」
////////////////// クレスト社発行 ///
103 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/06/04(土) 20:35:14
/// 時代遅れの薬事法 30 /////////////
シール代一枚二五〇〇円というのは、ちょっと単純すぎる計算だ。デパートでの
販売には美容部員の人件費などが余計にかかっている。
「だが、それでもシール一枚一〇〇〇円はする勘定になる」と、その場で
暗算して記者に教えてやった。
「二五〇〇円にしろ、一〇〇〇円にしろ、こんな高いシールを貼らせているのが
厚生省の役人であるとすれば、誰だって、このカネの一部が彼らに流れていると
思いますよ。だから私は"日本の女性が役人を養っている"と言っているんです」
なるほど言われてみれば、そのとおりだ。役人が化粧品の輸入代理店から
賄賂をもらっているとは私も思いたくないが、たしかに疑われてもしかたない状況だ。
厚生省は、諸外国の人たちが、そういう目で見ているのを分かっているのだろうか。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
104 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/06/06(月) 21:16:39
/// 時代遅れの薬事法 31 /////////////
「落としても、音のしないカネ」
私が早速、"シール代の謎"を調べようとしたのは当然のことである。
ところが、調べれば調べるほど、謎は深まるばかり。一〇〇〇円がどこに
消えたのか、さっぱり分からないのだ。
ある輸入業者がこっそり教えてくれたことによれば、シールを貼るのに必要な
経費は、わずか七〇円だという。どこをどうやっても、一〇〇〇円には届かない。
厚生省の薬事部長に会ったときには、こういう聞き方をした。
「石を池に落とせば、ザブンと音がします。おカネだって落とせば、チャリンと音が
する。でも、この一〇〇〇円のシールだけは音が聞こえてこない。いったい、
この一〇〇〇円は、どこに消えてしまうんです?」
部長さんは「うーん」と捻ったきり、黙りこんでしまった。
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
105 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/06/08(水) 21:06:40
/// 時代遅れの薬事法 32 /////////////
この返事を聞いて、私は販売再開を決意した。
たしかに、不合理とは言え、薬事法も法律である。それに従わずに、シール
なしの化粧品を売っている私は犯罪者ということであろう。
だが、そんな私を摘発するというなら、まず、なぜシール一枚が一〇〇〇円も
するのか、という理由を国民の前で、きちんと説明するのが筋というものだろう。
それをやる気がないのなら、こちらも販売を中止するいわれはないというものだ。
ちょうど、店に来たお客さんにお願いしていた「薬事法早期改正を求める署名」が
一万人分になっていたので、それを、当時の細川総理大臣あてに提出して、
四ヵ月ぶりに販売を再開することにした(ちなみに、このときの仲介役を買って
出てくれたのは、新生党の広野ただし議員であった)。
////////////////// クレスト社発行 ///
106 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/06/10(金) 20:31:40
/// 時代遅れの薬事法 33 /////////////
シールなしで商品の安全性を保証する
先ほどから言っているように、薬事法は消費者に対する商品の安全性を
問題にしている。
もちろん、私も商品を販売している以上、最悪の事態を考えて、安全性に
ついて配慮しなければならない。
そこで私は、城南電機で扱っている化粧品に損害保険をかけることにした。
もし、うちで購入した化粧品を使って、肌あれなどの被害がでたら、五〇〇万円
まで補償できるというものだ。法定シールがあっても、それで事故が起きたときの
補償を国がしてくれるわけではない。それに比べれば、こちらのほうがずっと
良心的というものだ。
//// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
107 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/06/12(日) 19:00:05
/// 時代遅れの薬事法 34 /////////////
何度も言うように、薬事法違反は覚悟のうえである。それに、たとえ刑務所に
入ることになっても、それがきっかけになって議論が起こり、薬事法の改正に
拍車がかかるということになるかもしれない。ものは考えようである。
おまけに刑務所と言ったって、せいぜい二年ぐらいの話だ。その間、メシも
食えるし、寝床もある。病気になれば医者だってつけてくれるだろう。
私の場合、むしろシャバにいたほうが、強盗にあったり(私は仕入れのために
何千万円もの現金を持ち歩いているから、何度も襲われている)、嫌がらせを
されたりして、危険なぐらいなのである。
まぁ、おそらく、厚生省もそう簡単に私を刑務所に入れるわけにはいかない
だろう。お役人も馬鹿ではない。自分たちと宮路のどちらが正論を言っているか
うすうす気がついているはずである。
//////////////////////// 1994年刊 ///
108 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/06/14(火) 20:24:06
/// 時代遅れの薬事法 35 /////////////
「女性は高いのがお好き」!?
読者の中には、「これだけ薬事法には問題があるのに、どうして日本の
マスコミは今までそのことを報じなかったんだろう」と不思議がる人もいることだろう。
一〇〇〇円のシールの話にしたって、もっと調べれば、いろいろ面白いことが
出てくるのではないか。そんなテーマを採りあげないというのは、たしかに
報道機関として失格である。
それでもマスコミが動かないのは、化粧品メーカーを怖がっているからでは
ないだろうか。新聞、雑誌、テレビといったメディアは、どこも大手の化粧品
メーカーを重要なスポンサーにしている。そのスポンサーを糾弾すると、広告が
もらえなくなってしまうわけだ。役人ばかりか、マスコミまでメーカーと持ちつ
持たれつの関係になっている。これでは消費者はたまらない。
////////////////// クレスト社発行 ///
109 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/06/16(木) 20:12:00
/// 時代遅れの薬事法 36 /////////////
振り返ってみれば戦後五〇年間、日本人は役人の言うことに逆らわずに
暮らしてきた。「お上」の言うことは絶対で間違うことなどない、役人にまかせて
おけば安心して生活できる、と思いこんできた。
ところが、その役人たちは消費者の生活など、これっぽっちも考えていない。
自分たちの権限や地位を守ることで精一杯なのだ。
その証拠に、こんな役人がいた。私が厚生省に電話して、化粧品の
定価販売に文句を言うと、その役人はこんなふうに答えたのだ。
「日本の女性は、高い化粧品を定価で買うのが好きなんですよ」 − 。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
110 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/06/18(土) 21:16:53
/// 時代遅れの薬事法 37 /////////////
これほど庶民をバカにした連中に、世の中が牛耳られていたのかと思うと、
本当に情けない。
たしかに消費者の中には、値段が高ければ高級だと思って、安心している
人も少なくないだろう。でも、それはこれまでメーカーや役人たちが「化粧品は
高いもの」という間違った"常識"を押しつけてきたからではないか。今、
城南電機に来ているお客さんを見れば分かるように、みんな安い化粧品を
求めているのだ。
それを「女性は高いのがお好き」とは何事か。こんな役人がのさばって
いるかぎり、日本は消費者が安心して生活できるような国にはならないわけだ。
・・・・・
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
111 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/06/20(月) 19:33:52
112 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/06/22(水) 20:51:32
/// 失敗だらけの下積み時代 1 ////////
「役人といかに喧嘩するか―消費者の声にこそ、“正義”はある」
宮路 年雄著 クレスト社 1994年6月発行 より
・・・・・
第三章 失敗だらけの下積み時代 − 私は二つの会社を潰した"馬鹿息子"だった
(1)国鉄で見た「お役人体質」
わが「現金商売」の原点
厚生省や食糧庁との喧嘩で苦労はしているが、おかげさまで城南電機は、
たいへん業績好調である。この何年間か、城南電機の業績は前年比一〇〇%増し
という数字をマークしてきた。
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
113 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/06/24(金) 20:31:35
/// 失敗だらけの下積み時代 2 ////////
不況で苦労している企業は多いと聞いているが、私のところのように価格で
勝負しているところには、景気の影響はほとんどない。むしろ、不況のほうが
お客さんは来てくれる。
といっても、安ければ何でも売れるわけではない。最近の消費者はみな眼が
肥えているから、たとえ安くても質が悪い商品ではだめだ。質がよくて、しかも
安い商品でないと売れないという傾向がはっきりしている。城南電機が長年、
「いいものを安く」と頑張ってきたのは間違いではなかったと、つくづく思う。
////////////////// クレスト社発行 ///
114 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/06/26(日) 20:15:48
/// 失敗だらけの下積み時代 3 ////////
それで、最近ではいろんな方から「宮路は商売上手だ」などと褒められたり
するようになったが、私はそんなとき、「会社を二つも倒産させてきたから、
多少は賢くなったんでしょう」と答えている。
その倒産のさせ方にしても、本業を忘れ、道楽をやりすぎて潰してしまった
のだから、私はまったくひどい経営者だった。そんな経験をしているから、
根っからのオッチョコチョイでも、何とか道を踏み外さずにやっていられるのだと
思っている。
そして、この二回の倒産のときに、馬鹿な息子に呆れ果てながらも、その
尻拭いをしてくれた親や親戚があったからこそ、今の城南電機があるのだ
とも思っている。
/// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
115 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/06/28(火) 20:36:45
/// 失敗だらけの下積み時代 4 ////////
私の実家は、和歌山県日高郡というところで材木商を営んでいた。私は
この家の次男坊として、昭和三年(一九二八)八月二十日に生まれた。
材木商というのは、山の立ち木を見て、「ひと山いくら」という計算で原木を
仕入れる商売である。子どものときに何度か父親について山に行ったことが
あったが、いい原木があれば、その場で買い値を出し、先方がOKと言えば
即金で払う、という度胸の要る仕事だ。
////////////////////// 1994年刊 ///
116 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/06/30(木) 19:35:13
/// 失敗だらけの下積み時代 5 ////////
今の私が、あくまで現金商売にこだわっているのも、幼い頃から、こうした
父の商売のやり方を見ていたことが、大きく関係していると思う。
父親の経営する宮路材木店は、多いときには五〇人の人間を雇っていた。
相当、手広く商売をしていたようで、暮らし向きもよかった。
こういう環境で育った次男というのは、えてしてロクな人間にならないが、
私の場合も、例外ではなかった。
小さな頃から、遊ぶカネが欲しくて、よく親のタンスを漁っては、隠してある
カネを自分のポケットにつっこんだりしたことがある。
昔の桐ダンスは引出しを開けると、ギィーと音がする。それを音がしないように
開けるのには、苦労した。右の端、左の端と少しずつ交互に引っ張るのが
コツだった。
////////////////// クレスト社発行 ///
117 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/07/02(土) 20:36:26
/// 失敗だらけの下積み時代 6 ////////
“だるまの絵”で大失敗
当然のことながら、小学校でも悪さばかりをしていた。
小学校時代の六年間、担任をしてくださったのは森本重子先生という人だったが、
当時の私にとって、森本先生は、尊敬の的というより、いたずらの的だった。
今の小学生は、もうやっていないだろうが、黒板消しを教室の扉に挟んでおくのは、
初歩の初歩である。
森本先生がトイレに入るやいなや、外の汲み取り口に行って、そこから長い棒を
突っ込み、先生のお尻の下でクルクル回して喜んだりした。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
118 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/07/08(金) 19:22:48
/// 失敗だらけの下積み時代 7 ////////
こんなことばかりをしていたので、もちろん勉強のほうは、からっきし
できなかった。算数だけはわりと好きだったが、当時の小学校で算数が
できたといっても、知れたものである。
小学校を卒業後、私は県立の工業学校 ―現、和歌山工業高校― の
機械科に進学した。
工業学校は和歌山市内にあったので、私は下宿生活を送ることになった。
親もとを離れて暮らすのは初めてのことだから、気が緩む。それに下宿では、
自分の下着ばかりか先輩の下着までも洗わねばならない。当時は、
そういうのが当たり前だった。 もともと勉強ができるほうではなかったのに、
こういう生活を送っていたから、当然、学校の授業には身が入らない。
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
119 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/07/11(月) 20:05:46
/// 失敗だらけの下積み時代 8 ////////
だから、進学して最初の試験のときには、すでに私は「落ちこぼれ」に
なってしまっていた。
試験の終了時間はどんどん迫ってくるが、一問も解けない。まさに、
手も足も出ない状態だ。
思いあまって私は、この心境を答案用紙に描いた。つまり"だるまの絵"を
描いて、提出したのである。怒られるのも承知のうえだが、やけくそだった。
当然、「職員室に来い」と呼び出された。大目玉を食らう覚悟はできている。
担任の先生は「おまえ、何でこんなもの描いたんだ」と聞いてくる。正直に
「問題がむずかしくて、手も足も出ないという意味で、だるまの絵を描きました」
と答えた。
////////////////// クレスト社発行 ///
120 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/07/14(木) 21:13:30
/// 失敗だらけの下積み時代 9 ////////
強烈なカミナリが落ちるものと思って下を向いていたら、「よく、思いついたなあ」
と逆に褒められてしまった。たしか、点数も六〇点ぐらいくれたと思う。昔は
こういう人間味ある先生がいたのである。
ところが、そんな先生の温情も分からずに、私は自分の思いつきに有頂天になった。
反省もせず、「これは使える」と思った私は、次の試験にも同じ手を使ったのだ。
今から思えば、何と馬鹿なことをしたのかと、われながら情けない。
もちろん、柳の下にドジョウは二匹いなかった。こっぴどく叱られて、脚にゲートルを
巻いたまま正座させられた。ゲートルがぐいぐい脚に食いこむのには、参った。
当然、点数は〇点。
/// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
121 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/07/16(土) 23:02:54
/// 失敗だらけの下積み時代 10 ////////
軍国少年の"夢"
そんなぐあいで、学校ではけっしていい生徒ではなかったけれども、愛国心
だけは人一倍あった。物心ついたときには、日本全体が戦争の真っ只中にいた。
「天皇陛下のために命を捧げる」ことを学校で教えられ、周囲の大人たちも
「鬼畜米英」と叫んでいる。こういう話を真に受けて、私はいつの間にか押しも
押されもしない軍国少年になっていた。
私の夢は立派な兵隊さんになることだった。しかし、いくら食べても、身長が
伸びないのには参った。これでは、軍隊に入ることなど夢のまた夢。
お国のために尽くせない―。
////////////////////// 1994年刊 ///
122 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/07/18(月) 20:25:04
/// 失敗だらけの下積み時代 11 ////////
十代前半私は、真剣に悩んだ。
舞の海というお相撲さんは新弟子検査に合格するために、頭にシリコンを
埋めて身長を高くしたというが、もし当時からその方法があったら、ことによると
私もやっていたかもしれない。
今、城南電機で「消費者のため」と張りきってやっているのは、ひょっとしたら、
この軍国少年時代の「お国のため」という素朴な愛国心の延長なのかもしれない。
「三つ子の魂、百まで」というやつだ。考えてみると、この頃から私はあんまり
精神的には成長してないようである。
////////////////// クレスト社発行 ///
123 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2005/07/18(月) 20:28:06
米と肉の関税撤廃せよ!
124 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/07/20(水) 20:43:23
/// 失敗だらけの下積み時代 12 ////////
このままでは兵役につくのはままならない。何か国の役に立てる仕事は
ないものか夜も眠れないほど考え抜いたが、なかなか思いつかなかった。
思いあまって父親に相談すると、「満蒙開拓青少年義勇軍というのがある。
これに志願してみたらどうだ」と言う。建国間もない満州開拓の中心となる
働き手として、青少年を大陸に送り出すというものだ。なるほど、これなら
充分にお国のために働ける。私は父親の提案に、かなり乗り気になった。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
125 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/07/22(金) 20:55:28
/// 失敗だらけの下積み時代 13 ////////
だが、満州というのは大地も凍りつくような寒冷地である。気温が
マイナス五〇度にもなるというのを友だちから聞かされて、この決意も
たちまち崩れた。寒いのがひどく苦手な私には、とてもじゃないが
務まらないこう自分に言い訳して、止めてしまった。
ただ、今にして思えば、無理をして義勇軍に志願しなかったのは幸運
だったと思っている。満州に移住した人々は、敗戦の混乱の中でソ連の
捕虜となってひどく辛い経験をすることになったと聞いている。精神が
軟弱ゆえに、私は生き延びたとも言える。
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
126 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/07/24(日) 21:03:37
/// 失敗だらけの下積み時代 14 ////////
軍隊なみのしごき
軍隊も満蒙開拓もあきらめて、私は学校の勉強に励むことにした。最初は
大変だったが、努力した甲斐もあって、だんだん成績が上がった。クラスの
中では「中の上」といったところだろうか。
一九四一年十二月、太平洋戦争が勃発した。
私は学徒動員で明石市(兵庫県)にある飛行機部品工場で働くことになった。
ここで一年半ほど働いた。次に移ったのが、運輸通信省、分かりやすく言えば
国鉄である。ここでは機関車の整備をさせられた。
////////////////// クレスト社発行 ///
127 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/07/26(火) 19:26:37
/// 失敗だらけの下積み時代 15 ////////
学徒動員が終わったが、もう世の中は戦争一色で、学校は休校状態。
勉強どころではない。どうしようかと思っているところに、運輸通信省が
職員を募集していることを知ったのだ。
「お国のお役に立つという意味では軍隊と同じだ」と、私は喜び勇んで
国鉄職員になった。
ところが実際に入ってみると、上下関係の厳しさも軍隊なみだった。
私は列車の整備の仕事をしていたのだが、列車を掃除した後、先輩が
見回りに来る。「まだチリが落ちてるではないか」と怒鳴られ、殴られるのは
日常茶飯事だった。
どんなに丁寧に掃除したって、チリの一つぐらいは落ちているものだ。
煙草の火を肌に押しつけられたこともある。きちんと仕事をさせるための
制裁というよりも、いじめること自体が目的なのだ。
/// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
128 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/07/29(金) 21:19:29
/// 失敗だらけの下積み時代 16 ////////
私はその頃から血の気が多かったから、ついケンカ腰になりそうな自分を
抑えるのが、ひと苦労の毎日だった。
そうやって我慢しているから、「どうにかして上を見返してやりたい」という
気持ちは日に日に強くなる。私は、この憎らしい先輩連中をいつか抜いてやると
心に決めた。
勤続年数に差がある以上、普通に働いていたのでは、五年経っても一〇年
経っても先輩は先輩だ。それなら、連中の倍働いて追いつき、追い抜いて見せる。
向こうが一日に八時間働いているなら、自分は一六時間働こう。そうすれば、
相手が五年先輩でも五年で追いつき、六年目には追い抜ける。
////////////////////// 1994年刊 ///
129 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/07/31(日) 20:15:57
/// 失敗だらけの下積み時代 17 ////////
今考えてみれば、子どもじみた理屈だったが、自分自身の中で悔しさを
晴らすには、そう考えるよりほかになかったのだ。実際、私は働きづめに働いた。
普通は八時から五時までが勤務時間だったが、私は朝六時に出勤し、
夜も六時か七時まで働く。有給休暇や正月休みもいっさい取らない。
当時の勤務地は、紀伊田辺機関区で、おもな仕事は機関車の検査や
修理であった。機械科の出だから、技術工になったわけだ。そのうちに、
助役の中西さんや池田さんという人たちに認められるようになって、食事に
誘われたり、自宅に招かれ、奥さんの手料理をご馳走になることも多くなった。
////////////////// クレスト社発行 ///
130 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/08/02(火) 19:23:46
/// 失敗だらけの下積み時代 18 ////////
少しでも早く一人前になりたいと思っていた私にとって、こうした大先輩の話を
聞けるのは、最高の喜びだった。と同時に、働きつづけることが苦ではなくなり、
四六時中、何かしていないと気がすまないという習慣が身についてしまった。
いわゆる "第二の天性" で、これはその後の私の生き方を決定したと言ってよく、
結局、軍隊組織のような国鉄時代が今の私を育ててくれたとも言えるわけである。
さて、先輩を追い抜こうと、やっきになっているうちに、あっという間に一年が
経ち、私は姫路機関区に転勤になった。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
131 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/08/05(金) 22:30:37
/// 失敗だらけの下積み時代 19 ////////
生きているだけで儲けもの
姫路で働くようになった頃は、すでに日本の敗色は濃厚であった。国鉄で
働いていても、身の危険を実感させられるようになった。それまでは、遠い
中国大陸や南方の島々で行なわれていた戦争が、いよいよ本土決戦の
様相を帯びてきた。空を見上げれば、飛んでいるのは米軍の戦闘機ばかり。
日本のゼロ戦など、まったく見あたらない。
仕事で機関車に乗っていて、機銃掃射を受けたのも一度や二度ではない。
あの機銃掃射の恐ろしさは、今の若い人には想像もつかないだろう。まさに、
死と隣り合わせの恐怖感だ。
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
132 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/08/07(日) 21:43:04
/// 失敗だらけの下積み時代 20 ////////
空から銃弾が降り注いできたときは、とにかくトンネルのあるところまで
逃げることを考える。近くにトンネルがないときは大変だ。客を乗せずに
走っているときなら、機関車を止めて線路脇の竹藪に向かって一目散に
逃げこめばいい。
しかし、客を乗せているときは、逃げ出すわけにもいかない。追いかける
ように機銃掃射してくる戦闘機と機関車の競走である。しばらく全速力で
逃げて、急ブレーキをかける。向こうはそう簡単にストップできないから、
そのまま前に飛んでいってしまう。
////////////////// クレスト社発行 ///
133 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/08/09(火) 23:53:10
/// 失敗だらけの下積み時代 21 /////////
もちろん、すぐに戦闘機はUターンして戻ってくる。それでも、もう一度、
攻撃体勢を整えるには、多少の時間がかかる。こちらはそうやって時間を
稼ぎながら、トンネルのあるところを目指して逃げまくるわけだ。
こうして当時のことを思い出してみると、今生きていることが不思議に
感じられる。いつ命を落としてもおかしくなかったのだ。あのとき死んでいたと
思えば、それ以降の人生なんかオツリみたいなものである。そういう意味で、
戦争を体験した人間というのは、それだけで強くなれるのだろう。
///// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
134 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/08/11(木) 21:04:50
/// 失敗だらけの下積み時代 22 ////////
ご存じのとおり私は商品の仕入れのため、つねに三〜四〇〇〇万円の
現金を持ち歩いているから、今までに何度も強盗に襲われた。命の危険を
感じたこともある。それでも、現金を持ち歩くのを止めようとは思わない。
襲われるたびに、周囲からは「社長、危ないから止めたほうがいいですよ。
死んでしまったら元も子もないんですから」と言われる。
だが、今、生きているだけで儲けものなのだから、もう怖いものなどない。
機銃掃射に比べたら、チンピラみたいな強盗なんか物の数ではない。
////////////////////// 1994年刊 ///
135 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/08/13(土) 20:53:33
/// 失敗だらけの下積み時代 23 ////////
進駐軍相手に一稼ぎ
やや話は脱線したが、そうこうしているうちに昭和二十年八月十五日、
日本は終戦を迎えた。
このとき、私は姫路機関区にいた。私は自分の将来を考え直してみよう
と思い、いったん実家に戻った。
これからどうしようと私が悩んでいると、父が「時代は一変した。これからは
誰もが自由になった。お前も汽車が好きなら国鉄に戻れ」と意外な発言をした。
それまで、私は父のことを封建的な人間だと思っていたから、こんなことを
言うとは思いもしなかったのである。
////////////////// クレスト社発行 ///
136 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/08/15(月) 23:05:56
/// 失敗だらけの下積み時代 24 ////////
たしかに、自分は汽車が好きだ。父親の言うとおりにするのは癪に障ったが、
国鉄に戻ることにした。今度の勤務先は、ふたたび紀伊田辺機関区であった。
父親の言うとおり、まさに、時代の大きな転換期だった。戦前、戦中には
想像もつかなかったことが、いろいろと起きた。闇屋がうごめき、繁華街では
パンパン(売春婦)が、虚勢を張ってタバコをくわえながら立っている。どこか
痛々しくもあったが、それは当時の日本人の象徴的な姿でもあった。そして
進駐軍が、わがもの顔で歩く。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
137 :
政・官は儲かる事しかやらない:2005/08/16(火) 07:16:42
政治家・官僚に成る目的は、カネ儲けだからだ
悪徳ドン武見太郎率いる日本医師会=悪徳医師の集団が、莫大な賄賂を贈って作ったのが
医事法・薬事法・健康保険法など一連の悪法だ。医者に成るのに何千万・何億使っても
直ぐに回収出来るシステムを作り上げてしまったのだ
政・官はカネに成らない事はやらない。拉致問題がいい例だ
郵政民営化は、今まで郵便貯金・簡易保険積立金を好き勝手にネコババして来た
反対派から取り上げ様と言うのが小泉賛成派だ。カネの成る木の奪い合いに過ぎ無い
愚かな国民は、自分のおカネ=血税・公的年金積立金・健康保険積立金・介護保険
積立金・郵便貯金・簡易保険積立金などの超巨額のおカネの管理を官僚に100%お任せ、
使い道は政治家に100%お任せで全くチェック放棄
政・官・財の悪徳トライ・アングル泥棒構造は、古今東西永遠不滅
国連もNASAも官僚の代表で、国民の血税を吸い尽くす吸血鬼だ
政・官・財の悪徳トライ・アングル泥棒構造に代わる新しいシステムを発明しない
限り、愚かで哀れな国民の姿は変わらない
138 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/08/17(水) 22:09:54
/// 失敗だらけの下積み時代 25 ////////
日本人にとって進駐軍は、実に不愉快な存在だったが、のちに大阪に
いたころには、この進駐軍相手にずいぶん儲けさせてもらったこともあった。
といっても、アメリカ兵に電気製品を売りつけていたわけではない。彼らが
ふんだんに持っていたタバコを物々交換で手に入れて、それを売ってカネに
したのである。
では、タバコを何と交換したのか。これが、何と女性の腰巻きだった。
赤い腰巻きを差し出すと、代わりにタバコを一〇箱ぐらいくれるのだ。どうして、
そんなものを彼らが欲しがったのか、これは今も、よく分からない。
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
139 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/08/19(金) 21:21:10
/// 失敗だらけの下積み時代 26 ////////
英語ができればよかったのだろうが、私に話せるわけもない。当時の
進駐軍兵士はタバコをタダで軍から支給されていたから、単に面白がって、
日本女性の下着をコレクションしていただけなのかもしれない。
私はそのタバコを、大阪の鶴橋にあった闇市で売っていた。そのうち、何も
腰巻きでなくとも、だいたい、それらしい布であれば、進駐軍の連中はタバコと
交換してくれるのに気づいた。腰巻きのことをよく知らないためなのか、
赤ければ女性の下着と思うのか、風呂敷でも何でもいいと分かった。そこで、
ひたすら私は赤い布を集めてはバラ撒いていた。
////////////////// クレスト社発行 ///
140 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/08/21(日) 18:32:15
/// 失敗だらけの下積み時代 27 ////////////
組合活動に熱中した頃
敗戦は、日本という国の仕組み、そのものにも大きな変化をもたらした。
その変化の中でもいちばん強烈だったのは、軍国主義から民主主義への
転換である。よく言われることだけれど、日本人というのは、一つの方向に
走りはじめると止まらないが、その一方で変わり身も早い。
私自身、かつての軍国少年はどこへやら、「民主主義」という言葉に、
とても魅力的な輝きを感じていた。
日本が戦争に負けたことは悔しかったが、暗い毎日が終わったことで、新たな
希望が湧いてきた。民主主義という言葉は、その象徴のように思えたのだ。
/////// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
141 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/08/24(水) 21:09:33
/// 失敗だらけの下積み時代 28 ////////
民主化の流れの中で、国鉄でも労働組合が結成された。労働者が自分の
生活を守るために団結する − 昔では考えられなかったことだ。
私は、組合活動に熱中した。まだ二〇歳になるかならないか、という若さ
だったが、私は国鉄労働組合、紀伊田辺支部青年婦人部の情報宣伝部長を
務めることになった。かなりの重責ではあったが、組合というものが自分たちに
とって必要なものだという思いが強かったから、苦にもならなかった。
しかし、思い入れはいくら強烈でも、いかんせん組合活動というのは、
誰にとっても初めての経験だったから、いったい何をどうしたらいいのか
最初はまったく見当がつかない。結局、とりあえず、労働組合を日本に
持ちこんできたアメリカ人の手ほどきを受けるしかなかった。
////////////////////// 1994年刊 ///
142 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/08/26(金) 21:11:41
/// 失敗だらけの下積み時代 29 ////////
今の若い人たちのために言っておくと、戦後の日本の組合運動を普及
させたのは、ソ連でも社会党でもなく、GHQ(連合軍総司令部)だった。
あとになると組合は左翼的になっていったけれど、最初は「アメリカ式民主主義」
の象徴みたいなものだったのだ。
今考えると、組合とは何かもよく知らず、「自由だ」「団結だ」と言っていた
のだから、かわいいものである。変なたとえだが、きっと、日本で最初に
野球をやり始めた人たちも、同じように要領を得ない状態だったに違いない。
何であれ、最初にやるというのは大変なことだと、つくづく思う。
////////////////// クレスト社発行 ///
143 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/08/28(日) 19:26:34
/// 失敗だらけの下積み時代 30 ////////
大失敗の「オルグ活動」
さて、組合活動を理解するのにいちばん役立ったのは、占領軍の労働担当が
貸してくれた教育宣伝用の映画フィルムだ。労働者の権利や組合活動の進め方が、
分かりやすくまとめられている。活字で読むとむずかしい話でも、これなら頭によく入る。
まずは私たち役員が、そのフィルムを見ながら講習を受け、また、映写機の使い方も
覚える。そして、このフィルムと映写機を持って各地で開かれる組合の集会に
出かけていくわけだ。まさに草の根的な活動だったが、「自分も日本の民主化の
一翼を担っているんだ」と思えて、誇らしい気分だった。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
144 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/08/30(火) 21:06:19
/// 失敗だらけの下積み時代 31 ////////
そんな勢いも手伝って、あるとき私は父親が経営する宮路材木店に
労働組合を作ろうとした。若気の至りとしか言いようがないのだが、当時は
真剣だった。すべての労働者は団結して闘うべきだと信じていたのだ。
経営者である父親にしてみれば、迷惑な話である。国鉄に戻れとは言ったが、
まさか自分の息子が、そんなことを始めるとは思ってもみなかったに違いない。
それでも私は五〇人ほどの従業員を前にして、「労働者は自分の働きに
見合う生活が保証されるべきだ。カネだって残るようにしなければいけない。
諸君、そんな生活を団結によって勝ち取ろうではないか!」と、威勢よく
アジ演説をぶった。
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
145 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/09/01(木) 21:31:09
/// 失敗だらけの下積み時代 32 ////////
ところが、私の気持ちに反して、みんなポカンとした顔をして聞いている。
それもそうだ。今でこそ都会も田舎も同じスピードで情報が伝わるが、
当時の田舎というのは、圧倒的に世の中の流れから遅れていた。
組合活動の最先端にいた私が、いくら「民主主義だ!」と力んでみたところで、
彼らに通じるわけがない。そんなわけで、宮路材木店に対する私の必死の
オルグ活動も結局、実を結ばなかった。
////////////////// クレスト社発行 ///
146 :
せいじ:2005/09/02(金) 00:03:23
消費税15-20% 食材品0% 移動交通費宿泊費 3-5%
所得税0 が正解
147 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/09/05(月) 21:28:38
148 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/09/06(火) 22:26:40
/// 失敗だらけの下積み時代 33 //////////
なぜ、国鉄から去ったのか
それほど熱中した組合活動だったが、やがて私は組合そのものに疑問を
抱くようになった。労働者が自分の生活を守るために闘うのはいい。けれども、
それがあまりにも自分勝手な方向に走りすぎているように思えたのだ。
自分の生活はもちろん大切だが、国鉄の仕事は自分たちだけのために
やっているのではない。あくまでもお国のためならぬ、国民のお役に立ちたくて
働いているつもりだった。そして、その延長線として、私は組合に力を入れて
いたのに、いつの間にか組合は左翼が牛耳るようになっていたのである。
////// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
149 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2005/09/06(火) 23:50:36
国債が借金であることは事実であるが、それは形式的な議論でのみ妥当
するのであり、国債とは本質的には、総支出(総需要)を調節するため
の手段でしかないのだ (ラーナー『雇用の経済学』第一章)
それはまた、庶民が想像するところの借金とは異なるものである。すな
わち日銀が国債をたとえば、500兆円買取って保有した場合に、その
利息収入は日銀の手にはいるが、その利益は政府に納めなければならず、
単なる帳簿上の債権債務となることから明らかである。
さらに明確に国債の本質をとらえるためには、政府の子会社である日銀
を、年末30日に政府に吸収合併するところを想像すれば良い。そうな
ると国債の債権者が政府となるのであり、債権債務が同一人格に帰属す
ることになり、民法における混同の法理により、債権債務が消滅するの
である。これを借金と呼称することには、いささかの無理があることが
分かるだろうと思う。
http://homepage2.nifty.com/niwaharuki/
150 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2005/09/07(水) 03:02:09
Λ_Λ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ハァハァ (* ´Д`)< どんどんゆかりしてくださいね。
_ (||||__⊂)__ \_______________
/旦/三/ /| (´´
((| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | ))カタカタ ≡≡≡(´⌒;;;≡≡≡
| 目をみはる|/ (´⌒(´⌒;;
ゆかり ズザーーーーーッ
今回の総選挙は郵政民営化選挙だとか言ってるけど、自民党が勝っても小泉さんはあと1年ちょっとで辞める。
もし自民が負けたら、彼は直ぐ辞めると言っている。
どっちに転んでも、間もなく消費税率引き上げ議論が表に出てくる。
民営化賛成票の積りで自民に入れた票も、民営化反対の積りで民主に入れた票も消費税率引き上げ賛成票に変身する。
郵政民営化なんてはっきり言ってどうでもいいが、消費税率が引き上げられたら、
それどころじゃない。平均的な家庭で、50〜60万円の増税になる。
1〜2ヶ月分以上の給料がパー。
そもそも何で増税が必要になったかと言えば、何年か前に高額所得者の累進税率をどかっと下げたので、
それで財政赤字が一層酷くなり、その穴埋めの為に必要になったのだ。
言ってみれば、庶民から取り立てて、金持ちに払うようなものだね。
152 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/09/08(木) 21:05:08
/// 失敗だらけの下積み時代 34 ////////
私が、いよいよ組合活動に嫌気がさすきっかけとなったのは、昭和
二十五年九月、巨大台風が関西地方を直撃したときのことである。
「ジェーン台風」と名づけられたこの台風は、大阪湾に高潮を発生させ、
五〇〇人以上の死者・行方不明者を出した。当然、鉄道網もズタズタ。
国民の生活は大混乱に陥った。
ところが、そんなときに組合はストライキを決行すると言い出した。
私は絶対に反対だった。こんなときに列車を止めたら、ますます国民を
困らせることになる。労働者の闘争というのは、国民に迷惑をかける
ためにやるのではない。台風で混乱しているときにストライキを打つなど、
もってのほかである。
////////////////////// 1994年刊 ///
153 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/09/18(日) 21:02:32
/// 失敗だらけの下積み時代 35 ////////
結局、組合トッブの指令は、アメリカ支配の体制からソ連支配の体制へと
日本を革命しようというものだった。
前から私は、列車を止めてストライキすることや、道路いっぱいに広がって
練り歩くフランスデモに疑問を持っていた。そんな方法で、組合の目的を
達成できるのだろうか。道路も列車も、公共のものだ。道路を占領したり、
列車を止めたりして迷惑を被るのは、何の関係もない一般庶民である。
それに、同じストライキをやるにしても、国民に迷惑をかけない方法も
あるはずだ。
////////////////// クレスト社発行 ///
154 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/09/23(金) 18:43:22
/// 失敗だらけの下積み時代 36 ////////
たとえば、列車はいつもどおりに運行させて、無料で客を乗せてやったら
どうか。これなら一般庶民に迷惑はかからないし、国鉄のほうは列車を動かす
のに経費がかかるうえに料金が入ってこないのだから、困り果てるだろう。
ところが、そんな私の考えに耳を貸す組合員は誰一人としていない。
あくまでもストを行なうと言う。私も役員という立場があるから、正式に決定した
ことに逆らうわけにはいかない。それに、ストに反対して列車を動かそうと
したって、運転手ではないのだから、とうてい無理だ。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
155 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/09/28(水) 23:37:02
/// 失敗だらけの下積み時代 37 ///////////
やむを得ず、私は昼間は組合活動に参加し、夜になってから人知れず機関車の整備
をしていた。ストが終われば、いつでも列車を動かせる状態にしておきたかったので
ある。組合内で、私の評判が悪くなったのは言うまでもない。いわゆる"村八分"である。
この一件で身に染みて分かったのは、国鉄の組合員たちも、やっぱりみんな役人
なのだということだった。本当なら、役人は国民のために一生懸命働くのが仕事である。
ところが、役所(国鉄)は、どんなにストをしたって潰れる心配はない。国民から首を
切られることもない。だから、どれだけ国民に迷惑をかけても平気なのだ。
これでは戦前の軍人と変わらない。軍人たちも国民の迷惑などおかまいなしだった。
そんな役人体質に嫌気がさして、私は組合活動から手を引き、国鉄も辞めることにした。
//////////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
156 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/10/06(木) 22:36:47
/// 失敗だらけの下積み時代 38 ////////
(2)倒産につぐ、倒産
一〇〇〇万円持って、いざ大阪へ
私が組合活動に熱中し、挙げ句の果てに国鉄を辞めてしまったことが
地元の村に知れわたると、母親は、
「近所に風が悪うて(みっともなくて)しようがない。分からんところへ行ってくれ」
と言って嘆いた。村落共同体の意識でひとつになっている地域では無理もない。
時を同じくして、教員をしていた兄も仕事を辞めてしまった。日教組の
メンバーだったにもかかわらず、保守系の議員の選挙活動を支援して、
職場にいづらくなったという。やはり兄弟というべきか。しかし、母親にしてみれば、
そんなことで辞めるぐらいなら、最初から組合活動などしなければよかりたのに
という気持ちだったろう。
////////////////// クレスト社発行 ///
右翼放送局の本領発揮
フ○系列の○本テレビでは、朝からプロパガンダ放送に忙しい様だ。
日本と同時期に総選挙のあったドイツではまだ政権が出来ないのは、比例代表制だから駄目で、日本は小選挙区制だから自民党政権が安定するから良いのだそうだ。
馬鹿言っちゃいけないよ。
自民党政権は安定するかもしれないが、民主主義は不安定になる。それどころか、危うくなる。
丁丁発止の連立交渉が行われている事自体、良いことなんだよ。 それが民主主義なんだ。
一党だけが独裁的な勢力を得たって良い事はない。
小選挙区制じゃないと改革が出来ないみたいなデマ飛ばしていたが、今までドイツはどんどん改革を推し進めてきた。
それをお手本に猿真似して来たのは日本だったんじゃないのか?w
159 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/10/11(火) 21:48:56
/// 失敗だらけの下積み時代 39 ////////
地元にいづらくなった兄と私は、一緒に大阪に出て商売を始めることにした。
昭和二十六年、阪和電機という自動車のダイナモやバッテリーの販売や
修理をする会社を作った。元手は、親からもらった一〇〇〇万円だ。現在の
貨幣価値に換算すれば、何億円にもあたる大金である。
こんな大金をくれたのは、実家がかなりの資産家であったこともあるが、
正直なところ、アホなことばかりやっている息子たちへの手切れ金だった。
つまり、勘当されたのだ。
家を買い、工場を建て、設備機械を入れ、社員も五人ほど雇った。今の
感覚だと、地味な仕事に思えるかもしれないが、最近のクルマと違って、
当時のクルマはよく故障した。仕事はいくらでもある。最初の事業としては
いいところに目をつけたと、私は今でも思っている。・・・・・
/// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
160 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/10/18(火) 22:28:09
161 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/10/26(水) 21:58:05
/// 「安売り王」への長い道 1 //////////
「役人といかに喧嘩するか」―消費者の声にこそ、”正義”はある
宮路 年雄著; クレスト社 1994年6月発行より
・・・・・
第四章 「安売り王」への長い道 − 相つぐ、嫌がらせ、妨害と闘う
(1)家電メーカーとの熾烈な闘い
「未開拓地」に目をつける
こうして、上京した私の頭の中には、ひとつの計画があった。
それは、当時、まだ本格的に家電製品を扱っていなかった大学生協
ルートの開拓である。
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
162 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/11/03(木) 00:06:00
/// 「安売り王」への長い道 2 //////////
いきなり東京で一般客向きに家電を扱おうと思っても、ライバルが多すぎる。
そこで、まだ誰も目をつけていないところはないかそうやって調べているうちに、
大学生協の存在に気がついたというわけだ。ちょうど、都内のいくつかの大学生協が
仕入れ先を一本化し、合理化を図ろうとしていた。このマーケットを活かさない手は
ない。幸い、大学生協には国鉄時代、組合で一緒にやっていた知人もいる。
といっても、いさなり大阪から上京した私と取引きしようという人はいない。そこ
で考えたのは、既存の電気販売店の名義を使うことだった。
すでに大阪時代から東京でも取引きをしていた会社に上野の松坂電機という
会社があった。私はこの会社の名義を使うつもりだった。
////////////////// クレスト社発行 ///
163 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/11/10(木) 21:54:07
/// 「安売り王」への長い道 3 //////////////
この松坂電機は、いわゆるバッタ屋であった。メーカーから直接仕入れて
いるわけではない。おもに、倒産品や質流れ品、また、街の小売店が現金
ほしさに放出したり、ノルマの達成できないメーカーの営業マンが格安で
流してくる商品を扱っていた。
だから、経営状態はけっして安定していない。メーカー・ルートがないから、
つねに商品が不足していたからだ。だから、私が話を持ちかけると、松坂電機は
すぐに乗ってきた。アイデアも資金も私が出すというのだから、当然だ。
////// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
164 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/11/18(金) 22:11:43
/// 「安売り王」への長い道 4 //////////
私の計画は見事に成功した。生協側は、家電製品を扱いたがっていたのだが、
仕入れまでやる気はなかったから、私の提案をすぐ受けいれてくれた。ただ、
ひとつだけ計算が外れたのは、メーカーの説得だった。最初に電話したのは、
東芝の営業部だったが、いくら月に数百万円単位の取引きになるからと言っても、
営業部長さんはなかなかウンと言わない。
////////////////////// 1994年刊 ///
165 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/11/24(木) 22:23:14
/// 「安売り王」への長い道 5 //////////
これはどうしたことだろう − 不安に思いながら話しているうち、「あっ」と
気がついた。
それは「ひょっとしたら、この人は生協をよく知らないのではないか」ということだ。
早速、営業部長さんを大学生協に連れていった。膨大な量の日用品、
文房具が積まれている仕入れ部のようすを見て、彼の目の色が変わった。
「こんなマーケットがあったとは夢にも思わなかった」と驚いている。無理も
ない話だ。今でこそ生協は全国に根を下ろしているが、当時はまだまだ無名に
近かった。
////////////////// クレスト社発行 ///
166 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/12/02(金) 22:04:47
/// 「安売り王」への長い道 6 //////////
東芝がOKを出してくれれば、あとは簡単である。一ヵ月の間に主要一二メーカー
すべてと取引きができるようになった。何といっても、日本は右へならえの国である。
しかも、条件がたいへんよかった。対象は生協の組合員のみ、一般向けに売らない
というので、通常六〇〜六五%の卸値を五〇〜五五%に下げてくれたのだ。これを
生協は定価の七五〜八〇%で売る。松坂電機は五八%ほどで卸して、あとはマージンを
取る。メーカー、生協、松坂電機すべてが潤うシステムになった。もちろん、私も
たいへん儲けさせてもらった。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
167 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/12/12(月) 21:24:48
/// 「安売り王」への長い道 7 //////////
二足のワラジ
実はこの当時、私は二足のワラジを履いていた。ひとつは今書いた生協へ
家電製品を卸す仕事、そして、もうひとつは専属運転手という仕事だ。
この運転手の仕事は上京後、新聞の求人欄を見て応募し、運転手派遣会社に
就職した。最初に派遣されたのは、東京出版信用組合の理事長の運転手と
してであった。一ヵ月の給料は四五〇〇円であったと記憶している。
三〇〇〇万円も持っているのに、この仕事に就いたのには、理由がある。
それは、東京で成功しようと思えば、東京の地理を、まずマスターして
いなければならないということだった。
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
168 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/12/20(火) 23:07:06
/// 「安売り王」への長い道 8 //////////
もちろん、普通に生活していても、何年かすれば、おおよその土地勘は
できるだろう。しかし、それでは悠長すぎる。なるべく短期間に地理を覚える
には、運転手になるにかぎるのだ。
それにタクシーやトラックの運転手と違い、フル・タイムで働くわけではない。
待ち時間は相当ある。これなら、ブローカーの仕事も続けられると踏んだのである。
後年、城南電機をやっていくうえで、この経験は大いに役に立った。たとえば、
店舗を出す場合、最も重要なのは、その土地の人の流れや周辺の環境を綿密に
調べるということである。ここで間違えると、いくら資金を投入してもその店は
栄えない。その点、私は自分の眼でいろんな場所を見ているから、実に助かった。
////////////////// クレスト社発行 ///
169 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2005/12/20(火) 23:44:54
企業の奴隷がそんなに悪いことか?会社は慈善事業ではないのだ。
自由を売り渡して会社の支配下に入ったのだから、
三度の飯を二度に、それでもダメなら二度の飯を一度に、一度の飯をお粥にしてでも頑張ろう。
奴隷は奴隷なりに楽しみを見出しなさい。どこの時代でもみな同じことである。
時代は変わったなんぞは、三流週刊誌の戯れ言なのである。
人生すべてを会社のためにささげるのは当然の義務。 会社員ってのは日本ガンバル教の信者なのだよ。
企業に社員として勤めている以上、 まずは、企業側の論理に合わせてほしいものである。
企業の論理に首までどっぷり浸かって欲しいものである。それがいやなら辞めてもらって結構なのです。
わしは本音を書きこむが、何処の会社のオーナーも皆この考えが本音。
いつの時代も従業員なんぞは、経営者のサジ加減一つでどうにでもなるのだ。
所詮法律なんてのは、大衆を統治する大義名分・隠れ蓑なのである。
法律なんてのは、権力者が大衆を統治するための道具であるのだよ。
労働基準法がどうの、奉仕残業が辛いなどと言ってられないのだ。
「全てをなげうって会社の為に」という奉仕精神の持ち主のみが正社員の資格に値する。
口に出しては言わないが、何処の会社のオーナーも皆この考えが本音。
道具であるからには、権力の都合の良い様に利用されるのが運命なのだ。
経営者のサジ加減一つでどうにでもなるのだ。 日本人は常にお互いにプレッシャーをかけあい、
肩に力を入れて歩み続ける道しか残されておらんのだ。
今の経済力も馬鹿みたいに頑張り抜いたわしら先人達のお陰なのだ。
日本ガンバル教に入信した以上、朝早くから、夜遅くまで働き続けるのが当然の義務なのだ。
奴隷は奴隷なりに楽しみを見出しなさい。どこの時代でもみな同じことである。
時代は変わったなんぞは、三流週刊誌の戯れ言なのである。 人生すべてを会社のためにささげるのは当然の義務。
企業の論理に首までどっぷり浸かって欲しいものである。それがいやなら辞めてもらって結構なのです。
170 :
◆eNpnZ5GHh6 :2005/12/30(金) 18:49:10
/// 「安売り王」への長い道 9 //////////
講談社の社長の運転手として派遣されたこともある。そのほか、一流企業の
役員用運転手としても仕事をした。
運転手とはいえ、東京のトップ・レベルの経営者と日常をともにすることは、
東京という場所での経営スタイルを身近に見ることであり、商売のうえで何を
優先させるべきかが分かり、大いに参考になった。たしかに大阪商人とは
反射神経がまるで違うのである。結局、運転手の仕事は三年間、続けた。
/// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
171 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/01/01(日) 00:52:56
/// 「安売り王」への長い道 10 //////////
「三度目の正直」に賭ける
さて、生協との取引きは順調だった。月ごとに取扱い量も増えている。
この頃、つまり昭和三十年代後半は、家電が売れに売れた時期だった。
掃除機、冷蔵庫、洗濯機といった「三種の神器」だけでなく、蛍光灯、電気毛布、
やぐらゴタツ、そしてテレビが登場し、ベストセラーになった。日本全体が
豊かになり、まさに乾いた砂漠に水が滲みこむように家電製品は普及していった。
だから、生協との取引きが急増していくのも、当然の話だった。
/////////////////////// 1994年刊 ///
172 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/01/08(日) 21:59:30
/// 「安売り王」への長い道 11 //////////
私はこれを見て、「やはり自分の会社を持ったほうがいいかな」と思うように
なった。上京して、まだ一年にもならない頃だ。前にも書いたように、この
取引きは松坂電機を経由する形になっている。当然、松坂電機にもいくらかの
手数料を払っている。
だが、元はといえば、これは私のアイデアだし、それに資金も私が提供
している。やはり、自分の会社を作って、そこから生協に卸すほうがずっといい。
松坂電機は悲しむだろうが、何、それは別の面で便宜を図ればすむことだ。
それについては「当て」があった。生協からの返品を松坂電機に流せばいい。
////////////////// クレスト社発行 ///
173 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/01/17(火) 23:12:07
/// 「安売り王」への長い道 12 //////////
生協との取引きに関して、私はメーカーから「返品なし」ということで仕入れて
いた。卸値を下げてもらう代わりに呑んだ条件である。
ところが、生協からは売れ残りが松坂電機にやってくる。今は数が少ないから、
そう問題ではないが、これから出荷量が増えれば、返品もさらに増えるはずだ。
この返品をさばくには、松坂電機が最適だ。まさか、私の会社でメーカーから
仕入れた商品を返品とは言え、自分のところで売ると問題になる。しかし、これを
松坂電機に流すのは、メーカーもイヤとは言えないだろうという読みがあった。
かくして、私の三番目の会社・信光電機が生まれた。「三度目の正直」になるか、
「二度あることは三度ある」になるか、これからが本当の勝負だ。・・・・・
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
174 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/01/25(水) 22:29:45
/// 「安売り王」への長い道 13 //////////
松坂屋のセールで学んだこと
・・・・・人生とは面白いものだ。
このときの一〇〇〇万円の買い物が縁となって、私は松坂屋の外商課長と
懇意になった。この出会いが、さらに商売を広げるきっかけになったのである。
しばらくして、信光電機から松坂屋に、富士電機のカラーテレビを一〇〇台
卸すという商談がまとまった。富士電機は、今でこそ産業用電子機器の会社だが、
当時は家電製品を生産していたのだ(富士通は富士電機の子会社にあたる)。
このテレビは定価一六万八○〇〇円だったが、私が仕入れた値段は七万
五〇〇〇円。それを松坂屋に七万八〇〇〇円で卸したのである。
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
175 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/02/01(水) 21:12:13
/// 「安売り王」への長い道 14 //////////
松坂屋は定価の半値以下で仕入れたことになるが、私はそれでも「天下の
松坂屋が安売りはしないだろう」と、定価で販売するものと思っていた。当時も、
デパートは定価販売である。
ところが驚いたことに、松坂屋は八万四八〇〇円という値札をつけて、
目玉商品にしてしまったのだ。百貨店が定価の五〇%近く値引きするとは、
当時の常識では考えられないことだ。しかし、そんなことより「いったい、
消費者はどう反応するだろう」というのが気になった。
////////////////// クレスト社発行 ///
176 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/02/14(火) 21:43:49
/// 「安売り王」への長い道 15 //////////////
デパートに来る客は、百貨店というブランドで買いにきているから定価でも買う
というのが当時の見方だった。この破格の値段をデパートの客はどう思うのだろう。
私は朝から売り場に陣取って、成りゆきを観察していた。
すると開店と同時に客が殺到して、三〇分もしないうちに一〇〇台すべて
売り切れてしまったではないか。「これだ」と思った。
価格が安ければ、デパートだろうが何だろうが、消費者は間違いなく飛びつく −
私が最初に家電の安売りを思い立ったのは、つまり、現在の城南電機の設立を
考えたのは、実はこのときの体験からであった。
/// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///////
177 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/02/20(月) 21:55:23
/// 「安売り王」への長い道 16 //////////
ところが、しばらくして意外な事実が発覚した。
松坂屋が調べてみると、そのカラーテレビを買ったのが、みんな富士電機の社員
だったというのだ。そんなに安く売られたのでは今後の商売がやりにくくなるという
ことで、買い占めに走ったらしい。メーカーは断固として、定価販売を維持したがって
いるのだ。
かし、この事実を知って、安売りをやろうという私の決意は、ますます燃えあがった。
安く売れば、消費者は絶対に喜ぶ。それをメーカーが邪魔するとは、とんでもない話だ。
日本は戦争に負けて、自由主義の国になったのではなかったのか私と家電メーカー
との闘いは、そのときに始まったと言える。
////////////////////// 1994年刊 ///
178 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/02/27(月) 21:49:51
/// 「安売り王」への長い道 17 //////////
城南電機の誕生
当時は、家電が今日とは比較にならぬほど高価だった。メーカーはカラーテレビを
一台売れば、社員三人分の給料が出る、と言われていたほどだ。
ごく常識的なマージンしか取っていない卸し専門の信光電機でさえ、かなりの
利益を上げている。もっと大きなマージンを取っているメーカーや一般の電気屋は、
いったいどれだけ儲けているのか。それだけ消費者は高い家電を買わされている
ことになる。
////////////////// クレスト社発行 ///
179 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/03/09(木) 21:42:25
/// 「安売り王」への長い道 18 //////////
やはり卸し専門ではなく、安売りの小売店を持たなければならない、と私は思った。
また、商売としても、充分成り立つだろうという計算があった。
また、ちょうどその頃から、生協からの返品が極端に増え始めた。それまでは
返品は松坂電機に流していたのだが、とてもそれだけではさばき切れなくなっていた。
まさか手元に置いておくわけにもいかないから、もう自分で売るしかなくなったのである。
///////////////////// 宮路 年雄著 ///
180 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/03/19(日) 18:47:32
/// 「安売り王」への長い道 19 //////////
こうして、昭和四十三年、私は信光電機の小売部門として祖師谷(東京・世田谷区)に
店を出すことになった。これが、城南電機の第一号店である。たった一〇坪しかない、
ビルの一階の小さな店だが、記念すべきスタートであった。消費者相手にものを
販売するのは、はじめてのことだ。私は念入りな準備を重ねて、開店の日を待った。
ちなみに、私は今「城南電機の社長」という肩書で、世間では知られているが、
正確に言うと、城南電機という名前の会社は存在しない。現在でも、信光電機の
小売部門の通称にすぎない。
///////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
181 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/03/30(木) 21:57:17
/// 「安売り王」への長い道 20 //////////
大パニックとなった、第一号店の幕開け
そして、開店当日。
私は最後のチェックをするために、朝七時に店へ向かった。ところが、
前日に出しておいたはずの「城南電機」の看板が見あたらない。私は慌てた。
いったい、何があったのか。
とりあえず店内に入って、店長に電話で問い合わせようとした。ところが、
受話器を耳にあててもウンともスンとも音がしない。電話線が切られている。
そのうえ電気も切られていて、照明をつけることもできない。
「やられた」と思った。
///////////////////// クレスト社発行 ///
182 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/04/11(火) 21:47:42
/// 「安売り王」への長い道 21 /////////////
城南電機の開店を迷惑に思っている者の仕業に違いない。家電の安売りがスタート
することは、消費者にとっては大歓迎でも、高い値段で売りつけて儲けている人間に
とっては、何とかして妨害したいものなのだ。実際に営業妨害したのが誰なのかは、
いまだに"藪の中"だが、このことで私の商売に多くの敵がいることを思い知らされた。
そんな波瀾に満ちた出発だったが、事前の宣伝はしっかり行き届いており、安売り
を待ちかねていた人たちが、続々と店に詰めかけてくれた。
看板も電気もつかない開店で、ともすればやる気を失いかけてしまうところだった
が、お客さんが次々と詰めかけてくれたのが、何よりの励ましだった。
やはり、みんな「便利な家電製品は欲しいけれど、高すぎてなかなか買えない」と
思っていたのだ。私の考えは間違っていなかった……。
/////// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
183 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/04/18(火) 22:20:18
/// 「安売り王」への長い道 22 //////////
ところが、初日の閉店後、またまた大変なトラブルが起きた。
社員が帰宅途中に何者かに襲われ、前歯を折る重傷を負ったのだ。これは
ただごとではない。ここまでやるということは、敵も本気で城南電機を潰す気でいる。
翌日からは身を守るために、社員を集団で帰宅させることにした。
当然、警察にも届けなければいけない。そう思っていたら、呼んでもいないのに
警察官が店に現われた。
「さすがに日本の警察は対応が早い」と思って感心していたら、どうも話が違う。
「城南電機は盗品を売っているから取り締まってくれ」という匿名の連絡が
あったので、店を調べに来たというのだ。
/////////////////////// 1994年刊 ///
184 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/04/27(木) 22:36:49
/// 「安売り王」への長い道 23 //////////
私は頭に血がのぼってしまい、警察官を怒鳴りつけた。
店内には大量の商品が山積みされている。これがすべて盗品だと言うなら、かなり
大がかりな盗難事件があったということだ。それほどの事件があったにもかかわらず、
盗品が売りに出されるまで知らなかったというのなら、それは警察の怠慢ではないか。
だいたい、私は正式なルートから商品を仕入れているのだ。何の証拠もなく警察にイ
チャモンをつけられる筋合いはない。
しかも大切な社員が大怪我をしている。店を調べる前に、その犯人を捕まえるのが
警察の仕事ではないか − そんなことを厳しい口調でまくしたてると、警察官は私の
勢いに圧倒されて帰っていった。
//////////////////// クレスト社発行 ///
185 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/05/05(金) 21:12:30
/// 「安売り王」への長い道 24 //////////
味方が多ければ、敵も多い
それでも、敵の妨害は収まらなかった。
私の自宅にも、嫌がらせの電話がひっきりなしにかかってくる。「どういう
つもりで安売りするんだ」とか「このままですむと思ってるのか」という脅しである。
私は身の危険を感じて自宅にも帰れなくなり、二ヵ月もホテル住まいを続ける
ハメになった。
だが、こうした城南電機をめぐる一連の騒動はやがてマスコミに注目され、
国会でも採りあげられるまでになった。単なる個人的な営業妨害ではなく、
何か組織的な力が働いているのではないか、と言うのである。
事実、通産省に対して「メーカーが安売りを妨害するために、暴力団を
雇っているのではないか」という質問も投げかけられた。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
186 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/05/16(火) 21:17:43
/// 「安売り王」への長い道 25 //////////
これがきっかけになったのかどうか分からないが、それ以降下嫌がらせは
少しずつなくなっていった。どんな目に遭ってもあきらめてはだめだ、そのうち
相手のほうが音を上げるはずと思ったのは、間違いではなかった。
実際、多くのお客さんに助けられて、商売そのものは想像以上に順調だった。
すぐ近くに、やはり安売りを看板にした大規模な家電量販店があったのだが、
城南電機が開店して一年半ほどで、店じまいしてしまったほどだ。城南電機の
ほうが、はるかに安く商品を提供していたので、客を奪われてしまったのである。
たった一〇坪の小さな店でも、商売のやり方によっては大型店にも勝てると、
私は大いに自信を持った。・・・・・
////////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
187 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/05/20(土) 20:33:05
188 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/05/25(木) 22:28:21
/// 「安売り王」への長い道 26 //////////
・・・・・
メーカーの出荷停止
こんなことがあったが、城南電機一号店は順調な売上げを記録していた。
「これなら、二号店、三号店も夢ではないな」そう考えていた矢先に、思わぬ
伏兵が現われた。
家電メーカー一二社が揃って、城南電機に対する出荷を停止したのである。
商品がなければ商売にはならない。せっかく軌道に乗りかけていた私の店は、
突然、倒産の危機にさらされることになった。
この出荷停止には、もちろん理由がある。
信光電機が生協に卸すという名目で安く仕入れた東芝の商品を、百貨店に
流していたことがバレてしまったのだ。
/////////////////// クレスト社発行 ///
189 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/06/01(木) 21:38:46
/// 「安売り王」への長い道 27 //////////////
最初に東芝が出荷停止をし、松下がこれに同調した。全一ニ
メーカーが出荷停止するのは、あっという間であった。
もちろん、私としてもルール違反を覚悟でやっていたことではあった。
ただ、百貨店への横流しはメーカーにとって表面上の大義名分に
すぎず、代理店などの圧力により、「城南電機に、これ以上安売りを
続けさせたくない」というのが本音だったのだろう。
さすがに、これには参った。
//////// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
190 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2006/06/04(日) 14:29:39
YOU暇なの?
191 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/06/11(日) 19:49:23
/// 「安売り王」への長い道 28 //////////
ノルマに追われた営業マンが、こっそり私の店に商品を持ちこんでくる
ことはあった。それだけ、メーカーの現場サイドでは、城南電機の販売力を
頼りにしていたわけだ。けれども、その程度では、とてもじゃないが商品が
たりない。
苦慮した末、私は全国の家電販売店の住所を調べ、「現金で商品を
買い取ります」というハガキを出した。一日に四〇〇通ほど出していたと思う。
窮余の一策ではあったが、私の目論見どおり、すぐに全国から反応があった。
////////////////////// 1994年刊 ///
192 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/06/18(日) 20:59:37
/// 「安売り王」への長い道 29 //////////
小売店の中には、仕入れ代金を支払えず、資金繰りに頭を悩ませている
ところが少なくなかった。現金を手に入れるためなら、仕入れ値より安く
商品を処分する小売店もたくさんあるのだ。
商品を安く仕入れるために、私は全国、どこへでも飛んでいった。
前に書いたが、石コロが詰まった箱をカラーテレビとして売りつけられたのは、
このときのことだった。
//////////////////// クレスト社発行 ///
193 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/06/23(金) 22:15:33
/// 「安売り王」への長い道 30 //////////
倒産の淵での大勝負
商品を求めて奔走する毎日が、三年以上も続いた。とりあえず、
目先の売り物は何とか手に入るが、このままでは店の経営が
いつまでたっても安定しない。やはり、メーカーに取引きを再開
させる必要がある。
といっても、謝るわけにはいかない。謝ったが最後、城南電機は
安売りの店ではなくなる。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
194 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2006/06/23(金) 22:22:10
消費者が幸せになるためには、
営業マンに会わないこと。
広告を見ないこと。
195 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/06/30(金) 22:04:41
/// 「安売り王」への長い道 31 //////////
そこで、思いきってメーカー相手に喧嘩をしかけることにした。だが、
一二社全部を相手にしても勝ち目はない。まずはそのうちの一社を
選び、出荷を再開せざるを得ないような状況に追いこむのである。
日本は横並び社会だ。一社が折れれば、他社も追随すると踏んだ
のである。
そこで選んだ"標的"は東芝だった。大メーカーだが、出荷停止の
皮切りをしたのはこの会社なのだから、遠慮することはない。
////////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
196 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2006/07/01(土) 00:24:49
金持ちから税金をたくさん取れば、金持ちは不安を感じて節約するようになります
金持ちが使わなければ社会の活力がなくなります
結局みんなが不幸になる道
共産主義の道です
まさに愚行というべきでしょう
197 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/07/06(木) 21:49:50
/// 「安売り王」への長い道 32 /////////////
作戦の第一段階として、私は東芝の株を買った。こうしておけば、
私は東芝の立派な株主である。株主が、その「持ちもの」である東芝を
怖がる必要はどこにもない、というのが私の理屈であった。
そのうえで、「東芝の製品をすべて定価の四割引で売る」というチラシを
大々的に撒いた。赤字が出ることは覚悟のうえだ。城南電機の明日のため、
もっと大袈裟に言えば、日本の消費者の末来のために闘っているのだから、
目先の赤字になどかまってはいられない。
////////////////////// クレスト社発行 ///
198 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2006/07/08(土) 00:04:52
金持ちは罪人
罪人だから金持ち
悔い改めよ
199 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/07/15(土) 21:47:47
/// 「安売り王」への長い道 33 //////////////
そうやって安売りを続けながら、私はメーカーに対して「株主総会に
出席して、おたくが独占禁止法に違反していると訴えるぞ」とねじ込んだ。
これは、かなり効果があったらしい。メーカーとしては信用第一だから、
そんなことで事を荒立てたくないのである。しかも、大企業とはいえ、
相手は皆、サラリーマンばかりだ。自分の腹が痛むわけではない。大きな
トラブルが起こってはキャリアに影響する。
やがて向こうから「お話しがしたい」と言ってきた。作戦成功である。
そこで、従来どおり城南電機と取引きすることを約束させた。
//////// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
200 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/07/22(土) 22:05:58
/// 「安売り王」への長い道 34 //////////
こうなると、ほかのメーカーも戦々恐々である。「宮路を相手にすると
厄介だ」と思ったのだろう。結局、各社との話合いが進んで、すべての
メーカーが出荷再開となった。
私としては、乾坤一擲、ギリギリの喧嘩だった。ここで負けていたら、
今の私はなかっただろう。
しかし、この喧嘩に勝ったことで、どんな大きな企業が相手でも、知恵と
気迫さえあれば勝てることを、身をもって知った貴重な体験だった。
//////////////////////// 1994年刊 ///
公金横領、歯科医の経費水増し税制、税金の無駄使いやり放題、公務員の給料の取り過ぎで消費税値上げだってぇぇぇ?
頭おかしいんじゃないのw
税収が足りなかったら、高額所得者の所得税の累進税制の強化が先だろw
社会的不公正の増大は犯罪の増加、治安の悪化を招くってあれだけ言っても分からないのか?
202 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/07/29(土) 21:51:27
/// 「安売り王」への長い道 35 //////////
あの手この手
とはいっても、これで「万事めでたし」ではなかった。
出荷停止という極端なやり方はなくなったが、相変わらずメーカーは、
あの手この手で城南電機の安売りを妨害しようとしたのである。
たとえば、昭和四十五年に開いた自由が丘(東京・目黒区)の二号店に
続いて、昭和四十九年に渋谷の三号店をオープンさせたときには、私が
店舗を出そうとしていた空き家の大家さんに、ある家電メーカーが
「自分の会社で使わせてくれ」と強硬に要求してきたこともあった。
////////////////// クレスト社発行 ///
203 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/08/06(日) 22:01:09
/// 「安売り王」への長い道 36 //////////
また、銀行に対して「城南電機に融資しないように」という圧力をかけた
メーカーもあったらしい。しかし、大家さんも銀行の支店長も私の味方
になってくれて、私は無事に渋谷店をオープンすることができた。
ところが、敵もなかなかしぶとい。こんどはメーカーや家電販売店の
連中が客を装ってやって来るようになった。店員に一時間以上もつきまとって
質問攻めにし、本当に買い物に来たお客さんの相手をさせないのである。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
204 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/08/13(日) 21:18:30
/// 「安売り王」への長い道 37 //////////
まったく、ひどい嫌がらせを考えつくものである。そんなことに費やす
エネルギーがあるのなら、もっと本来の仕事に精を出したら、もっと安く
製品が造れるではないか − そう面と向かって嫌味を、言ったこともある。
こうやって悪戦苦闘を続ける城南電機に「神風」が吹いた。
昭和四十八年の秋に起こった第一次オイルショックである。石油価格が
大幅に引き上げられ、それによって物価が異常に上昇していった。
世の中は一転して、不景気になった。中小企業がバタバタと倒産するという
事態が発生した。
///////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
205 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/08/20(日) 19:37:33
/// 「安売り王」への長い道 38 //////////
ところがこの逆風下、城南電機はどんどん売上げが伸びていったのである。
といっても、勘違いしてもらっては困る。物価急騰に便乗して、価格を
吊り上げて、暴利を貧ったわけではない。
たしかに当時は、トイレット・べーパーや洗剤を買い占めて、あぶく銭を
掴もうと企んだ連中がいた。だが、家電は日用品ではない。高ければ、
買わなければすむという商品である。実際このときは、家電製品が値上がりし、
売行きが落ちて潰れる小売店が後を絶たなかった。
//////////////////// クレスト社発行 ///
206 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/09/03(日) 19:53:29
/// 「安売り王」への長い道 39 ///////////////////
"攻め"の姿勢を貫く
では、なぜ城南電機は成功したのか。
それはオイルショックを予見していたからだ − と書きたいところだが、
残念ながら、そうではない。
ただ、オイルショックが起こる半年ぐらい前の昭和四十八年二月頃から、
「この景気のよさは、どこかおかしい」と考え出したのが、人と違った
点だろう。
//////////// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
207 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2006/09/05(火) 00:00:47
相続税はもっと累進的にかけ、
金持ちは一代限りで終わらせなければならない。
私腹を壊さないと、資本主義は駄目になってしまう。
政府は取った遺産を法人で所有させるか、所得再配分にするか、
新規ベンチャーへの資本として有効に生かせばいい。
生まれがどこでも競争が出来る社会にするのが好ましい。
生 活 苦 で 自 殺 し て い っ た 無 数 の 霊 魂 が
そ の う ち 優 雅 に 暮 ら す 金 持 ち を 呪 う の で は な い か
も の を 祖 末 に し て は い け ま せ ん
こ こ ろ を 祖 末 に し て は い け ま せ ん
お 金 を 祖 末 に し て は い け ま せ ん
相 続 贈 与 税 は 生 活 困 窮 者 救 済 の 財 源 に す べ き だ
208 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2006/09/05(火) 00:02:27
相続税は緩和して、 努力して築いた財産や先祖から受け継いだ家は子孫に受け継がせるようにしなくてはならない
私有財産を尊重しないと、資本主義は駄目になってしまう。
庶民は先祖から受け継いだ遺産で家族や親族の仲で困っている人を助けたり、
新規ベンチャーへの資本として有効に生かせばいい。
資産が蓄積されて豊かな国になるのが望ましい。
相 続 税 の 借 金 を 苦 に 自 殺 し て い っ た 無 数 の 霊 魂 が
そ の う ち 人 の 家 産 を 奪 う 貧 乏 人 を 呪 う の で は な い か
も の を 祖 末 に し て は い け ま せ ん
こ こ ろ を 祖 末 に し て は い け ま せ ん
お 金 を 略 奪 し て は い け ま せ ん
相 続 税 す な わ ち 家 産 没 収 制 度 は 廃 止 す べ き で す
209 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2006/09/05(火) 00:54:17
>>208 おまえが死ねば日本は平和になる
今、みんなが苦しんでいる
おまえが死ねば日本は平和になる
今、みんなが苦しんでいる
おまえが死ねば日本は平和になる
今、みんなが苦しんでいる
おまえが死ねば日本は平和になる
今、みんなが苦しんでいる
おまえが死ねば日本は平和になる
今、みんなが苦しんでいる
おまえが死ねば日本は平和になる
お願いですから死んで下さい
210 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/09/12(火) 22:08:30
/// 「安売り王」への長い道 40 //////////
当時は好景気に支えられて、毎年、異常とも言える高率で賃金が上昇
していった。これは物価上昇率が高かったためであるが、世間の人々は、
「いくら物価が上がっても、賃金も上がるんなら、それでいいじゃないか」と、
いっこうに無頓着だった。
だが、私は「なるほど一時的には、それでいいかもしれないが、すぐに
どうにもならなくなる事態が起こるにちがいない」と、確信していたのである。
しかも、そうなれば、今とは比較にならないほど、物価は上がるのではないか
− これが 私の読みであった。
////////////////////// 1994年刊 ///
211 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/09/17(日) 16:59:25
/// 「安売り王」への長い道 41 //////////
そこで私は、手持ちのカネを振り絞って、商品を仕入れた。たりない分は
銀行から借りるという徹底ぶりだった。
ちなみに家電製品は仕入れても、実際に店頭に並べるまではメーカーの
倉庫に置いてもらえるので、置き場所の心配はない。
とくに仕入れたのは、いわゆる季節商品である。冷暖房器具は、ちょっと
シーズンを外せば、かなり安く買える。電気毛布や電気ゴタツは定価の
四〇%程度で仕入れたと記憶している。
そこに、本格的なオイルショックが訪れた。
////////////////// クレスト社発行 ///
212 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/09/24(日) 21:05:01
/// 「安売り王」への長い道 42 //////////
日本中で物価が上がり、当然、家電の定価や仕入れ値も上昇する。
メーカーも必死である。まったく同じ商品を、デザインも何もいっさい
変えないまま値上げする、という暴挙に出る家電メー力ーもあった。
だが城南電機には、物価上昇前に安く仕入れておいた商品がふんだんにある。
ほかの小売店では、どんどん価格を上げざるを得なかったから、ますます
城南電機の安さが人目を惹くようになるわけだ。
不景気で世の中の消費が冷えこんでいたにもかかわらず、私の店だけは
飛ぶように商品が売れていったのには、こういう事情があったのである。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
213 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2006/09/24(日) 21:09:15
214 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/10/05(木) 22:08:13
/// 「安売り王」への長い道 43 ////////////
初心、忘るべからず
しかし、やはり、いいことばかりは続かない。
オイルショックの影響は私の店にも、否応なく波及してきた。物価上昇は
人件費の高騰を招く。城南電機でも社員の給料を上げざるを得ない。
これが、薄利多売の経営を圧迫した。
そして昭和五十二年、私は創業以来、初めての赤字を経験した。
/////////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
215 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2006/10/05(木) 22:27:35
>>209 お前こそ死ね。
この強盗野郎が!
おまえが死ねば日本は平和になる
今、みんなが苦しんでいる
おまえが死ねば日本は平和になる
今、みんなが苦しんでいる
おまえが死ねば日本は平和になる
今、みんなが苦しんでいる
おまえが死ねば日本は平和になる
今、みんなが苦しんでいる
おまえが死ねば日本は平和になる
今、みんなが苦しんでいる
おまえが死ねば日本は平和になる
お願いですから死んで下さい
216 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/10/13(金) 23:12:57
/// 「安売り王」への長い道 44 ////////////
とりあえずは、社員の残業を削ることぐらいしかできなかった。もちろん、
仕事の量そのものは減らないから、その分、社長である私自身が夜中まで
働くしかない。それまで社員にまかせていた配送まで、夜は自分でやった。
それでも、一年間に一五〇〇万円の赤字。商売を続ければ続けるほど、
赤字が累積していくという、最悪の状態である。しかし、城南電機を廃業
させるわけにはいかない。
一生懸命に働いてくれる社員と、その家族の生活のことを考えたら、
そう簡単に商売を止められるわけがない。
///////////////////// クレスト社発行 ///
所得税法施行令による株譲渡益の計算方法はおかしい。
場合によっては利益が出ていないのに利益があったとして課税される仕掛けになっている。
明らかに違法性がある。
早急に改められるべきだろう。
施行令によれば、同じ銘柄を期日を違えて複数口買い、売った場合は総平均法に準ずる方法でやることになっているが、
例えば、A社の株を3年前に100万円で買い、株価が50万まで下がったので50万で買い、55万になったので売ったとする。
そこで5万円の儲けが出る。
4年後100万円に戻ったので100万円で買ったものを売ったとすると、合計5万円の利益となり、それに10%の課税で5000円の税金を払う事になる。
だが、この総平均法を使うと、1回目に売った時は、(100+50)/2=75が取得費となり、20万の赤字になる。
2回目に売った時は、100−75=25万円の利益があったと見なされ、2.5万円課税される。
実際は5万円しか儲かっていないのに25万円の利益があったとして課税するのは明らかに違法である。
改善法としては、
納税者が、一口単位で何時買った株を何時売ったかを帳簿上で自由に選択出来るようにすることである。
そうすれば違法な課税が避けられ、正しい税の徴収が行われる事になる。
総平均法とこの選択法のいずれかを納税者が選べる様にして欲しい。
218 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/10/22(日) 21:46:34
/// 「安売り王」への長い道 45 //////////
私は歯を食いしばって頑張った。どんな商売だって、儲かるときもあれば、
苦しいときもある。ここが踏ん張りどころだと思った。
社長が社員のために頑張るというのは、当たり前のことだ。しかし、私が
少しだけ自慢に思っているのは、けっして守勢に回らなかったということである。
経費を節減し、人員整理を行ない、事業を縮小して、嵐が過ぎ去るのを
待つのが、"常識"なのかもしれない。しかし、当時の私は「少しでも後ろ向き
になったら負ける」と思った。逆境だからこそ、あえて積極的な経営を
目指さなければならないと、心に誓った。
/// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
219 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/10/27(金) 22:47:17
/// 「安売り王」への長い道 46 //////////
だから、いくら赤字が出ても、社員には「利益は二の次でいいから、とにかく
売上げを伸ばせ」と言いつづけた。弱気になってお客さんを手放してしまったら、
商売は下がる一方だ。いったん逃したお客さんは、二度と戻ってこない。
そう信じた私は、それまで毎週七〇万枚出していた新聞のチラシを、
一〇〇万枚に増やした。まったく常識の逆を行くやり方であった。
最近でも、多くの企業では不況対策として「3K(交際費・交通費・広告費)」の
削減を行なっている。経営が悪化すれば、宣伝に使うカネからケチるのが
常套手段なのだ。
//////////////////////// 1994年刊 ///
220 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/11/12(日) 18:53:56
/// 「安売り王」への長い道 47 /////////////
しかし、どうせ赤字なのだから、チラシを減らしたところで焼け石に水だ、
というのが私の考えである。それなら積極的にどんどん宣伝を打って、
お客さんを掴む努力をしたほうがプラスになる。
もちろん、これを貫くのは、大変な苦労だった。相変わらず、メーカーから
の仕入れ値は上がっていた。なるべく安い商品を探す努力はしていたが、
メーカーから直接仕入れるしかない商品も少なくない。
///////////////////// クレスト社発行 ///
221 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/11/26(日) 17:37:45
/// 「安売り王」への長い道 48 //////////
それでも、損は覚悟でメーカーから仕入れた商品を安売りしたこともあった。
こうした努力が実を結び、やがて経営は少しずつ立ち直ってきた。
そしてオイルショックの影響が沈静化してきたときには、それまで以上に
順調に商売が回転するようになっていったのである。
やはり、「安さ」という原点を忘れずに努力を続けたのは間違いでは
なかった、というのが実地に証明されて、ほんとうに嬉しかった。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
222 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/12/10(日) 19:41:35
/// 「安売り王」への長い道 49 //////////
欠陥商品を告発
「消費者一一〇番」
オイルショックの危機を乗り越えて、城南電機の業績は安定しはじめた。
しかし、ここで落ち着いてしまってはだめだ。もっともっと過激にやっていこう
私はこう思った。
安売り店というのは、だいたい最初のうちはそれこそ出血価格で頑張って
いても、だんだん規模が大きくなるに従って、おとなしくなる。
最近は、そうでもないようだが、一時期のダイエーにしても、しかりである。
最初は「主婦の味方」と言っていたのに、気がつくと、デパートなみの価格に
なってしまった。
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
223 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2006/12/14(木) 01:19:44
フランス人と日本人の働き方、休み方
わが国の厚生労働省の推計によると、平均的なフランスの労働者は一年間に
1525時間働くのに対して、日本の労働者は、平均で、1975時間働く
(2003年)。特別ぴんと来ない統計である。ところで、自分自身平均
労働者の立場に立ってみよう。日本人の労働者が一年中必死に働いている時
に、フランスの労働者は450時間ほど休むことになる。450時間はあま
り実感がないが、一週間の労働時間が40時間とすると、実に10週間ある
いは2ヵ月半になる。これは日本の学校の夏休みを超える長い、長い休みで
ある。なぜフランス人はそんなに長い休みをとることができるのだろうか?
あるいは労働時間の統計は本当なのだろうかと様々な疑問が湧いて来る。
まず労働時間の数字が本当かどうかを検討し、その後、その理由を考えて
みよう。
224 :
◆eNpnZ5GHh6 :2006/12/24(日) 18:31:32
/// 「安売り王」への長い道 50 //////////
私のような電化製品にしても、やはり同じだ。城南電機のある渋谷にも、
最近、大手のディスカウント・ストアと称する店が進出しているが、品揃えを
見るとちっとも安くない。安いのは客寄せ用のテープとか電池など、一部の
商品だけである。結局、みんな最初はメーカーと敵対していても、途中から
"なれあい"になってしまうのである。
そこで、私が打ち出した企画は「消費者一一〇番」であった。
欠陥商品や誇大広告など、消費者がメーカーに対して抱いている疑問や
苦情を引き受けるため、昭和五十年に設置したものだ。
////////////////// クレスト社発行 ///
225 :
◆eNpnZ5GHh6 :2007/01/01(月) 00:35:32
/// 「安売り王」への長い道 51 /////////////
文句があるなら直接、メーカーに電話すればいいという"正論"もあるだろう。
だが、一般の人がメーカー相手に喧嘩するのは容易なことではない。向こうは
プロだ。口八丁手八丁で適当に誤魔化されてしまうのが関の山である。しかし
私なら、同じプロとして、メーカーと対等に渡り合うことができる。
それに、消費者から文句が出るような商品を自分の店に置くわけにはいかない。
メーカーのおかげで、城南電機の信用まで失うことになってしまっては、
かなわない。「消費者一一〇番」は、消費者サービスの一環であると同時に、
情報収集の手段でもあるわけだ。
///////// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
226 :
◆eNpnZ5GHh6 :2007/01/07(日) 20:20:49
/// 「安売り王」への長い道 52 //////////
「ジャガイモ広告」の嘘
ただ設置した当初は、消費者よりもメーカーに利用されることが多かった。
ライバル会社を蹴落とすために、メーカー同士がお互いの製品を告発しあったのだ。
自分でマスコミにリークするより、城南電機に教えて問題にしたほうが効果が
あると考えたのだろう。
私としては、メーカーに利用されることに不満な部分もあったが、それが
結果的に消費者の利益になるのなら一向にかまわない。いちばん怖いのは、
不正が放置されたままになることだ、と信じて、あえて拒まないことにした。
////////////////////// 1994年刊 ///
227 :
◆eNpnZ5GHh6 :2007/01/14(日) 19:44:10
/// 「安売り王」への長い道 53 //////////
たとえば、こんなことがあった。シャープの人間から電話があり、「松下電器の
電子レンジのコマーシャルは誇大広告ではないか」と言う。
その頃は、ちょうどシャープが電子レンジのシェアで松下を抜いてトップになった
時期だった。皿が回転するタイプの電子レンジをシャープが初めて商品化し、
これが大人気となったのだ。
そこで、松下が巻き返しを図るために作ったコマーシャルは、皿の上をジャガイモが
歩き回るというものだった。まだ皿の回転する電子レンジを造っていないのに
ジャガイモを歩かせることで、消費者を勘違いさせようと思ったのだろう。
それでシャープから、クレームがついたわけだ。
///////////////////// クレスト社発行 ///
228 :
◆3uKqHuHFMA :2007/01/27(土) 20:53:35
/// 「安売り王」への長い道 54 //////////
私もそのコマーシャルを見たが、たしかに紛らわしい。一般の消費者なら、
これを見て勘違いする人は少なくないはずだ。そこで私は、さっそく懇意に
していた国会議員に相談し、国会で採りあげてもらった。
そして、公正取引委員会から「誇大広告にあたる」という答弁を引き出した
のである。
こんなのは昔の話だ、今ではさすがにやっていないだろうという読者が
おられるかもしれないが、とんでもない。こうした錯覚を起こさせようとする
コマーシャルは、いまだに多い。
//////////////////////// 宮路 年雄著 ///
229 :
◆3uKqHuHFMA :2007/02/10(土) 20:53:37
/// 「安売り王」への長い道 55 //////////
たとえば、これは電化製品ではないが、最近、流行しているパノラマ・カメラ
というのも、そうだ。よく「パノラマと普通の両方を切り替えられる」と宣伝している
カメラがあるが、そうしたカメラのパノラマというのは、単に普通の画面の上下を
カットしただけで、画面自体はちっともワイドになっていない。ところが、コマーシャルで
写される見本は、いかにもワイドな写真が撮れるとばかりに作られている。
さすがにこれは、問題になって新聞でも採りあげた。
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
さぁ、負け組みから高い消費税をふんだくろう!w
奴らバカだから、税の公平な徴収だとか直間比率の是正だとか格差は当然だとか
負け組みは努力不足だとか目的税化するとか言ったり、何かにつけて消費税率が高い欧米を引き合いに出せば、
簡単に操れて、我々金持ちの為に必死に消費税を払うだろうw
しかも、自分らの権利の行使の仕方も知らないから、ただ名前に自由だ民主だと付いているだけで
中産階級でもない貧乏人のくせにせっせと自民党に投票するから何の心配も無いwwww
231 :
◆3uKqHuHFMA :2007/02/18(日) 20:05:48
/// 「安売り王」への長い道 56 //////////
電気代が余計にかかる「節電冷蔵庫」
順序は逆になったが、「消費者一一〇番」 − これを設置するきっかけと
なった出来事について書いておこう。
あれは、オイルショック後の省エネブームを背景に、続々と登場した
「節電タイプ」の冷蔵庫だった。
好意的に解釈すれば、メーカーが社会的な要請に応えるために開発した
ということになるのだろうが、実際は、ブームに乗って消費者に冷蔵庫を
買い替えさせようというのが、メーカーの真意だった。
////////////////// クレスト社発行 ///
232 :
◆3uKqHuHFMA :2007/02/25(日) 20:42:03
/// 「安売り王」への長い道 57 /////////////////
私も最初は「省エネになるのなら、長い目で見れば買い替えても悪くない」
と思っていた。自宅用にも省エネ型冷蔵庫を人れたくらいだ。
ところが、毎月わが家で使う電気代が、前よりむしろ高くなっている気がする。
これはおかしいと思い、きちんとテストしてみることにした。
テストに使ったのは、「節電タイプ」と銘打った日立の冷蔵庫と、「節電タイプ」
ではない東芝の冷蔵庫。
どちらも内容量は一七〇リットルである。一日に一〇回ずつドアを開閉する
という条件で一ヵ月間、それぞれの電気使用量を計測してみたところ、何と
「節電タイプ」のほうが三〇%も多いという結果になった。
/////////// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
233 :
◆3uKqHuHFMA :2007/03/10(土) 21:13:30
/// 「安売り王」への長い道 58 //////////
省エネという社会的要請に応えるどころか、かえって昔の冷蔵庫のほうが
節電になっていたのである。
これは大問題だと思った私は、親交のあった社会党の松浦利尚代議士に
協力をお願いし、各メーカーの担当者を呼んで、テスト結果を突きつけて
説明を求めた。
すると、「そういう実験をすれば、このような結果が出るのは充分承知
しています」と、平然と言う。
「それじゃあ、省エネと偽って売り出したのを認めるわけだな」と聞くと、
「いや、私どもは嘘をついてはおりません」という返事だった。
////////////////////// 1994年刊 ///
234 :
◆3uKqHuHFMA :2007/03/25(日) 20:03:13
/// 「安売り王」への長い道 59 //////////
私たちは、キツネにつままれたような思いだった。
メーカーの説明によると、こういうわけだった。
私たちが実験に使用した冷蔵庫を、その冷却方式で分類すると、旧式のほうは
直冷型、これに対して、「省エネ型」という触れこみの冷蔵庫は間接冷却型
になるのだという。
「たしかに、直冷型のほうが、間接冷却型よりも電気を使わないのは事実です。
しかし、私どもが"省エネ"と申しますのは、以前に造られていた間接冷却型よりも
エネルギーを使わないということでありまして……」
////////////////// クレスト社発行 ///
235 :
◆3uKqHuHFMA :2007/04/18(水) 23:09:12
/// 「安売り王」への長い道 60 //////////
一般の消費者に、そんな理屈が通用するわけがない。すべての消費者が
間接冷却式を利用しているならともかく、二年前に登場したばかりなのだから、
ほとんどの人は、まだ直冷式を使っているはずだ。そこへ人々的に「節電タイプ」と
銘打った冷蔵庫が出てくれば、誰だって「自分の使っているものより電気代が
得になる」と思う、
ところが実際には、現在使っている冷蔵庫を使いつづけたほうが節約できるのだ。
「節電タイプ」に買い替えた人は、完全に騙されたことになる。メーカーは、
それを知りながら、買替え需要を煽ったのである。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
236 :
◆3uKqHuHFMA :2007/04/22(日) 18:52:14
237 :
◆3uKqHuHFMA :2007/05/02(水) 22:32:56
/// 「安売り王」への長い道 61 /////////////
国会で追及
当然、松浦先生はこの問題を国会で採りあげた。冷蔵庫を持っている二八〇〇万
世帯のうち八九六万台が「節電タイプ」に切り替わり、そのために年間一九億
七七〇〇万キロワットの電力、金額にして三三六億円が無駄になったのだから、
国家にとっても大変な損失である。国会で問題にするのも当然だろう。
しかも、松浦先生が調査を始めたとたん、各メーカーとも「節電タイプ」と
書かれた冷蔵庫のパンフレット類をすべて引きあげてしまった。後ろめたい
ところがある証拠である。
教師に叱られてコソコソ隠れる小学生じゃあるまいし、指摘されて止めるぐらいなら、
最初からやらなければいいのだ。
///////////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
238 :
◆3uKqHuHFMA :2007/05/19(土) 20:37:15
/// 「安売り王」への長い道 62 //////////
この追及の結果、通産省も公正取引委員会も、メーカーのやり方が消費者の
誤解を招く紛らわしいものであることを認めた。この話題は、新聞やテレビの
ニュース番組でも大きく報道された。
さらに松浦先生は、間接冷却式になってから、冷蔵庫の保証期間が五年から
一年に短縮されたことにも言及した。間接冷却式に使われているファンが一年
しか保たないため、メーカーはあらかじめ保証期間を短くしたのだ。
これも通産大臣から「問題があるように見受けられる」という答弁を引き出
し、やがて冷蔵庫の保証期間は、従来どおり五年間になった。
「消費者一一〇番」は、この騒動の後すぐに設置されたのである。
////////////////// クレスト社発行 ///
239 :
◆3uKqHuHFMA :2007/06/09(土) 22:04:19
/// 「安売り王」への長い道 63 /////////////
この当時、私は松浦先生とよく組んで、欠陥商品の糾弾をやっていたから、
「宮路というのは、左翼の電気屋か」という風評が立った。
そう買いかぶっていただくのは、まことにありがたい話だが、あいにく私は、
そうした左翼とか右翼とかいう高踏なことは、いっさい分からない。また、
分かろうとも思わない。たしかに、組合運動をやってはいたが、それは共産党や
社会党が入ってくる前の時代である。
メーカーの横暴を許さないという私の意見に賛成してくれるのであれば、
その人がどの党にいるかは、私はまるで気にしない。そういう意味では、
節操がないと言われてもしょうがない。・・・・・
//////// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
▼米国FBIの言論弾圧を弾劾せよ!
米国民主主義に対して第二次世界大戦の戦後審判とはまったく関係なく、新たな主張を行うことにより危険思想保持者と見なし、記事の削除とアクセス禁止による明らかな言論弾圧を行っている。
FBIは、沖縄米軍基地における軍事的弊害説、9.11フリーメイソン陰謀説に対する言論弾圧が認められた。
▽民主主義の国民が防衛理念を含む専門知識に基づいて投票することは有り得ない。
したがって軍事兵器の使用は極めて不明瞭な理由により過ちを繰り返しやすく、軍事的弊害を含んでいると言える。
イラクの軍事支配という中東の混乱により米軍の軍需産業は事実上沖縄にまでこの軍事的弊害を生じさせたのである。
一方、1996年8月28日、最高裁は米軍用地の強制使用手続きをめぐる代理署名訴訟で、米軍基地への土地提供を定めた米軍用地特別措置法は憲法に違反しないという判決を下した。
この米軍用地特別措置法は同盟上の米軍の軍需産業を容認するものであるが、前述した沖縄の軍事的弊害とは、似て異なるものであり、両者を民主主義において憲法上合法とすることは不当な判決であると言わざるを得ない。
▽米国同時多発テロ9.11は、事実上米軍のイラクでの軍事活動を正当化せしめたのであり、数十万の身体障害者を含む戦争犠牲者を齎した。
そして、ブッシュ政権はイラクの民主化に必要な要件を満たしていないばかりか、フリーメイソンの教義に含まれる虐殺思想の終端と軍事経済破綻を防ぐべく水面下での隠蔽工作をしたかの如き示唆を繰り返しているのである。
なぜならば、米国の権威は少数民族を虐殺したことにより維持されてきたからであり、この戦争利権を維持するために大規模なテロ事件を通じて米国民を洗脳する必要があったと言えるからである。
つまり、戦争の可否は国民洗脳により誘導された似非民主主義的な判断に基づくものである。
241 :
◆3uKqHuHFMA :2007/07/01(日) 20:47:23
/// 「安売り王」への長い道 64 //////////
指がちぎれる二槽式洗濯機
・・・・・話をもとに戻そう。
私が「消費者一一〇番」を始めた頃というのは、ちょうど家電業界で欠陥商品が
続出した時期だった。どうしてその時期に集中したのかはよく分からない。
オイルショックの影響が、まだ尾を引いていたこともあるのだろうか。
しかし、どんな事情があろうと、消費者に迷惑をかける商品を世に送り出す
メーカーが許されるはずはない。
たとえば、昭和四十九年には、二槽式洗濯機の使用中に、指がちぎれる
という事故が立てつづけに起きた。この頃の洗濯機は脱水槽のふたを開けても
ドラムの回転がすぐには止まらなかったので、そこに手を入れるとひじょうに
危険だった。二〇秒ほど待ってから洗濯物を取り出せば安全なのだが、
どうしても慌てて取り出そうとする人がいる。
////////////////////// 1994年刊 ///
242 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2007/07/01(日) 20:54:27
まずは消費者の主権で消費税を10%にしよう!
243 :
◆3uKqHuHFMA :2007/07/07(土) 19:36:12
/// 「安売り王」への長い道 65 //////////
もちろん、メーカー側は「注意書きをよく読んでから使えば、事故は起きないはず」
と言う。しかし、実際に事故が起きて、指を切断してしまった人がいる以上、
そんな弁解は通用しないのではないか。もっと注意を徹底させるべきだし、
そもそも事故が起きる可能性のある商品を市販すること自体、社会的な
責任を問われる一大事ではないか。
この洗濯機の件も、いろいろな消費者団体から抗議を受けてから、やっと
メーカーが対策に乗り出した。結局、法令が改正されて、ふたを開けてから
一〇秒以内(洗濯物が入っていないときは七秒以内)にドラムが止まるように
造らなければならなくなったのである。
////////////////// クレスト社発行 ///
244 :
◆3uKqHuHFMA :2007/07/22(日) 21:08:19
/// 「安売り王」への長い道 66 //////////
放射線が漏れるテレビ
この翌年には、カラーテレビの放射線漏れが問題になった。アメリカでは、
松下のテレビが三〇万台も回収を命じられ、カナダでも警告を受けたのだ。
当然、日本でも見逃しておくわけにはいかない。私は、これも松浦先生と
コンビを組んで国会の場に持ちこんだ。
ところが政府は、米国は独自の厳しい基準で検査しているから、日本の
基準には適合しても米国では問題になることがある、と言う。
しかし、基準がどうであろうと問題ではない。日米のプロ野球のストライク
ゾーンの違いについて話しているのではないのだ。アメリカ人にとって危険な
放射線が、日本人には安全だということは、絶対にあり得ない。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
245 :
◆3uKqHuHFMA :2007/07/29(日) 20:46:52
/// 「安売り王」への長い道 67 //////////
より安全な製品を消費者に提供するためには、基準をアメりカなみに
厳しくする必要がある。この問題も、松浦先生の追及によって
「早急に検討したい」という通産大臣の答弁を引き出した。
洗濯機やカラーテレビ以外にも、問題のある商品は次から次へと出てきた。
実際、私の「消費者一一〇番」にもいろいろな情報が入ってきた。
「電気ゴキブリ取りを買ったのに、ちっともゴキブリが取れない」などという
苦情などは、まだかわいいほうである。
しかし、たとえば「日立の乾燥機を使っていたら、火が出た」などという
話を耳にすると、これはただごとではない。すぐにメーカーの人間を呼びつけ、
回収させた。
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
246 :
◆3uKqHuHFMA :2007/08/03(金) 23:03:07
/// 「安売り王」への長い道 68 //////////
また、「ホット・力ーラーに髪の毛が巻きついて取れなくなり、髪を
バッサリ切らなければならなかった」という女性もいた。ヘアスタイルを
美しく整えるために買ったのに、逆にほとんど丸坊主になってしまい、
人前に出られなくなってしまったわけだ。
この人は、一度はメーカーに電話して文句を言ったが、逆に「使い方が
悪いんじゃないんですか」と責任を押しつけられ、相手にされなかったという。
そこで「城南電機なら、何とかしてくれるに違いない」と思って電話を
してきたのだ。
そういうケースは実に多かった。「消費者一一〇番」はメーカーに
軽くあしらわれた消費者にとって、駆けこみ寺のような役割を
果たしていたのである。
////////////////// クレスト社発行 ///
247 :
◆3uKqHuHFMA :2007/08/18(土) 19:56:06
/// 「安売り王」への長い道 69 ///////////////
自ら人体実験をする
「消費者一一〇番」は、それこそ人の命を守ったこともある。
昭和六十年の夏、「消費者一一〇番」に、こんな電話がかかってきた。
「半年ぐらい前、不可解な事故があった。酸素欠乏症で倒れた人がいるのだが、
いくら専門家が調べても原因がはっきりしない。ただ、その家では部屋の中で
石油ファンヒーターを使用していた。それ以外に、どう考えても酸素欠乏の原
因になるようなものは見あたらない。
その人は幸い命をとりとめたが、もし、その石油ファンヒーターが原因だとしたら、
また同じような事故が起きるのではないか。最悪の場合、死亡事故につながる
可能性もある。心配でたまらないが、自分の力では調べられないので、
城南電機で調査してもらえないだろうか」
/////// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
248 :
◆3uKqHuHFMA :2007/09/06(木) 23:13:19
/// 「安売り王」への長い道 70 ////////////
電話の主は、その事故に立ち会ったらしい消防士だった。立場上、名前は
教えられないと言う。私は、そのファンヒーターが三洋電機のものだという
ことだけを確認して受話器を置いた。
「本当だったら、えらいことだ」
私は、さっそく店にあった三洋のファンヒーターを社長室に持ちこんで
調べることにした。
電話の相手を確認できない以上、ライバル会社の人間が嫌がらせのために
デタラメを言っている可能性がないわけではない。いきなりメーカーにねじ込んで、
後で間違った情報だと分かったら、逆に城南電機の信用に傷がつく。まずは
自分で確かめてみよう。
///////////////////////// 1994年刊 ///
249 :
◆3uKqHuHFMA :2007/09/13(木) 23:21:29
/// 「安売り王」への長い道 71 /////////////
閉め切った部屋の中でこの石油ファンヒーターに点火すると、一時間も
しないうちに眠気が襲ってきた。何度か空気を入れ換えて試してみたが、
どうしても眠くなる。別に私が寝不足なわけではない。どうも、おかしい。
さらに本格的に調べようと、私は酸素測定器を借りてきた。
すると、ファンヒーターに点火してから一時間後には、室内の酸素量が点火前の
半分ぐらいまで減っているではないか。これでは眠くなるのも当然である。
そのまま酸素が減りつづける部屋で眠りこけてしまったら、いったい
どうなるか − 想像するとゾッとした。
ところが、テストの結果を三洋に伝えて抗議しても、向こうは取り合おうとしない。
何度も電話をするが、「そんなことはあり得ない」と突っぱねるばかりだ。
////////////////////// クレスト社発行 ///
250 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2007/09/13(木) 23:47:21
うを、誤爆ったorz
253 :
◆3uKqHuHFMA :2007/09/23(日) 22:11:43
/// 「安売り王」への長い道 72 ////////////
そうしているあいだに暖房器具のシーズンが迫ってくる。メーカーのほうは
埒が明かないが、自分の店のお客さんだけでも守る必要がある。そんな危険な
商品を売ってしまったら、せっかく築いてきた信用は水の泡だ。
私は店内に「今年は、三洋のファンヒーターは売りません。当店は人体に
危険な欠陥商品は販売いたしません」という貼り紙を出し、すでに三洋の
ファンヒーターを買ってしまったお客さんに対しては、代金を払い戻すことにした。
二〇台以上も引き取っただろうか。
このようすを知ったマスコミが動いたが、それでも三洋電機は取材を
突っぱねる。
///////////////////// 宮路 年雄著 ///
254 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2007/09/23(日) 22:54:59
255 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2007/09/23(日) 23:33:08
その1
古い経済学者はめちゃくちゃいいますねえ。
その人の妄想によると市場原理というのはわざわざ人と人の間に楔を打ち込むものだそうでww
市場原理とは自由意思の合致に基づく契約で人と人の関係を決めるものですから、自由主義の基礎になるものです。自由な意思による契約や同意がなければ何も強制されないし、
財産を奪われることも無い、
私的な領域に踏み込まれることも無いという考え方です。
つまり、自由主義の基礎的考えであって、人と人の円滑な関係の源になるものです。
これを否定したら自由のない、北朝鮮のような国になります。
ちょっと考えてみればわかることです。
意思の合致によるのでなければどうやって人と人の関係を決めるんですか?
それはまさに国家による管理、強制であって、日本でいえば官僚による規制です。市場原理を否定すれば、富を分配するには上から力で押さえつけて収奪し、
再分配するしかないわけですから、必然的に社会主義は自由の喪失と政府による国民の管理に繋がります。
事実、日本型社会主義の時代、終身雇用が原則であったため一度会社に入ると転職もままならず、個人がそれぞれに向いた仕事に就くことも困難でした。もちろん一度入った会社を追い出されると
再就職は無いので、会社に隷属するしかありませんでした。
閉鎖的で陰湿な社会であったといえるでしょう。
その点、今は転職も珍しくないし、若くても能力上がれば抜擢されます。個人の能力や希望が大事にされている社会といえるでしょう。
市場原理こそ自由の源なのですから、もっとも基本的な原理であって、決して失われてはならないものです。
社会主義系の学者が言うことは恐ろしいですね。市場原理を否定して社会を統合しようなんていってますけど、これって社会主義ですよ。
それに、一部の人が言っている、庶民は税金を払わなくていい、金持ちから搾り取れ、という発想には呆れました。納税は国民の義務であって、金持ちだけの義務ではありません。
256 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2007/09/23(日) 23:35:36
その2
そもそも今でも高所得者は直接税だけで50%も払っているのです。収入が比較的少ないからと言ってほとんど税金を払わないということは大人として恥ずかしくないんでしょうか?
税率はフラットでも金持ちほどたくさん払うのだから、ましてや今のように累進課税になっていると高所得者(能力のある人、努力家)がどれだけ払っているか、少し想像してみるべきでしょう。
金が無いといいつつ自家用車を保有しギャンブルにふけり散々無駄遣いしている自称貧困層も多いのです。そして日本は消費税が安いから無駄遣いした人からたくさん税金を取るシステムになっていません。
国民を税金として努力の果実や資産を奪われる人と奪う側に分けるより、みんなが少しずつ払う仕組みにすることこそ国民の統合を意味します。
分裂をたくらんでいるのは金持ちと庶民という対立軸を作り出し後者が前者から政府を通じて強奪する体制をつくろうとしている再分配派というべきでしょう。
257 :
◆3uKqHuHFMA :2007/10/03(水) 23:28:48
/// 「安売り王」への長い道 73 ////////////
「殺人ファンヒーター」を許すな!
こうなると、もう私だけの力では無理だ。松浦先生に、国会で採りあげて
いただくように、またまたお願いした。
ちょうど、秋田県の生活センターのテストでも、換気を怠ると酸素欠乏を
起こす危険があるという結果が出ていた。
生活センターは「商品カタログを見ると、換気の必要性がひどく小さな文字
でしか書かれていない。中には"浄化によるクリーン暖房"という表示まであり、
消費者に誤解を与えている」と報告していた。
/////////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
258 :
◆3uKqHuHFMA :2007/10/13(土) 21:54:02
/// 「安売り王」への長い道 74 //////////
そんなことを国会で追及している最中、とうとう取り返しのつかない悲劇が
起きてしまった。一酸化炭素中毒で、ほんの小さな子どもが命を落として
しまったのである。
その前から三洋電機に注目していたマスコミが、いっせいに騒ぎはじめた。
メーカーとしても、もう逃げられない。結局、副社長が記者会見をして、
「長時間使用への対策が悪く、欠陥商品と認めざるを得ない……」とコメント
したのである。
翌年の一月には、事故の責任を取って社長が辞任した。マスコミはそのあたりで
追及を止めてしまったが、私はとてもじゃないが納得できない。
社長が辞任しようが何をしようが、亡くなった人たちは返ってこないのだ。
そのときまでに、三洋のファンヒーターは四一人の中毒者を出し、四人の
尊い命を奪っていた。社長が辞任して解決する問題ではない。
//////////////////// クレスト社発行 ///
259 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2007/10/13(土) 22:40:45
アメリカの経済学者ラビ・バトラ博士
「1979年、イランで革命が起こり、パーレビ国王は退位するだろう。」
「1980年からイランとイラクとの間に7年間におよぶ血生臭い
戦争が勃発するだろう。」
「1990年1月から3月の第1四半期の間に東京市場で株価の
大暴落が起こるだろう。」
「どんなに遅くとも2000年までに共産主義は断末魔の苦しい革命を経て
崩壊し、2010年までに資本主義は崩壊する。」
「資本主義の崩壊(世界同時大恐慌)は住宅バブル・原油バブルの2つのバブルの崩壊に
端を発するNY株式市場の大暴落から始まるだろう。資本主義は花火のように爆発する。」
「世界同時大恐慌の入り口は2005年。そして2010年までに
『搾取的資本主義』は崩壊するだろう。」
(大恐慌・資本主義の崩壊によって)
「日本と世界は同時に崩壊する。」
ラビ・バトラ博士の恩師、サーカー師
「共産主義は早死にするだろう。資本主義は爆竹のように弾けて終焉するだろう。」
260 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2007/10/28(日) 15:10:36
今まではゴミみたいな消費者も甘やかし過ぎた!!!!
しかし儲けにならない貧乏客は甘やかすだけ時間と金の無駄!!!
障害者ならともかく健常者の癖に貧乏な奴なんかを甘やかしたら甘え癖がつき世の中ダメになる!!!
これからは貧乏なくせに生意気な客は冷たくすべき!暴れたら通報すべき!!!
じゃないと日本は競争意識がゼロになりダメになる!!!!
そうは思わないか?????
261 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2007/10/30(火) 15:44:30
お客様は神様です
等という言葉は今の世では妄言
262 :
◆3uKqHuHFMA :2007/11/12(月) 22:33:27
/// 「安売り王」への長い道 75 //////////////
再び暖房器具の販売シーズンがやって来た。
城南電機としては、追及の手を緩めるつもりはなかった。しかも、三洋電機の
ファンヒーターの中身が改善されたとは思えなかった。
そこで私は、「人間を殺した三洋電機の商品は仕入れ値が安いけれど、当店では
販売いたしません」というチラシを新聞の折りこみとして、ばら撒いた。
やがて三洋電機から呼び出しがかかった。
もうファンヒーターは人を殺さないから、チラシを撒くのは勘弁してほしい、
と言う。
そこで私は、気になっていたことを尋ねた。犠牲者の遺族と、きちんと
和解したのかということだ。
/////// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
263 :
◆3uKqHuHFMA :2007/11/28(水) 21:25:51
/// 「安売り王」への長い道 76 //////////
ところが、遺族を訪ねても塩を撒かれて追い払われ、話し含うこともできない
と言う。当たり前だ。大切な子どもの命を奪った相手など、顔も見たくないに
違いない。
しかも事故を起こしたファンヒーターは、まだ四〇%ぐらいしか回収されて
いなかった。とても勘弁できる状態ではない。私はチラシを撒きつづけた。
そのうち、向こうも何か手を打たなければならないと思ったのだろう、
説明書に「ファンヒーターを使用中は、三〇分ごとに窓を開けて換気してください」
と明記するようになった。
しかし、これでは根本的な解決になっていない。ファンヒーターというのは、
部屋を暖めるために使うものだ。真冬の寒いとき、三〇分ごとに窓を開けて
いたのでは、いつまでたっても暖かくならないではないか。そんなファンヒーターは、
そもそも暖房器具として用をなさないのである。
////////////////////// 1994年刊 ///
264 :
◆3uKqHuHFMA :2007/12/23(日) 18:51:18
/// 「安売り王」への長い道 77 //////////
役人の"非常識"
こんな騒動から数年たった平成三年、もっと腹立たしい事件が起きた。
創立三〇周年を迎えた日本ガス石油機器工業会の記念式典で、三洋電機の
副社長に通産省生活産業局長賞が与えられたのである。
私は即座に通産省に抗議した。ファンヒーターで四人も殺した企業の副社長を
表彰するというのは、いったい何事か。遺族の気持ちを考えたら、とても
許せる話ではない。
ところが通産省は、すでに被害者との示談も成立しているので問題はない、
などと言う。冗談じゃない。そんな建前の話をしているのではないのだ。
私は激しい口調で、「あんたの息子が殺されても、そこの副社長を表彰するのか」
と言った。そのときの役人の答えは、今思い出してもゾッとする。
//////////////////// クレスト社発行 ///
265 :
◆3uKqHuHFMA :2008/01/01(火) 00:17:03
/// 「安売り王」への長い道 78 ////////////
彼は、平然と「私なら、了解します」と言ってのけたのだ。
本当にそう思っているのだとしたら、人間じゃない。いくら仕事とはいえ、
そんなことを平気で言うような役人には、ただただ呆れるばかりだ。
また、「そんなに文句を言うのは、あなたが表彰してほしいからじゃないんですか。
だったら申請してください」と言った役人もいた。ここまで一般人と感覚が
ズレているとなると、相手をするのも馬鹿馬鹿しくなる。言葉を失って、
溜め息をつくしかない。
役人というのは、国民の税金で仕事をし、給料をもらっているはずだ。
それなのに、メーカーのほうばかりを向いて仕事をしているのでは、「ネズミを
捕らないネコ」以下でないか。
///////////////////////// 宮路 年雄著 ///
おもしろい
267 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2008/01/02(水) 18:22:38
★「生活者・消費者が主役の社会に」福田首相が年頭所感 (読売新聞)
福田首相は1日付で年頭所感を発表した。住宅や食品の偽装事件が相次いでいることを受け、
「今年を『生活者・消費者が主役となる社会』へと転換していくスタートの年にする」と述べ、
現在取り組んでいる行政や法律の「国民の目線での総点検」の結論を出来るだけ早期に
得たいとの考えを強調した。
内閣支持率低下の要因となった年金記録問題については、昨年12月中旬から発送を
開始した「ねんきん特別便」による記録確認への協力を国民に呼びかけたうえで、
「問題の多い年金制度を根本から見直し、これ以上ないというくらい確実な制度へと
改める」と訴えた。
また、環境問題について、「日本は環境分野では世界最先端の技術を有している。
『環境力』は日本が成長していくうえで大きな強みだ」と指摘。そのうえで、今年7月7日から
開催予定の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)を挙げ、「七夕の日には、洞爺湖に
世界の首脳が集う。天の川を見上げながら、きれいな空を子どもたちに引き継ぐために
私たちに何ができるのか、日本が世界の議論をリードしていきたい」と述べた。
[ 2008年1月1日10時55分 ]
268 :
◆3uKqHuHFMA :2008/01/12(土) 19:50:38
/// 「安売り王」への長い道 79 ///////////////
ファジー商品の正体とは
数年前から、家電品名にやたらと"ファジー"という言葉がつけられるように
なってきたのは、ご存じの方も多いだろう。ファジーとつくと何となく機能が
高いのではないかと思うが、これも曲者である。
私はこの"ファジー商品"というものが、いったい従来品とどれだけ違うのか
知りたくて、松下電器の全自動洗濯機をテストしてみたことがある。
この洗濯機には、「汚れを見分けるセンサー」なるものがついている。ところが
実際に洗ってみると、汚れは充分に落ちていないのである。いったい何の
ためにこんなセンサーをつけているのかと不思議に思うくらいだ。
///////////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
269 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2008/01/12(土) 19:57:11
株主資本主義と消費者主権は両立しない。
日本のマックが安売りしたり、店に客用のテレビを置いたりしてる事を、
外人株主は批判している。
ファジーとは機能をあいまいにし
馬鹿消費者を煽りあいまいな購買意欲を持たせるための
あいまいな戦略である
271 :
◆3uKqHuHFMA :2008/02/10(日) 20:39:29
/// 「安売り王」への長い道 80 //////////
このテスト結果を見て、"ファジー商品"に対する私の猜疑心が増していった。
そこで、こんどはファジーの電気炊飯器をテストした。
味覚に関しては、私はちょっとばかり自信がある。若い頃から、旨いものは
人一倍食べてきた。舌はかなり肥えているっもりだ。ダテに会社を潰すほど
遊んではいない。
私は五つのメーカーの炊飯器を自宅まで持ち帰り、わざわざ新潟からコシヒカリを
取り寄せてテストに臨んだ。そして、各社の説明書どおりの水加減で五合ずつ
炊いてみる。
同時にスイッチを入れて炊きあがった瞬間にふたを開けたのだが、どの機種も
ふたの裏側についている水滴がご飯の上に落ちてしまう。これでは水っぽくなってしまい、
味見するには不都合だ。
///////////////////// クレスト社発行 ///
272 :
◆3uKqHuHFMA :2008/03/07(金) 22:19:31
/// 「安売り王」への長い道 81 ///////////////////////
私はもう一度やり直し、炊きあがってから二〇分後にふたを開けるようにした。
こうすると、水滴が落ちない。
五つの機種がすべて炊きあがり、いよいよ試食である。
だが、ここで、いきなり茶碗によそったりしてはいけない。炊飯器というのは、
ふたに近い部分、真ん中、底に近い部分で、それぞれ炊き具合が違ってしまう
ことがある。各部分を比較して味見するため、私は新聞紙を広げて、その上に
釜の形が崩れないようにご飯を載せた。ちょうど、プリンを皿の上に載せるような
感じである。そして、三ヵ所から少しずつご飯を取って食べてみた。
どの機種も、底に近い部分はかなりおいしく炊けている。
しかし、それ以外の部分は水分が多すぎて、軟らかすぎる。どの部分も満遍なく
おいしく炊けていたのは、たったの一つだけ。シャープの熱風釜だけだった。
//////////////// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
273 :
◆3uKqHuHFMA :2008/04/03(木) 21:48:50
/// 「安売り王」への長い道 82 ////////////
洗濯機とは異なり、ほかのメーカーの商品もそれなりに機能を活かし
炊きあがっているが、私が見るかぎり、ファジーという名前で高くなった値段に
見合うものはない、というのが結論だ。
ファジーという言葉は、本来「あいまいな」という意味だそうだ。それこそ、
その意味どおり機能アップは「あいまいな」ものでしかないようだ。
しかし、この名前をつけただけで、メーカーは一万円前後も値上げを
しているのである。"ファジー"という言葉を巧みに使い、便乗値上げをした
メーカーのやり方は悪質としな言いようがない。
/////////////////////////// 1994年刊 ///
274 :
◆3uKqHuHFMA :2008/05/03(土) 21:55:54
/// 「安売り王」への長い道 83 //////////
私のアイデアを実践したシャープ
こういう話をすると、よく人から「宮路さんは、メーカーにとって目の上の
タンコブですね。相当嫌われてるでしょう」と言われる。
たしかに、メーカーを批判ばかりしているので、私のことを嫌っているメーカーの
人間は多いと思う。しかし、中には私のことを信用し、頼りにしてくれる人もいる。
シャープの人間が「野莱室付きの冷蔵庫を造れ」という私のアドバイスを聞き入れ、
実践したところ、それが大ヒット商品になったという話を前に書いたが、そのことが
あって以来、私を見込んでくれたのだろうか、シャープの松野俊一常務が、
私のところによく相談に来られるようになった。当時は、シャープではなく、
早川電機という社名だった頃である。今から十数年も前の話だ。
////////////////// クレスト社発行 ///
消費税で何がいけないかと言えば圧倒的に益税だ。
消費税には、免税点と言うのがあって売上が1000万円以下の店には課税されない。
ところがだ、消費税が導入されてから久しいが、漏れの今まで経験では、消費税を取らなかった店は、
たった2軒しか無い。
一日中閑古鳥が泣いていて、客がいた例がない店でも、ちゃんと消費税を盗る。
売上が1000万円の店では、仮に消費税率が15%になると、150万円の消費税が、
非課税でそのまま店主のポケットに入る。
小売店は笑いが止まらんよ。
そうしてもう一つ重大なことは、クロヨンと言われる脱税慣習だ。
これは、小売店の場合は6割しか申告納税していない習慣のこと。
てことはだ。売上が一億円ある小売店の場合、6000万円しか無かったと申告している訳で、
4000万円に掛かった消費税600万円は非課税でそっくり店主の懐に入る。
この二つを放置したまま消費税を続けることは、社会正義上非常に好ましくない。
恒常的に詐欺泥棒をさせている訳だからね。
コピペうんざり。
277 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2008/06/07(土) 11:09:03
278 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2008/06/22(日) 06:31:59
企業を取りまく顧客、従業員、株主などの中で、今もっとも虐げられているのは株主なんだよ。
日本は昔から”お客様は神様”的思考で、顧客第一主義。また、従業員に対する労働分配率も高い。
それなのに、株主に対する配当性向は国際的に見ても低い上、その配当も二重課税が課されている。
企業は株主への利益配分を高めなければならない。
279 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2008/06/24(火) 23:32:08
まずは簡単に始められる海外マネー撃退法を教えてあげよう。
日本の株式市場に流入している金の約6割が外資マネーということを知っているかな?
平均株価は外資によって維持されていると言っても過言ではない。もちろんこのような状態は
不健全であり、日本の株価は外資の思惑一つで簡単に上がったり下がったりしてしまうのが
現実なのだ。
しかし裏を返して言えば、あなたが株の売買を通じて利益をあげることができたとした場合、
その利益の6割は外資から金を奪うことによって成り立っていると言えるわけなんだ。
もしも君が株で100万円の利益をあげれば、外資から奪い取った金は60万円。
1億円の利益をあげれば、外資から奪い取った金は6000万円。
100億円の利益をあげれば、外資から奪い取った金は60億円にも達することになる。
つまり君が株式市場に参入し、利益をあげればあげるほど、外人投資家がそれに応じた
打撃を被るというわけだ。
君が利益をどんどんあげていけばいくほど、ハゲタカファンドは苦しんでいくんだ。
それがどれほど日本を守ることにつながるか、わざわざ説明するまでもないだろう。
株で勝つ方法は簡単。日経新聞や株に関する雑誌を講読すれば良い。
日頃から情報収集を怠りなくおこなえば、そして外資がすぐには入手することができない情報を
日本の地の利を生かして先に入手することができれば、外資を出し抜いて金を奪い取ることなど
造作もないのだ。
最近は株に投資するなとレスする奴がいるが、そいつは外資のスパイだ。日本の愛国者が株で
外資から金をせしめることを恐れて、外資のスパイが情報工作しているのだ、気をつけろ。
金が無いならサラ金で借りれば良い。株式トレーダーは自営業みたいなものだから、職業を聞かれたら
自営業と答えれば良い。
アコムで無理ならプロミスで借りろ、プロミスで無理なら武富士で借りろ、
武富士で無理ならアイフルで借りろ、アイフルで無理ならレイクで借りろ。
海外ファンドから日本経済を守るため、そして海外ファンドを苦しめるため、君も株に投資しよう。
282 :
◆3uKqHuHFMA :2008/07/17(木) 22:19:48
/// 「安売り王」への長い道 84 //////////
商談の交渉かと思ったら、松野さんは深刻な顔をして、
「宮路さんの商売人としての知恵は素晴らしいものがある。売れる商品を
開発していくために、その知恵を貸してほしい」
とおっしゃる。当時、シャープは業績不振で困っていたらしいが、こんな私を
頼りにしてくれるとは、引き受けないわけにはいかない。
さて、引き受けたはいいが、まず商品が売れない原因を追究しなければ
ならない。
//////////////////// 宮路 年雄著 ///
>>1 今時随分と古めかしい事を言う人がいたもんだと思ったら、スレ立ては2005年なんだね。
多くの国民は消費者であると同時に生産に関与する労働者でもある。
だから消費者主体だと言って消費者の利益を追求しすぎると、結果的に自分の不利益になる。
一番分かり易い例が低価格競争。無理なコストダウンで不当に賃金カットすれば不利益は労働者が蒙る。
俺は消費者だ、サービス良くしろ、安くしろ、で出てきた問題が非正規雇用やワープアだから。
そして新自由主義者もこの消費者の利益を利用して労働問題を攻撃してくる。
タクシー問題が顕著で、タクシー運賃が安くなったからいいんだろう、
規制強化で運賃が高くなったら消費者の不利益だ、と平気で言い張るから。
>企業、業界保護は、ついには企業、供給者自体の国際競争力も衰退させてしまう。
>今後は、より一般消費者優先の原則を確立していくべきである。
ってか1からして新自由主義丸出しの事を言ってるかw
消費者主権経済なんてものはないんだと肝に銘じよう。
284 :
◆3uKqHuHFMA :2008/07/19(土) 21:05:08
/// 「安売り王」への長い道 85 //////////
そこで私はシャープの本社がある大阪へ行き、十数名の事業部長と面接する
ことにした。松野常務にも立ち会ってもらい、一人ずつ商品を説明してもらった。
驚いたのは、冷蔵庫のパンフレットを見たときのことだ。私はこれを見て、
即座に指摘した。
「こんなもん、お客さんが買うてくれるわけない。こんな色の冷蔵庫、誰が買うんや」
冷蔵庫というのは、食べ物を保存するためのものだ。だからいちばん大切なのは
"清潔感"である。清潔感を与えるような、色、デザインでなければならない。
このカタログにあるような、ムラサキ色の、しかも模様つきの冷蔵庫が売れる
わけがない。
/////////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///
285 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2008/07/20(日) 22:27:44
企業を取りまく顧客、従業員、株主などの中で、今もっとも虐げられているのは株主なんだよ。
日本は昔から”お客様は神様”的思考で、顧客第一主義。また、従業員に対する労働分配率も高い。
それなのに、株主に対する配当性向は国際的に見ても低い上、その配当も二重課税が課されている。
企業は株主への利益配分を高めなければならない。
消費税で何がいけないかと言えば圧倒的に益税だ。
消費税には、免税点と言うのがあって売上が1000万円以下の店には課税されない。
ところがだ、消費税が導入されてから久しいが、漏れの今まで経験では、消費税を取らなかった店は、
たった2軒しか無い。
一日中閑古鳥が泣いていて、客がいた例がない店でも、ちゃんと消費税を盗る。
売上が1000万円の店では、仮に消費税率が15%になると、150万円の消費税が、
非課税でそのまま店主のポケットに入る。
小売店は笑いが止まらんよ。
そうしてもう一つ重大なことは、クロヨンと言われる脱税慣習だ。
これは、小売店の場合は6割しか申告納税していない習慣のこと。
てことはだ。売上が一億円ある小売店の場合、6000万円しか無かったと申告している訳で、
4000万円に掛かった消費税600万円は非課税でそっくり店主の懐に入る。
この二つを放置したまま消費税を続けることは、社会正義上非常に好ましくない。
恒常的に詐欺泥棒をさせている訳だからね。
287 :
◆3uKqHuHFMA :2008/08/06(水) 00:26:32
/// 「安売り王」への長い道 86 //////////
ところが、いくら私が色のことを指摘しても、相手は何を言われているのか
分からず、ぼやっとしている。そこで、
「あんた、奥さんのつけてる口紅の色、知ってるんか」と聞いてみた。案の定、
知らないという返事。
「奥さんの口紅の色を気遣うセンスもない人が、大衆相手の商品を造るから、
こんな色の冷蔵庫を平気で造れるんや」
相手にとっては、ちょっときつかったかもしれないが、そういう細かいことを
気遣う気持ちが商売上、いかに大切であるかを知ってもらいたかったのである。
////////////////// クレスト社発行 ///
288 :
◆3uKqHuHFMA :2008/08/27(水) 00:00:04
/// 「安売り王」への長い道 87 ///////////////
こんなぐあいで、面接をひととおり終えると、私は松野常務にこう提案した。
「事業部長を営業出身者と入れ替えたほうがいい」
当時、事業部長というのは、ほとんど技術出身者であった。
営業で現場(市場)の経験がある人間のほうが、売れ筋商品をよく知っているし、
色やデザイン、価格設定も合理的に判断できる。こんな荒っぽい治療は
受け入れられないだろうと思ったが、言うだけ言ってみたのだ。
のちに聞いた情報によれば、松野常務は社内の反対を押し切り、私が
提案した人事異動を実践したらしい。
単なる電気屋のオヤジの案を本当に取り入れるとは、たいした人だと、
つくづく感心したのをよく覚えている。
////////// 消費者の声にこそ、“正義”はある ///
289 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2008/09/09(火) 00:04:37
消費者が安全と安心の区別を理解しない限り、消費者に力を持たせることは不幸にしかならない。
290 :
◆3uKqHuHFMA :2008/10/05(日) 20:22:25
291 :
◆3uKqHuHFMA :
/// 「定価」のカラクリを教えます 1 ///////
「役人といかに喧嘩するか」―消費者の声にこそ、”正義”はある
宮路 年雄著; クレスト社 1994年6月発行より
第五章 「定価」のカラクリを教えます 〜
メーカーと役人との癒着が消費者を困らせる
(1)私の「安売り大作戦」
"消費税還元セール"
「消費者一一〇番」で、メーカーの欠陥商品を告発することだけに、私は熱
中していたわけではない。本業の小売りのほうでも、「どうやったら安くでき
るか」ということを忘れたことはない。そのために、数知れないアイデアを考
案し、実行してきた。これだけは人様にも自慢できると思っている。
//////// 「役人といかに喧嘩するか」 ///