【政治】シベリア抑留者に、日本が特別給付金交付を支払うことを盛り込んだ「シベリア特措法」、財源は仕分けた独法予算約200億円

1 ：守礼之民φ ★：2010/06/23(水) 10:28:55 0

通常国会最終日の１６日、先の大戦後に旧ソ連に抑留され、シベリアやモンゴルで強制労働させられた元抑留者に対し、
１人最高１５０万円の特別給付金を支払うことを盛り込んだ「戦後強制抑留者特別措置法案」（シベリア特措法）が成立した。
法案では、死亡した抑留者の埋葬地などについて総合的に調査するための基本方針策定も政府に義務づけており、いまだに
全容が明らかにされていない強制抑留の実態解明が急がれる。（杉本康士）

「シベリア帰りというレッテルを張られ、就職差別に遭うなど大変なご苦労を重ねた
方々も平均年齢８８歳に達している。迅速にその労苦を慰謝することが必要だ」
議員立法で法案を提出した佐藤泰介参院総務委員長（民主）は５月２１日の参院本会議で、特措法の意義をこう説明した。

同法成立の瞬間を見届けた「全国抑留者補償協議会」（全抑協）の平塚光雄会長（８３）は「死ぬか生きるかの思いで重労働を
やって、何もないのかという思いでやってきた。ご苦労さまと言ってもらったということなので、本当にありがたい」と語った。

同法は抑留時期に応じて２５万～１５０万円を支給。対象は日本国籍を有する元抑留者で、６月１６日以降に元抑留者が死亡した
場合は遺族が特別給付金を請求できる。財源は今年９月に解散が決まっていた独立行政法人「平和記念事業特別基金」の
約２００億円を充てる。このため、同基金は２３年度末まで存続する。

同法に規定された総合調査の基本方針に関しては、死亡者の埋葬地のほか、遺骨と遺留品の収集と返還に関する調査を
行うことになっている。また、強制抑留の記憶を後世の日本人に継承する事業や、死亡抑留者の追悼事業も項目に盛り込まれた。

厚生労働省によると、戦後抑留された日本人は約５７万８千人で、
抑留から帰国したのは約４７万３千人。現在の生存者は７万人前後とされている。

昨年には、モスクワのロシア国立軍事公文書館でシベリアなど旧ソ連に抑留された日本人約７６万人分の資料が収蔵されていることが
判明した。資料は氏名や生年月日、収容歴など個人情報が記され、今年４月までに日本政府に引き渡された。

しかし、厚労省は「同一人物に関する情報が重複している可能性もある」としており、抑留者の総数すら解明されていないのが実態だ。

死者、推計５万５０００人
■元抑留者特別給付金、半年後までには支給

シベリア抑留は、旧ソ連が日ソ中立条約を破って旧満州や千島列島などに侵入し、投降した日本軍の将兵や民間人を連行した問題だ。
将兵らは各地の捕虜収容所に収容され、過酷な生活条件の中で強制労働に従事させられた。

抑留者の帰国は日ソ共同声明が結ばれた１９５６年（昭和３１年）にほぼ完了したが、それまでに多くの日本人らがシベリアで死亡。
厚生労働省はその数を５万５千人と推計している。

平成５年、エリツィン露大統領は訪日した際、強制抑留を「非人間的な行為」として謝罪した。本来、強制労働に対する賃金支払いの
義務はソ連側にあり、元軍人抑留者らでつくる「朔北（さくほく）会」（１６年に解散）などは「賠償はソ連政府の責任」として日本政府に
賠償を求めなかったが、その他の元抑留者は国家賠償を求める訴えを起こした。

９年の最高裁判決は「補償は立法府の判断に委ねられている」と指摘。政府は１８年に
一律１０万円の旅行券などを「慰労品」として贈ることで決着を図ったが理解は得られなかった。

政府・与党は５月に特別給付金を支給することで合意。通常国会の延長を嫌った菅政権の方針などで、この内容を盛り込んだ特措法成立が
危ぶまれたが、国会会期末の１６日にぎりぎりで間に合って、成立した。同法は即日施行され、半年後までには元抑留者に特別給付金が
支給される見通しだ。

ソース（MSN産経ニュース）：
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100623/plc1006230826002-n1.htm