ふぎゃああぁあああああぁあぁあぁぁおお!!!!!
獣の断末魔の叫びが路地裏から響いてきて、
首猛夫は「びく」と肩を震わせた。飲食店の店員らしい若い男が
顔を青くして道の角から走り出てくる。
>>675 体を引きずるようにしてホテルメトロポリタン杣台にたどり着いた首猛夫は、
http://etc7.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1149045915/658n-662 しかし、まだチェックインできるはずもなく、予約の確認を済ませ荷物を預けると
行き場がなくなってしまった。街が、なぜだか無性に恐かった。
しばらくのあいだ、ホテルのロビーでソファに身を沈めていたが、
警備員が何度も巡回してくるので、
眼をつけられているような意識が湧いてきて、居たたまれなくなり、
恐怖を押し殺して外に出た。
ペデストリアンデッキではなく、「地上」レベルで歩道を歩く。だが、
同じことだった。歩道が取り巻く
バス・ロータリーやタクシー・プールからも、間歇的に
屠殺場のような禍々しい印象が襲ってくる。
人体の山が、タクシーに磨り潰され、
路面がぐじょぐじょになっている――そういう一瞬の幻像を、
首猛夫は繰り返し繰り返し見せつけられ、そのたびに
消しゴムが脳内の記憶を消し去った。
意識下に充満する血なまぐさい気配に
わけもわからず怯えながら、
クリフロード商店街のアーケイドの下を歩いていると、
獣の断末魔の叫びが路地裏から響いてきた。
ふぎゃああぁあああああぁあぁあぁぁおお!!!!!
飲食店の店員らしい若い男が
顔を青くして道の角から走り出てくる。
首猛夫が路地裏をこわごわ覗くと、上半身だけの猫の死骸が落ちていた。
喰い千切られた断面から血や筋や管が垂れている。
ミシ・・・ ミシシ・・・・ ミシミシミシ・・
空間が軋むような音を立てている。