大好きな愛犬に捧ぐ独り言。

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658柊の国の首猛夫
首猛夫が新幹線こなちに乗って杣台に向かったのも >>640
ちょうど、この日だった。
束京駅を8時56分に発ったこなちが杣台に着くのは10時37分である。
杣台時空圏への外部からの出入りがかろうじて可能な
最後のタイミングだった。



新幹線が広獺川を越え、レールが大きく左にカーブする。
前のほうの車両が都市のなかを弧を描きながら突き進んでゆく姿が
車窓から見える。走ってゆく高架軌条の果てに
背の高いビルの群れが小さく浮かぶ。
ひときわ背が高いのがアエレだ。

新幹線は滑るように杣台市に侵入してゆく。
小さく見えたビルの群れはいまや「実物大」となって周囲にそびえ、
その足元を新幹線は
蛇のようにするすると走り抜けてゆく。

やがて駅舎に呑み込まれ、停車した。
遠景ばかり追っていた眼がホームの薄暗い空間を見る。ドアの窓越しに
駅弁屋の立方体の店舗が見える。
ドアが開く。