1 :
名無しちゃん…電波届いた?:
黙々と
ぐばいふぉえば
りたん
/ゝ
ノ \ ぬーぬーぬー
щ(´Α`щ)ゞ〜
6 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/07/17 14:59
死体
7 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/07/17 15:50
恐ろしくて仮眠も出来ない
ぷにゅ〜
9 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/07/17 17:03
な、なんだ!
この闘気溢れるスレタイは!
俺はぎこぺ使いだが、スレを発見し中へ
入るのにかなりの時間と体力を消耗した。
ひとまず入ることに成功し、レスを一通り読んだが
読むだけで、腰や膝などが痛んで来る。
肩も痛んできた。
分かるよ。このスレから溢れる闘う為の力が俺には見えるよ。
10 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/07/17 17:44
ポウッ!!
仮眠どころかぐっすり寝てしまった。
糞塗れの汚く愚かな猿に塵のように扱われ奪われた時代。
固定になるのやっぱりやめ
憎悪。
15 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/07/18 11:40
やっぱageだ
憂鬱ナ気持チヲ保ツ
無期待ニ
機械的
3時58分
怠惰恥
批判心
破壊
自責
集中
驕ッタ馬鹿ヲ殺シタイ
蛾殺蝶殺
浜辺
被害妄想野郎メガ
醒気持持続希望
低水準高速
マスマス
闘
コテ戻
水中で見た珊瑚礁やらを思い起こさせる
迫りくる透明の脅威。眼をそらす俺。
死体
絶望的奸賊さえも殻だ。孤独の世界。
具体例
誤解ト嘲リ
屍体
想起集中
(^^)
(⌒V⌒)
│ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
⊂| |つ
(_)(_) 山崎パン
沈みゆくスレ を救わなければ
__.,,,,,__
,. '゙ ``、
___ |.l■【 】■l.| ,、 _,,,,_ ___
/___]._(ニ(ニ[≡]ニ)ニ)_//゛ `ヽ/ここは今からザクのSS書き殴りスレとする!
| || ̄ ̄|| | .| l| | 〇 .| 初めての方はよろしく!マロン経由の方もよろしく!
| ||__||l__._|、_.,|___l| ヽ___| まぁ、誰も来ないだろうけどな
| | | | ヽ_ / ヽ、/`.┬‐┬‐`
| |l]‐ニ-[l.((ニ((二二二))ニ))l]‐ニ‐[l
| || __ |l゙| ̄ ̄.|l l| ̄ ̄|`l| _ |l
| ||_─__|||l .|l l| l| ||_─_||
| ||____|l|,l,,,_ .|,-、| ,,,_l| ||__|
|_| l_],,l_j | ~"゙.|~| "~ | |_,l、[_l
└-┘ | __ |. | __ | └-┘
,|/ ヽ_|v|_/ ヽ.|、
〉| |〈 〉l |〈
〉ヽ-'゙ 〈 〉ヽ-'´〈
∧ ‥ ∧ ∧ ‥∧
| | | | | | | |
`i゙ ,--、ヽ'゙ヽ',--、ヽ'
/ /l lヽ_| |_/ l lヽ|
ヽ,ヽ_/,/ ヽヽ__//
`-- ' `--'゙
1972年 ・ベトナム奥地にて『ファミコンウォーズ』、範馬勇次郎と戦う
・スペランカー一等兵、ザクTに搭乗する
〜31年経過〜
2003年 ○真苦露西手意(シンクロニシティ)の年 世界各地で破滅の先触れ
・拳王領にザクT出現。ラオウを破る
・サイヤ人強襲に向け修行中のヤムチャ、ザクTに襲われる
・黒い剣士ガッツ、旅の途中にザクTと遭遇する
・ザクT、日本上陸 江田島平八と顔をあわせる
・ザクタンクへと姿を変えたザクT、範馬刃牙と対戦 その際範馬勇次郎とも遭遇
・ザクT、新宿にて葉隠覚悟と一騎打ち ザクT→ザクUへと進化
・江田島平八、全校集会にてザク出生の秘密を語る
ズレるか?
修羅の国、聖帝サウザー、トキ、そしてケンシロウ。
統一国家建設を志すラオウの前には多くの障害が立ち塞がっていた。
が、この日、新たなる強敵が現れることになろうとは、拳王たるラオウすら予想だにしなかったであろう。
「拳王様ぁ!!」
玉座に座し思いに耽っていたラオウの元に、見張り兵の一人が息を切らして飛びこんできた。
非常事態らしかったがラオウは動揺することなく、兵が息を整え話し出すのを待つ。
「ジオン兵が!ジオンの機動兵器、ザクが我らが砦を襲撃しています!!」
「数を知らせい」
「一機です!」
一拍の間を置き、次いでラオウは豪快に笑い出した。
ザク如きがたった一機で我が拳王領へ侵入してくるとは!
「この拳王自らが相手してくれる。黒王号を出せぃ!」
報告通り、ジオンのモビルスーツはたった一機で拳王軍兵と交戦していた。
ラオウが攻撃停止を命ずると同時にザクはその手を止め、ラオウの方へと向き直る。
ザクの単眼が明滅する。
(こやつ、俺が出てくるのを待っていたのか……)
ラオウは拳を高々と掲げ、叫んだ。
「この拳王に逆らう者には死あるのみ!貴様の死をもってしてジオンの者共へ思い知らせてくれるわ!」
ラオウは黒王号の背から直に跳び上がり、ザクに襲いかかった。
巨体に不釣合いな素早さで接近するラオウをザクは捕らえきれず、見失ってしまう。
その間、既にラオウはザクの体の上を駆け、コックピットの高さまで上り詰めていた。
人間の限界を超えて鍛え上げられた右上腕がさらに膨れ上がり、雄叫びと共に剛拳一撃。
コックピットの装甲が紙のように易々とひしゃげ、つぶれた。
「や、殺ったぁ!流石は拳王様!」
祭り気分で浮かれる部下と対象的に、ラオウの表情は険しいままである。気付いていた。
(操縦者まで届いておらぬ!)
次の瞬間ラオウは巨大な手に捕まり、中空へ放り出されていた。
ザクは片手にマシンガンを構え、ラオウに狙いを定め、撃つ。
ラオウは身をひねり、あるいは回転して身動きのままならない空で見事射撃をかわすが、
「ぷ!」「ぺ!」「ぽ!」
背後で呆けていた数人の部下達は珍奇な単語を漏らし、臓物を撒き散らして息絶えた。
(素早さ、腕力、技量……どれをとっても俺に分があるが、あの近代兵器は厄介なものよ)
着地したラオウは己の右大腿をちらりと見た。外側がかすかにえぐられている。
「ならばその単眼を叩き潰してくれるまで!!」
頭上を越えて跳び上がったラオウをザクはまたも見失い、ラオウ渾身の一撃をまともに喰らう事となる。
「ぬぅぅん!!岩山両斬破ぁぁぁ!!」
ザクの丸い頭部が真っ二つに割れ、ピンクのモノアイは破片を撒き散らし砕けた。
ラオウの頭に勝利の二文字が浮かび、ついにその顔に歪んだ笑みが現れる。
(兵器でさえこの拳王の前にあまりに無力!)
が、ザクは闘いを止めはしなかった。頭部を振ってラオウを払い落とすと、左手で地に伏したラオウを
探り、力の限り押さえつける。既にラオウの顔からは笑みが消えていた。
そしてザクの右手に灼熱の斧、ヒートホークが現れる。ザクは斧を頭上高くまで振り上げ、
(己の左手ごと屠る気か!まさか……この拳王が敗れるというのかぁ!)
ラオウが生まれて久しくしていた恐怖という感情に心身を支配されようとした、その時。
ザクの右肩に巨大な矢が突き刺さった。
「第二射!ってぇぇい!!」
指揮官の号令で拳王配下石弓隊が矢を放ち、ザクの左胸、胴、右腕に穴を穿つ。
ザクは左手を掲げながら後退するが、やがてバーニアを噴かして空へと消えていってしまった。
後には恥辱と恐怖にまみれ、憤怒したラオウが残されたばかりであった。
「何故私闘に水をさしおったぁぁ!!」
気遣いの言葉をかけながらラオウに駆け寄った部下は、顔面を潰されガラクタの山に突っ込んだ。
「しかし拳王様、あのままでは拳王様は敗……」
「うぬぅぅぅ、つくづく屑共がぁ!!」
ラオウの巨大な拳一振りで五、六人が吹き飛ぶ。
「この拳王、敗れて生を拾おうなどとは思わぬわぁぁぁ!!」
逃亡したとはいえ、あの闘いで勝利を収めたのは確かにザクであった。
幾千幾万の敵を打ち破り、これからも勝ち続けなければならない身にありながら、まさかの敗北。
よもやジオンの雑兵如きに遅れを取るとは!
この日を境に拳王は今まで以上に覇者の狂気に取り付れ、不退転の修羅へと豹変してゆくのである。
そして同時に、この闘いを境に新たなる戦士の伝説が始まるのであった……。
ちょっと間を空けますよ
サイヤ人来襲へ備え、ヤムチャは修行を完成させていた。
天下一武道会では結果を残せなかったヤムチャであったが、ここ五年の厳しい修行の末、ついに
新必殺技を編み出すに至ったのである。
「真・狼牙風風拳。こいつさえあれば誰にも負ける気がしねぇぜ!」
空を仰ぎ叫んだ瞬間、空から緑色の肌の何者かが急降下してくるのをヤムチャの目が捕らえた。
「ピッコロか?……いや、違う。でかいぞ!」
地響きと共に、ザクが地に降り立った。
「ジオン軍のザクか!何の目的でここに来たのか知らんがちょうどいい」
ヤムチャが指関節を鳴らす。
「新開発の真!狼牙風風拳のえじ……え?」
ザクはいきなりヒートホークを大上段に振り上げ、構えた。
「ちょっと待ったぁ!いきなり武器出すことないだろうが!ぉ落ち着いて話し合えば……」
灼熱の斧が、ヤムチャに向けて垂直に振り下ろされた。
「死ぬぅ〜!!」
大地が揺れた。ヤムチャの体が一瞬浮かび上がり、叩きつけられる。
が、その五体は無事であった。
ヒートホークはヤムチャを避け、そのすぐ横に地割れを創っただけである。
ザクは足で斧の柄を踏み、ずぶずぶと地面へ沈めていった。単眼が挑発的に光る。
「俺如きに武器はいらないってか、調子に乗りやがって!あっという間に白目ひんむかせてやるぜ!」
ヤムチャは腰に結びつけた仙豆の袋を前面にスライドし失禁の跡を隠すと、新技の構えをとった。
「いくぜ!真・狼牙風風拳!!」
ザクの人差し指がヤムチャの足元をすくった。
叫んだ瞬間既に宙に浮き、転んでいたヤムチャは何が起きたのか理解していない様子であった。
が、後頭部を地に叩きつけられしばらく転げまわった後、恥辱に顔を赤くしながら立ち上がり、強がる。
「やるじゃないか。このヤムチャ様の足元を奪ったのはお前が初めてだぜ」
過去の敗北は一切忘れていた。さらにヤムチャはしゃべり続ける。闘いの最中に。
「だが!頭を冷やした今の俺を相手に勝機は無いものと思え!今度こそ喰らえ!真!」
隙だらけのヤムチャの足をザクはデコピンではじいた。
再度転倒したヤムチャは頭を打ち、今度は気を失ってしまう。
口元から溜め息の様に排気ガスを漏らし、ザクは空へと還っていった。
ヤムチャが目を覚ました時には当然ザクの姿は無く、結果、ヤムチャは先程の闘いはサイヤ人との決戦への不安から見た夢なのだろうと片付けた。
ヤムチャはこの敗北さえ脳内から消し去るつもりらしい。
卑屈ではあるが、この性格故にヤムチャは自身の足を折った天津飯と仲間になることが出来たのだし、
この後の戦いでヤムチャの命を間接的に奪う事になるサイヤ人、べジータとも同居でき、さらに女を
寝取られなお許容することが出来るのだから得な性格であると言えなくも無い。
かく言ううちにヤムチャは気持ちを切り替え、青天に誓うと言わんばかりに叫んだ。
「一週間後、生き残るのはこのヤムチャ様だ!悟空が来る前に一人でカタをつけてやるぜ!」
存知の通り、サイヤ人戦においてヤムチャはサイヤ人の手先に過ぎないサイバイマンの自爆の道連れ
となり、孫悟空が来る前にその命を落とした。が、ザクでさえ興味を引かないこの闘いはとりあえずここ
では省略させていただくことにしよう。
間。今日はこれくらいかな
さて
初めてではない。
深淵の者どもが繰り広げる闇の祭典『蝕』を生き延びて以来、ガッツは数え切れない夜を、数百もの
異形を相手取り旅を続けてきた。中でも暗黒の神々の祝福を受けた『使徒』と呼ばれる敵ともなると、
その大きさは樹齢数百年を数える巨木にも勝るものであった。
自分の数倍の体躯を持つ敵を相手にするのは初めてではなく、むしろ慣れたものであった。
(だが……こいつは何だ?)
ガッツが今向き合っているのは緑色の皮膚を持つ単眼の巨人。その体は生物体のそれではなく、
鎧の如き鋼のものであり、サイズも今までの敵よりもさらに大きく、砦そのものの様である。
『使徒』では無い。そもそもこの怪物からは、生き物の持つ波動のような生命力が感じられない。
「ザクだっちゅうに」
腰に下げた革の鞄から身を乗り出した小さな妖精、エルフのパックが言うが、ガッツは無視した。
(時々訳の分からねぇ事を言うな、こいつは)
ガッツは背中に背負った巨大な剣を手にし、振り下ろす。
それは剣というにはあまりに大きすぎた。巨きく、分厚く、重く、そして大雑把過ぎた。
それは正に鉄塊と呼ぶのが相応しいものであった。
たとえモビルスーツを相手にしようと、この剣ならば叩き壊すことも可能に思える。そんな剣である。
「ヲイ、いくらガッツでもモビルスーツがぁぃ……」
パックの言葉が小さくなっていく。ガッツが鞄ごと脇に放り投げたのだ。
「どいてくれるんなら戦り合わずに済むんだろうがな」
ザクはヒートホークを構え、これに答えた。ガッツの巨剣より、さらに二回りは大きい。
「そうかい」
舌先から息を漏らし、ガッツはザクに飛びかかった。
人の通わぬ辺境の森深く。そこが戦いの場であった。
周りは鬱蒼と茂った常緑樹に囲まれ、地面は湿った落ち葉や木の枝で覆われている。
木々よりさらに高くそびえる怪物。それが今のガッツの敵である。
ガッツの一撃がザクの左脛を斜めに叩いた。火花が閃き弾け、金属のぶつかり合う音が空気を裂く。
が、剣撃はわずかに緑色の塗料を剥がし、深い溝を残すに留まった。
(硬ぇ)
ガッツはすぐさま後ろへ跳ぶ。ヒートホークの巨大な刃がガッツのいた地面に深くめり込んだ。
(装甲はとてもじゃねぇが破れねぇ。弱点は……)
斧が水平方向に地を低く飛ぶ。ガッツは跳躍してそれを避け、ザクの股をくぐってその背後を取った。
(ここか!)
2m程の高さ、アキレス腱の部分に装甲の合間が見える。ガッツは巨剣を水平に突き出した。
ザクはガッツの姿を追おうとして、振り向きざまにバランスを崩し、手を突いて転倒した。地響きが轟く。
寄りかかった木々は薙ぎ倒され、ザクの手元に折り重なった。
ガッツは木々を踏み台にザクの頭部へと駆け上る。狙いは、過去にザクと戦ったラオウと同じ。
あからさまな弱点と思われる、
(単眼!)
ガッツは剣を振りかぶった。が、巨大な手がその体を捕まえ、近くの大木へ向けて投げ飛ばした。
背中と頭部を強打し、次いでガッツは落下し、地面に叩きつけられた。
頭が痛み、風景がまどろみぼやける。そして何より呼吸が出来ない。
その間にもザクは手をついて苦労しながら立ち上がり、ガッツを地面から拾い上げ、眼前に掲げた。
お前も私を納得させるに至らないのか。ザクの目からはそんな落胆が感じられるように見えた。
(……単……眼……)
呼吸機能も意識もまだ戻らない。が、残った気力を振り絞りガッツは左の鋼鉄の義手をザクに向けた。
その距離から何をするつもりか。ザクが興味を持ってガッツを見つめていた、その時。
耳をつんざく轟音と共に小型の大砲を仕込んだ義手から火の玉が飛び出した。
砲弾は狙いを誤ることなくモノアイを破壊し、さらにザクは後方へとよろめいた。
勝機。手から脱出したガッツは、そのまま人間外の運動能力を以ってザクの腕を肩まで駆け上がり、
一撃、二撃と口元のパイプを斜めに叩き斬り、雄叫びと共に三撃目で頭部全体を吹き飛ばした。
が、そこで体力の限界が訪れた。ガクッとその場に崩れると、バランスを失い機体から落下してしまう。
ガッツは咄嗟に木の枝に手を伸ばすが、枝は体重を支えきれず簡単に折れ、わずかに落下速度を
抑えただけであった。
二十メートル近くを落下したガッツは地面との衝突により、ついに意識を失った。
視界がぼやけ、二重になり、焦点が合い、またぼやける。
次に焦点が定まった時、ガッツの顔を覗き込んでいたのは何故か自慢げなパックの姿であった。
「オレがいなきゃ死んでたぞ、チミ」
「あいつはどうした」
「ん、ああ。帰ったぞ」小声で「黒いガンダム対ザク」だか何だかと言っている。
「生きてやがったのか……」
「なんか嬉しそうな感じだったなぁ、あいつ。なんでだろうな」
ガッツには何となく分かるような気がした。あいつはただ闘いたかっただけなのだろう。戦士として。
何故。そこまでは分からない。遊歴の騎士といった印象が残っている。それに、
(不思議だ……あんな怪物と戦りあったってのに、久々に人間と剣を交えたような感じがする……)
数日後、機体を修復したザクTは日本へと向かっていた。
休憩
「わしが男塾塾長江田島平八である!」
緑の木々に囲まれた男塾の校庭。男塾塾長江田島は朝礼台の上に立っていた。
その正面にはザクが、正座の形で対面している。
校門の向いに位置する校舎の窓からは塾生達が顔を出し、緊張した面持ちで外を眺めている。
「世界各地で蛮勇を奮っておるようだな。この江田島の耳にも聞き及んでおる」
ザクの目が光る。なにかしら好意的な表情を見せたかのように思えなくも無い。
「貴様の目的も分からんでもない。おそらくは……武者修行か」
ザクは反応しなかった。言い出しづらいことを言えずに緊張している、そんな固まり方をしている。
「サムライの地、ここ日本には数多くの戦士達がひしめいておる。好きにどこへなりとも赴くが良い。
中には貴様を満足させる者も……ふっふっふ、そうか」
ザクはいつの間にか右手にマシンガンを、左手にヒートホークを構えていた。塾長が続ける。
「このわしと戦いたくばいつでもかかってくるが良い。遠慮することは無い」
「おいおい……塾長、あのロボットと素手でやりあうつもりじゃないだろうな」
男塾一号生筆頭、日登直樹が冷や汗を流しながらつぶやいた。
「フッ。日登、お前は自分んとこの塾長が信じられねぇのか」
答えたのは額にハチマキを巻いた男。元男塾総筆頭剣桃太郎の息子、剣獅子丸である。
「勝つぜ、あの人は」
ザクマシンガンが火を吹いた。一発も漏れることなく、全弾が塾長に降り注ぐ。
が、塾長はそれらの全てを、素手の拳で叩き落していた。一滴の血も流すことなく。
「に……人間じゃねぇ……」
日登は泡を吹いていた。流石の獅子丸でさえ驚きを隠せない様子である。
突然、弾丸の雨が止んだ。塾長が見上げると同時に、ザクが灼熱の斧を渾身の力で振り下ろした。
未だかつてこの斧を避けなかった人間はいない。しかし、塾長は避ける様子さえ見せない。
「よ、避けろぉぉぉ!!じゅ、塾長ぉぉぉ!!」
塾生達が一斉に叫ぶ。ザクでさえ、一瞬その表情に戸惑いを見せたかのように思える程であった。
が、塾長は笑っていた。そして、ヒートホーク直撃。塾長は一瞬で蒸発……するはずだった。
塾長は熱された斧の刃を掴んでいた。素手で、片手で。足元の地面が陥没するが、本人は全くの不動。
「あ、あ、熱くないのかぁぁぁ〜〜〜!!じゅ、塾長ぉぉぉ!!」
日登が叫び、
「熱くないわけねぇだろ……」
獅子丸がつぶやいた。
「あの人はやせ我慢をしているんだ……!!全く、俺たちの塾長はとんでもない男だぜ……!!」
着物も下着も一瞬で燃え尽きていたが、塾長の皮膚も、ヒゲも、眉も、火が移る気配さえ無い。
「心頭滅却すれば火もまた涼しじゃぁぁぁ〜〜〜!!」
そして塾長の握る刃に亀裂が入ったかと思うと、次の瞬間それは砕け散っていた。
「わしが男塾塾長江田島平八である!」
豪拳一撃。ザクの左足が完全に砕け、その余波が右足をもへし折った。
ラオウでさえ、ヤムチャでさえ、ガッツでさえ通用しなかったザクの装甲をただの拳一撃で破ったのだ。
超絶なる敢闘精神は近代科学をも打ち破るものである。塾長はその言葉の実践者であった。が……
塾長はザクに止めを刺そうとはしなかった。大破した機体を前に、塾長はあぐらをかいて座り込む。
「この勝負、引き分けだな」
ザクの目が光った。……何故?
「服が燃え尽きてしまいおった。これでは装甲を破られたも同然。相打ちというわけだ」
無論、この勝負の勝者は塾長であった。が、塾長は勝ちを放棄したのだ。とりあえず、今のところは。
「ザクよ、お前はまだ闘い続けなければならないモノだ。今はただただ闘い続け、『彼の時』に備えい!」
塾長は膝を突き、立ち上がった。そしてザクに背を向け、一言。
「機体を修復したならばすぐに飛騨の山に向かうが良い。貴様にふさわしい相手が待っているであろう」
同じ頃。一組のカップルが飛騨山中を登っていた。
女の方は黒い長髪、タートルネックの半袖にジーンズという姿。特に美人でもない無い凡な女である。
しかし、男の方は奇異な容貌であった。服装は動きやすそうなシャツにズボン。
だがその顔は、どう見ても絶対安静を命じられるべき病人のそれである。運動とは縁遠い。
露出している皮膚全体に紫斑が浮かび上がっており、頬骨は突出し、体全体が痩せ細っている。
病によるものではない。おそらくは、毒物。
「……ただでさえ死んじゃいそうなのに……どうして……」
「この山の上に薬草に詳しい人がいる。もう、俺の希望はあの人だけなんだ」
女、梢江の眼にほのかに涙が浮かぶ。
「バキくん……死んじゃうよ」
バキは答えず顔を上げ、山道の先を見据えた。
やっとこさ4分の1ってとこか。結構あるな
飛騨を登ったバキ、梢江の二人は夜叉猿jrの住む洞窟へと向かった。
洞窟内には高度に発達した猿のものと思われる骨、いや、遺骨が両壁にずらりと並べ立てられている。
ここの主である夜叉猿の一族には埋葬という高度な文化的慣習が受け継がれているらしい。
「ここで交わした約束……『もう誰にも負けない』……って」
遺骨を前に発したバキの言葉が深く静かに洞窟の中に響き渡り、徐々に遠ざかり、ふっと消える。
「いったい今日まで……幾度負けたことか……」
澄んだ水面に一粒の水滴を落とすように、ただその一言が波紋を広げた。
「そして今……最も深刻な、最も大きな敗北を喫しようとしている」
毒。暗器使い柳龍光の武器、毒手によりバキは致死的なダメージを受けていた。
既に治療が及ばぬ程に症状は進行し、実際のところ、今はただ死を待つ他無い。
だが死ぬわけにはいかない。俺は、まだ……
洞窟に差し込む光が何者かに遮られたのをバキは感じ、洞窟入り口へと目を向けた。
「ア……」
梢江は不思議そうにバキの顔をみつめる。
「ごぶさた……夜叉猿」
振り返った梢江が悲鳴を上げた。自分の背後に体長2m強の大猿が立っていたのだから無理も無い。
「忘れたのかい梢江……彼は最大トーナメントの出場選手だよ」
梢江は首を左右にぶんぶん振る。梢江が驚いたのは夜叉猿jrの登場によるものではないらしい。
「違うッッ!!……アレ……」
梢江が指差したのは夜叉猿のさらに後ろ。何故バキは気付かなかったのであろうか?
洞窟の外は闇に包まれていた。その中心に、桃色の月が浮かんでいる。
闇夜ではない。それは、洞窟の中を覗き込んでいるザクの眼であった。
「……ザ……ク……?」
バキがぽつりとこぼした。
唐突にザクの顔が引っ込み、昼の明るさが洞窟に戻る。二人はまだ奇妙な超現実感に囚われていた。
と、次の瞬間。ザクの節目だらけの右手が遺骨をなぎ倒しながら洞窟内に突っ込んできた。
「こず……ッッ!!」
バキが梢江の名を叫ぶより先に、壁を削りながらザクの手は洞窟の奥まで到達した。
轟音と共に洞窟は崩壊。少しの間を空け、ザクは瓦礫をこぼしながら右手をゆっくり引き抜いた。
逃げる機会すら与えぬ電光石火の奇襲。ザクは不意打ちにさえ手を抜かなかった。
が、不意打ちとはいえ、バキは江田島塾長御推薦の戦士である。これ位で死ぬ様なタマではなかろう。
でなければ“こんな姿”をしてまで来た価値が無い。私の期待を裏切るなよ、ニッポンのファイターよ。
そう考えたかどうかは不明だが、ザクはその単眼をぎょろりと下に向けた。
そこにはバキと梢江を片腕ずつに抱えた夜叉猿jrの姿があった。人外の素早さあっての脱出。
しかし夜叉猿jrの右肩からは出血が見える。瓦礫の落下による負傷であることは想像するに難くない。
バキの無事を確認したザクは、早速素手の諸手を掲げ、格闘技者のような構えを取った。
腕から降ろされたバキは、まず夜叉猿jrの怪我を気遣い、次にザクを睨んだ。
「てめぇ……」
が、バキの怒りもザクの全身像を目にした驚きにより消し飛んでしまう。
(〜〜〜〜ザクタンクじゃねぇか……ッッ!!)
ザクの下半身、本来足のあるべき場所を、戦車のようなキャタピラが占めていた。
塾長が両足を失ったザクに男塾軍事教練用の戦車を提供し、それを材料に突貫修理したのだ。
それ程までに、ザクはバキとの対戦を待ちきれなかったのであろう。
「……そうか。アンタ、俺と闘り合うために……わざわざこんなとこまで来てくれたのか……」
ザクの心情を読み取ったかのように、バキは右脚を引き、両腕を胸の前まで上げ、戦闘態勢を取る。
「闘っちゃダメ……闘っちゃダメェェェ〜〜〜ッッ!!」
「すまない梢江」
泣き叫ぶ梢江にバキは静かに答えた。
「嬉しいんだ、俺は。闘えるのがッッ!やっぱ俺は、格闘戦士(グラップラー)なんだなッッ!!」
「あの、塾長。お言葉ですが……範馬刃牙にザクをぶつけるのは時期早かと」
塾長室に戻った江田島の下を訪ねたのは、男塾古参の教官の一人、鬼ヒゲだった。
「聞くところによるとあのザクとやら、ベトナムにて『地上最強の生物』と名高いかの戦士、範馬勇次郎と
交戦したという噂ではありませんか!しかも勝てぬまでも、現にああして生き残っている程の兵!」
鬼ヒゲは黙り込んだ。そして、どうにか一言反論する。
「本官には塾長のお心が分かりません。何故このような一方的な虐殺を黙認するのか……」
「ふ、まるで刃牙の敗北が決まりきっているかのような言い草だな」
塾長は茶を啜り、その巨きな碗を机に置いた。
「確かに今の弱りきった刃牙にザクはちと荷の勝ちすぎる相手かもしれん。だが、これは試練である。
刃牙もそろそろ気付いておるはずだ。死に打ち勝つには、果たして何をせねばならんのか」
拳を胸前に構えた刃牙と、それを向かいいれるように両腕を大きく広げたザク。
対峙する超雄二人を見守るのは、梢江と夜叉猿Jrだけでは無かった。
戦場からさほど遠くない位置に生える、他の木々より僅かに丈の高い松の木。その枝に一人の男が
立っている。燃えるように逆立つ赤毛の、隆々と発達した筋肉を持つ異形。
擂台祭へと向かう途にある範馬勇次郎である。
「江田島の親父め……余計なことをッッ!!」
勇次郎は手を添えていた松の幹を握りつぶした。
一人きりってのは気持ちがいいな。正に自慰って感じだ。
貼り終わったらマロンの読んでくださってる方々に報告せにゃ。
ザクタンクとバキ。両者が構えてから既に半刻程が過ぎていた。
(流石に……攻略のしようがねぇな……)
バキが攻めあぐねているのは、ザクの巨体故である。当然のことながら、未だかつてザクを素手で
仕留めた格闘技者はいないはずだ。セオリーなど存在しない。
斗馬戦の戦略が応用出来るか?不可能だ。末端から攻めようにも、ザクの足は頑丈な戦車で構成され
ている。
対するザクは、バキにある男の面影を見たことで戸惑いを感じていた。
―――この男、まさか範馬勇次郎のジュニアか?
江田島塾長は、バキが勇次郎の息子であるということをザクには伝えていなかった。もしその事実を
伝えていたならば、ザクはバキを即座に握りつぶしていたことだろう。
ザクは、あるいはその中の人間は勇次郎を憎んでいた。勇次郎こそが彼の人生を狂わせた―――
大切な仲間達、ルイージを、リンクを、ギルガメスを、そしてサムスを殺した―――張本人だからだ。
―――勇次郎!私は必ずや強くなり再び貴様の前に……
ふと気付くと、ザクの目の前からバキの姿が消えていた。ザクの思考が深く沈みかけているその機を
捕らえ、攻撃を仕掛けたのである。―――ぬかったわ!
「ッッチェリャァァァ!!」
バキの脚がタンクのキャタピラを強打した。バキはやはり末端から攻めることにした。それしか無い。
(意外と……)
簡単にキャタピラは破壊される。今のバキでも、通常兵器を破壊しうる程度の戦力を有しているようだ。
さらに、ザクの手が伸びるより先にバキは反対側のキャタピラに廻り、破壊。
これでザクはその場から移動することも振り向くことも出来なくなった。手の届かない背部ががらあき。
(攻略ポイントだッッ!!)
バキは靴を脱ぎ裸足になると、ザクの背中をゆっくりと地味によじ登っていった。
ザクは静止していた。もはやあがいても無意味だろう。バキが手の届く肩付近まで登ってくるのを待ち、
そこで捕らえるしかない。
一方バキは、邪魔をされることも無くマイペースにザクの背を登っている。シコルスキーの登攀能力を
コピーしているとはいえ、病んだ身で垂直の壁を登るのは辛いものがある。
……この光景のどこが闘いなのだろうか。バキの身を按ずる梢江は「がんばれ、バキがんばれ」と応援
し、もう一人の観戦者である夜叉猿jrはとうにその場を離れ狩りへと向かっていた。
そして、血管を浮き上がらせ怒髪天を突き怒っていたのが勇次郎である。
「貴様ら……ぬるいことをッッ!!」
見かねた勇次郎はついに松から飛び降り、二人の下へと歩き出した。
「ザクさん……俺が肩に辿り着いたら……イッセイのセ、だぜ」
滝の汗を流しバキが言う。その拍子に胸が突然苦しくなり、咳と共に喉の奥から熱いものが飛び出す。
(血。もう……そんなに長くないんだな……)
もうしばらく登攀は続き、ついにバキの手がザクの肩を守る厚い板金の上に置かれる。
「到着ゥ〜」
が、バキはザクの肩にぶらさがったまま、その上には登ろうとしなかった。
「同時だ。俺がここに上がるのと同時に闘ろうぜ。……イッセイの……」
―――セッッ!!
バキが身を翻して肩に飛び乗った。体勢が整わない内を狙って、ザクの手がバキを求めて飛んでくる。
巨大な手がバキに衝突しようとする瞬間。バキは手の突進に合わせて右の拳を突き出した。
「無茶だようッッ!バキくんッッ!!」
(無茶じゃない……闘れるッッ!!)
両者の拳の接触点から光が迸った。
両腕を挙上し、腰を極限まで捻り、全関節を同時加速し、鬼の筋肉でおもいきりぶん殴る。
バキの放った拳は正に、独歩を葬った父勇次郎のあの技であった。鬼哭拳。
光の奔流が次第に収束していく。後に残ったのは、ザクの破壊された右掌であった。
―――バカなッッ!!生身の人間が……
綻ッ。バキは両足を大きく広げ、ザクの頭部へと向き直った。拳を硬く握り締め、口をすぼめ息を吸う。
「行くぜ……ザクさんッッ!!」
バキの拳が消えた。同時にハンマーで鉄を鍛えるが如き鈍い音と共にザクの左側頭に無数の陥没が
生まれる。音速拳。そして、死刑囚スペックの無呼吸乱打。
―――ええい、落ちろ!
ザクが上半身を前後に大きく揺する。その上に立つバキは、ジェットコースターに立位で乗っている様な
状態であるはずだ。が、バキは微動だにせず、ひたすらザクの頭を殴り続けている。
むきだしの足裏がザクの肩装甲にピタリと張り付いていた。柳龍光の真空掌。
(……いくら殴っても……止まってくれねぇんだな)
大揺れの中、バキは連打をふと止めた。ザクの頭部は既にスクラップ同然と成り果てているが、いくら
頭を殴り続けてもこのザクは活動を停止させはしないだろう。
「やっぱ……本体を叩かなきゃな……ッッ!!」
バキは上半身を大きく後ろに反らし、一拍止まった。そして、
「邪ッッ!!」
勢いをつけて体を起こし、そのまま足元に向けて右掌を突き出した。ドリアンの中国拳法。
左肩から伝わる衝撃波は胸深部をやや斜めに下降。そして、胸部のコックピットへと届いた瞬間。
不意にザクの前後運動が止まった。ザクを操る者自身にダメージが到達したのだろう。
「どうにか……勝っ……」
勝利を口にしようとしたバキは、いきなり膝を突いてうつむいてしまった。全身が震えだし、脂汗が
どっと湧き出す。そしてまたもや、喀血。やはり闘いは、死を近づけるだけなのであろうか。
そしてバキはついに気を失い、ザクの左肩から滑り落ちた。
「バッ」
梢江が短く息を吸い、悲鳴を上げるよりも先に茂みの中から黒く巨きな影が飛び出した。
影はザクの下、バキの落下地点へ跳んでいくと、直後には弱りきったバキを受け止めていた。
「……夜叉……?」
梢江が遠慮がちに声をかける。無理も無い。その影は、その男は明らかに夜叉猿jrではなかった。
筋骨隆々とした赤髪の悪鬼、範馬勇次郎である。
勇次郎はしばらく弱りきったバキの顔を、優しささえ垣間見えるかの様な表情で覗き込むと、次にはそれ
を放り投げてザクのぼこぼこの顔を見上げた。
「ろくに抵抗も出来のをいい事に病人をいたぶる……いい趣味じゃねぇか、ザクよ」
―――範馬勇次郎!!
「ガァァァァァッッッ!!!」
ザク、初の発声。通常のモビルスーツには当然外部スピーカーもあるはずなのだが、このザクには
それが無い。代わりに声帯の無い喉で一生懸命発声しようとしている、そんな悲痛な叫びに聞こえる。
既にザクは右手を失い、足を失い、頭部ももげかけている。が、それでもザクは左拳を握り締め、地に
叩き付けた。何度も、何度も。大地が揺れ、梢江が小さく悲鳴を上げる。
―――来いッ!来いッッ!!かかって来いッッ!!範馬勇次郎ッッ!!
「ガ、グァァァァ、ガァァァァァッッ!!」
「焦らずとも闘ってやるぜ。……そのうちな」
ザクが金切り声を上げた。
「クック。その姿を見ると……そうとう熱心に俺を探していたようだな。が、今はオアズケだ」
勇次郎がふと横にずれる。そこへザクの投げた岩が叩きつけられた。それを見てさらに勇次郎は笑う。
―――挑まれた闘いに背を向けるか!貴様ァ!それでも地上最強の生物か!!
怒り狂うザクを尻目に、勇次郎は本当に背を向け、消えた。煙のように、唐突に。
後には天に向かって咆哮を上げるザクタンク一機が残された。
長ぇ。
もうちっと続くぞい
暗雲が空を覆い、大地はコンクリートの瓦礫で埋め尽くされている。
瓦礫の合間を猫程の大きさの鼠が徘徊し、鋼の様に硬い甲殻をもつゴキブリの群れがそれを餌とする。
さらにそのゴキブリを踏みしだいて闊歩するのは、体長十mを越す改造人類、戦術鬼。
―――これが現在の新宿の姿である。
相次ぐ大規模地震、戦術鬼による侵略行為で東京が壊滅してから数ヶ月。
住む家を失った都民達は、唯一残った高層建築、新宿都庁に身を寄せ合って生活していた。
有志により結成された防衛隊が守る都庁ビルより外へ出たが最後、戦術鬼の餌となってしまうからだ。
それに加えここ数ヶ月、所属不明の単眼型モビルスーツ、通称デスアーミーが出没し始め、都民の
不安を一層煽り立てている。
陸路、海路、空路と遮断され、都外からの応援さえ無いこの絶望的な状況下でなお都庁が堕ちずに
いられるのには訳があった。
都庁防衛隊を指揮する二人の戦士の存在……
すなわち、零式防衛術を操る現代の侍・葉隠覚悟と東方不敗・マスターアジアがいればこそであるのだ。
そして今回ザクが標的としたのは、二戦士のうちの一人、東方不敗である。
「何故です塾長!」
江田島にまたもや抗議したのは、やはり鬼ヒゲであった。
「東方不敗といえば東京を守る要となる男。もしザクが彼奴を殺害せしめるような事態になれば、東京
の壊滅は必然!何故、東方不敗にザクをぶつけようとなさるのか!」
「ふっふっふ。落ち着けい、鬼ヒゲ。それよりも全塾生に召集をかけよ。ついに動くべき時が来たのだ」
「塾長、某には何がなんだかさっぱりであります……。もったいぶらず、お教え下さい。奴は、あのザクの
乗り手は誰なんです?これから一体何が始まると言うのです?」
鬼ヒゲの言葉に、江田島は鼻を鳴らして答えた。
「あのザクに乗り手などおらぬわ」
「は?」
鬼ヒゲは唖然とした。この方は一体何をおっしゃられるのか……
「まあいい。塾生を導く立場にある教員が戸惑っていてはどうしようもあるまい。貴様にはあらかじめ
現状を教えておく必要がありそうだな……楽にせい」
塾長は両袖に手を入れ、腕を組む。鬼ヒゲは足を肩幅に広げ、休めの姿勢をとった。
(……これは長話になりそうだのう)
「どうせ塾生にも説明する。今は簡便に説明してやろう。……今、世界に未曾有の危機が迫っておる。
新宿。あそこには葉隠覚悟の兄、葉隠散の放った戦術鬼と新たな敵、デスアーミーがひしめいている。
ミッドランド。かの国では古き予言にある『黒い鷹』が復活し、世に混沌をもたらさんとしている。
宇宙よりの侵略。惑星フリーザから、その惑星の名を名乗る生物が地球に目を付け、向かっている。
そして我が宿敵!あの藤堂兵衛が地獄より復活し、日本を征服せんと欲している!」
もはや鬼ヒゲの目は見開かれている。未曾有の危機。というかこれはもう……世界の最期ではないか!
「そう!めちゃくちゃである!今挙げたものだけではない。世界各地で同時にこのようなことが起きつつ
あるのだ!」
「真苦露西手意(シンクロニシティ)。このような偶然の連鎖を中国の預言書ではこう呼んでいる」
滝の汗を流す鬼ヒゲに対し、江田島は平静を装い説明する。だが、急がねばなるまい。
「そして新宿を守る東方不敗。あやつもまた闘わねばならん敵である。東京を囲んでおるデスアーミー、
あれらは実は彼奴の操る手下だ。ザクはこの世の敵の一人を討ちに行ったのである」
新宿の守護神、東方不敗の正体が人類の敵だと?いや、それよりも気になるのは……
「そう、そうです。ザク!あやつは何者なのです?今まで多くの人間を襲い、塾長にまで手を出した
あのザクもまた人類の敵なのでありますか!?」
「あれはただの武者修行よ。この事態に備えてな。実際、今のところ一人たりとも殺害してはいまい」
「では一体?」
話を初めて以来、初めて江田島の顔が緩んだ。危機的なこの状況にあっても、まだ希望があるのだと
その顔が語っている。
「最悪の偶然のみが連なるわけではないということだ。あやつは人類最後の希望である」
「あの何の変哲もないモビルスーツが……人類最後の希望ですと?」
「今よりさかのぼること31年前。奴はベトナムの地にて生まれた戦士だ。……これについてはまた塾生
の前で話すことにしよう。今はとにかく戦斗準備だ」
「我々に一体何が出来るのでしょうか?」
江田島の顔が怒りで紅潮し、こめかみに血管が浮き出る。
「藤堂兵衛!奴だけは我々男塾が総力を結集して討つ!」
新宿都庁上空を飛ぶザクは、センサーで都庁付近のエネルギー反応を探る。
強い魂を持つ戦士のみを感知するそのセンサーには、一人分のエネルギー反応しか表れない。
―――葉隠覚悟か東方不敗、どちらかが不在というわけか。
ザクは機体を垂直にし、バーニアを噴出させながらゆっくりと都庁へ降りる。
足元では生き残った都民が逃げ惑い、ザクを指差しては悲鳴を上げる。
―――確か、この辺で出てるデスアーミーとやらも同じモノアイ型か。怯えるのも無理はない
が、避難する都民の中に一人、黒い鋼をまとい、白いマントをなびかせる戦士が立っていた。
葉隠覚悟である。
ザクが突風を巻き起こしながら着陸しようとしているにも関わらず、覚悟は微動だにせず、じっとザクを
みつめている。そして風は収まり、地響き。膝をわずかに曲げてクッションとし、ザクは大地に立った。
「零、データを照合してくれ。あれはデスアーミーなのか?」
覚悟は自身を覆う生きた鎧、強化外骨格・零に問いかける。
『するまでもない、あれは別物だ。見ろ。モールス信号を出しているぞ』
ザクの単眼が明・明・暗、暗・明・暗……と点滅していた。
『解読。……東・方・不・敗・は・ど・こ・に・い・る?』
「すまない零。……マスターアジアは用事があって留守にしておられる。用件は俺が聞こう」
点滅。明・暗・明、明・明・明……
『東方不敗を倒しに来ただと!?』
「やはりデスアーミー!新型か!」
覚悟は叫び、警戒心をあらわにした。だが、デスアーミーがこんなにも堂々と攻めてくるだろうか?
―――弁解する必要は無いだろう。そもそも、この少年に東方不敗の真の正体について教えたところで
信じはしまい。ならばこの男と拳を交えるのもまた一興。
ザクは修復したヒートホークを取り出した。対する覚悟も拳を構え、戦闘態勢をとり、叫んだ。
「迎撃準備!」
もうちょいで修行編終了か。
ファイ!
対峙する、零を装着した覚悟とザクT。毎度の事ながらその体格差は鼠と人間ほどもある。
覚悟は視線だけをザクのヒートホークへ向け、零に問う。
「あの兵器はなんだ、零」
『放熱型戦斧。強化外骨格といえど、まともに喰らえば危ういぞ』
今度はザクの全身、というよりも装甲を見つめる。
「破れるか?」
『可能だ。だが昇華弾は使えぬ。体内に動力炉有り。新宿都庁を大爆発に巻き込む危険性が高いぞ!』
零の答えを聞いた覚悟の口元に微かな笑みが浮かんだ。なるほど、ならば……
覚悟の右腕が真っ赤に燃える。赤熱化。
「ヒートホーク!俺の右拳とどちらが上か!」
『馬鹿な!質量が違いすぎるぞ!』
覚悟は零を制止するように左手を軽く挙げ、黙らせた。……騒ぐな、零。
「俺に策がある」
一方、赤熱化した右腕を突き出す覚悟を見て、ザクは微笑ましい気分にさえさせられていた。
―――そんなちっぽけな……折れてしまいそうなモノで受け止めようというのか。この斧を。
ザクはヒートホークを大上段に構えた。覚悟の素早さをもってすればこの大振りの攻撃を避け、背後
にまわって戦略兵器を用いり攻撃することも可能であるはずだ。だが、覚悟は動かない。
―――あくまでも正面から受けるか!覚悟ぉ!
「ガァァァァァ!!」
雄叫びと共にザクは斧を振り下ろした。そのコンマ1秒後、ザクより遅れて覚悟は地を蹴った。
速い。ザクの斧が上空で加速を始めた頃、既に覚悟の拳が斧の刃を捕らえていた。必殺カウンター、
「因果!」
斧と拳の接触点では加熱が加速度的に進み、色はより赤く赤くなってゆく。
このままでは双方とももたなくなる。特に、鎧を着ているとはいえ生身でこれに向かっている覚悟は。
『危険だ覚悟!右腕の肉が煮え始めている!』
「まだだ!」
覚悟の背部より推進剤が噴出される。これにより、覚悟がわずかにヒートホークを押し戻す。
―――斧が、振り切れぬ!
ザクは腕に力を入れるが、覚悟はさらに推進剤を吹かし、それを押し返す。この状態になっては斧を
引くことも出来ない。かといって、押し切ることも出来ない。力を込めに込めた腕が震える。
―――強……これでは……もたな……
「おぉぉぉぉっ!!」
ザクの力が限界に達したその瞬間。覚悟は一気に加速した。
接触点から斧にひびが入る。ひびは斧全体に蜘蛛の巣のように広がり、さらに刃がこぼれた。
そして刃こぼれはさらに大きくなり、粉砕。ザクの手にはもはや柄だけとなった斧が残った。
―――破られたのか!このヒートホークが!江田島でもないただのこの少年に!
斧を砕いた覚悟は、身を翻して左手を付き、地面に降り立った。右腕は力なく垂れ下がり、煙をあげて
いる。肉の焼ける匂いが鼻をつく。
「ヒートホーク、破れたり!」
痛みも熱さも感じていないのか。覚悟は会心の笑みを浮かべた。
『無茶をするな覚悟!右腕が煮え……いや、炭化しているぞ!修復不能だ!』
「問題無い。敵は有効な攻撃手段の全てを無くした。残る武装はマシンガンらしいが、俺と零には銃器
など効かぬ!」
『もはや恐れるものは無いということか!』
零は覚悟に敬服した。再起不能の大怪我を負うことさえ厭わず、ここまで眼前の敵に集中することが
できるのか。だが、攻撃手段を失ったのは覚悟も同様ではないか?
「構えろ、ザク!決着だ!」
覚悟は右腕をぶら下げたまま左腕のみを構え、吼えた。
―――私はただ、試すつもりだっただけだ。だがこの少年は……
ザクは圧倒された。親の敵でも無い、執念を燃やすべき敵でもない自分を相手に、どうしてここまで身を
削って闘うことが出来るのか。
武士(もののふ)。この男こそ、現代に残る最後の武士なのだろう。
さらに、まだ闘志が消えていない。勝負はこれからであると油断無く構えている。
―――ついに私が敗れる時が来たようだな。ついに、この時が。……進化の時が。
ザクは覚悟を向かいいれるように、両腕を挙げて構えた。覚悟は身を沈め、跳ぶ体勢に移った。
「勝負だ!」 覚悟が叫び
―――おう! ザクは答えた。
ザクは覚悟をつかもうと両手を奔らせる。が、覚悟はザクの手をすり抜けて胸部にまで飛び出してきた。
左腕を大きく後ろに引き、時速500kmの超高速の拳を放つ。
「因果左拳!!」
一瞬の決着だった。覚悟の左がコックピットに直撃した瞬間、ザクの上半身は吹き飛んだのである。
飛び散る破片とともに覚悟は降り立ち、左手を額に当て、敬礼。
「全力を尽くしぶつかった戦士に、敬礼!」
―――見事だ……覚……悟……
ザクの頭部は瓦礫の山に突っ込み、単眼の光は静かに消滅した。ザク、ついに沈黙。
かに見えた。
―――私はただ、試すつもりだっただけだ。だがこの少年は……
ザクは圧倒された。親の敵でも無い、執念を燃やすべき敵でもない自分を相手に、どうしてここまで身を
削って闘うことが出来るのか。
武士(もののふ)。この男こそ、現代に残る最後の武士なのだろう。
さらに、まだ闘志が消えていない。勝負はこれからであると油断無く構えている。
―――ついに私が敗れる時が来たようだな。ついに、この時が。……進化の時が。
ザクは覚悟を向かいいれるように、両腕を挙げて構えた。覚悟は身を沈め、跳ぶ体勢に移った。
「勝負だ!」 覚悟が叫び
―――おう! ザクは答えた。
ザクは覚悟をつかもうと両手を奔らせる。が、覚悟はザクの手をすり抜けて胸部にまで飛び出してきた。
左腕を大きく後ろに引き、時速500kmの超高速の拳を放つ。
「因果左拳!!」
一瞬の決着だった。覚悟の左がコックピットに直撃した瞬間、ザクの上半身は吹き飛んだのである。
飛び散る破片とともに覚悟は降り立ち、左手を額に当て、敬礼。
「全力を尽くしぶつかった戦士に、敬礼!」
―――見事だ……覚……悟……
ザクの頭部は瓦礫の山に突っ込み、単眼の光は静かに消滅した。ザク、ついに沈黙。
かに見えた。
『このモビルスーツ、デスアーミーとは別物だぞ』
「気付いていたか、零」
ザクを破った覚悟と零は、しばらくその場を離れていなかった。気にかかるところがあるのだろう。
『パイロットの亡骸を探せ。脳の損傷がわずかであれば情報を引き出すことが出来る』
「冒涜だぞ。……生きていることに望みをかけよう」
覚悟はザクの残骸をかきわけ、そのパイロットを探し始めようとした。その時。
「無駄だ。止めておけい」
背後に音も気配も発さず何者かが接近していた。すぐさま戦闘体勢をとる覚悟。
「何者だ」
「警戒するな、葉隠覚悟。それよりその残骸から離れておれ」
袈裟を身につけ、笠を被った僧侶風の男であった。しゃがれ気味な声から察するところ、相当な年齢に
なるだろう。だが、覚悟の知る男ではなかった。
「何故俺の名を」
「さがれい、覚悟!」
僧侶が叫ぶと同時かそれより速く、ザクの破片が中空の一点に向かって飛来し、集い始めた。
瓦礫の集合体は単なる球状の巨塊を形成したかと思うと、次第に元の形、人型をとりはじめる。
間違いない。このザクは再生しているのだ。
『馬鹿な!モビルスーツに再生能力など存在しないはず!』
「単なる再生ではないわ。とくと見ろ」
もはやザクは完全に再生していた。いや、正確には以前と異なる形を成している。左肩はスパイクの
付いたものへと変化しており、右肩には長方形の巨大な鉄板、盾がついている。そしてその腰には
新たな武装、バズーカ砲1挺が付属している。
「奴こそは格闘戦に秀でたモビルスーツ、ザクU。新たなる進化である」
↑ここまでが「ザク修行編」
↓ここからが「ザク誕生編」
雲の合間から漏れる光を受け鈍く反射する緑色の装甲。再生が完了して間もない為か、全身の至る
部分では電流がはじけ、閃光が奔る。
覚悟は何か神聖な存在を前にしたかのような敬虔な気持ちにさせられた。進化する、機械。
『まるで生物だな』
零も覚悟と同じく、先ほどまで闘っていた相手にも関わらず敵意さえ忘れ唖然とつぶやいた。
そして、その零のつぶやきに答えたのは僧侶であった。
「生物をモデルに作られた体である。そして、生物よりさらに高度な自己修復機能を備えておる」
その言葉にようやく覚悟は我に返った。そうだ、ザクを知るこの男は一体……
「ザクの仲間か」
疑問系では無く断定的に、覚悟は率直に質問をした。が、僧侶はこれに一笑に付して答えるのみ。
「ふっ、奴は誰ともつるみはせん。……それより覚悟よ、その負傷では新宿の防衛に支障をきたすで
あろう。我が神拳寺の医術を以って全力で治療しよう。鎧を脱げ」
突然の申し出であった。敵の仲間であると断定した相手に、よもやこのような事を言われようとは。
信用できるはずがない。少なくとも、言葉だけでは。覚悟は男の真意をこれ以上詮索することは
しなかった。ただ、笠の下から覗く男の瞳をじっとみつめたのである。この男に悪意はあるのだろうか。
……無い。深く黒い瞳に宿るのは、己の信念と正義に殉ずる男のそれであった。
「了解した。都庁にメディカルセンターがある。必要な機器は揃っているはずだ」
『覚悟!そんなに簡単に了承して……』
覚悟は零の声を無視した。覚悟は僧の瞳に話しかけ、僧は覚悟に小さく微笑む。
「わしの治療術に近代的な医療機器は必要ない。それより覚悟よ、聞きたいことがまだありそうだな」
覚悟は片手で零の頭部を脱ぎ、質問した。
「うむ、あのザクについてだ。貴公同様、あのザクからも悪意は感じられなかった。……あいつは一体
何者なのだ?何故あれ程の戦士でありながら東方先生を狙う?」
「お前にも全てを話す必要があるようだな。……おっと、すまん覚悟。伝言があったのだ。あやつに」
僧は笠に手をあてザクの顔を見上げた。ザクもまた単眼を光らせ、男をみつめ返す。
―――東方不敗の行方でも掴んだのか、王大人(ワン ターレン)よ。
「うむ。我が神拳寺の密偵に東方不敗の行方、さらにはその目的を探らせておいた」
王大人はザクの意思を読み取ったかのように答えた。
「東方不敗はモビルファイター・マスターガンダムに搭乗し、東京を離れ香港へと向かったらしい。
さらにその際、デスアーミーの生み親であるデビルガンダムを引き連れていたことも確認されている」
「東方先生が、デビルガンダムを連れていただと!」『出鱈目にも程がある!』
突如王大人に非難を浴びせたのは当然、覚悟・零の両者である。この二名はまだ、東方不敗の真の
正体には気付いていないのだから。王大人は二人の言葉に一切耳を貸さずに続けた。
「もう一つ。どうやら東方不敗はあの男、地上最強の生物と名高い範馬勇次郎とコンタクトを取っている
らしいという事が確認されている。彼奴らにどのような繋がりがあるのかは知れぬが……」
―――範馬勇次郎ッッ!!
ザクは、まだ王大人の話も終わっていないというのに突然バーニアを吹かし、次の瞬間には空に光る
一点の星となっていた。もちろん西の空、香港の方面である。
「失敗だったか、範馬の名を出したのは。まだサイヤ人に関する情報など伝えるべきがあったのだが」
王大人は額に手をあてて唸った。勇次郎に関する事となればあの直情径行である。……困った。
「……すまない。これはどういう事なのだろうか」
一番困っていたのは覚悟であった。何しろ状況が二転三転と変転し、自分の立場さえ見失いかねない。
「ああ、そうだったな。……話してやろう。あやつが何者なのか。何の為に、誰と戦っておるのかを」
王大人はあぐらをかいて座り、笠を脱いで脇に置いた。覚悟は零を装着したままその場に座る。
『治療はあとまわしにされそうだな、覚悟』 零は皮肉を口にした。
「まず、これだけは言っておこう。あやつは、ザクは
敵ではない!あやつこそは、全世界に差し迫った危機を救える数少ない戦士なのである!」
男塾校庭。今、江田島は全塾生を前にし、伝えねばならないことを伝えていた。
あのザクは何者なのか。何の為に、誰と戦っているのか。
「新聞で記事を読み、多くのものは知っているであろう。現在、世界の各地で天変地異に国際テロ、
さらにはそれ以上の危機が相次いでいるという事を。これらの影には必ず、何かしら世界の征服やら
破滅を目論む輩が存在する。中国の故事に伝わる『真苦露西手意』。今こそがその時。世界の終末
なのである!……だが、今より遡ること31年前。ベトナムの地にて、この危機に相対すべき戦士として
産声を上げた漢がいる。それこそが、ザクなのである!貴様らもまた、これからこのザクを支援し、
世界の敵と戦う事を義務付けられた兵である。よってザクについて、その誕生について知っておかねば
なるまい。しかし、彼奴の誕生を語るにあたってまず、一人の男の戦いとその死について触れる必要
がある。よく聞けい……」
ベトナム戦争とは元来、南ベトナムと北ベトナムとの競り合いであったが、アメリカが本格的に軍事参入
し始めてきた後期ともなると、北ベトナムを支援するソ連・中国と南ベトナムを支援するアメリカとの
政治戦略的な色合いを深めてきた。当時、圧倒的軍事力を誇るアメリカが優勢と思われていたにも
関わらず、南ベトナムの巧みな戦略・ゲリラ戦の前に、アメリカの近代軍事の敗北という形でこの戦争
は終局を迎えた。
が、軍事評論家たちは口をそろえてこう言う。
「『あの』対ゲリラ戦用特殊部隊がもう少し早い完成を見ていさえすれば、アメリカは確実に勝っていた」
と。
これから語るのは、対ゲリラ戦用特殊部隊『ファミコンウォーズ』に参加した一人の青年の、儚くも奇妙な
戦いの物語である。
ここからファミコンウォーズ。
疲れたな。そろそろ休むか。
明日までレスがありませんように
ここからファミコンウォーズ。
疲れたな。そろそろ休むか。
明日までレスがありませんように
さて、貼るか
暗く、じっとりと湿った空気の漂う洞窟の中に、彼はいた。
耳に入る音といえば、遠くから微かに反響して伝わってくる蝙蝠のはばたきと自身の吐息だけである。
(いや、それだけじゃないみたいだ。)
―――ペラ……カー……スペ……ンカー……
ここではない、どこか遠くから自分を呼ぶ声。恐怖心から生み出された幻聴か。それとも。
彼の視線は足元より2m先に落ちている赤い鍵に釘付けになっている。この洞窟、遺跡に設置された
同色の門を開けるのに必要な鍵。これさえ手に入れば、巨万の富が手に入るはずなのだ。
が、彼はその鍵に手を出すことが出来ない。なぜならば……
足元から鍵の落ちている地面までの2m、ここに深さ50cm程度の窪みが出来ているからだ。当然、
窪みに降り、鍵のある地点まで歩けばいいだけの問題にすぎない。……常人であれば。
彼にはそれが叶わないのだ。彼はこの深さを落ちれば確実に絶命してしまうし、そもそも下り坂で少し
飛び跳ねようとするだけでも命を落としてしまう。蝙蝠の糞が頭に落ちればヘルメットを被っていても
頭蓋が割れるし、地面から噴出す天然ガスに触れようとすれば、あっというまに体は吹き飛ぶ。
悔しかった。生来の虚弱体質さえなければ
―――スペ……ンカー……ラン……
幼い頃から憧れていた冒険家に、立派な男になれていたというのに。こんな鍵さえ取れ……
「起きろ。スペランカー一等兵」
肩を揺らし耳元でささやくリンク軍曹に、スペランカーは夢世界の洞窟から引き上げられた。
途端、スペランカーの心臓が締め付けられ、脂汗がぽつぽつと吹き上がる。一気に目が覚めた。
(やば……今……)
「マリオ大尉が作戦の説明をしてるって時に眠れるなんて、どういう神経してるんだい」
リンクは微笑みながらぼそりと漏らした。マリオの耳に届かないように。リンク軍曹の服装は上下とも
緑の麻の服に緑の三角帽子、首にはまるっきり場違いなオカリナと、とてもじゃないが現在ベトナム行き
の輸送機に乗っている兵隊のものとは見えない。
とはいえ、他のメンバーもほとんど似たような格好だ。この部隊の隊長、マリオ大尉にしても水道管
工事夫のそれであるし、大尉の弟であるルイージ曹長は大尉と色違いのペアルック。スペランカーは
照明の付いた黄色い作業用ヘルメットを被っているし、カラテカに至っては空手着そのものを着ている。
ただ一人、メトロイド撃滅作戦に参加したサムス少尉だけが戦闘向けの格好、橙のチタニウム合金製
バトルスーツに身を包んでいる。
スペランカーは地面に広げられた地図に目を向けた。地図の一点を指しているマリオ大尉は、幸運にも
彼の居眠りに気付いていない様子だったし、気付いていても関心はまるで無いようだった。
「……この地点で試験運用中の機動兵器、ザクT三体が破壊されてるのが発見された。残る一体は
無傷であったが、120m北上した地点でパイロットの死体が確認されている。この情報を受け、空軍が
この周辺地域一帯に絨毯爆撃を行い、さらには第23歩兵師団も派遣されたが北ベトナム兵の死体は
一体たりとも発見されなかったらしい」
マリオ大尉が話をしているのは、最近ベトナムの一画で問題になっている謎の襲撃事件についてで
ある。明らかに敵の部隊が攻撃を仕掛けている様子が無いにもかかわらず、米軍の部隊が次々と
何者かに襲われ、三日前には第24歩兵師団大隊の壊滅さえも確認された。
―――個人による襲撃だ。マリオ大尉はこう言う。信じられない話ではあるが。しかし、スペランカーは
知らないのだ。今、ベトナムには個人で大国の軍事力に匹敵する力を持つ怪物がいるということを。
「何度もベトナムに来てる隊員には察しがついてるだろう。これは『オーガ』の仕業だ」
「……『オーガ』って、誰ですか?」
スペランカーはリンクだけに聞こえるようにつぶやいた。自分だけ知らないというのは気分が良くない。
「ベトナムで伝説になってる敵兵の事だ。貴様は初の前線だから知らんだろうがな」
が、答えたのはマリオ大尉であった。恐ろしいほど、地獄耳。
「全員よく噛みしめておけ。我等『ファミコンウォーズ』がたかだか個人を倒すためだけに派遣されたと
いう、この事実を。『オーガ』を舐めるな。奴は間違いなく、ジャングル最強の生物だろう!」
休憩
汗で衣服が肌にはり付き、ヘルメットの中は蒸されて頭が煮えそうに暑い。
輸送機から降りたスペランカー一等兵を歓迎したのはジャングルの蒸せるような熱気だった。
ただひたすら、暑い。隣に立つリンク軍曹も胸元を掴み持ち上げ、パタパタと仰いでいる。
スペランカーは無骨な戦闘スーツに身を包むサムス少尉にちらりと目をやった。熱くないのだろうか?
さらに辺りを見回すと、輸送機の他にこの部隊のものである戦闘機が何機か目に付いた。
ロケットパンチを備えたツインビーと、レーザー砲を装備したグラディウスである。
『ファミコンウォーズ』を乗せた輸送機が着陸したのは、先の爆撃により円形に森林が焼き払われた
広場である。この地点を中心に『オーガ』捜索の任に当たるのである。
が、マリオ大尉――はちきれんばかりの筋肉を作業着の下に押し込めている――は右手に通信機を
持ち、司令部からの指示を受けている様子であった。
また何か任務があるのだろうか?スペランカーが大尉の会話を盗み聞きしようと耳をそばだてた、
ちょうどその時。マリオは通信を切り、隊員全員の方へ向き直った。
「『オーガ』捜索の前に、また新たな任務が入った。ここより3km程南下した地点で、第23歩兵師団の
第3小隊が北ベトナム兵と交戦を始めたらしい。情けないことに、苦戦しておるそうだ。我々はこれを
支援するようとの事だ。」
「作戦はどのように展開します?マリオ大尉」
サムス少尉の声が、戦闘ジャケットを通じて機械的な音を発する。
「うむ。第3小隊は地図の……ここ。ここにある教会の廃墟にて不意打ちにあったらしい」
マリオは地図を広げ、皆に見せるように左手に持った。
「まずはツインビー、グラディウスの二機が空爆を行い、敵の大方を焼き払う。敵はおそらく、この道を
退路とするだろう。カラテカ曹長の特攻部隊は退路を塞げ。我々本隊と挟み撃ちを仕掛けるぞ」
ファミコンウォーズは着陸地点より南の戦闘区域を目指し、特攻部隊は南東へ廻り、スペランカー
一等兵を含む本隊は西南へ廻って、東西から挟み撃ちを仕掛ける作戦に出た。
とはいえ草木が生い茂り、人の通れる道など存在しないジャングルである。部隊の中でも下級の隊員、
つまりスペランカー一等兵が先頭に立ち、絡みつく蔓草を伐採する任を命じられた。
「こんな仕事をさせられるために……軍隊なんかに入ったんじゃあ……」
鉈で蔓を断ち切るたびに草の葉が鋭く肌を切り裂き、汗が傷に染み、体力と呼吸が奪われる。
即時的なものとはいえ、密林にゼロから道を築くという行為は多大な労力を要する作業であった。
本隊は50m後方から呼吸も、気配さえも殺してついてくる。一方、スペランカーは息も絶え絶えに、
正に死ぬ思いで草を刈っている。こんなに体力を消耗しては、本当に死にかねない。
―――不公平だ。何で僕だけが……
「そもそも気配消してたって、僕がこんなにうるさく先頭を歩いてれば何の意味も無いじゃないか!」
「その通りだな」
頭上から声が聞こえた。密林の中に心地よく透る、女の声。
スペランカーがぎょっとして見上げると、木の枝にサムス少尉が立っていた。
少尉はヘルメットを脱いでおり、栗色の髪があふれて肩にかかっている。そして、その顔。
眉は細長く線の様にすっと流れ、瞳にはサファイアが宿り輝かしく光っている。唇には鮮やかな紅が
引かれ、しかしほんのり紅い頬を見ると、どことなく幼さが残っているように見えなくも無い。
スペランカーは思わず見惚れ、作業の手を休めてしまった。ヘルメットの下に、こんな……
「作業を止めるな。私も手伝う」
サムス少尉がすぐ脇に飛び降り、スペランカーはふと我に返った。―――愚痴を聞かれてしまった。
スペランカーは平静を装い、サムスに尋ねた。「何故わざわざ少尉が前に出てくるんです?」
「今、お前も言っただろう。経験も体力も無い素人だけに先頭を任せるわけにはいかんのだ。マリオ
大尉に申し出て、前に出させてもらった」
サムスは進路に目を向けたまま答えた。そして左腕を前に突き出すと拳の部分が発射口に変化し、
そこから一瞬光が奔る。直後、進行方向の草木は焼き払われていた。
「こんな便利なものがあるのに、僕に草刈をやらせてたんですか」
スペランカーは口に出していた。へとへとになる程疲れていたのだから、不満の一つや二つ言いたい。
「私の命令ではない。不満ならマリオ大尉に言え」
言えるわけ無いでしょ、あんな怖そうな人に。スペランカーは子供っぽく頬を膨らませた。
「何の為にこの部隊に入ったんだ?」
並んで歩き始めてからしばらくして、サムス少尉は唐突に質問を口にした。「何ですって?」
「先程、草刈をやるためにここに入ったわけじゃないと言っていただろう。では、何の為に入ったのだ?」
答え辛かった。決して邪な目的ではないし、隠さなければならないものでもないのだが、人様に堂々と
言える様なことでもないのだ。常人、スペランカーのような特異体質を持たない人間にしてみれば、
些細な、ささやかな願いなのである。とても人に語れるようなものではない。
「それは……ちょっと……何て言うか……」
「答え辛いなら答えなくてもよい。だが、何か目標を持ってここへ来たのだろう?」
サムスはスペランカーの方を向かず、前方にレーザーを照射しながら答えた。微笑んだように、見えた。
「良いことだ。自分で目的を持って闘うという事は。私は……私はな……」
言いかけた、その時。突然サムスはスペランカーを押し倒し、自身は空に向かって銃口を向けた。
流れ弾、巨大なミサイルだ。戦闘領域に近づいているのか。サムスは素早くヘルメットを被り、スペ
ランカーをミサイルから守る位置に立つと、レーザーでミサイルの中心、信管を正確に貫いた。
瞬間、大爆発が起こり、焼けた鉄の破片が周囲一体に豪雨となって降り注ぐ。
が、バトルスーツで身を包むサムスも、その影に倒れるスペランカーも無傷で済んだ。少尉はすぐさま
後方に合図を出し、戦闘が迫っていることを告げる。そして、倒れたスペランカーに向き直り、叫んだ。
「立て、スペランカー一等兵!戦闘だ!」
……返事がない。スペランカーは倒れたままぴくりとも動かない。ミサイルの被害は受けていないはず。
「スペランカー一等兵!」
サムスはスペランカーを強引に起き上がらせようとした。が、その感触!……これは……
「スペランカー一等兵……死んでる」
サムス少尉は呆然とした。何故。何故死んでしまったんだ……。
小休止
目覚めたスペランカーの視界に飛び込んできたのは、薄汚れたテントの天井と、顔を覗き込んでいる
リンク軍曹の姿であった。リンクの表情は喜びとも安堵とも悲しみともとれない、曖昧としていて何とも
いえない表情であった。目は据わっており、惚けているようにも見える。頬は上気していた。
「目ぇ覚めたみたいだな」
リンクは口元に笑みを浮かべた。そういえば……
「作戦はどうなったんです?それに、確か僕は……死んだんじゃ……」
「作戦はお前が死んでる間に終わったよ。うん、死んでたな、確かに。サムス少尉からお前が死んだって
報告があって、急いでこの着陸地点の治療テントまで運んできたんだ。運良くボスは、マリオ大尉は
医師免許を持ってたからな。それにお前の残機もたっぷりあったみたいだし、治療は成功したよ」
残機?少し不可解な点もあったが、とりあえずスペランカーは己が死の淵からぎりぎり生還出来たのだ
という事は理解できた。……危なかった。
「あ、それとさ、マリオ大尉が呼んでたぞ。目を覚ましたら大尉のいるテントに来いってさ。……あっちだ」
リンクは北の方を指差し、それから哀れむような目つきでスペランカーを見た。
「きっと怒られるぜ、お前。なんてったって作戦開始前に死んじまったんだからな。下手すりゃもう一回
殺されるかも。大尉にな」
簡素なパイプベッドから立ち上がったスペランカーは苦笑いを浮かべ、テントから出ようとした。その時、
リンクが付け足すように言った。
「あ、そう。今、向こうのほうで宴会やってるぜ。こっから西にある、乗り捨てられたモビルスーツの足元
でな。大尉にきっちり絞られたら来いよ。生きてたらさ」
―――なるほど。リンク軍曹は酒を飲んでいたのか。
スペランカーはリンクの皮肉を背にテントを後にした。
マリオ大尉は食事中であった。でこぼこしたアルミの大皿の上には白い斑点のついた、赤く巨大なキノコ
の丸焼きが盛り付けられ、そこへサラダ代わりに、紅白に点滅する毒々しい花が添えられている。
マリオ大尉は丁度花と同じように点滅する不思議な服に着替えており、左手に持ったフォークでキノコを
押さえつけ、右手のナイフでそれをスライスしていた。
「スペランカー一等兵、ただいま参りました、サー」
右掌を額にあて、敬礼。マリオ大尉はナイフとフォークを皿に置き、スペランカーを睨みつけた。
悪寒さえするような冷たく鋭い視線に、スペランカーの背筋は針金が入っているかのように張った。
「貴様……あんなところで何をしていた」
胃を直に掴まれるような威圧感。マリオ大尉は、本気で怒ってらっしゃるんだ……
「敵に討たれたならばまだ分かる。が、貴様は交戦以前に絶命したそうではないか」
「申し訳ございません、サー」
「……この部隊の存在意義を知っているか?一等兵」
心底震え上がっていたスペランカーは、突然の問いに答えられなかった。舌が上顎にへばりつき、唾液
はセメントのように固まり喉につまる。答えられなければ……どうなることか……
「我々全隊員に共通することは何だ、一等兵」
―――ファミコンウォーズ。
「ぜ、全員がその活躍を家庭用ゲーム機等で広く知られている戦士であることです。サー」
ようやく答えられた。だが、それが一体何の関係があるのだろうか。
「そうだ。我々は民間の間でも慕われている英雄、つまりはアメリカの正義とプライドの象徴となる部隊
なのだ。にも関わらず、貴様は戦わずして命を落とした。誇りとは無縁に無駄死にをしおった……」
―――マリオ大尉の言おうとする事が分かる気がする。僕達は、国家の誇りとなるような戦いをしな
ければならないんだ。にも関わらず、僕は……情けない。
「分かったようだな。ならばよい。下がれ」
「イエス、サ……おっとと」
敬礼をしようとした所で突然大尉が何かを放り投げ、スペランカーはあわててそれを受け止めた。
何かの詰まった、麻の袋。一体何が?スペランカーは袋を閉じる紐を緩め、ちらりと中をのぞき見た。
「……つまみが無ければ酒もまずかろう。持っていけ」
袋の中には、マリオ大尉が食していたキノコが大量につめられていた。
「うぉう!大尉も中々粋なことしてくれるな」
リンクに伝えられた場所、乗り手に見捨てられたザクの足元では、ファミコンウォーズの面々が焚き火を
中心に円陣を組んで並び座り、缶ビールを掲げて宴会を始めていた。リンクはスペランカーの持つ袋を
見ると喜びの奇声を上げた。
「あ、あ、兄貴のさ、差し入れなんて、ど、どうせキィ、キ、キノコかなんかだぜ」
生来どもり癖を持つルイージ曹長が難儀しながら言った。その言葉通りに出てきたキノコに、リンクは
苦笑をもらした。「ホントだ」
リンクが無言で麻袋を黄金の騎士ギルガメス軍曹に回すと、ギルガメスはビールを地面に置き、手元に
ある木の串を拾ってキノコを刺し火にくべた。しばらくすると、美味しそうな芳香が辺りに広がる。
「いい香りだ」 ギルガメスが漏らす。それにしても……
スペランカーは宴会の出席者の間に視線をめぐらせ、ある人を探す。
「サムス少尉はいらっしゃらないんですか?」
「サ、サァ、サムス少尉はい、いらっしゃらないんですか?だって!いぃ、いきなりだな!」
ルイージのはやし言葉に全員がどっと笑い出し、スペランカーは居辛い気分になった。リンクが大笑い
しながら腹を抱え、何とかスペランカーに質問した。みんなが疑問に思ったことを。
「お前、あの時少尉とナニやってたんだよ!」 再び、どっと沸く。
―――何か変な噂でも流れてるのかな……
スペランカーは照れくさい気持ちになったが、不安も怒りも沸いてこなかった。むしろ、ほっとした。
―――マリオ大尉はああ言っていたけど、みんなはそんなに気にしないでいてくれてるんだ。
「少尉なら別んとこで一人で飲んでるぜ。あの人、こういうの嫌いそうだし。俺たちにしたって、お堅い
少尉と飲むのはちょっと、な。で?何か楽しいおしゃべりでもしたんだろ」
リンク軍曹は期待に満ちた目でスペランカーを見る。そんな期待されたって……
「何でこの部隊に入ったのか、何で戦ってるのか聞かれました」 一同、どよめき。
「ふ〜ん。で、答えられたの?お前」
「……いえ、なんか、答えづらくて……難しいというか……」
答えに詰まるスペランカーに、意外とメンバーは理解を示し、笑うものは一人としていなかった。
「だよなぁ」「分かる」「難しいもんなぁ」
「俺はさ、ロマンを求めてるんだ。戦場にさ」 リンクが口を開いた。
足しびれた
「ヘミングウェイが言ってたじゃん?『戦争は男のロマンだ』、みたいにさ。俺はもともと冒険大好きだから
さ、その言葉を確かめてみたかったんだ」
リンクはそこまで言うと、ビールをぐっと仰いだ。一飲み、二飲みすると口から缶を離して大きく息を吐く。
「インテリぶってんじゃねぇぞ!リンク軍曹!」
普段は寡黙だが、酒が入ると陽気になるカラテカ少尉がはやしたてる。黒髪を短く刈り上げている男で、
こんな時でも使い込んでぼろぼろになった空手着を着ている。リンクが笑いながら質問する。
「じゃあカラテカ少尉はなんでここに入ったんですかぁ?」
「言うまでもなかろう。実践の中で己の空手を極めるためだ!次ぃ!」カラテカがルイージの背をど突く。
「お、お、俺は兄貴に、れっ、劣等感を感じてたんだ。だぁ、だ、だから軍隊に、はぁ、入ったんだがさ。
な、何でか兄貴も、おぉ、俺に続いて入ってきたんだ。こ、ここに。で、け、結局俺より、さ、先に兄貴が
しょ、しょ、昇格しちまったしよ。や、やってらんねぇや」
ルイージは顔を真っ赤にさせながら答えた。赤面しながらどもるその姿は、心無い人間にしてみれば
笑うべき滑稽な光景だったかもしれないが、隊員は全員静かに傾聴していた。
「じゃあ、つ、次。ギィ、ギルガメス軍曹な」
「俺は戦いの中で人間の本当の姿を模索しているんだ。魔王ドルアーガを討った時、俺は、これで世界
は平和になるものとばかり勘違いしていた。だが、ドルアーガがいなくたって人々は互いに争いあい、
奪い合い、殺しあう。もしかしたら人々は破壊と混乱を世に望んでいるのか、そう不安になったんだ」
「流石は騎士さんだな。ツインビー!どうだ?」
リンクはザクの影に潜んでいるツインビーに目を向けた。顔と思しき部分から機械的な声が響く。
『戦闘機ダカラ』
場にどっと笑いが沸き起こった。「ははは!そうだな、そりゃ真理だ!」カラテカは涙を浮かべて膝を
叩いている。スペランカーも輪に加わり、周りと一体化し、大笑いした。笑いが脳を痺れさせ、正常な
思考能力を蝕んでいく。―――でも、楽しいや。……こんなの初めてだし。
こうして一通り話し終えた後、リンクはスペランカーの肩を叩いて尋ねた。
「参考になったか?結構みんな、戦う理由なんていい加減なもんなんだぜ。ギルはともかくさ」
さらにリンクを押しのけ、ルイージがスペランカーにつめよる。
「そ、それより、い、一等兵。サァ、サムス少尉のこと、ど、ど、ど、どぉ……」
ルイージは興奮しすぎてそれ以上話すことが出来なかった。にやにやしながらカラテカが後を継いで、
尋ねる。「どう思ってるんだぁあ?」
場が一気に静まり、ルイージとカラテカの鼻息だけが騒がしく聞こえる。スペランカーは顔を真っ赤にし、
どう答えようか戸惑っていた。―――もちろん嫌いじゃないさ。そんなわけない、でも……
「美人だっただろう」と、リンク。「……はい」
「意外とかわいいとこあると思っただろ」とは意外にも黄金の騎士ギルガメス。「……は、はい」
「ぶっちゃけ好きになっちゃったんだろう!」と総員による大合唱。「そ、そ、そんな!」
「いいじゃん、いいじゃん!顔に入魂の一筆でかいてあるんだから!『好きだぁ!』ってさ!」
「そんな訳ないでしょう!」 リンクの言葉を、完熟トマトと化したスペランカーは否定した。
「ま、そこは別にどうでも……良くはないけどさ、少尉に聞かれたんだろう?『何でこの隊に入ったんだ』
ってさ。みんなの意見を聞いた今なら言えるんじゃないかな。真面目な話」
少したりとも真面目でない、にやけた顔でリンクが迫った。
―――でも、確かに少尉と話をしてみたい気がする。あの時、サムス少尉は何かを言おうとしたのに
結局爆撃のせいで聞けずじまいだった……。見てみたい。サムス少尉の、素の姿を。
「僕、サムス少尉のところへ行ってきます。方向はあっちで……」
「いったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!行け!行け!スペ・ラン・カー!行け!行け!スペ・ラン・カー!」
たちまち巻き起こった大合唱に、スペランカーは今さらながら恥ずかしい思いをしていた。拍子をとり、
拍子に合わせて一斉に叫ぶ。「GO!GO!スペ・ラン・カー! GO!GO!スペ・ラン・カー!」
―――まるっきし体育会系じゃないか!でも、なんか……こういう仲間も、いいな。
「GO!GO!スペ・ラン・カー! GO!GO!スペ・ラン・カー!」拍子は加速度的に速さを増し、
「スペランカー一等兵、突貫しまぁぁぁす!!」スペランカーは酒の力を借りてサムスの元を訪ねた。
宴会場、ザクの足元よりさらに西へ川沿いに2km程進んだ所に、サムス少尉はいるという。
―――ていうか、なんでわざわざこんなに離れるんだろう……
露出した肌にまとわりつく虫を叩き、絡みつく蔓を払いのけ茂みを進む。額を流れる汗が目尻に染み、
手足の筋肉、骨は早くも悲鳴をあげはじめている。もう、進めない。
限界が近づいたとき、川岸に生えるマングローブの木の根元に腰掛ける人影が目に飛び込んできた。
月明かりを浴び、ビール缶を口につけているサムス少尉だった。バトルスーツは脱いで傍らに置いて
あり、夜闇に溶ける黒のタンクトップにデニムのジーンズといった軽装である。
手元には大量の空き缶が転がり、一人でビールを仰いでは夜空を寂しげに見上げている。
―――みんなが楽しく飲んでる時に、なんで。一人で。
血中のアルコールが分解しきって酔いの覚め始めてきたスペランカーは、ここへ来る前の勇気を失い、
出て行って話しかけることが出来なかった。簡単に話しかけられるような相手じゃない。
ここまで来て迷い始めたスペランカーは、その場でそわそわと動き始める。……どうしよう。
その時、呪わしいことにスペランカーの足が地面に落ちる小枝をぽきりと折ってしまった。
乾いた破裂音が響いた瞬間、サムス少尉は手元に置いた拳銃に手を伸ばし、音源に向かって構えた。
―――殺される!
サムスの殺気を一身に受け、スペランカーの生存本能は危険を知らせるアラームを鳴らしじゃくった。
―――出て行かなきゃ、手を上げて。すぐに!
「撃たないで下さい!僕です!スペランカーです!!」
スペランカーは思い切って手を挙げたまま茂みから姿を現した。直後、両者とも動かず数秒の間。
スペランカーのこめかみを冷や汗が流れる。サムスは、次第にその目を見開いていく。
「……スペランカー……一等兵?なんでこんなところに」
サムスが自分を認識してくれたと分かると、スペランカーは肺に溜まった安堵の息を一気に吐き出した。
さて、出かけてくるか。どこか
「良かった。殺されるかと思いましたよ」
精一杯の、それでも引きつり気味の笑顔を浮かべ、スペランカーは慎重にサムスに近づいていった。
既に敵意は向けられていないが、やはりサムスには近寄り難さを感じさせる気配が宿っている。
「また、か」
不意な言葉にスペランカーは戸惑った。―――また?
「はい?」
「なんでもない。……飲め」
サムスは手元に置いてある缶ビールを一本手に取り、投げた。スペランカーは缶をなるべく揺すらない
ように、そっとそれを受け取る。「ありがとうございます」
「どうしてここへ来た」
サムス少尉はマングローブの根元に背を預けて腰を下ろし、ビールをちびりと口にした。地面に転がる
缶は既に八本。大分酔いが回っているのだろうと思うと同時に、よくもまぁこんなに個人に支給された
ものだとスペランカーは驚いた。
「さっきの少尉の言葉が気になって。なんでこの部隊に入ったのか、って」
スペランカーはサムスの正面に腰を下ろした。月明かりに照らされ、黄色い作業用ヘルメットに刻まれた
無数の傷が浮き彫りになり、前頭に付いた照明のレンズの縁が光る。
「聞きたいか?」と、サムス。「はい」と短い、スペランカーの返答。
「だ〜め」 サムスは小さく首をかしげて愉快そうににやけた。
スペランカーは正面からサムスの顔を覗き込み、ようやく気付いた。普段ほんのりと紅い頬が、今や
熟れたリンゴとなっていた。やはり相当酔っているらしい。何故か、スペランカーは照れた。
「あ、明日から『オーガ』捜索の任務が始まるんですよ?大丈夫ですか?そんなに飲んで」
「こんな時にまで勇次郎の事を考えたくはない。ほっとけ」
サムスは手にしたビールを飲み干し投げ捨てると、さらにビール缶を開けた。投げられた缶は茂みの
中に消え、スペランカーは聞こえないくらい小さい声で「環境破壊です」とつぶやいた。
―――それより今、『ユージロー』って……?
「『ユージロー』っていうのが『オーガ』の本名なんですか?」
サムスは身を乗り出し、ヘルメットをポンと掌で叩いた。
「本当に何も知らないんだな。範馬勇次郎。それが私たちの敵の名前だ。死んでも忘れるな」
事実この後、スペランカーは死んでも、生まれ変わってもこの名を忘れることは無かった。
「ところでサムス少尉、なんで……」
「別段おもしろい話でも何でもない」木の根によっかかり、サムスが口を挟む。「大した理由じゃない」
「だからこそ、お前のさりげない言葉が胸に刺さったんだろうな」
二人は同時にビールを仰いだ。それを見て、スペランカーが微笑む。サムスも、微笑んだ。
「知ってるとは思うが、私は以前、地球外生命体メトロイドの研究サンプルを採取――結局ただの
虐殺になってしまったが――するために宇宙で活動をしていた。戦っていた。でもそれは、全部上の
連中に押し付けられてやってたことで、私自身は戦う理由も、生きる意味も考えず、ただひたすら
戦ってただけだった。だから、今は自分で選んで戦場に来た。少なくとも、そのつもりだ」
スペランカーはあぐらをかき、足の間にビールを置いて静聴している。
「戦う理由も生きる意味も、自分で選んだ戦いの中で必ず見つかるんだと思っていた。そして分かった。
私は、人の命を救う戦いができるんだ、そういう戦いをしたいんだって。最前線で戦う事で、敵の命も
味方の命も救う事が出来る。今日も味方で死んだのは……お前一人。北ベトナム兵も、4人も捕虜
として捕まえることが出来た。なるべく、人が死なずに済ますことが出来た」
「いいですね」素直にスペランカーは羨んだ。「戦う理由が、ちゃんとおありなんですね」
にもかかわらず突然。サムスは自虐的な、ヒステリックな笑い声をあげ、左手を額に当てて空を仰いだ。
スペランカーが戸惑いながらその様をみつめる。「何か、悪い事言ってしまいましたか……?」
「ちゃんちゃら可笑しいんだ、私自身が!人の命を救うなんて大層な理由で自分を納得させようとして!
人の命を救う戦い?だったら医者を目指して野戦病院にでも行けばいい。仲間を守る?だったらもっと
昇格して大部隊を指揮する隊長にでもなればいい。どっちもマリオ大尉はやっている。でも私は……
戦う理由を見つけたフリをして自分を騙して、結局今も、何も考えずに戦ってるだけなんだ!」
最後の方は言葉にならず、ほとんど絹を裂く絶叫になりかけていた。
「私は、単なる戦闘マシーンになりかけてる!もうなってるのかも。だから他の連中も私を避けるんだ!」
「考えすぎです!アルコールが入りすぎて興奮してるんです。……落ち着いて」
スペランカーはサムスを落ち着かせようと――少しの下心も持ちながら――サムスの肩に手を置くが、
サムスはそれをひっぱたくように払いのけた。さらにビールをいっきに飲み干し、空き缶をスペランカー
の胸元めがけて投げた。―――危ない。中身が入っていたら、死んでいた。
「戦場で感情に飲まれるのは命に関わる。だから私は嬉しいのも悲しいのも怖いのも寂しいのも、全部
自分の中に押し込めて戦ってきた!でもそんなのも、きっと言い訳に過ぎないんだ。きっともう、私は
見た目通り、感情を捨て去った冷酷な機械に成り果ててるんだ!」
「機械が悩むはずないでしょう!」スペランカーはきつく叫んだ。
「敵だって命を救ってるんじゃない。殺さないってだけなんだ!そんなの、誰にでも出来る!それに結局
……味方のお前も殺した……私が。何で……うう……」
大きな瞳が潤んで余計に大きくなり、目尻から大粒の涙がこぼれる。抑えられない嗚咽が漏れ、もう
しゃべることも出来なくなってしまった。今までずっと一人で、誰にも話すことが出来ず溜めてきたものが
一気に洪水になって溢れ出てきたのだろう。
スペランカーはサムスの隣に腰を移し、その肩に手をまわした。小さい肩。今度は、抵抗しなかった。
「僕、みなさんに戦う理由聞いておいて、自分は何も言えなかったんです。はずかしくて。……はは。
部隊で一番の下っ端がこんなんでいいんでしょうかね」
ズボンのポケットを探ると比較的清潔なハンカチが出てきた。それをサムスに渡す。
「僕の理由は下らないもんですよ。『広い世界を見たい』。……ああ、やっぱりはずかしいや。でも、
それが僕の戦う理由だと思ってるんです。もしかしたらそんなの建前にすぎないかもしれない。でも、
僕はそれを信じています。……僕は生まれたときから人の十倍体が弱くて、出生時は保育器に、
ジュニアスクールまでは病院のベッドの上に、ハイスクールの時は自宅の部屋に篭ってばかりで、本を
読んだり、外の世界を夢想したりして、他にやることと言ったら通信教育での勉強だけでした」
語り出した時は恥しさの余り赤面していたが、話し出すと酒の魔力によりすらすらと言葉が出た。
「そんな僕でも、密かに目標があったんです。いつか世界のあらゆるものを見る大冒険をするんだって
いう目標が。だから僕は親や医者に内緒でトレーニングを始めて、内職を始めてお金を貯めて、
高校卒業資格を取って、大学を受験したんです。前から本を読んで興味があった、考古学科を。
そしてある日、僕はある資料を見つけて大きな遺跡を掘り当てることに成功しました。財産を一山築く
ことも出来ました。大きな屋敷をメイン州で買いました。……でも、僕が望んだのはそんなものじゃ
ありませんでした。何ていうかその、もっともっと、広い世界が見たかった。だから……」
「だからこの部隊に志願したの?戦争に来れば、違う世界を覗けるから?」
涙の収まったサムスがスペランカーの後を継いだ。スペランカーは、大きく一つ頷いた。
「それだけです。少尉みたいな深い考えも何もありません」スペランカーはサムスに目を向け、笑った。
サムスは意外と小柄な身を、さらにスペランカーに寄せる。「立派じゃない、偉いぞ」
「だから、しょう……サムスだってそんなに深く悩む必要はありませんよ。戦う意味だってこれから……」
「分かった」呼び捨てにされたことを嬉しく思いながらもあえて無視し、サムスは唐突に言った。
「何がです?」スペランカーが問いかけ、「多分、これだけは確かだ」と、サムス。
「さっきから言っていただろう。私は寂しくて寂しくて寂しかったって」「言ってましたっけ?そんなに」
サムスは微笑み、額をスペランカーの額にコツンと合わせた。「お前が私を守れ」
きつめの命令口調ではあったが、スペランカーの脳を焼き焦がす、甘い告白だった。
「そ、それは上官としての命令でしょうか、サムス」オーバーヒートした脳みそが勝手に言葉を紡ぎ出す。
「お前なら出来そうだ。私を寂しさから、怖いものから守れ。お前は強い。……体は、弱いけどさ」
「出来ますかね」まだ脳が焼けている。「出来ますか、じゃない。やれ」サムスは反応を楽しみ命令する。
「僕、サムスの事好きです」「だったら構わんだろうが」「手始めに何をしましょう?」「何が出来るんだ?」
スペランカーは掌をサムスの小さな掌に絡みつかせ、唇と唇を静かに重ね合わせた。
そしてこれが、二人の最後の口づけとなった。
ここまで貼ってきてちょいと嫌になってきたかも。別スレにしようかな。
どうせここ過疎スレだし、放置しようか。
もうちっと続けるけどさ
「大尉の帽子の下、どうなってるか知ってるか?」
唇をスペランカーの薄い胸板に密着させていたため、サムスの声はくぐもって聞こえた。
「今、何って言いました?」優しく尋ね、スペランカーはサムスのうなじをなぞるように撫でた。
サムスはもう一度、同じ言葉を繰り返した。
口付けを交わした後、二人は割れ物に触れるように慎重な手つきで互いの頭――スペランカーは
ヘルメットをはずして脇に投げていた――、互いの顔、唇、背中、胸、腕、脚を撫であったが、事に及ぶ
までには至らなかった。スペランカー自身の体力が、行為に耐えうるかどうかが不安だったのだろう。
その交わりは前戯止まりのものとなった。これが最後の愛の交わりであったと知っていたら、当然
二人は死をも恐れず、互いを壊してしまうほどに愛し合っていただろうに。
「はぁん、やっぱ何か隠してるんだ。あの帽子」「何だと思う?」「お月様じゃないんですか?」
サムスは可笑しそうに忍び笑いをもらし、スペランカーの腕の中で身をよじった。「ばか」
「大尉の頭頂には31針の大怪我があるの。勇次郎、『オーガ』との因縁なんだって。大尉と寝た女は
みんな、その事を知ってるんだ」
へぇ、と口に出そうとした瞬間、スペランカーは胸が締め付けられる何ともいえない不快さを感じた。
それは、嫉妬であった。腕の中にいる僕の、俺の女を、大尉は抱いたんだ……
サムスはそんなスペランカーの心情を察し、可笑しそうに、嬉しそうにあられもなく笑った。
「なんだ、焼きもち焼いてくれるんだ」
「当たり前じゃないか!くそ……うらやましいや。こんな」サムスの頬に指を走らせる。「いい女を」
「戦場で女一人がやってくってのは大変なんだ。でも、そのおかげでこんなお恵みもある訳だし」
サムスは顎を、地面に落ちている空き缶の山の方へやった。――なるほど。そういう事だったんだ。
「で?マリオ大尉は勇次郎と戦ったことがあったんだ。大尉は負けたんですか?」
「戦場じゃあ命がある限り勝ち負けなんて決まらない。ただ、プライドを砕かれたって意味では大尉の
惨敗だ。大尉はな、空中からの足技では誰にも負けない程の強さを誇っていた。だが一年前、彼の
目の前に現れた勇次郎は、そんな大尉の頭の天辺にネリョチャギをぶちかましたんだ」
「ネリョ?」「か・か・と・落・と・し。空中戦の得意な大尉が、さらに上を取られたんだ」
――マリオ大尉。それじゃあ一番範馬勇次郎に恨みをもってるのは、マリオ大尉なんだ。
スペランカーはマリオの心情に想いをめぐらせ、さらにマリオに呼び出された先程の事も思い出した。
作戦会議中も、戦闘中も、待機している時も、マリオは自身の感情を一片たりとも出すことなく、常に
平常心をもって動いていた。しかしマリオは、マリオも、心の中でうねりのたくる憎悪の嵐を抑えこんで
戦っていたのだ。
スペランカーはやるせない想いになった。なんでサムスも大尉も、自分を内に押し込めようとするんだ!
「マリオ大尉の所へ行きましょう。そんなに辛いのに我慢してるなんておかしいよ!」
「行ってどうする?酒でも酌み交わし、私みたいに愚痴でも吐かせるつもり?情も無い交わりだったけど
私には分かる。あの人は、自分の支えになってくれる人を知っている。私と違って、支えがあることを
理解している。下手な慰めは無用だ」
スペランカーはまたもや複雑な気分になった。口では情も無い交わりと言ってはいるが、果たしてサムス
の心は本当に、自分を見つめているのだろうか?他人には目もくれず、自分だけを。
サムスは満足げに笑みを浮かべた。この人は私の虜なんだ。一生、私を見続けさせてやる。
「また嫉妬してる。嬉しいな。でもさ、悔しいんだったら私をめちゃくちゃにしてごらん?私をめちゃくちゃ
愛してよ」サムスの挑発。スペランカーはサムスのぷっくりした唇に唇を近づけた。
「愛してやるさ。愛してやるよ」静かな口調に込められた、猛り狂う愛情。……だが。
二人の唇が接触するより先に、ベースキャンプのある方角から爆音が轟き、火の手が燃え上がった。
「部下はわしを恨むだろうか……」
食事を終えたマリオは一人赤ワインの入ったグラスを掲げ、ぽつりとつぶやいた。視線の先、木製の
デスクの上には擦り切れた白黒の写真、マリオとピーチ姫の笑顔のツーショットが写っている。
「ピーチよ、わしは今まで通り……感情を殺し、私情を捨て去りこの作戦に臨んでいるつもりだった。
だが、先程のスペランカー一等兵への説教。あれは……もしかしたら猛る憎悪を彼に、ぶつけていた
だけなのかもしれん。わしは……冷静だろうか?間違っていないだろうか?」
写真は何も答えない。当然だ。しかし、写真を通して二人の心が今現在も通い合っているということも
また真実であった。――そんな事は無い。あなたは冷静よ。ピーチ姫は答えた。
「分かっている。だが、良いのだろうか?奴を、勇次郎を倒すのはわしの使命だ。わしの使命の為に、
待つ人のいるあやつらを犠牲にしたくはないのだ。ギルガメスには、カイという婚約者がいる。リンク
にはゼルダ姫が、そうそう、ルイージの奴は、ようやくデイジー姫に求婚しおったそうだ。今まで想い
合っていたにもかかわらず、うじうじしおって!」
マリオは嬉しそうに笑顔を浮かべ、写真に語りかける。グラスに再びワインを注ぐ。
「それにスペランカー。あやつ、戦場でサムスと仲睦まじくなりそうな雰囲気だったわ!スペランカーを
担いできたサムスの表情。ありゃあ、何かありそうだとは思ったがね」
その時、テントの外に何者かが立つ気配があった。マリオは警戒心を張り、顔を引き締めた。
――こんな時間に、呼びもしないのに部下が来るだろうか?
「誰だ」返事は無かった。ただ、押し殺したような、不気味に響く笑いが耳まで響いてきた。
それにこの匂い、入り口から風に混じって漂ってくる獣臭。そして殺気の篭ったまとわりつく闘気。
そのどれにも身に覚えがありすぎた。――のこのこと自分の方から姿を現しおったか!
「勇次郎ぉぉぉぉぉッッ!!」マリオはありったけの憎しみを込めて叫んだ。
「元気そうだな、マリオ中尉」勇次郎はテントの中に足を踏み入れ、笑みを浮かべた。
「おかげさまで今は大尉だ」マリオは顔をしかめ、拳を握り締めてそれを歓迎した。
ガイドライン板に「SSスレッドのガイドライン」ってスレがあってもいいんじゃないかと思い始めてる。
立ててみる。
範馬勇次郎。つい2ヶ月ほど前に16の誕生日を迎えたばかりのこの男が、一国の軍事力にも匹敵する
戦力を有し、マリオの脳天を叩き割った――この時は15であった――男である。
容姿。上半身は露出し、下には迷彩色のズボンを履いている。燃える赤毛を炎のように逆立て、額には
斑模様のバンダナを巻き、左上腕にナイフを装備しているが、この小さなナイフは武器使用を目的とし
た物ではなく、ジャングルで生き延びるために必要な、極最小限の生活用具である。
外見上、何よりも特異なのはその筋肉である。皮膚の下には一分たりとも無駄な脂肪がついておらず、
筋肉の走行が直に、繊維の一本一本までもが見えるかのように引き締まっている。
悪魔の筋肉。兵士達の間ではそう言われている。
肉よりもさらに異質なのが闘気である。夜間でも蒸せる様に暑いテント内が、勇次郎が入ってきたことで
さらに気温が上昇する。気温と闘気の温度差により微小竜巻が発生し、勇次郎近くのテントの壁が
ぱたぱたとはためく。
そして、獣臭。常に戦闘体勢である勇次郎から発せられる体臭に、緊張時に分泌される交感神経
ホルモン・アドレナリン特有のすえた匂いが含まれている。
あらゆる感覚を通し、範馬勇次郎の殺気は伝達される。
が、マリオの憎悪は勇次郎への恐怖心をも凌駕していた。
「出世したってのに、えれェほこり臭い家に住んでやがるじゃねぇか」
勇次郎が笑いかける。が、マリオはそれを無視し、懐から小さな笛を取りだして言った。
「……わしがこの呼子を吹けば、一騎当千の兵達がすぐさまここへ集まる。」
「フン、だったらさっさとお仲間を呼びゃあいいじゃねぇか。イチイチ見せずに……」
マリオは、取り出した笛を勇次郎の胸元へ投げつけた。勇次郎はそれを避けず、厚い胸板に跳ね
返った呼子は剥き出しの地面へぽとりと落ちる。
「その必要さえ無いという事だ。貴様如き青二歳、わし一人で片付けてくれるわッッ!!」
マリオは右掌を勇次郎へと突き出した。が、遠すぎる。拳の届く距離ではない。
しかし勇次郎は両手を前方に掲げ、防御の型、前羽の構えでこれを迎えた。
相手の攻撃を受けきってこそ、その戦士を「喰らった」と言えるのである。一方的に攻めはしない。
「来いよ、大尉」
鈍い発火音と共に、マリオの掌から人頭大の火の玉が飛び出した。
(でけェ……あの時よりッ)
先の戦いでは手拳大であった炎が、今では必殺の火力と化していた。鍛錬に次ぐ鍛錬の成果。
勇次郎は笑みを浮かべ、両手前腕を時計回しに回旋。廻し受けでこれを受け流そうとする。しかし。
着弾した瞬間。火炎は全身を包み込む業火となって勇次郎を丸呑みにした。
流石の勇次郎もこれには完全に不意を突かれた。マリオの憎しみを軽く見積もりすぎていたのだ。
「〜〜〜〜〜、チェリャァァァッッ!!」
回旋速度を上げこれを逃れようとするが、そう簡単に消える炎では無い。はずだった。
空気を抉る音、炎をかき消す音。勇次郎はただの三回旋で全身の炎をかき消した。
「よくぞここまで練り上げた、マリオッッ!!」
叫ぶ勇次郎。だが、その視界の中にマリオの姿は存在していなかった。
そもそも、テントそのものが忽然と姿を消していた。あるのは木のテーブルとその上の酒、写真……
(どこへ消えやがった、マリオの野郎……)
「どこを見ておる!わしはここだ、ここにおるッッ!!」
突然、上空からのマリオの声。勇次郎は顔をしかめて空を見上げた。そこには、空を翔るマリオの姿。
「けッ、マントマリオと来たか。変わり身の速ぇ野郎だ」
正確には違った。マリオがマント代わりにしているのはテント。テントの天辺から顔を突き出し、テントの
裾をなびかせ上空10mを飛んでいるのであった。修練の賜物、テントマリオ。
「ここからが本番ぞ、範馬勇次郎ッッ!!」
地上10m。人間の脚力であれば、例え棒高跳びを以ってしても届く距離ではない。
しかし、勇次郎は膝を曲げ、マリオを見つめてにたりと笑った。跳ぶつもりだ、10mを。
掛け声。次の瞬間、勇次郎はマリオの目の前にまで達していた。
さらに、跳躍の勢いを借りたハイキック。狙いは水平方向に飛行しているマリオの心窩部、みぞおち。
「邪ッッ」
空振り。先程までマリオのいた空域には何者もいない。空中ではマリオの方が一枚上手だ。
「上を見ろ、勇次郎ぉぉぉッッ!!」
見上げた瞬間。勇次郎の顔面を厚い靴底が思い切り踏みつけた。勇次郎はそのまま抵抗することも
出来ず高速度で地上へ落下。両手両足をつき、衝撃を分散させる策も無しに、粘土を叩きつける様な
鈍音を響かせ着地した。ダメージは無い。赤面もダメージによるものではない。踏みつけられた、屈辱。
「マリ……」
立ち上がろうとした時、勇次郎の体に大きな布が被さった。先程までマリオが纏っていたテントである。
つまり、浮力を失ったマリオは勇次郎を追って落下してきていた。そのまま勇次郎を踏み潰す気だ。
「わしのぉぉぉぉぉ、勝ちだッッ!!」
テントの膨らみへ落下するマリオ。大地を揺るがす轟音。静かな夜の空間に訪れた、ただ一撃の空爆。
マリオは体操選手のように両手を水平に上げてふくらみの上に立ち、会心の笑みを浮かべた。
あの『オーガ』が、範馬勇次郎が、わしの足元で朽ち果てておる!ろくな抵抗も出来ず!
「勝ったッッ!!ついに勝ったぞッッ!!わしが、範馬勇次郎を倒したのだぁぁぁぁぁぁッッ!!」
「所詮こんなモンか」
マリオは心臓をわしづかみにされた思いになった。突然の、勇次郎の声に。
さらにマリオは苦痛の悲鳴を上げた。勇次郎が布越しにマリオの左足を握り締めている。
瞬発力を持った万力のように。
「ぎぃぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!」
普段の声からは決して想像出来ない、女のような黄色い絶叫。
無理も無い。勇次郎の手により左足がもぎ取られ、骨と肉と神経を直に晒すはめになったのだから。
「せっかくの再会なんだ……もうちっと楽しませてもらうぜ……」
勇次郎は足の残骸を投げ捨て、マリオを押しのけてテントの下から這い出てきた。
一方マリオは、壊れた足を抱えて這いずり回り、唇をかみ締めて涙を飲み込んでいる。
「脳みそこぼしかけても生き延びたアンタが、這いずりながら涙をすする……見てらんねェな」
勇次郎は這いずるマリオにゆっくりと近づき、マリオを見下ろした。その目に宿るのは、飽きたおもちゃ
を蹴飛ばす子供のものと同種のものであった。
勇次郎はマリオを殺す気だ。
だが、マリオの目にはもはや涙は浮かんでいなかった。覚悟があるのだ。
足を失っては最早勝ちは有り得ない。だが、それでも負けはしない。飽きられた玩具にはならない。
復讐のみを考え生き延びてきた1年間を、無駄にはしない。
「勇次郎……もそっと近くに寄れい……いいモノをくれてやるわ……」マリオの挑発。
「クック。何か企んでやがるのか、じじぃ」
だが勇次郎は臆することなく、さらにマリオの近くへ寄った。策があるのだろう、だが、どうでもいい。
さらに楽しませてもらえるのなら。
実はマリオ、勇次郎との戦いで敗北することも想定しており、服の下の胴体にはダイナマイトの束を
巻きつけていた。勇次郎と密着し、点火すればもろともに散華。
来い、来い。マリオは念じ、勇次郎は余裕の笑みで近づいた。しかし。
勇次郎の野獣の嗅覚が気付いた。――火薬の匂い、ダイナマイトかッッ!!
「チェリャッッ」
勇次郎の足刀がマリオの右手を切り落とした。刃物の如き鋭さで。「これで万策尽き……」
マリオの左手に炎が宿った。――密着は出来なかったが、この距離ならばッッ!!
「〜〜〜〜〜〜左手でも使えるのかッッ!!」
爆音をとどろかせ、二人を巻き込みベースキャンプは炎に飲み込まれた。
もうちょい。
コンマ一秒程の間、スペランカーとサムスは硬直して見つめ合い、それからすぐに二人は火の手の
上がった方向へと視線を奔らせた。――ベースキャンプだ!
「あれは!」
「ちっ、敵に仕掛けられたのだろう。ヘルメットを被れ、スペランカー一等兵。戦闘準備だ」
夜闇に突然現れた暁に目を奪われているスペランカーにサムスは上官として命令しつつ、自身も傍らに
脱ぎ捨ててあったバトルスーツを、膝を突いて分解し始めた。機密性に優れたこの完全鎧は、ひとまず
パーツ毎に分解してから部分部分装着しなければならないが、サムスは流れるような動作で素早く
この作業を行っている。スペランカーがヘルメットを被った時、既にサムスは頭部を残し全てのパーツを
装着済みであった。
スペランカーは背中に手を回して何かを探している様子である。――武器を、マシンガンを忘れた!
「サムス……少尉。キャンプに武器を置いてきてしまったみたいです……」
「たわけ!……まぁ、どっちみちマシンガンなどで仕留められる相手ではないだろう。このタイミングで
我々に不意打ちを仕掛けることが出来る者……単身……おそらく、敵は範馬勇次郎だ」
険しい表情のサムスを見ても、スペランカーは未だに理解できなかった。
――我等ファミコンウォーズが、たかが一人の兵にそれほど神経質になる必要があるのだろうか?
自分の顔をまじまじと眺めるスペランカーに対しサムスは、先程までの親密さで話しかけたい衝動に
駆られながらも、あくまで上官として話しかける。
「一等兵。ここへ来る途中、宴会をやっていた辺りに乗り捨てられたザクがあっただろう?あれを動かし
てくれ。生身のお前が戦闘に参加した所で足手まといになるだけだ」
「たった一人の敵を相手にモビルスーツを……」
「今は信じられなくてもいい」スペランカーの言葉も途中に、サムスは言う。
「だが必要なんだ。ザクの戦力が」
スペランカーはしぶりながらもこれを了解した。上官の命令だ、仕方ない。と、不意に、スペランカーは
何とも言えない不安に駆られた。何が不安なのかは分からない。だが何か、嫌な予感が。
「キャンプに近い他の者達は既に戦闘を開始している頃だろう。グズっている暇は無い。私は直に戦闘
に参加するが、お前もなるべく早くザクを起動させて後を追って来い。操縦経験は無いだろうが問題
無い。自動車を元に感覚的に動かせるようになっているはずだ。……そうだ、これ位は貸してやる」
サムスは先程スペランカーに向けた拳銃、女性が持つにしては大きすぎる44マグナムを渡す。
「勇次郎が相手では予備の武器にも護身用にもならんだろうがな。では、行くぞ」
「待ってくれ、サムス!」背を向けて走り出そうとするサムスをスペランカーが呼び止める。
「何だ、スペランカー……」しばらく考えた挙句、サムスは「一等兵」と付け加えなかった。
「何か、物凄く嫌な予感がする。変に思われるかもしれないけど、必ず、何かが起きると思うんだ」
「私もだ」サムスは否定せず、間を空けず同意する。
「こんな心配必要ないとは思うけど、サムス。頼むから……死なないでくれ」
「了解した」サムスは笑顔を浮かべた。部下に対する会釈程度のものではなく、恋人同士の笑顔を。
それを見て、スペランカーは意を決して口を開く。もしかしたら、今しか言える時は無いかもしれない。
「……この作戦が終わって本国へ帰れたら、僕と……僕と結婚してくれ。僕は必ずサムスを……」
「そういう事は後で言って欲しいな」サムスはスペランカーの胸を小突いた。「後で、ゆっくりとさ」
二人は視線を絡ませあう。だがそこには、拭い去れない不安が横たわっている様に感じられた。
さらにサムスがヘルメットを装着すると、二人の間に障壁が発生してしまったかの様な錯覚に陥る。
「今は任務が先だ。後の幸せは、後で考えろ」
そしてサムスは背を向け、月明かりに照らされながら夜の中へ跳び去っていった。
後には、やはり不安が拭いきれないスペランカーだけが残された。
――だったら、不安だったら、急ぐんだスペランカー!早く、ザクの元へ!
スペランカーは己を奮い立たせて走り出した。ジャングルの中へ。
先程まで酒を交わして馬鹿騒ぎをしていた隊員達も、現場に駆けつけた事で酔いが一気に醒めた。
五つあるテントの内4つ――残る一つはマリオが使ったものだ――が炎に包まれ、周辺の木々にまで
火の粉を散らして燃え上がっていたのだ。
隊員達はマリオの名を叫んだ。この時間帯、ここに残っていたのはマリオただ一人だったからだ。
――敵の襲撃にあったか。だが、何故マリオ大尉は呼子を吹かなかったのだろうか。
リンクは叫びながら思考を巡らす。物を冷静に考えられるまでには酔いが醒めてきていた。
――呼子を吹く間もなくやられた?敵は、単身で侵入してきたのか。かなり熟達した戦士。オーガか?
「マリオ大尉!無事なら返事をして下さい!マリオ大尉!」
その時、リンクは炎の一つの中から浮かび上がるシルエットに気付いた。影は徐々に炎から立ち上がり
次第にその姿を露にしてゆく。上半身は服を脱いだ、剥き出しの筋肉の塊。が、その頭には見間違う
ことの無いMのロゴが入った赤い帽子が乗っかっており、その下には、しわが深く刻まれ髭を生やした
熟年の顔があった。――生きていた。マリオ大尉だ!
リンクが全員に伝えると、面々は安堵の表情を浮かべ、マリオの方へと駆け寄っていった。
「大尉!無事だったんですね?」
カラテカが炎を背に立つマリオに手を差し出して言う。が、リンクはマリオの顔に何か不自然なものを
感じた。――大尉の顔のしわ、あまりにも深すぎやしないだろうか?何というか、弛んでる様に……
「無事じゃねェさ」
マリオはカラテカの肩に腕をかけ、体を預けてつぶやく。そして、リンクだけが不可解に思う。弱った様に
聞こえる声だが、その小さな声に、マリオには最早無いはずの若々しさが感じられる。
――もしや。リンクの思考は突然、辿り着くべき解答へと至った。……こいつは、大尉じゃない!
「そいつから離れて下さいッ!カラ……」
マリオの皮を被ったそいつの蹴りがカラテカの両膝を砕き、分断した。カラテカは何が起きたのか理解
できない様子でマリオもどきを見上げ、話しかけようとしたところで頭蓋骨を叩き砕かれた。
目にも映らぬ速さのネリョチャギ。カラテカは灰色の脳を割れた頭部から曝け出し、何やら不気味に
ぶつぶつとつぶやきながら地面に崩れ伏した。
「てめェらの大将はこのツラだけになっちまったぜ」
勇次郎はマリオの生皮の仮面と帽子を脱ぎ捨てて笑った。
間。
「勇次郎ぉぉぉぉッッ!!」
偽マリオの正体にいち早く気付いていたリンクが腰の剣を抜き、雄叫びを上げて勇次郎に切りかかる。
その叫びが、突然の事態に呆然としている他の戦士達の意識を震え立たせる呼び水となった。
――マリオ大尉は死んだ……。ならば、勇次郎抹殺の指令は我等のみで達成せねば!
リンクの剣が月光に閃き、大振りの上段が肩口を、一文字の横薙ぎが腹を狙う。
が、勇次郎はそのことごとくを右の平手で弾き、流している。
当たらない。リンクの魂を込めた一撃一撃が、ただの片手でいなされているのだ。
――ならば! リンクは左足を大きく前に出して右足を引き、上半身をネジの様に極限まで捻った。
防御不能の回転撃ならば。――ガードごと吹き飛ばして……
前に出した左足に衝撃を感じて、ようやくリンクは過ちに気付いた。――隙が大き……
溜めの一撃に気を集中しすぎたあまりに防御がおろそかになっていたリンクの足を、勇次郎のロー
キックがへし折ったのだ。片足を失いバランスを崩したリンクは前にのめりこむ様に倒れこみ、それに
合わせて勇次郎の膝が顔面に飛ぶ。
が、リンクの顔面を砕く前に勇次郎は脚を引いた。その合間をテニスボール大の光の弾が奔り抜ける。
勇次郎が顔をしかめて攻撃の主に目をやると、5m程先に、青いボディのアンドロイドが銃身である
右腕を勇次郎に向けて仁王立ちしていた。
外見上子どもであるが為に、宴会の席では端でジュースをすすっていたロックマン伍長である。
「みなさん下がって下さい!こいつはぶぉッッ!!」
突然ロックマンは下顎に強烈な衝撃を受けて舌を噛み、次いで世界がぐるぐると回転を始めた。
古い映画の特殊効果のように一点を中心に視界が横回転を続け、頭部に軽い衝撃があったかと思うと
回転はピタリと止まる。最後にロックマンが見たものは、大地の高さから見上げる己の背中であった。
勇次郎が一足飛びで5mもの間合いを詰め、アッパーカットでロックマンの頭部を吹き飛ばしたのだ。
『ターゲット・ロックオン』
上空からツインビー、グラディウスの二機が同時に勇次郎に狙いを定めていた。ツインビーの前下部に
直径1mの巨大な双拳、ロケットパンチが現れ、グラディウスの主砲口には光る粒子が集中している。
『ファイア』
ロケットパンチが放たれ、レーザー砲が大地を焼く。グラディウスの攻撃は勇次郎の足元を焦がす程度
であったが、ツインビーの拳は狙いを誤らず真っ直ぐ勇次郎へと直進している。――当たれ!
勇次郎の右足が消えた。刹那、双拳は発射方向に弾かれていた。ハイキックがロケットパンチを跳ね
返したのである。一つはツインビーに向い、もう一つはグラディウスの方へ突き進む。――回避不能!
「魂のこもらねェ機械の拳じゃあそんなもんか……くだらん」
夜空に二つの花火が散った。ツインビー、グラディウス、散華。
「あ、あ、兄貴の仇だぁぁぁぁぁッッ!!」
振り返ると、ルイージが勇次郎に向かって闇雲に突進してきていた。あるいは、跳び上がる助走か。
だが、どちらでも変わりは無かった。勇次郎の頭からのぶちかまし、低空タックルを下腹にもろに喰らっ
たのだから。その時点で下腹関係の臓器は全て破裂していたが、それだけでは済まされない。
タックルを喰らって倒れたルイージが立ち上がろうともがくと、勇次郎がその上に馬乗りになった。
「けッ、出来損ないの弟がッッ!!」
「や、やぁ、やめ……」
5発、10発、20発。勇次郎の鉄拳が大地にバウンドして跳ね返るルイージの頭部を執拗に殴り続ける。
何発打ったかも忘れたころ、勇次郎の拳の下でルイージの頭は骨を微塵にされ、蛸の様に軟体と化
していた。赤く膨れ上がった瞼が目を覆い隠し、鼻は平たく横に広がっている。死は確実である。
その時、蛸殴りに熱中している勇次郎の頭頂を硬い何かが強打した。
――ルイージ曹長、今助けます!
月明かりと燃え盛る炎、異なる二種の光を混ぜ合わせて反射させる黄金の鎧兜に身を包んだ騎士
ギルガメスが今、魔王ドルアーガを屠った剣を勇次郎の脳天に叩きつけた。
何かが砕ける確かな手応えが、鋼を通して手に伝わる。――間違いない。頭蓋骨が……
「西洋の刀ってなァナマクラなんだな」
殴る手を止め、勇次郎は不気味な笑顔で振り返った。頭は割れていない。血さえ流れていない。
――馬鹿な! ギルガメスは目を見開いて己の剣を見つめた。砕けたというあの手応え。あれは……
勇次郎の手刀がチーズの様にギルガメスの鎧、胸部を貫いた。狙いは心臓。
心臓の前面を守る胸骨を砕き、手刀が狙いへと到達する。心臓はドクンと一回拍を打ち、次いで細かく
震え出し、ついにその活動を止める。幸いなことに、痛みも感じぬ一瞬の出来事であった。
膝から崩れ落ちるギルガメスを蹴り飛ばして勇次郎は手刀を引き抜き、穢れたものでも祓うかのように
手首を振って血を掃う。
主力は堕ちたはず。だが、祭りはまだこれからだ。
勇次郎の視線の先にはカンフースーツを着た東洋人が、宙を漂う風船の紐を片手に持つ少女が、
バイクにまたがるヘルメットの男が、鍬を担いだ日本の農民が、銀の鎧の騎士が立ち塞がっている。
――クック。こいつら全員喰えるのか。いいぜェ、喰って喰って、喰いまくってやるわッッ!!
勇次郎は口の端から涎を垂らし、残った隊員達の中へと躍り掛かった。
やっとこさ移転作業完了だ。あとは新作を書くだけ。
にしても、見事なまでにレスが無かったな。ここを選んで正解。
新作書いて誘導した後もレスが無かったらひどいけど。流石に感想は欲しいし。
無かったらその程度の腕だっつうことだ。
さて、がんばるか
(⌒V⌒)
│ ^ ^ │<これからも僕を応援して下さいね(^^)。
⊂| |つ
(_)(_) 山崎パン
ageられたか。山崎に。おはようございます。
さぁて、書けるか?レポート溜まってるが・・・
今からレポート仕上げか。くっそ。書きてぇ・・・
誕生編後のストーリーも既に脳内で展開されているというのに。
「デビル勇次郎編」やら「キテレツ編」やら「新生ギニュー特選隊VS新生シャッフル同盟」やら。
ガイドラインはいい感じに育ってる。
創作文芸にVS氏が書いてたっぽいのは良かった。
短編ネタ師としての本領発揮って感じだったな。おもろかった。
今一番の穴場かもしれん。あそこは。
さて、うpるか。
つい先刻まで騒々しい宴が繰り広げられていたそこには今や、わずかに残った薪をちろちろと舐めて
火の粉を上げる弱々しい焚き火と、その赤い灯りに浮かび上がる緑色の巨人、ザクTが残されている
のみであった。周囲の木々よりわずかにとびだしたその頭に、桃色の瞳は点いていない。
スペランカーは、先程まで聞こえてきていた戦闘音が最早消えていることを危惧していた。
――ファミコンウォーズがオーガを倒したんだ。……そう思いたいけど……
だが、本能と直感がそれを否定する。彼らは全滅したのだ、と。……サムスも?
――馬鹿なことを考えるな!そんな暇があったら急げ、スペランカー!
ここまでの2kmを走ってきて汗をたっぷりかいたスペランカーは額を拭い、息を整えながらザクの足元
へと進んだ。全長20m近い巨大な乗り物だ、足元のどこかに昇降装置があるはず。
滑り台のような斜面のつま先に右手を置き、目を凝らし、手を滑らせながらゆっくりと足元を廻る。
が、突然ふと気付いたようにスペランカーは焚き火へと早足で近づき、先に火の点いた焚き木を一本
手にとって戻った。こう暗くては見つかるものも見つからない。
それらしきボタンは踝の辺りで見つかった。『rope ladder』と刻まれた板金を持ち上げると、その下に
赤い手拳大のボタンが見つかったのだ。スペランカーはそれを押し、続いて起こる変化を待つ。
何かが装甲に当たりながら落ちてくるカランカランという音に次いで、コックピット直下に三角形の足場
の付いたワイヤーロープが降りてきた。スペランカーが足場に乗ってワイヤーを掴むと、それを合図に
上昇が始まった。ようやくザクに乗ることが出来る。
だが、果たして自分にザクを乗りこなす事が出来るのだろうか。そもそも、間に合うのか。
スペランカーの胸を締め付ける不安は依然消えなかった。
コックピットに乗り込んだスペランカーは入り口付近にあるスイッチを探って押し、機内灯を点けた。
ザクの巨体に似合わず狭い操縦席が暗闇から浮かび上がる。
スペランカーは操縦席に座り、周囲に目を走らせた。とりあえず、動かすことを考えねば。
――それにしても、サムスの嘘つきめ。
操縦系統は車とはほとんど別物らしかった。足元にはアクセル、ブレーキらしきペダルがあるが、左右
両側の手元にはそれぞれ1本ずつの操縦桿が伸びている。それぞれの操縦桿を出鱈目に動かしてみる
と、右の操縦桿は全方向自由に、左の操縦桿は前後のみに動く事が分かる。
操縦桿の把持部には、各指に対応する形でそれぞれ5本のボタンが付いている。おそらくザクの指を
動かすボタンなのだろうという事だけは想像できるが、動かしてみない事には分からない。
何にせよザクを起こさなければ動かすことは出来ない。スペランカーは右の操縦桿の下に広がるボタ
ン類、コントロールパネルを適当に押しまくった。――急いでるんだ……さっさと動け!
するとコックピットが閉まってゆき、続いて前方の壁面に夜のジャングルが映し出された。動いた!
スペランカーは再び、今度はゆっくりと左右の操縦桿を動かしてみる。要領は即座に掴めた。
右の自由方向に動く操縦桿はザクの上半身の動きを司っており、左の操縦桿はオートマチック車と似
た速度を設定するものであって、前方からP、1、2、3、4、R、Fと段が区別されている。
「Fは多分飛行だろうな……この指は……」
スペランカーはつぶやきながら集中していた。急いでいるからこそ、慎重に、焦らず、確実に操縦系を
把握しなければならない。それに加え、スペランカーは純粋に、ザクを動かすことにのめりこんでいた。
コントロールパネルの『weapon』と書かれた領域の『machine gun』を押すと、スクリーンの向こうでザク
の手がマシンガンを取り出して握った。――よし、武器もちゃんとある。
基本的な動かし方をざっと把握し武器を確保した所でスペランカーはシートベルトを締め、身体と共に
気分も引き締めた。――これからが僕の、俺の初陣だ。待っていろ、サムス、みんな!
スペランカーは左の操縦桿を『F』までぐっと引き倒し、アクセルを踏みこみ、叫んだ。
「ザク、スペランカー出る!」
キャンプに戻ったサムスの目の前には無数の死体が広がっていた。大量の血がこびりつき光沢を失っ
た黄金の鎧。顔の潰れた、緑の作業服の男。足を失った空手家。硝煙をあげる戦闘機。
――初めて見たものでは無い。今までの諸々の作戦で、こんな光景は吐いて捨てる程見てきた。だが。
これは今まで所属した部隊の中でも最強の部隊。そして、かけがえの無い私の仲間達……
それが、滅ぼされた。何者かによって。誰に?……言うまでもない!!
「出て来いッッ!!勇次郎ォォォォォッッ!!」
芯の通ったサムスの叫びがジャングルの湿った空気を振動させる。が、それに答える声は無く、雄叫び
は反響を繰り返しながらすっと消えていった。範馬勇次郎は完全に姿を消していた。少なくとも、目に見え
る範囲内では。
サムスは右手の砲口を下方に突き出し、死体の間をゆっくりと歩き出した。気配を消し、死体の中に紛
れているに違いない。見つけ次第、ためらう事無く射殺する!
息を殺して捜索を続けると、刹那、視界の端で何者かが動く気配があった。動きは弱々しく、何事かつ
ぶやいていたが、過敏になっていたサムスはためらうことなく振り向き数発の光弾を叩き込んでいた。
ターゲットが爆ぜて四散した瞬間、ようやくサムスは気づき、背筋に一筋の冷や汗が流れる。
――もしかして今のつぶやき……助けを求めていた……仲間?
時間差を置いて、空から落ちてきた何かが鈍音を立てて地面に叩き付けられた。
人間の頭部だった。生皮を剥がされ筋繊維を剥きだしにされた、焼き魚の様に白濁した目のマリオ。
サムスが悲鳴を上げるよりも早く、背後の死体の山から範馬勇次郎が飛び出してきた。恐慌状態に
陥りながらもサムスは振り返ったが、それよりも早く勇次郎の踵がサムスの頭を叩き割った。
3つめコピペ失敗。無念。
さて、宣伝に行くか。バキスレは荒れてるから宣伝すると危ないか。
読んでくれる方、バレさんには失礼だけど、ガイドラインで誘導する。
バキスレにはさりげなく貼っておこう。
素晴らしい自慰っぷりだなw
さっそく来たぜ、口調は乱暴だが、アンタのファンだ。
せいぜい楽しませてくれや。
カキコ。すげえ量上げましたねぇ……
>>182 つまりあれですか、ザクさんのやった事は狂人がする事であり
普通の板にそんな事をするのは、駄目だろという事ですか?
>140
その被害妄想っぷりが素晴らしいな(藁 182がいつそんな事言ったんだが。
マロン板のスレとやらは見てないのだが、もしかして荒らされた!ってのは
こいつの脳内だけであって、実際は苦言を呈されただけだったのかもね。
>>141 ていうか、この板は狂人達の終着駅と呼ばれているわけだが。
そんな板で、乗っ取りが駄目って言うのもちょっと。
IDありからなしの板にわざわざ移動したって事は、自作自演し放題って事で
よろしいのでしょうか?
>>144 誰も来ない過疎スレだから選んだの。そんなんID非表示板じゃあんま無いし。
自演したきゃすりゃいいけど。
×ID非表示板
○ID表示板
こんなとこまで来て荒らす奴は本物の狂人だけでしょ。
147 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/09/25 22:40
晒しあげ
>>ザクさん
一応言いますと、140・142で言いたかった事は
この板は普通の板ではないので、糞スレを乗っ取っても、
駄目な理由が無いと言いたかっただけですので
もし、変な思いをしていたら、ごめんなさい。
>>148 いいえ。ありがとうございます。
ここでは最後まで書き続けるので、もし良かったら最後まで読んでください。
ここを乗っ取った事に関しては一向に非は無いと思ってますが、書き方が非常にまずかった。
150 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/09/25 23:22
荒らしは一切気にしないでくれな。
心無いクズもここには多いが、真摯なファンも少なからずいることを覚えておいてくれ。
ってわけで、つづきを楽しみにしてる
>>150 今戻れば余計荒れます。
お心使いは痛み入る、というか今の状態では涙が出そうなまでにうれしいんですが
必ずここで完遂します。
もし良かったらここで読んでいってください。
>>151 サンクス。絶対最後まで書きます。
バキスレの荒らしから逃げた人間が、こんな所からも逃げるわけにはいかないし。
>ザク氏
ヤムスレが移転してID表示になったから
もし余裕があったらヤムライン再開キボンヌ
154 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/09/25 23:53
どっから流れてきたんだ?このスレは
>>153 今は一杯一杯なんで遠慮させていただきます。すいません。
しかし、やり取りが全部自作自演に見えかねんな、ここ。
純粋に書くこと目的の移転だから、問題は無いけど。
間、とかいってあけてるレスがあるとしらけるな。なんか現実に戻されるって感じで。
158 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/09/26 18:32
ザクはもうバキスレにいらない。
荒れる。他職人に迷惑。
そしてなんか人間的に卑怯な気がする、こいつ。
159 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/09/26 18:55
>>158 もう鬼みたいに荒れてる。
元々酷かったけど、ザクのこの事件でまた拍車がかかった。
>160
クズそのものが何言ってんだよw
162 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/09/27 00:19
電波板なんて2ちゃんのお荷物板なんだから、ザクのSSには勿体ないくらい
ID無いからって暴走してんじゃねーよクソども
ああああああ颯颯颯颯颯楓楓百足百足ゲジゲジゲジゲジや素手
米米米米米米米米gはウェア憂げ合うgフ青g路eabjkfbsxijvbhjhgiuyf
geaugrafjdsoifjsoGGGGGゲゲゲゲ
野麦峠ああ殺神軍102-4 335-7.24
チョッチョオベベバームバーム将軍閣下でありますRRRRRRRR
WREお荷物だああああああAREARE
AER EW 似オ持つ閣下イエアイエア!
ようこソ!
>>163-165 オイ”貴様等”お荷物板の住民のフリしてんじゃねーゾ?
ぶつヨ?梵具梵具言わす3?
闘闘闘叩き潰してく
仏仏仏陽から陰へ
滅滅滅消へては省み
却却却3時のおやつだ
熱烈歓迎家庭用ビデオゲーム機
168 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/02 22:15
逃げた、か。ここでも。
169 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/02 23:37
あっちならIDも出るしな。こんなクズ板でやる必要はない。
戻ってこい、ザク。俺たちはいつでも歓迎するぞ。
171 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/04 01:29
板をも否定しやがった。
ココで逃げたらお前は谷川と同レベルだ 帰ってこい
173 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/06 01:20
結局どこいっても一緒か。
お久しぶりです。
この板を選んだ理由は私には良く分かりませんが、
ザクさんの決められたこと、じっくりと頑張ってください。
でも、辛すぎるようであれば、バキスレにいつでも戻ってきてください。
ザクさんの場所はちゃんとあります。
あと、ヤムラインの再開も期待しています。
今のID表示板であれば、以前のような事も
ないでしょう。
176 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/06 15:57
>>175 止めた理由がそれだけじゃないから無理だろ。
そうですか、残念。
ID板であれば、ポイント稼ぎの多重投稿もできないので、
問題ないかな、と思っていましたが…
現在、>136 までサイトに保管しています。
そういえば、原作で勇次郎が女性に手をかけたシーンって
刃牙の母だけでしたね。
つーか、サムスは結局どーなったんだよ?
せめて、ベトナム編だけでも完結させてくれよ、マジで・・・
179 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/09 20:34
バレさんがここまで気を使ってくれてるのに。
ザクさん、辞めるのは致し方ありませんが、せめて返答を。
180 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/10 11:11
181 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/10 20:05
ザク氏は力量は高いのだけど、投げ出し癖があるからな。
その辺夜王氏と通ずる所がある。
182 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/11 07:59
復活を希望する人もいる。止めるなら止めるで一言書くのが礼儀。
183 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/14 14:59
結局逃げたか(ゲラゲラゲラ
流石だな、ヘタレの大将。偉大なるマロンの作家サマ、ザク先生マンセー
おそらく大学の方が忙しいのでしょう。
SSを強制する気はありません。
また書きたい気持ちになったら再開して下さい。私は歓迎します。
185 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/15 19:51
ザク先生のヤムラインの投げ出しはガッカリした。
>ザク氏
今のヤムスレはID表示になったし
今のバキスレはマンセーしかいない
書くならどちらかに戻ってもいいのでは?
IDがあろうとなかろうと、痛ければ叩かれる。
アホな信者はガイドライン板での醜態から何も学んでないんだな(プ
っつーか、マジでマロン板はカスが多いよ↑のようなクズやろうが。
ヤムスレもマロンに来てからあらしが増えたし。
クソスレと厨房の溜まり場には精神年齢低いやつが多い。↑みたいなの
189 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/17 22:33
190 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/17 22:36
なんとなく同意
191 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/17 23:07
192 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/18 01:01
分かりやすい自演だな。
193 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/18 02:27
194 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/18 21:48
実は荒らし同士で煽りあいをしている罠
なんつて
瓜板が重くてみれないよ
わざわざ非ID表示板を選んだのは、本人のためだったんじゃない?
マロンでのザクは、職人一の自演の常習犯だったし。
本人が「あれは僕です」とバラしてるのもあるが、本当はその何倍も自演してたと思う。
ヤムラインを止めた理由も、バキスレを抜けた理由も、何か中途半端だし。
売れるのが確実なユニットを組むより、危険でもソロでやりたかったってのが本音だろうが。
まぁ、本人が消えた今となっては邪推に過ぎないのだがね。
197 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/19 21:08
もう帰ってこないだろうな。
198 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/20 12:52
まぁ、マロン始まって以来の強力作家人の1人、ザク先生は生粋の卑怯者であらせられるからな
http://that.2ch.net/test/read.cgi/gline/1064130342/195 >195 名前:ザク ◆3JowPutE8k [sage] 投稿日:03/09/25 22:57 ID:mDQxkQVo
>すいません。頭に血が上っていてレスが乱暴になってしまいました。
>スレが荒れた・マロン雑談化は全て私の原因ですが、どうかご容赦下さい。
>
>これからもSSを紹介し、されていくスレを目指したいと思いますので
>どうかこの流れを一度断ち切っていただけませんでしょうか?
自分の不行状を叩かれたら、逆ギレしてさらに叩かれる始末。
慌ててごめんなさいしてみても…
http://etc.2ch.net/test/read.cgi/denpa/1058386904/149 >149 名前:ザク ◆3JowPutE8k [sage] 投稿日:03/09/25 23:11
>
>>148 >いいえ。ありがとうございます。
>ここでは最後まで書き続けるので、もし良かったら最後まで読んでください。
>
>ここを乗っ取った事に関しては一向に非は無いと思ってますが、書き方が非常にまずかった。
^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
30分と経たないうちに、この言い草。失笑ものだな。
199 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/20 18:47
しょせんパオの弟子みたいなもんだからなw
200 :
t.A.T.u ◆Opa3e6IdjA :03/10/20 18:55
200
201 :
一人静香 ◆rs645sLqh2 :03/10/20 18:56
200
202 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/20 23:24
>199
しかも、その師匠がせっかく収めようとしたところを
http://that.2ch.net/test/read.cgi/gline/1064130342/188-189 >188 名前:パオ ◆w/9ws2V0DU [] 投稿日:03/09/25 22:09 ID:lVS7diJA
>たった一日で雰囲気悪くなってる・・。今唯一のパラダイスなのに。
>だけど皆さんのおっしゃる通りですね。
>余りにもマロンの愚痴をここへ持ち込み過ぎました。
>すみません。以後、マロンの現況をここへは持ち込みません。
>私も次のレスから名無しに戻ります。
>う〜ん、もう一度まったり出来ませんかね?
>189 名前:ザク ◆3JowPutE8k [sage] 投稿日:03/09/25 22:26 ID:mDQxkQVo
>YpR3UHXHは流石に粘着しすぎなんで、もう来ないで下さい。
>そもそも電波で乗っ取りなんて珍しくないし。
>板住人でもない人間にどうこう言われる筋合いは無い。
>
>
>>179 >何でそう思い込み・決め付けレス満載なのかな?
>別にSSスレを統合しようなんて言ってない。SSが掲載されてるスレを集めてるだけじゃん。
>荒れさえしなければスレ紹介レスが来る、ガイドラインのスレとして機能してるんだしさ。
>イラついてるようだけど、一時的な感情でスレ汚ししないでくれ。
30分も経たないうちにブチ壊しにするザク先生(藁
203 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/21 07:26
同じ弟子でも1985とはえらい違いだな ザク先生w
204 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/21 15:05
>>203 1985はパオの弟子じゃないよ。だってパオは1985のSS読んで無いもん。
205 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/21 19:30
最近思ったんだがザク先生ってもつおだったんじゃないの?
厨っぷりや文章が似てると思うんだけどどう思う?
207 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/22 00:02
おお 鋭い!
208 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/22 13:43
152 名前:ザク ◆3JowPutE8k 投稿日:03/09/25 23:26
>>150 今戻れば余計荒れます。
お心使いは痛み入る、というか今の状態では涙が出そうなまでにうれしいんですが
必ずここで完遂します。
もし良かったらここで読んでいってください。
>>151 サンクス。絶対最後まで書きます。
バキスレの荒らしから逃げた人間が、こんな所からも逃げるわけにはいかないし。
209 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/23 20:18
しかし冗談でも何でもなく、戻ってきてほしいな。
ここは厳しいと思うから、バキスレとかでさ。
210 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/23 22:50
なんかこうも投げ出しが続くと、ヤムラインの投げ出しは計画的だったような気がするな。
ネタを続ける自信が無くなって、自分叩きの自演をして、キレたふりして投げ出す、と。
やいザク、悔しかったら出てきて何か言ってみろ
211 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/25 02:25
計画的だろ、投げ出しは。
212 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/10/25 12:40
ザクは昔のファミコンソフトの「つっぱり大相撲」が得意だろうな。
213 :
名無しちゃん…電波届いた?:03/11/01 15:52
sarasiage
214 :
名無しさん@明日があるさ:
恵まれてる人は、うらやましいです