記念カキコ
埋めませんか?
埋めない方が個人的には嬉しいかも。
向こうで書けないことをこっちで書くとかしたりしたいし。
それとかここを使って個人技じゃなくて皆のアイデアを出して作るヒキモッコリを考えてみるなんてのもアリだし。
文章を書けない人もアイデアを出し合ってさ。
皆でヒキモッコリなんてのもこっちなら出来そうじゃない?
ほかには自分のヒキモッコリ今こんなのありますよーとか。
>>919さんみたいな返答にちょこっとだけ教えてあげると期待が高まったりするかも。
4コマショートとかなら結構誰でも出来そうだし。そういう小さな発表会みたくもしてみるとか。
と、そんな感じでヒキモッコリの新たな可能性を考えるという点ではまだまだ埋めるにはもったいないかなぁなんて。
80も余ってるんだし有意義にその80使っていきましょ。
了解です。
926 :
ED:03/03/05 12:05 ID:cIy95jH/
二年間勤めていた会社との契約が切れ、しかも更新する意思はないと言われて
落ち込んでいたのが先先週の始め。で先週、ついに退社。
それから昨日まで、正社員雇用の会社を三つとアルバイト雇用の会社一つの面接
を受ける。既に不採用の電話が二件。私感では、残りも駄目っぽい。
本日は何となく職安に行くのが億劫に感じられ、朝からネット三昧。Yahooでスポーツ記事
読んだりDonutPのカスタム所なぞに行ったり2ちゃんを覗いてみたり。
鬱積した気分を和ませようと思い、向かった先はガイドライン板「今日面白かったスレッド」。
そこで当スレを知る。
次スレ勃ってるみたいなんで、僭越ながら俺もそちらにヒキモッコ話なぞを
書いてみようかという気になったのがついさっき。退屈で卑屈に成らざるを得ない
毎日が、ほんの少しだけ楽しくなりそうな予感。
>>926 マターリ期待しながら待たせて頂きますよん。
>926
最初新作かと思った(w
楽しみにしてるよ!
929 :
918:03/03/06 00:51 ID:8DH5TaXY
ヒキモッコリ妄想を細々書いていたら…急に仕事が決まりました。
仕事といっても正社員ではないんですけど、半年ヒキってたので嬉いっす。
そんな訳で妄想を形にする時間は減りそうですが、マターリ完成させたいです。
>>929 おめでとう。作品はのんびり待ってるから、完成させてね。
記念パピプ
917です。なんとかちまちま書いております。
まだまだ序盤で終わる気配も無いですけどね。。だけどなんとか。一日5〜6行ではありますが・・
「小さなことに気づく、気づかされる」っていうのをテーマ(?)に書いてますです。
そんなくだらない日常みたいなものを妄想しております。
一応書いてるぞーっていう報告でした。
あともう一つヒキモッコリを考えてみました。
今回はそのヒキモッコリのちょっとしたあらましでも。こっちは日常性とかはナッシングですが。。
大昔、大木には顔があった。
大昔というのは人間がまだ二本足で歩けるようになってから少し経った頃。本当に大昔のこと。
当時の人間達というのはぎこちない感情とわずかな言葉を覚えたばかり。
しかし逆にその発達した部分が人間同士の争いを産ませていた。憎みあったり、殺しあったり。
そんな時、人間達は大木に出会う。
大木は人間達に語りかけることでいろんな感情を教えてくれた。喜びを。悲しみを。
人間達は完全には理解出来なかった。でも、少しづつ大木の言うことを分かってきた。
そして人間達は大木からいかに自分達が愚かなことをしていたかを知る。
人間達は考えることで、間違った考えを正していった。
そんな大木が教えてくれたもの。それが人間達に伝わり、今の私達に伝わってきた。
神様は本当にいたのかもしれない。
そんな話。
だけど書こうとする時間が無くてどうも形に出来なかったり。
ってかこういうあらすじだけ書くヒキモッコリとかってのはどうでしょうか。
やっぱり皆でヒキモッコリってのをしていきたいなぁって。
なんか浮いてる気だ・・・放置してください・・すんません。。
934 :
山崎渉:03/03/13 12:41 ID:cK2aqvvR
(^^)
保全
936 :
名無しさん@毎日が日曜日:03/03/18 12:44 ID:pFYxifE/
49 :日々之 :03/03/18 12:19 ID:Em2Hvjia
895 :日々之 ◆nIdk.wwcCA :03/03/17 19:35
芸大である理由:
マーチ以下のやつらはとりあえず負け組みであることに対して
自覚を持っているから(帝京を除く)、叩く理由ない
芸大は就職先ない(一般大と比べて不利)
坊ちゃん譲ちゃん変人ナルシストの巣窟
その癖して 自称エリートの東大と同格(それ以上とafoなことを言うやつもいたりする)
そんなの準1流大のこの俺、早大様は許しません(w
芸大なんて日大のちょっと下、専修のやや上程度の学校だろ(総合的に判断したら)
その程度でプライドだけは一丁前で明星とか造形とかカイヤを馬鹿にする
お前ら気づけよ、目くそ鼻くその耳くそだ(ゲラ
所詮はお絵かきごっこ、そんなので将来生計立てられるとでも思ってるの?
好きだからやってる?
だったら家でやればいいじゃん、浪人してまで芸大へ入り描きたい絵、作りたい作品ってなに?(w
お前ら芸大ってブランドがなきゃ、絵も描けないの?(作品も作れないの?)
以上の点だけで十分だろ? Fランクではなく芸大を叩く理由として
896 :名無しさん@お腹いっぱい。 :03/03/17 19:45
なんで、そんなに必死なの?↑流石どうでもいいことには頑張れるんだね。
897 :名無しさん@お腹いっぱい。 :03/03/17 19:51
>>896 菓子詰めなんかにはいってるエアキャップをプチプチ必死に潰す心理に似てると思う。
937 :
名無しさん@毎日が日曜日:03/03/18 12:56 ID:8F1eAOlt
ヒキモッコリの意味が今やっとわかったよ。
ヒキモッコオモリってどうよ?
2ちゃんねるの闇に潜んで方方の板にカキコして去っていく〜
♪コオモリだけ〜が知っている〜♪
938 :
名無しさん@毎日が日曜日:03/03/18 12:58 ID:pFYxifE/
議論を向こうに持ち込ませたくはないので、ここにカキコ。
オーイ、新スレの70さんよ、妄想が書けるなら書いておくんなまし。
連載中に雑談したり、煽りに噛みついたりさえしなければイインデナイノ?
940 :
山崎パン:03/03/21 16:57 ID:YzWXbfKe
(^^)
941 :
918:03/03/21 21:20 ID:HyDfRygd
うう、何か忙しくて書けないよ。書いたら書いたで
仕事始めてテンションが上がってしまってるせいか、以前の文とは文体が変わってる始末…
>>941 そんなに忙しく書かなくてもいいさー。やれる時にやれるだけでいいと思うよん。
今は仕事の方中心でがんがれー。
えーと、こちらで初めてのヒキモッコリをさせていただきます。どうかよろしくです。
まだ書いてる途中で更新頻度もかなり遅いので生暖かい目で見守ってもらえれば幸いです。
ここにいる一人の浮浪者。
毎日辺りをうろついては時間を潰す彼の日々。
親にも見限られ、食べることも満足に出来ず。
いつ死んでもおかしくない、もう死んでもかまわない。
彼は心半ばに前進することを諦めていた。
もうどうにでもなれ。
全てを投げ出した一人の浮浪者。
そしてそんな彼が出会った一つの出来事。
その出来事が彼にもたらしたものとは何か。
これは、そんな彼についての一つの物語である。
ザァァァッ―――――
「雨、か・・・」
昼。曇空。
憂鬱な雲が辺りを包み、降り注ぐ雨が勢いよく音を立てている。
それを眺める一人の男。
男はその場しのぎに大木を傘にしていた。
曇空を睨みつけるその目はどこかしら疲れ果てているように見えた。
身なりはお世辞にも整っているとは言えない。
色褪せたズボン、
薄汚れたシャツ、
ボロボロになった紐靴。
服装の一つ一つがより彼の貧しさを際立たせていた。
まぁそう見えるのも無理はないだろう。
彼は見たままの通り貧しい生活を送っているのだから。
実家を追い出されてから早半年。
仕事につくよう急かす両親と仕事をする気も無い彼。
両親が親戚の会社に行くよう勧めるも結局長続きはせず。
肝心の彼はと言えば自分の部屋から一歩も出ないような毎日を過ごしていた。
そんな彼に愛想が尽きたのだろう。
「もう出て行け!!」
ある日突然頬に赤い音。
彼の中にだって考えはあった。
ただ今はそれを言うより両親に対する申し訳なさが込み上げてきた。
そして、彼は家を出ることにした。
「今までありがとう。そして、ごめんなさい。」
そんな簡単な書置きを残して彼は家を出る。お気に入りの本とわずかばかりのお金をバッグに詰めて。
それからは行くあても無くただただ途方に暮れる日々。
何の目的も持たずに辺りをふらつく毎日。
夢や目標なんて言葉は彼の頭に過ぎることも無かった。
それでもそんなに彼にとってこの生活は悪いものでは無かった。
何か心の重しが取れたような、そんな感覚を感じていた。
ただ、この街にいると家族のことを思い出してしまうのが耐えられなかった。
彼は街を離れた。心の中でサヨナラを告げて。
ザァァァッ―――――
「これじゃ、当分動けないな・・」
彼は自分に言い訳をするようにその場に座り込んだ。
ふと上を見上げると隙間からこぼれた雫が彼の頬に当たった。
彼は軽く苦笑いすると視点を変え、いつもの様に人間観察に見入ることにした。
新しい街にも随分慣れてきた。
自動販売機にコンビニ。銭湯に警察。一通りの場所は覚えた。
初めの内は公園で長居していたのだが如何せん場所が狭い。
顔を覚えられる内にだんだん居づらくなり、今のようにぶらぶらするようになった。
彼のお気に入りは大通りを外れた場所にちょこんとある小さな古本屋。
年中無休を謳っているにも関わらずいつでも閑古鳥状態。
古ぼけた看板に妙に狭い店内。本も埃を被っている。これでは人が来ないのも無理は無い。
しかしそれが彼にとっては好都合だった。
人目を気にせずにたくさんの本が読める。彼にとってこれだけ条件の揃った店も無いだろう。
おかげですっかり彼は顔なじみになってしまった。ここなら顔を覚えられるのも悪くない。
ところが今日は突然の雨。
本屋に行こうにもここからではずぶ濡れになってしまうだろう。彼は雨が嫌いだった。
そんなことがあって、彼は仕方なくこんな場所で一日を過ごすハメになっている訳なのである。
心地良い雨の音。
雨の一粒一粒が互いに反響し合って綺麗な音色を奏でている。
土に。道路に。草に。水溜りに。
落ちる場所によって微妙に違う音が混ざりあってとても不思議な音色がする。
深く。浅く。長く。短く。
矛盾した二つが混ざり合う音色。なんとも言えない。
この音は彼の耳に届いているのだろうか。
あの表情からすると恐らく気が付いてさえいないのだろう。
彼はじーっと見つめていた。
行き交う人の群れ。
慌ただしい人々。
こんな雨の日だってのにいつもと変わらない景色。
違うことと言えばその景色に傘があるか無いかってことくらい。
それこそ雨にたじろいでいるのは彼ぐらいなもので。
その彼はと言えばそんな人々の動きをつぶさに観察していた。
どうやら平日ということもあってかスーツ姿の人が目立つ。
その姿の人誰もが早足に移動していて。
中には天気も気にせず携帯電話で忙しそうな声を発する人もいた。
そんな声がかき消されるくらい妙にうるさいのはもう当たり前の光景。雨のせいじゃない。
皆、移動している。感情なんてどこにも無かった。
「シアワセ、か・・・」
彼はふと溜め息混じりにいつもと同じ独り言をつぶやく。
そこにはスーツ姿の人間を蔑み、どこか羨ましそうに目で追ういつもの彼がいた。
もう彼の所持金も残りわずか。
どこにでもある封筒に一万円札が二枚と、しわだらけの五千円札が一枚。
底に小銭が溜まってはいるが、彼自身どれくらいあるのか知らない。
一日の食費は300円までということにしている。毎日銭湯に入るようにも入っている。
銭湯は一回100円。ただ、毎日入るのはマメ過ぎるか。銭湯代はもう少し削っても大丈夫かもしれない。
一応いつも通り見積もるとして彼の一日に使う金額は400円。
計算するとこの生活を続けられるのはせいぜい二ヶ月程度である。
もちろんそんなことは彼も理解していた。
あと二ヶ月、自分はどうしたらいいのか。
お金でも稼ぐか、ホームレスにでもなるか、今まで通り生きてみるか。
まだ答えは出なかった。
そもそもこんなどこにでもある三択しか浮かばないことに彼はまた不甲斐なさを感じていた。
今まで平々凡々と生きてきた自分自身。
じわりじわりと迫り来る時間。
もう死ぬしかないのか。重苦しい空気が彼を包む。
そしてこの雨空が一層彼の気分を暗いものにさせていた。
「当分止みそうに無いな・・・」
彼は一度諦め顔で雨空を睨み返すと、気分を変えるように独り物思いに更けることにした。
雨が止む気配は無く、人の足が止まる気配も一向に無かった。
お。始まった!
がんばれー!
更新は2〜3日に一回くらいを目標にしております。だから今日は更新無しだったり。
・・・――――――
ただ、眺めていた――
あの高い空を。
響き合う街の声を。
固まりあった人の群れを。
過去を振り返る度に付きまとう記憶。
今と変わらない、遠くの景色ばかり見ていたあの頃。
そう、彼はいつでも傍観者だった。
小さい頃から本が大好きだった。
暇さえあれば本を読んでいた。
本を読む度に広がる新しい世界。
いつだってそんな世界に魅せられていた。
両親が喜んで買ってくれたのも本だけだった。
だから彼は本が大好きだった。今も変わらない。
彼はどこにいたって本の世界を思い描いていた。
空を見ては空に浮かぶ街を、どこまでも続く広い草原を。
声を聴けばその声の調子や態度から人間の細かい感情を感じて。
そうやってありとあらゆるものが彼の頭に取り込まれ、
少しづつ形を変えて彼の頭に再現されていった。彼の世界が少しづつ出来ていった。
そして、もう気付いた時には遠くを眺める癖が付いていた。
だからいつだって彼は作られた枠の外を眺めていた。
決して枠に入ることはせず。枠を作ることもせず。
枠をじっと観察していた。会話に聞き入っていた。
何においたって彼はそれを受けとめることしかしなかった。
自分から何かをしようって気持ちが無くなっていた。
そして気付いた時にはもう彼は独りぼっちだった。
彼に掛かった声も少しはあったかもしれない。
それでもその声は彼に届かなかった。
何故なら現実の声は本の中とは違って、つまらない中身で詰め込まれていたから。
くだらない自己主張、意味の無い陰口、警戒し合うが故の上辺だけのコミュニケーション。
彼はずっと眺めていたから、そんな違いも分かるようになった。
声に嘘がある。顔に嘘がある。だんだんと分かるようになってきた。
でもそれが分かったってどこにも彼の思い描いた現実は無かった。
いつのまにか人に失望していた。
ずっと眺めて過ごす毎日。
ずっと独りで過ごす毎日。
逃げるように、本の世界へ。
どんどん遠く、本の世界へ。
私はただの傍観者でしかない―
ピシャッ。
雨の雫が、彼をまた気付かせる。
意味も無く過去を振り返るのは昔の彼の悪い癖。
いつ考えたってこの過去に答えは無いのに。
あるのは自分がここにいるという現実。
いつも残るのはどうしようもないやるせなさ。
「これだから雨って奴は・・・」
何でも何かのせいにしたがるのも彼の悪い癖。
彼は雫を拭ったその手で頭を軽くポンポンと叩いた。
もうこんなこと考えないように、彼は靴紐をきつく縛りなおした。
もちろん彼は分かっていた。
自分は本しか読めない人間だということを。
現実がどうとかそんなのはただの言い訳にしか過ぎないってことも。
彼は物心付いた時から人と心から交わった試しが無い。
いつだって独りで、そう、独りで。
誰かと話しをするのが恐かった。
いつも余計なことを深く考えるばかりにいつも何かを見失って、それで妙に疲れ果てて。
本をずっと読んでいたって心のどこかでは分かってた。
本当は誰かと気軽に話がしてみたかった。一度でいいからしてみたかった。
だけどもし気軽に話が出来たとしても、その後にいる自分を想像してみたらなんだかやるせなくて。
だからもう彼は誰とも交わらないことを決めている。
独りで生きていく方が自分に合っている、そう思ったから。
それでも彼は過去を思い出す度にあの時の揺れ動くもどかしさを思い出してしまって。
なんとも言えないもどかしさ。どうすることも出来ない。
そして独りで生きてきたおかげで今の自分がいる。何も無い自分。
この生き方で正しかったのだろうか。それとも独りで生きるということはこういうことなのか。
漠然とした悩みが彼を覆う。もちろんそんなことに答えが出るはずも無く。
靴紐を縛り終えた彼はそれを振り払うように大きく伸びをした後、大木に掛け直した。
―こんなこと考えたの久しぶりだな…
さっぱり何の展開も無い退屈な文ですみませぬ。
次の更新時には多分ちょっと進展が出ると思うので、
それまでは彼の過去やら仕草やらで妄想してもらえると嬉しいです。
外はまだ雨。
信号が赤へと変わる。
正確な時刻は分からない。しかしもうすぐ昼だろう、彼の腹がそう言っている。
が、人の流れが多少まばらになってきた所を見ると彼の予想もまんざらでは無さそうだ。
それに彼も随分退屈もしていた。
ここで雨宿りしていても気分はどんどん憂鬱になるばかり。
本が無いとこうも落ちこんでしまうものか、彼は少しショックを受けた。
しかしこの螺旋を断ち切る為にも目の前の動かない景色を変えたかった。
景色が動けば少しは気分が晴れるだろう。
丁度腹時計がいいきっかけにもなった。
「さぁて、飯でも食べるか・・」
そんないつもの彼らしい考え方である。
場所は決まっている。彼が毎日通っているコンビニ。
どこにでもある普通のコンビニだ。そう言えばこの前新しい店員さんが入ったんだっけ。
ただそこのコンビニまでは多少距離がある。けれど、そこ以外にめぼしい場所は無く。
まぁ食べ物は向こうに行ってから決めればいいとしよう。
問題はこの雨。
傘なんてものはあいにく彼は持ち合わせていない。
雨は止む気配も無く未だ降り続けている。
でもずぶ濡れで店内に入るのは気が引ける。
「しょうがない、走っていくか・・」
いつものコンビニまでは走って4〜5分といった所。
気合を入れて走ればもうちょっと短縮出来るかもしれない。
途中に一箇所線路があるけれどそこは電車が来ないことを祈るとして。
とりあえずこのカバンを傘にしていけばなんとかなるだろう。
もしずぶ濡れになっても店の屋根でも使って雨宿りさせてもらうとすればいいか。
彼は今一度空を確かめる。
やはり雨が止む気配は無し。どんよりとした色に心地良い音。
そこに加わる彼の腹の音。
「行くしか無いよなぁ・・」
彼は諦め顔で溜め息一つ決心を付ける。
彼の景色にはやや離れた場所に横断歩道が一つ。信号は青。
ただ、今から飛び出して信号が赤にでもなったらそれこそ雨に濡れる時間が増えてしまう。
一旦信号が赤になるのを待ってからにしよう。彼はそう決めた。
ぼーっと信号を見つめる彼。
その眼差しはいつもと変わらない目。眠たそうな、疲れたような、そんな目。
特にすることも無くて、ただ信号の色が変わるのを待っているだけ。
気付けば寄りかかる大木も随分雨に濡れて雫の落ちるペースも速くなってきた。
その雫は小さなリズムを正確に刻みながら淡々と。
彼は雫の当たらない場所へ身を小さく移動させながら信号を見つめていた。
こういう何気無い時間というのは意外と長く感じるもので、彼もまた同じ気持ちでいた。
腕組みをしてみたり、手にアゴを乗せてみたり、わざと雫に当たってみたり。
このなんとも言えない独特の時間もどうやら彼なりにやり過ごしているようだった。
人の流れもいつもより大分落ち着きつつある。
腕を組むカップルに買い物姿のおばさん。
深くフードをかぶり黙々と走っているのは若手のボクサーだろうか。
ゆっくりとした人の流れは、彼に普段見失いがちな人の姿を照らし出させていた。
そしてそれは、降り続く雨が昔の街を蘇らせたようにも見えた。
と、ふと彼の目に一人の姿が止まる。
ゆっくりとした流れに忙しげなスーツ姿が一つ。
人を避けながらいそいそと急ぐ姿が街を見渡す彼の目に止まった。
そのスーツ姿の女性は書類と思われる封書を重ねて、雨から守るように小走りに動いていた。
彼女が人にぶつかりそうになる度に申し訳無さそうに小さくおじきをする仕草が彼の目をより引き付けていた。
表情も今まで彼が見てきたスーツ姿の人間とは違う、どこかしら人間らしさを感じさせた表情をしていた。
力の込もった、まっすぐな目。
そんな彼女を彼は「まだこんな人もいるんだなぁ、」と言ったような目で見ていた。
目で追いながら自分の中の片隅に彼女を重ね合わせて。
遅い流れの中で一人急ぐ彼女。真剣な彼女。
もしこの流れが速かったら。
「自分が気付かないだけで、まだこの街にもいるのかもしれないなぁ。」
彼は少しこの街を見直した。
漠然とした期待ではある。でもそのことが嬉しかった。
「今日はこの雨にも感謝しなくちゃいけないな。」
彼は手を後ろに回して大木を撫ででやると、前向きに溜め息を一つ置いた。
彼には、目の前の景色が少しくっきりとして見えたような気がした。
と、彼が視線を戻したその時だった。
彼女が転んでいるではないか。それも随分大胆に。
持っていた封書の山はバラバラになり、辺りに飛び散っている。
あの様子じゃ多少のケガもしているだろうに、それにも関わらず彼女は封書を慌てて集めている。
周りの人間も冷たい。
彼女に手助けする素振りも見せず、冷たい視線を向けると封書を避けるようにそそくさと移動していく。
中にはどう見ても暇そうな人間もいた。
しかし彼達もまた、彼女に手助けすることは無かった。
飛び散った封書の数はまだかなりある。雨はまだまだ降り続く。
気が付いた時には、彼の足はもう彼女の元へ向かっていた。
あの信号はまだ、赤い光を灯していた。
今日はここまでです。ってか更新遅くてすんません・・・
あと一つ皆さんに聞きたいことが。
毎日少しづつ更新するのと数日置いてまとめてドバッと更新するのと、
どっちの方が良いんでしょうか。。
いずれにせよ相当自分は書くペース遅いんで、かなりマッタリなのは変わりませんが・・
ちなみに現在、永遠の宿敵スギ花粉と真剣勝負中だったり。
この野郎!どこからでもかかってきやがれ!うっ、目が!鼻が!くっそぉーーー!!
自分を救え、アミノサプリ。いや、アミノサプリは飲まないんですけど。
そんな感じでどうか一つお願いします。(どんな感じだ)
降り頻る雨の中、走る人影が一つ。
振り向く人の姿になど目もくれずに。
強く打つ雨など気にも止めずに。
その影はひたすらに、もう一つの人影を目指して。
もちろん距離は短い。
しかし影にとってはそれも十分な距離だった。
日頃動くことの無い体は、それだけでも声を発していた。
それでも。
助けたい。
その気持ちが影を動かしていた。
そしてその場所につくやいなや、影は無言で封書を拾い始めた。
人影は一瞬驚いたような顔で影を見た。
しかしその姿を見て何かを感じたのであろう、同じように無言で拾い始めた。
黙々と封書を拾う二人。
雨の音だけが、時間を感じさせていた。
ってか感想カキコなしかよもまいらwwwwww
966 :
名無しさん@毎日が日曜日:03/04/02 03:58 ID:AomernHu
あげ
「だ、大丈夫ですか?」
封書を一通り拾い終えた後、彼が発したやっとの言葉だった。
大半の封書は随分雨に濡れてしまった。
インクが滲んでいるような物もある。
封書自体がよれてしまった物もある。
どう見ても大丈夫じゃない物も少なからずあった。
しかし彼は言葉を発した。発してしまった。
それは人間にありがちな癖というもので、彼もこの言葉を言った後少しばかり後悔をしていた。
ところがそんな彼の気持ちとは裏腹に、返ってきたのは彼女の元気な声だった。
「ありがとうございます、、助かりました!」
どこにでもありそうなスーツにすっぴんの笑顔。
飾り気の無い彼女の姿は、より彼女の笑顔を引き立てていた。
本当に彼に対して感謝をしている、嘘の無い笑顔でもあった。
おととい辺りから具合悪くて死んでました。
やっと復活気味になってきたのでこれからは大丈夫だと思います。
969 :
名無しさん@毎日が日曜日:03/04/03 10:13 ID:QzK3VBkC
楽しみにしてます。がんばって!
「随分濡れちゃいましたね・・・」
申し訳無さそうに彼が話すと彼女が一言。
「あ、中身さえ無事なら大丈夫なんですよ。だから本当に助かりました!」
彼女はもう一度深くおじぎをした。
この雨を感じさせないほどの元気な笑顔だった。
「あ、そうだったんですか・・良かった。。」
彼は安堵の表情で息を漏らした。
しかしこの時間がそう長く続く訳でも無い。
「すいません、今仕事で急いでるんで・・」
「あ、それは見ててなんとなく分かってましたから。仕事の方、頑張って下さい。」
「本当にすいません、いろいろとお手数しちゃって・・それじゃ!」
短い時間だった。
最後に彼女はもう一度礼をすると、そのまま人込みに消えていった。
後味の良い、不思議な出来事だった。
彼はその走り去る彼女を見つめていた。遠くを見つめるような、懐かしい目で。
そして彼女が視界から消えると、彼は名残惜しそうな顔をして前を向きなおした。
と、彼が顔を下に向けると足元に一本のボールペン。
彼はふとそれを拾い上げた。
少しだけ使い慣らされた、どこにでもあるボールペン。
彼はすぐさま気付いたように後ろを振り返る。しかし、もう姿はどこにも無い。
彼は諦め顔でその場を後にした。その片手に、一つのボールペンを握り締めて。