【基本ルール】
全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一人が勝者となる。
優勝賞金は10億円。
また、1億円を主催者側に払うことで途中棄権の権利が購入できる。
参加者には食料などの他1000万円分のチップが支給され、
他者からの奪取やギャンブルルームでのやりとりが許されている(後述)。
ちなみに獲得した金はゲーム終了後も参加者本人のものとなる。
【支給品】
数日分の食料と水、1000万円分のチップ、地図、コンパス、筆記用具、時計
以上の物品が全員に均等に振り分けられる他、
ランダムに選ばれた武器や道具が0〜3品支給される。
【ギャンブル関連】
主催者側が管理する「ギャンブルルーム」が島内に点在。
参加者は30分につき1人100万円の利用料を支払わなければならない。
施設内には様々なギャンブルグッズが揃っており、行うギャンブルの選択は自由。
また、賭けるものは、金、武器、命など何でも良い。
ギャンブルルーム内での暴力行為は禁止されており、過程はどうであれ結果には必ず従わなければならない。
禁則事項を破った場合、首輪が爆発する。
【首輪について】
参加者全員に取り付けられた首輪は、以下の条件で爆発する。
・定時放送で指定された禁止エリア内に入ったとき
・首輪を無理矢理取り外そうと負荷を加えたり、外そうとしたことが運営側に知られたとき
・ギャンブルルームに関する禁則行為(暴力、取り決めの不履行等)を犯したとき
なお、主催者側の判断により手動で爆発させることも可能である。
【定時放送】
主催側が0:00、6:00、12:00、18:00と、6時間毎に行う。
内容は、禁止エリア、死亡者、残り人数の発表と連絡事項。
【作中での時間表記】 ※ゲームスタートは12:00
深夜:0〜2
黎明:2〜4
早朝:4〜6
朝:6〜8
午前:8〜10
昼:10〜12
真昼:12〜14
午後:14〜16
夕方:16〜18
夜:18〜20
夜中:20〜22
真夜中:22〜24
【主催者】
兵藤和尊(帝愛グループ)@賭博黙示録カイジ
蔵前仁(誠京グループ)@銀と金
在全無量(在全グループ)@賭博覇王伝零
【参加者一覧】
【アカギ 〜闇に降り立った天才〜】6/8
○赤木しげる(19歳)/○南郷/●安岡/○市川/●浦部/○治/○平山幸雄/○鷲巣巌
【賭博黙示録カイジ】5/7
○伊藤開司/○遠藤勇次/●船井譲次/●安藤守/○石田光司/○利根川幸雄/○佐原
【賭博破壊録カイジ】2/4
●大槻/○一条/●坂崎孝太郎/○三好智広
【賭博堕天録カイジ】3/3
○坂崎美心/○村岡隆/○兵藤和也
【銀と金】4/8
○森田鉄雄/○平井銀二/○有賀研二/○田中沙織/●神威秀峰/
●神威勝広(四男)/●吉住邦男(五男)/●川松良平
【天 天和通りの快男児】4/4
○天貴史/○井川ひろゆき/○原田克美/○沢田
【賭博覇王伝零】3/4
○宇海零/○板倉/●末崎/○標
【無頼伝涯】1/3
○工藤涯/●澤井/●石原
【最強伝説黒沢】4/4
○黒沢/○仲根秀平/○しづか/○赤松修平
【残り35/45名】
【予約について】
キャラ被りを防ぐため、任意で自分の書きたいキャラクターを予約することができます。
したらばの「予約スレ」に、トリップ付きで予約するキャラクターを宣言をしてください。
有効期間は予約当日から72時間(3日)。
期限が切れても投下はできますが、混乱を招くため歓迎されません。
間に合いそうにない場合は、【期限が切れる前に】延長を申請するか、予約破棄宣言をお願いします。
延長申請がない場合、予約は解消され、そのキャラクターはフリーになります。
【他、書き手の注意点】
作品投下はトリップ必須(捨てトリ可)。
内容に自信がなかったり、新たな設定を加えたりした場合は
本投下前にしたらばの「一時投下スレ」に投下するとアドバイスをもらえます。
さるさん規制を喰らった場合もそちらにどうぞ。
9 :
1:2008/11/21(金) 22:38:44 ID:???
‥‥‥すいません、テンプレ入れるの忘れてました。
>>7 これ見ると、悪役の中でも特に嫌われものの多くが死んでるな。
同じ悪者でも原田や一条あたりは生きてるし。浦部や大槻みたいなずる賢いタイプも結構死んでるからな。
やっぱり作者にも、この人にはまだ死んでほしくないとかこいつは嫌いだから殺しちゃえとかあるんだろうか。
小物だけどまるっきり馬鹿じゃない奴らだからな>大槻や浦部
バトロワではこんな半端なキャラは真っ先に死にやすい。
投下します
市川は満足そうに拡声器を置いた。
そして笑みを浮かべ、驚いて言葉も発することのできない一同を、その見えない目で睨みつける‥‥‥!
「‥‥‥さあ‥‥‥。金に釣られた殺人者どもがどれだけ集まるか‥‥‥。
楽しみだとは思わんかね‥‥‥」
「ばっ、馬鹿野郎!! 何てことしやがるんだっ!」
天は憤った‥‥‥しかし、いくら憤ったところで、一度発してしまった拡声器の声はどうなるものでもない‥‥‥!!
「‥‥‥くそっ‥‥‥!
わざわざ、人殺しどもを呼び寄せるようなことをしやがって‥‥‥!
‥‥こうなったら、死人を少しでも減らせるようにするしかねぇっ‥‥‥!!
治っ! 手伝え‥‥‥!」
天は、いきなり市川を押し倒した。
「‥‥天さんっ! いったい何をするんです!?」
「奪うんだ‥‥‥市川から、ダイナマイトを!
さあ、石田さんも手伝ってっ!」
「‥‥‥えっ? ええ‥‥‥。
‥‥‥でも、あんまりご老人に手荒なまねは‥‥‥」
地面に押し付けられながらも、市川はまだ余裕の笑みを浮かべていた。
天、治、石田の三人は、市川からダイナマイトがぎっしりと装着されたコートとライターを奪い取った。
「‥‥ふふん。
わしからダイナマイトを奪ったところで‥‥‥。状況はさして変わらないぞ?
どのみち、ここを目指して、人殺しがぞくぞくと集まってくる‥‥‥。
‥‥どうやって逃げおおせるつもりか?」
「‥‥くっ!
確かに、ここにいる全員が生きのびれる保障はねぇ‥‥‥。
それでもっ! 簡単に諦めるわけにはいかねぇんだよ‥‥‥!!
‥‥‥でも、戦おうにも、ロクな武器が無い。逃げるしかねぇ。
‥‥四人が集団でいると、目だってしかたない。ここは、二手に別れよう。
俺は市川さんを連れて行く。治と石田さんは二人で逃げろ。
拡声器とダイナマイトは敵に見つかるとヤバい。持って行っていってくれ」
「‥‥ほぉ、わしを連れて行くというのか?
それはそれはお人良しなことだのう‥‥‥。
‥‥‥盲目の老人は足手まといだぞ?」
「うるさいっ! 確かにお前を助ける筋合いは無い。
だからといって、みすみす人が殺されるのを放っておくのは許せねぇんだ!!
お前が嫌だと言っても、無理やりにでも連れて行くからな!」
「‥‥やれやれ‥‥。しかし、それも一興‥‥‥。
お前さんが、その偽善的な尊い行為の末に命を落とす‥‥‥。
それを見るだけでも、なかなか楽しいじゃないか‥‥」
天は苦々しく市川を見やった。
「天さん、大丈夫ですか?」
と、治。
「ああ、大丈夫だ‥‥任せとけ。
それよりおまえらこそ気をつけていけよ‥‥‥!」
ただ逃げるにしても、まだまともに動けそうな治と石田を組にして、自分は持ち前の正義感から市川という不利なパートナーを選んだ天であった。
そして、天と市川は西方向に、治と石田は東方向に別れて、それぞれ歩き始めた。
* * *
治と石田が歩き始めて、まだ間もない頃。
「‥‥治さんっ! 向こうから誰か来ますっ!」
「‥‥え?」
「‥‥しぃーーーーっ!!」
木々の間に、ひどく背の高い少年の姿‥‥!
‥‥その手には、ナイフが握られている‥‥‥!!
‥‥仲根であった。
(‥‥‥あんなに図体の大きい相手とやりあったら‥‥‥こっちは二人とはいえ、勝てるかどうかわからない‥‥‥!!)
治と石田は、反射的に茂みに隠れた。
‥‥ザッ‥ザッ‥ザッ‥ザッ‥‥。
静寂の中、足元の草を踏んで仲根の足音が、だんだんと近づいてくる。
仲根も警戒しながら歩いているのか、その足音は一定ではなく、一歩一歩確かめるように迫ってくる。
‥‥‥頼む‥‥‥。通り過ぎてくれ‥‥‥。
石田は神に祈った。祈ることしかできなかった。
‥‥ザッ‥ザッ‥ザッ‥ザッ‥‥。
足音は、治と石田が隠れているすぐ傍まで迫り‥‥‥‥通り過ぎて行った。
二人は安堵した。
仲根の足音が聞こえなくなって少ししたところで、二人は立ち上がった。
「‥‥ふぅ‥‥。
なんとかやりすごしたみたいですね‥‥‥」
治がため息をついた、その時である。
「ウッ」
治は後ろから羽交い絞めにされていた。
去ったと思っていた仲根は、一度通り過ぎたと見せて、背後に回りこんでいたのである。
そして、その手に持ったナイフは治の喉をまっすぐに狙っていた‥‥‥‥。
「ヒィィィィッ!!」
石田は驚愕し、尻餅をついた。
‥‥こっ、殺される‥‥‥!!
い、いやまて‥‥‥、まだ殺されていない‥‥‥。
し、しかし、この状況では私にはどうしようもない‥‥‥!
いや‥‥‥しかし!
あるぞ‥‥‥! ダイナマイトが!!
‥‥そうだ‥‥ただ殺されるのは嫌だ‥‥!
目前に死を感じて、石田は通常では考えられない程の力が込み上げてくるのを感じた。
石田は震える声で、今まさにナイフで治の喉を突こうとしている仲根に声を掛けた。
「おいっ! 待て‥‥‥!! これを見ろ‥‥‥!」
仲根は顔を上げた。そして驚いた。
石田が持っているのは、産業用ダイナマイト!!
石田はダイナマイトとライターを仲根に見せつけながら、喋る。
「‥‥‥その人を殺したら‥‥私は自分もろともあなたを吹っ飛ばす!!
脅しじゃない‥‥どうせ死ぬなら‥‥殺されるより‥‥自分で死んだ方がいい!!」
‥‥‥ありったけの勇気を振り絞って、やっとそこまで言うことができた。
(チッ! やっぱり二人相手というのは少しマズかったか‥‥‥)
仲根は考えた。
(それに、さっきの拡声器の声は、もっと老人の声だった‥‥‥。
ここは、リスクを冒して二人殺すより、確実に殺せる一人を狙った方が賢明‥‥)
仲根は、治を突き飛ばすように離すと、逃げるように去って行った。
「有難う‥‥‥。石田さん‥‥‥。
危うく死ぬところだった‥‥‥」
「‥‥‥よかったよかった‥‥。とりあえず、命が助かって‥‥‥。
しかし‥‥‥、道具というものは思わぬところで使えるもんですね‥‥‥」
「そうですね‥‥‥。
でも、敵はこれだけとは限りませんよ‥‥‥。
まだまだ気をつけて逃げないと‥‥‥」
* * *
その頃、天は市川を引きずるようにして歩いていた。
内心、市川に対しては怒りでいっぱいである。
(‥‥‥この爺さんは、結局自分がゲームを引っ掻き回すことしか考えちゃいねぇんだ‥‥‥。
クソッ! 命を軽々しく考えやがって!!
‥‥‥でも、今ここでそんなことを言っても始まらねぇ‥‥。
今更、この爺ぃに何を言っても無駄だろう‥‥‥。
ダイナマイトを取り上げたから自爆はできなくなったが、まだこの状況を作り出したことを楽しんでやがる‥‥‥‥!!
それより、ともかくここを脱出することが先決だ‥‥‥。
‥‥‥が、正直厳しい‥‥‥。
手元にはまともな武器もないし、市川にいたっては盲目‥‥‥。
ここは、せいぜい敵に見つからないように用心して、元いた場所から少しずつ離れていくしかねぇ‥‥‥)
市川は、そんな天の心情を嘲笑うかのように、ククク、と不敵に微笑んだ。
「‥‥‥そうさなぁ‥‥。
おまえさんは、人の命を大事にしたい、と思うておるらしいの。
‥‥‥しかし、本当にそれだけか?
おまえさんにも、わしと同じように勝負師としての血は流れておるんじゃないかの?
この狂気じみたゲームを、『主催者を倒す』という、圧倒的な勝ちで収めたいという欲があって‥‥‥、
‥‥‥結局は、自己満足‥‥‥そこに行き着くんではないかの?
まあ、いい。ぎりぎりの勝負の中で、本当の自分を思い知れば良いわ‥‥‥」
市川は、さらに腹立たしいことを言ってくる。
しかし、市川の言うことも完全に否定しきれない自分もいることに、天は少しいらだっていた。
「‥‥‥ククク。
おや? なんだか、足音が聞こえるぞ‥‥‥。こっちへ向かって歩いてくる‥‥‥」
天は慌てて周囲を見渡した、が、どこにも人影は見当たらなければ、足音も聞こえない。
どうやら、盲人として聴力の発達した市川だけが聞きうる足音のようだった。
「‥‥赤松さん、気をつけて。人が見える」
そう言って標はモデルガンを構えた。
その方向を見て、赤松も二人の人物を遠くに確認する。
「‥‥‥あれは?」
二人の人影は、片方が片方の手を引いていた。
「‥‥きっと‥‥片方は身体にハンデがある‥‥。怪我か何か‥‥‥。
それをもう片方がかばっているってことは‥‥。
あの二人には、戦う余裕があまり無いってこと‥‥‥。
いわば、弱った獲物‥‥‥。殺してくれ、と言っている様なもの‥‥。
赤松さん、警戒は解かないで‥‥どんな殺人者が襲ってくるか解らない‥‥」
「‥‥おい、あの二人に近づくのか‥‥‥?」
「‥‥うん、興味がある‥‥」
赤松は、バッグの中の手榴弾に手をかけながら、標について行く。
二人は、足音を立てないように注意しながら、そろりそろりと天と市川に近づいていった。
「動かないで」
天が標に気付いたとき、既に標は拳銃の照準を定めていた。
「‥‥ほれ‥‥来たぞ」
市川は、天を試すかのように笑って見せた。
「‥‥子供‥‥。子供なのか?」
天は驚いた。
「あなたたちには、戦う意志はありますか?」
「‥‥‥俺たちは戦えねぇ‥‥。この爺さんは、目が見えない。
さっきの声を聞かなかったか? この辺りにいると、人殺しが寄ってきかねない‥‥‥。
俺たちは、逃げてるんだ‥‥‥」
「ククク‥‥‥そうさ、わしらには戦うすべが無い‥‥‥。
坊ちゃん、その拳銃でわしらを殺してしまってもよいのだぞ‥‥‥」
「‥‥‥面白いことをいうね、お爺さん」
標は、拳銃−モデルガンを降ろした。
「‥‥‥拡声器の声は、お爺さんだね‥‥‥?
自分でわざわざ殺して欲しいようなことを言っておいて、今は逃げている‥‥。
‥‥‥なんで、あんなことを言ったの?」
「‥‥‥おまえみたいなガキの知ったことじゃないさ‥‥‥」
「‥‥‥そう‥‥‥答えなくても‥‥わかるよ‥‥‥。
‥‥‥あなたは、自分の命なんかどうでもいいんだ‥‥‥。
‥‥‥このゲームに参加してたら、死ぬことなんて簡単なのに‥‥、わざわざ、あんなことを言った‥‥‥。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥きっと、ただ普通に死ぬのは嫌だったんだ‥‥‥‥‥‥。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「‥‥それがどうした‥‥‥」
「‥‥‥ただ普通に死ぬのが嫌、ということは、
あなたには、きっと無念なことが有ったんだ‥‥‥。
普通に‥‥ただ安らかには死んでも死にきれないような‥‥‥何かよほどのことが‥‥‥」
図星である。市川は見えない目を見開いた。
自分の代打ちとしてのプライドを、アカギにズタズタにされた事。
それは、市川にとって最も痛みとして感じ続けている、一番の心の傷である。
その傷があることを、こんな小さな子供に簡単に感付かれてしまった‥‥‥。
市川は、うろたえた。
標は言葉を続ける。
「‥‥‥教えてくれないかな。
‥‥‥何があったのか、そして、あなたは本当はどんな人なのか、興味があるんだ‥‥‥」
「‥‥‥ふん‥‥‥。
おまえなんぞに、簡単に話せるものか‥‥‥」
「‥‥‥そうだね‥‥。
今は、ゆっくり話してる場合でも‥‥ないし‥‥‥、
今は‥‥‥‥」
その時である。
「標さぁーーーんっ!!
赤松さぁーーーんっ!!
まったく、私を置いてどこにいくざんすか!!」
けたたましく喋りながら、村岡が追いついてきた。
この、『いつ、誰が襲ってくるかわからない』という状況など、全く見えていないようである。
「‥‥‥こんなところにいたざんすか!!
私がどれだけあなたがたを探したと思うざんす?」
相変わらず声が大きい。
赤松は思わず、村岡を叱った。
「ば、馬鹿‥‥‥!
声が大きい‥‥‥」
「何ざんす!?」
村岡の声に呼び寄せられたかのように、がさり、と、どこかで人の気配がした。
【B-3/アトラクションゾーン/夕方】
【治】
[状態]:後頭部に打撲による軽傷
[道具]:拡声器
[所持金]:0円
[思考]:石田と逃げる アカギ・殺し合いに乗っていない者を探す
【天貴史】
[状態]:健康
[道具]:鎖鎌 不明支給品0〜2 通常支給品
[所持金]:1000万円
[思考]:この場をどうにかする アカギ・殺し合いに乗っていない者を探す
【石田光司】
[状態]:健康
[道具]:産業用ダイナマイト(多数) コート(ダイナマイトホルダー) ライター
支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:治と逃げる カイジと合流したい
※有賀がマーダーだと認識
【市川】
[状態]:健康
[道具]:なし
[所持金]:1000万円
[思考]:人が集まるのを待つ
※有賀がマーダーだと認識
【仲根秀平】
[状態]:前頭部と顔面に殴打によるダメージ 鼻から少量の出血
[道具]:カッターナイフ バタフライナイフ ICレコーダー 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:声のもとへ向かう 黒沢と自分の棄権費用を稼ぐ 黒沢を生還させる 生還する
【赤松修平】
[状態]:健康
[道具]:手榴弾×10 石原の首輪 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:できる限り多くの人を助ける 標を守る
※石原の首輪は死亡情報を送信しましたが、機能は停止していません
※利根川のカイジへの伝言を託りました。
【標】
[状態]:健康
[道具]:モデルガン 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:バトルロワイアルの穴を見つける 他の対主催派と合流する
※利根川のカイジへの伝言を託りました。
【村岡隆】
[状態]:健康 やや興奮状態
[道具]:なし
[所持金]:0円
[思考]:ひろゆきとカイジに復讐したい 生還する
※村岡の誓約書を持つ井川ひろゆきを殺すことはできません。
投下は以上です。
乙です
カオス…!
乙です。村岡の登場シーンで吹いたw
乙
最近の展開マジ面白い
ここの所投下も多くて幸せです
洞察力に優れた標と市川の絡みが楽しみです。
作品投下ありがとうございました。
乙だけどちょっと指摘。
>その拳銃でわしらを〜
>こんな小さな子供に簡単に〜
盲目の人の発言としては不自然じゃないか?
視覚以外の情報でこれらを察する描写を入れた方がいいと思う
>29
ご指摘有難うございます。
言われるとおりです。後ほど修正します。
二人は、足音を立てないように注意しながら、そろりそろりと天と市川に近づいていった。
「動かないで」
天が標に気付いたとき、既に標は拳銃の照準を定めていた。
「‥‥ほれ‥‥来たぞ」
市川は、天を試すかのように笑って見せた。
「‥‥子供‥‥。子供なのか?」
天は驚いた。
「あなたたちには、戦う意志はありますか?」
「‥‥‥俺たちは戦えねぇ‥‥。この爺さんは、目が見えない。
さっきの声を聞かなかったか? この辺りにいると、人殺しが寄ってきかねない‥‥‥。
俺たちは、逃げてるんだ‥‥‥拳銃を下ろせ‥‥‥」
「ククク‥‥‥そうさ、わしらには戦うすべが無い‥‥‥。
坊ちゃん、その拳銃でわしらを殺してしまってもよいのだぞ‥‥‥」
「‥‥‥面白いことをいうね、お爺さん」
標は、拳銃−モデルガンを降ろした。
「‥‥‥拡声器の声は、お爺さんだね‥‥‥?
自分でわざわざ殺して欲しいようなことを言っておいて、今は逃げている‥‥。
‥‥‥なんで、あんなことを言ったの?」
「‥‥‥おまえみたいなガキの知ったことじゃないさ‥‥‥」
「‥‥‥そう‥‥‥答えなくても‥‥わかるよ‥‥‥。
‥‥‥あなたは、自分の命なんかどうでもいいんだ‥‥‥。
‥‥‥このゲームに参加してたら、死ぬことなんて簡単なのに‥‥、わざわざ、あんなことを言った‥‥‥。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥きっと、ただ普通に死ぬのは嫌だったんだ‥‥‥‥‥‥。
‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
「‥‥それがどうした‥‥‥」
「‥‥‥ただ普通に死ぬのが嫌、ということは、
あなたには、きっと無念なことが有ったんだ‥‥‥。
普通に‥‥ただ安らかには死んでも死にきれないような‥‥‥何かよほどのことが‥‥‥」
図星である。市川は見えない目を見開いた。
自分の代打ちとしてのプライドを、アカギにズタズタにされた事。
それは、市川にとって最も痛みとして感じ続けている、一番の心の傷である。
その傷があることを、その声から察するにところまだ小さな子供に簡単に感付かれてしまった‥‥‥。
市川は、うろたえた。
標は言葉を続ける。
「‥‥‥教えてくれないかな。
‥‥‥何があったのか、そして、あなたは本当はどんな人なのか、興味があるんだ‥‥‥」
「‥‥‥ふん‥‥‥。
おまえなんぞに、簡単に話せるものか‥‥‥」
「‥‥‥そうだね‥‥。
今は、ゆっくり話してる場合でも‥‥ないし‥‥‥、
今は‥‥‥‥」
その時である。
「標さぁーーーんっ!!
赤松さぁーーーんっ!!
まったく、私を置いてどこにいくざんすか!!」
けたたましく喋りながら、村岡が追いついてきた。
この、『いつ、誰が襲ってくるかわからない』という状況など、全く見えていないようである。
「‥‥‥こんなところにいたざんすか!!
私がどれだけあなたがたを探したと思うざんす?」
相変わらず声が大きい。
赤松は思わず、村岡を叱った。
「ば、馬鹿‥‥‥!
声が大きい‥‥‥」
「何ざんす!?」
村岡の声に呼び寄せられたかのように、がさり、と、どこかで人の気配がした。
ご指摘の点、修正しました。
入力し忘れましたが、>31は「混乱 7/10」です。
まだミスがあったので修正。
>32 4行目
× その傷があることを、その声から察するにところまだ小さな子供に簡単に感付かれてしまった‥‥‥。
○ その傷があることを、その声から察するところまだ小さな子供に簡単に感付かれてしまった‥‥‥。
何回も申し訳ありません!!
一見さんでもいいから新規書き手さんウエルカム!
続き待ってます&保守
投下いたします。
カイジと沙織は、生垣からそっと白髪の青年…
“赤木しげる”の様子を伺っていた。
白髪の青年はフラフラと危なっかしく歩き、ふとその場にしゃがみこんだ。
見ると、嘔吐している。
何があったのかわからないが、よほど具合が悪いように見える。
沙織は考えていた。
(……見たところずいぶん弱っているようだけど…どうする?
名簿の数字からすると…五指に入る危険人物…だけど…
今なら… 殺すのは容易いかも…… 背後から不意をつけば…
今なら……)
沙織の中に芽吹く仄暗い思考……
しかし、自分の中のもう一つの自我… 「死」に対する本能的な忌避感…
それが冷徹な思考を阻む…
(……直接手を下さずともいい… あの様子じゃ他の誰かに殺される…
そうよ… 私の知らないところで死んでくれるのはいっこうにかまわない…
いくら弱っていても、仕留め損ねたら面倒なことになる…今は怪我一つでも命取り…
何も… たとえ容易くとも… こちらからリスクを負うことはないわ……
だからここは… “赤木しげる”に悟られないようどこかへ…カイジ君にもそう促して…)
「田中さん」
沙織はハッと我に返る。
すぐ横でカイジが、生垣の向こうを見据えたまま、沙織に小声で話しかけたのだった。
「あれ…見てくれ。あの首のところ」
「……え?」
沙織はもう一度白髪の青年を注視する。
青年の首には当然のことながら首輪…、その上にさらに謎の機械が取り付けられている。
「……何?あの機械…」
「……帝愛側なのか?あいつ… いや、むしろ逆っ………」
「え?」
「しかし、何で…。…どの道、話をしてみるしかねえか…。」
カイジは独り言をつぶやきながら考え込んでいたが、ふと何かに気づいて
沙織のほうを向く。
目を見開いて沙織の首元をじっと見つめる。
「もしかしたら……! いや、待てよ…」
「何?何の話をしてるの…?」
「田中さん」
カイジは自分の首輪を指差し、沙織に謎掛けのような言葉をかけた。
「これ… 外したくないか?」
◆
平山はしばらくしゃがみこんでいたが、ゆるゆると立ち上がった。
ここで時間をつぶしている場合ではない。
六時の定時放送までに、利根川との待ち合わせ場所に着かなければ…。
それこそ、破滅…! 殺される…!
意を決して歩き出そうとしたとき、不意に背後から声がした。
「動くなっ…! 動いたら撃つ…!」
「ひっ……!」
「そのまま… 動くなっ…!おかしな動きをしたら命は無えぞっ…!
その腹に大穴を開けられたくなきゃ…動くな…!」
カイジは、平山にボウガンを向けたまま背後から脅しをかけた。
…ボウガンそのものは、痛手を負わせられる武器だが、うまく狙いをつけ、
一発で致命傷を負わせられなければならない。
それができなければ、二発目を装填している合間に逆に襲われかねない。
だから、相手がこちらを向かないよう牽制した。
『腹に大穴が開く』という言葉から… 相手がこう想像してくれれば…
こちらの武器が散弾銃か何かだとでも思ってくれれば好都合…。
それほど警戒する必要がある…“赤木しげる”は……!
「う…動かねぇっ!何でもする!何でもするからっ…命だけは…!!」
「……………」
「な…何だ?何が望みだ?言ってくれっ……!」
「…………?」
憐れな声で命乞いをする“赤木しげる”………。
カイジは想像していたイメージとの違いに当惑していた。
(………なんか…、危険人物のわりには妙に腰が引けてるな…?
いやしかし、これも演技かもっ…!
警戒を緩めたところで反撃してくるような……)
「………お前、赤木しげるだよな…?」
「えっ…!? う、いや違うっ、オレは…!!」
「…カイジ君」
生垣の向こうに隠れていた沙織が、複雑な表情でカイジに声をかけた。
「名簿を見直してみたんだけど……その人、“赤木しげる”じゃないみたい…。」
◆
「……で、平山…ひとつ聞きたいんだけど…いいかな?」
心細いところに、脅しかけられて、すっかり縮こまってしまった平山にカイジは声をかけた。
「……何だ?何でも聞いてくれ…」
脅されて、死んじまう…!やめろ、死にたくない…!と思ったら赤木と間違えられていて、しかも脅してきた相手が伊藤開司で、よくよく聞いてみるとオレを殺す気がなくて、急に不運と幸運…天地が入れ替わったようで…、平山はぐったりしていた。半ばヤケになって答える。
「その首輪の上についている機械…誰につけられた?開始当初からついていたものではないだろ?」
「………利根川幸雄に…」
「やっぱりそうか…」
「……あんた…利根川幸雄に何をしたんだ…?」
「え?」
「利根川からの伝言だ…。あんたに会いたい、と…。」
「………。他には?」
「いや…。…この紙を見てくれ」
平山は少し迷ったが、カイジに利根川からのメモを見せることにした。
<兵藤和也>
見つけ次第事情を説明して保護、命を賭けて守り抜くこと。
持ち金は全て手渡し、一億に到達しない様ならばそれまで補佐すること。
<遠藤>
見つけ次第殺害すること、その手段は問わない。
<一条>
見つけ次第事情を説明して、私と目的が一致しているならば協力体制を取ること。
渋るようならば「私が元の地位に戻れた時は、地下から出す手筈を取る」と伝え説得すること。
ただし一条が私を蹴落としての優勝を目論んでいる様ならば、隙を見て殺害すること。
<伊藤開司>
見つけ次第事情を説明して、私の前に連れてくること。
間違っても危害は加えず、出来る限り万全の状態という条件で。
(…ひろゆきが言っていた。この伊藤開司…。この男次第でオレの運命が変わるかもしれない、と……。
オレを殺す気がない、とわかっただけでも、救いだ…。希望…。)
「……なるほど。」
カイジはメモを平山に返した。
「わかったろ?俺はあんたに危害を加えない。利根川の命令に反することになるから…。
……次の定時連絡時に発電所で落ち合う約束をしている。一緒に来てくれないか……?」
「…カイジ君…」
そばで二人のやり取りを聞いていた沙織が声をかける。
行ったら何をされるかわからない…。この平山はともかく…。
「利根川」という男は、人を脅して言いなりにさせるような人物…。
「……………平山…それはできない。」
「えっ…」
「今は…。おそらく時期尚早…。
ただ…、もちろんいつかは会うことになるだろうが…。少し…、そうだな…しかしそれじゃあアンタが困るか…。」
カイジは少し考え、平山に言った。
「2日時間をくれ…と、利根川に伝えてくれ…。2日後の夜に発電所で、と…。
ただ、この伝言だけじゃあ、利根川はアンタが本当にオレに会ったのかどうか怪しむだろうから…。
もうひとつ……。
『奴隷の剣はまだ折れていない』、と…。」
「奴隷…?」
「そう…。それで通じるはずだ」
「………………。」
「もうひとつ、アンタに頼みがある」
「……何だ?」
「もし、『いつ、どこで会ったか』と聞かれたら、こう答えてくれ。
『利根川と別れた1時間後くらいに、利根川と別れた場所の近くで』と…。
もし本当のことを伝えられると、利根川がこちらの足取りを追って来るかもしれない」
「………な、なるほど…。わかった。…今は会えない事情があるんだな?」
「利根川の思い通りには動いてやらないってことさ。
奴は今、メモの通り仲間を集めている…。
それなら、こっちも仲間…同志を、ある程度集める必要がある…。
利根川…、奴が求めているのは、おそらくオレとのサシでのギャンブル…!
だが…、その前段階として、ギャンブルに乗せるためにどんな手段を使うかわからない…。
だから…、こちらも2日で同等の体制…同志を集める…!
……おそらく…、『帝愛』である奴と戦い、勝てば…大きな意味があるはず…」
「…意味、ってのは…?」
「利根川が守備よく一条や…、兵藤和也と合流すれば…。
そいつらまとめて強制的に仲間にできる…、そういう条件でギャンブルをすれば…。
そこで奴に勝利すれば…。
もしかしたら『主催者側』との交渉すら可能かも知れない。」
「……『主催者』との…交渉…!?」
「…まぁ、まだ確信まではないけどな。うまく運べば、だ。」
平山は呆然としていた。
自分は、ただ生き延びること…。それだけを考えていた。
『主催者』との駆け引き…。そんなこと…考えてもみなかった。
このゲームそのものがひっくり返れば…生き延びるだけでなく、
誰かを殺したり… 殺されたり… そんな悪夢からの開放っ……!
戻れる…! 日常に……!!
「そうだ、平山…、この機械のことだけどさ」
カイジは平山の首輪についた機械を指差した。
「…知ってるのか…!?この機械のこと…!」
「ああ…。オレもつけさせられたことがある。利根川とのギャンブルで…。」
「ええっ!?…な、何か知らないか!?外す方法とか…!」
「いや…。これは特殊な器具がないと取り外しはできない。
利根川がそれを取り付けるときに使った器具でないと…。」
「そうか……。」
「ただ…、あのリモコンは、そんなに遠くまで電波が届くようには見えなかったけど…」
「…! そうなのかっ…!!」
「元々互いに向き合っての勝負で使う道具だからな…。
…と言っても、電波が届かなくなる距離がどこまでか、なんてわかんねぇけど…」
平山は落胆した。そして、ふとカイジを見る。
「…アンタ、勝ったのか?そのとき…利根川に……」
「………ああ。」
(そうか…… 利根川はそれで、カイジに復讐しようと考えているのか…
ひろゆきが言っていた通りだ…!)
「……平山」
「…あ、ああ、何だ?」
「仲間になってくれないか?」
「えっ…?」
「利根川を裏切れ、ってことじゃないんだ。オレが利根川に勝ったら…、
アンタを開放できるかもしれない…。そのとき、仲間になってくれってことだ」
「…もちろんだ!というか、オレのできる範囲で協力させてくれ!
オレは何だって…」
「…じゃあ、生き延びてくれ」
「えっ…」
「出来る限り…どんな窮地に陥ったとしても……、
必死に考えて、諦めないで、生き延びてくれ。」
カイジには、平山のことが他人事には思えなかった。以前…自分も…
例の禍々しい機械をつけさせられ…命懸けの勝負をしたことを思い出すと…。
「じゃあオレはそろそろ…、利根川と会う時間が迫ってるから…!」
「ああ、またな…」
平山は少し急ぎ足で、目的地に向かって歩いていった。
日はずいぶん傾き、夕闇がそこまでせまってきていた。
「……カイジ君、…さっきの話、本気?」
沙織はカイジに話しかけた。
「……そこまで上手くいくかどうかは分からねぇ…。だけど、希望があるなら…、道が見えたなら…進むだけだ。」
「利根川って人と…本当に戦う必要なんかあるの?……命を賭けろとでも言われたら…?」
「きっと…そう言われるんだろうな…。
いつもそうだ……。結局…命懸けの勝負をするハメになるっ…。」
カイジは深いため息をついた。
「…イヤなら反故にすればいいじゃない。命まで賭けて…、向こうの一方的な言い分を聞き入れることはないわ。」
「……そういうわけにはいかねえ」
「何故?…あの平山とかいう人のため?」
「それもあるけど……。これのためだ」
カイジは自分の首輪を指差した。
「これ…?」
「まぁ… これも、さしたる確信はねえんだけど…」
カイジはデイバッグから筆記用具を取り出し、何か書いて沙織に見せた。
『平山がつけていた例の機械、これが首輪の作りとどこかよく似ていた。もしかしたら同じメーカーかもしれない…。
このゲームの主催者に帝愛がいる以上、同じ工場で作られていても不思議じゃない。
そんで…、ここからはほとんど願望に近いけど…。
利根川の持っている、例の工具がもし、首輪の螺子に合う様なら……、この首輪を外すことが可能かも知れない。
…まぁ外す前に、首輪を爆発しないよう無効化…電波を遮断するとか…が、できればの話だが…』
沙織は目を見開いてカイジの顔を見つめた。
同志を集め、利根川に勝ち…『主催者』と駆け引きをすることも……
首輪から開放されることも……
どちらも仮定に仮定を積み重ねた、まだか細い想像…空想……! だが。
不可能かも知れない……
でも、可能かも知れない…………
【C-4/アトラクションゾーン/夕方】
【伊藤開司】
[状態]:健康
[道具]:ボウガン ボウガンの矢(残り十本) 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:仲間を集め、このギャンブルを潰す 森田鉄雄を捜す
赤木しげる、有賀研二、一条、神威勝広、神威秀峰、利根川幸雄、兵藤和也、平井銀二、吉住邦男に警戒
※平山に利根川への伝言を頼みました。
※2日後の夜、発電所で利根川と会う予定です。
【田中沙織】
[状態]:健康 精神不安定
[道具]:参加者名簿 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:足手纏いになるものは殺す 死に強い嫌悪感 森田鉄雄を捜す
赤木しげる、有賀研二、一条、神威勝広、神威秀峰、利根川幸雄、兵藤和也、平井銀二、吉住邦男に警戒
【平山幸雄】
[状態]:左肩に銃創 首輪越しにEカードの耳用針具を装着中
[道具]:参加者名簿 不明支給品0〜2(確認済み) 通常支給品
[所持金]:1000万円
[思考]:利根川に会いにいく 引き続き利根川の命令には従うが、逃れる術も積極的に探る
※ひろゆきと21時にアトラクションゾーン事務所で落ち合う約束をしました。
※カイジから利根川への伝言を預かっています。
◇6lu8FNGFaw 氏 作品投下ありがとうございました。
カイジが覚醒しつつある…
平山…カイジに逢ったことで何か思うことがあるみたいだ
自分の思い通りに動かなくなったカイジ。沙織はどうするんだろう。
めっちゃ面白かった。一気に読んでしまった。
しかしっ…「守備」ではなく「首尾」だっ…!
圧倒的乙っ…!
49 :
マロン名無しさん:2008/11/27(木) 11:26:42 ID:YdfPn/PO
凄く面白かったです!
ここの書き手さんは本当に凄い。曽我が出てないのが悔やまれる。
DJ小太郎が出てないのも悔やまれるな
『仮定』面白かったです。書き手さん、うまいなぁ。思わず電車の中で『カイジ熱い〜』って声が出てしましました(>_<)
読んでくれた方ありがとうございますっ…!
>>48 素で間違えてました。指摘ありがとうございますっ…!
仮定 6/9◇6lu8FNGFaw
>×「利根川が守備よく一条や…、兵藤和也と合流すれば…。
>○「利根川が首尾よく一条や…、兵藤和也と合流すれば…。
訂正いたしますです。
さあ、カイジも覚醒したし次はヒロユキ覚醒か?
なんだかスピーカーでの発言があってからずっとクライマックスって感じですげえ。人数的にはまだ全然序盤だけど次の話で何人死ぬかわからない状況が続いてるからかな。
この話っていうか、これの前の話でダメギがなんでゲロったの?説明できる人いる?
>>54 俺も違和感は感じたけどまあ今更だし別にいいんじゃない?
たしか、単に具合が悪くなって吐いただけだったろ
肉体的にも精神的にも弱っててどうの
別に何かの病気とかって伏線ではないと思うぞ
「こいつ今めちゃくちゃ弱ってるんで殺すの簡単ですよ」ってのが他の書き手に分かればなんでもよかったんじゃね
まあゲロって言ったって大量だったり少量だったり、
ネバネバもあればサラッとしたのも、
今日食べたものを吐き出すことも、何も食べて無くても吐くこともあるからな。
ゲロって奥深いんだね。
精神の衰弱でゲロっちゃうってよくある描写じゃない
したらばに投下来てるね。新しい人かな?嬉しいね
乙です
カイジ、かっこいい……!!
あの平山にも希望を与えて、しかも利根川ともやり合う気が満々ときた。
そして、首輪の技術が過去に別の物で使われてることとか、マーダーを強制的に味方に引き込むとか。
何気にアカギと同じ考えに達してたのは見事としか言い様がない。
利根川も首輪解除フラグの一旦を担ったりと、今後が凄い楽しみな展開です
62 :
マロン名無しさん:2008/12/01(月) 12:37:23 ID:NF5zJS9g
◇6lu8FNGFaw 氏GJでした。
もしかしてトリップのつけ方知らないんでしょうか?
とりあえずまあ、現在位置決めてこっちに投下してくんないと、後の書き手さんがつかえちゃうんじゃない?
特に自分は矛盾とか感じなかったし。
トリップ変わってるけど同一人物だよね?
頑張って書き続けてほしいな。
書き手氏もいつでもスレが見れる訳でも無かろうに
まだ一日も経ってないのに何を焦っておる
>>62 したらばで出したトリップをコピペしてました…
次から気をつけます…
代理投下します。
体中の鈍い痛みに、鷲巣は忌々しさをまったく抑えずに舌打ちした。
不快極まりない。
それは体の痛みだけではなく。
あの時、逃げをうった己を鷲巣は心底嫌悪した。
何故、逃げた。
逃げなどと、王が逃げるなどと、そんなことが許されるはずがない。
苛立ち、苛立ち、苛立ち、煮え滾りも頂点に達した思考。
これが鷲巣巌か。
否。
帝王と恐れられた者か。
否。
苛付く。
杖を振り上げようとしたが、手には何もなく、苛付き故の歪んだ笑みが浮かべられた。
塵屑、虫けら、なんの存在価値も無い愚鈍、無能。
鷲巣は今だかつてそれらを”邪魔”だと認識したことすらなかった。
たったそれだけの意識すら、それらに割きはしなかった。時間の無駄だったからだ。王は自ら羽虫などに構わない。
鷲巣が、初めて、他者に大きく意識を割いたのは、あの夜だけ。
狂気の夜。
喪失の夜。
「………ぅ、…」
ざわざわと、心の奥が騒ぐ。
それが、慄きでも不安でもないことに、鷲巣自身軽い驚きを覚えた。
高揚。
「(馬鹿馬鹿しい…)」
何故、あの不快な出来事を思い起こして、そんな感情が湧き上がる。
「(…屈辱じゃ、あれは)」
己の剛運が唯一捻じ曲げられ圧し折られた、瞬間。
息を吐いて近くの木に凭れかかると、ずきりと胸が痛んだ。
「…チッ」
やはり肋骨にヒビが入っているのだろう。幸い、防弾チョッキを着ているのでこれをコルセット代わりに出来る。
少々肩は凝るが、流石に仕方が無い。
毒気を抜くような爽やかな風が頬を撫でた。
無論、毒そのもののような老王からソレが抜けるわけはなかったのだが、つられて顔を上げた鷲巣は、
大きな目を更に見開いて一点を凝視することとなった。
似合わぬ晴天、広い空の下。
特に周囲を警戒するでもなく、ただスタスタと歩く男。
「……っ!!」
痛みも忘れて腰を上げる。
向こうも、気付いたのだろう、僅かばかり進路を変更して、鷲巣のもとへと歩いてくる。
お互いに、まるで場違いな明るいその場所、
ギャンブルの魔物と狂乱の老王は再会した。
「ふ、っふはは…くははははははは…っ!!」
歩み寄り、距離を縮めながら、鷲巣は歓喜に体を震わせた。
「…アカギ…ッ!! 赤木しげるぅううう!!!」
「…クク、…元気そうじゃねえか、…鷲巣巌…」
見上げる。
見下ろす。
両者の距離は数mも無い。
不可思議なことではあるが、互いに、互いが武器を持っている可能性を忘れているわけでもなかったというのに、警戒することはなかった。
暫し、鷲巣がアカギを睨み上げ、アカギは鷲巣を薄笑みで見下ろすという時間が流れたが、不意にアカギが顎をしゃくる。
「行くか」
その先には、ギャンブルルーム。
「く、くく、…よかろう…」
しかして、ギャンブルルームの入り口、そういえばの事実を突きつけられる。
30分の利用料金、100万円。
本来、それは鷲巣にとってははした金に過ぎない、が、今は、件の殺人鬼のお陰で一文無しだ。
金に頓着せずに動いていた鷲巣は、所持金という概念を失念していた。眉間に恐ろしく深い縦皺を刻んで鼻を鳴らす。
「ククク…、…まあ、アンタなら仕方ない…」
「……ぁ゛あ?!」
くつくつと笑い出すアカギ。
暗に示しているのは、かつて鷲巣が『自分の金が”減る・無くなる”という概念自体を失念していた』あの時のこと。
無論、それを察せない鷲巣でもなく、ただでさえつり上がっている目尻を更に険しくさせかけた、
ところで、アカギの腕が目の前に伸びた。
チップが黒服に渡される。
「30分だ」
「…確かに。お入り下さい…」
「……フンッ」
ともあれやっとの、入室。
しかし時間が限られている。鷲巣としては両面麻雀を選びたかったのだが、アカギとのそれは時間が掛かるだろう。無理、だとして…
テーブルの上に無造作に置いてあったカードを手に取る。
皇帝と奴隷が描かれているカードを暫し玩んだ鷲巣が、アカギにカードを向けた。
「時間が限られておる、これで勝負じゃ。…少しルールを変えてな」
71 :
混迷 2/2:2008/12/03(水) 19:22:41 ID:???
・絵札は『皇帝』『市民』『奴隷』
・『皇帝』『市民』『奴隷』の札を2枚所持
・3種類の絵札を出し合い勝敗を決める
・皇帝は市民に勝ち、奴隷に負ける
・市民は奴隷に勝ち、皇帝に負ける
・奴隷は皇帝に勝ち、市民に負ける
・絵札が同じなら引き分け
・1セット中に使い切った種類の札は
そのセットでは使用出来ない
・6枚すべてを使い切って勝負する。それを3セット
・2セット先取で勝利
アカギが了承し、テーブルに向かい合い、座す。
互いにカードを選択。
「…それで、アンタは何を賭けるつもりだ?」
静かに問う。
「わしと勝負するという権利。それでは不服か」
「…クク…」
カード開示。
アカギ、奴隷。鷲巣、皇帝。
「……使い所は難しそうだが、アンタは強力なカード…。…俺もまた、同じくな。このカードを賭けないか?」
カード、選択。
「…く…く、…カードはゲームに利用する為だけに存在するのではないと、承知の上か…!」
カード開示。
アカギ、奴隷。鷲巣、奴隷。
「ククク、破り捨てようが燃やそうが、それは所持者の自由…。そうだろ…?」
カード選択…。
時間としては、彼らがギャンブルルームに居た時間は20分と少しに過ぎなかった。
それに、そのうち5分弱は鷲巣が喚き散らした時間なので実質は15分強といったところだろう。
見るも無残に八つ当たりを受け、大破した小道具類を誰が片付けるのか、当然ながらアカギにも鷲巣にもそれは興味のないことで。
怒りと苛立ちに、赤を通り越して青くなっていた鷲巣の顔色がようやっと落ち着いてきた。
「………〜〜〜〜〜〜〜」
比喩で、『脳の血管が切れて死んでしまうのではないか』というものがあるが、
人間案外脳の血管が数本切れても生きていけるのかもしれない。
少なくとも鷲巣は『血管が4〜5本』は切れた顔色と顔付きだった。
「さっきも言ったが」
アカギはまったく涼しげに話を進める。
「アンタは強力なカード…。このゲームにおいてな……」
ギャンブルルームから少し離れた木陰、アカギは言葉を零しながらもペンを走らせている。
『何故なら、アンタはこのゲームの主催を知っている。…もしくは、心当たりがある』
「…わしの財産では飽き足りず、天運まで寄越せとぬかすか…っ」
鷲巣が声を荒げ、…荒げながら、ペンを動かす。
『このような下らんゲームのことなど、知らん』
「そうだ。…逆に俺を手札にしたかったら、いつでも勝負を仕掛けてきて良い…」
文字が書かれているのは、先ほどのギャンブルルームでアカギが失敬してきたメモ帳だ。
支給品は有限。活用できる他があれば、それを使う方が良い。
『あのカードを手に取って、ゲームを仕掛けてきた時…”少しルールを変えて”と…そう言ったぜ、アンタ。
あんなカード、俺は見たことがない』
「…充分だろう? 鷲巣巌」
『乗れよ、アンタも。このゲームの中で最も面白い…主催者殺しに…!』
ペンを動かす手を止めたアカギが、鷲巣を見下ろした。
ただ真っ直ぐな。
「ククク…」
狂人が。
何度目かも分からない感想を抱き、鷲巣は白髪の悪鬼を睨み上げる。
アカギが今、興味のあるギャンブルは”主催者殺し”なのだろう。
しかし。
鷲巣は思う。
言葉通りには受け取れない。
アカギは生死に興味が無い。自分のも、他人のも、だ。鷲巣は、身をもってそれを知っている。
アカギの、その信念には揺るぎなど無い。
求めるのはただ、身を焦がすほどの勝負、ギャンブル。
「……(このような狂気のギャンブルを思いつく主催…。ソレと勝負がしたいとでもいうか、赤木しげる)」
強烈な視線がアカギを射抜く。アカギは、薄く笑っている。鷲巣の視線は殺意と狂気を孕んでいたが、気にするでもなく。
ふん。
鷲巣は鼻を鳴らす。
「…さっさと行け…っ」
今度は鷲巣が顎をしゃくった。
狂気から、退いてはならない。例え生命の危機を感じても。
怯めば飲み込まれ、わけのわからぬまま”下”へと追いやられる。本来は上も下も無いというのに。
アカギはそれを知っている。
故に手に入れる。
灼熱の、剛運のカード…。
「100万は返せよ、鷲巣巌」
「〜〜〜分かっとるわ…っ!!!!」
【E-4/道路沿い/夕方】
【赤木しげる】
[状態]:健康
[道具]:五億円の偽札 不明支給品0〜2(確認済み)支給品一式
[所持金]:600万円
[思考]:もう一つのギャンブルとして主催者を殺す
※過去に主催者が開催したゲームを知る者、その参加者との接触を最優先に考えています。
接触後、情報を引き出せない様ならば偽札を使用。
それでも駄目ならばギャンブルでの実力行使に出るつもりです。
※危険人物でも優秀な相手ならば、ギャンブルで勝利して味方につけようと考えています。
※首輪に似た拘束具が以前にも使われていたと考えています。
※主催者はD-4のホテルにいると狙いをつけています。
※五億円の偽札
五億円分の新聞紙の束がジェラルミンケースに詰められています。
一番上は精巧なカラーコピーになっており、手に取らない限り判別は難しいです。
※2日目夕方にE-4にて平井銀二と再会する約束をしました。
※鷲巣巌を手札として入手。回数は有限で協力を得られる。(回数はアカギと鷲巣のみが知っています)
※鷲巣巌に100万分の貸し。
【鷲巣巌】
[状態]:膝裏にゴム弾による打撲、右腕にヒビ、肋骨にヒビ、少し動けるようになってきています
[道具]:防弾チョッキ
[所持金]:0円
[思考]:零を殺す、沢田を殺す、平井銀二に注目、有賀を自らの手で殺す。赤木しげるのに同行して動向を探る。
※赤木しげるに、回数は有限で協力する。(回数はアカギと鷲巣のみが知っています)
※赤木しげるに100万分の借り。
代理投下は以上です。
遅れてしまい申し訳ない。
あと、
>>71の名前欄はミスなので気にしないでください。
ドキドキした。最後の台詞で緊張ぬけた〜。
ジェットコースターみたいな、緩急のつけ方だ。
手札 ◇jeZ53dFAZA 氏、代理投下氏、
作品投下ありがとうございました。 お礼言うの忘れた。ごめんなさい。
書き手氏、投下主さん乙です
純粋にクオリティ高い文章で感動です
そうなんだよね…二人ってこんな不思議な関係なんだよね
代理投下ありがとうございました!
読んで下さった方も、ありがとう…!
>>81 別にあなたに限ったことじゃないけど自分で投下出来る場合は自分で投下した方がいいのでは?
とふと思った
83 :
マロン名無しさん:2008/12/04(木) 19:53:35 ID:64AMGxKL
最後のセリフが天才的だ…
>>82 ご迷惑をお掛けしました。次回があったら頑張ります…
まったりいこうぜ
>>84 次回も楽しみに待ってます。無理しすぎないように、がんばってくれるとうれしいなー(^O^)/
87 :
82:2008/12/06(土) 00:36:00 ID:???
別に責めてる訳じゃないですよ
ただ代理投下の場合有志の方の予定次第で本投下が遅れてしまうのが気になっただけで
規制とかの場合には代理投下しかない訳ですし
88 :
1:2008/12/06(土) 02:47:21 ID:???
今気づいた。
スレ立てるとき、タイトルを微妙に間違えたっ・・・・!
・・・・申し訳ありましぇ〜んっ!!
ほ
91 :
ざわやか3組:2008/12/09(火) 21:44:52 ID:???
すいません
投下します
92 :
ざわやか3組:2008/12/09(火) 21:47:42 ID:???
ごめんなさい間違えた。さよなら
福本学校スレね…
投下します…「孤島の鬼」
その声を聞いた青年はにたりと笑った。
時は多少遡る。
森の中を闊歩している、一人の青年。
見ればまだ若い。少年という程幼くはないが、まだ十代と思しい。
青年の名は兵藤和也。このゲームの主催の一人兵藤和尊が息子である。
悠々と彼は歩いていた。
それだけの事である。何ら不自然な動作ではない。
ただここが、
地獄の釜の底であるという事実さえ除けば――。
歩を進める彼の体からは自信が満ち満ちて溢れ出している。
もはやそれは傲岸、傲慢と呼べるまでに。まるで自信そのものを具象した存在が如く。
この勝負、己が勝ち切れる…そう信じているが故である。
決して揺るがない勝利への確信。それを彼は微塵も疑ったりはしない。疑う必要もない。
獅子は自身が獅子である事に疑問など抱かない。
それと同じ事である。
凡人とはそもそもの常識が違うのだ。
つまりこの場に似つかわしくないと思える堂々とした彼のその振る舞いも当然であり、必然。
彼にとってのかくあるべき姿でしかないのだ。
和也はE-5地点から北上し、アトラクションゾーンに向かっていた。
彼は不遜極まりない男ではあるが、利に昏(くら)い男ではない。
むしろ聡い。利口で抜け目ない、賢しい男なのだ。
百戦錬磨の猛者ども相手に徒手での優勝が難い事位は充分に承知、理解している。
自分に従属、隷属する人間――狗…手駒…家畜…奴隷――の入手は必須である。
アトラクションゾーンならば人も集まりやすいであろう。そう考えての移動である。
得るなら帝愛の人間が望ましいのだが、そうでなければそれでも良い。
愚民どもの中から適当に選別してやれば良いだけのこと。意のままに人を操る術などいくらもある。
勝つべくして勝つが王の道。王は負ける戦争(いくさ)はせぬのだ。
▼
森を抜けアトラクションゾーンに到達し、さてどこから見て回ろうかと和也が思案していたその時。
『聞けっ……!ここに一千万ある……!!得たくば、奪いに来いっ……!!』
その声を聞いた和也はにたりと笑った。
(面白え…面白えっ…面白えっ…!)
彼も若者らしく面白い事には目が無いのだが、
彼の思うところの「面白い」と一般の若者が思うところの「面白い」とは大分齟齬、隔たりがあるようである。
(『奪いに来い』だと…?イカれてやがる…正気の沙汰じゃねえっ…わんさか集まってくるぞ…今の声を聞いた奴らが…)
だがこれは――、
(――愉快なり、愉快なりっ…!)
「ひ…ククク…ククッ…」
自制心を総動員してどうにか哄笑を抑える。
しかしこの狂乱劇を堪能するには…。
面を擡(もた)げ辺りを見回すと目に入ったのは高い塔。
▼
登り詰めた展望台から広がる景色を見下ろす。
手には売店から失敬した双眼鏡。
文字通り高みの見物。まさに垂涎。
さあ楽しませてくれ――
泣け叫べ狂え脅え逃げ惑え
さあ愉しませてくれ――
貶め謀り諍い争い殺し合え
さあ聞かせてくれ――
怨嗟慟哭嗚咽と断末魔を
さあ見せてくれ――
酸鼻を極め地獄絵図を描け
喜びを悦びを歓びを――
醜くこの釜の底を這い回れ
さあ、さあ、さあっ…――
死屍骸を積み重ねろ累々と
もうすぐ始まる…魔を招き入れての狂演の舞…パーティーの扉が開く…。
望みは破滅死滅絶滅自滅…!
それこそが歓喜っ…!愉悦っ…!喜悦っ…!随喜っ…!陶酔っ…!
至福…たまらない至福っ…!
残酷に残虐に非道に非情に無邪気なサディズムの権化はもはや辺りを憚(はばか)ることもなくげらげらと嗤う。
それは愉快そうに、
とても愉快そうに、
から笑うは鬼――。
【B-3/アトラクションゾーン/夕方】
【兵藤和也】
[状態]:健康
[道具]:チェーンソー 対人用地雷三個(一つ使用済)
クラッカー九個(一つ使用済) 不明支給品0〜1個(確認済み) 通常支給品 双眼鏡
[所持金]:1000万円
[思考]:優勝して帝愛次期後継者の座を確実にする
※伊藤開司、赤木しげる、鷲巣巌、平井銀二、神威秀峰、天貴史、原田克美を猛者と認識しています。
※利根川、一条、遠藤、村岡の四人と合流したいと思っています。
彼等は自分に決して逆らえないと判断しています。
以上です…
矛盾、誤字脱字、分かりにくい点などありましたらご指摘お願いします…
投下乙です
拡声器につられるかと思ったら、まさかの傍観w
和也らしさがあまりにも出すぎてて、身震いしました。
アカギとかとは別の意味で、狂気の沙汰ほど面白いって考えてるよなぁこいつ……
今後この男が何をやらかしてくれるか、楽しみです
狂気だのう 狂気だのう
投下ありがとうございます。
10代の男の嗜好・思考じゃない…
問題は坊ちゃんがその若さでその域に達しているかだ。
市川のおかげでカオスカオス
wktkが止まらないw
案外10代多い?
作中で明言or推察可能なのは
涯、しづか、仲根の中学生組
零、山口の高校生組
アカギ(19)とそれより年下であろう治
年少石原
坊っちゃん
微妙なのは、恐らくアカギと同年代であろう平山とカイジにさん付け敬語の佐原か
標は微妙…小学生位に見える
20代は
森田(20)カイジ(21)良平(21)赤松(28)
恐らく沙織は勤務歴から察するに24位
一条は同級生の会話から察するに24〜25
ひろは時期によってはギリで20代の可能性ありか
美心は分からんが20前後か?
有賀・邦雄・安藤・三好も20代か?
ひろはひげゆき状態で参戦
よって二十代
カイジは17歩後での参加だから23か24じゃないか?
>>108 最終回では31じゃなかったっけ、ひろゆき。
標が十歳未満ってことは流石にないんじゃないか?
若くても小5か小6と見てるが
あと美心はおっちゃんのアパートに成人式の時の写真があったから20以上だろうな
投下します。
113 :
十に一つ:2008/12/16(火) 21:26:59 ID:???
「誰だっ!」
天は何者かに向かって怒鳴りつけた。
だが、無論返事は返ってこない。
「……不味いことになったな。おそらくは……爺さんの声に釣られた奴か……」
ボソリ、と天は呟いた。
まさしく窮地である。
市川が拡声器を使った時点でこのギャンブルに乗った連中に襲われる――それは覚悟していた。
だが、実際に危険にさらされてみると、やはり即座に冷静な対処をすることはかなわない。
救いは事前に敵の存在に気づけたこと、それから事前に市川からダイナマイトを取り上げたことだろうか。
「ククク……なかなか面白いことになってきたな……さあ、どうするんだ?」
「ぐっ……」
市川が楽しそうに顔を歪める。
いっそこのじじいを囮に逃げるか、といった考えが頭を横切った。
そもそも市川の死にたいがための行為が全ての元凶なのだ。
しかも目が見えない――囮には適任である。
が、天は大きく頭を振る。
(ダメッ……出来るか……そんなことっ………!!まともな考えじゃねえ……!)
しかし、それならばどうすればいい。
いろいろな考えが天の頭の中を回る。
どれが正解なのだろうか。
「焦る必要はないよ」
少年――標が声を発した。
「……どういうことだ?」
「言うなら、運が良かった………そこにいる村岡さんの大声……そのイレギュラーがいい方に傾いた」
そこにいる全員が標に注目する。
「皆、周りへの警戒は怠らないで……そう、そのイレギュラーはそこに隠れてる誰かにとっても予期しないものだったんだ。
だから気が逸り、うっかり音をたてた……いや、音を立てなかったとしても周囲に警戒はしたでしょう……?
その警戒……それこそ襲撃者にとっては最大の脅威………自身が死にかねない……下手に攻め込めない……
事実未だに攻撃してこないのがその証拠……本能的な死への恐怖が危険へ飛び込むのを避けさせる……
或いは諦めてもう逃げたかも……まあそこまでは分からないけどね」
標は言い終えてじっと気配の方向を見つめる。
なるほど、標の言葉には説得力があった。
ここまで説明されて天も気付く。
「なるほど……そういうことか、坊主。警戒を怠らないまま見通しのいいところまで行けば……」
「そう……それが多分一番いい選択……それなら全員助かる可能性は高い」
「よし、そうとなれば全員武器を用意しろ……極力傍から見て目立つようにな」
そう言って天は鎖鎌を手に持った。
標は銃を、赤松は手榴弾をそれぞれ構える。
何があったのか身一つの村岡は、武器が無いのが不安なのか、赤松に声をかけていた。
「赤松さん、お願いしますっ……その手榴弾……一つだけ……一つだけでいいから………
ちょうだいとは言わないから……しばらく貸してほしいざんすっ……!」
「……まだあなたを信用しきれません、ダメです」
「………赤松さん、いつになったら信用してくれるざんすか?」
「さあ……」
天はやりとりを横目で見ながらも周囲の気配を探ることを怠らない。
だが、彼は一つ失念していた。
もう一人、警戒せねばならぬ人物がいることを――
* * *
「赤松さん、いけないっ!」
標が声を発した、その時にはもう遅かった。
一瞬の出来事である。
市川が老人とは思えぬ機敏さで赤松に覆いかぶさりその手の手榴弾を奪い取ったのだ。
「クク……大したもんだ、坊主………その発想……冷静さ……いつぞやのガキを思い出させる……
儂の前に爆発物があると知らせるその危険性……それにもいち早く気づいたようだ……
そこの赤松、村岡とやらの会話………
その通りさ……目の見えぬ儂が人を殺すとなれば広い範囲に攻撃できる武器は必須っ……
儂の目的をあわせて考えれば尚更な……
だが坊主、お前の声は儂の決断の速さに一歩及ばなかったようだ………」
市川は手榴弾を掲げた。
「……そこの天とやらにダイナマイトを奪われてからはどうしたもんかと考えていたが……
面白い……なるようになるもんだ……なあ……?
ククククク…………儂を置いていけ……これまでは儂を殺そうとする奴に焦点を絞っていたが……
今度ばかりはその対象を妥協することになるぞ……」
一分ばかり沈黙が流れた。
一同困惑の表情を消すことは出来ない。
結局は天の「仕方ねえ」の一言で市川を置いていくことにきまったが、その表情からはやるせなさを感じた。
「行きましょう……」
赤松が皆に声をかける。
だが、この時標だけは全く別のことを考えていた。
標は赤松の袖をクイッと引っ張り、そっと耳打ちする。
「赤松さん……僕も一人でここに残る……後で合流しよう」
「えっ!……なんで?」
「今は言えない……ただ……ちょっと気になることがあるんだ」
「……ダメだよ……危険すぎる」
「そうかな……?」
標は一旦言葉を切った。
「実際お爺さんに関しては口でああ言っててもわざわざ僕一人を巻き添えにするなんて考えにくい……
赤松さんもそれはわかるでしょ?
問題は正体不明の人物……でもそれだって大抵の相手ならとっくにこの場を離れてる……
こっちに見つかるリスクを恐れてね……」
「でも……残ってる可能性だってあるわけだし……」
「それでもここまで姿を現さないっていうのは相当用心深いってことだよ……
それに向こうはお爺さんが盲目だとは思わない……盲人用の杖も持ってないし距離も離れてるからね……
手榴弾を持ってる人間と銃を持ってる人間が周囲を警戒してるんだ……易々とは出てこれない。
たとえそれが子供と老人であっても……」
「……いや、危険だよ………仮に十に九は安全だとしても……」
「十に一つは死ぬ可能性がある……でもそれくらいの価値があるんだよ……
尤もいい情報を得れる可能性も十に一つ程度だけど……その一つが大きい」
「…………」
「大丈夫……死なないよ………信じてほしい」
「……わかった………信じる……信じるよ……」
赤松は神妙な面持ちで頷く。
これで赤松の了解は得た。
――次は他の二人にも声をかける。
「……村岡さん、それから……」
「天だ……どうしたんだ?」
「……天さん。…………引っかかることがあって」
説得。
天は渋い顔をしたものの、先ほど標の頭脳を目の当たりにしたこと、
付き合いの最も長い赤松も了解したという二点が決め手となり標を残していくことを了承した。
村岡は元より早くこの場から離れたいだけであり、始めから反対すらしていない。
ともあれ、標は一人この場に残ることとなった。
標は最後に赤松に声をかける。
「赤松さん……行く前に一つだけ………
もし十に一つの時は……宇海零………彼に、僕と一緒に見たことを話してみて……
きっと彼なら分かるはず」
「……十に一つってのはどっちのことだい?」
「……今、赤松さんが思い浮かべた方だよ」
「………わかった」
赤松は気弱そうに笑いかけ、そのまま去って行った。
「ククク……奴らは行ったか………それで、気になること……聞きたいことってのは?」
「良くそんな細かいことまで聞こえてたね……小声で話してたつもりだけど」
「まあな……儂にとって耳は生命線………聞こえていながら水を差さなかったのは………
坊主、お前の気になったこととやらに興味があったからだ……聞かせな」
市川は光の無い目で標を睨みつける。
「……ダイナマイト」
標は一言、そう答えた。
市川にはそれだけでわかるはずである。
「………なるほど…………そういうことかい……それなら残念だがお前の期待通りにはいかねえな……
生憎だが……十に九の方さ………」
* * *
市川がバトルロワイアルに参加することを決めた、その日のことである。
「ともあれ、細かい話をするにはここでは拙いですね。
私共の経営するホテルで話し合いましょう……車は用意してあります」
「……スウィートにでも泊めてくれるのかい?」
「お望みとあらば……ですが、まずは打ち合わせをお願いします」
誰に話を聞かれてもおかしくはない居酒屋である。
確かに打ち合わせの場としては相応しくない。
市川はおとなしく車に乗り込み、ホテルへと移動することになった。
そしてスターサイドホテル、VIPルーム――
「どういうつもりだ……?何故儂を選んだ……
こんなめくらのじじい、参加させる意味があるのか……?」
「いえいえ、とんでもありません………市川様の実力の程は伺っております……
その頭脳……それだけでもこのギャンブルに参加する権利はございます。
それに貴方には耳がある……この夜景は見れずとも、美しき風の音は聞こえる……」
「もういい」
市川は男の言葉を遮った。
「そんなふざけた言葉を聞きに来たとでもおもっているのか……?
要するに死にたがりの儂にバトルロワイアルとやらを掻き回せ………面白くしろ……
本音はそう言いてえんじゃねえのか……?」
「……有り体に言ってしまえばその通りです。ご理解があって助かります」
市川からすれば面白くない。
道化として我々のために働け、そう言われているのだ。
だが、それはそれとして、バトルロワイアルが魅力的なこともまた事実としてそこにあった。
「道化だろうがなんだろうが結構……儂が死んで華となる………儂の中でその結果が得られればな……」
「ありがとうございます。『協力』していただけるのであれば我々としましても優遇せねばなりません。
主に武器、或いは情報ですね……
市川様は華となることを望まれる……とのことですが、具体的にはどのようなことを希望されるので?」
「……儂を殺そうと群がる連中を儂もろとも殺せる武器……そうだな………
ダイナマイトだ……目が見えぬ儂にもなんとか扱えるように……」
「かしこまりました………手配いたしましょう。
もう一つ……この『協力』は貴方の行動を束縛するものではありません。
途中、気が変って最後まで生き残ろうとすることも、無論自由です」
「ククク……そうなればそうなったで金持ち連中が覚悟の無い儂を嘲笑し酒の肴にするんだろう……
だが……そこまで道化になるつもりはないさ」
「……恐れ入ります」
* * *
「……まあそんな塩梅だ。別に主催者連中の関係者って訳じゃねえ」
「そう……やっぱり……」
「………だが大したもんだ……儂が死にたがっているという見極め……そして儂のたった一言……
しかも混乱の中で発した儂がダイナマイトを持っていた、それだけの言葉だ。
材料はその二つだけ……
それだけでお前は、儂が目的を目指す上で完璧すぎる武器を手に入れたというそのきな臭さ………
それを嗅ぎつけてきやがった………
この状況下で気付くことがまず至難……よしんば気付いたとしても普通の奴なら偶然で済ましそうなもんさ」
市川がニヤリと笑う。
そう、標が得たかった情報は主催者のもの。
市川と主催者との繋がりの可能性、それを確かめたかった。
主催者との繋がりがあるとすれば、市川の存在は主催者に対する隠された武器ともなりうる。
尤も、その確率は標の見たところ一割程度――十に一。
案の定、市川には主催者との繋がりは無かった。
しかし、標には落胆は無い。
もとより期待などしてはいなかった。
駄目ならば他の策を考えれば良いことである。
期待通りに事が進まなかったときの動揺、それはこのギャンブルにおける危険の一つ。
過度な期待を持つべきではないことを、標は知っていた。
「じゃあ僕は行くよ……お爺さんはどうする…?」
市川に尋ねる。
別段死にたいというものを引き留めるほど標はお人好しでは無い。
ついていきたいというのならば良し、残ると言われてもそれはそれで構わなかった。
「……行かねえ……一人で何とかするさ………」
「分かった……それじゃ」
標はそのまま市川に背を向け走り出す。
もし襲撃者が残っていたとしても急いでこの場を去れば狙われるのは残った市川で、まず自分は安全である。
この際囮になってもらうのもやむを得ない――
そこまでの計算があってのことである。
そしてその数秒後――標は死体となっていた。
* * *
有賀研二はこと殺人に関して、その衝動的な欲求とは裏腹に極めて優れた機知と忍耐を持っていた。
声の主、その獲物を探していた時に、突如として発せられた大声。
見つけた――有賀はニヤリと笑みをこぼした。
しかし、まだ殺せない。
今はまだ警戒されている。
殺すことは楽しくとも、殺されることはつまらない。
すぐにでも飛び出そうという感情を抑え、有賀は様子を垣間見た。
何やらもめている。
いつぞや殺し損ねた老人――彼が武器を奪い取ったらしい。
だが、まだ早い。
狩りは己の安全を確保してからのこと――
確実に殺せる、その状況にはまだ至らない。
万全を期しても、時には失敗することがある、それは以前学習している。
ぎりぎりまで粘り、その時を見極めなければならない。
子供と老人、二人が残った。
――これなら殺せる。
だが、本能がまだその時では無いことを知らせた。
老人は先程会ったため覚えている。
彼は、目が見えないのだ。
計算に入れる必要はない。
問題は子供の方である。
銃を持っていることばかりでは無い。
その子供自体が違和感の正体。
下手に行けば足元をすくわれる、そんな予感。
殺したい、今すぐにでも。
そんな衝動を必死に抑え、有賀は機が来るのを粘り続けた。
(クククククク…………来た……来た……)
少年が背を向けて走り出す。
今なら反撃できない。
待ちに待ったチャンスが来た――
そう思ったと同時に有賀はもう動いていた。
殺すべきは、狙いやすい老人では無く子供の方。
老人はダイナマイトを身につけている。
撃てば、間違いなくそのまま爆発。
殺すために死んでしまっては、その喜びは味わえないのだ。
自分も子供に向かって走り出し、マシンガンを乱射する。
子供の躯が銃弾で踊った。
そして直後迎える静寂――
有賀は歓喜に打ち震えた。
* * *
激しい銃の乱射音に市川はとっさに身構えた。
この音は機関銃――うかうかすれば即座に殺されるだろう。
だが、襲撃者は市川を撃とうとはせず、笑いながら声をかけてきた。
「クククク……カカッ……カカカッ………!また会ったね……お爺ちゃん………」
「……またお前か………よっぽど縁があると見える……」
「クククッ……面白い……面白い………」
市川は声との距離を必死に測る。
だが、有賀は常に動きまわっておりその距離感が掴めない。
「うふふふっ………慌てない慌てない………いつでも殺してあげられるんだから……今回は見逃してあげるよ……」
有賀は市川にそう言ってのける。
冗談では無い。
千載一遇の好機なのだ。
ここを逃せば盲目の市川にいつチャンスが訪れるか分からない。
しかし、
「またね……」
と有賀は決して市川には近寄ろうとはせずそのまま去って行った。
有賀は市川に手榴弾を投げる、その隙すらも与えるつもりは無かったらしい。
尤も、投げようにも目が見えない上、爆発までにはタイムラグがあり有賀の息の根を止めることは難しかっただろう。
己が殺されずに済んだその理由はおそらくただ一つ。
襲撃者が、いまだに市川がダイナマイトを持っていると勘違いしてくれたこと、ただそれだけ。
市川はよたよたと周囲を捜索し、標の死体からバッグを剥ぎ取った。
(ククク……坊主、こっちは十に一つだったな……)
標の選択はここに一人残ったことも含めて、全て最善のものであった。
標が死んだ理由は不運が三つ重なっただけ。
襲撃者が殺人に対して予想以上に執念深かったこと。
襲撃者が市川は目が見えぬことを知っていたこと。
そして、襲撃者が市川はダイナマイトを持っていると勘違いしていたこと。
(お前が死んだのはついてなかっただけ………だが……この世は合理性じゃ量れねえもんだな……)
市川はバッグを背負い立ち上がる。
時間は無限には無い。
時間を無駄にするべき時でも無いだろう。
(さて……思いの外手榴弾は使い勝手が悪い………取り敢えずはやはりダイナマイトを取り返すか……)
【B-3/アトラクションゾーン/夕方】
【天貴史】
[状態]:健康
[道具]:鎖鎌 不明支給品0〜2 通常支給品
[所持金]:1000万円
[思考]:アカギ・殺し合いに乗っていない者を探す 標と合流する
【赤松修平】
[状態]:健康
[道具]:手榴弾×9 石原の首輪 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:できる限り多くの人を助ける 標を守る 標と合流する 標が死んだ場合宇海零を探す
※石原の首輪は死亡情報を送信しましたが、機能は停止していません
※利根川のカイジへの伝言を託りました。
【村岡隆】
[状態]:健康 やや興奮状態
[道具]:なし
[所持金]:0円
[思考]:ひろゆきとカイジに復讐したい 生還する
※村岡の誓約書を持つ井川ひろゆきを殺すことはできません。
【市川】
[状態]:健康
[道具]:モデルガン 手榴弾 支給品一式
[所持金]:2000万円
[思考]:ダイナマイトを取り返す
※有賀がマーダーだと認識
【有賀研二】
[状態]:健康
[道具]:果物ナイフ 不明支給品0〜3 サブマシンガンウージー 防弾ヘルメット
支給品一式×1
[所持金]:6800万円
[思考]:人を殺したい
【標 死亡】
【残り 34人】
代理投下は以上です。
凄い・・・このパニック状態を標一人の犠牲で乗り切った頭脳・・・・。
標と市川と有賀の駆け引きが熱かった・・・・!
GJ……!!圧倒的GJ……!!!
傍観の坊ちゃんがどう出るか楽しみだ
うわあああ凄え…
凄いとしか言いようがない
なんか心臓を掴まれたようだった
乙っ…!
もし気を悪くされたらごめんなさいですが
×足元をすくわれる
○足をすくわれる
代理投下ありがとうございます。
>>129 やっちまった……orz
仰るとおりです。
>>122は、
足元をすくわれる→足をすくわれる
でした。
推敲が足らんかったかな……
投下乙!
十に一つか……泣けるぜ
さりげなく零を信頼してるのがちょっと嬉しかった
あと市川は合理性の限界に気付いたんだな……
読んでてドキドキしたよ
GJ!
投下乙です。
標、お前はよくやった……!!
行動自体には間違いは無かっただけに、本当に不幸としかいいようが無いですね。
そして市川が合理性を否定するなど、色んな意味で今後が恐ろしくなってきました。
GJです……!
そして、佐原・板倉・しづか・一条をこれより投下いたします。
しづかはただ闇雲に走っていた。
自分が何処へ向かっているか、そんなことは今や彼女に関係なし……!
ただ離れたい……ただ逃げたいっ……!!
あの恐ろしい男からっ……!!!
(冗談じゃないっ……! あんな―――!!)
思い出した途端、震え上がる全身……! 駆け巡る悪寒っ……!!
和也がしづかに抱かせた恐怖は、尋常ならざるものだった。
躊躇無く人を殺せる度胸、それを快感と捉える異常な性癖っ……!!
それを一目でしづかに理解させた、あの狂気に満ちた瞳っ……!!
あれはもはや人ではないっ……!
悪鬼っ……! 修羅か羅刹かの類っ……!!
(……何なんだよ、ここは……!!)
それは今更な疑問、されど抱かずにはいられぬ必然……!
しづかも親父狩りを行っていた身、同年代の者達に比べれば修羅場は潜っている。
しかし……ここに集うは、彼女が狩ってきた親父達を遥かに超えた人物ばかりっ……!!
和也だけではない。
今思わば、秀峰と勝弘の二人は実の親子でありながらもいがみ合い、そして殺し合った。
しづかは自身が不良であるという自覚がある、決して親子仲も良いとは言い切れない。
だが……! そんな彼女からしてもアレはあまりに歪っ……!!
勝弘に関しては、どこか心を許せられる部分があっただけに見逃していたが……そうだ……!!
冷静に考えてみれば分かるっ……! 異常すぎるっ……!!
彼女が出会ってきた全ての者達は、俗に言う異端者ばかりっ……!!
(……犯罪者の巣窟にでも放り込まれちまったって訳かい……死んでもいい連中ばかりのっ……!!)
されど、取り乱さず……!
しづかは焦りながらも、この状況を把握……そして悟る……!
自分は落とされたのだとっ……!
死んでもいい、社会的価値の無い存在……! 犯罪者としてっ……!!
このギャンブルは、そんな連中を扱って楽しむデスゲームっ……!!
そうでなければ説明がつかない……!! これ程までに、異常な存在ばかりが集まるその理由っ……!!
(くそっ……! そんなの……他にもいるだろっ……腐るほどっ……! 死んでいい屑なんかっ……!!)
死すべき者など他に幾らでもいる……!
込み上げてくる怒り……! 己を選び出した主催者達への、圧倒的憤怒っ……!!
だがそれは、同時に理不尽っ……!!
金目当てで参加した己を棚に上げる……愚考そのものっ……!
「そこの姉さん、止まりな」
「!?」
そんな彼女を待ち受けるは、白いスーツを着こなした一人の男。
油断ならぬ、鋭い目つきで睨みつけてくるっ……!
この出会いは神からの救いか……あるいは、天からの罰かっ……!!
□
(やっぱり、こういうことだったか)
板倉はしづかに声をかけ、その様相を注意深く観察する。
荒い息、額に浮かぶ汗、ところどころが乱れている衣服。
次々に見つかる、スコープからではいまいち分からなかった細かい点……予感は的中……!
目の前の少女は何者かに襲撃され、ここまで逃げてきた……己がその相手を既に撒いたとも知らずっ……!!
つまるところ、彼女は支配されている……! 死の恐怖にっ……!!
ならば絶好のカモ……!
これ程やりやすい相手は他にいないっ……!!
「……あんた、私に何の用があるわけ?」
「そう警戒するな……その様子じゃあんた、誰かに追われてるんだろ?
大丈夫か? もう後ろには誰もいないから安心しな」
「え……」
板倉が取った手段……それはずばり擁護っ……!
しづかの恐怖と不安を取り除く、優しい囁きっ……!!
板倉の狙いは、彼女を安心させる事……! 己を安全だと思い込ませる事っ……!!
怯える孤独者が欲するモノ……! それは救いの手……!!
垂れ下がる蜘蛛の糸をつかまずにはいられないのだっ……!!
「……あ……本当、だ……」
「な、言っただろう?」
獲物は餌に食いついた……!
□
「……」
一条は船井の荷物を己のデイパックに移した後……気付く。
己の身に、ある問題が起きていた事に。
(血か……これはどうにかしておきたいな)
それは、黒いスーツの胸元に咲く赤の色。
自身の衣服に付着した血液……船井を殺した際に浴びてしまった、その返り血。
これは早急に対処せねば危険……人と接触する際、自身が警戒されるのは確実……!
すぐさま、一条は上着を脱ごうとボタンに手をかける……がっ……!!
(クソっ……! シャツにまで跳んでいるか……!!)
その血は始末が悪い事に、下のシャツにまで付着……!
上着だけなら脱ぎ捨てられたが、こうなると話は別っ……! 血を隠す手段が無い……!!
ここで、シャツを脱ぎ捨て上半身裸で歩くなどは論外っ……!!
防護の面でも勿論危険だが、それ以上に見た目的に怪しすぎる。
上半身裸の男が近づいてきて、それで警戒心を与えるなというのは無茶な注文っ……!!
ならば打つ手は一つ……衣類の入手っ……!
この返り血が付着した衣服をどうにかせねば、今後の活動に支障があるっ……!!
支援
(ここからなら……よし、近くにホテルがある。
武器の類は兎も角、代えの衣服ぐらいはある筈だ)
一条はすぐ隣のエリアにホテルが一つあることを確認。
このゲームの性質上、明確に武器と断言できる類のものはまず見つけられないだろう。
だが、衣服となれば話は別っ……!
置いてあっても何ら不思議は無いっ……!!
(それに……これは返って好都合だっ……!!)
そして怪我の功名っ……!!
目指すホテルは大施設……人は自然と集まってくる……!
カイジ達が目指している可能性も、低くはないっ……!!
血に濡れた復讐人、その顔には笑みっ……!!
□
(……助かった……)
しづかは和也から逃げ切れた事を知り、途端に安堵の溜息をつく。
全身を縛り上げていた、恐怖という名の蛇はようやく離れた……!
突きつけられていた死神の鎌が、喉元を離れてくれたっ……!!
「……ありがとよ、兄さん」
「気にするな、こんな状況じゃ焦っちまうのも無理ないさ」
同時に、板倉に抱いていた警戒心が一気に解ける。
彼が己の身を気遣ってくれたことに、しづかは安堵……!
出会えないと思われていた、まともと言える参加者っ……!!
(……そうだよね……私の考えすぎだ。
確かにおっさん達はどこか危なかったけど、まともな人達だってそりゃいるさ……)
その顔には、僅かな笑み……!
そして板倉……それを見逃さず畳み掛けるっ……!!
「さてと……姉さん、悪いんだが念のため確認を取らせてくれ。
あんたは殺し合いに乗っちゃいないんだな?」
「当たり前さ……あんな連中とやりあうなんか、ゴメンだよ……!」
「成る程な……」
板倉はしづかの返答を聞くと、ちらりと横目でホテルを見やる。
この時、佐原に動き無し……!
周辺に怪しい人物はいないっ……!!
彼女が囮であるという、万が一の可能性もこれで潰えたっ……!!
「……どうしたのさ、兄さん?」
「ああ、ホテルに仲間を一人待機させてるんだ。
それでライフルを使って見張りを頼んでいたんだが、動きが無い所を見ると安全らしいな」
ここで板倉は、しづかに佐原の事をばらす。
自身の策を不用意に話すというのは、無防備に思われる……がっ……!
実際はその逆……! このまま何の説明も無しに、彼女を佐原に紹介した場合……それが問題なのだ……!!
自分達がこっそりと見張っていたという事実……それを知った時、彼女は確実に不信感を抱く……!
それでは折角の仕込が台無しっ……!!
だが、逆に今明かせば話は別…!
「へぇ、よく考えてるもんだねぇ……」
「それほどの事でも無いさ。
いつ誰に襲われてもおかしくないからな」
しづかはその手腕に感心……! 板倉を高評価っ……!!
彼女はもはや、板倉を完全に信じ込んでいる。
まさに思い通り……! 都合よく物事が運んでいる事に、板倉は心の中でガッツポーズっ……!!
ここまでくれば後一押し……! 最後の決定打を打つっ……!!
「とにかく、あんたがゲームに乗ってなくて助かったな。
俺達はこのゲームの転覆を考えてる……今はその仲間を集めているんだ」
□
「板倉さん、何話してんだ……?」
佐原はスコープ越しに二人のやり取りを見る。
声は当然ながら聞こえぬ為、何を話しているのかまるで見当が付かない。
しかし見たところ、言い争っている様子はない。
それどころか、少女の顔には笑みすらも浮かんでいる……友好的な接触なのには違いない。
正直最初は、この引き金を引くのではないかと冷や冷やしていた。
安心し、溜息をつく……
がっ……!!
「ん……アレは……!?」
佐原が目撃したもの……! それは第二の参加者っ……!!
板倉達から離れた位置に一人、スーツ姿の男……!
佐原は男を注意深く観察……! その直後……!! 彼は見つけてしまうっ……!!
「血っ!?」
佐原に衝撃走るっ……!!
男のスーツには、まだ真新しい血っ……!!
見たところ、男に外傷らしきものは無し……! つまりこれは、男のものではない何者かの血っ……!!
返り血っ……!!
「ま、まさかっ……!?」
状況は一転っ……!
途端にこみ上げる、怒涛の焦りっ……!!
銃を握る手には冷や汗……! 震えっ……!!
このままでは板倉達が危険……! 救う方法は一つっ……!!
「っ……!!」
佐原は引き金を引くっ……! 同時に、発射の反動で体は仰け反る……!!
弾丸は窓ガラスを貫通っ……! 板倉達を守るべくっ……!!
だが……佐原は行動を行うのには、余りにも不向きすぎていた。
彼は板倉とは違い、あくまで一般人……! 銃自体を扱った経験など皆無っ……!!
発射の反動を抑える事も出来ず、ましてや高度な技術を誇る狙撃っ……!!
その上に、予想外の事態に対する極度の焦りっ……!!
これだけの悪条件が揃い、成功するわけなどないっ……!!
摩り替わる……救いの手が、地獄からの手招きにっ……!!
□
「まだ具体的な方法とかは考えてないが、とにかく人手は多いほうがいい。
よかったら協力してもらえないか?」
板倉、ここでトドメにかかる……!
主催者の打倒は、優勝狙いの人物以外ならば誰しもが確実に考える……!
そして、これだけ相手を柔和させての勧誘……効果が無い訳が無いっ……!!
「……ああ、そうだね。
私も、このゲームを開いた連中が気に入らなくなってたところさ……!
あんた達と一緒に行動させてもらうよ」
(よし……!)
しづか、陥落っ……!
彼女の殺し合いに対する嫌悪感と、板倉の甘い言葉……その両者が見事化学反応っ……!!
板倉は見事、しづかを引き込むことに成功っ……!!
この収穫は大きい……!!
(名簿を見た限りじゃ、女はこいつを含めて三人……こいつはいいぞ)
女性相手となると、態度が甘くなる男は山ほどいる。
彼女が側にいてくれれば、新たな参加者の引き込み……その難度はかなり下げられるっ……!!
また、その体力は明らかに男性に劣る……! 故に彼女は狙われやすいっ……!!
ゲームに乗った連中の目を反らす囮としては、これ程都合のいい奴はいないっ……!!
女性の数が極端に少ないこのゲーム……彼女はキーファクターっ……!!
「よし、それじゃあ俺の仲間と合流するぞ。
付いて来てくれ」
用が片付いた今、わざわざ外にいるメリットは無い。
ならば、残る情報の交換や支給品の確認といった作業は、ホテルの中で行う事にするのが得策。
板倉はしづかに背を向け、足早に佐原の元へ戻ろうとする。
だがっ……この直後、それは起きるっ……!!
バァンッ!!
「……えっ……?」
轟音と共に、しづかの首元を何かが掠めた。
それは板倉の耳にも確かに届き、彼はとっさに振り返った。
すると……彼女の首元には、赤い一つの筋が出来上がっていた。
それは傷っ……!
彼女の首元を、高速で掠めた何かが作り上げた一筋の切り傷っ……!!
しづかは何が起きたのか分からず、呆然としたまま自身の首元に手を伸ばす。
ぬるりと、気持ちの悪い感触がした。
「これって……血っ……!?」
感触の正体は、流れ出ている血っ……!!
その事実を認識した途端……! しづかの全身を再び恐怖が支配っ……!!
「あ……ウワアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!??」
絶叫っ……!!
只管に絶叫っ……!!
一体何が自分に傷をつけたのか、それを知る由もなくっ……!!
(今の音……まさかっ!?)
板倉は絶叫に身を竦ませるも、冷静に状況を推理。
彼は轟音の正体に、既に当たりをつけているっ……!
しかしそれは、絶対にありえてはならない音……!! 佐原が手にしていたレミントンの銃声っ……!!
(あの馬鹿、一体何のつもりだ!?)
佐原の発砲っ……!!
板倉にとってこの事態は完全に予想外……!
上手くいっていた何もかもが、今の一瞬でぶち壊されたっ……!!
(まさかあいつ、ここまで演技してやがったのかっ……!?
俺が油断したところを狙って……クソっ!!
どうする、すぐにホテルに向かって……いや、駄目だ!!)
いや……ぶち壊れて全てが零になったならまだマシ……! これは完全な裏目っ……!!
何故なら板倉は、佐原の存在をしづかに話してしまっているっ……!!
(まずい……このままじゃ俺まで疑われる……!
だが、説得をする暇はっ……!!)
説得するか、それとも始末かっ……!
どちらにせよ何かしらの策を講じねば、自分に対する悪評を広げられるのは確実っ……!!
しかし、後方には佐原……! そうしている時間も無いっ……!!
「クソッ……すまねぇ姉さん、ちょっと堪えてくれ!!」
「!?」
一秒にも満たない一瞬、考慮した後……! 板倉、動くっ……!!
とっさに飛び出し、しづかの口を手で塞ぎ……ダッシュっ……!!
選択は説得……! 彼女という存在は、ここで捨てるには惜しい駒っ……!!
「っ……よし、一先ずはここなら大丈夫だ。
悪いな、手荒な真似をしてしまって……落ち着いたか?」
「……あ、ああ……」
「どうやら、俺は奴に裏切られたらしいな……まったく、最悪だ」
数秒後、板倉は佐原から見て死角に当たる一本の木の陰へと到着。
しづかに腰を下ろさせ、そしてすぐさま弁解……!
佐原と絡んでの狙撃ではないと、懸命の説得っ……!!
この状況で最も避けなければならない最悪の事態を回避する為、必死っ……!!
「……すまない、あいつを信じきった俺のミスだ」
「あ……いや、あれは仕方ないさ。
確かに、最悪なのには違いないけどね」
どうにか成功……!
しづかを助けたという行動、必死の弁解……! この両者が功を奏したっ……!!
板倉はホッと胸をなでおろす。
そして、彼女の傷口を放置していた事に気付きそれを見る。
幸いな事に傷はそれほど酷いものではない……簡単な止血で事足りる。
早速、上着を脱ぎシャツの袖口を引き裂こうとする……
がっ……
そのとき、二人に声をかける人物ありっ……!
「大丈夫ですか?」
「!!」
「先ほど銃声がしましたが、どうやら彼女が撃たれたようですね?」
それは他でもない、佐原誤砲の元凶……! 一条その人であるっ……!!
そのスーツには、明らかな返り血……! 当然、板倉は一条を警戒っ……!!
「……ああ、だが首元をちょっと掠めた程度だ。
こりゃ見た目ほどは酷い傷じゃない……あんた、何か止血に使えるものは持ってないか?」
がっ……その警戒、すぐに停止っ……!!
そう判断した理由は簡単……! 一条が声をかけたからっ……!!
自分達を殺す気ならば、声をかける必要性がない……! 少なくとも今の時点では殺意は無いっ……!!
ならば、ここは素直に応対するのが得策……!
「ええ、少し待っていてください」
一条はデイパックを肩から降ろし、その中に手を突っ込む。
その時、板倉はそのデイパックに目を奪われるっ……!!
(こいつは……!!)
外見からは気付かなかった……! 一条のデイパック、その内部搭載物の量っ……!!
見えたのは一瞬だが、その一瞬だけでも十分に分かるっ……!!
自分達のものに比べ、それは明らかに多量っ……!!
(この兄ちゃん、誰か他の奴の荷物を持ってやがるっ……!!)
板倉は即座に把握……! 一条は誰か他の参加者の荷物を手にしているっ……!!
それが自己防衛の為か、それとも進んで誰かを殺したのか、そこまでの判別はまだ現時点では分からないが……!
スーツに付着した血から判断するに、これは十中八九誰かと争って奪ったものっ……!!
「私の支給品に包帯がありますから、これで止血をしましょう」
「ああ……えっと……」
「そういえば自己紹介がまだでしたね、私は一条です」
「ありがとな、一条さん。
私はしづかって言うんだ」
「俺は板倉だ」
包帯を巻いて止血をしつつ、三者は自己紹介を終える。
そこで板倉、すかさず打って出る……!
彼がどういった人物か、見極めの為に先手を打つっ……!!
「それで一条さん、見たところ服に血がついてるようだが……そいつは自己防衛の結果ってとこか?」
「……どうしてそう思いましたか?」
「あんたがゲームに乗ってるなら、俺達を助けるわけが無いからな」
「ハハッ……ええ、その通りです。
向こうから襲い掛かってきたので、やむを得なく……」
予想通りの返答。
ならばと、板倉は一条に話を持ち掛ける。
支援
wktk
あれ?勝広じゃなかったっけ?
したらばに続き投下されてるな
さるさんみたいだ
「成る程な……だが、乗ってないなら安心した。
よかったら、俺達と行動しないか?」
その理由は、彼の持つ支給品の量、恐らくは1000万以上あるであろう現金っ……!!
この魅力的な両者の存在と、それを戦闘で入手した一条自身の戦力っ……!!
彼が殺し合いに乗っていないというのは、佐原に裏切られたばかりなのもあってまだ信用できない。
だが、そのリスクを承知の上で行動を共にする価値は少なからずある……!!
これだけの大物を、序盤である今の内に入手できるチャンスは恐らく他にないっ……!!
利用する価値、大いにありっ……!!
□
(予想通りの反応か……)
一条は板倉としづかににこやかな表情で応対しつつも、心中では冷静に事態を見ていた。
彼はつい数分ほど前に、偶然にもしづかが撃たれた場面を遠目で目撃していた。
銃声がホテルから聞こえてきた事には、焦りを覚えた……だが、彼はこの状況をすぐさま逆利用っ……!
負傷したしづかに自分から近づき、優しく声をかける事により自らが安全であるとアピールしたのだっ……!!
これで返り血の欠点を乗り切るっ……!
ならば後は簡単っ……! 相手に話を合わせ……そして利用するっ……!!
(こちらを信じきっているのならば好都合だ……悪いが、これも復讐の為だ……!)
一条が狙うのは、あくまで復讐の妨げとなる者のみ。
ならば他の者はどうなるか?
見逃す? 否……一条は使える者は全て使う……そういう男っ……!!
故に彼は、害が無いであろう二人に目をつけたっ……!
カイジ達への復讐……その為の駒としてっ………!!
「ええ、こちらもそう言おうとしていたところです」
「そうかい、なら助かるな……よろしくな」
「こちらこそ」
二人は手を握り合う。
だが、その間に友好なんてものは皆無っ……!
これは儀式っ……!
利用する者、される者っ……!!
互いに知られざる、宣戦布告っ……!!
【F-6/ホテル前/夕方】
【板倉】
[状態]:健康
[道具]:毒液入り注射器 ※どのような毒かは不明(本人確認済み)
不明支給品0〜2 通常支給品
[所持金]:1000万円
[思考]:仲間を利用して生き残る 宇海零、標を探す 対主催者と合流する
※佐原が自分達を裏切ったと判断しました
※しづかは重要と考えていますが、いざとなれば切り捨てる気でいます
※一条を完全には信用していません、彼を利用する気でいます
【しづか】
[状態]:首元に切り傷(止血済み)
[道具]:不明支給品0〜2(確認済み) 通常支給品×2
[所持金]:2000万円
[思考]:板倉と行動を共にする ゲームの主催者に対して激怒
※このゲームに集められたのは、犯罪者ばかりだと認識しています
※板倉と一条を信用しています
※和也に対して恐怖心を抱いています
【一条】
[状態]:健康
[道具]:黒星拳銃(中国製五四式トカレフ)、改造エアガン、毒付きタバコ(残り19本)、マッチ、スタンガン、包帯
不明支給品0?1(本人確認済み) 支給品一式×4
[所持金]:4000万円
[思考]:カイジ、遠藤、坂崎、涯、平田(殺し合いに参加していると思っている)を殺し、復讐を果たす
復讐の邪魔となる(と一条が判断した)者を殺す
復讐の為に利用できそうな人物は利用する
※板倉としづかは復讐の為に利用できる駒としか見ていません
「あっ……あぁっ……!?」
銃を床に落とし、佐原は床に崩れ落ちる。
―――何故、こんな事になったっ……!!
―――良かれと思ってやったことなのにっ……!!
取り返しの無い失敗っ……!
やってしまったっ……! もっともやってはならないことをっ……!!
銃弾が外れたならまだいい……だが、不幸にも放たれたのは命中弾っ……!!
これではもはや弁解しても無駄っ……!!
「そ、そんな……俺……どうしたらっ……!?」
取り乱す佐原っ……!
しかし、そんな彼に助けを差し伸べる者はいないっ……!!
圧倒的絶望っ……!
頭の中が白く染まりあがるっ……!!
全てを多い尽くすかのような白っ……!!
まるで煉獄の光っ……!!
【F-6/ホテル/夕方】
【佐原】
[状態]:重度の錯乱状態 首に注射針の痕
[道具]:レミントンM24(スコープ付き)、弾薬×29 通常支給品
[所持金]:1000万円
[思考]:己のミスに対する深い後悔と絶望
代理投下していただき、ありがとうございました。
佐原が少々辛いことになってますが、やはり素人が狙撃するのは無茶じゃないかと思いこういう形となりました。
投下&代理投下乙…!
板倉と一条、どっちもクレバーで冷酷にもなり得る曲者同士って感じだな
意外な組み合わせだがこれは熱い!
一般人と見せかけて暴発しかねないしづかも目が離せない!
佐原ドンマイ!
あと一つ上のになるが標に合掌…。惜しい奴を失ったが相手があれじゃな…
これで最年少参加者は涯、仲根、しづかになったのか?
乙!
以外なパーティー完成だな。面白いです。
しづかって制服のまま参加してるよね
そうだとしたら興奮する(;゚∀゚)=3
田中沙織もナース服での参加だったら色んな妄想できるのに。
相手はともかくジンクスがな・・・。
零が近くにいるのが救いか。
零組生き残りは板倉と零の二人か…
天組は流石一通りの修羅場潜ってるだけあってしぶといな…
涯組で残ってるのは涯だけか
黒沢組も何気強いし
少年誌組より青年誌組の方が強さがあるのか
代理投下します
「…ぅあ…、あああっ…!!」
佐原はその場に崩れ落ち、頭をかかえて蹲った。
取り返しのつかないことをしてしまった…その後悔、焦りっ…!
佐原にはわかっていた。失ったのは…「仲間」だけではない…
同時に「信頼」も失ってしまった…!
板倉と…板倉がかばい、連れ去った女…そいつらの心にはっきりと刻まれたであろう…
俺が非情な裏切り者だと…!
俺自身が『殺人鬼』であれば、この状況、別段どうということはない…
だが…俺はそんなにあっさり人を殺せるようなタマじゃない…!
今後、殺し合いで人数が減り、そんな中…もし悪い風評を流されれば…
板倉は『対主催』の同志を集めている…あの男ならうまく人数を集めるに違いない。
もし数日経ち…『対主催』と『殺し合いに乗っている者』との戦争にでもなれば…
俺は『対主催』の仲間に入れない…!「裏切り者」だから…!
むしろ…危険人物として、命を狙われる…!
ましてや、『俺が狙撃手としての腕がない』ことは今の発砲で板倉にばれてしまっているっ…!
警戒されない…あっさり殺されてしまう…!
佐原は頭を抱えたまま呻き声をあげた。
実際には、佐原の考えは悲観的にすぎる。
掠めただけとはいえ、弾は命中しているのだ。もちろん佐原はそれを望んでいなかったわけだが。
的になった方からすれば、『狙撃手としての腕がある』と認識するだろう…。
だが…佐原はそこまで頭が回らない…。
初めて銃を使ってみて…こんなに扱いにくいものだとは思ってもみなかったから…!
その現実に縛られる…!
もう一つ…、「裏切った」ことにより自分が排除されるという幻想…恐怖…
その恐怖も、この『殺し合いゲーム』という舞台…特殊事情から考えると、被害妄想に過ぎるといえる。
どこで誰に襲われるかわからない…他人を信用できない…。
『日常』と切り離されたこの島…、舞台では、「裏切り」などよくあること…。
異常こそが正常…!
だが…、佐原は、一般人としての正常な感覚を持ちすぎていた。
ゆえに…孤立することへの本能的な恐れがあった。
今までは意識したこともなかった。が…、今は縛られる…その幻想に…!
「……あ、ああっ…!?」
恐怖に支配され、蹲っていた佐原だが…、もう一つ思い当たることがあり、再び大声をあげた。
ここにいたら危ない…!!板倉…そして仲間になった女が…俺を狙ってくるかもしれない…!
板倉は銃の類は持っていなかったようだが、あの女はわからない…!
もし奴らが…『不穏分子…危険な芽は早いうちに摘んでしまおう』などと考えたら…
襲ってくるっ…!?今にも…こうしている間にも…!
心が恐怖に侵食され、過敏になった神経は窓の外の風の音にも反応する。
自身がたてる足音にも怯える…世界が音を立てて歪む………。
いてもたってもいられなくなり、考えもなしに佐原はホテルの部屋を飛び出し、外へ…
玄関から外へと飛び出し、板倉やしづかのいた方向とは逆の方角へと走り去った。
とにかく少しでも安全なところへ…!少しでも見つかりにくいところへ…!
できれば身を隠し…長時間待機できそうな建物の中に…!
どれくらい走ったろうか。
ふと木々の向こうにショッピングモールの建物が見えた。
【E-6/道沿い/夕方】
【佐原】
[状態]:恐慌状態 首に注射針の痕
[道具]:レミントンM24(スコープ付き)、弾薬×29 通常支給品
[所持金]:1000万円
[思考]:己のミスに対する深い後悔と絶望、板倉としづかに自分が狙われていると妄想
一条を血の痕から見て危険人物と認識
代理投下は以上です
乙です
乙です
佐原が精神的にやばすぎるw
いつ発狂してもおかしくはないな……
けど考えてみたら、肝が座り過ぎてたり、修羅場潜ってきた参加者が多い中での数少ない一般人だもんなぁ。
ある意味仕方ないか…?
今後の佐原がどうなるか、楽しみです
そういえば橋の上でも思っくそ幻覚みてたな佐原
カイジがいなけりゃ間違いなくあそこで落ちてただろうし
つか橋の時は石田にもカイジにも呼び捨てタメ口だったな…
夕方にまだ来てないのは森田・遠藤・南郷・三好・沢田・零の7人かな?
ヤンデレ三好ストーリーが楽しみです
そういえばそろそろ1回目の放送?
みここ…
ほしゅ・・・
×ケンカを打った
○ケンカを売った
では?
博打を打った的な敢えての表現ならごめん
代理投下します
南郷は棚を背に蹲ったまま、居心地悪そうに僅かに体を揺すった。
視界に入るのは薄暗いフロアの天井、その下にはひしめくように並んだ夥しい数のパソコン。
自分の斜め前には背を向けて座りこみ、しきりにぎこちない動作でパソコンを操作する長髪の男。
そして、数歩離れたところで、それを眺めるともなく見ているサングラスをかけた男。
少し前にここに連れてこられ、一時安堵はしたものの、手持ち無沙汰…。
何もしないでいると、今の現状…殺し合いゲームの最中…非常時であるにもかかわらず頭がぼんやりとしてくる。
静か過ぎるのだ……、ここは。
…いっそ夢であったら、と南郷は考える。
眠りが浅いとき、何かしら気がかりがあるときに見るとりとめもない夢なのだ…これは。
だが、時折疼く左腿の痛みが、『これは夢ではない、現実なのだ』と南郷に自覚させる。
アカギ。
このゲームが幕を開けたとき、ホテルの会場で真っ先に名を呼ばれ、
特に気負う様子もなく、平然と外へと続く扉を出て行った背中。
…この地獄へと…。
(…お前なら、俺の考えもつかないような方法で…この苦境を進んでいくのだろうな…。
…おそらく…挑むは…このゲームの主催…。主催者側の掌の上で転がされている、今の現状に甘んじているような奴じゃあない…。
むしろ…いつのまにか、奴の思惑がこのゲームを…)
ここまで考えて、南郷は目を瞑り、息を吐いた。
(俺には考えもつかないこと…これ以上は想像が追いつかぬ…。)
………時は数時間前に遡る。
南郷の存在をモニターで確認した森田は、それから一時間ほど自分の行動を決められず煩悶していた。
自分はこんなにも優柔不断な性格だったか、と自己嫌悪した。
…だがしかし。『行動を決められない』ということは、『危険ではない』ということ…
…そう、森田の直感が告げていた。
危険が迫っているとき、森田は即状況に対応できる。
否、対応しようとして動けば、たいがいは…後から冷静に省みて、それがよりよい行動であった、ということになってしまう…。
森田にはそんな経験が何度もあった。結果論といってしまえばそれまでだが…。
それをあの人は、『強運』と呼んだ。
…もしくは、『翼』だと。
…そのおかげで、自分ひとり生き残ってしまう…救いたい者は救えず…
(………………くそっ!)
森田は舌打ちした。
一時間たち、コンピュータからピッと小さく電子音が響く。
『南郷』はまだショッピングモール内…大まかな地図でわかりにくいが、一階にいるとすれば、建物の入り口近くに留まっている。
何かあったときに…別の人間が来たときに迎え撃つためなのか、もしくは即座に逃げるためなのか。
(……コイツはたぶん、危険人物ではない…俺の直感がそう告げている)
森田はモニターを睨みつけながら考えていた。
(…コイツとの合流…それはもう決めている…。問題は、『ここからどう動くか』だ)
森田はこの一時間でさまざまな状況を想定し、その上で、自分のこれからについて考えていた。
先ず、自分一人がここから動いて南郷に会いに行くことは考えられない。
パソコンはここから持ち運べないのだ。コンセントを抜いて運ぶのも、フロッピーだけ抜いていくのも駄目…。
このパソコンは『危険探知機』なのだ。
起動したままの状態でいなければ、危険を…今の状態を受信…即座に察知できなければ、この支給品を持っている意味がない。
…だが、遠藤一人に行かせるのも難しいだろう。
『危険探知機』の傍にいれば安心できるのは遠藤も変わらない。
そして、おそらく遠藤も、武器として使えそうな道具を持っていないのだ。…少なくとも俺にはそう装っている。
…否、安全かどうかはともかく、遠藤は俺に手駒として使われることをよしとしないはずだ。
むしろ、俺を…遠藤の思うように動かしたいはず…。
遠藤に頼んでみても、得意の口八丁でのらりくらりとかわされるのは目に見えている。
俺自身、強力な武器がないので、それをちらつかせて脅すこともできない…。
そうなると…いっそ二人で行動すること…。
『探知機』から離れるリスクを冒すなら、二人で行動し、『南郷』に近づくほうがまだいい…。
そこまで考え、遠藤に言葉をかけようとして、また少し考える。
「どうしようか?」なんて『相談』するのはもってのほか…。遠藤は『仲間』ではない。
いつ敵に回ってもおかしくない、ただの同行者だ。
こちらから判断を仰ぐようじゃ、自分が格下だと相手に公言するようなもの…。
だから、「こうしよう」なんて『提案』する…そんな生ぬるいやり方でもだめだ。
「遠藤」
声をかけると、参加候補者名簿をまた端から読み返していた遠藤が、大儀そうに「ん?」と顔を上げた。
「なんだ…何か状況が変わったか?」
「南郷って奴がまだこの建物の中にいる。接触して、もし殺し合いに乗ってないなら俺たちと同行させる」
森田は命令口調にならない程度に言い切りの形をとった。
「二人で行くぞ。二人なら相手も警戒して、そうは襲ってこないはずだ」
「………。わかった」
遠藤は意外とあっさりと森田の言葉の聞き入れ、腰を上げた。
「パソコンから離れなきゃならないが…。それは仕方がない」
「…ん?それならそっちのノートパソコンにフロッピー入れ替えりゃいいだけじゃねえのか。そこの黒いモデルのなら軽いし」
「…え、でもコンセント外して持ち運ぶんだから、同じだろう…?」
「………充電式だから外してても起動させられるぞ」
「…そうなのか?」
「………お前、ホントにパソコンのこと知らねえんだな…」
遠藤は呆れ顔で言い、森田は少しばつのわるそうな顔をした。
(悩んでたあの一時間は何だったんだっ……。)
「バッテリーは3時間くらいしかもたねえだろうがな…。今はそれで十分だろ」
遠藤は慣れた手つきでフロッピーをノートパソコンに差しこみ、起動させた。
「ほれ。じゃあ行くぞ」
遠藤に促され、森田は緊張の面持ちで止まったままのエスカレーターを下る。
南郷を警戒してはいないのか、遠藤は特に身を隠そうともせずスタスタと歩を進める。
…そうして、遠藤と森田は、一階の入り口…『インフォメーションセンター』と書かれた看板の下、
設置されたカウンターの影で、足を押さえて蹲っている南郷を見つけた。
遠藤が警戒しないのも無理はない、と後で森田は納得した。
南郷は、知り合いに会えて助かったと言わんばかりに安堵の表情を浮かべ、自分の持ち物を全部遠藤と森田に晒して見せた。
自分は大した武器を持っていないから安全だ、と言いたかったらしいが…、もし俺たちが殺し合いに乗っていたらどうするつもりだったのか。
まあ、それはそれとして…。森田は南郷の持っていた支給品を見て、こう評価した。
「この麻縄やパチンコ玉は使えるな…」
「え?…そうか?」
「トラップとして役に立ちそうだし…、例えば、パチンコ玉を滑りやすい床にばらまいたら、不意打ちでやれば敵を転ばすことくらいはできるか
も」
「おお、なるほど…」
「麻縄は、捕まえた敵をふんじばっておくことができる…」
言いながら、森田は考えていた。麻縄のもう一つの使い道…。
凶器としての使い方…。後ろから…相手の首に絡ませて…。
だがしかし、それは言わないでおいた。万が一にもそんな使い方はしたくない。
「…ところでアンタ…森田って言ったっけな。アンタの持っているそのパソコンは?」
「…ああ、これは俺の支給品…。パソコンに挿しているフロッピー…。このプログラムで、参加者全員の位置を確認できる」
「へえ、便利なもんだな」
森田は正直に言った。同行するのだからいずれは話さなくちゃならない。
「…参加者の位置が分かるっていったな」
「ああ…、なに、今このエリアにいるのは俺たちだけ…今のところ危険はない」
「うん、いや、一人…位置を教えてほしい人物がいる」
「ん?」
「……赤木しげる…は、今どのあたりにいる?」
午後からモニターを見ていたが、赤木しげるは積極的に移動していた。
一時間おきに画面が更新されるたび、参加者の位置は必ず目を通していたが…。
赤木は島の中央から南下していっているようだった。どこか目的地を目指しているといった動きだ。
『参加者候補名簿』を見る限り、…これは参加者の過去、経緯を簡単に記してあるだけの代物だが、
赤木しげるという人物はそれなりに危険な人物のようだった。
…物心ついた頃から、その筋では有名なやくざや暴力団との関わりをもちながら、どの組にも組み込まれなかった人物。
それだけ危ないと言うか、一筋縄ではいかない人物ということだろうか。…まだ20歳にも満たないこの男が。
「赤木しげるは…今はE-4だな…。2時間前にはD-3にいた」
「…そうか」
「知り合いか?」
「ああ…。俺の命の恩人でもある」
南郷は、言いながらどこか可笑しい気分にもなった。
赤木が…あの嵐の夜、俺を助けたのは成り行き…、
その上奴は、俺の命…300万の勝ちを元にさらにヤクザにケンカを売ったのだ。
「………。この男は…殺し合いに乗ってそうか?」
「いや…何と言っていいか、表現できねえが…。殺し合いに乗るとか、乗らないとか、そういう枠には嵌まらないんだ、この男は」
「は…?」
「…でもまあ、敵になりえなければ大丈夫…。赤木にやられることはねえ…」
「………? どういうことだ…?」
南郷はそれきり押し黙ってしまった。
(できることなら合流したいが…。今の俺じゃあ…。)
南郷は傷ついた足に目を落とし、息を吐いた。
(今奴に会っても足手まとい…。)
………そうしてまたしばらく時間がたった。
南郷が赤木のことで色々考えをめぐらせていたとき、森田が発した小さな声で現実に引き戻され、
そちらに目をやった。
「また誰か近づいてくるな……」
「………どいつだ?名前は…」
遠藤が、閉じていた参加候補者名簿を再び開きながら、森田の傍に寄っていった。
「佐原、という奴だ。もう建物のすぐ傍まで来そうだ」
「佐原か…!」
「…遠藤、こいつも知っている奴なのか?」
「ああ…。まあな。」
「………こいつは、どうだ…?」
森田は遠藤に問いかけた。
どうだ、とは無論、『殺し合いに乗りそうな人物かどうか』である。
遠藤は少し考え、言った。
「殺し合いに乗ってない、とは言い切れねえが…、人を難なく殺せるほど度胸のある奴じゃあねえな」
「………遠藤、アンタが話してみたら、こいつを同行人にできそうか?」
「…まぁ、話はできるだろうが…」
「遠藤、この佐原って奴が建物に入ってきたら、アンタ一人で会いに行ってくれないか?」
遠藤は、モニターから顔を離して森田の顔を見た。
森田は賭けに出たのだった。
遠藤に、俺の言葉で行動するように仕向ける…そのための第一歩…!
「遠藤、アンタは人を見る目がある。」
森田は何気ない風を装って遠藤をそんな風に評した。
南郷と接触し、難なく取り込めたのも、遠藤がいたからこそ…。
「佐原と話をしてみて、こちらにつくよう誘ってくれ。
…で、もしそいつが裏切りそうな匂いをアンタが感じたら、一階にそいつを待たせておいて、三人で襲撃する」
「……………」
「といっても命まではとらねえ…ふんじばっておいて、そいつの武器を奪うのと、有益な情報を引き出す。
…だが、問題ないようなら、仲間として同行させる。」
「…なるほど、先ず見極めて、その後の動きのために…最初、『ここには俺と奴しかいない』って風に見せかけるわけだな」
「そういうこと…。この役、一番の適役はアンタだ」
「…俺のリスクが大きいな」
「そうだな。」
森田はそっけなく言った。遠藤は立ち上がり、鼻を鳴らす。
「…ふん。だが…森田。もし俺が裏切ったらどうする?」
「………」
「俺が佐原と合流し…、佐原が強力な武器を持っていて…、アンタらを襲撃するかも知れんぜ」
「アンタはそんなことはしない」
「………クク」
「しないさ。今俺達を殺したところで、大して状況が好転するわけでもない。もし殺すとしたら…、
もっと終盤…。そうだろ?」
遠藤はニヤリと笑った。
そもそも、『襲撃するかもしれない』なんて、本気で考えてる奴が今ここで言うわけがない。
軽口だ。
だが…、その言葉の裏には、今の俺達の関係…、それがわかっているかどうか確かめる、という真意が隠されている。
(満点の答えだろ?遠藤……。)
森田も口の端を持ち上げ、遠藤に向かって笑って見せた。
佐原が建物の中に入ったのがモニターで確認できたら、遠藤に動いてもらう。
森田は時計を見ながら、その機を待った。あと30分程度で次の情報が来る…。
距離からいって、もし佐原が建物の中に入ってくるつもりなら、ちょうど入ってきたところを狙って遠藤に動いてもらえるはず…。
森田は、この島に来てからずっと…平井銀二のことを考えていた。
本当は、このフロッピーの中身を確認したときから…、銀さんの現在位置がわかったときから、すぐにでも飛んで行きたかった。
銀さんの助けになりたかった。
だが、それはやめた。
今の俺はまだ何も『助け』になるものを持っていない。
強力な武器を持っていたらまだ助けになるかもしれないが…、いや…、
今俺は、もしかしたらそれ以上に重要といえる支給品を持っている。
俺にこのフロッピーが支給されたのは何かしら意味がある…。
きっと、今見えている以上のことが…、このゲームに関する重要な意味…。
しかしそれを使いこなせていなければとても助けることなどできない…。銀さんを…。
銀さんが立ち向かうのはいつも…強大な権力者……!
つまり……本当の敵は『参加者』などではないっ…!
このゲームの綻び…、それを見つけるまでは…俺は『単独行動』をとる……!
【D-7/ショッピングモール/夕方】
【森田鉄雄】
[状態]:健康
[道具]:フロッピーディスク 不明支給品0〜2 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:後々、銀二の助けになるよう準備をする このゲームの隙を見つける 遠藤に手足として動いてもらう
【遠藤勇次】
[状態]:健康
[道具]:参加候補者名簿 不明支給品0〜2 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:森田を利用して生き延びる 佐原に声をかける
【南郷】
[状態]:左大腿部を負傷、低度の精神疲労
[道具]:麻縄 木の棒 一箱分相当のパチンコ玉(袋入り) 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:生還する 赤木の動向が気になる
代理投下は以上です
乙です
遠藤を手足として使おうとする森田。
南郷さん人が良すぎ。
森田と遠藤はじめ、このロワ緊張感のある同盟関係が多くて味方同士の会話でもハラハラさせられるな
南郷の平凡なりに的確なアカギ評が何とも原作らしくていいね
言い忘れてた
投下・代理投下乙です
乙です
アカギの描写がツボで何度も読んでしまいました
なんか怖いので一応あげ
初マキコ
南郷が南郷らしくてすごく良かったです
原作で死亡しているのは、石田・佐原・平山・勝広・邦男の四人かな?
アカギは別キャラとして除外。黒沢は一応死んでないのか
>>194 黒沢は完結後のインタビューで、生きてるし続きもやりたいって言ってた。
198 :
「想い」1/5 ◆.Gw5emrGiE :2009/01/03(土) 10:53:55 ID:biX3MHar
ギュルルルルル……
別荘の一室に轟音が鳴り響く
緊張の所為だろうか
再びやってきた……便意……!!
便意は二度黒沢を刺す……!!
黒沢は目の前の愛らしい女性に照れ隠しの笑顔を見せ、万一に備え手に持ったグレネードランチャーを彼女に渡し、素早くトイレへと消えた
美心はようやく胸を撫で下ろす
「カイジくん……」
両親(特に父親)に大切に育てられた美心にとって、父親以外の男性とここまで行動を共にするのは生まれて初めてのことだった
しかし、頭に浮かぶのは想い人……カイジの姿
カイジ……そして大切な父親は今どこで何をしているのだろうか
不安な気持ちと一緒に、美心の目から涙が溢れ出した
199 :
「想い」2/5 ◆.Gw5emrGiE :2009/01/03(土) 10:54:19 ID:biX3MHar
そんな美心と黒沢のいる別荘を見上げる一人の男
精神の疲労、そして森の中をさ迷ったことで体力までも使い果たし、その姿から生気を感じ取ることは出来ない
「少し、休もう……」
男はそう呟くと、別荘の扉に手を掛けた
別荘の中へと入る
一応人がいないかを気にはするが、その集中力はすでに切れていた
寝室らしき部屋の扉を見つけると、一気に緊張の糸が切れ、思いっきりその扉を開いた
200 :
「想い」2/5 ◆.Gw5emrGiE :2009/01/03(土) 10:55:22 ID:biX3MHar
「キャアアアアアッッ」
その瞬間、建物内に響き渡る悲鳴
不意に現れた見知らぬ男に思わず声を上げてしまった美心
そしてその声をトイレで聞いた黒沢
しかし一番驚いたのは、銃を持った女性とその周りに散らばる武器を目にした男……三好であった
――コロサレル コロサレル コロサレル
三好の脳は一瞬の内に美心を殺人犯とみなした
――ヒトゴロシ コロサナキャ コロサレル
「うわああァァァ!!」
三好は手に持ったイングラムを敵に向けて無茶苦茶に発砲した
目の前に広がる鮮烈な赤色
その色の持ち主である美心は、上半身に数ヵ所の穴を開け、まるで眠りに就くかの様にベットに倒れ込んだ
バァァァァァン
同時……!!
それとほぼ同時に、三好も床に倒れ込む
美心の声と銃声を聞き駆けつけた黒沢の平手打ちを喰らい、その衝撃で床に頭を打ち付け、三好は意識を失った
201 :
「想い」4/5 ◆.Gw5emrGiE :2009/01/03(土) 10:56:04 ID:biX3MHar
黒沢は一目散に美心の元へ走った
「おい……!!おい……!!」
黒沢の声に、美心は僅かに反応する
「大丈夫か……!?ごめんな……一人にして……ごめん……」
確かにそこにいるのは黒沢
しかし朦朧とする美心の目には、愛しいカイジの姿が映っていた
――何で謝るのカイジくん
ああ、泣かないでよカイジくん
カイジくんが泣くと美心まで泣きたくなっちゃうじゃない
美心はあなたに出会えただけで幸せよ
パパを助けてくれてありがとう
デートしてくれてありがとう
砂まみれのサンドイッチを食べてくれてありがとう
大好きよ……カイジくん……
美心は最期に優しい笑みを浮かべた
202 :
「想い」5/5 ◆.Gw5emrGiE :2009/01/03(土) 10:56:49 ID:biX3MHar
「ウオオオォォォォ!!」
黒沢は腹の底から悲しみの叫びを放った
抱き締めた美心の体は急速に体温を無くしていく
初めて出会えた、自分を愛してくれる女性
守るべき存在……そのお陰で黒沢はここまで強く進んで来れた
しばらくの時を経て、黒沢は二人分の支給品を持ち美心の亡骸を抱え寝室を去った
大切な人を失った忌まわしい場所に居たくなかった
有賀の武器が置かれた寝室には、哀しみと意識の途切れたままの三好だけが残された
【D-5/別荘/夕方】
【黒沢】
[状態]:精神消耗
[道具]:不明支給品0〜6 支給品一式×2 美心の亡骸
[所持金]:2000万円
[思考]:美心を守れなかった自分を責める 美心の亡骸を安置したい
【三好智広】
[状態]:失神
[道具]:イングラムM11 30発弾倉×5 包丁 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:カイジに会う カイジの敵となる人物は殺す 生還する
【坂崎美心 死亡】
【残り 33人】
203 :
◆.Gw5emrGiE :2009/01/03(土) 11:00:50 ID:biX3MHar
以上です
ふたつある2/5の後者は3/5です、すみません
初めてリレー小説というものを書いたので、至らない点が多々あると思います
矛盾や誤字脱字などありましたらご指摘ください
みここおおおおおおおおおおおお
乙です。
きゃあああああ!
みここが! みここが!
乙…!
みここぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ
乙。
み…みここぉぉぉぉぉ!!
しかしストーリーとしてはいい死に際。
み…みここおぉぉぉ!!
うわぁすごい悲しい…しかし話の流れはよかった
圧倒的乙…!
乙
すげえ……!!
良かったらまた書いてもらえると嬉しいな
参った。みここが死んで悲しくなるとはな。
もし漫画で実際に死んでもツラがツラだから微妙なんだろうな。
乙です。キャラ的にいいところまで残ると思ってたが、ここでリタイアか…
うーん、それでこそロワだ
戦ったら負けるってキャラはいつ死んでもおかしくないから面白い
アカギや銀さんみたいに喧嘩も強く駆け引きも出来る奴らが安定してるね
カイジや正しい走り方みたいにギャンブルだけとか喧嘩だけの奴は、苦手分野だとあっさり負けるだろうからな
美心っ…!美心っ……!!
投下します
…子供だ――。
「それ」を目の前に涯は立ち尽くしていた。
否。これはもう子供ではない。子供だった、モノ。死体だ。
…幼い…死体…。
どうにか認識したそれを飲み込む。
血溜りに沈む、明らかに自分よりも歳若い者の死。
他者により命を絶たれたであろう事は明確。無残に撃ち抜かれた胴。傍らに荷物は無い。
殺した者が奪っていったのだろう。
(こんな子供を殺すのか…)
……偽善…甘い考えだ…弱い者を狙うのは狩りの定石ではないか……。
……既に自身の手で人を殺めておいて何を今更……。
……そもそも、己とて奪うつもりであの声に釣られてやって来たのだろうに……。
幾つもの声が涯の頭の中でざわざわと巡り、廻る。
それでも。
それでも割り切れない。
割り切る事ができない。意思とは裏腹に心が拒絶してしまう。
(もし、この子供が生きて自分と行き合っていたのなら…オレは…殺したのだろうか…)
子供とは、圧倒的弱者である。それはつまり低いリスクで果を上げる事が可能な相手という事だ。
この場に於いて相手が誰であろうと、他人にかけるべき情など一分もありはしない。
そのような事をしていれば…狩られる。奪われる。殺される。
それが道理だ。
右手に握られたバットが重い。
質量を増した訳でもないというのに。
▼
「矢張り…標くんの事が気になるんだ…それになんだか嫌な予感がする…」
そう告げて赤松は踵を返した。自然と足早になる。胸騒ぎは収まらない。
赤松は駆け出していた。
そして彼が見た光景は――
本来赤松は冷静で理知的な男であるし、正義感は強くとも独善的な人間ではない。
しかし「それ」を見た瞬間に彼からは理性などというものは吹き飛んでいた。
「うわあああああああああああああっ!!!」
――標の――
ただ真っ白になった頭で、
――標の死体。
赤松はただ闇雲に突っ込んでいた。
▼
小さな死体に気をとられていた涯が突然の雄叫びに気付いた瞬間には男の体当たりを受けて倒れこんでいた。
背中が地面にぶち当たる衝撃。
バットが手を離れて地面を転がる。
傷付いた腹部へ走る重い痛み。
眼前には馬乗りになった男の顔。
男の目から溢れ出した涙がボタボタと頬に降る。
節くれだった指に頸を締め上げられる。
とっさに涯はポケットにあったフォークを男の腕に突き刺す。
しかし男は動じない。いや、刺されたことにすら気付いていない。
「よくもっ…よくも標くんをっ…!畜生っ…!!」
それは涯が今までに相対したことのない深い怒りと悲しみだった。
――涯の意識は闇へと飲み込まれた――。
ああすみません。上のはミスです。
あとトリも間違えました。
▼
小さな死体に気をとられていた涯が突然の雄叫びに気付いた瞬間には男の体当たりを受けて倒れこんでいた。
背中が地面にぶち当たる衝撃。
バットが手を離れて地面を転がる。
傷付いた腹部へ走る重い痛み。
眼前には馬乗りになった男の顔。
男の目から溢れ出した涙がボタボタと頬に降る。
節くれだった指に頸を締め上げられる。
とっさに涯はポケットにあったフォークを男の腕に突き刺す。
しかし男は動じない。いや、刺されたことにすら気付いていない。
「よくもっ…よくも標くんをっ…!畜生っ…!!」
それは涯が今までに相対したことのない深い怒りと悲しみだった。
……違う。オレが殺したんじゃない。オレはやってない……。
……弁明など無駄だ。誰も信じはしない。耳を傾けようともしない……。
……ああ。この男の「思い」には敵わない…。
……こんなところでオレは死ぬのか……。
……何故だ……?
ざわざわ、ざわざわと、幾つもの声。
畜生っ…!畜生っ…!畜生っ…!!」
……何故奪われる……?
… 自由 を… … …生 すら……
――涯の意識は闇へと飲み込まれた――。
▼
「う…ううっ…」
我に返った赤松は頭を抱えて蹲る。
殺してしまった…いや違う…『殺した』のだ…。
人を…子供を…こんな子供を殺したのだ…。
オレは…なんてことを…。
「し…標っ…標くんっ…標くんっ…」
血溜りまで這い、そこに横たわる亡骸を抱きかかえる。
腕の間から零れる体液と腸。
これは…。
「あ…ああっ…」
これは殴殺ではない…。
何らかの銃火器で打ち抜かれている…。
見ればあるべき物がない…。標のバッグが…。
つまり既に何者かが持ち去ったあと…。
彼は…あの少年は…標を…。
……標を殺してなどいない。
腕の中には守ると誓った筈の標の亡骸。
傍らには少年が静かに横たわっている。
――物言わぬ二人の子供。
しかし赤松はここで思い至る。
「そうだっ…!」
まだ…。まだ間に合うかもしれない…。まだ希望はあるっ…!
赤松は標をそっと寝かせて、少年に駆け寄る。
少年に心臓マッサージを施す。
「戻れっ…戻ってくれっ…!」
ありったけの願いを込めて。
「頼むっ…頼むっ…」
懸命に。必死に。只管に。
「生きてっ……生きてくれっ…!」
ぴくりと少年の胸が動き、小さく咳き込みながら少年の目蓋が薄く開かれた。
【B-3/アトラクションゾーン/夕方】
【赤松修平】
[状態]:健康 やや混乱 腕に刺し傷
[道具]:手榴弾×9 石原の首輪 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:できる限り多くの人を助ける 宇海零を探す
※石原の首輪は死亡情報を送信しましたが、機能は停止していません
※利根川のカイジへの伝言を託りました。
【工藤涯】
[状態]:意識の混濁 右腕と腹部に刺し傷 他擦り傷などの軽傷 やや精神不安定
[道具]:フォーク 鉄バット 野球グローブ(ナイフによる穴あり) 野球ボール 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:生還する 今後の行動方針に迷う 声のもとへ向かう
乙
涯アウツかと思ったら助かったか
相手が赤松でよかったな
7/5って…改行エラーがいっぱい出てテンパってしまいました。
>>217はスルーして下さい。
ぐだぐだで申し訳ない…。
一度したらば廃棄スレに投下したんですが、練り直して再投下ですので、反対のご意見がありましたら没にして下さい。
誤字脱字や矛盾、解りにくい点ございましたらご指摘を下さい。
本当にすみません
前から思ってたんだが涯弱すぎないか?
純粋なタイマンの力なら一番強いイメージだったんだが
素手タイマンならたぶん一番強いだろ
相手に武器があってもある程度はいけるはず(実績あるし)
俺もそんなイメージ
ただ、そのへんの扱いは書き手に委ねるしかないんじゃないか
一応中学生だしメンタルや性格も考えると
現在実力を100パーセント出せてるとは思えないしな
中根戦は戦術に呑まれた感じだし今回は動揺してたところを急襲された
負けといってもどっちも不意をつかれた形だな
安岡戦では普通に勝ってたし問題無いんじゃないか
乙です。したらばのからさらに良くなってる…!
ああ…涯良かった生きてた
涯は中学生だしまだまだ経験不足だから、いいんじゃないかな
闘うモードになった上で真っ向勝負なら強いけど、バトロワでは正々堂々闘ってくれる人はめったにいないわけで。
涯は人を殺し合いの修行をしてたわけじゃないしな
不意討ちされたらなあ
バトロワスレで女が腕自慢の男を不意討ちでなんとか倒すこととかよくあるし
三好なんて数人殺してるけど素手のケンカになったら弱いだろうしね
乙です
あと零,沢田あたりが出たら放送かな?
放送楽しみ
わくわく
保守っ…!
661 マロン名無しさん sage 2008/12/29(月) 23:52:49 ID:???
太陽光も封神と同じで発射後かどうかが微妙なだったな
封神が認められるならこっちも認めていいと思う
662 マロン名無しさん sage 2008/12/29(月) 23:55:52 ID:???
スクライドも放心も劣化もGSも認めていいと思うぜ
663 マロン名無しさん sage 2008/12/29(月) 23:58:38 ID:???
GSは避けたかすらも微妙じゃね
664 マロン名無しさん sage 2008/12/30(火) 00:09:38 ID:???
レス見るに避けてたぽいしいいんじゃない
665 マロン名無しさん sage 2008/12/30(火) 00:38:09 ID:???
確認してきたがレーザー回避と取るには弱い気がする
6巻だか7巻のナイトメアの話のでいいんだよな?
完全に流れてるじゃん
ああ確認したら提案がスレ終わる間際だから反論はないね
そこは間違ってたよ
でも最強スレのテンプレ見ながらって流れになったから
もう虚無の考察したって別に揉めないだろ
973 マロン名無しさん sage 2009/01/02(金) 00:23:53 ID:???
もういいです
どうせ外してもまた似たようなことで荒れるのでこれで最後でいいです
974 マロン名無しさん sage 2009/01/02(金) 00:24:52 ID:???
それが煽り厨の狙いだけどな
975 マロン名無しさん sage 2009/01/02(金) 00:25:27 ID:???
あとくされなく最強スレ基準でも文句言わないなのなら続けてもいいよ
ここら辺は別に外すのに賛成してるわけじゃないだろ
最強スレ基準でいいじゃん
って意見にも反論が無かったし
外しても荒れるって意見にも反論が無かったな
で、なんで虚無戦記は荒れるの?
なんか無理やり強くしようとする信者や
無瑛やり弱くしようとするアンチが居るのか?
一瞬スレ間違えたと思ったじゃねーかw
自演で誤爆すんなよw
スレ進んでるから投下きたのかな?と思って嬉々として開いたらこの有様だよ!
すごいアホがいると聞いて飛んできました。
平地では周りから目立ち過ぎる為、沢田と零は身を隠す場所を探し求めた。
慎重に進むこと数十分……辿り着いた先は商店街……!!
直線であるここなら人が来てもすぐに気づくことが出来る。
八百屋の軒先隠れる様に腰を下ろし、再び相向かう二人……!!
「さて……と、次はお前だ、零。
参加者で対主催者に成りうる兵はいるか……?」
零……暫くの沈黙……!!
浮かぶのは5日前共に戦い抜いた三人。
そして……
「取り敢えず……知った顔は三人……彼らには会っておきたい……!!」
「ほう……」
「一人目は……標……!!
沢田さん、出発地点で俺よりも若い……子供……見ませんでしたか……?」
「……ああ、女だけでなくあんなガキまで参加してるのかと……驚いたからな……」
「でも……子供だからって舐めちゃあいけません……!!
少なくとも……俺より……思考力も行動力も……上……!!」
「なに……!?」
確かにこの殺し合いに参加させられた者。
凡夫とは考えられない。
しかし、零……自分が認めたこの男より、あの子供の能力の方が上だというのか。
沢田は心底驚かされた。
「標がこの殺し合いに乗るとは……俺には考えられません。
仲間に取り入れることが出来れば……それだけで一気にこちらの分は上がる……!!」
沢田は黙ったままだ。
それを確認しながら、零は続けた。
「次に……板倉……その、ヤクザ……なんですけど……」
沢田の闇の匂いを嗅ぎ取った零は、遠慮気味に沢田の表情を伺った。
そんな零の気遣いに気付いた沢田は、唇の端を上げてみせた。
「そいつは信用しない方がいいんじゃねぇのか?」
「確かに……こちら側に来てくれるか、自信はありません……
ただ、頭が切れる……標に及ばないとは言っても……その冷静な判断力には目を見張るものがあります。」
「……まあ、取り敢えず会ってみないとな。」
「最期に、その仲間の末崎……
この人は……その、頭は切れないんですけど……」
「……よくそんな奴が業界で生き残れたもんだな。」
「はは……でも、その分……身体を張ってくれる……!!
仲間への情は……厚いと思います。」
「……まあ、取り敢えず標……って奴には話を聞きたいな。」
「あ、後ですね……」
零は躊躇いながらも言葉を続ける。
「ホテルで……山口って男が殺されましたよね。」
「……ああ……」
「その隣に居た……伊藤カイジ……彼が気になるんです。」
「知り合いじゃないのか……?」
「違います……けど、彼は……泣いてた……!!」
「……は……?」
「この状況下で……彼だけ、泣いてたんです。」
「馬鹿ッ……!!
こんな所で涙なんてな……」
「……そうなんですけど……彼は……」
零が次の言葉を探そうとしたその瞬間……!!
今まで気付かなかった備え付けられたスピーカー。
それがこの場所には似合わないショパンの円舞曲を奏でた。
「……なんですかね、これ。」
「……放送……か……?」
二人の目線の先のスピーカーが、ザザ……と音を発した。
沈黙が二人を支配する。
『……あー……諸君、ご苦労。
黒崎だ。』
この戦場での唯一の情報源……第一回の放送が始まった。
【E-4/商店街/夕方】
【宇海零】
[状態]:顔面、後頭部に打撲の軽症
[道具]:麻雀牌1セット 針金5本 不明支給品 0〜1 支給品一式
[所持金]:0円
[思考]:対主催者の立場をとる人物を探す 標、板倉、末崎との合流 カイジが気になる
【沢田】
[状態]:健康
[道具]:毒を仕込んだダガーナイフ ※毒はあと一回程度しかもちません
高圧電流機能付き警棒 不明支給品0〜4(確認済み) 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:対主催者の立場をとる人物を探す 標との合流
以上です
放送への繋ぎとして書いたので、中身が薄くてすみません
あと、まとめの編集をしてくださっている方がいらっしゃいましたら
自分が前に書いた「想い」のタイトルから「」を削除して
頂けると嬉しいです
乙です
これからどんなチームが出来ていくのか
あるいはバラバラになるのか楽しみだ
いよいよ放送まできたかぁ
◆.Gw5emrGiE さん、作品投下ありがとうございました。
沢田さんだっ
乙です
勇気あるねえ
色んな意味で
乙です
放送,放送後楽しみにしてます
乙です。セリフがとても零らしい…
放送キター!今後の展開が楽しみです
放送wktk
零と沢田って面白いコンビだな
乙です
まとめサイトの 想い の本文が消えてます
放送について話し合いたいので避難所の方へお願いします。
おお、あちらで放送について書き手さんたちが話し合われるのですね?
wktkが止まりません
個人的にはDJころしたろうに放送役をお願いしたい
放送楽しみに待っます!!!
う〜テンション上がる
260 :
マロン名無しさん:2009/01/14(水) 09:37:39 ID:nhZQJi9B
>>259 小太郎のアナウンス、緊張感があるのやら、ないのやら…。
今までこのスレは何となく敬遠していたけど、まとめスレを何気なく読んで、
その先が読めない展開とそれぞれの抱える思いで涙が出そうになった。
バトロワだから、難しいかも知れないけど、せめて、主要キャラは生き残って、
因縁の主催者と戦って、自由を手に入れてほしいと個人的には望んでいます。
放送楽しみにしております。
放送はどんな感じになるんだろう?
書き手さん達が協力して素晴らしいものが読めるなんて幸せだなあとつくづく思います。
避難所の方に第一回定時放送の仮投下をしたのでご意見お願いします。
いいと思うよ!
おつかれさま!!
第一回放送投下します。
午後六時――
日は既に傾き、半ば落ちようとしていた。
黒崎に与えられた個室は壁が一面ガラス張りになっており、遥か彼方、水平線まで見通せる。
――平穏である。
海に沈みゆく夕日からは欠片も血生臭さを感じることがない。
荒んだ心を癒し、如何なる者でも魅了しうる美しさを持っていた。
そしてそれは黒崎に対しても例外ではない。
血みどろの戦いをしているのは参加者だけではないのだ。
さればこそ、美しき平穏に心が癒される――
「黒崎様……間もなくお時間です」
「……ああ」
黒崎は煙草の火を消すと、そのままゆっくり立ち上がった。
「さて……行くぞ」
* * *
「……あー……諸君、ご苦労。黒崎だ」
管理本部にて、黒崎はマイクに向かって喋った。
定時放送――ここで初めて参加者にこれまでの死者と次の時間帯に追加される禁止エリアを発表する。
「ただ今から、第一回の定時放送を行う。
復唱はしない……各々集中して聞いてもらいたい。
……よろしいか。
ではまず、このバトルロワイアルにおいて敗れ去った敗者の名を発表する。
『石原』『川松良平』『浦部』『大槻』『安岡』『澤井』『吉住邦男』『坂崎孝太郎』『末崎』
『神威秀峰』『神威勝広』『船井譲次』『安藤守』『標』『坂崎美心』
以上十五名。今のところ……なかなか良いペースだ。
この六時間で三分の一が死んだ、というわけだ。
今後も各自、優勝を目指し努力していただきたい。
続いて、禁止エリアを発表する。
重要事項であるため、聞き逃さないように願いたい。
『B-3』『D-4』
……以上二箇所だ。
該当する区域は三十分後に進入禁止となる。
それ以降該当エリアに立ち入った場合、
及び三十分後に該当エリアにいる場合は首輪が爆発するので気をつけるように。
……では、以上で放送を終了する。
諸君の健闘を祈る」
* * *
「ふぅ……」
黒崎はマイクの電源を切ると一息ついた。
「それで……現在の不穏分子の状況は?」
「要注意人物は赤木しげる、平井銀二、天貴史、原田克美、伊藤開司、森田鉄雄、宇海零……
このあたりでしょうか……今のところ目立った動きはありません」
「まあ……そんなところだろうな」
「まずこれまでの赤木の行動ですが――」
「失礼します、黒崎様……よろしいでしょうか」
ここで他の部下が報告を遮る。
「……報告が終ってからにしろ」
「はあ……ですが……その………」
「なんだ……?」
「後藤様が参られまして……」
「……そうか………それなら報告は後だ、お通ししろ」
「後藤さん……わざわざご足労有難うございます」
「とんでもない……貴方こそ、放送ご苦労様です」
黒崎は後藤を連れて自室に移った。
何故後藤が来たか、黒崎にはある程度の予測がついている。
「それで……どういったご用件でしょうか?」
「いや……ただ挨拶に伺っただけでして………いかがですか、この部屋は」
「すこぶる快適です……素晴らしいホテルだ……プライベートで訪れたいものですな」
「ハハハ……有難うございます」
このホテルは在全グループの所有物である。
ランプはどうの、ベッドはどうの、と後藤は一々動き回って解説していた。
その喋りは実に上手いもので、ときにはジョークを交えて聞く者を退屈させない。
――だが、黒崎からすればそれは無論、無用のことである。
後藤にしてもこのような雑談をするために来たはずは無いのだ。
後藤が訪れた目的は別にあろう。
しかし、後藤はなかなか本題に入らない。
「後藤さん……私はそろそろ行かなくては」
黒崎は仕掛けを打った。
長々と話して時間を浪費するつもりはない。
「ああ、そうでしたな……最後に一つお尋ねしたい」
果たして、後藤は黒崎の目をじっと見つめる。
ここからが後藤の本題――重要な話なのであろう。
「一時間ほど前にも伺ったんですが……その時は貴方は本部にはいらっしゃらなかった。
どこに行かれていたのですか?」
後藤は目線を動かさない。
どのような嘘も見逃さぬ、そんな目である。
「ああ……一度この部屋に帰っていたんですよ………」
「ほう………あなたのように責任感あるお方が職務から離れるとは……珍しいですな」
「いや……袋井さんが挨拶に来られましてね……この部屋で雑談していたんですよ」
嘘はない。
事実黒崎は、この部屋で袋井と談笑していたのだ。
盗聴器を仕掛けられている可能性もあり、無闇に嘘をつけば墓穴を掘ることになりかねない。
「そうですか……では失礼します」
後藤はそのまま何も追及せずに出て行った。
* * *
「クソッ……あの狸めが………」
後藤は毒づいた。
帝愛は食えぬ企業であり、その会長、兵藤も食えぬ男。
当然その片腕たる黒崎もそれに見合った食えぬ男だ。
袋井と雑談していた、その事実に嘘はないだろう。
実際、黒崎の部屋に仕掛けた盗聴器からは黒崎と袋井が談笑しているのが聞こえた。
だが、それだけでは無い。
(筆談っ……!)
部屋を手配したのは後藤である。
後藤は部屋の備品を黒崎に解説する傍らで部屋内を観察していたのだ。
黒崎の部屋のメモ用紙は、もともと置いてあった場所から数センチ離れた場所においてあるのが確認できた。
同様にペンは向きが変わっていた。
にもかかわらず、どこのゴミ箱にもメモ用紙は入っていない。
それが不自然である。
おそらくは燃やして、トイレにでも流したのだろう。
つまり、筆談していた。
在全グループの人間に知られてはならない密談を行っていたのだ。
見つかるリスクを恐れずに隠しカメラを設置すべきであったかもしれない。
だが、それはもはや手遅れである。
もう帝愛がいかなる手段で牙を剥くか、それは分からないのだ。
しかし、一つだけ明らかなことは、黒崎が蔵前を抱き込みたかったという事実。
蔵前というカードを手にするのは、それだけでリスクも高まる。
つまりそれを承知で帝愛は打って出たのだ。
となれば、帝愛の策に対して今できる唯一の防衛策は逆にこちらが蔵前を抱き込むということ。
在全と兵藤――どちらが生き残るか、その鍵は蔵前が握っている。
後藤は傍らの部下へと顔を向けた。
「袋井に会いに行く……連絡をいれろっ……!」
投下は以上です。
>>270 超乙!
主催者側でも水面下で熱い戦いが…w
まさか放送でこんな熱い展開になるとは思わなかった。流石です。
乙です。
蔵前の影が薄いな〜と思っていたけど、キーパーソンでしたか。流石。
蔵前には蔵前の思惑がありそうだし。
273 :
マロン名無しさん:2009/01/15(木) 23:16:11 ID:zvfAQrPz
>>270 乙です。
まさか、主催者サイドの展開も楽しみになるとは…。
主催者サイドも気になるけど、今の放送で、各人がどんな胸中を抱くのかが気になる。
カイジは、あの時、沙織が止めなければ、美心を助けられたのではないかと考え、
沙織との間に心の溝を感じるようになるのかな…。
参加者リストでは末崎で登録しているから、しょうがないとは言え、
放送ではさくらたんをフルネームで呼んでほしかった…!
乙です!!
一番人が集まってるB-4が禁止エリアになっちゃったのね。
このスレの存在を今日初めて知って、1話から最新まで面白くて
思わず一気読みしてたらもうこんな時間か・・・
書き手さん達マジで凄すぎる!!ほんと面白い!!
主催者側の水面下の駆け引きと確執かー
参加者との取引や主催組織決裂によるゲーム終了なんてことになったらロワ史上に残るなw
美心や標の死に動揺する奴が出そうだが、どうなるやら
久しぶりの予約ktkr
なんかヤバそうなメンツだ
予約の三人…どーなるのか不安…不安っ…
うふ……ふふふ……
有賀研二の笑いは止まらない……!!
有賀は標殺害後、次なる標的を求めアトラクションゾーンを彷徨していた。
そして先程の放送……現在地C-4のすぐ近く、B-3が禁止エリアに指定された。
有賀にとってこれ以上ない幸運っ……!!
死から逃げ惑う赤ん坊……一人も逃さないよ……!!
うふふふ……
有賀は地図を取り出し禁止エリアをチェックすると、急いで狩場を探しに歩き始めた。
おっちゃん……美心……!!
放送で知らされた敗者……その三分の一もがカイジの知った名前だった。
ボロッ……ボロッ……と目から涙が溢れる。
世界が歪む。
圧倒的に悪い思い出が多い人間でさえ、浮かんでくるのはその笑顔ばかり。
全くの他人であった山口の死にさえ、想像以上にショックを受け、心の底から哀しんだ。
どんな関係であろうとも、繋がっていた人間の死はカイジの心を蝕む……!!
「ウワアアアァァァァ……!!」
カイジ、遂にその絶望に押さえつけられ、地面にうずくまってしまう。
そんなカイジを見る沙織は至って冷静だった。
そして、困った。
心神が衰弱した者を扱うのは面倒……だが、生きる為にカイジと離れる訳にはいかない。
カイジに気付かれぬ様ため息を吐くと、落ち着いた声で話し始める。
「カイジくん……近くが禁止エリアになってしまったわ。
人が此方に流れてくるかもしれない、離れましょう。
でも、誰かと会ってしまいそうよね……どうしよう……」
然り気無くカイジの意見を煽る。
しかしカイジ……返答せず……!!
「……カイジくん?
カイジくんってば!!」
呼び掛けても反応しないカイジに、沙織はつい語尾を強めてしまった。
「……田中さんは……知り合い、死ななかったの……?」
「……え……?
一応、付き合いのあった人は居たけど……でも大丈夫よ!!
森田くんの名前はなかったし、きっと助かるわ!!」
暫し沈黙……!!
そして漸く顔を上げたカイジの目には、軽蔑の色が浮かんでいた。
しかしカイジが反応を示したことに喜んだ沙織は、それに気づくことが出来ない。
にこりと微笑み、カイジの目の前に手を差し伸べた。
「俺は……無理だよ……」
そう一言呟くと、カイジは沙織の手を取ることなくゆっくりと立ち上がった。
その目から溢れ出す涙は止まらない。
沙織の口から、美心という名前は出てこなかった……
クフッ……森田くん、丸見えだよ……!!
ウージーを手に、顔いっぱいに笑みを浮かべる男……有賀……!!
彼の目に映るカイジの姿は、あの日の森田とそっくりだった。
うふふ……やっぱり僕はついてる。
こんなに早く森田くんに会えるなんて……!!
赤ちゃん達の前に、先ずは君だ。
カカッ……カカカカ……!!
有賀はカイジ達の後方……約50メートルの地点に居た。
しかしそれは直線距離での話。
ここ、アトラクションゾーンには多くの障害があり、有賀はメリーゴーランドの反対側からカイジ等の動向を伺っている。
向こう側から此方に気付くことは到底出来ない……!!
しかし、二人……というのは少々良くない。
片方を殺しているうちに、もう一人が攻撃してくるかもしれない。
逃げられてしまうかもしれない。
駄目っ……そんなの、駄目っ……!!
有賀は二人を殺す方法を模索しながら、カイジ達を観察し続ける……
どうする……田中さんは、もう……信用出来ないっ……!!
しかし……こんな場所に女の娘を一人置いていくことなんて……
カイジの直感は叫んでいた。
沙織は、いざとなったら自分を……棄てる……!!
「カイジくん、見て。
メリーゴーランドが綺麗よ。」
辺りはもう暗くなってきているが、メリーゴーランドは眩しいばかりの光を放っている。
カイジの心境を知らない沙織は、何時もより高い声で言った。
その顔に浮かぶ笑顔も、カイジには仮面にしか見えなかった。
ダダダダダダッ……!!
重たい銃声。
「イャアアアァァァァ!!」
銃声と叫び声が交差する。
「田中さんっ……!?」
鮮血を放ちながら、沙織はカイジの視界から消えた。
「カイジ……くん……助けて……痛い……」
下方から聞こえる、か細く震えた声。
不幸中の幸いか、沙織は足にのみいくつかの穴を空け地面に座りこんでいた。
「田中さんっ!!
一体……!?」
「カカカカッッ……」
カイジの声に重なる、不気味な笑い声。
その声の主は、カイジの背後から訪れた。
「……あれ、君……森田くんじゃないね……?」
「森田……くん……?」
ヘルメットを被った男から発せられた名前に、沙織は思わず反応する。
「フフ……しょうがないな。
君、早く逃げた方がいいんじゃない……?
あ、その前に……鞄は置いていってね?」
武器封じ……!!
その為に有賀は、カイジを一先ず見逃すことにした。
ウージーにボウガンで抵抗しようにも、スピードで完全に劣る。
カイジは観念し、鞄を有賀の前に放った。
「ククク……じゃあ君、行きなよ。」
カイジは黙りながら、沙織に手を差しのべる。
ダダダダダダッ……!!
銃弾が天空を切った。
「クク……クカカ……
駄目……!!
駄目だよ……君……!!
僕が逃げていいって言ってるのは君だけさ。」
「……え……?」
「彼女は……僕と、一緒……」
ヘルメットの所為で表情は窺えないが、中の人物が笑っているのが分かった。
「い……いやよ……死にたくない……!!」
沙織は今までにない大きな声を上げ、座ったまま手を使いカイジに近づく。
ダダダダダダッ……!!
が、許さない……!!
有賀は今度は沙織の手を狙った。
ここに来て、有賀の拳銃の腕は格段に上がっていた。
運悪く、数発が当たってしまった様だ。
沙織は遂に地面に横たわってしまった。
「田中さんっ……!!」
目の前の沙織からは血が止めどなく流れ、放っておいただけで息絶えてしまいそうである。
「お願いだ……田中さんを、助けさせてくれ……!!」
笑顔が仮面だろうと、信用出来なくても、もうそんなことは関係ない。
目の前に居る瀕死の人間を、見棄てることなど出来ない……!!
「フフフ……じゃあ、君が死ぬ……?」
空気が固まる。
「君を殺していいなら、僕はもう彼女に手を出さないよ……ククッ……」
恐ろしい会話を聞きながら、沙織は必死に考えた。
どうしたら……この状況から自分が助かることが出来るのか。
痛みと闘いながら、必死に……!!
このお人好し……カイジをどうにか使わなければ……!!
「……カイジくん、わたしは、もういいわ。
カイジくんだけでも……逃げて……!!」
「田中さん……何言ってるんだよ……!!」
……想像通り。
カイジくんは、わたしを見棄てられない。
こう言えば、同情してより一層助けたくなるの。
早く……助けてよ……!!
「ククク……これで決まったね。
死ぬのは……彼女……!!」
「え……!?」
「彼……カイジくん……?
決められないみたいだから、君の意見を尊重するよ。」
「ま、待って……!!
やっぱり……」
「カイジくん……10秒以内に逃げないと、僕は二人とも殺しちゃうよ……?」
有賀はカイジにウージーを向けると、ニタリと笑った。
カイジ、覚悟を決める他ない……!!
「……ごめん、田中さん……守ってやれなくて。
俺……背負っていくから……君の命を……俺の罪を……」
涙で、カイジの言葉の最後の方は聞き取りにくい。
しかし沙織には分かった……自分が死ぬことが。
「嫌っっ……!!
カイジくん……嫌ァァァァァ……」
沙織の声もまた、周りに聞こえない程小さいものだった。
カイジは有賀と沙織に背を向け、一目散に走り出した。
涙で前が見えないので目を閉じると、笑顔の沙織が居た。
しかしその顔はすぐに、血にまみれた絶望の表情へと変わった。
ダダダダダダッ……!!
沙織の命を奪うのであろう銃声。
それでもカイジは、後ろを振り返らない。
俺はもう……前に進むしかねえ……!!
そんなカイジの背中を見ながら、有賀もまた走り出す。
「ククク……君だって、逃がさないよ……!!」
ダダダダダダッ……!!
響く銃声。
銃弾はカイジの足を霞める……!!
【C-4/アトラクションゾーン/夜】
【伊藤開司】
[状態]:左足に銃のかすり傷(多少の出血はありますが行動に支障はありません。)
[道具]:なし
[所持金]:0円
[思考]:仲間を集め、このギャンブルを潰す 森田鉄雄を捜す
赤木しげる、有賀研二、一条、利根川幸雄、兵藤和也、平井銀二に警戒
沙織の死に責任を感じている
※平山に利根川への伝言を頼みました。
※2日後の夜、発電所で利根川と会う予定です。
※出会った相手が有賀だとは気付いていません。(ヘルメット着用の為)
【有賀研二】
[状態]:健康
[道具]:果物ナイフ 不明支給品0〜3 サブマシンガンウージー 防弾ヘルメット
ボウガン ボウガンの矢(残り十本) 支給品一式×2
[所持金]:7800万円
[思考]:人を殺したい
【田中沙織 死亡】
【残り 29人】
乙!
貴重な女性が・・・
以上です
実は、カイジ達の位置が禁止エリア内だと勘違いしていて、投稿直前に勘違いに気付きました
無理矢理修正したので、矛盾点や流れ的におかしい点があると思います
どうか見逃してやってください……
カイジと髪をほどいた森田が似ているのを書きたかったんですw
乙です!
ちょっと安心してしまった・・・
確かに2人は似てますねw
カイジ頑張れ!
えっ?カイジが田中見殺し?ありえなくね?ちょっと酷いわ。いくらなんでもなくね?
ちょっとめちゃめちゃしすぎ・・・
結局カイジは沙織を見殺しにしたのか・・・?
この行動はありえん。カイジが覚醒した時は推理力や洞察力が上がるだけで、冷血にはならない。
カイジには沙織を見捨てないか、もう少し葛藤してほしい。
すみません
皆さんが納得出来る小説にしたいので、本当に身勝手ですが、先程の投稿を没にして下さい
ご迷惑おかけしました
出直して来ます!!
面白かったのは確かなんだけど、でもやっぱりカイジの行動がなぁ。
若干引っ掛かると言うか…。
でも投下乙。
えっちょっと待って
この状況になるまでのカイジの心理ちゃんと描かれてるじゃないすか
カイジにとっちゃ見捨てるほうが辛いんだし躊躇してたら二人とも死んで無念も晴らせないんだから逃げても違和感ないと思うんだけど…
つかバトロワならいつかカイジもこういう二択に迫られる展開があると覚悟して読んでたんだけど…
没にしちゃうの?
貴方の英断に感謝。決して嫌味ではなく。
参考までに…午後の「二択」→「駆け引き」の流れは正に神リレー。
繊細かつ緻密な心理描写、巧み文章、ぐいぐい惹き付けられて、読んでいて本当に背筋がぞっとした。誇張ではなく。是非読んでみて下さい。
頑張って下さい!
(もし不快感を与えてしまったらごめんなさい)
没にしてしまうのは勿体ない。
修正して再投下してみては如何でしょう?
したらばで意見を募ってみるとか。
没はもったいないよ…!
したらばってこよう
書き手本人が引くと決めたならそれに従うのが読み手のマナーだと思う。負担を掛けて困らせるような事をしてはいけないよ。
皆さん本当にすみません、ありがとうございます
お言葉に甘えて、したらばの方で意見をお待ちしています
お時間がありましたら、是非皆さんのお力を貸して下さい
作品議論スレでよろしいでしょうか……?
よろしくお願いしますm(__)m
>カイジと髪をほどいた森田が似ているのを書きたかったんですw
だ、そうです
ずっと読んでたけど、これは無いわ・・・
書かないくせに文句言うなって感じかもしれないけど
読んでいて物凄く不快だった。別に人が死ぬとか、裏切るとかそういう事じゃなくて
これじゃ安藤以下のクズでしかない。こんなクズなカイジはもう、さっさと死んじゃえ
気分悪い
>>305>>306>>307 リレーSSを書くって書き手には結構な負担なんだぞ。
物言い自体構わんが、あんたらちっとは書き手氏の気持ち考えてレスしろ。
あと荒らしじゃないならしたらば池。
過剰反応してる人たちはカイジに夢見すぎなんじゃないか・・・
肯定意見の人も反対意見の人も、カイジに対する愛情がよくわかる…
書き手氏もそうだと思うんだ。だからまぁ…落ち着いて。
直前で、田中はいざとなったら自分を捨てる人だって認識してるし、
そこまで変には感じなかったけどな
何か…汚ぇ…
ずるいぞこのカイジ…
謝ろうが、すまなそうにしようが、
とどのつまり見捨てるんじゃねぇかっ…
何だよそれ…!
見捨てるけれど罪は背負うって、
何か…二重にあくどいっていうか…
調子良すぎる…
今回の作品に不満がある方はカイジが好きだからこその不満だと思います。
だから、今回の作品に不満があるのであれば、まとめの作品議論スレで改善したい点を書くべきではないかと思います。今、面白い意見なども出てきていますし。
作家さんも話を面白くしようと思って投稿したわけですし、基本的には、不満を感じた方と志は一緒だと思います。
今回の作品は心理描写が卓逸なので、皆で相談しあっていけば、より面白い方向へ話が進んでいくのではないかと思います。
>>312 だれうま(ry
けど書き手さん乙です!心理描写とか良かった。
でもやっぱり見捨ててくカイジは見たくないって人が
圧倒的に多いと思うので、その部分だけ直せば良いと思う!
完全に没とかはもったいないです><
別に他人を見捨てるカイジが見たくないって訳じゃないんだが
まあしたらば見てくれ
>>312gj
・リレー小説なのに協調性なさすぎ
・原 作 読 め
とりあえず言いたいのは上の二点。他にも言いたいは山ほどあるが‥
せっかくここまでハイクオリティな書き手が続いていたのに残念ざんすよ、色んな意味で‥
乙です!
見捨てるのはありえないとか言われてるが、相手が相手だけに話しても無駄って感じがしたな。
二人死ぬよりは自分だけでも生きてやろうって発想は別に普通に善人だと思うが。
そもそもいくらお人好しのカイジだって相手次第だし、裏切られてきたカイジなら裏切りのにおいを感じればそこまで必死に助けなくても不思議じゃないわけで。原作でも、裏切った三好とかはさすがに知ったことかって見捨ててるじゃん。
田中が今後自分を裏切るかも…ぐらいじゃカイジは見捨てないかな
逆に、少なくとも今は味方、利用できるって考えそう
まぁそれでも力及ばず助けられないってことはある
今回は救いたかったが救えなかったって感じなんだろう
ただカイジのセリフがちょっとね、らしくない
カイジの行動が、っていってる人はさ、この状況ならカイジは見捨てないで
一緒に殺されることを選ぶって思うの?
葛藤云々言ってるけどさ、十秒以内に逃げないと、って言われてるのに
ウジウジ悩んでる間に撃ち殺されて終わりてのもどうかと思うんだけど
みんな…好きなんだ…カイジが…!
話の流れとしては違和感ないからとにかく描写の問題だと思う。
したらば行こうぜ
なんのためのしたらばだよ
マロンじゃIDでないから管理人さんが特定出来るしたらばじゃないと
やりたい放題になって荒れる
>>319 十秒間説得して射殺された方がバカなカイジらしかったとでも思ってんだろ
納得いかないのは分かったからもうしたらばで話してほしいわ
きっかけがあれば誰もがマーダーになれるからな
その描写が難しいんだよな
と元書き手が言ってみる
これで本編の流れが停滞すると勿体ないな
せっかくハイクオリティで続きが楽しみなロワなのに
問題が解決したら俺も久々に書き手復帰しようか、なんて…言っちゃうか…!そんなことも…!
まあ俺のじゃ質が低すぎて余計荒れるかもしれんが
おお、楽しみに待っとります!
したらばの方にも書かせて頂きましたが、一度修正をしようと思います。
なので誠に申し訳ないのですが、先程の投稿は取り消します。
ご迷惑をおかけしてしまっで本当にすみませんでした。
難しいでしょうが、頑張って下さいね
読み手がアホで大変ですね。
お疲れ様です、がんばってください。
つーかこの流れがきっかけで書き手が減ったらどうしようかと心臓バクバクなんだが。
とりあえず『原作で良い人描写がある人物が仕方なく他人を見捨てる』という
シチュエーションが今後絶対に書けなくなったな。
>仕方なく他人を見捨てる
描写によると思うよ。
キャラクターの性格に反した描写にならなければいいんじゃない?
キャラ解釈なんて百人いれば百通りだし
参加者ほとんどがギャンブル漫画からっていう性格的にも複雑なのが揃ってるからなぁ
例えば「非力な女性キャラが格闘家三十人相手に無双」とか
「超天才キャラだから開始直後に首輪を外せてしまう」みたいに明らかにおかしいのじゃなきゃ
難しいところだと思うよ
実際に今回だって描写がキャラ性格に反しているかどうかは意見が分かれてる
正直今回みたいなことがあると
誰か死んだとき「○○はこんなヘマしない」みたいな意見が多かったら
死んだのもなかったことに出来ちゃうのかな・・・って不安
展開に制限がかかっちゃうっていうか・・・
でもこのロワ楽しく読んできて
この先も期待しているので書き手のみなさん、大変だと思うけれど頑張ってください
いつも面白い展開をありがとうございます
結局はみんな福本漫画が好きでたまらないんだなってことですよね
とにかく書き手の人乙。出来ればこれからも頑張ってくれると嬉しい。
善悪云々より、カイジ原作の醍醐味をアニメのサブタイにもあったように
「逆境からの逆転劇」だと考えると、
この絶望的状況からどう逆転するか?!とwktk→orz
って事になった人が多かったんじゃないかと思った。
本来パロロワの醍醐味はその無情さだとも思うんだが、原作ファンの気持ちも分かる。
あとこのロワには少なからず漫画ロワからの流入者もいるっぽいからな・・・
あそこも熱いバトルと逆転劇が見物だった。
>>311そんなダラダラ嫌味言うくらいなら初めから書かなければいいのに。感じ悪っ!
あーあ、なんでこんな荒れちゃったかな、本当に・・・
せっかく高レベルのリレーでここまで来たのにねー
>>335 意見はしたらばってなって話はまとまってるのに
あんたのレスのほうが荒らしだって事に気付かないかね
良かった、書き直してくれるみたいだな。
もったいなすぎる。
>>334 カイジはもともと一瞬でひらめくタイプじゃないしな。カイジなら見捨てないとか言ってる奴ってちゃんと原作読んでんのかな。
会長とのギャンブルの時も、ティッシュ箱の仕組みを見てイカサマひらめいたからやったけど、最初は仇を取るのをこらえて諦めて帰ろうとしてたのに。
誰のためにも命懸けなんてキャラじゃないのに、今回こんな騒がれてびっくりしたよ。
なんか釈然としない流れだ
なんか自分がどっちの立場かわからない
ロワってさ、皆でフラグを立ててそれを消化して昇華してるとおもうんだ
きついこと言うようだけど正直な話これは消化するだけで昇華出来てなく感じる
これまで積み上げた積木がバラバラにされたって印象をどうしても受けちゃう
本当に積み重ねを崩してまで書きたい話なのかな、とは思う
だけどこの作品をそんな理由で蹴っちゃうと今度はこの件が前例になって荒れかねないんだよね
>>339 いや、原作読む限りカイジが仲間を見捨てないのは明らかでは?
じゃないと、あの限定じゃんけん編や人間競馬は何だったのかって話になるでしょ。
けど今回の話は、カイジもギリギリまで助けようとしてたわけだし、田中への不信感もあり自然な感じだったと思う。
ここまで修正を迫るほうがおかしい。書き手さんガンバレ。
>>341 俺と同じ気持ちだw
ただ、もう決着付いた話だしこれ以上グチグチ言うのやめようぜ
とりあえず、議論はここまでしようよ。
まだ話したりないなら、したらばで思う存分話し合おうよ。
本来なら本筋に支障がないのなら修正とかはさせるべきじゃないと思う。
パロロワは読み手の思うとおりにいかないのが当たり前だし
『このキャラはこんなことしない→修正』がまかり通ってしまうのはちょっと。
まぁそれだけカイジが人気キャラってことなんだよな。
修正と決めたなら頑張ってください!
応援します。待ってます。
346 :
345:2009/01/22(木) 23:24:42 ID:???
おっとリロってなかったスマン
でも、「書き手さんは大変だから、何を書いてもいい」という雰囲気はどうかとも思うけど。
何書こうが書く奴の自由だろ
ただそこは本人の感覚や良識に委ねられる部分なだけだし
他の書き手が書き直せと言うのは分かるが読み手が書き直せと言うのはおかしい
>>348 書き手って明言した上で批判はしにくいだろ
人間ってそんなに強くないよ
>>347 何を書いてもいいなんて誰も思っちゃいないって。
まぁ・・・なんていうかこれはパロロワだからね。
キャラ的に何かひとつ“らしくない”行動をしても結果として面白い方向に話が転がれば有りっちゃ有りなわけだし、
原作に沿ってキャラを描くのは大事だけど、自分の思うキャラ像から外れるのを許さないという意見は過激派だと思うな。
もちろん今回破棄または修正希望を意見した人みんながそうだって言ってるんじゃないよ。
でもバトロワって状況下で有り得ない行動なんて有り得ない。
贔屓のキャラに期待しちゃうのはわかるが、出来る限りは書き手を尊重したいし、そうしてほしい。
ストーリーに影響があるわけではないのにキャラ解釈の差で修正っていうのは
今後はもうちょっと慎重に考えるべきだと思う。
つーか最初に感想書いたのが否定的なのばかりだっただけで気にならなかった奴も多い
たまたま否定的意見が続いたから書き手も思わず引いてしまったんだろうな
今までの中の作品もこういう騒ぎになっていておかしくなかったのたくさんある
俺自身、今回のは完璧だと感じたがいくつか不自然に感じた作品はあった
文句言えば直すって感じになると文句の言い得になっていくから口出しすることじゃない
こんなので文句言われたら何も書けないだろ
352 :
名無しかわいいよ名無し:2009/01/23(金) 02:14:35 ID:72H4MZfR
福本作品への愛情に溢れたこのスレが大好きですし、読み手を裏切る展開や
キャラの奮闘に毎回wktkし涙させられています。
今回の出来事が、今後に生きて、欲しいなー…。
少々おめでたいですが、あまり悲観せずに、これからのロワを楽しみにしてます。
書き手さん頑張ってください!
まあ書き手さんが修正するって言った以上、もうこっちに出来る事はないな
今後感情的な意見には気をつけるってぐらい
脇キャラ勢が大分いなくなったから
これからは嫌でもメインキャラ、人気キャラが消えていくことになる訳だ
覚悟決めとこう
正義の化身みたいなキャラがマーダーになったり
どうしようもないダメ野郎が人を窮地から救ったり
ひ弱な女子が殺人スコアトップになったり
ひねくれた悪役が対主催組に協力したり
そういうのもロワの楽しさの一つさ、むしろメインのお楽しみ
何があるかは誰にもわからない
そもそもが完璧なファンフィクションなんだから
懐深くいこうじゃないか
福本ロワ読み始めた地点でお気にキャラがどうなろうが覚悟は出来てるぜ!
地下王国もあるしなw
>>341言いたい事凄い分かる。全く同じ気持ちだ。
まあフラグを活かすも殺すも書き手さん次第だから今は待て
書き手さんが書くのは書き手さん自身が一番面白いと判断した話なんだから
この流れ、「飛影はそんなこと言わない」みたいだな
やめてくれよ
この間その元ネタ見て、トラウマったばっかなんだよorz
失礼します
したらばの一時投下スレに修正版を投下させて頂きました
よろしかったらご意見をお願いします
今度は丸投げですか。
ずっと我慢していましたが、はっきり言わせてもらいます。
貴方は勝手すぎる。
この前の放送時も他の書き手氏に何の相談もありませんでしたよね。
破棄を希望します。
有賀から逃げ切るor倒すまでを書いて欲しかったかな。
そこを考えるのは他の書き手さん、ってのは確かに無責任かも。
でもさ、前回の投降のときにキツイ言葉で反論してた人とか、
>360とかは、福本作品は好きでも福本ロワは好きじゃないのかな?
そんなトゲトゲしいレスつけて、書き手さんがいなくなったらどうすんの。
丸投げもなにも…あれだけ多種多様な意見をまとめてひとつのSSにするほうが無理でしょ。本来、バトロワのストーリー的に言えば修正が必要ではないSSを修正してもらっているのだし
勝手だというけど、そこまで怒る気持ちがわからない。きつい言い方になってしまうけど、あなたの意見が勝手では?
個人的には、あの続きを書きたいと思うのでリレーSSとしては問題はないはず。
>>360 丸投げって
確かに修正前のものには結末が書いてあったからそう受け止めたのかもしれませんが、そんなこと言ってたらフラグも立てられませんね。
書き手さんが減ったら責任感じろよ。
あのままでいいって意見と修正派(それもどこを修正してほしいかバラバラ)の意見を全て汲むのは不可能だし
修正を望む声の多くがカイジの判断と行動、それまでの描写不足に疑問をもってたようだから
今回の修正版で十分に改善されてるじゃん。
リレー小説なんだからああいう軌道修正の仕方だって有りだよ。
必要以上にキツく批判していた人もいるんだし、正攻法でしょう。
勝手すぎるって言うんじゃあどうしてほしいの。
どう書いたってケチつけようと思えばつけられるじゃん。
書き手さん
短時間での修正お疲れ様です。
話のクォリティは確実にあがったと思います。
>>360 丸投げって何?
修正した作品を読みましたか?とても素晴らしい作品になりましたよ。
確かに、昨日の議論には私も書き込みましたが、今回の作品はカイジや沙織の心情が深く表れていました。
何が文句あるのか分かりませんが、文句があるならご自分で一度作品を投下してはどうですか?
>>360 放送時って?
放送の時は事前に相談もあったし、本投下前に仮投下もあったし、そもそも放送書いたのは◆X7hJKGoxpY氏だし
こっちに感想投下して良いんだっけ?
とりあえず書き手氏乙。
まあ結末が気になるのは山々だけど、今書くのはしんどいだろうし、盛り上げの手法としてこれはアリだと思うな。
カイジも沙織もよりキャラの魅力が引き出せてるし、本投下でいいと思う。
でもさ、実際この話が採用されたとして、このあとどうするの?っていうのも正直あるし、中途半端な終わり方だなあ、とは感じた。
悪く取らないで欲しいんだけど、あえて今回については不採用という形をとるのがベターかも。飽くまで、本人にお任せですが。
他で頑張って欲しい、という意味も込めて。
>>368 自分含めてこの続きを書きたいと思ってる書き手もいると思う
>>368 え?なんで?
面白い終わり方だと思うけどな。
それぞれ3人の描写も前回のよりグッと良くなっているからこのまま採用で言いと思うよ。
仮投下乙です。
修正前よりも凄く良くなってる!読んでてwktkできたよ。
色々な意見が出ていますが、これからも期待しています。
はあ・・・ひどい荒れようだったな・・・こんな有り様耐えられない・・・
俺は大好きだったんだよここが・・・悲しいよ・・・
もう二度とこんな事がないように祈るしかできない俺はなんて無力なんだ・・・そしてこんな無力な祈りはきっと届かないんだろう・・・分かってるんだ・・・
だがもう堰は切られてしまった・・・悪貨が良貨を駆逐するのは世のならい・・・蝕まれていくのが見えてしまう・・・
ただ俺が去る前に一言だけ言わせてくれ・・・俺は本当ここを愛していたんだっ・・・!
伝わらない事は分かっている・・・分かっていてもどうしても言いたかったんだ・・・
しかし分かっていながら百分の一でも万分の一でも伝わって欲しいと願ってしまう・・・駄目だな俺・・・
ただの戯れ言だ・・・すまない・・・
ヽヽハへハ∧ハィ_
< <
∠/Vヽハ/V>、 ゝ
/ヽ く/ レ、 | / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
|/ ニ・フ .|.|6) | | 許してやろうじゃねえか……!
.∠ - ) ノ || ヽ < 寛容な精神で……!
| lニニフ /| ト、__ヽ \____________
| = / |/
|__/ レ
修正版の続きを書いてみた。とてもよかったから。
ただ、修正版がまだ通ったかどうかわからない状態なので、投下は様子見ます。
こんな良作が破棄されるような場所なら、今後投下しづらいですよ…
>>374 書いてくれるのは歓迎だけど、個人的な意見としてはもっと時間を置くべきかな。
まず話を読んで、じっくり睡眠とって最低でも一日は置いて頭を休ませてから
もう一度読み直し、以前の作品を殺さず今後の展開を活かせるようなプロットを練る。
練り終わったらそれから書き上げて、また頭を休ませてから、今度は推敲して、
もう一度頭を休ませてから最終確認。
最新話を読む→プロットを練って書く→推敲→推敲で最低四日はかけたい。
予約はプロットを練り終わってから。
参考までに俺が予約するのは推敲段階に入ってから。
予約が被るのを怖れて、プロット練って即予約は作品のクオリティを落とす可能性大。
書き手としてはやっぱり自分の持てる最大の力を発揮したいからね。
以上、一書き手からのアドバイスでした。
>>375 書き方は本当に人それぞれ個人個人の方法があるよ。
それこそ数時間でバババッとハイクオリティ書ける人もいれば
時間をかけないとまとまらない人もいるし
最初のインスピレーションと勢い命の人もいれば
悩みに悩みぬいて推敲を重ねた結果、良い作品を上げる人もいる。
かける時間も方法も十人十色だし、個性のテリトリーだ。
いや、アドバイスするのは全然良いと思うんだけど
そのあたりはホント完全に各書き手の自由じゃないかな。
最大の力を出せる状況は人によりけり。でも、良い話を書きたいって気持ちは同じはず。
何はともあれ、あの話読んで創作意欲わいてきたぜ。
修正GJでした。
具体的な反対意見がなかったらあれを本投下していつもの流れに戻ればいいのかな。
>>374 >>375 どっちのアドバイスもありがとう、参考になります。
自分は両方なんです
前の作品を関わりのあるものをいくつか数時間かけて読んで、そのままババッと勢いで書いて、1日置いて5回読み直して、予約して、投下してる
書いてその日中に投下だとやっぱり後で矛盾とかいらない文章が目に付くから、一日は置いています。
>具体的な反対意見がなかったらあれを本投下していつもの流れに戻ればいいのかな。
早くいつものバトロワスレに戻りたい
今回のことは一人の書き手さんに負担がかかり大変でしたが、スレ的にいつか通らないといけない道だったのかなとも思う。
書き手さん達が頑張ってくれるのがとても嬉しい。
自分にも何かできることがあればいいのに
>>379 一番は作品を投下してスレを盛り上げてくれることだと思いますが、それが難しいのであれば、
投稿されたら、まず、書き手さんの苦労を労い、感謝するレスを送ることだと思います。
さらにその内容に素晴らしい点があれば、ほめることだと思います。
心理学者のジェス・レアーが、
「誉め言葉は、人間に降り注ぐ日光のようなものだ。それなしには花開くことも成長することもできない」
という言葉を残していますが、褒めることは、やる気を引き立たせる力を持っています。
これが書き手さんが次のステップに気持ちよく進んでもらうことができるように、
読み手としてできることではないかと思います。
ともあれ、今回の書き手氏本人が「どうしたいか」は重要だと思います。
つまり、「破棄したい」か「破棄したくない」か。
勿論、今すぐに結論を出してくれとは言いませんし、リレー小説という性質上一個人の意見のみが通る訳ではありませんし、議論は必要不可欠です。
長々と偉そうにしてすみません。
要するに、書き手氏本人からの「破棄したい」or「破棄したくないですか」のお答えを頂きたいのですが、宜しいでしょうか?
更に付け足すなら「お任せします」は、出来れば無しでお願いします。非常に手前勝手なお願いになりますが。
↑一部に誤りがありました。
「破棄したい」or「破棄したくない」か
です。申し訳ありません。
てゆーか、破棄しろだなんて意見まったく出ていない件。
お疲れ様、こないだはゴメンね、みたいな流れの中で、なに1人だけヒスってるの?
>>381 何が言いたいんだ?
書き手氏が修正してほとんど破棄なんて要求出てないでしょうが。
修正した時点で破棄する意思なんてあるはずもないし
別に問題があるわけじゃない。
これだけの作品ならリレーも出来るし、誰も書かないようなら俺が続き書く。
とりあえず本投下まだなんだからしたらばでやれ。
>>381 このまま修正前の様な致命的なミスが指摘されなければ、修正版を投稿しようと思っています。
もしご意見がありましたら、したらばの方でお聞かせ下さい。
お願いします。
>>381 意味が解らん。
どうして破棄するかしないかの聞かなくちゃいけないの?
修正版は話の膨らみが出来て素晴らしい作品になりましたよ。
他の人達も投下を待っているから問題ないと思うけど?
Gw5emrGiEさん、投稿お待ちしております!
うふ……ふふふ……
有賀研二の笑いは止まらない……!!
有賀は標殺害後、次なる標的を求めアトラクションゾーンを彷徨していた。
そして先程の放送……現在地C-4のすぐ近く、B-3が禁止エリアに指定された。
有賀にとってこれ以上ない幸運っ……!!
死から逃げ惑う赤ん坊……一人も逃さないよ……!!
うふふふ……
有賀は地図を取り出し禁止エリアをチェックすると、急いで狩場を探しに歩き始めた。
おっちゃん……美心……!!
放送で知らされた敗者……その三分の一もがカイジの知った名前だった。
特に美心……死んだ状況は分からないが、カイジは自分が殺した様な気がした。
ボロッ……ボロッ……と目から涙が溢れる。
世界が歪む。
圧倒的に悪い思い出が多い人間でさえ、浮かんでくるのはその笑顔ばかり。
全くの他人であった山口の死にさえ、想像以上にショックを受け、心の底から哀しんだ。
どんな関係であろうとも、繋がっていた人間の死はカイジの心を蝕む……!!
「ウワアアアァァァァ……!!」
カイジ、遂にその絶望に押さえつけられ、地面にうずくまってしまう。
そんなカイジを見る沙織は至って冷静だった。
そして、困った。
心神が衰弱した者を扱うのは面倒……だが、生きる為にカイジと離れる訳にはいかない。
カイジに気付かれぬ様ため息を吐くと、落ち着いた声で話し始める。
「カイジくん……近くが禁止エリアになってしまったわ。
人が此方に流れてくるかもしれない、離れましょう。
でも、誰かと会ってしまいそうよね……どうしよう……」
然り気無くカイジの意見を煽る。
しかしカイジ……返答せず……!!
「……カイジくん?
カイジくんってば!!」
呼び掛けても反応しないカイジに、沙織はつい語尾を強めてしまった。
「……田中さんは……知り合い、死ななかったの……?」
「……え……?
一応、付き合いのあった人は居たけど……でも大丈夫よ!!
森田くんの名前はなかったし、きっと助かるわ!!」
暫し沈黙……!!
そして漸く顔を上げたカイジの目には、軽蔑の色が浮かんでいた。
しかしカイジが反応を示したことに喜んだ沙織は、それに気づくことが出来ない。
にこりと微笑み、カイジの目の前に手を差し伸べた。
「俺は……無理だよ……」
そう一言呟くと、カイジは沙織の手を取ることなくゆっくりと立ち上がった。
その目から溢れ出す涙は止まらない。
沙織の口から、美心という名前を聞くことはなかった。
クフッ……森田くん、丸見えだよ……!!
ウージーを手に、顔いっぱいに笑みを浮かべる男……有賀……!!
彼の目に映るカイジの姿は、あの日の森田とそっくりだった。
うふふ……やっぱり僕はついてる。
こんなに早く森田くんに会えるなんて……!!
カカッ……カカカカ……
有賀はカイジ達の後方……約50メートルの地点に居た。
しかしそれは直線距離での話。
ここ、アトラクションゾーンには多くの障害があり、有賀はメリーゴーランドの反対側からカイジ等の動向を伺っている。
向こう側から此方に気付くことは到底出来ない……!!
しかし、二人……というのは少々良くない。
片方を殺しているうちに、もう一人が攻撃してくるかもしれない。
逃げられてしまうかもしれない。
駄目っ……そんなの、駄目っ……!!
有賀は二人を殺す方法を模索しながら、カイジ達を観察し続ける……
どうする……田中さんは、もう……信用出来ないっ……!!
しかし……こんな場所に女の娘を一人置いていくことなんて……
カイジの直感は叫んでいた。
沙織は、いざとなったら自分を……棄てる……!!
「見て、カイジくん。
メリーゴーランド、綺麗……」
周りは暗くなってきている。
前に現れたメリーゴーランドは、この場に似合わない神秘的な光を放っていた。
カイジの心境を知らない沙織は、何時もより高い声で言った。
光に照らされたその笑顔も、カイジには仮面にしか見えなかった。
ダダダダダダッ……!!
重たい銃声。
「グッ……!!」
銃声と叫び声が交差する。
「カイジくんっ……!?」
鮮血を放ちながら、カイジは沙織の視界から消えた。
「痛ぇ……!!」
不幸中の幸いか、カイジは足にのみ二つの穴を空け地面にうずくまっていた。
「田中さん……逃げろ……!!」
カイジは足に怪我を負っているにも関わらず、沙織を急かした。
「カイジくんっ!!
一体なに……!?」
「俺はいいから……早く……!!
きっと、誰か敵が……」
「カイジく……」
「カカカカッッ……」
沙織の声に重なる、不気味な笑い声。
その声の主は、二人の背後から訪れた。
カイジは座りながらも、沙織を守るように自分の背中の後ろに回す。
「……あれ、君……森田くんじゃないね……?」
「森田……くん……?」
ヘルメットを被った男から発せられた名前に、沙織は思わず反応する。
「取り敢えず……鞄、頂戴……!!」
有賀はウージーの先で二人の鞄を指した。
ウージーにボウガンで抵抗しようにも、スピードで完全に劣る。
沙織は観念し、カイジの鞄を掴み両手を使って有賀の方に放り投げた。
そして次に自身の荷物も……しかし先程のカイジの鞄とは少し違う。
沙織は偶々サイドポケットに入れておいたペンを、有賀に気付かれぬ様に服の袖に忍ばせてから鞄を渡す。
こんなものじゃ、武器にはならないかもしれないけど……
沙織の手に汗が滲む。
有賀は沙織にウージーを向けながら二人の鞄を探ると、ボウガンとその矢を取り出し自らの鞄に移す。
そして候補者一覧を見るとニヤリと笑い、こちらも鞄に放り込んだ。
「じゃあ、君はもういいや。」
有賀は二人分の鞄を沙織に投げ付けながら言った。
金や他の支給品には目も向けなかった。
鞄は沙織の足に当たり、沙織はムッとした表情を見せた。
それを見て心配そうな表情をしているカイジに、沙織は手を差し出した。
ダダダダダダッ……!!
銃弾が天を切る。
「クク……クカカ……
駄目っっ……!!
駄目だよ……君……!!
僕が移動していいって言ってるのは君だけさ。」
ヘルメット越しにでも、有賀が笑っているのが分かった。
「なっ……!?
カイジくんの怪我の処置しないと……!!」
有賀は笑い続けている。
「そこの、カイジ……くん?
助けたいなら、君が交代……!!
そうしたら、カイジくんは逃してあげる……!!」
カイジは頭を鈍器で殴られた様な感覚がした。
人は誰だって自分が一番可愛いもの。
しかも沙織は、先程の会話で人一倍その気持ちが強いことが伝わってきた。
クソッ……クソッ……!!
死にたくねえ……!!
死にたくねえよ……!!
本当に……ここで終わっちまうのか……!?
カイジの目から流れる涙は止まらない。
身体は撃たれてからガタガタと震え続けたままだ。
「さあ……行きなよ……!!
行かないと、二人共殺しちゃうよ……?」
もちろん有賀に、どちらかを生かす気などない。
背中を向けた瞬間……発砲……!!
しかし誰でも、こんな状況に置かれたら一目散に逃げてしまうだろう。
そう、沙織もそのつもり……だった。
わたし……カイジくんを見殺しにするの……?
ずっと守ってくれたカイジくんを……?
……当たり前よ!!
しょうがないの……カイジくんも納得してくれるわ。
だって、二人共此処で死んだら……それこそ無駄死にじゃない!!
逃げたってわたしは悪くない……!!
カイジくんだってわたしを責めないはずよ……!!
しかしその想いとは裏腹に、沙織の足はそこから動こうとしない。
沙織の中で、何かが変わり始めていた……
【C-4/アトラクションゾーン/夜】
【伊藤開司】
[状態]:足を負傷
[道具]:なし
[所持金]:0円
[思考]:仲間を集め、このギャンブルを潰す 森田鉄雄を捜す
赤木しげる、有賀研二、一条、利根川幸雄、兵藤和也、平井銀二に警戒
※平山に利根川への伝言を頼みました。
※2日後の夜、発電所で利根川と会う予定です。
【田中沙織】
[状態]:健康 精神不安定
[道具]:支給品一式×2 ペン
[所持金]:2000万円
[思考]:足手纏いになるものは殺す 死に強い嫌悪感 森田鉄雄を捜す 有賀から逃げる
赤木しげる、有賀研二、一条、利根川幸雄、兵藤和也、平井銀二に警戒
【有賀研二】
[状態]:健康
[道具]:果物ナイフ 不明支給品0〜3 サブマシンガンウージー 防弾ヘルメット
支給品一式×1 ボウガン ボウガンの矢(残り十本) 参加者名簿
[所持金]:6800万円
[思考]:人を殺したい
以上です。
タイトルも「笑顔」のままではおかしかったので変更しました。
今回はご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございませんでした。
原作のイメージを壊した上、このスレの流れさえもめちゃくちゃにしてしまい、とても責任を感じています。
こんな作品にも関わらずご意見・ご感想を頂き、本当に嬉しかったです。
皆さんの福本作品への愛がひしひしと伝わって来ました。
本当にありがとうございました!!
これからのスレの発展をお祈りしています。
乙です!
前にも書き込んだ意見だけど、今回のことはたまたま一人の書き手さんに負担がかかってしまったのだと思います。
キャラクターとバトロワスレとの矛盾が引き起こした騒ぎであり、貴方のせいではないと私は思っています。
キャラクターの性格の解釈は人それぞれですし…。修正版はよりよい形になっていましたし。
もし自分が同じ目にあったとき、意見を募り、よりよい修正版をあげることができるかどうか…
本当にお疲れ様でした。よい作品をありがとう。
お疲れ様です。
>今回のことはたまたま一人の書き手さんに負担がかかってしまった
にまるっと同意。
本来はここまで大事になるようなことじゃなかったのに、運が悪かったですね。
次の投下も期待してます。
圧倒的…乙
投下します!
銀二の後ろ姿を見ながら
(赤木に似とるなあ)
と原田は思った
このバトルロワイアルに参加している赤木ではなく、老いた赤木に
いきなり銀二が立ち止まった
原田は考え事をしていたので、銀二にぶつかってしまった
「なして急に止まんねやっ!」
「しっ!」
原田は銀二に抗議したが遮られてしまった
「原田さん、あれを見て下さい」
言われた通りに見てみたら、二人の男がいた
その二人の男とは、利根川と平山だった
平山はカイジからの伝言を伝えると
「ご苦労。もう行っていいぞ」
と言われた
もしかしたら利根川に殺されるかもしれないと平山は思っていたので、ほっとした
銀二と原田は二人に気付かれないようにそっと二人に近づいていた
「あちらの若い方は誰かは知りませんが、年をとっている方は利根川です。帝愛の元No.2です」
と銀二が言った
「知り合いかいな?」
と原田が聞くと
「そういう訳でもありませんがね」
と銀二が答えた
原田は
(若い方は赤木に似とるな)
と思った
それから
(さっきも同じような事を思ったで)
と思った
「あの利根川という男は使えます」
と銀二は言った
「脅して捕まえましょう」
と言った
「それは面白そうやな」
と原田は答えた
充分近付いてから銀二と原田は草むらから急に姿を現した
「動くなや!」
と原田は大声で言った
「両手を上げて下さい」
と銀二はあまり大きくない声で言った
利根川と平山は驚いている
二人は素直に腕を上げた
平山は驚きっぱなしだったが、利根川はすぐに冷静になって状況を判断した
原田は手に鉄砲を持っていて、それを二人に向けていた
利根川は
(オレが持っているのは、デリンジャーだ
シングルアクションとはいえ、既に構えている向こうの方が早く射てる
しかもデリンジャーは遠くの相手には当たりにくいし二発しかうてない)
と思った
利根川は良い事を思い付いた
そしてそれを実行する事にした
利根川は腕を上げたままで、銀二と原田の方に向けて、思いきり平山の背中を蹴った
それは不意討ちだったので平山は
「ぎゃあ!」
という悲鳴を上げて原田に思いきりぶつかった
原田は急にそんな事になると思っていなかったので平山ごと仰向けに倒れてしまった
その隙に利根川は走って逃げた
銀二はすぐに追いかけた
利根川は振り向き様にデリンジャーを発砲した
銀二はその場に伏せた
銀二は武器を持っていなかったし、原田の上には平山が乗っていて、利根川には逃げられた
利根川がもう遠くまで行ってしまって、発砲もして来なかったので銀二は起き上がった
原田も平山をどかして起き上がった
平山は
(何故こんな目にばかり会うのだろう)
と思ったら起き上がるのが嫌になったが
「大丈夫ですか?」
と銀二に言われて
「大丈夫です」
とつい答えてしまったので起き上がる事にした
「おどれあの男とどういう関係や?」
と聞かれて、原田の方を見たら鉄砲を突き付けられていた
平山は怖くなって銀二の方を見た
もしかしたら助けてくれるかもと思ったがそんな事はなかった
平山は原田に素直に利根川との関係を話した
「なる程、つまり平山くんは利根川に利用されていたのですね」
と銀二は言った
その言葉を受けて原田が鉄砲をしまってくれないかと思ったが甘かった
だから平山はひろゆきとの事やカイジとの事も話した
そうすれば鉄砲をしまってくれるかもしれないと思ったからだ
原田はひろゆきとの事に、銀二はカイジとの事に興味を持ったようだった
そして原田は鉄砲を下ろしてくれた
平山はカイジの言う通り、諦めないで考えればなんとかなるんだな、と思った
利根川は充分逃げたところで座った
座って計器をみると無反応だった
(平山は殺されたか)
と利根川は思った
本当は平山は死んでいない
原田と衝突した時に計器が壊れただけだった
平山は、利根川が自分が死んだと思われている事を知らない
【D-1/発電所/夜】
【平井銀二】
[状態]:健康
[道具]:支給品一覧、不明支給品0〜2、支給品一式
[所持金]:1300万
[思考]:生還、森田と合流、見所のある人物を探す
※2日目夕方にE-4にて赤木しげると再会する約束をしました。
【原田克美】
[状態]:健康
[道具]:鉄砲 不明支給品1〜3(確認済み)支給品一式
[所持金]:800万円
[思考]:もう一つのギャンブルとして主催者を殺す 銀二に同行する
※首輪に似た拘束具が以前にも使われていたと考えています。
※主催者はD-4のホテルにいると狙いをつけています。
※2日目夕方にE-4にて赤木しげるに再会する約束をしました。
【利根川幸雄】
[状態]:健康
[道具]:デリンジャー(1/2) デリンジャーの弾(30発) Eカード用のリモコン 針具取り外し用工具 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:ゲームで優勝、もしくは和也を優勝させての離脱
※両膝と両手、額にそれぞれ火傷の跡があります
※和也の保護、遠藤の抹殺、カイジとの真剣勝負での勝利・その結果の抹殺を最優先事項としています。
※一条はその目的次第で協力・殺害を判断します。
※デリンジャーは服の袖口に潜ませています。
※Eカード用のリモコン
Eカードで使われた針具操作用のリモコンです。
電波が何処まで届くかは不明です。
※針具取り外し用工具
Eカードの針具を取り外す為に必要な工具です。
※平山から伝言を受けました
※平山が死んだと思っています
【平山幸雄】
[状態]:左肩に銃創 首輪越しにEカードの耳用針具を装着中
[道具]:参加者名簿 不明支給品0〜2(確認済み) 通常支給品
[所持金]:1000万円
[思考]: 引き続き利根川の命令には従うが、逃れる術も積極的に探る
※ひろゆきと21時にアトラクションゾーン事務所で落ち合う約束をしました。
※利根川に死なれたと思われていることを知りません
初めまして!
一生懸命考えて一生懸命書きました!
よろしくお願いします!ドキドキです〜
題名は「銀と銀と金と銀」です!四人の髪の色からとりました!
福本作品に対する愛なら誰にも負けない気持ちです!
予約の時にトリ付けるのを忘れていました!ごめんなさい!
ダwwwwメwwwwwwwギwwwwwwwwww
乙です
また面白い方向へ話が進みましたな
投下乙ですw
一生懸命さが伝わってくる、なかなか面白い文章でした
平山しょんぼり…でも計器壊れて良かったな
んでも自分では気づいてないのか…www
ダメギはほんっっと小心者だなwww明るい気持ちになれてよかった。
失礼を承知で言う
ここんとこの流れを見る限り、荒らしとしか思えない。
こんなクオリティでも通さざるを得ないだろ、ザマアミロ、みたいなさ。
いくらなんでもこんな文章書く日本人はいないよ。
小学生低学年の作文なら分からなくもないが、小学生低学年は福本漫画は読まんだろ。
いくらクオリティを求めないからって限度ってもんがある。
感想も自演臭いし、明らかに荒らし。
この作品に関しては俺は認めない
>>414 感想が自演かどうかはともかく……確かに荒らしっぽいな。
この文章で投下する度胸は凄いが正気の沙汰じゃない。
狂気の沙汰だが面白くない…!
>>414に全面的に同意
せめてしたらばに仮投下するとかさあ。
スイーツ(笑)の方がまだまともに見える文章なんて久し振りに見た。
荒らしとは思えないし、非常に面白い展開だと思った。
ただ、読み方が悪いのかもしれないけど、2回、3回と読み直さないと意味が解からなかった。
「こういう文体の人なんだ」と、慣れるのに時間がかかった。
これはこれでいいと思う。
>>412で感想を書いた者ですが自演じゃありません。
アドバイスするのならまだしも、荒らしだって決め付けるのは何なの?
そのほうが荒らしじゃないのか。
文章は少し読みにくい部分も確かにあるけど、「俺は認めない」とか言われても。
少なくとも私は楽しく読めた。
でも否定レスにがっかりした。
>>418 文体とかいうレベルじゃないだろう。
読みにくいなんてもんじゃない。
というかどんだけ活字離れしてたとしても、少なくともこのロワは読んでるんだから
もうちっとマシな文章書けるはず。
内容よければ酷い文でも文句言えないだろってタイプの荒らし。
大方先の騒動でここを見限った輩だろうよ。
>>419 自演扱いしたことに関しては謝ります。
ただ、世界広しとはいえこんな文章を真面目に書く人間がいると思いますか?
いくらなんでもこんだけ酷い文は有り得ない。
最近の流れで書き手を擁護したい気持ちはわかるけど冷静な目で見てください。
荒らしの思うつぼにならない内にね。
疑わしきは罰する
匿名性が高いからそうしないと秩序はたもてない
◆wqrw以下略さん投下乙です。
一生懸命書いてくれた所をこう言うのも失礼だろうけど……
今までの小説と比べ、文章のレベルが低く非常に読みにくいと感じました。
と言った
と答えた
と思った
のように、〜した。で終わる文が終始続いているためか、退屈、幼稚に思えてしまいます。
読み手の我が儘かもしれませんが、もう少し工夫が欲しい。
この作文を他の書き手さんの書いた小説と共にまとめサイトに載せるのはちょっとなぁ……
某カオスあたりだと無茶苦茶なの時々あるけどなw
まあそこと比べても仕方ない。
またしたらばで議論って事でいいかな?
荒らしだか天然だか小学生だかは判断しかねるが、
荒らしじゃないなら本人の了承もとってきっちり話し合わなきゃだろう。
自分は結構楽しめたので荒らし認定はなんだかなあと思う・・・。
でも展開や内容は面白かったけど、文はかなり稚拙だな・・・。
・深謀遠慮に長けてるはずの銀二が、相手を帝愛の元No.2で相当な切れ者と知りながら
装備も確かめずいきなり脅して捕まえましょう、と言い出すのはアリか?
・人と衝突した程度で壊れる計器なら、原作のカイジは耳切り取るような真似をしなくて済んだのでは
・文体のせいで登場人物が全員ブーム君で再生された
自分の気になったのはこれくらいかな。NG対象(設定返しや矛盾)に当てはまるかと言われると微妙な所だと思う
文章が稚拙、というのは否めない。ただ、自分は前回のカイジ騒動のとき、
『カイジの性格と展開があってないからって破棄はないだろ』
と意見したクチなので、この作品にケチつけるわけにはいかないな。
◆wqrwEsIdSsさんには失礼かもしれないけど、文章の心得がある人に展開はそのままで書き直してもらうってどうだろう。
流れは面白いし、このペアの話は久々だから待ち望んでいたし。
それは書き直す人に負担ってかプレッシャーがかかり過ぎるんじゃないか?
少なくとも自分は、この話を面白く書き直してくれる奴募集
と言われても立候補できない。
おはようございます!
なんだか申し訳ない気持ちです
ただ私が荒らしではない事は分かって下さい!荒らしじゃありません!
文章が稚拙、天然についてはその通りだと思います
>>423>>426さんのように、具体的におかしいところを教えてくれると助かります!
頑張って直しますのでおかしいところが他にもあったら教えて下さい!
お願いします!
>>429 お疲れ様です。
流れや平山の立ち位置などはとても面白いと思うので、思考,セリフの書き方や文章の語尾を変えてみたらいかがでしょうか。
時間があればもう一度他の書き手さんの作品を読んでみて、技術を盗んでみてもいいと思います。(もちろんあからさまにならないように)
あと、これからは心配なときはしたらばの一時投下スレを利用してみたらどうでしょうか。
長文失礼しました。
応援しています。
とりあえず、◆wqrwEsIdSs氏の再書き込みを待つしかないかな
前回の騒動だって、書き手さんが真摯な対応をしてくれたから解決したんだし
そんで再び現れないなら釣りでおkだろ
正直、自分が小学生のとき書いた黒歴史ノートの文章より酷いぞ
432 :
431:2009/01/25(日) 09:24:48 ID:???
リロってなかった。スマン。
具体的におかしいところか。
なんか全体的にたどたどしい。草陰からこのやりとりをみてた人が、
携帯で2chの実況スレにリアルタイムで書き込みまくってる感じ。
>利根川は良い事を思い付いた
>そしてそれを実行する事にした
じゃなくて、利根川は妙案を思いつき、それを実行に移した とかさ。
文章力のある人が書いたのならそれもテクニックのひとつ、で受け入れられるだろうけど、
あなたの文章は文末が「〜た。」ばっかで終わってしまうので、
一文一文をもっと長くしないと凹凸がなくて退屈な文章だなととられてしまうと思う。
なんか上から目線ですみません。
>>413ですが私も自演 じゃありません。
文章を読み直してみますと、福本ロワの中では見劣りますがパロロワの中では普通だと思いました。
前回よりこちらのほうが、二次創作として割り切るという考えが合っているかもしれません。
推敲には賛成です。
「っ……!」がないからだよ。うん。
文章が稚拙ってのはリレーする以上ある程度仕方ない
それでも「〇〇しうる…!」「〇〇せざるをえない…!」「圧倒的〇〇…!」とか
福本節を使おうとする努力が見られないってところが問題だな
福本節使えばいいってもんでもないがね
このロワには地の文が普通の文体でも読みやすくて面白い作品多いし
とりあえず文章書く常識からしてなってない
ついでに台詞回しに違和感がありすぎる
>>429さん
書き直されるということで、及ばずながらしたらばのほうにアドバイスを書かせていただきました。
おせっかいとは思いましたが…。
修正頑張ってください。我々はその姿を心より応援する者です…!
荒らしではないと思うけどな…
中学生か高校生ぐらいで、相当文章書くのに慣れてない人なんじゃないか?
とりあえず「〜た」を減らせば幾分マシになると思う。
展開自体は面白いから頑張って下さい。
朗読してみた
酷過ぎて途中で鼻から汁が出てきた
441 :
◆/Ah5m4k50w :2009/01/25(日) 20:07:44 ID:QymBjB25
零、沢田、涯、赤松予約しました。
よろしくお願いいたします。
>>441 キャラだけでもネタバレを望まない人はいるから予約はしたらばだけでいいですよ
あと、したらばでもトリップは使えます
443 :
◆/Ah5m4k50w :2009/01/25(日) 20:34:49 ID:QymBjB25
>>442 大変失礼致しました!
自分もワクワクしながら待っていたのに…!気付かず申し訳ありません。
優しいご指摘ありがとうございます。
投下いたします。
有賀はニタニタと笑いながら、沙織に向かって銃をちらつかせる。
「さあ…早く逃げなよっ…。何をためらってるの…?」
カイジは絶望感に苛まれていたが、ふと、ある違和感を覚える。
(こいつ…本当に、田中さんを逃がす気があるんだろうか…?)
ヘルメットの奥にギラギラと光る二つの瞳。
愉悦を堪えきれず醜くつりあがり、ゆがんだ口。
ふと既視感…そうだ…これはあの時…。
ゴールの…希望のはずの窓……だが、悪寒…。薄暗い窓の向こうにほの見えた、暗い期待……
(駄目だ……窓を開けちゃ駄目だっ… 佐原…!!)
「…カウントダウン、するよ…?10…」
「待てっ…」
カイジはよろよろと立ち上がった。
銃弾を2発受けたのは片足…左足をかばうようにして、無事な右足でなんとか立ち上がる。
「あんた…本気で、片方は逃がすつもりでいるのか…?」
「…なんだ、まだ立ち上がる気力が残ってたの……」
有賀はカイジのほうに改めて銃を向ける。
「そうだよっ…!一人は逃がしてあげる…!うふふ、うふふっ…!」
「なら…銃を降ろせよ…俺はこの通り逃げられねぇし、攻撃もできねぇんだ…田中さんが逃げる間くらい、銃を降ろしてくれねえ
か…。
そんなんじゃ田中さんも安心して『背中を向けて』逃げられねぇっ…」
カイジは話しながら、足を引きずり、少しずつ沙織をかばうように…有賀と沙織の間…直線に割って入るように移動した。
考えろっ………。
もし仮にここで死ぬことになっても…。
いや、死なねえっ…最後の一瞬まで、『俺』は死なねえっ…!
何かないか… 考えろっ… 考えろっ…!!
有賀と話しながら、カイジは必死に考えを巡らせていた。
もう体の震えは止まっていた。足の痛みのおかげで、むしろ体中の感覚が冴えてくるのを感じていた。
絶体絶命、ほぼ必ず死ぬであろうこの状況で、ならばせめて、自分らしくいるっ…!
『俺』まで明け渡さない…!
有賀を睨みつけながら、必死で言葉を紡ぎ出しながら、カイジは考えていた。
何かないか…!
「なぁ…頼むよっ…銃を降ろしてくれ…数秒の間だけ…」
「うふふ…クク…何言ってるの…?そんなに…早く、殺されたいの…?
指図すんなよ…!体の端から順に穴を開けてやろうか…?
すぐには死ねないよ…それとも、本望かな…頭と胴が無事なら数分は生き延びていられる…ウクク…!」
有賀の脅しに、強気のカイジもさすがに怯む。
その表情を見て、有賀はますます口の端をつりあげる。
絶望…ひたすら絶望…!
駄目だっ…何も…何も思いつかねぇ…!
死ぬのか…!
ここで二人とも…!
「ねえ…」
ふと、カイジの後ろに立ち尽くしていた沙織が声を発する。
「やっぱり…私も…殺すの…?」
「うふふ…殺さないよっ…殺さないっ…」
「ねえ…お願い…助けて…何でもするから…」
沙織は涙声だった。
沙織の声を聞きながら、カイジはもどかしい思いに駆られた。
彼女は冷たい人間…だからって、死んで欲しくない…!
「うふふ… 何言ってるの…?」
「ねえっ…私だけでも助けて…何でもするからっ…死にたくないの…あなたの言いなりになるから…」
「………いらないよ、別にいらないっ…」
「お願い…!役に立つわ…私をおとりにして人をおびき寄せれば、もっと人殺しができるわ…」
「……………」
有賀と沙織のやり取りを聞きながら、カイジは背筋が凍るような感覚に襲われた。
そこまでして助かりたいのか…?わからない…全く理解できないっ…
「私が、同行中に不意打ちでもすると思っているの…?
なら…私の両手をその銃で撃って…手負いにすれば、私はもう何も抵抗できない…」
「フフ…狂ってるね…あんた…狂ってる…!そんなに生きていたいの…」
「死にたくないもの…!お願い、私の命だけは助けてっ…!」
沙織は泣き叫ぶように言った。
有賀はそれを見てニヤニヤと笑いながら、ふと考えた。
生に対する執着…ここまでの奴は初めて見た…!
今まで、女子供をたくさん殺してきた…。
みんな、心躍るくらいに泣き叫び、哀願してきた。
それこそ何でもするからと、自ら服を脱ぎだすような女もいた。
だが… ここまで生に執着する女は初めて……
(こいつを…どこかの建物の中で縛りつけ…端から順にナイフで開いていったら、楽しいかな…?
開くたびに哀願…死にたくないと…許してくれと泣き叫び…もうしないと言って安心させて…、
またもうひとつと…傷をつけていき…再び絶望に染まる顔を眺めたら楽しいだろうか…?)
有賀はこらえきれない笑いをかみ殺し、沙織に言った。
「…何でもする…?」
「ええ…何でも…何でもする…!」
沙織の発する言葉はほとんど悲鳴に近かった。
「そう……なら、君を一緒に連れて行ってあげる…。
君のお望みどおり、両手を撃ってあげるっ…」
有賀は沙織が見える位置まで少し左にずれ、沙織に銃を向けた。
「ま…待って…。このままじゃ体にも弾があたってしまうわ…
お願い…、両手を挙げて…少しだけ近くへ行くから、的を外さないようにして…お願いっ……」
「…クク…」
沙織はゆっくりと両手を挙げ、少しずつ有賀に近づいていった。
そのとき、カイジの横を通った。
カイジが呆然とこちらを見ているのが視界の端に映ったが、沙織はカイジに一瞥もくれず、そろそろと有賀に近づいていった。
足が震える。恐ろしい。立っているのもやっと。
殺人鬼。恐ろしい。恐い。だけど、殺されるのは嫌…もっと嫌…
有賀は、沙織の怯えた様子を愉しげに観察していた。
目に涙をためて、恐ろしさのあまりこちらを向かず、ふらつく足元を見ながらゆっくりと歩いてくる。
とても飼い慣らしやすそうだ…本人の言うとおり、少しの間なら奴隷として使ってやってもいいかもしれない。
…少しの間だけなら、ね…うふふ…!
有賀は油断していた。
ふと、銃を持つ手元に目をやった。
そのとき、一閃っ………………!!!
「グワッ…!!」
一瞬、何が起こったのか有賀には分からなかった。
左目に鋭い衝撃……!
「!?」
反射的に銃を構えなおそうとする…その刹那、視界が真っ赤に染まった。
何 が 起
カイジはその瞬間をはっきりと見ていた。
有賀がふと手元に目をやった…その瞬間、沙織の右手が振り下ろされた。
有賀は奇声を発して左目を手で抑えた。
有賀の指の隙間から、沙織は何かを勢いよく突き刺した。
沙織の左手は相手のヘルメットの淵をつかみ、右手は何か細い棒のようなもの…
それを、有賀の指の間から突っ込み、根元まで押し込んだ。
有賀の指の間から、赤いものが流れ出した。
血だ。
鮮血はボタボタと垂れ落ちた。
有賀の銃はあさっての方向に向き、弾を放出した。
バラバラッと数発。
ゆっくり、有賀は膝をつき、倒れこんだ。
まるでスローモーションのように。
真っ赤な視界の中で、カイジって奴と女が鮮血を飛び散らせて倒れこむのが見えたんだ…
愉悦… 愉悦… 興奮… 愉悦…
愉しい…人を殺すのは、こんなにも愉しいっ…!
うふふ… あはは……… は…… は
カイジはゆっくりと、足を引きずりながら沙織に近づいていった。
沙織は、有賀の死体のそばで座り込んでいた。
「……田中さん…」
「……………」
返事がない。
うずくまったまま、肩が時折震えるのが見えた。
カイジは有賀の死体を見た。
有賀の横顔。左目に深く突き刺さっていたのは…見覚えのある物。
普段は筆談用に使っていた、通常支給品のペン。
カイジは足の痛みをこらえながらしゃがみ込み、沙織の肩に手を置いた。
沙織は嗚咽を漏らした。恐怖でも怒りでもなく、ただ悲しみが伝わってきた。
「……っく……っ……………ううっ…!」
「田中さん」
「……う……うう……!殺した……私……人殺し………殺した…!」
「田中さん、俺もだ」
「……………」
「この状況ではこうするしかなかった」
「……………」
「二人で殺したんだ…」
「……………」
「……ありがとう」
「……自分のためにやっただけよ」
「それでもいい…助かった」
「………あなたが、『この殺人鬼は二人とも殺すつもりだ』って教えてくれなかったら、一人で逃げてたわ」
「……………」
「でも……あなたは……最後まで、私を庇おうとしていたでしょう………」
「……………」
「一人なら、とてもこんな度胸なかったわ……。
一人なら……、自分だけが助かりたければ、目先の安全しか見えない…。
だから、…きっと殺されてたわ……………」
「………ありがとう」
「………お礼を言われるようなことじゃないわ…」
「人間らしくいてくれて………、ありがとう」
沙織はカイジのほうに目を向けた。
沙織の目から、涙がぼろぼろとこぼれ落ちた。
……………………
しばらく経って、沙織は深呼吸をした。
「行きましょう」
カイジは頷いた。
「こいつの荷物も持って行きましょう…マシンガンは使えるわ」
「ああ」
「あと、どこか隠れられるところに…、足の手当てもしないと」
「うん」
「歩ける?」
「…なんとか、ゆっくりなら」
「幸い…日も落ちてきたし、見つからぬよう…音を立てないように注意して移動すれば、なんとかなるわ、きっと」
二人は荷物をまとめると、ゆっくりと歩き出した。
***
【C-4/アトラクションゾーン/夜】
【伊藤開司】
[状態]:足を負傷 (左足に二箇所)
[道具]:支給品一式×2、果物ナイフ、ボウガン、ボウガンの矢(残り十本)
[所持金]:1000万円
[思考]:身を隠せる場所を探す 仲間を集め、このギャンブルを潰す 森田鉄雄を捜す
赤木しげる、一条、利根川幸雄、兵藤和也、平井銀二に警戒
※平山に利根川への伝言を頼みました。
※2日後の夜、発電所で利根川と会う予定です。
【田中沙織】
[状態]:健康
[道具]:支給品一式(ペン以外)、サブマシンガンウージー 防弾ヘルメット、参加者名簿
[所持金]:7800万円
[思考]:カイジの足の手当てができる場所を探す 死に強い嫌悪感 森田鉄雄を捜す
赤木しげる、一条、利根川幸雄、兵藤和也、平井銀二に警戒
【有賀研二 死亡】
【残り 29人】
***
以上です。
投下乙!
ついに有賀死亡…!
今まで大勢殺してきた弱い女性に殺されたってのも皮肉なもんだなあ。
二人で殺した…のくだりが重く、切なくていいですね。
田中は看護婦だし手当ては上手そうだ
カイジ怪我に負けず頑張れ!
乙ー!
有賀死んだか・・・
マーダーを一人始末できたってのは大きいね
沙織とカイジ意外といいコンビかもしれない
お疲れ様!
佐原の落ちる場面を思い出してピンと来るって描写が嬉しい。
面白かった・・・!
有賀も有賀らしく死んで良かった。全員が個性を発揮した上での奇跡だ。
でも、他にマーダーっていたっけ? これからどれだけ生まれてもおかしくないけど
超乙です!!
有賀が死んだのはちょっと惜しい気もするけど、原作だと案外弱かったからな……
カイジ沙織コンビには頑張ってもらいたい
>>458 またマーダーが生まれたら面白くなりそうだよね。
片鱗があるのは一条とか三好とかかな。
一条はちょっと違うか。
お疲れ様です!
赤木に似ている
原田克美が平井銀二に対して抱いた印象である
今現在このバトルロワイアルに参加しているあの青年に、ではない
自分の言葉通り生きる事を唯一の誇りとし、己が己である為に自ら命を絶った赤木に。今は亡き赤木にしげるに彼は似ているのだ
銀二と赤木
たしかに背格好や年齢など近いものはある。修羅場をかい潜ってきた人間が持つ特有の匂いも共通している
しかし
この男は
この銀二という男は裸足で土の上を歩いたりはしないのだろう。敢えてそのような無為を働くタイプの男には見えない
ならば
銀二に老いた赤木の幻影を重ねて視ているのに過ぎないのではないか
そんな事を思う
こんばんは!冒頭部分の修正のサンプル?です
皆さんのアドバイスを元に、こんな感じで続けてみようかと思ってるんですが
文章を凸凹にして、「〜た」をなくして、「思った」をなくしました
「圧倒的○○」や「……っ!」はまだですが、必ずどこかにいれます!
あとしたらばの方の教えてくれた表現も引用しました!
おかしなところを教えてもらったら全体を修正してあちらに移動しようとおもっています!
トリ打ち間違いました!
ごめんなさい!
>>461 お疲れ様です
まだ本投下でないときはしたらばでやった方がいいと思いますよ
>>461 驚いた・・・。
かなり良くなってる。正直、やれば出来るんじゃねーかコノヤロウと思いました。
あとは句点を使うか使わないかを統一したほうがいいんじゃないかな。
全部の文の最期に「。」をつけるか、つけないならつけないで改行するポイントを練り直したほうがよさそう。
とりあえずしたらばに移動しましょう。
あっちで待ってます。
書きたい気持ちもリレー小説の経験もありますが、福本ロワは敷居が高そうですね。
某所の執筆者ランキングにはいるまで止めておきます。
>>461 乙!めきめき成長していらっしゃるw赤木の描写が丁寧になっててよい。
アドバイスが役に立ったようで何よりです。
>全部の文の最期に「。」をつけるか、つけないならつけないで改行するポイントを練り直したほうがよさそう。
私もそう思います。
言い切りで力強い文なので、その都度「。」で止めたら、読みながら一拍置く感じになって良いと思う。
したらばで続き待ってます!
>>461 ちょっとどうでも良いけど、福本漫画的には「……っ!」じゃなくて「っ……!」な。
結構良くなってると思うからその調子で頑張ってくれ!
>>465 書きたい気持ちがあるならそれが一番だと思う。
上の方にも少しあったけれど、お互い真摯であれば認められるし、そういう意味では良心的な人が多いんだ。
向上心を持っているなら尚更やりがいはありそう。
でもわからないでもないかな? 新規で書こうっ…!って踏み切れない気持ちはorz
さて。
さてさて此処に二人の御仁が居ります。
一人はウェーブのかかった髪を振り乱し、何やら興奮した様子で御座います。
もう一人は顔に傷のある男で、此方も動揺しては居りますがまあそれでも幾分かは落ち着いて居ります。
場所はアトラクションゾーン。分かり易く云えば遊園地で御座います。
「て・・・天さんっ・・・早くここから移動するざんすよっ・・・!今の放送聞いたんざんしょっ・・・!ここにいたらワシらはっ・・・」
「分かっている・・・分かっているから少し黙ってくれっ・・・」
「しかし・・・」
傷の男がジロリと睨みますと、興奮していた男は口をつぐみました。
此の男、名を村岡と申しまして裏カジノのオーナーをして居りましたが、今や無一文。人生色々で御座いますな。
傷の男の方は天貴史。動揺と云うよりも、落ち込んでいると云った方が宜しいかも知れません。
その憂いの元と云うのがね、村岡がさっき申しておりました、放送。此れで御座います。
放送で呼ばれた標と云う名。この放送で名を読み上げられるというのはね、死を意味するんで御座います。
標とは長い時間ではないが、行動を共にして居りました。その上、恐ろしい殺人鬼が いるかも知れないってのに行かせちまった。まだ年端もいかない子供だってのに。
それで死なれた日にはもう、後悔してもしきれません。
「・・・・・・」
「・・・ワシは行くざんすよ・・・こんな所で死ぬのはゴメンざんす・・・一刻も早くここから移動しないと・・・」
首輪が爆発致します。そういうルールなんで御座います。このバトルロワイアルってのは、まったくふざけておりますな。
いやはや狂気の沙汰で御座います。
ともあれ、二人は移動を開始します。天とてその場にいちゃあ首輪が爆発して御陀仏って事は充分承知して居りますから。
暫く歩いておりましたら、建物の影から一人の男が姿を現し二人の前に立ちはだかりました。
「よう、社長・・・」
「ぼ・・・坊っちゃん・・・!?」
「知り合い・・・なのか・・・?」
その男、兵藤和也で御座います。別名サド・マシーン。
「一緒に連れてってやるよ社長・・・」
実に堂々としております。もう、堂々通り越して傲岸不遜。まったく、親の顔を見てみたいもんですな。
まあ分かっとるんですな、村岡は自分に絶対服従、毛程も逆らわないって事を。
その上展望台から見ておりましたから、天が危険な人間じゃない事も知りました。
実は和也、他人が苦しむ様を楽しむ為だけにあの展望台に登ったんじゃない。勿論それもありますがね。こうやって使える人間を見つける為でもあったんです。
「も・・・勿論ですとも坊っちゃんっ・・・!この村岡隆、例え火の中水の中!どこへだってお供しますっ・・・!」
まるで犬ですな。千切れんばかりに尾を振っています。
じゃあさ、そう言った和也はニヤリと笑います。
「ソイツ殺せ・・・」
「・・・え・・・?」
「オレと来たかったらソイツ殺せよ・・・」
村岡、ゆっくりと天を振り返ります。
この展開に天は目を見開いて居ります。
村岡は武器の一つも持っていない。だから殺るってんなら素手でいくしかない。
じりじりと天ににじり寄ります。震える体で。
「やめろ村岡っ・・・!」
しかし村岡は止まりません。涙と汗と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにしながらも天に近付いていきます。
「クソッ・・・!てめえがオレを殺すってんなら、オレがてめえを殺すっ・・・!」
そう威嚇して鎖鎌を構えますが、村岡は歩みを止めない。
天は数歩下がります。
カカカッ・・・
唐突に笑い声が響きます。
「もう、いいよ社長・・・充分だ・・・。こんなところでチンタラやって首輪が爆発すんのはご免だしな・・・」
「は・・・はあ・・・」
「じゃあ社長行くぞ・・・」
「ハ・・・ハイッ・・・!」
「ああ・・・そうだ・・・アンタも一緒に来るかい・・・?」
「ふ・・・ふざけるなっ・・・!」
「そうかい・・・そりゃ残念・・・」
和也は本気で村岡に天を殺させるつもりはありませんでした。
まあ、試したんですな。村岡が自分に逆らわないのは前提で御座いますが、その忠誠はどれ程のものか。
それに、村岡には武器が無い。易々と人は殺せませんし、せっかくの仲間、もとい犬を台無しにするのも勿体無い。使えるものは使います。
という訳で和也は村岡を引き連れてさっさと行ってしまいました。
あとには一人、天が残された次第で御座います。
したらばに最後まで投下されてましたな。規制かかったかな?
投下乙!ナレーション読んでてからくりサーカス思い出した。
坊ちゃんが実に坊ちゃんらしい。
社長も実に社長らしい。
また今までと違う語り口のが投下されたなぁ。
ここの書き手さんたちは幅広いね。
投下乙です。自分は京極夏彦の豆腐小僧を思い出したよ
この書き手さんは今後も作品投下してくれたら、すぐ分かるなw
面白い文体だな。リレー小説はこういう所も面白い
konn
479 :
◆/Ah5m4k50w :2009/01/26(月) 22:23:54 ID:/6CR2h5m
投下します。
480 :
人間として ◆/Ah5m4k50w :2009/01/26(月) 22:27:32 ID:/6CR2h5m
「すみません、少し気持ちの整理をしてもいいですか……?」
一回目の放送後、沢田にそう申し訳なさそうに断ったのは宇海零だった。
沢田は了承の意をこめて零の背中を軽く叩く。
先程の放送で『標』と『末崎』……そうはっきり告げられた。
即ち死……!!
なんと声を掛けていいかわからず、そう対応するほかなかったのだ。
「すぐに戻ります。……すみません」
なんて大人びた表情をする子だろう……。
徐々に小さくなる零の背を見ながら、沢田は改めて主催者に強い怒りを感じていた。
零は沢田から少し離れた森の中、細く長い木にうなだれるようにもたれかかっていた。
元々、宇海零という人間の精神は強いほうではない。
勝負の場では至極冷静だが、今は違う。
その緊張の糸が強制的に断ち切られたのだ。
頼りにしていた人物の死……!!
混乱……焦燥……不安……。
様々な思いが巡る中、それは突然起こった。
481 :
人間として ◆/Ah5m4k50w :2009/01/26(月) 22:29:03 ID:/6CR2h5m
「っ!!!!?」
突如足元が抜けていくような感覚。
零が体をあずけていた木が、重みに耐えきれず折れてしまったのだ。
運が悪いことにその先は急斜面―……!!
折れた幹をなんとか掴み、落下は免れたはいいが、この腕で長時間全体重を支えられるとは考えられない。
この急斜面、深くはないがとても無傷で転べるものではない。
それに今の零にとって沢田との連絡を取る術を持っていないのはあまりに痛すぎる。
……この状況、普段の零からは考えられないようなミス……!!
追い詰められた思考が零を支配していく。
イチかバチか大声を出すかっ……!?
沢田さんは近くにいる……周りに人がいるような様子じゃなかった……!!
いけるっ……!!
「……っ……」
音は声帯を通り越し出かかっている。
だが、零は自分に言い聞かせるように頭を二度、大きく振った。
ダメッ……!!ダメダメッ!!何故そんなことが頭に浮かぶんだ!!!!
敵に位置を教えるような危険行為選択肢にあげてどうするっ……!!
それにもし、もし沢田さんにまで危害が加わるようなことがあれば……!!
脳内を巡る最悪の事態に、どっと冷や汗が吹き出る。
482 :
人間として ◆/Ah5m4k50w :2009/01/26(月) 22:30:07 ID:/6CR2h5m
沢田さんっ……!!
誰か……!!誰かっ……!!
いや、人、人間っ……!人間だっ!!!ちゃんとした人間っ……!!
頼むっ……人間っ……!!!!
望まない人間は……見るなり襲い掛かってくるだろう。
零は万に一つも起きないような希望に縋るしかなかった。
工藤涯はただひたすらに走り続けていた。
「……はっ………はっ……」
目を開けた涯を待ち受けていたのは意味のわからない世界だった。
何故、死ななかったのか。
何故、自分を殺そうとしていた奴が必死で何かを伝えようとしていたのか。
確かに殺された。
否、殺されていた。
なのに何故あいつは俺を……。
赤松の制止を夢中で振り切り……赤松に追いかける気力がなかったというのが正しいのだが、ただ、走っていた。
混濁する意識の中、うまく回らない頭とうまく使えない手足を動かしている。
文字通り命かながら荷物を持ち、ここまで誰にも会わなかったのは正に不幸中の幸い。
だが当の本人はそんなことに気付く余裕もなく。
483 :
人間として ◆/Ah5m4k50w :2009/01/26(月) 22:30:42 ID:/6CR2h5m
ふと、微かな声が聞こえる。
涯は体を小さく抱え、様子を伺った。
目が捉えたのは―……手。
数メートル先にその声の主と思わしき手。
それは必死に生を掴もうと細い木に縋りついていた。
瞬間、頭で考えるよりも先に体が動いてしまった。
「おいあんたっ……!!なにしてるんだ……!!」
涯は思わずぶら下がっている手を掴み、必死に引き寄せる。
必然的に交わされる視線。
その目はいきなり現れた涯を信じられないといった様子で大きく見開かれていた。
しまった!!罠かもしれないっ!!
息をのめど時すでに遅し。
涯を恐怖が支配する。
背中から撃たれるかもしれないんだぞ……!!何をやっているんだ俺はっ……!!
今までの行動を考えれば自殺行為そのもの……!!!!
だが、それは人間としてのココロ……。
混濁した意識は涯という”人間”を引きずり出していた。
484 :
人間として ◆/Ah5m4k50w :2009/01/26(月) 22:31:44 ID:/6CR2h5m
「…ひ…っ……!!」
突然。
引き寄せたそれは、いきなりぼろぼろと涙を流し始めた。
幼子が泣くように声をあげて。
「お、おいっ……大きな声を出すなよっ……!!」
咄嗟に口を塞ぐが、呼吸を乱しながらただ泣いている。
自分より年上であろうそれは微かに震えていた。
まだ危険ではないと決まったわけではない…が涯は周りを窺う余裕などなく慌てるように言葉を早めた。
「泣くな、泣くなってっ……!!何もしないっ……!!」
……そうだ、俺は何もしないっ……。
しないんだっ……!!
3分はたっただろうか。
思う存分に泣いた零の、靄のかかった感覚が覚醒してくる。
「っ…………、ごめんっ……」
不意に溢れたのは生への安堵か。
それとも……。
突如現れた目の前の少年はただ不器用に背中をさすってくれていた。
485 :
人間として ◆/Ah5m4k50w :2009/01/26(月) 22:32:56 ID:/6CR2h5m
「……あのっ……助かりました……!!本当に……!……ええと、俺は宇海零……です。あなたは……?」
「……工藤涯」
零は足を踏み外してしまったことと、泣いているところを見られるというWボケを起こしてしまったせいか、窺うように涯を見た。
短髪の少年は笑いもせず、零から視線を外していた。
……助けてもらっておいてこんなことを言うのもなんだが、お世辞にもいい人そうには見えない。
でも……。
少年は助けてくれた。
巻き込まれるかもしれないのに手を差し伸べてくれた。
助けなければ宇海零という敵を減らせたかもしれないのに……。
殺しはせずとも見捨てれば関係のないことなのだ、このゲームに乗った者に人の死など。
落下。
直接的であれ間接的であれ、助けてもらわなければ零は死んでいただろう。
あの場面で助けて後に殺す、というのは一番リスクが高い選択のはず……。
……それに。
このゲームが始まって、零が言葉を交わしたのは平井銀二、鷲巣巌、沢田、名も知らぬ黒服の連中。
沢田という好意的な仲間がいたのは幸運だったが、皆自分より年齢を重ねた者達ばかり。
零は同年代と思える少年に会えたことが嬉しかったのだ。
……よしっ……!!
零は意を決し、自分の生を繋いでくれたこの少年を作戦に誘うことを決した。
敬語を使わなければ失礼か、とも考えたが感情が溢れ出す。
「君に、聞いてほしいことがあるんだっ……!!」
486 :
人間として ◆/Ah5m4k50w :2009/01/26(月) 22:33:45 ID:/6CR2h5m
対、主催者……!?
涯は目の前が真っ白になった。
零が発した言葉のひとつひとつが脳内に突き刺さるようで。
浮かばなかった考えが次々と伝えられる。
涯の頭に浮かぶのは……生還、という二文字。
「近くで沢田さんって人が待ってるんだ。話を聞いてくれるだけでいい。もし信じられないなら俺を人質にしてもいい……!!だからっ……一緒に行動しないか……?!!」
感情を抑えられないように必至に涯を繋ごうとする零。
その声は届け、届けと祈っている。
「このゲームは狂気の沙汰を超えている……何故殺す殺される……!?皆、人間なのにっ……!!!!俺たちは人間だ、人間なんだっ……!!」
人間……!!
それは涯の望む孤立と、自由の根本にあるもの。
このゲームが始まって初めての言葉に、涯は覚悟を決める。
「…………人質は、いらない」
「……!!本当っ……!!?」
うなずく涯に、零は目を輝かせた。
「…ん…?……っ!!!」
会話の中で徐々に落着きを取り戻した零は、涯の学生服に随分血が付いていることに気づく。
そして、生々しいそれを見つけるや否や飛びかかるように襟を掴んだ。
487 :
人間として ◆/Ah5m4k50w :2009/01/26(月) 22:34:18 ID:/6CR2h5m
「これっ……どうしたの、首の……!!」
「……殺されそうになった」
「なっ……!!」
殺されるという単語に過剰に反応する零。
涯はふうとため息をつくと、できたばかりの擦り傷をさすりながら零を見やる。
「……俺が死んでたらあんたの所為で怪我することもなかったのに」
零は一度目を見開いて一瞬考える。
が、涯の言わんとすることを汲み取り笑いを抑える様に手を口元にやった。
「ごめんごめんっ……!!感謝してるよ……!!」
「手は濡れるし」
「うっ……もういいだろ、その話はっ……!!」
ああ、こんなくだらないことを言うなんて。
……最も万人に喜ばれるようなものではないけれど。
「あ!あの……工藤……君」
「…………涯でいい」
「涯、君……」
「…………涯、でいい」
「あ……ええと、涯……」
零はなにやらもたもたと言葉を探しているようだったが、涯をちらりと見やり照れくさそうに笑った。
488 :
人間として ◆/Ah5m4k50w :2009/01/26(月) 22:34:47 ID:/6CR2h5m
「ありがとう」
その行動に涯は面を食らい立ち尽くした。
「最初に言うことだったのに……ごめん。嬉しかった。そうだ!怪我、治療しなきゃっ……!!」
こっち、と自分に背中を向け歩き始める零。
涯は言葉を理解しようと反芻する。
ありが……とう……。
その瞬間、溢れる人間としての感情。
もうそれを演技だとは疑えなかった。
そう思うにはその行動はもとより、出会いから零は無防備すぎたのだ。
自分の方も言えたことではないが……。
今涯の脳内を支配しているのは疑うとか疑わないとかそういうことじゃなく、ただ―……恐れだった。
もし俺が……人を殺した……殺したと知られてしまったら……。
まず間違いなく宇海零は工藤涯を信頼しなくなる。
そうすれば作戦の枠から外されるのはもちろんのこと、殺し合いではなくとも次に会えば争うことになるだろう。
さる・・・?いちおう支援
ああ、素晴らしい。良作だなあ。
なんだろう、久々に心が洗われる感じだ。癒された。
ナイス書き手。素晴らしい書き手。
あなたのような人を待っていた。
救世主と呼ばせて下さい。
本当に美しい。あなたの心が。
これこそリレー。ありがとう。
491 :
人間として ◆/Ah5m4k50w :2009/01/26(月) 23:36:01 ID:/6CR2h5m
いや……理由をきちんと説明すれば……!
理由がつけば殺していいのか。
殺意―……それは恐怖。
先程痛いくらいに感じたばかりだ。
殺意の前ではそんなことはただの綺麗ごとにすぎない。
結果論からいえば殺意の反対は100%の正当防衛。
だけど、その行為は……。
わかってるさ……わかってるっ……!!
交差する感情。
宇海零からの信頼がなくなることが怖いのか。
作戦から除外されることが怖いのか。
結果は同じだが明らかな人間性の……違い。
「……ありが、とう……」
14歳の少年は呟き、傷を負ってなどいない左胸を押さえた。
492 :
人間として ◆/Ah5m4k50w :2009/01/26(月) 23:36:40 ID:/6CR2h5m
どこだっ……少年っ……!!
その頃、赤松修平は額に汗をかきながら涯を追っていた。
何故意識朦朧としていた少年を赤松が何故引き留められなかったか。
勘違いでも己が殺そうとした少年―……涯の目を見て話すことを一瞬躊躇してしまったのだ。
死ぬなっ…、死なないでくれっ……!!!!
赤松は涯の安否を心配しつつ、足を進めた。
493 :
人間として ◆/Ah5m4k50w :2009/01/26(月) 23:37:15 ID:/6CR2h5m
【E-3/森/夕方】
【宇海零】
[状態]:顔面、後頭部に打撲の軽症 両手に擦り傷
[道具]:麻雀牌1セット 針金5本 不明支給品 0〜1 支給品一式
[所持金]:0円
[思考]:対主催者の立場をとる人物を探す 標、末崎の死を現実として受け止める 涯を仲間にする
【工藤涯】
[状態]:右腕と腹部に刺し傷 他擦り傷などの軽傷 新しく手に擦り傷 精神不安定
[道具]:フォーク 鉄バット 野球グローブ(ナイフによる穴あり) 野球ボール 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:生還する 宇海零に殺人がばれることを恐れる 沢田と話す
【沢田】
[状態]:健康
[道具]:毒を仕込んだダガーナイフ ※毒はあと一回程度しかもちません
高圧電流機能付き警棒 不明支給品0〜4(確認済み) 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:対主催者の立場をとる人物を探す 零を心配している 主催者に対して激しい怒り
【赤松修平】
[状態]:健康 腕に刺し傷
[道具]:手榴弾×9 石原の首輪 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:できる限り多くの人を助ける 宇海零を探す 工藤涯を探す
乙です!!
涯と零……年も近いし良い仲間になれるといいな
あと、放送後だと時間は夜のなると思います
余計なお世話だったらすみません
乙です!零のWボケに思わず噴いてしまった
涯は今後えらい苦悩しそうだな…
乙
少年誌組がんばれ・・・!
ああ。てっきり残りはしたらばと思ってたら割り込みになっていた。申し訳ない。
バランス感覚の優れた方の作品は読んでいて実に晴れ晴れとします。正に一筋の光。浄化の光。
重ねて感謝。是非とも今後も活躍して頂きたい。
乙です!
零と涯の心理描写が良かったです。
奇をてらわず丁寧な表現はやっぱり見ていて安心できます。
499 :
◆/Ah5m4k50w :2009/01/27(火) 00:19:45 ID:kcL6IHy7
テンポの悪い投下となりましたことをお詫び申し上げます。
支援や乙、ありがとうございます!
>>490 嬉しくて涙が出そうです、本当に、本当に。
名前も知らないあなたが読んでくれたことを嬉しく思います。
>>494 ご指摘ありがとうございます。
すみません…!あなたのおかげで間違いに気づけました…!
不謹慎ながら一行一行読んでくれているということが嬉しかったです。
すぐに修正します。
読んでくださった方、本当にありがとうございました。
感想をいただけることは書き手にとって至上の喜びです。
また参加できることを願って…乱文にて失礼いたします。
500 :
人間として ◆/Ah5m4k50w :2009/01/27(火) 00:21:52 ID:kcL6IHy7
【E-3/森/夜】
【宇海零】
[状態]:顔面、後頭部に打撲の軽症 両手に擦り傷
[道具]:麻雀牌1セット 針金5本 不明支給品 0〜1 支給品一式
[所持金]:0円
[思考]:対主催者の立場をとる人物を探す 標、末崎の死を現実として受け止める 涯を仲間にする
【工藤涯】
[状態]:右腕と腹部に刺し傷 他擦り傷などの軽傷 新しく手に擦り傷 精神不安定
[道具]:フォーク 鉄バット 野球グローブ(ナイフによる穴あり) 野球ボール 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:生還する 宇海零に殺人がばれることを恐れる 沢田と話す
【沢田】
[状態]:健康
[道具]:毒を仕込んだダガーナイフ ※毒はあと一回程度しかもちません
高圧電流機能付き警棒 不明支給品0〜4(確認済み) 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:対主催者の立場をとる人物を探す 零を心配している 主催者に対して激しい怒り
【赤松修平】
[状態]:健康 腕に刺し傷
[道具]:手榴弾×9 石原の首輪 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:できる限り多くの人を助ける 宇海零を探す 工藤涯を探す
501 :
◆/Ah5m4k50w :2009/01/27(火) 00:23:32 ID:kcL6IHy7
以上、修正分です。
連続の書き込みすみません。
失礼致します。
うまいw速攻保存した
>>502 うめえええええwww
思わず本人乙と言いそうになったw
505 :
マロン名無しさん:2009/01/27(火) 13:29:04 ID:CeSCsgtv
乙です!100万回保存したっ……!
引っ込ませない…!是非描いてもらいたい、アカギを…!!
>>502 光の速さで保存しますた!
気が向いたらで良いので是非アカギとダメギと銀王も・・・!!
>>502です。
レスあったけぇ…
こんなやっつけ絵見てくれてありがとう
赤木と銀さんとダメギ了解。あと鷲巣描く。
ただやはりスレチなので次描いたしたらばにスレ立てて出そうと思います…
期待してるよー
そうか、したらばにはこういう活用方法もあるんだな。
だれでも投下おkなスレだったら絵師がドっと増える予感。楽しみ。
>>469-473を書いた者ですが、破棄をお願い致します。
理由と致しましてはどうにも毛色が違いすぎる、と・・・。
矢張リレー小説である以上、このような協調性を欠いたスタンドプレイは控えるべきで御座いましょう。
大変申し訳御座いませんでしたm(_ _)m
>>509 破棄にする必要はないと思うけど…ちょっと勿体ないな…
>>509 あらら…すごく面白かったのに
毛色が違うことを心配されるなら、ナレーション部分を修正とか
まぁ…書き手さん次第ですが…
>>509 破棄しちゃうんですか?ナレーションは目玉おやじの声で再生されたし、ストーリーは気にいってましたので残念です。
>>509 破棄する必要はありませんよ。文章は日本昔話みたいで、バトロワとはあわなそうに思いますが、意外と良い味出していたのに…
勿体無いけど本人が破棄って言ってるんだしそれに従おうぜ
周りがどうこう言ってもどうもならん
次回作に期待してます
皆様の暖かい御言葉心に沁みました。有り難う御座います。
しかし一度破棄すると明言した以上、それを翻すような真似はしてはなりません。吐いた唾を飲むような卑しい事をして人様に御不快を与えてもなりません。
重ねて皆様にお礼申し上げます。それでは失礼致します。
馬鹿野郎
いいじゃねえか。唾のんでもよ
熱い唾なら上等よ
次回作楽しみにしてるからな
生きるために保守…!
518 :
マロン名無しさん:2009/02/03(火) 20:45:37 ID:Qi0BUEn0
あげ
519 :
◆uBMOCQkEHY :2009/02/03(火) 22:29:50 ID:1Eb6zm/b
はじめまして。初めて、本スレに投稿するものです。
今回、/Ah5m4k50w氏の「人間として」の少し前に当たる赤松さんサイドの話であり、
一時投下スレの方達のご意見によって、何とか完成させることができました。
ある意味、後付設定で、「人間として」を読んで、心が暖かくなったというか、心の小宇宙が燃えた結果、生まれた物です。
小宇宙と文章力が反比例していますが、最後まで、読んでいただけると幸いです。
520 :
未来への標1/8:2009/02/03(火) 22:32:13 ID:1Eb6zm/b
涯はうっすら目を開けた。
「大丈夫か・・・?」
「あっ・・・」
涯は小さく声を漏らした。赤松は肩を撫で下ろした。この少年は助かる。
赤松は後方を見つめる。そこには、標の亡骸があった。
標はこの地で死に場所を求めていた老人に聞きたい事があると言って、赤松と別れた。
しかし、嫌な予感にかられ戻ってみると、既に標は何者かによって殺され、
その傍らには少年が立っていた。
標の死因は銃火器によるものであり、鞄もすでに持ち去られていた後であったため、
目の前の少年の犯行でないことは察したが、
その時は頭に血が上り、気づいたら、少年の首を絞めていた。
幸い、すぐに人工マッサージを施したので、涯の意識は回復したが、赤松は自分の愚かな行動を悔い続けていた。
その時だった。赤松の視界が大きく動き、頭や腕に打ち付けられたような痛みが走る。
「えっ・・・」
目の前には舗装されたアトラクションゾーンの道路が広がり、それに顔をこすり付けている。
赤松は涯に弾き飛ばされ、地面に叩きつけられたのだ。
涯は赤松から離れると、脱兎のごとく駆けだした。
「あっ・・・!」
赤松は転がったまま、涯に手を伸ばすも、その後姿は見る見る内に小さくなっていく。
「あぁ・・・走れたんだ・・・」
赤松は伸ばした手を下ろした。
涯に動ける気力があったということは、赤松に一種の安心感を与えてしまった。
本来の赤松なら、涯を呼び止め、なぜ、自分が首を絞めてしまったのか説明し、涯を落ち着かせていただろう。
しかし、今の赤松は、殺し合いというゲームに参加していることからの疲労感、標の死、誤解とはいえ、涯への殺意、
これらによって、神経が極限にまで磨り減ってしまい、それが涯を呼び止めるという判断を鈍らせ、
結果、誤解を解くという機会を失わせてしまったのだった。
赤松は薄暗くなっていく景色と涯をただただ見守るしかなかった。
521 :
未来への標2/8:2009/02/03(火) 22:33:29 ID:1Eb6zm/b
その時、赤松に一つの考えが浮かんだ。
あの少年も生きていたのだから、さっきの標の死は誤認で、実は生きているのではないかと・・・。
赤松は起き上がると、標の亡骸に近づき、首元に触れる。
やはり、脈はすでになく、体は少しずつ熱が冷め始めていた。
赤松は標の亡骸を抱きかかえ、それをアトラクションゾーンの端にある茂みの中へ隠した。
標をあまり人目に触れさせたくなかった。
人は死体を自分の死と連想させてしまうのか、生理的に忌み物として見てしまう。
このゲームで最後まで戦ってきた少年をそのような目で見てほしくはなかった。
「標君・・・」
赤松が抱きかかえている肉体は、もはや標ではない。
しかし、赤松にはまだ、人格が宿っているような気がした。
離れてしまうと、標は寂しい思いをするのではないのか。
できれば、そばにいてあげたかった。
赤松は標のズボンのポケットのふくらみに気づいた。そこには標の支給品であるモデルガンが入っていた。
赤松は知らないが、標は殺人を快楽とする、マーダー有賀によって、殺された。
有賀は標のリュックを持っていったものの、その目的は殺人であり、
標が直接、身に付けているものまでは、興味が回らなかったのだ。
せめて、これを肌身離さず持ち歩けば、標の側にいてあげることの変わりになるのではないのか。
そう考えた赤松はモデルガンを静かに握り締める。
その時、殺伐としたこの地に相応しくないクラシックが流れ始めた。
ショパンの円舞曲である。
その曲と共に、ノイズ音と男性の声が聞こえてきた。
『・・・あー・・・諸君、ご苦労。黒崎だ。ただ今から、第一回の定時放送を行う。
復唱はしない・・・各々集中して聞いてもらいたい。
・・・よろしいか・・・・・・・・・・・
522 :
未来への標3/8:2009/02/03(火) 22:35:54 ID:1Eb6zm/b
放送は伝えている内容の重大さを感じさせないほど、淡々と要件だけ並べてしまうと、何事もなかったかのように、終了してしまった。
「黒沢君の名前はなかったか・・・」
標の名前が読み上げられた時は、胸が締め付けられたものの、知り合いの名前が挙げられなかったことに、赤松は安堵の表情を浮かべた。
自分はこれからどうすればいい。
今の赤松の思考はどこか霞がかかったようにぼんやりとしていて、足は泥沼にはまってしまったかのように動かせない。
かろうじて、己という人格を保っていることが仕事のような状態である。
赤松は無意識のまま、標のモデルガンを左の胸ポケットにしまおうとした。
カサッ・・・。
右利きの人間は両胸にポケットがついている場合、腕を無理に曲げる必要がない、左側に物を入れてしまう傾向がある。赤松とて、それは例外ではなかった。
裏返せば、よく出し入れしていたものがそこに入っていた。
赤松はその中の物を取り出してみた。
それはメモ帳だった。
赤松はこのゲーム開催中、自分が見たこと、聞いたこと、ありとあらゆる情報をメモにとっていた。
もともと几帳面な性格も手伝ってか、その内容は重要であるもの、そうでないものに関わらず、
幅の広いものであり、ゲーム開始から6時間程しか立っていないが、メモ帳の半分近くが埋まっていた。
523 :
未来への標4/8:2009/02/03(火) 22:39:31 ID:1Eb6zm/b
その直後だった。
「あっ・・・!」
赤松は信じられない感覚に襲われた。
これは赤松が一生かけてもほかの人に理解されることがない体験だろう。
しかし、赤松には感じたのだ。
後ろから手を回すようにして、赤松の右腕の傷口に触れる柔らかい指の感触、そして、聞き覚えのある声。
『もし、十に一つの時は・・・宇海零・・・
彼に、僕と一緒に見たことを話してみて・・・きっと彼なら分かるはず』
「標君!」
振り返るが、そこに人の姿はなく、生気を感じさせない遊具と闇が広がっているばかりである。
「宇海・・・零・・・」
524 :
未来への標5/8:2009/02/03(火) 22:42:34 ID:1Eb6zm/b
この名前を初めて耳にしたのは、禁止エリアにあるD−1の灯台を確認するため、標と北側一辺を埋める林の脇を進んでいたときのことである。
赤松は何気なく疑問に思っていたことを口にした。
「このゲームには、知り合いは参加しているかい?」
今回のゲームでは、赤松の同僚である、黒沢が参加している。
自分と同じように、標の知り合いも参加しているのではないだろうか。
それに、標は頭の回転が早いとは言え、まだ、子供である。
知り合いと合流した方が心強さを覚えるに違いない。
そのような父性が働いたからこその質問だった。
「知り合い・・・」
標は少し考えこむと、一人の名前を挙げた。
「・・・宇海零・・・」
「宇海零?」
標の話によると、標と同じように、ドリーム・キングダムの試験に参加していた高校生ぐらいの少年らしい。
「彼は・・・頭が切れる・・・」
人質を取られ、密閉された空間の中で問題を解かなくてはならない迷宮のトライアングル、
ゴーグルで目隠ししたまま、四方のエリアの中から、セーフティーエリアを探さなければならないクォータージャンプという難易度の高いゲームを、
標もそうであるが、彼もまた、クリアしているのだという。
「すごいな、それは・・・」
赤松は思わず、感嘆の声を上げる。
525 :
未来への標6/8:2009/02/03(火) 22:44:04 ID:1Eb6zm/b
「けど・・・」
ここで標は否定的な意見を口にした。
「彼・・・頑固なんだ・・・」
予選中、標は決勝で共に組んで戦うため、零に余分なリングを渡そうとした。
しかし、零は自力でリングを取ると言って、その申し出を断ってしまっているのだ。
「差し迫った時間の中で・・・決勝へ進むには・・・
僕からリングを受け取ることが・・・一番確実・・・
それに・・・彼にしても僕にしても・・・デメリットはない・・・なのに・・・」
標は軽くため息をつく。
赤松は表情に乏しい標が見せた呆れ顔に、微笑ましさが混じったような苦笑を浮かべる。
「それは意志が強いってことじゃないかな・・・?」
赤松は零の気持ちが分かるような気がした。
今、零は標を追いかけている状態であり、標からリングを受け取ってしまえば、
自分が標より劣る存在であることが明確になってしまう。
そもそも勝負という物は誰かのおこぼれではなく、自力で勝たなければ、意味がない。
それに、実力が伴わない状態で先に進んでも、今後、生き残ることはできないだろう。
だからこそ、零は生き残るために、標の足を引っ張らないようにするために、受け取ろうとはしなかったのだ。
標は再び、呆れたようなため息をつく。
「それは・・・過大評価だ・・・!
人の言うことや情勢を無視して我を張り続けるあの姿勢・・・
その考えが自分の可能性を殺していることさえ分かっていないっ・・・!」
標の一刀両断の否定に、赤松は再び、苦笑する。何もそこまで言わなくとも・・・。
526 :
未来への標7/8:2009/02/03(火) 22:46:01 ID:1Eb6zm/b
ここで赤松はある提案をする。
「けど、零という少年は頼りになりそうだね。
彼を探して、仲間にならないかと誘ってみるのはどうだろう?」
頭は切れ、欲に目がくらむことがなく、意志が強い。仲間になれば、心強いことこの上ないだろう。
赤松の提案に、標は暫し考え、こう答えた。
「確かに・・・零が・・・この殺し合いに乗るとは考えられない・・・
僕達と同じ考えを持っている可能性は高い・・・けど・・・」
「けど・・・?」
「今・・・彼には彼の考えがあって、行動しているはず・・・
かえって、僕達と合流することで、彼の計画に制限が生まれてしまうかもしれない・・・」
「そうか・・・」
標に匹敵するほど、頭の回転が早い少年だ。
自分達は今、このゲームの穴を探している。
きっと、零も標とは違う糸口から、探しているに違いない。
標の意見に赤松も同意せざるを得なかった。
527 :
未来への標8/8:2009/02/03(火) 22:47:14 ID:1Eb6zm/b
ちなみに、この頃、零は打倒主催者という考えには到達してはおらず、
それどころか、闇のフィクサー銀王こと平井銀二にイカサマ麻雀で挑むも、
逆に返り討ちにされ、所持金は零。
人が恋しくなり、半泣き状態であったことを、彼らは知らない・・・。
標は林の間から見える、真っ青な海に視線を向けた。
「何より・・・もし、志が一緒であれば・・・零とはこの地のどこかで・・・
また、会える・・・そんな気がするんだ・・・」
この時の標の瞳は透き通ったガラス玉のように純美なものであり、その表情は穏やかに感じられた。
赤松は微笑む。
標は予感と言っているが、実際は零という少年に会いたいという希望が、彼に予感という形で呼びかけているのだろう。
自分は標ほど頭が働く人間ではないが、それでも、標の望みが叶うように、努力したい。
「そうだね・・・その通りになるといいね・・・」
しかし、標の予感が当たることはなかった。
528 :
未来への標9/9:2009/02/03(火) 22:48:17 ID:1Eb6zm/b
「あの時の・・・宇海零・・・!」
赤松はメモ帳を強く握り締めた。
ここに書いてあることは、標が見てきたこと、宇海零に伝えなければならないことである。
もう標はこの世にはいない。しかし、標の希望を受け継ぐことはできる。
「うっ・・・」
涯のフォークに刺された腕の痛みが、脳を刺激した。
指の感触を感じた箇所でもある。
赤松は涯の後姿を思い出した。
その直後、後悔という名の凍てついた震えがこみ上げてきた。
なぜ、あの時、あの少年を追いかけなかったのだっ・・・!
あの少年を呼びとめ、目を見て話そうとしなかったのだっ・・・!
涯は先程まで赤松によって、首を絞められていた。
赤松の手を逃れ、逃げ出したが、それは動ける体力があったというだけで、精神が正常なわけではない。
先程の赤松もそうであったが、神経が衰弱した人間は真っ当な判断が欠如している。
己の身を守ることさえもままならない。
今の涯も同じような精神状態のはずである。
このままでは涯は誰かに殺されてしまってもおかしくはないのだ。
乙。赤松→黒沢の呼び方は「黒沢さん」じゃなかったっけ?
530 :
◆uBMOCQkEHY :2009/02/03(火) 23:03:15 ID:3p3WVzlC
申し訳ありません。
重複書き込みのため、エラーとなってしまいました。
続きは明日以降になると思います。
531 :
◆uBMOCQkEHY :2009/02/03(火) 23:10:45 ID:3p3WVzlC
>>529 あっ、やってしまった…。
君からさんに直した修正文を作成して、再度投稿した方がよいでしょうか?
532 :
マロン名無しさん:2009/02/04(水) 01:53:25 ID:6XO8IHhP
まじかるとぅるー
533 :
未来への標10/10:2009/02/04(水) 07:14:15 ID:RNFtAAOO
「あの子を追え・・・ということか・・・標君・・・!」
赤松の目に光が篭る。
自分の使命は一人でも多くの命を救うこと、標の意志を受け継ぐこと。
もう見失わない・・・見失ってたまるものかっ・・・!
赤松は右胸のポケットにはメモ帳、左胸のポケットには標のモデルガンを入れ、リュックを背負った。
赤松にふと、標の言葉が過ぎった。
『もし、志が一緒であれば・・・零とはこの地のどこかで・・・
また、会える・・・そんな気がするんだ・・・』
君の予感が当たるといい。
そう願い、モデルガンが入っている左胸のポケットをぎゅっと握ると、赤松は涯が消えていった方向へ駆け出した。
534 :
未来への標11/11:2009/02/04(水) 07:15:24 ID:RNFtAAOO
【B-3/アトラクションゾーン/夜】
【赤松修平】
[状態]:健康 腕に刺し傷
[道具]:手榴弾×9 石原の首輪 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:できる限り多くの人を助ける 宇海零を探し、メモを渡す 工藤涯を探す
※石原の首輪は死亡情報を送信しましたが、機能は停止していません
※利根川のカイジへの伝言を託りました。
【工藤涯】
[状態]:右腕と腹部に刺し傷 他擦り傷などの軽傷 やや精神不安定
[道具]:フォーク 鉄バット 野球グローブ(ナイフによる穴あり) 野球ボール 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:生還する 今後の行動方針に迷う 赤松から逃げる
【標】
[状態]: 地下王国から出張
[思考]:(赤松に対し)ダメだこいつ・・・何とかしないと・・・
放送は伝えている内容の重大さを感じさせないほど、淡々と要件だけ並べてしまうと、何事もなかったかのように、終了してしまった。
「黒沢さんの名前はなかったか・・・」
標の名前が読み上げられた時は、胸が締め付けられたものの、知り合いの名前が挙げられなかったことに、赤松は安堵の表情を浮かべた。
自分はこれからどうすればいい。
今の赤松の思考はどこか霞がかかったようにぼんやりとしていて、足は泥沼にはまってしまったかのように動かせない。
かろうじて、己という人格を保っていることが仕事のような状態である。
赤松は無意識のまま、標のモデルガンを左の胸ポケットにしまおうとした。
カサッ・・・。
右利きの人間は両胸にポケットがついている場合、腕を無理に曲げる必要がない、左側に物を入れてしまう傾向がある。赤松とて、それは例外ではなかった。
裏返せば、よく出し入れしていたものがそこに入っていた。
赤松はその中の物を取り出してみた。
それはメモ帳だった。
赤松はこのゲーム開催中、自分が見たこと、聞いたこと、ありとあらゆる情報をメモにとっていた。
もともと几帳面な性格も手伝ってか、その内容は重要であるもの、そうでないものに関わらず、
幅の広いものであり、ゲーム開始から6時間程しか立っていないが、メモ帳の半分近くが埋まっていた。
スレの書き込みに慣れていないため、
エラーの連続で、先ほど、投下が終了いたしました。
ご迷惑をおかけしました。
はじめに予定していた文字の量ではエラーが発生してしまうため、
細かく区切ったところ、
気づいたら、タイトルの番号がどんどんずれていき、
最終的にはタイトルの後の番号があまり意味をなさないものと
なってしまいました。
左側の番号が順番です。
>>529様
ご指摘ありがとうございました。
修正いたしました。
まとめスレに載せる時は、修正版の方を載せます。
ちなみに、まとめサイトは誰が更新なさっているのでしょうか?
申し訳ございません。
そのようなこともまったく分からないほどの
初心者なので、教えていただけると、大変助かります。
乙です!!
赤松さんの優しさが滲み出ていていいですね
標は赤松さんを見下してるのか……w
投下乙です
このロワを福本絵で漫画化できる人、誰かいないかなw
投下乙!
したらばのよりすっきりした文章になっていて読みやすく、赤松の心情もよく出ていて良かったです、お疲れ様でした。
>>538 >漫画化
描いてみたいけど量が膨大っ…圧倒的膨大…!
>>539 ちょっとだけでいいから・・・書いて欲しいっ・・・!
>>540 おk
試しに物語の最初のほうからシーン選んで描いてみる
描いたら絵板にあげてみる
ひろ対社長希望
おもしろすぎて徹夜で読んでしまった
リレーなのにクォリティ高杉だろっ…!
544 :
◆uBMOCQkEHY :2009/02/05(木) 08:10:32 ID:wKjr1xZ8
申し訳ございません。
実は今、話に矛盾が生まれないように、時系列表を作成しているのですが、
「十に一つ」を改めて読み直してみて、
標のリュックを持っていったのは市川さんであり、
モデルガンを持っていっていたことに気づきました。
自分の話に矛盾が生じているなんて…。
なんてこった…。
そのため、一旦、「明日への標」は破棄をし、ストーリーは変わらず、矛盾が生じない修正版を改めてアップします。
ご迷惑をおかけして申し訳ございません。
あらら…頑張って
申し訳ございません。前回、「未来への標」を投稿させていただいたものです。
今回、話の矛盾が見つかってしまい、修正しました。
モデルガン関係の描写を削除し、標の遺品はメモ帳に統一しました。
心が熱いままで書いてしまったばかりに、守らなくてはならない最低限のことを
忘れてしまうなんて・・・。
ダメだこいつ・・・何とかしないと・・・は、精神的に徘徊していた赤松さんより、
私のためにあるような言葉・・・。
今、時系列表を作成しており、今度、投稿するときは、今回のような話の矛盾が生まれないように努めます。
本当にご迷惑をおかけしました。
548 :
未来への標1:2009/02/06(金) 07:41:11 ID:7bdUSHv8
涯はうっすら目を開けた。
「大丈夫か・・・?」
「あっ・・・」
涯は小さく声を漏らした。赤松は肩を撫で下ろした。この少年は助かる。
赤松は後方を見つめる。そこには、標の亡骸があった。
標はこの地で死に場所を求めていた老人に気になることがあると言って、赤松と別れた。
しかし、嫌な予感にかられ戻ってみると、既に標は何者かによって殺され、
その傍らには少年が立っていた。
標の死因は銃火器によるものであり、鞄もすでに持ち去られていた後であったため、
目の前の少年の犯行でないことは察したが、
その時は頭に血が上り、気づいたら、少年の首を絞めていた。
幸い、すぐに人工マッサージを施したので、涯の意識は回復したが、赤松は自分の愚かな行動を悔い続けていた。
549 :
未来への標2:2009/02/06(金) 07:42:18 ID:7bdUSHv8
その時だった。赤松の視界が大きく動き、頭や腕に打ち付けられたような痛みが走る。
「えっ・・・」
目の前には舗装されたアトラクションゾーンの道路が広がり、それに顔をこすり付けている。
赤松は涯に弾き飛ばされ、地面に叩きつけられたのだ。
涯は赤松から離れると、脱兎のごとく駆けだした。
「あっ・・・!」
赤松は転がったまま、涯に手を伸ばすも、その後姿は見る見る内に小さくなっていく。
「あぁ・・・走れたんだ・・・」
赤松は伸ばした手を下ろした。
涯に動ける気力があったということは、赤松に一種の安心感を与えてしまった。
本来の赤松なら、涯を呼び止め、なぜ、自分が首を絞めてしまったのか説明し、涯を落ち着かせていただろう。
しかし、今の赤松は、殺し合いというゲームに参加していることからの疲労感、標の死、誤解とはいえ、涯への殺意、
これらによって、神経が極限にまですり減ってしまい、それが涯を呼び止めるという判断を鈍らせ、
結果、誤解を解くという機会を失わせてしまったのだった。
赤松は薄暗くなっていく景色と涯をただただ見守るしかなかった。
その時、赤松に一つの考えが浮かんだ。
あの少年も生きていたのだから、さっきの標の死は誤認で、実は生きているのではないかと・・・。
赤松は起き上がると、血溜りの中に浮かぶ標の亡骸に近づき、首元に触れる。
やはり、脈はすでになく、体の熱は少しずつ冷め始めていた。
赤松は標の亡骸を抱きかかえ、それをアトラクションゾーンの端にある茂みの中へ隠した。
標をあまり人目に触れさせたくなかった。
人は死体を自分の死と連想させてしまうのか、生理的に忌み物として見てしまう。
このゲームで最後まで戦ってきた少年をそのような目で見てほしくはなかった。
「標君・・・」
その時、殺伐としたこの地に相応しくないクラシックが流れ始めた。
ショパンの円舞曲である。
その曲と共に、ノイズ音と男性の声が聞こえてきた。
『・・・あー・・・諸君、ご苦労。黒崎だ。ただ今から、第一回の定時放送を行う。
復唱はしない・・・各々集中して聞いてもらいたい。
・・・よろしいか・・・・・・・・・・・
放送は伝えている内容の重大さを感じさせないほど、淡々と要件だけ並べてしまうと、何事もなかったかのように、終了してしまった。
「黒沢さんの名前はなかったか・・・」
標の名前が読み上げられた時は、胸が締め付けられたものの、知り合いの名前が挙げられなかったことに、赤松は安堵の表情を浮かべた。
自分はこれからどうすればいい。
今の赤松の思考はどこか霞がかかったようにぼんやりとしていて、足は泥沼にはまってしまったかのように動かせない。
かろうじて、己という人格を保っていることが仕事のような状態である。
赤松は標のズボンのポケットのふくらみに気づいた。
手を伸ばして取り出してみる。
そこにはメモ帳が入っていた。
赤松は知らないが、標は殺人を快楽とする、マーダー有賀によって殺され、
その後、市川にリュックを持ち去られてしまっていた。
もし、市川の両目が見えていたのであれば、標のポケットの中身に興味を示していただろう。
しかし、市川は盲目であり、荷物はすべてリュックの中にあると考え、それ以上詮索することはなかったのだ。
標は血溜りの中にいたが、幸いにもメモ帳自体は、血痕が付着しておらず、きれいな状態を維持していた。
赤松はメモ帳をパラパラめくってみた。
その内容は、ゲーム開始時、ホールで標の名前が呼ばれるまでの間に外へ出て行った者の容姿から、
どこに何があるのかという場所の特徴、ゲーム中、出会った人間の行動思考まで、多岐にわたるものであった。
ゲーム開始から6時間程しか立っていないが、メモ帳の半分近くが埋まっていた。
そういえば、何かある度に、メモをとっていたっけ。
赤松は無心にペンを走らせていた標の微笑しい姿と、それをもう見ることができない悲懐に顔を歪ませた。
「もう会うことはできないのか・・・」
その直後だった。
「あっ・・・!」
赤松は信じられない感覚に襲われた。
これは赤松が一生かけてもほかの人に理解されることがない体験だろう。
しかし、赤松には感じたのだ。
後ろから手を回すようにして、赤松の右腕の傷口に触れる柔らかい指の感触、そして、聞き覚えのある声。
『もし、十に一つの時は・・・宇海零・・・
彼に、僕と一緒に見たことを話してみて・・・きっと彼なら分かるはず』
「標君!」
振り返るが、そこに人の姿はなく、生気を感じさせない遊具と闇が広がっているばかりである。
「宇海・・・零・・・」
この名前を初めて耳にしたのは、禁止エリアにあるD−1の灯台を確認するため、標と北側一辺を埋める林の脇を進んでいたときのことである。
赤松は何気なく疑問に思っていたことを口にした。
「このゲームには、知り合いは参加しているのかい?」
今回のゲームでは、赤松の同僚である、黒沢が参加している。
自分と同じように、標の知り合いも参加しているのではないだろうか。
それに、標は頭の回転が早いとは言え、まだ、子供である。
知り合いと合流した方が心強さを覚えるに違いない。
そのような父性が働いたからこその質問だった。
「知り合い・・・」
標は少し考えこむと、一人の名前を挙げた。
「・・・宇海零・・・」
「宇海零?」
標の話によると、標と同じように、ドリーム・キングダムの試験に参加していた高校生ぐらいの少年らしい。
「彼は・・・頭が切れる・・・」
人質を取られ、密閉された空間の中で問題を解かなくてはならない迷宮のトライアングル、
ゴーグルで目隠ししたまま、四方のエリアの中から、セーフティーエリアを探さなければならないクォータージャンプなどの難易度の高いゲームを、
標もそうであるが、彼もまた、クリアしているのだという。
「すごいな、それは・・・」
松は思わず、感嘆の声を上げる。
「けど・・・」
ここで標は否定的な意見を口にした。
「彼・・・頑固なんだ・・・」
予選中、標は決勝で共に組んで戦うため、零に余分なリングを渡そうとした。
しかし、零は自力でリングを取ると言って、その申し出を断ってしまっているのだ。
「差し迫った時間の中で・・・決勝へ進むには・・・
僕からリングを受け取ることが・・・一番確実・・・
それに・・・彼にしても僕にしても・・・デメリットはない・・・なのに・・・」
標は軽くため息をつく。
赤松は表情に乏しい標が見せた呆れ顔に、微笑ましさが混じったような苦笑を浮かべる。
「それは意志が強いってことじゃないかな・・・?」
赤松は零の気持ちが分かるような気がした。
その時の零は標を追いかけている状態であり、標からリングを受け取ってしまえば、
自分が標より劣る存在であることが明確になってしまう。
そもそも勝負という物は誰かのおこぼれではなく、自力で勝たなければ、意味がない。
それに、実力が伴わない状態で先に進んでも、今後、生き残ることはできないだろう。
だからこそ、零は生き残るために、標の足を引っ張らないようにするために、受け取ろうとはしなかったのだ。
標は再び、呆れたようなため息をつく。
「それは・・・過大評価だ・・・!
人の言うことや情勢を無視して我を張り続けるあの姿勢・・・
その考えが自分の可能性を殺していることさえ分かっていないっ・・・!」
標の一刀両断の否定に、赤松は再び、苦笑する。何もそこまで言わなくとも・・・。
ここで赤松はある提案をする。
「けど、零という少年は頼りになりそうだね。
彼を探して、仲間にならないかと誘ってみるのはどうだろう?」
頭は切れ、欲に目がくらむことがなく、意志が強い。仲間になれば、心強いことこの上ないだろう。
赤松の提案に、標は暫し考え、こう答えた。
「確かに・・・零が・・・この殺し合いに乗るとは考えられない・・・
僕達と同じ考えを持っている可能性は高い・・・けど・・・」
「けど・・・?」
「今・・・彼には彼の考えがあって、行動しているはず・・・
かえって、僕達と合流することで、彼の計画に制限が生まれてしまうかもしれない・・・」
「そうか・・・」
標に匹敵するほど、頭の回転が早い少年だ。
自分達は今、このゲームの穴を探している。
きっと、零も標とは違う糸口から、探しているに違いない。
標の意見に赤松も同意せざるを得なかった。
ちなみに、この頃、零は打倒主催者という考えには到達してはおらず、
それどころか、闇のフィクサー銀王こと平井銀二にイカサマ麻雀で挑むも、
逆に返り討ちにされ、所持金は零。
人が恋しくなり、半泣き状態であったことを、彼らは知らない・・・。
標は林の間から見える、真っ青な海に視線を向けた。
「何より・・・もし、志が一緒であれば・・・零とはこの地のどこかで・・・
また、会える・・・そんな気がするんだ・・・」
この時の標の瞳は透き通ったガラス玉のように純美なものであり、その表情は穏やかに感じられた。
赤松は微笑む。
標は予感と言っているが、実際は零という少年に会いたいという希望が、彼に予感という形で呼びかけているのだろう。
自分は標ほど頭が働く人間ではないが、それでも、標の望みが叶うように、努力したい。
「そうだね・・・その通りになるといいね・・・」
しかし、標の予感が当たることはなかった。
「あの時の・・・宇海零・・・!」
赤松はメモ帳を強く握り締めた。
ここに書いてあることは、標が見てきたこと、宇海零に伝えなければならないことである。
もう標はこの世にはいない。しかし、標の希望を受け継ぐことはできる。
「うっ・・・」
涯のフォークに刺された腕の痛みが、脳を刺激した。
指の感触を感じた箇所でもある。
赤松は涯の後姿を思い出した。
その直後、後悔という名の凍てついた震えがこみ上げてきた。
なぜ、あの時、あの少年を追いかけなかったのだっ・・・!
あの少年を呼びとめ、目を見て話そうとしなかったのだっ・・・!
涯は先程まで赤松によって、首を絞められていた。
赤松の手を逃れ、逃げ出したが、それは動ける体力があったというだけで、精神が正常なわけではない。
先程の赤松もそうであったが、神経が衰弱した人間は真っ当な判断が欠如している。
己の身を守ることさえもままならない。
今の涯も同じような精神状態のはずである。
このままでは涯は誰かに殺されてしまってもおかしくはないのだ。
「あの子を追え・・・ということか・・・標君・・・!」
赤松の目に光が篭る。
自分の使命は一人でも多くの命を救うこと、標の意志を受け継ぐこと。
もう見失わない・・・見失ってたまるものかっ・・・!
赤松は左胸のポケットにメモ帳を入れ、リュックを背負った。
赤松にふと、標の言葉が過ぎった。
『もし、志が一緒であれば・・・零とはこの地のどこかで・・・
また、会える・・・そんな気がするんだ・・・』
君の予感が当たるといい。
そう願い、メモ帳が入っている左胸のポケットをぎゅっと握ると、赤松は涯が消えていった方向へ駆け出した。
【B-3/アトラクションゾーン/夜】
【赤松修平】
[状態]:健康 腕に刺し傷
[道具]:手榴弾×9 石原の首輪 標のメモ帳 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:できる限り多くの人を助ける 宇海零を探し、メモを渡す 工藤涯を探す
※石原の首輪は死亡情報を送信しましたが、機能は停止していません
※利根川のカイジへの伝言を託りました。
【工藤涯】
[状態]:右腕と腹部に刺し傷 他擦り傷などの軽傷 やや精神不安定
[道具]:フォーク 鉄バット 野球グローブ(ナイフによる穴あり) 野球ボール 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:生還する 今後の行動方針に迷う 赤松から逃げる
【標】
[状態]: 地下王国から出張
[思考]:(赤松に対し)ダメだこいつ・・・何とかしないと・・・
乙です
だけど状態欄の標は蛇足じゃない?
修正乙です!
標のメモ帳がどんな風に役立つのか、今後が楽しみです。
修正前、修正後、感想をくださった皆様、大変ありがとうございました。
投稿の勝手すら分からず、大変全体的にくだぐだになってしまい、
ご迷惑をかけてしまったにも関わらず、皆様のやさしいお言葉に、
何度も申し訳なさを感じてしまいました。
ここまで、完結させることができたのも、皆様のおかげと言っても過言ではありません。
もし、次に投稿する機会がありましたら、今回のことを教訓にし、スムーズな投稿ができるように努めます。
本当に、ありがとうございました。
>>561様
(赤松に対し)ダメだこいつ・・・何とかしないと・・・
の部分ですよね。実は私もそれを感じていました。
何度か消そうかと、考えていた時期もありましたが、これをネタに
地下帝国スレに投下しようと欲張ってしまい、ずっと残していました。
けれど、作ってみても、テンポが一向に良くならず、完成するのは、別のネタばかり・・・。
消そうかどうかという迷いがわだかまりのように心にありましたが、
>>561様のおかげで決断することができました。標の欄は削除します。
まとめスレにアップしてくださる方は大変申し訳ございませんが、
これから、未来への標13修正版をアップします。
まとめスレにはそちらを載せていただけませんでしょうか。
度々ご迷惑をおかけして申し訳ございません。お手数ですが、お願いいたします。
【B-3/アトラクションゾーン/夜】
【赤松修平】
[状態]:健康 腕に刺し傷
[道具]:手榴弾×9 石原の首輪 標のメモ帳 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:できる限り多くの人を助ける 宇海零を探し、メモを渡す 工藤涯を探す
※石原の首輪は死亡情報を送信しましたが、機能は停止していません
※利根川のカイジへの伝言を託りました。
【工藤涯】
[状態]:右腕と腹部に刺し傷 他擦り傷などの軽傷 やや精神不安定
[道具]:フォーク 鉄バット 野球グローブ(ナイフによる穴あり) 野球ボール 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:生還する 今後の行動方針に迷う 赤松から逃げる
お疲れ様です
夢の中で――。
夢の中で三好智広は――。
夢の中で三好智広は「殺し合いをしてもらう」と言われた。
目の前で首輪を爆破されて少年が死んだ。
そして三好は人を殺した。いや、人殺しを殺した。
人殺しは人ではない。鬼だ。鬼は人ではない。鬼は鬼である。
酷い夢だった。
悪い夢だった。
夢の中で三好智広は――。
夢の中で三好智広は劣悪な環境下で過酷な労働を強いられていた。
まるで家畜のように扱われた。
陽の射さない地の下で、粉塵の中で。
怪我どころか命をも落としかねない危険な条件で来る日も来る日も。
酷い夢だった。
悪い夢だった。
その夢から三好を救い出してくれた人がいた。
夢の中で三好智広は――。
夢の中で三好智広は鬼を殺した。
棒を持った男の鬼を撃って殺した。
包丁を持った男の鬼を刺して殺した。
マシンガンを持った女の鬼を撃って殺した。
酷い夢だった。
悪い夢だった。
しかしこの夢からもきっと救い出してくれるのだろう。
カイジさんが。
▼
西日の差し込む別荘の一室。
鮮やかに赤い染みが壁を彩っている。それは花の柄のように見えないこともないが、決して模様などではない。
それは血。無残に撃ち抜かれた坂崎美心の血液の跡であった。
こそこそかさかさ
こそこそかさかさ
煩い。五月蝿い。騒がしい。喧しい。
「うるさい」
声に出してみるが音は一向に止まない。
ああ、堪らない。なんて厭な音なんだ。
この不快な音は一体どこからしている?
くすくすけらけら
くすくすけらけら
これは音なんかじゃない。
そうじゃない。声だ。
そう気付いた刹那。
いくつもの壁の染み達はぐにゃりと歪んで一斉に――笑った。
こそこそかさかさくすくすげたげたげらげら
こそこそかさかさくすくすげたげたげらげら
げらげらげらげらげらげらげらげらげらげら
笑った。笑った。笑った。
点々と散っていた染みは分裂し増殖し肥大し千切れて繋がって喰い合って、
壁を覆い、
床を覆い、
天井を覆い、
部屋を覆い、
別荘を覆い、
島を覆い、
海を覆い、
空を覆い、
世界の総てを覆い尽くして、
世界の裡を真っ赤に染め上げた。
げらげらげらげらげらげらげらげらげら
げら らげらげ らげらげら げら げらげ げ
いつの間にかボクも染みの一部になって、笑っている。なんだあの声もその声もボクの声だったんだ。
見ればカイジさんもいる。カイジさんもボクと同じように染みの一部となり、楽しそうに笑っている。
45組のメンバーも、班長も、首を爆破された少年も、安藤くんも、鬼たちも、皆楽しそうに笑っていた。
楽しい。とても楽しい。楽しくて仕方ない。楽しいたのしたのたしいのたいいたのしいしのたしたのしい。
▼
薄暗い別荘の一室。
茶色の染みが壁を彩っている。それは花の柄のように見えないこともないが、決して模様などではない。
時が経ったせいで変色してはいるが、それは血。無残に撃ち抜かれた坂崎美心の血液の跡であった。
床に横たわる青年の上を淡々と放送は流れてゆく。
打ち所が悪かったのだろう。脳内出血を起こした彼はぴくりとも動ない。
そして、放送が終了を告げるとほぼ同時に三好の心肺機能もまた一切の活動を停止した。
――現には一つの死体があるのみ。
【D-5/別荘/夜】
【三好智広 死亡】
【残り 28人】
以上です…
黒沢殺人しちゃったのね。でも黒沢は三好が死んだことに気づいてなかったりして。
なんか創作意欲わいてきたよ!
投下乙です!
怖えええええええ
三好あっけな…
マーダー化するかと思ってたけど…でもこのほうが良かったのかもしれんね三好は…
黒沢さんは正当防衛だから…殺人っていうと語弊が…
マーダー二人が一気に死んだとなると、こりゃ主催者側がやばそうだね。まだかなり人数残ってるし、有能な奴ら多いし。
ここから殺し合いで一桁にまで減るのはちょっと想像出来ない。
とはいえ一話で何人死ぬか分からないのがバトロワ、新たなマーダーが出たりして。
確かにマーダー勢減りすぎかもね
後何人くらいいたっけ……打ち切りにならなきゃいいけど
フラグ潰しちゃうんだ……
とりあえず乙です!!
リレー小説なんだからフラグなんて立ったら折れて
稀に繋がれてくくらいで丁度良い
>>575 マーダーならまだ沢山いるじゃん
一条とか鷲巣とか利根川とか坊ちゃんとか仲根とか(ry
まぁ使いやすい無差別マーダータイプは減ったけど
福本漫画らしい腹の探り合いというか頭脳戦というか
そういう方向に進むんだとしたら何の問題も無い
命懸けのギャンブルもみたいしね
難しいんだろうけど読み手としてはギャンブル回は当たりが多いよな
>>576なんだろう?この違和感?
過去作を読んでもフラグ潰しなんかするタイプじゃなかったのに・・・?
穿ちすぎなだけか・・・?まさか見限られたのか・・・?
他所で、「ここは見限ったから去る」って言ってた書き手の書き込みを見て、自分がナーバスになってるだけか・・・?
大丈夫だ。
なるようになる。
書き手を信用してくれ。
マーダーが今は、坊っちゃんに利根川に鷲巣(アカギに協力する制約付き)、一条に板倉の五人。
それに、いつ何をやらかすか分からない市川と、錯乱中でどうなるかまったく検討のつかない佐原の二人もありうるな。
しかし、ここまでマーダーの頭が切れるロワも珍しい。
こんばんは!
修正が終わったので投下します!
赤木に似ている……。
銀二の少し後ろを歩きながら、原田はふとそんな事を思う。
今現在このバトルロワイアルに参加しているあの青年に、ではない。
自分の言葉通り生きる事を唯一の誇りとし、己が己である為に自ら命を絶った赤木に。今は亡き赤木にしげるに彼は似ている。
赤木と銀二と。
たしかに背格好や年齢など近いものはある。修羅場をかい潜ってきた人間が持つ特有の匂いも共通している。
しかし。
この男は。
この銀二という男は裸足で土の上を歩いたりはしないのだろう。敢えてそのような無為を働くタイプの男には見えない。
ならば。
自分は銀二に老いた赤木の幻影を重ねて視ているのに過ぎないのではないかと。
そんな事を、思っていた。
夕焼けの鮮やかな赤色の残滓と宵闇の薄い銀色が混じり合い、前を行く男の後ろ姿を模糊とさせる。
明るくはないが暗くもない、黄昏時。
誰そ彼時。
不意に銀二が立ち止まり、考え事をしていた原田はその背にぶつかった。
「なんで急に止まんねやっ……!」
「しっ……!」
原田の抗議を、銀二は口に人差し指を当てて遮る。
「原田さん……、あれを見て下さい……。」
言われた通りに銀二の視線の先に目を遣ると二人の男の姿を認める事ができた。
赤木に似ている……。
銀二の少し後ろを歩きながら、原田はふとそんな事を思う。
今現在このバトルロワイアルに参加しているあの青年に、ではない。
自分の言葉通り生きる事を唯一の誇りとし、己が己である為に自ら命を絶った赤木に。今は亡き赤木にしげるに彼は似ている。
赤木と銀二と。
たしかに背格好や年齢など近いものはある。修羅場をかい潜ってきた人間が持つ特有の匂いも共通している。
しかし。
この男は。
この銀二という男は裸足で土の上を歩いたりはしないのだろう。敢えてそのような無為を働くタイプの男には見えない。
ならば。
自分は銀二に老いた赤木の幻影を重ねて視ているのに過ぎないのではないかと。
そんな事を、思っていた。
夕焼けの鮮やかな赤色の残滓と宵闇の薄い銀色が混じり合い、前を行く男の後ろ姿を模糊とさせる。
明るくはないが暗くもない、黄昏時。
誰そ彼時。
不意に銀二が立ち止まり、考え事をしていた原田はその背にぶつかった。
「なんで急に止まんねやっ……!」
「しっ……!」
原田の抗議を、銀二は口に人差し指を当てて遮る。
「原田さん……、あれを見て下さい……。」
言われた通りに銀二の視線の先に目を遣ると二人の男の姿を認める事ができた。
「ご苦労だった……。」
銀髪の壮年は、銀髪の青年に向けてそう言い放った。労いなど欠片も感じられない口調で。
利根川と平山である。
約束どおりに二人の男は発電所で邂逅していた。
『奴隷の剣はまだ折れていない』
伊藤開司から託された言葉を伝えたところで、用無しとばかりに利根川に殺される可能性もゼロではないと思っていた平山は安堵の息を吐く。
まだ自分には利用価値があるという事らしい。
「そうだな…次に落ち合う場所は……」
銀二と原田は二人組に気取られないよう茂みに身を隠しながら慎重に接近していた。
「中年男性のほう……あの男には見覚えがあります。利根川……帝愛の“元”bQ……。」
「……知り合いか……?」
「そういう訳でもないんですがね……。」
銀二は原田の事も知っていた。ならば大企業帝愛の幹部の名を知っていたところで何の不思議もない。
「“元”ちゅうんのは……。」
「失脚したんですよ……。噂によると野良犬に噛み付かれてその座を引き摺り降ろされたらしい……。」
とはいえ、と銀二は続けて言う。「帝愛と深い繋がりのあった利根川は使えます……。ですから、隙を突いて動きを封じて捕まえてしまいしょう……。」
「ほう……?」
「勿論、今は退いた身とはいえ利根川は一筋縄でいく相手ではありません……。しかしそのリスクを犯すだけの価値があります……。」
「面白いやないか……。」
そう答えて原田は笑った。
凶暴で獰猛な、笑顔だった。
「では参りましょうか、原田さん……。」
すう、と銀二の眼が刃物のように細くなった。
銀二と原田は身を隠せる距離ギリギリまで利根川へと近付く。身を屈め、音もなく、それ故に気付かれることもなく。
充分な距離に達したことを確認すべく原田が目配せを送ると銀二は頷き、そして利根川を見据えた。
実行の時だ。
原田は隠れていた反動と云わんばかりに勢いよく立ち上がり、銀二は草むらなどないかのような所作で身を起こす。
「動くなやっ!!!」
咆哮をあげ恫喝する原田。
「両手を挙げて下さい……。」
静かな声で威嚇する銀二。
原田の手には安全装置を外した拳銃が握られている。二人の男は言われるがまま素直に両手を挙げた。
平山は事態を飲み込むことすら出来ずに固まっている。
しかし一方の利根川は呆気にとられたのはほんの一瞬。直ぐに冷静を取り戻して自身が置かれている状況に判断を下す。
袖口に隠し持っているデリンジャーの装弾数は僅かに二発のみ。
しかも命中精度・殺傷力は共に低く、相当の至近距離から急所を打ち抜きでもしない限り大の大人を死に至らしめるのは不可能である。
さらに同銃は安全装置が無い代わりに引金が重く設計されている為、早撃ちには不向き。
相手は二人組で拳銃を構えている方は見るからにヤクザ。こちらが妙な動きをすれば容赦なく撃つだろう。
圧倒的不利。
そんな状況であるにも関らず利根川は不敵にも、その口角を持ち上げた。
「な……なんなんだよアンタらっ……!」
原田の意識が、口を開いた平山へと僅かに逸れたその間隙を利根川は見逃さなかった。
利根川は腕を挙げた体勢のまま、原田の方に向けて眼前にあった平山の背中を思いっきり。
蹴りつけた。
「ぎゃっ!!!」
完璧に虚を突かれた平山は悲鳴を上げ、その華奢な身体は実に素晴らしい勢いで飛び出した。
原田は避けきれずに平山と縺れるように倒れ込む。
目論見通り。
森に向かって利根川は猛然と駆ける。逃走である。銀二がその背中を追う。
「fuck you!」
振り向き様に罵声を浴びせると同時に袖口のデリンジャーを手中にスライドさせた利根川は、トリガーにかけた中指に力を込める。
銃声が響き、銀二は咄嗟にその場に伏せた。さらに牽制の為利根川はもう一発を発砲した。
原田は覆いかぶさっていた平山を強引に撥ね退け、妙な動きが出来ない様転がっているその背を膝で踏み付けにする。
そしてその体勢のまま利根川に向けて数度発砲するも、無為に終わる。
利根川の姿は既に生い茂る木々に隠された後であった。
「去によったか……。」
「そのようですね……。」
起き上がった銀二は淡々と答え、原田は実に忌々し気に舌打ちした。
そして。
背を踏みつけにする足は消えたものの、依然平山はうつ伏せたままである。
(なんでこんな目にばかり会うんだ、オレ……。)
そう思うと起き上がるのも嫌になる。
しかし「大丈夫ですか?」と問われて、つい「大丈夫です」と答えてしまう。そう言った以上は起き上がらざるを得ない。
平山はやや乱暴な仕草で、足を投げ出すようにして土の上に座り込む。
安心したのだ。
銀二の声色は、それ程に優しく甘く平山の心に入り込んでいた。
しかしその安心もつかの間にすぎなかった。
「おどれあの男とどういう関係や……?」
ぞっとするような声を背後から浴びせられた。
それに反応して顔をあげれば、夜空にはいつの間にか昇った月が真円を描いてる。満月である。そしてその月の真下には。
鮫のような眼をした男が立っていた。
手に持った拳銃を平山に突きつけながら、凶暴で獰猛な魚の眼が見下ろしていた。
『………見当違いもはなはだしい。背の立つ所までしか海に入ってないのに、オレは海を知ったと公言しているようなもの………』
記憶が蘇る。
そう言ったのは深海の魚のような男だった。
そして平山は思い知る。己は魚ですらなかったのだと。
恐怖に凍りついたままの体で、平山はぎこちなく目玉を動かして銀二を見る。もしかしたら助けてくれるのではないかという期待を込めて。
が、駄目。そんな事はなかった。
平山は素直に利根川との経緯を話した。
「……なる程、つまり平山くんは利根川に利用されていたという訳ですね……。」
穏やかに言う銀二の言葉を受けて原田が拳銃を降ろしてくれるのではと、平山は再び淡い期待を抱いて原田を窺う。
が、矢張り駄目。そんなに甘くはなかった。
誰も助けてはくれないのだ。ならば自ら活路を見出すしかない。
死にたくないという気持ちはあるがしかしそれ以上に、どんな状況になっても諦めない、と交わしたカイジとの約束だけは破りたくなかった。
平山は必死に考える。
もしかしたら。
この二人は殺し合い自体には乗っていないのかもしれない。
何故ならば、こんな自分など殺そうと思えば意図も容易く殺せるのだ。いや「殺せた」のだ。
にも関らずこうして殺さずに生かしているということは、彼らの本懐は別にあるのではないだろうか。
その可能性は充分にある。
ならば、自分もこの殺し合いには乗っていないのだと示せれば、あるいは。
助かるのかもしれない。
そう至った平山は、ひろゆきとカイジとの事も話す。
原田はひろゆきとの事に、銀二はカイジとの事に興味を持ったようだった。
そして原田は平山に向けていた銃を静かに降ろした。
森の中。
追ってくる者の気配は無い。
煌々と照らす月が、ぜいぜいと息を荒げる利根川の足元に影を作っている。
多少開けた場所を選び、利根川は背負っていたデイパックを降ろした。
呼吸が落ち着くのを待ち適当な岩のうえに腰を掛けて、デリンジャーのバレルを開いてカードリッヂを装填する。
その際に腕時計を模した受信機が目に入った。
「ん……?」
生体反応が消えている。という事は。
(平山は殺されたか……。)
それでそれは構わない。
利根川にとって平山なぞ所詮は使い捨ての駒にすぎないのだ。
最後に役に立った。それだけでも充分である。
実際には原田と激突した時の衝撃で計器が接触不良を起こしたのであって、平山は死んでいはない。しかしその事については互いに知る由もなかった。
今は。
【D-1/発電所/夜】
【平井銀二】
[状態]:健康
[道具]:支給品一覧、不明支給品0〜2、支給品一式
[所持金]:1300万
[思考]:生還、森田と合流、見所のある人物を探す
※2日目夕方にE-4にて赤木しげると再会する約束をしました。
【原田克美】
[状態]:健康
[道具]:拳銃 不明支給品0〜2(確認済み)支給品一式
[所持金]:800万円
[思考]:もう一つのギャンブルとして主催者を殺す 銀二に同行する
※首輪に似た拘束具が以前にも使われていたと考えています。
※主催者はD-4のホテルにいると狙いをつけています。
※2日目夕方にE-4にて赤木しげるに再会する約束をしました。
【平山幸雄】
[状態]:左肩に銃創 首輪越しにEカードの耳用針具を装着中
[道具]:参加者名簿 不明支給品0〜2(確認済み) 通常支給品
[所持金]:1000万円
[思考]: 引き続き利根川の命令には従うが、逃れる術も積極的に探る
※ひろゆきと21時にアトラクションゾーン事務所で落ち合う約束をしました。
※利根川に死なれたと思われていることを知りません
【利根川幸雄】
[状態]:健康
[道具]:デリンジャー(1/2) デリンジャーの弾(28発) Eカード用のリモコン 針具取り外し用工具 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:ゲームで優勝、もしくは和也を優勝させての離脱
※両膝と両手、額にそれぞれ火傷の跡があります
※和也の保護、遠藤の抹殺、カイジとの真剣勝負での勝利・その結果の抹殺を最優先事項としています。
※一条はその目的次第で協力・殺害を判断します。
※デリンジャーは服の袖口に潜ませています。
※Eカード用のリモコン
Eカードで使われた針具操作用のリモコンです。
電波が何処まで届くかは不明です。
※針具取り外し用工具
Eカードの針具を取り外す為に必要な工具です。
※平山から伝言を受けました
※計器からの受信が途絶えた為、平山が死んだと思っています (何かの切欠で計器が正常に再作動する可能性もあります)
終了です!
皆さん色々ありがとうございました!
皆さんの協力で出来上がったこれはもう、作者名は「合作」ですね!
その分迷惑もたくさんかけてしまってすみませんでした!
本当にありがとうございました!
596 :
マロン名無しさん:2009/02/09(月) 21:19:25 ID:ABlxEYs0
お疲れさまです。
大変失礼な物言いになりますが、見違えるほど表現の仕方が上手になっていて読みやすかったです。
また書いていただきたい。
>595
本当にお疲れさまでした。感動しました。
福本ロワの底力、いや、神髄を見られた気がします。
ギャグ分残ってたwww 乙です。
修正・・・再投下ってスゲエッ・・・!
魔法じゃん!まるで魔法・・・
ちょっとしたミラクルを見た気分です。
修正大変だったと思うけど、頑張ってくれてありがとう。
乙でした。
平山がんばれ!
乙です!
作品の素晴らしさもさることながら、したらばでの作者さんの努力、経緯、まるごとひっくるめて感動しました。
とても面白かった。
>>595 FUCK YOU……!
……じゃなくて I NEED YOU……!
乙です!
ベテランさんの予約キタッ…!
来いっ…再びっ…!ハイクオリティの波っ…!
鉄板熱して正座で待ってるからっ…!
乙です ただひとつっ…
>>586 の四行目
>>今は亡き赤木にしげるに彼は似ている。
これはただの間違いでよろしいか?
>>603 そのアカギは天のアカギ、だから死んでる表現であってる
↑ごめん、勘違い
赤木 と しげる の間の「に」は誤字って話かね
603のレス読んだ直後は一瞬わからなかった
607 :
603:2009/02/11(水) 13:15:45 ID:???
>>606 その通り
わかりづらくて申し訳なかった 「に」が一つ多いのではと思った
些細だが自分は少し読みがとまったもので ただ言いたいこと
楽しませて頂きました 書き手さんに感謝っ…
わあ!!
○赤木しげる
×赤木にしげる
です!ごめんなさい!!
なんで気付かなかったんだろう?
もうやだ恥ずかしい!!
正直ちょっとどころじゃないぜ
誤字脱字って気付かないときは何回読み直しても気づけないんだよなぁ
まとめに「第二回放送までの本編SS」の項目が出来ていて、感慨深い
これだけ内容が充実していても、作中時間でいうとまだ数時間しか経ってないんだよな
>>608 なんという萌えキャラ……!
>>610 完結するまでに必要な話数って、
他のロワスレを見る限り最低でも300話は必要みたいだ。
まあ、時間はかかるけどのんびり地道に行こう
>>608 キュニッ…!
>>610 今、週一くらいのペースで投下されているから
仮に300話で完結する場合、4年はかかるのか…。
クオリティ優先のためとは言え、長いな…。
話は変わるけど、まとめサイトで本編時間順が更新されていたけど、
人間としてと未来への標は順番が逆の方がしっくりくると思った。
投下します。
最初の定時放送は終了した。
鷲巣は大まかにメモを取り終え、アカギに顔を向ける。
しかしアカギは素知らぬ顔で空を仰いでいた。
(こやつ……何を考えておる)
一つだけ確かなのは、例によってこの男が死を恐れていないこと。
だが、その目で何を見ているのかは相変わらず分からない。
鷲巣とて頭の回転は常人の比では無いが、赤木しげるだけは人智では計り知れないのだ。
(チッ……)
鷲巣はメモ用紙にスラスラとペンを走らせてアカギに渡す。
『何故儂を同行させる?』
それは、鷲巣が抱いていた最も大きな疑問の一つ。
アカギは鷲巣に協力することを強いた――だが、そもそも一体何を協力させようというのか。
主催者の情報など、実際必要となるのは脱出の準備が調った後。
少なくとも今必要なことではあるまい。
ましてや、アカギは鷲巣にその情報を聞こうともしていないのだ。
つまりその情報は不要であるとアカギ自身も判断していることになる。
ならば何故協力を強いたのか。
考えられる理由は一つしかない。
何らかの理由で赤木しげるは己を同行させたいのだ。
協力せねばならぬという枷を付けて。
一体その目的は何なのか。
アカギは書かれた内容を読むと、僅かに笑みを浮かべながら筆談で返した。
『アンタに協力してもらうためだ』
まるで馬鹿にされている。
鷲巣は怒りに肩を震わせながら、筆談を続けた。
『戯言はいらん。本音を言え』
『半ばは本音だ』
『残りの半分は何だ』
『じきに分かる』
どうやらアカギには答える気は無いらしい。
だが、当然のことであろう。
ここで易々と狙いを明かす馬鹿もそうはいまい。
鷲巣巌は紛れもなく危険人物なのだから――
「それで……これからどうするつもりだ………アカギ………」
鷲巣は諦めて今後の行動方針を尋ねた。
じきに分かるというなら、今すぐ問い詰めることも無いだろう。
アカギは再びメモに言葉を書き連ね、鷲巣に渡した。
「ククク……まあここは一旦別行動だ………役に立ちそうな情報を集めてくれ」
「情報収集か……まあいい、それで集合場所は?」
「病院前でどうだ?……次の放送の前に集合しよう」
「……わかった」
無論、この会話はダミー。
本当の指令はアカギから渡されたメモに書かれていた。
アトラクションゾーン以外で死体から首輪を集めること――それこそが鷲巣に課せられた行動である。
二人はそのまま言葉を交わさずに別れた。
* * *
アカギはアトラクションゾーンへと向かっていた。
B-3が禁止区域であるということは、アトラクションゾーンに人が集まっている公算は大きい。
となれば、無論死人も多く出ているはずであり、首輪を調べるには最適であった。
アカギは別段機械には強くないが、手先は器用である。
爆弾だの盗聴器だのには手をつけられずとも、首輪そのものの解体は出来るかもしれない。
否、アカギの目的にはそれが必要不可欠だった。
数時間前の平井銀二との出会い、その時にはこのプランは立っていた。
平井銀二の持っていた情報、それは僅かに首輪に手を触れ、目線を向けていたことからも分かる。
間違いなく、首輪の無力化であろう。
おそらくは、位置情報から爆弾を爆発させないようにする、その手立て。
アカギにはその原理は分からない、だが何らかの手段で爆弾を無力化させることが可能なのは察しがつく。
しかし、その手段は大きな問題を抱えていた。
首輪に異常があれば当然運営側は気付く。
そうなれば、このギャンブルは間違いなく結果が出るのを待たずに中止となるだろう。
待っているのは戦力差の大きすぎる運営側と参加者側との戦争である。
当然勝ち目はない。
勝ち目を作るとすれば虚をつかなければならぬ。
人間、誰しも理外からの攻撃には弱い。
アカギはその虚を狙っていた。
いないはずの人間が内側から攻撃し、混乱を起こすその瞬間に参加者が一斉に立ち上がる。
内側と外側からの波状攻撃。
それこそがアカギの狙いであった。
そして――おそらくは平井銀二の狙いでもある。
察するに平井銀二は、アカギにその虚を作らせるために原田を引き取ったのであろう。
――アカギがそれだけのことを成し遂げる人間だと見切って。
潜り込むために必要な点は二つ。
まず、禁止エリアに入っても死なぬこと。
そしてもう一つは、あらかじめアカギが死んだと主催者側に誤認させること。
その二点とも、首輪を外すことで解決できる。
怪しまれずにただ一人、首輪を外すことが出来れば勝ちの目は見えてくるのだ。
一見不可能にも思われるが、その実可能性がないわけでもない。
まず、怪しまれぬためには鷲巣と行動することが活きてくる。
鷲巣との同行は死を欺きやすくための運営側に対するトラップ。
いつ殺されてもおかしくない状況を作り上げるためには恰好の存在である。
行動を共にすることだけでも価値があるのだ。
問題はあと一点。
いかに首輪を外すか。
不穏に思われるのを防ぐためにも他者は当てに出来ない。
これが命運を分ける鍵となるであろう。
運営側を騙しつつ首輪を解除し寄生虫として忍び込む。
それが赤木しげるの計画の全貌である。
無論、そのリスクは大きい。
アカギは全参加者の中で最も危険にさらされることになる。
だが、アカギはその危険になど気付かぬように笑うのであった。
(あっさり死ぬくらいで丁度いい……)
【E-3/平地/夜】
【赤木しげる】
[状態]:健康
[道具]:五億円の偽札 不明支給品0〜2(確認済み)支給品一式
[所持金]:600万円
[思考]:もう一つのギャンブルとして主催者を殺す。アトラクションゾーンへ向かう。首輪をはずして主催者側に潜り込む。
※過去に主催者が開催したゲームを知る者、その参加者との接触を最優先に考えています。
接触後、情報を引き出せない様ならば偽札を使用。
それでも駄目ならばギャンブルでの実力行使に出るつもりです。
※危険人物でも優秀な相手ならば、ギャンブルで勝利して味方につけようと考えています。
※首輪に似た拘束具が以前にも使われていたと考えています。
※主催者はD-4のホテルにいると狙いをつけています。
※五億円の偽札
五億円分の新聞紙の束がジェラルミンケースに詰められています。
一番上は精巧なカラーコピーになっており、手に取らない限り判別は難しいです。
※2日目夕方にE-4にて平井銀二と再会する約束をしました。
※鷲巣巌を手札として入手。回数は有限で協力を得られる。(回数はアカギと鷲巣のみが知っています)
※鷲巣巌に100万分の貸し。
※鷲巣巌と第二回放送の前に病院前で合流する約束をしました。
【鷲巣巌】
[状態]:膝裏にゴム弾による打撲、右腕にヒビ、肋骨にヒビ、少し動けるようになってきています
[道具]:防弾チョッキ
[所持金]:0円
[思考]:零を殺す、沢田を殺す、平井銀二に注目、有賀を自らの手で殺す。赤木しげるのに同行して動向を探る。 首輪を集める。
※赤木しげるに、回数は有限で協力する。(回数はアカギと鷲巣のみが知っています)
※赤木しげるに100万分の借り。
※赤木しげると第二回放送の前に病院前で合流する約束をしました。
以上です。
>>619 投下乙!
鷲巣さまとは別れたか…
さりげなく肉体労働をお爺ちゃんに押し付けておくアカギにワロタ
アカギのスニーキングミッションinバトロワ計画にwktkが止まらんw
圧倒的投下乙…!
アカギすげぇ…!
ミッション…インポッシブルっ…
否、不可能ではないっ…アカギが…闇と手を組めば…!
意外と近いんだぜ…運営…!
展開が面白すぎてテンション上がった…!
アカギくそかっけええええええ
乙!
流石の展開っ・・・!圧倒的乙っ・・・!
やっぱ要になるベテランさんが投下してくれると、一本芯が通るね。ビシッと
これでまた元のハイクオリティだった頃のロワに戻ってくれたら嬉しい・・・ってのは楽観的すぎかな?
とにかく、きちんと筋の通ったストーリーは読んでて凄く楽しい。人物描写も丁寧で毎回感動する。
本当に福本作品を愛してるのが伝わってくるし。読み込んでるか否かってのは、読んでてすぐ分かる。この人の読み込みっぷりは半端ない
これからも貴方の投下を心待ちにしています
素晴らしい作品をありがとう
支離滅裂な上長文スマン
投下乙です
アカギすげえ…てか書き手氏の頭もすげえw
そんなこと考えてもなかったけど確かに首輪外しただけじゃ対主催側勝てないもんな
これまでの作品でも思ってたけど書き手氏の伏線回収能力は凄いよね
標死亡話とかでも何でもない描写を伏線にして回収とか
>標死亡話とかでも何でもない描写を伏線にして回収とか
↑どんな伏線回収?申し訳ないが教えて下され
>>625 >>624じゃないけど伏線というよりはちょっとしたことに意味を持たせてる印象。
リレーならではの醍醐味を存分に引き出してるっていうかな。
市川が杖落としたこととか有賀と遭遇したのが市川だったこととか普通はあんまり後の話に活かされないよね
>>626 人はそれを伏線と呼ぶ
まあ実際には違う書き手氏だから伏線はってあった訳じゃないんだろうけど
成る程成る程
どうもでした
鷲巣様と赤木はコンビ解消か
確かに赤木って一人の方が動きやすそう
なんとなく
なにげにナイスコンビしてるのは銀王原田ペアか
二人とも大人だからかねぃ
マガジンコンビにも期待
630 :
マロン名無しさん:2009/02/15(日) 19:03:32 ID:ZxzeBmLs
あげ
ageるなsageろ
ざわ・・・
予約キタ━━━(゜∀゜)━━━!!
絵もキタ━━━(゜∀゜)━━━!!
お久しぶりです。
前回、「未来への標」を投下したものです。
今回も、前回同様、長い割に進まない話となっておりますが、最後まで読んで
頂けると幸いです。
今回は前回のような矛盾点がでないように、気をつけてはいますが、
もし、発見なされた場合、ご連絡していただけると、ありがたいです。
・・・では、以上で放送を終了する。
諸君の健闘を祈る』
淡々とした語り口調で放送は終了した。
板倉は一条の方向を振り向く。
「今の放送でアンタの知り合いの名前はあったか?」
一条は柔和に微笑む。
「おや・・・あなたこそ、誰か、知り合いの方が参加されているのですか?」
――ふん、早速、探りを入れてきたか・・・!
板倉は一瞬、目を歪めるも、すぐに落ち着き払った笑顔で対応する。
「いや・・・!」
嘘である。
今の放送で、共にドリームキングダムの王の試験を戦った、末崎と標の名前があった。
しかし、一条の腹の内が分からない時点では、必要以上の情報を話すつもりはない。
「さっきも話したが、俺達を裏切った佐原という男・・・
この男の知り合いで伊藤カイジという男が参加している。
どうも、このゲームはある種の繋がりを持つ者が集められているようだ・・・」
「伊藤・・・カイジ・・・」
一条の心にヘドロにも似た怨嗟が溢れ、それが激流のように体内を駆け巡る。
一瞬、一条から笑みが消えた。その瞬間を板倉は見逃さなかった。
「おや・・・もしかして、お知り合いか?」
一条は再び、柔和な笑顔を繕う。
「いいえ・・・!」
嘘である。
帝愛グループに7億円もの損害を出し、幹部入りを果たすはずであった一条の未来を潰した男、伊藤カイジ。
一条はカイジを殺すために、このゲームに参加していると言っても過言ではない。
しかし、板倉としづかには殺し合いに参加していないと公言している。
二人に疑念を持たせるような情報を話すつもりはない。
二人は複雑に絡み合った糸を慎重に解すかのように、相手から情報を得ようと、水面下でやり取りを繰り広げていた。
そのやり取りをかき消したのは、しづかの一言であった。
「もう、これからどうするんだよ・・・!」
しづかは周りを見てみろと言わんばかりに、手を広げる。
「こんなに暗いんだぞ・・・!これからどうするべきか考えた方がいいんじゃないのか・・・!」
二人は周囲を見渡す。西日は沈みかけ、東から林全体を覆うかのように、薄暗い闇が広がり始めている。
「確かにその通りだ・・・」
「ふふ、我々としたことが・・・」
一条と板倉は談笑するかのように、しづかの意見に同意する。
その様子を見て、しづかは呆れ顔を浮かべ、ため息をつく。
「もっと緊張感を持て・・・!ここは殺し合いの場なんだぞ・・・!」
しづかの脳裏に、秀峰と勝広の殺し合い、勝広の爆死、和也との遭遇が光のように駆け巡る。
噴水の水しぶきのように舞う血のビジョンが、何度、頭の中で繰り返されてきたことか。
次はあの血が自分のものであってもおかしくはない。
先が分からない恐怖。しづかは二人に気づかれないように右手で左腕を掴み、心の奥から地震のように響いてくる震えを抑えた。
そのような凄惨な体験をしているからこそ、二人の和んだ雰囲気が歯痒かった。
自分がしっかりしなければ、一条と板倉は誰かに殺されてしまうかもしれない。そのような危機感さえあった。
「これから、どうしましょうか・・・?」
「そうだな・・・」
二人からすれば、しづかは囮程度の利用価値しかないと考えている。
むしろ、相手の情報を引き出すための駆け引きを妨害され、不愉快なくらいである。
それでも、しづかの存在を重要視するにはある理由があった。
一条も板倉も、相手が胸に一物を抱えているのは承知しており、その一物が何であるかを白日の下に晒そうとしている。
それを制する鍵を握っているのが、しづかなのである。
二人の関係はまるで、お互いの頭に銃を向けあい、いつ引き金を引くのか分からないガンマンの決闘のような状態である。
この牽制しあう関係は、しづかがどちらかにこう言えば、大きく覆されてしまうのだ。
「お前、何を企んでいる・・・!」
その直後、しづかの言葉を大義名分にし、もう片方がしづかを擁護しながら、相手を糾弾し始めるだろう。
だからこそ、今、ここでしづかの機嫌を損ねてはならないのである。
ここで一条が閃いたかのように、しづかに提案した。
「そうだ・・・今夜はあのホテルで一晩を明かしませんか?」
一条が指をさしたホテルは、勿論、板倉と佐原が先ほどまで拠点としていたホテルである。
この言葉に、しづかもそうだが、板倉も言葉を失った。
反論の口火を切ったのはしづかだった。
「な、何を考えているんだ・・・!あのホテルには裏切り者がいるんだぞ・・・!」
しづかは首元を押さえる。再び、あの震えがこみ上げてくる。
「しづかさん・・・」
一条はしづかと同じ目線になるように、やや体を屈めると、穏やかに語り始めた。
「確かに、あなたの気持ちも分かります。けれど、よく考えてください。
今まで、あのホテルには佐原という男と板倉さんだけしかいなかった。
逆に言えば、佐原がいなくなれば、あのホテルは安全と言えるのではないでしょうか。
佐原はしづかさんと板倉さんに裏切りを示すため、しづかさんを狙撃した。
そのような裏切りを公言した者が同じ場所に長居をすると思いますか?
私が佐原の立場であれば、目的が何であれ、場所が割れてしまったところからはとりあえず、移動すると思いますよ・・・」
――ほう、これは面白い・・・。
板倉も口を開く。
「それは一理ある。それに、この周囲にはギャンブルルームと病院があるが、
病院は今の時間帯であれば、傷を負った参加者が治療するために訪れる可能性があり、
その弱った参加者を狙った優勝目的の参加者が潜んでいるかもしれない・・・。
また、ギャンブルルームの場合は、ゲームの棄権費用稼ぎ目的の参加者が、そこへ訪れる人間は金に余裕がある者が多いと踏んで、その付近に潜んでいる可能性が・・・
それらを考慮すれば、下手に動くより、ホテルを拠点として明日に備えた方が安全・・・ということか・・・一条さん?」
板倉の援護射撃に一条は微笑んで同意する。
「そういうことです・・・それに、野宿される訳にはいきませんしね・・・我らの姫様をね・・・」
「なっ・・・!」
この言葉で、しづかの顔が火照ったように真っ赤になる。
「何が姫様だぁー!」
しづかは声を荒げると、一条を力いっぱい突き放した。
もうお前の話は聞かないと言わんばかりに、そっぽを向いてしまう。
一条は体勢を立て直すと、板倉と顔を見合わせ苦笑した。
「不愉快にさせてしまったことは謝りますし・・・あなたの気持ちも理解しています。
ただ、今はホテルを拠点にすることが、危険に思えて、実は安全・・・
あなたの身は私が守ります。どうか理解していただけませんか?」
「俺もそう思うよ・・・しづかさん。
とにかく早い段階で、夜を過ごす場所は決めてしまった方がいい・・・
それに、もし、ホテルに佐原がいないということが分かれば、後は確実に出入りできる唯一の場所である正面入り口を警戒すればいい・・・
危険を未然に防ぐこともできる・・・!」
――安全・・・守る・・・危険を防ぐ・・・。
しづかは二人の言葉に心が動いているのを感じた。
ホテルどころか、この島全体に安全という言葉がないことは、しづかも承知している。
しかし、今のしづかはこれらの言葉に縋りたかった。
何より、正常な精神と判断力を持つ二人の男性の自信に満ちた説明と口調が、しづかに事実を曇らせ、安全が目の前に存在しているという根拠を芽生えさせてしまっていた。
ふて腐れたような表情で睨みつけながらも、一条に尋ねる。
「と・・・とにかく、ホテルで佐原がいなければ安全なんだな・・・?」
これは事実上の同意といっても良かった。
「そうです・・・!理解していただけて嬉しいですよ・・・!」
「ナイス判断力・・・!やっぱり、しづかさんは理解してくれると思っていたよ・・・!」
二人はしづかを誉めあうが、思惑は別の場所にあった。
板倉はこの時点で、佐原に裏切るメリットが見当たらないため、実はしづかの件は誤射だったのではないのかという予感があった。
そのため、ホテル内で遭遇したとしても、佐原の方から弁明してくる可能性が高いと踏んでいた。
仮に、本当に裏切りであったとしても、一条が何らかの武器を持っており、それなりに対応はできる。
佐原がどのようなスタンスを持っているのかに応じて、協力体制を組むなり、殺すなり、手段を選べばいい。どちらに転んでも、板倉には悪くはない状況ではあった。
それに対して、一条はカイジを知る佐原の存在が気になっていた。
佐原からカイジの情報が聞きだせるかもしれない。
聞き出した後は、佐原がどのようなスタンスを持っているのかに応じて、協力体制を組むなり、殺すなり、手段を選べばいい。どちらに転んでも、一条には悪くはない状況ではあった。
二人の思考は恐ろしいほど、そっくりなものであった。
目的のためなら、どのような駆け引きにも応じ、相手にはその匂いを感じさせないように、紳士の仮面を常に身に付ける。品がよく見えても、それをめくれば、裏で生きる獣の顔がそこにはあった。
その時、しづかが声をあげた。
「武器はどうするんだよ・・・!アタシは武器になりそうなものなんて持っていないぞ・・・!」
その言葉に板倉が突如、あちゃあっ・・・!と声を出し、頭を押さえた。
「それを忘れていた・・・!
残念ながら、俺も戦闘の役に立ちそうな武器を持ち合わせてはいない・・・アンタはどうなんだ・・・一条さん?」
――この場面で、情報を集める気か?
一条は口元こそ笑ってはいるものの、その瞳は苦々しそうに板倉を見据える。
しかし、ここで情報を拒否すれば、しづかがそれは卑怯だと反論するのも目に見えている。しづかの言葉によって、立場が危うくなるのは避けたい。
「あぁ、私の武器ですか・・・銃器をいくつか・・・
板倉さんこそ、銃器は持ち合わせてはいなくとも、何か役に立ちそうなものは持っているのではないのですか・・・?」
その言葉を待っていたと言わんばかり、板倉は自分のリュックを一条へ差し出す。
「良かったら、見てくれないか・・・大したものは入っていない・・・!」
一条はその中身を確認する。リュックの中身は通常支給品と手に収まるくらいに小さいジュラルミンケース型の箱が入っていた。
一条は箱を手に持ってみる。
「これは?」
「それか・・・それはハブの猛毒だ。三時間ほどで相手を死に至らしめることができる。
こんな注射じゃ、相手を脅すこともできない・・・まったく使いどころに困った武器だ・・・」
一条はあることに気づいた。
「リュックの中身が記載されている説明書がないようですが・・・どうなされたのですか?」
板倉は満面の笑みで即答する。
「なくしちまった・・・!」
――嘘をつけ・・・!
説明書には毒の情報もだが、スタート時点でリュックに入っている持ち物の情報が書かれている。
説明書という信憑性が高い情報がない限り、手の内を見せたことにはならない。
ほかの支給品をスーツの中に隠している可能性もあるし、毒の話自体も怪しい。
そもそも板倉は必要以上の情報が洩れることを恐れるこの状況において、何の躊躇いもなく、リュックという命綱とも言うべき情報を見せた。
――板倉の情報は疑ってかかった方がいい・・・。
そんな一条の苛立ちを知ってか知らずか、板倉は更なる要求をする。
「一条さんはどんな武器を持っているんだ?もし、差し支えがなければ・・・見せてくれないか?」
――ふざけるな・・・!一方的に見せておいて・・・!
一条にとって、リュックの中身を見せるのは自滅行為と言っても良かった。
しかし、ここでそれを拒否すれば、それこそ、しづかから非難を浴びることになる。
板倉は差支えがなければと言ったが、一条には見せる以外、選択肢はなかった。
「・・・どうぞ・・・」
板倉は一条からリュックを受け取ると、その中身を確認する。
「トカレフに、タバコ、スタンガン・・・おや・・・」
板倉は改造エアガンを取り出した。
「もし、良かったらで構わないんだが・・・これから裏切り者がいる可能性があるホテルへ戻るのだから身を守るための武器が必要だ・・・
トカレフはアンタの身を守るために必要・・・だから、こっちを貸してくれないかい・・・一条さん?」
――このチンピラが・・・!
一度、手放してしまった武器は何かと理由をつけられて、一条の手元に戻ってくることはないだろう。
目の前の男は、武器の調達と一条の情報収集をわずかなやり取りで、同時にやり遂げてしまった。
板倉の都合のいいように、手玉に取られてしまったという屈辱が、カイジへの恨みに近い毒々しい感情として溢れてくる。
この場で絞め殺してしまいたい衝動に駆られる。しかし、紳士の仮面を剥がすわけにはいかない。
一条は表面上ではあるが、快く貸した。
「すまないな・・・一条さん。
いやぁ、これで俺も果たすことができそうだ・・・姫を守るナイトの役をね・・・!」
その言葉にしづかは、お前も姫なんて言うな・・・!と一喝し、再び、顔を真っ赤にする。
しづかの怒りを板倉はまあまあと子供をなだめるように受け流す。
――あぁ、白々しい・・・この狐が・・・。
今の一条には、その二人のやりとりが遠いものにしか感じられない。
一条にはある考えが過ぎった。
――この男、頭が切れる・・・いや、切れすぎる・・・いずれ・・・私を踏み台にする・・・!
我が復讐の障害、板倉・・・奴に利用価値があるとするなら・・・。
「返すぜ、一条さん・・・」
板倉はリュックを返そうと、一条の前に差し出した。
しかし、一条の手はそのリュックを通り越し、その先にある腕を掴んだ。
「このスーツ・・・ドーメル・スキャバルですね・・・」
ドーメル・スキャバルとは、イギリスの老舗の高級スーツブランドであり、細番手の糸を使った光沢のある生地を使い、型崩れをしないことが特徴である。
一条はさらに強く板倉の腕を掴む。
「実にいいスーツだ・・・私のものなんか、安物でしてね・・・」
一条はスーツの襟を広げて見せる。
「ほら・・・血が下のシャツにまで染みてしまっている・・・
そのような上等なスーツ・・・機会があれば着てみたいものですよ・・・」
――当然とはいえ、こいつ、そうとうキレていやがるな・・・!
板倉は目をやや歪ませながらも、冷静に笑みを浮かべながら対応する。
「あぁ、アンタなら、似合うと思うぜ・・・もし、落ち着いたら、俺のものでよければ着てみるか?
丁度、俺達は身長も肩幅も同じくらいだしな・・・」
「機会があれば・・・」
一条は板倉の腕を離し、リュックを受け取った。
両者はお互いを見据えあう。
一条は柔和に微笑みながら、口を開く。
「確かに・・・我々は身長も、肩幅も同じくらい・・・そして、思考も・・・
まるで、生き別れの兄弟・・・いや・・・双子に会ったような気分ですよ・・・」
板倉もその言葉にふっと笑みをこぼす。
「確かに・・・俺もそう考えていた・・・」
「もう、いい加減にしろよ・・・!ホテルへ行くんじゃないのかよ・・・!」
二人の水面下の宣戦布告を遮断するかのように、しづかが声を出す。
二人はしづかの存在を忘れていたことを、詫びるかのように同時に手を差し出す。
「さぁ、参りましょう・・・我らのお姫様・・・!」
「どこまでもふざけやがって・・・!」
あまりの緊張感のない二人の行動に、しづかは肩をぶるぶる震わせ、二人の間をわざと割り込むように前へ進んでいった。
二人は顔を見合わせ、再び、苦笑すると、しづかの後を追うように、ホテルの方へ歩みだしたのだった。
【F-6/ホテル前/夜】
【板倉】
[状態]:健康
[道具]:毒液入り注射器 ※ハブの毒?(偽りの可能性あり、本人確認済み)
改造エアガン、不明支給品0〜2 通常支給品
[所持金]:1000万円
[思考]:仲間を利用して生き残る 宇海零、標を探す 対主催者と合流する
※佐原が自分達を裏切ったと判断したと同時に誤射の可能性も考慮しています
※しづかは重要と考えていますが、いざとなれば切り捨てる気でいます
※一条を信用していません、彼を利用する気でいます
※一条に道具を確認させていますが、どこかに隠している可能性もあります
※一条の道具は不明支給品含めて、全て確認済みです
【一条】
[状態]:健康
[道具]:黒星拳銃(中国製五四式トカレフ)、毒付きタバコ(残り19本)、マッチ、スタンガン、包帯
不明支給品0〜1(本人確認済み) 支給品一式×4
[所持金]:4000万円
[思考]:カイジ、遠藤、坂崎、涯、平田(殺し合いに参加していると思っている)を殺し、復讐を果たす
復讐の邪魔となる(と一条が判断した)者を殺す
復讐の為に利用できそうな人物は利用する
板倉を復讐の障害と認知、殺したい
※しづかは復讐の為に利用できる駒としか見ていません
※板倉に不明支給品含めて、道具を全て確認されています
※板倉のスーツに興味を持っているようです
【しづか】
[状態]:首元に切り傷(止血済み)
[道具]:不明支給品0〜2(確認済み) 通常支給品×2
[所持金]:2000万円
[思考]:板倉と行動を共にする ゲームの主催者に対して激怒
※このゲームに集められたのは、犯罪者ばかりだと認識しています
※板倉と一条を信用しています
※和也に対して恐怖心を抱いています
以上です。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
ナイスw福本英語にはクスッとくるww
すげーー!!
おお…いつの間にか投下されてた…
投下乙。板倉と一条の駆け引きが面白いなあ。そしてしづかがかわええw
この奇妙な三角関係がいつまで続くのか期待
読んでて緊張した…スゲー
圧倒的乙っ・・・!
みんな文章上手くてすごいね・・・
投下乙…
ナイス乙…!素晴らしい乙…!俺じゃあこうは(ry
思考の双生児っ…な二人の駆け引き、やり取りが面白かった。
互いに譲らないっ…でも今のとこ少し板倉優勢?
しづかが姫扱い嫌がってるのが読んでてニヤニヤしちまったw
感想ありがとうございました。
前回もそうでしたが、暖かいレスをいただく度に、心が温かくなるのを感じます。
あれ、目からしょっぱい汗が・・・。
実はこの話、プロットの時点では双子という単語は予定されておりませんでした。
(プロットでのタイトルは『一姫二紳士』か『プリンセス・ナイト』・・・
ちなみに、狂気の沙汰のくせに面白くないタイトルを妹に話したところ、
当然ですが、却下っ・・・!と言われました・・・)
しかし、話を作成していく中で、作中で一条から突然、双子という単語がポンと出たので採用、今に至ります。
これがキャラが生きているということなのかと実感すると同時に、
巧みな心理描写で、話どころか書く側の人間をも引っ張る力を持つ多くのキャラクターを生み出した福本先生の偉大さと、
そのキャラクターの持ち味を活かしつつ、それをさらに深く掘り下げて、人間性と魅力を引き出している書き手さん方の技量の高さを改めて再認識されられました。
私はまだまだ、書き手として未熟な点はありますが、せめて、次の書き手さんへ?げることができるような話を投下できるように頑張りたいなと思います。
最後にですが、一条、しづかの状況詳細で、少々言葉が足りない点があり、続きを書く書き手さんの迷惑となる恐れがあるため、修正版を投下します。
未熟なばかりに、何度も申し訳ございません。
【一条】
[状態]:健康
[道具]:黒星拳銃(中国製五四式トカレフ)、毒付きタバコ(残り19本)、マッチ、スタンガン、包帯
不明支給品0〜1(本人確認済み) 支給品一式×4
[所持金]:4000万円
[思考]:カイジ、遠藤、涯、坂崎、平田(殺し合いに参加していると思っている)を殺し、復讐を果たす
復讐の邪魔となる(と一条が判断した)者を殺す
復讐の為に利用できそうな人物は利用する
佐原からカイジの情報を得る
板倉を復讐の障害と認知、殺したい
※しづかは復讐の為に利用できる駒としか見ていません
※板倉に不明支給品含めて、道具を全て確認されています
※板倉のスーツに興味を持っているようです
【しづか】
[状態]:首元に切り傷(止血済み) 健康
[道具]:不明支給品0〜2(確認済み、武器ではない) 通常支給品×2
[所持金]:2000万円
[思考]:板倉、一条と行動を共にする ゲームの主催者に対して激怒
※このゲームに集められたのは、犯罪者ばかりだと認識しています
※板倉と一条を信用していますが、自分がしっかりしなければとも考えています
※和也に対して恐怖心を抱いています
乙です。
二人とも駆け引きがやべぇ……w
腹の探り合いをするステルスマーダー同士って、結構恐いなw
今後が楽しみです。
661 :
マロン名無しさん:2009/02/20(金) 18:13:00 ID:guHvS4Xz
あげ
662 :
マロン名無しさん:2009/02/21(土) 14:48:42 ID:7QzndIyi
森田が死んで銀さんがマーダー化
・・・ないな。
>>662 他の書き手の皆さんって、こういう書き込み見て
「ないのか、今考えてたけど止めよう」
ってなることない?
俺はこの前の、カイジがこんな行動取るはずないって騒ぎの後なかなか書けなくなった
俺にはあの話、違和感なかったから
>>663 普通に一レス程度で終わるものなら流すか気付かなかったりする
だけど
>>663のレスとそれにレスした俺のせいで流れが出来ると無視できないような状況に陥ることもある
どんな展開もあるかもあるかm
それがバトルロワイヤルというものだ
>>663 あえて書いてみようって思う書き手さんもいるんじゃないかな?
あんまり読み手に媚びる必要もないし。
ちょっとうざいかも
>667
女子高生か。お前は
ざわざわ・・・
ざわざわ・・・
保守…!
671 :
マロン名無しさん:2009/02/28(土) 00:51:03 ID:wGRtuPCO
あげ
予約キター!
なんだ、どうなるんだ?!
wktkが止まらない
このメンツは…!wktkせざるを得ない
もうハイクオリティだったあの頃には戻ってくれないんだろうか
看板両主人公来た!!これは期待っ…!
>>674 アカギの話とか十分クオリティ高いと思うが
ああ、ごめん。言い方が悪かったね
もうハイクオリティだったあの頃の人達は戻ってくれないんだろうか
に修正。誤解させちまってスマーン
はいはい
え?もしかしてベテランさんの投下を待ち望んでたのって俺だけだったの?
最近ベテランさんの投下減ったなあーと思ってたら、そういう訳だったんだ
知らんかったあー
空気読めてない書き込みしてもてスマン
おまえみたいな奴がいるからベテランさん(笑)の投下が減るんだよ
荒れてから投下がこわいんだもん
投下します。
月。 満月。
光は降り注ぎ、木々の下に影を作る。
月明かりを頼りに、また月明かりのためにできた影にひっそりと紛れ、足音を立てぬよう歩く一組の男女。
沈黙。時折、微かに風が葉を揺する音。
「…大丈夫?」
周囲を気にして、小声で女のほうが男に話しかける。
男のほうは、相手にはっきりと伝わるよう心がけながら頷いた。
左足の傷は痛むが、なんとか歩行はできる状態である。
ただ…今の状況、ずっと外を歩き回る現状、できれば早く手当てをしたい。
沙織とカイジの二人は元いたアトラクションゾーンから離れ、禁止エリアのホテルを右側から迂回するように南下していた。
二人はバトルロワイアル…この馬鹿げたゲームが始まってからこっち、アトラクションゾーン周辺からあまり移動していない。
近くが禁止エリアとなったのでできるだけ離れるため、また、つい先ほど経験した忌まわしい事件の感触から逃れたいために、
足を踏み入れていない地区のほうへと歩いていたのだった。
歩いているうちにそれなりの隠れ家…身を隠し、一時的にでも休むための場所が見つかるかもしれないという希望を胸に。
道中、行く先を決めたのは沙織だった。
彼女は、どこか吹っ切れたようだった。一種の諦観というべきか。
ただ守られることだけを考え怯えるのではなく、生きるために、その可能性を少しでも高めるために行動する、
その決意は背中から、また歩き方からもはっきりと伝わってきた。
方針を決めたのはカイジだった。
仲間を増やす、そのためには無茶な行動に出るのではなく、相手をよく観察して慎重に行動する。
…もし敵…また有賀のようなマーダーに出会ったら二人で退治…する…。
(……いや、退治じゃない。ごまかすな)
カイジは、心の中でさえぼかした表現を使おうとする自分に苛立った。
(殺人だ。人殺しだ。言い逃れはできない)
言い訳などできぬ。自分に嘘をつき続けることなどできないのだから。
有賀の荷物の中にあった果物ナイフが上着のポケットに入っている。
その武器がいつか血に染まることがあるかもしれない。
おそらく…、日がたつにつれ、禁止エリアは拡大し、逃げ場は少なくなっていくのだろう。
そして、…その時出会うは猛者…。一日でも長く生き延びてきた突破者っ…!
仲間になってくれるとは限らない。有賀のような者と、これから先何人遭遇するか知れぬ。
だから、覚悟を決めなければ。自身の目的のため…。主催者との戦い、圧倒的勝利っ…!その末に、
『少しでも多くの人間が生き残る』ために…!
ふと胸騒ぎがした。気配。
茂みからアトラクションゾーンの方向に目をやった。
人だ。
アトラクションゾーンの大通りを歩いている…!
カイジは目を瞠った。
人が歩く、そのこと自体は本来、全く驚くに値しないこと。問題は、どのように歩いているのか、だ。
その人物は、『無造作に』歩いていた。
月光を浴び、大通りの中央を堂々と。いつどこから狙撃されてもおかしくない、このゲームの中で。
一瞬頭がおかしいのかと疑った。もしくは、投げやりになっているのかと。
…だが、そういう風には見えない。否、少しぶっ飛んでいるのは間違いがないが、ただ壊れているという感じがしない。何かが違う。
なんというか…、元々こういうゲームの中に身をおいて生活してきたような…、
殺されるかも知れぬという状況が最早日常になっている、そんな風に見えた。
参加する以前から、『すでに覚悟を決めている』、…そんな風に。
「カイジ君、あれ…」
沙織も気がつき、カイジに囁いた。
「赤木しげるじゃない?今度こそ本物の…」
そう言われてようやく気がついた。年恰好、白い髪。むしろ何故気づかなかったのか。
…写真ではわからない、独特の雰囲気があった。生身の「本物」には。
「……危険人物…、第一級の…」
沙織が小さくつぶやく。
「……ああ、でも……」
二人は茂みに隠れたまま顔を見合わせた。
沙織も困惑したようにカイジを見、また赤木のほうに目を向ける。
有賀のようなマーダーを想像していたのだ。若しくは知性を以って人を見下す利根川や一条のような。
ふ、と赤木しげるの横顔がこちらを向いた。
「…!」
目が合った。互いにだいぶ距離があったが、はっきりとわかった。
合ったにもかかわらず、赤木は僅かに目を細めただけで、何事もなかったかのようにまた前を向き真っ直ぐに歩き出した。
しばらく呆然として赤木の背中を見送っていたカイジだが、ハッと我に返り、次の瞬間には茂みから飛び出していた。
沙織が制止しようとする暇もなかった。
遠くから狙撃される危険を警戒することも、足の痛みも、その一瞬だけ忘れた。
「ま…、待ってくれ…!」
赤木しげるの背中に声をかけた。赤木は立ち止まり、ゆっくりとこちらを向いた。
「アンタ、赤木…、赤木しげるだろっ…!」
アカギは答えない。沈黙は肯定だった。
「…あの、」
何を言えばいいのか迷った。
『大通りの真ん中を歩いていたら危ない』と言おうかとも思ったが、そんなこと本人が一番分かっているだろう。
無造作に歩いているように見えて、気を緩めてはいない。だからこそ、遠くで様子を伺うこっちの気配に気がついたのだから。
偶然などではない…
「……あの…、仲間になってくれないか?」
やや上ずった声で、単刀直入に言った。
「断る」
アカギはあっさり言い放った。
「…そうか」
カイジは一瞬固まったが、ふっと小さく息をついた。その顔にさほど落胆の色は見えなかった。
「……そんな気がした」
その言葉に、アカギは僅かに口の端を持ち上げた。
「だが、取引ならいい」
「…取引?」
「アンタには聞きたいことが山ほどあるんだ」
「……あ?」
その言葉にカイジは驚いた。
「……知ってるのか、オレの事っ…?」
「いや、全然…。ただ、アンタ、開会式で目立ってたんで憶えていた」
「………でも、じゃあ何を聞くことがあるってん…」
「アンタ、初めてじゃないだろう、こういうの」
カイジは目を見開いた。
「…なんでそう思う…?」
アカギは語りだした。
「理由は…このゲームの幕開け…開会式での一件だ…。
一人の男の首輪が爆発した…あの時だ。首輪が爆発する『前』に、アンタ、何かを察していただろう」
「…………?」
「オレは、首輪が爆発するまで、予感はしたものの、何が起こるかまでは正確な予想はできなかった。
おそらくあの場にいた大半がそのはずだ。
アンタがあの山口という男の発言を制止しようとしたとき…。ただ単に、奴ら…主催の機嫌を損ねるのは得策じゃない、穏便に、
なんて理由で山口を止めにかかっていたわけじゃあなかった…。
今この瞬間にも、危害を加えられる…あっさり殺される、こいつらはそれくらいやる…そういう確信があったんじゃないか…?
だから焦り、慌てて止めようとした。
主催から『皆様に殺し合いをしていただきます』などと宣言されたばかりで…
参加者の大勢が面食らい、また緊張し、呆然としていたあの時に。」
「……………」
「……そして、あの場にいた参加者の数名は、首輪が爆破した山口を見ても驚愕の色を見せなかった。
おそらくそいつらは関係者…。何をやらかして参加者に落とされているのかは知らないが、
元々は主催の組織の内部にいた者…。
だから、主催の人殺し…、それを見ても動じなかったんだ。
だが、アンタは別…、おそらく、今までも『関係者』でなく『参加者』…、理不尽を強いられる側だったはず…。」
「……………」
「だからあの涙…。
混乱と不安と焦燥の中、大勢が固まったまま動けない中、死ぬ者を見て同情する『余裕』すらあったのは、
以前にも同じような状況で、同じ立場のものが殺されるという経験があったから…。違うかい」
木の葉が揺れる。
ざわ…
ざわ…
胸の奥がざわめく。
ざわ…
ざわ…
ざざざ…
「……で、取引と言うのは」
「ちょっと待ってくれ」
カイジが遮った。
「アンタは…? アカギ…アンタは……、『何』なんだ……?」
「………何と答えれば満足だ?」
「………。 どっちだ?」
「どちらでもないさ」
「…でも、『向かう先』は同じだろう……」
「何だ…。分かってるんじゃねえか」
アカギは薄く笑う。その人を食ったような態度が腹立だしい。思わず舌打ちする。
「チッ………取引って…何だよ?」
「…オレが欲しいのは情報…。アンタの持つ情報…。」
「………勿体つけて、単に情報交換したいって話かよっ…」
「いや、取引だ。だからアンタからも要求すればいい」
「……………要求なら、オレはもう言ってる」
「そう。わかった」
アカギがあっさりと言い、カイジはますます憮然とした表情をつくる。
「何だよアンタ…断ったり、承諾してみたりよっ…!」
「取引としてならいい。だが、別行動が前提だ」
カイジはその言葉を聞いて、急にニヤリと笑う。
「それで構わねえさ。別に同行してくれなくったっていい。そっちにはそっちの都合があるだろうしな…!
というかアンタと一緒に行動したらこっちが落ち着かねえ、誰かに狙撃される前に、胃に穴が開くっ…!」
「ククク…」
カイジの歯に衣着せぬ物言いに、アカギは思わず笑った。
「……とりあえず、ここから移動しねえか?こんな目立つところで立ち話もなんだろ…」
◆
アトラクションゾーンの大通りから少し離れた茂みの中。
カイジは、アカギと沙織に今までの経験を、淡々と話した。
借金を背負わされ、闇金融から怪しげな船を紹介されたところから…。できるだけ客観的に、経緯のみを伝えるように…。
それでも、裏切られたことや、大勢の人間が死ぬ様を見たことを話すときには声が震えた。
考えてみれば、今までこんな話を誰かにしたことはなかった。
あまり思い出したくないことでもあり、荒唐無稽すぎて誰も信じてくれないだろうとも思っていたからであるが…。
……それでも、本当は、誰かに話したかったのかも知れない。オレの血肉、オレの歴史…。
「……Eカード」
ずっと沈黙したままだったアカギが、ふとつぶやいた。
「ああ、それは『皇帝』『市民』『奴隷』の三つの絵柄が描かれたカードを使って…」
「それは、こんなカードかい…?」
アカギは、懐からEカードを取り出した。
「これ、どこで…」
「なに…島に点在するギャンブルルーム、その一つから頂いてきたのさ」
「へえ…、ギャンブルルームにはこんなカードまで置いてるのか…。
……なら、変な針のついた拘束具みたいなモンも置いてあったか?」
「いや…。何だい、それ」
「さっき話しただろ…、耳を賭けさせられたって。形としてはこんな…」
カイジは首輪を指差しかけ、ふと言い淀んだ。
ふと、上着のポケットを探る。取り出したのは、少し縒れた紙切れ。
以前、首輪について思いついたことを書き、沙織に見せたメモ。
その紙切れをアカギに渡す。アカギはそれに目を走らせた。
「…ふうん、なるほど」
アカギはその紙切れを懐に仕舞いこんだ。
「役に立つか?それ…」
「ああ…」
アカギは短く言った。
アカギに参加者名簿を見せ、危険人物や、知り合いに関する情報を交換した後、アカギは去っていった。
カイジはその後姿を、完全に闇に溶け込み同化するまで見ていた。
アカギは最後に、こう書かれたメモを残していった。
……『もし再び会うことがあれば、それはきっとこのゲームが幕を開けた最初の場所でだ』と。
カイジはそのメモをポケットから取り出し、反芻した。この言葉が持つ意味…、それは、とどのつまり…
「…………カイジ君」
沙織が少し咎めるような声を出す。
「……はい」
ばつの悪そうな顔で返事をするカイジ。
「無茶しないって言ったわよね?もう…急に飛び出すなんて…」
「…………目が合ったんだ」
「………」
「アカギが振り向いた。こちらに敵意がないと感じて、そのまま行こうとした。
つまり、それは向こうにも敵意がないってことだ」
「……………そんなの、わかる訳ないじゃない。結果的にうまくいったからって…」
沙織はため息をついた。
(……………そうでもない)
不思議な感覚だった。
命懸けの勝負で、ギリギリまで張り詰めている時なら、感じることはあった。
敵…戦っている相手の感情…思考…。それを読もうとして…観察して…対峙して、ふと感じるもの。
だが、ただ歩いている人間に対して……
(……………もしかして)
あの男は、常にそんな感覚を身に纏っているのだろうか。
支援
続きはしたらばに投下されています
>>682それはあるだろうね
本当に気の毒だ
まあ、そうなることまで予測しての荒らし投下だったんだろうけど
◆
月。 満月。
光は降り注ぎ、木々の下に影を作る。
月明かりの中、深い静寂の中、恐れることなく、物陰に隠れようともせず、大通りを堂々と歩く一人の男。
沈黙。時折、微かに風が葉を揺する音。
アカギはふと、空を仰ぐ。
じきに、時は満ちる。
だが今は、昼間の月のように静かに、密かに行動する。自身の目的のため…。主催者との戦い、圧倒的勝負っ…!
『全てを燃やし尽くすような業火の中に、この身を躍らせる』ために…!
さっきの男。
思っていたよりも面白い奴だった。だが、相容れない。
向かう先が同じでも、性質は全くの逆…。光と闇。
(だが、それでいい。同じである必要などない)
アカギの死生観。
生と死は表裏一体ではない、という考えと同じく、光と闇も、繋がっている。同一線上にある。
奴は、仲間を集めて集団で主催と対峙するつもりなのだろう。
だからオレに名簿を見せてきた。参加者の情報を集めるために。
そして、オレの戦略は逆…。一人、主催の内部に潜り込む……。
主催の思惑の外からの攻撃…。別領域からの刃…!
【D-3/アトラクションゾーン/夜】
【赤木しげる】
[状態]:健康
[道具]:五億円の偽札 不明支給品0〜2(確認済み)支給品一式
[所持金]:600万円
[思考]:もう一つのギャンブルとして主催者を殺す。死体を捜して首輪を調べる。首輪をはずして主催者側に潜り込む。
※主催者はD-4のホテルにいると狙いをつけています。
※五億円の偽札
五億円分の新聞紙の束がジェラルミンケースに詰められています。
一番上は精巧なカラーコピーになっており、手に取らない限り判別は難しいです。
※2日目夕方にE-4にて平井銀二と再会する約束をしました。
※鷲巣巌を手札として入手。回数は有限で協力を得られる。(回数はアカギと鷲巣のみが知っています)
※鷲巣巌に100万分の貸し。
※鷲巣巌と第二回放送の前に病院前で合流する約束をしました。
※首輪に関する情報(但しまだ推測の域を出ない)が書かれたメモをカイジから貰いました。
※参加者名簿を見たため、また、カイジから聞いた情報により、
帝愛関係者(危険人物)、また過去に帝愛の行ったゲームの参加者の顔と名前を把握しています。
※過去に主催者が開催したゲームを知る者、その参加者との接触を最優先に考えています。
接触後、情報を引き出せない様ならば偽札を使用。
それでも駄目ならばギャンブルでの実力行使に出るつもりです。
※危険人物でも優秀な相手ならば、ギャンブルで勝利して味方につけようと考えています。
※カイジを、別行動をとる条件で味方にしました。
【D-3/アトラクションゾーン沿いの林/夜】
【伊藤開司】
[状態]:足を負傷 (左足に二箇所)
[道具]:支給品一式×2、果物ナイフ、ボウガン、ボウガンの矢(残り十本)
[所持金]:1000万円
[思考]:身を隠せる場所を探す 仲間を集め、このギャンブルを潰す 森田鉄雄を捜す
一条、利根川幸雄、兵藤和也、鷲巣巌に警戒
赤木しげる(19)から聞いた情報を元に、アカギの知り合いを捜し出し、仲間にする
※平山に利根川への伝言を頼みました。
※2日後の夜、発電所で利根川と会う予定です。
※アカギのメモから、主催者はD-4のホテルにいるらしいと察しています。
※アカギを、別行動をとる条件で仲間にしました。
【田中沙織】
[状態]:健康
[道具]:支給品一式(ペン以外)、サブマシンガンウージー 防弾ヘルメット、参加者名簿
[所持金]:7800万円
[思考]:カイジの足の手当てができる場所を探す 仲間を集める 森田鉄雄を捜す
一条、利根川幸雄、兵藤和也、鷲巣巌に警戒
***
以上です。
乙…すぎる…
投下乙です。
あえて別行動か…まあ、当然だな
カイジが泣いているのを「余裕があった」と評価するとは…思わずなるほどと思ってしまった
したらば廃棄スレのあれって即興っぽいな
なんていうか沙織の心情というよりも作者の心情のような気もしないでもないでもない
ちょっと文章も破綻気味だし
>>701 ボツネタ掘り起こして文句垂れる前に、
投下された作品に対して感想書けよ
突破者www最新のトレンドですね。
突破者ワラタwwww
ほ
っ
け
ほっけwww
したらばで確認していただいた話の修正版を投下します。
前編、後編になってしまうほどの長文であるため、
書き込みができなくなる前に、ここで書きます。
今朝、したらばで、野生の福本先生が漫画をアップされました。
私の話を読むより、そちらを見ていただけると、
個人的には、父ちゃん喜び庭駆け回ります。
・・・では、以上で放送を終了する。
諸君の健闘を祈る』
森田は放送に耳を傾けながらも、画面に集中する。
放送と同時に、フロッピーのデータが更新された。
やはり、佐原という男は、自分たちがいるショッピングモールへ向かっているようである。
「遠藤・・・そろそろだ・・・わかっているな・・・!」
この言葉は、これからショッピングモールで到着するであろう佐原がどのようなスタンスを持っているのか、
一人で接触して見極めてくれるだろうなという最終確認の意味が含まれている。
「ああ・・・」
遠藤はそっけなく答え、立ち上がった。
その姿を見て、森田は一先ず、安心した。
遠藤を佐原の元へ向かわせることは、佐原が同行者として相応しいのかを見定め、戦力の追加を計ることが目的である。
しかし、実際は遠藤が森田の指示通りに動くのか、つまり、森田の手足となるのかを知ることが本当の目的である。
今の遠藤と森田は握手をしながらも、もう一方の手は相手に武器を構えている状態――
いつ裏切っても構わない、互いの利点を利用しあうだけの関係である。
だからこそ、森田は暗黙の立場上、遠藤より優位に立ちたいと考えている。
遠藤は森田と組むメリットがなくなれば、迷うことなく森田との関係を解消するだろう。
それどころか、森田が自分の目的の障害となりうると判断すれば、寝首を掻くことも厭わないはずである。
もし、森田が何らかの武器を持っていれば、遠藤を牽制することもできるが、残念ながら、そのような手段を持ち合わせてはいない。
支援
ならば、この不確実な関係を縛り付けるにはどうすればよいか。
どちらがリーダーなのか、はっきりさせることである。
弱者は強者に従う。
森田がこの場で優位的立場となれば、今後、遠藤に無意識の束縛を与えることができる。
今回の佐原の説得は、どちらが優位な立場にあるかを認識しあう、
例えるならば、群れの中でボス猿を決める政権抗争と言っても良かった。
遠藤は森田の指示で腰を上げた。
第一段階はクリアである。
次は遠藤が森田の指示したとおりに、佐原の人間性を判断し、森田たちにそれを伝えるかどうかである。
――オレの手足になれ・・・遠藤・・・!
その時、遠藤は足元にあった、南郷と接触するときに使用したノートパソコンを拾い上げ、
南郷に目を向けた。
「そのパチンコ玉、少しの間借りてもいいか?」
南郷は訳が分からないものの、とりあえず、支給品であるパチンコ玉を袋ごと遠藤に渡す。
――何をやろうとしているんだ・・・こいつは・・・?
面食らったのは、森田である。
少しずつだが自分の意図とは違う方向に動き始めているのではないか、そんな予感が頭をかすめる。
その直後、森田の口から思わず、言葉が飛び出した。
「おい、待てっ・・・!遠藤・・・!」
しえん
佐原は見上げた。
そこにはショッピングモールがそびえ立っている。
佐原はガラスの扉に手を触れようとした次の瞬間、扉が勝手に開いた。
「うわぁぁぁぁ・・・!」
佐原は素っ頓狂な声を出し、思わずライフルを身構える。
しばらく扉を眺め続ける。
扉が自動的に閉じたとき、それが自分に危害が及ぶものではないとやっと理解した。
しかし、モールには何が潜んでいるのか分からない。
佐原はライフルを構えたまま、中へ足を踏み入れた。
そこはどこか放課後の学校を連想されるような閑散さが漂っており、外と同じ闇が広がっていた。
「ん・・・!」
佐原はあることに気づいた。目の前の床に何かある。
目を凝らして見ると、それはパチンコ玉のような銀色の球体であった。
しかも、入り口を中心に孤を描くように、ばら撒かれている。
「何だ・・・これ・・・?」
「久々だな・・・佐原・・・」
「だ、誰だっ・・・!」
佐原は声の方へライフルを向ける。
そこにいたのはかつて、帝愛主催のギャンブルを仲介した男、遠藤であった。
遠藤は入り口付近の壁に立ったまま、背中を持たせかけ、パソコンの画面を見つめている。
闇に包まれた室内で、画面の光で浮き上がる遠藤の顔は不敵な笑みを浮かべており、佐原に言い知れぬ不安を呼び起こさせた。
「お、おい、どうして、お前が・・・」
「おっと、それ以上動くなよ・・・そこに転がっている玉は小型地雷だ・・・
踏めば、命までは奪わないが、足は火薬と破片で、血だらけになるぞ・・・!」
「な・・・!てめぇ・・・!」
佐原は怒りのままに、ライフルの標準を遠藤へ向ける。
遠藤はそれを予期していたのか、特に怯える様子もなく、ククク・・・と笑いを漏らす。
「オレを撃とうと思うなよ・・・これは遠隔操作型でな・・・
このパソコンへの入力一つで、指定した地雷を自動的に爆発させることもできる・・・
地雷は目に見えているものばかりとは限らないぜ・・・」
背中に冷水を流されたような痛みを伴う恐怖が佐原の心を覆っていく。
しかし、隙を見せたらつけ込まれてしまうことも理解している。
佐原は震える恐怖心を隠すように、胸を張ると、遠藤を睨み付けた。
「そ・・・そんな武器聞いたことがない・・・ハッタリだっ・・・!」
「どうかな・・・?
お前だって、日本では入手できないスナイパーライフルを所持している・・・
オレにだって、特殊な武器がまわって来たっておかしくはない・・・
ありえないことがない・・・これがバトルロワイアルというものだ・・・
そんなにハッタリだと思うなら・・・踏んでみるか・・・?」
保守
「すごいな・・・あれで相手を牽制させるなんて・・・」
南郷は森田を見て、小さくつぶやく。
二人は佐原と遠藤から少し離れた所にあるレジカウンターの陰に身を潜ませていた。
本来の計画であれば、かなり離れた場所で様子を見るはずであったが、
遠藤が予想外の行動を取るかもしれないという森田の直感から、急遽、待機場所を変更したのである。
森田は南郷の素直な驚きに、特に合意することもなく、遠藤と佐原のやり取りを見つめていた。
遠藤の弁舌と胆の据わり方は感心に値するが、それと同時に、この状況に矛盾が生じていることにも気づいていた。
例えば、仮に遠藤の支給品が遠隔操作可能な地雷なのであれば、なぜ、地雷の近くにいるのか。
本来なら、地雷からかなり距離を置いた方が安全であり、地雷の近くにいては、遠隔操作の意義がない。
また、踏んだだけで爆発するようなものであれば、なぜ、大量にばら撒く必要があるのか。
もし、そのうちの一つが誤って爆発すれば、連鎖的な爆発を起こしかねない。
このように矛盾点を拾い上げていけば、遠藤の行動がハッタリであることは自ずと導かれてしまう。
遠藤もこの矛盾に気づいているはずである。
あえて、穴だらけの罠を仕掛けたのはなぜか?
一番の理由は佐原の現状判断能力を試すためだろう。
先程の遠藤の言葉のように、このゲームでありえないことは存在しない。
ならば、少しでも戦力になる人間がほしい。
それが戦闘能力のある支給品を持った参加者であってもよいが、
できることなら、窮地に陥った状況であっても、己を見失わない精神力があり、
尚且つ、そこから脱出することができる冷静な判断力と発想力を持った者が好ましい。
遠藤も同じことを考えているだろう。
殺し合いに参加していないことが最低条件であるが、できれば、佐原がそのような力を持っている者であってほしい。
――この矛盾に気づいてくれっ・・・!
森田はひたすら心の中で祈っていた。
ほしゅ
佐原の足元に地雷が一つ転がっている。
佐原は足をあげ、その地雷の上まで持っていった。
――こんなもの、ハッタリに決まっている・・・!
しかし、足はそれ以上動かない。
心臓の鼓動が耳鳴りのように聞こえてくる。
いくらハッタリだと自分に言い聞かせた所で、頭に過ぎるのは、爆発した時の最悪のシチュエーションである。
足を負傷すれば、当然、歩くこともできないだろう。遠藤が助けてくれるはずもない。
もし、傷が癒える前に、マーダーに出くわしたらどうなるのか。
なすすべもなく、持ち物と命を奪われるのが落ちだ。
――たかが意地のために、そんなリスクを犯したくはない・・・!
保守
佐原は足を戻してしまった。
「まぁ、妥当な判断だな・・・」
遠藤は佐原の方へ顔を向けた。
「ここへ行き着くまでに、お前、相当苦労しているんじゃないのか・・・」
「え・・・」
佐原は思わぬ言葉に、戸惑いを覚える。
「どうしてって、顔をしているな・・・声も体も震えているし、何より目が泳いでいる・・・」
佐原は思わず、自分の顔に手を当てる。
薄暗いフロアの中も認識できるほど、自分の様子は異常なのだろうか。
「苦しかっただろうな・・・佐原・・・
お前と同じ立場であれば、オレだって、体中が震えてしまうさ・・・」
「遠藤・・・」
――この男はオレの辛さに理解を示そうとしているのか・・・。
佐原の心に圧し掛かっていた絶望という名の重りが薄らいていく。
佐原のライフルの銃口は少しずつ下を向いていった。
遠藤は画面へ目を向けた。笑いがこみ上げてくる。
実際の所、佐原の様子は薄暗くて、よく分からないのが本音であるが、この際、見える、見えないということはどうでもよい。
重要なことは佐原を気遣う、同情するという行為である。
人間は常に他人からの同情を欲しがる。
佐原はここに立ち入る際に、自動ドアにすらライフルを向け、怯えていた。
遠藤はこの様子から理解した・・・佐原の心は不安と孤独に満ち、同情に飢えていると・・・。
今、佐原が欲しているものを与えてやれば、必ず見返りが来るはずである。
――佐原からの信頼・・・!
佐原の脳裏にこれまでの出来事が過ぎる。
なぜ、こんな殺し合いに参加しなければならないのか・・・。
――ああ、苦しいさ・・・。どうしようもないさ・・・。
その思いを遠藤に直接ぶつけて、気持ちを軽くしてしまいたい。
しかし、素直に話して良いものだろうか。
遠藤は迷いが生じている佐原の心の動きを察して、再びこみ上げてくるあの笑いを抑えた。
――もう一押し・・・。
「ところで、ずっと一人で行動していた訳ではないだろ?
今まで、誰と行動を共にしていた・・・?」
「えっ・・・」
情報を漏らすことは命取りに繋がるのでないのかという危惧が、溢れてくる言葉を堰き止める。
しかし、自分を知ってほしいという感情も存在している。
――名前だけ・・・名前だけなら・・・。
「板倉という男だ・・・」
「板倉か・・・あぁ、確か、ある組に属する慶応卒の若い奴か・・・。
財全グループのギャンブルの代打ちを決める試験に参加していた・・・」
「どうして、それを・・・」
「オレはゲームが始まる前、帝愛グループから、このゲームへの参加者を探して欲しいと依頼を受けていた・・・
結局、オレ自身もハメられて、参加する羽目になっちまったがな・・・
だが、この経験が良かった・・・今じゃ・・・」
遠藤はククク・・・と笑いながら、指で頭を指し示す。
「参加者全員の名前と顔と特徴は全て、頭の中に叩き込んである・・・!」
「す、すげぇ・・・!」
勿論、遠藤の言っていることは、罠同様ハッタリであり、
実際は参加候補者名簿をノートパソコンで隠して読み上げているだけである。
しかし、このように遠回りとも言える演出をするには理由があった。
今でこそ、佐原は心を開きかけているが、いつ、どのような場面で、再び殺意が芽生え、ライフルを遠藤へ向けるのか分からない。
そのリスクを減らすために、遠藤自身に生かすだけの価値があると、佐原に印象付ける必要があった。
今回の演出は、まさに佐原の弾丸を避けるための姿なき防壁・・・!
――佐原の孤独は取り除いた・・・殺すには惜しい人材としてのメリットも印象付けた・・・
後は・・・仕上げのみ・・・!
「今まで、何があったのか言ってみろよ・・・そして、楽になれ・・・佐原・・・
お前のスタンス次第では協力するぜ・・・」
遠藤は自分の立場を理解している。しかも、参加者全員を把握している。
何より、協力を申し出ている。
――協力。
この言葉で佐原の警戒の糸が切れた。
佐原はまるで、決壊したダムから流れ出る洪水のように、これまで自分に降りかかってきた出来事と不幸を遠藤にぶちまけた。
遠藤は横から口を挟むこともなく頷き、佐原の話を聞いている。
――軽率すぎる・・・!
森田の中で、膨らんだ期待が削られていく失望感が広がる。
遠藤が佐原に使った説得方法は詐欺師の常套手段の一つである。
相手の立場にあたかも立っているように見せかけることで、
相手が自分に近いもの、あるいは同士と認識させ心を開かせる、
自分を理解してほしいという人間の欲求を利用したものである。
――殺し合いに参加していないという最低条件を佐原は満たしているが・・・。
森田は南郷を横目で見た。
佐原に対する失望に似た感情を、南郷と初めて出会った時にも感じていた。
南郷は殺し合いに参加していないことを示すために、支給品を全て森田達に見せた。
その時、もし、自分達が殺し合いに乗っている人間だったらという考えは思いつかなかったのかと呆気にとられてしまった。
――佐原も仲間にすることで、かえって負担が・・・
ここまで考えたところで、森田は首を横に振った。
殺し合いに参加していない参加者にめぐり合えたことだけでも、良しと考えなければならないのではないのか。
森田はそう自分に言い聞かせると、再び、遠藤と佐原へ目を戻した。
「・・・それじゃあ、精神的に追い詰められてもしかたがないな・・・」
「ああ・・・」
佐原は遠藤に話すことで、張り詰めていた気持ちが軽くなったのか、肩の力を抜き、ライフルを降ろした。
「佐原・・・お前はこれからどうやって生き残るつもりだ・・・?
何か考えを持っているのか・・・?」
「え・・・アンタに考えがあるんじゃないのかよ・・・!」
佐原は思いも寄らない問いに思わず、声をあげる。
「お前がどんな方法で生き残りたいのか分からなきゃ、こっちも動けないだろ・・・?
お前のスタンスに合わせる・・・教えてくれないか・・・佐原・・・」
「あ・・・あぁ・・・」
佐原はこれまで生き残る構想を練っていなかったために、どのような返答をすればいいのか分からず、口ごもってしまった。
遠藤はそんなことだろうとは思っていたと言わんばかりに頭を掻く。
「ギャンブルルームで、棄権費用を稼ぐのか・・・?」
「えっ・・・?」
板倉から裏の社会では暴力や権力で約束を反故にしてしまうのはよくある話だから、棄権の話は信用するなと言われている。
しかし・・・
「あぁ、生き残るにはそれしかないと思う・・・!」
佐原は自分の意に反する解答を口に出してしまった。
遠藤と佐原の関係は築かれたばかりで強固なものとは言えない。
ここで遠藤に呆れられ、見離されれば、再び、佐原は絶望の重りを心に抱えることになってしまう。
判断力のある人間を演出して、見切られる要因を減らしたい。
佐原の返答は見栄と意地と不安の表れであった。
「お前、ギャンブルできるのか・・・?」
「えっ・・・」
佐原はこれまでのギャンブル経験を振り返る。
正直、パチンコぐらいしか経験がない。後は・・・
「あ・・・アンタが紹介してくれたギャンブル・・・鉄骨渡りの・・・」
「そんなのギャンブルというより体力勝負じゃねえか・・・しかも、お前、落ちているんだろ?」
「う・・・!」
「それに、ギャンブルルームは30分につき100万円が必要だ・・・
だいたい利用する奴は金に余裕があるか、ギャンブルが異常に強いか、イカサマを事前に準備して確実な勝算がある奴かの3種類の人種しかいない・・・
お前、そのどれかに当てはまるのか・・・?」
そこまでを言われると、何も言い返せない。佐原は再び、口ごもる。
「じゃあ、対主催者として、ゲーム潰しを目論むつもりか?」
「対・・・主催者・・・」
「そうだ・・・参加者全員を救うために・・・馬鹿げた殺し合いを止めるために・・・!
命を落とすことになりかねないがな・・・」
「救う・・・」
佐原は手の中にあるライフルを見た。
安全が保障され、自分に危害が及ばない社会の中でなら、佐原も倫理的な意味で、この意見に賛成していただろう。
しかし、今、自分の身を守るすべはこのライフルだけである。
自分の身を守ることさえ困難であるのに、他人を救う余裕はない。
「それも・・・ちょっと・・・」
――正義の味方のような美しい生き方をするつもりはない・・・か・・・。
遠藤は予期していた解答だけに、笑いを抑えるのも限界に近い。
ならば、選択肢は一つである。
「じゃあ、参加者を殺して、棄権費用を稼ぐか、優勝を狙うかしかないな・・・」
遠藤は少し離れた場所にあるレジカウンターを指差す。
「そこの物陰に、二人潜んでいる・・・今、殺せば、2000万円手に入るぞ・・・!」
「えっ・・・?」
保守と支援をしてくだった方、ありがとうございました。
これで、前編は終了です。
切りが良いことと規制がかかる恐れ、
家族からいい加減、ご飯を食べろと言われたため…(´・ω・`)
一旦、時間を置いて、後編を投下します。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
>>730 乙でした。
三人の佐原に対する扱いが…佐原カワイソス
遠藤は悪どいな
後編も待ってます
投下乙です。
佐原はこのまま遠藤の言いなりになるのか
森田と南郷はどうするのか、後編も期待してます
投下乙です!
大作ですなぁ
投下乙です!
大作…!圧倒的大作…!
ご感想ありがとうございます。
僥倖…!僥倖…!
勇気百倍でございます…!
大作だなんて言っていただけて大変光栄です。
分かりやすく、簡潔にまとめる力がないだけなのに…。
ベテランさん方の文才が本気でほしいです…。
では、後編投下します。
――遠藤が・・・裏切った・・・!
森田も南郷も、遠藤の反逆に言葉と思考が飛散する。
ざわ・・・ざわ・・・と、動揺が耳鳴りのように心の底から響いてくる。
「お・・・おい、どうするんだよ・・・!」
南郷ははっと我に返り、森田の肩を揺する。
森田はその手を押さえ、“オレが何とかする”と呟くと、ゆっくり腰をあげた。
「おい・・・遠藤・・・!この裏切り者が・・・!」
「ククク・・・これが俺のやり方だ・・・森田・・・!」
森田はレジカウンターから姿を現すと、それを越え、遠藤の方へ足を進める。
その形相はまさに鬼そのものと言ってよかった。
「な・・・!」
――マジで人がいたのかよ・・・!
今までフロアには遠藤と二人きりとばかり思っていたため、佐原は口を開けたまま、しばし呆然としていた。
しかし、すぐに気づく。
――こいつ、オレたちを殺す気じゃ・・・!
「う、動くな・・・!」
佐原は森田にライフルを向ける。
森田はチッと舌打ちし、歩みをとめた。佐原へ顔を向ける。
佐原は半ば遠藤に心を開いている状態である。
もし、これ以上歩めば、佐原は反射的にその引き金を引くだろう。
まず、佐原に自分の正当性を理解してもらわなければ、先へ進むことはできない。
「佐原・・・オレは、アンタに危害を加えようとは思っていない・・・
むしろ、仲間になってほしいと思っている・・・そのライフルを降ろしてくれないか・・・!」
「口ではどうとでも言えるもんだぜ・・・佐原・・・」
――それはオレのセリフだろうが・・・遠藤・・・!
森田は心の中で怒声をあげる。
しかし、説得は感情的になればなるほど、その信憑性を失わせるものである。
理知的に話を進めなければならない。
「佐原・・・こいつの小型地雷はハッタリだ・・・
でなければ、なぜ、遠藤は地雷の近くにいる?
遠隔操作可能な地雷なら自分に対して確実に被害が及ばない距離でアンタを説得するはずだろ・・・」
「あっ・・・そういえば・・・」
すかさず、遠藤が横槍を入れる。
「言っておくが、この爆弾の範囲は狭い・・・
お前と俺の距離ぐらいでは、俺に被害はない・・・
ハッタリと思うなら、踏んでみるか・・・佐原・・・」
「えっ・・・それは・・・」
佐原の足は動かない。
「佐原・・・」
自分の説得ではまだ、佐原の心をなびかせる事はできないのか。
ほしいものが目の前にあるのに、手を伸ばしても届かないようなもどかしさが森田に過ぎる。
ここで遠藤は更なる追い討ちをかける。
「そいつは武器を持っていない・・・
武器を構えたお前に対して攻撃しないのが、いい証拠だ・・・
棄権費用がほしいんだろ・・・?殺るなら今だぞ・・・」
「くっ・・・!」
佐原はライフルを少しばかりだが、力をこめて握る。
――まずい・・・!佐原は遠藤に心を傾きかけている・・・!
森田は懐に入れていたフロッピーディスクを掲げる。
「確かにオレに武器はないが、これで参加者の動向を確認できる・・・!
このゲームの綻びを見つけ、アンタをこの島から脱出させる・・・!
だから、仲間になってくれ・・・!佐原・・・!」
「オレは、参加者全員の顔と特徴を把握している・・・。
そのオレと組んでいた男の支給品は参加者の動向を確認できるフロッピー・・・
あまりにも出来すぎているとは思わないか・・・
つまり、森田が言っていることは・・・ハッタリだ・・・!」
「くっ・・・信じてくれ・・・佐原・・・!」
「奴は丸腰だ・・・殺れ・・・!佐原・・・!」
――くそ・・・どうすりゃいいんだよ・・・!
遠藤と森田は今、仲たがいの末、お互いに佐原を味方につけようとしている。
そして、佐原は相手を殺すことで、それを示さなければならない。
森田という男は、倫理的には真っ当そうである。
しかし、まだ、信用はできないし、力となる支給品を持ち合わせてはいない。
それに対して、遠藤は自分を理解してくれている姿勢は見せているが、ある意味、底がみえない。
ただ、地雷と参加者の情報は魅力的だ。
――じゃあ、遠藤を選ぶか・・・けど・・・。
佐原は気づいていた。
自分の体が震えていることを・・・。
指がトリガーに触れることすら、拒否していることを・・・。
佐原は、人生は積み上げられた積み木のようなものというイメージを持っている。
その積み木は子供のおもちゃのようなかわいらしい代物ではなく、
ジェンガのようにバランスを意識しながら、
誰よりも高く積み上げていくことを目的としている。
それぞれが長い年月をかけて積み上げてきた積み木を、自分が指先一つで破壊する。
それは、その人間の人生の否定と断絶を意味している。
相手にそれを行うことは容易いが、もし、それが自分だったら・・・。
汗が針のように、体に突き刺さる。
――オレに決断なんて・・・できねぇ・・・!
「くっ・・・!」
佐原は一歩下がると、二人に背を向け、外へ飛び出した。
「あっ・・・!」
佐原の姿は見る見る遠くなっていく。
「佐原・・・」
森田はその姿を見ているしかなかった。
月明かりが絹の帯のように窓から差し込むショッピングモールのフロアで、南郷は黙々とパチンコ玉を拾っていた。
佐原が逃げ出した後、当然のことだが、森田は遠藤の襟を鷲掴みにし、殴りかかろうとした。
しかし、遠藤はそれに怯むどころか、森田を静止させるかのごとく軽く手をあげると、森田の耳元で何かを囁いた。
すると、森田は苦々しそうに振り上げた拳を下ろし、南郷に頭を下げ、パチンコ玉を拾っていてくれないかと頼んだのである。
南郷はフロアの奥にある鉄の扉を見つめた。
今、森田と遠藤はその扉の先にある事務室で話し合っている。
できることなら、その話を聞いてみたい。
しかし、南郷は直感的に理解していた。自分はあの二人の話に加わるべきではないと・・・。
南郷は視線を床のパチンコ玉へ戻すと、再び、それを拾い始めるのだった。
「おい、さっきのセリフは何なんだ・・・!」
隅に長机と椅子が積まれているだけという閑散とした部屋の中で、森田と遠藤は対峙していた。
「ククク・・・お前の本音だろ・・・?」
森田が殴ろうとした時、遠藤はこのように囁いた。
『南郷と会った時の失望を佐原にも感じていたんだろ・・・』
「ふざけるな・・・!オレはそんなこと微塵も思っていない・・・!」
森田は力のままに壁を蹴っ飛ばす。音だけが静かな反響として、室内に響く。
この一言のために、森田は遠藤を殴ることを躊躇してしまった。
もし、あの時、殴っていたら、遠藤は今度こそ、それを大声で言っていただろう。
森田自身が話の流れから口を滑らせていた可能性もある。
どちらにしろ、南郷に自分達に対する疑念を与えかねない情況になることは必至であった。
「そもそも、俺は、佐原が同行者として相応しいのかを見定めてくれといったはずだ・・・!
けど、アンタは佐原のスタンスを確認するどころか、
自分だけに都合の良い方向へ佐原を誘導していった・・・!
殺人以外の選択肢を否定的に潰すことでな・・・!」
「誘導・・・?心外だな・・・あれがオレのやり方だ・・・!
佐原は元々、人を殺せるほど度胸のある奴じゃねぇ・・・!
お前を殺すことはないと踏んでいた・・・!」
「そんなのは結果論でしかない・・・!
あの時はどんな風に転んでもおかしくはなかった・・・!
アンタがもう一押ししていたら、佐原は引き金を引いていたのかもしれないんだ・・・!」
ケツの青いガキだと言わんばかりに、遠藤は見下すような笑いを漏らす。
「お前、“アンタは人を見る目がある”って言っていたが、オレの人物眼への信頼は偽りなのか・・・!
信じていないのであれば、どんな流れで佐原から情報を聞き出すのか、決めておくべきだったんじゃないのか・・・!
ろくに細かい企図も立てず、俺一人にリスクを背負わせ、決定権を委ねておいて、今更がたがた騒ぐのかよ・・・!」
「くっ・・・!」
森田は言葉に詰まる。
遠藤がいかに自分の意志を汲んで動くかを計りたかった。
しかし、遠藤もまた、森田と同じように裏で生きてきた男である。一筋縄で行くはずがない。
それが分かっていたにも関わらず、森田の指示を遠藤がとくに逆らうことなく了解した瞬間、森田の注意力はもろくも飛散した。
遠藤より一歩優位な立場に立ったと過信した――心にスキが生まれてしまったのである。
――銀さんから教えられていたのに・・・。
学んだことを生かせない自分の愚かさが苦味として、心全体を覆っていく。
――森田は、これで言い返せないな・・・!
遠藤は森田を論破した喜悦を口元に浮かべる。
「確かに、オレは佐原を追い詰めるような状況を作り出した・・・!
だが、そんな状況は、このゲームでは当たり前のことであって、
どんな状況に陥ろうとも、自分を貫くような研ぎ澄まされた精神と思考を持ち合わせていなければ、この先、生き残ることはできない・・・!
ところがどうだ・・・佐原は生き残るために、自分で動こうという考えを持ち合わせてはいなかった・・・!
その時の状況に流され、誰かに依存して・・・そんな奴、所詮、荷物になってしまうのが落ちだ・・・!
お前は殺し合いに参加しているかどうかが、同行者への基準のようだが、オレは、そいつが使えるかどうかで判断している・・・!
お前だって、実はそう考えているんだろ・・・?」
森田からの返事はない。
――当然だ。奴の計画は崩れ、今や、俺が圧倒的優位・・・!
遠藤は知っていた。
森田が遠藤に一人で佐原を見定めてくれと指示を出したのは、
どちらが優位な立場の人間かをはっきりさせるための試金石であったことを・・・!
遠藤はその思惑を察し、森田が理想とする展開を完全にぶち壊した。
これで森田も理解したはずである。強者はどちらの人間であるかを・・・。
遠藤はほくそえむ。
――次は俺がお前を試す番だ・・・森田・・・!
「お前、佐原への失望を南郷にも感じているんじゃないのか・・・?
南郷も佐原と同レベルのいずれ荷物となる人間だ・・・!
オレは、南郷を見切りたい・・・!共に南郷を見切らないか・・・?
お互い、軽くなって、平井銀二の助けとなろうじゃないか・・・なあ、森田・・・?」
――同意し、俺の手足になれ・・・森田・・・!
森田は唇を強くかみ締める。
遠藤は、森田の計算高い部分が巡らしている考えを言い切ってしまっていた。
確かに、自分にはその考えもある。
南郷の状況判断能力には一抹の不安を覚えている。
――遠藤の意見は反論できない。だが・・・。
森田は口を開く。
「南郷は荷物になるかもしれない・・・今はな・・・。
だが、もしかしたら、南郷によって、救われる窮地もあるに違いない・・・!
アンタ、言っていただろ・・・“ありえないことがない・・・これがバトルロワイアルというものだ・・・”とな・・・!
南郷を仲間にしたのは・・・可能性への投資だ・・・!」
森田はそれまで地面を這いずっていた人間が立ち上がるかのように、ゆっくりとだが力強く顔を上げた。
自分の考えを貫く意志の強さを秘めた眼光が遠藤を射抜く。
遠藤は嫌味のごときため息を漏らした。
――お人よしな奴だが、陥落はしないか・・・つくづく、アイツにそっくりだ・・・!
カイジの顔が頭を過ぎる。
遠藤は森田とすれ違うように、扉の方へ歩き出す。
――やはり、一筋縄ではいかない・・・。
ドアノブを回し、わずかに扉を開けた。
部屋内で篭っていたホコリぽい空気を裂くように、風が二人の頬を撫でていく。
「森田・・・オレがお前の駒になるかどうか、試す気だったろ・・・
オレは自分の利益につながることであれば、いくらでも協力するが、
お前の手足になる気は更々ない・・・
それがオレの解答だ・・・満点の答えだろ・・・」
遠藤はそれだけを呟くと、事務室から出て行った。扉が音を立てて閉まる。
「あぁ・・・満点すぎる答えだよ・・・遠藤・・・!」
敵は『参加者』、『主催者』だけではない・・・『同行者』もだ・・・。
だからこそ、もう注意力を飛散させはしない・・・。
――再び、平井銀二の翼となるために・・・!
【D-7/ショッピングモール/夜】
【森田鉄雄】
[状態]:健康
[道具]:フロッピーディスク 不明支給品0〜2(武器ではない) 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:後々、銀二の助けになるよう準備をする このゲームの隙を見つける
遠藤を信用しない
【遠藤勇次】
[状態]:健康
[道具]:参加候補者名簿 不明支給品0〜2 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:森田を利用して生き延びる 森田の手足になる気はない
※森田に支給品は参加候補者名簿だけと言いましたが、他に隠し持っている可能性もあります
【南郷】
[状態]:健康 左大腿部を負傷
[道具]:麻縄 木の棒 一箱分相当のパチンコ玉(袋入り) 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:生還する 赤木の動向が気になる
【D-7/ショッピングモール付近/夜】
【佐原】
[状態]:精神疲労 首に注射針の痕
[道具]:レミントンM24(スコープ付き)、弾薬×29 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:己のミスに対する深い後悔と絶望 板倉としづかに自分が狙われていると妄想
一条を血の痕から見て危険人物と認識 早く脱出したい 人を殺したくない
以上です。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
乙です!
一次投下で読んだときも思いましたが、遠藤のセリフがかっこいいっ…!
「ろくに企図もたてず…」の下りが思わず納得してしまいました。ぐうの音も出ない。
嵌っている…!遠藤の術にっ…!
おお…やったー投下きてた。
おもしろかった…乙です。
謀略とか深謀とか心理戦 裏の裏をかきあう2人。
佐原の揺れる心の描写
読んでてしんどくなりました。
暴力シーンなど無いのに凄い、ハラハラしました。
作品投下ありがとうございました。
投下乙!
おもしれー。
南郷さんの筋肉に期待。
保守
三好死んだのはちょっと惜しかったな
>>755 それは正直、少し感じた。
ただ、作中のキャラクターだって、思わぬトラブルで悩んで解決の糸口を探しているのに、
現実の自分達が、不自然な展開ならともかく思わぬ展開に対して、不平や不満を言っちゃいけないと思う。
作中のキャラクターと同じように解決の糸口を模索するべきだと思う。
三好が死んだことも新しいフラグの一つになると信じている。
だって、今、あそこって、有賀の隠し武器に三好の武器にと、火薬庫と化しているから…。
代理投下します。
「埋葬」
黒沢は美心の亡骸を抱え、暗い森の中を彷徨っていた。
美心を埋葬するのに適した場所を探す為。
胸中にあるのは悲しみ…!ふと気を抜くと、激情が再び体の内で暴れだす…!
「……ウオオオオオ…!」
黒沢は咆哮をあげ、美心を抱いたままその場にうずくまる。
先ほどから何度、こうして悲しみに支配されたか分からない。
後悔…! 圧倒的後悔っ…!
…彼女の傍を離れるなら、何故…、家具の陰やクローゼットの中に美心に隠れるよう言わなかったのか。
そうすればやり過ごせていたかもしれぬ。
自分のほうが先に殺人者と遭遇していたかも知れぬ。そうすれば救えていたっ…!きっと…!
悲しかった。ただ、ただ、悲しかった。
顔を涙と鼻水でぐちょぐちょに濡らしながら、黒沢はひたすら泣いた。
放送で美心の名前が読み上げられたときも、その場に泣き崩れた。
…そうして、しばらく経って激情が収まってくると、黒沢は再び立ち上がり、のそりと歩き出す。
別荘を出てからずっとこの繰り返しだった。
どのくらい歩いただろう。
森の中でふと、鼻につんとくる香り。磯の香り。黒沢は足を速めた。
視界が開けた。
海だ。
海は見えたが数十メートル下…断崖絶壁になっている。
海からの風が頬をなでる。泣き腫らした目に夜風が当たり、ひりひりする。
遠くを見つめる。
島一つ見えやしない。見えなければ、泳いでどこかの島まで逃げ切る、なんて行動も起こす気になれない。
美心の亡骸に目を落とし、思った。
この見晴らしの良い場所に埋葬するなら、せめてもの慰めになるのではないかと。
美心の顔を見つめる…その顔が涙で滲んで揺れた。
黒沢は海から目をそらし、もと来た道を振り返った。
数歩戻ったところに、ふと白いものが光って見えた。
木の根元で点々と白く光って見えたそれは、小さな花だった。
こんな日の当たりにくい場所でも、健気に咲いている。
黒沢は木の根元を掘り返していた。花にはかからぬように気をつけながら、土を掘りだした。
黒沢の持っていた支給品…小さな金属のシャベル。
こんなことに使いたくなかった。こんなことにしか使い道のない…だが、今は有難い支給品。
シャベルが小さいなら数だっ…!その分手を動かせばいいっ…!
黒沢は無心になって堀り続けた。
ようやく、女性を一人埋められるくらいの穴ができた。
地面の窪みに美心をそっと横たえる。
「無念だったろう…!」
黒沢は美心に語りかけた。
「美心さんも…、たぶん何かの目的があって参加していたはず…。
このゲームが殺し合いだなんて、オレと同様、聞かされてなかっただろうが…。
こんなところで死ぬのは…無念だっただろうっ…!」
黒沢は美心の手をとり、語りかけた。美心の指はすっかり冷えきっていた。
大粒の涙が美心の指を濡らす。
ふと考えた。この女性が参加する目的は…何だったのか…?
美心の体に土をかけた。
足のほうから順番にかけていった。だが、顔の周りになると、手が止まる…。
自分を愛してくれた女性…!初めて好きだと言ってくれた相手…!
ようやく土をかけ終え、分厚い手で土を平らにならした。
合掌する。
本当なら親元に帰してあげたいが、叶わぬこと…。不甲斐無い男ですまんっ…!美心さん…!
汗だくになった額を手の甲でぬぐいながら、海のほうに向かって座り込む。
これからどうする…?
美心さん…、いや、美心がいなくなってしまって、心の支えが無くなった…!
ふと、先ほど感じた疑問を思い出す。
何だ…?美心が参加した目的は…?
できれば、美心の無念を晴らしたい…!せめて…!
黒沢は腕を組んで考えた。推理だっ…! 今だけ憑依しろっ…!コナン君…!
黒沢は腕を組んだままうろうろと歩き回った。
が…駄目っ…!
なんにも思いつかないっ…!
道中何を話したんだっけか…。ずっと不安で、ろくに互いのことも話さなかったな…!
もっと色々聞いときゃ良かった…!
オレも…何でもいいから話しときゃ良かった…!穴平のこととか…太郎とか…スーパーカップのこととかっ…!
ふと、美心の持っていた支給品のデイバックを漁る。
藁をもつかむような思いだった。美心が黒沢を頼っていたように、黒沢もまた、美心の存在を心の支えにしていたのだった。
美心のデイバックから出てきたものは、通常支給品と、小さなラジカセ。
ラジカセはずいぶん旧式の代物だった。
(おお…今どきカセットテープだっ…)
ふと見ると、中のカセットテープは少しだけ進んでいる。
「?」
そのとき、黒沢に圧倒的閃きっ…!
もしかしたら…!
黒沢は震える指で撒き戻しボタンを押す。
キュルキュルと音が鳴り、音が止んでから再生ボタンを押す。
数秒間の雑音…、その後、小さくか細い声が流れた。美心の声だっ…。
「カイジ君…」
ブチッ
手は停止ボタンを押していた。
え…? え…? え…?
カイジ君…?
黒沢は動揺したのだった。美心の声で別の男の名前が呼ばれたことに。
これが録音されたのはたぶん…公衆便所…。
美心に出会う直前…。オレが強烈な便意を感じ、便所に駆け込む前…。
ゲームが始まったばかり…こんな状況で録音する内容は…きっと重要なメッセージ…!
それも、美心にとって最も重要な人物に対しての…!
そして、その人物はこのゲームに参加しているっ…!
………もしかして、恋b
「いやいやいやっ…!それだけはないっ…!絶対無いっ…!!
美心が二股なんてするはずないっ…!!
もし本当に恋びt…なら、オレのことを好きになった、などというはずがないっ…!!」
黒沢は思わず声を上げていた。
心が美しいから…オレの美心は…!
「つまり…このカイジ君ってのは、兄弟か親戚っ…!
だから美心にとっては重要人物…!身内だから…!
…例えば、幼少の頃生き別れた兄弟…! その兄弟を救うため、美心は勇気を振り絞り、単身ここにやってきたっ…!」
黒沢の中でどんどん話がドラマティックに盛り上がる。
「そうだっ…!大事な身内に残したメッセージなら、届けてやらないとなっ…!
…だが、どうやってカイジ君を探す…?
………………。
身内だとしたら…、美心によく似ているんだろうか、やはり…?」
あのつぶらな目…、立派な鼻…、愛嬌のある、大きな口元…!
そうだっ…!きっとそうに違いないっ…!
「よしっ…探すぞっ…身内のカイジ君を…!
それで必ず…このメッセージを伝えるっ…!
言わば…オレはメッセンジャー! 正義の味方、メッセンジャーっ…!」
………色々な勘違いはあるものの、黒沢は、こうして今後の方針を決めた。
だが今は夜…体を休める…。そして、夜が明けてから行動するっ…!
【B-7/崖沿い/夜】
【黒沢】
[状態]:健康、やや体力消耗
[道具]:不明支給品0〜4 支給品一式×2 金属のシャベル 小型ラジカセ
[所持金]:2000万円
[思考]:今は体を休める 美心のメッセージをカイジ君に伝える カイジ君を探す
※メッセージは最初の部分しか聴いていません。
※美心に似ている人物を探そうと考えています。
代理投下は以上です
765 :
マロン名無しさん:2009/03/15(日) 18:05:30 ID:YMtZpgPx
代理投下お疲れ様です
携帯から…。
代理投下ありがとうございました。
今だけ憑依しろっ…!コナン君…! に吹いたw
代理投下乙です。テープ、他の奴が手にいれてなんかに利用しそう。
美心に似てるってヒントじゃカイジ見つかんねーだろww
投下乙です。
勘違いする辺り、黒沢らしいww
シリアスな展開が続いていたので、黒沢の存在が清涼剤に感じられました。
コナン君に不覚にも吹いてしまったw
黒沢…美心に似ている人じゃカイジは見つからないぜ…
乙です。
今回の話で分かったことは、
黒沢とカイジの出会いはかなり先になりそうだということ…。
頑張れ黒沢…。
ところで、まとめサイトの更新が
止まっているようですけど、
あのサイトって、誰でも更新ができるのでしょうか?
それとも固定の管理人の方がいるのでしょうか?
作品も増えてきているため、
もうそろそろまとめサイトであげていただけると
話が追いやすくなって、助かるのですが…。
wikiだから登録したら誰でもできるとおもうよ!
>>711 wikiは誰でも編集できるよ。登録もなんもいらない。
協力よろしく
返事ありがとうございました。
あれって、誰でも編集可能なんですね。
明日、時間を作ってあげてみようと思います。
>>759 >>花にはかからぬように気をつけながら、土を掘りだした。
作者さんの思い描かれる黒沢さんは、原作通りの思い込みの強さや、
滑稽さがあって、なおかつ繊細な優しい人だと思いました。
戦闘能力も知略もある黒沢さんの活躍が楽しみです。
昨日、これまでの作品をまとめサイトにアップすると言ったものです。
四苦八苦しながらも、何とか、最新のSSの埋葬と死亡者リストまで
作ることが出来ました。
注意を払ってアップはしましたが、初めての作業のため、もしかしたら、
抜けている箇所があるかもしれません。
特に、その話の書き手さんはできることでしたら、
チェックしてくださるとありがたいです。
支給品リストは数が膨大であるため、
今日は控えます。
へたれですいません・・・。
お疲れ様でした!!
>>776 乙です。
まとめサイトに上がったSSを読んで気になったことがあったのですが、
「銀と銀と金と銀」で、舞台となっているD-1のエリアって、
確か、スタート時から禁止エリアだったと思うのですが・・・。
これはD-1に限りなく近い場所であったと受け取って問題ないでしょうか?
ほ
>>778 書き手氏を待たないとなんとも言えんが、仮にD-2辺りにしとけばいいんじゃね
>>778 確かにD-1の表記のままだと、ちとまずいですね
禁止エリア内だと首輪が爆発してしまうし
禁止エリア付近だと首輪の警告音が鳴るはず
ほしゅ
福本ロワにハマってからパロロワに興味を持ったので漫画ロワ(完結)を読んでるんだが
あっちのアカギもくそかっこええかったっ…!
ていうかアカギ19は色んなロワにひっぱりだこなんだな…
他の福本キャラが出てるロワは読んだ事がないんだけど
ごめん送信ミス
他の福本キャラが出てるロワは読んだ事がないんだけど、
アカギが殺されるのは想像がつかない
>>785 まだ全部読み切れてないんだけど
吸血鬼とか北斗神拳とか魔法使いとかスタンド使いとか相手に
アカギは楽しそうに善戦しててむしろお茶噴いた
アカギさんは現在このロワ含めて5回(6人)出てるはず。
アカギさんの実力が見たいなら漫画、
狂気が見たいならニコβが個人的にお勧め。
あとらき☆ろわに13歳(カオス版)と19歳(漫画版)の両方参加してるから
見てると楽しいと思う
そんなに出てるのか
天も主人公なのに差が激しいな
天って誰?
…いや、冗談だけど他ロワではアカギ・カイジ・ワシズ(タケコプターの方)以外は
名前をだしても住人の反応薄いと思う
>>789 黒沢もネタ的な人気はあるよね
ロワで勝てる気はしないがAAとか天より多そうだし
>>787 おおっ、そっちものぞいてみよう。
アカギってバトロワと相性いいんだな…狂気の沙汰大好きだし
どんな状況でもアカギらしさを失わないとこが創作しやすいのかな
漫ロワに初めて(かな?)アカギが参加した当時は作品自体殆ど知られてなくて
知ってる書き手も動かし辛いと敬遠して中々作品が投下されなかったんだよなぁ
それが今では引っ張りだこだもん
漫ロワは間違いなくアカギの出世作だよ
や、初めてはカオスかな?…でもカオスだしいつの間にか消えた。カオス5では主軸だったけど。
>>783とは逆に漫画ロワ見てアカギに興味持ったなぁ。最初は台詞全部が策っぽくて嫌なキャラだと思ってたけど…
今じゃどの漫画キャラより好きだ。これも福本作品の魅力かな。あと勿論ロワ書き手の腕と
漫画ロワ読んでて感じたこと。
別々の人が書いてるとは思えないほど書き手の連携がとれている。
キャラクターの動きが一貫してて、重要な支給品を手に入れる伏線の回収がうまく、物語が複雑なのにも関わらず受け継がれて行くストーリー、「燃え」展開。
どんなしたらあんなリレーができるんだろう、と感心してしまった。
本題。
ところで、リレーSSは別々の人が書いていくものだから、当然それぞれ書き手の感じ方、思惑というのはバラバラ。
それが相乗効果を産んだり思いもかけない超展開を産むのがリレーSSの醍醐味であるとは思う。
…ただ、何度か福本バトロワに作品投下した身としてはあまりに手探りというか、書きながら、本当に「連携」がとれているのかいつも不安。
もっとSSを書く前段階、プロットの状態で、住人の意見を求めたり、意見したりしてみたい。
出来上がったものへの感想を参考にもするが、出来上がる前段階で、悩んでいる部分があったら他の人の知恵を借りてみたい。
例えば、首輪の電波。
どうやって電波を遮断する、あるいは電波を無効化するか全然思い付かない。
そういうの詳しい人がいたら知恵を借りたい、などとしばしば思う。
例えばだ
>>794 すまん続き
例えばだが、こういう話し合いが雑談みたいに気軽にできればいいのにと思った。
誰かのふとした思い付きが話を作る上で面白いアイデアになるのではないか。
…本スレではしないほうがいいかな、したらばでしたほうがいいのかな。
長文スマソ。
>>795 私も何度か投稿したことがありますが、
投稿する時はこの展開で本当によいのか
リレーとして成立しているのかと
常に自問自答を繰り返してしまいます。
そのため、今後の展開を相談できるような書き手専用のスレが正直、ほしいと願ってしまう時があります。
ただ、あるパロロワではこのシステムを採用した所、
話にまとまりができた代わりに書き手同士が都合のよい展開を模索してしまい、内容がつまらなくなってしまった、
読み手がうっかり見て先を知ってしまい、つまらなく感じるようになってしまった
という弊害があった例もあります。
今後の展開をお互いに決めていくような書き手専用のスレは必ずしも良いとは言い切れませんが、
妥協的にならない程度で書き手同士が意見交換ができるような場所はあってもいいかなと思います。
>>794 確かに漫画ロワは書き手氏それぞれの個性を出しながらも、燃えや展開のテンポなど
掲げる目標が一貫していて、本当に連携がとれている、“合作”という言葉が似合うロワだったとおもう
対して福本ロワは…漫画ロワとは方向性が違うので比較は難しいが
書き手氏たちのポテンシャル自体は漫画ロワにひけをとらない、
いや、もしかしたら総合でもかなり上をいくんじゃないかと何個かロワ巡回している自分は思ってる。
ただ、
>>794氏も間接的におっしゃてる通り、意見を全力でぶつけ合う場が少ないので
どこかで書き手氏もこわごわ書いてるんじゃないか、という印象ももっているかも
ご意見ありがとうございます。
>>796 >>あるパロロワではこのシステムを採用した所、 話にまとまりができた代わりに書き手同士が都合のよい展開を模索してしまい、
内容がつまらなくなってしまった、 読み手がうっかり見て先を知ってしまい、つまらなく感じるようになってしまったという弊害
なるほど…。その弊害が起こるという可能性は念頭に入れておかなけれいけませんね。
書き手の連携をとろうとしてストーリーが予定調和になってしまうのは確かに怖い。
読み手がうっかり読んでしまうという部分は、スレの最初に注意書きをしておけば回避可能かと。
私が考えていたのは、もっとフランクに話し合えるようなスレをたてたいということ。
今後の展開が読めてしまうかも、という注意文を立てた上で、読み手さんにもアイデアを出してもらいたい。
面白いネタが浮かんでも自分ではSSに昇華できない場合、そのスレにネタだけ出してみたり。
今後の展開が限定されすぎないよう、気軽に話し合いできるようにしたい。
三人寄れば文殊の知恵、といいますし。(まぁ、船頭多くして船山に登るってことも考えられるんだけど)
パロロワって、漫画キャラや架空の人物を一つの舞台に参加させて、その中で話を作っていくものだけど
参加者(スレ住人)が主催者(結末)を、紆余曲折を経てどうやって攻略する(完結に持っていく)か。
そう考えてみると、参加者が仲間を集める(話し合いをする)っていうのは必要なんじゃないかと思ったのです。
>>797 私は書き手ですが、読み手でもあるので、読み手としての見解では
書き手さんたちの連携が取れたストーリーは読んでいてとても面白かったし読みやすかったです。
>>漫画ロワとは方向性が違うので
福本バトロワの目標って何だろう?
どういった流れ、展開であれば原作の面白さ(逆境からの逆転劇、ひりひりした心理戦)を表現しつつ
福本ロワの個性ある結末にもっていけるだろうか。
今の福本ロワからはまだはっきりとイメージできない。
…と、こういう話を気軽にできるスレが欲しいなと思ったのです。
本スレだとネタバレにつながるので、したらばに立ててみようかな…と。
>>799 書き手専用したらば、良いんじゃないでしょうか
ただ、まだ第一回目の放送を迎えたばかりですし、焦らなくても大丈夫だと思いますけどね。
個人的には立てて良いと思います
自分も何回か書いたことあるけど、そういうスレがあるのは、なんとなく嫌だな。
なんか、逆に方向性が限定されそうな気がして。
802 :
799:2009/03/29(日) 03:28:26 ID:???
>>800 ふむ、確かに焦ってるのかもです。
一日考えてみます。
>>801 ふむふむ
気軽に意見を出すスレとして立てたいんです、意見があったからといって強制しない雰囲気で。
そのこともスレの最初に注意書きしとこうかと。
投稿者が必ずしも見なくても良いスレなら良いよ
それならあっても気にならないし
>>802さんが考えているのは、
書き手専用のスレというよりは
書き手さんが今後の伏線や展開などに対する悩みをを持ちかける
書き手さん相談スレのような形でしょうか?
それであれば、強制力はありませんし、
自分の話に疑問を持っている書き手さんも気軽に書き込めますね。
既に完結しているジョジョロワのしたらばでも
この相談スレが採用されており、
このスレのおかげとは必ずしも言えませんが、
主催者の伏線をうまく回収した上、
かなり盛り上がった展開で幕を閉じ、
その勢いのままにセカンドステージを開始しております。
特に福本ロワは福本漫画の醍醐味とも言えるきれいな伏線回収と逆境からのどんでん返しを
書き手さんにも求められている雰囲気があり、
書き手さんもその期待に答えようとするあまり、
展開に悩みを抱えてしまっている方もいらっしゃると思います。
その悩みを解決するきっかけとして、
相談スレはあってもよいのではないかと思います。
先日、まとめサイトで放送後のSSをアップしたものです。
今回は第一回放送時(夕方)においての現在位置を作成しました。
相変わらず慣れない作業だったため、
過密なB-3で特に手こずってしまいました。
森田と遠藤のような引きこもり組の存在がありがたかったです。
支給品は後日、作成したいと思います。
確認しながら、作成しましたが、もし間違っていましたら、ご連絡下さい。
806 :
802:2009/03/29(日) 13:54:17 ID:???
>>805 お疲れ様ですっ!
>>804 そうです、そんなスレをイメージしていたのです。ただ今ジョジョロワのしたらばを確認して来ました。
以下、ジョジョスレでの相談スレの引用です。
>書き手さんが、読み手さんの居る所では話せないような事を話すスレです。
・自分が書いた話にこういう伏線が張ってあります
・こういうネタ思い付きましたが、良かったら使って下さい
・このキャラ、後でこう使う予定です
等、常識的な範囲で話題の制限はありません。
スレのルールはこれからスレ住人皆さんで決めて行きましょう。
読み手さんの閲覧、書き込みもOKですが、推奨しません。
非常にネタバレ的な話が飛び交うと思われますので>
こちらの引用文を参考にして、したらばにスレたてしてみようと思います。
あと注意書きとして、
※このスレでまとまった意見でも、強制力はありません。あくまでひとつの可能性。
※書き手さんが必ず目を通さなければいけない、なんてことはありません。ちょっと相談したい人が使うスレです。
の二点を追加しようと思います。
807 :
マロン名無しさん:2009/04/01(水) 15:42:48 ID:+hOkovne
ほ
し
井
美
今、このスレに常駐している書き手さんって、どれくらいいるんだろう…
最近、作品の投下がなくて、皆、匙を投げてしまったのかなと不安になるときがある…
812 :
マロン名無しさん:2009/04/02(木) 15:38:28 ID:NfD1RF/z
廃止になっちゃうのか…?
今は学生も社会人も忙しい時期だからな
あせらないあせらない
一休み一休み・・・
終わらせない…!
こんなところで終わらせない…!
書きたいネタはいくつかあるので書いてくるノシ
私は書き手として、何度か投稿した経験がある者です。
少しリアルな話をしていいですか?
私はある会社に勤めて一年が経とうしていますが、仕事のスピードは上がらず、些細なミスを繰り返し、
また、それをネタに所謂お局様に明らかにこちらが気かせるように仕向けながらも確証が得られないような方法で陰口を言われる時があります。
お局様の陰口や理想とする社員像がありながら、それに足元も及ばない現実とのギャップ。
そんな日々から特にここ一週間はバトロワを書こうとしても、書く気が起きない日々が続いておりました。
そして、今日はいつにも増して、些細なミスが続き、とうとうお局様から、散々説教された後、面と向かって、
「本当にどうしようもないわね、アンタは…何にもしないで!」と言われ、半泣き、
明日は半泣きしたことなどを言われるであろうという恐怖、
ますます会社で居場所がなくなってしまうという恐怖から先程まで車の中で大泣きしていました。
そんなときに、ふと携帯からこのスレを見て、このスレの灯火をなくさないようにしようとする書き手さんの書き込みを見て、
ここも私の居場所、居場所を無くしたくはない、
また書きたいという情熱が蘇ってきました。
正直、明日、会社で何かを言われるであろうという恐怖はありますが、
金を稼がなくては福本信者はできません(笑)
ここに居場所があると思えば、歯を食いしばって仕事もできます…半泣きはするかもしれませんが…。
長文になってしまい、申し訳ございません。これから早速原稿に取り掛かります。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
頑張ります…!
最後の光…
最後の希望っ…
>>814の書き込みにすべてをかけるっ……
>>815 時間ってのは無情に過ぎていくもので、どんなに苦しくても一日一日を我慢して
頑張っていれば、たいていのことは時間が経てばなんとかなる。
俺も最初は会社でごく潰しのように見られながら、なんとか十年続けてこれた。
だから仕事頑張れ
少なくともここではあなたの作品を心待ちにしている人がいるのは間違いない。
俺は少なくとも楽しみにしてます。
>>815 そんなときは、逆境に立ち向かうカイジになりきってみるのだ。
陰口を言って部下を萎縮させるような上司なんか大した人間じゃない。
そんなヤツの態度に振り回されることないよ。
それより、どうしたらミスをなくせるかを考えて、思いついたことから行動してみるんだ。
ミスの少ない人のやり方をまねてみるとかね。
堕天録で567落として大変だったカイジも、それがきっかけになって騙されてるのに気がついた。
泣いたっていいじゃない。そんなときこそ胸を張れ…!
あなたの作品投下も楽しみにしてるっ…!
>>816 814だけど、なんという無茶ぶり…!wwwwwwwwwww
苦行スイッチ入ったじゃまいかwwwwwwwwww
いや、ここはあえて逆境スイッチと言ってみる。
>>817さん
>>818さん
ありがとうございます!
皆さんの書き込みをみて、思わず、ボロボロと涙が…。
ただ、こういう涙は心地いいんですよね。
私も気にずぎている点もあったと思いますし、何より皆さんの後押しがあったからこそ、
前へ進むことができます。
仕事、頑張ります!
本当にありがとうございました。
さっきオレが
>>816を褒め称える 例の嘘話をしてた時
あの時・・・・・・ あいつたぶん オレのこと
「いい人」だと思ったと思うんだよ
ククク・・・・
ああいうバカがいるから 読み手は食いっぱぐれねえんだ
オレが「いい人」のわけねえじゃねえか・・・・・・!
・・・・・・ ククク・・・・
話にならねえ甘ったれ・・・・ このスレじゃそういうウスノロは
いのいちに書き手
褒めて伸ばすタイプということですね、わかります。
ツンデレなんですね。分かります。
投下します。
兵藤和也は、標の死体を見下ろすように佇んでいた。
赤松が、道の中央から茂みの中に標の亡骸を移動させ、姿勢を整えて仰向けに寝かせておいたのだ。
暗闇の中で遠めに見る限りでは、眠っているだけのような印象を受ける。
しかしよく目をこらして見ると、真っ赤に染まった上着と、無残にも零れだしている腸に気づく。
そして異臭。生臭い血の匂い。
「……フン…!」
和也は、標を茂みの中に隠した人間のことを鼻で笑う。
死体を安置する…。この殺戮の舞台で、こんな行為に何の意味がある…。反吐が出る…!
大儀そうに持ってきたチェーンソーを地面に置くと、茂みを掻き分けて歩を進める。
そして無造作に標の髪をつかむと、力任せに死体を茂みから引きずり出した。
死者を冒涜する行為…。だが、和也には微塵も恐れなどなかった。
死んだモノには何の価値も無い…。
生きた者でなければ、悲鳴を上げさせることも、恐怖に慄かせることもできねえじゃんか…。
◆
「何だ、何だ…。がっかりだな…!」
今から数時間前。
アトラクションゾーンに聳え立つ展望台の上。
和也は覗き込んでいた双眼鏡を降ろし、低くつぶやいた。
まるで、前評判を聞いて期待して見に来た映画が、つまらなかったと文句を言う客の様に。
拡声器の声が周囲に響いてから、展望台へと昇り、双眼鏡でずっと周囲を観察していた。
一時期など、10人前後の「役者」がこのB-3の区画に集まってきていたのだ。
さぞや多くの殺し合いが見られると思っていたのに…。
死んだのはたった一人の子供だけ…!
拡声器を使ったらしい(声の質で老人と判断した)、いかれた爺さんは結局華々しい活躍をせず、
マシンガンを持った男も、非力なガキ一人殺しただけで、舞台袖に引っ込みやがった。
まるで期待外れ。本当にがっかりだ…!
その後、一回目の放送を聴き、自分が思っていた以上に死亡者の数が多いことに喜んだ。
(…しかし、ちとめんどうだな…。)
和也は、開会式で殺し合いの説明を聞いてから、ある計画を思いついていた。
その計画を実行するためには、これから死体を探し回らなければならないのだ。
拡声器の一件から、たくさんの死体が一箇所で手に入ることを期待していた和也にとって、
一人という結果は全く期待外れだったのである。
◆
和也の計画とは何か。
先ず、和也の目標。
『全員殺してただ一人生き残る。完全なる勝利。そのためにはどんな手段も選ばない。』
和也は、この殺し合いゲームの参加者全ての中で、一番はっきりとその目標を意識していた。
そのために取るべき行動は二つ。
まず、帝愛関係者を子分とし、利用しておいて最終的に殺す。これが一つ目。
もう一つは、このゲームを全力で引っ掻き回すこと。
今のところ子分を見つけ出す目処は立っていない。
一時B-3に村岡がいたが、鎖鎌を持った大柄の男…天と行動していたので、接触の機会を見送ったのだ。
天の名前と顔は把握している。裏社会の中で数々の修羅場を潜り抜けてきた猛者の一人…。
接触するには、まだ時期が早い…。そう判断してのことだった。
なら、もう一つの行動を起こすまでだ。
それに…。これは暗闇に紛れて仕掛けないと効果半減…。
日の落ちた今が、行動を起こすには絶好の刻……。
◆
和也は展望台の階段を降り、手始めに標の死体がある場所まで移動した。
道の中央に血だまりがあり、その周辺を探すと、茂みの中にすぐに見つけることができた。
しばらく標の死体を眺めていたが、やがて茂みを掻き分けて中に入っていき、死体をひきずり出す。
淡々と、地面に置いていたチェーンソーを拾い上げ、標の首に当てる。
周囲に音が響くため、なるべく短い時間で作業したほうが良い。
チェーンソーのスターターを引き、ためらいなく標の首を切断にかかった。
チュイーーーン…シャアアア……
チェーンソーのかん高い音は、刃が標の首にかかってからは低く周囲に響いた。
ガリガリガリッ…
骨を削る刃の音。その堅い部分さえ過ぎればあっという間に首が落ちた。
死後数時間が経過しているため、首の切断面から血が溢れたりはしない。
ポタ…ポタ…と、体液とともに僅かに濁った血が垂れ落ちる。
首の離れた胴体のほうから、首輪を回収する。
すぐにチェーンソーを止め、標の首と首輪を持ち、まずはその場を立ち去った。
音を立てた場所にずっといるのはまずい。
音を聞きつけてきた、銃火器を持った連中に狙い撃ちされないとも限らない。
早足で南へと移動する。
足を止め、周囲に人の気配がないことを確認すると、身近に植えてあった木の枝をつかんだ。
木の枝が十分重さに耐えられるかどうか確認すると、その枝に標の髪の毛をくくりつけた。
ちょうど自分の顔の高さになるように首をぶら下げる。
そうしておいて、標の口に通常支給品のメモの切れ端を咥えさせた。
メモには「TEIAI」の文字が薄く印刷されている。
その字が目立つように位置を調整する。
(…こんなもんか)
少し離れて眺めてみる。
アトラクションゾーンの広場の真ん中にぽつんと立っている木にぶら下げたそれは、
日が昇れば、遠目からでも十分に目立つだろう。
確認が済んで、和也はその場を離れた。
……これが、和也の仕掛けたトラップ…。目に見える地雷…!
ゲームを引っ掻き回すための奇策…!
このトラップの狙いは、三つ…。
一つ目の狙いは、参加者の動揺を誘うため。
あのトラップに相対した時に取る人間の行動は、3パターンに分かれると予想する。
一つ目のタイプは、『怒り』…。
死者への冒涜。または、子供に対する残虐なる行為への義憤。
このタイプは怒りによって自らを奮い立たせるが、感情で動くのでうまく突けば判断ミスを誘うことが出来る。
二つ目のタイプは、これが一番多いと考えられるが、『恐怖』…。
殺し合いゲームの中で、その参加者は弱い人間であっても、まだかろうじて正気を保っているとする。
その人間にとってショッキングなものを見せることで、内に眠る恐怖を引き出すことが出来る。
あの首を見て、想像力のある彼らはこう考えてくれるだろう。
『このゲームの参加者の中には、趣味の悪い快楽殺人者がいる』
『次は、自分があの首のようになるかも知れない』…と。
また、この手の恐怖は連鎖する。集団で行動していた場合、周囲の人間にも恐怖を伝播させ、巻き込む。
恐怖という名の爆薬に種火をつけることで、予想以上に大きい爆発が得られるやもしれない。
結果、互いに殺し合い、潰し合いでもしてくれれば最高だ。手間が省けるというものだ。
三つ目は、この首を見ても冷静でいられるタイプ…。
おそらく、和也が猛者と認識している人物の半分以上が、このタイプであるだろう。
裏社会に生きている彼らには、こんなこけ脅しは通用しない。
むしろ、首の様子やメモを観察し、こちらの意図を探ってくるかもしれない。
だが、それでもいい。元々首を切って晒すこと自体に深い意味などない。単なる演出である。
二つ目の狙いは、首輪の回収。
『対主催』などと考える連中が真っ先に思いつくことは、首についている機械からの開放である。
そのため、首輪を調べるために、死者の首輪を回収しようとするであろうということは想像がつく。
その回収を邪魔する。
先回りして首輪を回収し、『対主催』の連中が調べるための材料を奪う。
首を切断して、首輪をあっさりと外すことができるので、この回収は容易である。
三つ目の狙いは、帝愛関係者へのメッセージとしての役割である。
(カンのいい奴なら…『TEIAI』の字が印刷されたあのメモを見落とさず、
帝愛の人間の仕業だと気がつくだろう…。
その上で、そいつが帝愛の関係者なら、オレがこういうことをやりかねない人間だって認識してるだろうからな…。)
(とんだ誤解だけどなっ…!オレが好きなのはあくまで生きた人間への行為…!
死体の損壊なんかしたところで大して嬉しくもねぇ…。
…だが、いい…。生かせるっ、その誤解…!)
(気の利いた部下なら、オレの意図を汲んで、同じ行動に出るかも知れないが…。
そいつの支給品次第か。首を落とす道具なんて都合がいいもの、そうそう持ってないだろうからな…!
オレがチェーンソーを手に入れられたことは僥倖…。ツいてる…。
音がうるさい点さえ目を瞑れば、これほど目的を遂げるのに便利な道具もねえ…!)
周囲に気をつけて移動しながら、和也は笑みを浮かべた。
悪魔のような思考とは裏腹に、ただただ、嬉しそうに嗤う。
………まるで、子供が悪戯を仕掛けるような無邪気さで、彼はこの凶行をやってのけたのだ。
鬼は夜の中を闊歩する。チェーンソーをぶら下げ、死体を求めて彷徨う姿は、
さながら鎌を携えた死神…………………。
***
【C-3/アトラクションゾーン/夜】
【兵藤和也】
[状態]:健康
[道具]:チェーンソー 対人用地雷三個(一つ使用済)
クラッカー九個(一つ使用済) 不明支給品0〜1個(確認済み) 通常支給品 双眼鏡
[所持金]:1000万円
[思考]:優勝して帝愛次期後継者の座を確実にする、子分を見つける、死体を探して首を狩る、首輪を回収する
※伊藤開司、赤木しげる、鷲巣巌、平井銀二、神威秀峰、天貴史、原田克美を猛者と認識しています。
※C-3に標の首がぶら下げられています。胴体はB-3地点の道の真ん中に放置されています。
以上です。
なお、したらばでも書きましたが
拡声器が使われた以後の展開に対しての『期待外れ』という感想は
兵藤和也の感想であり、決して作者の感想ではありません。
あの展開は本当に神がかってたと思います。
乙です
だけど社長と和也合流してなかったっけ?
>>833 あの話は、書き手氏が破棄宣言されてましたので…。
とても面白い内容だったのですが…。
ですので、社長と合流しない話を書かせてもらいました。
835 :
833:2009/04/06(月) 04:47:10 ID:???
そういやそうだっけか
失礼しました
和也残酷だなぁ……と思ったけど、死体損壊は村岡もやってるんだよね。
個人的には地雷踏むほうがグロいと思う。
◆
和也の計画とは何か。
先ず、和也の目標。
『全員殺してただ一人生き残る。完全なる勝利。そのためにはどんな手段も選ばない。』
和也は、この殺し合いゲームの参加者全ての中で、一番はっきりとその目標を意識していた。
そのために取るべき行動は二つ。
まず、帝愛関係者を子分とし、利用しておいて最終的に殺す。これが一つ目。
もう一つは、このゲームを全力で引っ掻き回すこと。
今のところ子分を見つけ出す目処は立っていない。
一時B-3に村岡がいたが、鎖鎌を持った大柄の男…天と行動していたので、接触の機会を見送ったのだ。
天の名前と顔は把握している。裏社会の中で数々の修羅場を潜り抜けてきた猛者の一人…。
接触するには、まだ時期が早い…。そう判断してのことだった。
なら、もう一つの行動を起こすまでだ。それに…。これは暗闇に紛れて仕掛けないと効果半減…。
日の落ちた今が、行動を起こすには絶好の刻……。
◆
和也は展望台の階段を降りた。今自分のいる区画、B-3が禁止エリアになってしまったためである。
放送直後から30分のうちにエリアの外に出なければならない。
その限られた時間の中で、一つやっておかねばならないことがあった。
手始めに標の死体がある場所まで移動した。
道の中央に血だまりがあり、その周辺を探すと、茂みの中にすぐに見つけることができた。
しばらく標の死体を眺めていたが、やがて茂みを掻き分けて中に入っていき、死体をひきずり出す。
淡々と、地面に置いていたチェーンソーを拾い上げ、標の首に当てる。
周囲に音が響くため、なるべく短い時間で作業したほうが良い。
チェーンソーのスターターを引き、ためらいなく標の首を切断にかかった。
チュイーーーン…シャアアア……
チェーンソーのかん高い音は、刃が標の首にかかってからは低く周囲に響いた。
ガリガリガリッ…
骨を削る刃の音。その堅い部分さえ過ぎればあっという間に首が落ちた。
死後数時間が経過しているため、首の切断面から血が溢れたりはしない。
ポタ…ポタ…と、体液とともに僅かに濁った血が垂れ落ちる。
首の離れた胴体のほうから、首輪を回収する。
すぐにチェーンソーを止め、標の首と首輪を持ち、まずはその場を立ち去った。
音を立てた場所にずっといるのはまずい。
音を聞きつけてきた、銃火器を持った連中に狙い撃ちされないとも限らない。
早足で南へと移動する。地図でB-3の区画を抜けたことを確認する。
足を止め、周囲に人の気配がないことを確認すると、身近に植えてあった木の枝をつかんだ。
木の枝が十分重さに耐えられるかどうか確認すると、その枝に標の髪の毛をくくりつけた。
ちょうど自分の顔の高さになるように首をぶら下げる。
そうしておいて、標の口に通常支給品のメモの切れ端を咥えさせた。
メモには「TEIAI」の文字が薄く印刷されている。
その字が目立つように位置を調整する。
先日投下した「悪戯」の3/7と、4/7を修正しました。
禁止エリアに関する内容を付け加えました。
しばらく見なかったら投下来てた…乙です。
誰が標の首見つけることになるのか楽しみ。
841 :
マロン名無しさん:2009/04/10(金) 00:53:46 ID:mgTms/Bq
あげ
>>839 投下乙!
残酷さがいいね。坊ちゃんもきっとロクな死に方しないぜ
これからの展開にも期待
保守し続ける…灰になるまで…
お久しぶりです。
今回は零と涯を中心とした話を書きました。
例のごとく前編と後編に分けざるを得ない長文となってしまいましたが、
最後まで読んでくださると幸いです。
「そうだ・・・!怪我、治療しなくっちゃ・・・!!」
零は傷を負っている涯を治療するため、
今いる場所から少し離れた森の中に沢田という仲間がいることを告げ、そちらへ足を向けた。
涯もそれに従う。
零は同世代の仲間が増えたことが素直に嬉しかった。
自身でも、気分が高揚していることが分かるほどに・・・。
しかし、この時、零は冷静な思考の淵に、一種のわだかまりを感じていた。
それは警告にも近く、一歩、一歩前進する度に、膨らみを増していく。
零にはその理由が分かっていた。
零は涯の衣服を見た。
涯は腹部を刺されているらしく、そこを中心に血が滲んでいる。
しかし、それとは別と思われる血が付着していた。
――この不自然な返り血ができる場面は限られている。その場面は・・・。
零は理解していた。
涯は信用するに値する人物であるということを。
また、その返り血が生じてしまう場面のことを口に出してしまえば、この場の空気が変わってしまうことを。
しかし、零にとって、このわだかまりは異物といってもよかった。
異物を吐き出す手段として、零はある考えにたどり着いた。
――仲間なら・・・事実を明かしあうべきじゃないのか・・・!
お互いに信用しあうために・・・!
零は足を止め、涯の方へ振り返った。
「涯・・・もしかして、誰かを殺してしまったこと・・・ある?」
涯は大きく目を見開き、足を止めた。
「なぜ・・・」
――なぜ、分かった・・・?
心の中がざわ・・・ざわ・・・と動揺している。
涯は心臓の鼓動が大きくなるのを感じながらも、それを押さえつけ、頭を動かした。
すぐに否定すれば、この場は収まる。
「いや・・・ない・・・」
零は一瞬、言葉を呑むような戸惑いを見せるも、すぐにおどけたような軽い笑みを浮かべる。
「あ、ゴメンゴメン・・・!今のことはオレの勘違いだから・・・!」
さあ、行こうと涯を促すと、零は再び、足を進め始めた。
涯もその背中を追うように歩き出す。
もし、この時、この光景を第三者が見ていたら、問題は解決したかのように見えていただろう。
確かに涯も零からの追求を逃れることができたという安堵感を覚えていたが、同時に、その心はざわついていた。
――零は・・・オレが人を殺したことを感づいている・・・!
847 :
心の居場所(前編)3:2009/04/15(水) 07:37:29 ID:AamG2btB
しかし、すぐに自分に言い聞かせる。
――零に知られたって構わない・・・このゲームでは当たり前のこと・・・。
“だが、人を殺したことには変わりない・・・この人殺しが・・・!”
この直後だった。
何者かが涯の首根っこを掴み、涯を押さえつけ、地面に叩きつけた。
「がっ・・・!」
何者かが涯の背中に手加減なしにまたがり、体重をかける。
重圧が体全体にかかり、気管は押しつぶされ、呼吸が詰まる。
「っ・・・!」
――なんなんだ・・・!これは・・・!
涯は体をわずかに持ち上げ、その背中の主を見上げた。
「・・・えっ・・・!」
涯は愕然とした。
その主は、自分であった。
もう一人の自分は涯に顔を近づけ、その耳元で囁く。
“殺人を犯したという点では、今、お前はあの平田と同類・・・。”
――ふざけるな・・・!
かつて涯に殺人という無実の罪を着せた平田家の人々の顔が頭を過ぎる。
涯は言葉を発することが出来ない代わりに、目にその怒りを浮かべ、もう一人を睨みつけた。
――オレが犯した殺人は生きるための選択・・・!正当防衛・・・!
欲に目がくらんだ平田とは立場が違う・・・同類の訳が・・・
そこまで思考を働かせた所で、涯は言葉を失った。
目に飛び込んできたもう一人の自分の顔は、初めて応接間に通された時の平田家の人々と同じ笑み――欲の皮が突っ張るという言葉を文字通り表したかのように、口元をだらしなく上げた笑みを浮かべていた。
自分が忌み嫌っているあの笑みを自分が今、浮かべている。
涯は悟った。
もう一人の自分は自分の内に潜む心――殺人という愚かな行為を犯した自分を責め、その現実を見せつけようとしている、“人間として”の倫理観であることを・・・。
かつて平田事件の時は、自分は無実であるという確証があった。
自分が自分を信頼できる支えがあった。
だからこそ、人間学園においての非常な仕打ち、その逆境を越えることができた。
ところがどうだ。
このゲームで、ある男――安岡を殺した時、その心に過ぎったことは、
『弱者は助からない、殺さないのは偽善、生きるために・・・殺す』
本来、涯が嫌うはずの考えであった。
その後は
『死にたくなければ・・・生きてここを出たいのであれば、殺し続けるしかないのだ・・・!』
という考えを信条に、ケモノのごとく、涯はその拳を振るい続けてきた。
――そう・・・それまでオレはケモノだった・・・だが・・・。
それは零との出会いで変わり始めてしまった。
零と出会った時、零は今にも急斜面から滑り落ちそうになっていた。
その時の零の姿は、まさにボンクラ――弱者であった。
零の存在を無視すれば、涯が生き残る確立が上がるはずであった。
しかし、その時、涯に人間にしか持ち合わせていない心――慈悲が芽生えてしまった。
結果、零を助けるという選択をしてしまった。
そして、大泣きする零に呆れ、言葉を交わし、感謝の気持ちを抱く――人間にしかできない行為によって、
“人間として”の倫理観を取り戻していった。
今、“人間として”の倫理観が涯を苦しめている。
――オレは、平井家と同類・・・醜悪な罪人なのか・・・!
背中の重圧は、もう一人の自分の体重ではなく、今や罪の重さとなっていた。
――軽くなりたい・・・言えば楽になる・・・楽に・・・。
――・・・どうした?涯・・・どうした・・・?」
涯は零の言葉に、ハッと顔をあげる。
零の顔が目の前にあった。涯をきょとんとした表情で見つめている。
「さっきから暗い表情で・・・何か考えていたのか?」
涯はあたりをキョロキョロと見渡す。
辺りは暗闇が広がり始めている森の中であった。
「い・・・いや・・・なんでもない・・・」
「そうか・・・じゃあ、行こうか・・・」
零は再び、涯に背中を向けようとする。
涯が言葉を発したのは、それと同時であった。
「・・・人を・・・殺した・・・」
零は動きを止める。
周囲の木々がざわめく。
涯は一呼吸置き、口を開いた。
「なぜ、分かった・・・?」
「それは・・・」
零は少し逡巡しつつも、その訳を話し始めた。
「服と腕の返り血だ・・・」
涯は自分の服と腕を見つめた。
返り血は、ズボンの左側はつま先から膝、右側は膝より上の太ももにかけて、右腕は小指周辺を中心に肘辺りまでのびている。
「まず、ズボンの返り血だが、どうしたら、こんな返り血ができるのか・・・分かるか?」
「えっ・・・」
零の問いに涯は戸惑う。
――確か、この返り血を浴びた時は・・・。
「しゃがんでみて・・・右ひざを地面に付けるようにして・・・」
涯は言われるがままに、その場に屈みこむ。
「・・・!!」
ここで涯は気づいた。
左膝をたて、右膝を地面に付けてしゃがむと、
左側の太ももは脛で隠れ、右側の脛は太ももに覆い隠され、地面に触れる、
つまり、返り血を浴びた部分が正面から見て晒された状態となることを・・・。
零も涯と同じようにその場にしゃがみこむと、ポケットからペンを取り出した。
「多分、その時の凶器はこんな感じの小型のもの・・・例えば、ナイフとか・・・」
零はこのペンが仮にナイフだとして、インクが出る先の部分が刃、その反対側であるペンの尻が柄であると説明した。
右腕の小指側にペン先、親指側にペンの尻が来るようにグーで握る。
「君の右腕の返り血は親指側にはほとんどついておらず、
代わりに小指周辺を中心に肘の辺りまで広がっている・・・
しゃがんだ状態で且つ、こんな腕の返り血ができる方法とは・・・・」
零はペンを振り下ろした。ペン先が地面に突き刺さる。
「相手が身を屈めた時より、低い位置・・・横たわっているような状態・・・
確実に相手を仕留められる状態だったという訳だ・・・」
ここで零は涯をちらっと見ながら、その様子を伺った。
ここから先のことは少々言いづらいことらしい。
涯は先を話してかまわないと促した。
「ただ、正直、状況証拠だけじゃ、確信はなかった・・・
だから、尋ねた・・・“誰かを殺してしまったことがある?”のかと・・・
そこで、君はこう答えた・・・“なぜ”と・・・
“なぜ”は“なぜ分かる?”の省略形、
つまり、経験があるということ・・・この言葉が決定打だった・・・」
「・・・そうか・・・」
涯は零の言葉を終始黙って聞いていた。
零はいくつかの状況証拠から、涯の殺人のありさまを察してしまった。
さっきまで、生への安堵から大声で泣いていた少年がである。
この少年は泣きながらも涯がどのような人間であるかを、観察し続けていたのだ。
涯は正直、初めて零とあった時、零が今まで生きてこられたのは運が良かったからだと解釈していた。
しかし、ここで涯は悟った。
彼の武器は、自分の拳のような相手を傷つけるものではなく、その洞察力、推理力――頭脳であると。
しかし、同時に今度は涯の心に一種のわだかまりが生まれていた。
――なぜ、零は・・・
「・・・尋ねる必要があった・・・?」
「えっ・・・」
零はその時抱いた感情を振り返りながら、言葉を探す。
「・・・不快にさせたことは謝る・・・!
だが・・・仲間なら・・・今まで、どうやってこのゲームで生きてきたのか・・・
腹を割って話しあうべきだ・・・そうしなければお互いに信用しあえない・・・!
だから・・・」
――仲間・・・。
零の口から飛び出した言葉に、涯は神経を逆撫でされるような苛立ちを覚える。
――仲間なら・・・何でもかんでも表沙汰にしていいものなのか・・・!
零の推理は、それまで涯が直視することを避けていた殺人への罪を涯自身に見せ付けるものであった。
ただでさえ、推理が核心に迫るにつれ、心がもろく崩れていく感覚を覚えていくのに、
その晒された原因が、仲間なら当然であろうという集団であることを押し付けるようなものであったことが、涯の苦痛を悪化させる。
それは疑問を問いただすという形で表に現れてしまった。
854 :
マロン名無しさん:2009/04/15(水) 07:56:06 ID:cZpnKnyU
支援
「・・・このゲームでは殺人が許容されている・・・。
殺人を犯した経験があったとしても不思議ではない・・・。
むしろ、零、お前が尋ねたのは・・・殺人への生理的嫌悪からじゃないのか・・・?」
「そ・・・それは・・・」
零は無意識に肩を震わせた。
ドクドクと不規則な早鐘が、零の心の奥から響いてくる。
涯が口に出した言葉は零自身でさえ気付かない、零の暗部の感情であった。
人は死体を触れたくない忌み物として見てしまう傾向がある。
それを生み出す殺人ともなれば、尚更である。
零の質問は、そんな不浄を嫌う潔癖的な部分が現れてしまった結果だった。
涯は更に言葉を続ける。
「・・・誰しも汚いものには触れたくはない・・・!
だから、知りたかった・・・思った通りの結果が出て満足だったか・・・零・・・!」
「分かってくれ・・・!オレは・・・涯をそんな目で・・・!」
「黙れ・・・!零っ・・・!」
「が・・・涯・・・」
その頃、赤松は涯を追いかけてひたすら走っていた。
周囲は森の中ということもあり、木々はざわめき、光は月明かりが木漏れ日のごとく、木々の間から洩れてくるものが頼りである。
赤松は幅の広い直線の道を駆けていた。
途中、分岐点がいくつかあったが、赤松はそちらへ曲がることはなかった。
精神的に混乱しているであろう人間が、わざわざ曲がるという選択をするだろうかという計算もあったが、実際は直感以外の何ものでもなかった。
その時だった。
「黙れ・・・!零っ・・・!」
「えっ・・・零・・・?」
赤松は声の方に顔を向ける。
赤松の視界に二人の少年が入った。
一人の少年ははじめて見るが、もう一人は、あの逃げ出した少年である。
赤松の脳裏に、赤松の元から逃げ出した時の涯の後姿が蘇る。
どちらの少年が零であるか、どうして、少年達がここで一緒にいるかは分からない。
しかし、今できることは一つである。
――ここで、また、見失うわけにはいかない・・・!
生前、標がこのゲームで見たことを書きとめていたメモ帳が入っている左胸のポケットをぎゅっと握ると、喚声のごとき声をあげた。
「ぜ、零君!聞いてくれ!僕は・・・標君と共に行動していた・・・!」
「えっ・・・標・・・!」
零と涯は重い沈黙を破るその声の方向へ顔を向ける。
涯は自分達の方へ向かってくる男の姿を見て、戦慄を覚える。
「あいつは・・・オレの首を絞めて殺そうとした男・・・!」
「えっ・・・」
零はその言葉で戸惑いを覚える。
――ここは逃げるべきかもしれない・・・しかし・・・
涯は零の腕を引っ張る。
「逃げるぞ・・・!零・・・!」
「待ってくれ・・・!」
涯は呆然と立ち尽くすも、苛立ちを込めた瞳で零を睨みつける。
「ふざけるな・・・!あいつは・・・!」
「あの人は、オレのことを知っている・・・!標のことも・・・!」
零にとって、走ってくる男は初見である。
しかし、自分のことや標のことを知っているということは、おそらく、標が自分からその情報を話したであろう。
標は自分以上に頭が働く少年である。
信用できない相手には、必要以上の情報は話さないはずである。
その少年が心を許した男なら・・・もしかして・・・。
「多分・・・悪い人じゃない・・・!」
「えっ・・・!」
前編はここまでです。
後編は本日の夕方頃に投下できると思います。
前編を読んで下さりありがとうございました。
投下きてた!乙!
後半の展開にもwktkしながら待ってます
投下乙です
零らしさが出ていてすごく良いです。
涯の心情が丁寧に描かれてるなぁ
おーきてた!乙です!
涯はチート拳持ってるし 零はチート知識持ってるし 赤松さんは超人格者だし
このあたりの参加者の動きは今後も楽しみだ・・・!
後編wktk!
投下感謝!
涯揺らいでるなぁ 年少主人公2人の思考回路の描写すっごい上手い
後半まだかーい
申し訳ございません。
諸事情により、8時頃になりそうです…。
ご迷惑をおかけしてしまい、本当に申し訳ございません。
ゆっくり待ってるからね!
本当に申し訳ございません。
実は本日、会社の出張であり、今、自由になったため、
こっそりネット喫茶から投下しようとしたのですが…
ネット喫茶では2ちゃんねるの書き込みができないことをはじめて知りました…。
なので、大変申し訳ないのですが、
後編はしたらばに上がっておりますので、
代理投下をお願いしてもよろしいでしょうか。
ただ、内容が異常に長く、
代理の方が規制対象になってしまう可能性があるので、
ご無理は申しません。
もし、代理投下が厳しい場合、
明日、出張から帰ってこれるのが、
23時頃だと思うので、それ以降に自宅のパソコンで投下します。
本当にご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございません。
代理投下するよー
「はぁ・・・はぁ・・・」
その数分後、赤松は零と涯に追いついた。
体力を無視して走ったため、足が痙攣のごとく震えている。
体をやや屈ませながら、切れ切れになった息を整える。
「僕の名前は・・・赤松修平・・・どっちが・・・零君なのか・・・」
「オレです」
零は一歩前に出る。
落ち着いた表情で赤松を静観しているが、万が一の時に供えて、右足を後ろへずらし、逃げる用意をしている。
赤松はその右足の存在を一見した後、零の顔へ視線を移す。
――確かに聡明な少年だ・・・しかも、僕に対して怖気つく様子がない・・・
肝が据わっているというか・・・意志が強そうだ・・・そう・・・意志が・・・。
『それは・・・過大評価だ・・・!
人の言うことや情勢を無視して我を張り続けるあの姿勢・・・
その考えが自分の可能性を殺していることさえ分かっていないっ・・・!』
生前、標が言った言葉が頭を過ぎる。
赤松は思わず笑みをこぼした。
「確か君はドリーム・キングダムの試験の時、標君からのリングの受け取りを断ったそうだね・・・
彼・・・言っていたよ・・・君は頑固者だって・・・」
――リング拒否はオレと標のみが知りうる事実・・・この人は・・・。
ここで零は赤松に対して、信頼を置ける人物であると認識すると同時に、
郷愁にも似た温かさが心に染みていくのを感じた。
「標らしい・・・標らしい表現だ・・・」
つられるように、零も笑みを浮かべる。
「お人よしだな・・・零・・・!」
「涯っ・・・!」
零は涯の方向へ顔を向ける。
「こいつの言っていることをそう簡単に信用していいのか・・・!
だいたい、こいつはオレを殺そうとした男・・・!
人間・・・腹の中では何を考えているのか分かるはずがないんだ・・・!」
――その言い方はあまりにも失礼じゃないか・・・!
零はこみ上げてくる怒りを不機嫌そうに押さえ込んで反論する。
「リングのことは、オレと標だけのやり取り・・・!
それを知っているということは、標が赤松さんに心を開いている証拠・・・!
赤松さんは信頼できる人物だということだ・・・!」
「標・・・標って・・・その標という奴こそ、信頼できる人物なのか・・・!
その標が、この男に騙されている可能性だってある・・・!
そもそも標という奴はどこにいる・・・!」
零は唇をわずかに震わせるも、その震えをかみ殺して、言葉を搾り出す。
「標は・・・死んだよ・・・」
二人の間に、風がさっと吹きぬけた。
その風に押されるように空に漂う雲が月を隠す。
森の中に立ち尽くす彼らに闇が侵食していく。
「さっき放送で名前を言われた・・・」
「あっ・・・」
夕方、アトラクションゾーンで見かけた、血だまりの中で横たわる少年の姿が、涯の脳裏に蘇る。
――もしかして・・・あの子供のことか・・・?
零は涯の反応に目を止めるも、すぐに赤松の方へ顔を向けた。
携帯から支援します!
「ひとつ伺っていいですか・・・?」
「えっ・・・」
赤松は零の方へ顔を向ける。
「どうして、涯を追いかけていたのですか?あなたは・・・涯を殺そうとしていたはず・・・」
赤松は涯をちらっと見た後、口元に手を当てる。
「夕方頃、僕らはアトラクションゾーンで自殺志願者の老人に出会った・・・
その老人に、僕の所持品の手榴弾を奪われた・・・
老人はその場の人間を巻き添えにすると言い、僕らは離れざるを得なかった・・・
けど、標君は老人に聞きたいことがあると言ってその場に残り、僕と別れた・・・」
赤松は“あれさえなければ・・・”と嗚咽を含めた声で、肩を震わせる。
零は赤松が満足に話せる状況でないことを察し、
辛いのであれば、それ以上話す必要はありませんよといたわるように声をかける。
――なぜ、その男には気を使う・・・零っ・・・!
赤松はかつて自分を殺そうとした男、その男を零が気遣うということが、涯に疎外感を覚えさせる。
その尖った感情は鋭利な言葉として、赤松に向けられる。
「なぜ、標という奴を明らかに狂気の思考を持つ男の下に置いていった・・・
ここは殺し合いの場・・・危機管理が足りないんじゃないのか・・・
それとも・・・泣いて同情でもほしいのか・・・」
「涯!!」
零は涯の襟を掴む。
「いい加減にしろ!さっきからなぜ、君はそう突っかかる!」
「オレは事実を言っているだけだ・・・」
「やめてくれ!」
赤松は涯と零の間に割って入って、二人を止める。
二人は不満げな顔を浮かべながら、距離をとる様に離れる。
支援します!
――とにかく話を続けて場を持たせなくては・・・。
赤松は乱れる鼓動を押さえながら話を続ける。
「僕は標君のことが気になって、その場へ戻った・・・
そして・・・標君は血の海の中に横たわっていた・・・」
「標・・・」
零に亡き友への憂いが胸を締め付ける。
それと同時に、ある考えが頭を過ぎった。
――そういえば、涯が人を殺した時も、横たわっていなくては成立できない状況・・・
まさか・・・
「そして・・・標君の死体の前に涯君がいた・・・それで・・・」
――僕は涯君が標君を殺したと勘違いし、彼の首を絞めた・・・。
赤松はその続きを話そうとするが、その言葉は喉に留まっている。
これ以上話せば、零への印象が確実に悪くなってしまうだろうという迷いがそうさせてしまっていた。
――いや、どういう理由にせよ、それは事実・・・話さなくては・・・。
赤松が再び、話し出そうとした瞬間だった。
「君が・・・標を・・・殺したのか・・・」
「えっ・・・」
零の目が怒りを含むかのような濁ったものに変わり、涯へと向けられていた。
赤松は零の言葉に戸惑う。
――なぜ、そういう方向に話が進んでしまう?この二人に何があった・・・?
「・・・」
その質問に涯は答えない。
それが零を苛立たせる。
その苛立ちは、更に強い追求によって現れた。
「君が標を殺したのか!!!」
零は涯に再び、掴みかかる。
「オレは君と仲間になれる・・・いや・・・仲間だと思っていたのに・・・!」
代理投下をしてくださっている方、
本当にありがとうございます!
支援!
零は推理の合理性と涯への不信感から、涯を一方的に犯人であると決め付けてしまっていた。
詳しくその時の状況を知れば、涯が犯人でないことは一目瞭然であり、誤解はすぐにでも解けた。
しかし、涯は無言を徹し、それを説明することはなかった。
結果、零はその無言を肯定の意味として受け取ってしまっていた。
勿論、涯はその場で否定をすることもできただろう。
しかし、涯を支配していく感情がそれを拒ませていた。
――仲間・・・甘く、もろい言葉だ・・・。
零は未だに何かを言っているようだが、涯にはその言葉がどこか遠くにしか聞こえない。
興奮する零とは対照的に涯はどこか冷めたような眼差しで零を見つめていた。
――いつだって人は・・・その心は・・・孤立している。
心は理解されない・・・伝わらない・・・。
時に伝わったような気になることもあるが・・・
それは、ただ、こっちで勝手に相手の心を分かったように想像しているだけ・・・。
仲間という言葉で縛りつけたところで、その心を結びつけることはできない・・・。
「っ・・・!」
この時、涯は錐で刺されるような感覚を胸に覚えた。
しかし、それを否定するかのように、零の甘さを鼻で笑う。
――そう・・・人は・・・世界が・・・バラバラに・・・
バラバラになれと・・・まかれた種だっ・・・!
ここで信用できる他人なんて、いやしない・・・。
やはり、人間は孤立するべき・・・孤立する・・・べき・・・
「え・・・涯・・・?」
ここで零は突然、追求を弱める。
その様子で、涯は自身の異常に気付く。
頬から涙がこぼれている。
「なっ・・・」
涯自身、本当は分かっていた。
――どんなに、人間の心の弱さをあざ笑ったところで、
本当は欲している・・・理解を・・・友情を・・・仲間を・・・。
涯はそんな自分を自嘲する。
――オレは今・・・悲しい程無力っ・・・!
涯はふと赤松を見る。
ふつふつと煮えるような怒りがこみ上げてきた。
――なぜ、この男が現れた・・・なぜ余計なことを言った・・・
お前さえ・・・いなければ・・・!
支援します!
涯は赤松に対して、拳を構えた。
「が・・・」
赤松と零が涯を止めようとした直後だった。
赤松の意識が一瞬切れた。
正しく言うと脳が行動へ回路がつながらない、コンマ何秒の空白の時が発生した。
再び、意識が回復した時、目の前にあったのは、涯の拳だった。
「なっ・・・」
――何が起こった・・・。
体は竦んでしまったかのように動くことを忘れ、呼吸は喉元で止まっている。
零と赤松は呆然としつつも、すぐに察した。
――まるで光速・・・!光のような拳・・・!これが彼の能力っ・・・!
涯は拳を赤松の顔面に目掛けておきながら、それ以上動くことはなかった。
もう一歩踏み出せば、確実に赤松を失明させることもできた。
しかし、涯はその一歩を踏み出さすことができなかった。
赤松の目元が腫れていた。
私がしたらばで長い書き込みをしたばかりに、
代理様にお気遣いとご迷惑をお掛けする形となってしまい、
大変申し訳ございません。
支援します。
――この男は泣いていた・・・標という少年の死を悲しんで・・・。
この男は自分を責めていた・・・標という少年を救えなかったことを・・・。
涯の瞳から再び、涙が零れる。
――この男が持っている感情は・・・情愛・・・!
オレが持ちたかった感情・・・誰かから与えてもらいたかった感情・・・!
「オレはもはやケモノ・・・人間には・・・戻れない・・・」
涯は拳を下ろした。
「孤立せよ・・・!」
その直後、赤松の視界が大きく動き、頭や腕に打ち付けられたような痛みが走る。
「うぐっ・・・!」
突然の痛みに赤松は声を上げる。しかし、この感覚には覚えがあった。
――そう、あれは涯君の意識が回復したとき・・・
赤松はすぐに起き上がった。
涯は再び、赤松を突き飛ばし、来た道を戻るかのように駆け出したのだ。
「待て!涯君!」
「涯!!」
零と赤松が涯を追いかけようとするも、その姿は暗闇の中に溶け込んでいた。
支援します。
零は砕けた言葉を拾うかのように、震えた声で赤松に尋ねる。
「涯は・・・標を・・・殺していないですよね・・・」
赤松はうつむき、申し訳なさそうに返答する。
「・・・標君のディバックが何者かによって盗まれている・・・
涯君は標君のディバックを持っていなかった・・・彼ではない・・・」
「う・・・ううっ・・・」
零に取り返しのつかない後悔の波が押し寄せる。
「オレが・・・涯を・・・傷つけた・・・」
零から涙が溢れる。
「涯は・・・人を殺したことを・・・誰にも知られたくなかった・・・
そんな自分に向き合うことも嫌だった・・・
けど・・・オレ、それに気づかず・・・
涯が殺人を犯したことを推理し・・・その事実を突きつけた・・・
その上・・・オレ・・・標を殺したと勘違いして・・・涯を責めた・・・
オレ・・・オレ・・・」
まるで糸が切れたかのように、膝を突いて零は号泣した。
「オレが涯をケモノにしてしまったっ・・・!涯から人間を奪ってしまったっ・・・!」
少年の慟哭が周囲にこだまする。
赤松は静かに零に近づく。
「零君・・・それは違う・・・」
赤松は零と同じ視線になるように屈むと、その肩にそっと手を添える。
「彼は人間だ・・・ケモノであれば心を痛ませることはないのだから・・・」
添えた手にわずかだが、力がこもる。
「今回のことは僕に責任がある・・・
僕は涯君が標君を殺したと勘違いして、首を絞めてしまった・・・
あの時・・・それにもっと早く気づいていれば、こんなことにはならなかった・・・」
赤松は涯が走り去っていった道へ視線を向ける。
「彼は居場所を求めている・・・心の居場所を・・・
それを君に見出していた・・・ただ、ちょっとのすれ違いがあっただけなんだ・・・」
その直後、赤松は気づく。
――涯君は再び、来た道を戻っている。
涯君はここに来るまで、直線のコースを走っていた。
それは僕に殺されかけ、混乱していたから・・・。
そして、今も・・・。
ということは再び、まっすぐ北へ・・・。
そこに待っているのは・・・D-3、C-3、そして・・・
「・・・B-3禁止エリア!」
赤松は首輪を押さえた。
――禁止エリアに入れば、首輪は爆発する。それが起こる前に・・・
「・・・涯君を止めなくては・・・!」
赤松は零の肩を掴んで、零を落ち着かせるような口調で話した。
「君は今、誰かと行動しているね・・・」
零は顔を上げ、頷く。
「そうか・・・なら、君はその人の下へ戻りなさい・・・
僕が涯君を説得し、連れて戻ってくる・・・!
1時間後にここで合流しよう・・・!」
赤松は零の肩から手を離し、立ち上がった。
「それから君に渡したい物がある・・・!
涯君と戻ってきた時、君に説明する・・・!」
赤松は左ポケットに触れた。そこには標のメモ帳が入っている。
本当であれば、今すぐ渡したい。
しかし、丁寧に書いてあるとは言え、メモ書きである。
赤松自身の解釈を必要としている箇所も存在していた。
それを話せば、どうしても時間を必要としてしまう。
その間にも涯は禁止エリアへ到達してしまうだろう。
今は涯を追いかけることが何より最優先である。
支援します!
赤松は再び、涯が走り去っていった道へ視線を向ける。
「涯君・・・」
――零君は君を想ってる・・・彼なら君の居場所になれるはず・・・
「じゃあ、1時間後に・・・!」
零にそういい残すと、赤松は走り出した。
赤松は走りながら、標のメモ帳が入った左ポケットを握り締める。
標のあの言葉が反芻される。
『もし、志が一緒であれば・・・零とはこの地のどこかで・・・
また、会える・・・そんな気がするんだ・・・』
今の状況は楽観的に受け取れるものではない。
しかし、赤松から思わず笑みがこぼれていた。
――君の予感が当たったよ。
「・・・というわけか・・・」
沢田は零から事の顛末を聞いて、頷く。
「なので、ここで赤松さんが戻ってくるまで待ちましょう・・・」
――相変わらず、大人びた子だ・・・だが・・・
どんなに冷静を装ったところで、その目はさっきまで大泣きしていましたと言わんばかりに、赤く腫れている。
沢田はため息をつく。
「人間というものは、例え、時間制限を設けたところで、
欲しいものが目の前にあると、後5分くらいならと言い訳をして勝手に伸ばしちまう・・・
1時間でその涯という少年に追いついて戻ってくるとは限らない・・・
きっと、その男も勝手にそんな感じで伸ばしちまうんじゃねえのかな・・・」
沢田は零の頭をぽんぽんと叩いた。
「零・・・お前、涯に謝りたいんだろ・・・!だったら、自分から言いに行け・・・!
それが男ってもんだろ・・・!」
零は顔を驚いた顔で沢田を見上げる。
「沢田さん・・・」
沢田は、涯と赤松が消えていった道を見つめる。
月明かりは雲に隠れ、何重もの薄暗いカーテンがなびいているような先が見えない闇が続いている。
「覚えているか・・・零・・・
お前と合流した時、オレはお前に、『俺たちに明日はない』覚悟が必要だと言った・・・
それはこの先に何が待ち構えているか分からないからだ・・・!
ただ、今、俺たちの前に伸びる道のように、その先が見えていないだけかもしれない・・・
見えなくても、進めば・・・明日が見えるかもしれない・・・」
「オレも・・・」
「んっ・・・?」
沢田は零に顔を向ける。
零もまた、涯と赤松が消えていった道を見つめていた。
「オレもそう思います・・・今、オレにとって、涯と向き合うこと・・・
それがオレの明日につながる・・・そんな気がするんです・・・
・・・オレも明日が見たい・・・!」
零の言葉には、まだ、どこか震えがあった。
しかし、眼光はその道をまっすぐ射抜いている。
――始めの一歩は誰しも不安を抱える・・・だが、この少年なら前へ進める・・・!
その時、雲に隠れていた月明かりが再び、姿を現し、周囲を照らす。
わずかだが、道の先がおぼろげに見え始める。
「よし・・・行くぞ!零!」
「はいっ・・・!」
零と沢田は涯と赤松が駆けた道を走り始めたのであった。
【E-3/森/夜】
【宇海零】
[状態]:顔面、後頭部に打撲の軽症 両手に擦り傷 精神やや不安定
[道具]:麻雀牌1セット 針金5本 不明支給品 0〜1 支給品一式
[所持金]:0円
[思考]:対主催者の立場をとる人物を探す 赤松、涯と合流する 涯と仲直りをする
【工藤涯】
[状態]:右腕と腹部に刺し傷 他擦り傷などの軽傷 新しく手に擦り傷 精神混乱
[道具]:フォーク 鉄バット 野球グローブ(ナイフによる穴あり) 野球ボール 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:孤立する
【赤松修平】
[状態]:健康 腕に刺し傷
[道具]:手榴弾×9 石原の首輪 標のメモ帳 支給品一式
[所持金]:1000万円
[思考]:できる限り多くの人を助ける 宇海零にメモを渡す 工藤涯を零の元へ連れ戻す
※石原の首輪は死亡情報を送信しましたが、機能は停止していません
※利根川のカイジへの伝言を託りました。
【沢田】
[状態]:健康
[道具]:毒を仕込んだダガーナイフ ※毒はあと一回程度しかもちません
高圧電流機能付き警棒 不明支給品0〜4(確認済み) 支給品一式×2
[所持金]:2000万円
[思考]:対主催者の立場をとる人物を探す 零を心配している 主催者に対して激しい怒り
赤松、涯と合流する
代理投下終了です。
したらばの仮投下のものそのままだと
改行規制に引っかかって書き込めなかった部分があったので
そのレスに関しては分割投下させていただきました。
そのまま投下できればよかったのですが勝手なことをして申し訳ない。
零・涯・赤松(+標)・沢田・・・
福本漫画の中では比較的まともな性格のメンバーだよなw
彼らは果たしてチームになれるのだろうか・・・!
今後の展開にも期待・・・!圧倒的期待っ・・・!
作者さん乙でした!
投下&代理投下乙です!
前編での零の推理から、後編での、涯が標を殺したのかという誤解に繋がる展開が秀逸。涯の心の動きがすごく少年らしくて良かったです。面白かった。
赤松さん頑張れ…!
代理投下の方、お疲れ様でした。
わざわざ分割をしてくださりありがとうございます、
そして、申し訳ございませんでした。
感想を下さった皆様、本当にありがとうございました。
そして、毎度のごとく、長い文章で申し訳ございません。
内容を盛り込みすぎてしまう癖があるらしく、添削してくれる妹からはクドリティが高いと揶揄されて、
したらばに仮投下して、皆様から問題点を指摘していただいてやっと形になるというのが、お約束となりつつあります…。
こんな調子なので、作品が完成させることができたのも、
皆様のおかげと言っても過言ではありません。
本当にありがとうございました。
次回は前編、後編とならないように頑張りたいと思います。
超大作…
圧倒的超大作…
乙…
読んでて唸りました 素晴らしい大作の投下感謝
投下乙でした。
丁寧な描写でとても読みやすく、感情表現も見事で心打たれました。
長くても全然構わないので、良作をバシバシ投下しちゃってください、期待してます。
皆さんにちょっと聞きたいことが一つ。
ひろゆきとカイジでネタを考えていたのですが、確認したらひろゆきが自己リレーになってしまうようでして……
書いてしまっても構わないでしょうか?
問題ないでしょ
前に担当してたからって遠慮してたら、生き残り人数減った時に進行がままらなくなっちゃうよ
全然おk
と読み手が言ってみる
全然問題ないです…!
すごくすごく楽しみにしてます…!
人間関係や心理描写を深く描写する傾向のある福本ロワ。
ある程度時間が開いていたら自己リレーしてもいいのではないでしょうか?
皆様、ご感想ありがとうございます。
こんなクドリティ高い文章なんかに・・・。
やさしい・・・やさしい・・・皆様・・・!
遅筆人間なので、ゆっくりになると思いますが、次も頑張りたいと思います。
本当にありがとうございました。
ちなみに、今回の話はSkoop On Somebodyの「誰かが君を想ってる」(エンジェル・ハートED)
という曲がモチーフになっております。
個人的に赤松さんが涯に対して歌っているような曲かなと・・・。
良い曲なので、機会があれば、ぜひ、聞いてみてください。
>>894 まさか、福本ロワのエース、ベテランさんから
ご感想がいただけるとは思いませんでした。
本当にありがとうございます。
自己リレーは確か前の話が2、3ヶ月以上前に投下されたものは
例外となるという定義があるので問題ないと思います。
何より今回の話も実は赤松サイドからみると、
2ヶ月たっているとは言え、自己リレー・・・。
あわわわわわっ・・・!
なので、かなり期間がおいた自己リレーは
例外という通例を作っていただけると、
個人的にはありがたいかなと・・・すいません。
皆さん、レス有難うございます。
書かせていただきます。
>>898 エースだなんてとんでもないです。
投下もなかなかできないですし、
ひどいど素人なもんで文章力も皆無、意味が通じればいいかな、という程度の文章しか書けないですから。
読み返すと書き直したい作品も山のように……
感想も極力書こうとは思ってるんですが、最近スレを開くことも減ってしまい……申し訳ないことです
>>899様
大ファンです。
特にひろと社長の話とか、放送の話とかが好きです。
カイジとひろの話楽しみに待ってます。
特に放送は難しかったと思うが良い感じに繋いだよな
あれで一気にピリッとなった
以前、まとめサイトをアップした者です。
ご相談なのですが、まとめサイトに書き手紹介とキャラ追跡表を作りたいと考えております。
時間はかかるとは思いますが、製作してよいでしょうか?
ご意見をお願い致します。
>>902 いつも感謝です
悪口さえ書かなければ問題ないかと
>>902 更新お疲れ様です。
書き手紹介とキャラ追跡表、あると嬉しいです。
楽しみにしています。
ありがとうございます。
さっそくキャラ追跡表から作ってみたいと思います。
キャラ追跡表は漫画ロワっぽいレイアウトにしようかと考えておりますが、このロワのキャラ追跡表っぽいと分かりやすいというご意見がありましたら、
ご連絡をお願い致します。
ちなみに、74話の時点で意外なキャラクターが登場数一位となっています(笑)
投下します。
おそらく規制を食らう上、この後バイトなので多分代理投下をお願いすることになると思いますが……
その時はよろしくお願いします。
ひろゆきが彼らを見つけたのは、定時放送から一時間ほど経ってからのことだった。
周囲に探知機の反応は二つだけである。
男女二人――おそらくは戦力にならないだろう女性を連れているあたり、殺し合いに乗っている公算は低いだろう。
尤も、生き残るために共闘している可能性もあるが、そんなことを言っていたらいつまでも進まない。
ここをギャンブルで生き残るのであれば、ある程度のリスクは必然。
進むべきところと引くべきところを見極めねばならぬ。
それは奇しくも、彼の生業である、麻雀と通ずるものであった。
ひろゆきは日本刀を構え、後ろから声をかける。
「……すみません、ちょっといいですか?」
女性がヒッと声を上げた。
無理もないだろう、声に振り向いたら夕闇の中で刀を構える男。
驚かない方がどうかしている。
ひろゆきは苦笑しながら続けた。
「いや、あなた達に敵意が無ければこちらも手は出しません。ちょっと聞きたいことがあって……」
しかし、彼等は警戒を解かない。
だが、ここで逃げられるわけにはいかないのだ。
やむなくひろゆきは刀を鞘におさめた。
「……で、なんだ。聞きたいことってのは………」
相手の男はようやく口を開いた。
相変わらずその目に油断は無いが、どうやら話は聞いてくれるらしい。
「ええ……まず一つ、あなたは伊藤カイジという人物を知ってますか?」
まず一つ目、平山幸雄に関する件。
伊藤カイジにそのことを伝えなければならない。
「………まあ、知っている。何故カイジのことを聞きたいんだ?」
男は訝しげにひろゆきを見つめる。
「平山という人物がカイジという方の助力を求めている……その平山の力になるためです」
「なるほどな……」
男はしばらくこちらを窺いながら考えをまとめている様子である。
そして、ニヤリと笑った。
「平山には会ったよ……今すぐ、というわけにはいかないが力を貸す約束はした」
「…………」
「そう……あんたの察しの通りさ………俺がその伊藤カイジだ」
――なるほど、一筋縄ではいかないらしい。
ひろゆきからも笑みがこぼれる。
ひとまず自分の正体を隠して様子を見ていたようである。
どうやらこの男も矢張り猛者――ギャンブルの相手としては申し分ないだろう。
「……へえ、あんたがカイジか……是非一度会いたかった」
ひろゆきは口調を崩す。
「そうか………で……話はそれだけなのか?」
「いや、用件はあと二つ………次に聞きたいのはアカギという人物の情報だ」
「アカギか………」
カイジは心なしか動揺を見せる。
「知っているんだな?」
「まあ……知らないといえば嘘じゃないが……少し前に言葉を交わしただけ……ただの顔見知りだ」
「アカギはなんて?」
「少なくともこのギャンブルに乗る気はないらしい……一人で行動するらしいがな………
ただ、それ以上は何も………」
「……そうか」
どうやら本命、アカギの情報に関してはハズレだったようだ。
或いは、カイジは何か隠しているのだろうか。
いずれにせよ、一人で行動しているのであれば、役立つ情報を得るのは困難かもしれない。
探している側からするとひどく迷惑な話である。
――だが、それでこそ赤木しげるだ、とひろゆきは思った。
おそらく、馴れ合いを好まぬ男なのだ。
それに主催者を潰すために一人で動いているのだろう。
ならば情報など、残すはずがない。
こちらに関しては、結局当人を直接見つけるしかないようだ。
「で、最後のは何だ?」
カイジが尋ねてきた。
「……これは聞きたいことじゃなくて交渉なんだが………僕とギャンブルをしないか?」
「ギャンブル?」
「そう、互いの持ち金全額を賭けて…」
「嫌よ!」
突如黙っていた女性が声を上げた。
「私達がなんでそんなことをする必要があるの?そんな必要ないじゃない!」
「いや、田中さん、落ち着いて…」
「カイジ君?あなたまでこの勝負受ける気なの?」
「いや……取り敢えず話を聞いてから………」
「話を聞くも何もそんな意味無いじゃない!大体足の手当ても必要なのよ?分かってる?」
何やら口論になっているらしい。
いや、女が一方的にまくし立てているようだ。
猛者には違いないが、意外と尻に敷かれるタイプかもしれない。
「田中さん、待てって……俺にも考えがあるんだから………」
「考えって何よ?」
「ええと……ちょっと待っててくれないか」
カイジは一旦女性を黙らしてひろゆきに顔を向ける。
「ちょっと彼女と話してくるから待っててほしい………ええと……」
「……ひろゆきだ」
「ひろゆきさん、悪いね」
そういうとカイジはひろゆきから離れていった。
カイジ達の話が終わったのはそれから三分ほど経った頃である。
「ひろゆきさん、待たせたな」
「いや、構わないよ……話はまとまったかい?」
カイジが何を切りだしてくるか、ひろゆきは身構えた。
「ああ……俺達は二人分の金を賭けようと思う……金は全部おれのバッグに移した、8800万円ある」
「8800万……まあ、金の出所は聞かない……それで、僕には何を求める?
当然僕にはそんな大金無いし……何か考えがあるんだろ?」
「俺達は金はいらない……だから、あんた自身を賭けてもらいたい」
「僕自身を?」
この男が一体何を考えているのか、ひろゆきは掴めない。
「俺達は……正直一億で脱出なんざ出来る筈が無いと思ってる。
奴ら、適当な言い訳つけて約束を反故にすることなんざ……奴ら日常茶飯事だ………!」
「……なるほどね」
「あんたが俺達の意見に賛同してくれるなら、ギャンブルなんて必要ないが……どうだ?」
ひろゆきにはその発想は無かった。
金を払えば順当に帰れる、としか思っていなかった。
果たして脱出の権利が嘘か本当か、それはひろゆきには分からない。
ならば――
「聞いて確かめればいいじゃないか」
「……どういう意味だ?」
「脱出に関する詳細……ここでは情報を売ってるんだ、金を積めば教えてくれるはずだろ?」
「まあ、それは確かに……だけど……その言葉を信じていいかどうか……」
「……言い訳をするってことは、全くのでたらめは言わない連中だろ?
それなら……不明瞭な言い方だったり不当な値段だったら脱出は嘘、さらっと言えば本当だ。
簡単に確かめられるんじゃないか?」
「…………」
「……カイジ君、いいアイディアじゃない、行きましょうよ」
田中という女性に諭され、カイジもそうだな、と呟いた。
* * *
「――その程度の情報なら百万でいいだろう」
ギャンブルルーム入口――黒服ははっきりとそう言った。
正直なところ、この値段はカイジにとって意外な結果である。
或いは、本当に脱出させるつもりがあるのだろうか。
「さあ、払うなら払え」
黒服に急かされ、カイジはバッグからチップを一枚取り出す。
代金は、所持金の多いカイジが払うことにした。
無論、ひろゆきにも異論はないだろう。
「確かに……脱出の権利の詳細だったな。
一億円分のチップでまず申請を行う……首輪はその後、即座に解除される」
「……その即座にってのは?」
「せいぜい一分だな……その後は参加者の立ち入れないホテルのVIPルームで待機、
終了した時点でヘリで帰還することができる」
「待機中に危害なんかは……?」
「当然加えない……心配しなくとも我々は嘘はつかない」
「…………」
カイジ達は離れたところで話し合う。
「……どうやら事実、脱出はさせてもらえるようだな」
「……そうみたいね………カイジ君、どうしたの?」
「………いや」
確かに黒服の言葉に偽りはないだろう、そんな感覚はある。
しかし、カイジの心は妙にざわついた。
どこかに引っかかりがある。
「……さて、カイジ、僕はそのギャンブルをやっぱりやるつもりだ……今更ノーとは言わないよな」
「……ああ」
その引っかかりが拭えない以上、やはりひろゆきという戦力は捨てがたい。
一か八か、ギャンブルを受けてひろゆきをこちらの手駒に加えるべきだろう。
「受けよう、そのギャンブル……!」
カイジ達はギャンブルルームへと移動、一時間分の計六百万円を支払った。
沙織も、一人で外にいるのは危ないという理由でギャンブルルームに入らせている。
「ルールはさっき打ち合わせたとおり行う、いいな」
「ああ……」
ここでカイジ達が行うギャンブルは麻雀のルールにのっとった、極めてシンプルなものである。
五局行ってひろゆきが役満を上がれば勝ち、上がれなければカイジの勝ち、というものだ。
それ以外は基本的には通常の麻雀と変わらない。
特殊な取り決めは、二人で行うこと、チーはなし、場風は常に東でカイジは東家、
ひろゆきは南家、四風連打は無し、チョンボはひろゆきがしたら流局、カイジがしたら負け、自動卓で行うこと。
それに加えて、ひろゆきの案でフリテンも無しとなった。
『この不利な状況で裏目を引くのはかなり痛い……だからこれは、言うなればハンデ……
とはいってもカイジにも有利な条件だ……回し打ちしながらでも上がりやすくなるだろ?』
ひろゆきが何を本当の目的としているかという不安はあったが、カイジ、これを了承。
「カイジ君……大丈夫なの?」
「ああ……役満なんて簡単に上がれるものじゃないさ…………
ひろゆきさん、ベットは俺が負けたら俺の手持ち全額を支払う、
勝ったらひろゆきさんは俺に従う……それでいいな」
「……ああ、それで間違いない」
「なら早速……始めよう」
一戦目、ドラは三索である。
カイジの配牌は、二萬、四萬、四萬、五萬、七萬、四索、六索、七索、八索、三筒、五筒、五筒、白、中。
(悪くねえっ……!配牌はいい……三シャンテン……!)
ピンフで手早く上がれそうな軽い手である。
カイジ、第一打、打白。
「ポンッ!」
ひろゆきの声が上がる。
そのままひろゆき、打一索。
(一巡目で即鳴き……四暗刻も見ないってことは……まずある程度形が出来てる……!
字一色か大三元………俺も急がねえと……)
次順、カイジツモ五索。
(いきなり三面張の形……いいツモ……いい流れだ……!)
カイジ、そのまま中に手をかける。
(グッ……!)
だが、中が手から離れない。
ひろゆきはたかが、白を鳴いているだけ。
配牌から白も中も対子で持っている確率は確かに低い。
しかし、切れるものでは無いだろう。
役満を上がられたら負けという、カイジにとってこの言わば追われるものとしてのルールがそうさせるのか。
結局カイジ、打七萬。
(クッ……ここは回すしかない………)
結局十七順目、カイジは中単騎をツモ上がり、事なきを得る。
だが、カイジには安堵の感情より、あと四局あるというその事実の重さが先にのしかかった。
(思った以上に手が縮こまる………楽に行けるとは思わなかったが………)
手を回せば当然遅れる。
ベタ降りしなければならなくなることもあるだろう。
だが、降りたとしてツモの回数は通常の麻雀の二倍なのだ。
やがては上がられてしまう公算が高い。
(よほど無いと思ったが役満もありうる………早上がりが出来なければ………負けるっ…………!)
次局、ドラ六索。
カイジ配牌。
一萬、三萬、五萬、六萬、六萬、八萬、八索、二筒、三筒、五筒、七筒、南、北、北。
再び伸びやすい、上がりの近い手牌である。
だが、二順目、カイジの打八索をひろゆきがポン。
(八索ポン……ってことは緑一色………)
そして八順目、カイジ、發ツモ。
カイジ手牌。
一萬、二萬、三萬、五萬、六萬、六萬、六萬、八萬、二筒、三筒、七筒、八筒、北、北、發。
(ぐっ……)
できれば發を切りたいところである。
だが、緑一色狙いが明らかなひろゆきを前に、やはり發を切ることは出来ない。
カイジ、打北で回す。
更に次順、今度は二索を引き更に打北。
こうして徐々にカイジは手を崩していく。
(クソッ……俺は何をやっているんだっ……!このままじゃジリ貧……ツモられる……!)
そして十六順目、ツモ四萬。
カイジ手牌。
一萬、二萬、三萬、四萬、五萬、六萬、六萬、六萬、七萬、八萬、二索、四索、六索、發。
(……どうする………回していくべきか否か……)
確かに回しても上がれない手牌ではない。
だが、ひろゆきは緑一色に向かっている。
肝心の索子がどれほど自分の手にまわってくるか。
(………ここで引いてもいずれ上がられるだけだ………考えろっ………!)
カイジはそのまま先程の局を思い返す。
(そうだ……さっきも即鳴きだった……二局連続で役満手が入るなんて幸運は稀だ………
つまり……いわば一種のブラフ………?)
カイジの考え、それはひろゆきがテンパイが近いと錯覚させているという可能性。
(そうだっ……何故もっと早く気付かなかった……!
さっきの局もだ………多分、ひろゆきさんは早く鳴いてこちらを降ろさせる作戦……
それならまだ上がりまで遠い可能性もある………ならいっそ………)
カイジは目をカッと見開き發を叩きつけた。
「…………」
ひろゆき、動かず。
カイジの読みは当たっていた。
まだひろゆきは、テンパイはおろか發二枚も抱えていなかったのである。
更に三順後、カイジ七索引き。
(嵌三索待ちはひろゆきさんに固まっている可能性大……それならもう一度っ……!)
カイジ、打二索。
「……ポン」
「クッ…………」
今度はひろゆきに鳴かれる。
また一歩ひろゆきの手は緑一色に進んだことになる。
さらにひろゆき、打三索。
(まずい……三索があふれるってことはテンパイしたか……?)
現在のカイジの手はイーシャンテンである。
その内容は、
一萬、二萬、三萬、四萬、五萬、六萬、六萬、六萬、七萬、八萬、四索、六索、七索。
三萬、六萬、九萬、五索、八索引きでテンパイ。
だが、五索引きを除けば四索切りで両面待ち、三面待ちに受けるか四索単騎に受けるしかない。
テンパイ気配のひろゆきに四索切りは厳しく、かといって単騎待ちでは、
ひろゆきが大量に抱えていることが予想され待ちが薄すく、出上がりも期待できない。
そして、更に悪いことに安牌である七索を切って良形テンパイとなる五索はすでに三枚場に見えいてる。
(だが……まだ一枚残っているんだ………なら五索を引いちまえば……問題ねえっ……)
カイジは恐る恐るツモった牌を見た。
が、引いてきたのは八索。
(何でここで引いてくるんだっ……クソッ…………)
カイジは不運を嘆きながら頭を抱える。
(やっぱり四索は切れない……フリテンでも上がれるんだ………
取り敢えずテンパイに取って手変わりを待つしか……)
カイジは六萬に手を伸ばした。
しかし、掴む、その寸でのところで手が止まる。
(待てよ……ひろゆきさんの作戦………ブラフで俺を降ろしてツモりに行く戦術……
もしかしたら……それと同じ………これもブラフか……?
俺の手を少しでも遅らせるつもりで………先切りを……
………なるほど、そのためのフリテン無しルールだったのか……)
即ち、テンパイになっていない可能性も十分にあるということである。
それならば四索切りも十分に可能。
ただ、無論振り込みの危険も大きい。
テンパイが本物か偽か、それはカイジには分からないのだ。
だが、もしブラフならここでの四萬単騎がマイナスに響いてひろゆきに上がられる可能性もある。
(堂々巡りだ……どちらが正しいか……ここからはもう運否天賦。まっすぐ行くしかないっ………!)
カイジ、打四索。
「…………」
「フフ………流石、というべきかな………通しだ」
ひろゆきは動かない。
即ち、カイジは超危険牌、四索を通すことに成功した。
この局、この四順後にひろゆきが三萬を切り、カイジ制す。
「カイジ、思っていた以上だ……確かに強い………」
「いや……勝てたのは俺の運が良かっただけ……俺が回し打ってる間に………
俺が気付く前にひろゆきさんの手が進んでたら負けていたんだ………」
「だけどギリギリにでも気づけたのは大したものさ………
これからは苦戦、必須だな…………」
このひろゆきの言葉の通り、早鳴きによる降ろし戦術を見破ったカイジは、
続く三戦目、四戦目とあっさりと連勝。
そして戦いは五戦目、最終戦へと突入した。
ドラ表示牌は九萬――ドラは一萬である。
カイジ配牌。
四萬、八萬、九萬、三索、五索、八索、八索、一筒、四筒、九筒、東、西、白、白。
(これがラスト……逃げ切れば勝ちだが………少し遠いか………)
だが、ベタ降りする訳にはいかない。
カイジは、自分の顔をはたき、西を切った。
お互い声も無く黙々とツモっては切るを繰り返し、五順目――
「カンッ!」
ひろゆき、北を暗カン。
新ドラは九萬。
(カンか………おそらく嶺上牌を無駄にしたくないってのもあるんだろうが……
やはり俺に手を竦ませることが目的……だがその手にはもう乗らねえっ……!)
カイジ南ツモ、ツモ切り。
案の定ひろゆきはそのまま何も反応せず牌をツモった。
(クク……そうだろそうだろ………役満なんざ順当にやれば出やしねえんだ……簡単には………!)
そしてことが起こったのはそれから四順後、カイジのツモはドラの一萬。
カイジ手牌。
一萬、四萬、七萬、八萬、九萬、三索、五索、七索、八索、八索、九索、四筒、白、白。
カイジはそのまま一萬ツモ切り――
「カンッ!」
ひろゆきはその一萬をカン。
(………なんだって?)
カイジの体がゾクリと震える。
考えられない打ち筋。
四暗刻も字一色も消えるのだ。
本来あっていいことじゃない。
異端の一萬、大明槓。
(……一体何を考えている?まさか四槓子を狙っているわけでも無いだろうが………
しかし………東は既に三枚切れで小四喜の目は無い………
となると………数え役満か?)
ひろゆきは新ドラをめくる。
ドラは八索。
(……八索は既に四枚見えている………新たにドラが乗る心配は無いが………
一体、待ちは何だ?)
カイジ、ツモ二筒。
と同時にカイジは高速で頭を回転させる。
まず、危険牌の決定、出上がりで数え役満になる可能性のある牌を絞る。
まず出上がり三暗刻はつかない。
それならば単騎待ちしかなく、カンをしなければ四暗刻単騎待ちが確定している。
ひろゆきならば、こちらのあふれる牌を予測することなど容易だろう。
わざわざ四暗刻を消す必要が無い。
考えられるのは、待ちの薄いツモり四暗刻からのカン――
ならばどういった役で狙うのか。
考えられるのはトイトイ、ホンイツ、ホンロウの六翻に加えて、一萬をカンしたことによるドラ四で十翻。
残るは三翻である。
(北をカンした時のドラは九萬だったな……だが、一枚はドラ表示牌、一枚は俺が持っている………
つまり持っていても二枚………翻牌は白以外は全て場に二枚見えているからここから役がつくことは無い……
ということは、俺が振り込むとしたら一翻上げるドラの九萬か白だけ………!
多分、九萬と字牌、それも白のシャンポン待ち…………!)
即ち九萬と白を切らなければ振り込みは無い、とカイジは結論付けた。
そして、ツモの可能性も無い。
場に二枚以上見えている字牌がほとんど、
ひろゆきはの面子には必然的に唯一場に一枚しか見えていない西の刻子が含まれているのが分かる。
従って西の待ちはあり得ない。
そうすると、カイジが白を抱えればひろゆきの字牌での上がり目はもはや無くなる。
同様に九萬もカイジが抱えているため無い。
しえん!
その上、ひろゆきに残った唯一の刻子の西も一枚切れでカン出来ない。
もう、ひろゆきの勝ちの目は無くなった、とカイジは結論付けた。
(ククク……新ドラが乗ることで手変わりに期待をかけたんだろうが………
墓穴だったな……それっ…………!)
カイジ手牌。
四萬、七萬、八萬、九萬、三索、五索、七索、八索、八索、九索、二筒、四筒、白、白。
怖いものはひとまず無くなったが、僅かでも可能性を残すべきでは無い。
危険牌を手の内で使えるならまっすぐ上がりに行くべきであろう。
カイジはスッと四萬を摘まむ。
しかし、その瞬間に違和感。
(なんだ………この違和感?………分からねえが……なんか嫌な感じ……)
カイジにはその違和感が何者か掴めない。
結局、打四萬。
「フフ……」
「あ………?」
「随分長考していたようだけど……その答えは間違いだったみたいだな………カイジ」
ここでカイジ、違和感の正体に気が付く、が、もう遅い。
「カンッ………!」
「ぐっ……!」
そう、カイジの感じたものの正体、それは四萬が生牌であるということ。
カンを警戒してなかった故に犯した過ちである。
「新ドラは……北だっ!」
(そんな……そんな………)
ひろゆきは北をカンしている。
これで三槓子ドラ八が確定である。
(………これに、ドラ二かトイトイかホンイツ、それから嶺上開花がつけば数え役満……)
ひろゆき、リンシャン牌をツモ。
(ツモるなっ……!)
――ひろゆきは上がれずツモ切り、打八筒。
(……助かった)
だが、終わったわけでは無い。
後三翻つけば上がれることには変わりないのだ。
(後トイトイホンイツかトイトイ、ホンイツにドラを絡めて上がりか、単純にドラ三絡めるか……どうする)
これで、危険牌が大幅に増えたことは言うまでも無い。
カンドラが乗らないこともひろゆきが想定していたならホンイツは絡めている可能性が高い。
しかし、それがまず迷彩の可能性もある。
結局、三枚以上在りかが分からない牌、萬子、字牌、ドラあたりは到底切れない。
更には当然、ツモあがりの危険もある。
まさに八方塞であった。
カイジツモ白。
(安牌無し……何を切る……?)
やはり、単騎待ちの可能性は低いとして三枚目の白を切るべきか。
しかし、上がりへの特急券を手放すのは、正直かなり痛い。
(上がり目が無いわけじゃないが……)
どうすればいいのか。
カイジの手が再び止まった。
(クソッ……負けるのか……?)
924 :
マロン名無しさん:2009/04/21(火) 21:04:43 ID:JFTBYblh
支援
しえん
規制かかっちゃったのかな
続きから代理投下いきます
半ば諦め、半ばボーっとした感覚に陥る。
カイジはそのまま場をゆっくりと眺めた。
――その瞬間、カイジの中で何かがはじけた。
(待て待て待て待てっ……!まだあるっ……勝ちの目………ウイニングロード…………!)
ある意味頭の回転が止まって客観的に場を見れたことが功を奏した。
それによりカイジは閃き、確かな勝利への道を見つける。
(何も俺が上がる必要なんてねえんだ……ここで俺がカンすれば二人で合計カンが四つ……!
それで流局して終わりじゃないか……四開槓で………!)
そう、カイジの策、それは四開槓。
二人以上でカンを四回することで流局するというルール、これを利用する。
(それなら白は切れないっ……もし白をツモるか、ひろゆきさんが切るかすればそれで流局なんだ……!)
カイジ、打二筒。
この牌は無事に通った。
その後、ひろゆき九索ツモ切り。
そして次順、カイジツモ、七萬。
カイジ手牌。
七萬、七萬、八萬、九萬、三索、五索、七索、八索、八索、九索、四筒、白、白、白。
(よしっ……七萬も重なった………!)
そのままカイジはひろゆきの切った九索を合わせ打った。
それから更に四順後。
ひろゆき、打七萬。
「ポンッ!」
カイジはこれを鳴き、カンの可能性を広げる。
カイジ手牌。
二萬、三萬、三萬、八萬、九萬、五索、八索、八索、白、白、白、ポン(七萬、七萬、七萬)。
(これで七萬をツモってもカン出来る……あと少しだ)
カイジ、打五索。
そしてその三順後、遂にカイジは要の牌をツモった。
(来たっ……これで………やっと勝負が終わる………カン出来るっ………!)
カイジのツモは七萬。
そしてカイジは高らかに宣言した。
「カンッ……!」
カイジは喜びの余り立ち上がる。
やたら長く感じたこの勝負、それもこれで決するのだ。
(これで……これで勝ちだ………!)
――そう、確かにこの瞬間、カイジは勝ちに手が届きかけた。
「ロン……」
「………え?」
ひろゆきの言葉に呆然とするカイジ。
ひろゆきはパタリと手牌を倒す。
五萬、六萬、西、西、明カン(一萬、一萬、一萬、一萬)(四萬、四萬、四萬、四萬)暗カン(北、北、北、北)。
「な………」
「ホンイツ、三槓子、チャンカン、ドラ八………数え役満だ」
「馬鹿なっ……そんなこと………」
ひろゆきの待ちは四萬、七萬。
だが普通に上がっては一翻足りない手である。
ひろゆきは七萬をあえて鳴かせて、カイジが小明カンをするのを待った。
フリテン無しのルールからひろゆきが見出したある一つの役、チャンカン。
いわば、カイジの四つ目のカンを利用した、もう一つの四槓子――
「紙一重だったな」
ひろゆきはゆっくりとカイジに語りかけた。
「或いは僕が負けていたかもしれない……そんな勝負だった」
「よせっ……!」
カイジはひろゆきに怒鳴る。
「そんなことを言って何になる……慰めじゃない………違うだろうが………
今お前がしなければいけないのは金の催促だ……違うか?」
「……ああ、そうだな」
「ククク……だが………分からないぜ……勝負は最後まで……」
「何を言っているんだ?」
カイジの言葉にひろゆきは首を傾げた。
「じゃあ8300万円貰うよ……出してもらおうか………金を」
「8300万ね……俺が最初に言ったこと、覚えてるか?」
「……はあ?」
「俺が賭けるものは俺の金全額……俺はそう言ったんだ」
「だから何を言って………まさか!」
ひろゆきは慌てて何かを探しだす。
だが、探しものは見つからないだろう。
「どうやら田中さんがギャンブル中に俺のバッグを持ち逃げしたらしい………
という訳で俺の手持ちの金は一銭も無いんだ………ひろゆきさん」
実はカイジは、事前に策を練っていた。
もし負けても何も失わない、リスクを負わぬ戦略。
その戦略は至ってシンプル、ギャンブル中、頃合いを見て沙織にバッグを持ち出させること。
そして、負けたらこちらの金を全額払うと宣言――金がなければ全く払わずとも良い。
ノーリスクで仲間を増やそうとした、カイジの舞台裏の作戦であった。
「そんなことが認められると…!」
「認められるんだよ……この腐った舞台じゃ………」
カイジの言葉にひろゆきは口を閉ざす。
カイジはスッと立ち上がった。
「ひろゆきさん、出来ればあんたを仲間にしたかったが………残念だ」
「……試合に勝って勝負に負けたって奴か………カイジ、また会おう」
「………平山の件は任しておけ」
「頼んだ……」
カイジはそのまま背を向けてギャンブルルームを後にした。
(さて……田中さんと合流しないとな)
カイジは即座に沙織を探し始める。
だが、周囲をいくら探しても沙織は見つからなかった。
(おかしいな………予定じゃこの辺で合流する予定だったが……)
カイジの脳内にふと、嫌な予感が走る。
ある種の不安――
(まさか……まさか……)
* * *
(ごめんね……カイジ君)
沙織はカイジから逃げるようにただひたすら走っていた。
理由は二つ。
一つにはカイジを見限ったのである。
危険人物と見られるアカギとの邂逅のときからカイジの能力に不安を感じていた。
そんな時に聞かされた新事実、脱出の権利は嘘では無いということ。
――このカイジの推測のミスが決め手となり、カイジのもとから離れたのである。
そして、もう一つの理由もそこにあった。
(今の手持ちが8300万円……これなら私一人なら後1700万円で脱出できる………
もう一人殺したんだもの、これから先誰かを殺しても同じ話……あとには引けない、やるしかない)
沙織は、ただひたすらに脱出を目指す。
生還、ただそれだけを見て――
* * *
(クソッ……!決めてはあの係員の言葉か……)
カイジも信じかけたくらいである、沙織なら信じてしまってもおかしくはない。
(だけど………奴ら、帝愛だぞっ………信じていいわけが無いっ……!
どこかに……嘘があるはず………)
カイジは沙織を探しながらひたすら考える。
(あっ……!そういうことか………クソッ………もっと早く気づいていれば………
沙織さんも逃げなかっただろうし、ひろゆきさんも引き込めたかもしれないのに……)
カイジの気付き、それは先程の黒服の言葉では無かった。
ホテルでの黒崎の言葉――
(そうだ……奴は、確かに棄権の申し出を『当ホテル』でしろって言ってた……
だが………今あそこは…………)
そう、禁止エリアである。
(早く田中さんを見つけないと……このことを伝えるために)
そうしてカイジもまた、沙織を追って痛めた足をもかばわずに走り出した。
――不幸にも沙織とは反対方向に。
【D-3/アトラクションゾーン/夜】
【伊藤開司】
[状態]:足を負傷 (左足に二箇所)
[道具]:なし
[所持金]:なし
[思考]:田中沙織を探す 仲間を集め、このギャンブルを潰す 森田鉄雄を捜す
一条、利根川幸雄、兵藤和也、鷲巣巌に警戒
赤木しげる(19)から聞いた情報を元に、アカギの知り合いを捜し出し、仲間にする
※平山に利根川への伝言を頼みました。
※2日後の夜、発電所で利根川と会う予定です。
※アカギのメモから、主催者はD-4のホテルにいるらしいと察しています。
※アカギを、別行動をとる条件で仲間にしました。
※脱出の権利は嘘だと確信しました。
【井川ひろゆき】
[状態]:健康
[道具]:日本刀 首輪探知機 不明支給品0〜2(確認済み)
村岡の誓約書 ニセアカギの名刺 支給品一式×2
[所持金]:1500万円
[思考]:赤木しげるとギャンブルで闘う ギャンブルで脱出資金を稼ぐ 極力人は殺さない
自分の進むべき道を見つける
※村岡の誓約書を持つ限り、村岡には殺されることはありません。
※平山と21時にアトラクションゾーン事務所で落ち合う約束をしました。
【D-3/アトラクションゾーン沿いの林/夜】
【田中沙織】
[状態]:健康
[道具]:支給品一式×3(ペンのみ二つ) サブマシンガンウージー 防弾ヘルメット 参加者名簿 果物ナイフ ボウガン ボウガンの矢(残り十本)
[所持金]:8300万円
[思考]:カイジから逃げる 一億円を集めて脱出を目指す 森田鉄雄を捜す
一条、利根川幸雄、兵藤和也、鷲巣巌に警戒
代理投下終了
バトロワなのにこんな戦いも見れるなんて・・・感激!
福本ロワならではだなぁと手に汗握りながら読みました。
やはり麻雀絡みにおいてはひろゆきの方が上手・・・!
カイジやひろゆきはもちろん
沙織も女性としては圧倒的強かさを持っているから(今はアイテム充実してるし)
今後それぞれがどうなるか楽しみだ・・・!
主催側もただの主催にはおさまらずまだまだ二転三転ありそうだし。
作者さん乙!
投下乙でございます
てかすげえ!
二回戦は追い詰められながらもひろゆきの策を見破ったカイジ
五回戦はことごとくカイジの上を行ったひろゆき
ひろゆきが勝ったと思いきや保険を用意していたカイジ
金銭面では引き分けに終わったと思いきや田中さんの一人勝ち
二転三転四転して面白かったです
それに麻雀描写も感動した
ひろゆきの最初の策からして俺のような凡夫には思い付かない
数え役満も気付かなかったなかったしチャンカンには度肝を抜かれました
多分パロロワ界通じてもあなた以上に麻雀を書ける人はいないと思います
本当に乙でした
圧倒的…驚異的投下乙…!
感動しすぎて、今の思いを言葉ではうまく伝えられそうにないっ…!
・麻雀初心者が読んでも、何が起こっているかとてもわかりやすく、かつ手に汗握る展開。
・ひろゆきの七萬捨ては、「北送りこみ」を思い出して興奮した…!かっこいい…!
・カイジの策が実にカイジらしい。真面目なひろゆきに勝てても、田中さんにはしてやられるところが実に。
・読みながら、脱出できるのか…と一瞬信じかけてしまった…orz 帝愛の策に嵌まっている、すでに泥中首まで
・田中さんはひどいけど、ある意味潔いというか…、頑張って生き残って欲しいとも思う。
・最初ほうのカイジのセリフが、格好よすぎて噴いてしまった…覚醒半端ないw
・反対側に走っていっちゃったか…カイジらしい…w
自分も、ここまで高クオリティのものはかけなくとも、目指す目標に、指針にさせてもらおうと思いました。
面白かったです。
すいません…、ところで、果物ナイフなんですが、前のSSでカイジのポケットに入れておいたのです…
カバン持ち逃げされても、ナイフはカイジが持っているかなと…。
分かりにくくてすいません。
長文失礼しました。
投下乙
ここは本当にパロロワかと思うくらい麻雀描写が書きこまれてて面白かった
麻雀要素以外のかけひきも絡んでこれぞ福本ロワといえるSSだと思います
>いわば、カイジの四つ目のカンを利用した、もう一つの四槓子――
ひろゆきの今回の三カンツ+四つめのカンでの役満は、原作の天での三アンコ+裏ドラアンコでの役満狙いからひろゆきが閃いた設定なんですかね?
原作での
俺のアンコはそこにある――
ってのと、今回の
もう一つの四槓子――
がかぶって感動した
感動しました。
まさかの四萬、七萬待ちで、どんでん返しの
ひろゆきの役満あがり。
福本ロワの真骨頂を見たような気がしました。
やはり、福本ロワのエース・・・。
今回の話で、黒崎が序章で申告はホテルでって言っていましたね・・・
初めて気づきました・・・orz
十に一つの時もですが、伏線を拾うことがうまいですね。
見習わなくてはと改めて思いました・・・。
本当にお疲れ様でした。
皆さん、感想ありがとうございます。
今更ながら麻雀部分の改良案を思いついたので、勝手ながら、暇ができ次第訂正させていただきます。
>>937 お恥ずかしい……
俺のミスです。
申し訳ない。
訂正
【伊藤開司】
[状態]:足を負傷 (左足に二箇所)
[道具]:果物ナイフ
[所持金]:なし
[思考]:田中沙織を探す 仲間を集め、このギャンブルを潰す 森田鉄雄を捜す
一条、利根川幸雄、兵藤和也、鷲巣巌に警戒
赤木しげる(19)から聞いた情報を元に、アカギの知り合いを捜し出し、仲間にする
※平山に利根川への伝言を頼みました。
※2日後の夜、発電所で利根川と会う予定です。
※アカギのメモから、主催者はD-4のホテルにいるらしいと察しています。
※アカギを、別行動をとる条件で仲間にしました。
※脱出の権利は嘘だと確信しました。
【田中沙織】
[状態]:健康
[道具]:支給品一式×3(ペンのみ二つ) サブマシンガンウージー 防弾ヘルメット 参加者名簿 ボウガン ボウガンの矢(残り十本)
[所持金]:8300万円
[思考]:カイジから逃げる 一億円を集めて脱出を目指す 森田鉄雄を捜す
一条、利根川幸雄、兵藤和也、鷲巣巌に警戒