もしジョジョキャラがハルヒのSOS団に入ったらpart5

このエントリーをはてなブックマークに追加
1マロン名無しさん
ジョジョキャラがもしハルヒのSOS団に入ったらというクロスSSスレです

前スレ
もしジョジョキャラがハルヒのSOS団に入ったら part4
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1203844253/l50

まとめ
http://www12.atwiki.jp/jojost/pages/11.html
2マロン名無しさん:2008/09/10(水) 12:44:29 ID:???
しょうがねえな、友達になってやるよ
3マロン名無しさん:2008/09/10(水) 22:03:02 ID:???
4マロン名無しさん:2008/09/10(水) 22:27:20 ID:???
あ、やっちゃったね…
ドンマイ >>1
素人さんが勝手にスレ立てちゃうのは良くある事だから。
以後放置でヨロ >>ALL

#業務連絡:次スレよろ >>トピマス殿
5 ◆PZGoP0V9Oo :2008/09/11(木) 04:38:39 ID:???
テスト
6 ◆vpNSq2wDOo :2008/09/11(木) 04:42:39 ID:???
テスト
7マロン名無しさん:2008/09/11(木) 19:59:40 ID:???
次スレは此処か?
8 ◆FOppqwuDGQ :2008/09/14(日) 19:57:48 ID:???
テスト
9セッ子:2008/09/15(月) 17:37:35 ID:???
旧スレが潰れてしまったのでこちらを仮の本スレとしたいんですが、構いませんかね?
10マロン名無しさん:2008/09/15(月) 17:53:34 ID:???
自分はいいんじゃないかと思うけど、他の職人さん達はどうなんだろ?
11アメリカの人:2008/09/16(火) 15:44:51 ID:???
俺は別におk
12マロン名無しさん:2008/09/18(木) 20:35:40 ID:???
次スレ=未来の本スレなわけで全く問題ないでしょ
13セッ子:2008/09/18(木) 20:43:57 ID:???
とりあえず、後々のことはその時で考えるとして、投下しますね。
14セッ子:2008/09/18(木) 20:45:10 ID:???
「入るわよー!!」
遠慮などという言葉を欠片も感じさせない大声で、乱暴に扉を開けるハルヒ。
正直耳が痛い。
扉の先にいたのは
「ふぇ!?」
例によって例のごとく、着替え中の朝比奈さんだった。
ハルヒはそんなことも気にせずに、俺の手を引きずかずかと部室の中へと入っていく。
もちろんうら若き乙女に対してこんなこと、許されるはずがない。
朝比奈さんの顔は見る見る紅く染まってゆき…
「ひやゃああぁぁぁーーーー!!!」

act6―出会いの駅前(前編)〜超不幸な少女〜

恒例行事となった一悶着も終わらせ、着替えが終わった朝比奈さんに導かれて部室へと入る。
瞬間、感じる違和感。おかしい。何かが足りない。
ハルヒもそれに気づいたらしく、俺に声を掛ける。
「おかしいわね、いつもなら有希が最初に来てるはずなのに。それに、キョン。もぐらすはどこよ。」
言われてから気づく。足りないのは長門、それと一緒に来たはずのセッコだ。
今朝別れを告げたはずの二人が揃っていなくなっているのだ。

15セッ子:2008/09/18(木) 20:46:14 ID:???
いやな汗が頬をつたう。
もしやセッコが逃げ出し、長門が今それを探しているのでは?
ありえない話ではない。セッコは長門にあまり友好的ではなかった。
しかもあいつはオアシスが触れている部分なら泥に変えて潜ることができる。脱出だってお手の物。
もし本当にそうならば、非常に由々しき事態だ。
俺は踵を返し、今閉めたばかりのドアへと手を伸ばす。
「ちょっと、どこ行くのよ、キョン。」
俺がいきなり動きだしたことに疑問を抱いたのか、ハルヒがそう尋ねる。
理由なんて説明してる時間はない。俺が先ほどのハルヒよろしくドアを開けようとした、時だった。
ガチャリと音を立てドアが開く。
そこに立っていたのは、話題の渦中の二人。
「・・・ただいま。」「うおおう!!」
すたすたと俺の隣を通り抜けていく長門、それに手を引かれて歩いていくセッコ。一見すれば情けない兄妹のようだ。
俺はそのまま通り抜けようとする長門の肩をつかむ。
「……何?」不意の出来事に少し困惑したのか、長門は分かるか分からないか程度だが首をかしげ俺を見上げる。
A+という谷口の声が聞こえた気がした。あくまで気がしただけだ。
そのまま肩を引っ張って二人まとめて部室の隅へと連行する。

「何をやってたんだ?」
「…散歩。」「おおうおう!!」
散歩…。思わず脱力してしまう。俺は長門とセッコに耳打ちする。
脱走よりは幾分マシだが、なぜ散歩なんかに行くんだ。ハルヒにばれちまったら終了だろう。
それを何でハルヒの目の前をずかずかずかずかと二足歩行で。
「ねぇ、キョン。何で普通に歩いてんの、もぐらす?」
…もう言い訳のしようがない。
万事休すか、と思われたそのとき。肩に乗っていた手を振り払い長門が前に歩み出る。
そしてハルヒに対峙し、
「教育した。」とだけ言っていつもの指定席へと歩いていった。
オイオイ長門さん。いくらハルヒでもそんなことを信じるわけ
「そうなの!?こんな短時間で覚えるなんて、流石地底怪獣ね!!」
…もういい、もう何も言うまい。
16セッ子:2008/09/18(木) 20:47:52 ID:???
その後古泉も揃い、いつものように部活が始まる。
今日の議題は『昨日の成果について』らしい。
まずは古泉朝比奈さんチームの『地底怪獣について』。
「僕たちはまず大きさ、行動範囲、生態系の三点からもぐらすさんの種類について調べました。
しかしどんな図鑑にも事典にも載っていません。
僕たちはこの結果から『もぐらすは一般的に存在しない生物』だと言う見解に達しました。」
まぁ、図鑑に載ってるとしたらホモ・サピエンスの欄だろうから、この見解には頷ける。
次にハルヒ長門チームの『小金井市について』
なぜ小金井市なのか?それはハルヒにしか分からない秘密。それが、今明かされる。
…はずだったのだがハルヒはと言うと
「こっちの方はぜんぜんダメ。やっぱりご当地のことはご当地ね。今度東京まで行こうかしら。」
などと恐ろしいことを団長席でふんぞり返りながら言っているだけだった。
そしてハルヒは姿勢を崩さずに俺のほうを指差す。
何か用なのか。
「あんたは、何かもぐらすについてわかったことはない?」
分かったことか…ここで人間だ超能力だなんて暴露しても信じてくれないだろう。
ならば分かったことはひとつだけだ。
「こいつの名前。セッコだ。」

ちなみに俺のこの発言に、やはりと言うべきかハルヒは猛反対した。
「げろしゃぶ!これは譲れないわ!」
何だその登校拒否を招きそうな名は。
当然俺はハルヒの案を跳ね除ける。しかし、ハルヒがそれを許すはずがない。
「じゃあ多数決よ。セッコとげろしゃぶ、どっちがいいか!!」
結果から言うと二対一(非参加二名)でセッコに軍配が上がった。

さて閑話休題。
ハルヒは今週末も情報収集をすると提案した。もちろんこれに反対するものはない。
今度は俺とセッコも一緒に参加するとのこと。
拒否権は存在しない。神の言葉は絶対だ。
17セッ子:2008/09/18(木) 20:49:20 ID:???
瞬く間に日は過ぎて、週末土曜日。
くじ引きの結果俺は朝比奈さん、セッコと一緒に隣町の図書館で動物図鑑でセッコについて調べることになった。

「でも、何で涼宮さんはセッコさんのことを地底怪獣って呼ぶんでしょうね。」
駅前を目指しながら朝比奈さんが尋ねてくる。
曖昧な笑みを返しながら、セッコの予想が当たっていたことに感心する。
動物的な本能と言うやつだろうか。
そういえば昨日、あいつが部屋で「晩飯はカルボナーラ」と材料も見ずに言い放ったが、それも当たっていた。
「何でだろうな、さっぱりわかんねぇ。」
セッコはと言うと、俺の隣を歩きながらいけしゃあしゃあとそう嘯く。
そうこうしているうちに駅前が見えてきた。

「あぁぁあああ〜〜!!待って、待って下さい〜〜〜!!」
駅に入って最初に耳に入ったのは素っ頓狂な女性の声だった。
見れば、一人の女の子が地面に這いつくばって口の開いたスポーツバックにあせあせと落ちている荷物をつめている。
五メートルは離れているだろう俺たちの足元にまで荷物があるところを見ると、相当派手にぶちまけたらしい。
その様子を見て朝比奈さんは落ちていた荷物を広い、パタパタと女の子の方へと走っていく。
「あっちに落ちてましたよ?」
「あ、ああ!あり、あり、ありがとうございまふ!!」
声を掛けられたことに驚いたのか、集めていた荷物を放り投げ、女の子は頭を下げる。
まったく、見てられないな。
「セッコ、お前は改札口前を拾ってくれ。」「うおうお!」

「オイ、こっちにパンティあったぞ、パンティ!ほら、ほら見ろキョン、パンティ!!」
「お、おお、大声で叫ばないで〜〜!」
18セッ子:2008/09/18(木) 20:54:42 ID:???
「ありがとう、ございました。助かりました!」
頭を何度も下げながら女の子が俺たち三人に礼をいう。
「いえ、気にしないでください。」微笑みながらそう言う朝比奈さん。
その笑顔に釣られてか、緊張の糸が切れただけか、少女もぎこちなくではあるが微笑む。
整った顔立ちのなかなかの美少女だ。谷口評価ならAは下らないだろう。
「あ、自己紹介まだでしたね。ええと、一ツ橋葵です。よろしくお願いします。」
「朝比奈みくるです。こっちはキョン君と、セッコさんです。」
あだ名で紹介されるのももう慣れてしまった。何も言うまい。
「おうおう!」セッコはビシッと手を上げ、その手を元気に振りまわす。
「よ、よろしくおねがいします。」
そしてまた頭が千切れるんじゃないかというくらいにお辞儀をする一ツ橋さん。が、今度は中々頭を上げない。
どうかしたんだろうかと覗き込もうとすると、一ツ橋さんはぼそぼそと呟き始める。
「いつも、こうなんですよね…」
不幸にオーラがあるのなら今一ツ橋さんの周りに見えるのがそうなんだろうな、と思うくらいの暗い雰囲気が醸し出される。
「気がついたら周りの人を巻き込んでいるっていうか、いつの間にか周りの人も不幸にしているっていうか。
小さな頃から私が怪我をすると絶対に誰かも一緒に怪我するし。そのせいで友達もできなくて…」
なんかやばい気がするが、俺を除く二人は少女の話を聞いているので無理に動くことも出来ない。俺は誰にも気づかれない位の声で、やれやれと呟いた。

電車から降り、騒々しい駅前に佇む三人と一匹、もとい四人。もちろん俺たちSOS団と一ツ橋さんだ。
なぜ一ツ橋さんと一緒にいるかと言うと、単に目的地が一緒だっただけだ。ちなみに一ツ橋さんは全寮制高校への転校に先立って必要最低限の荷物を持っての引越しらしい。
「葵さんはここから寮のほうへ?」「は、はい。あ、でも先に歯ブラシなんかを買いに行きます。」
さっきので失くしちゃったんで、とはにかみながら言う一ツ橋さん。
図書館のある方向と寮がある方向は逆方向。どうやら一ツ橋さんとはここでお別れらしい。
「俺たちはこっちなんで。行くぞ、セッコ。」「おううおおう!!」
「はい、ありがとうございました!」
そのまま俺たちに背を向けて歩いていく一ツ橋さん。
19セッ子:2008/09/18(木) 20:55:40 ID:???
願わくば、彼女が幸せになりますように。小さくなる後姿にそういった願いを込め、皆を促し俺も歩き出す。
しかしその祈りはものの五分で打ち砕かれた。

最初にそれに気がついたのはセッコだった。
「オイ、キョン。『ゴートー』ってなんだ?」
『ゴートー』…強盗のことだろうか。いきなりだなお前の質問は。
「いや、こっちの文化には不慣れだからよ。で、なんなんだ?」
「人の物を盗ったりする悪い人のことですよ。」と、これは朝比奈さんの言。
違う気もするが、まぁ大筋はあってるだろうから余計な茶々は入れない。
その朝比奈さんの言葉を聞き、しばしセッコが立ち止まる。
どうかしたのか?
「やばいんじゃねぇか、それ。」「何がですか?」
「いやよ、さっきのしょんぼり女があっちに向かってったろ。」
あっち、と後ろを指差すセッコ。しょんぼり女、たぶん一ツ橋さんのことだろう。
「分かれた場所の少し先に『こんびに』ッつー所があってそこに今『ゴートー』ってのがいるらしい。」
…なんだって?
「一度で聞き取れって。だから…」
早口にもう一度説明するセッコ。しかし俺は聞きなおしたわけじゃない。
嫌な予感が頭をよぎる。
彼女は何と言っていた?―確か歯ブラシを買うとか何とか。
歯ブラシが最も簡単に手に入るのはどこだ?―間違いなくコンビニだ。
こうしてはいられない。俺は今来た方向とは逆の方向、つまり一ツ橋さんの向かっていた方に向き直す。
「ど、どうしたんですかぁ?セッコ君は何を…」
「今は説明している時間がありません。一ツ橋さんと合流しましょう!」
20セッ子:2008/09/18(木) 20:57:06 ID:???
***
殴られた。黒尽くめの男の持っていたライフルの柄で。
ジンジンとした痛みが私の頭を襲う。
強盗だろうか、違うにせよどうやらまた面倒なことに巻き込まれてしまったらしい。
いきなりの出来事にコンビニの中のアベックさんや男の子、神父さんもきょとんとしている。
黒尽くめの男は構わずに私の頭にもう一度ライフルの柄を当ててくる。
その瞳はとても冷めたもので、慈悲の心などかけらも感じられない。
痛い、怖い、動けない、怖い、もういやだ、ライフルが振りあげられ、怖い、怖い、私の頭を狙う、誰か助けて、助けてお父さんお母さんキョンさんセッコ君朝比奈さん痛い痛い痛いよ…


― ナンデ、ワタシバッカリ? ―

「すいません、通してください!一ツ橋さん、何処ですか、一ツ橋さん!!?」
人ごみを掻き分け、一ツ橋さんの安否を確認しようとした瞬間だった。
いきなり、朝比奈さんが横面を思い切り殴られたように吹っ飛んだ。

to be continued…
21セッ子:2008/09/18(木) 21:03:47 ID:???
投下終了。
さてあとがきです。まずは旧スレで書き込めなかった分を。
徐倫の人、GJです。
女装といい、煙草といい、ジョジョの強キャラ=アホはやはり定説なのか。

次回、ついにミカンのすじ登場。これで考えているメンバーが一応全員揃うことになります。
楽しんでいただければ幸いです。
それでは、拙い文章ですが何かあればよろしくお願いします。
22マロン名無しさん:2008/09/18(木) 21:21:16 ID:YxxKxtTn
age
23マロン名無しさん:2008/09/19(金) 01:12:56 ID:???
sage
24マロン名無しさん:2008/09/20(土) 09:33:18 ID:???
GJ!
オリキャラじゃなくハルヒのキャラかな
不幸というキーワードと神父に関係はあるのかッ
25マロン名無しさん:2008/09/21(日) 21:17:05 ID:???
過疎ってるなあ
作者も読者もいないのか?
26マロン名無しさん:2008/09/21(日) 21:46:06 ID:???
まだ1日も空いてないぞ。1日というか1曜日
27マロン名無しさん:2008/09/23(火) 19:51:54 ID:???
いい感じに過疎ってるな
28マロン名無しさん:2008/09/23(火) 22:22:35 ID:???
過疎とは思わんが新作投下来ても反応ないのはなー
29アメリカの人:2008/09/24(水) 15:34:57 ID:???
第51話 「涼宮ハルヒは合宿がしたい」

「冬休みに合宿するわよ!」
「「ハァ?」」
ハルヒが高らかに宣言した。その時あたし達はハルヒ特製の鍋クリスマスパーティーの真っ最中だった。
周りの奴はまたか……という反応で驚いているのはあたしとアナスイと鶴屋さんの3人だけだ。
「ああ、徐倫達は知らなかったわよね……今年の冬のSOS団は雪山山荘ミステリーツアー第2弾!場所は鶴屋さんの別荘よ!」
なあ、キョン。そのミステリーツアーってなんだ。
「夏休みにやった古泉による下手な寸劇だ」
「詳しく言え」
キョンの話によると前回は古泉がハルヒを楽しませようとドッキリを仕掛けたが、見事に見破られてしまいグダグタに終わったという出来事だったらしい。
「今回は最初から芝居と明かした上で皆さんに推理をしてもらいます……なかなかいいできですので楽しみにしてくださいね」
「………それならあたし達もやろうか?」
途端に全員が驚いた顔をする……おい、キョン、なんだその露骨に嫌そうな顔は。
「いや……だってさ………」
「いいじゃない!問題数は多い方がいいに決ってるわ!それじゃ、期待してるわよ!」
そう言って上機嫌になったハルヒは再び鍋をつつき始める。
「……んな事言って大丈夫か?」
「大丈夫よ……あたし達にはスタンドがあるからな、いざとなったらそれでトリック作ってもいい」
「反則だろ……それ」
うるせぇ。
30アメリカの人:2008/09/24(水) 15:36:09 ID:???
一週間後の出発日の早朝の駅前、ハルヒとSOS団の愉快な面々+鶴屋さん、仕事の関係でついてくる事になったウェザー……とここまでは予想の範囲内だったが、
「わぁい」
キョンの妹がいる。そういやあたしやアナスイは初めて会うな。映画に出てたから顔は知ってるが。
「なんでいるんだ?」
「いいじゃん、ついて来ちゃったんだから……それにキョンとは似ても似つかないくらい素直ないい子だし、シャミセンの遊び相手にもなりそうだし」
キョンの飼い猫であるシャミセンは何故いるかと言うと………
「トリックに必要なんですよ……そういえば徐倫さん達の方はできましたか?シナリオ」
「ばっちりだ」
と、返事をした瞬間、足に何かがぶつかった感じがした。
「うわーお姉ちゃんおっきいー!それに髪の毛金色ー!」
キョンの妹だ。
「ねえねえお姉ちゃん外国人ってほんと?後キョンよりおっきく見えるよー」
随分とハイテンションな子だ。どっかの無気力仏頂面男とは大違いだな。
「うるせぇ………」

雪山行きの特急内でも妹ハリケーンは衰えず、ハイテンションだった。あたし達女組(ちなみに野郎軍団はしみったれた顔をしながらババ抜きをしている)
の中を飛び回っていた。そのテンションの高さはあの有希も読書を諦める程だった。
「また負けたーッ!徐倫強すぎよ!」
「うーんその通りだねぃ……勝負所を見極めてるねぇ」
「どうやったらそんなにトランプやUNOが強くなるんですか?」
「残念ながら企業秘密だ」
と、かっこよく決めながらカードを配っていた瞬間、
31アメリカの人:2008/09/24(水) 15:37:18 ID:???
「………イカサマ」
そう言った有希が目にも止まらぬ速さであたしの腕を掴んだ。
「………何の事だ?」
有希は返事をせず、あたしの袖を振った。すると、
「………カードが山程出てきたわね」
「むぅ……このあたしにも見破れないイカサマとは……徐倫もやるにょろ!」
「イ、イカサマだったんですか……全然分かりませんでした」
「あ……アハハハ………」

電車が到着した駅から降りると二台の四駆がやってきた。中からはメイド服を完璧なまでに着こなした女とロマンスグレーとしか言いようのない男が降りてあたし達へと向かってくる。
「執事の新川です」
「メイドの森です」
そう言って深々とおじぎをした。
「……例の偽メイドと偽執事か……にしても本物にしか見えねーな」
「実際は古泉の機関の一員らしいぜ」
横を見るとみくるが熱心に森さんを見ている。……SOS団のメイド担当として色々と学ぼうとしているのだろうか。
「ほいじゃあたしの別荘へ出発するさッ!」

「でかいわね………」
「でけえな………」
「アメリカでもそうそうねーぞ……こんな別荘……」
もうそんな感想しか出てこない程鶴屋さんの別荘は立派だった。全面木造、ペンションとしてオープンしても良さそうなのに、鶴屋家の別荘の中では一番こぢんまりしているという。
部屋割りはキョンの妹の扱いが一番困ったが、みくるの部屋に落ち着く事となった。そして部屋でゆっくり過ごそう……等という事をハルヒが許すわけがなく、
「スキーをするわよ!」
32アメリカの人:2008/09/24(水) 15:38:44 ID:???
ハルヒの鶴の一声によってあたし達は鶴屋家の元プライベートゲレンデでスキーをする事になった。用具は古泉が手配していたのだが、
「……あたしはお前に靴や服のサイズを教えてねーぞ」
「あまり気にしないで下さい」
大方機関とやらが調べたんだろうが、個人情報を勝手に調べられていい気がするわけがない。
「その点はすいません、謝ります……ところで徐倫さんやアナスイはスノーボードなんですね」
古泉の言葉通り、あたしとアナスイはスノボで、後は全員スキーだった。ちなみに全員のスキーの腕は
「き、キャーーーーッ!止まれませんーーーッ!アナスイ君助けてーーーッ!」
「だからスキーを内股にしろって言ってるだろ朝比奈ッ!……って待てェ!こっちくんな!ぶつかるだろッ!」
「うわー……みくる!アナスイ君!大丈夫にょろ〜〜?」
と、スキーの腕が壊滅的なみくるはアナスイと鶴屋さんに教えてもらっているが、上達する気配が一向に見えない。そしてキョンの妹とハルヒは………
「いい!スキーは気合いよ!足を揃えてストックをガーンてやってドワーっていって気合いで止めるのよ!」
が、キョンの妹は1m進んでコケた。……駄目だな、上達するわけがない。横を見るとキョンと古泉がいた。
「おっ……とと……危ねえ……コケるところだったぜ………」
「おや?なかなか上手いじゃないですか………」
「そんな見事に滑ってるお前に言われると嫌味にしか聞こえねーよ」
……問題無さそうだ。アナスイと鶴屋さんはみくるの危ない滑りの横で見事なテクニックを披露しながら教えているし、有希はウェザーと速くもレースじみた事をしている。
「うーん……速く頂上に行きたいのに……これじゃあねぇ………」
ハルヒが呟いた。
「んじゃあたし達がみくるとまとめて面倒見てあげるさッ!」
33アメリカの人:2008/09/24(水) 15:40:45 ID:???
「……そうね……みくるもまだ下手だし……鶴屋さん、それじゃアナスイと一緒にみくるとキョンの妹の事頼んだわよ」
「いや……俺は徐倫と一緒が………」
が、アナスイの言い分はやっぱり無視される。
『……俺も残ろう』
「……ウェザーさん?一緒にレースしないの?」
『こんな年寄りがいたら迷惑になるだけだろう……若い奴だけで行ってこい』
「年寄りって……ウェザーさん……20後半じゃねえのか?徐倫」
ウェザーは40ちょっと前だぞ。
「………マジか……白人は年齢分かりにくいがそんなだったのか………」
「……それじゃメンバー決ったわね……有希!行くわよ!」
有希は無言で見事な滑りを見せながらキョンの横についた。

「……ここに涼宮ハルヒがいるのか………」
「ボスゥ〜〜あなたがァ出る程ではないと思うんですがァ……」
「………今迄何人もの刺客を送り込んだ……だが全員失敗した」
「……………」
「奴等は強い……空条徐倫やナルシソ・アナスイ、ウェザー・リポート……今はいないエルメェス・コステロ……奴等は優れたスタンド使いだ……戦闘能力でいえば長門有希もスタンドこそないものの、奴等に匹敵する………」
「でしょうねェ」
「だが……我々の敗北はそれだけが原因ではない……あの涼宮ハルヒの取り巻き……長門有希以外はタダの雑魚だと思っていたが違う……奴等も微力ながら力がある………」
「つまりィ、私達の敗北はSOS団をォ……軽んじたから………」
「その通りだ………」
「しかしィ、それでは今回もォ……一緒ではァ」
「……それは無い」
「………?一体どういう事ですかァ?」
「天蓋領域……奴等と手を組む事にした」
「!しかしィ……それは………」
「……危険は承知だ……だがあれを手に入れる事ができれば……奴等など恐れるに足りない………」
「……………」
「何としても手に入れる……涼宮ハルヒと……あれを………」

To Be Continued・・・
34アメリカの人:2008/09/24(水) 15:42:40 ID:???
以上、第51話でした

なんかかなり露骨なフラグがたってますがキニシナイ!

それでは!
35マロン名無しさん:2008/09/24(水) 17:06:09 ID:???
投下乙です
ボスと聞くとあの人を思い出すけど、もう承太郎に倒されてるしなぁ……
36マロン名無しさん:2008/09/24(水) 19:04:42 ID:+NrBOdi4
GJ!親玉が出てきた…
もしかしてもう終盤なのか…
37マロン名無しさん:2008/09/25(木) 15:54:21 ID:???
ジョジョキャラを使ってハルヒ持ち上げですかw
38マロン名無しさん:2008/09/27(土) 01:33:05 ID:???
どう煽ってるのかわからん
39マロン名無しさん:2008/09/28(日) 16:34:29 ID:???
批判覚悟で勝手に作った新スレ用テンプレを投下ァ!!
40マロン名無しさん:2008/09/28(日) 16:36:05 ID:???
ジョジョキャラがもしハルヒのSOS団に入ったらというクロスSSスレです


             __ __ _
.        _ , '"´  ,. _ ___`丶、
       / ` /  /´-‐ァー-ヽ \
.      / /下7 ..///.:.::/ .:.:ト、 ヽ     ただの人間には興味ありません。
      / └イ_j/ .://;へ、/!.:.::/:.}ヽ ',
     ,'  ///!l .::j.:lイ仔くヽ/,.イ,.ム:.', l
    ,   '〈/f`| l ::l`' ゞゾ '´ rャjノ::.l:. |     この中に未来人・宇宙人・異世界人・超能力者・
    |  l:l :!:{、| l ::|        マソハ: |:: |    スタンド使い・波紋使い・回転使い・吸血鬼・
    |  l:l::i个| l ::l!     l⌒ヽ′} .:}:.l:: l    柱の男・究極生命体がいたら私のところまで来なさい。
    |  lハ:l::{::', ::::{、   ヽ.ノ  /.:/::.l:: l
    l !:|:::',::',::ヽ:::ヽ\._    /.:/::::/l::;!
.     ',::{:{、:::ヽ\:\;ゝ `「:フ´!::::/;:::/ 〃
.     ヾハj>''´ ヽ ト、_..上くイ::::{ {::{/              |ヽ |     |_    「 〉
    /⌒ヽ、\ ` \-ー ̄\ヾ                 ⊥ 人_  _|_    |/
   /     ヽ \\    \´ ̄`ヽ、                            O
.   l     ',  \\   \  __| \
.   |      ',   \`ヽ、  ∨n| } ト、


前スレ
もしジョジョキャラがハルヒのSOS団に入ったら part4
http://changi.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1203844253/l50

まとめ
http://www12.atwiki.jp/jojost/pages/11.html
41マロン名無しさん:2008/09/28(日) 16:37:20 ID:???
       ,、,、,、
   /^Yニニニヾヽ     団員規則です、初めに読んでください。
   ! { {八{从)} !    ・荒らしはスルーしましょう。
   ノ ,イリ ゚ヮ゚ノリ八    ・次スレは470KB頃には立てておきましょう。
  ( ( ⊂)孚iつ ))    ・日本語は正しく使いましょう。
    </く_{__}>ヽ>   あと、メール欄には基本「sage」でお願いします。
.      じフ


     _
    , ^   `ヽ  投下後何らかのアクションがもらえると
   イ fノノリ)ハ   作者たちは嬉しい。
    リ(l|゚ -゚ノlリ  新作投下の場合、名乗り出てもらえば誰も邪魔はしない。
     /つ{⌒l^0   恐れずに挑戦して欲しい。あなたの投下を待つ人がいる。
           ただ、空気は読むこと。
42マロン名無しさん:2008/09/28(日) 19:19:28 ID:???
good(良い)job(仕事)と書いてGJ!
ふふ…良く言ったものだ…
43マロン名無しさん:2008/09/29(月) 22:42:20 ID:???
ジョリーンの話44話ぐらいからなかった…
44アメリカの人:2008/10/02(木) 17:14:40 ID:???
第52話 「ファントムハウス 1」

「………なあ、なんで俺達は吹雪の中を歩いてんだ?」
「分かりません……しかし長門さんですら道を見失うとは……普通の吹雪ではないのは確実ですね」
ウェザーさえいればな………。
「彼は天気を操れるんでしたね?」
「ああ」
「ならば……こんな風にいきなり吹雪を出す事もないでしょう」
古泉の言葉通り、あたし達はいきなりの吹雪に巻き込まれていた。いつ巻き込まれたのかは分からない。気がついたら吹雪だったのだ。
「ありのまま話すぜ!……って言いたくなるな」
全くだ。
「長門?どうだ?」
「分からない。方向は正しいはず」
ハルヒは元気なものであたし達の先頭をズンズンと、そのすぐ後ろを長門、少し離れてあたし、キョン、古泉だ。突然先頭のハルヒが叫んだ。
「屋敷よ!でかい洋館!」
「洋館?そんなものあるわけないでしょ………あるわね」
あたし達の前にはかなり大きな洋館があった。今迄気付かなかったのがおかしい大きさだ。電気が付いているのか窓から光が漏れている。
「誰かいるんだわ……ここで吹雪を凌がせてもらいましょ!」
「徐倫………」
「絶対に罠だな……おい待てハル………」
だが、時既に遅し、ハルヒが扉を開いてしまいその瞬間吹いてきた突風にあたし達はなだれ込んでしまった。
「………敵スタンドの攻撃か?」
「とにかく警戒する必要がありますね」
「……………」
入ってすぐに吹き抜けの大広間があり、巨大なシャンデリアと真紅の絨毯と階段があたし達を迎えた。
45アメリカの人:2008/10/02(木) 17:15:15 ID:???
「誰かいますかー?」
ハルヒの呼び掛けに返事は返ってこない。まあ返ってきたらそれはそれで困るが。
「……うーん……聞こえてないのかしら……キョン!行くわよッ!」
「あ、てめぇちょっと待………」
が、嫌がるキョンをハルヒは無理矢理連れていく。
「……徐倫さんはどう見ますか?」
「敵スタンド使い……或いはそれに準ずる奴の仕業だな」
「準ずる?」
「スタンドの仕業にしては少しおかしい、今迄の奴等なら真っ先に攻撃してくる筈だ」
「確かにそうですね……では……その他という事に………」
そうだな……一体誰なのかは見当もつかないが。
「……………」

「……それにしても二人とも遅いですね」
あれから1時間程がたった。二人が帰ってくる気配は一向に無い。
「……少し実験してみましょう……長門さん、今から僕らから見えないところに行って10分たったら戻って来て下さい」
「………分かった」
有希が隣の部屋へと姿を消す。二人で数えていると3分程で有希は戻ってきた。
「………ばかな………」
有希が数え間違える等まず有り得ない。だとすれば……
「この空間の時間の流れがおかしいという事でしょう……場所あるいは個人、両方の可能性もありますがそれぞれに差異があるという事です」
「有希はどう思う?」
が、有希からは沈黙しか返ってこない。不思議に思って有希の顔を見ると心なしか顔色が悪そうに見える。
「大丈夫………」
「みんな!今帰ったわよ!」
46アメリカの人:2008/10/02(木) 17:16:24 ID:???
「随分遅かったな」
「……ハ?徐倫何言ってんの?30分ぐらいしかたってないわよ」
「………そうか」
「誰もいないし通信機器もなかったわ。それより向こうで食堂見つけたのよ、ここの人には悪いけど腹ごしらえしとかない?」

食堂も予想通り広く、まるでレストランのようなたたずまいだった。料理はハルヒと公正なるジャンケンの結果古泉がする事となった。
「………時間の流れが違うだと?」
「ああ、お前らは30分程のつもりだったようだがこっちは3時間近かった。有希にも数えさせたから間違いない」
「じゃあ……これも敵スタンド使いの………」
「いや、多分違う……スタンドは一人一能力……にしてはやってる事が多いうえに脈絡が無い」
「幻覚を見せる能力とかはどうだ?」
「考えたがスキーの真っ最中で散らばってるあたし達に同時に幻覚を見せるなんて至難の技だ……恐らく………」
「なあ、有希はここをどう思う?」
「……この空間は私に負荷をかける」
………なんだと?一体どういう事だ?
「情報統合思念体との連結が遮断されている。原因解析不能」
有希ですら分からない……ますますもって不可解な場所だ。と、その時厨房からハルヒが到着した。
「ご飯できたわよ!ここの冷蔵庫沢山入ってるから色々やりやすかったわ!」
他人の物を盗んでいるというのにケロッとした顔だ。……きっとハルヒは長生きするんだろう。飯の間喋っているのはハルヒだけで古泉が時折相槌をうつ程度だった。
まあ、こんな状況で明るくある方が無理だ。
「……なあ、徐倫……長門……なんかおかしくないか?」
………確かに。いつも以上にだんまりな上……
「少食だな」
普段は呆れるような食欲だけにこれはあまりにもおかしい。一目で分かる酷さだ。
「何か嫌な感じがするわね………」
47アメリカの人:2008/10/02(木) 17:17:15 ID:???
ハルヒと有希が風呂に入っている間、あたし達はクリスマス前に起きたハルヒ消失事件を古泉に話していた。
「……なるほどね」
妙な口振りだ。何か知ってるのか?
「涼宮さんと長門さんの力が弱まっている可能性があると言う事です」
……確かにハルヒも落ち着いてきた。有希も少しずつ変わっている。……こいつが有希の事にまで気付くとは意外だったが。
「僕にとっては最高の展開です。涼宮さんの力が無くなれば僕の仕事は終わりですし長門さんが普通の女子校生になってくれたら大助かりです……朝比奈さんはどうとでもなりますね」
「だな……だけど今聞きたいのはそんな事じゃねぇ」
「ええ、この異空間ですね」
それだ。少なくともキョンと有希、みくるが帰れないとあの出来事は起こらないぞ。
「その点については僕にある仮説があります……今の僕達はオリジナルではなくコピーかもしれません」
「は?」
キョンが理解できないという顔をする。
「つまりだな……今のあたし達はRPGのセーブデータみたいなもんだって事か?」
「その通りです、恐らく長門さん以上に強力な力を持つ何者かによる仕業でしょう」
「あたし達はさしずめモルモットって事か………」
「……とにかく、なんとしてもここを脱出しましょう。僕達を閉じ込めておきたいと思うような存在は我々SOS団の明確な敵です」
ああ……もちろんだ。意地でも脱出してやる。

To Be Continued・・・
48アメリカの人:2008/10/02(木) 17:17:54 ID:???
以上、第52話でした

特にありませんね。うん
バトルはもう少し先になります

44話以降がまとめに無いとの事ですが、原稿(?)は残っていますのでいずれあげます

それでは!
49マロン名無しさん:2008/10/02(木) 21:29:50 ID:???
GJ!!そして乙ッ!!
長門の異常が気になる・・・・・
50マロン名無しさん:2008/10/02(木) 23:01:13 ID:???
O・T・S・U!
ぐっじょぶデス。
51マロン名無しさん:2008/10/06(月) 06:59:42 ID:???
そしてスレは過疎化する…
52マロン名無しさん:2008/10/07(火) 20:43:11 ID:???
キングクリムゾン!
53アメリカの人:2008/10/08(水) 12:41:01 ID:???
第53話 「ファントムハウス 2」

遊ぼうとうるさいハルヒをなんとか言いくるめ、あたし達は隣と向かいで取った5部屋に入って寝る事になった。
あたしがウトウトしていると扉を開けて誰かが入ってくる。咄嗟にベッドから飛び降り、スタンドを出して身構える。
「どしたの?徐倫?そんな身構えて……」
ハルヒか………遊ぼうとでもいうのか?
「なんだ、分かってるなら話早いわ、トランプ?麻雀?それともバックギャモン?ま、あたしが勝つに決ってるけど」
………こんな時に呑気な奴だ。
「今はそういう気分じゃねぇ……また後にしましょ」
「………なんだ、つまんないの。ところで……さっきから徐倫の後ろにいるの誰?」
………なんだと?
「ハルヒ……なんで見えている?」
「へ?な、何?なんかおかしい?」
「……………」
ハルヒはスタンドが見えないはずだ。有り得ない。
「……偽者ならぶん殴っても良いはずだよなぁ!」
スタンドを出し殴りかかる。
「キャッ!な、何すんのよ!」
扉を閉めて出ていったハルヒを追い、扉を殴って開ける。
「オラァッ!」
「グボフッ!」
………吹っ飛んだ扉が出て来た誰かに当たった。見ると全員同時に扉を開けたらしく、皆が困惑した顔を浮かべていた。
「……なあ、なんでみんな出てきたんだ?」
「……顔面に扉ぶつけられた俺の心配は無しか」
54アメリカの人:2008/10/08(水) 12:41:44 ID:???
「……キョン、あんたさっきまであたしの部屋にいな……かったわよねぇ」
「……………」
「これはこれは」
……待てよ、すると全員………。
「なんか、夢でも見たのか?」
「そうよ徐倫!なんかどっかおかしなキョンが現われて、ぶん殴ってやったら逃げ出して………」
「僕の部屋にも現れましたよ、変なあなたが」
「あたしんところはハルヒだ……絶対にあんたが言わないはずの事言ってた」
「俺は徐倫、お前だ……殺されるかと思ったぞ………長門、お前は誰だ?」
すると有希は、
「あなた」
と、キョンにポツリと呟くと床に突如倒れた。
「有希ッ!?」
ハルヒが真っ先に動き、有希を抱き抱える。
「有希!?……すごい熱……古泉くん、有希をベッドまで運ぶの手伝って、キョンは氷枕、徐倫は濡れタオル……早く!」
ハルヒの大声にあたし達は蜘蛛の子を散らしたように慌てて走り出した。

ハルヒに濡れタオルを渡したあたしはこの館から脱出する術がないか玄関を調べに来ていた。すると古泉とキョンも同じ考えだったらしく、既に玄関に集まっていた。
「ちょうどよかった……二人共これを見て下さい」
玄関の扉に金属のパネルが付いていた。いつの間についたのかは分からないが、数式が書かれている。
              x-y=(D-1)-z
下には答えを入れる為の枠らしきものと床には数字ブロックが3組ある。
「………まさかな」
「そのまさかです、扉に鍵がかかっています」
55アメリカの人:2008/10/08(水) 12:42:59 ID:???
扉を開けようとするが開かない。スタンドで殴り壊そうとしてみるが壊れない。
「鍵穴も無し、オートロックでも無し、徐倫ですらぶち壊せねぇ………」
「ここが普通の空間で無いのは明白ですね」
するとこれはやはり………。
「あなたの考えている通りでしょう……長門さんが作ってくれた脱出路だと思います」
「長門さんがどういった方法でこれを出してくれたのかは分かりません。しかし先程の奇妙な夢と関係しているのは確かです」
「おい古泉、お前の超能力でなんとかならないのか」
「無理ですね。僕の能力はスタンドとは違うんです……一定状況下でしか使えません……それに徐倫さんが開けれない扉を僕が開けれるとも思えません」
キョンが古泉の胸ぐらを掴む。
「そんな事聞いてんじゃねーよ!」
「落ち着けッ!キョン!今はそんな場合じゃねーだろ!」
と、三人でもめていると、ハルヒがやってきた。
「何やってんの?氷枕遅すぎよ!大体徐倫も看病手伝えば良いのにすぐにどっか行っちゃうし……組み手の練習なら後にしなさいよ」
と、氷枕を拾ったハルヒが数式に目を止める。
「これオイラー?なんでこんなとこにあるの?」
「……ああ、なるほど……見た事があると思ったらオイラーの多面体定理でしたか」
「多分ね、このDが次元数じゃない?」
オイラーってあのケーニヒスベルクの橋問題か?
56アメリカの人:2008/10/08(水) 12:43:46 ID:???
「その通りです……これが立体にも当てはまる事を証明したのがオイラーです」
と、ここで置いてけぼりを食っていたキョンが口を挟む。
「それってどんな定理なんだ?」
「あらゆる凸型多面体において、その多面体の頂点の数に面の数を足して辺の数を引けば必ず2になるという定理です」
「……………」
「例えば正六面体なら頂点が8、面が6、辺が12です」
「………2だな」
「四角錐なら頂点が5、面が5、辺が8」
「……やっぱり2だな」
キョンが納得できた顔になる。
「ちなみに次元数というのは2の事です、立体なら2、平面図なら1になるます」
例えば……そうだな五芒星なんかどうだ?
「……10、6、15……1だな」
「この式ではxが頂点、yが辺の数、少し分かりにくいですがzが面の数、Dは3か2です」
キョンが希望が見えたと言わんばかりの顔をする。
「……ならこの答えは………」
「無理だ、キョン……肝心の図形が分からない」
すると今迄だんまりを決め込んでいたハルヒが叫んだ。
「そんなのどうでもいいわ!それよりキョン、有希があんたの名前をうわ言で言ってたわよ、キョン、って」
………待てよ、まさか………。なんだか塞ぎ込んだキョンを無視し、あたしはハルヒを問いただす。
「ハルヒ、それ聞き間違いじゃないか?例えば4とか………」
途端にキョンと古泉がハッとする。
「うーん……言われてみればそんな気がするかも……それよりも後でお見舞い来なさいよ!」
そう言うとハルヒは去っていった。
57アメリカの人:2008/10/08(水) 12:46:50 ID:???
「これで全ての鍵が出そろいました……さっきの夢の説明がつきますね」
「ああ、そうだな」
が、またもやキョンがおいてけぼりをくらう。
「……すまん、説明してくれ」
「先程の夢ですよ、あなたから初めてそれぞれが夢で見た相手に繋いでいくと数字の4の形になるんですよ」
キョンがブツブツと呟きながら考える。
「……本当だ……てことはxが5、yが5、zが1………」
「両辺が0になりますからそれが答えでしょう」
遂にあたし達は答えにたどり着けた。早速数字ブロックをはめようとする。
「……その前に一つだけ言わせて下さい」
「……なんだ」
「今後長門さんが何らかの危機に陥った場合、僕はそれがどれほど機関に不利だろうと1度だけあなた達……ひいては長門さんに味方します」
「………そうか」
ま、それでこそSOS団の一員だな。
「僕にとっても長門さんはかけがえの無い仲間です……それに僕はSOS団の副団長ですから」
「………それじゃ行くぜ」
キョンも古泉も心なしか緊張している。当たり前だ。合っている保証は無いし、今後どうなるかの保証も無い。まさに一発勝負だ。そして数字を入れ、扉を開けた次の瞬間、

一面の銀世界だった。あたし達はそれこそいつの間にか元のスキー場にいた。ハルヒと有希は少し離れた場所にいる。見るとハルヒは有希を背負って走り出した。と、その瞬間、
「………油断はァ禁物ですゥ」
突然銃声がした。突如撃たれたものの、怪我等は無い。
「な、なんだ!?」
するとウェザーの声が聞こえた。
『気をつけろ…敵だッ!』
「……あまりにもタイミングが良すぎます、恐らく先程の異空間の創造主と手を組んでいますね」
「一難去ってまた一難か………」

To Be Continued・・・
58アメリカの人:2008/10/08(水) 12:52:37 ID:???
以上、第53話でした

今回のサブタイはファントムブラッドから…みんな気づいてたよね?

前々回は吉良良影は静かに暮らしたいから よしかげ漢字まちがってるけど気にしない!

それでは!
59マロン名無しさん:2008/10/08(水) 20:39:29 ID:???
ちょっとそこ0・2(乙)〜
60マロン名無しさん:2008/10/08(水) 22:05:39 ID:???
乙!!今回も面白かったッ!!
オイラーの多面体定理とか始めて聞きましたww
61マロン名無しさん:2008/10/09(木) 17:09:54 ID:???
hosyuage
62マロン名無しさん:2008/10/10(金) 15:40:34 ID:???
いいスレを見つけてしまった。まとめ見てくる
63マロン名無しさん:2008/10/10(金) 19:46:14 ID:???
そういえばまとめの管理人さんって何処行ったんだろうね。
話を更新したいけど自分は更新できないし。
64マロン名無しさん:2008/10/10(金) 22:54:48 ID:???
>>63
さ、wikiでも借りてまとめの避難所でも作るんだ。
65マロン名無しさん:2008/10/10(金) 23:54:30 ID:???
まとめってwikiだろ?
普通に更新できないか?
66マロン名無しさん:2008/10/11(土) 19:23:00 ID:???
キングクリムゾン!
67マロン名無しさん:2008/10/13(月) 13:09:55 ID:???
そこには『過疎化した』という事実だけが残る…
68マロン名無しさん:2008/10/13(月) 21:37:05 ID:???
クロスSSだと基本両方知ってなきゃいけないし、書き手も読み手も少なくなるのはしょうがないな
俺はハルヒ知らんけど
69ジョニィ:2008/10/13(月) 23:54:34 ID:???
その辺りは考慮してなるべく説明をするようにしてます。
……未来人関連をざっくりとしか説明しなかったのは置いといて。
久しぶりに投下します。
70ジョニィ・ジョースターの憂鬱:2008/10/13(月) 23:55:47 ID:???
第十七話「マドンナD」

やれやれ。朝比奈さんのクラスに行ってみたが、収穫はゼロ。まるっきりの無駄足だった。
それにしても男どもときたら。朝比奈さんについて話を聞くどころか、俺が逆に質問攻めされる始末だ。
彼氏はいるのかとか好みのタイプは何だだとか、俺が知りたいっての。
ま、それは別にしても結局朝比奈さんと仲がいい人には会えなかったな。
鶴屋とかいう人が一番の友達らしいが、ここんとこは朝比奈さん探しに奔走してるらしく会えなかった。
俺たちのように朝比奈さんから連絡があったわけではなかろうに、女の勘か、
ハルヒみてーに少しの事で騒ぐタイプなのか。前者である事を祈るね。
愚痴はここら辺で切り上げるとして、問題はジョニィの奴だ。
別れてから結構な時間が経ったのにまだ連絡の一つもない。それどころか電話も通じないのだ。
あの女に怒鳴られて帰っちまったのか?ヘコんでふて寝してるんならいいが、放っておくわけにもいかない。
そういうわけでマンションに戻ってきたが……気が滅入る。俺は本来あんなうるさいタイプは苦手なんだ。
ヒス混じりとなりゃ尚更だ。やっぱり帰ろっかな……そう思った時だ。
ぐしゃり。ぐえ、足に嫌な感触。虫か何か踏んだか?
恐る恐る足をどける。……え?これは……ひしゃげているが、車椅子?ミニチュアのようだ。
一見したところかなり精巧にできている。海洋堂真っ青だ。……これ、金属でできてるのか?
しかもタイヤの部分はゴム製。凝りすぎじゃないか?まるで本物をそのまま小さくしたようだ。
いや、凝っているというより、これは……。ジョニィが乗ってたヤツにそっくりだ。
細かな傷や汚れまで、何もかもが同じだ。偶然なのか?……これは?何か書いてある。
71ジョニィ・ジョースターの憂鬱:2008/10/13(月) 23:56:43 ID:???
「ジョニィくん、今のって……」
上ずった声でみくるさんが言った。
「ああ……キョンが来てくれたみたいだ」
廊下でグェスに掴まれた時、咄嗟に床に「外に出せ」と彫った。
不安だったが、何かの危機にあると察してくれたらしい。
「あのー、さっきはすいません。大家の使いの者なんですけどね。ちょっと来てほしいんですが」
キョンの声だけが聞こえる。しばらくの間の後、ドアの閉まる音がした。
「ジョニィくん、これで元の大きさに戻れるんですか?」
「……きっと」
そうとしか言えない。スタンドには恐らく射程距離がある。だが、グェスが射程圏外まで行く保証はない。
まして一度みくるさんが大きくなったのだ。警戒しているはずだ。
キョンの大家がどうとかいう話もまず口から出まかせ。時間はさして稼げない。
頼む、元に戻ってくれ。祈る事しか出来なかった。
72ジョニィ・ジョースターの憂鬱:2008/10/13(月) 23:57:29 ID:???
「見て!」
不意にみくるさんが叫んだ。ぴょんぴょん何度もジャンプしている。
「ほら!もう少しで届きそうですよ!」
確かに、近くなっている。絶望的なまでに高くそびえたっていたガラスの壁に!もう少しで手が届くぞッ!
いや、それより……ぼくは爪を回転させた。目の前のガラスに押し当てると、驚くほどすんなりと切れ目が入る。
スタンドの威力も元に戻りつつあるようだ。ぼくは円状に切れ目を入れ、簡単な脱出口を作った。
先に穴をくぐり、まだグェスが戻ってきていない事を確認するとみくるさんに手招きをした。
「みくるさん、早く逃げよう。グェスが戻ってくる」
「は、はいっ」
グェスという言葉を聞きみくるさんの表情が強張る。一直線に走り寄って来る……何だか次の展開が予想できた。
「きゃあっ!」
期待を裏切らない人である。盛大に転んだ。あー、涙ぐんでる。
「みくるさん、大丈夫か?ケガはない?」
立ち上がらせようと手を差し伸べると、奇妙な物が目に入った。
単純なマークだ。真っ赤なハートに矢が突き刺さっている。それがみくるさんの手の甲に浮かび上がっていた。
刺青?いや、あんな目立つ所に?これまで気がつかなかったが。
それにしても、みくるさんがタトゥーとは。アメリカじゃ珍しくないが、日本で、しかもこの歳では滅多にないだろう。
普段のイメージともそぐわない。未来の文化なのか?
「あ、だ、大丈夫です。あたしの事は気にしないで早く行きましょう」
「え?あ、ああ」
気遣っていると勘違いしたのか、申し訳なさそうにみくるさんが言った。
手を見直すがもうハートマークはない。見間違いだったのか?訝しく思っているとみくるさんが走り出した。
「大丈夫ですからっ!早く行きま……きゃっ!」
……。ま、いいか。とりあえず助けなきゃ。
73ジョニィ・ジョースターの憂鬱:2008/10/13(月) 23:58:17 ID:???
やはり数日の監禁で体力の消耗が大きいのだろうか。今いる場所は棚の上で、平坦な場所だ。
こんな場所で転ぶなんて、顔には出さないがよほど疲労がたまっているに違いない。
「大丈夫か?急がなくちゃいけないけど、落ち着いて行こう」
「う……すみません。急に足が掴まれたみたいになって……」
予想以上に疲れてるようだ。早く逃げなければいけないが、このままじゃ……そうだ。
ぼくもかなり動転してたようだ。「ホル・ホース」と戦った時のように爪の回転をタイヤとして使えばいい。
そっちのほうが早いし、みくるさんにも負担がかからない。
「みくるさん、掴まってくれ。『爪』で走る」
しかし、みくるさんはこっちに来ない。膝をついたまま立ち上がりもしない。
「あの……立てなくて……」
どうやら、本当に動けないようだ。ぼくはみくるさんに近づいた。手を伸ばそうとした時。
「…………!?みくるさん、グェスは他に何か動物を飼っているのか?」
「?いえ、そんな様子はありませんでしたけど……」
気のせいだったのか?今、低い音……「唸り声」のような……が聞こえたが。機械の起動音でも聞き間違えたのか?
!まただ。また「唸り声」が聞こえた。……近い。どんどん近くなってくる。
どういうわけなんだ?音は……下から聞こえる。
「はっ!?な、何だ!それはッ!?」
「手」だ。確かにそこにある棚から奇妙な植物のように手だけが突き出て、みくるさんの足を掴んでいる。
「え?え?……ひいっ!こ、これは!?」
なんて事だ。「最初から」だったんだ。最初からぼくたちは追い詰められていたんだ。
逃げようとしたぼくたちを狩り取るために、猟犬のようにこいつは潜んでいた。
それは棚をすり抜けて全身を現した。人形のようだが、全身に細かな突起を持ち、鋭い牙と爪。
「怪物」と表現するのが相応しい。だ、だが……こいつは単なる「物体」じゃあない!
未だ半身が棚を通り抜けているのを見てもそうだし、よく見るとこいつ自身半透明だ。
じゃあ……こいつは……スタンド!「怪物」は完全に棚を通り抜け全身を見せ、再び嫌らしい唸り声をあげた。
「……グーグー……グーグー・ドールズ……」
74ジョニィ・ジョースターの憂鬱:2008/10/13(月) 23:59:19 ID:???

「きゃあああああ!」
絹を裂くような悲鳴が響いた。「怪物」が鋭い爪を振り上げたのだ。
「うおおおおおお!」
爪のカッター!先に届いたのは、ぼくだ!奇声と共に怪物の腕から血が噴き出した。
「今だ!みくるさん、掴まれ!」
怯んだ隙にみくるさんを掴むとぼくは爪を走らせた。
「あ、あ、あ……あれは……?」
「スタンドだ。多分グェスの」
慎重に棚を降り、床に着地する。スピードは緩めない。
「ジョニィくんっ!追って来てます!」
振り向くと、猛然と怪物が走り寄って来ている。まずい。小さくなってるぶん遅くなっているようだ。
「あああっ!ジョニィくん、前っ!」
向き直ろうとした瞬間、体が宙へ投げ出された。思わず手を放してしまい、ぼくたちは別の方向へ飛んで行った。
フローリングに叩きつけられ痛みが全身を貫く。何かにぶつかってしまったのか?
「『グーグー・ドールズ』!そのガキを押さえろッ!」
怒声が耳を突く。しまった!戻ってきていたのか。グェスが憎々しげに睨んでいる。
こいつが足を引っかけたのか!逃げようとしたが、すでに奴のスタンドがぼくの体を拘束していた。
75ジョニィ・ジョースターの憂鬱:2008/10/14(火) 00:01:10 ID:???
「これはどういう事だ?ええ、オイ?逃げようとしたってのか?あたしの……あたしたちの友情を……
踏みにじりやがったなッ!もうお前らとはおしまいだッ!」
雷鳴のような叫び声をあげると、グェスはテーブルの上のフォークを手に取った。
鋭利な先端がぎらりと輝く。朝食のソーセージのようにぼくを突き刺すつもりか!
「や、やめてっ!」
グェスの背後のみくるさんが叫ぶ。ぎろりと狂人じみた輝きを放つ目が睨んだ。
「この雌豚ッ!こんなクズを取りやがって!こいつの後ッ!お前はバラバラに引き裂いてやるッ!」
くそ、くそ、くそっ……!手さえ離れれば!何度も腕を切りつけた。
それでも「グーグー・ドールズ」は締め上げる力を緩めない。グェスも連動して流血しているにもかかわらず、だ。
怒りで痛みが気にならなくなっているのか。一瞬でも怯ませる事が出来れば!
苦闘するぼくに、無慈悲にもグェスはフォークを振り上げた。次の一瞬に起こる事が容易に想像できる。
輝くフォークは骨ごとぼくを串刺しにするだろう。生きている事なんて出来ない。
ぼくは必死にもがく。拘束は離れない。グェスはそんなぼくを見て表情を歪ませ―――フォークを振り下ろした。
もう駄目だ。貫こうとする先端から目が離せない。と、それがぴたりと止まった。
時間をかけていたぶろうというのか?違う。みるみる紅潮していくグェスの顔がそう言っている。
「な、何だ……!?振り下ろせねえ……!」
グェスが唖然としたように漏らす。筋肉が弾けそうなほど腕に力を込めている。
「何だ……!これ……!?『引っ張られてる』みてーに……!」
最後まで言う事はなかった。フォークが手をすり抜け、背後へと大砲のように吹き飛んだのだ。
そのまま目にも止まらぬ速度で吹き飛び、そしてある地点でぴたりと停止した。
……みくるさんの掌の寸前で。そして。
「……あたし。あたしのこの『掌』」
燦然とハートマークが輝いていた。これは、これは……!
「スタンド……!『引き付ける』スタンド……!?」

To Be Continued……
76ジョニィの人:2008/10/14(火) 00:13:42 ID:???
ちょっとしたお知らせがひとつ。
原作「SBR」ではジョニィのスタンドがスタンド像(スタンド固有のイメージ像)
に直接ダメージを与えた描写はありません。
ですが、本SSではジョニィのスタンドはスタンド像にも効くものとします。
見落としがあるかもしれませんし、これから正しい結論が出るかもしれませんが、
ここではこういうことで。
77マロン名無しさん:2008/10/14(火) 00:28:53 ID:???
GJ。
確かに6部以前のスタンド(特に遠隔操作型)と戦う以上、
スタンドそのものにも効かないとまずいかも知れないですね。
ジョニィのタスクもスタンドだし攻撃できても違和感はないはず…。

それはそうとみくるもスタンド使いになったか…。
タトゥーということは7部風のスタンドになるのだろうか。今後に期待。
78マロン名無しさん:2008/10/14(火) 00:57:37 ID:???
グェスは最初に相当むかつくキャラだからラッシュ食らって清々した。
さてどうボロクソにされるか、後GJGJGJGJGJGJGJGJGJGJ!
79マロン名無しさん:2008/10/14(火) 07:56:48 ID:???
GJ!!
キョンにも見せ場を頼むぜwww
80マロン名無しさん:2008/10/16(木) 10:43:58 ID:???
ほしゅ
81アメリカの人:2008/10/16(木) 16:21:56 ID:???
第54話 「コールド・ジン 1」

時間は数十分程バイツァダストする………

「……なかなか様になってきたじゃねーか、朝比奈」
「は、はいッ!」
元々すじがよかったのか、朝比奈はメキメキとスキースキルを会得していた。普段のドジっぷりが嘘のようだ。
「う〜〜〜ん、これならハルニャン達に暫く待ってもらった方がよかったかもねッ!アナスイ君ッ!」
過ぎた事を言っても仕方がねえよ。それよりそろそろ本格的に滑らねーか?
「はい!わたしもそうしたいです!」
『異論は無い………』
「んじゃ折角だし上級者コースで滑るにょろ!」
が、朝比奈は怖そうな顔をし、
「さ、さすがにいきなりはちょっと………」
「……じゃあ中級者コースにするかいッ!?」
「……それがいいだろうな」
「わーい!」
キョンの妹が無邪気に喜ぶ。……滑れないというのに大変微笑ましい。
『行くぞ……中級者コースはこっちだ』
と、ウェザーが言い、全員続き始めた。
「……ありゃ、もう焼けてきたにょろ」
「雪山だからな、照り返しがきついんだろ」
「……日焼け止めしてきたんだけどねぃ」

中級者コースはわりと滑りやすく、皆のレースは全員が勝ったり負けたりだった。滑れないキョン妹は、鶴屋さんと雪だるま作りに精を出している。
「わ、き、キャッ!」
82アメリカの人:2008/10/16(木) 16:22:38 ID:???
と、突然バランスを崩した朝比奈が鶴屋さん達をのんびり見ていた俺に突っ込んできた。
「あ……ご、ごめんなさい………」
相変わらずすぐに謝る。……その謝り癖直した方がいいぞ。
「あ、その……ごめんなさい」
「また謝ってるじゃねえか……未来人なのに古き良き日本人にそっくりってなんかおかしくねえか?……ほら、立てよ、手貸してやる」
「え……あ、はい………」
が、朝比奈はモジモジとし、なかなか手を出してこない。
「どうした?」
「え……あ、はいッ!」
しょうがない……こっちから起こしてやろう。手を掴むと、
「わ、き、キャッ!」
「………?どうかしたか?」
「い、いえ……何でもないです」
そのまま引っ張って起こす、すると勢いが強過ぎたのか朝比奈が俺の胸に倒れこんできた。
「ア、アナスイ君………」
………待て待て待て、これってかなりマズくないか?事情を知らない奴が見たら………。
「熱いねぇ!お二人さん!」
「熱い熱いィ!!」
ほら、こうなる。……ちくしょー分かってたけどさ、それと朝比奈……なんでちょっと嬉しそうなんだ?
「え、ふえっ!?あ、す、すみません」
……可愛いのがまた反則だチクショー。俺は徐倫一筋だ。頼むからそう言うのは止めてもらえませんかね!?……とぼやいてみたところで事態が好転するわけでもない。俺は現状を受け入れて冷静な対応をする事にした。
83アメリカの人:2008/10/16(木) 16:24:04 ID:???
「とりあえず……離れろ」
「あ、はい」
が、朝比奈は腰が抜けたのか離れようとしない。
「………おい、早く離れろよ」
「あ、あの……アナスイ君……それが………」
………?どうかしたのか?
「あ、足……いえ、スキー板が動かないんです」
「なんだと?」
試しにスノボ板を動かそうとする。が、いくら力をこめてもうんともすんともいわない。
「な……一体………」
と、スノボを見るとある事にきがついた。
「凍っているだと!?」
スノボの裏にいつの間にか氷ができ、それが地面の氷と結び付いて離れなくなっている。横の朝比奈のスキー板もそうだ。
「ウェザーッ!敵だッ!スタンド使いがいるぞッ!」
『なんだと!?』
「いつの間にかスキーやスノボが凍っている!鶴屋さんとキョンの妹を避難させろッ!」
『逃げろ鶴屋ッ!キョンの妹も連れていけ!』
「……よく分かんないけど分かったさっ!……さ、行こッ!妹さん向こうでそりしない?」
「するー!」
鶴屋さんもなかなかの大物だ。変に勘ぐらずに素直にそして自然に逃げ出した。後でなんかしてやらねーとな。
「朝比奈……もったいないがスキーを捨てる……ダイバーダウンッ!」
スタンドで無理矢理スキー板とスノーボードから靴を外す。
「ウェザーのところまで行くぞ……敵をぶちのめすのは後回しだ………」
「ア…アナスイ君……手が………」
朝比奈に言われて手を見る。すると、
「凍っているだと………」
84アメリカの人:2008/10/16(木) 16:25:24 ID:???
馬鹿な!いつ凍らされたんだ!?さっきのスノボといい敵の姿がまるで見えない。周囲を見回すと二人の人影がこちらに近付いてくる。一人は茶色い髪を肩あたりで二つくくりにし、自然に垂らしている女。服は青色の普通のスキーウェアだ。
目立つのは横のウザいくらいロン毛の白髪の男だ。片方の目は赤、もう片方は黒のオッドアイ、白いロングコートに上下白のスーツを着ている。……寒くないのか?
「奴が敵か……クラエッ!ダイバーダウンッ!」
白髪の男が口を開いた。
「私がお前なら……そんな迂闊な行動はしない」
一歩踏み出すと俺は水溜まりに足を踏み入れていた。……水溜まり?ここは雪山だぞ。そう呑気に思った瞬間、
「な!?いきなり水が凍っただと!?」
凍った水に足をとられ動けない。さっきまでの正体はこれか……この二人のうちどちらかの能力だろう。
『アナスイッ!大丈夫か!』
ウェザーが駆け寄ろうとする。が、
「そうはァさせません」
突如黒いコートにブーツ、皮帽子を頭に乗せた男が現れウェザーに向けて銃を構え、撃つ。
『ウェザーリポートッ!』
が、難なくウェザーは叩き落とした。……だがウェザーを足止めする分には十分だ。
「逃げろ朝比奈ッ!」
1対2でタダでさえ不利だ。なのに朝比奈を守りながらなどではまず勝ち目は無い。が、
「だ、駄目です……周りが全部水溜まりで……逃げれません」
85アメリカの人:2008/10/16(木) 16:26:09 ID:???
二人が迫ってくる。女は懐から何本もナイフを取り出している。男の方は無防備だが、スタンドの腕がちらついて見える。ダイバーダウンを出して身構えるが、前門の虎、後門の狼、とても太刀打ちできそうに無い。
「万事休すか………」
「死ね、ナルシソ・アナスイ」
女がナイフを投げようとする。その瞬間、突如飛んで来た何かに女がぶつかり吹き飛ぶ。
「……て……鉄球?」
女を吹き飛ばしたのは丸い高速回転する鉄球だった。一体誰だ?振り向くとそこには見事なまでにメイド服が似合う年齢不詳の女性がいた。
「も……森さん?」
「鶴屋さんから連絡を受けて駆け付けましたが……まさかこんな事になっているとは……」
森さん……あんた一体………。
「私の家は遠くヴァチカンの名家に繋がっています……この鉄球は先祖代々受け継いできたものです」
「……機関ってのは意外と戦闘能力高いのか?」
「……中にはそういうのもいますが私のような人の方が例外に近いですね……ところで向こうの彼は一人で大丈夫そうですか?私にはスタンドが見えないので状況が分からないんですよ」
ウェザーの方を見ると既に戦いはウェザーのペースになっていた。まあ、ウェザーと戦って勝てるスタンドの方が珍しいが。
「大丈夫だ……ウェザーの強さは指折りだ」
「そうですか……なら私達は目の前の敵を倒す事に集中しましょう」
「行くぜェ!」

To Be Continued・・・
86アメリカの人:2008/10/16(木) 16:31:15 ID:???
以上、第54話でした

まず最初にすいませんしたーーーーーーーーァッ!
森さんに勝手にトンデモ属性をつけてしまいました…
どうか森さんファンほ人もそうでない人も許してください

こんなトンデモ設定になったのはそろそろ長門以外に戦えるハルヒ側のキャラが欲しくなったからです
で、森さんとなったわけです

ジョニィの人実にGJ!
引きつけるスタンドとはなかなか応用力がありそうで楽しみです

それでは!
87マロン名無しさん:2008/10/16(木) 20:16:56 ID:???
乙でした!!

そういえばwiki更新されて居ないんだな
続きが気になるのが多いよ
88マロン名無しさん:2008/10/16(木) 23:50:13 ID:???
森さん…。ツェペリ一族!?それとも王族護衛の血筋!?
どちらにせよ回転の力を使いこなせるのか…GJ。
89セッ子:2008/10/18(土) 23:38:06 ID:???
みくるのスタンド発現に、回転…
両者ともGJです。

さて、投下しましょうか。
90セッ子:2008/10/18(土) 23:40:56 ID:???
急に倒れた朝比奈さんの看護をしながら俺は見た。コンビニの中にいた男が黒尽くめの男から何かを取ったのを。
指は確かに頭に突き刺さっていた。
そしてその後黒尽くめがスイッチを切られた様に倒れるのを。
男は何事も無かったかのように店の奥へと消えていった。
「おい、キョン。見たか、今の?」
一緒にコンビニの方を見ていたセッコがそうつぶやく。
ああ、あれもスタンドって奴なのか?
「ああ、あれは人型のスタンドだな。おそらく奥のミカンのすじが本体だ」
ミカンのすじ。おそらく、あの奥で一ツ橋さんの手を取っている男の髪型のことだろう。
綺麗な白髪に剃り込みが入っていてミカンを彷彿とさせる。
「しかし、面白い能力だなァ。生ハムを作るなんて」
生ハム?

act6―出会いの駅前〜質問の不思議な聖職者

時間は少し前、コンビニ内でまだ事件が起こっていたときに戻る。
91セッ子:2008/10/18(土) 23:42:08 ID:???
頭ががんがんする。
先ほど同様男の持っていた狩猟用ライフルと思われるもので殴られたのだ。
コンビニ内にざわめきが広がっていく。
騒ぐな、とライフルをちらつかせながら男が威圧的に告げる。
すると、コンビニ内は一瞬にして水を打ったように静かになった。
「妙な真似しやがったら、そのときは容赦しないからな!」
私は気づかれないように男を見上げる。
目の焦点があっていない。もしかしたら薬物中毒者なのかもしれない。
男(薬中としておこう)は客が動かなくなったのを確認するとぶつぶつと何かを呟きながら商品棚をあさり始めた。
その様子を見て好機と思ったのか、店の端にいたアベックの片割れ(男)が自動ドアのほうへと駆け出す。
しかし、それで逃がすほど薬中も馬鹿じゃない。
薬中は逃げようとする男の少し奥にあったコピー機に銃口を向けて引き金を引く。
狭いコンビニ内に響き渡る乾いた音。壊れるコピー機。
まさか本物だとは思っていなかったらしく、その場で腰を抜かしたように、いや実際に腰を抜かしてその場で尻餅をつく男。
「舐めた真似すんなってェ、言ったばかりだよな」
弾を篭めなおしながらそう言う薬中。
そのまま銃口を男につきつける。
「言っても分からないんだったら、誰かに犠牲になってもらわないとな!!」
壊れたCDプレイヤーのように謝罪の言葉を連呼する男。
しかし薬中は中空を見上げたまま引き金に手を掛ける。
誰もがあの男の死を確信したときだった。
「果たして君に引き金が引けるのか?」
私の後ろで誰かが声を上げた。
92セッ子:2008/10/18(土) 23:43:11 ID:???
薬中が私の、正確には私の後方で声を上げた誰かの方に銃口を向ける。
「誰だ、誰だ!出て来い、ブッ殺してやる!!」
口から泡を飛ばしながらそう叫ぶ薬中。
私はゆっくりと後ろを向いてみる。
するとそこには一人の男が立っていた。
まず目に入ったのはその風体。
背が高い。180以上あるだろう。しかもその身長の大半を足が占めている。
その上姿勢もいい。黒い服を着込んでいるのでそれがさらに彼の姿勢のよさを引き立てる。
そして髪。これは服とは相反する白一色で短く刈りそろえられている。
浅黒い肌、堀の深い顔。きっと欧米の人だろう。
次に目に入ったのがその服に描かれている大きな十字架。神父なのだろうか。
神父風の男は淡々と答える。
「昔ある国の革命家がこう言った。
『撃っていいのは撃たれる覚悟のある者だけだ』
銃口を向けるということはそれ相応の覚悟がいるということだ。
君にはその覚悟があるのか?」
話し終わるのが早いか、薬中が神父に向かって引き金を引く。
再びコンビニ内を駆け巡る乾いた音。
しかしその弾丸が神父の体を貫くことはなかった。
93セッ子:2008/10/18(土) 23:44:14 ID:???
ありえない。それがその人を見た私の感想だ。
まず服装。黄色と黒の縞模様の服に黒く天を突くような形の帽子のようなもの。
しかし、ここまでなら変態だけで済むだろう。
しかし彼は今、いきなり虚空から現れて銃弾をその手ではじき上げたのだ。
「な、何で当たらねぇんだ!?」
動揺を隠せない薬中。
私の肩を掴み乱暴に立ち上がらせ、そのまま銃口を私に突きつけつつ、神父から距離を取ろうとする。
神父は先ほど同様淡々とした口調で続ける。
「『何処に行かれるのですか?』
銃刀法違反、強盗未遂、器物破損、殺人未遂。これ以上罪を重ねるんじゃあない。」
「う、うるせえェーー!俺の、俺のそばに近寄るなァー!!」
そのまま私を商品棚のほうへと突き飛ばし逃げ出そうとする薬中。
しかしそうはさせじと神父の隣に突っ立っていた変態が動いた。
ドアに到達するよりも変態が早く薬中の頭を掴む。
「な、何だ!?どうなってんだ!?」
そのまま手を横に振りぬく変態。
すると何故か薬中はスイッチが切れたロボットのように地に伏した。
薬中が倒れたのを見て、変態は出てきたときよろしく虚空に消える。
「さて、大丈夫かな?」
呆然としている私に神父が手を差し出す。どうやら助かったみたいだ。

ここから時間は冒頭に戻る。
94セッ子:2008/10/18(土) 23:45:21 ID:???
神父風の男(セッコの言うところのミカンのすじ)に手を引かれながら一ツ橋さんがコンビニから出てくる。
顔の右側が腫れているのを除けばどうやら無事のようだ。
(あれ、右側…?)
変な感じだ。
傷の形といい、大きさといい、朝比奈さんの顔に突然出来た痣にそっくりだ。
「あ、キョンさんに、セッコ君。何でここに?」
俺たちを見て不思議そうにそう問いかける一ツ橋さん。
とにかく無事でよかった。
「大丈夫ですか?」
朝比奈さんが無事な姿を見て安堵したらしく、駆け寄ろうとする。だが、
「あれ、どうかしたんですかぁ?セッコさん」
セッコがそんな朝比奈さんの服の端を掴み、近づこうとするのを阻む。
セッコの目は、先日俺に向けられたような冷たい目をしていた。
警戒しているのだ。未知の能力者を。
俺も朝比奈さんを一ツ橋さんと神父風の男から遠ざけるように身を置く。
「キョン君までどうしたんですかぁ?」
頭上にはてなマークを浮かべてこちらを見上げる朝比奈さん。
彼女に構わずに俺は目の前の男に尋ねる。
「あの男に何をした?」
すると男は「ほう」といい、こちらに近づいてきた。
セッコの表情がさらに厳しくなる。自分の方へ朝比奈さんを抱き寄せ、セッコは立ち上がった。
「それ以上近寄るんならまずはテメェの素性を明らかにするこったな」
冷酷にそう吐き捨てるように言うセッコ。
その言葉に反応したのは意外にも一ツ橋さんだった。
「え、セッコ君が喋った!?」
もう、何がなんだか。

「とりあえず、場所を移そうか。ここでは人目につく」
膠着状態を打ち破ったのは神父風の男。
彼の話によると彼は近くの教会に勤めているらしく、とりあえず五人でその教会を目指す。
95セッ子:2008/10/18(土) 23:46:39 ID:???
押し戸を思い切りあける。
長い間隔離されていたようなかび臭い空気が一気に出てきて、思わず顔をしかめる。
「これは…ひどいな」とはここに来るように促した神父の言。
人にくるように言っておいてそんなことを言うか、普通。
「私もここを使うのは今日が初めてでね」
初めて?と聞き返す前につかつかと歩いてゆく神父。
無造作においてあった布を手に取り、ほこりを粗方叩き落とし、その布で椅子を拭う。
そしてちょうど五つ拭き終わると同時に、こちらに声を掛ける。
「汚いところだが、ここに座って待っていてくれ。紅茶でも入れてこよう」
そういって教会の奥へ消えようとする神父。
その様子を見てセッコが声を張り上げる。
「茶ならおっぱいが入れるから、テメェはこっちで俺らと話せ」
おっぱい、朝比奈さんのことか。
確かに特徴を良くつかんだ言いあだ名だが、訴訟を起こされても知らんぞ。
「じゃあ、入れてきますねー」と、棟の朝比奈さんは気にせずに神父の歩いて行こうとしていた方へと小走りで消えていく。
残ったのは、セッコとセッコをもぐらと呼んだ三人。
「あの…」最初に声をあげたのは一ツ橋さんだった。
「何でセッコ君は喋れるん…ですか?」
「人間だからな」「へ、でも…」そこで言葉を詰まらせる一ツ橋さん。
次に言葉を紡いだのは神父。
「とりあえず自己紹介をしてもらえるかな?」
そういえば、俺たちと彼はまだ見ず知らずの状態なんだったな。
まずは俺が、と言おうとするが、いつものようにセッコに止められる。
「人に名を尋ねるときは自分から、学校で習わなかったのか?」
敵意剥き出し。睨みつけながら吐き捨てるようにそう言い放つ。
「これはすまなかったな。気が回らなかった。
私の名前はプッチ、エンリコ・プッチだ。」
96セッ子:2008/10/18(土) 23:47:59 ID:???
神父、プッチは続ける。
「この廃れた教会の神父をすることになっている。
スタンド名『ホワイトスネイク』、能力は」
ここでいったん話をやめ、神父は懐から一枚の銀色のディスクを取り出す。
「記憶、能力、感覚などをディスクに変えることができる。」
「生ハムじゃねぇのか?」「あぁ、ディスクだ」
そうか、と少し寂しそうな顔をするセッコ。なにを期待していたんだろうか。
じゃあ、とセッコが目を据えたまま自己紹介を始める。
「俺はセッコ。イタリアンギャングだ。
スタンド名『オアシス』、能力は物体を泥かさせることができる。
こっちはキョン。ジャポネーゼコーコーセーだ。スタンドはまだ目覚めてない。」
そうつらつらと俺の自己紹介も済ませるセッコ。
それに合わせて俺は頭を下げる。
「よろしくお願いします」「キョウ君か。変わった名だな」
「キョウじゃなくてキョンだぜ!」「ふむ、キョン君だな」
あだ名なのはもう何も言うまい。
「向こうのしょんぼり女が一ツ橋葵。同じくジャポネーゼコーコーセー。
こっちはスタンド使いかどうかは分からない。」
一ツ橋さんもぺこりと頭を下げる、がやはりその顔は釈然としていない。
「あ、あの、スタンド…って?」
どうやらそれがずっと気がかりだったようだ。
神父はその問いを聞き、少し目を丸くする。
「驚いたな。無意識のスタンド使いか」
そして深くかけていた腰を上げ、一ツ橋さんのほうへと歩み寄った。
97セッ子:2008/10/18(土) 23:49:06 ID:???
一ツ橋さんは神父のいきなりな行動に驚いたのか肩を少し震わせた。
「そんなに怖がらなくてもいい。事はすぐに終わる」
すっとその手を彼女の頭に伸ばす。
そして、その指を彼女の額に突き刺す。
短い悲鳴を上げ、その指から逃れようとする一ツ橋さん。
「動くなッ!!」「ひッ…」
叱責しながらも神父は一気にずぶずぶと頭に指を突っ込む。
そして一気に指を引き抜く。
神父の指には黄色い円盤が引っかかっていた。
「これがスタンド能力を私の能力でディスク化したものだ」
おお、と目をきらきらさせながらそれに見入るセッコ。
自分の頭から出てきた物に顔をしかめる一ツ橋さん。
俺はというと、まぁ人並みに感嘆の声を上げるしかできなかった。
「これを見ればそいつの能力も分かるという優れものだ。
さて、能力は…」
日に透かすようにディスクを見て、神父は少し顔をしかめる。
何かあったんですか。
「いや、彼女の能力なんだが。
答えづらい事を聞くかも知れんが正直に答えてもらっても構わないかな?」
改まってそう尋ねる神父。
「え、あ、はい」その雰囲気に圧されてか思わずといった風に頷く。
「君は人よりも数倍不幸じゃないかい?」
質問は本当に唐突なものだった。
「そして君が大怪我をすると、決まって仲の良い人も怪我をする。違うかい?」
しかしそれは彼女にとっては触れられたくなかったことらしく、一ツ橋さんは目を伏せる。
そして消え入るような声で「……はい」とだけ答えた。
98セッ子:2008/10/18(土) 23:49:55 ID:???
「やはり、か」
神父はもう一度ディスクに目を移す。
もしかして、そのディスクが何か関係があるのか。
「ああ、名付けるのなら『ハイウェイトゥヘル』
自分の傷とまったく同じものを自分の強く念じた者につけることができる。
彼女の不幸もこの能力の所為だろう。」
ディスクを俺に渡しながらそう説明する。
自分も他人も不幸にするか。
どうやら俺の思っていた以上にスタンドというのは何でも有りらしい。
受け取ったディスクを窓から射し込む日に透かして見る。
そこには小さなプロペラのような絵がいくつも映っていた。
「それが本体の形だ」
本来の形、と俺はオウムのように聞き返す。
「知らないのかい?
スタンドは精神のビジョン、その人間の深層心理がその形状および能力に大きく関わる。
形状は人によってそれぞれだが、こんな感じで。」
神父の隣にぬっと一人の男が立ち上がる。
黒い布を冠し、黄色と黒の縞模様の服に身を包んだ大男。
大男は黙って一ツ橋さんの頭を手で横薙ぎにはらう。
すると一ツ橋さんはその手に意識を刈り取られたようにその場に倒れる。
「なっ、何を…」
思わず声が出る。
神父の隣の大男はその手に先程神父が持っていたようなディスクを手にしていた。
違うとすればそのディスクの色が灰色だというところだけ。
神父は唖然とする俺のほうを見て微笑む。
「心配しなくて良い。彼女のスタンドや今日起こったことに関する『記憶』を抜いただけさ」
記憶を抜く。
なぜだか分からないがその時確かに背中に悪寒が走った。

to be continued…
99セッ子:2008/10/19(日) 00:00:21 ID:???
以上、投下終了です。
うん、すごく好きなんだ…ミカンのすじ…
さるさん。やめて下さい、さるさん。

後半は勢いで書いた上、たいした推敲もしてないのでお見苦しい点があるかもしれません。
拙い文章ですが何かあれば。
では。
100マロン名無しさん:2008/10/19(日) 00:11:33 ID:???
GJ!
マッククイーンが本体となる前はこの一ツ橋さんが本体
だったのかハイウェイ・トゥ・ヘル。
101マロン名無しさん:2008/10/19(日) 08:48:19 ID:???
すげえええGJ!!
でも本体じゃなくて「スタンド像」とかじゃあ
102マロン名無しさん:2008/10/19(日) 09:19:42 ID:???
妙に親切なのがどうも裏があるように思えてしょうがない俺w
やはり狙いはハルヒか?
103マロン名無しさん:2008/10/19(日) 10:23:57 ID:???
プロシュートw
まだ綺麗な神父なのかと思ったが、やっぱ神父は神父か
104マロン名無しさん:2008/10/21(火) 20:19:52 ID:???
wwww
105マロン名無しさん:2008/10/22(水) 12:00:20 ID:???
神父?牧師?
106マロン名無しさん:2008/10/22(水) 21:02:40 ID:???
神父でいいはずだけど?
107マロン名無しさん:2008/10/23(木) 08:03:45 ID:???
どっから牧師が
108アメリカの人:2008/10/23(木) 16:46:19 ID:???
第55話 「コールド・ジン 2」

「朝比奈、俺達から離れてろ」
朝比奈はその言葉を聞くとスキー板に飛び乗り10m程離れる。
「ハァッ!」
森さんが鉄球を男に向かって投げ付ける。と、鉄球は何かにぶつかり森さんへと戻ってくる。
「スタンドですか?」
「いや、違う……なんだ?今のは?」
「あの……今何か光る物がありました………」
……光る物?よく目をこらしてみると、
「氷の壁か………」
「私の鉄球はどうやらあれに阻まれたようですね」
すると女が口を開く。
「あたしのスタンド、コールド・ジンは液体を固体に変えるスタンド……このペットボトルの水を氷にした……冷却して凍らせるわけではないのよ……血管でも固体にできるしね……コールド・ジンッ!」
次の瞬間、森さんの腕にひびが入った。
「き、キャッ!」
「血管を凝固させられた腕はやがて壊死する……まずは腕一つ取ったかしら?」
「……私を甘く見ない事ですね……ハァッ!」
次の瞬間、森さんは鉄球を自分の腕にぶつけ、回転させる。
「グッ……鉄球で血管に働きかけて血管を広げました……まだ全身全ての血液が固まったわけでは無い……これで凝固は溶けるはずです」
「……なんなのよ……それ、そんな技術聞いた事も無いわ」
「余所見は危ないぜ……ダイバーダウンッ!」
敵が森さんに気を取られているうちに後ろに回り込み、手刀を放つ。が、
「ウアヂッ!」
突然手に凄まじい熱を感じる。
「……いきなりなんだ?」
白髪の男のスタンド能力か?だが能力の片鱗すら見えない。
109アメリカの人:2008/10/23(木) 16:47:00 ID:???
「……油断するな、草壁」
「その程度分かってるわよ!根暗!」
「……アナスイさん?大丈夫ですか?」
「あの男のスタンド能力らしい……まずは女の方から片付けるぞ!」
再び女に向かって突進する。が、一歩踏み出した瞬間足元が再び凍った。
「な、何ッ!?」
いつの間に水溜まりが出来ていたんだ?忘れていたがそれも不可解だ。
「ハァッ!」
森さんが鉄球を一個ずつ二人の敵に向けて投げる。が、女は鉄球をかわし、男もスタンドの腕で弾き飛ばした。
「……やはり私の鉄球ではパワーもスピードもスタンドにはかないませんね………」
「やっと分かったのかしら?それじゃ二人仲良く死になさい……コールド・ジンッ!」
見ると二人共靴に氷が張り付き動けなくなっている。マズいな……そう思っていると女がポケットから黒っぽい石を取り出した。
「これが何か分かる?」
………知るか。俺は地質学者じゃねえんだよ。
「……溶岩が冷えて固まった物です……しかし、何故………」
………待てよ?溶岩が冷えて固まった?
「森さん!今すぐここを離れろッ!あの溶岩、恐らく奴の能力で固められた奴だッ!」
「その通りッ!死ねッ!コールド・ジンッ!」
女が溶岩を投げる。ダイバーダウンで氷をはがそうとするがかなりの強さではがれない。
「……大丈夫です、私達は逃げれますよ」
「は?………!」
その瞬間、氷が突如砕けた。
「さっきの鉄球……弾かれはしましたが回転は生きている……回転のエネルギーを伝わせて氷を砕きました」
見ると離れた場所で鉄球は二つ共回転している。
110アメリカの人:2008/10/23(木) 16:47:32 ID:???
予想通り溶岩は俺達の頭上で溶け、降り注いでくる。森さんの機転でかわせたが、そうでなかったら………。
「考えたくもねえな………」
「アナスイ君!」
なんだ?朝比奈?
「森さんが……!」
見ると鉄球がまだ手元に返って来ていない森さんはかなり追い詰められていた。女はスタンド自体は戦闘力が無いらしく、本体がパンチやキックを繰り出している。
かわしているが横から白髪の男が牽制しているらしく森さんのガードがかなり甘い。
「助けに行かないとッ!」
「そうしてーのは山々だが朝比奈……今俺達は動けそうにもねーぞ」
俺達の周りはさっきの溶岩の熱で溶けた雪が全て水になっていた。
「そんな………」
「………待てよ………」
俺は水溜まりに足を踏み入れた。
「血迷ったの?今すぐ足ごと凍らせてやるわッ!コールド・ジンッ!」
「ああ……大助かりだ……ありがとよ、ボードを作ってくれて」
「………ボード?」
女は慌てた様子でこっちを見る。
「……!?服を凍らせて……氷の板をッ!」
「余所見しててありがとよ……今いくぜッ!」
が、女は冷静さを取り戻し、
「……能力解除」
次の瞬間、ボードが濡れた服に戻る。が、水溜まりを越えるには十分だった。
「……鉄球も戻りました……行きましょうか」
「覚悟しな……お前らにできるのはそれだけだ」
111アメリカの人:2008/10/23(木) 16:48:46 ID:???
「ハァッ!」
「ダイバーダウンッ!」
二人同時に攻撃を仕掛ける。が、俺は白髪の男にブロックされた。
「……これで1対1だな」
「残念だがあの鉄球は彼女には届かないな」
その男の言葉通り鉄球は女の目の前で止まった。見ると女はペットボトルの水を地面に流しながら氷にしていた。
「最初にやったでしょ?覚えてなかったのかしら?」
「……もちろん覚えていましたよ……だから今度は対策を立てさせてもらいました」
が、女は嘲るような笑みを浮かべた。
「フン、一体何をしたのかしら?」
「今です」
「ダイバーダウンッ!」
次の瞬間、鉄球からダイバーダウンの腕が女を襲った。
「ダイバーダウンを一部分だけ鉄球に潜行させておいた……壁を作るのは予想の範囲内だ」
壁を通してダイバーダウンの一撃が女の喉に突き刺さる。
「グ……ウッ………」
「お前の気管を首の中で結んでおいた……そのまま眠りな」
女が顔面蒼白になり倒れる。……ま、死にはしないだろうが入院だな。
「後はてめぇ一人だけだぜェ!」
112アメリカの人:2008/10/23(木) 16:49:49 ID:???
が、男は落ち着き払った様子で携帯を見ている。
「……終わったか」
「何がだ?」
「柳!空条徐倫達が天蓋領域の攻撃から脱出したッ!今から向かえ!」
「分かりましたァ」
ウェザーと戦っていた男が別の方へ向かう。
『させるか……!』
ウェザーが向かおうとする。
「それこそさせんッ!」
すると次の瞬間俺と森さんの腕がいきなり酷い火傷を負った。
「ウグアッ!」
「うぐっ………」
「ア、アナスイ君ッ!森さんッ!」
『二人共どうしたッ!』
「難しい選択では無いだろう?……ウェザーリポート……今俺を倒さないとそこの二人は死んでしまうぞ」
ウェザーは少し迷ったが、
『気をつけろ…敵だッ!』
そう徐倫に叫ぶと白髪の男と睨み合う。
「それでは始めようか………」

草壁 遥 コールド・ジン 再起不能

To Be Continued・・・
113アメリカの人:2008/10/23(木) 16:50:55 ID:???
見ても見なくてもいい履歴書

名前 草壁 遥
年齢 21歳 O型 164cm 3月14日生まれ
性格 自分が優れていると疑わず、常に他人を見下している。上昇志向が強く、いずれはボスに成り代わるつもりだったようだ。
好きな食べ物 すき焼き、焼き肉
嫌いな食べ物 刺身、ナスビ
趣味 スキー、スノーボード

コールド・ジン
パワー 無し
スピード 無し
射程距離 C
持続力A
精密動作性 B
成長性 C
能力 液体を固体へと変化させる。固体が存在する液体であればあらゆる条件を無視できる。能力を解除すると元の液体に戻る
114アメリカの人:2008/10/23(木) 16:52:42 ID:???
以上、第55話でした

スタンド名はキッスの楽曲から

セッコの人GJです!
神父とは予想GUYです

それでは!
115マロン名無しさん:2008/10/24(金) 22:13:53 ID:???
ちょっとそこ0・2〜。
116マロン名無しさん:2008/10/25(土) 20:36:39 ID:???
毎度思うがこのキャラ解説相当すごいよな。
細かく作りこまれてるのが良く分かる。

それはさておき、乙!!
117セッ子:2008/10/26(日) 19:08:37 ID:???
アメリカさん乙です
能力&知略はジョジョの二大要素。
余すことなく使えてて羨ましいなと思う今日この頃。
自分の作品はいつになったら能力バトルに入るのかな?

頃合を見計らって投下します。
少し遅れるかもしれませんが。
118セッ子:2008/10/26(日) 19:42:41 ID:???
大男からディスクを受け取り、それを弄びながら神父は続ける。
「考えたことはないかい?
『もしも人の記憶を、考えを、後世に残せたら』と。
断片でもいい。
フェルマーやダヴィンチの頭脳が残っていたら、
ガンジーやマザーテレサの思想が残っていたら、
イエスや釈迦の見たもの聞いたもの考えたことが残っていたら、
それを見ることが出来る人間がいれば、確実に世界は変わっていただろう。
しかしそれはただの夢。実現できない空想だ」
顔を上げ、ざっくりとあいた服の胸元からもう一枚ディスクを取り出す。
「私もそう思っていた。しかし、ある出来事が私を目覚めさせた。
妹の死だ。
あの時私は心の底から嘆いた、妹の不幸を。呪われるべきは私だったのだからな。
その嘆きが通じ、発現したのだ。私の『失いたくない』思いの結晶が」
彼は俺たちに見えるようにディスクを指で挟む。
そこには綺麗な女の人の横顔がうつっていた。
パッチリと開いた綺麗な瞳には強い意志を秘め、朱のさした頬や唇からは活力が伝わってくる。
ただ、何故かどこかさびしそうな表情をしているように俺には見える。
何かを諦めたような、絶望したような、そんな感じの表情をたたえた俺たちと同い年くらいであろう人。
神父はそのディスクを元のように胸にしまいこむ。
ゆっくりと、優しく。まるで彼女の記憶を自分の心と重ねるように。
「さて、話は変わるが」
もう一度顔を上げ俺たちを見据えなおす神父。
目が合った瞬間、また悪寒が走る。何かを狙う肉食獣のような瞳をこちらに向けているのだ。
悪寒だけではとどまらない。ひたりと首に冷たいものがあたるような感覚さえ覚える。
「君たちは引力を信じるかな?」
気のせいじゃない。神父のスタンドが俺の首元にその手を当てていた。
119セッ子:2008/10/26(日) 19:43:50 ID:???
そのまま首から頬の上の方にかけて指を突っ込んでいる大男。
ふと思い出したが、俺先週もこんなことになってたよな。
まあ前回は泥化だったが。
ちなみに前回の加害者も今回は被害者になっている。
因果応報ここに極まる、って感じか。
しかしそんな状況下、意外にもセッコは表情を崩してなかった。
そしてこれまた意外なことに、
「おっぱァ〜い、オレチーズタルト食いてー!!」と奥部屋の朝比奈さんに声を掛けた。
「今すぐですかぁ?」「おう、裏から出てちょっとのとこにケーキ屋あるはずだから、そこにいってきてくれ」
「わかりましたぁ〜、人数分買ってきますね〜」「おう!金はキョンが払うからよ!!」
奥のほうでドアの閉まる音がする。
チーズタルトって、まったく意にもかいさずってことか?
オレの思惑を他所にセッコは神父を睨みつけ、小さな声で俺に尋ねる。
「キョン、インリョクって何処の宗派の神様だ?」

「引力の存在なら、信じざるをえないだろ。
あれがあるからこうやって普通に生活できてるわけだし」「おい、人の話を聞けky」
「そういった意味じゃない、人と人との間に働く引力だ」
人と人との間に働く引力、そんなものが存在するのか。
俺の思考を呼んだように説明が付け足される。
「深く考えなくてもいい。運命のことだと思ってくれても構わない。
私たちの出会いも運命によって定められているといったら、君は信じるかな?」
運命を信じるか、だと?
出会いが決まったことなら、俺はハルヒに振り回されるために生まれてきたってか。
信じたくもないね。そんなこと。
そう毒づくと、神父は最初同様にこりと笑った。目はしっかりと、こちらを見据えたまま。

120セッ子:2008/10/26(日) 19:46:04 ID:???
「君は」神父は続ける。
「真の幸福について考えたことはあるかい?」
また繰り出される唐突な質問。
これはあれか、新手の謎かけか何かなのか?
「そうだな、平凡な生活を送れるってことじゃないか?」
「俺は甘いモンがいっぱいあったら幸せだぜ!!」
幸福という言葉には聞き覚えがあるらしく、セッコも嬉々としてそう答える。
しかし、そんな俺たちの回答にはやはり耳を傾けない。
「私はな、覚悟を決められる世界こそが至高だと思う。
これからおとずれるだろう悲劇、苦痛、そういった運命を受け入れられる世界こそが真の幸福だ。
私にはそういった世界を創る義務がある。」
義務、と虚空を見上げながら呟く。
その目はお世辞にも正常な人間のそれとはいえない光を灯していた。
そして視線は外れているが、こちらに対する警戒は怠っていない。
「私には親友がいてね。
彼の能力と私の能力があればその全人類の幸福を実現できる。
はずだった!!」
そういって神父は思い切り手近にあった机に拳を振り下ろす。
境界には不釣合いな音はすぐに余韻も残すことなく消えてしまう。
しかし、神父はその余韻さえも気に食わないように歯を食い縛る。
目に宿すのは憤怒、憎悪。目がいっそう爛々と輝いた。
「あの男の所為で、途絶えてしまった!私と友の夢は!!
しかし私は諦めない、必ず行ってみせる、真の幸福の世界に、天国に!!
そのために、協力して欲しい」
急に、虚空を見つめていた彼の視線が俺たちを捉える。
「力が必要なんだ、奴を倒すため。そのために、君たちの能力が欲しい」
121セッ子:2008/10/26(日) 19:48:44 ID:???
今なんと言った?
確かに今、こういったのだ。能力が欲しい、と。
能力、俺はそれが何なのかは知らない。
しかし足元に転がる一ツ橋さんを見れば、頷けるはずもない。
「大丈夫さ。痛みもないしすぐに終わる」
ずぶずぶと頭の奥のほうへと入り込んでいく彼のスタンドの手。
大事な何かを奪われる恐怖に知らずの内に身体が震える。
その様子を見て、神父は俺をあやすように手を伸ばし頭を撫でようとする。
「心配しなくてもいい、君たちの死は決して犬死ではない。これは名誉の…」
「オレはよ」
その伸ばされた手の後方をセッコは力強く握り締め、拒絶の意を表す。
「自分より弱い奴から命令されるッつうのが、大嫌いなんだよ」
ミシリと音を立てる神父の腕。
「しかも何だ、いきなり首筋に手を当て脅しをかける?
質問するだけしといて答えは聞かない?
挙句の果てにここで能力を置いていけ?」
セッコが腕を引き寄せ、吐息も感じられるくらいに近づく二人の顔。
「ざけんじゃねェーぞ!」
そのままセッコは足で神父の水月を確実に打ち抜く。
もろに急所への蹴りを受け、神父は壁にぶつかり大きくえづく。
返す足でスタンドを蹴り上げ、自由になった腕で俺を自分の下に引き寄せる。
「ったく、一昨日きやがれってんだ」
倒れた神父を指差し、俺と神父の間を遮るように手を伸ばす。
敵に回すとあれほど怖かったこいつの腕も、こうされていると予想以上に安心できる。
っていうか、今神父がやってたことの三分の二はお前もやってんだぞ。
「オレはいいの、それにキョンだったしよ。
ンなことより、後は俺に任せてキョンはさっさと外のおっぱい拾って逃げろ」
もしかして、こいつこれを見越して朝比奈さんを逃がしていたのか?
122セッ子:2008/10/26(日) 19:50:39 ID:???
近くにあった机に手をつき、神父が身体を起こす。
「どうやら、理解してくれそうも、無いらしいな。」
何も無い空間に手を伸ばし、何かを掴み立ち上がる。
先日までのオレには見えなかっただろうが、今の俺にはそれがはっきりと見える。
そこにあるのは真っ黒な手。
手は徐々に空間にその存在を広げ、神父が姿勢よく立ち上がったときにはその全貌を現していた。
その様子を見て、俺は全てを理解する。
傍に立つもの。どんな時でも自分の味方をするもの。
『スタンド』
その揺るぎない姿勢は砕けない彼の信念。
その鋭い眼差しは遠い昔の約束を守り続ける意思。
塗りつぶされた黒の過去と発狂しそうなほど明るい黄色の中に刻まれた禍々しい夢。
頭に頂くは暗黒の王の証。その下から覗くはそれに相反する真っ白の顔。
神に仕えながら神を裏切った、罪深き生き物。
穢れを知らない汚れきった純白の蛇。
『ホワイトスネイク』
セッコが大声で何かを叫ぶが、その声ももう俺の耳には届かない。
白蛇と目が合ってしまった。
冷や汗が滝のように流れ落ちる。
足は震えてしまって動かない。無力なカエルにでもなった気分だ。
息が荒くなる。震えが肩まで到達する。
そのとき、ふっと暖かいものが俺を包み込んだ。
「大丈夫だ、オレがいる。守ってやる。気をしっかり持て」
顔を声の方に向けると、いつにも増して真剣な顔をしたセッコがいた。
そんな顔もできるんだな、と茶化すように俺が呟くとセッコは、
「そんだけ無駄口叩けりゃ十分だ」とニコリと笑う。
ふざけた奴だが、その笑みはとても頼もしかった。
123セッ子:2008/10/26(日) 19:52:58 ID:???
俺の方に回していた手を下ろし、もう一度対峙するセッコと神父。
セッコの足元はいつものように弛んでいるし、ホワイトスネイクも構えを作っている。
睨み合いのまま、数分とも数時間とも思えるほどたっぷりと時間がたつ。
そしてじれたセッコが足に力を入れた、瞬間だった。
二人の間に寝ていた一ツ橋さんが、むくりと起き上がった。
「ンなァ!!?」予想外の出来事らしく、セッコは大きく足を踏み外す。
その様子を見て一気に距離を詰め、倒れないようにセッコを抱え上げる神父。
これは流石の俺もセッコも予想外、二人揃って何を言っても言いか分からずに口をぽかんと開ける。
一ツ橋さんはというと、寝ぼけたように目をこすりながら立ち上がり、
「ここは…?」「起きたようだね」
「あれ?どちら様で…」
「外で倒れていたのでね、勝手だったが介抱させてもらった。
その様子なら大丈夫そうだね」
ぱっと頬を朱に染めて、いつものように深々とお辞儀をする一ツ橋さん。
別に変わった様子は見られない。
それどころか出会ったときよりも、元気そうだ。
そして、俺たちにまるで赤の他人にするように会釈をして教会から出て行ってしまった。
教会の戸が完全に閉まったのを確認し、神父は抱えていたセッコを離す。
支えを失い床へと頭から沈んでいくセッコ。
分からない。
神父はなぜセッコを助けた?しかも能力をディスクにするには好都合だったろうに何でそのまま離した?
「腑に落ちないといった顔をしているね」
俺の思考を読んだようにその口に笑みを浮かべて尋ねる神父。
「彼女はいまやスタンドの存在すら知らない一般人。ばれては困る。
それに無理に抜く気なんて最初から無かったさ。後々譲ってくれれば私はそれで構わない」
一変される意見。俺はもう一度唖然とする。
124セッ子:2008/10/26(日) 19:55:05 ID:???
「先程の少女のように本体に害を及ぼす場合は有無を言わさず抜かせてもらう。
だが、君たちには害がなさそうだからね。無理には抜かないさ」
それにしては、あててきた殺気は常軌を逸するものだった気もするが。
後々は抜くつもりなのか?そう俺が尋ねると、神父は先程のように笑った。
「できればそうさせてもらいたいね。
見ての通り、記憶と能力を持つものは、両方をすべて抜き取らない限り再起不能にはならない」
だからコンビニでの男は気を失ったのか。
「ああ、記憶しか持たないものの記憶を抜けば、そいつはもはや生きた屍になる。
二度と動くことはないさ。彼の場合は自業自得だしね」
彼の場合は、というのが少し気になるな。
もしかして、他にも再起不能にした人間がいるのか?
その問いに神父は影を落とし、
「…必要だと思ったら、いつか話すさ」
どうやら聞いちゃいけない問いだったようだ。
俺はすぐに頭を下げる。
「いや、いいさ。あれも乗り越えなければいけない過去なんだ。」
すぐに毅然とした表情を取り戻し、神父は続ける。
「私は前に進むしかないのさ。もう失うものは失った、私にはもう何もないのでね。
目標は人類の幸福。そのためなら一年でも二年でも待つさ」
だから、と俺の手をとり見つめなおし
「力を貸して欲しい」
神父の懇願は、文字通りの意味だろう。
その必死の表情に俺は曖昧に言葉を濁す事しかできなかった。
125セッ子:2008/10/26(日) 19:58:07 ID:???
「だーーー!!ムカツク!!!」
腕をぶんぶんと振るいながら、忌々しげにそう叫ぶセッコ。
欲求不満のハルヒを見ているような感じだ。
セッコ曰く、『殺し合いがしたかった』らしい。
ただの危険人物じゃねーか、とつっこむとセッコは頭をかきむしり、腕をだらんとたれて、
「だってよ、せっかくスタンド使い同士でバチバチやりあえると思ったのによぉ…」
真につまらなさそうに石を蹴り上げる。
殺し合いが好きだというのか。馬鹿みたいなことをしてもやはり根はギャングだということか。
それにしても、と今日の出来事を振り返りひとつの違和感を思い出す。
「あの時、何でお前俺を助けようとしたんだ?」
そう、確かにあの時セッコは思いがけない行動をした。
あのセッコが俺を守ろうとしたのだ。
そう聞くとセッコは少しも詰まることなく、「恩返しだぜ」と答える。
恩返し?
「ああ。飯もそうだが、キョンがいなかったら俺たぶん青天だったからな。
襲っちまった件もあるし、お礼をしたかったんだが如何せんできることが無くてよォ」
アオテン、野宿生活のことだろうか。
にしても、だからって恩返し、か。まったく大雑把なんだか律儀なんだか。
俺がそういってやれやれと呟くとセッコはいつものように笑いながら、
「心配すンな、またこんな状況になったらキョンだろうとおっぱいだろうと守ってやっからよ!」
頼もしい言葉だな、とその言葉も流そうとしてあることに気付く。
朝比奈さんが買い物に行ったままだったのだ。
それを忘れて、今はもう電車を降り、うちの近くまで帰ってきてしまっているのだ。
ここまで来たのならもう仕方ない。
俺はなんと言い訳するべきか考えながら、そのままセッコと家路を急いだ。
126セッ子:2008/10/26(日) 20:01:16 ID:???
一方その頃――
「ふぇぇえー、なんでですかー?キョンくーん、セッコさーーん!!」
「チーズタルトは預かっておくから、今日はもう帰ったらどうだい?」
「あ、はい…」
失礼します、と頭を下げて買い物から帰ってきた少女もいなくなる。
教会の中には私と、傍に立つ者だけになった。
私は遠くにあった椅子を彼にとらせ、それに座る。
「しかし、こんな辺境の地でも会えるものなんだな」
ゆっくりと机に置いてあった本に手を伸ばし、ぱらぱらと無造作に捲る。
「出会いは引力か、はたまたただの偶然か」
そして捲られてゆくページはある場所で止まる。
そこに挟まれているのは二枚の写真。
一人は金髪を逆立てその下に星を抱き、なんとも艶かしい姿をした男。
一人は金髪を流し、綺麗な瞳で遠くを見つめる愛らしい少女。
「私にはもう何もない、か」
伸ばした指にはもう届かない。眩しかったそれぞれの命。
私はその指でその残滓を撫でる。
「覚悟がもたらす幸福」
写真を取り出し本を閉じ、そのまま懺悔室へと向かう。
誰のためでもない、自分のために。
「共に向かおう、天国の時に」

神父の呟きに答えるようにホワイトスネイクも歩き出した。

act6〜天国に一番近い男

to be continued…
127セッ子:2008/10/26(日) 20:02:18 ID:???
以上、投下終了。俺の文、長いな。
あとがきついでに今回は没プロットの紹介を。

没プロット
葵ちゃん、借金で帝愛グループに追われる。
キョンたち立会いの下帝愛とのギャンブルで借金をチャラにしようとするが失敗。
マリリンマンソン発動。肝臓を抜かれる葵ちゃん。
HTH発動。道連れで肝臓を抜かれるキョン。
キョンと葵ちゃんの肝臓を取り戻すため、長門、ギャンブルを決意。

さて、なぜ没になったかというと。
1 葵ちゃんの能力を抜いてしまった
2 書いてみた…!が、どう読んでも福本伸行の作品……!!
3 そんなにうまく描写もできなかった
こんなところです。
それでは、拙い文章ですが何かあれば。
128マロン名無しさん:2008/10/26(日) 20:32:37 ID:???
うおっうおおうおつ!
やっぱ敵側のこういう面見せられると単純な悪とは思えなくなるな。しかしほんとうめえええ
没プロットも読んでみたかったな、なんというとばっちりスタンドコンボw
129マロン名無しさん:2008/10/26(日) 21:07:36 ID:???
欲しいのか…乙三個も欲しいのか…?
三個!いやしんぼ!
いくぞッ!乙、乙、乙ッ!
130マロン名無しさん:2008/10/27(月) 02:14:48 ID:???
誰かまとめwiki更新してください…
131マロン名無しさん:2008/10/27(月) 04:56:57 ID:???
そういうときは自分が更新できない理由も書いとくと叶いやすくなるぜ
132マロン名無しさん:2008/10/29(水) 01:40:55 ID:AR7qtTQf
あげ
133アメリカの人:2008/10/30(木) 16:25:29 ID:???
第56話 「ラッシュ」

side of 徐倫
「一難去ってまた一難か……」
ウェザーはどうやら他の敵にかかりきりのようだ。助けは期待出来そうも無い。
あたし達を襲ったのは黒いコートにブーツ、皮帽子を頭にのっけた男だった。身長は180前後、歳は20後半ぐらいに見える。手には猟用のライフル銃を持っている。
「何者だ、てめー」
「柳明堅ともうしまァす……会っていきなりですが死んでもらいましょォ」
「オラァッ!」
ストーンフリーで殴りかかるが、銃でガードされる。なかなか素早い。
「話には聞いていましたがァ、接近戦だと負けますねェ……」
柳が銃を構える。咄嗟に相手の腕を殴り、銃口を別の方向に向けさせる。
「……残念でェす、私の能力がバレてしまいましたァ」
「………何の事だ?」
すぐに答えは分かった。男のライフルから信じられない数の弾丸が発射されたのだ。
「ま、マシンガンかよあれ!?」
「いや、違うぞキョン、あれは恐らくスタンド能力だ………」
だが、あれだけ雨あられと撃ってこられたら流石にどうしようも無い。
「逃げるぞッ!キョン!古泉!スキーは付けたかッ!」
「万全です」
「な、なんとか………」
「行くぞッ!三方向に散らばれッ!」
「させまあ………」
「オラァッ!」
雪玉を投げ付け柳がひるんだ隙に全員逃げ出した。
「逃しはァしませェん」
134アメリカの人:2008/10/30(木) 16:30:56 ID:???
男が銃を構える。
「来るぞッ!」
次の瞬間、凄まじい勢いで銃から弾丸が発射される。あたしや古泉はS字にカーブを描きながらかわしていったが、キョンだけ少し逃げ遅れ、行き止まりに追い詰められる。
「……マズいです……徐倫さんッ!」
「しゃがめッ!キョン!」
スノボ用に作られたジャンプ台に乗り、男に向けてジャンプする。
「残念ながらァ、今のあなたは的でェす……空中では身動きがとれまァせん」
「それはどうかしら」
柳が銃を構え、キョンを背にした瞬間だった。
「くらえッ!」
キョンがスキーストックで殴りかかる。柳に当たるかと思ったが、気配を感じた柳が銃身で止めた。
「的になったのはお前のほうだな……オラァッ!」
その瞬間、柳が銃の引き金を引いた。弾丸が次々と地面に炸裂し、雪と土が舞い上がる。
「グッ………」
「ウッ………」
視界が開けると柳は5mほど離れた場所にいた。
「意外と素早いじゃないか………」
「銃は間合いが命でェす……距離を詰められた時の為に脚力は強くしていまァす」
「……そうか……スキーははけたか?キョン」
「あ、ああ………」
「逃げるぞッ!」
そう合図し、逃げ出すのと男が撃ってくるのはほぼ同時だった。弾丸が何発か顔をかすめていったが命中はしない。
「こちらです!」
古泉が合図した方には雪の壁があった。これ幸いと滑り込む。
135アメリカの人:2008/10/30(木) 16:35:23 ID:???
「……どうする」
「まいりましたね、弾丸が大量に出てくるのはやはり……」
「スタンド能力だろうな……実弾なのを見ると弾丸を何らかの方法で銃に送り込んでいるんだろうだが………」
「弾丸を作り出してるんじゃねえのか?」
キョンがきょとんとした顔で口を挟んでくる。
「いくらスタンドでも本物の弾丸を何もなしに作り出すのはまず無理だ」
「それではこういうのはどうでしょう?」
古泉が気障なしぐさをしながら話し始める。
「そこいらにあるであろう鉄分から弾丸を作り出しているというのは」
「……それも考えた、けどそれじゃ装填してる様子が無いのがおかしい」
いくら弾丸を作り出しても銃に装填しないと撃つのは不可能だ。となると………
「弾丸を何らかの方法で銃に送り込んでいるんでしょうね」
多分そうだな。問題は奴がそれを何処に持ってるかだが。
「あいつ割と軽装だしなあ………」
キョンの言葉通り、柳はポケット等が一切無いコートの上、コートの中に何か持っているようでもない。その時、古泉が何かに気付いた。
「マズいです……この雪の壁、崩れてきています」
奴の弾丸で削られたってわけか………。
「……行くぞ古泉、危ないが飛び出す」
「分かりました」
「なら俺も………」
一緒に行こうとするキョンをあたしは静止する。
「あんたには他にやってもらう事があるわ……いい?」
136アメリカの人:2008/10/30(木) 16:35:59 ID:???
古泉と同時に雪の壁から飛び出す。柳がすかさず銃を乱射してくるが、二手に分かれているせいか狙いがばらついている。
「いけるぞ……このまま時間を稼げば………」
「それは無理でェす……狙いがばらついているのはわざとでェす」
そう柳は呟くと突然見当違いの方向を撃った。
「……………?」
すると次の瞬間、撃った銃弾が地面で跳ね返って飛んできた。
「なッ!?」
スタンドでガードしたのでダメージは無い……が、今のは一体………。
「徐倫さん!そこはさっき奴が撃った場所です!」
「……跳弾かッ!」
「正解でェす……銃弾に銃弾を当てて跳ね返らせましたァ」
柳は次々と引き金を引き、弾を跳ね返らせて攻撃を仕掛けてきた。スタンドでガードしつつかわしていくが、不規則な軌道が読み切れず何発かくらってしまう。
「グッ………」
幸いまだ軽傷だが、余裕が無くなってきているのも事実だ。見ると古泉も似たり寄ったりの状況だ。
「マズいな……キョン、間に合ってくれ………」
その時だった。
「でやッ!」
男にこっそり近付いていたキョンが男の帽子を奪った。すると中から皮袋が落ちてきた。キョンが袋を開け中を地面にぶちまける。
「……どうして帽子に弾丸を入れた袋があると予想したのですかァ?」
「簡単だ……お前、帽子を深く被らないでのっけてるだけだろ、こんな寒いのにおかしいと思ったんだ」
「……………」
「恐らくその袋から弾倉に直接弾丸を送り込んでいるんだろ?」
137アメリカの人:2008/10/30(木) 16:36:56 ID:???
「……なるほど、正解でェす……しかしあさはかでしたねェ」
「……何がだ」
柳は無言でキョンの頭に銃を突き付ける。
「動かないでくださァい、私の弾倉には1発弾が残っていまァす……動けばあなたのお仲間の頭が吹き飛びますゥよ?」
「お前こそ……ハッタリじゃないのか?」
「……ならば、試してみればいいでェす……お仲間を犠牲にすれば少なくとも私は倒せますよォ」
「……撃ってみろよ」
「なッ!?何言ってんだ徐倫ッ!」
「フフ……いいんですかァ?」
あたしは返事をせずにダッシュで柳へと突っ込む。
「残念でしたァ……弾は入っていまァす」
柳が引き金を引く。が、カチリと音がしただけで何も起こらない。
「なッ!?一体何が……」
「オラァッ!」
ストーンフリーの拳が柳に突き刺さる。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!」
「ギツベッ」
柳が吹き飛ばされる。死にはしていないようだが半年はベッドから出られないだろう。
「不発弾でしたか……助かりましたね」
「いや、今のは不発弾じゃあない」
「?……それでは………」
「キョン、よく頑張ってくれたな」
「ああ」
「………?どういう事です?」
「周りを見ろよ、何故かは分からないけど雪が溶けて水になってるじゃない、これを奴の銃にかけて火薬を湿らせたのよ」
「……なるほど……ところで、アナスイやウェザーさんは大丈夫なんですか?」
「分からない……助けに行くぞ」

柳明堅 ラッシュ 再起不能

To Be Continued・・・
138アメリカの人:2008/10/30(木) 16:38:20 ID:???
見ても見なくてもいい履歴書

名前 柳明堅
24歳 11月29日生まれ O型
国籍 日系中国人
性格 礼儀正しい性格だが喋り方のせいで慇懃無礼にしか見えない。
組織の中では幹部クラスだったらしく、一癖も二癖もある部下達をまとめていた苦労人でもある
好きな食べ物 キウイ、マンゴー
嫌いな食べ物 パスタ、イカ、タコ
趣味 ランニング、狩猟

スタンド名 ラッシュ
パワー 無し スピード 無し 射程距離 C
持続力 A 精密動作性 A 成長性 D
能力 あらかじめ設定しておいた場所から場所へ物質を転送する。生物は転送不可能。
入れる事さえできるならどんなに大きな物でも転送可能。ただし転送時は中の物が外へ出ないよう密封が必要。
139アメリカの人:2008/10/30(木) 16:45:40 ID:???
以上、第56話でした

スタンド名はカナダのロックバンド「ラッシュ」から

>>116
履歴書を見てくれているんですか!履歴書地味に気に入ってるんで嬉しいです

セッコの人GJ!プッチのこれからの動きが楽しみです

それでは!
140マロン名無しさん:2008/11/01(土) 17:16:07 ID:???
乙!本当、継続できてることに敬服します!
141セッ子:2008/11/02(日) 23:29:02 ID:???
ウィキ更新しておきました。
今回はこれだけ。
投下が更新されていない方(特にアメリカさん)何らかの方法で再投下お願いします。
142マロン名無しさん:2008/11/03(月) 07:47:34 ID:???
ログがないからってこと?
俺は全部持ってるから余裕があれば更新するよ。再来週くらいになりそうだが…
143マロン名無しさん:2008/11/03(月) 07:48:35 ID:???
忘れてた
乙!
144マロン名無しさん:2008/11/03(月) 10:36:29 ID:???
セッコの人GJ!
なんかすごく更新されてる…全く手が付けられてなかったのか…
145マロン名無しさん:2008/11/05(水) 20:52:55 ID:???
乙!!
146アメリカの人:2008/11/07(金) 15:06:47 ID:???
第57話 「フラッシュポイント 1」

side of ウェザー
ウェザーと白髪の男は睨み合ったまま動こうとしなかった。多分出方を伺っているんだろう。
「……かかってこないのか?ウェザー・リポート」
『そういえば、まだお前の名前を聞いていなかったな……』
「なるほど、礼儀を欠くのもなんだ……名乗ってやろう」
白髪の男は俺や朝比奈、森さん、ウェザーにうやうやしく一礼してから名乗り始めた。
「私の名前は神原仁。お前達を襲っている一団のボスだ……自分で言うのもなんだがな」
『そうか……』
「いつまでも睨み合っているのもなんだ、こちらから行かせてもらおう……フラッシュポイントッ!」
男がスタンドを出し、鋭い右フックを繰り出す。なかなか速いが、ウェザーは難なくガードした。
「スピードは互角みてーだな……ウェザーッ!パワー勝負だッ!」
俺の声を聞いたウェザーは右フックからジャブ、左ストレートとコンビネーションパンチを繰り出す。が、神原のスタンドはスピードだけでなくパワーもウェザーとほぼ互角で、難なくガードしていた。
『単純な殴り合いなら互角か………』
「そのようだな、だが私の能力をお前達はまだ知らない」
その瞬間、ウェザーの手が突然火傷を負う。
『グッ………』
「私達の時と同じですね……なんの前触れも無く受ける攻撃……」
あの攻撃の正体を見破らない限りこっちに勝ち目は無いな。
147アメリカの人:2008/11/07(金) 15:12:57 ID:???
「アナスイさん、しんどいでしょうが少し横へ」
森さん?何をする気………。
「奴を鉄球で攻撃します……この火傷だと威力は期待出来ませんが隙を作るくらいなら出来るでしょう……ハァッ!」
俺が横へ退くと同時に森さんが鉄球を投げる。神原は飛んで来る鉄球に気付いたようだが、その隙にウェザーにスタンドごと体を押さえ付けられた。
「やったぜッ!そのまま行けェーーーッ!」
が、鉄球は空中で軌道を曲げ、神原に当たる事なく地面に落ちた。
「な!?いくら怪我をしているとはいえ落ちるなんて………」
「……奴が落としたんじゃねえのか?」
「まさか……そんなはずは………」
男がウェザーを突き飛ばし、口を開く。
「そのまさかだ……お前達は電磁波を知っているか?」
当たり前だ。馬鹿にしてんのか。
「ならば……太陽光と電磁波の違いとはなんだ?」
「……知るか」
「波長です、光の波長の差です」
「その通りだ。私のスタンドは光の波長を操る事ができる……今迄お前達に与えていた火傷は強力な紫外線によって引き起こしていた……
雪をとかしたのは赤外線だ……今は赤外線の熱で鉄球を微妙に変形させて鉄球の回転をわずかだが変えた」
『なるほど……なかなか厄介なスタンドだな……』
148アメリカの人:2008/11/07(金) 15:14:22 ID:???
「……あまり時間はかけたく無い……そろそろ始末させてもらおう、フラッシュポイントッ!」
が、何も起こらない……ように見えるだけか、実際は何か起こっているにちがいない。そして何が起こっているかはすぐに分かった。
「……日焼けが?」
そう、凄まじい速さで日焼けが増えていた。
「紫外線です!このスピード……このままだと間違いなく死ぬ量です!」
「野郎ッ!……多分紫外線対策はしてるんだろうな」
『ウェザーリポートッ!』
すると俺や朝比奈達の周りに青い気体の層が現われた。
「こいつは………」
「オゾンですね、紫外線をカットする効果があります。後、人体には有毒です」
「……じゃああんまり長い間この状態だとマズいんじゃねえか?」
「でしょうね……恐らく互いに短期決着を狙いにいくでしょう」
森さんの言葉通り二人は途端に睨み合いを止め、近距離での猛ラッシュを仕掛け合い始めた。
ウェザーの右フックを敵は左手でガード、動きが止まったところに右手刀、掴んで止めたウェザーが投げようとすると右の膝蹴り、突き飛ばしてかわしたウェザーは再び突進し、左右のジャブから右フック、左のアッパーカットからストレートと猛ラッシュを仕掛けた。
しかし大したダメージは与えられずに、距離を取った睨み合いにまた戻る。
「互いに能力は解除したみてーだな」
「二人共あまり使い過ぎると自分の首を締めかねませんからね……」
『そろそろ決まりそうだな………』
「………ああ」

To Be Continued・・・
149アメリカの人:2008/11/07(金) 15:15:33 ID:???
以上、第57話でした

今回は少し短めです

それでは!
150セッ子:2008/11/08(土) 21:17:27 ID:???
アメリカさん乙です。
ボスも実はオリキャラという意外性。
しかも紫外線操作というなんとも強く、倒しにくそうな能力。
期待しています。

さて、少ししてから投下しますよ。
151セッ子:2008/11/08(土) 21:29:51 ID:???
久々の平穏だった。
各々が自由に過ごす放課後。
俺と古泉はバックギャモンをして、セッコと朝比奈さんはルールは分からないがそれを覗いている。
長門はゆっくりとページを捲っている。
「平和だな」と紅茶を飲みながら俺が呟くと、古泉は笑いながら
「長く続きようもないんですがね」
分かってるよ。
そう答える前にあいつはやってきた。
「みんなーーー!揃ってる!?」
大声を上げて部室に飛び込んでくるハルヒ。
部員(+セッコ)がいるのを確認するとハルヒはこちらをお構い無しに続けた。
「これ見てよこれ!渡りに船とはこの事よ!!」
と手に持っているチラシをこっちに突き出しつつ叫ぶ。
もうちょっとおしとやかにできないのか、などは言えるはずもなくやっぱり俺の口の中で埋もれる。
突き出されたチラシには大きな文字で、
「町内サッカー大会、ですか」
「そう!!いい?狙うは優勝、ユース進出よ!!」
いつものようにひまわりのような笑顔を向けるハルヒ。
それに答えるように笑う古泉とセッコ。
無頓着な長門に、お茶を入れる朝比奈さん。
俺はというと、やっぱり頭を抑えてやれやれと呟くしかできなかった。

act8―団長からの第一指令:「草サッカー大会に勝利せよ!!」

オレのにっき抜粋
きょうはまちにまったふっとぼーるたいかい!!
しかしなんでこのくにのやつは ふっとぼーるを さっかーってよぶんだ?
きーぱーはおもしろくなかったけど おふぇんすはおもしろかったぜ!
あと じつはあのみかんのすじは いいやつだった。
あと てきもいた。こんびねーしょんぷれーもきめたぜ!
にほんではこういうとき「つばさくーん」とか「みさきくーん」ってさけぶらしい。
152セッ子:2008/11/08(土) 21:32:54 ID:???
たっぷりと保たれた沈黙を破って、いつものように俺がハルヒに事の次第を問う。
どうしていきなりサッカーなんだ。
「この前も言ったでしょ、我らがSOS団の名前を全世界区にするためよ!」
町内のサッカー大会に出たくらいじゃ全世界区にはなれないだろ。常識的に考えて。
俺がそういうとハルヒはせせら笑い、
「あんたはホント人の話を聞かないわね。いい?その耳かっぽじってよーく聞きなさい!」

ハルヒにより語られる今回の件についての発端。
「あの後考えたのよ」
あの後、これは前回の野球大会の時の後を指している。
「甲子園なんて出場しても所詮国内のこと、全世界区になりようがないわ。」
今も一生懸命練習している丸刈りの青年たちが聞いたら、確実に怒鳴られるようなことをのたまうハルヒ。
ここでこの馬鹿の代わりに謝罪しておきます。
「そこで考えたのよ。逆に全世界区の競技といえば何があるか、ってね」
そこで、サッカーか。
しかしハルヒはその俺の言葉に「違うわ」とだけ呟く。
「あたしも最初は安直にサッカーがいいって思ったわ。
でも、気づいたの。サッカーほど選手層が広い競技であたしや有希ならともかくみくるちゃんやあんたが通用するのか、ってね」
どういうことだ?
言っていることとやっていることがいつの間にか真逆になっている。
そこで少し間をおき、ハルヒはもう一度静かに話し始める。
「だから一度は諦めようとしたの。でもね!」
先程までとはうってかわって大きな声。
頼むから人の目の前でそのキンキン声でがなりたてないでくれ。
「この本を読んで私の考えは一転したわ!!」
そう言ってハルヒは一冊の本を突き出す。
これは確か、週間の少年誌に掲載されていた漫画だ。
ボールが友達だったり、体のどこでもいいから当てたり、吹っ飛ばされたり。
「実力がない、それはプロでの話。
ユースならまだまだいける、いやぶっちぎりよ!!」
かくして俺たちはまたまたハルヒの名の下に無茶をすることになった。
153セッ子:2008/11/08(土) 21:33:58 ID:???
「まぁ、大体の顛末は理解したよ」
俺の説明を聞き、首から下げているロザリオをいじりながら神父がそう言う。
「ただわからないのは『何で今君がここにいるか』だね」
放課後。
俺とセッコは先日訪れていた隣町の教会まで来ていた。
その理由はもちろん。
「いきなりですが、神父さんは今週末暇ですか?」
きょとんとする神父。無理もないだろう。
「つまり、私にも一緒に出場してほしいと?」
そういうことです。

サッカーはオフェンス(OF)・ディフェンス(DF)・キーパー(GK)の三つからなっている。
OF・DFはチームによりそれぞれ違うが総人数10人。
サッカーはそれにGK一人を合わせた11人でするものだ。
「この前のメンバーがいれば楽勝よ」とハルヒは言うが、ルール上コート内にメンバーが揃わないと試合は始まらない。
現在(仮)メンバーとなっているのはSOS団の5人、俺の級友の谷口と国木田、朝比奈さんの学友の鶴屋さん、それにうちの妹の9人。
小学一年生でもわかる。メンバーにはあと2人必要なのだ。
そのうち一人はすぐに決まった。
「メンバーが足りないって、セッコがいるじゃない。
大丈夫よ、地底怪獣に不可能はないわ!!」
からからと笑いながらそう言い放つハルヒ。
じゃあ、あと1人は?
その俺の問いにハルヒは珍しく言葉を詰まらせる。
そして、
「決めたわ。
キョン、あんたヘッドハンティングしてきなさい!!」
154セッ子:2008/11/08(土) 21:34:52 ID:???
その後のあらすじを伝えると神父は少し笑って
「君も大変だな、我侭な彼女を持って」
別に彼女じゃありません、それより予定のほうは?
「いや、私個人としてはぜひ出場したいよ。体を動かすのも好きだしね」
でも、と言葉を切り眉根をひそめる神父。
何か不都合でもあるんだろうか。
「君は新聞を読むかな?」
いつものように神父は唐突に質問をする。
「今朝の記事なんだが、ここを見てくれ」
神父はその新聞の一箇所を指さした。
【怪奇!?壁から飛んでくる工業用具!!
(本文抜粋)被害者の体にはボルトやナットなどの工業用具が埋まっていた。
致命傷を負っていないものの、貫通傷もあり、警察は殺人未遂の方面で犯人を捜している。
しかしこの事件の奇妙なところはその工業用具の打ち出された方向。
どの被害者の傷も傷口の方向には何らかの障害物が存在していて…】

神父が(きっとセッコにもわかるように)声に出して記事を読む。
…これは?
「スタンド攻撃だな」今まで沈黙を保っていたセッコが始めて口を開く。
スタンド攻撃。
耳を疑った。
確かに奇怪な事件ではあるが、こうもきっぱりと言い切れるものなんだろうか?
「やはり君もそう思うか」
紅茶を口に運びながら新聞を置く神父も、どうやら同じ考えにいたっていたらしい。
どうしてわかるんだ、との俺の問いにも二人はきちんと答えてくれた。
「奇妙過ぎンだよ」奇妙?
「ああ、この事件は腑に落ちないところが多い。
まずひとつ、使われている道具。工業道具を打ち出す鉄砲なんて存在しない。
ふたつ、犯行現場。どうして一般人に障害物のあるほうから攻撃できようか。
そして最後に、無差別なんだ。この殺人未遂事件は」
確信を持った瞳の神父は、やはりどこか怖かった。
155セッ子:2008/11/08(土) 21:36:51 ID:???
神父の言葉を受け取り、今度はセッコが続ける。
「しッかしよォ〜、ジャッポーネはもっと安全だって聞いてたんだがなァ。
何でこんなヘンピな町に悪さを働くスタンド使いが二人も居んだ?」
「類は友を呼ぶ、ということだろう」「ルイはトムを呼ぶ、パーティタァイ?」
そういって漫才のような会話をする二人。しかし俺には二人の会話に腑に落ちない点があった。
ちょっと待ってくれ。
「ン?どうした?」
何で二人なんてわかるんだ?
当然の質問だろう。現場も見ていないのに、二人の意見は最初から『複数犯』だと決まっている。
「少しこちらに慣れていて、そして少し考えればわかることだ」
こちら、きっとスタンドの事だろう。
「この事件のおかしなところは三つ。
『無関係な人間たちが』『障害物の方向から』『ボルトやナットを打ち込まれた』。
ここまではいいかい?」
神父が俺に確認を取る。俺は頷き、続きを促す。
「もし君が他人を殺したいと思ったら、君はどうするかな?」
彼らしい突飛な質問だったが、俺は答えない。いや、答えられない。
すると神父はふっと笑い
「それでいい。一般人とはそうでなきゃあね。
ただもし殺したい奴がいれば、確実に殺すだろう。自分の一番得意な武器で。
それが一人目。『ボルトやナットによる戦闘に自信を持っている者』」
「ンでよォ、そいつが確実に殺ろうとすると、ひとつ問題があるんだ。
それがきっと弾丸の確保か軌道の修正だ。」
セッコが続ける。
「壁の方面から撃たれたってことは、撃たれる寸前までボルトやナットは壁の前にあったッつー事だ。
つまり『殺傷能力を持った』一人目だけじゃあ能力が足りない。
おそらく犯人は『壁から工具を作り出す奴とそれに高速を与えられるほど強力な磁力を持つ奴』、
それか『ボルトやナットを高速で打ち出せる奴とそのボルトやナットを壁から打たれたように軌道修正する奴』になる」
俺は内心舌を巻いた。
奇人変人といってもいいこの二人が、えらく知的な解明をしていたからだ。
156セッ子:2008/11/08(土) 21:38:24 ID:???
セッコは椅子に深く腰掛け、机に足を乗せたまま続ける。
「たぶん実際は後に言った方、『打ち出せる奴と変える奴』のコンビだ」
その言葉を聞き、俺も神父も首を傾げる。
「だってよォ、壁から生み出すんなら、現場近くにいなきゃならねェ。人が近くにいたとすれば致命傷でも顔は覚える。
いや、致命傷だからこそ顔は鮮明に覚えてるハズだ。生存本能が働けばな。
でもそんな証言一切ナシ。どういうことか?」
「なるほど!」神父は合点がいったらしく声を上げる。
「そう言うこった」
セッコも頭を後ろにそらした状態で頷く。
今回の説明は、俺にも理解できた。
きっとセッコにとって常識よりもそういった戦闘関係の方が遥かに判りやすいんだろう。
セッコはそらしていた上体を起こし、神父にある提案をする。
「お前が本当にその犯人を見つけてェンなら、フットボールを一緒にしろ」
有無を言わせぬ、といった感じである。
この発言にもやはり俺は首を傾げる。どうしてサッカーをする必要が、と。
しかし神父は今回は合点がいっているらしい。
「つまり、そちらを手伝えばこちらも手伝う、と?」
しかしセッコは首を大きく横に振り
「違うな。そいつらはフットボール大会を確実に狙ってくる」
信じられない言葉だが、今のセッコの目は真剣そのものだ。
何がどうすればそんなことがわかるんだ?
「私にも理解できないな?」俺の意見に賛同するように神父も尋ねる。
「もし、こいつらが『一人』で止めてたら俺もこんなにはっきりと言えなかった。
でも、こいつらは『無差別』。きっと練習してんだろうな、『確実に操れるように』よォ。
んで今までは一対一、外して気付かれる心配がない。気付かれても顔は見えないしな。
じゃあ次に狙うのはどんな状況だ?」
多対一、人が多い状況での狙撃だろうな。
「そう、そこに偶然のフットボール大会。注意散漫な人間を打ち抜くにはもってこい。まさにタワシ船ってやつだ」
もう一度舌を巻く。
古人の言葉に『犯罪者こそ犯罪心理学の第一人者』という言葉があるが、こいつは今地でそれを行ったのだ。
ちなみに、『タワシ船』じゃなくて『渡りに船』だ。
157セッ子:2008/11/08(土) 21:39:57 ID:???
ということで土曜日。
「キョウ君の知り合いの、エンリコ・プッチだ。
今日は一日よろしく頼む」
恭しく頭を下げる神父。
その格好は平生通りの聖職服、とてもサッカーをしに来た人間には見えない。
「キョン…あんた、キリスト教徒だったの…?」
ハルヒはどうやら神父を見て萎縮してしまったらしい。
らしくなくおずおずと俺に尋ねてくる。
無理もないさ。身長180以上で褐色でミカンのすじな外人だ。
さすがのハルヒも度肝を抜かれただろう。
「いや、キョウ君はただの友達さ」
神父はいつものような笑顔でそう言う。
ただの、をつけるあたり怪しいよな。といった谷口は後で矯正しておこう。
「ふーん…とりあえず、選手は揃ったわね」
なんだかハルヒの視線が痛い気もするが納得してくれたようなのでよしとしよう。
「それでは、第一試合です。
『SOS団』チームと『北撫子』チームはコートの中に入ってください」
アナウンスがグランドに響く。
どうやらくじ引きの結果は『最高』の場所に俺たちを引き込んだらしい。
「少しいいですか?」
グランドへ向かおうとする俺の肩を古泉が掴む。
「対戦相手ですが、女性ばかりだといって油断しないで下さい。
彼女たちは過去三度にわたりこの大会で優勝を収めてきた、いわば本命馬です」
前回といい今回といい、よくもここまで初っ端から優勝候補とあたるもんだ。
もしかしたら、これもハルヒの能力の一環なのかもしれない。
当のハルヒはそれを知ってか知らずか、いつものようにグランドに向かいながら声を上げる。
「優勝一直線よ〜〜!!」
試合開始まで後、十分。

to be continued…
158セッ子:2008/11/08(土) 21:43:08 ID:???
以上、投下『した』!!
さて、ウィキ編集のほうの話を。
過去ログのほうを回せる方はどれでも構いませんので回して下さい。
できる限り編集していきます。
それでは、拙い文章ですが何かあれば。
159マロン名無しさん:2008/11/08(土) 22:07:52 ID:???
投下乙です
しかしキョンにセッコに神父……変なトリオだ、だがそれがいいw
160マロン名無しさん:2008/11/09(日) 16:52:24 ID:???
GJ!
知的なセッコ・・・。
平行世界から別の「セッ子」の情報でも流れ込んできたのか!?。
161マロン名無しさん:2008/11/09(日) 17:41:52 ID:???
セッ子先生の『キャプテン神父』が読めるのはこのスレだけ!

>>158
初代スレ無し&2スレ目の最後切れてるぽいけど…
ttp://www1.axfc.net/uploader/He/so/156726.zip&key=jojosos

余裕できたら俺も更新するんだよォォォ〜〜
162セッ子:2008/11/09(日) 19:30:44 ID:???
やったぞ…
僕にも『編集』できた…!!

ええ、これだけですとも。
あと、更新欄に入ってる「外伝 ジョジョの奇妙なクリスマス」は編集失敗してるので放置の方向で。
ページ名変更ができるのは初期編集者だけなので。
163セッ子:2008/11/09(日) 19:35:17 ID:???
言い忘れてました。

>>161さん。
過去ログ投下ありがとうございます。
164マロン名無しさん:2008/11/10(月) 08:11:20 ID:???
0・2・0〜

>>161
キャプテンなのか神父なのかどっちだよw
165アメリカの人:2008/11/12(水) 10:36:55 ID:???
第58話 「フラッシュポイント 2」

『ウェザーリポートッ!』
ウェザーは雪を凍らせて氷柱を何本も作り始めた。が、氷柱のできるスピードが遅く、かわされ続けている。
「……なんでだ?」
「恐らく奴が赤外線を強くしたんでしょう、作った氷柱が少しずつ溶けています」
見事なステップで攻撃をかわし続けた男がウェザーを射程距離内に捕らえた。
「終わりだ……ウェザーリポート」
『それはどうかな?』
ウェザーが横へ動くとウェザーの背後には既に巨大な氷柱ができていた。氷柱がさらに伸び、男の心臓目掛けて襲いかかる。が、
『グッ……フ………』
突如氷柱が光に貫かれ、ウェザーの胸へと突き刺さる。
「ウェザーッ!?」
「急所は外れたか……運が良いな」
今、何が起こった?光が突き刺さるなんて……。
「レーザーです……あれは間違いなくレーザーです」
「だ、だけどよ……レーザーは光の発振でできるものだろ?波長を変えただけじゃあ………」
男は倒れたウェザーを足で押さえ付けると俺達に向かって話し始めた。
「確かにそうだ普通ならできない……しかしウェザーリポートの能力を利用すればできる」
……どういう意味だ。
「水滴は時に光を反射する事もある、ウェザーリポートが作った氷柱を溶かし、その水滴を鏡にしてレーザーを作り出したというわけだ」
男はそう言うと話は終わったとばかりにウェザーへトドメを刺す体勢に入る。
「……待て、てめぇらに聞きたい事がある」
166アメリカの人:2008/11/12(水) 10:37:40 ID:???
「なんだ……?」
「てめぇらの目的だ……なんでハルヒを狙う?」
男は鼻で笑うと返事をした。
「何故答える必要がある?お前達はこれから私に始末されるだけだというのに」
「冥途の土産ってやつ………」
「嘘だな」
バレたか。いくらなんでも露骨過ぎたか。
「時間稼ぎだろう?その間に策を練ろうという魂胆だな……生憎だがそんな隙は見せない」
「いえ、それだけベラベラ喋ってくれたら十分です……ハァッ!」
こっそり鉄球を回収していた森さんが再び投げ付ける。
「怪我をして威力が落ちているのに無駄だ……ガードするまでもない、かわすので十分だ」
男は落ち着き払った様子でかわす。
「ハァッ!」
気にせず森さんが二発目を投げる。
「何をしているッ!可能性の無いわるあがきなどするな……素直に負けを認めればよいものを………」
「そうだな……てめーの負けだ」
「何を言って…グブッ」
その瞬間、神原がさっきかわしたはずの鉄球が後ろから命中した。その鉄球に気を取られた男は2発目の鉄球もかわせずにくらってしまう。
「馬鹿な……私はかわしたはずだ……何故………」
すると鉄球が飛んできた辺りから一人の女が姿を現わした。
「あたしが糸で鉄球の回転を受け流して跳ね返らせた……柔よく剛を制す、あたしの好きな言葉の一つよ」
「徐倫さんッ!」
167アメリカの人:2008/11/12(水) 10:39:01 ID:???
「空条徐倫……そうか、柳は負けたのか………」
男はどこか悲しそうな顔で呟いている。
「お前の負けだ、そのまま何もしないんなら再起不能ですませてやるわよ」
神原は徐倫のその言葉を聞くと不敵な笑みを浮かべた。
「負けか……なるほど確かにそうかもな……だが、私はそれでおとなしく引き下がる程利口では無いのでね、フラッシュポイントッ!」
すると凄まじい速さで日焼けが進み始めた。
『道連れというわけか……ウェザーリポートッ!』
ウェザーがオゾンで紫外線から俺達をガードする。が、その層のせいで俺達も身動きが取れなくなった。
「これを待っていた……確かに私は戦いには負けた。だがまだ捕まったというわけでは無い………」
神原はそう呟くと逃げ出した。
「追え!徐倫ッ!ウェザーッ!」
「言われなくても分かってるわよ、ウェザーッ!能力を解除しろ!」
『もうしているぞ』
徐倫が男の逃げた方向へスノボで追いかけ始めた。
「こちらです!徐倫さんッ!」
待機していた古泉は林道コースを指さして言った。徐倫は林道コースに入り、急なカーブを曲がった。すると、
「グッ………!?」
突如強烈な光が徐倫を襲った。
「光を操作して一点に集中させカメラのフラッシュのようにした……めくらましだ……」
徐倫の目が慣れ、神原の姿が見えるようになると、
「さらばだ、また会える時を楽しみにしていよう」
神原はスノーモービルで林道コースを下から上ってきていた。滑り降りている徐倫に追いかける事はできない。
「ちくしょお………」
当然怪我をした俺達やスキー初心者のキョンでは捕まえられない。
「逃げられた……か」

神原仁 フラッシュポイント 逃走‐依然生存

To Be Continued・・・
168アメリカの人:2008/11/12(水) 10:39:59 ID:???
見ても見なくてもいい履歴書

名前 神原仁
28歳 AB型 5月13日生まれ
性格 神秘的でカリスマ性のある外見と確かな危機管理能力、部下への意外なほどの気配り等組織の長に足る素質を合わせ持つ。
自分の感情などはあまり見せないクールな性格と見せて意外と熱血漢のようだ。
好きな食べ物 セイロンティー、コーヒー
嫌いな食べ物 甘いもの、特にケーキ
趣味 格闘技、ボクシングの観戦
外見 白髪に赤い目を持つ。色素欠乏症では無くスタンド能力の影響

フラッシュポイント
パワー A スピード A 射程距離 B
持続力 A 精密動作性 C 成長性 B
能力 光の波長をコントロールし、紫外線や赤外線を作り出す。
自分にも能力は及ぶため、白髪なのは自らの作った紫外線による影響のようだ
169アメリカの人:2008/11/12(水) 10:42:54 ID:???
以上、第58話でした

スタンド名の由来はローリングストーンズのアルバム「フラッシュポイント」から

ラスボス登場!アンド逃走!
暫くはSOS団の平和な日常となりそうです

セッコさんGJ!神父がサッカーwww
まとめ更新も実に乙です

それでは!
170マロン名無しさん:2008/11/12(水) 21:29:36 ID:???
ボス逃走でちょっと笑ったが、ジョジョ本編でも意外とボスって逃げるよな。
しかも強い能力持って帰ってくる。DIO様(ディオ)しかり、吉良しかり、神父しかり。
まさかこれも考えての上での逃走か?
ともあれGJ!!
171マロン名無しさん:2008/11/14(金) 17:03:42 ID:???
ほしゅあげ
172マロン名無しさん:2008/11/21(金) 00:08:48 ID:???
このスレの悪い所は雑談がないとこだろうな。
こんなんじゃすぐにスレが流れる。
173アメリカの人:2008/11/21(金) 10:41:24 ID:???
第59話 「‘イカサマ師’がいる! 1」

敵が3人も襲撃してきた次の日、あたし達は有希に付きっきりで看病するハルヒの
命令でペンションに閉じこもっていた。ちなみに昨日受けた怪我はハルヒの隙を
伺い治療をした。有希に負担をかけさせるようで気がすすまなかったが放置する
とハルヒにバレる危険がある。背に腹は抱えられないって奴だ。
「……にしても暇ねぇ」
ハルヒお手製の福笑いを終え、誰ともなしにそんな事を呟く。
「古泉君の推理ショーは雪が降らないと無理だって言って始まらないし、古泉君
準備で遊べないし、持ってきたゲームはほとんど全部やっちゃったし………」
「ゆっくりしとこうぜ、たまには休みもいいだろ」
ジジむさいな、キョン。
「うるせぇ」
「ねえ、有希何かマジックとかしてよ」
「なんで長門なんだ?」
「有希ならできそうじゃない、マジック」
マジックどころかほとんど何でも有りだけどな。
「あ、お茶いれましょうか?」
「朝比奈……酒持ってこい」
先程から負のオーラを放ち、部屋の隅っこでだんまりを決め込んでいたアナスイ
が言った。
「ア、アナスイ君何言ってるんですか!?」
「うるせぇ!さっきの福笑いといいすごろくといいトランプやUNO、全部俺ひ
どい目に会ってんだよ!」
「福笑いではあたし以外に妨害されてましたね………」
「大富豪はローカルルールをフルに使われて一枚も出せねえ………」
「七並べは徹底的に止められてましたし………」
「UNOではドロー2を一周させられて12枚も引かされる………」
「厄日だねイッ!アナスイ君ッ!」
174アメリカの人:2008/11/21(金) 10:43:37 ID:???
「あれ?鶴屋さん、それにウェザーさん、今迄何処にいたんですか?」
そう、鶴屋さんとウェザーは今迄ゲームに参加していなかった。それは……
『徐倫、準備整ったぞ』
「サンキューな。古泉の推理ショーの前にあたしの推理ショーがあるわよ」
そう、二人には推理ショーの準備をしてもらっていたのだ。
「でかしたわ!徐倫!あなたには勲一等勲章を送ってもいいくらいよ!」
「何処の国の勲章だよ」
「んじゃ最後の仕上げといくとするか、悪いけどもう少し待ってもらえる?」
ハルヒは満面の笑顔を浮かべて言った。
「いいけど、待たせたらその分だけ面白くするのよ!」
「ま、期待には答えてみせるわよ」

sideofキョン
徐倫の準備が整ったとの報せを受け、俺達は隣の部屋へと移動した。ドアを開けるとそこには、
「カ……カジノ?」
天井には趣のある装飾電球、床には赤い絨毯がしかれ、スロット等が壁に一列で並んでいる。半円でルーレットやマットがしかれたテーブルの向こうに徐倫はいた。
いつもの服ではなくタキシードのような服を着ていた。女性用のって上着に袖が無いんだな。
「ねぇ、徐倫……これの何処が推理ショーなのよ?」
「あのなハルヒ、推理って言っても殺人事件が全てじゃないのよ」
どういう意味だ?
「まーまー気にするなッ!キョン君ッ!楽しんでいけばいいサッ!」
別の部屋に引っ込んでいた鶴屋さんが戻ってくる。
「はぁ……分かりました鶴屋さん……ってなんですかその格好は!?」
175アメリカの人:2008/11/21(金) 10:44:10 ID:???
鶴屋さんはなんといつかのハルヒと朝比奈さんのごとく、バニーガールの格好をしていたのだった。うむ、ハルヒや朝比奈さんとは違ったよさがあ……って何を考えているんだ俺は。
「んふふ……似合ってるかいッ!」
「あ、ああ……はい」
「一回やってみたかったんだぁ、こういうカッコ!ハルニャンやみくるがよくコスプレしてる理由が何となく分かったさッ!病みつきになるねぃ」
「でしょ!さすがは鶴屋さんね!」
あいも変わらずハイテンションな奴等だ。見兼ねた徐倫が話を切り出す。
「……そろそろいいか?早くしないと時間無くなるわよ」
「分かったわよ、最初はスロットするわよキョン!」
え、あ、おい待てハルヒ!
「……有希、あたしとサシで勝負しないか?トランプ」
「………分かった」

ハルヒがいくらやっても当たらないスロットに飽き、徐倫と長門が大熱戦を終え、(結果はほぼ同じの勝率に終わったようだ)古泉を除く全員が半円テーブルに座った。
「……それじゃ今回の推理ゲームは……ズバリ‘イカサマ師を見つけろ’だ」
「何よそれ」
『これからポーカーの勝負を全員にしてもらう……ただし、メンバーの中に一人だけイカサマ師が混じっている。それが誰か当ててもらうのがゲームだ』
176アメリカの人:2008/11/21(金) 10:45:50 ID:???
「ちょっと待ってくれよ、それだと勝ちまくってる奴がイカサマ師ってすぐに分かるんじゃねえのか?」
『イカサマ師側はそれを悟られないようにイカサマをする……つまりわざと負ける事もあるという事だ』
「ちょっと待てよウェザー、俺や鶴屋さんはともかく朝比奈やキョンにイカサマなんてできるのか?」
「ああ、その点は心配無い。イカサマ師って言っても役柄だけだ……実際にイカサマするのはあたしだ」
って事は………。
「イカサマ師はお前に何らかの指示を出すって事か」
「キョン、珍しく勘がいいじゃない……その通り、それがイカサマ師を見つけるポイントね」
なるほどな。イカサマ師側は怪しまれない程度に勝ちつつ、バレにくい指示の方法をするわけか………。
「質問はこれぐらいでいい?んじゃ改めてルール説明するわよ」
徐倫は一旦言葉を切り、トランプをシャッフルし始めた。
「まず、イカサマ師役はあたし以外のこのゲームに参加する誰か……アナスイ、ハルヒ、有希、みくる、キョン、鶴屋さん、ウェザーのうちの7人よ」
あれ?鶴屋さんやウェザーは準備をしてたんじゃあ………。
「準備だけなのさッ!細かい点は聞かせてもらって無いからねぃ」
「5回勝負を行ってその間にイカサマ師を見つけれたら見つけた奴の勝ちだ……賭けた金が全部もらえる」
「待て待て待て待て、金を賭けるなんて聞いてないぞ」
「その方が面白いじゃない、ああ、誰も当てれなかったら金はイカサマ師の取り分以外はあたしにいくから」
………単なるゲームと思っていたがそうはいかなさそうだ。横を見るとお金が絡むと聞いて皆目の色が変わった。……つうか長門までやる気になってるぞ?情報統合思念体は長門へのお小遣いの額を決めさせてるのか?
……だが俺も負けるわけにはいかねぇ。タダでさえ金欠なんだ、ここで勝って一発儲けないとな………。

こうして騙し騙されのイカサマ師探しのポーカーが始まったのだった………

To Be Continued・・・
177アメリカの人:2008/11/21(金) 12:36:00 ID:???
以上、第59話でした

過疎ってるなぁ……うん、特に無いね

都合により一部読みにくくなっております。もうしわけありません

それでは!
178マロン名無しさん:2008/11/22(土) 11:13:48 ID:???
なぜかバニーガールバージョンのちゅるやさんしか想像できん!
179セッ子:2008/11/26(水) 20:30:06 ID:???
乙です。
カジノ…
徐倫と長門の独壇場の気が…

投下はできません。ちょっとリアルが立て込んでてですね。
ただ更新はしておこうと思いまして。
そこで質問です。
過去ログはまとめに載せるべきですか?
180マロン名無しさん:2008/11/27(木) 12:51:44 ID:UGtBEs9E
あれ?載ってなかったっけ?
181マロン名無しさん:2008/11/28(金) 08:32:25 ID:???
スレまるごとと話のみ抽出の2種類あればいいんじゃね
182アメリカの人:2008/11/28(金) 23:01:12 ID:???
過去ログは乗せるべきだと俺は思いますよ

流れをぶった切るようですが投下です

183アメリカの人:2008/11/28(金) 23:03:40 ID:???
第60話 「‘イカサマ師’がいる! 2」

第1ゲーム
徐倫がトランプを配り始める。
「あ、いい忘れてたけどジョーカー有りよ」
キ「先に言えよ………」
俺の札はブタだった。横を伺うが、皆表情からは何も読み取れない。
キ「徐倫、3枚変えてくれ」
み「あ、徐倫さん……わたしも3枚で」
ア「俺は2枚だな」
ハ「ふうん……本当?だったらあたしは2枚頼むわ」
『俺は変えない……』
鶴「あたしもさッ!」
ナ「2枚」
「みんな一斉に言い過ぎだ……まあいいわよ」
徐倫が配り始める。全員怪しげな動きをしていないか目を凝らすが……特に変な様子は無い。
ア「コールだ……1000円かける」
アナスイが配られたカードを見てコールをかける。なかなか大きく出てきた。……参ったな、ワンペアしかできてねえ。
キ「悪い、ドロップだ」
鶴「ここは降りるのが吉かねぃ……ドロップさッ!」
『俺も降りる』
ナ「コール」
み「コ、コールです」
ハ「みんな情けないわね……レイズよ!さらに1000円!」
な!?随分大きく出やがったなハルヒの奴……らしいといえばらしいが。
ア「グッドッ!それぐらいじゃねーとな……OK受けるぜ………」
み「う……うう、レイズです」
……アナスイとハルヒの一騎打ちか……。二人を見ていると俺はある事にきづいた。アナスイが指でテーブルを叩いている。……癖か?いや、それとも………。
184アメリカの人:2008/11/28(金) 23:05:00 ID:???
ハ「勝負ッ!」
ア「ハートのフォーカードだ」
かなり強い役だ。なるほど、これなら大きく出たのも納得がいく。
ハ「残念ね……ダイヤのファイブカードッ!」
いきなりとんでもない役出しやがったなハルヒの奴……まあ、ハルヒならありえそうな話だけどな。

第2ゲーム
さて、さっきのゲームはいきなりハルヒが馬鹿当たりをして勝ったわけだが………。
ハ「フッフーン……調子いいわねあたし、だったらこのままガンガン行くわよ!徐倫カード配って」
「はいはい分かったわよ………」
徐倫がカードを配っていく。もしかしたらイカサマをしながらの配り方なのかもしれないが全く分からない。配られたカードを見るとクラブのKでスリーカードができていた。なかなか強い。
キ「2枚交換だ」
長「……3枚」
『俺も3枚でいこう』
み「あ……あたしは2枚です」
ハ「そんな消極的でいいの?みくるちゃん……あたしは2枚よ」
鶴「そういうハルニャンも消極的じゃね?あたしは5枚さッ!」
……随分大胆に出たな、鶴屋さん。それともイカサマ師だから大胆に出れたのか?
ア「……………」
アナスイは指でテーブルを何回も叩いていた。
ア「4枚だ」
アナスイも随分強気だな……やれやれ、誰がイカサマ師か疑いだしたらキリが無い。配られたカードをおもてにすると、ハートの5で見事にフルハウスができていた。
キ「コール、2000円だ……チェンジはいらねぇ」
フルハウスはかなり強い。十分強気に出て構わない役だ。
み「……ドロップです」
長「ドロップ」
『俺も降りておく』
鶴「みんな弱気だねぃ……そんなんじゃ勝てやしないよ……コールさッ!2枚カードくれよ、徐倫ッ!」
ハ「コールに決まってるじゃない!SOS団団長は前進制圧あるのみよ!」
どこの聖帝だてめーは。
ア「………レイズだ、さらに1000円のせる」
185アメリカの人:2008/11/28(金) 23:06:04 ID:???
アナスイの奴……トランプ弱いのに強気に出たな……いや、イカサマ師だからこそ強気に出れたのか?とにかくこいつも要注意だ。
キ「受けてやるよ……アナスイ、コールだ!」
ハ「その程度であたしがビビって降りるとでも思ったの?コールよ!」
鶴「受けてたつさッ!アナスイ君ッ!コールッ!」
全員レイズしない当たり大勝負は避けてるな。
「んじゃ……オープンしてくれる?」
結果は俺がフルハウス、鶴屋さんがストレート、そしてアナスイとハルヒが……
ア「クラブの8のフォーカードと……」
ハ「ダイヤのJのフォーカード………」
僅差でハルヒの勝利に終わる。
『侮れない勝負だな………』

第3ゲーム
ハ「さっ、速くしましょ徐倫……時間もったいないじゃん」
「分かったわよ、チャッチャとするわよ」
徐倫がカードをスムーズに配る。俺の札は本日2度目のブタ。しかも少し何か見込みのあるブタならいいが、そんな気配は微塵もしない。
『4枚だ………』
み「2枚です」
長「……1枚」
キ「3枚だ」
ア「4枚」
ハ「徐倫、速く2枚……分かった?」
鶴「3枚さッ!……さっきから気になってたんだけどさッ!ハルニャンな〜んか怪しくない?」
ハ「……何がよ」
鶴「いや、妙に前置きして話すなぁ……って、まるでディーラーに何か訴えてるみたいニョロ!」
ハ「そういう鶴屋さんだって無駄に多く喋ってるじゃない、ウェザーさんみたいに口数少なくした方がいいんじゃない?」
186アメリカの人:2008/11/28(金) 23:09:10 ID:???
こうなると疑惑が疑惑を呼び始める。
ハ「……そういえばアナスイ、あんたも怪しいわねぇ………」
ア「何がだよ」
『トランプが弱いはずのお前があれだけ強気に出る……誰だって怪しむ』
ア「ツいてるだけだ……ならウェザー、お前はどうなんだ」
『どういう意味だ?』
ア「お前さっきから他の奴の事怪しみすぎだ……まさかイカサマ師じゃあ無いだろうな?」
『……まさか』
み「み……みんなそろそろゲームに戻りましょうよ………」
朝比奈さんの一言で皆一旦口論を止め、再びカードの交換を始める。
ア「2枚だ……コールッ!3000円だ」
『……受けてたとう………コールだ』
……二人共嫌に強気にでた。仕方ねえ、ブタだし降りるか。
キ「ドロップ」
み「うう……ドロップです………」
長「コール。3枚交換」
鶴「受けてたつさッ!コールッ!2枚交換」
ハ「………んじゃ、あたしもコールよ、ほら3枚よこして」
そして全員がカードの交換を終え、オープンする。鶴屋さんがフルハウス、長門がフォーカードとかなり強めの役が揃った。が、
「ストレートフラッシュが三人もか………」
ハルヒ、アナスイ、ウェザーの三人はめったに出ないであろうその強力な役を揃えていた。勝負はKからのストレートフラッシュだったウェザーの勝利だった。
キ「……お前ら三人のうち誰かがイカサマ師って事か………」
ハ「多分……そうなるわね」
徐倫が開いたこのゲーム、どうやら一筋縄ではいかなさそうだ。

To Be Continued・・・
187アメリカの人
以上、第60話でした

今回は会話が多い上にたくさん人がいるので混乱しないように徐倫とウェザー以外は冒頭に判別できるように一文字つけました

セッコの人はリアルの都合で投下できないんですか………ゆっくりまってるんで焦らずかいてください!

それでは!