「何で連載終了したはずの漫画のスレに、スレ住人が2人もいるんですか?」
「いやはは…俺は今からSS投下でね」
「あー俺は前スレ閉めたから」
「えっ?」
「スレッドチェンジ?」
「だってほら、スレ番号違うでしょ?」
そーゆー問題ではない。
やっぱりチト苦しいな、台詞のもじりネタ。
次やる時もネタは「くじアン」第2巻の巻末漫画(あるのか?)か、はたまたアニメの台詞か…
そんな事より、シリーズ物から新作まで幅広いジャンルのげんしけんSSスレ。
遂に来ました第14弾。
未成年の方や本スレにてスレ違い?と不安の方も安心してご利用下さい。
荒らし・煽りは完全放置のマターリー進行でおながいします。
本編はもちろん、くじアンSSも受付中。←けっこう重要
☆講談社月刊誌アフタヌーンにて好評のうちに連載終了。
☆単行本第1〜9巻好評発売中。オマケもすごかった!
☆作中作「くじびきアンバランス」漫画連載&アニメ放映終了!いい出来でした!
前スレ
げんしけんSSスレ13
http://anime2.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1171903993/
2 :
>>1の続き:2007/07/29(日) 16:04:31 ID:???
3 :
>>2の続き:2007/07/29(日) 16:06:07 ID:???
>1
スレ立て乙です!
>スレ住人が2人
読んでる人はもっと、またSS書きたいと思ってる人はもっといるZO!
「……でSS書きに復帰できるっていつよ?」
「全く見当がつきません」orz
…またそのうちまた投下しに参ります…夏越えたら…。
進行形で書いてる方たちがんばってください。いつも楽しく読ませてもろてます。
, -‐  ̄ ̄`' ‐-,,
/::::::: /´ ゛ヽ::::::::::\
/'::::::/ / ヽ::: i:::ヽ
/.::::,r':从j -ー l::: }::::: l / _ / / ─ _/_
,'.:::、イ :!il ´● ヽレルi:::: |  ̄/ ̄ ___ ─/ ̄ ̄\ ─/──、\ /___. / \ / /
l .::::!、| :⊂⊃ ●゛i(⌒\  ̄/ ̄ / // / ./ / / / / /
l.:::::::::| ::|l ,__, ⊂ヘ iy ゙ |_/ _/ / _/ / _/ __/ /二/ ̄ / _/
l.:::::::_| ::|>ィ `´ _、ゝ,、ス\ )
l.::::::_l'、.|ァ^'イーT゛ i ::::l| \>'
i' ,.,r' ゙il\゙i::゙i三|::ッ'l ::::l|t,,/
ij: | ,ミ_::::ヒi:::∨ッ l ::::l|::|
追えなくなって溜まった所に「Error:削除かあぼーんでログが詰まった可能性が有ります」
ってことでもうわからない状況になってたのですが、これでわかるように・・・!!
>>1乙&再度立て感謝です
ともあれ
>>1乙乙
おいらも頑張るぜいby書き手の一人
絶対帰ってくる。書き手としても、読み手としても。
8 :
おたく工場の人:2007/08/01(水) 21:03:21 ID:???
>>1 乙です。
なんか書き手の予備軍が沢山いることがわかってうれしいなあ。
またかつての賑わいが戻ってくることを信じて続きを投下します。
次の日
完士くんが雪の降る中歩いていると、ふと前方に二人の人がいるのに気づいた。
一人は以前、お金を落として困っていた小さな女の子である。
もう一人は小柄で痩身の男性である。
分厚いコートに身を包み目深にかぶったシルクハットと首にまいた
ぶあついマフラーで顔が隠れてよく見えない。
女の子は男の後ろに半分姿を隠し、じっと完士くんをみつめている。
「あの人です。」
と小さな女の子は完士の方を指差した。
「キミが落としたお金を拾ってこの子に渡した男の子だね?」
と男が聞く。
「はい」
完士くんが答える。
「ありがとう。とっても助かったよ。お礼といってはなんだが、これをプレゼントしたいんだ。」
そういって男は完士くんに紙に包まれてリボンをした箱を差し出した。
「えっ・・・いいすよ。そんなたいしたことしたわけじゃないし・・・当たり前のことしただけですから。」
「・・・残念だな。せっかくの巷談社の『くじアン』アニメ化決定記念限定トレカなのに。」
「え」
「しかもレアカード橘いづみのサンタバージョンが入っている。」
(ほ・・・ほしい)
この男がプレゼントとして渡そうとしているものはおそらく今、ここで受け取らないと
一生、手に入れることはできないであろう。そう思うと完士くんは断れなくなってしまった。
完士くんが迷っているのを見て男は言った。
「こーゆう時はもらっとくもんだよ。」
(えっ・・・そーなのか そーゆうもんなのか・・・・)
ちょっとパニくる完士くん。
「ほら君の顔にどうしても欲しいって書いてあるよ。無理せずもらってくれよ。」
確かに完士の顔には(ほしい)という表情がありありと出ていた。
「あ・・・じゃあ・・・すいません・・・遠慮なく・・・」
そういうと完士は男の差し出したプレゼントを手に取った。
男と女の子はプレゼントを完士くんに渡すと「それじゃ楽しみにしててね」といってその場を去る。
別れ際に女の子が手をふって
「また会いましょう」
といった。
家に帰ると早速、完士くんの持っている品物が総一郎父さんの目に留まる。
「どうしたんだ?それ」
そこで完士くんは今までのいきさつを話した。
「その中におたく工場の招待券が入ってないかしらねえ・・・」
加奈子母さんがため息交じりに言う。
「ははは・・・おたく工場の招待券はもう全部出たじゃん。」
そういって完士くんが封を開けると中から紙が1枚、落ちてきた。
(あれ?)
なんだこれはと思って拾ってみると紛れも無くおたく工場への招待券であった。
「おい!これ招待券じゃないかっ!!」
総一郎父さんが驚いて拾う。
「何っ!!」
今まで元気なく寝ていた晴信爺さんが起き上がって眼鏡をかけ、総一郎父さんが
拾った紙切れをまじまじと見つめる。
「でももう5枚全部出てたはずよねえ。」と加奈子母さんが頭に?をだしながら言う。
「よ・・・よくできた・・・レ・・・レプリカじゃないかな?」と光紀じいさん
その時、恵子がたまたまつけたTVから北川レポーターの声が聞えてきた。
「えー。レポーターの北川です。突然ですが緊急ニュースです。
先日、ウォンカさんの5枚目の招待券が出たというニュースですが、
招待券はニセ物で偽造したものだと判明しました。」
みんな、一斉にTVの方を振り向く。
「偽造したんですよね。あなたが?藪崎さん。」
北川レポーターは舌鋒鋭く太った女にマイクを向ける。
「す・・・すいません・・・」
藪崎は消え入りそうな声で話す。
「で・・・出来心やったんです。ウォンカさんの工場へいくのはわいの・・・わいの夢やったんです。」
藪崎は目に涙をためながら弁解する。
しかし、北川レポーターは不正を許せない性格だ。
そのうえ今までのレポートで積もり積もったストレスが爆発した。
「あなた、そんなことしていいと思ってるんですかっ!!
招待券を偽造するなんて犯罪ですよっ!!犯罪っ!!
ホントにオタクって奴ぁ常識を知らないっ!!
自分のやったことを胸に手を当てて深く反省しなさいっ!!」
手足を振り歯をむき出しにして藪崎を攻め続ける。
藪崎は床に膝をつき、消え入りそうになって謝り続けていた。
「すんません。ほんまどうあやまってええかわかりません。すんません。」
しかし、一旦、火のついた北川は止まらない。
ますますヒステリックに喚き続け、責め続けた。
慌てて例のガタイのでかい男が現れて
「北川さん。やりすぎ・・・そこまでにして」
といって北川レポーターを止めに入るが、なかなか北川さんは止まらない。
どうしていいのかみんなおろおろしていると つと加藤が前に出てきた。
怒鳴り続ける北川の顔面に自分の顔をぐいと近づけ顔の前面にかかっている髪を手で払いのけた。
そこから現れたのは切れ長のキラキラ光る瞳を持った見まごうばかりの美女であった。
想像もしなかった美人にさすがに北川も息を止めその場に硬直する。
TVカメラもアップでその顔を撮影しているので完士の家族もみなTV画面の前で息を呑んでいる。
「藪崎のやったことは謝っても許していただけないことだとは思います。
でも、それだけウォンカさんの工場に行きたいという思いが高じてやったことなの。
私も友人として藪崎の代わりに謝ります。藪崎も深く反省していますので
このへんで許してやってくださいませんか?」と凛とした澱みの無い声でしゃべる。
キラキラまぶしいほどに光る眼に見つめられさすがに北川レポーターも毒気を抜かれた。
ただほうけたような表情となり「・・・はい」と答えるのみだった。
加藤はサっとシャッターをおろすように前髪を元に戻すと「いくよ」といって
その場でひざまずいていた藪崎を立たせるとその場を去っていった。
ぼうっとTVを見ていた完士たちははっと気づいた。
「あの招待券が偽物ということは本物は・・・」
皆の視線が完士の持っている招待券に集中する。
「これが本物だ」
やっほー!!といった感じで何かが爆発したように抱き合って喜び合う完士くんの家族
「で、いつなんだ?おたく工場へ行ける日は?」と晴信じいさん
「明日・・・ウォンカさんの工場の門前に朝9時集合だって・・・」
「で、一人は完士としてもう一人は誰が行くことにする?」
家族全員が顔を見合わせる。
「はい!!はい!!はい!!はいっ!!」
晴信じいさんが必死で手を上げてアピールする。
「だってウォンカさん知ってるのは俺だけだし。
昔、工場に勤めてたし それに歳で明日死ぬかもしれないしっ!!
今回が最後のチャンスだしっ!!」
手足を振り回し必死にアピールする晴信爺さん
家族みんな晴信じいさんを見、続いてお互いの顔を見合う。
「・・・しようがないっか」
晴信じいさんは喜びのあまりベッドから飛び出てハルヒダンスを踊りはじめた。
「・・・晴信じいさん いつもにましてハイですね」
「冬だからな!」
翌日、工場の門前に5組10人のウォンカさんに招待された人間がズラリとそろった。
1組目は朽木くんと沢崎くん
2組目は中島と原口
3組目がスーとアンジェラ
4組目が高坂と咲
5組目が完士くんと晴信じいさん
お互いがお互いの顔を見合いじっと正面の工場の門が開くのを待っていた。
スーが「バカバッカ」と言って一緒にいるアンジェラに「これスー」と言ってたしなめられる。
やがて9時になり工場の鉄門がゆっくりと開く。
その中には広大な前庭が広がっている。
「中へお入りください」
工場の中からスピーカーで案内の声が聞える。
招待された者はお互いの顔を見つめあいながら工場の前庭へと足を踏み入れる。
横に一列になって工場の入り口に向かってゆっくり歩く。
思ったよりも中は広く進んでいるようでなかなか進まない。
やがて工場の入り口に到着する。
正面のドアがいつ開くかとみんな緊張して様子をみるが何も起こらない。
みんなジリジリして待っている。
と突然、庭中に鳴り響く荘厳な音楽があたりに鳴り響く
皆、慌てて何事が起こったのかと周りを見まわす。
と ゴゴゴゴゴゴゴ という地鳴りが鳴り 地面が揺れだす。
「じ・・・地震?」お互いに顔を見合わせたり抱きついたり地面に伏せたり
それぞれが対応していると、前方の地面がむくむくと盛り上がりいろんなダクトを
周りに装着した巨大な金属の球体が姿を現す。
金属の球体はダクトをはずし濛々とした煙に包まれながらモリモリモリといった感じで
徐々に姿を現し、そのほぼ全体をみなの目の前に聳え立たせる。
招待されたものはみな唖然として心の中でつぶやいた。
(・・・アキラかよ・・・)
と球体の頂点の蓋が開き中からシルクハットを被り燕尾服・杖・手袋をした一体の人形が
スーっと上がってくる。
人形から機械の声が出る。
「ヨバレテトビデテジャジャジャジャーン」
みなあまりに古いネタにしらけて呆然となる。
人形もそのしらけた雰囲気に気づいたのか暫くなんとも形容のしようのない間があく。
暫く間が開いた後、ようやく人形がしゃべりはじめた。
「オタクコウジョウヘヨウコソ」
そういって丁寧にお辞儀をする。
人形が深々とお辞儀をしたとたん ドッカーン!!という物凄い音と供に閃光が閃き球体が爆発する。
爆煙があたりをおおい みなケホケホと咳をする。
爆煙で視界が悪い中、顔が煤で汚れている顔をお互いに見あっていると
横でパチパチと拍手する音が聞こえる。
その音のする方を見るとさっきの人形と同じ姿格好の男・・・
シルクハットを被り燕尾服・杖・手袋を身に着けた犬顔をした小柄で年齢不詳の男が
一人拍手をしている。
皆がその男に気づくと男はつかつかと皆の前に歩み出て丁寧にお辞儀をしてから挨拶を始めた。
「もう新1年がいるんだねぇ 現視研にも新会員来るかな ん・・・それはやだな」
男がそういってみんなを見渡すと全員言っている意味がわからずポカーンとした顔をしている。
ただスーが一人「ジーク、ジオン!!」と片手を上げて返事をする。
皆の雰囲気を察したらしい男はゴホンっと大きな咳払いをしてから
「ようこそおたく工場へ 私がオーナーのウィリー・ウォンカです。」
とようやく自己紹介した。
スーが早速反応する
「トオウ アナタガワタシノマスターカ」
ウォンカさんはちらとスーの方に目をやったが、すぐに招待されたみんなをざっと見渡す。
「みなさん 僕の後についてきて。」
そういうと爆発して半分破壊された球体の横をすりぬけて入り口の方へ歩きはじめた。
とウォンカさんのところに晴信じいさんが追いついて言葉をかける。
「ウォンカさん。わしのこと覚えてますか?」
「ん?」という感じで振り返るウォンカさん。
晴信じいさんの顔をまじまじと見る。
「覚えてないねえ」
「15年前、工場で働いていた時にお会いしたでしょ?あの時、初代会長とお呼びしていたかと・・・」
するとウォンカさんの眉間に皺がより
「キミ、スパイだった人?」と尋ねる。
晴信じいさんは慌てて首を振る。
「そう。スパイじゃなかったんだ。ならいいや。」
とウォンカさんは何事も無かったかのようにまた前を向きスタスタと歩き始めた。
自動ドアだろうか自然に開いた入り口から工場へ入る。
みんなもそれにつられるように工場の中へ入っていった。
今回は以上です。
続きをお楽しみに
>完士とおたく工場
リアルタイムで読みました。
新スレのトップバッター乙です。
招待券の偽物という辺りで、てっきりクッチーだと思ったのですが、ヤブさんでしたか。
ごめんねクッチー。
>「ヨバレテトビデテジャジャジャジャーン」
30歳以下の人には分かるかのう、このネタ?
私?本放送も見てた世代です。
知ったな!
私がこのスレの長老と知ったな!
次回、楽しみにお待ちしております。
>完士とおたく工場
おっつー☆
てゆーか同伴じいさんかよw
ウォンカさんの正体は大方の予想通りと存じますがこのヒネっぷりがかわゆうございました。
いよいよ工場突入かぁ。引き続き頑張ってくださいまし。
>>20 ふっふっふ。
「俺こそこのスレの長老だ」と思ってる人間は、俺とあなたと作者氏だけではないと思うぞw
>完士とおたく工場
トプバタ乙!
そうきたか…w>加藤さん
元の映画見ていないので、続きがどうなるのかわかんなくてwktkします。
ところで、
>「・・・晴信じいさん いつもにましてハイですね」
>「冬だからな!」
ここの一文はうまいですねw
晴信じーさんの今後の活躍が楽しみです!(そこかよ
さて、新スレ1発目を投下しようと思います。
今回は前スレが過去ログ行きになった以降に備え、前回までの話やシリーズオリジナル設定、それに前スレ
>>541さんのご要望に応えて、元ネタ付きでの新1年生紹介を投下してから本編投下しようと思います。
ではまた後ほど。
・荻上会長政権下での新1年生は11人で、さらに秋からはスーとアンジェラも加わります
・部室はサークル棟屋上にプレハブ小屋を建てて移転しました
・荻上会長は、秋から「月刊デイアフター」で連載を開始します
・笹原は3人の漫画家の担当を兼任しています。
(厳密に言うと、上の2人にはメインの担当が居て、笹原はそのアシスタント的存在)
A先生 実話系雑誌でヤクザ漫画を描いている、元裏社会の住人(と言われている)
秋からヤオイ同人誌をシノギにするテキヤを描いた漫画を連載開始
B先生 分かる人にしか分からないギャグ漫画を描いてる中堅漫画家
メンヘル気味で時々自殺を図る
C先生 椎応の現役の学生で漫研の会員
その為笹原、部室にもよく顔出します
・斑目は原作(厳密には「くじアン」の単行本のおまけ巻末漫画)では会社辞めましたが、すぐに社長に連れ戻されました
(この辺の経緯は「帰ってきた斑目」参照)
・斑目は4月から外回りの仕事も手伝うようになったので、昼休み以外の時間にも部室に来ます
・斑目は1年生たち(主に女子)からシゲさんと呼ばれています
(パトレイバーのシゲさんと共通点が多いから)
・クッチーは去年の秋頃から空手を習っていて、黒帯の腕前です
・クッチーは児文研と掛け持ちしており、児文研会長を「お師匠様」として崇めています
(この辺の経緯は、「あやしい2人」とリレー企画参照)
・クッチーは女性に殴られると3倍にパワーアップします
・春日部さんのお店は、開店が夏まで遅れました
・スーが日本語で喋る時の口調は「押忍、〜であります!」が基本です
・スーは荻上会長のことを「センセイ荻上」と呼びます
・スーは漫画やアニメやゲームばかりでなく、何故か特撮や映画にも詳しいです
・アンジェラが日本語で喋る時の口調は「〜あるよ」「〜あるね」という中国人風です
・アンジェラも何故か映画には詳しいです
ただしハリウッド系のみで、これに対しスーは日本の映画にも何故か詳しいです
・藪崎さんは、夏コミで斑目に一目惚れしました
・加藤さんは、夏コミで斑目に前髪開けられた為に、意識するようになりました
・加藤さんは、空手か何かやってる様子です
(チョップ1発で藪崎さん気絶させたり、500円玉を指で曲げたりします)
・藪崎さんの後輩の猫顔の女の子は、本シリーズではニャー子と呼称します
・ニャー子は夏コミの頃から1年生の伊藤と付き合い始めました
豪田蛇衣子
キャラクターモデル 「ドラえもん」の剛田ジャイ子
腐女子四天王(クッチー命名の腐女子4人組の通称)のリーダー格。
小学生の頃から少女漫画を描いていて、投稿作品が何度か賞を取っている。
大柄で太めなゴッグのような体格。
台場晴海
キャラクターモデル 「さよなら絶望先生」の藤吉晴美
四天王の副リーダー格だが、腐女子属性はむしろリーダーより濃い。
珠算と簿記の資格を持つ、銭勘定に細かい会計担当。
見た目秀才っぽい、スレンダーなメガネっ子。
沢田彩
キャラクターモデル 「彼氏彼女の事情」の沢田亜弥
四天王の1人で、絵は初心者だがストーリーの構成力や台詞回しに秀でる。
元々は小説を書いていた。
ショートカットで色白の文芸少女。
巴マリア
キャラクターモデル 「おおきく振りかぶって」の百枝まりあ
元ソフトボール部の体育会系腐女子。
夏ミカンを握り潰せるほどの握力の持ち主。
長い黒髪の美人で、大野さん並みの巨乳。
神田美智子
キャラクターモデル 「かってに改蔵」の神崎美智子
元隠れオタだが、実は家族全員が同人誌作る側のオタクである、オタク一家の長女。
ペン習字1級の腕を生かし、書記を担当している。
真ん中分けショートカットの美少女。
国松千里
キャラクターモデル 「究極超人あーる」の国枝千里
元々は特撮オタで、アニメや漫画のオタとしては初心者。
現視研コスプレ部門に着ぐるみという新ジャンルを導入した仕掛け人。
垂れ気味の大きな目のロリ顔美少女で、体も小柄なロリ体型。
日垣剛
キャラクターモデル 「究極超人あーる」の曲垣剛
元野球少年でポジションは投手。
気弱で大人しい初心者オタで、国松の良き相棒。
身長185センチで顔は面長の、クッチーの後継ぎ的肉体派。
有吉一郎
キャラクターモデル 「究極超人あーる」の有島
高校時代は漫研なので絵も描けるが、腕より理論が先行するタイプ。
人前でアジ演説風に喋るのが好きで、ミーティングでは議長を務めることが多い。
いかにも理屈先行型オタという風貌のメガネ君。
伊藤勝典
キャラクターモデル 「究極超人あーる」の伊東
ちなみにこの伊東のモデルは実在の人物で、脚本家の伊藤和典。
高校時代(有吉と同じ学校だ)は文芸部で脚本家志望。
猫顔で、動作も猫に似ていて、喋る時も語尾に「ニャー」とつけたりする。
浅田寿克
キャラクターモデル 「究極超人あーる」の浅野
高校時代は写真部で、コスプレ撮影会に参加したのがきっかけでオタ道に入る。
1年生会員たちの会話ではツッコミ役になりがち。
神経質そうなメガネ君。
岸野有洋
キャラクターモデル 「究極超人あーる」の岸田
浅田と同じ高校出身で、部活も写真部だった。
長年の裏方的な生き方のせいか、裏方仕事になるとテキパキ動く、縁の下の力持ち。
リーゼント風のひさしの目立つ髪型以外に取り立てて特徴が無い。
西暦2006年、荻上新会長政権下の椎応大学現代視覚文化研究会は、11人もの新入会員(厳密にはスーとアンジェラを入れて13人だ)を迎えて再スタートした。
快進撃を続ける新生現視研の新たなる戦いのフィールドは、学祭で上映する映画の制作だ。
@スーがクルルのコスを希望
A荻上会長、沢田、国松、そして「やぶへび」のニャー子も加えてのケロロ小隊コス
B夏コミで使ったベムとアルの着ぐるみコスも交えた「ウルトラファイト」風映画制作
Cケロロ軍曹の実写の劇映画制作
以上の順番で発展していった映画制作の話だが、思わぬ問題が発生。
誰もが監督をやると思っていた、現視研の特撮王国松が、スーツアクターであることを理由にこれを拒否。
結局くじ引きで決めることになったが、当たりくじを引いたのは何と恵子だった。
その後いろいろあって監督を引き受ける破目になる恵子。
その第一の試練は、スー提案による淀川長治流映画監督養成術の奥義「同じ映画を10回見る」だった。
国松お薦めの特撮映画を連続で10回見る破目になった恵子。
果たしてその映画とは何なのか?
果たして現視研の映画制作は成功するのか?
どうなる現視研!
どうする荻上会長!
どうする恵子総監督!
現視研の明後日はどっちだ!
第3章 笹原恵子の特訓
テレビの画面には、モノクロで東宝のマークが映っていた。
恵子「おい、テレビ故障か?白黒じゃねえか」
国松「白黒ですよ。何しろ半世紀以上前の作品ですから」
恵子「…何を見せる気だよ?」
国松「ほら、タイトル出ますよ」
先ず「賛助 海上保安庁」と字幕スーパーが出た。
続いて何かがきしむような生き物の咆哮と共に音楽が始まる。
伊福部昭作曲の有名な旋律に乗って、タイトルの文字が出た。
一同「ゴジラ?!」
国松「そう、昭和29年封切りの第1作目!」
「やれやれ、すっかり昼飯が遅くなっちまったな」
例によって斑目は、弁当を持って部室にやって来た。
「今日は誰か居るかな?まあ夏コミ済んだとこだから、誰も居ないかもな」
部室の中から物音が聞こえる。
何かビデオを再生してるらしい。
「どうやら誰か居るようだな。(部室のドアを開け)うぃーす」
誰も斑目に反応しなかった。
全員(藪崎さんと加藤さん含む)テレビの方に向かっていた。
テレビの画面の中では、ゴジラが松坂屋を破壊していた。
『ゴジラ?何で部室でゴジラ?』
チラリと国松を見る。
『まあ多分持ってきたのは彼女だな。それにしても、全員が夢中で見てるってのは…』
とりあえず隅っこの席に座り、昼飯を食べ始めた。
食べながら会員たちの顔を見渡し、あれこれ考えを巡らせた。
『あれっ?、よく見るとスーとアンジェラも居るな。あの2人って1回帰国して、9月までは来ないんじゃなかったっけ?』
『藪崎さんたちまで見てるな。こりゃいったいどういう…』
『1番前で見てるの、恵子ちゃんじゃない?顔がマジだ…』
やがて映画が終了し、神田が声を上げた。
「わっ!シゲさん何時の間に?!初代会長みたい!」
斑目「人聞きの悪いこと言わないでよ。俺一応部屋入る時、声かけたんだよ」
神田「そうなんですか」
斑目「ところでこの集まりはいったい…」
斑目が神田から事情を聞いた。
斑目「えらく話がでかくなってるね」
神田「シゲさんとこの会社も、晴海にお金出したんですよね?」
斑目「いや実はそれ、今初めて聞いたんだ」
神田「シゲさんが出したんじゃなかったんだ」
斑目「俺の留守中に社長が出してくれたのかもな。後で訊いてみるよ」
そこへ藪崎さん、加藤さん、アンジェラ、スーの4人が近付き、斑目を包囲するかのように座る。
彼女たちと1年女子は、夏コミの際にスーの提案で「斑目先輩を男にする会」を結成した。
4人と神田は「直接的な意味で」その中心メンバーなのだ。
藪崎「こらこらミッチー、抜け駆けはあかんで」
斑目「抜け駆けって…」
夏コミでの騒動を思い出して、やや逃げ腰になる斑目。
すっかり赤面で滝汗状態だ。
加藤「心配なさらなくてけっこうですよ。今日はこの間みたいなことはしませんから」
アンジェラ「そうあるね、今日はみんな見てるだけあるよ」
斑目「見てるだけって…」
スー「(昔田嶋陽子が出てたニッセンのCM風に)見〜テルダケ〜♪」
藪崎「何であんたそんな古いCM知ってるんや?」
斑目『助けて…』
斑目が女子5人の視線の猛攻撃を受けている中、他の面々は次の局面に進んでいた。
有吉「えー第1回ゴジラのここが面白かった会議〜!」
荻上「ちょっと有吉君、あまり脱線しないで…」
有吉「ちょっとだけですよ、みんないろいろ言いたそうだし」
巴「そうですよ荻様、これから作る映画について考える、いい機会だと思いますよ」
荻上「ほんじゃまあ、ちょっとだけやるか」
そんな中、恵子は再びDVDを再生し始めた。
荻上「恵子さん?」
恵子「悪りいけど、勝手にやっててくれるか?あたしゃ2回目見るから」
マジ顔でそう言う恵子に、どよめく一同。
恵子「勘違いすんなよ。あたしゃ別にこいつにはまった訳じゃねえ。やること先に済ましたいだけだよ」
国松「恵子先輩、もしかして今日中に10回見ちゃう積もりなんですか?」
恵子「正確には、多分明日の朝ぐらいまでにだけどな」
国松「そんな、何も無理に連続で見なくても…」
恵子「連続で見なきゃ意味がねえんだよ!」
一瞬部室内が静まり返る。
恵子「あたしゃバカなんだよ。連続して見なきゃ分かんねえんだよ、10回見る意味がな」
そう言うとみんなに背を向け、マジ顔でDVDに没頭する。
荻上「それにしても、思ったよりもスンナリ最後まで見れたね、ゴジラ」
豪田「そうですね。実は私、ゴジラの映画って見るの初めてだったんですけど、意外と夢中になって見ちゃいましたよ」
映画にも詳しいスーとアンジェラ、SFの一種ということで一応押さえている沢田、そして国松以外の女子たちには、ゴジラシリーズは馴染みが無かった。
今回がゴジラ初体験という者も、豪田だけではなかった。
男子たちにしても、脚本家になるべく主要な映画はひと通り見ている伊藤以外は、平成以降の作品しか見てなかった。
沢田「先ずはみんな初体験ずくめってのがあるんじゃない?」
台場「そうね。(指折り数えながら)モノクロで、CG無しの特撮で、ゴジラ。いろいろあるわね、私たちにとっての初体験要素」
神田「確かに何か新鮮よね。CG無しの特撮って、手作り感溢れてて」
巴「白黒だと、合成にしてもそれほど嘘っぽく見えないってのもありそうね」
有吉「あと時間が今の映画に比べて短くて、ストーリーがシンプルなのが、映画としてのまとまり感を出してるね」
日垣「それにしても、なんか速かった気がするな。96分なら今時の2時間ぐらいの映画とそう変わらないと思うんだけど」
伊藤「それは多分、カット数の問題だと思うニャー」
一同「かっとすう?」
伊藤「昔の映画って、本来もっとカット数が少ないニャー。でもゴジラのカット数は、今時の映画とそう変わらんニャー」
ニャー子「それはどうしてかニャー?」
国松「特撮と本編とを融合させる為ですよ」
ニャー子「特撮と本編とを融合?」
伊藤「こっからの説明は国松さんにまかせるニャー」
国松「例えばゴジラが東京で暴れてるシーン、同じアングルで延々と長回しにしたらどうなります?」
ニャー子「絵的に単調になりそうですニャー」
伊藤「それにどんなに特撮がよく出来ていても、ミニチュアの中で着ぐるみが暴れてるようにしか見えないだろうニャー」
国松「そこで特撮のシーンの間に、人間のお芝居の本編のシーンを挿入すれば、臨場感が出せる訳です」
一同「?」
国松「例えばテレビ塔でアナウンサーがゴジラにやられるまで実況してたシーン、ゴジラが迫る様子とアナウンサーの実況と交互に映してたでしょ?」
巴「あれは凄かったわね」
豪田「ごめん、私あのシーンで不覚にも笑っちゃった」
沢田「まあ真面目なシーンとギャグシーンって紙一重だからね」
国松「そういう風に、ゴジラが暴れるシーンに人間のリアクションのシーンを挟むことで、特撮と本編が融合し、絵空事ではないドラマが出来る訳です」
ゴジラ談義がひと通り済んだところで、荻上会長は話をまとめにかかった。
「ここまでのゴジラ評をまとめると、初心者の特撮のポイントがおおよそ見えてきたわね」
国松「ストーリーはシンプル、上映時間が短い、カット数は多い目、手作り感、こんなもんですかね」
有吉「何にせよ先ずはシナリオですね。それが出来んことには、何をやるかが見えてこないし」
伊藤に注目する一同。
彼が脚本家志望で、いろいろなコンクールで佳作程度の賞なら何度か取っているからだ。
荻上「どう伊藤君?」
伊藤「3日もあれば、とりあえずプロットを上げられますニャー」
「何だ、ぷろっとって?」
会話に割り込む恵子。
だが決して画面からは目を離さない。
伊藤「簡単に言うと、人物の紹介とか場所の指定とか重要な台詞などの入った、かなり具体的なあらすじですニャー」
恵子「んなまどろっこしいことしてねえで、シナリオ書いちまえよ」
沢田「シナリオをいきなり書くと、書く方も読む方も時間がかかり過ぎるんですよ」
伊藤「そこでコンパクトにまとめたプロットを先ず書き、それを基に制作会議をやるってのが、最近のドラマや映画の作り方の主流ですニャー」
恵子「わーった。そんじゃ先ずそのプロットとかいうの書けや。後のことはそれからだ」
伊藤「でも沢田さん、僕が全部書いていいのかニャー?」
沢田も元々は小説を書いていた文芸少女でなので、こういう企画なら脚本を書きたいかも知れない、伊藤の質問はそういう気遣いからだった。
沢田「今回は伊藤君に一任するわ。実は私、ケロロ最近見出したとこだから、細かいとこまでは分かんないのよ。それに…」
伊藤「それに?」
沢田「私もスーツアクターだから、なるべく今回はそれ1本に絞りたいのよ」
伊藤「分かりましたニャー。そんじゃあ3日後までにプロット書き上げますニャー」
ここで恵子は、初めてDVDを一旦停止して、みんなの方を向いて言い放った。
恵子「よし、そんじゃあ3日後にプロットを基にもう1回会議やって、後のこと決めよう。今日はここまで!」
勝手に閉会にしてしまい、再び「ゴジラ」に没頭する恵子。
そんな様子に微笑む一同。
何のかんの言いつつも、恵子がそれなりに監督らしくなりつつあるからだ。
恵子の閉会宣言の後も、会員たちの大半は部室に残っていた。
部室から出たのは、プロットを書く為に帰った伊藤と、昼飯を終えて仕事に戻った斑目だけであった。
恵子は相変わらず「ゴジラ」を見ていた。
「やぶへび」の3人は、部室の片隅で同人誌の原稿にかかった。
国松と日垣は、ケロロ小隊の5人の着ぐるみをどうするか相談している。
そして残りの面々は、映画の撮影についていろいろ雑談していた。
「国松さん、ありがとう」
唐突に岸野がそう声をかけた。
「えっ?」
不思議そうに反応する国松。
岸野は自分のリュックから8ミリカメラを取り出し、こう付け加えた。
「国松さんのおかげで、こいつに最後の花道を作ってやれそうなんでね」
「フジカシングル8のZC1000じゃねえか!」
浅田が声を上げた。
国松「知ってるの?」
浅田「8ミリカメラでは、かなり高級な名機の部類に入るよ」
岸野「そうなんだこいつ」
機種に敏感に反応した浅田と対照的に、機種そのものにはあまり関心の無さそうな岸野。
案外持ち主(厳密には父親のだが)はそんなものなのかも知れない。
岸野「俺が中学生の頃ぐらいまでは、親父このカメラよく使ってたんだけど、弟が生まれた時にビデオカメラ買っちゃって、それ以降はタンスの肥やしになってたんだ」
国松「そう言えば岸野君、弟居るって言ってたね」
岸野「俺が高1の時に生まれたんだよ」
日垣「と言うことは…16歳下ってこと?」
国松「でもそれじゃあ、お母さん高年齢出産で大変だったでしょ?」
岸野「まあギリギリだったみたいだね、年齢的には。お袋も親父も、あん時で確か37だったか38だったかぐらいだからな」
国松「…若いんだね、岸野君のご両親って」
日垣「喜んだだろうね、お父さん」
岸野「そりゃあもう、凄い喜び方だったよ。だから久々に8ミリ出してきたんだけど、その頃には近所の馴染みだったカメラ屋もフィルム扱わなくなっちゃっててね」
国松「それでビデオを?」
岸野「うん、親父が新し物好きってこともあって、どうせなら長く使えるようにと、当時出たばかりだったデジタルのビデオカメラ買ったんだ。それがこいつさ」
言いながら岸野は、ビデオカメラの方を自分のリュックから取り出して机の上に置いた。
「でかっ!」
傍らで話を聞いていた会員たちも含めた一同が思わず声を上げた。
無理も無い。
デジタルビデオカメラと聞いていたので、てっきりデジカメを少し太くした程度のを想像していたのだ。
だが岸野が取り出したカメラの大きさは、通常のデジタルビデオカメラの3倍近くあった。
果てしない映画監督坂の第1歩を登り始めた恵子。
果たして第1の試練、ゴジラ10番勝負の行方は?
(いや別に誰も戦ってないんだが)
そして岸野が取り出したビデオカメラの正体とは?
通常の3倍ということは、やっぱり赤くて角が付いてるのか?
本日はここまでです。
お返事を少々。
前スレ
>>539 >恵子頑張れ!だがチビんな、もう大人なんだからw
後の話の様子から、どうやらかろうじて持ちこたえたようです、ご心配をお掛けしました。
>なあに、エンジンにはエンジンの仕事があるさ。
>アクセルブレーキクラッチとハンドル操作を誰かがやりゃいいんだ。
まあ基本的には、そんな感じで進行するつもりです。
何しろ恵子は殆ど白紙に近い状態ですから、みんなであれこれ提案して反対意見なければ「それで行け」みたいな。
ただそれも確証はありません。
何しろこの調子だとクランクイン、この話の流れ同様秋頃になりそうなんで。
前スレ
>>541 選挙の方行って来た直後に投下開始いたしました。
>>26>>27>>28にて1年生キャラの元ネタ紹介しました。
まあほぼ原作のイメージ通りですが、中には原作から離れてきているのも居ます。
例えば台場の元ネタの藤吉さんは、原作ではどっちかと言えばイージーな人のようなのですが、台場はむしろ友だちのキッチリさんに近いキャラになってしまいました。
また国松の元ネタの国枝さんは、原作では終盤に出たので薄目のキャラなのですが、国松は濃くし過ぎて大戸島さんごか泉野明か渡会ひびきみたいになっちゃいました。
あと専門知識とされる描写は、殆ど資料に頼っている状態です。
多くは家にある本ですが、8ミリについては図書館で借りてきました。
映研出身者の人とか読んだら穴だらけかも知れないなと、日々冷や汗かきながら書いてます。
前スレ
>>542 後輩が見せたのが「ナウシカ」に「うる星やつら」ということは、もしや…
やめときましょう、お互い年齢の話は。
と言いつつ、実は
>>20も俺なのですが、案外このスレの住人の平均年齢高いのかも知れません。
自分が1番ベテランのつもりが、周囲はその上を行くベテランだらけ。
例えるなら俺、「サザエさん」のアフレコ現場の富永みーなみたいなポジションなのかも。
>30人いる!
恵子頑張れ恵子ー
どんな風に頑張っていくのか楽しみです。
>>20 「新スレのトップバッター乙です。 」
ありがとやんすー。
くっちーは悪いやつじゃないですよ。
ただ空気読まなくて横にいるのがうざくて周りの人への配慮がなくてみんなに嫌われてるだけです・・・
褒めてるのかけなしてるのかわからんな・・・
>>21 あーい 引き続きがんばりまーす
つーか このスレ何気に長老の集団ということか・・・漫サロ版で一番平均年齢の高いスレだったりして
知ったな!このスレの平均年齢を知ったな!
>>22 いつも応援してくれてありがとー
げんしけん本作からは何気にセリフを多くちりばめております。
・・・でも常に予測を裏切ってしまいそうで怖いわ
いい意味で期待を裏切らないようにつくっていきます
では続きを投下します
工場の中は先が見えないほど長い廊下が続いていた。
歩きながらウォンカさんが喋る。
「招待した人の中で一人だけ特別なプレゼントを用意してあるんだ。
その一人は最後まで一緒に工場見学してボクが気に入った人間に決めることにしている。」
「チャ〜ンスゥ」スーがつぶやく。
中島がくすりと笑うと突然ウォンカさんに抱きついた。
「うわっ」
「ウォンカさん大好きだあっ」
原口がムっとしている。中島は目配せする。
「ウォンカさん。あたし中島いいます。よろしく。」
「ああ・・・よろしく」
「ウォンカさんのことあたし前から尊敬してて大好きだったんです。
ここで会えてホントに嬉しくて胸がはちきれんばかりです。」
そういってウォンカさんに媚びた視線を送り頬にちゅっとキスをした。
完士くん「うわ。凄い媚び方・・・凄いのがいますねえ・・・」
晴信じいさん「勝てないな。あれは。」
するとウォンカさんと中島の間にスーが割り込んできた。
ウォンカさんに向かって一言
「カクユウ ワタシモドウテイデネ」
そして中島に向かってやぶにらみの目で睨み一言
「ドロボウネコ コロシテオケバヨカッタ」
中島もむっとして横目でにらみ返す。
「こら スー」アンジェラのたしなめる声が聞こえる。
スーと中島がしばしにらみ合う。
険悪なムードがあたりを覆い場の空気が凍りつく
すると空気を読まない一人の男が二人の女の間に割り込む
「朽木であります。よろしくお願いするであります。」
手足をバタつかせて左右に顔を振りながら自己紹介する。
「僕らはみんなおたくであります。ウォンカさんも同じおたくであります。
ウォンカさんもスーも中島さんもここにいるのはみんな同じおたくー同類ということで
ここは日本的慣れ合いでまぁまぁ!」
「そうだね・・・きみと同じおたくなんだね。」
とウォンカさんがちょっと不本意そうに答える。
「ええと・・・あんた誰だっけ?あたしはおたくじゃないからね。」
と咲が眉間に皺をよせて指摘する。
「いやもうともかく ここは細かいことはナッシングでいきましょう
唇かんでナッスィング!!ナッスィィんグ!!アハハ発音嘘くせー!!」
妙にハイテンションで空気を読まずに喚く朽木くん。
その時、スーが朽木を指差して一言。
「ダメダコイツ ハヤクナントカシナイト」
一瞬の間があく
が、朽木くんの表情がみるみるうちに怒りの形相に変化し次の瞬間、
ガーっとスーに両手を振り上げて威嚇する。
スーを睨む朽木、スーも負けじと藪にらみの目で朽木を睨み返す。
朽木の動きが止まる。
「止まった」と完士
「というか睨みで止めた?」と晴信爺さん
「へえ根性は・・・」と咲が言いかけた瞬間
朽木の手がゆっくりと振り下ろされスーの頭にあたった。
ゴッという鈍い音が響く
しかし、その瞬間咲の手がありえない距離から朽木の頬をひっぱたく。
ギャッという感じでその場に倒れこむ朽木くん。頬は赤く腫れている。
「そいつヤキ入れとけ!!女に手ェあげやがって」
そういってスーの頭をなでる。
「おーよしよし」
スーはなみだ目になりながら呟く
「・・・オヤジニモブタレタコトナイノニ・・・」
晴信じいさんが「いやあ やっぱりここはそうだよな・・・」と深くうなづく
完士くんも「お約束って奴ですか」と妙にうれしそうにつぶやく。
ここでウォンカさんがパンパンと手を叩き、皆の注意を自分に戻す。
「いちいち自己紹介しなくてもいいよ。君たちのことは調べがついているからね。」
そういうと後ろを振り返って
「きみは完士くん。その横が高坂真琴くんだ。」
そういうとまた正面を向いて歩き始めた。
みんな慌ててウォンカさんの後を追う。
完士くんはウォンカさんの後を追いながら
(どっかで聞いた声なんだよな・・・どこであったかなあ)
と考えている。
(あ トレカをプレゼントしてくれたおじさん?)
まさか・・・と思いつつも疑念がどんどん膨らんでいった。
一方、スーと中島は横に並んで歩きながらお互いに横目でにらみ合う。
中島がスーに今までのことを水に流そうと
「中島っていいます。よろしくお願いします。仲良くやりましょう」と媚びた視線を送る。
「タダノニンゲンニキョウミハアリマセン」とスーはぶっきらぼうに答える。
さすがの中島もムっとし、スーをにらむ。
そうこうしているうちに全員、どうやら長い長い廊下のつきあたりに到達したようだ。
廊下のつきあたりには大きなドアがあるが、そのドアには別に小さな扉がついている。
何の扉だろう?
完士は頭に?マークを浮かべる。
「ここはフィギアの森だよ。」
そういうとウォンカさんがドアを開けた。
今回はここまでです。
30人さんへのお返事
>>40 元ネタを書いてくれ〜という無理な希望をきいていただきありがとうございます。m(。。)m
お手数をわずらわせたのではないかとちょっと申し訳ない気もしますが
元ネタがはっきりしたことで頭の中でそれぞれのキャラが当てはめられて
少なくとも僕の中では面白さ 楽しさが倍増しています。
これからの展開が楽しみ!
ところでキャラのベースはほとんど「究極超人あーる」からとってるんですね。
作者の「究極超人あーる」に対する思い入れが伝わります。
しかし図書館から資料を借りてきてまでして作品をつくっとるとは・・・
作者の力のいれように脱帽・・・おれなんかのりだけでつくってるのに・・・
では また
>完士とおたく工場
よっしゃよっしゃw 各登場人物が自己主張を始めて面白くなってきたw
この作の中島はいきなり肉弾戦を挑むとか、なんかカワイイな。
いよいよ工場内部、映画のあのファンタジー世界が(しかもオタク向けに)広がって
いるかと思うと期待を禁じえない。
この先もよろしくです。長くなってもいいから書き通して下さいませ。
>>51 あいあーい
ここらへんから登場人物が自分の頭の中のキャラと違う〜という声が
聞こえてきそうですが、51さんのように肯定的に捉えてもらえると書いてる方としてはほっとします。
他の人も寛容な気持ちで当作品のキャラを受け入れてください♪
と予防線をはっておく
では続きをどうぞ
ドアの向こうは東京ドームの5倍くらいの広さはあるただっ広い空間であった。
自然の公園のような起伏のあるなだらかな野原がはるかかなたまで広がっている。
その想像もつかない広い広い空間に大小様々なフィギアがびっしりと立っている。
あまりの壮大な光景に招待されたものは皆唖然としてその場に立ち尽くす。
「ここにおいてあるフィギアのうち、好きなものは持っていってかまわないよ。
全てのフィギアに札がつけてあるからほしいフィギアに名前を書けば後で家に送ってあげる。」
ウォンカさんの言葉が終わるか終わらないうちにワッと皆、それぞれ好きなフィギアを
手に入れるために散っていった。
スーも「ゲットダゼ!!」と言いながら一緒になって自分の欲しいフィギアを探しに散る。
その中で一人だけポツンと残っている人がいるのにウォンカさんは気づいた。
春日部咲である。
「どうしてキミはいかないの?」
とウォンカさんは咲に尋ねる。
咲はつまらなそうな興味なさそうな顔をして答える。
「あたしゃおたくじゃないんだよ。それにこーんなものほしがるやつの気がしれないね。
おたくって気持ち悪いよね。こんな人形ほしがるなんてね。頭おかしいんじゃないのかね。」
といかにも嫌そうな顔をしてケラケラと笑い暴言を吐きまくる。
ウォンカさんもさすがにムっとして言葉を返す。
「・・・きみの連れの高坂くんもおたくじゃないか。」
ウォンカさんがそういうと
「あ コーサカはいいの。あの人は別。」
「ふーん。高坂くんだったらいいんだ。」
「どーんな変態プレイを要求されても応える覚悟はしてあるの。されたことないけど。」
とあははと笑う。
「ふーん・・・どんな変態プレイでもねえ・・・。」
ウォンカさんの目が怪しく光ったのを咲は気づかなかった。
他の招待された人たちはわずかな時間も惜しいかのようにそこらに立っている
フィギアに次から次へと名前を書きまくる。
晴信じいさんと完士くんも必死で次から次へとフィギアに名前を書いていく。
「いやぁ どう選んだもんだか悩みます」
「そんなもん何も見ずにあるもん全部名前を書いていきゃいいんだ。」と晴信じいさん
「ああ〜・・・やべえ・・・・何かが・・・何かが開きかけてる・・・頭のてっぺんあたりが」
「いいぜ・・・いけるところまでいってやる・・・神の領域へ・・・
・・・ヤバイな自分でも何言ってるかわからん」
と そこに突然
「かわいー。」
中島の声が聞こえ、皆が中島の方を見た。
中島が指差した方を見ると遠くで小さな少女がせっせとフィギアを回収していた。
少女は髪を筆のようにくくって立てている。
(あ・・・あれは・・・・)
完士くんは思い出した。道で拾った1万円札を渡した少女だ。
(あの少女だ・・・とすると・・・僕にフィギアをくれたあの人は・・・ウォンカさん?)
皆がみていると、また一人、同じ姿形をした少女が現れて作業を手伝い始めた。
どうやら少女は一人だけではないらしい。
と よく見るとあちらにもこちらにも少女の姿が現れる。次から次へと少女の姿が増えていく。
どの少女もせっせとおいてあるフィギアを回収する作業をしている。
みな自然にフィギアに自分の名前を書く作業を止め、少女の姿をよく見るように
中島のところに集まりはじめた。
「あれはオ・ギウ・エーといってね・・・」
皆が振り向くと後ろにウォンカさんが立っていた。
「僕が東北の隠れ里で見つけたコロボックルの一族なんだ。
お金の代わりにイクラを大事にしていて働いたお礼にイクラを払ってるんだよ。」
みんなウォンカさんの話を聞きながらオ・ギウ・エーの作業風景を見ていた・・・とその時
「があっ!!」
朽木くんの声が木霊する。
(なんだ なんだ?)
皆 声のした方を見ると朽木くんが何か水溜りのようなもののところでもがいていた。
「どうやら接着剤を踏んだらしい」
接着剤の入れ物が会場のあちこちにおいてあり、フィギアに名前を書くのに忙しく
足元に注意していなかった朽木くんが接着剤の入れ物を踏み倒し
接着剤が流れ出たところにそのまま倒れこんだようだ。
地面に流れた接着剤が身体にくっつき朽木くんの身体は地面にくっついてしまっている。
地面からはなれようともがいているのだがどうやってもはなれない。
むしろもがけばもがくほど体に接着剤がくっつき更に体の自由が奪われるという悪循環に陥っている。
そのもがく朽木くんの姿を見てスーが叫ぶ。
「タテ タツンダ ジョー!」
そのほかの人たちはみなその姿を見て どうしよう?と頭をひねっている。
と突然、グアガガガという機械の音が聞こえたかと思うとスチームボーイに出てきたような
巨大な機械の手が天井から下りてきた。
そして朽木くんを地面ごと掘り下げ、持ち上げる。
「オー!ノー!」
朽木くんの叫び声が聞え、朽木くんは掘り起こされた地面と共に機械の手によって空中に持ち上げられる。
みな、その光景を固唾を呑んで見守っている、
その時、虎革のビキニに頭に角をつけたうる星やつらのラムちゃんのコスプレをした
沢山のオ・ギウ・エーがどこからともなく現れる。
「?」
なんだなんだという感じでみんなオ・ギウ・エーを注視する。
オ・ギウ・エーは空中に持ち上げられもがく朽木くんの下に集まって輪を創り回りながら歌い踊りだした。
うる星やつらの替え歌である。
あんまりソワソワしないで♪ あなたはいつでもきょろきょろ♪
よそ見をするのはやめてよ♪ 自分(の趣味)が何よりいちばん♪
好きよ...好きよ...好きよ...♪
星達が輝く夜更け♪ TV見るの アニメの全て♪
注意しても あなたは知らんぷりで♪ 今ごろは アニメに夢中♪
ああ オタクの人って♪ いくつもクセを持っているのね♪
ああ あちこちにバラまいて♪ 周りを悩ませるわ♪
あんまりソワソワしないで♪ あなたはいつでもキョロキョロ♪
よそ見をするのはやめてよ♪ 自分(の趣味)が誰よりいちばん♪
ああ オタクの人って♪ どれだけ好きなものがほしいの♪
ああ 自分(の趣味)だけ愛してる♪ いつでもひとりだけね♪
あんまりソワソワしないで♪ あなたはいつでもキョロキョロ♪
よそ見をするのはやめてよ♪ 自分(の趣味)が何よりいちばん♪
自分(の趣味)がいつでもいちばん♪ 自分(の趣味)の全てが♪
好きよ...好きよ...好きよ...♪ いちばん好きよ! ♪
オ・ギウ・エー達が歌い踊っている間に朽木くんはそのまま機械の手と供に
天井に姿を消していく。それと同時にオ・ギウ・エーたちもどこへともなく姿を消す。
皆、呆気にとられて見ていたが一人スーだけがウォンカさんの方を振り向き
手をまっすぐに差し出し親指を立てて「グッジョブッ!!」と叫んだ。
沢崎がおそるおそるウォンカさんに尋ねる。
「朽木くんはどうなったんですか?」
「うーん・・・この上はフィギアの製造工場なんだよね・・・。
だから多分、型にとられて等身大の朽木くんのフィギアができるだろうね。」
「・・・それ、店で売るんですか?」
「誰も買わないだろ?」
沢崎の裾を引っ張る者がいる。オ・ギウ・エーである。
「その娘についていきなさい。朽木くんがいるところに案内してくれるから。」
沢崎がオ・ギウ・エーについて違う方向へいくのを見ながらウォンカさんは
皆をうながした。
「次の部屋に行こう。」
野原には川が流れており、その川に宇宙戦艦ヤマトの小型版といった格好のボートが
多数のオ・ギウ・エー達に漕がれてやってきた。
「さあ乗って」
ウォンカさんに促され、船に乗り込む完士くんたち
船は川を下り、洞窟を通り地下へと向かう。
完士くんはおそるおそるボートを漕いでいるオ・ギウ・エーたちを見ていた。
(あの時の少女は誰だろう?)
みな、双子のように同じ顔・姿で区別がつかない。
すると船を漕いでいる一人のオ・ギウ・エーが完士の方を見てウインクした。
ウインクしたオ・ギウ・エーはすぐにもとの表情に戻りなにくわぬ顔で船漕ぎを続ける。
(やっぱり あの時の女の子は・・・オ・ギウ・エーの一人だったんだ)
完士は一人、納得した。
今回は以上です。
続きは また今度
>完士とおたく工場
2話連続で拝見しました。
31〜36
スーVS中島キター!
こういう原作に無いマッチメイクこそSSの醍醐味!
やはり中島みたいに理詰めの手練手管で攻めてくるタイプは、スーみたいな何考えてるか分からんタイプは苦手みたい。
それにしてもクッチー、やってることは原作と変わらんなw
でもVSオギーの場合と違い、VSスーだと微妙にスイングしてるな。
もし春日部さんが放って置いたら、どつき漫才に発展したかも。
37〜45
オギーの軍団キター!
絵的に凄く面白そうw
どなたか絵心ある方、描いてみて下さいな。
さて果たして次回、クッチーはフィギュアになってるのでしょうか?
(30センチぐらいの蝿みたいな人形になって、勝手に実況し出すのではと考えた人は特撮オタです)
>>63 ”こういう原作に無いマッチメイクこそSSの醍醐味! ”
そーすね。各キャラがぶつかりあうのもSSの楽しみの1つですね。
作者がもうちょっと想像力が豊かだったら
もっといろんなマッチメイクを考え出せたかも・・・。
がんばりまーす。
”絵的に凄く面白そうw ”
描いてる本人も頭の中で想像するに面白いと思います。
ホント 誰か描いてくれないかにゃ〜。
まだこれから絵的に面白いシーンが出てくるかも?
ちょっと下がりすぎてるみたいだからあげますね。
さーて続きいきます。
65 :
完士とおたく工場46:2007/08/15(水) 21:11:04 ID:NPbKDe/i
「この部屋は漫画やアニメのキャラクターの食玩を開発する部屋だ。」
ウォンカさんに連れられて入った部屋には様々な装置・機械や器具がしつらえられ
開発中の様々なキャラクターの食玩がおいてあった。
「これは僕の開発した商品の1つ 北斗の拳風船ガムだ。」
そういってウォンカさんは商品の1つを手に取った。
「これを噛んで膨らませると膨らませた風船が爆発するとき、『グワシ』とか『ヒデブ』とか
叫んで爆発するんだ。」
ウォンカさんは1つ風船ガムを膨らませて爆発させるとそのガムは『アベシ』といって爆発した。
みんな興味深げにウォンカさんの話を聞いていると 突然、
「スー!」
アンジェラの叫び声が聞える。
見るとスーが口をもぐもぐさせている。
「だめでしょ!!スー!勝手に他人のものを食べたら。」
「ノビタノモノハオレノモノ オレノモノハオレノモノ」
「何を食べたの?」
スーの立っている横には様々なキャラクターの小さな飴が入った箱がおいてあった。
「ああ・・・だめだよ。それを食べちゃ・・・今、実験中なんだ。」
「アワテナイ アワテナイ ヒトヤスミ ヒトヤスミ」
「これを食べたらどうなるんですか?」
「食べたキャラクターに変身するんだ。」
アンジェラの顔が青ざめる。
「スー あなた何のキャラを食べたの?」
するとスーの身体がぷっくりと膨らみ始めた。
「どうやらドラミちゃんみたいだね。」
スーの顔は変わらないものの身体が真ん丸くなり手足も丸くなって
その姿はまるでドラミちゃんである。
「まだ完成してないからね。変身も中途半端なんだ。」
どうやらまん丸で偏平足の足では慣れないのかバランスがとりにくいらしく
スーは滑って転んでしまう。
滑った拍子に頭を床にぶつける。
「ウグゥ」
しかも身体も丸いものだからそのままコロコロと床の上を
あっちへ転がりこっちへ転がり目まぐるしく動く。
「ジタイハサラニアッカシツツアル・・・」
コロコロと転がりながらあちこちの角に頭をぶつけ、スーの目が渦巻状に変化した。
スーが喚く。
「ゼツボウシタ!!ウォンカサンノハツメイニゼツボウシタ!!」
するとセーラームーンのコスプレをした沢山のオ・ギウ・エー達がどこからともなく
現れ集まり輪をつくって踊って歌いだした。
ごめんね 素直じゃなくて♪ アニメのセリフなら言える♪
思考回路はショート寸前♪ 同人誌買いたいよ♪
逝きたくなるよなエロ同人♪ 正視ができない18禁♪
だって純情 どうしよう♪ ハートはマンダラケ♪
日本のサブカルに導かれ♪ 何度も来日する♪
買った同人誌の数数え♪ 失うお金のゆくえ♪
同じおたくに生まれたの♪ ミラクルロマン スー♪
もいちどコミケでウィークエンド♪ (コスプレの)神様 かなことハッピーエンド♪
現在 過去 未来も♪ アニメにくびったけ♪
(日本のアニメに)出会ったときの なつかしい♪ ときめき忘れない♪
幾千万の同人誌から♪ ヤオイを見つけられる♪
なんでもアニメのセリフに変える♪ 生きかたが好きよ♪
不思議な奇跡クロスして♪ 千佳と巡り会う♪
買った同人誌の数数え♪ 失うお金のゆくえ♪
同じおたくに生まれたの♪ ミラクルロマン スー♪
信じているの♪ ミラクルロマン スー♪
ウォンカさんも歌に合わせてのりのりで踊っている。
歌い終わると同時に決めポーズをつくるがそのウォンカさんを
アンジェラが鬼のような形相で睨む。
「スー!」
アンジェラはすぐに視線をスーの方に向ける。
スーはそのままごろごろと転がり、階段のところまで転がって
階段を一直線に落ちていく。
「マダダ マダオワランヨー。」
スーのけなげな叫び声がだんだんと小さくなっていく。
アンジェラが必死で追いかけて階段を下がって姿が見えなくなった。
「まあ階段はやがて終わる。そうすればスーも止まるよ。」
呆気にとられている皆をウォンカさんが促す。
「次の部屋に行こう。」
次の部屋にいたる長い廊下を歩く途中、原口がウォンカさんの横につきまとい
ずっとウォンカさんを褒めちぎる。
「いやー!!すばらしい発明の数々っ!!堪能させていただきましたっ!!」
「私、原口ともうしまして、こういったおたグッズを販売しているものです。」
「ウォンカさん あなたは天才ですっ!!是非、私と組みましょう。大もうけできますよっ!!」
「どうです?ウォンカさんの発明した新しいおたグッズを私が独占的に販売するというのは?
私独自の販売ルートをたくさん持っておりますから・・・
任せていただけるなら他の業者よりもたくさん販売できること請負ですよ」
「利益の取り分もウォンカさんにとってプラスになるように考えさせていただきますから」
原口はうざいくらい饒舌に喋る。眼鏡の奥の目がぎらぎらと光っている。
ウォンカさんは聞いているのかいないのか原口の喋りには一切、返事をしないし、反応もない。
無表情に前を見ているだけである。
「あ・・・遅れましてすいません。これ私の名刺です。」
そういうと原口は名刺を取り出し、丁寧にお辞儀してウォンカさんに手渡した。
再び正面を向いた時、ウォンカさんが名刺を原口の見えない背中側にポーンと放ったのは
誰も見ていなかった。
部屋の前でウォンカさんが立ち止まる。
「ここはやおい漫画・同人誌の製作部屋なんだ。」
そこに入ると大きな丸い空間になっており、その丸型の部屋の壁にあわせて
巨大なドーナツ型の机が置かれていた。
巨大なドーナツ型の机には沢山のオ・ギウ・エーが並んで座り、原稿用紙に流れ作業で漫画を描いている。
部屋の真ん中には穴が開いており、描く傍からその穴に原稿用紙が放り込まれていく。
流れ作業を見物するようにしつらえられた出っ張り部分に完士たちはいた。
部屋との間には腰までの高さの鉄柵があるばかりでまたげば部屋の中に入ることができる。
「この部屋は漫画の製作がメインの仕事だ。」とウォンカさんが言う。
「オ・ギウ・エーに描いてもらってるのだが、没原稿は全て真ん中の穴に捨てられる。」
みんなは原稿をせっせと描くオ・ギウ・エーを見ていた。
少女が手足を振りながら作業をする姿はとても可愛い。
そしてオ・ギウ・エーを見る中島の目がいつしか爛々と輝き始めているのに誰も気づかなかった。
と、突然、中島が叫ぶ。
「原口さん。オ・ギウ・エーほしいっ!!」
中島が後ろを振り向いて原口に言った。
原口は
「ふふん」
とツチブタのように鼻を鳴らしてウォンカさんの方に向き直り
「どうだろ?中島がこういってるんだ。一人わけてくれないかね?」
「オ・ギウ・エーはものじゃないよ。」
「お金ならいくらでも払うよ。」
「オ・ギウ・エーは人間なんだ。」
「ねえ。お願いウォンカさん。だめ?」と媚びた視線を送る中島。
「ダメだね。」
ムッと怒った顔をする中島
「オ・ギウ・エーちょうだいっ!」
「だ・め・だ」
中島にあわせて怒った顔をするウォンカさん。
「どうしてもほしいならオ・ギウ・エーに聞いてみればいい。オ・ギウ・エーがOKしたら
反対しないよ。」
「そうね。」
中島はそういうと柵を乗り越えて中に入る。
「あたしはほしいものは何でも手にいれてきた女なんだ・・・」
中に入り作業で夢中のオ・ギウ・エー達を一人一人丁寧に観察する。
そして一人を選ぶと突然、手を伸ばし抱きかかえた。
「決めたっ!!おまえにするっ!!」
選んだオ・ギウ・エーを思いっきりギュッと抱きしめ頬すりする中島。
すると周囲にいたオ・ギウ・エー達が次から次へと中島に群がり始めた。
「なに?」
中島に群がったオ・ギウ・エー達は中島を叩いたり蹴ったりしはじめる。
「いたたたたた」
中島がすべって転ぶとみんなで手足を押さえ真ん中の穴に向かって運びはじめた。
と赤・白・青の様々な色のプラグスーツのコスプレをしたオ・ギウ・エー達が
たくさん飛び出てきて輪をつくり歌い踊り始める。
残酷な天使のように♪ 少女よ 腐女子になれ♪
やおい風がいま♪ 胸のドアを叩いても♪
私だけをただ見つめて♪ 微笑んでるあなた ♪
そっと触れるもの♪ イラストを描くことに夢中で♪
運命さえまだ知らない♪ いたいけな瞳♪
だけどいつか気づくでしょう♪ その胸中には♪
はるか腐女子 めざすための♪ 種子(タネ)があること♪
残酷な文芸部のテーゼ♪ 窓辺からやがて飛び降りる♪
ほとばしる熱いジェラシーで♪ 友達を裏切るなら♪
この空を抱いて輝く♪ 少女よ 腐女子になれ♪
ずっと眠ってる 私の腐女子の揺りかご♪ あなただけが校長室に呼ばれる朝がくる♪
細い首筋を冷や汗が流れてる♪ 世界中の時を止めて閉じこめたいけど♪
もしもふたり逢えたことに意味があるなら♪ 私はそう やおいを知るためのバイブル♪
残酷な文芸部のテーゼ♪ 悲しみがそしてはじまる♪
抱きしめた命のかたち♪ やおいに目覚めたとき♪
誰よりも光を放つ♪ 少女よ 腐女子になれ♪
人はエロをつむぎながら同人誌をつくる♪ 女神なんてなれないまま 私は生きる♪
残酷な文芸部のテーゼ♪ 窓辺からやがて飛び降りる♪
ほとばしる熱いジェラシーで♪ 友達を裏切るなら♪
この宇宙(おたワールド)を抱いて輝く♪ 少女よ 腐女子になれ♪
中島は歌が終わると同時に穴に放り込まれた。
「キャーッ」
「な・・・中島ぁ。」
原口が叫び穴にかけよる。
おそるおそる中を覗きこんだ原口のケツをオ・ギウ・エーが思い切り蹴る。
「あーっ。」
原口も穴の中に吸い込まれて消えていった。
沈黙があたりをおおう。
「あの穴はどこに向かっているんですか?」
沈黙を破ったのは高坂だ。
「焼却炉だよ。ゴミを焼くためのね。」
一瞬緊張が走る。
「大丈夫だ。ゴミを燃やすのは火曜日だから。」
「今日が火曜日ですよ。」
高坂はニコニコ笑いながら言う。
咲ちゃん晴信じいさん完士くんはエッと驚いた顔をする。
「あー・・・そうそう。確か焼却炉は壊れていたはずだ。うん。」
ウォンカさんはそういうと
「だから心配する必要はないよ。次にいこう。」
エヴァの曲を聴きながら投下してました。
ああ・・・やっぱエヴぁはええなあ・・・
今回はここまで 次回をお楽しみに
どうやらお盆のせいか夏コミ前のせいか、ここは開店休業状態のようだな。
しょうがない、遅ればせながら俺が投下しますかと来てみれば、わっ、増えてた!
>完士とおたく工場
今回は替え歌2曲ですか…もはやSSスレでニュージカル展開があろうとは思わなんだ。
でも選曲センスのせいか、ありありとイメージ出来るので無問題。
個人的にはドラミスーに萌えました。
(ちょっぴりぽっちゃり型がタイプなのです)
続きお待ちしております。
今回はまだ
>>41さんの望むようなとこまでは行かないですが、12レスほど投下します。
第4章 笹原恵子の合宿
国松「岸野君、このビデオカメラってデジタルだよね?」
岸野「そうだよ。買った時で発売から3年ぐらいだから、当時としては新型の部類に入ると思うよ」
日垣「買ったのが3年前だから、6年前発売の品か。それにしちゃでか過ぎるんじゃ…」
岸野「そうか?昔、親戚の叔父さんがVHSのビデオのカメラ持ってたの見たことあるけど、あれに比べりゃかなりコンパクトになってるぞ」
国松「VHSって…」
日垣「そりゃあれは、カメラと別に小さいビデオデッキがある代物だからな…」
一同がカメラの大きさを話題にする中、別な観点から食い付いた者が居た。
「AG-DVX100じゃねえか、それ!」
大声を上げたのは浅田だった。
何時に無く目が輝いている。
国松「浅田君、知ってるの?」
浅田「有名な名機だからね、プロ仕様として」
一同「ぷろしよう?」
浅田「そう。こいつはね、テレビ局とか小さい映画会社とかで広く使われている、業務用の高級品さ」
豪田「よく知ってるわね」
沢田「その割には反応が遅かったような」
浅田「まさかこんなもんが出て来るとは思わなかったから、一瞬頭ん中真っ白になって固まってたんだよ」
岸野「そんな凄いカメラだったんだ、これ。親父も物好きだなあ」
浅田「物好きってレベルじゃないと思うよ。家庭用にこんな高いの買っちゃうんだから」
岸野「そう言や確かにこれ買った時、親父怒られてたな、お袋に」
台場「あの、高いってどれぐらいなの?」
浅田「発売が2000年なんだけど、当時で40万から50万はしたと思うよ」
一同「50万?!」
浅田「中古でいいから買いたいと思って、前に値段調べたことがあるんだ。中古でも14万から18万ぐらいはしたよ」
値段を聞いて会員たちのビデオカメラを見る目が変わった。
容器を触っただけで感染しかねない病原菌というか、ショックを与えると爆発するニトログリセリンというか、とにかく危険物を見る目だ。
だから自然と腰が引け、岸野とビデオカメラから微妙に間合いを遠ざけた。
そんな中、ただ1人浅田だけが岸野に向かって前進し、ビデオカメラを掴んだ。
「なあ、こいつは俺に任せてくれないか?頼むよ!」
堅いマジ顔で迫る浅田に対し、岸野はあっさり答えた。
「いいよ」
「うっしゃ〜!」
普段冷静で斜に構えたような態度のことが多く、ツッコミ役の時ぐらいしか感情を露にすることのない浅田が雄叫びを上げたので、驚く会員一同。
豪田「えらく嬉しそうね、浅田君」
巴「あんな熱い浅田君、初めて見た」
神田「浅田君、そんなにそのカメラ好きなの?」
浅田「好きっつーか、憧れてたんだよ。俺将来は映像系の仕事やりたいからさ」
神田「それじゃあ何で椎応に入ったの?」
浅田「入試の頃になって目覚めたんだよ。勉強しないで映画ばっか見てたから」
一同『よくそれで受かったな。浅田君、案外賢いのかも…』
沢田「うちの大学、映研あったと思うけど、何で現視研に入ったの?」
浅田「行ってみたけど、あそこは見る方中心で、作る方はここ数年作ってない開店休業状態だったからやめたんだ」
沢田「それで現視研に?」
浅田「まあ撮影対象としてコスプレにも興味あったしね。だから将来のことは別口でやればいいと思って独学で勉強してたんだけど、まさかここでこいつに出会えるとはな」
浅田は愛しげにビデオカメラを撫でた。
豪田「うわー浅田君、目に狂気の光が…」
巴「て言うか、ありゃ狩る者の目だよ」
日垣「それにしても贅沢な話だね。8ミリで撮った映像がメインで、そんな高級なビデオカメラで撮った映像がサブだなんて」
荻上「まあ確かに保険とは言え、ある意味無駄使いね」
スー「押忍!お言葉ですがセンセイオギウエ、それは違うであります!」
荻上「と言うと?」
スー「押忍!映画とは無駄使いの土台の上に成り立つ、総合芸術だからであります!」
一同「そうなの?」
アンジェラ「スーの言う通りあるよ。古来より映画ってものには、無駄な金が使われてきたあるね」
荻上「例えば?」
アンジェラ「例えば…みんな、ギネス公認の制作費世界一の映画って何だと思うあるか?」
国松「うーんと…『インディペンデンス・デイ』かな?」
沢田『『ウォーターワールド』じゃなかったっけ?」
アンジェラ「確かに両方とも、公開当時はナンバーワンだったあるね。でもインフレを考慮すれば、おそらく今でも世界一は『クレオパトラ』あるね」
一同「くれおぱとら?」
アンジェラ「そう、『クレオパトラ』。制作費は当時の金額でざっと3000万ドルあるね」
「さんぜんまんどる?!」
台場が大声を上げた。
台場「アンジェラ、『クレオパトラ』って何時の映画?」
アンジェラ「確か60年頃(正確には62年)あるね」
サーっという血の気が引く音が聞こえそうなぐらい、一気に台場は青ざめた。
荻上「どうしたの、台場さん?」
台場「あの当時の3000万ドルって、今の3億ドルぐらいはあります。つまり今の日本円に換算すれば、ざっと300億円ぐらいです」
一同「さんびゃくおくえん?!」
(参考)
2007年現在では「スパイダーマン3」の方が上かも知れない。
(制作費3億ドル、日本円で約357億円)
アンジェラ「でもその金額以上に問題なのは、本来制作に必要だったのが、当初の予算通りだとすれば300万ドルぐらいってことあるよ」
荻上「と言うことは、全制作費の9割ぐらいは無駄金ってことなの?」
国松「何でそんなに無駄使いしたの?」
アンジェラの説明によれば、次のような理由が複合的に招いた事態ということだった。
・2度に渡る撮影スタジオの変更
・ヒロインのエリザベス・テーラーが病気でダウン
・シナリオの完成を待たずに撮影開始
・監督の途中降板
・それらの理由によるスケジュール変更の為、ヒロイン以外全員途中降板
・それに伴なって撮っていたフィルムの殆どが没
・エリザベス・テーラーがロマンス発覚&パパラッチ出没でスタジオ入り拒否
アンジェラ「とまあこんな具合に、映画というものは多くの無駄の上に成り立っているあるね」
国松「でもやっぱり、無駄使いは良くないわね」
国松はこのひと言で、アンジェラが長々と述べた映画論を一蹴した。
日本の特撮の歴史は、ある意味倹約の歴史でもある。
特撮の技術は、戦時中の戦意高揚映画の戦闘シーンを作ることで発達してきた。
本物使って撮影したらいくらかかるか分からない、戦闘シーンをミニチュアで再現して安く仕上げる、そういう発想から日本の特撮は始まっている。
その遺志を引き継ごうとする国松にも、当然そういうコスト意識があった。
映画を作る為なら金をいくらかけてもいい、そういうアメリカ的な映画制作観とは対極的な考え方である。
「安心しなさい。無駄にはならないわよ」
そう声をかけたのは台場だった。
国松「どういうこと?」
台場「せっかく8ミリとビデオの2種類の素材があるんだから、最大限に使うわよ」
荻上「使うって?」
台場「何も学祭1回きりの使用で終わらせることもないと思うんです。作品の出来次第では、学祭とは別の上映会とかコンクールとかにも出してみたらどうかと思うんです」
絶句する一同。
台場「それに8ミリとビデオの2種類素材があれば、それだけ参加出来るイベントも増えますし、ビデオも撮ってあれば、撮影途中でプロモーションビデオ作れますし」
荻上「プロモーションビデオ?」
台場「スポンサーの新規開拓に使うんですよ」
国松「まだ集める気なんだ、スポンサー…」
台場「予告編としても使えますし、それにサンライズと交渉してDVD化して販売したいですから、そん時のプレゼン用にも使えますし」
荻上「ちょっと台場さん、いくら何でもそれは大風呂敷広げ過ぎじゃ…」
台場「何を弱気なこと仰ってるんです!自分の金じゃないとは言え、それなりの金つぎ込んで何か作って、それを金取って客に見せるんですよ、それぐらいの気でやらないと!」
豪田「うわー何か晴海も、目に狂気の光が…」
沢田「どっちかと言うと、浪速の商人(あきんど)の目ね、あれは」
巴「て言うか、こっちも狩る者の目になってる…」
金銭至上主義のハラグーロ的なヤバい空気が漂い始めたので、荻上会長は話題を変える意味もあって、先程岸野が言ったことの意味を確認した。
荻上「でも最後の花道ってのは大袈裟じゃない?だってカメラ使えるんでしょ?」
岸野「使えなくなるんですよ、もうすぐ」
少し沈んだ顔になる岸野。
荻上「どういうこと?」
岸野「来年の春ぐらいに、シングル8の製造が終わるらしいんです」
荻上「しんぐるえいと?」
岸野「8ミリのフィルムには、シングル8とスーパー8の2種類があるんです」
岸野の話によれば、シングル8フィルムの製造元のフジフィルムは、販売を2007年3月に、現像サービスも2008年9月で終了するという。
荻上「つまりそのカメラはシングル8専用で、スーパー8は使えないと?」
岸野「その通りです。フィルムはどちらもビデオのようにカセットに入ってますが、シングルとスーパーじゃ規格が全然違うんです。そして当然、カメラの構造も違います」
ちなみにシングル8のカセットを残しておき、スーパー8のフィルムを入れ替えれば使って使えなくはない。
ただフィルムの厚みが違う為に不具合が起こる危険性が高いし、何と言っても手間だ。
その為、在庫が無くなり次第シングル8用のカメラは、事実上お役御免と考えていい。
岸野から以上のような説明を聞いた荻上会長は、笑顔で岸野を励ました。
「事情はよく分かったわ。頑張ってね、カメラマン」
「はいっ!」
岸野も笑顔で応えた。
(なお、映画関係者によって結成された「フィルム文化を存続させる会」の活動により、この決定は2007年1月になって一旦撤回され、販売を3〜5年延長することになった)
国松と日垣は、再び着ぐるみ制作についての相談を始めた。
日垣「やっぱ問題は材料だね」
国松「ケロロたちの皮膚って、リアルにはカエルさん風のヌルヌルみたいなんだけど、そういう質感って映像では出しにくいし、もし出せても逆にそれっぽくない気がするの」
日垣「まあアニメで見る感じだと、柔らかそうだけどツルンとした感じだもんね」
国松「ケロロのおもちゃ見ても、プラスチック製か縫いぐるみ系かのどっちかだしね」
日垣「本来ならウルトラマンみたいにウェットスーツをベースにするべきかも知れないけど、あれは高そうだからやっぱラテックスで作る?」
国松「うーん…でもケロロの場合、リアルなモンスター風に作るより、縫いぐるみ感タップリのチープな作りの方が、逆に作風に合ってるかもとも思うのよ」
日垣「うーむ…」
そこへスーが話に加わった。
「押忍!ケロロの着ぐるみでしたら、元祖カエルキャラのケロヨンみたいな感じで、縫いぐるみ風のほうが可愛いし愛着がわくと思うであります!」
国松「何でスーちゃんケロヨンなんて知ってるの?『木馬座アワー』なんてビデオ化されてないし、再放送も無いと思うけど」
日垣「何なの、ケロヨンって?」
国松「昔『木馬座アワー』っていう、着ぐるみ劇の番組があったのよ。ケロヨンはその番組のスターで、カエルさんキャラなの」
日垣「昔って、何時頃の話?」
国松「えーとね、確か66年ぐらいかな。初代ウルトラマンと同じぐらいに始まったと思うけど」
日垣『40年前って言うと、国松さん本人が生まれてないのはもちろん、親御さんが当時いくつって次元の話だな。それを再放送も無いのに知ってる国松さんって…』
国松「でもスーちゃんの言う通りかも。何と言ってもケロヨン、初代ケロちゃんだしね」
日垣「初代って?」
国松「ケロヨンは元々の名前はケロちゃんだったの。でも演じてた声優さんが『ケーロヨーン』って口癖連発してる内に、何時の間にかそっちの方が名前として定着したらしいの」
日垣「てことは、軍曹は2代目ってことか」
スー「押忍!正確には3代目であります!2代目は薬屋のキャラのケロちゃんであります!」
国松「だから何でそんなの知ってるの?!」
この場合の薬屋とは興和(コルゲン)のことで、2代目ケロちゃんとは、古い薬局の店先によく置いてあるカエルのマスコットのことである。
日垣「まあそれはともかく、着ぐるみは縫いぐるみ風味でいいかな?」
国松「そうね。布をベースに、表面をウレタンかスポンジみたいなので仕上げればいいわ。クランクインは9月の頭ぐらいだから、まだ暑いだろうし、中身女の子だし」
日垣「今からじゃチト遅いから、明日材料買いに行こうか?」
国松「そうね、あちこち回って見るかも知れないから、朝から出ましょう」
ふと嫌な気配を感じて振り返る2人。
2人が見たものは、生暖かい目で2人を見守っている会員たちの姿だった。
何時の間にかスーは2人から離れ、話に夢中になるあまり2人は最初よりも接近し距離を詰めていた。
そのことに気付き、滝汗赤面で慌てて距離を取りつつ弁解する2人。
「ちっ、違うから!そういうんじゃないから!」
日が落ち始めた頃、恵子は3回目の「ゴジラ」観賞を終えた。
それに合わせるように、会員たちも帰り支度を始めた。
国松「あの恵子先輩、よろしかったらうち来ませんか?」
恵子「お前んち?」
国松「この近所です。先輩んち遠いでしょう?ここで夜明かしってのも何ですし、それにうちなら眠くなったら寝れますし」
浅田「あのう、よろしかったら寝袋お貸ししますけど…」
国松「あんたたちと一緒にしないの!恵子さん、女の子なんだから!どうです?」
恵子「(しばし考え)わりーな、そんじゃあ頼むわ」
アンジェラ「HEYセンリ!私たちもお邪魔していいあるか?」
国松「私たちって言うと、スーちゃんも?」
スー「押忍!自分たちは今朝一番の便で急遽来日したので、ホテルの手配が出来なかったであります!」
恵子「大野さんには連絡しなかったの?」
アンジェラ「カナコは電話がつながらなかったあるよ」
荻上「今思い出したけど大野先輩、確か昨日から田中先輩と旅行に出かけたらしいわよ」
国松「大野先輩って、確かもうじき就職ですよね?いいんですか、この時期に卒業旅行なんて?」
荻上「実は大野さん旅行代理店の内定、蹴っちゃったらしいのよ」
一同「何ですと?」
荻上「何でも内定もらってから土日休めないのに気付いたんですって」
恵子「もしかしてコスプレのイベントに参加出来ないから?」
コクリとうなずく荻上会長。
恵子「マジかよ…」
アンジェラ「仕方ないある。カナコにコスプレするなっていうのは、息するなっていうのと同じあるね」
国松「で、大野先輩これからどうするんです?」
荻上「4月入社に向けて就職活動再開するって」
国松「マイペースだなあ、大野先輩」
アンジェラ「それはそうと、よろしいあるかな、お邪魔して?」
国松「まあそういう事情なら仕方ないわね。えーと、私のベッドと、予備のお布団と、寝袋かあ…」
恵子「あたしの寝るとこの用意はいいよ。どうせ今夜は寝ないつもりだし」
荻上「3人泊めるんじゃきついでしょ。スーちゃんたちは私んちで引き受けようか?」
国松「1人泊めるも3人泊めるも一緒ですよ。大丈夫です、うちのアパートおんぼろだけど、四畳半二間ありますから」
恵子「2DK?千里って1人暮らしだよな?」
国松「実家から持ってくるものが多過ぎて、どうしてもワンルームじゃ収まらなかったんですよ。だから古アパートで二間あってもワンルーム並みの家賃のとこ探したんです」
こうして恵子、スー、アンジェラの3人は、国松のアパートにやって来た。
途中のコンビニで買ってきた夕食を食べつつ、4人は再び「ゴジラ」を見始めた。
恵子にとっては今日4回目の「ゴジラ」観賞だ。
この回からは、国松とアンジェラが細かい点について解説しながらの観賞だ。
そしてスーは、映画と一緒になって台詞を暗唱する。
「イヨイヨ最後、サヨウナラ皆サン、サヨウナラ!」
「イインダヨ恵美子サン、コレダケハ絶対ニ悪魔ノ手ニハ渡シテナラナイ設計図ダ」
「アノごじらガ最後ノ1匹ダトハ思エナイ。モシ水爆実験ガ続ケテ行ナワレルトシタラ、アノごじらノ同類ガ、マタ世界ノドコカヘ現レテ来ルカモ知レナイ」
スーは過去に何度か「ゴジラ」を見ていたせいか、台詞をほぼ完璧に丸暗記していた。
一方国松は、台詞はうろ覚え(でもほぼ覚えている)なのだが、カットのひとつひとつを異常なほど覚えていた。
それもそのはずで、実は彼女は「ゴジラ」の絵コンテを丸暗記していたのだ。
そしてもちろん、特撮のトリックは知り尽くしており、そのひとつひとつを見ながら恵子に解説する。
「ゴジラの声、今の有名な声と違いますよね。この時のゴジラの声は、コントラバスの弦をこすった音を加工して作ったそうなんですよ」
「この高圧線の鉄塔が放射能光線で溶かされるシーンですけど、これ鉄塔は蝋で出来ていて、それに撮影用のライトを当てて溶かしているんです」
さらには撮影裏話みたいなことまで言い出す。
「このゴジラ対策について話し合ってる新聞記者さんたち、こっちが中島春雄さんでこっちが手塚勝巳さんなんですけど、実はこの2人、特撮パートではゴジラの中の人なんです」
年頃の女の子が4人も集まったにも関わらず、今ひとつ色気の無い合宿風景。
果たしてその先、何が恵子を待ち受けているのか?
そして次回、さらなる試練が現視研に迫る。
今日はここまでです。
やはりこの時期、みなさん忙しいようですな。
まあアニメが始まったら、もう少し人も戻って来るだろう。
それまでは、俺みたいにヒマな奴がここ守ってりゃいいさ。
そんな訳で、続きを投下します。
今日は9レスほどの予定です。
第5章 笹原恵子の覚醒
ゴジラが今日(厳密には2日に渡っているが)7回目の白骨化をして海に沈む頃、50レス近くにも及んだ恵子の長い長い回想は終わった。
とは言っても、7回目のゴジラを見ていなかった訳では無い。
さすがにうんざりして多少よそ見をしつつも、何故か画面から完全に目を外すことは出来なかった。
それは必ずしも義務感だけでは無かった。
かと言って、この歳になっていきなり特撮に目覚めてハマったという訳でも無い。
自分自身でも分からない「何か」に引き寄せられるように、恵子は見続けていた。
一方外人コンビは時差ボケのせいもあってか、さすがにウトウトとし始めた。
2人ほどでは無いが、国松も眠そうだ。
眠そうながらも押入れから予備の布団を出して敷く。
「はいはい、スーちゃんはベッドね。そしてアンジェラは、ベッド小さいから布団で我慢してね」
言いながら2人を誘導する。
恵子「お前も寝ていいぞ、千里」
国松「私はもうちょっとご一緒して解説しますよ」
恵子「いいから寝な。もう4回も聞いたから解説はいいよ。こっからはあたし1人で、あれこれ考えながら見るから。それにお前、明日朝から出かけるんだろ?」
国松「…分かりました」
納得した国松、押入れから寝袋を出した。
恵子「よくそんなの持ってるな。お前も登山か何かやるのか?」
国松「これは防災用ですよ。阪神大震災があった時に、父があれこれ防災用品を買ってきて家庭用の防災セットを作ったんです」
恵子「で、それをこっちにも持って来たと」
国松「そうです。あっ、もうひとつ出しときますから、恵子さんも眠くなったら使って下さい」
恵子「ふたつもあるのか?」
国松「スリーシーズン用と耐寒用です。私耐寒用使いますから、恵子さんスリーシーズン用使って下さい」
恵子「冬用じゃ暑いだろ?」
国松「チャック閉めずに前開けときますから大丈夫ですよ」
恵子「いいよあたしは寝ないから。暑くない方使っとけ」
国松「でも…」
恵子「いいから!どうしても眠くなったら、座布団全部借りるから。あとはでっけえバスタオルでも出しといてくれりゃいいよ」
結局恵子に押し切られる形で、国松はバスタオルを出して恵子に渡し、スリーシーズン用の寝袋で床に就いた。
早朝、国松は目を覚ました。
高校時代、柔道部のマネージャーをやってて朝練に参加してたせいもあって、国松はオタクには珍しい朝型人間である。
普段はこの時間、ランニングするのが習慣になっていた。
だが今朝は4人分の朝食を用意しなければならないので、さすがにそれは中止する。
そして朝食を用意すべく台所に向かおうとしたが、ふと恵子が気になって見に行く。
「ひっ?!」
思わず悲鳴を上げてしまう国松。
恵子は毛布代わりのバスタオルを肩から被り、テーブルに突っ伏していた。
だが眠ってはおらず、目は見開いていた。
ただしその目には黒目が見えず、白く光っているように国松には見えた。
国松の声に反応して恵子が声をかける。
「よっ、おはよ。もう起きたのか」
「おっ、おはようございます。朝御飯の用意しようと思って」
「すまねえな」
「あの、恵子先輩、10回見たんですか?」
「見たよ。もっとも10回目のはあんまし覚えてないから、ひょっとして寝ちまったかもな。そんで念の為もう1回見といたよ」
国松は自らの背筋がザワッと音を立てるのを感じた。
「1回余分に見たんですか?」
「まあ完全にじゃないけどな。気になるとこ中心に飛ばし飛ばしでな」
「…」
「いやあ久々にやると、徹夜も何か気持ちいいな。まあ昔は徹夜でカラオケとか渋谷徘徊とかやったけど、またそれとは違う気持ち良さだな」
「…」
「それにしても変な感じなんだよな。頭ん中いろんなシーンがずーと動き回ってて、なかなか止まんねえんだよ。受験勉強の時だって、こんなに頭動かんかったのにな」
「…朝御飯、用意しますね」
『何だろう、この感じ?もうDVD止めたのに、頭ん中じゃずっと再生されっ放しだ。それも多分、全部の場面がいっぺんに…』
恵子自身は気付いていないが、彼女の脳内では今、猛烈な勢いで脳内麻薬エンドルフィンが分泌されていた。
エンドルフィンは人間が苦痛を無視して運動や苦行を続けると、その脳内で分泌されて苦痛を快楽に変えてしまう。
俗に言う、ランナーズハイとか悟りを開くとかがそれである。
恵子の場合は、エンドルフィンが脳そのものを活性化させたのだ。
ただ脳を使い慣れていない為に上手く制御出来ず、脳の回転に思考や感情が追いつかない状態なのだ。
「なあ千里、お前んちにはケロロ軍曹のビデオ、全部あんのか?」
4人で朝食の食卓を囲む中、恵子が切り出した。
国松「ありますよ。途中から見出したんで、最初の方の分はDVDですけど」
恵子「全部で何話ぐらいあるんだ?」
国松「えーと、確か今で2年と半年足らずぐらいだから…」
スー「押忍!次の放送で123話であります!」
国松「だからスーちゃん何で知ってるの?大野さんリアルタイムで送ってるのかな?」
恵子「んなことより123話っつーと、全部見るのに何時間かかる?」
国松「えーと、まともに見れば60時間ぐらいですけど、CMやオープニングやエンディング飛ばせば50時間ぐらいで見れると思いますよ」
恵子「ざっと丸2日ちょっとか…次の制作会議って2日後だったな」
アンジェラ「ひょっとしてケイコ、ぶっ通しで見るつもりあるか?」
恵子「時間が無いんでね」
スー「ナリフリ構ッテランナイノヨ!」
国松「そんな…恵子先輩、昨夜寝てないんでしょ?」
恵子「でーじょーぶだよ。これでもあたし、最高で5日連続で徹夜したことあんだから」
国松「恵子先輩…」
恵子「そういう訳で、スマンけどあと2日ばかし泊めてくんないか?まあビデオ借りてってもいいんだけど、かさばるし行き来する時間がもったいないからな」
国松「(笑顔で)分かりました!」
珍しくマジ顔の恵子のお願いを国松は快諾した。
朝食後、スーとアンジェラは帰国の途に着き、国松も出かける準備を始めた。
今日は日垣と一緒に、ケロロ小隊の着ぐるみの材料を探しに行くのだ。
その為かリュックは、いつも使ってる小さなものではなく、やや大きめのものだった。
その中にスケッチブックやノートやペンケースを入れた。
さらに「ケロロ軍曹」の単行本も持って行こうとして、途中で手を止める
国松「これ持って行っちゃまずいですね。恵子先輩も読みながら見るかも知れないし」
恵子「いいよ、持って行きな。こちとらアニメの方を片付けるのでいっぱいいっぱいだから、漫画の方まで読んでる余裕なんてねえよ」
国松「よろしいですか?でもケロロって同じ話でも、漫画とアニメで微妙に違うから、見比べた方が…」
恵子「安心しな。アニメ全部見たら漫画の方も読むからさ。ただ、いっぺんには出来ねえから今は読まねえだけだよ」
国松「上手く今日材料買えたら、今晩からでもいろいろ試してみようと思います」
恵子「ここでやるのか?それならテープ持ってどっかにふけるけど」
国松「多分日垣君のうちでやると思います。おそらく大半の荷物は彼が持ってくれるでしょうから、うちまで運んでもらうのも気の毒ですし」
恵子「そうか…(ニヤリと笑い)何なら泊まって来てもいいぞ」
国松「(無邪気に微笑み)まさか、今日はまだそこまで本格的にはやりませんよ。材料が上手く見つかるかにもよりますし。夕方には戻って晩御飯作りますから」
恵子『こいつらお互いに意識はしてるみたいだけど、まだそういう方にまでは考えてないみたいだな。敵わねえな、無邪気なやつらには』
こうして国松は、恵子の昼飯と合鍵を残して出かけた。
国松は近所で日垣と待ち合わせをし、電車で都心に出た。
行き先は池袋の東急ハンズだ。
今日のところは、先ずは材料をいろいろ見て回るつもりだ。
そうなると専門的な店に行って、あれこれ見せてもらうのもチト気が引けるし、第一あちこち回ると時間がかかる。
そこでとりあえずハンズで広く浅く見て回ろうという訳だ。
2人は素材売り場であれこれ見て回り、結局ウレタンや布地を数種類買い込んだ。
先ずはそれで試作してみて、使えそうな分を次回は大量に買い込んで本格的に着ぐるみを作ろうというのだ。
2人の間で、ケロロ小隊の着ぐるみの大体の構想は出来ていた。
体は長袖のシャツとタイツをベースに、手足は薄くウレタンを貼り、胴体は厚くウレタンを貼り、全体を着色する。
頭部は古いヘルメットをベースに、ウレタンを貼って着色する。
ある程度頭を大きくしてケロン人ぽくする為と同時に、安全確保の為である。
今回の着ぐるみは単なるコスプレではなく、殺陣を前提にしたスーツだからだ。
それに何と言ってもケロン人に入るスーツアクターは、全員平均より小柄な女の子なのだ。
嫁入り前の娘たちを傷物にする訳には行かない。
ただ、その嫁入り前の娘に自分はカウントしてない(あくまでも気持ちの問題で、自分の分のスーツにもヘルメットは入れるつもりだが)ところが、国松の国松たる所以だ。
ひと通り素材を買い、引き上げようとした2人は、人混みの中に見慣れた人影を見つけた。
田中だった。
国松「こんにちは、田中先輩」
日垣「ちわっす」
田中「ああ君たちか。えらい大荷物だね、今日はどうしたの?」
国松も日垣も、ともにリュックは大きく膨れ、手提げ袋も持っていた。
日垣「見た目は大荷物だけど、実は大半はウレタンなんで案外軽いですよ」
田中「ウレタン?」
2人は田中に、映画のことについて説明し、着ぐるみの材料を買いに来たことを説明した。
田中「前に聞いた話より本格的になってるね。何か困ったことや手伝って欲しいことあったら相談しろよ」
日垣・国松「ありがとうございます!」
国松「そう言えば田中先輩、帰ってらしたんですか、旅行から?」
田中「今日東京に戻って来たとこだよ」
国松「(キョロキョロし)ひょっとして大野先輩もご一緒で?」
田中「うん、今トイレ行ってる」
その後3人は映画の内容について詳しいことを30分近く話し込んだ。
だが大野さんは戻って来なかった。
田中「遅いな大野さん。途中で買い物でもしてるのかな?」
国松「(反射的に腕時計を見て)いけない、もうこんな時間!帰らなきゃ!」
田中「何か他にも用事あるの?」
国松「恵子先輩の夕食の用意しなきゃいけないんです」
田中「あっそう言やさっき泊まってるって言ってたね、恵子ちゃん」
日垣「(腕時計を見て)えーとうちに寄って荷物置いて、軽く材料いろいろ試したら、まあそんな時間だろうね。そんじゃ田中先輩、俺たちはこれで」
国松「大野先輩によろしくお伝え下さい、それじゃ」
立ち去る2人を優しい笑顔で見送る田中。
不意に背後に殺気に似た気配を感じ、素早く振り返る。
そこには全身から妙なオーラを放ち、陽炎でぼやけそうになった大野さんが立っていた。
田中「(一瞬怯え)おっ、大野さん、どこ行ってたの?遅かったじゃない」
大野「ごめんなさい、実はだいぶ前から田中さんの後ろの物陰に居たんだけど、つい話を聞くのに夢中になっちゃって…」
大野さんの放つオーラが、闘気に似たものに変わった。
田中「あの、大野さん?」
大野「私たちが旅行に行ってる間に、こんな面白そうな話が進行していたなんて…フフッ、フフフフフフフフ…」
どうやら現視研の映画制作プロジェクトは、大野さんのコスプレ魂に火を点けてしまったようだ。
野球の漫画、それも特に高校野球を描いた漫画って、ひとつの大会が凄く長いよね。
まあ普通主人公のチームって決勝まで勝ち残るから、週刊連載でも大会ひとつで軽く1年や2年費やしてしまう。
それを月刊誌でやろうってのは正気の沙汰じゃない。
「おお振り」って確か、夏の地方大会始まったの去年の頭か一昨年の末ぐらいだったと思う。
でも今日久々に読んだら、4回戦だか5回戦だかをやってた。
西浦がもし決勝まで残ったら、県大会いつ終わるんだろう…
それはさておき、何か俺のSSも「おお振り」並みに長期化の様相を帯びてきましたな。
まだ去年の夏コミ済んでから、1週間かそこらしか時間経過してないし、そもそも映画まだクランクインしてないし。
果たして学祭の季節までに完結出来るのでしょうか?
そんなことより次回の予告。
(長いなあ前フリ、と思わず自己ツッコミ)
遂に内なる監督回路が作動し始めた恵子。
果たして彼女が仕切る、次回の制作会議の行方は?
そしていよいよ、不死身のあいつが帰って来る!
本日はここまでです。
>『完士とおたく工場』
オ・ギウ・エーの妖精ミュージカルになってきとるw ミラクルロマン・スー笑かしていただいたwww
ドラミになったスーは少し前の絵板の「オギえもん」シリーズでしょうか。
漫画工房のシーンは吾妻ひでおを思い出したがまあそんなことはあるまい。
おそらく映画が下敷きとなってる各シーンも、相当なフィルターがかかってて大層面白いことになっております。
ほいで悪役二人組はとうとう退場ですか。俺はほのぼの好きだからオケなり。
ところで
>「大丈夫だ。ゴミを燃やすのは火曜日だから。」
>「今日が火曜日ですよ。」
この掛け合いGJ!
そろそろ完士くんの淡い恋心の行方も気になるが、いろいろな工房も見てみたい。
引き続きよろしくです。
そそるぜw
>『30人いる!』
読んでる!読んでるぞ!!
俺もまんがまつり行けなかった口なのでオタク的には日々つまらんのだ。あなたの作品はそんな退屈を吹き飛ばしてくれるさながら一杯の清涼飲料。
当分楽しませていただくので引き続きよろしくよろしく。
そろそろ『連作を除く過去SS最長作』達成したころあいだと思うが(ざっと見たところでは『スザンナの消失』『はぐれクッチー純情派』『26人いる!』あたりがトップ3、ってあれ?作者氏……?)軽快に読み進められて気持ちがいい。
そしてお話。脳内麻薬エンドルフィンキター!恵子はけっこう一途なタイプだと思うので、ともかく何かの方向性を与えてアクセル踏んじゃえば爆発スタートすると思います。
ぶっちゃけ洗脳に近いビデオ学習の効果激大だぜ!
だがしかし!
>ただ脳を使い慣れていない為に上手く制御出来ず、
失礼だwww
回想シーンも終わったし材料集めも進んだし(ついでに陰謀が増えてるようだがw)、近いうちに制作編とクランクインが見えてくるかな。
まだまだ行けるぜ。引き続き楽しませていただきます〜。